公営企業委員会速記録第三号

令和四年三月十五日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長こいそ 明君
副委員長菅野 弘一君
副委員長森村 隆行君
理事斉藤まりこ君
理事小林 健二君
理事村松 一希君
石島 秀起君
岩永やす代君
成清梨沙子君
かつまたさとし君
保坂まさひろ君
山口  拓君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
下水道局局長神山  守君
次長松川 桂子君
総務部長田中  彰君
職員部長白川  敦君
経理部長坂井 吉憲君
計画調整部長佐々木 健君
施設管理部長猪八重 勇君
建設部長袰岩 滋之君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務福島 大起君
技術開発担当部長青木 知絵君
施設管理担当部長鈴木  豊君
流域下水道本部本部長佐々木秀之君
管理部長後藤 徹也君
技術部長小団扇 浩君

本日の会議に付した事件
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十九号議案 令和四年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百六号議案 多摩川流域下水道北多摩二号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
報告事項(質疑)
・下水道浸水対策計画二〇二二(案)について

○こいそ委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二十九号議案、第百六号議案及び報告事項、下水道浸水対策計画二〇二二(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○田中総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、表紙及び目次をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 下水道局が所管する政策連携団体及び事業協力団体における職員数と、その内訳として、都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体の職員数の推移でございます。
 政策連携団体及び事業協力団体における職員数の推移を、雇用形態別に過去五年分お示ししてございます。
 三ページをご覧ください。定数と職員数の推移でございます。
 下水道局職員の条例定数及び職員数の推移を、職種別、雇用形態別に過去五年分お示ししてございます。
 四ページをお開き願います。障害者雇用率の推移でございます。
 国に報告しております障害者の実雇用率の推移を、過去五年分お示ししてございます。
 五ページをご覧ください。超過勤務時間数の推移でございます。
 月八十時間を超えた超過勤務実績のある職員数及び職員一人当たりの月平均超過勤務時間数の推移を、過去五年分お示ししてございます。
 六ページをお開き願います。業務委託の推移と委託先及びそれに伴う職員定数の削減数でございます。
 業務委託の委託先、主な委託内容及び職員定数の削減数を、過去五年分お示ししてございます。
 七ページをご覧ください。未利用局有地の所在地及び面積でございます。
 未利用の局有地を、所在する自治体別、面積別にお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。女性職員数の推移と、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況でございます。
 女性職員数の推移について過去五年分、また、事業所の区分ごとに、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室の整備状況をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。職員の育児休業取得状況でございます。
 育児休業の取得人数及び取得率について、性別ごとに過去五年分お示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○こいそ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 それでは、下水道局関係について質疑させていただきます。
 我が国は、地理的、気象的条件から、自然災害が多く発生しており、浸水被害が度々繰り返されてきました。
 下水道などの施設整備が進み、これまでのような浸水被害は減少してきているものの、気候変動の影響により、大型化する台風、局地的な集中豪雨など、雨の降り方が激しくなっており、毎年のように記録的な豪雨が日本各地で観測され、多くの被害が発生しています。
 この首都東京においても、令和元年の台風第十九号による浸水被害は記憶に新しいところです。
 このような背景から、下水道事業の中でも重要性を増している浸水対策事業を中心に質疑を行わせていただきます。
 まず、区部において、どのように浸水対策を進めているのか、基本的な考え方についてお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針などに基づき、区部全域で一時間五十ミリ降雨への対応を基本に、早期に浸水被害を軽減するため、五十七地区を重点化し施設整備を推進しております。
 具体的には、繰り返し浸水が発生している地域など浸水の危険性が高い地区や、かつての川を下水道として利用した浅く埋設された幹線の流域などを重点地区として位置づけ、幹線や貯留施設などの整備を進めております。
 また、甚大な浸水被害が発生している地区などにおきましては、一時間七十五ミリに対応する施設を整備しております。

○石島委員 一時間五十ミリ降雨に対応する施設の整備に加え、一部の地区では一時間七十五ミリ対策をするなど、豪雨に対する備えを進めているとの答弁がありました。
 それでは、重点化した地区の取組状況についてお伺いさせていただきます。

○袰岩建設部長 重点化した五十七地区のうち、一時間五十ミリ降雨への対応を基本に施設整備を行う四十二地区につきましては、令和二年度末までに、十九地区で事業が完了しており、現在、十六地区で事業を実施しているところでございます。
 今年度中に、新宿区落合地区など、新たに三地区で事業が完了する予定でございます。
 また、一時間七十五ミリ降雨に対応する施設整備を行う十五地区につきましては、令和二年度末までに六地区で事業が完了しており、現在、七地区で事業を実施しております。
 今年度末までに重点化している五十七地区のうち、約八割に当たる四十八地区で事業が完了または事業中となる見込みでございます。

○石島委員 現在、重点化している地区の約八割で整備を推進しており、着実に対策が進められていることを確認させていただきました。
 こうした状況の中、下水道局は、十五年間を計画期間とする新たな浸水対策計画を策定することと発表し、その中では、重点地区を十地区提示しています。
 そこでまず、十五年間の長期計画を策定する目的についてお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 経営計画二〇二一では、計画の最終年度でございます令和七年度までに、現在、重点化している五十七地区全てで浸水対策事業に着手または完了することとしております。
 一方、下水道の浸水対策は、大規模な事業となることが多く、事業用地の確保や対外調整、下水道管敷設ルートの検討など、着手までに長い期間を要することから、事業を円滑に進めるためには、経営計画二〇二一の先を見据え、長期的な視点で検討していくことが重要であり、計画期間を十五年間とした新たな浸水対策計画の案を取りまとめております。

○石島委員 長期的な視点から、新たな浸水対策計画を策定し、対策を強化していくことは理解しました。
 今後、下水道の施設整備を進めていく中では、選択と集中の観点からも、地区を重点化して、効果的に対策に取り組むことが適切であり、また、切れ目なく事業を進めていく必要があります。
 そこで、新たな浸水対策計画における重点地区選定の考え方についてお伺いします。

○佐々木計画調整部長 重点地区につきましては、これまで過去に大きな浸水被害が発生した地区を中心に選定してきております。
 本計画では、これに加えまして、事前防災の観点から、雨の量の変化に応じた下水道管内の雨水の流れや雨水が地盤の形状に沿って流れる状況などを評価できる流出解析シミュレーションを活用しまして、これまで浸水被害が発生していない地区におきましても、浸水に対する危険性を評価しております。
 今回の新たな重点地区につきましては、地元区や関係機関と連携しながら、事業用地の確保や対外調整などの事業化に向けた検討を進め、その熟度に合わせて、事業計画でございます経営計画に順次位置づけてまいります。

○石島委員 経営計画二〇二一以降も、切れ目のない施策展開をしていくこと、推進をしていくことは重要です。
 近年は、国においても、流域治水関連法案が制定されるなど、浸水対策を加速化、深化を図ることが今後ますます重要となってきます。引き続き、綿密に計画を立て、事業を継続していくことを要望させていただきます。
 次に、下水道施設の計画的な更新に関してお伺いします。
 下水道局では、老朽化施設の更新について、再構築事業と呼び、単に古いものを新しくするだけではなく、老朽化対策と併せて、雨水を排除する能力の増強や耐震性の向上などを計画的に進めていると認識しています。こうした下水道局の取組は高く評価されているところです。
 一方で、区部の下水道管の延長は、よく例えとして出されますが、東京とオーストラリアのシドニー間を往復する約一万六千キロを超える膨大な施設規模となっています。さらに、その多くが、高度経済成長期の都市の発展に合わせ、大量に集中して整備されていることから、今後、それらが一斉に更新時期を迎えます。それらの更新も、下水道管は道路の下の深いところにあることから、道路交通量が多く、住宅街や商店街など、過密な都市であるこの東京においては、そう簡単なことではありません。
 そうした状況においても、事業を着実に進めていくことは、下水道事業の宿命であることから、確認のため、何点かについて質問させていただきます。
 まずは、改めて下水道管の再構築の考え方、事業の進め方について見解をお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 下水道管の再構築に当たりましては、下水道管の状況を調査し、計画的な維持管理を行うことで、法定耐用年数の五十年から、経済的耐用年数でございます八十年程度まで延命化を図り、ライフサイクルコストの最小化や中長期的な再構築事業の平準化などを図るアセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に事業を実施しております。
 事業を行うに当たりましては、膨大な下水道管の再構築を効率的に実施していくために、全ての既設管を全面的に更新するのではなく、経済性や効率性を考慮して、健全な既設管は可能な限り活用することを基本としております。
 具体的には、大きな損傷がない場合には、既設管の内面を更生する工法を採用し、損傷が著しい場合など、新しい管に取り替える場合のみ道路を掘削する開削工法を採用しております。
 これによりまして、騒音や振動の抑制など、周辺環境への配慮や工事コストの縮減、さらには、事業のスピードアップなどを図り、効率的に再構築工事を推進しております。

○石島委員 下水道管の再構築に当たっては、ライフサイクルコストの最小化、事業の平準化等を考慮しながら、アセットマネジメント手法を導入していることは理解しました。
 また、実際の事業に当たっては、調査により、健全な下水道管はできる限り活用する等、周辺環境への配慮や工事コストにも考慮していることを確認させていただきました。
 その再構築事業ですが、下水道局では、下水道管の整備年代が古いエリアである都心部を第一期再構築エリアとして進めていると認識しています。もちろんこの第一期再構築エリアには、私の地元であります中央区も含まれており、着実に事業を進めていただくようお願いするところであります。
 この第一期再構築エリアの進捗状況に加え、令和四年度の実施予定について、発注する工事件数の見込みも含めて見解をお伺いします。なお、進捗状況につきましては、私の地元の中央区の状況も併せてお尋ねいたします。

○袰岩建設部長 下水道管の再構築の進捗状況でございますけれども、令和二年度末までに、第一期再構築エリア一万六千三百ヘクタールの六二%に当たる一万八十二ヘクタールを完了しているところでございます。そのうち、中央区につきましては、対象エリア九百三ヘクタールの五五%に当たる四百九十九ヘクタールを完了しております。
 次に、令和四年度の実施予定についてでございますけれども、経営計画二〇二一に掲げた目標を踏まえ、再構築面積として七百ヘクタールを実施する予定であり、工事は約八十件を発注する見込みでございます。

○石島委員 第一期再構築エリアについては六二%が完了しているとのこと、令和四年度は、工事としては約八十件もの工事件数を発注するとのことで、相当の件数と認識します。設計、関係者との様々な調整など、かなり労苦を伴うものと思いますが、一つ一つしっかりと進めていただくよう要望させていただきます。そして、老朽化対策、浸水対策、地震対策につながる再構築事業について、経営計画二〇二一に掲げる目標の達成に向けた下水道局の取組を期待します。
 次に、多摩地域の流域下水道事業について何点かお伺いいたします。
 初めに、災害への対応についてお伺いします。
 昨年十月には、都内でも、東日本大震災から十年ぶりとなる震度五強の地震が発生しました。今後いつ発生するか分からない首都直下型地震などの大規模災害への備えは待ったなしの課題です。
 多摩地域では、流域下水道を管理する都と公共下水道を管理する市町村が一体となって下水道事業を実施しているため、災害時においても、都と市町村が横断的に防災力を強化することが必要です。
 市町村では、下水道の普及から維持管理の時代へ移行する中、下水道担当職員が大幅に減少していると聞いており、災害への対応が困難になることが懸念されます。そのため、災害発生時における都と市町村の連携による迅速な対応が不可欠であると考えますが、災害時における都と市町村の連携についてお伺いいたします。

○小団扇技術部長 下水道局ではこれまで、多摩地域の三十市町村職員による災害時の相互支援体制や迅速な復旧活動ができる民間事業者団体も参画する支援体制を構築しております。
 さらに、昨年十二月に、島しょのうち、公共下水道を有する新島村が相互支援体制に参画するとともに、災害時には、技術ノウハウを持つ局職員が、自ら被災市町村へ出向き支援を行うなど体制を拡充、強化いたしました。
 また、当局が開発した耐震化工法や災害査定に係る実務研修など、市町村の災害対策に有効な技術支援を充実させていきます。
 こうした取組を通じ、災害時にも下水道機能が確保できるよう、都と市町村の連携を強化してまいります。

○石島委員 災害時において、島しょも含めた、都と市町村の連携体制の強化が図られたことは評価させていただきます。
 さらには、地震だけではなく、浸水など水害への備えも必要です。大規模災害時には、都と市町村の行政間の連携とともに、住民の自助、共助も不可欠です。住民の防災に対する意識の向上や迅速で安全な避難のためには、内水ハザードマップが不可欠ですが、多摩地域の一部の市町村では、作成できていない区域が存在すると聞いています。こうした区域をなくしていくためには、これまで内水ハザードマップの基となる浸水予想区域図などを作成してきた下水道局のノウハウを活用し、市町村の作成を促進する必要があります。
 そこで、市町村への内水ハザードマップ作成の技術支援について見解をお伺いいたします。

○小団扇技術部長 多摩地域におきましては、都の管理河川や流域下水道幹線などの区域で、都が作成した浸水予想区域図に基づきまして市町村が内水ハザードマップを作成しております。しかし、市町村が単独で多摩川へ放流する区域などでは、十一市町で内水ハザードマップの未作成エリアが存在しております。
 今年度、当局が市町村指導事務を所管したことから、市町に対してヒアリングを実施したところ、内水ハザードマップ作成に必要な流出解析シミュレーション手法の実務経験を有する職員が少ないなどの課題があることを把握いたしました。このため、市町の職員に対して、シミュレーションの勉強会などを実施し、市町による内水ハザードマップ作成を促進いたします。
 今後も、市町村が抱える下水道事業の課題に対して、都がきめ細かな技術支援を行うことで、多摩地域の下水道事業が安定的に運営できるよう努めてまいります。

○石島委員 次に、単独処理区の流域下水道への編入についてお伺いします。
 多摩地域では、市が管理する単独処理区を都が管理する流域下水道へ編入する事業を進めており、令和三年一月には、八王子市北野下水処理場の八王子水再生センターへの全量編入が完了しました。
 そして、現在、立川市単独処理区の流域下水道の編入に向けて施設整備を進めているとのことですが、立川市の単独処理区編入について、事業効果と具体的な取組状況についてお伺いします。

○小団扇技術部長 まず、事業効果につきましては、単独処理区の編入によりまして、市単独では困難であった耐震化や高度処理への対応が可能となるとともに、多摩川を挟む二つの水再生センター間を結ぶ連絡管を活用した震災時における下水道機能の確保や、スケールメリットを生かした施設更新費や維持管理費の縮減が図られます。
 立川市単独処理区の流域下水道への編入につきましては、立川市において、流域下水道へ流入させる接続幹線などの整備を行うとともに、当局においては、水再生センターの施設整備などを実施し、令和五年度の編入事業完了に向けて、連携して事業を進めております。
 令和四年度は、北多摩二号水再生センターにおきまして、編入に必要な受変電設備を完成させるとともに、省エネルギー型焼却炉の整備を実施いたします。
 今後も、関係市と連携し、さらなる水環境の向上や安定した下水道サービスの提供を推進してまいります。

