公営企業委員会速記録第十二号

令和五年十一月七日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長あぜ上三和子君
副委員長伊藤しょうこう君
副委員長保坂まさひろ君
理事福手ゆう子君
理事伊藤こういち君
理事村松 一希君
岩永やす代君
玉川ひでとし君
本橋たくみ君
柴崎 幹男君
本橋ひろたか君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長久我 英男君
次長梅村 拓洋君
総務部長豊田 義博君
職員部長市川 雅明君
資産運用部長小林 弘史君
電車部長神永 貴志君
自動車部長櫻庭 裕志君
車両電気部長生越 啓史君
建設工務部長坂口 淳一君
企画担当部長DX推進担当部長兼務渡貫 貴浩君
技術企画担当部長一條 勝夫君
安全管理担当部長太田 純也君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
バス事業経営改善担当部長佐藤 和哉君
技術調整担当部長神田 隆司君
技術管理担当部長飯沼 健一君

本日の会議に付した事件
交通局関係
事務事業について(質疑)

○あぜ上委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申合せしましたので、ご了承を願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○豊田総務部長 過日の委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。都営バスの新設、廃止、延伸、短縮及び増便、減便した路線でございます。
 新設、廃止した路線につきましては当該運行区間を、延伸、短縮した路線につきましては新旧の運行区間を、過去五年分記載してございます。
 一枚おめくりいただき、二ページには、増便、減便した路線につきまして、路線数及び路線名を過去五年分記載してございます。
 三ページをご覧ください。都営バス停留所における上屋、ベンチ、接近表示装置、上屋ソーラーパネルの設置状況の推移でございます。
 総停留所数と、上屋、ベンチ、接近表示装置、上屋ソーラーパネルにつきまして、それぞれ設置しております停留所数を過去十年分記載してございます。
 続きまして、四ページをお開き願います。都営バスの交通事故発生件数でございます。
 交通事故件数を過去五年分記載してございます。
 五ページをご覧ください。運行維持のために地元自治体が財政負担している都営バス路線でございます。
 路線名、財政負担している自治体名及び運行区間を記載してございます。
 続きまして、六ページをお開き願います。都営地下鉄においてホームから地上までのエレベーターによるバリアフリールートが複数ある駅でございます。
 都営地下鉄において、該当いたします駅数及び駅名を路線別に記載してございます。
 七ページをご覧ください。都営地下鉄の電力使用量と再生可能エネルギーの比率でございます。
 平成十二年度以降の都営地下鉄における電力使用量と再生可能エネルギーの比率を記載してございます。
 続きまして、八ページをお開き願います。都営交通における痴漢及び盗撮行為に関する警察への通報件数でございます。
 令和二年度以降の痴漢及び盗撮行為に関する警察への通報件数につきまして、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー、東京さくらトラム、都電荒川線及び都営バスと、事業ごとに八ページ及び九ページに記載してございます。
 続きまして、一〇ページをお開き願います。都営バス運転手の年間労働時間でございます。
 令和四年度の一人当たり平均の年間労働時間を記載してございます。
 一一ページをご覧ください。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。
 都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。なお、駅名横の丸印は、業務を委託している駅を示しております。
 続きまして、一二ページをお開き願います。事業別職員数及び人件費割合の推移でございます。
 各事業における職員数及び経常費用に占める人件費割合を過去十年分記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○保坂委員 それでは、よろしくお願いします。都民ファーストの会東京都議団の保坂でございます。
 本日は、交通局に対する事務事業質疑ですので、私から、局が経営しています都営交通全般にわたり、主に質問させていただきたいと思います。
 まず、高速事業、都営地下鉄について伺ってまいります。
 先日の決算特別委員会の分科会質疑でも確認をさせていただきましたが、定期券の利用者数については、コロナ禍以降、回復が鈍い一方で、定期外について相当回復してきたとの答弁をいただいております。
 また、こうした旅客需要の構造変化が生じている中で、交通局としても、定期外の利用者の拡大に向けたサービス展開を図る必要があるという答弁がありました。
 私は、本年の第一回定例会においての予算審議においても質問をさせていただきましたが、局が、定期券発売所の跡地を活用して、都営交通沿線の魅力を発信していくオリジナルショップを今年度末に開店することについて、需要の創出に向けた新たな展開として、大変期待しているところであります。
 そこでまず、都営新宿線の市ヶ谷駅に、今年度末に開設を予定している都営交通のオリジナルショップについて、これまでの取組状況と今後の展開についてを伺います。

○小林資産運用部長 オリジナルショップは、昨年十二月から運営事業者の公募を開始し、本年三月に決定いたしました。また、職員の意見や事業者との調整を踏まえ、本年九月に名称を、とえいろと決定し、ロゴのデザインを発表いたしました。
 現在、定期券発売所跡地の改修工事を進めるとともに、沿線企業などとのコラボレーション商品の企画、開発や店舗の内装について運営事業者と調整をしており、令和六年三月の開設を目指し、準備を着実に進めてまいります。

○保坂委員 沿線企業と連携をしていくというのは、大変よい取組ですので、都営地下鉄に限らず、都営バスや東京さくらトラム、日暮里・舎人ライナーの沿線の魅力もしっかりと発信してもらいたいと思います。
 ただ、私が一つ危惧しているのは、オリジナルショップの営業日や営業時間が十分に確保されるのかという点です。といいますのも、この後また質問しますが、都電の三ノ輪橋停留所にあるおもいで館は、現在、火曜日、水曜日が定休日で営業はしていません。営業時間外は、大変寂しい印象を受けております。新たに設置するオリジナルショップでは、多くの人に訪れてもらえるよう、極力営業時間も長く、定休日も少なくしていただくよう求めておきます。
 また、効果的に広報をしていくため、仮に営業していない時間帯であっても、デジタルサイネージの設置などにより、絶えず情報の発信や店舗の案内が行われるよう、こういった取組も併せて求めておきます。
 続いて、安全対策について何点か伺います。
 先月の決算特別委員会の分科会質疑において、我が会派からの質問に対し、交通局からは、都営浅草線のホームドア整備について、交通局が管理する駅は、当初計画よりも早い十一月中、今月中に整備を終えるという答弁がありました。
 最近は、外国人旅行者も、コロナ前の水準に近いぐらいまで戻ってきている印象があり、日頃、地下鉄を利用していない観光客が多い駅においても、安全に安心して地下鉄を利用してもらう上で、ホームドアの整備は非常に重要になってまいります。さらに、オーバーツーリズムへの対応という観点から見ても、早期の対応をすべきと考えております。
 そこで、都営浅草線において順次ホームドアの整備が進んでおりますが、国内外からの観光客が多く、最後に整備される押上駅のホームドア設置状況について伺います。

○神田技術調整担当部長 押上駅のホームドアについては、本年十月十八日に、成田空港方面に向かう四番線で運用を開始したところであり、現在、三番線において、動作確認等、運用開始に向けた作業を行っております。
 今後、西馬込方面に向かう一番線及び二番線にも整備を進め、来年二月には、全てのホームで整備が完了する予定でございます。

○保坂委員 いよいよ最後の一、二番線へのホームドア設置に取りかかるという、今の答弁を聞いて大変安心しました。ホームドアについては、交通局が、他に先駆けて、全路線への整備に向けて長年取り組んでこられた成果がまさに結実したものとして、関係者の苦労をたたえるとともに、評価をしたいと思います。
 また、転落防止などの安全対策に加えて、地震など自然災害への備えを講じることも大変重要です。自らが定期的に訓練を実施することは当然ではありますが、沿線の自治体が主催する訓練に参加することは、沿線住民に局の安全に関する取組を知っていただくよい契機となります。様々な効果が期待もできます。
 そこで、都営地下鉄の沿線自治体において、様々な防災訓練などに、地域の主体の一つとして、利用者の安心感の醸成に向けて、交通局も積極的に参加をしていくべきと考えますが、局の見解を伺います。

○太田安全管理担当部長 交通局では、異常時の対応力の向上を図るため、これまで、消防や自治体からの要請に応じて、防災訓練などに参加してまいりました。
 今年度は、五月末に東京消防庁と江戸川区が合同で開催した総合水防訓練において、駅係員による止水板設置の実演を行いますとともに、関係機関との情報連絡訓練に参加いたしました。
 加えて、沿線自治体の訓練への参加を通じて、交通局の安全に関するPRを図る観点から、新たな取組として、防災関係パンフレットの配布やパネル展示を行うなど、局の安全対策について紹介いたしました。
 今後とも、様々な機会を捉えて、安全の取組に関する利用者や地域の理解促進に努めてまいります。

○保坂委員 地元区の水防訓練に参加するとともに、新たな取組として、パネル展示などによるPRを行ったということは評価したいと思います。
 駅係員の業務は、日頃から多忙ということで、沿線自治体の訓練やイベントなどに参加するにも、様々な苦労があるかもしれませんけれども、今後とも可能な限り自治体主催の訓練に参加され、地域と顔の見える関係を構築していただきたいと求めておきます。特に、浅草線については、豪雨、浸水リスクのある隅田川エリアを地下鉄が走っておりますので、今後、地元台東区の防災訓練にも参加していただくことを併せて求めておきます。
 さて、都営地下鉄では、日頃から多くの利用者があり、多くの乗客の目に触れる広告媒体を保有しています。企業広告以外にも、都や局の取組の周知にうまく活用する視点が重要であります。
 そこで、都営地下鉄の安全確保に関する取組を、局が保有する広報媒体などを活用して、利用者に積極的に周知していくべきと考えておりますが、局の取組状況について伺います。

○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、ホームドア整備や保守点検などの安全に関する取組について、日々現場の職員が取り組んでいる姿を含め、駅構内ポスターや車内液晶モニター、ユーチューブなど、様々な媒体を活用して発信しております。
 また、安全確保に関する取組や再発防止策等をまとめた安全報告書を毎年策定し、ホームページで公表するとともに、その概要をまとめたパンフレットを各駅で配布しております。

○保坂委員 他社においては、動画をシリーズ化して制作して、車内ビジョンで放映するなど、安全に関する取組を非常に分かりやすく紹介している事例も散見されます。積極的に取り組んでいても、知られなければ、まさにやっていないかのように誤解をされてしまうおそれもあります。それでは大変残念であります。他社の事例も参考にしながら、積極的な広報を実施していただくことを求めておきます。
 また、動画を活用するだけでなくて、ポスターやリーフレットなどの既存の広告媒体をうまく活用する視点も重要です。
 交通局ではこれまでも、ふれあいの窓というリーフレットを作成しており、これですね、こういうものを作っていると。著名なタレントも起用して、広告活動を長年継続していることを承知しております。
 この中で、局職員の仕事ぶりを分かりやすく丁寧に紹介するTOEIのオシゴトストーリーというのは、これ、かなりこれも面白い、絵本ではないですけど、かなり見やすくなっております。これを、現在、三回連続して掲載しているということで、私も手に取って記事を読んでみましたが、子育て世代の方や子供たちに向け、非常に分かりやすい内容であると思っております。そうした層への周知が気になるところであります。
 そこで、TOEIのオシゴトストーリーの周知に向けた今後の取組について伺います。

○豊田総務部長 TOEIのオシゴトストーリーは、都営交通の運行等を支える仕事について、お子様の視点に立って、絵本仕立てのイラストに物語風の文書を添え、分かりやすく答えていく連載企画であり、これまで、バス車両の整備や地下鉄の安全運行などをテーマに取り上げております。
 今後、局が開催するイベントにおいて、冊子の配布を積極的に行うなど、子育て世代のお客様に都営交通の取組が伝わるよう、PRを強化してまいります。

○保坂委員 都民ファーストの会ではこれまで、子供や子育て支援に関する取組を強く都に求めてきております。
 交通局においても、地下鉄車両への子育て応援スペースの導入、また、地下鉄駅におけるこどもスマイルスポットの設置、双子用ベビーカーの都営バスでの取扱い開始など、積極的に取り組んでいることは評価をいたします。TOEIのオシゴトストーリーも、その一環と理解するものですが、今後も連載を継続するとともに、コンテンツをうまく活用され、都営交通の職場の魅力発信にも役立てていただくことを求めておきます。
 安全の確保とともに重要なのが、誰もが円滑に移動できるバリアフリーを推進していくことであります。
 地元浅草駅における出入口の整備については、交通局に対し、これまでも何度か質問を重ねてまいりましたが、雷門に一番近い浅草寺方面のA4、A5出入口の更新については、地元住民や商店街なども大変高い関心を持っております。
 また、A4、A5出入口を更新する際には、一時的に出入口を閉鎖することとなりますが、利用者が多いことから、工事期間中の代替出入口が必要です。さらには、浅草寺方面へのバリアフリールートを確保するためには、駒形橋西詰交差点付近に新たな出入口を整備する必要もあり、交通局ではその準備を進めており、私も推進しております。
 そこで、浅草駅における新たな出入口の整備や既存出入口の更新に向けた準備について、現在の取組状況を伺います。

○坂口建設工務部長 駒形橋西詰交差点付近に新たに整備する予定の出入口につきましては、周辺で行われている他事業者の工事が遅れていることから、進捗状況等を勘案しながら、関係者との協議、調整を進めております。
 また、A4、A5出入口の更新の際に代替となる出入口につきましては、現在、詳細設計を進めており、年度内には準備工事に着手する予定であります。

○保坂委員 令和五年度内の工事着手をこれまでも求めてきましたが、A4、A5出入口の代替となる出入口については、準備が着実に進んでいると理解をしました。周辺工事の進捗を踏まえて適切に施工管理をするとともに、あわせて、地元商店街や地域への丁寧な周知を行うことを強く求めておきます。
 続いて、都営バスについて質問してまいります。
 都営バスでは、現在、七十三両の燃料電池バスを運用していますが、今後さらに導入を拡大するには、バスに対応した水素ステーションの拡充が必要不可欠であります。
 加えて、効率的な運用には、バス営業所内に整備することが効果的ですので、私は、本年三月の委員会においても、整備の検討を加速すべきと主張してまいりました。
 その後、局は、本年六月から、有明自動車営業所での水素ステーション整備に向けて、整備、運営事業者を公募し、本年九月には、事業者を決定したと聞いております。
 そこでまず、有明営業所に具体的にどのような水素ステーションが整備されるのか、改めて伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 有明営業所内の水素ステーションにつきましては、整備、運営を行う事業者を公募により決定しており、その際の提案では、液化水素を外部から週一回搬入する方式とし、一日当たり大型バス三十両分を超える十分な供給能力を有する設備を整備することとしております。
 現在、事業者と整備、運営計画や協定等について協議を進めておりまして、令和七年四月の開所に向けて着実に取り組んでまいります。

○保坂委員 今の答弁で、一日当たりバス三十台分の燃料を供給できるステーションを整備していくと力強い答弁がありました。現在、国内バス事業者最大の燃料電池バスを保有している交通局が、さらなる導入拡大を図って、先進的な取組を進めていることは評価したいと思います。
 これも、繰り返し述べますが、燃料電池バスは、現在、水素ステーションが多く存在する臨海地域にやや偏っているという現実があります。すなわち、山の手地域や多摩地域では、なかなか目にすることができず、乗車する機会も乏しいのが実情です。
 臨海地域以外でも走行し、クリーンで新しいモビリティーを多くの都民が体験できるよう取組を進めていくべきと考えておりますが、そこで、燃料電池バスをさらに増加させるためには、バス専用の水素ステーションの整備が不可欠ではありますが、他の営業所、とりわけ都心部の営業所に水素ステーションを整備する際の課題について伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都心部の営業所におきましてバスに対応した水素ステーションを整備するためには、営業所の敷地に、駐車スペースのほかに、大型設備のための十分なスペースがあることや近隣の住民の方々の理解が得られること、定期点検時等に代替できる別のステーションが周辺にあることなどの課題がございます。

○保坂委員 交通局の他の営業所では、スペースが十分ではなく、周辺に住民が密集しているなど、様々な課題があるということは理解しましたが、一番の理想は、この都庁舎周辺での水素ステーションが整備されることであります。局が所有する土地だけでなく、東京都が所有する未利用地、さらには自治体の未利用地などがないかなど、整備のための候補地について様々な可能性を探るとともに、財政的な支援を得られるよう、庁内で調整を図りながら、諦めることないよう、検討を継続することを求めておきます。
 今回、バス営業所内の水素ステーション整備は、国内初の事例とのことですが、他の事業者においても、燃料電池バスの導入拡大に寄与することを期待しております。
 そこで、営業所内水素ステーションの整備が、他事業者にどのような効果をもたらすのか、局の見解を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 有明営業所内水素ステーションの整備により、近隣ステーションとの連携や他社バスの受入れなどを通じて、臨海地域における燃料電池バスへの水素供給が安定化するとともに、この施設が先行事例となることで、他のバス事業者による営業所内水素ステーションの整備につながることを期待しております。

○保坂委員 かなりの影響力があるということは想像ができます。他社の燃料電池バスへの供給は、水素燃料バスの普及拡大だけでなく、交通局の収益にも貢献できるなど、その効果は計り知れないと思います。水素ステーションが整備された暁には、国内の他の事業者や自治体関係者などから、多くの視察やヒアリングの希望があるものと予想されます。様々な機会を捉えて、他の事業者が追随するよう、働きかけていかれることを求めておきます。
 続いて、停留所における環境関連の取組について質問をしてまいります。
 まちじゅうに数多くあるバス停留所には、行き交う歩行者や車を運転する運転手など、多くの人の目に触れる大変重要な公共施設であります。このため、停留所の上屋や標識の照明をLEDに変更していくということは、地道でありながらも、PRの効果が望める事業であると考えております。
 そこで、バス停留所施設の更新に当たって、環境配慮設備を導入すべきと考えておりますが、停留所におけるLED照明の導入状況と今後の予定について伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、環境負荷の低減に向け、停留所の上屋及び標識柱の更新等に合わせ、LED照明の導入を進めております。
 令和四年度は、百三十一か所に導入し、昨年度末時点で、対象停留所の約四九%となる千四百五十八か所でLED化が完了しております。
 経営計画二〇二二では、令和四年度から六年度までの三か年で、三百六十か所に導入することを目指しており、目標の達成に向けて、引き続き、着実に取組を進めてまいります。

○保坂委員 コロナ禍の経営が厳しい中であっても、継続して取り組んで、昨年度において、対象となる全ての停留所の約半数ですかね、LED照明に切り替わったことは評価をいたします。
 また、LED照明に切り替わることで、バス停が、これまで以上に明るくなり、防犯上の効果についても、停留所周辺の方々や利用者からも、期待の声が、私にも寄せられております。今後も引き続き、着実に取り組んでいかれることを求めておきます。
 続いて、東京さくらトラム、都電荒川線について伺ってまいります。
 これまでも、重ねて委員会において、都電荒川線について質問をさせていただきましたが、都電の応援団として、本日も何点か質問をさせていただきます。
 荒川電車営業所や併設するおもいで広場では、毎年、都電のファンや沿線の住民が楽しみにしている荒川線の日というイベントが開催されており、コロナ禍前まで、毎年多くの人が訪れておりましたが、今年は数年ぶりに盛大に開催されたと聞いております。私も、今回の記念イベント再開に当たり、これまで以上となる内容のパワーアップを求めてきたところであります。
 そこでまず、二〇二三荒川線の日記念イベントの結果について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、十月一日の荒川線の日を記念し、荒川車庫においてイベントを開催しており、今年度は、先月二十二日に、四年ぶりに、人数制限を設けない形で実施し、過去最高となる約四千名のお客様にご来場をいただきました。
 当日は、ふだん入ることができない車両検修場内の見学や、装飾した車両の撮影会、都電カレンダーなどのグッズ販売等を行いました。
 また、新たな試みとして、近隣のJR尾久駅がブースを出展したほか、都電の魅力向上やPRに取り組む地元商店街の方々など、都電サポーターズによる飲食物の販売も行い、多くの来場者に楽しんでいただきました。

