委員長 | あぜ上三和子君 |
副委員長 | 吉住はるお君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
理事 | 竹平ちはる君 |
理事 | 福手ゆう子君 |
理事 | 後藤 なみ君 |
しのはらりか君 | |
岩永やす代君 | |
関口健太郎君 | |
慶野 信一君 | |
柴崎 幹男君 | |
増子ひろき君 | |
小松 大祐君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 佐々木 健君 |
次長 | 相田 佳子君 | |
総務部長 | 小泉 雅裕君 | |
職員部長 | 鈴木 豊君 | |
経理部長 | 和田 慎一君 | |
計画調整部長 | 藤橋 知一君 | |
施設管理部長 | 新谷 康之君 | |
建設部長 | 萩原 清志君 | |
企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 澤村 航君 | |
技術開発担当部長 | 家壽田昌司君 | |
施設管理担当部長 | 須賀 隆行君 | |
設備調整担当部長 | 小池 利和君 | |
施設整備担当部長 | 杉山 純君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 袰岩 滋之君 |
管理部長 | 池島 英稔君 | |
技術部長 | 井上 潔君 |
本日の会議に付した事件
下水道局関係
事務事業について(質疑)
○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小泉総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをご覧ください。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
区部における平成六年度から令和五年度までの公共雨水浸透ますの設置個数をお示ししてございます。
二ページをご覧ください。浸水被害状況の推移でございます。
区部における浸水棟数について、過去十年間の推移をお示ししてございます。
三ページをご覧ください。電力使用量の推移でございます。
平成十二年度から令和五年度までの水再生センター、ポンプ所等の施設における電力使用量の推移をお示ししております。
四ページをご覧ください。マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
区部におけるマンホールの総数と緊急輸送道路などにおける浮上抑制対策の計画及び平成二十年度から令和五年度までの実績の推移をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の役割分担別職員構成と現員でございます。
区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の現員を、役割分担別、職種、雇用形態別にお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○あぜ上委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○小松委員 十年ぶりぐらいに公営企業委員会で質問をさせていただきます。一年間よろしくお願いします。
明治時代に欧米の技術を取り入れて始まった東京の下水道は、生活環境の画期的な改善や浸水防止などの役割を果たす、都市になくてはならない施設として整備拡充をされました。明治十年頃からの都市部を中心としたコレラの大流行を受けて、明治十七年に建設された神田下水や、これまで排除するものとされていた下水を処理することとした我が国最初の近代下水処理施設である旧三河島汚水処分場などは、日本の都市近代化の始まりともいうべきものであります。
その後、高度経済成長期と昭和三十九年の東京オリンピックを経験する中で、東京都は、首都の名に恥じない都市基盤の整備に総力を挙げて取り組み、都民の強い要望が寄せられた下水道については、昭和三十七年に下水道局が発足し、整備を強力に推進をしました。
それから半世紀以上が経過し、東京の下水道は、様々な課題を克服し、下水道管の総延長は約一万六千キロメートルにまで及び、水再生センターは二十か所、ポンプ所は八十五か所となり、首都東京の重要な基幹インフラとして確固たる地位を築くに至っています。その一方で、近年は、老朽化施設の再構築や能登半島地震を踏まえた震災対策、気候変動に伴い激甚化、頻発化する豪雨にも対応する取組、労働力人口の減少を踏まえた事業運営など、新たな課題も山積をしているというふうに認識をしています。
こうした中で、将来にわたり、お客様である都民の皆様に質の高い下水道サービスを提供していくためには、持続可能な下水道事業の運営体制の構築が重要だと考えます。
これまでの背景を踏まえて、初めに、現在の下水道事業を支える事業運営体制について伺います。
○小泉総務部長 明治時代に始まった東京の下水道事業は、百四十年の歩みを重ね、今日に至っております。この間、区部では平成六年度末に普及率が一〇〇%概成し、多摩地域では平成二十二年度末に普及率が九九%に達するなど、下水道は、重要な都市基盤施設として、都民生活や首都東京の都市活動を支えてまいりました。
一方で、初期に整備された下水道管や水再生センターなどは老朽化が進み、機能維持の対策が必要になってございます。また、浸水対策、震災対策など下水道施設の強靱化や、エネルギー、地球温暖化対策など、下水道事業は、時代の大きな変化に伴い、解決すべき課題が顕在化しております。
こうした中、下水道局では、経営計画二〇二一において、下水道事業を将来にわたり安定的に運営し、お客様である都民の皆様に質の高い下水道サービスを提供していくことを経営方針としてございます。これに基づき、事業実施に責任を持つ下水道局を中心として、下水道局と政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、TGS及び民間事業者の三者がそれぞれの特性を生かした役割分担の下、下水道事業を支える運営体制を構築してございます。
○小松委員 下水道事業は、三者がそれぞれの特性を生かした役割分担の下、運営体制を構築しているとのご答弁がありました。
下水道局所管の政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、いわゆるTGSについても伺ってまいりたいと思います。
TGSは、いつ、どのような経緯で設立された団体なのか、また、どのような役割を担っているのか伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 都においては、トイレの水洗化や河川等の水質向上のため、昭和三十年代から本格的に下水道整備を進めてまいりました。昭和五十八年度末には、区部の普及率は八〇%に達し、増大する下水道施設の維持管理業務の効率的な執行を図ることが、下水道局の大きな課題となっておりました。そこで、下水道施設を効率的に維持管理し、きめ細かな都民サービスを安定的に提供するために、局事業を補完、代行する団体として、TGSが昭和五十九年度に設立されました。
設立当初は汚泥処理施設の運転管理業務が中心だった事業は、下水道局との一体的な事業運営の下、業務範囲を順次拡大し、下水道施設全般を管理運営する総合力を確保することとなり、TGSは、東京下水道の運営に欠かすことのできない役割を担っております。
○小松委員 下水道の普及が概成したのが平成六年度、一九九四年度で、TGSの設立は昭和五十九年でありますから、下水道の普及概成とその後の維持管理の時代を見据えて、TGSは設立をされたと理解をいたしました。
一九八四年は、私、まだ小学校一年生だったんですが、区部がちょうど昭和五十八年度で普及率八〇%で、練馬の柴崎先生もそうかもしれませんが、世田谷の西の外れなので、うちのところはまだ下水が多分、ちょうどどんどん開発されている時代で、私の大先輩でもあります熊本哲之先生が、都議会に昭和五十二年に初当選されてから一生懸命取り組んだのが下水道なんだという話を常々おっしゃられたことがよく分かりますし、ちょうどその頃にどんどん、今の下水道の皆さん方の先輩方を含めて、積み重ねていただいたおかげで、今の子供たちは、すばらしい下水道サービスの中で社会生活を送れているんだなと感謝を申し上げたいというふうに思います。この時代の先を見据えて設立に尽力された当時の方々にも、改めて敬意を表するものであります。
下水道局の業務を補完、代行する目的で設立され、これまで業務範囲を拡大してきているとのご答弁でありましたが、では、東京都からTGSにはどのような業務を発注されているのか、昨年度の件数や金額を併せて伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 首都東京の下水道は、下水道局とTGSなどが連携して事業を支えております。下水道局は経営方針の策定、施設の建設や重要な維持管理、水質規制などの根幹業務を担い、TGSは専門的技術を生かしつつ、下水道局と密接に連携して行う必要のある業務を担っております。TGSにはこうした業務を発注しており、具体的には、汚泥処理施設の運転管理業務のほかに、出張所における下水道管の維持管理業務や水処理施設の保全業務などがございます。
また、令和五年度に下水道局から発注した件数は七十五件で、契約金額は約三百五億円でございます。
○小松委員 多くの業務がTGSへ委託をされていることが分かりました。
それでは、今後、事業運営を行っていく上で、TGSを活用することの意義について伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 首都東京の大規模な下水道システムを十全に機能させ、確実に維持していくためには、多岐にわたる複雑で専門性の高い困難な業務を総合的に実施していく必要があり、東京下水道グループとして下水道局と一体的に事業運営を行うTGSを活用しております。
TGSは、固有社員のほか、下水道局現役の派遣社員、下水道局OBを含む嘱託社員の三者から成っており、円滑な事業運営に向けては、当局の職員として長年業務に従事し、現役時代に優れた技術と豊かな経験などを身につけている局職員のOBの活用が重要でございます。引き続き、局職員のOBが有する技術、経験、ノウハウを生かしながら、局とTGSが一体となって、高い公共性と専門性が求められる下水道事業を、将来にわたり安定的に実施してまいります。
○小松委員 ただいまの答弁を伺いますと、長年にわたり下水道の普及や維持管理の実務で培った技術力を身につけた局職員のOBがTGSにいて、下水道局とTGSが一体となって民間事業者とも連携をし、東京の下水道を支えているということがよく分かりました。
常々、我が会派の代表質問などでも取り上げさせていただいていますが、強靱化をはじめ、これからの東京のまちづくりに欠かせない技術職員を有用に活用していくという観点からも、OBの方々をこうした形でしっかりと活用し、次世代に継承していくということも大変重要で有意義なことだというふうに、少なくとも我が会派は認識をしています。
東京の下水道事業を将来にわたって安定的に運営していくために、専門的知識や高い技術力を身につけた技術系職員の果たす役割が重要であって、下水道局内のベテラン職員の高度な技術力やノウハウに加え、局職員のOBの豊富な実務経験に基づく知識や経験を次世代に受け継いでいくためにも、今後も技術系職員の計画的な育成は重要だと考えます。
そこで、下水道局では、技術系職員の人材育成と技術力の維持向上に向けて、どのような取組を行っているのか伺います。
○鈴木職員部長 下水道事業の安定的な運営に当たり、技術系職員は、調査、計画段階から設計、工事、維持管理の段階まで、様々な局面で重要な役割を担っております。
このため、技術を着実に継承することなどを目的に、下水道局技術力向上委員会を設置し、局一丸となって取り組んでおります。
具体的には、業務の習熟度について定期的に先輩職員や上司と意見交換をすることにより、担当職務の早期習得を図っております。また、技術継承を専任とする職員が各事務所を巡回し、経験の浅い技術系職員に対し個別相談や支援を実施するなど、きめ細やかなサポートを行うほか、下水道技術実習センターにおいて、実際の工事現場や水再生センターの施設などを再現した実習施設を活用し、実践的な研修を実施しております。
今後も、このような人材育成と技術力向上の取組を進めてまいります。
○小松委員 今後、労働人口が減少していく中で、局職員のOBのノウハウも活用しながら、下水道局とTGS、民間事業者の三者がしっかりと連携することは重要です。引き続き、着実に事業を推進し、東京の下水道を支えていくということを求めておきます。
今年は、冒頭申し上げたとおり、神田下水の建設から百四十年になるとともに、区部の普及達成から三十年が経過をいたします。下水道局では、古くなった下水道管の枝線再構築を進め、経営レポートによれば、第一期再構築エリアの下水道管の再構築は七五%が完了しているというふうに認識をしています。
区部の下水道は、先ほどの質疑の中でも、TGSが維持管理を担っているということを確認しましたが、第一期再構築エリアの枝線再構築に当たり、TGSはどのような業務を担ってきたのか伺います。
○萩原建設部長 第一期再構築エリアの枝線再構築につきましては、現場実態を熟知した経験豊富なTGSの社員が、設計、積算や工事監督の業務の一部を担っております。
具体的には、枝線再構築の業務量増大に対応するため、設計数量計算書の作成を行う設計書作成補助業務委託を平成十八年度から開始しており、当初の設計対象件数五十五件から委託量を増やし、令和五年度は百三十二件実施いたしました。また、工事現場における立会業務などを行う工事監督補助業務委託を平成二十年度から実施しており、当初の工事対象件数四十五件から、令和五年度は百三十二件実施いたしました。これにより、枝線再構築のスピードアップに大きく貢献してまいりました。
○小松委員 TGSは、下水道管の再構築の推進においても大きな役割を担ってきたと理解をいたします。
経営計画二〇二一では、第一期再構築エリアの完了を見据え、第二期再構築エリアの着手に向けた検討を開始とあります。
そこで、第二期再構築エリアの着手に向けて、どのように取り組まれるのか伺います。
