公営企業委員会速記録第七号

令和五年六月十六日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長大山とも子君
副委員長林あきひろ君
副委員長森村 隆行君
理事細田いさむ君
理事斉藤まりこ君
理事村松 一希君
岩永やす代君
保坂まさひろ君
長橋 桂一君
田村 利光君
菅野 弘一君
西沢けいた君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長久我 英男君
次長梅村 拓洋君
総務部長豊田 義博君
電車部長神永 貴志君
企画担当部長DX推進担当部長兼務渡貫 貴浩君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
水道局局長西山 智之君
技監松田 信夫君
総務部長長嶺 浩子君
下水道局局長佐々木 健君
次長田中  彰君
総務部長後藤 徹也君
職員部長鈴木  豊君
経理部長福島 大起君
計画調整部長袰岩 滋之君
施設管理部長新谷 康之君
建設部長藤橋 知一君
流域下水道本部本部長猪八重 勇君
管理部長高角 和道君
技術部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
交通局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十一号議案 東京都懸垂電車条例を廃止する等の条例
下水道局関係
報告事項(質疑)
・原子力損害賠償請求に関する和解について
付託議案の審査(決定)
・第百三十一号議案 東京都懸垂電車条例を廃止する等の条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の付託議案の審査及び下水道局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申出の決定を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十一号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○保坂委員 私からは、今回の東京都懸垂電車条例を廃止する等の条例について、一つ確認と質問をさせていただきたいと存じます。
 懸垂電車として活躍してきました上野動物園のモノレールについては、昨年、新たな乗り物の整備に関する基本方針が発表され、今後、建設局が公募して選定する事業者が新たな乗り物を整備することとなっております。
 また、本年第一回定例会では、私の質問に対し、建設局の方から、新たな乗り物について、令和八年度の供用開始を目指す旨、答弁がありました。
 昭和三十二年の開業以降、モノレールは、上野動物園の東西を結んで、利用者からも大変好評を博した乗り物でありまして、今後整備されます新たな乗り物についても、地元や利用者から大きな期待が寄せられております。
 一方、新たな乗り物の整備に向けて既存施設を撤去するに当たっては、まずは鉄道事業法に基づく事業廃止を行う必要があると理解をしております。
 そこで、今後、モノレールの事業廃止に向け、どのように進めていくのか伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 恩賜上野動物園モノレールの既存施設の撤去に当たりましては、事前に鉄道事業としての事業廃止が必要とされております。
 事業を廃止するためには、一年前までに国へ届け出ることとされており、また、国が公衆の利便を阻害するおそれがないと認めるときは、事業廃止の日を前倒しすることが可能でございまして、施設を所有、管理している建設局と調整しながら、必要な手続を進めてまいります。

○保坂委員 今の答弁で、事業廃止に向けた今後の手続が確認できました。
 私は、上野動物園の発展に牽引してきました懸垂式モノレールの歴史を絶やさないためにも、最後に使われました車両を保存、展示することも建設局に求めておりますことも、改めてお伝えをしておきます。
 最後に、交通局におかれましては、新たな乗り物の整備が円滑に進むよう、事業廃止手続を速やかに進めるなど、建設局に必要な協力を行うことを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 私からも、この東京都懸垂電車条例を廃止する等の条例について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 昨年十一月に、施設を所有する建設局において、恩賜上野動物園新たな乗り物整備に関する基本方針が示されたことを受けて懸垂電車事業を廃止するものですけれども、ここに至るまでの経過については、これまでこの委員会で私も質問させていただきました。これまでこの片腕式モノレールの老朽化によって更新が必要だったものの、同型のモノレールを生産するメーカーやその生産ラインもないということで、二〇一九年十一月から運行休止となっていました。
 しかし、上野動物園の東園と西園を結ぶこのモノレールは、長年都民に親しまれて、運行休止の当時も、運行を続けてほしい、また、運行を再開してほしいという声が届けられてきました。私自身も、子供がまだ小さかった頃に一緒にモノレールに乗って、森の中をゆっくりと進むモノレールの中から、子供が喜んで窓に張りついて森の様子をじっくりと眺めていて、親としても一緒に楽しめる、本当に上野動物園の大きな魅力の一つだったというふうに感じています。
 ご年配の方々からも、自分が小さかったときにも楽しみだったし、孫とも一緒に楽しんだという声もありました。まさに世代を超えて愛されてきた乗り物だったというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、上野動物園のモノレールの存続に関して、運行休止以降、交通局に届いている声についてどのようなものがあったか伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 モノレールの運行を休止しました令和元年十一月から昨年度末までの間に、交通局には、モノレールの再開を求めるものや代替の交通手段の愛称に関するものなど、十件のご意見が寄せられております。

