委員長 | あぜ上三和子君 |
副委員長 | 吉住はるお君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
理事 | 竹平ちはる君 |
理事 | 福手ゆう子君 |
理事 | 後藤 なみ君 |
東 まり子君 | |
しのはらりか君 | |
岩永やす代君 | |
関口健太郎君 | |
慶野 信一君 | |
柴崎 幹男君 | |
増子ひろき君 | |
小松 大祐君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 佐々木 健君 |
次長 | 相田 佳子君 | |
総務部長 | 小泉 雅裕君 | |
職員部長 | 鈴木 豊君 | |
経理部長 | 和田 慎一君 | |
計画調整部長 | 藤橋 知一君 | |
施設管理部長 | 新谷 康之君 | |
建設部長 | 萩原 清志君 | |
企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 澤村 航君 | |
技術開発担当部長 | 家壽田昌司君 | |
施設管理担当部長 | 須賀 隆行君 | |
設備調整担当部長 | 小池 利和君 | |
施設整備担当部長 | 杉山 純君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 袰岩 滋之君 |
管理部長 | 池島 英稔君 | |
技術部長 | 井上 潔君 |
本日の会議に付した事件
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十八号議案 令和七年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百四十七号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
・第百四十八号議案 多摩川流域下水道秋川処理区の建設に要する費用の関係市町村の負担について
・第百四十九号議案 荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
令和七年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和七年三月十四日
東京都議会議長 増子ひろき
(公印省略)
公営企業委員長 あぜ上三和子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(金)午後五時
(別紙1)
公営企業委員会
第十九号議案 令和七年度東京都工業用水道事業清算会計予算
第二十四号議案 令和七年度東京都交通事業会計予算
第二十五号議案 令和七年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六号議案 令和七年度東京都電気事業会計予算
第二十七号議案 令和七年度東京都水道事業会計予算
第二十八号議案 令和七年度東京都下水道事業会計予算
(別紙2省略)
○あぜ上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより下水道局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第二十八号議案及び第百四十七号議案から第百四十九号議案までを一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小泉総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをご覧ください。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
下水道局が所管する政策連携団体及び事業協力団体における職員数と、その内訳として、都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
二ページをご覧ください。政策連携団体、事業協力団体の職員数の推移でございます。
政策連携団体及び事業協力団体における職員数の推移を、雇用形態別に過去五年分お示ししてございます。
三ページをご覧ください。定数と職員数の推移でございます。
下水道局職員の条例定数と職種別、雇用形態別の職員数の推移を、過去五年分をお示ししてございます。
四ページをご覧ください。超過勤務時間数の推移でございます。
月八十時間を超えた超過勤務実績のある職員数及び職員一人当たりの月平均超過勤務時間数の推移を、過去五年分お示ししてございます。
五ページをご覧ください。業務委託の推移と委託先及びそれに伴う職員定数の削減数でございます。
業務委託の委託先、主な委託内容及び職員定数の削減数を、過去五年分お示ししてございます。
六ページをご覧ください。未利用局有地の所在地及び面積でございます。
未利用の局有地を、所在する自治体別、面積別にお示ししてございます。
七ページをご覧ください。女性職員数の推移と、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況でございます。
女性職員数の推移について過去五年分、また、事業所の区分ごとに、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況をお示ししてございます。
八ページをご覧ください。職員の育児休業取得状況でございます。
育児休業の取得人数及び取得率につきまして、性別ごとに過去五年分お示ししてございます。
九ページをご覧ください。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社における法人税、住民税、事業税と株主配当の推移を、過去十年分お示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○あぜ上委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○東委員 よろしくお願いいたします。
先日、府中市にある北多摩一号水再生センターを視察してまいりました。下水を処理する過程を直接確認し、下水道の大切さを実感したところです。都が管理する水再生センターが二十施設、下水道管の延長が一万六千キロメートルを超える膨大な下水道施設は、二十四時間三百六十五日休むことなく稼働し、東京の都市活動になくてはならない重要な基幹インフラでもあります。
そのような中、埼玉県八潮市では、下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没が発生し、約百二十万人の方々が下水道の使用自粛を求められる事態となり、下水道施設に何かあった場合の影響の大きさを改めて認識されたところです。今後も引き続き、下水道サービスを安定的に提供し、都民生活の安全・安心を確保していくためには、施設の老朽化への対応を着実に進めることが必要です。
また、気候変動に伴い、激甚化、頻発化する豪雨に対する取組や能登半島地震を踏まえた地震対策の強化など、新たな課題への対応も求められています。一方で、物価や労務単価の上昇などにより必要経費が増加し、事業の実施に影響を与えているものと思われます。こうした財政面での環境変化にも適切に対応していく必要があると考えます。
下水道局では、経営計画二〇二一を策定し、計画的に事業を進めてきたと思います。こうした事業を踏まえて、計画の最終年度となる令和七年度の予算をどのように編成したのか、改めて令和七年度の予算編成の考え方について伺います。
○小泉総務部長 令和七年度は、経営計画二〇二一の最終年度であり、計画に掲げた老朽化施設の再構築などの事業を着実に推進するとともに、首都東京の強靱化など、下水道に求められる新たな課題にも積極的に取り組むことを基本的な方針として予算を編成いたしました。
特に、物価上昇など必要経費の増加に対応し、建設改良事業費については、計画額から二百十二億円増額して計上しており、再構築をはじめ、浸水対策、震災対策など、必要な事業を着実に推進してまいります。
また、事業の実施に当たりましては、コストのさらなる縮減や資産の有効活用など、不断の経営効率化に努め、下水道サービスを安定的に提供してまいります。
○東委員 物価上昇などに対応し、事業費を増額して事業を推進するとともに、併せてコストの縮減など、不断の経営効率化に努めるとのことで確認できました。
将来にわたって下水道サービスを安定的に提供していくためには、こうしたコストの縮減などの企業努力の徹底が欠かせないと考えます。
令和七年度の企業努力の具体的な内容について伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 経営計画二〇二一では、コストの縮減や資産等の有効活用により、五年間で総額六百五十億円の企業努力を行うこととしておりまして、令和七年度は約百二十四億円を見込んでございます。
具体的には、非開削工法のマンホール浮上抑制対策など、工期の短縮による建設コストの縮減や、エネルギー自立型焼却炉の導入等による電気料金の削減など、維持管理コストの縮減を進めております。
下水道施設の上部空間の活用など資産等の有効活用については、芝浦水再生センターの上部を利用したオフィスビルの貸付けで、令和七年度は約六十六億円を見込むなど、収入の確保に努めております。
今後とも、最大限、企業努力に取り組んでまいります。
○東委員 建設、維持管理コストの縮減や収入の確保の具体的な内容について確認できました。
次に、区部の下水道管の再構築事業について伺います。
令和七年度の予算書を拝見すると、再構築事業の事業費は九百十八億円が計上されています。これは、区部の下水道建設改良費の約四割を占めており、極めて重要な事業であることが分かります。
そこで、区部の下水道管の枝線並びに幹線の再構築の実施状況と令和七年度の取組について伺います。
○萩原建設部長 枝線の再構築事業は、区部を整備年代別により三つのエリアに分け、最も古い都心部の処理区を第一期再構築エリアとして優先的に進め、約八割が完了しております。
令和七年度は、引き続き第一期エリアの再構築を進めるとともに、このエリアの整備完了を見据え、第一期に次いで整備年代の古い区部西部の第二期エリアにおきまして、地域状況に応じた整備手法を検討するための試行工事に着手いたします。
幹線の再構築事業は、整備年代の古い幹線や調査に基づき対策が必要と判断した幹線など約三百キロメートルを対象に再構築を実施しており、これまでに約三割が完了しております。
また、水位が高く、再構築を行うことが困難な幹線につきましては、下水の流れを切り替えるために必要な代替幹線を先行して整備することとしております。
令和七年度は、引き続き幹線の再構築の整備を進めるとともに、新たに代替幹線として町屋幹線の整備に着手いたします。
○東委員 重要な都市インフラである下水道管の再構築は、都民の安全を守り、安心で快適な生活を支えるものであり、こうした取組を今後も着実に進めていただきたいと思います。
次に、埼玉県八潮市の道路陥没を受けた下水道局の対応について伺います。
