公営企業委員会速記録第十四号

令和四年十一月二十八日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長大山とも子君
副委員長林あきひろ君
副委員長森村 隆行君
理事細田いさむ君
理事斉藤まりこ君
理事村松 一希君
保坂まさひろ君
長橋 桂一君
田村 利光君
菅野 弘一君
西沢けいた君

欠席委員 一名

出席説明員
交通局局長武市 玲子君
次長梅村 拓洋君
技監車両電気部長事務取扱野崎 慎一君
総務部長豊田 義博君
資産運用部長坂田 直明君
電車部長市川 雅明君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
技術調整担当部長永松 憲一君
水道局局長古谷ひろみ君
技監松田 信夫君
総務部長石井 英男君
経理部長西川 泰永君
建設部長藤村 和彦君
設備担当部長小泉 正一君
多摩水道改革推進本部本部長小平 基晴君
施設部長鈴木  理君
下水道局局長奥山 宏二君
次長松川 桂子君
総務部長田中  彰君
職員部長後藤 徹也君
経理部長鈴木  豊君
計画調整部長猪八重 勇君
施設管理部長袰岩 滋之君
企画担当部長松井  裕君
技術開発担当部長家壽田昌司君
施設管理担当部長福島 大起君
設備調整担当部長井上  潔君
施設整備担当部長杉山  純君
流域下水道本部本部長佐々木 健君
管理部長高角 和道君
技術部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
水道局関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
交通局関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
下水道局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
・地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について

○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申合せしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の事務事業に対する質疑及び第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに所管三局の報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで、報告事項については、説明を聴取した後、質疑を終了まで、また、提出予定案件については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより水道局関係に入ります。
 理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○西川経理部長 工事請負契約及び不動産売買契約につきまして、お手元の契約締結報告書によりご報告を申し上げます。
 本日ご報告申し上げますものは、令和四年八月一日から令和四年十月三十一日までの期間に契約を締結いたしました予定価格が一件九億円以上の工事請負契約三件並びに売払い価格及び買入れ価格一件二億円以上の不動産売買契約三件の合計六件でございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。こちらが本日ご報告申し上げます契約六件の総括表でございます。
 以下順次、契約の概要につきましてご説明を申し上げます。
 二ページをお開き願います。1、朝霞浄水場変電設備等改良工事でございます。
 本件は、設備の信頼性向上を図るため、老朽化した高低圧電気設備の更新工事等を行うものでございます。
 契約の方法はWTO一般競争入札、契約金額は三十七億四千万円、契約の相手方は株式会社日立製作所でございます。入札経過及び案内図につきましては三ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 四ページをお開き願います。2、高月給水所から八王子市加住町一丁目地先間配水本管(七百ミリメートル)新設工事でございます。
 本件は、送配水施設整備事業の一環といたしまして、高月給水所から八王子市加住町一丁目二百六十番地先間において、内径七百ミリメートルの配水本管の新設工事を行うものでございます。
 契約の方法はWTO一般競争入札、契約金額は二十三億六千八百二十四万五千円、契約の相手方は青木あすなろ・ホープ建設共同企業体でございます。入札経過につきましては五ページに、案内図につきましては六ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 七ページをご覧ください。3、上井草給水所内送水管(二千六百ミリメートル、二千ミリメートル)新設及び制水弁室築造工事でございます。
 本件は、上井草給水所内におきまして、内径二千六百ミリメートル及び二千ミリメートルの送水管の新設工事及び制水弁室の築造工事を行うものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十六億五千五百五十万円、契約の相手方は佐藤・松鶴建設共同企業体でございます。入札経過につきましては八ページに、案内図につきましては九ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 一〇ページをお開き願います。4、東京南新宿ビルディングの売却でございます。
 本件は、東京都及び新宿区が策定した新宿の拠点再整備方針を踏まえて計画されている新宿駅西南口地区の開発に協力をするため、開発区域内に立地する当局所有の東京南新宿ビルディングを、当該開発の事業主体である京王電鉄株式会社に売却したものでございます。
 売却の対象は借地権付建物、契約金額は七十五億二百八十九万五千円、契約の相手方は京王電鉄株式会社でございます。建物の構造等につきましてはご覧のページに、案内図につきましては一一ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 一二ページをお開き願います。5、京王神田須田町ビルの取得でございます。
 本件は、東京南新宿ビルディングを京王電鉄株式会社に売却することに伴い、代替となる物件を同社から取得したものでございます。
 取得の対象は建物及びその敷地、契約金額は五十六億七百八十万円、契約の相手方は京王電鉄株式会社でございます。建物の構造等につきましてはご覧のページに、案内図につきましては一三ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 一四ページをお開き願います。6、新宿文化クイントビル(一部)の取得でございます。
 本件は、東京南新宿ビルディングを京王電鉄株式会社に売却することに伴い、代替となる物件を同社から取得したものでございます。
 取得の対象は区分所有建物及びその敷地の一部、契約金額は十九億七千三百七十五万六千円、契約の相手方は京王電鉄株式会社でございます。建物の構造等につきましてはご覧のページに、案内図につきましては一五ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、ご報告申し上げます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

○大山委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○大山委員長 これより交通局関係に入ります。
 理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○坂田資産運用部長 お手元の資料1、契約締結報告書に基づきまして、令和四年八月一日から令和四年十月三十一日までに締結いたしました予定価格が一件九億円以上の製造請負契約及び一件二億円以上の動産の買入れ契約につきましてご報告申し上げます。
 一ページをお開き願います。ご報告申し上げます契約の総括表でございます。
 以下、契約の概要についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。大江戸線車両の製造でございます。
 本件は、大江戸線車両九編成を、更新に伴い製造するものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は百五十二億八千五百六十万円、契約の相手方は日本車輌製造株式会社でございます。
 三ページをお開き願います。駅務総合ネットワークシステム用機器等の買入れでございます。
 本件は、駅収入金管理用サーバー、ネットワーク機器及び駅操作端末を、更新に伴い買い入れるものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は二億九千六百八十三万五千円、契約の相手方は東芝デジタルソリューションズ株式会社でございます。
 以上で報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○大山委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。

○大山委員長 これより下水道局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、下水道局長から幹部職員の紹介があります。

○奥山下水道局長 十月十五日付の人事異動によりまして異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 施設管理担当部長で福祉保健局新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長の福島大起でございます。
 なお、建設部長の新谷康之につきましては、病気療養のため、本日の委員会を欠席させていただいております。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○大山委員長 紹介は終わりました。

○大山委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田中総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきますと目次がございます。
 恐れ入りますが一ページをお開き願います。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 区部における平成六年度から令和三年度までの公共雨水浸透ますの設置個数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。浸水被害状況の推移でございます。
 区部における浸水棟数について、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
 項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び令和二年度、三年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。電力使用量の推移でございます。
 平成十二年度から令和三年度までの水再生センター、ポンプ所等の施設における電力使用量の推移をお示ししております。
 五ページをご覧ください。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
 区部におけるマンホールの総数と緊急輸送道路などにおける浮上抑制対策の計画及び平成二十年度から令和三年度までの実績の推移をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移でございます。
 区部における平成十二年度から令和三年度までの実績の推移をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の役割分担別職員構成と現員でございます。
 区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の現員を、役割分担別、職種、雇用形態別にお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 下水道の再構築について伺わせていただきます。
 明治の初期から整備が始まりました東京の下水道ですけれども、区部では、平成六年度末に普及率が一〇〇%概成し、多摩地域においても、平成二十二年度末において九九%に達しており、都民の安心で快適な生活を支えていることはご承知のとおりでございます。
 下水道局においては、快適な生活を送る上で欠かせないこの下水道を、将来にわたり安定的に維持し、機能を確保するために、老朽化した下水道施設の再構築を進めていることは重要な取組であります。
 この再構築事業を事業費の面で見ますと、経営計画二〇二一における計画期間五年間の施策別事業費、こちらを見てみますと、区部の総事業費が、九千億円に対しまして約四千六百億円と事業費の大半を占めており、まさに下水道局の根幹事業といえると思います。
 そうした事業も踏まえて、私からは、再構築事業について幾つか質問をさせていただきます。
 最初に、区部ですけれども、区部の下水道管は一万六千百キロメートルに及ぶ膨大な延長を有しておりますけれども、これはやはり、高度経済成長期以降に整備した大量の下水道管が今後一斉に法定耐用年数を迎えるわけであります。
 下水道管は、網の目のように張り巡らされており、損傷しますと下水道が使えなくなるだけではなく、道路陥没により交通機能に支障を来すなど、都民の生活に深刻な影響を及ぼします。このため、再構築事業は計画的に進める必要があると考えるところです。
 そこで、区部における枝線の再構築事業の進め方と、その進捗状況について伺います。

○猪八重計画調整部長 老朽化した枝線の再構築に当たりましては、ライフサイクルコストや中長期的な再構築事業の平準化などを図るアセットマネジメント手法を活用いたしまして、計画的かつ効率的に事業を推進しております。
 また、老朽化対策と併せまして、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを一体的に行うことによりまして、機能のレベルアップも図ってございます。
 事業の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分けまして、整備年代の古い都心部の処理区を第一期再構築エリアとして優先的に事業を進めております。
 第一期再構築エリアにつきましては、令和三年度までに一万六千三百ヘクタールの六六%に当たります一万八百二十二ヘクタールの整備が完了しておりまして、令和十一年度までに完了する予定でございます。

○林委員 第一期再構築エリアの整備完了が令和十一年と具体的に見えてきたことを踏まえますと、今後は、第二期の再構築エリアについても計画的に整備を進める検討をしなければならないと考えております。
 そこで、第二期の再構築エリアの枝線再構築の取組方針について伺うものであります。

○猪八重計画調整部長 第二期再構築エリアは、都心部に次いで整備年代が古い区部西部の三処理区でございまして、約二万七千七百ヘクタールの面積を有しておりまして、区部全体の約五割に当たります。
 新たに再構築事業を立ち上げていくためには、既設管の状況などを正確に把握した上で、状況に応じた整備手法を選定する必要がございます。
 このため、第一期再構築エリアの完了を見据え、経営計画二〇二一の期間中でございます令和七年度までに第二期再構築エリアの着手に向けた検討を開始してまいります。

○林委員 経営計画二〇二一の最終年度、令和七年度までに第二期の再構築エリアの着手に向けた検討を開始することは分かりました。第一期の再構築エリアの完了後、スムーズに第二期再構築エリアの整備に着手できるよう、着実に検討を進めていただくことを要望させていただきたいと思います。
 また、下水道管は、交通量が多い国道や都道、人口が密集している住宅街など様々なところに埋設されており、再構築事業の実施に当たっては多大な労力というものが想定されるわけであります。
 そこで、下水道管の再構築を行うに当たって、どういった技術を用いて工事を行っていくかという観点で幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、下水道管の再構築を行うに当たって、工事をどのような技術を用いて進めているかについて伺うものであります。

○猪八重計画調整部長 膨大な下水道管の再構築を効率的に実施するためには、既設管を全面的に更新するのではなく、健全な既設管を可能な限り活用することが基本でございます。
 損傷が著しいなど、新しい管に取り替える場合のみ道路を掘削する開削工法を採用いたしまして、損傷が大きくない場合には、既設管の内面に新たな管を構築する更生工法を採用して行います。
 下水道局では、工事に採用できる更生工法の技術上の基準を作成して、公表いたしまして、現在、SPR工法など十一の工法を認定しております。
 既設管の活用、開削工法、更生工法を使い分けることにより、工事費の抑制やスピードアップを図り、効率的に再構築を推進しております。

○林委員 施工に当たっては、今おっしゃっていましたSPR工法などの更生工法を活用して効率的に進めているということでございますけれども、この更生工法について、下水道局として認定している工法というのが、今、十一ですか、十一工法もあるということで、大変多岐にわたるわけです。
 そこで、この更生工法の特徴について伺うものであります。

○猪八重計画調整部長 更生工法は、製管工法と反転・形成工法の二つに分類されます。
 製管工法は、既設管内に硬質塩化ビニール材などを巻き立てまして、既設管との間隙、隙間でございますけれども、モルタルなどを充填することで既設管と一体化するものでございます。
 また、製管工法の一つでございますSPR工法は、下水道局が、東京都下水道サービス株式会社及び民間事業者と共同で開発した工法でございます。
 また、反転・形成工法は、樹脂などの内面被覆材を既設管に挿入し、温水や光で硬化させ、新たな下水道管を構築するものでございます。
 いずれの工法にも、施工条件や材料などの違いにより複数の種類がございます。

○林委員 更生工法の特徴についてご説明いただいたわけですけれども、今もおっしゃっておられたSPR工法は、下水道局が民間事業者と共同で開発した工法ということでございます。
 そこで、このSPR工法の開発の経緯と特徴について伺います。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、昭和五十九年から、道路を掘削することなく下水道管をリニューアルさせる工法の調査研究に取り組み、昭和六十年より、東京都下水道サービス株式会社及び民間事業者と共同で技術開発を実施し、昭和六十二年にSPR工法を実用化しております。
 その後、改良を重ね、現在では、断面が円形以外の四角形や馬蹄形といった多様な形状の下水道管に対応するとともに、直径二十五センチメートル程度の小規模な枝線から五メートル程度の大規模な幹線まで幅広く対応可能となっております。
 また、ある程度の水量であれば、下水を一時的に切り回すなどの作業を必要としないため、下水を流したまま施工できることが特徴でございます。

○林委員 下水道局が、将来起こり得る下水道事業の課題とか維持管理の時代を見据えて、こういった工法を、民間と共に技術開発を進めて、実用化を図ってきたということがよく分かったわけですけれども、一方で、工事の発注に当たっては、SPR工法を含めて、様々な工法の特徴を踏まえた上で適切に使い分ける必要があるのではないかと考えております。
 しかし、一部の施工業者の方から、やはりSPR工法の開発者でもある下水道局は、ほかの工法よりもSPR工法を優先して活用しているんじゃないかという声が聞こえてくることも事実でございます。
 SPR工法以外の更生工法も、下水道局の厳しい技術上の基準を満たして認定され、求められる性能や品質を確保しているということであれば、更生工法の選定というものは、理由なく一部の工法に偏ることがないよう、公平に行わなければならないのではないかというふうに考えております。
 そこで、様々ございます更生工法のうち、下水道局では、どのような考え方で工法というものを選択して、再構築事業を進めているのかについて伺います。

○猪八重計画調整部長 更生工法は、既設管渠の劣化、損傷状態や流下量及び現場の条件などにより適用工法が異なります。
 このため、工事の発注におきましては、設計条件を満足する性能や品質を確保するために、下水道局が定める管きょ再構築設計の手引きや、日本下水道協会が定めております管きょ更生工法における設計・施工管理ガイドラインなどに基づきまして、施工条件との整合性、下水道管の耐久性や耐震性、流下機能、また、経済性などを総合的に判断いたしまして、各工事で使用できる工法を指定してございます。
 工事の受注者は、発注時に、下水道局が指定した工法の中から、当該現場で使用する工法を選定し施工をしてございます。
 引き続き、施工条件などに合わせまして、適切な工法を活用し、再構築事業を効率的に推進してまいります。

○林委員 認定されている、その複数の更生工法について、手引とか、今ご説明いただきましたガイドラインなどに基づいて、既設管の状態や現場の条件などを踏まえて適切に選定しているということは、ご説明いただいて理解をいたしました。
 しかし、先ほど申し上げたような声が出ているのであれば、引き続き、受注者が適切に更生工法を選択できるように、工事を発注していただくことを要望いたしまして、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 ここまで、下水道管の再構築の進め方や整備手法について確認をさせていただきました。
 次に、区部の浸水対策について伺わせていただきます。
 ご承知のとおり、激甚化、頻発化する豪雨や将来の気候変動の影響によって降雨量の増加が予想されていることから、我が会派では、令和四年第二回定例会において、都の浸水対策の推進を求めてきたわけです。
 そこで、区部においてどのように浸水対策を進めているのか、基本的な考え方について、改めて伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、繰り返し浸水が発生している地域など、浸水の危険性が高い地区などの五十七地区を重点地区としておりまして、経営計画二〇二一の計画最終年度でございます令和七年度までに全ての地区で着手または完了することを目標としております。
 次の段階といたしまして、令和四年三月に下水道浸水対策計画二〇二二を策定いたしまして、この五十七地区を含め、区部全域で年超過確率二十分の一の規模、一時間七十五ミリ降雨に対応することを目標とし、浸水の危険性の高い地区を新たに十地区、重点地区に位置づけております。
 現在、合計六十七地区を重点地区といたしまして、施設整備を推進していくことといたしております。

