公営企業委員会速記録第四号

令和六年三月十八日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長あぜ上三和子君
副委員長伊藤しょうこう君
副委員長保坂まさひろ君
理事福手ゆう子君
理事伊藤こういち君
理事村松 一希君
岩永やす代君
玉川ひでとし君
本橋たくみ君
柴崎 幹男君
本橋ひろたか君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長久我 英男君
次長梅村 拓洋君
総務部長豊田 義博君
職員部長市川 雅明君
資産運用部長小林 弘史君
電車部長神永 貴志君
自動車部長櫻庭 裕志君
車両電気部長生越 啓史君
建設工務部長坂口 淳一君
企画担当部長DX推進担当部長兼務渡貫 貴浩君
技術企画担当部長一條 勝夫君
安全管理担当部長太田 純也君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
バス事業経営改善担当部長佐藤 和哉君
技術調整担当部長神田 隆司君
技術管理担当部長飯沼 健一君

本日の会議に付した事件
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十四号議案 令和六年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 令和六年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 令和六年度東京都電気事業会計予算
報告事項(質疑)
・令和五年四月に発生した日暮里・舎人ライナーの輸送障害について

○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二十四号議案から第二十六号議案まで及び報告事項、令和五年四月に発生した日暮里・舎人ライナーの輸送障害についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○豊田総務部長 過日の委員会で要求のございました資料を、お手元の資料1、公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 各団体における職員数と、そのうち都から派遣している職員数、団体の固有職員数、都退職者数を記載してございます。
 続きまして、二ページをご覧ください。政策連携団体、事業協力団体における職員数の雇用形態別推移でございます。
 各団体における職員数を過去五年分記載してございます。
 三ページをお開き願います。定数、職員数の推移でございます。
 当局の条例定数及び職員数を過去五年分、職種及び雇用形態別に記載してございます。
 続きまして、四ページをご覧ください。女性職員数の推移及び女性職員の宿泊施設の整備状況でございます。
 当局の女性職員数、過去五年分と宿泊施設数、そのうち女性職員が宿泊できる施設数及び整備割合を記載してございます。
 五ページをお開き願います。都営バス運転手の新規採用人数でございます。
 当局のバス運転手の新規採用人数を過去五年分記載してございます。
 続きまして、六ページをご覧ください。交通局の事務職員と都営バス運転手の雇用形態別の年間労働時間と年収でございます。
 雇用形態別に、それぞれ年間労働時間、年収及び平均年齢を記載してございます。
 七ページをお開き願います。未利用局有地の所在地及び面積でございます。
 交通局が所管する普通財産で、恒久的な利用に供していない土地について記載してございます。
 続きまして、八ページをご覧ください。育児休業の取得人数と取得率の推移でございます。
 育児休業の取得人数及び取得率を過去五年分記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○保坂委員 都民ファーストの会東京都議団の保坂でございます。よろしくお願いします。
 本日は、交通局が所管します各事業のうち、都営交通の主に四事業について質問をさせていただきたいと思います。
 令和六年度予算案は、令和五年度の当初予算と比較して、日暮里・舎人ライナーを除く三事業において経常損益の改善が見られます。これは、経費節減などの支出側の努力はもちろんあるのでしょうが、昨今の乗客数の回復状況を踏まえたものと推察もいたします。
 先日、都営バスについて、乗車料収入の増加などを理由に、令和五年度の補正予算案が提出され、可決をいたしました。恐らく、ほかの事業につきましても乗客数は回復傾向と思われますが、一方で、そろそろ頭打ちといった声も聞こえてきます。乗客数の回復トレンドが今後も持続するのかどうかは、大変重要なポイントになります。
 そこで、まず、令和六年度予算案におけます各事業の乗客数は、令和五年度当初予算と比較し、どの程度増加しているのか、また、その基調は今後も継続するものと見込まれるのか、併せて伺います。

○豊田総務部長 令和六年度予算案における一日当たりの乗客数は、令和五年度当初予算に比べ、地下鉄は九%、バスは五%、都電は七%、日暮里・舎人ライナーは六%の増加を見込んでおります。
 見積りの前提とした今年度の乗客数は当初予算を上回る見込みであるものの、回復傾向が鈍化していることから、今後、大きな伸びは期待できないものと考えております。

○保坂委員 四事業全てで前年度の乗客数よりも増加すると。一方で、今後は伸びが期待できないと見込んでいることが、今、確認できました。
 そのような状況ですので、今後は、取り組む余地のある需要を確実に獲得する努力を行っていく必要があります。通勤や通学以外のお出かけや観光での利用を促す視点が欠かせませんし、旺盛なインバウンドの需要を取り込んでいくことは、都営交通の今後の経営にとっても極めて重要です。
 折しも先月、大江戸線都庁前駅にて、素早い翻訳が可能となりましたディスプレーが導入されました。多くのメディアでも報じられていますが、私も都庁前駅に伺って実物を見学させていただきました。透明なディスプレーに話したことが文字で表示されて、特に日本語が分からない外国人観光客とのやり取り、こういったものにも効果を発揮するのではないかと思いました。
 そこで、先月から都庁前駅に設置している、多言語翻訳ができる透明ディスプレーについて、活用状況や案内に従事されております駅係員の感想なども伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 先月二十九日から都庁前駅において運用を開始したUCDisplayは、十二言語に対応して翻訳を表示することが可能であり、行き先案内や乗車券の購入方法など、お客様からの外国語による様々な問合せに活用しております。
 駅係員からは、お客様の表情を見ながらコミュニケーションが取れる、操作が簡単で使いやすいなどの好意的な意見や、感度がよ過ぎて周囲の声まで拾ってしまうなどの課題が挙げられております。
 設置後の利用状況を踏まえまして、来年度以降の導入駅拡大について検討していくこととしております。

○保坂委員 おおむね良好ということで答弁いただきましたが、二〇二五年、来年九月には世界陸上が、同じく十一月にはデフリンピックがそれぞれ開催されますので、その開催に向けて、都営地下鉄のそのほかの駅、とりわけツーリストインフォメーションセンターや外国人旅行者が多い、例えば地元の上野御徒町駅など、こういった駅に積極的に導入されることも求めておきます。
 同じく、大江戸線都庁前駅では、新しいタイプの無料Wi-Fiサービスと、地下空間においてもナビゲーションが可能なグーグルマップを活用しましたインドアライブビューサービスを既に展開されていると伺っております。
 従来の無料Wi-Fiは、たくさんの駅で展開されていましたが、今もされておりますけれども、電波が不安定で、すぐに途切れてしまうなどといった声が、私の下にもよく届いております。
 一方、新たな無料Wi-Fiサービスは、一度登録しますと、海外、国内ともに再度登録する手間が省ける上、セキュリティ上も優れていると伺っております。
 また、グーグルマップのアプリは、全世界でダウンロード数が十億件を突破しており、外国人旅行者の多くが活用していることと思います。
 そこで、都庁前駅に導入されましたオープンローミングに対応した無料Wi-Fiサービス、これとグーグルマップのインドアライブビューは、訪日外国人向けのサービスとして有効な取組と評価しますが、これらの今後の取組について伺います。

○一條技術企画担当部長 昨年四月から、訪日外国人向けのサービスとして、暗号化等により情報漏えいを防ぐなど、高い安全性と利便性を兼ね備えたオープンローミング対応Wi-Fiを導入しております。
 現在、アクセスポイントへの接続数など、お客様の利用動向を勘案しながら、さらなる設置の可能性について検討しております。
 また、グーグルマップのインドアライブビューについては、GPSの届かない地下鉄駅構内においても、地上の目的地までARでルート案内が可能なサービスであり、本年一月から都庁前駅で開始しております。
 現在、事業者と連携して準備を進めており、訪日外国人の利用が多い駅など、順次導入を拡大してまいります。

○保坂委員 先ほどの多言語翻訳の透明ディスプレーに加えて、無料Wi-Fiサービスとグーグルマップのインドアライブビューにつきましても、都庁前駅以外の駅にも順次拡大していかれることを求めておきます。
 続いて、都営地下鉄におけます関連事業について伺ってまいります。
 都営新宿線の市ヶ谷駅でオープンを予定しています都営交通初のセレクトショップとえいろについては、前回十一月の事務事業質疑でも取り上げさせていただきましたが、都営交通の沿線の店舗などと連携をして、沿線の魅力の掘り起こしや発信に取り組む大変意義のある取組と理解をしております。
 その際、私からは、地下鉄に限定することなく、バス、都電、ライナーも含めて、都営交通沿線の魅力を発信してほしいと求めてきました。
 そこで、都営交通の沿線セレクトショップにおいては、沿線の魅力発掘に向けて、沿線に立地する店舗や企業など様々な事業者と連携を図るべきと考えますが、開店に向けた準備状況について伺います。

○小林資産運用部長 都営交通の沿線セレクトショップとえいろは、地下鉄をはじめ、バス、都電、日暮里・舎人ライナーの沿線企業や店舗などの商品を扱うこととしており、令和六年五月の開設に向けて、現在、内装工事の準備を行っております。
 とえいろでは、沿線にある企業等の食品、飲料、雑貨のほか、こうした企業などと連携して開発した都営交通とのコラボレーション商品も販売する予定といたしておりまして、魅力ある商品構成となりますよう、運営事業者において選定調整を進めているところであります。

○保坂委員 実際、店舗に並ぶ商品のラインナップに期待をしているところであります。特に、都営交通とのコラボレーション商品は、とえいろでしか買えないオリジナルのものということですので、お店に足を運ぶきっかけにもなります。ぜひ商品開発には力を入れてもらいたいと思います。
 同じく、事務事業質疑において、東京さくらトラムの三ノ輪橋おもいで館を引き合いに、営業日や営業時間の充実についても求めていました。
 今回、とえいろの営業日は平日と土曜日、平日の営業時間は朝八時から夜八時までと伺っております。これを聞いて安心をしました。開店時間中に客足が絶えないよう、日々、市ヶ谷駅を利用している人だけでなく、ほかの駅からも都営地下鉄や都営バスを利用して、とえいろに多くの人が訪れるよう工夫をすべきと考えます。
 そこで、セレクトショップにより多くの人に立ち寄っていただけますよう、開店に当たっては店舗の告知やPRなどを十分に実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○小林資産運用部長 開設当初から多くの方にとえいろをご利用いただけますよう、事前の告知を積極的に展開することといたしております。
 まず、今月、店舗前面のコンコースに、販売予定の商品の写真を活用した立体的な広告を展開することで、店舗の認知の向上や開設に向けた期待感の醸成を図ってまいります。
 また、今後、局のホームページやSNS等を活用し、とえいろの周知に取り組み、多くの方に店舗へ足を運んでいただくことを通じ、旅客需要の創出や沿線地域の活性化につなげてまいります。

○保坂委員 店舗の周辺に広告も出して目立つようにするなど、様々な広告やPRに取り組まれるとのことでした。
 理想的には、とえいろを訪れた方が、実際の沿線店舗や関係先に足を運んだり、SNSで多くの人が発信してくれるなど、とえいろを起点に人の流れや好循環を生み出すことが理想だといえます。大いに期待しておりますので、オープンに向けて万全の準備を進めてもらいたいと思います。
 続いて、駅構内店舗や各種サービス、機器の展開についても伺ってまいります。
 コロナ禍で、一時期、地下鉄駅構内の人流も減っていたことにより、都営地下鉄の構内店舗が埋まらず、テナント料収入にも打撃があったと伺っております。また、先ほども述べましたが、オフピーク通勤などの働き方改革の浸透などによって、駅構内の人流にも変化が生じているものと推測いたします。
 そこで、コロナ終息後は、人流も活性化し、都営地下鉄の利用者も一定程度回復してきた一方で、コロナ禍を経て働き方も変わり、多様なライフスタイルへの対応も必要と考えますが、こうした状況を踏まえた構内営業の取組状況について伺います。

○小林資産運用部長 ライフスタイルや働き方の多様化など、お客様のニーズの変化に対応するため、令和五年度は、子育て世代のニーズに対応し、大江戸線上野御徒町駅に、国内の地下鉄駅で初めてベビーカーレンタルサービスを開始いたしましたほか、育児用品が購入できる自動販売機を設置しました。
 また、家事代行業などに需要が見込まれる鍵の受渡しができるスマートロッカーを、周辺に大規模マンションが多い勝どき駅など三駅に設置いたしました。
 さらに、今月中には、ウェブ会議などへの利用が期待される個室型ワークブースを、六本木駅など三駅に設置することといたしております。

○保坂委員 ベビーカーレンタルサービス、スマートロッカー、ワークブースと、様々取り組まれていることが確認をできました。
 引き続き、コロナ禍における乗客の行動変容を踏まえて、構内営業の拡大についても、DXの進展も取り入れながら、駅ごとの特色を踏まえた利便性の高いサービス機器の導入にも積極的に取り組んでいかれることを求めておきます。
 続いて、バリアフリー整備について伺ってまいります。
 バリアフリー整備は、一朝一夕で進むものではなく、長年、月日を要することは理解をしております。
 地元浅草駅におけるバリアフリー整備についても、かねてより交通局に進捗を確認してきました。特に、雷門方面の老朽化したA4、A5出入口については、付近の乗客流動の変化が地元関係者にとって大変重要な問題となりますことから、代替出入口の整備を求めてきたところであります。
 代替出入口の整備について、これまで要望してきましたバリアフリーに関する進捗状況を伺いますとともに、A4、A5出入口周辺を含め、地元商店街や地域に丁寧に説明していくべきと考えておりますが、見解を伺います。

○坂口建設工務部長 雷門方面改札につながる浅草駅のA4、A5出入口は、老朽化した既存の建築物と一体となっており、この建築物を建て替える際には、一時的に出入口の閉鎖が必要となります。
 このため、代わりとなる出入口の整備に向けて、本年一月に、試掘等準備工事を実施し、地下の連絡通路から地上までのエスカレーター整備が可能であることを確認いたしました。
 今後は、土木工事の着手に向けた準備を進めるとともに、周辺地域の方々の理解が得られるよう、工事内容等について説明してまいります。

○保坂委員 付近では、東京メトロによるエレベーター整備も先行して進んでおります。ぜひ両者で協力し合って、利用者の利便性向上を図りますとともに、沿線地域の納得感が得られる対応をされますよう繰り返し求めておきます。
 一方、A4、A5出入口は、現在、老朽化に加え、バリアフリーが十分でないという深刻な課題を抱える中で、かねてから地元の方々も懸念をしており、早期の整備を求めてきております。今回、その代替となる出入口の工事が決まりましたことで、このA4、A5出入口の工事が今後どうなるか大変心配されております。
 そこで、日頃の情報共有はもちろん、一日も早く、このA4、A5出入口の更新を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂口建設工務部長 A4、A5出入口は、老朽化に加え、エレベーター等がないことから、雷門方面へのアクセスとして、先ほど答弁いたしました代替の出入口を確保した上で更新することといたしております。
 このため、まずは代替出入口の整備を鋭意進め、その後、A4、A5出入口の更新についても可能な限り速やかに整備に着手できるよう、引き続き検討を進めてまいります。

○保坂委員 ぜひよろしくお願いします。A4、A5出入口の更新のため、代替の出入口整備という大目的を置き去りにすることなく、代替出入口整備後、間を置くことなく、整備に着手されることを求めておきます。
 続いて、都営バスについて伺ってまいります。
 本年一月十八日に都営バスは百周年を迎え、知事を招いた式典も開催されたと伺っております。
 都営バスは、事業開始後、都電の代替や、鉄道や地下鉄が敷設されていないエリアにおける地域の身近な公共交通機関として活躍を続けてきたほか、都の行政施策と連携しながら様々な形で社会に貢献してきたものと理解をしております。
 そこで、本年一月に百周年を迎えた都営バスは、都民や利用者にとって、なくてはならない存在であると考えますが、これまで都営バスが果たしてきた役割について、改めて伺います。

○櫻庭自動車部長 路線バスは、鉄道と異なり、大規模なインフラ整備が不要であることから、まちづくりの進展や需要の変化に比較的柔軟な対応が可能でございます。
 こうした特徴を生かし、お客様のニーズを的確に捉えた輸送サービスを提供することにより、身近な公共交通機関として東京の都市活動や都民生活を支えてまいりました。
 加えて、全ての車両のノンステップ化や燃料電池バスの導入などに先駆的に取り組みまして、都内のバス事業者を牽引するとともに、伊豆大島の三原山噴火や東日本大震災などの大規模災害時における住民避難や職員の派遣等、緊急時の輸送需要に対応するなど、都営のバス事業者としての役割を積極的に果たしてきたと考えております。

