公営企業委員会速記録第十四号

令和五年十二月四日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長あぜ上三和子君
副委員長伊藤しょうこう君
副委員長保坂まさひろ君
理事福手ゆう子君
理事伊藤こういち君
理事村松 一希君
岩永やす代君
玉川ひでとし君
本橋たくみ君
柴崎 幹男君
本橋ひろたか君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長久我 英男君
次長梅村 拓洋君
総務部長豊田 義博君
資産運用部長小林 弘史君
車両電気部長生越 啓史君
建設工務部長坂口 淳一君
技術調整担当部長神田 隆司君
技術管理担当部長飯沼 健一君
水道局局長西山 智之君
技監松田 信夫君
総務部長長嶺 浩子君
経理部長西川 泰永君
浄水部長特命担当部長兼務橋本 英樹君
給水部長鈴木  理君
建設部長事業調整担当部長兼務石田 紀彦君
設備担当部長小泉 正一君
多摩水道改革推進本部本部長石井 英男君
下水道局局長佐々木 健君
次長相田 佳子君
総務部長後藤 徹也君
職員部長鈴木  豊君
経理部長福島 大起君
計画調整部長袰岩 滋之君
施設管理部長新谷 康之君
建設部長藤橋 知一君
企画担当部長DX推進担当部長兼務松井  裕君
技術開発担当部長家壽田昌司君
施設管理担当部長須賀 隆行君
設備調整担当部長井上  潔君
施設整備担当部長杉山  純君
流域下水道本部本部長猪八重 勇君
管理部長高角 和道君
技術部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
交通局関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
水道局関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
陳情の審査
(1)五第三九号 ドッグランの設置に関する陳情
下水道局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について

○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申合せいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の事務事業に対する質疑、所管三局の報告事項の聴取及び水道局関係の陳情の審査を行います。
 なお、本日は、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、報告事項については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより交通局関係に入ります。
 理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○小林資産運用部長 お手元の資料1、契約締結報告書に基づきまして、令和五年八月一日から令和五年十月三十一日までに締結いたしました予定価格が一件九億円以上の工事請負契約につきましてご報告申し上げます。
 一ページをお開き願います。ご報告申し上げます契約の総括表でございます。
 以下、契約の概要についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。大江戸線練馬変電所変電設備更新工事でございます。
 本件は、老朽化した変電設備を更新する工事でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十九億九千九百八十万円、契約の相手方は株式会社明電舎でございます。
 三ページをご覧願います。三田線新板橋駅外十駅ホーム床改修その他工事でございます。
 本件は、地下鉄駅におけるホームと車両の段差、隙間を縮小するためのホーム床改修などを行う工事でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十億二千八百五十万円、契約の相手方は吉田石材工業株式会社でございます。
 以上でご報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○あぜ上委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。

○あぜ上委員長 これより水道局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○西川経理部長 工事請負契約につきまして、お手元の契約締結報告書によりご報告申し上げます。
 本日ご報告申し上げますものは、令和五年八月一日から令和五年十月三十一日までの間に契約を締結いたしました予定価格が一件九億円以上の工事請負契約四件でございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。こちらは、本日ご報告申し上げます契約四件の総括表でございます。
 以下順次、契約の概要につきましてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。一、水元給水所耐震補強工事(その二)でございます。
 本件は、送配水施設整備事業の一環として、葛飾区水元公園四番地内において、水元給水所一号配水池の耐震補強工事を行うものでございます。
 契約の方法はWTO一般競争入札、契約金額は二十九億八百四十万円、契約の相手方は熊谷・東武・久本建設共同企業体でございます。入札経過につきましては三ページから四ページにかけて、案内図につきましてはその後にお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 五ページをお開きください。二、東村山浄水場蓄電池設備等設置工事でございます。
 本件は、太陽光発電設備等により創出される電力を最大限活用するため、蓄電池設備等を設置するものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は九億九千八百八十万円、契約の相手方はメタウォーター株式会社でございます。入札経過及び案内図につきましては六ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 七ページをお開きください。三、練馬区大泉町六丁目地先から同区東大泉二丁目地先間送水管(千八百ミリメートル)移設工事でございます。
 本件は、東京都建設局が実施している白子川河川改修事業に支障となる送水管の移設工事を、東京都建設局の負担金により行うものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十八億二千七十四万二千円、契約の相手方は株式会社森組でございます。入札経過につきましては八ページに、案内図につきましては九ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 一〇ページをお開きください。四、世田谷区喜多見五丁目七番地先から同区喜多見六丁目十七番地先間外三か所送水管(千百ミリメートル)及び配水本管(九百ミリメートル)移設工事でございます。
 本件は、中日本高速道路株式会社が実施している東京外かく環状道路プロジェクトの東名ジャンクション建設工事に支障となる内径千百ミリメートルの送水管及び内径九百ミリメートルの配水本管の移設工事を、中日本高速道路株式会社の負担金により行うものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十九億九千百万円、契約の相手方は株式会社森組でございます。入札経過及び案内図につきましては一一ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、ご報告申し上げます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○あぜ上委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情五第三九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 お手元の資料、請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 整理番号一、陳情五第三九号、ドッグランの設置に関する陳情についてご説明申し上げます。
 この陳情を提出される方は、新宿区にお住まいの池知友希さんでございます。
 陳情の要旨は、都において、水道局淀橋給水所の屋上に、災害時にも役立つペット防災の要素を持ち合わせたドッグランを設置していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございます。
 水道局淀橋給水所は、新宿区や中野区等を配水区域とする重要な施設でありまして、ご要望の場所は、上部利用を想定していない建物の屋上となってございます。
 このため、同所に、災害時にも役立つペット防災の要素を持ち合わせたドッグランを設置しようとする場合、ドッグランの整備や管理に関わる費用のほか、水道施設の維持管理の観点から、衛生管理面やセキュリティ面に関する施設整備の費用が発生いたしますが、ドッグランの設置は水道事業の目的外の事業でございます。
 また、災害時等における同行避難動物の飼養場所、ペットとの同行避難場所等の確保に関しましては、区市町村の役割となってございます。
 説明は以上でございます。ご審議よろしくお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○村松委員 陳情の審査に当たり、幾つか質問をさせていただきます。
 まず、我が会派としては、ドッグランの設置は推進をしております。ペットがいることによって、ストレス軽減につながったり、認知症予防につながるなど、心豊かに暮らす上で重要と考えております。
 一方、嫌いな方もいらっしゃるわけで、とりわけマナーの悪い飼い主とのトラブルなども課題と認識しております。
 ペットを自由に遊ばせることができる公園というのは、都内にあまりありません。とりわけ区部には、計画的に設置していくことが必要と考えております。
 今回の陳情では、淀橋給水所の屋上にドッグランを設置してもらいたいとの陳情でございますが、現状では、上部は緑化されており、区が整備したフットサルコートのある広場の隣に位置し、フェンスで囲まれた場所になります。
 まず、この淀橋給水所はどのような施設なのか伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 淀橋給水所は、浄水場から送水された水を一時的に貯留し、新宿区や中野区等の配水区域に水道水を安定的に供給する役割を担う重要な施設でございます。また、災害時等により断水が発生した際には、給水拠点として水道水を地域住民に供給する施設にもなっております。
 今回、ドッグランの設置要望があった場所は、昭和三十七年に築造されたポンプ所の屋上部であり、建物内には、水圧をかけて各家庭等に配水するためのポンプ設備や、管理機器等の重要な設備が設置されております。
 このため、新宿中央公園上部のフットサルコートがある広場との境にフェンスを設置し、敷地内への立入りを禁止している状況にございます。

○村松委員 淀橋給水所の状況については分かりました。
 安全な水を安定して給水するために警備を厳重にしていることかと思います。
 他方で、隣の新宿中央公園や、私の地元の光が丘公園など、水道施設の上部を公園として開放している例もあると思います。
 ドッグランとして、淀橋給水所の上部を利用するとしたら、具体的にどのような整備が必要になると考えられるか伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当該施設は、上部利用を想定した建物にはなっていないことから、施設へ影響が及ばないよう対策を講ずる必要がございます。
 具体的には、ドッグランの使用により、配水池で貯留する水道水への影響が出ないよう、排せつ物の浸水防止策などの衛生管理面に係る整備のほか、ドッグランエリアから給水所内へ利用者等が立ち入らないよう、フェンスや進入を感知する警備機器等を屋上部に新たに設置するなど、セキュリティ対策が必要となります。

○村松委員 水道施設である以上、当然、衛生面やセキュリティの確保は重要です。
 そうなると、継続的に管理していくための経費も発生すると考えられます。建物を維持管理している水道局が、こうした経費をかけて、ドッグランの設置や管理を行うことは可能なのか伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 水道事業は、地方公営企業法を適用し、独立採算制の下、料金収入によって運営しております。
 このため、淀橋給水所の上部に、水道事業の目的外となるドッグランの設置や管理に要する費用を当局が負担することはできないものでございます。

○村松委員 地方公営企業法上はできないということですけれども、例えば、隣の新宿中央公園を管理している新宿区が、公園全体を管理する中で設置することはできるのではないかと考えます。
 地元の新宿区から、ドッグラン設置に関して上部利用の要望等があった場合、設置が可能なのか伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 地元自治体から、給水所の上部利用について要望があった場合は、局事業への影響を十分に踏まえた上で総合的に検討し、設置の可否を判断することとなります。
 なお、これまで新宿区からドッグランの設置に関する要望等は受けておりません。

○村松委員 水道事業としての実施には適さないということは理解できました。
 また、新宿区からも要望がないということでございますが、一方で、この愛犬家のニーズを踏まえて、西新宿エリアにこうした要望があったことを、地元区である新宿区に情報提供していただくことも、新宿区から上部利用について依頼があった場合、さらに丁寧に、かつ前向きに対応していただきたいと要望して、終わります。

○福手委員 陳情五第三九号、ドッグランの設置に関する陳情について一言申し上げます。
 陳情は、水道局第一淀橋給水所の屋上に、災害時にも役立つペット防災の要素を持ち合わせたドッグランの設置を求めるものです。そうしたドッグラン設置は、要望があり、設置すべき施設であると考えます。
 しかしながら、水道局淀橋給水所の屋上の現状は、上部利用を想定していない形状となっており、衛生管理面とセキュリティ面で使用できない状況です。なお、多目的運動広場になっている配水池の屋上は、給水所を整備する段階で協議し、整備されたものであると伺っています。
 よって、本陳情には賛成できませんが、こうした要望が寄せられていることを建設局や新宿区と共有していただくことを求め、終わります。

○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認めます。よって、陳情五第三九号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上で水道局関係を終わります。

○あぜ上委員長 これより下水道局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、下水道局長から紹介があります。

○佐々木下水道局長 十一月六日付の人事異動によりまして異動のございました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 次長の相田佳子でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○あぜ上委員長 紹介は終わりました。

○あぜ上委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきますと目次がございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 区部における平成六年度から令和四年度までの公共雨水浸透ますの設置個数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。浸水被害状況の推移でございます。
 区部における浸水棟数について、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
 項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び令和三年度、四年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。電力使用量の推移でございます。
 平成十二年度から令和四年度までの水再生センター、ポンプ所等の施設における電力使用量の推移をお示ししております。
 五ページをご覧ください。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
 区部におけるマンホールの総数と緊急輸送道路などにおける浮上抑制対策の計画及び平成二十年度から令和四年度までの実績の推移をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移でございます。
 区部における平成十二年度から令和四年度までの実績の推移をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の役割分担別職員構成と現員でございます。
 区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の現員を、役割分担別、職種、雇用形態別にお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋(ひ)委員 それでは、私からは、大きく五点ほど質疑をさせていただきます。よろしくお願いします。
 まずは、脱炭素化についてであります。
 下水道局の展開する下水道事業一般は、極めて重要な基幹ライフラインとして、都民生活と首都東京の都市活動を支えていることはもちろんですが、同時に、都庁全体で見ても、温室効果ガスの排出量が大きく、この分野において脱炭素の取組を進める必要性は大きいということができます。
 例えば、交通局と水道局を加えた公営企業三局全体となりますと、都庁の温室効果ガス排出量の約七〇%を占めているとともに、都内における年間電力使用量の約三%に当たる電力を消費するなど、大量のエネルギーを必要とし、多くの温室効果ガスを排出してしまっております。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京を掲げる中にあって、下水道局においても、脱炭素化に向けたさらなる取組は、喫緊の課題と位置づけられているといえます。
 そこで、下水道局における脱炭素に向けた取組についてお伺いいたします。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、本年三月、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇二三を策定し、温室効果ガス排出量を、二〇三〇年度までに、二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する目標を掲げ、脱炭素化に向けた取組を加速、強化しております。
 具体的には、水処理に必要な微細気泡散気装置等の省エネルギー設備を導入するとともに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用も強化してまいります。
 また、エネルギー自立型焼却炉などの先進技術の導入を推進し、温室効果ガスを削減していきます。
 二〇五〇年ゼロエミッションの実現に向けましては、焼却廃熱を最大限活用して発電し、ほかの設備へも電力を供給できるエネルギー供給型焼却炉などの先進技術を継続して開発し、導入を進めるとともに、ペロブスカイト太陽電池などの革新的技術を活用し、脱炭素化に向けた取組を推進してまいります。

○本橋(ひ)委員 ただいまのご答弁によりまして、下水道局の様々な取組を確認することができたところであります。あとは、下水道局のこうした脱炭素化に向けた事業を、都民に対してもっともっとPRしていただくことも忘れずにお願いいたしたいと思います。
 次は、下水道局における資源の利活用についてであります。
 そもそも下水道事業は、非常に資源豊かな事業として知られております。例えば、肥料などに用いられているリンという資源もそうですし、また、エネルギーとしての下水熱もそうであります。
 そこでまずは、下水道事業にまつわる資源として、どのような資源の利活用をしてきたのかお伺いいたします。

○袰岩計画調整部長 下水の処理水や処理の過程で発生する汚泥など、都市における貴重な資源として積極的な有効利用に向けて取り組んでおります。
 例えば、汚泥を集約処理している施設からの排水を受ける水再生センターにおきまして、排水から回収したリンの肥料利用に向けて、今年度から、新たに技術開発を開始しております。
 また、処理水などからの熱利用につきましては、冷暖房の熱源として、局の施設に加えまして、本年十一月に利用を開始した麻布台ヒルズなど、合計六か所で実施しております。
 さらに、森ヶ崎水再生センターでは、下水汚泥を消化する工程で汚泥中の有機分の分解により発生したメタンガスを発電設備の燃料として活用する、消化ガス発電事業を実施しております。
 引き続き、下水道の持つポテンシャルを最大限に活用し、良好な都市環境の創出に貢献してまいります。

○本橋(ひ)委員 引き続いて、下水熱も最大限活用してもらい、良好な都市環境をつくり上げていただきたい、さようお願いいたします。
 また、下水の中に大量に存在しているリンを回収して有効利用することが必要と考えます。
 そこで、下水道局として、リンを回収して有効利用する取組について、どのような技術開発を、どなたと組み、どのように展開しているのかお伺いいたします。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、汚泥の中に含まれるリンの肥料利用に向けて、民間企業などと共同して技術開発を行っております。
 具体的には、汚泥の脱水分離液からリンを新たな方法によって回収する技術について、リンの回収率や肥料の品質などを実証する施設を砂町水再生センターにおいて整備しております。
 また、肥料として利用しやすくするため、下水汚泥の焼却灰から重金属を削減する技術と焼却灰を粒状に加工する技術について、成分、性状や農業への適用性を確認する調査を実施いたしております。
 引き続き、リンの肥料利用に向けまして、国や関係局、農業分野の関係者と連携して取り組んでまいります。

○本橋(ひ)委員 先ほど、汚泥を集約処理している施設からの排水を受ける水再生センターのお話がございました。
 福岡県福岡市では、中部水処理センターなる施設におきまして、下水汚泥を処理する過程で発生するバイオガスから水素をつくっております。そして、それを、水素ステーションにおいて、燃料電池自動車、FCVに供給したりしております。
 先ほどご答弁がありました消化ガス発電事業ですが、これらもバイオガスを活用するものであり、注目している事業であります。本事業は、先般より、新たな事業の公募が行われていると認識しております。
 そこで、森ヶ崎水再生センターにおける消化ガス発電事業の今後の取組についてお伺いいたします。

