委員長 | 大山とも子君 |
副委員長 | 林あきひろ君 |
副委員長 | 森村 隆行君 |
理事 | 細田いさむ君 |
理事 | 斉藤まりこ君 |
理事 | 村松 一希君 |
岩永やす代君 | |
保坂まさひろ君 | |
長橋 桂一君 | |
田村 利光君 | |
菅野 弘一君 | |
西沢けいた君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 武市 玲子君 |
次長 | 梅村 拓洋君 | |
技監車両電気部長事務取扱 | 野崎 慎一君 | |
総務部長 | 豊田 義博君 | |
職員部長 | 牧野 和宏君 | |
資産運用部長 | 坂田 直明君 | |
電車部長 | 市川 雅明君 | |
自動車部長 | 櫻庭 裕志君 | |
建設工務部長 | 坂口 淳一君 | |
企画担当部長 | 神永 貴志君 | |
技術企画担当部長 | 生越 啓史君 | |
安全管理担当部長 | 太田 純也君 | |
鉄軌道事業戦略担当部長 | 築田 直樹君 | |
バス事業経営改善担当部長 | 佐藤 和哉君 | |
技術調整担当部長 | 永松 憲一君 | |
技術管理担当部長 | 飯沼 健一君 |
本日の会議に付した事件
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十四号議案 令和五年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 令和五年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 令和五年度東京都電気事業会計予算
報告事項
・東京都交通局浸水対策施設整備計画について(質疑)
・運輸安全委員会による日暮里・舎人ライナーに関する鉄道事故調査報告書について(説明・質疑)
○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の予算の調査及び報告事項の聴取を行います。
これより交通局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
○太田安全管理担当部長 運輸安全委員会による日暮里・舎人ライナーに関する鉄道事故調査報告書につきまして、資料1に基づきご説明申し上げます。
表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。1、経緯でございます。
令和三年十月七日、二十二時四十一分頃、千葉県北西部を震源とする地震が発生し、足立区の一部では震度五強の揺れを観測しました。
日暮里・舎人ライナーでは、舎人公園駅を出発した列車の先頭車が脱輪し、乗客二十九名のうち八名の方が負傷されました。また、地震発生の直後から、十月十一日の始発まで運転を見合わせました。
事故翌日の十月八日から、国の運輸安全委員会が事故調査を開始し、本年二月十六日に報告書が公表されました。
続きまして、2、事故調査報告書の要旨でございます。
(1)、事故の分析結果でございます。
〔1〕、事故発生前の施設、車両等に関する分析では、事故前の軌道等及び列車には脱線に関わる要因はなかったものと推定されるとされております。
〔2〕、脱線の発生に関する分析では、千葉県北西部地震の地震動の影響を受けて、列車の分岐輪が案内軌条に乗り上げて脱線したと考えられる。分岐輪の乗り上げは、事故現場付近の構造物と車両の固有振動数がほぼ一致したことに加え、構造物の回転挙動が車両のローリングを助長し、左右の走行輪が交互に持ち上がったことにより生じたと考えられるとされております。
なお、二ページには、列車が脱線に至った過程や事故現場付近の構造物の概要をお示ししております。
三ページをご覧ください。
〔3〕、地震対策に関する分析では、事故当時、交通局が導入していた早期地震警報システムは警報のみであり、列車を非常停止させる操作は指令員が手動で行っていた。自動停止機能を有していれば、列車は事故現場である分岐部に進入する前に停車していた可能性があると考えられるとされております。
〔4〕、避難誘導に関する分析では、事故発生後、指令員は、事故現場付近の再送電を行い、次駅まで列車を移動させて乗客を避難誘導させようとしたと考えられる。再送電の処置は列車が脱線していることを確認せずに行われ、電車線付近から火花が散り、煙が車内に入ったと考えられるとされております。
(2)、必要と考えられる再発防止策でございますが、〔1〕、早期地震警報システム動作時の一斉非常列車停止操作の自動化、〔2〕、事故現場付近の地震時の列車脱線防止対策、〔3〕、乗客の安全確保を最優先とした異常時対応の整理の三点が示されております。
このうち、〔1〕については、令和四年三月に既に対策を完了しております。また、分岐部の走行路中央部の段差を解消する工事も進めており、本年三月までに完了する予定でございます。
(3)、勧告でございますが、〔1〕、事故現場付近の施設に、地震動の影響により列車の案内輪や分岐輪が案内軌条に乗り上げないようにするための対策を講ずること。〔2〕、震度五弱以上の地震発生時は全区間の車両及び施設の状態を確認し、その確認が完了するまでは再送電を行わないといった乗客の安全確保を最優先とした避難誘導の方法や手順を整理し、異常時対応マニュアルにも記載して、関係係員に周知徹底することとされております。
報告書の内容を真摯に受け止め、必要な対応を進めてまいります。
甚だ簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。
○大山委員長 報告は終わりました。
なお、本件に対する質疑は、予算の調査及び既に説明を聴取しております報告事項、東京都交通局浸水対策施設整備計画についてと併せて一括して行いますので、ご了承願います。
○大山委員長 次に、予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第二十四号議案から第二十六号議案まで及び報告事項、東京都交通局浸水対策施設整備計画について並びに報告事項、運輸安全委員会による日暮里・舎人ライナーに関する鉄道事故調査報告書についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○豊田総務部長 過日の委員会で要求のございました資料を、お手元の資料2、公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
各団体における職員数と、そのうち都から派遣している職員数、団体の固有職員数、都退職者数を記載してございます。
続きまして、二ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体における職員数の雇用形態別推移でございます。
各団体における職員数を過去五年分記載してございます。
三ページをご覧ください。定数、職員数の推移でございます。
当局の条例定数及び職員数を過去五年分、職種及び雇用形態別に記載してございます。
続きまして、四ページをお開き願います。女性職員数の推移及び女性職員の宿泊施設の整備状況でございます。
当局の女性職員数、過去五年分と宿泊施設数、そのうち女性職員が宿泊できる施設数及び整備割合を記載してございます。
五ページをご覧ください。都営バス運転手の新規採用人数でございます。
当局のバス運転手の新規採用人数を過去五年分記載してございます。
続きまして、六ページをお開き願います。交通局の事務職員と都営バス運転手の雇用形態別の年間労働時間と年収でございます。
雇用形態別に、それぞれ年間労働時間、年収及び平均年齢を記載してございます。
七ページをご覧ください。障害者雇用率の推移でございます。
国に報告しております障害者の実雇用率を過去五年分記載してございます。
続きまして、八ページをお開き願います。未利用局有地の所在地及び面積でございます。
交通局が所管する普通財産で、恒久的な利用に供していない土地について記載してございます。
九ページをご覧ください。育児休業の取得人数と取得率の推移でございます。
育児休業の取得人数及び取得率を過去五年分記載してございます。
以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田村委員 本日は、交通局に対し、経営改善や安全確保に関する取組について質問いたします。
まず、都営交通の経営について何点か伺います。
都営交通に関わる二つの会計における令和五年度予算案は、前年度と比較し、経常損益が共に改善しています。しかしながら、地下鉄を経理する高速電車事業会計については七億円の黒字であり、コロナ禍前には遠く及ばず、収支均衡の水準であるとともに、交通事業会計については、都営バス、都電、日暮里・舎人ライナーと全ての事業が赤字となっています。非常に厳しい状況といわざるを得ませんし、今後、安定的な輸送サービスを提供していくためには、経営改善が不可欠です。
交通局では、昨年から、都営交通の経営に関する有識者会議を設置し、学識経験者や公認会計士などの専門家を交えた議論を開始しています。
そこでまず、有識者会議を設置した目的と会議の結果をどのように事業運営に生かすのか、それぞれ伺います。
○神永企画担当部長 交通局では、コロナ禍で打撃を受けた経営を立て直すため、経営計画二〇二二に基づき、旅客需要の創出や関連事業の推進などによる収益力の強化、安全・安心の確保を前提とした投資の抑制、経費の縮減など、収入、支出両面から経営改善の取組を進めております。しかし、乗客数の回復は想定よりも鈍く、また、電気料金等の物価が高騰するなど、都営交通を取り巻く事業環境は厳しさを増しております。
こうした中、中長期的に安定した輸送サービスを提供できる持続可能な経営基盤の確立に向け、外部の委員で構成する会議を設置し、幅広い見地から意見、助言を得ながら方策を検討することといたしました。
いただいた意見や助言につきましては、令和七年度からを計画期間とする次期経営計画の策定などに生かしてまいります。
○田村委員 有識者会議の中でも、コロナ禍後の鉄道をはじめとする公共交通機関における利用者の動向に変化が生じていることについて議論がなされているようですが、コロナ禍を契機として働き方の多様化が進み、テレワークやオンライン会議、サテライトオフィスの活用なども浸透してきています。また、これに伴って、定期券の購入に至らないような、週に二、三回のペースで会社や職場に出勤する人も増えており、通勤手当を廃止する企業もあるようです。
交通局においては、こうした需要の変化を的確に捉えたサービスを展開していく必要があると考えます。
そこで、定期外の利用を促すためどのように取り組んでいるのか、取組状況について伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 コロナ禍によるお客様の行動変容に伴い、定期利用者の減少など、旅客需要の構造が大きく変化する中では、定期外の利用者の拡大に向けたサービス展開を図る必要がございます。
都営交通では、会員制ポイントサービス、ToKoPoを営業推進上重要なツールとして活用しており、これまで、乗車回数に応じたポイントや土休日のボーナスポイント、都営地下鉄から都営バスに乗り継いだ場合のボーナスポイント等を付与してまいりました。
加えて、本年四月から、都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーに乗れば乗るほどポイント付与率がアップする新たなポイントサービス、ToKoPoステップアップボーナスを導入いたします。
○田村委員 昨年、都営地下鉄においては、定期券利用が、コロナ禍前の令和元年と比較して三割減の水準が続いていたと伺っています。これは、働き方やライフスタイルの変化に伴い、公共交通機関における需要構造そのものが変わってきていることが背景にありますので、今後もこうした状況は続くものと考えるべきです。
このため、定期券の利用が戻ることをいたずらに期待するのではなく、定期券外の利用を増やしていく自助努力が必要となります。定期外の利用を促進するには、より便利で快適なサービスを提供することで、利用者に移動手段として選択してもらう視点が必要です。加えて、消費者が電車やバスに乗って出かけたくなるよう、公共交通機関自らが、移動の需要を生み出していく努力が欠かせません。その際には、沿線を中心とする外部の様々な主体と連携していくことが効果的と考えます。
そこで、都営交通の利用促進や需要創出に関する取組について伺います。
○神永企画担当部長 交通局では、多様な主体と連携しながら、定期外の需要創出に向けた取組を展開しております。
具体的には、民間企業や自治体等と連携し、地下鉄、バスなど都営交通のネットワークを生かしたスタンプラリーを展開するとともに、東京メトロと連携し、旅行者向けの企画乗車券、Tokyo Subway Ticketと観光施設の入場券等を自由に組み合わせて、オンラインで購入できるサービスを新たに開始いたしました。
また、水上タクシーや観光バス事業者等と連携し、都営交通アプリを通じて、それらの利用予約が可能なサービスを導入いたしました。
さらに、来年度、新宿線市ヶ谷駅に、都営交通のオリジナルショップを開設し、沿線の魅力を発信することで、旅客需要の創出につなげていくなど、今後も、様々な工夫を凝らして、都営交通の利用促進を図ってまいります。
○田村委員 次に、日暮里・舎人ライナーの安全対策について伺います。
先ほど、交通局から、一昨年十月に発生した脱輪事故に関する運輸安全委員会の報告書について説明がありましたが、その中で、交通局に対し、二点の勧告がありました。
勧告の一つ目は、事故現場付近の施設における列車の案内輪等が軌条に乗り上げないようにするための対策を求めるものです。
そこで、脱輪を防ぐための対策についてどのように取り組むのか伺います。
○太田安全管理担当部長 事故現場付近の施設において、地震の影響による脱輪を防止するための対策を講じていくためには、当局と構造物の施設管理者である建設局とが連携して取り組む必要があり、両局による検討を開始したところでございます。
今後、鉄道の専門的知見を有する第三者機関なども活用し、調査検討を進めてまいります。
○田村委員 勧告の二つ目は、車両や施設の安全確認が完了するまでの間、停止した電気を再び送ることがないよう、乗客の安全確保を最優先とした避難誘導の方法や手順を整理した上で、マニュアルを改定することを求めるものです。
そこで、乗客の避難誘導に関する勧告を受けた取組の状況について伺います。
○太田安全管理担当部長 乗客の避難誘導に関する勧告を受けまして、速やかに対応の検討を進め、現場の状況を確認するまでは再送電を行わないこととし、駅や保守部門が一体となって乗客の避難誘導に当たるための手順を整理いたしました。
また、その内容を異常時対応マニュアルに反映し、関係部署に周知したところでございます。
今月十日には、修正したマニュアルに基づく訓練を関係部署が連携して実施したところであり、来年度以降も訓練を積み重ね、職員の対応力を向上させてまいります。
○田村委員 早速訓練を実施されたとのことですが、自然災害は、いついかなる形で発生するか分かりません。様々なバリエーションを想定し、対策に穴がないか、よく検証した上で、シビアな状況設定に基づく実践的な訓練を実施していくことを要望しておきます。
最後に、電気事業の経営について何点か伺います。
電気事業会計における令和五年度予算案では、経常損益が二億円の赤字となっています。これは、令和四年度に予定していた白丸調整池ダムに付随する大規模点検、いわゆる抜水点検を令和五年度に延期したことによる影響と伺っています。
そこでまず、抜水点検の概要と翌年度に延期した理由について伺います。
○野崎技監 多摩川第三発電所及び白丸発電所の取水ダムである白丸調整池ダムでは、三年から五年に一度、ダムのゲートを開けて水を抜き、法令で定められた導水路など、水路工作物の点検を行っております。
点検を行うためには、発電所の停止が必要であり、安全性や発電量等を考慮し、河川の水量が少ない冬季に実施しております。
抜水点検につきましては、実施する年度の夏までには準備を開始する必要がありますが、今年度は、冬季の電力需給逼迫が懸念されていたため、安定的な電力の供給に貢献できるよう、国等と調整の上、令和五年度に延期することといたしました。
○田村委員 今年度の早い段階で、この冬の電力逼迫に備えて点検の延期を決定したとのことであり、公営企業らしい大変意義のある取組と評価します。
それでは、点検を延期したことにより、実際にどの程度発電量が増加したのか、取組の効果について伺います。
○野崎技監 今年度、抜水点検により発電を停止する予定であった十一月末から二月末までの期間において発電を継続したことで、約八千五百メガワット時、一般家庭の使用量に換算して約一万一千世帯分に相当する電気を供給することができました。
○田村委員 昨年十一月の本委員会の事務事業質疑におきまして、発電した電気の販売に関する契約が、電気事業の経営に大きな影響を及ぼすことを指摘しました。来年度には、令和六年度以降の売電先の事業者を決定する予定と伺っています。契約の仕様検討に当たりましては、再生可能エネルギーの普及拡大を図るとともに、電気事業の安定的な経営にも十分配慮する必要があります。
そこで、次期売電契約に向けて、今後どのように検討を進めていくのか伺い、私の質問を終わります。
○野崎技監 水力発電所で発電した電気につきましては、令和三年度から、都内における再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを目的とした公募型プロポーザルにより売却先を決定するとともに、都営バスの全営業所でも、この水力発電による電気を使用しております。
現契約終了後の令和六年度以降の契約につきましては、より安定的、効果的な事業運営が可能となるよう、民間コンサルタント会社も活用しながら、最新の市場動向を調査するとともに、適切な契約期間や東京産水力発電の環境価値の有効な活用策等について検討を進めてまいります。
○保坂委員 よろしくお願いします。
私からは、まず、都営交通の経営の方向性という観点から、そして、立て直しに向けた取組についてまで質問をしていきたいと思います。
昨年、交通局が策定された経営計画二〇二二では、新型コロナウイルス感染症の影響で、乗車人員が大きく減少し、今後も、コロナ禍以前の水準への回復は期待ができないという見通しの中でも、中長期的に安定した輸送サービスを提供し続けていくため、各事業に取り組んでいくこととしています。
一方で、昨年夏には、新型コロナウイルス感染症の第七波の影響などもあって、特に地下鉄においては、乗車人員の回復が想定よりも鈍い状況であると聞いております。都営交通の中では、事業規模が最も大きい地下鉄事業において、芳しくない状況は看過できません。
そこでまず、地下鉄事業におけます乗車人員の状況と来年度の見通しについて伺います。
○豊田総務部長 令和四年度の地下鉄事業の乗車人員は、昨年度と比べると、行動制限の緩和等により増加しているものの、定期利用の回復が鈍いことから、想定を下回る見込みでございます。
来年度においてもこうした傾向が続くものと見込んでおり、令和五年度予算案では、一日当たり約二百三十万人、コロナ禍前の令和元年度と比べ、おおむね二〇%程度の減少としております。
○保坂委員 来年度も大変厳しい状況が続く見込みであり、これが、低い水準の乗車料収入につながっていくこととなります。
こうした状況に加えまして、昨年からのウクライナ危機に端を発し、電力料金などが高騰しており、交通局もさらに厳しい事業環境に置かれているものと推察します。
このような中で、先ほども質問がありましたけれども、交通局では、昨年末より、外部の専門家から成る有識者会議を設置されて、既に二回会議を開催しており、私も、公開されている資料を確認しております。
