公営企業委員会速記録第十号

令和六年十月二日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あぜ上三和子君
副委員長保坂まさひろ君
副委員長伊藤しょうこう君
理事福手ゆう子君
理事伊藤こういち君
理事村松 一希君
しのはらりか君
岩永やす代君
玉川ひでとし君
銀川ゆい子君
本橋たくみ君
柴崎 幹男君
菅原 直志君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長久我 英男君
次長梅村 拓洋君
総務部長横山 正彦君
水道局局長西山 智之君
技監松田 信夫君
総務部長長嶺 浩子君
経理部長西川 泰永君
浄水部長鈴木  理君
多摩水道改革推進本部本部長山田 則人君
下水道局局長佐々木 健君
次長相田 佳子君
総務部長小泉 雅裕君

本日の会議に付した事件
水道局関係
報告事項(質疑)
・「史跡玉川上水整備活用計画」(改定版)-江戸の史跡を守り未来へつなぐ-(案)について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申出の決定を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 報告事項、史跡玉川上水整備活用計画(改定版)-江戸の史跡を守り未来へつなぐ-(案)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 よろしくお願いいたします。
 今回、水道局から本委員会に報告された史跡玉川上水整備活用計画の改定案について質問をしてまいります。
 玉川上水は、十七世紀、江戸市中へ給水するため、江戸幕府が老中松平信綱、通称知恵伊豆を工事の総奉行に任命し、整備をさせた施設であり、江戸、そして東京の発展を支えてきました。
 その水利技術は、四十三キロの長距離を、僅か九十二メートルの高低差を利用して、自然流下により導水するという優れたものであり、上流部は、現在も導水路として、東村山浄水場などに原水を供給しています。
 平成十五年、玉川上水の開渠部分は、貴重な土木遺産として国の史跡に指定され、水道局は、史跡玉川上水整備活用計画を策定して、中流部の保全を行ってきました。
 玉川上水の保全に当たって最も重要なのは、構造物である水路及びのり面の保全であります。今回、水道局から報告された計画改定案では、これまでの水路及びのり面を保護するための工事を実施してきたと書かれています。
 そこでまず、水路及びのり面の保護に向けた取組と、その結果としての現在ののり面の状況について伺います。

○西川経理部長 当局では、現行の整備活用計画に基づきまして、素掘りの水路の現状を保全するため、令和四年度末で、七十二か所で木柵の設置やポリエステル繊維と砂を混ぜてのり面に吹きつける等ののり面保護工事を実施してまいりました。
 これによりまして、のり面の崩落に対する一定の防止効果を確認しておりますが、素掘りののり面であるため、乾燥や霜の影響による形状の変化は避けられません。また、のり面やのり肩付近に生育する樹木の根が発達することに伴いまして、そのことが原因と考えられるのり面の亀裂や崩落が発生しております。
 こうしたことから、のり面の崩落が著しい部分への保護工事を継続するとともに、のり面やのり肩付近に生育する樹木を適切に管理していくことが必要となっております。

○本橋委員 玉川上水が素掘りののり面である以上、乾燥や霜などにより、のり面が崩れてしまうことを完全に防ぐのは難しいと思うので、こうした工事は引き続き実施していただきたいと思います。
 一方、のり面やのり肩付近に生育する樹木が、今後さらに成長していくと、のり面に対する影響もさらに大きくなることが懸念されます。このため、のり面の崩落を引き起こす可能性のある樹木については、しっかりと把握して、予防保全の観点を踏まえて適切に対応する必要があると考えます。
 そこで、のり面やのり肩に生育する樹木について、今後どのように対応していくのか伺います。

○西川経理部長 玉川上水に生育する幹の直径が五十センチメートル以上のケヤキなどは、おおむね高さが十メートル以上、重量が二トン以上に及びますことから、倒れた場合は、のり面を大きく崩落させるとともに、周囲にも被害を及ぼす可能性がございます。
 このため、のり面やのり肩近くに生育する樹木のうち、根が過度に発達してのり面の形状変化を進める可能性が高いものや、のり面等の崩落に伴い、倒れるおそれのあるものは、一定の基準を設けて伐採をしてまいります。
 具体的には、のり面が切り立った直壁状、または、えぐられてしまったオーバーハング状の区域に生育している、幹の直径が五十センチメートル以上の樹木につきまして、のり面から直接生えているもの、または樹木の中心がのり肩から五十センチメートル以内に位置しているものを伐採の対象といたします。
 なお、この基準に該当する樹木は約三百本ございます。

○本橋委員 史跡を守るため、今答弁のあった基準に該当する樹木については、しっかりと処理をしていっていただきたいと思います。
 また、十メートル以上の樹木が倒れれば、史跡を壊すだけでなく、玉川上水を散策している人にも被害を及ぼすおそれがあります。散策している人の安全確保という観点では、過去に水路への転落事故が発生していると聞いており、水路沿いのフェンスも重要であります。
 玉川上水は、場所によっては深さが八メートルになると聞いています。一方で、フェンスには一部低い箇所もあり、何らかの対応が必要と考えますが、見解を伺います。

○西川経理部長 ご指摘のとおり、玉川上水の中流部の深さは、浅い場所でも約三メートル、深い場所では約八メートルに及びますことから、都民に安全に玉川上水に親しんでいただくため、転落防止のためのフェンスは重要でございます。
 そこで、今回の計画改定案におきましては、国土交通省による防護柵の設置基準や東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルに示されている高さを参考といたしまして、フェンスの高さの基準を一・一メートル以上といたしました。
 今後は、この基準により、フェンスを設置している道路や緑道の管理者に対して働きかけていくなど、安全性の向上に努めてまいります。

○本橋委員 地元住民等が玉川上水を安全に利用することができるよう、各管理者と連携しながら安全確保に取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、玉川上水の保全に関しては、地元でも、緑の保全や水路の安全確保などについて、様々な意見があると聞いています。計画策定に当たっては、専門的な知見を活用しつつ、地元住民の意見も聞く必要があると考えます。
 そこで、今回の計画改定案の策定過程において、有識者や地元住民の意見をどのように聞いてきたのか伺います。

○西川経理部長 今回の計画改定に当たりまして、当局は、昨年五月に、土木学や歴史学、景観生態学、生物多様性等の分野について知見を有する専門家六名で構成される史跡玉川上水整備活用計画検討委員会を設置して検討を進めてまいりました。
 また、昨年十一月及び本年二月には、地元住民の方を対象とした説明会を開催し、延べ六十二人の参加を得まして、のり面の保全方法や植生管理、生物多様性の保全などについて、幅広いご意見をいただきました。
 こうしたご意見を検討委員会に報告して議論をしていただいた上で、今回ご報告いたしました計画改定案を策定いたしました。
 さらに、去る九月十二日から、計画改定案についてパブリックコメントを実施しておりまして、本年十月十一日までご意見を募集しているところでございます。

