委員長 | 大山とも子君 |
副委員長 | 林あきひろ君 |
副委員長 | 森村 隆行君 |
理事 | 細田いさむ君 |
理事 | 斉藤まりこ君 |
理事 | 村松 一希君 |
岩永やす代君 | |
保坂まさひろ君 | |
長橋 桂一君 | |
田村 利光君 | |
菅野 弘一君 | |
西沢けいた君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 奥山 宏二君 |
次長 | 松川 桂子君 | |
総務部長 | 田中 彰君 | |
職員部長 | 後藤 徹也君 | |
経理部長 | 鈴木 豊君 | |
計画調整部長 | 猪八重 勇君 | |
施設管理部長 | 袰岩 滋之君 | |
建設部長 | 新谷 康之君 | |
企画担当部長 | 松井 裕君 | |
技術開発担当部長 | 家壽田昌司君 | |
施設管理担当部長 | 福島 大起君 | |
設備調整担当部長 | 井上 潔君 | |
施設整備担当部長 | 杉山 純君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 佐々木 健君 |
管理部長 | 高角 和道君 | |
技術部長 | 佐々木宏章君 |
本日の会議に付した事件
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十八号議案 令和五年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十九号議案 東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
・第九十八号議案 多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第九十九号議案 多摩川流域下水道北多摩一号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第百号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
・第百一号議案 多摩川流域下水道浅川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第百二号議案 荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
報告事項(質疑)
・下水道事業における地球温暖化防止計画「アースプラン二〇二三」の策定について
○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第二十八号議案、第六十九号議案、第九十八号議案から第百二号議案まで及び報告事項、下水道事業における地球温暖化防止計画「アースプラン二〇二三」の策定についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○田中総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、表紙及び目次をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
下水道局が所管する政策連携団体及び事業協力団体における職員数と、その内訳として、都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
二ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体の職員数の推移でございます。
政策連携団体及び事業協力団体における職員数の推移を、雇用形態別に過去五年分お示ししてございます。
三ページをご覧ください。定数と職員数の推移でございます。
下水道局職員の条例定数と職種別、雇用形態別の職員数の推移を、過去五年分お示ししてございます。
四ページをお開き願います。障害者雇用率の推移でございます。
国に報告しております障害者の実雇用率の推移を、過去五年分お示ししてございます。
五ページをご覧ください。超過勤務時間数の推移でございます。
月八十時間を超えた超過勤務実績のある職員数及び職員一人当たりの月平均超過勤務時間数の推移を、過去五年分お示ししてございます。
六ページをお開き願います。業務委託の推移と委託先及びそれに伴う職員定数の削減数でございます。
業務委託の委託先、主な委託内容及び職員定数の削減数を、過去五年分お示ししてございます。
七ページをご覧ください。未利用局有地の所在地及び面積でございます。
未利用の局有地を、所在する自治体別、面積別にお示ししてございます。
八ページをお開き願います。女性職員数の推移と、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況でございます。
女性職員数の推移について過去五年分、また、事業所の区分ごとに、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況をお示ししてございます。
九ページをご覧ください。職員の育児休業取得状況でございます。
育児休業の取得人数及び取得率について、性別ごとに過去五年分をお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社における法人税、住民税及び事業税と株主配当の推移を、過去十年分お示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
最初に、下水道事業における風水害対策の取組について伺いたいと思います。
私たちの住んでおります首都東京は、我が国の政治、経済、文化の中心であると同時に、グローバル企業が展開して、世界から多くの観光客が訪れる有数の国際都市であることはご案内のとおりでございます。
その東京も、これまで幾度となく水害に見舞われてきましたが、その経験を生かして河川や下水道の施設整備を進めてきたことによって、東京の治水に対する安全性というものは格段に向上していることは、皆様方のご努力の成果と思うところでございまして、感謝申し上げるところでございます。
しかしながら、近年の急激な気候変動等に伴って、今後、気温上昇と降雨量の増加が見込まれ、風水害の激甚化につながるおそれがあることから、さらなる豪雨への備えというものが急務であります。
そのような中、昨年十二月には、風水害など五つの危機に対応するため、TOKYO強靱化プロジェクトが策定されております。
そこで、新たに策定されたTOKYO強靱化プロジェクトにおける下水道事業の風水害対策について伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 TOKYO強靱化プロジェクトのうち、風水害に関する取組については、豪雨や高潮等による浸水を最大限防ぐ取組と、起こり得る全ての水害から都民の生命や生活を守る取組とが対象でございます。
このうち、浸水を最大限防ぐ取組としては、区部の目標整備水準を年超過確率二十分の一規模、時間七十五ミリ降雨に対応するため、浸水の危険性が高い六十七地区を重点化し、下水道増強幹線や貯留施設の施設整備を推進してまいります。
また、来年度改定予定の東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、気候変動に伴う一・一倍の降雨量に対応するため、関係各局と連携した対策をさらに進めてまいります。
さらに、水害から都民の生命や生活を守る取組として、万が一、大規模地震により堤防等が損傷した場合の大型台風の襲来に備え、高潮等に対して防水扉の設置や換気口の高さの変更などにより、下水道施設の耐水化をレベルアップしてまいります。
○林委員 下水道局が、風水害対策として取組を強化されていることとともに、地区を重点化して、効果的に施設整備を進められていること、また、下水道施設の耐水化を着実にレベルアップされていることは分かりました。引き続き、気候変動による影響といったようなものを踏まえて、対策を一層進めて、この治水の安全度というものを高めていっていただきたいと思います。
一方、地震大国であります我が国においては、強靱な都市を形成するために、震災対策というものが欠かせません。
先月、ご承知のとおり、トルコ、シリアで発生しました大規模な震災においては、甚大な被害が発生しておりますことから、非常に危惧されるところなんですけれども、東京都のこれから懸念されるところでは、被害想定では、今後三十年以内に七〇%の確率で南関東地域においてマグニチュード七クラスの地震が発生すると想定されています。先日、NHKで、南海トラフ地震を題材にしたドラマをやっていましたけれども、私もまだ全部は見ていないんですが、改めて、都市のもろさというものをあらわにするとともに、備えることの大切さというものを痛感したところでございました。
さらには、TOKYO強靱化プロジェクトにおいても、五つの危機の一つとして地震が挙げられているわけなんですが、そこで、TOKYO強靱化プロジェクトにおける下水道事業の地震対策について伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 TOKYO強靱化プロジェクトのうち、地震対策に関する取組については、大地震後における住宅、インフラ、都民生活の持続性を確保する取組と、耐震化などによる倒れない、壊れないまちを形成する取組が対象となります。
このうち、大地震後における住宅、インフラ、都民生活の持続性を確保する取組としては、下水道管の流下機能を確保するため、避難所や一時滞在施設などから排水を受ける下水道管とマンホールの接続部の耐震化の推進に加え、さらに、区などと連携して、震災後に人が集まる施設など、対象施設を順次拡大してまいります。
また、耐震化などによる倒れない、壊れないまちを形成する取組としては、水再生センターやポンプ所における耐震対策として、これまでに、震災時にも揚水機能等の最低限の下水道機能を全ての施設で一系統確保しておりますが、施設能力を最大限発揮するため、水処理施設の流入渠などにも対象施設を拡大して耐震化を推進してまいります。
さらに、公園の地下などの雨水調整池などを新たな対象として、大規模地震後の豪雨時にも貯留機能を確保するなど、浸水被害の軽減に努めてまいります。
○林委員 下水道局が、地震対策として対象施設を拡大すること、また、新たな対象施設を拡大していくということで、着実に対応されていることは分かりました。いつか必ず起こるといわれておりますし、甚大な被害を及ぼすこの地震に備えて、この対策というものは、より一層進めて安全な都市を形成していただきたいと思います。
多摩地域の下水道の災害対策についても伺っていきたいと思いますけれども、多摩地域の下水道に目を向けますと、都が管理する流域下水道と市町村が管理する公共下水道が一体となって機能しているわけなんですが、両者が災害対策を着実に進めていくことが非常に重要となってまいります。
都はこれまでも、市町村の下水道事業に対して、技術的、財政的な支援を行って事業を促してきたわけなんですけれども、令和五年度からは、TOKYO強靱化プロジェクトに基づきます新たな補助制度を創設することとなっております。
そこでまず、既存の補助制度と新たな補助制度の概要、そして、予算額等について伺いたいと思います。
○佐々木技術部長 既存の補助制度である市町村下水道事業都費補助金は、国費対象事業、市町村単独事業ともに、市町村が実施する公共下水道事業に対して、全体事業費の百分の二・五を限度として都が補助するものでございまして、令和四年度は約三億円、令和五年度は約二億円を予算額として計上しております。
TOKYO強靱化プロジェクトに基づき創設する新たな補助制度である市町村下水道事業強靱化都費補助は、既存の補助制度の対象のうち、浸水対策と震災対策のレベルアップ、スピードアップに資する事業に対して、国費対象事業、市町村単独事業ともに、市町村負担額の二分の一を都が補助するものでございまして、令和五年度は二十億円を予算額として計上しております。
○林委員 今ご説明のございました市町村下水道事業強靱化都費補助ですか、これは、市町村による浸水対策、震災対策のレベルアップ、スピードアップを図るためには非常に有効に生きていくものだというふうに考えておりまして、財政的にも大きな力となるこの新たな補助制度を創設したことは、高く評価をさせていただきたいと思っております。
そして、市町村下水道の強化を図るということが目的なんですけれども、市町村の公共下水道の浸水、震災対策の現状がどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
○佐々木技術部長 当局が市町村にヒアリングした結果では、浸水対策につきましては、市町村は時間五十ミリの降雨に対応するように雨水管を整備しておりまして、その整備率は、多摩地域の約八割を占める分流式下水道区域で約三割でございます。
震災対策につきましては、市町村が策定している下水道総合地震対策計画に位置づけられた避難所などから排水を受ける下水道管の耐震化は、約八割が完了しております。
また、市町村が管理している処理場やポンプ所などの耐震化は、約五割が完了しております。
○林委員 分流式下水道区域において、五十ミリ降雨に対応する雨水管の整備がなかなか進んでいない現状というものが改めて分かったところなんですけれども、今後、気候変動による降雨量の増加とか、今後三十年以内に、先ほども申し上げましたけれども、七〇%の確率で発生すると予測されている大規模地震に対応していくためには、この災害対策のスピードアップを図っていくことが求められているというふうに考えています。
一方で、多摩地域の多くを占める分流式下水道区域のほかに、私の住んでおります調布市など、昭和四十年代にほかの自治体に先駆けて整備した下水道、そういった地域においては、合流式下水道区域も存在するなど、浸水、震災対策の事業というものは多岐にわたるものと考えています。
そこで、どのような事業が新たな補助制度の対象になるか伺います。
○佐々木技術部長 浸水対策につきましては、新たな雨水管の整備に加え、合流式下水道区域における下水道管の雨水排除能力の向上や、分流式下水道区域における雨天時浸入水対策に資する下水道管の改良などを補助対象としております。
また、下水道管への河川からの逆流対策といたしまして、樋門、樋管の遠方制御化や、放流先となる河川の増水時にも雨水を排除する施設の整備なども補助対象としております。
震災対策につきましては、下水道管や処理場などの耐震化に加え、非常用発電設備の整備などを補助対象としております。
○林委員 市町村の浸水、震災対策というものを促進していくために、幅広い事業を対象としていることについては分かりました。
ここまでは、多摩地域の下水道の現状や新たな補助制度の概要について伺ってきたところでございますけれども、局と市町村は、今後新たな補助制度を活用することで、いつまでに災害対策の完了、ずっと続くのかもしれませんけど、一応の目途といいますか、完了を目指すのか伺いたいと思います。
○佐々木技術部長 下水道局は、TOKYO強靱化プロジェクトに基づきまして、二〇四〇年代に目指す東京の姿を実現するために、下水道の強靱化を図ることとしております。
これまで実施してきた技術支援を充実させることに加えまして、今回創設した新たな補助制度による財政支援を実施することで、市町村との連携をさらに深め、多摩地域の安全・安心の確保に取り組んでまいります。
○林委員 下水道事業は、計画から設計、工事の実施、そして、完了までに多くの時間や労力を要する事業でありまして、二〇四〇年代に下水道を強靱化することということはたやすいことではないというふうに考えていますが、下水道局におかれましては、市町村とこれまで以上にしっかりと連携していただいて、対策を推進していただくことを要望して、次の質問に移ってまいりたいと思います。
経営の持続性について伺います。
強靱化は都政の重要課題であり、下水道事業においても、浸水対策や震災対策をさらにレベルアップした取組が求められています。また、下水を処理するのに多くの温室効果ガスを排出しており、二〇三〇年のカーボンハーフ、二〇五〇年の脱炭素化に向けた地球温暖化対策も早急に進めていかなくてはなりません。
これらの事業の実施に当たっては、多額の費用というものが必要になってくる中で、重要な都市のインフラである下水道を将来にわたって安定的に運営していくためには、中長期的な視点に立った経営というものが不可欠であります。
本年一月に公表された「未来の東京」戦略 version up 二〇二三では、都は、二〇三〇年に人口ピークを迎えて以降は、緩やかに減少すると推計しておられます。
もともと下水道料金は、使用者の小口化の進展によって長期的に逓減傾向にあることに加えて、人口が減少すれば、下水道料金もさらに減少することになりますので、将来に向けて収入がなかなか期待できない一方で、昨今の物価高騰の影響によって、費用というものは増大する傾向にあることはご承知のとおりであります。
そこで、令和五年度予算における区部と流域の財政収支ですね、経営計画と比べて、どのように見込んでいるのかについて伺いたいと思います。
○田中総務部長 令和五年度予算における財政収支でございますが、電気料金の高騰などによる維持管理費の増加が主な要因となり、単年度の財政収支に当たる収支差引過不足額は、区部で前年度予算より六十七億円悪化のマイナス六十四億円、流域で六億円悪化のマイナス三十一億円となっております。
経営計画二〇二一における令和五年度の収支差引過不足額の計画値は、区部でマイナス十四億円、流域でマイナス九億円となっておりますが、事業運営のための累積資金は確保されております。
令和五年度予算におきましては、引き続き累積資金は確保されている一方で、計画値と比較して、区部で五十億円、流域で二十二億円マイナス幅がそれぞれ拡大しており、厳しい経営状況が見込まれております。
○林委員 今ご説明いただいたように、電気料金の高騰等、維持管理費の増加などが主な要因で、経営計画で見込んでいた単年度収支のマイナスが拡大しているといったご説明でありました。
私も、この経営計画二〇二一、財政収支計画等拝見させていただきましたけど、事情が事情だけに、計画との乖離が、ある程度やむを得ないという部分はあるのかもしれませんけれども、下水道局は、人口減少や下水道管の老朽化、豪雨が増加しているということ、こういった経営環境が一層厳しくなることを想定して、中長期的な視点に立った持続可能な財政運営をしていくため、経営計画で長期推計も行っておられます。
今後の見通しを踏まえた財政運営の取組方針について伺いたいと思います。
