公営企業委員会速記録第四号

令和四年三月十六日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長こいそ 明君
副委員長菅野 弘一君
副委員長森村 隆行君
理事斉藤まりこ君
理事小林 健二君
理事村松 一希君
石島 秀起君
岩永やす代君
成清梨沙子君
かつまたさとし君
保坂まさひろ君
山口  拓君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長内藤  淳君
次長総務部長事務取扱土岐 勝広君
職員部長牧野 和宏君
資産運用部長坂田 直明君
電車部長市川 雅明君
自動車部長櫻庭 裕志君
車両電気部長野崎 慎一君
建設工務部長谷本 俊哉君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務神永 貴志君
安全管理担当部長西川 善宣君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
バス事業経営改善担当部長太田 純也君
技術調整担当部長生越 啓史君
技術管理担当部長坂口 淳一君

本日の会議に付した事件
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十四号議案 令和四年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 令和四年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 令和四年度東京都電気事業会計予算
報告事項(質疑)
・東京都交通局経営計画二〇二二(案)について

○こいそ委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二十四号議案から第二十六号議案まで及び報告事項、東京都交通局経営計画二〇二二(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土岐次長 過日の委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、二枚おめくりいただきまして、一ページをご覧ください。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 各団体における職員数と、そのうち都から派遣している職員数、団体の固有職員数、都退職者の職員数を記載してございます。
 次に、一枚おめくりいただきまして、資料が両面印刷になっておりますので、上のページ、二ページをご覧ください。政策連携団体、事業協力団体における職員数の雇用形態別推移でございます。
 各団体における職員数を過去五年分記載してございます。
 次に、三ページをご覧ください。定数、職員数の推移でございます。
 当局の条例定数及び職員数を過去五年分、職種及び雇用形態別に記載してございます。
 一枚おめくりいただき、四ページをご覧ください。女性職員数の推移及び女性職員の宿泊施設の整備状況でございます。
 当局の女性職員数、過去五年分と宿泊施設、そのうち女性職員が宿泊できる施設数及びその整備割合を記載してございます。
 次に、五ページをご覧ください。都営バス運転手の新規採用人数でございます。
 当局のバス運転手の新規採用人数を過去五年分記載してございます。
 一枚おめくりいただき、六ページをご覧ください。交通局の事務職員と都営バス運転手の雇用形態別の年間労働時間と年収でございます。
 雇用形態別に、それぞれ年間労働時間、年収及び平均年齢を記載してございます。
 次に、七ページをご覧ください。障害者雇用率の推移でございます。
 国に報告しております障害者の実雇用率を過去五年分記載してございます。
 一枚おめくりいただき、八ページをご覧ください。未利用局有地の所在地及び面積でございます。
 交通局が所管する普通財産で、恒久的な利用に供していない土地につきまして記載してございます。
 次に、九ページをご覧ください。育児休業の取得人数と取得率の推移でございます。
 育児休業の取得人数及び取得率を過去五年分記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○こいそ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 新型コロナウイルス感染症拡大を受け、この間、国を挙げてのテレワークの推進などにより、ライフスタイルが大きく変化してきました。
 交通局を取り巻く事業環境も劇的に変化し、都営地下鉄を経理する高速電車事業会計でも、他の鉄道会社と同様に赤字となるなど、厳しい経営状況と認識しています。このような状況において、交通局が、これからも安全かつ安定的に輸送サービスを提供するために、どのように取り組んでいくのかを確認していきたいと思います。
 まず、交通局が新たに策定した経営計画二〇二二についてお伺いします。
 この新たな計画の策定に当たっては、事業環境の変化のみならず、現行計画に定めた目標とその成果を踏まえて、局内で議論しながら作成していったものと思います。
 そこで、現行計画である経営計画二〇一九の達成見込みについてお伺いします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、令和元年度からの三か年を計画期間とする経営計画二〇一九において、安全・安心の確保を最優先に、質の高いサービスを提供するとともに、まちづくりとの連携や観光振興、環境負荷の低減など、東京の発展への貢献に資する取組を進めてまいりました。
 具体的には、新宿線のホームドア整備や乗換駅等九駅のエレベーター整備を完了するとともに、燃料電池バスを累計七十一両導入し、環境負荷の低減にも取り組んでまいりました。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により乗客数が大きく減少する中、持続可能な事業運営に資するよう、安全の確保に最大限配慮しながら、バスの停留所の上屋やベンチの整備など一部の事業につきまして、実施規模や時期を見直したところでございます。

○石島委員 現行計画の期間中にコロナ禍となったことに伴い、一部の事業については、見直しながら安全確保などの交通事業者としてやるべきことを進めていったとのことでした。
 しかしながら、今後の社会経済情勢の見通しなども踏まえると、交通事業者にとって楽観できる状況にないのは事実であり、新たに策定した計画は、世の中が劇的に変化した後のその羅針盤ともいえる重要な位置づけになるものと思います。
 そこで、経営計画二〇二二の策定に当たっての基本的な考え方についてお伺いします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営交通を取り巻く環境は、テレワークをはじめとした人々の行動変容がコロナの終息後も定着し、旅客需要は、コロナ禍前と比べ一〇から一五%程度の乗客数の減少が続く厳しい状況になると見込んでおります。こうした中にあっても、中長期的に安定した輸送サービスを提供していくことが、交通局の果たすべき役割と認識しております。
 このため、まずは、安全・安心を確保しつつ、投資や経費の抑制を徹底していくとともに、旅客誘致や不動産の有効活用等による収入の確保に努め、持続可能な経営基盤の確立を図ってまいります。
 その上で、さらなる安全の追求や、より快適で利用しやすいサービスの提供に努めるほか、まちづくりとの連携や環境負荷の低減等、東京の発展への貢献に向けた取組を進めてまいります。
 また、本計画の推進に当たっては、デジタル技術を積極的に活用しながら業務の生産性向上を図るとともに、民間企業等、多様な主体とも連携しながら、新たな旅客需要の創出などにも取り組んでまいります。
 これらの取組を反映した上で、三か年の収支目標となる財政収支計画を定めており、早期に安定経営の道筋をつけてまいります。

○石島委員 このコロナ禍がいつまで続くのか見通すことが難しい中、厳しい見通しを前提に三年間で達成できると見込んだものを具体的に計画にしたものと思います。それぞれの取組については、着実に進めていただくよう要望させていただきます。
 この新たな経営計画には、様々な取組が掲げられていますが、その中でも、まずは交通事業者として何よりも大切な安全・安心の確保に向けた取組についてお伺いします。
 まず、都営地下鉄のテロ対策等への対応についてお伺いします。
 昨年の小田急線や京王線での車内トラブル事件では、模倣犯が出るなどしたため、鉄道におけるテロ対策は、世間の注目を非常に集めることになりました。一方で、テロ対策は昨年に始まったものではなく、交通局でも、これまで様々な対策を行ってきたものと認識しています。
 そこで、都営地下鉄のテロ対策等におけるこれまでの取組状況についてお伺いします。

○西川安全管理担当部長 交通局では、テロ対策等に関します危機管理対策計画や各現場の異常時対応マニュアルを定めておりまして、訓練などを通じて職員の対応力の向上を図ってございます。
 また、迷惑行為の未然防止やテロ対策など、セキュリティ強化を図るため、地下鉄車両の更新に合わせて、車内に防犯カメラを設置しております。
 駅構内では、全駅に防犯カメラを設置しており、駅係員等が随時状況を確認できるほか、警視庁と連携し、テロ等の発生時にカメラの映像を警察へ送信する仕組みも導入しております。

○石島委員 これまでも様々な対策を進めてきたとのことですが、昨年発生した事件を踏まえますと、走行中の車内におけるトラブル発生時に対する一層の対策を取っていくことが、利用者の安全を守る上で非常に重要と考えます。
 そこで、車内トラブルに対して、今後どのような対策をしていくのか、改めてお伺いします。

○西川安全管理担当部長 車内防犯カメラにつきましては、令和六年度までの三か年で十六編成、全体で約五割の車両への設置を完了する予定でございます。
 また、非常通報器の位置をより分かりやすく示すステッカーを作成し、今後、車内に表示してまいります。
 さらに、防護盾等の暴漢対策用具につきまして、現在、運転席や各駅への配備を進めておりまして、今後、その活用方法を盛り込んだマニュアル等を整備するとともに、警察等と連携した訓練を実施するなど、異常時における対応力の強化を図ってまいります。

○石島委員 一言でテロ対策といっても、いろいろなことが想定されるでしょうし、例えば、都バスと都営地下鉄とでは取るべき対策も当然異なるものと思います。交通局として、万全な対策を取ることは容易なことではないと思いますが、利用者の一層の安全確保に向けて、他の事業者などともこれまで以上に連携を深め、取組を強化していただくことを要望させていただきます。
 次に、さきにプレスも行われていますが、安全確保の観点から、日暮里・舎人ライナーにおける昨年十月に発生した地震被害の対策について、改めて確認させていただきます。
 この地震が発生した際、一つの列車が脱輪して乗客三名が負傷されました。国の運輸安全委員会による被害発生の原因等に関する調査が入っていると承知していますが、局においても、事実の確認や整理等に鋭意取り組んでいると聞いています。
 そこでまず、列車の脱輪に至った状況についてお伺いします。

○西川安全管理担当部長 日暮里・舎人ライナーでは、昨年十月七日の地震に伴い、緊急地震速報を受けた指令所から、速やかに車両の非常停止操作を行いました。舎人公園出発直後の一編成は、停止直前に分岐部の走行路にある段差に車輪が落ち込み脱輪をいたしました。その後、脱輪した車両に係員を急行させ、負傷したお客様を救護するとともに、他のお客様を徒歩で最寄り駅まで避難誘導いたしました。翌日、国の運輸安全委員会による現場調査を受けた後、クレーンによりまして脱輪した車両を軌道内から搬出いたしました。並行して、破損した設備や車両の復旧作業を昼夜を徹して進めまして、十月十一日の始発から全線で運行を再開したものでございます。

○石島委員 地震など自然災害はいつ発生するか分かりません。中長期的に検討が必要となるものもあると思いますが、今、分かっている状況に対して、取り得る対策をすぐに取ることは、非常に重要なことであると考えます。
 そこで、局として、どのように対策を進めていくことにしたのか、見解をお伺いします。

○西川安全管理担当部長 現在、国の運輸安全委員会によりまして、日暮里・舎人ライナーの脱輪原因等に関する調査分析が行われております。
 交通局といたしましても、被災状況の検証を進めまして、局独自に取り得る対策を速やかに講じることといたしました。
 具体的には、緊急地震速報を受信した際に、これまで手動で行っていた列車停止の操作を自動化することで、より迅速に列車の減速、停止を可能とすることといたしまして、今月三日から運用を開始したところでございます。
 また、分岐部の段差を解消するための部材を設置することで、万一脱輪した際の衝撃を緩和いたします。この工事につきましては、国の認可を得た上で、令和四年度中の完了を予定してございます。
 引き続き、運輸安全委員会の調査にも協力しながら、お客様の安全確保に努めてまいります。

○石島委員 今取り得る対策を迅速に取ったことについては評価させていただきます。
 一方、国の運輸安全委員会の調査は、まだ当面続き、その結論が出るまでは相当の月日を要すると聞いています。今後も引き続き、調査に対して全面的に協力するなど、適切に対応していただくことを要望させていただきます。
 次に、昨年の事務事業質疑でも触れましたが、浅草線リニューアルプロジェクトについてお伺いします。
 新たな経営計画においては、駅構内の改装として東銀座駅を二〇二四年度に完成させると記載しています。
 そこで、駅改装の進捗状況と今後の予定についてお伺いします。

○坂口技術管理担当部長 浅草線の駅改装に当たりましては、壁面や天井などの内装を全面的に改修することといたしておりまして、木目調を用いるなど路線の統一感を演出した上で、駅ごとに地域の特色を踏まえたデザインといたしまして、まち並みに合わせた都市空間を形成することを目指しております。
 このうち、東銀座駅では、駅近接の歌舞伎座や、かつて銀座にあったれんが街をイメージしたコンセプトを基に、中央区や地元団体等と意見交換しながら、現在設計を取りまとめるところであり、引き続き、来年度の工事着手に向けて準備を進めてまいります。
 さらに、来年度は、東日本橋駅の設計に着手をいたしまして、地元協議を行いながら、地域の特色を踏まえたデザインの検討を進めるなど、駅改装に計画的に取り組んでまいります。

○石島委員 駅改装に当たっては、地元自治体、関係団体等と意見交換を行い、地域の特色を踏まえたデザインを基調にしていくとの答弁がありました。これはとても大切な取組ですので、引き続きご努力いただきますようお願いいたします。
 この駅改装については、地上部分で再開発プロジェクトがあれば、その動きとも連動、調整を図りながら進めていくことも聞いています。再開発は、進行の程度がそれぞれ異なるため、その状況に応じて、駅改装に向けて調整が容易に進まないことは理解します。
 今後も、再開発事業者等と精力的に協議を行い、他駅の早期リニューアル展開に結びつけていただくよう、要望させていただきます。
 ここまで、都営交通における安全対策などをどのように進めていくかを確認させていただきましたが、局事業の根本である輸送の確保、安全な運行を支えるのは、最前線にいる現場の職員であり、人材の観点も極めて重要です。
 そこで、バスの運転手や駅員などの運輸系職員の人材育成や確保についてお伺いします。
 新たな経営計画においては、事業運営を支える人材の確保と育成の中に、交通局人材育成ビジョンを策定するとの記載があります。
 そこでまず、交通局人材育成ビジョン策定の背景と狙いについてお伺いします。

○牧野職員部長 交通局には、鉄道やバスの乗務員、保守要員など約六千名の運輸系職員が在籍しておりまして、それぞれの現場で、都営交通の安全・安心な運行を支えております。
 その年齢構成は、五十代以上が過半数を占めておりまして、今後、大量退職が見込まれることから、ベテラン職員がこれまで培ってきた技術やノウハウを次世代を担う職員に継承し、現場に精通したプロフェッショナル職員を育成していくことが必要でございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響によるお客様の行動変容やデジタル技術の進展など、局を取り巻く環境変化に的確に対応できる人材を育てていくことも重要でございます。
 このため、今後の人材育成、人材活用の方向性を示す総合的な人材マネジメントの基本方針として、交通局人材育成ビジョンを策定することといたしました。
 策定に当たりましては、現場の実情や職員のニーズに即したビジョンとなるよう、全職員を対象としたアンケートを実施いたしまして、職員のキャリア形成などの考え方や仕事に対する思いなどを分析し施策に反映するとともに、職員が実際に手に取って活用し、自らの将来のキャリアプランを描けるよう、それぞれの職種ごとに、採用から昇任、育成方針などを明記する予定でございます。

○石島委員 職員アンケートなども踏まえて策定したとのことでしたが、現場職員の育成に向けては、現場の声を的確に捉え、アンケート結果を有効に活用するなど、具体的な取組を推進していく必要があります。
 そこで、交通局人材育成ビジョンの内容についてお伺いします。

○牧野職員部長 交通局人材育成ビジョンは、基本的な考え方といたしまして、策定の背景やコンセプトを明らかにするとともに、目指すべき職員像といたしまして、局事業を支えるプロフェッショナル職員を掲げた上、求められる七つの具体的な行動目標を明示いたします。
 また、運輸系職員の人事任用制度、局研修所などで実施する研修や各職場のOJTの体制、表彰制度など、局職員に共通する育成方針を記載するとともに、それぞれの職種に求められる知識や必要なスキルを体系化することといたしました。
 さらに、女性、障害者、高齢者等に配慮した施設整備や、相互理解に向けた風土づくり、柔軟な勤務時間制度の活用など、ダイバーシティの推進に向けた取組について盛り込んでまいります。
 加えまして、人材の確保やジョブローテーションの在り方、指導職の確保など、各現場の特性に応じた取組の方向性を記載してまいります。
 今後、このビジョンに基づきまして、都営交通を支えるプロフェッショナル職員の育成に取り組んでまいります。

○石島委員 人材育成は、一朝一夕に成し遂げられるものではなく、また、組織だけの取組でなく、職員がやる気にならないと実効性が上がらないという側面があります。このビジョンを策定して終わりということではなく、内容を、現場で働く職員一人一人に届け、継続的な取組としていただくよう要望させていただきます。
 次に、人材育成の出発点ともいえる職員の採用、特にバス乗務員の採用についてお伺いします。
 バス乗務員の年齢構成においても、五十代以上の方が半数以上を占めていると聞いています。また、全国的に、路線バスを運転できる大型二種免許保有者の減少も続いており、こうした中、バス乗務員の採用は大きな課題であり、とりわけ我が党との議論を踏まえ、平成二十七年度から開始された、大型二種免許を持っていない方を対象にした養成型選考の重要性は増していくものと考えます。
 そこで、バス乗務員採用の確保に向けた取組についてお伺いします。

○牧野職員部長 都営バスが安定的な事業運営を行う上で、バス乗務員の確保は重要な課題でございます。
 これまで交通局では、申込み者の受験機会を増やす観点から、従来三十六歳未満であった受験資格の上限年齢を平成二十七年度と二十九年度に引き上げまして、現在は五十歳未満としております。
 また、平成二十七年度からは、大型二種免許の未取得者を対象とした養成型の採用選考を実施しております。従来は、試験の合格者に自ら免許を取得させ、その費用を助成する制度でございましたが、令和三年度の選考からは、会計年度任用職員として採用した上で、局の負担で教習所に通わせて免許を取得させる制度に見直しまして、受験者の経済的負担を軽減する仕組みといたしました。
 広報活動におきましては、採用ホームページに、他の業種から転職した職員の声や養成型選考の仕組みを掲載した特設ページを設置するとともに、一日の具体的な仕事の流れなどを掲載したバス乗務員向けの採用パンフレットを作成しております。
 さらに、職員自らがやりがいや魅力を語るウェブ上でのセミナーを、今月中に新たに実施する予定でございます。
 今後とも、これらの取組により、必要なバス乗務員の確保に努めてまいります。

○石島委員 養成型選考の見直しなど、新たな取組を行っているとのことでしたが、今後とも、労働市場の動向や受験者のニーズに合わせて、人材確保に向けた取組を強化していただくことを要望させていただきます。
 最後に、デジタル技術の活用に向けて、交通局がどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 デジタル技術の革新は、まさに日進月歩であり、都においては、デジタルサービス局の設置やシン・トセイなどの計画を定め、DX推進による構造改革に取り組んでいる中、交通局としても、即時かつ柔軟に対応していくことが求められていると考えます。
 そこで、デジタル技術活用に向けて、どのような体制で進めていくのかお伺いします。

○土岐次長 交通局ではこれまでも、業務全般にわたり不断の見直しを行い、組織を適時適切に見直すことで、効率的な事業運営に努めてまいりました。
 新たに策定する経営計画におきましては、デジタル技術も活用しながら、より効率的、効果的な事業運営に努めていくこととしており、施設設備の維持管理やお客様サービスの向上など、様々な分野でのデジタル技術の活用につきまして、局全体で推し進めていくための体制を整備いたします。
 具体的には、令和四年度期首に、総務部にデジタル技術の活用に関する企画、推進及び総合調整を担うポストを設置するなど、執行体制を強化いたします。

○石島委員 執行体制を強化することとしたとのことですが、取組を進めていくには、体制とともに、取り組むための職員がどのようにデジタル技術を理解して活用していくか、これがDX推進に当たっての鍵であると考えます。
 そこで、デジタル技術活用に向けた人材育成についてお伺いします。

○土岐次長 デジタル技術を積極的に活用し、さらなる安全・安心の確保やお客様サービスの充実を図っていく上で、デジタル技術に精通した人材を確保、育成していくことが重要でございます。
 都では、進展のスピードが極めて速いデジタル技術を活用し、行政サービスの質の向上を図るため、デジタルを使いこなすことのできる人材を確保、育成することを目的とした東京都デジタル人材確保・育成基本方針を定めてございます。
 交通局におきましても、局のデジタル化推進に関する基本方針等を定めた東京都交通局電子情報処理基本計画を改定することとしており、関係局等とも連携しながら、様々な職種、職層を対象とした学習コンテンツの充実等により、職員のデジタルスキル向上を図るとともに、外部の研修機関を活用しまして、デジタル化推進の中核を担う人材を育成してまいります。

○石島委員 厳しい経営状況ではありますが、他の交通事業者においてもDX推進に取り組んでいることは、それが会社内部の業務効率化のみならず、顧客満足度の向上につながるからこそであると考えます。
 新たな経営計画においても、維持管理のデジタル活用、お客様サービスへのデジタル活用と、様々な取組を掲げています。それぞれの取組をしっかりと確実に進めていただくことを大いに期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

○村松委員 よろしくお願いします。
 まず、大江戸線の大泉学園町までの延伸についてお伺いいたします。
 今回の予算で二千二百万円の調査費が計上されました。大江戸線の延伸を待ち望んでいる地域の一員として、大きな前進と捉えております。
 これまでも調査はしてきていると理解しておりますけれども、大江戸線の延伸に関する現在の検討状況と今後の取組についてお伺いいたします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大江戸線延伸の事業化に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえながら、将来的な旅客需要の見通しや事業の収支採算性の確保等について十分見定めていく必要がございます。
 こうした考えの下、現在、延伸による乗客数の増加見込み等の分析を進めており、令和四年度予算案には、調査費を主要事業として計上しているところでございます。
 今後、調査分析結果に基づきまして、延伸に必要な車両の編成数や留置施設等の規模を見定めた上で、運賃収入や事業費等を算出し収支採算性を検証していくとともに、引き続き、地元区や関係局と連携し、事業化の検討を進めてまいります。

○村松委員 コロナの影響が大きいということは理解をしておりますが、大江戸線の導入空間となる道路も着々と整備が進んでおりますので、後は事業化するのみと思っておりますので、ぜひ早期事業化に向けて検討を進めていただきたいと思います。改めて要望しておきます。
 次に、大江戸線の車内騒音対策についてお伺いいたします。
 大江戸線は、従前から車内の騒音が課題となっております。これまでも対応されてきていると思いますけれども、大江戸線における車内騒音の現状及びこれまでの騒音低減への取組について教えていただきたいと思います。

○野崎車両電気部長 大江戸線では、他の地下鉄と比較してトンネル断面が小さく、かつ急曲線が多いため、車輪とレールの摩擦音が発生しやすく、騒音の反響も大きい傾向にございます。
 これまで、車輪とレールの間に潤滑剤を塗布するほか、車輪やレールを適正な形状に保つとともに、防音性能が高い車輪や車両の窓に合わせガラスを採用するなど、車内騒音の低減に向けて様々な対策を実施しております。

○村松委員 対策をしてきていただいて、特に直線部分ではかなり騒音が軽減されているということでございますけれども、やはりカーブが多いものですから、体感としてはかなりまだうるさいと思います。
 新たに導入を検討している操舵台車ですけれども、車軸を、カーブに合わせてレールの方向へ回転させるということで、摩擦の軽減を図ることができるということで期待をしているところでございます。
 大江戸線において試験導入を予定しているこの操舵台車について、これまで行ってきた取組及び試験導入に向けた今後の取組についてお伺いいたします。

○野崎車両電気部長 交通局では、大江戸線の車内騒音の低減に向け、車両の新造に合わせて、令和六年度に操舵台車を試験導入することといたしました。
 導入に当たりましては、昨年度から今年度にかけて、試験用操舵台車による走行試験を実施しており、曲線走行時に、レールの外側に向けた力が減少し、車内騒音が低減することを確認しております。
 来年度も引き続き、走行試験を実施するとともに、第三者機関とも連携しながら、安全性の検証を行い、発注に向けた詳細な仕様の検討や設計を進めてまいります。

○村松委員 導入に向けて、耐久性や保守管理のしやすさ、費用対効果なども検証する必要があると思います。試験導入の結果を踏まえてにはなるかと思いますけれども、引き続き騒音対策に取り組んでいただくよう要望いたします。
 次に、大江戸線への信号保安装置の無線化、CBTCの導入についてお伺いいたします。
 導入に向けて、令和元年度から五か年の契約期間で、四十九億五千万円で契約を締結しております。このCBTC導入により、列車の運行間隔を現在よりも短くしたり、ブレーキングが緩やかになることで、乗車時の快適性も上がると理解しております。
 着実に整備を進めるべきと考えておりますが、この大江戸線信号保安装置更新における現在の進捗状況と来年度の取組についてお伺いいたします。

○生越技術調整担当部長 大江戸線では、平成三年の開業時から使用している信号保安装置の更新に合わせまして、無線を利用して列車の位置を把握し制御を行うCBTCを導入することとしております。
 令和元年度から、基本仕様の検討、各種試験等を行うとともに、第三者機関によるシステムの安全に関する検証を行ってきたところでございまして、今般、施工に向けた準備が整いましたことから、来年度につきましては、まずは国の認可申請を行います。その後、認可が下り次第、各種装置を製造いたしまして、トンネルや車庫内へのアンテナの設置工事や車両の大規模改修等を順次実施してまいります。
 引き続き、令和九年度に予定しているCBTCの導入に向け、事業を着実に進めてまいります。

○村松委員 こちらも新しい技術で、まだ国内での導入事例がないということで、来年度は、国への認可申請をしてから改修が始まっていくものと理解をいたしました。
 今後、大江戸線が延伸して混雑するような場合でも、列車間隔を短くして対応するなど、運行に幅を持たせることができると期待しておりますので、着実に整備していっていただきたいと思います。
 次に、バリアフリールートについてお伺いいたします。
 これまでも我が会派から、バリアフリールートについて、ワンルート確保されていたとしても、利用者の視点に立つと非常に使いにくいルートがあると指摘し、さらなる整備を求めてまいりました。
 新たな経営計画では、さらなる利便性向上を図るため、バリアフリールートの複数化を進めるとしておりますが、駅選定の考え方と対象駅についてお伺いいたします。