○袰岩計画調整部長 森ヶ崎水再生センターにおける消化ガス発電事業は、官民連携方式で平成十六年四月から運用を開始しており、今年度末に二十年間の事業期間が終了いたします。
 このため、令和九年四月一日から、事業期間を二十年間としまして、DBO方式による新たな消化ガス発電事業を予定しており、本年七月に事業者を公募し、現在、応募者からの提案内容の審査を行っているところでございます。
 この事業は、下水汚泥から発生した消化ガスを有効利用して発電し、現行の事業より発電電力量を一割以上向上させることにより、森ヶ崎水再生センターの受電電力量を低減することが可能となるものでございます。
 なお、令和九年三月三十一日まで、事業に必要な施設整備を行う間も現施設を利用して発電を継続いたします。

○本橋(ひ)委員 下水道局におきましても、バイオマスエネルギーの活用が進んでいることが確認できたところであります。
 一方で、現在、脱炭素化やエネルギー安定供給に資する水素エネルギーの普及拡大が期待されております。
 このような観点からしますと、下水汚泥を原料として製造される水素について、再生可能エネルギー由来の水素供給元として期待しているところであります。今後、ぜひ検討を進めていただくよう強く要望させていただきます。
 次は、危機管理への対応についてであります。
 このところ、水道管の耐震継ぎ手化が進んでいると聞いておりますが、震災時に水道の利用が可能となれば、その水を流すための下水道も併せて使えることが重要となってまいります。
 下水道局は、下水道管の耐震化を適宜進めてきたと思われますが、震災時の都民生活への影響を極力少なくするためには、たゆむことのない着実な耐震化の取組が極めて重要であります。
 そこで、これまでの下水道管の耐震化の取組と、今後についてお伺いいたします。

○藤橋建設部長 下水道管の耐震化につきましては、経営計画二〇二一に基づき、震災時の下水道機能や緊急輸送道路などの交通機能を確保するため、対象施設を重点化して対策を実施しております。
 具体的には、下水道機能の確保として、避難所や一時滞在施設などを対象に、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化とマンホールの浮上抑制対策を実施しております。
 また、交通機能の確保として、液状化の危険性の高い地域における、緊急輸送道路及び緊急車両が通行する無電柱化道路などを対象に、マンホールの浮上抑制対策を実施しております。
 これまで、下水道管とマンホールの接続部の耐震化を四千七百八十六か所の施設で実施いたしました。また、マンホールの浮上抑制対策につきましては、千三百四十四キロメートルで実施し、加えて、地区内残留地区の七千八百九十六ヘクタールで実施いたしました。これにより、中長期目標の約八割が完了いたしました。
 今後、経営計画の最終年度である令和七年度末までに約九割を完了させることを目指して、下水道管の耐震化を着実に進めてまいります。

○本橋(ひ)委員 ぜひとも、引き続きまして耐震化作業の展開をよろしくお願いいたします。
 次に、下水道局の感染症対策についてであります。
 下水道事業による資源の効果的利用とは、やや趣を異にするかもしれませんけれども、昨今、いわゆる下水疫学調査なるものが注目を集めております。
 新型コロナウイルス感染症も五類へと移行し、インバウンドの回復基調も出てまいりました。さらに、観光地によってはオーバーツーリズムといった課題も出てきております。
 羽田空港や東京港など海外から入ってくる感染症の水際での対策として、下水に含まれる病原体を捕捉する下水監視ないし下水調査は、それら感染症の流行を早期に察知する手段として大変有意義といえます。
 既にアメリカでは、人口の約半分をカバーする一千か所以上の都市下水において、アメリカ疾病対策予防センター、CDCが主導しまして、新型コロナウイルス感染症観測を実施していることはもちろんのこと、中には、サル痘やインフルエンザにまで観測対象を広げた下水処理場もあると聞いております。
 過去にも、下水道局における下水サーベイランスの取組について確認してきましたが、改めて、都における下水疫学調査の取組についてお伺いいたします。

○新谷施設管理部長 国においては、下水サーベイランスに関する研究が進められておりまして、本年二月の厚生科学審議会の部会におきまして、下水流域の感染状況をモニタリングできる可能性が示唆されております。
 都におきましても、下水を活用した新型コロナウイルスの感染状況の把握について、健康安全研究センターにおきまして試験的にサンプル調査が進められておりまして、下水道局は、水再生センターの流入下水を採取し、提供しております。
 今後も引き続き、関係機関と連携し、取り組んでまいります。

○本橋(ひ)委員 ただいまのご答弁で、下水サーベイランスについて、国や都が研究を進めていて、下水道局としても、下水を資料として提供していることを確認いたしました。
 国の審議会でも感染状況をモニタリングできる可能性が示されていることを踏まえまして、保健医療局と連携していただき、取組を進めていただきたいと思います。
 最後に、下水道局の人材確保と育成についてであります。
 下水道は、汚水の処理や雨水の排除を通じて、都民生活や都市活動を支える公共性の高い重要なインフラであります。それに加えて、ただいま質疑しましたように、脱炭素化や資源の有効活用など、求められる役割は今後ますます増えてまいります。
 一方で、人口減少に伴い労働力人口が不足している状況の中、東京都職員採用試験の申込み倍率が年々低下していると聞いております。東京都職員の採用は、全庁統一的に行われているものですが、この枠組みの中で、下水道局として、工夫を凝らして下水道事業を担う人材を確保していくことが求められるわけであります。
 そこで、下水道局における人材の確保の取組についてお伺いいたします。

○鈴木職員部長 下水道局では、就職希望者に対し、東京下水道の魅力を伝える様々な取組を行っております。
 具体的には、学生を対象としたインターンシップを開催いたしまして、社会人として働くことの意義や下水道の大切さを理解していただけるよう、下水道工事現場の安全確認や水再生センターにおける水質分析業務など就業体験の機会を提供しております。
 また、学生等に対し、東京都の仕事の魅力ややりがいを紹介する催しにおきまして、局の若手職員が、自らの体験を基に、下水道に携わる仕事の魅力を来場者に直接アピールするとともに、採用試験に向けた相談会を実施しております。
 加えまして、採用試験の合格者に対しまして、事業説明会を開催し、下水道局で自分が働く姿をイメージしていただけるよう、水再生センターなどの施設見学や先輩職員との座談会を実施しております。
 今後も、多様な機会を通じて、東京下水道の魅力を発信し、人材確保に取り組んでまいります。

○本橋(ひ)委員 就職希望者にとりまして職業に対するイメージは、就職先を選択する上で重要なポイントであります。下水道事業に携わりたいと思ってもらえるよう、今後も積極的に東京下水道の魅力を発信していただきたいと思います。
 さて、人材を確保したら、その人材を育てていかなければなりません。下水道事業を将来にわたって安定的に運営していくためには、確保した人材の育成と定着を図っていくことが重要であります。
 そこで、下水道局における若手職員の人材育成の取組についてお伺いいたします。

○鈴木職員部長 下水道局では、人材育成方針に基づき、計画的かつ継続的な人材育成に取り組んでおります。
 新規採用職員に対しましては、新任研修を通じて下水道事業の基礎的な知識を習得させるとともに、OJTとして、業務の習熟度について定期的に先輩職員や上司と意見交換することにより、担当職務の早期習得を図っております。
 また、採用三年目の職員に対しましては、問題発見や解決技法を学ばせ、自ら職場の業務改善策を提案できる能力の習得を目的とした研修を実施しております。
 これらの研修やOJTに加えまして、東京下水道に親しみや愛着を持てるよう、各職場における若手職員とベテラン職員との座談会等によるコミュニケーションの充実にも努めております。
 こうした取組を通じ、直面する様々な危機や課題に対し、的確に対応できる下水道行政のプロ職員を育成してまいります。

○本橋(ひ)委員 下水道のプロ職員に育て上げていく中で、職員一人一人が仕事に対する誇りと愛着を持って職務に当たられるよう、人材育成に取り組んでいただきたいと思います。
 その一方で、直近では、例えば、これは主税局でのことでありますが、先月二十九日の新聞報道におきまして、強制性交容疑などで今年の四月に徴収部の主事が警視庁に逮捕され、懲戒免職処分になったとの記事に接しました。
 こうして、一たび職員による不祥事が起きてしまった場合、局にとどまらず、行政そのものに対する都民からの信頼は大きく損なわれ、重大なイメージダウンとなり、人材の確保や職員の定着への影響などが懸念されてまいります。そのため、職員の不祥事を未然に防止し、服務規律の徹底やコンプライアンス意識の向上を図る必要があるかと思います。
 そこで、下水道局のコンプライアンスの取組についてお伺いいたします。

○鈴木職員部長 下水道局では、東京都コンプライアンス基本方針に基づきまして、局及び各職場においてコンプライアンス推進委員会を複数回開催し、汚職等非行防止やコンプライアンスの意識強化に向けた取組を進めております。
 毎年度コンプライアンス推進計画を策定し、職場研修やコンプライアンス推進月間における職場討議など、全職員の意識向上に努めております。
 コンプライアンスを推進するためには、職員のコミュニケーションの活性化や風通しのよい職場づくりが欠かせないことから、局独自の取組といたしまして、職員の業務の進捗状況等を各職場の担当ごとに確認する十分間ミーティングというものを実施しております。
 加えて、担当業務の自己点検として、要綱や手引などが現在の業務環境に照らして妥当かどうか検証するとともに、法令や規則等を遵守しているか定期的に監察を行うことで、事故の発生の未然防止に努めております。
 今後とも、局一丸となって、コンプライアンスの推進に取り組んでまいります。

○本橋(ひ)委員 ただいま、コミュニケーションとか風通し、ミーティングといったキーワードが出てまいりました。今年の二月にお亡くなりになった高野之夫豊島区長は、一期目の四年間、オフサイトミーティングと称しまして、部長や課長、係長や主任などの役職を壊して、分け隔てなく、多くの職員の皆さんと気軽な語らいの場を設けていたことを思い出したところであります。
 こうした例も参考にされまして、様々な工夫を凝らし、下水道局の職員同士の絆をぜひとも太くしていただきたいと思います。
 人材の確保や職務への定着に当たっては、これまでのご答弁の取組に加えて、一人一人の職員が生き生きと働き、高いパフォーマンスを発揮できるような働きやすい職場環境が求められると思います。
 最近では、ライフスタイルや働き方が多様化してきており、これに対応するため、官民問わず、様々な取組が行われております。都庁でも、ライフ・ワーク・バランスの推進やテレワークなど働き方改革が行われております。
 そこで、下水道局における働き方改革の具体的な取組についてお伺いいたします。

○鈴木職員部長 下水道局では、東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プランに基づきまして、様々な働き方改革の取組を行っております。
 職場の状況や業務の内容に応じて、時差勤務やフレックスタイム制の導入、テレワークの活用などによりまして、時間や場所にとらわれない柔軟で多様な働き方を可能としております。また、男性職員による一か月以上の育児休業取得を勧奨するなど、職員が生活と仕事を両立できる職場づくりを進めております。
 こうした制度整備に加えまして、柔軟で自由な働き方を選べる未来型オフィスを導入しておりまして、令和七年度末までに本庁の全ての部門に展開してまいります。
 引き続き、働き方改革を進め、魅力ある職場環境を整備してまいります。

○本橋(ひ)委員 職員一人一人がやりがいを感じて働き、健康的に生活できる職場となり、そのことが広く認知されることで、より多くの人材が確保されるかと思います。
 こうした好循環が生み出されることを大いに期待いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○伊藤(し)委員 初めに、道路陥没対策について伺います。
 東京では下水道が整備されており、安全で快適な都民生活や都市活動を支えています。
 早期から下水道が整備されてきた区部では、高度経済成長期などに大量に整備した古い下水道管が道路陥没を引き起こさないように、防止策を計画的に進めることが重要です。
 下水道管は膨大な延長を維持管理する必要があり、その大部分は地下に埋設されているため、状態が見えにくく、道路陥没の発生原因となりやすいとのことです。
 そこで、下水道を起因とする道路陥没の発生原因について伺います

○新谷施設管理部長 下水道管に起因する道路陥没の主な原因でございますが、老朽化や衝撃等により下水道管が破損し、周りの土が管の中に流れ込むことで、道路の下に空洞が発生することによるものと考えてございます。この陥没の多くは、家庭などからの排水を受けて下水道管に接続する取付管で発生しております。
 取付管による道路陥没が多い理由でございますが、平成元年度までに整備された取付管の多くが陶器製でございまして、衝撃に弱いことや浅い位置に埋設されていることから、車両通行による振動の影響を受けやすいことが要因であると考えてございます。

○伊藤(し)委員 道路陥没は、取付管で多く発生しているとのことでした。
 取付管は、各家庭などから排出される下水を下水道管に導くもので、東京では建物が密集しているため、その数は膨大な量であり、対策の推進が必要です。
 そこで、区部における取付管の道路陥没対策について伺います。

○新谷施設管理部長 下水道局では、区部において道路陥没が多く発生した地区など六十四地区を道路陥没対策重点地区と位置づけまして、陶器製の取付管を衝撃に強い硬質塩化ビニール管へ取り替えるなどの対策を令和元年度までに完了させてございます。
 令和二年度からは、経営計画二〇二一に基づきまして、整備年代の古い都心部の路線や、道路陥没が発生した場合の影響が大きな国道や都道などの路線、腐食環境下等にあることにより劣化が著しい路線を優先して調査を進めまして、劣化状況に応じて取付管の硬質塩化ビニール管への取替えや更生工法などによる道路陥没対策を行ってございます。
 加えて、整備年代の古い都心部の処理区の第一期再構築エリアでは、下水道管の再構築に合わせまして、取付管を硬質塩化ビニール管へ取り替える取組も実施してございます。
 経営計画二〇二一において示しております中長期の目標値百九十五万か所に対しまして、令和四年度までに約五割の九十四万一千か所で取替えが完了しております。

○伊藤(し)委員 取付管の道路陥没対策について、着実に進めていることを確認しました。
 それでは、取付管などの陥没対策を進めることで、どの程度成果が上がってきたのか、その効果について伺います。

○新谷施設管理部長 令和四年度の区部における下水道管の老朽化や、衝撃等に起因する道路陥没の件数は、対策を計画的に進めた結果、陥没の兆候となる路面の落ち込みを含めまして、ピーク時の平成十二年度の陥没件数千五百十三件と比較しまして、約四分の一となる三百七十八件まで減少するなど、効果を発揮してございます。

○伊藤(し)委員 陥没対策による効果を確認しました。
 突然発生する路面の陥没は、車両の通行止めなど大きな影響を与えるとともに、最悪の場合、重大事故につながる危険性もありますので、引き続き、陥没対策を着実に進めることを求めます。
 次に、再構築事業について伺います。
 東京の近代下水道は、古くは明治時代に、いわゆる神田下水を敷設したところから始まっています。それから、高度経済成長期を経て整備を進め、普及率がおおむね一〇〇%を迎え、現在では下水道施設をリニューアルする再構築を進めています。その中でも、各家庭からの汚水や雨水を受ける下水道管の枝線は膨大な延長があり、計画的に再構築を進めてきたと聞いています。
 そこで、枝線の再構築の進め方と進捗状況について伺います。

○袰岩計画調整部長 老朽化した枝線の再構築に当たりましては、ライフサイクルコストや中長期的な再構築事業の平準化などを図るアセットマネジメント手法を活用して、計画的かつ効率的に事業を推進しております。
 また、老朽化対策と併せて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを一体的に行うことにより、機能のレベルアップも図っております。
 事業の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分けまして、整備年代の古い都心部の処理区を第一期再構築エリアとして優先的に事業を進めております。
 第一期再構築エリアにつきましては、これまでに一万六千三百ヘクタールの七一%に当たる一万一千五百二十四ヘクタールの整備が完了いたしました。
 令和十一年度までの第一期再構築エリアの枝線再構築の完了に向けまして、経営計画二〇二一の最終年度である令和七年度末までに第一期再構築エリアの面積の八三%に当たる一万三千五百八十二ヘクタールが完了する見込みでございます。