さきの代表質問で、都議会自民党は、八潮市の道路陥没事故を受けての都の対応について伺い、下水道局は下水道管の緊急点検を実施しているとのことですが、そこで、緊急点検の進捗状況について伺います。
○新谷施設管理部長 下水道局では、八潮市の道路陥没を受けまして、その翌日から直ちに国道及び都道、都内全域で合計約一千二百キロメートルを巡視いたしまして、異状がないことを確認いたしました。
巡視に続きまして、緊急点検として、硫化水素ガスにより腐食するおそれが大きい環境にある下水道管など約四十三キロメートルを対象に、下水道管内部の目視点検や路面下の空洞調査を行っておりまして、これまでに目視点検が完了しまして、異状がないことを確認してございます。
現在、約四十キロメートルの空洞調査が完了しまして、これまでのところ、下水道管に起因する空洞の可能性が確認された箇所はございません。
引き続き、点検の結果、異状が確認された場合は、道路管理者と連携いたしまして補修を行うなど、速やかに対応してまいります。
○東委員 四十キロメートルの空洞調査が完了したということで、着実に緊急点検を進めているとのことが分かりました。今後、道路陥没事故を受け、対応策を検討している国土交通省の有識者会議の動向を踏まえながら、今回のような事故を未然に防ぎ、都民の安心が得られるよう、適切に対応していただきたいと思います。
次に、多摩地域の下水道の取組について伺います。
下水道は、多摩地域においても、都民の良好な生活環境を支えています。しかし、時代によって下水道に求められる課題も多様化しており、強靱化が求められる現在、我が会派が要望してきた強靱化補助制度が開始され、市町村からも感謝の声を聞いています。
そこで、強靱化補助制度の具体的な内容とこれまでの執行状況について伺います。
○井上技術部長 都は、市町村の強靱化に資する公共下水道の浸水、地震対策のレベルアップ、スピードアップを図るため、令和五年度から、市町村が負担する費用の二分の一を補助する制度を創設し、市町村の計画策定や工事等に対し、財政支援を実施しております。
令和五年度は、浸水対策で十八市町、地震対策で四市町、合わせて二十一市町で強靱化補助を活用し、執行額は約十億円でございました。
都は、市町村の取組を促進するため、浸水や震災に関する勉強会を開催し、本年度は、浸水対策で二十一市町、地震対策で五市町、合わせて二十三市町の補助制度の活用につなげてまいりました。
○東委員 制度初年度から多くの市町村が活用していることを確認できました。これは、市町村の支援ニーズに都が的確に応え、取組を後押ししていくために、きめ細かく支援に取り組んだ結果だと思います。
令和七年度における強靱化補助の市町村の活用予定と具体的な対策について伺います。
○井上技術部長 令和七年度における強靱化補助につきましては、武蔵野市等二十五市町が活用する予定であり、予算額は二十二億円でございます。
具体的には、浸水対策といたしまして、二十四市町が計画策定やシールド工法による雨水管整備、雨水排除能力の向上に資する下水道管改良等の対策を進め、地震対策といたしましては、五市町がポンプ場の耐震補強工事等の対策を進めていく予定でございます。
○東委員 市町村数が年々増えており、広く活用されていることは評価します。大事なインフラである多摩地域の下水道について、持続可能な運営のために、引き続き市町村を支援していただくことを要望します。
次に、技術開発について伺います。
昨年の事務事業質疑で、小松議員が質疑を行い、下水道局からは、政策連携団体である東京都下水道サービスと下水道局が一体となり、最先端の技術を有する民間企業などとノウハウを集結し、技術開発を推進していくとの答弁がありました。下水道局は、古くから民間企業と連携して技術開発を行ってきたと思います。
そこで、下水道局とTGSが連携して、民間企業と共同で開発した技術の実績について伺います。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、事業を実施する上で直面する課題や将来を見据えて解決すべき課題に対応するため、政策連携団体であるTGSと連携し、民間企業などが有する最先端技術と下水道技術との融合による技術開発に取り組んでおります。
こうした開発において、民間企業などの参加意欲を高めるため、下水道局が持つノウハウや水再生センターのフィールドを提供するなど、様々なタイプの共同研究の仕組みを整えております。
これまでの開発実績といたしましては、昭和六十一年度の光ファイバーケーブル敷設ロボットから始まり、令和五年度末までに累計五十六件の技術を実用化しております。
○東委員 今のご答弁を伺いますと、下水道局とTGSが連携して、一年に一件以上のペースで多くの技術を開発し、実用化してきたということで、大変驚きました。東京の下水道は、全国に先駆けて課題解決を図ってきたと認識しました。
一方で、全国的な人口減少に伴い、技術者も減っていると聞いています。今後、他の都市との共存共栄を目指すためには、都が培ったこうした技術を展開することで、省力化、効率化、高度化などが図られ、全国の下水道事業の課題解決を後押しすることにつながるのではないかと考えます。
そこで、これまで下水道局、TGS、民間企業が連携して開発した技術のうち、他の都市に導入された具体的な事例について伺います。
○家壽田技術開発担当部長 TGSや民間企業と連携して開発した技術は、都で導入するだけでなく、他の都市の課題の解決に貢献するため、幅広く展開しております。これまでに、老朽化した下水道管をリニューアルする技術や下水道管の耐震化、さらには高度処理など、様々な技術を他の都市で導入しております。
具体的には、下水道管とマンホールの接続部の耐震化技術は、令和五年度末までに全国百二十五の都市で、また、マンホールの浮上を抑制する対策に活用される技術は、全国百十四の都市で採用されております。
東日本大震災や昨年の能登半島地震でも、これらの対策を実施した箇所では効果を発揮していることを確認いたしております。
○東委員 東京発の技術が全国各地に導入され、様々な実績を上げていることが分かりました。共同開発した技術の実績が上がることは、民間企業にとってもモチベーション向上につながるのではないかと考えます。こうした東京発の技術は、海外でも幅広い活用が期待できると思うので、ぜひとも世界に向けて、より一層PRをしていただきたいと思います。
海外にこれまでに導入された具体的な事例と、今後の海外への技術の展開やPRについて伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 下水道局では、TGSや民間企業と連携して、東京が誇る高い技術を海外へプロモーションするとともに、水環境分野の主要な国際会議や展示会等で積極的にPRしてございます。
その結果、東京の下水道技術は、アジアやヨーロッパなど約三十の国と地域に展開されてございます。具体的には、合流式下水道からごみの流出を抑制する水面制御装置は、ヨーロッパなどで約四十か所に設置されております。また、道路を掘らずに下水道管をリニューアルするSPR工法は、アジアや北米などで約百九十キロメートル施工されております。
今後とも、これまで東京下水道が培った技術力などの強みを生かし、国際展開を積極的に推進してまいります。
○東委員 東京の下水道技術は、国内のみならず、世界にも展開していることが確認できました。下水道局は、PRにもさらに取り組んでいただき、本日ご紹介していただいた技術が、全国、全世界でますます活用されることを期待するとともに、さらなる新技術の開発にも期待しています。
本日は、下水道局の予算、強靱化の取組、そして技術開発について、幅広い観点から質疑をさせていただきました。
経営計画の目標を達成するようにお願いするとともに、全国の下水道界のトップランナーである下水道局として、TGSや民間企業と連携して、世界の下水道もリードしていってもらうことを願って、私の質問を終わります。
○おじま委員 今、東委員の質問の中にもあったんですけれども、八潮市の道路陥没事故を受けて、つくづく今回のことで、日頃から、下水道管をはじめインフラの維持管理を適切に行っていくことが非常に重要であるということを再認識したところであります。ということで、私もこのインフラの維持更新、管理あるいは再構築にスポットを当てて質問していきたいと思います。
区部においては、一万六千キロを超える膨大な下水管があるわけですけれども、これを将来にわたって適切に維持管理をしていくためには、効率的、効果的な調査やデータの管理とその活用を行っていくことが重要であるということであります。
そこでまず、区部の下水道管について、どのように今回調査を行い、どのように活用しているのか伺いたいと思います。
○新谷施設管理部長 下水道管の調査でございますが、硫化水素ガスにより腐食するおそれが大きい環境にある下水道管や、国道、都道などの重要な路線に埋設された下水道管など、全ての下水道管を対象に計画的に実施してございます。
調査に当たりましては、比較的大きな口径の下水道管では、調査員が目視により確認をしてございます。また、人が入ることのできない小さな口径の下水道管では、三百六十度確認できるミラー方式テレビカメラで撮影したデジタルデータを用いまして、記録、診断する各作業を一連で自動化し、調査の効率化や精度の向上を図ってございます。
その上で、管径、勾配など下水道管の構造に加え、損傷状況などの調査結果を下水道台帳システム上で一元的に管理し、劣化に応じた部分的な補修や再構築の推進にも活用してございます。
○おじま委員 すみません、今、遅れて恐縮だったんですけれども、本当に下水道局あるいは調査員の皆さんも大変お疲れさまでございました。
この間のプレスリリースとかも見ていて、一見、アナログでこれだけの四十三キロを見ていったのかなというふうに思ったんですけれども、意外とデジタル技術がしっかりと活用されているということも、今の答弁において確認ができたところであります。こういう技術を踏まえまして、老朽化した下水道管を再構築して、都市を持続可能なものにしていくということだと思います。
また、東京というのは高度に都市化が進んでいるので、ガスあるいは水道などのインフラがふくそうして埋設をされているほか、道路交通事情、周辺環境など様々な制約があるものだと思います。このため、工事を行うに当たっては、道路をなるべく掘らないようにするなど、効率的にインフラの再構築を進めていく必要があると思います。
そこで、下水道管の再構築工事を効率的に進めていくために、下水道局が開発をしてきた技術について伺いたいと思います。あわせて、工期であったり、コスト効果も伺いたいと思います。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社や民間企業と連携いたしまして、老朽化した下水道管の内側をリニューアルするSPR工法を昭和六十二年度に開発いたしました。