○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、全駅でのワンルート整備後のさらなる取組といたしまして、乗換駅等でのエレベーター整備を進めております。
 また、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正などを踏まえ、移動距離を短縮する観点から、バリアフリールートの複数化について検討しております。
 検討に当たりましては、駅の利用実態や駅施設の構造のほか、駅周辺における病院、高齢者、障害者施設等の立地や用地確保の可能性などを勘案しながら、整備優先度の検討を進めてまいりました。その上で、駅周辺の再開発事業との連携により効率的な整備を図れる駅や公共用地への地上行きエレベーターの増設が可能な駅を新たな経営計画における事業化の対象として選定いたしました。
 今後、令和六年度までに、浅草線日本橋駅、東日本橋駅、新宿線瑞江駅、大江戸線春日駅、勝どき駅、光が丘駅の六駅で、バリアフリールートの充実を図ってまいります。

○村松委員 私の地元の光が丘駅も入っておりまして、期待しているところでございます。
 整備に当たっては、物理的、法令上の課題もあるかと思いますが、利用者目線に立って、また、地元の意見も十分聞きながら、進めていただくよう要望いたします。
 次に、都営地下鉄の浸水対策についてお伺いいたします。
 近年、頻発化、激甚化する豪雨に対して、様々なところで浸水対策が見直されているところです。我が会派の取組として、地下鉄の浸水対策について要望してきた経緯がございます。
 荒川氾濫などの大規模水害も含めた都営地下鉄の浸水対策について、現在の検討状況と今後の取組をお伺いいたします。

○西川安全管理担当部長 交通局では、水害発生時におけるお客様の安全確保や地下鉄ネットワーク全体の減災などに向けまして、中小河川のほか、荒川氾濫等の大規模水害を想定した浸水対策に取り組んでおります。
 これまで、最新の浸水想定を踏まえたシミュレーションを重ね、地下鉄の出入口やトンネル等を通じて浸水被害が順次拡大する状況を確認したところでございます。
 これを踏まえまして、現在、駅出入口の止水板のかさ上げや通風口の浸水防止機の増強などのほか、防水ゲート等による地下部の浸水拡大防止策について検討を進めており、優先して対策を講じる施設や対策の手法、その工程等を定めた整備計画を来年度策定することとしております。
 あわせて、被災した際にも早期の運行再開が図れるよう、車両の避難先や避難の手順を整理いたしますとともに、復旧時の排水、清掃、点検等の手順を時系列で整理するなど、浸水対策を着実に進めてまいります。

○村松委員 地下鉄に浸水があった場合の被害というのは相当なものだと思います。運行に支障が出るだけではなくて、命に関わることでありますから、浸水対策については、不断の見直しに努めていただきたいと思いますし、着実に進めていただきたいと要望いたしまして、質疑を終わります。ありがとうございました。

○かつまた委員 東京都交通局の皆様は、都内に欠かせない公共交通機関として、明治四十四年八月一日より、長きにわたりその役割を担っていただいております。まずは、その取組に敬意を表します。
 初めに、都営大江戸線の騒音低減事業について質問をいたします。他の委員も質問しておりましたけれども、改めて質問させていただきます。
 都営大江戸線は、他の都営地下鉄に比べトンネルの断面が小さく、走行音が反響しやすい状況であり、また、線路の急曲線が多いことが、走行時の騒音が他の都営路線と比較しても大きいといわれております。さらに、それに加え、現在、コロナ禍のため、車両内の空気の流れをよくするために窓開けを行っており、車内への騒音の影響もひとしおです。そのため、交通局では、都営大江戸線の車内の騒音低減に向け、二〇二四年度に操舵台車の試験導入を行う予定と伺っております。
 先日、この都営大江戸線の車内騒音について、私の友人から相談をいただきました。その友人は、都営大江戸線を大門駅から新宿駅まで通勤として利用しております。その友人いわく、特に国立競技場駅から新宿駅までの騒音がひどいとのことでありました。私も都営大江戸線をよく利用するわけでありますけれども、騒音の大きさとともに、やはり金属音がするということで、すごく気になるわけであります。
 そこで、質問いたします。
 この都営大江戸線において導入を予定している操舵台車の特徴と導入に当たっての課題について見解を求めます。

○野崎車両電気部長 操舵台車は、曲線に追従して車輪の向きが変わる台車であり、曲線走行時の騒音低減効果等が期待できる技術でございます。近年、他の鉄道事業者におきましても操舵台車を採用している事例が見られることから、これらの技術を応用し、急曲線の多い大江戸線に適した台車を開発することといたしました。
 操舵台車は、部品数が多く、点検項目が増えるなど、維持管理コストの上昇が懸念されることから、構造の簡素化の実現が課題であり、試験導入に向けて検討を進めております。
 今後も、有効な技術を積極的に活用し、より一層、安全で快適な車両の提供に努めてまいります。

○かつまた委員 引き続き、操舵台車の試験導入に向け、安全かつ着実に進めていただき、その有効性が確立した暁には、順次、計画的に本格導入をしていただくことを要望させていただきます。
 次に、都営交通の経営改善に向けた収益力の強化について質問をいたします。
 二〇一九年十二月初旬に始まったとされる新型コロナウイルスにより、東京都交通局を取り巻く環境は大きく様変わりをいたしました。東京都交通局発行の資料によると、都営交通の一日の利用者数は、二〇一八年では約三百六十万人であったのに対し、翌年、二〇一九年は約二百五十三万人に落ち込んだとなっております。
 東京都交通局は、経営計画二〇二二を策定し、その環境の変化における課題解決を目指し、方向性を明らかにされております。今回記された経営計画の中で、移動に対する価値観の変化と題し、一、オンライン化の進展による人々の行動変容は、コロナの終息後も続き、旅客需要はコロナ禍前の水準には戻らないことが見込まれる、二、コロナ終息後の需要動向を適切に見極め、それに応じた業務の在り方や執行体制の見直しを進めていくことが重要、三、さらには、新たな需要の創出に向け、利便性、魅力の向上や動機づけなど、移動に対する付加価値を高めていく必要がありますとなっております。私もこの考え方に同調いたします。
 私の見解は、これまで東京都交通局の利用者は、その利用用途として、通勤通学が中心になっており、コロナでテレワークやオンライン会議、オンライン授業などが進む中、利用者が減少になったと理解をしております。このように、利用者減少と大変厳しい中、あらゆる角度から利用者減少に歯止めをかけ、その後、利用者増を目指し、収益強化を図っていくことが重要となります。
 都営交通の収益確保への取組として、地下鉄事業について伺います。
 企画乗車券の発売など新たな旅客誘致につながる具体的な取組について見解を求めます。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄ではこれまでも、都営まるごときっぷ、都営地下鉄ワンデーパス等の企画乗車券の発売や「ぴっく・あっぷ」、「ふれあいの窓」等の沿線の観光スポットを紹介する情報誌の発行など、様々な取組を通じまして、旅客誘致を図ってきました。
 昨年十一月からは、観光施設と連携して、東京の都市内観光需要を創出する新たな取組として、都営地下鉄と東京メトロの全線を割安で利用できる旅行者向け乗車券、Tokyo Subway Ticketと東京スカイツリーなどの入場券とのセット販売を開始いたしました。
 今後も、観光施設と連携した取組の拡充を図るなど、都営地下鉄の旅客誘致に努めてまいります。

○かつまた委員 今、説明いただいたように、様々な取組を評価いたします。
 私自身も企画乗車券について調べてみました。都営地下鉄や都営バス、東京さくらトラム、日暮里・舎人ライナーが一日乗り放題である都営まるごときっぷ、都営地下鉄と東京メトロの全線を一日限り何回でも乗車できる都営地下鉄・東京メトロ共通一日乗車券、都営地下鉄、都営バス、東京さくらトラム、日暮里・舎人ライナー、東京メトロ、都内JR線を一日限り何回でも乗車できる東京フリーきっぷ、その他、京王電鉄や東急電鉄、京急電鉄との連携や、都営交通の一日乗車券、都営まるごときっぷと都内九十九か所の美術館、博物館、動物園などとの連携事業である都営deぐるっとパス、その企画乗車券は、別々に購入すると三千九百円かかるところ、セットで三千百三十円と七百七十円もお得とアピールし、事業展開をしています。
 冒頭に述べましたとおり、その取組については評価をいたしますが、もっと取組を拡充すべきと私は考えます。
 私が住んでいる大田区を走っている民間鉄道会社は、もっとお得感を出し、みさきまぐろきっぷや葉山女子旅きっぷ、東京湾フェリー往復きっぷなど、観光地にスポットを当てた取組を行い、収益を上げたと伺っております。
 東京都交通局も、都内にある観光地にスポットを当て、例えば、飲食店との連携や東京湾や都内河川で運行している舟運会社との連携など、これまでの考え方にとらわれない斬新な取組を求められております。ぜひ前向きに検討をお願いいたします。
 次に、これまで都議会公明党が要望し実現した、都営交通が事業展開している事業、ToKoPoについて質問いたします。
 都営交通は、ToKoPoという都営交通独自のポイントサービスを事業展開しております。ToKoPoの会員には、都営交通を利用するたびに付与される基本ポイントに加え、各種イベントやキャンペーンなどを通じてポイントが付与されます。
 本事業は、平成二十三年から導入され、十年が経過し、今年度は、会員数が十万人を超えたとお聞きしています。このサービスも定着してきたと考えます。
 都営交通の利用促進につながるToKoPoの活用について見解を求めます。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営交通の会員制ポイントサービス、ToKoPoは、営業推進上重要なツールでございまして、地下鉄やバス等の利用促進を図るため、乗車回数に応じたポイントや土休日のボーナスポイント、都営地下鉄から都営バスに乗り継いだ場合のボーナスポイント等を付与しております。
 コロナ禍におけるお客様の行動変容に伴いまして旅客事業の構造が大きく変化する中、ToKoPoを通じまして、会員のお客様に、都営交通をより身近に感じてもらい、一回でも多く乗車していただくことで利用の拡大につながるものと考えております。
 今後とも、都営交通の利用促進に向けまして、様々な機会を捉え、ToKoPoを活用した効果的な取組を進めてまいります。

○かつまた委員 ぜひ、引き続き会員獲得に向け努力をし、都営交通の利用者拡大につなげていただきたいことを要望いたします。
 次に、さらなる旅客誘致に取り組みつつ、乗車券収入以外でも収益力を強化すべきと考えます。令和四年度の予算案を拝見したところ、高速電車事業会計は、営業損益で五十九億円の赤字となっています。平成十六年度以来、ずっと黒字予算であったものが、今回、赤字予算に転落する事態となりました。そういった意味でも、様々な取組にご努力をしていただきたいと考えます。
 都営地下鉄の乗車料収入が伸びない中、駅の店舗展開や広告など、関連事業による収入確保を図る必要があると考えますが、その取組と今後の展開について見解を求めます。

○坂田資産運用部長 交通局では、保有する資産を有効に活用し収益向上を図るため、広告、構内営業等の関連事業を展開しているところではありますが、新型コロナウイルス感染症の影響による乗客数の減少や企業収益の悪化などから、構内店舗の撤退や広告出稿の減少など厳しい状況が続いております。
 このため、新たな出店者の確保に向け、地道な営業活動に取り組むほか、店舗跡地を毎週入れ替わる催事販売コーナーに転用するなど、厳しい中でも、できる限り資産を有効に活用するよう努めております。
 また、コロナ禍での休業等に協力した事業者を対象とする広告販売促進キャンペーンの展開など、新たな広告需要の掘り起こしも図っております。
 新たに策定する経営計画におきましては、これらの取組と併せ、民間のネットワークを活用した店舗誘致や広告用デジタルサイネージの導入拡大などにも取り組み、関連事業収入のさらなる確保に努めてまいります。

○かつまた委員 ありがとうございます。
 次に、サービス向上への取組について質問をいたします。
 交通局ホームページのお客様に期待されるサービスを目指してというページには、令和二年度のサービス実施事例として、一、都営交通の全車両に新型コロナウイルスへの抗ウイルス効果のあるコーティングを行っています、二、都営地下鉄にロボットコンシェルジュを導入しました、三、トイレのグレードアップ工事を行っていますなど、各種の取組が掲載をされております。
 このような、お客様に期待されるサービスを実現していくためにお客様の声を生かしていくことは、とても重要なことだというふうに考えます。
 交通局では、利用者の側に立ったよりよい快適なサービス提供を実施するため、具体的にどのような取組を行っているのか、お示しください。

○土岐次長 都営交通の現場では、日々、お客様から様々なご意見をいただいていることに加えまして、都営交通お客様センターにも、局のホームページや電話、メールなどを通して多くのご意見が寄せられており、これらのご意見等をデータベース化し、局全体で情報共有を図っております。
 また、毎年幅広い世代の方から成る都営交通モニターを約四百五十名選任し、ウェブアンケートなどにより、サービスに関する様々なご意見を収集するとともに、各種障害者団体の方から、意見交換の場でバリアフリーに関するご要望などを伺っております。
 寄せられたご意見、ご要望につきましては、適宜サービス向上に役立てており、今後も、お客様のニーズを的確に把握し、お客様に一層寄り添ったサービスの提供に努めてまいります。

○かつまた委員 ぜひ、このような大事な姿勢をこれからも貫いていただくことを要望させていただきます。
 次に、交通局の安全・安心への取組について質問をいたします。
 毎年六月十三日は、都営交通安全の日と定め、その取組を行っていただいております。
 交通局のホームページには、これは平成六年に浅草線浅草橋駅での死亡事故、平成十八年に都電荒川線で衝突事故、負傷者二十七名を発生させた交通局として決して忘れてはならない日です。そこで、お客様の安全・安心の確保を最優先にする姿勢と決意を示す取組として、六月十三日を都営交通安全の日と定め、この日を中心に、幹部職員による職場巡回や研修、講演会などを実施しています。このような事故を二度と起こさないよう、職員一丸となって安全な輸送サービスの提供に取り組んでいきますとなっております。
 交通局の最大の使命は、やはり安全・安心への取組であります。最も重要な取組であります。ぜひ、今後もその取組を最優先に行っていただきたいというふうに考えます。
 現在、コロナ禍ということで、幹部職員による職場巡回や研修、講演会の実施状況など、様々ご苦労されていることと思います。
 この職場巡回や研修の状況をお示しいただき、安全・安心への取組についてお聞かせを願います。

○西川安全管理担当部長 交通事業者にとりまして、お客様の安全・安心の確保は最大の使命であり、交通局では、安全・安心を最優先とし、全職員が一丸となって、災害に強く、事故のない都営交通を実現することを安全方針として掲げてございます。
 お話の都営交通安全の日は、過去に起きた事故を教訓に、職員に改めて安全管理の重要性について周知徹底を図る重要な取組でございます。
 このため、コロナ禍の今年度におきましても、出席者を限定するなど感染症対策を徹底しながら、局長をはじめとする幹部職員による職場巡回や外部講師による講演会を実施いたしました。
 こうした取組のほか、日頃から、各職場において安全に関する研修や訓練等を実施しており、今後とも、経営トップの局長から現場まで一丸となって、都営交通における安全・安心の確保を図ってまいります。

○かつまた委員 交通局への取組について、様々な角度から質問、提案をさせていただきました。
 新型コロナウイルス感染症拡大という社会環境が大きく変化する中、あらゆる角度での斬新的な取組を期待し、質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。資料のご提出をありがとうございました。
 私からは、まず、日暮里・舎人ライナーについて伺います。
 昨年十月七日に起きた千葉県北西部を震源とする地震で、私の地元であります足立区では最大震度五強となり、日暮里・舎人ライナーの車両は緊急停止、そのうち軌道の分岐部分を走っていた車両が脱線する事故があり、その後の対応や検証について繰り返し質疑をしてきました。交通局においても、検証と改善に向けて尽力をされてきたことと思います。
 今回、地震発生時の日暮里・舎人ライナーの被害軽減策について、緊急地震速報時の自動停止機能が追加され、今年度中に導入されるということが発表されました。これまで手動で行っていた停止操作を、緊急速報と同時に自動で停止する機能が運用開始になっているということです。
 緊急停止といっても、安全に停車することはもちろん、丁寧なアナウンスや対応が欠かせないと思いますが、対応について伺います。

○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、地震発生時に、より迅速な列車の減速、停止を可能とするため、緊急地震速報を受信した際、これまで指令員が手動で行っていた列車停止の操作を自動化することとし、今月三日から運用を開始いたしました。
 非常ブレーキが動作した際には、自動的に車内へその旨を放送するほか、案内表示器に同様の表示がされるようになっております。
 緊急停車後には、指令員が、現在の状況等について車内放送でご案内するほか、お客様に呼びかけを行い、けが人がいるなど異常が発生している場合には、インターホンを通じてご連絡いただくこととしております。

○斉藤委員 改善に向けて取り組まれていることを感謝申し上げたいというふうに思います。
 一方で、日常的に利用している方からは、緊急停止の際に乗客がつんのめってしまって、倒れてしまうということがあったというふうに聞いています。今のご答弁で、この緊急停止のときも、ドア上のモニターやLEDの表示などもありますが、こちらで案内をしていくということで、安全な停車と丁寧なアナウンス等、ぜひ徹底をしていただきたいというふうに思います。
 十月の地震の際に脱輪が起きた軌道の分岐部分について、走行路中央部のへこみ部分の段差を解消するための部材を設置する対策を来年度中に行うということですけれども、ほかの事業者で同様の対策があるのでしょうか。安全確認を徹底していただきたいと思いますが、対応について伺います。

○谷本建設工務部長 今回の対策は、万一脱輪した際の衝撃を緩和するものでございまして、他の事業者で同様の対策を行った事例は把握しておりません。
 また、今回設置する部材は、通常走行する場合には全く影響がない場所に設置するものでございますが、他の工事と同様、施工後の検査を着実に行うこととしております。

○斉藤委員 今回は、万が一脱輪したときでも衝撃を緩和するためのものということです。ほかでは同様の対策があるわけではないということですけれども、走行上の安全確認なども徹底していただきたいというふうに思います。
 次に、緊急時の係員の駆けつけ体制についてです。
 十月の地震のときには、脱輪した車両に係員が駆けつけたのは、脱輪が起こってから三十分後だったということは、直後の決算と事務事業質疑でも繰り返し取り上げ、人員の体制の見直しを含めて検証が必要だと、我が党は繰り返し、私自身求めてきました。
 しかし、事故直後の質疑でも、現状の体制は妥当だと考えているというお答えでした。人員体制の見直しはしないということですが、駆けつけるまでに三十分かかったことに対する検証は行われていますか。もっと短縮できるよう、対応のプロセスに改善点がないのか検証する必要があると思いますが、いかがですか。

○市川電車部長 昨年十月の地震では、現場の状況に応じ必要な対応を確実に行った結果、地震発生から係員の到着までに三十分を要したものでございます。その間も、指令からお客様に呼びかけを行い、けが人の状況を確認し、救急車を手配するなど適切に対応いたしました。
 昨年十一月には、駅間停止を想定した避難誘導訓練を実施しておりまして、今後とも、迅速な対応が行えるよう努めてまいります。

○斉藤委員 訓練を行ったということなんですけれども、事故当時の対応についての検証に対するお答えがないんですよね。検証はされたのかどうか、もう一度よろしいでしょうか。

○市川電車部長 通常時は、係員や警備員が各駅を定期的に巡回し、事故などに対応可能な体制を取ってございます。
 異常時には、係員が緊急自動車等で現場に急行し、安全最優先の対応を取ることとしてございます。
 引き続き、避難誘導訓練や研修等を通じ、迅速な対応が行えるよう努めてまいります。

○斉藤委員 今やっていることのお話があったんですけど、検証したのかどうかということにはお答えがないんですね。必要な対応を確実に行った結果、三十分かかったということは、今後も三十分かかりますといっているように聞こえるんですけれども、駆けつけるまでの時間を短縮するための検証、私は行うべきだと思います。
 もし、仮にやれることを十分に迅速に行って、最速の速さで三十分だというのであれば、人員体制を見直す必要があるんではないでしょうか。そうでなければ、日暮里・舎人ライナーでは、何かあったときには、係員が駆けつけるまでに三十分かかりますと、こういうふうに理解しておいた方がいいんでしょうか。
 脱輪が起きた場所は、ライナーの車両基地から目と鼻の先です。脱輪事故は、舎人公園の地下にある車両基地へつながる分岐点で起きています。巡回している係員が、そのときにどこにいるのかということもありますが、すぐ近くの車両基地には、日暮里駅や西日暮里駅と同様に人員が配置されています。少なくとも、そこから駆けつけることができるはずですが、必要な対応を行った上で駆けつけられたのは三十分後だという状況です。それだけ時間がかかるということをそのままにしていていいんでしょうか。
 今回は、分岐点だからこそ脱輪が起きやすかったということかと思います。しかし、脱輪ではなくても、ほかの事故や何かあったときに、車両基地や駅員がいる日暮里、西日暮里の駅から離れた駅だったらどうなるんでしょうか。これをクリアにしないままだったら、何かあったときの対応に不安が残るのではないでしょうか。人員体制の見直しはおろか、駆けつけるまでの時間短縮の検証や改善も行わないというのは許されないと思います。駆けつけるまでの時間の短縮と、そして、人員の体制の見直し、重ねて強く求めるものです。
 次に、バリアフリーについて伺います。
 まず、基本的な認識についてです。
 都営交通におけるバリアフリーは、障害がある方や高齢者、小さなお子さん連れの方々など、あらゆる人々の移動を保障する上で、今後も重要な課題ですが、交通局の認識を伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局ではこれまでも、高齢者や障害のある方々をはじめ、誰もが利用しやすい公共交通機関を目指し、地下鉄駅におけるエレベーター等によるワンルート確保や車両へのフリースペースの導入、都営バスのノンステップバスの導入などを積極的に進めてまいりました。
 引き続き、こうした取組を通じて、都営交通におけるバリアフリーを推進してまいります。

○斉藤委員 誰もが利用しやすい公共交通機関を目指して、地下鉄やバスなど都営交通におけるバリアフリーを推進していくということで、まさに不断の努力が求められているところだと思います。
 具体的に伺っていきたいと思います。
 新しい経営計画の案には、都営地下鉄の駅のエレベーターについて、二〇二四年度までにバリアフリールートの充実として、六つの駅で行うとされております。先ほどもご答弁がありましたけれども、改めてこの六つの駅名について伺います。

○坂口技術管理担当部長 新たな経営計画では、バリアフリールートの充実といたしまして、浅草線日本橋駅、東日本橋駅、新宿線瑞江駅、大江戸線春日駅、勝どき駅、光が丘駅の六駅でエレベーターの増設を進めることといたしております。

○斉藤委員 エレベーターの設置については、全駅でワンルートの整備が完了したということですが、私たちは、地元や障害のある方々、切実な声とともに、二ルート目の設置についても求めてきました。今回、光が丘駅や春日駅をはじめとして、六つの駅で拡充されるということは本当によかったというふうに思います。着実に進めていただきたいというふうに思います。
 エスカレーターの音声案内について伺います。
 視覚障害のある方々にとっては、エスカレーターがあることが分かっても、音声案内がなければ、上りなのか下りなのかが分からなくて利用することができないという切実な声が毎年届けられ、私も、この音声案内の設置を繰り返し求めてきました。
 交通局としても設置を広げてきているところだと思いますが、今年度に、エスカレーターに音声案内装置を設置した駅名と台数について伺います。

○坂口技術管理担当部長 エスカレーターの音声案内装置につきましては、今年度は、三田線御成門駅、神保町駅、大江戸線飯田橋駅、上野御徒町駅及び新御徒町駅の五駅、二十七基で設置を完了しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。特に飯田橋駅は、近くの盲学校に通っている視覚障害の学生さんたちにとっても切実な要望でした。また、上野御徒町駅や新御徒町駅などでも設置をされたということで、よかったというふうに思います。
 この音声案内の設置について伺いたいのですが、これらの音声案内の設置は、大規模改修に合わせて行われたのでしょうか。

○坂口技術管理担当部長 駅の大規模改修などエスカレーターの更新時に音声案内装置を設置しているもののほか、更新までの期間や利用状況等を勘案し、一部の駅で、既存のエスカレーターに音声案内装置を追加設置いたしました。
 引き続き、エスカレーターの更新などの機会を捉え、音声案内装置の設置を進めてまいります。

○斉藤委員 大規模改修での更新のほか、一部の駅では既存のエスカレーターに音声案内装置を追加設置したということです。
 私は、視覚障害のある方々が利用する三田駅のエスカレーターにも音声案内を設置してほしいということを求めてきました。しかし、そのときは、音声案内の設置は大規模改修や老朽化による更新に合わせて行うものだというお答えでした。三田駅は、近くに障害者福祉会館があり、障害のある方々が多く利用される駅です。視覚障害者の方々からは、毎年要望があり、交通局も直接その要望を聞いていると思います。既存のエスカレーターに設置するということが進んでいるのであれば、要望の高い三田駅のエスカレーターに音声案内、早急につけていただくことを強く求めます。
 バリアフリーの改善については、少しの工夫ですぐに対応できるということも多くあると思います。
 視覚障害のある方々から、三田線の日比谷駅の改札についての要望がありました。三田線の日比谷駅の有人の改札口は、ドアがプッシュ式になっていて、視覚障害のある方には分からず、ぶつかってしまうということです。国のバリアフリー整備ガイドラインの旅客施設編に示されている自動的に開閉する構造または高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造に改善してほしいという要望がありますが、いかがですか。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 本件につきましては、お客様からのご要望等を踏まえまして、昨年十一月に、日比谷駅の有人改札口の自動ドアを、押しボタン式から、センサーにより開閉する方式に変更し、開閉操作を不要なものといたしました。