○斉藤委員 運行停止以降もモノレールの再開を求める声が交通局にも届いてきていたということですけれども、公園を所管する建設局では、二〇二一年六月から七月にかけてアンケート調査を行っていて、モノレールを再開してほしいという声が寄せられています。
 民間のウェブアンケートと東京動物園協会の上野動物園のホームページで行ったアンケート調査に合わせて二千二百の回答があったということです。
 新規乗り物の利用の意向については、ぜひ利用したいが四一%、機会があれば利用したいと合わせると八七%にも上っています。自由記述の欄には、モノレールを再開してほしいという内容が二〇%、軌道系の移動手段を含む乗り物が必要という回答が二九%あったという結果になっていて、多くの方が、新しいモノレールまたは乗り物に期待をしているということが分かります。
 建設局では、基本方針の中で、新しい乗り物は小型モノレールなどコンパクトな乗り物を想定しているというふうにしていますけれども、同時に、これまで交通局として運行してきた歴史や、世界でも近年では、ドイツで現存しているものと、この上野動物園での二例しかなかった片腕懸垂式のモノレールの貴重な技術についてなど、レガシーとして来園者の目に触れられるような形で残しておくことも重要ではないかと思っています。
 そこで伺いますけれども、今回の条例改廃を受けて、鉄道事業法上の事業廃止手続を進めていくのに当たって、交通局では、事業廃止に向けて、建設局と調整や情報共有の場などはあるのかどうか伺います。

○渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 事業廃止には国への届出が必要でございまして、これまで、進め方などについて、施設を所有、管理している建設局とも調整しながら、国に実務的な相談を行ってございます。

○斉藤委員 建設局とも関わりながら事業廃止の手続を行っていくということです。
 日本共産党都議団としても、同型のモノレールを続けることが難しいという背景もあり、懸垂電車事業の廃止には賛成という結論ですけれども、これまで交通局が運行してきた歴史については大事にしていただきたいと考えています。
 上野動物園のモノレールは、皆さんはよくご存じだと思うんですけれども、戦後まだ間もない一九五七年から東京都の実証実験としてスタートし、鉄道事業法に基づいて交通局が運行してきたということですね。これは、仕事として携わってこられた皆さんはよくご存じのことだと思うんですけれども、しかし、都民にとっては意外と知られていなかった史実でもあるかというふうに思います。私も初めて知ったときは、東京の歴史の一つを知った思いになって、驚きがありました。
 また、片腕懸垂式モノレールも世界で二例目だったという貴重な技術遺産として、価値のあるものではないかと思います。
 こうした交通局が関わってきた史実を、展示品もしくはパネルのような形で残して、来園者にも知っていただける、そういう工夫を行うなど、交通局から建設局へと、ぜひ、要望や情報共有を行っていただくということを求めて、意見とさせていただきます。

