委員長 | 大山とも子君 |
副委員長 | 林あきひろ君 |
副委員長 | 森村 隆行君 |
理事 | 細田いさむ君 |
理事 | 斉藤まりこ君 |
理事 | 村松 一希君 |
岩永やす代君 | |
保坂まさひろ君 | |
長橋 桂一君 | |
田村 利光君 | |
菅野 弘一君 | |
西沢けいた君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 古谷ひろみ君 |
技監 | 松田 信夫君 | |
総務部長 | 石井 英男君 | |
職員部長 | 長嶺 浩子君 | |
経理部長 | 西川 泰永君 | |
サービス推進部長 | 坂井 吉憲君 | |
浄水部長特命担当部長兼務 | 佐藤 清和君 | |
給水部長 | 石田 紀彦君 | |
建設部長 | 藤村 和彦君 | |
経営改革推進担当部長 | 高畠 信次君 | |
企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 | 尾関 元君 | |
設備担当部長 | 小泉 正一君 | |
事業調整担当部長 | 山田 廣君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 小平 基晴君 |
調整部長 | 小山 伸樹君 | |
施設部長 | 鈴木 理君 | |
技術調整担当部長 | 橋本 英樹君 |
本日の会議に付した事件
水道局関係
予算の調査(質疑)
・第十九号議案 令和五年度東京都工業用水道事業清算会計予算
・第二十七号議案 令和五年度東京都水道事業会計予算
○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
令和五年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布しております。
朗読は省略いたします。
令和五年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
公営企業委員長 大山とも子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十六日(木)午後五時
(別紙1)
公営企業委員会
第十九号議案 令和五年度東京都工業用水道事業清算会計予算
第二十四号議案 令和五年度東京都交通事業会計予算
第二十五号議案 令和五年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六号議案 令和五年度東京都電気事業会計予算
第二十七号議案 令和五年度東京都水道事業会計予算
第二十八号議案 令和五年度東京都下水道事業会計予算
(別紙2省略)
○大山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の予算の調査を行います。
これより水道局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第十九号議案及び第二十七号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○石井総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は十三件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体の社員数、都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数でございます。
一ページから二ページにわたり、平成三十年度から令和四年度までの団体別の社員数につきまして、政策連携団体、事業協力団体に分けまして、常勤、非常勤別に、また、常勤社員数につきましては、都派遣社員数、固有社員数、都退職者数の内訳をそれぞれお示しをしてございます。
三ページをご覧ください。定数及び職員数でございます。
平成三十年度から令和四年度までの局職員の条例定数及び事務、技術、技能の区分別の職員数と、そのうち、一般職員、フルタイム勤務及び短時間勤務の再任用職員の内訳についてお示しをしてございます。
四ページをお開き願います。障害者雇用率でございます。
平成三十年から令和四年までの障害者の実雇用率をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。政策連携団体への業務委託の委託先及びそれに伴う職員の削減数でございます。
平成三十年度から令和四年度までの政策連携団体への業務委託の委託先及びそれに伴う職員の削減数をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。職員一人当たりの月平均超過勤務時間数及び月八十時間を超える超過勤務実績のある職員数でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの職員一人当たりの月平均超過勤務時間数及び月八十時間を超える超過勤務実績のある職員数をお示ししてございます。
七ページをご覧ください。水道局幹部職員の再就職における再就職者数と再就職先でございます。
平成三十年から令和四年にかけまして公表されました再就職者数及び再就職先をお示ししてございます。
八ページをお開き願います。徴収事務委託支払金額と給水件数及び給水件数一件当たりの委託料でございます。
八ページから九ページにわたり、平成二十四年度から令和三年度までの徴収事務委託支払金額、給水件数、給水件数一件当たりの委託料につきまして、区部、多摩に分けまして、それぞれお示しをしてございます。
一〇ページをお開き願います。民有林の購入実績と購入した民有林の整備実績でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの民有林の購入件数及び面積、また、購入した森林の整備実績を内容別にお示ししてございます。
一一ページをお開き願います。局所有の未利用地でございます。
局が所有している未利用地につきまして、地域区分別、面積区分別に、件数及び面積をお示ししてございます。
一二ページをお開き願います。女性職員数の推移と、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況でございます。
平成三十年度から令和四年度までの女性職員の推移及び令和四年四月一日現在の女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況についてお示しをしてございます。
一三ページをご覧ください。職員の育児休業取得状況でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの育児休業取得人数及び取得率について、男性、女性別にお示しをしてございます。
一四ページをお開き願います。給水停止件数の月別推移でございます。
令和四年四月から令和五年一月までの給水停止件数について、月別にお示しをしてございます。
一五ページをご覧ください。政策連携団体における法人税等と株主配当の推移でございます。
政策連携団体の平成二十四年度から令和三年度までの法人税等と株主配当の推移をお示ししてございます。
以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林委員 よろしくお願いいたします。
昭和四十年代以降、高度経済成長期を中心に整備されました全国の水道事業を見渡しますと、施設の老朽化や事業を支える技術者等、人材の不足が懸念される中、人口の変動や節水機器の導入、普及等による料金収入の減少など、水道事業を取り巻く環境というのは、厳しさを増していることはご承知のとおりであります。
都においても同様であり、都の人口推計を拝見しますと、令和七年にピークを迎えた後は減少が予測される中、環境対策や震災対策をはじめとした東京強靱化への対応等、時代の要請にも応えていかなくてはなりません。
こうした厳しい環境を乗り越えていくために、効率的な運営体制を構築しつつ、グループ経営を推進し、政策連携団体への業務移転を行ってきたところでございますけれども、そのような中、令和五年度には、長沢と砧の浄水場を業務移転するとのことでございます。これは重要な事業ではありますけれども、水道事業の象徴的な存在でもあります浄水場が、水道局の手から離れていくようにも感じてしまうところもあり、中には不安を覚える都民もいらっしゃるかと思います。
都民の日常生活に欠かせないこの水道は、飲料水としてはもちろんでありますけれども、毎日の調理とか入浴等で安心して使えるものでなくてはなりませんし、また、水道の品質というものは、健康にも直結する問題であり、安全性というものは何よりも重要視されるところでございます。
そこで、浄水場を委託された場合、これまで同様に安定給水が引き続き確保されるかどうかをしっかりと確認させていただきたいと思います。
まずは、業務移転の推進について、その意義を改めて伺いたいと思います。
○高畠経営改革推進担当部長 当局では、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、局と政策連携団体によるグループ経営を推進しております。
今後、労働力人口が減少していく中、政策連携団体である東京水道株式会社への業務移転を一層推進することによりまして、水道事業のプロフェッショナルを東京水道グループ全体で確保し、局がこれまで培ってきた技術を次世代に継承してまいります。
また、政策連携団体ならではの柔軟な人員配置、技術力や経営ノウハウを活用した業務の実施など、効率的な経営が期待できます。
引き続き、同社への業務移転を積極的に進めることで、東京水道を支える基盤を強化し、将来にわたる安定給水を確保してまいります。
○林委員 水道事業が置かれている状況を考えて、将来に向けた取組を進められていることについては、改めて確認させていただいたところですけれども、この業務移転自体の意義というものは理解するんですが、今回の長沢浄水場と砧浄水場の業務移転では、浄水場全体を包括的に委託するというふうに伺っております。
これまでの業務ごとの委託とは異なって、包括的に委託することには理由があると思うんですけれども、業務を包括的に委託するメリットというもの、その辺について伺いたいと思います。
○高畠経営改革推進担当部長 複数の業務を一括して委託する包括委託を導入することによりまして、業務の繁閑に応じた柔軟な人員配置による効率化や、幅広い視野と業務知識を得ることによる主体的な事業運営が一層期待できます。
長沢浄水場及び砧浄水場の業務移転に当たりまして、これまでに委託してきたポンプ等設備の運転監視及び点検などの部分的な業務に加え、相互に関連した様々な業務を包括的に委託することにより、総合的な運営ノウハウを身につけることができると考えております。
○林委員 包括的に委託をすることのメリットについてご説明いただいて、おおむね理解するところなんですが、これまで大部分の業務を局の職員の方が担ってきたことを考えますと、委託後も問題なく浄水場業務というものが行われていくのか、そして、どのように安定給水を確保していくのかということが、都民にとって最も重要なことであるかと思っています。
そこで、包括委託した後も確実に浄水場の業務が行われるためにどういった取組を行っていくのか、その辺について伺いたいと思います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 東京水道株式会社は、これまで受託してきた浄水場での運転監視業務等の経験から、浄水処理に関する基本的な知識を有しております。
加えて、包括的な委託を行う来年度は、当局から同社へ浄水場業務の経験を持つ職員を派遣いたします。派遣職員は、同社社員と共に維持管理や水質管理、工事の設計、施工管理等の業務に当たるなど、浄水場の総合的な運営ノウハウを着実に継承することにより、東京水道グループとしての技術力向上に取り組んでいきます。
また、委託した業務につきましては、当局が、適宜履行確認を行い、継続して安定給水を確保することとしてございます。
○林委員 水道事業に対する都民の信頼というものを損なうことがないように、また、局が長年培ってきた技術というものをしっかりと東京水道株式会社の方に引き継がれるよう、局とは二人三脚で取り組んで、引き続き安定給水を確保していってもらいたいところでございます。
冒頭も申し上げましたとおり、これから都の水道事業も厳しい環境を乗り越えていくためには、やはり水道局と政策連携団体であります東京水道株式会社が、一体的な事業運営体制の構築というもの、そして、局とのグループ経営というものを推進して、水道事業の基幹的業務を担っていくということは、顧客である都民サービスの向上に資することであるかというふうに理解しております。
そして、将来に向けた持続可能な東京の水道を考えれば理解するところなんですけれども、そのためには、今後の業務移転の推進で、より密接不可分の関係となっていく東京水道株式会社についても、都民の代表たる議会に対する説明責任というものをしっかりと果たしていくことが重要ではないかと思っております。そして、グループによる事業運営に対する客観性、透明性の確保を図っていくということ、こういったことが重要となっていくかと思いますので、そのことは求めておきたいと思います。
次に、水道施設の災害対策について伺います。
今年度も世界各地で様々な災害が発生しており、ご承知のとおり、今年二月には、トルコの南東部において、マグニチュード七・八という非常に大きな地震が発生して、報道等によりますと、隣のシリアと合わせて五万人を超えるような方々がお亡くなりになられました。謹んでご冥福をお祈りするところではございますが、また、国内においても、昨年九月に発生した台風十五号に伴う記録的な大雨によって、静岡県を中心に大きな被害が発生しておりまして、静岡市では、取水口や水管橋といった水道施設が被災して、約七万四千戸が断水したという事態が発生しております。
このような災害がもし都内で起こった場合、都民を守っていくためには、災害に強い強靱な都市づくりというものが不可欠になっていくわけでありまして、こうした中、都は、昨年十二月に、TOKYO強靱化プロジェクトを策定されています。
本日、このプロジェクトや東京水道施設整備マスタープランで掲げられている施策のうち、水道施設における地震、風水害、火山の各危機に対する対策や今後の進め方について確認をさせていただきたいと思います。
まずは、切迫性が指摘されており、対応が急務な地震対策から伺わせていただきたいと思いますけれども、水道は、水源から蛇口に至るまで多くの施設によって成り立っておりまして、どこかで損傷が起きると、当然ながら断水被害につながる可能性というものは持っています。このため、水道システム全体で対策を実施していくことが重要となっていくわけですけれども、その中でも、河川から水を引き入れる施設が被災すると、浄水場の停止に直結して、都民生活や都市活動に与える影響は非常に甚大です。
都の多くの浄水場が水を引き入れている利根導水路において、現在、大規模地震対策事業を行っていると伺っていますけれども、この利根導水路大規模地震対策事業の進捗状況、現況について伺いたいと思います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 利根導水路は、朝霞浄水場、三園浄水場及び東村山浄水場の原水となる利根川や荒川の水を送るために不可欠な施設であり、取水堰や水路等から構成されております。
この大規模地震対策事業は、独立行政法人水資源機構が事業主体として施設の耐震化を図るものであり、当局の負担額は、総事業費約二百九十七億円のうち、約百三十八億円となっております。
本事業の着実な推進に向け、これまで当局においても、定期的な進捗確認や現場調査を実施してきており、事業進捗は、令和四年度末で約九割に達し、計画どおり令和五年度に完了すると、同機構から報告を受けております。
利根導水路の耐震化により、震災時においても浄水場に原水を安定して送れることから、引き続き、同機構に対し、一日も早い事業の完了を求めてまいります。
○林委員 ご答弁でございましたとおり、今年度末で約九割に達して、計画どおり行けば、令和五年度に完了すると、機構の方から報告を受けているということでした。
こうした導水施設の耐震化というものは、首都東京の安定給水を継続していくためには極めて重要だというふうに思っておりますし、当然、国とか隣接の県等の関係機関と一層連携して、協力をしていただいて、一日も早い完成に向けて、ご尽力いただくことを要望しておきたいと思います。
次に、給水所の水を地域に配水する役割を担う配水管について確認をさせていただきたいと思います。
我が党はこれまでも、首都直下地震への備えとして、配水管の耐震継ぎ手化に着実に取り組んでいくべきと繰り返し主張してまいりました。昨年の五月に発表されました都の新たな被害想定によりますと、私の地元の場合、調布市、狛江市なんですけれども、調布市の方は断水率は約一八%に改善しておりまして、断水率が高い地域が着実に解消はされてきているんですけれども、二十三区の東部一部地域においては、いまだ五〇%を超えるような状況でございます。
昨年の事務事業質疑において、今後の配水管の耐震継ぎ手化については、断水被害が相対的に大きい区域の取替えというものを優先的に進めるというご答弁をいただいております。
そこで、断水率が高いと想定される区域の管路の取替えについて、今後、具体的にどのように進めていかれるのか伺いたいと思います。
○石田給水部長 当局はこれまでも、継ぎ手部に抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への取替えを計画的に進めてきております。
これにより、東京都防災会議による前回の被害想定では、都内全域の断水率は四五・二%でしたが、昨年五月の被害想定では、二六・四%に改善しております。
今回の被害想定を踏まえ、現在の区市町ごとの断水率にとらわれず、より小規模な区域に細分化した断水率に着目し、断水率が五〇%を超えると想定される区域を優先して耐震継ぎ手化を推進することといたしました。
今後は、小規模な区域に集中的に工事を行うことから、これまで以上に精緻に対象路線の抽出を行うとともに、道路管理者や他のライフライン事業者等と工事時期等を綿密に調整してまいります。
こうした取組により、区部、多摩全域にわたる断水被害を効果的に軽減し、令和十年度までに断水率が五〇%を超える地域を解消してまいります。
○林委員 ご努力で、令和十年度までに断水率が五〇%を超える地域を解消していくという、力強いご答弁をいただきました。
多摩地域においては、既に断水率が五〇%を超える市町というものは解消されているようでございますけれども、地域というものを細分化することで、一層効果的に、都内全域の配水管の耐震継ぎ手化というものを進めていただきたいと思います。
都内で発生する漏水件数の九割以上というものは給水管で発生しておりまして、管理が不十分な給水管が長期間使われないまま残されることで、漏水リスクが高まることが懸念されています。こうした長期不使用給水管からの漏水というものは、水資源の損失だけではなくて、道路陥没、時々起こっていますけれども、そういった事故にもつながり、災害発生時に漏水が発生すれば、迅速な応急復旧活動というものの妨げにもなってまいります。
給水管は、本来、お客様が所有、管理するものでありますけれども、局が進めておられます長期不使用給水管整理事業ですね、平時のみならず、災害発生時での漏水リスクを軽減する意味でも、重要な取組であるものというふうに評価しておるところでございます。
そこで、昨年度から開始をした長期不使用給水管整理事業の事業目的と事業期間というものを改めて伺いたいと思います。
○石田給水部長 長期不使用給水管整理事業は、漏水の未然防止などの観点から、公道に布設されている使用実態がない給水管を対象として、令和三年度から七年度の五年間を事業期間とし、一万四千四百件のお客様に、今後の使用見込みや撤去等の意向確認を行い、撤去の同意が得られた場合に、水道局が給水管を撤去するものでございます。
○林委員 事業の目的については、あと期間ですか、改めて確認をさせていただいたところですけれども、撤去に結びつけていくためには、やはり、その所有者への意向確認を積み重ねていくことが重要であるというふうに認識しています。
そこで、事業開始からこれまで、所有者の意向確認及び撤去の実績、こういったことについて伺いたいと思います。
○石田給水部長 事業を開始した令和三年七月から五年二月末に、四千九百三十六件の所有者に、郵送や現地訪問により撤去の意向確認を行いました。
そのうち、約四割の二千百十二件については、局による撤去の同意が得られたため、順次、所有者と施工時期の調整を進め、千二百三十五件の撤去が完了しております。
なお、約二割は、使用見込みがあるとの回答であり、そのほかの約四割については、回答が得られないなど所有者の意向が確認できていない状況にございます。
○林委員 大変ですよね。こうした長期にわたり使われていない給水管については、漏水のリスクが高くなるために、所有者から撤去の同意が得られた給水管については、着実に撤去を進めていただきたいところでございますけれども、今のご答弁で明らかになりましたけれども、約四割の所有者の意向が確認できていないということでした。
本事業は、所有者の合意形成がなされることで進められることでありまして、回答が得られないなどの所有者に対して、地道に接触を図っていくことが重要と考えております。
そこで、意向が確認できない所有者に対する取組について伺いたいと思います。
○石田給水部長 土地の登記簿等の情報から行った意向確認に対し、宛先不明で返送された所有者につきましては、自治体に住民票を請求したところ、新たな住所が判明する事例が確認されたことから、住民票の情報を基に、再度意向確認を実施することといたしました。
また、突然の郵送物に不信感を抱き、開封しない所有者がいることが想定されたことから、郵送用封筒に内容物や返信のお願いを明記することで、郵送物が本事業に関する重要な書類であることが分かるように改善しております。
さらに、意向確認の返送の有無にかかわらず、事業の具体的な内容についてのお問合せが多く寄せられたことから、当局ホームページを図や写真を活用した分かりやすい内容に一新するとともに、よくあるお問合せに関する回答ページを拡充いたしました。
これらの取組により、長期にわたる使用実態がない給水管の使用見込みを把握し、長期不使用給水管整理事業を着実に推進してまいります。
○林委員 長期不使用給水管整理事業の推進には、いかにして所有者の意向を確認していくかが重要でありまして、地道な取組の継続というものが不可欠であろうかと思っております。ご担当の方には大変ご苦労をおかけしているかと思いますし、また、大変感謝しておりますけれども、さらなる工夫を重ねていただいて、平時はもとより、災害時にも強い水道管の構築に必要な本事業を着実に進めていただきますよう、重ねて要望させていただきたいと思います。
次に、風水害についてですけれども、近年、土砂災害をもたらす線状降水帯や台風等が毎年のように発生しています。都内にも、中小河川を含めて多くの河川がございまして、豪雨災害による水道施設への影響も危惧されているところでございます。
そこで、風水害による水道施設への影響とその対策について伺わせてください。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 豪雨災害が発生した場合の水道施設への影響として、河川の氾濫に伴う浄水場や給水所の浸水や河川を横断する水管橋等の損傷が想定され、被災した際には、復旧に時間を要するため、一部の地域において断水の長期化が懸念されます。
このため、当局では、浸水のおそれがある浄水場や給水所の対策として、出入口への防水扉の設置、窓や換気口のかさ上げなどの整備を既に完了しております。
また、水管橋等への対策については、浸水想定区域内でバックアップルートが確保されていない七十七か所を優先的に地中化することとしており、そのうち、損傷による断水被害が大きいと想定される十四か所を令和十二年度までに先行して実施してまいります。
○林委員 風水害による水道施設への被害を軽減するための対策というものが着実に進められていることは確認をさせていただいたところでございます。
多摩地域においても、令和元年東日本台風によって、橋梁に添架した管路の流出というものが発生しています。