○林委員 区部において合計六十七地区、重点化して整備を進めていることは分かりました。
 そこで、この重点化した地区の進捗状況について伺わせていただきます。

○杉山施設整備担当部長 六十七地区のうち、経営計画二〇二一で重点地区として位置づけました五十七地区につきましては、約八割に当たる四十八地区で事業に着手しており、このうち二十八地区で事業が完了しております。残る九地区につきましては、設計作業などを進めております。
 また、下水道浸水対策計画二〇二二で新たに重点地区として位置づけました十地区につきましては、早期事業化に向け検討を進めており、令和四年度中に、世田谷区代沢など三地区で調査、設計に着手する予定でございます。

○林委員 区部の浸水対策事業についても着実に進められていることは、よく理解をさせていただいたところでございます。いつ起きてもおかしくない、この自然災害というものから都民の命と暮らしを守り、さらなる安全・安心を確保していくためにも、引き続き、この再構築や浸水対策事業というものは着実に進めていただきたいと思います。
 続きまして、多摩の下水道事業について伺わせていただきます。
 私自身、令和三年第四回定例会で多摩地域の下水道に関して一般質問を行わせていただいたところでございますけれども、本日改めて伺わせていただきます。
 先ほど、区部の再構築について伺いましたけれども、多摩地域においても、今年の夏に地下埋設物による陥没のニュースというものが幾つか報じられたところでございます。
 私の地元でございます調布市など、昭和四十年代に下水道の供用が開始された多摩地域の中でも下水道が早く普及した地域では、市町村が管理する下水道管の老朽化が非常に進んできております。
 そこで、市町村が管理する下水道管の老朽化の現状について伺います。

○佐々木技術部長 多摩地域の市町村の下水道整備は、昭和二十六年から開始され、現在では下水道による汚水処理の普及率は九九%を超え、下水道管の総延長は約一万三千七百キロメートルに及んでおります。
 このうち、整備後五十年経過している法定耐用年数を超えた延長は約七百五十キロメートルとなっており、現在では全体の約六%にとどまっております。
 しかし、十年後には耐用年数を超える下水道管の割合は全体の約三割になり、二十年後には約六割を超えることとなっております。

○林委員 多摩地域の市町村が管理する下水道の老朽化というものも、今、六%でも二十年後には六割を超えることになるという今のご答弁のとおり、今後確実に進行していくことが確認をされたわけですけれども、多摩地域の下水道というものは、都による流域下水道と市町村の公共下水道が一体となって機能しておるわけで、都と市町村が連携して事業を行うということが非常に重要となってまいります。
 そのような中、多摩地域の市町村は、下水道の普及から維持管理の時代となっておりまして、下水道に携わる技術系職員というものが減少して、その経験やノウハウというものが不足しているというふうに伺っております。
 さらに、市町村は、限られた体制の中、財源もそうですけれども、より効率的に事業運営を行うことが求められる厳しい現状となっているため、区部での豊富な経験やノウハウを有している都の下水道局の協力、支援というものが非常に重要と考えております。
 そこで、市町村が管理する下水道管の老朽化に対する都の具体的な支援について伺います。

○佐々木技術部長 下水道局では、市町村の職員の技術力向上を目的としまして、市町村と設置した下水道情報交換会の場を活用し、下水道管の工事現場見学会や災害時の危機管理研修を開催しております。
 また、下水道管の再構築事業につきましては、工事で採用している機材を使った実演など、道路を掘らずに老朽化した下水道管を内側からリニューアルできる更生工法に関する技術研修を、当局の水再生センターにおいて毎年開催しております。
 加えて、当局がこれまで再構築事業で培ったノウハウや経験を活用しまして、更生工法の設計、積算、施工など、実務に関する専門的、技術的な助言を行っております。

○林委員 市町村が管理する老朽化が進んでいる下水道管に対して、都は技術的な支援をされているということですけれども、今後も積極的に、協力、支援を継続していただきたいと思います。
 また、市町村が抱える課題には、老朽化以外にも、先ほど区部でも申し上げましたけれども、浸水対策もございます。令和元年の東日本台風、いわゆる台風十九号ですね。このような大規模な災害になりますと、ハード整備だけではなくて、避難などのソフト対策も重要となってまいります。
 大雨の際に下水道や水路などから浸水が想定される区域や、浸水する深さなどの情報をまとめた内水ハザードマップは、河川の氾濫等のリスクを示した洪水ハザードマップとともに、都民が水害から身を守るために避難する際の目安となる大切なマップですが、内水ハザードマップに関しましては、多摩地域では、市町村が作成すべきところ、幾つかの課題から、いまだ未完成の自治体もあるというふうに伺っております。
 下水道局ではこれまで、ハザードマップの基となります浸水予想区域図を作成しておりまして、そのノウハウを生かして、このハザードマップ作成に対しての技術支援ができると考えておりますけれども、市町村がこのハザードマップを作成するための技術面の課題と、都の技術支援について伺います。

○佐々木技術部長 多摩地域では、都の管理河川や流域下水道幹線の区域におきまして、都が作成した浸水予想区域図に基づき、市町村がハザードマップを作成しております。
 一方で、市町村の管理する公共下水道等から直接雨水を多摩川などの河川へ放流する区域におきましては、市町村がハザードマップの基となる、内水の浸水予想区域図を作成する必要がございますが、現時点で十の市町において完成しておりません。
 このため、都は、市町を対象に勉強会を開催いたしまして、浸水予想区域図を作成するための流出解析シミュレーションに関する条件設定やモデルの作成方法を解説するなど、必要な技術支援を行っております。
 このような技術支援の結果、令和四年度は、調布市など三の市町におきまして、浸水予想区域図が完成する予定となっております。

○林委員 都の支援によって、着実に多摩の市町村のハザードマップの整備が進んでいることは確認できたわけですけれども、こちらについても、今後も支援というものを継続していただきたいと思います。
 次に、災害発生時における都と市町村の連携について伺います。
 災害の発生時には、下水道機能の早期の復旧に向けて、都と市町村が協力連携して取りかかることが重要となります。
 近年、日本各地で強い地震や豪雨による災害が発生しておりまして、多摩地域においても、いつ大規模な災害が発生するか分からないわけであります。喫緊の課題として捉えるべきであります。
 そこで、災害発生に備えた都と市町村の連携体制について伺います。

○佐々木技術部長 下水道局ではこれまで、多摩地域の三十市町村の職員による災害時の相互支援体制や、迅速な復旧活動ができる民間事業団体も参画する支援体制を構築してまいりました。
 昨年度、当局が市町村への下水道指導事務を所管したことから、島しょのうち、公共下水道を有する新島村が相互支援体制に参画するとともに、災害時には、技術ノウハウを持つ局職員が自ら被災市町村へ出向き、直接支援を行うよう体制を拡充強化いたしました。
 また、災害時に支援体制が適切に機能するよう、毎年、市町村などと合同で訓練を実施しております。
 このような取組を通じまして、災害時にも下水道機能が確保できるよう、都と市町村の連携を一層強化してまいります。

○林委員 災害に備えた都と市町村の連携について確認をさせていただいたわけですけれども、日頃から地域において下水道事業運営を支えて、迅速な復旧活動が期待できる、地域の民間事業者を含めた万全な体制を構築していただきたいと思います。
 さて、多摩地域の下水道においては、流域下水道のほかに、市町村が単独で下水道事業を行う単独公共下水道がございます。市が管理いたします単独処理場は、老朽化が進んでいる中、敷地が狭く、施設の更新などへの対応が極めて困難な状況にあると伺っています。
 そのため、都では、単独処理区の流域下水道への編入に向けた取組を進めてまいりました。
 そこで、単独処理区の流域下水道への編入について、事業効果と取組状況について伺います。

○佐々木技術部長 単独処理区の編入の事業効果は、スケールメリットを活用することで、市単独では困難であった耐震化や高度処理への対応が可能となり、施設更新費や維持管理費の縮減が図られることでございます。
 これまでの取組状況といたしましては、令和二年度に、八王子市の単独処理区である北野処理区の流域下水道への編入を完了しております。
 立川市の錦町処理区の編入につきましては、現在、関連工事を実施しておりまして、令和五年度末までに完了する予定でございます。
 三鷹市の東部処理区の編入につきましては、新設が必要な水再生センターに関する検討や、編入に向けた関係機関との調整を実施しております。

○林委員 単独処理区の編入に関する取組状況について確認をさせていただいたわけですけれども、立川市では、令和五年度末までの流域下水道への編入に向けて工事が進んでいるということでございます。
 この編入事業における都と市の役割分担と進捗状況について伺います。

○佐々木技術部長 立川市単独処理区の流域下水道への編入につきましては、当局が、北多摩二号水再生センターにおいて汚水ポンプや水処理、汚泥処理施設などの整備を、市が、流域下水道へ流入させる接続幹線や、錦町下水処理場において送水施設などの整備を行っております。
 また、立川市と当局が連携し関係市との調整を行うなど、令和五年度末までの編入事業完了に向けて、鋭意事業を進めているところでございます。
 令和四年度は、当局におきましては編入に必要な受変電設備、市におきましては送水施設などの工事を進めております。
 引き続き、令和五年度末までの編入完了に向けまして、市と連携して工事を進めていくとともに、編入後の維持管理に関しても、市と調整してまいります。

○林委員 立川市も幹線整備を行うなど、都と市が汗をかきながら協力して、連携しているということを理解いたしました。
 三鷹市の東部処理区の編入については、経営計画二〇二一にも五か年計画の取組の一つとして取り上げられているわけですけれども、構成自治体も六市ございまして、それぞれの考え方がいろいろあると思います。
 課題も多くあることは十分承知はしているんですけれども、今後の三鷹市の東部処理区の編入に向けた手続と、改めて、現在の具体的な状況について伺います。

○佐々木技術部長 三鷹市単独処理区の野川処理区への編入につきましては、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において定められております。
 編入に必要となる野川水再生センターを建設するには、都市計画法や下水道法などに基づき関係機関の同意を得るなど、定められた手続を進める必要がございます。
 現在、改定が予定されている流域別下水道整備総合計画に関する関係機関と調整を行うとともに、野川処理区を構成する六市との意見交換を実施しております。

○林委員 今ご答弁の中で挙げられました多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画は、こちらにもございますけれども、個別の下水道計画の上位計画として位置づけられているわけでございます。計画書を拝見させていただきましたけれども、単独処理区を流域下水道の処理区に編入して、多摩川や東京湾などの公共用水域の水質改善を行っていくとともに、広域化によるスケールメリットを生かした下水道事業の効率化を図っていくとされています。八王子市単独処理区の編入が完了しまして、先ほどご答弁いただきましたように、立川市単独処理区の令和五年度末までの編入完了へと道筋が示された今、三鷹市単独処理区の野川処理区への編入に向けては、東京都が、都が先頭に立って関係自治体との調整を積極的に行い、整備計画を前に進めていただきますよう強く要望させていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○森村委員 多摩地域における浸水対策について伺います。
 近年、地球温暖化の影響により日本各地で集中豪雨による被害が発生しています。
 都内の浸水被害は約七割が内水氾濫によるものといわれており、特に雨水対策における下水道の役割は重要です。この下水道における雨水対策については、公共下水道の管理者がそれぞれ実施をするということになっており、多摩地域では各市町村が個別に行っています。
 しかしながら、市町村の中には、排水先となる河川がなく、雨水の排水ができない地域も存在しており、かつてはこのような地域で浸水被害が頻発したため、都が、流域下水道雨水幹線を整備したと聞いています。
 初めに、流域下水道雨水幹線の整備はどのような制度によるものなのかお伺いいたします。

○佐々木技術部長 雨水排除施設の整備は、原則として市町村が実施することになっておりますが、雨水の放流先となる河川がないなど、市町村単独で雨水排除が困難な地域につきましては、下水道法において、都道府県が、複数市にまたがる流域下水道雨水幹線を整備できることになっております。
 下水道局では、雨水の放流先となる河川などがなく、浸水被害が頻発していた多摩川上流地域や黒目川上流地域におきまして、平成五年度から雨水幹線の整備に着手いたしました。
 この事業は、地域の特性から、当時の建設省に特別に認められたものでございまして、下水道法の改正につながる国内初の試みでありました。

○森村委員 ご答弁いただいたとおり、下水道局の試みが法改正のきっかけとなり、今では全国に同様の雨水幹線が整備されていることを考えますと、下水道局の先駆者としての取組姿勢、これは大いに評価できるものです。
 ただいまご答弁にあったように、下水道局では、平成五年度から多摩地域の雨水幹線整備を順次進め、地域の浸水被害の防止に貢献しているものと考えますが、多摩地域における現在の流域下水道雨水幹線の整備状況について伺います。

○佐々木技術部長 下水道局では、黒目川上流地域である小平市、東村山市、東久留米市の三市に降った雨を、黒目川、落合川に排除するための黒目川雨水幹線など四本の雨水幹線、全長約八・一キロメートルの整備に平成五年度から着手しまして、平成二十三年度に供用を開始いたしました。
 また、多摩川上流地域である青梅市、羽村市、福生市の三市に降った雨を多摩川に排除するための多摩川上流雨水幹線、全長約七・三キロメートルの整備に平成六年度から着手しまして、平成十六年度に供用を開始いたしました。
 現在、豪雨時等に浸水被害が頻発しております空堀川上流地域南部地域におきまして、東大和市、武蔵村山市、立川市の三市にまたがる新たな流域下水道雨水幹線について、設計を進めているところでございます。

○森村委員 流域下水道雨水幹線の現在の整備状況について確認をさせていただきましたが、新たな雨水幹線についても着実に整備を進め、多摩地域の浸水被害の軽減に取り組んでいただくよう要望いたします。
 次に、多摩の分流式下水道の地域で問題となっている雨天時浸入水に関して伺います。
 多摩地域の分流式下水道区域では、市町村の管理する汚水管に、本来は入ることのない大量の雨水が流入することで浸水被害が発生しています。
 その対策として、下水道局では、多機能型マンホール蓋という、リアルタイムで水位を測定するデジタル技術を活用し、この雨天時浸入水対策を進めています。
 そこで、改めまして、多機能型マンホール蓋の設置状況と効果についてお伺いいたします。

○佐々木技術部長 当局はこれまでも、市町村とともに雨天時浸入水の調査と対策を実施しまして、市町村による発生源対策を支援してまいりました。
 さらに効率的に調査を促進させるため、流域下水道と公共下水道の接続点や市境などに、当局と民間事業者が共同開発したリアルタイムで水位情報を把握できる多機能型マンホール蓋を三十七カ所設置し、得られたデータなどを市町村と共有しております。
 その効果といたしましては、多機能型マンホール蓋より得られるデータから、晴天時と雨天時で流入水量の差が大きい箇所を把握しまして、おおむね市町村レベルで流入水量を把握できることが挙げられます。
 さらに、降雨状況と時間経過に伴う流量変化などの計測データを併せて分析することで、下水道管のひび割れや排水設備の誤接続などの雨天時浸入水の発生要因も推定することが可能となります。

○森村委員 多機能型マンホール蓋の設置状況や効果などについて確認をいたしました。多機能型マンホール蓋のデータにより、ある程度の地域が把握できた後は、市町村によるさらなる範囲の絞り込みや発生源の調査が進められるとのことです。しかし、多摩地域の市町村はマンパワーやノウハウが不足しており、このような大変な対策を市町村が単独で実施するのは厳しい面もあります。
 市町村の発生源対策を促進するためには、都と市町村の連携が必要と考えますが、どのように市町村と連携をし、浸入水対策を進めているのか伺います。