○田中総務部長 経営計画二〇二一では、今後の財政収支の見通しとして十年間の長期推計を行っておりますが、令和五年度予算の財政収支を踏まえますと、区部では、引き続き累積資金が確保される一方、流域では、計画期間後に推計していたマイナス幅が大きくなる見込みでございます。
今後の財政運営の取組方針としまして、区部では、事務事業の効率化や企業努力を積極的に推進するとともに、国費等の財源確保や企業債の適切な発行管理を行うなど、不断の経営努力に取り組んでまいります。
流域では、長期推計における累積資金のマイナス幅がさらに厳しくなることから、区部と同様の経営努力を進めていくことに加えまして、今後の維持管理収支の状況を踏まえ、市町村と情報共有を図りながら、維持管理負担金単価等の見直しについて継続的に検討してまいります。
これらの取組を通じ、財政基盤を強化し、経営計画二〇二一に基づき、現行料金水準を維持しながら安定的な財政運営を推進してまいります。
○林委員 区部における事業はともかくとして、今ご説明いただいたように、流域については今後も厳しい経営状況が予測されています。区部と同様の経営努力を進めていくことはもちろんなんですけれども、今後の維持管理収支の状況を踏まえて、市町村と情報共有を図りながら、維持管理負担金単価等の見直しについて継続的に検討していくということですけれども、流域の構成自治体の財政状況というものも決して豊かではないわけでございますので、都民負担につながらないよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
維持管理費の増加など厳しい経営環境の中で、下水道事業を安定的に運営していくためには、経営計画に基づいて、現行の料金水準を維持しながら一層の経営努力に取り組む必要がございますが、下水道局の財政マネジメントについて、さらに詳細に伺っていきたいと思います。
こういった企業努力を推進するといったことでございますけれども、どのような取組を行っているのかについて伺いたいと思います。
○松井企画担当部長 経営計画二〇二一では、コストの縮減や資産等の有効活用により、五か年で総額六百五十億円の企業努力を行うこととしております。
これまで、計画をおおむね達成しており、令和五年度は約百三十億円を見込んでございます。
具体的には、非開削工法のマンホール浮上抑制対策など、工期の短縮による建設コストの縮減や、エネルギー自立型焼却炉の導入等による電気料金の削減など、維持管理コストの縮減を進めております。
下水道施設の上部利用など資産等の有効活用につきましては、芝浦水再生センターの上部の貸付けで、令和五年度は約六十七億円を見込むなど、収入の確保に努めてございます。
さらに、地権者として参画しております東京駅北側の常盤橋街区再開発事業におきまして、令和九年度に完成予定の再開発ビル内に保有する権利床を貸し付ける予定でございます。
今後とも、最大限企業努力に取り組んでまいります。
○林委員 厳しい経営環境の中で、ご説明いただいたように、企業努力に取り組んでいる状況、そういうものについては理解できました。引き続き、コストの縮減や収入確保について進めていただきたいと思います。
また、経営努力を行っていく上では、財政負担というものを軽減していくために、国の交付金や補助金といった国費の確保というものが非常に有効であることはご承知のとおりであります。
そこで、国費を確保するためにどのような取組を行っているのか伺いたいと思います。
○田中総務部長 建設改良事業の財源といたしまして、国費は大きな比率を占めており、財政負担を軽減するためには、国費の確保に継続的に取り組む必要がございます。
そのため、国土交通省への要望をはじめ、国と東京都の実務者協議会、大都市下水道会議や日本下水道協会の要望活動の場などを活用し、国費確保に向けた取組を続けております。
あわせて、現在、国費対象外である事業を対象とする新たな交付制度の創設も要望しております。
国の交付制度を最大限活用することはもとより、今後とも、あらゆる機会を通じて、国費の確保を粘り強く国に要望してまいります。
○林委員 国費の確保は、国やほかの都市の状況も関係するため、簡単ではないとは思いますけれども、今後とも継続的に進めていただきたいですし、我々としても、国政との連携の中で、しっかりと働きかけてまいりたいと思います。
また、建設改良財源としては、国費と並んで企業債というものが非常に大きな比率を占めているわけなんですが、財政運営に当たって、この企業債の役割と活用の考え方について伺いたいと思います。
○田中総務部長 下水道の建設改良事業は、事業効果が長期に及ぶため、企業債を財源として世代間の負担の公平を図っております。
企業債につきましては、将来的な財政負担を見据えた適切な発行、償還管理により、企業債残高を、ピークである平成十二年度末の約三兆円から令和三年度末では半分以下の約一兆二千億円にまで減少させてまいりました。
一方、元利償還金は、依然として重い負担であることから、企業債の発行規模や利率のバランス、償還方法等を検証しながら、その有効活用を図ってまいります。
○林委員 企業債の発行規模とか利率のバランス、償還方法等、検証しながら有効活用を図っていくというご答弁でしたけれども、将来にわたって必要な施設整備を進めていく上で、世代間の負担の公平性を図っていくということは、将来世代の理解も得られるのではないかというふうに私は考えますが、企業債の適切な発行、償還管理には努めていただきたいと思います。
これからの厳しい経営環境というものが予測される中、未来の東京へ持続可能な下水道事業というものを安定的に運営して、都民に質の高い下水道サービスを提供していくためには、政策連携団体などとの連携というものも重要であるというふうに考えております。
今後、どのように取り組んでいかれるのか伺いたいと思います。
○松井企画担当部長 下水道局は、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、TGSと、多岐にわたる専門性の高い現場を密接に連携して担い、一体的事業運営を行うことにより、技術やノウハウを共有、蓄積してまいりました。
また、豊富な現場経験を持つ民間事業者の技術やノウハウも活用し、事業実施に責任を持つ下水道局を中心として、下水道局とTGS、民間事業者の三者が、それぞれの特性を生かした役割分担の下、下水道事業を支える運営体制を構築しております。
今後とも、三者の連携を一層強化するとともに、下水道界全体の人材育成や技術の継承にも貢献していくことで、質の高い下水道サービスを将来にわたり安定的に提供してまいります。
○林委員 これからの厳しい経営環境というものを乗り越えていくためには、下水道局と政策連携団体であります東京都下水道サービス株式会社、TGSですね、あと、地域を細かく把握している民間事業者、この三者がしっかりと連携して取り組んでいくことが非常に大切だというふうに考えます。それが結果的に都民サービスの向上に資することにつながっていくのではないかと考えております。
ただ、東京都下水道サービス株式会社、TGSについては、政策連携団体として、下水道局がしっかりとガバナンスを確保するとともに、コンプライアンスの遵守、そして、一体的な事業運営を行っていくという考えを持っていらっしゃる以上、都民の代表であります私たち議会に対する説明責任というものを果たしていくこと、そして、グループによる事業運営に対する客観性、透明性の確保を図っていくことを求めるものであります。
将来的な人口減少が予測される中、近年の激甚化、頻発化する豪雨や災害、ロシアによるウクライナ侵略や為替の変動等による物価高騰など、下水道事業を取り巻く環境というものは大きく変化をしています。
収入、支出両面において厳しい経営環境でありますけれども、たゆまぬ経営努力の中で健全な財政運営を維持していくこと、そして、安定的な事業運営を行いつつ、下水道の強靱化からエネルギー、地球温暖化対策まで、必要な事業を着実に推進していただくことを求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○森村委員 頻発化、激甚化する豪雨災害や、近年、国内で震度五強以上の強い地震が頻発、こちらもしている状況などを踏まえまして、災害対策については、一刻も早く進めていく必要があると考えます。
多摩地域の公共下水道における災害対策は、本来、市町村が整備促進を行うものですが、このたび、下水道局は、令和五年度から、市町村の浸水、震災対策について、市町村の負担する額の五〇%を補助する制度を創設、予算案に二十億円を計上しました。
私はかねてから、財政力の乏しい多摩地域の市町村が、今日、切実に求められている災害対応を行うためには、都の支援がやはり必要なのではないかと申し上げてまいりましたが、この新たな補助制度は、極めて画期的であり、多摩地域に暮らす都民の安全・安心を守るために、非常に重要な一歩を踏み出したものと評価しております。
我が会派は、さきの本会議代表質問でもこの事業について取上げさせていただきましたが、本日は、この制度について詳細に伺います。
そこでまず、この新たな補助制度、どのような背景で創設することにしたのか伺います。
○佐々木技術部長 多摩地域の下水道は、都が管理する流域下水道と市町村が管理する公共下水道が一体となって機能を発揮しております。
このことから、多摩地域におきまして、激甚化、頻発化する豪雨に備えた浸水対策や、地震発生後も下水道機能を維持できる震災対策を促進するには、下水道局の取組とともに、市町村の取組が極めて重要でございます。
下水道局は、令和三年度から、市町村に対する指導及び技術支援に関する事務を所管いたしまして、これまで、区部の下水道事業で培ったノウハウを活用し、市町村への技術支援を実施してまいりました。
多摩地域の下水道事業の強靱化に向けては、これらの技術支援に加えまして、市町村が抱える財政面での課題の解決が必要となります。
そこで、TOKYO強靱化プロジェクトに基づきまして、市町村が実施する対策のレベルアップ、スピードアップを図るため、令和五年度から、浸水、震災対策を対象に、市町村が負担する費用の二分の一を支援する新たな補助制度を創設することといたしました。
○森村委員 市町村の事業のレベルアップ、スピードアップ、これを図るために、新たな補助制度を創設したということでした。
まさに都が目指している東京の強靱化に対して、下水道局が、市町村の災害対策の取組を全力で支援するという姿勢のあらわれだと考えます。この新たな補助制度を創設したことについて、改めて高く評価をさせていただくとともに、市町村の公共下水道の災害対応力の強化が進むことを、多摩地域の住民の一人としても期待いたします。
次に、対象事業について伺っていきたいのですが、まず、浸水対策について、具体的にはどのような事業が新たな補助の対象になるのか伺います。
○佐々木技術部長 浸水対策におきましては、新規の雨水管等の整備や雨水排除能力向上に資する下水道管の改良、汚水管に雨水が浸入する雨天時浸入水対策などの事業が補助の対象となります。
具体的には、気候変動による降雨量の増加を踏まえた新たな雨水管や貯留施設の整備などを対象としております。
また、雨水排除能力向上のために、下水の流れが円滑になるよう、内面を塩化ビニール材で巻き上げる更生工法なども対象としております。
○森村委員 浸水対策において、市町村が抱えている課題を解決する事業を対象としているということが確認できました。
特に、令和元年東日本台風の際に、多摩地域の複数箇所で浸水被害を発生させた雨天時浸入水については、私も過去の質疑において取り上げてきましたが、この雨天時浸入水の対策も補助対象となるということでした。
そこで、雨天時浸入水の解消に向けて、これまでの取組と都が実施する市町村への支援についてお伺いいたします。
○佐々木技術部長 雨天時浸入水への対策は、国のガイドラインでは発生源対策が基本とされておりまして、多摩地域では、主に公共下水道を管理する市町村が主体となって取り組むものであります。
下水道局では、市町村の発生源対策を支援するため、令和二年度から、雨天時浸入水対策促進会議を開催し、多機能型マンホール蓋から得られた流域下水道幹線内の水位などのデータや市町村における対応の好事例などについて情報共有を図っております。
また、浸入水量の多い地域におきまして、当局が保有するノウハウを活用し、都と市町村による現地合同調査を実施するなどの技術支援を行ってまいりました。
これらに加えまして、令和五年度からは、当局が独自に策定した浸入水対策の手引を用いた技術支援を開始するとともに、新たに創設した補助制度により、発生源の調査や下水管の改良を対象とした財政支援を行うことで、雨天時浸入水対策をさらに促進してまいります。
○森村委員 雨天時浸入水対策につきまして、技術面、財政面の両面から市町村の取組を支援していくということでした。今後も、市町村としっかりと連携を取って対策を進めてください。
次に、震災対策の強靱化についてもお聞きします。
震災対策では、具体的にどのような事業が新たな補助の対象となるのか伺います。
○佐々木技術部長 震災対策におきましては、市町村が策定している下水道総合地震対策計画に位置づけられた、避難所などからの排水を受ける下水道管や処理場などの耐震化の事業が補助の対象となります。
具体的には、地震により被害を受けやすい下水道管とマンホールの接続部を耐震化する事業や液状化現象によるマンホールの浮上を抑制する事業を補助の対象としております。
また、処理場とポンプ所本体の耐震化に加えまして、非常用発電設備の整備も対象としております。
○森村委員 震災対策につきましても、市町村の課題に即して様々な事業を対象としていることが分かりました。
私の地元の青梅市は、起伏が激しい地形のためポンプ場を多く設置しているのですが、東日本大震災のときには、計画停電によりまして、ポンプが停止して汚水を送水できなくなるなど、市職員の対応が大変だったというふうに聞いております。この補助制度によりまして、耐震化に加え、非常用発電設備の整備が進むことも期待させていただきます。
また、もう一点、念のため確認をしておきたいのですが、市町村が実施する下水道事業の中で、新たな補助の対象とならない事業についても伺います。
○佐々木技術部長 新たな補助は、TOKYO強靱化プロジェクトに基づきまして、強靱化された東京の姿の実現に向け、市町村の浸水、震災対策のレベルアップ、スピードアップに資する事業を対象としております。
このため、下水道の未普及対策、下水道管や施設の単純な更新事業などにつきましては、新たな補助制度の対象とせず、今後も既存の補助制度を適用いたします。
○森村委員 下水道施設の整備、更新には長い時間がかかりますため、市町村が新たな補助制度を有効に活用するためには、市町村が計画的に事業を進める必要があります。
そこで、市町村が着実に事業を進めるために、都はどのような仕組みを考えているのか伺います。
○佐々木技術部長 二〇四〇年代に目指す強靱化された東京の姿を実現するためには、市町村と将来像を共有することが重要であります。
また、下水道事業は、長い期間と多くの費用を要することから、下水道の強靱化に向けたレベルアップ、スピードアップのためには計画的に事業を進めることが重要となります。
そこで、下水道局は、市町村に対して下水道強靱化計画の策定を求めまして、これを補助の要件といたします。
なお、計画策定に係る費用も補助の対象とするとともに、流出解析シミュレーションなどの下水道局のノウハウを用いた技術支援を実施することで、市町村による計画策定を支援してまいります。
○森村委員 計画の策定が補助の要件になるということでした。
この計画策定の段階から下水道局の技術的、財政的な支援があることは、市町村にとって力強い後押しになると思います。
さて、補助の要件になる下水道強靱化計画ですが、その内容はどのようなものになるのか、教えてください。
○佐々木技術部長 市町村が策定する下水道強靱化計画は、都の方針や国のガイドライン等に基づきまして、期間や目標、事業内容などを定めることとしております。
下水道局は、市町村の策定した下水道強靱化計画の内容が、東京の強靱化に資するものであるとともに、効率的、効果的な計画であることなどを確認してまいります。
計画策定後は、事業進捗に対しまして、適宜、市町村への技術的助言を実施するなど、市町村と密に連携し、多摩地域の下水道の強靱化を推進してまいります。
○森村委員 本日の質疑で明らかになったのは、新たな補助制度によって、都と市町村が一体となって多摩地域における下水道の強靱化を目指していくということではないでしょうか。この制度が、多くの市町村に幅広く活用されることにより、多摩地域における強靱化が一日でも早く達成できることを期待して、次の質問に移ります。
地球温暖化防止対策についてお伺いいたします。
気候変動に伴い、気温上昇や海面上昇などの切迫性が示されておりまして、地球温暖化対策につきましても喫緊の課題であります。
欧州、ヨーロッパでは、コロナの流行で、停滞した経済から気候危機への対処を図りながら、よりよい復興を目指すグリーンリカバリーの流れが生まれています。
都においても、持続可能な生活を実現する観点にまで広げましたサステーナブルリカバリー、これを進めておりまして、ゼロエミッション東京を実現することは、五十年、百年先も持続可能な都市をつくる上で欠かせません。
下水道局では、新たにアースプラン二〇二三を策定するということですが、まず、この新たに策定されるアースプラン二〇二三における地球温暖化対策について伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局ではこれまで、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプランやエネルギー基本計画スマートプランに基づきまして、対策を計画的に推進してまいりました。
一方、気候変動危機が一層深刻化する中、国内外では脱炭素化への動きが加速しておりまして、国や都の動向を踏まえまして、今月中にアースプラン二〇二三を策定いたします。
本計画では、下水道事業の特性を踏まえ、地球温暖化対策とエネルギー対策を一体的に推進し、脱炭素化に向けた取組をさらに加速、強化を図るため、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する目標を掲げ、温室効果ガス排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程などで対策を推進してまいります。
○森村委員 下水道事業の特性を踏まえて、地球温暖化対策とエネルギー対策、これらを一体的に推進するということですが、下水道局ではこれまで、地球温暖化対策としてアースプラン、エネルギー対策としてスマートプランを策定しています。
