公営企業委員会速記録第十三号

令和三年十一月二十九日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長こいそ 明君
副委員長菅野 弘一君
副委員長森村 隆行君
理事斉藤まりこ君
理事小林 健二君
理事村松 一希君
石島 秀起君
岩永やす代君
成清梨沙子君
かつまたさとし君
保坂まさひろ君
山口  拓君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長内藤  淳君
次長総務部長事務取扱土岐 勝広君
資産運用部長坂田 直明君
電車部長市川 雅明君
自動車部長櫻庭 裕志君
車両電気部長野崎 慎一君
鉄軌道事業戦略担当部長築田 直樹君
バス事業経営改善担当部長太田 純也君
技術調整担当部長生越 啓史君
水道局局長浜 佳葉子君
技監尾根田 勝君
総務部長石井 英男君
職員部長長嶺 浩子君
経理部長金子 光博君
サービス推進部長金子 弘文君
浄水部長特命担当部長兼務松田 信夫君
給水部長藤村 和彦君
建設部長田中 慎一君
経営改革推進担当部長鈴木美奈子君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
工業用水道事業調整担当部長兼務
尾関  元君
設備担当部長岩崎 恭士君
多摩水道改革推進本部本部長青木 秀幸君
調整部長小山 伸樹君
施設部長佐々木宏章君
技術調整担当部長佐藤 清和君
下水道局局長神山  守君
次長松川 桂子君
総務部長田中  彰君
職員部長白川  敦君
経理部長坂井 吉憲君
計画調整部長佐々木 健君
施設管理部長猪八重 勇君
建設部長袰岩 滋之君
流域下水道本部本部長佐々木秀之君
管理部長後藤 徹也君

本日の会議に付した事件
下水道局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都下水道条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
交通局関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
陳情の審査
(1)三第五七号 交通局における東京都受動喫煙防止条例等の遵守及び職場環境の改善に関する陳情
水道局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都給水条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について

○こいそ委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申合せをいたしましたので、ご了承を願いたいと思います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の事務事業に対する質疑、下水道局及び水道局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、所管三局の報告事項の聴取並びに交通局関係の陳情の審査を行います。
 なお、本日は、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了するまで、報告事項については、説明を聴取した後、質疑を終了するまで、また、提出予定案件につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承を願います。
 これより下水道局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○神山下水道局長 令和三年第四回定例会に提出を予定しております下水道局関係の案件につきましてご説明申し上げます。
 ご審議をお願いいたします条例案は、東京都下水道条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例は、地方税法等の一部を改正する法律の施行による地方自治法の改正に伴い、所要の改正を行うものでございます。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

○田中総務部長 それでは、提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1をご覧いただきたいと存じます。
 先ほど局長からもご説明申し上げましたが、本条例は、地方税法等の一部を改正する法律の施行により、地方自治法上の指定代理納付者制度に係る規定が削除され、指定納付受託者制度に係る規定が新設されることに伴い、所要の改正を行うものでございます。
 まず、改正内容でございますが、地方自治法の一部改正により、地方自治法第二百三十一条の二第六項が削除され、新たに第二百三十一条の二の三第一項が規定されることに伴い、地方自治法第二百三十一条の二第六項を引用している東京都下水道条例第十八条を改正いたします。
 次に、施行期日でございますが、令和四年一月四日から施行いたします。
 続きまして、資料2をご覧ください。
 一ページは議案でございます。
 裏面の二ページをご覧ください。新旧対照表を掲載してございます。
 上段が改正案、下段が現行条例でございまして、傍線を付した部分が改正部分でございます。
 第十八条は、料金の徴収方法について定める規定でございまして、地方自治法の一部改正に伴い、規定を整備いたします。
 以上、簡単ではございますが、提出案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○こいそ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長  よろしいですか。なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○こいそ委員長 次に、理事者から報告の申出がありましたので、これを聴取いたします。

○坂井経理部長 工事の請負契約につきましてご報告申し上げます。
 お手元の資料3、契約締結報告書をご覧いただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。総括表をお示ししてございます。
 今回の内容は、令和三年八月一日から令和三年十月三十一日までの間に締結した予定価格九億円以上の工事請負契約五件でございます。
 以下順次、契約の概要についてご説明させていただきます。
 二ページをお開き願います。千代田区富士見二丁目外濠流域貯留管工事でございます。
 本件は、千代田区富士見二丁目、新宿区市ケ谷船河原町付近の外堀流域において、初期雨水の一部を貯留する合流改善貯留管を施工するものでございます。その概要及び入札結果を次ページにわたり記載してございます。
 四ページをお開き願います。蛇崩川増強幹線その三工事でございます。
 本件は、世田谷区の一部の雨水を収容する蛇崩川増強幹線を施工するものでございます。
 今回の工事は、前回工事のシールド掘進機等の諸設備を引き続き使用し施工することから、一貫した施工管理や安全管理が必要であるため、随意契約により契約してございます。その概要を次ページにわたり記載してございます。
 六ページをお開き願います。森ヶ崎水再生センター併設東糀谷ポンプ所電気設備再構築その二工事でございます。
 本件は、東糀谷ポンプ所の遠方監視制御設備が老朽化したため、再構築工事を施行するものでございます。その概要及び入札結果を次ページにわたり記載してございます。
 八ページをお開き願います。中川水再生センター受変電設備再構築工事でございます。
 本件は、中川水再生センターの受変電設備が老朽化したため、再構築工事を施行するものでございます。その概要及び入札結果を次ページにわたり記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。砂町水再生センター電気設備再構築工事でございます。
 本件は、砂町水再生センターの監視制御設備が老朽化したため、再構築工事を施行するものでございます。その概要及び入札結果を次ページにわたり記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、工事の請負契約についての報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○こいそ委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。

○こいそ委員長 これより交通局関係に入ります。
 理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○坂田資産運用部長 お手元の資料1、契約締結報告書に基づきまして、令和三年八月一日から令和三年十月三十一日までに締結いたしました予定価格が一件九億円以上の工事請負契約及び一件二億円以上の動産の買入れ契約につきましてご報告申し上げます。
 一ページをお開き願います。ご報告申し上げます契約の総括表でございます。
 以下、契約の概要についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。大江戸線光が丘変電所変電設備更新工事でございます。
 本件は、老朽化した変電設備を更新する工事でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は二十二億一千二百十万円、契約の相手方は日本電設工業株式会社でございます。入札経過につきましては、三ページに記載してございます。
 四ページをお開き願います。自動車部事務管理システム用機器類の買入れでございます。
 本件は、機器類及びソフトウエアを買い入れるものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は一億七千八百四十二万円、契約の相手方は株式会社日立システムズでございます。入札経過につきましては、五ページに記載してございます。
 以上で報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○こいそ委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○こいそ委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情三第五七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○土岐次長 お手元の資料2、請願・陳情審査件名表の一ページをお開き願います。
 整理番号1、陳情三第五七号、交通局における東京都受動喫煙防止条例等の遵守及び職場環境の改善に関する陳情についてご説明申し上げます。
 この陳情を提出された方は、世田谷区にお住まいの後藤雄一さんでございます。
 陳情の趣旨は、都において、東京都受動喫煙防止条例及び健康増進法を遵守し、交通局の職場環境を改善するため、次に記載されている二点について実現していただきたいというものでございます。
 1、電車部の各乗務区係員執務心得及び自動車部の東京都交通局自動車係員服務要綱のたばこの携行、禁煙に関する項目の見直しまたは追加をすること。2、懲戒処分の指針を厳格に運用すること。以上の二点でございます。
 現在の状況でございます。
 陳情の一点目について、電車部の各乗務区において定める係員執務心得及び自動車部の東京都交通局自動車係員服務要綱は、不適切な接客行為の禁止や作業場の安全を確保するため、係員が遵守すべき事項を職場の実情に応じて規定するものでございます。
 交通局の事業所における全面禁煙につきましては、受動喫煙による職員の健康障害の防止及び健康増進の観点から、平成三十年三月に局内の統一的なルールとして定めたものであり、ポスターなどによる周知や、喫煙所の廃止などにより取組を徹底しております。
 二点目について、交通局の事業所における全面禁煙につきましては、法令等の定めに基づくものではなく、受動喫煙による健康障害を防止するなどの観点から定めた職場ルールであり、これに従わないことのみをもって、直ちに懲戒処分の対象となるものではございません。
 交通局では、喫煙が発覚した際には適切に指導を行うなど、ルールにのっとり、職場内禁煙の徹底に取り組んでおります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○こいそ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三第五七号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で交通局関係を終わります。

○こいそ委員長 これより水道局関係に入ります。
 初めに、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○石井総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。公営企業委員会要求資料となっております。その概要につきましてご説明申し上げます。
 資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は五件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープランの計画における耐震継ぎ手率の計画値と平成二十八年度から令和二年度までの実績をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。月別使用水量と調定金額の実績でございます。
 二ページから五ページにわたり、平成三十年四月から令和三年九月までの月別の口径別使用水量と調定金額の実績をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。各浄水場等における再生可能エネルギー等の導入及び発電状況でございます。
 各浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備の発電規模及び平成二十八年度から令和二年度までの発電実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。平成十二年度以降の電力使用量の推移でございます。
 平成十二年度から令和二年度までの浄水場、給水所等の水道施設における電力使用量の合計値をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金の支払い猶予の受付件数でございます。
 受付を開始した令和二年三月から令和三年九月までの月別の受付件数と、その合計をお示ししてございます。
 以上、大変簡単でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○こいそ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 それでは、事務事業について質問をさせていただきます。
 まず最初に、水質の見える化についてお尋ねをします。
 昨年度の事務事業質疑において、平成二十七年度から令和元年度まで水道局が行った東京水道あんしん診断のアンケートにおいて、水質に関するニーズが高いという結果が出ているとのご答弁がありました。
 水道水は、飲み水としてだけでなく、手洗いやうがいなど、都民の健康を支えるまさに命の水です。様々な用途に安心して利用できるのは、安全な水質であってこそのものといえます。そのために、水道水の水質を適正に管理し、厳格な検査によって安全性を確保することが重要となります。
 そこで、水道局の水質の検査体制についてお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水道法に基づき、毎年度、検査の項目と頻度を定めた水質検査計画を策定し公表しています。
 この計画に基づき、都内全域にわたる百三十一か所の蛇口で採水し、国が定めた水道水質基準の五十一項目全てを定期的に検査し、安全性を確認しています。
 また、色や濁り、残留塩素については、国により一日一回の検査が義務づけられていますが、当局では、百三十一か所に設置している自動水質計器で、二十四時間三百六十五日、連続的に監視を行っています。
 さらに、当局独自の取組として、浄水場の取水地点から上流側で使用される金属や農薬なども含め、二百八十にわたる項目の水質検査を定期的に実施しております。

○石島委員 水道局では、多岐の項目にわたって厳しいチェックが行われていることを確認させていただきました。今後も、都民の健康と安全を確保し、安心して水道水を使ってもらえるよう、万全を期していただくことを要望させていただきます。
 ただし、この安全であるという結果が、都民に伝わり、理解されて、初めて安心につながります。
 令和三年三月に策定された東京水道経営プラン二〇二一においても、水質の見える化に取り組んでいくこととしていますが、水質の見える化の取組状況についてお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、お客様に水道水の安全性を理解していただくため、水質基準に定めのある健康に関する項目などの検出状況を簡潔に表した安全・安心水質指標を令和三年六月からホームページへ掲載しています。
 この新たな指標については、お客様がお住まいの地域の水質の目標達成状況を分かりやすく示すことや、住所による検索を可能としました。
 また、本年九月に、ホームページに水質検査結果に関するデータを集約するページを新たに設け、アクセス性の向上を図っております。
 今後、年度末を目途に、水質に関してお客様から多く寄せられる疑問などについて、グラフや図を積極的に活用して分かりやすく説明するコーナーの見直しを予定しており、引き続き、水質の見える化を進めてまいります。

○石島委員 都民への分かりやすい情報提供のため、水道局が改善に取り組んでいることを確認させていただきました。都民の安全・安心につながるように、今後も水質に関する積極的な情報発信をお願いいたします。
 次に、今後の施設整備の考え方についてお伺いします。
 都民生活や都市活動を支えるためには、良好な水質はもちろんのこと、安定給水の確保が必要です。
 十月七日に最大震度五強の地震が発生し、都内各所で漏水が発生しました。テレビなどでは、当初、水道管が破裂との報道がありましたが、幸いそのような被害はなく、断水にも至りませんでした。これは、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震及び東日本大震災でも抜け出し被害が発生していない耐震継ぎ手管への取替え等をこれまで着実に進めてきた成果といえます。
 水道は、災害や事故があった場合でも都民生活に欠かせないものであり、それを維持するためには、日頃からの耐震化等の施設整備を着実に進めていくことが重要です。
 水道局は、令和三年三月に、施設整備に関する計画である東京水道施設整備マスタープランを策定しました。
 改めて、マスタープラン策定の背景や目的をお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 都の水道は、集中的に整備してきた浄水場の更新、切迫性が指摘される首都直下地震などの課題に直面しており、人口減少や感染症等、水道事業に影響を及ぼす新たな課題も顕在化しています。
 また、火山噴火や気候変動の進行に伴う風水害や渇水、原水水質悪化などのリスク増大も懸念されています。
 こうした課題やリスクに対して、将来にわたり安全で高品質な水を安定的に供給する強靱かつ持続可能な水道システムを構築するため、施設整備の基本計画として、中長期的な方向性を明らかにするとともに、各施策の具体的な取組内容を示すものとして、マスタープランを策定しました。

○石島委員 答弁にありましたように、浄水場の更新などの課題や風水害などのリスクの増大が懸念されています。
 こうした課題等に対して、マスタープランに新たに盛り込んだ内容についてお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 浄水場の更新においては、予防保全型管理に取り組み、施設の長寿命化や更新の平準化を図ることで年間事業費を抑制しつつ、長期に及ぶ更新工事を計画的に推進していくこととしました。
 また、自然災害の脅威に備えるため、風水害対策として、水管橋等の損傷や流出を未然に防ぐ河川横断管路の地中化事業や、火山噴火に伴う降灰対策として、浄水場更新に合わせた建屋型による覆蓋化までの間、簡易にシート等で開口部を覆う覆蓋化事業などを新たに盛り込み、危機管理の充実を図りました。

○石島委員 従来から抱えていた課題に加えて、近年新たに顕在化してきた課題に対してもしっかりと対応した計画となっていることを理解しました。
 将来にわたる安定給水のためには、これらの取組を着実に進めていくことが重要であることから、引き続きの取組をお願いいたします。
 次に、予防保全型管理による施設の長寿命化についてお尋ねします。
 浄水場は、高度経済成長期に集中的に造られ、老朽化が進行しています。マスタープランでは、浄水場の計画的な更新に向けて、予防保全型管理により施設の長寿命化に取り組むことになっていますが、点検により施設の劣化状況をしっかりと把握することが重要と考えます。
 東京水道経営プラン二〇二一では、浄水場は令和四年度までに、給水所及び多摩地区の施設は令和十一年度までに点検を完了することとしています。
 そこで、点検の進捗状況及び課題についてお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 予防保全型管理の点検対象となる沈殿池やろ過池などのコンクリート構造物は、全体で約千八百施設であります。このうち浄水場の約千三百施設の点検については、令和三年九月末時点で二八%を完了しており、年度末には四八%を完了する予定であります。
 また、給水所及び多摩地区の浄水所等の約五百施設の点検については、令和三年九月末時点で一三%を完了しており、年度末には二九%完了する予定であります。
 点検の実施に当たっては、沈殿池等の内側のコンクリートの状態を調査するため、作業員が施設内部に入ることができるよう、施設を停止し排水する必要があることから、安定給水を確保するための工夫が求められます。

○石島委員 現在の点検状況及び課題については理解しました。
 安定給水を確保しながら、浄水場では、千三百施設にも及ぶ施設の点検を実施するため、効率的な点検が必要となります。
 そこで、効率的に点検を進めるための対策についてお伺いします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 安定給水確保のためには、施設の機能停止の期間短縮や、停止しない点検方法などの工夫が必要であります。
 停止期間の短縮を図るためには、固定カメラやドローンを活用した画像解析等の新技術の導入が有効であります。
 これらの新技術は、既に一部の施設において活用して調査を実施しており、これにより、施設停止期間の短縮が図られるほか、作業の安全性も向上しています。
 また、停止が困難な施設については、同時期に施工された類似施設の調査結果の準用や、施設の外側から簡易的な調査を行うことにより、施設の健全性を推定し、適切な維持管理に努めてまいります。

○石島委員 効率的な点検に取り組んでいることは理解しました。しかし、点検結果をどのようにして施設の維持管理に生かしていくかが重要となります。
 そこで、浄水場における点検実施後の対応についてお伺いします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 施設の状態を良好に保つためには、定期的な点検と適切な補修が必要であります。
 そのため、点検結果により判明した施設の劣化状況を踏まえて健全度を評価し、次回以降の点検時期を定め、定期的に点検を行っていきます。
 また、施設の劣化状況、供用年数及び重要度を考慮して、浄水場においては、令和四年度に補修計画を策定し、令和五年度以降、順次補修を行い、施設の長寿命化を図ります。
 さらに、点検時に維持管理上支障となる損傷が確認された場合には、速やかに補修を実施し、施設の健全性を確保してまいります。

○石島委員 予防保全型管理の具体的な取組については理解しました。
 今後、予防保全型管理を確実に実施し、施設の適切な維持管理を行うことで、信頼性向上と安定給水の確保を図ることを要望させていただきます。
 次に、施設整備の具体的な取組についてお伺いします。
 河川から取水した原水を浄水場に送る導水施設は、まさに水道の入り口ともいうべき重要な施設です。首都直下地震の切迫性が指摘されていますが、この水道システムの根本となる導水施設が被災した場合には、浄水場が停止し、広域的な断水につながるおそれがあります。
 震災時においても水道システムが機能するためには、浄水場や配水管はもとより、導水施設の対策も同様に重要となります。
 そこで、水道局が進めている導水施設の二重化の取組と効果についてお伺いします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局ではこれまで、災害や事故時等のほか、既存導水施設の更新時におけるバックアップ機能の確保を目的として導水施設の二重化を推進しており、令和二年度までにおおむね八割の二重化が完了しています。
 令和三年三月に策定した東京水道施設整備マスタープランでは、導水施設の二重化として、東村山境線や第二朝霞引入水路、第二三園導水管などを整備することとしており、現在は、東村山境線の工事を実施しています。
 これらの施設整備を着実に進めることにより、給水の安定性を向上させていくこととしています。

○石島委員 導水施設の破損は断水に直結するため、二重化は非常に重要な事業です。現在工事を進めている東村山境線の整備についても、着実に進めていくことが必要となります。
 そこで、東村山境線の整備状況についてお伺いします。

○田中建設部長 東村山境線は、境浄水場に原水を送る既設の導水管である第一村山線の二重化のために整備するものでございます。
 整備内容は、シールド工法により築造するトンネル内に導水管を新設するものであり、全長約十一キロメートルを四つの区間に分けて施工することとしております。
 平成二十八年度より、トンネル築造のための立て坑工事に順次着手し、令和元年度からは、シールド機械の製作等を行い、現在は、三つの区間においてトンネル築造工事を実施しております。
 今後は、令和八年度の完成に向けて、トンネル内配管工事等を着実に推進してまいります。

○石島委員 導水管を二重化する重要な事業であることから、安定給水を確保するために、今後も着実に整備を進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、耐震継ぎ手化についてお伺いします。
 導水管の二重化により、浄水施設までのバックアップ機能が向上することは理解しました。安定給水の確保は、浄水場から各地域に水を送るための配水管の安全度が高まって初めて水道システムとして機能します。その意味で、配水管の役割は大変重要となります。
 都議会自民党はこれまでも、首都直下地震に備え、地震に強い水道を構築するため、配水管の耐震継ぎ手化の重要性を繰り返し主張してきました。
 今さら申し上げるまでもなく、大規模震災時での給水確保は、都民生活を守るために極めて重要であり、このために配水管の耐震継ぎ手化を着実に推進する必要があります。
 そこで、現在の配水管耐震継ぎ手化の進捗状況についてお伺いします。

○藤村給水部長 令和三年度予算における配水管の耐震継ぎ手化の整備計画延長は約三百七十キロメートルであり、令和三年度末における耐震継ぎ手率は四八%となる見込みでございます。
 このうち、優先的に進めている避難所や主要な駅などの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化は、令和二年度末までに八九%完了しており、三年度に約八十一キロメートルを整備することにより九五%となる見込みでございます。

○石島委員 配水管の耐震継ぎ手化の取組については、先日の令和二年度公営企業会計決算特別委員会の分科会におきましても、我が会派から質疑を行い、事業を進める上での課題、その解決に向けた取組について確認したところです。
 重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化は喫緊の課題であり、震災対策上、前倒ししてでも早期の完了を目指すべきです。令和三年度の事業執行、さらには令和四年度の事業完了を見据え、あらゆる手を尽くしてほしいと考えます。
 そこで、事業を計画どおりに進めていくためのより効果的な取組として、さらに具体的な方策があるのか、改めてお伺いします。