○佐々木技術部長 下水道局ではこれまでも、関係市町村と構成される雨天時浸入水対策促進会議を開催しまして、流量調査の結果や豪雨時における対応などの情報を共有してまいりました。
 令和四年度の促進会議におきましては、雨天時浸入水対策計画の立案方法を例示するとともに、市町村が多機能型マンホール蓋から得られた任意の雨天時の水位情報を容易に解析できるよう、当局で作成した分析ツールの使用方法などを解説いたしました。
 また、多機能型マンホール蓋から得られたデータなどから現地調査を進めている市の事例を紹介するなど、他の市町村が参考となる情報の共有を図っております。
 さらに、浸入水量の多い地域におきまして、当局と市町村による現地合同調査を実施しております。
 引き続き、市町村と連携いたしまして、雨天時浸入水対策を促進してまいります。

○森村委員 令和三年四月に、市町村への下水道指導事務が都市整備局から下水道局へ移管されました。ぜひ、下水道局の有するノウハウをもって市町村を積極的に支援し、雨天時浸入水対策を進めていただけますようお願いします。
 次に、流域下水道の財政面についてお伺いさせていただきます。
 これまで伺ってきた様々な事業を進めるに当たりましては、しっかりとした財政基盤が必要です。流域下水道の整備については、国と都からの支出に加え、市町村の負担金が財源となっていると理解していますが、改めて、流域下水道事業の財政負担の仕組みについて伺います。

○高角管理部長 流域下水道事業は、大きく、建設事業、改良事業、維持管理事業の三つの事業で構成されております。
 一つ目の建設事業、施設の再構築や新規施設などを整備する事業につきましては、事業執行計画の下、国費を除いた額を都と市町村とで原則二分の一ずつ負担しております。市町村の負担分は、市町村からの建設負担金により賄われております。
 二つ目の改良事業、施設の長寿命化や機能、能力の向上などのためにその一部をつくり替える事業につきましては、建設事業と同様に、事業執行計画の下、国費を除いた額を都と市町村とで原則二分の一ずつ負担しております。市町村の負担分は、市町村からの改良負担金により賄われております。
 三つ目の維持管理事業につきましては、原則、市町村からの維持管理負担金が充てられております。維持管理負担金は、処理水量を基に各市町村が負担しており、維持管理に係る収支が黒字の場合は、利益が利益剰余金として累積し、赤字の場合は、その不足分を利益剰余金により補填しております。

○森村委員 建設費や改良費については都と市町村で折半、維持管理経費は下水道使用者からの料金収入を得ている市町村からの負担金により賄われているということです。
 そのうち維持管理経費に着目すると、令和三年度決算における維持管理収支は約五・九億円の赤字となっているなど、近年の維持管理収支は赤字基調となっておりますが、これまでの維持管理収支の改善に向けた取組を伺います。

○高角管理部長 多摩地域の下水道による汚水処理の普及率が九九%に達し、さらなる増収が期待できない中、東日本大震災以降の労務単価や電気料金等の上昇に加えまして、施設の老朽化等による補修費の増大により支出が増加し、維持管理収支につきましては赤字基調となっております。
 維持管理収支の改善に向けましては、施設更新に合わせた省エネルギー型機器の導入などによる電気料金の削減など、経営努力に取り組んでまいったところでございます。
 なお、利益剰余金から充当していた改良費につきましては、市町村の同意及び都議会の議決を経て、改良負担金を令和三年度に導入し、利益剰余金残高の減少を抑制いたしました。

○森村委員 流域下水道本部における維持管理収支改善のための取組については分かりました。
 一方、昨今の社会経済情勢に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響から、下水道事業の運営に不可欠なエネルギー価格の上昇が続いていることなどから、これまで以上に厳しい経営環境にあり、維持管理収支への影響がさらに懸念されます。
 先ほどの答弁で、収支が赤字の場合は、その不足分を利益剰余金により補填しているということですが、利益剰余金残高は今後どのように推移していくと見込んでいるのか、また、市町村の維持管理負担金への影響もあると考えますが、見解を伺います。

○高角管理部長 利益剰余金残高の推移につきましては、かつては維持管理収支が黒字であったため、利益剰余金が累積し、残高は、平成二十一年度に百八十二億円となり、ピークに達しておりました。
 しかし、近年、維持管理収支が悪化し、令和三年度決算では七十九億円にまで減少しているものの、引き続き、可能な限りの経費節減に努め、現経営計画期間中は、現行の維持管理負担金単価を維持してまいります。
 今後、利益剰余金の枯渇も見込まれることから、維持管理収支の状況を踏まえまして、市町村と情報共有を図りながら、維持管理負担金単価等の見直しについて継続的に検討してまいります。

○森村委員 今後、維持管理負担金単価等の見直しについても検討していくということですが、市町村負担の在り方については、市町村と情報共有をしっかりと図りながら、丁寧に検討を行っていただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○細田委員 初めに、浸水対策について質問します。
 近年は、全国各地で毎年のように大規模な水害が発生しまして、二〇一九年の台風では、東京をはじめ多くの地域で多大な被害が発生いたしました。その後も、地球温暖化に起因する気候変動、この影響により、本年夏には、東北、北陸地方で豪雨に見舞われるなど、家屋の浸水や道路冠水などの水害が頻発をしております。いかなるときでも、都民の生活を守るためには、激甚、頻発化する豪雨に対して万全の備えを行っていくことが極めて重要であります。
 下水道局はこれまでも、早期に浸水被害を軽減するために、地区を重点化して浸水対策に取り組んでいると認識をしておりますが、改めまして、浸水対策の取組の方針について、局の見解を求めます。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、経営計画二〇二一に基づきまして、五十七地区を重点地区としておりまして、計画の最終年度でございます令和七年度までに全ての地区で着手または完了することを目標としております。
 次の段階といたしまして、令和四年三月に下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、この五十七地区を含め、区部全域で年超過確率二十分の一の規模、一時間七十五ミリ降雨に対応することを目標といたしまして、豊島区池袋本町地区などの浸水の危険性が高い地区を新たに十地区追加し、合計六十七地区を重点地区といたしまして、施設整備を推進していくこととしております。

○細田委員 経営計画二〇二一、これに位置づけている五十七地区のうち、私の地元の江東区に関連する重点地区として、江東区大島、江戸川区小松川地区と、それから、江東区木場、東雲地区の二地区が位置づけられております。
 そこで、江東区大島、江戸川区小松川地区の事業の進捗状況について質問いたします。

○杉山施設整備担当部長 江東区大島、江戸川区小松川地区では、現在、東大島幹線や小松川第二ポンプ所の整備を進めております。
 東大島幹線は、内径最大六メートル、延長約四キロメートルの大規模な下水道幹線であり、上流部、中流部、下流部に分けて、シールド工法によりトンネルを築造する工事を進めております。現在、上流部でトンネルを築造中であり、中流部につきましては、シールド機が都営新宿線の直下を通過する際に、都営新宿線が沈下することを抑制するための工事を行っております。下流部につきましては、令和四年九月にトンネル工事が完了しております。
 小松川第二ポンプ所は、東大島幹線などで集めた雨水を荒川に放流する雨水ポンプ所であり、現在、ニューマチックケーソン工法により築造しました鉄筋コンクリート製の四つの地下構造物を連結する工事を行っているところでございます。

○細田委員 江東区大島、江戸川区小松川の下水道の浸水対策の進捗状況について確認しました。
 次に、江東区木場、東雲地区についてであります。
 ここでは、江東幹線と江東区ポンプ所の整備が進められている地域でありますが、早期の完成を求める声が多く寄せられていると、こういう状況があります。
 そこで、江東区木場、東雲地区の事業の現在の進捗状況について、局の答弁を求めます。

○杉山施設整備担当部長 江東区木場、東雲地区では、現在、江東幹線と江東ポンプ所の整備を進めております。
 江東幹線は、内径最大六メートル、延長約五キロメートルの大規模な下水道幹線であり、上流部、中流部、下流部に分けて、シールド工法によりトンネルを築造する工事を進めております。現在、上流部でトンネルを築造中であり、中流部につきましては、令和四年六月にトンネル工事及びトンネルと既設の永代幹線とを接続する工事が完了しております。下流部につきましては、トンネルと江東ポンプ所との接続工法の検討など、設計を進めているところでございます。
 江東ポンプ所は、江東幹線で集めた雨水を辰巳運河に放流する雨水ポンプ所であり、東雲地区の雨水を集めて放流する東雲系ポンプ棟と、江東地区の雨水を集めて放流する江東系ポンプ棟の二つがございます。
 このうち、東雲系ポンプ棟は、平成十八年度から稼働しております。江東系ポンプ棟につきましては、現在、ニューマチックケーソン工法により鉄筋コンクリート製の地下構造物を築造しているところでございます。

○細田委員 江東区木場、東雲地区の事業の進捗状況の確認をいたしましたが、ポンプ所の施工は、地下に五十メートルの深さのポンプ棟を建設するという、大変難易度が高い、こういう工事をしていただいていると認識しています。
 加えまして、ここは地盤の土壌が弱くて、近くには高層の集合住宅も多くあります。以前に都に確認したときは、安全に施工するために、学識経験者も入れた検討会を開催して、施工工法を検討していると伺っていますが、安全で安心な工事によって早期竣工することを改めて求めるものでありますが、江東ポンプ所の工事に関する検討経緯と施工状況について、局の答弁を求めます。

○杉山施設整備担当部長 江東ポンプ所の施工箇所は、地盤が特に軟弱であり、工事に伴い地盤が変位するリスクがあることから、施工に当たり周辺への影響を抑制する必要がある難しい工事となります。
 このため、平成二十八年度より学識経験者を交えた検討会を設置しまして、施工方法を検討し、平成三十年度に検討結果を取りまとめております。
 その検討結果に基づきまして、現在は、江東ポンプ所の施工箇所及びその周辺の変位、変状を計測、確認しつつ、軟弱な土を砕石に置き換えるなどして周囲への影響を抑制しながら、江東ポンプ所の本体工事を進めているところでございます。

○細田委員 江東ポンプ所の施工が難しい中で、軟弱地盤への対策を講じていただいて、工事を再開して整備を進めていただいていることは分かりましたけれども、当初の予定の工事が長期化しているわけであります。
 工事の途上ではありますが、江東区木場、東雲地区の治水安全度を高める対策が必要であると私は考えております。
 江東区木場、東雲地区において、完成した施設の効果を速やかに発揮していくための下水道にしていくために、下水道局はいかに取り組んでいるのか答弁を求めます。

○杉山施設整備担当部長 工事が完了している江東幹線の中流部区間におきまして、今年六月より二万八千六百立方メートルの暫定貯留を開始しております。
 江東幹線の中流部に接続している永代幹線におきまして、平成十四年より開始している貯留と合わせ、合計五万五千立方メートルを貯留することが可能となっております。
 今後は、現在施工中の工事を安全かつ着実に進めるとともに、下流部の整備方法について検討を加速してまいります。

○細田委員 江東幹線の中流部地区において、二万八千六百立方メートルの全体貯留が本年六月より開始されて、合計五万五千立方メートル、計算しますと、二十五メートルプール、これの約百八十杯分の雨水の貯留が可能になって、安全が拡充されているとのことでありました。
 安全で安心な工事によりまして、江東幹線と江東ポンプ所の整備を早期に完成していただくことを重ねて要望させていただくとともに、下水道幹線などの規模の大きな施設整備に時間を要する間、今後とも、一部完成した施設の暫定貯留など様々な工夫を行っていただき、完成した施設の効果を速やかに発揮できる取組を実施していただくよう求めておきます。
 加えて、都議会公明党は、平成二十五年に浸水被害が発生しました文京区千石、豊島区南大塚地区の取組状況について注目してまいりました。
 文京区千石、豊島区南大塚地区の事業の進捗状況について答弁を求めます。

○杉山施設整備担当部長 文京区千石、豊島区南大塚地区では、既設の千川幹線及び第二千川幹線流域の排水能力を増強するために、千川増強幹線を整備しております。
 具体的には、内径三・七五メートル、延長約二・五キロメートルの下水道管の整備をシールド工法などで進めており、令和四年五月にトンネルの築造を完了しております。
 現在は、整備したトンネルに雨水を取り込む取水管やマンホールなどの工事を進めており、完了後は、貯留量約二万六千立方メートルの貯留管として活用する予定でございます。

○細田委員 工事が着実に進んでいるということを確認しました。
 当該地区は、古くから浸水の被害が繰り返されておりまして、地域住民の安全・安心が高まる非常に重要な下水道管でありますために、引き続いて工事を着実に進めていただき、一日も早く浸水被害の軽減が図られるよう、頑張っていただきたいと要望をいたします。
 続きまして、下水道施設の耐水化について質問します。
 地震発生後の台風時における水害対策について、高潮などによる浸水、洪水被害の解消に向けて排水していくことを都が一体化する計画を作成いたしました。
 政策企画局、総務局、建設局、下水道局、これらが一体となって推進しなければならないことを、本年の予算特別委員会で私は質問をいたしました。これは、津波被害に対する高さではなく、大型台風時の高潮など、最大級の浸水に対応可能な耐水化を求めたものであります。
 これを受けて、都は、都市強靱化に向けた取組として、地震発生後の台風時における水害対策として、災害保全施設と河川施設とともに、本年七月に公表された都市強靱化プロジェクト(仮称)の策定に向けた論点の中に、地震発生後の被害の軽減のために、下水道施設の耐水化などを初めてはっきりと明記されたこと、このことは評価をいたします。
 そこで、下水道施設の耐水化の検討状況について質問をいたします。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、万が一、地震発生等により堤防が損傷したときに津波が襲来した場合に備え、最大津波高さに対しまして、水再生センターやポンプ所などの下水道施設の耐水化を完了してございます。
 一方、気候変動に伴う降雨量の増加が見込まれ、台風時の降雨や高潮での浸水被害の甚大化が危惧されております。
 こうしたことから、地震発生後の台風時における浸水被害を軽減するため、都市強靱化プロジェクト(仮称)の中で、下水道機能の確保を目的とした施設のさらなる耐水化を検討しているところでございます。

○細田委員 下水道機能の確保を目的とした施設のさらなる耐水化を検討していると、していっていただけると、このようなご答弁をいただきました。よろしくお願いいたします。
 続きまして、水再生センター、ポンプ所の震災対策について質問します。
 家庭やオフィスなどで使われました汚水は、下水道管、汚水ポンプ所などを経て、最終的には水再生センターで処理されています。
 首都直下地震などの大型地震が発生した場合に、水再生センターなどの耐震対策が進まなければ、下水道全体が機能しなくなるわけです。
 そこで、水再生センター、ポンプ所の震災対策の取組について質問をします。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、水再生センターにおきまして、揚水機能、沈殿機能、消毒機能の三つの機能につきまして、また、ポンプ所では、揚水機能につきまして、耐震対策に取り組んでおります。百七施設全てで、最低限の下水道機能を一系統で確保しております。
 現在、さらに震災時におきましても施設能力を最大限発揮するため、これらの対策に加えまして、水処理施設の流入渠や放流渠、汚泥処理関連施設などを含めた耐震化を推進しております。
 令和三年度までに、新木場ポンプ所など三十五か所の施設の全ての系統で耐震化を完了しておりまして、令和四年度には、東小松川ポンプ所などで施設の耐震化を推進してございます。
 引き続き、令和七年度末には、経営計画二〇二一の目標値でございます累計四十五施設の完了を目指して取り組んでまいります。

○細田委員 水再生センターやポンプ所など、下水道の中でも特に重要な施設の耐震化が進んでいるとのことであります。
 また、水再生センターやポンプ所では、下水の処理や雨水を放流する際に多くの電力を必要としていることから、震災時に停電が発生した場合に備えて、電力も欠かせないことになっていると考えます。
 そこで、震災等に伴います停電時の対策について、局に答弁を求めます。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、震災時など停電の際にも下水処理機能や雨天時のポンプ排水機能を維持するために、必要な電力を確保する取組を推進しております。
 これまでに、水再生センターやポンプ所、百七施設全てにおきまして、非常用発電設備などを設置しておりまして、現在、発電容量の増強を進めております。
 令和三年度までに、銭瓶町ポンプ所など九十三か所の施設で発電容量の増強を完了しておりまして、令和四年度には、王子ポンプ所などで整備を進めております。
 さらに、葛西水再生センターなど五か所の水再生センターでは、燃料油と都市ガスのどちらでも運転可能なデュアルフューエル型の非常用発電設備を導入しておりまして、引き続き、燃料の多様化を推進してまいります。

