公営企業委員会速記録第十三号

令和五年十一月三十日(木曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長あぜ上三和子君
副委員長伊藤しょうこう君
副委員長保坂まさひろ君
理事福手ゆう子君
理事伊藤こういち君
理事村松 一希君
岩永やす代君
玉川ひでとし君
本橋たくみ君
柴崎 幹男君
本橋ひろたか君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長西山 智之君
技監松田 信夫君
総務部長長嶺 浩子君
職員部長船川 勝義君
経理部長西川 泰永君
サービス推進部長坂井 吉憲君
浄水部長特命担当部長兼務橋本 英樹君
給水部長鈴木  理君
建設部長事業調整担当部長兼務石田 紀彦君
経営改革推進担当部長小澤 賢治君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務鈴木美奈子君
設備担当部長小泉 正一君
多摩水道改革推進本部本部長石井 英男君
調整部長清水 英彦君
施設部長藤村 和彦君
技術調整担当部長大友 和仁君

本日の会議に付した事件
水道局関係
事務事業について(質疑)

○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○長嶺総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は五件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープランの計画における耐震継ぎ手率の計画値と平成三十年度から令和四年度までの実績をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。月別使用水量と調定金額の実績でございます。
 二ページから六ページにわたり、平成三十一年四月から令和五年九月までの月別の口径別使用水量と調定金額の実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。各浄水場等における再生可能エネルギー等の導入及び発電状況でございます。
 各浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備の発電規模及び平成三十年度から令和四年度までの発電実績をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。平成十二年度以降の電力使用量の推移でございます。
 平成十二年度から令和四年度までの浄水場、給水所等の水道施設における電力使用量の合計値をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予の月ごとの受付件数でございます。
 受付を開始した令和二年三月から令和五年九月までの月別の受付件数とその合計をお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの説明を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋(た)委員 よろしくお願いいたします。
 まず、安定した水源の確保について伺ってまいります。
 今年は、記録的な猛暑の夏となり、日本全国で降雨が少なく、ダムが枯渇するような水不足による農業被害なども発生いたしました。
 東京の主要な水源である利根川水系においても、ダムの貯水量が大きく低下し、都民に対して節水を呼びかけ、水需要の多い夏場を乗り切ることができるのか、都民への給水に影響が及ぶのではないか、不安を覚えた方も少なくないかと思います。
 この夏、ダム貯水量が大きく減少した要因について、まず伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 今夏の利根川上流ダム群の貯水量は、七月一日時点で満水状態であった一方、利根川上流域における七月の降水量が平年の四四%と、国が同流域での観測を開始して以降、七十五年間で二番目に少なかったことなどから、急激に貯水量が減少しました。
 このため、八月初旬には、国及び一都五県等で構成する利根川水系渇水対策連絡協議会において、平成二十八年度以来となる取水制限の実施を検討しました。
 その後、台風に伴う降雨や十月以降の農業用水の減少等により貯水量が回復に転じ、取水制限は回避されました。

○本橋(た)委員 台風に伴う降雨などにより、何とか乗り切ったとのことでありましたが、取水制限が検討されるような事態は、令和二年に八ッ場ダムが完成して以来、初めてのことであります。建設時から、八ッ場ダムは、治水面はもとより、利水面においても効果が高いといわれてきました。
 この夏、取水制限の回避に八ッ場ダムが果たした役割について伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 利根川水系吾妻川に位置する八ッ場ダムは、上流域に豪雪地帯を抱え、雨や雪解け水の流れ込む面積が、利根川上流ダム群の中では最大であるなど、貯水量が回復しやすいことが特徴でございます。
 今年は、八月も奥利根上流域での降雨が少なく、矢木沢ダム等の貯水量が回復しなかった一方で、吾妻川流域では、平年を上回る降雨があり、八ッ場ダムにおいて一定程度貯水量を確保することができました。
 国からの報告では、八ッ場ダムがなかった場合、取水制限の目安としている貯水率五〇%に近づいていた可能性があったとされております。
 こうしたことから、八ッ場ダムは、この夏の取水制限の回避に貢献し、利根川水系における渇水に対する安全度の向上に大きく寄与しております。

○本橋(た)委員 改めて八ッ場ダムの利水面での効果を確認させていただきました。
 一方、気象庁によれば、今年の冬も、暖冬や雪が少ないとの見込みもあり、気候変動による影響が懸念をされております。
 気候変動の影響を踏まえた水源確保の考え方について伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインであり、渇水時や災害時にも可能な限り給水を継続するため、安定した水源の確保が重要でございます。
 一方、都の主要な水源である利根川、荒川水系の水資源開発は、全国の主要水系と比べ、渇水に対する安全度が低い計画となっております。
 加えて、国は、近年の降雨状況から、ダム等から安定的に供給できる水量が、当初計画していた水量よりも低下しているとしており、さらに、気候変動の進行により、これまで以上に厳しい渇水が懸念されるとしております。
 このため、現在、国が実施中の霞ヶ浦導水事業について、計画どおりの完成を求めていくとともに、確保した水源について、将来の気候変動による影響も踏まえ、首都東京の貴重な水源として最大限活用してまいります。

○本橋(た)委員 どのような状況においても、首都東京の安定給水は不可欠であり、その根幹となる水源確保は極めて重要であります。霞ヶ浦導水事業の推進をはじめ、引き続き、国や地元等とも連携しながら、安定した水源の確保に努めていただきたいと思います。
 続いて、関東大震災百年を迎えた現下の水道施設の耐震化状況について伺ってまいります。
 今年は関東大震災から百年の節目の年であり、改めて甚大な被害を繰り返さないという強い思いを持ち、震災対策を進めることが重要であります。
 生活の基盤である水道などのインフラ施設に一たび被害が発生すると、その復旧には長期間を要し、都民生活や都市活動に多大な影響、とりわけ水道においては、河川から水を引き込むための取水施設や導水施設が被災すると、浄水場機能の停止に直結し、その被害は甚大であります。
 こうしたリスクに対応するため、現在、群馬県と埼玉県にまたがる利根大堰から朝霞浄水場などに水を送る利根導水路において大規模地震対策事業が行われており、今年度完了すると聞いております。
 そこで、利根導水路の大規模地震対策事業について、現在の進捗状況を伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 利根導水路は、利根大堰、秋ヶ瀬取水堰及び朝霞水路等で構成され、朝霞浄水場等に利根川上流ダム群の水を導水する当局の水源量の約四割を担う重要な施設でございます。
 この大規模地震対策事業は、平成二十六年度から、独立行政法人水資源機構が、事業主体として、施設の耐震化を図るために実施しているものであり、当局は、その事業費の一部を負担しております。
 これまで、事業が着実に推進されるよう、定期的な進捗確認等を実施してきた結果、秋ヶ瀬取水堰や朝霞水路の耐震化が完成するなど、九割以上の工事が終わり、計画どおり、令和五年度末に完了する予定でございます。
 これにより、震災時においても安定的に浄水場に原水を送ることが可能となり、給水安定性が大きく向上いたします。

○本橋(た)委員 利根導水路は、利根川や荒川の水を取水するために要となる施設であります。国や県等の関係機関と一層連携協力して、確実に令和五年度に工事が完了するよう調整を要望いたします。
 河川などから取水した水を安心して飲むことができる水道水にするため、浄水処理を行っているのが浄水場であります。水道システムの根幹をなす浄水場は、自然災害が発生した状況においても機能を確保することが必要であります。
 そこで、浄水場の耐震化の取組状況について伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、切迫性が指摘される首都直下地震などの大規模地震に備え、浄水場の耐震化を計画的に推進しております。
 これまで浄水場では、非常時における水を確保するため、浄水処理の最終段階であるろ過池や浄水処理した水をためる配水池の耐震化を優先的に実施し、令和元年度末までにおおむね完了いたしました。
 現在は、耐震化の効果を早期に発現させるよう、着水井から配水池までの連続性を考慮し、浄水施設の系列ごとに耐震化を推進しており、大規模浄水場において沈殿池等の設計を進めております。
 耐震化工事に当たっては、施設の機能低下を伴うため、給水への影響がないよう、送配水ネットワークの活用を図り、他の浄水場からのバックアップを確保した上で、施設の停止期間の短縮も図りながら事業を実施してまいります。

○本橋(た)委員 浄水場には様々な施設が存在しており、地震時においても水をつくり続けるためには、連続的な施設の耐震化が重要であります。引き続き浄水施設の耐震化を進めていただきたいと思います。
 続いて、都民へ水道水を届ける役割を担う配水管について確認をしてまいりたいと思います。
 浄水場で水をつくっても、都民に水道水を届ける配水管が被害を受けてしまうと、水は届かないわけであります。より強度の高い材質であるダクタイル鋳鉄管への更新は、九九・九%が終わっていると聞いていますが、配水管の耐震継ぎ手化は、まだまだ道半ばであると聞いています。
 そこで、配水管の耐震継ぎ手化の状況及び今後の事業推進に当たっての取組について伺います。

○鈴木給水部長 当局では、震災時におけるお客様への給水確保のため、配水管の耐震継ぎ手化を推進しております。
 具体的には、阪神・淡路大震災において、継ぎ手部分の抜け出しによる漏水が多発したことを踏まえ、平成十年度から抜け出し防止機能を備えた耐震継ぎ手管を本格的に採用し、配水管の耐震継ぎ手率は、令和四年度末で五〇%となっております。
 これまで、都の被害想定で震災時の断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、重点的に進めてまいりましたが、今後は、これまでの区市町単位から、よりきめ細かい二百五十メートル四方単位に設定することにより、効果的に事業を進めてまいります。
 また、その際、一部地域に工事が集中するおそれがあることから、特定の地域で連続して工事が発生しないよう、発注順序等を工夫しながら、令和十年度までに取替え優先地域の解消を目指してまいります。

○本橋(た)委員 関東大震災から百年となったわけですが、震災はいつ起きてもおかしくないといわれております。震災時に最も大切な命の水を都民に届けるために、引き続き整備を継続していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、玉川浄水場跡地整備について伺います。
 水道局では、新たな給水所整備として、令和五年度から新玉川給水所の整備に着手するとしています。この給水所は、過去の質疑で我が党が明らかにしたとおり、令和四年度末に廃止された玉川浄水場の跡地を活用することとしています。
 一方で、その跡地は、相当な敷地面積があり、跡地活用に当たっては、給水所の新設のみならず、より有効に活用すべきと考えます。
 そこで、玉川浄水場の跡地活用について伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 令和四年度末に廃止した玉川浄水場の跡地は、区部における貴重な当局用地であるため、今後も水道事業に有効活用していくこととしております。
 その活用方策として、まずは、区部南部地域における給水安定性の向上を目的に、新玉川給水所の整備を推進していくこととしております。
 加えて、隣接する研修・開発センターが、災害時における他都市からの応援隊受入れ拠点となることなどから、応急給水機能及び応急復旧機能の強化を図るため、災害時の給水車出動拠点及び事業所を整備してまいります。
 こうした取組により、区部南部地域の防災対応力を強化してまいります。

○本橋(た)委員 玉川浄水場跡地の活用について、検討を進めていることは分かりました。
 加えて、首都直下地震の切迫性が指摘されている中、発災後の他都市との連携等を見据えた防災対応力のさらなる強化が必要であると考えます。
 そこで、先ほど答弁のあった災害時の給水車出動拠点について、具体的な整備内容を伺います。

○長嶺総務部長 災害時に断水が発生した際は、局が保有する給水車を活用するとともに、他の水道事業体からの応援隊を都内各地で受け入れることとしております。
 玉川浄水場の跡地は、環状八号線沿いにあり、機動的に出動できる立地を生かし、給水車がバックや転回することなく応急給水に必要な水の補充を可能とするドライブスルー形式の給水車用給水栓を新たに整備いたします。
 これにより、多くの給水車の出動準備を円滑に行い、応急給水活動の迅速化を図ってまいります。

○本橋(た)委員 いつ起こるか分からない災害のために、万全の準備をしていただくようお願いをさせていただき、質問を終わります。

○保坂委員 それでは、よろしくお願いします。
 私からは、最初に、スマートメーターについて伺ってまいります。
 水道局が進めている水道スマートメーター、特に給水スマートメーターの導入については、私並びに会派としても、これまでも機会あるたびに質疑をさせていただいており、先日の決算特別委員会でも、会派として、令和四年度の取組状況について質問させていただきました。
 さて、令和五年度の設置予定数は、今、プロジェクトの期間の中で最大であり、今後の展開を見据えても、着実な設置と運用が必要ですので、まずはその状況から確認していきたいと思います。
 まず、令和五年度、今年度の給水スマートメーターの設置、運用状況について伺います。

○鈴木給水部長 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき、スマートメーターの設置を進めており、令和五年四月から九月末までの上半期に、設置予定数のおよそ半数に当たる約二万六千個を設置しております。令和四年度からこれまでの累計では、約五万二千個の設置が完了しております。
 運用状況につきましては、令和四年十月から通信を開始して以来、初期不良の通信機器による影響を除いた月ごとの通信成功率が約九八%で推移しており、実運用に問題のない水準となっております。
 なお、初期不良の通信機器は、令和五年三月末までに不具合を解消しております。

○保坂委員 令和五年度も順調に設置が進められていて、これまでの質疑の中でも、問題を指摘し、対応を求めてきました通信率の問題も、初期不良対応が完了したということでよかったと思います。
 また、その結果、順調な運用ができており、実運用には問題がない水準が続いているとの答弁でしたが、スマートメーターの導入効果をより発揮していくためには、この通信率をさらに向上させることが必要と考えます。このことは、先日の決算特別委員会でも指摘したとおりであります。
 まさに今進んでいます先行実装プロジェクトの期間中に、万全な環境を整えるためにも、さらなる通信率の向上に向けては、課題をしっかり把握した上で、対応策を講じていくべきと考えます。
 そこで、通信率をさらに向上させるための課題とその対応状況について伺います。

○鈴木給水部長 当局では、通信成功率の向上に向け、通信不具合が発生した約千四百か所において、令和五年五月から七月の間に現地を訪問し、電波状況調査を実施いたしました。
 この結果、鉄製の蓋がついたメーターボックスや建物の壁による電波の減衰のほか、マンションの高層階や、同じ階層であっても、方角によって電波が不安定になることを確認しております。
 こうした結果を踏まえ、鉄製の蓋がついたメーターボックスに起因する通信の不安定性に対しましては、電波の減衰を抑えることができる技術を公募し、民間企業との共同開発に取り組んでまいります。
 建物の壁による電波の減衰やマンションの階層や方角による通信の不安定性につきましては、携帯電話会社に通信状況の改善の働きかけを行ってまいりましたが、基地局の能力増強による対応には限度があるとの回答でございました。
 このため、携帯電話の通信網によらない通信方式の導入可能性について検討を行ってまいります。

○保坂委員 今ご答弁いただきました一千か所以上の現地を実際訪問されて、調査を実施して、通信状況の把握を行ったということであります。現場を持つ水道局ならではの対応であり、非常に心強いことではありますが、こうした調査は、プロジェクトを進めていく上では重要な対応であるため、引き続き、不具合にかかわらず、状況に応じて現地確認を行って、今後の取組に反映させていただくよう求めておきます。
 また、こうした調査を通じて得た課題にこれから対応していくことになると思いますが、先ほどの答弁にもありました課題の鉄製の蓋に起因する通信の不安定性に対しては、新たなメーターボックスなどの開発に取り組むということでありました。
 そこで、新たなメーターボックスなどに関する民間企業との共同開発の状況について伺います。

○鈴木給水部長 当局では、鉄製の蓋がついたメーターボックスによる電波の減衰を抑える技術の提案を求めるため、令和五年八月に、共同開発に関する公募を開始いたしました。
 公募の結果、四事業者から応募があり、事業者が作成した企画書について、提案内容や開発体制などの審査を実施いたしました。
 今後、経済性に優れるとともに、最も効果的な技術を提案した共同開発者と協定を締結し、速やかに開発を開始してまいります。
 開発期間は約一年間を見込んでおりますが、早期の開発完了に向けて、選定した共同開発者と連携して取り組んでまいります。