○藤橋計画調整部長 第二期再構築エリアは、都心部に次いで整備年代が古い区部西側の三つの処理区であり、区部全体の約五割に当たる面積を有し、膨大な延長の下水道管の再構築が必要であります。こうしたエリアの枝線再構築を円滑に進めていくためには、第一期再構築エリアの事業で蓄積したノウハウも踏まえ、アセットマネジメント手法を活用した事業量の平準化を図ることに加えて、地域の状況に応じた整備を進めていくことが重要でございます。
第二期再構築エリアは、土地の利用状況や道路の幅員、交通量などが異なることから、この地域にふさわしい整備の進め方を確立するため、本年度より試行工事に着手いたします。
○小松委員 第二期再構築エリアの再構築の開始に向けて、今年度から試行工事に着手するということですが、この再構築事業の推進に当たって、TGSをどのように活用するのか伺います。
○藤橋計画調整部長 これまで、下水道局とTGSは、緊密に連携して再構築事業を推進してまいりました。第二期再構築エリアの再構築事業を効率的、効果的に進めていくためには、下水道管の維持管理や第一期エリアの再構築事業で得られたTGSの知識や経験を最大限に生かしてまいります。
○小松委員 都にとっても大変重要な第二期再構築エリアの下水道管の再構築に当たっても、TGSと緊密に連携しながら取り組んでいただくということを求めておきます。
次に、技術開発の観点から伺います。
下水道局は、TGSと一体で、建設、維持管理のあらゆる場面で、数多くの技術開発を他都市に先駆けて行い、下水道事業の課題を現場から解決し、事業を効率的に進める上で大きな役割を担ってきたというふうに認識をしています。
そこでまず、下水道管の建設、維持管理において、これまでどのような技術をTGSと開発し、実用化してきたのか、主な技術で結構ですのでお願いします。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局は、TGSや多くの民間企業と連携しながら、建設や維持管理に関わる様々な技術を開発してまいりました。
代表的な技術といたしまして、老朽化した下水道管の内側をリニューアルできる再構築の手法として、SPR工法を昭和六十二年度に開発いたしました。この工法は、道路を掘削することなく、下水も流しながら施工可能であることが特徴で、国内では全ての都道府県で採用され、海外においては二十一の国と地域で採用されております。
また、過去の地震において、液状化現象によりマンホールが浮上するという被害が発生しております。これを踏まえて、液状化現象が発生した場合に、その水圧をマンホール内に逃がす工法を開発し、交通機能を確保する対策を実施しております。この工法は、平成十八年度に実用化しており、国内三十二都道府県で採用されております。
○小松委員 下水道局、TGS、そして民間事業者がそれぞれの強みを発揮し、現場で抱える課題を自ら解決につなげてきたからこそ、こうした、他の道府県にも活用していただけるような、また、外国でも活用していただけるような実用化につながったんだというふうに思います。
そこで、今後もこうした技術開発の取組があるんだと思いますが、方針を伺いたいと思います。
○家壽田技術開発担当部長 下水道は、土木、機械、電気など様々な分野の技術から構成されており、これらを融合して技術開発を進めることが必要でございます。
下水道局とTGSは、一体となって、下水道管や水処理施設、汚泥処理施設など多岐にわたる施設の建設や維持管理を進めてきた中で開発してきた技術を多数有しております。
東京の下水道を将来にわたり安定的に運営していくためには、老朽化施設の再構築や震災対策、さらには地球温暖化対策など、常に先を見据えた取組を積極的に進めていくことが重要でございます。
今後とも、こうした技術や経験を持つTGSと下水道局が一体となり、最先端の技術を有する民間企業や基礎研究を行う大学などのノウハウも結集して、技術開発を推進してまいります。
○小松委員 TGSと一体的に技術開発を進めてきたという点が、東京の下水道の大きな特徴であるというふうに私は思っています。
さらに、東京で試行錯誤を重ねて開発された技術が標準化され、他都市にも活用されるようになることで、全国の下水道事業の課題解決にも大きな役割を果たしてきたといえますし、今、東京が、共存共栄ということで、知事もメッセージを出していますけど、全国の知事会から、東京富裕論、また東京一極集中の批判に対抗していくためには、財源だけではなくて、こうした技術協力というものをしっかりと他の都市に貢献していくんだという姿勢こそが、改めて期待されるんだろうというふうに思っておりますので、こうした面からもしっかりと応援をしていきたいなというふうに思っています。
今後、東京においては、第二期再構築エリアの対応、豪雨対策の強化、脱炭素社会への対応など、新しいこの課題への対応も必要です。下水道局とTGSに、今後も東京の下水道を支え、日本の下水道界をリードしていく役割を果たしていくということを大いに期待するものでありますが、二つぐらい、ちょっとお話しさせていただきたいと思います。
一つは、これは下水道局さんだけの話ではないんですけど、本当に、この強靱化、これから進めていく上で、技術の人材確保というのは全庁的な課題だというふうに認識しています。
今、開発担当部長からもご答弁あったとおり、下水道でいえば、土木、機械、電気の様々な分野の技術から構成されているということでありまして、これは倍率だけが全てじゃないかもしれませんけど、都庁の新規採用の職員さんの倍率を見ると、果たして、本当に必要な人材を確保するために、力量とか能力や将来性を見定めるほどの母集団がつくれているのかなという心配もあるわけであります。これは、もちろん人事を担当している総務局さんが中心に考えている部分もあるかもしれませんけど、現場を預かる下水道局さんからも、こういうふうな形で採用した方がいいんじゃないか、こんな人材をもっと積極的に採用した方がいいんではないか、必要なんだということを、ぜひ声を上げていただきたいなということを要望したいというふうに思います。
また、本当に長い歴史の中でも、民間の事業者さんのこうした技術開発などを上手に取り入れながら協力されているということを改めて学ばせていただいたところなんですけど、今後も、技術革新が目覚ましい中で、民間事業者さんが、下水道局やTGSとの共同開発に、気持ちよく、また積極的に、技術協力に参加してくれるような体制をつくっていっていただきたいなと思いますし、協力することでその会社が発展できるような仕組みや関係性をつくっていただきたいなというふうに思っています。
僕は、TGSさんの話であんまり聞いたことはないんですけど、他局なんで大変恐縮ですけど、東京水道さんなんかだと、現場監督の方が大変横柄だというお話をよく耳にしていまして、この間も代表質問でちょっと発言しましたけど、東京都は、カスハラ条例をつくったにもかかわらず、東京都が被告になるわけにもやっぱりいかないというふうに思っています。なので、ぜひ−−現場の方は非常に詳しくて、その使命感から、厳しいことを事業者さんに求める場面もあるんだろうというふうに思っています。そして、そういう厳しい態度で接していただいたおかげもあるのかもしれませんが、この時代を踏まえて、TGSさんの現場、責任を負う方、また事業者さんとのコミュニケーションにも、改めて、この令和の常識をちゃんと取り入れていただきたいなというふうに思っています。
次の質問に移りたいと思います。
次に、電力の使用量の削減対策について伺いたいと思います。
下水道局は、東京都内における年間の電力使用量の約一%に当たる電力を消費するなど、大量のエネルギーを消費しているため、電力使用量の削減に大きな責務を負っているというふうに思っていますし、以前も、こうしたところを非常に一生懸命取り組まれているということも十分認識をしています。
そこで、近年の電力使用量の状況について伺います。
○小池設備調整担当部長 下水道局では、これまでも、水処理施設や汚泥処理施設におきまして、徹底した省エネルギーに取り組み、電力使用量の削減に努めてまいりました。
一方、処理水質の向上に向けた高度処理施設の導入や浸水対策としてのポンプ施設の整備など、下水道機能の向上を図っていくことは、電力使用量の増加要因にもなっております。
こうした中、電力使用量は、平成二十年度のピーク時に十・二億キロワットアワーまで増加したものの、その後も継続して削減に努めており、近年の状況は九・五億キロワットアワー程度で推移しております。
○小松委員 電力使用量が増加する要因は様々あるものの、変わらない水準に抑えているということは認識をしました。これからも、激甚化する豪雨への備えなど浸水対策の強化をはじめ、下水道のレベルアップを図ることに伴い、必要な電力量というものも増加をしていく可能性があるんじゃないかなというふうにも考えます。
電力の削減にこれまでも努めていただいたと思いますが、さらに一層の努力が必要であるというふうに考えます。
そこで、この電力の使用量の削減に向けた下水道局の今後の取組を伺います。
○藤橋計画調整部長 多くの電力を必要とする下水道事業において、電力使用量の削減に向けて、徹底した省エネルギーを進めるとともに、先進技術の導入を推進していくことが重要でございます。
具体的には、省エネルギー型の脱水機や焼却炉の導入などを拡大してまいります。また、さらなる取組として、水処理工程において、AI技術を活用した電力使用量削減と水質改善の両立を図る技術などの開発を引き続き進めてまいります。
○小松委員 様々な取組によって、電力使用量の削減に取り組まれているということを確認しました。
今後も、下水道局には、これまで現場の最前線で培ってきた経験や技術力を駆使するとともに、新しい技術の開発にも果敢にチャレンジして、電力使用量の削減に向けて、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
これは、決算の資料を読ませていただきましたけれども、当然、下水道局の支出の中には、こうした電力使用量というのが大変大きなシェアを占めているというふうに認識していますので、下水道経営の観点からも、ここのよりよい効率化を引き続き検討していただきたいというふうに思っておりますので、このことも、また皆様方からお知恵をいただきたいというふうに思っています。
最後に、何題か多摩地域の下水道の計画について伺っていきたいというふうに思います。
我が会派では、林都議が非常に熱心に取り組まれておりますが、多摩地域においては、古くからまちづくりが進んだ地域において、市自ら下水処理場を管理運営する単独処理区として下水道の整備が進み、また、昭和四十年代に多摩地域に流域下水道が導入され、都と市町村が一体となって下水道整備に取り組んできた結果、多摩地域の下水道の普及率は九九%に向上しました。
一方で、市単独の処理場は老朽化が進み、施設の更新や災害への対応、下水処理の効率性などに課題があることから、我が会派では、市の求めに応じて、市単独処理区の流域下水道への編入が進むよう取り組んできました。
こうした中、都は、平成二十一年に策定した流域別下水道整備総合計画において、八王子市、立川市、三鷹市の単独処理区の流域下水道への編入を位置づけています。このうち、八王子市、立川市の編入は実現しましたが、三鷹市の単独処理区の編入の実現が残された課題と認識しています。現在の計画が今年度末に満了することから、さきの第三回定例会の我が会派の代表質問において、次期計画について質問させていただきましたところ、現在、国の基本方針に基づき検討を進めているとの答弁がありました。
そこでまず、流域別下水道整備総合計画とは、どういった目的で策定するものなのか、また、現在の計画では、三鷹市の単独処理区の編入はどのような内容なのか伺います。
○井上技術部長 流域別下水道整備総合計画、いわゆる流総計画は、河川、海域などの公共用水域の水質環境基準を達成、維持するため、必要な下水道の整備を効果的に実施することを目的といたしまして、当該流域における下水の処理先や処理水量、目標水質を定め、個別の下水道計画の上位計画として、下水道法に基づき都道府県が策定するものであります。
平成二十一年に策定された現在の計画では、三鷹市単独処理区は流域下水道野川処理区に編入し、野川処理区の下水は、新設する野川水再生センターと大田区にある既設の森ヶ崎水再生センターで処理することとなっております。
○小松委員 平成二十一年に策定された流総計画では、三鷹市単独処理区は野川処理区に編入する計画であり、下水は、新設する野川水再生センターと森ヶ崎水再生センターで処理する計画であったということであります。
さきの三定代表質問の答弁では、野川水再生センターの計画を廃止し、既設の水再生センターの増強などを検討しているとのことでありました。
そこで、現在検討している計画では、野川処理区の下水はどのように処理することになるのか伺います。
○井上技術部長 現在検討している流総計画では、野川水再生センター計画の廃止に伴い、野川処理区の下水を、近隣の北多摩一号水再生センターと森ヶ崎水再生センターで処理する計画としております。
北多摩一号水再生センターは、新たに下水を受け入れることになるため、水処理施設を増設し、施設能力を増強する計画であります。
○小松委員 現在検討している計画では、野川水再生センター計画の廃止に伴い、野川処理区の下水を北多摩一号水再生センターで処理するとのことでありますが、なぜ野川水再生センターの計画を廃止し、北多摩一号水再生センターで処理できるようになるのか伺います。
○井上技術部長 新たな流総計画の策定に当たり、野川水再生センターや北多摩一号水再生センターにつきましては、将来の人口推計や近年の使用水量動向から、処理水量が減少することが見込まれました。
このため、北多摩一号水再生センターの施設能力を増強することで、野川処理区の下水を処理することが可能となることになったため、野川水再生センターの計画を廃止することといたしました。
○小松委員 北多摩一号水再生センターで下水を処理することが可能ということですが、具体的にはどういう考え方で、また、どの程度の施設を増強する計画としたのか確認をいたしたいと思います。
○井上技術部長 北多摩一号水再生センターにおきましては、現有処理能力は一日当たり約二十六万立方メートルであり、新たな流総計画における将来の処理水量が約二十四万立方メートルとなるため、同センターの水処理施設能力に生じる約二万立方メートルの余力を活用する計画といたしました。
具体的には、北多摩一号水再生センターで野川処理区から新たに受け入れる処理水量が九万五千立方メートルとなることから、施設能力の余裕分を活用し、同センター内に七万五千立方メートルの水処理施設を増設する計画としております。