○保坂委員 都営バスは、東京都が経営するバス事業者として、都政と連携しながら福祉や環境など時代に応じた先進的な取組を行うことで、バス業界全体にもよい影響を及ぼして、リーディングカンパニーとして牽引をしてきたものと理解をしました。
 今後も、新たな施策を積極的に展開するには安定的な経営基盤が前提となりますので、これまでと同様、国や都の財政的な支援もうまく活用しながら、引き続き取り組んでもらいたいと思います。
 今年は百周年イヤーですので、様々なイベントも予定されているものと思います。
 先々月、一月二十日に東京タワーの下で開催されました記念イベントは、歴代のバス車両のデザインを装飾したラッピングバスによるシークレットツアー、これが行われ、参加者が募られたところ、大変な数の申込みがあり、大好評であったと伺っております。
 また、二月六日から今月二十二日まで、都内の全ての銭湯と連携をして開催している、銭湯のススメのイベントでは、都内の銭湯ののれんを、みんくる柄に替えたり、一日乗車券を提示された人にはオリジナルのステッカーを、私もいただきましたが、プレゼントしたりと、SNSでも非常に盛り上がっております。
 私の地元台東区にもあります、浴室の壁、ペンキ絵をみんくる柄に替えた銭湯に、私も何度か実際に訪れて、非常に興味深い取組と実感してきたところであります。
 そこで、都営バス百周年を契機として都営バスの魅力を発信し、利便性がより認知されることで都営バスの利用拡大につながることが重要と考えますが、都営バス百周年事業の今後の取組について伺います。

○櫻庭自動車部長 交通局では、都営バス開業から百年を迎えた令和六年に、一年間を通して様々な記念事業を実施することにより、お客様へ感謝をお伝えするとともに、新たな需要の創出を目指しております。
 記念事業では、新たな百周年記念グッズ、一日乗車券の発売や、本年秋における大規模集客イベントの開催、都営バスのマスコット就任二十五周年となります、みんくると組み合わせた企画などを検討いたします。
 こうした取組を通じて、お子様をはじめ、幅広い世代が都営バスの魅力に触れる機会を増やしまして、潜在的な需要を喚起いたします。
 あわせて、百周年を記念した動画の配信や、広報誌「乗り隊歩き隊」の発行、民間企業とのタイアップなどにより、沿線の魅力や路線の利便性をPRいたしまして、利用拡大につなげてまいります。

○保坂委員 都営バスを利用して様々な地域にお出かけをする人が増えるよう、年間を通じて、都営バスのPRを計画的に展開をしていっていただきたいと思います。記念動画も楽しみにしています。
 また、百周年とは直接関係ありませんが、都営バスが運行している路線では、地元の人にとって欠かすことができない、かつ魅力ある商店街が多数存在をしています。都営バスでしか行けない商店街や都営バスでアクセス良好な商店街もありますので、都営バスと都内商店街とのコラボレーションもぜひ検討していただきたいと要望をしておきます。
 続いて、日暮里・舎人ライナーについて伺ってまいります。
 先般の本委員会において、昨年四月に発生しました輸送障害に対する対策について、局から説明がありました。それぞれ非常に、まあ大変重要な取組と考えておりますので、着実に実施していかれることを求めておきます。
 また、東京都に関係する新交通システムには「ゆりかもめ」があります。「ゆりかもめ」は平成七年に開業しておりますので、日暮里・舎人ライナーと同様、これまで様々な輸送障害も経験をしてきていることと思っております。このため、日暮里・舎人ライナーの安定輸送に向けて、「ゆりかもめ」とともに取り組めることが多数あるのではないかと推測をいたします。
 そこで、同じ新交通システム同士でよく連携を図って、輸送障害の事例共有など、安定輸送に向けて「ゆりかもめ」と一緒に取り組むことが必要と考えますが、見解を伺います。

○太田安全管理担当部長 交通局では、新交通システムを運行する全国九社局で構成される協議会に参加し、定期的に幅広く情報交換を行っております。
 また、車両や設備等の仕様が類似している「ゆりかもめ」との間では、運転や営業、保線や車両、電気の各部門において、人材の交流やノウハウの共有など様々な形で連携しております。
 さらに、今年度からは、安全管理部門同士でも輸送障害や事故等の事例共有等を議題とした定期的な打合せの場を設定しており、輸送障害時の対応力向上などが図れるよう、引き続き、連携して取り組んでまいります。

○保坂委員 既に「ゆりかもめ」をはじめ、全国の新交通システム事業者との間で様々な取組が進んでいることが確認でき、安心をいたしました。日暮里・舎人ライナーの安定輸送の確保は、事業における主要な課題の一つとして理解をしておりますので、今後も適切に取り組んでいかれることを求めておきます。
 日暮里・舎人ライナーの需要創出については、昨年の事務事業質疑でも、東京さくらトラム、都電荒川線との連携企画の開催、地元小学校への子供イベントの事前告知、西日暮里駅前で予定されている再開発事業者との連携などについて求めてきたところであります。
 昨年十月の都営交通の経営に関する有識者会議においても、日暮里・舎人ライナーの収益改善の観点から、移動需要の創出に関して議論があったと伺っております。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの需要創出に向けた今後の取組について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 日暮里・舎人ライナーは、ラッシュ時に利用が集中していることから、平日の昼間及び土休日の旅客誘致に向けて、これまでも、案内冊子やホームページ、SNS等による沿線情報の発信のほか、様々なイベントの開催などに取り組んでまいりました。
 今年度は、日暮里・舎人ライナーと東京さくらトラム沿線を周遊して謎を解く宝探しイベントを開催するとともに、舎人公園千本桜まつりの開催に合わせまして、春をイメージした駅装飾等を実施しております。
 今後は、外国人向け案内冊子をリニューアルするほか、地元区や沿線の施設等との連携を深め、効果的なPRを展開するなど、さらなる需要創出を図ってまいります。

○保坂委員 ぜひ期待しております。
 先ほどの質問でも、令和六年度予算案におけるライナーの乗客数は、令和五年度当初予算と比較して六%増加する見通しとの答弁をいただきました。日中にライナー沿線を訪れる人が増えますよう、引き続き、様々な沿線関係者と共に、積極的に需要創出に取り組まれることを求めておきます。
 安定輸送の確保と並び、沿線の利用者が注目していることは、混雑の緩和だろうと思います。日暮里・舎人ライナーが平成二十年三月に開業して以来、交通局が保有している車両数も大幅に増やして、より利便性の高いダイヤ設定に努めてきたことは承知をしております。
 そして、現在も、令和四年度から三年間で十二編成分の新車更新にも取り組まれていますが、朝ラッシュ時間帯における、さらなる混雑緩和対策について、積極的に--構造的に非常に難しい状況であることも理解しております。
 そこで、日暮里・舎人ライナーにおいて、混雑緩和に資するオフピーク施策は大変重要であり、より効果的な時差ビズキャンペーンを検討していくべきと考えますが、見解を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、官民が一体として取り組む時差ビズを推進するため、都営交通の乗車ポイントサービス、ToKoPoを活用し、平日のオフピーク利用を促進する時差ビズキャンペーンを実施しております。
 今年度は、冬の時差ビズキャンペーンといたしまして、参加者を増やすため、一日当たりの付与ポイントを昨年の倍以上となる一〇〇ポイントに拡大し、先月一日から二十九日までの平日十九日間で実施いたしました。
 現在、今回のキャンペーン結果を検証しているところでございまして、その結果を踏まえ、より多くの方に参加いただける時差ビズの取組について検討してまいります。

○保坂委員 今年度も、ToKoPoを活用した時差ビズキャンペーンを実施されたとのことですが、その効果をしっかりと検証して、今後、より多くの利用者が参加できる方法を検討されることを求めておきます。
 最後に、東京さくらトラム、都電荒川線について伺います。
 東京さくらトラムの歴史は、王子電気軌道による明治四十四年の路面電車開業に遡ることができますが、それを都電として引き継いだ後、しばらくの間、都電の27系統と32系統とで異なる路線として運行していました。
 一時は当該路線も廃止する予定でしたが、道路混雑に影響が少ない専用軌道が多かったことなどから存続をすることとなり、今から五十年前の昭和四十九年、二つの路線を統合し、都電荒川線として新たにスタートをしております。私の生まれた年と同じですので、非常に親近感を覚えます。
 くしくも、本年は、都営バス百周年と同じ年に五十周年を迎えます。これを契機に、沿線に多くの人が訪れるよう、これまで以上に乗客の誘致に取り組む必要があります。
 交通局が、当会派からの求めもあり、昨年十二月から今月十日まで、都のスタートアップ支援と連携して、東京さくらトラムでデジタルパスの実証実験を実施していることを高く評価するものであります。
 こういったイベント施策を実施するに当たりましては、東京さくらトラムと鉄道路線などとの結節点におけるアクセス案内を充実させることは大変重要です。特に三ノ輪橋停留場は、東京さくらトラムの起終点であるとともに、東京メトロ日比谷線との結節点でもありまして、周辺案内を一層充実させていく必要があります。
 そこで、かねてより日比谷線三ノ輪駅から三ノ輪橋停留場へのアクセスが分かりにくいと指摘してきましたが、案内の充実に向けた取組状況について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 三ノ輪橋停留場へのアクセスにつきましては、日比谷線三ノ輪駅からのお客様の誘導に資するよう、駅に近接する国道四号線沿いに停留場への案内標識を三基設置しております。
 これらの標識につきまして、より視認性を高め、乗換えを分かりやすくするため、東京さくらトラムの路線シンボルを追加することとしており、今年度末に完了する予定でございます。

○保坂委員 停留場の玄関口に当たります日光街道における道路標識が改善をされ、東京さくらトラムへのアクセスがより一層分かりやすくなることを評価いたします。ぜひ年度内の整備を実現していただくよう求めておきます。
 次に、停留場の上屋について伺います。
 東京さくらトラムの停留場は、時間の経過を感じさせるものが大変多い一方で、路線イメージにも影響があることから、適切に維持管理していくことは重要です。
 そこでまず、東京さくらトラムの停留場の上屋について、設置から二十五年以上たっているものが多いとのことですが、どのように健全性を確保していくのか伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 東京さくらトラムの停留場上屋につきましては、屋根や柱の劣化状況などの調査を適宜実施し、必要に応じて補修等を行っております。
 直近では、全停留場を対象に、昨年七月から八月にかけて調査を実施しており、その結果、平成二十九年度に行った前回の調査から劣化が大きく進展した箇所は確認されませんでした。
 一方で、一部の停留場では一定の劣化も認められたことから、現在、対応方法を検討中でございます。

○保坂委員 劣化が大きく進展している停留場は確認されなかったということですが、引き続き、局としても、老朽化の状況を把握されて、必要な対応を取ることを求めておきます。
 さて、交通局の経営計画によりますと、令和七年度までに四つの停留場の整備を目指すとされております。前回の事務事業質疑で進捗についてお尋ねをしましたところ、工事発注に向けた準備を進め、目標達成に向けて更新を進めるという答弁をいただいております。
 しかし、その後、局に確認をしましたところ、現時点で工事契約に至っている停留場はないと伺っております。このままで計画の目標を達成できるのか不安となりますが、これまでの間に進展が見られない背景には、何らかの課題もあるかと思います。
 そこで、経営計画二〇二二における到達目標として、令和七年度までに四つの停留場の上屋を更新するとしておりますが、現在の取組状況について、改めて伺います。

○飯沼技術管理担当部長 上屋の更新に当たりましては、停留場が住宅に隣接をしているほか、作業時間が終車後から始発までの間に限られるなど、施工条件には様々な制約がございます。
 そのため、発注時期の調整や複数停留場を併せて発注するなど、様々な工夫をしてまいりましたが、いずれも工事契約が入札不調になっておりまして、現時点では契約締結に至っておりません。
 こうした状況を踏まえ、事業者の受注意欲が高まるよう、施工方法の見直しなどについて検討をしているところでございます。

○保坂委員 様々努力はされているということですが、工事に関して困難な要素も存在することが確認できました。
 先ほど述べましたとおり、東京さくらトラムの停留場の上屋は、都電に乗る際に雨や日光を遮る、旅客サービス上の重要な施設ですし、景観や路線のイメージにも影響を及ぼすもので、今後も諦めることなく、工夫を凝らして、早期に着工のめどを立ててもらいたいと要望しておきます。
 また、都電の昭和レトロな、この趣を残すことは、私は否定はしませんが、上屋の更新などに伴って、東京さくらトラムが時代の変化に応じてアクティブに進化を遂げていくことに期待をするものです。この点も求めておきます。
 さらにいいますと、我が会派の要望にも毎回入れさせていただいておりますが、都電の中長期的な投資計画も、都政の中で議論が必要ではないかと考えております。短期的な議論が主となっている現在、やはり都電の将来を考える上でも、特に私は、都電の三ノ輪橋からの延伸は必要不可欠だと思っております。かつても、都の中で同じような議論があったことも認識をしております。
 時代が変わり、環境配慮社会や高齢化社会、国際観光都市といったものを背景に、都市の交通事情も変化をしております。昨年、宇都宮LRTも誕生したことを考えますと、こうした今の時代のニーズを捉えているものかと思っております。
 都電の延伸についても、三ノ輪橋からその先の台東区の浅草、上野を走る提案をさせていただいておりますが、都電が走る東京の東エリア、下町エリアは、まさに東京の残された観光資源が多く、高齢化社会も一層深刻になるなど、こういったことを考えると、将来にわたり交通機関、とりわけ都電の果たす役割も変化を求められるようになってきているのではないでしょうか。
 都においては、都電の乗客数の頭打ちも含めて、こうした都電の取り巻く環境なども分析をしていただいて、沿線の地元自治体などとも意見交換をされていかれることも求めておきます。また、我が会派の都電研究会からも、引き続き求めていきたいと思います。
 本日は、来年度実施予定の取組やこれまで質疑で取り上げてきた取組の進捗について確認をしてまいりました。
 令和六年度予算案において、都営地下鉄においては黒字であり、その他の事業についても、もう少しで赤字から抜け出すことができるレベルまで回復していると考えております。
 本年は、都バス百周年、都電荒川線五十周年、そしてアフターコロナ元年と、都営交通にとっても節目となる大変重要な一年といえます。引き続き、首都東京を支える交通機関として、今後もその役割をしっかりと果たしていただくことを強く求めて、質問を終わります。

○柴崎委員 まず、私の方から、令和六年度の予算案についてお伺いしたいと思います。
 昨年の事務事業質疑で、今年度予算につきましては、交通局全体で赤字予算となっている中で、経営改善に向けた取組について質問を行いまして、局長からも力強い答弁をいただきました。
 令和六年度のこの予算案につきましては、厳しい経営環境の中で経営努力を不断に積み重ね、経営改善に向けまして作成することが重要と我々は考えております。
 この予算案につきまして、先日の委員会で説明をいただいたところでありますが、令和六年度予算、どのような方針で編成されたのか、改めてお伺いしたいと思います。

○豊田総務部長 都営交通の乗客数は、コロナ禍前の水準への回復が期待できないことに加え、物価高騰による経費の増加が見込まれるなど、今後も厳しい経営環境が続くものと見込んでおります。
 こうした中、令和六年度予算は、第一に、安全・安心の確保を最優先に、収支両面から事業全般にわたる構造改革を進め、中長期的に安定した事業運営を行い得る持続可能な経営基盤を確立すること、第二に、質の高いサービスの提供や東京の発展への貢献を進めるとともに、都市の強靱化や脱炭素社会の実現に向けた取組の着実な推進など、長期的な視点に立った取組にも積極的に挑戦することを基本的な方針として編成いたしました。

○柴崎委員 今、答弁いただきました。部長から、安全・安心の確保を最優先にということで、収支両面から構造改革を進めて、持続可能な経営基盤を確立すると同時に、質の高いサービスの提供、そして東京の発展への貢献を進めると、そういった姿勢を今改めて確認させていただきました。
 厳しい経営環境が続くと見込まれている中ではありますが、予算編成の方針に基づいて、真に必要な事業、これについては、ぜひ、めり張りをつけて推進をしていただくことが重要というふうに我々は考えております。
 交通局では、交通局経営計画二〇二二を策定しており、令和六年度は三か年の事業計画の最終年度になるわけであります。
 こうした中で、経営計画に基づいて令和六年度に取り組む主な事業についてお伺いしたいと思います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 令和六年度は、大規模水害に備えた地下鉄駅出入口等の浸水対策や全車両への防犯カメラの設置、レール管理のデジタル化による点検精度の向上など、安全・安心の確保に向けた取組を推進いたします。
 また、バリアフリールートの複数化やバス停留所の上屋ベンチの整備、新たな技術を活用した案内の充実など、質の高いサービスの提供に取り組んでまいります。
 さらに、バスのZEV化や再生可能エネルギーの活用拡大、子育て支援の充実などを通じて東京の発展に貢献するとともに、関連事業の強化や事業を支える有為な人材の確保、育成に取り組むなど、経営基盤の強化を図ってまいります。

