委員長 | こいそ 明君 |
副委員長 | 菅野 弘一君 |
副委員長 | 森村 隆行君 |
理事 | 斉藤まりこ君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 村松 一希君 |
石島 秀起君 | |
岩永やす代君 | |
成清梨沙子君 | |
かつまたさとし君 | |
保坂まさひろ君 | |
山口 拓君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 内藤 淳君 |
次長総務部長事務取扱 | 土岐 勝広君 | |
職員部長 | 牧野 和宏君 | |
資産運用部長 | 坂田 直明君 | |
電車部長 | 市川 雅明君 | |
自動車部長 | 櫻庭 裕志君 | |
車両電気部長 | 野崎 慎一君 | |
建設工務部長 | 谷本 俊哉君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 神永 貴志君 | |
安全管理担当部長 | 西川 善宣君 | |
鉄軌道事業戦略担当部長 | 築田 直樹君 | |
バス事業経営改善担当部長 | 太田 純也君 | |
技術調整担当部長 | 生越 啓史君 | |
技術管理担当部長 | 坂口 淳一君 |
本日の会議に付した事件
委員長の辞任及び互選
交通局関係
事務事業について(質疑)
○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
初めに、委員の辞職について申し上げます。
議長から、去る十一月二十二日付をもって、地方自治法第百二十六条ただし書の規定により、木下ふみこ議員の辞職を許可した旨通知がありましたので、ご報告いたします。
○大山委員長 次に、委員の所属変更について申し上げます。
議長から、去る十一月二十四日付をもって、西山賢議員が本委員会から環境・建設委員会に変更になり、新たに、こいそ明議員が環境・建設委員会から本委員会に所属変更になった旨通知がありましたので、ご報告いたします。
この際、新任の委員をご紹介いたします。
こいそ明委員です。
○こいそ委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○大山委員長 紹介は終わりました。
〔委員長退席、菅野副委員長着席〕
○菅野副委員長 これより私が暫時委員長の職務を代行させていただきます。
大山とも子委員長から、委員長を辞任したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。
本件は、申出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野副委員長 異議なしと認めます。よって、申出のとおり、大山とも子委員長の辞任は許可されました。
○菅野副委員長 次に、ただいまの大山とも子委員長の辞任に伴い、委員長が欠員となりましたので、これより委員長の互選を行います。
互選の方法はいかがいたしましょうか。
○成清委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。
○菅野副委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野副委員長 異議なしと認めます。よって、委員長には、こいそ明委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野副委員長 異議なしと認めます。よって、委員長には、こいそ明委員が当選されました。
委員長から就任のご挨拶があります。
〔菅野副委員長退席、こいそ委員長着席〕
○こいそ委員長 どうも急遽こういうことになりまして、よろしくお願いしたいと思います。
ただいま公営企業委員会委員長にご選出をいただきました都議会自由民主党のこいそ明でございます。
東京のこの都市活動と都民生活にまさに欠くことのできないインフラ、交通、そして、水道、下水道と、これを所管されております公営企業委員会におきましても、様々な諸課題があるわけでございますけれども、しっかりと取組をさせていただくとともに、充実した審査が行われますように、公平かつ円滑な議事運営に心がけ、務めさせていただきたいと思います。
各委員の先生方の、また、理事者側の皆様方のご協力を賜りますように心からお願い申し上げまして、就任のご挨拶とさせていただきます。よろしくどうぞお願いいたします。
○こいそ委員長 次に、議席についてお諮りをいたします。
議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますけれども、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○こいそ委員長 異議なしと認め、そのように決定をさせていただきます。
この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後零時三十四分休憩
午後一時開議
○こいそ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより交通局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、交通局長から紹介がございます。
○内藤交通局長 先般、当局幹部職員に発令がございましたので、ご紹介させていただきます。
次長で総務部長事務取扱の土岐勝広でございます。
なお、委員の皆様方におかれましては、既にご存じのことかと思いますが、当局の根木義則総務部長は、去る十一月十日、急逝いたしました。誠に痛惜の念に堪えません。
先生方には、生前に数々のご厚情を賜りまして、改めまして、この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
私ども交通局職員一同、今後とも、心を一つに局事業に全力で取り組んでまいる所存でございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○こいそ委員長 ご冥福をお祈りいたします。
紹介は終わりました。