○斉藤委員 十一月に、センサーによって開閉する方式に変更していただいたということで、ありがとうございました。昨年の八月に、この要望が交通局に届けられていたと思います。迅速に対応していただき感謝いたします。
 また、都営バスの田87系統の田町駅では、バスが停車していること、また、行き先の案内の放送がなく、出発の直前に渋谷行き発車しますといわれるので、視覚障害者の方は、そこで初めてバスが停車しているということを知って、慌てて乗るという状況だということです。
 行き先案内のアナウンスを随時流すなど改善が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、お話の田町駅前停留所を含めた全ての停留所におきまして、乗車扉が開いている間、車両から、系統名や行き先などの自動案内放送を繰り返し流しております。
 お話の停留所は、交通量が多く、周囲の騒音で案内放送が聞こえにくい場合がございますことから、乗務員に対して、放送の音量を上げるとともに、発車する際は、車外マイクも活用しながら、ご乗車になるお客様がいらっしゃるのではないかと十分に確認することなどを指導しております。
 引き続き、乗車時の適切な案内に努めてまいります。

○斉藤委員 音量を上げるというご対応をしていただいたということです。当事者の方々にも伺ったんですけれども、聞こえなかったということで、アナウンスがないんだというふうに思ってしまったということでした。今後とも、当事者の方々に聞こえているか、お困りの方がいないかなど配慮していただきながら運行していただくということをお願いしたいと思います。
 次に、ジェンダー平等の視点について伺います。
 三月八日の国際女性デーに合わせて、イギリスのエコノミスト誌が発表する女性の働きやすさランキングでは、主要二十九か国中、日本は二十八位と発表され、六年連続でワースト二位にとどまっているという状況です。男女の賃金、この格差や管理職の割合など、十項目を指標としているものですが、いまだに女性が家庭と仕事のどちらかを選ばなければならない状況が続いているというふうに指摘をされています。
 ジェンダー主流化に取り組み、女性が働きやすい環境をつくることは、男性にとってもライフ・ワーク・バランスの働き方につながり、豊かな生き方につながるものだと思います。
 また、女性の視点を都の行政に取り入れていくことも、誰もが生きやすい社会をつくる上で大事なことだと思います。
 そこで、男性の育児休暇と女性職員の登用について伺います。
 新年度から、改正育児・介護休業法の施行によって男性の育児休業が段階的に導入されます。
 男性が育児に参加する環境の整備は大きな意義があると思いますが、交通局では、男性職員の育児休暇の取得向上のための取組としてどのようなことを行っているか伺います。

○牧野職員部長 交通局では、全管理職がイクボス宣言を行いまして、男性職員の育児休業取得を含めました働きやすい職場づくりに率先して取り組むことを職場において表明しております。
 また、管理職が、配偶者の妊娠が判明した男性職員を把握した際には、面談等様々な機会を捉えまして、育児休業の取得を奨励するとともに、休業中の職場運営につきまして、周囲の職員と協力しながらスケジュール調整や分担見直しを行うなど、安心して育児休業を取得しやすい環境づくりに努めております。

○斉藤委員 管理職から男性職員へ育児休業の取得を奨励したり、休業中の職場運営について、職員で協力して調整していくという取組はとても重要だというふうに思います。
 育児休業の取得人数と取得率の推移について、資料要求九ページ目に示していただいております五年間の推移を見てみますと、五年前はたった二%でしたけれども、二〇二〇年度には二七%まで上がっているということが分かります。
 そこで、育児休業を取得した男性職員からはどのような声や感想が出ているか伺います。

○牧野職員部長 実際に育児休業を取得した男性職員からは、職場の理解が得られるか心配な面もあった、休業取得中の業務運営をうまくやりくりしてもらった、周囲の職員が応援してくれてうれしかった、妻を助けることができたなどの声がございました。

○斉藤委員 周囲の職員が応援してくれてうれしかった、また、妻を助けることができたと、職場や家庭でも、前向きの感想があったということはとてもよかったというふうに思います。
 ただ、ちょっと水を差すようですけれども、ジェンダー平等の視点からいうと、妻を助けることができたという感想だと、パートナーさんから怒られてしまうかもしれません。家事も育児も、助けるとか手伝うというものではなくて、本来は、男女が共に主体的に行うものです。家事や育児は女性が行うものと決められているものではないんだという意識改革を行うことが必要だというふうに思います。
 いずれにしても、こうした経験を積み上げていくということはとても大事なことだというふうに思っています。また、職場で育児休業を取りやすい環境や意識をつくっていくことが、育児休業の取得のハードルを下げていくに当たっても重要だということが、この感想の声からも分かります。
 実際にどのくらいの期間育児休業を取ったのかということも大切な視点です。二〇二〇年度の男性職員の育児休業の取得期間について伺います。

○牧野職員部長 令和二年度の取得人数は二十九名でございまして、このうち、取得期間が一か月以下は十一人、一か月を超え三か月以下は十人、三か月を超え六か月以下は五人、六か月を超えた職員は三人でございました。

○斉藤委員 三か月を超えて六か月以下が五人、六か月を超えて取ったという方は三人いらっしゃるということで、長めに取っている方もいるということで、これもよかったなというふうに思います。しかし、一番多いのは、やはり一か月以下だということで、まだまだ遠慮の気持ちや不安があるのかもしれません。
 育児休業の取得率は二七%まで伸びてきていますが、女性に比べればまだまだ低い状況です。取組の強化が必要だと思いますが、いかがですか。

○牧野職員部長 育児や介護に関連する休暇等を取得しやすい職場づくりは重要であると認識しております。
 このため、交通局では、先ほどご答弁申し上げましたとおり、事業所も含めた局全体で、東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プランに基づきまして、様々な取組を進めてまいりました。こうした取組もありまして、男性の育児休業取得率は、平成三十一年度の一六・四%から、昨年度は二七・一%へと増加しております。
 今後とも、ライフ・ワーク・バランスのさらなる推進に向けまして、男性職員も育児休業を取得しやすい職場環境づくりに努めてまいります。

○斉藤委員 育児、介護関連の休暇等を取得しやすい環境づくりは重要だというとても大事な認識だと思います。
 私自身も、夫婦共働きで、夫が育児休暇を取ったのは十一年前ですけれども、休んだのは十日間と、まだまだ短い育児休暇でした。しかし、五年前に私が議員になってからは、夫は、ほぼ毎日、夕方六時半には帰宅をして、夕食を作り、子供とお風呂に入って寝るというところまで主体的にやってくれています。それぞれがバランスを取れるこの時間の使い方に工夫が要りますが、濃淡をつけながらでも、子供との時間や家事の時間を取るということは、人生を豊かにしてくれるものだと感じています。ジェンダー平等の視点を職場にも家庭にも目指していくということについては、私自身も悪戦苦闘しながらチャレンジ中ですけれども、交通局の皆さんと同様に頑張っていきたいと思っています。
 次に、女性職員の登用について伺います。
 こちらも、提出していただいた資料によると、四ページ目ですけれども、交通局の女性職員の割合がずっと三%台になっているということで、驚きの数字です。
 女性職員の割合、今年度は三・六%となっていますが、管理職での割合は幾つでしょうか。

○牧野職員部長 令和三年四月一日現在におけます交通局の管理職に占める女性の割合は、三・七%となっております。

○斉藤委員 管理職も三・七%だということで、この委員会でも前から気にはなっていたんですけれども、理事者の皆さんの中でも、女性が少ないというか、今いらっしゃらないような状況ですかね。東京都の職員全体の中での女性の係長以上の管理職は三〇%、課長以上だと二〇%というふうになっているということを総務局からも確認をしていますが、世界的水準からすると、それでも低いですけれども、交通局では、東京都の平均からさらにその十分の一近くまで低いという状況です。
 交通系の仕事には、もともと女性が少ないということがあるんだと思いますが、今では、東京メトロやほかの事業者でも女性の駅員さんの姿はよく見るようになっています。
 女性職員の数の引上げや管理職への登用は、ジェンダー平等の視点から、また、交通政策の策定においても重要なことだと思いますが、見解を伺います。

○牧野職員部長 女性職員の活躍は重要と考えておりまして、交通局におきましては、女性職員のシャワー室や仮泊室の設置など働きやすい職場環境の整備を進めているところでございます。
 また、交通局で実施しております運輸系職員の採用に当たりましては、女性職員の体験談や仕事と育児の両立を支援する休暇制度を採用ホームページに掲載しております。
 管理職の登用に当たりましては、公平、公正な選考を実施し、性別にとらわれない実力本位の任用管理を行っているところでございます。

○斉藤委員 都営交通で最近問題になっております痴漢や盗撮の対策をはじめ、バリアフリーなど公共交通サービスの向上において、女性の視点を生かすため、管理職への登用を増やしていくべきだと思います。
 交通局の職員の採用については総務局で所管しているものですが、女性職員を増やすことの重要性について認識を共有して、採用を広げていただきたいと思います。
 また、駅の係員や乗務員、バスの運転手など運輸系の職員は、交通局独自で採用を行っているというふうに伺いました。女性職員のための職場環境の整備や採用に当たってのPRにも取り組んでいるということなので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。
 特に、女性の駅員さんの増員は、今、強く求められています。駅や電車での痴漢や盗撮の被害について、日本共産党都議団は実態調査を行い、多くの女性が最も身近に受けている性被害が痴漢や盗撮であり、その多くが駅や電車内で起きているということが明らかになっています。アンケートには、駅での対応についても声が寄せられました。都営交通だけにいわれていることではないんですけれども、通報時や被害届提出時の駅員や警察官による二次被害、セカンドレイプですね、この防止を求める声や女性の駅係員の増員を求める声が寄せられています。
 鉄道や駅構内での痴漢や盗撮の被害に遭う女性が多くいる中で、駅係員の対応は重要なものです。被害にあった女性が、その内容を男性の係員に話すことには抵抗もあります。
 駅係員として女性の職員を増やすことが重要ですが、いかがですか。

○牧野職員部長 先ほどご答弁したとおりでございますけれども、交通局では、駅係員を含めまして、運輸系の女性職員の確保に向け、様々な取組を実施しているところでございます。
 なお、駅構内や車内で痴漢や盗撮などの被害の訴えがあった場合には、男性、女性を問わず、駅係員や警備員が初期対応に当たるとともに、速やかに警察に通報し、対応しております。

○斉藤委員 男性、女性問わず対応に当たるということは当然なんですけれども、今、圧倒的に男性がほとんどという都営交通の駅係員について、女性の職員を抜本的に増やすことを強く求めます。
 次に、都営地下鉄での浸水対策について伺います。
 激甚化する台風や集中豪雨、また、荒川の氾濫を想定した浸水対策が喫緊の課題です。地下鉄駅の出入口での止水対策が重要ですが、中でも、大規模地下街や、ほかの鉄道事業者、隣接するビルの出入口の対策が欠かせません。
 浸水想定区域内に出入口がある駅で、ほかの鉄道事業者や隣接するビルと地下道等が接続していて、ビル管理者等による出入口の止水対策が完了していない駅は何駅あるのか、また、二〇二四年度までのこの計画で全て完了するのか伺います。

○谷本建設工務部長 現在公表されている浸水想定区域内に出入口がある駅は、都営地下鉄が管理する全百一駅のうち九十二駅でございます。
 このうち、他の鉄道事業者や隣接するビルと地下道等で接続しており、ビルの管理者等による出入口の止水対策が完了していない駅は十九駅でございます。
 今般策定する経営計画では、浸水防止に向けた検討や関係者との調整を進めていくこととしております。

○斉藤委員 ビルの管理者等による出入口の止水対策が完了していない駅は、まだ十九駅あるということです。今回策定する計画で、浸水防止に向けた検討や関係者との調整を進めるということですけれども、早急に対策を進められるように、取組を強化していただきたいというふうに思います。
 水防法では、駅ごとに避難確保と浸水防止計画を策定することを義務化しておりまして、計画を策定したときは公表しなければならないとしていますが、その進捗状況について伺います。

○西川安全管理担当部長 都営地下鉄では、水防法の規定に基づく避難確保、浸水防止計画を全ての駅で策定し、各駅での閲覧の形で公表するとともに、浸水想定区域に含まれる全四十一駅分については、局ホームページにも掲載してございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。このことについて、二〇一九年の決算の全局質疑で私も求めましたけれども、そのときはまだ公表がされていない状況でした。今では、四十一駅分について全てホームページに掲載しているということで、ご対応いただき感謝をいたします。
 この情報発信の内容についてなんですけれども、東京メトロと比べると、ちょっと分かりにくいかなという印象があります。東京メトロでは、駅のイメージ図の中に、対策の写真を載せて、そして、全体的な対策について、ビジュアルから分かるような発信になっています。駅構内の地図も、カラーの立体図になっていてイメージしやすいものになっています。
 他事業者の例からも学びながら、駅ごとの対策や避難経路を利用者により一層分かりやすく発信していく取組が必要だと思いますが、いかがですか。

○市川電車部長 各駅で取るべき対策や避難経路等については、避難確保・浸水防止計画において公表しておりまして、また、各駅では、避難経路図を改札口付近のお客様の目に留まりやすい場所に掲出しております。

○斉藤委員 各駅の見やすいところに掲示をするということも大事なことだというふうに思います。交通局のホームページで公表されているものは、計画書のペーパーをスキャンで読み込んだものが添付されているというようなものになっています。駅構内の地図も白黒の平面図で、ちょっとイメージしにくい感じでした。カラーで立体的な地図にするなど、より一層利用者に分かりやすい発信をしていただきたいというふうに思います。
 最後のテーマですけれども、公共交通の在り方について伺います。
 コロナ禍での自粛やテレワークの普及によって都民の行動変容が起こり、交通局での経営は厳しい環境になっています。都営地下鉄は、コロナ以前と比較して、二〇二〇年度の乗客者数は三割程度の減、そして、都営バスも二割減で推移しているということが、経営計画案の中でも示されています。今後は、コロナ以前と比較して、地下鉄は一五%程度、その他の事業は一〇%程度減少が続くという想定で、料金収入は厳しい状況が続くということになります。
 しかし、そうした中でも、都民の移動の保障をしていかなくてはならないのが、公共交通を担う交通局の役割だと考えますが、まず見解を伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 安全・安心の確保を最優先に、質の高いサービスを提供し、東京の都市活動や都民生活を支え続けていくことが都営交通の果たすべき役割と考えております。
 交通局では、こうした考えの下、これまでも事業運営を行っており、新たに策定する経営計画でも、地下鉄全駅でのホームドア整備やバリアフリールートの充実に取り組むほか、バス停留所の上屋、ベンチの整備を進めるなど、厳しい経営状況にあっても、必要な事業を着実に実施していくこととしております。

○斉藤委員 都市活動や都民生活を支え続けていくことが都営交通の果たすべき役割と認識しているということで、重要な視点だと思います。今後も忘れてはならない認識だというふうに思います。
 バス路線の現状について伺います。
 今年度、バスの路線を廃止したり、減便したりした路線は幾つあるでしょうか。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、地域のニーズや需要の変化をきめ細かく把握し、代替交通の有無などの路線特性を踏まえまして、毎年定期的に路線の新設、廃止、増便、減便などの見直しを行っているところであります。
 今年度は、廃止した路線はございませんが、昨今のご利用の減少等を踏まえましてダイヤを改正しておりまして、平日、土曜、休日ダイヤのいずれかで一便だけ減少したものも含めますと、計十八路線が減便となりました。
 実施に当たりましては、お客様の利便性に最大限配慮いたしまして、影響をできる限り抑えるため、このほとんどについて、ご利用が多い時間帯の運行間隔を変えずに維持するか、あるいは、拡大しても三分程度にとどめております。

○斉藤委員 今年度廃止した路線はないということですけれども、土日や休日ダイヤ、減便をしたということも含めると、全部で十八路線で減便があるということです。減便する路線については、ほかに代替路線や代替交通があるところや、減らした時間帯についても、極力影響が出ない範囲で選んでいるということも伺いました。
 しかし、私たちは、都民の移動の権利を保障するためにも、バス路線の廃止は極力行うべきではないと考えています。特にバスは、高齢者にとっても乗りやすい交通機関であり、高齢者を含めた住民の交通権、移動する権利を保障することは、公共交通、とりわけ自治体の重要な役割です。だからこそ、都として公共交通を維持することが求められています。
 そこで伺いますが、交通局への一般会計の繰入れの項目と額、その根拠について伺います。

○土岐次長 地方公営企業は、独立採算制により経営を行うことが原則とされておりますが、一部の経費につきましては、法令等の定めにより、一般会計が負担しております。
 交通局では、基礎年金拠出金に係る公的負担分に対する補助金、シルバーパス等の料金減免措置に対する補填金、高速電車事業の建設改良に対する出資金などが、一般会計の負担として繰り入れられており、令和四年度予算における繰入金額は、交通局所管の三会計合計で三百十四億円でございます。

○斉藤委員 シルバーパス等の料金減免措置に対する補填金、これはまさに高齢者の移動を保障し、社会参加や健康維持につながる福祉的要素が強いものです。また、高速電車事業の建設には、多額の予算が必要になりますが、独立採算では担えないものでも、公営企業法に基づいて、都民にとって不可欠な公共交通の整備に都が費用を負担しているというものです。一方で、都営交通の運行維持に対しては、独立採算の原則で、現時点で都からの補助はありません。
 私は、コロナ禍で厳しい今こそ、この在り方を見直すべきではないかというふうに考えています。都の地域公共交通計画の策定に向けて地域公共交通の在り方検討会が開かれてきましたが、この中の議論を見ると、地域公共交通が置かれている現状がよく分かります。例えば、バス事業者は非常に厳しい経営状況にある、自治体としてのサポートについて検討していただきたいという声や、具体的に、生活路線の確保、維持に対する支援を検討してほしい、また、都や区市町村の役割に支援という意味合いを込めていただけるとありがたい、こういう切実な声が上がっています。
 交通の一事業者として、交通局にも共通する思いがあるのではないかと思いますが、いかがですか。

○太田バス事業経営改善担当部長 お話の検討会には、交通局も、バス事業者としての立場から委員として参画しております。
 交通局からは、事業運営上抱えている課題などについて情報提供を行いますとともに、行政の支援の在り方等についても意見を述べてきたところでございまして、これらを受け、昨年十二月に、地域公共交通の基本方針の中間のまとめが公表されたところであります。
 この中で、都は地域公共交通の充実等に向けた促進策の構築などを実施するとともに、区市町村は生活交通の充実等に資する取組を推進するなど、都や区市町村の役割を示しながら様々な支援に言及しておりまして、交通事業者としての意見が反映されているものと考えております。

○斉藤委員 交通局もこの検討会に参加して、事業運営上の課題など情報提供したほか、行政の支援の在り方等についても意見を述べてきたということで、重要なことだと思います。
 しかし、この地域公共交通計画の案を見てみても、具体的な支援の言及があるわけではなくて、まだまだ都の取組の弱さを感じますが、しかし、こうした議論が事業者から上がっているということは重要なことだというふうに思います。
 在り方検討会の議論では、こういう発言もありました。現場では、財源確保が課題であり、そのための制度制定は重要である、公共交通は、今まで民間事業として捉えられてきたが、高齢化や人口減少の進行もあり、福祉的な視点からの対応も求められている。
 重要な指摘だと思いますが、交通局の見解を伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 路線バスは、通勤通学や買物、高齢者の通院など、地域の暮らしを支える身近な移動手段であり、各事業者におきましても、地域に必要な路線については、赤字路線であっても黒字路線の収益で支える総合的な事業運営を行うことで維持してまいりました。
 一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、各事業者とも乗車人員は大きく落ち込んでおりまして、検討会において、東京バス協会からは、これまでのような路線網の維持は困難となっているため、都としての財政的な支援が必要といった意見が出ております。
 交通局といたしましても、財政面などの行政の支援の在り方等について意見を述べてきたところであります。

○斉藤委員 検討会で、東京バス協会から、これまでのような路線網の維持は困難で、都の財政的な支援が必要だという意見が出ているということ、また、交通局も、財政支援などの行政の支援の在り方について意見を述べてきたということはとても貴重なことだというふうに思います。
 日本では、長らく公共交通の民営化が進められ、その下で、採算が取れない路線は廃止され、困難な地域ほど切り捨てられるということが続いてきました。
 しかし、一度は民営化が進んだヨーロッパでも、今では、交通は公的に支えるものという認識が確立しています。欧米の公共交通は、税金や補助金を原資とした運営が一般的になり、さらに無料化に進む自治体が増えています。フランスでは、交通権という言葉が法律の中で明文化され、行政が目指すべき交通政策の指針とされているということ、また、地域交通全体が、社会インフラとして必要なことであるから、不採算の面があっても行政が実施しなければならないとされている、そういうことが、自治体国際化協会のパリ事務所の報告にも示されております。
 交通局としても、民間の手法や論理だけでは成り立たないのが公共交通だという立場に立って、都民の交通を守り、関係各局と認識を共有し、連携をしていくことが必要だと思いますが、いかがですか。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地方公営企業は、独立採算制の原則に基づき、企業としての効率的な経営を図りながら、質の高いサービスを提供し、地域住民の公共の福祉を増進するよう運営することとされております。
 このため、新たに策定する経営計画の下、安定した輸送サービスを提供していくために、経費の縮減や収益力の強化はもとより、業務の在り方や執行体制の構造の見直しに取り組んでまいります。
 なお、関係各局とはこれまでも、事業の推進に当たり、課題や認識を共有するとともに、様々な面で連携を図ってきたところであります。
 今後も、適切な事業運営に努めてまいります。

○斉藤委員 最近でも、弱肉強食の新自由主義の政策の柱として、一九八〇年代のイギリスの保守党のサッチャー首相が進めてきた鉄道の民営化が破綻し、再国有化の見直しが進み、不採算で廃止された路線も一部復活するということも報道されています。
 独立採算だけで効率化を進めようとすれば、不採算路線や事業が切り捨てられ、都民の移動の保障が行えなくなるのが交通事業です。世界に目を転じれば、新しく当たり前の公共交通の考え方が既に広がっています。コロナの影響により公共交通を取り巻く状況が大きく変わり、各事業者とも、従来の独立採算の考え方だけでは維持ができない、こういうことが浮き彫りになった今、一般会計も含めて、公的にしっかり支えていくという公共交通の在り方を検討していくべきときだというふうに思います。
 ぜひ、関係各局と課題や認識の共有を行い、公共交通を守る役割を果たすことを求めて、質問を終わります。

○山口委員 それでは、私からも、幾つか質問させていただきたいと思います。
 さて、過日の委員会で、交通局が所管をする令和四年度の各会計の予算案の説明を受けたところでございますが、自動車運送事業、まあ、都営バスなど四つの事業を経理する交通事業会計は、経常利益が五十三億三千八百万円の赤字予算になると、先ほどの質疑でもあったところでもございました。とりわけ都営地下鉄を経理する高速鉄道事業会計も、経常損益が二十億四百万円の赤字予算となっているということでございました。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって、基幹収益である乗車料収益の減少が続く厳しい経営環境の中での予算編成であることがうかがい知れるものでありました。
 また、令和四年度を初年度とする三か年の新たな経営計画についても報告を受けたところでありますが、予算案同様に厳しい経営環境の中ではあるものの、交通局の持続的な経営に向けて、様々な取組をバランスよく取り込んでいるものと感じたところでもあります。
 本日は、予算案、経営計画案において、取組を強化していくとした事業について、具体的にどのように進めていくのかを質疑させていただきたいと思っているところでございます。
 ようやくこの三月二十一日には、蔓延防止も明けようかと、終わりを迎えて、まだ一定の行動に注意を都民の皆様に働きかけながらも、誰もが回復について期待を持たれているところでもあります。しかしながら、コロナ禍での出控えやインバウンドの消滅によって交通事業者の苦境が続いていることは、これは事実でもありますし、まだまだここからも厳しい状況が見込まれるわけであります。
 民間の鉄道会社などは、資産の売却などコストカットを進める一方で、鉄道よりも不動産などの非鉄道事業の回復期待が大きいと見ており、コロナ時代のニューノーマルに適した経営の模索が始まっています。本業である鉄道、バス事業を守るために必要なのは新規事業の創造であり、常にビジネスアイデアを考えておかなければ、アフターコロナに立て直しを図ろうとしても、できないのではないでしょうか。
 交通局においても、不動産、広告といった関連事業での収益の確保を図る必要があると考えますが、まずは、関連事業の積極的な展開による収益確保についてどのようにお考えか伺いたいと思います。

○坂田資産運用部長 交通局では、経営基盤の強化に資するため、所有する土地建物や駅及び車両などの資産を有効に活用することにより、不動産や広告、構内営業等の関連事業を展開し、安定した収入の確保に努めております。
 今後、乗車料収入がコロナ禍前には戻らない見通しの中、持続可能な経営基盤の確立のため、既存資産のさらなる有効活用を図るなど様々な方策により関連事業収入の増加を図っていく必要がございます。
 このため、浜松町二丁目地区や西新宿三丁目西地区の市街地再開発事業に参画するなど、開発によって取得する資産の利活用を検討してまいります。
 また、地下鉄の広告用車内液晶モニターについて、令和四年度には、三田線を加えた全路線で広告販売を開始する予定でありまして、引き続き、設置を拡大するとともに販売方法の充実を検討するなど、デジタル広告の販売促進を図ってまいります。
 これらの取組により、今後も、経営基盤の確立に向け、さらなる関連事業収入の確保に努めてまいります。