○保坂委員 過去最高四千名のお客様が来場ということで、本当に私もうれしく思います。
 感染症が流行している時期には、外出を控えていただく必要がありましたが、現在は、都電により多くの人に乗車してもらえるよう、集客力のあるイベントを積極的に開催する必要があります。今回は、JRの駅が出展されたり、飲食物を販売したりするなど、新たな取組を始められたことを歓迎いたします。今後とも、魅力的なイベントを開催されることを期待しております。
 先月の決算特別委員会分科会質疑においても紹介させていただきましたが、三ノ輪橋おもいで館が、先月二十一日をもって開業五周年を迎えることができました。都電だけでなく、都営交通にとっても大変重要な施設であり、今後の展開にも注目しているところであります。
 そこで、五周年を迎えた三ノ輪橋おもいで館について、来館者など実績と今後の取組について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 三ノ輪橋おもいで館では、都営交通及び沿線情報の案内、各種案内冊子の配布、乗車券やグッズ販売などを行っており、平成三十年十月の開業以来、約十二万人のお客様にご来館いただいております。
 また、開業五周年を記念し、先月十九日から二十三日まで、各日先着百名のお客様に、特製の都電ポストカードをプレゼントいたしました。
 今後とも、地域と連携しながら、三ノ輪橋おもいで館を活用し、沿線の魅力を広く発信していくとともに、都営交通イベントとの連携などにより、さらに多くのお客様にご来館いただけるよう取り組んでまいります。

○保坂委員 私は、オープン当初からもおもいで館に通い、応援してきましたが、コロナ禍直後には、しばらく営業をやめていた時期もありました。せっかく訪れた人が、がっかりする姿も、見かけたことは珍しくありません。五周年を節目に、おもいで館が観光スポットとしてさらに認知され、おもいで館を目当てに、都電に乗って三ノ輪橋まで来てもらえるよう、魅力を一層高めていく必要があります。
 先ほども触れましたが、現在、おもいで館は、周辺の商店街にある店舗の開店日など、こういったことにも考慮して、火曜日と水曜日が定休日となっているとのことですが、今後の取組を検討するに当たっては、営業日を拡大することを強く求めておきます。
 また、三ノ輪橋停留所と東京メトロ三ノ輪駅とのアクセスについても、一言述べさせていただきます。
 三ノ輪橋停留所は、日光街道に面しておらず、ただでさえ存在が分かりづらいですので、大関横丁交差点にある案内標識を分かりやすくするなど、道路管理者と調整を図りながら、改善に努めることを引き続き求めておきます。
 都電は、三ノ輪橋などの一部の停留所を、昭和レトロのレトロな雰囲気に装飾しているとともに、電車も九〇〇〇形のレトロ車両が二両運行しております。レトロな持ち味を生かす戦略に、私は反対するつもりはありませんが、その中にあっても、絶えず新しい取組や新たな魅力を創出していくことが大変重要です。
 車両については、新しい車両が多くなってきておりますが、停留所については、時間の経過を感じさせるものが多い状況です。
 そこで、老朽化が進んでいる停留所上屋に関する今後の対応について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 停留所上屋の多くが、建て替えから二十五年以上経過し、老朽化が進んでいることから、経営計画二〇二二におきましては、令和七年度までに、四停留所を更新する予定としております。
 令和五年度は、二停留所につきまして、工事発注に向けた準備を進めており、目標達成に向け、更新を進めてまいります。

○保坂委員 都電の停留所は、合計三十か所あり、更新には長い年月を要することが見込まれます。先ほどは、都バス停留所のLED化について質問をしましたが、停留所の上屋も、都電のイメージに深く影響を及ぼすとともに、旅客サービスに直接関わる重要な施設ですので、経営が厳しい中でも、計画的に更新を継続していくことを求めておきます。今年度に更新する二つの停留所については、工事準備ができ次第、速やかに地元やプレスなどで周知していただくようにも求めておきます。
 都電事業には、中長期的な計画はありません。今後の都電の在り方については、地域交通や下町観光という主たる機能を生かしながら、迫り来る高齢化社会や環境配慮社会といった時代の変化にも対応していかなければなりません。そのためにも、私は、路線の延伸といったことも視野に入れた中長期的な投資計画も策定すべきと考えております。ここは質問せず、ここでとどめておきたいと思います。
 続いて、都電荒川線の熊野前停留所で乗り換えることができる日暮里・舎人ライナーとの連携について伺います。
 日暮里・舎人ライナーはこれまでも、日中の需要創出が課題になっていると承知しております。今日の新聞でも、(資料を示す)日本一の混雑でも厳しい経営環境だという新聞記事を拝見しました。
 一方、都電では、路面電車として古くから運行しており、沿線の歴史も長いことから、沿線には数多くの観光資源が存在しています。都電と連携したイベントを開催することで、新たに日暮里・舎人ライナーを利用し、その魅力を知る機会としていくことが可能となります。
 そこで、東京さくらトラムと日暮里・舎人ライナーとの連携イベントの実績について、まず伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、地元区とも連携し、東京さくらトラムと日暮里・舎人ライナーを乗り継いで沿線の公園などを巡り、手がかりを集めて謎を解く宝探しイベントを開催しております。
 直近で開催した令和三年度では、抽せんで都営交通グッズ等をプレゼントする企画を実施し、約四千件の応募があり、多くの方に参加をいただきました。
 今年度も、同様のイベントを実施する予定でございます。

○保坂委員 わかりました。
 都民ファーストの会では、多摩都市モノレールにおいて、子育て応援の観点から、子供がより乗車しやすくなる取組を推進してきました。
 日暮里・舎人ライナーの沿線も、都立舎人公園をはじめ、豊かな自然に恵まれ、子供たちや親子でお出かけするのに適した沿線環境となっています。
 交通局では、今年の夏休みにおいて、ライナーに限っての取組ではありませんが、都営交通をお得に乗車できるキャンペーンを実施したと聞いております。
 そこで、今年八月に実施された夏休みわくわくこどもキャンペーンの実績について伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 今回のキャンペーンは、都営交通の会員制ポイントサービス、ToKoPoを活用し、夏休みを満喫してもらえるよう、小学生のToKoPo会員を対象に実施いたしました。
 具体的には、期間中、一回の乗車につき、通常二ポイントのところ、五〇ポイントを付与するものでございまして、例えば、日暮里・舎人ライナーの場合、初乗り八十四円のところ、実質三十四円での乗車が可能であります。
 期間中は、都営交通全体で、延べ約七千人にご参加をいただきました。

○保坂委員 八月のキャンペーン期間中の子供料金は、初乗りで、今も答弁いただきました、実質半額以下の割引となりますので、魅力的な夏休みキャンペーンと考えますが、より多くの人に利用してもらえるよう、今後、実施する際には、より広く周知を図るべきと考えます。例えば、こうしたキャンペーンを、沿線の小学校に対してより積極的にPRするなど、工夫の余地がまだまだあるのではないかと考えられますので、次回実施する際には、こうした地元区連携の視点も考慮するよう求めておきます。
 日暮里・舎人ライナーでは、開業以来、先ほども話しましたが、混雑が大きな課題となっており、先月の決算特別委員会分科会質疑においても、今年二月、昨年度ですね、に実施されたスムーズビズの取組について確認をしてまいりました。
 現在、交通局は、経営計画に基づいて、平成二十年の開業に当たって導入した十二編成について、定員を増やした新車への更新に取り組んでおりますが、車両更新に関する状況と今後の予定について伺います。

○生越車両電気部長 日暮里・舎人ライナーでは、混雑緩和を図るため、令和四年度からの三か年で、十二編成について、座席を全てロングシート化し定員を増やした車両に順次更新することとしております。
 これまでに、七編成が運用を開始しているところであり、残る五編成につきましても、令和六年度の完了に向け、着実に導入を進めてまいります。

○保坂委員 対象の十二編成のうち、既に七編成が運用を開始されているということが分かりました。日暮里・舎人ライナーの最混雑時間帯の混雑率は、昨年度、一五五%でありまして、コロナ禍後にあって、高い水準となっております。利用者も、新車への早期の更新を期待しておりますので、着実に取組を進めていただくよう求めておきます。
 続いて、安全対策について伺います。
 日暮里・舎人ライナーは、本年四月十日から十三日にかけて、連日、輸送障害が発生しております。ライナー沿線は、振替輸送をしても、代替できる交通機関は乏しく、沿線利用者は、非常に困惑したと聞いております。私も現場を見ておりました。交通局は、このことについて重く受け止め、万全の体制を講じるべきであります。
 そこで、今年四月に発生した輸送障害を踏まえて、その後どのような対応を行ってきたのか、今後の対応とともに伺います。

○太田安全管理担当部長 本年四月の輸送障害は、気温の上昇による電車線の伸びを吸収するための金具に不具合が発生し、電車線がゆがんだためパンタグラフが破損したこと、また、この事象を受けて、臨時にパンタグラフを交換した際、ボルトの締めつけ作業が不十分だったことが原因であります。
 パンタグラフの交換については、臨時の作業も含め、マニュアルを速やかに改定し、作業前後の確認を遵守するなど、確実な実施を徹底いたしました。
 また、電車線のゆがみにつきましては、金具の点検の方法や時期等を速やかに見直すとともに、現在、鉄道の専門的知見を有する第三者機関等を活用して、恒久的な対策について検討を進めており、今後、その結果を踏まえ、再発防止策の強化を図ってまいります。

○保坂委員 パンタグラフの破損の原因となった電車線の伸びへの対策については、さらなる検討が進められているようではありますけれども、まさにヒューマンエラーですね、すなわち人的な要因が絡む複合的な事案と理解をしております。運輸業にとって、安全の確保は何より重要なことであり、改めて再発防止に全力を挙げて取り組むことを強く求めておきます。
 先ほどは、地下鉄に関して、沿線自治体が主催する避難訓練への参加について質問をしましたが、令和三年十月には、千葉県北西部地震に伴って、列車の脱輪事故が発生するとともに、本年四月には、気温上昇などによる輸送障害が発生しており、ともに複数日にわたって運休となっております。局も、再発防止に向けて全力を挙げて取り組んでいることは理解をしておりますが、沿線の利用者は、ライナーの安定輸送を切実に望んでおり、その不安を解消するためにも、地元で開催される訓練などに積極的に参加し、真摯に安全確保に向けて取り組んでいる姿を見てもらうことも必要ではないかと考えております。
 そこで、今後は、ライナーの安全性を周辺住民にPRするとともに、事故などに対する現場の緊張感を保つためにも、日暮里・舎人ライナー沿線自治体が主催する避難訓練などに積極的に参加していくべきと考えますが、局の見解を伺います。

○太田安全管理担当部長 日暮里・舎人ライナーでは、消防や地元自治体が実施する防災訓練などに参加しており、今週末に足立区が主催する総合防災訓練では、緊張感のある実践的な内容とするため、情報通信訓練を、シナリオを伏せたブラインド型で行う予定でございます。また、来年三月には、関係機関の救助救急訓練に、足立区と共に参加する予定でございます。
 今後とも、非常時における対応力の向上や安全の取組に関する利用者及び地域の理解促進を図るため、地元自治体や関係機関が主催する訓練に積極的に参加してまいります。

○保坂委員 今の答弁で、早速、今月実施予定の足立区の総合防災訓練に参加されるとのことで、まさに機を捉えた迅速な取組であると高く評価をいたします。
 今後も、地元が主催する訓練に、意識的に、そして、積極的に参加されて、交通局の安全に対する姿勢や取組状況を知っていただくことで、利用者の信頼感や安心感の醸成につながるよう、一層努めることを求めておきます。
 さて、ライナーにおける明るい話題として、先月十六日に、私の地元に隣接します荒川区の西日暮里駅前地区の市街地再開発事業について、準備組合から発表がありました。住宅棟は地上四十七階建て、商業棟は十一階建て程度で計画されておりまして、山手線北側に誕生する新たな東東京のランドマークとして、地元だけではなくて、その周辺からも大きな注目を受けております。
 発表では、山手線の西日暮里駅をデッキで接続するとのことで、実現すれば、日暮里・舎人ライナーとJRとの乗換えが大変便利になるのではないかと期待をしています。さらには、ライナー沿線の住民が、このライナーを利用して買物などに訪れるなど、新たな移動需要の創出に寄与する可能性を秘めております。まさに、千載一遇のチャンスであります。
 そこで、西日暮里駅前地区市街地再開発事業を通じた利用者の利便性向上や沿線旅客需要の創出に向けて、関係者と連携を強化していくべきと考えますが、局の見解を伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 西日暮里駅前地区では、市街地再開発事業により、住宅や大規模商業施設等の複合施設のほか、当該施設と日暮里・舎人ライナーやJRの駅とをつなぐデッキが整備される計画となってございまして、内容については、地元区等関係者から説明を受けたところでございます。
 本再開発事業を通じて、日暮里・舎人ライナーのさらなる利便性向上や旅客需要の創出につながることも期待され、引き続き、関係者と連携を図ってまいります。

○保坂委員 駅前の開発は、日暮里・舎人ライナーの需要創出にもつながり得る大変明るい材料でもあり、このチャンスを逃さぬよう、関係者と連携を密に取って、ライナー利用者の利便性を高める取組を求めておきます。
 最後に、こちらも、コロナ前から毎度質問しております関連事業について質問します。
 令和二年にコロナ禍が発生し、都営交通の一日当たりの乗客数は、令和元年に三百六十万人だったのが、令和二年には二百五十三万人へと、百万人以上減少しております。
 また、経常損益は、同じく二百七十一億円の黒字から二百六十四億円の赤字となり、五百億円を超える悪化となりました。
 一方、局が開催している有識者会議の資料によりますと、関連事業収入は、令和元年が百二十八億円に対して、令和二年には百二十億円であり、大幅な減少を免れていることは注目に値します。このように、コロナ禍の発生により、運輸業を補完する関連事業の重要性が改めて確認されたことで、一層強化していくべきと考えます。
 そこで、不動産の利活用など、交通局における関連事業の収益確保に向けた取組状況について伺います。

○小林資産運用部長 関連事業収入の過半を占める不動産事業につきましては、浜松町二丁目地区や西新宿三丁目西地区の市街地再開発事業への参画など、所有する不動産を最大限活用し、さらなる収入の確保に取り組んでおります。
 広告については、大江戸線月島駅や勝どき駅で広告枠を拡大するとともに、車内液晶モニターを増設いたしております。
 また、構内営業については、お客様の声や事業者などとのヒアリングを通じて、変化するニーズを把握し、無人で鍵の受渡しができるスマートロッカーを新たに設置いたしております。
 これらの取組を積極的に進め、経営基盤の確立に向け、さらなる関連事業収入の確保に努めてまいります。

○保坂委員 再開発事業への参画や駅構内における無人サービスの拡充など、関連事業の強化に努めていることという答弁をいただきました。様々な課題や制約があるかもしれませんけれども、新しいニーズを捉え、都営交通の収益の柱の一つとして、関連事業をしっかりと成長させていただきたいと思います。
 本日は、交通局が所管する各事業について、局の取組状況や考え方について確認をしてきました。コロナ禍で経営が非常に厳しい状況にあっても、様々な努力により取組を前進させていることが確認できました。コロナも落ち着いて、局事業に明るい兆しが見えつつある中で、今後、交通局の経営も、アフターコロナの新しい局面へと移っていくものと考えております。
 そこで、最後に、久我交通局長に、今後の事業運営の決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○久我交通局長 厳しい経営状況の中にありましても、中長期的に安定した輸送サービスを提供し続けることが、都営交通の果たすべき役割と考えております。
 こうしたことから、収益力の強化や支出の抑制により持続可能な経営基盤の確立を図るとともに、耐震対策やバリアフリールートの充実など、安全・安心の確保や質の高いサービスの提供に向けた取組を推進してまいります。
 また、さらなるZEV化に向けた取組を進め、環境負荷の低減を図るなど、東京が抱える課題の解決にも果敢に挑戦してまいります。
 こうした取組を通じまして、局一丸となり、これまで以上に都民やお客様に信頼され、支持される都営交通を目指してまいります。

○柴崎委員 よろしくお願いします。
 まず、私の方から、地下鉄事業についてお伺いしたいと思います。
 都営地下鉄の一日当たりの乗車人員、これは先ほども質疑がございましたが、二〇一九年度には約二百八十三万人でありましたが、新型コロナウイルス、この感染拡大の影響によりまして、二〇二〇年度には、三割程度の減となる約百九十二万人まで大きく落ち込んだわけであります。
 交通局経営計画二〇二二においては、テレワークの進展等、コロナ後の行動変容によりまして、定期利用を中心に、コロナ禍前には戻らないということで、一五%前後、この減少が続くと見込んでいるとのことであります。
 そこでお伺いしたいんですが、都営地下鉄の乗車人員につきまして、直近の決算までの推移、これについて伺いたいと思います。

○神永電車部長 都営地下鉄の乗車人員は、令和元年度と比較して、令和二年度に約三二%の減少と大きく落ち込みましたが、その後、徐々に回復し、令和四年度は、約二一%の減少となっております。
 同様に、定期、定期外の別での令和元年度の比較でございますが、定期は、令和二年度に約二七%減少し、令和四年度におきましても、約二五%の減少となっております。
 一方、定期外は、令和二年度に約四〇%減少したものの、令和四年度には約一四%の減少まで回復しております。

○柴崎委員 コロナ後の行動変容に伴いまして、都営地下鉄では、定期利用者の減少が続いているということですね。その一方では、定期外の利用者が回復しているということが、今ご答弁で分かりました。
 先日の有識者会議の資料においては、定期利用者は、本年七月時点で、令和元年同月比二〇%以上の減にとどまっているものの、定期外の利用者は六%減まで回復しているとのことでありました。
 一方、コロナが五類に移行した現在においても、地下鉄の利用者は、コロナ禍前には戻っていないわけでありまして、厳しい状況が続いているとのことであります。
 こういった現状を踏まえますと、利用者をさらに増やしていくためには、定期外の利用者拡大を図ることが必要だということになるわけであります。
 そこで、コロナ禍を受けて、定期外の利用者拡大に向けまして、新たな需要創出にどのような取組を行っているのか伺いたいと思います。

○神永電車部長 都営地下鉄では、コロナ禍後を見据えた定期外利用の拡大に向け、東京メトロと連携し、旅行者向けの企画乗車券、Tokyo Subway Ticketと観光施設の入場券等を自由に組み合せてオンラインで購入できるサービスを昨年度から導入いたしました。
 また、水上タクシーや観光バスの事業者などと連携し、都営交通アプリを通じて、それらの利用予約が可能となるサービスも開始いたしました。
 今後も、様々な主体と連携いたしまして、企画乗車券の販路拡大など様々な工夫を凝らしながら、定期外需要の創出に向け、取り組んでまいります。

○柴崎委員 コロナ禍後を見据え、定期外の利用者拡大に向けて、様々な工夫を凝らした取組を行っているということが分かりました。このことは高く評価したいと思います。これからも引き続き、様々な主体と連携を図り、旅客需要の創出に努めていただきたいと思います。
 今、聞いてきた答弁などの取組を着実に進めたことによりまして、今年度は、地下鉄事業で七億四千万、この黒字予算となっております。経営安定に向け、引き続き取り組んでほしいと思います。
 一方では、交通局全体を見ますと、今年度も引き続き赤字予算となっており、電力代をはじめとした物価高騰など、経営に与える様々な影響も受けているわけでありまして、厳しい経営環境が続くものと考えられます。
 そこで、交通局は、持続可能な経営基盤の確立に向けまして、経営改善に向けたより一層の取組が必要と考えますが、局長の見解を伺いたいと思います。