こうした河川横断管路が被災した場合は、復旧に時間を要し、断水などの影響が長期化するおそれがあることから、その対策は急務だというふうにいわれていますけれども、多摩地区における水管橋等の地中化について、その具体的な取組や効果について伺いたいと思います。
○鈴木施設部長 多摩地区は、市町単位で管路の整備が行われてきた歴史的な経緯などにより、バックアップルートが確保されていない水管橋等が多く、被災した際に断水が長期化するおそれがあることから、先行して七か所の水管橋等を地中化してまいります。
今年度は、八王子市の川口川を横断する水管橋について地中化の工事に着手するとともに、その他二か所について、来年度以降の工事着手に向け、設計を実施しております。
これらの取組を計画的に推進することで、災害時における給水安定性の向上を図ってまいります。
○林委員 八王子市の川口川を横断する水管橋、その他二か所について、来年度以降の工事着手に向かわれるということですね。先行して七か所の水管橋等を地中化していくということですから、こういった地中化が進んでいることについては理解をいたしました。
こういった取組は、今後頻発することが予想されています風水害への備えとして非常に重要でございますし、引き続き、着実かつできるだけ速やか、大変だと思いますけれども、実施していただきたいと思います。
降灰対策について。
国の中央防災会議は、今後、富士山の宝永噴火ですか、同規模の噴火が発生して、火山灰が首都圏へ大きな被害を与える可能性というものを示唆してまいりました。富士山が、あってはならないんですけれども、あってほしくないんですけれども、大規模に噴火した場合、最悪のケースでは、降灰は多摩地区をはじめ区部にも達し、その灰の厚さは二センチから十センチ程度となり、インフラへの被害が想定されているところでございます。
鹿児島等は慣れていらっしゃるかもしれませんけど、東京でそういうことがあったときには、本当に、パニックになってはいけないんですけど、非常に大変なことになるのではないかというふうに危惧されるところです。
当然、水道も影響が危惧されていまして、水道水の水源である河川や貯水池、浄水場においても、灰が降ることが予測されているということで、大事な水道水への影響も心配をされているところです。大規模地震と同様、火山の噴火はいつ起きてもおかしくないわけでして、事前の備えというものが重要になってまいります。
そこで、水道水への降灰の影響とその対策について伺わせていただきたいと思います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、中央防災会議が公表したシミュレーションのうち、東京都と神奈川県に降灰分布の中心があるケースを対象に、令和三年度から調査、実験を行いました。この結果、富士山に近い相模川水系の長沢浄水場では、降灰の影響が大きいため、浄水処理した水が水質基準値を上回るおそれがあるものの、その他の浄水場では水質への影響がないことを確認しました。
こうしたことから、長沢浄水場においては、沈殿池への火山灰の混入を抑制するため、早期に整備が可能なシート型で覆蓋を行うこととしており、現在、設計を進め、令和六年度に完了する予定でございます。
○林委員 早期に整備が可能なシート型で覆蓋をということから先行していくということで、令和六年度に完了するということですから、噴火しないことを祈るばかりでございますけれども、しっかりと検証した上で、効果的な対策というものが考えられていると思います。着実に整備を進めていただきたいと思います。
最後になりますけれども、関東大震災から百年ということでございまして、これまで、水道事業における災害対策について、今後の進め方を順次確認させていただいたところでございます。
これまで築き上げてこられた水道システムというものを将来の世代に引き継ぐのは、今を生きる我々の使命でありまして、水道施設の強靱化を確実に進めていくことが重要だというふうに考えています。
今後の水道施設の強靱化に向けての取組についてお伺いをしたいと思います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインであり、大規模な災害が発生した場合においても、水道施設の被害を最小限にとどめ、給水を確保することが必要でございます。
これまでも当局は、震災をはじめとした過去の大規模災害を教訓に、管路の耐震継ぎ手化や浄水場の浸水対策等を講じてまいりました。
一方、都の水道は、首都直下地震や局地的な豪雨の増加など、様々な自然災害の脅威に直面しております。このため、被害想定や給水への影響を踏まえ、大規模地震や風水害、火山噴火への対策に積極的に取り組み、水道施設の強靱化を図ってまいります。
今後とも、必要な施設整備を着実に推進することにより、強靱で持続可能な水道システムを構築し、給水安定性を一層向上させてまいります。
○林委員 激甚化する風水害、また、発生が懸念されている大規模地震、そして、先ほど申し上げました富士山の噴火、あとは、強靱化プロジェクトには記載されておりませんけれども、他国からのミサイル等、武力攻撃事態の対応等も検討の俎上に乗せなければならなくなっていくのかもしれません。
首都東京のライフラインとして、何よりも安心・安全、そして、安定供給が求められます水道事業が、百年先も安心を目指して、着実に取組を進めていただきたいです。また、こういった持続可能な東京水道の実現に向けてという資料も発表されておられますけれども、持続可能な水道システムの構築を着実に進めていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○保坂委員 それでは、よろしくお願いします。
私からは、まず、水道局が進めておりますスマートメーター事業についてから伺ってまいります。
昨年十一月の事務事業質疑において、その前月の十月からの運用開始後、約一か月間の状況について確認をしました。水道局からは、順調に設置が進んでおり、予定どおり運用開始、おおむね通信ができている旨の答弁をいただきました。本日は、それに続きまして、現在までの約半年間の運用状況などについて確認をしていきたいと思います。
初めに、データの取得状況についてです。
事務事業質疑で確認した際は、約一か月間のデータ取得率が平均で約九四%と安定しているということでありました。
そこで、自動検針開始後、約半年が経過しましたが、これまでのデータ取得状況と現在のデータ取得率について、まず伺います。
○石田給水部長 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき、令和四年度には約二万九千個のスマートメーターを設置することとしており、本年二月末までに約二万三千個を設置しております。
昨年十月の運用開始後のデータ取得率は、十二月から一月にかけて一時的に九〇%を下回りましたが、そのほかの期間は、おおむね九四%で推移しております。
○保坂委員 今のご答弁で、現在のデータ取得率は約九四%と、前回確認した際とほぼ同程度であり、おおむね通信ができているんだということが確認できました。ただ、しかし、一時的ではありますが、データの取得率が落ち込むことがあったという答弁もありました。
そこで、データ取得率が低下したその原因と対応についてを伺います。
○石田給水部長 昨年十二月から本年一月にかけてデータ取得率が低下した主な要因は、一部の通信機器において、気温低下時に通信機能を停止する不具合が発生したことによるものでございます。
この不具合についてメーカーが調査した結果、プログラムにおいて、当初想定していなかった処理が行われていることが判明しました。
そのため、該当する通信機器を特定し、遠隔操作によるプログラムの修正や現地で通信機器の交換などを行ったことによりまして、二月末までに不具合をおおむね解消しております。
○保坂委員 想定外の課題に対しても、早期の解決に向けた努力はされたということで、データ取得率の改善を図っているということが確認できました。さらなるデータ取得率の向上に向けて、事務事業質疑の際にも伺いましたが、通信設備の増強などにも取り組んでいただき、引き続き、通信の改善に努めていただくよう求めておきます。
一方で、スマートメーターの導入拡大に当たっての課題は、通信の改善だけではありません。
これまでの質疑でも確認しておりますが、従来の機械式メーターと比べますと、コストが高いということも大きな課題であります。水道局としても、コストの低減に向けて発注方法などを工夫されるなど、一定の効果もあったと聞いてはおりますが、その実績について確認していきたいと思います。
令和四年度におけますスマートメーターの発注方法、入札参加者数及び落札価格について伺います。
○石田給水部長 令和四年度の調達におきましては、コスト低減を図るため、三年度と同様に、メーターメーカーだけでなく、幅広い業種からの入札参加を促すこととし、通信機器をメーターと分割して発注いたしました。その結果、メーターメーカー以外の業者一者を含む五者が入札に参加し、四者が落札しております。
メーターと通信機器を合わせたスマートメーターの落札価格は、平均で約一万四千円でございます。
○保坂委員 四者によります落札ということで、平均で約一万四千円との答弁でありましたが、一般的な家庭向けのメーターでいいますと、従来のメーター価格であります約二千五百円と比べますと、価格がまだ五倍、六倍も高いので、今後のこの価格を低減させることが重要と考えます。
入札参加の状況を鑑みますと、通信機器に当たっては、メーター専用メーカー以外の入札参加者が僅か一者にとどまっておりまして、まだ少ないという印象でもあります。
そこで、入札の活性化を図るために、水道以外の事業に携わる新しい分野に拡大して事業者を募り、参入をさらに促すよう工夫すべきと考えますが、見解を伺います。
○石田給水部長 スマートメーターの調達を安定的に行うためには、メーターメーカーだけでなく、通信機器を製作している電機メーカーなどに広く入札への参加を促すことで、入札の活性化を図ることが効果的でございます。
さらに、スマートメーターの運用を確実に行うためには、信頼性の高い通信機器を調達することも不可欠でございます。
このため、スマートメーターの普及が先行している電力やガス等の分野で通信機器の開発実績を有するメーカーなどに対し、確実かつ多様な通信方法についてヒアリングを行うとともに、当局が求める通信機器の要件等の情報を提供し、幅広く入札参加を求めてまいります。
○保坂委員 全戸導入を見据えますと、スマートメーターの調達先の拡大は、コスト削減効果が非常に高いと考えます。また、スケールメリットを発揮するためにも、スマートメーターを他の事業体などに幅広く採用してもらうことも大変重要です。そのためには、水道局の取組を幅広く周知していただき、理解をしてもらうことが必要にもなります。
そこで、水道局の取組を幅広く周知するためには、先行実装プロジェクトの実績や成果を速やかにかつ丁寧に発信していくことが効果的だと考えますが、見解を伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 現状のスマートメーターの価格を低減させていくためには、当局だけでなく、他の水道事業体においてもスマートメーター導入を促進し、市場を活性化させていくことが重要でございます。
このため、当局では、先行実装プロジェクトを通じて得た通信実績や電池性能などの技術的要件や、安定的、効果的な運用方法、さらには、効率的な導入方法等を当局ホームページで積極的に発信してまいります。
また、五十四の事業体などが参加する公益財団法人水道技術研究センター主催の研究会等におきまして、当局の実績を発表するとともに、お互いの得た知見などに関する情報交換を実施いたします。
これらによりまして、全国の水道事業体におけるスマートメーター導入の機運醸成に努めることで、コスト削減やスケールメリットの発揮につなげてまいります。
○保坂委員 情報公開やワイズスペンディングの重要性については、これまでも我が会派としても、折に触れて指摘をしてきたところであります。ムーブメントを創出し、スマートメーター導入の機運を高めるためにも、様々なチャンネルを活用していただき、広く情報を発信していただくよう求めておきます。
令和五年度は、先行実装プロジェクトの期間内でメーターの設置個数が最も多く、約五万八千個を設置する予定であり、必要な経費を予算案に反映していると聞いています。新年度は、三年間のこのプロジェクトの折り返し地点と位置づけられる年度でもありまして、今後の本格導入を見据えても、非常に重要な時期となります。改めて、着実に取組を進めていただくことを要望しておきます。会派としても、引き続き、進捗状況を確認してまいります。
続きまして、東京都水道局アプリについて伺ってまいります。
こちらも昨年の事務事業質疑では、アプリのリリースから約一か月後ではありましたが、約二十万人がユーザー登録をされたということを確認して、水道局が目標としているユーザー件数百万人の達成に向けた効果的な広報や、自治体との連携の実施状況などを伺ってまいりました。
そこでまず、アプリユーザー百万人の目標達成に向けたその後の取組状況と先月二月末時点までの登録状況、そして、今後の取組を伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、お客様サービスの向上と情報発信の強化を目的に、東京都水道局アプリを開発し、令和四年十月一日から運用を開始してございます。
効果的な広報につきましては、運用開始直後から、アプリの利用者数を増やすためのキャンペーンを実施しております。
引っ越しシーズンでございます現在は、水道の手続をアプリで行っていただくよう、東京都への転入予定者に対しましてアプローチを強化し、委託した引っ越し業者からリーフレット配布等の取組を行ってございます。
また、自治体連携におきましては、十一月の八王子いちょう祭り、今年二月のせたがや梅まつりなど、利用者の身近な自治体が実施するイベントにも参加させていただきまして、アプリの利便性をPRしてございます。この結果、リリース後五か月間で、約六十二万人のお客様にご登録いただいているところでございます。
今後は、これまでの広報の効果を検証いたしまして、アプリ登録者増に向けた広報計画を策定し、目標達成に向けた効果的な広報を行ってまいります。
○保坂委員 今のご答弁で、既に目標の六割以上を達成されているとのことでありました。これまでの取組をしっかり検証していただき、来年度は、効果的に広報を実施していただくよう求めておきます。また、様々な地域の防災等イベントで、水道局関係が、自治体と連携して広報に出店されることもありますので、そういったところも積極的に活用して、アプリを広めていただきたいと求めておきます。
また、先ほど引っ越しシーズンの話もありましたが、引っ越しする人の中には、当然、外国の方も一定数いると考えております。私は、過去の委員会で、まさに外国語対応、まずは英語対応も必要ではないかと提案をしましたが、三月一日から、アプリ内に英語モードが追加されたとの報道がありまして、かねてより提案してきたサービスの一部が提供されたことを大変うれしく思い、評価するところでもあります。より多くの方にアプリを利用してもらうためには、地道な機能改善によるサービス向上が必要であります。
そこで、これまで改善されてこられた主な内容と、今後どのような改善を行っていくのか伺います。
○坂井サービス推進部長 アプリを通じて質の高いサービスを提供するためには、継続的にアプリユーザーから意見を聴取、収集いたしまして、機能改善を行っていくことが重要と認識してございます。
このため、アプリリリース以降、これまでにお客様からの要望が多かった英数字の半角入力やパスワードにおける記号使用ができるよう、順次改善を実施してまいりました。
令和五年度は、法人のお客様を中心に要望のございました印刷可能な電子データによる請求情報等の提供を予定してございます。
また、アプリ内のスマートフォン決済を現行の四社から六社に拡充することで、多様な決済サービスにも対応してまいります。
今後も、お客様の声に耳を傾け、改善を継続することで、アプリのクオリティー・オブ・サービスの向上に努めてまいります。
○保坂委員 リリース後も改善を重ねてこられ、来年度もスマートフォン決済を六社に拡大するなど、改善を続けていく姿勢が確認できました。使いやすいアプリとするために、引き続き、利用者の声を丁寧に聞きながら、利用者の満足度向上に向けて取り組んでいただくことを要望しておきます。
スマホ決済も六社までですね、利便性が見られます。今後、このアプリを利用者との大事なコミュニケーションツールとして、迅速かつきめ細やかな水道サービスへと発展していくことに期待して、次のテーマに移ります。
続いて、水道サポーターについて伺いたいと思います。確認したいと思います。
水道サポーターは、都民と水道局の双方向コミュニケーションをさらに強くすることで、都民ニーズをより丁寧に酌み取るための取組であり、令和三年度の試行を踏まえて、四年度から本格実施をされております。
私は、試行段階から、オンラインによる交流会の開催などを提案するとともに、事業の進捗状況を継続的に確認してきました。昨年の事務事業質疑では、震災対策をテーマとした交流会を十の区市で開催したことや、十一月以降、水道サポーターの要望が大変高かった水質管理をテーマとした交流会を行う予定であると答弁をいただいております。
そこでまず、水質管理の交流会の実績について伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、お客様と当局職員との対話を通じまして、お客様から伺った意見や提案を積極的に事業運営に活用していくことを目的といたしまして、水道サポーター制度を実施しております。
水道サポーターに登録した方から要望の高かった水質管理をテーマとした交流会は、定員を上回る応募がありましたことから、予定していた三回から四回に増やし、令和四年十一月から五年二月にかけて開催をいたしました。
水質管理の交流会では、浄水過程の説明や水の濁りを取り除くろ過実験などによりまして当局の取組を紹介した後、水質管理に関しましては、お客様目線での情報発信になっているかについて意見交換を実施いたしました。
交流会の参加者の皆様から、専門的な水質検査結果を誰にでも分かりやすい表に整理して情報発信していることにつきまして、見やすくて分かりやすいなどの意見をいただいております。また、交流会後のアンケートでも、八割以上の方に満足と回答をいただいております。
○保坂委員 水質管理の交流会は盛況だったということが分かりました。また、参加者の満足度も非常に高かったということで、少し安心をしました。引き続き、都民に分かりやすい情報発信をしていただくよう求めさせていただきます。
そこで、昨年の事務事業質疑で、私は、交流会の様子を動画で都民に情報共有するよう提案をしましたが、その後、どのように取り組んでいるのか進捗を伺います。
○坂井サービス推進部長 水道サポーター制度の認知度向上と、それによる参加者の増加を図るため、事業の実施状況を広くお知らせいたしまして、水道について関心を高めることは必要であるというふうに認識してございます。
このため、誰もが交流会を疑似体験し、交流会で実施した浄水処理の実験などを見ることで、水道水の安全性を実感できるよう、令和四年十一月に行った水質管理の交流会を動画で撮影いたしまして、十二月から当局のホームページで公開しているところでございます。
お客様の関心度に応じてご覧いただけるよう、交流会を詳しく紹介する三十分版、それから、短いダイジェスト版の二種類を公開いたしました結果、二か月間で約五百回視聴されているところでございます。
令和五年度は、水道サポーター交流会の参加者募集の際に、こうした動画も活用いたしまして、参加者の一層の増加を目指すとともに、ツイッターなどを通じた動画の拡散によりまして、多くの方の水道事業への関心を高めてまいります。
○保坂委員 閲覧数はまだそれほど多くないということですが、早速動画を公開していただいたことは、よい取組であります。来年度は、様々な動画を活用されて、一層の参加者増に向けて取り組んでいただくよう求めます。
先ほど申し上げましたとおり、水道サポーターについては、震災対策をテーマとした交流会も十の区市で開催をされております。震災対策は、区市町や地域によって状況がそれぞれ異なるため、交流会の開催に当たっては、地域の実情に合ったきめ細やかな対応が求められますことから、区市町とも連携を密にして取り組んでいくことが重要です。
そこで、令和四年度の水道サポーターの取組の実績を踏まえて、来年度どのように取り組んでいくのか伺います。
○坂井サービス推進部長 震災対策をテーマといたしました水道サポーターの交流会は、令和三年度から七年度末まで、都営水道給水区域の四十九区市町のうち、希望する全ての自治体で開催できるよう、五年度も、区市町と連携いたしまして、今年度同様、十回程度の交流会を開催する予定でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響で、今年度は一回しか開催できなかった対面の交流会を五年度は増加させるとともに、参加しやすさが評価されているオンライン形式の交流会も継続して開催する予定でございます。
また、既存の区市町のイベントや訓練と連携した交流会を開催するなど、区市町の要望に柔軟に対応してまいります。
さらに、水道サポーターの要望を取り入れて実施した水質管理の交流会が好評だったことから、五年度も、水道サポーターの意見を伺い、新しいテーマの交流会を開催する予定でございます。
○保坂委員 新型コロナウイルスの影響によって、行動制限もいよいよ解除され、対面での交流会が増加しますことは、都民にとっても大変よいことであると思います。オンラインと対面、両方のよい点を生かして、都民サービスの向上に取り組んでいただくよう求めておきます。
また、新しいテーマにつきましても、都民ニーズをしっかりと反映していただくことを併せて要望しておきます。
続きまして、水源林ツアーについてお尋ねしてまいります。
我が会派では、森村副委員長も積極的にこのツアーについて関心を持たれ、追いかけております。
水道局ではこれまで、山梨県に広がる源流部の水道水源林を散策して、森と水の関わりや水源地保全の大切さの理解を深めることができる水源林ツアーを毎年開催されてこられました。
この何年かは、コロナ禍の期間を中止にしてきましたが、今年度は、奥多摩湖周辺において、感染症対策を取りながら、一部再開したと聞いております。間もなく新型コロナウイルスが五類へ移行するため、水源林ツアーを本格的に再開し、より多くの都民に、水源林の役割や重要性についてより知っていただくべきであると考えております。
そこで、水源林ツアーの来年度の取組について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 今年度、三年ぶりに再開した水源林ツアーでは、参加者から、水道水源林とダムの関係や、森林保全の大切さを理解できたという感想が寄せられるとともに、山奥の原生林に行ってみたいなどの声をいただきました。
そのため、来年度は、奥多摩湖周辺に加え、多摩川源流部を散策するツアーを再開するほか、回数を増加して実施することとしております。
今後も、水源林ツアーを継続するとともに、より多くの方に参加いただけるよう工夫を図り、水道水源林の理解促進に努めてまいります。
○保坂委員 私もそうでしたが、実際に現地で体験することは、都民の理解を促進する上で大変効果的かつ重要であります。内容の充実を図りながら、継続して取組を進めていただくよう要望します。
最後に、自家用発電設備の整備について伺います。
都民生活と都市活動を支える基幹ライフラインである水道は、いかなるときも水の供給を止めてはならない宿命を背負っております。しかし、地震や風水害など自然災害により、水道水の供給に不可欠な電力の供給が途絶えるリスクも常に念頭に置かなければなりません。こうした状況においても安定給水を確保するためには、自家用発電設備による電源確保の取組が大変重要であり、早急に進めていくべきと考えております。
そこで、自家用発電設備の整備の考え方について、まず伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、災害などにより、電気事業者から電力の供給が途絶えた場合でも必要な給水を継続するため、水道施設における電力の自立化が重要であると認識しております。
このため、大規模な停電時においても、一日当たりの平均配水量を確保できるよう、浄水場や給水所などへの自家用発電設備の整備を推進しております。