○山口委員 とりわけ広告の在り方や媒体の使い方というものに関しては、今、デジタル広告の販売促進のお話などもありましたけれども、今考えていても、もうあっという間に、今後、五年、十年後には、我々の想像を超える形で変わっていくことは容易に想像がつくわけであります。例えば、JR東日本では、山手線の電車内の窓上広告チャンネルに表示をされる動画広告と乗客のスマートフォンを連動させて、車内広告に関連をしたキャンペーン情報やクーポン等を配信する広告商品の試験販売に取り組んでいると、開始をしたというように聞いているところもあります。
 まち中のデジタル広告なども、飛躍的に変化を遂げていて、アルタの横のビジョンであったりだとか、センター街の入り口なんかは、3Dビジョンが出てきて、私もこの間ちょっと見に行ってきましたけれども、今話題のビッグボスも大きな顔で出てこられると。我々も想像しなかったような、このデジタルというだけでも、飛躍的な進化を日々遂げているわけでもあります。
 これは、ありとあらゆることを戦略的に、局の皆様にしてみると、変化球に感じられるように思われるかもしれませんけれども、正直稼ぎを取りに行かなければならない時代になってきていることは明らかなわけであります。
 収入の確保と同時に、都営交通が、先行的に新しい情報発信の在り方、活用を検討していくと、これぐらいのスタンスで取り組んでいってほしいと思うところなわけでありますが、近年のIoTをはじめとするデジタル技術の発展というのは、これは目覚ましく、金融、製造、医療など、多種多様な分野で新たなサービスが生まれており、鉄道分野に関しても、様々な課題やニーズに対して、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを進めていく段階に来ていると思います。
 デジタル技術の活用については、まだ先行事例が少ないということもあって、試験的に取り組む必要があるものがあれば、別の分野で行われている、既に取り組まれている取組については、応用していくなど様々なアプローチが考えられると思いますが、局もぜひ積極的に取り組んでいくべきだと考えています。
 そこで伺いたいんですが、デジタル技術を活用した案内であるとか、駅サービスについての進捗についてお伺いしたいと思います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、東京を訪れる旅行者等に都営地下鉄をより快適にご利用いただけますよう、令和二年十月から、AIによる対話型のロボットコンシェルジュを新宿西口駅と新橋駅に導入し、運賃や乗車経路をはじめ、駅構内、周辺の情報等、様々な案内を多言語により行っております。
 今後は、警備、清掃など様々な駅業務へのロボットの活用について調査検討してまいります。
 また、令和五年度から、新たに定期券のウェブ予約サービスを開始し、スマートフォンなどで必要な情報を入力していただくことによりまして、都営地下鉄の全ての駅に設置している券売機におきましてスピーディーに非対面で定期券を購入できるようにする予定でおります。
 引き続き、デジタル技術の進展を踏まえ、お客様の安全性、快適性、利便性を向上するため、駅における新たなサービスの検討、導入を進めてまいります。

○山口委員 ついに質疑や答弁の中にロボットという言葉が出てくる時代になったんだなと深く思うところもありますが、機械ができることは、安全性を保った上で機械に任せると、それによって生まれた時間で、人は人にしかできない仕事に集中できるというふうに私は考えた方がいいんだろうというふうに思うわけでありますが、定型の業務から創造的業務に切り替えることができれば、目の前の仕事に創意工夫を凝らすことになって、そのことが安全やサービスの質を向上させて、お客様に喜んでいただく、都営交通を選んでいただくということにつながるのではないかと考えます。
 次に、維持管理におけるデジタル活用についても伺いたいと思います。
 鉄道事業は、軌道や車両などの保守費用の割合が大きいと、以前から交通局の担当の皆様から伺ってきたところでもあります。加えて、近年は、設備の老朽化や労働力不足によって、メンテナンス業務の効率化が重要な課題となっています。コスト削減のみならず、点検業務の効率化やデータ利活用、技術継承を目的としたナレッジの獲得の点からも、保守についてもデジタル活用を追求していくべきと考えます。
 そこでまず、車両の安全で快適な走行を支えるレールなど、軌道管理のデジタル化について伺いたいと思います。

○谷本建設工務部長 都営地下鉄の安全・安心の確保は最優先の課題でございまして、将来の限られた人的資源の中でも、現在の保守の品質を維持向上させていくことが重要でございます。
 その実現に向けましては、デジタル技術を活用したより効率的な維持管理手法につきまして、検討、導入を進めていく必要がございます。
 このため、新たに策定する経営計画では、軌道管理のデジタル化に向け、レールの傷や摩耗等に関する複数の検査を一台で実施可能なレール計測車を令和六年度に導入することとしております。
 また、将来のAI活用によるデータ解析も見据え、現行の保線管理システムを改修しまして、計測車により収集したデータの一元的な管理を可能といたします。
 これらの取組によりまして、レール交換周期の最適化など効果的なレール管理につなげ、安定した輸送基盤の構築を図ってまいります。

○山口委員 収集したデータを解析することで、設備の故障が検知できて、適切なタイミングで保守ができるようになると、これによって事故の未然防止や大きな故障に至る前の初期段階での修理が可能になるはずであります。
 また、車両でのデジタル活用についても確認をさせていただきたいと思います。
 五月から、都営三田線で新型車両六五〇〇形の運行が開始をします。この車両では、IoTやビッグデータ等のデジタル技術を活用し、車両の状態をリアルタイムに可視化する車両情報収集システムを搭載しているとのことでありますが、都営三田線で導入を進めている車両情報収集システムについて伺いたいと思います。

○生越技術調整担当部長 三田線では、車両更新に合わせまして、走行中の列車の速度やブレーキ動作、各機器の電流など車両の様々なデータを運輸指令所や車両基地等に伝送する車両情報収集システムを令和四年度に導入することとしております。
 このシステムを導入することによりまして、運行している車両の状態がデータとして即座に把握できるようになり、異常時対応の迅速化を図ることが可能となるものでございます。
 さらに、このデータの活用を検討することによりまして、より効果的な保守管理を目指すとともに、安全で安定的な列車の運行を確保してまいります。

○山口委員 車両の状態を常に監視し、車両のコンディションを把握すると。安全性の向上とメンテナンスの効率化の両立という点で考えても、デジタル技術を一層活用していくことを求めておきたいと思います。
 さて、デジタル化、システム化もさることながら、人材育成は、これはいうまでもなく大切なことであります。人の手による作業も大事に守っていかなければならないわけでありますし、その必要性は申し上げるまでもありません。
 交通局には、地下鉄車両の整備や線路の維持管理、電気施設の保守など、交通局ならではの様々な技術、技能を持った職員の方々がたくさんいらっしゃいます。一方で、職員の高齢化も進展していると聞いており、次世代を担う職員へ、そういった技術等を受け継いでいくことが極めて重要となってまいります。
 そこで、技術継承に向けた交通局の取組について伺いたいと思います。

○牧野職員部長 交通局では、今後、運輸系職員の大量退職時期の到来が見込まれておりまして、ベテラン職員が持つ高度な技術やノウハウを次世代の職員に確実に継承させていくことが重要でございます。
 今般、局の人材を計画的に育成していくため、新たに交通局人材育成ビジョンを策定し、これまでベテラン職員が培ってきた知識や必要なスキルを体系化することといたしました。
 今後は、このビジョンに基づきまして、技術的な知識に関する研修の拡充を行うとともに、若手職員や昇任選考合格者を対象といたしまして、関連する他の現場の業務を学ぶ研修を行うなど、技術継承に向けた取組を推進してまいります。
 また、新たに現場のベテラン層を対象といたしまして、知識や経験に着目して指導職を選抜し、各職場における指導の充実を図ってまいります。
 これらの取組により、次世代を担う職員への技術継承を着実に進めまして、現場を支えるプロフェッショナル職員の育成に努めてまいります。

○山口委員 技術を継承する上では、受け継ぐ相手方として、次世代を担う人材を安定的に確保していくことも重要なわけであります。さらに、交通局が独自採用を行っている地下鉄やバスの車両整備、電気信号設備や線路の保守などを担う技術系の職種においては、近年、応募者が減少傾向にあるというふうにも聞いています。
 それら交通技能職員の人材確保に向けた取組について伺いたいと思います。

○牧野職員部長 地下鉄やバスの車両整備、電気信号設備や線路の保守などを確実に実施し、安全・安心で質の高いサービスを提供していく上で、将来を担う若手の技術系職員の人材確保は極めて重要でございます。
 このため、交通局では、工業高校等への訪問活動を継続的に実施するとともに、交通局の採用ホームページやパンフレットを活用いたしまして、技術系職員の仕事の内容や魅力を分かりやすく発信しております。
 また、今年度からは、現場で働く職員自らが仕事のやりがい等を語るウェブセミナーも実施しております。
 さらに、年度内には、若年層をターゲットといたしまして、業務内容や仕事の魅力を分かりやすく解説する動画を作成し、ホームページ上で配信する予定でございます。
 今後とも、こうした取組を推進いたしまして、若手の技術系職員の人材確保に努めてまいります。

○山口委員 人材をどのように確保し、成長させるかという人材育成計画も、必ずこの経営計画に入れるべきだと常々思ってきたところに、今回、新たな経営計画の策定と同時に、局の人材育成の指針である人材育成ビジョンを定めることは大変評価ができると考えています。ぜひとも職員の皆様方が最大限の能力を発揮できる環境整備に取り組んでいってほしいと要望しておきたいと思います。
 次に、都営交通の魅力向上や地域の活性化を図るための取組についても伺っていきたいと思います。
 利用に直接つながるような新たなサービスの導入も、もちろんこれは大切なことでありますが、都営交通をより身近に感じていただくためにはどのようにすべきかという視点があってもいいのではないかと考えるわけでありますが、都営地下鉄も都営バスも、もっと注目をされて、愛着や親しみを感じ、魅力が伝わると、利用したいと思うようになるのではないかと思うんですが、都営交通の魅力発信について、局の考え方や見解を伺いたいと思います。

○土岐次長 お客様に都営交通をより安心してご利用いただき、一層親しみを感じていただく上で、都営交通の魅力を広く発信していくことが重要と認識しております。
 そこで、交通局では、統一的なコンセプトの下、日々の地道な仕事から先進的な施策まで、局の様々な取組を発信するプロジェクトとして、PROJECT TOEIを平成二十八年度から実施しております。
 具体的には、全ての今日のためにというスローガンを定め、都民やお客様をはじめ、都営交通に関わる人の日々の暮らしを今日と置き換え、その全ての今日を支えていくという思いを伝えてまいりました。近年では、人々の日々の生活の中にある都営交通の情景を国際的に著名な写真家が撮影し、駅構内ポスターや車内液晶モニターのほか、ユーチューブやインスタグラムなどSNSを活用して発信してございます。
 今後とも、様々な角度から都営交通の魅力を捉えまして、より一層積極的なPRに努めてまいります。

○山口委員 私もまだ孫が生まれる年でもありませんが、孫が生まれたときには、都営交通のプラレールを買ってよ、都営バスのミニカー買ってよといわれるようになりたいなと思っているがゆえに、質問なわけでありますが、少しちょっと前の話になるんですが、世田谷でも、二〇一七年に、世田谷線の前身である東急玉川線とか、通称玉電といわれるんですが、この開通百十周年を記念して、招き猫発祥の地といわれている豪徳寺の招き猫をデザインした車体ラッピングと、つり革には招き猫型のつり手をつけたり、床面には猫の足型を模した幸福の招き猫電車というのが運行されました。二〇一九年には、世田谷線五十周年を記念した企画として、招き猫電車が復活をして、併せて世田谷線フェスというのも開催をされました。三軒茶屋の駅前では、私の地元でありますが、世田谷線沿線七駅の商店街や店舗が出店をして、名物や記念グッズを販売する世田谷線沿線マルシェというのも実施をされて、記憶に新しいところなんですが、これらの取組は、世田谷線沿線が活性化する求心力になったすばらしい取組でありました。
 こういった都営交通を通じた、沿線、地元の活性化を図る取組というのも、きっとされているんだと思うんですが、どのように行われているのか、ぜひ伺いたいと思います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、都民生活を支える身近な公共交通機関として、これまでも、沿線地域の活性化に積極的に取り組んでまいりました。
 例えば、東京さくらトラムでは、沿線の新宿、豊島、北、荒川の四区と連携した季節ごとの装飾電車の運行、沿線の宿泊施設とのタイアップ企画の開催など、地元に密着した事業運営を行ってまいりました。
 また、日暮里・舎人ライナーでは、地元区等と連携し、舎人公園における春先のイベント開催など、旅客誘致の取組を進めております。
 新たに策定する経営計画では、取組の推進に当たり強化すべき視点として、多様な主体との連携を掲げており、これまで以上に様々な関係者と連携しながら、都営交通ネットワークを生かしたスタンプラリーの実施や駅構内を活用した沿線の魅力発信などを展開し、新たな旅客需要の創出につなげていくことで、沿線地域のさらなる活性化を図ってまいります。

○山口委員 本年二〇二二年は、交通局が一九一一年に開業されて百十一年の一並びの年となるわけであります。都営交通の経営資源と地域社会、民間事業者、ステークホルダーといった多様なパートナーとの連携をさらに強めて、都営交通の魅力を感じていただいて、地域の活性化につなげていく取組をぜひとも進めていただきますように要望したいと思います。
 最後に、都営バスについて伺いたいと思います。
 コロナ禍は、二年を超えていまだ続いている状況です。一昨年四月に、初の緊急事態宣言が発令をされたときは、皆、外出を控え、電車もバスもがらがらになってしまったわけであります。その後、ある程度は回復をしてきたとは思いますが、今も、コロナ禍前に比べれば、電車もバスもかなり空いていることは、誰もが感じているところだと思います。
 私も、渋谷周辺などによく出かけたりしますが、特にバスについては、今も、コロナ前のように混雑している様子はほとんど見られません。例えば、渋谷、六本木のような都心部のオフィス街と下町住宅街のような地域では、回復状況にかなりの差があるのではないかとも思います。
 そこで、コロナ禍を受けて、各地域での利用状況というのはどのように推移、変化をしてきたのか、ここを伺いたいと思います。

○太田バス事業経営改善担当部長 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けまして、都営バスの乗車人員は大幅に減少しております。緊急事態宣言が初めて発出された一昨年の四月から五月にかけて、乗車人員は約四割減少し、その後若干の回復が見られましたものの、令和二年度には、前年度に比べ二一%減少となりまして、今年度も、おおむね二割弱の減少が続いております。
 こうした変化を地域別に見ますと、下町エリアなどを中心に運行している暮らしに密着した路線では、利用の回復が早く、乗車人員の減少幅は比較的小さい傾向にあります。
 一方、委員お話しの渋谷駅や六本木駅周辺などの都心部のオフィス街や臨海地域などにおきましては、テレワークやオンライン会議の進展など、お客様の行動変容の影響を強く受けておりまして、減少幅が三割を超える路線も複数あるなど、利用の回復が遅れております。

○山口委員 地域によって多少のばらつきがあるものの、コロナ前に比べて、都営バスの利用状況は大きく影響を受けているんだということが分かったわけであります。このような状況で、民営バスも、路線や運行本数の見直しを進めているようでもあり、先日、都営バスについても、ホームページで一部路線の運行の終了等のお知らせを行ったと伺っております。
 一方で、このコロナ禍の中でも、三百六十五日、休むことなく都営バスは運行を続けており、乗務員の皆様の努力には、もう心より敬意を表したいと思います。乗務員の皆様方は、あらかじめ当日運行するダイヤは決まっており、急な対応が他の職種に比べても取りにくい勤務体系となっているわけであります。育児や介護など様々な家庭での事情を抱えている乗務員の方々も多くいらっしゃると思い、バスも、バス乗務員がきつい仕事で、かつライフ・ワーク・バランスも確保できていないとなると、ますます乗務員の確保が困難になり、事業運営にも様々な影響になるのではないかという懸念があります。
 そこで、交通局には、乗務員の確保と併せて、乗務員の様々な事情に配慮をした事業運営が実現できるよう、必要な体制を整備すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○牧野職員部長 交通局では、全国的に大型二種免許保有者が減少するなど厳しい採用環境にある中、応募者の年齢要件の拡大や大型二種免許の未取得者を対象といたしました養成型選考の導入、採用PRの充実などによりまして乗務員を確保するとともに、適切な人員配置に努めております。
 さらに、育児や介護などの事情を抱えた職員が働きやすい職場の実現に向けまして、育児、介護関連の休暇制度等につきまして、職員への周知を図るとともに、休暇を取得しやすい職場の風土づくりを進めております。
 これらの取組により、引き続き、都営バスの安定的な運行を支える体制整備に努めてまいります。

○山口委員 このコロナ禍、厳しい状況の中で、皆様がご尽力をされている、大変なご苦労をされていることは、重々承知をしております。
 しかし、こういうときだからこそ、見直しができる、こういうときだからこそ、新しい取組に挑戦ができると。これも、このコロナ禍、考え方を変えれば、チャンスのとき、ピンチをチャンスに変えるとよくいいますが、そういう捉え方もできると思いますので、ぜひとも私たちの声もしっかりと受け止めていただいて、チャンスに変えていく取組にしていただければありがたいなというふうに思います。
 都営バスが、地域を支える身近な交通機関として将来にわたってその役割を発揮していくには、地域のニーズに合った路線にするとともに、それを乗務員が安定的に運行できるようにしていくための環境整備、この両方が必要であると思います。
 今回、路線については、利用の減少を受けて縮小されるわけでありますが、都営バスで蓄積したノウハウをフル活用したダイヤにするなど、実際に利用する人々への影響が極力生じないようにしてほしいですし、需要が回復した際には、便利で快適に利用できるよう、ぜひ増強等を検討してほしいので、これを要望しておきたいと思います。そして、今まさに働いていらっしゃる方々、その思いや声というものをしっかり局の皆様も受け止めていただいて、そこを反映していただくように、これも強く要望しておきたいと思います。
 今後の交通局の事業運営を左右する上で大変重要な三か年が、この令和四年度からスタートいたします。経営状況や事業の進捗について、コロナをいい訳にするのは、三月で終わりになるでしょう。そう信じて、新年度からは、変化した事業環境の中で、どのように事業を伸ばしていくのか、そういうステージに入る覚悟が、ある意味、局の皆様にも、そしてもちろん、私たち議会にも、必要、求められてくるところだというふうに思います。
 経営計画の策定がゴールではなくて、成果を出してこその経営計画であります。実践がなければ、意味がないとまではいいませんが、ここは重要なポイントだと思います。
 令和四年度予算で取り組んでいく事業、また、今般策定する経営計画二〇二二に掲げた事業を、翌年度以降着実に推進されることを要望し、質問を終わります。

○こいそ委員長 それでは、この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十八分休憩

   午後三時三十五分開議
○こいそ委員長 それでは、休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○岩永委員 では、まず、新交通の防犯、防災対策についてお伺いします。
 二〇二一年十月の日暮里・舎人ライナーの事故を受け、改善点などの取組を伺います。

○西川安全管理担当部長 現在、国の運輸安全委員会により、日暮里・舎人ライナーの脱輪原因等に関する調査分析が行われておりますが、交通局といたしましても、局独自に取り得る対策を速やかに講じることといたしました。
 具体的には、地震発生の際、より迅速な列車の減速、停止を可能とするため、これまで緊急地震速報を受信した際に指令所の職員が手動で行っておりました列車停止の操作を自動化することとし、今月三日から運用を開始しております。
 また、今回の事案では、先頭車両が分岐部にある段差に落ち込んだことから、段差を解消するための部材を設置し、万一脱輪した際の衝撃を緩和することといたしました。この工事につきましては、国の認可を得た上で、令和四年度中の完了を予定しております。
 引き続き、運輸安全委員会の調査にも協力しながら、お客様の安全確保に努めてまいります。

○岩永委員 日暮里・舎人ライナーの日暮里駅と西日暮里駅以外は無人駅ですが、トラブルの対応はどのように行っているのでしょうか。また、改札ではインターホンによる案内となっていますが、多言語対応や障害者へのサポートはどのようになっているのか伺います。

○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所から防犯カメラの映像を確認することにより駅構内の状況を把握しております。
 係員が常駐していない駅で、急病人の発生などの緊急時に車内やホーム等に設置しているインターホンからの通報があった場合などには、指令所の指示により巡回中の係員が急行し、お客様の対応を行うこととしております。
 さらに、平日の朝のラッシュ時間帯には、係員が常駐している駅などを除き警備員を配置しております。
 係員が常駐していない駅における多言語対応につきましては、指令所において、タブレット等を活用しながら主に英語での対応を行っております。
 また、障害者対応につきましては、駅にカメラ及びモニターつきインターホンを設置しておりまして、聴覚に障害のある方が指令所の係員と筆談できるようにしてございます。

○岩永委員 では、日暮里・舎人ライナーでは、一時保護対策を含めて、震災時の対策や訓練はどのように行われているのか伺います。

○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、一時滞在施設等の所在が確認できるよう、沿線自治体が作成した防災マップを各駅に掲示しており、日暮里駅と西日暮里駅には、非常用飲料水や防寒用シート、簡易マットなどの備蓄品を備えております。
 首都直下地震等の発生時には、お客様に駅構内の安全な場所で一時的に待機していただき、自治体や関係機関と連携して情報収集に努め、一時滞在施設が開設された際には、指令所からの放送などによりご案内することとしております。
 また、震災時の対応能力の向上を図るため、一時滞在施設への避難誘導訓練や情報伝達訓練などを日頃から実施しております。

○岩永委員 新交通、日暮里・舎人ライナーでは、日暮里駅と西日暮里駅以外は無人で運営されています。通勤時には、警備員の配置が行われていたり、タブレットやモニターつきインターホンでの対応をされているとのことですが、高齢者や障害者など機械の操作が難しい場合もあります。
 ちょうど昨日、JRで帰宅した際に、車内で具合が悪くなった方がおりまして、駅で緊急ブザーが鳴りまして、駅の係員の方が車椅子を持ってこられて途中下車をするという場面に遭遇をいたしました。インターホンの対応では難しいと感じましたし、改めて、緊急時にはすぐに駆けつけられる人員が必要だと思いました。
 誰もが安心して利用できる交通機関であることが公営交通の役割です。利用者によりきめ細やかな対応ができるよう、できるだけ無人駅をなくしていけるように人員配置を増やすことを要望します。
 次に、都営地下鉄の防災対策について伺います。
 震災時の都営地下鉄利用者の一時保護対策はどのような対策が行われているのか伺います。

○市川電車部長 都営地下鉄におきましても、各駅における防災マップの掲示や備蓄品の配備など、日暮里・舎人ライナーと同様の対策を行っております。
 加えて、今年度は、停電等により駅施設にとどまることが危険と判断される場合のお客様の避難誘導等の手順をマニュアルに追記したほか、全駅を対象に、一時保護対策訓練を順次実施しておりまして、災害発生時の即応態勢の整備を図っております。

○岩永委員 震災や火災、また風水害など様々な災害がある上に、コロナなどの感染症対策も求められるところです。また、職員の異動もありますので、様々なシチュエーションを想定して定期的な訓練を行っていただくことを要望します。
 次に、都営地下鉄のユニバーサルデザイン、バリアフリー対応について伺います。
 知事は、施政方針表明の中で、あらゆる場面での段差を解消し、全ての人々が輝ける、多様性が尊重された社会、段差のない社会を目指していくことを表明されておりますが、この段差のない社会に対する交通局の見解について伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局ではこれまでも、高齢者や障害のある方々をはじめ、誰もが安全かつ快適に都営交通をご利用いただけるよう、地下鉄駅におけるエレベーター等によるワンルート確保や車両へのフリースペースの導入、都営バスへのノンステップバスの導入などを積極的に進めてまいりました。
 引き続き、こうした取組を通じまして、誰もが利用しやすい環境整備に努めてまいります。

○岩永委員 昨年十一月の事務事業質疑では、都営地下鉄の駅構内には授乳スペースがまだないために、授乳やおむつ替えができるスペースとして、赤ちゃん・ふらっとを都営地下鉄の駅構内にも設置するなど、子育て世代の移動のバリアフリーを進める一歩となるよう要望しました。
 スペースの都合もあり大規模な改修はすぐには難しいということでしたが、都営地下鉄駅では、来年度も、子育て応援スペースを増やしたり、民間の交通事業者に先駆けて、都営バスや地下鉄車両の中に双子用ベビーカーで乗車できるスペースを確保するなど、子連れでも乗車できる環境づくりに取り組まれております。
 今後、子連れでの利用が増えることを想定しまして、授乳スペースの整備について、できる取組から進めていくべきではと思いますが、どのような検討を行っているのか伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、小さなお子様連れのお客様をはじめ、誰もが安心して利用できる環境づくりを進めていくことが重要と考えており、ツーリストインフォメーションセンターなど既存施設内での授乳スペースの確保について検討してまいります。

○岩永委員 では、次に、視覚障害のある方が電車を利用する際に、車両のドアに貼ってある車両番号などの点字スチールを確認する際に、床からシールまでの高さが鉄道会社によって異なるので使いにくいという、そういう報道がありました。
 そこで、都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーの車両内の点字シールについて、高さなどの設置状況を伺います。

○生越技術調整担当部長 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーでは、全車両の各ドアに、乗車している号車や乗降口位置等を示す点字シールを設置しております。
 この点字シールは、視覚に障害のあるお客様が指で確認しやすいよう、全ての車両において床から高さ千五百ミリメートルの位置に設置しているものでございます。

○岩永委員 次に、都営地下鉄駅におけるトイレについて伺います。
 地下鉄のトイレは洋式化されまして劇的にきれいになりましたが、同時に、様々な機能が増え、流し方も、レバー式、ボタン式、センサー式などいろいろありまして、使い方が分からないというお声もお聞きします。外国人観光客にも、日本のトイレはきれいですばらしいと大人気ですけれども、水を流すのにどのボタンを押せばよいのか分からないという声をいただきました。
 そこで、都営地下鉄駅内でのトイレの洗浄ボタンはどのようになっているのか伺います。