○久我交通局長 交通局を取り巻く事業環境は、今後も厳しい状況が続くものと見込まれておりますが、公営交通事業者として、将来にわたり、東京の都市活動や都民生活を支え続けていかなければならないと考えております。
 こうした考えの下、創意工夫を凝らし、多様な主体と連携しながら、需要の創出や関連事業の強化を図るとともに、デジタル技術の活用により業務を効率化するなど、収入、支出両面から経営改善に取り組んでまいります。
 また、昨年度、外部の委員で構成する有識者会議を立ち上げ、幅広い見地から、さらなる経営改善に向けた方策の検討を進めており、今後、有識者の意見を踏まえながら、経営努力を不断に積み重ね、中長期的に持続可能な事業運営を行っていくための経営基盤を確立してまいります。

○柴崎委員 毎日、多くの都民が毎日利用する都営交通が果たす役割、非常に大きいと思います。改めて局長からも、経営改善に向けまして、大変力強い答弁を今いただきました。ぜひ、交通局全体として、経営改善に向けまして取り組まれることを期待いたします。
 次に、安全対策についてお伺いしたいと思います。
 昨今、気候変動の影響によりまして、自然災害は激甚化しておりまして、被害への備え、対応力の向上、これらが求められております。また、施設や設備の故障や、ヒューマンエラーが原因と考えられる事故やトラブルの発生を未然に防ぐためには、不断の取組が求められております。
 ハインリッヒの法則では、一つの重大事故の裏には、二十九の軽微な事故と三百件のヒヤリ・ハットがあるといわれておりますが、乗客の安全・安心の確保に向けましては、重大事故が起きないよう、経営トップから現場までが一体となって、日々の地道な取組が重要であることはいうまでもありません。
 そこでお伺いいたしますが、安全管理の持続的な向上に向けた交通局における取組について伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 交通局では、国の運輸安全マネジメント制度に基づき、安全方針を定めるとともに、その具体的な取組計画である安全重点施策を毎年度策定し、各部門が年間を通して具体的な施策に取り組んでおります。
 その推進体制として、局長をトップとする安全対策推進委員会を設置し、これらの取組状況をチェックしつつ継続的に改善する、いわゆるPDCAサイクルを適切に機能させるほか、事故や故障、ヒヤリ・ハット情報を局横断的に共有し、連絡調整を行うことなどにより、安全管理の持続的な向上を図っております。

○柴崎委員 局として持続的な安全管理の取組によりまして、安全意識の浸透を図り、事故やトラブルを防止するとともに、局が一丸となって、安全を最優先とする組織づくりに取り組んでいることが、今、確認できました。引き続き、安全管理を持続的に向上させていただいて、災害に強く、事故のない都営交通の実現を目指していただきたいと思います。
 ところで、昨日、十一月六日、大江戸線の練馬駅周辺で、国と区の共同で弾道ミサイルを想定した住民避難訓練が実施されました。訓練では、住民等の練馬駅の地下駅舎への避難も実施されたわけですが、都が指定する緊急一時避難施設を活用した初めての訓練となったわけです。
 万一に備え、住民の皆さんが正しい避難行動を取れるよう、屋内や屋外、それぞれの状況に応じた行動を実際に経験していただくことを目的とした訓練であり、住民などが取るべき対応や行動の普及啓発を図るとともに、関係機関が対処能力を向上させるため、このような訓練の実施に向けて、交通局も積極的に協力し、参加していることを高く評価したいと思います。
 そこでお伺いいたしますが、交通局における緊急一時避難施設、この指定の状況と今後の対応、それについて伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 東京都では、国民保護法の規定に基づき、既存のコンクリート造り等の堅牢な建築物のほか、地下街、地下駅舎などの地下施設について、緊急一時避難施設として指定を進めております。
 都営地下鉄では、昨年五月に五十五駅、九月に二駅、本年九月に一駅の計五十八駅が指定を受けておりまして、住民避難訓練も含め、引き続き、総務局や地元自治体等と連携して対応してまいります。

○柴崎委員 今朝の新聞報道にもありましたように、弾道ミサイルの発射実験を繰り返す北朝鮮からミサイルが発射された場合は、十分前後で日本に到達するとされるとのことであります。したがいまして、緊急一時避難施設の指定拡大や、施設を活用した訓練の実施については、ミサイル攻撃等の脅威に対して、住民の安全を確保するために、我が会派、都議会自民党といたしましても意義が大きいものと考えております。交通局においても、引き続き、関係機関と連携をして、適切な対応をお願いしたいと思います。
 また、有事の際の対応だけでなく、様々な異常事態にも備えることが求められております。地下鉄の運行に影響を与える要因としては、自然災害や事故などが想定されますが、日頃より各現場において訓練を積み重ねることが重要であると考えます。
 そこでお伺いいたしますが、訓練に当たりましては、様々な事態を想定して実施することが有効と考えますが、交通局における取組、この点について伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 交通局では、地震や浸水、テロ等の異常事態を想定し、毎年、駅、運転、保守の各部門が合同で行う総合訓練を実施するとともに、職場単位での訓練を積み重ねております。
 大規模地震を想定した異常時総合訓練では、都営交通モニターも参加した脱線車両からの避難誘導訓練のほか、施設の復旧訓練を実施し、部門間の連携の重要性を再認識いたしました。
 さらに、大規模水害を想定した車両避難訓練などのほか、昨年は、電力逼迫を踏まえ、広域停電を想定し、電力貯蔵装置による列車を走行させる訓練、また、先月は、近年の刺傷事件を踏まえ、走行する車両を用いて、警察など関係機関と連携したテロ対応訓練などを実施いたしました。
 今後も、多様な場面を想定したより実践的な訓練を積み重ねて、職員の対応力の向上を図ってまいります。

○柴崎委員 安全対策につきましては、今、答弁いただきましたが、様々な異常事態に備え、実践的な訓練に取り組んでいる、このことが確認できました。
 また、先日の異常時総合訓練では、従前は、訓練を見学するのみであったものが、都営交通モニターの方々が、今回は、避難誘導訓練に乗客役として参加したとのことであります。局職員による避難誘導を体験していただくことは、安全・安心な都営交通、このことをお客様に体感していただく貴重な機会であり、とても大切な取組だと思います。訓練の内容については、改善を重ねながら取り組んでいることを評価したいと思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 次は、大江戸線延伸について伺いたいと思います。
 練馬区北西部の鉄道空白地域にお住まいの方にとりましては、大江戸線の延伸は、切実な願いであります。私も以前から、地域の方々とは、大江戸線延伸促進期成同盟による要望を実施するなど、様々な機会を捉え、延伸の早期実現を強く求めてきたところであります。
 交通局では、この間、大江戸線延伸による旅客需要の調査等を行っており、今年度も調査経費を主要事業として計上していると聞いております。
 そこでお伺いいたしますが、大江戸線延伸に関しまして、令和五年度のこれまでの取組状況、この点について伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 大江戸線延伸の事業化に当たりましては、将来的な旅客需要の見通しや事業の収支採算性の確保等について十分に見定める必要があり、これまでも、練馬区など関係機関と連携しながら、調査検討を進めてまいりました。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症の五類移行後の状況も踏まえ、延伸による将来の旅客需要のほか、収支採算性について調査を進めております。
 また、本年三月に立ち上げた庁内検討プロジェクトチームを五月と九月に開催し、課題の明確化に向けて、調査検討の内容について議論しております。

○柴崎委員 交通局ではこれまでも、旅客需要の調査を受け、延伸に必要な設備や施設等について検討を進めてきたものと理解をしております。
 新型コロナウイルスの五類移行後の状況など、最新の知見を取り入れ、さらには、今、答弁がありましたが、庁内検討プロジェクトチームが本年三月に立ち上がったわけですから、調査検討を深度化していただきたいと考えます。
 最後にお伺いしたいのは、大江戸線延伸の早期実現に向けた今後の取組です。この点について伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 庁内検討プロジェクトチームにおいて、今年度の調査を踏まえ、将来の旅客需要や収支採算性を検証し、事業化に当たっての課題を明確にした後、その解決の方向性などについて検討していくこととしており、引き続き、関係局や沿線まちづくりを担う練馬区と一層の連携を図り、課題解決に向けて取り組んでまいります。

○柴崎委員 大江戸線延伸に当たりましては、解決すべき様々な課題があることは理解をしております。特に延伸部で、駅が予定されている周辺のまちづくり、これは地元練馬区の取組が重要だと思っております。まちづくりの担い手である練馬区ともしっかりと手を携えながら、延伸に向けた検討を鋭意進めていただき、一日も早い大江戸線延伸につなげていただくことを期待いたしまして、私の質問を終了いたします。

○伊藤(こ)委員 公営企業委員会に久しぶりに戻ってまいりまして、今日は質問させていただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、水素燃料電池バスについて伺ってまいりたいと思います。
 次世代エネルギーとして、水素は大変に重要な役割を担っておりまして、また、期待をされているところであります。その上で、水素の需要を創出していくことというのは、水素社会の実現への大きな鍵を握っていると思います。
 本年一月に策定された「未来の東京」戦略 version up 二〇二三には、水素エネルギーを脱炭素社会の柱にするとしておりまして、その中には、燃料電池バスを都バスへ導入することを推進していくということが示されております。
 そして、現在、都が燃料電池バスの導入を進めておるわけでありますけれども、ちょうど第三回定例会の都議会の広報のポスターが、(資料を示す)この水素バスでございまして、これを見て何か質問したいなって思っておりましたけれども、本日を迎えることができて、うれしく思っております。
 究極のエコカーとも形容されるこのバスでありますけれども、バスの車体上部に搭載された水素タンクにためた水素と空気中の酸素、これをバスの中にある燃料電池で化学反応させて電気を生み出して、その電気でモーターを回して走行するというバスでございます。
 エンジン内の燃料を燃焼させて走るディーゼル車やガソリン車に対して、この水素バス、燃料電池バスは、どれだけ運転しても、走っても、CO2をはじめとする環境負荷となる物質を排出しない、水しか出さない、まさに次世代を牽引するバスであります。とりわけ水素の需要量が多いこの燃料電池バスは、水素エネルギーの普及拡大に大きく貢献するものであると私は思っております。
 そこで、燃料電池バスの導入状況と、既に都が公表している営業所内水素ステーションの整備に向け都交通局がどのように取り組んできたのかをまず伺いたいと思います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 交通局では、全国のバス事業者で最多となる七十三両の燃料電池バスを運用しており、令和六年度までに八十両まで拡大する計画でございます。
 また、さらなる導入拡大には、営業所内への水素ステーション整備が効果的であることから、大型設備のためのスペース確保や、整備、運営手法の検討、補助制度に関する国や関係局等との調整を重ね、有明営業所内に整備することといたしました。
 整備、運営は、専門的な技術力等が必要なことから、公募により、こうした能力を有する事業者から、水素の搬入、貯蔵方法や供給能力などについて提案を受け、本年九月に選定したところであり、令和七年四月に開所予定でございます。

○伊藤(こ)委員 二〇一一年、東日本大震災が発生をいたしました。都議会公明党は、このときに、被災地を、チームに分かれて視察、調査を行いました。
 その際、福島に行ったメンバーは、この福島の被災地の方々に、福島原発は、福島のための電力ではなくて、東京の人たちのための電力を発電していたんだというふうに、被災した住民から切に訴えられたということでございました。
 その甚大な被害を受けた福島では、今、太陽光発電の電力を利用して、水素を製造し始めております。このたびの有明営業所内のステーションの公募により選定された事業者は、液化水素で搬入、貯蔵するということから、気体である福島の水素の活用は、現状では難しいというふうに理解をしておりますけれども、しかし、交通局は、令和三年度に、福島県産の水素が都内の水素ステーションに供給された際には、交通局の燃料電池バスに充填するとともに、ラッピングバスの運行によって、その取組をPRしたというこれまでの経緯もあります。今後も、そうした機会を捉えて、ぜひ、被災地のためにも、福島県産の水素を積極的に利用するとともに、PR等にも協力をしていただきたいと要望しておきたいと思います。
 先ほどもお見せしたこのバス、(資料を示す)私の地元の品川にも走っておりますけれども、この横を通った子供からは、かっけーっていう言葉が出ておりましたので、ぜひ、この水素バス、普及をしていっていただきたい、このように思います。
 次に、ホームドアの設置について質問してまいりたいと思います。
 安全・安心の取組について質問をさせていただきます。
 鉄道駅では、白杖を持った視覚障害があるお客様がホームから転落したり、あるいはまた、走ってきた電車に接触するといった痛ましい事故が度々発生をしております。お客様の転落事故を防ぐためには、最も効果的なのが、ホームドアの整備であります。
 そこで、都営地下鉄のホームドアの設置状況と今後の予定について伺いたいと思います。

○神田技術調整担当部長 都営地下鉄では、三田線、新宿線、大江戸線の全駅でホームドアの整備が完了しており、浅草線につきましては、二十駅中十八駅に整備しており、残る二駅も整備中でございます。
 西馬込駅については、現在、ホームドアの動作確認等を行っており、今月中に整備が完了いたします。
 また、京成電鉄との共同使用駅であり、同社が整備主体となる押上駅については、既に一部のホームで運用を開始しており、来年二月には、都営地下鉄全駅で整備が完了する予定でございます。

○伊藤(こ)委員 都営地下鉄浅草線と、そしてまた、西馬込駅は、私が高校生時代に毎日利用していた懐かしい路線であり、駅であります。今月中にホームドアの設置が完了して、交通局が管理する全ての駅でホームドアの整備が完了するということを大変にうれしく思っております。
 次も、お客様の安全・安心につながる質問をしてまいりたいと思います。
 平成二十一年十月の公営企業決算特別委員会の分科会での質疑で、私は、サービス介助士に関する質問を行いまして、サービス介助士の配置状況やPRなどについて質問をいたしました。
 その際の答弁では、駅の助役以上、約四百四十名の方が資格を取得し、また、全ての駅への配置を目指し、駅員の資格取得を積極的に推進していくこと、資格を持っている駅員が、お客様から見て分かるように、制服の胸につけるバッジを作成するという答弁でありました。
 サービス介助士とは、高齢の人や障害がある人を手伝うときのおもてなしの心と介助技術を学び、相手に安心していただきながら必要な手伝いができる人のことでありまして、公共交通の要である都営交通にとって重要な役割を担う人材であります。
 例えば、視覚障害のある方への支援として、要支援者の手を引っ張って誘導するのではなくて、視覚に障害がある人ですから、手を引っ張って誘導するのではなくて、介助者の肩に手を触れていただいて安全に誘導するなど、その方に合った介助を行う訓練を身につけた方のことでございます。
 そこで、都営地下鉄の駅係員のサービス介助士の取得状況について、直近の状況について伺いたいと思います。

○神永電車部長 都営地下鉄では、おもてなしの心と安全な介助技術を身につけ、高齢者や障害者へ適切に対応するため、平成十九年度からサービス介助士の資格取得を進めておりまして、現在、全ての駅に資格を持った駅係員を複数名配置しております。
 令和四年度は、新たに四十五名の駅係員が資格を取得し、年度末時点での取得者数は千八十五名、取得率は九三・五%となっております。

○伊藤(こ)委員 前回、平成二十一年に私が質問をしたときには、助役以上の四百四十名ということでありましたけれども、今現在では千八十五名、取得率が約九四%ということで、駅係員の方々のほとんどが、このサービス介助士の資格を取っていただいているということ、高く評価をしたいと思います。これからも、このサービス介助士の方の活躍を期待してまいりたい、このように思います。
 次に、都営地下鉄における駅係員と聴覚障害者との円滑なコミュニケーションへの取組について、どのようなことが行われているのか伺いたいと思います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、車両の運行情報や列車の接近等を文字で表示しているほか、各駅の窓口等に筆談用具や筆談アプリを搭載したタブレット端末を配備しております。
 また、令和二年十一月からは、関係局と連携し、お客様のスマートフォンを通じて手話通訳士を介したやり取りができる遠隔手話通訳サービスを各駅の窓口等でご案内しております。

○伊藤(こ)委員 聴覚障害者との円滑なコミュニケーションへの取組、様々に工夫をされているということでございました。
 来年四月に施行される改正障害者差別解消法では、国や自治体だけではなくて、一般企業などにも合理的配慮の提供が義務づけられるわけであります。
 障害者の方が必要としている配慮は、障害の程度やその場の状況によって常に変化するものであります。サービス介助士の資格取得においては、ホスピタリティーの心や介助の学びにおいて対話が重要視されております。
 都営交通においても、これまでの取組に加えて、職員の方に手話のスキルを身につけていただきたいと私は思います。まずは各駅に一人でも手話のできる駅員を配置することはできないだろうか、このように思います。そのためには、外部の手話講習会へ参加をしたり職場内で講習会を開催するなど、手話でのコミュニケーションについても、交通局が他局をリードする先導的な役割を果たしていくことを要望したい、このように思います。
 昨年度、令和四年九月一日には、東京都手話言語条例が施行になりました。また、二〇二五年、もう間もなくです、東京でデフリンピックが開催されるわけであります。聴覚障害者の方々への支援、これも視野に入れながら、都営交通としても、手話、考えていただきたいな、このように要望しておきたいと思います。
 次に、通信環境の整備について質問をしてまいります。
 今や通信環境は都民にとって重要なインフラであり、地下部分にある都営地下鉄の環境においても、誰もが快適に携帯電話やスマートフォンを利用できる環境の整備が重要であります。
 現在、5G環境が拡大をしておりまして、地上では進んでおりますけれども、地下部での整備拡大が今後の課題であります。
 都議会公明党はこれまで、都営交通におけるWi-Fi環境の整備について積極的に働きかけを行いまして、都営地下鉄車内、駅構内、バス車内においても設置をされてきました。しかし、聞くところによると、残念ながら通信事業者が撤退をしてしまい、機材も全部外してしまったというふうに聞いておりますけれども、インバウンドももう回復をしてきておりまして、訪日外国人からのニーズが高いWi-Fi環境の整備も重要だというふうに思っております。
 そこで、都営地下鉄における通信環境の整備について、現在の取組状況と今後の展開について伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 駅構内や駅間における通信環境の整備に向け、令和四年度は、民間事業者と連携し、都庁前駅に地下鉄駅初となる5G通信環境を整備するとともに、今年度からは、通信機器の設置スペース等を調整しながら、地下鉄駅構内への5G環境整備を推進しております。
 また、本年四月から、訪日外国人向けのサービスとして、高い利便性と信頼性を兼ね備えたオープンローミング対応Wi-Fiを都庁前駅で開始しており、利用動向などを勘案しながら、さらなる設置の可能性についても検討してまいります。