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。

○大山委員長 これより下水道局関係に入ります。
 報告事項、原子力損害賠償請求に関する和解についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 原子力損害賠償請求に関する和解について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 下水道局では、二〇一一年三月に起きた東電の福島第一、第二原発事故に伴って、下水道事業において検査や汚泥処理等にかかった費用に関して、東電との賠償の合意に至らなかった約十億円について、原子力損害賠償紛争解決センターへあっせんを申し立てていましたけれども、今回、その和解が成立したということです。
 下水道局では、原発事故により支出を余儀なくされた経費については、全額の賠償を求める方針の下に東電との協議を行ってきたということですが、二〇一九年度末までの請求額の約八十五億円に対して約七十五億円の賠償を受けた一方で、約十億円の支払いについては膠着状況だったということです。
 私たち日本共産党は、東日本大震災、そして、福島の原発事故が起こる前、具体的には、二〇〇六年の衆議院予算委員会の中で、当時の吉井英勝衆議院議員が、全電源を海側に配置している福島原発の問題を指摘し、地震や津波による電源喪失等によって、最悪の場合には、炉心溶融、水蒸気爆発、水素爆発が起こり得ることを具体的に追求していました。
 福島の原発事故は想定外のことではなくて、具体的に指摘されていたにもかかわらず、それを顧みずに、安全神話の下に政府も東電も原発政策を推し進めてきた、いわば人災の側面が大きなものです。東電の責任は免れず、下水道局としても、全額の賠償請求を行うことは当然のことと思います。
 しかし、全額請求のうち約一二%に当たる約十億円の支払いが合意に至らなかったということですけれども、それまでに下水道局がどのように対応してきたのか確認をしたいと思います。
 東電との合意が至らずにあっせん対象となった十億円について、それまでの下水道局と東電との協議の概要について、時系列で教えてください。

○後藤総務部長 下水道局は、平成二十五年七月に決定されました都の原発事故の賠償請求に関する基本方針に基づきまして、原発事故により支出を余儀なくされた経費について全額の賠償を求め、東電と協議してまいりました。
 令和元年度までに支出した費用について、検査費用と処分費用ごとに請求内容を整理いたしまして、毎年継続的に協議を重ねてまいりました。
 全請求額約八十五億円のうち約十億円については、協議が膠着したことから、損害賠償請求権が消滅時効にかかることも考慮いたしまして、令和三年二月に原子力損害賠償紛争解決センターに和解あっせん申立てを行っております。

○斉藤委員 原発事故により支出を余儀なくされた経費について、全額の賠償を求めて、毎年協議を実施してきたということです。検査費用や処分費用ごとに整理して請求を行ってきたということですが、それぞれの中で合意が得られなかったものが積み重なった金額が約十億円だということです。
 原発事故による損害賠償請求権の消滅時効は、特例法によって十年とされています。期限を迎える二〇二三年度、今年度中に賠償を受けるために、二〇二一年二月に原子力損害賠償紛争解決センターに和解のあっせんを求めたということです。
 また、下水道局が賠償請求している費用の中には、政府が定める基準を超えて空間線量や放射性物質の測定をしたり、個人線量計を使用してきた費用も含まれているということですけれども、それらを行ってきた目的について伺います。

○新谷施設管理部長 下水道局では、当時、周辺環境や作業従事者等の健康への影響が懸念されたことから、施設周辺の地域住民などの安全性を確保するため、検査を実施したものでございます。

○斉藤委員 作業従事者の健康への影響や施設周辺の住民などの安全性を確保するために、政府が定めた基準を超えて検査等を行ってきたということです。
 政府が定めた廃棄物に含まれる放射性物質の基準では、一キロ当たり百ベクレル以下は安全に再利用できるという基準、また、一キロ当たり八千ベクレル以下なら安全に処理ができるというものですけれども、そもそもこの基準では不十分だということが指摘をされてきました。特に、一キログラム当たり八千ベクレル以下という基準では、政府の試算でも、廃棄物の処理に関わる作業者に、一般の被曝線量の限度である年間一ミリシーベルトに近い被曝を容認するものだと、そういう中身でした。
 そうした中で、下水道局が、政府の定める基準を超えて、空間線量や放射性物質の測定、個人線量計を使用してきたことは、必要かつ重要な取組だったというふうに思います。
 我が党は、実態に見合った賠償が必要だと考えています。あっせんの結果については、汚泥等の処分費用についての申立ての額の約八六%、そして、検査費用については約五〇%、全体としては、申立て額の約八三%に相当する約八億二千七百万円が支払われるということです。
 下水道局の主張がおおむね認められているという判断ということですが、ほかの事例ではどうなっているのか、同じく原発事故の賠償請求の件で、他道府県での和解あっせんが成立した件があるのか伺います。