有識者会議では、事業環境の変化やその見通し、経営改善に向けた方策を議論の対象としており、専門家より得られた意見などについては、次の経営計画へ反映するとのことであります。
しかしながら、先ほど申し上げました喫緊の経営状況を踏まえますと、次期経営計画を待たず、有識者会議で得ました意見を踏まえて、経営計画二〇二二で記載されている事業以上の取組に速やかに着手すべきと考えますが、見解を伺います。
○神永企画担当部長 都営交通を取り巻く事業環境が厳しさを増す中、持続可能な経営基盤の確立に向け、幅広い見地から意見、助言を得ながら方策を検討するため、昨年、有識者会議を設置し、議論を開始いたしました。
これまでの二回の会議では、行動変容による利用状況の変化を捉えたサービスの提供や将来の収益につながる投資の必要性、運賃設定や負担の在り方、デジタル技術の活用やバリアフリーの推進など、多岐にわたるご意見をいただいております。
会議で得られた意見や助言は、次期経営計画の策定に生かしていくほか、導入可能なものにつきましては、早期に取組に反映させてまいります。
○保坂委員 早期に安定経営を軌道に乗せられるよう、交通局には積極的に取り組んでいただくことを求めておきます。
このような経営状況が厳しいときだからこそ、私は、効果的な広報宣伝の取組が重要になってくると考えております。局の事業を広く発信して、魅力を感じていただくことで乗客を呼び込んでいく、さらには、地元と連携しながら、沿線地域を盛り上げていくということは、増収にもつながっていくはずです。とりわけ、私も大好きな都電荒川線、古くから地元に愛される貴重な経営資源だと考えております。
そこで、下町の風情が今も色濃く残っており、地域に密着している都電の利用促進に向けた広報宣伝を実施すべきと考えますが、取組状況を伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、より多くの方に東京さくらトラムをご利用いただけますよう、季節に合わせた装飾電車の運行や沿線の名所を巡るスタンプラリーの実施、沿線情報誌「さくらたび。」の発行など、沿線地域とも連携しながら、様々な取組を行っております。
加えまして、今月十七日からは、都電「さくら号」の運行に合わせ、沿線に桜の名所が多いことを生かした企画を新たに実施いたします。
具体的には、沿線飲食店とコラボレーションし、期間限定のオリジナルメニューを開発、販売してもらい、注文された方には記念のポストカードをプレゼントすることで利用促進を図ります。
実施に当たりましては、局ホームページ、リーフレット等による宣伝のほか、飲食店におきましても、インスタグラムなどにより発信するとともに、地元自治体とも連携したPRを行うなど、多角的に広報を展開してまいります。
○保坂委員 今ご答弁いただきました今回のイベントですが、桜の季節に合わせていることから、多くの人に桜の名所など、都電に乗って沿線巡りをしていただきながら、地域の飲食店の魅力なども感じていただける大変工夫を凝らした取組になっております。私も、都電に乗って、このオリジナルメニューを味わってみようと思っています。
また、広報としても、自社媒体だけでなくて、飲食店のSNSや地元区の媒体、こういったものから発信も期待でき、都電の魅力をさらに多くの方に知ってもらうことは、大変期待できるところでもあります。
経営状況的になかなか広報に予算が割けないんだという状況は推察しますが、地域と連携を行うことで、多くのチャンネルから都営交通の事業を発信する機会をつくれること、そういうことができます。こうした工夫を凝らした広報宣伝に今後も努めていただくことを求めておきます。
都電イベントのように、需要の創出や沿線地域の活性化を図ることが重要であると考えます。こうした取組の一環として、交通局では、沿線企業などとのコラボレーション商品の販売などの実施をする都営交通オリジナルショップを令和五年度に開設するとしております。
そこで、需要創出や沿線地域活性化の新たな一手として進めるべきと考えておりますが、都営交通オリジナルショップ開設に向けた進捗状況と今後の予定、これをお伺いします。
○坂田資産運用部長 都営交通のオリジナルショップは、沿線企業等の商品販売やコラボレーション商品の販売などを通じて、魅力向上や旅客需要の創出、沿線地域の活性化を図る新たな取組でございまして、新宿線市ヶ谷駅の定期券発売所跡地を活用して開設いたします。
昨年十二月から運営事業者を公募し、選定したところでありまして、令和六年三月の開設を目指し、店舗の設置に向けた改修工事のほか、商品の企画や選定などの準備を着実に進めてまいります。
○保坂委員 市ヶ谷の駅ですね、新宿線、期待しております。来年度末の開設ということですが、どのような商品が並ぶのか、大変楽しみにしております。都民も関心があると推察しますので、魅力向上、需要創出、沿線地域活性化という目的にかなった魅力的なショップになるよう、準備を進めていっていただくことを求めておきます。
また、今回は意見にとどめますが、交通局では毎年、都電カレンダーを制作されて、都電の営業所やおもいで館で販売をされています。私も購入しています。一方、地下鉄やバスなど、ほかの事業を含めた都営交通カレンダーは販売していないと聞いています。
私は、都営交通の資源を最大限活用し、発信する取組が必要だと考えておりますので、都営交通カレンダーの販売についても、ぜひ検討していただくことをお願いし、次の質問に移ります。
続いて、私の地元の都営浅草線浅草駅出入口の更新について伺います。
交通局に対しましては、これまでも、今後の方向性などについて確認をしてきましたが、浅草寺方面のA4、A5出入口の更新については、地元住民や商店街なども高い関心を持っています。足元では、訪日外国人も戻りつつあり、地元浅草でも、外国人を多く見かけるようになってきておりまして、観光客を受け入れる、この視点からも、A4、A5出入口は重要な役割を果たしていきます。
一方で、これまでの質疑の中で、A4、A5出入口の更新に先立って、代わりとなる出入口を整備する計画があるということは、私も、これを推進しております。
そこで、浅草駅出入口の更新に向けた代替出入口の進捗状況と今後の予定について伺います。
○坂口建設工務部長 浅草駅は、雷門方面改札口につながる各出入口が建築物と一体となった構造となっております。この合築建築物の老朽化が進んでおり、建て替えを行う際には、工事期間中、出入口を閉鎖することとなりますが、お客様のご利用が多いことから、代替となる出入口の整備が必要であります。
雷門、浅草寺方面のA4、A5出入口の代替となる出入口につきましては、昨年、近傍に用地を確保し、現在、詳細設計を行っているところでありまして、令和五年度の工事着手に向けて、関係者と協議等を進めてまいります。
○保坂委員 準備は着実に進んでいると理解しました。令和五年度の工事着手、あわせて、周辺への周知もくれぐれもお願いします。
浅草周辺には、キャリーバッグなど大きい荷物を持った観光客が目立ちます。重い荷物を持って、長い階段を上り下りするのは大変です。そうした方々の利便性向上のために、整備に当たっては、エスカレーターなどを設置されることも要望しております。
続けて、駒形橋西詰交差点付近に予定している新設の出入口についても質問します。
昨年度の質疑において、当面整備に着手できない見込みであるとの答弁をいただきましたが、当該出入口はエレベーターの設置を想定しており、バリアフリー機能の充実を図る上で大変重要な出入口になる予定になっております。
そこで、浅草駅出入口の新設整備に向けた進捗状況と今後の予定について伺います。
○坂口建設工務部長 駒形橋西詰交差点付近に新たに整備を予定している出入口は、A3出入口と合築である建築物を建て替える際に代替出入口の役割を担うものでございます。
新設予定地の周辺で行われている他事業者の工事が大幅に遅れておりますが、引き続き、工事の進捗状況を勘案しながら、出入口整備に向けて、道路管理者など関係者と協議、調整を進めてまいります。
○保坂委員 ほかの工事の遅れということで、整備に影響するのはやむを得ないと考えますが、地元住民にも車椅子を利用される方も多数いらっしゃいます。そうした方々にとっても重要な出入口であると認識していますので、ほかの工事の進捗を十分に把握するとともに、整備に向けて、周辺への周知はもちろん、必要な準備を確実に進めていただくよう改めて求めておきます。
こうした利用者のサービス向上に資する取組を推進することは、都営交通のプレゼンスを高めるものとして重要ですが、公営企業局として、ゼロエミッション東京への貢献など、環境負荷低減に向けて取り組む事業も重要だと考えます。
交通局は、燃料電池バスの導入を先駆的に進めており、評価に値する取組であると思います。私はこれまで、委員会での質疑を通じて、都営バスだけでなく、ほかのバス事業者も含めて、都内でさらに導入、普及拡大していくことをかねてから求めてきており、そのためには、水素ステーションの整備が必要であると認識を示してきたところであります。
昨年の事務事業質疑では、交通局は、営業所内への水素ステーションを整備することについて検討中であるとのことでした。
そこで、燃料電池バス導入の普及拡大を図るため、営業所内への水素ステーション整備の検討を加速すべきと考えますが、現在の状況について伺います。
○佐藤バス事業経営改善担当部長 燃料電池バスの導入を今後大幅に拡大していくためには、営業所内への水素ステーション整備が効果的と認識しております。
一方、大型設備のための十分なスペースが必要となることや、整備、運営に多額の費用を要するなどの課題がございます。
ステーションには、水素を敷地内で製造する方式と外部から運搬してくる方式があり、それぞれ必要な設備、スペースや充填能力等が異なってまいります。
こうした方式の違いを踏まえ、敷地の形状やコスト等も考慮しながら、営業所への整備の可能性や望ましい整備、運営管理手法につきまして検討しております。
○保坂委員 都営バスで水素ステーションを整備することが、他事業者の燃料電池バス導入の動機づけになりますので、ぜひ実現化していただきたいと思います。
燃料電池バスと同様に、ZEV化の有効な手段となり得るのが、電気で駆動しますEVバスです。
これまでも、EVバスの導入については、検討状況を確認してきましたが、国内でも、地方の路線バス事業者などで導入が始まっております。私自身も、様々な方からお話を聞いておりますが、EVバス導入には課題があることから、いま一つ取組が広がっていないと認識しております。
そこで、交通局においては、EVバスの導入に関する調査検討を進めていると聞いておりますが、EVバス導入の課題と導入の検討を今後どのように進めるのか伺います。
○櫻庭自動車部長 都営バスでは、ZEV化の推進に向けて、EVバスの導入可能性に関する調査検討を行っておりまして、その中で、設備設置のためのスペースですとか、航続距離や充電時間、外国製車両の部品供給への懸念など、様々な課題が明らかとなっております。
このため、国内で大型EVバスを運行している事業者から、車両の調達、整備、運用面での課題や対策などについてヒアリングしておりますとともに、これまで、国に対して、国内メーカーによる大型路線バスの開発を支援するよう、関係局と共に要望してきたところでございます。
来年度以降、国内メーカーが大型EVバスの生産を開始すると聞いておりますが、引き続き、状況の把握に努めまして、EVバスの導入について検討してまいります。
○保坂委員 国内メーカーが生産を開始する予定があるということが分かりました。部品の安定的な調達やコストを考えますと、国内メーカーが製造に参入するメリットは大きいと思います。一方で、解決すべき課題も容易ではないものと考えますので、調査検討を十分に実施されて、将来に向けて、ZEV化の望ましい姿を見定めていただくということを求めておきます。
続いて、我が会派が要望してきた授乳室の設置について伺います。
先月、交通局は、私の地元の上野御徒町駅ツーリストインフォメーションセンター内に授乳室を設置され、利用が開始されました。当駅は、ほかの路線と結節する駅でもありまして、かつ改札の外、外側という利便性が大変高い場所に設置されたと認識しており、設置そのものは評価をします。
一方、せっかく設置しましても、多くの方に使われなければ、その意義を果たすことはできません。先般の事務事業質疑でも、私は、十分にその存在を皆さんに認知していただくよう取り組んでいただくことを求めておりました。
そこで、授乳室が、より多くの人に迷わず利用されるためにも、広く周知、案内すべきと考えますが、この取組状況について伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 授乳室を多くの方にご利用いただけますよう、報道発表や局のホームページ、SNSを通じて情報を発信するとともに、地元の台東区とも連携し、電子版福祉マップへの登録、区のツイッターでの発信を行ってまいりました。
さらに、民間の検索サイトにも情報を登録するなど、広く周知を図っているところでございます。
また、お客様がスムーズにお越しいただけますよう、駅のコンコースやホーム上にある既存の案内サインに文字やピクトグラムを追加するとともに、新たに二十一か所、案内サインを設置いたしました。
今後とも、ご利用状況やお客様の声などを参考に、分かりやすい周知や案内を実施してまいります。
○保坂委員 新たに二十一か所も案内サインを設置されるということで、期待しています。
私も先日視察に行ってきましたが、駅での告知はもっと工夫が必要ではないかという印象も持ちました。多くの方にその存在を知っていただき、使っていただけるよう、さらなる工夫を強く求めておきます。
さて、授乳室と同様に、子連れの方が地下鉄を利用しやすくなる取組として、我が会派の要望により導入され、拡大している事業が、子育て応援スペースであります。昨年の質疑において、今年度末までに、地下鉄全路線へ設置し、運行する予定であるということが答弁されております。
そこで、この取組をさらに推進していくべきと考えますが、子育て応援スペースの取組状況とともに、今後の予定について伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、小さなお子様連れのお客様に安心して気兼ねなく電車をご利用いただけますよう、令和元年七月から、子育て応援スペースを設置しており、令和三年度までに大江戸線に十三編成導入いたしました。
今年度は、八月から、新宿線、浅草線及び三田線に順次拡大し、相互直通運転を行っております他社の路線内にも乗り入れを開始するとともに、新たな装飾デザインを導入いたしました。
今年度末には、四シリーズ、十一パターンのデザインで装飾した車両を都営地下鉄全路線で計三十六編成運行し、令和六年度末には、全路線で計七十一編成まで運行を拡大する予定でおります。
○保坂委員 着実に進捗していることを確認しました。
新たなデザイン、これはディック・ブルーナの絵本の世界観で装飾したものですが、こちらも我が会派が求めてきましたインクルーシブな観点も取り入れたものとなっておりまして、こちらも今年度実現したことを評価したいと思います。
こうした取組を多くの人に認知していただくことは、子育てしやすい環境づくりに極めて重要なことだと考えますが、そのためには、様々な工夫をしてPRする必要があると思います。過去の質疑で、子育てを応援する関連イベントの実施を検討すると答弁をされておりましたが、先般、絵本の読み聞かせイベントを今月三月二十五日に実施する旨、プレスリリースされております。
そこで、最後になりますが、このイベントの実施の狙いと内容について、改めて伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、子育て応援スペースの取組をより多くの方に知っていただくため、啓発ポスターの掲出やホームページでのご案内、子育て世代の方を対象とした雑誌への掲載など、周知を図っております。
今回の絵本の読み聞かせイベントは、子育て応援スペースを都営地下鉄全四路線に導入したことを機に、認知度のさらなる向上を図るため実施するものでございます。
具体的には、浅草線の馬込車両検修場に親子連れの参加者を招き、子育て応援スペースのある車両の中で、装飾デザインとして採用した絵本を読書アドバイザーが朗読し、楽しんでいただくものでございます。
○保坂委員 ありがとうございます。
電車内での読み聞かせイベントなど、こうしたものは、特に都内で、かつて実施した鉄道会社が過去にあったのでしょうか、なかったと思います。都営地下鉄自らが持つ資源などを活用しながら、親子で楽しめる大変よい企画だと思います。こうした取組を通じまして、子育て応援スペースの取組を多くの方に知っていただき、子育てしやすい環境づくりをリードしていただくことを期待しております。多くのメディアにも取り上げていただき、大いにPRしていただくことも重ねて求めておきます。
都営地下鉄は、現在大変厳しい経営状況の中ではありますが、本日、質疑をしてきました都電荒川線のイベントや都営地下鉄での子育て応援スペースなど、工夫を凝らして各事業に取り組むことで、新たな活路が見いだされることもあります。経営理念に掲げられております信頼され、支持される都営交通であり続けるためにも、交通局が原点に戻っていただいて、利用者目線で、真剣に様々な課題に取り組まれることこそが大変重要だと考えます。
私も、都議会議員として、また、都営交通を応援する者の一人として、皆さんと一緒に知恵を絞り、議論をして、よりよい取組を共に推進して、都営交通を盛り上げていきたいと思っております。
今後の事業運営においても、様々な状況を勘案して、苦労も多いと思いますけれども、ぜひとも様々な工夫を凝らしながら、前に進んでいただくよう求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○長橋委員 よろしくお願いいたします。
それでは、私は、都営交通の浸水対策の強化、これに向けて、質疑を重ねていきたいと思います。
近年の集中豪雨等の異常気象により、災害が頻発、激甚化して、リスクが高まっている。二〇一五年には、水防法の改正により、洪水浸水想定区域が拡大されていると。想定し得る最大規模の洪水区域に拡充をしたということでございます。また、二〇二一年には、内水浸水想定区域地図作成マニュアルが改定をされたというふうに聞いております。
昨年には、TOKYO強靱化プロジェクトにおいても、地下鉄の浸水対策がリーディングプロジェクトとして取り上げられているということでございます。まさに、都営地下鉄は二百万人の方が利用されている、そういったことで重要度を鑑みていると、このように思うわけでございます。
都市型水害に加えて、荒川氾濫や高潮といった大規模の水害による浸水被害をシミュレーションして、そして、対策を検討して取りまとめたということでございます。
そこでまず、都市型水害と荒川氾濫や高潮といった大規模水害の違いで、被害想定はどう変わるのか、まず、これについて伺いたいと思います。
○生越技術企画担当部長 都市型水害は、河川や下水道に大量の水が一気に流れ込むことから生じます河川の氾濫や下水道管からの雨水の噴き出しなどによる水害でありまして、氾濫までの時間や浸水継続時間が比較的短いものでございます。
また、大規模水害は、広域的に人的、物的被害等を発生させる大規模河川の洪水氾濫や高潮氾濫であり、一週間以上の長期にわたり浸水が継続するものと見込まれております。
○長橋委員 お伺いすると、都市型水害は浸水時間が比較的短いと。大規模水害は浸水が一週間以上と長い、長期にわたって継続をするということでございます。
都市型水害は、二〇〇〇年九月に発生した東海豪雨規模の降雨を想定した対策に優先して取り組んで、二〇一三年に完了したということでもございました。そうしたことからも、その被害の想定が現れているのではなかろうかなと、このように私は思うわけでございます。
