公営企業委員会速記録第十三号

令和四年十一月十日(木曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長大山とも子君
副委員長林あきひろ君
副委員長森村 隆行君
理事細田いさむ君
理事斉藤まりこ君
理事村松 一希君
岩永やす代君
保坂まさひろ君
長橋 桂一君
田村 利光君
菅野 弘一君
西沢けいた君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長古谷ひろみ君
技監松田 信夫君
総務部長石井 英男君
職員部長長嶺 浩子君
経理部長西川 泰永君
サービス推進部長坂井 吉憲君
浄水部長特命担当部長兼務佐藤 清和君
給水部長石田 紀彦君
建設部長藤村 和彦君
経営改革推進担当部長高畠 信次君
企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務尾関  元君
設備担当部長小泉 正一君
事業調整担当部長山田  廣君
多摩水道改革推進本部本部長小平 基晴君
調整部長小山 伸樹君
施設部長鈴木  理君
技術調整担当部長橋本 英樹君

本日の会議に付した事件
水道局関係
事務事業について(質疑)

○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石井総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は五件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープランの計画における耐震継ぎ手率の計画値と平成二十九年度から令和三年度までの実績をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。月別使用水量と調定金額の実績でございます。
 二ページから六ページにわたり、平成三十年四月から令和四年九月までの月別の口径別使用水量と調定金額の実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。各浄水場等における再生可能エネルギー等の導入及び発電状況でございます。
 各浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備の発電規模及び平成二十九年度から令和三年度までの発電実績をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。平成十二年度以降の電力使用量の推移でございます。
 平成十二年度から令和三年度までの浄水場、給水所等の水道施設における電力使用量の合計値をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予の月ごとの受付件数でございます。
 受付を開始した令和二年三月から令和四年九月までの月別の受付件数と、その合計をお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 都の水道事業は、都民の生活、そして、東京の都市機能を支える基幹的な重要な役割を担っていることは、ご承知のとおりでありますが、これまでを振り返りますと、特に高度経済成長期の水道需要の増大化に対応すべく、多くの施設を次々と整備されてまいりました。そして、半世紀を経た現在においては、それが更新、再構築から震災対策に至るまで、多くの課題に取り組まれているところであります。
 また、気候変動の影響から、年々激甚化する風水害から、発生のリスクと、そして、先ほど申し上げました震災対策も含めて、甚大化する自然災害への備えの必要性にも迫られているわけでございます。
 令和三年度からスタートいたしました五年間の経営計画、東京水道経営プラン二〇二一では、その経営方針の中で、様々な脅威への備えに万全を期すため、施設整備、水質管理等によって、水道システムの強靱化を進める、中略ですけど、云々と述べられておられます。
 本日は、長期構想へもつながる持続可能な東京水道の実現に向けて、様々な角度から質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、多摩地区の水道施設についてですが、一元化前は、市町が水道事業を運営してきた経緯から、配水区域が市町域単位で設定されているとともに、小規模で老朽化した施設が多数点在しております。
 しかしながら、仮に、先ほども申し上げましたけれども、災害や事故等が起きた場合、広範囲に断水が起こり、都民生活に甚大な影響を及ぼすことが懸念されていることから、水道局は、管路のネットワーク化や給水所の拡充など、これまで長期にわたり施設整備を推進してこられたことは承知しているところです。
 そこで、改めて、多摩の施設整備の考え方について伺います。

○橋本技術調整担当部長 多摩地区では、市町単位で施設整備が行われてきた経緯から、市町域を超えたネットワークが十分とはいえない状況であり、災害や事故時におけるバックアップ機能が不足しております。
 こうした状況を踏まえ、東京水道施設整備マスタープランでは、多摩地区を、地域特性に応じた四つのエリアに分類し、配水区域の再編や既存施設の統廃合を行うことで、給水安定性の向上や施設管理の効率化を図ることとしております。
 加えて、災害や事故時に断水を回避するため、管路のネットワーク化や耐震継ぎ手化を着実に推進してまいります。

○林委員 ご答弁にありましたとおり、配水区域の再編や施設の統廃合を行って、施設管理の効率化を図ると。そして、管路のネットワーク化や耐震継ぎ手化を推進して、災害、事故に強い施設としていくと、心強い答弁をいただいたわけですけれども、その事業の着実な推進のためには、必要な工事を計画的に発注していくことが非常に重要となります。とりわけ、事業量の多い管工事については、適切な事業の発注や進捗管理が必要と考えています。
 そこで、多摩地区の管工事における昨年度の工事契約実績と今年度の工事の発注見込みについて伺います。

○橋本技術調整担当部長 多摩地区におきまして、令和三年度の管工事の契約件数は百九十三件、受注した工事事業者数は百二十四者であり、計画どおり管工事を執行いたしました。
 今年度の発注規模は、昨年度と同程度を見込んでおり、今後も引き続き、必要な工事を計画的に発注するよう努めてまいります。

○林委員 今年度も、昨年度同様の発注規模が見込まれるということであり、事業の着実な推進に向けて、発注規模に見合った事業者の確保が望まれるところですけれども、多摩地区においては、受注者のほとんどが中小規模の事業者で占められておりまして、その施工能力を適正に維持していくためには、事業者の確保とともに、この育成支援が非常に重要と考えているところです。
 そこで、工事事業者の技術力を維持向上させていくための水道局の取組について伺います。

○橋本技術調整担当部長 多摩地区の水道を将来にわたり安定的に運営していくためには、工事の担い手となる工事事業者の技術力を維持向上していくことが不可欠と認識しております。
 このため、多摩地区では、令和三年度に、事故防止を目的として、局及び政策連携団体である東京水道株式会社並びに工事事業者で構成する安全推進大会を計三回開催するとともに、工事の進捗管理や現場管理能力を高めるための現場代理人会議を計二十九回開催しております。
 また、配管技術等の習得を支援するため、工事事業者を対象に、配水管工事の留意点、配管実習、安全管理などを主な内容とする技術支援研修を計四回実施しております。

○林委員 局が、多摩地区の工事事業者の技術力を維持向上していくために、積極的なご支援を行っていくということの意義は、非常に大きいものというふうに考えています。また、それは、大規模な災害が発生した際の管路被害等を早期に復旧して、応急給水体制をしっかりと確保していくためにも非常に大切なことではないでしょうか。工事事業者の技術力を維持向上していくため、引き続き、多摩地区水道の強靱化に向けて、事業の着実な推進と実効性の高い支援をお願いいたします。
 次に、施設整備の取組状況について伺います。
 多摩地区の送水管については、最初の質問でもお答えいただきましたとおり、広域的なネットワーク化が十分ではなく、バックアップ機能が不足していることが常々指摘されております。つまり、災害や事故時に、給水所への十分な送水が困難な状況になる懸念があるということですけれども、水道局では、この対策として、平成二十三年度から、多摩南北幹線を整備しておりまして、逐次、その進捗状況等をご報告はいただいておりますけれども、近々完成予定と聞いております。
 そこで、現在の多摩南北幹線整備の進捗状況について伺います。

○鈴木施設部長 多摩南北幹線は、東村山浄水場から拝島給水所に至る延長約十六キロメートル、直径二千ミリメートルの送水管であり、現時点で全ての配管工事が完了しております。
 今年度中の通水に向け、現在、東村山浄水場からの送水の起点となる美住ポンプ所において、電気設備やポンプ設備などの設備工事を実施しております。
 この送水管が完成することにより、平成二十六年度から運用している多摩丘陵幹線と併せ、広域的な送水管ネットワークが構築され、多摩西南部地域約百七十万人の給水安定性が向上いたします。

○林委員 この多摩南北幹線について、整備が順調に進んでいることが確認できましたけれども、そして、今年度中の通水に向けて、ポンプ所の設備工事を実施中というお話も伺いました。多くの都民に水道の安定した供給という、安心をお届けできる、お届けする、この事業の今年度の完成に向けて着実に整備を進めていただきたいと思います。
 次に、多摩地区では、市町域をまたいだ配水区域の再編や施設の統廃合を行うために給水所の整備を進めておられますが、効率的な配水区域に再編するためには、給水所を新設、拡充、更新していくことが重要であることはご承知のとおりであります。
 そこで、多摩地区におけます現在の給水所の整備状況について伺います。

○鈴木施設部長 多摩地区の給水所の整備状況については、施設の更新に合わせて必要な配水池容量を確保するため、現在、深大寺給水所と柴崎給水所におきまして、新たな配水池の築造工事を実施しております。
 また、新たに、福生武蔵野台給水所や町田市の小野路給水所などについても、施設更新に合わせた拡充整備を予定しており、令和五年度の工事着手に向け、現在、設計を進めております。

○林委員 多摩地区における現在の給水所の整備状況についても着実に推進されていることは分かりましたが、先ほどの答弁にもございましたとおり、私の地元でもございます調布市においては、一元化前から稼働してきた深大寺給水所というものがございまして、ここも、現在、更新工事が行われておりますが、早期の完成が待たれています。
 そこで、深大寺給水所の工事目的と進捗状況、そして、具体的な整備効果について、改めて伺います。

○鈴木施設部長 深大寺給水所は、昭和三十年代に築造され、耐震性が低く、配水池容量も不足しております。一方で、配水区域内に三次救急医療機関が存在するなど、重要な給水拠点でもございます。これらのことから、現在、配水池の拡充工事を進めております。
 平成三十年度に着手した一号配水池築造工事は来年度に完成する予定であり、その後、新たに二号配水池築造工事等に着手し、計画どおり、令和十年度に完成する予定でございます。
 深大寺給水所の完成と管路整備により、配水区域を再編することで、調布市及び三鷹市の約十三万人について、平常時はもとより、災害や事故時における給水安定性の向上を図るとともに、施設管理を効率化してまいります。

○林委員 深大寺給水所のお話を伺いました。一号配水池築造工事が来年度完成ということで、二号配水池築造工事が令和十年度に完成する予定ということです。この整備によって、約十三万人の給水安定性が向上するとのことでありました。
 また、今お話がございましたとおり、この配水区域には三次救急医療機関がございますが、ここは、実は、昨年度末より、東京都が稼働を始めましたドクターヘリ、都のドクターヘリの基地病院でございまして、地域の住民にとどまらず、多くの都民にとっても、心強い限りでありますので、その整備効果が非常に大切だというふうに改めて思ったところです。多摩地域の給水安定性を確保するために、非常に重要な拠点の一つでもあり、この施設整備については、引き続き着実に実施していただきたいと思います。
 一方で、こういった新たに整備した施設は、長期にわたり使用していくことから、時代の求める課題に対して様々な配慮が必要だというふうに考えております。特に、昨今の電力需給の逼迫やSDGsへの関心の高まりなどを受けて、施設の更新や整備に当たっては、環境への配慮といった要素も重要だというふうに考えています。
 水道局では、事業概要にも記されておりますけれども、環境五か年計画二〇二〇−二〇二四を策定し、CO2排出量の削減をはじめとしました四つの環境基本方針の下、三十七の具体的な取組事項を定めておられますけれども、あらゆる機会を捉えて、環境へ配慮した施策の積極的な取組を図っていくべきというふうに考えております。
 そこで、今回整備を行っている深大寺給水所における環境への取組について伺います。

○鈴木施設部長 当局では、省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの導入拡大等、環境負荷の低減に向けた様々な取組を実施しております。
 深大寺給水所では、配水池の更新工事に先立ち、新たなポンプ棟を平成二十九年度に築造しており、その際、浄水場からの水圧を有効活用し、より少ない電力で配水できる直結配水ポンプ設備を導入いたしました。
 また、現在築造中である一号配水池の上部空間を有効活用し、百二十キロワットの太陽光発電設備を導入する計画であり、今年度中の工事着手に向け、設計を進めております。

○林委員 今回整備されている深大寺給水所においても、施設整備における環境に配慮した省エネルギー化、再生可能エネルギーの活用等、この環境負荷低減に向けた取組が進められることが分かりました。引き続き、気候変動、温暖化対策に、水道局としてもしっかりと目を向けて、東京都の一員として、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するためにご努力をいただきますようお願いしたいと思います。
 次に、大規模浄水場の更新について伺います。
 浄水場の多くは、高度経済成長期に集中的に整備してきていることから、経年による施設の劣化というものが危惧されています。
 中でも、東村山浄水場は、私の地元でございます調布市をはじめとする多摩地区の大部分への給水を担う主要な浄水場でございます。多摩地区の安定給水に欠かせない施設であり、昭和三十五年に運用が開始されて以降、長きにわたり都民生活と都市の活動を支えてまいりました。
 現在、水道局では、東村山浄水場の更新に向けて、代替施設となる境浄水場の整備を進めておられますけれども、将来にわたり給水に影響を与えることのないよう更新を進めていくことが重要となります。
 そこで、この東村山浄水場の更新をどのように進めていくのかについて伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 浄水場は、施設の改良や更新の際に長期間停止することなどを考慮し、施設を複数の系列に分けて整備をしてございます。
 浄水場の更新に当たりましては、こうした構造を生かし、浄水場が全停止することのないよう、系列ごとに分割して、順次施工を行ってまいります。
 東村山浄水場は、三つの系列で整備された施設能力が日量百二十六万五千立方メートルの大規模浄水場であり、系列ごとに更新した場合においても、日量四十万立方メートル程度の能力低下が生ずることになります。
 このため、更新に伴い低下する施設能力相当の代替施設として、境浄水場の処理能力を増強するとともに、青梅市内に新たに浄水場を整備した上で、更新に着手いたします。

○林委員 大規模浄水場の更新は、多くの予算を投じるとともに、長期にわたる事業でありまして、計画的に進めていくことが必要となります。
 系列ごとの更新時にも、能力低下というものが避けられないというご説明でございましたけれども、この境浄水場の整備については、東村山浄水場から始まる大規模浄水場更新に備えた先駆けとなる重要な取組であるということでございます。
 そこで、この境浄水場の整備について、現在の取組状況と今後の予定について伺います。

○藤村建設部長 東村山浄水場の更新に当たっては、境浄水場の処理能力の増強が必要でございます。
 境浄水場は、緩速ろ過方式の浄水場であり、二十あるろ過池のうち、十池を処理能力が大きい急速ろ過方式の浄水施設に再構築することとしております。
 これまで、都市計画の手続やまちづくり条例に基づく地元説明会の開催などを進め、令和四年度から、既存ろ過池を撤去する工事に着手しました。
 引き続き着実に整備を実施し、令和十三年度の完成を目指してまいります。

○林委員 大規模浄水場の更新に向けた取組ということが、準備期間を経て、いよいよ目に見える形で本格的にスタートをするということですけれども、この浄水場の更新は、これまでにない大規模な事業となることから、水道局が培ってきた技術力というものを結集させて、一歩一歩着実に進めていただきたいと思います。
 次に、大規模震災対策について確認をさせていただきたいと思います。
 本年五月に、総務局から、首都直下地震等による東京の被害想定が発表をされました。十年ぶりに見直されたこの報告書、私も、被害想定の報告書で想定される断水率がまとめられた新旧の表というものを拝見させていただきました。ここにはちょっと、その一部を持ってきているんですけれども、都内全体で見ますと、都内全体の断水率は、最大値で比較してみても、約四五%あったものが、十年たちまして、二六%と大きく減少をしております。このことについては、水道局として施設整備等にご努力いただいた成果であろうと評価をさせていただくところですけれども、しかしながら、一方で、いまだ断水率が高い区市町も存在しているのも事実でございます。
 そこで、被害想定において、地震発生時の断水率が高いと想定される地域はどのような場所なのか伺いたいと思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 被害想定における断水率は、過去に発生した地震の被害実態を踏まえ設定された算定式を用いて、管路の材質や継ぎ手構造、管径別延長のほか、液状化分布や地震が広がる速さなどから推定されております。
 このため、耐震性能を有していない古い年代の管路が多い地域や液状化危険度が高い地域、地震の揺れが大きい地域は、断水率が高いと想定されます。

○林委員 断水率が高い地域、資料を見れば、具体的に自治体名も載っているんですけれども、古い管路等の整備状況や液状化リスクのある地盤状況等が影響しているとのことでありました。
 水道局では、今後、こうした地域を優先して取替えを進めることとしているというふうに伺っていますけれども、今後については、今、答弁のございました被害の傾向というもの、そして、新たな被害想定を踏まえた配水管の更新、耐震継ぎ手化等の対応を進めていくことが早急に必要ではないでしょうか。
 今回、委員会としての要求資料の中にも、水道管路等における耐震継ぎ手化の計画と実績というのもございます。
 そこで、今後、断水率が高い地域における管路の取替えというものをどのように進められていくのか、水道局としてのお考えを伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 都における配水管の総延長は約二万七千キロメートルに及ぶことから、管路の取替えに当たっては、優先順位を定め、効果的に進めていくことが重要であります。
 当局では、平成二十四年の被害想定を踏まえ、これまで、地震発生時の想定断水率が五〇%を超える区市町の取替えを優先して実施してきた結果、断水率は着実に改善しております。
 今後、一層効果的に断水被害を軽減するためには、区市町ごとの断水率にとらわれない、より重点化した管路の取替えが必要であると認識してございます。
 このため、行政界をさらに小規模な区域に細分化して検証を行い、断水率が五〇%を超えると想定される区域を優先して耐震継ぎ手化を推進することとしております。
 こうした取組により、区部、多摩全域にわたる断水被害を効果的に軽減し、令和十年度までに断水率が五〇%を超える地域を解消してまいります。

○林委員 ご答弁にございましたとおり、区市町ごとの断水率にとらわれず、重点化した管路の取替えが必要だということですね。そのために、行政界をさらに小規模な区域に細分化して検証を行って、断水率が五〇%を超える区域を優先して耐震継ぎ手化していくというお答えをいただきました。当該地域に住んでいらっしゃる方々からすれば、いつ起こるか分からない直下型地震等に備えて、この件につきましても、積極的にお取組をいただきたいと思います。
 今回は、施設の整備や更新、大規模震災対策等について確認をしてまいりましたけれども、いずれも、東京の給水安定性を確保するために非常に重要な取組であります。
 そこで、最後となりますけれども、水道局長に、将来にわたる東京の水道の安定給水確保に向けた決意をお伺いしたいと思います。

○古谷水道局長 東京の水道は、時代の要請に応じて水源から蛇口に至る総合的な施策を展開し、これまで都民生活と首都東京の都市活動に欠くことのできない水道水を供給し続けてまいりました。
 一方、人口減少等に伴う料金収入の減少が見込まれる中、今後も安定給水を確保していくためには、施設の計画的な更新などに加え、災害などの様々なリスクや課題にも適切に対応していく必要がございます。
 このため、今後は、配水管の耐震継ぎ手化や大規模浄水場の更新など、優先順位を踏まえながら計画的に推進するとともに、水道事業に影響を及ぼす気候変動や環境規制の強化といった新たな課題にも柔軟かつ適切に対応してまいります。
 こうした取組を続けていくことで、強靱で持続可能な水道システムを構築し、水道事業者の使命である安定給水を将来にわたり確保してまいります。

○林委員 ありがとうございました。
 不安定な国際状況の下、頻発する自然災害、そして、感染症への対応等、現代社会は先行きが不透明な、また、不確実性の時代ともいわれて久しいわけでありますけれども、都民の生活と都市の躍動というものを支える基幹的なインフラ、社会資本として、これからも安全で安心な、そして、高品質な水を安定して供給していくために、着実に進化していただきますよう要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○保坂委員 都民ファーストの会、保坂です。よろしくお願いします。
 私からの事務事業質疑は、先ほどもお話がありました、今後、施設の老朽化等々で、大規模な更新、また、そういったものに関わるコスト、こういったものが、毎年毎年かさんでいくということも懸念をしておりますし、そのためにも、これから様々な取組をして、水道局は、新しい技術、そして、サービスを展開していくという岐路に、今、立っていると思っております。だからこそ、今後、水道局が、独立採算制を原則とする公営企業として、新しいまさにその取組等を、都民、そして、利用者にもっと知っていただくということが必要だという思いを込めて、今日は質問させていただきたいと思います。
 まず、水道局が昨年度に立ち上げました水道サポーター制度について伺ってまいります。
 水道サポーター制度は、令和元年度まで続きました東京水道あんしん診断やアンケートなどを経て、令和三年度より、都民と水道局の双方向のコミュニケーションをさらに強くしていくということで、都民ニーズをより丁寧に酌み取るための取組であります。
 また、毎年PDCAを繰り返していき、その精度を上げていくということも重要であると、昨年の事務事業質疑でも指摘をさせていただきました。まさに水道局の商品となります水や供給サービス向上のために欠かすことのできない大変地道な活動であり、私も注目している事業であります。
 そこでまず、令和三年度からの試行期間、テスト期間を踏まえまして、令和四年度に本格実施となっておりますが、昨年と違う新たな取組があるのか伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、お客様と当局職員の対話を通じまして、お客様から伺った意見や提案を積極的に事業運営に活用していくことを目的といたしまして、水道サポーター制度を立ち上げたところでございます。
 令和三年度に、四区市で八回、オンラインで開催した震災対策の交流会試行結果を踏まえまして、四年度からの本格実施では、震災対策の交流会の実施回数を十区市で十回に増やしました。このうち一回は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和を受けまして、初めて対面で開催というふうになりました。場所は、清瀬梅園給水所において、応急給水体験を行ったところでございます。
 さらに、新規のテーマといたしましては、昨年の交流会に参加した水道サポーターから要望が高かった水質管理、これを加えまして、十一月から十二月にかけて、オンライン一回及び対面二回、合計三回の交流会を開催予定でございます。

○保坂委員 交流会の実施規模を増やした。そして、一部を対面開催としたことで、さらに水道サポーター制度の要望を踏まえて、新しいテーマを取り入れたということが分かりました。
 先ほどありました応急給水体験、私は、昨年度、コロナ禍で水道サポーター交流会の計画に遅れが出ることのないよう、オンラインによる交流会などの開催を提案してきました。これを受けて、先ほども答弁がありました令和三年度にオンラインによる交流会を八回実施されて、令和四年度は、八月からオンライン形式の交流会を実施したということであります。
 オンラインによる交流会では、サポーターの方々の中には、微妙なニュアンスと、伝わりづらい、画面越しよりも、直接現場に行って交流したいと思っている方も多いと推察します。百聞は一見にしかずといいますけれども、現場を見ればすぐ分かることも、やはり、画面越しではなかなか伝わりづらいため、興味を失ってしまうのかなということも考えられます。
 そこで、オンライン対応でも興味を持っていただくような工夫などが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 オンラインでの交流会におきましては、対面開催と比較いたしまして不足する実体験、それから、臨場感を補うために交流会の進行や演出に関する工夫は重要であるというふうに考えてございます。
 そのため、震災対策をテーマといたしました交流会では、参加者による応急給水体験に代わりまして、お客様役の演者が、給水拠点での水の提供を受ける実演動画の放映を行ったところでございます。
 また、オンライン会議のツールの挙手機能というのを生かしまして、随時クイズに参加する機会を設けるなど、交流会の参加を実感していただける進行といたしました。
 こうした取組によりまして、参加者からは、応急給水の実演動画が参考になった、クイズなど飽きさせない工夫があってよかったなどの評価をいただいたところでございます。
 今後開催いたします水質管理をテーマといたしましたオンライン交流会におきましては、当局の事業紹介動画に出演している演者が、お客様目線で質問などを交えつつ、親しみやすく進行を担うことで、参加者を飽きさせない演出上の工夫を行う予定でございます。

○保坂委員 オンライン開催でも、参加者が対面開催に劣らず交流会に関心を持てるように、進行上の様々な工夫に取り組んでいるということがわかりました。独特な演者がいらっしゃるみたいで好評と伺っております。ぜひ、私も、機会があれば参加してみたいと思います。
 今後は、新しいテーマであります水質管理交流会の実施が開始されるということであります。
 そこで、水質管理をテーマとした交流会では、第二回、三回、水道歴史館のレクチャーホールでの交流会が初めての対面式となりますが、その内容について伺います。