○小松委員 北多摩一号水再生センターで水処理施設を増設するとのことですが、野川処理区は合流区域であり、下水の新たな受入れ先となる北多摩一号水再生センターにおいては、大雨のときに浸水リスクが高まることは避けなくてはなりません。
そこで、大雨のときの北多摩一号水再生センターの安全性について確認したいと思います。
○井上技術部長 大雨時におきまして、北多摩一号水再生センターに送水される量は、晴天時汚水の約三倍までの量であり、晴天時汚水の約三倍を超える雨水につきましては、これまでと同様に、市の公共下水道や流域下水道幹線から野川処理区内の河川に放流されます。
北多摩一号水再生センターでは、晴天時汚水の約三倍までの下水を処理可能な施設を整備するため、安全性は確保されます。
○小松委員 安全性について確認することができました。
下水を新たに受け入れる地元市や地元にとっては、大雨時のリスクは心配するところであります。都として必要な検討を行うことはもちろんのこと、地元市や地元への丁寧な説明を十分に行っていただきたいというふうに改めてお願いしておきます。
野川処理区の計画変更については、将来的な処理水量の減少に着目し、新たな水再生センター計画を見直して、既設の水再生センターを増強し、対応していくとのことであります。下水道の施設整備には多額の費用と時間を要するものであり、将来を見通した上で、長期的かつ広域的な視点で計画を検討しているということは、大変意義のあることだというふうに思います。
この計画を実現するために、北多摩一号水再生センターに水処理施設を増設するほかに、下水道管等の整備が必要と考えますが、具体的な下水道施設の計画についても伺います。
○井上技術部長 北多摩一号水再生センターの水処理施設の増設に加えまして、野川処理区の下水の処理先を北多摩一号水再生センターに切り替えるため、三鷹市大沢橋付近の野川第一幹線から同センターに下水を送水するための新たな流域下水道幹線を整備することが必要となります。このとき、野川第一幹線が深い位置にあるため、下水をくみ上げて北多摩一号水再生センターに送水する必要があり、新設する流域下水道幹線ルート上にポンプ施設を整備する必要があります。
新たな流域下水道幹線やポンプ施設の整備に当たりましては、地元市等に丁寧な対応を図ってまいります。
○小松委員 本計画の実現のためには、北多摩一号水再生センターの水処理施設の増設や、下水を切り替えるための流域下水道幹線とポンプ所が必要になるということでありました。
今回の計画は、新たに施設整備が必要ということであり、事業費などにも配慮して事業を進めるべきだと考えます。
そこで、新たな施設整備に必要な事業費及び事業期間について伺います。
○井上技術部長 新たな計画に基づく水処理施設の増設等、施設整備に必要となる事業費につきましては、約九百億円を見積もっております。当初建設を予定した野川水再生センターの事業費は約二千億円を見積もっており、今回の計画は、当初の水再生センター計画と比較いたしまして、経済的な計画となっております。
また、事業期間につきましては、都市計画手続などを含めまして、約二十年間を要するものと見込んでおります。
詳細につきましては、今後、調査や検討等を進めてまいります。
○小松委員 新たな計画に変更するということで、当初の水再生センターの事業費に比べ、おおむね半分以下の事業費で施設が整備でき、経済的な計画になっているということを確認しました。
そうはいえ、九百億とか二十年という大変大きな期間でございますから、最近の資源の高騰なども、これから先の将来を考えると、いろいろな変動要因もあるんだろうなというふうに思いますので、引き続き、丁寧な検討をお願いしていきたいというふうに思います。
この事業費の費用負担については、国と関係市で行うということが想定されるわけですが、現時点での施設整備に要する費用とその財源の考え方、そして関係市の費用負担割合の考え方について、併せて伺いたいと思います。
○井上技術部長 施設整備に要する費用の財源につきましては、全体事業費約九百億円のうち、下水道法施行令による費用区分を踏まえまして、国費約五百億円の充当を見込んでおります。また、残りの事業費につきましては、都と関係市で二分の一ずつを負担することとしているため、関係市の負担は約二百億円を見積もっております。
なお、野川処理区関係六市の負担割合につきましては、六市の協議で決定するものでありますが、一般的には、建設に要する関係市の費用負担につきましては、処理区内における各市の処理水量や処理面積等に応じて費用を案分しております。
○小松委員 ここまで、三鷹市単独処理区の編入に当たって、野川処理区の新たな計画について確認をしてきました。事業期間は約二十年間を見込んでおり、着実に事業を進めるようにしていただきたいと思います。
そこで、野川処理区の今回の計画について、今後の手続やスケジュールについて伺いたいと思います。
○井上技術部長 現在検討中である流総計画につきましては、先月、関係市町村への意見照会がなされたところであり、各市町村の意見を踏まえ、計画を改定する予定であります。
下水道施設の整備に当たりましては、庁内関係局や関係市と綿密に調整を図り、新たに必要となる流域下水道幹線やポンプ施設の検討や、都市計画決定に必要な手続等を進めてまいります。
今後も、都と市町村が共同して事業を推進し、多摩地域の下水道の強靱化や事業運営の効率化、水環境の改善などを図ってまいります。
○小松委員 野川処理区の新たな計画の実現に向けて、関係市や地元に対して丁寧に対応し、下水道施設の整備を着実に進めていただき、多摩地域の下水道をより盤石なものとすることを求め、六十分を予定しておりましたが、簡潔なご答弁をいただいたおかげで二十分前倒ししました。ありがとうございました。終わります。
○おじま委員 よろしくお願いいたします。
能登半島地震の発生から間もなく一年がたちますが、今もなお、現地での復興作業は続いております。今回の地震は、下水道施設にも甚大な被害をもたらしました。下水道の分野では、施設に甚大な被害が生じた場合には、関係者の支援体制というのが整備をされていて、東京都は、石川県からの要請に応じて、速やかに職員を派遣したというふうに聞いております。
そこでまず、能登半島地震における下水道職員の現地への派遣人数とその支援内容について伺いたいと思います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 下水道局では、発災一週間後の令和六年一月八日から四月中旬までの間、政策連携団体の東京都下水道サービス株式会社、TGSと合わせて延べ三百十名を派遣し、輪島市の下水道復旧支援などに携わりました。
支援に当たっては、都のほかに、さいたま市など十の自治体の職員と協力し、チームを組んで活動いたしました。その結果、輪島市の下水道管百七十二キロメートルのうち、三月初旬には、立入り困難な地域を除く全百六十三キロメートルが通水可能となるとともに、四月中旬までに、本格的な復旧工事に必要な詳細調査の対象となる九十七キロメートルについて調査を完了いたしました。
○おじま委員 今、ご答弁をいただきました輪島市だけでも、東京都を中心に、多くの自治体が協力をして支援に当たったということが確認できました。
一方で、今、十自治体というお話がありましたけれども、ふだんの所属は別々の、いわゆる混成チームで連携をして活動するということは、多くの苦労があったことと思います。
そこで、円滑にこの支援活動を行うために、どういう工夫を行ってきたのか、取組の内容を伺いたいと思います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 多くの自治体による混成チームにおいて円滑に支援活動を行うためには、被災状況や復旧の進捗状況などの情報を漏れなく正確に共有することが重要でございます。
そこで、職員同士が連携を強化するため、現場作業終了後に、毎回、全体ミーティングを行い、課題の共有や対応策の検討を行うほか、迅速、確実に情報共有するために、市販のコミュニケーションツールであるマイクロソフトチームズを活用することといたしました。
これにより、刻々と変化する現場の状況など、支援に必要な様々な情報をリアルタイムで集約し、全員で同時に編集することが可能となり、無駄のない効率的な支援活動につながりました。
○おじま委員 発災直後の被災地ということで、様々な制約があったと思いますが、コミュニケーションツール、チームズを取り入れて連携したということで、職員にとっても、とても有用な経験になったんじゃないでしょうか。
では、現場での具体的な支援作業の様子についても質問したいと思います。
今回の現場では、先ほどご答弁をいただきましたとおり、かなりの規模での下水道管に被害が出たということでありまして、少しでも多くの住民の皆さんが、とにかく早く生活排水を流せるようにするということが重要であったと思いますが、早期復旧に向けて、下水道局が工夫した点について伺いたいと思います。
○藤橋計画調整部長 これまでの下水道における災害対応では、被害状況の調査が終了した箇所から、国の災害査定を経て下水道施設の復旧工事を行っておりまして、下水道が使えるようになるまでに相当の期間を要していました。
能登半島地震では、広範囲で上下水道の被害が発生し、長期間にわたり水が使えない事態が想定されました。そこで、今回の工夫として、避難所などでトイレや洗濯等の生活用水が使えるようにするため、こうした施設への給水を優先させる水道に合わせて、下水道施設の本格的な復旧に先んじて、応急的に下水道の流下機能を確保いたしました。
○おじま委員 復旧は、上下水道が一体でなくてはならないということで、それはそうだなということで、私も今回勉強になったんですけれども、優先順位を明確にして効率的に作業を行ったということが伝わってまいりました。被災地である輪島市の復興に貢献できたということはもちろんのことですが、経験という意味においても、大変いい経験になったんではないかと思います。
東京も、いうまでもなく、首都直下、南海トラフなど、大地震の危険が迫っているといわれておりまして、今回の経験を踏まえて、備えに万全を期していく必要があると考えます。
発災時に、速やかに復旧作業につなげていくためには、業務継続計画、いわゆるBCPを実践的なものとして整備しておくことが重要であると思いますが、下水道局はどのようなBCPを策定しているのか伺いたいと思います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 下水道局では、災害の種類に応じて業務継続計画、BCPを策定しており、震災への備えについては、地震、風水害編にその具体的な指針を定めております。BCPでは、災害対策本部の設置など発災時の指揮命令系統や情報連絡体制を明確化するとともに、非常時優先業務の考え方や他都市への支援要請、復旧状況などの情報発信等、下水道の速やかな応急復旧に必要な事項について規定してございます。
また、発災後、速やかに水道局との連絡体制を確保し、震災時の断水や復旧などの情報について、水道局と共有することとしております。
○おじま委員 しっかりとしたBCPが策定をされている、整備をされているということが確認できました。
では、このBCPでもって、いかに実践的な対応が取れるかだと思います。そこで、災害対応力の強化を図るために、今後どのように取り組んでいかれるのかを伺いたいと思います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 能登半島地震に係る支援活動においては、上下水道一体で取り組むことで、効果的な復旧が実現できました。これを踏まえ、下水道局では、本年度の防災訓練を初めて水道局と合同で実施いたしました。
具体的には、机上訓練において、水道の被災状況を把握した上で、下水道の使用自粛をお願いする地域を最小限に抑えるとともに、復旧を優先すべきエリアをその場で検討するなど、より実践的な訓練を行いました。
こうした実践的な訓練を積み重ね、発災時の業務継続と早期復旧に向けて、さらなる災害対応力の強化を図ってまいります。
○おじま委員 下水道局では、施設の耐震化というものを進めていただいていますが、全てのハード対策を完了させるというのは、これは大変時間がかかることだと思います。
一方で、地震は、今日、明日で起きるかもしれないという中で、ハード対策に加えてソフト対策というのも大切だと思います。発災後にいかに早く復旧できるか、下水道を使えるようにできるかというのが鍵になってくるんだと思います。
今後も、ぜひ能登での経験を十分に生かしていただいて、さらなる取組を進めていただきたいということをお伝えするとともに、職員の皆さん、大変お疲れさまでしたということをお伝えして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○竹平委員 よろしくお願いいたします。
初めに、浸水対策についてお伺いをいたします。
今年の七月には、山形や秋田で記録的な大雨による浸水が発生し、最近では、沖縄や奄美地方での季節外れの大雨による浸水や土砂災害が発生するなど、全国各地で数多くの浸水被害が発生をしました。
東京においても、今年の七月から八月にかけて、各地で浸水被害が発生をいたしました。今後、気候変動の影響による降雨量の増加が見込まれており、豪雨への備えを一層強化する必要がございます。
東京都は、昨年十二月に東京都豪雨対策基本方針を改定し、気候変動に対応した豪雨対策に取り組んでいくこととしております。私の地元である江戸川区の中で、中央地区は、これまで幾度となく浸水被害に見舞われ、下水道局でも様々な対策が行われてきましたが、こうした気候変動に伴う豪雨の増加傾向を踏まえると、まだまだ十分とはいえない状況でございます。
下水道局では、新たに江戸川区中央地区などを重点地区として追加し、対策を強化していくこととしました。
そこでまず、江戸川区中央地区を重点地区として選定した考え方についてお伺いいたします。
○藤橋計画調整部長 江戸川区中央地区は、浸水被害の実績に加えて、雨の量の変化に応じた下水道管内の雨水の流れなどを表現できる流出解析シミュレーションにおいて、床上相当の浸水がまとまって発生する可能性がある地域であることから、重点地区に選定いたしました。
○竹平委員 過去の浸水実績に加えて、浸水リスクを評価し、重点地区を選定しているということを確認させていただきました。私も、この地区の浸水対策が進むことをしっかりと期待しているところです。