○伊藤(こ)委員 オープンローミング対応Wi-Fiでありますけれども、都全体としては、令和五年度中に六百か所超へ順次拡大する予定だというふうにしております。せめて都営地下鉄の駅構内は、Wi-Fi整備は私は急いでやっていただきたいな、このように要望しておきたいと思います。
 5GやWi-Fi環境の整備が進めば、より快適に通信することが可能となり、都営地下鉄を利用する方々の利便性も向上するわけであります。しっかりと進めていただくよう求めておきたいと思います。
 次に、災害対策の強化について質問してまいります。
 令和元年十月に台風十九号による大きな被害がありました。長野県では、河川の堤防が決壊をし、北陸新幹線の車庫が浸水をし、百両もの車両、新幹線が水没して廃車となったという災害がありました。私もあのときの写真を鮮明にまだ覚えておりますけれども、北陸新幹線が車庫で並んでいるところに半分以上浸水をしている、そういう報道でありました。また、福島県でも、路線バスが九十台以上水没をしました。
 新聞報道によれば、この北陸新幹線でありますけれども、新幹線車両の廃車に伴うJRグループの損失額、何と二百億円以上ということでありました。また、鉄道会社が新しく車両を導入しようとした場合には、通常、発注して納入されるまでに三年間ほどかかるということで、一度に発注できる車両数にも限度があるということでありました。
 仮に、東京で大規模な浸水被害があって大量の車両を失った場合、被災前の状態に戻るまでにはかなりの長時間を要するということになると思います。
 私は、この台風十九号の被害の直後、令和元年十一月の公営企業会計決算特別委員会で、交通局関係に質疑を行いました。その際には、計画運休の実施について質問をし、さらに、大規模水害時の車両避難のマニュアルやルールをしっかりと決めておくべきだということを質問いたしました。
 その際、都交通局からは、大規模水害時における都営地下鉄の車両避難を改めて検証し、実効性の高い対策を検討するという答弁がありましたけれども、これまでの間、どのように取り組んできたのか伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 車両避難に当たりましては、浸水を免れる区間にスペースを確保できるか、また、実際に効果的な手順を定められるかなどを検証する必要がございました。
 そこで、最新の被害想定に基づき、浸水エリアを把握した上で局横断的に検討を進め、被災時の復旧作業の妨げにならないことや、職員の安全確保なども踏まえまして、車両の避難場所を決定いたしました。
 あわせて、指令や乗務、保守区ごとの詳細な手順を時系列で取りまとめるとともに、車両避難の実施を判断するタイミングなどを整理してタイムラインを定め、本年三月に交通局危機管理対策計画に反映いたしました。

○伊藤(こ)委員 具体的な手順等について定めたということは、一歩前進だというふうに思います。定めた手順を有効に機能させるためには、被災時において円滑に車両を避難させられるよう、あらかじめ備えておくことが重要であります。
 そこで、都営地下鉄における車両避難の着実な実施に向けた今後の取組について伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 大規模水害が発生した際、迅速かつ的確に対応できるよう、本年三月には浅草線、六月には三田線で、実際に車両を動かしながら車両避難訓練を実施しておりまして、今後も、図上訓練や実践的な訓練を繰り返し実施することで、職員の対応力を向上させてまいります。
 また、訓練の結果や浸水対策工事の進捗などに応じて、適時、手順の見直しを図っていくことにより、実効性を高めてまいります。

○伊藤(こ)委員 実際に車両を動かしながら車両避難訓練を実施したりとか、あるいは図上訓練や実践的な訓練を繰り返し実施したりすることで職員の対応力を向上させるという答弁でありました。いざというときには、訓練したことしか生かされないということであります。さらに、状況変化に的確に対応しながら実効性を高めていくことを求めておきたいと思います。
 交通局は、令和五年二月に浸水対策施設整備計画を策定し、大規模水害による浸水被害をシミュレーションした上で対策を検討し、施設整備の方向性や具体的な整備手法、手順を取りまとめたということでありました。
 シミュレーションでは、荒川氾濫や高潮が発生した際に、駅出入口などの開口部や乗換駅を通じて氾濫水がトンネル内に流入し、地下鉄ネットワークを通じて浸水被害が順次拡大する状況が確認されたということでありまして、地下車庫への浸水も危惧されるところであります。
 そこで、浸水対策施設整備計画で定める地下車庫の浸水対策やそのスケジュールについて伺いたいと思います。

○坂口建設工務部長 当局が実施いたしました大規模水害時の浸水シミュレーションでは、新宿線大島車庫及び大江戸線木場車庫における被害を想定しており、車庫内への浸水を防止し、車両を被害から守るため、入出庫線のトンネルを完全に塞ぐ防水ゲートを整備することといたしております。
 防水ゲートの整備は、トンネル内での限られたスペースで大型の設備を設置するなど高い施工技術が必要であるとともに、作業時間は、毎日の終電後から始発前までに限定される中で順次実施することから長期間を要し、計画では、二〇三〇年代の完成を予定しております。

○伊藤(こ)委員 二〇三〇年代の完成を予定ということでありましたけれども、息の長い取組になるわけでありますが、日々の電車の運行を続けながらの工事ということで、安全に着実に進めていただきたいというふうに思います。また、先ほど答弁のあったような訓練を積み重ねて、その内容を十分に検証し、適宜見直しを図るなど、的確に車両を守れるよう、実効性を高めていくことを求めておきたいと思います。
 地下鉄同様、都市機能を回復させる上で、都営バスの運行再開も非常に重要であり、バスの車両も守る必要があります。
 バスは地上の一般道路を走行するため、地下鉄と違う面で難しいことも想定されます。
 そこで、都営バスの車両避難については、この間どのように取り組んできたのか伺いたいと思います。

○太田安全管理担当部長 バスの車両避難手順の検討に当たりましては、浸水が想定される車両数に対応した避難先を確保する必要がございます。
 そこで、最新の被害想定に基づき、浸水が予想される営業所の車両については、原則として浸水を免れる営業所に避難させることとし、移動時間や避難後の車両管理の効率化などを考慮して避難先を割り当てました。
 その上で、乗務員の安全確保も考慮した具体的な避難の実施手順を取りまとめ、交通局危機管理対策計画に反映いたしました。

○伊藤(こ)委員 都民の足である公共交通機関として、大規模水害時に、当然、人命を守って、そして車両を守って、そして復興していく、この東京、そして都民の生活、これをしっかりと貢献できるように、都営交通として頑張っていただきたい、このように思います。
 その際には、職員の方々の命を守ることは大前提であるということは申し述べるまでもありません。バスにおいても、訓練などを通じて実効性を高めていくことを求めておきたいと思います。
 本日は、これまで大規模水害発生時の都営地下鉄やバスの車両避難や、あるいは地下車庫の浸水対策について質問してまいりましたけれども、都営交通は、一日に二百九十四万人もの方が利用されておりまして、災害に強い交通機関であってほしいというのが私の願いであります。そのためにも、より強靱な都営交通にしていく必要があるわけであります。
 最後に、都営交通における災害対応の強化について、久我交通局長の決意を伺い、私の質問を終わりたいと思います。

○久我交通局長 都営交通は、首都東京の都市活動や都民生活を支える役割を担っており、自然災害等の発生時においても、お客様の安全確保はもとより、可能な限り早期に設備等の復旧を図り、運行を再開していくことが重要と考えております。
 このため、発災時における被害の軽減に向けて、被害想定等に基づき施設整備を計画的に進めるとともに、職員が異常時に迅速かつ的確に対応できるよう、関係機関とも連携しながら、様々な事態を想定した実践的な訓練を積み重ねております。
 今後とも、ハード、ソフト両面からの取組を着実に進め、お客様に安心してご利用いただける災害に強い都営交通を実現してまいります。

○福手委員 よろしくお願いします。
 まず、駅のトイレについて伺っていきます。
 商業施設でも学校でもトイレの洋式化が進んでおりますが、都営地下鉄駅のトイレの現状とその改善について確認をしていきます。
 大江戸線では、女性用トイレは全て洋式トイレとなっています。男性も同様です。ただ、浅草線はそうではありません。全て洋式化にするべきだと考えますが、見解を伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、お客様が駅のトイレを快適にご利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、洋式化を含むトイレの改修を計画的に進めております。

○福手委員 洋式化は計画的に進めているということでした。
 浅草線は、古い線なので、駅の中には和式の方が多いというところが残っています。泉岳寺の駅のトイレを私見てきたんですが、女性用トイレは洋式が一つ、和式が二つです。トイレを使う方、皆さん、和式は使わず、洋式トイレに並んでいたという状況でした。
 そして、そもそも女性トイレというのは、男性トイレよりも面積が狭く、便器の数も少ないという状況がありますので、この状況を早く改善する必要があると思いますが、泉岳寺駅のトイレの洋式化、これはいつになるのでしょうか。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、お客様が駅のトイレを快適にご利用いただけるよう、洋式化を含むトイレの改修を進めておりまして、こちらにつきましては計画的に進めていきます。

○福手委員 泉岳寺駅地区は、第二種市街地再開発事業が行われており、その完了予定は二〇二七年度となっています。駅のトイレの整備もそういうスケジュールになっていくことになります。
 この地域における都の事業としては、もともと泉岳寺駅のバリアフリー化等の機能強化から始まって、二〇〇〇年代の初めの頃は、エレベーターの設置や階段の高さの改善などについて議論をされていました。ところが、現在は第二種市街地再開発事業として、国際交流拠点の名の下に、羽田新ルートやリニア中央新幹線の整備も前提に事業が進められようとしています。
 地上の再開発や権利、補償などに事業は広がり、急がれるトイレの洋式化やバリアフリー化の機能強化は、完了時期を再開発に合わせる形になってしまっているという状況があります。少なくとも、バリアフリー化が早められるよう求めていただきたいと思います。
 次に、浅草駅のトイレについて伺います。
 浅草駅は、女性トイレ、七つあるうちの和式が六つに対して洋式一つ、男性用も、個室が五つあるうちの洋式は一つだけです。浅草駅は、全ての駅の中で圧倒的に洋式トイレ率が低い駅です。私が見にいったときも、スーツケースを持った海外の観光客が浅草駅でたくさん降りていましたが、本当に洋式化が急がれると思うんですね。
 この浅草駅のトイレというのは、いつ洋式化するのでしょうか。

○飯沼技術管理担当部長 浅草駅につきましても、泉岳寺と同じく、洋式化を含むトイレの改修につきましては、計画的に進めてまいります。

○福手委員 浅草駅、現在、バリアフリー化した新たな出入口の整備などの準備が進められていると。先ほどのほかの委員の質疑の中でも、他事業者の工事が遅れているという答弁がありました。完了時期が未定なんですね。トイレの洋式化と併せてトイレの入り口の段差の解消も課題にありますので、時期を明らかにし、早期に改善されることを求めておきたいと思います。
 次に、バリアフリー化したトイレの取組について伺います。
 ベビーシートは、都営地下鉄全駅の何%で設置をされているのか伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、全ての駅にベビーシートを設置済みでございます。

○福手委員 ベビーシートは全駅に設置されていると。これ、とても大事な到達だと思いました。
 都庁駅前のトイレは、以前、ベビーシートを車椅子利用者対応トイレに設置していたのを、利用者の声を反映して、一般トイレの女性用と男性用に機能分散して設置し直しています。
 交通局は、スペースを広く取ったいわゆるバリアフリートイレを増やす一方、一般トイレについても、スペースを考え、障害のある方や乳幼児を連れた方に配慮したトイレに順次改修していくとしています。都庁前駅のような改善が、今後、ほかの駅でも計画的に進められるといいと私は思いました。
 では、次に、介助用ベッド、これが設置されている駅数と箇所数、また、昨年度で増やした数を伺います。

○飯沼技術管理担当部長 介助用ベッドにつきましては、これまでに二十五駅、二十八か所で整備済みとなっておりまして、このうち、令和四年度は二か所に設置をいたしました。

○福手委員 身体障害者の団体の方から、駅のトイレに介助用ベッドを増やしてほしいという声が上がっています。お話を伺いますと、出かけた先で、おむつの交換のマークを見つけてトイレに行くとベビーシートだったと、そういう経験を多くの方がされているようでした。
 交通局は、経営計画のバリアフリー化したトイレの取組のところで、スペースを広くし、介助用ベッドまたはベビーシート、オストメイト対応等を備えたトイレを全駅で一か所以上整備してきたとありますが、ベビーシートの方は、先ほどのように全駅に設置されています。介助用ベッドは設置されていない駅がまだ多く残されています。
 介助用ベッドは、大人の方のおむつが替えられるための大型のベッドで、広いスペースが必要なので、そのスペースが確保できないと設置はできません。答弁では、交通局として、介助用ベッドを増やす努力をされているということは分かりましたが、それにしてもやはり少ないです。このテンポで行くと、困っている人は放置され続けることになり、急ぐ必要があると私は思います。
 先ほど取り上げた都庁前駅にも介助用ベッドは設置されていません。都庁前には当然ベッドがあると思ったという声も寄せられていますので、ぜひ設置していただきたいと思います。
 介助用ベッドの設置については、やはりなかなか進みにくいという状況もありますので、位置づけを高くして進めていくことを改めて求めたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、駅構内の移動のバリアフリーについて伺います。
 都営地下鉄では、視覚障害者をエスカレーターへ誘導する点字ブロックがありません。
 交通局は、視覚障害者のエスカレーターのニーズをどのように捉えていますか、認識を伺います。

○飯沼技術管理担当部長 バリアフリー整備ガイドラインでは、視覚障害者におけるエスカレーター利用のニーズは高い一方、安全性への配慮が必須であるとされているところでございます。

○福手委員 国の移動等円滑化整備ガイドラインでは、視覚障害者のエスカレーターのニーズは高く、エスカレーターを使用できる環境を整備する必要があると考えられると書いてあります。平成二十五年の調査ですが、その駅に慣れていても慣れていなくても、六〇から八〇%の方がエスカレーターを使用している、または使用したいと思っているという結果が出ています。ガイドラインは、続けて、一方で、安全性への配慮が必須であり、視覚障害者誘導用ブロックの敷設に加え、音声案内などでエスカレーターの位置や行き先をより分かりやすくするなどの工夫が必要とあります。答弁はこれを踏まえて答えられたものです。
 では、視覚障害者がエスカレーターを利用できるよう、誘導用の点字ブロックを敷くべきだと考えますが、見解を伺います。

○飯沼技術管理担当部長 視覚障害者誘導用ブロックの敷設につきましては、安全を確保する上での課題が多く、引き続き慎重な検討が必要であると考えているところでございます。

○福手委員 ガイドラインは、エスカレーターを使用できるよう、安全性に配慮した環境の整備を求めています。つまり、視覚障害者が使用できるようにすることが大前提となっています。
 先ほどの答弁は、課題が多く検討中といわれましたが、そうであるなら、その課題を解決しなければなりません。
 どうすれば視覚障害者が安全にエスカレーターを利用することができるようになるか、それを検討するには、当事者の意見を聞いていくことが必要だと思っていますが、これまで交通局は、視覚障害者が安全にエスカレーターを使用できるための検討として、当事者の方たちと一緒に現場を視察するなどされたことはありますか、ちょっと伺います。

○神永電車部長 交通局ではこれまでも、駅の利用等に関しまして、障害者団体と定期的に意見交換等を行っております。

○福手委員 意見交換をされているという答弁でした。視察はされたことはないということで、事前に伺っております。当事者の方が一緒に現場を見るということですね。
 階段とエスカレーターとどっちが安全なのかという議論ではないと私は思っています。
 実際に自分一人で動ける視覚障害のある方は、大体がエスカレーターを実際使っているんですね。高齢者だけではなく、若い方でも階段よりエスカレーターを選んで使う方が多く、視覚障害がない健常者ではそれが当たり前なんですが、視覚障害者は危ないから乗せられないと運用で決めてしまうのは、私は違うと思います。だからこそ、当事者を入れて、どうしたらできるか検討していただくことが重要だと思います。当事者団体からも、現場の立会いを求めているということなので、局として、これに応えていただきたいと思います。
 それで、これも安全に利用できる環境整備の一つだと思いますが、三田駅の浅草線ホームから三田線に乗り換える際に利用する下りのエスカレーターには、ホームにいる視覚障害者の方へお知らせする音声案内があります。こちらはどこどこ改札行き下りのエスカレーターですという案内なんですね。しかし、この音が小さいので、特に電車が出入りする、そういうときは聞こえないという状況があります。
 三田駅の浅草線ホームにある六号機のエスカレーターの音声案内の音量を上げるべきだと思います。見解を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 エスカレーターの音声案内につきましては、必要に応じて状況を確認し、音量を上げるなどの対応をしております。

○福手委員 状況を確認し、音量を上げる対応をしているという答弁でした。
 実際、この三田駅の浅草線ホームの音声案内につきましても、現地を確認していただいて、この間の日曜日に、メーカーに最大音量まで上げるという対応をしていただきました。ありがとうございました。引き続き、当事者からの要望について対応をお願いしたいと思います。
 三田駅では、車椅子の方が、三田線から浅草線、または浅草線から三田線へ乗り換えるために、インターホンで係員を呼んで、その係員が六号機のエスカレーターを止めて、車椅子が乗れるようにエスカレーターを平らに切り替えて移動するという手段が取られています。
 三田駅の浅草線ホームへ上がる六号機のエスカレーターで、車椅子の方に対応した数というのはどれくらいありますか。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 一日平均で約十件でございます。

○福手委員 一日約十件ということでした。
 身体障害があり車椅子を利用されている方にお話を伺いました。外出してから家に帰るまで、何度もすみませんをいっているというお話でした。エレベーターを利用するときや、歩道で人と擦れ違うときなどだそうです。
 そして、この方も、三田駅ではありませんが、別の駅で三段フラットのエスカレーターを利用したことがあるということで、そのときもとても恐縮されたというお話でした。エスカレーターを止めて車椅子を乗せるので、その間、エスカレーターに乗れなくなった人からの視線や、中には舌打ちをされたことがあって、申し訳ない気持ちになったというお話を聞きました。
 利用する方、皆さんがそうかどうか分からないんですけれども、実際このような思いをされているということです。こうした思いを当事者の方はされているということに十分配慮した手段を考えることが駅には求められていると私は思います。
 駅の利用に関する障害者等からの声や意見というのは聞いているのでしょうか。伺います。

○神永電車部長 繰り返しになりますが、交通局はこれまでも、駅の利用等に関して、障害者団体と定期的に意見交換等を行っております。

○福手委員 障害のある方にとって利用しやすくするというのは、様々な人にとっても使いやすくなりますので、団体の方から伺った意見や声を踏まえ、配慮した運用改善をお願いしたいと思います。
 そこで、改善していただきたいルートがありますので伺っていきます。
 三田駅の浅草線ホームに行く場合、六号機のエスカレーターを利用する以外の手段として、A8出口のエレベーターで地上に出て、それから、外をぐるっと移動して、A3出口にエレベーターがあるということなので、そのエレベーターで浅草線へ移動して乗り換えるという方法があります。
 このルートというのは、日常的に案内しているのでしょうか。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 三田駅では、車椅子利用者等の三田線と浅草線の乗換経路につきまして、お客様からのご要望に応じまして、エスカレーターの利用をご案内しております。

○福手委員 先ほどいったこのルート、私も実際歩いてみたんですけれども、私が歩いて十六分かかったんですね。何でこんなに時間がかかったかといいますと、一つは、やっぱり距離が長いということ、それからもう一つは、エレベーターの場所がどうしても分からなかったんです。駅にはエレベーターのサインはありますが、本当に探しても分からなかったんですね。
 結局、地下に下りて、逆から探して、エレベーターで上がって、初めて、ああここにあるんだというのが分かりました。駅にはエレベーターのサインはあるんですけれども、エレベーターへの点字ブロックはありません。駅ビルの中にエレベーターがあるという案内も、まるで気づかれないようにしているかのような消極的な案内しかありませんでした。
 浅草線から乗り換える方に、このルートを案内する場合は、駅の方が一緒についていくということで少し安心しましたけれども、そもそもこのルート自体、案内するルートとしてどうなのかと、そういう検討も必要ではないでしょうか。
 少なくとも、直接このA3出入口を利用する方でも、エレベーターがどこにあるのかがすぐ分かるようにする必要があると思いますが、これはぜひ現地を見にいって確認していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 繰り返しになりますけれども、乗換え等につきましては、お客様からのご要望に応じて、当局で検討してご案内をしてまいります。

○福手委員 お客様からの要望があったときは、いろんな対応が、そのとき駅の方がついていったりできると思うんですけれども、そうでない場合に、本当にここは分からない場所なんです。ぜひ見に行っていただきたいと思います。本当に分かりにくいということを知っていただいて、改善をお願いしたいと思っています。よろしくお願いします。
 交通局は、ホームから地上までエレベーター等によるワンルート確保は完了といっていますが、ホームにエレベーターがない駅がまだ残っています。エレベーターがないと、本当に駅利用者も駅員も大変です。
 全てのホームにエレベーターを設置するべきと考えますが、いかがですか。