整備に当たり、常時大きな電力を必要とする高度浄水施設などへの電力供給は常用発電設備により行い、配水ポンプ所など使用電力の変動が大きい施設については、停電時に非常用発電設備から電力を供給することとしております。
○保坂委員 災害時におきましても、浄水処理を停止することなく都民に水道水を供給することが重要であり、自家用発電整備を着実に進める必要があります。私は、令和三年十月に、常用発電設備を整備している都内最大規模であります三郷浄水場を視察し、災害時にも活躍が期待される発電設備の重要性を肌で感じてきました。
そこで、最後に、三郷浄水場で整備を進めております常用発電設備の整備状況とその効果について伺います。
○藤村建設部長 三郷浄水場は、主に区部の地域に水道水を供給する日量百十万立方メートルの施設能力を有する浄水場であり、給水の安定性を確保する上で重要な施設でございます。
三郷浄水場の常用発電設備については、令和四年度の完成に向け、元年度に整備に着手しました。しかし、世界的な半導体などの供給不足の影響を受け、発電設備に関連する資機材の調達に遅れが生じました。
このため、複数の作業を同時に進めるなど、施工手順の見直しを行い、今年度中に常用発電設備の設置を完了しましたが、試運転や安全管理上の検査に十か月程度かかることから、稼働の時期は五年度となりました。
この完成により、停電時にも浄水処理を停止することなく給水所へ送水でき、給水への影響を最小限に抑制することが可能となります。
引き続き、工程管理を徹底して、常用発電設備の整備を推進し、給水の安定性を一層向上させてまいります。
○保坂委員 今のご答弁から、世界的な半導体の問題による事業の遅れが生じてはいるものの、現場の工夫など努力を重ねられていることは評価できます。
設置は無事に完了しておりますが、チェック検査に十か月程度要するということから、実際の稼働は来年度になったということですが、自家用発電設備の整備は、安定給水に資する事業でありますので、一日でも早く稼働させることを強く要望しまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○長橋委員 私からも質疑をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
水道局では、令和七年度までの経営計画として、経営プラン二〇二一に基づいて事業を進めていくことは承知をしております。この令和五年度までの中間期間でございますけれども、令和七年度の目標到達に向けてどのように取り組んでいくのか、予算の状況も含めて確認をしておきたいと思います。
まず、災害対策でございます。
そのうちの最重要課題の一つが震災対策であるというふうにも記載をされているわけでありますけれども、強靱で持続可能な水道システムの構築として、水道局では、安定給水に向けた管路の更新や災害対策に取り組んでおります。
昨年五月には、首都直下地震等による東京の被害想定が見直され、公表されたことを受けまして、昨年十一月の事務事業質疑では、首都直下地震の備えとして、ハード面、ソフト面双方の対応状況について確認をしたところでございます。その中で、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化は、目標年次である令和四年度、もう間もなくでありますけれども、令和四年度の完了に向け、鋭意、取替えを進めているとの答弁がございました。
重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化については、震災時における首都機能の確保はもとより、震災時に多くの都民が集まることになる避難所等での水の確保、これは、都民の命を守り、心身の健康を維持するために最重要な課題でございます。
そこで、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の目標年次である令和四年度末の達成見込みについて、まずは伺いたいと思います。
○石田給水部長 当局では、震災時の断水被害を効果的に軽減するため、平成十九年度から、首都中枢機関や救急医療機関等の重要施設への供給ルートの配水管の耐震継ぎ手化を優先的に推進してまいりました。
その後、東日本大震災等を契機に、震災時に多くの都民が集まる避難所や主要な駅等を対象に加え、約三千施設を対象として配水管の耐震継ぎ手化を進めてきた結果、令和四年度末までに概成する見込みでございます。
○長橋委員 令和四年度末までに概成すると、ほぼ終了するということでございますけれども、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化事業の概成により、大地震時にも可能な限り給水を確保できる強靱な管路の整備が進んだことは理解をしたところでございます。
一方、供給ルートが整備されたとしても、大地震時に、その他の脆弱な管路から漏水が発生した場合、道路陥没による交通障害などにより、避難や救助活動に支障を及ぼすおそれがございます。さらには、布設年度が古いにもかかわらず、埋設物がふくそうする施工が困難な箇所に、漏水リスクが高い取替え困難管が多く存在しているというふうに聞いております。
そこで、漏水の発生率が高い取替え困難管の解消に向けて、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○石田給水部長 当局では、布設年度が古く施工が困難な箇所に残存しており、漏水発生のおそれがある管を取替え困難管と位置づけております。
これらは、国道、都道などの交通量が多い幹線道路の交差点、鉄道との近接箇所、電気、ガス、下水道などの他企業の地下埋設物がふくそうする箇所等に点在しており、令和三年度末時点には、約十二キロメートルの取替え困難管が残っておりました。
今年度は、約三・〇キロメートルの取替え困難管が解消する見込みとなっており、五年度は、約三・四キロメートルの解消に向けて取り組んでいく予定でございます。
引き続き、道路管理者や他企業等と、埋設位置の変更や工事時期の調整など、粘り強く実施し、八年度末の完了を目指してまいります。
○長橋委員 この取替え困難管、令和八年度末の完了を目指しているということでございますけれども、取替えが困難ということでありますから、ご苦労があると思いますけれども、目標に向けて頑張っていただきたいと思います。
重要施設の供給ルートだけではなくて、広範囲に点在する漏水の発生率が高い取替え困難管も計画的に耐震継ぎ手化を進めていただきたいと思います。膨大な管路の耐震継ぎ手化は、簡単に進まないと思いますけれども、優先順位を踏まえて進めていくよう、改めて要望しておきたいと思います。
こうしたハード面での予防策に加え、いざ災害の発生、万が一断水が生じた場合であっても、迅速に復旧や応急給水を行い、都民に水を供給することができる対応力を備えておくことが、都民生活を支えるライフラインとしては大変重要でございます。そのためには、災害時の組織としてどのように対応するのか、頭で理解するのではなくて、実際に行動に移すことができるようにしておかなければいけません。
昨年の事務事業質疑で、局が様々な訓練を行っていることは承知しておりますけれども、特に災害時は想定外のことが起こり得るため、その時々の状況に応じて、臨機応変に対応することが必要でございます。
また、東京が被災した場合の影響の大きさを考えれば、水道局だけではなくて、他県の水道事業体からも応援を得ることも必要になってくると思います。平時にできないことは災害時にできないといわれているように、日頃から備えが大変重要でございます。
そこで、組織の応急対策の実効性を高めるために、局はどのように取り組んでいくのか、改めて伺いたいと思います。
○石井総務部長 当局では、職員及び組織の危機対応力を強化するため、毎年度策定する東京水道危機対応力強化計画に基づき、年間を通じて体系的かつ網羅的に訓練を実施しております。
具体的には、休日に発災した想定で、全職員が徒歩で職場へ参集し、参集経路や所要時間を確認する徒歩参集訓練や、訓練シナリオを参加者に明かさないブラインド型により、局全体で発災時の初動対応を行う平日、休日発災対応訓練、事業所ごとに区市町と連携して行う応急給水訓練など、様々な場面に応じた対応力の向上を図っております。
また、令和五年一月には、近隣の事業体で構成される日本水道協会関東地方支部南関東ブロックの訓練を六年ぶりに東京都で開催し、応援隊の受入れや応急給水に係る連携手順を、参加者の間で、訓練による現場行動を基に確認をしてまいりました。
今後も、こうした訓練を通じて明らかとなった課題を基に、訓練内容や発災時の行動内容を改良し、実践的な訓練を積み重ねていくことで、組織や職員の危機対応力の強化を図ってまいります。
○長橋委員 ブラインド訓練、特に、全職員が徒歩で職場に参集して行ってくるような訓練とか、それから、様々な場面を想定しての訓練が、やっぱり日ごとに、また、その時々によって変わってくるかと思いますので、常に訓練は引き締めてやっていただきたいと思います。その上で、他県自治体との訓練も行っているということでございますので、災害はいつ起こるか分からないという状況でありますので、ライフライン事業者として、都民の安全と安心を確保するため、引き続き、ハード面とソフト面、予防対策と応急対策の観点から、安定給水に向けた取組を着実に進めていただきたいと思います。
続いて、水道グループの人材育成について伺いたいと思っております。
災害対策も含めて、水道事業は、それぞれ人によって支えられているわけであります。
都の水道事業は、一千四百万人の都民生活を支える基幹ライフラインであり、その礎となる技術を確実に次世代に引き継いでいくことは、大変重要な課題でございます。水道事業は、長年蓄積された技術、ノウハウの積み重ねの上に成り立っており、事業を安定的に運営していくためには、技術を有する人材の育成を長期的な視点に立って行うことは欠かせません。
現在、水道局では、政策連携団体である東京水道株式会社に、順次、現場業務を移転しており、人材育成についても、東京水道グループ全体で計画的に取り組み、水道事業を支える現場の技術を着実に継承していく必要性については、これまでも指摘してきたとおりでございます。
そこで、東京水道を支える基盤の強化の一つである東京水道グループの人材育成の取組について確認をしておきたいと思います。
まずは、東京水道グループの人材育成の方向性、これについて伺いたいと思います。
○長嶺職員部長 当局では、政策連携団体への業務移転の推進や若手職員の増加、漏水事故等の対応を直接経験する機会の減少など、東京水道グループを取り巻く状況の変化を踏まえ、令和三年三月、団体と共に東京水道グループ人材育成方針を策定いたしました。
本方針では、グループが求める人材像として、高い使命感の下、知識や経験を活用した的確な対応を行い、お客様の信頼に応える職員、社員を掲げ、安定給水を担う強固な人材基盤の確立を目指しております。
また、こうした人材像を実現するため、継承すべき技術の体系化、見える化、組織的なOJT、効果的な研修の実施など、重点的な取組を明確化し、中長期を見据えた効果的な人材育成、技術継承を推進しております。
○長橋委員 今お話もありましたけれども、若手職員の増加、また、漏水事故等の対応を直接経験する機会が少なくなってきていると、そういう状況でありますので、改めて、人材育成がいかに重要かということが、今の答弁でも分かったところでありますし、しっかりと継承していただきたいと思います。
人材育成方針により、グループとして取組を共有しながら、人材育成や技術継承を進めているとのことでございます。特に、高い専門性を必要とする水道の現場業務を維持していくためには、これまで培ってきた技術を東京水道グループ全体で後世に着実に引き継いでいく、地に足のついた取組が不可欠でございます。
そこで、人材育成方針を踏まえて、東京水道グループにおける技術継承についてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○長嶺職員部長 現場業務の多くが局から政策連携団体に移転していく中で、次世代への技術継承には、人材育成方針に基づいて、局と団体とが緊密に連携して取組を進めていく必要がございます。
そのため、経験豊富な職員、社員を推進役とする新たなOJTについて、今年度から、グループ内の全ての職場で実施し、継承すべき技術の一覧の活用など職場での良好な事例を共有しながら、現場経験の蓄積や教える力の向上につなげております。
また、来年度は、局と団体とが共同で実施する技術系実務研修に新たな科目を追加することで、必要な技術を効果的に習得できる場を充実させ、グループの一体感醸成を図ってまいります。
さらに、仮想空間で現場を疑似体験できるVR機器を用いた研修について、対象分野を設備工事や設計に拡大し、業務に携わる職員、社員の実務能力を強化してまいります。
引き続き、こうした取組を通じて、グループ全体で技術やノウハウを着実に継承してまいります。
○長橋委員 継承していく技術の一覧、これを作成して活用していく。また、新たな科目を追加することによって、必要な技術を効果的に習得できる場を充実させていくということであります。また、さらには、最新技術を活用して訓練を進めていくということでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
東京水道の技術は、百年を超える歴史を持っております。様々な環境の変化に対応し、技術革新を取り入れながら、都民生活、大都市の経済活動を支えてきたところでございます。長きにわたって培われた技術を日頃の業務を通じて直接受け継いでいくほか、研修の充実やデジタル技術の活用など、重層的な取組を継続することが、基幹インフラである水道事業を支えていく上で極めて重要でございます。
今後とも、貴局と東京水道と共に、人材の育成、技術の継承に精力的に取り組んでいただきたいと思います。
続いて、環境施策について伺いたいと思います。
災害対策や人材育成は、長期的視点に立って取り組んでいく必要がございますけれども、事業運営に多くの電力を必要とする水道事業の特性を踏まえると、CO2排出量の削減など地球環境に配慮した事業運営を進めていくことが、お客様とつながり、信頼される水道の実現に向けて重要でございます。
そこで、HTTに関する水道局の取組について確認をしたいと思います。
昨年十一月の事務事業質疑において、電力需給逼迫を踏まえて都が推進しているHTTに関する水道局の取組について質問し、局からは、必要な取組を着実に進めていくという答弁があったところでありますが、幸いなことに、今年の冬においては、深刻な電力需給逼迫は生じなかったわけですけれども、油断していいものではなく、将来に向けた備えが引き続き必要とされる状況でございます。
そこで、以前に伺った取組の進捗状況と、それが適切に令和五年度予算に反映されているのか確認をしておきたいと思います。
初めに、三園浄水場における電気事業者への電力の提供についてでございます。
水道局は、この冬に想定される電力需給逼迫に対応するため、令和五年一月の稼働を目指して、必要な整備を実施するとしておりました。
三園浄水場における整備の状況及び電力の提供実績、これについて伺いたいと思います。
○小泉設備担当部長 三園浄水場における電力設備の整備は、常用発電設備を増強運転することで創出される電力の一部を電気事業者に提供することを目的としてございます。
寒さが厳しくなる時期の電力需給逼迫に備えるため、昨年十月に、場内の受変電制御システムの改修に着手し、本年一月には、最大七百キロワットの電力を電気事業者へ提供できる整備が完了いたしました。
しかし、この冬におきましては、電力需給逼迫注意報の発令がなく、電気事業者から要請がないため、現時点で電力提供の実績はございません。
○長橋委員 必要な整備は完了した、電気事業者への電力は提供できるように十分にあったけれども、今年の冬は要請がなかったために提供実績がないということでございました。
事業の特性上、要請なくして実績がないのは当然のことでありますけれども、まさに備えとして実施した取組と認識しておりまして、要請があれば電力を提供する必要があるということでございます。
引き続き、適切な設備の管理と要請があった場合の速やかな対応をお願いしたいと思います。
次に、令和五年度以降に向けて実施している取組についても伺いたいと思います。
昨年十二月の第四回定例会において条例が可決した新築住宅への太陽光パネル設置の義務化に向けて、大きな一歩を踏み出したところでございます。都民に義務を課す以上、課す側の都は、より率先した行動を取るべきであることはいうまでもございません。
水道局はこれまでも、局施設に太陽光発電設備を積極的に設置してきましたが、事務事業質疑におきましては、新たに研修・開発センターにも設備を設置する予定があるという答弁があったところでございます。
そこで、研修・開発センターにおける太陽光発電設備の整備状況と、令和五年度の取組について、まずは伺いたいと思います。
○西川経理部長 研修・開発センターに整備する太陽光発電設備は、屋根に発電容量約百四十キロワットの太陽光パネルを設置するものでございまして、創出した電力は、同センターにおいて消費いたします。
また、太陽光パネルと併せて蓄電池を設置することにより、停電した場合においても電気自動車への充電を可能とするなど、電力の有効活用を図ることで災害対応力を強化いたします。
令和五年度は、設計を委託することとしており、令和六年度からの同センターの大規模改修の一環として施工することで費用を削減してまいります。
また、大規模改修の完了を待たずに、先行して太陽光発電設備の稼働を開始する予定でございます。
○長橋委員 大規模改修に合わせて整備を行うことで費用を削減すると。また、大規模改修の完了を待たずに、先行して稼働を開始するというようなことでございまして、しっかりと整備を進めていただきたいと思います。
先ほど申し上げましたけれども、義務を課す以上、都側こそ積極的に範を示す、こうしたことが必要であろうかと思います。研修・開発センターへの設置にとどまらず、引き続き、局施設への積極的な設置を進めていただきたいと思います。
また、創出した電力の有効活用のため、蓄電池も設置するとのことでありますけれども、事務事業質疑では、それ以外にも、東村山浄水場において蓄電池の設置を計画するとのことでございました。
東村山浄水場に設置する蓄電池の整備状況、そして、令和五年度の取組についても伺いたいと思います。
○小泉設備担当部長 東村山浄水場では、場内の太陽光発電設備や小水力発電設備などにより創出される電力を最大限に有効活用するため、蓄電池を整備いたします。
蓄えられた電力は、電力のピーク時間帯に活用することで、電力需給逼迫時に高い効果が発揮できます。
東村山浄水場における電力の使用実態を踏まえ、蓄電池の出力規模を約五百キロワットとするとともに、浄水場内の一部施設の更新に合わせて整備することとし、これまでに所轄の消防署や建築指導事務所との事前協議が完了いたしました。
令和五年度には、基礎工事や機器製作に着手し、六年度末の稼働に向けて着実に整備を推進してまいります。
○長橋委員 令和五年度には、基礎工事や機器製作に着手をして、令和六年度末の稼働に向けて整備を進めていくということでございました。
そうした電力を効果的に活用するためには、ためる取組が何よりも重要であろうかと思います。国や民間企業も様々な取組を行っていると思いますけれども、局としては初めての事業だと、このようにも伺っておりますので、精力的に整備を進めていただきたいと思います。不安定な社会情勢や半導体の不足などにより、蓄電池の調達は引き続き困難な状況にあると聞いていますが、ぜひ着実に整備を進めていただきたいと思います。
以上、HTTに関する取組の進捗状況について伺い、令和五年度予算にも適正に反映されていることが確認をできました。しかし、HTTは、環境施策の一環として実施されるべきものでありますけれども、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、これまで以上に積極的に環境施策を推進していかねばならないことは、指摘したとおりでございます。
水道局も、今後の取組の方向性について検討を進めていると思いますが、検討に当たって、外部有識者で構成される会議の意見も参考にするとのことでございました。その会議は、昨年十二月に開催されたと聞いております。
そこで、この会議で環境施策についてどんな意見があったのか伺いたいと思います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 令和四年十二月に開催いたしました東京都水道事業運営戦略検討会議では、東京都水道局環境計画二〇二〇−二〇二四の進捗状況や、当局の電力使用、調達の状況などのほか、電力価格の上昇やそれに起因する当局の動力費の増加など、当局事業を取り巻く状況の変化について説明をいたしました。
検討会議の委員からは、環境施策を全庁的な課題として捉え、都庁全体で取り組んでいくべきや、劇的に電気の使用量を減らすことが難しいので、コストをある程度かけなければならないのではないか、また、再生可能エネルギーのコストと財政のバランスの折り合いをつける必要があるなどの意見をいただいております。
○長橋委員 こうした会議を開催することは大変重要であろうと思いますし、今後の検討に向けて様々な意見をいただいたということでありますので、ぜひこうした意見も踏まえて進めていただきたいと思っております。
都庁全体で取り組むべきとの意見もありましたけれども、水道局の環境施策においても、東村山浄水場における蓄電設備の整備など、電力逼迫への対応に資する事業として位置づけられ、費用の一部に一般会計から負担を受けていると承知をしております。それを踏まえた上で、コストと財政のバランスという観点は、今後の水道局の事業運営、財政運営を考える際に非常に重要であります。
最後にお伺いしますけれども、今後のさらなる環境施策の推進に向けた水道事業運営の考え方、これについて伺いたいと思います。
○石井総務部長 都の水道事業は、最も重要な基幹ライフラインとして、都民生活や首都東京の都市活動を支えてきており、これまで時代に即した施策を推進し、現在では、水道の根源的使命である安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現しております。
二〇三〇年カーボンハーフは都全体の目標であり、水道事業者としても着実に達成することが求められておりますが、現在のサービス水準を維持し、引き続き安定給水に努めることが、我々が担うべき何よりの責務であると考えております。
また、増加していく環境コストを公営企業のみで負担することについては、お客様への影響は大きく、慎重に対応しなければならないものとも認識をしております。
これらを踏まえた上で、環境コストの在り方について検討、検証を進め、財政運営への影響を勘案しながら、再生可能エネルギーの導入や低炭素電力の調達などの環境施策をこれまで以上に推進をしてまいります。
○長橋委員 ありがとうございました。サービス水準を維持していくと。その上で、財政運営への影響を勘案しながら、環境施策を推進していくという認識でありました。これまで以上に環境施策の推進はしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
電気料金をはじめとした物価の高騰や依然続く新型コロナウイルス感染症の影響など、近年の都民生活には、ただでさえ多くの負担がかかっているわけでございます。そうした中においても、低廉で安全な水を安定的に供給することは、公営企業としての水道局に課せられた大きな使命でございます。環境コストへの対応も含めて、効率的な事業運営を進めてもらわなければなりません。
難しいかじ取りになると思いますけれども、その点も十分に留意した上で、二〇三〇年のカーボンハーフ、二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に寄与していただきたいことを切に願って、今後の水道局についても期待をして、質問を終わります。ありがとうございました。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いします。資料のご提出をありがとうございました。
私からは、多摩地域の水源井戸のPFASの問題とスマートメーターの導入と検針員の委託業務について、それから、給水停止の増加の問題について伺います。
まず、有機フッ素化合物PFASの問題です。