○石島委員 引き続き、立川市と緊密に連携をし、着実に事業を進めていただくことを要望させていただきます。
 また、多摩地域の全体を見ると、各市町村の公共下水道事業が抱える課題は、抱える施設や整備の時期等により、それぞれに異なると思われます。今後も、老朽化が進む施設への対応や防災力の強化、効率的な下水道事業の推進などに向けて、技術支援などを一層進め、都と市町村との連携強化を図ることを重ねて要望させていただきます。
 さて、これまで下水道局においては、区部における浸水対策、再構築、多摩における災害時の連携強化やハザードマップ支援の取組等を中心にお伺いしてきました。これらのインフラの強靱化の取組は、都民の安心と安全に関わる下水道事業が果たすべき最も重要な役割です。
 都議会自民党は、命を守る、東京を動かすとして、これまでも一貫して、こうしたインフラの強靱化を強く推進してきた立場であり、下水道局の取組は高く評価しているところであります。
 しかし、施設の老朽化は今後も進み、豪雨災害や震災災害による危機は、いつどのような形で訪れるかは分かりません。したがって、今後もより一層、下水道の強靱化を進めていくべきであると考えますが、最後に局長のご決意をお伺いします。

○神山下水道局長 東京の下水道は、一万六千キロを超える下水道管や二十か所の水再生センターなど、膨大な施設を抱え、二十四時間三百六十五日機能させていくことが求められております。一方で、激甚化する豪雨や、いつ発生してもおかしくない首都直下地震などに備え、都民の生命と財産を守り、都市活動を支えていく必要がございます。
 これまでも、再構築においては、平成七年の汚水処理の普及概成を見据え、道路を掘らずに下水道管をリニューアルする更生工法を開発し、また、高度経済成長期以降に大量に整備した下水道管が一斉に更新時期を迎えることから、いち早くアセットマネジメント手法を取り入れ、経済的耐用年数による約八十年のサイクルで事業を着実に進めてきております。
 今後も、下水道の強靱化をさらに進めるため、第一期再構築エリアの完了に向けて取り組むとともに、新たな浸水計画に基づき選定した対策地区の早期着手等を進めてまいります。
 多摩地域の下水道においては、本年度より所管している市町村の指導業務について、下水道局のノウハウをより一層生かした支援を推進してまいります。
 これらの施策を着実に進めていくため、今後も、現場に根差した創意工夫を重ね、新たな課題に対して、職員一人一人がチャレンジ精神をもって挑み、技術力を維持向上させることで、都民生活と都市活動を全力で支えてまいります。

○石島委員 質疑を終わります。どうもありがとうございました。

○村松委員 よろしくお願いいたします。まず、浸水対策についてお伺いいたします。
 私の地元の練馬区内においても、豪雨時の浸水被害が多くあります。平成三十年八月二十七日の豪雨では、時間最大雨量七十四・五ミリを観測し、床上浸水七十五件、床下浸水四十件と、多くの被害がありました。
 浸水対策としては、建設局所管の護岸整備や調節池の整備とともに、下水道局所管の下水道管などの整備が重要と考えています。
 下水道局は、下水道浸水対策計画二〇二二案を取りまとめ、先月からパブリックコメントを実施し、年度内の策定を目指しているとのことです。本計画で示された一時間七十五ミリのレベルアップや重点地区の十地区追加など、ハード整備について着実に取り組んでいただきたいと思います。
 一方、計画には、ソフト対策の充実も盛り込まれております。本日は、このソフト対策についてお伺いいたします。
 まず、計画におけるソフト対策の具体的な取組についてお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、幹線やポンプ所などの施設整備によるハード対策に加え、お客様自らが浸水に備える取組などを支援するため、東京アメッシュによる降雨情報の提供により、自助の取組を促すなど、ソフト対策を推進しております。
 本計画では、ソフト対策といたしまして、下水道施設の維持管理の充実、浸水対策事業の円滑化、浸水リスクや浸水対策情報の認知度向上の三つの取組分野を定めております。
 具体的には、下水道施設の維持管理の充実として、雨水ポンプの運転支援技術の開発に取り組んでいくこと。浸水対策事業の円滑化として、事業用地の確保に向けた地元区など関係機関との連携強化。さらには、浸水リスクや浸水対策情報の認知度向上として、SNSや動画などのデジタルメディアを活用した効果的な広報の実施などを進めていくこととしております。

○村松委員 下水道施設の維持管理の充実など、ハード対策に加えて様々なソフト対策に取り組んでいくとのことでありました。
 答弁の中で、雨水ポンプの運転支援技術についてお話がありました。この技術は、下水道局が昨年九月に発表した技術開発推進計画にも、開発に取り組んでいくことを掲げておりますので伺いたいと思います。
 雨水ポンプの重要性や運転の困難性について教えていただきたいと思います。

○猪八重施設管理部長 宅地や道路等に降った雨水は、下水道管に集められまして、川や海に放流してございますが、低い土地では、自然に放流することができないため、雨水ポンプでくみ上げ、速やかに川や海に放流し、浸水被害を防ぐ必要がございます。
 そのためには、時々刻々と変化する雨雲の動きや降雨の量などの状況を東京アメッシュ等により的確に捉え、雨水の流入に合わせまして、ポンプを運転する必要がございます。
 特に頻発しております局地的な集中豪雨は、降雨エリアを事前に予測できないことに加えまして、突然に大量の雨をもたらすため、短時間に大量の雨水がポンプ所に流入をいたします。
 このため、雨水ポンプの運転に当たりましては、急激に流入する雨の量に応じて、水位上昇を予測し、複数のポンプを順次起動していく必要がございます。
 また、停電が発生した場合等に備え、速やかに非常用発電機を稼働させる必要がございます。
 これらの運転に対応する雨水ポンプの運転員には、豊富な経験や高度な判断が求められております。

○村松委員 この雨水ポンプというのは、都民の皆様にはなかなか認知されていないと思うんですけれども、浸水からまちを守る役割を担う大変重要な設備であることを確認させていただきました。
 実際にポンプを運転されている方には高度な判断が求められるということで、今の時代、AIなどのデジタル技術を用いて職員の支援をする技術があってしかるべきと考えます。
 AIによる雨水ポンプの運転支援の技術は、開発されるとどのような効果が期待できるのかお伺いをいたします。

○青木技術開発担当部長 AIを活用した雨水ポンプの運転支援技術の開発に当たっては、雨が降った場所、強さが分かる東京アメッシュの情報や上流部の下水管の水位情報など、膨大なデータから、ポンプ所に流入する水量の変化を予測する技術の開発が必要であり、現在、降雨データ等の収集、分析を進めております。
 さらに、雨水ポンプの起動等には、経験豊富な運転員同様のタイミングで操作することが必要であることから、これまでに、運転員が操作した雨水ポンプの運転データやポンプ所内の水位情報等のデータ収集を進めているところでございます。
 本技術により、短時間に大量の雨水がポンプ所に流入するなどの際にも、運転員は必要な操作の準備をすることが可能となることに加えまして、経験が浅い職員でも、AIの支援を受けながら、確実な運転が可能となることが期待できます。

○村松委員 豪雨から都民の命や財産を守るためには、大規模な幹線等のハード対策に加えて、被害を未然に防ぐために、情報発信などのソフト対策の取組についても欠かすことができません。引き続き、様々なソフト面での対策を進めていただきたいと思います。
 次に、東京アメッシュについて伺います。
 令和三年度の包括外部監査の結果報告書において、東京アメッシュが取り上げられており、東京アメッシュの構築費と維持管理費を合算したトータルコストで、おおむね年間一億六千万円のコストがかかっていることに対して、どの程度の効果があったのかを説明していく必要があるとされております。
 浸水対策のソフト対策の質疑の中で、東京アメッシュの降雨情報を業務に活用しているお話を伺いましたけれども、実際に東京アメッシュを見ると、降雨情報が分かりやすく、時間経過による雨量も分かるので、私もふだんから活用させていただいております。
 効果を示すに当たっては、その活用状況を都民に示していくことが重要と考えます。
 まず、この東京アメッシュ活用状況についてお伺いいたします。

○猪八重施設管理部長 東京アメッシュは、百五十メートルと細かい区画で降雨情報を把握でき、降り始めの僅かな雨の観測も可能な高精度の降雨情報システムでございます。
 この東京アメッシュの降雨データを活用いたしまして、まちを浸水から守るために、区部七十か所の雨水ポンプ施設において、一秒間で二十五メートルプール八杯分の水を排水するなど、雨水ポンプの適時適切な運転を行っております。
 さらに、自助の取組を促すため、降雨情報のインターネット配信を平成十四年度から進めておりまして、平成二十九年度には、スマートフォン版の配信を開始するとともに、GPSによる現在地表示機能や希望する二地点の登録が可能となる機能を追加するなど、利用時の利便性の向上にも取り組んでおります。
 こうした取組を進めました結果、令和二年度では、年間約六千万回のアクセス数となり、お客様に大いに活用をいただいているところでございます。
 加えまして、豊富なアクセス数を活用し、各局の主要施策のバナーを掲出するなど、都の事業の情報発信にも寄与しております。

○村松委員 東京アメッシュの情報から、区部七十か所のポンプ所等において、一秒間に二十五メートルプール八杯分の水を排水できるポンプを操作しているということで、改めてポンプ操作の職員の技術力に感服しております。
 東京アメッシュは、平成十四年度と、約二十年も前から情報発信を行ってきており、時代に合わせて機能を向上させるなど、都民の利便性の向上も進めた結果、年間約六千万回のアクセス数に達しているということです。
 これまでも確認したとおり、東京アメッシュは、雨水ポンプの運転など浸水対策に必要不可欠なものと理解しておりますけれども、そうした情報発信の効果も発信するなど、都民に説明していく責任があると考えます。
 一方で、降雨情報については、国土交通省や気象庁も、同様の降雨情報を一般に公開しています。
 東京アメッシュは、ほかのサービスよりもレーダーのメッシュが細かく、百五十メートルという区域で降雨情報が分かるという優位性がありますが、さらに、現場や都民のニーズを踏まえながら、東京アメッシュをより使い勝手のよいものにしていく、機能を向上させていくことが必要と考えています。特に、近年の気候変動により、今後、年々降雨量が増加することが指摘され、豪雨が厳しさを増していく状況の中、そうした変化に合わせ、この東京アメッシュの機能をより向上させることが重要と考えます。
 高度な機能を持つ東京アメッシュについても、これに満足することなく、技術の進歩に合わせて、より機能を向上させるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○猪八重施設管理部長 現在のアメッシュレーダーは、今後耐用年数を迎えることから、再構築を予定してございます。
 再構築に当たりましては、観測レーダーに最新の機種を導入することで、降雨の観測速度の上昇や、積乱雲の発生の兆候を検知し雨水ポンプ所への雨水到達の予測精度が高まるなど、より適切なポンプ運転に活用できるよう、東京アメッシュの機能をさらに向上してまいります。
 また、AIを活用した雨水ポンプの運転支援について、新たなレーダーにより取得したデータを用いまして、さらなる精度向上に向けて検討してまいります。
 今後とも、東京アメッシュを有効に活用することで、浸水対策をさらに強化してまいります。

○村松委員 雨水ポンプの運転については、今後、職員の技術に頼らないシステムの構築が必要と考えますので、AIを活用した雨水ポンプの運転支援についてなど、研究を続けていただきたいと思います。
 また、東京アメッシュの公開については、費用対効果も検証していただきたいと思いますが、さらに利便性向上に努めてもらいたいと思います。追加費用がかからずにできるのであれば、将来的にオープンデータ化されればよいとも考えております。
 次に、合流式下水道の改善事業について伺います。
 東京区部の下水道は大部分が合流式であり、降雨の後には、河川や海などの水質を悪化させる要因となっています。
 東京二〇二〇大会では、水泳やトライアスロンの競技会場となったお台場海浜公園の水質が注目され、その際、合流式下水道が一因であるとの報道もありました。下水道局をはじめとする庁内関係局が一体となって、水質改善の対策を進め、無事に開催されたことについては評価しておりますが、良好な水環境の創出については、都民の関心も高いことから、引き続き水質改善に取り組む必要があり、下水道局が果たしていく役割は非常に大きいものと考えています。
 そこで、区部における合流式下水道の改善に向けた取組内容についてお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 合流式下水道は、強い雨の際には、市街地を浸水から守るため、汚水混じりの雨水が、河川沿いの雨水吐き口やポンプ所から、河川や海などに放流される仕組みでございます。
 合流式下水道の改善の主な取組といたしましては、雨水吐き口やポンプ所からのごみなどの流出を抑制する施設の整備、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備の三つがございます。

○村松委員 合流式下水道の仕組みを考えると、すぐに解決できる問題ではないと思いますが、下水道局では、この三つの取組を中心に推進しているということを確認させていただきました。
 一方、令和六年度から、下水道法施行令の雨天時放流水質基準などが強化されると聞いており、期限が差し迫っております。
 そこで、この下水道法施行令に向けたこれまでの取組状況についてお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 これまで、ごみの流出を抑制する施設の整備は、全ての雨水吐き口において対策を完了しており、また、降雨初期の特に汚れた下水を水再生センターへ送るための下水道管の整備もおおむね完了しております。
 さらに、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設につきましては、令和二年度末までに、累計百五十万立方メートルの整備を完了しており、引き続き、下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向けて、令和五年度末までに、累計約百七十万立方メートルの貯留施設を整備いたします。

○村松委員 法令に基づく水質基準の達成に向けて、約百五十万立方メートルの貯留施設の整備が完了しているということですけれども、まだ残りの約二十万立方メートルの整備が必要となっております。早期完成に向けて、今後も着実に整備を進めていただきたいと思います。
 一方、私の地元の練馬区を流れる石神井川、幾つかの区を経て、隅田川に合流をいたしますが、下流部では、潮の満ち引きの影響を受けて水が滞留しやすく、水質悪化が顕在化しております。下水道法施行令の対応後の令和六年度以降も、合流式下水道の改善対策を進めていくことが必要と考えます。
 そこで、石神井川における合流式下水道の改善対策の状況についてお伺いいたします。

○袰岩建設部長 下水道局では、潮の干満の影響により水が滞留しやすい河川区域や水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域など十四の水域につきまして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などを優先的に進めることといたしまして、石神井川はその水域の一つに位置づけられております。
 これまで、石神井川における対策といたしましては、下水道から河川に雨水を放流している全ての吐き口百三十九か所に、ごみなどの流出を抑制する水面制御装置などの設置を完了しております。
 現在は、王子第二ポンプ所で、一万三千立方メートルの貯留施設の整備を推進しておりまして、令和七年度までに完了する予定でございます。
 加えて、北区栄町、十条台の二か所で、合計約八千立方メートルの貯留施設の整備も推進しております。

○村松委員 引き続き、施設の完成に向けて着実に進めていただきたいと思います。
 次に、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、TGSの社内に留保されている繰越利益剰余金についてお伺いいたします。
 二月十六日の本会議において、包括外部監査人より包括外部監査の報告があり、その中で、TGSの繰越利益剰余金の現状における残高が、適切とは考えにくい状況にあるという意見がありました。
 そこで、こうしたTGSの繰越利益剰余金は、これまでどのような要因で発生したものなのか、残高の現状と併せて教えてください。

○田中総務部長 東京都下水道サービス株式会社、TGSは、下水道管の維持管理業務や水再生センターの保全管理業務、汚泥処理施設の運転管理業務など、多岐にわたる複雑で専門性の高い困難な作業を束ねて、総合的かつ一体的に実施していく必要がある業務を都から受託しております。受託に当たっては、安定的な運営を確保した上で、経験やノウハウを生かして業務の効率化を図っているところでございます。
 あわせて、TGSが開発したSPR工法をはじめとする特許権に基づく収入など、TGSの自主事業による収入もございます。
 これらの事業活動を通じて得られた利益の累積である繰越利益剰余金残高は、令和二年度末時点で約五十四億円でございます。