今回、水防法の改正によって降雨の規模の大きさを見直し、浸水が想定される区域や深さが拡大する地域があることから、改めて計画を作成したということでございます。
そこで、交通局の浸水対策施設整備計画の作成に至った経緯について伺いたいと思います。
○生越技術企画担当部長 近年の集中豪雨等の頻発、激甚化を受けて水防法が改正されたことに伴い、浸水予想区域図等について、浸水が想定される区域や深さが拡大するなど、順次見直しが行われました。
また、国の中央防災会議で示された荒川氾濫時の被害想定では、地上の浸水のみならず、氾濫水が地下鉄のトンネル等を通じて都心部まで達することで被害が拡大する可能性も指摘されております。
交通局では、東海豪雨規模の降雨を想定した対策を完了させるなど、浸水対策を着実に推進してまいりましたが、こうした状況を踏まえ、都市型水害に加え、大規模水害による浸水被害をシミュレーションした上で対策を検討し、このたび、東京都交通局浸水対策施設整備計画を策定いたしました。
○長橋委員 今お話もございました東海豪雨規模の降雨を想定した対策は完了したというんですけれども、改めて、都市型水害について、見直しをして作成したということでございます。
これについて、いかにお客様の避難を、どう対策を講じていくのかが喫緊の課題だと。あくまで交通局は、お客様の対応をどうしていくのかということが大事だということでありますけれども、それについて、都市型水害についてはどう整備を進めていくのか伺いたいと思います。
○坂口建設工務部長 浸水予想区域図等が見直されたことを受けまして、出入口の止水板の高さの見直しや、より深い浸水深に対応可能な防水扉の変更など、順次対策を実施してまいりました。
今後、整備計画に基づき、他路線と接続している乗換駅の工事に着手するなど、対策による効果が早期に発揮されるよう整備を進めてまいります。
○長橋委員 対策による効果を早期に発揮できるように進めていくと。どう時間を、この浸水の時間を遅らせていくのかということも私は重要かなと思うわけでありますけれども、こうした取組をぜひ進めてもらいたいと思います。
一方で、荒川氾濫のような大規模水害で決壊すると、都市施設が浸水し、都民生活に甚大な影響があることはいうまでもありません。
そこで、国交省は、荒川の決壊を想定した地上のシミュレーションを公表していますけれども、都営地下鉄では、荒川の決壊による浸水被害をどのように想定しているのか、決壊地点の設定方法、これはどのように行ったのか伺いたいと思います。
○生越技術企画担当部長 交通局では、東京メトロと連携し、荒川氾濫における破堤点を五百メートル置きに設定してシミュレーションを実施いたしました。
その結果、地下鉄ネットワークへの被害が特に大きくなるのが、荒川右岸の河口から二十一キロメートル地点と九・五キロメートル地点の二つの場合であることを確認いたしました。
いずれの場合も、荒川が氾濫すると、駅出入口、通風口等の開口部や乗換駅の地下接続部を通じて氾濫水がトンネル内に流入し、地下鉄ネットワークを通じて浸水被害が順次拡大すると想定しております。
○長橋委員 交通局と東京メトロが連携して、五百メートル置きに設定してシミュレーションをした結果だということでございました。
荒川氾濫では、荒川右岸二十一キロメートルの破堤と荒川右岸九・五キロメートルの地点での破堤が、地下鉄ネットワークへの被害が特に大きくなることは確認をしているわけでございます。
では、この二地点での破堤について、それぞれ被害想定はどう違うのか、改めて伺いたいと思います。
○生越技術企画担当部長 荒川右岸二十一キロメートル破堤による氾濫では、地上の浸水域が大手町、丸の内及び有楽町等の都心部に達し、主に隅田川以西で被害が発生すると想定しております。
地下に流入した水は、地下鉄ネットワークを通じて地上の浸水範囲より広範囲に広がり、都営地下鉄のトンネル内浸水延長は合計で約四十三キロメートルと見込んでおります。
荒川右岸九・五キロメートル破堤による氾濫では、荒川と隅田川に囲まれた江東デルタ地帯で浸水が貯留いたしまして、浸水深が深くなると想定しており、浸水延長は合計で約十七キロメートルと見込んでおります。
○長橋委員 この荒川右岸二十一キロメートルの破堤での氾濫と荒川右岸九・五キロメートル地点の破堤の氾濫では、浸水延長はそれぞれ違うということが分かりました。特に被害が大きいということでございますけれども、実際の浸水状況は当然異なってくるんだろうと思われます。
そこで、時間的にどれくらいかかるのかというのを想定しているのかということを改めて思うわけであります。大事なことは、それによって整備箇所や整備手順、やる順番が変わってくるのではなかろうかと思うわけでありますけれども、また、高潮時のシミュレーションでは、トンネル内の浸水延長はさらに広範囲に広がり、六十二キロメートルに及ぶということも記載をされているわけでございます。
ともかく、都営地下鉄の浸水被害は広範囲に及ぶことから、対策がどれぐらいの規模になるのか、整備を予定している施設の種類や箇所等について伺いたいと思います。
○坂口建設工務部長 地上から地下への水の流入を防止するため、駅出入口六十五か所につきましては、止水板や防水扉、防水シャッターにより、また、通風口、換気口、換気塔合わせて六十五か所につきましては、浸水防止機や止水壁、防水扉による対策を実施いたします。
また、地下部での浸水拡大を防止するため、トンネルでは七か所に防水ゲートを、駅構内では三駅に防水扉を整備いたします。
このほか、地上変電所二か所で、止水板、防水扉、防水シャッターを整備するとともに、車両の被害を防ぐため、地下車庫二か所で防水ゲートを整備いたします。
なお、複数の水害への対策が必要な整備箇所につきましては、浸水深が最も深い水害に合わせて対策を実施してまいります。
○長橋委員 お伺いすると、かなり大規模な整備が必要だということは分かりました。駅出入口六十五か所については、止水板や防水扉、防水シャッター、また、それに合わせて、通風口や換気口、換気塔合わせて六十五か所ということでございますし、トンネルでは七か所に防水ゲートを、駅構内では三駅に防水扉を整備するということでございます。
そうした意味では、浸水対策として整備する規模は箇所数が多く、大規模なものもあることが分かりました。ということは、浸水のおそれのある全ての箇所で対策を実施するということであろうかと思います。
これだけの整備を進めていくには、お客様への影響を考慮しつつ、どういった順番で整備をして効率を上げていくかが重要でありますけれども、その整備手順、これは大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○坂口建設工務部長 施設整備に当たりましては、お客様への影響等を考慮しつつ、対策による効果が早期に発揮されるよう手順を定め、効率的に進めてまいります。
駅出入口につきましては、他路線と接続し、乗降客数が多い乗換駅から対策に着手するほか、止水板の設置など小規模な対策で効果が発揮される箇所は早期に実施いたします。
また、通風口、換気口、換気塔につきましては、近接する駅出入口での対策時期に合わせまして、浸水防止機等を設置いたします。
このほか、地下部におけるトンネル内防水ゲートや駅構内防水扉につきましては、浸水範囲内に他路線との乗換駅が多い大江戸線を先行いたしまして、次に、接続の多い浅草線、新宿線の順で整備してまいります。
○長橋委員 都市型水害や大規模水害の対応を進めていくに当たっては、地下鉄の運行などを営業しながら進めていくことになりますので、地下鉄以外の隣接する施設との調整も必要になってくるんだろうと思います。
整備手順が重要であろうかと思いますけれども、浸水被害をどう食い止めていくのか、小規模なところから進めていくということでありますけれども、そうした中で、大規模な施設の整備、これがかなり長時間を要するわけでありますし、運行しながら、営業しながら進めていくわけでございますので、その対策のスケジュールも長期にわたるんだろうと思います。
整備計画で定めているスケジュール、これはどのようになっていますか、教えてください。
○生越技術企画担当部長 整備計画による施設整備は多岐にわたりまして、防水ゲートの新設、改修など、難度が高く、大規模な整備も含まれております。
加えて、トンネル内や駅構内など、地下鉄の運行や営業に影響する場所での作業は、終電後から始発前までに限定されることもあり、施設整備には長期間を要します。
このため、整備手順に基づき、効率的、効果的に施設整備を進め、都市型水害については二〇三〇年代半ば、荒川氾濫は二〇四〇年頃、高潮は二〇四〇年代半ばの対策完了を目指してまいります。
○長橋委員 この整備計画を見ますと、今のことは書かれているわけでありますけれども、整備効果としては、荒川氾濫が、右岸二十一キロの場合には六分の一に被害が減少する、トンネル浸水被害の範囲が六分の一に縮小すると。それから、高潮におきましては、二〇四〇年半ばに三分の一に減少するということでございます。
都市型水害については、想定し得る最大規模の降雨については流入の防止が可能になってくるということでございますので、ぜひ着実に進めていただきたいと思っておるわけであります。
そうした中で、大規模水害の発生時に浸水被害の拡大を抑えていくためには、東京メトロ等、他の鉄道事業者との連携が不可欠であります。そしてまた、隣接するビル等の連携が不可欠だと思います。
そうした中で、そうした連携、また、他の事業者との連携、どのように行っていくのか伺いたいと思います。
○生越技術企画担当部長 都営地下鉄と他の鉄道事業者等との施設とは地下でつながっており、荒川氾濫等の大規模水害の発生時には、乗換駅などの接続部を通じて浸水被害が拡大することが想定されます。
地下鉄ネットワーク全体の減災を図るため、駅出入口、通風口などの地上部の対策のほか、防水ゲート等による地下部の浸水拡大防止策についても、他の鉄道事業者と施工順序を調整するなど、緊密に連携して対策を進めてまいります。
また、駅と接続している地下街やビル等の出入口についても、関係者と調整しながら整備を進めてまいります。
○長橋委員 地下鉄でございますので、都営地下鉄以外に東京メトロ、また、大規模な駅では、様々な都市施設といいますか、ビルとも隣接をしているわけでありまして、そうした調整は大変重要かと思いますし、なかなか予定どおりにいかないものだろうと思うわけでありますので、ぜひ着実に整備を進めていっていただく、また、長期間かかるわけなので、しっかりと調整をしながら進めていただきたいと思います。
そうした中で、長期間かかるわけでありますから、施設整備では、いつ災害が起きるか分からないわけでありまして、大規模水害の発生が迫っている場合には、住民の命や施設を守るために、都営地下鉄ではどんな対策をしているのかというのが私は重要ではなかろうかと思いますので、いざ災害が起きたときの対応については、どのようになっているのか伺いたいと思います。
○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、大規模水害時の事前行動を時系列で整理したタイムラインを策定しております。
発災が予見される場合には、お客様の安全確保の観点から計画運休することといたしまして、四十八時間前には実施の可能性を、二十四時間前には実施についてお知らせいたします。
また、施設や設備の浸水に備え、駅係員が防水扉を稼働させたり、止水板を取り付けるなど、被害の軽減を図ることとしております。
さらには、今般、被災状況に応じて、一部の区間からでも運行再開できるよう、車両避難や施設の復旧に係る手順を取りまとめたところでございまして、訓練を通じて実効性を高めるとともに、施設整備の進捗に合わせ、随時見直してまいります。
○長橋委員 ありがとうございます。
お客様の安全確保の観点から計画運休することとし、四十八時間前には実施の可能性を、二十四時間前には実施についてお知らせするということでございますので、これも訓練を重ねていかなければなかなかできないことだろうと思いますので、状況が違ってくる、また、予定どおりではないような被害も出てくるわけでありますし、場所もそうであろうかと思いますので、順次、訓練を繰り返して、ぜひ、お客様の安全第一で取り組んでいただきたいことを申し上げて、質問を終わります。
○斉藤委員 日本共産党の斎藤まりこです。よろしくお願いいたします。資料の提出をありがとうございました。
私からは、今日は五つのテーマになりますけれども、まず初めに、痴漢対策について伺います。
今回の新年度予算案には、痴漢対策の強化について、関係各局が連携して取り組む施策が盛り込まれました。日本共産党都議団は、痴漢被害のアンケート調査を行い、本気の痴漢対策を求めてきた中で、取組が前に進むことを歓迎いたします。
交通局でも、若い方々が、女性専用車の導入拡大を求める陳情が全会派一致で趣旨採択されたことも受けて、一月十八日から女性専用車の導入が始まったことや、それに先駆けて、一月十一日から受験シーズンに向けた痴漢撲滅キャンペーンを行うなど、かつてない対策の強化に踏み出していただいているところだと思います。
幾つか伺っていきたいと思いますが、まず、一月十一日から三月十日に行われた痴漢撲滅キャンペーンでの取組の内容について伺います。
○市川電車部長 交通局では、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりをより一層進めていくため、受験シーズンに合わせ、新たな痴漢撲滅キャンペーンを実施しました。
キャンペーン期間中は、駅係員による巡回を強化するとともに、車内や駅構内放送、ツイッターなどSNSでの情報発信、新たなポスターの掲出等により、集中的にお客様へ痴漢撲滅の呼びかけを行いました。
○斉藤委員 車内や駅構内での放送、また、私も大江戸線でよく耳にしておりまして、心強く感じているところです。また、初日のイベントに私は駆けつけることはできなかったんですけれども、警視庁の協力の下、痴漢を許さないという皆さんのお姿をメディアを通して拝見させていただいて、とても頼もしく感じているところです。
一月十一日からのキャンペーンと当日のイベントは、メディアでも大きく取り上げられ、私たちのところにも、交通局が受験シーズンの対策をやってくれてうれしいという声が届いていますが、交通局にはどのような声が届いているのか伺います。
○市川電車部長 当局には、交通局が、痴漢をさせない、見逃さないという姿勢を強く打ち出してくれることに、多くの女性や男性が安心するのではないかといった声などが寄せられております。
○斉藤委員 うれしい声だというふうに思います。ふだんは苦情などの連絡がほとんどだということで、ご苦労も多いことと思うんですけれども、こうした声はなかなか届くものではないと伺いましたので、本当に都民に喜ばれている取組なんだというふうに思います。
長い間見過ごされてきた、当事者が声を上げにくい問題、しかし、最も身近に起きている性暴力に交通局が立ち上がっていただいたこと、敬意を表したいというふうに思います。被害を受けるのは圧倒的に女性が多いですけれども、女性だけの問題とせず、男性職員の皆さんも社会に働きかけてくれることが大きな勇気にもつながります。ぜひ誇りを持って続けていただきたいというふうに思います。
キャンペーンと同時に、新しいポスターもとても目立っていると思いますが、交通局が新しく駅構内に貼り出している、痴漢目撃助けたい、助ける準備できていますか、こういう呼びかけのピンクのポスターは、都内の学生と協働で作成したということでした。呼びかけるメッセージも、被害者や加害者ではなく、最も多くの第三者の方々に助けることを促すという新しい視点での呼びかけです。
内容も作成過程もこれまでにないものだと思いますが、こうした学生との協働で作成した取組について、交通局の感想について伺います。
○神永企画担当部長 交通局では、痴漢等の防止に向け、より幅広い層への普及啓発を図るため、東京都立大学の学生の意見を取り入れたポスターを作成し、本年一月から掲出しております。
この取組は、複数のメディアでも紹介され、普及啓発に一定の効果があったものと考えております。
○斉藤委員 複数のメディアでも紹介され、普及啓発に一定の効果があったということです。
私たちは、ポスター作成については、若い方々の意見を取り入れて作ることも求めてきましたが、まさに今回のポスターは、若い皆さんの英知や発想から、多くの第三者に呼びかけ、傍観者でいるのではなくて、行動する第三者、いわゆるアクティブバイスタンダーの視点が取り入れられているという点でも画期的なものだというふうに思っています。私も学ばせていただいたというふうに思っています。
日本共産党都議団は、この間、民間の鉄道各社さんにも痴漢対策の取組を強化していただこうと懇談の場をいただいてきました。私も、その中で、交通局の取組について紹介をさせていただいたりしているんですけれども、その中で、このポスターの作成過程や内容について、とても勉強になりますという声をいただきました。
また、女性専用車の新たな導入についても話題になっています。民間の鉄道会社さんとお話しする中で、私も改めて実感しましたけれども、女性専用車については、性別による差別だというような、男性差別だと、こういうような反対や抗議の声にさらされるということが多いということで、各社さんの悩みの種のようでした。鉄道各社さんに共通する問題だったというふうに思うんですが、だからこそ、交通局が新たに女性専用車を導入したことは、各社に勇気を与えているというようでした。
JRのとあるターミナル駅の駅長さんからは、交通局さんが女性専用車を導入してくれて心強いですと、こういうふうにいってくれたという声もあります。私鉄の方からも、女性専用車の導入についても参考になりますという声もいただきました。
そうした状況の中、女性専用車の意義について、鉄道利用者が積極的に発信していくことがとても大事だというふうに思っています。
私たちは、この間、ホームページ等で、女性専用車の意義について発信していくことを求めてきましたが、その取組状況について伺います。
○市川電車部長 女性専用車は、お客様の任意のご協力の下、運行しているものであり、できるだけ多くの方にご理解いただくことが必要と認識しています。
このため、大江戸線への女性専用車の導入に合わせ、局ホームページに、導入の目的等に関するQ&Aを追加するなど、内容を充実させました。
○斉藤委員 私もホームページを拝見させていただいていますけれども、交通局の女性専用車のページを開くと、そこに導入の理由と女性専用車の意義についてQ&A方式で記載されていて、とても分かりやすい内容だというふうに思いました。私からも、質疑の中で、大阪メトロのQ&A方式の発信など紹介させていただいてきたので、このような取組に結びついて本当によかったというふうに感じています。
そして、こうした鉄道事業者からの発信が、社会全体の認識のアップデートにもつながっていくものだというふうに思います。
女性専用車両の運用についてなんですけれども、私も、大江戸線の上野御徒町駅を利用しているんですが、導入時間帯には、係員か警備員の方がいて、誘導してくださるのを心強く思っています。
この女性専用車の導入時間帯でのホームで案内する警備員等の配置はどのようになっているのか伺います。
○市川電車部長 女性専用車の運行開始に合わせ、お客様案内を強化するため、大江戸線全駅を対象に、一月十八日から、各駅一名または二名の警備員をホームに配置しております。
○斉藤委員 全駅を対象に、各駅に一、二名の配置をしているということです。
女性専用車が適切に運用されるためにも大事なことだというふうに思いますが、同時に、視覚でも分かりやすく表示されていることが必要だというふうに思います。