体内への蓄積性や発がん性が指摘されている有機フッ素化合物PFASについて、国際的に規制が強まる中、日本でも、特に米軍基地がある沖縄や神奈川、そして、東京都でも多摩地域を中心に高い濃度が井戸水から検出されて、健康被害への不安が広がっています。
このことで、水道局は、多摩地域の十一の浄水所、そして配水所の三十四の井戸を停止しているということも報道され、この間の質疑でも取り上げられているところです。
さらに、多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会という市民団体が行った血中濃度の調査では、国分寺市の方々を中心とした八十七人の結果が公表されましたが、国内ではPFASの血中濃度に関する基準がないため、海外の基準と比べるしかないんですけれども、アメリカで定める規制値を超えた人は、全体の約八五%、七十四人という結果。また、国内で製造や輸入が禁止されていないPFHxS、これは製造禁止になったPFOS、PFOAの代替としてまだ使われているというものですが、この平均値が、血液一ミリリットル当たり十四・八ナノグラムで、環境省が二〇二一年に全国の約百二十人を対象に実施した調査と比べても、約十五倍の高さだったという結果になり、都民の間に大きな衝撃が広がっています。
まず初めに伺いますが、水道水がPFASの血中濃度に与える影響について、水道局はどう認識しているか伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 国は、本年一月、有機フッ素化合物に関する専門家会議を設置し、最新の科学的知見や検出状況の収集、評価を行い、科学的根拠に基づく総合的な対応の検討を開始しました。
当局としましては、引き続き、国の動向を注視してまいります。
○斉藤委員 国の動きについてご説明をいただいたんですけれども、私は、水道水がPFASの人の血中濃度に与える影響についてどのように認識しているのかということを聞きました。
水道局で、このPFASの有害性についてはよくご存じのことだと思いますけれども、発がん性のほか、妊娠高血圧症や胎児の低体重、免疫力の低下などの有害性が指摘されています。
市民団体と共に血中濃度の検査を行った京都大の原田浩二准教授は、多摩の水源井戸について、過去の汚染状況はより高かった可能性があり、水を飲んで体内に蓄積しているという分析をしていることが報じられています。
水道局は、二〇〇四年に、最初のPFOS、PFOAの調査をしています。まさに飲み水、水道水が、人体に与える影響について懸念があったから調査を行ったということではないかと思いますが、水道局が、二〇〇四年から計測することになった背景、理由について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 平成十六年二月に国が公表した化学物質に関する調査において、全国の河川等で有機フッ素化合物が検出される事例が報告されました。
このため、同年、当局では、浄水場原水等におけるPFOS及びPFOAの検出の有無を確認することを目的に調査を行うこととしました。
○斉藤委員 国は、二〇〇四年に、全国の河川等で有機フッ素化合物が検出されていると、それが報告されていた、背景があると。国は、この基準値について、ようやく二〇二〇年四月に、一リットル当たり五十ナノグラムという暫定の基準値を示したということで、その動きは本当に遅いといわなければならないんですが、その基準値が示される前から、二〇〇四年の段階から検査を行っていたということは、大切な取組だったというふうに思います。
今、都民の皆さん、特に多摩地域の方々が、水道局に対して求めていることは、情報公開の透明性と住民の立場に寄り添った対応、説明をしていくということだと思います。
私は、多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会の方々からお話を伺ってきました。地域の皆さんは、ここの水は井戸水を使っていて、冷たくておいしい水なんだということで、誇りに思って飲んできたし、子供たちにも飲ませてきたということです。それが、今になって、PFASの濃度が高い水だったということが突きつけられて、不安と後悔に駆られていると話していました。共同代表の方は、とにかく自分たちがどんな水を飲んできたのか、これを明らかにしていきたいというふうに訴えています。
情報公開の在り方と都民の思いに寄り添う対策について伺っていきたいと思いますが、二〇〇四年度以降の測定結果について、公開したのはいつか伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 PFOS及びPFOAの測定結果につきましては、平成十六年度の調査開始以来、水質報告会などで報告しております。二十一年度には、PFOS、PFOAが要検討項目に位置づけられたため、二十二年度から測定結果を局の水質年報に公表し、二十八年度からはホームページにも掲載してございます。
○斉藤委員 水質報告会や水質年報で公表してきたということなんですけれども、それではごく一部の方の目にしか触れないものだというふうに思います。市民団体の皆さんが見ていた中でも、現在のホームページ上での情報公開の仕方に変わったのは、二〇二一年頃からだったということで聞いています。
今後は、全ての都民が情報に簡単にアクセスできるよう、ホームページへの掲載を整理してお願いしていきたいというふうに思います。
自分たちがどんな水を飲んできたのかということを知るためにも、様々な声が寄せられています。
多摩地域では、地下水と河川の水の両方が使われていますが、多摩地域における過去三か年の地下水の割合について教えてください。
○橋本技術調整担当部長 多摩地区の配水量に占める地下水揚水量の割合は、令和元年度が約一一%、二年度が約九%、三年度が約七%でございます。
○斉藤委員 一割前後が井戸水だということです。質問上、三年分を伺いましたけれども、本来は、測定以来のことが知りたいので、これは後ほどホームページにも示していただきたいというふうに思います。
また、浄水場ごとに分からないものかなということでお伺いもさせていただきましたけれども、こちらは浄水場ごとには測れないということで、データがないということも伺いました。
水道局がホームページに掲載している水質検査の結果には、二〇一九年以前の蛇口、給水栓での値が示されていないという状況です。都民に分かりやすく示していくためにも掲載してほしいと思いますが、いかがですか。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 給水栓の検査につきましては、PFOS及びPFOAが要検討項目に位置づけられた平成二十一年度から開始しており、測定結果も、当局が発行している水質年報により二十二年度から公表しております。
また、測定結果のホームページへの掲載につきましては、二十八年度から行っております。
○斉藤委員 ホームページの掲載を平成二十八年、二〇一六年からやっているということなんですけれども、これも、やはり別のページの水質年報の中に掲載されているということで、原水や浄水での結果と同じように掲載しているというものにはまだなっていないんですね。どこにあるのかというのが非常に分かりにくく、調べにくいということがありますので、別々にアップするという状況ではなくて、一括して同じページで見られるように整えていただきたいということを求めさせていただきます。
次に、井戸の停止を行った経過について、一部伺っていきたいと思います。
府中武蔵台浄水所と、そして東恋ケ窪配水所の井戸からの取水を止めたのはいつか、また、止めた理由と止める前のPFASの検出値について伺います。
○橋本技術調整担当部長 府中武蔵台浄水所の井戸五本の停止時期と理由でございますが、令和元年六月に、国の目標値設定の検討の動きを受けて、井戸三本を停止し、次に、令和二年二月に、国から暫定目標値の案が示されたことから、井戸一本を停止し、さらに、暫定目標値適用後の令和二年十二月に、給水栓で暫定目標値を下回るよう、井戸一本を停止しました。
東恋ケ窪配水所の井戸三本の停止時期と理由でございますが、令和元年六月に、国の目標値設定の検討の動きを受けて、井戸一本を停止し、令和二年二月に、国から暫定目標値の案が示されたことから、同年二月及び三月に、残りの井戸二本を停止しました。
次に、取水停止前のPFOS及びPFOAの検査結果でございますが、府中武蔵台浄水所は、水源井戸は一リットル当たり三百十ナノグラム、給水栓が一リットル当たり四十二ナノグラムでございました。
東恋ケ窪配水所については、水源井戸は一リットル当たり三百四十ナノグラム、給水栓が一リットル当たり百ナノグラムでございました。
なお、取水停止直後の給水栓における値は、府中武蔵台浄水所は一リットル当たり五ナノグラム未満、東恋ケ窪配水所は一リットル当たり二十四ナノグラムであり、国の暫定目標値の一リットル当たり五十ナノグラムを下回っております。
○斉藤委員 ありがとうございます。
二〇一九年以降、国の目標設定の検討の動きを受けて、井戸の停止というのを行ってきているということなんですね。途中、府中武蔵台浄水所の井戸を止める前のPFASの値は三百十ナノグラム、東恋ケ窪配水所では三百四十ナノグラムで、いずれも、そのままでは給水栓での値が一リットル当たり五十ナノグラムの暫定基準値を超えるおそれがあったために、井戸を停止したということです。
二〇一九年からこういう動きがあったわけですけれども、井戸の運用停止を行ったときに、水道局は、調布市や国分寺市には伝えたというふうに伺っているんですけれども、市民の方々は、なぜそのときに、直接市民に対して詳しいお知らせや説明会などがなかったのだろうかという疑問の声が届いています。住民の皆さんは、いつもは冷たくておいしい水が、突然ぬるくなり、地域の方々が、水が変わったということが分かったそうです。その後に、PFASの問題があるということを報道で知って、全く知らされていなかった住民の方々は、水道局に不信感を募らせる、こういう状況になっています。
せめて、こうした大きな変化があるときは、水道を直接管理している水道局として、地域の住民に直接丁寧にお知らせする機会をつくるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○橋本技術調整担当部長 当局では、取水する水源の種類にかかわらず、給水栓における水質基準値を遵守しており、水道水の供給には問題ないと認識しております。
なお、水道水を安心して利用いただけるよう、ホームページに局の取組や水質検査結果を掲載しております。
○斉藤委員 給水栓において基準をクリアしている、下回っているからいいんだということだったり、ホームページに掲載しているというふうにいうんですけれども、しかし、情報提供は、当事者に届くように行わなければ、やっぱり伝わらないものだと思います。下回っているからいいんだということでは、やっぱり不安は払拭されないというふうに思うんですね。やはり、直接管理を行っている水道局が、丁寧に情報収集していくということは、今後においても本当に重要なことだというふうに思います。住民の不安の解消や寄り添った課題の解決を行っていくためにも、ぜひ、その立場に立って対応していただくことを強く求めます。
水道局では、この給水栓で、暫定基準値の一リットル当たり五十ナノグラムを超えないように井戸を運用しているということですけれども、井戸の原水で見ると、実際には、一リットル当たり五十ナノグラムを超えている井戸があって、稼働が続いているということがあります。中には、暫定基準値の三倍以上の百七十ナノグラムが出ているというところでも活用を続けています。
そこで伺いますけれども、PFASの定量下限値の一リットル当たり五ナノグラムを超えて検出されている井戸の数、幾つあるのか教えてください。
○橋本技術調整担当部長 定量下限値は、測定の範囲を示すものであり、水質の安全性を判断する基準ではございませんが、これを超えて検出された井戸は、令和四年度第三・四半期末時点で、稼働中の井戸のうち二十八本でございます。
なお、井戸での検出状況にかかわらず、給水栓において国が定めた暫定目標値である一リットル当たり五十ナノグラムを大幅に下回っているため、水道水の安全性は確保されております。
○斉藤委員 稼働中の井戸のうち五ナノグラムを超えているという井戸が二十八本あるということですね。それらの井戸を止めることで、給水の量を賄えないという状況になるのかどうか伺います。
○橋本技術調整担当部長 当局では、水質管理の考え方として、給水栓における水質基準など、国が定める基準を遵守することにより水道水の安全性を確保することとしております。
また、給水栓において、PFOS及びPFOAが、国の定める暫定目標値である一リットル当たり五十ナノグラムを超過するおそれのある場合は、原因となっている濃度の高い井戸を直ちに停止しております。
この対応により、給水栓では暫定目標値を大幅に下回っております。
○斉藤委員 私が聞いたのは、給水の量を賄えないのかということなんです。いろいろやっている取組について聞いているわけではなくて、これらの井戸を止めることで、給水の量を賄えないという状況になるのかということです。
お答えがありませんでしたので、これを賄えるということは否定しないということでよろしいですか。
○橋本技術調整担当部長 繰り返しになりますが、当局では、水道水の安全性について適切に水質管理を実施しており、水道水の供給には問題ないと認識しております。
なお、当局では、災害事故時等の不測の事態により、施設能力が低下することも想定して、必要な水量を確保しております。
○斉藤委員 給水において基準を下回っているから問題ないと認識しているというご答弁なんですけれども、しかし、基準値を下回っていたとしても、幾らかでも出ているものを飲めば、確実に体内に蓄積していくというのが、このPFASなんです。だからこそ、出ている井戸は、少しでも止めて、可能な限り、できるんだったら止めて、そして、可能な限りPFASの低減をしてほしいということが、住民の皆さんの願いなんです。
問題ないという意識でいられるというのはどういうことかなと私は思うんです。行政的には、基準を下回っているから、皆さんの責任じゃないという意味での問題ないという認識なのかなというふうに思うんですけど、住民の皆さん、水を飲む方からしたら、問題がないということではないということをはっきりと指摘をしたいというふうに思います。例えば、二十八本全ての井戸を停止するということではなくても、高い値が出ているようなところは止めるということ、これは可能な範囲でやっていただきたいというふうに思います。
実際に、西東京市の住吉一号、一号水源ですね、ここでは、原水での値が、先ほどもいいましたが、百七十ナノグラム・パー・リッターなど高い値になっていますが稼働しています。こうした高く検出されているというところだけでも取水停止するべきですけれども、繰り返し聞きますが、いかがですか。
○橋本技術調整担当部長 当局では、給水栓における水質基準など、国が定める基準を遵守することにより水道水の安全性を確保しております。
現在、井戸から取水している水道施設の給水栓において、国が定めた暫定目標値である一リットル当たり五十ナノグラムを大幅に下回っているため、水道水の安全性は確保されております。
そのため、現時点で直ちにそれらの井戸を停止する状況にはございません。
○斉藤委員 給水栓、蛇口で暫定基準を下回っているということを繰り返されるんですけれども、基準でしか考えないということではなくて、既に血中濃度の検査でも高い濃度が血中から示されているという結果が出ていますので、こういう少しでも体内に取り込みたくないという住民の皆さんに応えて仕事をやっていくというのが本来なんじゃないでしょうか。ぜひ柔軟に考えて、できることはやっていく、この立場で対応していただくことを強く求めます。
そして、住民の皆さん、水道のユーザーの皆さんに対してできるもう一つのこと、稼働している井戸水から極力PFASを除去する取組についてです。
WHOは、活性炭によって浄化することで、PFASは九〇%削減されるということを示して、実際に、アメリカや沖縄でも活性炭を利用した浄化槽での水のろ過を行っています。
PFASを低減させるための活性炭の有効性について、水道局の認識を伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 WHOが飲料水の水質目標値を定めるための基礎資料においては、活性炭処理でのPFOS及びPFOAの除去性について様々な除去率が観察されたとしており、除去率の幅はゼロから九〇%と示されております。
また、国においては、浄水処理によるPFOS及びPFOAの除去性について見解を示しておりません。
当局としましては、引き続き、国の動向を注視してまいります。
○斉藤委員 九〇%が除去されるということも示されているということなんですよね。それで、アメリカや沖縄では実際に活用されているわけですから、そうした知見を集めて、やれることというのを検討していただきたいというふうに思います。
そして、これまでの取組の中からも伺います。
国の暫定基準が示される前に、水道局が目安として使っていた基準とその値を目安にしていた理由について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 令和元年五月に、国が、国会にて、PFOS及びPFOAに関する目標値設定の検討を表明したことなどから、当局では、同年六月に、独自の取組として、当時、海外で最も厳しい目標値であったアメリカ環境保護庁の健康勧告値、一リットル当たり七十ナノグラムを参考にした管理を開始しております。
○斉藤委員 当時のアメリカの健康勧告値の一リットル当たり七十ナノグラムというのを参考にしたと。さらに、日本人の場合、体が小さいので、その半分の三十五ナノグラムを目安として、これを上回らないように運用してきたというふうに伺っています。より安全側に厳しく見ていた対応だったというふうに思いますけれども、今の日本の暫定基準値は、それよりも緩いものになっています。
さらに、アメリカでは、もっと知見が進んで、現在は、米国環境保護庁は、PFOSは一リットル当たり〇・〇二ナノグラム、PFOAは〇・〇〇四ナノグラムに変更するガイドラインを示して、最新の科学的知見を踏まえ、生涯にわたって摂取し続ける影響を考慮して決定した、また、ゼロに近い量でも、健康に悪影響を及ぼす可能性があるということを説明しています。WHOも、先進国に対して、なるべく安全側に立って対応することを求めています。
こうしたことからも、今の国の暫定基準値内なら問題ない、ほかに何もしなくていいということではないということを改めて指摘をしたいというふうに思います。住民の健康への影響を極力なくしていく立場で対応していくことを重ねて強く求めます。
この問題の解決に向けては、水道局だけでなく関係各局の取組が重要です。都民の健康への影響や実態を調査するためには福祉保健局、環境汚染の実態や汚染源の特定のためには環境局、そして、汚染源として最も有力視されている横田基地への調査という点では都市整備局、命の水を守るためにも、こうした関係部局で対策チームをつくるなど、連携の強化が必要だと考えますが、見解を伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、PFOS及びPFOAの測定結果に加え、水道水質に関する国の動向などの必要な情報について、適宜、関係各局と共有しております。
なお、水道事業者としては、水道法に定める水質基準などを遵守し水道水を供給することが責務であると認識してございます。
○斉藤委員 水質基準などを遵守する、これは大切なことですけれども、それだけじゃなくて、なるべくPFASの低減をさせるために、できることを積極的に行うということを重ねて求めます。
沖縄では、汚染源の調査のために、水道局と同じ立場の企業局が、自ら米軍の嘉手納基地に対して立入調査の申請を行っています。水源が基地の中にあるという事情もあるとは思いますが、東京都水道局としても、積極的に関係各局と連携を行って、都民の命の水を守るために行動していただくことを求めて、次の質問に移ります。
スマートメーターの導入と検針業務の委託についてです。
水道局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトを本年度から二〇二四年度、令和六年度までの三か年の計画で行っています。
先ほどもこの質疑がありました、今年度設置の状況についてご答弁がありました。今年度は、二万三千個を二月末までに設置して、三月末までに残りの六千個を設置する。令和五年度は、約五万八千個設置するということでした。設置は予定どおり進んでいるという状況ですけれども、十一月にも、私もこのことを取り上げましたけれども、十月からの運用からの一か月間で、通信不良により定期検針日にデータが取得できなかった件数は八百二十四件だったとの回答でした。
現在までの件数は何件か、運用開始となったメーターの総数と併せて伺います。
○坂井サービス推進部長 スマートメーターを運用開始いたしました令和四年十月一日から令和五年二月末までにおける定期検針日にデータが取得できなかった件数でございますけれども、延べ三千七百五十二件でございます。
また、スマートメーターの設置個数につきましては、令和五年二月末時点で、約二万三千個でございます。
○斉藤委員 設置したスマートメーターは、全て運用が開始され、十月一日から今年の二月末までの五か月間で、定期検針日にデータが取得できなかった件数は延べ三千七百五十二件だということです。一か月平均で、大体約七百五十件の通信不良が起きているということだと思います。
通信の不具合が起きている環境にはどのような環境が多いのか、電波が届きにくい高層マンションなども多いのか伺います。
○石田給水部長 これまで、電波強度が減衰する建物の地下や鉄製の蓋がついたメーターボックスに収納されることが多い大口径メーターのほか、高層マンションの高層階に設置されたメーターからの通信が不安定となることなどを確認してございます。
○斉藤委員 十一月の事務事業質疑のときに、電波状況の改善について、携帯電話会社に働きかけを行っているということでした。
その状況はどうなっているのか伺います。
○石田給水部長 当局から電波状況の改善を依頼したことを踏まえまして、携帯電話会社において検討を行っていると聞いてございます。
○斉藤委員 携帯電話会社において検討を行っていると聞いているということなので、まだ解決しているわけじゃないということだと思うのですけれども、このスマートメーターからデータの取得ができないということが主な課題になっているというふうに伺っています。
こうした課題の解決を図っていかなければならないと思いますが、二〇二四年度、令和六年度までの実装プロジェクトを踏まえた上で、二〇二五年度以降の導入計画の詳細が出てくるということだと思いますが、その計画が示されるのはいつになるのか伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 令和七年度以降のスマートメーターに関する取組につきましては、先行実装プロジェクトによる効果確認を踏まえて検討することとしております。
○斉藤委員 効果を踏まえて検討することなんでしょうけど、それがいつ示されるかということを伺いました。
もう一回伺うんですが、令和六年度、二〇二四年度内に示されるのか、それとも、令和七年度、二〇二五年度に入ってから示されるということもあるのか伺います。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 繰り返しのご答弁で恐縮ですが、令和七年度以降のスマートメーターに関する取組につきましては、先行実装プロジェクトによる効果確認を踏まえて検討することとしております。
○斉藤委員 つまり、いつになるのかは分からないということだというふうに思うんですね。その分からないものに振り回されているのが、検針員の方々なんです。
まず伺いますけれども、今、この検針業務、委託で行われていますが、現在、委託の検針員は、都内全体で何人いるのか教えてください。
○坂井サービス推進部長 検針委託会社から聞き取りました結果、令和四年四月時点の検針委託会社に所属する検針員は約千五百名でございます。
○斉藤委員 全体で約千五百人の検針員の方々がいらっしゃるということです。
検針員の方々は、水道の料金徴収業務を行い、水道事業の財政基盤を支える大切な役割を担っています。私もこの間の質疑で取り上げてきました。