○藤村給水部長 事業を計画どおり進めていくためには、施工時に発生する課題に対して、短期間で解決することはもとより、工事の設計段階から施工時に予想される課題を見通し、事前に必要な方策を講じていくことが重要でございます。
 具体的には、施工上の配慮が必要となる繁華街や大型商業施設などと、施工時期や時間、工法等について、設計の段階から関係者との協議を開始しております。
 また、関係部署内での情報共有をより密に行い、地元からの申入れによる施工内容の変更など、現場状況の変化に柔軟に対応できるようにしております。
 こうした取組により、結果として施工中に埋設物のふくそうなど技術的な課題が生じた場合も、対応の検討に十分な時間的余裕が生まれ、円滑な施工が可能となります。

○石島委員 事前に必要な方策を講じていくことは非常に重要なことです。令和四年度での事業完了という目標を達成するため、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化に全力を尽くしていただくよう要望させていただきます。
 次に、私道内給水管整備についてお伺いをします。
 震災時の給水確保には、配水管の耐震継ぎ手化とともに、給水管の耐震化も重要です。
 都議会自民党はこれまで、配水管の耐震継ぎ手化とともに、避難所や私道内の対策を進めるよう主張してきました。避難所の給水管の耐震化は、昨年度で全て完了したと聞いています。
 一方、水道局では、平成六年度から、私道内に複数の給水管が布設されている場合、漏水の未然防止等の観点から給水管を整理統合する事業を実施してきました。その後に起きた東日本大震災では、都内で私道内の給水管の被害が多かったと聞いており、今後発生が懸念される首都直下地震のリスクを考えても対策が急務です。
 そこで、私道内の給水管の震災対策について、これまでの取組をお伺いします。

○藤村給水部長 東日本大震災における給水管の被害三百三十一件について、材質を分析したところ、ステンレス鋼管以外の給水管で多くの被害が確認されました。
 このため、当局は、ステンレス鋼管以外の給水管が多く布設されている私道において、給水管の交換が震災対策に有効と判断しました。
 こうしたことを踏まえ、平成二十四年度から、約二千六百キロメートルとなる全ての私道を対象として、耐震性能を有する配水管やステンレス鋼管の給水管の布設を進めております。
 その結果、令和二年度末の累計整備延長は千二百四十三キロメートルとなり、私道内給水管耐震化率は四八%となりました。

○石島委員 私道内の給水管の耐震化は、まだ道半ばです。本事業は大変重要であり、計画的かつ確実に取り組んでいく必要があります。
 そこで、本事業の課題と今後の取組についてお伺いします。

○藤村給水部長 私道内の給水管耐震化工事は、私道の所有者全員の承諾を得る必要がありますが、所有者が当該場所に住んでおらず、連絡先などが不明なため特定が困難な場合もあります。
 このため、所有者の特定に向け、登記簿調査や現地での聞き取りなど、地道な調査を進めてまいります。
 また、施工に当たっては、所有者に加え、近隣住民の理解と協力が不可欠でございます。
 このため、所有者と近隣住民の双方に対し、より分かりやすく丁寧な説明を行い、円滑な施工に努めてまいります。
 こうした取組を進め、東京水道施設整備マスタープランに掲げる令和十二年度末の私道内給水管耐震化率六七%の達成に向けて、計画的に事業を推進してまいります。

○石島委員 私道内給水管の耐震化は重要な事業であることから、震災時の給水確保のために、今後も着実に整備を進めていただくことを要望させていただきます。
 ここまで、施設整備の考え方や具体的な取組について確認し、安定給水の確保に向けて、それぞれの事業を計画的かつ着実に推進することを要望してきました。
 最後に、将来にわたる安定給水確保に向けた水道局長の決意をお伺いいたします。

○浜水道局長 都の水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインであり、安全でおいしい高品質な水を安定して供給していくため、着実に施設整備を進めてまいりました。
 先月七日に発生した地震では、都内でも十年ぶりに震度五強が観測されましたが、区部の一部で漏水が発生したものの、管路等への被害はなく、断水も発生しませんでした。これは、これまで進めてきた耐震継ぎ手化などの施設整備の効果が発揮されたものと考えております。
 しかし、施設整備は、震災対策だけではなく、近年激甚化する風水害や気候変動によるリスクへの対応はもとより、過去に集中的に整備してきた浄水場の更新などのため、引き続き着実に推進していく必要がございます。
 当局では、本年三月に、施設整備の基本計画として具体的な取組と十年後の整備目標を定めた東京水道施設整備マスタープランを策定し、これに掲げた取組を計画的に推進していくこととしております。
 今後とも、水道事業者の使命である安定給水を確保していくため、水道事業に影響を及ぼす新たな課題にも対応しつつ、強靱で持続可能な水道システムを構築してまいります。

○石島委員 将来にわたる安定給水確保に向けた決意を改めてお伺いさせていただきました。
 これまでの着実な取組に加えて、東京水道施設整備マスタープランに掲げた取組を計画的に進められ、都民生活や都市活動を支えるために、安定給水の確保に向けて一層のご努力をいただくことを要望させていただき、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○保坂委員 それでは、よろしくお願いします。
 私からは、まず、水道サポーター制度について質問をいたします。
 東京水道経営プラン二〇二一では、水道局は、顧客ニーズをより丁寧に酌み取ることで、今後の水道事業に生かしていくため、今年度より、水道サポーター制度の実施を計画しております。
 水道局はこれまでも、アンケートや東京水道あんしん診断などを通じて、こうした顧客ニーズを把握する取組をされてこられました。
 民間企業においても、商品、サービス向上のために、常にお客様のご意見をいただくことは大変重要であり、その手法については様々であります。また、どの程度手間やコストをかけるのかも企業によって様々であり、答えはないと思っております。
 それだけに、どこをゴールにするのかをあらかじめ定めて、計画に沿って進めていく中で、毎年PDCAを繰り返し、その精度を上げていくことも重要と考えております。まさに、これまでの取組を踏まえて、次なる水道サポーター制度に生かしていくことが水道事業のさらなる発展につながっていくものと考えております。
 そこで、これまでのあんしん診断と水道サポーター制度の違いについて、まず、改めてお伺いします。

○金子サービス推進部長 東京水道あんしん診断は、平成二十七年度から令和元年度までの五年間で、全ての水道利用者宅を個別訪問の上、漏水調査や水質調査、アンケート調査などを業務委託も活用して実施し、対象である約七百五十万件について調査を完了しております。
 この取組により、お客様に高品質な水道水を実感していただくことができました。
 また、お客様ニーズを把握し、事業運営に反映するとともに、局職員及び政策連携団体社員のサービスマインドの向上につながったと認識しております。
 一方、水道サポーター制度は、お客様と当局職員が対話する双方向コミュニケーションを通じて、お客様に水道事業に対する理解を深めていただくとともに、継続的にお客様の声をお寄せいただくことで事業運営に反映させることを目的としております。

○保坂委員 水道局の顧客ニーズ調査の手法は、基本、お客様との対話方式を軸に進めていくことが分かりました。対話は丁寧にやることが大前提であり、そのための手間もかかることが推察されます。
 これまでのあんしん診断は、過去五年かけて約五十七億円の費用を投じ、我が会派も幾度となくその費用対効果について指摘をしてきましたが、今回のサポーター制度のコストはどのくらいになるのか伺います。

○金子サービス推進部長 水道サポーター制度は、お客様の関心が高いテーマについて、施設見学などの体験を取り入れて当局の取組を説明し、意見交換を行う交流会を実施いたします。交流会は、お客様との直接の対話を重視するため、当局の職員が主体となって行います。
 必要となる経費は、主に交流会に必要な物品等を調達する費用であり、令和三年度の予算額は約百三十万円を計上しております。

○保坂委員 サポーター制度が、今ご答弁いただきました年間約百三十万円ということで、あんしん診断が総額五十七億円ですので、おおよそ〇・一%以下、数字だけ見れば、それだけ効率よく顧客ニーズをつかめるということなのだと思います。ただ、これはあくまで今年度からの計画であり、まだ始まっていないと伺っております。
 そこで、今年度計画していた試行の状況について伺います。
 感染リスクを考えますと、今後の計画に遅れが出るのではないでしょうか。また、感染症対策としてオンライン参加についても検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 令和三年度は、お客様の関心が高い震災対策をテーマに、区部では新宿区と目黒区、多摩地区では八王子市と西東京市の計四か所で、延べ八回の交流会を予定しております。
 当初、十月から交流会の開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により延期している状況でございます。
 新型コロナウイルス感染症が再拡大した場合にも、年度内に実施できるよう、三年度の交流会はオンラインでの開催に変更し、二月実施に向け、現在準備を進めております。

○保坂委員 オンラインでの開催を積極的に進めていくというご回答をいただきました。ぜひ、こうした時代に合った柔軟な対応をお願いします。
 その中で、顧客ニーズを探っていくという対面手法についても大事な要素であると思います。
 そこで、お客様との対面でコミュニケーションを図り、取組を行うことで期待できる具体的な効果について伺います。

○金子サービス推進部長 交流会では、実施する地域の現状に応じ、当局の事業を分かりやすく説明いたします。
 それを踏まえて、職員とお客様との対話を通じて意見や提案を伺うことにより、より深く掘り下げたお客様ニーズを把握することができます。
 いただきました意見や提案は、局内の関係する部署で共有し、積極的に事業運営に活用してまいります。

○保坂委員 サポーターとして募る参加者はどのような形で募っていくのでしょうか。幅広い意見をいただけるような工夫も必要と考えますが、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 交流会は、地域の現状に応じた双方向コミュニケーションを可能にするため、開催する地域の在住、在勤者などを対象に募集を行います。
 当局ホームページやSNSで周知するほか、様々な世代の方に参加いただけるよう、チラシを作成し、営業所等で配布する予定でございます。
 また、開催する地域の区市町にも、SNSでの拡散やチラシの配布など、募集について協力を依頼いたします。

○保坂委員 かなり工夫を凝らしての募集となることが分かりました。ぜひ期待したいと思います。
 そこで得られた顧客ニーズという貴重な情報をどう活用していくかについても、大変重要ではないでしょうか。顧客に近い位置にいる現場との共有も積極的に行っていただきたいと思います。
 そこで、現場を担う政策連携団体とも連携し、この制度で得られる顧客ニーズを共有することも必要と考えますが、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 当局と政策連携団体との一体的な事業運営を推進するため、水道サポーターからの意見や提案は、東京水道株式会社と積極的に共有してまいります。

○保坂委員 顧客ニーズは、水道局や政策連携団体だけで共有するのではなくて、関係機関など、より幅広く共有することで水道事業サービスがさらに向上できると考えます。
 そこで、地元自治体とも連携することで、自治体にも、得た情報を共有するなど、より一層の実施効果が生まれると考えますが、いかがでしょうか。

○金子サービス推進部長 令和三年度の交流会のテーマである震災対策につきましては、区市との連携も重要と認識しております。
 そのため、交流会を開催する地域の区市に対しましては、各区市の防災に関する取組の説明と意見交換への参加を働きかけております。

○保坂委員 地元自治体も巻き込んでいくということで、自治体の防災力強化にもつながることに大いに期待をしたいと思います。
 令和七年度までの計画の中で、その手法についても、PDCAを繰り返すことでお客様の声をより的確に捉えていただけるよう、ブラッシュアップにも努めていただきたいと思います。
 また、サポーター制度の途中経過を通じて、サービス向上にいかに取り組んでいるかについても都民に広く周知していただきたいと要望して、次のテーマに移ります。
 続いて、ドリンキングステーション事業について何点か伺ってまいります。
 水道水の飲料と環境に配慮した取組の推進として、これも大変重要な事業であると認識しており、私自身も推進をしてまいりました。
 これまでの都の施設を中心に設置している飲み口型から、最近では、ペットボトルにも対応する環境配慮型のシンボリックなドリンキングステーションを都内に設置拡大しており、私も利用させていただいております。
 昨年度に、地元上野、浅草にもドリンキングステーションを設置していただき、地域の方々や観光客らも大変多く利用していただいており、東京水が広く受け入れられていることを実感しております。
 今後、区部三か所、多摩地域三か所に設置予定とのことですが、現在のシンボリックなドリンキングステーションの設置状況についてを伺います。

○金子サービス推進部長 当局ではこれまでに、シンボリックなドリンキングステーションを、東京国際フォーラム、浅草文化観光センター、恩賜上野動物園、東京芸術劇場、東京観光情報センターバスタ新宿の五か所に設置してまいりました。
 令和三年度は、新たに、区部、多摩地区にそれぞれ三か所ずつ、合計六か所にドリンキングステーションを設置することとしており、これにより、計画しているシンボリックなドリンキングステーションの設置は終了いたします。
 この六か所の設置場所は、来場者数のほか、公共性や維持管理等の観点から選定し、現在、設置を予定している施設の管理者と、協定内容や具体的な設置場所等の調整を行っております。

○保坂委員 これからについては、まだ先方との調整段階ということで、施設名などの公表はできないとのことですが、分かり次第、都民に速やかに周知していただくよう求めます。
 私は、東京二〇二〇大会での水道水の積極PRを求め、テストイベントで実施をいただきましたドリンキングステーション設置などで、ある程度よい感触を抱いておりましたが、残念ながら、本大会は無観客となり、その効果がどこまで得られたのか分かりません。メディアなどでも取上げられたことは記憶しております。
 そこで、ドリンキングステーションを設置した選手村での東京水のPR活動と利用者の反応について伺います。

○金子サービス推進部長 東京二〇二〇大会では、選手、関係者やボランティア等、大会運営スタッフが多く行き交うメインダイニング前をはじめ、選手村内に合計二十六台のドリンキングステーションを設置いたしました。
 ここでは、ドリンキングステーションと同じ切り子柄のユニフォームを着用した職員を配置し、高品質な東京の水道水をPRするとともに、利用状況についてモニタリングを行いました。
 この結果、一日平均約三千七百人の選手やボランティア等運営スタッフに東京の水道水をお飲みいただきました。
 多くの利用者から、おいしい、本当に生き返る、試合も頑張っていきますとか、臭いがなくて気に入っているなどの声をいただき、リピーターも多く、非常に好評でありました。

○保坂委員 飲まれた方々が東京水のおいしさを十分実感していただいたということが分かりました。世界にも通用する東京水は都民にとって本当に誇らしいと思います。
 こうした選手や大会関係者らの反応を参考にして、東京二〇二〇大会のドリンキングステーションもレガシーとして活用していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○金子サービス推進部長 選手村に設置したドリンキングステーション二十六台のうち六台につきまして、様々な場所に持ち運んで利用できるように改造しております。
 今後、新型コロナウイルス感染症が終息した際には、イベント等でこの六台を仮設のドリンキングステーションとして活用し、高品質な東京の水道水の飲用と環境配慮行動を促進していく予定でございます。

○保坂委員 ドリンキングステーションの改造版、移動持込みができるということが大変な強みでもありますので、要望があれば、都内自治体のイベントなどにも積極的に協力していただきたいと要望します。
 ドリンキングステーションの日々の維持管理ですが、普段どのように行っているのでしょうか、改めて伺います。

○金子サービス推進部長 シンボリックなドリンキングステーションは、適切に維持管理をするため、施設管理者の協力の下、施設の営業時間内に稼働することとなっております。
 維持管理につきましては、当局と施設管理者との間で協定を締結し、清掃などを含め、役割分担を定めております。
 この協定に基づき、施設管理者が、毎営業日、本体外面の清掃とともに、冷たい水が出ることなどの状況確認を行っております。
 当局は、その経費を負担するとともに、年に一度、機器の定期点検を実施しております。

○保坂委員 今、時期が時期なだけに、衛生管理などは気にされるところでもあります。
 今のご回答で、十分対応していただいていることが分かりましたので、その取組をより積極的に利用者や都民にPRしていただくよう要望します。
 私の地元の台東区浅草文化観光センターや、東京国際フォーラムにあるシンボリックなドリンキングステーションですが、非常時の活用について都民から質問を受けることが多々あります。
 都心部の帰宅困難者などへの水道水の提供は大変有効であると考えますが、非常時の活用について伺います。

○金子サービス推進部長 施設を管理している台東区の浅草文化観光センターや、東京国際フォーラムの運営体制にもよりますが、電気と水道が供給されており、ドリンキングステーションが利用可能な状態であれば、冷却されていて、より飲用に適した水がご利用いただけます。

○保坂委員 非常時の帰宅困難者への水道水の提供は大変ありがたいです。おいしい水道水を、飲みたいときいつでも飲めるという強みを生かして、今後も、より多くの方に利用していただける環境をつくっていただきたいと要望して、次のテーマに入ります。
 続いて、水道局の災害対策について伺ってまいります。
 先月十月七日の夜、千葉県を震源とする地震で、都内では足立区で最大震度五強の強い揺れが観測されたことは記憶に新しいと思います。私は台東区ですが、この強い揺れにおいて大変恐怖を感じました。
 水道水は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹インフラとして、いかなるときもその供給を止めてはならない宿命を背負っており、そのための不断の努力に敬意を表するところでもあります。
 そこで、水道水供給には、供給元の浄水場施設での電力エネルギー確保が大前提となるという視点から何点か確認していきたいと思います。
 まず、各浄水場の常用発電設備の整備に当たっては、環境負荷の低減にどのように取り組んでいるのか伺います。

○岩崎設備担当部長 当局では、常用発電設備の整備に当たりましては、燃料として、灯油や軽油と比べ二酸化炭素の排出量が少ない都市ガスを採用しております。
 また、令和四年度中の完成に向け、常用発電設備を整備中である三郷浄水場では、コジェネレーションシステムを導入し、ガスタービンの排熱を有効利用することで、エネルギー効率を向上させてまいります。
 さらに、今後整備する他の浄水場では、新たに開発された、より発電効率の高いガスエンジンを採用いたします。
 これらの取組により、環境負荷の低減に努めてまいります。

○保坂委員 こうしたエネルギーの地産地消は、大変な環境負荷がかかるからこそ、しっかりと最新の技術を取り入れた設備を導入され、環境負荷の低減に努めるという姿勢を確認することができました。
 非常時にも活躍が期待される発電設備がしっかりと稼働しなければ、絵に描いた餅になってしまいます。特に台風や豪雨による浸水対策を確認するため、我が会派はこれまでも、各施設を視察させていただいております。
 そこで、浸水が想定される区域に設置予定の発電設備への浸水対策について伺います。

○岩崎設備担当部長 当局では、浸水被害が生じるおそれのある水道施設に対して、浸水対策を実施し、災害対応力を強化してまいりました。
 水道施設の運転には電気は欠かせないものであり、浸水が想定される区域での発電設備の設置に当たっても、浸水被害の想定に合わせて、施設ごとに地盤のかさ上げや防水壁及び防水扉の設置などの浸水対策を実施いたします。

○保坂委員 浸水対策が発揮できますよう、日常の訓練もしっかりと実施していただくようお願いします。
 自家発電設置には時間もコストもかかることから、設置計画では、先日視察しました三郷浄水場の設置工事が来年度完了し、その他も順次整備工事を進めていくこととしています。
 現時点で、自家発電設備の整備が完了していない施設が停電した場合の対応について伺います。また、非常時の安全性についても、都民により積極的にPRすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○岩崎設備担当部長 当局では、大規模停電時や電力使用が厳しく制限された場合においても、給水区域内で一日に必要とされる計画配水量が供給できるよう、自家用発電設備を整備することとしております。
 自家用発電設備の整備が完了していない施設が停電し給水量が不足する場合には、送配水ネットワークを活用して他の施設からバックアップを行うことなどにより、給水を確保することとしております。
 こうした電力確保を含む災害対策については、現在、ホームページやツイッターなどで広報しており、今後も、都民の皆様に安心していただけるよう、広報に取り組んでまいります。

○保坂委員 非常時の浄水場の対応について理解できました。都民への周知も様々な場面で発信していただきたいと思います。
 続いて、水道管の耐震化について確認していきたいと思います。
 先月、都内で発生しました最大震度五強の地震では、断水は生じませんでしたが、都内二十三か所で漏水が発生しました。そのうち、二十二か所の漏水原因は、水道管に附属する空気弁の不具合によるものとのことであります。
 今回の地震で、空気弁の不具合により発生した漏水への対応と今後の課題について伺います。

○藤村給水部長 空気弁は、水道管に附属し、管の中にたまる空気を排出するなど、管路を維持管理する上で重要な設備でございます。
 今回の漏水では、空気弁本体に損傷はなく、補修用の弁の操作により、速やかに止水が完了しました。
 現在、漏水が発生した全ての空気弁について、製造メーカー等に対して、詳細な原因の分析を依頼しております。
 今後、判明した原因に応じて適切な対策を検討してまいります。