○坂井サービス推進部長 東京都水道歴史館で行います水質管理をテーマといたします交流会は、水道水の浄水過程や、おいしさへの取組について理解を深めていただき、参加者から、直接意見や提案をいただくことを目的としてございます。
 この交流会では、対面開催の利点を生かしまして、参加者の反応を確認しながら、水源から蛇口までの水質管理の取組などを紹介するとともに、参加者の目の前で凝集沈殿、それから、高度浄水処理などの実験を行います。
 また、令和三年度からホームページ上で公表しております水質の見える化に関するページでございますけれども、これを、お客様目線での情報発信になっているのか、参加者と意見交換を行いたいというふうに考えてございます。
 さらに、交流会終了後、参加者には、会場となっている水道歴史館におきまして、ガイドツアーを実施し、江戸時代に使われていた木製の水道管、こういったものをご覧いただくなど、東京水道の歴史を実感していただくというふうに考えております。
 こうした取組によりまして、事業への関心をより一層深めていただき、今後の水道サポーターとしての活躍につなげていただきたいというふうに考えております。

○保坂委員 水質管理の交流会では、対面式の利点を生かして、実験などを交えた工夫をしているということが、今、分かりました。引き続き、参加者からの意見の収集と活用に取り組んでいただくよう求めておきます。
 さて、近年は、動画のコンテンツがネット上に配信されたりと、多くの方々が視聴していることから、動画放映は有効なPR手段であると考えています。
 そこで、サポーターから得られたご意見に加えて、交流会などの動画なども用いて、交流会の取組を、広く都民、利用者に共有していくべきと考えておりますが、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 水道サポーター制度の認知度向上と、それによる参加者の増加を図るため、事業の実施状況を広くお知らせいたしまして、水道について関心を高めるということは必要というふうに認識してございます。
 このため、令和三年度は、水道サポーターからいただいた約百件の意見や提案などを集約いたしまして、公表したところでございます。
 また、当局ホームページに水道サポーターのページを設けまして、交流会の写真や概要資料を掲載しているところでございます。
 今後は、水道サポーターの意見につきまして、事業への反映状況を公表するとともに、交流会の実施状況を体感していただくため、交流会の取組を紹介する動画を、参加者の了解を得た上で撮影いたしまして、ホームページやツイッターで共有することを検討してまいります。

○保坂委員 ぜひ積極的に都民へ、水道局のこうした取組を周知していただきたいと思います。それによって、水道サポーターに登録したいという希望者もさらに増えていけば、多くのご意見もいただけますので、大変有効ではないかと考えます。
 加えていいますと、昨年度の質疑では、この事業の令和三年度予算は約百三十万円との答弁がありました。これまでのあんしん診断が総額五十七億円だったことを考えますと、コストパフォーマンスはいうまでもありませんので、自信を持って進めていただきたいと要望して、次のテーマに移ります。
 続いて、東京都水道局アプリについて伺ってまいります。
 私は、今年度の予算審議の中でも、これまでの東京水道マイネットの後継がこのアプリとなるわけですが、利用者が、より便利に、かつ効率的に水道使用量の照会や各種手続などができるよう求め、質問してきました。さらに、水道局が開発を進めているスマートフォンアプリ、これを多くの都民に使ってもらうため、効果的に広報を行っていくことが重要ではないかとも提言をさせていただきました。
 そこで、十月一日、まさに先月の一日のアプリのリリース後に、登録者数を伸ばすためにどのような取組を行ったのか。また、十月末までの最新の登録状況を併せて伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、お客様サービスの向上と情報発信の強化を目的に、東京都水道局アプリを開発いたしまして、令和四年十月一日から運用を開始したところでございます。
 アプリは、水道の使用開始や中止をはじめ、口座振替などの各種申込み、決済アプリなどによる料金の支払いが可能でございまして、過去の使用水量や料金の閲覧などの機能も搭載してございます。
 アプリを多くの方に登録していただくため、運用開始後、積極的な広報キャンペーンを展開いたしまして、アプリの認知度を向上させることといたしました。
 まず、十月四日に、有楽町駅前でアプリのデビューイベントを開催いたしまして、トークショーなどで直接お客様にアプリをPRしたところでございます。
 また、定期検針時に、全戸へ向けて、リーフレットの配布を行うほか、東京都提供のテレビ番組やラジオ、電車内広告など、様々なメディアを活用いたしまして、広く利用を呼びかけているところでございます。
 この結果、運用開始後一か月で約二十一万人のお客様に登録していただいているところでございます。

○保坂委員 シン・トセイでは、令和七年末までにアプリユーザー百万人という目標を掲げておられますが、既に今、大体二十一万人達成ということで、五分の一に当たる方が登録、そして、達成されたということであります。今後、都が掲げますユーザー百万人の目標の達成に向けまして、より多くの都民、そして、利用者にこのアプリを知ってもらうことが重要であり、それには、地元自治体など、多様な主体と連携して広報活動を行うことが効果があると考えます。
 そこで、アプリ登録目標百万人に向けたPR活動において、利用者により近い身近な自治体などにも協力を仰いで、連携強化をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 区市町の窓口は、転出、転入等の手続で住民の方が直接訪れる機会が多いことから、水道の中止、開始申込みができるアプリを地元自治体と連携して案内することは重要であるというふうに考えております。
 このため、各自治体には、アプリ各種機能の説明を行うとともに、庁内の住民票等窓口へのポスター掲示、各自治体のホームページからアプリの局公式サイトへのリンクなどをお願いしたところでございます。
 この結果、これまでに、武蔵村山市のホームページへのバナー掲出や瑞穂町のツイッターでの発信をしていただいております。
 さらに、みなと区民まつりや防災フェスタくにたち、立川警察署主催で地元市等も参加する立川パートナーシップフェスタなど、自治体が実施するイベントにも参加いたしまして、参加者にアプリの操作を直接体感していただく中で、その利便性をPRしたところでございます。
 今後とも、こうした取組を通じまして、各自治体などとの連携を一層強化していくことによりまして、引き続き積極的にPRを展開してまいります。

○保坂委員 自治体連携が既に進んでいるんだということであります。
 効果も出てきているとのことで安心しました。特に、自治体の防災訓練などのPRは、多くの都民が参加しますので、大変効果的であると考えます。ぜひ、都内自治体にさらに広がりますよう、継続して各自治体へのアプローチをお願いします。
 さて、さきの予算審議でも質問しましたが、百万人がアプリを使うことになれば、広告媒体としての活用も期待ができ、それによる広告収入の潜在性は十分あると思います。広告収入を得ることは、独立採算制を原則とします公営企業にとっても、将来的にユーザーの負担軽減にもつながっていくものではないかと考えております。
 そこで、今後、水道局のさらなる安定収入のためにも、アプリの広告収入など、運営者としての強みをさらに生かしていく必要があると考えますが、改めて水道局の見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 アプリの運用に当たりましては、信頼性確保と利便性向上により、多くの利用者を獲得することが重要でございます。
 アプリに表示する広告の主体や内容を完全に保証することは技術的に困難でございまして、また、画面に一方的に情報を配信することから、操作の妨げになる可能性もございます。
 これらのリスクと費用対効果を考慮いたしまして、当面、アプリの広告表示による広告収入の確保は考えてございません。

○保坂委員 当面考えていないという答弁をいただきました。
 この私の提案は、大変付加的なものでありまして、アプリ本来の目的ではないということは認識しています。ただ、このアプリは、将来的に水道局の収入にも大変寄与するポテンシャルを秘めていることも理解いただきたいと思っています。リスク面と費用対効果という答弁がありましたが、技術は日進月歩であります。ぜひ、可能性は捨てないでいただいて、アンテナを張って実現性を探っていただくよう求めて、次のテーマに移ります。
 続いて、ドリンキングステーション、これについて幾つか伺います。
 水道水をマイボトルに入れて飲むことができるドリンキングステーションに関する取組については、プラスチック削減やCO2排出量削減の観点から、大変重要な事業であると認識しております。
 昨年の事務事業質疑でも、令和三年度のシンボリックなドリンキングステーションの設置状況について確認しましたところ、区部で三か所、多摩地域で三か所の合計六か所に新規で設置予定との答弁がありました。
 そこでまず、今年度に入り、新たに使用開始された今の六か所を含めた計十一か所のボトルディスペンサー式のドリンキングステーションの今年度の利用状況はいかがでしょうか。伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、水道水の飲用とともに、ペットボトルによらない環境配慮行動を促進していくために、多くの方々が利用する公共施設などにシンボリックなドリンキングステーションを設置することといたしました。
 これまで設置してきた五か所に加えまして、令和四年三月に東京国際展示場、足立区のギャラクシティなど、合計六か所に設置したことによりまして、現在、計画していた合計十一か所全てで運用しているところでございます。
 これら十一か所のドリンキングステーションにおける令和四年四月から九月末までの使用水量でございますけれども、約四万二千リットルでございまして、五百ミリリットルのペットボトルに換算いたしますと約八万四千本相当の削減につながってございます。

○保坂委員 約八万四千本相当というところでございますね。八万四千本イコール八万四千人と見てもいいかと思いますが、半年でこれだけの方が利用されたということであります。
 自分のペットボトルを持参しないと給水できないというこの仕組みも、徐々に浸透してきているのではないかと思います。私の地元浅草にも、台東区浅草文化観光センター、この敷地内に設置をいただきました。大変好評であります。
 今の答弁で、もう既に、半年でたくさんの方々にご利用いただいており、大きな環境負荷、これの低減効果を確認できました。ぜひこの流れを、一過性のものではなくて、都民のみならず、国内外多くの方に東京水のおいしさを実感していただけるよう、都内の効果的な場所に設置、そして、PRを進めていくべきと考えます。
 そこで、都民はもちろん、国内外の人々がより利用する、例えば、羽田空港、竹芝桟橋、ふ頭、都心部の都営地下鉄駅などにも積極的に設置することは大変効果が高いと考えますが、東京水のさらなる利用促進を図るには、まず、既存に設置したドリンキングステーションの一層のPRも必要でありますけれども、水道局の所見を伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、環境に優しいライフスタイルと水道水の飲用行動促進のため、まち中で冷えた水道水を供給できるドリンキングステーションの認知度を高めていくことは重要であると認識してございます。
 これまでに当局が設置いたしました十一か所のシンボリックなドリンキングステーションのほかに、都内には、都営地下鉄の駅をはじめ、多くの方々が利用する公共施設などに合計約九百か所のドリンキングステーションが設置されてございます。
 このため、水道水のさらなる飲用促進に向けまして、都内各所にあるドリンキングステーションの位置を示しました地図情報を当局ホームページで紹介するとともに、イベント時にマイボトルを配布することなどによりまして、引き続き、多くの方々にドリンキングステーションをご利用いただけるよう、PRしてまいります。

○保坂委員 ぜひ、様々な工夫をしていただいて、積極的なPRをお願いします。
 また、これからは、国内外の観光客がますます増えてくることが予想されております。浅草文化観光センターのドリンキングステーションなどは、多くの観光客の利用も期待できますし、このことから、利用促進に向けて一層のPRを求めておきます。
 続きまして、昨年行われました東京二〇二〇大会では、選手村にドリンキングステーションを設置していただいて、多くの選手、関係者などに東京水を利用していただき、大変好評だったと伺っています。海外選手の好意的なコメントなど、こういったものも報道されるなど、世界に通じる東京水は、都民にとっても大変誇らしいと私も思っております。
 私は、東京二〇二〇大会のレガシーとして、選手村に設置していただいたドリンキングステーション、これを活用することを提案しましたところ、ドリンキングステーションを、今度は持ち運べるように改造していただいて、そのPRにつなげるということでありました。
 そこで、東京二〇二〇大会で活躍をしましたドリンキングステーションのDS改造版の今後の活用について、東京都主催のスポーツ大会のみならず、様々な自治体等のイベントなどでも活用すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、高品質な東京の水道水をPRするため、東京二〇二〇大会の選手村で使用いたしましたドリンキングステーションのうち六台を、持ち運びできるよう改造いたしまして、都内各地で行われるイベントなどに貸出しを行ってございます。
 令和四年度は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック一周年記念セレモニーをはじめまして、東京都功労者表彰式などのイベントで活用をされているところでございます。
 今後も、都や区市町のイベントなどに貸し出し、高品質な東京の水道水の飲用と環境配慮行動を促進してまいります。

○保坂委員 今、答弁いただきました都だけではなく、特に区市町村のイベントへ積極的にアプローチいただきたいです。これからは、また様々なイベントの開催も増えていくと考えられます。東京二〇二〇大会のレガシーでもある改造版のDS、ドリンキングステーションは、ペットボトル持参型での環境配慮や、移動、持ち運びができるという強みを生かして、ぜひ最大限活用していただくよう求めておきます。
 東日本大震災の際、都内にも帰宅困難者が多く発生し、コンビニや自動販売機のミネラルウオーターの品切れ状態、これが続きまして、緊急時の飲み水の確保についての課題も浮き彫りになりました。特に帰宅困難者には、帰宅途中に安心して水道水が確保できる貴重な設備ではないかと考えております。私の地元浅草にもありますシンボリックなドリンキングステーションについても、非常時の活用について時々質問を受けることがあります。
 そこで、防災という観点から、ドリンキングステーションの非常時の活用などは大変有効ではないかと考えますが、水道局の考え、見解を伺います。

○坂井サービス推進部長 ドリンキングステーションからの供給には、電気と水道が必要となります。
 このため、災害時においても、施設管理者の運営体制に問題がなく、また、電気と水道が供給されており、ドリンキングステーションが利用可能な状態であれば、冷却された水道水がご利用いただけるところでございます。

○保坂委員 今の答弁をいただきまして安心しました。
 ぜひ、提供できる環境にある場合は、誰もが認識できるよう、施設管理者との連携を求めておきます。こういう情報も、先ほど質疑させていただきましたアプリなどでも、都民へ共有していただくことも併せて要望しておきます。
 最後に、スマートメーターについて伺ってまいります。
 水道局が導入を推進していますスマートメーターについては、これまでも質疑を重ねてきましたが、本年十月から、いよいよ運用を開始、自動検針を始めております。現在、プロジェクトに基づいて、エリアを分けてスマートメーターを設置され、効果確認を実施していることは承知しています。将来の全戸導入を見据えた取組を推進していくためには、スタートが肝腎であり、その状況について確認していきたいと思います。
 初めに、十月から自動検針を開始するに当たりまして、スマートメーターをどの程度設置されたのか、エリアごとの状況も含めて伺います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づきまして、令和四年度に、約二万九千個のスマートメーターを設置する予定としております。
 本年四月から設置を開始いたしまして、運用開始前の九月末までに、約一万三千個について完了しております。このうち、スマート東京先行実施エリアの一つであります西新宿地区には、運用開始前に全戸を対象として設置する予定でございましたが、計画どおり約四千八百個を設置したほか、同じく、エリアの一つであります豊洲地区につきましては、約千九百個を設置いたしました。
 また、用途地域や水道の使用実態の特性、配水管整備状況の異なる地域におきまして効果確認を行うために、当局が選定したパイロットエリアでは、立川地区に約一千五百個、八王子地区に約百個など、全体で約千八百個を設置いたしました。
 そのほか、集合住宅や公共施設等においても着実に設置を進めたところでございます。

○保坂委員 おおむね計画どおりということで設置を進め、約一万三千個を設置したということであります。特に西新宿エリアは、都が取り組むスマート東京先行実施エリアの一つであります。スマートシティプロジェクトを推進するに当たっては、全戸にスマートメーターが設置できた、この意義は大変大きいです。しかし、当然のことながら、設置しただけでは意味がなく、通信によってデータを取得しなければなりません。
 そこで、自動検針を開始して以降の通信状況の実績について伺います。また、データを取得できないことがある場合、その理由を把握できているのか伺います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、本年十月から予定どおり自動検針を開始しており、月末までの一か月間におけるデータ取得率の平均は約九四%となっております。
 プロジェクト期間中のスマートメーターの通信方式は、既存の携帯電話の通信網を活用することとしております。そのため、電波強度が減衰する建物の地下や、鉄製の蓋がついたメーターボックスに収納されることが多い大口径メーターのほか、高層マンションの高層階に設置されたメーターからの通信が不安定となることなどが確認されております。
 これらの理由により、断続的なデータ取得となっているメーターもございますが、おおむね想定どおり運用できているものと認識しております。

○保坂委員 いろいろ課題はあるけれども、おおむね安定的に運用できているということ、また、今おっしゃった設置環境などの影響で、一部データの取得ができていないという答弁がありました。
 周辺の環境によってスマートフォンでの通信や電話ができない場合がありますように、電波強度によってデータの取得ができない場合があることは、ある程度やむを得ないのかなと思います。しかし、検針は、水道事業を行う上で大変重要な業務であり、取得するデータは水道料金の算定を行う上で必須のものであります。
 そこで、自動検針でデータ取得ができず、水道料金の算定に影響が生じていないのか伺います。

○坂井サービス推進部長 料金算定の基礎でございます使用水量の計量を行う検針業務は、適正な料金を算定する上で重要な業務でございまして、これまで、定期検針日に、直接各戸を訪問の上、メーターの指針を確認し、料金算定を行ってまいりました。
 本年十月の自動検針開始以降は、スマートメーターが設置されたお客様について、通信で取得されたデータに基づき料金算定を行っております。
 しかし、スマートメーターの通信不良により、定期検針日にデータが取得できないお客様に対しましては、料金算定に影響が生じないよう、速やかに現地を訪問いたしまして、直接指針を確認することとしております。

○保坂委員 水道料金は、水道事業運営の根幹をなすものであります。メーターの検針は、きちんと実施していることは理解ができました。
 しかし、料金算定に影響がなかったとしても、本来得られるべきデータが取得、活用できなくては、スマートメーターの設置効果が薄れてしまいます。
 そこで、データを確実に取得できるよう改善を図っていくべきと考えますが、具体的に、これからどのような対策を行っていくのか伺います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、通信不良を確認した際は、できる限り速やかに現地を訪問して状況を確認し、通信機器の設置位置の変更等を行うことで通信の回復に努めております。
 また、通信設備の増強などによる電波状態の改善について、携帯電話会社に働きかけを行っております。
 さらに、携帯電話の通信網によらない通信方式の検証に向け、技術、ノウハウを持つ事業者との調整を進めております。
 加えて、電気やガスなど、他のインフラ事業者がスマートメーターにおいて採用している通信方式について調査を行いまして、当局スマートメーターへの活用可能性について検討することとしております。
 これらの取組によりまして、今後の本格導入に向け、通信状況の改善を図ってまいります。

○保坂委員 携帯電話の通信網を活用しつつも、今ご答弁いただきました新たな通信方式についても、導入を検討すると。そして、通信を改善させていくという方針であることは確認ができました。
 現在はプロジェクトの期間中であり、あくまでプロジェクトの範囲で事業を行っていることは理解していますが、スマートメーターへの期待は大変高いです。
 そこで、プロジェクトの本格化を踏まえて、スマートメーター導入をどのように進めていくのか、局の考えを伺います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 水道スマートメータ先行実装プロジェクトでは、令和六年度までに、約十三万個のスマートメーターを設置する予定としております。
 プロジェクト期間中は、これらのスマートメーターからのデータを全て携帯電話の通信網を活用して取得することとしておりまして、運用開始の初期段階で通信不良が発生する要因等を把握できたことは貴重な実績と考えております。
 引き続き、通信状況の分析を行いまして、設置方法の改善などにより、データ取得率の向上を図るとともに、運用を通じて他の課題の把握を行い、早期解決に努めてまいります。
 また、現在の通信方式で対応できないものについては、中長期的な対応としまして、設置場所等に応じた新たな通信方式の検討や、それに対応した機器の開発等に取り組みまして、二〇三〇年代の全戸導入につなげてまいります。

○保坂委員 今のうちにどんどん課題点を出して改善を図っていただくよう、柔軟かつ迅速な対応も求めておきます。
 安定的な自動検針の運用はもとより、お客様サービスの向上や業務の効率化など、将来の全戸導入を見据えて精力的に取り組んでいっていただくよう求めておきます。スマートメーターの今後の展開に期待をしております。
 最後になります。
 都の水道事業におけるデジタル技術の活用によるお客様サービスの向上、そして、業務の効率化に向けた古谷局長の決意を伺いまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○古谷水道局長 東京都の水道事業はこれまでも、時代に即した技術やサービスを取り入れながら事業運営を進め、現在では、水道の根源的使命である安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現しております。
 一方、デジタル化の進展など社会情勢の変化に伴い、多様化するお客様ニーズへの対応や労働力人口の減少による担い手不足等の懸念など、東京水道を取り巻く状況の変化への対応が求められております。
 そのため、日進月歩で進展しますデジタル技術の活用等により、お客様サービスの向上と業務の効率化を推進することが極めて重要でございます。
 本年十月からは、スマートメーターや東京都水道局アプリを導入しており、今後も、社会情勢の変化を的確に捉え、新技術の活用やデジタル化をより一層推進していくことで、お客様とつながり、信頼される水道を実現してまいります。

○長橋委員 私からも、事務事業質疑をさせていただきます。特に震災対策等について、何点か確認をしながら、答弁を求めていきたいと思っています。
 先ほども出ましたけれども、本年五月に、首都直下地震等による東京の被害想定が見直しをされ、公表されました。この被害想定は、この十年間の様々な変化や最新の科学的知見を踏まえたものでありまして、地震発生時の被害の全体像の明確化や今後の都の防災対策の立案の基礎となるものであり、大変重要なものであろうかと思っております。基幹ライフラインである水道においても、今回示された被害の状況を踏まえて、今後の震災対策につなげていく必要があろうかと思います。
 そこでまず、今回の被害想定の見直し、この概要と断水率の変化について伺いたいと思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 本年五月に公表されました首都直下地震等による東京の被害想定では、前回の被害想定が策定された平成二十四年以降の防災対策の進展や人口構造の変化等を反映するとともに、対象となる地震動につきましては、発生確率や首都中枢機能への影響を考慮して見直しが行われました。
 断水被害が最大となる地震動における断水率は、前回の想定では、区部と多摩地域の全体で四五・二%でありましたが、今回は二六・四%と想定されており、およそ二〇ポイント減少しております。
 この断水率の減少は、これまで推進してきた耐震継ぎ手化の取組により、配水管の耐震継ぎ手率が二七%から四八%に向上したことが大きく寄与したものと考えております。

○長橋委員 断水率が前回から約二〇%減少したということでありまして、十年間で大幅に減少したと私は思っております。これも我が党も強く要望していたところでありまして、着実に進展しているということが分かったわけでありますが、一方で、まだ断水率二六・四%という数値があるわけでありまして、被害を受ける都民は少なくないと思います。
 私の地元でも多いのが木造住宅密集地域であります。こうしたところの耐震継ぎ手化も優先したらどうかと質疑もされてきたところでありますけれども、今後の耐震継ぎ手化、しっかりと取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、耐震継ぎ手化の今後の取組について、まず伺いたいと思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 東京都における配水管の総延長は約二万七千キロメートルにも及びますことから、継続的かつ計画的な管路の取替えが必要でございます。
 このため、当局では、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、平成十年度に、耐震継ぎ手管を本格採用し、地震の被害を受けやすい古い年代の管路から順次取替えを進めてまいりました。
 現在は、震災時においても確実に給水が必要な重要施設への供給ルートや、埋設管のふくそう等、施工が困難な箇所に残る強度の低い鋳鉄管などの耐震継ぎ手化を推進しております。
 重要施設のうち、首都中枢機関や救急医療機関等への供給ルートの取替えはおおむね完了し、避難所や主要な駅につきましては、令和四年度の完了に向け、鋭意、取替えを進めてございます。
 当局では、東京水道施設整備マスタープランの最終年度となる令和十二年度末までに、耐震継ぎ手率を、令和三年度末の四八%から六一%へ向上させることとしており、今後は、さらなる断水被害の軽減に向け、断水率が高いと想定される地域の耐震継ぎ手化を重点的に推進してまいります。