○本橋委員 計画の改定に当たり、有識者の意見だけでなく、説明会の開催やパブリックコメントの実施というように、様々な機会を設けて、丁寧に地元住民の意見を把握していることが分かりました。これからも、地元の声を丁寧に聞きながら、検討を進めていっていただきたいと思います。
 冒頭申し上げたように、玉川上水は、四十三キロメートルの長距離を、僅か九十二メートルの高低差を利用して、自然流下により導水する施設でありますが、これは、僅か八か月という短い期間で整備されたものであり、当時の水利技術が非常に優れていたことの表れでもあります。
 このような歴史的経緯や価値を都民にもしっかりとPRしていくことは、玉川上水の保全に関する水道局の事業について、地元住民からの理解を得るという点でも重要であると考えますが、局の見解を伺います。

○西川経理部長 玉川上水の史跡としての価値をより多くの都民の方に知っていただくことは、のり面の保全や植生管理など、計画改定案に掲げる事業を着実に進めていく上で重要と認識しております。
 これまで、当局のPR施設である水道歴史館において、玉川上水に関する企画展示等を行ってまいりましたが、今後はこれに加え、玉川上水の歴史等をテーマとする講演会の開催などにより、一層広く玉川上水の歴史的価値を普及してまいります。
 また、玉川上水の歴史等について解説しているパンフレットや現地の説明板の更新の際に、二次元コードを付して、スマートフォンを用いて局のホームページ上の様々な情報にアクセスできるようにすることで、提供する情報の充実を図ってまいります。
 こうした取組を通じて、玉川上水の歴史的価値の保存の必要性が広く理解され、貴重な土木施設、遺構として次の世代に引き継がれるよう努めてまいります。

○本橋委員 江戸時代につくられた玉川上水は、明治期に近代水道を整備するに当たり、その基礎となっており、今も都民生活を支え続けています。
 私たちには、玉川上水を次の世代へ良好な状態で継承する責務があり、水道局においては、引き続き史跡玉川上水を適切に保全していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○保坂委員 それでは、私も、このたびの史跡玉川上水整備活用計画改定版について、何点か質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 玉川上水は、江戸から続く貴重な土木遺産でもあるということとともに、長年都民に親しまれてきた水と緑の空間でありまして、これを未来に向けて守っていくためには、適切な管理が欠かせません。
 江戸時代に、当時の最高技術を駆使して整備された玉川上水は、紛れもなく東京の水道事業の、水道史の原点ともいえるものであり、時代が変わる中でも、当時の清流環境をしっかり守り、次の世代につないでいくことは、大変重要なことと認識しております。
 特に、今回の計画の対象となります中流部は、延長が約十八キロメートルにもわたり、水路の形状や自然環境も、場所によって大きく異なっております。
 計画改定案では、このような特徴を持つ中流部をどのように管理しようとしているのか、こういったことを中心に、本日は質問をさせていただきたいと思います。
 水道局から示されました計画改定案によりますと、現在の計画に見られない新しい取組として、この中流部を七つの区間に区分する、いわゆるゾーニングが導入されています。
 そこでまず、今回のゾーニングを導入した目的と区分の考え方について、局の見解を伺います。

○西川経理部長 ご指摘のように、玉川上水の中流部は約十八キロメートルに及び、水路の状況や植生などの自然環境は必ずしも一様ではございません。
 こうしたことを踏まえまして、一層きめ細かに玉川上水を管理していくことを目的として、計画改定案ではゾーニングを導入することといたしました。
 具体的には、直壁状やオーバーハング状、傾斜状といった、のり面の形状や水路の深さ、また、落葉樹や常緑樹等の樹林構成などの観点から類型化を行い、中流部を一区間、おおむね二キロメートルから三キロメートルの七つの区間に区分しております。このゾーニングに基づき、のり面の保全をより効果的に実施するとともに、ゾーンごとの特徴を踏まえた植生管理を行ってまいります。

○保坂委員 今、ご説明いただきましたが、地域ごとの特徴や課題を明らかにすると。そうした上で、それに対応する施策を進めていくことは、限られた予算、そして人員の下で、効率的、効果的に玉川上水を管理していくためには、大変重要だと思います。
 そこで、ゾーニングを活用して、史跡である水路や、こののり面を具体的にどのように管理していくのか伺います。

○西川経理部長 のり面の崩落の状況を見ますと、七つのゾーンの中でも、小平市付近の小平監視所からいこい橋までの区間及び三鷹市付近にある萬助橋から東橋までの区間におきまして、とりわけ頻繁に発生しております。
 また、いこい橋から小川水衛所跡の区間は、のり面が直壁状、またはオーバーハング状となっていることに加えて、水路が特に深く、崩落が進んだ場合、緑道等の歩行者の安全に大きな影響を与える可能性がございます。
 こうしたことを踏まえ、これらの三つのゾーンを優先整備区間として位置づけ、二年から三年に一回の頻度でのり面の断面測量調査などを行いながら、重点的に整備を進めてまいります。
 また、そのほかの四つのゾーンにつきましては、五年に一回程度、同様の調査を行い、緊急に対応するべき箇所を確認した場合に、のり面保護を実施してまいります。
 こうした取組を進めることで、より効率的、効果的にのり面を保全してまいります。

○保坂委員 のり面崩落の進行状況などの実態を踏まえると、崩落の危険性の高い箇所などを優先して対策を講じていくということは、費用対効果の観点からも評価ができます。定期的に、のり面の測量調査なども行うとのことですので、その結果も踏まえながら、水路及びのり面の保全にしっかりと取り組んでいただくよう求めておきます。
 このように、史跡の価値を守ることが第一ではありますが、その一方で、玉川上水は、快適な水と緑の空間でもありますので、その管理に当たっては、自然環境や生物多様性にも配慮していく必要があります。
 今回、計画改定案に記載されております自然環境調査の結果を見ますと、玉川上水中流部には、レッドリストに記載されている種も含め、多様な生物が生息、生育しております。生物多様性に富んだ環境であることが分かります。
 そこで、玉川上水の管理に当たっては、生物多様性の保全の観点から、こうした生物の生息、生育環境への配慮も必要と考えますが、局の見解を伺います。

○西川経理部長 今回の計画改定に当たって実施した調査により、玉川上水の中流部には、絶滅のおそれのある種を含む多くの種類の生物が生息、生育していることが確認されており、こうした生物多様性を保全していくことが重要でございます。
 そのため、多様な生物が生育できるよう、まず、常緑広葉樹が増加傾向にある場所や樹木の密度が高い場所におきまして、必要に応じて間伐を行い、地面に十分な光が届くようにしてまいります。
 また、植生管理の一環として下草刈りを行う場合、希少種の生育が確認される場所では、可能な限り下草刈りの時期や範囲に配慮し、その保全を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、玉川上水の史跡の保全を適切に進めるとともに、多様な生物が生育する自然環境の保全にも努めてまいります。