○柴崎委員 都市の強靱化の推進に寄与する浸水対策、あるいは業務の省力化や効率化を図るDXの取組など、重点的に取り組むということで、今、答弁をいただきました。事業計画の最終年度であります。しっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 そして、事業の実施に当たりまして、職員の創意工夫を積み重ね、安全・安心に利用できる公共交通機関としての役割を引き続き果たしていただきたいと思います。
 次に、令和六年度予算案で総務局と交通局の共管となっているわけですが、より安全に避難できる施設の整備について伺いたいと思います。
 本事業は、都営地下鉄の麻布十番駅に併設された都の防災倉庫を活用して、より安全に避難できる施設のモデルとして整備を進めるものでありまして、私が先般、本会議場で一般質問で、施設整備についてどのように取り組んでいくのか、これを確認いたしましたところ、知事からは、設計に向けて準備を進めていく、こうした答弁があったわけであります。
 この事業は、総務局が主体となって実施をしていくものと理解はしておりますが、やはり麻布十番駅、これを管理するのは交通局でありますので、避難施設の整備にどのように対応していくのか伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 大江戸線の麻布十番駅に併設されている都の防災倉庫は、駅施設と一体となった構造となっております。
 この倉庫を活用した避難施設整備につきましては、来年度、モデル事業の実施に向けた準備を進める予定であり、総務局から委託を受け、地下鉄の安全運行に影響がないよう、鉄道施設を管理する交通局が必要な調査を実施することとしております。

○柴崎委員 都営地下鉄の駅舎に併設された施設での事業実施に当たりましては、交通局の協力が不可欠であると思います。今後も、総務局と緊密に連携をしながら着実に進めていただきたいと思います。
 続きまして、日暮里・舎人ライナーについてお伺いしたいと思います。
 先月の委員会で、令和五年四月に発生した日暮里・舎人ライナーの輸送障害について報告を受けたところでありますが、この報告では、発生原因として、電車線のゆがみが発生したことの臨時作業として、受託者がパンタグラフの交換を実施した際に、受託者の取付けボルトの締めつけが不十分だったということが一因として挙げられておりました。
 そこでお伺いしたいのは、日暮里・舎人ライナーでは、臨時作業等にも確実な対応を行っていく必要があると考えますが、その取組について伺いたいと思います。

○生越車両電気部長 日暮里・舎人ライナーでは、想定される臨時作業の手順やチェックリスト等を受託者に整備させるとともに、月一回程度実施している技術教育等において教習の内容や回数を充実させるなど、全ての車両整備担当者の対応力向上に向けた訓練を強化しているところでございます。
 また、作業体制や作業前後の確認等を徹底しているほか、局におきましても定期的な確認を行うなど、受託者への監督体制を強化いたしました。

○柴崎委員 既に作業手順等の整備や監督体制の強化が図られるなど、再発防止対策が講じられているということで、確認が今できたわけでございますが、今後、同様の輸送障害が発生しないように、ぜひ対応を確実に進めていただきたいと思います。
 日暮里・舎人ライナーの大きな輸送障害は、先月の五日にも実は発生しております。この日は大雪だったわけですが、十九時過ぎに車両がスリップによって停止をいたしました。その日の営業運転を取りやめる結果となりまして、約一万二千人に影響が出たとのことであります。
 先月の事象は気象に起因するものであります。したがって、この大雪の気象情報というのは事前想定し得るものでありますので、事前の対応が重要と考えております。
 そこで伺いたいのは、日暮里・舎人ライナーでは、二月五日の大雪に備えてどのような対応を行っていたのか伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 二月五日は、気象予測により、沿線に降雪が予想されましたことから、あらかじめ勾配が大きい区間に設置しているロードヒーターを稼働するとともに、走行路に凍結防止剤を散布いたしました。
 また、いざというときに速やかに対応できるよう、除雪用ブラシを装着した列車を運行するための人員や設備のトラブルに備えた保守要員等を手配いたしました。
 お客様に対しては、列車の遅れや運行停止の可能性等について、駅構内の掲示板や車内放送、ホームページ、SNS等により、事前の注意喚起を行いました。

○柴崎委員 大雪に備えて、現地体制の強化や幅広い広報など、事前の対応を行っていることが、今、答弁いただいたわけであります。
 そして、直近では今月八日にも、朝、降雪がありました。大雪にはなっていないわけですが、ライナーは朝のラッシュ時間帯に二十分程度、運転を見合わせたというふうに伺っています。
 東京では、例年、数回程度は降雪があるわけでありまして、この降雪時において、日暮里・舎人ライナーの対策を強化すべきであると考えますが、交通局の対応、これについて伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 日暮里・舎人ライナーでは、気象の変化を詳細に把握するための観測装置を増設するほか、除雪用ブラシを改良するなど降雪対策の強化に努めてまいりました。今後、さらなる対策として、凍結防止剤の散布装置を増強するとともに、ロードヒーターの増設について検討を進めてまいります。
 また、大雪により、運行への影響が予測される場合には、列車の遅延や運行本数の削減、運行停止の可能性等について、都営交通アプリ等を活用し、よりきめ細かく事前の情報発信に取り組んでまいります。

○柴崎委員 今、答弁いただきました。ハード、ソフト面の両面から取り組んでいるということでありますので、引き続き、この取組を推進していただきたいと思います。
 次にお伺いしたいのは、人材育成と確保について伺いたいと思います。
 先ほど質問した日暮里・舎人ライナーに限らず、都営交通の安全・安心な運行を安定的、継続的に提供するには、手順や作業を確実に受け継いでいくなど、保守現場における人材育成や技術、ノウハウの継承が重要であると考えております。
 交通局におきましては、技術系の職員、この人材育成について取組を伺いたいと思います。

○市川職員部長 交通局では、ベテラン職員が持つ高度な技術やノウハウを継承するとともに、技術力のさらなる向上を図るため、保守現場を再現した模擬実習設備を用いた研修や、車両脱線時や停電時など、様々な状況を想定した訓練を行うなど、人材の育成に計画的に取り組んでおります。
 来年度は、鉄道車両の整備に関する技術継承等をより推進するための体制を構築するほか、職員の実務能力の一層の向上を図るため、外部の専門機関での研修を拡充することとしておりまして、今後もこうした取組を通じて、現場を支えるプロフェッショナル職員を育成してまいります。

○柴崎委員 今、現場を担う多くの職員が退職する時期に来ているということも聞いているわけでありまして、この時期を逸することなく技術継承を行って、人材育成を確実に進めていっていただきたいと思います。
 さて、交通事業を支えるのは、いうまでもなく人でありまして、都営交通の安全をより強固なものにしていくためにも、日々現場において安全を支える人材をしっかりと確保することが重要だと思います。
 日本社会は今後、労働力人口の減少が見込まれております。こうした中で、都営交通を支える職員を確保することも大変困難になっていくと思いますが、そこでお伺いしたいのは、技術系職員の人材確保に向けた取組についてお聞きいたします。

○市川職員部長 交通局では、都営交通の現場を支える若手の技術系職員を確保するため、工業高校等への訪問を継続的に実施するとともに、採用ホームページやSNSを活用し、仕事の魅力を分かりやすく発信しております。
 今年度は、保守現場で都立の工科高校からのインターンシップ生を受け入れたほか、高校生等の若者をターゲットにしたPR動画を作成し、ユーチューブにて配信を開始しております。
 また、都営フェスタにおいて職員採用案内ブースを出展し、来場者に技術系職員の仕事についてPRを行いました。
 引き続き、PR活動の強化を図るとともに、採用選考における運用の見直しに取り組むなど、交通技能職員の人材確保に努めてまいります。

○柴崎委員 ぜひ今後も、あらゆる方策を検討しながら、よりよい人材の確保に努めていっていただきたいと思います。
 最後に、大江戸線の延伸について伺いたいと思います。
 大江戸線は、都営地下鉄四路線の中で一日当たりの乗客数が最も多い、日々の東京の活動を支えている重要な路線であるというふうに認識をしております。一方、地元練馬区におきましては、区北西部の鉄道空白地域にお住まいの方々が日々の移動に大変不便な思いをしているわけでありまして、この大江戸線の延伸への願いは切実なものであります。
 こうした中で、大江戸線の延伸につきましては、昨年十一月の公営企業委員会の事務事業質疑の場においても取組状況など確認したところでありますが、収支採算性などについて調査検討を進めるとのことでありました。直近では、物価高騰に伴う建設資材の上昇など、事業費への影響も懸念されるところであります。
 そこでお伺いしたいのは、大江戸線延伸に関わる調査について、事業費も含めた状況をお伺いしたいと思います。

○一條技術企画担当部長 昨年三月、庁内検討プロジェクトチームを設置し、将来の旅客需要や収支採算性に関する調査検討を関係局等と連携し進めております。
 今年度実施している調査の速報では、旅客需要の増加に伴い必要となる車両やトンネル、駅施設の整備等に要する事業費について、物価高騰等の影響を踏まえ、概算で約千五百億円と試算しており、これに基づき事業性を検証したところ、収支採算性等に課題がある状況でございます。

○柴崎委員 調査の速報では、物価高騰の影響もあって、事業費は約一千五百億円というふうに見込んでいるわけでありまして、延伸実現のためには、この収支採算性などが課題だということでありました。
 そこでお伺いしたいのは、課題解決に向けてどのように取り組んでいくのか、令和六年度の交通局の取組について伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 令和六年度は、調査費の予算を三千三百万円に増額しており、事業化について協議、調整を進めるため、関係局や練馬区と密に連携を図りながら、区の沿線まちづくりによる旅客需要の創出、コストの低減、財源の確保、活用の面から、収支採算性等の課題解決のさらなる検証を行ってまいります。

○柴崎委員 今、答弁いただきました。ぜひ課題解決に向けて、方策の検討を進めていっていただきたいというふうに思います。
 また、以前、都議会の場でも触れましたが、事業の実施に当たりましては、シールドトンネルを掘り進めるなど、大変高度な技術を必要とする事業であります。一方では、都営交通として最も新しい地下鉄路線であるこの大江戸線、これが全線開業してからもう既に二十年以上、二十五年近く経過していると思うんですけれども、当時の建設で培った技術とノウハウを持った職員の方々というのは、かなり少なくなっているのも事実だと思います。こうした中で、やはり事業化を実現し、工事を行う際は、優秀な技術者というのが不可欠であります。したがいまして、当時を経験した職員から若手へのノウハウの継承、これもしっかりと実施をしていただきたいと思います。
 そのような意味からも一日も早い事業化が望まれますので、ぜひこの実現に向けまして、局、そして庁内が一丸となって、さらなる努力を期待したいと思います。以上で質疑を終わります。

○伊藤(こ)委員 新型コロナウイルス感染症が五類に移行されまして、国内外の多くの人々の活動がコロナ前に戻ってまいりました。
 こうした中、来年、二〇二五年には、二つの国際スポーツの祭典が東京で開催されます。
 一つは、陸上競技の世界最速、最高、最強を競う東京二〇二五世界陸上競技大会が九月の十三日から二十一日にかけて開催をされ、二千人以上の選手のほか、多くの関係者がここ東京に集ってきます。
 もう一つが、来年十一月に、世界中の聴覚障害があるアスリートが一堂に会するデフリンピック大会、百周年の記念すべき大会が、日本では初めて東京での開催になり、約三千人のデフアスリートのほか、手話通訳者などの多くの関係者がここ東京に集ってきます。
 このデフリンピック大会は、国際手話のほか、スタートランプや旗などを使った視覚による情報保障が特徴でありまして、開催都市東京として、耳が聞こえない方々に対し、日常的にもどのように情報提供していくのかを学ばせていただく絶好のチャンスだと私は考えます。
 そこで、私からは、まず、都営地下鉄での情報保障、情報案内の充実について質問をいたします。
 とりわけ事故や災害などでダイヤが乱れる場合での情報発信は非常に重要であります。既に交通局は、車内サイネージや放送、大型モニターや掲示板などを駆使して、他社の路線の運行状況も含めて情報を発信しています。一方で、聴覚障害者の方々からは、音声案内では分からない、文字情報が掲載されている場所まで行かなければ情報を得ることができないという声が上がっております。
 運行停止などの異常時を含め、利用者が駅や掲示板の近くに行かなくても、また、列車に乗車中であっても、必要な情報を手元で入手できるよう、スマホなどを受信媒体とした発信が重要であると考えますけれども、見解を求めたいと思います。

○豊田総務部長 異常時においても運行情報がお客様に的確に伝わるよう、車内や駅でのご案内のほか、お客様がスマートフォン等を通じ、遅延の状況などを確認できる環境を整備することが重要でございます。
 現在、ホームページやSNS、アプリ等、様々なツールを用いて情報提供しており、特に都営交通アプリでは、お客様があらかじめ設定した路線や時間帯の運行情報をプッシュ通知により受け取ることが可能でございます。
 今後、聴覚に障害のある方を含め、より多くの方に必要な情報をお届けできるよう、アプリのプッシュ通知などの便利な機能について、新たなポスターや車内サイネージ動画等を通じてPRを強化してまいります。

○伊藤(こ)委員 ただいま答弁をいただきました。アプリをダウンロードしておけば、聴覚障害の方々にも、ダイヤの乱れ等があったときにスマートフォンが振動するなどして、プッシュ式で都の交通局からの必要な情報が届くことになっているということでありました。
 しかし、都営交通のアプリのダウンロード数は十三万件と聞いております。都営交通の利用者は一日三百万人という人数から比べると、まだまだ少ない。もっとアプリは活用されていいものというふうに思います。
 せめて交通局のX、旧ツイッターでありますけれども、フォロワー数は百六十万人だそうです。まずは五割超えを目指してもらいたいというふうに思います。PRを強化することで、より多くの都民にアプリをダウンロードしていただけるよう、取組を推進していただくことを要望したいと思います。
 次いで、文字等の視覚情報による案内は、日本のまち並みに不案内な訪日外国人観光客などへの案内にも大変に有効であります。世界陸上やデフリンピック等を控える中で、近年、急速に技術の進展が目覚ましいデジタル技術を活用して、聴覚に障害のある利用者や訪日外国人を含め、誰もが快適に都営地下鉄をご利用いただける環境づくりも重要なことであります。
 都営地下鉄では、都庁前駅で一月に、GPSが届きにくい地下鉄駅構内でも正確に位置と方向を判別し、AR、拡張現実によってルート案内の矢印などがスマートフォンの画像の中に表示されるナビゲーションサービスを開始しております。また、この二月には、お客様と対面しながら多言語での会話を瞬時に文字化できる透明ディスプレーを、大江戸線の都庁前駅に設置をしております。
 新たなデジタル技術を活用して、聴覚障害のあるお客様や訪日外国人への案内を充実させることは重要なことだと考えます。
 そこでまず、ARナビゲーションについてでありますけれども、対応していない他の鉄道会社に足を一歩でも踏み入れると、画像に映っていた矢印が消えてしまうということであります。他の鉄道会社にも広がるよう情報提供を推進して、ナビゲーションが途切れないようにするべきです。
 また、UCDisplayについても、まだ試験設置したばかりであって、今後の利用状況から浮かび上がる課題を分析して、さらなる使い勝手の改善につなげるべきと考えます。
 こうした状況を踏まえ、今後のそれぞれの取組について見解を伺います。

○一條技術企画担当部長 デジタル技術は、従来困難であった課題を解決する可能性を秘めており、お客様の利便性向上に向けた効果的な活用が重要であることから、都庁前駅を先進的な技術活用のフィールドとして、新たに二つの取組を進めております。
 ARナビゲーションについては、より多くの場所でご利用いただけるよう、今後、他駅へも拡大するほか、他の鉄道事業者にも導入状況を共有してまいります。
 また、UCDisplayについては、お客様や日々のご案内に利用する駅係員の声を集約し、メーカーと意見交換するなど、運用の改善に向けた取組を進めていくとともに、設置後の利用状況を踏まえ、来年度以降の導入駅拡大について検討していくこととしております。
 今後も、新たな技術の活用、検証を進めるなど、誰もが利用しやすい環境づくりに取り組んでまいります。