○伊藤(し)委員 令和十一年度末には第一期再構築エリアが完了予定と確認しました。
 そうしますと、第一期の完了を見据えて、次の第二期整備も検討を進める必要があります。
 そこで、第二期再構築エリアの枝線再構築の検討状況についても伺います。

○袰岩計画調整部長 第二期再構築エリアは、都心部に次いで整備年代が古い区部西部の三処理区でありまして、約二万七千七百ヘクタールの面積を有しており、区部全体の約五割に当たります。
 第一期再構築エリアの完了を見据え、第二期再構築エリアの枝線再構築も円滑に進めていくためには、既設管の状況などを正確に把握し、アセットマネジメント手法を活用して年間の事業量の平準化を図るとともに、地域の状況に応じた整備手法を把握することなどの検討が必要となります。
 検討の一環といたしまして、試行工事を行うこととしておりまして、今年度は設計を行っており、令和六年度には工事に着手する予定でございます。

○伊藤(し)委員 第二期再構築エリアの着手への検討を着実に進めることを求めます。
 次に、枝線で集めた下水を水再生センターやポンプ所まで運ぶ下水道幹線について伺います。
 下水道幹線は非常に大きく、最大で直径八・五メートルのものもあると聞いています。そのような大規模な下水道幹線が老朽化により使用できなくなった場合は、社会経済活動に与える影響も大きくなってきます。
 そこでまず、区部の幹線再構築の進め方と進捗状況について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道幹線の再構築は、昭和三十年代以前に建設した整備年代の古い幹線や、調査に基づき対策が必要と判明した幹線など、約三百キロメートルを対象に再構築を実施しております。
 施工に当たりましては、道路を掘削せず、比較的短期間かつ低コストで既設管をリニューアルすることができる更生工法を活用し、事業を推進しております。
 また、水位が高いなどの理由により再構築工事を行うことが困難な幹線につきましては、下水の流れを切り替えるために必要となる代替幹線を先行して整備した後に、幹線の再構築を進めております。
 令和四年度は八キロメートルの再構築を実施しており、これまでに全体の三四%に当たります百二キロメートルが完了したところでございます。
 経営計画二〇二一の最終年度である令和七年度末までに百二十二キロメートルが完了する見込みでございます。

○伊藤(し)委員 既設管の更生により再構築を進めていることを確認しました。
 先ほど答弁のあった代替幹線ですが、既存の下水道管の水の流れを切り替えるに当たり、新たに下水道幹線を整備するとのことです。代替幹線は、幹線をもう一本整備しなければならず、非常に大変な工事と認識しています。
 そこで、区部における代替幹線整備の進捗状況について伺います。

○藤橋建設部長 下水道局では、飯田橋幹線などの代替幹線となる千代田幹線のほか、新番町幹線、駒形幹線など、五つの代替幹線の整備を経営計画に位置づけております。これらの代替幹線は、地下埋設物の状況などから地中深い位置に敷設することになります。
 整備に当たりましては、地元区及び埋設物管理者などと協議を行い、周辺環境への影響、車両交通や地下埋設物への影響などに配慮した施工計画を立案し、厳しい施工条件の中で工事を進めてございます。
 これまで、新番町幹線につきましては、本年九月に完成し、既設の幹線の再構築に向けた調査を行っております。
 また、千代田幹線、駒形幹線など三つの幹線につきましては、シールド工事を行っておりまして、町屋幹線につきましては、設計を進めているところでございます。
 引き続き、四つの代替幹線の整備を着実に進めるとともに、水位が高い既設の幹線の再構築を推進してまいります。

○伊藤(し)委員 新番町幹線が今年九月に完成したことを確認しました。残りの代替幹線も着実な整備を求めます。
 次に、下水道幹線が流れ着く先である水再生センターやポンプ所の再構築についても伺います。
 水再生センターは、汚水を処理したきれいな水を海や川へ放流する非常に重要な施設です。
 ポンプ所も水をくみ上げる重要な施設ですが、老朽化が進行している施設が一部あると聞いています。これらの施設は下水道事業の基幹施設であるため、再構築を着実に進める必要があります。
 そこで、水再生センターなどの施設の再構築の進め方について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、将来にわたり安定的に下水を処理する機能や、雨水を排除する機能などを確保するため、老朽化対策に合わせて、雨水排除の能力の増強などを図る再構築を計画的に実施しております。
 再構築に当たりましては、再構築時に一時的に処理能力が減少することに対応するため、水再生センター間で下水などを相互に送る連絡管などネットワーク施設や、代替となる機能を確保する施設を再構築に先行して整備を進め、相互に補完し、安定的に下水を処理する機能を確保しております。
 また、水再生センターなどの大規模な施設を再構築するに当たりましては、多額の事業費と長期の整備期間を必要とするため、定期的な点検、調査に基づく補修やコンクリートの腐食対策、大規模改築等を組み合せて実施することによりまして、施設の機能を維持しております。

○伊藤(し)委員 水再生センターの再構築に当たっては、ネットワーク施設や代替機能を確保する施設が必要とのことでした。
 さて、東京都には、日本初の下水処理場である三河島水再生センターがあります。稼働後一〇〇年以上が経過しており、施設の再構築は喫緊の課題です。
 三河島水再生センターの施設の再構築に当たり、どのような施設整備を進めているのか伺います。

○袰岩計画調整部長 三河島水再生センターの再構築では、工事期間中の水処理能力などが不足することから、先行して代替施設を整備しております。
 具体的には、近接する東尾久浄化センターに水処理施設を新たに整備するとともに、三河島水再生センターに流入している下水の一部を東尾久浄化センターに切り替えるため、代替幹線として整備する町屋幹線を活用し、水処理能力を確保した上で再構築を進めてまいります。
 現在、令和七年度の東尾久浄化センターにおける水処理施設の整備着手に向けまして、土壌調査に着手するとともに、町屋幹線の整備の着手に向けて設計を進めているところでございます。

○伊藤(し)委員 三河島水再生センターをどのように再構築していくかを確認しました。
 また、ポンプ所も古くから稼働している施設が多いと聞いています。
 そこで、ポンプ所の施設の再構築の進捗状況についても伺います。

○杉山施設整備担当部長 下水道局におけますポンプ所は八十六施設あり、約四割が稼働から五十年を超えているなど老朽化が進んでおります。
 これらのポンプ所のうち、老朽化対策と併せ、耐震性の向上などが必要な銭瓶町ポンプ所や、耐震性の向上に加えて雨水排除能力の増強などが必要な吾嬬ポンプ所及び業平橋ポンプ所の三施設におきまして、再構築に着手しております。
 このうち、銭瓶町ポンプ所につきましては、常盤橋街区再開発プロジェクトに地権者として参画し、既設のポンプ所に隣接する用地を確保することで、既設ポンプ所の機能を維持しながら新たなポンプ所を整備する再構築を進め、令和四年度に稼働いたしました。
 また、吾嬬ポンプ所につきましても、近隣に整備した吾嬬第二ポンプ所を活用するなど、代替機能を確保しながら再構築を進めており、令和七年度末までに吾嬬ポンプ所の再構築を完了させるとともに、業平橋ポンプ所につきまして、引き続き再構築を進めてまいります。

○伊藤(し)委員 ポンプ所の再構築の状況も確認しましたので、着実に進めることを求めます。
 これまで、施設の再構築について質疑しましたが、センターやポンプ所の稼働には様々な機械などの設備が多くあり、設備についても効率的な再構築が求められています。
 そこで、設備の再構築の進め方と進捗状況について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道設備の再構築につきましては、計画的な補修により、法定耐用年数の二倍程度となる経済的耐用年数まで延命化するとともに、中長期的な事業の平準化などを図るアセットマネジメント手法を活用し、計画的かつ効率的に進めております。
 また、反応槽設備や汚泥濃縮機など省エネルギー化等の大幅な機能向上が可能な設備につきましては、経済的耐用年数よりも前倒しして再構築を実施しております。
 現在、再構築が必要なポンプ設備などの主要設備は四千五百台ございまして、令和四年度末までに二千七百六十二台の再構築が完了いたしました。
 経営計画二〇二一の最終年度である令和七年度末までに三千十九台の再構築が完了する見込みでございます。

○伊藤(し)委員 設備の再構築も取組を進めていることを確認しました。
 これまでの質疑で、各家庭からの排水を受ける取付管から、枝線、幹線、水再生センターやポンプ所までの再構築をどのように進めているか確認をしました。
 下水道は、二十四時間三百六十五日稼働しているからこそ、着実に再構築を進めることを要望します。
 次に、浸水対策について伺います。
 下水道局では、雨水貯留施設や雨水ポンプ所の整備など浸水対策を推進し、効果を得てきたと認識しています。
 しかし、気候変動の影響により、降雨量の増加が推測されており、全国各地では、大型台風や線状降水帯の発生が顕在化しています。よって、東京も例外ではなく、豪雨への備えを一層強化しなければなりません。
 先般、東京都では、東京都豪雨対策基本方針の改定に当たり、中間とりまとめを公表しました。これを受けて、下水道事業においても対策の推進が必要です。
 そこで、区部における下水道整備の目標降雨について伺います。

○袰岩計画調整部長 国の気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会によりますと、関東地方では、今後の気候変動に伴い、降雨量が一・一倍になると試算されておりますことから、改定予定の東京都豪雨対策基本方針では、現行の目標降雨から十ミリ引き上げて設定しております。
 区部では、時間八十五ミリの降雨に対応することとしており、時間七十五ミリ降雨に対応する下水道施設整備に時間十ミリ降雨相当の流域対策を加えまして、内水氾濫による被害を防止することを目標としております。

○伊藤(し)委員 下水道整備に関する目標を現行から十ミリ引上げと確認しましたが、今後どのように浸水対策を進めていくのかが重要です。
 そこで、区部における具体的な整備の進め方について伺います。

○袰岩計画調整部長 区部におきましては、早期に内水氾濫による被害を軽減するため、内水氾濫リスクが高い六十七地区を重点化し、既存施設の能力を評価した上で、幹線や貯留施設などの基幹施設を整備しております。
 具体的には、既存施設の余裕部や人孔内の空間など、既存施設の能力を最大限評価することができる流出解析シミュレーションを活用しまして、幹線や貯留施設などの施設計画を定め、整備を進めてまいります。

○伊藤(し)委員 このところは豪雨災害が頻発していますので、浸水対策を着実に進めることを求めます。
 次に、合流式下水道の改善について伺います。
 合流式下水道は、早期かつ経済的に下水道普及が進められる特徴を持つ一方で、強い雨の際には、汚水混じりの雨水の一部が河川等へ放流される特徴も有しています。
 このため、一部の河川等では、汚水混じりの雨水放流が一因となり、水質汚濁や悪臭が発生しています。
 近年、東京の顔となる隅田川などにおいて、水辺の利活用が進み、にぎわいを生んでいますので、合流式下水道の改善の推進が求められています。
 そこで、合流式下水道の仕組みと改善に向けた取組内容及びこれまでの進捗状況について伺います。

○袰岩計画調整部長 合流式下水道は、汚水と雨水を一つの下水道管で集めることから、強い雨の日には、まちを浸水から守るため、汚水混じりの雨水を川や海などに放流する仕組みでございます。
 合流式下水道の改善の主な取組といたしましては、雨水吐き口やポンプ所からのごみなどの流出を抑制する施設の整備や、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などがございます。
 これまで、ごみなどの流出を抑制する施設の整備や、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備につきましては、全て完了しております。
 また、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設につきましては、これまでに累計で百五十万立方メートルが完了しております。

○伊藤(し)委員 合流式下水道の改善の主な取組を確認しました。
 ただし、経営計画二〇二一を見ますと、令和六年度から下水道法施行令の雨天時放流水質基準が強化されるとのことです。
 そこで、下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向けた施設整備の進捗状況についても伺います。

○藤橋建設部長 下水道法施行令の雨天時放流水質基準を達成するためには、百七十万立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設等の整備が必要でございます。
 このため、現在、浮間水再生センターや善福寺川流域などにおいて、残る二十万立方メートルの貯留施設等の整備を進めております。
 本年度末までに累計百七十万立方メートルの整備が確実に完了するよう、工事を進めてまいります。

○伊藤(し)委員 雨天時放流水質基準の達成に向けて、順調な事業の進捗に安心しました。
 さて、都民が水辺を親しむため、より一層の水質改善への取組を進めることも必要です。
 そこで、合流式下水道の改善事業の今後の進め方についても伺います。

○袰岩計画調整部長 今年度末に累計百七十万立方メートルの貯留施設等が整備されることによりまして、下水道法施行令で定められている分流式下水道並みの基準を達成した放流水質が確保されます。
 下水道法施行令への対応が完了した以降も、さらなる水質改善を図るため、潮の干満の影響により、水が滞留しやすい河川区域や、水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域である十四水域などにおきまして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を推進してまいります。
 今後とも、合流式下水道の改善事業を推進し、良好な水環境の創出に貢献してまいります。

○伊藤(し)委員 合流式下水道の改善事業は、地域の水環境へのニーズに応じて、今後も着実に進めることが必要ですので、下水道法施行令の対応完了以降も、引き続き事業を進めることを求めます。
 続いて、市町村との連携強化について伺います。
 都は昨年度から、TOKYO強靱化プロジェクトを開始し、気候変動による豪雨の激甚化、頻発化や首都直下型地震等に対応できるよう施策を展開していくこととしました。
 多摩地域の下水道は、都が管理する流域下水道と市町村が管理する公共下水道が一体となって機能を発揮するシステムであり、強靱化には、都だけでなく、市町村の取組も重要です。
 私は、今年の決算特別委員会の質疑において、本プロジェクトに基づき、市町村下水道の浸水、地震対策のレベルアップ、スピードアップを図るため、新たな補助制度を開始していることを確認しました。
 そこでまず、新たな補助制度の対象について伺います。

○佐々木技術部長 下水道局では、市町村の強靱化に資する公共下水道の浸水、地震対策のレベルアップ、スピードアップを図るため、今年度から、市町村が負担する工事費等の二分の一を補助する新たな補助制度を創設し、財政支援を実施しております。
 対象事業は、浸水対策として、新規の雨水管等の整備や、雨水排除能力向上に資する下水道管の改良、老朽化した汚水管のひび割れなどから雨水が浸入する雨天時浸入水への対策等がございます。
 また、地震対策としては、市町村が策定している下水道総合地震対策計画に位置づけられた避難所などから排水を受ける下水道管の耐震化や、水再生センター、ポンプ所の耐震化等が対象事業となります。

○伊藤(し)委員 浸水対策、地震対策の幅広い事業が補助対象であることを確認しました。
 災害はいつ発生するか分かりませんので、市町村が本制度を積極的に活用して、下水道の強靱化へ取り組むことは重要であり、そのためには都の支援が不可欠です。
 そこで、市町村に補助制度の活用を促すための都の取組と、令和五年度の市町村の活用状況についても伺います。

○佐々木技術部長 市町村の積極的な補助制度の活用を促すため、全市町村を対象に説明会を実施し、本制度の活用方法を例示したほか、工事ごとに補助対象に関わる協議に応じるなど、市町村の実情に合わせてきめ細かい支援を行っております。
 その結果、令和四年度には、浸水、地震対策を実施する市町村が十二市町でしたが、今年度は、強靱化都費補助を活用することで、浸水、地震対策を実施する市町村は二十一市町に増加しております。

○伊藤(し)委員 個別相談など市町村の実情に応じて支援を行った結果、二十一の市町が補助を活用していることを確認しました。
 次に、補助対象の事業についても伺います。
 まず、浸水対策について、多摩地域の分流地区の雨水整備率は約三割と認識しています。多摩地域の雨水排除の役割は、公共下水道管理者である市町村が基本的に担うため、市町村の取組が重要です。
 先ほど、区部の質疑では、改定予定の豪雨対策基本方針において、目標降雨が十ミリ引き上げられるとのことでした。
 そこで、豪雨対策基本方針における市町村の浸水対策についても伺います。

