委員長 | あぜ上三和子君 |
副委員長 | 伊藤しょうこう君 |
副委員長 | 保坂まさひろ君 |
理事 | 福手ゆう子君 |
理事 | 伊藤こういち君 |
理事 | 村松 一希君 |
岩永やす代君 | |
玉川ひでとし君 | |
本橋たくみ君 | |
柴崎 幹男君 | |
本橋ひろたか君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 西山 智之君 |
技監 | 松田 信夫君 | |
総務部長 | 長嶺 浩子君 | |
職員部長 | 船川 勝義君 | |
経理部長 | 西川 泰永君 | |
サービス推進部長 | 坂井 吉憲君 | |
浄水部長特命担当部長兼務 | 橋本 英樹君 | |
給水部長 | 鈴木 理君 | |
建設部長事業調整担当部長兼務 | 石田 紀彦君 | |
経営改革推進担当部長 | 小澤 賢治君 | |
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 鈴木美奈子君 | |
設備担当部長 | 小泉 正一君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 石井 英男君 |
調整部長 | 清水 英彦君 | |
施設部長 | 藤村 和彦君 | |
技術調整担当部長 | 大友 和仁君 |
本日の会議に付した事件
水道局関係
予算の調査(質疑)
・第十九号議案 令和六年度東京都工業用水道事業清算会計予算
・第二十七号議案 令和六年度東京都水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百十二号議案 東京都給水条例の一部を改正する条例
○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより水道局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第十九号議案、第二十七号議案及び第百十二号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○長嶺総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は十二件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体の社員数、都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数でございます。
一ページから二ページにわたり、令和元年度から令和五年度までの団体別の社員数につきまして、政策連携団体、事業協力団体に分けまして、常勤、非常勤別に、また、常勤社員数につきましては、都派遣社員数、固有社員数、都退職者数の内訳をそれぞれお示ししてございます。
三ページをご覧ください。定数及び職員数でございます。
令和元年度から令和五年度までの局職員の条例定数及び事務、技術、技能の区分別の職員数と、そのうちの一般職員、フルタイム勤務及び短時間勤務の再任用職員の内訳についてお示ししてございます。
四ページをお開き願います。政策連携団体への業務委託の委託先及びそれに伴う職員の削減数でございます。
令和元年度から令和五年度までの政策連携団体への業務委託の委託先及びそれに伴う職員の削減数をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。職員一人当たりの月平均超過勤務時間数及び月八十時間を超える超過勤務実績のある職員数でございます。
平成三十年度から令和四年度までの職員一人当たりの月平均超過勤務時間数及び月八十時間を超える超過勤務実績のある職員数をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。水道局幹部職員の再就職における再就職者数と再就職先でございます。
令和元年から令和五年にかけて公表されました再就職者数及び再就職先をお示ししてございます。
七ページをご覧ください。徴収事務委託支払金額と給水件数及び給水件数一件当たりの委託料でございます。
七ページから八ページにわたり、平成二十五年度から令和四年度までの徴収事務委託支払金額、給水件数、給水件数一件当たりの委託料につきまして、区部、多摩に分けまして、それぞれお示ししてございます。
九ページをご覧ください。民有林の購入実績と購入した民有林の整備実績でございます。
平成三十年度から令和四年度までの民有林の購入件数及び面積、また、購入した森林の整備実績を内容別にお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。局所有の未利用地でございます。
局が所有している未利用地につきまして、地域区分別、面積区分別に、件数及び面積をお示ししてございます。
一一ページをご覧ください。女性職員数の推移と、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況でございます。
令和元年度から令和五年度までの女性職員数の推移及び令和五年四月一日現在の女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況についてお示ししてございます。
一二ページをお開き願います。職員の育児休業取得状況でございます。
平成三十年度から令和四年度までの育児休業取得人数及び取得率について、男性、女性の別にお示ししてございます。
一三ページをご覧ください。給水停止件数の月別推移でございます。
令和五年四月から令和六年一月までの給水停止件数について、月別にお示ししてございます。
一四ページをお開きください。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
政策連携団体の平成二十五年度から令和四年度までの法人税等と株主配当の推移をお示ししてございます。
以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○あぜ上委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○本橋(た)委員 よろしくお願いいたします。
まず初めに、財政運営について確認します。
水道局では、東京水道経営プラン二〇二一を策定し、令和三年度から七年度までの五年間で収支が均衡する事業運営に取り組んでいます。しかし、令和四年度公営企業会計決算特別委員会における我が会派の質疑において、電気料金の高騰等により収支が悪化しており、財政計画と乖離が生じていることを確認しました。現在も、輸入物価の上昇を起点とする物価上昇や労務単価の上昇が続いており、令和六年度予算の編成は難しいものであったと推測いたします。
そこで、物価上昇等への対応を含めた、令和六年度予算案の基本的な考え方について伺います。
○長嶺総務部長 令和六年度予算案は、東京水道経営プラン二〇二一の四年目として、プランに掲げた施策を着実に推進するための予算として編成いたしました。
まず、収入のうち大部分を占める給水収益につきましては、コロナ禍からの回復を見込み、前年度対比四十四億円増の三千百九十五億円を計上しております。一方、支出につきましては、物価上昇などの影響もあり、これまで以上に厳しい状況でございますが、強靱な水道システム構築のために重要な送配水管の耐震強化に、前年度対比十億円増の一千二十五億円を確保するなど、必要な事業に財源を重点的に投入しております。
引き続き、効率的な事業運営を徹底し、健全な財政運営に努めてまいります。
○本橋(た)委員 物価上昇等により、これまで以上に厳しい予算編成であったことを確認させていただきました。
現在、国を挙げてデフレ脱却に向けて取組を進めており、今後も物価等の上昇は継続することが見込まれるため、引き続き、水道事業を取り巻く状況は不透明な見通しであります。
その中でも、耐震継ぎ手化等の震災対策をはじめ、必要な事業を進めていかなくてはなりません。引き続き、様々な工夫を凝らしながら、健全な財政運営に努めていただくことを求めます。
続いて、水道システムの強靱化について伺います。
二〇二四年の年明け早々、最大震度七を観測した能登半島地震が発生しました。そして、震源に近い輪島市などでは、ほぼ全域にわたり断水が発生をしたところであります。水道局では、発災後、直ちに職員を被災地に派遣し、現在も被災地である輪島市の復旧に全力で取り組んでいただいていることに敬意を表します。
改めて、水道は、飲料やトイレ、入浴等に必要不可欠であることから、避難生活のみならず、復旧支援にも欠かすことができない重要なインフラであり、重要性を確認させていただいたところであります。
都においても、首都直下地震に備えるため、今回の震災により発生した被害実態をしっかりと把握した上で、水道をさらに強靱なものとなるよう反映していくことが重要だと考えます。
そこで、能登半島地震の被害の全容はまだ明らかになっていないものの、現時点における水道施設の被害はどのようなものであったか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 国などの報告によりますと、今回の地震により、能登半島地域を中心に水道管路の抜け出し等の被害が多く発生しました。このうち、一部の浄水場では、河川から取水した水を送る導水管が破損したため、浄水機能が停止しました。また、浄水場から複数の市町に対して広域的に送水する管路が破損したことにより、一部地域への送水が困難となりました。
これらの管路は、いずれも単一の路線でバックアップ機能が確保されていなかったことから、復旧までの間、広域的な断水が発生しました。
このほか、地域における給水の拠点となる配水池も損傷するなど、多くの市町で水道施設が被害を受けており、応急給水や復旧活動に影響が生じている状況でございます。
○本橋(た)委員 今の答弁で明らかとなった被害を聞き、改めて水道システムの強靱化の必要性を認識させていただきました。
さきの代表質問でも取り上げた、水道施設の耐震化やバックアップ機能の強化に取り組んでいくことが必要であります。中でも、震災時において広域的な断水につながることが想定される導水施設や送水管といった基幹施設への対策は特に重要であります。
そこで、まずは浄水場の停止に直結する導水施設の対策及び整備状況について伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、導水施設におけるバックアップ機能の確保を目的に、二重化整備を推進しております。こうした整備の目標を導水施設の二重化整備率として指標化しており、令和四年度末における達成率は八五%でございます。
○本橋(た)委員 河川からの水を浄水場に着実に送り届けるためには、導水施設の二重化整備率一〇〇%達成に向けて速やかな対応が求められるところであります。
そこで、導水施設の二重化に関する今後の具体的な取組について伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 導水施設の二重化についてでございますが、現在、村山、山口貯水池から、境浄水場に原水を送る導水管であります東村山境線のトンネル築造工事を実施しております。
また、令和六年度からは、第二朝霞引入水路など二路線の工事に着手するとともに、二重化事業の最後の路線であります第二三園導水管の設計に着手いたします。
これら四つの整備が完了することにより、導水施設の二重化整備率について一〇〇%を達成し、導水施設におけるバックアップ機能が確保できるものでございます。
○本橋(た)委員 引き続き、工程管理などを徹底していただいて、来年度から着手する新たな三つの施設も含めて、着実に整備を進めることを要望させていただきます。
先ほど答弁にあったように、送水管の損傷により、広域的な断水が発生したとのことであります。送水管の機能停止は、震災時等において貴重な水を確保する配水池への供給が途絶えることから、導水管と同様、バックアップ機能を高める必要があります。
そこで、送水管整備の今後の具体的な取組について伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 送水管は、浄水を給水所に送る重要な管路でありますことから、当局では、災害や事故時におけるバックアップ機能の向上を図るため、ネットワーク化を推進しております。
このうち、朝霞浄水場と上井草給水所を結ぶ、都内最大の送水能力を有する重要な送水管であります第二朝霞上井草線につきましては、平成二十七年度から整備を進めており、今月末に運用を開始する予定です。
また、令和六年度からは、区部南西部の配水を担う大蔵給水所へ送水する新城南幹線など、新たに三路線の工事に着手いたします。
○本橋(た)委員 第二朝霞上井草線については、さきの一般質問で我が会派が取り上げたところであり、間もなく運用を始めるとのことでありました。さらに、新たに三路線の工事に着手するということで、精力的に送水管ネットワークの強化に取り組んでいることが分かりました。
次に、先ほどの被害状況の答弁では、配水池の破損により、応急給水や復旧活動に影響を与えたとのことであります。この配水池の耐震性を確保していくことも重要だと考えます。
そこで、配水池の耐震化の状況について伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 配水池は、地域の需要の変動に対応するため、浄水場から送られてきた水を貯留する施設であり、災害時には応急給水を行うための重要な拠点となります。
配水池の耐震化は、工事期間中の安定給水を確保した上で進めており、耐震性を有する配水池の割合は、令和四年度末で八二%でございます。現在、水元給水所、聖ヶ丘給水所、芝久保給水所等の配水池で工事を進めており、令和六年度からは本郷給水所や南野給水所等で工事に着手いたします。
○本橋(た)委員 配水池の耐震化が八割以上完了しているということが分かりました。
配水池は、平常時の安定給水はもとより、震災時には応急給水の要となる施設であります。引き続き、工程管理をしっかり行い、いつ来るか分からない首都直下地震に向けて万全の予防対策を行っていただきたいと思います。
また、水道局では、地域の給水の安定性をさらに向上させるため、こうした配水池を有する給水所の新設や、既存給水所における配水池容量の増強に取り組んでいると聞いています。給水安定性の一層の向上に向けては、給水所の整備を着実に行うことが必要であります。
そこで、給水所整備の具体的な取組状況について伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 当局では、平常時はもとより、震災時等においても可能な限り給水を確保するため、給水所の新設や拡充に取り組んでおりまして、現在、上北沢給水所及び王子給水所の新設と和田堀給水所等の拡充工事を実施中でございます。