○村松委員 株式会社であれば、利益を出すことは望ましいことで、社員の努力のたまものと考えられます。利益を出すなといわれれば、もう社員のやる気がなくなってしまうと思います。
 しかしながら、このTGSは、都の政策連携団体であり、また、下水道局からの受託事業が業務の大部分を占めていますから、繰越利益剰余金の在り方について問われているんだと思います。
 そこで、このTGSの繰越利益剰余金について、これまでどのように取り組んできたのかお伺いいたします。

○田中総務部長 下水道局はこれまでも、TGSを指導監督する立場から、都民サービスの向上や効率的な事業運営を目指すため、TGSの二十年後の経営ビジョンと五か年の具体的取組を示す経営戦略アクションプラン二〇二一の作成に関与してまいりました。
 TGSは、経営戦略アクションプランにおきまして、業務の高度化、効率化に資するデジタル技術の活用などDXの推進や、環境負荷の低減に寄与するための業務用車両の脱ガソリン化など、令和三年度からの五か年で約十一億円を投資する計画を定めており、これに繰越利益剰余金を充てることとしております。
 今年度は、当局と連携いたしまして、AIを活用した次世代ポンプ運転支援に向けた流入予測などの技術開発に取り組んでいるところでございます。
 また、TGSは、都の政策連携団体であることを踏まえまして、経費の精査を行った上で、事業水準の維持に影響のない範囲で、下水道局からの受託事業に対して見積額を引き下げるなどの取組を行っております。

○村松委員 五十四億円のうち約十一億円の具体的な投資計画があって、効果的な事業運営により、契約金額の引下げに貢献するなど、TGSや都が、既に繰越利益剰余金の活用などに取り組んでいることは理解をいたしました。
 繰越利益剰余金は、これまでのTGSの企業努力の成果でもあり、中長期的な視点に立って企業運営を考えると、ある程度の内部留保は必要であると思います。
 一方で、政策連携団体として、その在り方を都民に丁寧に説明していくことも重要なことだと考えます。
 今回の包括外部監査の意見を踏まえて、今後どのような対応を行っていくのか、見解を伺います。

○田中総務部長 TGSでは、今回の包括外部監査での意見を速やかに取締役会に報告をいたしまして、今後、法務や財務の専門家等外部有識者を交えた検討会を設置するなど、繰越利益剰余金の適正水準や具体的な活用策等について検討していくこととしております。
 当局も、TGSの利益の発生要因を分析するとともに、その検討に加わり、お客様である都民に対し適切な説明を行うべく、TGSと連携し、取り組んでまいります。

○村松委員 TGSの繰越利益剰余金は、主として下水道料金を源泉とするものであり、その活用については、ぜひ局もTGSと連携して、都民に貢献できる活用策を検討していただきたいと思います。
 ここまで、浸水対策や合流式下水道の改善といった主要施策のほか、政策連携団体の連携なども含め、下水道局の取組について様々な視点から確認をさせていただきました。
 下水道事業は、目に見えない事業で、一見重要性を認知されにくい事業ではありますけれども、都市機能を維持する重要なインフラであります。
 最後に、こうした取組を進めながら、将来にわたり下水道サービスを安定的に提供していくための下水道事業運営に向けた局長の決意をお伺いいたします。

○神山下水道局長 東京の下水道は、百三十年以上もの間、都民生活と東京の都市活動を支え続けており、将来にわたり事業を安定的に運営していくためには、常に先を見据えた取組を積極的に進めていくことが重要でございます。
 例えば、都とTGSなどが開発したSPR工法は、老朽化した下水道管の先進的な更生工法といたしまして、今日では、国内外で広く活用されております。先ほど質疑をいただきました雨水ポンプの運転支援技術に関しては、AI等の活用を進めるため、令和二年度から、TGSが民間企業と共同で開発を進めているところでございます。
 下水道事業が直面する課題の解決に向けましては、職員一人一人が、先人から引き継ぎ、発展させてきた技術をさらに向上させるとともに、最先端のデジタル技術の活用や開発を積極的に進めていく必要がございます。
 技術開発の推進に関しましては、経営計画二〇二一に示した各施策の推進を新技術で支えていくために、昨年、技術開発推進計画を策定いたしました。この計画では、三十を超える開発テーマを選定いたしまして、五年間の計画期間だけでなく、その先を見据えた将来的な目標を掲げ、大学や民間事業者、TGSなどと連携いたしまして、それぞれの特徴を生かし、オープンイノベーションで開発を進めてまいります。
 今後とも、局と政策連携団体などが一体となりまして、下水道事業のさらなる向上に取り組み、都民生活の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

○村松委員 ありがとうございました。下水道局が最先端技術に取り組んでいるということを都民の皆さんもあまり知らないと思いますので、ぜひアピールしていただいて、東京下水道ここにありということを示していただきたいと思います。
 この激甚化する集中豪雨または災害対策というのは、平時に着実に進めていくことが重要だと思います。今後も着実に取り組んでいただきますよう要望して、終わります。ありがとうございました。

○小林委員 私からも、浸水対策事業についてお伺いをいたします。
 都は、本年二月に、新たな浸水対策を進めるために、下水道浸水対策計画二〇二二の案を取りまとめ、現在、都民からの意見を募集し、年度末までに策定すべく進めていることと思います。
 近年、激甚化、頻発化する豪雨による浸水被害に対し、さらなる対策の強化が求められる中、都は、昨年七月に、今後の下水道浸水対策のあり方検討委員会を設置し、同委員会より、本年一月に、今後の下水道の在り方に関する報告を受け、これを基に、今回の計画案として取りまとめられたと理解をしております。
 都では、東京都豪雨対策基本方針に基づき、関係各局が浸水対策を進めていますが、今回の計画では、今後の目標整備水準、新たな重点地区などの方向性が示され、十五年を計画期間と定めております。
 そこで、この計画の計画期間をなぜ十五年としたのか。既に策定されている東京都豪雨対策基本方針との関連性と併せてお伺いをいたします。

○佐々木計画調整部長 下水道の浸水対策は、事業用地の確保や対外調整、下水道管敷設ルートの検討など、着手までに長い時間を要することから、事業を円滑に進めるためには、長期的な視点で検討していくことが重要でございます。
 新たな浸水対策計画の策定に当たりましては、経営計画二〇二一の先を見据えるとともに、東京都豪雨対策基本方針の長期見通しと整合性を図り、本計画の計画期間を十五年といたしました。

○小林委員 この計画では、新たに、目黒区、世田谷区、杉並区、豊島区、葛飾区、江戸川区の計十地区を新たな重点地区として選定されています。一時間七十五ミリ降雨の流出解析シミュレーションを活用して得られたデータを基に、この十地区が選定されているとのことですが、流出解析シミュレーションを用いることでどのようなことが分かるのか、シミュレーション実施に当たっての条件と併せてお伺いをいたします。

○佐々木計画調整部長 下水道管は、計画で設定した最も強いピーク時の雨が降り続いても、安全に流せる管の大きさや勾配などで設計しております。流出解析シミュレーションでは、下水道管の大きさや深さ、地盤の高低差などの詳細なデータを活用することで、下水道管内の雨水の流れや、下水道管に入り切らず地表にあふれた雨水が地形に沿って流れる状況などを再現することができます。さらに、下水道管の余裕部や人孔内の空間に雨水が流入して貯留のような効果を発揮することや、下水道管の上流側と下流側の水位の差を表現することで、下水道管の能力を最大限評価することができます。
 今回のシミュレーションでは、現在の下水道管網に、整備中の施設を加えてモデル化し、区部全域で一時間七十五ミリ降雨があった場合を条件として浸水発生状況の検証を行い、床上相当の浸水がまとまって発生している地区において、浸水の危険性を評価しております。
 浸水実績と併せて、このシミュレーション結果を活用することで、地域の浸水危険度をより正確に把握することが可能となります。

○小林委員 今回選定された重点地区を見ますと、十地区のうち、世田谷区と杉並区で六地区が選定されておりまして、図表を見ますと、比較的区部西側に偏在しているとの印象を受けました。ともすれば、この地域にお住まいの方からすると、重点地区が集中していて、不安を覚えかねないこともあろうかと思います。
 選定された状況を拝見すると、例えば、世田谷区代沢地区では、浸水被害が発生しており、流出解析シミュレーションにおいても、主に北沢幹線沿いの低地部において床上相当の浸水がまとまって発生していると記述されておりまして、葛飾区、江戸川区を除く八地区で、低地部においてとの記載があります。先ほどの答弁でも、地盤の高低差などの詳細なデータを活用するとありましたが、今後、それぞれの地区における土地の特性などの詳細な分析も行った上で、具体的な対策を検討していくことになると思いますが、地域住民の方々に対し、このシミュレーションの内容を分かりやすくして、ご理解をいただきながら、対策を進めていく必要があると思います。
 さらに、浸水対策を進めていくためには、当然のことながら、地元自治体などとの連携が大変重要になると思います。
 新たな計画を進めていく上での自治体との連携について見解をお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 浸水対策では、大規模な下水道施設を整備することが多く、地域住民の方の理解や協力を得ることに加え、立て坑などの事業用地の確保が重要となっております。
 下水道局では、従来から適地を見つけ買収に努めておりますが、都内には未利用地が少ないことから、公園やまちづくり用地の活用も含めて、事業用地の確保に努めるなど、様々な面で地元自治体と連携強化し、円滑な浸水対策の実施に取り組んでまいります。

○小林委員 大きな事業を進めていく上では、地元自治体、地域住民の理解と連携が不可欠でありますので、丁寧に、着実な浸水対策の推進をお願いしたいと思います。
 この計画では、ハード対策とともに、ソフト対策についても、三つの視点として実施していくこととされております。そのうちの一つとして、デジタルトランスフォーメーションの推進について触れており、浸水対策の効果をさらに向上させるための新技術を積極的に活用するとしております。日進月歩の技術の進展がある現代にあって、安全・安心を確保するための取組の一つとして、新技術についてもよく精査をし、活用すべきは積極的に取り入れていくべきと考えます。
 下水道局として、今後開発していく新技術について見解をお伺いいたします。

○青木技術開発担当部長 本計画においては、下水道施設の維持管理の充実を図るため、AIを含むデジタルやロボットなどについて、最先端の技術を持つ民間事業者などと共同研究を実施し、新たな技術を積極的に活用することとしております。
 具体的には、AIを活用した雨水ポンプの運転支援技術の開発や、降雨情報システム、アメッシュのデータの性能向上を図ってまいります。
 さらに、下水道施設が適切に能力を発揮するよう、大深度の下水道管など、人力作業困難箇所で安全に清掃を実施するための技術支援として、遠隔操作可能な清掃ロボットなどの開発に取り組んでまいります。

○小林委員 時代の変化に対応するためにも、引き続き、技術開発の推進をお願いをいたします。
 「未来の東京」戦略 version up 二〇二二においては、今後、気候変動の影響により激甚化する豪雨災害や、切迫する巨大地震、世界レベルで大きな脅威となり得る感染症の発生など、これまで経験したことのない危機に直面する可能性があるとの認識で、来年度、仮称東京の危機克服・都市強靱化十か年プロジェクトを策定し、都庁の総力を結集し、これまでの取組をさらにレベルアップするとしております。
 先日の予算特別委員会で、我が党の細田いさむ議員が、下水道においてもこのプロジェクトに参画し、激甚化、頻発化する風水害への対応を検討していくべきと質問いたしまして、局長より、都市強靱化プロジェクトの策定におきまして、下水道局としても、下水道の役割を踏まえ、関係局と連携して取り組んでいくとの答弁がございました。
 このたび策定された下水道浸水対策計画二〇二二において、今後十五年間の取組が策定されたわけですが、来年度策定が予定されている仮称都市強靱化十か年プロジェクトの中でも、浸水対策に関する方針は盛り込まれることと思いますが、仮にこのたびの下水道浸水対策計画二〇二二との違いがあった場合は、この計画も見直しを行っていくのか、見解をお伺いいたします。

○佐々木計画調整部長 「未来の東京」戦略 version upで示されております二〇二二年度に策定予定の都市強靱化プロジェクトでは、今後、気候変動の影響により、豪雨災害が激甚化する可能性があることから、データ等に基づき、長期的な視点に立った検証を行い、これまでの取組をさらにレベルアップすることとしております。
 このため、本計画におきましても、都市強靱化のプロジェクトなどの気候変動への対応方針や浸水の発生状況など、浸水対策を取り巻く状況に変化があった場合には見直しを検討してまいります。

○小林委員 十五年間という長期の計画で、ハード対策もありますので、仮に見直しを検討するとなると、決して容易なことではないかと思いますが、取り巻く状況の変化に応じて見直しを検討するとのことですので、都民の命を守るという一点で、柔軟かつ堅実な対応をお願いいたします。
 今後、災害対策における下水道局の果たす役割は極めて重要になってまいります。万全の浸水対策を講じるために、そのリーダーたる局長の決意を最後にお伺いいたします。

○神山下水道局長 下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、被害の状況などを踏まえながら、地区を重点化いたしまして対策に取り組んできており、今年度末には、重点地区の約八割が事業完了もしくは事業中となるなど、次の段階を見据えることが必要となっております。
 さらに、近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化など、全国各地で浸水被害が多発している状況にあることや、気候変動の影響により降雨量が増加していくことも想定されており、さらなる対策の強化が求められております。
 浸水対策は、大規模な下水道幹線や貯留池、ポンプ所を整備することとなりますが、大都市東京では、事業用地の確保が困難なことなどにより、事業着手までに時間を要することや、電気やガス、地下鉄などの埋設物がふくそうする深い地下における難易度の高い工事となることなどから、事業完了までに長期間を要している現状がございます。
 そこで、目標整備水準のレベルアップや事前防災の観点を取り入れ、新たな重点地区などを定めた計画期間を十五年とする下水道浸水対策計画二〇二二を今年度末に策定いたしまして、対策を切れ目なく推進してまいります。
 今後とも、局一丸となり、スピード感を持って浸水対策を推進いたしまして、都民の安全・安心を確保するとともに、首都機能を守る使命を果たしてまいります。

○小林委員 ありがとうございます。このたびの計画を着実に具現化していくとともに、これから策定される予定の都市強靱化十か年プロジェクトは、都庁の総力を結集するとのスタンスで策定されるものでもありますので、下水道局の果たすべき役割、使命を踏まえつつ、下水道局に何ができるか、また、何をすべきかを見極め、都民の命を守る重要な一翼を積極的に担っていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○斉藤委員 では、私からお願いしたいと思います。資料のご提出をありがとうございました。
 私からは、災害時のマンホールトイレと新しい浸水対策計画、そして、雨天時浸入水対策について伺います。
 まず、災害時のマンホールトイレについてです。
 近年、大規模災害が頻発化する中で切実な問題になっているのが、避難所でのトイレについてです。十一年前の東日本大震災のときも、トイレ不足や衛生が保たれないようなトイレの環境の中で、使用を控えることが避難者の健康悪化につながったということが報告されています。首都直下型地震が想定される中、都として、いざというときに使用できるマンホールトイレを整備していくことは、重要な課題だというふうに思います。
 下水道局では、下水道管の耐震化が完了したところから、区と調整し、避難所などの周辺において、仮設トイレを設置できるこのマンホールトイレ、マンホールを指定していますけれども、そもそもこの下水道管の耐震化の目的と耐震化の箇所の選定はどのように行っているのか、改めて伺います。