そこで、アースプラン二〇二三におけるアースプランとスマートプランの関係性について伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局ではこれまで、アースプラン二〇一七に基づきまして、温室効果ガス排出量の削減に取り組むとともに、エネルギー基本計画スマートプラン二〇一四に基づき、エネルギー活用の高度化やエネルギー管理の最適化を図ってまいりました。
下水道事業では、電力や燃料等の使用に伴うエネルギー起源の二酸化炭素を排出するとともに、下水処理の過程で発生する一酸化二窒素の削減に多くのエネルギーを必要といたします。
このように、温室効果ガスの排出とエネルギーの消費とが密接に関係いたしますことから、アースプラン二〇二三は、これまでの両プランを統合して次期計画とするものでございます。
○森村委員 地球温暖化対策とエネルギー対策を一体的に推進するために、両プランを統合するということでしたが、エネルギー消費量の削減や再生可能エネルギーの活用の考え方についても伺います。
○猪八重計画調整部長 二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する目標の達成に向けまして、エネルギー消費量を二〇〇〇年度比で約二五%程度削減し、あわせて、再生可能エネルギーによる電力利用割合を四五から五〇%程度まで向上するよう取り組んでまいります。
このため、省エネルギー設備の導入の前倒しや、さらなる再生可能エネルギーの利用拡大を図ってまいります。
○森村委員 省エネルギー設備を前倒して導入するということでエネルギー消費量の削減を図るとのことですが、省エネルギー設備を前倒して導入するに当たっての考え方について伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道設備の再構築は、計画的な補修によって法定耐用年数の二倍程度となる経済的耐用年数まで延命化するとともに、中長期的な事業の平準化などを図るアセットマネジメント手法を活用し、計画的かつ効率的に進めております。
また、事業の実施に当たりましては、反応槽設備や汚泥濃縮機など、技術の進歩により省エネルギー化等の大幅な機能向上が可能な設備につきましては、早期に地球温暖化対策の効果を発揮させるため、経済的耐用年数よりも前倒しをして再構築を実施しております。
アースプラン二〇二三では、省エネルギー設備の導入台数を、現行のアースプラン二〇一七よりも一割以上前倒しをして実施してまいります。
○森村委員 これまでの質疑で確認をさせていただきましたのは、アースプラン二〇二三におきまして、二〇三〇年度までのカーボンハーフ、これを着実に実現させていくための取組、これが詳細に描かれているということだと思います。
一方、最終目標になります二〇五〇年脱炭素化に向けましては、これまでにない技術の導入が求められます。
下水道局では、アースプラン二〇二三の策定に当たって、下水道カーボンハーフ実現に向けた地球温暖化対策検討委員会を設置しまして、二〇五〇年ゼロエミッションを見据えたビジョンについて議論を進めてきたものと聞いております。
そこで、二〇五〇年ゼロエミッションに向けましてどのような意見があったのかを伺います。
○猪八重計画調整部長 本委員会では、ゼロエミッションの達成に向けた技術や下水道事業の在り方に対するご意見をいただいております。
その内容といたしましては、二〇五〇年ゼロエミッションの実現に向けては、既存技術や先進技術の導入だけでは達成が困難であるといったご意見や、下水道のポテンシャルを最大限に活用するとともに、先進技術の導入推進、革新的技術の開発、導入により温室効果ガス排出量を徹底的に削減する必要があるといったご意見、また、下水道資源を利用した社会への貢献も重要であるなどのご意見をいただいております。
○森村委員 既存技術や先進技術の導入だけでは達成が困難であるとご意見がありました。
委員会でのこうした検討の結果を踏まえまして、下水道局では、二〇五〇年脱炭素化に向けましてどのように取り組んでいくのか、二〇五〇年脱炭素化の実現に向けたビジョンについてお伺いいたします。
○猪八重計画調整部長 二〇五〇年ゼロエミッションの実現に向けましては、焼却廃熱を最大限活用して発電し、ほかの設備へも電力を供給できるエネルギー供給型焼却炉などの先進技術を継続して開発し、導入を推進してまいります。
さらに、ペロブスカイト太陽電池や、下水処理過程で発生するバイオマス由来の二酸化炭素を回収して利用、貯留するネガティブエミッション技術などの革新的技術を活用いたしまして、徹底して温室効果ガス削減の取組を進めてまいります。
○森村委員 アースプラン二〇二三の取組を加速させるには、省エネルギーや再生可能エネルギーの活用をより一層推進するための技術開発に取り組むことが必要不可欠です。特に、都有施設を最大限活用して、太陽光発電設備をできる限り導入、拡大していくべきと考えております。
下水道局においては、昨年末に、ペロブスカイト太陽電池の共同研究を開始したと聞いておりますが、現在進めているペロブスカイト太陽電池に関する技術開発の詳細について教えてください。
○家壽田技術開発担当部長 ペロブスカイト太陽電池は、次世代型の太陽電池として実用化が期待されているものでございます。
昨年十二月、都は、民間企業と、国産技術であるペロブスカイト太陽電池の実用化に向け、共同研究を開始いたしました。
この共同研究は、環境局の総合調整の下、当局の森ヶ崎水再生センターにおいて、水処理施設の覆蓋の一部に設置し、発電効率や耐腐食性能などの検証を行うものでございます。
現在、必要な資材の準備が整ったところでございまして、今春のうちに検証を開始する予定でございます。
○森村委員 準備が整ったということでありました。民間企業と連携をして、様々な検証を進めていただきまして、多くの期待が集まっておりますペロブスカイト太陽電池の実用化、ぜひとも実現してほしいと思います。
実用化できれば、再生可能エネルギーの取組もより一層進むものと考えますが、ペロブスカイト太陽電池が実用化できた場合に、下水道局ではどのように使っていくことを想定しているのか伺います。
○家壽田技術開発担当部長 これまで下水道局では、電源の多様化や再生可能エネルギーの利用の一環として、水再生センターなどに太陽光発電設備を導入してまいりました。
一方、水処理施設の上部への太陽光発電設備の導入は、太陽光パネルや架台の荷重を支える必要があるため、施設上部に設置されている覆蓋の取替えや躯体の補強など施設の大幅な改造を伴うことから、これまで設置できる場所が限られておりました。
ペロブスカイト太陽電池は、既存の太陽電池に比べ、薄くて軽く、フレキシブルであることから、実用化された際には、水処理施設の上部など、これまで設置できなかった場所において、太陽光発電の導入拡大に大きく寄与するものと考えております。
○森村委員 ぜひとも進めていっていただきたいと思います。
下水道局では、脱炭素化に向けまして様々な技術開発に取り組んでいるということが分かりました。さらに、二〇五〇年ゼロエミッション実現に向けましては、今後、ゲームチェンジャーとなり得る革新的な技術についても不可欠であるというふうに考えます。
ネガティブエミッションについては、これからの技術であると認識しておりますが、アースプラン二〇二三に掲載されておりますネガティブエミッション技術の導入について見解を伺います。
○家壽田技術開発担当部長 都の下水処理では、下水汚泥を消化する工程や焼却する工程で、下水に含まれる有機物、いわゆるバイオマスに由来する二酸化炭素を年間約四十六万トン排出しております。
ネガティブエミッション技術は、バイオマス由来の二酸化炭素を回収して、利用、貯留するものであり、これが可能となれば、二酸化炭素排出量を大幅に削減することができます。
このため、下水道局では、革新的技術であるネガティブエミッション技術の導入に向けて検討を進めてまいります。
○森村委員 カーボンハーフ、そして、ゼロエミッションの実現に向けまして、下水道局が本気で取組を進めているということが確認できたと思います。
特に、ゼロエミッションの達成に向けましては、革新的技術の導入などに期待することとなるわけですが、着実に取り組み、そして、技術の開発を進めていただくことを求めまして、質問を終わります。
○細田委員 私からは、まず、下水道施設の耐震化についてであります。
私の地元であります江東区は、隅田川、荒川などの大河川やその支流に囲まれております。東部低地帯の中でも荒川下流にありまして、多くの部分がいわゆる海抜ゼロメートル地帯であり、災害に決して強い地域とはいえないところです。過去には、度重なる大きな水害に見舞われてきましたことも踏まえて、下水道施設などの整備を進めて、浸水被害の軽減を図ってきました。
下水道施設は、浸水を防除する重要なインフラでありますことから、大規模地震発生により堤防が損傷した際にも、水再生センターやポンプ所の下水道機能を守ることが必要となります。
下水道局ではこれまでに、水再生センター、ポンプ所で耐震化を進めてきておりますが、下水道施設の耐水化について、これまでの取組と今後の取組の方針について見解を求めます。
○猪八重計画調整部長 これまで下水道局では、平成二十四年に策定された東京都の地震・津波に伴う水害対策に関する都の基本方針に基づきまして、大規模地震により堤防等が損傷したときに津波が襲来した場合に備え、東京都防災会議で示された最大津波高さに対しての耐水対策を実施してまいりました。
具体的には、中川水再生センターや木場ポンプ所などの耐水化が必要な三十四施設につきまして、建物の出入口の扉を防水扉に取り替えるなどの対策を平成二十八年度末までに全ての施設で完了をいたしております。
今後は、TOKYO強靱化プロジェクトを踏まえまして、万が一、大規模地震により堤防等が損傷した場合の復旧過程で、気候変動等の影響による大型台風が襲来したときの高潮等に対して下水道機能を確保するため、下水道施設の耐水化のレベルアップを実施してまいります。
○細田委員 今後は、高潮にも対応できる耐水化、レベルアップしていく、このようなことでありました。都民や東京を守るために大変に重要な方法であります。
いつ発生するか分からない大規模地震発生後の複合災害に対応できるように、スピード感を持って対応していっていただくことをお願いいたしたいんですが、下水道施設の耐水化の取組状況について質問をいたします。
○猪八重計画調整部長 下水道施設の耐水化に当たりましては、各施設が所在している場所や周辺環境、構造、規模などの特徴を踏まえまして、個々の施設に適した対策が必要となります。
このため、本年一月より調査を進めておりまして、水再生センターやポンプ所の立地や各施設の耐水化の状況を確認し、防水扉や止水板の設置、換気口の高さの変更などの対策手法につきまして検討を実施しております。
引き続き、下水道施設の耐水化のレベルアップを推進し、東京の強靱化に貢献してまいります。
○細田委員 本年一月より調査を進められていて、水再生センターやポンプ所の立地や各施設の耐水化の状況を確認して、防水扉や止水板の設置、換気口の高さの変更など、この検討がさらに前に進んでいくこと望んでおりますので、ぜひよろしくお願いします。
十二月に、TOKYO強靱化プロジェクトが公表されたばかりでありますが、下水道局では、早速検討を開始していると聞いて、今申し上げたとおり、安心したところであります。激甚化する風水害から、都民の生活や生命を守るために、引き続いてこの検討を前に進めて、形にしていただきたいと思います。
次に、下水道事業における電力の危機管理についてであります。
下水道事業では、多くの電力を使用していることから、電力危機の際には、節電の要請にできる限り協力していかなければいけない立場にあると思います。
最近では、昨年の夏に東京電力管内で電力が逼迫いたしましたが、昨年の夏の電力逼迫時の対応について答弁を求めます。
○袰岩施設管理部長 下水道局では、HTTの取組をさらに推進するため、昨年夏の電力逼迫時には、東京電力からの節電要請に応じて、運転の工夫や既存の電力貯蔵設備、発電設備の活用により、下水道事業の運営に支障のない範囲で電力の削減を図ってまいりました。
具体的には、受電電力の削減を図るため、水再生センターなど二十一施設において、ポンプや送風機の運転抑制や、電力貯蔵設備の活用により、電力需要の少ない時間帯へのピークシフトを行いました。
また、南部スラッジプラントにおいて、都市ガスを燃料とした常用発電設備の出力増加や、砂町水再生センターなど三施設において、非常用発電設備の臨時運転を行いました。
これらの取組により、昨年の夏の電力逼迫時には、晴天時使用電力の約三割に相当する最大約三万九千キロワットの電力を削減いたしました。
○細田委員 下水道局において、電力逼迫のときに様々な取組を実施したことが確認できました。
安定的に下水道施設を運営するためには、電力貯蔵設備を活用することが有効であると考えます。
下水道局では、老朽化した電力貯蔵設備の再構築を行っていると聞いていますが、これまでの電力設備の導入状況と再構築の取組状況について質問をいたします。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、震災時などにおいても下水道事業を安定的に継続するため、ナトリウム硫黄電池、いわゆるNaS電池を利用した電力貯蔵設備を全ての水再生センター二十施設に設置し、電源の多様化を図っております。
一方、平成十三年度に初めて設置してから十五年以上が経過したため、老朽化した電力貯蔵設備の再構築を進めておりまして、令和五年度には、砂町水再生センターやみやぎ水再生センターで、電力貯蔵設備の再構築が完了する予定でございます。
○細田委員 電力貯蔵設備の再構築を計画的に進めていることを確認いたしました。
また、災害時の自己電源の確保として、再生可能エネルギーを活用することも重要であると考えております。その中でも、バイオマスであります下水汚泥のエネルギーは、地域資源の再生可能エネルギーとして、脱炭素社会に貢献し得る高いポテンシャルを有している、このように考えています。
下水道局では、汚泥消化ガスを利用した発電事業により、下水汚泥の持つエネルギーの有効活用を進めてきたと認識をしております。
そこで、森ヶ崎水再生センターにおける消化ガス発電事業の内容と効果について質問をいたします。
○袰岩施設管理部長 森ヶ崎水再生センターにおける発電事業は、下水汚泥を消化させる工程で、汚泥中の有機分の分解により発生したメタンガスを発電設備の燃料として活用するものでございます。
本事業は、PFI方式で実施しており、事業者は、東京電力株式会社と三菱商事株式会社が共同出資して設立した特別目的会社の森ヶ崎エナジーサービス株式会社でありまして、事業期間は、運用を開始した平成十六年四月から令和六年三月までの二十年間でございます。
本事業では、年間で約二千万キロワットアワーを発電し、センターで使用する電力量の約二割を賄っており、温室効果ガス排出量の削減効果といたしましては、年間で二酸化炭素約九千トンに相当いたします。
○細田委員 汚泥消化ガスを利用しました発電事業は、令和六年三月までであると思いますが、区部最大の処理能力を有します森ヶ崎水再生センターで使用する電力を低減することはとても重要なことであります。
そこで、森ヶ崎水再生センターにおける消化ガス発電事業の今後について見解を求めます。
○猪八重計画調整部長 森ヶ崎水再生センターでは、官民が連携した新たな消化ガス発電事業を予定しておりまして、本年二月に実施方針を公表したところでございます。
事業手法といたしましては、公共が資金を用意して、民間が設計、建設、運営を行うDBO方式による事業を想定しており、また、事業スケジュールといたしましては、本年七月に事業者公募を開始し、令和六年一月に優先交渉権者を選定する予定でございます。
この事業は、下水汚泥から発生した消化ガスを有効利用して、かつ発電し、現行の事業より発電電力量を約一割以上向上させることにより、森ヶ崎水再生センターの受電電力量を低減することが可能となります。
今後は、令和九年三月三十一日まで事業に必要な施設整備を行う間も、現施設を利用して発電を継続いたしまして、令和九年四月一日から令和二十九年三月三十一日までの二十年間、新たな事業での運用を予定しております。
○細田委員 DBO方式による事業で、現行の発電電力量を一割向上させると、このように消化ガス発電事業を継続していくことを確認させていただきました。
次に、下水道資源の有効利用についてです。
都議会公明党は、令和三年度公営企業会計決算特別委員会で、下水汚泥の資源化について質疑を行ったところでありますが、改めて具体的な取組についてです。
昨年九月に開催されました国の第一回食料安定供給・農林水産業基盤強化本部におきまして、下水汚泥、堆肥などの未利用資源の利用拡大によりグリーン化を推進しつつ、肥料の国産化、安定供給を図ることが示されたわけであります。
これまで東京都では、下水汚泥を焼却した灰を資源化していると思いますが、まず、国内や東京都における下水汚泥の資源化の取組について質問をいたします。
○猪八重計画調整部長 国内におきましては、下水汚泥をコンポスト化し、肥料として緑農地利用する取組や、下水汚泥を焼却した灰をコンクリート骨材などの建設資材の一部に利用する取組などが行われております。
東京都では、限りある埋立処分場の延命化に寄与するため、焼却処理により大幅に下水汚泥を減量化しておりまして、発生した焼却灰を埋立て処分するとともに、一部を下水道工事で使用する鉄筋コンクリート管の材料や建設資材としての軽量骨材などとして利用いたしております。
○細田委員 下水汚泥を焼却した灰を建設資材として資源化しています。
一方、下水には、農作物の栄養分となります肥料の三要素の一つであるリンが大量に含まれております。リン資源のほとんどを他国に頼ります日本では、長期的かつ安定的なリン資源の確保が必要とされています。
下水に含まれますリンを効率的に回収し、資源として利用することは有効な取組であると考えますが、その試みはまだ道半ばであります。
そこで、国内における下水中のリンを回収する取組事例について答弁を求めます。
○家壽田技術開発担当部長 国内の事例として、神戸市、岐阜市など五つの自治体、六か所の下水処理場などで、下水汚泥の一部からリンを回収している実績がございます。
例えば、神戸市などでは、下水汚泥にマグネシウムを主成分とした薬品を添加する方法でリンを回収しています。
また、岐阜市などでは、下水汚泥を焼却した灰から、水酸化ナトリウムを使ってリンを溶かし出す方法で回収しております。
下水中のリンを回収する取組事例は少なく、肥料利用の促進のため、より効率的にリンを回収する技術が必要とされております。
○細田委員 下水中のリンの回収に関する国内の取組について確認をいたしました。