○保坂委員 里山などにおいて、間伐や草刈り、こういったことが十分に行われなくなったことが、逆に生物多様性が劣化する要因の一つといわれております。こうしたことから、玉川上水においても、樹木の間伐や下草刈りを適切に行うことは、生物多様性を保全していく上で大変重要と考えますので、取組を進めていくことを求めておきます。
 これまで、計画改定案における玉川上水中流部の管理について質問をしてきましたが、今回の改定案では、令和六年度中から令和十五年度まで、約十年間を計画の対象期間としております。
 そこで、史跡玉川上水を、将来にわたって貴重な土木遺産として、そして快適な水と緑の空間として保全していくためには、計画改定案に掲げる事業を着実に実施するとともに、その効果をしっかりと検証していくことが重要と考えますが、局の見解を伺います。

○西川経理部長 今回の計画改定案の対象期間は約十年に及ぶことから、定期的に事業効果の検証を行うことが重要であると認識しております。
 今回の計画改定に当たりましては、二百か所において、のり面の断面測量調査を実施し、その形状と位置を正確に把握したほか、中流部全域を対象とした生物調査により、生物の種類や生息、生育場所も確認いたしました。
 今後、のり面の断面測量調査を定期的に実施するとともに、生物の生息、生育状況につきまして、七つのゾーンごとに区画を設けて、約三年に一回の頻度で調査を実施してまいります。
 こうした調査を重ね、水路及びのり面の形状や生物の種類及び分布の変化を分析し、その結果を事業に反映させることで、史跡玉川上水の保全をより適切に進めてまいります。

○保坂委員 水道局は、これまでも、史跡玉川上水の適切な管理に努めてきたということは認識をしております。
 こうした取組を様々な箇所でしっかりと都民にも伝えていただくということと、改定後の計画も着実に進めていただき、今まで以上に親しまれる玉川上水となりますよう努めていただくことを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○玉川委員 玉川上水は、私が高校時代に通学路として毎日歩いていた懐かしい場所でもありますが、この玉川上水は、江戸時代の偉大な公共事業であり、江戸の発展を支えた重要なインフラであります。
 一六五二年、承応元年十一月、幕府により江戸の飲料水不足を解消するため、多摩川から都心部へ水を到達させる開削工事が計画され、翌年、承応二年の正月、庄右衛門、清右衛門の兄弟に幕府から工事実施の命が下り、同年四月四日に着工となりました。
 当初は日野からの取水を試みましたが、水喰土という浸透性の高い地質に阻まれ、福生からの取水に流路の変更をするも、また途中で岩盤に突き当たるなど困難が続きました。
 さらに、羽村からの取水で工事を再開するも、高井戸まで掘ったところで幕府から渡された資金が底をついてしまいましたが、この兄弟は畑や家を売るなど私財をなげうって資金を調達して、十一月十五日、着工から僅か八か月で工事を完成させ、江戸の深刻な水不足を解消しました。
 このような度重なる困難にも屈せず、玉川から江戸までの大規模な水路を完成させた功績により、この兄弟は玉川という姓を与えられ、玉川庄右衛門、玉川清右衛門という玉川兄弟の名が後世まで語り継がれることになりました。
 江戸の都市基盤を強化し、人口増加や商業の発展に大きく貢献された玉川兄弟の偉業を改めて語らせていただいたところで、玉川ひでとしの質問に移らせていただきます。
 玉川上水の樹木の管理について伺います。
 今回の計画改定の背景には、台風による倒木やナラ枯れなどの新たな課題が発生していることが挙げられております。今回の計画案の対象となる玉川上水の中流部には、ケヤキなどの大木が多数生育しています。しかも、樹木の近くには、緑道や道路が位置しており、また、樹木と住宅が近接している場所もあります。
 こうした樹木を適切に管理することは、歩行者や近隣住民の安全確保などの観点から重要でありますが、まず、玉川上水中流部の樹木の現状について伺います。

○西川経理部長 今回の計画改定に当たり、令和四年十二月から五年三月にかけて、当局が管理する史跡玉川上水の中流部に生育する幹直径十センチメートル以上の樹木約九千本について、その高さや健全性などの調査を実施いたしました。
 その結果、全体の約半数が高さ十メートル以上となっており、高さ二十メートル以上の樹木も全体の約一割に達するなど、樹木の巨木化が進んでいることが確認されました。
 健全性につきましては、全体の九割強の樹木が健全でございましたが、残りの一割弱には何らかの問題があり、枯れている、またはそれに近い状態の樹木が全体の約二・五%となっております。また、全体のうち約二百本につきましては、樹木を枯れさせる、いわゆるナラ枯れの原因となる寄生虫の侵入が確認されております。

○玉川委員 ただいまの答弁によりますと、この約四か月間で九千本、営業日を考えると、一日当たり約百本ほどの調査をされたということで、本当にご苦労であったことと思いますが、その中で、健全性に問題のある樹木が一定数存在するということであります。倒木などの危険性を考えた場合、健全性に問題のある樹木は、適正に管理していく必要があります。
 そこで、今回の調査で健全性に問題のあった樹木をどのように管理しているのか伺います。

○西川経理部長 健全性に問題のある樹木のうち、まず、既に枯れている樹木につきましては、伐採を進めております。次に、まだそこまでには至っていない樹木につきましては、追加調査を順次実施し、幹の内部の空洞や根の傷み方などの状態を詳細に把握した上で、倒木の危険があると判断された場合には伐採をしております。
 また、ナラ枯れにつきましては、幹に侵入している寄生虫が再び樹木の外へ出て、ほかの木に被害を広げることを防止するため、被害を受けている樹木に樹脂系の薬剤を塗布しております。

○玉川委員 計画改定案の対象期間は、令和十五年度までの約十年間であり、この間、樹木の大きさや高さ、健全性は変わっていくものであります。この変化を捉えながら樹木の管理を行っていくことは、安全性を確保するだけではなく、史跡としての価値を守る上でも大変重要であると考えます。
 そこで、今回、水道局が実施したように、史跡玉川上水の中流部全域において、樹木に関する調査を定期的に行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○西川経理部長 当局が令和四年度に実施した樹木の調査では、約九千本の樹木の健全性について、樹木医が一本一本目視により確認をいたしました。こうした調査を定期的に実施して、樹木の状況を把握することは、倒木を未然に防ぐとともに、史跡を適切に保全する上でも重要と考えております。
 そこで、おおむね五年ごとに、今回と同様に樹木調査を実施し、健全性に問題が発見された樹木については、その幹や根について、より詳細な調査を行い、継続して状況を把握してまいります。
 こうした調査の結果を踏まえ、玉川上水の樹木を適切に管理することで、都民により安全に玉川上水に親しんでいただけるようにするとともに、史跡としての価値を守ってまいります。