○佐々木技術部長 多摩部では、公共下水道の整備と在来水路等の各種排水施設の活用など多様な対策手法を組み合せて、現行の目標降雨から十ミリ引き上げて、時間六十五ミリ降雨に対応いたします。
 さらに、まちづくりなどの流域対策十ミリ相当分を加え、多摩地域の目標降雨である時間七十五ミリの降雨に対応することで、内水氾濫による被害を防止することとしております。
 公共下水道の整備に当たりましては、市町村が浸水リスクの高い地区を選定し、施設整備を重点化してまいります。

○伊藤(し)委員 浸水リスクの高い地区は、在来水路の活用など、効率的、効果的に対策を進めていくことを確認しました。
 気候変動に伴う降雨量の増加により、過去に浸水被害が発生した地区では被害が拡大することや、浸水被害がなかった地域においても浸水リスクは高くなることも想定されます。
 このため、豪雨による被害を想定した事前防災の観点からの取組の重要性が増しています。
 市町村が効率的に浸水対策に取り組むためには、下水道局の経験やノウハウを生かした支援が重要です。
 そこで、市町村の浸水対策に対する都の支援についても伺います。

○佐々木技術部長 雨水排除を担う市町村が浸水リスクの高い地区を選定するためには、降雨状況や、くぼ地、坂下などの地域特性を考慮して浸水リスクを評価することができる流出解析シミュレーションを用いることが有効であります。
 一方、市町村職員は、流出解析シミュレーション手法の実務経験が少ないなどの課題があることが分かっております。
 このため、下水道局ではこれまでに、市町村でこの実務を担う職員を対象とする流出解析シミュレーションの勉強会を二回実施し、二十八市町村が参加するなど、施設整備を重点化する地区などを定める下水道強靱化計画策定に向けた技術支援を実施しております。

○伊藤(し)委員 市町村が施設整備を重点化する地区を定めて浸水対策を進めていることを確認しました。
 次に、多摩地域の分流処理区で発生している雨天時浸入水による浸水対策についても伺います。
 私の地元八王子の小宮地区では、令和元年台風十九号の際に大量の雨水が汚水管に浸入し、マンホールからの溢水による甚大な浸水被害が発生しました。
 その後、下水道局は、市町村と連携して、多機能型マンホール蓋を活用した雨天時浸入水対策に取り組んでいます。
 それでは、小宮地区における雨天時浸入水対策の取組についても伺います。

○佐々木技術部長 雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本であるため、当局は、小宮地区を含む秋川処理区全体を対象として、流域幹線の市町村境に多機能型マンホール蓋を七か所設置し、市町村と連携して発生源の絞り込みに取り組んでおります。
 これまで、多機能型マンホール蓋による調査結果から、処理区内の排水面積が最も大きい八王子市からの浸入水量が多いことが判明いたしました。
 そこで、令和四年度には、当局が八王子市内の流域幹線と公共下水道が接続する三か所で流量調査を行い、浸入水量が多い地域を絞り込んでおります。
 さらに、今年度は、この調査結果を基に、市が浸入水量の多い地域内の十五か所で流量調査を実施し、さらなる絞り込みに取り組んでおります。
 今後も、地元市と連携し、汚水管のひび割れ対策などにより、雨天時浸入水の削減につなげてまいります。

○伊藤(し)委員 都と市の連携により、段階を追って調査を進めていることを確認しました。時間を要する取組とは理解していますが、少しでも早く対策につなげることを求めます。
 次に、さきの定例会でも質疑しましたが、改めて、単独処理区の編入についても伺います。
 多摩地域では、流域下水道に接続する処理区のほか、市町村が単独で運営する処理区があります。単独処理区には、市が運営する処理場がありますが、敷地が狭く、施設や設備の老朽化などへの対応が困難な状況です。
 そのため、都では、単独処理区の流域下水道への編入に向けた取組を進めてきました。
 そこで、単独処理区の流域下水道への編入について、事業効果と取組状況について伺います。

○佐々木技術部長 単独処理区の流域下水道への編入につきましては、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において定められております。
 単独処理区編入の事業効果は、スケールメリットを活用することで、市単独では困難であった耐震化や高度処理への対応が可能となるとともに、施設更新費や維持管理費の縮減が図られることでございます。
 これまでの取組状況といたしましては、令和二年度に、八王子市の単独処理区である北野処理区の流域下水道への編入を完了しております。
 立川市の錦町処理区の編入につきましては、現在、都は下水の受入れに向けた運転調整を、市は流入幹線の整備を進めており、今年度に完了する予定でございます。
 三鷹市の東部処理区につきましては、編入に関わる施設計画の検討や関係機関との調整を実施しております。

○伊藤(し)委員 八王子市、立川市の単独処理区の編入事業が順調に進んでいることを確認しました。
 三鷹市の編入事業については、編入に係る施設計画に関する検討や、編入に向けた関係機関との調整を実施しているとのことですが、多くの労力を必要とする事業と推察します。
 現在の流域別下水道整備総合計画は、策定から十五年程度が経過しています。
 そこで、この計画における三鷹市単独処理区の編入の課題と対応状況についても伺います。

○佐々木技術部長 現在の多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画の整備計画年度は、平成二十年度から令和六年度となっております。
 三鷹市単独処理区の編入に向けた各市との調整におきましては、事業費や各市の負担割合、工期などが主な課題であると認識しております。
 引き続き、これらの課題を含め、関係市と丁寧に調整を行ってまいります。

○伊藤(し)委員 八王子市の単独処理区の編入についても、関係市町村との調整が大変であったと認識しています。
 三鷹市単独処理区の野川処理区への編入に向けては、関係者の理解を得るために丁寧な説明が必要になりますので、都が先頭に立って関係市ときめ細かい調整を行い、編入事業を前に進めていただくよう要望し、質問を終わります。

○伊藤(こ)委員 それでは、私からも、下水道局事務事業について質問させていただいてまいります。
 平成七年一月十七日に発生をした阪神・淡路大震災から、年が明けますと、間もなく二十九年になります。このとき私は、友人のご両親を救いたい一心で、翌日の一月十八日の昼前には、神戸のまちに入っておりました。そのとき、東京と同じく、都市が巨大地震に襲われるという恐ろしさと、見たこともない悲惨な光景に体が震えたのを今でも覚えています。その経験を基に、私はこれまで、都議会において、様々に災害対策の強化を訴えてきました。
 下水道局は、都民の日常生活や都市活動を縁の下で支える重要な役割を担っております。
 本日はまず、東京都下水道局の震災対策について伺ってまいりたいと思います。
 阪神・淡路大震災では、下水道管とマンホールが結合されている箇所が地震によって損壊をし、下水道が使えなくなってしまった事例が多数あり、これを踏まえて、都下水道局では、管とマンホールの接続部に揺れを吸収する材質を採用して耐震化を進めてこられました。
 既に二十年以上前から継続している取組と認識をしておりますけれども、下水道管とマンホールの接続部の耐震化は、これまでどのような箇所を対象としてきたのか。また、現在はどのような箇所を対象に取組を行っているのか伺いたいと思います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、下水道機能を確保するため、避難所や避難場所、災害拠点病院などを対象といたしまして、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化などを実施してまいりました。
 令和三年度からは、これらの対策が進んだことから、対象施設を拡大し、一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象としております。
 また、地区の不燃化が進み、万が一火災が発生しても、広域的な避難を要さない地区内残留地区につきましても、下水道管とマンホールの接続部の耐震化などを実施しております。

○伊藤(こ)委員 対象施設や、また、対象地域を拡大して、優先的に下水道管の耐震化を進めているというその場所を確認することができました。
 私の地元品川区の南大井では、地域の防災性が向上したことから、昨年、一部の区域が新たに地区内残留地区に追加をされております。この地区内残留地区での下水道管の耐震化は、在宅避難にもつながる大事な取組となります。ぜひ、スピードアップをして取り組んでいただきたいと思います。
 一方、震災時のトイレの問題は極めて重要であります。
 仮に、トイレの水が流せなくなった場合には、排せつ物の山となって使用できなくなることが想定をされます。まさに、先ほど申し上げた、私が経験した阪神・淡路大震災の現場では、避難所や公衆トイレなどでは、実際にこうした事象が起きておりました。
 下水道管を耐震化していくことによって、被災時にも多くの避難所で下水を流すことができるようになると理解をしております。
 こうした中で、マンホールの上に直接仮設トイレを設置できる、いわゆるマンホールトイレ、これは、震災時のトイレの確保問題の解消にもつながる大事な取組であります。
 そこで、仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定の考え方と現在の指定状況について伺いたいと思います。

○新谷施設管理部長 仮設トイレを設置できるマンホールは、避難所等からの排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化などが完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、道路交通や応急活動などの支障とならない場所を、区からの要望に基づき指定してございます。
 区部における令和四年度までの指定状況は七千百三十四か所でございます。
 新たに下水道管の耐震化が完了した避難所等に対しましても、引き続き、区からの要望に基づき、指定を行ってまいります。

○伊藤(こ)委員 七千を超えるマンホールが既に指定をされているということでございました。
 内閣府が策定をしております避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインによれば、避難者五十人につき一基の仮設トイレを目安として確保することが記載をされておりまして、現時点で既に三十五万人分相当となるわけであります。公園や学校などの施設内に区が設置するものも合わせれば、相当数が確保されているということになると思います。
 しかしながら、区部には八百万人の都民がおられまして、地区内残留地区やマンションなどの集合住宅の方などは、避難所には行かないけれども、自宅のトイレが使えないといったケースが出てくることが想定をされます。そうなれば、なお、まだまだ仮設トイレを設置できるマンホールを増やしていく必要があるというふうに思います。下水道管の耐震化が完了したところからマンホール指定を行っていくということでありますので、今後、拡大が進むことを期待したいと思います。
 そこで伺いますけれども、発災時に迅速に仮設トイレを設置するために、下水道局と区が連携し、それぞれしっかりと備えていくことが大事であると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○新谷施設管理部長 東京都地域防災計画では、災害用トイレの確保を区の役割としております。
 また、発災時には、区がマンホール蓋を開け、仮設トイレを設置することとしております。
 そのため、下水道局では、指定したマンホールの場所を速やかに判別できるように、マンホールの蓋に青色の目印をつけるとともに、マンホールの場所などの情報を区と共有してございます。
 引き続き、区と連携し、情報共有を図るなど、危機対応力を向上させてまいります。

○伊藤(こ)委員 下水道局が取り組んでおられます震災対策の取組について、よく分かりました。マンホールトイレが指定されているマンホールについては、蓋に青色の目印がついているということでありましたので、私もちょっとよく注意して、まちを歩いてみたいなというふうに思っております。
 首都直下地震などの大地震への備えは喫緊の課題であります。引き続き、着実な取組をお願いしたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 続いて、下水道施設の耐水化について伺ってまいりたいと思います。
 水再生センターやポンプ所では、自然流下で流れてきた下水を公共用水域に放流する機能があるため、海や川に近く、標高も低い場所に立地していることから、浸水のリスクが高い施設が多いというふうに認識をしております。
 実際に東日本大震災では、仙台市の下水処理場が津波によって被災をしたことによって、長期間、下水道の機能が停止をいたしました。
 これを受けて、都としても、耐水化を進めてきたというふうに認識をしておりますけれども、改めて、下水道施設の耐水化のこれまでの取組について伺ってまいりたいと思います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、平成二十四年に策定されました東京都の地震・津波に伴う水害対策に関する都の基本方針に基づきまして、大規模地震により堤防等が損傷したときに津波が襲来した場合に備えまして、東京都防災会議で示された最大津波高さに対する耐水対策を実施してまいりました。
 具体的には、森ヶ崎水再生センターや勝島ポンプ所などの耐水化が必要な三十四施設につきまして、建物の出入口の扉を防水扉に取り替えるなどの対策を、平成二十八年度末までに全ての施設で耐水化が完了しております。

○伊藤(こ)委員 既に最大津波高さまでの対策は完了しているということで、改めて確認をさせていただきました。
 一方で、気候変動の影響によって、災害リスクの増大は、既に全国各地で顕在化しておることを実感しているところであります。
 実際に、本年七月に秋田県で発生した豪雨では、河川氾濫によって汚水中継ポンプ所の電源盤が水につかったということで、一万人以上の住民に対して下水道の使用を控えるよう呼びかけたということでありました。
 下水道の使用制限は、住民の生活環境の悪化に直結をし、特に海抜ゼロメートル地帯で洪水や高潮が発生した際には、その地形上の特性から、浸水解消までには長期間の時間を要することが見込まれるため、津波最大高さまでの対策から、さらにレベルアップさせていく必要があると都議会公明党は指摘をしてまいりました。
 令和五年十月、先々月でありますけれども、公表されました東京都豪雨対策基本方針の中間のとりまとめにもあるように、下水道施設の耐水化のレベルアップは、喫緊の課題と認識をしております。
 下水道施設の耐水化については、現行の対策高さである最大津波高さよりも高いレベルで対策をすべきであるというふうに考えますけれども、今後の取組について伺いたいと思います。

○袰岩計画調整部長 東京都豪雨対策基本方針中間とりまとめでは、目標を超える降雨や複合災害等により水害が発生した場合におきましても、揚水機能等の下水道機能を確保するため、最大津波高さよりも高いレベルで、下水道施設の耐水化を推進していくことといたしました。
 具体的には、東京湾沿岸海岸保全基本計画(東京都区間)で示された計画高潮位や、国による計画規模の洪水シミュレーションによる浸水深さなどのうち、最も高い浸水深さを対策高さとしております。
 水再生センターやポンプ所ごとに、この浸水深さに対しまして下水道機能を確保するよう、建物の出入口の扉を防水扉に取り替えるなどの対策を実施してまいります。
 浸水深さが高く、対策が困難な場合につきましては、施設の再構築時に耐水化を実施することとしております。

○伊藤(こ)委員 今後は、計画高潮位や、計画規模の洪水シミュレーションによる浸水深さ等のうち、最も高いレベルに対して対策を進めていく旨、答弁をいただきました。
 そこで、次に、下水道施設の耐水化のレベルアップについて、現在の進捗状況について伺いたいと思います。

○袰岩計画調整部長 下水道施設の耐水化に当たりましては、水再生センターやポンプ所が立地している場所や周辺環境、構造、規模などの特徴を踏まえまして、個々の施設に適した対策が必要となるため、本年一月から、全ての施設につきまして、現地調査などを実施いたしました。
 これらの結果を踏まえまして、雑色ポンプ所や篠崎ポンプ所など八施設につきまして、耐水化のレベルアップの調査設計に今年度より着手いたします。

○伊藤(こ)委員 今年度中に複数の施設でレベルアップの調査設計に着手するというご答弁をいただきました。
 地球温暖化に伴う巨大台風の発生が懸念される中、高潮対策はまさに急務の取組であります。佐々木局長の下、こうした下水道局の取組を高く評価したいというふうに思います。
 そして、下水道施設の耐水化を長年訴えてきた都議会公明党、とりわけ勇退した上野和彦元議員にとっても大変うれしく、そして、早期整備に向けた動きが確認できたことは、大きな進歩であるというふうに思います。
 早期の整備完了を要望し、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 浸水対策に関連して、多摩川排水樋門の対策について伺ってまいります。
 令和元年東日本台風、台風十九号では、河川からの越水や多摩川の水位上昇に伴う排水不良、樋門を閉鎖した地域での内水の滞留、あるいは樋門を閉鎖できなかった地域での多摩川の逆流など、複合的要因によって被害が発生をいたしました。浸水被害の最小化を図るためには、樋門操作を適切に行うことが重要であります。
 私は、この台風被害の直後に開かれた公営企業決算特別委員会の総括質疑で、樋門操作の安全対策の強化について提言をさせていただきました。この質疑を踏まえて、下水道局では、多摩川のうち、区部の七か所の排水樋門の遠隔操作化などの改善を進めてきていると聞いております。
 改めて、令和元年東日本台風、台風十九号を踏まえた、多摩川排水樋門の改善の取組状況について伺いたいと思います。