○伊藤(こ)委員 積極的に改善に挑み続けるという答弁と受け止め、大いに期待をしております。
 次に、安全・安心について質問します。
 乗客の安全・安心に向けた取組は、公共交通機関を担う事業者としての責務であり、安全性の向上に向けて不断に取り組むことが重要であります。
 東京都交通局の予算案のポイントにも、安全・安心の確保が掲げられており、令和六年度までに、既存車両も含めた全車両に防犯カメラを設置すると表明されております。車内防犯カメラは、車内における痴漢などの迷惑行為や、近年、度々発生する車内での突然の殺傷行為などの犯罪に対して、一定の抑止効果が期待できるわけであります。安全・安心の確保の観点からも、全車両への早期の設置完了を目指すべきと考えます。
 そこで、都営地下鉄の全車両への防犯カメラの設置完了に向けた、令和六年度の取組について伺います。

○生越車両電気部長 都営地下鉄では、迷惑行為や痴漢等犯罪の未然防止、テロ対策など、セキュリティ強化を図るため、令和六年度までに、防犯カメラを全ての車両に設置することとしております。
 これまで、全百五十編成のうち、車両更新に合わせて七十九編成に設置いたしましたほか、既存車両につきましては三編成への先行設置を行い、そこで得られた知見を基に、迅速に施工する方法を検討してまいりました。
 令和六年度は、車両一編成を更新するとともに、残る六十七編成について、製造中の防犯カメラの納入後、機動的に取付けを行うこととしているところでございます。

○伊藤(こ)委員 ご答弁いただいたとおり、よく乗る電車が、先頭車両とか最後の車両だけ防犯カメラがついているという電車がありますけれども、この都営交通については、都営地下鉄については、全車両に設置をするということでございます。電車内での迷惑行為や犯罪等の撲滅につながるよう、できるだけ早く設置を完了させることを期待したいと思います。
 次に、自然災害に対する安全・安心に向けた取組について質問をいたします。
 私は、昨年十一月の事務事業質疑では、浸水被害時における車両避難の実施に向けた取組や、防水ゲートの整備が二〇三〇年代の完成になるという息の長い取組であること等を確認いたしましたが、こうしたハード面の取組は、計画に基づいて確実に前進させていくことが必要であります。
 そこで、都営地下鉄の浸水対策の強化に向けた、ハード面での令和六年度の取組を伺いたいと思います。

○坂口建設工務部長 交通局では、令和五年二月に策定いたしました東京都交通局浸水対策施設整備計画に基づき、お客様への影響等を考慮しつつ、対策による効果が早期に発揮されるよう手順を定め、効率的に進めることといたしております。
 令和六年度は、三田線春日駅A6出入口など五か所で、駅出入口で防水シャッターの設置や止水板のかさ上げを実施するほか、三田線の通風口五か所で浸水防止機を設置する予定でございます。
 また、大江戸線の駅構内防水扉及びトンネル内防水ゲートの整備に係る設計や、防水ゲートの改修工事を実施予定でございます。

○伊藤(こ)委員 近年、台風、また、集中豪雨などの気象災害のリスクは高まっておりまして、大規模水害の備えは極めて重要であり、着実に整備を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、震災対策について質問をいたします。
 本年一月に発生した能登半島地震もそうでありますけれども、大規模地震の発生は事前に予測することはできません。大規模地震が発生した場合に、早期に都市機能を回復させる上で、人々の移動を支える地下鉄の耐震対策は重要であります。
 都営地下鉄の施設の耐震対策について、令和六年度の取組を伺いたいと思います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、阪神・淡路大震災を受けました耐震対策を平成二十二年度に完了しており、現在、東日本大震災を踏まえ、早期の運行再開を図るためのさらなる対策として、高架部の橋脚及び地下部の中柱の耐震補強を進めております。
 実施に当たりましては、車両基地から折り返し運転が可能な駅までの区間を優先して進めており、これまでに千八百三十六本、約五割の整備を完了いたしました。
 令和六年度につきましては、三田線巣鴨駅、新宿線住吉駅、西大島駅、篠崎駅、また、大江戸線両国駅におきまして工事を予定しておりまして、引き続き、安全・安心の確保に向け、耐震対策を計画的に進めてまいります。

○伊藤(こ)委員 首都直下地震など、東京でも大地震のリスクを抱えているわけであります。発災後、速やかな都市機能の復旧には、能登半島地震の例を見ても、移動手段の確保が重要であると再認識をしたところであります。都営地下鉄が復興の際にその役割を果たせるよう、耐震対策を着実に進めていただきたいと強く要望したいと思います。
 次に、安全点検について質問をいたします。
 先月の二十二日に、JR横須賀線で、品川と新橋間のトンネル内の線路上に複数のコンクリート片が剥がれて落ちた影響で、始発から午後三時頃までのおよそ十時間にわたって一部区間で運転が見合せとなりました。コンクリート片は合わせて百キロを超えていたということでありまして、仮に通勤ラッシュ時など走っている列車に落下していたら大変な事故につながっていた可能性もあるわけであります。
 この路線は私もよく使う路線で、このニュースを見たときには本当に驚きましたけれども、ましてや、この事案は閉鎖された真っ暗なトンネル内で起きておりまして、私は、都営地下鉄内で、もし乗客が乗っている際に起きていたらと、決して人ごとではないと痛感をいたしました。
 私の地元を走る都営地下鉄浅草線は、昭和三十五年の浅草橋、押上間の開業から六十年以上経過しております。このたびはJR横須賀線でコンクリート片が落下をいたしましたけれども、都営地下鉄において同様な事象を予防するためには、トンネル部の検査、点検が重要であります。
 そこで、都営地下鉄におけるトンネル部の安全点検の取組について、どのように行っているのか伺いたいと思います。

○坂口建設工務部長 都営地下鉄では、法令等に基づき、全線のトンネル部において構造物の点検を毎年実施いたしております。
 具体的には、目視や打音検査により、ひび割れや剥落のおそれ等に関する構造物の検査を行い、トンネル構造物全体の健全性確認を行っております。
 さらに、日々の巡視による計画的な確認も行っており、これらの結果、変状等が確認された場合は、劣化状況等に応じて速やかに補修を行っております。

○伊藤(こ)委員 ご答弁いただいた検査、点検は地道な取組でありますけれども、乗客を守る上で大変に重要な作業であります。終電後の夜間作業で苦労も多いと思いますけれども、確実にメンテナンスをしていただきたいと思います。
 都民の足である公共交通機関として、ここまで質問した安全・安心の確保に向けた防犯対策、浸水対策、そして耐震対策、施設の適切な維持管理など、引き続き着実に取り組まれることを求め、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 次に、先月の委員会で報告のあった、令和五年四月に発生した日暮里・舎人ライナーの輸送障害について何点か確認をしたいと思います。
 まず、昨年四月に日暮里・舎人ライナーで発生した輸送障害では何が起きたのか、改めて伺いたいと思います。

○生越車両電気部長 日暮里・舎人ライナーでは、昨年四月に、四日間にわたり輸送障害が発生いたしました。
 四月十日に車両のパンタグラフの破損及び電車線の地絡による停電が発生し、翌十一日には係員が巡回した際に電車線のゆがみを発見したため、いずれも運転を見合わせ、点検等の実施後、運転を再開いたしました。
 十二日には列車のパンタグラフの取付けボルトが脱落し、パンタグラフの位置が電車線とずれたことで停電が発生したため運転を見合わせましたが、復旧作業後の安全確認に時間を要したことにより、運転再開は翌十三日の朝となったものでございます。

○伊藤(こ)委員 パンタグラフの破損、電車線のゆがみ、ボルトの脱落など、異なる事象による輸送障害ということでありますけれども、発生原因について確認をしたいと思います。
 それぞれの事象について、輸送障害の発生原因は何だったのか伺いたいと思います。

○生越車両電気部長 十日及び十一日の輸送障害の原因については、公益財団法人鉄道総合技術研究所に依頼した調査等に基づきまして、電車線の伸縮継ぎ手が一時的に固まって動かなくなったため、日中の大きい気温差による電車線の伸びを吸収できず、ゆがみが発生したものと推定しております。
 十二日から十三日の輸送障害の原因につきましては、十日に電車線のゆがみが発生したことの臨時作業として改良型パンタグラフへの一斉交換を実施した際、パンタグラフの一台について、取付けボルトの締めつけが不十分であったためでございます。

○伊藤(こ)委員 このときは四日間にわたっての影響ということでありますけれども、交通局の方は異常の箇所を見つけるために、職員の方々が舎人ライナーの線路の上を歩いて、どこが駄目なのかを全部点検して歩いたということを伺いましたけれども、この話を聞いて、都議会公明党の控室でも、えっ、歩いて点検したのという声が上がっておりました。
 このたびの輸送障害によって、四日間にわたって、全線運休であったり、あるいはまた再開を繰り返したりして、約三万四千人もの利用者に影響を与えたということは事実であります。
 利用者のためにも再発防止を強く求めるものでありますけれども、再発防止策としてどのような取組を行うのか伺いたいと思います。

○生越車両電気部長 電車線の伸縮継ぎ手が固着したことへの対策として、可動性を向上させた改良型の伸縮継ぎ手への交換を今月から開始しておりまして、朝晩の気温差が大きくなりやすい環境にある箇所を優先し、計画的に進めてまいります。また、伸縮継ぎ手の点検項目を追加した上で、点検回数を年一回から気温差が大きい春と秋の二回に増やして、昨年九月から実施しております。
 一方、取付けボルトの締めつけが不十分であったことへの対策として、速やかに受託者は想定される臨時作業の手順をマニュアル化するとともに、局及び受託者は、この内容について訓練の内容や回数を増やすなど強化いたしました。
 また、受託者は、役割分担を含め手順等を確認した上で作業を実施し、局は、受託者の取組についてチェックリストにより管理するなど、作業体制、作業前後の確認等を徹底しているところでございます。

○伊藤(こ)委員 乗客の安全・安心の確保に向けて、局は、改良型の設備の導入や点検を着実に進めるとともに、受託者の作業を確実に実施させるよう、適切に関与していくよう求めておきたいと思います。
 JRでは、施設や設備の点検において、AIなどの最新技術を活用して、通常走っている車両にレールなどの異常を瞬時に把握できる検査機器を搭載しているというふうに聞いております。日暮里・舎人ライナーに新幹線でのドクターイエローのような車両の導入は難しいというふうに思いますけれども、通常の車両に電車線や走行路などの異常を検知するセンサーを取り付けるなど、研究機関と連携して、輸送障害発生の未然防止や保守の省力化などを検討、研究していくことが必要であるというふうに考えます。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの維持管理に最新のデジタル技術を活用する取組をさらに検討、研究していく必要があると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 日暮里・舎人ライナーは無人で走行する新交通システムでございまして、列車の自動運転制御や施設設備の遠隔監視など、様々な技術を活用し、日々の運行を支えております。
 一方で、デジタル技術の進展のスピードは速く、保守点検の精度や効率性を向上させる可能性も秘めていることから、メーカーや他の新交通事業者等にヒアリングを行い、技術開発の動向を調査しております。
 引き続き、最新の技術動向の把握に努め、新たなデジタル技術の活用の可能性について検討してまいります。

○伊藤(こ)委員 ぜひ、施設設備に関する維持管理や異常発生時にリアルタイムで原因発見ができるよう、デジタル技術の活用に向けて、調査や研究を進めていただきたいというふうに思います。
 JAXAが打ち上げをして、今年の一月にピンポイントで月面着陸に成功した月探査機SLIMに搭載されて、月面でのデータ取得に大変に貢献したのは、玩具メーカーのタカラトミーでありました。私は、なぜ宇宙航空と玩具メーカーの共同開発なのというふうに、最初は疑問に思いましたけれども、既存の枠にとらわれず視点を変えたところにも大いなるヒントがあるというふうに思いました。
 都交通局におかれましても、既存の新交通システムのメーカーや鉄道関連のみならず、他の分野や業種、つまり、例えばスマホの今カメラも多少ぶれていてもちゃんと止まっているように写ったりとか、あるいは車の技術なんかも、センサーの技術なんかも相当発達をしているわけでありまして、こうした研究機関なども調査研究の対象に広げていただきまして、利用者のさらなる安心・安全の確保を推進していくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○福手委員 よろしくお願いします。
 まず、都営バスについて伺います。
 資料を準備していただいてありがとうございます。職員の定数の資料、これを見てみますと、バスの運転手全体では、二〇一八年度に二千四百二十三人、ここから比べてどんどんと増やしていって、二〇二一年度には二千四百八十七人まで増やしてきていることが、この資料からも分かります。
 二〇一五年度から、交通局は、バス運転手確保の取組を強化しています。二〇二一年度には、筆記試験合格者を会計年度任用職員として採用し、免許を取る間の経済的負担軽減を図るという画期的な仕組みもつくりました。
 こうしてバス運転手全体の職員数は増えてきたのですが、内訳を見てみますと、一般職員数は減っていて再任用が増えているという状況です。足りない分を再任用でカバーしているということだと思いますが、二一年度までは、オリンピックで選手などの輸送のために運転手を増やしてきましたが、オリンピックの後の二二年度は、一般職員数が大きく減っています。同時に、路線やダイヤを見直しているので、減った人数でも必要な分は確保できている状況になっているということでした。
 この春も、また廃止と減便が行われますが、廃止、減便の判断基準を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、身近な移動手段として、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、乗客潮流の変化を的確に捉えて路線やダイヤの設定を行っており、路線やダイヤの見直しに当たりましては、お客様の利便性に最大限配慮し、影響をできる限り抑えられるよう努めております。

○福手委員 判断基準としては、地域の公共交通ネットワーク全体の利便性、効率性を高めるよう、乗客の流れの変化を捉えて路線やダイヤを変えているということでした。
 では、決定するに当たって、利用者の声というのは聞いているのでしょうか。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、日頃から様々なご意見やご要望が寄せられているほか、路線やダイヤの見直しに当たりましては、利用状況の変化やお客様の声などについて、全ての営業所からヒアリングを行っております。

○福手委員 先ほどの答弁では、路線やダイヤを変更するときは、影響をなるべく抑えるようにしていると。今の答弁でも、営業所に利用状況とお客さんの声をヒアリングしているということでした。
 しかし、実際には、減便をして一時間に一本になったためにバスが満員状態になってしまって、増便してほしいという声があります。逆に、私の地元では、減便した路線で本数が減ったためにもっと使いづらくなってしまって、増便を求めてもなかなか増やすということにはならないという、そういう路線があります。やはり影響が出ている路線があるのが実態ということではないでしょうか。減便したところの声も含めて、ぜひヒアリングしていただいて、見直しも検討することを求めたいと思います。
 では、都民の移動権、交通権等、交通局の役割について考え方を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、身近な移動手段として、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、乗客潮流の変化を的確に捉えて路線やダイヤの設定を行っております。

○福手委員 効率性というふうにいわれましたが、ヨーロッパでは、公共交通は道路と同様の公共サービスという位置づけにあります。赤字だから道路を廃止するという議論がないのと同様で、公共交通は住民の生活に必要不可欠なサービスであるため、赤字だから廃止とはならないということです。
 赤字の公共交通を維持する方法としては、企業に交通税のような負担金を負ってもらうという制度です。そして、ヨーロッパでは、交通が採算の取れる事業にはならないという認識が広く共有され、交通に係る予算は手厚く措置される、そういう傾向にあります。
 日本は、ヨーロッパと違い、赤字や黒字がサービス変更の理由になっています。公共交通は住民の生活に欠かせないサービスで、赤字であっても公共交通を維持発展させるためには、交通局は、公的な資金を導入してでも、運転手の確保のために新規採用を増やし、一般職員の定数の目標を引き上げて取り組むことが求められていると思います。
 高齢化社会に向けて、都営バスの役割、ますます高くなってきていると思いますので、このことを要望して、次の質問に移ります。
 日暮里・舎人ライナーについてです。
 先ほど、ほかの委員からもお話が出ましたけれども、二月五日、降雪により舎人ライナーが上り勾配区間でスリップをして停止し、十九時二十一分に全線で運転を見合わせ、その結果、約一万二千人の利用者に影響が出たということがありました。
 ただ、この対応内容を局から伺いますと、影響を最小限に抑えるための取組が、私はとてもよく分かりました。当日は、始発から降雪による影響を案内し、お昼以降は、凍結防止剤の散布や、営業所から八名、本局から職員四名が追加で配備されて除雪が行われました。運転打切りを判断したのは、代替移動手段が確保できる早期の段階とし、運転打切り後は日暮里駅に派遣した本庁の職員五名も入って振替輸送の案内を行っています。
 除雪作業は深夜から朝まで行われたということで凍結を回避することができ、翌朝は始発から運転を再開することができました。始発は職員の方を全駅に配置をし、運行状況の案内をしたと、そういう対応をされたと説明を伺いましたが、この二月の対応は、早めの判断が取れたという点など、的確な対応が取れた事例だったと私は思っています。
 では、運休の判断、その基準を伺いたいと思います。

○神永電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、強風等により、安全に列車が走行できない場合、お客様の安全確保のため、運転を見合わせることとしております。