そこで、江戸川区中央地区における現在の取組状況をお伺いいたします。
○萩原建設部長 下水道局では、江戸川区中央地区におきまして、令和五年度に流出解析シミュレーションにより既設の下水道管の流下能力を評価するとともに、対策に必要な施設の規模など、概略の検討を行ってまいりました。
この結果を踏まえまして、現在は、整備内容や事業用地の選定など、より詳細な検討を行っており、今後、事業用地の確保など、地元区と連携しながら、中央地区の浸水対策を推進してまいります。
○竹平委員 中央地区では、過去に内水氾濫による浸水被害が起きているため、早期の整備を求めておきます。
江戸川区は、約七割がゼロメートル地帯であり、まちに降った雨は、海や川に自然に流れない地形にあります。そのため、ポンプでくみ上げて、まちを浸水から守る必要があります。近年は、雨の降り方が極端になり、つい先ほどまで晴れていた空が急変して、ゲリラ豪雨とも呼ばれる急激な豪雨が増えており、今年の夏も毎週のように豪雨に見舞われました。こうした雨に対しても十分対処できるように備えておく必要があるのではないかと考えます。
そこで、このような豪雨に備えるため、ポンプ所での施設整備において、どのような対策を行っているのか、江戸川区内の取組も併せてお伺いいたします。
○杉山施設整備担当部長 下水道局では、急激な豪雨に対して即座に雨水を排除できるよう、雨水の流入前から、あらかじめ待機運転ができる先行待機ポンプを、設備の再構築に合わせて導入を進めてまいりました。
江戸川区内におきましては、これまでに、篠崎ポンプ所や西小松川ポンプ所、新川ポンプ所で整備を完了しており、残る三か所のポンプ所につきましても、順次導入してまいります。
○竹平委員 雨水ポンプの再構築に伴い、豪雨への備えを強化していることが分かりました。残るポンプ所におきましても、先行待機ポンプの導入を着実に進めていただきますよう要望します。
私は、先日、江戸川区内にある葛西水再生センターを視察させていただきました。葛西水再生センターだけを見ても膨大な設備があり、一つ一つの設備がしっかりと機能することで、東京の水環境が守られていることが分かりました。
機能を維持しながら、大量の設備を再構築することは大変だと思いますが、下水道局における設備の再構築の進め方と進捗状況についてお伺いいたします。
○藤橋計画調整部長 下水道設備の再構築につきましては、計画的な補修によって法定耐用年数の二倍程度となる経済的耐用年数まで延命化するとともに、中長期的な事業の平準化などを図るアセットマネジメント手法を活用し、計画的かつ効率的に進めているところでございます。
また、反応槽設備や汚泥濃縮機など、省エネルギー化等の大幅な機能向上が可能な設備につきましては、経済的耐用年数よりも前倒しして再構築を実施してまいりました。
ポンプ設備などの主要設備は約四千五百台あり、これまでに二千八百八十三台の再構築が完了いたしました。
今後も、設備の再構築を推進し、将来にわたり下水道機能を確保してまいります。
○竹平委員 ポンプ所や水再生センターは、雨水の排除や下水の処理など、下水道の重要な機能を担っています。今ご答弁いただきましたように、これらの機能を維持させながら設備を再構築するとともに、省エネルギー化など社会情勢やニーズの変化に合わせて向上させていっていただきたいと思います。
一方で、設備の日々の点検データや設備再構築の工事履歴など、膨大なデータや情報が下水道局に蓄積されていると思います。
そこで、これら膨大なデータを、今後の維持管理にどのように活用していくのか伺いたいと思います。
○小池設備調整担当部長 下水道局では、膨大なデータを活用し、補修時期や点検方法の改善に取り組むことで、設備の信頼性を低下させることなく適切かつ効率的な維持管理を行っております。
具体的には、水再生センターやポンプ所におきまして、下水道設備保全管理システムを導入し、点検結果や補修、故障などの設備に関する情報を一元的に管理しております。本システムを活用し、設備の故障原因などを分析し、状態を評価することで、補修時期や定期点検の周期の最適化や点検項目の標準化などに反映しまして、設備の延命化や故障の未然防止を図ってまいります。
○竹平委員 膨大なデータをシステムに蓄積をし、そして効率的に維持管理しているということを確認させていただきました。今後、下水道局に蓄積されたデータが、維持管理や設備の再構築などにさらに活用されることを期待しております。
設備を動かすには多くの電気が必要であり、そのため、下水道事業では多くの電力を使用していると聞いております。東京都では電力を、HTT、減らす、つくる、ためるの取組を推進しております。今年の夏も大変暑かったですが、夏や冬の電力使用量が増える時期には、広く社会の電力安定化が求められております。下水道事業の安定運営はもちろんですが、多くの電力を使用する事業者として、電力の安定化に貢献することも重要だと考えます。
そこで、今年の夏に下水道局が実施した電力逼迫時の取組についてお伺いいたします。
○小池設備調整担当部長 下水道局では、HTTの取組を推進するため、電力逼迫時には、東京電力からの節電要請に応じて、下水道事業の運営に支障のない範囲で受電電力の削減を行っております。
今年の夏は、電力が逼迫している時間帯に、水再生センターなど二十一施設におきまして、減らす取組としてポンプの運転抑制、つくる取組として発電設備、ためる取組として電力貯蔵設備を活用し、受電電力のピークを需要の少ない時間帯へ振り替えております。これにより、一般家庭六万八千世帯分の電力に相当する最大約三万六千キロワットの電力を削減いたしました。
今後も、このような取組を継続することで、社会の電力の安定化に貢献してまいります。
○竹平委員 下水道事業は、安全で快適な生活環境の確保や良好な水環境の形成に不可欠な役割を担っておりますが、一方で、電力や燃料など大量のエネルギーを必要とし、それに伴い、多くの温室効果ガスを排出しております。
東京都環境基本計画では、脱炭素化に向けて、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するという目標を掲げています。目標達成には、下水道事業における取組を一層強化し、貢献していく必要があると考えます。
そこで、下水道局のエネルギー、地球温暖化対策の取組についてお伺いいたします。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇二三を策定し、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する目標を掲げ、脱炭素化に向けた取組を進めております。
具体的には、水処理に必要な空気を水に溶けやすい小さな気泡にして送風量を少なくする微細気泡散気装置などの省エネルギー型機器を導入するとともに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用を拡大しております。
また、汚泥焼却炉の廃熱を活用した発電により、焼却炉の運転に必要な電力が自給できるエネルギー自立型焼却炉等の先進技術の導入など、様々な取組を推進しているところでございます。
○竹平委員 アースプラン二〇二三の目標達成に向けては、今ご答弁いただいた太陽光発電などの再生可能エネルギーのさらなる活用が重要だと考えます。
そこで、太陽光発電のさらなる導入に向けた下水道局の取組についてお伺いをいたします。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、建物の屋上や水再生センターなどに太陽光発電設備を設置しており、二〇二三年度までに、四十八か所で約五千九百キロワットの設備を導入いたしました。
アースプラン二〇二三においては、下水道施設の上部に加え、水再生センターの将来の再構築のために保有している用地などを活用することで太陽光発電の導入を拡大し、二〇三〇年度までに約一万キロワットまで増強いたします。
○竹平委員 下水道局では、二〇三〇年度までに、太陽光発電を二倍近くまで増強する計画であるということが分かりました。
先ほど申し上げましたように、地元の葛西水再生センターを視察した際に、既に水処理施設の上部に、太陽に合わせてパネルの向きを変え、効率的に発電する太陽光発電設備を拝見いたしました。
そこで、葛西水再生センターにおける太陽光発電の今後の取組についてお伺いをいたします。
○杉山施設整備担当部長 葛西水再生センターにおきましては、平成二十一年度に四百九十キロワットの太陽光発電を導入するなど、再生可能エネルギーの活用を進めてまいりました。
今後につきましては、センターの再構築事業や維持管理などに影響のない範囲で太陽光発電を導入拡大することとしておりまして、今年度、必要な調査や設計検討に着手するなど、導入を進めてまいります。
○竹平委員 これまで、浸水被害の軽減や効率的な維持管理、そして再生可能エネルギーの導入拡大など、下水道局の様々な取組についてお伺いをさせていただきました。いずれの事業も、下水道局の長年の事業で培ったノウハウにより推進されているものと思います。これらの取組は、東京の持続可能な発展にも重要でございます。
下水道局は、日本の下水道の先駆者であり、他の自治体に率先して行動する底力があると認識しております。ぜひ今後とも、長期的な視点を持ちながら、様々な課題に積極果敢に対応していただくよう要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○福手委員 日本共産党、福手ゆう子です。よろしくお願いいたします。
まず最初に、排水の水質について伺っていきます。
下水を流すためには、公共下水道を使うことになるため、その場合、届出が必要となります。そのことは、下水道法第十一条の二で定められています。また、下水道施設の損傷を防ぎ、その機能を保全するため、そして水質環境保全のための施設の機能を確保するために、そのおそれのある下水を継続的に出す施設、これは特定施設といいますが、この特定施設は、同じく下水道法第十一条の二で、届出をしなければならないと書かれています。
では、お聞きします。この特定施設とはどのような施設ですか。また、特定施設は増加しているのでしょうか、伺います。
○須賀施設管理担当部長 下水道法における特定施設とは、下水道法第十一条の二第二項により、水質汚濁防止法第二条第二項に規定する特定施設またはダイオキシン類対策特別措置法第十二条第一項第六号に規定する水質基準対象施設と定められております。
また、特定施設の数は減少傾向にございます。
○福手委員 特定施設とはどういう施設なのかは、今、答弁があったように、水質汚濁防止法とダイオキシン類対策措置法で、何百もの施設が具体的に指定されています。規定されている施設そのものの数は変わっていませんが、都内で届出をされている特定施設数は、そもそも事業者自体が減っているため、減少傾向にあるとのことでした。
法に基づいた特定施設には、面積が何平米以上のものであったり、あと病床数が三百床以上というように、規模が決められているものもありますが、それに満たない規模の施設というのは、下水道条例でカバーすることとなっています。
では、規制の対象となった施設は、区部でどのくらいあるのでしょうか。
○須賀施設管理担当部長 下水道法及び東京都下水道条例に基づき、特定施設や下水道機能への障害を除去するための除害施設を設置する際に届出のあった事業場数は、令和五年度において五千八百三十一件でございました。
○福手委員 答弁は、今あったように、法と条例とのそれぞれで必要な届出がなされた合計の数になります。
では、そのうち、昨年度で基準違反が明らかになったのは何件ありますか、伺います。
○須賀施設管理担当部長 令和五年度において、下水排除基準違反により行政指導等を行った件数は、百九十八件でございました。
○福手委員 では、続けて伺いますが、基準を超えてしまったのはどういった施設になるのか、また、その理由を伺います。
○須賀施設管理担当部長 下水排除基準を超過した主な原因は、排水処理工程で処理に用いる機器の故障や排水処理に用いる薬品の注入量の不足などでございました。
○福手委員 主な原因ということで、今、ご答弁がありました。
では、基準を超えてしまった施設に対して、具体的にどのような指導を実施するのか伺います。
○須賀施設管理担当部長 機器故障に対しては、機器や部品の早急な交換や修理を求めるとともに、機器の不具合がないかを確認する日常点検などの確実な実施を指導しております。
排水処理に用いる薬品については、薬品注入に機械を使用する場合が多いことから、当該機械の薬品注入量の正確な設定など、的確な機器操作を指導しております。
○福手委員 下水道局は、昨年度、人工透析を行う医療機関から出される排水の対策を完了させました。この問題は、透析の機器を洗う洗浄剤が強酸性の洗浄剤のため、それを含んだ排水の水質が基準を超える濃度となり、その対策が必要となったケースでした。都政新報の報道によりますと、透析医療機関は都内に約三百六十あるとのことで、局は、何年もかけて全医療機関で対応を完了させたということで、大変なご苦労があったと推測します。そして、非常に重要な取組がなされたと思います。
では、この問題が明らかになったきっかけは何であったか伺います。
○須賀施設管理担当部長 平成二十九年に、区部の医療モールビルにおいて原因不明の下水道管の詰まりの連絡があり、現地調査をしたところ、当該ビルからの排水を流下させる地下の下水道管の消失といった下水道施設の損傷を確認したことが、透析医療機関の排水対策を開始したきっかけでございます。
○福手委員 これも報道ベースになりますが、医療機関に入っている−−そうですね、今ご答弁があったように、ビルで下水が流れずに一階の部分が浸水したと。それで現地調査を行ったところ、ビルの排水設備と下水管をつなぐコンクリートでできた取付管が損傷していた、こういうことも報道でもありました。この報道の中では、強い酸性の洗浄剤がアルカリ性のコンクリートを溶かしたと、担当課長が取材に答えています。
このように、被害が発生したことによって、基準に適合しない下水を排水していたことが分かった事例というのは、ほかにあるのでしょうか。
○須賀施設管理担当部長 透析医療機関を除く、下水排除基準に適合しない排水を流す可能性のある事業場の排水による下水道施設への被害は確認されておりません。
○福手委員 今の答弁は、下水道施設が被害に遭うような水質というのは、主に強い酸性の水質によるもので、それを継続的に流すことで施設に損傷を与えることになります。それで、そういった排水を流すおそれのある事業場というのは、今回の透析医療機関以外は確認されていないということです。