○飯沼技術管理担当部長 現在、駅のホームにエレベーターがない駅は、浅草線の泉岳寺駅及び高輪台駅の二駅でございます。
 泉岳寺駅につきましては、現在、駅の大規模改良に取り組んでおり、これに合わせてエレベーターを増設することとしております。
 高輪台駅につきましては、周辺街路整備事業との調整を図りながら、エレベーター整備に向け、関係機関との協議等を行っております。

○福手委員 ホームにエレベーターがない駅が、浅草線の泉岳寺駅と高輪台駅の二駅ということでした。
 このため、泉岳寺駅では、ホームから改札階に行くときには、A1、2方面はエスカレーターで、A3、4方面は階段昇降機で対応をしているのですが、泉岳寺駅の浅草線ホームで、車椅子を利用する方やベビーカーの子供連れの方がホームから改札階へ行くためにはどのように対応をしているのか伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 泉岳寺駅では、現在、車椅子利用者からの申出を受け、駅係員が階段昇降機によりホームから改札階までご案内をしております。
 また、ベビーカーをご利用のお客様に対しましては、ご要望に応じて、駅係員が改札階への移動をお手伝いしております。

○福手委員 私も実際、泉岳寺駅に行ったときに、ベビーカーの方がいて、駅員の方がベビーカーを持って上がっていました。私たち十分もホームにいない間に、二組のベビーカーの親子が階段の下でどうしようかと止まっていたという状況がありましたので、日常的に結構な頻度で、駅員の方または利用者自身が直接運んでいるという場合が多いんだなというふうに思います。本当に大変なことだと思いました。
 事故やけがが起きないように、早く改修できるといいと思うんですけれども、先ほどからあるように、再開発と一体なので、まだ時間がかかるわけです。前倒しで改修するよう、局として都市整備局に申し入れるべきだと思います。これは、私の意見として申し上げておきます。
 次に、駅にある自動販売機について伺います。
 自動販売機で点字をつける場所というのは、コインの投入口、お釣り返却レバー、コイン返却口、紙幣挿入口と、JIS規格や自動販売機工業会の規格で決められていますが、商品や値段に点字をつけるということは、基準には入っていません。ですから、視覚障害者が自動販売機で飲物を買うには、どのボタンを押せばいいのか全く分からない、そういう現状があります。
 地下鉄駅構内にある自動販売機で視覚障害者が飲物を買えるように、飲物の種類や値段が分かるようになっていることが必要と思いますが、認識を伺います。

○小林資産運用部長 視覚障害者の方から、お話のようなご要望があることは承知しております。

○福手委員 飲物の種類や値段が分かるような点字をつけてほしいという当事者の方々の要望があるということは知っているという答弁でしたが、では、自動販売機の業者に、飲物が分かるよう点字シールの表示等を求めたことがありますでしょうか。また、その対応を伺います。

○小林資産運用部長 自動販売機の操作性の向上に関する視覚障害者からのご要望については、自動販売機の設置事業者に伝えております。
 一方、設置事業者の方からは、商品入替えなどの点字対応は困難であると伺っております。

○福手委員 要望は事業者に伝えていることを確認できましたが、事業者は、商品の入替えなどがあるので対応が困難だという、そういう答弁でした。
 ただ、メーカーは、ボタンに点字がつけられない、やっていないというわけではありません。障害者福祉会館に何台か自動販売機がありますが、その全てに商品と値段が分かるように点字が後づけされています。これは、メーカーがつけています。障害のある方が使う頻度が高いから、点字の対応をしているんですね。
 駅にある全ての自動販売機に点字対応するのは難しくても、例えば障害のある方が使う頻度が高い三田駅や盲学校の最寄りの駅、例えば飯田橋駅などにある自動販売機に点字の対応をすることは、局としても、合理的配慮として必要な対応と、メーカーに再検討を求めていただくよう、お願いをいたします。
 最後に、女性専用車両について伺っていきます。
 交通局は、痴漢行為を防止するために、都営新宿線、大江戸線での女性専用車の運行や、他の鉄道事業者等と共同で痴漢撲滅キャンペーンを実施するなどの対応を行っています。誰もが安心して利用できるように、独自の対策強化期間も新たに設けて、痴漢撲滅に向け取り組んでいます。
 では、都営地下鉄で女性専用車が導入されていないのは三田線、浅草線ですけれども、この両路線の導入についての検討状況を伺います。

○神永電車部長 三田線及び浅草線と相互直通運転等を行っている各事業者とは、日頃から運行ダイヤの調整や車両の運用などのために様々な情報交換を行っております。
 この中で、事業者ごとに混雑する車両の位置が異なることに加え、急行、普通といった運行形態や、一編成当たりの車両数が異なるなど、女性専用車の設定に関する課題を共有しております。

○福手委員 三田線、浅草線の導入については、課題はいつもいわれるんですけれども、やはり遅々として進まない状況が続いています。各事業者と、女性専用車導入について、積極的に課題を解決するための検討を提案していただきたいと思います。
 三田線の白山駅は、特に学生の利用が多く、中学、高等学校や大学、合わせて八校の学校の生徒が白山駅を利用しています。ほかにも千石や巣鴨、西巣鴨、春日、水道橋、神保町など、本当に多くの学校の生徒や学生が利用しています。
 このように、三田線沿線には学校が集中していて、学生の利用も多く、それだけに、やはり痴漢被害対策として女性専用車の導入、特に急がれていると私は思いますが、認識を伺います。

○神永電車部長 三田線における女性専用車の設定につきましては、相互直通運転等を行っている事業者ごとに混雑する車両の位置が異なることや、一編成当たりの車両数が異なるなどの課題がございます。

○福手委員 先ほどと同じ答弁でした。
 課題があるということで認識されているのでしたら、ぜひ課題を解決、どうやったらできるかということを、また伺いたいと思っています、今後。
 私たち日本共産党都議団としても、都内の電車、駅での痴漢、盗撮被害の実態調査を行って、それを基に対策強化を求めてきました。そして、交通局も痴漢撲滅のために努力をされてきました。被害は十代、二十代に多い実態があります。そして、被害の影響は長期に及んで、長く被害者を苦しめます。学生が集中するということは、被害の数も多いという、そういう危機感を持って、ぜひ導入に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 実際、生徒が三田線を利用しているという学校の先生から、生徒の痴漢被害がひどいという話が私のところにはたくさん寄せられていますが、これまでに学校関係者から、痴漢被害への駅員の対応の要請を受けたことはあるでしょうか。伺います。

○神永電車部長 痴漢被害等の相談があった場合には、点呼等で情報共有するほか、駅構内の巡回回数を増やすなどの対応を行っております。

○福手委員 相談があったときには情報共有と巡回回数を増やすという、そういう対応をされているという答弁でした。それを確認しました。改めて、各駅に徹底していただきたいと強くお願いいたします。
 ある高校では、日常的に生徒から痴漢被害の訴えがあるというお話を聞きました。ある生徒は、繰り返し痴漢被害に遭っていたんですが、あるとき下車してからも後をつけられて、人陰に強引に連れ込まれて再び被害に遭うという、そういう残酷な事件が起きて、学校には行けなくなりました。この事件は、最終的には痴漢加害者は捕まりましたが、生徒の生活が元に戻るのか、戻るとしてもどれくらい時間がかかるのかは分かりません。
 また、別の生徒は、被害を受けて、学校に行けてはいるんですけれども、痴漢加害者と同じような年代の男性教員の授業は受けられなくなったという、そういうお話も聞きました。
 痴漢に遭ってからではやっぱり取り返しがつかない深刻な影響が被害者に及ぶ、それが痴漢被害です。だからこそ、痴漢が起きないように、電車や駅の対応が本当に大きい、重要だと思っています。
 被害に遭った当日ではなくて、後日であっても、相談や訴えがあれば対策を強化するという対応を重ねてお願いいたします。そして、女性専用車は、課題があってもやはり導入するんだと、そういう姿勢で、立場で、積極的に検討を進めていただくことを重ねてお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○あぜ上委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十九分開議

○あぜ上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、交通局の事務事業について質問いたします。
 まず、質問に当たって、昨今の厳しい状況の中で、都民の皆様、乗客の皆様の安全・安心を図っていくためには、やはり働く人、これは交通局やその関係する会社の方々も含めて、安心して働ける、生きがいを持って働ける環境が必要だと思っています。職場環境であるとか、待遇とか、そういったことをしっかりとしていく必要性があると思っています。その立場において、各事業について質問していきたいと思っております。
 まず、経営計画について質問します。
 現在、東京都交通局の経営計画二〇二二の期間中で、これは二〇二二年から二〇二五年までの目標が定められています。ただ、その前の計画の経営計画二〇一九は、じゃあどうなったのでしょうか。なかなかこれがどうなったかというのを、つくっているとは思うんですけれども、一般的には分かりづらいのかなという感じがしています。本当に大事なのは、つくった計画に基づいて実行していくことですから、行政の連続性からすると、次の計画の冒頭には前の計画の達成状況と総括、そして、課題をどう生かすかがあってしかるべきではないかと思っています。
 そこでまず、経営計画二〇一九の主な成果を伺います。また、掲げた当初の目標に達成しなかった項目があれば、その理由について伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 令和元年度からの三年間を計画期間とする経営計画二〇一九では、新宿線や浅草線のホームドア整備など安全・安心の確保に向けた取組や、乗換駅等九駅でのエレベーター整備など質の高いサービスの提供に向けた取組を進めてございます。
 また、環境負荷の低減に向けて、燃料電池バスの導入を累計七十一両まで拡大をしてございます。
 一方、一部には計画どおりとならなかった事業もございまして、その理由は、新型コロナウイルス感染症の影響により乗車料収入が大幅に減少する中、安全の確保に最大限配慮しながら、実施する規模や時期を見直したことによるものでございます。

○中村委員 いろいろと取組がなされていると思いますから、ホームページ等を含めて積極的に広報もしていただきたいと思います。
 また、昨日発表があったのですが、ホームドアについては、ようやく全駅につくということで、その途中でこの三年間があったのだろうと思いますから、継続した事業ということで、この三年間についてもしっかりと公表していただき、また、次につなげていただきたいと思っています。
 特に今回は、コロナということが理由で達成しなかったということもあったのですが、今後は、そういうことだけでもないと思いますので、達成できなかったものがあれば、なぜできなかったのか、次にどうしていくのかということも明らかにしていただければと思っています。
 そこで伺いますが、経営計画について期間が終了後に未達の事業をどのようにしているのか伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 経営計画を策定する際には、局を取り巻く事業環境の変化を踏まえながら、目標の達成、未達成にかかわらず、事業ごとに必要性や実施規模など改めて精査をしてございます。

○中村委員 精査をしていただいているということでございますので、ぜひ、次につなげていただくようお願いをいたします。
 さて、この経営計画の方なのですが、随所に生産性の向上とか業務の効率化などの記載があります。経営努力として無駄を削るとか収益を増やすとかは重要ですが、一方では、安全の確保のためには、働く人に関する部分は簡単に削ってよいものではないと思っています。
 待遇改善が重要で、こういったことも含めて、働く人にも頑張っていただきたいと思いますが、改めて伺いますが、誰もが働きやすい職場づくりにどのように取り組んでいくのか伺います。

○市川職員部長 交通局では、職員一人一人のライフ・ワーク・バランスの実現に向けて、育児、介護と仕事の両立支援や超過勤務縮減を進めるとともに、テレワークの一層の活用など、多様な働き方を推進しています。
 また、ダイバーシティに関する意見交換会等を実施し、職員個々の事情等の相互理解を図るとともに、女性専用施設や障害のある職員などにも配慮した設備等の整備を進めておりまして、引き続きこうした取組を行ってまいります。

○中村委員 ぜひ安心して働けるような職場づくりにも引き続き努めていただきたいと思います。
 さて、次に、事故について伺います。
 公共交通機関は安全が重要ですが、定時運行という安定ももちろん重要です。経営計画二〇二二にも、千葉県北西部地震に際しての日暮里・舎人ライナーの被災から復旧にかけての取組が掲載されています。
 一方、こうした災害時ではないときに長期運休するというのは通常はあり得ないと思います。
 しかし、今年四月十日から四日連続で運休という事態が起きました。四日間の運転見合せで、合わせて二百十七本が運休し、延べ三万三千人の乗客に影響が出たと報道されました。
 知事も、徹底した原因究明と対策をと述べていたようですが、改めて、この原因と対策を伺います。

○太田安全管理担当部長 本年四月の輸送障害は、電車線の伸びを吸収するための金具に不具合が発生し、電車線がゆがんだためパンタグラフが破損したこと、また、この事象を受けて、臨時にパンタグラフを交換した際、ボルトの締めつけ作業が不十分だったことが原因であります。
 パンタグラフの交換については、マニュアルを速やかに改定し、作業前後の確認を遵守するなど、確実な実施を徹底いたしました。
 また、電車線のゆがみにつきましては、金具の点検の方法や時期等を速やかに見直すとともに、現在、第三者機関等を活用して、恒久的な対策について検討を進めております。

○中村委員 事故というのはどうしても起きてしまうということかもしれませんけれども、起きた場合にできるだけ早く復旧させるということが、お客様への影響も少なくなることですから、そういったことは重要だと思っています。
 また、もちろん、原因について、いろいろと新しい交通システムだということではあるのでしょうけれども、できるだけ未然に防げるように、同種の事例があれば、そういったものも研究しながら、未然に防ぐ努力もしていただきたいと思います。
 そこで伺いますが、同様の業界などとの情報共有する仕組みが必要だと思いますが、見解を伺います。

○太田安全管理担当部長 交通局は、全国の新交通システムの事業者で構成する協議会に参加し、地震など災害発生時の対応や設備の保守方法などの課題について、各事業者と情報を共有しております。

○中村委員 ぜひ、そういった各事業者とのつながりを生かしていただく中で、できるだけ未然に防いでいただく、また、発生した場合には、早期復旧できるように取り組んでいただきたいと思っています。
 さて、日暮里・舎人ライナーは基本的に無人駅になっています。こうしたときに、事故の対応や乗客の避難誘導、振替輸送などを迅速に行う必要がありますので、通常時においても、よく交通機関に乗っていると急病人の対応として長時間止まることもありますが、無人駅ではなかなかこうした状況にすぐに対応できないこともあるのだろうと思っています。
 そこで伺いますが、日暮里・舎人ライナーの無人駅では、不測の事態への対応をどのように行っているのか伺います。

○神永電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、平時より、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所においても防犯カメラの映像により駅構内の状況を把握しております。
 事故等が発生した際には、巡回中の係員が緊急自動車等で現場に急行し、指令員等と連携して、お客様の避難誘導などの対応を取ることとしております。

○中村委員 対応はしていただいているということですが、やはりお客様からしてみても、人がいないということは不安になるところもあると思います。先ほどもありましたが、今日の新聞にも、日暮里・舎人ライナーの経営環境が厳しい状況も書いてはありましたけれども、いざというときを含めて、公共交通機関の安全・安心かと思いますので、一応、対応はできるということだとは思うのですけれども、私は、これは、人が誰もいないということについては検討する必要があるのではないかなというふうには思っております。
 さて、次に、地下鉄における対応について伺います。
 電車が止まったときなどの情報提供については、以前この委員会にいたときも質問したのですが、今、十分行われているでしょうか。特に長時間の閉じ込めということは乗客にとって大変負担が大きいので、早期の対応が必要になってきます。また、適切な情報提供など、乗客が不安を感じないような対応も必要になってきます。
 そこで伺いますが、都営地下鉄において、昨年度以降、列車が駅間で長時間停止した事例と、そのときの対応を伺います。

○神永電車部長 都営地下鉄では、令和四年五月に、大江戸線において、車両故障により駅間で列車が停止する事象が発生いたしました。
 その際、乗務員と司令員とが連携し、車内放送による声かけや状況説明等を行い、お客様の不安解消に努めるとともに、速やかに駅係員が現場に急行し、負傷者や体調不良を訴える方がいないことを確認した上で、お客様を最寄り駅まで誘導いたしました。

○中村委員 どうしても、これは都営地下鉄だけではないのですが、交通機関の中で閉じ込められると、止まってしまったりすると不安になるところもあります。特に地下鉄の場合は、地下で、やはり不安になることも多いので、対応はしていただいたということなのですが、できるだけ早く対応できるようにしていただきたいと思いますし、また、情報がないと余計不安になってしまいますので、ぜひ的確な情報をお伝えいただけるようにお願いをします。
 さて、電車の中で凶悪なテロが発生するという事例も、これは別の民間鉄道ですけれども、発生もしました。テロの対策の訓練を行っているということですが、これも幾ら訓練したとしても、そのときに駅や電車の中に職員が少なければ対応ができないということになってしまいかねません。
 そこで伺いますが、都営地下鉄の車内でテロ等が発生した場合、どのように対応することにしているのか、改めて確認いたします。

○神永電車部長 都営地下鉄では、車内でテロ等が発生した場合、お客様からの非常通報器での通報により車内の状況把握に努めております。
 通報を受けた乗務員は、運輸指令と連絡を取り、指令員は、乗務員に必要な指示を行うとともに、駅係員の手配や警察等への通報を行うこととしております。
 また、安全確保の観点から、原則、列車を次の駅に速やかに停車させるとともに、放送によりお客様へのご案内に努め、必要な救護や避難誘導等を行うこととしております。

○中村委員 テロ等起きてはほしくはないわけですけれども、起きたときに、万一の備えということもあると思いますので、これもやはり、都営地下鉄なので人がいないということはないとは思うのですけれども、少ない人数でどう対応していくかということもありますので、なるべくこういった人の配置ということも考えなきゃいけないのかなとも思います。
 さて、次に、先般ありました偽装請負の報道について伺います。
 交通局が、今年三月に、東京労働局から駅業務の交通協力会の委託について、労働者派遣法違反の疑いで指導を受けました。業務委託が偽造請負の疑いがあるとして報道されていました。
 この件については、さきの公営企業会計決算特別委員会において、都議会立憲民主党の関口議員からも質問をさせていただきました。その質疑においての交通局の答弁は、法律違反の事実関係確認はないものとし、仕様書の記載で疑念を持たれないよう修正し、労働局に報告したとのことでした。
 ただ、この地下鉄においての駅業務は、そもそも都の事業であるので、直接雇用した職員が安全な運行管理を行うのが本来は前提だと思ってはいます。一般的に、業務を外部に委託することで人件費は安くなる傾向にあります。その分、全員が自分たちの事業者の職員ではないために、その指揮命令系統が個人でその場でできなくて、組織と組織という関係になるため、現場同士でのやり取りが難しくなりがちです。
 そこで伺いたいわけですけれども、この委託駅において地震など緊急事態が発生した場合は、現在の体制で乗客の安全が守られるのか、改めて伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 重大な自然災害、事故等の発生時には、お客様の安全・安心を最優先に、交通局職員と委託職員とが協力して事態に対処することとしております。
 委託職員につきましても、交通局職員と同等の緊急時の対応に関する研修や訓練を受けておりまして、また、局が行う異常時総合訓練に参加するなど、適切に対応する体制を確保しております。

○中村委員 緊急時の対応ですから、しっかりやっていただければと思います。
 さて、この同じ駅業務を行う協力会の中においては、正規とか非正規とか、あたかも身分の差が生じているということも聞きます。都という公的な立場でこの状況を黙認してもよいのかというところは少し疑問に思うところもあります。
 経営状況が厳しいというのは分かりますが、偽装請負の問題の本質は低賃金労働にあります。協力会の職員の年収は三百万円程度だというような話も聞きますが、これで本当に暮らしていけるのかという認識があるのでしょうか。
 基本的に労働への考え方として、望まない形の非正規雇用を正規雇用に転換することが重要で、都も積極的に改善する必要性があるのだと思います。
 そこで改めて、都営交通協力会における勤労者間の待遇の差に関する認識を伺います。