○保坂委員 公募された結果、四者から応募があったとのことですので、着実な開発を期待しております。スマートメーターの効果をさらに発揮させるためにも、共同開発者としっかり連携して、早期に対応していただくことを要望しておきます。
 また、通信率の改善についても、これまでの質疑で対応方針を確認してきました。
 これまで局は、携帯電話会社へ通信状況の改善の働きかけを行ってきましたが、その結果は、基地局の能力増強による対応には限度があるんだという回答とのことであり、携帯電話会社の対応が期待できなくなったことは、大変残念でありますが、ビジネス上の判断としては、やむを得ないのかもしれません。
 そこで、対応策として挙げていました携帯電話の通信網によらない通信方式の導入について、昨年の事務事業質疑においても、その可能性について検討していくという答弁をいただいております。
 そこで、携帯電話の通信網によらない通信方式の検討状況について伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務
当局では、既に設置した給水スマートメーターを通じて、実運用に支障がない水準の通信成功率を確保できることを確認しており、原則として、現行の携帯電話会社の通信網を活用していく方針でございます。
 一方で、携帯電話の通信網では通信が困難な箇所が一部ありましたことから、他の通信方式の導入の可能性について検討していくことが必要と考えております。
 そのため、引き続き、他のインフラ事業者が採用している通信方式や、技術、ノウハウを持つ事業者について調査を行いまして、当局スマートメーターへの活用の可能性について検討をしてまいります。

○保坂委員 ICTの進展は、まさに日進月歩であり、現時点で最適と思っている方式が、今後も永続的に最適であり続けるという保証はありません。プロジェクトを通じて、安定的な運用が可能であることが確認できている携帯電話の通信網を活用していくことは問題はないですが、さらなる通信率の向上を目指すという上でも、常に新たな方式の採用に向けた検討を実施していただくことを求めておきます。
 続いて、私も利用しています東京都水道局アプリについて伺ってまいります。
 これまで我が会派では、都民が直接利用するサービスでありますアプリについて、利用者目線に立った使いやすいものとするための取組や、多くの都民に利用してもらうための取組について確認をし、利便性の向上と利用者拡大に継続的に取り組むよう要請をしてきました。
 また、DX推進の取組の一つとして、デジタルツールを活用したペーパーレス化についても求めてきたところですが、アプリを導入したことで、紙の検針票が削減されるなど、環境負荷の低減も進んでいるのではないかと思います。
 アプリは、令和四年十月にリリースされ、一年と二か月が経過したところでありますが、まずは、現時点のアプリの状況について確認をしていきたいと思います。
 そこで、アプリの直近の利用登録者数とユーザーの利用状況及びその効果について伺います。

○坂井サービス推進部長 令和五年十月末時点で、約百十八万人のお客様に利用者の登録をいただいてございます。
 アプリの機能のうち、特に利用の多いのが、使用水量や金額を確認できる照会機能でございまして、アプリユーザーの約七割の方にご利用いただいてございます。
 また、アプリユーザーの約九六%が、検針票等を電子形式で受け取ってございまして、検針票をA4コピー用紙一枚と仮定いたしますと、年間で約三十六トンのCO2の削減に寄与しているところでございます。

○保坂委員 検針票を電子データでということなので、当然、年間で約三十六トンのCO2削減に寄与しているということを大変評価できると思います。さらにまた、検針票をお送りしたりする、そういった手間も省けているので、それなりの効果も着実に出ていると思います。アプリを導入した結果、お客様サービスの向上だけでなくて、ペーパーレス化推進にも着実に貢献していることなど、確認ができました。
 約百十八万人の利用者がいるということは、アプリは一定の認知度を得ることができていると評価できますが、ここで手を休めることなく、今後も利用者を拡大させていくべきであると考えます。
 我が会派では、アプリを利用してもらうためには、まず、知ってもらうことが必要であり、効果的な広報施策を講じていくことが重要であると提言し、その旨の質疑をこれまで重ねてきました。
 そこで、さらなる利用者拡大に向けて、今後のアプリの広報施策について伺ってまいります。

○坂井サービス推進部長 リリース開始以降、利用者は着実に増加しておりますけれども、さらなる利用者拡大を図るためには、よりお客様のニーズに即した広報を実施していくことが必要でございます。
 令和四年度は、家計を管理する方や引っ越しを検討されている方に焦点を当て、それぞれのニーズに応えるアプリの機能を紹介するなど、利便性を訴求する広報を実施してまいりました。
 今年度は、新たに、防災意識の高い層をターゲットに加え、アプリを利用した最寄りの給水拠点の検索方法を紹介する動画を制作し、電車内広告やウェブ広告などで広くPRしてございます。また、防災イベントにおける対面による広報などにも取り組んでございます。
 今後も、アンケートなどを通じたニーズの把握に基づく戦略的な広報によりまして、さらなる利用者拡大を図ってまいります。

○保坂委員 戦略的な広報という答弁がありました。様々な工夫を凝らして広報展開をしていることが確認できました。引き続き、お客様ニーズに沿った広報を展開して、さらなる利用者拡大につなげていただきたいと思います。
 今後もアプリを使い続けてもらうためには、利用者目線に立った使いやすいアプリとなるよう、継続的に改善を進めるべきと考えます。
 そこで、さらに便利で使いやすいアプリにするために今年度行ってきた主な改善と今後の取組の方向性についてを伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、昨年十月のサービス開始後においても、お客様のニーズに柔軟かつスピーディーに対応していくため、改善を積み重ねていくことを重視した運用を行ってございます。
 令和五年十月には、お客様から多くのご要望をいただいていた、検針データなどをPDF及びCSVデータでダウンロードできる機能を追加いたしました。
 また、お客様の利便性を向上するため、既存の四つのスマートフォン決済に加えまして、新たに、d払いによる支払い手段を追加したところでございます。
 今後とも、お客様から寄せられるご意見に丁寧に対応していくとともに、アンケートなどによりお客様のニーズを積極的に把握することで、誰もが使いやすいアプリの実現に向けた取組を進めてまいります。

○保坂委員 私は、昨年、昨年度になりますね、英語対応も強く求めましたが、今年三月から、英語モードも追加していただきましたことを評価します。私の知人も、外国の方ですが、大変便利で使いやすいと喜んでおりました。現状に満足することなく、お客様目線に立ったアプリの利便性の向上と認知度、理解度の向上に引き続き取り組むことを求めて、次の質問に移ります。
 続いて、水道サポーター制度について伺います。
 この制度は、都民と水道局の双方向コミュニケーションによって、都民ニーズをより丁寧に酌み取って、事業運営に反映していく取組であります。私も、制度開始以降注目しており、これまでの委員会においても、事業推進を要望してきた事業であります。
 令和四年度から本格実施され、令和五年三月の公営企業委員会では、令和五年度は、コロナ禍によりこれまで開催回数を限定せざるを得なかった対面形式を増やしつつ、オンラインの形式も継続するなど、柔軟に開催していくという答弁がありました。
 そこでまず、令和四年度と今年度の開催状況について伺います。

○坂井サービス推進部長 令和四年度は、区市町と連携いたしまして、震災対策をテーマとした交流会と、それから、サポーターから要望が多かった水質管理をテーマとした交流会を合計十四回開催いたしました。その内訳は、対面形式が四回、オンライン形式が十回となってございます。
 令和五年度は、引き続き、震災対策をテーマとした交流会と、新たに水道水源林をテーマとした交流会を合計十四回開催する計画でございます。
 その内訳は、対面形式が八回、オンライン形式が六回の予定でございまして、サポーターの体験機会の充実を図るため、昨年度と比較して、対面形式での開催を二倍に増やしてございます。

○保坂委員 長引くコロナ禍によって、交流会の開催も難しかったと思いますが、着実に実績を重ねてきていることは分かりました。また、対面形式での開催を増やしつつも、都民が参加しやすいオンライン形式を継続しているのは、さらなる利便性向上につながるものと考えます。
 一方で、制度の目的を踏まえますと、都民の皆さんからいただいたご意見をいかに事業へ反映したかが重要だと認識しています。
 そこで、本格実施を開始された令和四年度は、具体的にどのような意見が寄せられ、どのように事業へ反映されてきたのか伺います。

○坂井サービス推進部長 令和四年度、水道サポーターから約百六十件の意見が寄せられているところでございます。
 具体的には、震災対策をテーマとした交流会において、災害時給水ステーションのことは知らなかった、訓練があれば参加したい。それから、地域で行われるイベントなどで、給水ステーションを紹介してほしいなどの意見をいただいたところでございます。
 これを受けまして、令和五年度は、区市町と連携し、住民に応急給水訓練への積極的な参加を呼びかけたほか、様々なイベントにおきまして、水道局アプリや当局のホームページなどで、災害時給水ステーションの場所などが確認できることを広く紹介するなど、いただいた意見を活用しております。

○保坂委員 今後とも、サポーターからの意見をしっかり丁寧に吸い上げていただいて、事業運営に活用するよう求めておきます。
 さて、前回の委員会でも指摘しましたが、震災対策は、区市町や地域によって状況が異なるため、交流会の開催に当たっては、地域の実情に合うよう、区市町とも連携を密にしながら対応していくべきと考えます。
 そこで、今年度は、どのように区市町と連携していくのか伺います。

○坂井サービス推進部長 震災対策をテーマとした交流会は、地域の実情に合わせた効果的なものとなるよう、説明内容や開催方法につきまして、事前に地元区市町と綿密な調整を行ってございます。
 交流会には、各区市町の防災担当者も参加していただいて、交流会開催地域のハザードマップや避難所の紹介のほか、日常備蓄などの各家庭でできる災害への備え等、参加者にとって身近な事柄を説明していただいております。また、区市町主催の防災イベントとの共催など、開催方法につきましても、柔軟に対応しているところでございます。
 こうした連携の結果、サポーターからは、水道局の震災対策とともに、地元の防災の取組も確認でき、参加してよかったなどの評価をいただいております。

○保坂委員 区市町の防災担当者も協力をいただいて、地域密着の情報提供やイベントの共催など、シナジー効果を得るために工夫されていることがよく分かり、安心しました。引き続き、区市町としっかり連携をされて、開催されることを要望しておきます。
 さて、かねてより、私は、都民ニーズを踏まえた新たなテーマの設定も必要ではないかと要望してきました。
 そこで、今年度は、水道水源林をテーマに交流会を開催しているとのことでしたが、その理由と具体的な内容について伺います。

○坂井サービス推進部長 令和四年度に実施いたしましたサポーターアンケートにおいて、今後取り上げてほしいテーマを聞いたところ、水道の始まりでございます水道水源林について知りたいとの声が多く寄せられております。
 そのため、今年度は、水道水源林をテーマに交流会を開催し、水道水源林の美しい映像なども盛り込み、百二十年以上にわたり森を守ってきた歴史的経緯やその機能、当局の保全管理の取組などについて説明しております。
 こうした交流会を通じまして、参加したサポーターの水源林保全の大切さや局の取組への理解促進を図ってございます。
 参加者からは、水源林を散策し、理解を深める都民向けの水源林ツアーについて、子供と一緒に参加しやすいツアーを増やしてほしいなどの意見をいただいておりまして、今後の取組に反映してまいります。

○保坂委員 水道水源林こそ、現地を見て初めてその役割が実感できると思いますし、私も、実際、会派で視察を過去に何度かさせていただき、そう思いました。私からも、ぜひ、より多くこうした現地のツアーを実現するよう要望をしておきます。
 サポーター制度をより充実したものにするためにも、引き続き、都民の関心の高いテーマを優先して扱っていただくことも求めておきます。
 そこで、今後の取組の方向性について伺います。

○坂井サービス推進部長 震災対策をテーマといたしました交流会につきましては、令和七年度までに、当局給水区域の全四十九区市町で開催する予定でございまして、残る二十四区市町との調整を計画的に進めてまいります。
 また、開催に当たりましては、オンライン形式の交流会も実施しつつ、対面形式での交流会を積極的に実施していくことで、サポーターに、災害時給水ステーションでの応急給水体験や実際に水を入れた給水袋を背負って歩いてみる運搬体験をしてもらうなど、より充実した交流会の開催を目指してまいります。
 さらに、サポーターの意見等を踏まえまして、今後とも、関心の高いテーマによる交流会を開催することで、局の重要な取組について伝えてまいります。
 このように、サポーター制度を活用していくことで、さらなるお客様の事業への理解促進と、いただいた意見の水道事業への活用を図ってまいります。

○保坂委員 震災対策については、全四十九の区市町で開催するとのことでありますが、残る区市町での開催も着実に進めていただき、ぜひ積極的に、都民へ、この重要な水道局の取組を周知していただくよう求めておきます。
 また、このような地道な取組によって、東京のすばらしい水道への理解を深めていただき、水道サポーターから、より多くのご意見を頂戴することを期待して、次のテーマに入ります。
 環境五か年計画について伺います。
 災害時などにおいても安定給水を確保するためには、自立電源の確保が大変重要であることから、常用発電設備の導入が必要であります。
 私もこれまで、水道局のそうした施設を視察させていただきました。そうした中でも、環境五か年計画のとおり、エネルギー効率の一層の向上によって、環境負荷の低減にも配慮しながら、着実に整備を進めていくことが必要です。しかし、昨今の資機材の供給不足など、整備に必要な資機材の影響を受けて、整備工程が延伸してしまうことを懸念しています。
 そこで、今年度整備完了予定の東村山浄水場の常用発電設備の進捗状況について伺います。

○小泉設備担当部長 当局では、効率のよい発電設備を選定するなど、環境負荷に配慮しながら常用発電設備の整備を進めております。
 東村山浄水場では、当初に想定していた停電時の原水の運用方法を見直して、浄水処理に係る使用電力量を大幅に低減させるなど、常用発電設備の仕様を改善した上で、整備を実施することといたしました。
 これにより、四〇%以上の発電規模の縮小を図り、環境負荷の低減やコストの削減が可能となりました。
 こうした見直しのほか、全国的な自家用発電設備の需要増に伴う納期の長期化が見込まれることにより、整備完了は令和八年度となる予定でございます。

○保坂委員 検討された結果、整備は遅れることになるとのことですが、環境負荷だけでなく、コストにもしっかりと配慮しながら整備を進めておられることは評価をいたします。
 続いて、来年度整備完了予定の朝霞、三園浄水場の常用発電設備の進捗状況についても、併せて伺います。

○小泉設備担当部長 朝霞浄水場及び三園浄水場では、効率のよい発電設備の整備に向けて、排熱を有効利用したガスタービン方式やガスエンジン方式を採用し、現在、設計を進めております。
 これらの整備に当たりましては、昨年度、実施設計委託の契約が不調となったことに加え、今後は、資機材の調達期間が長期化する見込みでございます。
 また、朝霞浄水場におきましては、詳細に現地を調査した結果、建屋の新設に当たり、大規模な造成工事が必要であることが判明したため、整備工程が延伸する見込みでございます。
 これらにより、整備の完了は、朝霞浄水場が令和九年度、三園浄水場が令和八年度を予定しております。
 引き続き、発注方法の見直しや進捗管理の強化等により、早期の整備完了に取り組んでまいります。

○保坂委員 不測の事由により、計画から遅れてしまうとはいえ、災害時などの安定給水の確保に向けて、一日も早くこれらの整備を完了させることが必要です。今後も、創意工夫を凝らしながら、取組を進めていただくよう求めておきます。
 さて、ふだん飲んだり体を洗ったりするのに使われている水道水は、手元に届くまでに多くのエネルギーを必要としています。節水は、そのエネルギーを低減させ、ひいては地球温暖化の防止にもつながるということを日頃より都民にしっかりと伝えていくことも、水道事業者の大きな責務ではないかと考えています。
 水道局の環境五か年計画では、節水の呼びかけを行って、都民の節水行動を促進するとありますが、そこで、節水の呼びかけについての具体的な施策内容について伺います。

○坂井サービス推進部長 節水行動を促進するためには、お客様に広く広報を行い、水の大切さについてご理解、ご協力をいただくことが大切だと認識しております。
 そのため、水道局では、水の上手な使い方など、家庭でできる節水方法やその節水効果をホームページに掲載するとともに、X、旧ツイッターでございますけれども、活用して、節水に関する情報を適宜発信してございます。
 また、イベントや営業所の窓口などでは、節水方法の記載された冊子、水道・くらしのガイドや蛇口に取りつける節水コマを無料配布するなど、様々な方法によりまして、日頃よりお客様へ節水の呼びかけを実施しているところでございます。