○佐々木計画調整部長 下水道管の耐震化につきましては、震災時の下水道機能の確保と緊急輸送道路などの交通機能の確保という二つの目的から実施しております。
 このうち、下水道機能の確保につきましては、避難所や災害復旧拠点などを対象とし、下水道管とマンホールの接続部の耐震化及びマンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
 また、交通機能の確保につきましては、液状化の危険性の高い地域における緊急輸送道路などを対象に、マンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。

○斉藤委員 震災時の下水道機能の確保と、そして、緊急輸送道路などの交通機能の確保という二つの目的から実施をしているものだということです。
 その下水道管の耐震化の中長期目標に対して、現在の進捗状況について伺います。

○袰岩建設部長 下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、中長期目標五千九百か所のうち、令和二年度末までに四千三百十五か所が完了しております。
 マンホールの浮上抑制対策につきましては、中長期目標一千六百二十キロメートルのうち、令和二年度末までに一千二百五十キロメートルが完了しております。

○斉藤委員 目標に対しては、どちらも七割以上の整備をしているということですが、目標の着実な達成と同時に、一層の強化が必要だと思います。その中でも、災害時の避難所に対するマンホールトイレのさらなる充実という視点を持つことが必要ではないかと思います。
 まず、現状について伺いますが、マンホールトイレの指定について、区部全体と、私の地元であります足立区での現在の累計の箇所数、教えてください。

○猪八重施設管理部長 下水道局では、震災時に避難所などのトイレ機能を確保するため、下水道管の耐震化が完了した場所におきまして、区からの要請に基づき、仮設トイレを設置できるマンホールを指定しております。
 仮設トイレを設置できるマンホールの数は、令和二年度末で七千六十五か所でございまして、このうち、足立区内では、区からの要請に基づき、四百六十四か所を指定してございます。

○斉藤委員 仮設トイレが設置できるマンホールの数は、令和二年度末で七千六十五か所ということです。先ほどのご答弁では、耐震化した箇所について、四千三百十五か所というご答弁でしたけれども、こちらは、避難所や災害拠点病院など、マンホールの耐震化を行った施設の数だというふうに伺いました。一つの施設に対して複数以上のマンホールの耐震化をしているところもあり、その数が、今のご答弁の七千六十五か所だということです。
 私は、二〇一八年十一月の質疑のときに、同じ数字を聞いているんですけれども、そのときは、区部全体で、マンホールトイレの指定は約六千八百か所だったということでしたので、三年間で二百六十五か所ぐらい指定が進んでいるということです。
 足立区では、二〇二〇年度末の決算値で、先ほど四百六十四か所というふうにご答弁がありましたけれども、最新の数について区に伺ったところ、現時点では五百七十三か所を指定しているということでした。
 重要な取組だと思いますが、区部全体の避難所の数に対して、どれくらいのマンホールトイレの指定が進んでいるのか伺います。

○猪八重施設管理部長 区部における避難所の数につきましては、都の地域防災計画では、令和二年度末で約千八百か所でございまして、区が仮設トイレを設置できるマンホールの指定を不要とした場合を除きまして、一つの避難所につき一か所以上のマンホールの指定をしてございます。

○斉藤委員 区部の避難所約千八百か所について、一か所以上のマンホールトイレが指定されているということです。
 私は、この避難所に対してのマンホールトイレの指定をもっと増やしていく必要があるのではないかと思っています。足立区では、現時点で、公共施設である避難所に対しては、一施設に三つのマンホールトイレを指定しているというふうに伺いました。災害時には、複数以上のトイレが必要であること、また、学校などでは、地中に埋めるタイプのこれまでのアースイントイレなどと比べても、いざというときに設置をしやすいのが、このマンホールトイレだというふうにお話を伺いました。
 二〇一八年の質疑のときも取り上げましたけれども、政府は、二〇一六年四月に、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン、ここで、人道憲章と人道対応に関する最低基準、いわゆるスフィア基準というものを示しています。
 この中で、災害発生当初は、避難者約五十人当たりに一つのトイレ、そして、避難が長期化する場合には、約二十人当たり一つのトイレを目安として、災害用トイレの確保計画を作成することが望ましいとしています。さらに、スフィア基準では、女性用のトイレは、男性用トイレの三倍必要だというふうにされています。
 こうした視点に立って、積極的に自治体と連携をして、マンホールの耐震化を進め、マンホールトイレの指定を増やしていくべきだと考えますが、いかがですか。

○猪八重施設管理部長 東京都の地域防災計画では、災害用トイレの確保を区の役割としており、この災害用トイレには、仮設マンホールトイレのほか、便槽つきトイレ、簡易トイレなど様々なタイプがございます。これを踏まえまして、各区では、地域の状況などに応じて、必要な災害用トイレの数の確保に努めているところでございます。
 当局といたしましては、今後も引き続き、下水道管の耐震化を進めるとともに、区の要請に基づいた仮設トイレを設置できるマンホールの指定を通じ、区の防災の取組に協力をしてまいります。

○斉藤委員 災害用トイレの確保は区の役割だというご答弁でしたけれども、私は、東京都がイニシアチブを持って、指定を広げていくということが重要ではないかと思います。
 災害用のトイレには様々なタイプがあるということですけれども、処理やくみ取りが大変なものも多いです。マンホールトイレは、下流での破損などの問題がなく、一定の水量があれば、し尿を下水道管に流下させることができるため、衛生的に使用ができます。
 区部のマンホールを管理する下水道局として、関係各局とも連携して、内閣府のガイドラインやスフィア基準で示されている水準に向けて、積極的にマンホールトイレの指定を広げていくということを強く求めます。
 次に、新しい浸水対策について伺います。
 下水道局では、今後十五年間を計画期間とする下水道浸水対策計画二〇二二の案を取りまとめ、先日の委員会で報告されました。今後十五年間で、新たに区部の十か所で七十五ミリ対応の幹線を造る計画が示されています。
 今回の計画で初めて、東部地域の葛飾区と江戸川区で一か所ずつが選定をされていますが、どのような検討結果で選定されたのか伺います。

○佐々木計画調整部長 今回の計画案では、浸水被害の実績に加え、事前防災の観点から、流出解析シミュレーションを活用して、浸水に対する危険性を評価し、重点地区を選定しております。
 当該地区につきましては、流出解析シミュレーションにおいて、床上相当の浸水がまとまって発生しております。

○斉藤委員 今回の対策地区の選定に当たっては、過去の浸水の実績だけでなく、流出解析シミュレーションを使って分析したと。そういう中で、新たなリスクが確認されて、対策が強化されるということは本当によかったというふうに思います。着実に取組を進めていただきたいというふうに思います。
 足立区では、特に千住地域での都市型水害の被害が続いてきた中で、現在は、五十ミリ対応の隅田川幹線と雨水排水のための千住関屋ポンプ所の建設が事業中です。
 今回の計画では地区選定はされていませんが、千住地域の七十五ミリ流出解析のシミュレーションの結果について伺います。

○佐々木計画調整部長 流出解析シミュレーションの実施に当たりましては、現在の下水道網に整備中の下水道施設を加えてモデル化し、区部全域で一時間七十五ミリの降雨があった場合の浸水発生状況の検証を行っております。
 今回のシミュレーションにおきまして、千住地域におきましては、床上相当の浸水がまとまって発生しておりません。

○斉藤委員 整備中の下水道施設も加えて、モデル化して検証を行ったと。そういう中で、床上相当の浸水がまとまって発生していないということです。この千住地域については、今工事中の五十ミリ対応の対策の効果、期待をしたいというふうに思いますが、十五年という長い期間には、新たな浸水被害や課題が出てくることも考えられると思います。
 今、決められたこの計画だけにとどまらず、今後の状況も踏まえて、柔軟に対策を取っていくように求めますが、いかがですか。

○佐々木計画調整部長 本計画案につきましては、気候変動への対応方針や浸水の発生状況など、浸水対策を取り巻く状況に変化があった場合には見直しを検討いたします。

○斉藤委員 今回の計画についても、気候変動への対応方針や浸水の発生状況などによって見直しを検討していくということですので、ぜひ柔軟な対応や見直しも、随時行っていただきたいというふうに思います。
 この計画案について、まさに、あさって十七日まで、パブリックコメントを行っているところです。私は、現時点でどんな声が寄せられているか伺いたいと思いましたけれども、締切りの十七日の後にまとめてからでなければ、公表はできないということでした。
 都民の声を踏まえた議論が、委員会でできない状況になっていますが、今後は早めに計画の策定等パブコメを行い、三月末の決定前のこの委員会で、都民の意見を踏まえた質疑ができるようにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○佐々木計画調整部長 本計画案につきましては、学識経験者から成る今後の下水道浸水対策のあり方検討委員会で議論を重ねまして、本年一月に受けた報告を踏まえて、二月に取りまとめたものでございます。その後、二月十五日の公営企業委員会への報告を行い、その日からパブリックコメントを実施しているところでございます。
 パブリックコメントによる意見募集期間は、計画等の策定に係る意見公募手続に関する要綱により、原則として三十日以上となっていることから、募集の締切りは三月十七日としております。

○斉藤委員 下水道浸水対策のあり方検討委員会では、有識者や学識経験者の方々が、議論にご尽力いただいているということに感謝を申し上げたいと思いますけれども、日程についてですが、最初のこの議論のスタートが七月になっていたということですけれども、これをもう少し早く設定するということができたんじゃないかなというふうに思います。都民の声も含めて、都議会で議論できることが大切だというふうに思っています。今後は、年度末までの計画案の策定とパブコメの結果も、都議会での議論に間に合うように設定していただくことを求めます。
 次に、雨天時浸入水の対策について伺います。
 多摩地域では、大雨のときに、汚水管のマンホールから溢水が起きるという被害が続いているということで、私も放っておけない深刻な問題だなと感じて、現地にも伺って、地元の方々にもお話を伺ってきました。
 まず、この雨天時浸入水による流域下水道幹線からの溢水について、今年度までの過去五年間の被害状況について伺います。

○小団扇技術部長 過去五年間の流域下水道幹線からの溢水につきましては、いずれも市町村の管理する汚水管に大量の雨天時浸入水が入り込んで発生したものでございます。
 その状況につきましては、平成二十九年度は、十月二十三日に台風二十一号の影響により、八王子市小宮町、日野市新井一丁目及び多摩市乞田、永山一丁目の三か所で、令和元年度は、十月十二日の台風十九号の影響により、同様の三か所、令和三年度は、八月十五日の集中豪雨により、多摩市乞田、永山一丁目となっております。

○斉藤委員 八王子市小宮町と日野市新井一丁目の交差点では、この二〇一七年十月の大雨のときと、そして、二〇一九年十月の台風十九号のときに発生しているということ、また、多摩市乞田と永山一丁目では、この二回に加えて、昨年八月の大雨でも、三度目の溢水という被害が起きているということで、同じ場所で繰り返し起きているという状況です。
 私は、日野市の新井一丁目の交差点の現場に伺いましたが、浅川水再生センターが近い住宅街で、マンホールから溢水して流れてきたときには、臭いもひどく、庭や自宅のガレージが冠水して大変だったというふうに伺いました。緩やかな坂の低いところにあるお宅では、トイレから下水が逆流し、家の中が浸水してしまったということです。私も驚きましたけれども、地元の皆さんも、まさかこんな昭和の初期かと思うような被害が今起こるなんてということに驚いたということでした。それだけ近年の豪雨が激しいことを物語っているというふうに思いますが、同じことを繰り返してはならないというふうに思います。
 この対策について、これまで我が党の大山都議も質疑をしてきましたが、被害が起きた場所でどのような対策が取られているのか、改めて伺います。

○小団扇技術部長 国土交通省が策定した雨天時浸入水対策ガイドラインによれば、雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本とされておりまして、分流式の下水道の汚水管に雨水が流入する雨天時浸入水が大量に発生していることから、都はこれまで、流域下水道に接続する公共下水道を管理する市町村と連携して、流量調査を実施し、雨天時浸入水が発生している地域を絞り込むことで、市町村による詳細調査と対策につなげてまいりました。
 さらに、流域下水道と公共下水道の接続点に、多機能型マンホール蓋を設置し、水位情報を市町村と共有することで、効率的な原因調査と対策を進めております。

○斉藤委員 分流式の汚水管に雨水が流入することで、この溢水が発生しているということで、流量調査などを行ってきたということです。
 具体的には、都が管理する幹線と公共下水道の接続部で、マンホールの水位を測定できる多機能型マンホール蓋を設置しているということですけれども、現在の設置状況と溢水のあった箇所は全て設置されているのかどうか伺います。

○小団扇技術部長 多機能型マンホール蓋は、昨年度から今年度の雨季までに設置を進めておりまして、既に流域下水道と公共下水道の接続点や市境、溢水した箇所におきまして、予定していた三十七か所の設置が完了しております。

○斉藤委員 溢水した箇所も含めて三十七か所に設置をしているということです。
 下水道局が毎年発表している技術調査年報で、この流域下水道における雨天時浸入水対策について、論文が出されておりますけれども、こちらの方も読ませていただきました。
 雨天時浸入水は、流入経路によって、直接浸入水と雨天時浸入地下水に分けられるとされています。直接浸入水への対策としては、排水設備や人孔蓋の穴など地表面からの汚水管への雨水の浸入を防ぐ対策を行っているということですが、その取組状況について伺います。

○小団扇技術部長 雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本とされていまして、公共下水道を管理する市町村が取り組むものであり、都は、市町村に対して技術支援を実施しております。
 具体的には、都は、宅地内の屋外流しなどを通じて雨水が汚水管に流入しないよう、簡易な対策をホームページに掲載するとともに、リーフレットを作成し、市町村と連携しながら、都民への啓発を実施しております。
 また、市町村が準用している東京都排水設備要綱におきまして、屋外流しから雨水が浸入しないよう、排水口の周囲をかさ上げする構造を明確にし、市町村の下水道部署に周知しております。

○斉藤委員 特に公園の水道の排水口や公共施設の雨どいからの誤接続もあったというふうに、事前にご説明もいただきました。その対策を区市町村と連携して行っているということですけれども、技術的支援はもちろんですけれども、財政的支援も求められているところです。
 次に、雨天時浸入地下水についてですけれども、こちらは、雨天時に地下水位が上がったときに、公共下水道の目地や継ぎ手、損傷部などから地下水が浸入するものというふうにいわれています。流量調査を行って、どこから汚水管に浸水しているかを絞り込んで対策を行っているということですけれども、同時に、老朽化した公共下水道管の更新もしていかなくてはならないと思います。
 耐用年数を超えた公共下水道管はどれくらいあると見込んでいるか伺います。

○小団扇技術部長 市町村の管理する下水道管の総延長は一万三千七百キロメートルでございまして、このうち、法定耐用年数五十年を超えた延長は全体の約六%となっております。

○斉藤委員 全体の約六%が法定耐用年数の五十年を超えているということです。
 こうした敷設が古い下水道管も更新していかなくてはならないと思いますが、ご存じのとおり、多摩地域の公共下水道管の敷設や更新は市町村が行うことになっていて、その費用負担は、国が五〇%、市が四七・五%、都が二・五%と、都の負担割合はほんの僅かになっています。市町村にとって財政負担が重く、市長会から、負担割合の見直しや都からの財政支援が毎年のように求められています。
 都の負担割合を抜本的に引き上げていく必要があると思いますが、いかがですか。