○玉川委員 歩行者の安全を確保して、玉川上水を史跡として適切に保全するためには、樹木を伐採することが必要となります。一方、樹木の伐採については、地元住民の中には多種多様な意見があることと思います。
 そこで、玉川上水の樹木の管理に当たっては、地元住民の意見を十分に聞くことも重要なことだと考えますが、見解を伺います。

○西川経理部長 玉川上水の保全におきましては、地元住民等の意見を聞きながら事業を進めることが重要と認識しております。
 そこで、当局におきましては、毎年度、中流部で実施する整備事業等につきまして、その実施に先立って、住民の方を対象に作業説明会を開催しております。この作業説明会では、中流部を四つのブロックに分けて、当該ブロックにおいて実施する樹木の剪定や伐採等の内容を具体的にご説明しております。
 さらに、当局を含む都の関係各局、地元自治体及び地元の住民代表により構成されます玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会の場におきましても、樹木管理等について意見交換を行っております。
 今後も、こうした取組を通じて住民の理解を得ながら、史跡玉川上水の保全に努めてまいります。

○玉川委員 玉川上水は、江戸時代から今日に至るまで、地元住民の日々の暮らしと分かち難く結びついており、玉川上水の歴史的な価値や玉川兄弟の偉業、自然環境に関心を持つ住民も多くいることと思います。
 これからも、水道局には、住民の理解を得ながら、史跡玉川上水の保全を進めていくことを求めまして、玉川ひでとしの質問を終わります。

○福手委員 よろしくお願いいたします。
 玉川上水整備活用計画案について、幾つか確認をしていきます。
 まず、計画案のはじめにのところに、史跡や名勝の価値の保存と人々に親しまれる快適な水と緑の空間を引き継いでいくとあります。
 玉川上水に茂る雑木や植物は、史跡の対象ですか、それとも対象外になりますか、伺います。

○西川経理部長 国は、玉川上水の開渠区間を史跡に指定したものでございまして、樹木等の生物は、指定の対象ではございません。

○福手委員 対象外ということでした。
 続けて伺います。
 この整備活用計画案の考え方として、保護や管理の範囲は、史跡や名勝そのものだけに限定されるものではないという認識でよろしいですか、伺います。

○西川経理部長 計画改定案は、史跡や名勝の指定範囲を対象として、水路、のり面の保全や植生管理などについてまとめたものでございます。

○福手委員 つまり、史跡や名勝の部分だけに限っていないということでした。
 計画改定案には、水路、のり面の保全、植生管理などについてまとめていると答弁されましたが、具体的には、植生管理のところでは、史跡、名勝と一体となって地域と共存し調和してきた快適な水と緑の空間を継承していくことが、方針として示されています。茂っている雑木や植物は史跡の対象ではありませんが、これらも一体として継承していく必要があるという考え方が、この計画改定案の基本にあることが確認できました。
 次に、計画期間について伺います。
 計画期間の考え方ですが、おおむね十年とあります。環境や社会の変化によって改定し、見直すこともあるということで、おおむねとしているということでしょうか、伺います。

○西川経理部長 計画改定案の対象期間は、令和六年度の途中から十五年度までであることから、おおむね十年間としております。

○福手委員 私がなぜこの質問を行ったのかといいますと、玉川上水の歴史的な経過を見ますと、導水路としての役割を果たしていた時代、淀橋浄水場の廃止で導水路の役割を終え、流れが途絶えていた時代があり、その後、玉川上水を愛する人々の尽力もあり、一九八六年から、処理水を引いて流れが復活しました。こうした時代や社会の変化、さらに市民の意識の変化も含めて、必要な見直しがその都度されてきた経過があります。ですから、必要に応じて修正や見直しをするのは大切なことだと思って伺いました。そのことは必要だということを改めて指摘をしておきたいと思います。
 次に、樹木の対策について伺います。
 計画の基本的な考え方として、土木施設、遺構、名勝のヤマザクラの管理保全を優先し、影響を及ぼす樹木は剪定、伐採を行うとあります。
 これまでの計画の下で伐採してきた樹木の本数を伺います。また、大規模に伐採している二〇二〇年度以降、小金井橋から梶野橋の区間で、ヤマザクラ以外の樹木の伐採をした本数を伺います。

○鈴木浄水部長 計画対象区間となる約十八キロメートルにおいて、のり面の保護や倒木による被害防止などのために伐採した樹木は、平成二十二年度から令和五年度までの十四年間で約二万本であり、これらの約六割は、新たに巨木化しないよう伐採した、直径約十センチメートルに満たないものでございます。
 このうち、小金井橋から梶野橋までの区間で、令和二年度から五年度までの四年間に伐採した樹木は約千百本でございます。

○福手委員 今お答えいただいた本数なんですけれども、名勝ヤマザクラの伐採は教育庁が行っているので、お答えいただいた本数は、全てヤマザクラ以外の樹木の本数となります。のり面に影響が及びそうな樹木や倒木を防ぐために、十四年間で二万本の樹木を伐採したということでした。約六割は直径十センチに満たない木で、巨木化しないように、まだ細い段階で伐採をしたということでした。
 小金井橋から梶野橋までの区間は桜並木の区間であり、ヤマザクラを被圧する樹木は伐採する方針ですので、そういった理由で伐採された木々が約千百本ということです。やはり数字を見ても、これだけの樹木が伐採されたんだというふうに思いましたし、実際、現地では、切られた状況というのは、やっぱりここまで切るとはと感じた市民は少なくなかったようです。
 では、具体的にお伺いしていきますが、ゾーンの三と四というのは、名勝小金井桜に指定されている区間として分類をされており、そのゾーンの統一した考え方は、ヤマザクラ並木の保存です。並木の保存のために、小金井橋から梶野橋までは、既にヤマザクラ以外の樹木が伐採されました。この計画のままでは、ゾーン四の区間である梶野橋から境橋までも、小金井橋までと同様に樹木が皆伐されるのではないかと、住民の方々が心配をしています。
 ゾーン四の梶野橋は、武蔵野市と小金井市との間に位置しています。梶野橋でゾーンを区切って整備方針を持ってほしいという声もありますが、これを検討していただけないでしょうか。

○西川経理部長 計画改定案におけるゾーニングは、のり面の形状や水路の深さなどの観点から類型化を行い、より効果的に保存整備を行うことを目的として、中流部を七つのゾーンに区分したものでございます。