○保坂委員 水道局が、様々な媒体を使って、節水について都民にPRしていることが確認できました。
 近年は、気候変動の影響によって、洪水や渇水のリスクが高まっております。今年の八月七日には、利根川水系渇水対策連絡協議会幹事会が臨時開催されており、利根川水系のダムの貯水率が平年より少なく、水不足となる可能性があることが報道されました。私も、この報道を目にして、節水への意識を強く持ちましたし、身近でも、結構地域の方々との会話の中でも、節水をしなくてはいけないということも、しきりに話題にもなっておりましたので、効果はあったものと思います。こうした情報に触れることで、都民の節水への意識が高まったのではないかと考えます。
 そこで、最後になりますが、都民に、より節水について関心を持っていただくため、例えば、貯水率などホームページで公開している情報を、アプリを活用するなど、より分かりやすく伝える工夫が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 当局ではこれまでも、お客様に節水に関心を持っていただくため、ホームページのトップ画面に貯水量情報のバナーを掲載いたしまして、利根川、荒川及び多摩川水系全ての貯水量情報を営業日ごとに更新しているところでございます。
 当該ページでは、水系別貯水量の推移を折れ線グラフで掲載するなど、視覚的にも分かりやすい情報の発信に取り組んでいるところでございます。
 また、Xにおいても、この貯水量グラフ等を活用しながら、節水の呼びかけを適宜行ってございます。
 引き続き、ホームページやSNSなど多様な媒体を活用するとともに、水道局アプリのお知らせページにも、貯水量情報のリンクを掲載するなど、より多くのお客様に情報を届けてまいります。

○保坂委員 都民の節水意識の向上につながるよう、貯水量情報なども日々情報発信していることが分かりました。
 今後とも、都民に伝わる広報の実現に向けて、アプリでのPRなど様々な工夫をしていただくことを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤(こ)委員 それでは、私からも、令和五年度の東京都水道局関連の事務事業について質問をしてまいりたいと思います。
 現在は大規模改修工事のため休館をしております江戸東京博物館の資料の一つに、江戸っ子の自慢は水道という展示をインターネットで見つけました。そこには、こう記述されております。江戸時代、どの家にも水をためたおけやかめがあった。水は、共用の井戸でくんだもの。江戸の地中には、世界でも珍しく上水道が張り巡らされており、それをくみ上げる上水井戸が各家の近くにあった。水道で産湯を使ったというのが江戸っ子の自慢だったというふうに書いてありました。東京の水道は、江戸の時代から厳然と存在していたことが江戸っ子の自慢だったというのが、大変に興味深いところでありました。
 そして、現在でも、東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹インフラとして、安全でおいしい高品質な水を安定して供給しております。その東京水道を守り、発展させてきたのが、東京都水道局であり、私は、今後も、その事業発展に期待をしていきたいというふうに思っております。
 それでは、質問に入りますが、初めに、低炭素化に向けた取組について質問をしたいと思います。
 歴史ある東京水道でありますけれども、時代の変遷とともに、環境問題や防災対策などの新たな課題にも果敢に取り組んでいかなければならないと考えます。
 そこで、水道工事の現場における低炭素化に向けた取組について伺います。
 水道工事の現場では、建設機械が用いられ、都心部での工事は、交通量が少ない夜間作業が多く、照明装置を使用することから発電機等が必要となり、これらは、ガソリンや軽油等の化石燃料を利用して、結果として多くの二酸化炭素を排出してしまうということであります。
 また、道路を掘削するためには、大きな力が必要となって、油圧ショベルなどの掘削機械については、バッテリー等の性能向上等に伴って、排気ガスを排出しない機械も最近では出てきているというふうに聞いております。
 都内で多く行われている水道工事現場においても、こうした取組を広げていくことが、低炭素社会の実現に寄与するのではないかというふうに考えます。
 そこで、水道工事においても、HTT推進の観点から、低炭素社会にふさわしい取組を進めていく必要があると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 低炭素社会の実現に向け、水道工事の現場におきましても、環境負荷低減に向けた取組を進めることは重要であると認識をしてございます。
 財務局や建設局では、低炭素化やHTTへの取組を受注者の希望に応じて行いますHTTゼロエミッションアドバンス工事の試行を開始しておりまして、当局でも、導入に向けて検討を進めております。
 本工事は、受注者が、自らの費用で、工事現場における低炭素化等の取組を三件実施した場合に、工事成績評定において加点評価する制度であります。
 今後、当局でも、令和六年四月から緊急施工工事や単価契約等を除く全ての工事におきまして試行が開始できますよう、詳細な制度設計に取り組んでまいります。

○伊藤(こ)委員 水道局において、低炭素社会の実現に向けた取組を推進しようということでございました。その姿勢を私は大いに評価をしたいというふうに思います。
 一方で、水道工事の担い手の方々は、中小の事業者が多いわけで、これらの制度を着実に理解してもらうことが、適用工事の拡大に必要なのではないかと思います。
 そのために、例えば、先ほど申し上げた化石燃料を使う発電機に代わって、バッテリーを用いた排気ガスを出さない機械、あるいはまた、LEDの照明を使用するなどの具体的例示を周知するなど、中小の事業者が参画しやすい、そして、分かりやすい制度設計となるよう、検討していただきたいというふうに思います。
 また、ある事業者からの提案でありますけれども、現在、水道工事で行うダクタイル鋳鉄管の管の内面を保護するために、水道管というのは、中に、口に入る水が通るわけですから、管の両端には、このポリエチレンのキャップが装着されているということでありました。(実物を示す)これが、管にこうやって装着されていて、中を汚さないように、こういうプラ材のキャップがあると。しかし、このキャップは、配管を行う際には、取り外されて、産業廃棄物として処理されており、一つの現場で約五本の鋳鉄管を使用すれば、一つの現場だけで十個のプラキャップが排出される。例えば、都内では、一日に約五百か所の水道工事が行われているというふうに聞いておりますけれども、そうすると、毎日、水道工事関連で、五千個のこうしたプラキャップが排出されるということになるわけであります。私は、脱プラを目指していく今の時代にあって、大変に残念だなというふうに思いました。
 こうした課題を解決しようと、段ボールの古紙を利用したリサイクル製品を使って、これでありますけど、(実物を示す)例えば、卵の保護パックの素材でできて、使い終わった後には、土に戻るという素材だそうでありますけれども、これを使って、プラキャップの排出を減らしていこうという取組もあるようであります。
 こうした事業者側から提案された取組についても、低炭素社会の実現に向けた取組として、インセンティブを付与するなど、ぜひとも、水道局として、こうしたものを推進していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 続きまして、工事事業者の支援について伺ってまいりたいと思います。
 水道事業は、管路の更新や災害時の復旧など多くの場面で工事が必要であって、工事事業者そのものが水道事業を支える重要な基盤の一つであります。まさに人材であります。水道事業を安定的に運営していくためには、工事事業者が平時の工事を通じて技術力を磨くとともに、局もそれを後押ししていく必要があると思います。
 特に災害時は、混乱した状況にありまして、ふだん以上のことはできないといわれます。その意味からも、日頃からの取組と訓練が何より重要であります。
 先日、私は、都議会公明党の同僚議員と共に、工事事業者で構成される協同組合東京都水道請負工事連絡会が実施した防災訓練を視察してまいりました。机上の想定ではなく、実際に活動される応急復旧工事などの様子を目の当たりに見てまいりまして、改めて、工事に携わる事業者の取組とその技術が大事であるということを痛感いたしました。
 こうした事業者、団体の訓練に対して、水道局が費用を支援しているということでありますけれども、大変に意義のあるものと認識をしております。
 そこで、こうした団体による防災訓練について、都のこれまでの支援の状況を伺いたいと思います。

○長嶺総務部長 当局では、災害時における管路被害等を早期に復旧するため、工事事業者で構成される四団体と災害時の協力に関する協定を締結しております。
 これらの団体が、協定を踏まえ、応急復旧訓練や出動する班の編成訓練を実施する場合に、その費用の一部を当局が負担する取組を令和三年度から開始をいたしました。
 これまで、四団体のうち、二団体がこの制度を利用して訓練を実施し、応急復旧技術の維持向上等に取り組んでおります。
 今後も、防災訓練の意義や当局の費用負担制度を個別にご説明し、各団体での訓練実施を促してまいります。

○伊藤(こ)委員 都と協定を結んでいる四団体のうち、二団体がこうした訓練を行っているということでありました。ぜひ、各団体への働きかけを今後も積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 一方で、都からの支援対象となるのは、訓練費用の一部であるというふうに聞いております。例えば、会場費用は都からの支援対象となりますけれども、水道管などの材料費は対象外ということでございました。
 制度が始まって間もないということは承知をしておりますけれども、訓練で使う水道管などは、一度穴を空けて、それを塞いで、そして対処するという実践的な訓練でありまして、訓練で使った水道管は、実際には再利用はできないわけでありまして、こうした材料費についても支援対象に加えるなど、見直しを行っていただきたいというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○長嶺総務部長 当局は、団体が行う訓練の内容に応じて費用の一部を負担することとしております。
 具体的には、応急復旧訓練につきましては、実施に必要な会場の使用料や設営費などの会場準備費用を、事業者の班編成訓練については、必要な連絡調整費用として、参加事業者数に応じた定額を当局が負担しております。
 団体が、防災訓練を通じて応急復旧技術の維持向上等に取り組むことは重要であり、団体の取組を促進できるよう、制度の運用状況を踏まえつつ、必要に応じて見直しを検討してまいります。

○伊藤(こ)委員 先ほど申し上げたとおり、その視察をした訓練でありましたけれども、実際には、地中の中に埋まっている水道管、これを工事して復旧させるということですけれども、訓練ですので、私たちに見えるように、見える地面高の高さでやっていただきましたけど、実際には、地中の中でやるわけで、本当に、状況によっては命がけのお仕事になるというふうに思います。
 発災時に、復旧の実作業を担うこうした事業者のため、そして、復旧を待つ都民のためにも、こうした事業者と局がしっかりと連携した取組を今後も積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、重要施設での水圧遠隔監視について質問をしてまいります。
 重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化が、令和四年度末までにおおむね完成したということでありますけれども、震災時に、実際に重要施設において給水できるのかどうか、その状況を把握することも重要だと考えております。
 私の地元である品川区には、災害時に重要施設となるNTT東日本関東病院や昭和大学病院などの大きな病院があります。
 都議会公明党は、こうした重要施設における地震等による水道管路の被害を即時に把握し、迅速な復旧活動を行うため、水道管路の水圧の変化を遠隔で監視するシステムの整備が重要であると主張してまいりました。
 そこで、いつ大地震が発生するか分からない昨今の状況下において、このシステムの整備を拡充していくべきと考えますけれども、局の取組について伺いたいと思います。

○鈴木給水部長 当局では、震災時に給水状況を直ちに把握するため、平成二十八年度から、PHS回線を用いて水圧を遠隔監視するシステムを導入し、国会議事堂や中央省庁などの首都中枢機関、三次救急医療機関、災害拠点病院、合わせて百四十二施設に設置してまいりました。
 その後、PHS回線のサービス終了に伴い、これまでのシステムに替えて、携帯電話回線を用いた水圧測定機器を導入し、令和四年度末までに設置が完了しております。
 さらに、今年度から令和八年度までの四年間に、災害時に多くの都民が集まる避難場所である中学校や二次救急医療機関など約八百施設についても設置を進め、震災時の重要施設への給水状況の迅速な把握に努めてまいります。

○伊藤(こ)委員 水圧測定機器を避難所等、その他の重要施設に設置を拡大していけば、重要施設周辺で給水が行われているかどうか、点ではなくて面で把握することができるはずであります。令和八年度までに約八百か所に設置予定という答弁でありましたけれども、確実に取組を進めていただきたいと思います。
 次に、水道の安定供給のために重要な役割を果たす水管橋等の維持管理について伺いたいと思います。
 水道管が河川や運河などを横断する区間では、主に水管橋や橋梁添架管が設置をされておりまして、私の地元の品川区でも、京浜運河や、あるいは目黒川などに架けられている水管橋を目にすることがあります。
 水管橋は、河川等によって分断されている管網を連絡する重要な施設であります。二年前には、和歌山市では、老朽化した水管橋が崩落をして、六万世帯に断水が起こり、復旧まで長時間を要したということが起きており、都でも対策を強化していくことが必要だというふうに思います。
 まず、都において、水管橋がどのくらいあるのか、また、それをどのように維持管理しているのか伺いたいと思います。

○鈴木給水部長 当局では、現在約二千七百か所の水管橋や橋梁添架管を保有し、これまで、おおむね七年に一回の頻度で点検を適切に実施してまいりました。
 令和三年十月に、和歌山市で発生した水管橋の崩落事故を受け、国において有識者検討会により検討を進めた結果、令和五年三月に、水道法施行規則が一部改正され、あわせて、点検等に係るガイドラインも改正されました。
 当局では、改正された水道法施行規則やガイドライン等に基づき、今年度から、おおむね五年に一回の頻度で点検を実施しております。

○伊藤(こ)委員 都には、約二千七百か所という多くの水管橋があって、それを管理し、また、国の基準等に基づいて、適切に点検等を実施しているということでありました。
 水管橋等は、中小河川に架かっている小規模なものから、運河やあるいは河川に架かっている大規模なものまであるほか、橋梁の形式も様々であって、形式によっては、点検対象が高所にあったり、構造が複雑であることなどによって、点検が難しい事例もあると認識をしております。
 そこで、水管橋等を効率的、効果的に点検する取組について伺いたいと思います。

○鈴木給水部長 これまで当局では、水管橋等について、点検用通路や船舶から、目視を基本とした点検を行ってまいりました。
 この点検の充実強化に向けた取組として、令和四年度に、品川区の京浜運河に架かる大井水管橋等の三か所について、ドローンやポールカメラ等を活用したデジタルカメラによる点検を試行いたしました。
 この結果、高所の部材等、従来の方法では点検が難しい箇所についても、近接目視と同等の点検結果が得られ、有効性を確認いたしました。
 こうした成果を踏まえ、今年度からは、一部の目視が難しい水管橋の点検に、ドローン等の新技術を本格的に採用しております。
 引き続き、水管橋等の特性に応じて、効率的、効果的に点検を行い、適切な維持管理を進めてまいります。

○伊藤(こ)委員 水管橋等は、数も多く、点検は容易ではないというふうに思いますけれども、適切な維持管理のためには、きちんと点検をして、状態を把握することが前提となるわけであります。新しい技術も活用して、効率的、効果的に点検を行い、安定給水に万全を期していただきたいというふうに思います。
 冒頭に申し上げましたけれども、歴史ある東京水道であります。しかし、一方では、時代の変遷とともに、環境問題も考えなくてはいけない、そしてまた、防災対策も強化をしていかなきゃいけない、こうした新たな課題に果敢に取り組んでいただけるよう、心からお願い申し上げまして、質問を終わります。

○福手委員 よろしくお願いいたします。
 まず、私は、私道内給水管整備事業について幾つか確認をしていきます。
 私道内の給水管整備の現在の到達と、そして、昨年度の予算と決算を距離で伺います。

○鈴木給水部長 令和四年度末時点での私道内給水管の整備延長は、約千三百五キロメートルでございます。
 令和四年度は、約四十七キロメートルの計画延長に対し、整備延長は約三十キロメートルでございます。

○福手委員 この事業は、私道内の給水管を塩化ビニール管からステンレス管に換える工事を全額水道局が負担し、行う事業です。
 経営プラン二〇二一では、十年で四百七十キロを整備し、二〇三〇年度までに完了するとしています。この計画に基づく予算の考え方として、一年で四十七キロを進める分を予算として計上をしています。
 当初、この事業は、給水管が三本ある私道に限って行っておりましたが、途中で運用を変えて、現在は、全ての私道に対象を広げ、実施しています。
 私道内給水管の整備の目的、そして、全私道に広げた理由を併せて伺います。

○鈴木給水部長 私道内給水管整備事業は、適切な水圧の確保、漏水の未然防止及び給水管の耐震性の向上を目的として実施しております。
 東日本大震災において、都内で発生した漏水の多くが、私道の塩化ビニール製給水管であったため、給水管が布設されている私道全てを対象といたしました。

○福手委員 東日本大震災の被害を踏まえ、耐震化の促進、漏水防止対策として、全私道に対象を広げて実施をしており、とても大事な取組となっていることが分かりました。
 この事業は、名前にあるように、公道ではなくて、私道で行う事業です。先ほどの答弁でも、昨年度は四十七キロの計画でしたが、実際には三十キロの延長ということで、実施するに当たって困難なことというのは、どういうことが挙げられるのでしょうか伺います。

○鈴木給水部長 私道内給水管整備事業は、局の財産である配水管を私道に布設することから、原則として、私道の所有者全員から事業実施への承諾をいただくことが必要でございます。
 しかし、所有者が当該の場所に住んでおらず、連絡先などが不明なため、所有者の特定が困難であるなど、承諾が得られない場合がございます。