○袰岩計画調整部長 下水道局ではこれまでに、堤防の宅地側からでも樋門を操作できるよう遠隔化を実施するとともに、やむを得ず河川側において操作する際の安全を確保するため、堤防から河川に張り出した操作盤につながる通路の転落防止柵のかさ上げを実施いたしました。
 また、多摩川の水位が計画高水位まで上昇しても雨水を排水できるようにするため、大田区内の上沼部排水樋門でのポンプゲートの排水能力増強や、世田谷区内の下野毛排水樋門でのポンプゲート新設を進めるとともに、区役所からも遠方操作を可能とする機器の整備も進めます。
 現在、上沼部排水樋門では、今年度よりこれらの工事に着手するとともに、下野毛排水樋門では設計を進めているところでございます。

○伊藤(こ)委員 排水樋門の対策について確認をさせていただきました。
 都議会公明党としても、かねてから求めてきた樋門操作の遠隔化など、多くのハード整備に取り組んでいることに感謝を申し上げたいというふうに思います。また、着実に、さらに事業を進めていただきたいと思います。
 七か所の排水樋門のうち、五か所は操作を区に委託をしているというふうに伺っております。区が操作を行う施設が多いことから、水害発生を想定した訓練などを行い、ふだんから備えるとともに、大雨時に樋門を閉鎖したときには、内水氾濫が発生する可能性があることを住民へ知らせることも重要であると考えます。
 多摩川排水樋門の操作に関して、地元区との連携や住民への情報発信の取組について伺いたいと思います。

○新谷施設管理部長 多摩川の水位や樋門の開閉状況などの情報を区などと速やかに共有するため、情報伝達ルートや共有方法を定めることに加えまして、樋門の操作を委託している区と合同で、操作訓練や情報連絡訓練を令和二年度から年に一回実施しておりまして、今年度は五月に実施いたしました。
 また、住民の方々に対しましても、地元区と連携し、ホームページやSNSなどを活用しまして、樋門の操作状況を迅速に広く周知することに加えまして、現地では、樋門に回転灯を新たに設置し閉鎖時に点灯させることで、地域の住民の方々が、樋門が閉鎖されたことを直接確認できるようにいたしました。
 今後も、区などの関係機関と連携を図りながら対策を進めまして、情報発信に取り組んでまいります。

○伊藤(こ)委員 樋門の上のところに回転灯を新たに設置をして、樋門が閉まったよということを、それで住民に知らせるということでありました。
 台風十九号のときには、多摩川の水位の高さが樋門の高さより上に来てしまったから樋門を閉めた。ところが、樋門を閉めた中側のところは、おけのような状態になって、結局、内水氾濫が起きてしまったということでありますけれども、この回転灯をつけたことで、これが回ったときには、樋門が閉まったということを住民にしっかりと知らせるという意味があるわけですから、このこと自体、回転灯の意味自体をしっかりと周知をしておくことが重要だということを申し上げておきたいと思います。
 ソフトも含めた排水樋門の対策が進められているということはよく分かりました。
 令和元年東日本台風において、広範囲で浸水被害が発生した経験は、強く地元住民の記憶にも残っておりまして、早期の対策、早期改善の要望も多いわけであります。今後も、地元への周知を含めて、下水道局と区が連携して取組を進めていただきたいと思います。
 本日は、下水道局の震災対策、そしてまた、下水道施設の耐水化、排水樋門の対策強化について質問をいたしました。
 下水道局は、冒頭申し上げましたけれども、都民の日常生活や都市活動を縁の下で支える重要な事業を数多く所管しておられます。今後も、佐々木局長を中心に、都下水道局が着実に事業執行と、発展されますことを期待して、質問を終わります。

○福手委員 よろしくお願いします。
 私は、下水道局の決算委員会でも多摩地域の浸水被害と雨天時浸入水について取上げをしました。
 多摩地域では、大量の雨水が汚水管に入り、排水能力を超えた下水がマンホールなどからあふれ出し、近隣の住宅に流れ込む、雨天時浸入水による浸水被害を度々引き起こしています。これまでの委員の方も取り上げていたように、そういう状況がありました。
 この対策を進めるために、市町村への財政支援の強化は、市長会などから繰り返し要望が出されていました。
 都は今年度から、市町村が実施する下水道の浸水対策や、震災対策などへの支援として、都の補助率を市町村負担分の二分の一へと引き上げた新たな制度を始めました。
 市町村の浸水対策の市町村下水道事業強靱化都費補助の令和五年度の申請の実績をお伺いいたします。

○佐々木技術部長 今年度の市町村下水道事業強靱化都費補助の浸水対策に関する申請数は、十五市町となっております。

○福手委員 既存の補助制度は、都の補助金が二・五%でしたから、そこから補助率が大きく引き上がったので、市町村が新たなこの補助制度を活用し、浸水対策などが促進されることが期待されます。そして、初年度は十五市町が申請をしたということでした。
 多摩地域における浸水被害としては、特に二〇一九年の台風のときに、多摩地域だけでも六百十一棟の浸水被害があり、非常に深刻な事態となりました。今回申請された自治体、例えば、二〇一九年の台風のときに、百四十二棟の浸水被害があった八王子市など、被害が出た自治体からの申請は多く、そして、一方で、直近五年間で浸水被害がなかった自治体からの申請もあり、この補助制度が、浸水対策を進めるのに大きな役割を果たすものになっていることが分かります。
 そういう意味では、市町村から歓迎され、活用も見込まれる制度となっていて、初年度の予算は二十億円を計上しておりますが、新年度の予算に向けて、局として要求額はどのようになっているのか伺います。

○後藤総務部長 市町村下水道事業強靱化都費補助について、令和六年度の予算要求額は二十二億円でございます。

○福手委員 今年度から増額して要求をしているということでした。
 今年度申請した自治体は、来年度も継続して工事が行われると思いますので、少なくとも今年度以上の申請が見込まれると考えられます。さらに積極的に活用していただくことが望まれます。
 そういう意味では、先ほどの質疑の中でも全市町村に働きかけを行っているというお話がありました。やはり、たくさんの市町村が活用できるように促していただく。それで、過去に浸水被害が起きている自治体、今年は申請しなかったけれども、そういう自治体がありますが、こういう自治体には、特に東京都から働きかけて活用していただくことをお願いしたいと思います。
 では、次に、ビルピット排水対策について質問をいたします。
 大規模なビルがあるところや、繁華街を歩いていると、排水の腐敗した臭いがするところがありますが、ビルピットとは、ビルの地下にある排水槽のことで、悪臭がそのビルピットから来ていて、その改善のための取組についてです。伺っていきます。
 令和四年度のビルピットに関する苦情件数を伺います。

○須賀施設管理担当部長 令和四年度に下水道局に寄せられた臭気に関する苦情は五百四件で、そのうち、ビルピットが原因と思われる苦情は三百八十九件でございます。

○福手委員 令和四年度は三百八十九件のビルピットが原因の苦情が来ているということでした。ちなみに、令和二年度は五百九十四件、令和三年度は五百十二件だったそうなので、苦情件数は年々減ってきているという状況です。しかし、まだまだ都内では悪臭が多く発生しているということが分かります。
 では、具体的に、苦情があった場合にどのような対策がなされているのか伺います。

○須賀施設管理担当部長 お客様から臭気に関する苦情の連絡をいただいた場合は、お客様より臭気の状況や発生箇所を伺った上で速やかに現地に赴き、発生源の調査をしております。

○福手委員 現場に行って臭いがあるか実際確認をして、そして、調査に入っていくということです。
 しかし、調査するには、悪臭の発生が短時間であったり不定期だったりしますので、発生源を特定するまでには長い日数がかかると思いますが、苦情が入ってからの防臭の応急の対策というのはしていただけるのでしょうか伺います。

○須賀施設管理担当部長 防臭措置が必要と判断した場合は、道路管理者等と調整を図り、道路上の公共雨水ますに防臭器具を設置しております。

○福手委員 悪臭の発生源を特定するには、一か月、もしくはそれ以上の、ある程度の日数がかかるそうです。その間は悪臭が出ている雨水ますに防臭器具を取り付けて、まずは臭いを出ないようにしてから発生源の特定の調査を行っていることが分かりました。
 では、発生源はどのように特定をしているのか伺います。

○須賀施設管理担当部長 ビルピット臭気は硫化水素が主成分であることから、臭気発生源の特定方法として、臭気苦情発生箇所周辺の現地調査を行い、硫化水素ガス濃度検知器を公共汚水ますに設置するなどにより特定してまいります。

○福手委員 臭気の原因が硫化水素だということで、この硫化水素というのは、蓋のさびやコンクリートの劣化を誘発し、高濃度であれば人体にも悪影響が及ぶものです。悪臭だけではなく、深刻な事態につながりかねない問題ですから、対策の重要性を改めて確認することができました。
 では、具体的に、指導はどのように行っているのか伺います。

○須賀施設管理担当部長 ビルピットに汚水を長時間滞留させると、腐敗して硫化水素が発生し、それが臭気の原因となることが多くございます。
 そのため、発生源ビルを特定できた場合には、当該ビルの所有者等に対し臭気発生のメカニズムの説明を行った上で、長時間汚水を貯留させないなどの改善を要請しております。

○福手委員 悪臭の発生源がビルピットだと特定したら、ビル所有者等と連絡を取り、臭気の原因を説明して、知っていただくこと、そして、すぐできる改善方法を説明すること、これはとても重要だと思います。苦情件数も年々減ってきている状況ですが、こうした地道な対応は大切だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 一つ確認したいのですけれども、ビルだけではなくて、大規模マンションにも排水を貯留するピットが設置されています。苦情があった場合に、それがマンションだった場合でも同様の対応は行っていただけるのでしょうか。

○須賀施設管理担当部長 臭気の原因がビルピットの場合、建物の用途にかかわらず指導を行っております。

○福手委員 マンションであっても、苦情があれば同様の対応をしていただいているということが確認できました。
 私、マンション管理士をされている方にお話を伺ったんですけれども、排水の量が多い時間帯は、排水をピットでためて、そして、タイマーで夜十二時に流す、そういう対応をしているマンションがあるというお話を聞きました。しかし、管理をきちんとしていないと、例えばタイマーが故障してしまったのを知らずにずっと水をためていた、そういう事例があったそうです。また、停電でタイマーの時間がずれて昼間に流してしまった、そういうケースもあったというふうにお話を伺いました。ビルの場合も、きちんとビルピットの維持管理がされていないと悪臭の発生を繰り返してしまうことになるのではないでしょうか。
 また、ビルピット臭気対策マニュアル、これは環境局が作成しているものですが、ここには、ビル所有者や管理者が不明で、テナント側でも連絡先を教えてくれない場合があり、指導が困難なときがあるとありました。ですから、ビルでもマンションでも、専門家の目が定期的に入る仕組みがあれば、きちんと維持管理がなされるのではないかと私は思います。
 建築基準法の十二条三項には、一年に一回、建築設備の状態を調査、検査して、その結果を特定行政庁へ報告しなければならないとあり、その調査項目に給排水設備というふうにあります。ですから、一年に一回、ビルピット排水やマンションの排水槽を専門家が点検し、それが法に基づいてできるということなのではないかと考えました。あわせて、指導が困難な場合、そして、再発予防として、関係局と連携してビルピット臭気対策を進めていただきたいと思います。
 そして、ビルピットやマンションの排水槽の点検、維持管理というのは、現時点で補助制度がありません。所有者側の負担で行うものとなっていますが、適切な管理が進められるためには、点検あるいは維持管理の財政支援が必要なのではないでしょうか。ぜひ、関連四局と連携して、財政支援の検討をしていただくことを意見として申し上げておきます。
 次に、下水道工事の進め方について伺います。
 年間幾つもの下水道工事が行われておりますが、それぞれの工事現場で地元住民の理解と納得を得ながら進めていくことが求められております。その視点で質問していきます。
 基本的なことを幾つか確認していきます。
 下水道工事において、住民説明会の実施はどのような規定になっているのか伺います。

○藤橋建設部長 工事説明会につきましては、当局が定める土木工事標準仕様書において、受注者は、監督員と協議の上、地元住民に対し施工前及び施工中に必要に応じて工事説明会等を開催し、工事の内容などを説明し、協力が得られるよう努めなければならないとなってございます。

○福手委員 下水道局は、土木工事標準仕様書において、工事の前と工事中に必要に応じて住民説明会を開催し、協力が得られるよう努めなければならないと。受注者、つまり工事を行う事業者は、その仕様書に従って行うことになります。
 では、次に、家屋調査について伺います。
 工事を行う前と完了した後に行う家屋調査は、玄関などの写真を撮ったり、また、計測を行い、家屋に損害があった場合の補償を判断する材料となります。
 工事の前後に行った家屋調査の資料というのは、物件所有者は入手することができるのでしょうか。規定はどのようになっているのか、併せて伺います。

○藤橋建設部長 下水道局では、家屋調査を実施中に補償対象者本人となる物件所有者から調査資料の提示を求められた場合には、当局が公表している損害補償実務の手引に基づき、事前、事後調査の写真帳及び工作物現況図は、要求に応じ受注者が提示することになります。
 事後調査後、受注者から当局に提出された調査報告書については公文書となり、物件所有者から個人情報の保護に関する法律に基づく開示請求があれば対応することになります。

○福手委員 物件所有者は、家屋調査中に要求すれば提示、つまり、その場で見ることができると手引にあるということでした。
 しかし、入手する、手に入れるということになると、調査結果が下水道局に報告されて、そして、公文書となるため、開示請求をしないと手に入れることができない運用だということでした。
 では、工事完了後はどのようにして損害が認定されるのかを伺います。

○藤橋建設部長 下水道局では、工事が完了し地盤が安定した後、受注者は、事前調査を行った全ての物件所有者のうち、希望された方を対象に事後調査を行い、事前、事後の調査結果を比較し、工事に起因する損害の認定について当局と協議を行うとなっております。
 当局は、受注者からの協議を受けて、調査結果、施工状況などを踏まえて損害を認定することになっております。

○福手委員 工事完了後に行う家屋調査は、事前調査を行った方全員に行うのではなく、希望した方を対象に行うという運用になっていることが今の答弁で分かりました。
 しかし、事後調査の希望を募っていることに気がつかず希望していない場合や、知っていてもすぐに希望を出さずに期間を空けて希望される、そういう場合もあると思いますが、期限によらず事後調査を希望する方がいた場合、対応はしていただけるのでしょうか伺います。

○藤橋建設部長 民法に基づく損害賠償請求権の消滅時効の規定があり、その範囲内で対応することになります。

○福手委員 損害補償実務の手引に期限についての定めはありませんが、民法七百二十四条の損害賠償請求権の消滅時効に基づいて対応しているという答弁です。
 具体的には、被害者が損害を知ったときから三年間という範囲、そして、もう一つは、工事が完了してから二十年間という範囲で対応をしているということでした。
 下水道局は今、落合水再生センターからみやぎ水再生センター間の送泥管の工事を行っております。この工事において、豊島区西池袋四丁目辺りの地域で、住民からシールド工事を行うことに不安の声が出ています。ここは、かつて谷端川があり、今は暗渠となっている地域です。
 地盤が弱いとされるこの地域でどのように工事を行うのか伺います。

○藤橋建設部長 シールド工事の実施に当たりましては、受注者は、土質調査結果などに基づき、現場条件に適した施工計画を立案し、適切な施工管理を行いながら掘進を進めることとしております。
 掘進に当たり、当局は、受注者に対して、変化する地盤条件を踏まえて、きめ細かな施工管理や地表面の計測管理を行うよう指導しております。