○細田委員 水再生センターやポンプ所は下水道施設の中でも主要なものでありますために、震災時に備えて耐震化、そして、電力の確保の取組を継続していってもらいたいと思います。
 続きまして、水質改善の取組について質問します。
 東京湾では赤潮の発生が慢性化しておりまして、特に夏場は定常化しています。
 赤潮は、窒素、リンなどの栄養塩類が流入して、植物性プランクトンが増殖することにより発生をいたします。下水処理には、窒素、リンが多く含まれることから、一層の削減が必要であると考えます。
 そこで、東京湾の水質改善のために下水道局で実施している水再生センターの処理水質の向上の取組について説明を求めます。

○猪八重計画調整部長 下水中に含まれます窒素やリンは、東京湾の赤潮の発生要因の一つになっております。
 このため、各水再生センターに流入する水質などに合わせた対策を行い、効果的に処理水質の向上を進めております。
 その一例といたしまして、窒素の流入量の多い芝浦水再生センターなどでは、施設の再構築等に合わせまして、窒素除去が可能な高度処理の整備に着手をしております。
 さらに、大規模な改築が不要で、既存施設の改造により一定の水質改善を早期に実施可能な準高度処理の導入を進めることで、水質改善のスピードアップを図っているところでございます。
 今後とも、良好な水環境を創出するため、高度処理や準高度処理の整備を確実に推進してまいります。

○細田委員 各水再生センターの状況に応じて、高度処理や、また、準高度処理を使い分けているということでございますが、この高度処理、準高度処理の導入について、東京都の水再生センターにおいて、これまでの導入状況はいかがして、どうなっていますでしょうか。質問をいたします。

○猪八重計画調整部長 高度処理と準高度処理を合わせました一日当たりの処理能力は、令和三年度末で四百九十二万立方メートルでございまして、全計画処理能力の七百八十二万立方メートルに対しましては約六割に相当いたします。
 今後、経営計画二〇二一におけます令和七年度末の目標値でございます五百八十九万立方メートルの処理能力を目指して取組を進めてまいります。

○細田委員 東京湾の水質改善に向けた取組をご答弁いただきましたが、次に、河川についてです。
 都内を流れる一部の河川などでは、透明感がなく、また、川底には泥が堆積されている場所もあります。その一因として、雨天時に合流式下水道から放流される汚水混じりの雨水の存在があります。
 そこで、私の地元であります江東内部河川における合流式下水道の改善事業の取組についてはいかがなっていますでしょうか。見解を求めます。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、江東内部河川など水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域や、潮の干満の影響によりまして水が滞留しやすい河川区域など、十四水域を選定いたしまして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設などの整備を推進しております。
 江東内部河川の水域では、小松川ポンプ所や吾嬬第二ポンプ所で合計二万八千立方メートルの貯留施設が稼働しておりまして、現在、小松川第二ポンプ所や吾嬬ポンプ所で貯留施設の整備を進めております。

○細田委員 次いで、下水道局におけます人材育成、官民連携について質問します。
 先日、私は、下水道技術実習センターや下水道技術研究開発センターの視察をさせていただきました。その中で、下水道技術実習センターは、実際の工事現場や下水道施設を再現していまして、人材育成を進めていく上で、大変に、とてもよい施設であることが分かりました。
 そこで、技術系職員の育成の取組について答弁を求めます。

○後藤職員部長 下水道事業の安定的な運営に当たり、技術系職員は、計画段階から維持管理の段階まで、様々な局面で重要な役割を担っておりまして、技術力の向上が重要でございます。
 そのため、当局では、下水道局技術力向上委員会を設置し、下水道技術の着実な継承と技術力向上に取り組んでおります。
 具体策として、技術継承を専任とする職員の配置や、若手技術職員を現場で指導する取組などを行っております。
 また、お話のありました下水道技術実習センターにおいて、工事現場や水再生センターの施設などを再現した三十三種の実習施設を活用しまして、マンホール内や水が流れている中での作業実習、配電盤の点検作業の実習、下水処理実験装置を用いた窒素やリンを除去する水処理実習など、実践的な研修を実施しているところでございます。
 今後も、こうした取組を通じて、技術系職員の育成を進めてまいります。

○細田委員 技術系職員の人材育成の取組については、まさに視察をさせていただいた状況を明示してくださるご答弁でございました。
 他府県にはない施設でありまして、海外からも研修に来る、人材育成と技術継承を図る極めて重要な施設であり、なおかつ民間事業者にも利用していただいて、下水道界全体の人材育成に貢献しておりまして、下水道を守る要の施設であると、このように私は思いました。
 下水道事業が直面する様々な課題や危機に対して的確に対応を求めて、安定的に下水道サービスを提供していくためには、人材育成の取組は重要であります。今後とも継続して取り組んでいただきたいと思います。
 また、下水道技術研究開発センターも視察させていただいて、これまで下水道局が技術開発に取り組んできた歴史、これを伺いました。
 その中には、下水道局が自ら主体的に研究を行ってきた技術とともに、民間の企業などと共同研究によって生み出してきた技術も多くあって、民間企業などと連携して、彼らの持つ最先端の技術を下水道事業に取り組んでいくことが重要であり、必要なことであると改めて感じた次第であります。まさに、日本の下水道技術をリードしてきた東京都下水道局において、技術研究開発の中心的なセンターであります。
 そこで、民間事業者などと連携した技術開発の取組、制度について質問をいたします。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、事業が直面する課題や将来を見据えて解決すべき課題に対応するため、民間企業などが有する最先端技術、例えば、近年ではAIを含むデジタル技術やロボット技術など多様な分野で活用されている最先端技術と、下水道技術との融合による技術開発に取り組んでおります。
 このため、民間企業などの参加意欲が高まるように、民間企業などが参加の形を選択できる様々なタイプの共同研究の仕組みを整えております。
 具体的には、当局が課題解決のための研究目標を提示し、参加企業を公募して実用化を目指す形の共同研究や、民間企業等がその有する技術を活用して実用化に向けて当局に研究目標を提案する形の共同研究などがございます。

○細田委員 民間企業などと連携した共同研究の取組、仕組みについて確認いたしました。
 下水道技術研究開発センターでは、実際の下水処理工程を忠実にミニチュア化した水処理プラントを常設するなど、民間の企業との共同研究が行われておりました。
 改めて、下水道技術研究開発センターを設置した狙い、目的と施設の概要について質問をいたします。

○家壽田技術開発担当部長 下水道局では、局が独自に実施する研究に加えまして、民間企業などが、当局との共同研究において、稼働中の水再生センターでは実施困難な実験を行うため、下水道技術研究開発センターを砂町水再生センター内に設置いたしております。
 本研究開発センターには、水処理工程を再現できる水処理実験プラントや、大規模な実験機器を設置できる十区画の実験フィールド、さらには、採取した試料の水質分析などが速やかに実施できる実験棟を設けており、民間企業などが入手しにくい実物の下水や汚泥を活用した研究開発ができる施設となっております。
 今後とも、本センターを活用し、民間企業などと連携した先進的な技術開発に積極的に取り組んでまいります。

○細田委員 ご答弁のとおり、全体で三百五十平米掛ける十区画、三千五百平米の実験フィールドがありまして、まさに現場ならではの様々な段階での水、汚水の段階も確認しながら、それを研究に生かしていけるという、こういうような、ほかに類例を見ないような実験フィールドがあるな、活用できる場所があるなと、このように感じた次第です。
 新たな企業が研究に取り組める余地が、また、この実験フィールドにありました。水再生センターで処理した様々な水質をサンプリングして研究開発していけるなど、下水道技術をリードしていける最高な場所であるとも思います。
 人材育成と官民連携をより一層進めていくことは、下水道事業を将来にわたり安定的に運営して、都民の皆様に質の高い下水道サービスを提供する上で必要な取組でありますため、どうぞこれからも積極的な運用を継続していただき、未来を開いていっていただきたいと要望して、質問を終わります。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料のご提出をありがとうございました。
 私からは、浸水対策と温暖化対策、そして、今年度から始まっている包括委託について伺います。
 まず、浸水対策についてです。
 近年の集中豪雨の頻発や台風の大型化、また、気候変動の影響による降雨量の増加などの対策の強化が求められている中、下水道局は、二〇三六年度までの十五年間を計画期間とする下水道浸水対策計画二〇二二を策定しています。
 この中では、流出解析シミュレーションを活用して一時間七十五ミリ降雨の分析を行い、新たに十地区を選定して、七十五ミリ対応の施設整備を行う方針が出されています。
 先日の決算の全局質疑でも我が党は取り上げましたけれども、その計画の中で、我が党が七十五ミリ対応の対策の充実を求めてきた東部低地帯のエリアからも、初めて、葛飾区の金町や江戸川区中央の地域に対策が位置づけられたことは重要です。
 私も、三月の予算質疑でも取り上げましたけれども、地元の足立区も含めた、この東部低地帯のエリアでも、水害対策については、住民の関心が非常に高く、都民への情報提供や対策に当たって、都民の声を反映していくことも重要だと考えています。
 下水道局では、計画案が策定された昨年度末、今年の三月中旬ぐらいまでパブリックコメントを実施していましたが、このときの質疑の時点ではまだパブコメの実施中で、内容は明らかになっていませんでした。
 改めて伺いますが、下水道浸水対策計画二〇二二についてのパブリックコメントに寄せられた主な意見はどのようなものがあったのか伺います。

○猪八重計画調整部長 パブリックコメントの結果につきましては、下水道局のホームページで公表してございますが、主なご意見といたしましては、新たな重点地区は十地区で十分なのか、あるいは、重点地区に選定された地区ではどのような降雨で浸水被害が発生したのかなどのご意見がございました。

○斉藤委員 私もこのパブコメの内容について確認をさせていただきましたが、ご答弁のとおり、新たな重点地区は十地区で十分なのかなど、私が質疑で質問した同趣旨の意見もありました。
 そのときにもご答弁いただいていますが、パブコメに対しても、下水道局は、浸水の発生状況等、浸水対策を取り巻く状況に変化があった場合には見直しを検討することとしていますと回答されています。ぜひ、今後も柔軟に対策の充実を検討していただくことを改めて要望いたします。
 パブコメに寄せられている意見から幾つか伺いたいと思いますが、下水道管の水位情報の公表などを行うことを求める要望がありました。
 下水道局では、希望する区に下水道管の水位情報を提供していますが、現在、幾つの区に情報提供をしているのか伺います。

○袰岩施設管理部長 下水道局では、水防管理団体である区からの正式な要望を踏まえまして、品川区など六区へ情報提供をしているところでございます。

○斉藤委員 六つの区に情報提供をしているということで、事前にどこの区か伺いましたけれども、品川区のほかに、大田区、中野区、渋谷区、目黒区、世田谷区だということでした。やはり、内水氾濫の被害が多く発生していた、関心の高い区から希望があるということが分かりますが、ほかにも、近年に内水氾濫が起きている自治体もあります。下水道管や暗渠河川に水位計がなく、情報提供もなければ、住民は、豪雨時などに、実際に道路が冠水し始めるまで状況をつかむことができません。
 情報提供を行う自治体を広げていくこと、また、下水道局から都民への情報提供として、下水道幹線の水位情報の公表を行うことも検討していくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○猪八重計画調整部長 引き続きまして、水防活動を行う区からの正式な要望を踏まえまして、水位情報を提供してまいります。

○斉藤委員 私は、このことを二〇一八年度の公営企業決算の全局質疑でも求めましたけれども、今回のパブコメにも意見があったということで、やはり危機感を持つ都民からニーズがあるということを実感いたしました。
 下水道管や貯留施設、暗渠河川に取り付けた水位情報を近隣の住民に提供することは、都民の命と財産を守るためにも重要なものです。ぜひ、積極的に自治体に情報提供を行っていくこと、また、自治体と連携しながら下水道局として公開していくことを改めて検討していただくよう求めるものです。
 次に、パブコメには、本計画に多摩地域も対象にするべきではないかという意見がありました。多摩地域の公共下水道事業は、この間質疑もありましたけれども、市町村が行うという原則もありますが、一方で、下水道局は、多摩地域の幹線の整備を行っています。
 市町村と連携を強化して効果的な浸水対策を行っていくためにも、流出解析シミュレーションによる分析と計画への反映を多摩地域にも行っていく必要があると考えますが、いかがですか。

○佐々木技術部長 下水道浸水対策計画二〇二二は、区部の公共下水道管理者である下水道局が策定したものでございます。
 多摩地域の雨水対策は、原則、公共下水道管理者である市町村が実施するものでございますが、雨水の放流先となる河川がないなど、市単独では雨水排除が困難な場合におきましては、都が、数市にまたがる流域下水道雨水幹線を整備しております。
 また、流域下水道本部では、流出解析シミュレーションの勉強会を開催するなど、市町村への技術支援を実施しております。

○斉藤委員 多摩地域の雨水対策は、公共下水道管理者である市町村が実施するものという原則だということなんですけれども、一方で、ご答弁のとおり、複数市にまたがる流域下水道雨水幹線の整備は都が行っているわけです。
 少なくとも、区部と同様に、一時間七十五ミリの降雨があった場合に、新たに流域下水道雨水幹線を整備する必要がないか、これは都が検証する必要があるんじゃないかと思うんですが、認識はいかがでしょうか。

○佐々木技術部長 繰り返しとなりますが、雨水対策は、原則、公共下水道管理者が実施するものでございます。
 先ほども一部答弁させていただきましたけれども、市町村からの下水道に関する計画、設計、施工に関する問合せにつきましては、適宜対応してございます。
 引き続き、市町村が抱える課題に対しまして、技術支援を実施してまいります。

○斉藤委員 技術的援助ですとか、シミュレーションの勉強会を開催するということもご答弁にはありましたけれども、しかし、この流域下水道雨水幹線、これは東京都が行っているものなわけです。なので、やはりここの必要性がないかということ自体は、東京都が市町村と連携をして主体的にやっていくということ、ぜひ求めていきたいというふうに思います。
 ご存じのとおりですけれども、長年の多摩格差の一つとして、下水道の整備については市町村の大きな財政負担になっています。ご承知のとおり、三多摩上下水及び道路建設促進協議会や市長会からも、都が行う流域下水道事業における市町村の負担軽減についても、毎年のように求められています。震災対策やその計画について、都がやれること、やるべきことについては、市町村の要望を聞きながら、積極的に行うことを重ねて求めるものです。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 二十日に閉幕したCOP27では、温暖化によって最も被害を受ける途上国や島しょ国の損失と被害が議題になり、基金の創設が初めて合意されました。同時に、現在進行しているこの気候危機を食い止めるには、各国が排出削減目標を大幅に引き上げなければならず、グテーレス国連事務総長は、閉会に当たって、世界はさらに巨大な跳躍をする必要があると呼びかけました。
 足元の東京都でも、温室効果ガスの最大の規模の排出者となっている下水道局として、対策の加速化が喫緊の課題です。これまで多くの努力をされてきているところだというふうに思いますが、大切な取組として、今回も幾つか伺います。
 温室効果ガスの排出を抑えていくためには、電力消費を極力抑えていく省エネの取組が重要です。
 今回お願いをしました資料要求によりますと、四ページになりますけれども、下水道局の電力使用量の推移は、二〇〇〇年度の九・一億キロワットアワーから、十年くらいは増え続けて、十億キロワットアワー以上になり、昨年、二〇二一年度までは少しずつ減らしながら、九・六億キロワットアワーとなっております。
 二〇〇〇年度との比較では、電力使用量は増えている状況ですが、この推移についてどのように分析しているのか、また、施設数や処理数も増えてきたという経過もあると思いますけれども、この電力使用量を抑えるためにどのような取組を行ってきたのか伺います。

○井上設備調整担当部長 処理水質の向上に向けた高度処理施設や浸水対策としてのポンプ施設の整備など、下水道機能の向上に伴う施設数の増加などにより、電力使用量は増加しているものの、ここ十年程度は横ばいで推移しています。
 また、新たな施設を整備する際や施設を再構築する際には、微細気泡散気装置などの省エネルギー型の機器やLED照明を積極的に導入するなど、電力使用量の削減に取り組んでおります。