ほかの鉄道事業者では、女性専用車の場所が分かりやすいように、ホームの床面に表示をしているところもあります。大江戸線でも同様の工夫が必要だと思いますが、いかがですか。
○市川電車部長 大江戸線のホーム床面への案内サインについては、多くの駅で、階段や柱の配置により、女性専用車のある四号車付近のホーム幅が狭くなっており、サインの大きさが限定されるなどの課題がございます。
現在、乗り場については、駅係員や警備員が直接ご案内するとともに、ホームドアへのステッカー貼付、ポスターの掲出、駅構内放送等でご案内をしております。
○斉藤委員 ホームの幅が狭いということなんですけれども、しかし、他社の中で見ていても、ピンクのステッカーが床面に貼ってあると、とても目立って分かりやすいですね。ホームの線路沿いに見渡したときにすぐに見つけることができる。これは、幅が狭いという場合でも、ステッカーの大きさを小さくしても、結構目立つということがあると思いますので、そうした工夫などを行って、検討していただきたいというふうに思います。
女性専用車両の大江戸線への導入と受験シーズンに痴漢撲滅キャンペーンを警視庁と共に行ったということは、本当に大きなインパクトがあったというふうに思います。今後も、こうした取組が大事だと思います。
受験シーズンのキャンペーンは三月十日で終了しましたが、これからは、四月の新年度で、新入生や新入社員など新しい生活が始まる季節になります。慣れない電車通勤や通学の方が増える時期になるので、新生活が始まる四月に向けた痴漢対策のキャンペーンもぜひ行っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○市川電車部長 都営地下鉄では、痴漢撲滅に向けて、独自の対策強化期間を設けて重点的に呼びかけを行っておりまして、受験シーズンに加え、新生活が始まる入学、入社シーズンにも痴漢撲滅キャンペーンを実施することとしております。
○斉藤委員 新生活が始まる入学、入社シーズンにも痴漢撲滅キャンペーンを行うというご答弁でした。本当に心強いことだと思います。今回も、ぜひ、初日にイベントを行うなど、本気の対策に乗り出しているということを発信していただきたいというふうに思います。
都は、新年度予算案について、この痴漢撲滅プロジェクトの費用五千万円を計上し、この中には、痴漢被害実態調査や民間と連携した痴漢撲滅キャンペーンなどが盛り込まれて、重要な内容になっていると思います。
交通局は、この中でどのように関わっていくのか伺います。
○神永企画担当部長 都では、官民連携で犯罪の抑止等を促進し、痴漢被害のない社会の実現を目指すため、関係局や警視庁で構成されるプロジェクトチームを立ち上げることとしており、交通局もこのプロジェクトチームに参画する予定でございます。
○斉藤委員 関係局というのは、生活文化スポーツ局だというふうに思いますけれども、警視庁ともプロジェクトチームを発足させると。さらには、民間事業者とも連携していくということで、とても期待をしております。
民間の鉄道事業者さんのお話でも、一社ではなかなか取組が難しいけれども、関東圏で一緒に対策をやれたらいいですねと、そういうお話もありました。交通局での取組の前進をきっかけに、機運が高まってきているというふうにも感じています。ぜひ、東京の公営鉄道として、リーダーシップを執るような取組を進めていただきたいというふうに思います。あわせて、三田線への女性専用車の導入に向けても、この路線を共有する東京メトロとも協議を始めていただくことを求めて、次のテーマに移ります。
日暮里・舎人ライナーについてです。
先ほども質疑がありましたけれども、二〇二一年十月七日の地震、その際に起きた脱線事故について、国の運輸安全委員会による日暮里・舎人ライナーの、二〇二一年、この地震時の脱線事故についての調査の報告がまとめられました。
二つの勧告が出されておりますけれども、そのうち一つは、地震の影響により列車の案内輪や分岐輪が案内軌条に乗り上げないようにするための対策を講じることとあります。要するに、脱線をしないようにするための対策が求められているということだと思います。
この対策をどのように進めていくのか、改めて伺います。
○太田安全管理担当部長 事故現場付近の施設における脱輪の防止に向けて、今後、鉄道の専門的知見を有する第三者機関などを活用しながら、構造物の施設管理者である建設局と連携して、対策の検討を進めてまいります。
○斉藤委員 鉄道の専門的知見を有する第三者を活用して、建設局と共に検討していくということです。前例にない対策になるかと思いますので、安全性の向上に向けて着実に取り組んでいただきたいというふうに思います。
二つ目の勧告は、避難誘導に関して震度五弱以上の地震発生時は全区間の車両及び施設の状態を確認し、その確認が完了するまで再送電を行わないということが報告書に記載されています。
今回の避難誘導に関する分析として、事故発生後に、指令員が列車が脱線していることを確認せずに列車を移動させようと再送電を行い、脱線車両の付近から火花が散り、煙が車内に入ったと考えられるということが記載されています。しかし、このことは、交通局が、事故後にこの委員会で行った報告にはなかったものですけれども、なぜ報告されなかったんでしょうか。
○太田安全管理担当部長 現地に急行した係員が到着した際には、火花や煙は発生しておらず、車内の安全を確認しております。
なお、車両は、国が定める火災対策基準を満たしており、また、事故発生時には、変電所において電気を遮断する安全装置が働き火災には至っておらず、火花や煙の発生は一時的な事象であったと考えております。
○斉藤委員 今、当時の状況をお話しいただきましたけれども、私が聞いたのは、なぜ委員会で報告していなかったのかということなんです。お答えいただけますか。
○太田安全管理担当部長 繰り返しになりますが、現地に急行した係員が到着した際には、火花や煙は発生しておらず、車内の安全を確認しております。
○斉藤委員 到着した際には、車内は火花や煙は発生していないということなんでしたよね。
では、伺いますが、当時、この再送電を行ったときに、火花や煙が発生したことはどのように確認したんですか。
○太田安全管理担当部長 指令員が、通報器を通じて、駅間に停止した列車の乗客から、けが人の詳しい状態を確認している際に、火花や煙が発生していたことも併せて伺っております。
○斉藤委員 ということは、今のご答弁から、当時から乗客の方から聞いていて、交通局は、脱線を確認する前に送電していたということ、当時からつかんでいた。そのときに、火花や煙が発生したということを分かっているわけですね。何で、ここでそれが報告にないのかということ、これを聞いているんです。しかし、お答えありませんでした。火災には至っておらず、火花や煙の発生は一時的な事象であった、だから報告しなかったということなんですかね。しかし、これでは、これ信頼性に関わる問題だというふうに思います。理由もまともに答えないという姿勢では、いざというときに何かあっても、また事実が隠されてしまうということがあるのか、こういう疑問も持たざるを得ません。
国の調査では、乗客からの証言をきちんと取り上げて、送電時の確認を行うように、この報告書で勧告をしているわけです。重大な問題だったというふうに思います。その報告がないと。今聞かれても、まともに答えなかった、理由を答えないと。こういう姿勢では、本当に安全を任せられるのか、疑問を持たざるを得ません。
今後は、このように事故の際に起こったことを一部でも隠すようなことは絶対にしないでいただきたいということを強く求めます。
そして、疑問に思ったことが、脱線したことをどのタイミングで交通局は把握したのかということです。
車両が脱線したということは、どのように確認したのか伺います。
○太田安全管理担当部長 現地に急行した係員が、当該列車の先頭車両の脱輪を確認したものでございます。
なお、火花の発生について隠蔽しているものではございません。
○斉藤委員 隠蔽していないといいましたけど、でも、報告していないのは事実ですよね。
現地に急行した係員が、当該列車の先頭車両の脱輪を確認。これは、私も、ここで改めて認識したんですけれども、車両が脱線しているということは、システム上で分かるということではないということなんですね。目視で確認することが必要なんだと。
しかし、ご存じのとおり、日暮里・舎人ライナーは無人走行で、駅にも、日暮里と西日暮里以外は無人になっています。係員が駆けつけるまで時間がかかる、そういう状況です。全ての車両ごとに異常がないことを確認するには相当の時間がかかるというふうに思います。重大な事故が起きたときに、係員が駆けつけるまでに時間がかかるということを考えると、災害時に大きなリスクを負うことになっているということを改めて実感しています。
さらに伺いますが、当時、係員が脱線した車両に駆けつけたのは、事故発生から三十分後でした。三十分かかった理由には、こうした再送電時のトラブルがあったことが影響していたということなのか伺います。
○太田安全管理担当部長 当初、列車の乗客にけが人の状況を確認しつつ、舎人駅へ動かして救援する手配を行っておりましたが、その後、列車を動かせないことが判明したため、係員を当該列車に向かわせることとしたものでありまして、再送電を行ったことが到着時間に影響したものではございません。
○斉藤委員 再送電が影響しているものではないというご答弁なんですけれども、しかし、脱線していることに気がつかずに送電を行い、そこで初めて列車が動かないということが分かり、現地に向かっているのですから、その作業の時間の分だけ遅れているということはいえるんじゃないでしょうか。
様々な問題が見えてきますが、今後、このようなことが起こった場合にはどのような避難誘導を行うのか伺います。
○太田安全管理担当部長 震度五弱以上の地震発生時は、現場の状況を確認するまで再送電を行わず、保守部門も含め、最寄りの職員が現場に急行し、乗客の避難誘導に当たることといたしました。
○斉藤委員 国の勧告のとおり、まず、車両の確認のために、車両ごとに駆けつけなければならないということになります。今ご答弁で、保守部門も含めて現場に急行するということでした。今の巡回の係員だけでは足りないということがはっきりしているのではないでしょうか。
私は、繰り返し、巡回の係員の増員や駅への駅員の配置も求めてきました。今回の事故検証を受けて、このことが改めて課題として浮き彫りになっているのではないでしょうか。巡回の係員の増員、それから、駅係員の配置、改めて検討していくよう強く求めるものです。
次に、浸水対策について伺います。
交通局では、先ほども質疑がありましたけれども、浸水対策の強化に向けて、浸水対策施設整備計画をこの二月に策定しています。二〇一五年の水防法改正に伴って、想定し得る最大規模の降雨や高潮による氾濫を想定した新たな浸水予想区域図などが公表され、これに基づいて、地下鉄での浸水対策を強化する計画だということです。
都市型水害のほか、荒川が氾濫した場合の洪水への対策、高潮による浸水への対策が示されています。私も拝見させていただきましたが、対策前のシミュレーションと対策後のシミュレーションの比較で、対策を行った後は、地下鉄への浸水被害が低減されるということが分かります。
関連して幾つか伺いますが、荒川右岸の二十一キロメートルの破堤や高潮を想定した場合の対策を行った後でも、トンネル内が満水になる路線が幾つか残る状況になっていますが、これはなぜなのか伺います。
○生越技術企画担当部長 浸水のおそれのある出入口等のうち、浸水深が深い一部の箇所につきましては、建て替えなどの抜本的な対策が必要でありまして、今回策定した整備計画のスケジュールにはよらず、駅の大規模改修等の機会を捉えて対策を検討、実施することによるものでございます。
○斉藤委員 浸水深が深い一部の箇所は、抜本的な対策が必要で、駅の大規模改修などの機会を捉えて対策を行っていくということです。
今回の整備計画のスケジュールだけでは収まらない対策も必要だということですが、ぜひ都民の命を守るために、乗客の命を守るために、大規模改修にも計画的に臨んでいただきたいというふうに思います。
改正水防法では、浸水対策について、避難確保・浸水防止計画を策定したときは公表するということが求められていますが、その取組状況について伺います。
○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、水防法に基づき、避難確保・浸水防止計画を全ての駅で策定するとともに、各駅で閲覧できるようにしております。
また、浸水想定区域に位置する全四十一駅分については、局ホームページにも掲載しております。
○斉藤委員 以前の質疑でも伺ってきたんですけれども、避難確保や対策について、ふだんから分かりやすい方法で都民にお知らせしていくことが大事だと、利用客の方にお知らせしていくことが大事だというふうに思っています。
東京メトロでは、車内に東京メトロの水害対策という広告大のポスターが貼られています。どんな対策をしているのか一目で分かるようになっていて、利用者としても、とても参考になるものです。交通局でも、駅構内や電車内の広告、ディスプレーなどを活用して、水害対策の取組や避難経路などの掲出をするなど工夫を行って、利用者に分かりやすく水害時の対応についてお知らせをしていただきたいというふうに思います。
止水板や防水ゲートなどのハードの対策と同時に、ソフト対策、避難訓練なども大事な取組です。
大規模な浸水が想定される場合は、早めの浸水防止対策と避難誘導が重要ですが、そのための訓練はどのように行われているのか伺います。
○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、大規模水害の発生が予見される場合には、お客様の安全確保の観点から計画運休することとしており、タイムラインに基づく訓練を実施しております。
また、施設や設備の浸水に備え、駅係員が防水扉を稼働させたり、止水板を取り付けるなど、被害の軽減を図るための手順を定めており、これに基づく訓練を実施しております。
○斉藤委員 タイムラインに基づく訓練など、大切な取組だと思います。乗客の命と現場の皆さんの命が守られるよう、着実に対策を進めていただきたいというふうに思います。
次に、四つ目のテーマですけれども、公共交通の在り方についてです。
交通局では、新型コロナの感染拡大以降、乗客の減少によって料金収入が減収するなど、厳しい状況が続いております。
先ほど来からも質疑がありますけれども、その一方で、都民の暮らしや経済活動を支えるためにも、公共交通を維持していくということは必須の課題です。特に、公営の交通機関として、交通局は、都民の移動の権利の保障、これを守る視点が一番に求められているというふうに思います。
その点から幾つか伺いたいと思いますが、まず、バスの減便についてです。
コロナ禍の二〇二一年度以降に減便になっている都バスの路線の数と本数について伺います。
○佐藤バス事業経営改善担当部長 令和三年度以降のダイヤ改正におきまして、減便となりましたのは、平日、土曜、休日のいずれかで一便だけ減少した路線も含めると、六十二路線、平日一日当たり三百二十一便でございまして、これは、平日全体の便数の約三%に当たります。
○斉藤委員 二〇二一年以降、減便しているのは、六十二路線、三百二十一便、平日全体の約三%が減便をされているということです。
これに関連して伺いますけれども、新年度予算では、交通局の定数が三十一人の減になっています。理由は、バスの減便によるものなのか伺います。
○豊田総務部長 交通局の令和五年度職員定数は、安全管理体制の強化等に伴い増員する一方、バス路線やダイヤの見直しなどに伴う減員もあり、差引き三十一人の減員となってございます。
○斉藤委員 差引きで三十一人の減ということです。実際には、バスの運転手の退職者不補充という形で、三十八人の減員だというふうに伺っていますので、定数削減の大きな理由が、このバスの減便によるものだということだと思います。
私の地元でも、足立区梅田から浅草までの路線と、それから、北千住駅から駒込病院前までの路線、そして、王子駅前から新田一丁目、王41ですけれども、これらの路線が二月から減便をされているという状況です。これらのバスは、駅から遠いエリアを回って運行しているので、交通不便地域の方々にとって、まさに貴重な移動手段になっています。減便されたら外出しにくくなるという声も届いています。
減便をしても影響が少ないところを選んでいるということで伺っておりますけれども、こうした減便が続けば、ますますバスに乗りにくくなり、バス事業も先細りになってしまうのではないでしょうか。バスの運転手も成り手不足で、一度減らしてしまえば、回復していくのは本当に大変なことになります。公の公共機関として、都バスはなるべく維持していく努力をしていただきたいというふうに思います。
また、それと同時に、どう維持していくのか、都バスの今後の需要変化も併せて、改めて考え方も転換していくということも必要ではないかというふうに思っています。
そこで伺いますけれども、都営交通の在り方、経営について、交通局は、有識者会議を設置しています。
この都営交通の経営に関する有識者会議の第一回目の会議が十二月に開かれたところですけれども、この会議が設置された経緯について、改めて伺います。
○神永企画担当部長 コロナ禍後の乗客数の回復が想定よりも鈍いことや、電気料金等の物価高騰など、都営交通を取り巻く事業環境が厳しさを増す中、持続可能な経営基盤の確立に向けて、幅広い見地から意見、助言を得ながら方策を検討するため、外部の委員で構成する会議を設置いたしました。
○斉藤委員 厳しい中でも、持続可能な事業を目指していくということは重要です。幅広い見地から意見と助言を得ながら方策を検討するための会議だということですが、先ほどのご答弁では、令和七年、二〇二五年以降ですかね、この計画にも反映していくということですので、大事な転換点にもなってくるのかなというふうに感じています。
同会議の十二月の第一回目では、主にどのような議論が出たのか伺います。
○神永企画担当部長 第一回目の会議では、将来の収益につながる投資の必要性、運賃設定や負担の在り方、バリアフリーの推進など、多岐にわたるご意見をいただいたところです。
○斉藤委員 まず、運賃、料金の引上げということも出ているというところもありましたけど、これは安易にやるべきではないということは、まず、指摘しておきたいというふうに思いますが、この会議の議事録を私も拝見させていただきましたが、そのとおりだなと思う意見もたくさんありました。
例えば、高齢化が進む中で、公共交通の需要が少なくなる、そういうことではなくて、公共交通にとっては、高齢者の需要開拓のターゲットにもなり得るという発言もありました。高齢で自動車利用が困難になる人が増えていく状況があると、そういう視点を持っていただきたいという意見がありました。また、カーボンニュートラルという視点も挙げられて、バスも地下鉄も含めた公共交通は、自動車の移動よりもCO2排出の削減という点からも利点があるという大事な考え方だというふうに思います。
さらに伺いますけれども、都市整備局において、二〇二〇年十月から、東京都における地域公共交通の在り方検討会が開催され、地域公共交通の目指すべき姿や都が講じるべき施策の方向性の検討が行われてきました。その内容が、東京都における地域公共交通に関する基本方針として、昨年度末に発表されております。
交通局は、一交通事業者としてこの検討会に参加をしてきたと伺っていますけれども、どのようなことを都に求めてきたのか伺います。
