公営企業委員会速記録第十四号

令和六年十一月二十一日(木曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長あぜ上三和子君
副委員長吉住はるお君
副委員長おじま紘平君
理事竹平ちはる君
理事福手ゆう子君
理事後藤 なみ君
しのはらりか君
岩永やす代君
関口健太郎君
慶野 信一君
柴崎 幹男君
増子ひろき君
小松 大祐君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長西山 智之君
技監松田 信夫君
総務部長長嶺 浩子君
職員部長高角 和道君
経理部長西川 泰永君
サービス推進部長荒畑 克彦君
浄水部長鈴木  理君
給水部長藤川 和久君
建設部長特命担当部長兼務石田 紀彦君
経営改革推進担当部長小澤 賢治君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務鈴木美奈子君
設備担当部長小泉 正一君
多摩水道改革推進本部本部長山田 則人君
調整部長清水 英彦君
施設部長青山 忠史君
技術調整担当部長塩田  勉君

本日の会議に付した事件
水道局関係
事務事業について(質疑)

○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○長嶺総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は三件でございます。
 一ページをご覧ください。月別使用水量と調定金額の実績でございます。
 一ページから五ページにわたり、令和二年四月から令和六年九月までの月別の口径別使用水量と調定金額の実績をお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。平成十二年度以降の電力使用量の推移でございます。
 平成十二年度から令和五年度までの浄水場、給水所等の水道施設における電力使用量の合計値をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。水道工事における人身事故件数の推移でございます。
 平成二十七年度から令和六年九月までの人身事故件数及びその要因をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 今日もトップバッターを務めさせていただきます。よろしくお願いします。
 まず、水道局の皆さんには、能登の災害復旧に当たりまして迅速にご対応いただいたことに心から感謝を申し上げるとともに、今回、我々の方で代表質問などでも、知事からの感謝状をぜひ協力いただいた事業者さんに届けていただきたい、また、行った会社とか団体だけではなくて、実際に行ってくださった方にそのメッセージが届くようにしていただきたい、また、現場で担った方だけではなくて、送り出して東京に残って支えてくれた方々にもその気持ちを伝えてほしいなど、いろいろ注文を多くさせていただいたんですが、丁寧に応えていただいて、非常にそうした従業員の方にスポットライトを当ててくれたということに対して、様々な事業者さんや団体の方々から感謝の言葉を皆さんの代わりに私が受けておりますので、共有をさせていただきたいと思いますし、改めて感謝を申し上げます。
 質問に入ります。
 水道工事事業者の環境改善について伺います。
 実際に東京の水道の整備を担っていらっしゃるのは都内の水道工事事業者でありまして、本年の四月からは時間外労働の上限規制が建設業にも適用されて、建設業界では二〇二四年問題を魅力向上の転換期と捉え、業界を挙げて働き方改革に取り組まれています。
 水道局は、経営プランにおいて、水道工事事業者の環境改善を取組の一つとして掲げており、今後もこうした動きを後押しする必要があります。
 初めに、水道局は、この事業者の位置づけをどう考えているのか、そしてその環境改善に向けてどう取り組まれていくのか、改めて認識を確認します。

○石田建設部長特命担当部長兼務 基幹ライフラインであります東京の水道を支える民間の工事事業者の皆様は、持続的な水道事業運営に重要な役割を果たしております。
 当局では、これまで、働きやすい工事現場に向けた環境整備や技術力の維持向上のための講習会など、様々な取組を実施しております。
 今後とも、将来の水道工事の担い手確保の観点から環境改善に取り組むとともに、局と事業者が対等との認識に立ち、魅力ある業界づくりに努めてまいります。

○小松委員 重要な社会インフラである水道を支える工事事業者は、公共工事の担い手として重要な役割を果たしているという認識でありました。
 また、今、石田部長からのご答弁の中にある、局と事業者が対等であるということは、また後ほど触れさせていただきたいと思いますが、大変重要な認識でありますので、委員の皆様はじめ、都議会の中でもこうした認識を共通で持っていたいなというふうに改めて思っています。
 こうした建設業で働く技術者の方は、現場に常駐して監督業務を行い、日々の作業が終了した後に工事書類などを作成するため、長時間労働が常態化しているとも聞いています。また、この工事書類の作成に当たっては、定期的に都の水道の工事を受注されている事業者さんには、常勤でそうした事務処理をされる方々がいらっしゃって、次第にノウハウもたまって、ある程度効率化を図ることもできるんですが、一方で、年に一度とか、数年に一度というような中小の規模の事業者さんですと、常勤でこうした事務員を雇ったりすることができなかったりして、ノウハウもたまりにくくて非常に苦慮されているという声も聞いているところであります。こうした負担を軽減させるためには、書類に関しても定期的に見直しを行われるということが有用であると考えます。
 水道局は、その簡素化に取り組まれているというふうに認識をしていますけど、取り組まれてきた工事書類の簡素化についての進捗を伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 当局では、これまでも、東京都統一様式や局独自様式につきまして、工事書類の削減や簡素化に取り組んでまいりました。
 令和五年度は、業界団体から特に要望が多い材料関係の書類も含め、全ての書類を精査し、具体的な削減内容や運用の変更を検討してまいりました。
 その結果、本年四月に仕様書や様式の記載例集を改定し、書類削減や記載内容の省略など、四十七項目にわたる簡素化の取組を進めたところでございます。
 また、建設業法で定められた書類等を除き、紙の提出に代えてメールによる提出や電子納品ができるよう改善いたしました。

○小松委員 業界団体の意見を取り入れながら、工事関係書類の簡素化に取り組んでいる状況を理解しましたが、人手不足は深刻化しているため、引き続き、負担軽減が図られるように取組を進めていただきたいと思います。
 私個人としては、単なる負担軽減だけではなくて、やはり厳しい検査に耐え得る、要は重要なプロセスにしっかりと時間や人を割けるためには、こうしたところを簡素化していくということも併せて必要なんじゃないか、となると、工事の品質もさらに上がるんじゃないかなということも期待して求めておきたいと思います。
 人手不足の解消には、日進月歩で進展し、毎日のように新しい技術が公表されているデジタル技術を活用していくということも有効な手段と思います。水道局においても、こうした技術を積極的に活用し、局及び業界双方の効率化、また、人手がかからない仕事への変革に取り組むべきと考えます。
 水道工事に関して、デジタル技術をどのように活用されているのか、取組を伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 当局では、これまでも、水道工事におきまして日々進化する新技術を取り入れ、効率的な事業運営と工事事業者の利便性向上を図ってまいりました。
 六年度は、工事現場の確認をリモートで行う遠隔臨場につきまして実証実験を実施するとともに、今後は、契約書類等の電子化に取り組んでまいります。これらにより、現場立会いの省力化やさらなる書類の削減など、事業者の皆様の利便性が向上するとともに、請求から支払いまでの期間短縮が期待されます。
 今後とも、デジタル技術の活用を進めますとともに、業界団体の皆様と意見交換しながら、工事事業者の負担軽減に向けた取組を進めてまいります。

○小松委員 契約関係の書類の電子化に併せて、例えば検査時に受注者から提出された書類をクラウド上で共有をすれば、必要な書類が明確化され、品質の維持と検査業務の効率化など、局と受注者の双方に大きなメリットがあると考えます。引き続き、業界団体等とも丁寧に意見交換を行いながら、水道工事DXとも呼ぶべき取組を積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 何か書類を紛失したりとか、そうした事件、事故が、いろいろと聞いて、あたふたしている様子も相談を受けたりすることもありますので、こうしたことも恐らくこうしたことのDXが進んでくると、お互いに手間暇や無駄な日数がかからなくていいのかななんていうふうにも期待されるところです。
 また、こうした取組を進める上で、事業者側の積極的な取組も欠かせないところであります。しかし、水道工事の担い手の多くは中小の事業者であって、近年の人手不足や働き方改革による人的コストの増加、また、物価高の影響を強く受けています。事業者が安心してこうした取組を進めるためには、経営が安定しているということが重要であって、そのためには事業経営に必要なキャッシュフローを確保していく必要があると考えます。
 ほかの建設業に比べると、水道や下水道の、いわゆる東京水道、東京の下水道というのは、強靱化も含めてですけど、非常に中期的な経営計画がかなり明らかに具体的になっているので、ほかの分野の建設業に比べると長期展望を開きやすいなということは多くの事業者からもいわれているんですけれども、一方で現場、毎年毎年の単事業者のことで考えると、このキャッシュフローというところがかなり重要なポイントになるんじゃないかなというふうに思っています。
 水道局は、工事契約締結後に必要に応じて事業者に前払い金や中間前払い金を支払うという仕組みを設けています。これは、法令上の制約があるというふうには分かっていますが、手持ちの資金が増えれば、次の仕事を受けるかどうかなどの経営判断をしやすくなったり、また、雇用確保の判断がより早くつくという利点もあるんじゃないかなと思います。
 事業者の経営環境などを踏まえて、前払い金の拡大など仕組みを見直すことも有用と考えますけれども、水道局の取組を伺います。

○西川経理部長 前払い金や中間前払い金は、受注者が資材の購入や労働者の確保などに要する資金を手当てできるよう、工事代金の一定割合を前もって支払うものでございまして、その割合は法令により上限が定められております。
 これまで、当局は、中小企業の受注が多い九億円未満の契約につきましてその上限を適用し、前払い金は四割、中間前払い金は二割をお支払いしてまいりました。
 一方、資材価格や労務費の高騰、金利の上昇など、中小企業の経営環境は一層厳しくなっており、事業者のキャッシュフロー改善に資する取組は、その必要性が増しているものと認識しております。
 このため、九億円以上の工事を受注する中小企業が増えてきたことも踏まえまして、本年十月以降に公表する案件につきましては、前払い金及び中間前払い金の上限を適用する範囲を、契約金額九億円未満から十八億円未満に拡大いたしました。
 今後とも、受注者の資金の安定的な確保に向けた取組について検討してまいります。

○小松委員 中小企業を取り巻く厳しい環境を踏まえ、事業者の資金繰りへの配慮もされているということを確認いたしました。
 十八億円未満まで拡大ということで、担当の方に確認すると、工事のおおむね九九%近くはこれに該当するということでありますから、ほぼ全て網羅できるのかなというふうに期待もされるところであります。
 キャッシュフローの改善に資する取組が必要性を増しているというご認識でありましたので、法令は法令としてあるとは思うんですけれども、様々な形で優良な事業者さんがしっかりと東京の水道工事の仕事をこなしていくと、そのキャッシュフローの改善につながるような、何かインセンティブが働くような仕組みみたいなものも、法令の範囲の中ではあるんだと思うんですけど、常にアンテナを巡らせていただけると、よりよい仕事をするとキャッシュフローも改善して企業の成長につながるというような好循環の仕組みを生めるように、東京水道からできるといいなというふうに期待もするところであります。
 水道工事事業者が安心かつ安定的に経営できる環境をつくっていくためには、例えば事業者に入金日を早めに知らせるということは重要であって、それらの取組も含めて継続的な検討を要望したいと思います。だからDXもちゃんとやってほしいということなんです。
 現場の担当者の方とのやり取りの中で、書類をいつ出したのかどうか、いつそれをOKいただけるのかどうか、入金日はどうか、これは担当者の方は、担当者の中で非常に多くの仕事を抱えていらっしゃるので、なかなか具体的にお約束するのが難しいことも事業者側もよく分かっていますし、我々も理解するところでありますが、経営者の方からすると、借入れをしてつなぎ融資しなきゃいけないのかどうか、また、そうするとその金利をどうするんだとか、支払いを、逆にいうと取引先に納めるタイミングをどうするのかという信頼関係にも影響するところだと思います。
 大変なことは重々承知をしている前提でありますけど、こんな形でいつ頃ちゃんと振り込みますよということができると、金融機関からすれば、東京都の仕事を受けているというのは非常に大きな信用になるので、東京都からの入金日が分かるとなると、本当に事業者側からすると、皆さんが思っている以上に経営にとっては非常に有意義なことでありますから、こうしたこともぜひ、皆さんは分かっていると思うんですけど、皆さんの下で支えている職員の方々にもしっかりとこうした思想を伝達していただきたいと、改めて要望しておきたいと思います。
 あと二題です。
 東京水道の方について話を伺いたいと思います。
 これまで水道工事事業者について伺ってまいりましたが、都の水道事業において、工事事業者と同様に重要な役割を果たしているのが、グループ経営のパートナーと位置づけられている東京水道株式会社です。
 水道局は、東京水道株式会社への業務移転を進めていますが、単に業務を移転していくということだけでは、これまで培ってきた水道局の持つ技術が失われるという可能性もあります。
 今後も、東京水道グループが水道事業を安定的に運営していくためには、現役職員やOBが持つこの水道事業に関する知識や経験をしっかりと受け継いでいく必要があると考えます。技術者不足とか採用の困難さを考えると、このことの重要性はさらに高まっていくと考えます。
 東京水道グループにおける東京水道株式会社の位置づけについて、改めて伺いたいと思います。また、円滑な技術継承に向けてどのように取り組まれているのかも併せて伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、これまで局が培ってきた技術を確実に継承することができ、かつ民間ならではの技術力や経営ノウハウを活用できる東京水道株式会社とのグループ経営を推進しており、同社へ業務を順次移転してございます。
 この方針の下、業務移転を進める中で、局と団体が連携しながら人材の育成や技術の継承を行っていくこととしており、両者が共同で策定いたしました東京水道グループ人材育成方針に基づき、組織的なOJTや共同研修、職員や社員の相互派遣を実施するなど、東京水道グループとして技術やノウハウの着実な継承を図っております。

○小松委員 東京水道グループとして重要なパートナーである東京水道株式会社と共に、しっかりした技術継承の取組が行われているということがよく分かりました。都の水道事業を将来にわたって持続可能なものとしていくために、こうした取組を継続していくことを強く要望したいというふうに思います。
 一点だけ生意気をいわせていただくと、下水道局さんのときにもお伝えしたんですけど、冒頭、石田部長が局と事業者さんは対等だというふうなお話をしていただいたわけであります。
 日頃、各事業者さんとの話をするときに、ほぼ十中八九の事業者さんから出てくるのが、東京水道さんの、現場の監督の方のコミュニケーションが非常に、言葉を選ぶと難しいんですけど、不愉快な対応のケースが多いということをよく耳にしています。多分、委員の方々もそういったお話をよく聞くんだと思います。
 来年の春には東京都カスタマー・ハラスメント条例の制定を迎えていく中、多くの事業者さんの現場でのコミュニケーションのところで、局の皆さんと話すと本当に熱心に丁寧にやっていただいていると思うんですけど、二パターンあって、熱心な方々が熱心なあまり非常に事業者さんに対してきつい対応を取ってしまうケースもあると。これは少し理解をしていただければ改善できるのかなと思うんですけど、一方で、いじめに近いんじゃないかというような認識のケースも、私にとっては感じられる部分があります。
 これ、幾ら水道局さんの方から指導してもなかなか難しいのもよく分かるんですけど、パートナーである東京水道株式会社さんには、OBの方々もたくさん行っていらっしゃいます。現職で出向されている方々もいらっしゃると思います。そうした方々を通じて、改めてしっかりと対等であるんだという、そうした前提での事業者さんとのコミュニケーションを取らないと、ともすれば上下関係のような対応になっているケースが非常に多いというふうに聞いておりますので、このことの改善も改めて要望したいと思います。
 最後になります。
 今日、傍聴されていますけど、先日、武蔵野市の都議補選で東まり子さんが新たに都議会議員に当選をされて、今後、武蔵野市の水道事業の統合、このことについても選挙で熱心に訴えられていたところであります。
 武蔵野市とのこの水道の事業の統合について、最後に伺いたいと思います。
 都は、昭和四十年代から、多摩地区の水道の都営一元化基本計画に基づいて市町営水道の一元化を進め、水道事業運営の広域化を国に先駆けて取り組まれました。武蔵野市は、この際、一元化をしなかったものの、その後、市営水道としての独自経営の方針を変更されて、都営水道への統合を目指しているというふうに伺っています。令和元年度からは、都と武蔵野市の間で統合に関する課題整理のための検討会を立ち上げていると聞いています。
 そこで、武蔵野市との水道事業の統合の検討状況を伺います。