○長橋委員 さらに、今お話があった六一%まで、令和十二年度までに向上させていくということでありまして、ご案内のとおり、配水管は二万七千キロに及ぶわけでありますので、なかなか簡単には進まないと思いますけれども、優先順位を明確にして、効率的に断水被害を軽減していく必要があろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 続いて、配水管とともに、給水管の耐震化についても伺いたいと思います。
 特に私道には、公道と比べて、漏水の原因である塩化ビニール製給水管が多く使用されておりまして、大規模震災発生時には、多くは破損してしまうおそれがございます。
 水道局では、平成六年度から、給水管が三本以上布設されている私道を対象に配水管を布設し、給水管の整備統合を行ってきたと聞いております。その後も、順次、適用要件を緩和して、塩化ビニール製給水管の取替えを進めてまいりましたが、東日本大震災において、都内で発生した漏水の多くは、この私道における塩化ビニール製給水管であったと聞いております。
 地震発生時の給水確保には、配水管の耐震継ぎ手化と併せて、給水管の耐震化も大変重要であると思います。
 そこで、私道内給水管整備事業の目的及び取組について伺います。

○石田給水部長 私道内給水管整備事業は、適正な水圧の確保、漏水の未然防止及び給水管の耐震性の向上を目的として実施しているものでございます。
 当局では、給水管が布設されている私道約二千六百キロメートル全てを対象として、耐震性能を有する配水管の布設や給水管のステンレス化を進めております。
 こうした取組により、令和三年度末時点での耐震化された私道内給水管の整備延長は約千二百七十五キロメートルとなり、私道内給水管耐震化率は約五〇%となっております。

○長橋委員 私道内ということで、個人の敷地であるわけでございまして、この給水管については、整備の際に様々な困難があろうかと思います。所有者の承諾、こういうことも必要であるわけでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 しかし、東京の防災力の向上には、こうした取組が必要であり、着実に進めていただきたいわけでありますが、東京水道経営プラン二〇二一では、私道内給水管の耐震化率を令和十二年度までに六七%にする目標としております。
 そこで、この事業を推進するに当たっての課題、そして、今後の取組について伺いたいと思います。

○石田給水部長 私道内給水管整備事業は、水道局の財産である配水管を私道に布設することから、原則として、私道の所有者全員から事業実施への承諾をいただくことが必要です。しかし、所有者が当該の場所に住んでおらず、連絡先などが不明なため、所有者の特定が困難であることなど、承諾が得られない場合がございます。
 所有者の特定に当たっては、登記簿調査や現地での聞き取りなど、地道な調査を進めております。
 また、事業への理解を得るために、私道の所有者一人一人を訪問し、リーフレット等により、事業の必要性や効果を分かりやすく丁寧に説明し、粘り強く協力を求めております。
 こうした取組により、私道内給水管耐震化率の目標達成に向け、着実に事業を進めてまいります。

○長橋委員 大変地道な努力をされていることは分かりました。配水管の耐震継ぎ手化や私道内の給水管耐震化など、地震への備えを計画的、精力的に進めていることが分かりました。引き続き管路の耐震化に努めてもらいたいと思っております。
 一方、今、災害が発生した場合は、断水が生じる可能性があります。私の地元豊島区では、木造住宅密集地域がありますけれども、道路に設置されている消火栓、場合によっては排水栓などを、消火活動だけでなく、断水時の応急給水にも活用することができれば、非常時の役割として大変有効であろうかと思います。
 こうしたことから、消火栓等の応急給水への活用について、私も平成二十四年の公営企業委員会で質問しましたが、その後、局では、東日本大震災の経験等を踏まえて、多くの人が集まる避難所等への応急給水栓の設置を進めてきたとのことであります。
 そこで、改めて、災害時に応急給水を行う拠点の設置の考え方について伺いたいと思います。

○石井総務部長 災害等における断水時には、都内各地にある災害時給水ステーションで応急給水を実施いたします。
 このうち、給水拠点は、居住場所からおおむね半径二キロメートル内に一か所設置することとされており、常に水をためておくことのできる浄水場や給水所、公園の応急給水槽など、二百十三か所が設置されております。
 この給水拠点での応急給水を補完するために、住民により身近な小学校や中学校などの避難所に設置した応急給水栓が二千二十一か所、道路下にあり応急給水に活用できる消火栓等が二千三百八十か所ございます。
 こうした多様な手段により、有事の際にも確実に水を届けられるように整備をしております。

○長橋委員 今お話がありましたけれども、災害時給水ステーションが本当に数多く設置をされていることが分かりました。私の地元でも、造幣局の跡地だったところが防災公園になりましたけれども、ここにも応急給水施設があります。私もその訓練に参加させていただきましたけれども、改めて、応急給水等の訓練、これは大変重要であろうかと思っております。
 そこで、東京が被災した場合は、他の水道事業者、これからも支援を受けることが必要であろうかと思います。他事業体との連携も含めて、様々な危機に機動的に対応するため、水道局の取組について伺いたいと思います。

○石井総務部長 当局では、組織及び職員の危機対応力を強化させるため、毎年度策定する東京水道危機対応力強化計画に基づき、首都直下地震などの自然災害のほか、テロ行為や突発事故などの事態に備え、年間を通じて、体系的かつ網羅的な訓練を実施しております。特に、大規模災害時に重要となる他都市との連携につきましては、公益社団法人日本水道協会による全国応援体制において、毎年度、実地訓練等を行っております。
 これに加え、より迅速な応援体制の構築のため、仙台市や大阪市などの四市と個別に相互応援の覚書を締結しており、今年度は、八月に、都への応援隊受入れに関わる訓練を実施し、顔の見える関係を構築してございます。
 こうした訓練を通じて明らかとなった課題について検証を行い、災害時の職員の活動を定めた震災等応急対策計画や行動マニュアルの改定をするなど、PDCAサイクルにより、災害対応力の強化を図っているところでございます。

○長橋委員 まさに災害はいつ起こるか分からないものでありまして、お伺いすると、各施設ごとの訓練も行っていらっしゃるということでございます。ライフラインの事業者として、あらゆる危機に備えて、安定給水に努めていただきたいと思っております。
 続いて、水道緊急隊について伺いたいと思います。
 我が党は、実際の震災対策には、迅速な初期活動が重要であると主張してまいりました。まず、東京に、首都直下地震等の大規模地震が発生した場合には、被災状況の把握が遅れれば、応急復旧活動の大きな障害になるわけであります。
 このような事態に備えて、水道局では、平成二十年に、水道緊急隊という組織を設置した経緯がございます。職員は、三百六十五日二十四時間、緊急事態発生時の早期対応や出動ができるよう備えておりまして、その体制については評価するものであります。私も、事務事業で、以前にこの課題について取り上げたことがございます。
 そこで、現在の水道緊急隊の役割、そして、取組について伺いたいと思います。

○石田給水部長 水道緊急隊は、震災等の発災直後における情報収集や応急給水活動等を迅速かつ機動的に行うことを目的とした組織でございます。
 発災時には、迅速に水圧の調査や管路の弁操作を行い、首都中枢機関等への水道水の供給ルートを確保するとともに、都の災害対策本部から要請のあった災害拠点病院等に応急給水を実施いたします。
 首都中枢機関等への供給ルートの確保については、大規模災害発生時に直ちに出動対象を絞り込めるよう、これら施設に水圧計等を設置し、水圧異常を遠隔で確認できる仕組みを導入しております。
 また、都の災害対策本部からの要請に基づく病院等への応急給水につきましては、施設の屋上等に設置されている受水タンクへの応急給水活動を円滑に行うことを目的に、高所揚水訓練等を実施しております。

○長橋委員 ありがとうございます。発災時において、首都中枢機能や災害拠点病院への水道供給の確実な確保は大変重要であろうかと思います。水道緊急隊は、このような発災時に備えた体制を取るとともに、震災時において迅速な対応が行えるよう、平常時から訓練を充実させてもらいたいと思います。
 通常の訓練に加えて、都区合同の防災訓練や他都市との合同訓練にも積極的に参加して、震災時及び突発事故に備えていくことが大変重要であります。
 そこで、水道緊急隊の近年の事故や災害時の活動状況はいかがでしょうか。伺います。

○石田給水部長 令和三年度の漏水等の突発事故等における水道緊急隊の緊急出動の件数は四十三件でございました。
 また、近年の災害時の活動につきましては、令和元年東日本台風で発生した奥多摩町における断水に対し、給水車による応急給水活動や病院及び社会福祉施設等の受水槽への高所揚水を実施するなどの対応を行ってまいりました。
 さらに、他都市への応援についてでございますが、平成二十八年の熊本地震における漏水調査支援等のほか、本年九月の台風十五号の被害への対応では、静岡市へ隊員延べ十二名、給水車二台を派遣し、応急給水活動に従事しております。

○長橋委員 今、答弁がありましたけれども、令和元年の東日本台風で発生した奥多摩町、これについても、我が党は現地に赴いて、給水車等、このときは、他県からも給水車が来たというふうに聞いておりますけれども、このことについて、給水車の増加についても質疑をしたことがございます。
 震災時に備えて、水道緊急隊が十分な訓練を実施し、災害に備えるとともに、過去の災害でも活躍することを確認したわけでございますけれども、都民の安心・安全につながるよう、今後も継続して取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、水道事業への新技術の導入について伺いたいと思います。
 東京水道経営プラン二〇二一では、水道事業の新技術の導入として、AIやドローン等を活用して維持管理に取り組むとしております。
 水道局では、維持管理として行うコンクリート構造物の点検において、施設の劣化状況を把握するためドローンを活用していると、このように聞いておりますけれども、ドローンの活用について伺いたいと思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水道施設の状態を詳細に把握するため、浄水場や給水所等において、コンクリート構造物の総合点検を実施しております。
 点検に当たりましては、施設の床から天井まで全て確認し、コンクリートのひび割れや剥離などの劣化状況を正確に評価する必要があります。しかし、高い位置にある天井や壁、はりなどは、調査員が、目視による直接点検ができないため、ドローンを導入し、その状況を撮影しております。
 これにより、仮設足場を設置して行う目視確認が不要となり、点検時間の大幅な短縮が図られるほか、安全性も格段に向上いたします。

○長橋委員 まさにドローンの活用ということは、高所部ですね、高いところの確認が非常に、格段に効率的になるということでありまして、当然、大幅な時間の短縮もあるわけでございまして、さらには、高所部でございますので、調査員の事故防止にもつながる、貢献するということだと思いますので、積極的に活用していくことが求められていると思います。
 そこで、撮影した画像の活用についてはどのようにしているのか伺いたいと思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、コンクリート構造物の劣化状況を効率的に把握するため、令和四年度から、ドローンで撮影したデータ等の画像解析を本格的に導入しております。
 この技術では、画像をAIが解析し、ひび割れの幅や長さ、コンクリートの剥離面積などを自動的に計測し、図面化するものであります。
 これにより、従来、コンクリート診断士が実測し図面化していた業務を、短時間で精度よく実施することができます。
 さらに、これらの画像解析データの蓄積により、将来にわたり経年変化の比較や予測等に活用できることから、劣化の進行に応じた適切な点検や補修が可能になると考えております。

○長橋委員 まさに画像をAIで解析するということでございまして、これによって、より正確な測定ができるということでありますので、施設の維持管理をするに当たって、ぜひともこうした取組をさらに広げていただきたいと思っております。
 続いて、HTTに関する水道局の取組について伺いたいと思います。
 都は、ウクライナ、ロシア情勢や、他県等から供給されるエネルギーに支えられている電力エネルギーの大量消費地であることを踏まえて、今年の早い段階から、都民、企業と共に、減らす、つくる、ためる、HTTの取組を推進してまいりました。
 水道局も、他局と同様にHTTに資する取組を進めていると、このように聞いておりますけれども、その進捗状況について確認をしてまいりたいと思います。
 初めに、水道局がHTTに取り組むこととした経緯、これいかがでしたか。伺います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局が使用する電力は、年間約八億キロワットアワーであり、都内の使用電力量の約一%に相当しております。
 当局ではこれまで、効率的な水運用に努めるとともに、省エネ型ポンプ設備の導入や太陽光、小水力発電設備の設置を推進するなど、使用電力の抑制に努めてまいりました。
 しかし、現下の厳しい情勢を踏まえ、都庁の一員であり、かつ大口需要家としての責務に鑑み、これまで以上の使用電力の抑制に向け、本年五月に設置、開催されたエネルギー等対策本部会議におきまして、安定給水の確保を前提とした上で、HTTに資する取組を推進する姿勢を明らかにしたものでございます。

○長橋委員 まさに、都内の使用電力量の一%に相当するのが水道局でありまして、大口需要家ということになるわけであります。電力需給逼迫の対策に対して、率先して取り組んでいくことは大変重要であろうと思いますので、大きな意義があろうかと思います。
 今年の六月下旬には、政府が新たに設けた電力需給逼迫注意報が発令をされて、東京電力管内における節電が呼びかけられました。まさに事前の備えが功を奏したと思うわけであります。
 そこで、今年の夏の電力需給逼迫時における水道局の取組はいかがでしょうか。伺います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、本年六月から八月の電力需給逼迫時に、電力を減らす取組として、朝霞浄水場から東村山浄水場へ原水を送る連絡ポンプの運転を抑制して使用電力を減少させるとともに、浄水場から給水所への送水を電力需要が多い時間帯からずらすことで、使用電力のピークシフトを実施いたしました。
 また、電力をつくる取組として、常用発電設備を増強運転して発電量を増加させ、その電力を自家消費することで、電気事業者からの受電量を減少させたところでございます。
 これらの取組を実施することにより、時間帯に応じて、一千百から三千四百キロワットの電力を削減させることができたものと考えております。
 なお、常用発電設備の増強運転は、電気事業者からも協力要請を受けております。

○長橋委員 まさに、時間帯に応じて、千百キロから三千四百キロワットの電力を削減させることもできたということでございました。安定給水の確保を先導した上で、積極的に取組を実施し、電力需給の逼迫時の対応に貢献したということでありますので、評価するところでございます。水道局も含めて、都が率先行動を示したことによって、都民や事業者の節電協力が理解を得られ、今年の夏の電力の深刻化は回避できたと思っております。
 しかし、電力に加えて、天然ガス等も含めたエネルギー危機は、引き続き続いておりまして、今年の冬以降も、電力需給逼迫の傾向は継続していくのではなかろうかと思うわけであります。
 引き続き、対策を講じていかなくてはならないと考えますが、今年の冬以降に向けた対応について取組を伺います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、本年の冬以降も想定される電力需給逼迫に対応するため、これまでに実施した取組を状況に応じて継続するとともに、さらなる備えとして、新たな取組を推進する必要があると認識しております。
 そのため、電力をつくる取組として、令和五年一月の稼働を目指して、三園浄水場の常用発電設備を増強運転し、それによって創出される電力の一部を電気事業者に提供するために必要な施設の整備を進めております。
 令和五年度以降に向けては、つくる取組として、当局の研修・開発センターの大規模改修に合わせて、新たな太陽光発電設備を設置するほか、局施設の駐車場等の屋根に太陽光パネルを設置するソーラーカーポートの導入について調整をしております。
 また、電力をためる取組として、東村山浄水場において、既設の太陽光発電設備等により創出される電力を最大限有効に活用するため、蓄電池の設置を計画しております。

○長橋委員 新たな太陽光発電設備を設置する、また、ためる仕組みとして、東村山浄水場において、既設の太陽光発電装置等により創出される電力を最大限有効活用するため、蓄電池の設置も検討しているということでありまして、ぜひ、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 施設整備が必要な施策は一朝一夕になるものではありません。一定程度の準備期間を必要とすることは理解できますが、電力需給逼迫の状況は予断を許すものではありません。できるだけ早く整備を進めるよう求めておきます。
 一方で、電力需給逼迫への対応を優先するのであれば、環境施策に悪影響のある施策も実施せざるを得ないのではないかという懸念もございます。
 水道局では、東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四に基づき、環境負荷低減に向けた取組を進めておりますけれども、HTTも環境施策として目的を同じにするものであります。
 そこで、HTTの推進が水道局の環境施策に与える影響について伺いたいと思います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 常用発電設備の増強運転に当たっては、ガスを燃料とする当局の常用発電設備のCO2排出係数が、電気事業者から調達する電力のCO2排出係数より高いため、使用電力量が同じであっても、その差の分、一時的にCO2排出量が増加することとなります。
 一方で、新たに太陽光発電設備や蓄電池を設置し、再生可能エネルギー導入を拡大することで、一時的に増加するCO2排出量以上の環境負荷低減を図ることができると見込んでおります。
 引き続き、これまで当局が進めてきた環境施策の一環としてHTTを推進し、本年の冬以降も想定される電力需給逼迫に備えるとともに、都として推進しております二〇三〇年カーボンハーフの実現に寄与してまいります。

○長橋委員 電力を大量に消費する大口需要家であります、また、限りある水資源を原料に事業を行う水道事業者として、環境施策には、どこよりも積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 最後に、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、水道局の取組について、方向性について伺いたいと思います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、都庁の一員として、また大口需要家として、都が掲げる二〇三〇年カーボンハーフの実現を確実に達成していくことが必要と認識しております。
 当局が排出する温室効果ガスは、電力の使用に伴い発生するCO2が大半であるため、引き続き、効率的な水運用に努めるとともに、省エネ型ポンプ設備の導入などにより、使用電力増加を抑制いたします。
 また、引き続き、導入可能な施設に太陽光発電設備や小水力発電設備を整備し、再生可能エネルギーの導入を拡大いたします。
 さらに、これらに加えまして、CO2排出係数の低い低炭素電力や再生可能エネルギーが含まれる割合が高い電力の調達をこれまで以上に推進してまいります。
 電力需給逼迫の状況や供給事業者の確保、調達コストなどの課題を分析するとともに、都全体の方針との整合を図りながら、外部有識者等で構成いたします東京都水道事業運営戦略検討会議の意見等も踏まえて、適切に対応してまいります。

○長橋委員 ありがとうございました。
 ぜひとも、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、水道局は、東京都の先頭を切るような思いで取り組んでいただきたいと、これをお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十二分休憩

   午後三時開議
○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料のご提出をありがとうございました。
 私からは、まず、環境施策について伺います。
 温暖化対策を議論するCOP27が六日に開幕されました。十八日までの日程の中で、二〇三〇年までに二〇一〇年度比でCO2の排出量を半分に削減する目標の達成に向けていかに行動に移していくのか、これが議論されていきます。こうした中で、環境と関わりの深い水道事業を担う水道局としての取組は重要性を増しています。
 昨年の事務事業質疑では、水道局のエネルギー対策について伺いましたが、今回は、ペットボトルの削減の取組について伺いたいと思います。
 先ほども質疑がありましたけれども、この取組は私も大変注目をしておりました。ペットボトルは、今ではリサイクルされることも多くなってきましたが、利用後にきちんと処理されず、環境中に流出してしまうということも少なくありません。環境中に流出したプラスチックのほとんどが河川などから海へと流れ込み、深刻な海洋汚染につながります。それだけでなく、ペットボトルがリサイクルされて、飲料のボトルとして利用される過程で多くのCO2が排出されるということが指摘されています。製造、輸送、そして、冷蔵販売、リサイクルという、製品のライフサイクルの中で多くの資源を消費します。
 そのため、ペットボトルの使用を削減するために、マイボトルを使って水道から直接の給水ができる、この給水スポットの設置が世界中の都市で広がっています。大切な取組だと思いますけれども、水道局でも、このドリンキングステーションの設置など進めてきたところだと思います。
 まず、このプラスチック削減のために水道局が行ってきた取組、この全体についてをお伺いしたいと思います。

○尾関企画調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 都では、世界的に廃プラスチック対策が問題となる中、令和元年六月に都庁プラスチック削減方針を策定いたしました。
 当局でも、この方針に基づきまして、職員によるごみの分別の徹底やレジ袋の受け取り辞退、ワンウエープラスチックを使用しないノベルティーの作製などの取組を実施しております。
 また、令和三年度に、ペットボトル「東京水」の販売、配布を全て終了したほか、Tokyowater Drinking Stationを通じて、マイボトルなどを利用して水道水を直接飲用するなどの環境配慮行動の促進につなげる当局独自の取組も推進しているところでございます。

○斉藤委員 昨年度にペットボトル「東京水」の販売、配布を全て終了したということ、Tokyowater Drinking Stationの設置を通じて水道水を直接飲用するなどの環境配慮行動の促進につなげる取組を行っているということです。
 私も、この取組について、前期の二〇一九年の質疑で、オリンピックのレガシーとしても取組を広げるべきだということを求めてきました。大山都議も、この取組を広げるべきだということで求めてきております。そして、今では都内十一か所に設置されているということで、この取組が前進して本当によかったなというふうに思っています。
 そして、まだまだ歩みを止めてはいけないというふうに思っていますが、そこで、ドリンキングステーションの意義について、改めて水道局の認識を伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、プラスチック削減の潮流や都庁プラスチック削減方針を踏まえまして、まち中の給水スポットをTokyowater Drinking Stationと名づけ、ペットボトルによらず、マイボトルに水を供給する環境に優しいライフスタイルや、水道水の飲用行動、水道事業の理解の促進を図っております。

○斉藤委員 ペットボトルの飲料と水道水を飲用することの比較について、東京大学の平尾研究室が示している製品のライフサイクルアセスメントというのがあります。例えば、輸入のミネラルウオーターでは、ペットボトルの製造やリサイクル過程、また、重い液体の輸送に係るエネルギー、自販機などで冷やし続けるためのエネルギーの消費などで排出されるCO2が水道水の飲用では一千分の一に抑えられるというふうに試算がされています。ご答弁のとおり、環境に優しい行動として、Tokyowater Drinking Stationは本当に大きな意義があるものだというふうに思います。
 また、水道事業への理解を促進するというご答弁もありました。まさに、水道事業への理解というポイントも私も大事だというふうに思っています。
 東京の水道水は、まさに皆さんが公営企業として運営してきた中で、もうけ優先ではなく、技術革新や水質向上の努力を積み重ねてきたことで、蛇口から直接飲める安心でおいしい水として、まさに世界にも誇れるものだというふうに思っています。まち中で誰もが無料で飲めるということも、公営だからこそ取り組める貴重な施策だというふうに思っています。
 この取組を多くの人に知ってもらうための努力も重要ですけれども、水道局では、このドリンキングステーションや、区市町の水飲み栓などもマップで紹介するという取組も行っています。このドリンキングステーションのマップの配布はどのように行っているのか伺います。

○坂井サービス推進部長 当局では、都内約九百か所にございますドリンキングステーションを多くの方にご利用いただくため、設置場所の位置情報を示しましたマップを当局ホームページに掲載してございます。
 また、マップにアクセスできるQRコードをイベント時に配布するノベルティーに貼付するなど、様々な機会を活用して広くPRしてございます。

○斉藤委員 ホームページに掲載するほか、イベントなどで紹介しているということですが、それではまだまだ限られた機会になってしまうというふうにも思いますので、ぜひ、都の施設や都営地下鉄など、都民や観光客の目に触れる場所や区市町とも連携して配布できる場所を広げていくこと、また、SNSでの発信の充実など工夫を行っていただきたいというふうに思います。
 水道局では、二〇二〇年度から二〇二四年度までの計画をまとめた東京都水道局環境五か年計画においてドリンキングステーションの増設に取り組んでいくことを示していますが、今後の具体的な目標数値はどうなっているのか伺います。