○保坂委員 迅速な対応、本当にお疲れさまでした。課題分析を早急に進めていただき、次なる大きな地震に備えていただきたいと要望します。
 ますます大地震の発生が懸念される中で、断水率が高い取替え優先地域の配水管の耐震継ぎ手化を前倒してでも急ぐ必要があると考えます。認識と対策を伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、粘り強く、強度の高いダクタイル鋳鉄管への取替えをほぼ完了し、現在、抜け出し防止機能を有する配水管の耐震継ぎ手化を推進しています。
 全ての配水管を耐震継ぎ手化するには長期間を要することから、まずは、震災時にも給水を確実に確保しなければならない重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を最優先に進めています。
 重要施設のうち、首都中枢機関や救急医療機関等への供給ルートはおおむね完了し、現在は、避難所や主要な駅等へのルートを重点的に耐震継ぎ手化しています。
 こうした取組は、地域の断水率の低減にもつながっており、断水率の高い取替え優先地域は、平成二十二年度末時点の十三区十五市町から、令和二年度末時点では、七区八市まで減少しております。
 引き続き、令和三年三月に策定した東京水道施設整備マスタープランに基づき、耐震継ぎ手化に取り組んでいくこととしています。

○保坂委員 非常時の確実な電力確保から、環境負荷対策、水道管の耐震化など、コストも時間もかかる大変な事業ではありますが、計画どおり遅れることのないよう、着実に進めていただくことを求めて、次のテーマに移ります。
 最後になります。スマートメーターについて幾つか伺ってまいります。
 デジタル化の促進によるお客様サービスの向上と業務効率は、我が会派も推進している大きなテーマです。これまでのキャッシュレス決済導入にとどまることなく、さらなるデジタル化を進めていく中での大きな局の柱となるのが、これまでの検針員の代わりとなるスマートメーターであります。それにより、料金徴収だけでなく、漏水や蛇口の閉め忘れなどの異常水量の早期発見など、さらなる顧客サービス向上にも期待が持たれております。
 令和六年度までの都内全域導入、その先の都内全戸導入に向けての取組計画が今年度より始まっております。
 そこで、来年度からのスマートメーター先行導入について、準備状況をまず伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 令和三年四月、メーターの設置場所や発注計画など具体的な取組内容を定めた水道スマートメータトライアルプロジェクト推進プランを策定いたしました。
 本プロジェクトでは、まず、既存の電子式メーターに専用の通信機器を接続する分離型のスマートメーターを設置することとしており、本年四月に通信機器の契約を締結するとともに、電子式メーターについても年度内に発注する予定でございます。
 あわせて、メーターの設置手順やデータ受信基盤の整備、自動検針における業務フローの検討など、令和四年度からのスマートメーター設置に向けて着実に準備を進めております。

○保坂委員 今年度発注されておりますスマートメーター本体については、今後の本格導入に向けて大量発注が実現すれば、スケールメリットなどで価格が安くなっていくと聞いております。ただ、初期段階では、それなりの負担が必要になってくることも考えざるを得ません。
 スマートメーターの単価はどのくらいか、また、費用負担は水道局が行うのか、まず伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 既存の電子式メーターは、一般家庭用のもので約七千円であり、これに接続する専用の通信機器は、本年四月の発注実績で三千四百二十五円から六千三百七十円でございます。
 これらのメーター購入費や設置費については、水道局が全額を負担いたします。

○保坂委員 スマートメーターに関わる経費は水道料金に影響を与えるのか伺います。

○石井総務部長 当局では、令和二年七月に策定した東京水道長期戦略構想二〇二〇において、スマートメーターに関わる経費も含めた令和四十二年度までの財政収支を推計してございます。
 推計では、不断の経営努力や企業債の発行余力を活用することで、現行の料金水準をできる限り維持し、長期的に持続可能な財政運営を行うことができると見込んでおります。

○保坂委員 今の答弁から、水道局の不断の経営努力により、スマートメーターに関わる経費は水道料金に影響はないということを確認しました。今回は、その経営努力について、時間の関係上できませんが、計画以上の効果が生まれることを期待しています。
 次に、メーターの発注で、今年度初回の発注分三・二万個が四月に実施されたとのことですが、状況を伺います。

○藤村給水部長 トライアルプロジェクトで設置する十三万個のスマートメーターのうち、令和四年度に設置するスマートメーターは三万二千個でございます。
 このうち、メーターと接続する通信機器の購入について、本年四月に契約しました。
 発注に当たって、幅広い業種の入札参加を促すため、メーターと通信機器とを分離し、複数案件に分割して発注した結果、六者が入札に参加、三者が落札いたしました。

○保坂委員 幅広い業種の入札参加は大変重要だと考えます。
 これだけの数の水道スマートメーターを導入することは、ほかに事例のない初めての取組であり、多くの企業が関心を示すことで、価格はもちろん、様々な特色ある商品が生まれるなど、将来的にもプラスに作用することが期待されます。
 今回のトライアルプロジェクトで期待される効果を伺います。また、それによる効果検証を定期的にこの議会にも共有し、議論しながら進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 スマートメーターの導入により、現地を訪問せずに検針を行うことが可能になるとともに、より詳細な水道の使用状況を把握することができます。
 また、本プロジェクトでは、配水小管にもスマートメーターを設置することとしており、配水管内の水圧などを詳細に把握することが可能となります。
 この結果、漏水や蛇口の閉め忘れなどの早期発見や水道使用状況の見える化など、お客様サービスが向上するとともに、検針、水量算定業務の大幅な効率化が可能となります。
 また、水道使用実態の詳細を把握することで、配水管の口径などの施設規模の最適化や管路の維持管理業務の効率化、災害、事故発生時の危機管理能力の向上などの効果も期待できます。
 今後、トライアルプロジェクトの中でこれらの効果について検証を行い、検証結果は広く共有してまいります。

○保坂委員 デジタル管理により、遠隔で現場のトラブルを察知し速やかに対応できるというのは大きなメリットであります。トライアルでの情報共有は大変重要ですので、議会も含め、関係各所一丸となり進めていける環境整備も求めます。
 スマートメーター設置など、政策連携団体との連携について、役割分担を伺います。

○藤村給水部長 スマートメーターは、水道メーターの交換時期や使用開始申込み時、給水装置の新設工事等に合わせて設置していきます。
 現在、水道メーターの交換や設置の際の工事監督等は、政策連携団体である東京水道株式会社が担っており、スマートメーターについても同様の役割分担を想定しております。

○保坂委員 政策連携団体からのフィードバックなども常に共有し、東京水道グループ一丸となって進めていただきたいと要望します。
 利用者と局がデジタルでつながることは、利用状況以外にも、サービス向上に向けても大きな役割が期待できますが、その要となるアプリの開発状況と事業者の選定の状況を伺います。

○金子サービス推進部長 当局では、現在、水道の使用開始、中止の申込みや料金の支払いなど、多様な機能を有するスマートフォンアプリを開発しており、令和四年度中の運用開始を目指しております。
 このアプリにより、スマートメーターから取得した情報をお客様へ提供することも可能となります。
 開発に当たっては、ICTに関する専門的な知見や技術力が必要であることから、外部有識者を含む専門委員会を設置し、総合評価一般競争入札で開発事業者を決定いたしました。
 現在、アプリに搭載する機能や操作性、セキュリティ対策の設計に取り組んでおり、令和四年度は、この設計に基づきアプリを作成する予定であります。

○保坂委員 ぜひ、試作版ができましたら我々にも共有いただきたいですし、都民に対しても、これだけ進んでいるということを広報いただければ、都民の期待も高まると思いますので、よろしくお願いします。
 アプリの中で、利用者への情報発信も期待できると考えますが、見解を伺います。例えば、災害時の情報提供など、オンタイムでの利用者への発信などはかなり有効な手段と考えますが、いかがでしょうか。

○金子サービス推進部長 開発中のスマートフォンアプリは、スマートメーターから取得した使用水量等のデータをお知らせするだけではなく、当局からお客様への情報発信のツールとして活用することを予定しております。
 イベントの開催告知などのほか、事故等が発生した場合には、断水や濁水等の情報をお客様に発信することを検討しております。
 また、災害時には、お客様に水をお配りする災害時給水ステーションの開設状況等も発信する予定でございます。

○保坂委員 この利用者の中には外国人の利用者もおりますので、多言語対応なども必要だと考えますが、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 国際都市東京におきましては、外国人が暮らしやすい環境を整備することも重要でございます。
 そのため、アプリにおきましても多言語対応が必要であると認識しており、導入に向け検討してまいります。

○保坂委員 今、多言語対応も検討するとの前向きな答弁をいただきましたので、ぜひ遅れることのないよう、お願いをいたします。
 続いて、集約されるビッグデータの取扱いについて、情報管理をしながらも、一般への提供も含めて広く活用されるべきだと考えますが、見解を伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 スマートメーターの導入により、検針データは、これまでの二か月に一回から、一時間ごとのデータを一日一回取得することが可能となり、データ量は大幅に拡大いたします。
 データの活用に当たっては、個人情報保護の観点から慎重な対応が必要ではございますが、社会全体での活用が期待できます。
 今後とも、都庁各局や他のインフラ企業などと連携し、活用策を模索してまいります。

○保坂委員 ぜひよろしくお願いします。
 最後に、スマートメーターをはじめとするデジタル技術を活用した都の水道事業のさらなる発展に向けた、浜水道局長の意気込みを伺います。

○浜水道局長 都の水道事業ではこれまで、時代に合わせた施策を推進し、現在では、水道の根源的使命である安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現しております。
 一方、人口減少等に伴う料金収入の減少や、気候変動による自然災害の多発などが懸念され、また、デジタル技術の活用が求められるなど、都の水道事業を取り巻く環境は、かつて経験したことのない新たな局面にございます。
 こうした状況を踏まえ、デジタル技術の活用によってアナログ環境からの転換を図り、事業運営の仕組みを抜本的に見直すことは極めて重要と認識しております。
 このため、社会情勢の変化や都民ニーズに合わせて、スマートメーターやお客様総合アプリの導入など、デジタル化をより一層推進してまいります。
 こうした取組により、お客様サービス向上と業務の効率化を図り、お客様とつながり信頼される水道を実現してまいります。

○保坂委員 今、浜局長から大変力強い決意というか、並々ならぬ意気込みを述べていただきました。それだけ、水道局にとりましても、水道事業の次世代を担っていく柱となるのがまさにスマートメーター事業であるということであります。
 こうしたデジタル化の積極的な取組により、都民生活もさらに向上していくことを強く確信しておりますので、推進する立場として常に注視してまいりますことをお誓い申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○小林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 人間にとって絶対に欠くことのできない水をどう確保し利活用していくかは、人類の歴史においても重要な課題の一つであったと思います。
 東京都水道歴史館のホームページで東京における水道の沿革を見ますと、徳川家康が豊臣秀吉によって関東への国替えを命じられた一五九〇年、天正十八年に、後の神田上水となる小石川上水の開設の伝承から始まっておりました。その後、江戸時代を通じ、玉川、亀有、青山、三田、千川の各上水が相次いで開設された歴史を経て、明治二十一年より、東京近代水道創設に向けて具体的な取組が始まり、今日に至っております。今や、各家庭であって当たり前に水道が引かれていますが、先人の知恵と努力によって築かれた水道の歴史、さらに、ここ東京における安定的な水道事業を担っている水道局の皆さんに、改めて敬意を表しまして、質問をさせていただきます。
 初めに、水道施設の適切な管理と長寿命化についてお伺いをいたします。
 構造物における長寿命化の取組、予防保全型の維持管理については、十年以上前から、国土交通省などを中心に議論されていると認識をしております。東京都においても、建設局や交通局などにおいて、既に予防保全型の管理の取組を進めております。
 水道局では、本年三月に策定された東京水道経営プラン二〇二一において、今年度よりその取組が開始されたとのことですが、今回、水道局として、予防保全型管理を打ち出した経緯についてお伺いをいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局ではこれまでも、アセットマネジメントとして施設の状態を把握し、適切な補修及び更新を実施することにより、施設の効率的な管理運営に取り組んできております。
 こうした中、都の人口は、令和七年をピークに減少に転じ、これに伴う料金収入の減少が見込まれるため、高度経済成長期に整備した大規模浄水場等の施設をより効率的に更新していくことが必要であります。
 このため、長期的な視点に立って、東京水道が目指すべき将来の姿と、その実現に向けた取組の方向性を示した東京水道長期戦略構想二〇二〇を令和二年七月に策定し、施設の長寿命化等に向けて予防保全型管理に取り組むこととしました。

○小林委員 かつて私は、建設局における橋梁、また、交通局におけるトンネルの予防保全型管理について、委員会でも質問をさせていただきましたが、水道施設においては、水道事業を止めることなく、効率的にその取組をしていかなければならないと思います。
 施設の点検に当たっては、施設の停止、また排水をする必要があり、その対応については、先ほど石島委員の質疑の中で、施設の停止期間の短縮を図るために新技術を導入していくということ、また、停止が困難な施設については、施設の健全性を推定する取組を行うなどの答弁がございましたので、質問は割愛をいたしましたが、長寿命化は、安全面の確保、財政的な課題解決、効率的な維持管理という観点からも大変大事な取組であると思いますので、引き続きの推進をお願いしたいと思います。
 次に、給水所についてお伺いします。
 先ほどのご答弁によれば、将来の東京都の人口は令和七年にピークを迎えた後、減少に転じると予測されておりまして、今後は、施設のダウンサイジングが見込まれます。
 しかし、区によっては令和七年以降にも人口が増加する地域があり、施設の中でも給水所は、平時はもとより、非常時の応急給水の要として、地域の住民に水を配る重要な役割を担う施設であり、全ての施設を一律にダウンサイジングすればよいというものではないと考えます。
 本年三月に策定された東京水道経営プラン二〇二一では、給水所の取組についても触れられていますが、給水所の新設、拡充の考え方について見解をお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 これまでの給水所の整備により、都内全体の給水の安定性は向上してきました。
 しかし、水道需要に対して配水池容量が不足する地域や、配水区域が広大な地域が一部で存在しています。こうした地域では、災害や事故時に断水等の影響が広範囲に及ぶおそれがあります。
 そこで、給水所の新設や拡充を進めるに当たっては、地域の水道需要の動向を踏まえた上で、配水池容量や配水区域を適正な規模とし、給水の安定性を一層向上させてまいります。

○小林委員 給水所では、地域との一体性を踏まえて、施設の一部を様々な用途に活用している事例も仄聞しておりますが、給水所の上部を利用した活用事例についてお伺いいたします。

○金子経理部長 給水所の上部利用につきましては、局事業への影響を十分に踏まえた上で、用地取得時や整備工事などにおける条件や経緯、地元自治体からの要望などを総合的に勘案し、使用許可等を行っております。
 給水所の上部利用につきましては、民間企業に駐車場として貸し付けるほか、地元の区市に公園や運動場などの公共施設として使用を認めております。

○小林委員 安定した給水を行っていくための給水所の新設、拡充、また更新は、今後も計画的に推進していただきたいと思いますが、給水所の上部利用については、先ほどご答弁にもありましたとおり、本来の事業への影響を十分に踏まえつつ、できる限り地域において有効利用できるよう、関係各所への情報提供や協議を積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、東京の水道水の広報についてお伺いいたします。
 東京の水道水は、高度浄水処理技術の活用によって、安全で高品質、世界でもトップレベルのおいしさを誇るといっても過言ではないと思います。我が家も、水道水をポットに入れて冷蔵庫で冷やして毎日愛飲をいたしておりますが、ミネラルウオーターにも負けず劣らずのおいしい水であると思っております。
 水道局は、従前は、ペットボトル「東京水」を配布し、その水道水の品質のPRをしており、大変好評だったと認識をしております。私も、都政報告などで「東京水」の話をすると、皆さんも大変関心を持って聞いてくださり、どこで買えますかなどの問合せもしばしばいただいたところであります。
 しかし、世界的なプラスチック削減の潮流、そして、都庁プラスチック削減方針を踏まえて、ペットボトルによらない環境に優しいライフスタイルを促進していく流れを受けて、ペットボトル「東京水」の製造販売を終了したと伺いました。
 世界に誇る東京水でもありますので、ペットボトルの「東京水」が終了後も、高品質な水道水をPRしていくべきと思いますが、今後の取組についてお伺いをいたします。

○金子サービス推進部長 当局では、水道水のおいしさを実感していただくため、PRの手段として、ペットボトル「東京水」を活用してまいりましたが、環境配慮の観点から、ドリンキングステーションとマイボトルの利用による水道水飲用をPRする手法に転換しております。
 令和二年度は、マイボトル等で外出先においても高品質な東京の水道水を飲用する、東京スマイルボトルプロジェクトを実施するとともに、シンボリックなドリンキングステーションを浅草文化観光センター、恩賜上野動物園、東京芸術劇場、東京観光情報センターバスタ新宿の都内四か所に設置いたしました。
 令和三年度は、水道キャラバンや東京二〇二〇大会などの機会を活用し、水道水の幅広いPRを行っており、都内六か所に新たなドリンキングステーションを設置する予定でございます。
 引き続き、当局が行う様々な広報イベントなど、あらゆる機会を活用し、水道事業への理解促進を図ってまいります。

○小林委員 都民のみならず、日本が、世界が東京の水に注目するような、さらなる広報の強化にぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 また、ペットボトル「東京水」のラベルデザインの切り子柄は、ペットボトル「東京水」以外にも様々な場面で活用されており、高品質な東京の水道水のブランドイメージが定着してきたものと思います。
 今後の広報に当たっても、このペットボトル「東京水」のデザインを活用し、生かしていってはどうかと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。

○金子サービス推進部長 ペットボトル「東京水」のラベルデザインであった瑠璃色の江戸切り子のデザインは、クールな東京や水道水の品質の高さを表現しております。
 当局では、これをブランドデザインとして、これまでも、シンボリックなドリンキングステーションやPRグッズなどに活用し、東京の水道水のイメージアップを図ってまいりました。
 また、東京二〇二〇大会の選手村のドリンキングステーションやスタッフユニフォームにもこのデザインを活用し、国内外の方々から大変好評を得たところでございます。
 今後も、このブランドデザインを活用し、効果的な広報事業を展開してまいります。

○小林委員 本年三月に策定された未来の東京戦略の中で、戦略の一つとして、水と緑あふれる東京というものが掲げられております。
 この戦略は、緑を増やし、水辺を豊かにする取組でありますが、戦略という大項目として掲げられないまでも、水という視点においては、飲み水として世界に誇る東京の水の魅力、また技術の発信も、戦略の一つとして、私は意識していくべきではないかと思っておりますので、ぜひ水道局の皆様には、秘めたる思いとしてぜひとも取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、水道工事事業者の環境改善についてお伺いをいたします。
 水道事業を支える柱の一つでもある工事事業者との健全な協力関係の構築は、東京の水道水の発展のために重要であります。
 私も、地元をはじめとして、水道工事事業者の方々と水道事業の現状や課題などについて意見交換をさせていただく機会がありますが、多くの事業者の方々が、東京の水道事業の発展を願い、支えていくという誇りと使命感を持って仕事に取り組んでおられると実感をいたします。
 工事事業者の方が、その誇りと使命感を胸に安心して仕事に取り組んでいただくためには、水道局との信頼関係とともに、現場の環境改善についても配慮をしていかなければならないと考えます。
 そこで、水道局では、どのような取組を行い、どのような効果が上がって、この現場の環境改善に取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○田中建設部長 当局では、工事事業者の環境改善による担い手確保の取組として、平成二十九年八月より、若手育成モデル工事及び女性活躍モデル工事の試行を実施し、令和三年度から、試行工事の実施方法に、発注者指定型だけでなく、受注者希望型を追加して案件を拡大しております。
 また、平成三十一年一月より、土木工事の約一割を対象に週休二日制確保モデル工事を実施し、令和二年四月からは、原則全ての土木工事に対象を拡大して、週休二日制確保試行工事を実施しております。
 これらの工事を受注した工事事業者を対象としたアンケートでは、取組の必要性や有効性を実感する声や、対象拡大を歓迎する声が寄せられました。
 今後も、工事事業者の声に耳を傾けながら、工事事業者の環境改善の取組を継続してまいります。

○小林委員 今後とも工事事業者の意見によく耳を傾けていただき、共に協力し合いながら、安全な工事の施工が確保されることを強く要望いたします。
 また、工事の施工に当たっては、とりわけ都内都心部での水道工事は、交通量の多い道路を掘削する必要があり、道路の管理区分も、区道、都道、国道と分かれており、関係各所や他の企業などとの工事の調整が大切になってくるものと思います。
 局が発注した工事が、工事事業者により円滑に着手され、着実な施工を確保するためには、道路管理者との調整も重要なポイントと考えますが、見解をお伺いいたします。