○豊田総務部長 東京都営交通協力会における従業員の雇用に関しては、法令等で定められた基準や手続に基づき、東京都営交通協力会がその責任において適切に対応するものでございます。

○中村委員 協力会がということではあったんですけれども、グループ経営を行っていくということなので、全く都が何も知らないということではないのだろうとは思っています。
 本来、ここは都の正規の職員が行うべき仕事であって、委託するといってもほとんど人件費なので、経営努力をしてどうこうできるという部分ではないと思っていますから、先方が決めることとはいえ、実質はどのように委託費を出すかによって、委託先の勤労者の待遇が決まってしまうということになります。
 問題は、さらにその委託費がもし十分でなければ、交通協力会の中でも、正規ではなく、さらに非正規雇用ということになってしまいます。同じ仕事をしていても、あたかも身分の差になってしまうというような状況は変えなければならないのではないかというふうに思っています。
 そこで伺いますけれども、同一価値労働同一賃金というのは同じ会社のことだということは十分承知はしておりますが、グループ経営ということでございますので、同じ駅員としての仕事であれば、交通局でも都営交通協力会でも同じ賃金になるようにすべきだと思いますが、見解を伺います。

○豊田総務部長 東京都営交通協力会における従業員の雇用に関しては、法令等で定められた基準や手続に基づき、東京都営交通協力会がその責任において適切に対応するものでございます。

○中村委員 残念ながら同じ答弁ではあったわけですけれども、改めて、働く人が生きがいを持って働けるような待遇になるようなということを、これは交通局だけではなくて、仕事を委託しているわけですから、特にグループ経営ということでやっておりますので、その点についても考えていただければと思います。
 さて、次に、バス路線の見直しについて伺います。
 世の中は全体で今、バス運転手の不足ということがいわれていますけれども、都営バスではどのような対策を行っているのか、また、直近の採用状況について伺います。

○市川職員部長 交通局では、バス乗務員の受験者の裾野を広げるため、受験資格の対象年齢を、十九歳以上五十歳未満まで拡大しています。
 また、大型二種免許の未取得者を対象に、局の負担で免許を取得する養成型の採用選考を実施しております。
 広報活動においては、採用ホームページやパンフレット、動画、SNS等を活用し、採用PRの充実に努めております。
 令和五年度採用のバス乗務員の選考状況は、五百六十三名の応募があり、七十四名を採用しております。

○中村委員 ありがたいことに五百六十三名もの方が応募いただいたということなので、運転手不足ということでは、都営バスについてはないようですけれども、今、民間の方のバス会社でいえば厳しいという状況も聞こえてはきます。
 ただ、そちらの方に合わせるということではなくて、都の方でせっかくこういった状況でやっていただいているわけですから、ぜひ、こういった運転手という仕事が魅力ある仕事だということで業界に人が入ってくるように、民間も牽引していただけるような取組をしていただければと思っております。
 さて、この都営バスの赤字の路線が、コロナを経て七割から九割になったということです。民間会社であれば事業の存続の危機にあるということになるのですが、都だから楽観していいとは思っていません。とはいえ、だからこそ都が担っている部分もあるのだと思います。
 改めて、都営バス事業として、高齢者、障害者などのいわゆる交通弱者の移動手段の確保を継続的に行う必要がありますが、見解を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスは、通勤通学や買物、高齢の方や障害のある方の通院など、地域の暮らしを支える身近な移動手段であることから、赤字路線でありましても、地域に必要な路線は黒字路線の収入で支えるなど、総合的な事業運営を行うことで維持してまいりました。
 引き続き厳しい経営状況でございますが、需要動向を踏まえた路線運営を行うとともに、収入、支出の両面から経営改善に取り組むことで、都民の足としての役割を果たせるよう、適切に対応してまいります。

○中村委員 様々取組をしていただいているということは分かりました。
 とはいえ、経営計画の中では、なかなか経営状況も厳しい状況もあると思っていますが、早期黒字を目指すという記載もあります。
 それでは、どのように取り組んでいくのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、経営改善に向け、収入、支出の両面から様々な取組を行っております。
 支出面ではこれまでも、民間事業者への営業所の管理の委託や、現業系職員の給与水準の見直しにより、効率的な事業運営に努めてまいりました。
 さらに、コロナ禍を受け、営業所の水道光熱費などの経常的経費や、車両の更新などの投資的経費につきまして幅広く見直しを行っております。
 一方、収入面では、需要が高まっている地域におきましては、路線やダイヤを増強するとともに、大規模な集客施設等とのタイアップや広報誌の発行などにより沿線の魅力をPRし、需要の創出を図っております。
 引き続き、こうした取組を着実に進め、収支の改善を図ってまいります。

○中村委員 収支の改善ということの中で、収入面等を増やす努力をぜひともしていただきたいとは思っております。
 ただ一方、少し、先ほど民間の委託ということの話がありました。
 今、都営バスの一部路線については、はとバスへの業務委託をしているとのことですが、このはとバスへの委託について、ここ五年間の委託状況の推移について伺います。また、今後はどのようにしていくつもりなのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 令和元年度から五年度までの管理の委託の状況につきましては、委託支所は五支所、委託路線数は、令和元年度から順に、四十二路線、四十三路線、四十三路線、四十二路線、四十一路線でございます。
 また、全国的にバス乗務員の不足が深刻化している中、委託先のはとバスにおきましても、乗務員の確保は困難な状況になっていることなども踏まえまして、対応するものと考えております。

○中村委員 ここ五年間で見るとほぼ横ばいということなので、委託を増やしているというわけではないと思いますし、今後判断するということですけれども、ここもやはり人の待遇の話にもなってくるところだと思いますので、あまり進めるということに関しては慎重であるべきかというふうに思っています。
 さて、次に、コロナの影響と対策について伺いたいと思います。
 長期間にわたるコロナ禍の影響で乗客が減り、その間にライフスタイルが変わったことで、コロナ禍が一定程度収まっても乗客はなかなか戻ってこないということがあります。
 小池知事は、公約に満員電車ゼロと掲げていましたけれども、その取組が、何か影響が出てくるということ以上に、コロナによってお客さんが減ってしまって満員ではなくなってしまったということかと思っています。
 働く方にとっては、コロナ前よりも少しでも混雑が減っているというのはいいことなのかもしれませんけれども、交通事業にとっては減収ということになります。そもそも満員電車ゼロということの中で、どこまで減収ということを見込んでいたのかは分かりませんけれども、少なくとも事業としては影響が出ると思います。
 そこで、改めて伺いますが、都営地下鉄のコロナ禍前後の乗車人員の推移及び今後の取組について伺います。

○神永電車部長 都営地下鉄の乗車人員は、コロナ禍前の令和元年度と比較して、令和二年度に約三二%の減少と大きく落ち込みましたが、その後、徐々に回復し、令和四年度は、約二一%の減少となりました。
 このうち定期は約二五%の減少となる一方、定期外は約一四%の減少まで回復しており、さらなる定期外需要の創出に向け、旅行者向けの企画乗車券の販路拡大や観光施設とのタイアップなどの取組を展開してまいります。

○中村委員 少しは戻ってきたということなんですが、まだ完全にコロナ前に戻っているわけでありませんし、一定程度テレワークということで働き方が変化することもあるでしょうから、完全に戻るというのは難しいかもしれません。
 そういった点では新たな需要喚起ということの取組をしていただいているということなので、さらに進めていただいて、こういった収入の改善に努めていただければと思っています。
 さて、また、コロナの影響ということで、いろいろコロナの影響があったかと思っています。長引くコロナ禍において人と人とのコミュニケーションの機会が減り、ストレス発散もうまくできないなど、精神的な影響も多かれ少なかれあったのだろうと思っています。
 そこで伺いますが、職員のメンタルヘルス対策をどのように行っているのか伺います。

○市川職員部長 交通局では、厚生労働省の指針に基づき、職員の心の健康づくり計画を策定し、対策を推進しております。
 具体的には、全職員を対象にストレスチェックを実施し、適宜、産業医による面接指導を行っています。
 また、精神保健相談員による健康相談をはじめ、各事業所での巡回相談などに取り組むとともに、職員及び管理監督者への教育、啓発のため、研修や講演会を開催しています。
 さらに、精神的問題を抱える職員に対して産業医及び精神科医による相談を行うほか、休職者の職場復帰訓練や復務診断を実施しております。

○中村委員 コロナ禍等を経ていろいろと、コロナだけが原因じゃないと思うんですけれども、職員のメンタルヘルスという問題は大きな課題だと思いますので、引き続き取り組んでいただきたいと思っています。
 また、働く職場において、効率はもちろん大事なんですが、それだけを追求してしまえば、ぎりぎりの人数になるといろいろな負担も出てきます。働く人は休みも取らなきゃいけないですし、場合によっては病気をすることもあります。実際、コロナがあって、なかなか運行も難しくなるということもありました。
 災害時も含めて、公共交通である以上は、一定の余裕や余力もないと危機に弱くなってしまいます。これは余剰人員を抱えるという意味ではなくて、そういった休みも取れるし、普通に働く人がゆとりを持って働けるという状況をつくることが必要かと思っています。
 改めて伺いますが、一定程度そういった意味での余力を持たせてこそ、安全・安心な運行を維持する公共交通機関だと思いますが、見解を伺います。

○豊田総務部長 交通局は、地方公営企業として、最少の経費で最大の効果を発揮できるよう事業運営を行っており、人員については、安定した輸送サービスを提供できるよう、必要数を確保しております。

○中村委員 ありがとうございます。様々質問いたしましたが、最後に、将来の都営交通の在り方について、局長に質問します。
 遠い将来は全自動化や無人化もあるかもしれませんが、当面は人が必要ですし、人を大切にしなければ安全の確保はできません。
 少子高齢化やインターネットの普及など、公共交通にとってはますます厳しい状況になりますが、とはいえ、いわゆる交通弱者の移動手段の確保として、ますます重要性が増していきます。
 公共交通機関の役割として、厳しい経営環境だとしても責任を持って事業を継続する必要があると考えますが、この都営交通のあるべき姿について、交通局長の見解を伺います。

○久我交通局長 地方公営企業の事業運営に当たっては、独立採算制の下、経済性の発揮と公共の福祉の増進を実現することが求められております。
 都営交通を取り巻く事業環境は厳しい状況が続くものと見込まれておりますが、デジタル技術の活用により業務の効率化を図るなど、不断の経営改善に取り組むことで、中長期的に安定した輸送サービスを提供し続けていくことが、首都東京の公営交通事業者としての果たすべき責任と役割であると考えております。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。
 まず初めに、運転手不足の現状と対策について伺います。
 都営交通の乗客数は減少し、今後の見通しでも、コロナ禍以前の水準に回復が期待できないなど、厳しい経営状況が続いています。
 そこで、都営バスの便数の増減について、過去五年間の推移を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 平成三十年度から令和四年度までの平日の増便は、順に、十四便、二十三便、二十九便、七便となっており、令和四年度の増便はございません。
 減便は、順に、百九十便、六十九便、五十便、九十三便、二百二十八便でございます。

○岩永委員 各年度、増便と減便、それぞれご答弁いただきましたが、それぞれありますので、前年度との差引きで見てみますと、二〇一八年度マイナス百七十六便、二〇一九年度はマイナス四十六便、二〇二〇年度マイナス二十一便、二〇二一年度マイナス八十六便、二〇二二年度はマイナス二百二十八便となります。年度ごとにそれぞれ違いはありますけれども、特に昨年度、二〇二二年度の減便が非常に大きいという状況です。
 減便には様々な理由があると思いますが、ここ数年は、交通運輸業界でも人員不足が課題となっており、特に運転手の不足が社会的な問題となっています。
 そこで、運転手の人員配置の状況を確認したいと思います。
 都営バスの運転手の人数の過去五年間の推移を伺います。

○市川職員部長 令和元年度から五年度までの期首におけるバス乗務員の職員数は、順に、二千四十七名、二千八十五名、二千百三十一名、二千七十一名、二千四名でございます。

○岩永委員 この五年間の人数の推移は、便数の増減とも連動した状況はありますが、二〇二一年度の二千百三十一人がピークとなり、二〇二三年には百二十七人減っております。
 交通業界では、運転手不足が社会的な課題ともなっておりますが、都営交通におけるバス運転手の確保のための取組を伺います。

○市川職員部長 交通局では、バス乗務員の受験者の裾野を広げるため、受験資格の対象年齢を、十九歳以上五十歳未満まで拡大しております。
 また、大型二種免許の未取得者を対象に、局の負担で免許を取得する養成型の採用選考を実施しております。
 広報活動においては、採用ホームページやパンフレット、動画、SNS等を活用し、採用PRの充実に努めています。

○岩永委員 運転手確保の取組は様々行われているということです。
 しかし、労働基準法が改正され、来年、二〇二四年の四月から労働時間に関する規制が変更となることにより生じる、いわゆる二〇二四年問題が目前に迫っており、公共交通分野における影響も懸念されているところです。
 時間外労働の上限が法律に規定されたことで、ワーク・ライフ・バランスの推進など働き方改革が進むことは重要ですが、一方で、運行シフトを回すために、これまでよりも多くの運転手が必要になります。
 交通局では、バス乗務員の対象年齢の拡大や養成型の採用試験も導入するなど、様々な取組を行うことで、現在は必要な運転手は確保されているとのことですが、昨年度は二百二十八便が減便となり、運転手の人数は二〇二一年度と比較して百二十七人減っています。人数の確保と併せて、研修の充実など、公共交通として安心・安全の強化の取組をお願いします。
 次に、水力発電、電力の地産地消について伺います。
 二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年カーボンゼロ達成に向けて、全庁的な取組を進めるゼロエミッション東京を加速化する必要があります。
 生活者ネットワークでは、再生可能エネルギーの割合を増やすこと、そして、都の事業をはじめ都内で消費する電力を都内でつくられる再生可能エネルギーに変えていく、電力の地産地消を進めることを求めてきました。
 水力発電事業を担う交通局での事業では、二〇二一年度から、都営バスの営業所で多摩川の流水を利用した水力発電の電気を使っていますが、このたび、二〇二四年度から、売却先の小売事業者の選定の公募の要件に、さくらトラムの運行に使うということが加わりました。
 そこで、交通局からの買取り単価の推移について伺います。

○神田技術調整担当部長 一キロワット時当たりの税抜売電単価は、競争入札を開始した平成二十五年度からは十四・五〇円、二十七年度からは十五・六二円、三十年度からは十四・一二円でございました。
 令和三年度からは、公募型プロポーザルにより売電先を選定しており、十・一二円となってございます。

○岩永委員 二〇二一年度からプロポーザル評価での入札の取組が始まっていますが、再エネの普及拡大に向けた局の取組内容について伺います。

○神田技術調整担当部長 令和三年度からの公募型プロポーザルでは、都内における再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを評価に加え事業者を選定しており、イベント等を通じてPRを行っております。
 また、都の率先行動の一環として、自ら発電した電気を都営バスの全営業所で使用してございます。

○岩永委員 今回から新たに、さくらトラムが加わり、都営バスの全営業所、その他の都内施設などで水力発電の電気が使われることになりますが、その中で、東京さくらトラム、都営バス営業所の割合を伺います。

○神田技術調整担当部長 水力発電の発電電力量のうち、都営バスの全営業所が約六%、東京さくらトラム、都電荒川線が約三%に当たる電気を使用する見込みでございます。

○岩永委員 都営バスの全営業所が六%で、東京さくらトラムが約三%ということで、残りの九〇%が都内の自治体を含む需要への供給になるということだと思います。
 都内の自治体では、東村山市や奥多摩町でこの水力発電の電気が使われているとお聞きしています。ほかの自治体にも利用が進むよう、情報共有をお願いいたします。
 次に、東京都交通局経営計画二〇二二では、今後、二〇二七年度までに多摩川第一発電所、二〇二八年度までに多摩川第三発電所施設の大規模更新を行い、発電効率を向上させて水力発電の電力の供給量を増やしていく計画となっていますが、それと併せて、河川の水流を活用した小水力発電などの取組が重要と考えますが、小水力発電の検討状況を伺います。

○神田技術調整担当部長 交通局ではこれまで、小水力発電施設の整備などについて検討してまいりましたが、調査の結果、多摩川上流の河川では十分な流量が得られないなど、適した開発地点はございませんでした。

○岩永委員 流量の問題もあったということで、検討はされたということです。
 さくらトラムでも水力発電の電気が使われるなど、交通局の事業で電力消費が増えることは電力の地産地消となりますので、こういった取組も進めていただきたいと思いますし、今後は、都営地下鉄や新交通など、交通局の事業での利用についてもさらに広げていくこと、また、都内の事業や都内自治体での利用が広がるような取組を要望します。
 先ほどもお話がありました小水力発電については、例えば流量ということで課題があるということですが、水再生センターは川の近くにありますので、例えば水再生センターとの連携で、下水道局との連携も検討できるかもしれません。
 また、そういったゼロエミッションに向けた再生可能エネルギーの拡大に各局取り組んでおりますので、連携できるところは連携しながら進めていただくことを要望いたします。
 次に、バスのZEV化、環境負担軽減の取組について伺います。
 交通局では、ゼロエミッションを進めるために都営バスのZEV化にも取り組んできておりますが、これまでの取組実績と今後どのように進めていくのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 燃料電池バスにつきましては、現在、七十三両を運用し、令和六年度までに八十両まで拡大する計画でございます。
 また、さらなる導入拡大に向けて、有明営業所内に水素ステーションを整備することとし、公募で選定した整備、運営事業者により、令和七年四月に開所予定でございます。
 EVバスにつきましては、大都市におけるEVバス導入モデルの構築に向けて、本年九月に東京電力ホールディングスと事業連携協定を締結し、検討を進めているところでございます。

○岩永委員 水素を燃料とする燃料電池バスの燃料費は、ディーゼルバスと比較してどうなっているのか伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 燃料電池バスの燃料である水素は、ディーゼルバスの燃料である軽油と比べて割高でございましたが、令和四年度から開始された都の燃料費支援事業により、現時点では同水準となっております。

○岩永委員 燃料電池バスの燃料、水素は、昨年度から都の補助により、ディーゼルバスと同水準となるとのことです。バスは現在、七十三両で、二〇二四年度までに八十両まで拡大する予定です。
 現在販売されている水素は、完全にグリーン化されておりません。グリーン水素を安定的につくることは、まだ技術的にも化学的にも研究が必要だと思います。将来的にグリーン水素が広く使われるよう要望したいと思います。
 次に、防災訓練について伺います。
 今年の五月に東京都地域防災計画が見直され、帰宅困難者対策実施計画も改定されました。
 そこで、都営地下鉄では、帰宅困難者対策としてどのような取組を行っているのか伺います。

○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、帰宅困難者が発生した場合の対応手順等についてマニュアルで定めておりまして、これに基づき、お客様の安全な場所へのご案内などの訓練を定期的に実施しております。
 また、飲料水などの備蓄品を、当局が管理する全ての駅に配備しております。

○岩永委員 外国人旅行客が急激に増えている中で、特に都営地下鉄での外国人観光客の防災訓練が必要です。
 そこで、外国人向け帰宅困難者対策の訓練の取組状況について伺います。

○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、震災等の発生に備え、定期的に備蓄品の配布、避難経路の確保、誘導など、帰宅困難者への対応を想定した訓練を実施しております。
 本年六月に実施した自然災害対応訓練では、避難誘導の対象者に外国人を加え、駅員がタブレット端末の音声翻訳アプリを活用し、安全な場所への案内などを行う訓練を実施いたしました。