○斉藤委員 昨年の事務事業質疑でも、私も取り上げましたけれども、下水道事業の中でも、温室効果ガスの排出、電気の消費は、主に、水処理過程と汚泥処理過程で発生すること、その中で、水処理過程では、今ご答弁にあった反応槽に微細な空気を送り込む装置で省エネを図ること、また、汚泥処理過程では、省エネルギー型焼却炉やエネルギー自立型の焼却炉の導入を進めて電力の消費を抑える取組を行っているということを伺ってきました。
 下水処理の高度化など社会的要請に応えながら、技術革新によって温室効果ガスの排出や電力消費を抑える、大変な努力を重ねてきているところだと思いますけれども、しかし、二〇〇〇年度比で電力消費が増えている現状を見ると、その電力消費の削減が追いついていないという状況だというふうに思います。この課題をさらに高く位置づけて取り組む必要があると思いますが、今後の取組について伺っていきたいと思います。
 経営計画二〇二一では、エネルギー、地球温暖化対策の五か年の主な取組の中で、水質改善と電力使用量削減の両立を図るため、水処理を行う反応槽にAIを活用した制御技術の導入を検討すると示されていますが、その具体化はどのようになっているのか伺います。

○家壽田技術開発担当部長 水再生センターで下水を処理する際には、微生物と下水を混合した生物反応槽に送風機で空気を送り、微生物の力で汚れを分解しております。
 水質改善と電力使用量削減の両立を図るためには、流入水量や流入水質の変動などに応じまして、送風量を最適に保つ必要があることから、下水道局では、AIを活用した技術について民間企業との共同研究を進めております。

○斉藤委員 先ほどの空気を反応槽に送り込んで微生物による汚れの分解を活性化させる、その装置においてAIを活用していくということですけれども、その仕組みはどのようなものか、また、どのくらい電力抑制となるのか、その見込みについて伺います。

○家壽田技術開発担当部長 本技術につきましては、流入水質や水量、反応槽の水質など、多くの計測データをAIが解析し、最適な送風量を算出して送風機の運転を抑制するものでございます。
 具体的な研究の効果につきましては、共同研究において検証中でございます。

○斉藤委員 水量や水質の違いから、送風量をコントロールしていくことが必要で、その最適な運転をこれまでの計測データに基づいてAIで割り出していくというものだということですけれども、具体的な効果については検証中だということです。
 今後の研究に期待をしていますけれども、下水道局では、またこれとは別に、デジタル技術を活用した新たな送風量制御技術を導入した水処理設備を来年度から南多摩水再生センターに再構築するということも伺っています。水質改善と、電力使用量削減の両立を図るための大切な取組だと思いますので、今後とも力を入れていただきたいというふうに思います。
 この温室効果ガスの排出量の削減についてですけれども、昨年の質疑では、二〇二〇年度で二〇〇〇年度比で約二八%削減したということですが、最新の実績ではどのようになっているのか伺います。

○猪八重計画調整部長 令和三年度、二〇二一年度におけます温室効果ガス排出量の削減割合の実績につきましては、二〇〇〇年度比で約二七%でございます。

○斉藤委員 二〇〇〇年度比で二七%だということで、なかなか削減していくということは難しいところなのかなというふうに思うんですけれども、近年では、先ほどいったような最新型の機器への更新や技術革新が進んできて、特にAI技術なども飛躍的に発展しているという状況もあります。今後は排出削減割合も大きくしていけるのではないかということを期待しております。
 そのためにも野心的な目標を持って取り組むことが必要ですが、この目標について、昨年の質疑に続いて伺います。
 東京都は、ゼロエミッション都庁行動計画を策定し、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出を五〇%削減するという目標を掲げていますが、下水道局は、三〇%削減という目標を変えていないのはなぜか。都が掲げるカーボンハーフ、五〇%削減まで目標を引き上げるべきだと思いますが、いかがですか。

○猪八重計画調整部長 二〇三〇年カーボンハーフに向けた取組を加速するため、外部有識者による検討委員会におきまして、今後の取組などを検討していただいているところでございます。

○斉藤委員 二〇三〇年カーボンハーフに向けた取組を加速するために、外部有識者による検討委員会で現在検討しているということなので、これは事実上、もう二〇三〇年のカーボンハーフを目標にして取組に踏み出しているということではないかと思うんですけれども、その検討委員会、正式名称を下水道カーボンハーフ実現に向けた地球温暖化対策検討委員会といいますけれども、この委員会を立ち上げた経緯について伺います。

○猪八重計画調整部長 都は、二〇二二年二月に、二〇三〇年カーボンハーフに向けた取組の加速を策定いたしましたことから、下水道局におきましても、都全体の動向を踏まえまして、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けた取組を検討していただくため、委員会を設置いたしました。

○斉藤委員 私は、昨年の質疑でも、また、決算の全局質疑でも我が党の里吉ゆみ都議が、目標を、都の各局と合わせて、二〇三〇年度までに五〇%削減の目標を掲げるということを求めてきました。そのときも、現在の三〇%削減という目標を引き上げるというご答弁ではありませんでしたけれども、実際は今、二〇三〇年のカーボンハーフに向けた取組を検討する委員会を四月から設置しているということです。
 この検討会の議事録を私も拝見させていただきましたが、専門家の方々との検討の中でかなり具体的に議論がされています。カーボンハーフに向けての取組の具体化について検討されていて、カーボンハーフ実現に向けてという言葉が繰り返しこの委員会の中でも、課長さんを含めて発言をされております。
 カーボンハーフ実現、つまり、今、都が掲げている二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%の排出削減を行う目標の実現に向けて、下水道局も取組を進めていく必要があるという認識だという理解でよろしいでしょうか、認識を伺います。

○猪八重計画調整部長 二〇三〇年カーボンハーフを実現するためには一層の排出削減が必要との認識の下、外部有識者による検討委員会におきまして、今後の取組などを検討いただいているところでございます。

○斉藤委員 二〇三〇年カーボンハーフを実現するために検討委員会で検討していると。また、そのためには、一層の排出削減が必要と認識しているというご答弁でした。
 二〇三〇年のカーボンハーフのために行動しているということはとても重要です。であれば、はっきりと目標を二〇三〇年までに五〇%削減と掲げて都民に示していくということを重ねて強く求めます。
 最後に、包括委託について幾つか伺います。
 下水道局では、今年度から、落合水再生センターと清瀬水再生センターにおいて包括委託を初めて開始しています。
 まず、それぞれの委託先と契約年数、契約金額について伺います。

○松井企画担当部長 落合水再生センターの委託先は、東京都下水道サービス株式会社、TGSであり、契約期間は五年、契約金額は百十六億八千二百万円でございます。
 清瀬水再生センターの委託先は、三菱電機プラント・メタウォーターサービス・アールエスシー・都市環境共同企業体であり、契約期間は五年、契約金額は八十一億二千九百万円でございます。

○斉藤委員 それぞれ契約期間は五年で、落合水再生センターについては、東京都下水道サービス株式会社、TGSへ、そして、清瀬水再生センターについては、三菱電機プラントやメタウォーターなどのJVへ委託をされたということですけれども、それぞれの契約において、業務範囲はどのように変わっているのか伺います。

○松井企画担当部長 令和三年度までは、落合水再生センターでは保全管理業務等を、清瀬水再生センターでは運転管理業務や保全管理業務等を業務委託しておりました。
 令和四年度からは、両センターとも、運転管理業務、保全管理業務、薬品、電力等の管理、日常試験等の水質管理業務などを業務範囲とする包括委託としております。

○斉藤委員 つまり、落合水再生センターでは、これまでの保全管理業務等に加えて、運転管理業務や薬品、電力等の管理、日常試験等の水質管理業務などが包括的に委託されていると。
 清瀬水再生センターでは、これまでも運転管理業務も行っていたため、契約期間が五年になったこと、そして、それぞれ仕様書発注から要求水準を満たせばよいとする性能発注に変わっているということになります。
 昨年の質疑では、包括委託の事業者を選定するに当たって、落札者決定基準を定めているというふうに伺いました。コスト削減などを行う旨の実施方針、それを踏まえた省エネ、温室効果ガス排出量の削減やDXの活用などを評価項目としているということでしたが、今回の契約に当たって、それが契約金額にどのように反映されているのか、契約金額上で縮減されているコストが何かあるのか事前に伺いましたけれども、そのようなことではないというふうに伺いました。何かの経費が縮減されているという金額ではなく、何が縮減されるのかは、これからの委託事業者の運営の中で分かっていくということでした。
 この点に関わって、私は昨年の質疑の中で、下水道事業を昨年度まで五年間の包括委託を行ってきた大阪市について取り上げました。今回改めてお話を伺ったんですけれども、五年間でコスト削減ができた五十五億円の中身、これは全て人件費で、それ以外で何が経費の縮減になったのかということは、今でも明らかになっていないということでした。それでも大阪市は、今年度から、昨年度末までと同じ事業者のクリアウォーターOSAKA株式会社に対して、今年度からは、二十年間の包括委託を開始しています。新技術の導入による効率化で、約百億円の削減になるということなんですが、しかし、その中身については、やはり今回伺っても明らかなものではなくて、今後の二十年間の中で目指していく数値だというふうに伺いました。はっきりしているのは、約二百二十億円の人件費が削減できる、これだけなんです。
 人件費の問題については、今年の三月の予算質疑の中で大山委員長が明らかにしています。今回の委託に当たって、落合水再生センターでは、局職員は、設備職と環境検査職を合わせて二十三人が減員になったと。そして、新たに配置されるTGSの職員も同じ人数の配置で行うという当時のご答弁でした。違うのは人件費です。このときのご答弁によると、局職員とTGSの固有社員では、平均で一人当たり年間四十万円の差があるということです。
 技術革新によるコストの削減などは、直営の中で、これまでの質疑でもあったように、細心の努力を行ってやってきている。また、調達の工夫なども直営でできないということではありません。結局、包括委託の実態は、局直営でやってきた仕事を安い労働力で肩代わりさせる、こういうことにほかならないのではないでしょうか。
 大山委員長も厳しく指摘しましたけれども、都が率先して官製ワーキングプアをつくるようなことは許されません。目先の経費削減にとらわれて、技術やノウハウの流出を起こして、公の責任が後退していくような下水道事業に変質させてはならないということを改めて強く指摘するものです。
 さらに伺います。発注者側の下水道局と受託業者とでのリスクの分担についてです。
 落合水再生センターでのリスク分担について、TGSが負う範囲と下水道局が負う範囲はどのようになっているでしょうか。

○袰岩施設管理部長 落合水再生センターの包括委託におけるリスク分担につきましては、公益社団法人日本下水道協会が発行している処理場等包括的民間委託導入ガイドラインを参考に設定しております。
 基本的な考え方として、維持管理自体は受託者の自由裁量で実施することから、そのリスクは受託者であるTGSが負担し、天災等の外部的要因によるリスクや委託者に起因するリスクについては局が負担することとしております。

○斉藤委員 委託業務の中で何か起きた場合には受託者の責任と負担になるということですけれども、災害等での外部的要因によるリスクについては、下水道局が負担するということです。そうした仕組みが、下水道事業にとって効率的なものなのかどうかも、まさに検討が必要だというふうに思います。
 私は、昨年の質疑の中で、受託事業者に対して与えられるインセンティブについて伺いました。昨年の質疑で、受託事業者が行ったコスト削減分は、受託事業者へのインセンティブとして設定しているということでしたが、それは、その分が受託事業者の収益になるということでよろしいでしょうか。

○袰岩施設管理部長 公益社団法人日本下水道協会のガイドラインによりますと、運転管理の効率化などにより維持管理コストの削減等が達成された場合には、受託者へのインセンティブとして業務委託費を削減しないことを検討することとされております。
 本委託では、このガイドラインの考え方や他の自治体の事例等を参考に、維持管理コスト等の削減した費用につきましては、その分をインセンティブとして受益者の利益としております。

○斉藤委員 維持管理コスト等を削減した分については受託者の利益になるということ、先ほどの質問で、今回の契約金額についても、何かが縮減されている金額ではなく、それは、これからの事業者の運営の中で分かるということ、さらにその縮減分は、受託者の利益になるということ、今、ガイドラインのお話がありましたけれども、削減等が達成された場合には、受託者へのインセンティブとして業務委託費を削減しないことを検討することとされている、まさに民間企業の利益を守るように、そういうふうにこれいっているわけなんですね。
 それでは伺いますが、局直営の事業で、維持管理等で削減した費用や技術革新などによって削減できたコスト分はどのように活用されていくのか伺います。

○松井企画担当部長 従来より、局でこれまで培ってきた知識や経験を活用しながら、新たな技術の開発、導入などにより、建設、維持管理コストの縮減に取り組むことで持続可能な財政運営を図っております。

○斉藤委員 持続可能な財政運営に充てられていくというざっくりとしたお答えなんですが、私、これは非常に重要な答弁だと思います。つまり、こうした努力で経費の節減ができれば、設備の大規模改修も含めて設備投資に回したり、あるいは災害時のリスク負担に備えることができる、直接下水道事業に還元していくということができるわけなんです。
 国土交通省が、性能発注の考え方に基づく民間委託のガイドラインというものを示していて、ここにも、維持管理効率化に向けたインセンティブについて、民間企業の創意工夫が民間企業にとってのメリットにつながることから、維持管理業務の効率化が期待されるというふうに示されているんですが、それはその言葉のとおり、民間事業者の利益になるのであって、逆にいえば、下水道局に事業の原資として還元されるものにはならないということではないでしょうか。
 もとより下水道事業は、利益を得ることを目的に行われているものではありません。局直営での事業なら、利益のためではなく、誰もが享受できる公衆衛生に寄与するために経費縮減ができれば、その分を、それこそ設備投資や災害時の備えなど、持続可能な財政運営に充てるということができるということだと思います。
 昨年度の包括外部監査報告に、TGSの利益剰余金に関わる指摘がありました。利益剰余金がTGSに累積し、二〇二〇年度は五十四億円になっているということですが、それがTGSでの税の支払いや内部留保、株主への配当原資に充当されることとなり、下水道使用料金の適正な算定の見地から、検証する必要があるというものです。
 三月の質疑で、大山委員長がこの指摘について取り上げ、どう検証していくのかをただしたことに対して、下水道局は、TGSが外部有識者を交えた検討会を設置することと、そして、下水道局も、TGSの利益の発生要因の分析を行うとともに、その検討に加わるという答弁でした。その検討状況はどうなっているのか伺います。

○田中総務部長 TGSは現在、法務や財務の専門家などの外部有識者を交えた検討会を設置し、繰越利益剰余金の適正水準や活用策等について検討しております。
 局も検討に参加いたしますとともに、あわせて、TGSの利益の発生要因について分析を行っているところでございます。

○斉藤委員 今、検討や分析を行っているということですけれども、包括外部監査で指摘を受けたものについてはどういう対策や措置を行っていくのか、次年度に改善計画を策定するということになっています。
 私たちは、包括外部監査が指摘することが、公共の福祉に照らして全て適切かということについては大きな疑問があると思っていますけれども、今回の指摘の部分、株式会社の運営とはいえ、都民のライフラインを担う公共性の高い事業を行っている上では、利益剰余金の適正水準や活用等が適切かどうか厳しく問われるのは当然だというふうに思っています。
 最後に伺いますけれども、TGSで累積しているこの剰余金が、税の支払いや内部留保、株主への配当原資などに充当されることとなるというふうに指摘をされているわけですけれども、そもそもこれらの支出や内部留保は、局直営の事業なら発生しない支出、コストだと思いますが、いかがですか。

○田中総務部長 TGSは、都の政策連携団体として、汚泥処理業務や保全管理業務、下水道管の維持管理業務などを受託し、これまで局と一体的運営を行っていることを通じて得た豊富な経験、ノウハウを有しております。
 このような現場に根差した経験やノウハウを基に、事業を進めるに当たって、課題を解決するための技術開発を積極的に推進しております。
 TGSの利益は、こうした株式会社としての企業努力によるものでございます。