○福手委員 確かに、改定案の中で、ゾーニングの目的と考え方は、今答弁されたように、三つの視点で類型化し、効果的に保存整備を進めることが目的となっていますが、それと併せて、ゾーンごとの特徴を踏まえた植生管理を行うことで、生物多様性の保全にも寄与することを目指すと、ここには書いてあります。
 ゾーンの三と四は、名勝小金井桜に指定されている区間であるため、この区間の方針は、ヤマザクラを被圧する樹木は伐採するというものです。しかし、並行して、生物多様性の保全にも寄与することを目指すとあるのですから、生物多様性を形成している木々の伐採については、やはり木一つ一つを丁寧に見て判断することが必要だと思います。
 ですから、梶野橋から先は、別の状況であることとしてゾーンを区切って、地元自治体や住民などの意見を聞きながら進めていくことを改めて求めておきます。
 次に、計画の策定作業の進め方として、地元住民や地域の団体などの声を聞いて進めるとありますが、これまで行ってきた二回の説明会では、どのような意見が出されましたか。木々の伐採に関して出された意見も含めて伺います。

○西川経理部長 昨年十一月及び本年二月に実施した計画改定案に関する説明会では、のり面の保全方法や植生管理、生物多様性の保全などについてご意見をいただきました。
 樹木の伐採につきましては、伐採を進めるべきとのご意見や、伐採に反対するご意見などがございました。

○福手委員 説明会では、樹木の伐採について、切ってほしくないというのと切ることを進めるっていう両方の意見が住民から出されたということでした。
 お知らせが来なくて、住民説明会を知らずに参加できなかった住民の方から、今からでも開催してほしいという意見がありますが、開催の検討をしていただけますでしょうか。

○西川経理部長 計画改定案につきましては、現在、パブリックコメントを実施しております。

○福手委員 パブリックコメントは、説明会とは違って、意見をやり取りすることはできません。地元住民の意見を聞き、やり取りができる説明会を今からでも開催していただくことを重ねて要望しておきます。
 改定案の中では、計画の進め方のところで、引き続き、説明会の開催などを通じてというふうに記載がありますが、ここでいっている説明会の開催とは、どういうタイミングや頻度で行う計画になっていますか。せめてゾーンごとに行うことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

○西川経理部長 当局では、毎年度、中流部で実施する整備事業等に先立ちまして、行政区域ごとに地元自治体と連携して、地元住民の方への説明会を開催しており、今後とも、同様の考え方に基づき実施してまいります。

○福手委員 今、答弁された説明会というのは、作業説明会のことですね。これは、年一回、行政区域ごとに開催していて、今後も同様にやっていくということでした。地元の自治体や地元住民の方々の意見を把握して、必要に応じた見直しは大切ですから、説明会でのやり取りは重視していただきたいと思います。あわせて、説明会の周知もしっかりやっていただくことを重ねてお願いいたします。
 名勝小金井桜の補植についての基本ルールの中で、協働の主体となる地元団体等は、原則、地元自治体から紹介、推薦のあった団体とありますが、意見が分かれている場合は、どちらの意見も地元の意見として反映する仕組みがあるのでしょうか。つまり、桜以外の雑木の伐採をこれ以上広げてほしくないという意見も反映される仕組みはあるのでしょうか、伺います。

○西川経理部長 名勝小金井桜の補植についてのルールは、補植を円滑かつ効果的に実施するためのものでございまして、協働する地元団体等は、自治体からの紹介や推薦等のあった団体としております。

○福手委員 補植を実施するためのルールということですが、補植するに当たって、補植したい場所にほかの木が生えていれば、それを切ることになる、そういう場合もあります。桜以外の樹木や植物も守ってほしい、桜だけを優先して他の樹木は伐採するという管理をこれ以上広げてほしくないという声もきちんと反映されることが必要だと思います。そのためには、重ねてですが、この木を切っていいかどうか、これを一つ一つ丁寧に検討することが、やっぱり必要だと思います。
 今回の改定案では、新たに植生管理を項目立てして、その方針の中に、エコロジカルネットワークの形成に寄与することを目指すと新たに書かれていますが、認識を伺います。

○西川経理部長 玉川上水中流部には、多くの種類の生物が生息、生育していることが確認されており、こうした生物多様性を保全していくため、計画改定案では、植生管理を項目立てしたものでございます。

○福手委員 今、答弁いただいたように、改定案には、植生管理を新たに項目として立て、その中で生物多様性の保全をしっかり位置づけています。
 ここで大事なのは、モニタリングです。のり面とのり肩に生育する木々を対象に、毎木調査と樹木診断を五年ごとに行い、健全度が下がったと確認した木々は、フォローアップ調査も実施するとあります。これを行うことで、樹木の情報を整理して把握でき、木々の管理や対策、のり面の対策にもなる重要な管理方法だと思います。
 では、最後にですね、のり面やのり肩に生育する樹木の管理方法について確認しますが、検討委員会では、のり面が繰り返し崩落する原因は把握ができないとありました。また、のり面に生育する木々が土壌流出を抑制するかどうかについては、専門家の間で見解が分かれています。
 こうしたことを踏まえると、のり面の樹木の管理方法は、画一的に行うのではなく、伐採が適切かどうか、その都度検討することが必要と考えますが、いかがですか。

○西川経理部長 計画改定案では、有識者により構成される史跡玉川上水整備活用計画検討委員会の意見を踏まえまして、のり面の崩落を進める可能性がある樹木の伐採基準を設定しており、この基準に従い、適切に管理してまいります。

○福手委員 東京に残された緑地は、適切に管理する必要があります。もちろん、のり面やのり肩にある樹木が傾いて、本当に倒れそうな場合っていうのは、伐採が必要だと私も思います。ただ、改定案では生物多様性の保全が併せて掲げられて、今日的には、住民が玉川上水に残された自然の価値に気づき、共鳴している状況で、条件に当てはまる木々を画一的に除去することはいかがなものかと思います。
 私も現地を見に行って実感をしてきました。玉川上水沿いを歩くと、こんもりとした緑の中で水が流れ、そこからひんやりとした冷たい空気が流れてくるのを感じました。そこでお会いした近隣住民の方からは、一年を通して玉川上水を調査し、万葉集の中で詠まれた植物の中の百二十種類の植物が自生していることが分かって、玉川上水は万葉植物の宝庫だというふうに話されていました。また、玉川上水に来る人の中には、植物の群落を見に来る人がいるという話もお伺いしました。
 このように、玉川上水は、歴史的価値だけではなくて、生態学的な価値なども本質的な価値として注目をされています。多様な価値を守ることが大切です。そして、密接な関係にある周辺住民の理解とともに、歴史的価値も環境の保全も継承されていくことが必要だと思います。
 今、パブリックコメントが行われていますが、近隣住民などの意向も確認しながら進めていただきたいと重ねて要望します。市民と共に、玉川上水の価値を、局も一緒になって残していただきたいとお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○中村委員 それでは、史跡玉川上水整備活用計画改定版について質問します。
 玉川上水は、上流部では水道に利用されていますが、私の地元の三鷹市においては、三鷹駅の地下を流れ、三鷹市と武蔵野市の市境にもなっており、私も毎日見ています。今日ここに来るときも、普通に見てきました。多くの市民にとって、身近な存在として親しまれています。
 質問に当たって、改めて、浅間橋から三鷹橋のところまで、少し自転車で見てもまいりました。特に三鷹市ゆかりの作家の太宰治が入水したこともよく知られています。今で見れば、こんな小さな川かという感じがするんですが、当時は人食い川といわれていたほど水量が豊かで、そこに落ちるともう助からないともいわれていたそうです。
 昨年のこの委員会の事務事業でも改定について質問しましたが、大変、市民にとっても関心が高いこともあり、計画の策定が近づいてきましたので、改めて質問します。
 まず、計画策定に向けて、地域の声をどう聞いてきたか伺います。
 説明会には私も出席をしましたが、沿川には地域を越えて連携する市民団体も多く、様々なご意見が出されます。特に、史跡とともに環境を守ってほしいとの声が強く出されます。玉川上水を守るために大切な方々ですから、今後も連携していくことが大切です。
 玉川上水について、市民団体の声をより一層聞いていくことが大切ですが、見解を伺います。