○福手委員 安全に列車が走行できない場合に運転見合せを判断するということで、基本的なことをお答えいただいたのかと思います。
 二月の対応では、始発のときは無人駅にも職員が配置された、全駅に配置されたというふうにありました。では、有人駅である日暮里駅の常駐体制、どうなっているのか伺います。

○神永電車部長 日暮里駅には、各駅の巡回等に当たる職員を適切に配置しております。

○福手委員 各駅へ巡回するための職員も含めて、日暮里駅には職員が配置されているということでした。また、この二月の積雪時の対応で、あらかじめほかの部署の職員も日暮里駅に派遣をされていたのだということは、先ほども説明で伺って聞いております。
 日本共産党都議団は、今回、新交通システムについての調査を行い、そこで災害発生時の対応なんかも項目の中に入れて伺ってきました。
 地震発生時、暴風対応や風水害時、そして凍結や雪の被害の対応など、それぞれ回答をしていただいて、例えば「ゆりかもめ」では、最大瞬間風速二十五メートルが予測され、警報が発令して、長時間見合せの場合は運休、そして、その後は社員が列車添乗をする。地震のときは、震度四で全列車を一時停止し、社員が各駅に急行、旅客の安全確認、駅構内の点検、走行路の安全確認を行うと。震度五弱以上のときは、全列車の停止及び列車への電力供給の停止など、そういうことが書いてありました。とても経過と対応が分かりやすく示されていたんですね。
 私は、これを見て、それぞれの災害別でどういう対応がされているかというのが分かるというのは、とても大事だなというふうに思ったんです。これがお客さんにも分かるようになっていると、それは安心にもつながりますし、周知することで安全確保にも役立つのではないかなというふうに思いました。
 先ほど、ほかの方の質問でも「ゆりかもめ」のことを取り上げられていましたけれども、こういう他社との協議の中で、こういったことも含めて検討していただけるといいかなと思います。
 では、昨年の地震のときの脱線時に、運行が停止になったというアナウンスが分からなかったという声がありました。地上から改札に行く階段の入り口が、シャッターが閉まっていたために、改札にある掲示板を見ることができなかったからですね。これは改善されているのか、確認したいと思います。

○神永電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、運行停止等が発生した場合には、駅でのご案内に加え、ホームページやSNS、アプリ等により、運行情報をきめ細かく提供しております。
 また、各駅からの振替輸送の経路やバス停の位置などにつきましても、各駅でのポスターの掲出に加え、ホームページなどでご案内をしております。

○福手委員 改善をされているということが確認できました。よかったと思います。対応ありがとうございました。引き続き、安全な運行のために必要な改善や体制整備をどうぞよろしくお願いいたします。
 次に、東京都が昨年実施した痴漢被害実態把握調査を基に質問をいたします。
 この調査は、痴漢被害の実態とその傾向を把握し、その結果を踏まえて痴漢被害をなくすための具体的な対策につなげることを目的とした調査です。この調査においても、痴漢被害に遭った場所の質問で一番多いのが車両内で、対策を取るということでは各局や関係機関との連携が必要であると同時に、改めて交通局の役割がとても重要だということが分かりました。
 では、この調査を実施した痴漢撲滅プロジェクトチームに交通局も参加をしていますが、有識者からのアドバイスの受け止めを伺いたいと思います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 交通局では、交通事業者として痴漢撲滅プロジェクトチームに参画してございまして、有識者からの提言につきましては、プロジェクトチームを通じて情報共有されてございます。

○福手委員 情報共有されているということです。
 では、確認しますけれども、各駅の勤務されている方たちにも、これは共有されているということでよろしいでしょうか。

○神永電車部長 都の痴漢被害実態把握調査報告書につきましては、各駅務管区にも情報提供しており、点呼等を通じて周知を図っているところでございます。

○福手委員 駅務管区長から各駅の職員の方たちにも、報告書については周知や共有をしているということでした。被害の現場は車両内や駅構内もありますので、今後の対策として何が必要か、現場の方々も一緒に検討していただきたいと思います。
 この調査で有識者からのアドバイスを受けて、被害をなくす取組について局で検討が必要だというふうに思いますが、その認識と、そして進捗を伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 痴漢は、被害に遭われた方の心に一生の傷を負わせることにもなりかねない卑劣な犯罪であると認識をしてございます。
 交通局では、お客様に安心してご利用いただけるよう、車内防犯カメラの設置や痴漢撲滅キャンペーンの実施、駅係員の巡回等を継続的に行ってまいりました。
 また、昨年度から、受験シーズン等に独自の対策強化期間を設けるとともに、痴漢を目撃した場合の対処方法を例示したポスターの掲出や、警視庁の防犯アプリ、Digi Policeの活用促進に取り組んでいるほか、今年度は、痴漢撲滅プロジェクトチームの一員として駅での啓発グッズの配布を行うなど、引き続き、対策を進めてございます。

○福手委員 今、答弁をされましたように、交通局はこれまで、ハード面、そして啓発キャンペーンなど、広報などの取組も行ってきました。その中でも、交通局が都立大学の学生と一緒に作成したポスターというのは、周囲の方、第三者の協力を呼びかけるポスター、これをつくってきたんですね。
 今回の調査で、有識者からも、被害者が受けている痴漢行為を周りの人に気づいてもらうことの重要性は非常に大きく、痴漢を防ぐために行動する第三者の役割は重要だという意見が出されています。局としてこうした努力をされてきたということ、とても重要だと改めて気づかされました。
 一方で、加害をなくすという点で、さらに交通局として何ができるか検討し、具体化をしていただきたいと思います。
 調査では、被害者も第三者も六、七割が届出をしないというふうに答えています。その理由で多いのが、時間がなかったからだということでした。しかし、その後、どうしたかったのかという質問では、気軽に届け出る方法があれば何かしたかった、駅職員や警察に届け出たかったと答える人がいることも分かりました。
 被害者は七、八割が中高生だということで、遅刻を気にして届けられなかったり、駅で被害を届けなくても、後から学校から駅に通報が入ること、これまでもあったかと思いますが、こういう状況から考えますと、駅周辺の学校と駅とで話し合う機会をつくるということなどがあってもいいのではないかなと思います。また、顔が分からなくても、ぜひ駅に連絡してくださいというアナウンス、こういったことも効果があるのではないでしょうか。
 届出をしやすいということに関わるとは思いますが、女性の配置がない駅というのは、今、何駅あるのか確認したいと思います。

○神永電車部長 都営地下鉄では、全ての駅務管区に女性が所属しております。
 女性が宿泊できる施設のある駅は、令和五年四月一日現在、全百一駅中二十八駅であり、こうした状況を踏まえ、駅係員を日々配置しているところでございます。
 なお、都営地下鉄におきましては、全ての駅係員が適切に対応できるよう、痴漢被害の訴えがあった場合の手順を駅業務ハンドブックに定めて周知徹底しているほか、朝の点呼等でも痴漢の事例を共有して注意喚起を行うなど、日頃から業務を通じて対応力の向上、こちらを図っているところでございます。

○福手委員 対応を朝の点呼などでもされているということでありました。
 今日、出していただいている資料の中でも、答弁にあったように、女子職員の宿泊施設の整備状況というのがありますが、施設がないというところは、女子の泊まり勤務がないということなんですね。やっぱり女性の職員数、今までも増やしてきて努力をされていると思いますが、改めて増やしていただくことを要望しておきたいと思います。
 アナウンスや周知という点では、有識者の方から、加害者に対して、再犯防止プログラムの参加者は治療によって加害行為を止めることができると、だけれども、プログラム自体が認知されていないので、加害者をプログラムにつなげることが課題だというふうにありました。そこで、駅などで加害者向けプログラムが紹介されるといいということなんかも書いてあったんですね。加害をどうなくしていくか、こうした取組も、局として、この結果を受けてぜひ検討していただきたいと思います。
 あわせて、調査では、実際に被害に遭った時期や時間帯や混雑率や車両の位置や車両内の位置、そして、なぜその車両に乗ったかというような、物すごく詳細な実態を把握するものとなっています。傾向もここでつかむことができるというふうだと思います。これらを土台にして、女性専用車両を都営地下鉄の全路線で実施される必要がやはりあるのではないでしょうか。
 東京都が実施したこの調査の結果を、相互乗り入れする鉄道会社にもぜひ共有をしていただいて、痴漢被害をなくすための具体的な対策として、三田線と浅草線の女性専用車両の導入へ、交通局がリードする形で実施に向けて進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○あぜ上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時四分開議

○あぜ上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、交通局の来年度予算案に関して質問します。
 初めに、人材確保についてです。
 昨今、少子高齢化などにより、多くの業界で人材不足がいわれています。しかし、社会が変化するから不足は当然とするのではなく、仕事の大変さや待遇による理由で人材確保ができない状況があれば、改善することが重要です。多くの命を運ぶのであり、特にバスは、狭い道路で人が歩いていたり、自転車が無謀な運転をしたり、大雨の日もあり、多くの神経を使って安全な運行を行う、本当に大変な仕事だと思います。
 今後も、都民の安全や移動の権利を保障するためにも、有為な人材を確保することが重要になります。
 そこで、都営バスの運転手の大型のバスで何十人もの命を預かる仕事は大変重要です。人材確保に向け、もっと広報すべきですが、見解を伺います。

○市川職員部長 交通局では、採用ホームページやパンフレットで、バス乗務員自らが語るやりがい、魅力や、乗務員の一日の仕事の流れを紹介するほか、SNSを活用した広告配信や求人情報サイトへの掲載など、採用情報の周知に取り組んでおります。
 さらに今年度は、都営フェスタや都営バス百周年記念イベントに職員採用案内ブースを出展し、来場者に広くバス乗務員の仕事についてPRを行ったところでございまして、引き続き、必要な人材の確保に努めてまいります。

○中村委員 いうまでもなく、公共交通は重要な仕事であり、有為な人材確保のためには、魅力ある職業であることが必要であるのと同時に、それにふさわしい待遇になるよう求めます。
 さて、バスの運行については運転手が必要ですが、安全な運行のためには整備士も必要になります。先々、少子化がさらに深刻になると、運転手だけではなく整備士の不足も心配になります。急に採用しても熟練するには時間がかかるため、計画的な人材確保が必要になります。
 そこで、改めて、バスの人材難は、運転手だけではなく整備士も不足し、熟練するには時間がかかるため、必要な自動車整備の人材確保について、どう取り組むのか伺います。

○市川職員部長 交通局では、若手の自動車整備の職員を確保するため、工業高校や専門学校等への訪問を継続的に実施するとともに、採用ホームページやSNSを活用し、仕事の魅力を分かりやすく発信しております。
 今年度は、先ほどの都営フェスタへの出展のほか、高校生等の若者をターゲットにしたPR動画を作成し、ユーチューブにて配信を開始してございまして、引き続き、必要な人材確保に努めてまいります。

○中村委員 ぜひ積極的なPRをしていただいて、若い人が憧れる職業になっていただいて、ぜひ運転手になっていただける、また整備士になっていただける、そういったことの人材確保をお願いしたいと思っています。
 さらに、人材確保だけではなくて、当然、人材育成も重要になります。時間は当然かかりますが、必要な技術の継承がされることを求めます。
 さて、本来であれば、業務の全てが直営で行われることが望ましいのですが、現状、関連する会社として東京交通サービス株式会社に業務を委託しています。都として人材確保を行い、技術を継承するだけでは足りず、グループ全体として人材確保を図り、技術の継承を図っていく必要があります。
 そこで、交通局は、東京交通サービス株式会社にどのような業務を委託しているのか伺います。また、委託を進める中で、どのように技術力の維持を図っているのか伺います。

○豊田総務部長 交通局では、地下鉄など都営交通の車両や施設、設備の保守業務等について、局のグループの一員である東京交通サービス株式会社、TKSに委託しております。
 交通局とTKSは、人材交流や合同訓練などを行い、技術、ノウハウを相互に共有しながら、グループ一体となって技術力の維持向上を図っております。

○中村委員 近年、都庁の各局が、グループ経営として局と関連する会社が一体になって行うというふうにしています。ただ、どんどんと会社の方に業務を移管していくと、局にノウハウがなくなってしまいます。局として一定の技術を確保する必要性があります。
 また、社会情勢が変わり、人材確保のためには一定の待遇が必要であり、移管する流れよりも、むしろ本体に抱える流れもあります。グループ全体でのレベルの向上は必要ですが、局において技術やノウハウが維持されることを求めます。
 次に、公共交通の在り方について伺います。
 少子高齢化の急速な進展により、人口減少社会になっていきます。コロナ禍により、テレワークも一層進み、今後もその傾向は強まると考えられます。利用客が減ると経営的に厳しくなりますが、とはいえ、一般の会社のように簡単に業務を縮小するわけにはいかず、すなわち路線の廃止を簡単に行うわけにはいきません。とりわけ、高齢者や障害者などのいわゆる交通弱者の方も増える中で、その移動の権利が保障されなければなりません。より一層、公共交通としての役割が問われてきます。
 そこで、高齢者などの交通弱者には移動の権利が保障されるべきです。需要の減少に伴い、民間などでは路線の廃止なども考えられますが、都営バスは公共性が高いので、路線の維持が必要ですが、見解を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、身近な移動手段として、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、乗客潮流の変化を的確に捉えて、路線やダイヤの設定を行っております。
 引き続き、需要動向を踏まえた路線運営を行うとともに、経営改善に取り組むことで、都民の足としての役割を果たせるよう、適切に対応してまいります。

○中村委員 今でも路線全体としては赤字の路線が多いのですが、全体の中で黒字化を図っています。人口減少社会になり、経営が厳しくなるほど公共交通の必要性は増していきます。安全な運行のためには、利用者も運行者もともに大切にすることが重要です。よろしくお願いします。
 ところで、同じ交通機関であるタクシー業界で、政府による白タクの合法化といわれるライドシェアの議論が進んでいることで、安全な移動が脅かされ問題になっています。これは、タクシーとバスが違うからとか、解禁されると乗客を奪われるからというレベルの問題ではなく、会社による運行管理も安全管理もない事業者が現れると、安全が第一の交通そのものを崩壊させるおそれがある大きな問題です。
 改めて交通局に確認しますが、ライドシェアと違い、都営バスは運行管理や安全管理をしていますが、乗客の安全のための取組をお伺いします。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、お客様に安全に、また、安心してご利用いただけますよう、法令に基づく運行管理のほか、乗務員の安全意識や運転技術の向上などを図っております。
 具体的には、乗務員の健康状態の確認などを行う点呼、アルコール検査、ドライブレコーダーの映像も活用した安全に関する研修、乗務員の労働時間等の管理などを行っております。これらに加えまして、運転訓練車を用いた訓練や運行管理者による添乗を通じまして、各乗務員に自らの運転特性や、くせなどを把握させた上で助言いたしますとともに、お客様に向けたアナウンスの指導などを行っております。

○中村委員 お客様の安全を確保するために、事業者としてこれだけ安全のためにやっているということが分かりました。まだ今議論されているのは白タクの話で、白バスではないとはいうものの、こうしたことがいつ出てくるか分からないので、しっかり対応していくことが必要かと思っています。改めて、今の答弁で、交通局が着実な取組を行って安全の確保をしていることが分かりました。
 私たち立憲民主党は、もちろん白タク合法化は反対です。公共交通そのものを崩壊させるおそれがあるため、私は、同じ交通事業者である交通局としても、他の事業者と連携して反対の声を上げてほしいと思います。交通だけの問題ではなく、乗客である都民の安全を守るために、このことをお願いしたいと思います。
 次に、災害対策について質問します。
 去る三月十一日に東日本大震災から十三年目を迎え、多くの震災関連の報道がありました。もちろん、今年の元旦の能登半島地震では、いまなお多くの方が避難され、都からも多くの職員が現地で支援をしていただいています。改めて、都としても全ての局で災害対策の強化を図ることが必要です。
 そこでまず、都営地下鉄の浸水対策の強化に向けた取組状況について伺います。

○坂口建設工務部長 交通局では、東海豪雨規模の降雨を想定した地下鉄の都市型水害対策を平成二十五年度に完了いたしております。
 その後、水防法改正により、浸水予想区域図等が順次見直されたことを受け、都市型水害に加え、荒川氾濫等大規模水害を含む対策を検討し、施設整備の方向性や具体な整備手法、手順を取りまとめた東京都交通局浸水対策施設整備計画を令和五年二月に策定しており、これに基づき、駅出入口やトンネル内等への施設整備を進めております。