○藤村給水部長 当局の管理する水道管路の大部分は道路下に埋設されており、配水管の耐震継ぎ手化をはじめとした水道管路の工事は、交通規制を伴う路上での施工となります。
 こうした工事の施工に当たっては、区市町や都、国の道路管理者と各ライフライン企業等により構成される道路工事調整会議を開催し、工事場所や工事時期の調整や、現場状況等についての情報交換を行っております。

○小林委員 ありがとうございます。私も、個人事業者の方々から、まさにこうした道路管理者との調整という件で様々ご意見等もいただいておりますので、ぜひとも、この点については丁寧なご対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、水道工事のイメージアップについてお伺いいたします。
 水道工事は、都民のライフラインを整備する大事な取組でありますが、工事における地域住民への影響も考慮しつつ、その必要性をご理解いただく努力、ご協力いただく機運というものを醸成していかなければなりません。
 工事現場での広報やイメージアップを効果的に進めていくための水道局の取組についてお伺いをいたします。

○田中建設部長 水道局では、地域住民に対し、水道工事の必要性をご理解いただくため、局ホームページを活用し、事業の目的や効果、工法紹介等のPRを実施しております。
 一方、事業者による現場での対応も重要であることから、平成十七年度より、事業者による住民対応や、工事お知らせビラなどにおける分かりやすい広報、地域イベントへの参加等の優れた取組を表彰するイメージアップコンクールを実施しております。
 昨年度は、デジタルサイネージを活用した工事現場の案内板によるリアルタイムの情報発信や、QRコードを活用した専用ウェブサイトでの工事紹介などの取組を表彰しました。
 こうした取組を通じて、工事現場でのPRに対する事業者の意欲向上につなげております。

○小林委員 今ご答弁にもありましたイメージアップコンクールを十五年間にわたり続けてきた中で、新たな工夫も限られてくると思います。
 事業者のさらなるモチベーションを高めていく取組というものが必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○田中建設部長 イメージアップコンクールの応募件数は、開催当初は六十件程度であったものが、令和元年度は三十四件にとどまったため、二年度に、これまでのイメージアップ事例を数多く活用した工事を表彰する事例集活用賞を新設しました。
 この結果、応募件数は、令和二年度は五十一件、三年度は七十一件となり、賞の新設の効果が現れております。
 また、事業者の優れたイメージアップの取組を当局のホームページやツイッターで紹介するとともに、工事お知らせビラ作成の際に活用できるよう、局事業や工法紹介等の動画等の素材集を作成し、提供しております。
 今後もこうした取組を継続し、事業者による工事現場での広報やイメージアップの取組を促進してまいります。

○小林委員 平成二十四年度の公営企業会計決算特別委員会での質疑でも、私、触れたところなんですけれども、私の地元練馬区の水道工事業者が、水道水を活用したビオトープを工事現場の横に設置して、そこで蛍を育てて、近隣の方々を集めて、夜に蛍の鑑賞会を企画するという取組をされた会社がございます。私も、その工事現場に伺いましたが、非常に興味深い取組でありました。
 水道事業を推進するためのこうした民間事業者の創意工夫を大切にしながら、ともすれば迷惑をかけてしまいがちになる工事を、地域住民の理解と協力によって実施できるよう、引き続き推進をしていっていただきたいと思います。
 次に、国内外の水道事業への貢献事業についてお伺いをいたします。
 世界に目を向けると、アジアなどの途上国では、経済発展に伴う人口増加や都市化により、水需要の急増、水質悪化などの課題が顕著となっております。
 水道局は、これまでに培った高い技術やノウハウを活用して、途上国の水道事情改善のため、海外の水道事業体の人材育成や技術支援などの取組を行っていると認識をしております。
 水道事情に課題を抱える途上国の国々は、東京の水道の技術やノウハウを必要としており、海外水道事業体への貢献を継続して進めていく重要な取組があると思います。
 海外の事業体への貢献について、これまでどのような取組をしてきたか、また、今後の展開についてお伺いをいたします。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局ではこれまで、政策連携団体とともに、アジアをはじめとする途上国諸都市からの要請に応じ、訪日研修や講師派遣などにより、海外水道事業体の人材育成に貢献するとともに、ODAを活用しながら、水道事情改善のための技術協力やインフラ整備を進めてまいりました。
 具体的には、水質管理や浄水処理技術に関する訪日研修などのほか、ベトナムのハノイ、マレーシアのラブアン島、ミャンマーのヤンゴンなどにおいて、管路の取替えや修繕による漏水防止などの無収水対策事業等を行い、水道事業体の能力向上や水道事情の改善に貢献してまいりました。
 現在は、新型コロナウイルス感染症の影響や現地の政治情勢により一部事業の中断はございますが、訪日研修をオンラインとするなど、工夫して実施をしております。
 今後も、海外事業体への貢献を継続してまいります。

○小林委員 一方、国内では、現在、全国の水道事業体の多くが、人口減少に伴う料金収入の減少や施設の老朽化、人材不足による技術継承など様々な経営課題に直面しており、こうした課題への対応が求められております。
 こうした中、世界トップクラスの技術力や多摩地区水道の一元化を通じて得た知見を有する東京都水道局が、国内水道事業体の事業運営を支援していくことは重要な取組であると思います。
 そこで、国内事業体への貢献について、これまでの取組と今後の展開についてお伺いをいたします。

○小山調整部長 当局では、平成二十九年度から首都圏水道事業体支援事業を展開し、水道事業体の要請に基づき、水道事業一元化や水質及び危機管理等に関する研修への講師派遣や、当局の研修フィールドを活用した訓練などを行っております。
 また、都内島しょ町村に対しては、渇水の際に職員を派遣したほか、平成三十年度から、漏水防止や事故防止研修への講師派遣や、技術的課題に対する助言などを実施しております。
 さらに、令和元年六月に、宮城県企業局と当局とで水道事業の連携に関する協定を締結いたしまして、人的基盤の強化につなげるための職員の相互交流を実施しております。
 今後とも、東京水道グループとして、国内水道事業体の事業運営に一層貢献してまいります。

○小林委員 水道水を安定して給水していくためには、ポンプを稼働するなど多くの電力が必要であり、年間約八億キロワットアワーの電力を消費するとのことで、これは都内消費電力量の約一%に相当して、環境に配慮した事業運営が重要であります。
 そこで、水道局における環境施策の取組状況、特に、トップレベル事業所の認定取得についてお伺いをいたします。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、令和二年三月に策定いたしました東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四に基づきまして、事業活動に伴う環境負荷の低減に向けた取組を行っております。
 計画初年度である令和二年度には、玉川給水所に省エネ型ポンプ設備を二台導入するとともに、金町浄水場及び上北台給水所に計百八十九キロワットの太陽光発電設備などを導入いたしました。
 また、地球温暖化対策の推進の程度が特に優れた事業所を認定する都の制度である優良特定地球温暖化対策事業所、いわゆるトップレベル事業所認定の取得にも積極的に取り組んでおります。
 この結果、省エネ型ポンプ設備の導入や効率的な運用が評価された三施設がトップレベル事業所に認定されており、令和三年三月には、新たに練馬給水所と稲城ポンプ所が認定されております。

○小林委員 今ご答弁にもありました練馬給水所は、都立光が丘公園地下に配水池と送配水ポンプ所を備えた大規模な給水所ですが、地域住民にとっては見慣れた施設であっても、こうしたトップレベル事業所に認定されたという事実は、あまり知られていないかと思います。私も今後、都政報告などで、ぜひ紹介をさせていただきたいと思いますが、水道事業への理解促進の一つとして、ぜひこうした取組も地域に積極的にPRしていただければと思います。
 次に、応急給水体制と危機管理についてお伺いをいたします。
 先ほど来お話がございましたが、十月七日夜に都内で震度五強を観測する地震が発生しましたが、その被害として、漏水現場の映像がテレビのニュースなどで報道されていました。迅速に対応いただいたようですが、仮に地震の影響で断水が発生しても水が配られる体制を整えていくことは極めて重要な課題であります。
 私は、平成二十五年の予算特別委員会において、都が取り組んでいる消火栓、排水栓を活用した応急給水体制について取り上げ、地域住民が実際に応急給水に取り組む際に、消火栓や排水栓の設置場所になじみがないことから、設置場所に関する情報提供を行っていくべきと質問をいたしました。その後、様々な機会を捉えて情報提供に努めていただいていると聞いておりますが、平成二十九年度からは、避難所における応急給水栓の整備も行っていると伺っております。
 消火栓を活用した取組とともに、避難所に応急給水栓を設置することとした経緯についてお伺いをいたします。

○石井総務部長 さきの東日本大震災では、主要な駅や病院のほか、災害時に多くの人が集まる避難所における給水確保の重要性が明らかとなりました。
 このことから、当局では、発災時でも避難所で飲み水を確保できるよう、避難所への供給ルートの耐震継ぎ手化と給水管の耐震化を進めるとともに、避難所の敷地内に蛇口つきのスタンドパイプを取り付けることができる応急給水栓を設置することとし、平成二十九年度から令和二年度までに設置を完了しております。

○小林委員 多くの人々が集まる避難所で応急給水を行えることは大変大事な取組であると思います。
 こうした避難所や消火栓を活用するとともに、水道局の浄水場、また、給水所なども応急給水の拠点となっていると思います。
 改めて、そうした実際に都内で応急給水を行うことができる場所は何か所あるのかお伺いをいたします。

○石井総務部長 浄水場や給水所、公園などに設置されている応急給水槽などの給水拠点は二百十五か所ございます。
 また、区市町が指定した小学校や中学校などの避難所に設置した応急給水栓は二千二十一か所でございます。
 さらに、応急給水が可能な消火栓等を延べ二千四百七十六か所指定をしてございます。

○小林委員 ありがとうございます。応急給水を行うことができる場所は、多いにこしたことはないのではないかと思いますので、今後も場所の確保にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、場所の確保とともに、いざ災害となった際に機動的に対応できるよう、応急給水体制の実効性を高めていくことが重要であると考えます。
 その取組について見解をお伺いいたします。

○金子サービス推進部長 災害時の応急給水活動を迅速かつ確実に実施するためには、実際に応急給水を行う区市町や地域住民との連携が極めて重要でございます。
 そのため、当局では、浄水場や給水所などの給水拠点ごとに、原則年一回、区市町の職員や地域住民と、応急給水用資器材の組立てや残留塩素の検査など、実践的な訓練を実施しております。
 また、区市町が主催する総合防災訓練等にも参加し、住民に給水車や消火栓からの応急給水を体験してもらうほか、当局が進めている災害対策を紹介するなど、応急給水の実効性を高めるための取組を行っております。

○小林委員 懸念される首都直下型地震に備えていくためにも、十月七日の地震というのを改めて教訓としていかなければならないと思います。
 そこで、十月七日の地震における水道局の体制と対応についてお伺いいたします。

○石井総務部長 当局では、震災等応急対策計画において、島しょ部を除く都内で観測した震度に応じた職員参集基準や初動対応について定めてございます。
 十月七日の地震では、都内で震度五強が観測されたため、第一次非常配備要員に指定された職員が発令を待たずに参集しております。浄水場等では、常駐している職員を中心に、発災後、直ちに場内の被害状況や水運用の状況確認を開始いたしました。支所等の事業所においては、待機中の職員を中心として、直ちに漏水等への対応を開始しております。
 また、被害状況を的確に把握し、全局的な視点で対応を行う役目を担う本庁におきましては、発災から四十五分後には、事業所や現場などの被害状況や、漏水等の情報収集を開始しております。

○小林委員 ありがとうございます。
 冒頭に申し上げたとおり、人間にとって欠くことのできない水の確保に向けて、災害時こそ、水道局の使命は極めて重要であります。発災後にいち早く状況を掌握し、迅速に安定した水を供給していくための体制の強化は、不断の意識の醸成と取組がなければなし得ないと思います。
 災害時において、機動的に対応するための水道局の取組についてお伺いをいたします。

○石井総務部長 当局では、毎年度策定する東京水道危機対応力強化計画に基づき、首都直下地震などの自然災害のほか、テロ行為や突発事故などの事態に備え、年間を通じて様々な訓練を実施しております。
 具体的には、初動確認を行う休日発災対応訓練、発災三日後の対応を確認する平日発災対応訓練、職員が参集情報をメール等で回答する安否・参集確認システム訓練、休日の発災を想定した全職員による徒歩参集訓練、事業所ごとに区市町と連携した応急給水訓練、他都市との合同訓練等を行っております。
 こうした訓練を通じて明らかとなった課題について検証を行い、発災時の職員の活動を定めた震災等応急対策計画を改定し、その内容を次の訓練等で実践を行うなど、災害への対応力の強化を図っております。

○小林委員 日々の訓練、大変に重要であります。
 災害時にあって、命をつなぐともいうべき水の安定供給に向けて、大いなる使命感と誇りを持って、今後も取り組んでいただきたいと思いますが、水道局の危機対応力の強化に向けて、リーダーである局長の見解をお伺いいたします。

○浜水道局長 都の水道事業は、都民生活や都市活動を支える基幹ライフラインとして、常に安定給水を確保していく使命を担っております。
 このため、当局では、施設の耐震性の強化や、自家用発電設備の新設、増強などの予防対策のほか、様々な想定による訓練や、区市町、事業者などとの連携強化などの応急対策に取り組み、危機対応力を強化してまいりました。
 こうした対応を着実に積み重ねてきたことにより、先月七日に発生した地震におきましても、あらかじめ定められた計画に基づき、発令を待つことなく当局職員は参集し、被害状況の把握や漏水対応など迅速に初動活動を実施することができました。
 切迫性が指摘されている首都直下地震などでは大きな被害が想定されていることから、引き続き、災害への備えに万全を期すとともに、多様な主体と連携し、実践的な訓練を繰り返すことで、東京の水道の危機対応力を一層向上させてまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 東京の水道の危機対応力の強化は、すなわち都民の命を守り抜くことと通じます。平時にあって、あって当たり前の水道が、災害時においてもあって当たり前が維持確保されますよう、引き続きの取組の強化をお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○こいそ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十五分開議

○こいそ委員長 それでは、休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料のご提出をありがとうございました。
 私からは、まず、震災対策について伺います。
 今後三十年の間、つまり二〇五〇年くらいまでの間に、首都直下型地震が起こる確率が七〇%といわれている中で、都民のライフラインを担う水道事業の耐震対策は最重要課題の一つです。
 そんな中、先ほど来質疑もありましたけれども、先月十月七日には、千葉県北西部地震の影響によって、東日本大震災以来初めて都内で震度五強を観測しました。
 私の地元の足立区では、まさにその震度五強の揺れで、まさか首都直下型地震かなと不安に思ったという区民の方がたくさんいました。
 そうした中で、地震直後の水道のマンホールから漏水している箇所が、足立区内でも五か所あるという情報が入りました。
 まず、深夜に現場に駆けつけて対応してくださった現場の方々に感謝と敬意を表したいと思います。同時に、大きな被害が想定される震災に備えて、教訓を生かしていかなければならないというふうにも思います。
 決算質疑でも質疑もありましたけれども、今後のことも含めて質問をいたします。
 この地震の影響によって、都内では、全部で二十三か所で水道のマンホール等から漏水が起きたということですが、まず、その原因について伺おうと思いましたが、これまでの質疑でも出ておりました。漏水の原因は、二十二か所が水道管の附属施設である空気弁の不具合によるもの、そして、残る一か所は、メーターと給水管のつなぎ目からの漏水だというふうなお答えが出ておりました。
 私の方から、質問としては割愛をしたいというふうに思いますが、この水道管の附属施設の空気弁の不具合というものがどういうものかということも事前に伺いましたが、ふだんは、球体の弁が水圧によって上に押し上げられている状態で管の出口を塞いでいるということなんですけれども、それが振動によってずれたことで、水が流れ出ることになったのではないかということが推測されているというふうに伺いました。
 東日本大震災のときは、空気弁の損傷があって漏水したということがありましたけれども、空気弁への対策は行われてきたのか、また、現在その空気弁の設備は都内にどの程度あるのか伺います。

○藤村給水部長 当局では、東日本大震災の後、大型空気弁から耐震性のある小型空気弁への取替えを完了しており、現在、都内に約一万六千か所設置しております。

○斉藤委員 大型の空気弁から小型の空気弁への取替えを完了したということです。今回の漏水は、現場の皆さん、水道局の皆さんの尽力の下、早急に止水が行われ、大事には至らなかったということは本当によかったというふうに思います。
 一方で、私は、地震の翌朝に現場を周りましたけれども、震度五程度、あるいはそれ以下の揺れでも、都内で広くマンホールからの漏水があったということは、首都直下型のような大きな地震のときはどうなるのかという心配の声もありました。
 地元の方からそういう声が寄せられていましたけれども、今回の検証や設備の改良など、さらに検討していく必要があると思いますが、改めてお伺いいたします。

○藤村給水部長 現在、漏水が発生した全ての空気弁について、製造メーカー等に対して、詳細な原因の分析を依頼しております。
 今後、判明した原因に応じて適切な対策を検討してまいります。

○斉藤委員 詳細な原因の分析を製造メーカー等に対して依頼していて、今後、判明した原因に応じて適切な対策を検討していくということですので、ぜひ着実に対策を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、エネルギー対策、地球温暖化対策について伺います。
 気候変動危機に対応するための取組が喫緊の課題です。イギリスで開かれておりましたCOP26では、世界の平均気温上昇を一・五度に抑えることや二〇三〇年までの各国の温室効果ガスの排出削減の目標を強化することなどが合意されました。
 世界中で気候危機の打開のための対策が追求されている中で、東京都として、そして水道局として、未来を守るための対策が待ったなしです。
 都は、今年の三月にゼロエミッション都庁行動計画を策定して、全庁的な取組を開始していますが、都内で使われる電力の約一%に相当する電気を使用している水道局としても、CO2排出削減の取組は本当に重要な課題です。
 そこで、幾つか伺いたいと思いますが、まず、温室効果ガスの削減における水道局の取組について伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、令和二年三月に策定いたしました東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四に基づきまして、CO2排出量の削減を環境基本方針の一つに位置づけ、取組を進めております。
 具体的には、省エネ型ポンプ設備の導入などの省エネルギー化の推進、太陽光発電や小水力発電の再生可能エネルギー導入拡大、環境に配慮した電気の調達などの社会全体の脱炭素化の促進に取り組んでおります。

○斉藤委員 省エネルギー型の設備の導入や太陽光、小水力などの再生可能エネルギーの拡大、環境に配慮した電気の調達の促進に取り組んでいるということです。
 電力の使用量を減らすと同時に、再生可能エネルギーへの転換をさらに前に進めていくことが求められておりますが、水道局が、再生可能エネルギーの導入として現在掲げている目標について伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四では、令和六年度までに、太陽光発電設備を累計約一万キロワット、小水力発電設備を累計二千五百キロワット以上導入することを目標としております。

○斉藤委員 二〇二四年度までに、太陽光発電設備を累計約一万キロワット、小水力発電設備を累計二千五百キロワット導入目標にしているということです。
 それぞれの取組について伺いたいと思いますが、浄水場や給水所などに導入している小水力発電について、どのような方法で発電を行っているのか伺います。

○岩崎設備担当部長 浄水場でつくられた水道水は、ポンプで給水所へ送られ、配水池にためられます。
 浄水場から複数の給水所へ水を送る場合、標高の高い給水所には、ポンプで高い圧力をかけて送水する必要があるため、結果として、標高の低い給水所には、必要以上の圧力で水が到達いたします。
 そこで、このエネルギーを有効利用するため、給水所の配水池入り口に小水力発電設備を設置し、電気エネルギーとして回収いたします。
 給水所における小水力発電は、こうしたエネルギーを利用することにより発電を行っております。
 また、東村山浄水場などでは、高台にある貯水池から原水を引き込む際のエネルギーを利用することにより発電を行っております。

○斉藤委員 給水所での小水力は、水を送る際の余剰の圧力を活用して、電気エネルギーとして回収をしているということです。また、浄水場では、貯水池との高低差を利用して、水のエネルギーから発電をしているということです。
 その小水力のそれぞれの方法での二〇二〇年度末の発電能力について伺います。

○岩崎設備担当部長 当局では、給水所の配水池入り口に小水力発電設備を五か所設置しており、令和二年度末現在の発電能力は、合計で八百七十四キロワットでございます。
 また、浄水場等に引き込む原水のエネルギーを利用した発電設備を二か所設置しており、令和二年度末現在の発電能力は、合計で千四百七キロワットでございます。

○斉藤委員 給水所での余剰の水の圧力を活用した小水力発電設備は五か所に設置され、また、浄水場等に引き込む高低差から生まれる原水のエネルギーによる発電設備は、東村山浄水場など二か所に設置しているということです。
 最近では、私の地元の足立区に新たに設置された江北給水所にも、この小水力発電設備が設置されたというふうに伺っています。金町浄水場から現在建設中の王子給水所まで送水をする際に、途中のポイントとなる江北給水所では、水圧に余剰が生まれるために、そのエネルギーから発電をするというふうに伺っています。
 小水力による発電は、余剰水圧が生じるところや地形的に高低差のあるところというふうに、条件が必要になると思いますので、全ての施設に導入していくということは難しいとしても、今後は、二〇二五年度までに、既設の給水所も含めて七つの給水所や浄水場で小水力発電を導入していくということが経営プラン二〇二一に示されています。再エネの拡大に向けて努力をされているところだというふうに思いますが、今後も可能性を最大限に追求していただきたいというふうに思います。
 次に、太陽光発電について伺います。
 二〇二〇年度末の発電能力と二〇二〇年度の発電量について伺います。