○福手委員 地元住民から工事について心配の声が上がり、説明会の開催を求め、この間、二度、説明会が開かれています。
 先ほど、説明会についての質疑では、工事の仕様書には必要に応じて説明会を開催するということですが、そうなりますと、必要ないというときもあるということが同時に存在すると思います。
 しかし、説明をして協力が得られるよう努めなければならないとも仕様書にあるので、申出がなくても説明会を行うことが求められます。また、説明会で住民から出された要望や疑問に対しては答えてもらっていないという意見が出ていますので、最後まで丁寧な対応していただきたいとお願いをしておきます。
 また、家屋調査の資料については、先ほどの答弁ですと、物件所有者が自分の家の調査資料を入手するためには開示請求をしなければならないということでした。
 民間での工事においては、建築紛争予防のために協定書が結ばれることがよくありますが、そのひな形を見ますと、建物等の損害の修復という項目があり、そこには、建物に損傷等の被害を生じた場合の確認と復旧に備えるため、必要に応じて工事着工前に調査会社に委ね、立会いの上、写真撮影を行い、現状確認をし、二通資料を作成し、一通を建物所有者へ提出するというふうに書いてあります。公共工事であっても同様の対応が求められるのではないかと考えます。これは意見として申し上げておきます。
 では、続いて、大田区内で視覚障害者が道路のマンホール蓋に開いている穴に白杖を落としたという事例の対応について伺います。
 パネル、これはマンホール、今いった穴が開いているマンホール、こういうふうに穴が開いているんですね。道路上に設置されている下水道用マンホールの蓋には大きな穴のあるものがあり、視覚障害者が白いつえを中に落としてしまう事例が起きています。全盲の方がつえをなくした状態で帰宅した、非常に危険なことが起きたと。大田区選出の共産党の藤田りょうこ議員に相談があり、その後、下水道局に対応を求めています。
 この相談で、下水道局は、マンホール蓋の穴に視覚障害者の白杖が落ちないようどのような対策を行ったのか伺います。

○新谷施設管理部長 ご指摘のマンホール蓋には、雨天時に圧縮された空気による蓋の飛散などを防止するために格子状の穴が設けられております。
 主に車道では大きな下水道管が敷設されており、圧縮される空気量が多いことから、穴が大きいタイプの蓋を設置しております。
 主に歩道では小さな下水道管が敷設されており、穴が小さいタイプの蓋を設置しております。
 設置に当たりましては、現場の状況を勘案し、地元の意見も踏まえまして、蓋の穴の大きさを含め、適切な種類の蓋を選定しております。
 ご指摘の箇所のマンホールにつきましては、車道であったため車道用の蓋を設置しておりましたが、地元の意見を踏まえ、既に穴の小さな歩道用の蓋への交換が完了してございます。

○福手委員 対応を要望したマンホールというのは二か所あって、そして、一か所はすぐ歩道用の穴の小さいマンホールに換えていただけたのですが、もう一か所についても、この土曜日に歩道用マンホール蓋に交換ができたということでしたので、ありがとうございました。
 今回の対応に当たって、改めて確認をしておきたいと思います。
 今回の対応では、現場の状況と地元の意見を踏まえた対応をされたということです。答弁にあるように、マンホール蓋には車道用と歩道用があります。今回対応していただいたところは、一車線の一方通行で歩道との境がない区道です。このような道では、歩行者は、道路の端を歩くだけでなく、道路の真ん中も歩きます。
 こういった区道におけるマンホールは車道用のマンホールとなるのでしょうか伺います。

○新谷施設管理部長 先ほどの答弁と一部繰り返しになりますけれども、現場の状況を勘案いたしまして、蓋の穴の大きさも含めて適切な種類の蓋を選定してございまして、車道でも歩行者が通行する場所では穴の小さいマンホール蓋を設置するようにしてございます。

○福手委員 車道でも歩行者が通行する場所では、歩道用の穴の小さいマンホール蓋を設置すると。そして、あわせて、地元の意見も踏まえて対応するということでしたので、適切な対応を取っていただけることを確認することができました。引き続きよろしくお願いいたします。
 最後は、人材育成、技術力向上について質問をいたします。
 下水道局において、人材育成と技術力向上での課題意識をお伺いいたします。

○鈴木職員部長 東京の下水道サービスを将来にわたって安定的に提供していくためには、これまで培ってきた技術やノウハウの確実な継承と技術力の向上が重要と考えております。
 近年は中堅職員の割合が増加していますことから、若手職員に加えまして、中堅職員に対する育成も効果的、効率的に行う必要があると認識をしております。

○福手委員 ベテラン職員の方々の大量退職の後、多くの職員採用を下水道局は行っています。
 年齢別でいただいた技術系職員の人数によりますと、十代から三十代の職員は五〇・八%を占めています。四十代も入れますと六九%を占めていて、若手職員と中堅職員の育成が局の中で大きな位置づけになっていることが分かります。
 では、若手職員の育成や技術の継承という課題について、どのような対策を取られているのか伺います。

○鈴木職員部長 下水道局では、人材育成方針に基づき、計画的かつ継続的な人材育成に取り組んでおります。
 具体的には、業務の習熟度について定期的に先輩職員や上司と意見交換することにより、担当職務の早期習得を図っております。
 また、技術継承を専任とする職員が各事務所を巡回し、経験の浅い技術系職員に対し個別相談や支援を実施するなど、きめ細かなサポートを行うほか、下水道技術実習センターにおきまして、実際の工事現場や水再生センターの施設などを再現した実習施設を活用し、実践的な研修を実施しております。

○福手委員 下水道局は、技術力向上委員会をつくって、そして、部署別でも技術力向上推進委員会をつくって実践的な取組を行っております。さらに、事業の中で若手の職員の方が魅力や達成感を感じる機会をつくるなど、下水道局の任務、都民の安全と安心に関わる職場として、意欲を持って安心して職務に従事できる環境をつくる努力をしていることは本当に大切なことだと私は思いました。
 下水道局の現員数というのは二千五百十四人で、そのうち技術系の職員というのは二千二百四十二人、再任用の職員の方は八十三人いらっしゃいます。
 では、会計年度任用職員の方々は全体で百六十八名いらっしゃるんですけれども、そのうち技術系の職員の人数というのは何人なのか伺います。

○鈴木職員部長 令和五年八月一日現在で百二十一人でございます。

○福手委員 技術系の会計年度任用職員の方々は百二十一人、皆さんノウハウを持つベテランの方ばかりだということでした。
 この百二十一人の会計年度任用職員と八十三人の再任用職員が、現在、若手職員の指導と育成を行っています。このことはとても重要だと思いますが、これから下水道局として、今後さらに、例えば省エネや再エネの推進など新しい課題への対応、そして、デジタル技術の進歩などを有効活用していく力、これが必要になり、人材育成や技術力の向上は下水道局の要になると思っています。
 教え合い、学び合う、人を育てる職場風土を醸成していくことで、職員全体のレベルの底上げを図ると事業概要にも書いてありました。局直営で下水道事業を行うことの大事さを改めて実感したところです。
 今、下水道局は、方針として水再生センターの包括委託を始めていますが、改めて見直すべきであるということを申し上げて、この質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○あぜ上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩したいと思います。
   午後三時十五分休憩

   午後三時二十八分開議

○あぜ上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、下水道局の事務事業について質問します。
 初めに、流域下水道について質問します。
 東京都においては、二十三区については都が下水道事業を行うわけですが、市町村においては市町村がそれぞれ行っているということになりますけれども、やはり二十三区に比べれば財政面で厳しいということがありますので、毎年、三多摩地域の市町村で構成される三多摩上下水及び道路建設促進協議会、三水協と呼んでいるわけですが、そちらから都に要望が出されます。
 その中で、下水道事業についても、維持管理費に対しても、この建設及び改良事業と同様に財政援助措置を講じてほしいという要望も出されます。特に、耐用年数を過ぎて劣化の著しい設備改修には早急な財政援助を図るよう求めています。
 そこでまず、都としてどのようにこれに対応するのか、見解を伺います。

○佐々木技術部長 多摩地域の公共下水道管理者は市町村であり、維持管理に関する経費は、雨水は公費、汚水は私費という原則の下、市町村が負担するものとなっております。
 局においては、市町村の下水道設備の改修等を市町村下水道事業都費補助金の補助対象としており、併せて必要な技術支援を行っております。

○中村委員 原則ということでお答えをいただきました。
 改修費等についてはご支援もいただいておりますので、こういった維持管理に関する経費等も、やはり格差があって財政的に大変だということもありますので、ぜひとも必要な支援についての検討をお願いしたいと思います。
 さて、水道事業ほど経営形態が話題になっていないとはいうものの、下水道事業についても、やはりこれは大事なことだと思っています。
 二十三区の処理場は、直接下水道局が担当しているか、もしくは政策連携団体が担当しているわけですが、多摩地域については民間委託なのはなぜなのでしょうか。民間に全て任せても大丈夫なのか疑問も残ります。流域下水道本部の役割は監督だけということになってしまいかねません。
 そこで、処理場の経営形態についての都の見解を伺います。

○佐々木技術部長 流域下水道の水再生センターにおける再構築などの事業は、基本的に当局が直営で実施しております。
 維持管理につきましては民間事業者に委託しており、当局職員が履行確認をすることで、安定的かつ効率的な運営を行っております。

○中村委員 再構築は直接都が担当しているということなのですが、維持管理は民間だということでございます。ただ、これ、部分的には委託をしていても直営ということに変わりはないというふうには思っていますので、例えば災害時の対応等を含めて、やはり都が責任を持って行う部分もあるかと思っていますので、経営形態はともかく、委託するということではありますけれども、都が責任を持って事業を行っていただきたいと思っています。
 次に、流域の編入について伺います。
 この間、八王子、立川の方では実現をしたんですが、三鷹市だけが残りました。三鷹市では、かつて、かなり下水道事業に力を入れたこともあって、当時は、下水道の普及率一〇〇%ということを日本で一番最初に普及させたということであったんですが、その後、他の市町等は東京都が行う中で、三鷹市だけが単独の処理がまだ残ってしまったということで、なかなか遅れている部分ということについては残念である部分もあります。
 予定している野川水再生センターの予定地というのが、調布飛行場跡地にあります。この場所は、調布市と府中市が、グラウンドとして、あくまでですが、暫定利用しているということでございます。多くの方が利用しているということでもあって、私もよくその情景を見るので、なかなかここに下水道処理施設を造るというのは大変だというふうな思いもありますけれども、必要なものであればしっかりと検討していかなければならないというふうには思っています。
 そして、二〇〇九年の七月に、都市整備局によって、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画が策定されました。そこに記載された整備計画年度は、来年度の二〇二四年度となっているわけです。十五年という計画の中で、八王子と立川は完了したものの、三鷹は計画どおり進んでいません。
 そして、二〇二二年になされた東京都の包括外部監査においても、都は一層の調整を進められたいと記載をされました。ここでは、窒素とリンの除去等を含めて高度処理が行えるので、東京湾の赤潮対策に寄与するものとして効果の大きさも示しているというところでもございます。
 局も、三鷹市をはじめとする関係市との調整を進めると思いますが、改めて、現在の取組状況と、進める上での課題と今後の取組を伺います。

○佐々木技術部長 三鷹市の東部処理区の編入につきましては、編入に関わる施設計画の検討や関係機関との調整を実施しております。
 関係市との調整におきましては、事業費や各市の負担割合、工期などが主な課題であると認識しております。
 引き続き、これらの課題を含め、関係市と丁寧に調整を行ってまいります。

○中村委員 三鷹市で下水処理することではあるんですけれども、三鷹市からだけの要望ということではなくて、先ほど冒頭に述べました三水協からの要望の中にも、今以上に速やかな解決に向けた対応を行うということも記載されております。ぜひとも、今後の調整によって前進することを期待したいと思います。
 さて、一般的に、この下水処理場の建設は、構想から計画、建設まで大変長い時間を要するものと認識しております。
 三鷹市の東部水再生センターは、昭和四十三年に運転を開始しており、五十年以上が経過をし、施設の老朽化が進んでいますが、編入までは供用し続けなければなりません。
 そこで、東部水再生センターの老朽化対策と下水道局の支援について伺います。

○佐々木技術部長 三鷹市は、ストックマネジメント計画に基づき、東部水再生センターの監視制御設備更新などの老朽化対策を行い、水再生センターの適切な運転に努めております。
 当局は、国の交付金の活用を促すほか、市町村下水道事業都費補助金による財政支援や必要な技術支援を実施しております。

○中村委員 技術的な支援を実施していただいているということですので、引き続き積極的な支援をお願いしたいというふうに思っています。
 この三鷹市の編入については、度々この委員会等含めて過去に何度も質問してきたんですが、なかなかまだ進んでいないというところもあります。
 今日は、立川からも流域下水道本部長もせっかく来ていただいておりますので、改めて要望したいところなんですが、本当に関係市の調整等を含めて、なかなか市だけでは難しいところもあります。都の大きな事業でもありますので、私としては、積極的に都が取り組んでいただきたいということを改めて要望したいと思いますので、よろしくお願いします。
 さて、次に、環境対策について質問します。
 下水道は多くのエネルギーを使うため、省エネルギーへの取組は重要です。
 下水道事業では、水処理や汚泥処理工程で大量のエネルギーを必要としており、多くの温室効果ガスを排出しているとも聞きます。
 これまでも、温室効果ガス排出量の削減に取り組み、着実に減らしてきたと承知はしておりますが、環境問題の重要性から考えると、もう少し加速をさせる必要があります。
 そこで、下水道局ではアースプラン二〇二三を策定していますが、改めて、その目標と対策について伺います。

○袰岩計画調整部長 アースプラン二〇二三では、下水道事業の特性を踏まえ、地球温暖化対策とエネルギー対策を一体的に推進し、脱炭素化に向けた取組をさらに加速、強化を図るため、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する目標を掲げております。
 この目標の達成に向けまして、省エネルギー型機器の導入を加速するとともに、太陽光発電など再生可能エネルギーのさらなる活用や、新たに技術開発した先進技術の導入などを推進してまいります。

○中村委員 地球温暖化対策は待ったなしのところもあります。二〇〇〇年度比ということですから、もう二十三年過ぎたので、二〇三〇年度の目標まであと七年ということになりますから、ぜひともしっかり取り組むようにお願いをいたします。
 さて、水再生センターは、各家庭からの下水を集め、きれいな水によみがえらせる重要な施設ですけれども、都民が住むエリアにも近接して設置されています。
 下水処理プロセスでは臭気が発生し、その対策は地域の共存を図る上で非常に重要と考えています。
 そこで、水再生センターの臭気対策について伺います。

○新谷施設管理部長 水再生センターでは、臭気の拡散を防止するため、水処理を行う施設など臭気発生源となる場所に覆蓋を設置するとともに、活性炭などの脱臭設備を設置しております。
 さらに、水再生センターの敷地境界等におきまして定期的に臭気の確認を行っておりまして、これらの対策により、臭気に関する法令に基づく規制基準を満たすよう取り組んでいるところでございます。

○中村委員 こういう下水処理施設は当然必要な施設ではあるんですけれども、やはり近隣の方にとっては負担の重いものになりかねないところがありますので、臭気対策等含めて、しっかりと対策の方、引き続きお願いしたいと思います。
 さて、下水の中にはヒト由来の新型コロナウイルスが存在することから、下水サーベイランスにより、地域の新型コロナウイルス感染症の蔓延状況の把握や、特定の施設における感染有無の探知等を行い、効果的、効率的な対策につなげられる可能性があるということです。
 私たち都議会立憲民主党では、過去の公営企業委員会において、下水中の新型コロナウイルスの感染性調査について質疑を行い、感染性のある新型コロナウイルスが検出されなかったと答弁をいただきました。
 現在は、新型コロナウイルス感染症は五類には移行していますが、まだどのような変異をしたり、未知のウイルスが出てくるかも分かりません。下水道からコロナの情報が分かるようなら積極的に協力すべきだと考えます。
 どのような取組をしているのか伺います。

○新谷施設管理部長 下水を活用した新型コロナウイルスの感染状況の把握につきましては、都の健康安全研究センターにおきまして試験的にサンプル調査が進められておりまして、下水道局は、水再生センターの流入下水を採取し、提供してございます。