この工法は、円形や四角形など様々な断面形状の下水道管に対応できるとともに、口径二十五センチメートルの小規模な枝線から五メートルの大規模な幹線まで幅広く対応することが可能で、多くの再構築工事で採用しております。ある程度の水量であれば、下水を流したまま施工することが可能であるとともに、工事中の騒音や振動が少なく、道路を掘り返す必要がないため、交通や周辺環境への影響を少なくできることが特徴でございます。
工期やコストにつきましては、道路を掘り返して新しい下水道管に入れ替える場合と比較して、おおむね半分以下に削減することが可能でございます。
○おじま委員 技術開発によって、交通、周辺環境をはじめ、都民生活への影響を極力抑えつつ、効率的に再構築を進めていただいているということであります。
また、下水道管を適切に維持管理していくということであれば、現場の人手、担い手、働き手の確保が欠かせないわけであります。一方で、今後、人口減少や高齢化は進んでいくわけでありまして、生産人口の減少というのが進んでいったときの対策というのもしっかり打っていかなければならないということであります。一層効率的に下水道の維持管理を行っていくためには、この対応として考えられるのが、これまで人がやってきたことをデジタル化していくこと、すなわちロボットとかAIに代替をしていくということであります。
そこで、下水道管の維持管理における今後の技術開発の取組について伺いたいと思います。
○家壽田技術開発担当部長 下水道管の維持管理においては、水量が多く硫化水素などの有害ガスが発生するという危険な箇所が存在するほか、経験豊富なベテラン職員の大量退職、さらには、増加し続ける維持管理費への対応などが課題となっております。
そのため、下水道局では、デジタル、働き方、作業困難などの視点を重視した技術開発推進計画二〇二一に基づきまして、人口減少や高齢化を見据え、先んじた技術開発に取り組んでおります。
具体的には、従来は人力で行っていた作業の効率化や省力化を含めたコスト削減などを図るため、ロボットなどの無人化技術やAIを活用した分析手法などに取り組むほか、近年では、様々な分野に強みを持つスタートアップ企業との共同研究も実施しております。
今後とも、下水道局が有する長年の経験と新しいテクノロジーを組み合わせ、課題の解決を図る技術の開発に取り組んでまいります。
○おじま委員 先日の報道にもあったんですけれども、今、インフラの老朽化、更新が立ち行かなくなっているというような、これ、全国的に問題になってきているわけでありまして、その中でも、東京は、今回の件を踏まえても、物すごく頑張っていただいているんだなというふうに実感をしておるところでございます。これは、引き続き、その取組を進めていただきたいと思いますし、今、ご答弁をいただきましたとおり、今後とも下水道局には先進的な技術開発に積極的に取り組んでいただきながら、日本における下水道技術を引き続きリードもしていただきたい、都民生活と都市生活をしっかりと支え続けていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○竹平委員 地元課題を中心に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
初めに、浸水対策について質問いたします。
私の地元江戸川区は、陸域の七割が海抜ゼロメートル地帯であり、その中でも中央地域付近は、周辺に比べて地盤が低い場所もあり、これまで幾度となく浸水被害に見舞われ、様々な対策が行われてきました。
私が、中央地域に整備された貯留管を区議会議員時代に視察をさせていただいた際に、事業内容の説明を受け、実際に貯留管の内部に入らせていただきました。地上からは想像もつきませんでしたけれども、地下ではこのような大きな貯留管によって私たちのまちが守られているのかと、施設の構造や浸水対策への理解が深まり、着実に取組が進められていることを実感いたしました。
そこでまず、江戸川区中央地域におけるこれまでの浸水対策の取組について、改めて伺います。
○萩原建設部長 江戸川区の中央地域では、低地部などにおいて浸水被害が発生しているため、区の道路事業に合わせて、拡幅された道路の下に雨水貯留管を整備するなど、区と連携しながら浸水被害の軽減を図ってまいりました。
具体的には、平成十一年度に約一千五百立方メートルの貯留管を完成させ、さらに、平成二十五年には約一千立方メートルの貯留管を完成させることで、合計約二千五百立方メートルの貯留管の整備を行ってまいりました。
○竹平委員 浸水被害が発生した地域において、都は区と連携して取組を進めていただいていることを確認させていただきました。
しかしながら、これまで二度にわたって貯留管の整備が行われ、浸水被害は軽減してきているとはいえ、その後も猛烈な豪雨により、中央地域では浸水被害が発生しております。地元の方からは、不安な声が聞かれております。地球温暖化に伴う集中的な降雨量の増大が懸念されており、さらなる浸水対策が必要と考えます。
そのような中で、令和四年三月に、下水道局は江戸川区中央地区を重点地区に選定をし、さらなる対策について検討を進めていただいていると思います。
そこで、これまでの取組状況と令和七年度の取組について見解を求めます。
○萩原建設部長 江戸川区中央地域におきまして、時間七十五ミリ降雨を目標整備水準とし、既設下水道の流下能力の評価や対策に必要な施設規模など、概略検討を行うとともに、事業用地の選定などを進めてまいりました。
令和七年度は、新たな下水道管の敷設ルートの検討や、事業用地の確保に向けた区との協議などを実施してまいります。
今後も、区と協力しながら、中央地区の浸水被害の軽減に向け、取組を推進してまいります。
○竹平委員 激甚化、頻発化する豪雨への対策は待ったなしであります。ぜひとも、中央地区の浸水被害を防ぎ、地元の方々の生活を守る大切な取組ですので、一日も早く対策工事に着手していただくよう強く要望いたします。
次に、篠崎ポンプ所の整備についてお伺いをいたします。
東部低地帯に位置する江戸川区にとって極めて重要な施策の一つに、下水道施設の耐水化があります。ポンプ所の電気設備が浸水し、機能停止することは絶対に避けなくてはなりません。そのため、都議会公明党は、これまでも高潮に対する下水道施設の耐水化を求めてまいりました。昨年の予算特別委員会の私の質疑では、江戸川区内の篠崎ポンプ所で必要な対策の検討を進めていると答弁をいただいたところであります。
そこで、篠崎ポンプ所における下水道施設の耐水化について、その後の取組状況について答弁を求めます。
○藤橋計画調整部長 下水道局は、目標を超える降雨や複合災害などにより水害が発生した場合でも、揚水機能などを確保するため、高潮、津波、外水氾濫、内水氾濫のうち、最大となる浸水深に対応するよう、耐水化をレベルアップする取組を進めております。
篠崎ポンプ所につきましては、高潮の高さに対応していくこととしており、これまで調査設計を実施してまいりました。先週から実施設計に着手しており、今後、防水扉や止水板の構造など、具体的な対策の検討を進めてまいります。
○竹平委員 江戸川区にとって、この下水道施設の耐水化は非常に重要な取組でありますので、今後とも着実に進めていただくよう要望いたします。
また、篠崎ポンプ所では、現在、耐水化以外の工事が実施されております。工事が長期間にわたっており、周辺にお住まいの方々も非常に高い関心を持っておられます。
そこで、篠崎ポンプ所において現在進められている工事の内容と令和七年度の予定について答弁を求めます。
○杉山施設整備担当部長 篠崎ポンプ所では、停電が発生した際にもポンプ等の運転を維持するための非常用発電設備の再構築と、ポンプでくみ上げた雨水を旧江戸川へ放流するための放流渠はけ口の耐震化等の工事を進めております。
非常用発電設備の再構築につきましては、新たな発電設備を設置するための建屋の建設工事が令和七年度に完了する予定であり、引き続き、発電設備本体を設置する工事などを進めてまいります。
また、放流渠はけ口の耐震化工事につきましても、令和七年度に完了する予定でございます。
○竹平委員 篠崎ポンプ所では、地震に対する備えが行われていることを確認できました。非常用発電設備や放流渠はけ口の耐震化等の工事を着実に進めていただきますよう要望いたします。
今年は、阪神・淡路大震災から三十年を迎えました。この地震による災害を契機に、東京では、下水道の耐震化事業が強化されるなど、インフラの震災対策が進められてきました。
江戸川区は、液状化の可能性が高い地域が全域に広がっており、ポンプ所だけでなく、下水道管も地震に備えることは重要であると考えます。
そこで、江戸川区内の下水道管耐震化の実施状況と令和七年度の取組について見解を求めます。
○萩原建設部長 江戸川区内の下水道管の耐震化の取組状況でございますが、下水道管とマンホールの接続部の耐震化として、災害復旧拠点などから排水を受け入れる下水道管を対象に、令和五年度末までに累計三百十一か所で対策を実施いたしました。
また、マンホールの浮上抑制対策として、緊急輸送道路などにおきまして、令和五年度末までに約二百二十キロメートルで対策を実施してまいりました。
令和七年度は、マンホールの浮上抑制対策の設計を進めるとともに、避難所や一時滞在施設など十二か所において、下水道管とマンホールの接続部の耐震化に着手いたします。
○竹平委員 ただいまのご説明をお聞きし、下水道管の耐震化を着実に推進していることが分かりました。
さて、東京都では、東京トイレ防災マスタープランの素案を公表し、昨日までパブリックコメントを行っていました。その素案では、災害時のトイレ空白エリアの解消に向け、対策を進めることとしております。空白エリアの解消方法として、マンホールトイレも、災害用トイレを確保するための一つの有効な手段とされております。
今定例会において、我が党の慶野議員からの質問に対し、下水道管の耐震化などを新たに検討し、対策の強化を図るとの答弁をいただいたところでございます。
そこで、下水道局では、区部において、具体的にどのような検討を行っていくのか見解を求めます。
○藤橋計画調整部長 東京トイレ防災マスタープラン素案では、災害用トイレの空白エリアの解消を目指し、区がマンホールトイレなどの災害用トイレの適正配備を計画することとしております。
下水道局では、これまで下水道管の耐震化が完了したところで、区からの要請に基づき、し尿が堆積しない程度の水量があり、また道路交通や応急活動などの支障とならない場所を、マンホールトイレを設置できるマンホールとして指定しております。
東京トイレ防災マスタープランに基づくマンホールトイレの設置の必要性を踏まえまして、区の要請箇所において下水道管の耐震化を検討するなど、空白エリアの解消に貢献してまいります。
○竹平委員 能登半島地震では、ライフラインの被害等により水洗トイレが利用できず、災害用トイレが不足するなどの課題が明らかになりました。いつ起きるか分からない首都直下地震に備え、マンホールトイレなどの災害用トイレの充実を図っていくことが大変重要であります。