○岩崎設備担当部長 当局では、令和二年度末現在で、合計九千五十六キロワットの太陽光発電設備を整備しております。
 令和二年度の発電量は七百二十二万キロワットアワーとなってございます。

○斉藤委員 二〇二〇年度末で九千五十六キロワットの発電能力だということです。こちらも五か年計画の中で、金町浄水場をはじめ、六つの浄水場や給水所に太陽光発電設備を導入していくというふうにされていますが、この六つの施設への導入だけでは、二〇二四年度までに掲げている一万キロワットの発電能力まで、まだ届かないという状況です。
 水道局では、さらに、その他の施設への導入を検討中ということなので、着実に進めていただきたいというふうに思います。
 私たちは、目の前に迫る気候危機に対して、再生可能エネルギーや省エネルギーを抜本的に進めて、温室効果ガスの排出削減、これを実行していくことが喫緊の課題として求められています。
 都は、先ほども申し上げましたけれども、ゼロエミッション東京戦略の中で、二〇三〇年までに、CO2の排出量を五〇%削減するという目標を掲げて、全庁的な取組をしていくとしています。
 水道局としても、二〇三〇年に向けて、目標を引き上げていくことが求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 都では、二〇三〇年までにCO2排出量を五〇%削減することなどを目標としております。
 当局におきましても、これらの目標達成のために取り組んでまいります。

○斉藤委員 水道局においても、これらの目標達成のために取り組んでいくという前向きのご答弁をいただきました。
 しかし、オール都庁で連携してゼロエミッション東京の実現を進めるという観点から、やはり、より一層の取組の強化が求められています。
 現在の水道局の目標では、二〇二〇年から二〇二四年までの第三削減計画期間で二五%削減、続く二〇二五年から二〇二九年までの第四削減計画期間で三五%までの削減となっていて、都が現在進めている目標よりも低いという状況です。
 CO2削減の取組は、この再生可能エネルギーの導入のほか、先ほどご答弁にもありましたけれども、省エネによる電力使用量の削減、また、再エネを利用した電力の調達など、あらゆる手段で追求していくことが必要です。水道局としても、都が掲げている目標達成のために取り組んでいくという先ほどの前向きのご答弁でしたので、ぜひ、目標を明確に位置づけて、実行していただくことを求めます。
 次に、水道料金の徴収業務について伺います。
 未納カードの発行枚数と給水停止の件数の推移について、今回、資料要求させていただきましたが、それを見ると、都では、毎年十万件強の給水停止があるということが分かります。
 昨年、二〇二〇年度は、新型コロナの感染拡大の影響から、支払い猶予の期間を設けているということもあり、給水停止件数は八万五千六百九件と前年より二万件ほど減っているという状況です。それでも、とても多いというふうに思いますが、それだけ支払いができないという深刻な実態も多いということだと思います。
 だからこそ丁寧な対応が必要だと思いますが、水道局では、給水を停止するまでに、どのような対応を行っているのか伺います。

○金子サービス推進部長 初回請求でお支払いのないお客様に対しましては、催告文書の郵送、あるいは訪問による催告を二回以上行った上で、請求書と併せて、このままお支払いがなければ停水となることを通知する文書を郵送または現地に投函しております。
 この段階においてもお支払いのないお客様には、改めて訪問による催告を実施しております。
 こうした丁寧な催告を経た上でもお支払いがない場合は、やむを得ず給水を停止しております。

○斉藤委員 催告文書の郵送、また、区部では、訪問による催告も繰り返し行って、丁寧な催告というものを行っているという答弁です。
 区部では、料金の支払いの催告を訪問で行っている中で、支払いが難しい困窮者を自治体の福祉部門につなぐ、要支援者の情報通報を行っているというふうに聞いています。
 その通報について、区部の過去五年間と今年度の実績について伺います。

○金子サービス推進部長 行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定に基づきまして、情報の提供を行った実績は、平成二十八年度は三件、二十九年度は五件、三十年度は八件、令和元年度は八件、二年度は四件となっております。また、三年度の実績は九月末時点で五件となっております。

○斉藤委員 今ご答弁いただいたとおり、水道局と自治体の間では、水道料金の徴収の際に、行政による支援が必要とする方に対して、自治体に情報提供を行うという協定を結んでいます。その中で、今年までの約六年間で、区部では三十三件、自治体につないだ実績があるということでした。ただ徴収するだけでなく、困窮した状況にある方を支援につなげていくという本当に大切な役割を果たしている業務だというふうに思います。
 しかし、この徴収の仕方を見直す検討がされていると聞いています。その中では、徴収事務の委託業者が行ってきた訪問による催告、この業務がなくなり、郵送による催告に変わるというふうにされています。
 要支援者の情報の通報が訪問でできなくなるということか、確認させてください。

○金子サービス推進部長 徴収業務は、適切な方法で行うこととしております。

○斉藤委員 私が聞いたのは、訪問によって要支援者の情報を提供する機会がなくなるんじゃないかということなんです。
 答弁が質問にかみ合っていないというふうに思うんですけれども、ちょっと伺いたいんですけれども、訪問による催告の業務をなくすという検討をしているということは事実ですかね。ご答弁お願いします。

○金子サービス推進部長 徴収業務は、適切な方法で行うこととしております。

○斉藤委員 繰り返しの答弁で、質問にも全くかみ合っていないお答えで本当に残念なんですけど、訪問による催告の業務について、この業務の委託を受けてきた事業者の契約からなくなっているということを聞いています。また、都の職員にも、今度の一月からこの業務をなくしていく検討があるということが知らされているということです。
 私は、このことは、都民との関係でも重大な影響があると考えて、今、取り上げています。支払いについて、何らかの困難を抱えている方々への催告の仕方が変わるということ、とりわけ、生活に困窮し支援が必要な方々を自治体につなぐ貴重な役割を果たしてきた業務をなくすというこの大きな変更について、都民に明らかにしないで決めていくというのは、私は、これは許されないことだというふうに思います。
 水道料金の訪問による催告は、支払いができない困窮者を発見し、必要な支援につなげる本当に大切な役割を果たしています。
 委託業者が行ってきたこの現場訪問による催告業務、継続するべきだと思いますが、いかがですか。

○金子サービス推進部長 繰り返しになりますが、徴収業務は、適切な方法で行うこととしております。

○斉藤委員 答弁ができないっていうこと自体が、私、本当に問題だというふうに思います。不誠実な姿勢なんじゃないかと、私は水道局に対して思います。
 申し訳ないんですけれども、先ほどからいっているこの徴収業務、適切な方法で行うとしているといいますが、具体的にはどういう方法でしょうか。ご答弁お願いします。

○金子サービス推進部長 徴収業務は、適切な方法で行うこととしております。

○斉藤委員 これ本当に、全く答えないということは、本当に不誠実そのものだというふうに思います。実際に検討しているという情報は入っておりまして、皆さん方もそれは否定されないわけですよね。それで、中身について一切答えないっていうのは、本当にひどい姿勢だといわざるを得ません。
 さらに、この検討の中で、給水停止までのサイクルについて、現状よりも一か月短くするというふうにも聞いています。こうした検討があるということですけれども、短くしようとしている理由は何か伺います。

○金子サービス推進部長 徴収業務は、適切な方法で行うこととしております。
 なお、徴収の過程におきまして、お客様からお支払いについてご相談があれば、個別の事情を考慮した上で、支払い期限の延長や分割支払いなどに応じているほか、生活に困窮した様子がうかがえた場合は、区市町の福祉部署を案内するなど、きめ細かな対応を行っております。

○斉藤委員 また繰り返しの答弁と、あと、相談があれば、それに応じてやっているということなんですけど、今やっているっていうことは分かりました。問題は、これからそれを変えていこうと、やり方を変えていこうという、その中で重要な役割が削られていってしまうと、それが問題なわけですね。
 検討の中身も、そして、理由も答えられないというのは、本当に都民にとって不都合なことを隠そうとしているといわれても、これは仕方がないことだというふうに思います。
 水は、命に直結する欠かせないライフラインだからこそ、電気やガスが止まっても、水の供給は続くということが広く認識されています。給水停止までのサイクルを早めることはやめるべきだというふうに思いますが、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 徴収業務は、適切な方法で行うこととしております。

○斉藤委員 こういう都民に関わる重要な問題でもまともに答弁ができないというのは、私、本当に情けないといいますか、本当に悲しい思いです。しっかり、都民の暮らしに、今、コロナ禍だからこそ、しっかり向き合っていただきたいというふうに思います。
 現状で、今ご答弁されたようなきめ細かな対応をやっているということは十分に分かりました。やはり、今、問題なのは、その対応が弱まることにつながる、この業務をカットしようとしていることです。
 実際に、現場で検針業務に当たっている方から、支払いが滞っているお客さんが、水は最後まで止まらなくて助かったといっていたというお話がありました。コロナ禍では、当面は、この給水停止までのサイクルの短縮を行わないということは当然ですけれども、その先においても、給水停止までのサイクルを早めて、電気やガスと同じようなサイクルで停止をするということは、最後のライフラインとして守られているという、この命の水道の認識を大きく変えることになると思います。都民的な議論もなしに、まともな答弁や説明もないままに決めていいことではないというふうに思います。
 訪問による催告の業務を継続するとともに、給水停止までのサイクルの短縮を行わないことを強く求めます。
 次に、水道事業の経営計画について伺います。
 水道局では、昨年、二〇二〇年七月に、東京水道長期戦略構想二〇二〇、これを策定して、おおむね二十年間の事業運営について示しています。その中で、営業系業務は今後十年間、技術系業務は二十年間を目途として、政策連携団体である東京水道株式会社に移行していくとしています。
 現場の仕事を全て都の直営から手放していくということは、これまで、誰にでも安全で低廉な水へのアクセスを保障する、この、都が責任をもって行ってきた公営としての水道事業の根幹を揺るがす大きな問題だというふうに思います。
 その問題点について、これからでも丁寧に検証して明らかにしていかなければなりません。
 まず初めに、東京水道株式会社へのこれまでの移転の状況について伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、定型業務をはじめ、民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託するとともに、水道事業における基幹的業務については、当局と政策連携団体が担う一体的事業運営体制を構築していくこととしております。
 この方針の下、これまで順次、政策連携団体へ業務を移転してまいりました。
 現在、営業系業務では、区部の営業所八か所、多摩地区のサービスステーション十二か所におけるお客様対応業務、お客様センターにおける電話等の問合せ対応業務を東京水道株式会社に委託しております。
 技術系業務では、浄水場等の運転管理業務、給水所の維持保全業務、配水管の維持管理業務、給水装置関連業務など、それぞれの業務の一部を委託しております。

○斉藤委員 営業系業務では、区部の営業所八か所、そして、多摩地区のサービスステーションでは十二か所、技術系業務では、浄水場等の運転管理業務、給水所の維持保全業務など、それぞれの業務を一部委託しているということです。営業系業務では、区部の約三割近く、多摩地域では全てのサービスステーションが委託になっているということです。
 東京水道株式会社への今の委託方法はどのようなものか、また、包括委託は始まっているのか伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、現在、東京水道株式会社に業務を委託するに当たり、業種ごとに契約を分けて仕様発注を行っております。
 現在、包括委託は行っておりません。

○斉藤委員 現在は、業種ごとに契約を分けて仕様発注を行っていて、包括委託はまだ行っていないということです。
 しかし、東京水道長期戦略構想二〇二〇に基づいて策定された東京水道経営プラン二〇二一、ここでは、性能発注方式による包括委託の導入ということが大きく掲載されています。
 現在行われている仕様発注による委託とは、業務の実施方法をマニュアル等によって指定して、水道局が契約書に適合した履行がなされているかを検査していくものです。
 それに対して、今後導入していこうと検討している性能発注方式は、業務の実施方法は指定せず、要求する水準だけを提示していくこと、そして、業務をまとめて委託していく、このやり方は、いわゆるお任せ、丸投げにつながっていくものだと思います。
 この方式で業務をまとめて包括委託していくということには、公営として、都が責任を持って行ってきた水道事業の根幹に関わる課題や矛盾が多くあると思いますが、水道局として、この性能発注方式による包括委託を行う場合には、どんな検討事項が必要だと考えているのか、包括委託を行う場合に必要な検討事項はどのようなものか、認識を伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、性能発注方式による包括委託を導入するに当たりましては、責任の所在の明確化、モニタリング方法などについての検討が必要と考えております。

○斉藤委員 責任の所在とモニタリング方法などについての検討が必要だということです。
 この二つだけでも本当に重大な問題だというふうに思いますが、モニタリング方法について伺います。
 性能発注方式による包括委託を行った場合、事業の確実な履行や適正な委託料のチェックなど、このモニタリング、どのようにして行うのか伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 必要な事項につきましては、現在検討を行っているところでございます。

○斉藤委員 必要な事項については検討中ということですけれども、水道局の直営から手放した事業が適切に履行されているかモニタリングすることや、都から出す委託料が適切なものなのかと判断するということは、公営の水道事業の根幹に関わる大事な問題です。
 東京水道長期戦略構想二〇二〇には、東京水道株式会社について、水道業務を包括的に担うことができる体制を構築することや、政策連携団体への業務移管手法として、新たな包括委託を性能発注方式によりモデル実施ということが掲げられています。
 都民のための水道事業をチェックするためのモニタリング方法も検討中ということで、定まってもいないという状況で、この東京水道株式会社に丸投げになる包括委託を前提とする業務移転の計画を決めているというのは、極めて重大な問題だというふうに思います。
 さらに伺いますが、二十年後に技術系、そして、営業系の全ての現場の業務が東京水道株式会社に包括委託されたときに、その適正な業務履行のチェック機能を水道局はどのように確保していくんでしょうか。

○鈴木経営改革推進担当部長 繰り返しになりますが、性能発注方式による包括委託の導入に当たりましては、必要な事項について、現在検討を行っているところでございます。

○斉藤委員 二十年後に全ての現場業務が水道局から離れてしまうという状況では、水道局にその業務をチェックする能力がなくなるということではないでしょうか。
 全ての現場の業務が東京水道株式会社に移ったときに、あるいは大半の業務が移転された中で、災害時はどうなるのか、災害時の対応が必要なときに、東京都水道局は、責任者として現場の対応や判断ができるんでしょうか。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道グループとして、災害時にも連携して対応してまいります。

○斉藤委員 東京水道グループとして連携して対応するといいますけれども、それはつまり、現場業務を担う東京水道株式会社の社員に教えてもらわなければ、水道局では直接分からなくなるということになっていくんじゃないでしょうか。そうした状況で、災害時に水道局が責任を持って迅速な判断ができるのかということが問われます。
 委託料についても、業務の中身が独自にチェックできなければ、実際は、相手のいい値になっていくということではないでしょうか。チェック機能も検討中で、果たせるのかどうかも分からないような状況で、全ての現場業務を局から手放していくというのは、あまりにも無責任です。
 東京水道長期戦略構想二〇二〇に対するパブリックコメントには、こういう声が寄せられています。日常的な現場業務があってこそ災害時に生かされる、日常的な現場業務を政策連携団体に業務移転することは、災害対策、危機管理の強化という社会的要請に逆行することにほかならない、この声のとおりだというふうに思います。
 そして、最後にもう一点伺います。
 東京水道株式会社の現在の株式比率について、社名とともにお答えください。また、株主配当は行われているのか教えてください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の株主構成は、東京都が八〇・四%、損害保険ジャパン株式会社や株式会社みずほ銀行などの金融機関五社合わせて一九・六%の持ち株比率となっております。
 また、同社では、株主に対する剰余金の配当を行っております。

○斉藤委員 先ほど申し上げましたパブリックコメントには、都民から徴収した水道料金が、政策連携団体の株主配当や役員報酬等に流れていないか、これを心配する声も寄せられています。まさに、株主に対する剰余金の配当を行っているという答弁でした。
 株式会社である東京水道株式会社では、株主への配当のために収益を上げる事業を行っていくということになり、その分が委託料、つまり、都民から徴収した水道料金から出されていくということにつながっていくということだと思います。
 実際に、水道の民営化を行った末に再公営化が進んでいる海外では、民間運営の中では、市民の立場から見れば、大きな支出の無駄があるということが、既に指摘されています。それが、株主配当、過大な役員報酬、法人税や内部留保。公営であれば、余剰があれば水質保全や維持のための投資や料金の値下げという形で都民へ還元できるというものが、利益を上げることが目的になる株式会社の運営では、そうならなくなってしまいます。
 株式の保有率も、現在は東京都が八割を持っていても、その比率が今後守られる保証はありません。水道局の事業、たとえ政策連携団体とうたっていても、株式会社に移転していくことは、ほかにも決定的な問題が幾つもあります。
 大山委員も、前期に当委員会の委員として質疑をしまして、水道局職員が公務員として行ってきたこの業務を安い労働力に置き換えてやっていこうとするのが、都が説明している柔軟な人員の配置の実態であるということも、質疑で明らかにしてきました。こうした下で、水道局が責任を持って業務を果たす公営としての水道事業の根幹が崩れていくというのが、今の計画の未来像ではないでしょうか。
 地方公営企業法に照らしても、都民の命と暮らしに直結する水道事業は、あくまでも公共の福祉を増進するという本来の目的を果たすものでなくてはなりません。水道局の現場の業務を局直営として堅持していくことを強く求めて、質問を終わります。

○山口委員 それでは、私からは、まずは新型コロナウイルス感染症とこの水道事業との関連、様々な質問について、まずは伺わせていただきたいと思います。
 この新型コロナウイルス感染症の拡大、これも水道料金収入に与えた影響、これも大きくあるかと思うんですが、令和二年度決算では、水道料金収入が五%以上の減収になったと聞いているところであります。
 まず初めに、この令和二年度の水道料金収入の減収の要因をどのように分析をされているのか伺いたいと思います。

○石井総務部長 料金算定の基礎となる調定水量は、令和二年度決算では、前年度と比べて大きな増減は生じておりません。しかし、その内訳を見ると、主に一般家庭で使用される小口径の調定水量が増加した一方で、中口径以上の使用が減少をしております。
 都の水道事業は逓増型料金体系を採用しており、口径が大きくなるほど、また、使用水量が多くなるほど、従量料金の単価が高くなる仕組みになっております。
 単価の安い小口径での使用が増加した一方で、単価の高い中口径以上での使用が減少したことによって、水道料金収入が大幅に減少していることから、調定水量の増減の影響ではないという分析をしております。

○山口委員 社会行動とこの水道料金の変容というのは、なかなか、まだ分析、見極めが難しいところもあるかもしれませんが、少なくとも今のお話でいけば、水道の使われ方に変化が生じているということはうかがえるわけであります。
 引き続き、この影響の見極めをされていく必要があるかと思うんですが、新型コロナウイルス感染症の拡大というものは、令和二年度当初から水道局事業に影響を与えていたはずなわけであります。
 令和三年度予算や令和三年三月に策定した東京水道経営プラン二〇二一においても、この影響というものは反映できたのではないかと思うわけでありますが、令和三年度予算では、新型コロナウイルス感染症の影響を水道料金の収入にどのように反映をしているのか、また、四年度以降の推計にも反映をされているのか伺いたいと思います。

○石井総務部長 令和三年度予算における水道料金収入では、新型コロナウイルス感染症の影響により、約九十六億円、三%の減収が生じるものと見込んでおります。
 また、令和四年度以降の財政収支の推計には、新型コロナウイルス感染症の影響による減収は見込んでおりません。

○山口委員 令和三年度の予算には反映をされているものの、令和四年度以降には反映をされていないというお話だったと思うんですが、この令和四年度以降の推計に反映をされていない理由というのは特にあるんでしょうか伺いたいと思います。

○石井総務部長 東京水道経営プラン二〇二一の策定に向け検討を進めていた時点では、新型コロナウイルス感染症の影響がどの程度の期間や範囲に及ぶのか見通すことが困難であったため、令和四年度以降の財政収支の推計には反映をさせなかったという経緯があります。
 このため、今後ですが、毎年度の予算編成に当たって、新型コロナウイルス感染症の影響についても、分析を行った上で、その時々の状況を反映させていくということにしております。

○山口委員 反映をできなかった、しなかった理由については、十分理解ができるものだと思います。
 しかし、現状、この新型コロナウイルス感染症の影響というのが続いているわけでありまして、さらに、状況からいうと、よくなるのか、また、世界的な変異株による脅威というものがどれぐらい日本に及ぼすのかというのも、まだまだ分からないところでもあります。
 四年度以降、四年度予算の編成をするに当たっては、現状分析というものが、やっぱり何よりも重要になってくると思うわけでありますが、少なくとも令和三年度の直近までの実績と、それを踏まえた三年度の水道料金収入の見通しについては、いかように考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。