近年、ウクライナ問題に端を発して、肥料の価格が高騰する中で、首都東京の膨大な下水を処理する下水道局において、下水中のリンを資源として利用できれば、これは有効な取組になります。
そこで、都における下水中のリンの資源化に向けた取組状況について答弁を求めます。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、経営計画二〇二一において、処理水質の向上を図るため、リンを除去する施設の導入を予定しており、副次的に得られたリンは、農業用肥料など資源への有効利用を検討することとしております。
新技術の研究開発及び実用化を加速するために、国土交通省が設立した下水道革新的技術実証事業、いわゆるB-DASHプロジェクトにおける下水汚泥の肥料利用を促進する技術開発に、民間企業などと共同して応募した結果、本年二月に採択されました。
今後、B-DASHプロジェクトを活用することで、事業の迅速化を図ってまいります。
○細田委員 処理の水質の向上のために除去しましたリンについて有効利用をしていくということであります。取組を一歩進めていらっしゃいまして、評価をいたします。
そして、国土交通省と連携して、リン資源の有効活用に向けて新技術の研究を進めていくとのことでありました。
そこで、今ご答弁のあったB-DASHプロジェクトの具体的な内容について質問をいたします。
○家壽田技術開発担当部長 B-DASHプロジェクトでは、実規模レベルの施設を設置して実証する実規模実証一件と、普及可能性の検討や技術性能の確認を行う導入可能性調査、いわゆるFS調査一件が採択されました。
実規模実証では、汚泥処理工程における脱水分離液からリンを新たな方法によって回収する技術について、リンの回収率や肥料の品質などを実証する事業を東部スラッジプラントにおいて実施いたします。
また、FS調査では、下水汚泥焼却灰から重金属を削減する技術と、焼却灰を肥料として利用するための造粒技術について調査を実施いたします。
○細田委員 積極的にリンの回収に関する新たな技術開発を進めて、効率的なリン回収を行っていただきたいと思います。
一方、回収したリンを肥料などに利用していくためには、様々な課題があると考えます。
回収したリンのうち、肥料利用に当たっての課題についていかがでしょうか、局の見解を求めます。
○猪八重計画調整部長 肥料利用に当たりましては、リン回収の低コスト化や、安全性、品質が確保された農業者が使いやすい肥料の実用化、そして、下水道事業者と肥料製造業者、農業者のマッチングによる流通経路の確保などの課題がございます。
引き続き、国土交通省や農業分野の関係者とも連携し、回収したリンの肥料利用に向けて、課題解決を図ってまいります。
○細田委員 コスト面や利便性などの課題がある、このような見解でありました。B-DASHプロジェクトなど、技術開発の場で、それらの課題も解決されていくことを大いに期待しています。
さて、最後に、足立区中川の下水道施設であります土づくりの里について質問をいたします。本質問について、私は、足立区選出の公明党の中山信行都議と深く連携をして行わせていただきます。
土づくりの里は、中川水再生センターに隣接する施設であります。
当初は、暫定的な施設と位置づけられ、地元地域にも、その前提で説明がなされてまいりました。しかし、風が強いときには、土ぼこりが周囲の民家を襲うなど、地元地域からは、暫定段階を脱却し、立ち退いてもらいたい、移転をしてほしいとの声が多かったと聞いております。中には、土づくりの里から土砂を運び出すトラックの後を追い、本当に都の下水道工事の埋め戻し土砂として使われているのだろうかと疑って、調べようとしていた議員もいたとのことでありました。
しかし、下水道局は、土づくりの里は、下水道工事の建設発生土を再利用する極めて重要な施設であるとの立場であります。
地元の中山信行都議は、移転を望む地元の方々との声を、都政全体の進捗を望む下水道局との間にあって、何とか双方にとって有意義な解決に向けて、この問題を真正面から受け止めて、懸命にこれまで努力を重ねてきたところであります。
そうした中、他区に移転させることが困難であるならば、いつまでも暫定施設といった中途半端な位置づけを続けて問題を先送りにしていくのではなく、腹を決めて、地元への迷惑を解消しつつ、むしろ地元に何らかのメリットをもたらす対策を講じた上で移転はできないということをご理解いただくべきであると、局の担当者に強く求めてきたと聞いております。
これを受けて、下水道局が、土づくりの里の上に屋根となる覆蓋を設置して、土ぼこりの発生を防ぎ、その上部を地元の利益にもつながる都立公園とする計画を決意し、それが公表に至ったものであります。
中山都議も、覆蓋上部に建設される都立公園が、中川水再生センター上部の既存の都立中川公園と併せて利用することにより、近くを流れる一級河川である中川が大型台風などで越水の危機に瀕する際には、何万人もの都民が水害から逃れる高台公園となることを、自ら、地元町会、自治会の役員の方々に強調してお伝えをして回り、ご納得を求めて、その上で、下水道局が、中川処理場連絡協議会などを通じて、その意向を正式にお伝えしたものであります。
地元町会の方々は、覆蓋計画の承認は、土づくりの里を恒久的な施設として受け入れることを承諾したことを意味するということを十分ご承知の上で町会内の話合いに臨まれていたと伺っています。その上で、都内、特に二十三区全体の利益を考えて、土づくりの里の機能の継続を承認されたわけであります。極めて気高い地元周辺自治会役員の方々のご決断があってこそ、初めて実現の方向となったという経緯が重要であります。
こうした経緯を経ながら、都立中川公園との覆蓋上部の一体利用や環境対策などの点で、何度も議論を重ねた上で、地元地域の要望を受け入れるという条件付で、改めて地元が了承の意向を示し、現在進行しつつある土づくりの里の覆蓋化工事の着手に至っております。
しかし、そもそも土づくりの里については、下水道工事の際に運び出される土砂を一旦保管して、石灰などを混ぜて液状化しにくく改良して、再度、下水工事に、埋め戻しを行う際に利用するという、土の質、土質改良の施設であります。しかし、その存在意義、効果は、あまり都民には知られておりません。
都内には、液状化の可能性が高い地域が東部地域を中心に多く存在しており、改良土による液状化対策を今後ともしっかりと継続していっていただきたいと考えております。
二十三区の下水道事業に欠かせない重要施設であることを多くの都民がこれまで以上に深く広く理解してこそ、足立区中川周辺の町会、自治会組織が、苦渋の決断で恒久化を受け入れた尊い英断に応えられるものであると私は思っております。
今後も、土づくりの里の覆蓋化工事とその上部に建設局が都立公園を整備する工事には長期間年月を要します。その間、周辺の住民の方々には、大変な数の工事関係車両の出入りや騒音、振動のご迷惑をおかけし続けることにもなります。そうしたご苦労に報いるためにも、都は、土づくりの里の必要性をさらに広く都民に周知するとともに、覆蓋化工事完了後には、防災活動の中心拠点やスポーツ施設などの公園として整備をされるよう、一日も早い一体利用の実現を期待しております。
そこで、覆蓋上部の公園利用の調整状況についてお尋ねいたします。
○猪八重計画調整部長 土づくりの里は、理事お話しのとおり、下水道工事による建設発生土を改良し、埋め戻し用の土として再利用する重要な施設でございます。
土づくりの里のプラントの上部は、人工地盤による覆蓋を整備いたしまして、完成後は、中川水再生センターの上部を利用し、既に整備されている中川公園A地区と一体的に公園が再整備される計画でございます。
現在、地元区や関係機関で構成される中川公園整備検討協議会を開催し、地元の方々と、公園となる覆蓋上部につきまして、様々な意見交換を行っているところでございます。
○細田委員 今後とも、下水道局は、積極的に推進をしていってください。
地域の町会長の中には、お父様も町会長をされていて、その時代から、暫定施設と説明をされてきた土づくりの里の早期の移転を求めて活動されてきたというご一家もあるそうです。そうした中で、ご自分も町会長となられた後、今回の恒久化の受入れをご決断され、自ら町会員の方々に頭を下げて、ご納得をいただくご苦労を買っていただいている方もいらっしゃいます。こうした点を下水道局は深く肝に銘じていただき、後々の職員の方々にも、どうぞしっかりと認識を継承していただくことを私からも強く求めさせていただきます。
その上で、覆蓋上部での都立公園の整備という構造上の制約がある、したがって、重量の重い施設の位置は、物理的に不向きでありまして、建設局は、水没しない高台公園の災害時の利用の意義がある点も踏まえ、建造物の建設をあまり必要としないスポーツ公園との位置づけを行って、その旨を地元の方々や足立区当局にも説明をしていると伺っております。
こうしたこともあって、足立区内には、人工芝を敷いて全天候で試合が可能なサッカー場施設が現状一つもないことから、足立区サッカー連盟の方々が、覆蓋上部への設置を強く望まれていると聞くところでもあります。ようやく、足立区西部に、区立小学校の跡地に一つ、整備のめどが立ったものの、足立区内の東部地域にも整備が必要であります。
しかし、下水道局は、地元工事の進捗状況をおおむね三か月ごとに報告しておりますが、現在施工中の準備工事は、当初計画よりかなり進捗が遅れ始めていると聞いています。地元では、覆蓋上部の整備が予定されている公園のスポーツ施設としての早期利用や、地元の方々のコミュニティの核となる施設利用の開始を望む声も多いです。地元地域への当初から説明している令和十二年度までに覆蓋の整備を進めてもらいたいと考えています。
現状、工事の進捗が遅れている原因と遅れの程度をご説明していただいた上で、その遅れは、今後の工事の中で克服を図って、覆蓋化工事の完了の目標年次には影響を与えないようにするべきであると考えます。
土づくりの里の今後の事業スケジュールについて質問をいたします。
○杉山施設整備担当部長 土づくりの里の覆蓋工事につきましては、早期に上部利用を図るため、二分割での施工とし、令和三年度から第一期工事に着手しております。
現在は、敷地造成などを行っておりますが、地中からコンクリート塊などの支障物が確認され、その撤去に相当の時間を要することが見込まれることから、施設の構造や施工計画の変更などにより工期短縮を図ってまいります。
今後も、新たな支障物の撤去などが想定されますが、可能な限り、当初予定の令和十二年度に第一期の覆蓋工事を完了できるよう努めてまいります。
○細田委員 令和十二年度に第一期の覆蓋工事が完了できるよう努めていかれるという力強い答弁を確認いたしました。
都立公園の整備が計画どおりに進むよう、今後も、地元と円満、円滑に調整を行っていただいて、覆蓋工事を進めていただくよう改めて強く要望し、質問を終わります。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。資料のご提出をありがとうございました。
私からは、新しく策定されたアースプラン二〇二三の案と、多摩地域の公共下水道への新たな補助、そして、有機フッ素化合物、PFASの測定について伺います。
まず、アースプラン二〇二三の案についてです。
気候変動危機の打開は待ったなしの課題です。
都は、昨年九月に東京都環境基本計画を策定して、都内の温室効果ガス排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフを目標として位置づけています。
下水道事業では、下水を処理するために多くの温室効果ガスを排出するため、東京都の事務事業活動の中でも最大の温室効果ガス排出者になっている、こういう中で、その排出を抑える取組が一層重要な課題になっていると思います。
私も、この計画について、中身を拝見させていただきました。アースプランが最初に策定された二〇〇四年の頃からの系統的な取組がよく分かる内容で、とても勉強になりました。
その中から幾つか伺いますけれども、まず、このプランについて、下水道局は、三月十日までの一か月間パブリックコメントを取っていました。
先ほどの質疑にもありましたけれども、新しく策定されたアースプラン二〇二三の案について、主にどのような意見が寄せられているのか、改めて伺います。
○猪八重計画調整部長 パブリックコメントでは、風力発電や潮汐発電、下水中のアンモニアの燃料活用など、ゼロエミッションに向けて、新しい技術を導入することを提案するといったご意見や、省エネ、再エネ設備の導入にはコストがかかると思うが、環境面だけではなく、コスト面でも都民にメリットがあるようにしてもらいたいといったご意見、さらには、下水道のエネルギーポテンシャルについて、技術提案の誘発にもつながる秀逸な表現手法だと思うなどのご意見などもいただいてございます。
○斉藤委員 新しい技術の提案や、逆に、技術提案の誘発につながるものだと評価するコメントなど、関心を持っている方や技術開発に関わるような方々と推測されますけれども、有効な内容であるということが感じ取れます。
すぐには活用が難しくても、中長期的に取り組むことができる内容もあるかというふうに思います。風力発電でも、洋上の大きなものは難しくても、小型のものなら活用できるかなど、今後の研究次第で実現可能なこともあるのではないかと思います。ぜひ、こうした声を生かしながら、知見を集めて、研究も進めていただきたいというふうに思います。
アースプランの策定は二〇〇四年から始まり、下水道局はこれまでも、温室効果ガスの削減の取組を行ってきていますが、二〇〇〇年度比でどれくらいの排出削減が行われたのか、実績について伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、アースプラン二〇一七に基づき、排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程等で削減対策を行っておりまして、二〇二一年度には、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で約二七%削減いたしました。
○斉藤委員 二〇二一年度に、二〇〇〇年度比で約二七%削減してきたということです。
下水道局では、国が削減目標を示す前の二〇〇四年からアースプランを策定し、温室効果ガスの排出削減の対策をしてきたということが今回の計画案の内容からもよく分かりましたけれども、その間にも、様々な技術革新によって努力されてきたことに敬意を表したいというふうに思います。
前回策定されたアースプラン二〇一七で設定されていた、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%の削減という目標に近づく実績になったというところですけれども、しかし、現状では、地球温暖化は加速していくという現実の中で、目標の引上げと実効性のある取組がより一層求められています。
東京都では、二〇三〇年カーボンハーフを掲げている中、下水道局では、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で五〇%削減する目標に引き上げましたけれども、どのように検討を進めてきたのか伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、昨年四月に、有識者による下水道カーボンハーフ実現に向けた地球温暖化対策検討委員会を設置いたしまして、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するための方策などについて検討した結果を最終報告として取りまとめていただきました。
この報告を踏まえて検討いたしまして、アースプラン二〇二三案を取りまとめてございます。
○斉藤委員 私も、二〇二一年の事務事業質疑の際、また、その後の決算の全局質疑の際にも、我が党の里吉ゆみ都議が、二〇三〇年度までの削減目標を五〇%まで引き上げる必要があるというふうに繰り返し訴えてきました。その中で、昨年四月に、有識者による下水道カーボンハーフ実現に向けた地球温暖化対策検討委員会、これが設置され、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するための方策などを検討してきたというご答弁でした。そして、その最終報告を踏まえて、今回の新たな目標がアースプラン二〇二三に反映されたということです。下水道局の皆さんが、さらに先を目指して取組をされることをとても歓迎しております。
温室効果ガスの排出削減のための個々の取組について伺いたいと思います。
再生可能エネルギーの活用として、太陽光発電の導入について、二〇二三年度から二〇二五年度までは東尾久浄化センターで、それから、二〇二六年度から二〇三〇年度までには砂町水再生センターで導入を検討しているというふうに記載されています。
土地や建物の有効活用が必要だというふうに思いますが、どのように導入していくのか伺います。
○猪八重計画調整部長 東尾久浄化センターで整備しておりますポンプ室の屋上や、砂町水再生センターの再構築用地などを活用いたしまして、太陽光発電設備の導入を予定しております。
○斉藤委員 東尾久浄化センターでは、新しく整備されるポンプ室の屋上を利用するということ、そして、砂町の再構築用地を活用して太陽光発電設備を導入するということです。
私は、何年か前に、砂町水再生センターに視察に行かせていただいたことがありますけれども、その際に、広い敷地が広がっていたので、太陽光パネルの設置ができるのではないかというお話をした記憶があります。たしかそのときには、施設の再構築などのための用地で、設置は難しいというようなお話を伺っていたというふうに記憶しています。ですけれども、今回、その用地の活用の見通しを整理して、ある程度の長期間、再構築用に使う予定がなければ、太陽光パネルの設置をしていくという判断をされたというふうにも伺っています。下水道局が持つポテンシャルを最大限活用する方向に踏み出していただくことに期待をしたいというふうに思います。
次に、消化ガス発電について伺います。
先ほども質疑がありましたけれども、一般的にはなかなか聞きなれない消化ガスによる発電ですが、森ヶ崎水再生センターでは、汚泥処理工程において、消化ガス発電をPFI方式で行っています。
改めてですけれども、その概要とこれまでの温室効果ガスの削減の実績について伺います。
○袰岩施設管理部長 森ヶ崎水再生センターでは、下水汚泥を消化させる工程で、汚泥中の有機分の分解により発生したメタンガスを燃料とした発電事業を平成十六年四月から二十年間を事業期間とするPFI方式で行っております。
本事業の事業者は、東京電力株式会社と三菱商事株式会社が共同出資して設立した特別目的会社の森ヶ崎エナジーサービス株式会社でございます。