○小団扇技術部長 都はこれまでも、補助対象でなかった管渠の改築や、そのために必要な実施設計などを補助対象にしてまいりました。
 さらに、当局が民間企業などと共同研究により開発した、道路を掘らずに下水道管をリニューアルする更生工法に関する講習会などを実施することで、市町村が効率的かつ経済的に下水道管を更新できるよう、技術支援も行っております。
 引き続き、必要な財政確保や技術支援に努めてまいります。

○斉藤委員 現在行っていることをるるご説明いただきましたけれども、それでは不十分だから、市長会からも声が上がっているという状況です。この市長会からの要望でも、公共下水道の整備について、補助率が著しく低いため、補助の引上げを図ることというふうに明確に書かれています。今、想定を超えるような豪雨災害が頻発している中で、多摩で大変な被害が起きているときに、今こそ、この多摩の雨水対策、浸水対策に、東京都が責任を持って踏み出していくべきだというふうに私は思います。関係各局と認識を共有し、補助率の引上げを行っていただきたいと思います。
 さらに伺います。
 二〇一九年の台風十九号の後の十一月の八王子市議会の議事録には、このときの台風による水再生センターの流入水量は施設能力をはるかに大きく超えるものだったというふうに東京都から聞いているということが質疑されています。その結果、八王子水再生センターの施設は冠水しました。
 このとき、施設能力を超える流入量はどれくらいだったのか伺います。

○小団扇技術部長 令和元年東日本台風の際には、多摩地域におきまして、二十四時間で三百ミリを超える豪雨がございまして、雨天時浸入水により、八王子水再生センターでは、最大、晴天時の五倍をも上回る下水が流入したと想定しております。

○斉藤委員 晴天時の五倍を上回る下水と雨水が流入したということです。
 では、今現在対策を取っている上流からの汚水管への雨水の流入や地下水から汚水管への浸水を防ぐことで、どれぐらいの流入水量が低減できると考えているのか伺います。

○小団扇技術部長 市町村が対策に必要な措置を講じることで、雨天時浸入水量を大幅に低減できると考えてございます。
 なお、市町村が管渠の老朽化対策を実施した後に、多機能型マンホール蓋を活用し雨天時の流量を比較することで、流入水量の低減効果を検証してまいります。

○斉藤委員 市町村が対策に必要な措置を行えば、雨天時浸入水量を低減できるということなんですけれども、どれくらいの流入水量が低減できるのか、この検証も行ったということですけれども、明確な答えはありませんでした。果たして、行うべき対策は、市町村の上流域での対策だけでいいのかということも疑問です。
 日野市では、台風十九号のときに、ここでも、浅川水再生センターの施設が冠水をしています。阻水扉、これは水の流入を防ぐための扉ですけれども、これを操作して、受入れ水量を制限した結果、浅川水再生センターから近い流域下水道幹線のマンホールがある新井交差点で溢水したということが、市議会で報告されています。
 浅川水再生センターでも、この受入れ水量を拡大する必要があると考えますが、いかがですか。

○小団扇技術部長 先ほどの質問でございますが、市町村からの雨天時浸入水が入ってこなければ、晴天時の水量と同じですので、あふれることはないと考えております。
 流域下水道の水再生センターではこれまでも、豪雨時におきまして、施設が持つ能力を最大限稼働させて対応しております。ただし、豪雨時に施設能力を超える下水を受け入れると、汚水ポンプを稼働させる電気設備や流入土砂を除去する機械施設の浸水により、水再生センターの機能が喪失してしまうため、阻水扉の開度を調整する必要がございます。
 繰り返しになりますが、国のガイドラインによれば、雨天時浸入水対策は、発生源対策が基本とされております。
 そのため、都は、発生源となる公共下水道の管理者である市町村と一緒に、連携して、技術支援を行って対策を進めているところでございます。

○斉藤委員 市町村が対策を行えば、浸水はなくなるんだというふうにおっしゃっていますけれども、その市町村に対策を任せるということが、非常に重たい市町村への負担になっているということも、市長会などの要望からもよく分かる状況になっています。
 浅川水再生センターでのことに戻りますけれども、ここでは、二〇一七年十二月に溢水が起こったときの状況を踏まえて、雨天時や流入量が少ないときは使用していない沈殿池約三万五千立米について、降雨時や流入量が増加した際には活用することになったということも、日野市の議会で報告されています。最大限活用するということですけれども、しかし、その後の二〇一九年の台風十九号のときは、それを超える流入がまたさらにあったということです。
 私は、我が党の地元の市議と、そして清水とし子都議と一緒に、浅川水再生センターの敷地を見てきましたが、水再生センター敷地内に空いている広い土地があることも確認をしてきました。我が党の大山都議も求めてきましたけれども、浅川水再生センターの貯水池の増強を行うことを重ねて求めるものです。
 二〇一九年の台風十九号のときには、八王子や浅川だけでなく、清瀬水再生センターも施設が冠水したというふうに聞いています。日野市の浅川水再生センターには、八王子市からの流入もあります。また、八王子水再生センターには、日野市からの流入もあります。清瀬水再生センターの流域も、この近隣の市にまたがっております。まさに一つの市だけの問題ではなく、広域にわたっている浸水被害です。市長会では、この間の集中豪雨等による浸水対策について、広域的な事業として流域下水道事業に位置づけて、流域下水道雨水幹線の整備を進めるということを東京都に要望しています。
 雨水対策、浸水対策を市町村の公共下水道だけの対策とせず、市長会の要望にも応えて、都として、流域下水道雨水幹線の増設などにも、この対策、踏み出していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○小団扇技術部長 これまでの多機能型マンホール蓋のデータ、これからさらにデータを積み重ねなければいけないんですが、今、分かっているところでは、実際に豪雨が降ったときに、雨天時浸入水が発生していない箇所も何か所かございます。
 そういう意味で、発生しているところの箇所をしっかりやることが重要だと考えております。

○斉藤委員 今やっている対策に効果がないというふうには私も思っていませんので、そういう努力を市町村と一緒に、とても尽力されているというふうに思うんです。しかし、公共下水道だけの対策にするということが、市町村にとっても非常に重たい負担になっているということが、地元の方々も、早く何とかしてほしいという切実な声にも表れていますし、市長会としても、東京都からの対策の強化を求めているという状況なんですね。私は、財政的な支援や都としてできる対策に背を向け続けるという姿勢は見直すべきではないかというふうに思います。
 ここで、区部との違いについて伺います。
 区部でも、多摩地域と同じように分流式下水道の地域がありますが、流域下水道で起きているような被害は起きているのか伺います。

○猪八重施設管理部長 区部の約二割の地域において、分流式下水道で整備してございますけれども、お尋ねのような被害は確認されておりません。

○斉藤委員 私が住んでいるのは、足立区の荒川よりも北側になりますので、まさに分流式下水道の地域になります。しかし、今ご答弁があったとおり、マンホールからの下水の溢水という被害については聞いたことがありませんでした。それだけに、多摩地域で今そういうことが起こっているのかと、本当に驚きました。
 区部では起きていない被害が、多摩地域だけで起きているということについて、どのような違いがあると考えているのか伺います。

○小団扇技術部長 先ほど答弁させていただきましたが、流域の範囲内でも、実際に、雨天時による溢水が起こっていない箇所がございます。今の、違いがあるのかということでございますが、国のガイドラインによれば、分流式下水道における雨天時浸入水は、公共下水道管の破損や排水設備などから浸入していることとされております。
 また、多摩地域では、高度経済成長期に都市化が進み、この時期に建設された下水道管が老朽化していることや市町村による雨水管の整備が進んでいないことなども要因と考えられます。

○斉藤委員 今のご答弁ですと、区部との違いというのは、あまりよく分からないんですよね。地元の市議にも確認をしたんですけれども、多摩地域では、高度成長期に、民間事業者によって大規模な宅地開発が行われ、それと同時に、民間事業者が敷設した下水道管も多いということでした。古い陶器の下水道管もまだ残っているというふうにも聞いています。今ご答弁にあったように、市町村によるこの雨水管の整備が進んでいないということもあると思いますが、こうした様々な事情を抱えているというのが多摩の特徴になっていると思います。
 先ほど、下水道局の新しい浸水対策について質疑もいたしましたけれども、この中には、多摩地域の浸水対策のことが一切ありません。昔の東京市からの流れだということで、当たり前のようになってしまっていますけれども、多摩地域が今抱えている問題に、東京都、そして下水道局は、もっと向き合うべきではないかというふうに思います。多摩でも、区部でも、同じように激甚化する台風や豪雨災害の危機がある中で、多摩地域への抜本的な財政支援の強化、東京都の対策の拡充に踏み出すことを強く求めます。
 そして、これに関連しまして、最後に、今回付託されております百六号議案、多摩川下水道建設費用の関係市負担について、一言意見を述べたいと思います。
 本件は、国立市、国分寺市、立川市を範囲とする北多摩二号処理区の流域下水道幹線と処理場の建設費用について、関係市が負担すべき額を都議会において議決するものです。市負担額の累計が、来年度中に現行の上限額を超える見込みのため、負担金額を改定するものですけれども、関係する三市から同意を得ているということで賛成といたしますが、これまで質疑してきたとおり、市町村では、公共下水道の整備に加えて、今回の流域下水道幹線や処理場への負担など、区部の自治体にはないこの負担が重く求められているという状況です。
 浸水対策に喫緊の課題を抱えている多摩の自治体の負担軽減を行うように、国に対して補助率を引き上げるよう求めることと同時に、都の負担割合を引き上げること、これを検討するよう強く求めて、意見といたします。
 以上です。

○山口委員 私からも、下水道の浸水対策を中心に質疑をさせていただきたいと思います。
 先月の公営企業委員会でも報告がありましたが、新たな浸水対策計画を策定し、対策を強化するということでありましたが、近年の豪雨が増加傾向にあるということを踏まえると、重要な取組であると考えます。
 一方で、下水道局はこれまでも、区部の様々な地区で対策を進めてきたわけでありますが、これらの取組を着実に進捗させることも、また同じくらい重要なことだと考えております。
 そこで、最初に、これまでに下水道局が取り組んできた事業について、改めて確認をしたいと思います。
 まずは、一時間五十ミリ降雨への対応を基本に施設整備を行う地区について進捗状況を伺いたいと思います。

○袰岩建設部長 下水道局では、区部全域で一時間五十ミリ降雨への対応を基本に、早期に浸水被害を軽減するため、浸水の危険性の高い地区などを重点化し、幹線や貯留施設の整備を行っております。
 一時間五十ミリに対応する施設整備を行う地区といたしましては、対策重点地区として四十二地区を重点化しており、令和二年度末までに十九地区で事業が完了しているところでございます。
 現在、十六地区で事業を推進しておりまして、今年度末までに新たに練馬区田柄、板橋区桜川地区など、三地区で事業が完了する予定となっております。

○山口委員 現在の答弁で、五十ミリ対策を行う地区で、全体の約半分が完了見込みということでありました。事業が進捗しているんだなということが確認をできたわけでありますが、下水道局では、甚大な浸水被害が発生をしている地区などにおいて、一時間七十五ミリ降雨に対応する施設を整備しているわけでもありますが、一時間七十五ミリ施設整備地区についても進捗状況を伺いたいと思います。

○袰岩建設部長 一時間七十五ミリの降雨に対応した施設整備につきましては、地下街対策地区九地区、市街地対策地区六地区で推進しております。
 地下街対策地区は、新宿駅など六地区で事業が完了いたしまして、現在、上野・浅草駅など三地区で事業を推進しているところでございます。
 市街地対策地区は、目黒区上目黒、世田谷区弦巻地区など、四地区で事業を推進しているところでございます。

○山口委員 一時間七十五ミリ降雨に対応する地区について、着実に整備を進めているということも確認をできました。
 新たな計画では、整備水準を区部全体で一時間七十五ミリ降雨にレベルアップをして、新たに十地区、重点地区を追加するということでありますが、既存の計画にあるこれらの地区についても、これまでどおり、しっかりと事業を進めていただきたいと思います。
 この一時間七十五ミリ降雨に対応する地区については、私の地元でもあります世田谷区の地区も含まれております。
 そこで、これまでの世田谷区内での一時間七十五ミリ降雨対策を行う地区とその事業内容について伺いたいと思います。

○袰岩建設部長 世田谷区におきましては、平成二十五年に、時間五十ミリを超える降雨により大規模な浸水被害が発生したことから、同年に策定した豪雨対策下水道緊急プランにおきまして、七十五ミリ対策地区として、目黒区上目黒、世田谷区弦巻地区及び目黒区八雲、世田谷区深沢地区の二地区を選定しているところでございます。
 目黒区上目黒、世田谷区弦巻地区では、既設の蛇崩川幹線の排水能力を強化するため、延長約二・八キロメートル、直径最大五メートルの蛇崩川増強幹線の上流部を整備しているところでございます。
 目黒区八雲、世田谷区深沢地区におきましても、既設の呑川幹線の排水能力を強化するため、延長約四・七キロメートル、直径最大三・二五メートルの呑川増強幹線を整備しておるところでございます。

○山口委員 世田谷区内二地区にある七十五ミリ対策の事業内容について、詳しくご説明をいただきました。地元の期待もこれは大変高いもので、早期にその効果を発揮いただきたいと考えるわけでありますが、この中でも、蛇崩川増強幹線は、私の地元に非常に近いということもあって注目をしております。
 この状況を確認させていただきたいわけでありますが、目黒区上目黒、世田谷区弦巻地区の進捗状況について伺いたいと思います。

○袰岩建設部長 世田谷区弦巻地区におきましては、既設の蛇崩川幹線の排水能力を強化するため、蛇崩川増強幹線の整備を平成二十九年度から進めております。
 本工事は、既存の蛇崩川幹線沿いに、直径最大五メートル、延長約六・八キロメートルの幹線を整備するものでございます。上流部の二・八キロメートルを、先行して整備する区間として、令和二年度末までに工事の基地となる世田谷区丸山公園及び弦巻三丁目東公園におきまして、深さ最大約四十三メートルの立て坑の整備と約〇・八キロメートルまでの管渠整備が完了したところでございます。残りの区間約二キロメートルは、昨年九月からシールド工法により施工に着手いたしました。
 令和四年度は、引き続き、残りの区間のシールド工事を着実に進めてまいります。
 また、先行して整備した区間につきましては、工事完成後、事業効果を早期に発現するため、雨水を暫定的に貯留する施設として活用することとしております。

○山口委員 整備区間を分け、効果を早期に発現するための取組を推進しているなど、工夫をしながら事業を進めているというのは、区民の皆様も、今、答弁を聞いていて、イメージしやすかったんじゃないかなというふうに思うわけであります。ありがとうございます。
 幹線全体の早期稼働に向けて、事業のしっかりとしたコントロールをこれからもぜひお願いをしたいと思います。
 また、昨年度策定された経営計画二〇二一では、世田谷区内で新たに二地区が七十五ミリ施設整備地区として追加をされておりますが、これらの二地区について、現在の取組状況を伺いたいと思います。

○袰岩建設部長 経営計画二〇二一におきましては、世田谷区では、世田谷区野毛地区と目黒区自由が丘、世田谷区奥沢地区の二つの地区を一時間七十五ミリ降雨に対応する対策強化地区として追加いたしました。
 これら二地区につきましては、既設幹線の排水能力を強化するため、新たな幹線流域の増強施設を整備する計画としておりまして、現経営計画期間内の着手に向け、現在、ルートや規模等に関わる調査検討を進めているところでございます。