前回の質疑では、サービス推進部長から、この検針業務について、いうまでもなく、水道局の料金を調定して確定するという意味で、非常に重要な役割を果たしているというふうに認識しているというご答弁がありました。
伺いますけれども、この認識は今も変わりませんか。
○坂井サービス推進部長 前回同様、水道局の水量を確定するという意味では非常に重要な役割を果たしているというふうに考えております。
○斉藤委員 重要な役割を果たしていると。とても大切な認識だというふうに思います。
その検針員の皆さんが、スマートメーターの導入に伴って、事前の説明もなく、これまでの五年契約から、突然、二年契約、そして、一年契約と雇用が細切れにされてしまうというような状況に置かれて、今、大変な不安を強いられています。
検針委託会社との委託契約というのは、五年契約というのが通常だったんですけれども、現在は、令和六年度、二〇二四年度までの三か年のスマートメーターのプロジェクトの期間に合わせて雇用期間が区切られてしまっている。そういう中で、区切られたということが、十一月の質疑でも答弁がありました。そして、現実的にそうなっています。
このことは、委託会社には、事前に説明をしてきたのか伺います。
○坂井サービス推進部長 契約期間につきましては、厳格管理情報に該当するため、仕様書の公表後に事業者に伝えております。
○斉藤委員 契約の公表後ということですので、つまり、事前には伝えていないということなんです。
現状について伺います。
二〇二三年度に、来年度四月から契約更新となるエリアはどこですか。
○坂井サービス推進部長 区部では、足立区、品川区、目黒区、渋谷区の四エリアでございまして、多摩地区では、西東京市、清瀬市、東久留米市が一つの固まりでございます。及び小金井市、小平市が一つの固まりで、二つのエリアとなってございます。
○斉藤委員 二〇二三年の三月で契約が終わるエリアはどこでしょうか。
○坂井サービス推進部長 区部では、文京区と台東区が一つの固まりでございます。それから、荒川区と墨田区が一つの固まりでございまして、あと、江東区、それから、豊島区の合わせて四つのエリアでございます。
多摩地区では、立川市、国分寺市、国立市が一つのエリア、それから、武蔵村山市、東大和市、東村山市が一つのエリアで、合わせて二つのエリアでございます。
○斉藤委員 今おっしゃられた広範のエリアにわたる方々が、契約の影響を受けているわけなんです。つまり、新年度、二〇二三年度から契約更新になるエリアの足立、品川、目黒、渋谷、そして、西東京、清瀬、東久留米のエリア、それから、小金井、小平のエリアでは、二年の契約になると。二〇二三年度末に契約が終わるエリア、これは文京、台東、それから、荒川、墨田、そして、江東と豊島、それから、立川、国分寺、国立というエリア、それから、武蔵村山、東大和、東村山、このエリアが、新たな契約について、一年の契約になっていく、こういうことになるということでいいでしょうか。
○坂井サービス推進部長 先ほどのご質問で、二〇二三年というふうにございましたけれども、お答えしたご答弁は二〇二四年となっておりますので、まずそこをちょっと確認をさせていただきたいということが一点でございます。
それから、ただいまのご質問でございますけれども、契約期間につきましては、繰り返しで恐縮ですけれども、厳格管理情報に該当しておりますため、仕様書の公表後に、事業者に対して説明をすることになります。
なお、令和五年度から契約更新となるエリアにつきましては、既に期間二年間で契約を締結してございます。
○斉藤委員 足立や品川など、来年度からの契約は、既に二年の契約で結ばれていると。そして、来年度で契約が終わる江東や豊島区などでは、まだこれは先の話なので、契約公表後に分かるということなんですけれども、しかし、十一月の質疑の際のご答弁によれば、一年契約になるということもあるというような状況だったというふうに思います。
この契約なんですけれども、物を購入するようなこととはやっぱり性質が違って、人の労働に関わる契約になります。これまで水道事業の財政基盤を支えてきてくれた、長年にわたって貢献してきてくれた方々の契約期間が大きく変わり、雇用が大きく影響を受けるということで、昨年の質疑の中では、この検針員の方たちが、雇用が細切りになり、まるでロシアンルーレットで撃たれるのを待っているようなそういう状況だという言葉をおっしゃっていました。この契約の短縮を事後公表で一方的に知らせるという今の状況は、あまりにひどいやり方ではないかというふうに思います。
十一月の質疑のときに確認しましたけれども、委託会社と水道局では、今年度は、四月、六月、九月と説明会を行ったということでした。対象は、会社で業務の管理をしている責任者だけで、各社二、三名の参加だということです。スマートメーター導入の説明はしているけれども、今ご答弁にあるように、契約が何年契約になるのか、こういった話はしていないということなんです。長年やっぱり水道事業を支えてきてくれた方々、現場で働いてきた方々に、契約の公表でもって一方的に伝えるというやり方は、ちょっとあまりにひどいんじゃないかというふうに思います。少なくとも、各社や労働者からの要望を聞いて、仕事を続けたい方には、契約期間の維持をしながらやりくりをするという方法を一緒に考えていく、こういう取組をしていただきたいというふうに思います。働く人たちの視点に立った契約の在り方というのをぜひ考えていただきたいというふうに思います。
私は、以前の質疑で、検針業務の委託会社の特定の人だけではなくて、業務を行う検針員の方々も含めて声を聞いていくように求めて、例えば、アンケート調査を行ったり、そのための説明会を開くなど、具体的に求めてきましたが、その検討はされているんでしょうか。
○坂井サービス推進部長 本契約につきましては、契約相手方の法人が業務を履行することを目的とした業務委託契約でございまして、現在は、競争入札によりまして、その都度業者が確定しているということでございます。したがって、替わる可能性があるということでございます。
受託者である検針会社におきましては、自らの裁量と責任において業務を行っていくというふうに考えております。このため、雇用者である検針委託会社が、当局が提供いたしました情報を社員と共有していくものと承知しております。
なお、競争入札の結果、落札した検針委託会社との間では、年四回の定期的な連絡会や履行確認の機会などを活用いたしまして、幅広く意見交換を行ってございます。
○斉藤委員 今のご答弁は、とても冷たいものだというふうに思います。受託者である検針会社の裁量と責任というふうにおっしゃいましたけれども、契約期間について受託者には何の自由もありません。受託会社が、社員と情報共有すればいいというふうにもいいましたけれども、先ほど来、この契約期間については、契約発表後に分かることだということで、会社には情報がないんです。それで何を共有しろというんでしょうか。受託会社と連絡会や意見交換の場があるということもおっしゃっていましたけれども、受託会社から発注元の東京都に物を申すということはなかなかできないんだということも私は申し上げてきました。今のご答弁を聞いていても、会社からそうした意見交換の場で何を聞いてきたのかということも本当に疑問です。だからこそ、私は、委託の在り方について意見を出してもらうための無記名式アンケート調査などを各社に行って、どういう契約ならずっと働いてきた方々が続けられるのか、安心できるものになるのか、公の立場として水道局が考える必要があるのではないかというふうに思います。
もう一度伺いたいんですけれども、来年度四月からの契約更新は、既に二年の契約になってしまっているということですけれども、しかし、来年度末に契約更新になるエリアについては、一年契約と決めつけずに、二〇二五年度、令和七年度以降においても、この仕事を継続できる契約期間を検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○坂井サービス推進部長 繰り返しで恐縮でございますけれども、契約期間につきましては、厳格管理情報に該当するため、仕様書の公表後までお伝えすることはできません。
○斉藤委員 何も最初から結果を事前にお知らせするべきだというふうにいっているんじゃなくて、働いている方々、委託会社の方々の意向を聞く、そういう場をつくったらどうかというふうにいっているんです。
先ほどは、ご答弁で、検針員業務について非常に重要な役割を果たしてきたという認識に変わりはないというご答弁がありました。その言葉にふさわしく、水道局の都合だけで契約を細切りにしていくのではなくて、不安定な仕事を生み出していくような、そういうことではなくて、検針員の方々に敬意を示しながら、その声を聞いて対応していくということを重ねて強く求めて、次の質問に移ります。
次は、給水停止の増加と料金徴収の見直しについてです。
この問題も、私は十一月の事務事業質疑で取り上げ、我が党では、決算の全局質疑でも、和泉なおみ都議が取り上げました。
例年では、十万件程度の給水停止の数が、今年度は、九月までの半年間で九万件を超えていたということは、この厳しい物価高騰で、都民の暮らしが一番苦しいときに看過できない問題です。
その給水停止件数について、今年度の現在の数について伺います。
○坂井サービス推進部長 令和四年四月から令和五年一月末までの給水停止の件数でございますけれども、十五万二百九十五件となってございます。
○斉藤委員 一月末までで十五万件を超えていると。昨年の一・五倍のペースでやはり急増しているという状況です。昨年度までに比べて、今年度は給水停止の件数が急増していることについて、どのような要因があると考えているのか、改めて水道局の見解を伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、区部において、令和四年四月から、委託による訪問催告を郵送による催告に変更いたしました。
制度変更した直後は、六月に件数が急増いたしましたが、七月には減少し、現在は横ばいで推移してございます。
区部におきましては、この催告方法に関する制度変更の過渡期でございまして、その制度変更の影響によりまして、期限内にお支払いいただけないお客様が増えた結果、給水停止件数が増加したというふうに考えてございます。
○斉藤委員 委託による訪問催告を郵送の催告に変えた、その制度変更の影響によって給水停止の件数が増えていると考えていると。これは、決算の全局質疑のときも同様のご答弁があったんですけれども、原因が分かっているんだったら、認識があるんだったら、丁寧な対応で、この給水停止を回避してきた訪問による催告に戻すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○坂井サービス推進部長 先ほど申しましたように、令和四年四月から、訪問による催告を郵送による催告に変更したところでございますので、今のところ変更する予定はございません。
○斉藤委員 都民が、今一番、厳しく続く物価高騰の中で大変な思いをしている中で、なぜそれが分かっていながらやめないのかというのは、本当に冷たい対応だなといわざるを得ません。過渡期だからということもおっしゃっていましたけれども、過渡期だったら仕方がないんですかね。水道を止められて追い詰められる都民が増えても、制度の過渡期だから仕方ない、そういう立場なんですかね。
私は、皆さんがやっていることが都民の生活にどう影響しているのかということ、あまりに想像力を欠いているんじゃないかというふうに思います。効率化ということもいわれましたけれども、効率化の計算ばかりで、生身の人の暮らしのことを考えていないのではないかというふうに思います。
先ほどもいいましたけれども、繰り返しいっていますけれども、長引くコロナ禍の影響に加えて厳しい物価高が続く中で、都民生活はかつてない状況に置かれています。
そこで伺いますけれども、生活困窮等の背景から、徴収業務から自治体の福祉につないでいる件数について、今年度の最新の数も含めて過去五年分について教えてください。
○坂井サービス推進部長 当局では、給水区域全ての区市町と、平成二十六年以降、順次、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定を締結してございます。この協定に基づきまして、当局職員等がお客様宅などを訪問した際に、明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報を提供してございます。
過去五年間の実績といたしましては、平成三十年度は十一件、令和元年度は九件、令和二年度は九件、令和三年度は十四件、令和四年度は一月末時点で十七件となってございます。
○斉藤委員 二〇二一年度は十四件、今年度、二〇二二年度は、一月末の時点で十七件と増えてきているということです。給水停止の増加の要因について、催告の方法が訪問から郵送に変わったということのご答弁でしたけれども、これももちろんなんですけれども、実際には、都民の暮らし自体が、厳しい物価高の中、苦しい状況に置かれているということもあるんじゃないでしょうか。だからこそ、なおのこと、こんなときに給水停止の増加を招くような制度の変更はあり得ないというふうに厳しく指摘をしなければなりません。
十一月の質疑の際には、料金未納になった方からのその後の料金の収納率についても伺いました。これまでの訪問による催告では八六%収納してきた一方で、郵送に変えてからは三三%まで低下したということが明らかになっています。
未納になった方からの収納率について、現在はどうなっているのか、最新までの状況について伺います。
○坂井サービス推進部長 令和三年度では、区部における初回請求約二千二百六十億円の債権は、委託による訪問催告を開始する前までに約九九%を収納してございます。この割合は、例年ほぼ同じでございまして、委託による訪問催告は残り一%に当たる約二十三億円を対象としてございます。
委託による訪問催告は、令和四年三月末で廃止いたしまして、今年度からは郵送による催告を実施してございますけれども、残り一%相当、令和三年度でいいますと、約二十三億円でございましたけれども、これに対する収納率は、令和四年四月から令和五年一月までの十か月間の平均で約三三%でございまして、最終的に給水停止をする前までには八六%を収納しているところでございます。
○斉藤委員 今のご答弁でも、今年の一月までの十か月間の平均で、郵送による催告、ここで収納できているのは三三%だということなんです。
以前の質疑でもやりましたけれども、効率化のために訪問をやめたということなんですけれども、実際は、料金の収納率が落ちて、効率化ともいえないような実態になっているわけです。
訪問による催告の業務をなくしたこととともに、大問題なのが、給水停止までの期間の短縮についてです。この問題もおととしの質疑から取り上げていますが、今現在、給水停止までの期間はどうなっているのか、短縮は行われたのか伺います。
○坂井サービス推進部長 初回の請求から給水停止までの期間は変更してございません。
なお、徴収サイクルの日数につきましては、徴収事務に関する具体的な情報が公開されることで、当局の催告過程が推測されまして、徴収に係る事務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるため、お答えできません。
○斉藤委員 現時点では、まだ給水停止までの期間の短縮は行っていないということですけれども、今後も行うべきではないということを改めて指摘するものです。
我が党は、訪問による催告の廃止を決定するに至る検討の内容について開示請求を行いました。(資料を示す)こちらなんですけれども、小さくてちょっと見づらいかもしれませんが、これ、いわゆる白塗りというやつで、ほとんど白くなっていて分からないという状況なんです。
先ほどいわれた徴収サイクルの過程が分かると、徴収に係る事務が適切に遂行できないおそれがあるということで開示していないということなんですけれども、多くの部分が白塗り。黒塗りは皆さんよく見たことがあったと思うんですけれども、今、これが小池都知事の改革の成果なのか分かりませんが、白塗りになっているんです。こういう状況で、分からないことがたくさんあります。
この中でも、しかしよく分かるのは、この給水停止までの期間を短縮しようという議論が行われているということなんです。この期間を、電気やガスなどほかのライフライン各社と合わせようと検討しているということが、この中から分かります。しかし、電気やガスが止まっても、命に直結する水は最後まで給水があることが一般的に浸透していて、それが、水道は命綱、最後のライフラインという認識につながっているというふうに思います。一般的にもそういう認識になっていると思います。
水道は、ほかのライフラインよりも、命を守るためにより一層重要性が高いものだと思いますけれども、そうした検討はされていないのか伺います。
○坂井サービス推進部長 徴収サイクルの見直しにつきましては、業務の効率性と負担の公平性の観点から検討を行ってございます。
当局は地方公営企業でございまして、水道法だけでなく、地方公営企業法第三条に基づく企業の経済性の発揮も求められてございまして、それぞれの法の趣旨を踏まえながら、適切に事業運営を行っているところでございます。
○斉藤委員 今、地方公営企業法第三条を持ち出されましたけれども、企業の経済性の発揮が求められると、こういうふうにおっしゃいました。
しかし、その後には何て書いてあるのか、皆さんご存じないはずはないと思います。その後に何て書いてあるか、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運用されなければならないと書いてあるんです。本来の目的は、公共の福祉の増進、それなんですね。今の現状では、効率化ばかりを掲げて、都民が一番苦しいときに給水停止を増やして追い詰めて、期間の短縮まで検討している。経済性の発揮ということに偏って、本来の目的を損ねている本末転倒な実態ではないでしょうか。
地方公営企業法に照らせば、この言葉のとおり、公共の福祉を増進するように運営することが本来の目的なのではないですか。これに間違いありませんよね。伺います。
○坂井サービス推進部長 公共性の増進につきましては、まずもって公衆衛生の増進と、それから、二十四時間三百六十五日、常に安定的に給水していくということが、非常に大切なものであるというふうに認識してございます。
○斉藤委員 今ご答弁されましたけど、そんなふうに限定されている中身ではありません。都民が苦しいときに、それを追い詰めるようなやり方でやるのは、公営企業としてあるまじきやり方だというふうに繰り返しいわなければなりません。あたかも民間企業と同じように効率化ばかりを求めていけばいいということではない、それが公営企業の仕事だというふうに思います。原点を見失わないようにしていただきたいというふうに思います。
この開示資料ですけれども、重大な検討結果も示されています。
給水停止までの期間を短縮することの課題として、未納カードの発行枚数が、区部では三倍以上の見込みと記されています。これだけの大きな影響があることを認識しているのなら、徴収サイクルの短縮はきっぱりやめるべきですけれども、いかがですか。
○坂井サービス推進部長 当時の検討過程におきましては、三倍の見込みというふうにされてございますけれども、その後、未納カードの発行枚数の低下に向けた対策は行ってございます。
これまで、催告書の文言整理ですとか、封筒の色の変更による視認性の向上、こういった改善を行った結果、郵送催告の収納率も、先ほど来答弁がございますけれども、約三割から、直近一月送付分の実績では約四割に上昇してございます。
現在、給水停止までの期間の見直しは実施してございませんけれども、新型コロナウイルス感染症の影響なども含め、社会経済状況を踏まえ、慎重に検討してまいります。
○斉藤委員 社会経済状況を踏まえて慎重に検討していくということは重要なことだというふうに思います。そのことにつながる重要な発言も開示資料にありました。
二〇二一年八月十八日に行われた局長レクでは、四役から、徴収サイクルを短縮することは影響が大きく重い話だが、経過を聞いた限り、深く議論した上で決まったことではないと感じた、こういう発言です。
これは、古谷局長が就任される前の局長レクだというふうに思いますが、ただ、この四役の誰の発言かということまでは分かりませんけれども、とても重要な指摘だというふうに思います。局長の見解を伺います。
〔坂井サービス推進部長発言を求む〕
○大山委員長 質問者は局長と指名していますが、局長、いかがですか。
○古谷水道局長 平成二十六年度の包括外部監査において、区部と多摩のシステムを統合するよう意見を受けた以降、徴収サイクルの見直しについては継続的に検討を行ってまいりましたが、結果的に給水停止までの期間の見直しは行っておりません。
今後、新型コロナウイルス感染症の影響などを含め、社会経済状況を踏まえ、慎重に検討してまいります。
○斉藤委員 ご答弁ありがとうございます。
今、結果的に給水停止までの期間の見直しを行っていないということでしたけれども、開示資料には、令和五年度九月三十日まで現行サイクルを継続というふうに明記もされています。今年の九月までということです。
その後においても、本来の目的である都民の公共の福祉を増進するよう運用するという原点に立ち返り、徴収サイクルの短縮を行わないこと、また、丁寧に対応してきた訪問による催告、こうした対応も行っていくよう重ねて強く求めて、質問を終わります。
○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時三十七分休憩
午後三時五十五分開議
○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西沢委員 都議会立憲民主党の西沢でございます。
私から、まず最初に、新型コロナウイルスの影響についてお伺いしていきたいと思います。
昨年もいろいろとお伺いをしてきましたが、まず、東京水道経営プラン二〇二一でございます。
この水道経営プラン二〇二一は、二〇二一年から二〇二五年までの経営計画というものがつくられているということだと思いますけれども、実際、二〇二一年から始まっているわけですが、つくり始めているのは二〇二〇年、当たり前ですけれども、つまりコロナの前からこの経営プランというものをつくってきたというようなことだと思います。当然ですけれども、五年の長期計画、長期経営プランということではございますけれども、コロナというものを予測してつくってきたというようなことでは当然ないかというように思います。
そうした中で、この経営の影響というものは大変大きなものがあるんだというふうに思いますが、今後、このコロナについてどうしていくのかということを考える、コロナを踏まえて、この経営をどうしていくのかということを考えれば、その影響をどういうふうに考えているのかというのをお伺いしたいと思います。
改めて、コロナによる経営計画の影響についてお伺いをしたいと思います。
○石井総務部長 当局では、各経営プランの計画期間内で財政計画を定め、事業運営を行っております。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う行動様式の変容等により、東京水道経営プラン二〇二一の計画初年度である令和三年度の料金収入は三千六億円、計画対比で約八十八億円の減収となり、四年度予算では約七十九億円、五年度予算案で見ても、約六十三億円の減収を見込んでおります。
こうした状況においても、実情を踏まえた予算執行や業務効率化による既定経費の縮減、企業債の適切な活用等により、計画に掲げた安定給水に必要な事業を着実に実施しており、引き続き安定的な事業運営に努めてまいります。
○西沢委員 計画当初から減収になっているというようなことが分かるわけであります。特に、その年もそうですけれども、今年度の予算もそうですし、特に五年度予算案という段階でも、既に減収が見込まれているというようなことで、このコロナの影響が水道局の経営にも影響が出ているということを改めて確認をさせていただきました。
今、答弁がありましたように、こうした実情を踏まえた予算執行、効率化を考えていくよということで、安定的に給水していくというようなお話でございました。
その中で、当然ですけれども、この経営計画への影響の中で広報に関してちょっと取り上げたいというふうに思っています。