○清水調整部長 当局では、令和元年度に武蔵野市との間で部課長級職員による具体的な課題整理のための検討会を設置し、以来、実務的な協議を実施してまいりました。
 検討会では、施設、設備、管路維持、料金徴収システムなど八項目について業務の相違点を抽出し、五年度までに、実務的に解決すべき課題の整理をおおむね完了したところでございます。
 現在は、これまで整理した課題に対する市の対応状況などについて詳細な確認を行いながら検討を進めておりまして、引き続き、市と緊密に連携して取り組んでまいります。

○小松委員 実務的に解決すべき課題について、おおむね整理が終わられていること、そして、引き続き両者が協力しながら対応していくということを確認ができました。
 しかし、この解決するべき課題は多岐にわたっていることから、今後は、整理を行った課題の解決に向けて、これまで以上に都と市が連携し、検討を進めていく必要があると考えます。小美濃市長も知事の下を訪れて、また、西山局長とも意見交換をさせていただいたというふうに聞いております。
 今後も、武蔵野市と水道局がお互いに協力関係を深めて、検討を精力的に進めていただきたいと思いますし、このダブルルート化などを考えると、東京のまさに中心にある武蔵野市のところでこの一元化ができると、東京都全体の東京水道にとっても、非常に堅牢なネットワークが築けるんじゃないかなという期待もございますので、引き続き精力的に取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。

○後藤委員 都民ファーストの会の後藤と申します。二期八年目になりますけれども、公営企業委員に所属するのは初めてということでございます。委員の皆様、そして執行機関の皆様、どうぞ一年間よろしくお願いをいたします。
 本日、私からは、政策連携団体への業務移転、そして水道事業のDX化、そしてスマートメーター、この三点について質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 まずは、政策連携団体への業務移転についてでありますけれども、やはりこの首都東京の水道事業を守っていくという意味では、これから人口減少社会にある中においても、しっかりとこの水道事業というものが持続可能な、そうした仕組みづくりということを行っていくということは極めて重要であるというふうに考えております。
 足元を見れば、まだまだこの東京は、人口減少というよりかは転入増加というような報道が多々されているところでもありますけれども、都の人口も令和十二年をピークに減少していくということでありますので、やはりこの水道事業という意味でいえば、様々なインフラをどうしていくのかということもそうですし、水道料金も減収をしていくということでありますので、こうした中においても、経営そのものが筋肉質であり効率化されていると、こうした体制づくりをつくっていくということも非常に重要なのではないかと思います。
 そうした点で、水道局自体もそうしたことを見据えて、以前から政策連携団体である東京水道株式会社のグループ経営というものを掲げられております。実際、この東京水道経営プラン二〇二一というものにおいても、その一つが、性能発注方式というものを使って、包括委託の導入というものを検討していくというふうに掲げられているところでありますので、まず、ここを確認していきたいんですけれども、改めての確認でありますが、性能発注方式による包括委託というものは、まず、どのようなものなのかということと、前段の問題意識がある中で、どうしてこうした契約方式を検討しているのかということを教えていただきたいと思います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、これまで、東京水道株式会社への業務委託におきまして、実施方法等を詳細に指示する仕様発注方式により業務の種類ごとに個別の委託契約を行ってまいりました。しかし、この仕様発注方式は、実施方法が詳細に定められており、また個別に委託契約を行うため多数の事務手続が必要であるなどの課題がございます。
 一方、性能発注方式による包括委託は、安定給水に必要なサービス水準を当局から同社に提示し、その水準を確保することを条件として実施方法等における創意工夫を促すとともに、複数の業務を一括して効率的に委託する契約方式でございます。
 当局では、同社に業務遂行の責任を持たせるとともに創意工夫を促し、お客様サービスの向上及び業務の一層の効率化を図るため、性能発注方式による包括委託の検討を行ってきたところでございます。

○後藤委員 ありがとうございます。
 これまでの仕様発注方式というのは、その業務の種類ごとに個別に委託契約を詳細に決めているということで、一見それは品質の安定につながるという面がありつつも、かなり委託している事業者からすると、なかなか非効率な部分もあるのかなというふうに思います。
 そうした意味では、この性能発注方式による包括委託が導入をされることで効率性が上がったり、あるいは、その事業者の創意工夫が促されるというようなご答弁でございましたので、ぜひ進めていただきたいと思いますし、下水道局でも、既にこうした方式が開始をされているというふうに聞いております。徐々に、行政の中におきましても、こうした効率的な方式というものが一般化されつつあるということでありますので、これだけ巨大なインフラ機能を持つ水道局としても、新たなこうした方策にぜひチャレンジをしていただきたいというふうに思います。
 ぜひ民間事業者の力を生かして、さらなる質の向上と効率化をしていただきたいというふうに思っているところでありますけれども、この今教えていただいた包括委託の導入というものを掲げている経営プラン二〇二一というものも、来年度が最終年度となっていますので、実際に今ご説明をいただいたこの方式というものが、具体的にどのように検討されているのかということを教えてください。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、性能発注方式による包括委託につきまして、外部有識者で構成する東京都水道事業運営戦略検討会議における意見も伺いながら、対象業務や制度設計につきまして検討を進めてまいりました。
 現在、長沢、砧、砧下の三浄水施設における業務及び、あきる野給水事務所が所管するエリアにおける技術系、営業系業務の二つを対象といたします複数年を契約期間とする同方式による包括委託の来年度からの導入を目指し、詳細を検討しているところでございます。

○後藤委員 ありがとうございます。
 今、具体的に検討されているということで、長沢、砧、砧下の三浄水施設ということと、あきる野給水事務所が所管するエリア、この二つが、複数年を契約期間とする来年度からの導入を目指しているという具体的な答弁がありました。ぜひ、こうしたエリアなどの違う二つの業務をしっかりと導入をしていただくことで、適切な実施状況の確認や着実な業務の移管、履行というものを促していきたいというふうに思いますけれども、やはり重要なのは、こうした民間の創意工夫を促しながらも、インフラだからゆえにしっかりと、この一千四百万人の都民に対しての質が担保されるような仕組みづくりというものも重要だというふうに思います。
 性能発注による包括委託というこの実施に向けては、受託者が確実に実施をして、そして導入効果を発揮させるための仕組みをしっかりと検討するべきだというふうに考えます。現状を伺いたいと思います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局で現在検討をしております包括委託では、受託者の業務実施状況を確認するためのモニタリングや、受託者の創意工夫を醸成するためのインセンティブ、安定給水に必要なサービス水準の遵守を受託者に促すためのペナルティーなどの仕組みを設けることとしております。また、こうした仕組みの有効性などを検証するため、契約期間の中間年と最終年に外部有識者の意見を伺う予定としております。
 これらの取組により、性能発注方式による包括委託の実効性を担保してまいります。

○後藤委員 モニタリングやインセンティブの仕組み、そしてペナルティーなどの仕組みも検討されているということで、網羅的にしっかりとチェック体制がしかれているということを確認させていただきました。導入後は効果検証もしていくということを聞いておりますので、しっかりとこうしたものがうまく運用に乗っているのかということも、PDCAサイクルをしっかりと回していただきながら、運用に乗せていただきたいなというふうに思います。やはり、この人口減少社会においての持続可能な経営体制ということで、グループを挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そして、次に、水道メーターの取替え業務の効率化ということについて、二つ目のテーマについて伺いたいというふうに思います。
 水道メーターの取替え業務というもののデジタル化ということでありますけれども、現在、水道メーターというものは、ご存じのとおり、都内で約八百万個あるということで、実は毎年百万個が入替えというか取り替えられているということでありますけれども、百万個って結構すごい膨大な数だと思いますけれども、実はこの業務自体が、取替えをするに当たっての事業者との連絡体制が全て紙になっているということで、これがなかなか非効率なのではないかと、そうした問題意識がありました。
 そうしたことから、本年第一回定例会の公営企業委員会においても、私たちから、このメーター取替え業務をデジタル化とか、DXを積極的に活用すべきという提案もさせていただいていたところでありました。当時は、水道局の皆さんから、活用していきますというようなご答弁もいただいたところかと思いますけれども、今どのような取組状況になっているのか伺いたいというふうに思います。

○藤川給水部長 メーター取替え業務に当たり、これまでは、事業者がメーターの管理番号や有効期限、メーター指針値などを現場で目視により確認し、指定の用紙に記入した上で、会社に戻った後、記入内容を専用システムへ手入力しておりました。この作業を効率化するため、管理番号や有効期限などのメーター情報を、納品されるメーターに二次元コードとして付与するとともに、メーター取替え時に専用のタブレット端末で読み込むシステムを構築し、令和六年十一月から運用を開始しております。
 また、メーター指針値についても、タブレット端末に画像を解析する機能を追加し、自動的に読み込む仕組みを開発中でございます。

○後藤委員 ありがとうございました。
 今までは、目視で確認をして、用紙に記入して、会社に戻ってファクスしたりとかしているんですかね、システムに手入力していたものを、これからは、タブレットでピッと読み取ると自動でその情報が送付をされるということで、極めて真っ当なデジタル化というか、民間企業では当たり前かもしれませんけれども、こうした効率化が様々な業務の中でしっかりと行われていくというのは大変喜ばしいことだというふうに思います。
 この取組が進むことで、手作業で行ってきたものが随分と、戻り業務も含めて改善をされるというふうに思います。期待をしたいというふうに思いますけれども、このメーター取替え業務のDXによりまして、どのような効果があるのかについても聞きたいと思います。

○藤川給水部長 メーター取替え業務においては、これまでメーター情報の目視確認や専用システムへの手入力などの際に人為的なミスが発生するリスクがありましたが、二次元コードとタブレット端末の導入により、情報を機械的に読み込めるため、ヒューマンエラーの防止につながります。加えて、現地でのメーター情報の記入が不要となるとともに、会社に戻った後の手入力が大幅に削減されることから、メーター取替え業務の効率化が図られます。
 このように、メーター取替え業務の正確性や効率性の向上とともに、事業者の負担軽減といった効果も見込んでおります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 確かに、紙でやることによってのヒューマンエラーというものも、もしかしたらあったのかなというふうに思いますけれども、デジタル化によって、こうしたミスの軽減も図られるということで、そうした効果もあるということが確認ができました。どんどん進めてほしいというふうに思います。
 一方で、こうした様々な新たな技術やデジタル化というものを現場に導入をしようとすると、実際に行う現場の皆さんからすると、その新しい技術に適応できないとか、対応できないということでハレーションがあったりとか、水道局の皆さんには、ぜひ丁寧な事業者への対応、こうしたものもきめ細かくしていただきたいというふうに思いますけれども、この円滑な開始に当たりまして、事業者に対してもどのような支援を行ったのか伺いたいと思います。

○藤川給水部長 当局では、事業実施に先立ち、約二百八十者の事業者を対象に業務マニュアルを配布するとともに、計十三回の説明会を実施いたしました。
 説明会では、タブレット端末の操作方法や業務フローの変更点などを説明するとともに、各事業者が実際の二次元コードと端末を用いてメーター情報を読み込むなどの演習を行い、新たな作業に対する習熟を図っております。また、悪天候時における端末の使用や故障時の対応方法など、説明会で寄せられた質問に対する回答を取りまとめ事業者へ周知するなど、円滑な事業開始に向け、丁寧な対応を実施いたしました。

○後藤委員 ありがとうございました。
 十三回も説明会をやっていただいたということで、きめ細かく対応をしていただいたというふうに思います。ぜひ、実際にこうしてタブレットでやっていただいているので、随分とその使い勝手もよくなっていると思いますけれども、現場で実施されている事業者の皆さんの声もぜひ聞き入れていただきながら、そのユーザビリティーについても、改善するべき点があれば、定期的に事業者の声を聞くなどして、ぜひ改善を図っていただきたいなというふうに思います。
 引き続き、こうしたデジタル化、どんどん進めていただきたいというふうに思います。この取替え業務以外にも、恐らく様々なデジタル化、まだまだできる余地、あるのではないかなというふうに思います。一つ一つ丁寧に行っていただきつつも、抜本的にできるところがないかということで、ぜひ取組を進化していただきたいということを要望いたしまして、スマートメーター、最後のテーマに移りたいというふうに思います。
 スマートメーターにつきましては、これまでもずっと会派として追ってきておりまして、もう何度も委員会でも質疑があったかというふうに思います。
 令和四年度から令和六年度までに、水道局では約十三万個のスマートメーターを導入するスマートメータ先行実装プロジェクトというものが進められておりましてというところです。このスマートメーターから得られるデータというものが、水道局のアプリで見ることができて、一時間ごとの使用水量が確認できたりとか、あるいは、ユーザーにとってすごくメリットがあるのは、漏水が懸念される場合にピピッと通知が来るということで、これがお客様にとって非常に好評だというふうにも聞いています。
 この漏水発見機能というものは、プロジェクト期間中にどのような成果が見られたのか伺いたいと思います。

○荒畑サービス推進部長 スマートメーターが設置されましたお客様には、取得したデータによりまして一定基準以上の水量の継続的な使用が確認され、漏水等が懸念される場合に、東京都水道局アプリ等での通知を実施しております。
 運用を開始いたしました令和四年十月から六年六月までの実績といたしまして、五百二十九件の漏水を早期に発見いたしまして、お客様の修繕によって約八万五千立方メートルの漏水量の削減につながりました。

○後藤委員 ありがとうございました。
 五百二十九件の漏水を早期発見できたということで、こんなに漏水ってあるんだということを、私も今回質疑のやり取りをさせていただく中で思いました。聞くところによると、一年間で五万件近くの漏水が、全体で、スマートメーターではなく、その包含するような形でいうと、そのぐらいがあるということで、そのうちの--今、十三万個がスマートメーターということですから、これからもっと展開的に広がっていけば、広域でこうした五万件の漏水が削減をされれば、もっともっと節水効果、漏水を止めることができるということで、都民にとって大きなメリットなのかなというふうに思います。ぜひ、一層のお客様サービスの向上に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 漏水が懸念される場合の通知というものは、まさにこれらのデータを活用するサービスだというふうに思いますけれども、このデータを活用したサービスというものは、今、漏水ということでご答弁をいただきましたけれども、ほかにも様々なサービス展開ができるのではないかなというふうに思います。
 そこで、スマートメーターから取得したデータを活用したサービス向上策について、現在の検討状況についても伺いたいと思います。