○山口委員 これら二つの新たな地区においても、これまでと同様に、対策等、着実に進めていただきたいと思うところであります。
 さて、下水道の浸水対策は、非常に規模も大きいわけで、かつ地下深い場所での工事となるなど、難易度も高いわけであります。
 対策を行う場所によっては、規模の大きい下水道工事ならではの様々な困難があることは認識をしているわけでありますが、そこで、下水道幹線などの施設整備を進める上での難点について、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

○袰岩建設部長 施設整備を進める上での難しさということでございますけれども、下水道管は、下水が自然に流れるよう傾斜をつけて設置するため、深い位置に埋設することが多く、技術的に大きな土圧や水圧に耐えられる構造とする必要がございます。
 また、限られた地下空間に、水道管やガス管など、ほかの多くのインフラ施設も埋設されておりまして、それらを避けながら慎重な掘削や設置が必要であることから、工事に長い時間を要することが多うございます。
 加えて、工事に必要な用地を確保することが難しく、工事着手までに時間を要することが多い状況となっております。

○山口委員 大変目に見えない工事でもあり、地域、地元の皆様方も、この地下の工事というものに注目をされておりますし、皆様方が、下水道特有の工事の難しさということに対して、慎重に丁寧に進めていただいていることも、改めて今の答弁から確認をさせていただいたところであります。
 今月策定をする新しい計画では、事業用地の確保など着手までに長期間を要している現状から、事業を円滑に進めていくために、長期的な視点で検討していくということでありました。新たに追加する十地区についても、次の経営計画で着手できるようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、早期に、かつ着実に事業を進め、高い効果を発揮させていくためには、他の関係機関との連携も重要です。下水道では、下水道管に流入した雨水の大部分が河川へ放流されるため、特に河川管理者との関わりが深く、浸水被害の軽減を図るために、効果を最大限に発揮できるような取組が重要であります。
 そこで、この河川管理者と連携をした浸水対策についても伺いたいと思います。

○袰岩建設部長 河川管理者との連携についてでございますけれども、河川の改修や調節池等の河川整備の進捗に合わせまして、下水道から河川への吐き口の新設や吐き口断面の拡大などを進めることにより、下水道から河川への放流量を段階的に増強し、下水道施設の能力を早期に発揮させております。
 具体的には、神田川流域において、調節池等の整備が行われたことから、今年度、雨水流出量の増大に対応するため、暫定的な雨水貯留管として活用されていた新宿区の第二妙正寺川幹線におきまして、神田川への吐き口を新設したところでございます。

○山口委員 河川管理者との連携も充実をさせ、浸水対策を前に今進めているということでありました。都民の安全・安心に向けて、関係機関との調整を速やかに進めていただき、必要な対策を実行に移していただきたいと思います。
 次に、ソフト対策についても伺いたいと思います。
 ソフト対策は、大規模な施設整備に比べると、一見地味に見えるかもしれませんが、地域の住民にとっては、浸水に対する備えなど重要な役割を果たすわけであります。
 下水道局にとっても、積極的に浸水への備えに関する情報発信などをしていくべきと私は考えるわけでありますが、浸水対策における下水道局のソフト対策の内容について伺いたいと思います。

○猪八重施設管理部長 豪雨からお客様の生命や財産を守るため、お客様自らが浸水に備える取組を支援するソフト対策は極めて重要でございます。
 具体的には、浸水の危険性の理解や迅速な避難に役立てるよう、区市が作成する洪水ハザードマップの基となる流出解析シミュレーションを活用した浸水予想区域図を局のホームページなどで周知してございます。
 また、局が施設の運転管理に活用している降雨情報を東京アメッシュとしてリアルタイムで発信しておりまして、スマートフォンなどで活用されております。
 さらに、毎年六月を浸水対策強化月間と定めておりまして、下水道施設の総点検を行うとともに、お客様に浸水の備えをしていただくよう、区市などと連携いたしまして、土のうや止水板の準備のお願いや半地下家屋に住まいの方々への注意喚起などを実施してございます。

○山口委員 きめ細やかな方法で、都民の皆様に広く周知をしていただいているということでありましたが、これに関連をして、半地下家屋への取組について少し深掘りをさせていただきたいと思います。
 半地下家屋の使用者や居住者の中には、浸水に対して特に注意が必要であることを知らない方もいらっしゃると思うんです。建物所有者が、責任を持って対策を講じなければならないわけでありますが、半地下家屋への浸水への備えを周知する、この具体的な取組について見解を伺いたいと思います。

○鈴木施設管理担当部長 下水道局では、半地下家屋にお住まいで排水用のポンプ施設を設置していない方や、過去に浸水被害があって、今後もそのおそれのある方などを戸別に訪問し、リーフレットを配布して、浸水被害への備えを促しております。
 また、当局のホームページにおきまして、土のうや止水板、排水用のポンプ施設の設置など、リーフレットに記載されている内容の紹介のほか、大雨の際に半地下家屋に雨水が浸入する様子を模型を使って紹介する動画も掲載しております。
 加えて、当局から区へ要請し、区のホームページにも同様に必要な対策を掲載していただいております。
 今後も、半地下家屋における浸水の危険性について、様々な機会を捉えて周知を図ってまいります。

○山口委員 皆様がお持ちになられているこの半地下家屋にお住まいの皆様への危険の周知というものが、一人でも多くの方に、そして、的確に届くように引き続き努力をしていただきたいというふうに思うところでございます。ソフト対策は地道な仕事であるわけでありますが、今後も、局一丸となって、ぜひとも進めていただきたいと、このように願っているところであります。
 前回の委員会、今回の委員会等を通じて、大変細かいところまで含めて、都民の皆様に、そして、私たち地元の皆様にも知っていただきたいという思いで、様々な部分の質問をさせていただきました。
 大切なことは、この、いつ起こるかわからないという備えも、下水道局にとっては大変な備えだと思いますし、そして、起こり得る、想定をする、そして、区民の皆様がイメージできるこの集中豪雨をはじめとする様々な備えというものに対して、皆様方がこれだけの努力をされているんだということをしっかり知っていただく、そして、安心という部分をまず埋めていただくことによって、安全をさらに確保するためには、区民の皆様もしっかり認識を持っていただいて、協力をしていただく、ここにも重要な意味合いがあるんだろうというふうに思っております。
 そういった思いから、様々細かいところまで、恐縮に存じましたが質問させていただきました。そして、この一つ一つが、一人一人の区民の皆様、都民の皆様、そして市民の皆様にも届くように、さらなる発信をしていただきたいと思います。
 今後も、都民の暮らしを守り抜くため、ハード対策、そして、ソフト対策ともに、局の高い技術力を基盤としながら、積極的に進めていただくことを強く望み、質問を終わります。

○こいそ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十分開議
○こいそ委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○岩永委員 それでは、北多摩二号処理区の建設負担金についてお伺いします。
 北多摩二号処理区に関係する国立市、国分寺市、立川市の建設負担金の改定が提案されています。今後五年間の建設事業費に充てられる負担金額を算定したもので、立川市の単独処理区を、二〇二三年度に流域下水道に編入するための施設整備に対応しているということです。
 北多摩二号水再生センターにおける三市の処理量と編入予定の立川市の単独処理区処理量について伺います。

○後藤管理部長 令和二年度の北多摩二号水再生センターの下水処理量は約二千万立方メートルでございまして、流入水量の内訳は、国立市約一千万立方メートル、国分寺市約四百万立方メートル、立川市約六百万立方メートルでございます。
 また、編入が予定されている立川市単独処理区における令和二年度の下水処理量は約二千万立方メートルでございます。

○岩永委員 立川市の単独処理区編入に向けた準備が進んでいると思いますが、その現状について伺います。

○小団扇技術部長 立川市単独処理区の流域下水道への編入に向けまして、立川市におきましては、流域下水道へ流入させる接続幹線などの整備を行うとともに、当局におきましては、受変電施設などの施設整備を実施しておりまして、令和五年度の編入事業完了に向けて連携して事業を推進しております。

○岩永委員 次に、清瀬水再生センターについて伺います。
 流域下水道の震災対策についてです。
 多摩川を挟む二つの水再生センターは、二つの水再生センターを連絡管で結んでおり、震災時などに水再生センターが被災した際に、一方の水再生センターは、被災したときのバックアップの機能を備えています。
 しかし、清瀬の水再生センターには連絡管がないため、包括外部監査人の説明より、連絡管がなく、震災時のバックアップ機能が必要であるとの意見があります。
 清瀬水再生センターの現状と今後の対策について伺います。

○小団扇技術部長 下水道局では、首都直下型地震などが発生したときに備えまして、必要な下水道機能や電力を確保するため、水再生センター、ポンプ所におきまして、水処理施設などの耐震化や非常用発電設備の設置などの取組を進めております。
 また、流域下水道の七つの水再生センター間でのバックアップ機能といたしまして、陸上輸送による相互汚泥処理を実施しております。
 加えまして、清瀬水再生センターと埼玉県の流域下水道の処理場が近接に立地していることから、バックアップ機能を強化するために、令和三年三月に、埼玉県と災害時などにおける下水汚泥処理の共同事業に関する協定を締結いたしました。
 今年度からは、埼玉県と共に下水汚泥の受入れ訓練を実施しており、協定の実効性を高めてまいります。

○岩永委員 次に、下水道のプラスチック対策について伺います。
 プラスチック対策は、世界中で率先して解決すべき問題になっており、日本も減量に向けた動きを始めています。東京都でもゼロエミッション実現への重要な施策の一つです。
 生活者ネットワークでは、二〇一九年、文書質問で、マイクロビーズやマイクロカプセルなど微細なマイクロプラスチック対策の必要性を指摘し、マイクロプラスチックの調査について質問しました。そのときは、測定方法について情報収集しているという答弁でした。
 その後の取組状況について伺います。

○猪八重施設管理部長 マイクロプラスチックに関しましては、国内外の様々な機関が調査研究を実施しておりますが、下水道につきましては技術的に統一した手法は確立されておりませんので、引き続き情報収集に努めてまいります。

○岩永委員 国土交通省は、使用済み紙おむつを下水道で処理することを検討しており、社会実験が行われています。紙おむつは、パルプ以外に高分子ポリマーや不織布といったプラスチックで作られており、下水道から水再生センターに流れ込むマイクロプラスチックを回収できず、川に放流され、海の汚染につながる懸念があります。
 国交省は、二〇二二年度に、下水道受入れのためのガイドラインを策定する計画ですが、全世界でプラスチックの海洋汚染が問題になっている今、受入れを認めるべきではないと考えますが、下水道局の見解を伺います。

○鈴木施設管理担当部長 良好な水環境を創出し続けていくためには、下水道の機能に悪影響を与えないよう、法令で定められた下水排除基準を遵守するとともに、下水道に油を流さないなど、都民一人一人の環境に対する意識を高めていただくことが重要となります。
 下水道への紙おむつ受入れにつきましては、下水道管の詰まりやポンプ所などの揚水機能の阻害、さらには公共用水域へのマイクロプラスチックの流出の懸念など課題がありますが、国の検討会において、介護現場での負担の軽減など様々な観点から検討が行われるところでありますので、今後の動向を注視してまいります。

○岩永委員 マイクロプラスチックは、ごみだけの問題ではありません。水や大気にも広がっており、脱プラスチックに向けた取組が必要です。それと同時に、下水道に流れ込むマイクロプラスチックを分離、除去する必要があります。国の方針を待つだけでなく、ぜひ研究していただきたいと思います。
 また、紙おむつについては、下水道への影響を懸念する答弁がありまして、ほっとしました。受け入れることのないよう改めて要望します。
 次に、下水の検査について伺います。
 良好な水環境の創出に当たり、環境への負荷を低減する必要があると考えますが、その最前線にある水再生センターでは様々な検査を行っていると聞いています。
 そこで、下水処理における主な検査項目について伺います。

○猪八重施設管理部長 下水道事業を適切に運営するに当たりまして、水再生センターからの放流水並びに汚泥焼却灰等につきましては、各種法令に基づき検査項目と基準が定められております。
 これらの検査項目につきまして、下水道局では定期的に検査を行いまして、結果をホームページで公表しております。

○岩永委員 法令に基づく検査が行われていますが、その中に放射能測定は入っていません。三月十一日で、東日本大震災からちょうど十一年がたちました。東日本大震災の原発事故による東電からの損害賠償として二〇二〇年度は六十億円の賠償を受けています。
 そこで、下水道局において、汚泥の放射能測定はどのように行われているのか伺います。

○猪八重施設管理部長 下水道局では、施設周辺の地域住民等の不安を払拭するため、汚泥施設を有する水再生センター等におきまして、施設の敷地境界の空間放射線量や焼却灰の放射性物質濃度について、月に一回測定をいたしましてホームページで公表しております。
 令和三年度現在では、法令基準を大幅に下回る数値となってございます。

○岩永委員 下水から、新型コロナウイルスにおいても、感染拡大の予測や変異株を見つけるなど様々な研究が行われています。
 下水中の新型コロナウイルスについての下水道局のこれまでの取組と今後について伺います。

○猪八重施設管理部長 これまで下水道局では、下水道関係者の安全確保等のために、都内全二十か所の水再生センターの流入下水及び放流水を調査いたしまして、感染性のある新型コロナウイルスが検出されなかったことを確認し、これらの情報を広く発信してまいりました。
 また、日本水環境学会COVID-19タスクフォースメンバーでございます東京大学に、水再生センターの流入下水を提供し、分析手法の確立に貢献したことに加えまして、都内の教育施設や大学寮付近のマンホールからの下水を採取し、感染拡大の早期防止にも役立っております。
 今後とも、必要に応じて研究機関等に協力をしてまいります。

○岩永委員 汚泥の放射能測定については、今後も継続していただくよう要望します。
 新型コロナウイルスに関する研究は様々な取組が進んでいます。今後も官民連携しながら研究が進むことで対策が進むよう、連携と協力をお願いいたします。
 次に、下水のエネルギー利用についてお伺いします。
 ゼロエミッションを進める観点からも、再生可能エネルギーのさらなる拡充が必要です。他県でも、再生可能エネルギーとして下水熱を利用した取組を行っていますが、下水のエネルギーは、主にエネルギーの需要地である都市部において発生することから、下水熱の利用や下水汚泥の持つエネルギーの活用を都市部である東京都から積極的に進めるべきと考えます。
 下水道局における下水熱の利用の現状と今後について伺います。

○佐々木計画調整部長 下水熱は、気温と比べ、夏は冷たく冬は暖かいという下水の温度特性を活用する再生可能エネルギーでありまして、水再生センターの冷暖房の熱源として利用しております。
 加えて、東京ドーム周辺など都内五か所におきまして、オフィスビルやホテル、高齢者医療施設などに下水熱を供給しております。
 さらに、民間事業者等において熱利用が促進されるよう、下水道管から下水熱を利用するための目安となる熱量を示したポテンシャルマップをホームページ上で公表しており、今後とも情報発信に取り組んでまいります。

○岩永委員 続きまして、下水汚泥のエネルギー利用の現状と今後の取組について伺います。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、地球温暖化防止計画アースプラン等に基づき、下水道が持つエネルギーを有効活用して再生可能エネルギーの利用拡大に取り組んでおります。
 このうち、下水汚泥の持つエネルギーにつきましては、下水汚泥の処理過程で発生する消化ガスを燃料にする発電や、下水汚泥を焼却する際に発生する廃熱を回収して利用する発電などに活用しております。
 今後とも、焼却廃熱により発電し、運転に必要な電気を自給するエネルギー自立型焼却炉を導入するなど、下水汚泥のさらなるエネルギー活用を図ってまいります。