○福手委員 私道の所有者の承諾が原則だということで、所有者が不明な場合には、承諾が得られないため、事業が進められないというところに課題があるということです。
 では、具体的にお聞きしますが、複数の権利者が共同で所有されている私道において、給水管の整備をする場合の進め方を伺います。

○鈴木給水部長 原則として、私道の全ての所有者から承諾を得て施工しております。

○福手委員 複数の所有者がいる場合は、全ての所有者に承諾をもらうのが原則だということです。
 ただ、全ての所有者がそこに住んでいたり、所有者が分かればいいんですが、所有者が亡くなり、その後の相続人も分からない、登記も分からない、所有者の所在が分からない、こういった場合があります。
 こうした私道の所有者の中で、所有者が不明な場合、この事業はどのような運用になっているのか伺います。

○鈴木給水部長 共有されている私道におきましては、民法における共有物に関する規定を踏まえ、所在を確認できる所有者全ての承諾を得て、かつ、その持分が全体の過半数であることを条件に工事を行っております。

○福手委員 複数で共有している私道では、所有者が確認できなくても、その分を除いて過半数あれば、確認できる所有者全員の承諾を得ることで工事を行うことができるという運用で、水道局が行っていることが分かりました。
 都内のある地域で、水道局から私道内給水管の整備の説明が来て、所有されている方たちは、ぜひ整備してもらいたいと思っていたのですが、所有者のうちの一件が所有者不明で、登記所に行っても分からず、そのほかの全員は合意していたのですが、全員の承諾が必要ということで、結果として工事ができないということがありました。こういう場合に、所有形態が共同所有、共有であれば、答弁にあるような運用がなされるということです。
 答弁された所有者不明の場合のこの運用は、令和三年度の民法改正に基づくガイドライン見直しによって変更されたのでしょうか伺います。

○鈴木給水部長 共有されている私道における所在不明者がいた場合の工事の取扱いにつきましては、平成二十四年度から実施しております。

○福手委員 調査を尽くしても、土地の所有者が特定できず、所有が不明な場合に、土地の管理などが困難になっている問題というのは、全国でたくさんあります。
 先ほど私が申し上げたケースもその一つです。こうした現状に合わせる意味で、二〇二一年度、令和三年度の民法改正は、所有形態に応じた見直しを行い、今年の四月からそれが施行され、そして、それに基づいて共有私道ガイドラインの改定もされています。
 しかし、東京都は、既に二〇一二年、平成二十四年度からやっていたということです。
 この運用は、改正前の民法でも、確かに可能でした。今回の改正民法では、その範囲が拡大し、明確化されたということです。
 それで、水道局がこの運用を始めたのが、平成二十四年度、二〇一二年からということでしたが、二〇一二年というのは、その前年に東日本大震災が起きている年です。その翌年に、東京都は、共有私道での所有者不明の場合の運用を始めていたということです。法律を活用し、適切な手段で水道局は事業を進めていたということが改めて分かり、とても重要な取組をしていることを確認することができました。
 ただ、先ほど紹介したケースなんですが、実は工事はできないままだということでした。つまり、この私道は、それぞれ所有者が共同所有の割合としての持分として所有している、つまり、共有という所有形態ではなく、土地を複数の土地に分けて所有している分筆であったので、確認できない人を除外して同意をもらうやり方は当てはまらず、全員合意でなければ工事ができないということだったんです。しかし、分筆や共有の違いがあっても、所有者不明で全員同意が取れないために、土地の管理が進まないのが課題になっていることには違いありません。解決していくことが必要だと思いました。
 令和三年の民法改正では、所有者不明土地について管理制度が新設されています。利害関係者が裁判所に申立てをして、管理人を選任し、不在者の土地を管理させることができるようになりました。こうした制度を使えば、分筆した土地についても、管理人を選任してもらい、その管理人と協議をして、合理的な利用を図るということが可能になっていきます。私道内給水管整備を進めていく上で、こうした新たな情報も提供しながら進めていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 次に、給水停止について伺っていきます。
 給水停止については、公営企業決算の委員会で、日本共産党の斉藤まりこ議員が、全局質疑で取り上げましたが、さらに確認をしていきたいと思います。
 全局質疑では、区市町の福祉部署に情報提供した件数が、年間十九件で、そのほとんどが検針委託会社からであり、その理由について、局長は、検針員が訪問していることによって情報提供ができているというふうに答弁をされました。
 これは、支払いができていない方を訪問することは、支援が必要な水道利用者を福祉につなげるために効果的だということを示しています。しかし、一方で、訪問催告をやめて、郵送催告に変更したことを業務の効率化とも答えました。
 徴収業務の効率化によって、訪問催告をやめ、給水停止の数が大きく増えました。郵送催告のみで給水を停止し、払わせるというやり方は、水道局が都民に対して行うやり方としては、非常にまずいやり方だと厳しく指摘しておきたいと思います。
 基本的な認識を確認したいのですが、滞納者の中には、生活困窮によって払えない人がいるという認識について伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、料金の支払いが困難なお客様には、支払い期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧に対応してございます。

○福手委員 支払いが滞る理由はいろいろな状況があると理解しています。中には、すぐ支払いができる状況にある方もいるだろうと思います。しかし、滞納する人の中には、生活に困窮して払えない人もいるという認識を水道局として持っているかを私は伺いました。
 徴収業務を行う中で、なぜ払えないのかということは、重要な情報だと思います。そこには、生活困窮に陥っているのではないかという認識と想定を持って対応していくことが連動して存在し、それもまた、水道局の事業の大切な役割、責任であると私は思います。
 全局質疑の答弁で、訪問することによって福祉につなげることができていることを認識されていますが、しかし、事実として訪問催告はやめてしまったわけです。
 では、水道局として、訪問をやめたことと支援につなぐ可能性との関係について認識を伺います。

○坂井サービス推進部長 委託による訪問催告の廃止は、平成二十六年度の包括外部監査の意見を踏まえまして、業務の効率化と料金をご負担いただく全てのお客様の公平性を実現するために行ったものでございます。
 当局では、検針のほか、漏水調査や未納料金の徴収に係る現場訪問など、お客様と接する機会は引き続きございまして、お客様宅などを訪問した際に異変に気づいた場合には、水道事業者としての業務を行っていく中で、可能な限り区市町への情報提供に取り組んでいるところでございます。

○福手委員 委託による訪問催告をやめてしまっても、検針や漏水調査などで引き続き訪問はしていると答弁がありました。
 しかし、実施していた訪問催告を業務の効率化のためになくしたのは事実です。ほかの訪問を続けているからいいというのならば、検針員の方が訪問催告を委託され業務としてやっているということなのでしょうか。そうではないわけですよね。
 そして、平成二十六年度の包括外部監査の意見を踏まえて、効率化でなくしたというふうに答弁をされましたが、平成二十六年度の包括外部監査の中では、滞納者の扱いについて未納カード情報を監査委員が閲覧したと。その中で、個人に係る水道料金の債権の回収が困難になる場合というのは、生活困窮に伴う支払い不能などのいろんな理由が存在している、そして、滞納者に対する訪問徴収や訪問催告、また、電話催告など、定期的な接触が重要となるというふうに包括外部監査では意見があるんですね。ですから、訪問は重要だということをこの中ではいっているんです。訪問をなくせというふうにはいっていないんです。
 支払いについて訪問をして、そして、その方と会って話をすることで、どんな様子なのか、払うことが可能なのか、中には福祉の支援につなげる必要があるのかもしれない、こうした判断をするのに訪問催告が徴収業務の中の一つの必要な役割であったと思うので、私はこの質問をいたしました。
 水道局は、自治体と協定を結んで、訪問した際に異変に気づいたら福祉につなげるとしています。都内のある自治体の生活福祉課で長年相談業務をしている方に話を聞いたところ、生活保護の相談の中で、水が止まったままの状態の家で暮らしているという人がたまにいるという話を聞きました。
 また、生活困窮者は、お金があるときに支払うようにしているので、料金は引き落としにしていない場合が多く、そして、滞納した分を支払えた場合でも、生活困窮の状況は変わらないままでいるのです。ですので、水が止まる前に連絡してほしいというふうにいっていました。この方は、これまで水道局からの連絡は、業務の中で一度も受けたことがないというふうにもいっていました。
 また、水道事業を自分たちでやっている自治体では、支払いが大変な方で支援が必要と判断したときに、福祉の部署に行って、その方のところに行ってもらえるという感じでつなげる関係ができているというお話も聞きました。
 水道の部署も、福祉の部署も、同じ庁舎にいることで連携しやすい状況がつくれているのだと思いますが、そもそも東京都は広域自治体で、区市町の福祉につなぎにくい仕組みがあるため、水道利用者とコミュニケーションを取るなど、福祉の部署との協定の実施に特に努力が必要だと考えますが、いかがですか。

○坂井サービス推進部長 水道局では、区市町との協定に基づきまして、当局職員等がお客様宅などを訪問した際に明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報提供しているところでございます。
 引き続き、水道事業者としての業務を行っていく中で、可能な限り、区市町への情報提供に取り組んでまいります。

○福手委員 厚労省が二〇一二年二月二十三日付で、都道府県知事宛てに、生活に困窮された方の把握のための関係部局・機関等との連絡・連携体制の強化の徹底についてという事務連絡を出しています。これは、生活に困窮された方が、公共料金などを滞納し、電気やガスなどの供給が止められた状態で発見される事案が発生していて、連絡、連携体制も十分に図られていない実態があることを踏まえて、生活に困窮された方に関する情報を地方自治体の福祉担当部局に収集する観点から、改めて連携の強化を目的に出された通知です。
 この事務連絡にあるように、公共料金の滞納という具体的な状況を示し、生活に困窮している情報が着実に必要な支援につなげることを求めているのですから、やはり福祉につなげるという視点が、徴収業務において大事な任務の一つであるということです。このことは、改めて強調したいと思います。
 そして、給水停止することで徴収するやり方は見直すこと、福祉への連携については強化していただくことを要望しておきます。
 最後に、Tokyowater Drinking Stationについて伺っていきます。
 まず、これを設置した意義、目的を伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、都庁プラスチック削減方針を踏まえまして、まち中の給水スポットをTokyowater Drinking Stationと名づけ、ペットボトルによらず、マイボトルに水を供給する環境に優しいライフスタイルや、水道水の飲用行動、水道事業への理解の促進を図っているところでございます。

○福手委員 都内施設などに設置されている水飲み栓というんでしょうか、これをTokyowater Drinking Stationとして、ステッカーを貼ったり、マイボトルに冷たい水道水を入れられる水飲み栓を設置することで、プラスチック削減と水道水の飲用促進を水道局は行っています。
 では、これらは都内何か所に設置をされているのか伺います。

○坂井サービス推進部長 都内には、ドリンキングステーションが約九百か所ございまして、そのうち同事業をPRするために設置したシンボリックなものが十一か所ございます。

○福手委員 このドリンキングステーションというのは、形態として三つありまして、駅のホームや公園などによくある飲み口だけあるタイプ、それから、マイボトルなどに水を入れられるボトルディスペンサータイプ、そして、飲み口とボトルディスペンサーの両方が併設されているタイプがあります。どこにどのタイプのステーションが設置されているのかは、ネット上でマップを作って確認できるようになっています。
 このシンボリックなドリンキングステーションとは、マイボトルに入れられるタイプのもので、都として設置したもので、二〇一七年度に国際フォーラムにボトルディスペンサーを設置したのをはじめとして、十一か所に設置されています。
 このシンボリックなドリンキングステーションの二〇二三年度の利用実績、評価を伺います。

○坂井サービス推進部長 令和五年四月から九月末までの使用水量につきましては、約八万四千リットルとなってございます。
 また、これまでに実施したアンケートでは、多くの方から、まち中の水飲み栓でマイボトルに水道水を入れて飲んでみたいと思うとの回答を得ております。

○福手委員 半年で八万四千リットルの使用ということは、五百ミリのペットボトルで十六万八千本分に当たるということでしょうか。数に変換すると、大事な取組だと改めて実感できます。
 ペットボトルを削減するということは、プラスチックごみを減らすだけでなく、容器の減量や製造時の資源利用に加え、飲料をトラックなどで輸送し、そして、店舗や自販機で冷蔵販売するといった過程でのエネルギー消費を削減するものであり、それがとても重要だと思います。
 メーカーは、ペットボトルを薄く、軽くして資源使用量を減らす努力をしていますし、販売されるペットボトルの八割以上が回収されリサイクルされていますが、五百ミリの飲料でその重さがあれば、結局それらの輸送や冷蔵の大量のエネルギー消費はどうしても避けられません。ですから、マイボトルに水道水を入れる取組は、CO2排出量の削減に寄与する大事な取組となっています。
 さらに、東京都が行ったアンケートでも、マイボトルに入れて飲んでみたいという声があったということでした。
 都として、シンボリックドリンキングステーション、さらに増やすことが必要と考えますが、いかがですか。

○坂井サービス推進部長 シンボリックなドリンキングステーションは、まち中に約九百か所ある区市町等が設置いたしましたドリンキングステーションをPRするために設置したものでございます。
 これらにつきましては、令和三年度までに、計画していた合計十一か所の設置を全て完了してございます。

○福手委員 十一か所で完了したと。シンボリックのドリンキングステーションは、PRのために設置したものだったからだということでした。
 東京都もアピールしていたように、水道水が蛇口に届くまでのエネルギー使用は、ペットボトルの水の千分の一だというポイントを、さらに打ち出していただきたいと思います。例えば、使用量に応じてどれくらいのペットボトルを削減できたのかなど、利用する方に向けて、行動の効果が実感できるような表示やキャンペーンなどにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 今、私は、シンボリックドリンキングステーションのことを伺ったんですけれども、では、ボトルディスペンサーの機能がついているタイプというのは、都内に何か所あるのか伺います。

○坂井サービス推進部長 ボトルディスペンサー型のドリンキングステーションにつきましては、都内に七十六か所設置されてございます。

○福手委員 マイボトルに入れられるタイプ、このボトルディスペンサー型というのは、今七十六か所あるということでしたけれども、ぜひ増やしていただきたいと要望しておきます。
 そして、例えば、太陽光発電で稼働するような、災害時に活用できるような工夫、そういう検討が必要だと思いますけれども、いかがですか。

○坂井サービス推進部長 シンボリックなドリンキングステーションにつきましては、災害時において、施設管理者の運営体制に問題がなく、電気と水道が供給されておりまして利用可能な状態であれば、冷却された水道水は利用可能でございます。

○福手委員 電気と水が供給されている環境であれば使えるということですが、災害時の帰宅困難者対応などとして活用ができるのではないでしょうか。
 さらに、環境負荷という点を追求するという意味でも、再エネによる稼働の取組について、ぜひ検討をしていただきたいと思います。
 最後に、この取組のもう一つの意義について伺いたいと思います。
 それは、こうした水飲み場の設置は、環境に寄与するだけでなく、市民や観光客はもちろん、特に生活困窮者にも安心で質の高い飲料水を提供することになっているのではないでしょうか。
 そこで伺いますが、水へのアクセスというのは基本的人権と考えますが、水道局の認識を伺います。

○坂井サービス推進部長 水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインでございまして、安全でおいしい高品質な水の安定供給に努めているところでございます。

○福手委員 都民の生活と都市活動を支える基幹ライフラインとして安全でおいしい水の供給に努めているということでした。こういうことに基づく取組であるということも、改めて大事なことだと思います。
 環境に貢献しているこの取組のPRは、さらに工夫し、強化して取り組むことがまだまだあると私は思いますので、ぜひ推進していただきたい、そのことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○中村委員 それでは、水道局の事務事業について質問します。
 最初に、徴収業務等について伺います。
 物価高騰の影響は様々なところに出ています。大企業の業績が好調との報道がありますが、非正規雇用の方や中小企業の従業員など、賃金が上がらず、暮らしが厳しいという多くの都民の方がいます。様々、生活費を切り詰めても、水道が止まると命に関わるため、水道料金の滞納というのはかなり厳しい状況になっていると推測されます。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻による原油高から物価高と、ここ数年厳しい状況が続いています。
 物価高騰により暮らしが厳しい都民も多くいますが、水道料金の滞納状況について、五年前と比較してどうなっているのか伺います。