○後藤総務部長 関東地方の下水道事業の例では、申立てに対し約五〇%の認定がされ、和解が成立しているものがございます。

○斉藤委員 関東地方の下水道事業の例ということで、私も、神奈川県の議会での資料を拝見させていただきました。
 下水処理場の焼却灰等から放射性物質が検出され、焼却灰の搬出ができず、一時保管するなどの対策が必要になったということですが、全体として約六億三千万円の請求に対して約五億三千万円の支払いがあり、残りの約一億円に対して、あっせんの申立ての結果、五割に相当する約五千万円が支払われたという内容でした。
 東電が全額を支払わない姿勢は不誠実だといわなければなりませんが、この現状の中、早期の賠償の実現を考慮して和解することが妥当だという下水道局の判断は理解することができます。
 そして、原発の問題は、私たちも反省を込めて考えていかなければならないことだとも思っています。福島原発の電力の最大の供給先は首都圏、東京でした。東京都は東電の大株主でもあります。原発に依存する在り方を改めていくことが、今、何よりも私たち政治と行政の側に求められている責任だというふうに思っています。
 原発事故によって人々が受けた大きな被害と代償を私たちは深く胸に刻んで、原発に頼らない再生可能エネルギーへの転換を東京都から率先して切り開いていく、このことが最大の教訓であるということを訴えて、意見とさせていただきます。

○西沢委員 私からも、この報告事項に対して質疑をしていきたいというふうに思います。
 今も質疑がございましたけれども、改めて、東日本大震災から十二年ということですけれども、いまだにこうしたことが続いているということと、それから、原発については改めて、もともとはコスパのいいエネルギーだとか経済的にいいエネルギーだという話がありますけれども、今もこうしてお金が膨らみ続けていると。だからこそ、やはり考え直さなければいけないという、そういった視点から少しお伺いしたいというふうに思っております。
 昨年十二月に、国が設置した原子力損害賠償紛争解決センターから最終和解案が提示され、下水道局は受諾したということでございますが、この原子力損害賠償紛争解決センター、これは平成二十三年に文科省が設置したということですけれども、そもそもこれはどういう組織なのかと。
 このセンター、どのような組織と東京都が認識しているのかお伺いしたいというふうに思います。

○後藤総務部長 原子力損害賠償紛争解決センターは、原子力損害の賠償に関する法律に基づきまして、平成二十三年に文部科学省が設置したものでございまして、原発事故の被害者が東電に対して行う損害賠償請求について、円滑、迅速、かつ公正に紛争を解決することを目的とした公的な第三者機関と認識しております。

○西沢委員 法律に基づいて設置された公的な第三者機関ということですから、いってみればちゃんとした組織であると認識しているわけです。裁判所とかではないけれども、そこに基づいてやることに対しては、東京都は、しっかりと第三者機関であると、公的なものであると、ちゃんと認識しているということを確認した上ではありますけれども、全額賠償を取れているというわけではないというようなことであります。
 ある意味では、今議論がありましたから、おおむね妥当だということでありますけれども、下水道局、納得していない部分もあるんじゃないかというようなことで、改めて、今回の和解案、下水道局は今回の和解をどのように受け止めているのかお伺いをしたいと思います。

○後藤総務部長 令和四年十二月にセンターから提示された最終和解案は、東電から当局に支払う和解金といたしまして、申立て額の約八三%に相当する合計約八億二千七百万円を認める内容となっております。
 この提示された案は、公的な第三者機関から提示されたものでございまして、当局の主張がおおむね認められていること、また、早期賠償が実現できることから、和解することが妥当と判断いたしました。

○西沢委員 今回の和解案が妥当だということでございますが、もちろん私もこの和解案、東京都の判断を支持したいというふうには思ってはいます。ですが、改めて、具体的な内容を確認したいというふうに思っています。
 申立て額の八三%が認められていると、そういった意味では、おおむね認められているということはそのとおりだと思いますが、逆にいえば、全体でいえば、逆に一七%は認められていないということになります。
 和解内容の主な内訳、それから、申立て額に対する認定状況についてお伺いしたいと思います。