○岩永委員 ゼロエミッション東京戦略の中にも食品ロスの削減が入っており、全庁で取り組んでいく課題です。食品廃棄を減らすことと併せて、今後の取組として未利用資源の利活用という視点も必要だと思います。
 生活者ネットワークでは、都内で発生する膨大な食品廃棄物を下水処理場でメタン発酵させて発生したバイオガスで発電する次世代清掃工場の建設を提案しています。質疑の中で、下水のエネルギー利用について様々取り組んでいることが分かりました。今後は、それ以外の分野とも連携をしながら、再生可能エネルギーの有効利用を進めていただくことを要望いたします。
 続きまして、介護休暇とハラスメント防止について伺います。
 介護や看護など誰もがケアを担う社会の中で、介護をしながら働き続けられる職場環境が求められています。心身ともに健康で働き続けられる職場環境づくりという視点から伺います。
 下水道局と政策連携団体について、職員の介護休暇に関して、局の取組と過去五年間の取得実績、政策連携団体は確認できる範囲で取得実績を伺います。

○白川職員部長 下水道局では、育児・介護休業法に基づきまして、家族の介護を容易にするため、無給である介護休暇と介護時間、有給である短期の介護休暇の制度を整備しております。
 また、東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プランに基づきまして、各職場にアドバイザーを選任し、相談体制を充実するなど環境づくりに努めております。
 過去五年間の取得実績につきましては、介護休暇は、平成二十八年度が一人、二十九年度四人、三十年度は取得がございませんで、令和元年度に五人、二年度は二人が取得したところでございます。
 介護時間につきましては、平成二十八年度、二十九年度は取得がございませんで、三十年度に二人、令和元年度三人、二年度は二人が取得しております。
 短期の介護休暇につきまして、これは年単位となっておりまして、平成二十八年は七十一人、二十九年が八十三人、三十年八十七人、令和元年九十八人、令和二年は九十四人が取得しております。
 また、政策連携団体でございます東京都下水道サービス株式会社におきましても、局の介護休暇に相当する介護休業など同様の制度を整備しております。
 介護休業につきましては、令和元年度の取得はございませんで、二年度が一人、介護時間は両年度とも取得がございませんで、短期の介護休暇につきましては、令和元年度二十四人、二年度は二十七人が取得しているところでございます。

○岩永委員 では、次に、職場でのハラスメント防止に向けた相談体制や職員研修などの取組状況を伺います。

○白川職員部長 下水道局及び東京都下水道サービス株式会社におきましては、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなどの各種ハラスメントを防止するため、服務に関する規程や就業規則などにハラスメントの禁止を盛り込んでおります。
 また、全ての職員を対象にハラスメントに関する研修を実施するとともに、ハラスメント防止月間等を通じまして意識啓発に取り組んでいるほか相談窓口を設置しております。
 こうした取組によりまして、職場全体でハラスメント防止の意識を高め、職員が持つ能力を十分発揮できる職場環境を整えているところでございます。

○岩永委員 介護休暇については、短期の介護休暇取得の人数が増えています。制度の周知が進んでいることもあると思いますが、今後、高齢化がさらに進んでいく中で、介護をしながら働き続けられるように職場環境の理解を進めていくことや、ワークシェアリングも含めて全庁的に考えていかなければならない課題であると思います。
 また、メンタルを理由とした休職が全庁的に増えておりまして、知事部局の方ではこの五年間で約一・四倍にもなっています。ハラスメント対策も含めて、心身ともに健康で働き続けられる職場づくりが重要です。
 ハラスメントの防止には、日頃から風通しのよい双方向のコミュニケーションが取れるなど、気持ちよく意思疎通ができるような職場の環境づくりと併せて、様々な角度から、ハラスメントの予防と相談、そして、救済体制の充実に取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。

○森村委員 まず、流域下水道についてお伺いいたします。
 多摩地域における下水道は、都が管理する流域下水道と三十市町村の公共下水道が一体となって機能しており、多摩地域の都民生活や都市活動になくてはならない重要なインフラです。流域下水道は事業開始から五十年が経過し、これまで下水道普及率は九九%に達し、多摩川などの水質改善に大きく貢献してきました。
 昨年十一月、多摩川上流水再生センターを視察し、水処理施設や汚泥処理施設、多摩川を横断する連絡管などを見学しましたが、その際、多摩川上流水再生センターは、昭和五十三年の稼働から四十年が経過しており、ほかの流域下水道の水再生センターについても同様に、今後、多くの設備が老朽化を迎えるとの説明を受けました。
 水再生センターは、生活排水などを浄化し放流する都民生活に不可欠で重要な施設であることから、ポンプや水処理、汚泥処理、受電設備などの多種多様な設備を適切に更新していかなければなりません。
 そこでまず、流域下水道の設備更新における課題とその対応について、改めてお伺いしたいと思います。

○小団扇技術部長 多摩地域の流域下水道は、事業開始から五十年が経過し、多くの老朽化した設備が更新時期を迎えることから、業務量の平準化を図りながら計画的な設備再構築を進める必要がございます。
 このため、設備の再構築につきましては、アセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に推進しております。
 また、再構築と併せて水質改善や省エネルギー化などを図るとともに、多摩川を挟む二つの水再生センター間を結ぶ連絡管の相互融通機能を活用し、設備の大型化や機能の集約化により建設費や維持管理費の縮減を図っております。

○森村委員 流域下水道の設備更新に関する課題と対応について確認をいたしました。
 その上で、令和四年度における設備再構築事業の取組についてお伺いをいたします。

○小団扇技術部長 令和四年度は、多摩川上流水再生センターの再構築といたしまして、水質改善を図る高度処理施設の整備に着手いたします。
 この再構築に合わせまして、水処理に必要な空気を水に溶けやすい小さな気泡にして送風量を少なくすることで電力使用量を約二割削減できる微細気泡散気装置などを導入いたします。
 また、浅川水再生センターにおきまして、従来の脱水機よりも汚泥含水率を低減できる省エネルギー型の汚泥脱水設備の再構築を完了させます。
 こうした取組などを進めまして、今後とも、流域下水道全七か所の水再生センターで計画的に設備更新を推進してまいります。

○森村委員 下水道事業におきましては、水質改善や脱水性能の向上などの機能向上を図るとともに、地球温暖化への取組も行っているとのことで、この観点から、以前にも委員会質疑を行わせていただきましたが、省エネルギー型の設備導入は、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向け非常に重要であり、また、有効な取組となります。
 冒頭で述べた多摩川上流水再生センターの視察では、従来の焼却炉に比べて大幅に温室効果ガス排出量が削減できる省エネルギー型焼却炉などを視察し、その効果を確認いたしました。
 このような省エネルギー型の設備を更新のタイミングを見計らいながら今後も適時導入していくべきと考えますが、今後の温室効果ガス排出削減に係る具体的な取組を伺います。

○小団扇技術部長 下水道局におきましては、設備の更新時期を捉え、温室効果ガスを削減できる省エネルギー型の設備を導入しております。
 具体的には、北多摩一号水再生センターなどにおきまして、汚泥焼却時の燃焼温度を従来の焼却炉に比べて高温化することで、温室効果が大きい一酸化二窒素の発生量を大幅に削減できる省エネルギー型焼却炉の整備を進めてまいります。
 また、北多摩二号水再生センターにおきましては、重力を利用し、ろ過濃縮することで、従来の濃縮機よりも電力使用量を削減できる省エネルギー型の汚泥濃縮機を導入いたします。
 今後も、温室効果ガス排出量の削減に取り組み、地球温暖化対策に貢献してまいります。

○森村委員 下水道部門の排出量は非常に大きく、今後も、ゼロエミッション東京の実現に向け、流域下水道事業のさらなる省エネルギー化を改めて要望させていただきます。
 次に、多摩地域の水質規制について伺います。
 先般、区部において、下水道局からの度重なる指導に従わず、下水道法施行令で定める基準に適合しない下水を排出した事業者が東京地方検察庁へ送検されたという報道がありました。下水排除基準を超過すると、下水処理に悪影響が出るだけでなく、公共用水域に流れ出せば重大な環境問題につながるおそれがあります。
 そこで、多摩地域において同様の事例はないのか伺います。

○小団扇技術部長 多摩地域におきましては、事業者が公共下水道に排水する水質の規制事務を管理者である市町村が所管しております。市町村によりますと、下水道への排水規制を規定する下水道法の対象となる特定事業場は約千七百か所あると聞いております。
 この特定事業場は、下水道法で定める下水排除基準を遵守する必要がありまして、市町村等によりますと、平成三十年度から令和二年度の過去三か年におきまして下水排除基準に適合しない事例が約三百件ありましたが、立入調査などを実施いたしまして、市町村が適切に指導していると承知しております。なお、改善命令まで至った事例はないと聞いております。

○森村委員 改善命令までに至った事例はないということですが、引き続き、市町村と連携しながら、都としても適切に排水が管理されるよう努めていただければと思います。
 次に、多摩地域の雨天時浸入水対策について伺います。
 近年、豪雨時などに市町村の管理する分流式下水道の汚水管に大量の雨水が入り込む雨天時浸入水により、マンホールからの溢水などの浸水被害が発生しています。雨天時浸入水は、汚水管の老朽化や民地からの雨水排水の誤接続が主な原因であり、市町村による発生源対策が基本とされております。
 私も過去の質疑において、雨天時浸入水による溢水被害について取り上げておりますが、その際に、都も、多機能型マンホール蓋を活用し、市町村による効率的な対策を促進していくとの答弁をいただいております。
 そこで、今後の多機能型マンホール蓋を用いた雨天時浸入水対策について伺います。

○小団扇技術部長 都は、市町村が雨天時浸入水の発生源を特定する調査を支援するため、当局と東京都下水道サービス株式会社、民間事業者が共同開発したリアルタイムで水位情報を把握できる多機能型マンホール蓋を、令和三年の雨季までに流域下水道と公共下水道の接続点や市境、溢水した地点の三十七か所に設置し、雨天時浸入水量の傾向などを把握することといたしました。
 これにより、収集した多くのデータの分析結果を市町村に情報提供することで、浸入水量の多い地域での汚水管の調査や対策を優先して行えるように取り組んでおります。
 また、今年度、当局が市町村指導事務を所管したことを契機に、降雨とともに浸入水量が大幅に増加する地域におきまして、都として初めて、市町村との現地合同調査を行いました。
 この調査結果を踏まえて発生要因を把握し、ひび割れなどの管渠の破損に応じた補修工事など、雨天時浸入水対策が効率よく進められるよう技術支援を実施してまいります。
 引き続き、市町村と緊密に連携し、雨天時浸入水対策を推進してまいります。

○森村委員 多機能型マンホール蓋の活用については、浸入水の経路を正確に把握するために有効であると期待しています。近年多発している豪雨時における浸水被害等を軽減していくためにも、市町村への技術支援や連携を強化することを要望しておきます。
 最後に、職員の労務管理についてお伺いいたします。
 令和二年十月に、新宿労働基準監督署から、水道局が本庁職場の職員の時間外労働に関する是正勧告を受けました。水道局では、カードリーダーにより時間外労働の終了時刻を記録し、超過勤務命令簿と照合することとしていましたが、多くの職員がこの記録を行っておらず、労働時間の適正な把握ができていませんでした。そして、実態調査の上で、未払いの時間外労働に対する精算を行ったということです。
 今般の水道局に対する是正勧告を踏まえまして、同じ公営企業である下水道局ではどのように対応を行ったのかをお伺いいたします。

○白川職員部長 下水道局では、従来より、時間外労働、超過勤務とも申しますが、その終了時刻につきましては、カードリーダー操作により記録し、超過勤務命令簿と照合することにより適正に把握をしております。
 また、水道局に対する労働基準監督署の勧告を踏まえまして、職員の労働時間の管理について改めて周知徹底を図るとともに、定時で退庁する際にもカードリーダー操作による記録を行ってまいります。
 引き続き、職員の労働時間を適切に管理してまいります。

○森村委員 定時で退庁するときの記録管理についても強化するというご答弁をいただいたんだと思います。適切な勤怠管理について引き続き行っていただくように求めまして、私の質問を終わります。

○かつまた委員 私からは、東京都下水道事業の下水道管の再構築や地球温暖化対策、デジタルトランスフォーメーションへの取組についてお聞きをいたします。
 まず、下水道管の再構築について質問をいたします。
 東京都下水道事業は、都民にとってなくてはならない社会インフラとして、都民生活の暮らしを支える重要な事業であります。まず、その事業にご尽力いただいている下水道局の皆様に敬意を表します。
 東京都下水道事業経営計画二〇二一を拝見いたしました。さきに行われた事務事業質疑の際、私は、道路陥没の一因である下水道管の枝線の老朽化について質疑をさせていただきました。
 そこで、改めて伺います。
 区部における下水道管の枝線の再構築事業の進め方と実施状況について見解を求めます。

○佐々木計画調整部長 老朽化した枝線の再構築に当たりましては、ライフサイクルコストの最小化や中長期的な再構築事業の平準化などを図るアセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に事業を実施しております。
 事業の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、整備年代の古い都心部を第一期再構築エリアとして優先的に再構築事業を進め、令和十一年度までに完了する計画としております。
 令和二年度までに、第一期再構築エリア一万六千三百ヘクタールの六二%に当たります一万八十二ヘクタールの整備が完了しており、令和四年度につきましては七百ヘクタールの再構築を予定しております。

○かつまた委員 今のご答弁で、実施状況についてよく理解をさせていただきました。
 次に、下水道管の第一期再構築エリアの事業効果として、道路陥没件数の推移について見解を求めます。

○猪八重施設管理部長 下水道に起因する道路陥没の主な原因につきましては、老朽化の進行や、ビルの地下排水槽からの排水に含まれる硫化水素による腐食などで下水道管が破損し、周辺の土が管の中に流れ込むことで道路の下に空洞が発生することによるものと考えられます。
 第一期再構築エリアにおける道路陥没の発生件数でございますが、再構築に着手した平成七年当時は年間約八百件でありましたが、再構築工事を計画的に進めてきた結果、令和二年度末までに約八割以上減少しております。

○かつまた委員 今のご答弁で、この間の再構築事業の効果によって道路陥没が大きく減少しているということを理解させていただきました。
 今後、私の地元であります大田区が含まれる第二期再構築エリアの着手に取り組む予定と伺っております。
 そこで、その取組方針について見解を求めます。

○佐々木計画調整部長 新たに再構築事業を立ち上げていくためには、既設管の状況などを正確に把握するとともに、状況に応じた整備手法を選定する必要がございます。
 このため、第一期再構築エリアの完了を見据え、経営計画二〇二一の期間中でございます令和七年度までに、第二期再構築エリアの着手に向けた検討を開始し、都民の安全を守り、安心で快適な生活を支えてまいります。

○かつまた委員 再構築の取組状況について理解をいたしました。引き続き、都民の安全・安心を確保するため、再構築事業を計画どおり着実に進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、地球温暖化対策について質問をいたします。
 都における下水道事業は、多くの温室効果ガスを排出しております。しかし、東京都下水道局では、その温室効果ガス排出量削減に向けて、アースプラン二〇一七において明確な削減目標を掲げ、地球温暖化対策に取り組まれております。
 そこで、二〇三〇年度には、二〇〇〇年度比温室効果ガス排出量の三〇%以上の削減を目標としておりますけれども、現時点での削減状況について見解を求めます。