○坂井サービス推進部長 令和四年度末の未納残金額につきましては、約九億二千万円でございまして、平成三十年度末の未納残金額は約六億一千万円でございます。

○中村委員 様々な要因はあると思いますが、この五年で滞納が六億円から九億円と、一・五倍にもなっていることには驚きました。もちろん、払えるのに払わない人にはきちんと払ってもらうということだとは思いますが、水道事業は、人が生きるのに欠かせない水を供給する事業であり、単純に水を売って料金をもらうというだけではなく、命をつなぐ意味でも最大の福祉事業でもあり、公が担う責任があると思います。
 どうしても払うのが厳しい方には、分納、延期、そして、減免が必要であり、急激な物価高騰の今、さらなる展開が必要ですが、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 当局は、地方公営企業として、独立採算の下、受益者負担の原則によりまして、安全なおいしい水の安定供給に対する対価として、お客様から水道料金をお支払いいただいているところでございます。
 また、料金のお支払いが困難なお客様には、個別の事情により、支払い期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧な対応を行ってございます。

○中村委員 受益者負担はもちろん当然ですが、原則なので、本当に厳しい事情があれば、延長や分納だけではなく、減免もやむを得ないとは思います。
 政策的にも、こうした物価高の折に、都民生活を支えるため、滞納者だけではなく、低所得者層に対する料金の引下げ等もあってもおかしくない状況にはあります。確かに受益者負担ではありますが、水は命に欠かせないものなので、公としての対応をお願いします。
 とはいえ、水道料金を滞納している世帯において、生活保護の制度を知らなかったり、知っていても受けないという方もいます。日本的な考え方の中で、生活保護を受けることを潔しとしない方もいるようですが、生活保護を受けるのは権利なので、要件に当てはまる方は受給していただくのもよいと思います。
 公が担う役割として、こうした方々を福祉につなげることが必要ですが、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、生活にお困りの方へ福祉部署への相談を呼びかける案内を催告文書に記載するなど、相談しやすくするための取組を実施してございます。

○中村委員 公営企業とはいえ、同じ公共部門ですから、福祉事務所等とも連携していただきたいと思います。
 一旦生活保護になっても、それが生活再建につながれば、水道料金を払っていただけることもあるかと思います。文書への記載だけではなくて、積極的な情報提供をお願いします。
 さて、急激な物価高騰に関して、水道局の業務への影響について伺います。
 急激な物価高は資材の高騰を招き、追いついてはいないとはいえ人件費も高騰はしています。水道局が発注する業務について、工事契約や業務委託での影響もあります。業者と契約した時点では予想がつかないくらい高騰してしまうと、業者としても大変厳しくなります。業者の経営もそうですが、そこで働く人を守ることも公の役割としては考える必要があります。
 しかし、委託契約について、例えば検針業務等の業務委託は、人件費が大半を占めているにもかかわらず、工事契約のような人件費等の高騰を反映するスライドの制度がないため、物価高騰の中で厳しい状況にあります。
 この物価高騰に際して、委託事業についても物価スライドの対象にすべきですが、見解を伺います。

○西川経理部長 委託契約は、その業務内容が多岐にわたりますとともに、積算手法も様々でありますことから、物価高騰に対応するスライド制は想定しておりません。

○中村委員 工事と委託とは確かに仕組みが違うのですが、委託にしては、全く根拠なく委託費を決めているわけではなく、実際は、委託する業務を何人で、何日かかるとの計算をしているはずです。
 工事は国の仕組みがあり委託にはならないというものの、都独自で行うことは問題がありません。困るのは結局働き手ですから、公の責任として、工事だけではなく、業務委託についても、契約後の社会的状況において物価が高騰した場合には、委託費にも反映させることを求めます。
 さて、今、検針業務についてお話をしましたが、技術革新が進み、スマートメーターの普及が進んでいます。
 スマートメーターの普及が進んでいるわけですが、将来的には全て入れ替わるときが来ますが、完了の目標はいつでしょうか。また、どのような順番で設置をしていくのか伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務
当局では現在、令和四年度から六年度を計画期間とする水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づきまして、二〇三〇年代までの全戸導入に向けたスマートメーターの効果確認を行っております。
 令和七年度以降の具体的な取組につきましては、その結果を踏まえて検討することとしております。

○中村委員 二〇三〇年代というと、二〇三〇年から二〇三九年までと幅があるのですが、二〇二二年度に始まり、遅くとも二〇三九年までに設置を検討しているということです。
 設置が完了するまでになりますが、この検針業務については、現在、検針員さんが行っています。しかし、お話を聞きに行ってみると、場所によっては、高さ二メートル以上あるもろい細いブロック塀の上を歩いて水道メーターに接近せざるを得ない危険を伴う所があったり、常に大型車が停車されていて移動してくれないため、非常に困難な所に設置をされている場合もあるといいます。また、大声でどなって検針員を威嚇するといった利用者からのハラスメントで、検針が容易ではない所もあるといいます。
 いずれはスマートメーターを設置するとはいえ、こうした技術があるのでしたら、積極的に導入することで危険や負担を減らすことができます。
 こういう場所を先行してスマートメーターを設置するとよいのですが、見解を伺います。

○鈴木企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和七年度以降の具体的な取組につきましては、先行実装プロジェクトの結果を踏まえて検討することとしております。

○中村委員 プロジェクトの結果を踏まえてとのことでした。
 技術というのは、真に必要なところに使ってこそだと思います。公の業務としてせっかくの技術を人の安全に使えるよう、検討をお願いします。
 また、物理的な困難さもあれば、人によるハラスメントが原因だとも思いましたが、今、こうした顧客の地位を背景として、ハラスメント、いわゆるカスタマーハラスメントが社会的にも問題になっています。
 現在、カスタマーハラスメント対策については、立憲民主党から第三回定例会の代表質問で知事に質問し、知事からは、公労使会議で検討するとの答弁がなされ、定例会後、検討が始まりました。
 水道局でもカスタマーハラスメントの実態をどう捉え、対策しているのか伺います。

○長嶺総務部長 都では、カスタマーハラスメント対策を含めた行政対象暴力対応マニュアルを策定しており、日頃からお客様等と接する機会が多く、対策が重要となる当局におきましても、これを周知しております。
 また、カスタマーハラスメントなどへの具体的な対処方法を職員に習得させるため、不当要求防止対策研修を実施しているほか、総務局主催の行政対象暴力対策講習会への職員参加を促しております。

○中村委員 不当なカスタマーハラスメントをなくすためにも早期の条例制定を求めていきますが、水道局においても、事例などがあれば、都での検討会議に伝えていただきたいと思います。
 次に、玉川上水について伺います。
 二〇〇七年に羽村取水口から四谷大木戸までを対象として、史跡玉川上水保存管理計画書が策定され、二〇〇九年には、水道としては使われていない小平監視所から暗渠となる手前の浅間橋までの中流部を対象とした、史跡玉川上水整備活用計画が策定されました。先日、この改定に関わる検討状況について住民説明が行われました。
 この改定前の計画は二〇一九年度まででしたが、当面延長していたものです。今回の改定で従来と違うのはどこでしょうか伺います。

○西川経理部長 当局では、ケヤキ等の巨木化、台風による倒木被害の増加、ナラ枯れなどの新たな課題に対応するため、学識経験者等により構成される史跡玉川上水整備活用計画検討委員会を設置し、整備活用計画の改定の検討を行っております。

○中村委員 前回の計画とは大きく変わってはいないようですが、新たな課題への対応を追加したということのようです。
 計画期間が当面延長されていたとはいえ、当初策定時の期間を超えてしまっていたので、改定することはよいことだと思っています。
 ただ、玉川上水には関心を持つ人は非常に多くいます。小平から小金井、武蔵野、三鷹、杉並と、市民グループの方々は連携して活動しています。重要な史跡でもあり、良好な自然環境を提供しているものでもあります。
 多くの方が関心を持ち、私も玉川上水に関する説明会にはよく参加しているんですが、今回は、十一月七日の十四時、ちょうどこの公営企業委員会が開かれ、交通局に質問していた時間に行われたので、残念ながら参加できませんでした。
 多くの人の意見を聞くことは必要ですが、なぜ平日の昼間に説明会を行ったのでしょうか。平日の夜か週末にやるべきではなかったのでしょうか。今後はどのように都民の意見を聞くのか伺います。

○西川経理部長 当局では、毎年度、平日夜に開催しておりますのり面の補修などに関する地域住民への作業説明会におきまして、今年度は、計画改定についてもご意見を聞いております。
 これに加えまして、より多様なご意見を伺うため、今回の説明会は平日の日中に開催いたしました。
 引き続き住民の意見の把握につきまして適切に対応してまいります。

○中村委員 夜よりも昼の方が都合のいい方もいると思いますので、全てをカバーするのは難しいかもしれませんが、インターネットの活用などを含めて、幅広く意見が募れるよう工夫をしていただきたいと思います。
 さて、玉川上水に関連する説明会に何度か出ましたが、こののり面の保護が争点になっています。住民の参加者の中には、樹木がのり面を保護していると主張し、伐採を反対します。一方、都は、樹木がのり面を壊すとして伐採しようとして、いつも紛糾します。
 そこで、のり面の保護に関して都の見解を改めて伺います。また、科学的にきちんと検証すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○西川経理部長 当局では、整備活用計画に基づきまして、水路ののり面やのり肩に生育するケヤキ等の巨木のうち、のり面等の崩壊に伴い倒壊するおそれの高い樹木について対策を行っております。
 また、のり面の形状につきましては、平成十九年度、二十六年度、令和四年度に水路の横断調査を既に実施しておりまして、その結果を計画改定に反映させていくことといたしております。

○中村委員 必ずしも意見が一致しない場合もあるとは思いますが、わざわざ説明会に来られて意見を出していただくので、丁寧に聞いていただきたいと思います。私も専門家ではないのですが、のり面をめぐっては、都と市民と考え方が全く逆になるので、広範な専門家を交えて検討することが必要ではないかと思っています。
 さて、説明会の意見では、樹木を切らないでほしいとの意見もありますが、玉川上水の沿道の方からは、枝が住宅にかかったりすることなどから、木の伐採をともいわれます。
 ただ、木の伐採は、先ほどの議論で慎重な判断をすべきですが、枝がかかって困るといっている沿道の方々への対応として枝の剪定は行う必要があると思っています。ただ、切ってほしいといわれてから切るのではなく、いわれる前に定期的に枝を剪定すればよいのではないかと思いますが、見解を伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、年度ごとにエリアを分けて、計画的に植生管理を実施し、個々の生育環境に合わせた作業に努めております。
 引き続き、地域住民等からの要望にも柔軟に対応しながら、適切に玉川上水を管理してまいります。

○中村委員 沿道の方が切ってほしいというときには既に困った状態になっているときなので、ストレスもたまり不満につながります。そういう状況になる前の適切な対応をお願いします。
 さて、玉川上水を管理するのは浄水場とのことですが、浄水場職員のメインの業務は浄水場を運営することです。本来の仕事は玉川上水をずっと観察するものではないことから、先ほどの樹木の剪定のように対応が遅れてしまいます。財産的には水道会計の所有となり、また、小平監視所より上流は、実際に水道に使われていることはあります。ただ、管理の方法を工夫することはできます。
 日常的に管理するには建設局に執行委任をするのがよいと考えますがどうでしょうか。それが難しければ、各局に関係するため、せめて局横断の会議体などを設置すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○西川経理部長 玉川上水の水路ののり面などは、水道局が水道施設として管理しておりますが、緑道などは建設局等が管理をしております。
 こうしたことから、玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会などを活用いたしまして、引き続き、関係各局等と連携し、適切な維持管理に努めてまいります。

○中村委員 建設局は、河川や緑地の管理を日常的に行っているのですから、同じ都の組織なので、より適切な対応ができるのではないかと思います。住民の方の声を積極的に生かしながら、多くの方が親しむ玉川上水が、貴重な史跡として保存され、かつ地域の方々にとっての自然豊かな憩いの場として提供されるよう、適切な管理をお願いします。
 次に、災害対策について伺います。
 水道事業を公が担うことの意味の一つに災害時の対策があります。
 水は最も重要であり、災害時の生活を考えると断水時間をいかに短くするのかが重要です。幹から枝にかけて対策をするわけですが、どこか一か所でも駄目になると水が出なくなってしまいます。
 断水のリスクを少しでも減らすようシミュレーションをして、対策を早期に進めるべきですが、見解を伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、貯水池から浄水場、水道管路に至る水道システム全体の耐震化を計画的に推進しております。
 また、個々の施設が機能停止しても給水を確保できるよう、送水管のネットワーク化など、バックアップ機能の強化にも取り組んでおります。

○中村委員 早急に耐震化を進めて、大きな地震があっても大丈夫なようにしていただきたいと思います。
 一方、給水の最後のところで私有地の各家庭につながりますので、せっかくそこまで水が来ても断水してしまうおそれがあります。水道局自身の耐震化を急いでいただきたいのですが、私有地における耐震化も進むような普及啓発をお願いします。もちろん、親切を装った悪質な業者もいますので、詐欺にも遭わないような注意喚起も併せてお願いします。
 さて、昨今では地震も心配ですが、富士山の噴火の可能性もあるといわれています。
 火山灰が浄水場に降ると水道が止まるといわれるため、対策を急ぐ必要がありますが、見解を伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、富士山噴火の際の降灰について、国の中央防災会議のシミュレーションを基に、浄水場の水処理への影響について調査、実験を行っております。
 その結果、長沢浄水場については、降灰時に水質基準値を超えるおそれがあるため、沈殿池にシート型の覆蓋を設置するための工事を進めております。
 なお、その他の大規模浄水場につきましては、既存の施設で対応できることを確認しております。

○中村委員 昨今の自然災害は、私たちの想像を超えるような想定外のことも起きています。新型コロナウイルスも、医学が発達した現在において、三年間も行動が制限されるような状況が来るとは誰も思いませんでした。この富士山の噴火への対応については取り組むようですが、想定外まで想定するぐらいの最悪なシナリオを想定しての対応を求めたいと思います。
 次に、有機フッ素化合物、PFASへの対応について伺います。
 水道において最も大切なのは安全な水を提供することですから、このPFASの問題は適切な対応が必要になります。
 水道局でも多摩地域の水源井戸の水質検査を行いましたが、国が定める暫定基準値である五十ナノグラムを超える井戸も見つかりました。
 都民の健康のため最大限配慮することが必要であり、基準を超えた井戸は停止すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○大友技術調整担当部長 当局では、給水栓において水質基準など国が定める基準を遵守することにより、水道水の安全性を確保しております。
 また、給水栓においてPFOS及びPFOAが、国が定めた暫定目標値を超過するおそれのある場合は、原因となっている井戸を直ちに停止しております。
 この対応により、給水栓における値は暫定目標値を大幅に下回っており、水道水の安全性を確保しております。

○中村委員 今の答弁では、給水栓において暫定目標値を下回っているから大丈夫とのことでした。
 しかし、PFASが検出されたと分かっている井戸をそのまま使うことには不安が残ります。まだまだ分からないことが多いPFASですが、可能な対応を行うべきだと思います。
 それでは、仮に給水栓で基準を超えたらどうするのでしょうか。浄水場で混ざってしまうので、どの井戸が原因と分かるのでしょうか。現在百三十一か所の給水栓で監視しているのですが、もっと増やしてはどうでしょうか、見解を伺います。

○大友技術調整担当部長 当局では、給水栓のほか、稼働中の全ての井戸等について定期的にPFOS及びPFOAの検査を行い、給水栓において暫定目標値を超過するおそれのある場合は、原因となっている井戸を直ちに停止しております。
 また、当局では、水質検査が義務づけられている水質基準項目について、百三十一か所の給水栓で検査を行っており、PFOS及びPFOAについても、これと同等の箇所で検査を行っております。

○中村委員 定期的に検査をしているとのことでしたが、都民の健康に関わることなので、検査の頻度を増やし、万が一暫定目標値を超えた場合も、すぐに発見し対応するよう求めます。
 多摩地域では、河川からだけを水源とせず、多くの井戸から水を供給しています。この水源のうちの井戸水はどのくらいの量で、全体の中のどのくらいの割合でしょうか。基準を超えたPFASが発見された井戸を止めると、水の供給にどの程度影響が出るのか伺います。

○大友技術調整担当部長 令和四年度の地下水揚水量は一日平均で七万二千立方メートルであり、多摩地区の配水量に占める割合は約六%でございます。
 現在、井戸から取水している水道施設の給水栓における値は暫定目標値を大幅に下回っており、直ちにそれらの井戸を停止する状況にはございません。

○中村委員 井戸からの水は、全体の六%とのことでした。もちろん全体の量が大きいので、六%とはいえ大量の水だと思います。暫定目標値を超えている水も浄水場に入れていることになります。
 では、浄水場ではどのようにPFASを取り除くのでしょうか。PFASの井戸を止めないとしたら、浄水場で取り除く機能の強化は必要ではないでしょうか、見解を伺います。