○中村委員 近年、都市型水害の激甚化とともに、浸水対策の重要性が増しています。地震と違い、水害は予報ができるので、ご答弁いただいたハードの強化も必要ですが、ソフトの対策として、利用客の避難誘導による安全の確保も重要ですし、様々な状況を想定した訓練を行うことを求めたいと思います。
 特に、今年の一月に起きた羽田の事故についても、あれだけの事故だったんですけど、乗客の方、誰も犠牲になることがなかった見事な避難のさせ方だったと思います。そういったことも、交通事業者としてはしっかりと日常訓練も行っていただいていると思いますけれども、お客さんの安全確保ということについてお願いしたいと思います。
 さて、各地で地震が起こる中、東京においても、いつ震災が起きてもおかしくないといわれています。能登でも多くの建物が倒壊しましたが、都においても耐震対策が急務です。
 そこで、都営地下鉄の耐震対策の取組状況について伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、阪神・淡路大震災を受けました耐震対策を平成二十二年度に完了をしております。
 現在、東日本大震災を踏まえ、早期の運行再開を図るためのさらなる対策として、高架部の橋脚及び地下部の中柱の耐震補強を進め、これまでに千八百三十六本、約五割の整備を完了しており、引き続き、計画的に取り組んでまいります。

○中村委員 阪神大震災は平成七年でしたから、平成二十二年度ということで、完了したのはいいんですけど、かなりやっぱりこういうものは時間がかかるものです。既に五割の整備を完了していただいているということですが、地震の際にどこかが問題があれば、それによって運行ができなくなってしまいます。計画的に取り組んでいただいていると思いますが、さらなる着実な取組をお願いしたいと思います。
 さて、次に、サービスや安全についても伺います。
 人口減少社会とはいえ、東京都のみならず近隣県を含めた首都圏では、電車の混雑が依然として問題になっています。コロナ禍においては一時混雑が緩和されましたが、コロナも二類から五類になり、まだコロナ前には戻り切っていないとはいうものの、再び電車の混雑も増えてきました。
 小池知事は、選挙で満員電車ゼロを公約し、それに期待をした方も多かったのではないかと思います。これはどの路線ということでもなかったので、当然、都営地下鉄も対象になるかと思われます。
 そこで、改めて、知事は満員電車ゼロを公約しましたが、都営地下鉄の取組と状況を伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 都営地下鉄では、三田線、新宿線における車両の長編成化や、時差ビズキャンペーンの実施、車両の混雑予測情報の提供など、ハード、ソフト両面から混雑対策に取り組んでまいりました。
 令和四年度の各路線の混雑率は、浅草線が一〇五%、三田線が一三五%、新宿線が一三〇%、大江戸線は一三五%でございます。

○中村委員 満員電車の混雑対策に取り組んでいただいていることは分かりましたが、恐らくこれ、令和四年度の数字ということは、多分もう少し増えているんだろうと思います。朝晩のラッシュにおいては依然として混雑もしますし、多くの方が通勤ラッシュ、非常に負担になっていますので、少しでも改善されるよう取組を求めたいと思います。
 次に、安全対策について伺います。
 昨今、電車の車両内での凶悪な犯罪も発生するなど、安全対策が重要視されます。また、満員電車が解消しないと痴漢も発生し、防犯対策は急務となっています。
 都は、来年度の予算に全車両への防犯カメラの設置を計上していますが、その内容を伺います。

○神田技術調整担当部長 都営地下鉄では、迷惑行為や痴漢等犯罪の未然防止、テロ対策など、セキュリティ強化を図るため、令和六年度までに防犯カメラを全ての車両に設置することとしておりまして、これまでに既存車両への設置を含めて八十二編成に導入しております。

○中村委員 防犯カメラは犯罪の抑止につながりますが、昨今では駅にも駅員が少ないのですが、人の目があることも重要ですし、その上で防犯カメラだとは思います。さらに、カメラは、発生した犯罪の犯人を捕まえるのが目的ではなく、あくまで抑止力なので、カメラが設置されていることを積極的にPRしていただきたいと思います。
 以前であれば、プライバシーの問題からカメラの設置には批判的な意見も多かったのですが、昨今では様々な事件が発生しているため、カメラの設置も容認されるどころか求められるようにもなってきました。とはいえ、だからこそプライバシーへの配慮は必要になります。
 そこで、都営地下鉄全車両への防犯カメラの設置を進めているとのことですが、記録された映像について、プライバシー保護をどう考えているのか伺います。

○神永電車部長 都営地下鉄の車内防犯カメラに記録された映像につきましては、局が定めた基準に基づき管理しており、その中でプライバシー保護にも配慮しております。
 具体的には、職員に対し、防犯カメラにより知り得た映像等の情報を第三者に知らせることを禁止するとともに、その提供につきましては、法令等に定めがある場合または捜査機関から公文書による照会があった場合に限定しております。

○中村委員 今後の技術の進展によっては、顔認識も進めば、恐らく検索すれば誰がいつのどの車両に乗っていたかも分かるようになることもあるだろうと思います。あくまで犯罪抑止のためなので、個人の監視になってはいけないと思います。プライバシーの保護についてはしっかりと行うよう求めます。
 さて、次に、障害のある方の地下鉄の利用について伺います。
 地下鉄のトイレについては、昨今、子供の世話をするためのベッドが設置されるようになってきました。しかし、子供だけではなくて、大人の重度心身障害者の介護をする方には子供用の大きさだけでは足りず、大人を寝かせることができる介助用ベッドが必要になります。
 そこで、地下鉄のトイレに介助用ベッドが必要であると考えますが、取組状況を伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、駅の大規模改修等の機会を捉え、車椅子使用者対応トイレ内に十分なスペースを確保できる場合に介助用ベッドを設置しており、現在、二十六駅、二十九か所で整備を完了しております。

○中村委員 二十九か所ということで大分増えてきたと思います。障害者の方を介助している方々は、本当にいろんなところに行くのが大変なので、早く設置をしてほしいという声もいただいております。大人用のベッドになると大変スペースを取るというのは承知はしていますが、バリアフリーの観点から、今後は子供用だけではなく、介助用ベッドの設置も進めていく必要性があります。誰もが利用できるようスペースを確保して設置を求めることを改めて求めます。
 さて、地下鉄もいろんな駅と乗換えがあったりすると、出口の数も増えて、いつも使う駅ではないと、ホームに降りたときにどちらに進んでよいのか迷うこともあります。
 地下鉄の出口が多く、どこに行っていいか分からないことがありますが、どのように案内表示を工夫しているのか伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましては、旅客案内標識設置マニュアルに基づきまして、駅構内に案内サインを設置し、出入口や乗換路線などをお客様に分かりやすく案内しております。
 具体的には、駅ホームやコンコースに設置した案内図等により、駅周辺の主要施設に最も近い出口を案内するとともに、案内図につきましては、ホームページや都営交通アプリでも情報提供をしております。
 また、本年一月からは、駅構内から目的地までの移動を支援するため、都庁前駅におきましてARを用いたナビゲーションサービスを導入し、案内手法の拡充にも努めております。

○中村委員 いろいろIT関連の技術によって進むということもあると思いますので、よりお客様のためにやっていただきたいと思います。特に、この一月から新しい取組も始まったということなので、ぜひとも分かりやすい表示に向けての工夫をさらにお願いしたいと思います。
 次に、環境対策について伺います。
 地球温暖化が進み、猛暑や都市型水害などが起こると、環境問題への取組が急務であることを痛切に感じます。これは、あらゆる分野で取り組まなければならない課題です。
 都営バスにおいても、排気ガスを出さないゼロエミッション車、いわゆるZEV化への取組をしなければなりません。
 そこで、都営バスのZEV化の推進に向けた取組状況について伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、現在、七十五両の燃料電池バスを運用し、令和六年度までに八十両まで拡大する計画でございます。
 さらなる導入拡大に向けて、公募で選定した整備運営事業者により有明営業所内に水素ステーションを整備することとしており、令和七年四月に開所する予定でございます。
 また、EVバスにつきましては、大都市におけるEVバスの導入モデル構築に向けて、昨年九月に東京電力ホールディングスと事業連携協定を締結し、検討を進めているところでございます。

○中村委員 燃料電池バスが導入され、EVバスも検討されているとのことでした。ただ、エネルギーの問題というのは大変重要で、そのエネルギーがどのようにつくられるかが重要です。燃料電池バスは水素で動くわけですが、その水素が、例えば石油を燃やしてつくるのでは環境にいいとはいえません。昨今では、太陽光発電で水素をつくることも行われていると聞きます。
 そこで、燃料電池バスに使用する水素の由来が重要と考えますが、どのような水素を使用しているのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 水素ステーションの運営事業者によりますと、現在、当局が使用している水素は、苛性ソーダ等の製造過程で発生したいわゆる副生水素や、ガスや廃プラスチックを改質したものと聞いております。

○中村委員 燃料電池バスにおいては、どのようにつくられた水素を使うかが重要です。現在は水素ステーションの数がそんなにもないので、それほど選択肢はないようですが、今後はそうしたことも注視して選択していただくことが大切になると思います。
 さて、燃料電池バスだけではなく、今後はEVバスも検討するとのことですが、このEVバスの導入に当たっての課題や検討状況について伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 EVバスの導入につきましては、充電設備等のための十分なスペース確保や、早朝から深夜まで運行する中での充電時間の確保、一回の充電で走行できる距離が短いことなど、様々な課題がございます。
 そのため、先ほど申し上げました東京電力ホールディングスとの事業連携協定に基づき、互いに有する知見を活用しながら検討を進めております。

○中村委員 ZEV化は時代の流れでもあり、進めていかなければならないと思います。ただ、どの技術が標準になるかまだ分からず、見極めが大変難しくなっていきます。特に、一台当たりの車両というのは大変高いものもありますから、その見極めは難しいんですけれども、しっかり情報収集していただきたいというふうに思います。今後、主流になるのが燃料電池なのかEVなのか、なかなか分からないところもあるんですが、動向の見極めをお願いします。
 とはいえ、都としても公共的な役割もあるので、むしろ業界をリードするような取組も必要になってきます。環境の問題もそうなんですが、いろいろと人材確保の問題や災害対策といろいろ質問させていただきました。公共交通ならではのいろんな課題もありますが、ぜひとも、こういった民間も含めて業界全体をリードしていくような都営交通であることを求めまして、質問を終わります。

○岩永委員 それでは、まず最初に、日暮里・舎人ライナーの安全対策について伺います。
 二〇二一年十月七日の千葉県北西部を震源とする地震の影響で起こった日暮里・舎人ライナーの脱輪事故については、二〇二一年秋の公営企業委員会事務事業質疑や、その後、二〇二三年の二月に出された報告書を受けて、昨年の三月の公営企業委員会でも質疑をさせていただきました。
 今回は、二〇二三年の四月に発生した輸送障害についての報告書が先月出されましたので、その報告書に沿ってお聞きしていきます。
 報告書にもまとめられておりますが、四月の十日、十一日、十二日から十三日と、四日間続けて運転を見合わせることになりました。その再発防止策として、想定される臨時作業の手順のマニュアル化が示されております。
 マニュアル化した作業の内容について訓練を強化するということですが、訓練はどの程度の頻度で行うのでしょうか。また、訓練の対象者についても伺います。

○神田技術調整担当部長 日暮里・舎人ライナーでは、日々の点呼等において、当日の車両安全に関する教育を行うとともに、臨時作業については、月一回程度実施している技術教育等において教習の内容や回数を充実させるなど、訓練を強化しております。
 また、臨時作業に関する訓練については、局の職員のほか、受託者の作業員など全ての車両整備担当者の参加の下、実施しているところでございます。

○岩永委員 輸送障害は、突発的に起こることですので、緊急時の対応に当たっては日頃からの訓練がとても重要だと思います。臨時作業に関する訓練については、局の職員を含めて、全ての車両整備担当者で月一回程度訓練を実施されているということです。しっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。
 また、今回の事故の原因の一つとして、伸縮継ぎ手が溶けて、また固まってしまったというようなことが挙げられております。鉄道総合技術研究所の調査結果を踏まえた再発防止策として、改良型の伸縮継ぎ手を導入するということです。
 今年三月からということですが、現在の伸縮継ぎ手の数と、その交換の考え方について伺います。

○神田技術調整担当部長 改良型伸縮継ぎ手については、朝晩の気温差が大きくなりやすい環境にある箇所から優先的に交換することとしており、今月、交換に着手いたしました。
 引き続き、定期点検の結果など状況を見ながら、約九百個の伸縮継ぎ手について交換を進めてまいります。

○岩永委員 今後、九百個交換をしていくということで、数も大変多いですので、完了までに時間もかかると思います。できるだけ早期に完了するような検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、電車線について伺います。
 電車線の点検について、現状と、事故を踏まえて強化をした点について伺います。

○神田技術調整担当部長 電車線がゆがんだ原因が伸縮継ぎ手の固着と推定したことを踏まえ、固着に関する点検項目を追加し、また、これまで年一回だった定期点検の回数を気温差が大きい春と秋の年二回に増加させ、昨年九月から実施しているところでございます。

○岩永委員 近年、気候変動の影響もありまして、先月、都議会第一回定例会の初日の日は二月の二十日でしたけれども、気温が日中二十三・七度まで上がって、二月でしたが、初夏のような気温となりました。そして、その翌日は、一転して十五度近くも気温が下がりまして、九度となるというようなことがありました。このように急激な気温差も以前に比べて多くなってきていると思いますので、気候変動による影響という視点も必要ではないかと思います。
 また、十日前の三月八日の日に雪が少し降りまして、日暮里・舎人ライナーが、前夜から雪が降ったということで、一時運行見合せとなりました。
 私の地元の多摩地域でも、積雪量はごく僅かでしたので、一時的とはいえ運行を見合わせたということを報道で知りまして、大変驚いたということがありました。
 日暮里・舎人ライナーにおける二〇一九年度以降の運行停止について伺いたいと思います。そのうち、雨や風や雪など気候によるものや、また、地震など自然現象が原因で運行が停止となった件数を要因別にお伺いします。

○神永電車部長 日暮里・舎人ライナーにおける二〇一九年度から今年二月末までの運行停止の件数は延べ十八件でございます。
 そのうち、自然現象によるものは八件ありまして、その内訳は、強風が三件、大雪が三件、低温が一件、地震が一件でございます。

○岩永委員 この五年間で、運行停止が十八件ということでした。八件の自然現象のうち、地震はその中の一件ということでしたので、その中に、二〇二一年の千葉県の地震が入っているということになるのだと思います。
 そこで、日暮里・舎人ライナーにおいて、大きな地震が発生した際の対応はどのようになっているのでしょうか。東日本大震災の際の対応や、そのときの被害状況についても伺います。

○太田安全管理担当部長 交通局では、震災対策に関する基本的な事項を定めた危機管理対策計画を策定しており、日暮里・舎人ライナーにおいても、これに基づき対応することとしております。
 具体的には、お客様の安全を確保するため、緊急地震速報を受信した際には全列車を緊急停止させるとともに、震度に応じた点検を実施することとしております。
 東日本大震災の際には、指令所で震度五弱を計測したことから、全線で運転を中止した後、各施設の緊急点検を実施し、パンタグラフやホームドアなど損傷が確認された箇所の補修を行った上で、翌々日に運行を再開いたしました。

○岩永委員 私、過去の議事録をちょっと調べてみたところ、二〇一一年の六月十四日に、公営企業委員会で、交通局における東日本大震災への対応についての報告がありました。日暮里・舎人ライナーは、パンタグラフやホームドアなどの設備の一部が損傷するなどの被害を受けて、運行再開は三月十三日の十四時という報告がなされていました。東日本大震災のときは、その後、計画停電もありましたので、その影響による一部運休ということもあったということです。
 二〇二一年十月の千葉県の地震による事故を受け、運輸安全委員会から、乗客の安全確保を最優先した避難誘導方法を整理して、マニュアルにも記載し、周知徹底するよう勧告が出されました。高齢者や障害者をはじめ、利用者からは、無人運転や無人駅に不安の声が届きます。特に災害時など一人で避難が難しかったり、助けが必要な方、言葉が分からない外国人などにとっては、不安は大きいものです。無人運転や無人駅での運行だからこそ、日頃から困り事にも丁寧に対応をしたり、避難訓練を行うなど、安心につながる取組を重ねていくことを要望いたします。
 それでは、次に、都営バスの運行について伺います。
 先月、都内の人口が二〇三〇年をピークに減少に転ずるという推計を東京都が公表しました。既に多摩地域など、高齢化の進む大型の集合住宅では働く世代が激減し、通勤でのバスの利用者が減ったことで、バスのルートが変更されたり、便数が減っているという状況をお聞きしました。高齢になり車の免許証を手放した方が、バスが利用できないときにタクシーを利用しようと思ったところ、タクシーは予約ができない、配車の手配ができずにそのときは利用できなかったというように、東京に住んでいても、地方と同様に高齢者の移動が非常に不便になり、ご苦労をされているという切実な話を伺いました。
 来年、二〇二五年には団塊の世代が後期高齢者となり、車や自転車を手放す人が今後さらに増えることが見込まれます。今後、民間の路線バスが撤退をしたり、便数を減らすルートが増えてくることを想定して、都営交通の中でも、都民生活に最も身近で、なくてはならないバス交通をどう考えるのか、人口減少社会を見据え、今後に向けた議論が必要な時期に来ているのではないかと考えます。
 そこで、都営バスの路線やダイヤの設定に当たっての基本的な考え方を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、乗客潮流の変化を的確に捉えて、路線やダイヤの設定を行っております。