透析の排水は対策が取られてよかったんですけれども、そもそも法や条例において、水質を測定し、保存すること、そして局が求めたときになりますが、下水の水質を報告することなどが義務づけられていました。
しかし、今回の問題は、結果からいえば、実際に施設が損傷し、被害が出てから排水の状況が分かるというものだったので、やはりこのことは再びあってはならないことだと思い、今回、私は質問をいたしました。
事業概要では、下水排除基準を超えるおそれのある事業場を中心に立入調査を行うこと、通常の立入検査以外にも、マンホールで採水を行う広域監視で事業場の排水をモニタリング検査することが記載されています。改めて、こういった水質の監視や指導は重要だと確認しました。取組を強化していただくことをお願いして、次の質問に移ります。
今年の一月一日に発生した能登半島地震では、震度七の地震により、上下水道施設で甚大な被害が発生しました。
まず最初にお聞きしますが、下水道局も長い間支援に入られましたが、局として、能登半島地震を受け、対策や復旧を進める上で教訓や課題となったこととして、どのようなことが考えられているのか伺います。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 現地での支援活動を上下水道一体で取り組むことで、効果的な応急復旧を実現できたため、下水道局における本年度の防災訓練を初めて水道局と合同で実施し、災害対応能力の強化を図りました。
○福手委員 国交省が、能登半島地震での被害と今後の対策について、上下水道地震対策検討委員会で議論し、報告書がまとめられています。そこでは、連携しながら上下水道一体で復旧活動を行ったことが、これまでの震災支援では見られなかった新たな取組であったことが書かれていました。今後は、さらに一体となって災害対応ができる体制を確立することが必要とありました。
答弁では、既に水道局と合同の防災訓練を行ったということで、以上のように、やっぱり水が使える生活に戻るためには、上下水道一体で復旧していくことは不可欠であります。一体となった取組を、ぜひ今後強化していただきたいと思います。
今回の能登半島地震がこれまでと違うという点では、復旧に長い時間を要したというのが、もう一つ大きな特徴だったんではないでしょうか。被災者にとって、早く復旧して、水を使って、そして排水もできると、そういう日常生活に戻りたいというのが一番の願いだと思います。この課題を解決していくために何ができるのか、対策として考えられることは何なのか、その立場に立って質問したいと思います。
被災地では、破損した管が行政により徐々に復旧していく一方で、民家の敷地内の管が壊れたままで使えないという状況が多く発生しています。行政の管轄外の排水設備が被災した場合、復旧するまでにどれくらいを要すると想定しているのか伺います。
○須賀施設管理担当部長 排水設備はお客様の財産であることから、被災し、故障等した場合において、お客様がどのような復旧方法を選択するかにより、それに要する期間が異なるものと考えております。
○福手委員 排水設備の復旧は、個人がそれぞれで行うので、局が状況を把握するということにはならないということです。ということは、首都直下地震による東京の被害想定にある復旧にかかる日数においても、実際に家で使えるまでの日数は示されていないということです。下水道法には、宅地内や私道内の排水設備は、土地の所有者、使用者または占有者が設置すると書かれていることが根拠にあるからです。
私の地元文京区では、私道の舗装や私道内の下水施設を整備するための工事費用を補助する制度があります。例えば、私道内に接道する家が、それぞれ家を建てる際に設置した管を、私道を共有する人たちと合意できた場合に、その補助金を使って管を更新させることができる、そういう場合に使える制度です。
文京区のように、私道内排水設備の補修や改修に補助を出している自治体というのは、区部でどれくらいあると把握されていますか、伺います。
○須賀施設管理担当部長 区部における私道排水設備の改築に対する補助等を行っている自治体数は、令和六年四月一日現在、二十二区と把握しております。
○福手委員 区部の二十三区中二十二区で、ほとんどの区で補修や改修に補助金を出していることが分かりました。下水道局も、ホームページでこの制度の一覧を掲載して周知をしておりました。
先ほども触れましたが、家を建てたときに、それぞれ個人が設置した管というのは、それぞれ家を建てた年代もばらばらなので、設置された管も古いものがあります。また、個人の費用でつくるので、特に古いものだと費用をあまりかけないでつけられていたりして、脆弱なものになっていることがあります。
実際に、地元の区議が受けた相談では、私道の上をトラックや車が通ったことが原因で管が壊れたという相談がありました。私道共有者の間で合意が取れれば、補助金を使って、こうした脆弱なつくりになっている管を、規模に合わせたちゃんとした規格のものに変更すること、更新することができます。
また、別の相談では、壊れた管を調べてみたところ、その管が陶器でできていたと、そういう管だったということがありましたが、こういう管を災害にも強い管に替えられることにもつながるわけです。
そして、私道内排水設備を補助金でできるなら、宅内の排水設備の改修へとお金が回せるということにもなってきます。つまり、この補助金が震災対策として意味があるものになっていると考えることができます。
ただ、実態として、この制度を活用して管を更新しているかというと、なかなか難しいという実態があると聞いています。
下水道局は、私道内排水設備に関して、実態を聞き取ったことはあるのでしょうか、伺います。
○須賀施設管理担当部長 お客様の財産である私道排水設備については、お客様の判断により改築等を行うものでございます。
○福手委員 お客様の財産なのでとおっしゃるんですけれども、やはり下水道は、都民の日常生活や社会経済活動を支える社会の基盤です。下水道がその役割を果たすためには、各戸から公共下水道に接続する排水設備が適切に設置され、更新などが図られる必要があります。
それで、補助金を活用した管の更新ですけれども、なぜ進まないのかといいますと、補助金の条件として、私道共有者全員の同意が求められているからなんですね。私道共有者の転居や死亡などにより同意書がそろわず、結局、排水設備の設置が滞るという支障があるからです。
共有私道における排水設備の円滑な設置を促進するため、必要な関係手続などの見直しが求められるということで、有識者、法曹、そして下水道管理者などを含めた関係者で、共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進に関する事例勉強会というのが設置されていて、令和三年度から四年度で議論が行われています。
その議論では、民法が改正し、それまでは共有物に変更を加える行為は共有者全員の同意が必要とされていたのを、変更を加える行為であっても、軽微な変更については共有者全員の同意を要する変更から除外し、各共有者の持分の過半数で決められることになりました。また、共有者がほかの共有者を知ることができない、調べても分からない、そういうときは、裁判所の決定により、不明者以外の共有者全員の同意で変更を加えることができるといったことなども改正されました。
この勉強会では、補助金制度を実施している自治体への聞き取りで、こうした民法改正を踏まえ、自治体が、手続で同意を求める範囲を、全員から不明者を除く全員に見直す動きが出ている動向もつかんでいました。しかし、実際には、文京区も含めてですが、変わっていない自治体もあるんですね。
なので、下水道局には、管理する下水道施設の効果を発揮して役割を果たすためにも、自治体にそうしたことを周知すると同時に、自治体へ補助を出して支援して、そして、さらに使いやすい制度に拡充すること、これを求めておきたいと思います。
また、こうした取組が、震災対策に資する取組として発展していくことを求めて、次の質問に移ります。
最後の質問は、マンホールトイレについてです。
私は、今年の第一回定例会の公営企業委員会でも、マンホールトイレの普及を求めて質問をしましたが、その後、局内でこのことは検討されたんでしょうか、伺います。
○新谷施設管理部長 東京都地域防災計画では、震災対策の推進に当たりましては、区市町村が基礎自治体として第一義的責任と役割を果たすものでございまして、その上で、広域的役割を担う都が区市町村及び国と一体となって、人々の生命、身体及び財産を守るとともに、首都東京の機能を維持することとなっております。
この中で、災害時のトイレの確保につきましては、区市町村が災害用トイレの確保をすることとなっておりまして、下水道局は、区からの要望を受けまして、災害用トイレの設置ができるマンホールの指定を拡大する役割を担っております。
また、下水道局では、下水道施設を活用した防災対策を推進するため、区と連携しまして、区が実施する仮設トイレの設置訓練などに協力してございます。
○福手委員 マンホールトイレは、どのマンホールでもいいわけではないために、下水道局が耐震化を整備し、マンホールトイレに適したマンホールリストを区に渡して、それを基に区がマンホールトイレ設置を進めていって、そうやって区と局が連携して進めていますが、答弁では、局としてマンホールの指定を拡大していくということで進めているということが分かりました。
能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループが、八月に、能登半島地震でのトイレの課題と対策について避難所等で実態調査を行い、その結果を基に検討を行っています。
調査では、発災当初に携帯トイレを使用した避難所は九〇%、簡易トイレを使用した避難所は五七%とあり、それぞれ課題については、携帯トイレを使用する環境の確保、仮設トイレ、仮設移動トイレについては、調達に一定時間がかかること、和式トイレや段差、こういったことが挙げられていました。また、くみ取りなどは、大規模広域災害では対応し切れない可能性があると指摘もされていました。
また、発災当初から使用が可能という点では、携帯トイレや簡易トイレの備蓄の徹底などと併せて、マンホールトイレも発災当初から組立てが完了すればすぐ使用ができるので、備蓄を進めることが重要だとあります。
利便性や安全性を改善させ、それぞれの利点を生かし、各種のトイレを組み合わせて災害時のトイレ問題に対応していくことが、検討会で提案されていた中身となっています。
こうした実態調査から見ても、マンホールトイレは、くみ取りが不要で、使用する上で段差もないという利点が多く、マンホールトイレの普及はとても重要だと思います。
都として、さらに普及をどうしたらできるのかという視点で確認をしていきたいと思います。
まず一つ、都営住宅の敷地内に設置されているマンホールトイレの数と、今後設置予定の数というのは把握していますでしょうか、伺います。
○新谷施設管理部長 都営住宅敷地内の排水設備に設置される仮設トイレにつきましては、下水道局では把握してございません。
○福手委員 敷地内のマンホールトイレは、排水設備に設置されているため、下水道局では把握していないということです。
では、都立公園内に設置されているマンホールトイレの数というのは把握していますか。
○新谷施設管理部長 都立公園内の排水設備に設置される仮設トイレにつきましては、下水道局では把握してございません。
○福手委員 都立公園内の場合も同様で、下水道局は把握していないということです。
なぜ、把握していないかといいますと、下水道局が把握するマンホールトイレというのは、公共下水道に直結するマンホールを使ったトイレを把握するとしており、建物や土地の所有者などが設置する排水設備を使った仮設トイレは、局が把握する範疇ではないという考え方によるものです。
一定のときの質問で、私は、マンションにあるマンホール、これ、正確にいうと排水設備になりますが、これを活用したマンホールトイレを備蓄している集合住宅の取組を取り上げて、局としての連携を求めましたが、そのときも、下水道局は、民有地の排水施設はお客様の判断で設置されるものというふうに答えられました。今回、私は、都営住宅の敷地内や都立公園内、つまり都が所有する敷地の範囲で質問したわけですが、扱いは民有地と変わらないということです。
しかし、全国で一番人が集まる東京で地震が発生したら、トイレの問題は本当に大きな問題になるわけです。一つでも多くのマンホールトイレが設置可能なところでつくられ、そして増やしていくということがやっぱり求められているんだと思います。そう考えると、民有地と都有地が全く同じように扱われるというのは、やはりどうにかならないのかなっていうふうに思うんですね。
今回の都市整備委員会の事務事業質疑で、我が党の尾崎あや子都議が都営住宅のマンホールトイレの状況を質問したときに、答弁では、都営住宅の建て替え時に地元と協議した上で整備するということが分かりました。新規建設のときだけではなくて、既存の住宅でもやっぱり増やしていくことが求められているとも考えます。
また、東京都住宅供給公社評議員会で、我が党の池川友一都議が、JKKの防災対策でマンホールトイレの普及状況などを質問したところ、平成十八年度からマンホールトイレと防災井戸の設置を現在十七団地まで広げているということも分かりました。
マンホールトイレの普及のために、やはり下水道局は、少なくともこうした取組に連携していくことはやっぱり必要だと思います。重要なんではないでしょうか。改めてそのことを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○関口委員 よろしくお願いします。
私の地元の杉並区は、武蔵野市と三鷹市と隣接をしており、多摩地域と隣接をする地域であります。
そうした環境下で、下水道の質問をするに当たって、初めに都管理と市管理の下水道の連携について伺ってまいりたいと思います。
都は、多摩地域の下水道に対してどのような関与をしているのか、初めに伺います。
○井上技術部長 公共下水道事業は、原則として市町村が行う事業とされており、多摩地域の公共下水道は、市町村が計画策定や整備、維持管理などを行っております。
都は、市町村が策定する下水道事業計画の国への届出に関する事務や、交付金及び補助金に関する事務、技術支援などに関する事務を担っており、市町村に対する指導及び技術支援を行っております。