本事業における温室効果ガス排出量の削減効果でございますけれども、年間で二酸化炭素約九千トンに相当いたします。
○斉藤委員 内容としては、下水汚泥を消化させる工程で、汚泥中の有機分の分解によって発生したメタンガスを燃料として発電するものだということです。温室効果ガスの排出量の削減効果は、年間でCO2約九千トンに相当するということで、削減効果を発揮しているということですけれども、この運用は、東京電力と三菱商事で共同出資してつくった特別目的会社の森ヶ崎エナジーサービス株式会社が行っているということです。
このPFI方式による森ヶ崎水再生センターの消化ガス発電のバリュー・フォー・マネー、VFMは、評価はどのようになっているのか伺います。
○猪八重計画調整部長 平成十六年四月の運営開始以降、バイオマスエネルギーの活用による地球環境の保全などの事業目的に沿った事業運営が行われていることは確認しております。
事業全体のVFMは、今後、事業期間終了後に算定をいたします。
○斉藤委員 この事業は、二〇〇四年に開始されているということで、間もなく期間の二十年の事業終了を迎えるということになります。
VFMは、事業終了後に算定するということなんですけれども、先ほどの質疑では、この事業者の選定に向け、次の公募を行うということが決まっているというようなご答弁でした。
確認なんですけれども、公募を行うのはいつになるんでしょうか。ご答弁いただけますでしょうか。
○猪八重計画調整部長 本年七月でございます。
○斉藤委員 本年七月に公募を行うということですね。
私は、本来ならば、この事業評価を先にやって、それで次に進むんじゃないかなっていうふうに思っているんですけれども、その評価が出る前に公募になるということ、ちょっと今、違和感を感じざるを得ないんです。
またちょっと確認したいんですけれども、二十年の期限があって、もう間もなく事業が終了するということですが、事業者の変わり目には、この運用が止まるというようなことはあるんでしょうか。それとも、この消化ガスの発電について、温室効果ガスの排出削減のためには、切れ目なく、可能な限りその消化ガス発電が継続できるようにするということが重要だというふうに思うんですけれども、そのためにも、早めに今後の運用の在り方について検討していく必要がある。だからこそ、VFMについても評価するのが当然だというふうに思うんです。
確認ですが、この事業者が変わり目になるに当たっては、その消化ガス発電の運用が止まるということはあるんでしょうか。それとも、引き継がれていく、止まるということはないということでしょうか。
○猪八重計画調整部長 次期事業は、令和九年度から開始をいたしますけれども、その間、現事業を引き続き、運転は継続をさせていただきます。
○斉藤委員 運用というか運転ですかね、これは引き続きやっていくということなんですけれども、事業の全体がどうであったか、PFI事業の検証が私は不可欠だというふうに思っています。そのご答弁が、評価がないというような、事業後に選定ということにもかかわらず、次の選定、選定するということが決まっているということで、ちょっとこれはもう少し事業の検証が必要なのではないかということ、それを強く要望させていただきます。
この下水処理の過程では、CO2だけでなく、温室効果ガスが三百倍といわれている一酸化二窒素、いわゆるN2Oが排出されることも大きな特徴だというふうに思います。
一酸化二窒素、N2Oの排出を抑えることが重要ですが、どのような対策が有効なのか、改めて伺います。
○猪八重計画調整部長 下水汚泥の焼却に伴い発生する一酸化二窒素を削減する対策といたしましては、焼却炉の燃焼温度を高温化することが有効でございます。
このため、下水道局では、従来の八百度から八百五十度以上の高温での焼却が可能な焼却炉の導入を推進してまいりました。
○斉藤委員 特に汚泥処理過程の中で一酸化二窒素が多く発生するということが、このプランの中でも掲載をされていますが、その排出削減の鍵を握るのが、高温での燃焼が可能な焼却炉だということです。
焼却炉も、廃熱を利用して電力に変える省エネルギー型やエネルギー自立型、さらに、燃焼温度を上げながら、この焼却炉以外への電力を供給するエネルギー供給型など、技術革新を行いながら取組を進めているということも、このプランでよく分かりました。
今後に向けてですけれども、既存の技術の導入拡大や新たに技術を開発した先進技術の導入によって二〇三〇年のカーボンハーフの実現を目指す一方で、今のままでは、二〇五〇年のゼロエミッションの実現は困難というふうに記されています。
二〇五〇年の温室効果ガスの排出量は三十万トンにとどまる見込みだということですが、これをゼロに近づけていくための課題や可能性はどのようなことにあるのか伺います。
○猪八重計画調整部長 二〇五〇年ゼロエミッションの実現に向けましては、既存技術や先進技術の導入だけでは達成が困難でございますので、ペロブスカイト太陽電池やネガティブエミッション技術などの革新的技術を活用し、徹底して温室効果ガス削減の取組を進めてまいります。
○斉藤委員 二〇五〇年のゼロエミッションの実現に向けては、さらなる技術革新が必要ということで、今、その一例として、ペロブスカイト太陽電池、この革新的技術を活用していくということもありました。ほかにも、様々ここに記載されていることがありますけれども、こうしたポテンシャルを最大限に生かしてやっていただきたいというふうに思います。
下水道処理というのは、そもそもエネルギーを使うことが必須の事業の中で、温室効果ガスの排出をゼロにしていくということは本当に大きなチャレンジだというふうに思います。大変な取組だと思いますけれども、海外の知見などにも学びながら、下水道局が持つポテンシャルを最大限に生かして、壮大なチャレンジに臨んでいただきたいというふうに思います。
次に、多摩地域の公共下水道への補助について伺います。
私は、この間、多摩地域で、台風や集中豪雨の際にマンホールからの溢水の被害が度々起きていたということから、何とかしてほしいという地域の方々の声をいただいてきて、質疑でも取り上げてきました。
その解決のためには、公共下水道の更新を行い、雨天時の水の浸入を防ぐことが必要ですが、そのためには、自治体任せではなく、都からの財政支援を強化することが重要だと求めてきました。我が党では、私だけでなく、大山委員長ほか、清水とし子都議も一般質問などで取り上げて、繰り返し求めてきました。
多摩地域の公共下水道への都の既存の補助制度は、補助率が、ご存じのとおり、二・五%と、一瞬、桁を見間違えたかなと思うくらいに低くて、市長会からも財政支援が継続して求められてきたということがあります。
そうした中で、新年度からは、浸水、震災対策に資する公共下水道の更新について、市町村負担の五〇%を補助する新たな制度が創設されたことは大きな前進だというふうに思います。
そこでまず、今回、この新たな補助制度の創設に至った経緯について、改めて伺います。
○佐々木技術部長 TOKYO強靱化プロジェクトに基づきまして、市町村が実施する対策のレベルアップ、スピードアップを図るため、浸水、震災対策を対象に、市町村が負担する費用の二分の一を支援する新たな補助制度を創設することといたしました。
○斉藤委員 浸水、震災対策を対象に、単独事業の場合は、都が五〇%を補助し、国事業の場合は、四分の一、二五%を補助するというものですが、TOKYO強靱化プロジェクトの中で、浸水、震災対策に資する政策として、下水道局ができること、求めることとして、この多摩地域での公共下水道の強化のための支援が挙げられたということを歓迎いたします。この対策強化が必要だと考えられていたということだと思いますが、議会でも声を届けてきて、本当によかったというふうに思います。
この新しい補助制度についてですけれども、新年度に向けて、市町村からは既に補助の活用の意向は届いているのか、また、自治体の担当者からはどのような声が寄せられているのか伺います。
○佐々木技術部長 これまで、市町村へ全体説明会を実施するとともに、個別にヒアリングを行っております。
自治体の担当者からは、浸水対策は多くの事業費を要するため、事業推進に寄与する、積極的な活用を検討したいなどの声がございました。
○斉藤委員 多摩地域で問題となっていた雨天時浸入水対策の推進に貢献する、待ち望まれた政策だというふうに思いますが、自治体担当者から、事業推進に寄与する、また、積極的な活用を検討したいという声が届いているということで、本当によかったなというふうに思います。
ある多摩地域の自治体では、この補助制度の活用に当たって、雨天時浸入水対策として、事業規模の再検討も含めて補正予算での対応にて事業を進めていきたいというふうに説明があって、これは自治体の説明ですけれども、担当者も喜んでいたという声が届いています。
こうした補助を待ち望んだ自治体、多くあるんだというふうに思いますけれども、予算規模についてですけれども、先ほどご答弁がありました新たに創設したこの市町村下水道事業強靱化都費補助、これは、新年度の予算では二十億円を計上しているというご答弁がありました。ぜひ、積極的な活用を促すためにも、自治体への情報提供を強めて、対応していただきたいというふうに思います。
また、二〇四〇年代までという期限のある補助制度でもありますので、実際にどのくらいの補助申請が市町村から上がるのか、足りないということがあれば、臨機応変に対応していただきたいということも求めておきます。
あわせて、公共下水道の新設の場合は、依然として都の補助率は二・五%と低いままになっています。新設も、いってみれば浸水対策に寄与するものだというふうに私は思います。この補助率の引上げについても検討していただくよう要望をいたします。
次に、有機フッ素化合物、PFASについて伺います。
有機フッ素化合物、PFASについて、国際的に規制が強まる中、日本でも特に米軍基地がある沖縄や神奈川、そして、東京都でも、多摩地域を中心に高い濃度が井戸水から検出されて、健康被害への不安が広がっています。
このことで、水道局では、多摩地域の十一の浄水場、そして配水所で、三十四の井戸を停止しているということは、皆さんも報道等でご存じのとおりかと思います。
今回、下水道局は、工場や事業者からの排水を検査しているという立場として、水質の保全や、環境や人体への影響の低減、汚染の発生を食い止める、こういうことに貢献できるのではないかという視点から質問をいたします。
下水道局では、下水道法に基づいて、都内二十三区の工場や事業者から下水道施設へ排出される排水について有害物質の測定を行っています。
PFASの問題では、特に、多摩地域で水道局が管理している井戸から高濃度の値が検出されているということと、それから、区部では、井戸を水源として使わず、川の水を主な水源としているということから、多摩地域の問題に焦点が当たっていますけれども、区部では汚染がないのかどうかと思って、環境局が行っている地下水におけるPFOS及びPFOAの調査の結果について確認をしてみました。
二〇二〇年に環境局が行った調査では、区部の八か所の測定ポイントのうち、五つのポイントで、現在の国の暫定基準の一リットル当たり五十ナノグラムを超えている箇所があることが分かります。その中でも、渋谷区のポイントでは百五十ナノグラム、練馬区のポイントで百二十ナノグラムと、多摩地域の測定箇所よりも高い値が地下水から出ているという状況もあります。
下水道局は、区部でのこうした状況について環境局との情報共有は行われているのか伺います。
○袰岩施設管理部長 PFOS及びPFOAを含む地下水の測定結果につきましては、環境局から情報提供されております。
○斉藤委員 区部の地下水でも検出されているということは、近くに汚染源がある可能性もあるということだというふうに思います。今後は、環境局、関係各局とも連携を行って、こうした状況の把握に今後も努めていただくことを求めます。
皆さんご存じのことと思いますけれども、このPFASとは、PFOS、PFOAを含む四千七百種類以上の人工的に合成された有機フッ素化合物の総称ですけれども、水や油をはじき、熱に強いという特性から、泡消火剤や撥水加工品に使われてきました。しかし、自然界では、ほぼ分解されず、人体や環境中に長く残る蓄積性と、発がん性や胎児の低体重など人体への影響が指摘され、PFOS、PFOAは、二〇一九年、ストックホルム条約で製造、使用が禁止されました。欧米では規制の強化が進んでいます。
一方で、日本での動きは遅いというふうにいわなければなりませんが、ようやく環境省は、PFOSとPFOAの水質環境基準体系における要検査項目から、二〇二〇年五月に要監視項目に位置づけを引き上げて、暫定指針値をPFOSとPFOAの合算で一リットル当たり五十ナノグラムということを示しました。
こうした動きについて、下水道局の認識について伺います。
○袰岩施設管理部長 国が本年一月に設置した専門家会議では、PFASに対する総合的な戦略を検討するとしております。
下水道局といたしましては、こうした国の動向などを引き続き注視してまいります。
○斉藤委員 ご答弁のとおり、国は、今年一月に、PFASに対する総合戦略検討専門家会議とPFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議、この二つの専門家会議を立ち上げて、今後、水質の基準値の検討などを進めることとしています。
環境省は、水質汚濁防止法によって測定する有害物質を定めていますが、ここにPFASを加えるということも、基準が決まればここに加えられるというようなことになってくると思います。この点は、工場や事業者からの排水の調査を行っている下水道局としても、重要な課題になってくると思います。
下水道局では、国交省の管轄の下、下水道法に基づいて、その基準で検査をしているわけですが、その基準の基になるのが、環境省の水質汚濁防止法と。これが横引きにされて、下水道法でもそれが定められるということですから、重要な課題になってくるというふうに思います。
実際に、米軍の横須賀基地の排水処理施設からPFASが流出した問題では、米軍は、昨年十一月と十二月に、排水のサンプリング調査を行ったと報じられていますが、その結果、有機フッ素化合物、このPFOSとPFOAの合算で、フィルター通過前は最大で三百三十五ナノグラム、暫定目標値を大きく上回ったことが明らかになっています。
下水道局としても、今後はPFASの実態について把握していく必要があるというふうに考えます。
そこで、基本的なことですけれども、下水道局は、工場や事業所の排水に含まれる有害物質が環境に与える影響についてどのように認識しているか伺います。
○福島施設管理担当部長 公共用水域の水質保全及び下水道施設を保護するために、国が有害物質について下水排除基準を定めております。
下水道局としては、この基準を遵守するよう、工場や事業場に立入検査を行うなどの指導を行っております。
○斉藤委員 公共用水域の水質を守り、下水道施設を有害物質から保護するためにも、工場や事業場に立入調査を実施しているということです。
下水道法に基づく都内の二十三区内の工場や事業場の排水についての調査ですけれども、調査対象の事業場の総数と年間どのくらいの事業場の検査を行っているのか伺います。
○福島施設管理担当部長 令和三年度末時点で、当局に事業場排水に関する届出がある事業場は、二十三区内で六千百五十九件です。
立入検査は延べ二千七百二件実施しております。
○斉藤委員 二〇二一年度は、総数六千百五十九件の中、二千七百二件の検査を行っているということです。
現在は、PFASは、下水道法に基づく排水における水質検査の対象項目にはなっていないという状況ですけれども、物理的、技術的には、これらを測定するということは可能なのかどうか伺います。
○福島施設管理担当部長 事業場排水中のPFASについては、下水道関係法令で規制基準が定められておらず、測定方法についても示されていないため、測定することは適切ではございません。
○斉藤委員 規制基準が定められておらず、測定方法も示されていないということで、測定することは適切ではないというご答弁でした。物理的に測定できるかどうかということの質問だったんですけど、それに対するお答えはないと。要するに、技術的に測定できるかどうかということ、できるということを否定されないご答弁だというふうに思います。
民間では、実際に排水中のPFASを測定、分析することができるという企業もあります。アメリカでも、米軍はもとより、国内でも、排水中の測定を、当然ですけれども、行っています。
また、水道局では、国が基準値を定める前、二〇〇四年から水源となる井戸水についての測定を行ってきています。自前の井戸水を測定することと、工場や事業場の排水を測定するということで、ハードルの違いはあるかもしれないんですけれども、ぜひ、下水道局としても知見を集めて、環境局とも連携しながら、早期に測定ができるように準備を進めていただきたいというふうに思います。
そして、多摩地域の工場や事業場の排水の調査を行っているのは、公共下水道を所管している各自治体だというふうに伺っています。
今後は、市町村との連携も強めて、オール東京でPFASについての排水のチェック体制を整えていくということが必要だと思いますが、見解を伺います。
○佐々木技術部長 国が本年一月に設置した専門家会議では、PFASに対する総合的な戦略を検討するとしております。
引き続き、市町村と共に国の動向などを注視してまいります。
○斉藤委員 市町村と共に国の動向を注視していくというご答弁でした。
ぜひ、この問題について、市町村と積極的に連携を行って、PFASへの対応を進めていただくことを求めて、質問を終わります。
○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時二十五分開議
○大山委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西沢委員 私からも、まず最初に、アースプラン二〇二三案についてお伺いしていきたいというように思います。
今日もいろいろと議論がございまして、少し重なるところもあろうかと思いますが、少し踏み込んで聞かせていただきたいと思いますし、ご答弁もいただきたいというように思います。
この地球温暖化防止対策ということでのアースプランですが、持続可能な都市を構築する上で、温室効果ガスを削減して気候変動のリスクを抑制するということは必要不可欠であると、これいうまでもありません。
そうした中で、国の方でも目標を掲げていますし、都でも掲げています。二〇二三年温室効果ガス排出目標というのは、既に掲げられているものであります。これは、国に先駆けてやるとか、国を超えてやるということをよく東京都はやりますけれども、この国の計画について超えてやるのかとか、先んじてやるとか、それとも、それを国のものに基づいてやるのかとか、もしくは、東京都も環境基本計画、当然あります。それに基づいてゼロエミ戦略というものもありますけれども、この辺の整合性、どのように整理されているのか、まず最初にお伺いしたいというふうに思います。