○岩永委員 自治体からの経費の負担を受けて運行をしている路線について、その自治体と系統名を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 経費の一部負担を前提に、自治体からの依頼に基づき運行しているバス路線は七路線でございまして、台東区の東42の三系統、江東区の急行06系統及び区のコミュニティバスである江東01系統、青梅市の梅74系統、梅76系統、梅77系統、そして、青梅市、武蔵村山市、東大和市、小平市、瑞穂町の四市一町が負担する梅70系統でございます。

○岩永委員 今、具体的にご紹介をいただきましたが、都内七路線で、自治体からの経費負担を受けて運行をしているとのことです。
 では、都営バスとコミュニティバスはどのように連携を図っているのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスをはじめとする路線バスは、主に広域的かつ基幹的な路線を運行しているのに対しまして、コミュニティバスは、国のガイドラインにおいて、交通不便地域の解消などを図るために各自治体が主体的に計画するものとされており、こうした役割分担の下、地域の身近な移動を支えております。
 各自治体は、地域公共交通の充実に向けた会議を設置しており、交通局はこうした会議に委員として参画し、コミュニティバスの運行等につきまして、経路を設定する際のノウハウの提供や停留所の共用、効果的なPR方法の助言など、様々な協力を行っております。

○岩永委員 都営バスは広域的に基幹交通の役割を担い、地域での交通不便地域の解消は、コミュニティバスにより自治体の役割とされてきています。
 しかし、今後の人口減少社会を見据えると、また、高齢化社会を踏まえると、民間事業者や自治体だけでは担えない交通不便地域の解消を、自治体と都営バスが連携をしたり、共同運行するなどの検討も必要ではないかという問題提起をしておきたいと思います。
 先ほど答弁にありました七路線では、既に取組事例があります。また、日頃から各自治体の地域公共交通会議に交通局が委員として参画をされ、様々なアドバイスを行ったり、自治体と連携をしながら地域公共交通を共に進めてきている実績が既にありますので、ぜひ今後、そのような検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、緊急一時避難施設について伺います。
 都の二〇二四年度予算案では、新規予算として、弾道ミサイル攻撃から都民の生命と財産を守るため、モデル事業の実施に向け準備を進めるとともに、技術的調査を実施するとあります。地下鉄や地下駐車場を活用した避難施設整備とのことで、約二億円を計上し、総務局と交通局の共管の事業となっています。
 そこで、交通局としてはどのように関わっていくのか伺います。

○太田安全管理担当部長 大江戸線の麻布十番駅に併設されている都の防災倉庫を活用した避難施設整備につきましては、モデル事業の実施に向けた準備を進める予定であり、総務局から委託を受け、地下鉄の安全運行に影響がないよう、鉄道施設を管理する交通局が必要な調査を実施することとしております。

○岩永委員 ウクライナでのミサイル攻撃や北朝鮮の弾道ミサイルなどを受けて、首都防衛の必要性から、都は、二〇二二年五月に地下駅舎への緊急一時避難施設の指定を開始しました。二〇二二年十一月の事務事業質疑でそのことを確認した際に、都営地下鉄駅では都内五十七駅が緊急一時避難施設に指定をされているということでした。
 その後の緊急一時避難施設の指定状況と、都営地下鉄への指定が開始されて以降、Jアラートの発令により緊急一時避難施設として活用されたことがあるのか伺います。

○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、令和五年九月に大江戸線練馬駅が緊急一時避難施設に指定されており、現在、都内では五十八駅が指定されております。
 また、緊急一時避難施設に指定されて以降、都営地下鉄の沿線を対象とした国民保護情報としてのJアラートは発令されておりません。

○岩永委員 一駅追加をされて、都営地下鉄駅全百二駅のうち、現在は五十八駅が緊急一時避難施設に指定をされているということです。また、都営地下鉄沿線を対象としたJアラートは発令されていないということでした。
 二〇二四年度に、麻布十番駅に併設されている都の防災倉庫を活用して、避難施設を整備するための調査などが行われるということですので、また状況については確認をしていきたいと思います。
 次に、都営バスのサイクルバスについて伺います。
 生活者ネットワークでは、脱炭素化を進めるためにも、環境に優しい自転車を、都営バスや地下鉄、トラムなどの都営交通でも搭載して自転車利用できる取組を要望してきました。昨年三月の公営企業委員会、交通局への予算質疑で、コロナ禍の影響で都営バスの利用が減少する中、青梅方面など自転車ツーリングに行く人たちのニーズを含めて、休日のレジャー向けに新たに都営バスにおけるサイクルバスの検討を要望していました。
 先日、都営バスにおけるサイクルバスの実証運行開始のプレス発表がありましたが、都営バスのサイクルバス導入の経過と、実証運行の概要を教えてください。

○櫻庭自動車部長 都では、環境に優しく、健康にもよい自転車をより身近なものとするため、様々な取組を行っておりまして、その一環として、都営バスでは、青梅駅と御岳方面を結ぶ梅01系統において、地元自治体などとの調整を経て、一昨日、三月十六日からサイクルバスの実証運行を開始いたしました。
 運行は、土休日の一日八便、ご利用できる停留所を青梅駅と観光スポットの近くに設定し、バス一両当たり自転車を二台まで乗せることができるものでございまして、運行を通じて、サイクリストなどの利用者からご意見を収集することとしております。

○岩永委員 ちょうどこれから気候もよくなる時期でスタートしたということは、すごくよかったかなというふうに思っております。青梅駅が発着点になるバスルートということで、今後、JRや駅周辺の事業者、また、地元自治体とも連携をしながら進めていただきたいと思います。
 昨今、観光地を中心にレンタルサイクルが広がっておりますので、レンタルサイクルとの連携は都バスのPRにもなりますし、利用につながる取組として期待できると思います。また、利用状況など、この委員会でも伺っていきたいと思いますので、今後の取組に期待をしております。
 それでは、最後に、香害対策について伺います。
 交通機関における化学物質の健康被害、香害について、これまでも都営交通での啓発を求めてまいりました。都営バス車両内での香害の周知ポスターの掲示の取組、こちらについては、求めてきている経緯もありますが、現状と今後について伺います。

○櫻庭自動車部長 香りへの配慮に関しましては、国の方で作成した啓発ポスターを必要に応じて活用するよう依頼があり、本年二月五日から十八日まで車内サイネージで配信したところでございまして、引き続き、必要に応じ対応してまいります。

○岩永委員 二月の五日から十八日までの期間ということですが、初めて都バスの車内のサイネージで配信をしていただいたということであります。今後も、そのような機会を活用しまして、継続的な配信をお願いしておきたいと思います。
 二〇二四年の四月、来月から、改正障害者差別解消法が施行されます。それによりまして、事業者にも合理的配慮の提供が義務化をされます。化学物質過敏症もこの法律の対象となり得るということは、二〇一七年の国会答弁により示されているところであります。既に、行政機関では合理的配慮が義務化されておりますが、四月からは、民間事業者を含む全ての事業者が対象となります。
 そのような流れの中で、公的な場所でのフレグランスフリー化ですとか無香料化など、空気の中の化学物質という、そういう障害を取り除く環境整備という考え方が公営交通にも必要になってくるのではないでしょうか。個別の合理的配慮ということではなく、環境の整備という視点での取組が必要だと思います。
 都営地下鉄でのポスター掲示や都営バスでの啓発の取組をいただいておりますが、今後はもう一歩踏み込んで、例えば、無香料車両などを設定するというようなことについても検討いただくことを要望しまして、質問を終わります。

○村松委員 よろしくお願いいたします。
 初めに、大江戸線延伸について何点か伺います。
 地元練馬区をはじめ、延伸エリアの多くの住民は、一日も早い大江戸線の実現を待ち望んでおりますので、機会を捉えて進捗を確認させていただいているわけでございます。
 大江戸線延伸の導入空間となる都道補助二三〇号線の整備が着々と進んでおり、近隣住民の期待が高まる一方、用地を提供した地域住民の方からは、せっかく用地を提供したのに大江戸線は延伸しないのかとの声や、路線価が上がり固定資産税が高くなっただけなど不満の声が上がり続けています。これら不満の声の背景には、検討状況が見えない、伝わっていないこと、そして、当然早く延伸してもらいたいと、期待の大きさが要因だと思います。
 そうした地元住民の思いに応える質疑にさせていただきたいと思いますので、現在の検討状況や検討結果における課題、どうすれば延伸を事業化できるのかなど、できる限り具体的にお答えいただきますようお願い申し上げます。
 都は、昨年二月の第一回都議会定例会における我が会派の代表質問に対して、副知事をトップとする庁内検討組織を立ち上げ、練馬区との一層の連携の下、スピード感を持って検討を進めていく旨の答弁がありました。
 現在、庁内検討プロジェクトチームにおいて調査検討が進められており、交通局では、令和五年度は事業化に当たっての協議、調整を進めるため、将来の旅客需要や収支採算性の検証などを行うこととしています。
 収支採算性の検証には、まず、旅客需要を見込む必要があると考えますが、令和五年度の旅客需要の調査について、どのようなデータを用いて推計を行っているのか、また、どの程度の需要を見込んでいるのかを伺います。

○一條技術企画担当部長 今年度の調査では、昨年公表された大都市交通センサスの調査データや沿線地域など区部の新たな開発計画、新型コロナウイルス感染症五類移行後の状況を反映するなど、最新の状況変化を踏まえて、延伸に伴う将来の旅客需要の推計を行っております。
 今年度実施している調査の速報では、延伸により、一日約五万人の旅客需要が増加するものと見込んでおります。

○村松委員 最新の知見を活用しており、速報では、延伸に伴い、新たに約五万人の旅客需要がつくり出されるとのことでした。
 調査の精度を高めることは非常に重要です。延伸実現のためには、収支採算性やBバイCの確保が必要であり、今回の速報の結果をもってしてもなお延伸の事業化が決定していないこと、大変もどかしく思っております。
 どのようにすれば、収支採算性やBバイCが改善され、延伸が実現するのか、どのような取組が必要となるのか伺います。

○一條技術企画担当部長 鉄道事業として成り立つための収支採算性や、公共事業における費用便益比、いわゆるBバイCについては、練馬区による沿線まちづくりの推進など、新たな旅客需要の創出や、駅や鉄道施設など事業に係るコストの低減、財源の確保、活用により、改善されるものと考えております。

○村松委員 大きく分けると三つかと思っております。まちづくりの推進などによる旅客需要の創出、事業コストの低減、財源の確保、この三つかと理解しております。
 改善に向けた取組の方向性が見えているわけでありますから、ぜひ、さらに加速して検討していただきたいと思います。
 そして、そのためには、区との連携がこれまで以上に大きな鍵になってくると思います。
 延伸の検討に当たって、旅客需要につながるようなまちづくりなど、地元練馬区における取組が重要と考えますが、練馬区との連携について伺います。

○一條技術企画担当部長 旅客需要の創出に当たりましては、練馬区による沿線まちづくりが不可欠であり、区からは、今後、大江戸線の利用促進に寄与する新たな拠点の整備のほか、人々の移動を支える交通体系の実現を目指す地域公共交通計画の策定に取り組むものと伺っております。
 引き続き、旅客需要の創出等について、区と密に連携し、取り組んでまいります。

○村松委員 こうした議論ができるのも、庁内検討プロジェクトチームが設置された成果であり、詳細な検討を進めていただいていることに感謝を申し上げます。
 大江戸線延伸に向けては、新駅など拠点整備の計画や、バスなど地域公共交通の充実、こういったまちづくりに関する検討を着実に進めることで、さらに大きな旅客需要が生まれてくると考えます。
 これまでも、もちろん都と区で協力しながら検討を進めてきていただいたと認識しておりますが、収支採算性等の改善に向けて、より一層の連携を図り、一日も早く延伸されるよう、改めて要望いたします。
 そして、可能な限り検討状況を公開していただき、地元住民に検討が見えないなどといわれないよう、動きが見えるように努めていただきたいと要望いたします。
 次に、都営地下鉄におけるデジタル技術を活用した維持管理について伺います。
 地下鉄の安全運行を保つためには、地下鉄構造物を適切に維持管理していくことが必要でありますが、中でも軌道の管理は列車運行における安全性に直結しており、軌道状態が悪化すれば列車の運行に支障が生じ、事故や故障につながります。
 一方、人口減少社会の到来により、今後、維持管理の現場においても労働力不足が懸念されます。
 そこで、デジタル技術を活用し、軌道管理のより効率的、効果的な手法を検討、導入していくことが必要であると認識しております。
 交通局では、現行の経営計画二〇二二において、軌道管理のデジタル化として、レールに関する複数の検査を一台で実施可能なレール計測車導入と新システムの運用開始を来年度の到達目標としています。
 レール計測車の導入、新システム運用開始に向けた準備状況について伺います。

○坂口建設工務部長 都営地下鉄では、将来の限られた人的資源の中でも保守の品質を維持向上させるため、軌道管理のデジタル化を進めております。
 現在、レールの傷や摩耗等に関する複数の検査を同時に実施可能なレール計測車の製作中でございまして、来年度末に導入を予定しております。
 あわせて、各種検査データを体系的に一元的に管理するため、保守管理システムの再構築を進めており、レール計測車導入に合わせた新システムの運用開始を予定しております。
 これらの取組によりまして、レール交換周期の最適化など、より効果的なレール管理につなげてまいります。

○村松委員 新しい計測車導入と新システムの運用開始が計画どおり進められていて、DX活用によるデータ分析で効果的な保守作業につなげていくということだと理解しております。
 レールと同様に、地下鉄の運行は、その大部分がトンネルの中を通るものですから、トンネルの検査、点検も重要な管理項目であると思います。
 現行の経営計画では、トンネルなど地下鉄構造物の維持管理におけるタブレット端末等の導入について、来年度の到達目標として、地下鉄全線でのタブレットによる点検開始としています。これまで手書きのアナログ作業であったと聞いておりますので、早期導入が求められます。
 地下鉄全線でのタブレットによる点検開始に向けた取組状況について伺います。

○坂口建設工務部長 先ほどの答弁で、保守管理システムをレール管理システムと答弁いたしましたけれども、正確には保線管理システムでございます。申し訳ございませんでした。
 都営地下鉄では、トンネルのひび割れや漏水などの変状や画像データなどの点検結果を、現地でタブレット端末に入力し、効率的に収集、蓄積するシステムを導入いたしております。
 今年度、浅草線と新宿線の全区間並びに三田線と大江戸線の一部区間においてシステムの運用を開始しており、来年度には、地下鉄全線での点検に活用していく予定でございます。

○村松委員 来年度には、地下鉄全線での点検に活用していくということでございます。
 経営計画の中では、将来的に、AI活用によるデータ解析や、点検結果から補修方法の分析等を行うシステムの導入を検討していくとしていますけれども、そうした取組により、業務効率化と精度向上に上がるよう期待しております。
 デジタル技術を活用した、より効果的、効率的な維持管理に向け、引き続き積極的な検討をお願いして、私からの質問を終わります。

○本橋(た)委員 本日は、百周年を迎えました都営バスについて幾つか質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、百周年事業について伺います。
 都営バスは、本年一月十八日、創業から百周年を迎え、二十日には東京タワーで百周年記念イベントを開催したと聞いております。この百周年事業は、大正から令和に至る都営バスの歴史や魅力を改めてアピールする機会であり、利用促進にもつながるものだと考えます。
 そこで、都営バスの百周年について、どのようなPRを行ってきたのか伺います。

○櫻庭自動車部長 令和六年一月十八日の百周年に先立ち、まずは昨年十月に記念ロゴを作成いたしまして、ステッカーを全ての車両に貼り付けるとともに、オリジナルデザインの記念乗車券を発売するなど、ロゴを活用したPRを展開しております。
 また、特設ウェブサイトを開設いたしまして、百周年のイメージ動画や歴史の紹介、OBや現役職員のインタビューなど、これまでの百年を広く知っていただくコンテンツを配信しておりますほか、ラッピングバスの運行やポスターの掲出などにより、周知を図っております。
 さらに、愛読者も多い広報誌「乗り隊歩き隊」におきまして、都営バスの百年の歩みとともに、沿線の見どころや人気店舗などを紹介した記念号を発行いたしまして、沿線の魅力や路線の利便性をPRしてまいりました。