○坂口技術管理担当部長 トイレで水を流す際の操作方法は、設置した時期によりまして、レバー式やボタン式、手をかざすと流れるものがございます。また、近年は、改修に合わせて人感センサーを内蔵したものを順次設置しておりまして、この方式では、使用後に便器から離れると自動的に水が流れるようになっております。
 便器洗浄ボタンの操作方法につきましては、四か国語表示やピクトグラムにより案内するなど、外国人旅行者にとりましても分かりやすいものといたしております。

○岩永委員 東京都の福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルが二〇一九年に改定され、公共交通施設編には、トイレについて、洗浄装置の基本はボタン式とする、また、自動洗浄式や感知式を設ける場合は、ボタン式を併設するとなりました。この改定は、オリンピック・パラリンピック開催に向けたユニバーサルデザインの推進でもありますので、コロナ後のインバウンドも見据え、外国人にとっても分かりやすいという視点が重要だと思います。
 このマニュアルの改定時には交通局も参加しているとお聞きしていますが、今後のトイレ整備の取組について伺います。

○坂口技術管理担当部長 交通局では、マニュアルが改定された二〇一九年以降、トイレを新設、改修する際には、人感センサーによる自動洗浄機能と押しボタンとを併設しております。
 今後とも、こうしたマニュアル等を遵守しながら、引き続き、お客様が快適にご利用いただけるトイレ整備を進めてまいります。

○岩永委員 授乳スペースについて、既存の施設内で検討されるとのことです。できるだけ早めに取り組んでいただくことと併せて、今ある施設内に、たとえ常設でできなくても、必要な方は一時的に利用できるように、部屋の中をカーテンで仕切るなどの工夫も併せて検討いただければと思います。
 また、トイレの洗浄ボタンの案内表示を多言語やピクトグラムで掲示しているとのことです。今後、掲示状況など、さらに分かりやすい案内掲示に向けて検討されることをお願いします。
 続きまして、再生可能エネルギーの取組について伺います。
 ZEVの導入について、今後の取組を伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、公営バス事業者として環境政策に貢献するため、走行時に二酸化炭素や窒素酸化物、粒子状物質などを排出しない、いわゆるZEV化に先導的に取り組んできたところでございます。
 燃料電池バスにつきましては、平成二十八年度から順次導入いたしまして、現在、全国のバス事業者で最大の七十一両を運用しており、今般策定する経営計画におきましては、令和六年度までに累計八十両まで導入を拡大することとしております。
 EVバスにつきましては、導入可能性を検討するための調査を令和二年度から実施しておりまして、導入に向けましては、大容量の受変電設備や、そのための十分なスペースが必要となること、現在市販されている車両の航続距離がディーゼル車に比べ短いこと、充電には長い時間がかかるため車両の運用が難しいことなどの課題が明らかとなりました。
 こうした課題を踏まえまして、来年度も引き続き、導入について検討してまいります。

○岩永委員 ゼロエミッションの取組は全庁的に進めています。国では、鉄道施設を利用した再生可能エネルギーの取組の検討が始まっています。日暮里・舎人ライナーの駅などの施設の活用も検討できると思います。施設の所管が複数の局に及ぶということですが、全庁を挙げて再生可能エネルギーの推進を模索し、庁内連携しながら検討いただくことを要望します。
 次に、介護休暇とハラスメント対策について伺います。
 交通局における介護休暇の過去五年の取得状況を伺います。あわせて、政策連携団体の過去二年間の取得状況も伺います。

○牧野職員部長 過去五年間の介護休暇の取得人数は、平成二十八年度から順に、六人、八人、七人、六人、十一人でありまして、介護時間は、いずれの年度も取得者がおりませんでした。短期の介護休暇は、平成二十八年から順に、二百八十六人、三百三十七人、四百三十人、四百六十三人、四百七十七人となっております。
 東京交通サービス株式会社でも同様の制度を整備しておりまして、局の短期の介護休暇に相当する休暇の取得人数は、令和元年度が十一人、二年度が九人でありまして、介護休暇や介護時間に相当する休暇等の取得者は、両年度もおりませんでした。

○岩永委員 では、交通局における介護休暇に関する制度の周知と、職場において周囲の職員の理解を得るための取組について伺います。

○牧野職員部長 介護休暇制度の周知に関しましては、各職場で選任した両立支援アドバイザーが、ガイドブックを活用しながら介護と仕事の両立に関する相談や問合せなどに対応し、各種制度の情報提供を行っております。
 周囲の職員の理解を得るための取組といたしましては、管理職が、ふだんから積極的に職員に声がけを行い、話しやすい雰囲気づくりを行うとともに、職員一人一人の状況把握に努めて、職員が相互にサポートし合える職場の風土づくりに取り組んでいるところでございます。

○岩永委員 では、職場のハラスメント防止に向けた相談体制や職員研修などの取組を伺います。政策連携団体の取組も併せて伺います。

○牧野職員部長 交通局では、ハラスメントを防止するため、服務に関する規程にハラスメントの禁止を盛り込むとともに、部ごとに、男女別の相談員を配置いたしまして、相談できる体制を整備しております。
 また、職員への一斉メールや職場内のポスター掲示による周知をはじめ、ハラスメント防止研修等の実施によりまして職員の意識啓発を図っております。
 政策連携団体である東京交通サービス株式会社におきましても同様の取組を行っております。

○岩永委員 短期の介護休暇が、二〇一六年には二百八十六人だったのが、二〇二〇年には四百七十七人と約二倍弱に増えているということです。介護をしながらも働き続けられる環境づくりの一つとして介護休暇は大事な制度です。今後、高齢化がさらに進んでいく中で、必要なときに取得できる職場環境を整えること、例えば、ワークシェアリングも含めて全庁的に考えていかなければならない課題であると思います。
 交通局では、運転業務に携わる職員の代替ということになると、すぐに見つけることは難しい、そんな状況もあると思いますので、局内での体制づくりに向けた検討も要望します。
 また、メンタルを理由とした休職が全庁的に増えておりまして、この五年間で約一・四倍にもなっています。ハラスメント対策も含めて心身ともに健康で働き続けられる職場づくりが重要です。
 ハラスメントの防止には、日頃から風通しのよい双方向のコミュニケーションが取れるなど、気持ちよく意思疎通ができるような職場の環境づくりと併せて、様々な角度からハラスメントの予防と相談、救済体制の充実に取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。

○菅野委員 私からは、まず、今後の需要動向と需要の創出の取組に関連して伺いたいと思います。
 さて、先月、交通局は、新たな経営計画二〇二二案を公表しました。それは、乗客数が大きく減少している厳しい状況から経営を立て直すという大事な計画であります。
 新型コロナウイルスのオミクロン株の状況は、またしても蔓延防止等重点措置の適用をもたらし、新規感染者数は依然として多く、今後もコロナ感染状況を見通すのはなかなか難しいかと思います。
 そのような中で、安定した経営を行い輸送サービスを提供していくには、どの程度の収入が確保できるのかを見通すため、今後の需要動向をどのように見るかが大変重要だと考えます。
 新たな経営計画においては、局を取り巻く事業環境やコロナの影響を分析されていました。その中で、都心部を主な営業エリアとする都営地下鉄は、ほかの鉄道事業者に比べて回復傾向が鈍いとしていますが、この違いについてどのように考えていらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄の乗客数は、コロナ禍前と比べまして三〇%程度の減少で推移しており、他の鉄道事業者の平均と比べまして五ポイントから一〇ポイント程度低い水準となっており、その主な要因として、企業等におけるテレワークの進展が挙げられます。
 都の調査によりますと、都内企業のテレワーク実施率は、コロナ禍前は約二四%であったのに対し、現在は約六〇%程度で推移しており、出勤等を要しない働き方が定着しつつあります。
 都営地下鉄は、企業が集積している都心部を中心に運行していることから、都心と郊外を結ぶ区間を営業エリアとする鉄道事業者と比較いたしまして、企業等で働く方々のテレワークなどの行動変容が乗客数の減少に強く影響しているものと考えております。

○菅野委員 ほかの事業者と比べて、コロナの影響を強く受けやすい構造だということが理解できます。
 新たな経営計画の記載を見ても、テレワークの進展などが定期利用の低下に影響したと示しています。また、羽田、成田両空港を結ぶ浅草線や、新宿、六本木を通る大江戸線といった観光利用の多い路線では、定期外の利用の減少率が大きいとしています。テレワークの影響を受ける定期利用と観光需要の影響を受ける定期外利用では状況が異なるのではないかと思います。
 一方で、この経営計画の財政収支計画では、乗客数について、今後三年間で段階的に回復する見通しを示しています。
 そこで、都営地下鉄の定期、定期外の利用がそれぞれどのように回復すると見込んでいるのか伺いたいと思います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国等が実施した調査では、テレワークやオンライン会議といった移動を伴わない働き方は、コロナ終息後も継続するとの結果が示されるなど、通勤等による旅客需要は低水準が続き、都営地下鉄の定期のご利用は、コロナ禍前の水準には戻らないものと見込んでおります。
 一方、定期外のご利用につきましては、観光需要の回復に伴い、浅草線や大江戸線といった観光利用の多い路線を中心に徐々に乗客数が戻ることを見込んでおります。ただし、海外旅行者数がコロナ禍前の水準に戻るのは令和六年になるとの国際機関の推計もございまして、インバウンドのお客様の回復には一定程度の期間を要すると考えております。
 これらを踏まえまして、新たに策定する経営計画では、都営地下鉄の乗客数は、令和六年度までに段階的に回復し、その後は、コロナ禍前と比較して一五%程度の減少が続くものと見込んでおります。

○菅野委員 定期利用を中心に、乗客数はコロナ禍前には戻らないという考えであり、急速なテレワークの進展もあって、そうした行動変容に伴い、旅客需要が今後も一定程度回復しないという点は理解できます。
 こうした状況において、安定した輸送サービスを提供していくためには、旅客需要を高め、収益を確保していくことが重要です。
 こうした観点から、交通局の今後の対応を確認したいと思います。
 旅客需要がコロナ禍前の水準には戻らないとの見通しの中、収入確保に向けてはどのように取り組むのか伺いたいと思います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 コロナ禍の厳しい経営環境の中、収入確保を図るためには、お客様の行動変容など状況変化に対応したサービスの提供等に取り組む必要がございます。
 交通局ではこれまでも、観光施設の入場券とセットにした企画乗車券のオンライン販売を開始するとともに、有明地域への劇場の新設に合わせ臨時のバス路線の開設や記念乗車券の販売を行うなど、ニーズや状況の変化を捉えたサービスの提供に取り組んでまいりました。
 こうした取組に加え、新たに策定する経営計画におきましては、都営交通の会員制ポイントサービス、ToKoPoを活用した魅力的なサービスの提供や旅行者向けの企画乗車券の販売拡充など様々な取組について、機を逸することなく実施していくこととしており、これらを通じて新たな旅客需要を創出し、収益力の強化を図ってまいります。

○菅野委員 都営交通は、業務利用などの経済活動や、通院や買物など生活を支える移動手段でありますが、それにプラスして新たな移動を創出することができれば、需要の回復につながることと思います。
 経営改善に資するよう需要を回復させるためには、これらの取組を今まで以上に工夫することが必要と考えています。
 そして、一層推進するための視点を持つべきと考えますが、旅客需要の創出に向けた取組を推進していくために、今回の計画で工夫している点は、何かあれば伺いたいと思います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新たに策定する経営計画では、都営交通ネットワークを最大限に活用し、移動の付加価値を高め、お客様のニーズに即した便利で快適なサービスを提供することとしており、取組の推進に当たり強化すべき視点として、民間企業をはじめとする多様な主体との連携を掲げております。
 こうした考えの下、東京メトロなど他の事業者と連携し、MaaS等のデジタル技術を活用した新たなサービスを検討するほか、地下鉄駅構内に開設する都営交通のオリジナルショップにおきまして、沿線地域の企業等と連携しながら地域の新たな魅力を掘り起こし、移動需要の創出につなげてまいります。
 これらの取組を通じまして、より利便性の高いサービスの提供や沿線地域の活性化を進め、都営交通の旅客需要の創出を図ってまいります。

○菅野委員 イベントや旅客誘致等は、これまでも様々行ってこられたと思います。そして、答弁されたように、新たな取組を実施することで、より一層需要拡大が促進されることを期待しています。
 また、多くの委員からも、いろいろと指摘、また、アイデアなどがございましたけれども、そうした多くの取組、いろんな形でやっていただくことが必要だと思いますが、今ちょうど答弁でいただいたその中でも、都営交通のオリジナルショップというのは、新たな経営計画において、令和五年度に開設するとなっていますが、これまでの駅構内で展開する店舗とは趣が異なっているように感じました。
 そこで、都営交通オリジナルショップを通じた沿線地域の活性化の内容について伺いたいと思います。

○坂田資産運用部長 都営交通のオリジナルショップは、地下鉄駅構内において、営業料収入を得ながら、都営地下鉄に限らず、都営バス、東京さくらトラム、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーを含めた都営交通沿線の地域活性化を図る新たな取組でありまして、民間のアイデアやノウハウを活用するため、運営事業者を公募により決定する予定でございます。
 具体的な内容は、公募事業者の提案によるところもあります。例えば、都営交通に関する情報発信等を行うとともに、都営交通沿線の優れた商品等の発掘、紹介、沿線企業等とのコラボレーション商品の開発、販売や、イベントの開催などを想定しております。
 オリジナルショップを訪れた方が沿線の魅力に触れ、都営交通を利用して実際に足を運ぶ機会を創出することで、沿線地域の活性化と都営交通の利用促進を図ってまいります。

○菅野委員 都営交通の利用促進につながるだけではなく、地元の魅力を高めるそうした取組であるため、都民や沿線地域の関心は高いものだと推察されます。
 都営交通沿線には、すばらしい商品を置いているお店も多くあります。しかし、沿線地域の活性化のためには、いかに話題をつくり、足を運んでもらえる機会をつくるかが重要であります。
 私の地元にも、優れた商品を販売しているけれども世間に浸透していないものや、売れ筋の商品はあるものの、そのほかの商品の魅力が伝わっていない商店もあります。このオリジナルショップがそうした魅力の発掘に貢献することを願っています。開設に向け、ぜひ着実に準備を進めていただくことを求めておきます。
 ここで、これまで交通局の経営に関わる需要動向やそれに対する取組をお聞きしてまいりましたが、ここでは電気事業の方向性を次に伺いたいと思います。
 交通局では電気事業を担っています。保有する水力発電の安定的な経営が求められているわけです。
 私は、昨年十一月の公営企業委員会の事務事業質疑で、電気事業における今後の方向性の検討について質疑を行いました。そこでは、経営の方向性について次期経営計画で示すとの答弁があり、今回公表された経営計画案でそれが示されたと思いますので、本日は、その結論に至る経過について確認したいと思います。
 昨年十一月の質疑の中では、老朽化した水力発電所施設や設備の大規模更新費用についての説明を受けました。
 更新に当たっては多額の費用を見込んでいるとのことから、まずは、今後の経営の見通しについて確認します。
 そこで、大規模更新を踏まえた事業の採算性を伺いたいと思います。

○野崎車両電気部長 運用開始から五十年以上が経過した多摩川第一発電所及び多摩川第三発電所につきましては、令和十年度までに更新工事を完了する計画であり、二つの発電所で約三十九億円の更新費用を見込んでおります。
 一方、電気事業の令和二年度末の建設改良積立金は約四十八億円であり、企業債等の債務もなく経営状況は安定しております。
 また、令和十三年度までの収支見通しにおきましても、施設の更新を見込んだ上で経常利益を確保できる見通しでございます。

○菅野委員 更新費用を上回る積立金が既に確保されているということに加えて、今後も経常利益を確保できることから、採算の面では、交通局で安定して事業継続できることが分かりました。
 一方で、コンセッション手法の採用や事業譲渡を視野に入れ、民間事業者や外部有識者から意見聴取を行い、検討を深度化させてきた電気事業の方向性については、安全面や環境施策との連携などについて総合的に判断するとのことでありました。
 そこで、安全の確保や環境施策との連携なども踏まえた方向性の検討結果について伺います。

○野崎車両電気部長 このたびの電気事業の経営の方向性の検討に際しましては、十七社の民間事業者に加え、エネルギー施策、水力発電、経営及び法律の各分野に精通した四名の外部有識者から、安全の確保や環境施策との連携を含め幅広く意見聴取を行ったものでございます。
 その中で、安全の確保につきましては、緊急対応時に水道局や地元自治体等と密接な連携が必要であるため、民間事業者からは、リスクが高く困難であるとの意見がございました。また、環境施策との連携につきましては、都が自ら再生可能エネルギーを生み出すことは、都の環境施策の象徴として価値があるとの意見がございました。
 こうした意見に加え、今後も必要な技術者を確保できる見通しであり、先ほどご答弁したとおり、経営状況も安定していることなどから、これらを総合的に勘案し、引き続き交通局が電気事業を継続することといたしました。

○菅野委員 交通局が自ら事業継続するとの判断については理解できました。
 電気事業は、交通局が東京市電気局として開業した明治時代から、大正、昭和、平成、令和と時代が変わっても担ってきたものと聞いており、まさに交通局の事業の原点であり、東京都としても大切にしていくべき事業だと考えます。
 地球温暖化の原因となっているCO2削減に寄与するだけでなく、国産エネルギーとして消費されることから、再生可能エネルギーを活用した発電に対する期待は近年急速に高まっています。そのような中、公営電気事業者として引き続き事業を行っていくに当たっては、再生可能エネルギー電気を安定的に供給するだけでなく、都内における再生エネルギーの普及拡大にも貢献するという両面から環境負荷の低減に向けて取り組んでいくべきで、その役割は非常に大きいものと思います。
 そこで、今後の電気事業の運営について、公営企業管理者である内藤交通局長の見解を伺います。

○内藤交通局長 水力発電事業は、事業開始から半世紀以上が経過し、施設や設備の大規模更新の時期を迎えていることから、この機を捉え、今後の運営手法につきまして検討してまいりました。
 これまで、有識者等から幅広くご意見をいただきながら検討を重ね、このたびの新たな経営計画の策定に合わせまして、局自らが引き続き事業を担うこととしてございます。
 今年度からは、東京産の水力発電の価値に着目し、都内のRE一〇〇宣言企業等に対します電気の供給を開始しており、今後は、こうした価値をさらに生かせる売電方法を検討するなど、新たな取組にも果敢に挑戦してまいります。
 引き続き、環境に優しい電気を安定的に供給するとともに、都庁の一員として、再生可能エネルギーの普及拡大に貢献してまいります。
 この発電事業は、現時点では我が局の唯一の黒字事業でございます。今後とも大切に育て、生かしていきたいと考えております。

○菅野委員 今後とも、ぜひ安定的な事業継続に向けて一層邁進していただくことはもちろん、ご答弁にあったように、新たな挑戦をされるということで、今後の取組にも期待をしたいと思います。
 そして、その再生可能エネルギー電力の導入の拡大を最後に伺いたいと思います。
 先ほどご答弁いただいたとおり、昨年から、交通局が自ら運営する水力発電の電気を都内のRE一〇〇宣言企業などへ販売するとともに、都営バスの全営業所への供給も開始しています。
 国が示す二〇五〇年カーボンニュートラルの事業実現に向けた温室効果ガス排出削減目標達成のためには、再生可能エネルギーを積極的に活用していくという観点は重要であります。環境負荷の低減に向けては、都営交通において再生可能エネルギーの導入をさらに進め、CO2削減に率先して取り組んでいくことが必要だと考えます。
 そこで、交通局における再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に向けた取組を伺いたいと思います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた率先行動といたしまして、副委員長お話しのとおり、今年度より、都営バスの全営業所で、局の水力発電所でつくられた再生可能エネルギーの使用を開始しております。
 加えて、新たに策定する経営計画では、ゼロエミッション東京の実現に貢献するため、東京さくらトラムの運行に使用している電力の再生可能エネルギー化についても検討を進めることとしております。検討に当たりましては、今後の電力市場の動向等を踏まえつつ、導入による電力調達コストへの影響なども考慮しながら適切な手法を選定してまいります。
 今後とも、こうした取組を通じまして、さらなる環境負荷の低減に取り組んでまいります。

○菅野委員 これまでの質疑を通じて、交通局は、水力発電によりCO2フリーの電気を供給するだけでなく、自らの事業にも再生可能エネルギー電力を導入し、環境負荷低減に積極的に取り組もうとしていることを確認できました。
 これらの取組をより一層進めていただき、環境に配慮した事業運営を今後も実施されることを求めて、質問を終わります。

○成清委員 まず、授乳室について伺います。
 先日の我が会派の代表質問における都営地下鉄駅への授乳室の設置の質問に対して、交通局長から、設置を検討していく旨の答弁がございました。
 授乳室を設置していく際には、授乳を必要とする方の視点を踏まえることが大切です。授乳をされる方々はベビーカーを使っている方も多く、また、乳児を抱えながら着替えやおむつなど大きな荷物を持ち歩いており、ただ移動するだけでも苦労が伴います。
 そこで、都営地下鉄駅での授乳室設置について、ふだんから子育て世代が見つけやすい場所への設置や、スペースの大きさ、バリアフリーの状況なども検討していただきたいと考えますが、見解を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 授乳室は、乳児をお連れのお客様に都営地下鉄をより安心してご利用いただくための施設でございまして、その設置に当たりましては、駅構内という限られた空間の中で、場所の確保や給排水設備の整備などが必要となります。
 こうした課題を踏まえまして、駅の改良工事に合わせた設置や、ツーリストインフォメーションセンター等、既存施設内でのスペースの確保について、利用者の利便性を考慮しながら検討してまいります。
 小さなお子様連れのお客様をはじめ、誰もが安心して利用できる環境づくりを進めてまいります。

○成清委員 設置の検討を進めていただくことを高く評価いたします。
 一方で、今の答弁の中でも、限られた駅構内のスペース内では設置に際して多くの課題があることも分かりました。さらに、設置をしてもそれが利用されるように丁寧なアナウンスも必要となります。今後、設置の検討と併せて局のホームページやアプリなどでの効果的な情報発信についても取り組まれるよう要望しておきます。
 次に、子育て応援スペースについて伺います。
 まず、これまでの導入実績と今後の導入予定を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、小さなお子様連れのお客様に安心して気兼ねなく電車をご利用いただけますよう、令和元年七月から大江戸線の車両に子育て応援スペースを設置しております。令和元年度には七編成導入いたしまして、今年度は既に四編成を追加しており、年度末までにはさらに二編成を加えまして、計十三編成まで拡大する予定でございます。
 また、来年度には、浅草線、三田線及び新宿線にも子育て応援スペースを導入し、相互乗り入れをしております他社の路線内でも運行する予定でございます。

○成清委員 呼称は異なりますが、他の鉄道会社でも車両内に同じようなスペースを設置する動きもございます。こうした取組が広がっていくことは大変喜ばしいことで、引き続き、都営地下鉄が率先して取組を進めていただきたいと思います。
 この子育て応援スペースは、当然、車両といったハード面での整備がまず重要ですが、その意義や設置目的が広く鉄道の利用者にも伝わる必要があると考えます。交通局のホームページや駅構内のポスター等も全く見ていない人が、子育て応援スペースに偶然乗り合わせた場合にも、かわいい車両だなで終わるのではなく、趣旨を分かっていただきたいと思います。
 例えば、女性専用車両には多くのステッカーが車両内に貼り出されたりしています。
 そこで、車両内に貼られているステッカーに、そもそも子育て応援スペースとは何か、子育て応援スペースの意義、例えば、赤ちゃんが泣いても優しく見守りますといったメッセージを記載するなど、車両に乗り合わせた人がその装飾の意味が分かるように工夫するべきと考えますが、見解を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 子育て応援スペースを多くのお客様にご理解いただけますよう、設置車両の窓ガラスにステッカーを貼付するとともに、今年度設置した車両から、スペース内に設置の趣旨などに関するご案内を順次掲出しております。
 また、都営地下鉄各駅へポスターを掲出するとともに、大江戸線では、駅構内放送によりお客様へご理解やご協力を呼びかけております。
 さらに、ホームページやツイッター等を通じた周知も行っており、引き続き、こうした取組を通じまして、子育て応援スペースへの理解促進を図ってまいります。

○成清委員 ただいま車両に乗り合わせた人への啓発をお願いいたしましたが、あわせて、車両に乗った人だけではなく広く都民向けにも広報していくべきと考えますが、見解を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 子育て応援スペースの取組をより多くの方に知っていただくことは、社会全体で子育てを応援する機運の醸成につながるものと考えております。
 このため、子育て応援スペースの導入や拡大時に、報道発表やホームページへの掲載、SNSでの発信を行ってきており、この間、多くの新聞やテレビでも取り上げられておるところでございます。
 また、例えば、子育て世代の方を対象とした雑誌での紹介や子育てを応援する関連イベントの実施など、現在、新たなPR策についても検討を行っており、引き続き、関係者との調整を進めてまいります。

○成清委員 ありがとうございます。
 次に、経営計画にも記載のありますToKoPoについて伺います。
 まず、いかなるポイントサービスも会員数を増やすということが重要です。会員数を増やすために実施したこれまでの取組を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営交通の会員制ポイントサービス、ToKoPoは、平成二十三年度より運用を開始し、会員獲得に向け、これまで、各駅や車内にPRポスターを掲出するとともに入会キャンペーンなどを実施してきました。
 今年度は、都営バス利用時における新たなポイント付与や乗り継ぎボーナスの割増しなどサービスを拡充するとともに、新規入会者に抽せんでポイントを上乗せする新たなキャンペーンも実施してまいりました。
 これらの取組により、会員数は、今年度約一万一千人増加しまして、先月末時点で約十万六千人となっております。
 引き続き、積極的なPRを行うとともに、効果的なキャンペーンなどを実施し、新規入会者の獲得に努めてまいります。