○岩永委員 今年六月に外国人を加えた訓練を行われたということです。
 生活文化スポーツ局では、都内の在住外国人の方々への防災知識の普及啓発のために行われていた外国人のための防災訓練、これをリニューアルしまして、外国人のための防災館ツアーという形で行われています。都内の防災館と連携しながら、外国人の方が、災害を想定した体験を重ねることで防災力の向上を進める取組となっています。
 生活文化スポーツ局のこのような取組と総務局での防災訓練とも連携しながら、外国人向けの帰宅困難者対策を進めていただきたいと思います。
 次に、偽装請負の問題について伺います。
 都営地下鉄の四路線百六駅のうち五十九駅で、駅業務が委託により運営されていますが、委託の契約内容が労働者派遣法に違反するおそれがあるとして、東京労働局からの指導を受けたことが報道されました。
 東京労働局からの指導内容について、改めて伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 東京労働局の調査では、法令違反の事実は確認されませんでした。
 指導の内容は、一般財団法人東京都営交通協力会と締結しております駅業務委託契約の仕様書の一部記載につきまして、発注者である交通局が、受託者である協力会に指揮命令できる余地が認められ、労働者派遣における派遣先とみなされるおそれがあることから、点検、確認を実施し、改善措置を講ずる必要があるとのものでございます。

○岩永委員 それでは、それを受けてどのような対応が行われたのか伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 東京労働局から指導を受けました駅業務委託の仕様書の一部記載につきましては、疑念を持たれることのないよう修正するとともに、全ての業務委託に関する点検、確認を行いました。
 加えて、駅の全指導職を対象に、委託者と受託者の業務を再確認する研修を実施し、これらの対応につきまして、本年五月に東京労働局に報告し、受理されております。

○岩永委員 全ての業務委託に関する点検、確認を行い、仕様書の一部は修正をされたということです。駅の職員は入れ替わりもありますので、研修は毎年欠かさずに行うなど、全ての職員に徹底できるようにお願いいたします。
 都営交通の駅業務委託では、委託駅は、駅長のみが都の職員で、その他の職員は委託先の職員となります。駅の業務は非常時だけでなく、日常業務の中でも臨機応変な判断や対応が求められる業務でもあります。現場での意思疎通や日常的なコミュニケーションが重要だと思いますので、そういったところはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、職員について伺います。
 女性職員が少ない交通局ですが、交通局における五年間の女性職員の人数と割合を伺います。

○市川職員部長 令和元年度から五年度までの期首における女性職員数は、順に、二百四名、二百二十名、二百四十名、二百四十九名、二百五十六名でございます。
 女性職員の割合は、同様に、三・一%、三・三%、三・六%、三・七%、三・八%でございます。

○岩永委員 続いて、政策連携団体である東京交通サービスについても同様に伺います。

○豊田総務部長 令和元年度から五年度までの八月一日現在における女性の固有職員数は、順に、十二名、十六名、十五名、十五名、十三名でございます。
 また、固有職員に占める女性の割合は、同様に、四・七%、五・五%、五・〇%、五・〇%、四・二%でございます。

○岩永委員 では、運輸系の女性職員を増やすためにどのような取組をしているのか伺います。

○市川職員部長 交通局では、運輸系の女性職員の採用拡大に向け、様々な取組を進めております。
 地下鉄やバスの事業所では、女性職員が働きやすい環境づくりに向け、施設の大規模改修等の機会を捉えて、女性用のシャワー室や仮泊室の整備を行っております。
 また、女性向けの転職イベントへの出展に加え、地下鉄やバスの現場で働く女性職員が、自らの体験を語り合う座談会や仕事と育児の両立を支援する休暇制度などについて、ホームページに掲載しております。
 さらに、採用情報をより多くの女性にご覧いただけるよう、転職サイトやSNS等を活用して広く情報発信しております。

○岩永委員 交通局では、様々な取組をされてきたということで、この五年間で、割合としては〇・七%、数としては五十二人の女性職員が増えているとのことです。
 採用された女性の職員が働き続けられる職場となるよう、様々、シャワー室であったり、仮泊室の整備など進めていただいておりますが、そういったハードの整備と併せて、相談体制などソフトの両面からも取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 続いて、交通局における五年間の常勤職員数と非常勤職員数を伺います。

○市川職員部長 令和元年度から五年度までの期首における常勤職員数は、六千五百八十六名、六千六百四十三名、六千七百五十五名、六千七百二十六名、六千七百五名でございます。
 また、非常勤職員数は、同様に、百二十二名、百五十二名、百四十五名、百五十四名、百四十五名でございます。

○岩永委員 続いて、政策連携団体である東京交通サービスについても同様に伺います。

○豊田総務部長 令和元年度から五年度までの八月一日現在における常勤の固有職員数は、順に、二百五十四名、二百八十九名、三百二名、二百九十九名、三百十名でございます。
 また、非常勤等は、同様に、八十六名、七十七名、六十九名、六十一名、五十三名でございます。

○岩永委員 交通局では、非常勤職員の割合が大体二%程度の割合で推移をしているということでした。
 また、東京交通サービスでは、二、三〇%前後の割合ということだと思います。
 交通局における、特に運転業務については、今後の人材不足も心配される中で、常勤職員としての採用を継続していただきたいですし、都民のライフラインでもある都営交通に支障が出ることがないよう、人員確保にはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、香りの害、香害の周知、啓発について伺います。
 二〇二一年に、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省の五省庁が連名で、香りの害、香害ですね、香りに含まれる化学物質による健康被害についての啓発ポスターを作成いたしました。それが、以前にもこの委員会でも掲示を求めておりましたが、こちらの(パネルを示す)オレンジ色の、その香り困っている人がいるかもというこちらのバージョンです。
 そして、それが今年、リニューアルをしまして、今度、表現も少し踏み込んだ内容に変わりまして、その香り困っている人もいますということで、こういった、(パネルを示す)今度は、ブルーのポスターになりました。より周囲の理解を求めていくといった内容になりまして、周囲の方にもご配慮くださいというような赤字の文言も加わったということ、また、困っている人もいますというような断定の表現になったというようなことで、やはりこの問題が、特に交通機関の中でも、しっかりと、乗客の方、また、周囲の方にも知っていただきたいということで、このポスターの掲示については、引き続き取り組んでいるところです。
 このポスターは、私鉄やモノレールをはじめ、交通機関での掲示が進んできておりますが、都営地下鉄構内でも掲示はしていただいておりますけれども、現在、都営地下鉄駅構内などで香害啓発ポスターの掲示の状況を伺います。
 具体的に、何駅で掲示をされているのか、そして、どのようなサイズで掲示をされているのか伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 香害啓発ポスターにつきましては、交通局が管理する都営地下鉄百一駅全てにA3サイズで掲示しております。

○岩永委員 以前に掲示をしていただいたときにはA4サイズだったんですけれども、そのときは周囲の大きなポスターにちょっと埋もれてしまって、ちょっと小さめで目立たないような大きさでした。
 今回は、A3サイズで掲示をいただいているということです。目につきやすい場所への掲示であったり、また、駅も構内広いですので、複数箇所掲示するなど工夫をお願いしたいと思います。また、電車内や駅構内のデジタルサイネージなども活用して、香害の周知、啓発の取組も併せて要望いたします。
 では、次に、都営バスにおける香害ポスターの掲示の取組について伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、全ての営業所窓口に啓発ポスターをA3サイズで掲示しております。

○岩永委員 都営バスでは、営業所の全ての場所に、営業所にポスターを掲示いただいているということです。
 この香害の問題は、交通機関を利用されるより多くの人に知っていただきたいという問題ですので、営業所はもちろん目に触れる方も多くいらっしゃいますけれども、営業所だけではなく、都営バスの車内、また、バス停など、その乗降客が目に触れるような場所への掲示についても、これから検討いただきたいということを要望しておきます。
 次に、ユニバーサルデザインと誰もが使いやすいトイレについて伺います。
 誰もが円滑に移動できるように、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、地下鉄駅のバリアフリー化をより一層進めるとともに、快適で利用しやすい交通機関にしていくことが大切です。
 都営交通では、全駅でバリアフリールートの一ルートの整備が完了しておりますが、さらなる利便性の向上を図るため、バリアフリールートの複数化が進められています。
 そこで、バリアフリールートの複数化の取組の状況を伺います。

○飯沼技術管理担当部長 経営計画二〇二二では、バリアフリールートの充実として、令和六年度までの三か年で六駅にエレベーターを整備することとしており、これまで浅草線日本橋駅など二駅で供用を開始し、現在、四駅で工事を実施しているところでございます。

○岩永委員 これまでに二駅、そして、今後、来年度、二〇二四年度までにさらに四駅でバリアフリールートの複数化が行われるとのことです。
 バリアフリールートについては、車椅子やベビーカーを利用される方にとっては、どのようなルートで行けばよいのか事前に確認できると安心だと伺います。現地での表示案内の充実、また、ホームページやSNSでの活用など、しっかりと周知に努めていただくことを要望します。
 そして、快適に利用できるトイレと誰もが使えるトイレの整備が進められています。
 福祉保健局では、二〇二二年四月に、多様な利用者のニーズに配慮したユニバーサルデザインのトイレづくりハンドブックを作成いたしました。交通機関のトイレについても、誰でもトイレから、それぞれのトイレという視点を持った整備が必要です。
 都営地下鉄駅でのトイレの改修と車椅子使用者対応トイレの状況について伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、お客様が駅のトイレを快適にご利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへの改修を計画的に行っており、現在、新宿線瑞江駅外三駅で工事を進めております。
 また、車椅子使用者対応トイレにつきましては、交通局が管理する百一駅全てに設置をしております。

○岩永委員 車椅子使用者の対応トイレは、都営地下鉄駅の全駅に設置をされているということですが、介助用のベッドの設置、こちらも進められております。
 これまでの設置状況を伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、駅の大規模改修等の機会を捉え、車椅子使用者対応トイレ内に十分なスペースを確保できる場合に、介助用ベッドの整備を進めており、現在、二十五駅、二十八か所に設置をしております。

○岩永委員 介助用ベッドは、現在、百一駅中の大体四分の一、二十五駅に設置をされているということです。
 車椅子を利用されている重度障害のある方から、おむつを替えるために外出先から自宅に戻らなければならないことがあるのだけれども、駅のトイレに大人のおむつ替えができる介助用のベッドがあれば、外出の機会が増えるのだと、そんなお声もいただきました。
 スペースの問題などもあると思いますが、一日も早く全ての駅に設置できるよう、引き続き進めていただくことを要望し、質問を終わります。

○村松委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、大江戸線に関する取組を中心に、何点か伺います。
 まずは、大江戸線の電力供給のさらなる安定化に向けた取組について伺います。
 いうまでもなく、地下鉄の動力は電力であります。車両はもちろん、列車の制御装置、発券機や改札、駅の照明など、都営地下鉄を支える全てのシステムが多くの電力によって賄われており、都営地下鉄の日々の安全、安定運行に電力はなくてはならないものであります。
 一たび電力供給が途絶え停電が生じれば、列車の運休や大幅な遅延など、多くの利用者に大きな影響を及ぼすことになります。こうしたトラブルを未然に防ぎ、地下鉄に必要な電力を安定的に供給するためにも、地下鉄における変電所の健全性を維持することが不可欠であり、日々職員の皆様が適切に維持管理をされていることと思っております。
 一方、都営地下鉄の各路線で開業から多くの年月が経過し、変電設備の老朽化が進む中、電力の安定供給を維持していくため、適切なタイミングでの設備更新などが求められています。
 近年は、ホームドアの整備やバリアフリールートの複数化としてエレベーター設置が進むなど、これまで以上に電力供給を安定して行う必要があると考えます。こうした状況の中、都営地下鉄四路線の中で、最も多くのお客様が利用している路線でもある大江戸線では、経営計画二〇二二の中で、変電所の新設を具体的な取組として挙げています。
 そこで、大江戸線の電力供給のさらなる安定化に向けて、浜松町で新設を予定する変電所について、その取組状況と今後の予定について伺います。

○生越車両電気部長 大江戸線では、老朽化した既存の変電所につきまして、現在、計画的に更新を進めておりますが、工事中の期間におきましても安定的に電力を供給することが不可欠なため、電力会社から受電する変電設備を増強する必要がございます。
 このため、既存の変電所を総合的にバックアップする新たな変電所の整備を浜松町において進めておりまして、現在製作している変電機器等の据付け作業を今後行い、令和七年度の完成を目指してまいります。

○村松委員 変電所の新設に着実に取り組んでいると理解をいたしました。
 今回は、大江戸線の変電所について確認させていただきましたけれども、経営環境の厳しい中にあっても、都営地下鉄の安全、安定運行を支えるためには、鉄道の電力ネットワークの基幹設備でもある変電所設備の維持更新は着実に進めていくべきものでございます。
 都営地下鉄の全ての路線について、必要な電力を安定的に提供する取組を着実に進めることを要望いたします。
 次に、大江戸線の安定運行に関する取組として、信号保安装置更新について伺います。
 大江戸線では、信号保安装置の更新に合わせ、無線を利用した列車制御システムであるCBTCについて、令和九年度の導入に向けて準備が進められているとのことですが、CBTCの導入により、快適性も向上されると聞いております。
 まず、大江戸線において導入を予定しているCBTCの特徴と効果について伺います。

○神田技術調整担当部長 列車の走行時に衝突を防止するためには、一定の列車間の距離が必要であり、従来は、線路を一定区間に区切り、その区間に信号装置などを設置して列車の位置を把握することにより、列車間の距離を調整してまいりました。
 CBTCは、従来の信号方式に代わり、無線通信により列車の位置を常に把握し、列車の制御を行う仕組みでございます。CBTCの導入により、先行する列車との距離を縮めることが可能となり、列車が遅延した際には、高い遅延回復効果が期待されるほか、より滑らかに減速することで、乗り心地も向上いたします。

○村松委員 CBTCの導入により、列車が遅延した際の高い遅延回復効果、乗り心地の向上が期待されるなど、安定運行や快適性の向上が図られるということでございます。
 利用者サービスの向上が見込まれますから、着実に整備を進めるべきと考えますが、二〇二七年度のCBTCの導入に向けた進捗状況について伺います。

○神田技術調整担当部長 CBTCの導入に当たっては、令和元年度から、基本仕様の検討や各種試験、第三者機関によるシステムの安全に関する検証を行うとともに、国と鉄道施設の変更に関する協議等を行ってまいりました。
 本年七月までに詳細設計を含む協議を終え、国から施設変更の認可を受けたところであり、現在は、無線設備など各種装置の製造や、トンネルへのアンテナの設置工事、車両改修等を順次行っているところでございます。

○村松委員 国土交通省のホームページを見ると、ご紹介のあった効果だけでなく、地上設備も簡素化され、保守作業の効率化や輸送障害の削減にもつながるとされており、非常にメリットの多いシステムであると思います。
 令和九年度の導入に向けて、着実に取組を進めていただきますよう要望いたします。
 次に、大江戸線の騒音対策について伺います。
 大江戸線は急なカーブが多いことから、ほかの地下鉄に比べ騒音が大きく、その対策が課題とされています。コロナ禍では、換気のために車内の窓を開けた状態で運行していましたので、隣に座った乗客の声すら聞こえないほどの騒音の大きさでしたから、改めて対策の必要性を認識させられたところです。
 交通局では、車内騒音の低減に向けて操舵台車を試験導入することとしています。
 操舵台車は、車軸をカーブに合わせてレールの方向へ回転させることで、摩擦の軽減を図ることができるものであり、走行試験などを実施してきたと承知していますが、操舵台車について、これまで行ってきた取組及び試験導入に向けた今後の取組について伺います。

○生越車両電気部長 令和二年度から三年度にかけまして、試験用操舵台車による検証を実施し、曲線走行時において、レールの外側に向けた力の減少により、車内騒音が低減することを確認しておりまして、昨年度は、より実際の走行環境に即した試験を行い、耐久性等の確認を行いました。
 その結果を踏まえて行った設計に基づき、現在、営業運転で使用する操舵台車の製造に着手しているところであり、令和六年度から一部の車両に試験導入し、性能等を評価することとしております。

○村松委員 車内騒音の低減のため、車両の更新に合わせて操舵台車の導入を進めていくということを確認させていただきました。ぜひこうした利用者の快適性を高めるための取組についても、引き続き継続していただきたいと思います。
 次に、大江戸線の人に優しい車両の導入について伺います。
 交通局の経営計画では、操舵台車のほかにも、快適性向上の取組として、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた人に優しい車両への更新を進めるとあります。
 ユニバーサルデザインの事例として、近年、首都圏のJRや私鉄でも、各車両の端などに車椅子やベビーカーなどを置くことができるフリースペースを見かける機会が増えてまいりました。
 我が会派では、子育て応援スペースを提案いたしましたが、こうしたスペースは、子育て環境への配慮はもちろん、バリアフリー化の促進やビジネスや旅行などでキャリーケースを持ち込まれた方による活用など、ますますその需要が高まっていると思います。
 そこで、大江戸線における人に優しい車両の導入について伺います。

○神田技術調整担当部長 車両の更新に当たっては、各車両へのフリースペースの設置、低いつり手や荷棚の採用、優先席への縦手すりの追加、多言語対応の車内液晶モニターによる分かりやすい案内表示など、ユニバーサルデザインの考えに基づいた人に優しい車両を導入することとしております。
 大江戸線では、今年度、六編成を更新するとともに、今後は、令和六年度から八年度にかけて九編成を更新することとしており、現在、車両の製造を進めているところでございます。

○村松委員 今後も、車両の更新等に合わせて、こうした人に優しい車両の導入を着実に進めていただくように要望いたします。
 最後に、大江戸線の延伸について要望いたします。
 地元練馬区をはじめ、延伸エリアの多くの住民は、一日も早い大江戸線延伸の実現を待ち望んでいるところでございます。
 都は、今年二月の第一回都議会定例会における我が会派の代表質問に対して、副知事をトップとする庁内検討組織を立ち上げ、練馬区との一層の連携の下、スピード感を持って検討を進めていく旨の答弁もございました。
 大江戸線の延伸の実現には様々な課題があることは認識しておりますが、早期実現に向けて、地元区ともより一層連携していただき、引き続きご尽力いただきますよう要望して、質問を終わります。

○本橋(た)委員 よろしくお願いいたします。一部、質疑があった部分については、割愛をさせていただきながら質疑させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、百年前に開始された自動車事業について伺ってまいります。
 大正十二年九月一日に起きた関東大震災により、路面電車が壊滅的な打撃を受け、市民の足を早急に確保する必要があったため、翌年、大正十三年一月十八日から自動車事業が開始されたとのことであります。
 来年一月十八日に百周年を迎えますが、戦後復興から現在に至るまで、人口動態や社会経済、地域住民や働く人の移動ニーズ、自動車を取り巻く技術など、様々な環境変化に対して、その時代の要請に合わせた現場の創意工夫や経営努力を重ねてこられたところであります。
 さて、コロナ禍を経て、現在、地方路線を中心にバス運転手の人手不足が深刻な状況であるとの報道がなされる中、各地では、生活路線の廃止や大幅な減便などにより、住民生活に大きな影響が及ぶことが懸念をされております。
 先ほど、バス乗務員の安定確保に向けての工夫のご答弁があったところでありますので、令和五年度におけるバス乗務員の採用者数及びその際の応募者数について伺います。

○市川職員部長 令和五年度採用のバス乗務員の選考状況につきましては、大型二種免許保有者を対象とした選考では、採用者数五十五名に対し、応募者数四百五十三名であり、養成型の採用選考では、採用者数十九名に対し、応募者数百十名でございます。