○石井総務部長 令和三年度水道料金収入の九月までの実績は、前年同月までの実績と比較して約二十三億円の増収となっており、回復傾向にはあります。
 しかし、今後の新型コロナウイルス感染症の動向などにより、このまま回復の傾向が続くかは不透明なため、引き続き、状況を注視しながら分析を行っていきたいと思います。

○山口委員 短期的、この僅か一年でなかなか見通していくのは難しいというお話になるんだろうと思います。
 回復傾向にはあるものの、現時点での先行きは不透明というふうに答弁からは解釈をすればいいのかなと思うところでもありますが、今後の水道料金の収入などの動向が、見通しが、なかなか立てづらい中においての財政運営の考え方というものはどのようにお考えになられているのか伺いたいと思います。

○石井総務部長 当局では、将来にわたり持続可能な水道事業を実現するため、安定給水に必要な施設整備を着実に行うとともに、社会経済状況の変化等にも的確に対応しつつ、適切な規模の企業債の発行や業務の効率化などにより、健全な財政運営を行ってまいります。

○山口委員 不確定要素が多い中で、大変ここを質問していくのもなかなか心苦しいところもありますし、また、公共料金だとかも、少し徴収においても猶予をしたりだとか、これから先もまだまだ状況が、見通しが立てにくい、また、どんな状況になるのかも分かりづらい、とはいえ、これ以上コロナが蔓延をしないようにと祈る中においても、この質問というものは、非常に財政的にも大きく影響を及ぼしかねない質問でありますので、ぜひ、今まさに四年度の編成最中だと思いますが、しっかりとまたご対応いただきますように要望しておきたいと思います。
 さて、続いて、東日本大震災以降の震災の対策についても伺わせていただきたいと思います。
 先日、千葉県北西部で発生をした地震において、都内では、足立区で震度五強、大田区、町田市でも震度五弱の揺れを観測したわけでもあります。十年前の東日本大震災の甚大な被害の記憶が一瞬よみがえるようなそんな地震だったわけでありますが、水道に関しては、被災地で水を求める長蛇の列が連日報道されたのは記憶にまだ新しいところでもあります。
 震災対策の重要性を改めて冷やりと頭によぎった瞬間であったわけでありますが、水道局においては、東日本大震災を受けて、これまで、水道施設の震災対策、どのように進められてきたのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 東日本大震災の被災地では、管路の抜け出しにより、避難所において生活用水が不足しました。
 また、震源から遠く離れた東京でも、主要な駅での帰宅困難者の集中や、空気弁の破損、計画停電に伴うポンプの停止等による断水及び濁水など、新たな課題が顕在化しました。
 震災時においても、都民生活や都市活動を支えるために、被害を最小限にとどめ、給水を可能な限り確保することが水道事業者の使命であることから、こうした震災の教訓を踏まえ、事前の備えを充実させることが重要であります。
 そこで、主な対策として、管路の耐震継ぎ手化においては、首都中枢機関や救急医療機関等の重要施設に避難所や主要な駅等を追加し、その供給ルートを優先的に整備してきました。
 また、既存の空気弁を耐震性に優れた空気弁に取り替えました。
 さらに、電気事業者からの電力供給の途絶に備え、自家用発電設備を整備してきました。

○山口委員 まさにあの東日本大震災の教訓を踏まえられて、東京で進めるべき課題というものについて、水道局として進められてきた震災対策について具体的に今お話をいただきました。大変、十分、都民の皆さんも聞いていて理解ができるものだったというふうに思います。
 先日発生した地震においては、空気弁の不具合等によって、二十三か所で漏水が発生をした、しかしながら、管路の抜け出しだとか破損等は生じなかったというところから、断水被害は回避することができたというお話でありました。
 これは、これまでの水道設備の耐震化の取組の現れであったというふうに、成果の一つと考えますし、評価をしたいところだと思います。
 そこで、重要施設への供給ルート、この耐震継ぎ手化や空気弁の取替えについて、進捗状況を確認していきたいと思います。

○藤村給水部長 当局では、震災時の断水被害をより効果的に抑えるため、首都中枢機関や避難所、主要な駅などの重要施設への供給ルートとなる配水管の耐震継ぎ手化を優先的に進めており、令和二年度末までに八九%が完了し、四年度の完了に向けて、引き続き着実に推進していきます。
 また、空気弁については、都内約九千か所を対象に、地震動に強い空気弁への取替えを順次行い、令和元年度までに完了いたしました。

○山口委員 重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化について令和四年度までに完了するように、しっかりと整備は着実に進めていただきたいというふうに思います。
 十年前の震災においては、地震による直接的な被害のみならず、東京では、電力不足による計画停電の実施という都民生活に対する副次的な被害も発生をしたところであります。
 水道局では、水道施設における自家発電設備の整備にも取り組んできたという話でありますが、自家発電設備の整備についての進捗状況についても伺いたいと思います。

○岩崎設備担当部長 当局では、電力を安定的に確保するため、自家用発電設備の整備を推進しております。
 具体的には、東日本大震災後に策定した計画に基づいて、令和二年度末までに三十二か所、合計で約二万三千キロワットの設備を整備してまいりました。
 これらの整備により、給水区域内で一日に必要とされる計画配水量に対して、自家用発電設備の稼働により供給できる割合は、令和二年度末で六三%となっており、東京水道施設整備マスタープランでは、十二年度までの目標を九二%としております。

○山口委員 いろいろと伺ってきたわけでありますが、やはり水道、この水に関わる部分というのは、震災時にかかわらずとも、生活、そして、命に直結する事業を担っていらっしゃる皆さんでいらっしゃるからこそ、この災害時における対応、対策、また、備えというものに対しての認識は、ほかの局よりも強く思っていらっしゃるのだろうというふうに信じておりますが、と同時に、これは一〇〇%を目指すだけではなくて、さらに、これまで変えてきたところもさらに見直しをして、より強く、そして、より命を守れる体制強化というものに努めていただきたいと思いますし、特に発電などは九二%ということでありますが、さらに一〇〇%を目指して推進していただきますように強く要望しておきたいと思います。
 続いて、安全で高品質な水の供給という観点から、直結給水方式の普及促進についても伺わせていただきたいと思います。
 水道局では、平成二十五年度に、利根川水系高度浄水一〇〇%を達成し、給水区域全域で安全で高品質な水をこれまで提供されてきているというところであります。
 この高品質な水を直接都民の皆様にお届けをしていくためには、水道システムの最終過程となる給水方式が最も重要な要素であるというふうに考えるわけでありますが、この建物等に給水をする方法として、貯水槽水道方式と直結給水方式があるわけでありますが、それぞれの給水方式の特徴について、改めて確認をしたいと思います。

○藤村給水部長 給水方式は、貯水槽水道方式と直結給水方式との二つに分類されます。
 貯水槽水道方式は、水道水を一旦受水槽に貯留し、ポンプにより屋上等に設置された水槽までくみ上げ、自然流下により給水する方式で、貯留機能により断水による影響が少ないことから、病院等の施設において多く採用されております。一方、水質劣化等を生じさせないため、貯水槽水道の継続した適正管理が必要でございます。
 直結給水方式は、安全で高品質な水道水を直接蛇口から飲めることに加えて、配水管の圧力を有効に活用できることから、省エネルギー化にも寄与する給水方式でございます。

○山口委員 水道局の皆様が、この東京で生み出されている水をこよなく愛されていて、そして、都民の皆さんに一滴でも多くの安全な水を供給していきたいという思いは、前々からよく伺っているところでもありますし、この委員会においても、私も度々質問してきた。
 皆さんが、ぎりぎりのところまで、東京水ってすばらしい水を届けていながら、水道から出す水をどうしても都民の皆さんが安心をしてもらえないという、その最後の、最後の部分をどうやって安全に確保するかというのが、僕、この直結給水方式が要であろうというふうに思っていまして、水道をひねって安全に飲める、これをどうやって普及させていくかっていうことが、都民の皆様の、この信頼につながるところだろうというふうに思うわけであります。
 この給水方式において、使用用途によって、ただ、利用者の皆様から選択をされるという一面もあるわけでありまして、安全で高品質な水を届けるという、今、私がお話をした観点からは、点検や清掃などのメンテナンスが不要な直結給水方式というのは、非常に水道事業者として普及をさせていくことが重要だというふうに思うわけであります。
 この普及促進に向けたこれまでの取組はどのように進められてきたのかを確認したいと思います。

○藤村給水部長 従来の三階までの直結給水方式に加えて、増圧直結給水方式を導入したことなどにより、高層建物や大規模な集合住宅等でも直結給水方式の採用が可能となり、新築の建物では九〇%以上で直結給水方式が採用されております。
 一方で、既存建物における貯水槽水道方式から直結給水方式への切替えが進んでいないことが課題であり、普及促進の取組を実施しております。
 具体的には、平成十六年度から実施している貯水槽水道の点検において、貯水槽水道設置者に対し、直結給水方式への切替えのメリットについて、直接PRを行っております。
 また、平成二十四年度から、直結給水方式に切り替える際、給水管の口径を大きくする工事が必要になる場合に、局が施行する取組を実施しております。
 さらに、平成十九年度から令和二年度まで、直結給水方式の普及促進を目的に、小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業を実施してきました。
 こうした取組により、令和二年度末現在の直結給水率は七六%となっております。

○山口委員 進めてこられているんですよ。もう今の話を聞くとよく分かるんですが、新築の建物で九割以上、全体でも約八割の直結給水化が進んでいると。これはもう、まさに水道局が、積極的に直結給水化に向けた取組を進めてきたと自慢していいところだと思いますし、これから先、東京じゃあもう浄水器は売れねえなといわれるぐらい、やっぱり積極的にアピールしていただくことが重要だと思うんですよね。ここまで進めているんだと、ここまでやっていますと。あとはご自身でできるところ、自分の水道に身近なところ、近いところできちっと対策をとっていただければ、東京水っていうのは、非常に極めて安全に、安心をして飲んでいただけるもの、利用していただけるものなんだという東京都のアピールというものを、ぜひまた進めていただきたいと思います。
 今お話にもありました、中でも、小中学校の水飲み栓の直結給水化のモデル事業について、非常にいい取組だと。私も以前から質問させていただく中で、随分変わってきたなと思うところであります。
 小中学校のモデル事業においては、令和二年度に事業が終了したということでありますが、この事業の効果はどのようなものだったのか、ぜひこれを伺いたいと思います。

○藤村給水部長 当局では、小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業の実施校において、児童生徒や教職員を対象にアンケート調査を実施いたしました。
 アンケート調査の結果、学校の水道水を飲む児童生徒が、工事実施前の六九%から工事実施後には八一%に増加し、家から水筒を持参する児童生徒が二七%から一三%に減少しております。
 また、自由意見として、水道水が冷たくておいしい、安心できるなど、高い評価を得ております。
 これに合わせて実施した区市町へのアンケート調査では、約八割が、今後、独自に小中学校の水飲み栓直結給水化の検討を進めていくと回答しております。
 こうしたことから、本事業の目的である直結給水化のPRやその促進効果が十分に発揮されたものと考えております。

○山口委員 もっとしっかりと伝えていく必要性が、私はあるんだろうと思っておりますし、その安心や信頼性っていうものが子供たちに届いたとしても、まだ、ご家庭に届いていないんじゃないかなと、そういう部分があるんじゃないかと思うんですよね。これはやっぱりしっかりと、もう一度このPRの仕方、東京水ってどんなものだったのかということをきちっと伝えていく進め方。そして、水飲み栓の直結給水化モデル、ここから生み出された成果というものを、より一層都民の皆さんに知っていただけるような取組というものを強化していただきたいと、強く要望しておきたいというふうに思います。
 その一方で、質問していて矛盾するように感じられるかもしれませんが、この貯水槽水道方式には断水による影響が少ないというメリットもあるわけでありまして、これは場合によって、ケース・バイ・ケースだと思うんですが、場所によっては、やっぱりこの方式を必要としているところも当然あるわけであります。
 これは、災害時の対応用などに貯水槽を引き続き使用するケース、こういった場合において、この貯水槽水道の適正管理の促進、これも重要だと思うわけですが、ここについてはどのように取り組まれているのか伺いたいと思います。

○藤村給水部長 貯水槽水道は、マンションの管理組合など施設の設置者が定期的に清掃や点検を行うなど、適正な管理を継続して行う必要があります。
 当局では、管理の実態を把握するため、平成十六年度から、給水区域内の全ての貯水槽水道を対象として、点検調査を継続的に実施しております。
 具体的には、設置者の同意を得た上で、水質の検査や施設への立入調査により、管理の状況を確認しております。
 貯水槽水道の管理が不十分な施設については、点検調査時に、施設の設置者に対して適正管理に向けた指導助言を行っております。

○山口委員 この貯水槽水道の点検というのは、古くからの集合住宅だとか、工場なんかが特に、多様な施設があったりして、設置者の同意も必要な大変な調査であるということは、強くよく認識をしております。
 今後、まさに管理の在り方であるとか、体制だとかというものと、大きく影響するものだと思いますので、これは、局をまたいで、しっかりとこういったところの在り方も、これから都当局として考えていかなきゃいけないところだと思いますが、水質検査や立入調査も平成十六年から行われているということで、きめ細やかに貯水槽の水道の管理状況を確認していくことが、やっぱり極めて重要で、点検状況に応じて、指導も適切に、助言もしていく必要もあると思います。
 管理が仮に十分でない貯水槽水道については、どのように指導であるとか助言というものを行われてきているのか、この辺についても伺いたいと思います。

○藤村給水部長 貯水槽内での水の滞留時間が長く、水質悪化のリスクを抱えている施設については、水が入れ替わる時間を短くするなどの改善提案を実施しております。
 また、貯水槽水道の管理が十分でない施設については、定期的な清掃など、個々の施設の状況に合わせた指導助言を行っております。

○山口委員 こういうきめ細やかなところについてしっかりと取組をしていくことが、万が一の災害時のときの緊急対応であるとか、こういうところは連携がきちっと、管理者の方、また、所有者の方、そういったところと連携がどういうふうに取れていくかというところが肝にもなってくるところだと思いますので、こういった情報交換、伝達も含めて、しっかりとした適正管理の促進というもの、着実に取組を進めていただきたいと思いますし、今まさにやられているということでありますので、今後とも、安全で高品質な水の供給という観点からも、しっかりとした対応をお願いしておきたいというふうに思います。
 さて、最後に伺いたいのは、東京の水道水のPRについてでありますが、ペットボトル「東京水」、これは令和二年十月に製造終了されて、令和三年十月にも販売が終了されたというふうに承知をしております。
 さて、このペットボトル「東京水」、この実績と効果について、局としてはどのようにお考えになられているのか伺いたいと思います。

○金子サービス推進部長 ペットボトル「東京水」は、お客様に高度浄水処理水を手軽に飲んでいただき、安全性やおいしさについて実感することにより、水道水に対する理解をより深めていただくことを目的に製造してまいりました。
 平成十六年の製造開始以来、五百ミリリットルを約百七十八万本、三百五十ミリリットルを約三百四十四万本製造いたしました。
 これまで、イベントでの配布や、都庁舎内、都の関連施設での販売を行い、大変好評であったことから、多くの方に水道水の安全性やおいしさについて実感していただけたと考えております。

○山口委員 東京の水道水のPRに効果があったというふうに受け止めていいのかというふうに思います。しかし、廃プラの流れもありますので、方向転換をして、ドリンキングステーションの活用を進めているというふうに承知もしておるわけであります。
 ところで、私が子供の頃は、蛇口から直接水を飲んでいた記憶があるわけでありまして、それが当たり前だった時代だったわけでありますが、最近の子供、うちの子もそうなんですけど、蛇口から水を飲むというのがやっぱりなかなかなくなってきています。
 これから、子供たちが安心をして、先ほどもるるお話をしてきましたが、蛇口から水を飲めるように、子供世代へのPRというものが、これから先の東京を考えていったときに極めて重要だろうというふうに思うわけであります。
 そこで、東京の水道は、水はおいしいんだと、安全なんだということを子供世代に伝えること、この重要性を東京都はどのように受け止めて、このような取組をどのようにされているのかというのを伺いたいと思います。

○金子サービス推進部長 蛇口から直接水を飲むという日本が誇る水道文化を守り、継承するためには、次世代を担う子供たちの理解が重要であります。
 このため、当局では、小学四年生を対象に、水道の仕組みや水道水の安全性について実験などを取り入れて学習する学校水道キャラバンを実施しております。
 これに加え、家庭内で水道水を安心して飲んでいただくため、学校水道キャラバンのノウハウを生かし、乳幼児の保護者等に対象を拡大した地域水道キャラバンにより、親子で楽しみながら水道水について学べる取組などを進めております。

○山口委員 ぜひとも効果的な水道水のPRというものを進めていただきたいと思っておりますし、時代柄、やはりどうしても数字を見て理解したいという方もいらっしゃると思うので、目で見て分かる形で、都民の皆様が、皆さんが自信を持ってこれまで提供を続けてきた東京の水道水というものを安心して飲んでいただけるような取組に、より一層力を注いでいただくよう要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○岩永委員 それでは、まず、防災、震災対策についてお伺いします。
 十月七日の夜、十時四十一分に、関東で十年ぶりに発生した最大震度五強の地震の影響で、都内の水道管から水があふれる事態が発生しました。災害時には、ライフラインである水道が止まることを想定し、日頃からの備えが必要です。
 そこでまず、災害時の応急給水体制について、都、区市町、地域でそれぞれ役割がありますが、その中で、都の役割について伺います。

○石井総務部長 応急給水に関する当局と区市町や住民との役割は、東京都地域防災計画に定められております。
 災害時給水ステーションである給水拠点のうち、応急給水槽を除く浄水場、給水所等の当局施設においては、当局が、応急給水に必要な資器材等を設置し、応急給水活動そのものは、区市町が行っております。
 また、車両輸送による応急給水については、関係行政機関等からの要請に基づき、当局が実施をしております。

○岩永委員 次に、浄水場などの給水施設について、自治体や自治会等との連携や、鍵を開ける際などの情報共有については、どのようになっているのか伺います。

○金子サービス推進部長 当局は、夜間、休日などに発災した場合に備え、各給水拠点の近くに居住する職員を、あらかじめ拠点給水要員として指定し、迅速に給水拠点に駆けつける体制を構築しております。
 しかし、道路などの被害によって当局職員が駆けつけられない場合も想定されることから、当局施設用地と応急給水区画を分画化し、区市町や区市町が指定した住民が応急給水区画に入場できるよう整備しております。
 この応急給水区画に入るための鍵の取扱いにつきましては、区市町に情報提供しております。

○岩永委員 応急給水に関して、地域住民との訓練も必要だと思います。
 現在、どのような頻度で、どのような訓練が行われているのか伺います。

○金子サービス推進部長 災害時の応急給水活動を迅速かつ確実に実施するためには、実際に応急給水を行う区市町や地域住民との連携が極めて重要であります。
 そのため、当局では、浄水場や給水所などの給水拠点ごとに、原則年一回、区市町の職員や地域住民と、応急給水用資器材の組立てや残留塩素の検査など、実践的な訓練を実施しております。
 また、区市町が主催する総合防災訓練等にも参加し、住民に給水車や消火栓からの応急給水を体験してもらうほか、当局が進めている災害対策を紹介するなど、応急給水の実効性を高めるための取組を行っております。

○岩永委員 いざというときに、東京都の職員が到着するのを待たずに、地域で迅速に応急給水が行えるように、日頃から役割分担を確認しておくことが重要です。
 都の役割として、浄水場の給水施設での訓練ができることを設置自治体や設置地域に呼びかけるなど、地域と連携した取組を要望します。
 次に、水道施設の環境対策についてお尋ねします。
 まず、CO2削減の取組について伺います。
 都は、ゼロエミッション東京戦略を策定し、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロ、二〇三〇年までにマイナス五〇%の目標を掲げています。これを実現するためには、省エネを進め、再エネを創出していく必要があります。
 知事は、第三回定例会で、新築建築物への太陽光発電設置の義務づけの方針を表明し、制度づくりに向けて議論が始まっています。民間の建物への設置はもちろん重要ですが、都としても、公共施設については率先して設置することが求められています。浄水場などの広い敷地を生かして、太陽光発電を積極的に進めていただきたいと思います。
 水道局が管理をしている浄水場の敷地及び建物の面積と現在太陽光パネルを設置している面積を伺います。あわせて、太陽光発電のポテンシャルをどれくらいと考えているのか伺います。

○岩崎設備担当部長 当局の主要浄水場の敷地面積は約百五十万平方メートル、事務所棟などの建築物の面積は約二十一万平方メートルでございます。
 太陽光発電設備を設置している面積は、維持管理に必要な場所を含め約十一万平方メートルでございます。
 太陽光発電設備の設置に際しては、整備費用回収の可否や設置場所の荷重制限、場内施設の改修計画等を踏まえて導入を行っており、現時点で設置に適した場所には整備済みでございます。