私の地元江戸川区では、既に江戸川区災害(震災)時トイレ確保・管理計画を策定しており、その中でマンホールトイレの確保計画、数値目標も示されておりますので、区とも密接に連携するとともに、都庁内の様々な施策とも一体となって、災害時のトイレ確保、整備に取り組まれるよう強く要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○福手委員 よろしくお願いします。共産党の福手ゆう子です。
埼玉県八潮市の道路陥没事故に絡んでお聞きしていきます。
この事故は、本当に多くの人が、どこでもこういう事故が起きるのではないかと、そういう不安に思う事故でした。まだ見つかっていないトラックの運転手の方や、そして百二十万人の住民が下水道の使用自粛という、本当に甚大な被害を起こした事故です。これを二度と繰り返してはならないと、今、国においては、有識者委員会での検討が行われています。
改めて、埼玉県八潮市の陥没事故を受けて、下水道局が行った点検の内容とその結果、そして進捗を伺います。
○新谷施設管理部長 下水道局では、陥没発生後、直ちに都内全域で約一千二百キロメートルを巡視するとともに、腐食のおそれが大きい箇所など約四十三キロメートルの下水道管を対象に、目視点検や空洞調査を行ってございます。目視点検は完了しておりまして、異状がないことを確認してございます。
現在、約四十キロメートルの空洞調査が完了しまして、下水道管に起因する空洞の可能性が確認された箇所はございません。
○福手委員 今、事故を受けての点検をお聞きし、お答えいただきました。今のところでは、異状はないと、空洞も確認されていないということでした。引き続き、空洞調査は行われておりますので、それはしっかりとやっていただくようお願いを申し上げます。
今、事故を受けての点検についてお聞きしましたが、次は、下水道局として定期的に行っている点検についても伺っていきたいと思います。
下水道法に基づき行っている下水道管の点検方法、点検頻度を伺います。
○新谷施設管理部長 下水道局では、全ての下水道管を対象に、目視などにより点検を行ってございます。
点検頻度につきましては、腐食するおそれの大きい下水道管では、法令に基づき五年に一回以上、このほか、国道下に埋設された下水道管では五年に一回、都道などに埋設された下水道管では十年に一回など、下水道管の敷設環境に応じて定めてございます。
○福手委員 下水道法施行令に基づいて、腐食するおそれが大きいものは五年に一回以上だと、その他のところでもお答えいただきました。
では、八潮市の事故と同様の流量や口径の大規模な下水道管では、どのような方法で点検をしているのか、点検基準を定めているのか伺います。
○新谷施設管理部長 口径が八百ミリメートル以上の下水道管につきましては、目視などによります点検調査を行うこととしてございます。
○福手委員 大規模施設に特化した点検基準があるということではなく、下水道法施行令に基づいて、どの規模の管であっても同じ点検を行っているということです。
下水道法は、二〇一五年の改定で、下水道施設の維持または修繕に関する技術上の基準を定めました。そして、下水道法施行令で、腐食のおそれが大きい箇所は五年に一回以上の点検をすると。そして、下水道法施行規則で、腐食するおそれが大きいところとして、暗渠である構造の部分を有する排水施設で、コンクリートその他腐食しやすい材料でつくられているもので、具体的には、一つは下水の流路の勾配が著しく変化する箇所または下水の流路の高低差が著しい箇所、もう一つは伏越室、これは川の下に管を通すことをいうそうですが、その壁その他多量の硫化水素の発生による腐食のおそれが大きい箇所というふうにされています。
この陥没事故については、まだ調査中なので、その結果を待たねばならないと思いますが、今分かっていることだと、やはり八潮市の場合は、全ての管路の内部について、五年に一回の頻度で調査をしていた。陥没した場所は、二〇二一年、令和三年度に調査をして、そのときは補修が必要な腐食、損傷は確認されていないといわれています。やはり不具合があるところに限定せずに、全体の調査や点検がやはり必要なんだろうと、私は今のところで思っております。
次に、点検や補修は、どのような流れで進められているのか、関係部署との連携などについて伺っていきたいと思いますが、八潮市の事故を受けて、下水道局が行った点検について、多摩地域や二十三区の建設事務所には情報提供をされているのか伺います。
○新谷施設管理部長 下水道局が行いました点検につきまして、多摩地域と区部の道路管理者に情報提供を行ってございます。
○福手委員 実は、二月の中旬に、八潮の事故を受けて、建設事務所にいろいろと聞き取りをした際に、下水道局の実施した点検について情報が入っていないというやり取りがあったものですから質問させていただきましたが、今、道路管理者には情報提供をしているということでしたので、関係する部署との情報共有は本当に必須だと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。
では、逆に、道路管理者が行う道路陥没の点検で空洞が見つかった場合、その情報を下水道局はどのように受けて、その後どう対応するのか伺います。
○新谷施設管理部長 下水道管に起因する可能性のある空洞が発見されました場合には、道路管理者からの要請により、下水道局で現地の確認を行った上で、状況に応じた対応を行ってございます。
○福手委員 空洞が見つかった場所の下に下水道管がある場合、道路管理者から点検の要請が入るので、現地へ行き、点検をして、下水道管が原因であった場合は対応していくということで確認をしました。
では、次に、都内では下水道管に起因する道路陥没が毎年発生をしていますが、下水道管に起因する道路陥没の件数、そして、そのうち深さが五十センチを超える陥没穴が生じたその件数を伺います。
○新谷施設管理部長 下水道管に起因する道路陥没は、令和五年度に三百二十七件発生いたしました。そのうち、深さ五十センチを超える陥没の穴が生じた件数は三十件でございました。
○福手委員 五十センチの深さの陥没は三十件ということでした。人や車などが巻き込まれると大きな事故につながるので、予防と点検が非常に重要だということが改めて分かります。
下水道管に起因するこの道路陥没の主な原因を伺います。
○新谷施設管理部長 下水道管に起因する道路陥没につきましては、主に下水道管が破損することで生じておりまして、多くは陶器製の取付管で発生してございます。
○福手委員 取付管は浅いところに埋まっていると、陶器製で破損しやすいということが道路陥没の原因になっているということでした。
この取付管の陥没対策については、どのように行っているのか伺います。
○新谷施設管理部長 陶器製の取付管を衝撃に強い硬質塩化ビニール管へ取り替えたり、更生工法などによる対策を実施してございます。
○福手委員 取付管については、このような対策が取られているということが分かりました。
では、取付管の陥没対策に当たっては、その管の周りの空洞調査というのは実施されているのでしょうか、伺います。
○新谷施設管理部長 取付管の更生工法の実施に当たりまして、管の周りの空洞調査を行ってございます。
○福手委員 管の補修をする際には、管の周りに空洞があるかないかも、これも同時に調査を行っているということでした。重要だと思います。
では、下水道管にひびなどが見つかった場合は、それに関連して、どのような点検や補修を行っているのか伺います。
○新谷施設管理部長 下水道管の点検調査によりまして大きな異状が確認された場合、直ちに補修を行います。軽微な異状であれば、経過を観察しまして、劣化状況に応じた補修工事を計画的に実施してございます。
○福手委員 大きな異状があったときは直ちに補修、軽微なものは経過観察ということでした。先ほど、取付管の質問で、管の補修の際には管の周りの空洞調査を一体で行うということでしたが、大きな管についても、やはり損傷が見られた場合には、今は地面を掘らないで内面被覆で補修するという場合もありますので、掘らない場合は空洞調査も同時に行われることがやっぱり必要だと思いますので、それが求められると思います。
下水道局だけではなくて、道路管理者と連携して行うことも当然必要になると思います。さらに、やはり技術が確立されるような研究も求められてくると思います。生活に欠かせないインフラです。困難が伴う工事でもある中で、下水道局の役割、改めて重要さが増していると思っています。ぜひ、引き続き、計画的な点検、調査で予防と補修を進めていただくことをお願いしたいと思います。
次に、下水道事業の人材確保について伺います。
まず、東京都は、技術系職員を対象に、奨学金返還の負担軽減を行うことを発表していますが、下水道局の技術系職員もこの対象になるのか伺います。
○鈴木職員部長 事業を所管する総務局に問合せをいたしましたところ、公営企業である下水道局も対象になるとのことでございます。
○福手委員 ありがとうございます。下水道局も対象になるということで、担い手不足と技術継承の課題解決のためには大事な制度ができましたので、この制度がうまく効果を発揮できることを期待していきたいと思います。
都内で下水道工事を行う事業者の方からお話を伺いました。管路を適切に管理していくためには、民間の技術力、技術者の力は不可欠です。生活に欠かせないインフラである中で、とりわけ下水道の仕事は三Kだといわれて、若者が就職しない状況があると伺っています。
下水道局にも大きく関わる問題になりますが、下水道事業における担い手の確保について認識を伺います。
○鈴木職員部長 将来にわたって安定的に下水道事業を運営していくためには、民間事業者も含めまして、担い手の確保は重要と認識をしております。
下水道局といたしましては、これまでも下水道技術実習センターを活用して、民間事業者も含めた下水道界全体の人材育成や技術継承に貢献をしてまいりましたが、引き続き、こうした取組を通じて担い手の確保を図ってまいります。
○福手委員 業務に必要な技術を有する技術者の育成は重要です。それと同時に、若い人が集まらない、集まりにくい下水道民間事業者の担い手の確保へ、直接的な支援が特別に必要だと考えます。
そのために、給付型奨学金負担軽減の対象を広げることが、私は重要ではないかなと思います。例えば、既に独自で奨学金の支援を実施している民間事業者に対しては、都から上乗せを行うことで、民間下水道事業者の担い手確保の支援を行うこと、これを提案したいと思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
また、下水道の工事は、高濃度の硫化水素を回避しながらの作業や、水道管や電気、ガス管など、より深い、それよりも深いところに設置されているので、深く掘る場合は、重機が入らないところは人力で掘る場合もありますし、山留めをして工事をするなど、当然、安全対策を取りながら工事を行われていると思いますが、とても難しく、技術力が求められる作業を行っておられます。
東京都が発注する工事には、熱中症の対策や、危険作業が伴う仕事であるため、それに対する安全に関する経費というのはつけているのか伺います。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、熱中症予防対策や安全管理などに要する費用につきまして、設計へ計上しております