○佐藤バス事業経営改善担当部長 お話の検討会には、交通局もバス事業者としての立場から委員として参画しております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、各事業者とも乗車人員が大きく落ち込む中、検討会におきまして、東京バス協会からは、これまでのような路線網の維持は困難となっているため、都としての財政的な支援が必要といった意見が出ており、交通局といたしましても、事業運営上抱えている課題などについて情報提供を行うとともに、行政の支援の在り方等について意見を述べてきたところでございます。
○斉藤委員 東京バス協会からは、これまでのような路線網の維持は困難であり、都としての財政的な支援が必要だといった意見が出たということ。また、交通局としても、行政の支援の在り方等について意見を述べてきたということです。
以前にも取り上げさせていただいていますが、私はこの検討会の議事概要を興味深く拝見させていただきました。昨年取りまとめられたこの東京都における地域公共交通に関する基本方針の中身よりも、ある意味、中身の濃い生の意見交換がされていたように感じています。ご答弁のとおり、民間のバス事業者さんも、都民の貴重な移動手段を支える事業として、独立採算だけでは維持ができない、こういう状況に直面しています。都営交通としても同じ思いがあるのではないでしょうか。
世界に目を転じれば、今、欧州を中心に、鉄道事業者も公営に転換しているという事例が多くあります。ヨーロッパでは、地域公共交通を民間の商業ベースでは供給できない社会に必要な公共サービスとして位置づけて、公的責任を明確にしています。厳しい状況だからといって、市場原理で縮小していくということではなくて、公共交通を守る、公的責任で、分かりやすくいえば、一般会計の支援を行って、支えて、都民の公共交通を守る、こういう視点にシフトしていくということが、今、本当に東京にも必要だということ、このことを申し上げて、最後のテーマに移ります。
駅業務の委託についてです。
都営地下鉄の駅業務の委託の契約内容が、労働者派遣法の違反のおそれがあるとして、厚労省の東京労働局から交通局が指導を受けた、指導票を受けたということが、昨日の夕方、メディア各社で一斉に報じられました。
報道によれば、委託を受けている東京都営交通協力会のスタッフが、交通局の職員から日常的に指示があったとされ、実態は労働者派遣なのに、委託の形にして厳格な規制を免れる偽装請負だと訴えているというそういう記事になっておりました。
この問題は、私が十一月の質疑で取り上げて、法を遵守した駅業務の在り方になっているのかと問題提起をしたものです。
その後に労働局の調査が入り、指導を受けたということですが、駅業務の交通協力会への委託について、労働局から労働者派遣法の違反の疑いで指導票を受けたことについて、その指導の内容について伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 指導票は、調査の結果、法令違反の事実は確認されなかったが改善の必要があると判断された場合などに交付されるものでございます。
一般財団法人東京都営交通協力会と締結しております駅業務の委託契約の共通仕様書の一部記載につきまして、発注者である交通局が、受託者である協力会に指揮命令できる余地が認められ、法令違反の事実は確認されませんでしたが、労働者派遣における派遣先とみなされるおそれがあることから、点検、確認を実施し、改善措置を講ずるよう指導を受けたところでございます。
○斉藤委員 共通仕様書の一部について、交通局が交通協力会に指揮命令できる余地が認められたということです。
報道でも、契約書の不備で、広範囲の指示が可能だったと労働局が判断したというふうにされています。
私のところにも直接声が届いていますが、駅業務の中で、実際に交通局職員から、構内放送や車椅子利用の方の送迎など直接指示を受けているという話を伺っています。これでどうして委託といえるのかという疑問の声です。
公の機関がこうした法律違反の疑い、これを指導されるようなことは許されることではないと思いますが、交通局は、今回の指導をどのように受け止めていますか。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、安全性やサービス水準を維持しつつ、経営の効率化を図るため、駅業務の委託を実施しているところでございます。
今回の指導を受けたことから、疑念を持たれることのないよう適切に対応してまいります。
○斉藤委員 疑念を持たれることのないように適切に対応するということは当然ですけれども、それがどのように実践できるのか、都民や労働者の方々に明らかにしていくということが求められているというふうに思います。そのためにも、今回どのような指導を受けたのか、公の立場として、都民に明らかにする必要があると思います。
労働局から受けた指導に関する文書を自ら開示して明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 本件につきましては、積極的に公表するものではございませんが、指導票の内容は、先ほど答弁したとおりでございます。
なお、仕様書の一部記載につきまして改善の必要があると判断されたものであり、法令違反の事実は確認されておりません。
○斉藤委員 今ご答弁で、指導票の内容は答弁したとおりということなんですが、それで全てなのかどうかというのは分からないんですね。
それから、法令違反ではなく、あくまでも疑いなんだということをご主張されたいのだと思いますが、そうした疑いから、指導を受けるということ自体、重大なことで、まともな反省がなければ、本当に改善できるのか、その姿勢が問われているというふうに思います。
この指導票をここで公表する考えはないということでしたので、こちらから聞くしかないのですけれども、先ほどのご答弁で、駅業務の委託契約の仕様書の一部について、交通局が協力会に指揮命令ができる余地が認められたということでした。
その仕様書について、私たちは、昨年、開示請求をしていまして、この手元に持っている、これ仕様書なんですけれども、これを私も中身を拝見いたしました。(資料を示す)交通局が駅業務の委託先の東京都営交通協力会に出している駅業務の委託共通仕様書、特記仕様書というものもありますが、これがあります。
その中で、異常時、そして緊急時の取扱いというのが定められていて、事故、災害が発生した場合または発生が予想される場合には、旅客の安全を最優先とし、受託者は委託者と協力して対処することとあります。つまり、こうしたケースの場合は、直接的なやり取りが委託者と受託者で発生しても構わないと、こういうものだと思うんですけれども、具体的な事例が並んでいる中で、その中で、その他事故が発生したときという記載があります。
具体的には、どのようなケースが当てはまるのか伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 例えば、数年前、他社で発生しました鉄道内における刺傷や放火事件のような通常起こり得ない人命に関わる緊急の事態を想定しております。
○斉藤委員 今のご答弁は、非常に分かりやすい、ある意味典型的な事故、異常の状況、ケースをお答えいただいたというふうに思うんですが、しかし、その他事故が発生したときという文言になっているということなので、そういうことだけに限定されず、例えば、窓口業務で苦情を受けて収拾がつかないときなどに、交通局職員である助役に直接指示や判断を仰ぐとか、こういう通常業務の範囲内で起こり得ることも含まれる余地がある、そこが、つまり指摘された、交通局が協力会に指揮命令できる余地が認められるということ、こういう指摘になったのではないかというふうに思います。
そもそも駅業務の指揮命令系統というのは、協力会のスタッフへは協力会が行うというものが通常の正しい委託の在り方ですけれども、協力会は、九時から五時の営業時間しかいないために、二十四時間対応の駅業務には対応ができません。協力会のスタッフの中に局職員との連絡を担う責任者を定めているというようなことのようなんですけれども、その方々も、いないときもあれば役割が曖昧になっているということ、現場の方から聞いています。こうしたことでは、確かに労働者派遣の実態になっているのではないか、こういうことは明らかではないかと思います。
今後に向けてですけれども、今回の指導票を受けて、交通局はどのような改善をするのか伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 現在、指導内容に従いまして、点検、確認を行っているところでございます。
○斉藤委員 指導内容に従ってということなんですけれども、今のままでは、どんな指摘を受けたのか、都民には明白には分からないままです。交通局は、どんな指摘を受けたのか、何点の指摘があったのか、こういうことも含めて、改めて明らかにする必要があるということを重ねて強く求めます。
そして、今回は、同じ内容で東京都営交通協力会も労働局から是正指導を受け、さらに、協力会は、亀戸労働基準監督署から是正勧告も受けたと報道されていますが、それぞれ指摘を受けた法令違反の内容について伺います。
○豊田総務部長 一般財団法人東京都営交通協力会からは、労働者を募集する際に、労働条件をホームページへの掲載や口頭により示していたものの、書面で交付していないことについて、東京労働局から是正指導を受けたと聞いております。
また、一部事業所において、時間外労働に対する割増し賃金が支払われていない例があったことや、点呼記録に出退勤の時間が記録されていなかったことについて、労働基準監督署から是正勧告を受けたとも聞いております。
なお、これらについては、速やかに是正を図っていると聞いております。
○斉藤委員 東京都営交通協力会は、労働者派遣法の違反の疑いのほか、労働条件について労働者に書面で交付していないことで、職業安定法の違反、これを労働局から指摘をされていて、是正指導を受けたということ。さらに、労働基準監督署からは、出退勤の記録を取っていないということ、それから、時間外労働に対する割増し賃金が支払われていない例があった、こういうことで労働基準法の違反も指摘をされたと。是正勧告を受けているということです。
東京都の公共交通の中心を担う都営地下鉄、これを支える現場の方々が、このようなずさんな体制の中で働かざるを得ない状況に置かれていたということに対して、交通局は無関係なことではないというふうに思います。
協力会は、交通局の事業協力団体です。交通局自身の襟を正していくということと同時に、働く方々の労働環境の改善につながるように、交通協力会の法令の遵守を交通局としても働きかけていく必要があると考えますが、いかがですか。
○豊田総務部長 交通局では、安全性やサービス水準を維持しつつ、経営の効率化を図るため、駅業務の委託を実施しているところでございます。
今回指導を受けたことから、疑念を持たれることのないよう適切に対応いたします。
また、事業協力団体は、自らの責任と判断の下、事業運営を行うものであり、従業員の労務管理については、法令等に基づき、東京都営交通協力会がその責任において適切に対応するものと認識しております。
なお、本件については、情報提供があった際に、既に協力会に対し、改めて法令等を遵守するよう求めており、協力会は是正を図っているところであると聞いております。
○斉藤委員 法令を遵守するようにと既に求めたということですけれども、今後も、都営交通を支えている現場で働く皆さんがどういう状況に置かれているのか、きちんと目を配っていただくように求めます。
そして、根本的には、専門性の高い駅業務、また、運転に関わる業務にも近い役割を担っている駅業務を委託で行わせるということには大きな矛盾もあるというふうに思っています。前回の質疑でも取り上げましたが、民間の鉄道事業者でも、駅業務の委託は法令を遵守した形で行うのは難しいということから、会社の直接採用に切り替えているという流れがあります。
民間事業者が、法令遵守のために変わっているという中で、公の機関である交通局が、偽装請負になりかねない状況を続けるということは許されませんし、見直しが必要なことだというふうに思います。
今回の指摘を踏まえて、駅業務の直営化を進めていく、こういうことも検討していくことを強く求めて、質問を終わります。
○大山委員長 それでは、この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時二十五分開議
○大山委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西沢委員 私からも聞かせていただきたいと思います。
昨今の状況を踏まえて、経営計画については、昨年、私もいろいろと聞かせていただきましたし、今日もいろいろと議論がありました。コロナを受けて、引き続き厳しい状況に都営交通があるというようなことであります。そのことについては、私も同じ認識を持ちつつも、改めて、毎回申し上げておりますけれども、都営交通、公営企業の役割は、公共の福祉を増進するためというようなことを改めて認識をしなければいけないというふうに思っています。
その上で、三月二日の東京新聞の朝刊を見て、私はすごくびっくりしました。ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、三月二日の東京新聞の朝刊の一面は、首都圏多くが十八日から初乗り十円アップという見出しで、鉄道も値上げラッシュという一面記事が載っていました。その中には、JRであったり、メトロであったり、東武鉄道、西武鉄道が十円アップするというような表が載っておりまして、ここに都営地下鉄も十円アップということが書いてありまして、私は、いよいよ都営交通も値上げなのかというようなことでびっくりいたしました。ただ、よく読むと、小さな字で、都営地下鉄は、東京メトロの改定に合わせ、一部駅のみ決定というように書いてありまして、これは、改めて、百七十円から百八十円に引き上げるということは、バスも含めてですけれども、都営バスや都営地下鉄の全体で値上げをするわけではないというように私は理解をしておりますが、確認したいと思います。
改めて、都営地下鉄の一部区間で百七十円から百八十円に値上げというふうに書いてある、この理由についてお伺いしたいと思います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄の初乗り運賃は百八十円でございますが、三田線の目黒駅から白金高輪駅の区間につきましては、東京メトロ南北線と施設を共用しており、運賃を東京メトロの初乗りに合わせまして百七十円に設定しております。
このたび、東京メトロが鉄道駅バリアフリー料金を加算することに伴い、同社の初乗り運賃が都営地下鉄と同額の百八十円となることから、当該区間の運賃も変更となるものでございます。
○西沢委員 百七十円から百八十円と書いてあるから十円値上げなのかとびっくりしますが、そもそも上限の運賃が条例で定められているということですから、最初から百八十円だったと。確かに、条例案が出ているわけでもないし、都議会で議論しなくて、いきなり値上げだということはないだろうというふうには思いましたけれども、ちょっとびっくりはしました。びっくりはしたんですけれども、やはり、このご時世、値上げというものがかなり進んできていることは、都民の皆さんも、私たちも、多く感じているところであります。
そんな中で、私たち都議会立憲民主党としては、賃上げを求めていく、そういった政策を進めていくという立場でございます。この運賃については、まず申し上げたいのは、安易な値上げは当然するべきではないということであります。ただ、経営の圧迫をするということも当然よくないというように思います。賃上げに結びつくような形にするべきではないかというようにも考えているわけであります。そのことを申し上げた上で、議論が必要なのかなというようにも思っています。
運賃を変更するに当たっては、条例改正が必要だということは認識してはおりますけれども、条例改正だけではないはずだというふうに思っております。
ここで改めて確認したいと思いますが、運賃改定に必要となる手続について、地下鉄、それからバス、それぞれについてお伺いしたいと思います。
○神永企画担当部長 運賃改定に当たりましては、地下鉄においては東京都地下高速電車条例、バスにおきましては東京都乗合自動車条例の改正を行う必要がございます。
その後、国土交通省に認可申請を行い、運輸審議会への諮問、答申等を経た後、大臣から認可を受けることになります。
○西沢委員 条例改正が、当然、地下鉄においてもバスにおいても必要であり、その後、国交省に認可申請を行って、審議会で議論された上でということでありました。
当然ですけれども、その前に、これは国と調整が図られるものだろうというようには思います。そうなると、やはり、判断は東京都、東京都というか東京都交通局が、実際には判断をして、そして、我々都議会の方で議論して議決するというような手続になるんだというように思います。一義的には、まず、やはり都営交通が判断するというようなことだと思うんですね。
そういった状況の中で考えれば、どういうふうなときに運賃を変えるのかと。どのような基準に基づき運賃改定の必要性を判断するのか、地下鉄とバス、それぞれについてお伺いしたいと思います。
○神永企画担当部長 運賃収入は、都営交通の経営における基幹的な収入でございまして、その改定については、地下鉄、バスのいずれにおきましても、足元の経営状況のみならず、中長期的な見通しも踏まえながら総合的に判断する必要があると考えております。
○西沢委員 総合的に判断をするということで、具体的な基準は持っていないというようなことを確認させていただきました。
であれば、運賃の改定の際には、分かりやすく丁寧な理由の説明というものが当然求められるというふうに思います。民間の会社の値上げが、今、どんどん始まっているということでありますが、その民間以上に、説明をしっかりと尽くすことが求められると思います。
民間企業も、もちろん公共交通の果たす役割を担っているものだと思いますが、どうしても民間の会社は、利益を追求しなければいけませんし、株主に説明をするということかと思いますが、やはり、改めてですけれども、公営企業としての都営交通の場合は、都民の皆様に対しての説明というものになりますし、議会に対しても、当然そういったことが求められるということを申し上げておきたいというように思っております。
この運賃の改定は、現場で働く方々についても、大変関心を持っているところであります。先ほども申し上げましたが、私たちは、やはり、働く方が、どんどん給料が上がっていくという社会が望ましいというように、みんなそう思っていると思いますけれども、そうした中において、過去には、運賃の改定をするに当たって、自ら示さなければ、より丁寧な説明といいましたが、そのためには、やはり自分たちで身を削る部分もなければいけないという議論もあったかと思いますし、今は情勢が変わってきて、そういう状況ではないとは思いますが、この給与についても、大変心配するところであります。
知事部局では、昨年、人事委員会の勧告を踏まえて、給与条例を改正しまして、給与表を四年ぶりに、特別給は三年ぶりに引き上げたわけでありますが、交通局の会計状況をお伺いしたいと思います。
○牧野職員部長 交通局におきましても、昨年、知事部局と同様に、給料表及び特別給を引き上げております。
○西沢委員 公営企業は、知事部局とは別に給与を定めることができるわけだけれども、知事部局と同様の対応を取っているというような答弁でございました。
先ほどもいいましたように、経営状況というものが引き続き厳しい状況という中においても、知事部局に合わせているということでございますから、目の前の値上げとか、値下げとかもそうですけれども、そういったものに左右されるものであってはいけないのではないかというふうに思いますし、今の答弁だと、実際にはそういうふうにはしていないよと、運賃を上げたから、現場で働く方の給料が上がるとか下がるとか、そういったことではないよということでございました。改めて、今、社会全体の状況を見てみると、やはり社会全体として賃上げをしていこうという機運が高まっているのだというふうに思います。