○西川経理部長 当局では、令和五年度に計画改定に係る住民説明会を二回開催し、延べ六十二人の参加を得て、ご意見をいただきました。
 また、現在パブリックコメントを実施しております。

○中村委員 計画のための説明会とか、作業説明会もよく行われるので、出たりもします。本当に多くの方が来場されて、植栽を守ってほしいという方もいれば、沿道に住む方で、どうしても葉っぱが出っ張ってきてしまうと、切ってほしいという声もあったりとか、いろんな声があるなということは聞かせていただいています。今回の計画のときには、特に生物多様性ということが掲げられたので、それに関しては、その説明会の中でも市民団体の方から評価する声が出されたのも聞かせていただきました。
 とはいえ、都市化した中にある玉川上水なので、生物多様性の保全というのは簡単なことではないと思いますが、より積極的に取組を行う必要がありますが、見解を伺います。

○西川経理部長 計画改定案では、地面に十分な光が届くよう必要に応じて間伐を行うとともに、希少種の生育する場所では、下草刈りの時期や範囲に配慮するなど、多様な生物が生育する自然環境の保全にも努めていくこととしております。

○中村委員 場所にもよるんですが、三鷹駅の近くから井の頭公園にかけてのところ、かなり鬱蒼とした緑があって、外から見てなかなか水面が見えないぐらいの状況でもあったりもするので、切ってほしいという声も時々はいただきます。ただ、樹木の伐採については、急に行われると、近隣の方から切り過ぎではないかとの心配の声も出されたりもします。一つずつ本当に伐採する必要があるのかを慎重に見極めて、どうしても行う必要がある場合には、丁寧に説明をする必要があります。
 一方、枝葉が伸び放題で鬱蒼とした状態については、適切な剪定について求める声も出されます。
 樹木の伐採や枝葉の剪定について、どのように取り組むのか伺います。

○西川経理部長 水路ののり面の崩落を進めるおそれのある樹木や枯れた樹木等については伐採を行うとともに、道路側に枝を伸ばしている樹木等については剪定を行ってまいります。
 こうした作業につきましては、毎年度、その実施に先立ち、地元住民の方を対象として作業説明会を実施しており、こうした取組を引き続き行ってまいります。

○中村委員 大きな課題として、のり面保護ということがあると思います。重要な史跡を守っていかなければなりませんので、河川の護岸工事のようにするわけにはいきません。実際、最近行われたのり面保護では樹木を伐採し、人工的過ぎるんではないかとの声も出されています。
 のり面保護と自然環境保護を両立させる必要がありますが、見解を伺います。

○西川経理部長 現行の整備活用計画では、可能な限り水路、のり面の保全と緑の調和を図ることとしております。
 計画改定案におきましても、この方針の下、引き続き適切に対応してまいります。

○中村委員 先日、松影橋のところから状況を見てきたんですけれども、途中だということのようなんですけれども、かなりやっぱり、のり面のところの保護で人工的な網を使って、段階的に階段状になっていたりとか、本当にこれ、行く行く自然回復するのかなというふうに思えてしまうところがあるので、こういったところは、やっぱり丁寧に住民の皆さんに説明していく必要性もあるんだろうと思います。今後も場所によって、いろいろとまたそういったことをしなければならないところもあると思いますので、とにかく丁寧に進めていただきたいと思っています。
 さて、三鷹市井の頭と牟礼地域の玉川上水沿道の一部は、土砂災害特別警戒区域に指定されています。今年八月三十日の大型台風十号の襲来に際しては、三鷹市の一部に、避難指示、警戒レベル四が発令され、住民に避難が促されました。
 ただ、実際には、ごく僅かな人しか避難しなかったようで、玉川上水の沿道が崖崩れを起こすとはあまり思われていないだろうと思いました。
 とはいえ、土砂災害特別警戒区域に指定されているので、安全についてどのように把握をしているのか、対策は必要ないのか、見解を伺います。

○西川経理部長 当局では、のり面の崩落等の有無を確認するため、定期的な巡視を実施しております。
 計画改定案におきましては、のり面の崩落が頻繁に発生している場所等を優先整備区間として位置づけ、重点的に整備を進めていくこととしております。

○中村委員 安全が大切ですから、しっかりとそういった対策もしていただきたいと思います。
 さて、萬助橋から下流の都立井の頭恩賜公園内を通る部分が、都市計画道路三・四・一三号線の計画線が入っています。これは、ちょうど玉川上水と重なって、おおよそここに道路をつくることは誰も望んでいません。実際通ってみると分かるんですが、非常にすばらしい緑が残っていて、ここに都市計画道路かと思うところもあります。
 東京外かく環状道路の周辺道路の整備の延長にあるのですが、少なくとも、この井の頭公園の敷地内の玉川上水と重なる部分については、計画線を廃止すべきです。
 玉川上水を守るための計画を策定するのであれば、都市整備局に廃止を申し入れるべきですが、見解を伺います。