このうち、上北沢給水所は今月末に運用開始予定でございまして、世田谷区及び杉並区の約二十五万人の給水の安定性が向上いたします。また、和田堀給水所は、工事期間中も給水所の機能を維持できるよう、二つの配水池のうち一つを運用しながら、二期に分けて更新しておりまして、令和七年度に第一期工事が完了する予定でございます。さらに、王子給水所は十四年度に完成予定であり、北区、足立区、荒川区の約二十六万人の給水安定性が向上いたします。
○本橋(た)委員 給水所の新設により、震災時の水の確保も、より確実になることを期待いたします。
今回は、特に基幹的な水道施設の耐震対策について聞いてきましたが、能登半島地震では、地域の配水を担う配水管についても多くの被害があったことから、水道局が進めている管路の耐震継ぎ手化が必要であります。
管路の耐震継ぎ手化については、我が会派がこれまでも主張しているとおり、断水率に着目した耐震継ぎ手管への取替えは有効であることから、着実に進めるよう求めます。
また、強靱な水道システムを構築するためには、バックアップ機能の強化や耐震化とともに、老朽化した施設の更新も重要であります。水道局が高度経済成長期に集中的に整備してきた東村山、金町、朝霞浄水場などの大規模浄水場は、今後、更新時期を迎えることになります。大規模浄水場の更新は、かつて経験したことのない大規模な事業となるため、財政や施設能力を考慮しながら計画的に進めていく必要があることはいうまでもありません。
昨年十一月の公営企業委員会において、我が会派は、更新事業の先駆けとなる東村山浄水場の取組について質疑し、更新による能力低下を補うため、境浄水場を再構築し、青梅市に浄水場を新設することを確認しました。この施設整備は長期にわたることから、その進捗について継続的に確認します。
そこで、東村山浄水場の更新に向けた今後の取組について伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 二〇三〇年代から予定しております東村山浄水場の更新に向け、低下する施設能力を補うことを目的といたしまして、境浄水場を再構築するとともに、青梅市内に新たに浄水場を整備する計画でございます。
境浄水場につきましては、令和四年度から進めておりました既存施設の撤去が今年二月に完了したことから、六年度は、地下部の掘削工事等を進めた後、送配水ポンプ所と高度浄水施設の本体築造工事に着手いたします。
また、青梅市に新設する浄水場は、現在、施設の規模や配置等の整備内容の詳細検討を進めておりまして、六年度から関連する導水管及び送水管の工事に、七年度からは浄水施設の工事に着手する予定でございます。
こうした取組を着実に進め、大規模浄水場を計画的に更新し、将来にわたり安定給水を確保してまいります。
○本橋(た)委員 今後、長期にわたる大規模浄水場の更新に向けて、この代替施設の整備は安定給水を確保する上で重要な事業であります。令和六年度から本格的な工事が開始されるとのことであるため、都民への給水に影響を与えないよう、施設整備を着実に行うよう要望します。
震災対策や施設更新について話を伺ってきましたが、いずれも強靱な水道システムの構築に向けた重要な取組であるため、局一丸となって取り組んでいただくことを求め、質問を終わります。
○保坂委員 それでは、よろしくお願いします。
私からは、最初に、水道スマートメーターから伺ってまいります。
水道局は、水道スマートメータ先行実装プロジェクト、これに基づいてスマートメーターの導入に取り組んでおります。プロジェクトの計画期間は、令和六年度までとなっております。最終年度となります六年度は、計画どおりのメーター設置や運用を行うことはもとより、これまでの実績を踏まえて、七年度以降の取組について検討する重要な時期に来ていると考えます。
これまでも、会派として、事務事業質疑や決算特別委員会などでも、機会があるたびに、このプロジェクトの進捗状況を確認してきましたが、今回の質疑においても状況を確認していきたいと思います。
まず初めに、令和五年度末までの給水スマートメーターの設置見込みと、直近の運用状況についてを伺います。
○鈴木給水部長 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき、令和四年度からの三年間で約十三万個のスマートメーターの設置を進めております。
令和四年度の設置数は約三万個、令和五年度の設置見込数は約五万個であり、プロジェクト二年目までの合計は約八万個の設置を見込んでおります。
プロジェクトでは、設置対象をパイロットエリア、スマートシティ、再開発地区、集合住宅などの六つに区分しており、対象によって増減が生じているものの、全体ではほぼ計画どおりに設置が進んでおります。
運用状況につきましては、令和四年十月に通信を開始して以来、初期不良の通信機器による影響を除いた通信成功率が約九八%で推移しており、実運用には問題のない水準を継続しております。
○保坂委員 前回確認しました令和五年度上半期までの実績以降も着実に設置が進んでおり、おおむね計画どおりの個数を設置予定とのことであります。
既に八万個近くのスマートメーターを運用しているということになりますが、通信率についても、運用開始当初、一時的に低下はしておりましたが、それ以降は実運用には問題がない水準が確保できており、プロジェクト二年間の成果としては順調ではないかと思います。
しかし、初めに申し上げましたとおり、計画期間は六年度までであり、次年度においても、これまで以上に着実な設置が必要であります。
そこで、最終年度となります令和六年度の設置の見通しについてを伺います。
○鈴木給水部長 プロジェクト最終年度となります令和六年度は、全六区分のうち再開発地区及び集合住宅の区分におきまして、建設工事の遅延等の発生により設置数が当初計画より減少する見込みでございます。
一方、他の区分では順調に設置が進んでいるほか、計画策定時には見込んでいなかった新築住宅などの新たなお客様の増加もあるため、プロジェクト全体ではおおむね計画どおりの約十三万個を設置する予定でございます。
○保坂委員 再開発地区及び集合住宅における減少については、決算特別委員会で確認したとおりですが、新規の給水開始件数が想定より増加する見込みということであり、全体的には計画どおりの個数を設置する予定とのことでありました。着実に設置を進めていただくよう求めておきます。
一方で、安定的に設置が進んでいるとはいえ、スマートメーターの導入の効果のさらなる発現のためには、通信率をこれまで以上に向上させていくことが必要です。
さきの事務事業質疑では、その点について質問しましたところ、新たなメーターボックスなどの開発や、携帯電話の通信網によらない通信方法といった対策を講じていくとしておりましたが、その取組状況について確認をしたいと思います。
新たなメーターボックスなどに関します民間企業との共同開発の状況についてを伺います。
○鈴木給水部長 当局では、鉄製の蓋がついたメーターボックスによる電波の減衰を抑えるため、公募により選定した共同開発者と令和六年一月に協定を締結し、開発に着手しております。
開発内容といたしましては、メーターボックスの鉄蓋に加工を施すことで電波の透過性向上を目指す方法を採用しており、現在は基本設計に取り組んでおります。
今後は、メーターボックスの詳細設計を実施し、試作品の製作や試験設置による検証を行い、令和七年一月末までに開発を完了するよう、共同開発者と連携して取り組んでまいります。
○保坂委員 予定どおり共同開発者が決定されて、開発に着手しているとの答弁でした。
早期の導入に向けて、共同開発者の技術力を活用して、着実に開発を進めていくことを希望します。
また、通信環境の改善に向けて、携帯電話の通信網によらない通信方法について、ほかのインフラ事業者が採用している方式なども参考に検討を進めていくとのことでありました。
携帯電話の通信網によらない通信方法に関する検討状況についてを伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、携帯電話の通信網以外の通信方法の導入に向け、他のインフラ事業者が採用している通信方式や、技術、ノウハウを持つ事業者について調査を行ってまいりました。
その結果、先行してスマートメーターを運用している電力事業者の通信網の有用性が高いと判明しましたことから、活用に向けた検討を進めており、現在、電力事業者側で通信網の活用に必要な機器等の開発について調整をしております。
今後、給水所や営業所等の当局施設を実験フィールドとして提供するなどの協力を行いまして、当局スマートメーターの通信成功率のさらなる向上に電力事業者と共同で取り組んでまいります。
○保坂委員 電力事業者のスマートメーターは、非常に高い水準の通信率で運用できていると聞いておりまして、水道スマートメーターでその通信網が活用できれば、より高いレベルで運用が可能となります。早期の活用に向けて、共同で取組を進めていただくよう求めておきます。
さて、これまで、設置、運用の状況や通信率のさらなる向上に向けた取組について確認をしてきました。
安定的な運用については、めどがついたと認識をしておりますが、それを踏まえると、現在のプロジェクトの先にあります二〇三〇年代における全戸導入も、いよいよ視野に入れていかなければならないと考えます。全戸導入に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、検討を始めるべき時期にあるのではないでしょうか。
そこで、プロジェクトの計画期間は令和六年度まででありますが、それ以降はどう取り組んでいくのか、現時点の見解を伺います。
○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、先行実装プロジェクトを通じて、水道スマートメーターの着実な設置や安定的な運用を行うとともに、通信成功率のさらなる向上に向けた取組を進めております。
一方で、労務単価の上昇や物価高騰を受け、メーターや通信機器の調達価格の低減が図りにくい状況にあることも確認しております。また、導入規模の拡大に当たっては、これまで以上の数量のメーターや通信機器を調達しなければなりませんが、メーカーにおける製造ラインの構築など、メーター等の調達体制の整備も必要でございます。
これらの状況を勘案した上で、引き続き、先行実装プロジェクトに基づく検証を進め、今後、七年度以降の取組に関する方向性を示してまいります。
○保坂委員 今後のポイントは、メーターや通信機器の調達コストや調達体制にあるとのことでありました。もともと先行実装プロジェクトでもコストの課題については触れられておりますけれども、最近の労務単価の上昇や物価高騰は想定以上でありまして、課題として残ってしまっていることは理解ができます。
一方で、労務単価の上昇などは、これまでの検針員による検針に係るコストの増加にもつながっていきます。スマートメーターの導入は、水道事業のデジタル化に寄与する最たる取組であり、導入効果や既存業務を継続した場合のコストなどを踏まえつつ、積極的な取組を進めていくよう求めておきます。引き続き、その検討状況について確認をしていきます。
次のテーマに移ります。
これまで、私たちの会派では、東京都水道局アプリについて、利便性の向上と利用者拡大に継続的に取り組むよう要望をしてきました。
昨年の決算特別委員会の質疑でも、水道局が当初目標としていましたユーザー数、百万人を二年以上前倒しで達成するなど、着実に取り組んでいることを確認しております。
アプリは、令和四年十月にリリースされ、約一年半が経過したところですが、まずは、現時点のアプリの状況について確認したいと思っております。
アプリの直近の利用登録者数と、令和五年度の主な機能改善についてを伺います。
○坂井サービス推進部長 東京都水道局アプリにつきましては、令和六年二月末時点で約百四十一万人のお客様に利用登録していただいているところでございます。
令和五年度の主な機能の改善といたしましては、まず昨年十月に、インボイスの対応と合わせまして、検針データ等をPDFやCSVデータでダウンロードできる機能を搭載したところでございます。
また、既存の四つのスマートフォン決済に加えまして、新たにd払いによる支払い手段を追加したところでございます。さらに本年三月末には、楽天ペイの追加を予定してございます。
今後も、お客様から寄せられる意見に丁寧に対応し、誰もが使いやすいアプリの実現に向けた改善を推進してまいります。
○保坂委員 いよいよ百五十万ユーザーの獲得も目前であるということも確認しました。アプリストアの評価も、リリース直後は五点満点中で何と二点台で、今後どうなるかと心配しておりましたが、直近では四点台に上昇しており、継続的な改善を重ねることで、着実に使いやすいアプリになっている様子がうかがえます。引き続き、お客様の声に耳を傾けて、たゆまぬ改善を求めておきます。
また、スマートフォン決済は六種類に対応するとともに、クレジットカード払い、この申込みをアプリ経由で受付することで利便性が一層高まったと聞いております。アプリの普及に伴い、クレジットカードを含めた水道料金の支払いに関わるキャッシュレス化が大きく進んでいるのではないかと考えます。
そこで、アプリの導入後、局のキャッシュレス決済比率にどのような変化が起こったのか、見解を伺います。
○坂井サービス推進部長 スマートフォン決済、クレジットカード払い及び口座振替払いの三つから成るキャッシュレス決済比率につきましては、アプリ導入前である令和三年度末の七六%から、令和六年一月末時点では七九%となってございます。三ポイント上昇しているところであります。
特に、クレジットカード払いの比率は、令和三年度末の一九%から二三%へ四ポイント上昇しております。
アプリ導入後、キャッシュレスは着実に拡大しているというふうに考えてございます。
○保坂委員 前回の事務事業質疑では、アプリの導入がペーパーレス化の推進に貢献していることを確認していましたが、キャッシュレスの面でも効果が顕著に出ていることが判明しました。
これらは、都が全体で取り組んでいる五つのレスの取組とも軌を一にするものでありまして、アプリの普及拡大を図ることが重要であります。
そこで、今後のアプリの取組の方向性についても伺います。
○坂井サービス推進部長 キャッシュレスやペーパーレスの推進につながりますアプリの普及拡大を図るためには、引き続きお客様のニーズを把握し、改善を積み重ねていくことが重要と考えてございます。
そのため、令和六年度は、新たにアクセス解析ツールを用いましてユーザーのアプリ操作履歴等を分析することで、例えば、お客様が利用登録時につまずくポイントを明らかにし、スムーズに登録が完了するようページを見直すなど、アプリの改善につなげていく予定でございます。