○猪八重計画調整部長 国では、令和三年十月に策定された地球温暖化対策計画において、二〇三〇年度に温室効果ガス排出量を二〇一三年度から四六%削減することを目指し、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けていくこととしております。
都では、令和四年九月に策定された東京都環境基本計画において、二〇三〇年までに都内の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で五〇%削減することを目標としております。
これらの計画を踏まえまして、アースプラン二〇二三では、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で五〇%以上削減することを目標といたしております。
○西沢委員 国や都のこれらの計画を踏まえてという答弁でありまして、当たり前といえば当然だとは思うんですけれども、下水道局が踏み込んで、それ以上のことをやるんだみたいな、そういうことではない、これも当たり前だと思いますけれども、そういったことを確認させていただきました。
計画自体は、六、七年に一回つくられていると思いますけれども、このプラン自体をつくって、排出量を減らしていくという取組自体を物すごく評価をしているところであります。
いろいろと東京都の計画について、私も、目標について掲げることはいいことだということはいいつつも、目標達成のためにどうなっていくのかということをよく話をするんです。つまり、大きな目標を掲げることはすばらしいことなんですけれども、実際それが本当にできるのかというようなところになると、それはまた別問題だと思うんです。別に、下水道局さんとかということではなく、東京都全体の中で、いろいろと長期計画だったり行政計画をつくっても、数年後にそれが達成できていないというときは、しれっとその目標が書かれていないということがあったりします。それは開かずの踏切とか、別の局のことをあえていうとすれば、開かずの踏切をなくすという「十年後の東京」実行プランがいつの間にかなくなっているとか、そういったことがあるんですね。
そういった意味では、この数値をしっかり出して、目標に向けて取り組んでいくということが重要だというように思います。
それで、このアースプランの中で、四二ページのところに、電力の排出係数を変更するというようなところの記載がございます。四二ページのところを見てみますと、排出係数を変えて、固定係数で算定する場合と、それから、変動係数で算定する場合と、両面書いてあるわけでありますが、これまで固定係数だったものが、今回、変動係数になるというようなことです。
ちなみに、ここにも書いてあって、丁寧に図で示して、大変分かりやすい書き方をしていただいているわけですが、固定係数で算定した場合は、二〇〇〇年度から二〇二一年度で二七%の削減というようなことだけれども、変動係数で算定した場合は、三二%削減するというような形になって、削減率が高くなるわけです。そう考えると、これは都合のいい数字を組み合せて、見せ方をよくしているんじゃないかというような、そういうような指摘があるんじゃないかと思います。
そういった意味で、この電力排出係数をどのように変更したのかお伺いしたいというふうに思います。
○猪八重計画調整部長 電力の使用による温室効果ガス排出量は、電力の使用量と排出係数を用いて算出をいたしております。
これまでのアースプラン二〇一七では、電力の排出係数を年によって変えずに固定としておりました。
アースプラン二〇二三におきましては、東京都環境基本計画やゼロエミッション都庁行動計画に合わせまして、電力の排出係数を地球温暖化対策推進法に基づく電気事業者別排出係数、いわゆる変動係数を用いることといたしております。
これにより、より実態に即した温室効果ガス排出量の算定を行うことが可能となります。
○西沢委員 実態に合わせて、より実態に即した算定を行うことができるから変動に変えているんだよというようなことでございました。
実態に即したということは、当然理解するところでございますが、先ほどもいったように、目標を達成するために、いいところの数字といわれないように、より丁寧な説明が必要だというように思います。例えば、固定の場合はこうだったとか、そういったことを、小さな注釈でもいいから、例えば書くとか、そういうような形で、問題のないように、より分かりやすいように、併記をするとか、そうしたことをすべきなんじゃないかということで、より理解を得られやすいようなプランになるのではないかということを申し上げておきたいというように思います。
一方で、この下水道局で、先ほどもちょっと議論がございましたが、検討委員会、下水道カーボンハーフ実現に向けた地球温暖化対策検討委員会を設置して検討してきたというようなことでございます。先ほども、そこでどのような意見があったのかということで、既存の技術、先進技術の話がございました。
私からも、改めて、二〇三〇年カーボンハーフに向けてどのような意見があって、そして、それをアースプラン二〇二三に反映をさせたのかお伺いいたします。
○猪八重計画調整部長 委員会からは、二〇三〇年カーボンハーフまでは十年を切っており、下水道局におけるカーボンハーフの実現においては、既存技術や早期の実用化が期待される先進技術の導入を推進していくことが重要となるといったようなご意見や、現行計画の取組を加速するとともに、新たに技術開発した設備の導入や再生可能エネルギーのさらなる活用、維持管理の工夫など、現行計画の取組を強化する必要があるなどのご意見がございました。
これらのご意見を踏まえまして、アースプラン二〇二三の取りまとめを行っております。
○西沢委員 出された意見をいろいろと反映してきたという話でございます。
それで、このプランの達成に向けての話でございますけれども、先ほどもちょっと議論があった、前倒しして取組を強化していくということは当然だと思うんですけれども、目標達成には、さらに努力が当然必要だというふうに思います。目標達成をしていくに当たって、目標自体はいいけれどもと、何をやるのかということがやはり大事だというように思います。
このアースプラン二〇二三では、水処理工程における電力使用におけるCO2排出量が約四五%と非常に大きな割合を占めているということでございますので、この水処理工程において重点的に削減対策を講じるべきだというように考えるわけであります。
そこで、この温室効果ガス削減について、電力使用量の多い水処理工程における温室効果ガス削減についての今後の取組についてお伺いをいたします。
○猪八重計画調整部長 水処理工程では、下水をくみ上げるポンプの運転や、下水をきれいにする微生物が必要とする空気の送風に大量のエネルギーを消費しております。
このため、水処理に必要な空気を小さな気泡にして水に溶けやすくすることで送風量を少なくし、電力使用量を削減する微細気泡散気装置を導入することなどの取組を進めております。
令和五年度には、中野水再生センターなど十か所で微細気泡散気装置の整備を進めていく予定でございます。
二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、AIを活用した送風量制御技術の開発を引き続き推進し、導入することで、処理水質を良好に保ちながら必要最小限な電力量に抑制いたしまして、温室効果ガス排出量を削減してまいります。
○西沢委員 取組の中で具体的なものをご答弁いただきました。微細気泡散気装置ということで、私も専門家ではないので、どのようなものなのかということは、今後、見ていかなければいけないとは思いますけれども、少なくとも具体的な取組ということをご答弁いただいたところでございます。
目標達成のために、こうした具体的な取組が必要だと思いますが、このアースプラン二〇一七と比較して、二〇二三で、今ご答弁いただいたようなものを含めて、こうした取組の強化というものが大事だと思います。
この取組の強化、前の計画と比べての強化した部分、こうしたものはどういったところがあるのかお伺いしたいというふうに思います。
○猪八重計画調整部長 二〇三〇年カーボンハーフ実現という一段高い目標を達成するため、再構築に合わせて省エネルギー設備を導入することに加えまして、早期に地球温暖化対策の効果を発揮させるため、既存機器よりも機能が向上した省エネルギー設備への再構築を前倒しをして実施いたします。
また、太陽光発電の導入拡大などにより、再生可能エネルギーの活用を推進するとともに、汚泥焼却時の廃熱を利用した発電により運転に必要な電力を自給できるエネルギー自立型焼却炉などの先進技術の導入を推進し、温室効果ガスを削減してまいります。
○西沢委員 ありがとうございます。様々な取組が、当然、目標達成には必要だということでございます。
私、結構厳しいことを都政に対して申し上げることが多いわけでありますが、そうした立場の私に対しても、いつも計画について、私は、厳しいことをいうのは、ちょっといい過ぎなんじゃないかということを地元でいわれることがございます。
なので、改めて、私、申し上げておきたいのは、この計画をつくること自体は大変すばらしいと思っています。取組の方を進めていくという答弁も今日いただきましたので、そのこと自体、評価したいと思います。ただ、いいことですね、頑張りましょうねだけだと、議会としてやっぱりこういった部分もそうなんじゃないかということをいわなきゃいけないということをぜひご理解いただきたいというふうに思います。
その上で、このプランについて、今までハード面についてのご答弁をいただいてきたわけでありますけれども、目標達成については、さらにもう一つ、ソフト面の対策ということも当然必要だと思います。
このソフト面での省エネルギー対策についてお伺いしたいというふうに思います。
○猪八重計画調整部長 アースプラン二〇二三では、省エネルギー機器の導入などのハード対策に加えまして、ソフト対策として、流入下水の水質や処理状況の変化に応じて良好な処理水質を維持した上で必要最小限の送風量とする最適な運転管理や、新たに省エネルギー診断の活用などを推進いたします。
省エネルギー診断では、専門家によるエネルギー管理に関する現状分析や専門的見地からの改善策等を施設の運用における維持管理の工夫や設備更新に活用するものでございまして、これを活用することで、さらなる省エネルギー化を推進いたします。
○西沢委員 ハード、ソフトの両面から取組を確認させていただきました。高いハードルでありますが、しっかり進捗管理をしていただいて、目標達成に向けて、取組をお願いしたいとエールを送りたいというふうに思います。
また、下水道事業における地球温暖化対策、これは着実に進める必要があります。こちらも、社会全体の脱炭素化にぜひ貢献をしていただきたいということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
次に、下水道料金、区部についてです。区部の下水道料金についてお伺いをしたいというふうに思います。
経営計画二〇二一、これは、昨年も質疑をさせていただいたわけでありますが、この経営計画の中では、下水道料金は現行水準を維持していくというようなことになっております。そうはいっても、昨今は、エネルギーや原材料の価格の上昇、物価の高騰が続いているわけでございまして、区部の財政収支にも少なからず影響が波及しているものというふうに思います。昨年、質疑をしたときからも状況は変わっているんだというふうにも思うわけであります。
今回の予算案、比較してみれば分かるわけでありますけれども、これ、あえて確認をさせていただきたいと思いますが、この区部の財政収支の支出について、経営計画のときと比べて、令和五年度予算、どのくらいの差があるものなのかお伺いをしたいと思います。
○田中総務部長 区部の財政収支の支出につきまして、維持管理費は、経営計画二〇二一の令和五年度計画値が千三百八十二億円であるのに対しまして、令和五年度予算は千五百四十五億円であり、電気料金の高騰などにより百六十三億円増加しております。
一方で、建設費、改良費、元金償還金の計画値と予算は同額でございまして、また、企業債利子の予算は計画値よりも減となっております。
○西沢委員 経営計画二〇二一は、コロナ前に策定というか、つくることを始められたものであると思いますから、当然、それよりは悪くなっているだろうということが分かるわけでありますが、今回、百六十三億円ということで、予算の維持管理費、計画のときと比べて一〇%以上増加をしていると、予算ベースで、ということでございます。
下水道事業の場合は、経費の負担区分のルールというものがありますから、それが、増額分がそのまま収支悪化にはつながらないとは思います。これは、水道とか交通とか、そういったところとは違うところだと思いますが、ただ、令和五年度の財政収支にも、当然ですけれども、影響があるものと思います。
令和五年度予算における区部の財政収支、経営計画と比べて、この悪化具合はどの程度なのかお伺いしたいと思います。
○田中総務部長 区部の財政収支は、雨水の排除経費は一般会計負担、汚水の処理経費は下水道料金負担となる、雨水公費、汚水私費の原則に基づきまして、全体の収入と支出を比較して収支差引過不足額を算出しております。
令和五年度の単年度財政収支について、経営計画二〇二一における区部の計画値はマイナス十四億円ですが、令和五年度予算ではマイナス六十四億円となっていることから、五十億円の悪化となっております。
○西沢委員 悪化が激しいというようなことであります。
経営計画をつくったときと明らかに違う状況になっているということが分かるわけでありますが、昨年、先ほどもいいました、この事務事業質疑をさせていただいた中では、下水道料金の水準は維持していくというようなことでありましたが、私自身は、当然ですけれども、やはり下水道料金をしっかり維持していくということが大事だというふうに思っています。
水道局、交通局さんの質疑でも同じことを申し上げておりますが、公営企業の役割としては、福祉の増進というようなことが目的であるということから考えれば、経営を圧迫するということの程度というものはあろうかと思いますけれども、安易に値上げをするものでは当然ないですし、都民生活に影響が出るというようなこともあってはならないというように思います。ただ、これだけ財政が悪化しているという、今日質疑をさせていただいて、さらに物価高騰というようなあおりがある中で、このまま大丈夫なのかという不安になります。
改めて確認をしたいと思いますが、現行水準、下水道料金を維持していくというこの考え方に変更はないのでしょうか。お伺いしたいと思います。
○田中総務部長 令和五年度は厳しい経営状況が見込まれておりますが、建設、維持管理コストの縮減などの企業努力を積極的に推進いたしますとともに、国費等の財源確保や企業債の適切な発行管理を行うなど、不断の経営努力に取り組み、経営計画二〇二一の計画期間中は現行の下水道料金水準を維持してまいります。
○西沢委員 計画期間中は現行の料金水準を維持していくというようなことで、突然変更することはないよという今ご答弁いただきました。引き続き、経営努力に取り組み、安定した財政に努めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○岩永委員 それでは、まず、下水道における資源利用について伺います。
最初に、下水道におけるリンの資源化についてです。
円安やロシアのウクライナ侵攻の影響で、海外からの輸入肥料が高騰しており、国内産の堆肥や肥料の生産を促進する取組が進められています。
そのような中、国土交通省は、下水汚泥の効率的な肥料化の技術開発に取り組み、肥料の国産化や安定供給につなげるための自治体への支援が始まりました。下水汚泥には、リンの年間国内需要量の六分の一が含まれており、今後、全国数か所の自治体と協力をして、汚泥からの効率的なリン回収技術の実証事業も行われるということです。
そこで、下水に含まれるリンの資源化の取組について伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、経営計画二〇二一におきまして、各水再生センターに流入する水質などの状況に合わせた対策を行い、効果的に処理水質の向上を進めることといたしております。
そのうち、汚泥を集約処理している施設からの排水を受ける水再生センターは、リンの濃度が高いため、B-DASHプロジェクトなどを活用いたしまして、排水の中に含まれるリンを効果的に除去する施設を導入する予定でございます。
こうした取組で得られたリンにつきましては、農業用肥料などの資源として有効活用するための検討を着実に進めるため、国土交通省などと連携して取組を進めてまいります。
○岩永委員 資源循環の仕組みとしても、大変重要な取組だと思います。あわせて、品質の管理という点でも、非常に重要だと思いますので、効率的にリンだけを取り出せるような技術も含めて、国とも連携をして進めていただきますようにお願いをいたします。
次に、下水熱の活用についてです。
再生可能エネルギー活用の視点から、特に都市部においてポテンシャルの大きい下水熱の取組について、昨年三月の委員会質疑でお聞きしましたが、その後の取組状況を伺います。
○袰岩施設管理部長 下水熱でございますけれども、気温と比べまして、夏は冷たく冬は暖かいという下水の温度特性を活用する再生可能エネルギーであり、水再生センター等に加えまして、オフィスビルやホテルなどの冷暖房の熱源として利用されております。
さらに、東京駅前の常盤橋街区再開発プロジェクトとして建設されました当局の銭瓶町ビルディングの冷暖房の熱源として、下水熱を昨年七月から利用しているところでございます。
○岩永委員 下水熱を熱源として冷暖房に使うことで、省エネルギー、CO2削減が期待できます。
銭瓶町ビルディングでの運用が昨年七月中旬から始まっていますが、実際の効果が明らかになるまでには、まだまだ時間がかかるようです。効果を数値で示すことが、その後の利用促進につながると考えます。
下水道局では、下水熱の利用促進のため、ポテンシャルマップも作成していますが、下水熱のポテンシャルマップがどのように活用されているのかを伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、下水道管から下水熱を利用する際の目安となる熱量を示したポテンシャルマップをホームページ上で公表しておりまして、民間事業者等が下水熱の利用を検討する際に活用いたしております。