○福手委員 契約の積算の中に、安全に関する経費が入っているとのことでした。
都内で行う路上工事は、毎日工事が終わった後に、現場の撤収時間が必要となります。夏場は、特に暑さ対策の休憩も必要となりますが、現場でテントを張って休憩場所をつくるスペースもなかなかないので、避暑地へ移動して休憩するなどもあり、実質的には工事の時間が短くなってしまいます。このように、工事現場では、作業時間が限られている中で決められた作業量をこなさなければなりません。
現場からは、歩掛かり、これは一日で行う作業量の基準ですが、この歩掛かりを見直してほしいという声が出ていますが、歩掛かりとはどのように決められていますか。また、現状で、歩掛かりの見直しはどのようにされているのか伺います。
○藤橋計画調整部長 下水道局の工事で使用する歩掛かりは、国土交通省が定めた下水道用標準設計歩掛表や当局が行う現場調査結果などを基に定めており、適時見直しも行っております。
○福手委員 歩掛かりの見直しは、基本的には国が音頭を取って行って、そこには入らない東京都独自のものについては、都が現地調査を行って、都が歩掛かりを決めているということでした。しかし、実際に、その中身が見直されているかといえば、歩掛かりが変わるっていうことは、なかなかないという話も伺っています。調査に基づいて決められているからだということでした。
また、局としては、変化に対応する必要があった場合には、それを積算に反映させて対応するということでやられているとのことでした。
ただ、現場では、人材確保が困難な中では、歩掛かりの見直しを要望する声が出ています。やはり現場の声を聞いて、安全に計画的に工事が進められるように、歩掛かりの見直しとして反映されることを求めておきます。
資材単価について伺います。
この間、例えば工事に必要な資材である塩ビ管は、年に五、六回とかそれ以上の、本当に毎月ぐらいの勢いで値上げがあったと事業者の方からお聞きしています。価格高騰が頻回に起きる、こういう状況に対して対応してほしいと、中小の下水道事業者の方から要望の声をいただいています。
東京都が発注する工事において、資材価格の高騰にはどのように対応しているのか伺います。
○藤橋計画調整部長 積算に使用する資材単価は、毎月及び四半期ごとなど、可能な限り実勢を踏まえた最新の単価に改定しております。なお、契約後の物価水準等の急激な変動により契約金額が不適当となった場合には、工事請負契約書のスライド条項に基づき、適切に対応しております。
○福手委員 毎月など、可能な限り、その単価を参考にして積算に反映していると、そうやって対応しているということです。そして、公共工事を発注する際は、賃金や物価水準の変動によって契約金額を変更できるスライド条項での対応をしているということでした。
工事の単価の見直しというのは、どのようにやっているのか伺います。
○藤橋計画調整部長 工事単価につきましては、国が公表している労務単価や下水道局が調査する最新の資材単価などを基に定めておりまして、適時見直しを行っております。
○福手委員 事業者の方にお聞きしますと、それこそ毎月単価が変わるような、そういう状況があって、そういう中では翌月の見積りも上げられないような事態なんだというふうに話していらっしゃいました。毎月改定する最新の単価を参考に積算といっても、実際には、先月上がった単価が今月の工事の設計っていうふうにはなかなかならない。結局、二、三か月前の単価が反映されていくわけです。スライド条項についても、上がる金額と手続にかかる手間を考えると、下手すると毎月値上がりするような状況でそれをやるのかというと、なかなかそれはできないといっていました。
そして、中小事業者の実態としては、今の標準単価といわれている単価は、ロット数を多くして単価を安くすることができる大手の事業者が基準になった価格で、それでは中小事業者は同じようにはできないという声もありました。値上げをした差額を事業者が持たないといけないっていう状況がないようにする、そういう対応がやっぱり必要だと思います。
中小事業者の実態もつかんで、材料単価の情報を収集して東京都が提示するなど、物価高騰の影響を軽減する手だて、局としてぜひ検討していただきたいと、そのことを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○関口委員 よろしくお願いします。
皆様も質問されているように、八潮の事故について質問したいと思いますが、重なるような質問もありますので、ところどころカットさせていただきたいと思います。
事故発生から既に一か月半がたちました。県道に突如として空いた穴に転落したトラックのドライバーの方がいらして、今も救出をされないままであります。なぜ助け出せないのか、早い段階でどうにかならなかったのか、どんどん拡大する陥没した穴を見て、そう感じた人は非常に多くいらっしゃるのではないかと思います。また、都内でも同様のことが起こらないようにしなければならないということを強く感じております。
八潮の事故を契機に、市民に対して下水道の使用自粛の要請がされました。その後、埼玉県は、一月二十八日の下水道の自粛開始から約二週間後の二月十二日、県内十二市町村の約百二十万人に求めていた下水道の使用自粛を解除したわけであります。進めてきた排水工事などの効果で、下水道管内の水位を減らすめどが立ったためだとしておりますけれども、都において、かつて都民に対して、下水道の使用制限や埼玉県が行ったような使用自粛の要請をしたことはあるのか伺いたいと思います。
○新谷施設管理部長 下水道局では、これまで下水道法に基づく使用制限及び埼玉県が行ったような下水道の使用自粛を要請したことはございません。
○関口委員 例えばですけれども、区部で下水道の使用自粛の要請をする際には、どのように都民に周知をするのか伺いたいと思います。
○新谷施設管理部長 使用自粛の要請範囲に応じまして、下水道局によるチラシの戸別配布やホームページへの掲載、区役所による防災無線での放送など、適切な方法で周知いたします。
○関口委員 基礎自治体の協力というのは非常に重要だと思いますし、仮に使用自粛を求めることがあった場合には、対象の都民にどのように対応し、自粛を働きかけるかは重要であります。ぜひ、実効性のあるシミュレーションといいますか、皆さんの方でしていただきたいなと思っております。
さて、東京消防庁におきましては、草加八潮消防局の方から応援要請を受けて、現場で従事をされたということであります。現場での作業は、事故を受けての重要な知見がストックをされているものと考えます。
下水道局としましては、八潮市の事故現場などは視察をされたのか伺います。
○藤橋計画調整部長 国土交通省の下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会における現場視察に当局職員が参加し、事故現場を確認してございます。
○関口委員 ぜひ、そういったところを、他の局であったりとか消防などと連携をしていただきたいと、情報共有をしながら、この都内の対策も考えていただきたいと思うところであります。
先ほど、皆さんの方からも質問ございましたが、下水道法では、腐食のおそれが高い下水道管を対象に、五年に一回の点検実施の義務化がされております。八潮市の陥没現場においても、埼玉県によって、二〇二一年に点検が実施をされていました。
都は、現在、法令に基づく点検の実施をどのようにしているのか伺いたいと思います。また、八潮の事故を受け、今後、都はどのように対応していくのか伺いたいと思います。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、全ての下水道管を対象に、定期的に目視などによる点検を行っております。
点検頻度につきましては、腐食するおそれの大きい下水道管では、法令に基づき五年に一回以上、このほか、国道下に埋設された下水道管では五年に一回、都道などに埋設された下水道管では十年に一回など、下水道管の敷設環境に応じて定めているところでございます。
今後、国の有識者委員会の結果などを踏まえ、必要な対応を図ってまいります。
○関口委員 今、ご答弁にもありましたが、国の方で分析をされるかと思いますので、ぜひ柔軟な対応をしていただきたいと思います。
報道などによりますと、八潮の一回目の陥没は、交差点地下十メートルにある下水道が、下水から発生した硫化水素が空気に触れて硫酸になったことで管を溶かしたという理由で破損をしたと指摘をされております。こうした指摘について、都はどのように対応しているのか伺います。
○藤橋計画調整部長 現時点では、今回の事故原因の究明はなされておりません。そのため、今後の埼玉県による道路陥没の原因究明結果などを踏まえ、必要な対応を図っていくことになります。
○関口委員 ぜひお願いをしたいと思いますし、国の動向もそうなんですけれども、ぜひ都としても率先をして動いていただきたいと思います。
地盤の話に少し移りたいと思います。
都内における地盤の関係性も、私、重要だと考えております。今回事故の起きた八潮市は、もともと地盤が軟弱だったため、空洞ができやすいという指摘があります。八潮地域は、砂の地盤で地下水位も高いので、下水道が僅かでも破損すると、そこから砂が流れ込みやすいという、地盤が軟弱であるということが指摘をされております。軟弱であるからこそ、一旦問題が生じると地盤沈下になりやすいということが指摘をされております。
この地形のつくり方の問題でもありますけれども、市の東側を流れる中川と西側を流れる綾瀬川に挟まれていて、これらの川は度々氾濫をして水害が発生していたということで、江戸時代に遡ってみても、河川の配置を見てみると、八潮の水害が発生しやすい条件がそろっていたということであります。
一方で、都内の地盤の方に目を向けてみますと、地盤は比較的西側が強くて、東側に行けば行くほど弱くなる傾向があります。これは、先述したような各地域の歴史的な土地の成り立ちからなるものだということでありますけれども、多摩地域は地盤が強かったりとか、二十三区であれば、やはり西側が強くて、東部であったりとか、海沿いの南部、南側の方は軟弱である地盤ということで指摘をされております。
今後、下水道管の整備に当たっては、地盤との関係性も考慮すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○藤橋計画調整部長 現時点では、今回の事故と地盤との因果関係など、原因の究明はなされておりません。
下水道局では、これまでも、現場の地盤状況に応じて下水道管の整備を行っているところでございます。
○関口委員 今、私が指摘をした地盤の関係は、事故の原因というよりかは、事故が起きた後の結果の話でありますので、特に、この東京の地盤という意味では、二十三区の東部の地域、南部の地域というところを、やはりしっかり見張っていく必要があるんじゃないかなと思っております。一番は、下水管が破損しないことが、もちろん第一ではあるんですけれども、やはりそういったところの今回の事故のようなことが起きないようにというところで、しっかりチェックをしていく必要があるんじゃないかと私は考えております。