こうした取組を通じまして、サービスの質を一層向上し、令和七年度末における利用登録者数二百万人の目標達成に向けまして、利用者拡大に努めてまいります。
○保坂委員 今のペースですと、令和七年度末の利用登録者数の目標二百万人は必ずクリアできるだろうと信じております。アプリは、水道サービスの最前線として、常に都民に触れるものであります。今後も、都民に寄り添って、誰もが使いやすいアプリの一層の普及に向けて取組を促進していただくよう要望して、次のテーマに移ります。
続いて、水道サポーター制度について伺ってまいります。
この制度は、都民と水道局が直接対話ができる交流会を開催し、双方向のコミュニケーションを通じて、都民ニーズを丁寧に酌み取って事業運営に反映する取組であります。
私は、当初よりこの取組に関心を持っており、後押しをしてきました。昨年十二月一日、東京近代水道百二十五周年の日に開催されました交流会に、私も参加をいたしました。玉川委員も一緒にですね。
この交流会のテーマは水道水源林であり、会場には多くの方が参加されておりました。交流会は定員を上回る申込みがあり、当日は参加できなかった方もいたと聞いております。
そこでまず、昨年十二月一日の交流会について、改めてその狙いと実施内容を伺います。
○坂井サービス推進部長 本交流会は、近代水道百二十五周年を迎えるに当たり、お客様と共に今後の水道を展望するため、当局が百二十年以上にわたり守ってきた、いわば東京水のふるさとともいえます水道水源林をテーマとして開催したものでございます。
近代水道百二十五周年となる記念の日に、都民の関心の高いテーマで開催したこともございまして、定員百名に対しまして千九十三人もの応募がございました。
交流会では、まず職員から、水道水源林が持つ様々な機能や、水道局が森を管理するに至った歴史的な経緯などについて、スライドや動画を用いて分かりやすく説明いたしました。
その後、水道水源林を次の百年に引き継いでいくため、水道水源林に、より親しみを持っていただくためには、どのような水源林ツアーだったら参加してみたいかなど、具体的な事項について意見交換を行ったところでございます。
○保坂委員 私も、当日、職員が水道局の取組を動画などを活用しながら、水道水源林について分かりやすく伝えている様子や、参加者との活発な意見交換が行われている様子を見せてもらいました。百人近い参加者がいる中で、双方向のコミュニケーションを円滑に行って、会場内は一体感のあるよい雰囲気だったと思います。
参加者数が多いと発言がしにくい、時間的な制約のため全員から意見を酌み取れないなど課題があると思いますが、今回の交流会において双方向コミュニケーションを活発に行うために工夫した点と、参加者から寄せられた意見についても伺います。
○坂井サービス推進部長 当日の交流会では、実際に水道水源林の散策などを体験したタレントに、その際の動画を映しながら体験談を語っていただくとともに、意見交換の際には最初に発言していただくなど、参加者が発言しやすい雰囲気をつくりました。
また、参加者全員に対しまして赤色と青色のカードを事前に配布いたしまして、水道水源林の機能に関する二択のクイズ等に答えてもらうことで、参加者との距離感の縮減に努めましたほか、意見交換会で迅速に発言してもらえるよう、マイクランナーを配置したところでございます。
こうした工夫によりまして、双方向のコミュニケーションを活性化した結果、参加者からは、水源林ツアーに楽しく参加するため、地元の食や名産品も楽しめる道の駅などに寄ってはどうかといった意見ですとか、小学生向けにクイズ形式を取り入れた動画を作成してほしいなどの意見をいただき、今後の取組に反映してまいります。
○保坂委員 多々工夫してコミュニケーションを行ったことが確認できました。また、早速、参加者の意見を踏まえ、今後の取組に反映していくとのことであります。ぜひ実現していただきたいと思います。
一方で、応募は定員の十倍以上あり、参加できなかった方も多かったようですが、こうした交流会の内容を伝えるなど、丁寧にフォローしていくことが、水道に関心を持ってくださる方々の裾野拡大につながるために必要ではないかと考えます。
そこで、当日参加ができなかった方に対してのフォローについてお伺いします。
○坂井サービス推進部長 当局では、交流会に参加できなかった方や広く都民の皆様に本交流会の内容を知っていただくため、交流会の様子を簡潔にまとめた二分程度のダイジェスト動画と、当日の内容を収録した一時間程度の動画を作成し、Xやホームページを活用し、情報発信したところでございます。
特に、今回申込みいただいたにもかかわらず参加できなかった方に対しましては、直接、動画のリンクをメールでお送りするとともに、来年度の交流会の開催もご案内することによりまして、引き続き、局の取組に関心を持ち、サポーターとなっていただけるよう働きかけてまいります。
○保坂委員 私は、令和四年十一月の事務事業質疑において、交流会の様子を動画にして広く情報発信することを要望いたしました。水道局のホームページでは、過去の交流会の動画が公開されていることは確認をしておりますが、今回も早速動画を公開し、参加できなかった方にご案内されたことは、水道に関心を持ってくださる方を増やして、今後の交流会の参加者増加につながる対応だったと思います。
今後とも、より多くの都民に交流会のすばらしさが伝わるよう、工夫して情報発信していかれることを求めておきます。
さて、交流会については、今回の水道水源林などサポーターから関心の高いテーマを設定した交流会と、震災をテーマとした交流会を開催しております。
昨年十一月の事務事業質疑において、震災対策をテーマとした交流会については、給水区域である全四十九区市町で令和七年度までに実施するべく、残る二十四区市町と調整を計画的に進めていくとの答弁をいただいております。
今年は、年初の能登半島地震の発生を受けまして、震災対策に対する都民の関心は高まっておりまして、都民の関心に応えた交流会を開催していくべきではないかと考えております。
そこで、来年度の開催計画について伺います。
○坂井サービス推進部長 震災対策をテーマとした交流会につきましては、未実施の二十四区市町全てと調整を進めておりまして、令和六年度にその半数以上の区市町で開催できるよう、取組を加速してまいります。
また、これまでオンライン形式と対面形式とを併用してまいりましたが、令和六年度は、応急給水や給水袋の運搬体験のできる対面形式を基本に実施する予定でございます。
さらに、災害時給水ステーションの紹介や、震災時における水道事業体の相互支援の仕組みの説明のほか、参加者の関心が高まっているこの機に、区市町の防災担当者とも連携いたしまして、地域のハザードマップや避難所、各家庭でもできる日常備蓄等を重点的に説明してまいります。
○保坂委員 令和六年度は、震災対策をテーマとした交流会の開催回数を増やし、応急給水体験もできる対面形式を基本として内容を充実していくという計画とのことで安心をしました。私の地元台東区も、区民の皆さんの関心が非常に高いので、早い実施を求めておきます。
水道局は、現地での応急復旧活動など尽力されておりますが、こうした取組にも区市町や都民の関心は高いと思います。ぜひ、現地での経験を伝えていただきながら、早期に全自治体での交流会の実施を実現するよう求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○伊藤(こ)委員 令和六年能登半島地震の被災地の一日も早い復旧復興を心から願いまして、質問をしたいと思います。
報道によれば、能登半島地震の水道管の被害を国が調査をしたところ、最も被害が大きかった能登町の一キロメートル当たりの水道管の被害箇所が二・六六だったということで、これは発災から先日で十三年となった東日本大震災で最も被害を受けた地区のおよそ七倍になり、能登半島地震はこれまでの国内の地震で最も水道管に被害が出ている災害ということでありました。
この地震に伴う断水は、石川県を中心に、最大でおよそ十三万七千戸で発生をし、三月十五日時点で、いまだ輪島市や珠洲市などで、五つの自治体のおよそ約一万五千戸で断水が続いているということであります。
本日、私からは、能登半島地震被災地への都の対応と、危機が切迫する首都直下地震に備え、都水道局の震災対策について質問をしてまいりたいと思います。
今回、能登半島地震では、広域で長期に及ぶ断水が発生をしており、改めて、生命、生活の維持のために水の重要性を認識したところであります。被災地では、水が出ないことから、飲むことも、調理をすることも、トイレを流すことも、入浴することも、また、医療活動にも支障を来しており、災害関連死にもつながる、命に及ぶ大変な事態となっております。
都水道局は、いち早く輪島市等の被災地支援に向かい、現在も応援活動は続いておりますけれども、被害や現地での活動の状況について振り返り、都における災害対策の強化につなげていくことも重要であると考えます。
そこでまず、今回の能登半島地震について、都水道局はいつからどのような支援を行っているのか伺いたいと思います。
○長嶺総務部長 当局では、公益社団法人日本水道協会による全国的な相互応援の仕組みによる応援要請を受けまして、一月三日に給水車二台と職員を、一月五日には応急復旧に向けた調査等のため職員を速やかに派遣いたしました。
それ以降、増員や入替えをしながら、これまで延べ四百七十五人の職員を派遣しており、主に輪島市において、給水車等による応急給水のほか、浄水場や水道管路など水道施設の応急復旧を実施してきております。
○伊藤(こ)委員 まさに発災直後から、迅速に人材と機材を派遣して、かつ長期にわたり支援を続けているということは、被災地にとって心強く、最大の事業規模を持つ東京都水道局の積極的な対応姿勢として評価をしたいと思います。
一方で、今回の地震では、発災当初、輪島市など六市町ではほぼ全域で断水が発生をし、これまでの震災と比べても、水道の復旧に特に時間がかかっております。
支援を行っている都水道局として、輪島市の被害状況についての認識と、それを踏まえた復旧方針について伺いたいと思います。
○鈴木給水部長 輪島市では、取水施設や浄水場などの施設が被害を受けるとともに、管路につきましても、浄水場と配水池をつなぐ送水管のほか、配水管も広範囲に損傷したことから、広域的かつ長期間の断水が発生していると認識しております。
当局では、市と協力して取水施設と浄水場の復旧を最優先に行い、管路につきましても、市と日々綿密に打合せをしながら、中心市街地の基幹管路を優先的に復旧いたしました。
加えて、山間部における仮設浄水施設の設置や、避難所など重要施設へのルートの先行復旧とともに、状況に応じて仮配管を活用することで、早期の通水に尽力してまいりました。
こうした取組によりまして、現在、市全体の六割に当たる約七千戸が復旧いたしました。
○伊藤(こ)委員 市の意向を踏まえながら、早期復旧に取り組んでいるということでありまして、被災地支援の経験と豊富な人材を持つ都水道局の技術力が生かされているものというふうに認識をいたしました。
今回の支援では、都の工事事業者も局と共に、被災地で支援に従事をしております。昨年の事務事業質疑で、私は、水道工事事業者の団体による応急復旧等の訓練の重要性について質問をいたしましたけれども、実際に最前線で修繕工事を担う工事事業者が、都外での災害においても支援を行うことは、被災地の水道の早期復旧のために大いに貢献することだというふうに思います。
そこで、今回、都の工事事業者が被災地で復旧支援を行う経緯や、派遣による効果について伺いたいと思います。
○鈴木給水部長 当局では、災害時における管路被害等を早期に復旧するため、工事事業者で構成される四団体と、都内及び都外発災時の協力に関する協定を締結しております。
今回の能登半島地震では、損傷した施設の復旧作業を迅速、確実に進めることが水道の早期復旧に必要であり、協定に基づき、局から四団体に対して協力を要請いたしました。
四団体は、これまで延べ九十事業者を派遣しており、派遣された事業者は、輪島市及び志賀町において、当局と連携しながら管路の復旧作業を迅速、確実に進めており、復旧の進展に貢献しております。
○伊藤(こ)委員 都からの要請を受け、発災直後から現地支援に入った事業者からお話を伺いました。北陸は、極寒の中での水道復旧の作業であって、当然に宿泊所はない、泊まるところもない。こうした中で、浄水場のポンプ室で寝袋にくるまって寝て、翌日また朝が来ると作業に入っていく、大変に苛酷だった、こんな話を伺いました。発災直後から現在に至るまで、厳しい環境の中で必死に被災者へ水を届けるために作業に当たってくださっている事業者、そして職員の皆様に心から敬意を表したいと思います。
都の工事事業者に加えて、政策連携団体である東京水道株式会社も被災地に社員を派遣し、支援活動を行っていると聞いております。都の水道事業の基幹的業務を担う東京水道株式会社が局と共に被災地支援を行うことは、これまで行ってきた業務移転による技術やノウハウの継承といったグループ経営の一つの成果だというふうに考えます。
そこで、東京水道株式会社が支援を行う経緯と、具体的な活動内容について伺いたいと思います。
○長嶺総務部長 当局では、東京水道グループとして、東京水道株式会社と災害時等の協力に関する協定を締結し、都の給水区域外で発生した災害等に対しても、協力して応援活動を行うこととしております。
今回の能登半島地震では、大規模かつ長期に及ぶ応援活動が求められ、早期の復旧に向けて効果的な対応を行うため、都外における発災では初めて、協定に基づき東京水道株式会社から社員を派遣することといたしました。同社はこれまで延べ五十七人を派遣しており、当局からの業務移転によって培った技術力や経験を生かして、配水管の応急復旧に係る工事監督業務を行うほか、当局職員と共に給水車による応急給水業務を行うなど、支援の一翼を担ってきております。
○伊藤(こ)委員 都水道局が、事前にというかこれまでの間に、工事事業者の団体であったり、あるいは政策連携団体であったり、協定を締結してきていたことが、このたびも大変に重要なことであったというふうにうかがえるわけであります。局が工事事業者や政策連携団体と連携をして、まさにチーム東京水道が一丸となって力を結集した尽力によって復旧が進んでいるということがよく分かりました。
また、工事事業者や政策連携団体にとっては、今回の支援経験が東京で発災した場合の対応にも生きるものだというふうに思います。引き続き、輪島市などの水道の早期復旧に向けて、関係者と共に全力で支援に取り組んでいただきたいというふうに思います。
翻って、東京で発災した場合の備えについて確認していきたいと思います。
首都直下地震の切迫性が指摘される中、基幹ライフラインとして、都民生活と都市活動を支えるためには、水道施設の耐震化を進めることに加えて、断水が発生した場合でも、応急給水及び応急復旧を迅速、確実に行えるよう、応急対策についても万全にしておかなければなりません。都自らが復旧に尽力することはもちろんですが、東京が被災した場合の影響の大きさを考えれば、今回の能登半島地震のように、他の水道事業体と連携して対処することが必要となってまいります。