私が初当選させていただいた十三年くらい前は、当時は、給料は安くしろとか、公務員の給料は二割カットだ、議員の給料も、今もカットしていますけれども、議員の給料もカットすべきだとか、議席がない方がというような風潮がありましたが、大きく時代は変わったのではないかなと思います。ぜひ、そうした中での対応を改めてお願いしたいということを申し上げたいと思います。
続いて、浸水対策施設整備計画についてお伺いをしていきたいと思います。
今回、報告事項を報告いただいておりますので、せっかくですので、ここについて聞いていきたいというふうに思います。
この浸水対策施設整備計画の目的が、災害に強い都営交通をつくるというようなことで、この目的には、私も大変共感するものであります。何度もいっていますが、公共の福祉を増進させるということにおいて、都営交通が、やはり災害に弱いというようなことがあっては、万一災害が起きた際に対応できずにいるということになってしまいますから、災害があっても、より公共交通の役割を果たすというようなことから、こうした計画をつくったことは重要であるというように感じているわけであります。
都営交通のバスを移動させるというような計画のところでございますけれども、今は都営バスは千五百台ぐらいあるというように聞いておりますけれども、浸水時、都営バスは、事前に車両を非浸水区域に避難させるということだというふうに思いますが、この台数、避難車両台数は何台なのかお伺いしたいと思います。
○櫻庭自動車部長 発生する水害の規模や地域によって被害を受ける営業所は異なりまして、荒川氾濫の場合には、浸水のおそれのある営業所は六か所、在籍車両は約六百両を見込んでおります。
○西沢委員 荒川の氾濫の場合を想定すると六百両ということで、都営バスの四割ぐらいになるんですかね、かなりの数を移動させるというようなことでございます。
このかなりの量を移動させるということになれば、ちょっと心配なのが、交通に混乱が生じるのではないのかというようなことであります。当然ですけれども、浸水が予想されるような大雨が来れば、民間の一般車両も同様に避難をするというようなことなんかも考えられるのではないかと思います。
そうすると、交通に混乱が生じるのではないかと思いますが、どのように考えていらっしゃるのか、見解をお伺いいたします。
○櫻庭自動車部長 大規模水害時には、一般車両に対して交通規制がかかるとされておりますけれども、それでも道路渋滞が発生する可能性があることから、バスの避難に当たりましては、道路混雑の状況などを適宜収集いたしまして、あらかじめ用意した複数の避難経路の中から円滑に避難できる経路を選択するなど、適切な対応に努めてまいります。
○西沢委員 事前に綿密なシミュレーションが求められるのだと思います。ある程度、この川が氾濫するのではないかということを想定すると、幾つか道が決められると思います。当然ですけれども、都営交通の都営バスだけが避難するわけでもありませんし、そもそも避難するべきなのかどうかというところで、混乱が、情報も錯綜すると思われます。そうした中で、他の交通や車両を干渉しないように、シミュレーションしてやっていただきたいというように思います。
この車両を避難するときの判断基準についてお伺いをするわけでありますが、二〇一九年に台風十九号が来たときのことを思い返すと、記憶に新しいわけでありますが、当時は、特別警報まで発令をされまして、総合防災部でも、応急対策本部という災害対策本部が設置される前に、既に対応する本部が設置をされるなど、かなり未曽有の被害が出るのではないのかというようなことが事前から分かっておりました。実際、多くの方が被害に遭われて、都内でも亡くなられた方がいらっしゃいましたという災害があったわけでありますが、そのときは、堤防の決壊というようなところまでは行きませんでしたが、ただ、このときでも、もちろん車両避難というものは、当時、今回の計画があれば、するものだったのではないかなとは思います。
この車両避難の判断基準、どういったときにどういう基準で判断するのかをお伺いしたいと思います。
○櫻庭自動車部長 気象情報や危険水位などの河川情報、東京都災害対策本部や各自治体の情報といったものを総合的に勘案いたしまして、浸水により車両が被害を受けるおそれが見込まれる場合に車両避難を実施することとしております。
○西沢委員 総合的に判断をするというようなことは当たり前だと思うんですけれども、台風十九号のときは、もう事前に特別警報、特別警報というのは、当然場所にもよりますけれども、普通の警報をはるかに超える大雨、重大な災害の起こるおそれが著しく高まっている、最大級の警戒を呼びかけている状況ですね。
先ほどもいいましたけれども、東京都総合防災部でも、応急対策本部が設置をされるということですから、総合的に勘案する間もなく、車両避難をすぐに実施するようなそうした対応、つまり、緩くというのはおかしいんですけれども、要するにいいたいことは、私は、空振りに終わってもいいから、そういう対応をすぐしようじゃないかということです。東日本大震災のときでも、百回避難しても何もなかったということでもいいじゃないかということが教訓として語られます。空振りに終わったとしても、当然ですけれども、一回被害に遭えば、それで、それまでの訓練であったりとか、全く意味をなさないものになってしまいます。
また、今回は大丈夫だというような、正常性バイアスというようなことがよくいわれます。今回は大丈夫だろうと、うちは大丈夫だろうと。そういったことから、こうした明らかに台風十九号のようなときは、すぐにでも決めるというような対応でいいんじゃないかというように私は思っております。
今、空振りで終わってもいいんじゃないかということを申し上げましたが、その後、百回空振りだったとしても、車両を避難させて何も起こらなかったということでもいいけれども、当然ですが、再開というものをしていかなければいけないと思います。何回避難させてもいいぞって議会でいいつつ、その後、再開が、一週間、二週間できませんというようなことだと、それはそれで、やっぱりなかなか都民の皆様、利用者の皆様の理解を得られないんじゃないかと思います。
ということですから、この車両避難後の運行再開はどのように行われるのか、復旧手順についてお伺いをいたします。
○櫻庭自動車部長 車両の避難後、特段の被害が生じなかった場合には、速やかに車両を元の営業所に戻しまして、運行を再開いたします。
また、給油施設など、運行に不可欠な設備に被害が及んで復旧に時間を要する場合には、まずは避難先の営業所を拠点として運行の再開を図りますとともに、浸水した営業所の復旧作業を進めてまいります。
○西沢委員 復旧作業についてお伺いをいたしましたが、何分、これから始めるといいますか、この計画は二月につくられたばかりだと思いますから、当然、復旧するにしても、避難を実施するにしても、訓練というものが重要だというように思っております。
この計画の中にも、訓練を通じて対応力向上を図るというふうに書かれているわけでありますが、この訓練の内容をお伺いしたいと思います。
○櫻庭自動車部長 大規模水害を想定した車両避難訓練では、避難先の営業所へ向かう走行経路などについて指示を行った後、実際に車両を走行させまして、その間、所要時間や道路状況などを適宜報告いたしますとともに、避難先と避難元の営業所間における情報共有などを行うこととしております。
○西沢委員 この避難訓練をしっかりとしていただかなければ、絵に描いた餅になってしまいますし、逆に、浸水被害のおそれがあるというタイミングで、さらに現場を混乱させるというようなことがあってはならないと思います。
ただ、実際に避難をする従業員の方々自身も、被害に遭う可能性も十分にあるわけであります。そうした中で、どの営業所の方が、さらにその営業所の中のどのような方が対応に当たるのかというようなことも、やはり綿密なシミュレーションというものが必要になるというふうに思います。その上で、災害に強い都営交通をぜひつくっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○岩永委員 それでは、質問させていただきます。
まず最初に、日暮里・舎人ライナーの安全対策についてお伺いします。
二〇二一年十月七日に発生した日暮里・舎人ライナーの列車脱輪事故について、運輸安全委員会より鉄道事故調査報告書が公表されました。
これを受けて、今後、都はどのように対応していくのか伺います。
○太田安全管理担当部長 事故現場付近の施設に関する勧告につきましては、地震動の影響による脱輪の防止に向けて、今後、鉄道の専門的知見を有する第三者機関などを活用しながら、構造物の施設管理者である建設局と連携して対策の検討を進めてまいります。
乗客の避難誘導に関する勧告につきましては、現場の状況を確認するまで再送電を行わないこととし、駅や保守部門が一体となって、乗客の避難誘導に当たるための手順を整理いたしました。
また、その内容を異常時対応マニュアルに反映し、関係部署に周知したところであり、訓練を積み重ね、職員の対応力を向上させてまいります。
○岩永委員 必要とされる防止策や乗客の安全確保を最優先とした避難誘導の方法や手順を整理して、異常時対応マニュアルにも記載して、関係係員に周知を徹底することなどの勧告が今回出されておりますけれども、災害時に無人の駅での対応はやはり心配ですし、より迅速、丁寧に対応するためにも、改めて人の配置は大切と考えますが、いかがでしょうか。
○太田安全管理担当部長 日暮里・舎人ライナーでは、平時より、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所において、防犯カメラの映像を通じて駅構内の状況を把握しております。
また、緊急時には、指令所の指示により巡回中の係員が急行し、お客様対応を行っております。
万一、駅間に列車が停止し、運転再開までに時間を要する場合には、各駅を巡回している係員のほか、保守部門の職員も動員して現場に急行することとしており、お客様の避難誘導を迅速に行える体制を整えております。
○岩永委員 巡回はされてはいらっしゃるということですけれども、これまで、運転が無人であるというだけではなくて、基本、駅も無人であったりということの不安を、様々問題を提起させていただきましたが、ベビーカーや車椅子などの緊急時のサポート体制がどうなるのか、また、急な病気やけがの場合はどのように対応するのか、具体的に利用者の方に分かるような対応と周知をしっかりとお願いしたいと思います。
私たちはこれまでも、無人運転、無人駅の運営は心配であるとの声を多く聞いておりますので、緊急時におけるサポート体制の不安は拭えません。しっかりと取り組んでいただきますように、改めて要望させていただきます。
続きまして、香りの害、香害のポスター掲示について伺います。
昨年十一月の事務事業質疑で、都営交通での香りの害、香害対策について質問をしました。まずは、多くの人に知ってもらうことが重要と、ポスターによる周知、啓発を要望しました。その後、今年二月二十二日に、国土交通省が、交通機関での周知、啓発について通知を出しています。
交通事業者の間でも既に取組が始まっておりまして、東急電鉄が、東急渋谷駅や学芸大前駅をはじめ、各駅のデジタルサイネージで香害のポスターを掲示して広報をしているとのことです。
この通知を受けまして、都営地下鉄などの取組を伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 先月、国土交通省より周知依頼がありました香りへの配慮に関する啓発ポスターにつきましては、既に都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナー各駅に掲出をしております。
○岩永委員 既に都営地下鉄、また、日暮里・舎人ライナーの各駅に貼り出しをしていただいているということです。私も、先日、この都庁前駅で確認をさせていただきました。早速の対応をありがとうございます。
掲示いただいたことは評価をし、今後の取組にも期待をするところです。ただ、ポスターのサイズが、今、A3のサイズということで、ほかにも大きな掲示物がたくさん駅の壁には貼られておりますので、それらに比べますと、かなり小さめとなっています。できればもう少し大きく貼り出せると目につくと思います。また、東急電鉄のように、デジタルサイネージや車内のモニターを活用する方法もあると思います。
香りの害、香害の問題は、認知度が広がってきています。科学物質の影響で外出できない、交通機関も利用できないなど、当事者の方は、本当に苦労されておりますので、多くの人が利用する都営地下鉄はもちろんのこと、今後は、都営バスや、また、さくらトラムなどでも掲示をしていただき、まずは知っていただくことを進めるよう要望いたします。
続きまして、浸水対策施設整備計画について伺います。
東京都交通局浸水対策施設整備計画の策定を受け、今後の対応について伺います。
地下鉄駅等の地下空間は、地上に比べますと浸水スピードが速いですし、一旦浸水が始まると一気に水が流れ込み、避難が困難となることが予測されます。
利用者の避難誘導を含めた避難訓練が大切になると考えますが、どのような訓練をどのように進めていかれるのか伺います。
○太田安全管理担当部長 都営地下鉄では、全ての駅で避難確保・浸水防止計画を策定し、お客様を適切に避難誘導するための具体的な手順や避難経路を定めており、各駅において、これに基づく訓練を毎年行っております。
引き続き、訓練を積み重ね、職員の対応力の向上を図ってまいります。
○岩永委員 浸水対策については、今回、施設整備計画ができましたけれども、まだ道半ばということですので、訓練についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
都営地下鉄駅は、路線によっては地下の非常に深いところにホームや駅の施設がありますので、災害や非常時の停電で、エレベーターが使えなくなったときに大きな影響を受けるのではと心配です。非常時にエレベーターやエスカレーターが止まって使えなくなったときには、車椅子やベビーカーを駅の職員の方が人力で地上まで上げているとお聞きをいたしました。そのようなときに居合わせた周囲の利用者の方にも手助けいただけるよう、協力し合える風土づくりも大切だと思います。
一つの事例としてご紹介をいたしますが、神戸市の市営地下鉄では、災害時に、非常用のエレベーターが使えるのは、津波が想定される沿岸沿いの路線のみであるということから、臨機応変に乗客に非常時の支援を依頼すると、そういう内容をマニュアルに盛り込んでいかれるということです。日頃から、利用者と一緒に避難訓練をすることで、いざというときに、自分なら何ができるのかというイメージづくりにもつながると思いますので、車椅子やベビーカーの利用者を含めた、また、一般の利用者の方も含めた訓練を要望いたします。
さらに、今、外国人の利用者が増えておりますので、誰でも分かりやすいやさしい日本語でのアナウンスも併せて要望をいたします。
次に、都営交通の授乳室について伺います。
生活者ネットワークではこれまでも、子育て世代の移動のバリアフリーという視点から、都営交通にも様々提案をしてまいりましたが、先月、二月二十三日から、都営大江戸線の上野御徒町駅で、都営交通に初めて授乳室が設置をされました。
私も先日見学をさせていただきました。JRの御徒町駅と大江戸線の上野御徒町駅の間にあるツーリストインフォメーションセンター内の便利で人通りが多い場所にありますので、また、室内も明るくて安心できる場所であって、ぜひ多くの方に利用いただきたいと思いました。
そこでまず、この授乳室の周知方法と利用状況を伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 上野御徒町駅の授乳室につきましては、これまで、報道発表や局のSNS等を通じまして情報を発信するとともに、地元区とも連携し、電子版福祉マップへの登録、区のツイッターでの発信を行いました。
さらに、民間の検索サイトにも情報を登録するなど、広く周知を図っているところでございます。
開設した二月二十三日から二月末までの間で、二組のお客様にご利用をいただいております。
○岩永委員 開設まだ間もない時期ですので、一週間あまりで二組というご利用の状況ということです。
民間の検索サイトにも登録されておりまして、私も検索をさせていただきました。まずは多くの方に知っていただくために、ふだんその路線をご利用される車内でのアナウンスも効果的かと思いますので、工夫も要望をいたします。
次に、子育て世代が利用しやすいように、利用された方や子育て当事者の声を聞きながら、授乳室の設置をさらに増やしていただきたいと思いますが、この点についていかがでしょうか。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 授乳室の設置に当たりましては、駅構内という限られた空間の中でのスペースの確保や、運営に際してのセキュリティの確保などの課題がございまして、まずは、今回設置いたしました授乳室の利用状況やお客様の声等を注視してまいります。
○岩永委員 今は、様々解決しなければならない課題などもあるということではありますが、小田急電鉄におかれましては、この三月から、授乳やおむつ替えなどに使える個室のスペース、ベビーケアルームといいますが、その設置を七駅にされました。
私も先日、このことを報道で知りまして、小田急電鉄の下北沢駅にあるベビーケアルームを見学に行ってまいりました。可動式の個室で、広さは一・二八平米、使用料は無料です。非常にコンパクトなスペースでしたが、中でおむつ替えができたり、また、電子モニターもあって、授乳を待っている上の子供なども楽しめるというような工夫がされていました。
このように、鉄道各社でも子育て支援策が進んでいるということは非常に歓迎するものです。ぜひ、子育て世代の生の声を聞いて、よりよいサービスにしていただきたいと思います。
続きまして、都営バスのベビーカーと車椅子での乗車について伺います。
都営バスをはじめ、二〇二二年六月から、都内の全路線のノンステップバスで、双子用ベビーカーが乗車できるようにルールが改正をされました。
しかし、双子用ベビーカーの利用者の方からは、混雑している場合には乗車を見送らざるを得ないとか、また、ベビーカーを持ち上げることができず乗車ができなかったなど、そういったお声をお聞きします。また、乗車ができたとしても、急に泣き出したり、不慣れなベビーカーの扱いなど、心配が尽きないという声も届いております。
ベビーカーの乗車に当たって、都営バスでは、双子用のベビーカーも含めて、サポートや配慮などどのように行われているのか伺います。
○櫻庭自動車部長 都営バスでは、一人用のベビーカーをご利用のお客様がご乗車される際は、前扉からご乗車いただいて、ベルトで固定するようお願いしておりまして、お客様からの申出がある場合などには、乗務員が適宜サポートをしております。
双子用ベビーカーの場合は、お客様は、前扉から乗務員にお声がけいただいた上、中扉からご乗車いただくこととしておりまして、乗務員が座席を跳ね上げてベビーカーを固定するスペースを確保いたします。また、乗り降りされる際にベビーカーを支えるなど、適宜サポートしております。
○岩永委員 特に双子用のベビーカーを利用しての外出は、交通機関を利用する際の苦労も多く、様々な要望をお聞きします。より利用しやすくなるように、ハード、ソフトの両面でのさらなる改善も必要と考えます。
そのためにも、まずは当事者の声を聞き、今後の取組に生かすべきと思いますが、いかがでしょうか。