先ほども少し申し上げましたけれども、今回の事故であれば、初動の消防の動きというものが事故に大きな影響を与えたといわれております。消防庁は、事故の一日後に地元の消防局から応援要請を受けておりますし、消防庁をはじめ多岐にわたる局との連携が必要かと感じます。
今回のような大規模な事故が発生した場合に、下水道局としてどのように対応していくのか伺いたいと思います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 下水道に関する大規模な事故が発生した場合には、二十四時間いつでも当局に連絡が入る体制が確立されており、直ちに現地の状況確認を行うとともに、警察や消防、道路管理者など関係機関と連携して、必要な対応を速やかに行っていくこととしております。
○関口委員 初動の動きが非常に重要となってくるかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
次に、下水道の料金について伺いたいと思います。
物価高によって、多くの都民生活が苦しくなっております。東京は生活するだけでもコストがかかります。ぜいたくしているわけではないですが、最近の電気代の高騰であったり、ガソリンの高騰などに代表するように、普通に暮らしているはずの多くの都民は、お財布状況が苦しい状況だと感じております。
そこで、現在、下水道料金については、現在の経営計画二〇二一において、計画期間である令和七年度末までは現行の料金水準を維持することとしているということでありますけれども、まず初めに、下水道の料金については、今までどのような変遷をたどってきたのか伺いたいと思います。
○小泉総務部長 下水道料金は、平成十年に料金改定を行って以降は、平成二十六年、令和元年に消費税率の引上げ分を転嫁する改定を行ってございます。その消費税転嫁を除けば、実質的に、平成十年からこれまで二十六年間、料金水準を維持してまいりました。
○関口委員 下水道料金については、料金水準の設定がどのようにされているのか伺いたいと思います。
○小泉総務部長 下水道料金の算定の対象となる経費は、経営計画期間中の事業運営に必要な全ての経費から料金収入以外の収入を差し引いた総額であり、その料金対象経費が料金収入の見込額を上回る場合には資金不足となります。その状況で、可能な限りの収支改善を図ってもなお、累積資金に不足が発生する場合には、その不足分について料金改定を検討することになります。
○関口委員 先ほど申し上げましたけれども、現在の経営計画では、令和七年度末までは、現行の料金水準を維持することとしております。
下水道料金は、今後、値上げはないのか伺いたいと思います。
○小泉総務部長 現在の経営計画二〇二一において、計画期間である令和七年度末までは、現行の料金水準を維持することとしてございます。
令和八年度以降につきましては、改めて事業に必要となる経費と収入の見通しを立てた上で、中長期的な財政運営を検討してまいります。
○関口委員 今、ご答弁にもありましたが、収支改善を図っていただいて、経費の圧縮などもしていただいて、下水道料金の値上げがないように要望し、質問を終わりたいと思います。
○岩永委員 よろしくお願いいたします。
それでは、最初に、下水道施設の老朽化、耐震、防災への対策について伺います。
昨年の能登半島地震の上下水道の被害や、八潮市の道路陥没事故を受けて、社会インフラの耐震化、老朽化対策などへの対応に市民の関心が高まっていることから質問いたします。
下水道は、二十四時間三百六十五日ひとときも止めることができない、私たちの生活を支える大事な社会インフラです。汚水だけではなく、雨水処理の役割も担っていますが、温暖化による気候変動により、ゲリラ豪雨や線状降水帯など豪雨が年々激甚化し、そして頻発化しています。加えて、都市開発が進んだことで、土への浸透ではなく、下水に流れ込む水量が増え、都市部での下水道の役割はますます重要になっています。
東京都の下水道の歴史は古く、下水道局が管理をする下水道管は、区部で一万六千二百キロメートル、多摩地区で二百三十キロメートルに上ります。区部では、下水道管の老朽化対策は三十年前から計画的に進められていますが、高度経済成長期に一気に進んだ都市化に対応するために一斉に下水道整備が進んだため、法定耐用年数である五十年を超えた下水道管の長さは全体の約二三%とのことです。
下水道をはじめ、地下施設は見えにくい場所にあるので、まちに暮らす私たち都民にとっては、どの場所にどのように地下施設が整備されているのか分かりにくいという特徴があります。その一方で、東京都のように人口が集中している都市部には、上下水道に加えて、電気、ガス、通信などの生活インフラや、地下鉄や地下道路、地下調節池など大規模な地下施設も多くあり、東京の地下は大変混み合っています。
そこで伺います。下水道の破損による道路陥没件数の推移を伺います。また、その要因も併せて教えてください。区部と多摩地域、多摩は幹線の方になりますけれども、それぞれの直近五年間の状況をお聞きします。
○新谷施設管理部長 下水道管の破損などに起因する道路陥没件数につきましては、区部では、令和元年度に四百三十四件、令和二年度に三百三十五件、令和三年度に三百三十四件、令和四年度に三百七十八件、令和五年度に三百二十七件発生いたしました。
多摩地域の流域下水道幹線の破損などに起因する道路陥没は、直近五年間、発生してございません。
下水道管に起因する道路陥没の多くは陶器製の取付管で発生しておりまして、陶器製の管が衝撃に弱いことや浅い位置に埋設されていることから、車両通行による振動の影響を受けやすいことなどが要因であると考えられます。
○岩永委員 この五年間で、都が管理をする多摩地域の幹線での陥没はないということですが、区部では、毎年三百件から四百件程度の道路陥没があったということです。また、浅い位置に埋設されている場合は、特に車両の通行による振動を受けやすいというようなご答弁がありました。
八潮市の道路陥没事故を受け、国交省からの要請と都独自の取組として、幹線道路や大きな下水道管を中心とした緊急点検が行われました。
今回の緊急点検では異状は発見されていないとの報告があったところですが、通常の点検はどのように行われているのでしょうか。区部では一万六千二百キロメートル、多摩地域の幹線も二百三十キロメートルと膨大な長さの下水道管の点検作業の内容や頻度、そして点検箇所の選び方などの詳細を伺います。
また、これまで行われた点検では、対応が必要な箇所がどのぐらいあったのか、過去五年間の実績を伺います。
○新谷施設管理部長 下水道局では、全ての下水道管を対象に、定期的に目視などによる点検を行ってございます。
点検頻度につきましては、腐食するおそれの大きい下水道管では、法令に基づき五年に一回以上、このほか、国道下に埋設された下水道管では五年に一回、都道などに埋設された下水道管では十年に一回など、下水道管の敷設環境に応じて定めてございます。
また、過去五年間で、一般補修工事を約二百十キロメートルで実施してございます。
○岩永委員 全ての下水道管が、定期的に目視による点検が行われているということですが、その頻度は、大きな下水道管や国道は五年に一度、都道においては十年に一度ということです。
八潮市の道路陥没事故は、汚水に含まれる硫化水素の濃度が高いことなども、下水道管の腐食を早めた要因の一つといわれています。汚水の成分だけでなく、管の周囲を覆う土の成分や形状、また、下水道管の形状によっても、劣化の度合いが変わってくると思います。下水道の再構築に向けましては、今後そのような視点も併せて研究をいただき、対応していくことを要望しておきます。
次に、下水道管の再構築について伺います。
明治時代に始まった東京の下水道は、長い年月をかけ整備を進め、区部では一九九四年度末にほぼ一〇〇%普及しました。現在では、高度経済成長期前に整備した下水道管の更新も必要になっており、下水道局では再構築を進めています。とりわけ、早くから建設してきた区部の下水道管は、整備から長い年月が経過していると考えられます。
そこで、区部における枝線、幹線の再構築事業の取組状況について伺います。
○藤橋計画調整部長 枝線の再構築の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、整備年代の古い都心部の処理区を第一期再構築エリアとして優先的に事業を進めております。
幹線の再構築につきましては、整備年代の古い幹線や調査に基づき対策が必要と判明した幹線などを対象に事業を実施しております。
また、水位が高く、再構築を行うことが困難な幹線につきましては、下水の流れを切り替えるために必要となる代替幹線の整備も進めております。
○岩永委員 枝線の再構築は、整備年代の古い第一期エリアから優先的に進めているとのことです。この枝線は、主に家庭からの排水を受け入れるもので膨大な量があるために、第一期のエリアの再構築を着実に進めるとともに、将来を見越した取組も必要と考えます。
そこで、第二期エリアにおける枝線の再構築に向けた二〇二五年度の取組について伺います。
○萩原建設部長 令和七年度は、引き続き第一期エリアの再構築を進めるとともに、このエリアの完了を見据え、第一期に次いで整備年代の古い区部西部の第二期エリアにおきまして、地域状況に応じた整備手法を検討するための試行工事に着手いたします。
○岩永委員 試行工事に着手をされているということです。
八潮市の道路陥没事故を受けて、全国的にも老朽化をするインフラの更新について都民の関心も高まり、今後適切に更新を進めていけるのか、財政的な裏づけも含めて不安の声も上がっています。
そこで、第二期の再構築エリアの整備に向けた予算の確保の取組を伺います。
○小泉総務部長 今後の再構築事業の実施に当たっては、中長期的な事業の平準化を図りながら、必要な事業量を設定し、再構築を含めて下水道事業の推進に必要な事業費全体を適切に見積もった上で、国費や企業債など必要な財源の確保に努めてまいります。
○岩永委員 再構築は、予算も時間もかかる事業ですし、第二期の後には第三期も控えておりますので、計画的に進めていくために必要な財源を国に要求することも含めて、しっかりと予算を確保して、都民の安全を守り、安心で快適な生活を支えていただくことを改めてお願いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、多摩地域の流域下水道について伺います。
多摩地域の流域下水道は、幹線は都の管理ですが、市町村が管理する枝線の下水道の浸水、震災対策や再構築も重要です。区部に比べて人口が少ない市町村部では、多額の財源がかかる下水道管の維持管理のための予算確保が難しい実情が、これまでも課題として挙がっていました。そのような中、二〇二三年度から、市町村が実施する下水道の浸水、震災対策などの市町村負担分の二分の一を都が負担する新たな補助制度が始まりました。
これまでの取組実績と二〇二五年度の予定について伺います。
○井上技術部長 令和五年度は、二十一市町が強靱化補助を活用し、執行額は約十億円でございました。