○西川経理部長 都市計画道路は、都市計画法などの関係法令に従って定められていると承知しております。

○中村委員 手続的にはそうだと思います。ただ、これ、やはり時代によって大分価値観が変わるところもあって、戦後、むしろ道路をつくるのも容易であるために、浅間橋から牟礼橋のところまでは、玉川上水のところに道路を通そうということで、放射五号線が結局、今、整備されたんですが、非常に時間もかかったりして、かなり道路幅をつくって、真ん中に何とか玉川上水を残すようにしたということもあって、いろいろと苦労もしたところでもあります。そこは、そういったことで進めてきたんですが、この井の頭公園の間のところを通る道路というのをつくるのは、おおよそ現実的とは思いません。
 今つくる優先道路には入ってはいませんけれども、計画線が残っていれば、いつそういう計画が浮上するか分かりませんので、玉川上水を管理する水道局としても、都庁の中でもぜひお話しいただいて、ここに道路をつくることがないようにということはしていただきたいと思います。
 さて、そうした玉川上水の沿道を散歩する人も多くいます。上水の柵の外は水道局の管轄ではなくて、建設局や市や区だったりするということですが、散歩する人には管轄は関係ありません。普通の公園であればトイレがありますが、長く延びた緑地には僅かしかトイレがありません。散歩する人から、整備してほしいとの声もあります。
 一般の人にとっては、柵の中だけでなく、沿道まで含めて玉川上水ですから、トイレの整備については、組織を超えて行う必要がありますが、見解を伺います。

○西川経理部長 現在の整備活用計画及び計画改定案のいずれも玉川上水の史跡指定範囲を対象としておりまして、沿道の管理は、それぞれの管理者の責任において行われております。
 なお、当局のホームページにおいて、玉川上水の散策マップを掲載しており、その中で、玉川上水近隣のトイレの場所についてもお示ししております。

○中村委員 少し前になるんですが、桜橋のところにですね、建設局だと思うんですが、そんなに広いスペースじゃなくても、コンパクトなトイレができたりもしていまして、そんなにスペースを取らずにできるところというのは、見ていればあると思っていますので、こういったことは、他局とも連携しながら進めていただければと思います。
 さて、玉川上水は、史跡や自然環境の保全だけではなくて、先ほど太宰治についても触れましたが、文化的な側面もあります。沿道には、山本有三記念館や、井の頭公園の文化園には北村西望ゆかりの彫刻館があります。柵の中から沿道、さらには沿川の文化まで幅広く市民生活に根差しているのが、多くの都民が感じる玉川上水です。
 普及啓発や歴史に触れるイベントも記載がありますが、沿川の文化面まで広げた取組も求められると考えますが、見解を伺います。

○西川経理部長 計画改定案では、玉川上水の歴史的価値の保存の必要性を広く理解いただくために、玉川上水の歴史等をテーマとする講演会の開催等を行うこととしております。

○中村委員 いろいろ文化的な側面を含めて事業を行うことで、住民の方々に関心を持っていただければ、この史跡を守っていこうという機運にもつながると思いますので、そういった面で、この玉川上水を見ていただければと思っています。
 さて、今も、これまでも度々私も主張してきましたが、やはりこの水道局の境浄水場がここを担当しているということでは、そういった様々な要望に応えていくのは難しいと思っています。
 実際、羽村の取水所から小平監視所までは水道として使っているので、財産としては水道局であることは理解しますので、例えば、建設局に執行委任をして、史跡を担当する教育庁も含めて、全庁横断的な取組による計画を策定して管理すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○西川経理部長 当局では、玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会などを活用し、関係各局等と連携した維持管理を行っており、引き続き、改定後の計画に基づき、史跡玉川上水の適切な管理に努めてまいります。

○中村委員 玉川上水、先ほどもいいましたけれども、史跡である部分は大事なんですけれども、やっぱり周辺の方々含め、そこだけではないと思っています。計画の中には、植栽等まで含まれるということなんですが、先ほど沿道から文化の話までさせていただきました。住民の方からすると、いろいろと玉川上水に関して要望いただいても、どこに行っていいのか分からなかったりとか、ここに行ったらそこじゃないよとか、たらい回しになったりもするところもあって、どこが一番やるのがいいのかなということを私も考えると、やっぱりこういう緑地とかですね、土木とか、専門性を有する建設局が面倒を見た方がうまくいくのかなという感じもしたりしております。もちろん財産は水道局でいいと思いますし、上流部分は使っていると思うんですけれども、より都民に親しまれるような在り方で、今後も玉川上水が残されていくようにしていただくことを要望しまして、質問を終わります。

○岩永委員 私からも、史跡玉川上水整備活用計画改定版の案について質問いたします。
 二〇〇九年に策定された現計画は、計画期間である二〇一九年から延長していますが、この間、計画の改定に向けて検討が行われています。今ちょうど計画案のパブリックコメントが十月十一日までの日程で行われているところです。
 まず、植生管理について伺います。
 計画案の中に、ゾーンごとの生物の生育、生息状況や周辺環境の特徴に対応した樹木及び林床の管理を行い、生物多様性の保全に努めるとともに、環境変化に対するモニタリングを行っていきますとありますが、どのようにモニタリングを行っていくのでしょうか。十年程度ごとに行われる予定の自然環境調査と五年程度ごとの毎木調査、三年程度ごとに実施する区間調査は、どのように取り組まれる予定なのか伺います。

○西川経理部長 計画改定案では、環境変化を把握するため、定期的にモニタリング調査を行うこととしております。毎木調査では、樹木の生育状況や健全度について調査を行い、自然環境調査及び区画調査では、生物の生息、生育状況について調査をいたします。
 こうした調査により、生物の種類及び分布の変化を分析し、事業に反映させてまいります。

○岩永委員 今年七月に改定された東京都生物多様性地域戦略アクションプラン二〇二四でも、エコロジカルネットワークの形成として、玉川上水を都民に親しまれる貴重な水と緑の空間として適切に保全するため、景観等に配慮した維持管理を行うとともに、生物多様性が維持されるように努めていくという目標が掲げられています。玉川上水の生物多様性については、多くの専門家や市民団体が調査研究を行っています。ぜひ、調査データの収集などについては、広く地域で活動されている市民や専門家の情報なども有効に活用をいただき、調査活動も市民参加で進めていただくということを要望したいと思います。
 また、のり面保護の工事の施工歴が多い区間、立川市と小平市のゾーン一、それから、武蔵野市と三鷹市のゾーンの六、この辺りは、のり面を人工的に固めるなど、のり面保護の工事がこれまでも行われておりますが、浸食も進んでいる状況がうかがえます。雨水の浸入が、のり面に悪影響を及ぼし、のり面の地滑りが起こりかけている問題も、長らくの間、課題になっています。
 のり面の保護については、専門家によっても様々な見解があるということは承知しておりますが、樹木の根が張っていることでのり面が崩れにくくなっている。樹木が枝のように広がり、木の葉が傘の役割をしたり、落ち葉が地面を覆っているので、雨が直接のり面に当たらず、雨が打ちつける衝撃でのり面が崩れる、そういう被害を食い止めているという専門家の調査研究など、これまでも紹介させていただいているところです。
 水路ののり面及びのり肩に育成する樹木を対象に、定期的な毎木調査及び樹木診断を実施して樹木の生育状況及び健全度の把握に努めていきますと、計画の中にもございますが、樹木の診断によって健全度を把握するとともに、樹木を伐採することによるのり面への影響についても十分に加味する必要があると思いますが、見解を伺います。