○佐々木計画調整部長 下水道局では、温室効果ガスの削減を図るため、二〇〇四年度に最初のアースプランを策定し、それ以降、計画的に様々な取組を進め、令和二年度には、二〇〇〇年度比で約二八%の温室効果ガス排出量を削減しております。

○かつまた委員 現時点での削減状況について理解をいたしました。ぜひ目標達成に向け、局全体で取組を期待いたします。
 そもそも下水道事業において多くの温室効果ガスを排出するとのことですけれども、どのような処理過程からこの温室効果ガスが排出されるのか、見解を求めます。

○佐々木計画調整部長 下水道事業で排出される温室効果ガスは、主に水処理と汚泥処理の過程で発生しております。
 水処理では、下水をくみ上げるポンプの運転や、下水をきれいにする微生物に空気を送風するときに大量のエネルギーを消費するなど、下水道事業全体の約六割の温室効果ガスを排出しております。
 また、汚泥処理では、水処理の過程で発生した汚泥を濃縮脱水し水分量を減らした上で高温の焼却炉で処理して減量化を図っておりまして、その過程で多くのエネルギーを消費するなど、下水道事業全体の約三割の温室効果ガスを排出しております。

○かつまた委員 下水道事業での温室効果ガスが多く排出される理由について、今のご答弁で理解をいたしました。
 次に、私の地元大田区にあります森ヶ崎水再生センターについてお伺いをいたします。
 この森ヶ崎水再生センターは、その上部を大田区に無償貸与いたしまして、森ヶ崎公園として地域住民に広く開放されております。さらに、公園内の一部では、サッカー場やフットサル場、テニスコートとしても開放されており、区民の憩いの場となっております。私も個人的に、子供が小さい頃、何度となくこの公園を訪れました。
 この地域に根差した森ヶ崎水再生センターにおいても温室効果ガス削減の取組が実施されていることと思いますけれども、その取組状況について見解を求めます。

○猪八重施設管理部長 森ヶ崎水再生センターでは、省エネルギーの徹底や再生可能エネルギーの利用拡大を図り、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでございます。
 具体的には、水処理に必要な空気を小さな気泡にして水に溶けやすくすることで送風量を少なくし電気使用量を約二割削減する微細気泡散気装置を設置するなど、省エネルギー型機器を積極的に導入いたしております。
 また、下水道施設の上部空間を使用した太陽光発電のほか、センターの特色を生かし、放流落差を利用した小水力発電や、バイオマスエネルギーを活用した消化ガス発電を導入するなど様々な再生可能エネルギーを下水処理に利用することにより、森ヶ崎水再生センターで使用する電力の約二割を賄ってございます。

○かつまた委員 下水道局の地球温暖化対策の取組について理解をさせていただきました。二〇三〇年カーボンハーフの達成に向け、ますます下水道事業に寄せる期待が高まっております。今後も、取組の強化を図るとともに、より一層の地球温暖化対策の推進をお願いしたいと思います。
 次に、経営計画二〇二一のDX、デジタルトランスフォーメーションの推進の中に記載のある、これまで各委員が幾つか、何人かの委員が取り上げておりますけれども、多機能型マンホール蓋の活用による雨天時浸入水対策の促進について質問をさせていただきます。
 多機能型マンホール蓋は、下水道のマンホールに水位計と水位データを発信するためのアンテナが取り付けられている装置と伺っておりますが、この多機能型マンホール蓋を活用することで、雨天時浸入水対策においてどのような効果を想定しているのか、見解を求めます。

○小団扇技術部長 多摩地域は、約八割が分流式下水道で整備されておりまして、近年、市町村が管理する汚水管に雨水が大量に流入する雨天時浸入水による浸水被害が発生しております。
 雨天時浸入水対策におきましては、発生源対策が基本とされていることから、都はこれまでも、公共下水道管理者の市町村と連携して、雨季に雨天時の流量調査などを実施してまいりました。
 さらに、効率的に対策を促進させるため、流域下水道と公共下水道の接続点などにリアルタイムで水位情報などを把握できる多機能マンホール蓋を三十七か所設置し、得られたデータを市町村と共有しております。
 この効果といたしましては、晴天時と雨天時で流入水量の差が大きい箇所でのデータを把握することで、浸入水量の多い地域を効率的に特定できます。
 また、降雨量と降雨後の時間経過に伴う流量変化などの計測データを併せて分析することで、下水道管のひび割れや排水設備の誤接続などの雨天時浸入水の発生要因も推定できます。

○かつまた委員 多機能型マンホール蓋の活用による雨天時浸入水対策の効果について理解をいたしました。
 得られたデータを市町村と共有するとのことですけれども、どのように共有するのか見解を求めます。

○小団扇技術部長 多機能型マンホール蓋から得られるデータは、インターネットを通じまして関係市町村とリアルタイムで共有しております。
 また、都と関係市町村で構成される対策促進会議を設置いたしまして、浸入水量の多い設置箇所のデータや発生要因などの分析結果を情報共有しております。これによりまして、市町村が調査や対策を進めることで、効率的に雨天時浸入水の軽減に取り組むことができます。
 都は、今後も、こうした取組を積極的に進め、市町村が抱える課題への技術支援に努めてまいります。

○かつまた委員 ぜひ東京都が持つ知見を生かしながら各市町村への支援をお願いしたいと思います。
 様々な角度で下水道事業について質問をさせていただきました。最後に改めて、都民の暮らしを支える東京都下水道事業への取組に感謝を申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。

○大山委員 包括委託について、包括委託をめぐって質問したいと思います。
 下水道局の経営計画二〇二一では、最少の経費で最良のサービスを安定的に提供するためにという基にグループ経営の強化を位置づけています。TGSの新たな役割として、来年度、落合水再生センターと清瀬水再生センターについて初めて包括委託をする予定です。
 まず伺いますけれども、包括委託と業務委託の違いは何ですか。

○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国土交通省の下水道事業における官民連携事業について等によれば、包括委託は、複数の業務を性能で規定し、契約期間について三年から五年程度とするものであり、受託する側の創意工夫が期待できるとされております。
 一方で、現在行っている業務委託は、一般的に、個別業務を仕様で規定し、単年度で発注することで、発注者が作成した仕様に基づいた業務の履行が確保されるものでございます。

○大山委員 つまり、委託する業務を、委託事業者にやり方も任せ、単年度契約ではなくて複数年度の契約にするというのが包括委託なんだと。現在は、業務を委託するときは、局が仕様書をつくっています。今まで局がやっていたことを、落合水再生センターならやり方も含めて東京都下水道サービスにお任せするということですね。
 具体的に伺いますけれども、包括委託を導入する水再生センターの業務について、都の職員が引き続き直接行うものと委託するものはそれぞれ何でしょうか。

○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 局職員が担う主な業務は、委託の履行確認、水再生センター内の工事調整業務、予算執行計画、法令に基づく水質試験業務でございます。
 委託する主な業務といたしましては、水処理施設の運転や薬品管理、水質に関する日常試験業務でございます。

○大山委員 今まで局職員が行ってきた水処理施設の運転や薬品管理、水質に関する日常試験業務を包括委託するということです。局職員は、包括委託した業務がきちんとできているかを確認したり、水再生センター内の工事の調整をしたり、予算執行計画するということです。
 伺いますけれども、この包括委託によって、落合水再生センターでは、どの職の職員が何人減り、東京都下水道サービスの職員は、どの職が何人増えるのか、教えてください。

○田中総務部長 水再生センターへの包括委託の導入に伴いまして、落合水再生センターにおける運転管理業務関連の定数は、設備職が二十一人の減員、環境検査職が二人の減員となります。
 TGSの所要人数は、設備職が二十一人の増員、当局の環境検査職に相当する水質管理職が二人の増員となります。

○大山委員 つまり、運転管理を行っていた局職員の設備職が二十一人減って、現在TGS社員の運転管理職の設備職はゼロ人ですけれども二十一人になる。水質管理についても、局職員が二人減って、ゼロ人だったTGS社員が二人配置されるということです。
 伺いますけれども、包括委託するということは、局が今までやっていた業務を同じレベルで行ってもらうということです。局がやっていたことを包括委託する落合水再生センターなら、東京都下水道サービス株式会社が行うということです。今、職員増減を職種別に明らかにしてもらったように、運転は二十一人、水質管理は二人と、現在と同じ人数で下水道サービス株式会社が行うということです。
 伺いますけれども、同じ人数で同じことをするんだったら、局が今までどおり行えばいいんじゃないんでしょうか、どうですか。

○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今、東京の下水道は、豪雨の激甚化、頻発化、下水道管や水再生センターの施設の老朽化など様々な課題に取り組まなければなりません。
 将来にわたり安定的に下水道事業を運営していくために、東京にふさわしい下水道施設の運営手法を検討してきた結果、水再生センターの水処理施設の運転管理に関し、業務の困難度が相対的に小さい一部の水再生センターに包括委託を導入するものです。
 今回の包括委託の導入により、局、TGS、民間事業者の三者が、それぞれの特性を生かした役割分担の下、連携を強化して、下水道事業を安定的に運営していくとともに、サービスのさらなる向上を目指していきます。

○大山委員 いろんな仕事が増えるから任せるんだというようなことなんでしょうか。しかし、さっきも何人かから話題になっていましたけれども、令和三年度の包括外部監査のテーマは、下水道局の事業に関する事務の執行及び東京都下水道サービス株式会社の経営管理についてです。この一九六ページには、平成十五年度のときの記述が引用されていて、出張所業務の人件費を直営と委託で単純に比較すると、委託の方が一人当たり百五十五万円安いとなっています。
 現在はどうなんでしょうか。

○猪八重施設管理部長 平成十五年度の包括外部監査報告書における人件費の比較につきましては、出張所業務が委託される前に仮の条件の下で監査人が推計したものでございます。
 現在における経費削減効果につきましては、今回の包括外部監査における意見を踏まえまして、その算出方法も含め今後検証いたします。

○大山委員 出張所業務が委託される前の推計なんだということです。今きちんと委託されているわけですから、どうなっているかというのはちゃんと示しておくべきものと思います。
 じゃあ伺いますけれども、TGS社員と都の職員の給与支給額について、平均年齢と平均給与額、教えてください。

○田中総務部長 令和三年度の人事委員会勧告資料等により試算した東京都職員の給与支給額は年間約六百六十万円でございまして、平均年齢は四十・八歳でございます。
 TGS固有職員の給与支給額は、令和二年度におきまして年間約六百二十一万円であり、平均年齢は四十一・四歳でございます。

○大山委員 都の一般行政職が平均年齢が四十・八歳で約六百六十万です。そして、TGSの社員は四十一・四歳が平均で、給与が六百二十一万円ということですから、TGSの方が平均年齢は少し高いけれど、平均給与は、約四十万円TGSの方が少ないという状況です。
 結局、同じ仕事を同じレベルで求めているのに人件費は安く抑える。先ほど紹介した平成十五年の包括外部監査は、人件費も含めて経費削減することを進めようとしている報告ですので、私たちは賛成できませんけれども、包括委託する意図は推して知るべしという状況ではないでしょうか。都が率先して、官製ワーキングプアをつくる方向にさらに踏み出すということはやめるべきです。
 包括外部監査報告の二〇二ページ、現状の方法では、さっきも話題になりましたけれども、利益剰余金がTGSに累積し、TGSでの税の支払いや内部留保、株主への配当原資などに充当されることとなり、下水道使用料の適正な算定の見地から、検証する必要があると指摘されていますけれども、どのように検証するのか、教えてください。

○田中総務部長 TGSでは、経営戦略アクションプラン二〇二一におきまして、DXの推進や業務用車両の脱ガソリン化、当局と連携して技術開発などに投資する計画を定めておりまして、これに繰越利益剰余金をまず充てることとしております。
 TGSでは、外部有識者を交えた検討会を設置するなど、繰越利益剰余金の適正水準や具体的な活用策等につきまして検討していくこととしており、当局も、TGSの利益の発生要因の分析を行うとともに、その検討に加わり、お客様である都民に対し適切な説明を行うべく、TGSと連携し、取り組んでまいります。

○大山委員 これから考えるんだということなんですけれども、東京都が直接実施していれば、税金の支払いは必要ありません。ましてや株主への配当などは、下水道局が直接事業を行えば全く必要がないものです。
 下水道事業は、公営下水道として公共の福祉に寄与する自治体本来の事業です。
 ところで、TGSの法人税などの税金総額、それから株主への配当、役員の平均報酬額は、それぞれ二〇二〇年度は幾らでしたか。

○田中総務部長 TGSの令和二年度決算における法人税、住民税及び事業税等の総額は約一億八千五百万円でございます。また、令和二年度における株主配当は総額で五百万円でございまして、常勤役員の平均報酬支給額は一千二百六十万円となっております。

○大山委員 税金だけで年間一億八千五百万円、役員報酬は一人平均千二百六十万円、株式配当は五百万円、局だったら、これらみんな必要ないお金です。
 先ほどの質問で、繰越剰余金が令和二年で五十四億円という答弁もありました。グループ経営を進めるといって、都がやれば必要ないものにお金を回す。さらに、包括外部監査で指摘されるほどの内部留保、一方で、現場で働いている人の給与は低い。これでいいんでしょうか、ここから検証するべきではないでしょうか。
 下水道局としては、包括委託について、デメリットや課題は何だと考えているんでしょうか。

○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度に国などが実施した処理場包括委託に係るアンケート調査におきまして、自治体の主な課題認識として、自治体職員の技術力確保や積算と精算などが挙げられております。
 なお、今回当局が包括委託を導入するのは、運転管理の困難度が相対的に小さい水再生センターでございまして、困難度が大きい水再生センターは引き続き局直営とすることから、局職員の技術力などは確保されるものと考えております。

○大山委員 今、答弁で引用した調査は、下水処理場の包括委託に関して国交省が行ったものですね。自治体の主な課題認識として、一番に自治体職員の技術力確保が課題だと、そう考えている自治体は八三%です。積算と精算が六〇・九%、コスト縮減効果の確保が五二%、いろいろありますけれども、自治体の八三%が自治体職員の技術力の確保が課題だと考えているということなんです。しかし、下水道局は、来年度包括委託する落合と清瀬の運転は、比較的困難度が小さいから心配ないんだと。
 それだったら伺いますけれども、包括委託するのはもうこの二つだけ、その後、もうやらないということなんですか。

○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和四年度に区部及び多摩それぞれに一施設に包括委託を導入した後、設定した性能要件の履行状況や導入効果等を検証し、対象施設の拡大を検討していく予定でございます。

○大山委員 比較的困難度が小さいから大丈夫なんだと、そうしたらもう拡大するところは、困難度は大きくなってくるわけですよね。しかし、対象を拡大することを検討する。一番技術を持っているのは、直接事業を実施してきた下水道局の皆さんじゃないですか。その下水道局の技術を局内で継承できず企業任せにする、計画立案はするんだといいますけれども、短期的には何とかなるかもしれませんけれども、技術的なことが分からなくなってしまえば、結局、企業のいうこと、ああそうですかと、いいなりになるしかありません。
 グループ経営を進め、包括委託について再検討することを求めて、質問を終わります。
 以上です。

○こいそ委員長 ほかに発言はございませんでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 よろしいですか。それでは、本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会

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