○大友技術調整担当部長 当局では、給水栓において暫定目標値を超過するおそれのある場合は、原因となっている濃度の高い井戸を直ちに停止しております。
 この対応により、現在、給水栓における値は暫定目標値を大幅に下回っており、水道水の安全性を確保しております。

○中村委員 今のお答えですと、逆にいえば、給水栓において暫定目標値を超えるおそれがないと、濃度が高い井戸でも止めないということになります。高い濃度と分かっていて浄水場に入れることは慎重であるべきだと思います。
 さて、PFASの問題は大きな問題であり、多くの部門がある都庁が一丸となって取り組む必要があります。環境局や都市整備局など都庁内に関連する部署が多いため、都庁の横断的組織が必要ではないでしょうか。最低限、連絡組織があってもよいと考えますが、見解を伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、PFOS等の測定結果に加え、水道水質に関する国の動向などの必要な情報の共有等、各局と連携して対応を進めております。

○中村委員 多くの局が関わるので、縦割りになってしまいます。ぜひ、知事がリーダーシップを発揮して、局を横断する組織体制による対応を求めます。
 さて、本来は、PFASは自然界に存在しないものなので、原因を突き止めて、きれいな水源を取り戻すべきではないでしょうか。徹底した原因究明をすべきです。特に横田基地の立入調査が必要だと考えますが、見解を伺います。

○大友技術調整担当部長 水道事業者の責務は、国が定める水道法における水質基準などを遵守して水道水を供給することであると認識しております。
 当局としては、引き続き、給水栓で国が定めた暫定目標値を下回るよう、徹底した水質管理を行ってまいります。
 なお、横田基地の敷地内に水道局の水源井戸はないため、お答えする立場にはございません。

○中村委員 横田基地の担当は都市整備局だと思いますが、水道局は、井戸がないから関係ないとはいい切れないと思います。オール都庁として対策すべき課題であり、改めて横断的組織の設置を求めます。
 さて、多摩地域では、一部を除き多くの市や町が都に水道を一元化しています。しかし、やはり住民に最も身近な基礎自治体と連携する場面もありますので、情報の共有化が必要です。都としても積極的に市や町とも連携すべきです。
 東京都市長会が来年度予算要望の中で、水道水の値が暫定目標値を超えた場合は直ちに該当する市に連絡することとありますが、現状はどのような連絡体制になっているのでしょうか。連携を密にすべきですが、見解を伺います。

○大友技術調整担当部長 当局では、市や町に対し、局の取組や水質検査結果について、継続して情報提供をしております。

○中村委員 PFASではなく少し事例は違うかもしれないんですが、新型コロナのときの対応のときに、都の保健所が当初、市町村に情報提供しなかったため、在宅療養者の支援が遅れてしまいました。こういったPFASの問題についても、都と住民とはやはり距離が遠いので、身近な市や町とも、情報提供から初めて連携する場面もあると思います。ぜひ、市や町との連携強化をお願いします。
 さて、最後のテーマとして、グループ経営について質問します。
 水道事業の民営化を主張する人もいますが、都議会立憲民主党としては、九月の定例会の代表質問で、水道事業の民間譲渡、民営化はあってはならないとして、小池知事に水道事業の公営堅持について見解を伺いました。知事は、水道局と政策連携団体のグループ経営を推進することによって、首都東京の都民生活と都市活動を支えている、今後とも、東京水道グループが一丸となって強靱な水道システムを構築し、現在及び将来の安定給水を確保すると答弁しました。つまり、直営堅持を求めたところ、グループ経営と答えました。
 その意味は、民間委託ではないということでよいのでしょうか。政策連携団体を含めて責任を都が取るということでよいのか、見解を伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、当局の責任の下で、局と東京水道株式会社が水道事業の基幹的業務を担う一体的事業運営体制によるグループ経営を推進していくこととしております。

○中村委員 直営堅持という言葉は使いませんでしたが、都が責任を持つということなので、直営堅持と受け止めたいと思います。
 とはいえ、水道局だけではなく、東京水道株式会社を含めての経営とのことです。しかも、業務の移管を進めるとのことです。都が責任を持つといいながらも、極端にいえば局長一人が都の職員で、あとは東京水道に移管してもグループ経営といい張れてしまうんですが、直営堅持のためには、都もある程度の専門性や現場を持たないと東京水道株式会社をうまく統制できないのではないでしょうか。
 本来水道局が行う業務について、どこまで東京水道株式会社に移管するのか伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、水道事業の基幹的業務を当局と東京水道株式会社が担う一体的事業運営体制の下、同社への現場業務の移転を進めることとしております。
 この業務移転に当たりましては、局と団体とが共同で策定した東京水道グループ人材育成方針に基づき、相互に連携しながらグループ全体で人材育成を図ってまいります。

○中村委員 現場業務は基本的に東京水道に移転するようです。一体とはいっても別会社ですから、一定程度、都が専門性を有することは必要ではないかと思っています。公共性が保たれるような経営形態が望ましいと思います。
 グループ経営ということなので、方針は水道局が決め、東京水道サービスはそれに基づいて経営がされるということになります。そうなると、東京水道株式会社の経営陣が屋上屋になるのではないでしょうか。
 都の職員は公務員で試験を受けてなりますし、東京水道株式会社の職員も当然会社の採用試験があります。しかし、東京水道株式会社の経営陣は、何の試験もなく都が任命できるわけですが、それに関してどのようなことなのか、見解を伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の意思決定等に対するグループとしてのガバナンスを確保するため、取締役会及び株主総会の手続を経て、同社の取締役に局職員が就任しているものでございます。

○中村委員 東京水道の資本は八〇%が都で、二〇%が金融機関などの民間会社とのことです。東京都の支配下に行われるわけですが、資本関係からして完全に都の経営方針の下に置かれますが、そのことが従業員の意欲の低下につながらないかの懸念がされます。公務員でもないので安定性には欠けるので、それ相応の対応がないと意欲が低下して、時には不祥事も起きかねません。
 実際、私も、当時の公営企業委員会にいたので質疑もしたんですが、二〇一九年に東京水道サービスで問題が発生し、特別監察が入っています。
 東京水道株式会社で過去に不祥事が発生した際は、経営プランなどに触れられているのでしょうか。過去の反省があるからこそ二度と繰り返さないんです。こうした不祥事こそが、改革の原点として記載すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 当局では、平成三十一年四月に東京水道グループコンプライアンス有識者委員会を設置し、統合前の東京水道サービス株式会社に対する特別監察の再発防止策の検証のほか、グループ全体のコンプライアンス強化に向けた取組を推進してまいりました。
 また、令和三年三月に策定いたしました東京水道経営プラン二〇二一におきましても、政策連携団体との一体的な経営の推進に向けた業務の質の向上のため、グループ全体のコンプライアンスの徹底に向けた体制整備を掲げてございます。

○中村委員 コンプライアンスの徹底は当然だと思います。過去のことをいつまでも問いただしたいということをいっているのではなく、起きたことは事実ですから、なかったことにせず、しっかりと改革すべきという趣旨で述べさせていただきました。
 この特別監察で指摘された事項に関する経営改革は、今、取り組まれているのでしょうか。当時の委員会の議論で明らかになったことで、例えば管理職が、ほとんど局からのいわゆる天下りであって、生え抜きの管理職がほとんどいなかったということがありました。生え抜きの職員は意欲を失ったのではないかといわれ、改善するとのことでしたが、変わったのでしょうか伺います。

○小澤経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、社員のモチベーション向上のため、課長昇任試験における選考方法の見直しや、若手社員の自主的、自発的な業務改善提案の業務への反映などの取組を進めてまいりました。
 その成果として、例えば、固有社員の管理職は、会社統合時の九十五人から百十八人に増えてございます。

○中村委員 先ほどもいいましたが、東京水道が駄目だから監視しろという趣旨の質問ではなくて、株式会社である子会社を含めてグループ経営ということであるならば、公務員のように身分の安定性がない中で、それ相応の待遇が必要であり、使命感とやりがいを持って業務に従事してもらうことが必要だということです。
 グループ経営についても質問したものの、最後は都が責任を持つわけですから、質問してきたように、低所得者への対応や災害への対応、PFASへの対応における品質の保持など、いずれも公だからこそ担える事業です。安易な民営化の議論にはなってはいないのは幸いですが、都が責任を持ち、グループ一体となって、都民に安全でおいしい水を提供し続けていただくことを求めて、質問を終わります。

○あぜ上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十四分開議

○あぜ上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○岩永委員 それでは質問をいたします。
 都民のライフラインとして重要な水道事業の危機管理対策について質問します。
 まず最初に、水道施設での覆蓋化の取組を伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 当局では、浄水処理の最終工程である急速ろ過池の覆蓋化を実施し、全ての浄水場で完了しております。
 その他の施設につきましては、浄水場の更新に合わせて、順次、建屋型による覆蓋化を進めていくこととしております。
 また、富士山噴火の際の降灰により水質基準値を超えるおそれのある長沢浄水場につきましては、沈殿池にシート型の覆蓋を設置するための工事を進めております。

○岩永委員 水道水の安全性や、また、衛生面という視点、そして、富士山などの火山の噴火対策など、危機管理対策としても水道施設の覆蓋化は信頼と安心につながる取組だと思います。
 また、先ほどの質疑でもありましたが、災害対策としては耐震継ぎ手化の取組も重要ですが、こちらの取組は二〇二二年度末で五〇%完了とのことです。今後も着実に進めていただきたいと思います。
 そして、水道管の設置から四十年を超える老朽化した水道管の割合と、更新に向けたスケジュールについて伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 令和四年度末時点における法定耐用年数四十年を超える管路延長の割合は二〇・九%でございます。
 現在、取替え困難な箇所に点在する老朽管を取り替えており、令和八年度までに完了することとしております。
 また、都の被害想定における断水率が五〇%を超える地域を令和十年度までに解消する計画でございます。
 その後は、水道管の耐久性の分析により、設定した実供用年数に基づき、計画的に管路を取り替えていくこととしております。

○岩永委員 今後五年間、二〇二八年度を目途に、断水率が高い地域の更新を進められていくということです。
 水道事業は、命の源でもあります大変重要なライフラインですので、計画に合わせて、しっかりと取り組んでいただくようにお願いをいたします。
 次に、人材育成と人材確保の取組について伺います。
 全国管工事業協同組合連合会によりますと、所属する事業者数は、二〇二二年度、一万五千社で、この数はピーク時の二〇〇〇年度から約四割も減っているとのことです。
 水道局においても、工事の管理監督などを担う技術者の確保が難しくなっていることや、工事を設計できる技術系の職員も少なくなっているなど、課題が挙げられております。
 そこで、水道局における技術者の確保と育成の取組を伺います。

○船川職員部長 人材育成等につきましては、基幹業務を担う当局と政策連携団体が一体となって取り組んでいくこととしております。
 そのため、当局では、団体と共同で策定した東京水道グループ人材育成方針に基づきまして、組織的なOJT、共同研修や相互派遣などの取組を実施し、グループ全体で技術やノウハウの着実な継承を図っております。

○岩永委員 技術やノウハウを確実に継承していくことや、発注者として都の職員が技術的な視点からチェックできる体制のためにも、やはり人材育成と人材確保は大変重要です。政策連携団体と一体となって取り組んでいくということですので、この点、組織的な取組をよろしくお願いいたします。
 次に、玉川上水について伺います。
 史跡玉川上水整備活用計画の目的と概要について伺います。

○西川経理部長 史跡玉川上水整備活用計画は、史跡玉川上水を適切に保存管理し、後世に継承していくことを目的といたしておりまして、その中流部を対象として、水路やのり面の保全、名勝小金井桜の保存や復活などの取組を取りまとめております。
 計画期間は、平成二十二年度から三十一年度まででございましたが、整備を継続する必要があるため、当面延長しております。

○岩永委員 日本を含めた世界中で絶滅してしまった生き物や絶滅危惧種が増加をし、生物多様性が脅かされる事態がどんどん進行しています。
 国際社会は、生物多様性条約を基に、締約国会議で取り組むべき目標を定めています。気候変動問題とともに待ったなしの状況です。
 そのような中、日本では、生物多様性国家戦略を今年三月に改定、東京都は、四月に東京都生物多様性地域戦略を策定しました。玉川上水の豊かな自然と育まれる多様な生物を守っていくことが大変重要です。
 先ほどのご答弁にもあるように、史跡玉川上水整備活用計画は、二〇〇九年に策定されてから、当面の間、延長しましたが、今回の改定に向けた評価は必須です。
 この計画に基づき実施された事業の点検や検証は、いつ、どこで行われるのでしょうか。また、どのように市民に示されるのか、市民参加の取組についても伺います。

○西川経理部長 当局は、整備活用計画に基づくこれまでの取組を取りまとめるとともに、玉川上水の中流部を対象に水路の測量調査や植物調査などを実施しております。
 これらを踏まえまして、現在、当局では、史跡玉川上水整備活用計画検討委員会における専門家の意見もいただきながら検証を実施しており、委員会の配布資料や議事録はホームページにおいて公開しているほか、本年十一月七日には住民説明会も実施しております。

○岩永委員 史跡玉川上水の整備活用計画の再検討に当たり、検討委員会が開催されておりますが、検討委員会に配布された資料にも、また、これまでの議事録にも、玉川上水が都の風致地区に指定をされていること、また、都の歴史環境保全地域に指定されていること、そしてさらに都の景観基本軸に指定されているということが一切触れられておりません。一方、名勝小金井桜のように名勝指定については多くの記載があり重要視されています。
 玉川上水の管理計画を策定するに当たって、重要視される法や条例などの違いについてのご説明をお願いします。

○西川経理部長 史跡玉川上水を適切に保存管理するための指針であります史跡玉川上水保存管理計画書は、玉川上水が、風致地区、歴史環境保全地域、景観基本軸などの指定を受けていることを明記しております。
 この保存管理計画書を基に具体的な施策を取りまとめた整備活用計画は、これらの指定を前提としており、今回の計画改定に当たっても、これは変わるものではございません。

○岩永委員 保存管理計画を基にということでありました。
 次に、委員の選任について伺います。
 小金井桜を推進する委員が重要なポストに選任されることで、管理の方向性が名勝小金井桜の復活に偏るのは当然だと思われますが、検討委員会の人選は、誰がどのようにしているのか伺います。

○西川経理部長 史跡玉川上水を適切に保存管理し、後世に継承していくためには、土木学、歴史学、景観生態学、生物多様性などの様々な知見が必要でございまして、当局は、これらの分野について見識を有する専門家六名を整備活用計画検討委員会の委員に委嘱いたしました。

○岩永委員 小金井市では、整備活用計画によって桜だけが残され、桜以外の樹木は皆伐されました。
 整備活用計画の再検討に際しては、まず、都民の声を先に聞き、そして、それを踏まえて計画を検討すべきであり、有識者の価値観だけで整備活用計画を策定することは避けるべきと考えます。
 広く都民の声を整備活用計画にどう反映するのか、水道局の見解を伺います。

○西川経理部長 当局では、整備活用計画検討委員会において、計画改定に当たっては地元住民の意見を聞くべきとの意見が出されたことも踏まえまして住民説明会を開催しており、そこで寄せられた意見を検討委員会に報告することとしております。

○岩永委員 このように、桜以外の樹木が皆伐された小金井地区については、大変大きな変化があった区域ですから、市民の意見の聴取も含め、丁寧な検証が必要と考えます。
 気候変動、異常気象の時代においての小金井市の名勝区間の管理の在り方について、都の考えを伺います。

○西川経理部長 名勝区間における山桜並木の保存や復活に当たりましては、桜を覆う樹木の伐採や苗木を植える場所の選定につきまして、地元自治体を通じて地域住民の意見を取り入れております。
 引き続き、地元自治体と作業に関する情報を共有するなど連携を図り、玉川上水の樹木管理などを丁寧に行ってまいります。

○岩永委員 専門家の調査によりますと、樹木の多様性が鳥類の多様性にも決定的な影響を及ぼすということが分かっております。
 玉川上水では、桜以外を皆伐した小金井地区が鳥類の多様性が低いということが指摘をされておりまして、生物多様性を守るべき都の方針に照らしても大きな課題があります。
 玉川上水を管理する水道局として、この状況をどう考えるのか伺います。