○斉藤委員 私が聞いたのは、これらの支出が、局の直営なら発生しない支出だという、この事実について伺っています。イエスかノーかで答えられる質問です。いかがですか。

○田中総務部長 ご質問は、局直営の事業とTGSへの委託事業の違いについてということだと思いますけれども、局とTGSがそれぞれの立場で経済性の発揮などによるサービス向上を目指すということには触れないで、特定の支出のみを捉えてお答えするのは適切ではないのではないかというふうに考えております。
 TGSは、都の政策連携団体といたしまして、これまで局と一体的運営を行っていることを通じて得た現場に根差した経験やノウハウを基に、事業を進めるに当たって、課題を解決するための技術開発を積極的に推進しているものでございます。
 それから、先ほど、理事のご発言の中で、東京都とTGS社員の平均給与についてございましたけれども、都職員とTGSの固有社員では、職員構成や職層の割合のほか、業務内容なども異なっておりまして、平均給与支給額だけで一概に比較できるものではないというふうに考えます。

○斉藤委員 平均給与の話は、去年、ここで質疑をやっているものに基づいて、私、いっています。様々だといっても、分かりやすい指標として使っているわけで、何か間違いとか、そういうことではないというふうに思います。
 それで、今のご答弁ですけどね、私、その支出について、都の評価を聞いているわけではないんです。直営だったら要らない支出ですよねと、この事実を聞いているだけなんです。これにまともにお答えがないということですけれども、つまり、これ、発生しない支出だということを否定はできないということだと思います。つまり、局直営では発生しない余分なコストになっているわけです。
 このことは、今、世界中でも見直されていて、上下水道の民営化、ずっと続いてきた世界の中ではありましたけれども、しかし、実際は、民間の運営の中では、過大な内部留保や法人税、そして、株主の配当、役員報酬、これらが余分なコストだと。公的に行えば支出する必要のないものだということが大きく見直されて、今、様々な公共事業が民営から公営に戻っているという世界的な流れがあるわけです。
 今、TGSの事業についての説明がありましたけれども、TGSがノウハウを蓄積して、技術革新の面でも力を発揮されているということは私も理解をしております。働いている皆さんには、本当に心からの敬意を表したいというふうに思っています。
 しかし、先ほども触れましたが、本来なら局直営で行うべき仕事を安い人件費で担わせている実態も、この間明らかにしてきました。これが効率化という口実で広げられていくこと、官製ワーキングプア、これを都が率先して広げていくようなことは許されません。
 さらには、効率化といいながら、実際には局直営なら必要のない支出があるということも明らかです。本来なら、この余分な支出分は、働く皆さんや都民の公衆衛生への貢献として還元されていくべきものです。局直営の事業でこそ、もうけ優先ではなく、直接、下水道事業や都民、働く皆さんに還元できる経営ができるのではないでしょうか。
 民間包括委託という手法が、都民の生活に欠かせない下水道事業の持続にとって本当に効率的なものなのかどうか、今ここで厳しく検証していくということが必要です。長期契約や、そして、民間にお任せで、インセンティブ、つまり利益を与えていくというようなやり方の中で、東京都の下水道事業を、力を細らせてしまう、そういうことはあってはなりません。局直営の事業を堅持していくことを改めて求めて、質疑を終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時三十分開議

○大山委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○西沢委員 それでは、私からも、下水道局への事務事業について幾つか聞いていきたいというふうに思います。
 下水道は、日々の暮らしや経済活動によって排出される汚水を処理し、海や川へ戻すなど、快適な生活環境の確保や都市の水循環を支えていると思います。宅地や道路などに降った雨水を速やかに排除して、市街地を浸水から守る役割もあるということでございます。
 今日も、幾つも事業がございましたけれども、どうしても上水道と下水道で、水道局が料金の収入をやっているから、何となくイメージとしては、水道局というのを身近に感じる都民が多く、下水道局に関して、少し縁遠く感じる方もいらっしゃるんじゃないかと思いますが、市街地を浸水から守る役割という極めて大きな役割を担っているというように思います。
 そうした重要な役割を担う下水道局事業について幾つか聞いていきますが、まず、浸水対策について。
 これも、今回の事務事業でよくいいますが、気候変動の問題で、近年は、集中豪雨の頻発、台風の大型化などによって、全国各地で浸水被害が頻発している状況にあること、この気候変動の影響によって降水量が増加していくというようなことも予想されておりまして、対策の強化が必要であります。
 ちょっと恐縮ですが、地元の話をしていきたいと思います。地元である中野区なんですが、過去に浸水被害が発生しているわけであります。ハザードマップにおいても、浸水の危険性が高い場所もありまして、日頃から浸水被害を心配する声が寄せられております。
 そこでまず、近年の中野区内での下水道の浸水対策についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、経営計画二〇二一及び下水道浸水対策計画二〇二二において、浸水の危険性の高い地区などを重点化いたしまして、幹線や貯留施設の整備を行っております。
 中野区内におきましては、中野区中野地区、中野区東中野、杉並区阿佐谷地区の二地区を重点地区として位置づけております。
 このうち中野区中野地区におきましては、平成二十四年度に対策が完了しておりまして、現在、中野区東中野、杉並区阿佐谷地区で事業を進めております。

○西沢委員 中野区内においては、二か所が重点地区となっていて、このうち一か所が現在でも事業中ということでございました。
 経営計画や浸水対策計画には、整備のことが書かれているわけでありますが、さらに、今、答弁がありました中野区東中野、杉並区阿佐谷地区で事業推進ということでございますが、この事業のさらに具体的な進捗状況についてお伺いしたいというふうに思います。

○杉山施設整備担当部長 中野区東中野、杉並区阿佐谷地区では、既設の桃園川幹線の雨水排除能力を補完、増強するため、新たに第二桃園川幹線を整備しております。
 具体的には、内径最大四・二五メートル、延長約七千三百五十メートルの下水道管であり、上流部と下流部に分けまして、シールド工法によりトンネルを築造する工事を進めております。
 現在、上流部では、令和五年度末頃の完了を目指しトンネルを築造中であり、下流部につきましては、上流部に引き続き、シールド工法にて整備を進めていく予定でございます。

○西沢委員 具体的な答弁をいただきました。令和五年度頃の完了を目指して、かなりな物を造っていくというようなことでございます。また、シールド工法ということで、ぜひ、進めるに当たっては、このシールド工法についての不安点、十分な説明というものをしていただきたいというふうにも思います。
 改めて、豪雨が激甚化、頻発化しているという中において、下水道事業の取組は非常に重要でございますので、着実な事業を進め、効果を発揮していただきたいというように思います。
 次に、震災の対策について伺います。
 今後三十年で約七〇%の高い確率で発生が予測される都心南部直下地震などへの備えとして、重要施設やインフラの耐震化が進められております。道路の下に埋設されている下水道管は、膨大な延長を有しておりまして、着実に対策を進めていくということが重要と考えております。
 先ほども議論がありましたが、改めて確認をしたいと思います。
 下水道管の耐震化の進め方についてお伺いをいたします。

○猪八重計画調整部長 下水道管の耐震化につきましては、経営計画二〇二一に基づきまして、震災時の下水道機能を確保するとともに、緊急輸送道路などの交通機能を確保するという二つの面から実施をしております。
 このうち、下水道機能の確保といたしまして、避難所や一時滞在施設などを対象に、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化及びマンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
 また、交通機能の確保といたしまして、液状化の危険性の高い地域における緊急輸送道路や緊急車両が通行する無電柱化する道路などを対象に、マンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。

○西沢委員 耐震化の進め方、経営計画の四〇ページにいろいろと書いてありますが、接続部の耐震化など進めているよという話でございました。
 そこで、ちょっとここに書いていないことで、恐縮ですが地元の話をお聞きしたくて、これまでの区部全体と、それから、中野区内における下水道管の耐震化の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

○杉山施設整備担当部長 下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、令和三年度末までに、区部全体で四千六百十八か所、そのうち中野区では百四十か所の対象施設で対策を行っており、区部全体では経営計画二〇二一で定めた耐震化すべき施設の約八割、中野区では約九割が完了しております。
 また、マンホールの浮上抑制対策は、令和三年度末までに、区部全体で約千三百十四キロメートル、そのうち中野区では約七・五キロメートルの対象道路で対策を行っており、区部全体では経営計画二〇二一で定めた浮上抑制すべき路線の約八割、中野区では約五割が完了しております。
 引き続き、下水道管の耐震化を計画的に進めてまいります。

○西沢委員 経営計画などを見て順調に進めているということで書いていて、下水道管、マンホールの接続部の耐震化については、区部全体では八割の完了で、中野区内で九割が完了しているという答弁いただきましたが、マンホールの浮上抑制対策については、この浮上を抑制すべき路線の約八割が区部全体で完了していますが、中野区内では約五割の完了だということでございました。全体が八割で、区内が五割と聞くと、ちょっと低いんじゃないかなと思いますが、答弁の中に、これも計画的に進めているものだというふうにありました。
 そういった中では、東部地域などが、今日も議論がございましたけれども、重点的にやって、区の方、中野区は比較的には地盤がいいとされているところですから、区と中野区や練馬、新宿だったりとかもそうかもしれませんけれども、比較的低くなるというようなところ、液状化の対策ということでいえば、やはり東部が中心になるということは理解しますが、改めて、大事なことだと思いますし、いつ起きてもおかしくないという地震に備えて、引き続き、着実に耐震化を進めていただく必要があると思いますので、要望しておきたいというように思います。
 次に、合流式下水道の改善についてお伺いをいたします。
 区部には数多くの河川が流れておりまして、都心部における貴重な水辺となっております。一方で、区部では約八割が合流式下水道であり、下水道から河川へ放流される際の放流水質に課題があると認識をしております。
 ここで最近の状況をお伺いしたいと思いますが、私が、初当選直後ぐらいに、この委員会でもよく合流式下水道の話、分流式下水道の話がありました。それぞれのメリット、デメリットがあるわけですが、この気候変動が叫ばれる中、また、災害、震災、それから、水害という話が出てくる、加えて、コロナ禍ということで、大分状況も変わってきているのではないかと思います。
 こうしたことを含めて、近年、下水道局が、合流式下水道と分流式下水道のメリット、デメリット、どのように認識をされているのか、改めてお伺いしたいと思います。

○猪八重計画調整部長 合流式下水道のメリットでございますが、少ない雨の日には、地面や道路の汚れを含む雨水を河川などへ放流することなく水再生センターで処理できることや、汚水と雨水を一本の下水道管で流せることから、分流式と比べて、整備費用も安く、早期に整備ができることでございます。
 一方で、デメリットでございますけれども、強い雨の日に、まちを浸水から守るため、汚水混じりの雨水を河川などへ放流してしまうことでございます。
 これに対しまして、分流式下水道のメリットでございますが、汚水管と雨水管を別々に整備しておりますことから、雨天時に生活排水などの汚水が河川へ放流されないことでございます。
 一方、デメリットでございますけれども、雨水が全て河川などへ直接放流されるため、地面や道路の汚れ、ごみなどが河川などへ流出をしてしまうことでございます。

○西沢委員 この十数年で大きく変わることはないのかなというふうに思います。当たり前ですけれども、合流だから、分流だからということで、数年で状況が変わるということはないのかなというふうには私も思ってはいます。ただ、合流式下水道が、都に八割、多いという中で、簡単にそれを全部分流にしようということは、これは不可能な話であって、やはり様々な改善の取組というものが必要だというように感じます。
 ちなみに、私の地元の妙正寺川のことについてお伺いしますが、妙正寺川は、二〇〇五年に氾濫をしています。衆議院選挙の最中だったから、私もすごくよく覚えているんですが、もう十七年ほど前になりますけれども、かなりの雨が降って、床上浸水の被害が出ました。そうした中で、当時の中野の区議会なんかでこの話一遍になりましたし、これについて何とかしようじゃないかということがあり、今、メリット、デメリットについては、状況は変わらないということを確認しましたから、やはりしっかりとした取組というものを改めて進めていく必要があるのだと思います。
 この妙正寺川の合流改善の取組状況についてお伺いをいたします。

○杉山施設整備担当部長 妙正寺川の合流式下水道の改善につきましては、雨水吐き口からのごみなどの流出を抑制する施設の整備、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備が全て完了しており、現在、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設などの整備を進めております。
 貯留施設などの整備につきましては、令和元年度までに、落合水再生センターで、約一万三千立方メートルの貯留施設や汚濁物を効率的に除去できる高速ろ過施設の整備が完了しております。
 現在、中野水再生センターにおきまして、約一万三千立方メートルの貯留施設の整備を令和五年度末の稼働に向けて進めているところでございます。

○西沢委員 着実に進めていただいていること、それから、貯留施設の整備も進めているということ、話を聞きました。
 地元的なことでいうと、妙正寺川周辺の様々なまちづくり、開発、連続立体交差事業とか、ちょっと別の局にまたがるような話もありますから、しっかりとその辺も一緒に進めてもらえればありがたいというふうに思っております。
 この水質の向上のため、地元の話をちょっとしましたけれども、引き続き、この合流式下水道の改善、これ、改良といってもいいのかなという気もしますが、つまり、分流改善ということを使いません。やはり合流式の下水道の改善、良くする、同じかもしれませんけれども、改善、改良を進めてもらいたいというように思います。
 次に、事業運営体制についてお伺いをしたいというように思います。
 先ほどもちょっと議論があったもので、包括委託の話、私からもさせていただきたいと思います。
 落合水再生センターと清瀬水再生センターに、令和四年四月から包括委託が導入をされました。
 思い起こせば、六年ほど前、小池知事が鳴り物入りで都知事に就任をされて、都政改革本部が設置をされて、そして、様々な顧問の方が呼ばれて、そして、いろんなことがいわれたわけですが、その一つに、下水道のコンセッションというものが上がりました。
 その後、私たちの中でも様々なことがありましたが、今回、新たな運営手法として包括委託を導入されたというような形となりました。
 この経緯について、まず最初にお伺いしたいと思います。

○松井企画担当部長 東京の下水道事業を将来にわたり安定的に運営していくため、安定性、経済性の確保や技術力、技術開発力の維持向上の視点から、東京にふさわしい下水道施設運営手法につきまして検討を実施いたしました。
 具体的には、人口や都市機能が高度に集積している中、近年、豪雨が激甚化、頻発化していること、水再生センターなど施設間がネットワーク化されていることなどの東京下水道の特徴を踏まえ、包括委託やコンセッションなどの施設運営手法を比較検討した結果、運転管理の困難度等が相対的に小さい一部の水再生センターの水処理施設に包括委託を導入することといたしました。

○西沢委員 これも先ほど議論がありましたが、まず、世界的にも民営化だなんだといわれていたものが、ちょっとそうじゃないんじゃないかというような潮流がある中で、コンセッションないしは民営化みたいな議論が進まなかったということはよかったなと、ちょっとほっとしているところでもございます。民営化、コンセッション、それから、直営ないし包括委託、直営みたいな形で順番があるかと思いますが、今の答弁の中でも、運転管理の困難度などが相対的に小さいところに包括委託を導入したよということでありました。
 改めて、この包括委託を導入するとどんなメリットがあるのか。それから、委託先、どのように決めたのかお伺いをしたいと思います。

○松井企画担当部長 包括委託は、性能発注方式の複数年契約であり、発注者が要求する一定の性能を確保している限り、具体的な手法等のプロセスにつきましては、受託者の自由裁量に任せるため、受託者が、創意工夫により技術力や経済性を発揮することが期待できるものでございます。
 委託先は、区部におきましては、これまで保全管理業務等を受託し、局との一体的な事業運営を通じて高い技術力やノウハウを有し、運転管理ノウハウの移転が可能な東京都下水道サービス株式会社、TGSといたしました。
 多摩地域は、大部分が分流式で、流入水量が安定していることから、稼働当初より運転管理などを民間事業者に業務委託しており、公募で選定した民間事業者に包括委託することといたしました。
 局とTGS、民間事業者の三者が、それぞれの特性を生かした役割分担の下、連携を強化して下水道事業を運営してまいります。

○西沢委員 いうまでもなく、水再生センターは止めることができない施設ですから、当然、この包括委託を、施設の選定をするにも、慎重に検討する必要があるんだというように思います。
 民営化ではなくて、包括委託ということの一つのメリットというものがありましたが、様々な面から、選定に当たっては慎重にする必要があると思います。それは、委託先であったりもそうですが、どの施設にするのかということも、そのようなものであります。
 運営管理度、難しさというところの話がございましたが、落合水再生センターに導入することにした理由についてお伺いをいたします。