○成清委員 平成二十三年から始めて、今年度には十万人を突破したとのことです。
 会員数が一定程度増えた場合は、一律ポイント付与のような実質値下げだけではなく、東京都の抱える社会課題の解決や政策的メッセージになる施策にToKoPoを活用するべきと考えます。
 まずは、これまでどのような取組を行ってきたのか、確認のために伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局ではこれまで、ToKoPoを活用し、都の政策と連携した取組を行ってまいりました。具体的には、平成二十四年度から、環境局と連携し、六月の環境月間に合わせまして、土休日のボーナスポイントを上乗せするエコボーナスキャンペーンを実施し、週末の外出における公共交通機関の利用促進を促してきました。コロナウイルス感染症拡大の影響により二年間開催を見合せておりますが、直近では、令和元年六月に実施いたしまして、延べ約八万人の方にご参加をいただきました。
 また、都市整備局と連携して実施している時差ビズキャンペーンにおきまして、令和元年度からは、平日のオフピーク利用にポイントを付与することで、快適通勤の実現に向けて時差通勤の促進を図ってまいりました。直近では、本年一月十七日から二月二十五日までの平日二十八日間、日暮里・舎人ライナーで実施いたしまして、延べ四千人余りのお客様にオフピーク時間帯にご利用をいただいております。

○成清委員 エコボーナスキャンペーンや日暮里・舎人ライナーでの時差ビズなどを行ってきたということを確認いたしました。
 こういった時差ビズキャンペーンなど、これまで実施してきた取組は主に大人向けの施策が多い印象です。ToKoPoを活用した子供向けの施策も検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 ToKoPoの魅力を向上させることは、都営交通の利用者の拡大や利用機会の創出につながるものでございまして、今後とも、子供向けも含めまして様々なサービスの提供について検討してまいります。

○成清委員 現状、子供の会員数は僅かだと伺っております。子供向け事業の実施の際には教育庁と連携した広報なども検討していただきたいと思います。
 ToKoPoについて確認しましたが、ToKoPoには、Suicaの人は使えないという根本的な課題もございます。ポイント制度とは別に、国の動向も見据えながら、時間帯別料金制や子供運賃の在り方を調査していくべきと考えますが、見解を伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国は、先月より交通政策審議会に小委員会を設置いたしまして、今後の鉄道運賃、料金の在り方等について議論を開始したところでございます。
 この小委員会では、鉄道事業者が事業環境の変化や安全投資の要請などに柔軟に対応し、持続的な運営を可能とするとともに、多様化する利用者ニーズにも適切に対応するため、鉄道の運賃、料金制度について検証を行うとしておりまして、この中で、時間帯別運賃についても議論されているところでございます。
 また、小児運賃につきましては、一定の割引を行っているほか、都営バスと都電におきましては、定期券保有者の家族向けに、休日限定の割引制度も導入しているところでございます。
 交通局といたしましては、引き続き、国の動向を注視するとともに、他の鉄道事業者の事例も参考にしながら、適切な運賃や料金の設定に努めてまいります。

○成清委員 適切な運賃や料金の改定の研究をよろしくお願いいたします。また、定期券保有者の家族向け休日限定割引制度については、都営交通全体での実施もお願いしたいと思います。
 本日は、子育て支援や時間帯別運賃という面から質疑をさせていただきました。社会インフラである交通局が、東京の課題解決や社会貢献に果たせる役割は大きいものと考えます。積極的な取組をお願いし、質疑を終わります。

○小林委員 このたび東京都交通局経営計画二〇二二が策定されますが、前経営計画二〇一九は、さらにその前の経営計画二〇一六から理念や基本的事項を踏襲し、東京二〇二〇大会を一つの目標として、これまで計画的に取り組んできたと聞いております。
 そこで、経営計画二〇一六を経て二〇一九に至るこの六年間における交通局の取組の成果について、改めて確認をさせていただきます。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、東京二〇二〇大会の開催とその後を見据え、経営計画二〇一六と、その理念等を踏襲した経営計画二〇一九に基づき、安全対策の強化やバリアフリー化、サービス向上の取組などを進めてまいりました。
 具体的には、ホームドアの整備や防犯カメラの設置を進めるとともに、競技会場の最寄り駅等へのエレベーター増設やトイレのバリアフリー化などに取り組んでまいりました。
 また、訪日外国人旅行者向け券売機の設置や、駅構内やバス停留所における案内サインの改修など、多言語対応の充実も図ってまいりました。
 この六年間の取組は、お客様に、都営交通をこれまで以上に安心して快適にご利用いただくための環境整備などにつながったものと認識しております。

○小林委員 こうした成果を踏まえ、さらに環境整備とサービス向上に取り組んでいくのがこのたびの経営計画二〇二二であると認識しております。
 お尋ねしたいことは多々ありますが、何点か個々の案件についてお伺いをさせていただきます。
 私は、昨年の第一回定例会一般質問において、駅構内における視覚障害者の移動支援のために、点字ブロック上のQRコードをスマートフォンで読み取り、目的地まで音声で案内するシステムの実証実験が民間で行われていることに触れ、こうした技術を活用して、視覚障害者が安心して移動できるような取組を都営地下鉄においても検討していくべきではないかと質問をさせていただきました。局長より、様々な技術が開発途上にあることから、引き続きそれらの技術動向を注視していくとの答弁があったところであります。
 このたび、新年度予算案の中で、誰もが使いやすい駅づくりを進めるために、こうした先進技術を活用した案内誘導の取組を促進していく予算が計上されております。先週八日の予算特別委員会でこの件を取上げ、東京都技監からは、視覚障害者などがさらに便利で安全に駅を利用できるよう、先進技術を活用し、鉄道事業者と連携しながら取り組んでいくとの答弁がございました。
 予算特別委員会の場でも意見として申し上げましたが、鉄道事業者と連携して取り組むとのことでもありましたので、交通局としても、都市整備局と連携し、都営地下鉄において視覚障害者の方が安心して駅構内を移動できる環境整備に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄では、視覚障害者の方が安心して駅構内を移動できるよう、ホームドアや視覚障害者誘導ブロックなどを整備してきたほか、自動音声装置による注意喚起や、ご要望に応じ駅係員がお客様に付き添うなどの対応を行ってまいりました。
 また、スマートフォンを活用した移動支援など様々な技術につきまして、その開発動向を注視しているところでございます。
 こうした中、都市整備局におきましては、来年度、鉄道事業者と連携し、先進技術を活用した案内誘導に取り組むと聞いてございます。
 交通局では、この取組に協力することとしておりまして、スマホアプリを活用した案内誘導などの方策につきまして、地下鉄駅の実情を踏まえ、試行的に取り組んでまいります。

○小林委員 ありがとうございます。協力して取り組むとの答弁でありましたので、まずは、こうした先進技術の有効性などを精査し、検証の上、実用化に向けた方向性が検討できるのか、可能性をぜひとも探っていただきたいと思います。
 こうした新たな技術を活用した取組として、経営計画二〇二二においては、モビリティー・アズ・ア・サービス、いわゆるMaaSの推進についての記載がありました。MaaSは、スマートフォンなどを活用し、様々な交通機関をシームレスに利用できることを目指すもので、日本においては、現在、様々な試験的な取組が行われている段階と聞いております。
 交通局におけるこのMaaSに関するこれまでの取組と今後の展開についてお伺いいたします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 デジタル技術を活用し、複数の公共交通機関における移動の利便性を向上させるMaaSは、移動需要の創出や地域の活性化等の観点から、近年、様々な取組が進められております。
 交通局におきましても、令和元年十月に、東京メトロと連携したMaaSの取組の一環といたしまして、東京さくらトラムにおきまして、デジタルチケットの技術検証を実施いたしました。また、昨年春から、両社局のアプリにおきまして、駅構内の移動ルートを案内する駅構内ナビゲーションサービスを開始したところでございます。
 昨年十一月には、産業労働局等による青梅市内における観光型MaaSの実証実験に他のバス会社とともに交通局も参加いたしまして、都営バスも乗車可能なウェブチケットの発行に協力いたしました。
 今後も、他事業者の取組も参考にしながら、様々な主体と連携してMaaS等のデジタル技術を活用した取組を進めることで、便利で快適なサービスを提供し、旅客需要の創出や地域の活性化に努めてまいります。

○小林委員 新たな技術については、活用すべきは積極的に取り入れていくべく、ぜひ検討をお願いしたいと思いますが、こうした視点において一つ要望させていただきたいことがございます。
 経営計画二〇二二の中では、地下鉄車内での防犯対策として、車内の防犯カメラの設置を進めていくとしております。これについては、ぜひ推進をお願いしたいと思いますが、先般、ご存じかと思いますが、JR東日本が、駅における乗客同士のトラブルを減らす目的で、夜間に勤務する駅員に常時装着するウエアラブルカメラの導入を検討しているとの報道がございました。報道によりますと、暴力対策目的での導入は鉄道業界として初めてのことということでございました。
 交通局では、このウエアラブルカメラの導入については、現時点ではお考えはないとのことでございますけれども、ほかがやっているから何でもかんでも導入すべきと乱暴に申し上げるつもりはございませんが、同じ鉄道事業者の取組でもありますので、成果、課題などを見極めつつ、今後の都営交通における安全・安心に寄与する有効性など、ぜひとも注視をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 先ほどのMaaSとも関連するかと思いますが、次に、沿線地域の活性化についてお伺いいたします。
 東京メトロでは、女優の石原さとみさんを起用して、find my TokyoというCMや情報誌などを通じて沿線の魅力などを発信しています。
 都営交通においても、自治体や企業などの関係者と連携して、積極的に沿線地域の魅力を発信することで、都営交通をご利用いただくとともに、沿線地域の活性化に寄与する取組を進めていくことは重要であると考えます。
 沿線地域活性化に向けた都営交通の取組についてお伺いいたします。

○土岐次長 交通局では、お客様の都営交通へのご理解と利用促進を図ることを目的に、地下鉄やバスなどの沿線情報や局事業等を紹介する「ふれあいの窓」をはじめとしたPR情報誌を発行しております。
 「ふれあいの窓」は、都営散歩で東京再発見をコンセプトに、著名人がまち歩きをしながら沿線地域の名所やお勧めスポットを読者に紹介する構成となっており、令和四年度につきましては、お台場、臨海エリアや練馬エリアなどを取り上げる予定でございます。
 また、今年度の新たな取組といたしまして、地元区と連携し、路面電車好きのミュージシャンと都電沿線の方々との対談を通じ商店街の歴史や魅力を伝える新聞の全面広告を四回シリーズで出稿するとともに、その内容をリーフレット化し、都営地下鉄各駅等で配布を行っております。
 今後とも、地元区をはじめ、多様な主体と積極的に連携し、都営交通沿線の活性化に取り組んでまいります。

○小林委員 今ご答弁がありました「ふれあいの窓」というものを私も拝見させていただきました。令和四年度は、私の地元練馬区も取り上げていただけるということでございますので、出来上がりましたら、ぜひとも、私と、それから村松理事と、いただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 現在実施されている東京都シルバーパスについて、高齢者の方から様々なご意見をいただくことがありますが、以前、ある方より、シルバーパスがあるので、都バスや都営地下鉄を使ってどこにでも行こうという気持ちになりますとの声をいただきました。高齢者の方が喜んで活用いただいている様子が分かりましたが、こうしたシルバーパス利用者をはじめとして、都営交通や都バス沿線地域の魅力を発信していくことで、さらに、都営交通を利用して出かけてみようという機運の醸成につながっていくとも思いますので、積極的以上に戦略的な取組をご検討いただければと思います。
 また、地元のことで恐縮ですが、私の地元練馬区には、遊園地の豊島園がありましたが、現在、閉園をいたしまして、新たな都立公園とワーナーブラザースジャパンによりますハリーポッターのスタジオツアー型施設の建設が現在進んでおります。映画のハリーポッター、ご覧になられた方はご記憶かもしれませんけれども、主人公が、ホグワーツ特急という汽車に乗って、ホグワーツ魔法魔術学校に向かって駅に降り立つというシーンがあります。このスタジオツアー型施設開業の暁に利用される公共交通機関は、西武鉄道の豊島園駅と都営地下鉄大江戸線の豊島園駅になります。まさに、あの映画のシーンさながら、電車に乗ってハリーポッターの世界の駅に降り立つことになるということで、大江戸線を利用される方も多くなるのではないかなというふうに予想されます。ぜひとも、その雰囲気を盛り上げていただくために、駅員の方にコスプレでもしていただきたいなとも思いますけれども、なかなか難しい状況はあるかもしれませんが、この地域活性化という点においては、ぜひとも都営交通の皆様方のお力もお借りしたいと思いますので、ご協力のご検討をぜひともよろしくお願いをいたします。
 次に、都営地下鉄の駅のトイレの機能についてお伺いいたします。
 先日、東京メトロ日比谷線で、八丁堀駅の多目的トイレで、警報システムの不備が原因でトイレで倒れていた方の発見が大幅に遅れ、お亡くなりになるという事態が報道されました。お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈りを申し上げます。
 この事態を受け、斉藤国土交通大臣は、記者会見で、全国の鉄軌道事業者に対し、今回の事案を周知するとともに、同じような事態が生じないよう注意喚起を行ったと表明をしております。
 先日の東京メトロ八丁堀駅における多機能トイレの機能不備の件を受けて、交通局で行った対応と日常的な点検について、改めて確認をさせていただきます。

○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、今回の他社における事案を受けまして、報道発表のありました三月二日当日の終車後から翌日にかけまして、駅係員による緊急点検を実施し、全てのトイレで非常呼出しボタン等が正常に動作することを確認いたしました。
 また、誰でもトイレの自動ドアや非常呼出しボタンの動作確認など定期的な点検も実施しております。

○小林委員 ありがとうございます。異常はなかったとのことでございますが、今後とも、平時における堅実な点検の実施をお願いしたいと思います。
 次に、燃料電池バスの導入についてお伺いいたします。
 先月、民間企業からの寄附を活用した初の都営バス路線への燃料電池バスの導入がなされたと報告をいただきました。経営計画二〇二二の中でも、今後、燃料電池バスを累計八十車両導入していくとの目標が掲げられる中、こうした民間の協力による導入は大変にありがたいことと思います。
 こうした事例も踏まえ、燃料電池バスの導入促進について、民間企業との連携などを活用して行うべきと考えますが、見解を伺います。

○櫻庭自動車部長 交通局では現在、全国のバス事業者で最大の七十一両を導入しております。このうちの一両については、当局の取組に賛同された株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループから、持続可能な社会の実現に向けた取組の一環として寄附を受けまして、先月、導入したものでございます。
 この車両は、車体に同社をデザインしたラッピングを施し、東京駅丸の内を発着する路線を運行しておりまして、燃料電池バスの意義と企業の環境貢献活動を効果的にPRしております。
 今後とも、民間企業との連携も図りながら、燃料電池バスの導入を推進してまいります。

○小林委員 以前、我が党の加藤雅之議員が、広告収入を活用して、屋根、ベンチつきの都バス停留所の設置推進の質疑をいたしましたが、様々な知恵を凝らしながら、今、答弁にもありましたように、民間企業との連携も図りながら燃料電池バスの導入を推進していただきたいと思います。
 次に、都バス乗務員教育についてお伺いいたします。
 昨年の事務事業質疑の際にも、都バス乗務員の接遇、運行に関して質疑をさせていただきましたが、先般、私は、障害のあるお子さんが都バスを利用する際のご意見を様々お伺いいたしました。身体障害、知的障害など障害の種別によって配慮する点は様々あるかと思いますが、そうした視点を持ってサービス向上に努めていかねばならないと思います。
 障害のあるお客様に対するバス乗務員の教育の取組についてお伺いいたします。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、公共交通機関として、障害のある方を含めて、誰もが安心して快適にご利用いただけますよう、乗務員に対して定期的に研修などを実施しております。この中で、実際に車椅子を用いて乗り降りや固定の方法を習熟させますとともに、体の動きの制約を疑似体験できる器具などを用いまして、障害に対する理解と介助のノウハウの習得を図っております。
 また、知的障害などのある方を営業所にお招きして、日頃、バスを利用される際にお困りになっていることやご要望などを伺いまして、対応力の向上に生かしております。
 さらに、運行管理者がバスに添乗して、マイクでのご案内や車椅子をご利用の方への対応などを確認いたしまして、優れた点を称賛するとともに、改善点を助言するなど、きめの細かい教育を行っております。

○小林委員 ありがとうございます。今、答弁にもありましたが、知的障害などのある方を営業所に招いてご要望を伺う取組をされているとのことですが、当事者やそのご家族から配慮すべき視点を直接伺うことは大事なことであると思います。お客様への心あるサービスの提供とともに、安全面においても大切であると思いますので、引き続きの取組をお願いいたします。
 次に、安全運転についてですが、ここ最近、都バスの事故のニュースを目にすることが多くなったような気がしております。平成二十八年度から令和二年度の五年間の都バスの交通事故発生件数を伺ったところ、五年間の平均で、車や歩行者、工作物などと接触する車外事故が二百十八件、発車時や急ブレーキの際に起こる車内事故の平均が百十八件、社外、社内合計の平均が三百三十六件でありました。当然、安全運行に向けて日々ご努力されていることと思いますが、公共交通の最大の使命は、安全、無事故であり、最善の注意と運転技術が求められると思います。
 安全運転など、無事故に向けたバス乗務員教育の取組についてお伺いをいたします。

○櫻庭自動車部長 安全の確保に向けましては、乗務員自らが安全について考え、基本動作を徹底することが重要でございます。
 このため、都営バスでは、全ての乗務員に対して、年四回行っている安全研修におきまして、プロドライバーに必要な運転上の心構えを再認識させますとともに、安全運行に必要な知識や技能を高めるための教育を行っております。
 具体的には、事故が起こったとき、あるいは事故になりそうで冷やりとしたとき、そういったときのドライブレコーダーの画像を活用したり、運行上の危険箇所を記しました、いわゆるハザードマップを活用したりいたしまして、危険予測能力を高めております。
 また、運転訓練車を用いた訓練や運行管理者による添乗を通じて、各乗務員に自らの運転特性や癖などを把握させまして、それに合わせた助言などを行っております。
 さらに、乗務員同士が安全について考えるグループ討議を実施いたしまして、安全意識の自発的な向上につなげております。
 こうした取組を通じまして、お客様に安全に安心してご利用いただけますよう、乗務員の安全意識や運転技術の向上を図ってまいります。

○小林委員 無事故を追求するに当たっては、これでよしというゴールはないと思います。月々日々、安全、無事故を意識した取組が重要であります。お客様の安全を担ってハンドルを握るということは、大変な心労も伴うことと思います。乗務員の方が絶対無事故を心にとどめて、体調も万全を期して運行に当たれるような環境整備も併せてお願いをいたします。
 最後になりますが、今回の経営計画二〇二二の最大の眼目の一つは、経営の改善であると思います。コロナ禍の影響により乗客数も減少し、経営環境はこれまでと大きく変化しております。
 昨年の公営企業会計決算特別委員会の全局質疑でも触れましたが、今後の都営交通のかじ取りは大変重要な一つの局面であると思います。
 特に、交通局の屋台骨ともいえる地下鉄事業とバス事業の立て直しが急務と考えますが、次期経営計画における三年間での取組についてお伺いいたします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新たに策定する経営計画では、乗客数は、令和六年度までに段階的に回復し、その後も、コロナ禍前と比べ、地下鉄で一五%程度、バスで一〇%程度の減少が続くと見込んでおります。こうした厳しい状況にあっても、引き続き安定した輸送サービスを提供していくため、地下鉄、バス、それぞれの事業運営におきまして、収入、支出両面から経営改善に向けた取組を進めてまいります。
 地下鉄につきましては、車両、設備の更新等に当たり、時期や実施規模を見直すとともに、大規模投資につきましても、工事費の圧縮や投資規模の平準化を図るなど投資額の抑制に努めてまいります。
 バスにつきましても、投資や経費の抑制を図るとともに、地域ニーズや需要動向に合わせ適切なダイヤ設定を行ってまいります。
 あわせて、旅客需要の創出に向けて多様な主体と連携して地下鉄やバスの利用促進を図るとともに、保有する資産を有効活用することなどによりまして、収入の確保にも努めてまいります。
 これらの取組を通じまして、計画最終年度の令和六年度に、地下鉄では百三十億円程度の経常黒字の確保を目指すとともに、バスでは経常赤字を縮減し、黒字化への道筋をつけてまいります。

○小林委員 昨年の決算委員会でも、都営交通の事業運営について局長の見解をご答弁いただきました。厳しい経営状況においても、安全・安心を確保するとともに、誰もが利用しやすい都営交通を実現するため、そのかじ取りを担う局長の決意を改めてお伺いして、質問を終わります。

○内藤交通局長 厳しい経営状況の中にありましても、中長期的に安定した輸送サービスを提供することが都営交通が果たすべき責任と役割であると考えております。
 新たな経営計画では、持続可能な経営基盤の確立に向けまして、収入、支出両面から経営改善を図り、早期に安定経営の道筋をつけるとともに、ホームドアの整備や防犯カメラの設置などによるさらなる安全の追求や、エレベーターの増設など、より快適で利用しやすいサービスの提供に取り組んでまいります。
 こうした取組を支えるため、新たに策定します人材育成ビジョンに基づきまして、将来の事業運営を支えるプロフェッショナル職員、これは、現場、本庁問わず、それぞれの事業領域に精通した専門性の高い職員という意味でございますが、こうした職員の確保、育成に努めてまいります。
 計画に掲げた取組を着実に推進するとともに、事業環境の変化にも柔軟に対応していくことで、これまで以上に都民やお客様に信頼され、支持される都営交通を目指してまいります。

○大山委員 きょうのテーマは二つです。一つは、痴漢、盗撮問題。そしてもう一つは、都営交通協力会をめぐる問題です。
 まず、痴漢、盗撮問題、行きます。
 私たちは、昨年の第一回定例会と第四回定例会での一般質問をはじめ、この公営企業委員会でも、痴漢ゼロの都営交通という立場で質問をしてきました。この間、少しずつ前進しているということは重要です。
 都営地下鉄で、痴漢、盗撮、暴力は犯罪行為です、何かお困りのお客様や、お気づきのお客様は、駅係員、乗務員、警備員または巡回中の警察官までお知らせくださいという加害を防止するアナウンスを始めたこと、それから、チカッ都ビジョンでも、痴漢は犯罪との映像が流れるようになったということも重要です。
 さらに、私たちが、受験シーズンにおける痴漢加害の防止と被害者の救済に関して緊急の申入れをした際には、市川電車部長が応対していただいて、受験シーズンにインターネットやSNSで受験生を狙った痴漢行為をあおる投稿などについては、被害者が被害を申し出られない共通テストの時期に加害を呼びかけているのは改めて卑劣だと認識した、具体的な対策については持ち帰って検討しますと、持ち帰ってくれました。
 そのときに、交通局、ツイッターをやっているから、そこでツイートしたらと、そういう話になりました。そうしましたら、その日のうちに交通局がツイッターで、痴漢、盗撮、暴力は犯罪行為です、そういう投稿をしてくれたことを発見しまして、私たちは、すごいねと感激をしました。このツイートは喜ばれて、かなり拡散をされました。少しずつ前に進んでいることは重要です。
 同時に、痴漢、盗撮ゼロの東京にするためには、交通局としても取組を抜本的に強化することが必要です。
 昨年の第四回定例会前にも私たち都議団でネットアンケートをしました。痴漢だけではなくて盗撮も深刻という訴えを受けて、東京都内の電車、駅での痴漢、盗撮被害と対策についての調査ということにいたしました。十一月十四日から二十三日のわずか十日間で千百九十二人の方から寄せられました。改めて深刻さを実感した次第です。
 調査結果のまとめを交通局さんにはお渡ししてありますので、読んでいただいていると思います。私どもの都議団のホームページにも載せてありますので、ぜひご覧いただければと思います。
 痴漢や盗撮をなくすための対策として約八割の方が選択したのが人権教育と性教育です。これは基本ですね。ジェンダー平等社会の実現も約六割の人が必要な対策だとしています。
 交通局に直接関係するのは、女性専用車両を求める声が五割を超えていることです。私たちの調査では、女性専用車両のある電車を利用している千十三人のうち四五%が女性専用車両を使うと回答し、半数近くは積極的に利用していました。使いたいけれど状況による人も含めれば、八五%以上の人が女性専用車両の利用希望があるということが分かります。
 痴漢や盗撮被害に遭わないために、女性専用車両がいかに求められているのかということが分かりますが、交通局はどう受け止めていますか。

○市川電車部長 痴漢や盗撮は性犯罪であり、許されない行為であると、もとより認識しておりました。
 お客様に安心してご利用いただけるよう、これまでも、新宿線での女性専用車両の導入のほか、痴漢撲滅キャンペーンや、駅構内、車内でのアナウンスの実施、車内防犯カメラの設置など、鉄道事業者として必要な対策に取り組んでいるところでございます。

○大山委員 これまでも鉄道事業者として必要な対策に取り組んでいるということなんですけれども、お客様に安心してご利用いただけるようにと、そういう都営交通にしていくためには、女性専用車両は大きな力になるんじゃないんでしょうか。
 必要な対策に取り組んでいるというんだったら、これこそ取り組むべき課題ではないでしょうか、どうですか。

○市川電車部長 都営地下鉄では、お客様に安心してご利用いただけるよう、痴漢撲滅キャンペーンや、駅構内、車内でのアナウンスの実施、車内防犯カメラの設置のほか、新宿線で女性専用車両を導入しておりまして、導入拡大についても、朝のラッシュ時間帯の利用状況等を勘案しながら検討することとしております。

○大山委員 女性専用車両の導入拡大についても検討していくということは重要です。
 実際、今ご答弁されたように、都営地下鉄では、新宿線で女性専用車両が導入されていますけれども、新宿線で女性専用車両を導入した経緯を教えてください。