そこで、東京で発災した場合に、他の水道事業体から応援を受けるための取組について伺いたいと思います。
○長嶺総務部長 当局では、日本水道協会による全国的な枠組みや政令指定都市間での覚書により、発災時の迅速な応援体制を構築してまいりました。また、東日本大震災の経験を踏まえ、応援要請を待たずに被災地に駆けつけ、応援受入れの差配など被災した事業体の機能の一部を担うことができるよう、個別の水道事業体と相互応援の覚書を締結し、東京での発災に複層的に備えております。
これらの実効性を確保するため、日本水道協会関東地方支部内の事業体や、覚書締結都市の仙台市や大阪市等と、応援隊の派遣、受入れや給水車の運行等に関する実動訓練を定期的に実施しております。
こうした他の事業体と訓練を重ねることで応援業務の習熟を図るとともに、お互い顔の見える関係を築き、発災時に円滑に応援を受けられるよう取り組んでおります。
○伊藤(こ)委員 平時から、他の水道事業体と訓練や、また、緊密な連携を図って応援業務の習熟を図るなど、お互いの顔の見える関係を築いているということは大変に重要なことでありまして、今後もさらに深化させていただきたいというふうに思います。
一方、今回の能登半島地震対応では、当初、水道局の現地拠点であった金沢市内から輪島市までの移動に長時間かかってしまって、作業時間の確保に苦労したという報道も目にいたしました。応援隊が円滑に活動することは、活動場所の近くに拠点があることが、より効果的だと考えます。
そこで、東京で発災した場合、他都市からの応援隊は東京での活動拠点をどのように確保するのか伺いたいと思います。
○長嶺総務部長 発災時は、被災水道事業体は被害状況の確認などの対応に追われ、応援隊受入れ体制が十分に整わないことが予想されるため、日本水道協会による相互応援体制では、応援水道事業体が自ら宿舎の確保等を行うこととされております。
これに加えまして、当局では、東京での発災時に応援事業体が円滑に活動できるよう、浄水場などの最大十一施設で合計八百名以上、二トン給水車四百台以上を受入れ可能な体制を確保するとともに、宿泊場所が不足する場合には追加の手配等を行う覚書を茨城県と締結しております。
こうした応援隊の受入れ体制の整備に加え、受入れに当たっての具体的手順等を定めた受援マニュアルを作成し、情報連絡訓練を定期的に実施することで、応援活動が迅速かつ円滑に行えるよう備えております。
○伊藤(こ)委員 先ほども、発災直後に現地に行った事業者のお話をさせていただきましたけれども、まずは、金沢から被災地の輪島の方に入っていくのに相当の時間がかかったということが一つ。それと、宿泊場所が当然ないわけですから、ポンプ室で寝袋にくるまって朝を待ったというお話もありました。
今の答弁には、浄水場などの最大十一施設で合計八百人以上を受け入れることができるよという答弁でありましたけれども、そうした事態も考えて、こうした浄水場等の施設に、例えば寝袋であったりとか、数日間の水であったり、食料であったり、こうしたものをしっかりと備えておくということも重要だというふうに思いますので、改めて申し上げておきたいと思います。いずれにしても、他事業体とも協力をしながら活動体制を整えているということで、確認することができました。
東京が被災し、水道施設や設備が被災した場合には、先ほども申し上げましたけれども、実際に修繕工事を行う都内工事事業者との連携は何より重要であります。一日でも早く水道を復旧することができるように、日頃からの備えを万全にしていただきたいと思います。そのためにも、都内工事事業者が実践的な訓練を行うことができるように、局として最大限の応援をしていただきたいと、改めて要望しておきたいと思います。
このたびの能登半島の災害は、半島で起きました。東京の宝島ともいわれる島しょ地域は、半島ではなく、四方を海に囲まれた島であります。そこで、島の発災時の対応についても確認をしておきたいと思います。
島しょ地域の水道は、水道局の給水区域外でありますけれども、各町村は小規模な事業体であり、かつ離島という地理的特性を踏まえると、災害時には水道局による支援が何より重要であると考えます。島しょ地域の水道が被災した場合の都水道局の支援について伺いたいと思います。
○長嶺総務部長 当局ではこれまで、島しょ地域の水道が被災した場合には、施設の被災状況や事業主体である各町村からの要請に応じて、適切に支援を実施しております。
平成二十五年、台風二十六号による大島での土石流災害では、水道施設の損傷等により最大三千世帯で断水が発生したことから、大島町からの要請を受け、当局からペットボトル「東京水」一万本及び給水袋六千枚を提供したほか、給水車二台、職員延べ二十一名を派遣し、住民への応急給水や水道施設の復旧支援を行いました。
今後とも、島しょ地域の水道が被災した場合には、住民の生活を支えるため、必要な支援を速やかに実施してまいります。
○伊藤(こ)委員 今、答弁にありました平成二十五年、台風二十六号による大島での土石流の災害は、台風接近前から、一時間に百ミリ以上の猛烈な雨が数時間にわたって降り続いて、二十四時間雨量が八百ミリを超えるという脅威的な大雨となりまして、大規模な土石流が発生をし、甚大な被害をもたらしました。
この当時、都議会公明党は、引退をした遠藤守元都議が真っ先に現地に入り、寸断された水道の状況を確認し、給水車やペットボトルの支援を都に要請をいたしました。私も発災二日目に現地に入り、副知事を先頭に立て、総合的、全面的に都が大島町を支援するよう体制強化を要請し、さらには、直後に襲ってくる次の台風によって二次被害が発生しないように、支援が必要な避難者たちの内地への避難など、矢継ぎ早に様々に都に要請をしたところでありました。
こうした島しょ地域が被災した場合、とりわけ水道の早期復旧のためには、水道局が迅速に支援を行うよう、改めてお願いをしたいと思います。
ここまで、能登半島地震への支援状況や、東京で発災した場合の広域的な連携体制を中心に確認をさせていただきました。被災地の復旧支援は現在も続いておりますけれども、支援活動を通じて得た課題や教訓を、東京の災害対策の強化につなげていかなければならないと考えます。
最後に、能登半島地震の教訓を、都における災害への体制強化にどのように生かしていくのか、見解を伺いたいと思います。
○長嶺総務部長 今回の能登半島地震に対しましては、東京水道グループの総力を挙げて対応しており、この経験を切迫性が指摘される首都直下地震等に向けた体制強化につなげていくことが重要でございます。そのため、他の水道事業体との応援隊受入れに係る実践的な訓練、東京水道株式会社との災害対応に係る連携強化、工事事業者が行う防災訓練への支援などに継続的に取り組み、発災時の応急対策の実効性を向上させてまいります。
また、当局では、毎年度、震災対応訓練や区市町と連携した訓練を実施し、そこで得た課題への対応を、発災時の職員の活動を定めた震災等応急対策計画や行動マニュアルの改定につなげております。
今後、今回支援に携わった職員の経験なども踏まえ、都内発災時のさらなる体制強化を図ってまいります。
○伊藤(こ)委員 今回、支援に携わった職員の経験なども踏まえて、都内発災時の体制の強化に取り組んでいくということでありましたけれども、最近では、千葉県をはじめ東京周辺でも地震が頻発をしております。首都直下地震の発生が切迫する中、いつ起きてもおかしくない、我が事の巨大地震が、災害が必ず来るという意識で危機意識を持たなければなりません。被災地で活動しているチーム東京水道の関係者は、工事事業者も含め、試行錯誤しながら全力で支援に取り組んでおり、支援の現場ならではの教訓や課題意識も持ち帰ってくることと考えます。
こうした声に耳を傾け、今後の災害対策に反映していくことで、都水道局のさらなる対策の強化を図っていただくよう強く要望いたしまして、質問を終わります。
○福手委員 よろしくお願いします。
まず初めに、震災時の対応について確認をしていきます。
能登半島地震では、地震発生直後の時点で、新潟、富山、石川三県で百六十一の社会福祉施設などで停電や断水が起こり、連絡が取れない施設もあったと報道をされました。
現場は、まず備蓄で対応するんだと思うんですけれども、断水が続く中で、医療機関や福祉施設へ応急給水が必要になった場合の局の対応を伺います。
○長嶺総務部長 病院や福祉施設に対しましては、要請に基づき、給水車で優先的に応急給水を行うこととしております。
○福手委員 病院や福祉施設は、応急給水の支援が必要となったとき、その施設がある区市の災害対策本部に要請を出し、そこから都の災害対策本部に情報が行き、そこで水道局が応急給水の要請を受け実施する、そういう流れになるそうです。
先ほどもいいましたが、今回の能登半島の地震では百六十一の社会福祉施設が停電、断水ということでしたので、こうした施設と併せて、医療機関や避難所に途切れることなく給水作業が必要なのですから、現場は本当に大変な状況だったことが想像できます。
そして、東京で首都直下地震が起きた際には、都内にある多くの施設が被災することを念頭に、実際には、先ほどの答弁では優先的にとありましたが、断水をしているところへ給水車を走らせ、給水支援をするので、水道局としては最大限の備えをしておくことが求められていると思います。
水道局は、給水車を二〇二〇年に十六台追加し、今三十台所有しているというふうに思いますが、単純にいえば、これ、一自治体に一台ないという状況ですので、能登半島地震を受け、これで十分なのかということを改めて見直すことをここで求めておきたいと思います。
また、早く断水を復旧するためには、断水箇所や断水状況などを早く把握することが重要になってくると思います。水運用センターは、水圧などのデータを監視し、断水なども把握できるようですが、災害時の断水も把握できるのでしょうか。確認いたします。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 水運用センターでは、都内に設置されたテレメーターから送信される水圧などの情報を常時監視しており、災害時におきましても同様に把握することができます。
○福手委員 水運用センターは、二十四時間三百六十五日、区部全体の流量や水圧のデータなどを監視していて、例えば、流量が上がったり水圧が下がったりしたポイントがあれば、そこで漏水の可能性があるというふうに、平時には漏水の把握ができ、災害時には断水の把握に大きく役立つということです。
ちなみに多摩では、三か所の管理室を統合し監視する統合管理室があります。災害時に早く断水を把握し復旧するために、こうした大事な施設を水道局が持っているということ、私、今回確認をしていただきました。
では、次に、営業所について伺っていきます。
まず、新年度の職員定数が三十人減となっていますが、その内容を伺います。
○長嶺総務部長 令和六年度の職員定数につきましては、営業所の業務移転等により、三十人減を見込んでおります。
○福手委員 定数減は、営業所の業務移転によるものだということです。
では、新年度、直営から政策連携団体へ業務移転となる営業所はどこでしょうか。
○坂井サービス推進部長 令和六年度に業務移転いたします営業所は、墨田営業所及び荒川営業所でございます。
○福手委員 新年度から、墨田と荒川の二つの営業所が都直営から政策連携団体である東京水道株式会社に委託となり、これで直営は全部で九か所、委託が十二か所となります。
営業所の業務というのは、支払いの受付などの営業担当、また検針担当、そして収納担当があり、水道を使用するお客さんと直接関わる部署で、地域をよく知ることも求められているところだと思います。そのような業務を委託するには、局職員から法人の職員へ引き継ぐことが必要になるのですが、業務移転後の営業所において、局職員はどの時点で営業所から引き揚げるのですか。伺います。
○坂井サービス推進部長 当該営業所におきまして、業務の安定的な履行が確保された段階で、局職員を営業所から引き揚げております。
○福手委員 業務移転をして二年目までは、一定数の局職員が退職派遣され、東京水道株式会社に引継ぎをするという運用がなされています。そして三年目には、派遣された職員は局に戻るので、その後は全く法人だけの体制で運営するということになります。
では、営業所が法人に委託された後、安定的な事業運営に必要な人員が確保できない場合があったときに、局は政策連携団体に対してどう対応するのでしょうか。
○小澤経営改革推進担当部長 当局では、団体に対し、安定的な事業運営に支障が生じないよう適切な指導及び情報共有を行っているほか、東京水道グループ一体となって人材の確保、育成に努めております。
○福手委員 事業運営に支障がないよう、適切な指導や情報共有を行うと答弁されましたが、そもそも現場の業務をどんどん委託に出していくと、東京都に技術の蓄積がなくなり、委託先の事業者を適切に指導できる力がなくなることは明らかです。
事業運営に支障がないよう、東京水道グループ一体となって人材の確保、育成をするといわれました。それなら、東京都水道局の人材の確保、育成が何よりも必要ではないのでしょうか。
水道事業は、都民の命に関わる重要な事業です。例えば、給水停止をするなど、都民の命や生活に直接関わる重要な判断をその場で行わなければならないのが営業所です。責任を持って、都がきちんと直営でやるべきだと思います。
次に、営業所の大事な役割の一つである協定書に基づく取組について確認をしていきます。
局は、都内全区市町村と、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定書を締結していますが、営業所内でこの協定書の担当部署というのはどこになるのでしょうか。伺います。
○坂井サービス推進部長 主に、営業所の検針担当から情報提供を行っているところでございます。
○福手委員 営業所の検針担当が、協定書に基づく対応に責任を持っているということです。
都内で通報、これは高齢者や児童虐待にも関わる通報も含めますが、こうした通報、直近の実績を伺います。
○坂井サービス推進部長 令和五年度における区市町の福祉部署に情報提供いたしました件数は、二月末現在で十件でございます。
○福手委員 とても責任があることで大事な取組ですけれども、件数は少ないと感じました。
協定に基づき、必要な人の把握から通報までは誰がどのように関わるのか、これまでどのようなケースがあったのか、具体的にお聞きします。
○坂井サービス推進部長 当局の職員等がお客様宅を訪問した際に、異臭がするなどの異変に気づき、区市町の福祉部門などへ情報提供を行ったことがございます。
○福手委員 協定書に基づく対応は、検針員が訪問した先で何かしらの異変に気づき、その報告を受けた営業所が支援が必要と認識し、正確に区市町村につなげることが重要だと思います。