○中村委員 下水から分かることもいろいろあるかと思いますので、ぜひ積極的な協力の方、お願いしたいと思います。
 そういった点では、次に、PFOS等について伺います。
 有機フッ素化合物であるPFOS等は、過去には泡消火剤の製造等で広く使用されてきました。
 しかし、このPFOSなどは、その有用性の反面、環境中で分解しにくく、蓄積性が高いことが知られています。
 最近、このPFOS等の汚染が問題になっていますが、下水処理施設においてPFOS等は測定しているのでしょうか。まだ分からないところが多いのですが、下水には、汚水だけではなく雨水も入ってくることから、発生状況も分かるようでしたら調べることも必要かと思いますが、取組を伺います。

○新谷施設管理部長 PFOS等につきましては、下水道関係法令で規制基準が定められておらず、測定方法についても示されておりませんため、測定しておりません。
 PFOS等に関しましては、国内外の様々な機関が調査研究を実施しておりますことから、引き続き情報収集に努めてまいります。

○中村委員 ぜひとも、引き続き情報収集されるということですから、お願いしたいと思います。
 こういった化学物質ということでいうと、今度、形のあるものにはなるんですけれども、近年、五ミリメートル以下の微細なプラスチックであるマイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されています。
 このマイクロプラスチックは自然に分解されることはないため、海域に長期滞留し蓄積していくとのことです。
 そこで、マイクロプラスチックの下水処理施設における状況と対策を伺います。

○新谷施設管理部長 マイクロプラスチックに関しましては、国内外の様々な機関が調査研究を実施しておりますが、下水道につきましては、技術的に統一した調査手法は確立されていないことから、引き続き情報収集に努めてまいります。

○中村委員 微細ではあるとはいえ、粒なので、マイクロプラスチックに関しては、汚泥等を調べれば分かることも出てくるのではないかと思いますので、こちらの方も引き続き情報収集を積極的にお願いしたいと思います。
 さて、汚泥に関しての質問です。
 リンについてなんですが、リンは食料生産に不可欠な資源ですが、輸入に依存しており、昨今では、国際的なリン価格の上昇により食料品の物価高騰の一因ともなっています。
 一方、下水道にはリンが含まれていますが、その多くが未利用とのことです。
 有効利用が必要ですが、現在の取組状況を伺います。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、汚泥の中に含まれるリンの肥料利用に向けまして、民間企業などと共同して技術開発を行っております。
 具体的には、汚泥からリンを新たな方法によって回収する技術について、リンの回収率や肥料の品質などを実証する施設を砂町水再生センターにおいて整備しております。

○中村委員 ぜひとも積極的な取組の方、お願いしたいと思います。
 次に、災害対策について伺います。
 豪雨時における水再生センターの流入抑制に伴う流域幹線等での噴出事故防止のため、各水再生センター内への一時貯留施設の設置等の施設改良や、流域下水道幹線等の対策が必要です。
 この件も、三多摩の市町村から意見が出されていますが、取組状況について見解を伺います。

○佐々木技術部長 噴出の主な要因といたしましては、市町村が管理する汚水管に雨水が誤って浸入する雨天時浸入水によるものと考えております。
 国のガイドラインでは、雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本とされております。
 当局は、流域下水道幹線内の水位を測定し、その情報を市町村と共有することで原因箇所を絞り込み、市町村の効果的、効率的な対策につながるよう、技術支援を実施しております。

○中村委員 ぜひ、三多摩地域におけるこういった雨水対策等についても、しっかり連携しながら、都と市町村とで連携しての取組をお願いしたいと思います。
 さて、近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化などにより、全国各地で浸水被害が多発している状況にあることや、気候変動の影響により降雨量が増加していくことも予想されます。
 既に時間百ミリの雨が降る昨今、早期の対応が必要です。河川と下水の両方の対応が必要ですが、大きな事業となります。多大な総事業費、期間を要すると考えますが、早期に効果を発現させるために、どのように区部における浸水対策を進めていくのか伺います。

○袰岩計画調整部長 従来から、過去に大きな浸水被害が発生した地区を中心に重点地区を選定し、対策を進めてまいりました。
 令和四年三月に策定した下水道浸水対策計画二〇二二では、過去の浸水実績に加えまして、流出解析シミュレーションを活用し、床上相当の浸水がまとまって発生する可能性がある地区を新たに重点地区に選定して、雨水幹線などの施設整備を進めております。
 幹線などの規模の大きな施設整備には長期間を要するので、一部完成した施設の暫定供用により、施設の効果を速やかに発揮させております。

○中村委員 浸水対策は大変重要ですから、早期に実現できるようお願いいたします。
 さて、下水道は、都民の快適な生活環境や公衆衛生を支えるインフラであり、下水道管理者は、災害時においてもその使命をできる限り果たすことが求められます。
 特に、地震対策において困るのはトイレの問題です。首都直下型地震が来たら、建物の中で排水管が外れてトイレが使えなくなることも想定されます。それを含めて、発災後にトイレが使えなくなることがないようにすることが必要です。
 下水道局が行っている取組を伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、避難所等からの排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化などが完了した場所では、し尿が堆積しない程度の水量があり、道路交通や応急活動などの支障とならない場所につきまして、区からの要望に基づき、仮設トイレを設置できるマンホールを指定しております。
 また、発災後、排水設備が破損して使用できなくなった場合に速やかに応急復旧ができるよう、下水道関連団体である東京都管工事工業協同組合と災害時に関する協定を締結しております。
 この協定では、相談窓口の開設や、排水設備の公共ますへの固着状況の調査、応急措置の実施などについて取決めをしております。

○中村委員 下水道局でいろいろと対応していただけると思いますので、管そのものの耐震化で管が外れないようにということは下水道局がやっていただけると思います。
 また、建物の責任はその建物の方だと思うんですけれども、ただ、なかなか知られていないと、以前であれば水をためておいて流せばいいよといわれたんですが、今は、建物の中の管が外れたらそれは大変だからしない方がいいというふうにもいわれています。
 ぜひ、地震が起きたらどういうことが起きて、じゃあどういう対策をしたらいいのかということを含めて、下水道局の方でも広報等していただいて、普及啓発していただければということをお願いしまして、質問を終わります。

○岩永委員 それでは、質問いたします。
 まず最初に、下水道施設の省エネと再生可能エネルギーの拡大について伺います。
 都の下水道事業では、東京都内の消費電力の一%を占め、また、都の事務事業で排出する温室効果ガスの三六%を占めています。大変多くのエネルギーを使用する事業局として、ゼロエミッションの取組が重要です。
 今年の三月に、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇二三を策定しました。下水道事業における省エネと再生可能エネルギーの取組を伺っていきたいと思います。
 今年の十月に環境確保条例が改正され、脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を図るため、大規模事業者に対する温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度が改正されました。この制度は、二〇一〇年度に導入されて以来、以降、各計画期間を五年間として継続され、現在は第三計画期間を迎えており、着実な温室効果ガス削減が求められていると思います。
 そこで、下水道局におけるキャップ・アンド・トレードのこれまでの取組状況を伺います。

○袰岩計画調整部長 大規模事業者に対する温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度は、都内において年間のエネルギー使用量が原油換算で千五百キロリットル以上の事業所を対象としており、下水道局では現在、水再生センター、ポンプ所など二十三事業所が主な対象事業所でございます。
 下水道局では、省エネルギー対策等を着実に進め、第一計画期間と第二計画期間の削減義務を履行しており、現在、二〇二四年度末までの第三計画期間の義務履行に向けて取り組んでおります。

○岩永委員 下水道局では、水再生センターやポンプ所を合わせて二十三の事業所が対象ということです。
 来年度、二〇二五年度から二九年度、また、新しい計画期間が始まります。二〇三〇年カーボンハーフに向けて取組を加速する時期でもあります。新たに技術開発をした先進技術や設備の導入と、再生可能エネルギーのさらなる活用を進める必要があります。
 そこで、太陽光発電の取組の現状と今後について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、建物の屋上や水再生センターなどに太陽光発電設備を設置しておりまして、現在、四十八か所で約五千九百キロワットの設備を導入しております。
 アースプラン二〇二三に基づきまして、現在、東尾久浄化センターで整備しているポンプ室の屋上に太陽光発電設備の導入を進めております。
 また、下水道施設の上部に加えまして、水再生センターの再構築用地などを活用し、太陽光発電設備の導入を検討しております。

○岩永委員 太陽光発電の取組は進められていることが分かりましたが、今後、さらに進めていくためにも、期待できる新技術を活用した取組が必要です。
 そこで、下水道局で始まったペロブスカイト太陽電池の共同研究について伺います。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、環境局、民間企業とペロブスカイト太陽電池の共同研究を行っております。
 今年五月に、森ヶ崎水再生センターの水処理施設反応槽の蓋の上にペロブスカイト太陽電池を設置し、屋外での発電状況や耐久性などの検証を進めております。

○岩永委員 今はまだ実証実験中とのことですが、従来の太陽光パネルに比べて厚さは百分の一、重さは十分の一と、薄くて軽いのが特徴です。これまで設置できなかった壁面や建物の屋上、さらに曲面の部分にも張りつけることができること、また、原料となるヨウ素を国内で調達できるなどのメリットがあるといわれており、期待されている技術です。実用には、コストの課題もあると思いますが、今後、ほかの水再生センターでの活用も含めて検討していくことを要望いたします。
 次に、下水道の処理水を活用した小水力発電の取組の現状と今後について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、水再生センターから放流する際の落差を有効活用した小水力発電を行っており、現在二か所で約三百キロワットの設備を導入しております。
 水量や落差、設置スペースなど、小水力発電に適した場所での導入可能性を検討しております。

○岩永委員 現在は、二か所で三百キロワットということでした。今後も導入の可能性を検討されているということですので、ぜひ、施設の更新や新設時には、小水力の取組についても検討し、進めていくことを要望いたします。
 太陽光発電や小水力発電とともに、風力発電も再生可能エネルギーを活用した取組として期待をしています。
 アースプラン二〇三〇では導入検討となっておりますが、風力発電の取組状況について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、風速や設置スペースなど、風力発電に適した場所での導入可能性を検討しております。

○岩永委員 現在はまだ導入の可能性の検討という段階とのことですが、水再生センターなど下水道施設は川の近くにあるという立地を生かして、設置の検討を進めていただきたいと思います。
 下水を処理する過程で発生する大量の下水汚泥を活用したバイオエネルギーを活用した発電について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、下水汚泥の持つエネルギーを下水汚泥の処理過程で発生する消化ガスを燃料として利用する発電や、下水汚泥を焼却する際に発生する廃熱を回収して利用する発電などに活用しております。

○岩永委員 下水汚泥から発生する消化ガスを活用する取組などが行われておりますが、先進的な取組として、先ほどもありましたが、福岡市では、下水から水素を製造し燃料電池自動車等へ供給する世界初の水素ステーションを二〇一五年に開設しました。その後、二〇二二年秋には商用ステーションとしてリニューアルされ、一般向けにも販売をしているということです。
 砂町水再生センター内の下水技術研究開発センターでは、二〇二一年に、汚泥処理と水素製造の実証など、共同研究が行われたとお聞きしています。例えば、スタートアップ戦略とも連携するなども視野に入れ、下水道のバイオエネルギーの研究、活用の取組を進めていただきたいと思います。
 続きまして、下水熱の活用について伺います。

○袰岩計画調整部長 処理水などからの熱利用につきましては、冷暖房の熱源として、局の施設に加えまして、本年十一月に利用を開始した麻布台ヒルズなど、合計六か所で実施しております。

○岩永委員 先月、十一月に麻布台ヒルズの利用が始まったとのことです。
 都市部においてポテンシャルの大きい下水熱の取組については、委員会質疑で継続的に状況をお聞きしてきましたが、年々取組が広がっています。
 昨年、二〇二二年七月には、下水道局の施設である銭瓶町ビルディングの冷暖房の熱源としての利活用が始まりました。現在六か所に増えているとのことで、今後も、導入後の光熱費の削減状況など、効果も併せて広く周知をいただき、取組を拡大していただきたいと思います。
 次に、水再生センターについて伺います。
 十一月に、国立市にある北多摩二号水再生センターを視察しました。クマムシなどの微生物が下水の有機物を分解する様子なども見学でき、下水がきれいな処理水に生まれ変わり、多摩川に放流されていく過程を見ることができました。
 北多摩二号水再生センターでは、今年度中に立川市の単独処理区が編入されますが、編入後はどのぐらいの処理量が増えるのか伺います。また、編入量の増加に向けた準備がどのように進められているのか伺います。

○佐々木技術部長 編入を予定している立川市の錦町下水処理場の処理水量は、令和四年度の実績に基づきますと、晴天時、日平均で約四万二千立方メートルとなっております。
 現在、局は、北多摩二号水再生センターにおける新たな下水の受入れに向けた運転調整を、市は、流入幹線の整備を進めております。

○岩永委員 二〇二二年度の北多摩二号水再生センターの一日平均の処理量は、国立市、国分寺市の二市で五万一千八百九十立方メートルでしたので、立川市の四万二千立方メートルを合わせると九万三千八百九十立方メートルとなり、処理量としては、およそ二倍近くになる計算です。
 受入れに当たり、立川市では、流域下水道へ流入させる接続幹線や、錦町下水処理場において送水施設などの整備を行ってきました。
 また、下水道局では、汚水ポンプや水処理、汚泥施設などの整備などの準備をされてきたことを、以前の質疑でも確認をさせていただきました。
 今回、北多摩二号水再生センターに視察に伺った際には、重力を利用してろ過濃縮することで電力使用量を削減できる省エネルギー型の汚泥濃縮機も見学をさせていただきました。今年度中に立川市の編入が開始されるということで、引き続き、最後の調整を地元市とも連携をして進めていただくようお願いいたします。
 多摩川の水量の約半分が下水処理水ということです。放流水質が放流先の多摩川や東京湾の水質にも大きく影響するため、災害時にも稼働できる体制が重要です。
 北多摩二号水再生センターは、多摩川を挟んで対岸にある浅川水再生センターとも連絡管でつながれていますが、災害時にはどのように連携が取られるのか伺います。

○佐々木技術部長 災害時には、北多摩二号水再生センターと浅川水再生センターを結ぶ連絡管を活用し、下水や汚泥を相互に融通することでバックアップ機能を発揮することができます。

○岩永委員 連絡管を通してバックアップ機能があることで、どちらかの水再生センターが機能できなくなった際に、連絡管を通しての汚水や汚泥の処理を行うことができるということです。
 下水は、二十四時間三百六十五日流れており、いっときも止めることができません。相互の運営状況を二十四時間体制で監視をされているところも見学をさせていただきました。災害時の対応と体制強化もお願いいたします。
 続いて、北多摩二号水再生センターでの下水処理汚泥の発生量と処理方法について伺います。

○佐々木技術部長 北多摩二号水再生センターでは、令和四年度には、一日平均で一千五百立方メートルの汚泥が発生しております。
 汚泥は水分を多く含んでいるため、濃縮機や脱水機で水分を取り除き、焼却炉で焼却いたします。
 焼却灰は、セメントなどの原料として一〇〇%資源化を行っております。

○岩永委員 焼却灰を一〇〇%資源化されているということです。埋立てではなく、再資源化の取組を今後もお願いいたします。
 次に、ディスポーザーについて伺います。
 まず、ディスポーザーの設置について伺いますが、生ごみを粉砕して水と一緒に下水道に流し込むディスポーザーは、便利である一方で、生活者ネットワークでは、かねてから下水処理への負荷について懸念をしております。
 二十三区では、二〇〇五年五月施行の改正下水道条例施行規程により、ディスポーザー排水処理システム以外の単体ディスポーザーの使用は認めていません。
 ディスポーザ排水処理システムに関する取扱要綱にも詳細について示されていますが、設置には届出が必要、また、設置後にも維持管理が必要で、処理装置から出る汚泥の処理や保守点検、水質などの自主管理のために、維持管理業者と契約をすることになっています。
 そこで、二十三区内のディスポーザー排水処理システム装置の設置の届出件数の過去五年間の推移と、自主管理、検査の状況は把握しているのか伺います。