○坂井サービス推進部長 東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四において増設するとしておりますドリンキングステーションにつきましては、まち中にある約九百か所のTokyowater Drinking StationをPRするために設置するシンボリックなドリンキングステーションでございます。
 これらにつきましては、令和三年度までに、計画してございました合計十一か所の設置を全て完了してございます。

○斉藤委員 このシンボリックなドリンキングステーションの設置は、十一か所設置を行ったということで、これで計画は全て完了ということで、この先の計画はないということなんですよね。しかし、ようやくここ数年で取組が始まった施策なので、これで終わりではもったいないなというふうに思っています。
 私は、今回、全国でこの給水スポットの設置を広げる活動を行っている水Do!ネットワークの代表の瀬口亮子さんにもお話を伺いました。国際環境NGOのFoEJapanで活動されてきた方です。
 水道局で公表されていますけれども、先ほどドリンキングステーションの実績のお話もありましたけれども、二〇一九年度に利用された水量が二万四千五百七十八リットル、五百ミリリットルのペットボトルに換算すると、これも四万九千百五十七本分だということです。先ほどの質疑の中でも、今年は半年で八万四千本、こういう利用が広がっているという状況だというふうに思います。
 こうしたことについて、瀬口さんも大変評価をされていました。これで終わりではなく、ぜひ、ドリンキングステーションの設置を今後も続けていただくということを求めます。
 こうした環境に配慮した施策を広げていくためには、都民の声を取り入れながら、市民参加型で一緒に理解を深めながら進めていくということが重要ではないかと思っています。
 水道局は、この五か年計画の環境基本方針の中で、環境施策の実効性を一層高めていくためには、より幅広い主体との連携が必要ですと示しています。本当にそのとおりだというふうに思いますけれども、ドリンキングステーションの取組についてはどのような主体との連携が行われているのか、また、行われてきたのか伺います。

○坂井サービス推進部長 東京都水道局環境五か年計画二〇二〇−二〇二四では、多様な主体との環境コミュニケーションを積極的に推進することとしております。
 当局は、区市町等と連携いたしまして、区市町等が設置いたしました都内九百か所のドリンキングステーションをマップに掲載し、当局ホームページで紹介しているところでございます。

○斉藤委員 連携としては、区市町が設置したドリンキングステーション、これをマップで紹介しているということなんですけれども、多様な主体との環境コミュニケーションを積極的に推進ということですが、余りちょっと多様には思えないんですよね。もうちょっと、本当に幅広い主体との取組を充実させていくことが必要かなというふうに思っています。
 例えば、イギリス西部のブリストル市、ここでは、二〇一五年に欧州グリーン首都に選定されたことを受けて、市民団体が、このペットボトルを削減するために給水スポットを増やそうという活動を開始し、これに対して、現地の水道局の協力で新しい給水スポットもつくられたそうです。ロンドン市では、ペットボトル利用の削減キャンペーンを展開するロンドン動物学会と共同で、市が給水のできる水飲み場を設置しています。また、パリ市では水道事業は民営から再公営化されてパリ市水道公社が運営をしていますけれども、水飲み場の設置は市民の要請に応じた参加型予算で行われているということです。
 こうした中で、市民からの後押しも受けて、理解が広がる施策になっているんだというふうに思います。ぜひ、水道局としても、こうした海外の都市の事例にも学びながら、水道水の飲用の普及や環境活動に知見や経験を持つ団体との連携や、市民参加型の取組を行って、施策を前に進めていただくということを要望したいと思います。
 次に、スマートメーターの導入と検針業務の委託について伺います。
 スマートメーターの導入について先ほど質疑もありましたが、ちょっと違う視点での質問になります。
 まず、この導入の実績ですけれども、先ほどもご答弁がありましたが、改めて、先ほどのご答弁では三年間で十三万個のスマートメーターを先行導入すると。それについて、今年度は二万九千個のスマートメーターを設置予定で、現時点では約一万三千個の設置が進んだということなんですけれども、今年度、この九月末までに、パイロットエリア、あるいはスマート東京先行実施エリアでそれぞれ何個の設置が進んだのか、このご答弁をいただきたいと思います。

○石田給水部長 当局では、水道スマートメータ先行実装プロジェクトに基づき、令和四年度に約二万九千個のスマートメーターを設置する予定となっております。
 本年四月からそのスマートメーターの設置を開始しておりまして、プロジェクトで掲げているパイロットエリアに約千八百個、スマート東京先行実施エリアの一つでございます西新宿地区等に約六千七百個など、自動検針の開始前の九月末までに約一万三千個を設置したところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。九月末までに一万三千個を設置したと。パイロットエリアに約一千八百個、新宿エリアなどを含むこのスマートシティエリア、ここに約六千七百個というご答弁でした。さらに、こうしたエリア以外でも、都営住宅や公共施設にも既に設置されているということも、現場の方々からも伺っています。
 まさにこうした中で、検針業務が大きく変わっていこうとしている中で、これまで検針業務に長く携わって、この水道事業の財政的基盤を支えてきた検針員の方々が、自分たちの契約や仕事が今後どうなっていくのか、ほとんど情報が届かないという状況で不安だという声が寄せられています。
 今日は一つ一つ伺っていきたいと思いますが、まず、スマートメーターの機器や通信の状況についてです。
 スマートメーターによる検針はこの十月からの開始というふうになっていますが、開始から早々、先ほどもありましたけれども、スマートメーターから使用量のデータが送られていないというケースが起きているというふうに伺っています。
 まず伺いますけれども、このスマートメーターに不具合があって検針ができないという場合は、どのような対応を行っているのか伺います。

○坂井サービス推進部長 スマートメーターの通信不良によりまして定期検針日にデータを取得できないお客様に対しましては、料金算定に影響が生じないよう、速やかに現地を訪問し、直接指針を確認することとしてございます。

○斉藤委員 料金算定に影響が生じないよう速やかに現地を訪問して直接指針を確認ということで、これは検針員さんたちが定期検針日にスマートメーターからデータが取得できないところに見に行っているというふうに聞いているんですね。
 このスマートメーターに不具合があって検針できなかったというケースは、これまでに何件あるのか伺います。

○坂井サービス推進部長 スマートメーターの運用を開始いたしました令和四年十月一日から三十一日までの一か月間に、通信不良により定期検針日にデータを取得できなかった件数は八百二十四件でございます。

○斉藤委員 一か月間で八百二十四件の不具合があったということです。
 検針員の方々が、受持ちの定期検針のほかにスマートメーター導入エリアの八百二十四か所を転々と回らなくてはいけないというのは、本当に大変なことだというふうに思います。あっちでもこっちでもという状況で、見に行く状況になっているというふうに伺っています。
 しかし、検針員さんには、こういうことが起こるまで、こうした業務を行うことなどの説明がなかったというふうに伺っています。
 これからでも、このスマートメーターの導入から、どんな状況になっていくのか、どんな業務が必要になっていくのか、そもそも新しく発生する業務があるのなら、その委託の内容に沿った説明も含めて、丁寧な説明が必要だというふうに思います。受託業者への限られた人への説明会だけでなく、現場で働く検針員も対象に含めて、丁寧な説明の場をつくっていただきたいということを改めて求めたいと思います。
 このスマートメーターのデータの送信の不具合についてですが、不具合が起きる理由、データの送信ができないというような場合について、どのような検証や改善を行っているのか、改めてですけれども伺います。

○石田給水部長 現在設置しておりますスマートメーターは、通信方式に携帯電話の通信網を活用しております。
 通信不良を確認した際には、できる限り速やかに現地を訪問して設置環境等を確認し、通信機器の設置位置の変更等を行うことで通信の回復に努めております。
 また、通信設備の増強等による電波状態の改善について、携帯電話会社に働きかけを行っているところでございます。

○斉藤委員 設置環境や設置位置が問題だったりということ、それから、通信状況、電波状況の改善が必要だということなんですね。
 設置環境やその位置については工夫や改善の余地があるものだというふうに思うんですけれども、一方で、通信環境の変化というのは、例えば新しい建物がそばに建って影響を受けるなど、後から変わる要素も大きいのではないかというふうに思っています。
 ちょっと変わった視点からの質問なんですけれども、スマートメーターだけに頼るようなことで、検針員、この人員をなくしてしまうと、この検針業務というのが完結できないということになっていくんじゃないかと思うんですけれども、この人員の配置についてはどのようにお考えがあるのか、ちょっと見解を伺いたいと思います。

○坂井サービス推進部長 検針の人員につきましては、検針委託会社との契約の中で、検針会社が独自に考えて配置の方をやっているというふうに認識してございます。

○斉藤委員 委託会社が独自に考えてということだったんですが、しかし、大本の都がどういうふうに委託を出して、どこまで人員配置、検針員の配置をお願いするか、こういうことが大本に関わってくるんですよね。
 こうしたことが全く見えてこないということで、非常に検針員の皆さん、精神的負担が今大きくなっているところなんです。なので、これは東京都が決めていくという部分が大きいと思いますが、それをぜひ、そうした受託事業者、そして、検針員さん、こういう方々の声を聞いて考えていってほしいなというふうに思います。
 人手がなければ、このメーターだけでは成り立たないということが現段階でもある程度見えてきているというふうに思います。スマートメーターに置き換えて人員を減らしてしまうと、災害時など、いざというときの対応力が弱くなるという問題もいわれています。こうした検証もしっかり行っていただきたいというふうに思います。
 私は、今年の三月の予算議会のときも、この検針業務の委託について質問をしていますけれども、検針の委託業務は、これまで五年契約だったのを三年契約に変えたということを確認しています。その理由について、受託業者に対してどのように説明しているのか伺います。

○坂井サービス推進部長 徴収業務等委託契約を三年間とした理由につきましては、仕様書の公表後に、プロジェクト期間でございます令和六年度までの三年間とする旨を事業者に説明してございます。

○斉藤委員 仕様書の公表後に三年とする旨を事業者に説明しているということなんですけれども、ここも、発注者側である東京都の方で一方的に決めてというか、直前に知らされる、あるいはその仕様書の発表後に知らされるということで、本当に、検針業務をやりながら働いている方々は自分たちの先が見えない状況になっていて、本当に今大きな不安を抱えているところなんですね。ここをぜひ、もうちょっと積極的に、委託業者の決められた方々だけでなく、検針員の皆さんからも広く声を聞いていく、そういう機会をつくるなり、アンケート調査を行うなり、ちょっと声を拾っていっていただきたいというふうに思います。
 契約が、プロジェクトの期間に合わせての契約だということなんですね。事前に伺ったんですけれども、例えば来年度、二〇二三年度からの契約は、したがって、現在の計画終了の二〇二四年までの二年間しかないため、二年契約になるんだということも伺いました。これ、今まで検針員さんたちは五年ごとに契約更新になっていて、ただでさえ自分の雇用というのが五年置きにリセットされちゃう、そのまま続けて同じ会社で働き続けられればいいかもしれないですけれども、自分が慣れているエリアを違う事業者が受託するということもあったりするので、そうなると、その会社に転職するとか、そういうことがあるんです。
 これ、私、この間もずっと取り上げてきましたけど、そうなると、有休だとか、そういう手当が、最初から、一からのスタートにまたなっちゃうんですね。こういうことで、本当に、切り刻まれる雇用の中で、大変な苦労や不安を抱えていらっしゃるのが検針員の皆さん方なんです。なので、このことを本当に大きなことなんだというふうに受け止めていただきたいんですね。
 こういうことになると、今度は、二〇二四年度に契約の更新を行う場合は、契約終了まで一年間という期間になりますから、契約の更新をその時点で行う場合は、一年しか契約期間がなくなるということになるんでしょうか。この点についてどのような検討がされているでしょうか。

○坂井サービス推進部長 先ほども申し上げましたように、プロジェクトの期間を通じまして十三万個のスマートメーターを導入して、その間、ニーズや技術的な課題等を検証して、七年度以降にどういう形に展開していくのかというところを決めていくというような、今のところ計画になってございますので、したがいまして、令和六年度までの契約というような、新規に契約する場合でございますけれども、なろうかと思います。

○斉藤委員 やはりちょっと今のご答弁からも見えてくるのは、結局、こういう方、検針員の方々の契約はこの計画に左右されちゃうということなんですよね。
 私、ちょっと考え方を少し変える必要があるんじゃないかなと思うんです。この計画がどうなるのかで雇用を切ってしまう。そういうやり方を、今、急速にここでやっていくということでは、長年水道局の財政的基盤、水道事業の財政的基盤を支えてくれてきた、この重要な役割を果たしてきた検針員さんたちに、余りにちょっとひどいやり方になっていくんじゃないかなと思うんですね。
 今のご答弁だと、二〇二四年度に契約更新を行う場合は、一年しか契約期間が取れなくなっちゃうということだってあり得るということですよね。そこら辺はすごく大きな不安が届けられています。自分がどこの地域でやっているか、どこの地域からその計画が進むのかということも分からないので、まるでロシアンルーレットで撃たれるのを待っているみたいな、そういう状況なんだというふうに検針員の方々がいっていらっしゃるんですね。
 これ本当に、物のようにして、コストとしてしか見ないで決めていくというのは、本当に、一緒に働いて水道事業を支えてきた、こういう人たちに対して、ちょっと余りに配慮を欠いている冷たいやり方なんじゃないかと思うんです。そこに、どうか皆さん気がついていただきたい、そして、雇用、委託の仕方、一緒に切り捨てないで考えていただきたいというふうに思うんですね。
 ぜひ、このスマートメーターの設置計画の都合で、契約を細切りにしていく、そこに合わせてしか考えないということではなくて、継続して働いてもらえるように、受託事業者や検針員の方々との情報交換を行って、よく要望を聞いて、そして、今後のことを検討していただきたいというふうに思います。これを強く求めたいというふうに思います。
 これまで質疑の中で、水道局としては、検針受託事業者とは四半期に一度、連絡会を開いて意見交換等を、聞く機会を設けているというご答弁なんですけれども、この連絡会の中で、スマートメーターの導入について、これを目的とした説明会や話合いは、どのように開かれてきているのか伺います。

○坂井サービス推進部長 スマートメーターに係る業務内容につきまして、令和四年四月の検針委託会社との意見交換等の場におきまして概要を説明したほか、別途、六月及び九月に詳細な業務内容の説明会を実施してございます。

○斉藤委員 四月に概要の説明、そして、六月と九月に説明会を実施したということなんですけれども、ここに出席しているのは、受託会社の代表者、それぞれ三、四人だというふうにも聞いています。六月に連絡会があったということは知らないという方もいますし、九月の説明会というのは、それまでにスマートメーターの設置について詳しい状況がない中で、スマートメーターの設置が進んでいることにびっくりして、説明会を開くように要望して実現したということも伺っています。
 水道局には、もっと前もって情報を出して、検針業務がどうなっていくのか、先ほどと重なりますけれども、現場の声を聞きながら、見通しを持って検討していく。そして、計画の都合、東京都の都合だけで契約をそこに合わせていく、そういうことではなくて、やはり働いている方々の声をきちんと聞いて、どういう発注の仕方をしていくことが必要かということをしっかり検討していってほしいというふうに思います。
 このテーマの最後になりますが、伺います。
 私は、今回の質疑で、検針員の方々のこの仕事について、水道事業の財政的基盤を支えてきたと繰り返し述べさせていただきました。この言葉は、実は水道局自身が表現していることです。水道局では、二〇二〇年、この四月の緊急事態宣言のときに、検針業務の継続を依頼する通知というのを、サービス推進部長名で受託事業者や検針員の方々に対して出しています。この中で、緊急事態宣言中であっても検針業務を続けてほしいということを依頼しているんですね。
 その中で、こういうふうに示しています。この事業を、この水道事業を維持するためには財政基盤の安定が不可欠であり、皆様の毎日の検針業務こそが、まさにその礎にほかなりません、こういう記述なんですね。
 検針業務こそが財政基盤の安定と。そして、水道事業を維持するための礎だというこの通知、この通知のとおりの認識、今でも持っていらっしゃるでしょうか。伺います。

○坂井サービス推進部長 お話の検針業務の重要性についてでございますけれども、検針業務は、いうまでもなく、水道局の料金を調定して確定するという意味では非常に重要な役割を果たしているというふうに認識しております。

○斉藤委員 重要な役割を果たしてきてくれているという、そういう認識、重要な答弁だと思います。その認識にふさわしい対応を、ぜひ行ってほしいというふうに思うんです。
 今のご答弁のとおり、水道事業の根幹を支えてきた方たちです。その方たちを、スマートメーターが来たからということで、もう雇用を切り刻んでいくという、計画に合わせて契約すればいいという、そういうことではなくて、やっぱり同じ働く人間として、彼らがどういうことに思い悩みながらもずっと仕事を続けてきたか、そして、事業を支えてきてくれたか、こういうことにきちんと敬意を払って、一緒に水道事業を守っていくという立場に立っていただきたいというふうに思うんです。
 今後のスマートメーターの導入やその計画に合わせるだけで細切れの雇用にするのではなく、なるべく長く仕事ができる継続の方法なども考えながら、また、いざというときの人員の確保についても改めて考えていくこと、そういうことも含めて、検針員さんたちの不安や要望についてきちんと聞く機会を設けて、早めの情報共有、そして、一緒に検討を行っていく、こういう姿勢に立っていただくということを改めて強く求めます。
 次に、水道料金、下水道料金の支払い猶予と給水停止、徴収業務等について伺います。
 コロナ禍に加えて、長引く物価高、燃料高騰によって、都民の暮らしは一層厳しくなっています。電気代、ガス代の値上げも続き、消費者物価指数は前年同月比で三%も上昇し、長期化、深刻化が予想されています。一方で、今年の八月の東京都生計分析調査では、勤労者世帯の実収入、これは一世帯当たり一〇%以上減少しています。都民の暮らしが一番厳しい今こそ、都民の命と暮らしを守るための役割が東京都に求められているというふうに思います。
 その中でも、水道局は、命に直結するライフラインを担う重要な役割を担っています。
 多くの都民が困難を抱える今こそ、水道局はその原点に立ち返って、命と暮らしを支える施策を行うことが必要ですが、まず、このライフライン、その役割の重要性について、改めて見解を伺います。

○石井総務部長 都の水道事業は、最も重要な基幹ライフラインとして都民生活と首都東京の都市活動を支えており、引き続き、安全でおいしい高品質な水を安定供給するという、水道の根源的使命を果たしていくことが重要というふうに考えております。

○斉藤委員 都民生活と都市活動を支える、そして、安全でおいしい高品質な水を安定供給するという根源的使命を果たしていくことが重要だという、大変大事な認識だというふうに思います。
 加えていいますと、水道法に照らして、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とするということ、また、地方公営企業法では、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないというふうにされています。今まさに、この観点に基づいた対応が求められていると思います。
 続けて伺います。
 支払いができずに困窮している方々へ、今の観点からいっても、福祉につないでいくということが本当に重要な使命の一つになっていると思いますが、このことについてはどのように認識しているでしょうか。

○坂井サービス推進部長 当局は、都が供給している全ての区市町と、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定を締結してございまして、徴収業務等で当局職員などがお客様宅などを訪問した際に異変に気づいた場合には、区市町の福祉部門などへ情報提供を行うことが必要であるというふうに考えてございます。
 今後も水道事業者としての業務を行っていく中で、引き続き、福祉行政へつなげる取組を行ってまいります。

○斉藤委員 福祉部門などへの情報提供を行うことは重要なことですと、そういう下で区市町とも支援を必要とする者に係る情報の提供、こういう協定も結んでいるということですよね。
 ちょっと気になるのは、ご答弁の中で、その異変に気づいた場合にはとおっしゃったんですけれども、この異変に気づく機会というのもきちんと確保して、削減していくようなことはあってはならないというふうに思うんですね。
 本当に今のご認識の言葉どおりの対応に今なっているのかということを、ちょっとこの質疑で明らかにしていきたいというふうに思います。
 まず、新型コロナ感染拡大以降、水道料金、下水道料金の支払い猶予を行っておりますけれども、この猶予について、これまでの実績、受付件数について、これ、資料要求で出していただいていてありますけれども、九月末現在、最後の九ページです、今、二万五千七百三十九件、累積の件数ということになっています。
 このうち完済した件数とその金額について伺います。

○坂井サービス推進部長 九月末の時点で、水道料金等の支払い猶予を実施した件数でございますけれども、二万五千七百三十九件、金額は約十八億七千万円でございます。
 そのうち完済した件数につきましては、二万三千二百八十三件、金額は十七億三千万円でございます。

○斉藤委員 完済した件数は二万三千二百八十三件ということで、支払いが終わっていないのが、その差引きで二千四百五十六件ということになると思います。
 さらに伺いますが、公営企業決算の資料要求でいただいた中では、支払い猶予の受付件数を口径別で出していただいています。一番多いのは二十ミリ、続いて十三ミリということで、小口径が多くなっていますが、二〇二〇年度は、三十ミリ、四十ミリ口径も、それなりの受付件数になっています。
 一般家庭だけでなく、事業者なども含まれているのか、その概要について伺います。

○坂井サービス推進部長 支払い猶予は、個人や法人を含め全ての方を対象としてございます。
 令和二年度の受付件数一万六千五百七十八件のうち、法人名義などの割合は約四割となってございます。

○斉藤委員 二〇二〇年度は、法人名義の割合が約四割あったと。昨年度、二〇二一年度の口径別の支払い猶予の受付件数は、圧倒的に小口径が多い状況ですけれども、これは一般家庭が多いということなのか、小規模事業者も含まれているということなのか伺います。

○坂井サービス推進部長 小口径では、お話のように個人が多い傾向にございまして、事業者などの法人名義の受付も含まれてございます。
 水道局での給水契約におきましては、個人名もしくは法人名称の届出を求めているだけでございまして、小規模事業者かどうかにつきましては、把握はしてございません。

○斉藤委員 二〇二〇年の最初の猶予のときは緊急事態宣言もあって、大口のホテルなどが休業を余儀なくされたということもあって、法人名義の割合が約四割だったというふうにも聞いています。そして、昨年度は、小口径の契約の方々で、個人が多い傾向だということです。
 ご答弁のとおり、現在は、個人の方々、あるいは小規模事業者の方々もいらっしゃるかもしれないですけれども、こうした方々が支払いを行っていく上で、丁寧な対応が不可欠になっているというふうに思います。
 この猶予を受けていた方々が、困窮しているということが分かれば、水道局は、区市町の福祉行政につないでいくということが必要ですけれども、支払いが終わっていない二千四百五十六件のうち、支払いが困難な状況などから福祉につないでいる件数は幾つあるのか、また、福祉につないでいる全体の数について、二〇二〇年度からの件数を併せて伺います。

○坂井サービス推進部長 支払い猶予による支払いが終わっていない二千四百五十六件のうち、徴収業務などで当局職員などがお客様宅などを訪問した際に異変に気づいて区市町の福祉部門などへ情報提供を行ったものは、令和四年九月末現在ございません。
 また、区市町の福祉部署に情報提供いたしました件数としては、令和二年度は九件、令和三年度は十四件、令和四年度は九月末時点で十二件、合わせて三十五件となってございます。

○斉藤委員 支払い猶予を行って現在完済していない二千四百五十六件のうち、福祉部門につないでいるケースはないということなんですね。全体の中でも、福祉部門につないでいる件数はとても少ない状況です。ちなみに、今年度の十二件の内訳として、そのうちの十件が委託の検針員さんが定期検針のときに異変に気がついて福祉につないでいるということ、これは今回の決算の質疑で我が党の和泉なおみ都議の追及で明らかになっています。
 さらに伺いますけれども、支払いが終わっていない二千四百五十六件のうち、給水停止になった件数は何件か伺います。