では、協定は区市町村と局で結んでいるのですが、政策連携団体は協定の実施に関わるのでしょうか。伺います。
○坂井サービス推進部長 政策連携団体におきましても、局と同様の対応をしてございます。
○福手委員 協定書は水道局と区市町村とで締結したものですが、この先、営業所が全て委託になって東京都直営がなくなったら、局がいない中で協定に基づいて行うということでは局が把握できないのではないかと思います。営業所が対応した件数を局が把握していたとしても、実際にその場で判断する必要がある場合には、そのときに局はリアルタイムでは把握はできないわけです。
協定書の内容というのは、行政としての命を守る責務として行う仕事です。委託するということは、その仕事から局が離れ、遠くなるということです。公共性が高い、命に直結する水道事業の一つである営業所は、委託ではなく直営でやるべきだと申し上げておきます。このことを意見し、質問を終わります。ありがとうございました。
○中村委員 それでは、水道局の令和六年度予算について質問します。
水道局は二〇二一年三月に、二〇二一年度から二〇二五年度までの計画として経営プラン二〇二一を策定しました。五年間の計画なので折り返しを過ぎたところにあります。計画は策定しただけではなく、着実な実行が必要になります。
そこで最初に、この経営プラン二〇二一の施策が令和六年度予算へどのように盛り込まれているのか伺います。
○長嶺総務部長 令和六年度予算案は、東京水道経営プラン二〇二一の四年目として、プランに掲げた施策を着実に推進するための予算として編成し、施設の耐震強化等に係る経費や、お客様サービスの向上に必要な経費等を適切に計上しております。
○中村委員 耐震化など重要な目標がたくさんあるんだと思いますが、そういった予算が計上されているとのことです。ただ、今の現状を見ると、建築資材の高騰やその不足、また人材不足など、いろいろとその実現に困難な要因というのもあるようですが、計画が今半ばを過ぎましたので、完了に向けてめどを立てながら、事業を着実に行っていただきたいと思います。
次に、震災対策について伺います。
去る三月十一日には、東日本大震災から十三年目を迎えました。そしてまた、今年の元旦には能登半島で地震もあったということで、今なお多くの方が被災をされております。都からも多くの職員が現地で支援をしていただいています。そして、改めて都としても、これは災害対策の強化を図ることが必要です。
そこで、都の水道局においては、管路及び浄水施設、配水池の耐震化がどのくらい進んでいるのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 令和四年度末における水道施設の耐震化状況は、水道管路の耐震継ぎ手率が五〇%、浄水施設のろ過池耐震施設率が八三%、配水池耐震施設率が八二%でございます。
○中村委員 ろ過池や配水池は八〇%を超えていますが、管路は五〇%ということでございました。ただ、令和元年度で四五%で、十二年度で六一%なので、ある意味着実に進んでいるんだと思いますけれども、これは大変重要な事業ですので、引き続き、なるべく早い方がいいわけですから、しっかりとした取組をお願いしたいと思います。
さて、水道局としても、能登半島地震への支援に行かれたということで、改めて敬意を表します。被災地域で断水となり、お困りの方々を支援するのは本当に大切なことです。
そこで、能登への支援内容と、支援から得られた教訓はどのようなものであるのか伺います。
○長嶺総務部長 当局では、輪島市や志賀町などにおいて、給水車等による応急給水や、浄水場や水道管路など水道施設の応急復旧を行ってきております。
今後、支援に携わった職員の経験なども踏まえ、都内発災時の体制強化につなげてまいります。
○中村委員 早い段階で給水車が行かれたということで、報道を見た方も多かったと思います。なかなかボランティアで行きたいという方もすぐには行けなかったので、東京都が、こうして都民に代わりまして支援に行っていただいたというのは、大変よかったんだと思いますし、それを見て、現地の方も心強かったんだと思っています。もとより、このことについては、現地のための支援ということなんですけれども、過程等を含めて、いろいろと経験値が増すこともありますので、こういったことが、今後の都の災害対策につながればと思っております。
さて、東京都からは、復旧の支援も行ったんですが、早い段階で真っ先に給水車を派遣されて応急給水も行ったとのことでした。こういった、都で断水した場合の備えとして給水車は保有をしているものですが、改めて、都としての給水体制を確認したいと思います。
水道局の給水車の保有台数と災害時に配置する際の優先順位をどのようにするのか伺います。
○長嶺総務部長 当局では、災害や事故などに備えて、給水車三十台を保有しております。災害時には、要請に基づき、病院や福祉施設、水を供給できない給水拠点、給水拠点から二キロ以上離れた避難所の順で出動することとしております。
○中村委員 給水車は三十台ということですので、被害状況が大きければ不足すると考えた方がいいと思います。大切なのは、いろんな状況や、その中でも最悪な状況を、想定外を想定外とせずに、事前に対策を立てていくことです。
給水車が不足した場合の手当ての方法はどうするのか伺います。
○長嶺総務部長 要請に対して給水車が不足する場合は、公益社団法人日本水道協会による全国相互応援の枠組みにより、他の水道事業体から応援を受けることとしております。
○中村委員 そういう連携の枠組みがあるというのは心強いかと思っています。今回もこういった枠組みで行かれたんだと思うんですが、いざ東京が被災したときには、他の自治体から応援を受け入れることもあると思いますので、日頃そういった連携をさらに強化をしていただければと思っています。
さて、大震災が発生した際に、水道事業においては、水道管の耐震化などで断水しないよう、また、浄水場の耐震化など、水道局自身の設備の耐震化で断水を防ぐことは当然ですが、一方では、広範囲に停電することが予想されると、浄水場が停電してしまうと水の供給ができなくなってしまいます。
そこで、広範囲で停電した場合、浄水場や給水所から給水を確保する上での対策はどうなっているのか伺います。
○小泉設備担当部長 当局では、広範囲で停電が発生した場合などに備え、一日当たりの平均配水量を供給できるよう、自家用発電設備の整備を進めております。
さらに、送水管ネットワークを活用した他の施設からのバックアップにより、給水を確保いたします。
○中村委員 自家発電設備を整備しているということですが、聞くところによると、国の手引では、燃料の備蓄は三日分確保することを推奨しているとのことです。これは、阪神・淡路大震災などのデータにより、七十二時間が人命救助におけるターニングポイントとして示されていることによるものと聞いてはいます。しかし、昨今では、停電が長期化することもあり、また、被害の程度によっては、本当に燃料が届くのか心配もあります。想定外を想定した上で、何日分備蓄するのが適切か再検討する必要があると考えます。
さて、都内には、数多くの応急給水拠点があります。もちろん通常は、安全のため鍵がかかっています。近隣の人からも、施設があるのは知っていても、いざというときに誰が鍵を持っているのかは知らないとの声もあります。実際に災害が起きたときに備えて、誰が持っているのかを周知し、時には訓練も必要になると思います。
応急給水拠点を迅速に開設するための役割分担や鍵の管理について、市区町とどう定めているのか伺います。
○坂井サービス推進部長 給水拠点の開設は、浄水場などの当局施設では局や区市町の職員、地域住民が、それから、応急給水槽では区市町の職員が行うこととなっております。
開設に当たり必要となる扉の鍵等は、開設を担う者が管理してございます。
○中村委員 災害に対する対応として、各地で避難訓練が行われますが、最近でも三・一一が近くなると、各地で行われるようになります。最近、特にこのスタンドパイプの紹介がされるのも見られます。その際に、住民の方からは、消火栓がどこにあるのかとか、どのように使うのかという質問も多く出ています。
災害時に、市や区や町がスタンドパイプを用いて消火栓から応急給水をする場合の手続について伺います。
○坂井サービス推進部長 発災時に消火栓から応急給水を行う場合、水道管の通水状況等を区市町が当局に確認した上で実施することとしております。
○中村委員 災害時には、各地で火災が発生することも想定され、よく消防車などの公的機関は三日間は来れないので、地域で対応せざるを得ないともいわれています。そうした場合にも、このスタンドパイプが有効になりますが、適切な量が配置されているのか心配になります。
そこで、スタンドパイプは、適切な量を確保されているのか伺います。
○坂井サービス推進部長 スタンドパイプなどの資器材は、消火栓を活用した応急給水を適切に実施できるよう、区市町の要望に応じて配布をしてございまして、現在の配布数は、約二千五百セットとなってございます。
○中村委員 二千五百もあるということではあるんですが、まあ、これ、どこにあるかとか、どうやって使うのかとか、水利はどこから取るのかとか、いろいろと必要な状況があるかと思っていますので、消防庁であったりとか、総務局であったり、市区町村であったりとか、連携しながら、いざというときに備えていただければと思っています。
さて、次に、浄水施設のテロ対策について伺います。
災害への備えも必要ですが、災害は人の力では防げないので、想定できることは想定して、被害を最小限にする必要があります。一方では、人が起こす犯罪は止めることができますし、防がなくてはなりません。特に、水道を狙ったテロの対策は、絶対に防がなくてはなりません。各浄水場での対応の強化を求めます。
浄水場にも防犯カメラを設置して、犯罪の抑止力を高めることは重要です。ただ、一方では、浄水場のテロ対策としてこの敷地境界に設置をしているカメラについて、個人のプライバシーに配慮した撮影アングルになっているのか伺いたいと思います。
また、データは、外部に流出しないよう適正に保管されているのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 浄水場敷地の境界に設置したカメラは、警備に必要な撮影範囲にとどめております。また、撮影された映像は、適切に管理しております。
○中村委員 もちろん安全も大事ですし、個人情報も大事だと思っていますので、両立するような管理の仕方をお願いしたいと思っています。
さて、次に、職員の技術の継承について伺います。
昨今、少子高齢化等により、多くの業界で人材不足がいわれています。しかし、社会が変化をするから不足は当然とするのではなく、仕事の大変さや待遇による理由で人材確保ができない状況であれば改善することが重要です。
そして、人材の確保だけではなく、人材の育成、さらには技術の継承が重要です。特に安全な水を安定的に供給するには、事業者任せではなく、都としても一定の技術を保有することが必要です。
水道の技術に精通した職員をどのように確保しているのか伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 当局では、高い技術を持つ職員を東京水道技術エキスパートとして認定し、職員等に対する助言などを行っております。
○中村委員 今、グループ経営という形で、水道局があって、東京水道サービスがあって、さらには事業者ということになるんだと思うんですけれども、一定程度、やっぱり水道局そのものにも技術を継承していかないと、何かあったときに分からなくなってしまいますし、ブラックボックス化してしまったりとか、業者のいうとおりになるだけになってしまいますから、一定の、これは経営のやり方にもよるとは思うんですけれども、都自身として、水道局としての技術の継承ということをしっかり行っていただくよう求めたいと思います。
次に、PFASについて伺います。PFAS、有機フッ素化合物の問題についても伺います。
さきの事務事業質疑でも、PFASの対策について質問しました。改めて、来年度予算としても質問します。とはいえ、予算上は特に項目がなく、通常の水質検査の中で行うとのことのようです。とはいえ、頻繁に報道も行われ、都民の不安も募っています。健康への影響など分かっていないことも多いこともあり、国の責任とするだけではなく、国に対しても強く求めるとともに、都としても対策を取ることだと思います。
PFASは、給水栓や井戸などで検査をしていると聞きますが、徹底した原因究明、調査をすべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 水道事業者の責務は、国が定める水道法における水質基準などを遵守して、水道水を供給することであると認識しております。
当局としては、引き続き、給水栓で国が定めた暫定目標値を下回るよう、徹底した水質管理を行ってまいります。
○中村委員 飲む段階で水質の管理をしていただくということは大事だと思っていますが、ずっと、これ、不安が続いてしまいます。早く国が対策してくれればいいんですけれども、できれば、やっぱり原因を突き止めて、何らか対応が先回りでできればということがありますので、ともかくも、引き続き、都民の皆様の健康に留意していただいた取組をやっていただければと思っています。
次に、水源林について伺います。
昨年、会派として、奥多摩町にある小河内貯水池、奥多摩湖を訪れまして、水源確保の取組について伺いました。以前も訪ねたことがあったんですが、その際には、さらに足を延ばして、山梨県の丹波山村も訪ねました。
都内に水を供給するための水源林が、西多摩から山梨県にかけて広がっています。水源林の涵養のため、水源林の管理を行っています。もちろん目的は、安全でおいしい水を都民に供給するためのものですが、そこには、国民病といわれ、多くの都民が苦しむ花粉症の原因となる花粉を出す樹木もあります。もちろん水道のために管理するわけなんですが、ただ、そこにある、そこで管理されている水源林が花粉症の原因になっているわけですから、問題解決に向けて水道局も協力する必要があります。
そこで、水源林の管理について、水道局では、花粉を発生させない対策は行っているのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局が管理している水道水源林におきましては、新たに苗木を植える際は、花粉の少ないヒノキなどを活用しております。
○中村委員 この花粉症対策、期待している方も本当に多いと思います。なかなか時間がかかることがあるんですが、着実に進めていただきたいと思っていますし、これ、当然、私がいっているだけではなくて、経営プランの中にも載っている項目ですから、やっていただきたいと思っています。