○須賀施設管理担当部長 区部におけるディスポーザー排水処理システムの設置届出件数は、年百七十件程度で推移しており、平成三十年度から令和四年度までの五年間における合計は八百七十七件でございます。
 ディスポーザー排水処理システムをお使いのお客様に対しては、処理水質検査の結果に関して報告をお願いしているとともに、当局としても水質検査を実施し、維持管理が適切に行われるよう指導しております。

○岩永委員 毎年百七十件程度の届出で、五年間では八百七十七件ということでした。
 ほとんどがマンションということですので、世帯数にすると大変数も多くなり、相当な負荷がかかるということを懸念します。
 設置後の維持管理も行われているということですが、下水道局でも行っている水質検査調査についても継続して取り組んでいただきたいと思います。
 次に、ディスポーザーの規制の強化に向けた検討などは行われているのか伺います。

○須賀施設管理担当部長 ディスポーザー排水処理システムについては、下水道法令に基づき、設置時の届出や立入検査、また、これらに基づく指示等により、お使いのお客様に対して適切な使用を指導しております。
 引き続き、法令に基づき適切に対応してまいります。

○岩永委員 下水道局でも立入検査を行っているということで、継続して取り組んでいただくことを要望します。また、排水処理装置のない単体ディスポーザーの設置禁止についても、引き続きの周知をお願いいたします。
 また、ディスポーザーは、破砕した生ごみを水で流すことから、水を多く使うために、処理する下水の量も増えるシステムです。装置を稼働する電気も使われます。水と電気という資源やエネルギーを大量に消費するシステムは、今の時代には逆行するものだと思います。アースプラン二〇二三の趣旨を踏まえると、ディスポーザーの規制についても都独自の規制を設けるなど、今後の検討を要望します。
 次に、下水道の浸水対策について伺います。
 下水道整備における浸水対策としては、区部全域で一時間五十ミリ降雨への対応を基本に、浸水の危険性が高い地区を重点化して一時間七十五ミリ降雨に対応する施設整備に取り組んでおりますが、区部における七十五ミリ対応の現状と今後の取組を伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、区部全域で時間七十五ミリ降雨に対応するため、浸水の危険性が高い六十七地区を重点化し、施設整備に取り組んでおります。
 現在、この六十七地区のうち二十八地区で事業が完了し、二十地区で事業中でございます。
 経営計画二〇二一の最終年度である令和七年度末までに五十七地区で事業完了、もしくは事業中となる見込みでございます。

○岩永委員 二〇二五年度末までに、浸水の危険性が高い六十七地区のうち五十七の地区で事業完了または事業中の見込みということで進めているということです。
 下水道局が進めている浸水対策の重点地区の取組と進捗について確認をしましたが、その中で、善福寺川流域における重点地区の進捗状況について伺います。

○藤橋建設部長 善福寺川流域におきましては、杉並区荻窪地区と杉並区西荻南地区の二地区を重点地区として位置づけております。
 杉並区荻窪地区におきましては、令和元年度に対策が完了しておりまして、現在、杉並区西荻南地区で調査設計を進めております。

○岩永委員 杉並区の荻窪地区と杉並区の西荻南地区の二点が重点地区となっていて、現在は、杉並区西荻南地区の調査設計をされているということでした。
 次に、都市化が進む中で、浸水対策、流域対策としても重要な下水道局の雨水浸透ますの整備について伺います。

○新谷施設管理部長 下水道局では、区部における公共雨水浸透ますにつきましては、分流式下水道の地区では、雨水管の整備などに合わせて設置しております。
 合流式下水道の地区では、公共雨水浸透ますの設置には、宅地内の排水管を新たに汚水管と雨水管に分ける必要があり、お客様の費用負担などが発生いたします。そのため、お客様のご理解が得られたところから公共雨水浸透ますを設置しております。
 令和四年度末までに、九千六百六十一か所の公共雨水浸透ますを設置しているところでございます。

○岩永委員 昨年度末までに区部で九千六百六十一か所の公共雨水浸透ますが設置されたとのことです。
 都市化により農地や緑地がどんどん減少して、地面がコンクリートに覆われていく状況が進み、都市部の雨水が地中にしみ込むことが少なくなり、洪水や浸水が起きています。
 昨今のゲリラ豪雨などの集中豪雨対策で、杉並区善福寺川の周辺が、河川の浸水対策として貯留施設や調整池の整備などが建設局でも行われていますが、万全ではありません。流域治水という考え方からいくと、危険な地域に住宅を建てるリスクも考えながら、まちづくりを進めることが重要だと思います。
 以上で質問を終わります。

○玉川委員 初めに、浸水対策について伺います。
 私の地元の大田区は、過去には浸水被害が多く発生していましたが、下水道の普及とともに、被害を受ける地域が縮小してきたと認識しております。
 しかし、近年、全国各地で甚大な被害をもたらす水害が毎年のように発生しており、気候変動の影響が指摘されております。今後、豪雨のさらなる増加は続くといわれていることもあり、人命や経済への被害も危惧されることから、都民の不安も増大しております。
 そこで、大田区内の浸水対策の取組について伺います。

○藤橋建設部長 大田区内では、これまでの浸水被害の状況などを踏まえまして、くぼ地や坂下などの浸水の危険性が高い馬込地区、浅く埋設されていることから管内の水位が上昇した際に浸水が発生しやすい幹線の流域である大森西地区及び田園調布地区、加えて、平成二十五年七月の豪雨で甚大な浸水被害が発生しました上池台地区の四地区を重点地区に位置づけ、対策を進めております。
 四地区のうち、平成二十二年度に馬込地区で、令和三年度に田園調布地区でそれぞれ対策が完了しております。
 現在、上池台地区で事業を進めておりまして、大森西地区では、対策の具体化に向けて関係機関との調整など、検討を進めております。

○玉川委員 四地区のうち二地区が完了し、現在は、一地区で事業中、一地区で検討中とのことであります。
 私は、大田区の区議会議員の時代から浸水対策の推進を提言しており、現在事業中である上池台の地区におきましては、ゲリラ豪雨で、商店街を有するバス通りにて膝の高さまでの冠水被害が起きたこともあり、大田区と調整をして、雨水ます蓋のグレーチング化を進めてきたところであります。しかし、上池台地区の浸水被害を軽減するためには、抜本的な対策を進めることが必要であると考えます。
 そこで、上池台地区の浸水対策への取組状況について伺います。

○藤橋建設部長 大田区上池台地区では、自然流下では浸水被害が発生しやすい低地部におきまして、ポンプ排水区に切り替えるための主要枝線の整備を進めることとしております。
 さらに、ポンプ排水区に切り替えた後に、既設の洗足池幹線の雨水排除能力を補完、増強する洗足池増強幹線を新たに整備する計画でございます。
 これまで、ポンプ排水区への切替え工事として、直径の最大が約二・六メートル、延長約千七百五十メートルの主要枝線と、維持管理用のマンホールの築造がそれぞれ本年十月に完了し、今後、築造した主要枝線に雨水を取り込む取水管の工事を進めてまいります。
 また、洗足池増強幹線につきましては、幹線のルートや施工方法などの検討を引き続き行ってまいります。

○玉川委員 ぜひ上池台地区の浸水対策を着実に進めていっていただきたいと思います。
 一方、ハード対策の整備には、重機による騒音や工事期間中の道路封鎖など、地域に環境変化を与えることもあるため、地元の協力が必要不可欠であると思います。
 そのためには、ふだん意識していない下水道事業について知る機会を設け、工事に協力してもらうような取組が必要であると考えます。
 そこで、下水道事業を知ってもらうための広報活動がどのように行われているのか伺います。

○後藤総務部長 下水道局では、ふだん目にすることが少ない下水道の仕組みや役割を多くのお客様に分かりやすく伝えることで、下水道事業の意義や必要性に対する理解促進を図る取組を進めております。
 具体的には、工事現場の見学会や下水道施設を巡るツアー、水再生センターやポンプ所を活用したイベントのほか、施設見学にARなどのデジタル技術を活用するなど、体験とデジタルを組み合わせた取組を実施しております。
 また、情報入手経路が多様化する中、局ホームページや広報紙をはじめ、SNSや動画等のデジタルメディアなど様々な媒体を積極的に活用し、情報を発信しております。
 引き続き、下水道事業に対するお客様の理解がより一層深まるよう、効果的な広報活動を進めてまいります。

○玉川委員 非常に効果的に広報活動を実施していることが確認できました。
 とりわけ地元の協力を得ていくためには、広く都民に向けて下水道事業をPRするとともに、地域に密着したイベントなどを実施して交流を深め、下水道について知ってもらう機会を設けることが重要であると考えます。
 そこで、水再生センターやポンプ所ではどのようなイベントを実施しているのか伺います。

○後藤総務部長 下水道局では、地域のお客様との交流を深め、下水道施設を身近に感じていただくため、水再生センターやポンプ所ごとの特色を生かしたイベントを開催しております。
 具体的には、水再生センターでは桜観賞会を実施するほか、サマーフェスタや蛍観賞会など、施設ごとに様々な工夫を凝らしたイベントを実施しております。
 また、ポンプ所では、下水道の役割や仕組みを知っていただくため、浸水対策強化月間などの機を捉えた見学会などを実施しております。
 今後とも、地域に親しまれるイベントを充実させ、東京下水道のイメージアップを図り、お客様の理解と協力を得て円滑に事業を推進していけるよう取り組んでまいります。

○玉川委員 ただいま答弁のありました蛍の観賞会、地元大田区の森ヶ崎水再生センターでホタルの夕べが今年の七月に四年ぶりに開催されまして、当日は七百名以上の方が参加されたようで、私もその一人として参加をいたしましたが、久しぶりに地域の行事を楽しまれる姿を目にいたしました。ぜひ、このようなイベントを活用して、地元の皆様にも下水道事業を知ってもらいたいと考えています。
 また、浸水の危険性を示す広報も必要ではないかと考えます。特に、新たに引っ越ししてきた人などは、土地勘がなく、浸水の危険性の高い地域であるということを理解していない方も多いと思います。
 そこで、都民自ら浸水に備えることができるよう、浸水の危険性を示す広報などのソフト対策を充実させるべきと考えますが、見解を伺います。

○新谷施設管理部長 豪雨からお客様の生命や財産を守るため、お客様自らが浸水に備える取組を支援しております。
 具体的には、浸水の危険性の理解や迅速な避難に役立てるよう、関係局などと連携しまして、区や市が作成する洪水ハザードマップの基となる浸水予想区域図を局のホームページなどで周知してございます。
 また、お客様自らが浸水に備える取組を支援するため、局が施設の運転管理に活用している降雨情報を東京アメッシュとしてリアルタイムで発信してございまして、スマートフォンなどで活用されてございます。
 さらに、毎年六月を浸水対策強化月間と定めておりまして、お客様に浸水の備えをしていただくよう、区や市などと連携した土のうや止水板の準備などのお願いや、大雨の際に浸水のおそれのある半地下建物に対する戸別訪問を実施してございます。

○玉川委員 自助の取組を促すことは地域の防災力向上にもつながるため、引き続き広報を行っていっていただきたいと思います。
 その中で、ただいま答弁をいただいた浸水予想区域図は、地域の浸水リスクを把握する上で重要であると考えます。
 改めて、浸水予想区域図の作成状況について伺います。

○袰岩計画調整部長 下水道局では、浸水想定に用いる降雨を、国土交通省が定める総降雨量六百九十ミリ、時間最大雨量百五十三ミリの想定最大規模降雨としまして、都内の対象十六流域につきまして、流出解析シミュレーションを活用した浸水予想区域図を関係局などと連携し作成してまいりました。
 加えて、浸水予想区域図の多言語化を進めるなど、浸水に備える情報発信の取組を充実させてまいります。
 また、市町村が公共下水道を管理する多摩地域の一部では、市による浸水予想区域図が完成していない地域があるため、対象の市に対しまして、当局のノウハウを活用した技術支援及び財政支援を行ってまいります。

○玉川委員 地元の大田区では、近年、外国人の人口が増えてきております。加えて、日本の空の玄関口、羽田空港を有しており、訪日外国人の方も今後増えていくことが見込まれるため、浸水予想区域図の多言語化をぜひ進めていただきたいです。
 また、先ほどの答弁にもありましたが、半地下建物について浸水の危険性を都民により一層知ってもらうことが必要と考えております。
 半地下の建物は、周辺の地盤よりも低いところに家屋への入り口があり、大雨の際に浸水しやすい構造となっています。そのため、浸水の危険性の高い地区に新たに半地下建物を建築しようとしている方や、既に半地下の建物にお住まいの方には、浸水の危険性や対策に関する情報を周知することが肝腎であります。
 そこで、半地下建物の危険性を周知する取組について伺います。

○須賀施設管理担当部長 下水道局では、局ホームページにおいて、大雨の際に半地下建物に雨水が浸入する様子を模型を使って紹介する動画を掲載するなどにより、広くお客様に情報提供をしております。
 その上で、建築物の構想段階では、お客様が半地下建物の危険性を理解できるよう、住宅展示場、ハウスメーカーや設計事務所などを通じて、お客様への周知を図っております。
 さらに、建築物の審査段階では、半地下建物を建築するお客様に対して、排水用ポンプ施設の設置などの対策の実施を指導するよう、建築指導関係機関へ要請しております。
 また、既に半地下建物にお住まいで排水用のポンプ施設を設置していない方や今後浸水のおそれのある方などを戸別に訪問し、リーフレットの配布や対策実施を直接お願いするなど、浸水被害への備えを促しております。

○玉川委員 半地下建物の対策に関しても、しっかりと周知していることが確認をできました。
 これまで、浸水対策を中心に質疑をさせていただきましたが、地元に理解してもらうことが一番重要だと考えます。
 先ほど答弁いただきましたが、工事現場の見学会や下水道の施設を巡るツアーなどの取組は、インフラツーリズムの観点からも、ふだん目にしない下水道を見ることができる大切な機会ではないかと思います。
 ぜひ下水道事業の重要性について積極的に発信していっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○あぜ上委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○福島経理部長 工事の請負契約につきましてご報告申し上げます。
 お手元の資料1、契約締結報告書をご覧いただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。総括表をお示ししてございます。
 今回の内容は、令和五年八月一日から十月三十一日までの間に締結した予定価格一件九億円以上の工事請負契約六件でございます。
 以下順次、契約の概要についてご説明いたします。
 二ページをお開き願います。蛇崩川増強幹線その五工事でございます。
 本件は、世田谷区の一部の雨水を収容する蛇崩川増強幹線を施工するものでございます。
 この工事は、前回の工事の諸設備を引き続き使用し施工することから、一貫した施工管理や安全管理が必要であるため、随意契約により契約しております。その概要は以下のとおりでございます。
 四ページをお開き願います。三河島水再生センター第二浅草系沈砂池棟建設その三工事でございます。
 本件は、三河島水再生センター第二浅草系沈砂池棟を建設するものであり、その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 六ページをお開き願います。みやぎ水再生センター電気設備再構築その二工事でございます。
 本件は、みやぎ水再生センターの遠方監視制御設備が老朽化したため、再構築工事を施行するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 八ページをお開き願います。落合水再生センター砂ろ過機械設備再構築その二工事でございます。
 本件は、落合水再生センターの砂ろ過機械設備が老朽化したため、再構築工事を施行するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 一〇ページをお開き願います。森ヶ崎水再生センター(東)汚泥処理電気設備再構築その六工事でございます。
 本件は、森ヶ崎水再生センター(東)汚泥処理施設の監視制御設備が老朽化したため、再構築工事を施行するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 一二ページをお開き願います。令和五・六・七年度無線通信情報管理設備工事でございます。
 本件は、下水道光ファイバーによる無線通信情報ネットワーク及び無線通信情報管理設備の整備を行うものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 以上で工事請負契約についての報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十九分散会

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