○荒畑サービス推進部長 スマートメーターから取得したデータを有効に活用いたしまして、お客様サービスとして還元することは重要だと認識しております。
 今後の新たなサービス展開に向けましては、今年度、お客様ニーズを把握する目的でアンケート調査を実施したところ、節水をサポートする機能の要望を多くいただきました。
 このため、アプリを通じてご自身の使用水量や料金を標準的なご家庭と比較いたしまして、節水につなげられる機能について検討してまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 今後は、その節水サポート、こうしたものの機能追加ということで、アプリを通じて自分の使っている水量と標準的な水量を見比べることで、少しその節水をする機運を高めていくというか、見える化をしていくというような、そうした機能について検討いただいているというご答弁がありました。ぜひ進めていただきたいと思います。
 今、電気の方では、民間企業がかなりいろいろな、アプリなんかを通じてサービスをやられていて、確かに、例えば一万円以内に電気料金を収めたいというふうに設定をしたら、このぐらい今使い過ぎていますよとか、データが取れることで様々な、これ、水道も同じような形で、今回は節水機能ということで、まずはシンプルな機能からスタートするんでしょうけれども、ぜひともお客様の声などを聞いていただきながら、すごく便利でいいサービス、SDGsの時代でもありますので、こうした取組を進めていただきたいなというふうに思います。
 そして、スマートメーターについては、会派としても様々な切り口で、これまで提案をさせていただいておりまして、今年が、このプロジェクト自体が最終年度となっております。ぜひ、来年度以降、さらに取組を加速していただきたいなというふうに思っています。
 今後のスマートメーター導入の方向性につきまして、水道局としての考え方について伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、デジタル技術を活用したお客様サービスの向上や、将来を見据えた業務の効率化、安定的な事業運営等を目的にスマートメーターを先行導入し、検証を進めてまいりました。
 これにより、技術的な課題をおおむね解消し、新たなお客様サービスを開始することができました一方、メーター価格等の低減や、通信率のより一層の改善、取得したデータのさらなる利活用に向けた検討等の取組を進めていく必要がございます。
 これまでの取組成果や令和七年度以降の方向性を今年度内に取りまとめまして、二〇三〇年代の全戸導入に向け、取組を加速してまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 全戸導入に向けて、さらに取組を加速させていくということで、力強い答弁だったなというふうに思います。
 これまでも、会派としては、このスマートメーター、いろいろと提案をさせていただいていて、そのうちの一つにあるのが、今はこの十三万個という限られた形ですので、これから一歩一歩ということでありますけれども、ぜひ全戸に導入をされた暁には、先ほど冒頭にも申し上げたとおり、やはりこの水道局も含めてのインフラ事業、これから人口減少社会にある中で、適切なサイズにしっかりと経営を筋肉質にしていくことや、その事業規模についても適切なものに見直していくということも重要だというふうに思っています。
 これまで、会派からは、こうした水道量をしっかりとスマートメーターによって把握をすることで、水道需要の減少に合わせて、例えばその施設規模を適切にダウンサイジングしたりとか、水道施設規模の最適化というものを提案させていただいていたところであります。これはどういうことかというと、人口減少社会にあったとしても、このインフラの維持費が利用料金にはね返ってこないようにという、これは切なる都民の願いでもあるというふうに思います。とはいえ、そうした将来も見据えつつ、まだ十三万個ということで、全戸、八百万個ありますので、道半ばであるというふうに思います。
 様々な効果検証や機能の拡張などを図っていただいて、これから機能が拡充をされていくに従って、そうした議論もしっかりとしていただくといいのかなというふうに思っておりますので、不断のバージョンアップ、こうしたものを図ると同時に、まずは二〇三〇年代に全戸ということで、どのようにこのスマートメーター、一気に生産体制をつくっていくのか、設置体制をどう遅滞なく進めていくのか、まだまだ集めていかなければいけない議論もたくさんあるかと思います。ぜひこうしたものも、これからも会派としてしっかり応援してまいりますので、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 また、今日は、こうした次の人口減少社会を見据えた水道局事業の経営力向上ということや、スマートメーターなどを通じた効率化、こうしたものについて質問をさせていただきました。
 先日の公営企業決算特別委員会におきましては、軸足を、能登半島を踏まえた震災対策、こうしたものの強化ということも質問をさせていただいたところでもあります。災害にも強い強靱な水道局事業、そして未来を見据えた事業、こうしたものをぜひとも組み合わせていただきながら、首都東京の水道事業ということで、これからも持続可能で、そして都民満足度の高い事業を展開していくことをお願い申し上げまして、私の質疑を終了といたします。ありがとうございました。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 私からも、今、スマートメーターのお話がございまして、もうダブってしまう部分もたくさんあると思いますので、今のこのスマートメーターの設置状況、確認をさせていただきたいと思います。

○藤川給水部長 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき、スマートメーターの設置を令和四年度から進めており、五年度末までに約八万五千個を設置済みでございます。
 本年度は、九月末までに約一万九千個を設置しており、年度末までにはプロジェクトに掲げる三か年の予定個数、約十三万個の設置を完了する見込みでございます。

○竹平委員 設置も着実に進んでいるということも確認させていただきましたが、十三万個の設置完了まで残りあと二万六千個ということとなると思いますけれども、これから寒い時期で設置作業も大変になるかなというふうに思います。確実に設置をしていただきたいと思っております。
 このスマートメーターの設置については、従来のメーター設置にはない新たな作業が発生することから、都議会公明党では、昨年十月の公営企業会計決算特別委員会分科会質疑において、設置を行う事業者が確実に作業手順を理解するための取組について質問をしてまいりました。水道局からは、プロジェクトが始まるに当たり、事業者への説明会でマニュアル等を用いて丁寧に説明しているとの答弁がございましたが、引き続き、事業者の声を聞きながらプロジェクトを進めるよう要望したところです。
 その後の事業者への対応について確認をさせていただきたいと思います。
 このスマートメーターの着実な設置に向け、現在どのように取り組んでおられるのかお伺いいたします。

○藤川給水部長 当局では、メーター設置事業者が作業を円滑に進められるよう、年度初めに説明会を実施し、マニュアルを用いてきめ細かく説明するとともに、作業手順を丁寧に解説する動画を作成し、事業者へ配布しております。
 また、スマートメーターの設置に当たり、当初、事業者が行っていた通信状況の確認作業について、局職員がシステム上で実施するよう変更したことで、令和六年度から事業者による作業や報告書の提出を不要とし、負担の軽減も図っております。

○竹平委員 事業者に対してもしっかりとサポートを行っているということも確認をさせていただきました。事業者の方からは、通信状況の確認ですとか、また、報告書の提出に時間を要するとの意見もいただいておりましたけれども、それが不要となり、改善がなされたということで、大変よかったなというふうに思います。
 プロジェクトは最終年度に入っておりますけれども、引き続き、事業者との連携を図り、計画どおりにメーターの設置を進めていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、能登半島地震を踏まえた水道の方向性について質問をいたします。
 令和六年能登半島地震において、国土交通省の上下水道地震対策検討委員会が、様々な分析を行った上で報告を取りまとめております。また、都においても、能登半島地震を踏まえた防災対策の方向性が公表をされています。
 こうした報告の中で、能登半島地震の特徴が明らかとなっており、ライフラインについても強靱化の方向性が示されております。
 そこで、能登半島地震を踏まえた、水道局における水道施設の強靱化の方向性についてお伺いいたします。

○石田建設部長特命担当部長兼務 当局では、震災時においても可能な限り給水を確保するため、管路の耐震継ぎ手化をはじめとする水道施設の耐震化と、送水管ネットワークの構築等によるバックアップ機能の強化の両面から震災対策に取り組んでまいりました。
 能登半島地震を踏まえて設置された国の検討委員会の最終報告によりますと、耐震化実施済みであった施設では、機能に重大な影響を及ぼすような被害は確認されておらず、事前防災としての耐震化の効果が再確認されたとしております。
 また、今後の地震対策の在り方として、計画的に水道施設の耐震化と代替性、多重性の確保を行い、災害に強く、持続可能な水道システムを構築するべきとの提言がなされております。この内容は、当局におけます震災対策の考え方と変わらないものと認識しておりまして、今後とも、水道システム全体で総合的かつ計画的に施設整備に取り組み、さらなる水道の強靱化を推進してまいります。

○竹平委員 能登半島地震では、断水が広域かつ長期間にわたり、被災生活に大きな影響がありました。そのような中、都は、発災直後から多くの職員と東京水道株式会社の社員を現地に派遣し、工事事業者と連携しながら、応急復旧や応急給水に従事していただきました。改めて、ご尽力くださった皆様に敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。
 一定の予算特別委員会で、能登半島地震の復旧支援では、水道管を路上に設置し、いち早く水を供給する仮配管も活用しながら復旧に取り組んだと伺っております。
 また、先日、私も、都と協定を結んでいる団体に加盟している水道工事事業者が行う訓練を視察させていただき、そこでは仮設配管を使用し、仮給水を行う応急措置訓練等が行われており、仮配管の重要性を感じてきたところであります。
 そこで、都が被災した場合にも、この仮配管は有効と考えますが、見解を伺います。

○藤川給水部長 災害により断水が発生した場合には、都民の生活に欠かせない水を速やかに供給することが何よりも大切でございます。
 能登半島地震では、土砂崩れで道路を迂回する箇所や橋梁部などにおいて、道路の掘削を必要とせず施工が容易な路上への仮配管が早期復旧に寄与いたしました。
 都におきましても、避難所など重要な施設に対しては仮配管を優先するなど、多様な手法を活用し、可能な限り迅速に通水を確保してまいります。

○竹平委員 復旧を進めることに加え、その間も都民が水を確保できるようにすることは必要であります。能登半島地震において、応急給水に列をなす被災者の方々のお姿がございました。首都直下地震が起きたらどうなるのか、心配になった都民も多いことだろうと思います。
 そこで、都は、発災時の応急給水についてどのように備えているのかお伺いいたします。

○荒畑サービス推進部長 都では、災害時給水ステーションとして、浄水場、給水所などの水道局施設や公園の応急給水槽など、給水拠点を二百十三か所設置しております。このほか、給水車による病院等への給水、消火栓から給水するための資器材の配備や避難所応急給水栓の整備など、多様な手段により応急給水の備えを行っております。

○竹平委員 今ご答弁ありましたように、様々な手段で応急給水への備えをしているということを確認させていただきました。
 一方、地域防災計画においては、実際の給水活動の多くは区市町の役割となっており、特に水道局施設に設置された給水拠点については、水道局が開設をした後、区市町に引き継ぐこととされております。どれほど施設が整っていても、発災時に区市町とうまく連携が取れていなければ、迅速、的確な応急給水は実現されないと思います。
 給水拠点における区市町との連携について、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○荒畑サービス推進部長 当局では、発災時に速やかに応急給水活動が行われるよう、局の給水拠点におきまして、地元自治体や地域住民等が参加する訓練を実施しており、令和五年度は三十九区市町で合計百十三回実施いたしました。
 また、区市町に対しましては、常に発災時等の連絡体制を確認するとともに、アンケートやヒアリング等により応急給水に関する取組状況や課題などを定期的に把握しております。一部の区市町からは、応急給水に係る技術やノウハウの習熟に関する支援を求める声が聞かれたため、応急給水槽における合同訓練や区市町が行う訓練への局職員の派遣など、積極的な支援を行っております。
 引き続き、区市町との連携を強化し、応急給水の実効性を向上させてまいります。

○竹平委員 発災時に応急給水の多くを担うのは区市町であるということです。今後も、区市町の声を聞きながら取組を進めていってほしいというふうに思います。
 こうした給水拠点の開設、運営体制を整えることに加えまして、発災時に、その開設状況を実際に利用する都民がしっかり確認できるようにしておくことが大変重要だと思います。
 給水拠点の開設状況を都民に伝えるために、水道局がどのように取り組んでいるのかもお伺いいたします。

○長嶺総務部長 当局では、災害等による断水時に、都民が応急給水に関する情報を確実に得られるよう、様々な手段を用いて、給水拠点の開設情報を的確に発信することとしております。
 具体的には、局ホームページに給水拠点の場所や開設の有無などの情報を掲載し、定期的に更新するほか、情報更新時など時宜を捉えて、SNSで効果的に発信してまいります。
 また、東京都水道局アプリでは、スマートフォンの位置情報を活用し、最寄りの給水拠点の開設状況や経路などを案内できるようにしております。これ以外にも、報道機関への情報提供や専用のラジオ番組での発信、区市町による地域ごとの広報なども活用することとしております。
 今後とも、各媒体の特性に応じて情報を適時適切に発信し、都民が確実に応急給水を受けられるよう取り組んでまいります。

○竹平委員 災害時における都民の不安を解消できますよう、様々な媒体を用いまして、給水拠点の開設状況等の発信に努めていただくよう要望したいと思います。
 次に、応急給水用資器材等の貸与についてお伺いしたいと思います。
 先ほどご答弁いただいたように、水道局では、給水拠点以外にも備えがございます。このうち、区市町に対して、消火栓から給水するための資器材を貸与する取組は、給水拠点よりも身近な場所で、区市町や住民が水を確保できる機会を増やす大事な取組だというふうに思います。
 私の地元江戸川区では、町会、自治会の防災訓練や避難所となる小中学校で避難所開設運営訓練を行っておりまして、その際に、この応急給水用資器材を実際に使って訓練を行っております。ただ、いざというときに、万が一、資器材が劣化して使えないという、そういう状況にならないかというお声も頂戴をしたところでございます。
 そこで、江戸川区を含めた区市町への応急給水用資器材の貸与や管理の状況についてお伺いいたします。

○荒畑サービス推進部長 当局では、発災時に消火栓を活用した応急給水が行えるよう、区市町にスタンドパイプやホース、組立式の蛇口などの資器材を貸与しております。
 この貸与は、平成二十五年度から二十七年度までの三か年をかけて行っておりまして、区市町の要望に応じて合計二千五百三十一セットを配布し、そのうち、江戸川区には百三十六セットを配布いたしました。
 資器材の管理につきましては、貸与を受けた区市町が行うこととなっておりますが、当局におきましても定期的に保管状況の確認を行い、経年劣化により使用が困難と判断した場合は、新たな資器材を配布することで、区市町における円滑な応急給水を支援しております。

○竹平委員 水道局でも、新たな資器材の配布など、区市町への支援を行っているとのことですが、引き続き、貸与した資器材が有効に活用されるよう、取組を進めていただきますようお願いいたします。
 これまでの質疑で、能登半島地震を踏まえて様々な対策をしていることが分かりました。首都直下地震はいつ起きてもおかしくありません。被害を最小限にすべく、予防対策を着実に進めるとともに、断水被害が生じた場合でも、一日も早く正常給水に復旧できるよう、備えをしっかり進めていただきますよう要望いたします。
 次に、人材育成についてお伺いをいたします。
 首都直下地震や風水害など、様々なリスクに適切に対処し、都市の重要なライフラインである水道事業を持続可能なものにしていくためには、基幹的業務を担う局と政策連携団体が持つ技術、ノウハウを着実に後世に引き継いでいく必要がございます。
 そのためには、水道局と団体とが一体となって人材の育成を進めることが重要であり、東京水道グループとしてどのように取り組んでいるのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 人材育成の取組の中でも、ベテラン職員が現場等で若手の職員、社員に技術やノウハウを直接伝えることができるOJTは、次世代を育成するために重要な取組であると考えます。
 そこで、技術、ノウハウを維持向上するため、東京水道グループ全体でOJTにどのように取り組んでおられるのかお聞かせください。