○岩永委員 都は、ゼロエミッションを進めており、全庁挙げて実施していかなければなりません。
 水道局としても、さらなる取組が必要と考えますが、今後の計画について伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局ではこれまで、環境への取組の成果や社会状況の変化、ゼロエミッション東京戦略などを踏まえ、令和二年三月に、令和二年度から六年度までを計画期間とする東京都水道局環境五か年計画二〇二〇-二〇二四を策定いたしました。
 本計画では、CO2排出量削減など四つの環境基本方針の下、省エネルギー化の推進など三十七の取組事項を設定し、取組を進めることとしております。
 今後も、本計画に基づく施策を着実に推進してまいります。

○岩永委員 水道局での太陽光パネル設置については、ポテンシャルが既に目いっぱいということで、大変残念です。改めて増やす努力を要望します。
 目標達成には、全庁挙げて、あらゆる分野での取組が必要ですので、水道局としても、CO2削減や再生可能エネルギーを増やす取組を積極的に進めていただくことを求めます。
 次に、プラスチック削減に向けて、水飲み栓、給水機の普及とマイボトル運動のさらなる推進についてお尋ねします。
 プラスチック削減については、東京都全体でも積極的に取り組んでいかなければならない重要な課題です。
 水道局では、都内にマイボトル給水型の水飲み栓を設置し、水道水のPRとともに、環境に優しいマイボトルを推奨しており、期待しています。
 そこでお聞きします。
 マイボトル給水型の水飲み栓の設置を、二十三区内だけでなく、多摩地域でも積極的に進めるべきと考えますが、設置状況と今後の設置目標について伺います。

○金子サービス推進部長 当局ではこれまでに、シンボリックなドリンキングステーションを東京国際フォーラム、浅草文化観光センター、恩賜上野動物園、東京芸術劇場、東京観光情報センターバスタ新宿の五か所に設置してまいりました。
 令和三年度は、区部、多摩地区にそれぞれ三か所ずつ合計六か所に設置することとしており、これにより、計画しているシンボリックなドリンキングステーションの設置は終了いたします。

○岩永委員 イベントなどで使える可動式のマイボトル給水機の保有台数と保管場所について伺います。また、これまでのイベントなどでの貸出し実績について伺います。

○金子サービス推進部長 当局では、現在、可動式のドリンキングステーションを八台保有しており、都庁内及び外部の倉庫に保管しております。
 これまで、都庁各局のイベントや東京二〇二〇大会のテストイベントなど、多くのイベントに貸出しを行っており、令和元年度の貸出し実績は約四十回、二年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一回でございます。

○岩永委員 マイボトル給水機は、今年度で設置は終了とのことですが、ゼロエミッションの中でもプラスチック対策は重要です。さらに進めていただきたいと思います。
 また、可動式のマイボトル給水機の貸出し実績は、二〇一九年度は四十回ということでした。八台の貸出しが一年間で四十回では少なく、もったいないです。
 私の地元の国分寺市の市民祭りで可動式のマイボトル給水機の活用を検討した際に、大きな給水機を遠方から運搬することが難しいため断念しました。多くの人の集まる場で、環境施策のPRの機会でもあったので、大変残念です。都庁や外部の倉庫で眠っている給水機を、各地域にある水道営業所やサービスステーションで日常的に活用し、イベント時には積極的に貸し出すなど、稼働率を上げる取組を求めます。
 次に、多摩地域水源井戸の有機フッ素化合物汚染について伺います。
 二〇一九年六月、PFOS、PFOAが高濃度で検出された水源井戸の取水停止を始めました。その後、停止した井戸が増えており、汚染の広がりを心配する声が届いています。
 そこで、取水停止井戸の地域的広がりについてどのように分析をしているか伺います。

○佐藤技術調整担当部長 令和元年六月に、国が国会にて、PFOS及びPFOAに関する目標値設定の検討を表明したことなどから、当局では、独自の取組として、アメリカ環境保護庁の健康勧告値を参考に、一部の井戸の停止を行いました。
 令和二年四月に、国がPFOS及びPFOAを水質管理目標設定項目と位置づけ、暫定目標値を設定したことを踏まえ、引き続き、これらの物質の水質管理を徹底してまいります。

○岩永委員 有機フッ素化合物は、PFOSとPFOAだけではありません。生活者ネットワークは、ほかの物質についても測定するよう求めてきました。
 水道局では、今年四月に、要検討項目となったPFHxSについても測定を始めました。有機フッ素化合物は種類が多く、次々と代替物質に置き換わる可能性があります。
 今後の新たな物質に対してどのように取り組んでいくのか伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 PFHxSについては、国が、令和三年四月に、毒性評価が定まらないことなどから、情報や知見を集積することとされる要検討項目に位置づけたことを踏まえ、当局では、同年四月から定期的に検査を行い、結果をホームページで公表するなど、速やかに対応しています。
 国が定める水質基準項目、水質管理目標設定項目及び要検討項目に位置づけられていない物質については、引き続き、国の動向などを注視してまいります。

○岩永委員 東京都はこれまで、安全でおいしい水の供給を目指し、様々な研究を重ねてきました。
 有機フッ素化合物汚染についても、汚染物質の除去について研究し、除去技術の確立、実践へとつなげていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 国が定める水質基準項目、水質管理目標設定項目及び要検討項目に位置づけられていない物質については、引き続き、国の動向などを注視してまいります。

○岩永委員 都の化学物質対策はこれまで、国に先駆けて測定を実施してきたと認識しています。さらに、除去技術についても、例えば、膜ろ過などの研究を重ねています。しかし、最近は、今回のPFHxSのように、国が指定するのを待つケースが見られ、残念です。率先して実施していくことを求めます。
 また、汚染原因の究明も重要です。有機フッ素化合物汚染を原因とする停止井戸は、国分寺市や府中市だけではなく、国立市、立川市、小平市、調布市と広がっています。こうした水道局の情報と福祉保健局、環境局の汚染情報を集めて、環境局に汚染源を究明するよう求めていただきたく要望いたします。
 次に、玉川上水の保全について伺います。
 玉川上水は、緑と水が織りなす景観軸であり、武蔵野の自然が残る貴重な場として多くの人に愛されています。
 現在、東京都では、生物多様性地域戦略を策定中ですが、SDGsの観点で、持続可能な東京を展開する上でも、水道局が担っている玉川上水の管理に生物多様性の考え方を入れるのは重要と考えます。
 小平監視所から浅間橋までの史跡玉川上水整備活用計画の対象区域で、最近、樹木の伐採が多過ぎるという意見を聞いています。
 直近十年間で、年ごとの伐採本数を伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、史跡玉川上水整備活用計画に基づき、水路、のり面の崩壊防止や倒木による被害防止、樹木の植生管理などのため、伐採を実施しています。
 過去十年間の樹木伐採本数は、平成二十三年度は四百九十八本、二十四年度は六百四十四本、二十五年度は八百八十四本、二十六年度は千三百三十三本、二十七年度は二千八百五十三本、二十八年度は五千二百七十七本、二十九年度は七百九十八本、三十年度は千八百五十一本、令和元年度は三千六百四十一本、二年度は七千十三本であります。

○岩永委員 十年間の伐採本数を合計すると二万四千七百九十二本にも上ります。
 地域住民や観察、保全活動を行っている団体などから、様々な意見が寄せられます。以前は、伐採や剪定に当たって、住民や団体と地元自治体、都職員が協議して合意点を探る方法を小平方式と呼んで実施していたと聞いています。
 こうした取組を進めていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、整備活用計画の策定以降、地元自治体と連携して、住民等への作業説明会を地域ごとに開催し、樹木処理作業等の計画や実績等について説明しています。
 また、現場においては、伐採や剪定の対象樹木にテープを巻くなど、地元への周知を図っています。
 今後とも、地元自治体と作業に関する情報を共有するなど連携を図り、玉川上水の樹木処理作業を丁寧に行ってまいります。

○岩永委員 玉川上水は、水道局だけでなく、建設局や環境局、教育庁など幾つもの局が関係しています。
 関係部署の横断的な情報交換の場を設けていると聞いていますが、それを密にするとともに、水道局として、生物多様性に配慮した整備、管理を行っていく方針を持つべきと考えますが、見解を伺います。

○金子経理部長 玉川上水の整備に当たりましては、玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会などを活用し、地域の方々からの要望について意見交換を行うなど、関係各局や地元自治体と連携し、緑の保全に配慮した植生管理を行うとともに、生物多様性を持った適切な生態系が維持されるよう努めてまいります。

○岩永委員 小平市の喜平橋から茜屋橋の間では、二百本以上の伐採計画がありましたが、地元の住民と意見交換を行い、伐採本数を半減しました。こうした意見交換は大変重要です。
 先日、玉川上水の三鷹市部分でも、三鷹市や市民団体から見直しが促されて、予定されていた約百本の樹木伐採やのり面をシートやネットで覆う計画を一旦白紙にするという新聞報道がありました。こうした環境に関わる整備は、地域住民との合意形成を得ながら丁寧に進めていただくことを要望します。
 次に、水道局職員の女性割合と障害者割合についてお尋ねします。
 女性が働きやすい職場環境を庁内全体で進めるために、それぞれの局や部内での取組が重要です。
 そこでまず、水道局職員と政策連携団体である東京水道株式会社社員の女性比率の現状を伺います。また、浄水場で働く女性の割合についても伺います。

○長嶺職員部長 令和三年八月一日現在、他団体への退職派遣者を含む当局職員に占める女性の割合は一九・〇%、浄水場に勤務する職員に占める女性の割合は一二・八%でございます。
 また、東京水道株式会社の固有社員に占める女性の割合は二六・五%、浄水場に勤務する社員に占める女性の割合は三・六%でございます。

○岩永委員 ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて、子育てや介護をしながら働き続けられる環境整備が求められています。
 浄水場などの現場ではどのような取組がされているのか、現状及び今後について伺います。

○長嶺職員部長 当局では、浄水場などの事業所を含む局全体で、東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランに基づく取組を推進しております。
 具体的には、育児、介護と仕事の両立について、職員の支援講座への参加促進を図るとともに、各職場において、両立支援アドバイザーを設置し、職員からの相談に対応するなどの取組を行っております。
 また、管理職が休暇取得や超過勤務縮減の促進等をイクボス宣言として明らかにすることで、職場の意識醸成を図っております。
 引き続き、全ての職員がライフ・ワーク・バランスを実現できる環境の整備に取り組んでまいります。

○岩永委員 では、水道局と東京水道株式会社での障害者雇用の現状を伺います。

○長嶺職員部長 令和二年六月一日時点の当局の障害者雇用率は二・九八%、東京水道株式会社の障害者雇用率は二・四一%でございます。

○岩永委員 障害者が働きやすい職場にするために、合理的配慮が必要です。
 浄水場などの現場で実施されている合理的配慮について伺います。

○長嶺職員部長 当局では、浄水場などの事業所を含む局全体で、障害のある職員が、その障害特性や個性に応じて能力を有効に発揮できるよう就労環境の整備等に取り組んでおります。
 具体的には、スロープの設置など障害者が働きやすいような施設設備の改善のほか、職場研修の実施等を通じた職員の障害者雇用に対する理解促進を図っております。
 また、職員本人と相談の上、移動を伴う業務の軽減や業務分担の見直しなど、障害者の特性に配慮した人員配置を行っております。

○岩永委員 水道局の女性割合は一九・〇%、浄水場では一二・八%と、まだまだ女性が少ない職場です。
 今回の公営企業委員会事務事業質疑では、下水道局、交通局の職員の女性割合についてもお聞きをしました。三局ともに技術が必要な職場であることもあり、水道局は女性が局長でいらっしゃいますが、まだまだ全体的に女性職員や女性管理職が少ないということが分かりました。今後とも、女性割合を増やす努力をお願いいたします。
 女性割合が少ないということは、逆にいえば男性が多い職場であるということです。イクボス宣言の取組もご紹介いただきましたが、家庭におけるワーク・ライフ・バランスを進めるために、長時間労働を改善することと併せて、男性の育児休業については、取得率を上げることはもちろんのこと、日数についても増やして、男性が主体的に家事や育児に参画できるようにする取組が必要です。職場の理解を進めるとともに、男性に対しても積極的に意識改革を働きかけるようお願いをいたします。
 そして、女性が働きやすい職場環境づくりにも取り組むことと併せて、女性や障害者が職場で困ったときに相談できる体制の充実を要望します。
 今回、水道事業について、労働環境や温暖化対策、生物多様性などの環境問題を取り上げ、持続可能性、すなわちSDGsの観点から質問しました。
 東京都でも、全ての局が当事者意識を持って進めていく必要があります。今後のさらなる取組を要望し、質問を終わります。

○村松委員 では、私からは、ソフトウェアシステムについてお伺いいたします。
 水道局におけるソフトウェアシステムにはどのようなものがあるか伺います。また、開発経費の合計、年間運用費の合計を教えてください。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局が独自に開発し、現在稼働しているシステムは、水道料金ネットワークシステムや多摩水道料金等ネットワークシステムなどの水道料金徴収システムのほか、財務会計システムや水運用システムなど、合計十七システムございます。
 これらのシステムの開発経費は合計約百九十億六千八百万円、年間運用経費は令和三年度の契約額で合計約四十二億九千六百万円でございます。

○村松委員 開発経費の合計は約百九十一億円、運用費の年間費用は約四十三億円ということでございました。システムは便利な面がある反面、経費は増える傾向にありますから、セキュリティや利便性を追求しながらも経費削減に努めていただきたいと思います。
 国の会計検査院によると、平成三十年度に各省庁が行ったシステム改修の競争入札のうち、参加した業者が一つだけだった一者応札が九四%となっていたとのことで、ベンダーロックインが懸念されています。また、同報告によると、平均落札率は、応札者数が一者の場合は九六%となっているのに対して、応札者数が二者以上の場合は八二・五%と、一三%以上低くなっていたとのことです。これを受けて、公正取引委員会では、全国の自治体へ実態の調査と報告をまとめる予定と聞いております。
 水道局におけるシステムで、ベンダーロックインが起きないようにどのように取り組んでいるか伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局の業務システムのうち、老朽化に伴う再構築を検討している財務会計システムにつきましては、仕様の客観性及び公正性を確保するため、現在、総合評価方式により選定いたしました専門的な知識を有するITコンサルタントを活用し、要件定義に取り組んでおります。
 また、入札、調達、業務委託などに関連する情報を複数事業者から収集し、適正な仕様の作成に向けた検討を行っております。
 今後、その他のシステム再構築を行う場合においても、特定ベンダーの技術に大きく依存することのないよう検討してまいります。

○村松委員 開発事業者が運用するということは一定理解をしております。開発事業者と運用事業者が変わってしまうと、一からシステムの見直しをしなければいけませんから非効率的ですし、入札しても受け手がいなくなると思います。また、水道局固有の業務については、独自にシステム開発する必要があることも理解をしております。
 一方、他局と共通する業務については、システムを共用することで経費の削減に努めるべきと考えますが、見解を伺います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 当局では、水道事業の基幹業務である料金徴収や水運用などに関わるシステムのほか、公営企業である当局固有の事務を処理する財務会計や固定資産管理などのシステムについて、独自に開発、運用を行ってまいりました。
 一方、財務局が運用している電子調達システム、総務局が運用している文書総合管理システム及びe-人事システムの三システムにつきましては、当局も事務処理が共通することから、システムを共用しております。
 今後も、共通化できる業務が生じた場合には共用化を検討いたしまして、経費の削減に努めてまいります。

○村松委員 システム再構築を行う場合においても、特定のベンダーの技術に大きく依存することのないよう、また、他局と共有できる業務については共用化を検討するなど、経費の削減に努めているということで、確認をさせていただきました。
 さらに、デジタルサービス局と連携をしながら行っていただきたいと要望して、終わります。ありがとうございました。

○かつまた委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 多摩川の治水協定についてお伺いをいたします。
 二〇一九年台風十九号により、私の地元大田区、そして、多摩川流域は、甚大な被害が発生をいたしました。大田区では、特に田園調布地域において、支流の丸子川が氾濫を起こし、流域では、床上、床下浸水という被害が発生をいたしました。
 当時、私は、大田区議会議員として被害の状況を把握するとともに、今後の発生抑制を進めるため、地元の大田区長とともに、当時の赤羽国土交通大臣に面会をし、多摩川の水害対策の要望をさせていただきました。
 その後、関係機関と治水協定が結ばれたと聞いております。協定締結の経緯と概要について教えてください。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 国は、令和元年十二月に、緊急時において、ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用できるよう、既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針を定め、これに基づき、令和二年一月に、多摩川水系の河川管理者と関係利水者による協議会を設置しました。
 この協議会での調整等を経て、令和二年五月、国土交通省、神奈川県、都建設局、交通局、水道局の五者間で、多摩川水系治水協定を締結しました。
 この協定では、多摩川の流域に水害発生が予想される際に、小河内ダムに洪水調節可能容量を確保するため、事前放流を実施することを定めています。

○かつまた委員 その洪水発生に備え、事前放流すると今伺いましたけれども、事前放流は、どのような条件の下、行うのか伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 小河内ダムにおける事前放流の実施判断の条件は、国が策定した事前放流ガイドラインに基づき、小河内ダムの上流域の予測降雨量が、四十八時間の累計値で四百五十ミリ以上となった場合と治水協定で定めています。
 事前放流を実施することにより、小河内ダムでは、洪水調節に利用可能な容量として最大三千五百五十八万立方メートルが確保されます。

○かつまた委員 この事前放流については、その下流域への周知が大変重要であるというふうに考えます。
 この事前放流に当たり、多摩川の流域の自治体へはどのように周知をしていくのかお伺いをいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 小河内ダムにおいて、治水協定による事前放流を実施する際には、同協定に基づき、ダムの操作等を定めた小河内ダム事前放流実施要領等により、当局が、河川管理者や都の防災関係部署、流域の自治体などにメールや電話等で通知することとしています。
 また、同時に、当局のホームページやツイッターに、事前放流に関わる最新の情報を掲載することとしており、河川の流量増加や水位の上昇に関して幅広く注意を呼びかけていくこととしています。

○かつまた委員 多摩川は非常に長い川でございまして、源流から羽田の東京湾河口まで百三十八キロというふうに伺っております。実際の周知は、流域の市区町村となるというふうに思いますけれども、その辺しっかりと情報共有できるように連携をお願いしたいというふうに思います。
 また、最近は、台風の進路は、地球温暖化の影響でしょうか、時折予想と違う進路を進むことがあるようであります。事前放流後、実際の降雨量が予想より少なく、また、結果的に貯水量の回復が遅れてしまうことになりかねないか心配であります。
 その辺の見解がありましたらお聞かせください。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 都の貴重な水源としての役割を担う小河内ダムで、事前放流により貯水量の回復が遅れる事態は回避する必要があります。
 ガイドラインや実施要領では、事前放流の中止に関わる事項を定めており、小河内ダムが事前放流を開始した後、予測降雨量が当初から変化し、事前放流実施の判断基準に該当しなくなった場合には、事前放流を中止することとしています。
 実際の降雨量を踏まえてダムの放流を操作することで、必要以上にダムの貯水量が低下しないよう、適切な管理を行ってまいります。

○かつまた委員 適切な管理ということですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、浄水場の更新についてお伺いをいたします。
 高度経済成長期に集中的に整備をしてきた浄水場が一斉に更新時期を迎えます。一方で、都の人口は、令和七年にピークとなり、その後、人口減少時代に入るといわれております。
 この人口減少を考慮した浄水場の更新について見解をお伺いいたします。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 浄水場の更新には長い期間と多額の経費が必要であります。
 一方、今後、人口減少に伴い、財源となる水道料金収入が減少していくことから、更新を着実に進めていくためには、より効率的な施設整備が求められます。
 このため、予防保全型管理に取り組み、施設の長寿命化や更新の平準化を図りながら計画的に更新していくこととしています。
 また、浄水場の施設能力は、安定給水を確保した上で、水道需要の動向、補修や停止リスクによる能力低下などを考慮し、更新に合わせて適切な規模にダウンサイジングしてまいります。