経営のそのものに関することで、後でちょっと私からも給水停止についてお伺いをしていきたいというふうに思いますが、あくまでも都民の皆様に安定して給水をしていくということは重要でございますが、そういう影響そのものの中を考えるに当たって、この広報について、特に、以前もちょっと取り上げたことが私あるんですけれども、水の科学館と、それから、水道歴史館というものを広報PR施設として東京都水道局はお持ちだというように思います。
新型コロナウイルスの感染症拡大に伴っては、この人流抑制というものが影響があったというふうに思います。実際、こうした施設を閉じたり、都立施設全般を使えないようにしたということなんかもありました。
そのときの対応、どのように対応して、そして、その経験を今後どのように生かしていくと考えていらっしゃるのかお伺いしたいというふうに思います。
○坂井サービス推進部長 将来にわたり安定的な事業運営を行うためには、水道事業への理解促進を図る広報活動が重要でございますけれども、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で対面での広報活動というのが制限されたことから、デジタル媒体を活用したPRを行ってまいりました。
具体的には、緊急事態宣言等の発出を受けまして、当局のPR施設である水道歴史館や水の科学館が延べ十か月間休館しましたことから、来館に代わるPR手段といたしまして、ユーチューブを活用し、館内展示の紹介ですとか、イベントなどの動画配信を行っております。これまでに六十六本の動画を配信いたしまして、合計約三万八千回視聴をされてございます。
今後は、こうしたデジタル媒体の活用のノウハウも生かしまして、状況に応じてデジタルと対面、これを組み合わせて効果的なPRを実施してまいります。
○西沢委員 十か月間閉館をしたということで、これもしようがないというふうに思います。ですが、当然ですけれども、今も答弁あったように、このPR施設は、将来にわたり安定的な事業運営を行うために水道事業への理解促進を図るというようなことで広報をやっているんだということですから、やるんだったらしっかり効果的なものをやっていただかなければいけないと思っています。
私は、以前といってももう十年ぐらい前ですけれども、効果のないものだったらやめてしまえというようなことをいったこともあります。無駄だと。税金の、税金じゃなくて公金ですね、水道料金を無駄に使うべきではないと。ただ、そうしたことをやるのであれば、しっかり効果的にやらなければ、これは意味がないというように思います。
そうした中で、ユーチューブを始めたというようなことでございます。今後、こうしたユーチューブとかを使ったり、その広報戦略が非常に重要になってくるというふうに思います。
ちょっとここに来る前に水の科学館のチャンネル登録者数を見たところ、二百七十八人がチャンネル登録者数でして、それから、歴史館の方は、これはちょっと見られないんですかね、チャンネル登録者数、ちょっと分からなかったですけれども、水の科学館の方、大体、今、合わせて六十六本の動画配信ということでありました。いずれも大体数十回から数百再生回数ですかね、というようなことでありました。これ多いか少ないかで判断するのは難しいところかと思いますが、私は少ないんじゃないかというように思っています。
というのは、日本の中でも、いってみれば、日本最大の公営企業ともいえる水道、東京都水道局ですから、かなり潜在能力は高いものだというように思っています。
さっき、数十から数百再生回数といっていましたが、この水の科学館のヘロンの噴水という動画、実験動画だそうですけれども、これだけ一万回再生されているんですね。これだけ、いうなればバズっているということで、ちょっと見てみても、何でバズっているのか私もちょっとよく分からなかったんですけれども、いずれにしても再生回数が飛び抜けるというようなことはある、だからバズるということだというふうにいうんだと思いますが、この実験動画で思い出されるのは、皆さんご存じでしょうかね、米村でんじろう先生が、よくバラエティー番組とかで科学の実験を、いってみれば楽しく伝えるということで、これ地上波でも視聴率を大分取るような、そういった見せ方をするということが話題となっていまして、その弟子というか、米村でんじろう事務所のスタッフさんだった方が市岡元気さんという方で、今、独立をされて、GENKILABOというユーチューブチャンネルをやって、これすごい再生回数が伸びています。
これは、もちろん収益を得るための活動とは違うものだと思いますけれども、水の科学館、かなりポテンシャルが高いんだと思うんですね。数十回から数百回再生で、ぜひ甘んじることなく、これをきっかけにPR手法を考える、物を考えるべきなんだというふうに思っています。
さっき答弁にありましたけれども、来館に代わるPR手段としてユーチューブを始めたということではありましたが、これも同様に、答弁の中で、今後はデジタルと対面とを組み合わせて効果的なPRを実施するということですから、もちろん、状況に応じてだと思いますけれども、つまり、ユーチューブをやめるわけじゃないんですよね。対面でのやつ、来館してもらっているのもやれば、ユーチューブでもやるということで、私もそれは賛成です。ユーチューブを見て、こういう実験があるんだ、こういうふうに東京都の水の循環の仕組みというものが面白いねというように思って訪れるということで、より理解を得ていただくというようなきっかけをつくることにもなるんじゃないかなと思います。
企画なんかをやると、今いったような米村さんや市岡さんは、ちょっと私、話したこともなくて分からないですけれども、一つコラボなんかもできるんじゃないかとも思っていますし、私じゃなくて私の兄が知り合いなんですけど、柳田理科雄先生という、同じように科学の先生が、いろいろとその方も動画を出されています。ちょっと忘れましたけど、ドラゴンボールのかめはめ波の衝撃を物理学的にすればこうだとか、そういうようなことをやっているんですよね。何かいろいろあるんですよ。そういう、ちょっと忘れてしまったけれども、そういう形の見せ方をするのは、まさに東京都水道局、かなりポテンシャルが高いんじゃないかなと思います。
改めて、このコロナということで、減収になりましたが、この減収をばねとして取り組むということが重要だということを申し上げたいというふうに思います。
また、行政機関として、やらなけりゃいけないから、取りあえずやっておくというような意識では意味がないと。だったら、もうやめてしまった方がいいというふうに思いますが、やるなら徹底して、こうした効果的なものをつくっていただきたいということを申し上げておきたいというように思います。
続いて、給水停止についてお話をしていきたいというふうに思います。
コロナによって減収が明らかになってきたということで、こうした効果的なPRというものは大事でありますが、じゃあ安定的給水のために給水停止というようなことに踏み切ることが増えるということがあってはならないというようにも思います。
先ほど斉藤議員からも幾つか質問がございましたけれども、私からも、少しちょっと確認をしていきたいというように思います。
まず、この給水停止ですけれども、給水停止は、ぱっと消えたりとか、当然、想定させるのは、既に転居してしまっている人がそのままになっているんだとか、もしくは海外に行ってしまっているとか、あとは、家庭ではなくて何か倉庫のように使って、水道契約はしたはいいものの、ほとんど使わなくて意識がなかったとか、いろいろなケースは考えられるんだろうというように思います。思いますが、生活の拠点として、今も住んでいて、にもかかわらず止められるということがもしあれば、これは大変なことだというように思います。
そうしたことがあってはならないというふうに考える。そうしたことから、現場で、現場に行って直接止める場合は、きゅっと止めるわけでしょうから、どういった感覚で止めているんだろうと。目の前で、例えば生活している人が、今も生活して水も飲んでいるけど、その横できゅっと止めるのかと考えると、私は気が気でならないわけでありまして、改めて、この給水停止について、どのような段階を踏んで、また、現場ではどのようにして給水を停止しているのかお伺いをしたいと思います。
○坂井サービス推進部長 当局では、初回請求でお支払いのないお客様に対しては、複数回催告文書兼支払書を郵送してございます。このままお支払いがなければ停水となることを通知する文書及び支払書を郵送してございます。
これらの催告の過程におきまして、お客様の個別の事情を考慮した上で、支払期限の延長や分割払いなどの手続をするなど、きめ細かな対応をしてございます。
こうした丁寧な催告を行った上でも、なおお支払いいただけない場合には、局職員または東京水道株式会社の社員が訪問の上、やむを得ず給水を停止しております。
給水停止の際には、水道メーター指針の進行状況や、電気、ガスの供給状況を確認するなど、異変がないことなどを確認してございます。
○西沢委員 実際いろいろ現場で確認して、異変がないことを確認した上でということでありましたが、今日も資料要求があって、その資料の中にも書いてありますが、この十か月間、令和五年一月末現在で十五万件ということでありました。過去の推移も出ていますけれども、大体おおむね一万数千件を推移、そうじゃない月もあるようですけれども、十か月間で十五万件ということで資料をいただいているところであります。
この水を止められた方、この止められた後どうなるのかということを気にするわけでありますが、普通の考えであれば、あ、うっかりしていたということで、すぐに払う方もいるでしょうし、ひょっとしてそうじゃない方もいるかもしれません。
その辺を確認したいと思います。すぐにお支払いされるものなのでしょうかお伺いします。
○坂井サービス推進部長 令和四年度に給水停止した件数のうち、約六割の方は、当日または翌日にお支払いいただいてございます。
また、給水停止した件数のうち、全体として約九割の方は、一週間以内にお支払いいただいているところでございます。
○西沢委員 十五万件の世帯で、もうあしたから水が使えないという人が増えるのかと心配になりましたが、今の答弁で、当日、翌日は六割で、一週間後には約九割の方は支払うというようなことでございました。慌てて払う方も多いんだと思います。
そうした意味でいいんですが、逆にいうと一割の方は、九割は払うということは、一割の方は一週間たっても払わないというような状況であります。これは心配です。どのような事情なのか、どのような事情で払わないということなのかお伺いをします。
○坂井サービス推進部長 給水停止してもお支払いいただけない方のうち、約九割は、届出がなく転居されたために未納となっているケースでございます。
○西沢委員 九割の方は一週間以内に払うけれども、残りの一割はどうなのかということですが、その残りの一割の方のさらに九割は届出なく転居されているということだよということで、約一%の人以外、九九%ぐらいは、そういった意味では理由があって未納となっているよということが分かりました。
ですが、さらにいうと、この転居以外の残りの方、およそ一%ですか、先ほど十五万件が十か月でという話であると、一%だと千五百件ぐらいになるわけですよね。そう考えると、これはこれで結構多いんじゃないかという気がします。転居届のやつでもなく、それとも慌てて払うわけでもないというようなことから考えれば、残りの一%の方、単純計算でいうと千五百件の方が心配になりますが、こうした残りの方にはどのような対応をされるのかお伺いしたいと思います。
○坂井サービス推進部長 お客様に対しましては、個別の事情を考慮した上で給水停止を解除し、支払い期限の延長ですとか、分割支払いなどに応じるほか、生活に困窮した様子がうかがえた場合には、区市町の福祉部署を案内するなど丁寧な対応を行ってございます。
○西沢委員 福祉部署を案内するなどということがありました。これが極めて重要なんだというふうに思っています。
これ、国の方とかと比較したりとか、国に先駆けて東京都いろいろやったり、国に負けないぐらいのことをやるんだとか、予算規模は外国の一つの国ほどあるんだという話がありますが、一つの公益自治体として現場を抱えているのは東京都なんです。現場を抱えている東京都として、大きな役割を果たすということが、こうした生活困窮をした様子がうかがえるということは、現場で職員の方が、もしくは政策連携団体の方かもしれませんけれども、そうしたことを直接確認して対応するということが極めて重要だというように思っています。
この給水停止で現場訪問して、異変に気づいて、そして、福祉行政に情報提供する仕組みがあるというようなこと、これを聞いているわけでありますが、その内容と実績についてお伺いをしたいと思います。
○坂井サービス推進部長 当局では、給水区域全ての区市町と、平成二十六年以降、順次、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定を締結してございます。この協定に基づきまして、当局職員などがお客様宅などを訪問した際に、明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報を提供してございます。
平成二十六年から令和五年一月末までに、区市町の福祉部署に情報提供した件数は八十九件でございまして、そのうち、給水停止などで局職員または東京水道株式会社の社員が現場訪問した際に異変に気づき、情報提供した件数は十三件でございます。
○西沢委員 先ほど斉藤理事から質問があり、過去五年のものは先ほどちょっと出ましたけれども、この行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定を締結してからの九年間では、八十九件情報提供をして、そのうち、現場訪問して異変に気づいて情報提供した件数が十三件というようなことでございました。
現場を抱えるという大切さの話をしましたが、まさに現場で感じたことで、こうしたことにつなげていくということは大事です。
ただ、この実績を聞くと十三件、先ほど、単純計算で十五万件が給水停止で、そのうち一%が千五百件だとすると、この件数というのはまだまだなんじゃないかという気はします。
ぜひ、現場で明らかに異変を感じるという場合、これは主観が当然あるんだと思います。現場訪問した際にこれをどうしていくのか、現場訪問した際に異変を検知する方法、これはどういったものなのかお伺いしたいと思います。
○坂井サービス推進部長 当局においては、協定の実効性を高めるためにマニュアルを作成してございまして、お客様宅を訪問した際に、外観からの気づきや対面での気づきによりまして異変の有無を確認することとしてございます。
具体的には、訪問時にお客様宅から異臭がした場合や、お客様と接する中で明らかに衰弱しているなどの様子が見受けられた場合に、区市町の福祉部署へ情報提供しているところでございます。
○西沢委員 主観が伴いますが、この辺は改めてぜひ緩く指定するべきなのかなというふうに思っています。
具体的には、異臭がした場合であったりとか、衰弱している様子が見受けられた場合というようなことでありましたが、逆に、さっきから逆に逆にで恐縮ですが、異臭もしないし、衰弱している様子があまり見られなかったという場合であれば、スルーされてしまうということになります。
水道なくして、水なくして暮らせる人はいません。特に生活困窮者の場合、こだわってミネラルウオーターであったり水サーバーを購入してじゃないと生きられないというようなことは考えづらいことから考えれば、現場を預かる東京都水道局の皆さんのそうした福祉の役割というものは極めて大きいものであるというように感じているわけであります。
改めて、現場を預かる東京都の役割、それから、積極的に生活に困窮した様子をうかがうということを、積極的にこうした様子を進めることと、それから、マニュアルについてありましたが、これは緩く広く扱えるようにして更新していくということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○岩永委員 それでは、まず、有機フッ素化合物、PFASの水道水汚染について伺います。
水道水の有機フッ素化合物汚染について、多摩地域を中心に不安の声が広がっています。昨年、多摩地域の市民団体が行った調査では、国による調査の平均値の三倍余りもの血中濃度の有機フッ素化合物が検出される結果となりました。
一月に血液検査に参加をした私の地元国分寺市民の方のインタビューがテレビでも報道されまして、健康被害や子供への影響について、心配や疑問など関心が高まっています。
また、先月の第一回定例会の一般質問でも取り上げ、環境局や福祉保健局、都市整備局などにも質問しましたが、水道局に関することについては、本委員会で質疑させていただきます。
現在、都内でくみ上げ停止となっている井戸は、多摩地域の十一の浄水場で合計三十四本ということで、これは昨年十一月の事務事業質疑でお聞きしたときと変わっていない状況です。市民の方からは、今後も検査を継続的に行っていただきたいという声が多数届いています。
そこで、以下、順にお聞きしていきます。
まず、水質検査のポイント数と頻度を伺います。また、検査ポイントの数や頻度を増やすことについて検討が行われているのか伺います。
○橋本技術調整担当部長 当局では、PFOS及びPFOAについて、都内百三十一か所に設置した給水栓と稼働中の全ての浄水施設の原水及び浄水について年四回、さらに、検査結果に応じて月一回に検査頻度を増やして検査を実施しております。
また、水源井戸については、稼働中の全ての井戸について三年に一回、さらに、検査結果に応じて年一回に検査頻度を増やして検査を実施しております。
PFOS、PFOAは、法令上、水質検査が義務づけられていない水質管理目標設定項目でありますが、当局では、水質検査が義務づけられている水質基準項目と同等の検査箇所及び頻度で検査を行っている状況でございます。
○岩永委員 有機フッ素化合物は多くの種類があるといわれています。今、検査の対象となっていない有機フッ素化合物について、検査項目を増やすなどの検討が行われているのか伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 国は、本年一月に実施された厚生労働省の水質基準逐次改正検討会において、PFOS、PFOA以外の有機フッ素化合物についても、今後検討をすることとしました。
当局としましては、引き続き、国の動向を注視してまいります。
○岩永委員 水道局では、PFOS、PFOAに加えて、規制が始まるPFHxSについても測定をしています。化学物質は、一つ規制されると、代替品として新たな物質が次々につくられ、有機フッ素化合物は数千に及ぶ種類があります。ほかの物質については国の動向を待っているということですが、ぜひ検討を始めていただきたいと思います。
一月三十一日の報道以降、私たちの下にも問合せや質問を多くいただくようになりましたが、PFAS汚染について、市民から水道局への問合せの件数について、区部と多摩の内訳と内容を伺います。
○橋本技術調整担当部長 本年一月三十一日の有機フッ素化合物に関する報道以降、二月末までの当局への問合せ件数は合計五百五十一件でございます。
このうち、区部は二十件、多摩地区は三百十六件であり、住所が特定できない問合せが二百十五件でございました。
主な問合せ内容としては、自宅の水道水の安全性や水質検査結果、自宅の水道水がどこの浄水施設から来る水なのかなどでございました。
○岩永委員 一か月の間に、東京都水道局への問合せが合計五百五十一件ということです。大変多くの方が関心を持っているということが分かります。
二月三日に、国分寺市から東京都水道局長宛てに、定期的な水質検査の実施や公表などについてなどの要請が出されております。
浄水施設のある多摩地域の自治体からは、どのような要望や問合せなどが届いているのか伺います。また、自治体に対してどのように返答されているのか伺います。
○橋本技術調整担当部長 多摩地区の一部自治体からは、定期的な水質検査の実施、水質検査結果の公表継続の要望や、当局の取組の内容、浄水施設や井戸の稼働状況などの問合せがございました。
当局では、水質検査結果の公表を継続するとともに、問合せに関しては、随時必要な情報を提供してまいります。
○岩永委員 地域住民からは、PFAS汚染の状況について、水道局からの情報が届きにくいという声が多くあります。
自治体とも連携をして、市民へも数値の状況を定期的に、そして分かりやすく周知する必要がありますが、見解を伺います。
○橋本技術調整担当部長 当局では、水道水を安心して利用いただけるよう、ホームページに有機フッ素化合物に関するバナーを設け、局の取組や水質検査結果を掲載しております。
また、市や町には、局の取組や水質検査結果について継続して情報提供をしております。
今後も引き続き、水道水の安全性や局の取組について、市や町と連携を図りながら、お客様への情報提供に努めてまいります。
○岩永委員 地元の国分寺市民の方からも、特に子供たちへの影響について心配だという声も多く届いております。
ホームページでのお知らせはもちろん大切ですけれども、丁寧に、そして分かりやすく情報を伝えること、また、不安や疑問を受け止めていただけるようお願いいたします。
また、原因解明や対策につきましても、国の動向を待つだけでなく、都全体で連携をしながら動いていくことが重要だと思います。要望をしておきます。
多摩地域は地下水が豊かで、東京水道への統合前から水道水源として長らく利用しています。本来、地下水は、土壌の浄化機能により、清浄でおいしく、飲料水に向いているものです。
ところが、東京都は、遠くのダムから非常に多くの水利権を取得し、水道水源から地下水を除く政策を取っていました。地下水を飲み続けたいと活動してきた多摩地域の市民は、水道局に地下水を切り捨てないでほしいと求めてきました。だからこそ、PFAS汚染で地下水が水道水源として使えなくなっていることは悔しく、残念でなりません。
汚染井戸を停止するだけでなく、PFASを除去するなど、今後も地下水を飲み続けていくための方策を考える必要があると思いますが、見解を伺います。
○橋本技術調整担当部長 水道事業者の責務は、国が定める水質基準などを遵守し、水道水を供給することと認識しております。
当局では、給水栓においてPFOS及びPFOAが国の暫定目標値を超過するおそれがある場合は、原因となっている濃度の高い井戸を直ちに停止しております。
この対応により、現在、給水栓における値は国が定めた暫定目標値を大幅に下回っているため、水道水の安全性は確保されております。
引き続き、給水栓において水質基準などを遵守して水道水の安定的な供給を図ってまいります。
○岩永委員 生活者ネットワークは、長年、水問題に取り組み、地下水の水質、水量をともに保全し活用していきたいと活動してきました。
現在、水道局は汚染井戸の取水を停止し、水源を河川水だけに頼ることにしていますが、井戸を閉じるだけでは、地下水を利用できなくなるだけでなく、汚染が下流へと広がります。ぜひとも飲み続けられるよう、解決に向けて動き出すよう、要望いたします。
続きまして、長沢浄水場及び砧、砧下浄水所の包括委託について伺います。
水道法改正により、コンセッション方式が可能になりましたが、東京都水道局としては、コンセッション方式は採用せず、局と政策連携団体とのグループ経営を進めるとして、東京水道株式会社への包括委託によって局の仕事を減らしていく方針です。
水道経営プラン二〇二一には、政策連携団体への業務移転を推進する旨示されており、性能発注方式による包括委託の検討が記されています。
二〇二三年度に、長沢浄水場と砧、砧下浄水所を包括委託すると聞いています。
今回の包括委託は性能発注方式によるのでしょうか。また、これまでの業務委託との具体的な違いを伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 令和五年度に行う長沢浄水場等への委託は、仕様発注方式により実施いたします。
これまでは浄水場の運転監視及び点検などの業務を委託してきましたが、加えて、五年度は、維持管理や水質管理、工事の設計、施工管理等の業務を委託いたします。
○岩永委員 包括委託によって、当該浄水場の業務は丸ごと委託先が行うことになります。
東京水道株式会社の社員が、長沢、砧、砧下それぞれの浄水場にどれぐらい配置されるのでしょうか。包括委託前と後の人員体制について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 令和四年度の局職員の体制は、長沢浄水場が十九名、砧浄水場が二十四名でございます。また、砧下浄水所が無人施設であることから、砧浄水場が管理を行っております。