特に、かつて小池知事が希望の党を立ち上げた際、十二のゼロというのを掲げた一つに、花粉症ゼロというのを掲げられていました。今もう、この希望の党はないんですけれども、とはいっても、期待した方も多かったわけですし、この花粉症をなくしていくということについては、水道局としても取り組んでいただきたいと思っております。
さて、水源林は西多摩から山梨県まで広範に広がっていますが、そこから恩恵を受けるとしてその協力に感謝するとともに、今後も引き続きご協力いただけるためにも感謝の意を示す必要もあります。以前、会派として丹波山村を訪問した際、当時は石原慎太郎都知事だったんですが、感謝の意を示していたという話を伺いました。
現在も、水源林が所在する奥多摩町、山梨県の丹波山村、小菅村に対して、水道局として感謝の意を示しているのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 水道水源林は、多摩川の安定した河川流量の確保や小河内貯水池の保全に重要な役割を果たしており、地元の自治体である奥多摩町等の協力を得ながら、適正に保全しております。
当局では、毎年、地元自治体との交流を続けており、あらゆる場を通じて相互理解を深めております。
○中村委員 その丹波山村に行った際には、水道局の記念碑があって、それも拝見させていただきました。憲政の神様と呼ばれた尾崎行雄氏が市長をやっていたということなんですが、その際に、丹波山村を訪れて、ここを水源林にしようということで取り組んだということで、先見の明があったんだろうというふうには思っています。ぜひとも、こういった山梨県の方の村等でも、都のためにご協力もいただいておりますので、できれば、知事に積極的にこういった自治体への感謝の意を示していただければというふうに思っています。
さて、次に、人口減少社会への対応について伺います。
少子高齢化社会が進展し、人口減少社会になっていきます。都心には地方からの人が集まり、まだ増加はしていますが、都全体で見れば、いずれは減少に向かっていきます。公共事業の役割として、全ての都民に安全な水の供給をしなければなりません。たとえ、これ、過疎の地域で人口が減ったとしても水の供給をしなければならず、収支が合わないから水の供給をしないというわけにはいきません。
人口減少社会が見込まれる中、水道施設のダウンサイズについて、どのように考えているのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 浄水場の施設能力は、安定給水を確保した上で、水道需要の動向、浄水場の補修や事故に伴う能力の低下などを考慮し、更新に合わせて適正規模としてまいります。
○中村委員 ありがとうございました。様々質問をしてきましたが、東京都が直営だからこそできているということもあります。
今回、国の法改正により、給水条例も改正になりますが、国で水道の管轄が厚生労働省から国土交通省に替わることによるものです。見方によっては、上下水道が一元化され、民営化しやすくなるとの臆測もあるようですが、私は、水道は命の根源である水を安全に供給する重要な事業であり、安易な民営化をすべきではなく、東京都が直営を堅持すべきと考えます。
水道事業について、民営化の検討がされているわけではないと思いますが、引き続き、直営で、都民に安全でおいしい水を供給していただきますことを求めて、質問を終わります。
○岩永委員 それでは、まず、浄水場の更新と配水量について伺います。
マスタープランには、浄水場の更新は、約九十年で計画的に推進していくと書かれており、代替浄水場の工事が始まっています。
二〇二四年度の浄水施設更新で、主な事業について伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 令和六年度は、境浄水場の再構築や青梅市内への新たな浄水場整備に向けた工事を実施してまいります。
○岩永委員 では、境浄水場と上流部浄水場の整備について、現状と二〇二四年度の計画を伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 境浄水場につきましては、既存施設の撤去は今年二月に完了し、令和六年度は、地下部の掘削工事等を進めた後、本体築造工事に着手いたします。
また、青海市内に新設する浄水場は、現在、施設の規模や配置等の検討を進めており、六年度は、関連する導水管及び送水管の工事に着手いたします。
○岩永委員 配水量が、二〇二三年度よりも二〇二四年度は増える見込みになっています。コロナ明けで人々の活動が活発になったためでしょうが、近年の生活用水、都市活動用水、工場用水の量の変化及び二〇二四年度の見込みについて伺います。
○長嶺総務部長 用途別使用水量のうち、生活用水につきましては、令和二年度は前年度より増加し、令和三年度以降は減少しております。一方、都市活動用水及び工場用水については、令和二年度に減少いたしましたが、令和三年度以降は増加しており、いずれもコロナ禍以前の水量に戻りつつあります。
令和六年度予算における年間配水量は十五億五千七百九万立方メートルと見込んでおります。
○岩永委員 配水量は、若干増加する見込みとのことですが、一人当たりの配水量は一貫して減少しています。全体の水需要減少も予測をされており、施設能力のダウンサイジングが求められるのは当然です。
ダウンサイジングについて、どのような検討がされているのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 浄水場の施設能力は、水道需要の動向、浄水場の補修や事故に伴う能力の低下などを考慮し、更新に合わせて適正規模としてまいります。
○岩永委員 工事を始めた境浄水場と上流部浄水場は、東村山浄水場を更新するための代替施設として整備をしているそうです。東村山浄水場の更新はまだ先なので、その際、ダウンサイジングをどうするのか、まだ決まっていないようですが、水需要が減ることは確実なので、施設能力の規模を過大に設定しないよう求めます。
続きまして、長沢浄水場及び砧、砧下浄水所の包括委託について伺います。
二〇二三年度から、長沢浄水場と砧、砧下浄水所の東京水道株式会社への包括委託が始まりました。包括委託は、政策連携団体に業務移転を推進する一環ですが、そもそも包括委託のメリットは何か伺います。
○小澤経営改革推進担当部長 当局では、包括委託を導入することにより、業務の繁閑に応じた柔軟な人員の配置による効率化や、幅広い視野と業務知識を得ることによる主体的な事業運営が一層期待できるものと考えております。
○岩永委員 では、一年実施して、評価はいかがでしょうか。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、令和五年度から、長沢浄水場及び砧浄水場、砧下浄水所の包括委託を開始しております。五年度における浄水場業務は、適切に履行されております。
○岩永委員 昨年は、長沢、砧、砧下、それぞれの浄水場について人員体制を聞きましたが、委託後の体制は受託者の東京水道が決める、また、水道局から浄水場業務経験を持つ職員を派遣するという答えでした。
二〇二四年度も同様な体制になるのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 令和六年度の体制は、今年度と同様に、受託者が業務に必要な人員を配置いたします。
また、浄水場業務の経験を持つ当局職員については、令和六年度も派遣いたします。
○岩永委員 仕様発注方式で委託をしており、人員体制の規定はなく、水道局からの派遣は、二〇二四年度についても今年度と同様とのことです。
包括委託は、今年度、長沢浄水場で始めたばかりです。水道を利用している都民からは、水道局が責任を持って安全な水を供給することが求められています。
包括委託は、東京水道株式会社に浄水場の運営を丸ごと委託することになります。グループ経営を進めるということですが、今後、包括委託方式について評価するためのチェックが必要だと思います。
水道局の技術継承とともに、政策連携団体においても技術継承が重要です。技術者の定着や人材育成をどのように実施をしているのか伺います。
○船川職員部長 当局では、政策連携団体への業務移転を進める中で、局と団体が連携しながら、人材の育成や技術の継承を行っていくこととしております。
そのため、当局では、団体と共同で策定した東京水道グループ人材育成方針に基づきまして、組織的なOJT、共同研修や相互派遣等の取組を実施し、局、団体双方において、技術やノウハウの着実な継承を図っております。
○岩永委員 人材育成については、東京水道株式会社と水道局がグループで進めていくとしています。技術継承と人材の育成、定着を図ることは重要です。水道局も政策連携団体もしっかり取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、水道施設の耐震化について伺います。
能登半島地震では、重要なライフラインである上下水道施設の耐震化が大きな課題となっています。また、液状化による影響が被害を大きくしていると報道されています。水道施設の耐震化の重要性が高まっており、都としても早急な対策が必要です。
マスタープランでは、今後十年間の水道施設の耐震化の目標とスケジュールが示されています。それぞれの施設ごとに状況を伺っていきたいと思います。
まず、貯水池及び取水、導水施設の耐震化の現状と今後について伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 令和五年度は、村山上貯水池の堤体強化及び利根導水路の耐震化の工事が完了しました。
現在、朝霞浄水場の沈砂池の耐震化工事を実施しており、他の施設についても、引き続き、耐震化に取り組んでまいります。
○岩永委員 次に、浄水施設の耐震化の現状と今後について伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 浄水施設につきましては、浄水処理の最終段階であるろ過池や、浄水処理した水をためる配水池の耐震化を優先的に実施し、おおむね完了しております。
引き続き、着水井から配水池までの施設の連続性を考慮し、沈殿池等の耐震化に取り組んでまいります。
○岩永委員 続いて、配水池の耐震化の現状と今後について、どのようになっているのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、これまで計画的に配水池の補強工事を実施し、八割以上の耐震化が完了しております。
引き続き、工事期間中の安定給水を確保しながら、配水池の耐震化に取り組んでまいります。
○岩永委員 続いて、水道管、配水管と給水管、それぞれありますが、耐震化の現状と今後について伺います。
○鈴木給水部長 配水管につきましては、粘り強く強度の高いダクタイル鋳鉄管への更新がほぼ完了するとともに、耐震継ぎ手率は、令和四年度末で五〇%となっており、令和十二年度末までに六一%に向上させることを目標としております。
給水管につきましては、私道内給水管整備事業を実施しており、私道内給水管耐震化率は、令和四年度末で五一%となっており、令和十二年度末までに六七%に向上させることを目標としております。
○岩永委員 では、次に、水道管の液状化対策について、現状と今後を伺います。
○鈴木給水部長 都の被害想定では、液状化も踏まえ、震災時の断水率が示されております。
当局では、被害想定で断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、配水管の耐震継ぎ手化を重点的に進めており、令和十年度までに解消することを目標としております。
○岩永委員 都の被害想定では、液状化も踏まえた断水率となっているとのことです。
また、配水池は、八割以上耐震化が進んでおりますが、水道管の耐震継ぎ手化は、二〇三〇年度までに、配水管で六一%、給水管で六七%を目指すという計画とのことです。首都直下型地震への備えとしても、できるだけ前倒しをして進めていただきたいと思います。
また、水道施設の耐震化は、水道管とそれ以外の水道施設などの施設も含めて全てつながっておりますので、施設ごとの耐震化を進めていくことと併せて、水道施設全体という視点を持って進めていくようにお願いをいたします。
続いて、史跡玉川上水整備活用計画について伺います。
十一月の事務事業質疑でも質問しましたが、今回も継続してお聞きしていきたいと思います。
まず、計画改定に向けた今後のスケジュールについて伺います。
○西川経理部長 当局では、これまで三回、史跡玉川上水整備活用計画検討委員会を開催し、保存整備や植生管理の進め方などについて検討してきております。
今後、検討委員会における意見やパブリックコメントなども踏まえながら、令和六年中に計画改定案の検討を行ってまいります。
○岩永委員 小金井市部分では、桜以外の樹木が皆伐をされ、鳥の声が聞こえなくなったと、市民から訴えが寄せられています。また、専門家や市民団体の調査からも、小金井市域で観察される鳥の種類、そして、数が少ないことも報告されています。さらに、のり面の切り株の萌芽もまた切られておりまして、このままでは、根も枯死して、のり面が崩れるのではと、小金井市民だけでなく近隣市からも、SNSなどに懸念の声が投稿をされております。
小金井市部分の植栽について、生物多様性の尊重という視点は、どのように担保されるのでしょうか。
十二月に行われた史跡玉川上水整備活用計画検討委員会の議事録を拝見しました。東京都の生物多様性地域戦略を踏まえた管理が重要であると、委員の方からの意見でも出されていました。
草堤部分だけを対象とするのではなくて、風致地区、歴史環境保全地域、景観基本軸に指定されている玉川上水全体を、生物多様性の保全の視点から、整備、保全すべきと考えますが、見解を伺います。
○西川経理部長 現行の整備活用計画におきましても、史跡玉川上水の整備に当たりましては、緑の保全に配慮した植生管理を行うとともに、生物多様性を持った適切な生態系が維持されるよう努めることとしております。
引き続き、これらにも配慮しながら、必要な整備を行ってまいります。
○岩永委員 生物多様性を持った適切な生態系が維持されるよう努めるというようなご答弁もありましたが、小金井市部分についても、緑の保全や生物多様性を持った適正な生態系が維持されることがとても大切だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
地球的な異常気象、気候危機の時代にあって、計画策定時とは自然環境も市民要望も変化しています。今後、パブコメが行われるとのことですが、パブコメ案になる前に、これまでの計画や事業の評価や計画案について、子供や若者を含めて市民参加で意見交換する場を持っていただきたいという市民の声が上がっています。
検討委員会が市民の意見を聞く場や、検討委員会と市民が意見交換できる懇談の場を持つなどの取組を要望しますが、見解を伺います。