○後藤総務部長 和解内容の主な内訳といたしまして、処分費用のうち、原発事故に伴い長期休炉していた汚泥炭化設備の再稼働に係る補修費及び法令点検費については、事故がなかったとしても支出していたと認定された費用を除きまして、申立て額の約九一%、約七億円が認められております。
 また、検査費用のうち、国のガイドラインを超えて実施しました焼却灰の運搬車両周辺の空間線量測定費用については、申立て額の五〇%、約四千三百万円が認められております。

○西沢委員 申立て額の空間線量測定費用などは五割、五〇%が認定されているということですが、九割のものが認定されているものもあるということで、ばらつきがあると。九割ぐらい認められるものもあれば、半分ぐらいしか認められていないものもあるというようなことであります。
 全体の額にすれば八割以上ということで、多くは取れているということでありますが、考え方によっては、その項目によって認められるものと認められないものがあるということがあります。
 これはやっぱり、東電の示した地方公共団体に対する基準の考え方がおかしいんじゃないかという声も上がりそうですが、東京都は、東電の示したこの賠償基準の考え方についてどのように思っているのかお伺いしたいと思います。

○後藤総務部長 東電の地方公共団体に対する賠償基準は平成二十五年二月に決定されたものでございまして、原発事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針等に基づき、法令や政府指示等に照らしまして、原発事故との相当因果関係が認められるものについて賠償することとしております。

○西沢委員 因果関係が認められるものについては賠償するということであります。東電は東電の考え方がありますし、それだけ聞くと当然なのかなというふうにも思いますが、逆に、東京都の東電に対する賠償請求の考え方、これも確認しておきたいと思います。併せてお伺いします。併せるというか、普通にお伺いします。

○後藤総務部長 都は、平成二十五年七月に原発事故の賠償請求に関する基本方針を決定しておりまして、東電の示した賠償基準にかかわらず原発事故により支出を余儀なくされた経費については、全額約八十五億円の賠償を求め、協議を行ってまいりました。
 このうち、東電との合意に至っていない約十億円については、損害賠償請求権が消滅時効にかかることも考慮いたしまして、第三者機関に和解あっせん申立てを行ったものでございます。
 このたびの最終和解案については、そのうち約八三%に当たる約八億二千七百万円を認める内容となっております。
 これは、当局の主張がおおむね認められていること、また、早期賠償が実現できることから、妥当なものであると判断し、和解契約を締結したものでございます。

○西沢委員 東電と東京都のこの請求についての考え方には隔たりがあるというようなこと、だけれども、最終的には、和解もしましたが、その八割以上、多くは取れたというようなこと、改めて確認をさせていただきました。
 原発について、冒頭にも申し上げましたけれども、今こうしている段階でも、東電との考えも違う、だけれども、東電の損害に対する額というものは増え続けているというようなことがあります。これは今回、下水道局さんの話でありましたけれども、知事部局もそうですし、水道局さんであったり、今後も、こうした形で、より東電の考え以上に賠償額が増えていくというようなことになるだろうということが、今回の質疑を通して確認ができたのかなと思っております。
 原発というのはお金がかかっていくというようなことを確認もできまして、これから賠償額がさらに増えていくことも予想され、脱原発に進むべきだというふうなことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○岩永委員 私からも、原子力損害賠償請求に関する和解について質問をいたします。
 まず、和解内容は申立て額の約八三%で、早期賠償が実現できることを考慮して和解をするということが妥当と判断されたということでありますが、判断をした理由についてお伺いします。

○後藤総務部長 賠償請求を行った項目のうち、東電との合意に至っていないものについては、損害賠償請求権が消滅時効にかかることも考慮いたしまして、第三者機関に和解あっせん申立てを行ったものでございます。
 提示された最終和解案については、当局の主張がおおむね認められていること、また、早期賠償が実現できることから、妥当と判断いたしました。

○岩永委員 本来であれば、東電の原発事故による損害ですので、かかった費用は一〇〇%全て賠償していただきたいと思うところですが、早期の賠償、また、東電の示した賠償基準にかかわらず支出を余儀なくされた金額、その八割を超えているということでのご判断ということでした。
 また、次に、原子力損害賠償の費用についてですが、その年額、二〇二〇年度と二〇二一年度、東電との協議額と受入実績額及びその内訳について伺います。