○西川経理部長 本年九月に開催いたしました整備活用計画検討委員会でご報告いたしましたとおり、令和二年から三年にかけて小金井市教育委員会が実施した調査によりますと、山桜並木が整備されてきた区域では多様な草花が確認されております。
 引き続き、多様な自然環境を維持できるよう、適切な植生管理を行ってまいります。

○岩永委員 第三者も含めた調査に基づき、整備活用計画を科学的に評価する必要がありますが、どのような調査を計画しているのか伺います。
 また、史跡玉川上水整備活用計画検討委員会が、調査や評価の役割を果たすことになるのでしょうか。そうでない場合は、都の組織が行うことになるのか伺います。

○西川経理部長 当局では、現在、玉川上水の中流部を対象に、水路の横断測量調査や植物調査などを実施しており、これらの調査結果を整備活用計画検討委員会に報告して意見をいただきながら、整備活用計画に基づく取組の検証を行っております。

○岩永委員 これまで、継続的なのり面の流出量の測定調査を行わずに管理が進められてきました。測定がなければ、管理方法が妥当か否かの評価もできません。
 今後は、木を切った箇所ほど土壌流出が加速するという一般学説を確認するためにも、継続的な測定を行い、のり面の後退の実情を把握すべきと考えますが、水道局の見解を伺います。

○西川経理部長 当局は、のり面の形状の変化を把握するため、平成十九年度、二十六年度、令和四年度に水路の横断測量調査を実施しておりまして、引き続き玉川上水の保全に必要な調査を行ってまいります。

○岩永委員 引き続き調査は行っていかれるということなんですが、水道局としては、環境よりも名勝優先という考え方ではなく、のり面も含め、史跡としての玉川上水を次世代へと適切に保存をし、伝達していく役目があります。
 玉川上水の生物多様性は、部局の縦割りを超えて、環境局、建設局を含む複数の組織が統一的な体制で取り組む必要があると思いますが、庁内連携の取組について、水道局としてどのように考えているのか伺います。

○西川経理部長 当局では、関係五局などによる玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会や、玉川上水の緑の保全事業に係る庁内連絡会議を活用し、情報共有に努めております。

○岩永委員 関係五局の詳細を事前に確認させていただきましたが、環境局、建設局、政策企画局、教育庁、水道局ということだと思います。
 この整備活用計画は、支障木以外の樹木ものり面を壊す存在、のり面に悪影響を与えている存在としています。その解釈は、林学や砂防学などの通説の真逆であり、科学的根拠も示されておりません。
 整備活用計画にあるこの解釈を新整備活用計画では是正するのか伺います。

○西川経理部長 整備活用計画では、水路ののり面やのり肩に生育するケヤキ等の巨木のうち、のり面等の崩壊に伴い倒壊するおそれの高い樹木について対策を行うこととしております。
 今回の整備活用計画の改定におきましても、この考え方の下、整備活用計画検討委員会で意見をいただきながら、樹木の管理について検討してまいります。

○岩永委員 倒壊するおそれの高い樹木についての対策ということで、二年前、二〇二一年十一月の水道局の事務事業質疑で、玉川上水の過去十年間の樹木の伐採本数、これはのり面だけではありませんが、お聞きをしましたところ、二〇一一年度から二〇二〇年度までの十年間で、合計二万四千七百九十二本の木が伐採されたということでした。
 その後、さらに二年間が経過をしましたので、この間の状況を含めて、改めて確認したいと思います。
 二〇二一年度、二〇二二年度の伐採本数について伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 整備活用計画の対象区域であります小平監視所から杉並区の浅間橋までの間において樹木を伐採した本数は、令和三年度は四百七十六本、四年度は百七十七本でございます。

○岩永委員 この二年間では、合計しますと六百五十三本が追加で伐採をされたということでした。
 これまで、毎年約一億円をかけて玉川上水の木を二千本以上、樹木が毎年伐採をされてきましたが、生物多様性保全との整合性について水道局はどのように考えているのか、認識を伺います。

○西川経理部長 当局では、水路、のり面の崩壊防止や倒木による被害防止などを目的として、樹木の植生管理を実施しております。
 引き続き、緑の保全や生物多様性にも配慮しながら、適切な玉川上水の管理に努めてまいります。

○岩永委員 現在の整備活用計画は、今後の玉川上水の保全にも非常に重要な計画になると思いますので、そういった部分については広く都民の声を聞きながら、また、生物多様性という、東京都も方針を出しておりますけれども、その視点をしっかりと取り入れながら進めていただくように要望をいたします。
 それでは、次の質問に移ります。
 水道水源井戸とPFAS汚染について伺います。
 地下水のPFAS汚染は全国的な問題となっていますが、多摩地域では住民の不安が広がる情報が報道されています。先日も、横田基地に泡消火剤が混入した水が百四十万リットルも保管されていると大きく報じられました。
 水道局では、二〇一九年からPFASを理由に水道水源井戸の取水停止を始めています。PFAS汚染を理由に取水を停止している井戸が、昨年度は三十四本でした。その後の状況について伺います。

○大友技術調整担当部長 令和四年度に、工事等により運用を停止していた水源井戸六本について、工事完了後も引き続き運用を停止した結果、本年十月末時点で、PFOS等を理由として停止している水源井戸は、合計四十本でございます。

○岩永委員 多摩地域で水道局が持っている水源井戸は、現在二百七十七本で、これまでに休止をしている井戸が三十本です。加えて、工事などで停止をしている井戸もありますが、この運用可能な井戸が、二百四十七本のうち四十本がPFASによって停止をしているということです。
 次に、先ほども出ましたが、地下水の揚水量について伺います。
 地下水の揚水量は年々減少しています。多摩地域で水道局がくみ上げている地下水の一日平均揚水量は、二〇〇二年、二十七万二千立方メートルでしたが、PFASによる取水停止が始まる前の二〇一八年度には十四万二千立方メートルとなっていました。
 先ほど答弁があった四十本の取水停止井戸がある浄水所からの配水地域は、立川市、府中市、調布市、小金井市、小平市、国分寺市、国立市、西東京市の八市です。それでも、停止した八市以外の水源井戸は取水が続いており、同じ浄水所または給水所の井戸でも取水できる井戸もあります。
 そこで伺いますが、二〇二一年度、多摩地域二十六市町の地下水の一日平均揚水量は八万七千立方メートルでした。二〇二二年度の揚水量と配水量に占める割合を伺います。

○大友技術調整担当部長 令和四年度の地下水の一日平均揚水量は七万二千立方メートルであり、多摩地区の配水量に占める割合は約六%でございます。

○岩永委員 本当に減り方が激しいです。多摩地域でも場所によって差はありますが、私の地元の国分寺市の場合、以前は地下水の割合が五、六割ありました。しかし、現在は一割を割っており、東恋ヶ窪浄水所はゼロになってしまいました。多くの市民の声からも、PFAS汚染の影響がいかに大きいかが分かります。
 次に、取水停止井戸も含めて継続的に測定をしておりますが、検出数値の変化はどうか伺います。

○大友技術調整担当部長 現在の検査方法で検査を開始した令和二年二月以降、水源井戸の検査結果に大きな変化は見られません。

○岩永委員 暫定目標値設定に伴って検査方法が決まり、二〇二〇年からその方法で検査をしているということだと思います。それで、これまで、その測定値に大きな変化はないということです。今後も継続的に検査をしていただきたいと思います。
 生活者ネットワークは、長らく地下水を水道水源として使い続けていくよう求めてきました。もちろん汚染された水を飲み水にすることはできません。しかし、将来、復活できるように準備すべきです。
 水道局は、地下水を貴重な水源と枕言葉のようにいっておりますが、貴重な水源という位置づけを現実のものとするために、環境局などと連携をし、汚染源の特定を進め、汚染除去の研究をぜひとも行うよう要望いたします。
 次に、狛江アパートの漏水について伺います。
 都営狛江団地の商店階部分で二〇二一年五月に起こった水道の漏水は、二年半たった今も漏水を止める工事が行われず、水が流れ続けていると聞いています。
 昨年三月の委員会でこの問題について質問しましたが、その後の経過について確認をします。
 この間、都営住宅担当との協議はどれぐらい行われたのでしょうか。また、狛江市の行政及び住民から要望などが水道局に届いているのか伺います。

○清水調整部長 住宅政策本部とは、漏水の解消に向けた情報共有や協議、技術的助言を当局は随時行っております。
 また、直近では、十月に住宅政策本部が実施いたしました店舗所有者への説明会にも同席し、早急な漏水修繕をお願いしたところでございます。
 なお、狛江市及び住民からの要望については、当局では受けておりません。

○岩永委員 昨年の委員会質疑で、漏水量は分からないという話でしたが、水道局としても現場の状況を把握する必要があると考えます。
 現地調査は行っているのか伺います。

○大友技術調整担当部長 漏水箇所が水道メーターよりも上流にあるため、漏水量の把握はできませんが、建物内の配管部分の漏水であることから、現場状況については、従前より住宅政策本部から適宜情報提供を受けております。
 また、当局としても現場状況の把握は重要と認識しており、今月、住宅政策本部と当局で、漏水現場の目視調査とメーター部分の漏水音調査により漏水状況を確認いたしました。

○岩永委員 漏水が始まって既に二年半が経過をしています。昨年二月に地中状況のレーダー探査が行われ空洞はなかったとのことですが、さらに一年半漏水が続いているわけですから、地盤への影響も大変心配です。
 昨年の委員会でもまだ放置するのかと申し上げたところですが、この異常事態が続いていることに驚き、あきれております。一刻も早く漏水を止めることが重要であり、その思いは同じだと思います。ともかく、まずは漏水を止める工事を実施していただきたいと思っています。
 店舗所有者への説明会が十月に開催され、水道局も今月、現場調査をしたということですが、住宅政策本部と連携をし、早期解決を重ねて要望いたします。
 以上で終わります。

○伊藤(し)委員 まず、浄水場更新に向けた取組について伺います。
 浄水場は、都民に安全でおいしい水を供給するための基幹施設です。高度経済成長期に集中的に整備してきた浄水場が、今後、順次更新時期を迎えます。
 昭和三十五年に給水を開始した東村山浄水場は、施設能力が日量百二十六万五千立方メートルの大規模浄水場であり、二〇三〇年代に更新されると聞いています。
 これから始まる浄水場の更新は、今までにない大規模な事業となるため、給水に影響を与えないよう、着実かつ計画的に進めていくことが必要です。
 そこで、大規模浄水場更新に向けた今後の具体的な取組について伺います。

○橋本浄水部長特命担当部長兼務 大規模浄水場の更新は、長い期間と多額の経費を要することから、予防保全型管理による施設の長寿命化に取り組み、更新時期の平準化を図るとともに、大規模浄水場の中で最も古い東村山浄水場から更新していく計画としております。
 東村山浄水場は、更新や改良の際に施設が長期間停止することなどを考慮し、三つの系列に分けて整備しておりますが、系列ごとに更新した場合におきましても、日量四十万立方メートル程度の能力低下が生じます。
 このため、更新に伴い低下する施設能力につきましては、水源が同じ多摩川であることや立地条件や送配水の効率性等を考慮し、代替機能を確保していくこととしております。
 具体的には、境浄水場を再構築し処理能力を増強するとともに、青梅市内に新たに浄水場を整備することとしております。

○伊藤(し)委員 大規模浄水場の更新について、今後の具体的な取組を確認しました。
 これまで我が会派は、公営企業委員会での質疑を通じて施設整備の進捗状況を随時確認しており、境浄水場については、昨年の公営企業委員会事務事業質疑において、令和四年度から再構築が始まったとの答弁がありました。
 そこで、境浄水場の現在の進捗状況と今後の予定について伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 境浄水場は、大正十三年に運用を開始した多摩川を水源とする武蔵野市にある浄水場であります。
 東村山浄水場の更新に伴い低下する日量三十八・五万立方メートルの施設能力のうち、二十四・五万立方メートルを補うため、既存の緩速ろ過池の一部を処理能力が大きい急速ろ過方式の浄水施設に再構築するものであります。
 あわせて、多摩川水系に加え、渇水や大規模浄水場の停止時等に利根川水系原水の活用を図るため、他の利根川水系の浄水場と同様に、高度浄水処理を導入することとしております。
 令和四年度に既存ろ過池の撤去工事に着手しており、予定どおり今年度内に撤去が完了する見込みでございます。
 撤去工事の完了後、大規模な建屋の整備が必要となる送配水ポンプ所と高度浄水施設を整備することとしておりまして、今年度内に工事に着手する予定であります。
 引き続き、着実に整備を実施し、十三年度の完成を目指してまいります。

○伊藤(し)委員 関東大震災直後に整備された境浄水場が、最新の処理方式を備えた浄水場に再構築されるとのことでした。今年度からはいよいよ主要な施設の整備に入ることを確認しましたので、着実に推進していただきたいと思います。
 一方、青梅市内に浄水場を整備するとのことでしたが、水道局が浄水場を新設するのは平成初期に完成した三郷浄水場以来です。
 そこで、青梅市に新設する浄水場の整備内容と今後の予定についても伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 青梅市に新設する浄水場は、多摩川を水源とする日量十四万立方メートルの施設能力を有する急速ろ過方式の施設として整備するものであります。
 整備に当たっては、近年の局地的な豪雨による急激な河川の濁りや、通年にわたり発生しているカビ臭原因物質に対応できる浄水処理方法を選定する必要があります。
 令和三年度から設計に着手しており、浄水処理方法の選定に必要な水処理実験を実施するとともに、施設の規模や配置等の整備内容を検討しております。
 今後、水処理実験の結果を踏まえ、最適な水質管理や効率的な運転管理等に必要な施設の諸元を設定し、七年度から浄水施設の工事に着手する予定でございます。

○伊藤(し)委員 水道局としては約三十年ぶりとなる浄水場の新設であり、検討内容は多岐にわたると思います。これまで水道局が築き上げた技術力と経験を総動員させ、安全管理を徹底して事故防止に努めつつ、施設整備を着実に進めていただくことを求めます。
 次に、多摩地区における給水所の整備について伺います。
 さきの公営企業会計決算特別委員会の全局質疑において、府中市の幸町給水所が昨年度末に完成したとの答弁がありました。一昨年度末には、清瀬市において清瀬梅園給水所が完成し運用開始するなど、多摩地区における給水所整備が着々と進んでいることを実感します。
 そこで、多摩地区における給水所の整備目的及び取組状況を伺います。

○藤村施設部長 多摩地区の水道施設は、市町が水道事業を運営してきた経緯から、配水区域が市町域単位で設定されているとともに、小規模で老朽化した施設が多数点在し、施設管理に課題があります。
 そのため、市町域に捉われない配水区域の再編や施設の統廃合を行うことを目的に、給水所の整備を推進しております。
 現在、立川市の柴崎給水所と調布市の深大寺給水所において整備を実施しており、施設の更新に合わせて配水池容量の拡充を進めております。
 柴崎給水所については令和九年度、深大寺給水所については令和十年度の完成に向け、着実に工事を実施してまいります。

○伊藤(し)委員 多摩地区における給水所の整備目的及び取組状況を確認しました。
 さて、広大な多摩地区における給水の安定性を向上させるためには、計画的に給水所の整備を促進していく必要があります。
 多摩地区における給水所の今後の整備予定についても伺います。

○藤村施設部長 現在、福生市の福生武蔵野台給水所や町田市の小野路給水所について、施設更新に合わせた拡充のための設計を進めており、今年度中に工事に着手する予定でございます。
 府中市の若松給水所については、住宅地に囲まれた狭隘な現場状況等を考慮した施工方法を検討する必要が生じたことから、設計期間を延伸し、令和六年度に工事に着手する予定でございます。
 また、青梅市の根ヶ布給水所についても、令和六年度の工事着手に向け、今年度、設計を実施してまいります。
 今後も、東京水道施設整備マスタープランに掲げる計画一日最大配水量の十二時間分の配水池容量を確保することを目標として、多摩地区における給水所の整備を計画的に進めてまいります。

○伊藤(し)委員 給水所の整備は、多摩地区水道の安定給水の確保はもとより、強靱化を図るためにも非常に重要ですので、地元住民の理解や協力を得ながら着実に実施するよう要望します。
 次に、自家用発電設備の整備について伺います。
 停電時等においても安定給水を確保するためには、自立電源の確保が重要であるため、自家用発電設備の整備が必要です。
 水道局では、高度浄水処理に必要な電力は常用発電設備により確保し、取水、送配水などに必要な電力は非常用発電設備により確保するなど、役割に応じた設備を選定していると聞いています。また、区部の大規模な浄水場や多摩地区の小規模な浄水所など、それぞれの施設規模に応じた自家用発電設備を整備しているとも思います。
 そこで、水道施設に設置する自家用発電設備の導入の考え方について伺います。