○関口委員 都は、技術支援等に関する事務を担っていて、市町村に対する指導及び技術支援を実施しているということでありました。
武蔵野の下水道というのは、もちろんこの杉並の方に下水道がつながっているわけでありまして、豪雨の際には、武蔵野の下水に加えて、雨水が下水道を通って杉並にやってくるわけであります。
そこで、まさしくその連結点である杉並の西荻北地域では、過去にどのような被害があったのか伺います。
○新谷施設管理部長 杉並区内の善福寺川に隣接した地域におきまして、豪雨の際、下水道のマンホールから溢水がありましたことを確認しております。
○関口委員 マンホールから溢水があるということであります。
台風ですとか豪雨があった際に増水をしますと、先ほどちょっとお話ししたとおり、武蔵野の下水道管から下水がやってきて、善福寺川という杉並の川に放流がされるようになっております。ふだんであれば、武蔵野の下水道管からそのまま都管理の下水道管に下水は流れていくわけでありますが、雨水が混じってくると善福寺川に放流がされるということであります。
そこで、この台風や豪雨の際に、武蔵野市から善福寺川へどれほどの量の雨水が流入しているのでしょうか。また、測定などはされているのでしょうか。伺います。
○井上技術部長 武蔵野市の雨水の善福寺川へのはけ口は二か所あり、いずれも武蔵野市が管理しております。
市によりますと、放流量の測定はしていないと聞いております。
○関口委員 市が管理していますということで、市は放流量の測定はしていないということでありました。
ただ、これ、善福寺川というのは、この後ちょっとお話ししますけれども、浸水被害が極めて大きい地域でありまして、せめてこういった放流量の測定ぐらいはやるべきなんじゃないかなということを思います。
二〇〇五年では豪雨があり、この善福寺川が浸水をしたことによって、約千六百棟の浸水被害などがありました。直近においても、台風において荻窪地域が浸水するという大きな被害があったわけであります。そうした観点から、善福寺川における治水対策というのは極めて重要だと考えております。
武蔵野市からの下水道が流出されると、善福寺川の水位は大きく上がるわけでありまして、それによって、善福寺川の浸水被害の一因になっているのではないかと考えます。
そして、さらにいえば、この市管理の下水道と都管理の下水道のはざまであるということで、対策がうまく進んでいないんじゃないかという懸念があるわけであります。
そこで、東京都や杉並区や武蔵野市は、どのような話合いを今までされているのか伺いたいと思います。
○井上技術部長 杉並区内の善福寺川に隣接した地域の被害に対しまして、下水道局と関係自治体が適宜情報共有を行い、協力して対策を行っております。
武蔵野市では、下水道管内に水位計を設置するなど、調査を行っております。
○関口委員 情報共有を行っているということを確認はできましたが、しっかり都と武蔵野市などで協議を進めて、市管理の下水道の豪雨対策や浸水被害対策など、連携を図るべきと考えます。見解を伺いたいと思います。
○井上技術部長 多摩地域では、市町村が浸水リスクの高い地区を選定し、施設整備を重点化して対策を実施しております。
下水道局は、市町村の浸水対策に対しまして、強靱化補助による財政支援や様々な機会を捉えた技術支援に既に取り組んでおります。
武蔵野市の取組に対しまして、下水道局は、引き続き支援してまいります。
○関口委員 この問題の課題というのは二つあると思っていて、武蔵野市は、この下水道の浸水対策をしなくとも、ある種、直接的な被害がないということだと思っております。
実際に、武蔵野市の中で、下水のマンホールの溢水被害というのはあまり確認をされていないわけでありますし、ある種、武蔵野市からすると、下水の浸水対策をするインセンティブであったりとかプライオリティーが低いんじゃないかということが一つあるんじゃないかということがあります。
もう一つは、先ほども指摘をしましたが、都管理と市管理の下水道のはざまにある地域ということで、うまくその課題解決が迅速に進んでいないんじゃないかという懸念がありまして、もちろん下水道局の皆さんの、武蔵野の下水道は武蔵野市が管理者なんだということは分かりますけれども、実際にそういった観点で、はざまで、それによる弊害というかが起きているわけでありますので、そこら辺はしっかり協力関係を築いていただきながら、課題解決を迅速に進めていただきたいと思います。
続いて、区部の浸水対策について伺います。
杉並区の西部から中野区の東部をつなぐように、桃園川幹線が整備をされております。それで、既に整備をされている桃園川幹線と並行するような形で、第二桃園川幹線が整備をされております。
そこで、この第二桃園川幹線の現在の進捗状況について伺います。
○萩原建設部長 第二桃園川幹線は、既設の桃園川幹線の雨水排除能力を補完、増強するための、延長約七キロメートルの下水道管でございます。
このうち、上流部の延長約四キロメートルの区間における下水道管の整備が令和五年度に完了し、整備効果を早期に発揮するため、約一万八千立方メートルの暫定貯留を開始いたしました。
下流部の延長約三キロメートルの区間における下水道管の整備につきましては、令和五年度に工事着手いたしました。現在は、到達立て坑の設置に先立ち、用地整備を行っているところでございます。
○関口委員 第二桃園川幹線では、過去の浸水被害なども参考にしつつ、幹線につなぐ枝線が整備をされております。
例えば、私の地元の阿佐ケ谷駅などでは、過去、二〇一八年に大きな浸水被害がありまして、本当に駅前のロータリーが冠水する、浸水するというような状況でありました。駅前の飲食店の大きな看板みたいなものがぷかぷかと浮かんでしまうぐらいの浸水被害がありまして、非常に大きな被害であったということを鮮明に覚えております。
その阿佐谷地域に関しても、やはり第二桃園川幹線につながる枝線というものを整備していただいているところでありまして、大変重要な取組であり、かつ迅速に進める必要があると思っております。
一方で、この下水道、枝線の工事を進めるに当たっては、阿佐ケ谷駅の駅前のロータリーを使用するということであります。シールドマシンをそこから、駅前のロータリーから入れていくということで、大変大きな、駅前のロータリーを使う、大規模になろうかと思います。そういったところで、地元意見の尊重というものも重要だと考えております。
そこで、地元に対して周知をどのようにされたのか伺いたいと思います。
○萩原建設部長 下水道管の工事に当たりましては、地元の方々に丁寧な説明を行い、皆様からご意見、ご要望をいただき、それらに配慮して工事に着手をしております。
本工事では、地域の環境を踏まえまして、設計段階において、工事範囲の商店会や地元町会及び駅前ビルの管理組合などに対し、個別に訪問し、工事の目的や内容、期間、駅前ロータリーの使用などについて説明を行ってまいりました。
○関口委員 そういった、地元に対しての周知であったり、ご説明をいただいたわけでありますが、実際にどのような意見が出ているのか伺いたいと思います。
○萩原建設部長 地元の方々からは、工事に際しまして、駅前ロータリー内の一般車やバスなどの通行に配慮することや、狭隘な区道における工事車両の通行に留意することなどの意見があり、これらの意見を踏まえて工事を進めてございます。
○関口委員 今、ご答弁いただきましたけれども、やはり通行に配慮する、安全面の対策、重要だと思っております。
また、阿佐ケ谷駅のロータリーはバス停が非常にございまして、利用者の方も、そして事業者の方も、そういった意味では懸念をしているところでもあります。特に、バス会社の方々からは、どこに仮設のバス停をしっかり準備して、ちゃんとお客さんにもしっかり周知をしなきゃいけないといった懸念点も示されております。
しっかりと地元の意見を尊重しながら、協力できるところをしっかり積極的にいただいて、事業の迅速な実施を要望しまして、質問を終わります。
○岩永委員 よろしくお願いいたします。
まず初めに、浸水対策について伺います。
深刻化する地球温暖化の影響で、ゲリラ豪雨などの集中豪雨が増えています。都市化が進み、特に区部では、緑地が少ないため雨水が地中にしみ込みにくくなっており、降った雨の約八割が下水道管に流入している状況です。
豪雨の際は、下水道管に流入した雨水の多くは河川に流れ出るため、下水道整備、河川整備、まちづくりを連携して進めることが大変重要です。
そこで、区部の下水道の浸水対策として行っている重点地区の進捗状況を伺います。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、時間七十五ミリ降雨を目標整備水準とし、くぼ地や坂下など浸水の危険性が高い六十七地区を重点化して施設整備を進めておりまして、現在、二十八地区で事業が完了しています。
○岩永委員 重点化した六十七地区のうち、二十八地区が完了ということです。
気候変動対策として昨年改定された豪雨対策基本方針では、都内全域でプラス十ミリの豪雨対策という目標が設定をされました。
浸水対策には、河川と下水道の連携が重要と考えますが、どのように取り組んでいるのか伺います。
○藤橋計画調整部長 河川と下水道の連携につきましては、河川整備の進捗に合わせて、下水道から河川への放流吐き口の新設や吐き口断面の拡大などを進めることにより、下水道から河川への放流量を段階的に増強し、下水道施設の能力を最大限に発揮させております。
○岩永委員 浸水対策については、下水道局は内水氾濫を防ぐという役割を持って取り組んでおりますが、河川流域の調節池や、水を地下にしみ込ませるグリーンインフラなど、他局で取り組んでいるまちづくりとも連携をして、そしてソフト対策も併せて、市民と協力し、進めることが重要ですので、今後も都市整備局や建設局、下水道局の庁内連携を図って豪雨対策を進めていくことを要望いたします。
また、浸水対策には、地域住民の理解と協力が欠かせません。
杉並区の例などでは、台風やゲリラ豪雨などで大雨が降った際には、大量の雨水が下水道に流入することで、下水道施設の被害や家庭内への下水の逆流の被害を発生させないために、大雨の際はお風呂のお湯を抜かないとか、洗濯機を回さないとか、洗い物をするときには節水をするなど、降雨予測の情報提供の中で呼びかけているということです。あわせて、大量の排水を抑えて、少しでも下水道への水量を増やさないよう、風水害発生時の行動マニュアルの中にこのような住民が取るべき行動も位置づけています。
このように、水害の影響を直接受けないエリアも含めて、日頃から広く市民に周知をし、協力を呼びかけており、市民が協力をしながら下水道への浸水対策を進めることも重要です。
そこで、お尋ねをしますが、下水道局では、東京アメッシュで降雨情報をリアルタイムで発信していたり、浸水予想区域図で浸水のおそれのある区域を地図で分かりやすく示しています。豪雨が予測される際には、あらかじめ周辺地域の住民に、生活の中でできる協力をメッセージとして発信することはできないでしょうか。
○新谷施設管理部長 下水道局では、台風の接近など大雨が予想される際、住民の方々に対し、浸水への備えをしていただくよう、SNSを活用して、土のうや水のうの準備や、雨が流れ込む雨水ますの機能確保のため、雨水ますや側溝をブロックなどで塞がないよう、ご協力をお願いしております。
○岩永委員 現在、SNSでの呼びかけを行っているということです。
台風や大雨など、集中豪雨が予測される場合には、防災情報と併せて、市民への浸水対策につながる協力の呼びかけもぜひお願いしたいと思います。
次に、空堀川上流域南部地域において、流域下水道雨水幹線の整備が行われています。流域の自治体が実施する雨水処理との連携が重要ですが、どのように進めていくのか、現状と今後について伺います。
○井上技術部長 空堀川上流雨水幹線につきましては、全長約九キロメートルのうち、約二キロメートルの区間を第一工区として、東大和市内で先行して整備しております。
雨水幹線が整備効果を発揮するためには、地元市による枝線の整備及び幹線への接続が不可欠であり、引き続き密接に連携して、浸水被害の軽減に向けて取り組んでまいります。
○岩永委員 引き続き密接に連携してということで、ご答弁もいただきましたが、流域下水道における自治体と東京都との連携と併せて、雨水幹線の地元自治体同士の連携ということも重要になってくると思いますので、そういった部分も含めて、丁寧に連携を図りながら進めていただくことを要望いたします。
次に、水質改善について伺います。
合流式下水道では、流入した雨水を浸水対策として河川に放流していますが、河川の水質悪化の課題があります。
これまでも、合流改善が進められてきましたが、下水道法施行令の雨天時放流水質基準が二〇二四年度から強化されました。どのように対応したのか伺います。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、令和五年度末を期限とする下水道法施行令で定められた分流式下水道並みの放流水質基準を達成するために、雨天時の下水をより多く水再生センターに送るための下水道管の整備、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などを完了させました。
○岩永委員 次に、河川の水質改善に当たり、区部での部分分流化について、どのように取り組んでいくのか伺います。
○藤橋計画調整部長 部分分流化は、市街地再開発などの面的な開発行為において、道路などインフラのつくり替えに合わせ、新たにもう一本の下水道管の整備が可能で、放流先となる公共用水域が近接している地区で開発区域内の建物の排水管を汚水と雨水に分けるなど、事業者の協力が得られた場合に実施しております。
引き続き、関係区などと連携し、再開発地区などで推進してまいります。
○岩永委員 水質改善を進めていくためにも、今後とも再開発や建て替えなどの開発行為の際には、部分分流化を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、プラスチックの海洋汚染対策について伺います。
プラスチックごみによる地球規模の海洋汚染が深刻化しており、二〇五〇年には、海洋プラスチックごみの総量が海の中の魚の総量を超えるとも予測されています。
ちょうど来週、十一月二十五日から十二月一日まで、プラスチックによる海洋などの汚染を防ぐための国際プラスチック条約の策定に向けた最終交渉が、韓国の釜山で協議をされます。温暖化防止のパリ協定に並ぶ重要な環境規制とされています。