○櫻庭自動車部長 都営バスでは、日頃から寄せられるお客様の声を生かしてサービス改善に努めておりますほか、双子用ベビーカーにお子様を乗せたまま乗車できる取扱いの開始以降、適宜、双子用ベビーカーをご利用になる方との意見交換も行っております。
昨年十二月には、乗車体験などを行いながら、ご要望などを伺ったところでございまして、これらを踏まえて、周知方法などのさらなる改善に取り組んでおります。
○岩永委員 双子用ベビーカーの利用者との意見交換会や乗車体験も行っていただいているということです。ぜひ継続した取組をお願いします。
公営交通こそ、人に優しいユニバーサルな交通機関であるべきです。ハード面の整備と併せて、利用者同士がお互いに思いやりの気持ちを持って利用できるよう、相互理解を進める取組が重要と考えます。
都営バスでも、ベビーカーや車椅子の利用者など、サポートを必要とする方が乗車をする際に、ほかの利用者の理解や協力を得られるようアナウンスをするなどの気配りがあると安心して利用できると思いますが、いかがでしょうか。
○櫻庭自動車部長 都営バスでは、車椅子やベビーカーをご利用の方など、誰もが安心してご利用いただけますよう、車内における座席の譲り合いなど、周囲の方のご理解、ご協力について、ポスターやリーフレット、車内サイネージなどにより呼びかけております。
加えて、高齢の方や障害のある方が乗り降りに時間がかかる場合ですとか、乳幼児が泣いている場合でも、お気になさらず安心してご乗車いただくようお声がけするなど、状況に応じたきめ細かい対応ができる乗務員の育成に努めております。
○岩永委員 子育て支援が求められている中で、双子用ベビーカーを利用している方から、外出が怖いんだという声をお聞きして、とても衝撃的でした。社会の側がもっと変わっていかなければならないと痛感しました。
都営交通も、交通事業者の各社で取り組んでいる声かけサポート運動に参加をしておられます。車椅子やベビーカーを利用している方、白杖で歩いている方、ヘルプマークをつけている方、外国人など、駅の社員だけでなく、そこに居合わせた人たちがお互いに声をかけ合い、サポートする運動です。既にJRなどでも頻繁に車内アナウンスがされていますが、都営交通でも、もっと積極的に取り組んでいくことを要望いたします。
続きまして、東京さくらトラムや都バスでの自転車の乗車について伺います。
西武鉄道が、三か月間の実証実験を経て、西武多摩川線で令和三年十月にサイクルトレインを導入いたしました。
生活者ネットワークでも、脱炭素化を進めるために、環境に優しいサイクルトレインを都営交通に導入することを要望してきました。
例えば、夏休みや春のお花見シーズンなど、さくらトラムでも、自転車と一緒に乗車できる取組を始めてみてはいかがでしょうか。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 東京さくらトラムへの自転車の持込みにつきましては、乗降に時間を要することによる運行ダイヤへの影響や、車内やホームのスペースに限りがある中、他のお客様との接触による危険性があることなど、様々な運用上の課題がございます。
このため、現在、自転車を持ち込む場合には、他のお客様のご迷惑にならないよう、一定の大きさや重量の範囲内で、解体または折り畳んで専用の袋に収納していただいております。
○岩永委員 折り畳んだり、また、解体しての持込みというような形でのご利用はできるということです。
また、都営バスにおけるサイクルバスの検討についてもお聞きします。
例えば、青梅方面に行く梅70など、ツーリングに行く人たちのニーズもあると思います。見解を伺います。
○櫻庭自動車部長 一般的に、路線バスの車内は狭く、自転車を固定するスペースの確保が困難でございまして、国の規則においても、通路や出入口を塞いだり、ほかのお客様の迷惑となるおそれのあるものは持込みを認めておりません。
特に都営バスはお客様が多く、ほかのお客様が自転車に接触して負傷されるといったおそれがあることから、現在、自転車を持ち込む場合には、ほかのお客様のご迷惑にならないよう、分解して専用の袋に収納していただいております。
○岩永委員 バスにおきましても、分解して袋に入れて持ち込むというような形では持込みができるということであります。
今日のこれまでの議論にも様々出てまいりましたけれども、コロナの影響で、都営バスの利用が大分減っておりますけれども、休日などのレジャーに向けた新たな利用についても、ぜひモデル事業として実施するような検討をお願いいたしまして、質問を終わります。
○林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
初めに、大江戸線の延伸について伺いたいと思います。
我が党においては、かねてから延伸についての早期実現を要望してきたところでございますけれども、先日の予算特別委員会における我が党からの質問に対しまして、来年度、さらなる調査を基に検討を行うとの副知事答弁がございました。
交通局ではどのような調査を行うのかについて伺いたいと思います。
○生越技術企画担当部長 大江戸線延伸の事業化に当たりましては、将来的な旅客需要の見通しや事業の収支採算性の確保等について十分見定めていく必要がございます。
こうした考えの下、延伸による乗客数の増加見込みなどについて、調査、分析を進めており、来年度は、事業化について協議、調整を進めるため、将来の旅客需要や収支採算性の検証、課題の整理などを行う予定でございます。
○林委員 先日の予算特別委員会における答弁では、関係局から成る検討組織で、この調査結果を基に検討を行っていくとのことでございましたけれども、既にご承知のとおり、平成二十八年四月の交通政策審議会が、国土交通大臣対しての東京圏における今後の都市鉄道の在り方についての答申の中で取り上げられた際には、光が丘から大泉学園町までの延伸については、導入空間となり得る道路整備が進んでおり、事業化に向けて、関係地方公共団体、鉄道事業者等において、費用負担の在り方等について合意形成を進めるべきと評価をされているところでございます。
当時と現在の社会経済情勢、環境というものは大きく異なってはいるんですけれども、今後の検討に当たっては、沿線地域の振興、発展から、乗客の需要動向、採算性まで多岐にわたる課題を整理しつつ、庁内のみならず、地元の練馬区等と共に課題を共有して、連携して、一日も早い事業化に向けて取り組んでいただきたいと思います。
さて、新型コロナなんですけれども、国が感染症対策法上の分類を引き下げる方針を決定されまして、いよいよ社会経済活動の本格的な回復が期待されるところでございますが、一方、交通事業者の状況は、テレワークの定着などによりライフスタイルが大きく変化して、乗客数がコロナ禍以前の水準には回復しない見通しだということは、皆様からのご説明の中でもございましたとおりでございます。
交通局では、経営計画二〇二二により、経営の方向性を定めて事業運営を行っておりますけれども、円安とかウクライナ侵攻等に起因する物価高騰など、計画の策定時と比べて、局を取り巻く事業環境は、激変といいますか、大変厳しいものだというふうに認識しているところでございます。
例えば、昨年十二月に開催されました有識者会議ですね、私もこの議事録、拝見させていただきましたけれども、経営計画策定後の状況変化について説明をされているところがございますが、令和五年度の電気料金、令和三年度比で約二倍、軽油購入費として一・五倍の見積りを示されておられます。
このような状況下において、高速電車事業会計では、経営計画における財政収支見通しでは八十五億円の経常黒字を見込んでいたわけですけれども、令和五年度の予算案では、約七億円の経常黒字と大きく乖離をしているところでございます。
そこで、高速電車事業における予算案と経営計画の財政収支計画との乖離の要因について伺いたいと思います。
○豊田総務部長 高速電車事業における令和五年度予算案の経常収支は、経営計画に比べ約七十八億円下回っております。主な要因としては、乗車料収入について、乗客数の回復が想定よりも鈍いことから、経営計画に比べ約三十六億円の減収と見込んでおります。
一方、支出については、委託料などの削減を行ったものの、想定を大幅に上回るエネルギーや原材料価格の高騰などにより、約四十七億円増加すると見込んでおります。
○林委員 今ご答弁いただきましたとおり、令和五年度予算案の経常収支は、経営計画に比べて約七十八億円下回っているということで、物価高騰などによって想定を下回る収支を見込んだということですけれども、こういう状況においても、やはり公共交通機関の使命であります安全かつ安定的な輸送の提供を行っていくためには、安定した事業運営を行うため、より一層の経営改善への取組というものが必要であると考えています。
令和五年度における高速電車事業の経営改善の取組について伺いたいと思います。
○豊田総務部長 厳しい事業環境が今後も続くことが見込まれる中、令和五年度においても、引き続き経営改善に向けた取組を進めてまいります。
収入面においては、東京メトロや観光施設等と連携して企画乗車券の魅力を高めるなど、需要創出に向けた取組を展開するとともに、資産の利活用やお客様ニーズに即した構内店舗の誘致により関連事業収入の増加を図るなど、収益力の強化に努めてまいります。
支出面においては、安全の確保を前提に、保守点検や修繕などの実施規模を精査するなど経費の縮減に努めるとともに、老朽化の状態を見極めながら庁舎改修工事の時期を見直すなど設備投資を抑制してまいります。
○林委員 乗客数のコロナ禍以前への回復というものがなかなか見通せない中、増収に向けた取組というのがやはり非常に重要であるというふうに考えています。
これから先、超高齢化社会、人生百年時代を迎えようとしている今ですけれども、これからますます増えていくシルバー人口に向けた施策とか、また、少子化が叫ばれる中、子供、子育て世代にターゲットを当てた施策等、鉄道各社では、中長期的な展望を持った需要創出に向けての様々な取組を行っておられます。
一方で、経費の縮減、設備投資の抑制等、支出面でのご努力にもしっかりと取り組んでいただきたいんですけれども、お話ございましたとおり、また、経営計画の中にも示されているとおり、安全・安心の確保を最優先に質の高いサービスを提供して、都市活動や都民生活を支え続けていくこと、そして、お客様に信頼されて支持される公共交通機関として果たすべき責任と役割が並べられてうたわれているわけですね。
いずれにしても、交通局として積極的に検討を深めていっていただきたいと思います。
次に、浸水対策についてです。
既に数多くの議論がございましたから、一部重複していたらお許しいただきたいんですけれども、事業環境がどのような状況であっても、交通事業者にとって一番大切なのは安全・安心の確保であるんですけれども、我が党がかねてから提言していた浸水対策についても、いよいよ整備計画がつくられたとのことで、安全対策の充実というものが大いに期待されるところであります。
激甚化する風水害から都民を守る取組の一つとして、都における強靱化プロジェクトにも掲載されておりますけれども、これだけの対策を進めていくには、様々な、多くの関係者との連携、そして協力がキー、鍵といえるかと思います。
交通局の計画では、都営地下鉄については、二〇四〇年代半ばを目途に施設整備を行って、浸水範囲を縮小または解消させるとされていますけれども、地下は、東京メトロやほかの鉄道事業者とつながっているだけではなくて、地下街とか様々なビルとの接続があるわけです。
そこで、施設整備に当たって、接続している関係者とどのように連携していくのかについて伺います。
○生越技術企画担当部長 都営地下鉄と他の鉄道事業者等の施設とは地下でつながっており、地下鉄ネットワーク全体の減災を図るためには、協力して整備を進めていく必要がございます。
そのため、駅出入口、通風口など地上部の対策のほか、防水ゲート等による地下部の浸水拡大防止策について、他の鉄道事業者と施工順序を調整するなど、緊密に連携して対策を進めてまいります。
また、駅と接続している地下街やビル等の出入口につきましても、施設管理者に働きかけを行うなど、関係者と調整しながら取組を進めてまいります。
○林委員 整備効果のシミュレーションにおいても、東京メトロや接続ビルなどを併せて対策することを前提としている以上、連携の観点というものは非常に重要であるというふうに考えています。推進に当たっては、ぜひとも交通局自らが積極的に調整をお進めいただきたいと思います。
また、この計画では、施設整備に約二十年を要するとされております。止水板の設置のみならず、トンネル内への防水ゲートを整備するとなれば、相当期間を要するのも理解するところでございまして、この点に関しては、令和五年第一回定例会において、我が党から、大規模水害に備えた、さらなるソフト対策の充実について質問をさせていただいたところでございまして、車両の避難や施設の復旧の手順などを定め、訓練を通じてその実効性を高め、さらに、ほかの鉄道事業者との相互協力体制の構築に向けて協議を進めていくとのことでございました。
やはり、ソフト対策についても、局独自の取組にとどまらず、関係機関等と連携することによって、その実効性はさらに高まるのではないかと考えるところです。
都営地下鉄において、ほかの鉄道事業者等との発災時の相互協力体制を構築するとのことについての内容について伺いたいと思います。
○太田安全管理担当部長 被災後の円滑な復旧を果たすためには、要員や資機材を迅速に確保できるよう、あらかじめ他の鉄道事業者等との協力体制を構築しておくことが有効と考えております。
具体的には、相互直通鉄道事業者等との間で、レールや電線など共用可能な資材の提供や保守用車両や非常用発電機などの使用について、要員も含めて相互に支援できるようにすることなどを想定しておりまして、各社と協議を進めてまいります。
○林委員 都営地下鉄における浸水対策は非常に大切なことですけれども、ハード、ソフト両面において、関係機関とも連携しながら進めていくとのことでございました。
災害時における共助の観点からも、ノウハウや知見などについても共有しながら進めていっていただければと思います。
次に参りますが、さて、都営バスは、百年前の関東大震災の際に路面電車が壊滅的打撃を受けたために、当時の東京市民の足を早期に確保する応急措置として開業した東京市営バスを前身にするという歴史があるわけでございますけれども、ちなみに、その一台は交通局で保管されているということで、機会があれば私もぜひ拝見させていただきたいと思いますし、都民の方にもご披露いただくことを検討していただきたいと思っています。
浸水対策も同様で、大規模水害のような広範囲にわたる災害に対して、バスの機動力を早期に活用していくための方策の検討というものが必要だと思いますが、浸水予想区域内に多くの営業所を抱える中、千五百両もの車両をどうするのかなどといった課題があると考えています。
そこで、大規模水害時における都営バスの浸水対策について伺いたいと思います。
○櫻庭自動車部長 大規模水害の発生時には、都営バスの営業所や車庫、自動車工場などの施設が被害を受けるおそれがございまして、被災後、早期の復旧を果たすためには、営業運行や車両設備に必要となる設備やバス車両について対策を講じていく必要がございます。
営業所等の受変電設備については、庁舎等の改修工事に合わせて、高い場所への移設などを検討することとしております。
また、自動車工場につきましては、来年度、出入口への止水板の設置に向けた設計を行います。
バス車両につきましては、浸水しないエリアの営業所等に避難させることとし、その際の手順を整理したところでございまして、今後、訓練などを通じて対応力の向上を図ってまいります。
○林委員 東日本大震災、十二年たったんですか、あれから。道路が大混雑して、多くのバスが営業所に戻ってこられなくなる事態となったというふうに聞いております。
災害時は、職員一人一人の対応力というものが求められて、非常にそこが重要になってくることもあるんですけれども、やはり日頃から様々な想定に基づいて訓練を重ねていってほしいと思います。
今回の浸水対策は、局一丸となって取り組むための推進体制を構築するとしているんですけれども、都電や日暮里・舎人ライナーを含めて総合的に推進するとともに、関係機関と緊密に連携して、利用者の安全、そして都民の安全の確保に向け、取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、都営バスにおける環境対策について伺いたいと思います。
燃料電池バスやEVバスといったZEVの導入は、交通事業者における環境対策として重要でございますけれども、例えば燃料電池バスのさらなる導入には、営業所内の水素ステーションの整備が必要なことなど、ZEVの導入を推進していくためには、様々な課題を整理して解決する必要がございます。
そこで、都営バスのZEV化の推進に向けた取組状況について伺いたいと思います。
○佐藤バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、環境負荷低減のため、燃料電池バスの先導的な導入等を通じてZEV化を進めております。
現在、燃料電池バスを全国で最多の七十三両運用しておりまして、令和六年度までに累計八十両の導入を目指しております。
今後、大幅に拡大していくためには、営業所内への水素ステーション整備が効果的でございますが、大型設備のための十分なスペースが必要となることや、整備、運営に多額の費用を要するなどの課題がございます。
このため、敷地の形状やコスト等も考慮しながら、営業所への整備の可能性や、望ましい整備、運営管理手法につきまして検討しております。
また、EVバスにつきましては、導入に当たり、設備のスペース、航続距離や充電時間など様々な課題があることから、国に対して、国内メーカーによる開発への支援を要望するとともに、大型EVバスを運行している事業者や国内メーカーから、対策等についてヒアリングを行っております。
○林委員 燃料電池バスのお話がございました。
私も、都内の水素ステーションを見学させていただいたところでございますけれども、非常に大きなタンクも併設されて、確かに、敷地が、また費用もそうですけど、スペースが必要なんだなということは理解するところでございます。
都営バスは、以前から低公害バスの導入を進めているほか、また最近では、新聞、テレビ等でも報道されましたけど、バイオ燃料による運行を行うなど、環境対策に積極的に取り組んでおられることは承知しております。
それぞれ課題は多々あるようでございますけれども、全国有数のバス事業者として、引き続き先導的な役割を果たしていっていただきたいと思います。
最後に、運輸系人材の確保について伺いたいと思います。
昨年の事務事業質疑においては、全国的に不足する大型二種免許保有者の状況を踏まえて、バス乗務員の採用確保に向けた取組について伺ったところでございますが、駅係員や保守要員など、交通局では様々な職種の運輸系職員が最前線の現場を支えており、安全運行の確保のためには、全ての職種において継続して安定的に人材を確保していくことが重要、必要だというふうに考えております。
一方で、今後、生産年齢人口が少しずつ減少していくというふうにいわれている中、人材を確保していくのが非常に難しくなっていくことを懸念しております。
そこで、運輸系人材の確保に向けた取組について伺います。
○牧野職員部長 交通局では、電車やバスの乗務員、駅係員、車両や施設の保守を行う技術系職員など、約六千名の運輸系職員が在籍しておりまして、安定的な事業運営を行う上で人材確保は重要な課題でございます。
これまでも、運輸系職員向けの採用ホームページやパンフレットを作成いたしまして、適時、内容の充実を図るとともに、若者や女性をターゲットとして、SNSやインターネット上で広報を展開しております。
また、今年度は、関連団体と合同での採用説明会を初めて開催いたしまして、グループ一体となって人材確保に向けた取組を行っております。