本年度は二十三市町が活用しており、来年度は二十五市町が活用する予定で、いずれの年度も、予算額は二十二億円でございます。
○岩永委員 多摩地域二十六市三町一村のうち、来年度は二十五市町、ほとんどの自治体で活用されている、また金額も増えてきているということも確認できました。
下水道は、広域的につながるインフラです。区部だけではなく市町村の下水道の老朽化の状況も含めて広域的な状況を把握し、自治体とも連携しながら管理運営していくことが大切です。
都が管理をする多摩地域の幹線についても、災害時には、自治体がマンホールトイレを使えるかなど、迅速に連携をする必要もあります。
現在策定中の東京トイレ防災マスタープランの中でも、マンホールトイレのさらなる活用を進めていくことになっておりますので、災害時に、下水道の破損状況の情報共有は今後ますます重要になりますが、多摩地域の現状と今後の取組について伺います。
○井上技術部長 多摩地域におきましては、災害時の下水道施設の被害状況について、下水道局のBCPに基づき、市町村と情報共有する仕組みを構築しております。
今後も、合同で訓練を行うなど市町村と連携し、災害時の情報共有に取り組んでまいります。
○岩永委員 災害時に避難所になる都立学校へのマンホールトイレの設置も進めていく方針が出されました。多摩地域の都立公園や都立学校などにあるマンホールトイレを運用する際には、市町村との連携は欠かせませんので、今後、さらなる情報共有や連携をお願いいたします。
次に、包括委託について伺います。
下水道局は、二〇二二年度から包括委託を始めました。区部では東京都下水道サービス、TGSが、多摩地域では民間事業者が受託をしています。
そもそも、性能発注の包括委託を採用した理由は何か伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 性能発注方式は、仕様発注方式と比べ、受注者のノウハウや技術力を生かした創意工夫を発揮しやすいものとされております。
東京の下水道事業を将来にわたり安定的に運営していくため、安定性、経済性の確保や技術力、技術開発力の維持向上の視点から、区部では落合水再生センター、多摩地域では清瀬水再生センターの水処理施設等を対象に、性能発注方式の複数年契約である包括委託を導入いたしました。
○岩永委員 これらの水再生センターは、業務委託という形で、それぞれTGSや民間事業者が担ってきましたが、それを包括委託に変えています。
水再生センターにおける二〇二一年度までの業務委託と二〇二二年度からの包括委託で、委託内容がどのように変わったのか伺います。
○新谷施設管理部長 令和三年度までは、落合水再生センターでは保全管理業務などを、清瀬水再生センターでは運転管理業務や保全管理業務などを業務委託してございました。
令和四年度からは、両センターとも、運転管理業務、保全管理業務、薬品、電力などの管理、日常試験等の水質管理業務などを業務範囲とする包括委託としてございます。
○岩永委員 落合水再生センターは保全管理業務のみでしたので、包括委託により、運転管理や日常の水質管理など、業務がかなり多くなりました。清瀬は、既に業務委託で実施していた仕事が多いようです。
業務内容が変わるため、委託料についても変わることになると思いますが、落合水再生センター及び清瀬水再生センターの包括委託について、導入の前後の委託料を伺います。
○新谷施設管理部長 令和四年度から導入してございます包括委託の委託料は、五年間の総額で、落合水再生センターが約百二十億円、清瀬水再生センターが約八十億円でございます。
一方で、包括委託導入前までに局職員が行っていた業務には、関係自治体との調整やお客様対応など、委託した業務以外の業務を含んでおりまして、包括委託している業務のみを切り離して経費を算出することが困難なため、包括委託と同様の委託費を算出することはできません。
○岩永委員 下水道局直営での運営から包括委託に変わると、人員体制も変わります。
落合水再生センター及び清瀬水再生センターについて、人員体制はどのように変化したのか伺います。あわせて、TGSの人員体制についても伺います。
○小泉総務部長 令和四年度の包括委託導入に伴い、落合水再生センターでは局職員定数を二十三人減員しており、清瀬水再生センターでは一名減員してございます。
一方で、令和四年度の落合水再生センターにおけるTGSの所要人員は、二十三人の増員としております。
○岩永委員 今のご答弁ですと、落合の場合は、下水道局の職員が減った分をTGSが増やして対応しているということです。また、清瀬の民間事業者については、人員の変化が分からないということになります。
落合水再生センター及び清瀬水再生センターについて、性能発注方式の包括委託開始から三年、どのように評価をしているのでしょうか。評価項目と併せて伺います。
○新谷施設管理部長 包括委託を導入しました令和四年四月から、落合水再生センター、清瀬水再生センターともに年間を通して放流水質や施設の健全度などの契約基準が遵守されていることを確認しておりまして、適切な運転管理が行われ、安定的に運営されてございます。
包括委託の評価は、五年間の契約期間全体にわたる実施体制、運転管理業務、保全管理業務等の履行状況などの評価項目を総合的に踏まえて行う予定でございます。
○岩永委員 性能発注方式では、仕事の仕方は問わず、水質や施設の運転管理などの業務がきちんと履行されているかをチェックすることになります。そこで、創意工夫の発揮を期待されていますが、下水道局自身もこれまで様々な研究開発をしており、民間企業と共同研究している実績も多くあります。局内の創意工夫こそ必要であると考えます。
また、下水道事業は、豪雨による内水氾濫を防ぐ役割も求められています。豪雨などの災害時には、局が責任を持って対応していく必要があります。現状では、センター長が下水道局職員だということですが、今後、責任体制が後退することがないようにしていただきたいと思います。
包括委託に関連して、技術継承について伺います。
下水道事業を進める上で、技術を伝え、人材を育成することは重要です。TGSへの下水道局本体からの退職派遣は、TGSの技術者育成に役立つものと考えられます。二〇二四年度における落合での退職派遣の人数について伺います。
○小泉総務部長 令和六年度に下水道局からの退職派遣により落合水再生センターで勤務している職員数は十四名でございます。
○岩永委員 TGS内の技術者育成と技術継承も大切ですが、TGSや民間事業者への包括委託によって、下水道局が実施をする仕事を減らすと、局内の技術の継承がきちんとなされていくのか心配です。
落合に限らず、TGS内での技術継承及び局内の技術継承、また人材育成をどのようにしているのか伺います。
○鈴木職員部長 東京の下水道事業を安定的に運営していくためには、現場における経験やノウハウを局とTGSが共有し、連携して技術継承と人材育成に取り組むことが重要でございます。そのため、局の研修にTGSの若手職員も参加し、双方のベテラン職員が研修講師を務めるなど、将来を担う若手職員の育成に連携して取り組んでおります。
また、現場の技術やノウハウを習得させるため、局の若手職員をTGSに派遣するとともに、TGSからも固有社員を局に受け入れて、相互の人材交流を行っております。
引き続き、局とTGSとの連携を一層強化し、技術継承と人材育成に努めてまいります。
○岩永委員 TGSや民間事業者と連携をして事業を進めていくことは理解できますが、技術継承も含めて、包括委託は慎重な取組を求めます。
次に、下水道の化学物質対策について伺います。
二〇一七年に、区部の透析医療機関の排水が流れ込む下水道管渠の損傷事故がありました。実態調査の結果、透析装置を洗浄する際の酸性排水が原因で下水道管が腐食し、消失、つまり、なくなってしまったということでした。
当時の医療機関からの排水管理はどのように行われていたのか伺います。
○須賀施設管理担当部長 平成二十九年当時、透析医療機関には、透析装置の洗浄に用いる酸性薬剤が下水道施設に損傷を与える可能性についての認識がなく、特段の排水管理はなされておりませんでした。そこで、当局は、区部の透析医療機関への排水指導を開始いたしました。
○岩永委員 この損傷事故があって初めて認識されたということで、そういうことがあるのだと驚いたのですが、この事故の後、透析医療機関の排水管理にどのような対策が取られ、そして改善されたのか伺います。
○須賀施設管理担当部長 平成二十九年の下水道管損傷の事故後、都は、国や透析医療に関する業界団体など関係者と連携して、透析医療機関に対して、酸性排水の中和処理装置設置や下水排除基準に適合する薬剤への変更などを指導いたしました。
この結果、当該事故以降、区部において透析医療機関の酸性排水が原因となる下水道管損傷事故は確認しておりません。
○岩永委員 区部では対応が完了したとのことですが、多摩地域でも透析病院がありますし、透析病院以外の医療機関やその他の事業者からの排水管理や監視体制はどのようになっているのか、そしてまた、都の関わりについても伺います。
○井上技術部長 多摩地域におきましては、事業者からの排水の管理等に関する業務は、公共下水道管理者である各市町村が行っております。
都は、市町村と設置した下水道情報交換会におきまして、透析排水による区部の下水道管の損傷事例等について情報提供するなど、連携を図っております。
○岩永委員 下水道情報交換会の機会を活用されて、具体的な事例についても情報共有しているということですが、このような下水道管が消失、消えてなくなるという大きな事故だと思います。薬剤によってなくなってしまうというような損傷について、多摩地域の多くは分流式下水道ですので、下水道管を流れる汚水の濃度が合流式の区部よりも高くなるような、そういう場所もあるのではないかということも思われますので、注意が必要です。しっかりと引き続き情報共有をしたり、また連携体制を取りながら、こういった事故がないように取組をお願いしたいと思います。
次に、PFAS汚染について伺います。
環境省は、水道法の省令を改正し、二〇二六年四月を目標に、PFOS及びPFOAが現在の水質管理目標設定項目から水質基準項目へ見直しをされるということになりました。
今後、水質基準項目に変わることで、水再生センターで処理された処理水を河川に放流する際に測定が義務づけられたり、事業者からの下水への排出基準が変更するなど、下水道事業における変化も視野に入れた対応を進めていかなければならないと考えます。
下水道局はどのような対応を行っていくのか伺います。
○新谷施設管理部長 PFOS等につきましては、下水道関係法令で規制基準が定められておらず、測定方法についても示されておりませんため、測定してございません。
国内外の様々な機関が調査研究を実施しておりますことから、引き続き情報収集に努めてまいります。
○岩永委員 引き続き情報収集ということでございますけれども、積極的な都の取組を要望いたします。
水質をめぐる問題は、PFASだけではありません。近年、世界中でプラスチック汚染への対策が課題になっています。海ごみ、漂着物から始まったプラスチック汚染は、水や大気からも微細なマイクロプラスチックが検出され、プラスチックとそれに添加、付着する様々な化学物質の環境汚染が指摘されておりまして、廃棄物対策では解決できない問題になっています。