○岩永委員 先日、銭瓶町ビルディングを訪れました。ビルの一階の入り口に設置されている多目的スペース、ぜにがめプレイスでは、東京都の下水道事業に関する様々な情報発信が行われており、学生とコラボして運営されているショップやカフェなどもある魅力的な施設でした。
そこのカフェでは、じゅんかん育ちと呼ばれるメニューも提供をされています。下水道資源を農作物の栽培等に有効利用して、その食材を使った取組だそうです。
また、銭瓶町ビルディングの一階に下水熱の仕組みの展示コーナーがありましたので、見学をしました。先ほどご答弁いただいたように、下水熱は、気象などによる影響が少なく、安定しているので、年間を通じて昼夜を問わず活用可能で、熱需要の多い都市部に多く存在する熱源です。都市部でも冷暖房にも使われているこのような事例を広くPRして、下水熱の活用を進めていただきたいと思います。
続きまして、下水道におけるバイオマスエネルギーの活用についてです。
昨年三月の委員会質疑でも取り上げましたが、都市部での再生可能エネルギーの拡大に当たっては、下水道は大きなポテンシャルがあり、都のゼロエミッションの取組の中でも、新たな技術の活用が期待されているところです。
愛知県の豊橋市では、バイオマス資源利活用施設が運営されています。下水汚泥やし尿、浄化槽汚泥及び生ごみを処理場に集約をして、メタン発酵により再生可能エネルギーであるバイオガスを取り出します。バイオガスは、ガス発電のエネルギーとして利活用され、発酵後に残った汚泥は、炭化燃料に加工してエネルギーとして利用しています。
このように、バイオマスエネルギーを活用して様々な取組が行われていますが、下水道におけるバイオマスエネルギーの活用について伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、バイオマスでございます下水汚泥の持つエネルギーを、下水汚泥の処理過程で発生する消化ガスを燃料として利用する発電や下水汚泥を焼却する際に発生する廃熱を回収して利用する発電などに活用いたしております。
○岩永委員 下水道局で二〇二二年に行われた有識者による検討会、下水道カーボンハーフ実現に向けた地球温暖化対策検討委員会の検討結果について伺います。
○猪八重計画調整部長 検討委員会では、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するための方策や二〇五〇年ゼロエミッションを見据えたビジョンなどを検討した結果を昨年十二月に最終報告として取りまとめていただきました。
この結果を踏まえて検討いたしまして、アースプラン二〇二三案を取りまとめております。
○岩永委員 様々な下水技術について研究開発することは重要です。
技術開発において、産官学が連携した取組について伺います。
○家壽田技術開発担当部長 下水道局はこれまで、様々な事業課題に直面するたびに、国内外から多くの先端技術を取り入れ、長年の経験と下水道に携わる技術者の創意工夫を組み合わせることにより、技術の開発に先駆的に取り組んでまいりました。
技術開発に当たっては、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社をはじめ、最先端の技術を有する民間企業、基礎研究を行う大学などと連携しております。
引き続き、技術開発推進計画二〇二一に基づき、民間企業や大学などと連携して、技術開発に取り組んでまいります。
○岩永委員 先ほどのバイオマスエネルギーについてもそうですけれども、下水道局だけでなくて、環境局をはじめ、庁内連携で進めていただきたい取組です。新技術の研究も含めて、ゼロエミッションに向けた取組をぜひ加速いただくことを要望いたします。
次に、公共下水道のストックマネジメントについて伺います。
国土交通省では、下水道施設を調査することにより、調査、ストックマネジメント計画策定、改築工事に関して、下水道ストックマネジメント支援制度を二〇一六年度に創設し、下水道管理者が、計画的な管理、修繕を行っていくことになっています。
公共下水道事業は、原則として市町村が行う事業とされており、公共下水道建設には多額の費用が必要で、財源としては、国費と企業債で賄う仕組みとなっています。
流域下水道事業が運営されている多摩地域では、財政規模の小さい自治体が多く、元利償還が長期にわたり義務的経費の多くの割合を占めており、場合によっては、多額の下水道の維持、修繕が、市町村財政を圧迫しているところもあります。
また、昨今の気候変動に伴うゲリラ豪雨や爆弾低気圧、巨大台風による想定を超えた風水害に耐えられるように、震災対策や風水害対策などの備えも必要な状況です。
そのような中で、多摩地域の自治体からは、下水道ストックマネジメント計画に基づく公共下水道施設の維持、修繕及び改築に関する財政支援について、東京都の補助率の引上げなど、さらなる拡充、強化を図るとともに、国に対しても、財政支援の拡充や対象要件の緩和を求める声が多数上がっており、東京都市長会などからも要望をされているところです。
そこで、多摩地域の市町村が現行の補助制度を利用する場合、一般的な下水道の建設財源の内訳について伺います。
○佐々木技術部長 一般的な下水道の建設財源の内訳でございますが、国費対象事業については、国費が五〇%、企業債が四七・五%、都費による補助が二・五%でございます。
市町村単独事業については、企業債が九七・五%、都費による補助が二・五%でございます。
○岩永委員 都費の補助は、ともに二・五%ということです。
下水道ストックマネジメント計画に基づく公共下水道施設の維持、修繕及び改築などの中で、国費対象となっている事業について伺います。
○佐々木技術部長 国費につきましては、ストックマネジメント計画の策定、同計画に基づく点検、調査、改築に要する費用を対象としております。
○岩永委員 では、多摩地域の公共下水道において、国費対象にならない口径について伺います。
○佐々木技術部長 市に対する国費につきましては、合流式下水道の改築は、口径四百五十ミリメートル未満の管渠が、分流式下水道の改築は、口径三百ミリメートル未満の管渠が国費対象外となっております。
また、町村に対する国費につきましては、合流式下水道及び分流式下水道ともに、口径三百ミリメートル未満の管渠が国費対象外となっております。
このように、小口径の下水道管が国費対象外となっておりますが、下水排除面積や下水排除量により、さきに述べた口径未満の場合におきましても、国費対象となる場合がございます。
○岩永委員 対象要件など詳細について伺いました。
多額の下水道の維持、修繕が財政を圧迫している多摩地域の市町村の財政状況も踏まえまして、都の補助を増やすことを検討いただきたいと思います。国に対しても、財政支援の拡充や対象要件の緩和を求めていくことを併せて要望いたします。
続いて、多摩地域の雨水対策について伺います。
下水道ストックマネジメントの補助事業について先ほど伺いましたが、今度は、東京都の新たな補助制度についてお聞きします。
今年一月、TOKYO強靱化プロジェクトに基づいて、多摩地域でも浸水対策を進めていくと、下水道局の支援策を示しました。雨水排除能力のレベルアップを図るため、新たな補助制度を創設するということです。
多摩には合流式と分流式の地域があります。
合流式下水道地域では、どのように実施するのか伺います。
○佐々木技術部長 合流式下水道区域におきましては、下水道管の内面を塩化ビニール材により円滑にする更生工法などによりまして、雨水排除能力のレベルアップを図ってまいります。
○岩永委員 下水道管の内側をコーティングすることで、つるつるになって流れやすくするという工事だということです。
ただ、材質は塩化ビニール以外にはないのでしょうか。世界中で脱プラスチックに向けた動きが始まっています。現在は無理でも、今後、材質や工法について研究を進めていただきたいと思います。
多摩地域の分流式下水道地域では、大量の雨が降ったときに、本来雨水が入ることのない汚水管に大量の雨水が流入する雨天時浸入水が問題になっています。マンホールから下水の水があふれたり、水再生センターが浸水するなどの被害が出たこともあります。
下水道局では、大量の雨が降ったとき、汚水管に雨水が流入することへの対策として、二〇二〇年度から多機能型マンホール蓋を設置しているとのことです。
これまでに分かったことや、また、対策について伺います。
○佐々木技術部長 多機能型マンホール蓋から得られた雨水データから、おおむね市町村レベルで浸入水量の多い時期を測定できました。
これを踏まえまして、市町村が、さらなる絞り込みや発生原因の特定などの対策を進めております。
○岩永委員 雨天時浸入水対策も新たな都補助制度の対象になっています。
市町村のどのような取組が対象となるのか、また、市町村に対してどのように働きかけをしていくのか伺います。
○佐々木技術部長 雨天時浸入水対策としましては、発生源の調査や下水道管の改良などを補助の対象としておりまして、市町村に対して、説明会や個別ヒアリングなどを通じて働きかけております。
○岩永委員 こちらの改良工事も、下水道の汚水管に雨水や地下水が入り込まないように管のつなぎ目やひび割れを修理したり、合流式と同様に、管の内側をコーティングするなどの対策工事で改善を図るとのことです。
管の老朽化が進んでおり、ストックマネジメントの補助金と合わせて使えることもあります。浸水対策、震災対策も進みますし、自治体の財政負担の軽減にもつながりますので、自治体で計画的に取り組めるよう、支援をお願いいたします。
分流地域の雨水対策について、もう一問伺います。
分流式下水道地域では、雨水対策として、雨水幹線建設を実施しています。雨水幹線が完成した地域では、それまで、はけ口がなく、大雨のたびに、くぼ地の道路の冠水や常時土のうを準備していたところが改善されています。
空堀川上流域の南部地域の立川市、武蔵村山市、東大和市にわたって計画されている空堀川上流雨水幹線については、近く工事着手とのことです。
現状と今後の予定を伺います。
○佐々木技術部長 空堀川上流雨水幹線につきましては、全長約九キロメートルのうち、約二キロメートルの区間を第一工区として先行して整備する計画でございます。
第一工区の立て坑工事は、昨年十二月に工事契約に至っておりまして、現在、年度内の工事着手に向けて準備をしております。
幹線工事につきましては、契約手続を進めております。
○岩永委員 豪雨の際には、雨水のはけ口がないと、道路冠水や浸水被害が起こったり、汚水管に雨水が流れ込む原因にもなります。
多摩地域では、今も宅地化が進み、雨水が浸透する樹林や畑が残っています。これからは、グリーンインフラの観点も重要です。雨水浸透ますや小規模雨水貯留施設の設置も併せて推進する必要があると思いますので、検討をよろしくお願いいたします。
続きまして、東京都の下水道事業における災害時支援に関するルールについて伺います。
二〇二一年十二月に策定した災害時支援に関するルールでは、多摩地域の下水道について、災害が起こった際に、近隣市町村から被災市町村への支援だけでなく、都の下水道局から、被災市町村に職員派遣するなどの支援体制を強化しました。
下水道局職員が直接支援に加わることによる効果について伺います。
○佐々木技術部長 下水道局職員は、下水道事業に関する豊富なノウハウを有しているとともに、東日本大震災などでの復旧支援経験があることから、これらを生かすことにより、早期の下水道機能の復旧に貢献できると考えております。
○岩永委員 情報連絡訓練を実施しているとのことですが、訓練の頻度や内容について伺います。
○佐々木技術部長 下水道局では、大規模な災害を想定し、電話や防災無線、メールを用いた市町村同士による相互支援や、局職員による先遣隊派遣の調整などに関する情報連絡訓練を市町村と合同で年に二回実施しております。
○岩永委員 実際に災害が起こったときは、発災状況によって対応が違うと思われます。
震災の場合でも、規模や震源地の違い、また、豪雨による水害など、シミュレーションする必要があると思います。訓練に、そういったシミュレーションを加えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○田村委員 下水道事業における地球温暖化防止対策について伺います。
毎年のように大規模な風水害も発生しており、気候変動の影響は、都民生活に大きな影響を与えています。
地球温暖化対策に取り組むことは喫緊の課題ですが、大量にエネルギーを消費し、都庁の事務事業活動における温室効果ガス排出量の三五%を占める下水道局においては、率先して地球温暖化防止対策に取り組む必要が求められます。
下水道局ではこれまでも、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプランやエネルギー基本計画スマートプランを策定し、計画的に地球温暖化対策を推進してきましたが、両プランを統合する形で、新たな地球温暖化防止計画アースプラン二〇二三を今月策定することとしています。
このアースプラン二〇二三では、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で五〇%以上削減するカーボンハーフを目標として掲げていますが、二〇三〇年度までは残り八年であり、時間が差し迫っていることから、早急な対応が必要です。
そこで、二〇三〇年度までの具体的な取組について伺います。
○猪八重計画調整部長 アースプラン二〇二三では、下水道機能を向上させる取組に伴い、エネルギー使用量や温室効果ガス排出量の増加が見込まれますことから、従来のアースプランやスマートプランの取組を加速するとともに、再生可能エネルギーのさらなる活用や、新たに技術開発した先進技術の導入などを推進してまいります。
具体的には、微細気泡散気装置や省エネルギー型濃縮機などの省エネルギー機器の導入台数を、これまでの計画よりも一割以上前倒しをし、徹底した省エネルギー化を加速いたします。
また、現在、東尾久浄化センターに整備しております尾久系ポンプ室の屋上などを活用し太陽光発電設備を導入するとともに、森ヶ崎水再生センターの消化ガス発電設備におきましては、これまでの年間の発電電力量約二千万キロワットアワーから、約二千二百万キロワットアワーへ、約一割増強するなど、再生可能エネルギーの活用を推進いたします。
さらに、南部スラッジプラントなどにおきましては、汚泥焼却炉の廃熱を活用した発電により焼却炉の運転に必要な電力を自給できるエネルギー自立型焼却炉など、先進技術の導入を推進してまいります。
○田村委員 下水道機能を向上する取組により、エネルギー使用量や温室効果ガスの排出量が増加するとのことですが、どのような理由でエネルギー使用量や温室効果ガス排出量が増加するのか伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、下水道機能の向上を図る取組といたしまして、浸水対策や合流式下水道の改善、処理水質の向上などを推進しております。
浸水対策や合流式下水道の改善により、雨天時に貯留した雨水は、晴天時に汚水として水再生センターで処理する必要がございますことから、新たな貯留施設の整備に伴いまして、汚水処理量や汚泥処理量の増加が見込まれております。
また、窒素やリンを除去し処理水質の向上を図る高度処理施設の導入を推進しておりますが、従来の処理法に比べ、汚水を攪拌する設備や循環させるポンプ設備などが必要でございますことから、新たな施設の整備に伴いまして、電力使用量の増加が見込まれております。
こうした取組により、温室効果ガス排出量やエネルギー使用量の増加が見込まれますことから、より一層地球温暖化対策を推進してまいります。
○田村委員 下水道の機能向上を図りながら、様々な取組を実施し、温室効果ガスの削減に取り組むことは大変難しいことです。
先ほどの答弁で、雨水を貯留し、晴天時に処理するのにもエネルギーを要するとのことですが、下水道施設への雨水流入量を削減することが、温室効果ガスの削減に有効であると考えます。
そこで、下水道施設への雨水流入量を削減する取組について伺います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針に基づきまして、雨水浸透施設の設置を促進しております。
雨水浸透施設は、雨水ますや雨水を排水する管の側面などに穴が空いておりまして、降った雨を地中に浸透させることで、下水道管に流れ込む雨の量を削減できることから、雨水ポンプなどの施設の稼働時間を減らすことが可能となります。
今後も、下水道施設への流入量を抑制できる雨水浸透施設の整備を促進し、温室効果ガスの排出量を削減してまいります。
○田村委員 雨水浸透施設を設置することで、下水道への雨水流入量を削減できます。その結果、下水道施設の稼働量を抑えることができ、温室効果ガスの排出量削減につながるとのことです。
環境面への配慮からも、より多くの雨水浸透施設を設置すべきと考えますが、雨水浸透施設の設置の取組について伺います。
○袰岩施設管理部長 雨水浸透施設には、下水道局が道路上に設置、管理する公共雨水浸透ますや、お客様が宅地内に設置する雨水浸透ますなどがございます。
公共雨水浸透ますにつきましては、分流式下水道の地区では、雨水管の整備などに合わせて設置しております。
合流式下水道の地区におきましては、公共雨水浸透ますを設置するためには、宅地内の排水管を新たに汚水管と雨水管に分ける必要があり、お客様の費用負担などが発生いたします。そのため、お客様の理解が得られたところから、公共雨水浸透ますを設置しております。
また、宅地内の雨水浸透施設につきましては、お客様に費用を負担して設置していただく必要があることから、雨水浸透事業に対して、お客様の理解と協力を求めているところでございます。
○田村委員 公共雨水浸透ますは、設置できる条件がそろえば、下水道局自ら設置するとのことです。
宅地内の雨水浸透施設の設置には、お客様の協力が必要です。
そこで、宅地内の雨水浸透施設の設置促進に向けた取組について伺います。
○福島施設管理担当部長 下水道局では、崖地や急傾斜地のように、雨水を浸透させると地盤が緩んで危険な場所を除き、雨水浸透施設の設置を推進しております。
具体的には、ホームページやリーフレットなどを用いて周知するとともに、イベント開催時に、雨水浸透事業を具体的にイメージできる模型を展示するなど、お客様に、事業への理解と協力を求めております。
また、宅地内の排水設備工事において、お客様と接点のある東京都指定排水設備工事事業者や東京都管工事工業協同組合に、雨水浸透施設の設置についての協力を要請するとともに、地元自治体と連携し、区の雨水浸透施設助成等制度などを紹介しています。
今後も引き続き、指定事業者や地元自治体などと連携して、宅地内雨水浸透施設の設置促進に努めてまいります。
○田村委員 下水道事業を継続する上で、お客様と連携し、雨水浸透施設の設置を促進していただきたいと思います。