○松井企画担当部長 雨水の排除を担う下水道事業では、雨水ポンプ等の運転管理などで大きな責任を伴うことから、運転管理の困難性と施設の設置環境の二つの視点で評価、分析を実施いたしました。
 落合水再生センターは、雨水ポンプがない自然排水区にあることや、水再生センターから遠方制御する雨水ポンプ所がないことから、比較的雨水排除の影響が少なく、運転管理の困難度等が相対的に小さいため、包括委託を導入することといたしました。

○西沢委員 落合水再生センターにも導入するために、運転管理の困難度などが相対的に小さいという話がありました。これは四月に導入したわけですけれども、例えば、その資金的なものであったり、収支的なものもそうですし、当然トラブルみたいなものがあってはいけないものと思います。そうしたところが資料からはなかなか読み取れません。
 当然、四月に導入したばかりですから、まだ半年とちょっとということではありますが、現時点で結構でございますので、落合水再生センターに包括委託を四月に導入して、現在に至ったまでの状況についてお伺いをしたいと思います。

○袰岩施設管理部長 落合水再生センターでは、運転管理や水質管理業務等を包括的に委託することで、良好な放流水質の確保など、適正かつ効率的な管理を受託者であるTGSに求めております。
 本年四月以降、設備の適切な運転管理が行われており、放流水質基準等、当局が要求している事項が遵守されるなど、水再生センターは安定的に運営されているものと考えております。
 引き続き、履行状況を確認するとともに、導入効果を検証してまいります。

○西沢委員 先ほど、人件費の話がありましたが、そうしたことは抜きにしても、そもそも水質の基準など、そうしたことを水再生センターは安定的に運用されているというようなことでありました。
 始まって半年でトラブル続出であれば、当然見直しというようなところにもなろうかと思いますが、今のところ、そういったところは確認されていないということ、ただ、今、答弁にもあったように、検証をしっかりしていくというようなことですから、私からも、この包括委託を導入してどうなんだというところ、問われることかと思いますので、検証をしっかりしていただければというように思います。
 包括委託について質疑を行ってきましたが、心配事のもう一つは、技術力が失われるのではないかということであります。この委託を進めたことで、局の技術力というものが失われるのではないかと。
 包括委託を導入した中で、どのように技術力を確保していくのかお伺いしたいと思います。

○松井企画担当部長 運転管理の困難度等が相対的に小さい落合水再生センターに包括委託を導入する一方で、困難度が大きい水再生センターにおきましては、局が引き続き直営で運営することで、局が有する技術を継承してまいります。
 さらに、三河島水再生センターと砂町水再生センターにおきましては、局直営による運転管理と保全管理の統合体制を導入し、双方のスキルを有する職員を効率的に育成、確保することで、人材育成の強化に取り組んでまいります。
 また、TGSにおきましても、新たに運転管理業務を受託することで、下水道施設全般を管理運営する総合力を確保することとなり、局とTGSとが東京下水道グループとして、技術力、技術開発力を一層向上させてまいります。

○西沢委員 今、答弁もありましたが、三河島の水再生センターは、TGSから直営に戻すというようなことまでしているということで、運転が困難なところ、難しいところは、局が責任を持ってやるというような姿勢が見えました。
 また、東京下水道グループということで、水道局も同じかもしれませんけれども、技術力、技術開発力、これを一体としてやっていくということも重要なのかなと思います。技術力を民間に委ねて失われていくということはあってはいけないというように思いますので、そうした取組、今回の包括委託というのは、検証をしっかりしてほしいと思いますけれども、一つの判断だったのかなというようには思います。
 将来にわたり安定的に下水道事業を運営していくため、引き続き、技術力の確保に努めてほしいというふうに思います。
 次に、区部と流域の財政収支の見通しについてお伺いしたいというふうに思います。
 経営計画の一三四ページに、財政収支の長期推計というものがございますが、重要な都市インフラである下水道事業というのは、中長期的な視点に立った持続可能な財政運営が求められていることと思います。
 改めて、収入、支出の傾向が書いてありますが、これを踏まえて、経営計画においてどのような財政収支の見通しを立てているのかお伺いをしたいと思います。

○田中総務部長 主要な収入でございます区部の下水道料金は、将来的な人口減少等により長期的に低減傾向にございます。一方で、維持管理費が電気料金などの上昇により増加傾向にある中、企業努力に取り組みつつ、主要施策を着実に推進する必要がございます。
 経営計画二〇二一における今後の財政収支の見通しといたしましては、計画期間内は累積資金を確保しております。
 また、十年間の長期推計では、区部は引き続き累積資金が確保されますが、流域はマイナスを見込んでおります。

○西沢委員 流域は、推計ではありますけれども、マイナスに転じるというような予測が立てられて、厳しい状況になろうかというように思います。
 収入が期待できない中においても、必要な事業は継続的に実施していかなければならないということからも、今、答弁にもあったように、企業努力による経営効率化というものは、これは重要だというふうに思います。
 ただ、企業努力とは何ぞやという話だと思うんですが、公営企業は、いうまでもなく、福祉の増進に努めなければならないと。水道も交通も同じことをいっているんですけれども、そうした中で、企業努力とは何か、経営計画の一二八ページには、六百五十億円の企業努力をしますよと、こういうことを書いていますが、何に幾らというところがなかなか分からないものであります。
 下水道ですから、雨水について何か国からお金をもらったりという収入なんかもありますが、それをしっかり確保するというのも、企業努力といえば企業努力でしょうし、逆に、営業をかけて、水道のときは、水道をもっと使いませんかみたいなことをやるわけじゃないと話をしましたが、同じように、下水道も、もっとトイレを使いましょうなんていうこと、あり得ないわけですよね。もっとお水を出しましょうというのとは、当然違う話でありますから、人員の削減であったり、災害対策を行わない、公的なことを行わない、これは、企業努力とは、やはりいえないわけであります。
 改めて、企業努力の具体的な取組についてお伺いしたいと思います。

○松井企画担当部長 経営計画二〇二一では、五か年の計画期間におきまして、総額六百五十億円の企業努力を行うこととしております。
 具体的には、新たな技術の導入などにより、建設、維持管理コストを二百億円縮減するとともに、水再生センターの上部の民間事業者への貸付けや下水熱の冷暖房熱源としての活用など、資産等の有効活用によって四百五十億円の収入を確保してまいります。

○西沢委員 今、答弁がありましたように、具体的に、建設、維持管理コストで二百億円で、資産等の有効活用で四百五十億円ということであります。
 公営企業は独立採算ではありますけれども、先ほども申したように、福祉の増進に努めなければいけませんから、何でも企業努力の名の下にカットするのもおかしい、かといって、そこにあぐらをかいて、何でも浪費していい、無駄なことをしていいともいえない、極めてそういった意味では、周りから見て納得のいくような説明を常に求められると。売上げさえ上げればいいとか、カットすれば何でもいいというわけでは当然ないということであります。なので、こういった議会の場で質疑をさせていただくということも一つの手段かなと思って聞かせていただいております。
 この中期計画の中で、今お話があった企業努力の取組も踏まえて、事業と財源というものが整理をされております。
 そこでお伺いしますが、経営計画において、区部の下水道料金と流域の維持管理負担金についてどのように考えていたのかお伺いをしたいというふうに思います。

○田中総務部長 経営計画二〇二一の計画期間中につきましては、様々な企業努力や国費の確保などによりまして、現行の区部の下水道料金水準や市町村からの維持管理負担金の単価を維持していくこととしております。
 なお、長期推計により累積資金がマイナスと見込まれております流域下水道事業につきましては、今後の維持管理収支の状況を踏まえまして、市町村と情報共有を図りながら、維持管理負担金の単価等の見直しについて、継続的に検討してまいります。

○西沢委員 今、話もいただきましたが、経営計画では、下水道料金、維持管理負担金ともに現行水準を維持していくということになっておりますが、今、まさにコロナ禍ということで、新型コロナウイルスの感染症の拡大によって、状況が一変したというふうに思われます。
 どう考えていたのかという過去の形で聞きましたが、このコロナ禍を踏まえて、状況が変わったのを踏まえて、この経営計画策定後に感染拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、下水道料金や維持管理負担金の維持の考え方、これに変更がないのかどうかをお伺いしたいと思います。

○田中総務部長 下水道料金収入は、新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで大幅な減収となっておりますが、経営計画二〇二一に基づきまして、財政基盤を強化することで、計画期間中は、現行の下水道料金や維持管理負担金の水準を維持していくこととしております。

○西沢委員 経営計画期間中は、現行の水準をコロナを踏まえても維持していくということでございました。
 今日、こうやっていろいろ質疑をさせていただきましたが、改めて、下水道局は、特に浸水対策、災害への対策について求められることも多いですし、コロナもそうですが、気候変動への取組というような使命を持っております。独立採算ですから、当然あぐらをかくわけにもいきませんけれども、かといって、やらなければいけないこともたくさんあります。企業努力というものも必要だと思います。引き続き、こうした企業努力を行い、安定した財政運営に努めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○田村委員 下水道事業における環境対策について伺います。
 私の地元である多摩地域においては、流域下水道七つの水再生センターで下水の処理を行っております。その処理水は、多摩川などの公共用水域に放流されています。
 多摩川などの水環境を守ることは、下水道局の責務ですが、現下の社会情勢を考えると、それと同時に、エネルギー使用量の削減にも取り組んでいく必要があります。
 そこで、流域下水道の水処理工程における省エネルギーの取組について伺います。

○佐々木技術部長 水処理工程におきましては、生物反応槽に送風機で空気を送り、微生物の力で下水の汚れを分解しておりまして、送風のために多くの電力を使用しております。
 処理水質を維持しながら省エネルギーを図るために、下水の水質や水温の変動などに応じまして適切に送風量を制御するなど、きめ細かな運転管理に取り組んでおります。
 また、流域下水道の七つ全ての水再生センターにおきまして、水処理に必要な空気を水に溶けやすい小さな気泡にして送風量を少なくすることで電気使用量を削減できる微細気泡散気装置の導入を進めているところでございます。
 これに加えまして、南多摩水再生センターにおける下水の水質などに応じて送風量を最適に制御できるデジタル技術を活用した新たな送風量制御技術について、来年度の工事着手に向けて設計を進めてまいります。

○田村委員 水処理工程における省エネルギーに向けて、運転管理の工夫や新たな技術を積極的に導入していることを理解しました。
 次に、汚泥処理について伺います。
 汚泥処理工程も環境負荷が大変大きいと認識しています。
 そこで、流域下水道の汚泥処理工程における省エネルギーの取組について伺います。

○佐々木技術部長 汚泥処理工程におきましては、重力を利用してろ過濃縮することで、電気使用量を削減できる省エネルギー型の汚泥濃縮機や、電気や燃料使用量を大幅に削減できる省エネルギー型の焼却炉を導入するなどの取組を実施しております。
 具体的には、省エネルギー型汚泥濃縮機につきましては、八王子水再生センターなど、五つの水再生センターで導入しておりまして、現在は、南多摩水再生センターなどで建設を進めております。
 また、省エネルギー型焼却炉につきましては、多摩川上流水再生センターなど、三つの水再生センターで導入しておりまして、現在は、北多摩一号水再生センターなどで建設を進めております。
 今後も、汚泥処理工程における省エネルギー型機器の導入を進めてまいります。

○田村委員 水処理、汚泥処理、それぞれの工程における省エネルギーの取組を確認しました。
 今の答弁で焼却炉の話がありましたが、汚泥を焼却する際には、二酸化炭素よりも温室効果が高い一酸化二窒素が排出されると聞いています。
 そこで、流域下水道における一酸化二窒素の削減の取組について伺います。

○佐々木技術部長 汚泥の焼却時におきましては、二酸化炭素の約三百倍の温室効果を持つ一酸化二窒素が発生していることから、その削減は地球温暖化対策として大きな効果がございます。
 一酸化二窒素は、焼却温度を高温化することで発生量を大幅に削減することが可能なため、従来の焼却炉に対して、高温化した焼却炉を全ての水再生センターで導入してまいりました。
 このような温室効果ガス削減の取組を推進しまして、環境負荷の少ない多摩地域の実現に貢献してまいります。

○田村委員 温室効果ガスのさらなる削減に向け、ぜひ、この取組を進めていっていただきたいと思います。
 温室効果ガスの削減としては、省エネルギーの取組や温室効果の高い一酸化二窒素の削減だけでなく、電力を自らつくり出すという取組も重要です。その代表例として、太陽光などの再生可能エネルギーの使用が挙げられます。
 都も、再生可能エネルギー導入に対する様々な補助を実施し、新築住宅に対する義務化も検討されているようですが、自ら率先して再生エネルギーをつくり、使用することも求められています。
 そこで、流域下水道における再生可能エネルギーの導入状況について伺います。

○佐々木技術部長 流域下水道における再生可能エネルギーの取組といたしましては、太陽光発電や小水力発電、焼却炉廃熱を利用した発電を行っております。
 八王子水再生センターなど四つの水再生センターにおきましては、約二千八百キロワットの太陽光発電設備を導入しております。
 また、南多摩水再生センターにおきましては、多摩川への放流落差を活用した約三十キロワットの小水力発電設備を導入しております。
 さらに、多摩川上流水再生センターなど二つの水再生センターにおきましては、汚泥焼却時に発生する廃熱を利用した約二百六十キロワットの発電設備を導入しております。
 今後とも、再生可能エネルギー活用の拡大に努めてまいります。

○田村委員 流域下水道において、様々な新たな技術を導入し、水質の改善や省エネルギー、地球温暖化対策を推進していることが分かりました。
 一方、都では、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフを表明しています。
 カーボンハーフを達成するためには、温室効果ガスを大量に発生させている下水道事業でも、これまでの取組を一層加速しなければならないと考えます。
 そこで、下水道局における地球温暖化、エネルギー対策の今後の取組方針について伺います。

○猪八重計画調整部長 下水道事業では、処理水質の向上や浸水対策の強化などによりまして、今後、温室効果ガス排出量の増加が見込まれておりまして、二〇三〇年カーボンハーフを実現するためには一層の削減が必要でございます。
 そのため、アースプラン二〇一七の取組に加えまして、さらなる省エネルギー設備等の導入拡大や再生可能エネルギーの利用拡大を図るとともに、焼却炉の運転に必要な電力以上の電力を発電して、汚泥処理施設などにも電力を供給できるエネルギー供給型焼却炉などの新たな技術開発を推進してまいります。
 本年四月に設置いたしました外部有識者による検討委員会におきまして、二〇三〇年度までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するための方策などについて、年内に検討結果を取りまとめる予定でございまして、これを踏まえまして、当局としての今後の取組方針を検討してまいります。

○田村委員 世界では気候危機の問題が顕在化しており、温室効果ガスの削減が重要な課題となっております。下水道事業においても、対策を急がなければならないと考えます。下水道局においても、取組を加速、強化することを要望いたします。
 次に、多摩川の水環境に対して重要な役割を持つ多摩の水再生センターの高度処理の取組について伺います。
 多摩川の中流域から下流域は、河川水の約半分の水量が下水処理水であることを考えますと、下水道局の取組は重要です。
 多摩地域のシンボルである多摩川が、都民の憩いの場としてあり続けるためには、水環境の改善に大きな効果がある下水の処理水質の向上は重要と考えます。
 下水道局では、下水の処理水質を向上させるために高度処理の整備を進めていると聞いています。
 そこで、流域下水道において高度処理を導入した経緯と現在の整備状況について伺います。

○佐々木技術部長 高度経済成長期には、急激な工業化と都市化の進展に伴い、多摩川などの公共用水域の水質が悪化いたしました。
 その対策としまして、昭和四十五年に下水道法が改正され、下水道事業に水質保全の役割が追加されました。
 加えて、東京湾の赤潮発生などの原因となる窒素とリンを抑制するため、平成十一年に環境確保条例が改正され、下水処理水の放流基準に、この二つの物質の上乗せ排水基準が定められました。
 このような背景を踏まえまして、下水道局では、下水処理水に含まれる窒素やリンをより多く削減できる高度処理などの整備を推進しており、多摩地域におきましても、平成十二年から整備を進め、令和三年度末には全体の約七割まで整備を完了いたしました。