○高角職員部長 当局では、団体と共同で策定いたしました東京水道グループ人材育成方針に基づきまして、グループ全体で組織的なOJTを実施しております。このOJTでは、技術やノウハウを持つ経験豊富な職員、社員を推進役として、課長や課長代理とも意見交換を行いながら、若手職員に対し、実践的な指導や助言を行っております。
 現在、グループ内の全ての職場を対象にOJTを実施しており、若手の職員、社員の技術、ノウハウの維持向上はもとより、職場コミュニケーションの活性化にもつながっております。
 また、局と団体との人材育成に関する意見交換の場などを活用して、良好な取組事例について共有を行うなど、現場での創意工夫や取組の改善を図っております。
 今後とも、グループ全体で継続的にOJTを実施し、若手職員、社員の育成を図ってまいります。

○竹平委員 グループで組織的なOJTに取り組み、現場において先輩から後輩職員に直接技術を継承することで、若手職員の育成を図ってもらいたいというふうに思います。
 職員、社員一人一人のスキルアップを図っていくには、OJTに加えて、やはり研修に関しても、効果的で、そして実践的なものとし、技術やノウハウを着実に継承していく必要があると思います。
 研修を実践的なものとするため、グループではどのような取組を行っているのか伺います。

○高角職員部長 東京水道グループの技術、ノウハウの維持向上を図るためには、実務に即した研修を充実させ、職員、社員のスキルアップを図っていく必要がございます。
 そのため、研修・開発センターの実技フィールド等を活用した実務研修を、局と団体が共同で実施するとともに、業務移転の進展に応じた団体社員の研修講師の養成を行っております。また、仮想空間で現場を擬似的に再現できるVR機器を活用し、事故や災害対応を踏まえた体験型研修を実施するなど、不測の事態にも柔軟に対応できる能力の養成につなげております。
 今後も、実践的な研修の充実を図りながら、現場に根差した人材の育成を図ってまいります。

○竹平委員 今ご答弁いただいたように、こうしたOJTや実践的な研修による技術、ノウハウの向上は、災害発生時の対応にも生かされるものと考えます。
 今回の能登半島地震では、多くの職員と、それから東京水道の社員が、五か月もの長期にわたり応急復旧や応急給水に従事いたしました。被災地にとって支えになったのはもちろん、派遣した都にとっても、貴重な経験となったのではないかというふうに思います。首都直下地震などを見据え、こうした職員、社員の貴重な経験をグループ全体で共有し、職員の心構えや組織的な対策に生かしていただくことが大切であります。
 能登半島地震の応急復旧等に派遣された職員、そして社員の経験や教訓を生かすためには、どのように取組をされているのかをお伺いいたします。

○長嶺総務部長 能登半島地震では、局職員及び政策連携団体社員合わせて約八百名を派遣し、支援活動に従事いたしました。
 これらの活動を通じて得られた知見を東京水道グループ全体で共有するため、本年八月に能登半島地震活動報告会を開催いたしました。参加した職員や社員からは、各地から派遣された応援事業体と緊密に連絡調整することの重要性や効率的な管路復旧の具体策など、現場の経験に即した報告がございました。また、過去に大震災を経験した有識者をお招きし、災害時の職員の心構えや組織的な対策の重要性について講演をいただいたほか、職員、社員、有識者によるパネルディスカッションを行い、派遣経験を踏まえた今後の震災対策について理解を深めました。

○竹平委員 都における水道水の安定的な供給に加え、被災地での災害対応も適切に行うことができているのは、技術、ノウハウを持つ職員、そして社員の活躍によるものであります。今後も、都民生活を支える基幹ライフラインとして、局、団体それぞれが技術の継承に努力し、グループ全体で人材の育成に取り組んでいただくことを要望いたします。
 また、冒頭、水道工事事業者が行う訓練を視察してきたと申し上げましたけれども、実際に、大規模災害の発生時に迅速な復旧を行うためには、工事事業者の協力が不可欠であります。今回の能登半島地震でも、現地で復旧工事に尽力くださいました。その水道工事事業者の技術の継承、人材育成も極めて重要でございます。
 水道管の漏水修理など、復旧技術の向上に資する訓練を行う場合、現在、水道局は会場費や会場設営費の一部を負担し、支援しておりますけれども、支援で使う資材など費用が相当かかっておりますので、でき得る限りの支援を行っていただきますことを併せて要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○福手委員 日本共産党の福手ゆう子です。よろしくお願いいたします。
 私の方からも、スマートメーターに関わることで幾つか確認をしていきたいと思います。
 まず、水道スマートメータ先行実装プロジェクトは、令和四年度から令和六年度の間で十三万個のスマートメーターを設置していく計画で今実施をされておりますけれども、このプロジェクトの期間で、スマートメーターの購入費の予算と決算を伺います。

○藤川給水部長 給水スマートメーター購入費の予算額と決算額は、令和四年度はそれぞれ約十六億円と約八億円、五年度は約十九億円と約十四億円、六年度の予算額は約四十億円でございます。

○福手委員 三年間で十三万個の計画なので、最終年度の今年は予算額も倍増しています。また、来年度以降は、二〇三〇年代までに全戸に広げるということで計画をされていますが、今後どう進めていくかは、この三年間の実績をどう評価するかがポイントになると思います。
 プロジェクトの終了後はどのような検証をされるのか、また、二〇三〇年代までに全戸導入ということでは、来年度の導入計画や--来年度以降は年間何戸のペースでスマートメーターを設置していくことになるのでしょうか、伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、先行実装プロジェクトの成果や令和七年度以降の取組の方向性を、六年度中に取りまとめる予定でございます。

○福手委員 実績については、これから年度内で検証をしていくということですが、やはり全戸に設置となると、期間も長く、設置数もはるかに多くなるので、計画的に余裕を持ちながら、丁寧に進めていただきたいということを要望しておきます。
 では、次に、スマートメーター導入と関わりが出てくる検針業務について伺っていきます。
 スマートメーターは、自動検針されて、データは自動送信されるので、スマートメーターが既に導入されたエリアでは検針員による水道メーターの検針は必要がなくなっていますが、検針委託会社との契約件数というのは、スマートメーターを設置した分を除いた件数で委託をしているということなのでしょうか、伺います。

○荒畑サービス推進部長 スマートメーターによる検針では、現地のメーター指針の確認業務は不要となりますことから、検針委託会社との契約におきましては、スマートメーターの定期検針業務は含まれておりません。

○福手委員 スマートメーターが設置されている分は除いているということです。
 しかし、スマートメーターで不具合があった場合には、検針員が検針に行く場合があると思いますが、その件数としてはどれくらいあるのでしょうか。

○荒畑サービス推進部長 定期検針の際、通信エラー等によりスマートメーターのデータが取得できなかった場合に、原則、局職員または東京水道株式会社の社員がメーターの指針を確認しております。

○福手委員 データが取得できなかった場合は検針に行かねばなりません。今の答弁では件数について述べられませんでしたが、これは、検針に行くのは検針員ではなく、原則、営業所の職員が行くことになっているからだということです。原則ですから、検針員も行く場合があるそうです。ただ、件数についての把握はしていないということでお答えがなかったということです。
 スマートメーターが導入されると、検針員による検針が必要がなくなるということが先ほども答弁されたように、スマートメーターが、いつ、どのエリアで何件設置されるのか、この情報は、検針業務を行うに当たっては必要な情報です。
 検針委託会社に、スマートメーター導入の動向などはどういうタイミングで伝えられているのでしょうか、伺います。

○荒畑サービス推進部長 当局では、先行実装プロジェクト実施状況を、必要に応じて検針委託会社に伝えております。

○福手委員 必要に応じて伝えるということで答弁がありましたが、検針作業を任されている労働者の間では、実際、突然、定例の検針日に自分が検針をする件数が大きく減っていたということが、これまでの間であったようで、それはやはりスマートメーターが導入されたことによるものだったそうです。
 検針件数は検針員の収入に直結するので、今後もスマートメーター導入で検針件数が減少することが予測されます。東京都から事前の情報がないということで、委託会社としても、そのことを重要なことと捉え、水道局に対して、できる限り情報を早く得たいと要望をしています。
 先ほどの答弁は、必要に応じてということですが、検針作業は水道事業を支える重要な業務の一つです。それを安定的に実施してもらうために、業務上必要な情報として、スマートメーターの情報も適切に提供することが求められていると考えます。検針委託会社の要望については、改めて検討を求めておきたいと思います。
 次に、営業所の徴収事務委託の契約期間について聞いていきますが、徴収事務というのは、先ほどからいっている検針作業、それから中止精算、料金徴収、これらが業務内容となっています。現在、区部では、十九の営業所の徴収事務を三つの事業者に委託しています。
 この徴収事務委託の契約ですが、令和二年度と令和三年度に契約が始まった委託は、契約年数が五年間となっています。令和四年度以降に契約した営業所の委託は、契約年数が年度ごとに一年ずつ短くなっています。令和六年度から契約が始まった委託は、一年間の契約期間で、なぜ契約期間がどんどん短くされているのか、理由を伺います。

○荒畑サービス推進部長 スマートメータ先行実装プロジェクトの計画期間が、令和六年度末までとなっているためでございます。

○福手委員 スマートメータ先行実装プロジェクト期間の終了が令和六年度末までなので、そこにそろえたということですが、今後、十六の営業所の徴収事務委託契約が、今答弁あったように、令和六年度末で契約期間が終わりますが、次の契約年数というのはどういうふうになるのでしょうか。

○荒畑サービス推進部長 令和七年度から十年度までの四年間を契約期間といたしまして、徴収事務委託契約を公表いたしました。

○福手委員 次の契約期間は、令和十年度までの四年間と公表もしているということでした。プロジェクト期間が終わるまでは、それ以降で委託する件数がはっきりしないため、契約期間を令和六年度末で一旦区切ったという対応にしたため、契約期間を短く設定していたということが分かりました。
 しかし、まだしばらく従来の水道メーターの方が圧倒的に多く設置されているわけですから、検針委託の契約期間が細切れという状態は不安定な働き方になるので、改めて契約期間は、安定的に検針業務をしていただくことを念頭に検討していただくことを求めたいと思います。
 次に、スマートメーターから得られるデータの活用について伺っていきます。
 スマートメーターで得られるデータは、どのようなものですか。データの保存期間を伺います。

○荒畑サービス推進部長 スマートメーターで得られるデータは、一時間ごとの指針値や漏水などのアラーム情報でございまして、東京都水道局アプリで、過去二年間分の使用水量等を照会できることとなっております。

○福手委員 今までは、二か月に一度の検針で得られたデータが、スマートメーターによって一時間に一回の水量データが測られ、保存も二年分できるということで、得られるデータは、従来の一千四百四十倍に当たると水道局もいっています。相当大きなビッグデータが得られることになります。
 そもそも、スマートメーターを導入することによる効果として水道局がいっているのは、一つはサービス向上、二つ目は業務の効率化、三つ目が水道事業運営への活用とあります。また、将来的には、庁内各局だけでなく、他のインフラ企業などとの連携も視野に入れ、ビッグデータを活用することを言及していますが、このビッグデータの民間活用について、水道局の見解を伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、お客様サービスの向上や業務の効率化などの観点から、スマートメーターから取得したデータを活用しております。

○福手委員 では、そこで一つお聞きしたいのですが、水道局は、今年の三月に、水使用実態把握に向けたスマートメータのデータ活用技術に関する調査研究という企画で共同研究を行う公募を行っていますが、その内容と現在の状況、今後の進め方を伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 本研究は、ICTを活用して、スマートメーターから得られるデータを整理、分析することにより、水使用実態や地域特性の把握ができる技術について開発するものでございます。
 現在、共同研究者を選定し、協定締結に向け、協議を進めているところでございます。

○福手委員 公募の要件が書かれた企画書作成要件というものを見てみますと、ここでも、従来の千四百四十倍に当たるデータ量で、その検針データの有効活用を検討しているという目的が書かれています。
 そして、研究が開始されるまでに設置されているスマートメーターのデータ、そして研究期間中に順次設置されるスマートメーターのデータも、都度貸与されるとありました。
 その点でちょっと確認したいんですけれども、この研究者に貸与される情報というのは、水道使用者に断って使うのでしょうか、伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 本研究は、ICTを活用いたしまして、スマートメーターから得られる膨大なデータを整理するとともに、気象等の指標と使用水量の動向の可視化等を行うものでございます。

○福手委員 水道使用者に断って使うかどうかという質問をしましたが、特にそのことには答えがありませんでした。
 処理をするためのシステムをつくるということでおっしゃるんですけれども、この研究対象として局から貸与されるデータというのは、どういうデータかといいますと、スマートメーターのデータの住所、使用用途、メーターのID、それから年月日、一時間ごとの使用水量が一日単位で記録されたデータというのが、局から貸与されるデータです。
 水道の使用データというのは、個人のプライバシーに関わる情報であり、検針データは個人情報です。今までと違うデータの使い方をするのであれば、少なくとも、都民、使用者に知らせるべきではないでしょうか。
 また、東京都の個人情報の条例では、個人情報保護審議会というのがあります。審議会に、個人情報の適正な取扱いを確保するため、専門的な知見に基づく意見を聴くことができるようになっています。これから協定を結んでいくという段階になりますので、今の段階で、個人情報の適正な取扱いについて審議会に意見聴取することを、この場で求めておきます。
 局のつくった企画書作成要件には、データの取扱いやセキュリティについて、研究以外でデータを使用することを禁止しているということや、研究開発する際のクラウドは国内に設置されたもので、日本の法律が適用されること、また、データは国内のネットワークのみで利用し、海外のクラウドと通信しないことなどを要件として書かれています。局としても、それだけ注意しなければならないデータだということが分かっているから、こういう要件をつけているのではないでしょうか。ぜひ、今私が要望した対応をお願いしたいと思います。
 もう一つお聞きしますが、スマートメーターを導入した方で、アプリをダウンロードした方が受けられるサービスについてです。
 アプリと連動した見守り機能の内容と、あと実績も伺います。

○荒畑サービス推進部長 東京都水道局アプリの見守り機能は、お客様が設定した場合、漏水の疑いや不使用など水道の使用状況を、指定されたメールアドレスに宛てお知らせするものでございます。
 令和六年十月末の利用登録件数は二百六件となっております。