○市川電車部長 女性専用車両については、国土交通省及び首都圏の主な鉄道会社による女性等に配慮した車両の導入促進に関する協議会における方向性を踏まえ、交通局内で導入を検討いたしました。
 都営地下鉄四線のうち、新宿線は一編成当たりの車両数が多く、女性専用車両導入による他の車両への混雑の影響が比較的少ないこと、また、乗り入れしている京王電鉄との協議が調ったことから、平成十七年五月に試行的に導入し、平成十八年十二月より本格導入いたしました。

○大山委員 新宿線は一編成当たりの車両が多いから、女性専用車両を導入しても他の車両への影響が小さいので導入したんだということですね。
 私たちの調査では、女性専用車両については、導入の時間帯、それから路線、車両数を増やしてほしいという要望が最多でした。安心・安全を確保するためには、この声にしっかりと応えていただきたいんです。
 ところで、女性専用車両の導入拡大について、具体的にはいつから検討を始めるんでしょうか。

○市川電車部長 時期を含めまして今後検討することとしております。

○大山委員 時期を含めまして検討するんだということなんですけど、今は、そうすると、いろいろ材料を集めているという段階でいいんでしょうか、検討するための。

○市川電車部長 女性専用車両の導入拡大につきましては、今後検討することといたしております。

○大山委員 検討してほしいわけですけれども、検討するということについて、どう検討するか、それが重要なところなんです。
 先ほど、導入拡大については、朝のラッシュ時間帯のことをおっしゃっていましたけれども、私たちの調査では、通勤時間帯だけでなく常時設置してほしい。それから、痴漢被害や暴力行為は満員電車ではなくても発生するのでとか、全ての路線に女性専用車両が必要だと思います、また、朝だけでなく、学生や社会人の帰宅時間、十五時から二十一時頃にも必要です、痴漢被害に遭ったうちの七割ぐらいは帰宅時のことでしたとか、夜にも導入してほしいなどの意見が寄せられました。
 朝のラッシュ時間帯だけに限定しないことが重要だと思いますけれども、どう考えていらっしゃいますか。

○市川電車部長 時間帯の設定につきましても、今後検討することとしております。

○大山委員 今後検討するんだということですので、意見をいいたいわけです。
 どうして女性専用車両を求める声が多いのかということなんです。痴漢や盗撮被害を受けたときも大きなショックです。と同時に、その後の人生の打撃ともなっているからなんです。
 鬱やPTSD、不眠や自傷行為、過食、嘔吐など、深刻な後遺症に苦しむ声が多く寄せられ、被害に遭ってしまった自分を責め死にたいと寄せた方もいます。電車が怖く途中下車してしまうため不登校になった方もいます。電車に乗ろうとすると過呼吸になり、仕事を辞めてしまったという人もいました。十五年以上一人で外出したことがありませんなど、生きる空間が狭められています。男性が隣に座ると怖くて動けない、父親を含め男性と話せなくなったなど、男性への嫌悪、不信感を答える方も多くて、人間関係にも重大な影響を及ぼしています。だからこそ、加害をなくすということが重要で、女性専用車両を多くの方々が求めているのは、性暴力が多い中で女性専用車両がシェルターの役割を果たすからなんです。
 伺いますけれども、都内で運行している東京メトロやJRで女性専用車両の実施状況はどうなっていますか。

○市川電車部長 JR東日本では、都内十九路線中七路線において、東京メトロでは、九路線中六路線において、女性専用車両を導入しております。

○大山委員 都営交通だと四路線中新宿線だけということですけれども、JR東日本では約三七%、東京メトロは約六七%の路線で女性専用車両を実施しているということですね。
 二〇一一年に、これ(資料を示す)警察庁が電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書というのを出しています。鉄道事業者、学者、弁護士など八名から構成される研究会を設置して、調査研究を行って報告書を出しました。
 交通局は、この報告書、どう受け止め、どう具体化してきたんでしょうか。

○市川電車部長 報告書では、電車内の痴漢防止に向け鉄道事業者への提言がなされておりまして、交通局では、この提言も踏まえ、痴漢撲滅キャンペーンや、駅構内、車内でのアナウンスの実施、車内防犯カメラの設置など様々な取組を実施しております。

○大山委員 キャンペーンやアナウンスの実施、車内防犯カメラの設置などをやったんですと、それはそれで重要です。同時に、この報告書では明快なんです。鉄道事業者における取組として、女性専用車両と項目を立てて調査の結果を引いて、痴漢被害に遭っても声を挙げられない女性にとって、これを防ぐ有効な手段は、そのような機会をつくらせないことであり、女性専用車両を利用することが効果的と考えられる、女性専用車両の拡大に向けて検討がなされる必要がある、明確に書いてあります。これは重要な指摘です。
 ところで、伺いますけれども、この報告書を出した痴漢防止に係る研究会には、交通局から委員を出していましたよね、どうですか。

○市川電車部長 交通局電車部から管理職の職員が参加しておりました。

○大山委員 当時の交通局の電車部の課長さんが研究会の委員として入っていましたね。もちろん個人で参加しているわけではないですから、東京都交通局の課長さんとして参加していたわけですから、交通局は、この研究会、報告を出した当事者なんです。交通局は責任を持って実践してもらいたいです。
 この報告書が出たのが平成二十三年三月ですから、もう十一年になります。それにしても、女性専用車両の導入拡大について検討を始めるということですから、しっかりとやっていただきたいと思います。
 私たちの調査では、女性専用車両がある理由の周知、専用車で嫌がらせをする人への対応を望む声が多いのも特徴です。嫌がらせの男性が乗ってきたときに、すぐに駅員に連絡できる方法が欲しいという声が六十三人もの方々から寄せられました。
 この切実な声に応えることが必要ですが、具体的にどうすればすぐに連絡できるんでしょうか。

○市川電車部長 地下鉄車内においてトラブルが発生し、お客様から駅係員等へ直接申出があった場合は、係員等が初期対応に当たるとともに、必要に応じて速やかに警察に通報し、適切に対応しております。
 また、お客様から車内の非常通報器等によりトラブルの申出があった場合には、乗務員がその旨を運輸指令に連絡し、運輸指令からの指示に基づき、最寄り駅の係員が同様に対応しております。

○大山委員 気軽に申し出てくださいということを周知するということを伝えるということは重要だと思います。
 同時に、非常通報器を使っていいんですとおっしゃいますけれども、電車内の非常通報ベルを押すというのはなかなか勇気の要ることなんです。非常通報器を使ってよいということは伝えていただきたいと同時に、非常通報器を押したらどうなるのか、それから、どこにつながるのかとか、大きな音が出るんじゃないかとか、そういうことが分からないわけですから、仕組みも含めて周知することも重要だと思います。よろしくお願いします。
 そもそも、女性専用車両やその利用者への嫌がらせが問題になるのは、性暴力に対する認識が共有されていない、正しく専用車の意義が共有されていないからです。
 私たちの調査で、自由記入欄の中に、男性差別だなどと主張する人に対し、鉄道会社が詳しく女性専用車両の趣旨や意義を説明することに責任を持ってほしいです、痴漢の加害者ではなく、被害者や被害を恐れる人に非難の矛先が向くのはあまりにも理不尽です、利用したくても足が重く感じてしまいます。
 交通局は、この声にどう応えますか。

○市川電車部長 女性専用車両の趣旨や意義については、女性専用車両の窓ガラス及びホームの乗車位置付近に案内ステッカーを貼付するとともに、ホームページに掲載し、周知を図っております。
 また、車内及び駅構内放送におきましては、お客様に、女性専用車両に対するご理解、ご協力を呼びかけております。

○大山委員 駅構内の放送も、駅構内に、多くの人の目につくところにお知らせのポスターやステッカーなどを貼るということも、もちろん必要だと思います。同時に、どういう中身にするかということも重要です。
 (パネルを示す)これ、見にくいかもしれませんけれども、大阪メトロのホームページなんです。痴漢で検索しますと、一番上に出てくるのが女性専用車両の案内です。それをクリックするとこの画面が出てくるんです。それで、ここ、ここに、よくあるご質問を見るというところがあります。これをクリックしますと最初に出てくるQが、女性専用車両を導入した理由は何ですか、アンサーは、当社では、女性の自立や男女共同参画社会を目指す社会情勢の中で、痴漢行為そのものをなくすことが本来と考え、鉄道警察隊などと連携し、痴漢追放キャンペーンの実施や駅職員の巡視等による自主警備、車内及び駅構内での啓発放送、駅構内での啓発ポスターの掲示など様々な取組を行ってきています、しかし、現実に痴漢行為はなくならず、被害に遭われた女性の方が深く精神的な苦痛を受け、社会参画に支障が出ることがあることなどから、輸送の安全性の確保なども総合的に判断し、痴漢行為から女性を保護するという趣旨で女性専用車両を導入しました、こう書かれています。
 そのほかにもいろんな質問があるわけですけれども、女性専用車両は性別による差別ではないのですかとか、たくさんQ&Aが載っています。このような内容は、やはりぜひ参考にしていただきたいと思っています。
 駅のポスターなどで、この付近、盗撮、痴漢にご注意くださいなど、被害者に対して自衛を求めているものが多いんですね。性犯罪の問題で周知すべき角度、これは、責められるべきは加害行為であるということです。
 被害者も、第三者も、被害があったら何をすべきか分からないという不安や疑問に応える内容であることが重要です。そして、被害者は保護されることが明確であると思うんですけれども、どう認識していますか。

○市川電車部長 痴漢等の撲滅に向けては、痴漢、盗撮は犯罪であること、被害に遭われた方は駅係員等へお知らせいただくこと、痴漢撲滅には周囲の協力が不可欠であることなどについて理解が進むことが重要と考えております。
 こうした観点から、都営地下鉄では、警察や他の鉄道事業者と連携した痴漢撲滅キャンペーンなどを通じて、繰り返し周知徹底を図っているところでございます。

○大山委員 そうですね、そういう観点でやっているんだということです。
 それで、(パネルを示す)これ、都庁前駅のエスカレーターのところにあるステッカーなんです。注意を促しているからいいんじゃないかと思うかもしれません。しかし、これだと、この付近、盗撮、痴漢にご注意ください。被害に遭ったら自分が不注意だったのかと、自分を責めることになってしまうんです。注意しなかったからなんだなって。これではちょっと駄目なわけです。ポスターなどをつくるときは、責めるべきは加害の行為であるということです。
 (パネルを示す)これ、同じ都庁前駅、私たちは許さない、痴漢は犯罪です。もう直接的で分かりやすい。みんなこの目が怒っているんです。だから、本当にこれはいいなと思って持ってきました。あともう一つは、周囲の方々が、発見しちゃったけど、どうしたらいいのかということ、どう行動すればいいのかということも含めて、分かるような周知ということも必要だと思いますので、ぜひ検討してください。
 私が重大だと思っているのは、経営計画二〇二二案には、痴漢、盗撮の加害をなくすことについて全く記述がないということなんです。
 乗客にとって、痴漢、盗撮のない公共交通になることは、安全で安心して利用できる第一歩だと考えます。どう認識しているんでしょうか。経営計画二〇二二に安全・安心の確保というのがありますから、そこにきちんと位置づけるべきだと思いますが、どうですか。

○市川電車部長 痴漢、盗撮行為は犯罪であり、これまでも都営地下鉄では、犯罪抑止、未然防止に資する対策を講じてきており、今後とも、一つ一つの取組を丹念に積み重ねながら継続していくことが大切であると認識しております。
 今般策定する経営計画におきましても、安全・安心の確保として、車内防犯カメラの設置を進めるなど防犯対策の強化を図ることとしております。

○大山委員 痴漢、盗撮行為は犯罪だから、犯罪防止、未然防止の中に入っているということなんでしょうか。結論は、今までもやってきた防犯カメラの設置など防犯対策の強化を図る。今までのやり取りというのは何だったのかと。
 痴漢、盗撮行為はもちろん犯罪ですよ。しかし、経営計画二〇二二案では、大きなⅡのところに、計画期間における具体的な取組として、その01に安心・安全の確保というのがあります。(1)で、安全管理の持続的向上として最初に書いてあるのは、交通事業者にとって、お客様の安心・安全の確保は、最も重要な使命です、書いてあります。
 私たちの調査で、電車内で痴漢に遭ったことがあると回答したのは八九・八%でした。
 具体的な状況では、体を密着させられた、お尻を触られた、性器を押しつけられた、その三つが特に多くて、学生または二十二歳以下の方に尋ねた質問では、友達や学校で痴漢、盗撮被害の話が出ると答えた人は七七%、何度も、中学、高校の始業前に、その日の通学中に遭遇した痴漢の話を友達に聞いた、下着の中に手を入れられショックで泣きながら話している子もいたなど、日常的に被害にさらされていることが浮き彫りになりました。これ、中学生や高校生ですよ。
 痴漢、盗撮ゼロということは、安全・安心の確保には入らないということなんでしょうか、局長、ちょっと答えてください。

○市川電車部長 都営地下鉄における安全・安心の確保は、痴漢、盗撮対策のみならず、テロ対策等の強化など様々な取組と一体的に進めていくものと認識しております。

○大山委員 テロ対策とかはちゃんと入っているじゃないですか、計画案に。しかし、痴漢、盗撮、単語さえも入っていないですよ。
 例えば、昨年二月に出された第四期東京都犯罪被害者等支援計画の都内における犯罪等の現状の中に、痴漢被害についての記述がされるようになりました。また、都の男女平等参画推進総合計画案にも痴漢に関する記述が入りました。都政の中でも痴漢に関する認識が広がっているということなんです。
 痴漢、盗撮の加害が一番多いのが電車や駅構内です。痴漢、盗撮ゼロの公共交通にするという構えをきちんと据えることが必要です。
 そのためには、来年度からの計画である経営計画二〇二二に位置づけるべきです。局長どうですか。

○内藤交通局長 大山委員からるる痴漢対策等ご意見いただきました。先ほど来から我が電車部長が、その辺の対策、基本的考え方については、もうご説明したとおりでございます。
 それと経営計画に掲げるか否かというのは、経営計画はそもそも何なのかというところに起因しておりまして、これは、私ども公営交通事業を企業経営の視点に立って持続的に行っていく上で、どういうものが、どういう方向でいくのか、財政的裏づけはどうなっているのか、それに関わる予算的裏づけが大きいもの、そういったものをカテゴリーごとに主要事項として主な事項を掲げております。
 痴漢対策でいうならば、これは犯罪です。電車内、駅構内での犯罪では、例えば、傷害事件もあれば窃盗もいろんなものがございます。そういったものに対して安心・安全を、例えば、防犯カメラという、防犯カメラを計画的に設置していくことにおいて、おいて予算もかかります、経費もかかります、ですけど、それによって犯罪も含めて全体の防犯対策をやっているわけでありまして、その中には痴漢対策ももちろん入っているわけです。個々のものを経営計画にどこまで書くかで、これは我々事業者としての責務として対応させていただいております。

○大山委員 さっきから、実態も含めて質疑してきました。いかに、若い子供のときから、痴漢、そして、しかも痴漢、一番多いのが電車や駅構内ですよ。(「分かっていますよ、ちゃんと対応していますよ」と呼ぶ者あり)そうしたら、ちゃんと、ちゃんときちんと経営計画−−だって、きちんとやろうと思ったら予算だってかかるじゃないですか、それをちゃんと位置づける。それはしっかりと、二〇一一年の警察庁でみんなでやった、交通局の課長さんもメンバーに入って出したものにだって明確だったじゃないですか、それをきちんと経営計画に何で位置づけられないのか不思議です。だからきちんと検討してください。
 現在、経営計画二〇二二の案のパブリックコメントを募集していますが、寄せていただいた意見をどのように経営計画に反映するんでしょうか。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お話のとおり、交通局では、先月十五日に、経営計画二〇二二の案を公表いたしまして、本日までの三十日間、ご意見を募集しているところでございます。
 今後、お寄せいただいたご意見を踏まえまして、今月末に計画を策定することとしております。

○大山委員 交通局が経営計画でパブリックコメントを募集したというのは初めてのことだということですね。募集したこと自体は前進だといえます。それだけに、いただいた意見をきちんと経営計画にいかに反映させるかが問われているといえます。
 パブリックコメントで都民の皆さんの意見を伺ったら、そのまとめを含めて公営企業委員会で議論するのが本来じゃないでしょうか。
 今回は、公営企業委員会には、この委員会には間に合いませんでしたが、次回の計画のときとかは、委員会での議論に間に合うように、パブリックコメントを早めに募集するとか、そういうことを求めて、次に移ります。
 都営交通協力会は、地下鉄などの駅業務、定期券などの発売、駅舎の清掃やバスの誘導など、都営交通に関する様々な仕事を受託しています。
 都営交通協力会は、職員食堂を受託していますけれども、何か所受託し、食事の提供、そして、調理師の確保など、協力会が直接運営しているんでしょうか。

○牧野職員部長 交通局では、泊まり勤務など不規則勤務の職員に対しまして、早朝時間帯にも食事を提供できるよう、地下鉄庁舎や自動車営業所などに厨房設備を備えた食堂を設置しております。
 これらの食堂二十一か所の運営につきましては、東京都営交通協力会に委託しておりまして、協力会が契約した調理師により食事の提供が行われております。

○大山委員 現時点で二十一か所、職員食堂全てで調理師と契約ができているんでしょうか。

○牧野職員部長 本年三月一日現在、二十一か所中二十か所の職員食堂で、協力会と調理師との契約が結ばれていると聞いております。

○大山委員 一か所は二月末で調理師さんが辞めたんですね。
 職員の福利厚生で職員食堂があると思うんですけれども、それぞれの調理師さんが協力会とどのような契約になっているか知っていますか。

○牧野職員部長 協力会と調理師との契約につきましては、請負契約になされておりまして、時間帯等々の取決めがなされていると聞いております。

○大山委員 私がお話を伺った調理師さんは、昨年の九月十三日から職員食堂の調理を受けました。九月十三日からだから、八月に下見に行ったときに冷凍庫が故障していることが分かったので、協力会に伝えたんですが、結局現在まで故障したままなんです。冷凍庫が使えないとどうなるかというと、ストックできないので、一日か二日分の食材しかストックできないんですね。買い出しのためのガソリン代、小分けで買えば単価も高くなります。冷凍庫もなかなか直してくれないので、小さな冷凍庫も買って、合わせると七十万円ぐらい余分にかかったと話してくれました。しかもお米は協力会指定のお米屋さんで、高いし、まずいし、異臭がした。産地も生産者も表示がありません。やっと指定の米屋ではなくてもよいということになったということなんです。一食五百円から五百五十円で提供すること、それから、注文を受けて五分以内で提供するということは、口頭で協力会からいわれたとのことでした。職員の人が心配して、値上げしたらといわれるほどだと。
 協力会からは、委託補給費ということで月額八万円支払われて、その中から、部費という名目で二万円引かれています。部費というのは、どうもお鍋だとかの消耗品を購入するために協力会が集金しているらしいんですけれども、この方が、朝食などで五十人もの目玉焼きを作れば、すぐにコーティングが剥がれてしまうので買ってほしいといったら、買えないといわれたと。結局自分で二週間に一枚ぐらいフライパンを買っているというんです。一日五十食を作りますから、一人ではできませんから、一人雇用しているわけです。
 伺いますけれども、最低賃金さえも保障できないようなこんな委託の仕方がまかり通っていいんでしょうか。

○牧野職員部長 協力会から、委託契約につきましては詳しい話は存じ上げておりませんが、食堂が適切に運営できるよう適正に支払われるものと認識しております。

○大山委員 私たちがお話を伺った調理師さんは、現場で皆さんが頑張っているから、本当に一生懸命やりたいという気持ちでやってきたわけです。しかし、委託補給費として協力会から月額八万円受け取っています。その中から、さっきいった二万円が部費ということで天引きされ、それから指定されたお米屋さんへの支払いが三万一千三百二十円引かれ、手元にくるのは一か月二万八千六百八十円、売上げは調理師さんのものだとはいっても、協力会からは、一食五百円から五百五十円で提供してくれといわれています。
 この方は、委託補給費は八万円ですけど、ゼロ円のところもあるというんですね。調理師さんとの契約、それから、調理師さんたちの実態などをきちんと調査するべきじゃないんですか。

○牧野職員部長 協力会が責任を持って対応すべき事象であると認識しております。

○大山委員 グループ経営だとかいっているわけですよ。グループ経営だといわれているその中で、どんな働かせ方をしているのかということは、ちゃんと責任を持つべきじゃないですか。
 私たちがお話を伺った調理師さんは、現場で頑張っている職員の皆さんに、おいしいもの、温かいものを安く食べてもらいたい、そんな気持ちで働いていましたけれども、生活もできないような委託料ではやっていけない、もう辞めることを決意しました、東京都が関わっているところだから安心だろうと信頼していたんです、しかし、本当に悲しいとおっしゃっていました。
 二〇二〇年の三月に出た一般財団法人東京都営交通協力会に対する調査結果です。それがありますけれども、その報告書の九ページには、協力会では、毎年二百名程度の離職者が発生している、そういう記述があります。調査した人たちは、どうしてこんなに毎年辞めるのか問題だと思ったんですよね。過去五年間の調査をしたら、離職理由として最も多いのは自己都合、その自己都合の理由としては、協力会の業務は、他の鉄道グループ会社においても同様な業務があるため、賃金等の待遇比較の結果、退職する職員が出る、また、駅業務の職員には、都の採用選考に合格すると退職するというケースも多く見られたとなっています。
 この調査報告の内容をどう受け止めていますか。

○土岐次長 雇用形態や労働条件等を含めまして、職員の雇用に関しましては、法令等で定められた基準や手続に基づき団体がその責任において適切に対応しているものと認識しております。

○大山委員 適切に対応しているということなんですけれども、結局、さっきの調理師さんの契約にしても、今の協力会の職員の賃金にしても、東京都自身が官製ワーキングプアをつくっている、そういう状況です。
 交通局も、グループ経営を推進するとして、駅業務だとかバスの運行管理だとか施設の保守管理だとか職員食堂などなど、グループ総体として最大の経営効果を発揮するよう努めていくと経営計画二〇二二の案には書いてあります。
 同じ仕事で賃金も安い、生活もできないような契約など、人で支えられている職場だからこそ人件費を削って経済効率を発揮する路線は転換すべきだということを述べて、終わりにします。

○保坂委員 私からは、初めに、都営バス事業について幾つか伺いたいと思います。
 昨今、新型コロナウイルスの影響によりまして、交通事業者の経営は、全国的にどこも非常に厳しい状況であるとニュースでも耳にします。特にバス事業は、地方だけではなく、首都圏や都内でも、既に他事業者において路線の減便や廃止などが増えてきている状況でもあります。
 我々の生活に欠かすことのできない重要な交通インフラでありますバス事業の今後については、都議会でも議論を続けていくことが大変重要だと考えております。
 そこでまず、都営バスでも、この四月に路線の廃止や減便を行うと聞いておりますが、その理由、考え方について伺います。あわせて、何路線が現実に対象となるのか、実施規模についても伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスは、地域の暮らしを支える身近な移動手段でありまして、乗務員や車両など限りある経営資源を生かして、その機能を安定的、持続的に発揮できるよう事業を運営しております。
 これまでも、地域のニーズや需要の変化をきめ細かく把握し、代替交通の有無などの路線特性を踏まえまして、毎年定期的に路線の新設、廃止、増便、減便などの見直しを行っております。
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるお客様の行動変容に伴いまして、今年度の乗車人員は、コロナ禍前に比べおおむね二割弱の減少が続いております。この間、需要の変化を慎重に見極めてきたところでございますが、今般策定する経営計画におきましては、コロナ終息後も一〇%程度の減少が続くと見込んでおります。
 このため、今春のダイヤ改正で、ご利用が大幅に減少している路線のうち三路線について、他路線への統合等により運行を終了するとともに、深夜バス三路線を休止いたします。
 また、平日、土曜、休日ダイヤのいずれかで一便だけ減少するものも含めますと計二十六路線が減便となります。

○保坂委員 これまでも、利用の減少に合わせて減便や路線を増減させてきたことは理解ができます。ただ今回は、これまで以上の件数の見直しを実施していくとのことでもあります。
 一方、コロナが、例えば終息をすれば、ある程度は利用が戻ると思われます。また、路線によって、今後、インバウンド需要が回復したり、周辺のまちづくりの進展によって需要が再び高まるかもしれません。
 そこで、需要の変化に合わせて見直すという考え方ならば、コロナ終息後、需要が回復したら便数を戻してもらいたいと考えておりますが、都の見解を伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、需要の変化に合わせて路線やダイヤの見直しを行っておりまして、需要が高まっている地域におきましては、路線の新設や増便などを行ってまいりました。
 今後とも、運行実績の分析などを行いながら、各路線の利用状況等をきめ細かく把握いたしまして、需要が回復し混雑が激しくなっている場合などには、こうした変化に合わせた適切な輸送力を提供できるようダイヤを見直してまいります。

○保坂委員 状況が改善したら、ぜひ前向き、かつ柔軟な対応をお願いします。
 また、利用自体が少ないといっても、現に利用している方もいるのは確かでありまして、その方々からすれば利便性は低下することになります。そうした方々に不便をかける以上、それに見合う経営改善の効果、路線網全体の維持に着実につながる効果がなければならないと考えます。
 そこで、今回の路線の廃止や減便によるコスト縮減の効果について、局の見解を伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 路線の廃止や減便によるコストへの影響といたしまして、運行に必要な乗務員や車両に係る費用の縮減が挙げられます。
 また、交通局では、一部の事業所における運行等の業務を外部に委託しておりまして、廃止等に伴い運行の規模も縮小いたします。
 これらを合わせ、今回の見直しに伴う費用の年間の縮減額を推計いたしますと、おおむね三億円余りと試算しております。