○田村委員 多摩川などの水質向上に向けた取組について確認いたしました。
 かつては下水道の普及が追いつかず、生活排水が未処理のまま流れ出たため水質が悪化し、死の川といわれた多摩川の水環境が改善されてきたのは、このように高度処理が着実に整備されてきた成果であると考えます。
 そこで、これらの取組により、多摩川の水環境がどの程度改善されたのかを伺います。

○佐々木技術部長 下水道局では、高度処理などの導入により放流水質を向上させることで、アユなどの水生生物が住みやすく、都民が多摩川の水と親しむことができる良好な水環境を創出してまいりました。
 多摩川の中流域の水質は、窒素濃度が平成十一年度の一リットル当たり六・八ミリグラムから、令和三年度には四・六ミリグラムと約三割減少し、リン濃度は、同年度比較にて、一リットル当たり〇・六四ミリグラムから〇・三八ミリグラムと約四割減少しておりまして、着実に多摩川の水質が改善しております。
 引き続き、高度処理などの導入によりまして多摩川の水質改善に取り組んでまいります。

○田村委員 高度処理の導入で、着実に多摩川の水質改善が図られ、一時ほとんど見られなくなったアユの遡上は、今年は二百五十万尾確認されました。また、多摩川の支流、秋川のアユは、全国の品評会で二度も準グランプリを獲得しました。グランプリも目の前です。これも下水道局の取組によるところが大きいと思います。
 都民が水辺で自然に親しみ、子供たちが成長したとき、多摩川が故郷の景色の一部となるよう、引き続き、水質改善の取組を進めることを要望し、私の質問を終わります。

○保坂委員 よろしくお願いします。私からは、合流式下水道の改善について質問させていただきたいと思います。
 東京の下町にあります私の地元隅田川では、かつて昭和三十年代の高度経済成長期に、東京オリンピックの開催が決まって、大変活気づいておりましたが、その様子とは裏腹に、当時、大気汚染や川の水質汚濁などの環境問題が大変顕著でありました。とりわけ川の水質汚濁、これにより、隅田川花火大会や早慶レガッタが中止に追い込まれるほどでありました。地元でも逸話であります。その当時から比べますと、水質は格段によくなったことで、隅田川花火大会や早慶レガッタが見事復活しました。
 浅草寺のあります浅草エリアなどを中心に、大変にぎわいある水辺が徐々に形成されつつあります。これは、水辺にテラスなどが整備されたこともありますが、下水道の普及が進んだことで、水質が改善されたことも大きな要因ではないかと考えております。
 しかしながら、隅田川沿いの下水道の排除方式であります合流式下水道では、汚水混じり、これの雨水が河川などへ流入されることによりまして、水質悪化の一因となっていると聞いております。高度経済成長の頃に比べますと、河川の水質は格段に向上されたものの、今後、より一層の水質向上を図る観点からも、合流式下水道の改善の必要性が問われていると考えております。
 そこで、改めて、合流式下水道の仕組みとその改善に向けた取組内容について、まず伺います。

○猪八重計画調整部長 合流式下水道は、汚水と雨水を一つの下水道管で集めることから、強い雨の日には、まちを浸水から守るため、汚水混じりの雨水を川や海などに放流することになります。
 合流式下水道の改善の主な取組といたしましては、雨水吐き口やポンプ所からのごみなどの流出を抑制する施設の整備、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、そして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備の三つがございます。

○保坂委員 今いただきました答弁によりますと、合流式下水道の改善対策について、主に三つの取組内容を改めて確認できたわけであります。
 そこで、今度は、合流式下水道の改善の取組状況について伺います。

○猪八重計画調整部長 これまで、ごみなどの流出を抑制する施設の整備や、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備につきましては全て完了しております。
 降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設につきましては、これまでに、隅田川沿いの白鬚西ポンプ所などで貯留施設等を整備いたしまして、累計百五十万立方メートルが完了しております。
 令和六年度から強化されます下水道法施行令の雨天時の放流水質基準の作成に向けまして、三河島水再生センターなど累計百七十万立方メートルの貯留施設等の整備を完了させるよう、引き続き取組を進めてまいります。

○保坂委員 隅田川の流域について、これも施設整備を進めていただいたことによって、水質向上に向けた取組が着実に進められていることが、今、確認できました。
 ちなみに、先日、今月ですけれども、台東区主催で、隅田川ハゼ釣りと水辺観察というイベントが開催されました。毎年この時期に、隅田川のハゼ釣りを通して、川の水質浄化と水辺環境の向上に対する意識啓発をするイベントであります。地元からも約三百名以上が参加され、水質を確認され、大変好評でした。
 また、令和六年度からの下水道法施行令によります雨天時の放流水質基準の強化まで、残り一年と差し迫っていることから、全ての施設整備を確実に完了させていただくよう求めておきます。
 続いて、外堀の水質改善について伺ってまいります。
 これまで、会派としましても、機会があるたびに、外堀の水質改善について、下水道局だけではなく、所管の都市整備局、建設局にも求めてまいりました。
 私も、JR中央線、総武線をよく利用しますが、車内から外堀をよく見ております。特に夏場には、アオコが発生している状況をよく目にしており、決してきれいなお堀とはいえません。当時都議会議員でした現在千代田区長の樋口高顕区長も、当時からこの問題について大変関心が高く、現在も、我々と意見交換しながら、千代田区でも、都と連携した対策を講じられております。
 令和四年五月に、都で策定されました外濠浄化に向けた基本計画、これによりますと、外堀は、流入水が少なく、水が滞留しやすい閉鎖性水域という特性を有しており、堀水の水温が二十五度Cを超えますと、窒素、リンが豊富な水質状況となり、堀水の滞留時間がさらに五日を超えると、アオコが発生するおそれがあるとのことであります。また、強い雨が降りますと、合流式下水道から汚水混じりの雨水が放流されます。
 外堀は、都心の貴重な水辺でありまして、合流式下水道の改善など、下水道事業としても水質改善の取組が必要不可欠であると考えますが、改めて、外堀の合流式下水道の改善の取組について伺います。

○杉山施設整備担当部長 外堀の合流式下水道の改善につきましては、ごみなどの流出を抑制する施設の整備や、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備が全て完了しており、現在、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めております。
 外堀の流域では、一万六千六百立方メートルに及ぶ貯留施設の整備を進めており、このうち千八百立方メートルを稼働させております。

○保坂委員 雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備など、完了されたということで安心をしております。残す下水の貯留施設が完成しますと、降雨初期の特に汚れた下水が外堀へ放流されることはほぼなくなるということですので、大いに期待をしております。
 その貯留施設については、全体計画のうち一部が既に稼働されているとのことでありますが、合流式下水道の改善効果を十分に発揮されるためには、残りの施設の整備を速やかに進めることが大変重要であります。
 そこで、残りの施設整備について、現在の状況と貯留開始の時期について伺います。

○猪八重計画調整部長 全体で一万六千六百立方メートルの貯留施設のうち、残ります一万四千八百立方メートルにつきましては、貯留管本体の工事が完了しております。
 現在は、降雨初期に外堀に放流されております下水を、この貯留管へ取り込む取水管の準備工事や取水や維持管理に必要な貯留管のマンホール工事などを実施しております。
 引き続き、令和五年度末の貯留開始に向けまして、施設整備を推進してまいります。

○保坂委員 令和五年度末貯留開始に向けてということで、間もなくだと思いますので、期待しています。
 この工事は、私も実際に現地で確認していますが、外堀沿いで行われており、都心で、工事用地の確保が大変難しいことに加えまして、交通量も大変多い中での非常に困難な工事だと思いますので、着実かつ安全に進めていただくよう求めておきます。
 最後です。日本橋川に関する合流式下水道の改善についても伺いたいと思います。
 日本橋川は、外堀の水が流れ込む神田川から、水道橋付近で分岐した河川でありまして、外堀と同じように、合流式下水道の改善対策に注目が集まっております。
 昨年の事務事業質疑でも、そのときは、下水道局の施設があります日本橋川沿いの常盤橋街区の再開発事業におきます地権者としての資産の有効活用の観点から、下水道局に確認したところであります。
 今回は、今年の三月に竣工した新たなポンプ施設による効果にも着目をしまして、日本橋川におけます合流式下水道の改善の取組について伺います。

○猪八重計画調整部長 日本橋川流域の合流式下水道の改善につきましては、雨天時に合流式下水道から放流される汚濁負荷量を削減するため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備など、合流式下水道の改善に取り組んでおります。
 具体的には、日本橋川沿いに位置する常盤橋街区の再開発に合わせまして、再開発ビルの地下に、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を整備することなどでございまして、引き続き、合流式下水道の改善を推進してまいります。

○保坂委員 都心の貴重な水辺空間を生かしたまちづくりが進められています隅田川、外堀、日本橋川におけます合流式下水道の改善に関する取組が確認できました。こうした取組こそ、より積極的に都民へ周知いただくよう求めておきます。
 今後も、まちづくりの一環として、下水道事業としても、より一層の水質向上に努めていただくことも要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○大山委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○奥山下水道局長 令和四年第四回定例会に提出を予定しております下水道局関係の案件につきましてご説明申し上げます。
 今回提出いたします案件は、令和四年度下水道事業会計補正予算案一件及び地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問についての二件でございます。
 補正予算案は、流域下水道事業について、十五億円の増額補正をするものでございます。
 次に、本諮問は、当局が行いました下水道料金の督促処分につきまして、審査請求人から取消しを求める趣旨の審査請求がございましたので、地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づき、議会に諮問するものでございます。
 詳細につきましては、引き続き所管部長からご説明させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

○田中総務部長 私から、お手元の資料1、令和四年度下水道事業会計補正予算(第一号)の概要につきまして、お手元の資料2、説明書によりましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、資料2の表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 本件は、流域下水道事業において、電気料金等の高騰の影響により予算に不足を来すことから、十五億円を増額補正するものでございます。
 これに伴う収益的収支の補正事項といたしましては、まず、収入である資料上段の流域下水道事業収益は、既定の三百四十五億五千二百万円に、その他営業収益など三億六千万円を計上し、三百四十九億一千二百万円となります。
 次に、支出である資料下段の流域下水道経営費は、既定の三百五十五億四千四百万円に、処理場管理費十五億円を計上し、三百七十億四千四百万円となります。
 以上をもちまして令和四年度下水道事業会計補正予算(第一号)の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木経理部長 審査請求に関する諮問につきましてご説明申し上げます。
 資料3につきましては、一ページに諮問文、二ページに審査請求の趣旨等を記載したものでございます。内容につきましては、資料4によりご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、資料4の一ページをお開きください。
 一、審査請求人及び二の審査請求の年月日につきましては、記載のとおりでございます。
 三、審査請求の趣旨及び理由のうち、(一)、審査請求の趣旨でございますが、下水道局経理部長が審査請求人に対して行いました下水道料金に係る督促処分の取消しを求めるというものでございます。
 (二)、審査請求の理由でございますが、当時使用した上水道下水道料金は、計一万二千円を超えている。請求人は、常日頃から水道を節約しており、一万二千円を超えたことはなく、当時の正味の使用料金で請求してほしい。検針に誤りがあると判断され、本件処分は不当であるというものでございます。
 恐れ入りますが、二ページに移らせていただきます。中ほど、五、本件処分に至る経緯でございます。
 下水道局は、料金徴収業務を水道局に委託しております。請求人は、令和元年八月分から同年十月分までの下水道料金を納付しておりませんでした。これに対し、水道局は、請求人に対して、文書や現場訪問による催告を行いましたが、支払いがなかったため、令和三年十一月に、当該下水道料金の徴収権を下水道局に返還する手続を行いました。その後、令和三年十二月八日に、下水道局から請求人に対し、改めて文書による催告を行いましたが、請求人からの支払いがなかったため、令和四年三月十日に本件処分を行ったところ、今回の審査請求が提出されたものでございます。
 六の審査請求に関する処分庁の見解でございますが、本件処分は、法令に基づき適法に行われており、本件処分に違法、不当な点はなく、本件審査請求には理由がないことから、棄却が相当と存じます。
 恐れ入りますが、三ページをお開きください。
 なお、請求人は、水道局の検針に誤りがあったと主張しておりますが、そのような事実は認められませんでした。
 さらに、検針について不服があるならば、水道局での請求時に審査請求を提起すべきでありましたが、当該審査請求は提起されずに審査請求期間を過ぎてしまったため、検針について争うことはできないものであります。
 三ページ中段以降につきましては、関係法令の抜粋を記載しておりますので、後ほどご参照いただきたいと存じます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 資料要求はなしですね。なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○大山委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○鈴木経理部長 工事の請負契約につきましてご報告を申し上げます。
 お手元の資料5、契約締結報告書をご覧いただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。総括表をお示ししてございます。
 今回の内容は、令和四年八月一日から十月三十一日までの間に締結した予定価格一件九億円以上の工事請負契約七件でございます。
 以下順次、契約の概要についてご説明いたします。
 二ページをお開き願います。東大島幹線及び南大島幹線その五工事でございます。
 本件は、江東区及び江戸川区の一部の雨水を収容する東大島幹線並びに南大島幹線を施工するものでございます。この工事は、前回工事の諸設備を引き続き使用し施工することから、一貫した施工管理や安全管理が必要であるため、随意契約により契約しております。その概要は以下のとおりでございます。
 四ページをお開き願います。杉並区和田二丁目、中野区弥生町六丁目付近善福寺川流域合流改善施設その二工事でございます。
 本件は、杉並区和田二丁目、中野区弥生町六丁目付近の善福寺川流域において、初期雨水を一時貯留する合流改善施設を施工するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 六ページをお開き願います。北多摩一号水再生センター汚泥処理設備再構築に伴う建設その二工事でございます。
 本件は、北多摩一号水再生センター内における汚泥処理設備の再構築に伴い必要となります新汚泥処理棟及び新一号炉電気棟並びに脱水機基礎を施工するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 八ページをお開き願います。森ヶ崎水再生センター(東)水処理電気設備再構築その五工事でございます。
 本件は、別途施行の森ヶ崎水再生センター(東)反応槽機械設備再構築その四工事に伴い電気設備工事を施行するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 一〇ページをお開き願います。浮間水再生センター合流改善電気設備その二工事でございます。
 本件は、別途施行の浮間水再生センター合流改善機械設備その二工事に伴い電気設備工事を施行するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 一二ページをお開き願います。新小岩ポンプ所受変電設備再構築工事でございます。
 本件は、新小岩ポンプ所の受変電設備が老朽化したため、再構築工事を施行するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 一四ページをお開き願います。南部汚泥処理プラント汚泥焼却電気設備再構築その三工事でございます。
 本件は、別途施行の南部汚泥処理プラント汚泥焼却設備再構築その二工事及び南部汚泥処理プラント汚泥脱水設備その八工事に伴い電気設備工事を施行するものでございます。その概要と入札結果は以下のとおりでございます。
 以上で工事請負契約についての報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○大山委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 私からは、契約案件の杉並区和田二丁目、善福寺川流域合流改善施設その二の工事について、意見を述べます。
 初期雨水を一時貯留する合流改善施設を施工するということで、地域の浸水の低減にも資する工事だというふうに理解しておりますけれども、私たちは、公道や公園を利用する工事については、毎回、地元の方々に、工事に当たっての困り事がないかなど、地元の声を伺っています。
 この工事については、杉並区側の追加の立て坑の近くにお住まいの高齢の方から声が寄せられました。工事自体に対しては、事前にチラシなどでお知らせがあるので不満が出ているわけではないということでしたけれども、日中の工事が行われている時間帯が、窓を開けるとかなりうるさく、閉めていても会話やテレビの音が聞きづらいという話をしているということでした。工事は仕方のないことなので、みんな我慢していると思うということでしたけれども、できるだけ騒音を低減する対策を万全にしていただくことを要望いたします。
 引き続き、東京都から住民に対しての工事内容のお知らせをしっかり行うこと、また、質問やトラブルなどが発生した場合の問合せ先を分かりやすく明示してほしいという声もありました。住民の声に応えて対応していただくことを求めて、意見といたします。

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十四分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る