○福手委員 指定されたアドレスに使用状況がお知らせされるサービスということですが、ここでも、個人情報をどう守るかということがやはり大事となってきます。慎重に行っていただきたいと思います。
 それで、この見守り機能は、アプリをダウンロードしなければ使えないサービスなんですけれども、高齢者などデジタル利用が困難な人で、このサービスを使いたいという人がいた場合に、ぜひ、紙で申請して見守りサービスを使うっていうことができるようしてほしいと、私からお願いをしておきます。
 デジタル化の実現の中でも、デジタル活用が困難な人の対応は必要といわれています。また、このサービスは、例えば家族のメールアドレスに使用情報をお知らせするんですけれども、身寄りがない人というのはどうなるのでしょうか。スマートメーター導入で、訪問もなくなれば、何かあったときに、情報をつかんだときに、駆けつけたり、福祉につないだり、そういう人員が確保されていないと、デジタルだけでは、やはり見守りサービスは、どこまでその目的を達するということができるのかということになるのではないでしょうか。こういったことをぜひ検討課題としていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次は、安全な労働について質問をいたします。
 資料で、水道工事における人身事故件数の推移を出していただきまして、ありがとうございます。
 この資料を見ますと、十年間で百十四件の人身事故が起きていることが分かります。そのうち、死亡事故が五件あるということも分かります。
 このように、水道工事などで人身事故が起きた場合、局としては、どのように取り組む仕組みになっているのか伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 当局では、工事で人身事故が発生した場合、工事所管部署におきまして、原因の調査と再発防止策の策定を行いますとともに、事故の内容等に応じまして、東京都水道局事故防止対策委員会の下に専任幹事会を設置し、事故防止対策等を専門的に検討することといたしております。

○福手委員 では、今年の七月十日に、給水所の工事現場で起きた死亡事故については、専任幹事会で具体的にどのようなことが話し合われ、その上で、どのような対応を取ることになったのか伺います。

○小泉設備担当部長 専任幹事会の場では、現場条件に応じた作業方法等の再発防止策について検討、承認し、工事を再開することといたしました。

○福手委員 工事現場で作業されている方が、負傷したり、また、今回のように亡くなるという事故は、やはり繰り返してはならないことだと思います。
 答弁していただいたように、今回の事故について開かれた専任幹事会では、再発防止策が検討されてきました。その内容としては、今回の現場が傾斜地であったという点、また、高所作業車という特殊な車を使用していたという点、この二点を踏まえた再発防止策が検討され、具体的には、車は必ず前下がりで停車をすることや傾斜地に対応した高所作業車を使用すること、輪止めを必ず設置すること、毎日、作業前に行う危険予知活動を徹底することなどの再発防止策が決定されました。工事現場ということでは、事故防止の対策の仕組みがこのように確立され、実施されていることが分かりました。
 次に確認したいのは、検針作業でエリアを巡回している検針員の方たちについてです。
 具体的に伺いますが、検針員が検針作業を行う定期検針日に台風が来る予報となった場合、局はこれまで、検針委託会社に対してどのような対応をしてきたのか伺います。

○荒畑サービス推進部長 検針業務委託の処理要領では、天候不順等の際には、当局と検針委託会社が協議の上、検針日の変更を行うことができるとしております。

○福手委員 答弁された検針業務委託の処理要領に書かれた、水道局と検針委託会社が協議というのは、例えば、定期検針日に台風が来るという天気予報になっていたら、局から委託会社に協議を持ちかけるという解釈になります。
 実際に、今年八月十六日金曜日は、東京に台風七号が接近し、大雨や暴風警報が出される可能性がいわれていました。十六日というのは定期検針の日でしたが、水道局は、警報が出ている時間帯は原則現場に出ないようにという事務連絡を出しました。処理要領にあるように、検針委託会社と協議を行った上で決めた対応だったということです。ただ、営業所によっては周知がされなかったというところがあったり、局からの事務連絡を受けても営業所の解釈がそれぞれで、暴風警報が出ていないから出勤するよういわれたという検針員もいたそうです。
 確認するんですけれども、周知の徹底ということについては、営業所に確認はされているのでしょうか。

○荒畑サービス推進部長 直営の営業所には、各営業所長宛て、委託営業所につきましては、東京水道株式会社を通じて連絡、周知してございます。

○福手委員 ありがとうございます。営業所への周知が徹底されるよう、改めて要望します。それと同時に、やはり判断基準、明確な内容で事務連絡することも併せて要望しておきます。
 また、夏には、熱中症で倒れたという人が何人かいたという話も伺っています。こうした実態を局もつかんでいただくなど--やはり事故やけががないように、安全第一で業務に当たることが徹底されるのが大事だと思いましたので、今回質問をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に、PFAS汚染について質問をいたします。
 水道局は、PFASの水質検査を行っています。
 改めて確認しますが、PFASの検査の頻度、浄水場の原水と浄水、それから水源井戸ということで伺います。

○塩田技術調整担当部長 当局では、稼働中の全ての浄水施設の原水及び浄水のPFOS及びPFOAについて、水質基準項目に準じた年四回の検査を行っております。
 水源井戸につきましては、稼働中の全ての井戸において、三年に一回、検査を実施しております。

○福手委員 では、水源井戸の濃度が高い場合というのは、検査頻度はどうなるのでしょうか。

○塩田技術調整担当部長 当局では、水源井戸や原水の検査結果に応じて、年一回に検査頻度を増やしております。

○福手委員 水道局は、蛇口から出る水の水質が、PFASの場合、暫定目標値五十ナノグラムを下回っていることを把握するために水質検査をしています。都民にとっては、水道水というのは、やはり口に入るものですので、PFASの値がどうなっているのか、健康影響はどうなのか、心配や不安というのは、そういうところにあります。
 水道局は、PFASの検査データについて、PFOAとPFOSの合算値のデータをホームページで公表しています。都民が把握する上で、データ公表は大事なことですが、PFOSとPFOA、それぞれ別々に公表することを求めますが、いかがでしょうか。

○鈴木浄水部長 国は、PFOS及びPFOAの合算値で暫定目標値を設定していることから、当局におきましても、合算値を検査結果として公表しております。

○福手委員 PFOAとPFOS、それぞれの濃度のデータを公表することで、PFOSが泡消火剤由来、PFOAが産業由来といわれていますが、それぞれどういう由来の汚染なのかを見るための手がかりとなります。測定する過程では、PFOAとPFOSは別々で測るものですので、公表も別々にしていただくよう改めて要望しておきます。
 環境汚染防止には、汚染源を追及し、汚染者が除染、除去するということが原則にあります。安全な水質を管理するという水道局にとっても、このことは重要になってくるのではないでしょうか。高濃度の値が検出され、取水停止している井戸は、検出している間は止めたままです。
 局としても、環境局に協力していくことが求められていると考えますが、水道局は、PFAS対策を行っている環境局に対して、検査結果の情報を提供しているのでしょうか。

○鈴木浄水部長 当局では、PFOS等の検査結果につきまして、関係各局と共有しております。

○福手委員 環境局には、検査結果を提供しているということでした。本来、取水できる水源井戸を再び安心して使えるように、水道局としても環境局と連携し、PFAS対策の取組、発展、強化をしていただきたいと要望しておきます。
 PFASについて、とりわけ心配だと懸念されているのが子供への影響です。
 東京都の化学物質の子どもガイドラインでは、一般的に化学物質が人に与える影響は、成長期の子供の方が大人よりも大きいと考えられているとあります。
 このガイドラインを、水道局としてはどう受け止めていますか。

○鈴木浄水部長 水道事業者の責務は、水道法に定められた水質基準等を遵守することでございまして、当局では、給水栓において、国の暫定目標値を安定的に下回るよう、水質管理を徹底しております。

○福手委員 この東京都がつくったガイドラインの基本方針に書かれた子供の特徴の中には、子供は大人と比べて、単位体重当たり、より多くの空気を呼吸し、水を飲み、食べ物を食べるとあり、ガイドラインの食事編というのには、微量ではあっても子供たちの食事に含まれている、これらの化学物質を長期的に取り続けた場合の影響については、いまだ未知の部分が多いため、本ガイドラインの趣旨を踏まえ、これらの化学物質をできるだけ摂取しない食生活を心がけることが大切ですと書かれています。PFASだけ、このことが当てはまらないということにはなりません。次世代を担う子供たちが安心して生活できる社会の実現を目指していきますとガイドラインでは述べられています。
 PFASについても、水道局として、子供を影響から守る立場に立つべきです。このことを強調して、私の質問は終了いたします。ありがとうございました。

○関口委員 よろしくお願いします。
 水道の給水方式について、初めに伺ってまいりたいと思います。
 給水方式には、直結給水方式と貯水槽水道方式がありまして、使用用途、給水高さ、水量、維持管理等に応じて、設置者が選ぶことができるということであります。直結給水方式であれば、直圧直結給水方式であったり、あるいは増圧直結給水方式があったりとかいうことで、様々種類があるということであります。
 そこで、直結給水と貯水槽を経由した給水件数及び割合について伺います。

○藤川給水部長 令和五年度末時点で、直結給水件数は約六百二十三万件、貯水槽を経由した給水件数は約百八十五万件であり、その割合は、約七七%と約二三%でございます。

○関口委員 貯水槽を経由した給水件数も、依然として高くあるということで、二三%程度あるということでございました。
 貯水槽水道は、貯水槽の定期的な清掃や点検などが必要であるということで、適正な管理が必要であります。この点検や清掃が不十分だったり、貯水槽に異常があった場合は、水が濁ったり、臭いがついたりすることがあるということであります。また、使用水量が著しく大きい場合に、水道水が貯水槽に貯留されて滞留時間が長くなったりすると、水道水に含まれる残留塩素の濃度が下がったりするということで、貯水槽の容量を適切に保つことが重要であるということであります。それ以外にも、例えば、受水槽の清掃をしていないと、汚泥や赤さびが受水槽の底にたまってしまったりであったりとか、受水槽に亀裂が入ってしまうと、藻が生えてしまったりだとか、あるいは点検口の施錠がしっかりされていないと、雨水が入ったり、虫が入ってきたりするということであります。
 一方で、直結給水方式は、何といっても、蛇口まで水道水を直接届けることができるということが最も大きなメリットではないかと思いますし、貯水槽のような点検、清掃が不要であるということも非常に大きなメリットかと思います。また、貯水槽のようなスペースが不要なため敷地を有効に活用できるであったりとか、配水管の圧力を利用するためエネルギーを有効に活用できますよということだそうです。
 安全で高品質な水を蛇口まで届けることは、大変重要な水道局の責務かと思いますが、そうした観点から、水道局では、直結給水方式への切替えを進めているということであります。
 そこで、この直結給水方式の切替えを進めるに当たっての取組を伺いたいと思います。また、目標数値などは掲げているのか伺います。

○藤川給水部長 現在、当局では、直結給水方式への切替え時に、給水管の口径を大きくする場合、その工事の一部を水道局が施行する取組などを行っております。
 直結給水方式への切替えは、貯水槽水道の設置者自らが判断するものでありますので、目標設定は行っておりません。

○関口委員 直結給水に切替えをしない施設の理由であったり、課題をどのように分析をいたしますでしょうか。

○藤川給水部長 当局では、一時に多量の水を使用するなど、配水小管の水圧低下をもたらすおそれのある施設や、薬品等の危険な物質を扱う工場などについては、直結給水方式への切替えを認めておりません。
 また、貯水槽水道が有する貯留機能は、災害時などに有効であることから、直結給水方式への切替えを選択しない設置者がいると考えております。

○関口委員 今、ご答弁にもありましたように、直結給水方式への切替えを認めていないというところも確かにある一方で、貯水槽水道を好む方といったらあれなんですけれども、ご答弁にもあったように、災害時に有効であるということを思われる方もいらっしゃるかと思います。確かに、それは一理あるんだろうなと思うんですが、私としては、やはり新鮮で質のいい水を届けるために、直結給水がいいんだろうと思っておりますし、災害の部分に関しては、この貯水槽にこだわらなくても、他の部分でカバーをすることが大事なんだろうなというところを思っています。
 都内には約十万件の貯水槽水道があり、そのうち水道やビル管理法などによって、法定点検受検義務のある貯水槽水道は、全体の約四分の一であります。二・三五万件だと。この二・三五万件については、法律に基づいて点検を受ける義務が課されておりますので、適切な管理がされているんじゃないかということを推察するわけであります。
 しかし、保健所への法定の報告義務がない貯水槽水道は約七・八五万件でありまして、全体の約四分の三あるということであります。この七・八五万件、七万八千五百件については、保健所への報告義務はありませんので、貯水槽水道の設置者における管理が肝となってまいります。設置者の管理に委ねられている分、適切に管理されているかどうかというのが非常に問われるかと思います。
 そこで、都における貯水槽水道における現時点での管理状況を伺います。

○藤川給水部長 貯水槽水道は、設置者が適切に管理すべきものとされていますが、当局では、管理の実態を把握するため、設置者の同意を得て、点検調査を実施しております。
 令和三年度から七年度にかけて、法定点検が義務づけられている施設を除く約七万八千五百件を対象に調査を行っており、五年度末現在、適切に管理されている施設は約九千四百件、管理が適切に行われていない施設は約一千四百件、調査に協力が得られない施設は約三万九百件でございます。

○関口委員 水道局では、管理実態を把握するために点検調査を実施しているということでありましたが、令和七年度にかけて調査を行っているということでありましたが、調査に協力が得られない施設というのがかなり多い、三万九百件ということで、非常に多いんじゃないかと思っております。確かに、設置者の報告義務はありませんので、責任を問われるのは確かに設置者なんですが、これはどうしても、水に接するのは都民でありますので、しっかりそこは水道局の取組が問われるんじゃないかと思うわけであります。
 そこで、管理が適切に行われていない施設や調査に協力が得られない施設、こうした施設が管理を適切に行わなかったり、調査に協力をしない理由、課題をどう分析をするでしょうか。また、働きかけをより一層強めるべきではないかと感じますが、見解を伺いたいと思います。

○藤川給水部長 管理が適切でない施設や調査に協力が得られない施設がある理由は、管理責任や調査の必要性に対する設置者の理解が不十分なことなどと考えております。
 このような設置者に対しましては、適正管理のポイントなどを記載したパンフレットや点検調査の案内を個別に送付するとともに、電話連絡や現地訪問により、調査への理解を求めており、引き続き、こうした取組を粘り強く行ってまいります。

○関口委員 法律の縛りから外れた貯水槽水道は、設置者が管理することはもちろん大前提でありますけれども、その水を口にする、触れる都民のために、引き続き水道局には、より一層の働きかけをしていただきたいということを要望したいと思います。
 続いて、職員定数について伺ってまいります。
 水道局職員の定数が、長期でどのように推移をしているのか伺いたいと思います。

○長嶺総務部長 当局の条例定数は、昭和五十一年度の七千九百十九人をピークに、六十年度、七千八十八人、平成七年度、六千二百四十二人、十七年度、四千九百三十七人、二十七年度、三千八百六十三人、令和六年度は三千六百三人でございます。

○関口委員 この五十年間で約半減以上しているということが分かりました。
 この職員定数の推移というものはどのような考えによるものでしょうか、伺います。

○長嶺総務部長 当局では、効率的な執行体制の構築に向け、民間委託の活用や事業執行上の創意工夫、政策連携団体への業務移転などにより、定数を見直してきました。

○関口委員 二〇一八年に水道法の改正がされまして、この改正の肝としては、官民連携の推進として、厚労大臣の認可を受ければ、水道施設に関するコンセッションを民間事業に設定できるとしたものであります。
 そうした背景もある中で、都は、令和二年度に、水道事業の運営形態に対して、グループ経営、コンセッション、民営化と検討を重ねてきました。結果としてグループ経営を推進していくことになりましたが、なぜグループ経営を選択したのか伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、局と政策連携団体によるグループ経営を推進することとしております。