○坂井サービス推進部長 支払い猶予期間を過ぎても支払いが困難なお客様につきましては、引き続き個別の相談に応じるなど、お客様の状況等を踏まえたきめ細やかな支援に努めているところでございます。
 しかしながら、支払い猶予期間が終了した後にお客様から支払いに関する特段の相談もいただけない場合には、複数回の催告を行い、それでも連絡等をいただけない際には、やむを得ず給水停止を行っているところでございます。
 二千四百五十六件におきましても同様に、やむを得ず給水停止を行うことがございまして、その件数は三百二十七件でございます。

○斉藤委員 いろいろおっしゃっていただいたんですけれども、給水停止した件数は三百二十七件ということなんです。私、これ本当に驚きの数字だというふうに思います。二千四百五十六件のうち福祉につないでいる件数はゼロ、その一方で、給水停止を行っているのは一割超えの三百二十七件ということ、給水停止をやっているということですよね。そのきめ細やかな支援に努めているという、こういう立派なご答弁ですけれども、実際は、全くそうなっていないという状況なんじゃないでしょうか。今ご答弁で、複数回の催告を行いと、今年度は郵送でやっているということだと思うんですけれども、それでも連絡等をいただけない場合にはというふうにいっていて、その人の責任かのようにしていっているんですけれども、これ、丁寧な対応が必要だということは私もずっと繰り返しいってきています。訪問によって催告するということも本来やるべきところですけど、そこがどうなっているのか、今、大変な問題になっています。
 続けて伺いますけれども、給水停止の今年度からの総数について、現時点での最新の件数を伺います。

○坂井サービス推進部長 今年度九月末までの給水停止件数につきましては約九万件でございます。

○斉藤委員 今年度のこの半年間、六か月間で約九万件、これも本当に驚きました、この数字。給水停止件数の年度ごとの推移について、これも公営企業決算での資料要求で毎年私たちいただいていますけれども、例年では一年間で十万五千件弱なんです。それが今年度は半年で約九万件、ということは、例年の一・五倍から二倍に増えるような勢いで給水停止をやっているという、そういうことですよね。
 今どういう時期かといったら、長引く物価高騰や燃料費高騰で暮らしが本当に厳しいという状況が都民に広がっている状況です。全国的に広がっていて、全国的には上下水道の基本料金減免を行う、そういう自治体が広がっている、そういうときですよ。こういう厳しい状況の中で支払いができずに催告を受ける方が増えるということは予想できることだと思うんですけど、しかし、そうした方々の命に直結する水の供給を断ち切っていいということは絶対あってはならないことです。本当に全国では、住民の暮らしを支えようと、今、上下水道の基本料金の減免など住民に温かい政策が広がっているときに、私は、東京都は一体何をやっているのかと、この事実を知って驚きました。本当に私、これショックを受けました。なぜこんなにも給水停止が増えてしまっているのか、これ、経済状況で払えない人が増えている、単純な、そういう理由だけではありません。
 催告の業務と給水停止までのサイクルについて、私は、昨年のこの事務事業質疑でまさに取り上げてきました。
 確認をしていきたいというふうに思いますが、昨年の今頃は給水停止までのサイクルを短くすることが検討されていました。私は、この水、命に直結する水というライフライン、給水停止までのサイクルを短くするということはやってはいけないということで、去年、強く求めました。その後、このサイクルの変更はあったのかどうか、まず伺います。

○坂井サービス推進部長 初回の請求から給水停止までの期間は変更してございません。

○斉藤委員 サイクルは今と変更していないということです。昨年の議論では、水道局として給水停止までのサイクルを短縮するということを検討していましたけれども、コロナ禍の当面は実施しないという方針も出されておりました。
 伺いたいんですけれども、この現行どおりの運用、まだ変更していないという運用、これは当面の間だけの措置なんでしょうか。本来では、当面だけでなく、その先もサイクルの短縮を行うということは許されないと思いますが、この先もずっと短縮は行わず、現行のサイクルを維持していくということも含めて検討されるんでしょうか。伺います。

○坂井サービス推進部長 現時点における認識でございます。

○斉藤委員 現時点の認識ということで、その先のことには明言がないということなんです。そうすると、本来なら、今、給水をこんなに停止しちゃっているという実態を振り返ってちょっと考えなきゃいけない、そういう状況にあると思うんですけれども、現行のサイクルを維持していくということを、検討を行わないということであれば、私はこれ、本当にとんでもないことだというふうに思います。これだけ福祉につながずに給水停止を多く出してしまっているという現状で、サイクルを短くしてしまえば、さらに丁寧な対応というのが難しくなります。今まさに考え直すべきときではないでしょうか。給水停止までのサイクルは、コロナ終息後も短縮しないよう、改めて強く求めます。
 昨年の質疑では、私は、このサイクルのことだけではなくて、委託による訪問の催告、訪問による催告についても取り上げてきました。
 水道局ではこれまで、料金の支払いが遅れた場合、一定期間のうちに委託の検針員の方々が訪問を行って、支払いの催告を行ってきました。ここでは、委託の検針員さんは利用者の状況をつかんで、必要であれば分割払いを提案したり、福祉につないだりすることで、料金の収納を行うと同時に給水停止を避けるという、とても大切な役割を果たしてきました。しかし、昨年の、まさに今頃、水道局は、訪問による催告の業務をなくしてしまおうという検討を行っていました。私は、この訪問による催告をなくしてはいけないということも強く求めました。しかし、その後、一月からの実施というものは延期されたものの、今年度の四月からその業務をなくしてしまいました。
 先日の公営企業会計決算での和泉なおみ都議の質問でも明らかになりましたけれども、これは本当に重大な問題だというふうに思います。訪問による催告がどういう役割を果たしてきたのか、いま一度考えないといけないというふうに思います。
 そこで伺います。
 委託による訪問催告を実施してきた昨年度までの収納率の過去五年分と、郵送による催告に変更した今年度の直近の収納率について、どうなっているでしょうか。

○坂井サービス推進部長 当局は、区部におきまして、初回請求から複数の催告を実施した後、委託による訪問催告を行い、水道料金の徴収を行ってきたところでございます。
 令和三年度では、初回請求約二千二百六十億円の債権は、委託による訪問催告を開始する前までに約九九%を回収しております。残り一%に当たります二十三億円につきましては、委託による訪問催告を実施してきたところでございます。
 委託による訪問催告期間中の収納率でございますけれども、平成二十九年度から令和三年度までの過去五年間の平均が約八六%となってございます。
 次に、委託による訪問催告廃止後の郵送による催告期間中の収納率は、令和四年四月から九月までの六か月間で約三三%となってございます。

○斉藤委員 これも驚きの結果なんです。訪問による催告を行ってきた昨年度までの五年間の収納率の平均、これは八六%、それに対して、訪問をやめて郵送による催告に変えた今年度からは、この半年間で約三三%まで落ちてしまっているということです。これは明らかに大きな差になります。訪問による催告では、先ほどもいったとおり、幾らかでも、分割でもお支払いをいただいて、あるいは福祉につなぐということも行いながら、同時に給水停止を避けるという仕事を行ってきました。そして、回収も行ってきていると。その効果が数字にもはっきり表れているということではないでしょうか。
 そもそも、この水道料金の徴収業務について、検針委託会社による訪問催告をこの四月から廃止したのはなぜなのか、また、どのような検討が行われたのか伺います。

○坂井サービス推進部長 平成二十七年二月の包括外部監査におきまして、区部と多摩で別々の料金徴収システムを運営するのは非効率的であるということから、二つのシステムを統合するとともに、区部と多摩との業務の違いを可能な限り解消すべきとの意見が付されたところでございます。
 これを受けまして、区部と多摩の料金徴収システムの統合に合わせて、業務の効率化と料金負担の公平性の観点から業務差異の解消を行ってきたところでございます。
 令和四年四月のシステム本格稼働に合わせまして、区部における委託による訪問催告を廃止し、郵送催告へ切り替えたところでございます。

○斉藤委員 業務の効率化が理由だと。それで、平成二十六年度、二〇一四年度の包括外部監査の報告で意見があったということなんですね。
 私も確認しましたけれども、多くの場合でそうなんですけれども、業務の効率化ばかりを強調して、本来自治体が果たすべき役割、全ての都民の命と暮らしを守るという、これ、そもそも効率性をいっていたらこんなことできないんです。こういう、自治体しか、だから自治体しか果たせない役割なんです。この役割の視点が抜け落ちていると感じる内容が本当に多いものです。しかし、それでも今のご答弁は、この監査報告書には記載のないことまで理由にしているんじゃないかと思います。
 まず、区部と多摩の業務差異を可能な限り解消するよう意見があったというふうにいうんですけれども、実際に記載されている内容は、システム上課題となっている区部と多摩地区の事務差異を可能な限り解消しとなっているんです。システム上の課題となるということについて記載をしているものなんです。訪問による催告では、システム上問題があるというふうなことを直接的にいっているわけじゃないんです。
 それから、ご答弁の中に、料金の公平性の観点からというのがありました。これはどういう意味なんでしょうか。これは監査報告書には記載がありませんが、水道局の考えなんでしょうか。教えていただきたいと思います。

○坂井サービス推進部長 一般論で恐縮でございますけれども、やはり水道事業は独立採算でございますので、多くの方がお使いになった水道に見合った形で料金の方をお支払いいただくというのが、まず第一の基本的な原則であるというふうに考えてございます。
 その上で、必要に応じて、先ほど来ご答弁申し上げておりますように、ご相談いただいた方には適切な対応をしていくということでございます。

○斉藤委員 多くの利用者の方々に合わせたというふうな、ああいうことをいっているんですけど、独立採算という一方でそういう性質があるとしても、公営でやっているわけです。公営企業法の話も、私、最初に出しましたけれども、本来の目的は、公共の福祉を増進するようにして運営しなきゃいけないんです。そこに対して、どういう状況に今なっているのかというのが、今すごく問われていると思います。効率化という言葉に偏り過ぎて、その言葉の下で何を切り捨てているのか、自治体としての役割、東京都の公営企業としての在り方として今どうなっているのか、これすごい問われているというふうに思います。
 業務の効率化というんですけれども、そもそもこうした都民の暮らしと命を守る大切な仕事を、業務の効率化といって切り捨てるというのはあってはならないことです。しかし、業務の効率化といっている中で、本当にそれ、効率化につながっているのかということも疑問です。
 さらに伺いたいんですけれども、委託による訪問催告をなくすことで委託料というのはどれぐらい変わっているんでしょうか。この差額の金額について伺います。

○坂井サービス推進部長 お話にあります徴収事務委託契約でございますけれども、これにつきましては、今お話のあった委託催告も含めた契約の見直しによりまして、結果としてでございますけれども、契約金額の差額が七億円減少しているということでございます。

○斉藤委員 訪問催告をなくすことで、それだけじゃないんだということも伺っているんですけれども、いろいろ含めた上でも差額は七億円ということなんです。
 先ほど、二〇二一年度の例で、催告になった一%というのが金額にすると二十三億円だということです。訪問による催告で回収している率、これを五年間の平均の八六%で計算すると、二十三億円のうち二十億円弱は回収されるということです。委託による訪問催告で削った分が、これざっくり、仮に今のご答弁いただいた七億円ということで計算をしても、約二十億円弱回収された、そこに対する費用七億円としても、約十二億円のお釣りが出てくるわけです。片や郵送による催告では三三%の収納率、この収納率で計算すれば、計算上約七億六千万円ということになります。皆さんがいうところの効率化の視点で見たって、郵送による催告、回収率が低くて破綻しているんじゃないですか。効率化というふうに全くいえない状況になっているんじゃないですか。認識を伺います。

○坂井サービス推進部長 先ほど出てまいりましたシステムの統合に伴いまして、運営経費が年間五億円から六億円削減されております。そのほか、ちょっとまだ、今お話にあった制度の変更というのは、まだ六か月しかたっていないというところもございますので、ちょっと推移を見ていく必要があるのかなというふうに考えてございまして、その中で、詳細の原因については調べていきたいというふうに考えております。

○斉藤委員 システムの変更と訪問による催告、これ別に連動しなきゃいけない話じゃないわけです。
 施策から六か月たったところだといいますが、この六か月の間にどんなことになっているのか直視する必要があります。真剣に考えなければならないのは、そういう下で例年よりも多くの都民が給水停止にされて苦しめられているということです。物価高騰やコロナの影響で職を失い、そして、苦しい状況にある方たちが多い中で給水停止を急増させる、こんなことをやっているということ自体、自治体がやっていることとして逆行することなんじゃないでしょうか。
 給水停止に行かなければならない職員の精神的負担も大きなものです。明らかに人が住んでいるにもかかわらず水を止めなくてはいけない。中には、今、電気やガスなんかも事業者が支払いの猶予期間というのも設けていたりします。そういう中で、電気やガス、まだついている状況なのに水を先に止めるような状況も出てきていると。
 若い単身の女性の世帯での給水停止が増えているようだという実態もあると、声が寄せられています。水を止めた職員は、水を止めた先でどうなっているのか分からず、心配で、本当にいいのだろうかと、あの人どうしているだろうかと、日々自問する、そういう苦悩の胸のうちを語ってくれた方もいます。現場にいる職員は今どういう状況になっているのか。現場にいる職員の方々は、営業所とかですけど、訪問による催告がなくなれば、電話での問合せが増え、郵送業務、給水停止やその復旧、その対応が一気に増えるため、人員の配置を増やすことを昨年度から求めています。しかし、水道局は、それも拒否しています。営業所の人を増やしていません。その下で、実際は問合せの電話も長時間待たせてしまったり、十分に対応できず、状況が気になる方がいても電話すらかけられない状況、そういう逼迫しているという状況なんです。
 なので、期間が来て初めてその現場に行って様子が確認できないまま水を止めざるを得ないと。これも、止める方も止められる方もどんなにつらい状況になっているか、水道局は、この現場の状況を知っているんでしょうか、見に行ったことがあるんでしょうか、この話に耳を傾けたことがあるんでしょうか、お答えください。

○坂井サービス推進部長 サービス推進部の内部におきましては、定期的に各営業所を訪問して、どういう状況になっているのか、あるいはどういう課題があるのかということについてはディスカッションをしておりますので、そういう意味では、どういう状況になっているのかというのは把握しているというふうに認識しております。
 加えまして、そうした営業所につきましては、本局の方から応援団を派遣するような形で、本当に必要な際には手を貸して協力しながら業務を実施している、そういう状況でございます。

○斉藤委員 応援を出さなきゃいけないような状況になっているということなんです。そういう中で、細かい、それをやっていて、なお訪問による催告をやらなくなってしまっているから分からないケースがたくさんあるということなんです。把握しているんだというんだったら、このままほっておけない話だと思いますよ。効率化という言葉の下で今、何が切り捨てられてしまって、どんなことが起こっているのか、私これ前代未聞だと思います。全国どこでも、今、支援を行っている、水道料金で支援を行っているという自治体が広がっている中で、東京都では給水停止を急増させている、こういうやり方はすぐにでも見直さないといけないと思います。
 私、このテーマの冒頭に、水道法、地方公営企業法のこと、もちろんこれ皆さん当然ご存じのことと思いますけれども、その大切な基本の部分が業務の視点から抜け落ちているんじゃないかという思いがある下で紹介させていただきました。
 それだけじゃなくて、憲法にも守るべき条項があります。これも当然ですけれども、第二十五条、全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとあります。
 水が止められたら健康で文化的な最低限度の生活はできなくなるんじゃないですか。少なくとも、状況をまともに確認することもないままに水を止めるということは許されないのではないんですか、認識を伺います。

○坂井サービス推進部長 停水の前には、必ず一度現地を確認した上で停水しているということを聞いておりますので、いきなり止めるということはないというふうに認識してございます。

○斉藤委員 そんなことをいっても、今まで丁寧にやってきた、今までのご答弁の中でも、適切にやってきた、丁寧にやってきた、その基になっているのが、委託会社の方々に訪問、給水停止する前までに少なくとも二回行ってもらうとか、そういう丁寧な対応をやってきてもらった、そこを削減しちゃっているのは明らかです。そこはいい訳できないと思うんです。給水停止の急増の事態に当たって、これを見直さないということは、私は許されないというふうに思います。
 最後に伺いたいんですけれども、本来、自治体、公営企業として行う水道事業として、この訪問による催告をきちんと人員配置を行って復活させて給水の停止の件数を減らすこと、そして、今まで行ってきたもっと寄り添う対応というのを行っていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○坂井サービス推進部長 委託催告の変更をして郵送にしたものにつきましては、まず、まだ六か月しかたっていないこともありますので、これを停止するという考えは今現在ございません。

○斉藤委員 六か月しかたっていないといいますけれども、皆さんお金に困っていなければ何とも痛くもかゆくもない問題かもしれません。しかし、今、生きるのに必死になっている人たち、仕事にありつけないような人たち、そういう人たちが、お金が払えないわけです。そういう方たちが給水停止されている中に含まれているわけです。大半そうだと思いますけど、これ、まだ六か月だからとのんびりしている話じゃないと思うんです。即刻、ちゃんと現場の状況も聞いて、そして、この実態に向き合って、すぐ検討して元に戻していく、よりよい対応にしていく、そういうことを行っていただくこと、これを重ねて強く求めて、質問を終わります。

○西沢委員 私からも質問をさせていただきますが、まず、水道です。
 蛇口をひねればすぐにおいしい水が出てきて、世界でもこういうことはなかなかないという中で、東京の水道局の皆さんが日々そうした体制をつくっていただいているということに敬意と感謝を申し上げてから、質問に入りたいと思います。
 まず最初に、水資源についてお伺いしていきたいというふうに思います。
 気候変動の話は、気候変動危機宣言というような言葉があるように、最近の気候は予測できないものが多くあります。五十年に一度の水害だとか、百年に一度の災害だということが例年聞かれるように、今の気候変動の予測というのはなかなか難しいという状況の中で、マスタープランの一〇ページにもありますけれども、雪の量が減ってきているというようなこと、以前からいわれてきていることではありますけれども、今後、不安が当然あります。
 そうした中での水資源の影響、今どのようになっていると認識をされているのか、気候変動による水資源への影響についてお伺いしたいと思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 令和二年十一月に環境省が公表しました気候変動影響評価報告書の中で、水資源分野において、気候変動による将来予測される影響が示されてございます。
 これによりますと、局地的な集中豪雨の増加のほか、積雪量が減ることに伴う河川流量の減少や雨が降らない日数の増加等による渇水の深刻化などが報告されてございます。

○西沢委員 今、答弁ありましたが、渇水の深刻化などが報告されているという、国の報告をご答弁いただいたということですから、都もそれを認識しているということを確認させていただきました。
 当然、東京都だけでこの気候変動による水資源の影響というものを努力だけでカバーできるものではありませんから、当然、国ともしっかりと連携をしなければいけないものだろうというように思います。
 今、国の方が進めている事業、霞ヶ浦の導水事業の概要です。現在実施されて、東京都がメインで関わっているものだというように聞いておりますが、この進捗状況についてお伺いをいたします。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 霞ヶ浦導水事業は、国土交通省が事業主体となって進められております。
 本事業は、茨城県の那珂川から霞ヶ浦を経て、利根川までを地下トンネルで結び、水を相互に行き来させ、霞ヶ浦の水質浄化や水道用水を確保することなどを目的としております。
 現在、令和十二年度の完成に向け、主要施設となる導水路のトンネル築造工事を進めており、令和三年度末現在で、総延長約四十六キロメートルのうち約二十一キロメートルが完成するなど、おおむね計画どおり進捗していると国土交通省から報告を受けてございます。

○西沢委員 水の需要予測というのは、八ッ場ダムの建設のとき、私の当選直後ぐらい、民主党政権のとき、いろいろ本当にありましたけれども、今そのことをどうこういうつもりはないんですけれども、そのときの議論の一つは水の需要予測の話でもありました。人口の低下とともに水の需要が減っていくんじゃないかというような話の中で、ダムの議論なんかもありましたが、今、私が申し上げているのは、気候変動によってこれがどうなっていくのかというところが予測しづらいよというようなことであります。
 ですので、今、脱ダムとか、逆に、ダム絶対主義とか、そういったこと、いろいろいうつもりはないんですけれども、気候変動、先ほどいったように、五十年に一度とか、百年に一度というような極端な気候というものを想定しながら取り組まなければいけないと私はこう思いますが、都の見解をお伺いしたいというふうに思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 首都東京の安定給水を継続するためには、将来の気候変動の進行を踏まえ、渇水の影響を受けにくい水源を確保し、最大限活用していくことが重要でございます。
 このため、現在実施中の霞ヶ浦導水事業において、地元自治体等と連携し、事業主体である国に対して、一日でも早く事業を完成させるよう要望してございます。
 また、当局が保有する貯水池や水道水源林などの水道施設を適切に管理していくとともに、貴重な水資源の有効活用を図る観点から、漏水防止対策などについても継続して取り組んでまいります。

○西沢委員 何度もいうように、この五十年に一度、百年に一度というのがもう毎年のようにいわれていますから、対策というものは当然考えなければいけない。
 ちなみに、私、五十年に一度、百年に一度といっていますけど、あまりこういうことをいうべきではないと、災害の話の中で、災害対策の中でそういった話をよくしています。というのは、当たり前のようにいわれ過ぎてしまっていて、ワインの十年に一度の出来だとか、翌年は十年に一度に匹敵する出来だとか、その翌年が二十年に一度になったりとか、毎年いい方を変えてすごいことということをいうのはいいんですけれども、本当に大変なことを想定するというようなことを考えれば、その表現の仕方というものは工夫しなければいけないんじゃないかというように思っています。
 極端な気候変動というものを考えるに当たっての今の認識を聞いたところで、霞ヶ浦の話もございました。これはハード面の話だと思いますが、ソフト面での対応という部分、運用のことも考えていく必要があるというふうに思っています。
 東京都が管理している小河内ダムについて聞いていきたいわけでありますが、記憶に私は結構色濃く残っていますが、令和元年の台風十九号のときでありますけれども、このときも何十年に一度の台風だと、史上最大規模の台風が来るというようなことで、自治体によっては、用意していた土のうが全てなくなっても、役所に土のうが足りないと押しかけるという話であったりとか、パトロールの体制、消防団の活動など、自治体の対応にも影響があったことが三年前に起こりました。
 このときの放流について、まず、確認をしておきたいと思いますが、改めて、令和元年、台風十九号当時の小河内ダムの放流についてお伺いをしたいと思います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、令和元年十月十二日に上陸した台風十九号への対応として、気象庁による降雨量予測に基づき、小河内ダムへの流入量を予測した結果、ダムの満水位を超えることが想定されたため、前日の十月十一日十四時から、通常の放流に加え、さらに多くの放流を行う余水吐きを用いて、合計で毎秒二十五立方メートルの放流を開始しました。
 台風が上陸し、東京を通過した当日は、ダム上流域に降った雨により流入量が増加したため、放流を段階的に増量し、放流量は十九時に最大となり、毎秒七百五十立方メートルに達しました。
 その後、流入量の減少に合わせて放流を減量しております。