○本橋(た)委員 直近では安定して採用が行われていることが確認できたわけですが、今後は予断を許さない状況も想定されるわけでありますので、引き続き、工夫をしながら人材の確保を行っていくことを要望させていただきます。
 さて、都営バスは、主に都心部を中心とした路線を運行しており、混雑した道路の安全運転や一定水準の語学力が求められる外国人対応など、他の民間バス事業者の運転手と比較して、より高い技術が求められると考えます。そのため、採用後についても、定期的な研修はもとより、研修で身につけた内容を日常の運行業務に積極的に生かしていくことが重要であります。
 そこで、バス乗務員に必要な運転や接遇スキルの向上、定着に向けて、どのような研修等の取組を行っているか、これまでの取組状況や、また成果について伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、全ての乗務員に対して年四回安全研修を行っておりまして、プロドライバーに必要な運転上の心構えを再認識させますとともに、乗務員同士のグループ討議も活用いたしまして、安全運行に必要な知識や技能、接遇能力を高める教育を行っております。
 また、日本語と外国語がついたイラストなどを指で指して意思の疎通を図る、いわゆるコミュニケーションボードを用いての外国人のお客様への対応についても周知をしております。
 さらに、運行管理者がバスに添乗いたしまして、運転操作のほか、車内マイクの活用など接遇に関するきめ細かい指導、教育に努めております。
 こうした取組の結果、都営交通モニター調査では、乗務員の運転操作やお客様対応について、近年、継続して高い評価をいただいております。

○本橋(た)委員 バス乗務員に対する教育や指導の成果が出ていることは確認をさせていただきました。
 さて、乗務員の確保や育成以外にも重要な課題が、バス事業の脱炭素化の取組であります。
 現在、交通局は、燃料電池バスを先導的に導入し、今後の導入拡大を計画しているわけですが、我が党はかねてより、バス営業所内に燃料電池バス用の水素ステーション整備を求めてきたところであります。
 交通局は、令和七年度の稼働に向けて、現在、有明バス営業所において準備を進めているとのことであります。
 有明営業所内での水素ステーション整備の進捗状況について伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 有明営業所内水素ステーションは、本年九月に公募で選定いたしました専門的な技術力等を有する事業者に、営業所内の土地を貸し付けて整備、運営することとしております。
 現在、水素を充填するバスの動線を踏まえた設備の配置など、整備、運営計画等につきまして事業者と協議を進めております。
 今後、事業者と、協定や土地賃貸借契約を締結する予定でございまして、令和七年四月の開所に向けて着実に取り組んでまいります。

○本橋(た)委員 令和七年四月の開所に向けて、実際の運用面でも支障が生じないよう、公募事業者とも十分に調整し、準備を進めてもらうことを要望しておきます。
 さて、一般向けの乗用車では、国産の電気自動車の普及が進んでいますが、今後、バスの分野でもEVバスの導入が想定をされております。
 大阪メトロの発表によりますと、二〇二五年の大阪・関西万博では、会場内外の輸送にEVバスが活用されるほか、万博閉幕後も市内の路線バスとして活用し、一部はレベルフォーでの自動運転化を目指すとのことであります。
 このような動きもあり、都営交通においても燃料電池バスだけではなく、今後、EVバスの導入を視野に入れていくことが必要ではないかと考えます。
 一方、都心特有の道路事情を考慮するなど、実際の運行に当たって検討すべき課題があると聞いているところであります。
 そこで、EVバスの導入に当たっての課題や交通局の検討状況について伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 EVバスの導入につきましては、充電設備等のための十分なスペース確保や、早朝から深夜まで運行する中での充電時間の確保、一回の充電で走行できる距離が短いことなど、様々な課題がございます。
 これまで導入について調査検討を行っておりまして、本年九月、大都市におけるEVバス導入モデルの構築に向けて、東京電力ホールディングスと事業連携協定を締結し、互いに有する知見を活用しながら検討を進めているところでございます。

○本橋(た)委員 交通局と東京電力双方の強みを生かして、将来に向けた検討を着実に進めていただきたいと思います。
 さて、本年四月に道路交通法が改正され、現在、法的にはレベルフォーの自動運転が可能となっております。
 先日、八丈島で行われた自動運転の実証実験を視察してまいりましたが、将来、路線バスの自動運転が実装された場合、地域住民にとっての日常の利便性が高まるだけではなく、運転手不足の解消にも寄与するものと考えています。ただし、路線バスの自動運転については、技術的な面だけではなく、混雑した車内での事故防止や利用者や住民の方々の不安解消など様々な課題があり、慎重な検討も必要であるとも考えます。
 そこで、都営バスにおける自動運転の実現可能性について、現時点における見解を伺います。

○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスは、都内の厳しい走行環境で運行しており、自動運転の実現には、駐停車車両や自転車の急な飛び出し等を回避することや、急制動時のお客様の安全確保などの技術的な課題がございます。また、自動運転のシステムや安全性に対するお客様や地域住民の方々の理解など、社会的に受け入れられる環境が整うことも必要と考えております。
 一方、自動運転は、将来的に乗務員不足の解消にも資する技術であると考えておりまして、今後も、開発動向を注視するとともに、都営バスのフィールドや運行上のノウハウの提供等を通じて技術開発に協力してまいります。

○本橋(た)委員 私自身も八丈島で様々な課題を伺ってきたところでありますが、アメリカでは、ロボタクシーと呼ばれる完全無人タクシーが既に二十四時間営業されている地域もあって、今後のさらなる市場拡大も見込まれております。その反面、無人車両の事故が相次ぐなど、実際問題として利用者や住民の不安払拭が課題となっております。
 仮に都営バスで自動運転技術を導入する場合でも同様の課題が生じるものと想定されますが、一方で、この分野は、技術革新のスピードが速いため、世の中の動向を常にキャッチしていくことが重要であると考えます。そのため、交通局としても、都庁内外の関係者と適切に連携をしていただいて、自動運転社会の実現に向けて調整していただくことを強く要望をさせていただきます。
 次に、電気事業について伺ってまいります。
 明治四十四年の操業当時から運営されている電気事業ですが、現在の電気事業は、多摩川第一発電所など三つの水力発電所で発電された電気を供給しており、平成二十四年度まで、一般電気事業者の東京電力株式会社に電力を供給してきました。
 平成二十五年度以降は、公募により売電先を決める方式に変更し、さらに、令和三年度から今年度までの三年間、東京産水力発電の環境価値に着目したプロポーザルにより決定した売電事業者との間で供給契約を締結していると伺っています。
 そこで、交通局が令和三年度から行っている水力発電の公募型プロポーザル契約について、本契約を行うこととなった経緯や現契約の売電単価について伺います。

○生越車両電気部長 平成二十五年度以降、競争入札により落札者を決定し、電気を供給してまいりました。
 令和三年度からは、都内における再生可能エネルギーの普及拡大にも貢献するため、価格のみではなく、都内のRE一〇〇宣言企業など環境価値を活用する需要家への販売等を評価項目とした公募型プロポーザルにより、売却先となる小売電気事業者を選定することといたしました。
 売電単価につきましては、一キロワット時当たり税抜十・一二円でございます。

○本橋(た)委員 先月、交通局は、来年度の契約について、新たな公募型プロポーザル契約の募集を開始したところであります。
 その中で、次期契約期間を、現行の三年間ではなく二年間としているわけですが、次年度以降の契約期間を二年間としたのはどのような理由からであるのか、公募に際して新たに追加した条件などあれば伺います。

○生越車両電気部長 令和六年度以降の契約につきましては、近年、電力価格の変動が大きいことを踏まえ、市場価格と乖離するリスクなどを勘案し、より効果的な事業運営が可能となるよう検討した結果、契約期間は二年といたしました。
 また、公募に際しましては、都の率先行動として、都営バスの全営業所に加え、新たに、東京さくらトラム、都電荒川線にも交通局の水力発電による電気を供給することを条件としております。

○本橋(た)委員 想定されるリスクを想定して契約期間を見直したことや、都の率先行動として電気の供給先を拡充したことを評価させていただきたいと思います。
 また、今回の公募の要項には、東京産水力の電気そのものの認知を広め、活用状況を周知するための取組について、事業者から具体的な提案を求めているところですが、東京産水力発電由来の電力を積極的にPRすることは大事なことだと考えています。
 そこで、東京産水力発電の周知に向けて、売電先と共同で行ってきた取組について伺います。

○生越車両電気部長 売電先の小売電気事業者と共同で、交通局の水力発電について学べる親子向けのセミナーを、再生可能エネルギーPR館、エコっと白丸で開催し、十八組四十三名の親子にご参加いただきました。
 また、東京産水力発電による地産地消をPRするポスターを作成して、都営地下鉄の駅構内等に掲出し、都民やお客様に幅広く周知するように努めております。

○本橋(た)委員 まだまだ都民の中でも知られていない方が多いとも思いますので、東京産水力発電のPRは、子供たちへの環境教育という観点からも重要でありますし、来年度以降も、ぜひ東京産水力発電のPRに着実に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
 今回の質疑では、これまで一〇〇年以上も続いてきた自動車及び電気事業を取り上げてまいりました。いずれも外部環境が激変する中、様々な経営努力を重ねながら事業を継続してきたことを評価させていただきます。
 今後も大きな環境の変化があると思いますが、脱炭素といった社会課題の解決に向け、これまで蓄積された職員の知見と新たな技術をうまく活用し、次の一〇〇年に向け、全職員が一丸となって持続的な経営を進めていくことを要望し、質疑を終わらせていただきます。

○玉川委員 都営交通事業におきまして一番重要なのは、安全・安心の確保であります。安全・安心の確保の取組の中のうち、自然災害の備えについては、地球規模の気候変動の影響を受けて気象災害に対するリスクが確実に高まる中、重要性が増しております。
 平成二十七年には、水防法改正により浸水想定区域図作成の根拠となる降雨規模が大きく見直され、浸水が想定される区域や深さが拡大いたしました。
 都営地下鉄では、平成元年、浅草線五反田駅におきまして台風による浸水被害が発生しており、開口が大きく、箇所数もある駅出入口からの浸水対策はとりわけ重要であります。
 そこで、駅出入口への浸水対策について、これまでの実施状況と今後の計画について伺います。

○坂口建設工務部長 交通局では、東海豪雨規模の降雨を想定した止水板かさ上げ等の対策を平成二十五年度に完了いたしております。
 その後、水防法改正により浸水予想区域図等が順次見直されたことを受け、令和二年度から追加対策に取り組んでおり、これまでに八か所で工事を実施いたしました。
 今後は、令和五年二月に策定した東京都交通局浸水対策施設整備計画に基づき、駅出入口六十五か所につきまして、浸水の深さなどに応じて、止水板のかさ上げや防水扉、防水シャッター設置による対策を実施してまいります。

○玉川委員 見直された浸水予想区域図などを反映した東京都交通局浸水対策施設整備計画が今年二月に策定されたことを評価するとともに、これに基づいた着実な整備を期待いたします。
 駅における災害対策において、水害とともに重要なのが震災対策でありますが、首都直下型、南海トラフなど大規模地震発生のリスクが高まっております。
 大規模地震が発生した際、交通機関の機能停止に伴う多数の帰宅困難者の発生が予想され、鉄道利用者の安全・安心の確保の点から、帰宅困難者対応を適切に実施するための日頃からの備えが必要であると思います。
 そこで、法令上、鉄道事業者は、帰宅困難者に対してどのような対応が求められているのか、また、都営地下鉄では、帰宅困難者にどのように対応することになっているのか、備蓄品の配備についても併せて伺います。

○太田安全管理担当部長 都の条例では、鉄道事業者は、施設内に多数の帰宅困難者が生じた場合に、施設の状況などを確認した上で地元区等と連携し、施設内での案内や安全な場所への誘導など、必要な措置を講じることとされております。
 これに基づき、都営地下鉄では、震災等の発生時には、駅構内の安全を確認の上、コンコースなどあらかじめ定める安全な場所にお客様をご案内し、地元区等が設置する一時滞在施設が開設されるまでの間、待機いただくとともに、一時滞在施設が開設された際には、施設までの経路などをご案内することとしております。
 また、飲料水や防寒用ブランケット、簡易マットなどの備蓄品を、当局が管理する全百一駅に合計五万人分配備しております。

○玉川委員 都条例に基づく帰宅困難者の措置がきちんと定められておりまして、備蓄品は、約五万人分が都営交通の駅に配備されていることは大変心強いことであります。帰宅困難者が発生した際には、定められた措置の実施や備蓄品の活用を図っていただきたいと思います。
 帰宅困難者への措置や備蓄品の活用については、係員が対応を理解し、訓練等により習熟することで、いつでも円滑に対応できる状態にしておく必要があります。
 そこで、発災時の利用客に対する情報提供、駅係員対応のための訓練状況について伺います。

○神永電車部長 都営地下鉄では、震災等の影響による運転見合せなどが発生した際には、車内や駅構内での放送や改札口付近に設置したモニターなどを活用して、お客様に列車の運行状況をご案内しております。
 また、駅係員に対しては、お客様の避難誘導や情報伝達等に関する訓練を日頃から実施するほか、帰宅困難者が発生した場合の対応手順等を定めたマニュアルに基づきまして、放送等も活用し、駅構内の安全な場所へのご案内や備蓄品の配布などに関する訓練を毎年実施しております。

○玉川委員 災害時に放送やモニターを活用して帰宅困難者に運行情報を案内する体制ができておりまして、また、マニュアルの整備や即応力を確保する訓練を実施するなど、係員の対応力を確保する取組がなされているとのことで、これらの取組を継続し、また、必要に応じて改善を図っていっていただければと思います。
 次に、乗務員の健康管理について質問をいたします。
 日々の運行に関する安全・安心の確保に関して、いわゆる二〇二四年問題で運転手の労働管理の強化が図られるなど、運転手の健康管理の重要性が高まっております。
 公益社団法人全日本トラック協会では、運転手に睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査を実施していると聞きます。
 そこで、安全・安心な都営交通の運行のためには、乗務員の健康管理が重要であると考えますが、どのように取り組んでいるのか伺います。

○市川職員部長 都営地下鉄や都営バスなどでは、乗務の前後に行う対面での点呼において乗務員の体調を確認しております。
 また、労働安全衛生法に基づく健康診断において、視力、聴力や血圧などを定期的に測定するほか、三十歳以上の者には心電図検査を実施し、健康状態を把握しております。
 さらに、国のガイドライン等に基づき、運転業務に従事する全乗務員を対象に睡眠時無呼吸症候群の検診を行うとともに、バス乗務員については、脳血管疾患の有無を早期に発見するための脳MRI検診を定期的に実施しております。
 これらの結果、異常が認められた場合は乗務禁止の措置を行い、症状の改善を確認した上で乗務に復帰させております。

○玉川委員 乗務前後の対面点呼から健康診断、睡眠時無呼吸症候群や脳疾患の検診など、幅広い角度から乗務員の健康管理が実施されているとのことですが、異常が認められた場合の対応についても定められており、これらを適切に運用するとともに、新型コロナやインフルエンザを含めて様々な要因に目を配りながら安全運行に努めていただきたいと思います。
 続いて、施設整備における質の高いサービスの提供について質問をいたします。
 質の高いサービスの提供に関して、都営交通は、誰もが円滑に利用できる輸送サービスの提供が求められております。
 既に都営地下鉄では、全ての駅においてバリアフリールートの確保がなされていますが、場所により遠回りを強いられる場所が生じるなど十分とはいえないものもあります。都営地下鉄の様々な利用者に円滑に利用いただけるよう、エレベーターの整備など一層のバリアフリールートの整備が必要であります。
 そこで、こちらの計画と整備状況について伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、全駅でのワンルート整備後のさらなる取組として、乗換駅等でのエレベーター整備を進めるとともに、駅の構造や周辺状況等を踏まえながら、バリアフリールートの複数化を進めております。
 経営計画二〇二二では、令和六年度までの三か年で六駅にエレベーターを整備することとし、これまで浅草線日本橋駅など二駅でエレベーターの供用を開始するとともに、現在、新宿線瑞江駅など四駅で工事を実施しております。

○玉川委員 バリアフリールート複数化の整備が計画立てて実行されているとのことで、着実な整備により、多くの方が円滑に利用できる環境となることを期待いたします。
 多様な利用者が快適に利用できる施設整備として、駅のトイレは重要な設備であります。
 バリアフリーやユニバーサルデザインの面から多機能トイレが整備されていますが、一般のトイレについては、以前の鉄道駅のトイレは汚くて、積極的に使いたいとは思えない感じでありましたが、ここ数年では、とてもきれいに、清潔になって安心して利用できる印象を持っております。
 そこで、気持ちよく使用することができるトイレが増えてきていますが、トイレの改修計画と整備状況について伺います。

○飯沼技術管理担当部長 都営地下鉄では、お客様が駅のトイレを快適にご利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへの改修を計画的に行っております。
 経営計画二〇二二では、令和六年度までの三か年で九か所の改修を計画しており、これまでに三田線新板橋駅など三か所の工事が完了し、現在、浅草線東銀座駅など四か所の工事を進めております。

○玉川委員 着実にトイレの改修が進められているということが分かりましたが、これらの工事をきちんと工程管理の上、着実に進捗させて、誰もが使いやすい駅が整備されることを期待いたします。
 私の地元大田区の馬込駅における出入口工事では、一部滑りやすい部分があるとの地域の方の声を交通局に届けたところ、速やかに補修工事が行われるなど、良好な対応をされたことに地域の方が大変喜ばれておりました。感謝申し上げます。
 浅草線では、駅を全面的に改装する工事が順次行われていると聞きます。駅は、線路でつながるまちからまちへと鉄道で移動するための出入口であり、そのまち、その地域のシンボルでもあることから、このような取組に対する期待は大きいものがあります。
 そこで、都営地下鉄浅草線の駅改装の全体計画と、現在の進捗状況及び今後の予定について伺います。

○飯沼技術管理担当部長 交通局では、浅草線において、路線の統一感を演出した上で、駅ごとに地域の特色を踏まえ、まち並みに合わせた駅構内の改装を進めております。
 経営計画二〇二二では、令和六年度に東銀座駅の改装を完了する計画としており、現在、工事を進めているところでございます。
 また、東日本橋駅など四駅の設計を行っており、引き続き計画的に取り組んでまいります。

○玉川委員 浅草線の駅改修の取組が着実に進行しているとのことで、着工済み、設計中の案件の着実な進捗を期待するとともに、完成後は、都営地下鉄線の利用者だけでなく、地域や沿線にとって、にぎわいの創出など様々な効果が発現することを期待しております。
 昨年十二月三日、東京都交通局開局百十一周年を記念して、馬込車両検修場にて、都営フェスタ二〇二二、車両撮影会が開催されました。地元大田区での開催とのことで、私も一般応募で見事当選しまして参加をいたしました。一般の方がふだんは近寄れない車両のすぐ近くで写真撮影ができ、大変興味深く楽しいものでありました。ついつい、鉄道グッズのお土産も買ってしまいました。(実物を示す)愛用しております。(笑声)
 今年六月の二〇二三年路面電車の日記念イベント、撮影、見学ツアーは、応募で外れてはしまいましたが、都電荒川線のさくらトラムでも見学会が定期的に実施されているということで、このような見学会やグッズ販売など、この移送手段だけではないサービスの提供などもうまくPRするなど、工夫を凝らして、より一層身近に、地域に愛される都営交通になっていくことを願います。
 先ほど、伊藤議員の質疑において答弁がありましたが、今月中には、地元大田区の浅草線西馬込駅のホームドアが運用開始となり、平成十二年度の三田線の整備完了から、平成二十五年の大江戸線、令和元年の新宿線に続いて、今回の浅草線で、都営地下鉄の交通局管理の全ての駅でホームドアの整備が完了するとのことです。これにて、都営地下鉄でのホームからの転落事故がゼロになることを確信いたします。
 冒頭に申し上げましたとおり、都営交通事業において一番重要なのは、安全・安心の確保であります。引き続き、安全第一で、安心をもたらす事業に取り組んでいかれることを願いまして、私の質問を終わります。

○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十五分散会

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