○関口委員 ありがとうございます。このコンセッションや民営化も、もちろん検討されたということでありますけれども、こちらについては、どのような課題があると認識をしているのか伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、経営基盤の強化に向け、グループ経営やコンセッション、民営化など、官民連携の手法につきまして比較検討を行ってまいりました。
 この中では、コンセッションについては、一度ノウハウが失われると元に戻すことは不可能であり、災害対応等に懸念があること、民営化につきましては、都の広域水道としての一体性を喪失するおそれがあると考えられたことなどから、当局では、グループ経営を推進することとしております。

○関口委員 コンセッションでは、一度ノウハウが失われると元に戻すことが不可能であるということであったり、災害対応などに懸念があるということ、あるいは民営化については、都の広域水道としての一体性を喪失するおそれが考えられたということで、非常に重要な考えであろうと思います。
 この答弁の中にもあったように、ノウハウについては非常に重要でありまして、今回の災害対応も派遣をされたということで、その中でのノウハウもあると思いますし、日常業務の中でのノウハウ、技術の継承ということ、これは非常に重要だと思います。そのところを聞く予定でしたが、先ほど小松委員が同じことを質問されていましたので、取りあえずカットしたいと思います。
 東京水道グループは、水道局との政策連携団体である東京水道株式会社から成り立っているわけであります。水道局の所管事務と東京水道株式会社の委託事務のすみ分けをどのように考えているのか、水道局の所管事務を考えるに当たって、どのような力点を置いているのか伺いたいと思います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、水道事業の基幹的業務のうち、経営方針の策定など事業運営の根幹に関わる業務は引き続き局が実施し、施設の維持点検など事業運営上重要な業務は東京水道株式会社が担うこととしております。

○関口委員 最後になりますけれども、これまで質問していたように、水道事業の民間譲渡、民営化はあってはならないと考えております。特に、水道料金の値上げが起きたりですとか、水質の低下、こういったものが非常に懸念をされておりますし、施設維持の観点からも、民営化というのはあってはならないんだろうなと思っております。
 また、外資の参入、こういったものも、経済安全保障の観点から非常に危険ではないかと個人的には考えているわけであります。
 そこで、東京都の水道事業の公営堅持について、見解を伺いたいと思います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、広域水道の一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、基幹的業務を当局と政策連携団体が担うグループ経営を推進することとしております。

○関口委員 そこで公営堅持といっていただきたかったわけでありますけれども、引き続きグループ経営を推進していくということで、ぜひ都民の命と暮らしに直結する水道事業に邁進をしていただきたいと思います。
 以上です。

○あぜ上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時十四分開議

○あぜ上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○岩永委員 よろしくお願いいたします。
 最初に、小河内ダムの運用について伺います。
 小河内ダムは、東京都奥多摩町の多摩川上流部に位置する東京都の水源となっており、都内で使用される水道水の約四十日分を蓄えることができます。
 そこでまず、小河内ダムの貯水量と放流量などの水量管理について、どのように行われているのか伺います。

○鈴木浄水部長 小河内貯水池は、集水面積が小さく、貯水量が減少すると回復しにくい特徴があることから、当局では、平常時は、利根川、荒川水系の原水を優先して使用することで、貯水量をできる限り確保するよう管理しております。

○岩永委員 原水の使用については、まずは、利根川、荒川水系から優先されているということでした。
 では、次に、小河内ダムの水質管理について、どのように行われているのか伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、アオコ対策として、貯水池上流域の町や村への下水道整備等に対する支援や、貯水池において、上流からの流れを遮断するフェンスの設置などを実施しており、近年、水道原水への大きな影響は見られておりません。

○岩永委員 多摩川上流にある小河内ダムは、もともと水質がよくて、アオコの発生などの水質悪化については残念に思っておりました。ダムに流れ込む上流域の水質を改善することは大変重要です。効率的な下水処理も含めて、今後も取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、ダムからの放流についてお聞きします。
 今年の八月末に、台風十号の影響に伴い、小河内ダムの余水吐きからの放流が行われました。当時のダムの貯水率は八九%、その後も降雨が続く見込みがあり、放流に至ったとの報告がありました。
 降雨による貯水量を調整するために放流が行われておりますが、具体的にはどのような放流の種類があるのか伺います。

○鈴木浄水部長 小河内貯水池では、平常時は、多摩川第一発電所の取水管から放流を行っております。
 これに加えまして、豪雨等により小河内貯水池への流入の増加が予想される場合には、満水位を超えないよう、より多くの放流が可能な余水吐きからの放流を行います。

○岩永委員 降水量が急速に増えるという見込みがある場合には、状況を見ながら、余水吐きからの放流が行われるということですが、その放流に当たっては、川の水量が増加するために、安全対策や水防対策が必要となります。
 ダム周辺自治体はもちろんのこと、下流の流域自治体への情報伝達は、どのように行われることになっているのか伺います。
 また、八月三十日の台風十号の接近に当たっては、どのように実施されたのか伺います。

○鈴木浄水部長 小河内貯水池におきまして、余水吐き放流を実施する場合は、事前に国土交通省や下流の自治体など関係機関へ通知を行っており、本年八月三十日も同様に対応いたしました。

○岩永委員 今回の台風十号の際には、東京都水道局から、国や下流の自治体を含む周辺地域に通知が行われたとお聞きをいたしましたが、下流部は、水面の上昇の影響を受けやすい一方で、また場所によっても時間がまちまちになるなど、時差なども生じたりいたします。
 また、通知を受けた自治体が、自治体内の市民への周知をするという役割分担になっておりますが、自治体から、放流によって多摩川の水位が上がること、そして川の近くには近づかないことなどの注意の情報が、川沿いの住民をはじめ、広く市民に伝わるように、今後も情報の連携の強化にぜひとも取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、水道水源林の管理、保全についてお伺いします。
 水道局では、安定した水源の確保のために、多摩川上流域の森林を水源林として管理、保全しています。国内の水道事業体が管理する森林としては、最大規模となっております。また、計画的に民有林の購入を進め、水源林の公有化を進めています。
 そこで、多摩川上流域における民有林と公有林の割合を伺います。また、今後の民有林の公有化をどのように進めていくのかお伺いします。

○鈴木浄水部長 多摩川上流域の森林約四万五千ヘクタールのうち、当局が管理する水道水源林は約五割でございます。
 当局では、平成二十二年度から民有林購入事業を実施しており、引き続き、広く情報発信などを行うことにより、着実に事業を進めてまいります。

○岩永委員 多摩川上流域の森林の約半分を管理しているということ、また小河内ダムの周辺の民有林も積極的に購入を進めているということですが、民有林の積極的な購入の今後についてお伺いしたいと思います。

○鈴木浄水部長 当局では、小河内貯水池への影響が懸念される約二千ヘクタールを民有林重点購入地域と位置づけ、平成二十九年度から、おおむね十年間で購入を進めております。
 引き続き、所有者に対して、当局による民有林購入の意義を丁寧に説明することなどにより、購入に向けた働きかけを実施してまいります。

○岩永委員 水源林の管理、保全の視点からも、公有化を引き続き進めていただきたいと思います。
 次に、水道水源林において、杉、ヒノキの人工林と天然林の割合、また管理状況についてお伺いします。

○鈴木浄水部長 当局の水道水源林の内訳は、人工林三割、天然林七割であり、間伐や枝打ちなどの保全作業を年間約六百ヘクタール実施しております。

○岩永委員 人工林が三割で、天然林が七割ということです。
 では、手入れの行き届かない民有林への対策については、どのように行われているのか伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、手入れの行き届かない民有林を緑豊かな森林に再生するために、ボランティアの協力を得て、保全活動を実施しております。

○岩永委員 水源を涵養する機能、また土砂の流出を防止する機能、水質を浄化させる機能など、森林が持つ機能を向上させるためにも、また生物多様性の視点からも、多様な樹齢、また樹高、樹種で構成される天然林への転換を進めるべきと考えます。どのように取り組んでいくのか伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、地形や地質の条件が悪く、伐採した木の搬出が難しい人工林については、広葉樹の自生を促すことにより天然林に近い森林に誘導しております。

○岩永委員 水源林を天然林に近い森林に誘導することは、先ほど挙げました森林の公益的機能の向上にもつながると考えますので、今後も、天然林への転換をぜひ進めていただきたいと思います。
 民有林の購入を進め、年々、公有化をされた水源林の面積が増えており、それに伴って、管理の体制も充実させていかなければなりません。
 人員体制を含む管理体制について伺います。

○鈴木浄水部長 水道水源林の管理は、当局の職員約八十名と東京水道株式会社への委託により実施しております。

○岩永委員 水道局としても、森林の管理、保全の技術も継承しながら、また環境局や林業を所管する産業労働局とも連携しながら、引き続き、水源林の保全に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、水道水源についてお伺いします。
 水道局の事業概要によりますと、一日当たりの水源量は六百八十万立方メートル、施設能力は六百八十四万立方メートルあります。これまで多くの水源開発に参画してきたため、東京都は豊富な水源を持っています。
 これに対して、都内で使う水の量は、人口増加にもかかわらず、ほぼ横ばいで推移をしています。一日平均配水量は、この三年、四百二十五万立方メートル前後を推移し、最大配水量は四百六十万立方メートルを割り込んでいます。計画では、来年、二〇二五年度をピークとして、一日平均配水量を四百四十万立方メートル、一日最大配水量を五百三十万立方メートルと見込んでいますが、現実的な来年度の予測量について伺います。

○長嶺総務部長 東京水道施設整備マスタープランにおける水道需要の見通しとは算出の対象が異なりますが、令和七年度予算見積りでは、一日平均配水量のみ約四百二十七万立方メートルと見込んでおります。

○岩永委員 四百二十七万立方メートルということです。来年度が計画上は水需要のピークの年となるため、お聞きをしたのですが、人口増がまだ続いている一方で、節水機器の普及がさらに進んでおります。水需要予測は、施設整備の基になるため、今後行われるときは、より現実に近づいたものとすることを求めます。
 また、先ほどのお答えにもあったように、利根川、そして荒川水系を優先して取水をしているということでしたが、利根川、荒川水系と多摩川水系、その他について、過去五年間の取水量の実績を伺います。

○鈴木浄水部長 利根川、荒川水系、多摩川水系、相模川水系の過去五年間におけますそれぞれの年間取水量は、令和元年度が約十一億八千万立方メートル、約二億八千万立方メートル、約八千万立方メートル、二年度が約十一億五千万立方メートル、約三億立方メートル、約八千万立方メートル、三年度は約十一億五千万立方メートル、約二億九千万立方メートル、約八千万立方メートル、四年度が約十一億八千万立方メートル、約二億七千万立方メートル、約八千万立方メートル、五年度が約十二億三千万立方メートル、約二億四千万立方メートル、約八千万立方メートルでございます。

○岩永委員 年度別に、推計別に、順次お答えをいただいたということなんですが、今お答えいただいた中で、昨年度、令和五年度の多摩川水系の取水量がちょっと少なくなっている、二億四千万立方メートルということで、この少ない理由についてお伺いしたいと思います。また、今後の見通しについてもお伺いします。

○鈴木浄水部長 令和五年度は、多摩川流域での降水量が少なく、小河内貯水池の貯水量をできる限り確保したため、取水量が少なくなりました。
 引き続き、水源状況、気象状況等を慎重に見守りながら、適切な取水に努めてまいります。

○岩永委員 多摩川流域での降水量が少なかったというようなことが理由として挙げられましたけれども、多摩川は東京独自の水源であり、大切にするのは当然です。しかし、東京都内で使う水の大部分を、先ほどご答弁があった他県のダムや川に依存しているということを考えますと、多摩川水系だけ温存すればいいということにはならないのでしょうか。適切に取水をするということですから、今後も注目をしていきたいと思います。
 次に、PFAS汚染について伺います。
 PFAS汚染が社会的な課題となり、都内での測定も行われておりますが、都内全体の汚染状況を把握するためにも、それぞれの測定データを一元化して、見える化することが重要です。PFAS汚染について、水道局をはじめ、環境局や保健医療局での測定データと都内自治体で独自に調査をしているデータを連携し、水質検査の数値や汚染状況を分かりやすく公表する必要があると思います。現状の取組と今後について伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、給水栓等におけるPFOS及びPFOAの検査結果に加え、水道水質に関する国の動向などの必要な情報について、関係各局と連携し、公表しております。
 また、水道水を安心してご利用いただけるよう、局の取組や水質検査結果をホームページに掲載してございます。
 引き続き、これらの取組を継続し、お客様への情報提供に努めてまいります。

○岩永委員 ぜひ、都民に全体像が分かるようなデータが必要だと思っておりますので、水道局だけの情報では、なかなかその全体像というのは難しいと思うんですけれども、連携しながら、より分かりやすい情報提供、情報共有を進めていただきたいと思います。
 また、今年八月末の豪雨の際に、横田基地内からPFASを含む汚染水が流出をしました。河川への影響や原水への影響はなかったのか伺います。

○鈴木浄水部長 当局の供給する水道水に影響はありませんでした。

○岩永委員 水道水への影響はなかったということでありますけれども、川から取水をする原水ということでは、今後も注視はしていかなければいけないのだと思っております。
 ちょうど昨日、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会から、国への要請も行われています。水道水への影響はなかったということですが、引き続き注視をしていただきたいと思っております。
 また、この間、PFAS汚染の影響で、次々と取水井戸からの地下水のくみ上げが停止をされています。暫定目標値を超える井戸からの取水はもちろん停止をすべきですが、どこかで汚染源を特定し、除去をしない限りは、PFASは永遠の化学物質といわれるだけに、たまり続けて、そして広がり続けていきます。
 そこで、取水停止井戸の状況と復旧、復活に向けた今後の取組について伺います。

○塩田技術調整担当部長 当局では、給水栓において、国が定めた暫定目標値を超過するおそれがある場合、原因となっている濃度の高い井戸を直ちに停止しており、水道水の安全を確保しております。
 引き続き、給水栓において水質基準などを遵守し、水道水の安定的な供給を図ってまいります。

○岩永委員 今すぐに汚染された地下水を飲むことはもちろんできませんが、将来的には、安心・安全な水循環を取り戻すために、他局とも連携をしながら、水道局としてもしっかりと取り組んでいくことを要望いたします。
 そして、最後に、玉川上水についてお伺いします。
 今年の九月十二日から十月十一日まで、史跡玉川上水整備活用計画案のパブリックコメントが行われました。提出された意見の件数と、どのような意見が出されたのか伺います。

○西川経理部長 パブリックコメントにおける意見の件数につきましては、現在精査中でございますが、水路及びのり面の保全や植生管理などについてご意見をいただきました。

○岩永委員 水路及びのり面の保全や植生管理などということで、様々な意見が出されているということです。
 今後ですが、パブコメの結果の公表というのは、いつどのように行われるのか伺います。また、都として、どのようにそういった声を反映されていくのか伺います。