○西川経理部長 定期的な毎木調査及び樹木診断は、樹木の生育状況及び健全度を把握するために実施するものでございます。なお、のり面やのり肩付近に生育する巨木は、のり面の崩落や周囲への被害を及ぼす可能性がございますことから、有識者で構成される史跡玉川上水整備活用計画検討委員会の意見を踏まえ、適切な管理の基準を設定いたしました。

○岩永委員 のり面やのり肩付近の樹木の管理は、のり面保護という視点からも大変重要なテーマです。もちろん安全面での対策は当然必要ですが、伐採ありきではなくて、様々な視点から、専門家の意見も聞きながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ここ数年、被害が出ている樹木のナラ枯れの被害について、どの程度の影響が出ているのでしょうか。状況と対策について伺います。

○西川経理部長 令和四年度に実施した樹木調査の結果、約二百本の樹木について、ナラ枯れの原因となる寄生虫の侵入を確認いたしました。これらの樹木については、被害の拡大を防止するため、幹に薬剤を塗布しております。

○岩永委員 先ほど来申し上げておりますように、玉川上水は、緑の軸、まち中に潤いをもたらすなど、多様な生物が育まれるグリーンベルトとして広域にわたり、緑の保全や生物多様性の視点からも大変重要です。
 中流部では、生物調査を実施して、動植物の基礎データを収集していくとあります。地球温暖化による気候変動の深刻さを鑑みると、生物多様性への影響を見るためにも、毎年の生き物調査を経年で続けていくことが必要ではないでしょうか。
 基礎データの収集のこれまでとこれからについて伺います。

○西川経理部長 今回の計画改定に当たりまして、中流部における生物の生息、生育状況に係る調査を実施いたしました。計画改定案では、史跡玉川上水整備活用計画検討委員会での意見を踏まえ、自然環境調査等は調査目的に応じた適切な間隔を設けて実施することとしております。

○岩永委員 先ほどのご答弁では、二年前の調査で、二百本の樹木がナラ枯れの被害を確認されたということでした。毎木調査は五年ごとに行われることになりますが、数年前にナラ枯れが急激に広がったように、短期間での変化を捉えることも大切だと思います。
 特に、地球温暖化による異常気象の影響などもあり、自然の変化も激しくなっている状況を踏まえますと、やはり専門家や市民団体など、地域で活動する市民や専門家の方とも連携をするということも重要になってくると思います。日頃から地域にいる人は地域の状況を一番よく分かっていると思いますので、連携をしながら調査を行うなど、改めて市民団体との連携を要望しておきます。
 また、これまでも、子供や若者を含む市民の意見を聞くことを求めてきましたが、この辺りはどのように取り組まれてきたのか伺います。パブリックコメントの意見を子供、若者に聞くことなど、工夫をされていることなどがあれば、併せてお聞きします。

○西川経理部長 当局では、令和五年度に、計画改定に係る住民説明会を二回開催し、延べ六十二人の参加を得て、ご意見をいただきました。パブリックコメントにつきましては、子供や若い方にもご覧いただけるよう、当局のホームページに掲載するとともに、SNSを通じて発信をしております。

○岩永委員 ホームページとSNSということですが、多くの方に見ていただく工夫も必要ですし、また、子供に届く発信ということをぜひお願いしたいと思います。特に、玉川上水沿川に住む子供や若者の皆さんに、この整備計画について知ってもらう、そして、自分たちの暮らすまち中の貴重な史跡であるとともに、水や緑に関心を持ってもらいたいと思っています。
 地元自治体とも連携して進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○西川経理部長 当局では、都の関係各局、地元自治体及び地元の住民代表による玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会の場を活用し、玉川上水の保全や計画改定案について意見交換を行っております。
 なお、計画改定案においても、引き続き、玉川上水について解説しているパンフレットを玉川上水近隣の公立施設等でもご覧いただけるようにすることとしております。

○岩永委員 公立施設などでもパンフレットの配布ということもお答えいただきましたが、二〇二二年に、東京都こどもホームページや「広報東京都こども版」ができました。都の施策や事業などからテーマを決めて、子供たちにとって身近な話題を交えながら解説していくというもので、月一回更新を行うウェブ版のほか、ウェブ版をダイジェストにした印刷版を年に五回、都内の小学校及び児童館へ配布しているそうです。ぜひ、子供政策連携室とも連携をしながら、玉川上水についても特集をしていただきたいと思います。
 今後、玉川上水の整備を進めるに当たっては、近隣住民や活動している多くの市民団体と、エリアごとに丁寧な議論や協議を重ねながら合意形成を図っていくことが重要と考えます。
 計画策定後の市民との合意形成の進め方について伺います。

○西川経理部長 当局では、毎年度、整備事業等の実施に先立ち、地元住民の方への作業説明会を開催しております。引き続き、こうした取組を通じて、住民のご意見を把握し、適切に対応してまいります。

○岩永委員 年に一度の開催とお聞きしておりますが、できれば回数を増やしていただきたいです。参加者同士も様々ご意見があると思いますので、丁寧に住民合意を進めながら、市民と共に玉川上水の整備、保全、活用を進めていただくことを改めて要望しまして、質問を終わります。

○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますけれども、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○あぜ上委員長 請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申出をしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○あぜ上委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、西山水道局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○西山水道局長 公営企業三局を代表いたしまして、ご挨拶を申し上げます。
 あぜ上委員長をはじめ委員の皆様方には、この間、数々のご指導、ご鞭撻を賜りました。誠にありがとうございます。
 私ども公営企業が行っております事業は、都民生活や首都東京の都市活動に欠かすことのできない重要な事業でございます。
 これまでに賜りました貴重なご意見、ご指摘をそれぞれの事業に反映させまして、都民サービスのさらなる向上と効率的な経営に努め、都民の皆様の信頼と負託に全力で応えてまいります。
 今後とも、公営企業三局に対しまして、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○あぜ上委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。
 昨年の委員長就任以来、この一年間、伊藤しょうこう副委員長、そして保坂まさひろ副委員長をはじめ理事の皆様、そして委員の皆様には、委員会運営で大変ご協力をいただきました。ありがとうございました。
 また、交通、水道、下水道、この三つの局の理事者の皆様には、委員会の審査、調査などで多大なご協力、また、お力添えを賜りました。改めて厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 そして、議会局の皆様には、円滑な委員会運営を図る上で大変ご尽力をいただきました。改めて、私からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 当委員会で議論をされましたご意見やご要望、また、ご指摘、これをぜひ今後の各局の事業に反映させていただきたい、このことを心からお願いを申し上げたいと思います。
 最後になりますが、お一人お一人、皆様方が、今後もますますご健勝でありますことを心からお祈りを申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十八分散会