○西沢委員 事前に放流をするということについて、当時、少し議論しました。というのは、台風の予測、これも当然難しいものだと思います。当時のことを思い返してみても、ダムがあふれてしまうよと。ダムがあふれれば、コントロールができなくなって多大な被害が出るよと。その前に、来る降水量が見込まれる予想が出ているから前日に放流をすると。人工的に放流をすると。でも、そのことによって被害が出るという可能性が指摘をされました。
 当時は、ダムが決壊するであったりとか、堤防が決壊するとかで多くの方が亡くなるということは幸いにもなかったわけでありますけれども、人為的に放流をすることによって、そういった被害が出てしまうというようなことに対しては、やはり判断が必要なんじゃないかと感じました。
 その後、いろいろと、その台風以降、十九号以降に運用も変わってきたとは聞いていますが、考え方として、確かに台風が来るということが分かっているのであれば、事前に放流をしておくということは大事です。
 ただ、放流をしたことによって、前日とかではなく、もっと前に放流をしたことによって、実際、台風がそれるということも結構これはやっぱりあります。思ったより雨が降らなかった、台風の進路がそれたということも結構あります。そうなった場合は、かなり厳しい水不足というような状況にもなると。このバランスというのはまさに現場の職員の皆さんの、それこそ努力であったりとか、経験であったりとかということも大事なんだと思いますが、ただ、私は、放流に関しては、もし空振りに終わったとしても、事前に放流をすると。ただ、台風がそれて雨が降らなかった場合は水不足になります。都民の皆さんも、そうなるかもしれないけど、でも、予想どおり来て、それ以上もし降った場合は、大きく被害を出すよりは、その場合は人員が失われる可能性もあるんだと。だからそういう判断をするんだという、そういう判断の方が私は正解なんじゃないかというように思っております。
 改めて、大雨の際、小河内ダムからの放流に関する局の考え方についてお伺いをいたします。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 小河内ダムにおける放流操作は、河川法に基づき、当局が操作規程を策定し、国土交通省から承認を受けております。
 さらに、令和元年十二月に国交省が定めた既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針に基づき、令和二年五月に、国交省や当局など五者間で多摩川水系治水協定を締結し、雨が降り出す前に行う事前放流の規則を新たに定めました。
 治水協定に基づく事前放流は、ダム上流域の予測降雨量が四十八時間の累計値で四百五十ミリ以上となった場合に実施するものでございます。
 余水吐きから放流を開始する際には、河川管理者や防災関係機関、流域自治体などに通知するとともに、河川利用者の安全を確保するため、ダム下流部のパトロールを当局が実施いたします。
 あわせて、当局のホームページやツイッターを活用し、河川の流量増加や水位の上昇などへの注意を呼びかけております。

○西沢委員 今ご答弁いただいたように、令和元年の台風十九号以降に新たに事前放流の規則というものを定めたというような話でございました。
 具体的には、四十八時間で累計四百五十ミリ以上になった場合に実施をするという話で、東京の年間の降水量が千五百とか千六百ぐらいですよね、多分それぐらいの中で、四百五十というのは、一日というか、その台風一発でなるには、もう相当な量が降るというときにやりますよということで、四百五十ミリ以上ということですが、逆に、四百四十九の場合はどうするんだというようなことだと思うんです。四百四十九でもかなりの降雨量で、被害が当然予想されるという中ですから、先ほども申し上げましたけれども、水不足になるというようなことももちろん大変なことでありますけれども、都民の命を優先するような判断をするべきではないかなということを申し上げておきたいというように思います。
 こうした東京水道局の皆さんのまさに事業の進め方でございますけれども、改めて、最初の事務事業の説明のときに配られました資料1、運営の基本方針を見てまいりますと、目標管理の徹底と成果重視という言葉が書かれています。資料1の一ページの中段に、目標管理の徹底と成果重視、これは水道局さんの方針で、以前からこうしたことは書かれているものだというように思います。
 ですが、最近になって感じるのは、この成果重視という言葉に少し違和感を感じます。先ほど給水停止の話がちょっとありましたけれども、成果重視という言葉、私はサラリーマン出身で、民間企業の、IT企業の営業マンをしていたときの成果重視という言葉を思い返してみると、やっぱり成果重視イコール売上げアップなんですよね。ノルマ達成、予算を増やせと。ノルマのことを予算といっていましたけれども、そういったことを想定します。ですから、この水道局の成果重視という言葉を改めて確認していきたいというふうに思います。
 目標管理の徹底と成果重視の視点とはどのような考え方なのでしょうかお伺いをいたします。

○石井総務部長 当局では、経営プランの実効性を高め、お客様への説明責任を果たすために、施設整備に関する指標として、送水管ネットワークの整備率、安定給水確保率など、経営に関する指標として、経常収支比率、料金回収率などを選出し、各年度における目標数値を設定しております。
 また、成果重視の観点から、経営プランに掲げた目標の達成状況について事業評価を行うほか、定期的に検証を行い、施策のブラッシュアップを図りながら目標を着実に達成し、強靱な東京水道を構築してまいります。

○西沢委員 目標管理の徹底というのは、当然目標を、数値を設定するというご答弁、成果重視というのはその目標を着実に達成するというような話でした。
 安心したわけじゃないですけれども、ここで売上げを上げるであるとか、そういうような利益重視じゃないというようなことを確認させていただきました。
 特に人員整理であったりとか、附帯事業でもっともうけましょうとか、どんどん経費を切りましょうとか、水道料金をがんがん上げましょうとか、そういったことが成果というようなことではないというようなこと、先ほども議論があったように、地方公営企業法の中では公共福祉の増進というものが重要でございますので、成果重視に違和感があったのは、そういったことに触れるんじゃないかということを確認したかったわけであります。
 この目標の達成状況についてお伺いをしていきたいと思いますが、経営プランの中にも、いろいろと七九ページに書いてございます。先ほど答弁もありましたけれども、送水管ネットワークの整備率とか、安定給水確保率であったりとか、料金回収率、いろいろな指標がありますが、令和三年度における目標の達成状況をお伺いしたいというふうに思います。

○石井総務部長 令和三年度は、新型コロナウイルス感染症の影響等による給水収益の伸び悩みにより、経営に関する指標の一つである料金回収率、これは目標を僅かに下回ったものの、その他の指標については目標を達成しており、現下の厳しい経営環境の下でも着実な事業運営が行われていると判断しております。

○西沢委員 目標の立て方だと思うんです。いわば一〇〇%を当たり前にしていくべきような項目というものが並んでいて、それは別に否定するものではなくて、いいんです。
 先ほどの成果重視の話でいいましたけれども、私が最初の採用試験を受けたときなんかは、最初に楽天の採用試験を受けたときは、売上げを十倍にするみたいなことを当時の専務がおっしゃっていた会にも、説明会に参加したりというのをすごく覚えているんですけれども、そういうような目標を設定するべきでは当然なくて、特に施設整備であったりとかの進捗であったりとかというようなことを確認したわけであります。
 成果について、いわゆる東京水道局のいう成果重視の成果、これを出すため、先ほど、社会経済状況が変わっていくと、気候変動の話もしましたけれども、そういった状況が変化する中で、成果を出すためにはどのように対応していくんでしょうかお伺いいたします。

○石井総務部長 当局は、社会経済状況が変化する中にあっても、首都東京の最も重要なライフラインとして、安全でおいしい高品質な水を安定して供給してまいりました。
 経営プランの計画期間中においても、事業評価の結果から見直しが必要であると判断した場合や、事業運営を取り巻く状況が変化した場合には、毎年の予算編成時に状況を的確に見積もるとともに、予算執行の段階でも事業の進捗や課題を検証し柔軟に対応することで、安定給水に必要な事業を着実に推進してまいります。

○西沢委員 成果を出すためということで、先ほどの給水停止をして売上げが上がるところ、回収できるところに集中的にみたいな答弁は出ないと思っていましたけれども、そういったことがないように、改めて私からも申し上げておきたいというように思います。
 成果というものが、この場での議論の中でいえば、いってみれば目標の達成というようなことがありました。
 東京都の事業運営の基本方針は、目標管理の徹底と成果重視ということですが、議論の中では、目標を定めて、その達成こそが成果であるというようなことでありますから、私は、成果を出すということであれば、到達率ということだけではなく、成果を出すには高い目標を掲げるというような、そういった試みそのものも成果として考えるべきなのかとも思います。
 さらに、成果重視という言葉自体を私は使わなくてもいいんじゃないかと。使うんだったら誤解のないようにというようなことをいった上で使ってもらいたいなというように思います。
 私は、この成果重視という言葉に違和感を感じたのは、そういったまさに利益重視に陥って、公共の福祉の増進というような目標が達成できなくなるとか、そういったことを不安に思って申し上げたわけでありますが、最近は、水道事業そのものに対しての民営化論というような話が出てきます。他の自治体の中では、検討する、導入するというところがありますが、東京都では、コンセッション方式であるとか、もちろん、当然民営化であるとか、それから、今までのものをどうしていくのかというのを議論してきたというふうに聞いております。
 そうした中で今、長期戦略構想二〇二〇で検討したものが出ているということでありますが、東京都が選択したのはグループ経営でやっていると。
 コンセッションであったりとか、民営化を選択しなかったということは正しい選択だと思っていますが、改めて、このグループ経営、東京都が選択して、これまでも進めているグループ経営、これの強みというものがあろうかと思います。そこについてお伺いしたいと思います。

○高畠経営改革推進担当部長 当局は、水道事業の基幹的業務を、水道局と政策連携団体である東京水道株式会社が担う一体的事業運営体制によるグループ経営を推進しております。
 これにより、都の広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、局がこれまで培ってきた技術のグループ全体での継承や、災害発生時における一体的な対応が可能となるとともに、民間ならではの柔軟な人員配置など同社による効率的な経営も期待できます。
 東京水道グループでは、こうした強みを生かし、公共性と効率性を両立しながら、持続可能な東京水道の実現に取り組んでおります。

○西沢委員 今の答弁でも、大事なのは、災害の発生時における対応と技術の継承であると。委員の皆さんからも今日も話がありましたし、気候変動の話、災害の話、私も今日させていただきました。
 災害時の対応には、どうしても民営化、完全に投げてしまった場合、対応できなくなるというようなことがありますし、民営化されてしまったら技術が失われてしまうというようなことも、リスクとしても十分あるわけであります。
 災害の話をこれまでしてきましたが、技術の継承について、グループとしての着実な技術継承についての局の考えをお伺いしていきたいというふうに思います。

○高畠経営改革推進担当部長 人口減少に伴い事業を担う人材の不足が懸念される中、当局が培ってきた技術を着実に引き継ぐため、政策連携団体への業務移転を推進しております。
 業務移転を進めるに当たっては、局職員の技術力を維持しつつ、東京水道の技術を担う貴重な人材である団体の固有社員への技術継承を着実に行い、グループ全体として技術を継承していくことが極めて重要でございます。
 こうした考えの下、東京水道を支える人材を、グループ一体となって育成してまいります。

○西沢委員 本当に技術の継承をしていくことができるのかという話でございますけれども、今、一応グループ一体となっての育成というようなことで取り組むという話でございました。完全に全てを一つの東京水道だけにということでもなく、東京都自身も持ち合わせて、もしくは一体となってという、そこもバランスなのかなというようにも思います。
 コアな部分は東京都自身がしっかり握って、準コアな部分はグループがという考え方は一つの在り方だと思います。第三セクターそのものを否定するわけでは当然ありません。
 そうした中での人材の育成の取組をもう一つ確認しておきたいと思います。見解をお伺いいたします。

○長嶺職員部長 当局では、令和三年三月に東京水道グループ人材育成方針を団体と共同で策定し、グループ全体で人材育成や技術の継承に取り組んでおります。
 本方針に基づき、今年度から、経験豊富な職員、社員を推進役に位置づける新たなOJTを、局、団体双方で実施し、若手職員、社員の知識の習得や現場力の向上につなげております。
 また、研修・開発センターにおける実技フィールドを使用した研修を、局と団体とが共同して実施をするとともに、局研修への団体社員の受入れを行うなど、技術、ノウハウの効果的な習得やグループの一体感醸成を図っております。
 今後も、こうした取組を通じて、次世代を担う人材の育成を着実に行ってまいります。

○西沢委員 グループの話をさせていただきました。技術と、それから災害対策ということ、引き続き、公営企業としての公共の福祉を増進するという使命をぜひ踏まえた上で取組を進めてもらいたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○岩永委員 それでは、まず、水需要予測とダウンサイジングについてお伺いします。
 昨年三月に出された東京水道施設整備マスタープランにおいて、水道需要の見通しは、一日最大配水量を、ピークとなる二〇二五年度に五百三十万立方メートルと見込みました。
 マスタープランによると、推計に用いる実績期間は、一九九二年度から二〇一九年度の二十八年間としています。一九九二年度から二〇一九年度の二十八年間を水需要予測推計のための期間としている理由を伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水道施設は、数十年から百年程度使い続けるものであり、将来にわたり安定給水を確保していくためには、これまでの水道需要の動向を可能な限り長期にわたって分析する必要があります。
 都の一日平均使用水量の実績は一九九二年度に最大となり、その後は、減少または横ばいの傾向が続いており、当局が二〇二〇年度に行った水道需要の見通しにおいては、このピーク時から直近までのデータを用いた推計が統計的に最も精度の高い結果になりました。
 このため、一九九二年度から二〇一九年度までの二十八年間の実績を採用しております。

○岩永委員 今後とも水道需要を適宜適切に見通すとのことですが、予測の見直し時期や方法について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水道需要は、人口動態やライフスタイル、社会経済状況、気候変動等、様々な要因により変動するため、今後とも、こうした要因の動向を注視しつつ、適宜適切に見通してまいります。

○岩永委員 次に、浄水場などの水道施設について、更新に合わせてダウンサイジングするとしていますが、ダウンサイジングの進め方について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 浄水場の施設能力は、水道需要の動向、浄水場の補修や事故に伴う施設能力の低下などを考慮し、適切な規模で設定しております。

○岩永委員 水需要予測は、ダムなど水源開発や施設整備規模の基になるため、生活者ネットワークとしても、かねてから課題が多過ぎるということを指摘してきたところです。
 都は、水需要予測を、長らく一日最大配水量六百万立方メートルとしてきましたが、ようやく五百三十万立方メートルに下げました。しかし、ここ十年の実績を見ると、一番多かった二〇一三年度でも四百七十三万立方メートルであり、昨年度は四百五十二万立方メートルです。一日最大配水量を求める計算式の中でも、推計値を大きく左右する負荷率は、どんな数字を使うかが問題になります。
 都のマスタープランでは二十八年間の最低値を採用しておりますが、過大に見積もる国の資料でさえ、東京都では二十年間、他県では十年間のデータを推計に使っています。今回の予測値もまた過大であり、今後の見直しに当たっては期間の見直しが必要と考えます。
 また、確保する施設能力も六百八十万立方メートルから六百六十万立方メートルに減らし、ダウンサイジングを掲げました。大規模浄水場の更新を機に実施するダウンサイジングは当然と思いますが、これまでどおりの大規模集約型施設ばかりで行くのかが問われます。
 検討は緒に就いたばかりであり、長期的な展望を持って、規模も具体策も今後検討していくことになると思います。災害時を想定して、リスク分散の観点からも、大規模集約型から地域分散型に転換していくような検討を要望します。
 続きまして、東京の水源について伺います。
 都は、東京の保有水源は日量六百八十万立方メートルで、そのうち、利根川、荒川水系が八〇%、多摩川水系が一七%としています。
 都が有している多摩川水系の水源量は日量どれだけか伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 都が保有している多摩川水系の水源量は、一日当たり約百十五万立方メートルでございます。

○岩永委員 二〇二一年度の利根川、荒川水系と多摩川水系、その他について、各取水量の実績を伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 令和三年度における一日当たりの平均取水量は、利根川、荒川水系が約三百十六万立方メートル、多摩川水系が約八十万立方メートル、その他の相模川水系が約二十二万立方メートルでございます。

○岩永委員 各水系の取水量をどのように決めているのか伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水系ごとの取水量は、浄水場や給水所の運転状況、河川の原水水質、ダムの貯水状況等を踏まえて、浄水場ごとに送水量を配分した上で日々決定してございます。

○岩永委員 多摩川の上流にある小河内ダムは、アオコの発生など水質悪化が起こっています。その原因と対策について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 小河内貯水池における水質悪化は、貯水池に窒素やリン等の栄養分が流入して発生するアオコがカビ臭原因物質を排出することにより生じ、水道水のカビ臭のもとになっております。
 当局では、対策として、貯水池上流域の町や村への下水道整備等に対する支援や、貯水池において、上流からの流れを遮断するフェンスの設置など、アオコ拡散防止対策を実施しており、近年、水道原水への大きな影響は見られておりません。

○岩永委員 各水系の取水について伺いましたが、都営水道は原水連絡管など水道管のネットワークにより融通できる体制をつくっています。多摩川の水質はこれまでよいといわれていました。小河内ダムの水質悪化は、多摩川の原水に影響するので対策は重要です。現在改善しているとのことなのでよかったですが、今後とも水質管理を求めます。
 次に、水道水源林の管理、保全について伺います。
 COP27が、ちょうど今、十一月六日から十一月十八日までエジプトで開催しており、知事も参加をされています。
 会議に先立って、条約事務局などがまとめた報告書によりますと、各国の今の対策だけでは二〇三〇年の温室効果ガス排出量は二〇一〇年より一〇・六%多くなり、今世紀末には産業革命前からの気温上昇が約二・五度になるおそれがあるということです。
 水の安全保障など、気候危機がもたらす深刻な水不足についても議論が行われておりますが、専門家の間では、既に豪雨や干ばつの増加といった影響が出ているとの指摘もあり、気温上昇を一・五度に抑えるとしたパリ協定の達成に向け、対策強化が欠かせない状況です。
 日本においても、気候変動の影響で、積雪量や降雨量の減少に加えて、猛暑や豪雨、台風の大型化などの自然災害が頻発しており、森林の土砂崩れや林道の崩壊などの被害が今後さらに広がるのではと懸念されています。水源を守ることはもちろんのこと、森林によるCO2の削減という視点からも、水道水源林の管理、保全は重要な気候危機対策です。
 そして、近年、森林を取り巻く環境は持続可能な開発目標、SDGsの実現に向けた取組や気候変動への適応、地球温暖化対策の推進に加えて、森林経営管理制度の開始など、大きく変化をしています。
 こうした変化に対応していくために、東京都では、みんなでつくる水源の森実施計画に続く計画、みんなでつくる水源の森実施計画二〇二一を昨年策定し、民有林の積極的な購入や多様な主体と連携した森づくりの取組に内容を充実強化するとともに、多くの都民や企業など、様々な主体との連携による水源の森づくりを進めています。
 水源林の管理、保全においても、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた長期的な展望が必要です。
 そこで、みんなでつくる水源の森実施計画二〇二一の取組についてお聞きします。
 まず、気候変動の影響や鹿の食害による水源の涵養機能の低下が心配されます。現状と対応を伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 近年、集中豪雨等による自然災害が発生しており、多摩川上流域の森林にも土砂崩れや林道の崩壊などの被害が確認されております。
 このため、被害を受けた箇所の復旧を図るとともに、豪雨による土砂の流出や斜面の崩壊が懸念される箇所において、堰堤や防護柵などの治山工事等を実施しております。
 また、鹿による樹木や下草の食害が発生しており、被害の状況に応じて、鹿侵入防止柵の設置や管理捕獲等を実施してございます。

○岩永委員 鹿の食害により樹木が枯れて土砂が流出して貴重な水源を守る森林の働きの低下も危惧されています。地元自治体や猟友会と連携して管理捕獲を行っていますが、狩猟や捕獲された鹿を、廃棄することなく食肉として有効活用するジビエ料理など、鹿肉は奥多摩の名産ともなっています。まちおこしなど地域とも連携した取組を要望します。
 また、鹿の食害は、森林生態系や農林業への影響も懸念されています。鹿の侵入を防ぐ防止柵も設置されているということですが、ワサビ田のほか、高山植物など貴重な植物がたくさん生息している地域です。生物多様性を守る取組をお願いいたします。
 続いて、市民と共に進める森づくりについてお尋ねします。
 市民が水源林に触れる機会やボランティア活動などの取組を伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、森と水の関わりや水源地保全の大切さをPRするため、水源林ツアー等を実施しております。
 また、所有者から同意をいただいた民有林を対象として、森林を保全するボランティア活動を多摩川水源森林隊により実施してございます。

○岩永委員 水源林ツアーや多摩川水源森林隊によるボランティアなど、様々な取組が行われています。森林隊の活動は、二〇二一年度から毎年千五百人の参加を受け入れる計画となっています。多くの人の参加で、東京の森を育てる豊かな水を守る取組を広げていただきたいと思います。
 豊かな自然環境を次世代に引き継ぐためにも、子供たちの環境学習をはじめ、水源林を通して人が森や水と触れ合える取組が広がることを期待しています。
 また、東京水道水の源である水源林を都民が身近に感じて応援する寄附金の仕組みができました。東京水道水源林寄附金の現状と今後について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、より多くの方々に水源の森づくりに参加していただけるよう、平成三十年三月から、東京水道水源林寄附金の募集を開始しました。
 令和三年度までの四年間で約一千万円の寄附が集まり、水道水源林の保全作業の一部として活用しております。
 今後とも引き続き寄附金の募集を行ってまいります。

○岩永委員 開始から四年間で約一千万円の寄附があったとのことです。
 水源林の保全は、水を守るだけではなく、森づくりを広く市民と共に進めることができる仕組みです。一口千円ということで手軽に取り組める活動です。都内の市区町村とも連携をして、広く都民に伝わるように、積極的なPRを要望いたします。
 また、多くの人が水源林に足を運んで散策をしたり保全活動などに参加するために欠かせないのがトイレです。し尿を微生物の働きで分解する環境配慮型のトイレ、いわゆるバイオトイレが整備されていますが、この環境配慮型のトイレの整備状況について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水源地の環境保全と登山客の利便性向上のため、トイレを三か所整備し維持管理しており、それらは全て環境配慮型のバイオトイレとなっております。
 そのうち山梨県甲州市の笠取山周辺の水源地ふれあいのみち水干ゾーンにある二か所については、登山客が増加したことに伴い、処理能力を強化するため、現在、改修工事を実施してございます。

○岩永委員 今ある三つのバイオトイレのうち二つを改修工事しているということです。
 今後、水源森林隊の活動人数を毎年千五百人まで増やして受け入れるという目標も示されているところです。森林での活動にトイレは欠かせません。多くの人に水源林に訪れていただくために、環境に配慮した、このようなバイオトイレの増設を検討することを要望いたします。
 次に、間伐材について伺います。
 森林管理の中で、間伐材はどのように活用されているのでしょうか。間伐材の利用状況と今後の取組について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水道水源林の育成過程で発生する間伐材を、斜面に横置きし、森林内の土砂の流出防止を図っております。
 そのほか、森林管理に必要な歩道の桟橋や木柵などの材料としても活用してございます。
 今後とも、間伐材の有効活用を継続して実施してまいります。

○岩永委員 間伐材を切った後に、切り出しはせずにその場で活用しているということでした。林道が整備されていないので搬出が難しい事情などもお聞きしておりますが、分割して運び出すなど、工夫できることもあるのかなと思います。
 水源林寄附金の寄附をしますと、金額に応じて木製のグッズがいただけるようになっています。水源林のPRにもなり、とてもよい取組だと思いましたので、このような間伐材を使った木製品を水源林のPRにも積極的に使うことを要望します。
 続きまして、玉川上水の管理保全について伺います。
 玉川上水の整備計画が始まって十三年がたちます。多摩地域を象徴する自然豊かな緑の景観軸として長年地域住民に愛されてきた玉川上水ですが、整備の過程で樹木を切り続けた影響があちこちで出てきており、今後もさらに広がる可能性が心配されています。
 三鷹市にある松影橋の上流では、のり面の表層浸食と表層崩壊、いわゆる地滑りが起きており、大変危険な状況です。松影橋上流ののり面部の亀裂について、現状と今後の対応を伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 松影橋上流ののり面につきましては、亀裂やくぼみが断続的に約三十メートルにわたり確認されました。こうした亀裂部等に多量の雨水が浸入すると、のり面の崩壊や水路への土砂流出等につながるおそれがあります。
 このため、当局では、雨水が浸入しないよう、当該のり面をブルーシートで覆う応急対策を実施しました。
 また、日々現地を巡回点検しているほか、のり面補修の実施に向け、現在、工法の検討等を行ってございます。