○西川経理部長 当局では、計画改定に係る住民説明会を開催し、そこで寄せられた意見を検討委員会に報告しております。
○岩永委員 住民説明会で出された意見を検討委員会に報告しているとのことです。今後も住民説明会をぜひ開催していただきたいですし、また、開催に当たっては、説明会の周知についても、余裕を持って、広く市民に周知していただきたいと思います。また、子供や若者が参加できる仕組み、声を集める方法についての検討も重ねて要望いたします。
次に、狛江アパートの漏水について伺います。
都営狛江団地の商店会部分で二〇二一年五月に起こった水道の漏水が、もうじき三年たちますが、いまだに漏水を止める工事が行われず、水が流れ続けていると聞いています。漏水が始まってテレビ報道された頃は、ジャージャーと水が流れる音がするほど勢いよく漏水しており、地盤に影響するのではないかと心配する声を聞きました。二〇二二年二月にレーダー探査が行われ、二三年十一月には現地の状況調査を行ったとのことです。
漏水の状況について伺います。
○大友技術調整担当部長 レーダー探査は、令和四年二月と十二月に住宅政策本部が実施しており、地下部に空洞などは確認されなかったと聞いております。
令和五年十一月の現地での状況調査は、住宅政策本部と当局で漏水音調査と目視調査を実施いたしました。漏水音調査では、メーター部から漏水音を確認しましたが、目視調査では、漏水が想定される付近にたまった水の動きは僅かでありました。
○岩永委員 この問題について昨年十一月に質問したときは、解決に向けて協議されているということでした。
その後の経過について伺います。
○清水調整部長 当局は、住宅政策本部と、引き続き漏水の解消に向けた情報共有や協議を随時行っております。
また、昨年十二月及び本年二月に住宅政策本部が実施しました店舗所有者への修繕工事に係る説明会に同席し、当局からも早急な漏水修繕をお願いしたところであります。
○岩永委員 漏水は、応急措置によって、当初ほどひどい状況ではないようですが、三年もの間、修繕工事が行われず、あきれるほどです。これまでも要望してきましたが、何はともあれ、漏水を止める工事をすることが重要です。費用負担については、その後、協議すればいいと思います。結局、時間ばかり過ぎてしまっており、一刻も早く解決するように求めます。
次に、女性職員割合について伺います。
このテーマでは、先日の下水道局の質疑でも伺いましたが、水道局の状況についても確認していきたいと思います。
東京都では、二〇二〇年四月一日時点で二〇・二%だった行政系の女性管理職の割合を二〇二五年までに二五%まで高める目標を掲げて取り組んできていますが、「ライフ・ワーク・バランス」推進プランによる公表データでは、二〇二一年度二〇・二%、二二年度二〇・五%と少しずつ増えてきていたのですが、二三年度には一八・四%と減ってしまっている状況があります。
そこで、二〇二三年度の水道局と政策連携団体の女性割合と管理職に占める女性割合について伺います。
○船川職員部長 令和五年八月一日現在、他団体の退職派遣者を含む水道局職員に占める女性の割合は二〇・〇%、水道局の管理職に占めます女性の割合は七・二%でございます。
また、東京水道株式会社の固有社員に占める女性の割合は二五・八%、同社の管理職に占める女性の割合は八・七%でございます。
○岩永委員 改めて、人事の方は総務局の範疇ということで理解をしておりますけれども、この水道局の女性割合、遡って推移を見てみますと、二〇一九年度は一八・二%、以降、二〇年度一八・五%、二一年度一九・〇%、二二年度一九・九%というふうになっています。管理職の女性割合は、二〇一九年度に六・九%、二〇年度八・二%、二一年度九・一%、そして、二二年度が七・四%ということでした。
政策連携団体である東京水道サービス株式会社の固有社員の女性割合については、二〇一九年度二二・七%、二〇年度二三・五%、二一年度二六・五%、二二年度二五・九%となっておりまして、管理職の女性割合は、二〇一九年度に六・一%、二〇年度五・六%、二一年度六・五%、二二年度七・〇%となっています。
水道局では、この五年間で女性職員数は二十九人、約三十人増えておりまして、直近の二〇二三年度で七百二十七人です。先ほどのご答弁では、割合としては二〇%まで増えているという状況が分かりました。
三月十二日に、育児・介護休業法の改正案が閣議決定をされまして、今後、子供が三歳になるまでテレワークを利用できるように企業に努力義務を課すこと、また、仕事と育児、介護が両立しやすい環境整備が、少しずつ今後進んでいくことが見込まれています。
女性職員も含めた働きやすい職場づくりに向けて、どのような取組をされているのか伺います。
○船川職員部長 当局では、働きやすい職場づくりのため、東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プランに基づき、テレワークや時差勤務の活用など、柔軟な働き方を推進するとともに、各職場におきまして両立支援アドバイザーを設置し、育児や介護と仕事の両立に関する職員からの相談に対応するなどの取組を行っております。
○岩永委員 時差通勤やフレックスタイム制、テレワークなど様々な取組も進んできていますが、職場によってはテレワークが難しい部署などもあると思います。
先ほどのご答弁では、相談体制として両立支援アドバイザーがあるということです。直属の上司や部署内では相談しにくいことを相談できる体制は大切です。子育てだけではなく、介護をしながら働くことは、性別や年齢にかかわらず、誰にとっても働きやすい職場づくりにつながります。そして、育児や介護をしながら働き続けるために、このような取組と併せて、必要なときには休める環境と、日頃から仕事を一人で抱えない組織内での連携、また、相談しやすい職場の体制を意識してつくっていく必要があると思います。
そして、委員会要求資料の方にあります男性職員の育児休業取得率を拝見しますと、二〇一八年度は一〇・三%でしたが、二〇二二年度には七九・二%と、この五年間で八割近くになっているということも確認いたしました。
女性に限らず、誰にとっても働きやすい職場となるように、引き続き取り組んでいくことを要望しまして、質問を終わります。
○伊藤(し)委員 まずは、中小建設関連事業者の猛暑対策について伺います。
建設業界は、人材不足が大きな課題であり、時間外労働の上限規制が目前に迫る中、人材確保は今後一層厳しさを増してきます。そして、地域のインフラ整備、維持管理等を担う中小の事業者は、働き方改革と持続可能な経営の両立に特に苦慮しているとお聞きしています。
私は、昨年の第三回定例会での一般質問や公営企業委員会においても、中小建設関連事業者の猛暑対策について質問しましたが、もはや災害級ともいえる夏の酷暑での作業に対しては、安全対策に力を入れて取り組む必要があると認識しています。
そこで、熱中症対策について、これまで取り組んできた内容を伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 水道事業を支える工事事業者の人材確保や働きやすい現場環境の実現に向け、発注者である当局が熱中症対策に取り組むことは重要であります。そのため、当局では、受注者に対し、暑さが本格化する前の段階から、工事現場などにおける熱中症の計画的な予防や対策の徹底等について注意喚起を実施しております。
また、熱中症対策により工期に影響がある場合は、延伸の協議が可能である旨周知しておりますとともに、費用面におきましても、必要な対策費用を当初工事費に計上することに加え、追加対策や工期延伸に伴う経費につきましても、設計変更により対応しております。
さらに、設計変更に必要な真夏日の報告について、受注者の負担軽減の視点から検討を行い、来年度からは、気象庁観測データのみの提出とするなど、提出書類を削減することといたしました。
○伊藤(し)委員 提出書類の削減は、事業者からの要望も多いので、引き続き取り組んでください。
また、私は、さきの第三回定例会の一般質問において、猛暑の実態把握のために、事業者へヒアリングを行うよう提言し、財務局からは、各局と連携して、事業者団体との意見交換などの機会を通じて実態把握に努めるとの答弁がありました。
これを踏まえ、公営企業委員会においても、中小事業者の声を聞き、制度の実効性を確保するよう求めたところ、水道局からは、事業者団体と意見交換などを行う旨の答弁がありました。
それでは、猛暑対策についての事業者との意見交換について、対応状況を伺います。
○石田建設部長事業調整担当部長兼務 熱中症対策の取組をさらに推進するためには、中小の事業者の声を聞き、実態を把握することが重要であると認識をしております。
この間、当局では、事業者団体との意見交換に向け、関係局と時期や方法等の調整を実施してまいりました。今後、四月を目途に事業者団体との意見交換を行い、中小の事業者の実態も踏まえました必要な対策の実施に努めてまいります。
○伊藤(し)委員 来月四月に意見交換を実施するとのことですが、近年の気温の傾向を踏まえますと、猛暑になる時期が早まることも想定されることから、水道局独自でも、早急に意見を聞くよう強く要望します。
働く人たちの安全のためにも、猛暑対策の取組を推進し、中小事業者に積極的に活用してもらえるよう、対応を求めておきます。
次に、震災対策について伺います。
昨年度、都は、首都直下地震等による東京の被害想定を見直しました。この被害想定では、身の回りで起こり得る災害のシナリオや被害の様相が記載されており、水道の復旧に向けた動きも示されています。
水道の被害については、断水率は、都心南部直下地震で最大となり、都内の断水率は二六・四%と想定され、おおむね復旧が完了するまで、約十七日後となっています。震災対策につきましては、耐震継ぎ手化など水道局の積極的な取組は評価しますが、こうした取組の効果を都民に分かりやすく伝えることも必要です。
そこで、現在進めている耐震化などの取組により、被害をどれだけ軽減していくのか伺います。
○橋本浄水部長特命担当部長兼務 地震による断水被害を軽減するには、水道施設の被害を未然に防止し、被害箇所数を可能な限り減少させることが必要でございます。
このため、当局では、水道施設の耐震化などの予防対策を計画的に推進しており、中でも、被害の効果的な軽減に向け、都の被害想定で断水率が高い地域の耐震継ぎ手化を重点的に進めております。
こうした取組を進め、水道施設整備マスタープランの目標年度である令和十二年度末に、断水率を一九%、復旧日数を十二日以内としてまいります。
○伊藤(し)委員 復旧日数は、令和十二年度末に十二日以内を目標として、被害の軽減に取り組むとのことですが、実現に向けて、耐震継ぎ手化などを積極的に進めていただきたいと思います。
その一方で、現状の被害想定では、水道の復旧完了まで約十七日かかります。災害に備えて都民に呼びかけをお願いしている水の備蓄量は三日分程度であり、復旧するまでの間、都民はどうすれば水を確保できるのでしょうか。自助、共助だけでなく、公助として災害時の水の確保策を講じる必要があります。
それでは、水道が復旧するまでの間、水道局はどのように水を提供するのか伺います。
○長嶺総務部長 当局では、地震などにより断水が発生した場合、浄水場や給水所のほか、公園などに設置されている応急給水槽などの給水拠点において、都民への応急給水を実施することとしております。
このうち、応急給水槽は、地震時に管路と遮断されることで管路損傷などがあった場合でも、貯留された水により給水することが可能でございます。また、小学校や中学校などの避難所には、災害時でも水道水を使用できるよう応急給水栓を設置しており、避難所までの管路については、耐震化が概成しております。
こうした給水拠点や避難所などの災害時給水ステーションを都内各地に約四千六百か所整備しております。さらに、区市町が設置する仮設水槽に給水車で随時水を補給し、応急給水を実施いたします。
こうした多様な手段により、断水から復旧するまでの間、都民に水を提供できるよう備えております。
○伊藤(し)委員 発災時の水の確保は、都民が生活を送る上で大変重要です。早期復旧を進めるとともに、復旧までの間も、都民が水の供給を受けられるよう、的確な対応をお願いします。
さて、この被害想定は過去の地震災害などの知見と最新のデータに基づいていますが、幾つかの仮説や地震のメカニズムなどの課題があるため、被害を過小評価する可能性があり、その結果、様々なリスクに対する都民や行政の備えがおろそかになる可能性もあるとのことです。水道局は発災への備えを進めていますが、想定以上の被害が生じたり、復旧日数が延びたりすることも考えられます。
それでは、想定を超える被害が生じた場合、水道局はどのように対応するのか伺います。
○長嶺総務部長 当局では、浄水場や配水管など施設の耐震化に取り組むとともに、管路のネットワーク化、二重化を進め、断水リスクを着実に低減しております。
一方、想定以上の被害が発生した場合でも、住民への応急給水や施設の早期復旧を的確に行い、一刻も早い平常給水への回復を図ることが重要でございます。
そのため、応急対策に係る局内体制や活動内容を、震災等応急対策計画や職員の行動マニュアルとして定めるとともに、毎年度実践的な訓練を重ね、断水発生時の対応体制を整えております。また、大規模な被害にも対応できるよう、他の水道事業体からの受援体制を構築しております。
こうした取組により、発災時においても給水を確保してまいります。
○伊藤(し)委員 断水をゼロにすることが難しいことは承知していますが、想定外の断水被害が生じた場合でも、都民への応急給水や早期の復旧を進めていくことが重要です。そのための体制を水道局や水道関係者が協力して構築し、発災時に的確に対応できるよう、備えを進めていただきたいと思います。
次に、多摩地区水道の強靱化についても伺います。
一月に発生した能登半島地震では、発生直後から、水道局は即時に現地へ向かい、現在に至るまで、応急給水や調査、復旧に対して尽力されているとお聞きしています。厳しい環境の中で従事していただいた職員や関連事業者の皆様に対し、心から感謝を申し上げます。
さて、断水が長期化かつ広域化した原因は、水道管路の多くが耐震化されていないことや広域的な送水を担う送水管ルートが一つしかなかったことが、ニュースなどで指摘されています。そして、能登半島の地形や、山間部から市街地までの水道施設が分散して点在しているところを見ますと、多摩地区との類似性も感じます。
同じような地形や水道施設や管路の状況を踏まえますと、大規模地震が発生した場合、多摩地区においても、能登半島と同様に広域的かつ長期的な断水被害が発生することも懸念されますので、多摩地区水道の強靱化について質問します。
まず、多摩地区における震災時の断水被害の低減に向けた現在の施設整備の取組について伺います。
○大友技術調整担当部長 多摩地区では、平常時はもとより、震災時の広域的な断水被害を回避することを目的に、送水管の広域ネットワーク化を推進しており、令和五年三月に、東村山浄水場と拝島給水所を結ぶ多摩南北幹線が完成したことにより、このネットワーク化は完成いたしました。