委託後につきましては、受託者が業務に必要な人員を配置いたします。
なお、五年度は、当局から浄水場業務の経験を持つ職員を派遣いたします。
○岩永委員 業務に必要な人員を東京水道株式会社が配置しますし、包括委託が始まる二〇二三年度は、水道局から経験者が派遣されるそうですが、水道局と政策連携団体とのグループ経営で行うのですから、その後の人員配置が手薄になることがないようにしていただきたいと思います。
区部の浄水場で、砧及び砧下浄水所のみがPFOS、PFOA、PFHxSが検出されています。現状はどのように対応しているのか伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、原水、浄水、給水栓において年四回測定を行い、給水栓の値が国の定める暫定目標値を大きく下回っていることを確認してございます。
○岩永委員 砧と砧下浄水所のPFOS、PFOAの濃度はそれほど高くはありませんが、もともとほかの浄水場からの水とブレンドで供給しているので、給水栓からは低い濃度になるということです。
砧浄水場は多摩川の伏流水を水源としており、膜ろ過と緩速ろ過を採用しています。PFAS除去には活性炭が有効といわれていますが、膜ろ過を含めて、PFAS除去について研究していただきたいと思いますが、見解を伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 国においては、活性炭や膜ろ過による浄水処理について、PFOS及びPFOAの除去性の見解を示しておりません。
当局としましては、引き続き、国の動向を注視してまいります。
○岩永委員 沖縄では、実際に活性炭を使ってPFAS除去を実施しています。砧浄水場の膜ろ過ではPFAS除去はできないとのことですが、設備があるので研究することはできるのではないかと考えます。
包括委託で心配しているのは、都民が安全な水を今後もずっと飲み続けることができるかということです。局だけでなく、政策連携団体でも、技術の継承が難しい状況であることを解決する必要があります。
既に、基幹的業務を東京水道株式会社が局と一体的に担っておりますが、政策連携団体で技術者が数年で辞めてしまい、定着しないと聞いているところです。
二〇一八年度、東京水道サービス株式会社に対する特別監察が行われたとき、固有社員の採用の実態も踏まえ、能力と実績に応じた昇任制度など、固有社員の人材育成を第一に考えた人事制度を構築するとしていましたが、二〇二〇年にTSSとPUCが統合し東京水道株式会社になりましたが、その後、人事制度をどのように変えたのか、また、技術者の定着状況についても伺います。
○高畠経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、安定的な業務運営及び円滑な業務移転に向け、技術系社員を積極的に採用しており、人事制度の改善を行いながら、固有社員の定着を図っております。
昇任制度につきましては、優秀な人材の早期登用に向けた必要在職年数の短縮や、人事考課に重点を置いた選考方法の見直しなど、能力と業績をより反映できるよう改善を行っております。
また、キャリア形成の考え方の明確化や社員の希望にも配慮した人事異動を行うなど、配置管理を通じた育成を行っております。
こうした取組を通しまして、同社発足以降に採用された技術系社員のうち、現在も九割以上が在籍をしております。
○岩永委員 水道局の技術継承だけでなく、政策連携団体においても技術継承が重要です。技術者の定着や人材育成が確実にできるようにすることが必要です。
グループ経営で一体的に水道事業を実施していくことになるのでしょうが、包括委託が進んでいくと、業務が東京水道株式会社に大きくシフトしていきます。都民の飲み水を守っていく水道局には、慎重な取組を求めます。
以上で質問を終わります。
○田村委員 将来にわたる給水安定性の向上に向けた取組を進めてもらいたいという観点から、水道局の施設整備について伺っていきます。
小河内ダムは我が国最大の水道専用ダムであり、都で使用される水道水の約四十日分を蓄えることが可能な非常に重要な施設です。このダムは、水道局がこれまで日々の地道な管理を行ってきたからこそ、昭和三十二年に完成して以降、六十五年の長きにわたり、都民の暮らしを支えてきたのだと思います。
そこで、改めて、これまでの維持管理とダムの現状について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、小河内ダムの適正な運用を確保するため、河川法のダム操作規程に基づき、堤体の変異や湧水量の測定、貯水池の堆砂測量、設備点検等を定期的に実施してまいりました。
これらの結果を踏まえ、土砂のしゅんせつや供用年数に応じた設備機器の更新等を実施し、ダム機能の維持と安定的な運用を確保しております。
また、地震に対する安全性については、ダム地点に想定される最大級の強さの地震に対して、堤体が十分な耐震性を有していることを確認してございます。
さらに、ダムの長寿命化対策を検討するため、令和二年度に実施したダムの総合点検において、ダムの安全性や健全性に影響を及ぼす事象は認められませんでした。
○田村委員 ダムの機能について、これまでの適切な管理により、特に問題なく安全性も確保されてきたということで、安心をいたしました。
しかし、一方で、令和元年の台風十九号の際には、貯水池の濁りや流入した大量の流木を目の当たりにしました。今後も、異常気象により同様な状況の頻発が懸念されることから、このようなことも視野に入れ、一層の対策が必要ではないかと思います。
我が党はかねてから、貯水池の重要性や安全性に注目しており、令和三年一定代表質問において小河内ダムの適正な管理について質問したところ、小河内ダムの総合的な予防保全計画を令和四年度に策定すると答弁がありました。
八ッ場ダムの完成により利根川水系の安全性が向上し、多摩川水系の小河内ダムの計画的な取組が可能になった今こそ、長期的な視点に立った予防保全の取組を確実に進めていくべきだと思います。
そこで、予防保全の取組に向けた基本的な考え方を伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 小河内ダムは、都の水道を支える貴重な水源として重要な役割を担っており、長期にわたり安全性や機能を継続していくため、予防保全型管理を導入することとしました。
予防保全型管理では、施設の状態を定量的に評価した上で経年変化を予測し、機能の低下や劣化が進行する前に対策を講じるとともに、中長期的な視点に立った計画的な維持管理や更新を実施することとしております。
こうした考え方に基づき、堤体や貯水池などの施設ごとに必要な整備や維持管理方針を取りまとめた小河内ダム予防保全事業計画を今年度末に策定いたします。
○田村委員 異常気象の影響として、台風等による豪雨の発生や何日も雨が降らないことによる渇水の可能性について報告されています。
小河内ダムは、都民の貴重な水がめとしての役割を担っており、その重要性は今後一層増加していくと思われます。このため、ダムの維持管理について、将来を見据えた着実な取組が必要です。
予防保全事業計画の具体的な取組について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 この予防保全事業計画は、将来にわたるダム機能の継続とDXを活用した効率的な維持管理を二つの柱として取組を体系化しております。
ダム機能の継続に向けた主な取組については、ダムの寿命を左右する土砂対策として、しゅんせつ土砂を一時保管するストックヤードを新たに整備し、土砂流入の抑制量を、これまでの約二万立方メートルから約四万立方メートルに大幅に増加させます。
また、DXを活用した維持管理につきましては、詳細な点検が困難な高所部や貯水池のり面を対象に、ドローン等で撮影した画像の解析や、AR技術を用いた劣化状況の評価を行い、計画的に補修を実施いたします。
こうした予防保全の取組を推進し、ダムの長寿命化を図ることにより、将来にわたって安定給水を確保してまいります。
○田村委員 小河内ダムが抱える課題を検証し対応策を検討しており、高い効果が期待できます。
一方、水道水源林内の大規模な整備を伴うことから、環境に十分配慮するとともに、土砂の運搬については大型車両を用いるため、地元へ丁寧に説明しながら進めていただきたいと思います。
維持管理においては、近年のIT化の進展を踏まえ、新たな技術を積極的に取り入れることが不可欠であると考えます。
水道局で今回作成する総合的な予防保全計画は、全国であまり事例がないものであり、小河内ダムを今後百年使い続けるために、計画に基づきしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、水源林について伺います。
土砂流入対策は、ダムの寿命に重要な関係があると先ほどの答弁で伺っています。
土砂の流出を防ぐ上では、水源林の役割も重要です。水源林は、土砂流出防止機能のほか、水源涵養機能などを有しています。こうした水源林の持つ機能を継続して発揮させていくためには、適切な管理が必要です。そのためには、これらの機能や効果を評価、検証することが重要という観点から、先般の事務事業質疑において質問し、評価方法について検討していくとの答弁がありました。
そこで、水源林の持つ機能の評価に向けた取組について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水源林の持つ機能のうち、土砂流出防止機能の評価については、森林整備の効果による土砂流出の抑制量を指標とするため、樹木の密度や下草の状況などを踏まえ、流域ごとにシミュレーションを進めております。
また、森林に降った雨を土壌に蓄える水源涵養機能の評価につきましては、国が行っている研究事例の収集を開始しており、来年度から、これらの事例の具体的な分析に取り組んでまいります。
今後とも、水源林の適切な管理に向けた知見を蓄積し、水源林の保全管理を着実に行い、将来にわたり水を育む豊かな森を育成してまいります。
○田村委員 水源涵養機能など目に見えない働きの評価は、課題もあり難しいと思いますが、水源林の機能を検証することは、水源林の管理だけでなく、東京の森林の育成にとっても参考になります。
また、民間企業で行われている森林整備や水源涵養機能強化への様々な取組も参考にするべきです。水道局は企業であり、自分たちで売った分の水は自分たちでつくるという気概を持って水源林の管理に当たるべきです。
次に、送水管ネットワーク整備について伺います。
送水管は、浄水場でつくられた水道水を給水所に送る重要管路であり、災害時や事故時においても安定給水を継続するためにはバックアップ機能を確保する必要があり、二重化を進めているとのことです。中でも、朝霞浄水場と上井草給水所を結ぶ朝霞上井草線は都内最大の送水能力を有する送水管と聞いており、災害時等に断水が発生した場合、その影響がかなりの広範囲に及びます。このため、朝霞上井草線を二重化する第二朝霞上井草線の整備は極めて重要であり、一刻も早く完成させる必要があると認識しています。
そこで、第二朝霞上井草線の整備状況について伺います。
○藤村建設部長 第二朝霞上井草線は、朝霞浄水場と上井草給水所を結ぶ朝霞上井草線を二重化するものであり、この整備により、区部のみならず多摩地域への給水も担う送水管のバックアップ機能が確保され、給水の安定性が向上いたします。
本整備は、シールド工法により築造するトンネル内に、直径二千六百ミリメートルの送水管を新設するものであり、現在、シールドトンネル内の配管がおおむね完了し、朝霞浄水場と上井草給水所において、配水池などとの連絡工事を進めております。
引き続き工程管理を徹底し整備を進め、令和五年度末に運用を開始する予定でございます。
○田村委員 引き続き工程管理をしっかり行っていただき、計画どおり完成するよう取り組んでいただきたいと思います。
次に、給水所の新設、拡充について伺います。
給水所は、平常時の安定給水はもとより、災害で断水が発生した際に、給水拠点として水道水を地域住民に供給する重要な施設です。しかし、給水所が整備されていない地域が存在していることから、災害や事故時等における断水の影響が広範囲に及ぶことも懸念されます。このため、一日も早く給水所の整備を進め、給水の安定性を向上させる必要があります。
そこで、給水所の新設、拡充の現在の取組状況について伺います。
○藤村建設部長 当局では、災害や事故時における断水の影響が広範囲に及ばないよう、配水区域を適正な規模とし、必要な配水池容量を確保するため、給水所の新設、拡充に取り組んでおります。
現在、上北沢給水所及び王子給水所の新設と和田堀給水所の拡充を、東京水道施設整備マスタープランに基づき進めております。このうち、上北沢給水所については、令和五年度の運用開始に向け、ポンプ棟の築造を行っております。
また、玉川浄水場の跡地に新設する新玉川給水所については、工程の精査により計画を一年前倒しすることが可能となったことから、五年度より、既存施設の撤去工事に着手する予定でございます。
○田村委員 計画の前倒しを実施するなど、給水所の整備に積極的に取り組んでいることが分かりました。都民の安定給水を確保するためにも、着実に整備を進める必要があります。
上北沢給水所には、私の地元である西多摩地区の羽村取水堰から取水された水が東村山浄水場で処理され、水道水として送水されると聞いています。その完成時期が令和五年度と間近に迫っているとのことです。
そこで、上北沢給水所の整備に向けどのように取り組んでいるのか伺います。
○藤村建設部長 上北沢給水所は、上井草給水所から配水していた区域のうち、世田谷区及び杉並区の一部地域の約二十五万人に水道水を供給する重要な施設でございます。
工事現場は、マンションなどの住宅が隣接する場所にあるため、騒音、振動など周辺への影響に配慮しながら着実に施工を進めており、現在、配水池の築造は完了し、ポンプ棟の築造を行っております。
また、ポンプ棟の築造に当たっては、土木、建築工事と同時並行してポンプ設備や電気設備を設置する必要があり、それぞれの工事が円滑に進むよう、綿密な工事間調整を実施しながら進めております。
引き続き工程管理を徹底し、令和五年度の運用開始に向け、着実に整備を推進してまいります。
○田村委員 給水所は、事故時のバックアップや震災時の給水の要となる重要な施設です。今後も工程管理を徹底し、早期の完成を目指して確実に整備を進めていくよう、要望しておきます。
次に、多摩地区水道の強靱化について伺います。
私の地元である多摩地区は、市町が水道事業を経営してきた経緯から、施設が市町域内で完結しており、市町をつなぐ多摩全体のネットワーク化を進めることが重要と認識しています。
この取組として、多摩地区では、広域的な送水管ネットワーク構築を進めており、令和四年度、長期にわたり整備してきた多摩南北幹線が完成予定です。
間もなく完成する多摩南北幹線の現況と整備効果について、改めて伺います。
○鈴木施設部長 多摩地区におけましても、災害や事故による断水を極力回避するバックアップ機能を強化するため、広域的な送水管ネットワークの構築を推進しております。
多摩南北幹線は、東村山浄水場から拝島給水所に至る延長約十六キロメートル、直径二千ミリメートルの送水管であり、平成二十四年度末に工事着手し、今月中に完成いたします。
このことにより、平成二十六年度に完成した多摩丘陵幹線と併せ、広域的な送水管ネットワークが構築され、多摩西南部地域約百七十万人の給水安定性が向上いたします。
新たに構築された送水管ネットワークを最大限に活用することで、今後更新期を迎える既存の送水管の取替えが可能となってまいります。
○田村委員 長期にわたる広域的な送水管ネットワークの完成により、給水安定性が大幅に向上することは大変心強いことです。このことにより、既存の送水管の取替えが可能になるとのことですが、老朽化が進むインフラの更新を進めることは、都市インフラの強靱化につながり、大変重要です。
そこで、多摩南北幹線の完成によって、今後、多摩地区の送水管更新をどのように進めていくのか伺います。
○橋本技術調整担当部長 多摩地区では、多摩南北幹線の整備により広域的な送水管ネットワークが完成することで、これまで停止できなかった既存の送水管について、代替ルートを確保しながら計画的に更新することが可能となります。
こうしたことから、昭和四十年代に布設された最も古い幹線であり、多摩南東部地域における重要な送水管である町田線の更新に向けた調査を今年度実施しました。
また、同じ年代に布設された多摩北部地域における重要な送水管である立川線については、来年度予定していた調査を一年前倒しし、今年度実施しました。
今後は、これ以外の幹線管路についても優先順位を定め計画的に更新を進めることで、送水管ネットワークのさらなる強化を図り、災害や事故時等における給水安定性を向上させてまいります。
○田村委員 送水管の更新に向けた調査を前倒しで行うことは整備の効果を早期に発揮できるため、大変よい取組だと思います。多摩南北幹線の完成によりレベルアップした送水管ネットワークを生かし、老朽化が進む送水管の更新を計画的、効果的に進めていっていただきたいと思います。
これまで、小河内貯水池をはじめとした水源施設や送水管ネットワーク、多摩地区水道等の取組状況について確認してきました。
将来にわたり安定給水を継続するという水道の責務を果たすためには、今後想定される課題に適切に対応しながら、施設整備に着実に取り組むことが重要です。
そこで、将来にわたる安定給水の確保に向けた施設整備の取組について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 都の水道は、最も重要な基幹ライフラインとして、都民生活と首都東京の都市活動を支えてまいりました。
一方、施設の老朽化や気候変動など様々な課題やリスクに直面しており、施設を適切に維持管理し、計画的に整備を進めていく必要があります。
このため、当局では、予防保全型管理による施設の長寿命化を図るとともに、災害や事故により個別の施設が停止しても給水が継続できるよう、送水管ネットワークや給水所の整備により、水道施設全体としてのバックアップ機能を強化しております。
また、これら施策を効率的に実施するため、デジタル技術やAIなどの新技術を積極的に活用してまいります。
こうした取組により、課題やリスクに柔軟かつ適切に対応し、水道事業の使命である安定給水を将来にわたり確保してまいります。
○田村委員 水道局の使命である安定給水を将来にわたり確保するため、今後とも着実な施設整備を要望して、私の質問を終わります。
○森村委員 まず、水道、下水道料金の支払い猶予について伺います。
我が会派は、コロナ禍によって経済的な影響を受けた都民を支援するために、水道、下水道料金について、支払いが困難な場合の猶予制度の実施及び感染症の影響長期化を踏まえた受付期間の延長を要請してまいりました。その要請を受け、都では、令和二年三月から支払い猶予の受付を開始しています。
そこでまず、支払い猶予の直近までの実績について伺います。
○坂井サービス推進部長 当局では、令和二年三月より、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少している場合など、一時的に水道、下水道料金の支払いが困難になったお客様に対しまして、最長一年間の支払い猶予を受け付けてございます。
受付を開始した令和二年三月二十四日から令和五年一月末時点での受付件数が二万六千八十六件、猶予総額が約二十億八千万円となってございます。
○森村委員 受付件数が約二万六千件、猶予総額が二十億八千万円とのことでした。経済的な影響を受けた都民にとって重要な支援だと考えております。
政府は、令和五年五月より、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを五類に変更する方針を決定しています。しかしながら、当面の間、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響は続いていくのではないかと考えます。
現在、都では、支払い猶予の受付期間を令和五年三月末までとしていますが、支払い猶予の受付期間を延長すべきであると考えます。見解を伺います。
○坂井サービス推進部長 新型コロナウイルス感染症により、都民の暮らし、企業の活動などに様々な影響が及んでございます。
こうしたことから、令和五年三月末としている支払い猶予の受付期間につきましては、現在、延長する方向で検討を行ってございます。
○森村委員 ありがとうございます。支払い猶予は新型コロナウイルス感染症により経済的な影響を受けた都民にとって引き続き必要な取組だと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
我が会派としては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが五類に変更になったとしても、支払い猶予を引き続き実施していただくよう要望してまいります。
そして、次に、私からも、保坂委員に引き続きまして、スマートメーターの取組についてお伺いいたします。
私は、昨年の令和三年度公営企業会計決算特別委員会の分科会におきまして、DX推進の観点から、水道局が進めておりますスマートメーターの導入について取り上げました。
私の地元であります青梅市の成木地区は、山間部で起伏に富んでおりまして、他系統からの配水がないことなどから、水道局が策定した水道スマートメータ先行実装プロジェクトのパイロットエリアの一つに選定されています。
パイロットエリアのうち山間部で選定されているのは成木地区のみで、都市化した他のエリアとは全く異なるフィールドとして検証において重要なエリアであると考えておりまして、検証の状況について確認いたしたく存じます。
青梅市成木地区における現在のスマートメーター設置状況とデータの取得状況について伺います。
○小山調整部長 青梅市成木地区は、水道スマートメータ先行実装プロジェクト推進プランに基づきまして、スマートメーターを百五個設置することとしており、二月末時点で九十八個設置をいたしております。残りの七個のうち五個は、使用中止によりメーターを引き揚げておりまして、今後の設置予定はなく、二個は、当初の計画どおり今年度中に設置する見込みとなっております。
設置したスマートメーターからは、一日一回の通信でデータを取得しております。
データ取得率は、区部と同様、成木地区でも一部の通信機器で気温低下時に通信機能を停止するプログラムが起動してしまう不具合の影響が見られました。
このため、九〇%を下回ることもございましたが、不具合を解消した後の三月三日時点では、九八%と改善されております。
○森村委員 通信状況については、山間部による電波の影響を心配しておりましたが、不具合はあったものの、解消され、おおむね良好な状況であることが確認できました。
山間部は積雪や大雨など天候の変化も大きいことから、引き続き通信状況の向上に向けて取り組んでいただけますよう求めておきます。
先行実装プロジェクトでは、住宅等に設置する給水スマートメーターと局の配水管に設置するスマートメーターについて記載がありますが、今後は、次の段階として、配水管に設置したスマートメーターから取得したデータについて分析し、活用することが求められると思います。
成木地区のスマートメーターから取得したデータの分析や活用に対する今後の取組についてお伺いいたします。
○小山調整部長 配水管に設置するスマートメーターは、給水区域内の圧力状況が満遍なく把握できるよう適切な間隔で設置することとしておりまして、青梅市成木地区では五個設置いたしております。
現在、このスマートメーターにより得られた一分ごとのデータを記録することによって、山間部における水の使用実態や運用上の変化などの把握を進めております。
例えば、当該地区において配水管に設置された消火栓から一時的に多量の水使用があった際は、スマートメーターにより、配水管内での圧力の変化を詳細に確認できました。
今後は、こうしたデータをさらに積み上げていくことによりまして、水道事業へのスマートメーターの活用方法等について検証をいたしてまいります。
○森村委員 消火栓から一時的に多量の水使用があったということで、恐らく成木の地域で火災があったと。そのときの消火活動に伴う影響が顕著に測定できたのではないかと思います。
配水管に設置したスマートメーターを活用し水の使用実態を把握できているという証左だと思いまして、先行実装プロジェクトの効果の一端が確認できました。