下水道局でも、水処理方法などの改善の研究を行って成果を上げておりまして、プラスチック対策も研究対象にしていただきたいと考えますが、見解を伺います。あわせて、国に対して早急に対策を講じるよう求めることを要望いたしますが、所見を伺います。
○新谷施設管理部長 下水道におけるマイクロプラスチックに関しましては、技術的に統一した調査手法が確立しておりません。現在、国内外の様々な機関が調査研究を実施しておりまして、引き続き情報収集に努めてまいります。
○岩永委員 これまでも、下水道局に対応を求めてきましたが、国が測定方法を示さないことを理由に対応がされておりません。都は率先して環境施策を進め、そして国に先駆けて実施してきたこともたくさんありますので、改めて都の取組を要望しまして、質問を終わります。
○しのはら委員 よろしくお願いいたします。
初めに、埼玉県八潮市で発生した道路陥没についてお伺いします。今日も多くの委員の皆さんから質疑がありましたので、重なる部分もありますが、私からもお伺いしたいと思います。
一月末に発生した道路陥没を受けて、下水道局は、速やかに都道、国道の緊急巡視を実施しました。その後、国からの点検要請に加え局が独自に指定した下水道管合わせて約四十三キロメートルの管の内部を目視で点検し、異状がないことを確認したとホームページで発表がありました。
今回の陥没を受け、私の元にも自分の周りは大丈夫だろうかという不安の声が多く寄せられました。速やかに点検を実施いただいたことで、このような不安が解消されたことについて、まずは感謝申し上げます。
今回の道路陥没がどのようなメカニズムで発生したものなのか、詳細な検証は今後行われるものと思いますが、道路陥没を発端に、社会インフラの老朽化に注目が集まっています。
国は、有識者による検討会議を立ち上げ、先日、新たな一斉点検の条件の原案を提示したとの報道がありました。都民、国民の不安を払拭し、安全・安心な社会を形成するために必要な調査であると考えています。このような国の動きを受け、現在、下水道局においても対象の絞り込みを検討されていると想像します。
東京は、他の自治体と比較しても膨大な下水道管を管理しており、調査の量は極めて多く、大変であると思います。
このような中において、都ではどのようにして調査を進めているのか、効率的に調査を進めるための独自の工夫などを含め、お伺いいたします。
○新谷施設管理部長 日常の維持管理における下水道管の調査でございますが、比較的大きな口径の下水道管では、調査員が目視により確認を行ってございます。
また、人が入ることのできない小さな口径の下水道管では、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラ調査によりまして記録、診断する各作業を一連で自動化しまして、得られた調査データを電子情報として下水道台帳システムに取り込み、蓄積してございます。
これにより、下水道管の状況確認が容易になりまして、一月末から行った下水道管の緊急点検を含めまして、予防保全を重視した効率的な維持管理に活用してございます。
○しのはら委員 デジタル技術も活用することで効率的に調査を進めてくださっていることが分かりました。都民の安全・安心確保のため、職員の安全面にも十分に考慮しながら、しっかりと調査を進めていただきたいと思っています。
次に、令和七年度予算について伺います。
物価の高騰が都民の生活に重くのしかかっています。日本人の主食である米の価格の高騰や、キャベツや白菜などの葉物野菜の高騰など、街頭でお話を伺っていても、皆様から切実な声が届いています。これらの物価高は、地球規模の気候変動、世界各地で起きている紛争、資源価格の高騰など様々な要因が複雑に絡み合い、原材料の高騰などを引き起していると考えられます。
これらは、下水道事業の経営にも大きな影響を与えていると思います。しかしながら、下水道局では、このような社会情勢の中においても不断の経営効率化で経費の圧縮を図り、現行の料金水準を維持するとしています。
そこでまず、今申し上げた社会情勢を踏まえ、令和七年度予算における料金をどのようなお考えで見積もられたのか、その方針についてお伺いします。
○小泉総務部長 下水道事業を取り巻く経営環境は、物価上昇等の影響により、維持管理費、建設改良費ともに必要経費が増加しており、厳しい状況にありますが、建設維持管理コストの縮減や資産の有効活用等の企業努力を推進することなどにより、経営計画二〇二一の計画期間中は、現行の下水道料金水準を維持することとしてございます。
令和七年度予算における下水道料金の見積りは、この方針に基づいて現行の料金水準を維持しつつ、コロナ禍による大幅な減収からは回復基調にあることから使用水量の増加を見込み、前年度予算に対しまして六億二千三百万円増の約一千七百億円と見積もってございます。
○しのはら委員 現状の社会情勢を反映しつつ、経営努力も含めた総合的な判断で見積もられていることが分かりました。
そういった中で、労務単価や原材料費の高騰は、事業経営、とりわけ施設の維持管理に大きな影響を与えていると思いますが、どのような努力で維持管理経費を抑制しているのか伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 労務単価や原材料費の高騰は、施設の補修費や作業の委託費などの増加につながります。また、施設の運転に必要な電気料金も高止まりしているなど、下水道施設を適切に維持管理していくために必要な経費は増加傾向にあり、経営環境は厳しい状況となっております。
このため、下水道局では、これまで培ってきた知識や経験を活用しながら、新たな技術を導入することなどにより、コストの縮減に取り組んでおります。
維持管理費については、省エネルギー型機器や新たな技術によるエネルギー自立型焼却炉の導入、再生可能エネルギーの活用などにより電気料金の縮減を図り、コストの縮減に努めております。
○しのはら委員 厳しい経営環境の中で様々な手段でコストを縮減し、維持管理経費を抑制していることが分かりました。引き続き、健全かつ安定的な財政運営に努めていただきますようお願いいたします。
次に、下水道施設の震災対策について伺います。
二〇二四年の元日に発生した能登半島地震では、耐震化していた下水道施設ではおおむね機能が確保できていたものの、耐震化未実施であった施設では被害が生じ、下水の滞水やマンホールの浮上などによる交通障害などが発生しました。復旧が長期に及ぶと、避難所生活の長期化や支援物資の搬入などに影響を及ぼします。
下水道局では、マンホールの浮上抑制対策や下水道管とマンホールの接続部の耐震化について、緊急輸送道路や避難所、地区内残留地区を中心に対策を実施していると認識しています。
私の地元品川区にも、五つの地区内残留地区が指定されており、震災時に自宅に被害がない場合、在宅避難者が多く発生するものと想定しています。
そこで、品川区内での地区内残留地区における下水道管の耐震化状況と令和七年度の取組について伺います。
○萩原建設部長 下水道局では、地区の不燃化が進み、広域的な避難を要さない地区内残留地区を対象に、震災時の下水道機能などを確保するため、下水道管とマンホールの接続部の耐震化とマンホールの浮上抑制対策を面的に推進しております。
品川区内の地区内残留地区では、令和五年度末までに累計で約七百ヘクタールの整備が完了してございます。令和七年度は、引き続き、五反田地区において耐震化を進めてまいります。
○しのはら委員 安心して在宅避難ができる耐震化も着実に進められているということが分かりました。引き続き進めていただければと思います。
下水道管の耐震化に加え、その先のポンプ所や水再生センターの耐震化も重要です。水再生センターやポンプ所が機能を失えば、下水道システム全体が機能を失うことにもなりかねません。品川区からの下水の大部分は、森ヶ崎水再生センターに送られ、処理されていますが、森ヶ崎水再生センターの耐震化、下水をセンターまで送るポンプ所等施設の耐震化の状況についてお伺いいたします。
○杉山施設整備担当部長 下水道局では、全ての水再生センターやポンプ所において、震度七相当の想定される最大級の地震動に対し、揚水機能などの最低限の下水道機能を一系統で確保する耐震対策に取り組んできており、令和元年度までに、鮫洲ポンプ所など品川区内六か所のポンプ所や森ヶ崎水再生センターを含め、全ての水再生センター、ポンプ所において耐震対策が完了しております。
現在、全ての系統に対策の範囲を広げるとともに、新たに水処理施設の流入渠や放流渠などを対象とし、耐震化に取り組んでおります。
○しのはら委員 森ヶ崎水再生センターの耐震化、ポンプ所についても着実に耐震化が進められていることが分かりました。
発災後は、都民が日常生活に早期に戻れるようにすることが重要です。災害が発生するたびに話題に上がるのが、避難所の環境改善です。
国際赤十字が制定したスフィア基準には、居住スペースの確保、間仕切りなどプライバシーの確保の指標がありますが、中でもトイレの数については、二十人の避難者に対して一基のトイレを設けることとなっています。各区などが運営する避難所等における仮設トイレのくみ取りし尿等が適切に運搬され、水再生センターでの受入れ、センターでの処理が円滑に行えることが、避難所の衛生環境を維持するには欠かせません。
受入先である森ヶ崎水再生センターでは、関係区との連携が重要であると考えますが、震災時、どのような体制が組まれているのか、また、震災時に備えた訓練など準備が進んでいるのか、状況についてお伺いします。
○新谷施設管理部長 下水道局では、避難所などからのし尿の受入れにつきましては、東京都地域防災計画に基づきまして、全ての区と覚書を締結し、対応してございます。
具体的には、避難所などから出るし尿は各区が収集運搬しまして、下水道局の森ヶ崎水再生センターをはじめ各水再生センターで受け入れ、処理することとしてございます。
また、区との覚書に基づきまして、区と共同でし尿の受入れ訓練を実施するなど、発災時にも適切にし尿の受入れができるようにしてございます。
○しのはら委員 関係区と連携する体制が構築されており、発災時に備えて訓練も行われていることが分かりました。
下水道は、ふだん意識することが少ないインフラではありますが、都民の日常生活や都市活動を縁の下で支える重要な施設です。所管されている膨大な施設を健全に維持し、豪雨や震災など、いざというときに備えることも非常に重要です。
下水道局には、経営計画に基づき、今後も着実に事業を執行していただきますよう要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あぜ上委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会させていただきます。
午後三時四分散会
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