○岩永委員 また、松影橋の少し下流で、同じく三鷹市にある宮下橋下流の緑道においても亀裂があります。現状と今後の対応について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 宮下橋下流の緑道部につきましても、緑道脇の立入防止柵付近に約六メートルの亀裂が確認されました。
 このため、緑道管理者にて歩行者への注意喚起対策を講じたほか、当局において日々巡回点検を実施しております。
 この亀裂についても、松影橋上流と同様に、のり面への影響が懸念されますことから、緑道部ののり面と一体的な対策に向け、現在、緑道管理者と協議を進めてございます。

○岩永委員 今回、これらの状況について、市民への説明はどのように行うのか伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 工事の実施に当たりましては、具体的な工法や工程等が確定次第、三鷹市及び緑道管理者と情報共有し、事前に周辺住民等に周知してまいります。
 なお、先月、玉川上水の別ののり面保護工事に関する住民説明会で、松影橋付近ののり面について質問を受け、今後対策を予定している旨を回答しております。

○岩永委員 また、玉川上水一帯について、市民への説明はどのようにされているのか伺います。

○西川経理部長 当局におきましては、毎年度、地元自治体と連携して住民等への作業説明会を地域ごとに開催しておりまして、のり面補修等の計画や実績等についてご説明をいたしております。

○岩永委員 のり面に一本木があるだけで、葉が雨を受けて、根が雨水を給水して、また、下草や落ち葉が地表を覆うことで雨が直接地表に当たらなくなるために、地表の土が流れ落ちるのを防ぐ効果があるそうです。また、ブルーシートでの対応をされておりますが、亀裂部分に逆に雨水が流れ込んでしまうことで、かえって状況を悪化させてしまうのではないかという市民からの意見もいただきました。
 今後の整備につきましては、市民の声を聞きながら、早急に進めていただくことを要望します。
 そして、今後、整備を進めるに当たっては、玉川上水に関わる部署が連携をして、横断的に取り組まなければならない問題と考えますが、見解を伺います。

○西川経理部長 玉川上水の整備に当たりましては、玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会などを活用し、地域の方々からの要望について意見交換を行うなど、関係各局や地元自治体と連携し、引き続き適切な維持管理に努めてまいります。

○岩永委員 関係各局や地元自治体との連携なしには解決できない問題だと思います。非常に危険な状態でもありますし、早急な対応が必要ですが、同時に、根本的な整備の在り方についても考えていかなければならない問題です。ぜひ、早急に進めていただくように要望をいたします。
 続きまして、多摩地域の水源井戸について伺います。
 多摩地域では、地下水を水道水源として使っていますが、揚水量が減少しています。二十三市が都営水道に一元化した二〇〇二年は、統合市町で一日平均二十七・二万立方メートルくみ上げていましたが、二〇一〇年には二十二・五万立方メートル、二〇一五年は十九・三万立方メートルとなっています。
 そこで、水源井戸の一日当たりの揚水量について、近年、五年間の実績を伺います。

○橋本技術調整担当部長 多摩地区統合二十六市町における水源井戸からの地下水の一日平均揚水量は、平成二十九年度は約十五万五千立方メートル、三十年度は約十四万二千立方メートル、令和元年度は約十二万二千立方メートル、二年度は約十万八千立方メートル、三年度は約八万七千立方メートルでございます。

○岩永委員 これまでの減少の原因をどのように捉えているのか伺います。

○橋本技術調整担当部長 地下水揚水量の減少は、水質の悪化、水位の低下などの影響のほか、施設の補修や更新等による施設停止など、様々な要因によるものと認識しております。

○岩永委員 水道局はこれまで、水源井戸の修理や掘り替えを進めてきましたが、くみ上げる地下水量は減少しています。
 さらに、ここ数年、有機フッ素化合物の検出によって取水を止めた井戸が増えています。二〇一九年から、PFOS、PFOA汚染による取水停止井戸を時系列でお示しください。

○橋本技術調整担当部長 有機フッ素化合物の検出により取水を停止した水源井戸の数は、令和元年度は十六本、二年度は十二本、三年度は六本の計三十四本でございます。

○岩永委員 以前は年間七本程度井戸の掘り替えを実施し、修理についても行っていました。
 停止井戸が増えている今、修理、掘り替え計画はどのようになっているのか伺います。

○橋本技術調整担当部長 現在、多摩地区における水源井戸には、水質悪化や老朽化などにより休止や一時停止しているものがございます。
 水質悪化により休止や一時停止している井戸につきましては、その原因である汚染物質除去の可否や、除去設備の設置に要する費用対効果等を検証し、井戸の再開や統廃合を検討してまいります。
 また、老朽化などにより停止している井戸につきましては、老朽化の度合いを踏まえ、維持補修の観点などから検証を行った上で、単独での掘り替えや複数の小規模井戸を統合した掘り替えなどの可否について検討してまいります。

○岩永委員 多摩地域は地下水が豊かで、地場産業で使われるほか、水道水源としても長らく使用しています。揚水量が著しく低下していることには驚きを禁じ得ません。
 今後も地下水を飲み続けていきたいと考えていますが、近年の有機フッ素化合物汚染は非常に心配です。地下水汚染は回復しにくく、放っておいてくみ上げないと汚染が下流に広がるなど、対応が難しい課題です。除去方法確立に向けた研究を進めていただきたいと思います。
 次に、水を大切にする取組について伺います。
 おいしくて安全な水を飲み続けるために、水道水源の水質も大切です。
 生活者ネットワークでは、合成洗剤などに含まれる界面活性剤が生活排水として自然界に流れ出ることで、水質への影響が懸念されることを長年指摘してきました。
 全国でも、石けん運動を推進する団体が、七月をシャボン玉月間に指定し、合成洗剤から石けんへの切替えを進めています。そして、全国の自治体へ働きかけを行っており、都内でも毎年、市区町村への要望を行っています。
 そこで、水道原水の水質について、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤など、界面活性剤の現状を伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 主に、合成洗剤の成分として使用される陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤は、浄水場の原水においてまれに検出されております。
 原水における基準値はないものの、原水で検出される濃度は、水道水の水質基準と照らし合わせても基準値未満のごく微量なものであり、浄水処理により完全に除去されております。

○岩永委員 また、貴重な資源を大切に使っていくことが必要です。
 節水や雨水の活用とともに、漏水対策、特に水道管の損傷による漏水を防ぐ対策と、漏水が起こった際の速やかな対応が大切です。
 そこで、水道の漏水率の推移と漏水防止対策について伺います。

○石田給水部長 当局ではこれまでも、漏水を未然に防ぐ対策を行っており、水道管の計画的な取り替えなどを積極的に推進しております。
 地上に流出した漏水は、お客様等からの通報を受け、二十四時間体制で対応しており、地下に潜む漏水については夜間に漏水調査を実施するなど、その発見と修理に努めているところでございます。
 これらの取組によりまして、東京都の漏水率は、平成四年度に一〇・二%と二桁台でありましたが、翌五年度には九・九%となり、平成十八年度以降は三%程度で推移、令和三年度は三・五%でした。
 引き続き、貴重な水資源の有効活用や、道路陥没などの二次災害防止のため、漏水防止対策を推進してまいります。

○岩永委員 水道局の管理部分は、計画的な更新など維持管理が行われているとのことですが、問題は、民有地などの水道局の管理ではない部分の水道管が老朽化などで損傷する場合の対策です。
 例えば、特に所有権が複数にわたる場合などは、所有者の確認や合意形成も含めて、時間がかかり速やかな対策が取りにくい事例もお聞きしています。漏水の未然防止の視点からも対策が必要と考え、水道局での対策について検討を要望いたします。
 次に、障害者雇用の状況について伺います。
 昨年も確認させていただきましたが、推移も含めて、引き続き確認させていただきます。
 まず、水道局と政策連携団体の障害者雇用割合を伺います。

○長嶺職員部長 令和三年六月一日時点の当局の障害者雇用率は二・九九%、政策連携団体である東京水道株式会社の障害者雇用率は二・二一%です。

○岩永委員 次に、女性職員比率についても伺います。
 水道局と政策連携団体の女性職員割合と女性管理職割合を伺います。

○長嶺職員部長 令和四年八月一日現在、他団体への退職派遣者を含む水道局職員に占める女性の割合は一九・九%、水道局の管理職に占める女性の割合は七・四%です。
 また、東京水道株式会社の固有社員に占める女性の割合は二五・九%、同社の管理職に占める女性の割合は七・〇%です。

○岩永委員 昨年と比較しますと、水道局の障害者雇用の方は二・九八%から二・九九%、東京水道株式会社は二・四一%から二・二一%と、ほぼ同程度です。
 また、女性職員の割合については、水道局が一九・〇%から一九・九%、東京水道株式会社では二六・五%から二五・九%と、こちらも女性職員の割合は増えておりません。
 コロナ禍でテレワークが普及して、リモートワークの環境も整ってきています。様々な事情があっても働くことのできる多様な働き方や職場環境づくりは、それぞれの職場の取組が求められていくのだと思います。水道局としても、増やしていけるよう、さらなる努力を要望いたします。
 公営企業は、市民の暮らしに直結する事業です。女性が働きやすい環境、障害者が働きやすい環境は誰にとっても働きやすいという環境です。そのような職場の環境づくりを求めて、質問を終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十二分休憩

   午後五時四十分開議
○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○田村委員 私は、水源林について伺います。
 我が党は従来より、水道水源林を適正に保全する重要性を繰り返し主張してきました。また、東京都も百二十年以上にわたり管理をしてきました。
 まず、その水道水源林の現在の管理規模について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、安定した河川流量の確保と小河内貯水池の保全のため、現在、多摩川上流域の五割に当たる約二万五千ヘクタールを水道水源林として管理してございます。この面積は、国内の水道事業体が管理する森林としては最大の規模となっております。
 なお、水道水源林の管理は、森林の生育状況などを踏まえ、十年ごとに管理計画を策定しており、現在は、第十一次水道水源林管理計画に基づき実施してございます。

○田村委員 水道局による計画的な管理により、都民の貴重な水と緑が確保されていることが分かりました。
 次に、水道水源林の効果について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 適切に管理された水道水源林は、主に三つの機能を有しております。
 まず、水を土壌の中に蓄えることにより、洪水や渇水を防ぐ水源涵養機能。次に、樹木の根が山の土をしっかりと押さえることにより土壌の浸食や山崩れを防ぐ土砂流出防止機能。さらに、水が土の中を浸透する間に不純物を取り除く水質浄化機能でございます。
 これらの機能により、流入河川や小河内貯水池の保全に効果を発揮しております。
 また、水道水源林の樹木が光合成により二酸化炭素を吸収することから、地球温暖化の緩和にも貢献してございます。

○田村委員 水道水源林は、良質な水道水源を安定的に確保していく上で欠かせません。
 森林には、人の手が加わっていない天然林や苗木を植栽して育成した人工林がありますが、全国的には、手入れが行き届かない人工林の荒廃により、降った雨がすぐ流れてしまうなど、森林の持つ機能が低下しているという話を聞きます。
 そこで、都が保有する天然林と人工林の内訳について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水道水源林は、ブナ、ミズナラなどを主体とする自然のままの天然林が約七割を占めており、一方で、カラマツ、ヒノキなど、寒い環境に適した樹木を植林した人工林が約三割となっております。
 当局が保有する人工林の多くは、多摩川上流域の荒廃した山々に植林した森林であり、現在、適切に管理を行ってございます。

○田村委員 良好な森林を維持するためには、森林の種類や状態、立地を踏まえた異なる管理の方法が必要です。
 そこで、具体的にどのように管理しているのか伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 天然林は、原則として間伐等の手入れは行わず、自然の推移に委ねた森林として保全をしております。
 また、人工林につきましては、立地条件などにより二つのタイプに分けて管理、育成しております。
 地形や地質の条件が悪く、伐採した木の搬出が難しい人工林は、間伐や枝打ちを行い、生じた空間に広葉樹の自生を促すことにより天然林に近い森林に誘導しております。
 一方で、近くに道路があるなど搬出に適している一部の人工林につきましては、成長のよい木を一定量残して伐採し、新たな苗木を植栽することにより世代交代を図っております。

○田村委員 間伐や枝打ちにより森林内を明るくし、草木の成長を促進するほか、常に樹木が生育している状況を保つよう森林を更新することにより、保水力の高い良好な土壌が形成されます。
 天然林、人工林、それぞれ管理の仕方は違いますが、引き続き安定した森林を目指していくことが重要です。また、ここまで手をかけた水源林の持つ効果をしっかりと検証し、水源林の管理に生かしていくことが重要だと考えます。
 そこで、今後の水道水源林の保全管理の進め方について伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水道水源林の持つ様々な機能の一層の向上を図るため、間伐や下草刈りなどの保全作業を年間約六百ヘクタール実施するとともに、作業用歩道の整備や局地的な豪雨などにより被害が生じた崩壊地の復旧に取り組んでおります。
 また、鹿や熊の獣害や昆虫が媒介する病気による森林被害を防止するため、関係機関と連携しながら管理捕獲や害虫の特定調査などを実施してございます。
 今後、これらの取組を積極的に推進するとともに、水道水源林の持つ機能の評価方法等についても検討してまいります。
 将来にわたって多摩川上流域における水道水源林の育成や管理を着実に行い、水を育む豊かな森を守り、次世代に継承してまいります。

○田村委員 水源林の持つ機能の評価方法等についても検討していくとのことですが、評価をした結果に対する原因の分析も必要です。特に、目に見えない土の中、土壌がどのように三つの機能に影響しているのかの分析が重要だと思います。その結果は、水源林のみでなく、他の東京の森林の育成に必ず参考になり、東京の森林の将来展望、東京フォレストビジョンを実現させる大きな武器になると思います。
 次に、外堀事業について伺います。
 先日、都市整備局より、外濠浄化プロジェクトに関して関係区市との連絡会設置との説明がありました。
 外堀の水質浄化を目的としたこのプロジェクトについて、都は、五月に基本計画を公表しました。その基本計画を踏まえ人々が憩う外堀の水辺再生を進めると聞いています。このプロジェクトには、都市整備局のほか関係局として水道局も参画しているとのことです。
 まず、このプロジェクト実施に関する水道局の役割について伺います。

○山田事業調整担当部長 外濠浄化プロジェクトは、「未来の東京」戦略バージョンアップ二〇二二に掲げられている水と緑あふれる東京戦略を具体化するための推進プロジェクトの一つであります。本年五月には、外堀浄化について具体的に取り組んでいくため、外濠浄化に向けた基本計画を都市整備局が取りまとめ公表したところでございます。
 当局では、この基本計画における庁内役割分担に基づき、外堀への導水に必要な施設整備に関する設計や施工等を担当しております。

○田村委員 外濠浄化プロジェクトは、二〇三〇年代半ばに施設整備が完了するとのことですが、大規模なプロジェクトであるがゆえに事業に対する地元理解も必要です。そういう意味で、玉川上水沿川の区市との連絡会設置は非常に有意義と考えます。
 そこで、この連絡会の目的及び水道局の関わり方について伺います。

○山田事業調整担当部長 外濠・玉川上水沿川区市連絡会は、外濠浄化プロジェクトについて、地域の状況を踏まえた一体的な事業の推進を図ることを目的として設置されたものであります。
 当局も、外濠浄化プロジェクトの庁内関係局としてこの連絡会のメンバーとなっております。先月末には、関係局及び沿川十七区市の参加の下、第一回目の連絡会が開催され、都市整備局よりプロジェクトに関する取組状況について説明が行われたところであります。
 引き続き、この連絡会を通じて、沿川区市と情報共有しながら、庁内関係局と連携して施設整備に取り組んでまいります。

○田村委員 今後、事業を進めていく中で様々な課題や要望が出てくるものと思われます。都と玉川上水の沿川区市が情報共有する場として今後も密な連携をお願いします。
 また、玉川上水は、江戸時代から市民の生活を支えてきました。そういう意味では、現在の東京という都市の形成にも大きな影響を与えてきました。また、現在でも、都民の水道水として利用され、大きな歴史的な意味を持ちます。観光資源など地域の活性化のポテンシャルもあります。
 今後も、玉川上水の様々な活用を検討していただくことをお願いして、私の質問を終わります。

○森村委員 私からも、都の水源林について伺います。
 水道局は、多摩川上流域にある約二万五千ヘクタールに及ぶ広大な水源林を管理しています。集水域は、小河内ダムの位置する奥多摩町のほか、山梨県の丹波山村、小菅村、甲州市の四市町村にまたがります。
 このエリアの中で、都が管理する水源林のほかに同じくらいの広さの民有林がありまして、中には十分に管理ができていない森林もあります。水源の涵養など森林が持つ機能を維持向上していくためには適切な手入れをする必要があり、水道局は、水源地保全のため民有林の購入に取り組んできました。
 そこで、まず初めに、民有林の購入目的や効果について、改めてお伺いします。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 多摩川上流域の民有林は、長期にわたる林業の不振などにより整備が行き届いていない森林が多く、水源涵養機能等の低下が懸念されております。
 このため、当局では、平成二十二年度から、手入れができず所有者が手放す意向のある民有林について、公募により購入を進めてございます。
 さらに、平成二十九年度からは、小河内貯水池への影響が懸念される約二千ヘクタールを民有林重点購入地域と位置づけ、所有者に対して積極的に売却を働きかけております。
 購入後は、当局が主体的に管理を行えるようになり、水道水源林として良好な森林へ再生することが可能となります。

○森村委員 民有林購入の意義を改めて確認させていただきました。
 都民の貴重な水がめである小河内ダムは、竣工から数えれば既に六十年以上が経過していますけれども、今後、長期にわたり利用し続ける必要があります。そのためにも、土砂の流入などを防ぐ水源林の役割は重要で、とりわけ温暖化の進展により土砂災害が各地で頻発している今日の状況を踏まえれば、貯水池周辺の重点購入地域について可能な限りスピーディーに購入を進め、水道局が適切に手入れを行っていく必要があると考えます。
 これまでの重点購入地域での購入実績と購入後の取組についてお伺いします。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 地形が急峻であり、土砂の流出等により小河内貯水池への影響が懸念される重点購入地域は、当局が管理し、適切に保全していくことが重要と考えます。
 このため、重点購入地域において、平成二十九年度から令和三年度までの累計で約九百七十ヘクタールの民有林を購入しております。
 購入後は、森林の状況を詳細に調査し、必要に応じて作業用の歩道を整備するとともに、間伐や枝打ちなどの保全作業を実施してございます。

○森村委員 着実に購入が進んでおり、購入後も適切に手入れを行っているということが分かりました。
 民有林の購入は、先祖代々の土地所有者など地権者の方々の理解を得ながら進めていく必要がありますため丁寧なプロセスが必要となります。
 重点購入地域の民有林所有者の意向をどのように確認しているのか伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 当局では、重点購入地域の中でも小河内貯水池への影響が大きいと想定される地域から、順次、所有者を登記簿で確認し、アンケートを郵送しております。
 このアンケートでは、約八百人の所有者全てに対し、水源地保全に向けた取組を説明するとともに、売却意向の調査を行ってございます。このうち、回答があった約三百人と交渉した結果、多くの所有者から購入の合意を得ております。
 一方で、住所の相違等によりアンケートが届かない方や回答がない方など、売却意向を確認できないケースが多数生じております。

○森村委員 三百人の方々との交渉を進めているというお話ですが、アンケートが届かない方や回答のない方といった、まだ交渉できていない方も約五百人いらっしゃるということです。
 重点購入事業を着実に進めていくために、どのような取組を行っているのかお伺いします。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 売却意向の調査におきまして、アンケートが届かなかった所有者に対しましては、委託により所在等を調査し、売却の意向を確認してございます。このうち、売却を保留している方には、水源地保全の重要性など、当局による民有林購入の意義を改めて説明の上、交渉に当たっております。
 アンケートが届いても回答がない方に対しては、再度郵送を行うとともに、必要に応じて直接訪問するなど、購入に向けた働きかけを実施してございます。

○森村委員 今後も、所有者へ、民有林購入事業の意義、これを十分に説明し、残りのエリアの購入をぜひとも進めていっていただきたいと思います。
 また、他県の土地を水源林として購入していくという事業の性質上、そもそもの水源林保全の意義や重要性については広く都民にも知ってもらうことが大切だと考えております。
 水源林保全の重要性について、都民にどのようにPRしているのか伺います。

○佐藤浄水部長特命担当部長兼務 水道水源林は、水源涵養や土砂流出防止等の機能を持ち、多摩川の安定した河川流量の確保や小河内貯水池の保全に重要な役割を果たしております。
 こうした水道水源林について、より多くの方々に理解を深めていただくため、特設サイト、みずふるの開設や現地での自然体験を提供する水源林ツアーの開催など、様々な手法でPRを実施してございます。
 また、水道水源林や小河内貯水池のPR施設である奥多摩水と緑のふれあい館について、最新のデジタル技術を活用してリニューアルすることとしており、今年度、展示内容の企画コンペを実施いたします。
 今後とも、水道水源林保全の重要性について、様々な機会を捉え、より多くの方々に分かりやすくPRしてまいります。

○森村委員 地権者の方々や都民の皆さんのご理解を得ていくためにも、引き続き様々な機会を通じて水源林保全の重要性をしっかりとPRしていただきたいと考えますが、そのためにも、例えば、全国的に知名度の高い小池知事の発信力を積極的に生かすことを検討するなど、これまでにない工夫をしていただけるとよろしいのではないかなと思います。例えば、知事にも、改めて現地をご確認いただくことなどを通じて生じるPR効果などもあると思いますので、ぜひ検討してみてください。
 次に、政策連携団体について伺いたいと思います。
 水道法の改正によりまして、老朽化や財政基盤の脆弱さ、人口減少などによって経営が困難な水道事業体が検討し得る選択肢が広がったと理解をしております。
 私は、都が経営に課題のある都外の自治体等から水道事業を受託して事業規模を大きくしていく価値があると思っております。
 他国の事例を見れば、水道の民営化によって、例えば、料金が上がったにもかかわらず水質が悪くなった等々の課題が指摘されていたり、あるいは再度公営に戻すような事例もあるかとは思うんですけれども、こうした水道事業を他の自治体に任せるということについては、その地域住民の方々の不安、これは付き物だと思います。
 しかしながら、東京都の水道事業に関しては、極めて安定的、そして、水質のいい水道水を提供し続けているというところがありますので、むしろ、こうした取組は多くの利用者に安心感を与えるものにつながるのではないかと考えています。また、スケールメリットも出せると思いますし、事業が円滑に運営できればですけれども、ひいては稼ぐ東京の取組にもつながり、都民益にもかなうのではないでしょうか。
 そして、実際に現場を回しているのは、政策連携団体である東京水道株式会社でありますが、こちらは民間の事業者という位置づけになりますし、自由度が高いことから、積極的かつ機動的に動くことができるのではないかと思っております。
 令和二年の事務事業質疑におきまして我が会派で、それまでの国内水道事業体への支援実績を確認させていただきましたが、それから二年が経過しております。
 改めてお伺いしたいと思いますが、東京水道株式会社が国内水道事業体に対してこれまで実施してきた支援の具体的な内容と、そして、成果についてお伺いします。

○高畠経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、営業系業務と技術系業務のノウハウを持つ強みを生かして、経営に課題を抱える水道事業体のニーズに応じた支援を行っております。
 具体的には、水道料金徴収などの営業系業務や上下水道料金システムの構築、保守、運用などのIT系業務を秋田市、松阪市などから受託をしております。また、漏水調査業務や給水装置工事技術支援等のコンサルティング業務などの技術系業務を幸手市、流山市などから受託しております。
 こうした取組によりまして、当該事業体の課題解決に貢献をしております。

○森村委員 ありがとうございます。実績が積み上がっているということが確認できました。
 収益を上げながらこれだけ高水準の水道水を安定供給しているというノウハウ、これをもっと活用して横展開していくとよろしいのではないかと思います。
 東京水道株式会社による他の国内事業体への貢献の今後の在り方についてお伺いいたします。