○西川経理部長 パブリックコメントにおけるご意見の公表時期や対応につきましては、現在検討中でございます。

○岩永委員 まだ検討中ということでございますが、計画が確定する前に、検討委員会でパブコメで出された意見を踏まえた議論を行う必要があると考えます。
 検討委員会の開催予定と、また計画策定までの今後のスケジュールについて伺います。

○西川経理部長 今後の史跡玉川上水整備活用計画検討委員会の開催やスケジュールにつきましては、現在検討中でございます。

○岩永委員 この間、史跡玉川上水整備活用計画の策定に向けて、市民の声を聞くこと、また子供たちの声も聞いてほしいと要望してきました。パブリックコメントは、市民が公式に意見表明できる貴重な機会であります。住民説明会に都合がつかずに参加できなかった方も含めて、出された意見をしっかりと受け止めていただきたいと思います。
 また、史跡玉川上水整備活用計画は、これまで検討委員会でも議論もされてきましたので、パブコメで出された市民意見についても、ぜひとも検討委員会でも受け止めて、それを基に議論をいただく必要があると思います。しかし、検討委員会の開催スケジュールも決まっていないということは、本当に残念でなりません。
 貴重な市民の声であるパブコメ意見を反映した計画となることを強く要望し、質問を終わります。

○しのはら委員 東京・品川からやさしい未来をの、しのはらりかです。よろしくお願いいたします。
 まず、上下水道の連携について伺います。
 国においては、今年度の四月から、水道行政が厚労省から国交省、環境省に移管されました。これまで、水道は厚労省の管轄、下水道は国交省の管轄と管轄が分かれていました。水道と健康が密接なものだったところから、水道事業は厚労省が管轄していましたが、上下水道を一体に運営することで、水道整備のパフォーマンス向上、災害時の早期復旧や維持業務の効率化などの観点からメリットが大きいという期待の声もあります。実際に、上下水道を一体で管轄する体制が実現し、上下連携への機運が高まっている中、能登半島地震対応も上下水道が一体となって支援したことは、記憶に新しいところです。
 上下水道は、生活者の立場からすると、切れ目なくサービスが提供されていると認識しておりますが、都においては、水道局、下水道局と組織体が分かれています。改めて、上下水道が相互に協働することが重要だと感じます。
 そこで、都における上下水道の連携や協力体制は、どのように行われているのかお伺いいたします。

○長嶺総務部長 当局では、下水道料金を水道料金と併せて徴収しているほか、災害時を想定した訓練の共同実施や、技術に関する知見や情報を共有する会議の開催など、業務の特性に応じ、下水道局との連携協力を実施しております。
 また、共同の公式SNSで活動を一体的に発信するほか、海外の上下水道事業体との交流を両局で共に推進しております。

○しのはら委員 上下水道が連携協力していることが分かりました。これからも、効率的な経営のため、また災害時における迅速な連携、対応のためにも、取組を継続することを要望します。
 次に、デジタル技術を活用した事業の効率化について質問をいたします。
 労働力人口の減少や高齢化、自然災害の激甚化等、水道事業を取り巻く環境は大きく変化しています。二十四時間三百六十五日、水を供給しなければならない水道局としては、これらの変化に柔軟に対応していく必要があります。
 一方、こうした課題の中には、デジタル技術の活用により解決可能なものも多くあると考えます。
 そこでまず、水道局が現在直面している課題についてお伺いいたします。

○長嶺総務部長 都の水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、安全でおいしい高品質な水を安定的に供給していくことを使命としております。
 この使命を果たしていくためには、人口減少に伴う給水収益の減収やベテラン職員の持つ技術の確実な継承、事業を支える担い手の不足などに加え、気候変動や自然災害といった様々な課題に適切に対応していく必要があると考えております。

○しのはら委員 ベテラン職員の持つ技術の承継については、技術が属人的にならないよう、アナログからデジタルへと切り替えていくべきところですし、人材不足や料金収入の減少に対しても、デジタル技術で業務の効率化が期待されると思います。
 それでは、水道局におけるデジタル技術の導入状況と今後の方向性についてお伺いいたします。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、これまでも、スマートメーターの先行実装や施設の点検などにおけるドローンの活用、薬品注入量の予測へのAI活用など、新たな技術の導入に取り組んでまいりました。
 引き続き、様々な課題の解決に向け、デジタル技術を有効に活用してまいります。

○しのはら委員 効率的な事業運営に向け、デジタル技術の導入を積極的に進めていることが確認できました。今後も、最適な技術を活用していくためには、技術動向に常にアンテナを張っていくことは重要だと考えます。
 それに当たり、デジタル技術に係る情報をどのように把握しているのかお伺いいたします。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、デジタル技術に関する展示会への参加や関係団体が主催するプロジェクトへの参画、スタートアップ・国際金融都市戦略室の事業の活用などによりまして、最新の情報の把握に努めております。

○しのはら委員 様々な手段で技術動向の把握に努めていることを確認しました。引き続き、デジタル技術を活用することで、水質管理の向上、コスト削減、災害対応力の強化など、様々な面でよりよい水道事業を牽引していただきたいと思います。
 次に、東京の水道事業のPRなどについてのお話に入ってまいります。
 Tokyowater Drinking Stationについてお伺いいたします。
 都営地下鉄のホームでは、水飲み栓を見かけますが、水道局では、水道水を無料で飲むことができるまち中の水飲み栓を、Tokyowater Drinking Stationとして周知していると聞いています。
 そこでまず、Tokyowater Drinking Stationの目的と設置状況について、改めて伺います。

○荒畑サービス推進部長 当局では、水道水が飲めるまち中の給水スポットなどをTokyowater Drinking Stationと名づけ、水道水の飲用や、ペットボトルによらずマイボトルに水道水を給水する、環境に優しいライフスタイルを促進しております。
 都内には、多くの方々が利用する公共施設などに、合計約九百か所のドリンキングステーションがあり、東京水のステッカーを貼り、PRしてございます。

○しのはら委員 水道水の飲用や環境に優しい行動を促す目的で、駅以外にも公共施設などにドリンキングステーションがあることが確認できました。これは、既存の水飲み栓にステッカーを貼り、効率的にPRしているということです。私の地元品川区でも、図書館や児童センターなどにドリンキングステーションがあるのを見かけます。
 今年の夏は、連日猛暑日を記録し、過去最高の暑さになるなど、まち中で気軽に水分補給のできる給水スポットの重要性を感じました。
 熱中症対策にも役立つので、より多くの方に利用を促進していくことが大切だと考えますが、東京の水道の飲用を促進し、ドリンキングステーションの利用促進のために、局はどのような取組を行っているのかお伺いいたします。

○荒畑サービス推進部長 当局では、都内九百か所のドリンキングステーションの場所を当局ホームページ上に公開し、マップ上で検索可能にしております。
 また、水道週間などのイベントにおきまして、利用を広く呼びかけております。
 さらに、夏場には、熱中症対策として、SNSやアプリなど多様な媒体を使い、効果的に情報発信を行っております。

○しのはら委員 東京の水道の飲用を促進するために、ドリンキングステーションの利用を広く呼びかける様々な取組が実施されていることを確認できました。
 ドリンキングステーションの取組以外にも、都営水道給水区域内の小学生に向けて、水道水に対する理解や関心をより深めてもらうための出前授業を行う学校キャラバンや、地域のショッピングセンター等において、親子向けに、赤ちゃんのミルクや子供への水分補給にも安心して使うことができることなど、水道水の安全性やおいしさの取組を紹介したり、震災への備えなどを知っていただく地域キャラバンなどの取組を通じて、水道事業を広くPRしていると認識しております。
 東京都水道局では、匂い、味、外観に注目したおいしさに関する水質目標について、国が定めた水質基準より高いレベルで設定し、徹底した管理を行っていると伺っています。
 また、昨今は、ここまでほかの委員の皆様の質疑にもありましたように、化学物質の報道などもあり、不安や疑問を持たれている都民の皆様も多くいらっしゃることとも思いますので、適切に情報を把握し、最新の化学技術、知見を収集し、適切に情報発信をしていただいて、都民の皆様が安心して水道水を利用できるようにしていっていただきたいなというふうに思います。
 今後とも、東京の水道事業について、都民の皆様に知っていただき、都民の信頼に応え、強靱で持続可能な水道システムを構築していただきますよう要望いたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございます。

○吉住委員 私は、初めに、水道事業の財政運営について伺います。
 水道局は、令和三年度から七年度までを計画期間とする東京水道経営プランに基づき、事業を運営しています。先日の決算特別委員会において、我が党から、中間年度となる五年度末までの経営状況について質問し、水道局からは、物価上昇等の影響を受ける中でも、おおむね健全な経営状況を確保しているとの答弁がありました。
 本年一月に発生した能登半島地震や八月の豪雨被害等を踏まえても、都市の強靱化は喫緊の課題であり、水道局において安定給水を確保していくためには、さらなる施設整備が必要です。
 その基盤となる安定的な財政運営を確保することは重要であり、今後の見通しも含め、財政運営の現状について質疑したいと思います。
 初めに、確認のため、経営プランにおける財政運営の基本的な考え方を伺います。

○長嶺総務部長 水道事業は、独立採算制であり、今後、人口減少に伴い、料金収入の減少が見込まれる中、必要な施設整備を行い、将来にわたり安定給水を確保するためには、中長期的な視点を持って財政運営を行う必要がございます。
 そのため、東京水道経営プラン二〇二一では、計画期間の五年間のみならず、十年間の財政収支を見通しました。具体的には、計画的な施設の更新により支出の平準化を図るとともに、経営努力により経費を縮減するなど、計画期間における収支の均衡を図り、料金水準を維持した財政運営を行うこととしております。

○吉住委員 中長期的な視点を持った財政運営を行っており、計画期間の五年間だけでなく、十年間の財政収支を見通しているとのことでありましたが、先日の質疑では、経営プランに掲げる財政計画との乖離が大きくなっていることについても確認しました。
 財政計画からの乖離が生じている要因について、局としてどのように分析しているのか伺います。

○長嶺総務部長 当局の収入の多くを占める料金収入は、令和三年度から五年度にかけ、計画対比で減収となっております。これは、都の水道事業が逓増型料金体系を採用しており、新型コロナウイルス感染症の影響によって、一般家庭等で使用される単価の安い小口径での使用水量が増加した一方で、ホテルなどで使用される単価の高い中口径以上での使用水量が減少したことが要因と分析をしております。
 支出につきましては、国際情勢の変化などにより、ポンプの運転などに要する電力料金が高止まりするとともに、労務単価の上昇等に伴い、浄水場の維持管理や管路の取替えなどに要する経常的な費用が計画時より大きく増加をしております。
 料金収入は回復基調にあるものの、物価の上昇等は今後も続くものと見込まれ、支出への影響が懸念されることから、引き続き、状況を注視してまいります。

○吉住委員 料金収入に関しては回復基調にあるとのことでしたが、物価上昇などは急激なものであり、今後もこの傾向が続くと見込んでいるとのことでした。経営プランに掲げた取組は、今後の事業運営に当たって当然に必要なものであり、とりわけ冒頭に申し上げた災害などの発生を鑑みても、施設整備に関する取組は止めてしまうわけにはいきません。
 経営が厳しい状況にあるにしても、災害などに備え、都市の強靱化に向けた取組を着実に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 切迫性が指摘される首都直下地震や激甚化、頻発化する風水害、火山の噴火など、様々な脅威に備えるためには、水源から蛇口に至る水道システム全体の強靱化を図ることが重要でございます。
 このため、当局では、水道施設の耐震化や降灰に備えた浄水場の覆蓋化など、個別施設の対策とともに、給水所の整備や送配水ネットワークの構築等によるバックアップ機能の強化など、総合的な取組を展開してございます。
 また、これらの対策に当たりましては、被害が大きいと想定される地域の水道管路を重点的に耐震継ぎ手化するなど、断水リスクを効果的に低減していくよう、計画的に取り組んでおります。
 今後とも、こうした対策を着実に推進し、強靱で持続可能な水道システムを構築してまいります。

○吉住委員 都市の強靱化に向けた取組について強い決意を伺いましたが、その推進には多額の事業費が必要となります。水道局は、高度経済成長期における水道需要の増大に対して、施設を集中的に整備して、その財源を企業債で賄ってきました。その結果、元利償還金が財政を圧迫してきたという事実もありますが、施設整備が終わった安定期以降は、将来の施設更新に備えて、企業債の発行を抑制することで、企業債の発行余力を残してきたと聞いています。
 経営プランでは、六つの経営に関する指標を選出し、目標を設定していますが、このうち、給水収益に対する企業債残高の割合は、五年度末実績で八七・二%であり、ほかに二〇〇%を超えている事業体が散見されることを踏まえれば、まだ多少は発行余力の活用余地があるといえます。
 経営状況が厳しくなる中においても、強靱化に向けた取組を着実に進めるためには、企業債による資金調達がさらに重要になると考えますが、見解を伺います。

○長嶺総務部長 水道事業は、長い年月と多くの費用をかけて、大規模な浄水場や広大な管路のネットワークを整備しておりまして、これらの施設を長期にわたって運用する必要がございます。
 企業債による資金調達の意義は、こうした施設の投資における財政負担の平準化や世代間の負担の公平性を図ることにあり、これまでも安定的に事業を運営するため、企業債を適切に発行してまいりました。
 一方、現在の経営状況や今後の施設整備費の増加を見据えると、これまで以上に企業債の活用が必要と認識をしております。
 引き続き、中長期的な資金需要や財政状況などを総合的に勘案し、経営指標も用いて財政の健全性を検証しながら、企業債を積極的に活用してまいります。

○吉住委員 着実な施設整備に向け、財政の健全性の維持に留意しつつも、積極的に活用を図っていただきたいと思います。
 それでは、今後の財政運営の考え方について確認できたところで、将来にわたる安定給水の確保という観点から、水道局の施設整備について、具体的に伺ってまいります。
 水道は、水源から蛇口まで様々な施設を経由して供給されるものであり、上流側に位置する取水、導水施設の耐震化は重要です。その中でも、特に都の重要な水源である利根川、荒川水系における取水、導水施設の耐震化の取組について確認したいと思います。
 利根川と荒川を結ぶ利根導水路については、局が直接管理していない施設でありますが、これまでも我が党から定期的に耐震化の進捗を確認し、昨年度末に、十年に及ぶ大規模地震対策事業が予定どおり完了いたしました。この事業の完了により、万が一、大規模地震が発生しても、浄水場への安定的な水の供給が可能となり、心強く思っております。引き続き、局が直接管理していない取水、導水等の重要施設についても、耐震化を進めていくことが必要と考えます。
 そこで、こうした重要施設における耐震化の取組について伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 震災時におきましても、可能な限り給水を確保するためには、水源から蛇口までの水道システム全体におきまして耐震化を図ることが重要でございます。
 茨城県と千葉県にまたがる利根川河口堰は、金町浄水場等の水源となる利根川、荒川水系の重要施設でございますが、ゲート設備等におきまして耐震性能が不足していますことから、施設を管理する独立行政法人水資源機構が事業主体となり、令和六年度から大規模地震対策事業に着手しており、総事業費約五百五十億円、二十年度の完成を予定しております。
 機構に対しましては、定期的に事業の進捗確認等を行うとともに、一日も早い事業効果の発現と徹底したコスト縮減に努めるよう要望してまいります。