○保坂委員 三億円縮減ということでございますが、一定の効果があるようですが、同時に、見直しをしていく中でも、利用者の利便性を極力維持していくことも必要と考えます。
 そこで、路線の廃止や減便による都民サービスへの影響をできる限り抑えることが重要と考えますが、局はどのような工夫を講じていくのか、見解を伺います。

○太田バス事業経営改善担当部長 路線、ダイヤの見直しに当たりましては、お客様の利便性に最大限配慮し、影響をできる限り抑えております。
 このたび運行を終了する三路線につきましては、運行頻度の高い他の路線と重複し代替交通が確保できている路線を対象といたしました。
 また、深夜バスにつきましては、全九路線のうち利用が非常に少ない三路線を休止とするものの、他の六路線は、深夜の帰宅などで一定の利用が見込まれますことから、便数をおおむね維持した上で運行を継続することといたしました。
 減便となる路線のダイヤにおきましても、各区間の時間帯ごとの利用状況などを踏まえまして、ほとんどの路線について、利用が多い時間帯の運行間隔を変えずに維持するか、あるいは、拡大しても三分程度にとどめております。

○保坂委員 ぜひ、そうした創意工夫により、これ以上、路線の廃止や減便が出ないことを求めておきます。
 今回の見直しに当たっては、利用者にご理解をいただけるよう、くれぐれも丁寧に周知していただくことも併せて求めておきます。
 次に、都営バスの環境対策について伺ってまいります。
 環境負荷の低減に向けては、二酸化炭素を排出しないZEV、ゼロエミッションビークルの導入が不可欠であります。
 初めに、既に都営バスでも導入されています燃料電池バスについて伺います。
 公営事業者として先駆的に取り組み、現在まで合計七十一両導入されていると先ほども答弁がありましたが、しかし、一般のディーゼルに比べ、燃料に関するコストは大変高額であると認識しています。
 そこで、燃料電池バスについて、今後の導入計画と、それに要する費用、環境負荷の低減を含めた効果について伺います。あわせて、どのような地域に導入を計画しているのか伺います。

○櫻庭自動車部長 燃料電池バスにつきましては、今般策定する経営計画におきましては、令和六年度までに累計八十両まで導入を拡大することとしております。八十両のリース料は年間二億四千万円程度となりますけれども、令和四年度から都の補助制度がより充実される予定でございまして、一定程度、負担が軽減される見込みでございます。
 また、年間約二千三百トンの二酸化炭素の排出量削減を期待できるものでございまして、ゼロエミッション東京の実現に資するものと考えております。
 燃料電池バスの配置に当たりましては、バスに充填できる十分な能力を持つ水素ステーションが営業所の近隣に複数整備されていることが不可欠でございまして、こうした条件を満たす臨海地域周辺の営業所に引き続き配置する予定でございます。

○保坂委員 燃料電池バスは、都や国による補助により低減されるものの、もともとのコストが高額であることから、今後のさらなる導入については、都民の、これもさらなる理解も必要であります。
 先ほどの答弁で、導入地域とその理由の説明をいただきましたが、確かに、私の住んでいる地域ではFCバス、燃料電池バスを見かけますが、路線バスとしての運行エリアが限定されると、乗る機会や知る機会も限定されてしまっているのが事実です。
 実際に、路線での運用については、水素ステーションの地理的な条件によって路線の偏りも出ております。現状では致し方ない面もありますが、水素バスのよさや恩恵を享受できるのは、乗車機会のある地域の都民の方に限られてしまっているのが現状です。このため、燃料電池バスが走っていない地域では、貸切バスとして走らせるなど工夫も必要ではないかと考えます。
 また、水素や環境問題を小さい頃から知ってもらうためにも、子供たちに、燃料電池バスや水素について理解を深める機会も必要かと思います。
 そこで、燃料電池バスは都心部を中心に走行していますが、都内全体で認知が十分にされていない現状から、例えば、教育機関との連携など様々な機会を捉えて燃料電池バスを身近に感じてもらうなど、認知度を高めていくことが重要ではないかと考えますが、局の見解を伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスではこれまでも、様々な機会を捉えて燃料電池バスのPRに取り組んでまいりました。
 具体的には、営業所などで実施するイベントや学校行事としての営業所見学などにおきまして、燃料電池バスの体験乗車などを行いますとともに、ほかの都市などからの視察にも広く対応してまいりました。
 また、貸切バスとして、親子を対象とした水素関連施設を巡るツアーなどにも活用しております。
 さらに、毎年九月二十日はバスの日とされておりますけれども、そのバスの日にちなんだイベント、バス祭りでは、燃料電池バスを展示いたしまして、多くの来場者の方に触れていただけますよう車内を開放しております。
 今後も、こうした取組を積極的に行いますとともに、燃料電池バスの導入状況や意義を紹介する動画をバスや地下鉄の車内サイネージで放映するなど、子供から大人まで、より多くの方に燃料電池バスを身近に感じていただけますようPRに努めてまいります。

○保坂委員 ぜひ積極的な広報をお願いします。例えば、小中学校による都内の社会科見学などで利用する交通手段にも、児童生徒らに燃料電池バスに乗車していただければ、その魅力を一層感じてもらえるとも思いますので、こちらに関しても要望しておきます。
 次に、EVバスについて伺ってまいります。
 ZEVの一つであるEVは、一般乗用車については普及が進みつつありますが、EVバスについては、国内での本格導入はまだまだこれからだと認識しています。導入が進まない背景には、航続距離やコストなどの様々な課題があるとも聞いています。
 そこで、EVバスについては、今回策定する経営計画において調査検討を行うとありますが、導入には様々な課題もあると思いますが、これまでの検討状況について伺います。

○櫻庭自動車部長 都営バスでは、ZEV化の推進に向けて、EVバスの導入可能性を検討するため、令和二年度から充電設備の整備や車両の運用に関して調査を実施しておりまして、様々な課題が明らかになっております。
 まず、設備につきましては、大容量の受変電設備や、そのための十分なスペースが必要で設置費用も高額となりますほか、その管理に当たる技術者の配置が必要となります。
 また、車両につきましては、現在市販されている車両の航続距離がディーゼル車に比べて短いこと、充電には長い時間がかかりますため車両の運用が難しいこと、外国製の車両が多いことから保守用の部品の供給体制に懸念があることなどが明らかとなりました。
 こうした課題を踏まえまして、引き続き、EVバスの導入について検討してまいります。

○保坂委員 かなり多くの課題があるということは認識しました。
 報道によりますと、国産のEVバスが発売されるとのことですが、都営バスが仮にこれを導入するとなれば、インパクトは大変大きいと考えられます。引き続き、課題が多い中でEVバス導入に向けた検討を求めて、次のテーマに移ります。
 続いて、私の地元でもあります都営浅草線浅草駅出入口の新設、更新について伺います。
 現在の出入口の一部は、浅草線開業直後に建てられた建物の中にありまして、老朽化や耐震化による建て替えに際して、バリアフリー化など出入口改修を求める声も多くあります。
 一方、地元の商店街の皆さんも、一旦閉鎖されてしまうと周辺の人の流れが変わることも考えられることから、地元の方も心配されているところもあり、その動向の関心は非常に高いといえます。
 交通局に対しては、これまでも、整備に当たって地元への丁寧な説明などを求めてきたところであります。この新たな経営計画で掲げている内容について一つ一つ確認していきたいと思います。
 まず、新たな経営計画では、駅施設の大規模改良として、浅草駅既存出入口の更新に向けた準備を進めるとしていますが、その内容について伺います。

○谷本建設工務部長 浅草駅は、バリアフリー機能の充実などが課題であることに加え、雷門方面改札口につながる各出入口が老朽化した建築物と一体となった構造となっております。
 出入口の更新に当たりましては、これらの合築建築物の建て替えに合わせて出入口を閉鎖することが前提となりますが、お客様のご利用が多くあることを考慮いたしますと、代わりとなる出入口の整備が必要でございます。
 今般、雷門、浅草寺方面のA4、A5出入口の近傍に用地を確保でき、代替出入口の整備が可能となりましたことから、まずは、A4、A5出入口の更新を進めていくことといたしました。

○保坂委員 老朽化したA4、A5出入口は、施設の構造上、一つの建築物と一体となっていることから、更新する際にはどうしても両出入口を閉鎖せざるを得ないということは、時間も要するということになります。今の答弁では、長期間の閉鎖に備え近傍に用地を取得し、代替出入口を整備していくとのことであります。
 では、その代替となる出入口の役割について伺います。

○谷本建設工務部長 A4、A5出入口と合築しておりますビルは、鉄道施設として必要な機能も収容されておりますことから、代替出入口整備に当たりましては、こうした機能も収容する予定であります。
 来年度は、詳細設計に着手してまいります。

○保坂委員 これまでの質疑で、代替出入口を整備しなければならない事情、そして、代替出入口が果たす役割も今明らかになりました。一方で、代替出入口整備に関しては、先ほども申し上げましたが、既存の出入口が担っていた商店街への人の流れなどを大きく変えてしまうことのないよう、駅利用者に対しての案内などをしっかりと行っていただくことを求めておきます。
 また、今後、代替出入口の整備を進めていく上で、バリアフリーの点からもぜひ留意していただきたいことがございます。
 現在、台東区の浅草まちづくりの中に位置づけられた駅のバリアフリー化として、都が取得した代替地の近傍で、東京メトロによるエレベーター工事が現在実施されております。このエレベーターについても、都営浅草線のお客様もご利用できるようにするなど、浅草線と銀座線の乗換えにおける段差の解消が図られるよう、東京メトロに対して働きかけを行っていくよう強く要望しておきます。
 さて、浅草駅の新設出入口につきましては、これまでの質疑でも取り上げてきましたが、新たな経営計画でも引き続き準備を進めていくこととして評価しております。
 そこで、新設出入口の整備に向けた準備としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○谷本建設工務部長 駒形橋西詰交差点付近に整備を予定しております新設出入口は、A3出入口と合築である建築物を建て替える際に代替出入口の役割を担うものでございます。また、バリアフリー機能の充実を図る上でも重要であると認識しております。
 一方、新設出入口の整備予定地周辺で行われております他事業者の工事が大幅に遅れ、当面整備に着手できない見込みでございまして、今後、各工事の進捗状況を勘案しつつ、関係機関との協議を進めてまいります。

○保坂委員 整備に関しては、関係機関との協議なども必要とのことですが、バリアフリー機能の充実は悲願であり、地元民や観光客に対して、より優しい出入口を計画、整備していただくことを強く要望しておきます。
 また、さきにも述べましたが、浅草など観光地にとって出入口の新設は大変ありがたいことではありますが、整備する場所によっては人の流れを大きく変えてしまうほどの影響があります。そうした点を常に意識していただき、浅草まちづくりとの連動とともに、地元自治体や地域の観光協会、商店街や住民の方々のご理解があってこそですので、丁寧に進めていただくよう強く求めて、次のテーマに移ります。
 最後です。交通局の関連事業について伺います。
 経営計画二〇二二案の関連事業収入計画を見ると、三か年で八億円の増となっております。地下鉄など本来事業の経営が厳しい状況の中、関連事業の役割はこれまで以上に大変重要であり、収益拡大につながる取組が必要であると考えております。
 そこで、関連事業における今後の収益拡大に向けた交通局の考え方を伺います。

○坂田資産運用部長 交通局では、経営基盤の強化に資するため、所有する土地建物や駅、車両などの資産を有効に活用することにより、不動産や広告、構内営業等の関連事業を展開し、安定した収入の確保に努めてまいりました。
 新型コロナウイルスの拡大により、テレワーク等の進展やネットショッピングの拡大など、人々の働き方やライフスタイルは多様化し、乗車料収入がコロナ禍前に戻らない見通しの中、関連事業の重要性はこれまで以上に高まっているものと考えております。
 このため、利用者の行動変容に伴うニーズの変化に対応したサービスを提供するとともに、沿線自治体や民間企業等多様な主体との連携による店舗展開を図るなど、新たな視点も取り入れながら、所有する資産を最大限に活用することで、より一層の利便性向上と収益力強化に努めてまいります。

○保坂委員 収益拡大に向けて、これまで以上に関連事業に積極的に取り組んでいただくということは理解しました。少しでも収益拡大を目指していくよう求めておきます。
 さて、先ほど浅草駅出入口の質問をいたしましたが、地元台東区には、都営地下鉄で最も歴史のある浅草線が走っていますが、建設時の時代の状況によるところが非常に大きいと思いますが、出入口のみの場所が多いようにも見受けられます。今後、出入口の更新の際には、上部空間を活用するなど収益の確保の視点も必要と考えます。
 そこで、現在の出入口上部空間の活用状況と今後の活用の考え方について伺います。

○坂田資産運用部長 駅出入口の上部空間の利活用に当たりましては、一定規模の敷地面積を要することはもとより、地下部分への影響や用途地域等の条件を考慮しながら十分な採算性を確保していく必要がございます。
 こうした中、これまでも、できる限り有効活用を図っておりまして、現在、大江戸線代々木駅など十二駅で十三棟の建物を所有し、オフィス等のテナントに貸し付けております。
 今後も、収益力の強化に向けて、駅出入口の改修等様々な機会を捉え、上部空間の利活用について検討してまいります。

○保坂委員 厳しい経営状況だからこそ、ピンチはチャンスという意識を持っていただき、都営の交通事業者ならではの発想で、強みを生かした新たなビジネスチャンスが生まれることを期待しております。ぜひ、職員の皆様には、果敢にチャレンジしていただきたいと強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○森村委員 東京都交通局経営計画二〇二二についてお伺いします。
 コロナ禍による乗降客数の大幅な減少により都営交通の収益は急激に悪化し、ここ数年は、毎年三百億円を大きく超える利益が安定して出ていたところでしたが、二〇二〇年度は二百五十四億円の赤字に転落をしています。累積欠損金についても、着実に減少していたところでしたが、ここに来て一転増加、経営環境は極めて厳しいものとなっています。
 仮に、コロナ禍が終息しても、新しい日常の中で定着しつつあるテレワークなどによる影響が残り、乗降客数がコロナ前に戻らないという話に関しては、本日も様々な点で議論されておりましたが、こうした状況の下で、どのようにして収益性を回復させていくのか、今回策定された二〇二二年度を初年度とする三か年の経営計画の中で描かれた戦略の役割は極めて重要なものであります。
 今回策定された経営計画の大きなポイントは、コロナ禍における大幅な減収を回復させる取組でありますが、具体的な戦略と取組を伺います。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした人々の行動変容等に伴い、今後も、乗客数はコロナ禍前の水準には回復しないと見込まれ、厳しい経営状況が続く見通しでございます。
 今般策定する経営計画では、将来にわたり安定した輸送サービスを提供していくため、安全・安心の確保を前提に、収入、支出両面から取組を進め、早期の経営改善を目指すこととしております。
 具体的には、地下鉄、バスの車両につきまして、車両の状態等を勘案しながら計画期間中の更新数を精査するなど投資の抑制を図るとともに、地下鉄駅の案内サインについて、素材の見直しを行うことなどによりまして経費の縮減に努めてまいります。
 あわせて、魅力的な企画乗車券の販売等による都営交通の利用促進や広告や構内営業といった関連事業の一層の強化などにより収入の確保に努めるとともに、業務の見直し等により生産性の向上を図ってまいります。
 これらを通じまして、コロナ禍で打撃を受けた経営を立て直し、安定経営の道筋をつけてまいります。

○森村委員 ご答弁いただきました投資の抑制と経費の縮減、さらに広告や構内営業と関連事業の一層の強化による収入の確保ですね。これが着実に効果を現すことを期待いたします。
 一方、経営は生ものであり、外部環境の変化や予期せぬ事態の発生により、必ずしも計画どおり進捗するとは限りません。
 そこで、計画を阻害するリスク要因があるとすればどのようなものであると考えているか、また、それへの対策をお伺いいたします。

○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営交通の乗客数につきましては、感染症終息後も、移動需要がコロナ禍前の水準への回復が期待できないことから、経営計画の策定に当たりましては、今後の乗客数につきまして、令和六年度までに段階的に回復し、その後も、コロナ禍前と比べて、地下鉄では一五%程度、その他、バス、都電、日暮里・舎人ライナーの各事業につきましては一〇%程度の減少が続くものと見込んでおります。
 乗客数の回復につきましては、今後のコロナの感染状況等によりましては、見込みを下回る場合もあり得るため、持続可能な経営基盤の確立に向けては、引き続き、需要動向を見極めつつ、状況に応じてさらなる支出の抑制等を行う必要があると考えております。

○森村委員 見込みを下回る場合もあり得るというふうなお話でした。非常に困難な状況だと思いますけれども、需要の動向をしっかりと見極めながら、その時々に必要な打ち手、これを柔軟に検討いただくよう求めておきたいと思います。
 さて、都営地下鉄における構内営業等の強化については私も強い関心を持っております。
 私の記憶では、一九九〇年代後半から現在にかけて、JRを中心に駅構内などの空間利用が一気に進んだように思います。旅客営業に続く収益の柱として鉄道各社が取組を進めた結果、ターミナル駅などの駅ナカ空間は、まるで商業施設のような様相を呈しておりまして、魅力的な品ぞろえに利用客の滞在時間も延びています。
 聞いたところによりますと、こうした取組の当初は、鉄道事業は旅客営業による収入確保が基本だという考えが強く、商業的な取組の地位は決して高いものではなかったということだそうなんですが、便利な駅ナカ空間の魅力向上は旅客数の増加にもつながり、賃料収入が収益の柱に育っていく中で、今や、なくてはならないものになっております。
 そこで、都営地下鉄の構内の空間を利用して収益の柱を育てていくべきと考えますが、都営地下鉄駅構内店舗の最近の状況と、そして、今後の取組について伺います。

○坂田資産運用部長 交通局では、お客様の利便性の向上と収益確保を図るため、駅構内の限られたスペースを有効に活用し、店舗、飲料自動販売機、ATMなどの駅構内サービスを展開しております。
 現在、新型コロナウイルス感染症の影響による乗客数の減少などから、店舗が撤退するなど構内営業を取り巻く状況は厳しさを増しております。
 このため、これまで都営地下鉄への出店実績のない事業者に営業を行うほか、店舗跡地を、毎週入れ替わる催事販売コーナーに転用するとともに、様々な事業者にヒアリングを行い、具体的な出店ニーズを把握した上で、テナントが出店しやすいように店舗設備に改修を加えるなど工夫を行うことで、新たな出店事業者の確保に結びつけております。
 新たに策定する経営計画においては、これらの取組と併せ、民間のネットワークを活用した店舗誘致を行い、利便性、収益性の高い店舗を展開するなど、関連事業収入のさらなる確保に努めてまいります。

○森村委員 乗降客数が減少しているとはいえ、かなり多くの乗客が日々通過をする駅構内ですので、ぜひとも新たな出店事業者の確保を積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 なお、経営計画の中で、沿線地域との連携を進めるための取組として空間利用の計画が挙げられております。
 先ほどもご質問がありましたけれども、地下鉄構内においてオリジナルショップの開設が計画されていますけれども、改めて、その開設の目的について伺います。

○坂田資産運用部長 都営交通のオリジナルショップでございますけれども、都営地下鉄に限らず、都営バス、東京さくらトラム、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーを含めた都営交通沿線の地域活性化等を図りながら、運営事業者を公募で決定し、貸付けによる営業料収入も確保する新たな取組でございます。
 オリジナルショップでは、都営交通に関する情報発信のほか、沿線企業等とのコラボレーション商品の開発、販売や、イベントの開催等も想定しておりまして、ショップを訪れた方が沿線の魅力ある商品等を知り、都営交通を利用して実際に足を運ぶ機会を創出することで、乗車料収入の増加にもつなげてまいります。

○森村委員 オリジナルショップの開設に向けましては、沿線地域との連携という目的、これを踏まえつつも、駅構内の魅力向上に資する取組にできるよう、その設置効果を定性、定量の両面で図りながら運営するように求めておきたいと思います。限られた駅構内の空間利用をする以上、ぜひとも有効な取組にしていっていただきたいというふうに考えます。
 さて、経営計画の実施に当たりましては、先ほどの質疑でご答弁いただいたリスク要因に留意しつつ、ぜひとも収益性の回復と持続的な経営体制の実現に向けて、全力を挙げて取組を進めていただきたいと思います。
 経営計画どおりに進めることは、そう簡単なものではないというふうに考えますが、計画実現に向けまして、内藤局長の決意を伺います。

○内藤交通局長 コロナ禍のもたらした需要構造の変化など、都営交通を取り巻く厳しい経営環境、極めて厳しい状況でございます。こうしたものに対応し、中長期的に安定した輸送サービスを提供していくための指針といたしまして、今般、新たな経営計画を策定いたしました。
 本計画の下、持続可能な経営基盤の確立に向けまして、都営交通の需要創出や関連事業の強化など収益力を高めるとともに、安全・安心の確保を前提に、投資の抑制、経費の縮減等に努め、早期の経営改善を目指してまいります。
 また、さらなる安全の追求や、より快適で利用しやすいサービスの提供を着実に進めるほか、まちづくりとの連携や環境負荷の低減を通じまして、東京の発展に貢献してまいります。
 将来にわたり東京の都市活動や都民生活を支える公共交通機関の使命を果たし、これまで以上に信頼され、支持される都営交通を目指しまして、局一丸となって取り組んでまいります。

○森村委員 ぜひとも、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 次に、発電事業について伺います。
 私の地元である青梅市、そして隣接する奥多摩町では、水力発電所が交通局によって運営されています。聞くところによれば、先ほども言及がありましたが、交通局は、この電気事業を所管するところから発足したということだそうで、運転開始から、現在の発電所は既に五十年以上が経過していますが、環境に優しいクリーンな再生可能エネルギーを生み出す事業として、今の時代で改めて注目すべき事業であると考えております。
 売電価格の上昇を安定して堅調な収益を上げている本事業について、さらなる収益向上に向け発電量を増加させる方策はないものかと考えますが、見解を伺います。

○生越技術調整担当部長 交通局ではこれまで、小水力発電施設の新たな整備など発電量の増加について検討してきたところでございますが、調査の結果といたしましては、多摩川上流の河川では十分な流量が得られないなど開発に適した地点はございませんでした。一方、多摩川第一発電所及び多摩川第三発電所におきましては、運用開始から五十年以上が経過していることから設備の大規模更新を計画しております。
 そこで、これらの発電所の老朽化が進んでいる水車などを、より効率的に発電できるものに更新することによりまして発電量の増加を図ってまいります。

○森村委員 調査した結果、残念ながら新規で増設するなどは難しいということですが、老朽化したこの設備の更新に伴う発電効率の向上については、ぜひとも取組を進めていただきたいと思います。
 老朽化した発電設備の更新についての令和四年度の取組を伺います。

○生越技術調整担当部長 発電所の設備の更新に当たりましては、平成二十八年度から健全度調査を行いまして、令和二年度までに更新計画を策定いたしました。
 令和四年度につきましては、多摩川第一発電所更新工事の実施設計に着手する予定でございまして、引き続き、計画的に大規模更新工事を進めてまいります。

○森村委員 発電所施設の大規模更新に当たりましては、老朽化した施設設備の健全度調査が行われ、更新対象の範囲の限定や、また、工期の短縮、コスト圧縮などを盛り込んだ計画が策定されたというふうに聞いており、収益事業としても優れたパフォーマンスを期待しております。
 そこで、災害リスクや電力市場の動向などを踏まえた今後の事業の見通しについて伺います。

○生越技術調整担当部長 多摩川第一発電所と多摩川第三発電所の建築物につきましては、平成七年の阪神・淡路大震災を受け、平成九年度に耐震診断を実施し、必要な耐震補強を行ってまいりました。また、平成二十五年度から令和元年度にかけまして、各発電所やダムなどの土木構築物について耐震診断を行い、耐震性に問題ないことを確認しております。
 電力市場におきましては、水力発電による電気の再生可能エネルギーとしての価値が高まっている状況でございまして、この傾向は当面継続するものと見込んでおります。
 こうしたことから、今回更新を実施いたしましても、長期的に安定した事業運営を継続できるものと考えております。

○森村委員 今回の大規模更新の費用を投下しても、長期的に安定した事業運営が継続可能なことが確認できました。着実に施設更新を進めていただき、環境に優しい電力の供給に努めていただくよう求めまして、最後の質問に移ります。
 労務管理について伺います。
 今般、水道局に労働基準監督署が入りまして、超過勤務に係る管理体制の不備と未払い残業代の支給を命じる勧告がございましたが、これを受けて、交通局としても労務管理体制の再確認を行い、また、必要に応じた是正措置を講じるべきと考えますけれども、見解を伺います。

○牧野職員部長 交通局では、点呼やカードリーダーなどによりまして出退勤管理を実施するとともに、適正な超過勤務手続、三六協定の遵守などにつきまして周知徹底を図っております。
 労働基準監督署から勧告や指導を受けた際には、直ちに調査等を行いまして、必要な是正措置を講じており、昨年行われた調査では、本庁におきまして、退勤時刻の把握に関する勧告を受けたため、退勤時刻の管理を徹底する仕組みを改めて整備いたしました。
 また、一部の事業所におきましては、超過勤務時間の管理に関する勧告を受けておりまして、事実関係を調査の上、適切に対応してまいります。
 水道局に対して行われた労働基準監督署の立入調査による是正勧告を契機といたしまして、改めて適切な超過勤務管理につきまして文書にて局内に指示しておりますので、引き続き、勤務時間の管理を徹底してまいります。

○森村委員 交通局においても、労働基準監督署から、今回、超過勤務時間の管理に関する勧告を受け、現在、事実関係の調査を行っているということです。一日も早く勧告に至った原因の分析、必要な管理体制の見直しと、そして、取るべき対応の精査、再発防止策の策定などを行っていただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○こいそ委員長 お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十七分散会

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