スマートメーターから得られるデータは、災害、事故発生時の危機管理能力の向上や水道設備の最適化につながるものであり、非常に重要だと考えます。今後のさらなる水道事業への活用に期待して、次の質問へと移ります。
小河内ダムのふれあい館、展示の更新についてお伺いします。
水源林は緑のダムといわれるように、大量の水を土壌内に蓄え、小河内ダムと一体となって東京で暮らす人々の生活を支えています。今後も、この水源林を健全に育て続けていくことが必要でありまして、その重要性について、また、広く都民に知ってもらうべきと考えております。
水道局は、水源林や小河内ダムの役割等について、都民の理解を促進するため、奥多摩水と緑のふれあい館を運営しています。昨年の事務事業質疑におきまして、このふれあい館について、最新のデジタル技術を活用した展示内容のリニューアル、これを行う予定との答弁がございました。
そこでまず、リニューアルの目的について伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局は、水道水源林や小河内ダムの重要性をPRするため、平成十年に奥多摩水と緑のふれあい館を開設しました。当館は、映像や展示などにより、親しみながら水道水源林の役割などを学べる施設となっており、年間約二十万人の方々が来館しております。
一方、開設から二十年以上が経過しており、映像モニターなど機器類の更新時期が到来していることに加え、映像などのコンテンツの一部は当時のままとなっております。
このため、水道水源林や小河内ダムの役割などについて、展示内容をより魅力的なものにリニューアルし、来館者に効果的にPRしてまいります。
○森村委員 来館者への訴求力を高め、水源林保全の重要性をしっかりとPRしていただきたいと思います。
水源林の保全は、将来にわたり継続して取り組んでいくべき重要な課題だと思います。そのためには、特に未来を担う子供たちに、豊かな水を育む森を守り続けていくという意識を醸成していく必要があると考えます。
そこで、リニューアルの方向性についてお伺いいたします。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水道水源林や小河内ダムの重要性を分かりやすく伝えるためには、来館者の目線に立つことが重要であります。特に、次世代を担う子供たちが楽しみながら学べるコンテンツとしていくことが重要と考えております。
このため、子供の興味を引くプロジェクションマッピングなどのデジタル技術を活用し、臨場感ある映像で伝えるとともに、水道水源林を守り育てる仕事をリアルに再現したコーナーを設けるなど、多様な手法によるリニューアルを進めてまいります。
リニューアル工事につきましては、令和五年度に設計に着手し、令和六年度から展示物の製作や設置を行う予定としております。
今後とも、ふれあい館の展示を通して、子供を中心とした幅広い世代にPRし、将来にわたり豊かな水源の森を守る取組につなげてまいります。
○森村委員 今後とも水源林の保全に取り組み続けていくためには、多くの方々の理解が必要不可欠です。中でも、未来ある子供たちが、楽しみながら水源林保全の重要性を理解できる展示となるよう、期待しております。
リニューアルに当たりましては、ぜひ子供たちの目線に立って進めていただきたいと思います。展示がリニューアルされましたら、令和六年になるんですかね、私も子供たちを連れて行きたいと思っています。楽しみにしております。
次に、PFAS、有機フッ素化合物について、私からも簡潔に伺いたいと思います。
先日、我が会派の代表質問でも取り上げさせていただきましたが、発がん性が指摘されております有機フッ素化合物のPFOS及びPFOAについては、国が、令和二年四月に、水道水一リットル中に両物質の量の和として五十ナノグラム以下という暫定目標値を定め、水質管理目標設定項目に位置づけました。これを受け、既に様々に質疑されているところですが、水道局では、原水を取水する井戸のうち、濃度の高い箇所からの取水を停止するなどの対応を行っているということです。
多摩地区での水道水の有機フッ素化合物についての報道が相次いでおりまして、地域住民などから、水道水の安全性についての心配の声が届いております。
多摩地区の有機フッ素化合物に関する水道水の安全性が確保されているのか、改めて、私からもお伺いしたいと思います。
○橋本技術調整担当部長 当局では、有機フッ素化合物のPFOS及びPFOAについて、給水栓における値が国が定めた暫定目標値を下回るよう水質管理を徹底しております。このため、稼働中の全ての井戸や給水栓等において定期的に検査を実施しております。
なお、給水栓において暫定目標値を超過するおそれがある場合は、濃度の高い井戸を直ちに停止しております。
この対応により、多摩地区で検査を行っている八十四か所の給水栓全てにおいて、国の暫定目標値を大幅に下回っている状況であり、水道水の安全性は確保されております。
○森村委員 国の暫定目標値を大幅に下回っている状況ということですけれども、水道局の取組と検査結果の現在の状況を確認できました。引き続き、適切な管理をお願いしたいと思います。
私のこれまでの印象では、東京都水道局は、この問題についてかなり細心の注意を払って、慎重かつ丁寧に事業を進めてきていると受け止めております。しかしながら、都民の不安、これにしっかりと寄り添っていくことも重要だと思っておりますので、分かりやすい情報提供についても、引き続き取組を進めていただきたいと考えております。
都民の不安を解消するため、今後の情報提供に関する取組についても伺います。
○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水道水を安心して利用いただけるよう、ホームページのトップページに有機フッ素化合物に関する専用のバナーを設け、局がこれまで行ってきた水質管理の取組や水質検査の結果を掲載しております。
さらに、水道水の安全性への高い関心に応えるため、給水栓の濃度の変化を分かりやすく表示するほか、オープンデータとして、お客様が活用しやすい形式で提供することとしております。
今後も、水道水の安全性や局の取組について、お客様の視点で情報発信を実施してまいります。
○森村委員 ぜひお願いしたいと思います。
有機フッ素化合物に関する知見に関しては、世界各国での調査や国における検討等で、これからまた新たになっていくことがあろうかと思いますが、引き続き、分かりやすい情報提供に心がけていただくよう求めておきたいと思います。
最後に、国内貢献事業について伺います。
昨年の事務事業質疑では、東京水道株式会社によります国内外の水道事業体への支援について伺いましたが、今回は、水道局による他の水道事業体への貢献についてお聞きいたします。
東京都水道局は、今年で百二十五周年を迎えると聞いておりますが、長い歴史の中で世界トップクラスの技術力を培ってきました。また、全国に先駆けて、私の地元である多摩地域の市町村営水道の統合を順次進めていくなど、国が推進している水道の広域化についても豊富なノウハウを有しています。
こうした高い技術力や都営水道一元化を通じて得た知見を生かして、施設の老朽化、人材不足による技術継承など、様々な課題を抱える他の水道事業体を支援していくことは、東京のプレゼンス向上に資するだけでなく、地方との共存共栄につながる大変重要な取組だと考えております。
そこで、水道局が行っている国内水道事業体への貢献に関する主たる取組について伺います。
○小山調整部長 当局では、国内水道事業体への貢献策として、首都圏水道事業体支援事業と、都内島しょ町村水道事業体への技術協力の二つを主な柱として事業を実施しております。
まず、首都圏水道事業体支援事業についてでございますが、平成二十九年度から、都内や近県の水道事業体からの要請に基づきまして実施しているものでございます。
その内容は、水道事業の広域化や水質及び危機管理等に関する研修への講師派遣、それから、当局研修フィールドの提供などでございまして、これまでの支援実績は十二件となっております。
次に、島しょ町村への技術協力についてですが、平成三十年度から、庁内関係各局とも連携しまして行っているものでございます。
内容は、島しょ町村が抱える様々な課題の解決に向け、当局がこれまで培ってきた技術やノウハウを活用して、技術支援や助言を行うものでございます。
これまでに、延べ十二回にわたり職員を派遣しまして、課題や支援ニーズの把握に努めてきたほか、毎年度、水道技術者講習会等に講師を派遣いたしております。
○森村委員 他の事業体からの様々な要請に応じ、水道局の強みを生かした支援を行っていることが分かりました。
こうした取組が各事業体の運営基盤の強化につながっているのか、検証していくことも重要だと考えます。
そこで、これまでの支援の取組による具体的な成果についても伺います。
○小山調整部長 首都圏水道事業体支援事業では、支援の都度、アンケート調査を実施し、効果を検証しております。
支援を受けた事業体からは、研修施設で様々な実技体験ができたので今後の実務に活用したい、水道事業の広域的な展開を進めていくに当たり必要な事項を学ぶことができたなどの回答を得ておりまして、効果があったと考えております。
島しょ町村への技術協力では、昨年度まで支援ニーズの把握に努めてきた結果、今年度は、大島町からの要請を受けまして技術職員四名を派遣し、二日間にわたり漏水調査技術に関する助言を実施しました。これにより、新たに二か所で漏水が発見され、今後の対応につなげていくことができました。
こうした当局の取組は、国内最大の事業体としての役割を果たし、経営課題を抱える水道事業体を支援するとともに、当局の人材育成にも資するものと認識しておりまして、今後とも積極的に事業の推進を図ってまいります。
○森村委員 水道局の技術力や豊富な経験が、ほかの水道事業体に非常に役立っている、貢献しているというふうに受け止めます。
人口減少によりまして、料金収入の減少、これも見込まれていく中で、国内水道事業体の持続的な経営を後押しする重要な取組だと思います。国内の水道界を牽引する事業体といたしまして、引き続き、積極的に国内貢献事業を展開していくことを期待いたしまして、質問を終わります。
○細田委員 私からは、まず、工事事業者への支援について伺います。
水道事業を着実に推進していくためには、現地で工事を順調に実施することが何よりも大切になります。しかし、管路の更新事業は、多くは市街地で行われているために、施工上の制約が多いことに加えて、他のライフラインの埋設管との様々なふくそうなどもありまして、困難性が増している現状であると理解をしています。
このために、管路工事を円滑に実施する上では、事業者の方々の技術力の向上が特に重要になってまいりますが、都内の管路は、布設された年代により管種や継ぎ手構造などに違いがあり、これらの知識を十分に理解することが必要不可欠であります。
昨年、私は、十一月の事務事業質疑におきまして、工事事業者向けの管路の年代別、種別別の説明会の必要性について質疑をいたしました。答弁では、水道局で定期的に実施している工事事業者向けの技術支援研修において対応をされていくとのことでございました。
そこで、令和五年度の技術支援研修の取組内容について質問をいたします。
○藤村建設部長 当局では、工事事業者の技術力向上を目的に、令和元年度より、管路工事の施工方法に関する講習や配管技術を学べる実習などを行う技術支援研修を年一コース実施しております。本研修では、現在使用しているダクタイル鋳鉄管を対象に、その特徴や継ぎ手の構造、接合方法などを説明してきました。
一方、実際の管路の更新作業においては、撤去時に他の埋設管と誤認しないことや、古い布設年度の管路と適切に接合すること等が求められることから、様々な種別の管路の知識が不可欠でございます。
そこで、五年度の技術支援研修より、布設年代の違いによる管路の構造や特徴等を、工事事業者が視覚的、体感的に理解できるよう、動画や写真を盛り込んだ講習や古い年代の実物の管材を使用した実習を追加いたします。
これにより、事業者が様々な種別の管路を確実に判別した上で、適切に作業を行うことが可能となります。
管路更新の着実な推進のため、今後もさらに研修を充実させ、工事事業者の技術力向上に取り組んでまいります。
○細田委員 工事事業者の方の技術力、これを支援していくことは大変に重要でございます。
ただいまの答弁でも、まさに新たな、動画や写真を盛り込んだ講習や古い年代の実物の管材を使用した実習、これを追加されるとのことです。今のご答弁にも出てまいりましたけれども、これからも内容の充実を図りながら、技術支援研修を継続していただきたい、このように思います。
続きまして、海外水道事業体への貢献について、私からはお尋ねさせていただきます。海外水道事業体への貢献です。
水道局は、途上国をはじめとした海外の都市の水事情の改善に資する取組を局の事業の一つとして位置づけて、十年以上前からその取組を進めてきております。しかし、この数年間は、猛威を振るいました新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、この取組には大きな制限がかかっていることになりました。
優れた漏水防止技術や蛇口から直接水を飲むことを可能とする浄水処理技術など、水道局が持つ技術を海外へ発信していくことは、東京のプレゼンス向上にもつながっていく重要な取組であると思っています。新型コロナウイルス感染症の影響が鎮静化しつつある今こそ、改めて、貢献に資する取組を積極的に進めていくべきと考えます。
まず、新型コロナウイルス感染症の影響の中で、どのような取組を進めてきたのか、局の答弁を求めます。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、新型コロナウイルス感染症による影響で、職員派遣や海外からの研修生の受入れができない状況におきましても、オンラインを活用し、海外水道事業体の人材育成や国際会議での技術、ノウハウの発信など、海外水道事業体への貢献に取り組んでまいりました。
また、令和四年度は、海外渡航も緩和されたことから、デンマークで開催されましたIWA世界会議・展示会をはじめとした四回の国際会議などに職員が直接参加いたしました。
さらに、訪日の要望があった海外水道事業体に対して、研修・開発センターの実習フィールドなどを活用した研修を再開しております。
○細田委員 新型コロナ感染症の中でも、これまで活用していなかったオンラインによって途切れることなく取組を進めている、この状況が確認できました。また、海外渡航の緩和など状況の変化に対応して、対面による活動も再開をしているとのことであります。いよいよ戻ってきたというか、また貢献が海外にさらに広がっていく、大いに期待しております。
しかし、政府の方針では、本年三月にはマスク着用を個人の判断に委ねるとともに、ゴールデンウイーク明けには、新型コロナ感染症の感染症法上の位置づけについて、これまでの二類から五類に移行することが決定をされています。
日本はこれまで、新型コロナ感染症に対して慎重な対応を取ってきましたが、この対応が展開されていくこととなったわけであります。
これから、海外渡航などがより容易になることを踏まえますと、さらなる取組が可能になってくると思いますが、局の見解を求めます。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして活用を始めたオンラインでございますが、時間や経費などの制約を受けずにミーティングができることから、簡易な情報収集などに適していると考えております。
一方で、海外水道事業体からは、訪日した上で機器操作を行いたい、また、映像では伝わりにくい施設のスケールを体感したいなどの要望を受けておりますほか、当局職員が現地を訪問し、現地の水道事業者と交流を図る中で、対面での取組の重要性について再認識いたしたところでございます。
今後は、会議や研修等の内容や段階に応じ、対面とオンラインの組合せなどによって、より効果的な情報発信や情報収集、さらなる人的ネットワークの構築を図ってまいります。
令和五年度は、引き続き、研修等においてオンラインを活用するとともに、海外水道事業体の訪日研修を積極的に受け入れるほか、これまで関わりの少なかった地域で開催される国際会議や展示会などに当局の職員を積極的に参加させることで、より効果的に取組を進めてまいります。
○細田委員 対面での対応や、オンラインの活用と組み合わせる、このことによって、これまで以上の取組を進められていく、このことは大変に心強く思っています。プレゼンスの向上に向けまして、どうぞ引き続き取組を積極的に進めていただくよう求めておきます。
続いて、工業用水道事業の廃止について伺います。
工業用水道事業は、戦後の目覚ましい工業の発展に伴う地下水の揚水量の増加を背景として、江東地区及び城北地区の地盤沈下を防止するための行政施策として計画されました。約六十年にわたり運営をされてきましたが、いよいよあと二週間後の令和四年度末にその歴史を閉じることになります。
工業用水道事業の廃止に当たりましては、工業用水道の利用者の皆様のご理解が何よりも重要であり、利用者の方々への支援策を講ずることや、工業用水道管の安全対策を実施することが必要であると、都議会公明党は繰り返し求めてまいりました。
水道局は、これに応えていただき、工業用水道事業の廃止及び支援計画を策定して支援策を実施し、また、工業用水道の水道管の撤去などに関する計画案の取りまとめという形で、一つ一つ丁寧に対応をされてきていると思います。
令和五年度以降は、これらの計画に沿って、料金差額補填などの利用者支援や、工業用水道管への安全対策などの工事を行い、事業を清算していくことになってまいります。
こうした経緯を踏まえて、令和四年度末で工業用水道事業が廃止されるに当たり、これまでの事業の総括と認識について、水道局の見解を求めます。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 都の工業用水道事業は、工業の発展に伴う地盤沈下を防止するための行政施策として、昭和三十九年八月に通水を開始いたしました。地下水揚水規制の代替水として工業用水を供給することにより、昭和五十年代以降、地盤沈下はほぼ鎮静化しており、所期の目的を達成しております。
しかし、工業用水道は、工場移転などによる需要の減少が続き、さらに施設の老朽化が進む中で、有識者委員会の提言を踏まえて事業を廃止することとなりました。
令和四年度末での工業用水道事業廃止は、利用者から事業廃止及び料金差額補填などの支援に対するご理解をいただいた結果であるとともに、これまで事業を運営してきた当局にとっても大きな節目であると認識しております。
○細田委員 今、答弁があったとおり、事業者の方々の地盤沈下対策への理解とご協力が、この工業用水道事業を支えて、ひいては都政に対しての貢献となってきたことは、誰もが認めているところであります。
さて、令和五年度以降の工業用水道事業の清算業務を所管する工業用水道事業清算会計の設置条例が上程されており、特別会計の予算として、利用者の方々への支援策や工業用水道管の撤去などに対応する経費が計上されているとの説明がございました。
そこで、改めて確認をしますが、今後、料金の差額補填や工業用水道の配水管の安全対策、撤去などの実施に当たって、水道局はいかなる役割を果たしていくのでしょうか、局の見解を求めます。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 令和五年度以降は、工業用水道事業が廃止されることに伴い、事業の清算に関する経理を明確にするため、東京都工業用水道事業清算会計が設置をされることとなります。
この特別会計におきましては、料金差額補填等の利用者支援や、不要となる工業用水道管の撤去、また、撤去までの安全対策等の清算業務を実施してまいります。
これらの業務を確実に行っていくためには、当局の営業業務のノウハウや水道管の工事等に係る技術、事業廃止決定以降の利用者との調整を踏まえた対応が重要でございます。
このため、当局は、地方自治法に基づき事業の清算に関する事務の委任を受けることで、事業廃止後も引き続き実務を担ってまいります。
また、利用者に対する支援は、今後、長期にわたり実施していくものであり、着実かつ円滑に進めていくためには、関係各局が連携して対応していくことも重要でございます。
そのため、利用者の支援等に関する事項については、財務局、環境局、産業労働局等の関係六局による検討会において連携して対応してまいります。
○細田委員 これまでに行ってきた事業廃止計画、事業廃止決定以降の利用者との調整などを踏まえて、来年度以降も、水道局が関係局と連携して清算業務を実施していくとのことでございました。
このうち、令和五年度から本格的に実施していく工業用水道管の安全対策や撤去工事は、大規模な道路掘削を伴うことから、道路管理者などの関係者と工事計画をすり合わせることがコストの縮減や工事期間の短縮に必要と考えます。また、工事の担い手である事業者は、ふだん上水道の管路の耐震継ぎ手化工事や漏水防止に従事している中小事業者であると思いますが、安全対策として実施するモルタルの充填工事については、大口の径の管路が主な対象となりますことから、経験が少なく戸惑いを持つことなどがあるのではないでしょうか。この点を心配いたします。
そこで、今後実施していく工業用水道管の撤去などの工事について、いかに進めていくのか、答弁を求めます。
○石田給水部長 工業用水道管の撤去や安全対策については、令和五年度から計画的に実施していく予定でございます。
工事に当たっては、撤去費用の抑制や地域環境への影響などを最小限に抑えるため、上水道や他企業工事等との同時施工を可能な限り進められるよう、設計から、関係するライフライン企業者に対し積極的に工事情報の提供を行っていくことが必要です。既に今年度から、工事の設計に必要な現場調査に着手しており、今後、道路管理者や他企業等と工事内容に関する協議を鋭意進めてまいります。
また、工事の受注を促すためには、管工事を担う事業者に対し、工業用水道管の撤去やモルタル充填の施工内容などを十分に理解していただくことが必要であると認識しておりまして、施工内容や施工方法をホームページに掲載するなど丁寧に周知することで、工事を着実に進めてまいります。
○細田委員 撤去工事などに携わる事業者は、中小事業者が主になりますことが想定されますため、事業者が不安を抱かないように、着実な取組をどうぞお願いいたします。
これまで、総括的に工業用水道事業に関する質疑を行ってきましたけれども、清算業務は、料金差額補填や工業用水道管の撤去の完了まで長く引き継がれていくことになります。工業用水道事業の廃止及び支援計画では、長期的な観点から、事業廃止後も支援内容や対象については検証を重ねてまいりますと明記されており、事業廃止後も、どうぞ引き続いて、利用者の声に耳を傾けて、支援をしっかり行っていただく必要があります。
また、工業用水道管の撤去などの工事は、安全対策の観点から、迅速に実施していただく必要がございます。
以上について、工業用水道事業の廃止と清算会計の設置という節目に当たって、水道局は、引き続いて丁寧に対応していくよう改めて要望をいたします。
最後に、地下水揚水についてです。
先ほどのご答弁のとおり、私の地元であります江東区東部低地帯などでの過去にありました地下水の揚水は、地盤沈下による水害被害や建造物被害などの直接的な原因であり、大きな脅威となりました。
工業用水道事業が廃止されることにより、現在の規制を超えた地盤沈下につながるような地下水の揚水は、今後とも決して行われてはならないと私は考えますが、局の見解を求めて、質問を終わります。
○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 工業用水道事業の廃止に伴う工業用水の代替水は、原則、上水道を想定しておりまして、工業用水道事業の廃止及び支援計画に基づき、工業用水道から上水道への切替え工事を支援してまいります。
この計画におきましては、節水対策として、水の循環、冷却等の設備の設置のほか、現行の地下水揚水規制の範囲内におきまして、井戸設備の設置の支援を実施しております。
これらの利用者の支援等に関する事項につきましては、引き続き、関係各局と連携いたしまして、適切に対応してまいります。
○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四十一分散会
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