○吉住委員 利根川下流部に位置する利根川河口堰が、東京の都心部の給水を担う施設であることはあまり知られていませんが、震災時における安定給水の確保には、こうした施設の耐震化の取組が不可欠です。早期完了に向けて、引き続き国や関係県等と一層緊密に連携して、取組をお願いいたします。
 次に、山間部における水道施設の取組について伺います。
 能登半島地震は、三方を海に囲まれ、山間部に市街地が点在する半島という地理的な制約がある中で、断水被害が長期化したことが特徴です。
 都に置き換えると、多摩地区は、山間部を有することや市街地を含む広範囲に水道施設が分散して点在しているところなど、能登半島と共通する点が多いと思います。
 多摩地区の山間部における、災害時の給水確保に向けた取組状況について伺います。

○塩田技術調整担当部長 能登半島地震における水道施設の被害状況を踏まえると、災害時の給水を確保するためには、給水所等への送水管を二系統化するなど、バックアップ機能を強化することが重要であります。
 現在、多摩川上流地域におきまして、日の出町の文化の森給水所を二系統化するため、青梅市の長淵給水所から新たに送水管を新設する工事を実施しております。
 一方で、地形的な制約から二系統化が困難な小規模施設も存在していることから、こうした施設につきましては、災害時等における配水機能を確保するため、配水池容量を拡充してまいります。
 これらの取組により、災害時等におきましても、できる限り断水の回避を図ってまいります。

○吉住委員 山間部においては、地形的な制約があることは理解しますが、能登半島地震の経験を踏まえると、そのような場所においても、可能な限り給水を継続することは重要です。引き続き、山間部におけるバックアップの強化に向けた取組を進めていただきたいと思います。
 一方、山間部においては、小規模な浄水所で処理した水を地域に配水していますが、こうした山間部の水道施設は老朽化などの課題を抱えていると聞いており、計画的な更新や改良も重要と考えます。
 そこで、多摩地区の山間部における浄水所等の整備状況について伺います。

○塩田技術調整担当部長 多摩地区では、水源や地形、地盤の高低差等、地域特性の異なる四つのエリアにおいて、その特性を踏まえた効率的な施設整備を行っております。このうち、山間部を含む多摩川上流地域におきましては、事故時等における給水安定性の向上や維持管理の効率化を図るため、取水施設の改良や膜ろ過施設の導入を進めております。
 これまでに、土砂等の流入防止を目的とした取水施設の改良は全て完了するとともに、膜ろ過施設につきましては、奥多摩町のひむら浄水所、小河内浄水所、大丹波浄水所への導入を完了いたしました。また、東日本大震災後、アクセス道路の通行止めにより、代替施設で応急的に対応していた奥多摩町の日原浄水所につきましては、改めて本格的な更新工事を令和六年度に着手予定でございます。
 こうした整備を着実に進め、山間部における給水安定性を確保してまいります。

○吉住委員 山間部において、老朽化した小規模施設の更新が着実に進んでいることがよく分かりました。引き続き、残る日原浄水所の整備についても、スピード感を持って進めていただきたいと思います。
 次に、浄水場の更新について伺います。
 都の浄水場は、高度経済成長期に集中的に整備した結果、約七割に相当する施設が、供用開始から半世紀以上を経過しています。将来にわたり安定的に給水を継続していくため、浄水場を計画的に更新していくことは、水道局における施設整備の長期的かつ重要な課題と考えます。このため、施設の長寿命化と更新時期の平準化を図る上で、水道局が取り組んでいる浄水場の予防保全型管理は必要不可欠な取組です。水道局では、予防保全型管理を導入し、点検により施設の劣化状況を把握し、適切な補修を進めていくと聞いています。
 そこで、浄水場の点検状況と今後の取組について伺います。

○鈴木浄水部長 当局では、浄水場のコンクリート構造物の予防保全型管理として、令和二年度から初期点検を開始し、計画していた約千二百施設の点検を四年度までに完了いたしました。点検の結果、構造物に影響を与える主な要因が、コンクリートの中性化によることが判明したことから、これを踏まえ、四年度末に水道施設補修要領を作成いたしました。
 五年度は、金町及び三郷浄水場の沈殿池等において、具体的な補修方法を検討するための詳細調査を行い、六年度から補修工事を開始する予定でございます。
 引き続き、他の浄水場の補修につきましても、計画的に推進してまいります。

○吉住委員 予防保全型管理の具体的な取組について理解いたしました。
 都の水道の規模は世界有数であり、かつ管理する施設も数多くなっています。局は、全国の水道事業の模範となるよう、予防保全型管理を確実に実施し、施設の適切な維持管理を行うことで、信頼性向上と安定給水を確保していくことを要望いたします。
 続いて、代替浄水場の整備について伺います。
 これまでも、我が党は、代替浄水場の整備について、考え方や進捗を確認してきました。二〇三〇年代の東村山浄水場の更新に向け、その代替施設となる境浄水場の再構築が始まったと聞いています。あわせて、青梅市内に新設する上流部浄水場により、東村山浄水場の更新時に必要な浄水能力の低下を補うということであります。代替となる浄水場の整備は長期に及ぶことから、計画的かつ着実に事業を推進する必要があります。
 そこでまず、代替浄水場として整備している境浄水場再構築の取組状況について伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 当局では、大規模浄水場の更新時期におきましても、安定給水を確保するため、代替浄水場の整備に取り組んでおります。
 境浄水場の再構築は、二〇三〇年代から予定しております東村山浄水場の更新に伴い低下する日量三十八・五万立方メートルの施設能力のうち、二十四・五万立方メートルを補うための事業でございます。令和四年度から、既存施設であります緩速ろ過池の撤去工事を開始し、順調に工事を進め、五年度に完了いたしました。
 現在は、高度浄水施設や送配水ポンプ所の築造に必要な土留めの設置及び掘削工事を進めておりまして、引き続き、本体工事に着手してまいります。

○吉住委員 境浄水場の再構築については、着実に工事が進められていることが確認できました。市街地に囲まれた良好な環境の中の事業ですが、今後も工程管理等を行い、着実に整備してほしいと思います。
 次に、上流部浄水場ですが、この浄水場は、多摩川上流を水源とする新設浄水場です。しかし、比較的水質に恵まれていた多摩川においても、近年頻発する豪雨や河川の水温の上昇により、水質が変化していると聞いています。さらに将来を見据え、効果的な水処理や運転管理など、次世代の浄水場にふさわしい内容とする必要があると考えます。
 上流部浄水場の整備に関する取組について伺います。

○石田建設部長特命担当部長兼務 多摩川上流域を水源といたします上流部浄水場では、近年頻発している局地的な豪雨による急激な濁度の上昇や、通年にわたり発生しているカビ臭原因物質に適切に対処していく必要がございます。
 このため、当局では、令和三年度から、取水を予定している箇所の原水を使用した水処理実験を実施し、五年度には、カビ臭原因物質を安定的に効率よく除去することができる浄水処理方法を選定いたしました。
 引き続き、最適な水質管理や効率的な運転管理に必要な諸元等の検討を進めますとともに、七年度からの工事着手に向け、実施設計を進めてまいります。

○吉住委員 これまで、災害対策や浄水場更新に向けた取組について伺ってまいりました。水道施設の整備は、息の長い取組であり、一朝一夕にはいきませんが、長期的な視点に立つとともに、水道局が培ってきた知見と最先端の技術を結集し、施設整備を強力に推進することを要望して、質問を終わります。

○慶野委員 これまで、様々大事な質疑があった中で大変申し訳ないんですが、私からは、荒川区内に限った、荒川区の給水の安定性向上についてのみ確認させていただきたいと思います。申し訳ありません。
 私の地元荒川区は、現在、ほとんどのエリアを南千住給水所からの配水によって賄われております。この唯一の南千住給水所も、災害の給水拠点になっております。
 この給水拠点、万が一の災害時に、どのような対応を取られるのか確認させていただきます。

○鈴木浄水部長 平成十三年度から稼働している南千住給水所は、荒川区の大部分、台東区及び足立区の一部に配水する給水所であり、当初より耐震性を備えた施設でございます。
 平常時には、主に金町浄水場からの水を配水しており、災害や事故等で金町浄水場からの送水が停止した場合には、三郷浄水場からの水を配水することが可能な施設となっております。
 加えて、応急給水施設を整備し、震災などにより断水が発生した場合には、災害時給水ステーションとして、近隣住民にとって重要な役割を果たすなど、災害等に向けた様々な備えを行っております。

○慶野委員 災害時には、他の浄水場からの配水も可能になるということで、避難訓練、災害訓練等も行っております。私も参加してまいりました。
 荒川区の東部は、南千住給水所から配水できるのに対して、西部のエリアは、今、ご答弁にあった金町浄水場から直接引っ張ってこなければいけないということで、災害時には、非常に困難が生じるのではないかと想定されております。
 そこで、区境にありますけれども、明治通り沿い、北区内に王子給水所の設置を急げということで、これまで私も一般質問等々で水道局の皆さんにお願いをしてまいりました。
 現在の王子給水所の整備状況について確認させていただきます。

○石田建設部長特命担当部長兼務 当局では、金町浄水場から広域にわたり配水されていた区部北東部における断水リスクを軽減するため、荒川区、北区、足立区の一部を配水区域とする配水池容量五万立方メートルの王子給水所の整備を進めております。
 この給水所は、住宅地に隣接した狭い敷地での施工となりますことから、騒音、振動等による生活環境への影響を低減できるニューマチックケーソン工法を採用しておりまして、平成二十八年度から配水池の築造を開始し、現在、全体の約八割が完了しております。配水池の完成後は、引き続き同じ工法を用いまして、ポンプ棟の築造工事に着手する予定でございます。
 今後も工程管理を徹底し、令和十四年度の完成に向けまして、王子給水所の整備を着実に推進してまいります。

○慶野委員 王子給水所内の配水池に関しては八割が完成していて、王子給水所そのものは令和十四年度、約八年後に完成するということであります。
 災害時に、南千住給水所からしか給水ができない、一つのルートしかないということで、荒川区は、皆さんに知っておいていただきたいんですけれども、下水道局の質疑でも確認させていただきましたが、我が国初の近代水処理施設があって、文京や台東、中央という他の区からの、お手洗いを含む生活排水をずっといろんな方面から受け入れているのに、浄水は一か所しかないということで、何かがあったときに、荒川区の西部に安定給水をするということで、この王子給水所の速やかな整備が荒川区民の念願であります。それによって、複数ルートからの給水が可能になっていくということで、一刻も早く無事に完成するということを望んでまいりたいと思います。
 この王子給水所が完成して、そして安定的に荒川区まで引っ張っていく管路も重要になってまいります。王子給水所から荒川区内への管路の整備状況を確認させていただきます。

○石田建設部長特命担当部長兼務 当局では、周辺地域への安定給水に向けまして、王子給水所の築造に合わせて、当給水所から荒川区への約五キロメートルに及ぶ配水管の整備を進めております。この配水管は、主に明治通りの地下に布設いたしますことから、交通への影響などを考慮いたしまして、シールド工法により施工しております。
 二つの工区のうち、北区側は本年四月に完成しており、現在は、荒川区側の配水管、口径八百ミリメートル、延長約三キロメートルを施工中でございます。
 この配水管の整備により、王子給水所の水を荒川区の西側まで配水することが可能となりまして、金町浄水場から直接配水された区域が解消し、当該地域の給水安定性が向上いたします。

○慶野委員 詳しいご説明をいただきました。給水所を複数ルート化します--そして区境、王子神谷の辺りから、大変交通量の多い明治通りの地下に管を通していくという大変な工事になるかと思いますけれども、明治通りを通って、私たちの地元では宮地ロータリーといっているところ、荒川区役所に向かって管路を今引いていただいていると。
 給水所ができます。そして、管路が無事に今進んでおります。これを、まずは荒川区民に確実に届けていくという、これからその他の管路が必要になりますけれども、まず確認させていただきたいのは、災害時ということを想定すると、警察や消防、それから荒川区役所や避難所の学校、こうした重要施設に対する耐震化、どこまで進んでいるのか確認させていただきます。

○藤川給水部長 当局では、切迫性が指摘されている首都直下地震に備え、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を進めており、令和四年度末に概成いたしました。
 荒川区内には、区役所のほか、学校等の避難所が三十七か所、救急医療機関が五か所、主要な駅が二か所、警察、消防等の活動拠点が七か所、計五十二か所の重要施設があり、これら全ての施設への供給ルートの耐震継ぎ手化が完了しております。

○慶野委員 これは、荒川区民にお話しすると、本当に喜ぶお話だと思います。新たな給水所、管路も安定していて、そして重要施設へはもう耐震化が済んでいますということで、荒川区民の安全・安心が格段に上昇している、もう完成しているということでした。
 重要施設への耐震継ぎ手化は完了しました。その他の管路の耐震継ぎ手化は、どういうふうになっているでしょうか。

○藤川給水部長 荒川区内の配水管の耐震継ぎ手率は、令和五年度末におきまして五〇%でございます。

○慶野委員 重要施設は完了しました。それ以外のところは、今、五〇%、事前にお聞きしたところ、二十三区部での平均は五二%ということですから、平均よりやや遅れている状況もあろうかと思います。
 今後、荒川区の管路の耐震継ぎ手化、どのようなスピードで進めていただけるのでしょうか。

○藤川給水部長 当局では、断水被害の効果的な低減に向け、優先順位を明確化して、管路の耐震継ぎ手化を推進しております。現在、都の被害想定で断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、管路の取替えを進めており、令和十年度までに解消する予定でございます。
 荒川区におきましても、こうした地域が存在しており、当該地域の耐震継ぎ手化を重点的に進めることにより、災害時の給水安定性をさらに向上させてまいります。

○慶野委員 今も、大変重要なご答弁をいただきました。優先順位を明確化して取り組んでいる、荒川区もこうした地域が存在しているので、優先地域として含んでいただいて、令和十年度までに解消しますという答弁だったと思います。これで荒川区民の給水への不安は、一気に解消されていくということになると思います。
 耐震化、耐震継ぎ手化の取組が重要であると同時に、今度は、この給水所が、先ほど申し上げたように、いざというときの給水拠点になっておりますので、災害時に、万一の断水に備えたこの取組がさらに重要になってくると思います。
 荒川区と連携して、給水をそれぞれやってきたと、これ、先ほどの質疑にもいろいろありましたので省略させていただきますけれども、地域と避難訓練、災害訓練等を取り組みながら行っていただいていると。
 また、そうした状況を、発災した場合の応急給水の実施、ここでこうやっていますよ、または水道施設の被害状況、復旧の見込み、それから給水拠点の開設状況、地域ごとの断水の状況とか復旧の状況、こうしたことをしっかり地元区と連携して発信していってくださるということで、様々な、先ほど来からのご答弁もありましたので、省略させていただきます。
 結論になりますけれども、荒川区内の給水の安全性が飛躍的に上昇していく取組を、水道局さんが行っていただけるということが確認できました。私も、今日いただいたすばらしい前向きな取組状況への答弁を、荒川区民に、不安解消のためにしっかりと語ってまいります。今日はありがとうございました。

○あぜ上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十九分散会