○かつまた委員 今の答弁で、保全型管理や長寿命化、また、更新の平準化を行っていくとの計画が確認できましたけれども、計画どおりに進むよう、ぜひ、あらゆる角度から検討して、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、改正水道法についてお伺いをいたします。
 国における水道法が改正をされまして、東京の水道も民営化になるのではないかと不安に思っている方たちがおり、海外の事例などを引かれ、そのようなことになれば、サービスが低下し、また、水道料金が上がるのではないかというふうに訴える方がおります。
 水道法が改正をされ、水道事業における、官民連携や広域連携等による基盤強化が明記をされましたけれども、東京都水道局における、民営化とコンセッション方式の導入を検討しているのかお伺いをいたします。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、令和元年十月に施行されました改正水道法を踏まえまして、都の水道事業の経営基盤強化を図るため、外部有識者で構成する東京都水道事業運営戦略検討会議を活用し、改めてグループ経営やコンセッションなど様々な官民連携の在り方を検討いたしました。
 検討に当たりましては、首都東京と都民生活を支える東京の水道の大規模性を踏まえた平常時や災害時における安定給水の確保、公共性と効率性などの観点から、それぞれの手法を幅広く比較いたしました。
 当局では、令和二年七月に策定いたしました東京水道長期戦略構想二〇二〇におきまして、都の広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、引き続き、水道局と政策連携団体が担うグループ経営を推進していくこととしております。

○かつまた委員 次に、大田区の災害時の応急給水体制についてお伺いをしたいと思います。
 水道局で、万一の災害時に断水が発生した場合、災害時給水ステーションで飲み水を配ると聞いております。
 大田区においては約七十三万人もの住民がいます。十分な応急給水体制が取られるのか心配です。
 そこで確認をしたいと思います。
 災害時における応急給水設備の整備の考え方についてお伺いをいたします。

○石井総務部長 災害時給水ステーションは、応急給水場所の総称であり、給水所等の給水拠点、小学校や中学校の避難所の応急給水栓、応急給水に活用できる消火栓等があり、これまで重層的な整備を行ってまいりました。
 給水拠点は、居住場所からおおむね半径二キロメートルの距離の中で一か所整備することとしており、大田区内には八か所整備をしております。
 また、応急給水栓は、区市町が指定した小学校や中学校の避難所等へ設置をするもので、大田区内には九十一か所設置をしております。
 そのほか、応急給水に活用できる消火栓等につきましては、区市町からの要望を受け、当局が適否を調査し、指定するもので、大田区内には百二十七か所指定をしております。
 応急給水にはスタンドパイプなどの資器材が必要であり、災害時給水ステーションの付近に倉庫等を配備しております。

○かつまた委員 災害時の応急給水は、給水拠点、応急給水栓、そして、消火栓等の災害時給水ステーションで対応するというふうに理解をさせていただきました。
 給水拠点については、半径二キロメートルに一か所整備をされており、それが、区境、地域にとらわれず利用できることは、住民にとって安心できることだと思います。ここもぜひ広報していただきたいと思います。例えば、お隣の区に行くと、給水ステーションは区民じゃないと使えないとか、そういうふうに理解されている方もいらっしゃるようですので、そういったところを広報していただければと思います。引き続き、こうした情報をしっかりと住民に届けてほしいことを要望いたします。
 次に、スマートメーターについてお聞きをいたします。
 コロナ禍を契機に、日本のデジタル化の遅れが顕在化し、DX、デジタルトランスフォーメーション化は国家的課題であります。
 都においても、未来の東京戦略において、スマート東京の実現を戦略の一つに位置づけており、また、水道局が令和三年三月に策定をいたしました東京水道経営プラン二〇二一では、DX、デジタルトランスフォーメーションの一環で、スマートメーターの導入が検討をされております。
 まず、スマートメーター導入の経緯についてお知らせ願います。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 水道局では、ICT技術の活用やDX化の推進により、お客様サービスの向上や業務の効率化を図ることを重要課題の一つとして位置づけ、取組を進めております。
 現在の検針業務は、二か月に一度、検針員が現地を訪問して水道メーターを検針しておりますが、多くの人員と経費を要する一方で、安定的業務運営への懸念と、一層のお客様サービス向上の必要性がございます。
 そこで、令和二年三月に水道スマートメータトライアルプロジェクト実施プランを策定し、令和四年度から六年度の三か年でスマートメーターを先行導入して、導入効果の検証を行うことといたしました。

○かつまた委員 このトライアルプロジェクトでは、効果検証を円滑かつ効率的に実施する観点から、スマートメーターの具体的な設置場所を設定しているとあります。区分として、パイロットエリア、スマート東京先行実施エリア、山間部、集合住宅、検針困難場所、そして、公共施設で、合計約十三万戸となっております。
 このトライアルプロジェクトにおける先行設置場所選定についての考え方をお伺いいたします。

○尾関企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長工業用水道事業調整担当部長兼務 トライアルプロジェクトでは、自動検針業務の安定性や見える化、見守りサービス等の新しいお客様サービスのニーズ、提供内容、施設の維持管理や施設整備の最適化といった水道事業へのデータ活用などについて、導入効果を検証することとしております。
 これらの検証を行うため、首都中枢地域や住居地域、山間部など、水道使用実態や施設整備状況の異なる地域をパイロットエリアとして選定いたしました。
 また、都が進めるスマート東京先行実施エリアなどを対象とし、先端技術を活用した実証プロジェクトにも協力してまいります。
 さらに、新しいお客様サービスのニーズなどを把握するため、集合住宅や学校、公園にも設置してまいります。

○かつまた委員 様々な課題があると思います。これからも、人口減少や高齢化、また、都民へのサービス向上等、様々な観点を考えると、ぜひこのトライアルプロジェクトを成功に導いていただければというふうに考えます。
 ぜひ、様々な課題をクリアしていただき、計画どおり二〇三〇年度までに全戸導入できることを期待し、質問を終わります。ありがとうございました。

○森村委員 私からは、まず、水道水源林における獣害駆除についてお伺いいたします。
 昨年、笠取山周辺の水道水源林の視察をさせていただきましたが、その際に、モミなどの樹木の被害が著しく、また、通常、森林の中では見られないフキの群落など、獣害被害の著しい土地に特徴的な植生などを確認するとともに、鹿の群れが下草をはんでいる現場を確認することができました。
 私も、地元の青梅市内の山林で、杉の人工林の中で、皮が食べられてしまい木材としては完全に価値を失ってしまった樹木を多数見てまいりましたが、二千メートル級の亜高山帯において著しい被害を確認したことで、獣害被害の深刻さの一端に触れた思いでございます。こうした鹿害については、平成十五年頃から顕著に確認され、以後、被害が拡大してきたものと聞いております。
 そこでまず、鹿の生息が水道水源林にどのような影響を与えているのか、また、それらの影響をどのように把握しているのか伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 水道水源林は、水源涵養機能、土砂流出防止機能、水質浄化機能を有していますが、鹿が樹皮を食べることで樹木が枯れることや、草を食べ尽くすといった森林被害により、これらの機能の低下が懸念されています。
 このため、当局では、平成十六年度から毎年度、鹿による森林被害の状況や鹿のふんの分布から生息状況を把握する調査を実施しています。
 令和二年度に実施した水道水源林管内ニホンジカ生息状況等調査委託においても、森林被害が継続して発生していることを確認しております。

○森村委員 ご答弁いただきました水道水源林管内ニホンジカ生息状況等調査委託については、そのレポートも読ませていただきましたが、こうした調査を踏まえて具体的な取組が行われるべきと考えます。
 そこで、水道局はどのような鹿被害対策を行っているのか、取組状況について伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、森林被害や鹿の生息状況を調査した結果に基づき、優先箇所を選定し、効果的に対策を実施しています。
 具体的には、鹿の侵入を防止する柵の設置や樹木を一本ずつ保護する単木ネットの設置を行っており、平成十六年度から令和二年度までに、鹿柵約百六十一キロメートル、単木ネット約二十七万四千本を設置しました。
 また、鹿の生息数を抑制するため、多摩川上流域の自治体と連携して、鹿の捕獲を実施しています。

○森村委員 鹿柵や単木ネットで樹木を守ることについては、その重要性、理解できます。
 一方で、鹿による被害を減らすためには、鹿の頭数自体を減らす捕獲が最も重要だと考えております。
 水源林内での鹿捕獲の実施状況についても伺います。

○松田浄水部長特命担当部長兼務 当局は、市町村が実施している鹿捕獲に要した費用の一部を平成十七年度から負担しており、令和二年度までに六千五百八十九頭を捕獲しました。
 また、令和元年度には、市町村の捕獲範囲とは別に、標高一千メートル以上のエリアについて、新たに山梨県と共同で捕獲事業を開始し、費用の二分の一を負担して、十七頭を捕獲しました。
 令和二年度は、より標高の高いエリアに捕獲範囲を拡大し、百頭を捕獲しました。
 令和三年度は、捕獲範囲をさらに広げ、捕獲目標頭数を百頭から百五十頭に拡大して実施しています。

○森村委員 鹿の捕獲について強化していただいていることについて分かりました。さらなる対策の強化に取り組んでいただきたいと考えております。
 鹿の頭数については、年を追うごとに増加しているものと理解しておりまして、適正と考えられるレベルに抑制するに当たっては、何年もかけて実施するより、予算や人員を一気に投入して、短期間で実現する戦略や手段等を検討すべきであると考えております。
 水源林が所在する山梨県とも協議、調整をいただきながら、水源林における獣害対策の加速化を要望いたします。
 次に、施設の整備についてお伺いしてまいります。
 私の地元の青梅市では、千ヶ瀬浄水所が市町営水道時代に整備されましたが、昨年度末に公表された東京水道施設整備マスタープランに基づきまして、現在、施設更新の工事が実施されています。
 そこでまず、千ヶ瀬浄水所の整備目的と進捗状況についてお伺いいたします。

○佐々木施設部長 青梅市千ヶ瀬町にある既設の浄水所は、青梅市営水道時代に整備され、老朽化が進行し、耐震性などのほか、近年の原水水質の状況に対応した浄水処理に課題を抱えております。
 このため、千ヶ瀬浄水所を新たに整備し、原水水質に応じた適切な浄水処理が可能な膜ろ過処理へ変更することといたしました。
 平成二十八年度に旧施設の撤去に着手し、現在は、令和六年度の完成に向けて、膜ろ過棟や浄水池の築造などを実施しております。
 さらに、今後、千ヶ瀬浄水所の整備に合わせて、送水先にある給水所を拡充することにより、青梅市の給水安定性を一層向上させてまいります。

○森村委員 膜ろ過処理への変更ということで、千ヶ瀬浄水所の整備が順調に進行していることを理解しました。
 この地域は狭い道路が多く、地元では、工事車両の通行に伴う事故を懸念しております。本体工事の安全対策に加え、工事車両に伴う安全確保への配慮を要望しておきます。
 千ヶ瀬浄水所の整備工事には、多摩地区の中小事業者も数多く参加しています。多摩地区では、こうした工事のほか、震災時に断水を回避するために必要な管路の耐震継ぎ手化についても、多くの中小事業者が工事を担う存在になっています。
 管工事の推進においては、地域の事情に精通した中小事業者の協力を得ることが不可欠だと考えますが、昨年度の多摩地区の管工事における中小事業者の受注実績についてお伺いいたします。

○佐藤技術調整担当部長 多摩地区におきまして、令和二年度に案件ごとに契約した管工事の件数は二百三十件であり、契約した工事事業者は百十四者でございます。このうち中小規模の事業者は百十三者であり、さらに、多摩地区に本店所在地がある事業者は八十九者でございます。

○森村委員 多摩地区では、受注者のほとんどが中小規模の事業者で占められておりまして、給水安定性を確保するためには、こうした事業者の育成支援が重要です。
 水道局では、発注した管路工事の受注者に対して、よりきめ細やかな技術支援策を実現していく観点から、昨年度、アンケート調査を実施したと聞いております。
 アンケートにおいて、工事事業者から上がっている具体的な声について、改めてお伺いいたします。

○佐藤技術調整担当部長 当局では、工事事業者の課題やニーズなどを把握するため、令和二年度に、過去三か年の管工事の受注者を対象にアンケートを実施し、千四十六者からの回答がありました。
 これによりますと、水道工事の受注に当たり、受注者の課題として、工事を監理する技術者などの不足のほか、地元住民や道路管理者等との調整に時間がかかるなどの選択肢への回答が多くありました。
 また、当局への要望としましては、水道工事が必要であることのPRや長期的なビジョンの提示のほか、工事に必要な技術的支援などの選択肢への回答が多くありました。
 多摩地区に本店所在地がある中小規模の事業者三百六十八者からは、工事マナー、管工事の留意点、安全管理などをテーマにした講習会の開催を望む声などが寄せられております。

○森村委員 ご答弁いただきました工事事業者から寄せられた要望については、しっかりと受け止めることが必要だと思います。
 多摩地区の中小規模の工事事業者の要望を踏まえた局の取組について伺います。

○佐藤技術調整担当部長 多摩地区の水道を将来にわたり安定的に運営していくためには、管工事の多くを担う中小規模の工事事業者の技術力を維持向上していくことが不可欠と認識しております。
 このため、多摩地区では、中小規模の事業者に対して、現場管理能力の向上を図るため、令和二年度に、安全推進大会を計三回、現場代理人会議を計十一回開催しております。
 また、アンケートで要望がありました工事マナーや配管技術等の習得を支援するため、区部を含めた管工事の受注者全体を対象に、周辺住民対策、配水管工事の留意点、配管実習などを主な内容とする技術支援研修を令和二年十一月に実施したところでございます。

○森村委員 ご答弁いただきましたとおり、水道局が事業者の声を反映した積極的な支援を行っていくことの意義は大きく、これは、周辺住民や利用者である都民益につながるものと考えております。引き続き実効性の高い支援を行うことで、管工事を着実に推進していただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○こいそ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○こいそ委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○浜水道局長 第四回定例会に提出を予定しております議案の概要につきましてご説明申し上げます。
 東京都給水条例の一部を改正する条例についてでございます。
 本条例は、地方税法等の一部を改正する法律の施行により、地方自治法上の指定代理納付者制度に係る規定が削除され、指定納付受託者制度に係る規定が新設されることに伴い、所要の改正を行うものでございます。
 詳細につきましては、引き続き総務部長石井からご説明いたします。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○石井総務部長 第四回定例会に提出を予定しております議案につきましてご説明申し上げます。
 それでは、お手元の資料1をご覧いただきたいと存じます。東京都給水条例の一部を改正する条例についてでございます。
 資料の表紙をおめくりください。
 ただいま局長からもご説明申し上げましたが、本条例は、地方税法等の一部を改正する法律の施行により、地方自治法上の指定代理納付者制度に係る規定が削除され、指定納付受託者制度に係る規定が新設されることに伴い、所要の改正を行うものでございます。
 まず、1、改正内容でございますが、地方自治法の一部改正により、地方自治法第二百三十一条の二第六項が削除され、新たに第二百三十一条の二の三第一項が規定されることに伴い、地方自治法第二百三十一条の二第六項を引用している東京都給水条例第二十八条を改正いたします。
 2、施行期日は、令和四年一月四日から施行いたします。
 続きまして、資料2をご覧ください。
 一ページは、議案でございます。
 改正が行われる条例の内容につきまして、二ページの新旧対照表によりご説明申し上げます。
 二ページをご覧ください。上段が改正案、下段が現行条例でございまして、傍線を付した部分が改正部分でございます。
 第二十八条は、料金の徴収方法について定める規定でございまして、地方自治法の一部改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 以上で東京都給水条例の一部を改正する条例についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○こいそ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 よろしいですか。なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○こいそ委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○金子経理部長 工事請負契約につきまして、お手元の契約締結報告書によりご報告を申し上げます。
 本日ご報告申し上げますものは、令和三年八月一日から令和三年十月三十一日までの期間に契約を締結いたしました予定価格が一件九億円以上の工事請負契約三件でございます。
 表紙をおめくりいただいて、一ページをご覧ください。こちらは、本日ご報告申し上げます契約三件の総括表でございます。
 以下順次、契約の概要につきましてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。1、聖ヶ丘給水所耐震補強工事でございます。
 本件は、送配水施設整備事業の一環として、多摩市聖ヶ丘四丁目一番地内において、聖ヶ丘給水所一号及び二号配水池の耐震補強工事を行うものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十七億九千二百六十五万九千円、契約の相手方は佐藤工業株式会社でございます。入札経過につきましては三ページに、案内図につきましては四ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 五ページをお開き願います。2、新宿区霞ヶ丘町地先配水本管(一千百ミリメートル)支障移設及び配水小管支障移設工事でございます。
 本件は、神宮外苑地区の再開発整備事業に当たり、新ラグビー場築造予定箇所に占用されている既設配水本管及び既設配水小管が支障となるため、移設工事を行うものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十二億二千百万円、契約の相手方は村本建設株式会社でございます。入札経過につきましては六ページに、案内図につきましては七ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 なお、本件は、神宮外苑地区で予定されている再開発整備事業の施工予定者からの依頼に基づき、施工予定者の費用負担により実施する工事でございます。
 八ページをお開き願います。3、練馬区大泉学園町四丁目地内から同区石神井台一丁目地内間送水管(二千六百ミリメートル)トンネル内配管及び管理用立坑築造工事でございます。
 本件は、練馬区大泉学園町四丁目二十番地内から同区石神井台一丁目二十六番地内間において、内径三千三百ミリメートルのシールドトンネル内に、内径二千六百ミリメートルの送水管を新設するとともに、管理用立て坑の築造を行うものでございます。
 契約の方法はWTO一般競争入札、契約金額は五十三億四千六百万円、契約の相手方は戸田・ミライト・橋本組建設共同企業体でございます。入札経過につきましては九ページ及び一〇ページに、案内図につきましては一〇ページにお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、ご報告申し上げます。よろしくお願い申し上げます。

○こいそ委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大山委員 新宿区霞ヶ丘町地先配水本管支障移設及び配水小管支障移設工事についてです。
 この契約は、外苑地区の再開発計画で、現在、配水本管と小管が入っているところにラグビー場を造ることになっているから、配水本管と小管があったらラグビー場が造れないから、移設する工事の契約をしましたということですね。
 先ほどの説明では、施工予定者が費用を出して行う工事で、水道局は頼まれたのですということなんですけれども、重大なことは、この地域の神宮外苑地区再開発計画は、多くの反対意見がある案件だということです。
 神宮外苑の再開発は、大手ディベロッパーが進めていて、長い歴史でつくられた景観、環境、文化、貴重な緑を破壊し、文化的価値もないがしろにするものです。すてきなイチョウ並木、この土日も大分にぎわっていたようですけれども、この計画では、ホテル併設の野球場がイチョウ並木のぎりぎりまで迫って建設され、景観を圧迫します。八十メートル、百八十五メートル、そして、百九十メートルの超高層ビルが建ち並び、神宮の森は高層ビルの森に変わってしまうといわれています。
 都は、外苑地区を、世界に誇れるスポーツクラスターにすると位置づけていますが、この開発によって、外苑地区にある六面もの軟式野球場、それから、フットサルコート、一部のテニスコートなどが、軒並みなくなってしまいます。軟式野球場は、抽せんに当たるのは宝くじに当たるようなものだといわれるぐらい都民が使える都心の貴重な施設です。このように、多くの課題を抱えた再開発計画です。
 伺いますが、この配水管移設の工事をやらなければならない大本の再開発計画には、今まで述べたように、多くの異論が出ていることを知っていながら工事契約を結んだんでしょうか。

○石井総務部長 本件につきましては、経理部長からご説明がありましたとおり、再開発整備事業の施工予定者から、当局への依頼に基づき、施工予定者の費用負担により実施するもので、都市計画事業である再開発事業には含まれない水道管の移設工事であるというのがご答弁になります。
 委員のお話があって、多くの異論が出て、知っていながらというところなんですが、これ、私ども、こういった再開発や事業認可、そういったものを要件としてその工事を引き受けるとかそういうことではないので、実際には、この施工者側とのお話合いというのは、あくまでも水道管の移設の工事に対する打合せしか行いませんので、それを知り得るというような状態にはないということは申し上げたいと思います。

○大山委員 再開発事業には含まれない工事なんだといいますけれども、再開発事業でラグビー場が移転することになっているから、この移設工事が必要になるわけです。再開発事業と大いに関係があるわけですね。たとえ依頼されただけの工事であっても、自分たちがやろうとしていることが、都民にとってどういうことなのかということを把握しようとする姿勢は必要なんじゃないでしょうか。
 先週の月曜日、つい先週です、十一月二十二日に、地元新宿区の都市計画審議会では、報告案件として、神宮外苑地区に係る都市計画の変更についてが報告されました。議案になるのは来年の一月ですけれども、この日も、委員の方々から次々に異論が出されたとのことです。外苑の歴史や成り立ち、緑を無視したもので認められない、新国立競技場よりも背の高いラグビー場なんですね。何でこんな計画なんだとか、ラグビー場は移転させないで、現地で建て替えればいいんじゃないかとか、このまま決めてしまうのかなど、次々疑問や異論が出されたとのことでした。
 都政は都民のためにあります。神宮外苑地区、地区計画の変更は、来年二月の都計審でも案件として出される予定です。地区計画自体に、多くの都民、学者、研究者からも様々な異論が出されている、施主から頼まれたから水道局はやらなきゃならないということですけれども、このような状況で、さっさと契約をしてしまってよいのかということを指摘しておきます。
 以上です。

○こいそ委員長 ほかに発言はよろしいですか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○こいそ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十二分散会

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