一方、多摩地区の給水所などには、浄水場からの受水が一系統の施設もあり、送水管の事故時には、給水所などへの送水が確保できない可能性がございます。このため、現在、送水管の二系統化を推進するとともに、震災時にも一定の給水量を確保できるよう、給水所における配水池容量を拡充し、バックアップ機能の強化を推進しております。
○伊藤(し)委員 広域的な管路のネットワークが完了していることは、震災時における給水安定性が大幅に向上することが期待されます。
一方で、広域的な管路整備は重要ですが、都民への給水を確実に確保するためには、都民に、より近い配水の拠点となる施設への対策も必要です。特に、震災時においても浄水場から給水所へと確実に送水するため、答弁にあった送水ルートの二系統化の推進は重要と考えます。
そこで、給水所等への送水管の二系統化に向けた具体的な事業の実施状況とその効果について伺います。
○藤村施設部長 当局では、現在、立川市の柴崎給水所と日の出町の文化の森給水所への送水管を二系統化するための工事を実施しており、ともに令和九年度に完成する予定でございます。また、清瀬市の清瀬梅園給水所についても、現在、送水管を二系統化するための設計を進めており、令和六年度に工事に着手する予定でございます。
これらの整備により、災害や事故時におけるバックアップ機能が強化されることで、立川市、清瀬市など、合わせて約二十六万人の給水安定性が向上いたします。
○伊藤(し)委員 多摩地区の給水所における送水管の二系統化の取組状況を確認しました。
さて、さきの事務事業質疑において、柴崎給水所については、送水管のみならず給水所本体についても、施設の更新に合わせて、震災時に一定の給水量が確保できるよう整備するとの答弁がありました。
それでは、柴崎給水所の現在の整備状況や具体的な整備効果についても伺います。
○藤村施設部長 当局では、配水区域の再編に加え、災害や事故時における給水を確保するため、柴崎給水所の配水池容量を四千五百立方メートルから二万立方メートルに拡充することとしております。既に、平成二十六年度から、一期目の工事として、二か所の配水池のうち一か所の更新工事を実施し、令和四年度に完了しました。引き続き、二期目の工事として、残る一か所の配水池の更新工事を行うとともに、送水管を二系統化するための工事も実施しており、ともに令和九年度の完成に向け、着実に整備を進めております。
この整備により、立川市南部に加えて、国立市の一部も含めた配水区域が新たに構築され、約九万人の給水安定性が向上いたします。
○伊藤(し)委員 これまでの質疑で、給水所本体のみならず、それらの施設に水を送る送水管も併せて、水道システム全体の整備が着実に進んでいることを確認しました。柴崎給水所以外の施設についても、耐震化や配水池の拡充が進み、送水管の二系統化を含め、多摩地区水道の強靱化に向けて、水道施設の整備を計画的かつ着実に進めることを改めて強く要望します。
さて、多摩地区水道のハード面の整備については確認しましたが、一方、いつ起きてもおかしくない大地震への備えには、ソフト面での対策も不可欠です。
能登半島地震において、地方から参集した水道事業体や自衛隊による応急給水活動が、連日テレビ等で放映されていました。
災害が発生し、断水が生じた場合であっても、住民に水を供給するための備えが、ライフラインには求められています。
それでは、多摩地区における発災時に備えた応急給水体制の構築について伺います。
○清水調整部長 震災時に応急給水を迅速かつ確実に実施するためには、応急給水の主体となる市町などとの連携が重要でございますことから、平成二十四年の都営水道一元化完了以来、市町の危機管理部署との協力体制の強化に取り組んでおります。
これに加え、発災時における給水拠点での地域連携の強化、避難所等における市町による給水訓練の実施促進、住民の自助、共助促進のための防災広報の拡大などを目的としました取組方針を、今年度新たに作成したところでございます。この方針に基づき、政策連携団体である東京水道株式会社と協力し、応急給水訓練の拡大や市町への訓練支援等、さらなる連携強化に取り組んでおります。
今後、能登半島地震の対応のため派遣した職員の経験等も生かしながら、取組を加速し、局、政策連携団体、市町など、多摩地区が一体となった、強靱で持続的な応急給水体制を構築してまいります。
○伊藤(し)委員 ハード面だけでなくソフト面でも、様々な手段で災害時の対策を用意していることを確認しました。災害時でも確実に都民に水を届けられるように、今後も取り組んでいただきたいと思います。
さて、多摩地区水道の一元化は、施設の整備と市や町との連携により、その礎が築かれてきました。今般、能登半島地震の状況を踏まえ、多摩地区における水道の強靱化を推進していくためには、これまでの取組をより一層強化する必要があり、約四百万人の給水人口を擁する多摩地区水道を牽引するリーダーシップが求められています。
そこで、将来に向けた多摩地区水道の強靱化について、多摩水道改革推進本部長の決意を伺います。
○石井多摩水道改革推進本部長 多摩地区の水道施設は、各市町で整備された施設が大半を占めており、市街地から山間部までの広大な地域に多数存在し、老朽化が進行しているとともに、配水区域は市町域単位で設定をされております。このことから、多摩地区を、水源や地形、地盤の高低差等の地域特性を踏まえ四つのエリアに分類し、その特性に合わせた合理的かつ適切な配水区域への再編や施設整備を実施してまいります。
また、これに向け、給水所等への送水管の二系統化や既存送水管の更新を行い、送水管ネットワークのさらなる強化を図るとともに、施設の耐震化や配水池容量の拡充を推進するなど、平時はもとより、災害や事故時における対応力も強化してまいります。
さらに、今後は、防災力強化の取組方針をバージョンアップし、これに基づき、市町の防災会議に積極的に参画するとともに、市町や東京水道株式会社と連携をして、八十六か所の給水拠点ごとに、地域特性を踏まえた対応マニュアルを作成するなど、応急給水体制の実効性を強化していきます。
こうしたハード、ソフト両面の取組を着実に実施していくことで、強靱で持続可能な水道システムを構築し、さらなる安定給水を確保するとともに、多摩地区水道が将来にわたり信頼される広域水道を実現してまいります。
○伊藤(し)委員 地域によって課題や特性が異なる多摩地区水道の強靱化に向けた力強い意気込みを確認しました。
今後とも、局を挙げて、防災力の強化を含めた多摩地区水道の強靱化に向けて積極的に取り組んでいただくよう求めまして、質問を終わります。
○村松委員 よろしくお願いいたします。
まず、能登半島地震により、給水車から応急給水を受ける住民の姿がテレビで繰り返し放映されているのを見ると、改めて日常生活における水の重要性を痛感いたします。発災直後から支援に当たられている局職員の皆様に、改めて敬意と感謝を申し上げます。
東京でも、マグニチュード七クラスの首都直下地震の発生確率は、今後三十年間で七〇%とされていることからも、都における災害時の応急給水について確認させていただきます。
都は、管路の耐震継ぎ手管への取替えなど、様々な災害対策に取り組んでいると認識しています。今回の能登半島地震を見てみると、耐震継ぎ手管でも耐えられない地盤の隆起などにより断水が発生しています。断水が起きないように送水ネットワークをつくっていくことなども重要と考えますが、さらに、断水が発生した場合の備えも重要です。
断水発生に備えた給水拠点は、おおむね半径二キロ毎に一か所、都内全体で合計二百十三か所と聞いております。震災に備えて水をためておく施設は整備していると理解しておりますが、実際に震災が発生した際に、迅速かつ確実に応急給水が行われるよう、仕組みが整備されている必要があります。
まず、震災時に、誰がどのように応急給水を実施することになるのか伺います。
○坂井サービス推進部長 都では、災害時に応急給水を実施する給水拠点といたしまして、浄水場や給水所などの当局施設に加えまして、公園などに応急給水槽を整備してございます。
応急給水活動時の役割は、東京都地域防災計画で定められてございまして、当局施設では、局や区市町の職員、地域住民が、資器材の設置や残留塩素の確認などの開設作業を実施いたしまして、区市町が住民への給水を行うこととなっております。また、応急給水槽では、区市町が開設作業から給水活動までの全てを行うこととなってございます。
○村松委員 発災時には、都民が最寄りの給水拠点に水をもらいに行くということになるわけですが、そのためには、その給水拠点が開設されているかどうか、あらかじめ分かっていなければ、行ってみたら開設されていなかったということもあり得ます。
現在、給水拠点の開設情報については、水道局アプリやホームページなどで公表していますが、都民へ速やかに開設情報を提供するためには、個々の給水拠点ごとの開設情報を迅速、的確に収集することが重要です。答弁にあったように、震災時、実際に給水拠点を開設するのは、都職員のほか、区市町職員や地域の住民など多様な主体となります。都がこうした様々な主体から速やかに開設情報を集約する必要があるわけですが、現在、水道局では、個々の給水拠点の開設情報をどのように集約し、都民にお知らせしているのか伺います。
○坂井サービス推進部長 給水拠点の開設情報は、各施設が所在する当局事業所におきまして、個々の給水拠点の作業者から開設準備完了の電話の連絡を受けまして、その情報をシステムに入力し、集約することとしてございます。
この集約された情報を基に、職員が、東京都水道局アプリへのアップロードや局ホームページへの掲載、Xへの発信などを行いまして、都民への周知を図っているところでございます。
○村松委員 情報の流れは理解できましたけれども、同時に、この個々の給水拠点の開設状況を局で集約する段階で、電話連絡や手作業での情報入力など、人手によるかなりアナログな対応であることが分かりました。様々な情報が錯綜することも想定される災害時に、二百を超える給水拠点の開設情報を迅速かつ確実に集約することは、容易なことではないと思います。
DXにより、給水拠点、情報集約の効率化を図るべきと考えますが、局の取組を伺います。
○坂井サービス推進部長 災害時に、都民に給水拠点の開設状況を迅速かつ正確に伝えるためには、開設情報の速やかな集約が不可欠でございます。
このため、昨年十月以降、都内四か所の給水拠点で、扉の開閉を自動で検知し、クラウドで集約する機器の検証を区市と共に実施した結果、機器の有効性が確認できたところでございます。
今後、区市町の声も聞きながら、効果的な運営方法等を整理しつつ、来年度、当局が管理する全ての給水拠点に機器の設置を拡大し、発災時の応急給水における対応力を一層高めてまいります。
○村松委員 今回の応急給水施設の開設に関するDXは、情報伝達や集約の作業が自動化されることから、こうした作業に不慣れな職員等の負担を軽減し、都民への情報伝達のスピードを一層高める取組であると考えます。
応急給水は、区市町を含む多様な主体が協力して実施するものでありますから、機器の設置にとどまることなく、多くの声を聞きながら、手順の整理や訓練による習熟と振り返りによる改善を継続し、応急給水の確実な実施と開設情報の迅速な発信につなげていただきたいと思います。
次に、水道メーターの取替え業務の効率化について伺います。
私は、昨年、事務事業質疑において、書類の簡素化等工事事業者に対する負担軽減や業務の効率化について要望してまいりました。各局連携して、書類の削減やDXなど、事業者に対する負担軽減は検討していただいているかと思います。
水道事業に関わる業務の中には、人手によって対応しているアナログなものが残っているのではないかと思っています。例えば、我が会派が推進を主張している、先ほど質疑のあったスマートメーターですが、全戸導入はまだ先のことですが、現在でも水道メーターは都内で約八百万個あり、毎年多くのメーターが取り替えられています。
まずは、水道メーターの取替えの状況について、取替えにおける作業内容と業務フローについて伺います。
○鈴木給水部長 当局では、法律に基づき、水道メーターの取替えを八年に一度実施しております。都内には、約八百万個のメーターが設置されており、当局からの委託により、約二百八十者の事業者が毎年約百万個の取替えを行っております。
現地におけるメーター取替え作業に当たりましてですが、新たに取り付けるメーターの管理番号や取替え前後のメーターの指針値等を目視により確認した上で、指定の用紙に必要事項を手書きで記入しております。作業を行った事業者は、会社に戻った後、現地で記録した指定用紙の必要事項を再度専用のシステムに入力をしております。
○村松委員 毎年百万件ものメーターを二百八十の事業者で取り替えていて、相当程度手作業が残っているということです。百万件という膨大な件数について、作業を人手によりミスなく処理するためには、事業者側に相当な負担がかかっているのではないかと考えられます。
メーター取替え業務においてDXを活用し、事業者の作業負担軽減や業務の効率化を進めるべきと考えますが、局の見解を伺います。
○鈴木給水部長 メーター取替え業務におけますDXの推進は、事業者の作業負担軽減や業務の効率化を図っていく上で重要と認識しております。
このため、当局では、メーター取替えにおける作業の効率化を図るため、令和六年度、納品されるメーターに二次元コードを付与するとともに、事業者に対し、タブレット端末を貸与いたします。このタブレット端末で二次元コードを読み込むことにより、取り付けるメーターの情報が即時に確認できるとともに、タブレット端末に取替え前後のメーターの指針値等を入力することで、その場でシステムに登録可能となります。
こうした取組により、作業の負担軽減を図り、メーター取替え業務の正確性や効率性を高めることで、事業者の働き方改革にもつなげてまいります。
○村松委員 膨大かつ画一的な作業を正確にこなすということは、DXの効果が一番出やすい分野と考えます。二次元コードとタブレットを用いた業務の効率化は、事業者の負担軽減に寄与するものと考えられ、着実に取り組んでいただきたいと思います。
本日は、給水拠点の情報集約と給水メーター取替え業務のDXについて、局の新たな取組を確認することができました。引き続き、DXを積極的に活用し、事業者の負担軽減や業務の効率化をさらに推進することを要望し、私からの質疑を終わります。
○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あぜ上委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
午後三時三十四分散会
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