そして、その中には、微小なプラスチック片を含むプラスチックが海洋など環境へ流出することを防止する策や、廃棄物の適切な管理などを実施することを締約国に義務づけることも盛り込まれています。
マイクロプラスチックは、衣類の化学繊維などにも含まれておりまして、排水口から下水処理を通り、川から海に流れ込んでいます。有害物質が吸着したり溶出したりしやすいなどの危険性がありながらも、小さいために回収が非常に困難なことが大きな問題となっています。小魚がプランクトンと間違えて食べてしまうなど、生態系やその魚を食べる人体への影響も課題となっています。
そして、国内外のプラスチック汚染についての研究を続ける東京農工大学の高田秀重教授によりますと、二〇一六年、東京湾で採取した八割ものカタクチイワシの消化管からマイクロプラスチックが検出されたと、そのようなデータもございます。
ゼロエミッション東京戦略では、プラスチック対策を位置づけ、二〇五〇年に向けて海洋へのプラスチック流出ゼロを目指しています。
そのような中で、今年九月に、都庁都民広場に人工芝が設置をされました。都内のスポーツ施設や公共施設に設置されている人工芝や、また、農地や道路予定地などに敷かれる防草シート、黒い雑草が生えないためのシートなんですけれども、そういったプラスチックのシートが劣化して、摩耗して、雨水とともに下水にマイクロプラスチックが流れ込んでいます。
ゼロエミッション東京戦略は、全庁横断的な取組で、総力を挙げて目標達成に向け進めておりますが、海洋プラスチック流出ゼロに向けて、下水道局としてどのように取り組んでいるのか伺います。
○新谷施設管理部長 マイクロプラスチックに関しましては、国内外の様々な研究機関が調査研究を実施してございますが、下水道につきましては、技術的に統一した調査手法は確立しておりませんため、引き続き情報収集に努めてまいります。
○岩永委員 この間、ずっとお尋ねもしているところではありますが、まだ情報収集というところにとどまっている状況であります。
しかしながら、まずは、下水の中にどのくらいのマイクロプラスチックが含まれているのかという現状を把握するところから始めるべきと考えますが、見解を伺います。
○新谷施設管理部長 現在、下水中のマイクロプラスチックにつきまして、統一した調査手法が確立しておりません。そのため、現段階で調査を行う予定はございません。
○岩永委員 統一した手法が確立をしていないということが、今根拠としておっしゃっておりましたけれども、一方で、環境省の水・大気環境局水環境課というところが、昨年、二〇二三年の三月に、河川・湖沼、これは湖と沼と書いて、湖沼マイクロプラスチック調査ガイドラインというものを策定し、調査の指針としています。
例えば、このような国の指針を参考にして、下水処理の前後、受け入れる前、そして排出するときに、どのような変化があるのかを調査したり、また、下水汚泥に含まれるマイクロプラスチックを調べるなどの必要があると思います。
目前に迫る、まずは二〇三〇年カーボンハーフ、そして二〇五〇年カーボンゼロを実現するためにも、ぜひとも国に先駆けた取組を要望いたします。
続きまして、PFASなど新たな化学物質への対応について伺います。
八月末の豪雨の影響で、横田基地のPFASを含む水が基地の外に流出する事故がありました。水道水や河川、地下水について、PFOSとPFOAの合計で一リットル当たり五十ナノグラムとする暫定目標値を設定して対応しておりますが、河川には目標値がある一方で、河川に流す水再生センターからの処理水は測定されていません。
PFAS汚染が大きな問題となる中、河川と同様に、水再生センターでも国で規制対象となっているPFOS等を測定すべきと考えますが、見解を伺います。
○新谷施設管理部長 PFOS等につきましては、下水道関係法令で規制基準が定められておらず、測定方法についても示されておりませんため、測定してございません。
国内外の様々な機関が調査研究を実施しておりますことから、引き続き情報収集に努めてまいります。
○岩永委員 公共下水道に流す下水については、下水道法及び東京都下水道条例で下水排除基準が定められています。その中で、基準に適合しないおそれのある下水を排除する者は、有害物質を除去する除害施設を設置するなどの措置を取ることが義務づけられています。
工場や事業者からの排水など、下水排除基準が守られているのかどうかに関する監視や測定は、どのように行われているのか伺います。
○須賀施設管理担当部長 当局では、下水道法及び東京都下水道条例に基づく下水排除基準を事業者に遵守させるため、個別事業場への立入検査と広域監視を実施しております。
個別事業場への立入検査では、職員が定期的に事業場に立ち入り、事業場からの排水の水質を把握するため、採水し、測定しております。
広域監視では、複数の事業場からの排水が集中する人孔に自動採水器を設置し、事業場からの排水をまとめて継続的に監視しております。
○岩永委員 では、下水排除基準に適合しない状況があったかどうか、過去五年間の実績を伺います。下水排除基準に適合しない事案があった場合には、その詳細についても伺います。
○須賀施設管理担当部長 令和元年度から五年度までの過去五年間において、下水排除基準違反により行政指導等を行った件数は、年間約百五十件から二百件程度でございました。違反が認められた事業場に対しては、速やかに是正措置を講じるよう行政指導を行っております。
また、令和二年度には、規制物質の一つであるシアン化合物について、基準値の百倍の濃度の排水を行っていた件もあり、当該事業場に対しては、下水排除基準を遵守するよう改善命令を行いました。
○岩永委員 この五年間で、年間百五十件から二百件程度もの行政指導が行われているということです。過去には排水一時停止命令まで至ったことがあったという事例もお聞きしておりますけれども、今、社会問題となっているPFAS汚染もそうですけれども、便利な社会になる一方で、新たな化学物質が次々とつくられており、法の整備が追いついていない現状があります。都の知見や蓄積したデータなどを活用して、下水道局でも積極的に状況把握や除去対策などの研究を進めていくことを要望いたします。
それでは、最後に、市町村との連携強化について伺います。
市町村での浸水対策と震災対策を進めるために、市町村負担額の二分の一を都が補助する市町村下水道事業強靱化都費補助制度が二〇二三年度に創設をされました。雨水管の整備や下水道管の雨水対策、雨天時浸入水対策などの取組が対象とのことですが、制度の活用実績と取組の効果などを伺います。
○井上技術部長 令和五年度は、浸水対策で十八市町、地震対策で四市が新たな強靱化補助制度を活用いたしました。
例えば、浸水対策では、この財政支援により、浸水リスクの高い地区において重点的に施設を整備することに加えまして、雨天時浸入水対策に資する下水道管の改良を実施するなど、市町村の下水道の強靱化につながっております。
○岩永委員 各市町で取組が進んでいるということですが、能登半島地震の被災地では、十か月以上たった今でも上下水道の復旧が進まずに、水が使えない状況が続いているという地域もございます。
災害時にマンホールトイレが使えるかなど、重要なライフラインである下水道は、東京都と自治体との情報連携が大変重要です。防災面も含めて、都と市町村による下水道情報交換会を充実していくことが重要と考えますが、現状と今後について伺います。
○井上技術部長 多摩地域では、都と市町村が設置した下水道情報交換会の場を活用し、維持管理や危機管理のノウハウを情報共有するなどの技術支援を行っております。
本年二月には、市町村下水道の強靱化に向けた勉強会を開催し、能登半島地震の被害の実態や都の支援状況など、地震対策の重要性を説明することで、市町村の対策を後押しいたしました。
今後も、都と市町村の連携を強化し、多摩地域の下水道の強靱化を図ってまいります。
○岩永委員 災害時の情報連携はもちろんのこと、日頃からの連携をさらに進めていただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○しのはら委員 東京・品川からやさしい未来をの、しのはらりかです。よろしくお願いいたします。
私からも、幾つかの分野について質問させていただきます。
人々の経済活動の拡大は資源の大量消費を誘引し、そこから生じる膨大な廃棄物は、環境に悪影響を与えています。環境の変化は、私たちの生活の身近なところにも既に現われてきています。この夏の急激な気温上昇、短時間で降る記録的な雨などは、その代表的な例のように思います。
一方、地球への環境破壊を食い止めるため、廃油から製造される航空機燃料、いわゆるSAFと呼ばれるものや海洋プラスチック対策など、民間企業を中心に未来を見据えた取組も進んでいます。
下水道局においても、早くから環境に配慮した取組が進んでいると伺っております。いただいた経営計画二〇二一の中にも、下水道資源の有効利用という事項がありますが、この下水道資源の有効利用について、下水道局の現在の取組をお伺いいたします。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、下水処理の過程で発生する汚泥や下水処理水などを資源として有効に利用しております。
具体的には、汚泥焼却灰を下水道管の材料などに利用しているほか、汚泥の持つエネルギーを活用し、消化ガス発電などに利用しています。
下水処理水などは、ビルのトイレ用水や公園での親水用水、冷暖房の熱源などに有効利用しております。
○しのはら委員 下水道資源の有効活用について、様々な取組がなされているようです。
ご紹介いただいた中で注目すべき取組として、下水を冷暖房の熱源などに有効利用しているとのことですが、どのように熱エネルギーを下水から取り出すのか、仕組みをお伺いいたします。
○小池設備調整担当部長 気温と比べまして、夏は冷たく、冬は暖かいという下水の温度特性を活用して、下水道熱を熱交換器により回収いたしまして、冷暖房の熱源として有効利用するものでございます。
○しのはら委員 ありがとうございます。
これに関連して、先日、麻布台ヒルズにおいても熱エネルギーを取り出すシステムが採用されているという報道を目にしましたが、この事業の特徴についてもお伺いいたします。
○藤橋計画調整部長 麻布台ヒルズにおきましては、民間事業者が熱交換器を下水道管内に設置し、下水から回収した熱をオフィスビルなどの冷暖房の熱源の一部に利用していることが特徴でございます。
○しのはら委員 こちらの麻布台ヒルズにおける、地域冷暖房の熱源の一部に下水道管から回収した下水熱を利用する国内初の取組が評価され、令和六年度、国土交通大臣賞、循環のみち下水道賞のグランプリを受賞していました。
引き続き、下水熱の有効活用に取り組んでいただきたいと思いますが、下水道局の今後の取組についてお伺いいたします。
○藤橋計画調整部長 下水熱利用のさらなる促進に向け、下水道管から下水熱を利用する際の利用ガイドや、目安となる熱量を示したポテンシャルマップをホームページで公表するなど、情報発信を行っております。
今後とも、開発事業など、民間事業者と連携を図ってまいります。
○しのはら委員 ぜひこれからも、環境に配慮した取組を進めていただきたいと思います。
さて、環境の変化という話題の流れの中で、持続可能な開発目標、SDGsに関連するお話で議論を進めていきたいと思います。
持続可能な開発目標の中には全部で十七の目標がありますが、その中で、目標六には、安全な水とトイレを世界中にという項目があります。水は我々の生命を支えるもの、水がなければ当然生きていくことができないわけですが、トイレについても極めて重要な課題です。トイレがなく不自由な生活をされている方は、世界で四億人いらっしゃるという記録もあります。
局の事業概要を拝見しました。東京の下水道は、明治十七年、神田につくられた下水道から始まり、その歴史は一世紀以上にも及ぶということです。今、こうして当たり前のようにトイレが整備され、公衆衛生がきちんと保たれている都市に生活できるのは、先人の並々ならないご苦労があってのことと思っております。改めて敬意を表します。
東京都区部の下水道は、平成六年度末、下水道の普及率がほぼ一〇〇%達成されているとのことですが、先ほども触れたとおり、世界では、トイレがなく不自由な環境で生活をされている方が多くいらっしゃいます。
そのような中で、経営計画では、東京下水道の国際展開という項目がありますが、下水道局は、どのような目的を持って国際展開を進めているのかもお伺いいたします。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 アジアなどには、いまだに下水道が未整備であったり、整備されていても機能が十分に発揮できていない都市がございます。
また、整備年代が古く、施設の更新時期を迎えていたり、合流式のため、強雨時の水質汚濁など、東京と共通する課題を持つ都市もございます。
下水道局は、これまで東京下水道が培った技術力や経営ノウハウなどの強みを生かし、こうした都市の持続可能な課題解決に貢献することを目的として、東京発の下水道技術の国際展開を進めております。
○しのはら委員 ありがとうございます。
具体的に、これまでどれぐらいの国に対し、どのような技術支援を行ってきたのでしょうか。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 下水道局ではこれまで、アジアやヨーロッパなど約三十の国と地域に対して、東京下水道の技術を展開しております。
具体的には、道路を掘らずに下水道管をリニューアルするSPR工法は、アジアや北米などで約百九十キロメートル施工されております。
また、合流式下水道からごみ流出を抑制する水面制御装置は、同じくヨーロッパなどで約四十か所に設置しております。
さらに、バングラデシュのダッカ上下水道公社に対して、下水処理場や汚泥管理等に関する専門知識や技術を共有するとともに、モンゴルのウランバートル市上下水道公社に対しては、下水道管の維持管理、更新に関する人材育成を実施しております。
○しのはら委員 ありがとうございます。
都の下水道における知識や技術は、世界においても先進的であり、多様な地域に貢献できていることはすばらしいことです。
下水道局以外にも、様々な関係者との連携で国際展開を推進されているようですが、それぞれの関係者の役割と局の役割についてお伺いいたします。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 下水道局が国際展開を実施する際の主な関係者としては、局と一体的に取組を実施している東京都下水道サービス株式会社、TGSのほか、政府関係機関として、国際協力機構、JICAなどがございます。