一方、世界有数の大都市である東京は、エネルギーの大量消費地です。ゼロエミッションの達成に向けては、東京全体でエネルギーの削減や資源の有効活用などの取組を実行していかなければなりません。
これまで下水道局では、下水熱を利用した地域冷暖房事業などの取組を行っていると聞いています。社会全体の温室効果ガス排出量の削減に向けて、下水熱などの下水道が持つ資源やエネルギーの有効活用を促進することが重要です。
そこで、下水熱の利用におけるこれまでの具体的な取組について伺います。
○袰岩施設管理部長 下水熱は、気温と比べ、夏は冷たく冬は暖かいという下水の温度特性を活用する再生可能エネルギーでございまして、水再生センターの下水処理水などから熱を回収し、冷暖房の熱源として利用することにより、電力などのエネルギー使用量や温室効果ガス排出量を削減しております。
これまで、下水熱利用事業を平成六年から文京区の後楽一丁目地区で、平成二十七年から品川シーズンテラスで開始するなど、合計五か所において、オフィスビルやホテルなどの冷暖房に下水熱を利用しており、その延べ床面積は、東京ドーム約十五個分に相当する約七十万平方メートルでございます。
また、昨年七月から、東京駅前の常盤橋街区再開発プロジェクトの中で建設されました当局の銭瓶町ビルディングにおきまして、銭瓶町ポンプ所に流入する下水を冷暖房の熱源として利用しております。
○田村委員 これまでの熱利用の取組が確認できました。
水再生センターの下水処理水などから熱を回収して、下水道施設や民間施設等で利用しているとのことですが、現在、新たな取組として、下水道管を流れる下水から回収した熱を利用する事業を進めていると聞いています。
そこで、下水道管から下水熱を回収して利用する新たな取組について伺います。
○猪八重計画調整部長 平成二十七年の下水道法の改正によりまして、民間事業者も、下水道管理者の許可を受ければ、熱交換器等を下水道管内に設置することができるようになっております。
この法改正を受けまして、下水道局では、技術的な課題への対応や利用手続を整備し、令和三年度には、虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業におきまして、下水熱利用事業の開始に向けた協定を民間事業者と締結いたしました。
この事業は、民間事業者が、熱交換器等を下水道管内に設置し、下水から回収した熱をオフィスビル等の冷暖房の熱源の一部に利用するものでございます。
現在、民間事業者が設備の設置工事などを進めておりまして、令和五年度に運用を開始する予定でございます。
○田村委員 下水熱は有効な再生可能エネルギーであり、高いポテンシャルを有していることから、多くの利用機会を創出していくべきだと考えます。
そこで、下水熱の利用促進を図るための具体的な取組について伺います。
○猪八重計画調整部長 これまで、民間事業者による下水熱の利用は、水再生センターなどの近隣にある施設に限られておりましたが、下水道管から下水熱を利用することが可能になったことから、下水熱の利用拡大が期待されます。
下水道局では、下水道管から下水熱を利用する際の目安となる熱量を示したポテンシャルマップを令和元年度からホームページで公表しておりまして、民間事業者による下水熱の利用を促進しております。
今後も、下水熱など下水道資源の利用を推進することで、社会全体のゼロエミッションの実現に貢献してまいります。
○田村委員 再生可能エネルギーの利用や下水処理量の削減、下水熱の利用なども含めて、東京都の地球温暖化防止対策を牽引していただくことをお願いして、質問を終わります。
○長橋委員 私からも質疑をさせていただきます。最後です。よろしくお願いいたします。
国連の持続可能な開発目標であるSDGsの目線に立ち、東京都の施策を展開することは、都民生活のさらなる向上や豊かな都市環境を創出する上で欠かせないことだと思います。地球温暖化対策や浸水対策など下水道事業の主要な施策は、SDGsの十七のゴールのうち七のゴール、エネルギーをみんなにとか、クリーンにということでございますけれども、関連するわけでございます。下水道事業を推進することで、SDGsの実現にも貢献することが期待されます。
そこでまず、下水道事業における地球温暖化対策について伺いたいと思います。
気候変動の一層の深刻化は、世界規模で大きな課題となっており、気温上昇による地球環境破壊や自然災害、食料不安などを助長しております。一刻も早く対策を打ち、地球温暖化の進行に歯止めをかけなければならないと思います。
一方、都民の安全・安心を守るとともに、快適な生活を守る上で欠かせないのが下水道事業でありますけれども、都内の電力使用量の約一%を使用する大口需要者の一面も有しているわけでございます。
加えて、下水道は、近年、頻発化、激甚化する豪雨に対応するため、新たな施策を整備しておりまして、さらなる電力消費も見込まれるわけでございます。
このような厳しい環境であっても、下水道事業において、温室効果ガス排出量の削減を進めていかなければなりません。下水道局では、従前から、地球温暖化防止計画アースプランを策定し、その対策を進めてきたようであります。
そこで、改めて、これまで策定した下水道局における地球温暖化防止計画アースプランの経緯について伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、京都議定書の目標を達成するため、平成十六年に、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を策定し、地球温暖化対策を本格的にスタートいたしました。
その後、都の環境基本計画の改正に合わせまして、平成二十二年にはアースプラン二〇一〇、平成二十九年には、現行計画でございますアースプラン二〇一七を策定いたしまして、下水道事業から発生する温室効果ガスを二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%以上削減することを目標といたしまして、地球温暖化対策を計画的に進めてまいりました。
○長橋委員 平成十六年からアースプランを策定し、かなり前から計画的に対策を進めてきたということが確認をできたわけであります。
これまでのアースプランに基づく地球温暖化対策の取組と成果、まずはこれについて伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 下水道局ではこれまで、温室効果ガス排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程などで、省エネルギー設備の導入に加えまして、再生可能エネルギーの利用拡大などの取組を進めてまいりました。
これらの取組を進めた結果、二〇二一年度には、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で約二七%削減いたしました。
○長橋委員 先ほども答弁があったわけでありますけれども、改めて伺いました。
アースプランに基づき地球温暖化対策を進めていることは確認ができたわけでありますけれども、一方で、都では、脱炭素化に向けて、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するという目標を掲げております。これらの達成には、下水道事業における取組を一層強化し、貢献していく必要があると考えます。
下水道局では、アースプラン二〇二三を策定し、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する新たな目標を掲げて取組を進めております。
今後、この対策について、どうした取組を行い目標を達成していくのか、重ねて重要であります。
これについて、具体的な取組について伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 アースプラン二〇二三では、浸水対策や処理水質の向上など、下水道機能を向上させる取組により、温室効果ガス排出量の増加が見込まれておりまして、これまでの地球温暖化対策を加速、強化していくことといたしております。
具体的には、水処理工程では、これまで進めてきた微細気泡散気装置などの省エネルギー設備の導入を加速いたします。
また、汚泥処理工程では、既存の焼却炉より温室効果ガス排出量を大幅に削減できる省エネルギー型焼却炉やエネルギー自立型焼却炉への再構築を推進してまいります。
さらに、省エネルギーの徹底に加え、太陽光発電や消化ガス発電など、再生可能エネルギーの活用を拡大してまいります。
○長橋委員 二〇三〇年度に向けた具体的な取組について確認をいたしました。
答弁があったように、下水道局では、温室効果ガス排出量の増加が見込まれる中、多種多様な取組により、温室効果ガス排出量を削減していかなければなりません。再生可能エネルギー活用の中でも、太陽光発電の拡大はとりわけ重要であると考えております。
アースプラン二〇二三における太陽光発電の具体的な取組について伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、建物の屋上や水再生センターなどに太陽光発電設備を設置しておりまして、二〇二一年度までに四十八か所で約五千九百キロワットの設備を導入いたしました。
アースプラン二〇二三におきましては、下水道施設の上部に加え、水再生センターの再構築用地などを活用することで、砂町水再生センターなどで太陽光発電設備の導入を拡大し、二〇三〇年度までに約一万キロワットまで増強いたします。
令和五年度には、砂町水再生センターにおきまして、太陽光発電設備の導入に向けた土質調査に着手をいたします。
○長橋委員 ありがとうございます。太陽光発電の拡大については、今、確認をしたところでございます。
一方、下水道局では、温室効果ガスの削減に大きく寄与できる焼却炉の導入を進めていると、このように聞いておりますけれども、近年導入しているエネルギー自立型の焼却炉の特徴と今後の導入予定、これはいかがでしょうか。伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 エネルギー自立型焼却炉は、従来の焼却炉と比べて、汚泥焼却時の燃焼温度を高温化することで一酸化二窒素の発生を大幅に削減できること、さらに、運転時の補助燃料が不要で、焼却廃熱を活用した発電により運転に必要な電力を自給できることから、二酸化炭素の排出量を大幅に削減できる特徴がございます。
昨年度、初めて、新河岸水再生センターにエネルギー自立型焼却炉を導入しておりまして、現在は、葛西水再生センターなど三施設において整備を進めております。
○長橋委員 私もよく存じ上げませんでしたけれども、エネルギー自立型焼却炉、これについて特徴についても確認をしたところでございます。
一方、脱炭素化に向けて、焼却炉の性能をより一層向上させ、温室効果ガスの削減に取り組むことが重要でございます。
下水道局では、新たに供給型焼却炉の開発に取り組むということでございますけれども、エネルギー供給型焼却炉、これについては、どういった特徴、そしてまた、現在の開発状況を伺いたいと思います。
○家壽田技術開発担当部長 下水道事業における技術的課題を効率的に解決し、迅速な実用化を図るために、民間企業と共同研究、開発を行っております。
エネルギー供給型焼却炉は、エネルギー自立型焼却炉をさらに発展させたものでございまして、焼却廃熱を最大限活用して発電することで、ほかへの設備へも電力を供給し、電力供給による温室効果ガス削減量が、焼却炉から発生する温室効果ガス排出量を上回るという特徴がございます。
民間企業との共同研究に向けて、本年二月より、共同研究者の公募を開始しており、令和五年度中の開発終了を目標としております。
○長橋委員 まさに今、開発中でありますけれども、温室効果ガス削減量が、焼却炉から発生する温室効果ガス排出量を上回るという、こういった特徴があるということでありまして、ぜひ実用化に向けて、技術開発を進めていただきたいと思います。
下水道局はこれまで、地球温暖化対策を計画的に進めてきていますけれども、二〇三〇年、その先の二〇五〇年に向け、新たに策定するアースプラン二〇二三を基に、さらに取組を進化させていくことを期待するわけでございます。
次に、浸水対策について伺いたいと思います。
二十三区における浸水被害状況の推移でございますけれども、昨年度の浸水被害は七件となっていますが、一方、平成三十年度は五百件に上っており、年ごとに変動はありますけれども、いつ浸水被害が起こってもおかしくない状況にございます。
また、近年、豪雨の頻発化や台風の大型化など確認されているとともに、気候変動の影響により、降雨量は増加していくことも予想されております。
浸水対策は予断を許さない状況にあり、下水道施設の強化をより一層推進していく必要がございます。
このような中、下水道局では、昨年度末に下水道浸水対策計画二〇二二を策定するなど、浸水対策を進めていると認識をしておりますけれども、そこで、改めて、下水道浸水対策計画二〇二二を策定したこの経緯について伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 下水道局では、経営計画二〇二一におきまして、浸水の危険性が高い地区など、文京区千石、豊島区南大塚地区を含む五十七地区を重点地区として位置づけまして、計画の最終年度でございます令和七年度までに全ての地区で着手または完了することを目標といたしております。
一方、近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化などにより、全国各地で浸水被害が多発している状況にあることや、気候変動の影響によりまして、降雨が増加していくことも予想されておりまして、さらなる浸水対策の強化が求められております。
浸水対策は、大規模な事業となることが多く、事業用地の確保や対外調整、下水道管敷設ルートの検討など、着手までに長い時間が必要となります。
このため、次の段階を見据え、事業を円滑に進めるためには、長期的な視点で検討をしていくことが重要であることから、計画期間を十五年とした新たな浸水対策計画でございます下水道浸水対策計画二〇二二を策定いたしました
○長橋委員 やはり、着手から時間を要しているのは、私も地元なのでよく分かりますし、特に文京区千石、豊島区南大塚地区、これについては、実際に現場に行って、被害を受けた多くの皆さんから要望をいただきましたし、下水道局からも、今後の対策について説明をいただいたということも記憶をしているところでございます。
長期的な視点で浸水対策計画を進めるため、下水道浸水対策計画二〇二二を策定したことは確認をいたしました。
今後は、この計画に基づいて浸水対策を進めていくわけでありますけれども、この二〇二二の浸水対策計画、今後の取組について伺いたいと思います。
○猪八重計画調整部長 下水道浸水対策計画二〇二二では、区部の目標整備水準を、一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルアップするとともに、これまでの浸水実績に加え、流出解析シミュレーションにおいて、床上相当の浸水のまとまった発生が予測された地域を対象に、豊島区池袋本町地区を含む十地区を新たに重点地区と位置づけております。
現在、時間七十五ミリ降雨に対応するため、経営計画二〇二一の重点地区を含めた六十七地区を重点地区として、施設整備を推進しているところでございます。
○長橋委員 それでは、具体的に、今お話のあった南大塚地区、そしてまた、池袋本町地区、地元でございますので、その事業について伺いたいと思います。
まずは南大塚、池袋本町地区は、重点地区に位置づけられているわけでありますけれども、まず、南大塚地区の下水道の現在の進捗状況、取組状況について伺いたいと思います。
○新谷建設部長 経営計画二〇二一において重点地区に位置づけました文京区千石、豊島区南大塚地区では、既設の千川幹線及び第二千川幹線の流域の排水能力を増強するために、千川増強幹線を整備しているところでございます。
具体的には、内径三・七五メートル、延長約二・五キロメートルの下水道管の整備をシールド工法などで進めておりまして、昨年五月にトンネルの築造を完了してございます。
現在は、豊島区立の上池袋東公園や宮仲公園などにおきまして、築造したトンネルに雨水を取り込む取水管やマンホールなどの工事を進めております。
これらの工事の完了後は、この幹線を貯留量約二万六千立方メートルの貯留管として活用する計画でございます。
なお、豊島区立上池袋東公園や宮仲公園の復旧は、令和五年度に行う予定としてございます。
復旧につきましては、引き続き、地元区と連携し、地域の声を聞きながら進めてまいります。
○長橋委員 今お話のあった上池袋東公園、また宮仲公園、本当に地元の方にとってみると、憩いの場所でもありますし、また、秋には、お祭りの重要な拠点にもなっているということで、地元の意見もたくさん聞いているところでありまして、そうした中で、重要な事業でありますし、この場所に決めたということなので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思うし、地元に対しては、情報提供をお願いしたいと思っております。
続いて、池袋本町地区、これも新たに指定をされているわけでありますけれども、これから取り組む地域だと思いますけれども、やはり池袋本町地区も、豪雨が降ったりすると被害が出やすい地域だと思っております。
これについては、取組状況、いかがでしょうか。
○新谷建設部長 下水道浸水対策計画二〇二二において重点地区に位置づけました豊島区池袋本町地区につきましては、現在、対策手法に関する検討を進めている段階でございまして、令和七年度末までに調査設計に着手する予定でございます。
引き続き、早期の事業化に向けて、鋭意取り組んでまいります。
○長橋委員 池袋本町地域の方からも様々なお声をいただいておりますし、この地域は、木造住宅密集地域ということで、都市計画道路が二本も、今、計画をしている、大変ふくそうしている地域でもありますし、そうした中で、住民の皆さんは、木密の解消とともに、そうした豪雨対策に強いまちになるために、いろんなご意見があろうかと思いますので、しっかり聞いて、やっていただきたいと思っております。
時間がかかる事業でありますけれども、着実に浸水対策、この工事についても、下水道局が全力を挙げて取り組んでいただければと申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十五分散会
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