○高畠経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、令和三年四月に中期経営計画二〇二一を策定し、自主事業に必要な要員を確保、育成し、水道トータルサービス会社ならではの力を発揮することで、国内外水道事業体の事業運営に持続的に貢献していくことを掲げております。
 今後も同社では、新規受託案件の獲得と採算性などリスク回避の両立を図りながら、これまで培ってきた技術力などの強みを生かし、国内水道事業体の事業運営に貢献していくこととしております。

○森村委員 採算性などリスク回避の両立というお話がありましたけど、それ非常に重要なので、何でも引き受ければいいというものではないとは思います。
 東京水道株式会社におきまして、中期経営計画に基づいた事業運営ができているということで、ひとまず安心しております。
 一方で、東京の水道技術については、世界にも誇れるものでありますため、国内だけではなくて、海外事業体への事業展開についても重要であると考えております。
 東京水道株式会社による海外水道事業における現状と課題について伺います。

○高畠経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、採算性を考慮しつつ、当局と連携し、海外水道事業体の経営基盤の強化や業務の支援を行っております。
 同社は、これまで培ってきた技術力などの強みを生かし、無収水対策などにおいて、インドやケニアなど途上国の水道事情の改善に協力をしてまいりました。
 新型コロナウイルスの感染拡大により現地への派遣が困難な状況が生じておりますが、同社では、経営に関する助言や技術指導などにおいて、リモートでの対応も行いながら、引き続き東京水道グループの一員として、海外の水道事業体に貢献していくこととしております。

○森村委員 コロナ禍であるにもかかわらず、既に海外においても事業展開をしっかり行っているということが確認できました。
 いわゆる途上国の大都市は、急激な人口増加とか、あるいは経済発展によって、水不足とか水質の汚染とか、あるいは低下とかというものが結構発生しているというふうに聞いております。東京も、高度経済成長期を通じて、恐らく同じような問題に直面して、またそれを乗り越えてきた、解決してきたという一つの実績、歴史があるんじゃないかと思います。ぜひ、こうしたノウハウを活用して、アフターコロナに向けても引き続き経営基盤の強化につなげていってもらいたいと考えます。
 次に、多摩地区における施設整備について伺います。
 現在、水道局では、東京水道施設整備マスタープランに基づきまして施設整備を実施しています。今年の一定の公営企業委員会の質疑で、多摩地区水道の強靱化に向けた水道施設の整備を計画的かつ着実に進めること、これを要望させていただきました。
 私の地元の青梅市におきまして、市営水道時代に整備をされた千ヶ瀬浄水所の更新工事が進められており、今年の四月に、私も現地を視察させてもらいました。
 千ヶ瀬の浄水所につきまして、改めて整備の目的と現在の進捗状況について伺います。

○鈴木施設部長 千ヶ瀬浄水所は、青梅市営水道時代の昭和三十年代に整備された施設であり、老朽化が進行しております。
 このため、施設の更新を行うとともに、原水水質に応じて浄水処理方法を効率的な維持管理が可能な膜ろ過処理へ変更することといたしました。
 本事業は、平成二十八年度から工事に着手し、計画どおり進捗しており、令和六年度に完成予定でございます。
 現在、膜ろ過処理を行う施設の築造がおおむね完了し、施設内部において、配管工事及び電気設備やポンプ設備などの設備工事を実施しております。
 また、浄水された水をためる池や排水処理を行う施設も併せて築造中でございます。

○森村委員 四月に拝見させていただいたときから、着実に、順調に工事が進行しているということを理解いたしました。
 この地域は、狭い道路が多くて、地元では、工事車両の通行に伴う事故、これを懸念しています。かねてより、本体工事の安全対策に加えまして、工事車両に伴う安全確保の配慮、これを要望してまいりました。
 工事車両に伴う安全確保について、具体的にどのような取組や工夫を行っているのか伺います。

○鈴木施設部長 千ヶ瀬浄水所の工事では、工事車両の通行に関して、周辺住民の安全を確保しながら円滑に施工するため、様々な対策を実施しております。
 具体的には、一日当たりの工事車両台数を最大でも五十台に制限するとともに、交通誘導員を手厚く配置し、歩行者及び一般車両優先の誘導を徹底しております。
 加えて、浄水所への搬入及び搬出ルートを別々に確保し、工事車両を一方通行とすることで周辺道路の渋滞発生を回避しております。
 さらに、近隣小中学校の登下校時間においては、工事車両の通行を可能な限り避けるなどの工夫により、通学する児童や生徒の安全を確保しております。

○森村委員 工事車両に伴う安全確保について、十分な対策が行われているということを理解いたしました。引き続き、十分な安全対策を継続していただきながら着実に整備を進めていただくようにお願いいたします。
 最後に、代替浄水場の整備についてお伺いします。
 水道局は、東村山浄水場の更新に当たりまして、先ほども質疑がありましたけれども、代替浄水場として青梅市内に新たな浄水場、これを整備するというふうな計画をしています。
 浄水場を新しく建設するような大規模施設整備は、事業期間が長期にわたることから、計画的かつ着実に事業を進めるということが重要だと申し上げてきました。
 そこで、青梅市に新設をする浄水場の整備について、進捗状況と今後の予定についてお伺いいたします。

○藤村建設部長 浄水場の更新は、工事期間中においても安定給水を確保するため、浄水場の大幅な機能低下を避けながら進めていくことが必要でございます。
 このため、二〇三〇年代から予定している東村山浄水場の更新に向け、低下する施設能力の一部を補うことを目的として青梅市内に新たに浄水場を整備いたします。
 新設浄水場の整備に向けては、令和三年度から設計に着手しており、現在、浄水処理方式を決定するための水処理実験を実施するとともに、施設の規模や配置、関連する導水管及び送水管等の整備内容を検討しております。
 今後も、具体的な整備内容のほか、費用、工程等の詳細についても検討を進めるとともに、青梅市をはじめとする関係機関と建築行為や道路占用等に関する協議を進め、着実に事業を推進してまいります。

○森村委員 詳細なご説明をいただきましてありがとうございます。現在の進捗状況は理解させていただきました。
 今後、設計が進捗すれば、新たな課題なども当然出てくるものと思われますけれども、引き続き、地元関係機関と調整しながら、着実に整備を進めていただくように求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○細田委員 私からは、大項四点にわたり質疑をいたします。
 まず、工業用水道事業の廃止に向けた取組についてです。
 工業用水は、工場の稼働に必要な水であることはもちろんのこと、集合住宅においても使用されており、都民の日常生活にも深く関わっております。
 工業用水道から上水道への切替え対象は、企業などの利用者は四百七十六件となり、私もこれまで、じかに工業用水を大量に使用している工場に赴きまして意見交換をし、お話を伺ってまいりました。
 そして、集合住宅の利用者は約三万五千件に上ると承知しています。集合住宅での利用者数は非常に多く、トイレ洗浄水として使用していることから、日常生活への影響が大きい、こういう実態があります。
 このために、都議会公明党では、集合住宅での切替えについて、これまで地域のお声を伺い、注視を続けてまいりました。集合住宅の切替え対象は江戸川区や練馬区が多いと聞いておりますが、私の地元である江東区でも、九団地で、この三万五千の利用者の約一割になる三千五百戸が切替えの対象となっていて、安心を基盤として確実に切り替えていく必要がございます。
 そこで、集合住宅における現在までの切替えの進捗状況と、また、江東区の進捗状況について質問をいたします。

○山田事業調整担当部長 工業用水道から上水道への切替えにつきましては、利用者に事業廃止についてご理解をいただきながら順次実施しております。
 集合住宅の切替えは、水道料金の差額補填や工事のための居室内への立入りなどについて居住者から同意書の提出を当局が受け、建物管理者が工事を発注し実施しております。
 令和四年九月末時点で、集合住宅の切替え対象約三万五千件のうち八八%を超える約三万一千件の切替え工事を実施しております。
 このうち、江東区におきましては、約三千五百件のうち九〇%を超える約三千二百件の切替え工事を実施したところでございます。
 切替えの同意書につきましては、居住実態のない方などを除き、ほぼ全ての居住者から取得済みでございます。

○細田委員 これまで同意書が取得できたのは居住者の方々の理解があったからだと思います。また、ほぼ全ての居住者から同意が得られている、このことは安心です。
 居住者の理解を得るために、これまで局はいかなる取組をしてきたのか説明を求めます。

○山田事業調整担当部長 切替え工事を進めるに当たり、まずは建物管理者を訪問し、事業廃止について説明するとともに、切替え工事を当局と協力して進めることについて合意形成を図りました。
 その後、居住者の代表である管理組合や自治会に対し、切替え工事の実施時期や方法のほか、切替え後の水道料金の差額補填などを説明し、居住者への周知について様々なご協力をいただいたところであります。
 その上で、居住者に対し、切替えの案内ビラや同意書を郵送やポスティングなどにより配布するとともに、繰り返し居住者を訪問し、切替えへのご理解を求めてきました。
 ご理解を得られない居住者には、改めてお伺いし、実際の使用水量を基にした差額補填の金額などを具体的に説明してまいりました。
 こうした取組が、ほぼ全ての居住者の同意につながったものと考えております。

○細田委員 分かりました。
 都議会公明党は、工業用水道のユーザーと真摯に向き合い意見交換をして、きめ細やかな支援を行うべき、このように訴えてまいりました。居住者からの同意は、水道局が丁寧に対応してきた努力の結果であり、評価したい事柄の一つであります。
 今のご答弁でも、繰り返し居住者を訪問して切替えへのご理解を求めてきた、このような言葉がありました。ぜひ、事業廃止まで残り半年を切ったところですけれども、引き続いて丁寧に対応しながら切替えを進めていくことを要望させていただきます。
 次いで、水道工事事業者の支援についてです。支援や工事発注について質問をさせていただきます。
 今年の五月に見直されました都の被害想定では、平均断水率は最大二六%に上ります。
 発災時に断水の修理に直接携わるのは工事事業者ですが、先日、協同組合東京都水道請負工事連絡会が実施しました防災訓練を視察してきました。給水管の修理時に液体窒素を用いて水を止めてから修理をする凍結工法や、給水管に差し込んで止水をするための工具の使用法の紹介が特に印象的でありました。まさに、長年蓄積してきた工具であったり、そういう物を使っておりました。
 また、私は漏水修理を初めて間近に見ましたけれども、水も滴るよい技術者というのでしょうか、よい技術者たちが、水が噴き出すような勢いのある情熱を持って、てきぱきと作業をする姿に感銘を受けて、また改めて、次代に伝承して、一千四百万人都民が安心していく、担保していく仕事だなと、このように思った次第であります。
 この訓練は、団体の主催でしたけれども、都の水道局が支援していると聞いております。非常にいい取組であります。
 団体の訓練を水道局が支援する目的や支援策の取組について水道局の答弁を求めます。

○石井総務部長 当局では、災害時における管路被害等を早期に復旧するため、協同組合東京都水道請負工事連絡会外三団体と災害時の協力に関する協定を締結しております。
 この協定の実効性を高め災害対応力を一層向上させるために、団体主催の防災訓練において応急復旧技術の維持向上等につながる取組が実施される場合に、訓練費用の一部を当局が負担する取組を、令和三年度から開始いたしました。
 今回の訓練は、配水小管や給水管の漏水修理の実技訓練が行われるなど、災害対応力の向上につながるものであったことから、当局も、費用の一部を負担するとともに訓練に参加をいたしました。
 引き続き、各団体とも連携をしながら災害対応力の維持向上を図ってまいります。

○細田委員 局も、事業者を震災復旧の担い手として考えていることを確認いたしました。評価いたします。
 いざというときに備えるには、平時の工事を通じて技術力を磨いていく、このことが必要ですけれども、給水管等の工事は、その継ぎ手の構造が年々変化し、施工の技術者は高齢化をしてきています。熟練の技術を後世に伝承しなければ都民の安心・安全を守れないという事実を鑑みたときに改善の必要があります。
 都内には、いまだ耐震化されていない管、継ぎ手化でない管、昭和時代の管が使用されています。これらが、いかなるスペック、仕様なのか、どう対応すればいいのか、その知識が必要であり、これらの工事の対応は、今後、次代を担う若手の技術者の方々が担わなければなりません。
 そのために、水道局は、現在の管だけでなくて、今使用されているこれまでの古い管を含めて、年代別、種別別の説明会や勉強会を事業者に対して定期的に開催していくべきと思いますが、局の見解を求めます。

○藤村建設部長 水道事業は、管工事を行う工事事業者に支えられており、その技術力の維持向上を支援していくことが重要でございます。
 このため、局の研修施設を活用して、水道に関する技術力の維持向上を目的に、令和元年度より、工事事業者に対して定期的に技術支援研修を実施しております。
 研修では、現在使用しているダクタイル鋳鉄管について配管技術を学べる実習のほか、施工方法や継ぎ手構造などの講習を行っております。
 今後は、過去使用していた管の特徴や布設年代などの内容を盛り込み、さらに研修を充実させ、工事事業者の技術力向上に取り組んでまいります。

○細田委員 ありがとうございます。提案を受け止めていただいて、過去使用していた管の特徴や布設年代などの内容を盛り込んで、さらに研修を充実させてくれる、工事事業者の技術力の向上に取り組んでいくということです。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほどの質疑にもありましたが、私道内の給水管の整備につきましては、給水管の耐震化が目的ということに着目すれば、大地震発生時におきましても破損や漏水の危険性が小さい強靱な管路整備に直結いたします。耐震継ぎ手化されていない配水管が多数破損した場合に、防災訓練で目の当たりにした給水管の復旧支援を担う事業者の力を配水管の復旧に振り向けるためにも、給水管の耐震化は非常に重要な事業と考えております。
 しかし、過年度に労務単価や資材単価の高騰により工事の単価が上昇して、その結果、事業量が減少したために、事業者が将来の経営の先行きに対して不安に直面したという事態がございました。
 そこで、私道内給水管整備事業の令和三年度及び令和四年度の事業費と、その事業規模について質問をいたします。

○石田給水部長 私道内給水管整備事業の工事延長は、令和三年度予算で四十四キロメートル、令和四年度予算で同じく四十四キロメートルとなっております。
 事業費は、令和三年度予算で約九十六億七千万円であり、令和四年度予算では約九十六億五千万円を計上しております。

○細田委員 様々な物価は上昇しておりますが、事業費については前年度と同程度を確保しているということで、事業者に丁寧に説明をしていただき不安を払拭してほしいと思います。
 一方、先ほどの我が党の長橋委員の質疑でもありましたが、この事業の実施に当たりましては、局と事業者が進めていても、私道であるがゆえに私道所有者の承諾が必要となりますことから、局からの発注が工事実績に結びつかないこともある、このことも承知をしております。局は、こうした困難な案件に対しましても、どうぞ課題が解決されるように主体的に今後も対応していただくことをお願いいたします。
 さらに、都の水道を支える工事事業者は、局と災害協定を締結しておりまして、発災時だけでなくて、平時から技術者や資機材の確保、技術者の育成、技術力の継承に努めていることから、局からの継続的な発注が経営の安定に必要であります。
 世界情勢の混乱による原油価格の高騰や追い打ちをかける資機材調達に困難を増す中、工事事業者は、現在、先が見通せない状況にあります。このままだと予算を確保しても仕事量が減ってしまうことが懸念されて、事業者の経営に影響を与えるとともに技術力の確保にもブレーキをかける事態になってしまいます。
 局は、事業者の経営を見通せるよう、事業の計画期間や目標を事業者に対して誠実に説明することを要望しておきます。
 そして、私道内における給水管の耐震工事について、来年度以降の予算をしっかり確保するべきと私は考えますが、局の見解を求めます。

○石田給水部長 私道内給水管整備事業につきましては、適正な水圧の確保と漏水の未然防止、そして、給水管の耐震性の向上を目的として実施しております。
 今後も、東京水道経営プラン二〇二一に掲げております主要な施設整備の私道内給水管整備事業につきまして、事業費の確保と発注の平準化に努め、目標達成に向けて着実に推進してまいります。

○細田委員 今、給水部長のご答弁では、東京水道経営プラン二〇二一に基づいて事業を継続していくことが分かりました。
 令和三年度から十年間、二〇三一年の三月末までに四百七十キロメートルの目標を達成するということ、そして、これに必要な事業費を確保するということ、また、発注量をこの十年間で平準化していくということ、このことを確認しました。すなわち、毎年四十七キロメートルを私道内給水管整備、実施を目指して取り組んでいかれると、このようなことをご答弁いただいたと思います。
 現下の物価高騰の状況でありますが、これを遂行するための事業費をしっかりと確保していただいて、漏水防止に努めていくとの表明であったと受け止めております。どうぞ局は、今後とも事業者の声に耳を傾けて、震災に強い水道管路の構築を共に推進していっていただきたいと思います。
 さて、次いで、災害対策についてであります。
 今年五月に見直されました都の被害想定では、区市町村別の断水率が示されていますが、地元江東区と共に日頃から連携して広域的に水害対策に取り組んでいる墨田区や足立区、葛飾区、江戸川区、いわゆる東部低地帯の江東五区では、水害のリスクのみならず、震災時の断水率がほかの地域に比べて高い地域でもありまして、水の確保は極めて重要であります。
 震災時に円滑に応急給水を受けられるようにするためには、給水所など局施設の給水拠点の整備、開設などを担う水道局、また、応急給水活動などを担う区市町村や地域の住民、それぞれがしっかりと役割を果たさなければなりません。
 そして、平時にできないことは災害時にはできません。発災時に円滑に応急給水を行えるように日頃から訓練を重ねておく必要があります。
 そこで、江東五区におけます応急給水訓練の実施内容について、局の答弁を求めます。

○坂井サービス推進部長 震災時に応急給水を迅速かつ確実に実施するためには、平時より応急給水を行う区や地域住民と実践的な訓練を行うことが重要でございます。
 当局では、江東五区にある給水拠点を設けた局施設、金町浄水場や江東給水所など十か所において、局職員と共に応急給水活動を担う各区の職員が、応急給水用資器材の組立てや残留塩素の検査などを行う実践的な訓練を原則年一回実施してございます。
 また、各区が主催する防災訓練などにも参加いたしまして、各区の住民に震災時、実際に水を配るために設置する仮設給水栓などから応急給水を体験してもらうなど、災害時に円滑な対応が可能となるような取組を実施してございます。
 今後も、こうした地道な訓練を積み重ねることによりまして、発災時に的確に対応できるように努めてまいります。

○細田委員 実践的な訓練が行われたことが分かりました。
 私も、地元の防災訓練やイベントでは、局の活躍を確認させていただいております。引き続き訓練を継続していただいて、災害への備えを進めていっていただきたいと思います。
 さて、災害時の応急給水活動に欠かすことができない給水車についてであります。
 令和元年の台風による奥多摩町での断水の際、水道局だけでなく埼玉県などからも給水車が派遣されました。さらに、本年九月の台風十五号でも、東京都を含む全国から給水車が静岡市に駆けつけて、断水解消まで応急給水に従事したことは記憶に新しいことであります。
 これまで都議会公明党は、給水車の増車を要請し、水道局は、令和元年度、二年度に計十六台を増車して三十台体制にされました。
 給水車三十台の配置体制や効果について、局の見解を求めます。

○石井総務部長 当局では、都内全域で迅速に応急給水活動を行うため、給水車三十台を都内十四か所に配備しております。
 具体的には、杉並区にある水道緊急隊に十台を集中して配備しているほか、増車した十六台を含め二十台を区部及び多摩地区の十三か所に分散して配備をしております。
 これにより、特に水の確保が人命に直結する病院などの現場へより迅速に駆けつけることが可能になるとともに、水道緊急隊の給水車も、より機動的に各地に出動できるようになりました。
 引き続き、こうした給水車の配置体制を生かし、災害時における迅速な応急給水活動に努めてまいります。

○細田委員 東京における応急給水を支える給水車が都内全域に配備されているとのことで、安心が進んでいることを確認させていただきました。
 次いで、東京都水道局アプリを使いました断水、色水等の濁った水などの情報発信についてお聞きします。東京都水道局のアプリの機能についてです。
 断水や濁った水の発生に伴う工事等については、工事前にビラなどを配布して周知を行っていることから、地域住民は、これら断水、濁り水に備えて事前に対応することができます。しかし、突発事故などに伴う断水、また濁り水等は事前に知ることはできません。発生後にできるだけ速やかに情報を届けることが必要であります。
 水道局では、突発事故についてツイッターで発生情報を発信しています。しかし、局は、十月から情報発信の強化などを目的に東京都水道局のアプリの運用を開始されました。このアプリでは、事故発生時の断水等のお知らせを受け取ることができると聞いております。
 このアプリを使いました情報のお知らせ機能は、SNSのツイッターと比べて何が違うのか、このことについて、局の説明を求めます。

○坂井サービス推進部長 東京都水道局アプリでございますけれども、情報発信の強化等を目的に本年十月から運用を開始いたしまして、突発事故等により一定規模以上の断水、濁水が発生する場合などに情報発信しております。
 アプリでは、水道局からお知らせが届いたことがスマートフォンに自動的に表示されるプッシュ通知を行うことで、お客様は、迅速に情報を入手することができるものでございます。また、通知を受け取りたいエリアを事前に登録できる機能を搭載したことによりまして、居住地等必要な地域の情報のみを受け取ることが可能となりました。
 一方、ツイッターでは、都内全エリアを対象に情報を発信するため、エリア別の情報というのを選択的に受け取ることができません。しかしながら、不特定多数への情報拡散ということが期待できるものでございます。
 このように、二つのツールは特徴が異なるものでございますけれども、強みを組み合わせることによりまして、従来に比べ、お客様は、突発事故等に起因する断水、濁水等の情報を迅速に入手できるものと考えてございます。
 今後は、アプリのお知らせ機能とツイッターを併せまして活用することで、事故等に起因する断水、濁水等の情報発信を行い、お客様サービスの向上に努めてまいります。

○細田委員 都民への情報提供、また、周知のために地域の住民にとって有用な取組であることを理解いたしました。引き続いて住民目線に立った適時適切な情報発信に努めていただけるよう要望いたします。
 最後に、水道料金について質問いたします。
 電気料金をはじめとするエネルギー価格の高騰が社会的に問題になっております。水道局の電気の使用料も、水道局の浄水場、給水所などの水道施設における合計値の電気使用量は、この二十年以上、約八億から七・五億キロワットというふうにほぼ変わらない状況で、時間当たりの電力の使用料も推移してきています。
 一方で、水道料金は、社会経済状況が変化する中で、安定給水に必要な施設整備を着実に実施しながら、平成六年度以降二十八年間の間、料金水準を維持しております。このことは評価をしております。
 そこで、これまでの財政運営の考え方と今後の方向性について、水道局長に見解を求めます。

○古谷水道局長 当局はこれまで、将来を見据えた事業運営を進めるとともに、不断の経営努力を行いつつ世代間負担の公平性を勘案し、企業債を適切に発行するなど、安定的な財政運営に努めてまいりました。
 今後、水道事業を取り巻く状況は大きく変化し、人口減少に伴い給水収益が減少する一方で、大規模浄水場の更新など施設整備に必要な経費は増加し、財政運営は一層厳しさを増していきます。
 また、財政運営に大きな影響を与えることが想定される大規模災害の発生、社会経済情勢の急激な変化、環境規制の強化など、あらかじめ見込むことが困難なリスクも存在しております。
 こうした状況を踏まえ、長期的な視点に加え、短期、中期においても、その時々の状況に即した取組を行い、将来にわたり安定給水を確保しながら、できる限り料金水準を維持し、持続可能な財政運営を行ってまいります。

○細田委員 料金水準を維持するために様々な取組を行っているとのことでありました。
 また、水道料金は、都民の生命、生活に直結するものであります。引き続いて健全な財政運営を都民に寄り添って行っていっていただくことを要望して、質問を終わります。

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四十一分散会

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