○小泉設備担当部長 当局では、大規模停電時や電力使用が厳しく制限された場合においても、水道施設ごとに一日当たりの平均配水量を供給できるような発電規模で自家用発電設備を整備しております。
 発電設備の方式につきましては、ディーゼルエンジンのほか、大出力が必要となる浄水場などではガスタービンやガスエンジンを導入することとしております。
 さらに、導入費用や設置環境なども考慮し、水道施設の規模と役割に応じて整備を行ってございます。

○伊藤(し)委員 発電規模などに応じた方式により、自家発電を整備していることは理解しました。
 さて、自家用発電設備については、敷地内のタンクにより貯蔵が可能なLPガスを使用した避難所などでの事例が存在します。災害時の燃料確保の観点から、LPガスも有効であると考えます。
 経済産業省の資源エネルギー庁のホームページには、東日本大震災でも実証されたLPガスの強靱性という紹介がありました。
 LPガスが災害に強いエネルギーといわれる理由は、自立稼働が可能な分散型エネルギー、つまり、容器に充填して必要な場所に設置できる分散型で、独立して稼働するため、災害時でも十分に力を発揮できるとのことです、また、自家発電機用の燃料となる重油や軽油も、同じく自立稼働が可能な分散型エネルギーに位置づけられますが、重油は三か月、軽油は半年で劣化が始まるため、残念ながら長期保存には向きません、この点、LPガスには品質劣化や機材を腐食させるなどのリスクもなく、長期保存が可能ですとありました。
 災害時を想定すれば、LPガスを含めた多様な選択肢が必要という前提の中で、水道施設においてもLPガスの導入を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。

○小泉設備担当部長 自家用発電設備の燃料について、灯油や軽油などの液体燃料に加え、都市ガスやLPガスを使用し多様化を図ることは、停電時の安定給水を確保するために重要であると認識しております。
 LPガスを使用した自家用発電設備は、発電規模は小さいですが、低騒音などの特性があり、多摩地区の小規模な水道施設に導入した実績がございます。
 今後の整備に当たりましては、設置場所の地形、敷地面積などを踏まえた費用対効果、燃料の調達性等について比較しながら検討を行ってまいります。

○伊藤(し)委員 気体燃料や都市ガスに加え、LPガスも導入していることは理解しましたので、より一層の燃料の多様化に向けて、災害に強いLPガスの積極的な導入も求めておきます。
 続いて、水道工事の現場における熱中症対策について伺います。
 私は、さきの第三回定例会の一般質問において、中小建設関連事業者の猛暑対策について質問しましたが、十一月になっても夏日が観測されるなど、この夏からの気温の上昇傾向は続いており、来年以降の夏についても、今年と同様となることを想定する必要があります。
 熱中症警戒アラート発表時には、発注者側から工事の中止や費用の精算を制度化することについて中小の事業者から要望が届いていると、さきの定例会でも指摘し、財務局からは、事業者団体との意見交換等の場を通じ、実態の把握に努めるとの答弁がありました。
 そこで、中小の事業者においても猛暑の中でも安全に働けるよう、事業者の声を聞き、制度の実効性を確保する必要があると考えますが、見解を伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 水道局では、工事現場における熱中症対策として、必要な対策費用を当初工事費へ計上するとともに、追加対策及び工期延伸に伴う経費につきましても、設計変更により対応しております。
 また、受注者に対し、工事現場などにおける熱中症の計画的な予防、対策の徹底等を求めるとともに、対策により工期への影響等が見込まれる場合には、受注者から当局へ工期延伸等の協議が可能である旨、周知しております。
 今後、取組をさらに推進するため、事業者団体との意見交換等を通じ、中小事業者の実態を踏まえた対策の実施に努めてまいります。
 さらに、追加対策及び工期の延伸について、受注者から協議しやすくなる環境づくりに向け、暑さが本格化する前の段階から、当局の工事監督部署及び受注者に制度を周知するなど、双方の理解が進むよう丁寧に対応してまいります。

○伊藤(し)委員 熱中症対策は、建設業の働き方改革の実現や作業従事者の高齢化の現状から、重要な取組であると認識しています。働く人の安全、健康のためにも、このような取組が中小の事業者に積極的に活用してもらえるよう、来年度以降もしっかりと周知、PRすることを求めます。
 次に、工事書類の削減について伺います。
 都内の建設関連業では、燃料や材料費などの高騰に苦しみ、経営環境が厳しさを増していることから、危機感を持つ事業者が多くおられます。
 また、建設業では、労働基準法の時間外労働の上限規制が来年の四月から適用され、現場での労働時間の削減は待ったなしの状況です。建設業界では、これまでも労働時間の削減に取り組んでおり、以前よりも改善傾向にはあるものの、このままでは上限規制をクリアできない建設業従事者も多くいると聞いています。その要因の一つとして工事書類の多さが挙げられており、大きな負担となっているとのことです。
 公共工事という性格上、工事目的物が適切に施工され、品質の確保を確認する上で工事書類が重要とは理解する一方で、このような建設業界が置かれた状況を踏まえますと、工事書類の削減、簡素化など、働き方改革をさらに進めるべきと考えます。
 工事書類の削減について、水道局のこれまでの取組と今後の対応について伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 当局では、令和元年度から二年度に東京都技術会議で実施した書類削減等の検討結果を踏まえ、三年四月に、十一の東京都統一様式及び五つの局独自の様式について削減や簡素化を図っております。
 さらに、業界団体からは一層の工事書類の簡素化等を望む声があるため、特に要望が多い材料関係の書類に加え、その他の書類につきましても簡素化等を図るよう、局内で検討を行っております。
 今後は、令和六年度から簡素化された書類に基づく工事の施工ができますよう、関係する仕様書等の改定に取り組んでまいります。

○伊藤(し)委員 工事書類の削減は、熱中症対策とともに、建設業における働き方改革を進める上で必要なものです。今後も、事業者の声を聞き、働きやすい工事現場の実現に向け取り組むことを求めます。
 次に、安定した水道事業を続けていくためには、管路の更新などを担っている民間の工事事業者の経営が安定している必要があります。
 そこで、工事事業者への経営支援について、水道局の取組について伺います。

○鈴木給水部長 当局では、水道事業を支える重要な基盤である工事事業者の経営安定化に向けて、都が行う中小企業支援策を周知しております。
 具体的には、令和五年一月から、経営改善の相談窓口や中小企業診断士等の派遣、人材確保やデジタル化の促進等、様々な経営支援策について、局ホームページのトップページからアクセスできるようにしております。
 また、工事事業者が訪問する事業所窓口に、事業承継等に関するパンフレットを設置し、配布しております。
 こうした取組により、工事事業者の経営環境改善を支援しております。

○伊藤(し)委員 水道局では、産業労働局の中小企業支援策にアクセスできるよう取り組んでいるとのことですが、水道工事事業者からは、希望する支援策を受けられないことや、そもそも使える支援策がないとも聞いています。
 そこで、水道局として、工事事業者の声を聞いて対応を検討していくべきとも考えますが、見解を伺います。

○鈴木給水部長 当局では、令和五年一月から、東京都指定給水装置工事事業者を対象に、新規に指定を受ける事業者への中小企業支援策の紹介や、指定の更新時期を迎えた事業者に対しアンケート調査を実施しております。
 その結果、都の施策の内容を知らない事業者がいることや、人材の育成に関する支援を求めるなどの意見を得ております。
 引き続き、より多くの工事事業者の意見の把握に努めてまいります。

○伊藤(し)委員 水道事業を民間の立場で担う事業者の支援に引き続き取り組むことを求め、質問を終わります。

○村松委員 よろしくお願いいたします。
 私からも、建設業の働き方改革について伺います。
 一日の時間外労働は減少傾向にあるものの、休日が取れないケースが多いと聞いております。四週間で八日の休みをという目標があるものの、国土交通省の資料によると、四週間当たりの休日は平均五・五九日ということで、週に平均一・四三日、実際には週に一日も休めないこともあると聞いております。建設業者の努力も必要ですが、発注者側の努力は不可欠であります。
 これまで、建設業の働き方改革対策としてどのような取組をされてきたのか伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 当局では、建設業の働き方改革の取組の一つとして、平成三十一年一月から、土木工事の約一割を対象に、週休二日制確保モデル工事を開始しております。
 その後、令和二年四月からは、原則全ての土木工事を対象に、週休二日の達成状況に応じ工事費の割増しや工事成績評定の加点を行う週休二日制確保試行工事に移行しております。
 さらに、五年四月からは、原則全ての設備工事及び一部の建築工事に試行工事の対象を拡大しております。
 これらの工事を受注した工事事業者へのアンケートでは、取組の必要性や有効性を実感する声が寄せられております。

○村松委員 週休二日に向けて後押しをするような施策に取り組んでこられたということを評価させていただいております。
 そして、先ほど質疑でありましたように、書類の削減についても取組を進められており、よい取組であると評価をしております。
 一方、現場の監督員によって、この不要な書類の提出を求められることがあるということも聞いております。せっかく書類の削減を決めても、運用面で統一されていなければ意味がありません。
 書類削減の取組を進めるためには現場監督の理解促進が必要だと考えますが、見解を伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 当局では、令和元年度から二年度に東京都技術会議で実施した書類削減等に関する検討結果を踏まえ、三年四月に、十一の東京都統一様式及び五つの局独自の様式につきまして削減や簡素化を図り、仕様書や記載例集を改定の上、工事主管部署に通知しております。
 これまでも、工事書類の取扱いにつきましては、仕様書等に基づき適切に運用するよう周知してまいりましたが、今後はさらに、工事監督部署の担当者が参加する会議等、様々な機会を捉えて理解促進を図ってまいります。

○村松委員 ぜひ、現場監督の担当者レベルまで周知徹底をお願いいたします。
 書類の削減や共通化について検討してから三年ほどたっておりますので、改めて効果検証を行い、さらなる書類の削減や手続の簡素化について検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 当局ではこれまで、繰り返しになり恐縮でございますが、東京都統一様式や局独自様式の削減と簡素化に取り組んでまいりましたが、業界団体からは、働き方改革に向け、さらなる工事書類の簡素化等を望む声が寄せられております。
 このため、特に要望が多く寄せられた材料関係の書類に加え、その他の書類につきましても、一層の簡素化及び書類の提出回数の削減を図るよう局内で検討を行っております。
 令和六年度から簡素化された書類に基づく工事の施工ができますよう、今後、関係する仕様書等の改定に取り組んでまいります。

○村松委員 さらなる簡素化に取り組んでいるということで、ぜひ実現していただきたいと思います。
 工事書類は、提出のために現場から水道局の事務所まで往復しなければならないわけであります。提出のためだけに移動時間を取ることは、働き方改革の観点から課題があります。
 書類の削減や手続の簡素化をより一層進め、働き方改革を進めるためには、手続のデジタル化を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○石田建設部長事業調整担当部長兼務 工事書類提出のオンライン化を進め工事事業者の負担軽減を図っていくことは、働き方改革の観点から重要であると認識してございます。
 当局では、令和四年四月から、大部分の工事書類について紙の提出に代えてメールによる提出ができるよう改善を行っております。
 また、現在、工事事業者の業務の一層の円滑化や効率化に向け、クラウド上で書類を提出し、その状況等を局と事業者の双方が確認できる情報共有システムを試行導入しております。
 今後、システムの導入効果を検証し、本格導入につなげていくことで、工事事業者のさらなる負担軽減に取り組んでまいります。

○村松委員 書類の簡素化や情報共有システムの導入は、事業者のみならず、発注者にとっても業務の効率化につながる有効な手段であるので、着実に取り組んでいただきたいと思います。
 建設業の働き方改革を推進する目的は、罰則適用が始まるからではありません。一つのタイミングではありますが、その本質は、働く方の健康を守るためであり、担い手不足の解消です。発注者側ができることとしては、適切な工期を取ることと、提出書類の削減やデジタル化による事務負担の軽減です。
 そして、地域の建設業を守るべく、建設業を魅力ある産業とするためにも、水道局には、事業者に対する様々な負担軽減や業務の効率化に向けた働き方改革をさらに推進していただくことを要望して、終わります。

○玉川委員 私からは、都民への広報について質問いたします。
 水道は、現代社会において不可欠で重要な社会インフラであり、健康や衛生、家庭や産業、経済などの要因に大きく影響を与えるものであります。都民に信頼される水道を実現するためには、水を安定的に供給するだけではなく、都民に水道への関心を持ってもらうことが大事であると思います。
 そのため、水道局が伝えたい内容が多くの都民の目に触れ、確実に伝わることが大切であると考えますが、広報の取組について確認いたします。

○坂井サービス推進部長 将来にわたり安定的に水道事業を推進していくためには、東京水道に対する理解を深め、信頼を得ることが必要であり、多くの媒体を通じてお客様に確実に情報を伝えることが重要だと認識してございます。
 そのため、当局では、ホームページやXなど電子媒体による広範囲でタイムリーな情報発信のほか、営業所等における地域水道ニュースや水道事業に関する各種パンフレットの配布、さらには、水道ふれあい月間における広報イベントや他局等のPR施設と連携したスタンプラリーの実施など、より多くの方に情報が届くよう、多様な手法を用いて広報を実施してございます。

○玉川委員 できるだけ多くの方に伝わるように、様々な手法を活用して広報を実施していることが分かりました。
 今回も交通局、下水道局と連携して行われるスタンプラリーをはじめ、これからも多様な手法を使用して、引き続き丁寧な広報を行っていってもらいたいと思います。
 先日、地元の大田区でのイベントにて、子供たちが描いた、環境問題、SDGsに関する絵が展示されておりました。地球に優しく自然を大事にといった言葉が並ぶ中、みんなで節水、地球のためにできることと水の大切さを訴えている絵もありました。このような取組は、ふだん当たり前のように使っている水道、水について改めて考えるきっかけとなるものであり、関心や親しみを持ってもらう上でも大変よい取組だと思います。
 将来を担う子供たちに向けた広報は、丁寧かつ積極的に実施すべきと考えますが、水道局が行っている子供たちに向けての広報について伺います。

○坂井サービス推進部長 当局ではこれまで、都内の小学校四年生を対象に、将来を担う子供たちに水道への関心や水を大切にする気持ちを高めてもらうことを目的として、出前授業である学校水道キャラバンを行っております。映像や寸劇、凝集沈殿の実験など、分かりやすく親しみやすい手法を用いて授業を行っており、子供や先生方の評判も高く、令和四年度は、都内約九割の小学校で実施をしていただいているところでございます。
 また、小中学生を対象に、作文及びポスターのコンクールを開催し、水道への理解を深めながら夏休みの課題提出の一助としていただいており、入賞作品は、都庁や当局のPR施設にて展示し、広く紹介しております。
 このほかにも、水の科学館などでは、週末や夏休みに、子供たちが遊んで学べる様々なイベントを開催しております。

○玉川委員 子供向けに多様な広報を行って、特に、よく耳にする出前授業の学校水道キャラバンは九割という大変多くの小学校で実施しているということが分かりました。寸劇や実験など分かりやすく伝える工夫も織り込まれており、子供の関心を高める効果的な取組だと思います。
 一方、社会のデジタル化が進む中、学校では、学びの質を高めるため、タブレットなどICT環境の導入が進められております。
 そこで、子供たちにより一層水道に関心を持ってもらうためには、ICTを積極的に活用していくことも重要だと考えますが、局の見解と取組について伺います。

○坂井サービス推進部長 水道事業への理解や関心を高める仕組みとして、ICTの活用は大変有効だと考えており、コロナ禍にあった令和三年度、いつでもどこでも水道について楽しみながら学べるよう、特設ホームページ、おうち水道キャラバンを開設いたしました。
 ここでは、クイズ形式の東京水ドリルなどのコンテンツや学校水道キャラバンの授業映像を提供しており、今後も、子供たちが継続的にホームページへ訪問したくなるよう、コンテンツの充実を図ってまいります。
 また、令和六年度からは、小学校四年生向けに学習教材のデジタル配信を新たに実施し、アニメーションや動画などをひもづけた、より授業に活用しやすい分かりやすいコンテンツを子供たちに提供してまいります。

○玉川委員 ICTも活用しながら広報を実施していることが分かりました。
 多くの子供たちに水道への関心や親しみを持ってもらえるよう、今後とも、このような取組を継続してもらうことを要望いたしまして、質問を終わります。

○あぜ上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十八分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る