下水道局とTGSは、密接な連携の下、現地の実態に応じた技術支援や、本邦に招いての現場研修などを通じて、人材育成や技術提供の役割を担っております。
また、JICAは、政府開発援助、ODAの一環として、草の根技術協力事業を実施しており、当局も共同事業として取り組んでございます。
○しのはら委員 国際展開、海外への支援については、グローバル化が進む現代において非常に重要で意義のある事業であると思います。
一方、このような取組を通じて、都民、東京で下水道を使用する使用者への還元やメリットなどがありましたら、お伺いいたします。
○澤村企画担当部長DX推進担当部長兼務 下水道局は、東京下水道の優れた技術の国際展開の取組を推進し、国際的な人材交流や人材育成を積み重ねております。
こうした取組は、海外の技術力のみならず、東京下水道の技術力向上につながることになり、ひいては東京下水道の国際的なプレゼンス向上とともに、東京下水道のさらなる発展に寄与するものと認識しております。
○しのはら委員 国際貢献をしながら都の下水道の技術力向上につながるということで、これからも世界のインフラを牽引する存在であり続けるべく、技術開発や先進的な取組など進めていただきたいと思います。
最後に、私の地元である品川区の浸水対策についてお伺いいたします。
近年の地球温暖化に伴う気候変動の影響により降雨量が増大し、先日は、十一月にもかかわらず、大雨特別警報が鹿児島に発令されるなど、全国各地で水による災害の激甚化、頻発化が見られるようになってきました。
品川区内においても、目黒川沿いの五反田周辺、立会川周辺、戸越銀座一帯は、周辺に比べ地盤が低いため、これまで多くの浸水被害が発生してきました。特に立会川は、昭和の初めごろから河川改修が始まり、昭和四十年代には上流部は暗渠化され、下水道の幹線として整備されてきましたが、都市化による雨水流出量の増大や集中豪雨等により、既存の排水施設の能力不足が生じており、浸水被害の発生が懸念されています。
そこで、下水道局では、立会川幹線雨水放流管の整備を進めていますが、初めに、この事業の概要と工事の特徴についてお伺いいたします。
○萩原建設部長 立会川幹線雨水放流管整備事業は、立会川に放流している立会川幹線の雨水を京浜運河に切り替えるため、立会川の直下に下水道の雨水放流管を新たに整備するものでございます。
この工事は、狭隘な河川幅の地下という限られたスペースにおいて、内径五メートル、延長約八百メートルの上下二本の放流管を一体的に築造する特殊なシールド工法を用いております。
○しのはら委員 本事業の早期完成は、地元住民からも強い期待が寄せられています。この事業の現在の進捗状況と、完成することにより、どのような効果が期待できるのかお伺いいたします。
○萩原建設部長 令和元年度に放流管のトンネル本体の築造工事は完了しておりまして、現在、既設幹線から雨水を取水する人孔の築造工事を実施しております。
本事業の完成により、立会川流域の浸水被害が軽減されることに加えまして、雨水の放流先が勝島運河から京浜運河に変わることで、立会川と勝島運河の水質改善に寄与いたします。
○しのはら委員 ありがとうございます。
立会川の川幅が狭く、多くの制約があり、世界初の技術のため施工実績がなく、様々な予測の下、慎重に施工を行うという難工事だったと聞いております。尽力してくださっている皆様に感謝をしつつ、これからも高い技術力と創意工夫の力で都民の皆様の安全を守り、安心で快適な生活を支え続けていただくことをお願いし、私の質問を終わります。ありがとうございます。
○慶野委員 これまで出てきた表現、割愛しながらテンポよく進めさせていただきたいと思います。
私の地元荒川区には、日本初の近代処理水処理施設、三河島水再生センター、これ、百年を超えております。再構築が求められておりますし、下水道管、管路を全部つなぐと一万六千キロ、オーストラリアまで往復して余りある、そのぐらいの管路が東京地中に埋まっている。これも、容易な再構築作業ではないというふうに思います。
まず一点目には、こうした水再生センターやポンプ所老朽化に伴う再構築と併せまして、時代に合った耐震化も含めた同時の再構築、どのように行っていくのか見解を求めます。
○藤橋計画調整部長 下水道局では、将来にわたり安定的に下水を処理する機能や雨水を排除する機能などを確保するため、老朽化対策に併せて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上等を図る再構築を計画的に推進しているところでございます。
再構築に当たりましては、既存施設をつくり替える際に、一時的に処理能力が減少することに対応するため、水再生センター間で下水などを相互に送る連絡管などのネットワーク施設や、代替となる機能を確保する施設を先行して整備しております。
また、水再生センターなどの大規模な施設を再構築するに当たっては、長期の整備期間を必要とするため、定期的な点検、調査に基づく補修やコンクリートの腐食対策などを行うことにより、施設の機能を維持しております。
○慶野委員 二十四時間三百六十五日止めることができないからこそ、ネットワークの施設、代替施設、これが必要になってくるというご答弁でありましたけれども、今、私の地元にあるというお話をした三河島水再生センター、これの再構築は、かなり大規模な代替施設が必要になると思いますけれども、どのように進めていくのかお伺いします。
○藤橋計画調整部長 三河島水再生センターは、地域の都市化に伴う下水処理量の増加への対応や放流水質の向上を図るため、敷地内で施設の増設を重ねておりまして、再構築に必要な用地が不足しております。
このことから、代替となる水処理施設を東尾久浄化センターに整備し、併せて三河島水再生センターに流入している下水の一部を、新たに整備する町屋幹線などを活用し、東尾久浄化センターに切り替えることで、三河島水再生センターの施設の一部を撤去して必要な用地を確保し、再構築を推進してまいります。
○慶野委員 町屋幹線を整備しつつ、東尾久浄化センターを新たに構築していくということでした。
それでは、この代替施設となる東尾久浄化センターの整備状況、取組を教えていただきたいと思います。
○杉山施設整備担当部長 東尾久浄化センターにおきましては、三河島水再生センターの再構築に必要な一日当たり二十万立方メートルの下水の処理施設を整備いたします。本施設は二期に分けて段階的に整備する計画でございまして、現在、第一期分の水処理施設の設計を進めているところであり、令和七年度には工事着手する予定でございます。
○慶野委員 代替施設である東尾久浄化センターは、二十万立米の処理能力があるということで、他の二十三区にある水再生センターと同程度の機能を持つ、つまり、これはただの代替ではなくて、両方の整備が完了した後には、荒川区内を含めて処理能力が飛躍的に向上する大事な東尾久浄化センターとなるということです。
それではもう一点、町屋幹線の整備というお話でしたけれども、こちらの整備内容と状況をお伺いします。
○萩原建設部長 町屋幹線は、内径三・七五メートル、延長約二キロメートルの下水道管を、シールド工事により整備するものでございます。東尾久浄化センター敷地内に発進立て坑を整備する設計を進めておりまして、令和七年度に工事着手する予定でございます。
○慶野委員 飛ばします。時間の関係で飛ばします。今、下水管の構築、再構築、整備、これまでの委員の皆様から質疑があったので、その重要性ということは共有した上で、区部における枝線、これの再構築の進め方を確認させてもらいます。
○藤橋計画調整部長 区部の枝線の再構築に当たりましては、ライフサイクルコストや中長期的な再構築事業の平準化などを図るアセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に事業を推進しております。また、老朽化対策と併せて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを一体的に行うことにより、機能のレベルアップも図っております。
事業の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、荒川区を含む整備年代の古い都心部の処理区を第一期再構築エリアとして、優先的に事業を進めているところでございます。
○慶野委員 今の答弁、改めて確認いたしますけれども、整備年代により三つのエリアに分けて、荒川区を含む整備年代の古い都心部を第一期再構築エリアとして優先的にやっているということでした。何ていうことのないご答弁なのかもしれませんけれども、私の地元荒川区でこれを説明すると、皆さん本当に安心しますし、喜びます。荒川区が第一期、優先的に進めていると、こういうことでございますので、強調させてもらいたいと思います。
雨水排除能力の増強、耐震性の向上、こうしたことを図っていくために、今のようなご答弁でしたけれども、下水道管、これを先ほど申し上げたように一万六千キロをどう整備していくかというのは、この難しさというのもこれまで出てきましたので、共有事項として省略しますけれども、この難しい、長い長い管路を全部再構築していくためには、どのような工夫をしながら進めているのかお伺いいたします。
○萩原建設部長 下水道管の再構築の実施に当たりましては、既設管を全面的に更新するのではなく、経済性や効率性を考慮いたしまして、健全な既設管は可能な限り活用することを基本としております。
具体的には、既設管の調査結果に応じまして、健全であればそのまま活用し、損傷が軽い場合には既設管の内面を更生する工法を採用することとしております。損傷が著しいなど、新しい管に取り替える場合のみ道路を掘削する開削工法を採用することで、工事費や工期を抑えつつ、効率的に再構築事業を推進しております。
○慶野委員 ありがとうございました。
荒川区を含む第一期の再構築エリアの進捗状況ですが、これも先ほど質疑がございました。令和五年度末までに七五%再構築が完了していて、令和十一年度末までにしっかり推進をしていくということでしたので、一問飛ばさせていただきます。二十分以上かけてゆっくりやるつもりでしたけれども、八割以上の言葉を省略しました。
そうした中で、下水道局の、私、住んでいるところの徒歩数分のところに三河島水再生センターがあります。二〇〇四年に名称変更しましたけれども、それまでは汚水処理場とか下水処理場とかといっていて、いわゆる迷惑施設だと捉えられておりました。ネーミングって本当に大事なんだなと思いました。汚い場所ですよじゃなくて、これをリサイクルする、再生するセンターなんだとなった途端に、これはいい施設なんだというふうになりました。
私は、東京都が誇るメガインフラのその先駆けとなったこの三河島水再生センター、しっかりと再構築して、東尾久の浄化センターと併せて周辺区のまちを守れる、そういう施設にしていきたいと、下水道局の事業をしっかり応援していきたいと思います。
名称が大事であると同時に、このプレゼンスをどう高めていくか、皆さんの発信力も大事だと思うんですね。
ちょっと脱線しますけれども、総務課長、後で数字をお持ちでしたら教えてください。下水道局の職員数、それに対する女性職員数、管理職は何人いるのか。皆さん、こっちご覧になっていただいて、何か男性ばっかりな感じしますよね。何か真っ黒だなと思いながら拝見しておりましたけれども、どうやって下水道局、メガインフラを抱えるこの局さんが、どういう心意気で働いているのかというのを、都民にしっかり知らしめてもらいたいと思うんです。
私は、技術的には全くの素人ですけれども、今日いらしているのかどうか、水木課長が非常に熱心に私にレクチャーしていただいています。
例えば、荒川区内にある五つのポンプ所の能力がどれほどかと熱弁されておりました。二十五メートルプールの水を二秒間で隅田川に排出しているんですと熱く語って−−下水道局のポンプってこんな能力があるのか、こういうふうにお伺いをして、私、地元ではこうやってしゃべっています。大雨が降っても、内水氾濫を防ぐために下水道局のポンプががあっと稼働すれば、二十五メートルプール、二秒ですよと。
万が一の停電のときにも−−十一月に視察させていただきました。ジャンボ機のジェットエンジンのようなものが二個、三個載っかっていて、これを一気に稼働してポンプは回し続けます、内水氾濫は絶対起こさせませんと、本当に熱く語っている。
こういうのを、技術のことは分かりませんけれども、下水道局の施設というのがどれだけすごいのかというのを、都民に話せば話すほど本当に喜んでもらえているという、こういう状況です。
名前が大事、そしてその訴え方が大事、ぜひ下水道局なんていう名前も、局長、もう変えちゃって、今、デジタルサービス局みたいに、そこまで片仮名を並べなくても、局も違う言葉でやればいいなと思いますけれども、下水道って、私、英語、全然分かりませんけれども、スーウィジっていうんですか、何かスーウィジサービスセンターみたいに変えて、ネーミングで全然印象違いますから、下水道とか汚水処理場なんていうよりも、もっとみんなのためにサービスをどんどん向上しているセクションなんだということを訴えてもらいたいと思います。
せっかく省略してきたのに、余計なお話してしまいましたので、こうしたサービス向上のための取組、安全を守るための取組、生活を守る取組を行っていく上で、地域住民の理解をどのように取っているのか、取り組んでいるのか、これを確認して、質問を終わりたいと思います。
○萩原建設部長 水処理施設や幹線などの建設は、施設規模が大きく、長期間の工事となることが多いため、地域の皆様の理解と協力を得ることが重要でございます。
工事の実施に当たりましては、地元区や町会、周辺住民の皆様に、工事の目的や内容、対策の効果について説明会などを適宜行うとともに、事業をより深く理解していただけるよう、工事現場の見学会などを行っております。
こうしたきめ細やかな取組を積極的に行い、下水道施設の再構築を着実に進めてまいります。
○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あぜ上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時三十六分散会
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