○後藤総務部長 令和二年度分、三年度分、それぞれ約十二億円の費用につきまして、東電と協議しております。
 令和二年度分は約九億三千八百万円の賠償を受けておりまして、そのうち、汚泥炭化設備の維持管理費などの処分費用は約九億二千三百万円、空間線量測定などの検査費用は約一千五百万円でございます。
 また、令和三年度分は約九億七千三百万円の賠償を受けておりまして、そのうち、処分費用は約九億五千四百万円、検査費用は約一千八百万円でございます。
 東電とは、引き続き、今回の和解内容も踏まえ、協議を重ねてまいります。

○岩永委員 二〇二〇年度も、二〇二一年度も、約十二億円の費用について協議をされているとのことです。そして、そのうちの賠償額は、二〇二〇年度は九億三千八百万円、二〇二一年度は九億七千三百万円ということです。割合としては、約八割前後ということになります。
 その割合を考えますと、内訳のところにあります測定の費用としては年間に約二千万円程度、そして、汚泥の炭化設備の維持管理費などの処分費用としても、年間約十億円以上の費用が実際にはかかっているという計算になると理解をいたしました。
 続いて伺いますが、下水道局では、汚泥焼却灰と混練り灰、そして、空間放射線量を原発事故以来、継続して測定をしています。
 先月、五月三十一日に発表された測定結果では、半減期が二年のセシウム134の数値は大分減ってはいますが、一方で、半減期が三十年のセシウム137は、例えば葛西水再生センターでは二百九十ベクレル、北多摩二号水再生センターでは七十一ベクレルの数値が検出されておりまして、今後も継続した測定が必要です。
 東電への賠償請求はいつまで請求できるのか、期限などがあるのか伺います。

○後藤総務部長 早期かつ確実な賠償を実現するための措置や、消滅時効の特例を定めております特例法では、請求対象の期間の定めはなく、損害賠償請求権の消滅時効は十年間となっております。

○岩永委員 特例法では、損害賠償請求権の消滅時効は十年間ですが、請求対象の期間の定めはないということです。
 原発事故による放射能汚染については、まだ数値も検出されておりますので、今後も当面測定を継続いただきたいですし、そして、その費用についても、当然、東電に請求をし、全額賠償を受けるように取り組んでいただきたいと思います。
 また、汚泥や空間の放射線量の測定と市民への情報公開についてはどのように行っているのか伺います。

○新谷施設管理部長 下水道局では、当時、焼却灰の放射性物質濃度が高く、施設周辺の地域住民等の不安を払拭するため、汚泥施設を有する水再生センター等では、施設の敷地境界の空間放射線量や焼却灰の放射性物質濃度について月に一回測定しまして、ホームページで公表しております。

○岩永委員 月一回の測定結果をホームページでの公表ということです。測定データにつきましては、今後も市民への情報公開を継続していただくことを要望いたします。
 そして、最後に、原発事故から十二年がたちますけれども、原発は、このように一たび事故が起こりますと環境への影響も非常に大きく、また、このように莫大な賠償金がかかってしまいます。コスト面でも大きな負担があります。
 改めて、原発に依存しない再エネへのシフトを東京から進めていく必要があるという意見を申し上げ、終わります。

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。

○大山委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百三十一号議案を議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第百三十一号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、よって、第百三十一号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○大山委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○大山委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、久我交通局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○久我交通局長 公営企業三局を代表いたしまして、ご挨拶申し上げます。
 まず初めに、今回ご審議を賜りました議案につきまして、ただいまご決定をいただき、厚く御礼申し上げます。
 私ども公営企業が行っております事業は、都民生活や首都東京の都市活動に欠かすことのできない重要な事業でございます。
 これまでに賜りました貴重なご意見、ご指摘をそれぞれの事業運営に反映させまして、都民サービスのさらなる向上と効率的な経営に努め、都民の皆様の信頼と負託に全力で応えてまいります。
 大山委員長をはじめ委員の皆様方におかれましては、引き続き、公営企業三局に対しまして、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○大山委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十九分散会

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