加えて、技術系職員の採用が年々厳しくなってきていることを踏まえまして、令和五年度は、技術系職員に特化したパンフレットや動画を新たに作成いたします。
仕事の具体的な内容や魅力について分かりやすくPRしていくことで、必要な人材の確保につなげてまいります。
○林委員 いろいろと工夫をされながら採用PRを進めておられるようでございますけれども、技術系の職種などは、若者のいわゆる理系離れが進んでいるということもあって、今後、採用が一層厳しくなるということが考えられております。
輸送の安全を確保するためには、最後は、人が宝であり、重要だというふうに思いますし、現在はほとんどの若者の方が活用されている、いわゆるスマホですね、いつも手に持って動いて、指が動いていますけど、そういったスマホ上での広報とかPRから、地道ですけれども、学校等への訪問といった昔ながらの、意外と効果があるというふうにいわれていますけど、こういったアプローチまで、あらゆる手段の利用を検討して、よい人材の確保にご努力をいただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○村松委員 よろしくお願いします。
私からは、都営大江戸線の大泉学園町までの延伸について伺います。
地元練馬区をはじめ、延伸エリアの多くの住民は、一日も早い大江戸線延伸の実現を待ち望んでいるところです。
都は、令和四年度に引き続き、令和五年度の予算案においても、地下鉄十二号線大江戸線の延伸に関する調査を主要事業に位置づけました。
また、さきの本会議では、我が会派の代表質問に対して、大江戸線延伸の事業化について、スピード感を持って検討を進めていく旨の答弁もございました。
一方、その実現に向けては様々な課題もあるとされ、これまで検討されてきました。
そこでまず、大江戸線延伸の事業化に向けてどのような課題があるのか、改めてお伺いいたします。
○生越技術企画担当部長 都営地下鉄の乗客数は、テレワーク等の行動変容に伴い、今後も、コロナ禍前の水準への回復が見込めず、加えて、建設資材など物価高騰の影響なども顕在化しております。
大江戸線延伸の事業化に当たりましては、こうした状況も踏まえ、将来的な旅客需要の見通しや事業の収支採算性の確保について十分見定めていく必要があると認識しております。
○村松委員 将来的な旅客需要の見通しや収支採算性を十分見定める必要があるということで、このうち旅客需要については、今年度、調査、分析を進めていると事務事業質疑において確認をしております。
そこで、その後の状況について伺います。
○生越技術企画担当部長 大江戸線延伸に係る将来の旅客需要について、大都市交通センサス等の調査データを基に、将来の人口動態や既存の鉄道路線からの転換による影響も反映させるほか、コロナ禍後の乗客数の回復状況等も加味しながら、現在、調査、分析を進めているところでございます。
○村松委員 冒頭にも申し上げましたけれども、令和五年度予算案にも、引き続き、地下鉄十二号線大江戸線の延伸に関する調査が主要事業に位置づけられ、さらに増額となっております。
現在も様々な要素を加味して分析を行っているということですけれども、来年度に行う調査の具体的な内容について伺います。
○生越技術企画担当部長 令和五年度予算案では、主要事業として調査費を三千万円計上しており、沿線の開発動向や他の新規路線の開業による影響等を加味いたしまして、延伸による乗客数の増加見込みなど、将来の旅客需要を算出するとともに、結果を踏まえ、収支採算性の検証や課題の整理などを行う予定でございます。
○村松委員 臨海地下鉄や蒲蒲線など、事業化に向けて動き始めている路線もあり、こうした動向も踏まえながら、しっかりと調査を進めていただきたいと思います。
また、今後、庁内検討組織を立ち上げ検討を深めていくとのことでありますから、地元練馬区とも十分連携しながら、早期に事業化できるよう取り組んでいただくよう、改めて要望いたします。
次に、浸水対策について伺います。
近年、頻発化、激甚化する豪雨に対して、様々なところで浸水対策が見直しされているところです。
我が会派の取組として、地下鉄の浸水対策について要望してきた経緯がございます。
交通局では今年度、最新の浸水想定を踏まえた大規模水害を想定したシミュレーションを実施し、具体的な対策を定めた交通局浸水対策施設整備計画を先月策定したところです。
特に、荒川氾濫などの大規模水害では、地下鉄ネットワークを通じた浸水範囲の拡大が確認されている中で、まず、大規模水害において想定されている被害の特徴を踏まえ、どのような方針の下、施設整備を行うのか、見解を伺います。
○生越技術企画担当部長 大規模水害では、トンネルや乗換駅などの接続部を通じて浸水が広範囲に拡大することから、駅出入口等の地上部での対策に加え、地下部で防水ゲートや防水扉の整備等の対策を実施し、浸水区域の拡大を防止いたします。
実施に当たりましては、お客様への影響等を考慮しつつ、対策による効果が早期に発揮されるよう手順を定め、効率的に進めていくとともに、地下鉄ネットワーク全体の減災を図るため、他の鉄道事業者等と緊密に連携して対策を講じてまいります。
○村松委員 今般策定された整備計画では、その大規模水害への対策として、トンネル内への防水ゲートや乗換駅構内への防水扉を整備していくこととされております。
そこで、どのような考え方に基づき、この防水ゲートや防水扉の整備箇所を設定したのかお伺いいたします。
○坂口建設工務部長 東京メトロと連携して実施いたしました浸水シミュレーションを基に、トンネル内の浸水延長を可能な限り短くするとともに、乗換駅を通じた他路線への流出を防ぐ箇所について検討を実施いたしました。
その結果、浸水範囲を大幅に圧縮できる対策として、大江戸線のトンネル内など七か所に防水ゲートを、乗換駅三駅に防水扉を、それぞれ整備することといたしました。
○村松委員 整備計画策定に当たっては、シミュレーション等を重ねるとともに、慎重に検討を進め、効率的かつ効果的な整備方法を検討されていると理解いたしました。
交通局は、厳しい経営状況であることは承知しておりますが、都民の安全・安心を確保するためにも、今回策定した整備計画に基づき着実に対策を推進することをお願いして、私の質問を終わります。
○細田委員 私からは、都営バスの路線の拡充について、それから、浸水対策について、大項二点について質問をいたします。
まず、都営バス、都05-2、この路線の拡充についてです。
本路線は、東京ビッグサイト、有明ガーデンから新豊洲、晴海、築地や銀座を経由して、東京駅丸の内口へと往復する路線であります。
発展を続ける周辺の臨海地域におきましても、都営バスは、日々の暮らしを支える重要な交通機関になっています。沿線には、東京二〇二〇オリ・パラ大会のレガシーであり、一万五千人もの方々が集える有明アリーナや、有明ガーデンなどの商業施設がありまして、今後さらなる発展をしていくエリアとして、地域の方々も喜んでいるところです。
しかしながら、イベントなどの開催時に、公共の交通機関、特に都営バス、都05-2、今申し上げたバスですが、これに乗ることができないなど、ライフラインが脅かされるという事態になっています。
昨年、私は、十一月の事務事業の質疑の場でも取り上げましたが、有明地域では若い母親も多くて、妊婦の方やベビーカーで乳幼児健診に向かう母親が、また、母子がバスを乗り過ごすということがあったり、満杯の状態ではベビーカーが乗せられないなどの例などもあって、こういうことも挙げて、交通局に、このバスの路線の増便を求めたところであります。
また、今月に入りましても、三月四日の土曜日に、海の森海浜公園のプレオープンがございました。あそこに行かせていただきましたけれども、そこに集われるボランティアの方々、中央区からこの路線のバスに乗ったんだけど、途中、多くの方、何人もの方が乗れませんでしたと。それで、国際展示場の近くの、途中で降りてそこまで歩いていくんですけれども、このバスを使うときに、やはりなかなか乗りにくい、乗りにくかったという、こういうようなお声もいただきました。
昨今の状況を伺うと、外国人の観光客の方々もたくさんいらっしゃっていまして、やはり大いににぎわっているとともに、ますますこのバスに乗りにくくなっている、こんな声が届いているところであります。
そして、りんかい線や「ゆりかもめ」などの交通機関の利用への誘導や、イベントの来場用の貸切バスなど、施設側や主催者側の負担で実施するよう、強く、局から働きかけることを、交通局に実施するよう求めたところであります。
また、先日も私は、この改善を求める多くの江東区の、また東京の、利用者、都民の方々、大体約四百名ぐらいの方々でしょうか、のお声を伺いました。また、そのお声を、こういう状況ですよということを都に改めて届けさせていただいたところであります。
都営バスはこれまで、需要や乗客潮流の変化を的確に捉えて、路線やダイヤの見直しを行ってきていまして、需要が高まっている地域におきましては、路線の新設や増便を実施されてきております。
また、地域のニーズや需要の変化をきめ細かく把握して、路線の特性を踏まえて、毎年定期的に路線やダイヤを見直しされてきている、このように答弁をしております。
さて、有明アリーナなど周辺の施設の利用者により、都営バスの路線が大混雑して、地域の住民が乗れないという状況を改善するために、施設側が、りんかい線や「ゆりかもめ」、また、今後は、昨日公表されました東京BRTなどの対応、適切な交通機関への整理誘導、施設側の方も、また、貸切バスなどの輸送交通手段を自ら確保するなどの対応を行うよう強く働きかけるとともに、都営バスとしても、都05-2、この路線の本数を拡充すべきと改めて求めますが、答弁をお願いいたします。
○佐藤バス事業経営改善担当部長 理事お話しのとおり、有明と東京駅とを結ぶ都05-2系統につきましては、昨年八月に有明アリーナがオープンして以降、イベント開催時にご利用が集中し、周辺にお住まいのお客様がご利用できない状況が依然として生じております。
このため、状況の改善に向けまして、引き続き、施設側に対し、来場者にりんかい線や「ゆりかもめ」のご利用を促すとともに、イベント来場者用の貸切バスを施設側の負担で運行するよう強く申し入れてまいります。
こうした状況に加えて、大規模住宅や大型複合施設の開業等により、都05-2系統のご利用が増えていることから、来月のダイヤ改正におきまして増便を行う予定でございます。
○細田委員 分かりました。四月からの増便とのご答弁、朗報をうれしく思います。ありがとうございます。どうぞ一便でも多く、よろしくお願いいたします。
また、この都05-2、これと同じ路線で、都05-1というもの、こういうバスがあります。これは、東京駅丸の内口から同じ路線を通って、銀座、築地を通って、同じ晴海通りの途中で南下して、晴海ふ頭で終着する都05-2より短い路線のバスです。本数も多いです。
東京駅でのバス停も近くにありまして、本当に都営バスの運転手さん、丁寧な運転手さんがたくさんいらっしゃって、この運転手さん、ドライバーの方は、都05-2の路線に乗車されるとき、このバス、混雑する可能性がありますから、晴海三丁目までの方は、可能でしたら都05-1の路線をご利用されたらというような、このようなお声を、してくださるドライバーの方々も何人もいらっしゃって、これを聞かれている人たちが、本当にいいアナウンスをしてくれてありがとうという、こういう気持ちで聞いている方が何人もいらっしゃいました。
このような気の利いたアナウンス、また、気の利いたお心遣いというものを、支障がない限り、ぜひ、ドライバーの方々にも、また、しっかりと伝えていっていただいて対応していっていただくことを要望させていただきたいと思います。
続きまして、浸水対策について、私からも伺います。
今回公表されました東京都交通局浸水対策施設整備計画は、都市型水害に加えまして、荒川の氾濫や高潮といった大規模水害による浸水被害がシミュレーションされ、対策が検討されています。施設整備の方向性、整備の手法、手順が示されて、具体的なものになっています。局一丸となってのワンチームでの推進体制、ハード、ソフト両面の重要性、東京メトロとの連携での地下鉄ネットワーク全体の減災を推進するという新たなステップをまとめて、分かりやすく、本当に前進をした計画となっていると私は感じています。
さて、トンネルの入り口や換気と通風口、換気口、各線の駅の出入口、他社の接続のビルなど、地下鉄整備に対しての浸水リスクがあるところは多くありますが、地下ですから、これは遮水しないと浸水してしまう。
浸水想定区域内に出入口がある駅で、隣接するビルなどと接続をして、ビル管理者などによる対策が必要な箇所は幾つあるのでしょうか。あと、それらの対策はいかに進めていくつもりなのか、見解を求めます。
○坂口建設工務部長 現在公表されている浸水想定区域内に出入口がある駅は、都営地下鉄が管理する百一駅のうち九十二駅であります。このうち、隣接するビルや地下駐輪場などと接続しており、ビルの管理者等による出入口の止水対策が完了していない接続口は、十九駅、三十一か所であり、施設管理者に働きかけを行うなど、関係者と調整しながら取組を進めてまいります。
○細田委員 開設するときに、それぞれの箇所で、防水ゲートや防水扉、止水板または防水シャッターなど浸水対策を整備することなどが、施設管理者側、いわゆる相手側との間で約束事になっていると思います。どうぞ、十九駅、三十一か所において着実に対策が進むよう、取組を進めていくことを求めておきます。
次に、荒川氾濫への対策を講じることによる整備効果について、局の見解を求めます。
○生越技術企画担当部長 荒川右岸二十一キロメートル破堤による氾濫につきましては、駅出入口等、地上部での対策に加えて、トンネル内防水ゲートや駅構内防水扉を整備することなどにより、トンネル内の浸水延長を、対策前の約四十三キロメートルから約七キロメートルまで、約六分の一に縮小できることを見込んでおります。
荒川右岸九・五キロメートル破堤につきましては、同様に対策を行うことで、約十七キロメートルに及ぶトンネル内浸水がなくなることを見込んでいるところでございます。
○細田委員 荒川右岸二十一キロメートル、ここは、上流部からの水を荒川と隅田川に分けて流す岩淵水門付近での氾濫であると理解いたします。
二〇一九年十月十二日の台風十九号で、荒川の氾濫まであと僅か五十三センチまでと迫ったところになります。また、このときは、通常開けている隅田川の方の水門を閉鎖して隅田川の氾濫を防ぎました。このとき、まさに荒川と隅田川との水の高さの差、これは五・五メーター、五・五メーターまで開いたという、こんな状況でした。この被害を六分の一に抑えられる、これは大きな効果があると理解します。
そして、この荒川右岸九・五キロメートル、これはまさに、京成本線荒川橋梁部の付近になります。先月初めに、同所は、まさに東部低地帯、江東デルタ地帯のウイークポイント、この荒川橋梁部の架け替え工事がいよいよ始まりました。出発しました。この工事が完了して、破堤や越水の危険性が軽減されることも、まだまだ先のことになってしまいますので、対策の整備効果、これはまさに、年々、月々進んでいくことでありますから、これが早期に効果を発揮できるよう、整備を進めていっていただくということを期待しております。
そして、高潮による地下鉄の浸水被害状況と対策について、その効果について見解を求めます。
○生越技術企画担当部長 高潮による氾濫では、堤防の越水、決壊などにより、内陸部に向かって地上の浸水区域が拡大し、被害が発生いたします。
地下に流入した水は、地下鉄ネットワークを通じて地上の浸水範囲より広範囲に広がり、都営地下鉄のトンネル内浸水延長は約六十二キロメートルに及ぶと見込んでおります。
これに対し、駅出入口等の地上部対策のほか、トンネル内防水ゲートの整備を進めることで、トンネル内の浸水延長を約二十三キロメートルまで、約三分の一に縮小できることを見込んでおります。
○細田委員 先ほど、長橋委員の質疑でも、整備計画では、高潮への対策後も、主に隅田川から東側の区域で浸水区間が残ると。
そして、対策前の約三分の一に縮小するものの残ると、このように見込んでいますが、こうした区間の対策についてどのようにしていくのか、局に見解を求めます。
○生越技術企画担当部長 高潮の浸水想定では、浸水深が五メートル以上となる区域がございまして、一部の駅出入口等については、建て替えなどの抜本的な対策が必要となりますことから、駅の大規模改修等の機会を捉えて対策を検討、実施いたします。
また、運行への影響を最小限とするため、車両の避難や施設の復旧に係る手順を取りまとめており、被災した場合には、これに基づき、早期の復旧を図ってまいります。
○細田委員 今の答弁にもありましたように、本計画では、高潮による大規模水害等の完了、これは二〇四〇年代半ばですね。また、浸水深が深くて大幅な改修が必要になる施設については、今の答弁にもありましたが、全体のスケジュールによらず、大規模改修などに合わせて対策を検討、実施しますということが本計画にも明記されています。
ただ、これは、例えば都市型水害対策であるならば二〇三〇年前半ぐらいまで、そして、大規模水害の対策の荒川氾濫においては二〇四〇年前まで、まだ期間は長いですけど、そして、高潮に対しては二〇四〇年代後半、こういうようなことになります。ただ、これも年々進んでいく話でありますので、どうぞ、これらについて、今こういうような危険があるよ、また、こういうことが進んだんだよということを、お客様にぜひ、広報、周知をしていっていただきたい。駅や地下鉄の中で、都営新宿線等の都営地下鉄の中で広報していっていただきたい。
それから、大規模改修等が必要な施設も、まさにここは大規模改修をしなくてはいけないのだということが、これから分かってくることが、当然ですけれども出てくると思います。それらも、どうぞ、この調査検討、また必要な情報を検討していっていただいて、これが少しでも早くなるように、また、必要な情報というものは公開していって、この浸水が、ここは危険なんだから近づいちゃいけないんですよ、台風が来たときに、豪雨が来たときにというようなことを、お客様や都民の皆様の判断につながるような、こういうのは情報交換していっていただきたいと、このように思います。
そして、もう一つ、例えば、ここの隅田川の東側といいますと、最もその東部低地帯として、江東五区、江東、江戸川、葛飾、足立、墨田、このような区になります。けれども、それだけじゃなくて、もしここで水害が発生したとき、国による高潮の想定の被害予想によりますと、約十七区、四百万人の方々に影響があるというふうにいわれているエリアです。
ぜひ、関連するような自治体等にも、今、こういうふうに進めていますよという情報が伝わるように、そして、このようなすばらしい冊子が、ちゃんと関係者にもわたっていくように、そういうふうな取組を今後も進めていっていただきたいなということと、また、江東五区は、江東五区の連絡協議会というもので、ここで水害対策の打合せなんかも行われています。国なんかも参加したりしております。こういうようなところにも、交通局がここまでまとめて真剣に頑張っているんです、こういう情報なんですよということを、ぜひ情報を伝えていっていただいて、そして、自治体からのハザードマップや自治体が災害対策に取り組んでいく、このような取組を後押ししていただくことを私からは要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。
○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で交通局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時散会
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