○本橋(た)委員 今年度、百周年という節目の中で、様々な工夫を凝らしていただいてPRをしていただいていることが確認をできました。
 こうしたPRの取組を経て、一月に開催した東京タワーでの記念イベントでは、歴代の塗装デザインや百周年のオリジナルデザインを施したラッピングバスの撮影会や、展示バスによる記念ツアーなども実施し、大変盛況だったと聞いておりますが、一月二十日の記念イベントの成果について伺います。

○櫻庭自動車部長 一月のイベントでは、行き先を明かさないシークレットツアーの百八十名の募集に対して、一万二千名以上の応募がございましたほか、延べ約一千名の方々にご来場をいただきまして、当日ご用意してありました複数の記念グッズは完売いたしました。
 こうしたにぎわいの様子がテレビや新聞など複数のメディアで大きく報道されまして、都営バスの認知度向上につながったとともに、百周年をより多くの人にお伝えすることができました。
 また、SNSでは、展示されていた歴代のラッピングバスに早く乗りたいといった投稿が見受けられるなど、都営バスのさらなる需要喚起につながることが期待できると考えております。

○本橋(た)委員 SNSなどにおいて反響があったことからも、都営バスの人気をより一層高めたことがうかがえると思います。
 来年度も、百周年の広報などを通じ、幅広い方にバスの魅力に触れてもらうことが重要であると考えます。今後どのように広報を展開していくのか伺います。

○櫻庭自動車部長 令和六年度も、都営バスに親しんでいただき、さらなる需要の創出を図るため、現在検討しております大規模なイベントや新たな記念グッズなど、様々な企画を通じて、都営バスの魅力をホームページやSNS、広報誌といった局の媒体などにより、積極的に配信してまいります。
 また、百周年という節目を発信力として活用いたしまして、より多くの民間企業とのタイアップ企画や動画配信などを行うことで、都営バスの利便性などを広くPRして、一層の利用促進につなげてまいります。

○本橋(た)委員 都営バスは、これまでにも様々な主体と連携してプロモーションを行ってきた実績がありますが、来年度は、より多くの目に触れ、一層効果的な情報発信を期待したいと思います。
 次に、都営バスの安全運行に向けた対策について伺います。
 交通事業者における安全の確保は、時代を超えても変わらない普遍なものであります。
 コロナ禍を経て、現在では都内に多くのにぎわいが戻っておりますが、最近は自転車だけでなく、新たに電動キックボードやペダルつきの原付バイクを利用する方も増え、実際に車等との接触事故も発生していると聞いています。
 こうした状況を踏まえた都営バスの乗務員に対する教育、研修や車両の安全対策が必要であると考えます。
 そこで、交通事故を未然に防止するため、都営バスは日頃からどのような対策を行っているのか、取組を伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、事故防止に向けまして、ヒヤリ・ハット事例やドライブレコーダーの映像などを活用して、日頃から乗務員の危険予測能力の向上を図りますとともに、運転訓練車を用いた研修などを通じて、安全運行の知識や技能を高めております。
 また、自転車や電動キックボードなどは動きが読みづらいことから、無理に追い越さないことなどを注意喚起しておりますほか、営業所の敷地内で自転車や電動キックボードをバスの横を通過させまして、運転席から見た距離感を体感させております。
 さらに、車両の安全装備として、左に曲がることを音声などで車外の歩行者等に注意を喚起する左折時警報装置や、発進時に障害物を検知するソナーセンサーなどの導入を進めております。

○本橋(た)委員 引き続き、安全の確保に向け、ソフト、ハード両面で様々な取組を行っていただくことを求めたいと思います。
 安全対策を行っていても、バスの運行は天候にも左右をされるわけですが、先月五日の大雪では、日暮里・舎人ライナーが運転を見合わせるなどの対応を行いましたが、バスにおいても、利用者の安全を第一に、道路の積雪状況を踏まえた適切な対応が求められると思います。また、利用者に、遅延や運休などの運行情報を速やかに伝えることも重要であると思います。
 都営バスでは、降雪時にどのような対応を行っているのか、また、運行情報をどのように周知をされているのか伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、積雪が予想される場合、乗務前の点呼時に乗務員に対して、スリップなどが発生しやすい場所について注意を喚起しております。
 また、積雪により車輪が滑走または空転するおそれがある場合は、タイヤチェーンの装着や徐行運転を行いまして、それ以上に危険な状態となったときは、運行を中止することといたしております。
 お客様に対しましては、局のホームページや主要なバス停留所のテロップなどで遅延や運休などの情報を提供するとともに、乗務員から、車内や停留所のお客様に路線の運行状況をお伝えしております。

○本橋(た)委員 引き続き万全の備えと丁寧な案内に努めるよう、お願いをいたします。
 続いて、路線等の設定について伺います。
 都営バスは、毎年、路線やダイヤについて見直しを行っておりますが、各バス事業者は、コロナの影響などを受け、厳しい経営状況であると聞いており、減便等が行われているわけであります。
 そこで、バスの増便や減便を行う場合、どのような考え方で実施をされているのか、また、今後の増便の予定があるのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用し、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、バス事業を運営しております。
 こうした考え方に基づき、乗客潮流の変化を的確に捉えて路線やダイヤの見直しを行っておりまして、需要が高まっている地域においては増便などを行う一方、コミュニティバスなどの代替交通が確保されたり、利用者が少なくなった路線については減便などを行っております。
 来月のダイヤ改正におきましては、大規模住宅や大型複合施設の開業等により、需要が高まっている晴海、有明地域と東京駅とを結ぶ路線の増便を予定しております。

○本橋(た)委員 経営状況が厳しい中であっても、乗客潮流の変化に合わせて路線やダイヤを見直していることは理解をいたしましたが、乗客潮流の変化を的確に捉えた路線やダイヤの見直しを行うためには、利用状況をしっかりと把握することも重要であると思います。
 そこで、見直しに当たって、バスの利用状況をどのような方法で把握をされているのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、日々の運行実績のデータを分析するほか、各路線の利用状況の変化等について、営業所からヒアリングを行っております。
 また、職員が乗車し、停留所ごとの乗り降りの人数、お客様の年齢層や、各路線の時間帯ごとの利用状況などをきめ細かく調査することで、路線別の利用実態や乗客潮流の変化を把握しております。
 このほか、路線やダイヤの見直しに向けた基本的なデータを収集するため、五年ごとに国が実施する大都市交通センサスに合わせて、バス車両に調査員が乗り込み、お客様のご利用区間や乗車券の種類などを把握する大規模な乗降調査を行っております。

○本橋(た)委員 今ご答弁ありましたように、従前の調査は、実際に調査員がバスに乗って調べるため、多くの人員確保等が必要となるほか、取得できるデータが調査日に限定をされるわけであります。
 最新のデジタル技術を効果的に活用し、日常的に利用者のデータを取得できるようになれば、より乗客の潮流を把握でき、路線やダイヤの見直しの基礎資料として活用できると思います。そのため、調査方法の改善に向けた検討を積極的に進めるべきと考えます。
 調査方法の効率化に向けてどのような検討を進めてこられたのか、また、検討で得られた知見も含めて、取組を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、お客様の乗降データの効率的な取得に向け、調査方法のデジタル化に向けて検討を進めております。
 これまで、バス車内に乗客役の職員等を乗車させ、顔認証や乗車券判定用のカメラを設置し、データを取得するなどの実験や、メーカーへ技術動向のヒアリング等を実施してまいりました。
 これらを通じて、お客様のご利用区間を把握する技術につきましては精度向上が見られる一方、乗務員に提示する多種多様な乗車券を正確に判定することは、現時点では困難であると認識しておりまして、引き続き、技術開発動向を注視しつつ、デジタル化の検討に取り組んでまいります。

○本橋(た)委員 これまで実証に取り組んできたとのことでありますが、技術革新のスピードは速く、特にAIの映像認識技術は、数年前と比べて精度が向上をしております。
 そのため、デジタル技術を活用して得られたデータを生かして路線やダイヤの設定を行えるよう、引き続き検討を進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 最後に、サイクルバスの実証運行について伺います。
 交通局は、先週土曜日から、JR青梅駅から梅01系統でサイクルバスの実証運行を開始しています。
 今回のサイクルバスは、バスの前面に二台の自転車を搭載できる専用のラックを設置したもので、お客様が自分の自転車をバスに搭載した後に乗車することとしております。
 この取組は、サイクリストや地元からの期待も大きいと思われますが、自転車をバスに搭載するに当たって、安全運転に支障のない工夫も必要だと考えます。
 そこで、サイクルバスの実証運行を検討する際、どのような点を考慮して検証を進めてこられたのか、今回の梅01系統を選定した理由と併せて伺います。

○櫻庭自動車部長 サイクルバスの運行路線につきましては、沿線に観光スポットが点在し、自然の中でサイクリングが楽しめる、青梅駅と御岳方面を結ぶ路線である梅01系統を選定いたしまして、土休日の日中に運行いたします。
 このサイクルバスは、車体の前面のラックに自転車を搭載いたしますことから、坂道や段差などにおけるラックと路面との接触の有無、交差点で右左折する際の安全性、利用できるバス停の選定など、地元警察署の協力も得ながら、走行試験を通じて検証いたしまして、安全な走行環境を整えたところでございます。

○本橋(た)委員 今回の実証運行は、先週末から開始されたばかりであり、今後運行を続けていく中で新たな課題への対応が必要となるなど、様々な知見が蓄積をされていくものと考えます。
 ぜひ地元とも連携していただいて、しっかり検証していただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 本日は、広報展開、降雪時の取組、情報調査、サイクルバスの実証運行など、都営バス事業に関する様々なテーマを取り上げさせていただきました。
 都営バスは、身近な公共交通機関として、これからも安全で快適な運行を行うことはもちろんでありますが、利用者のニーズが多様化した現在、プロモーションを通じて都営バスの魅力を広く発信したり、サイクルバスといった新たな価値を提供していくことが重要であると思います。
 また、デジタル技術を活用していただいて、課題解決の可能性を見いだすこともできるようになってきております。
 本日の質疑では取り上げませんでしたが、自動運転の技術についても重要なテーマと考えます。
 次の百年に向けて、課題に対して、交通局の知恵と工夫を結集していただいて、局全体でチャレンジし続けていただくことを要望して、質問を終わります。

○玉川委員 先ほどから、他の委員からもありましたけれども、都営バス百周年記念について、銭湯のススメ二〇二四、都営バスでめぐる編について質問をいたします。
 関東大震災で被災した市電、路面電車に代わる公共交通機関として、一九二四年の一月に開業した乗合バスから都営バスは始まり、同じく関東大震災で大きな被害を受けた東京の銭湯も、宮大工が腕を振るった宮づくり銭湯をはじめ、その後、次々に建てられた銭湯が人々の暮らしを支えてきております。
 これまで、銭湯のススメという企画は、日本の魅力を発信するBEAMS JAPAN、牛乳石鹸、そして東京都浴場組合がコラボして、銭湯の楽しみ方を発信するプロジェクトとして令和元年から始まり、今回で第四弾となります。
 二月の六日、風呂の日からスタートとなり、公衆浴場、銭湯に関するプロジェクトということで、生活文化スポーツ局が関わる事業かと思っていたところ、第四弾の今回は交通局ということで驚いたんですけれども、私自身、公衆浴場、銭湯の振興を推進している立場から、都営バスの百周年を記念する企画にこの銭湯というコンテンツが選ばれたことはとてもうれしく思い、大変歓迎しております。
 そこで、今回、都バスが銭湯と連携した企画を実施した目的について伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 交通局ではこれまでも、民間企業など多様な主体と連携した取組を積極的に展開してございまして、都営バス百周年の機運醸成を図るため、令和元年から開催されている銭湯のススメにこのたび参画をいたしました。
 都営バスと東京の銭湯は、先ほど委員からもお話がございましたとおり、関東大震災を契機として発展を遂げ、長い期間にわたって都民生活を支えてきた共通点があるとともに、都営バスの沿線には数多くの銭湯がございますことから、お互いの利用促進や新たなファンの獲得につながるものとして、本企画を実施してございます。

○玉川委員 長きにわたって都民生活を支えてきた共通点があり、お互いの利用促進がそれぞれ新たなファンの獲得につながるといった期待が持てるものであります。
 今回、銭湯のススメについて、私にも銭湯サポーターの仲間から様々な情報が入りまして、早速、地元の大田区をはじめ、品川、目黒、世田谷、台東と、都内十二軒の銭湯を巡って、スタンプラリーをコンプリートして、限定のオリジナルソックス、景品をいただきました。
 入浴した銭湯のご主人に銭湯のススメによる反響を聞いてみると、都営バスのマスコットキャラクターの、みんくるの人気が絶大であり、この銭湯のススメとみんくるがコラボをしたデザインの限定グッズを求めた、みんくる目的で初めて銭湯に訪れているであろう新たな客層を目にしているとのことでありました。
 私もSNSで確認してみると、やっぱりその評判や人気の高さに大変驚きました。関連グッズの売上げも好調で、施設のトラブルで銭湯が営業できなくなったときも、グッズを買い求めてくる人がいるので、銭湯の前でグッズ販売を行ったという、もう涙ぐましいエピソードも耳にいたしました。
 そこで、オリジナル一日乗車券やコラボグッズの販売状況その他交通局で把握しているこの取組の成果について伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 本企画の限定デザインによる都営交通一日乗車券につきましては、都営地下鉄各駅で合計二万枚を発売いたしましたが、イベント期間終了前に既に完売となってございます。
 都営バスのマスコットキャラクター、みんくるを中心にあしらったコラボグッズにつきましても、多くの商品がすぐに売り切れ、追加製作分も既に完売したと伺っております。
 本企画は、SNSを中心に幅広い層から好評を博しており、都営交通の新たなファンの獲得にもつながったものと考えてございます。
 また、公衆浴場組合からも、本企画を通じて若い層の利用者が増えたといった声があると伺ってございます。

○玉川委員 やはりこういった限定物というのは人気もありまして、グッズやキャラクターを集める人と、銭湯を巡ろうという人と、幅広く好評を得ているイベントだということが確認できました。
 この本イベントの期間は、もう三月二十二日までと、残りあと僅かでありますけれども、多くの方に参加してもらい、都営バスと銭湯を利用して楽しんでもらいたいと思います。
 今年度は、昨年度に引き続き、生活文化スポーツ局と東京都公衆浴場組合との連携で、より多くの人に銭湯に入ってもらおうという東京一〇一〇クーポンのキャンペーンが、昨年十一月二十三日から先月二月二十九日までの三か月以上の配布期間でスタートしました。交通局も、都営地下鉄線の駅にキャンペーンのポスターを貼り出して告知するなどしていましたが、十二月二十三日の深夜に利用予定数の上限に達してしまうほど大好評で、年を明けることなく、約一か月でクーポンのキャンペーンは終了してしまいました。
 さらなる需要の創出やファンの獲得には、これにとどまらず、様々な主体と幅広く連携して企画を実施していくことが有効であると考えますが、今後の取組や方向性について伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 お客様のニーズが多様化する中、都営交通の需要創出や、さらなる認知の獲得に向けて、多様な主体と連携した企画を通じ、新たな価値を提供していくことが重要と考えてございます。
 こうした考えの下、近年、様々な主体と連携する取組を強化してございまして、公衆浴場組合のほか、出版社や保険会社、テレビ局、水道局、下水道局などと連携し、スタンプラリーやノベルティーの配布などを実施してまいりました。
 今後とも、幅広い主体との連携を積極的に展開し、都営交通の利用促進や新たなファンの獲得、沿線のにぎわい創出に取り組んでまいります。

○玉川委員 答弁にありましたように、多様なニーズをキャッチして、漫画やアニメといった、東京都が力を入れていくジャンルをはじめ、水道局、下水道局などとも連携して、お互いの価値を新たな人たちに届けていく取組を実施していっていただきたいと思います。
 最近では、あるバス停で土曜日のある時間のバスに乗るとタイムスリップするといった、こういったドラマが人気のようでありますけれども、都バスに乗って未来の東京へ行こうという、都の主催するイベント会場に都営交通で移動するだけでもわくわくするような、「未来の東京」戦略にも通じるような企画もぜひトライしていただきたいと思います。
 今後も、幅広い主体との連携を企画し、新たな顧客層を開拓することで、より多くのファンを獲得し、一層愛され支持される都営交通となることを期待いたしまして、質問を終わります。

○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会