○こいそ委員長 これより事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○土岐次長 過日の委員会で要求のございました資料として、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要につきましてご説明を申し上げます。
一枚おめくりいただき、一ページをお開きいただきたいと存じます。新設、廃止、延伸、短縮及び増便、減便した都営バス路線でございます。
新設、廃止した路線につきましては当該運行区間を、延伸、短縮した路線につきましては新旧の運行区間を、過去五年分記載してございます。
一枚おめくりいただき、二ページには、増便、減便した路線につきまして、各路線名を過去五年分記載してございます。
次に、三ページをご覧いただきたいと存じます。都営バス停留所における上屋、ベンチ、接近表示装置、上屋ソーラーパネルの設置状況の推移でございます。
総停留所数と上屋、ベンチ、接近表示装置、上屋ソーラーパネルを設置しております停留所数を過去十年分記載してございます。
一枚おめくりいただきまして、四ページをご覧ください。都営バスの交通事故発生件数でございます。
交通事故件数を過去五年分記載してございます。
次に、五ページをご覧いただきたいと存じます。運行維持のために地元自治体が財政負担している都営バス路線でございます。
路線名、財政負担している自治体名及び運行区間を記載してございます。
一枚おめくりいただき、六ページをご覧ください。都営地下鉄におけるホームドア設置状況及び転落件数でございます。
ホームドアにつきましては設置路線及び設置率を、転落件数につきましては路線別に交通局管理駅における転落件数を、それぞれ過去五年分記載してございます。
次に、七ページをご覧いただきたいと存じます。都営地下鉄においてホームから地上までのエレベーターによるバリアフリールートが複数ある駅でございます。
都営地下鉄において、該当いたします駅数及び駅名を路線別に記載してございます。
一枚おめくりいただき、八ページをご覧ください。都営地下鉄における誰でもトイレへの介助用ベッドの設置状況でございます。
誰でもトイレ内に介助用ベッドを設置している駅を路線図上に記載し、駅数及び設置箇所数を資料右肩に記載してございます。
次に、九ページをご覧いただきたいと存じます。都営地下鉄の電力使用量と再生可能エネルギーの比率でございます。
平成十二年度以降の都営地下鉄における電力使用量と再生可能エネルギーの比率を記載してございます。
一枚おめくりいただき、一〇ページをご覧ください。都営交通における痴漢行為に関する警察への通報件数でございます。
都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー、東京さくらトラム、都電荒川線及び都営バスにおける令和二年度と令和三年度十月末までの痴漢行為に関する警察への通報件数を記載してございます。
以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○こいそ委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○石島委員 それでは、事務事業について質問をさせていただきます。
交通局は、経営理念において、安全・安心を何よりも大切にし、東京の都市生活や都民生活を支えるとしています。今般のコロナ禍において、都営交通に限らず、交通事業者は厳しい経営状況と理解をしていますが、このような中にあっても、経営理念にあるとおり、利用者の安全確保や利便性の向上に資する取組を着実に進めていくことが求められています。本日は、そうした観点から、交通局の事務事業について質問させていただきます。
まず最初に、地下鉄内の車内トラブルについてです。都営地下鉄での車内トラブルへの対応についてお伺いしたいと思います。
十月三十一日に京王線で発生した死傷放火事件では、容疑者が、八月に小田急線で発生した同様の事件を参考にしたとの報道がなされています。さらに、今月八日に九州新幹線で発生した放火未遂事件では、容疑者が、京王線での事件をまねしたと供述するなど、電車の車内におけるトラブルが続発しています。
不特定多数の方が利用する鉄道において、利用者一人一人をチェックすることは困難ですが、車内トラブル発生時にどのように備え、また、対処していくのかについて、交通事業者として新たな検討を進めていかなくてはなりません。
そこで、都営地下鉄においてどのような取組を行っているのかをお尋ねしていきたいと思います。
まず、都営地下鉄において車内トラブルが発生した場合、どのように対応することとしているのかお伺いします。
○市川電車部長 都営地下鉄では、急病人や車内トラブルなどの発生時に、車内の状況を乗務員等へ伝えるための非常通報器を各車両に設置しています。
走行中に車内トラブルが発生した場合、ご乗車のお客様からの通報により、乗務員が車内の状況を把握することとしております。
通報を受けた乗務員は、その状況を運輸指令に連絡し、指令は、乗務員に対して必要な指示を行うとともに、状況に応じて、駅における係員の手配、警察、消防への連絡等の措置を行います。
また、安全確保の観点から、原則として次の駅に速やかに停車し、乗務員及び駅係員は、放送によりお客様へのご案内に努め、警察、消防等と連携を図りながら、救護や避難誘導等の対応を行うこととしております。
○石島委員 車内のトラブルの未然防止には、抑止効果として、車内監視カメラの設置が有効です。例えば、JR東日本は、新幹線のほぼ全車両のほか、在来線の約八割に当たる約九千車両で設置しています。
費用の問題もありますが、犯罪抑止に一定の効果があるとして、国土交通省も導入を急ぐように促しています。
そこで、地下鉄車両の防犯カメラの設置状況についてお伺いします。
○生越技術調整担当部長 都営地下鉄では、迷惑行為の未然防止やテロ対策等セキュリティ強化を図るため、車両更新に合わせ、車内への防犯カメラの設置を進めております。
今年度は、新たに、浅草線五編成、新宿線四編成、大江戸線二編成、計十一編成に設置し、令和三年度末時点で約四割の車両への設置を完了する予定でございます。
引き続き、車内防犯カメラの設置を進め、お客様の安全・安心の確保に努めてまいります。
○石島委員 新聞報道などを見ますと、今年度で四割の車両へ設置完了ということは、他の鉄道会社と比べ、決して導入率が低いわけではありませんが、導入率が一〇〇%の会社もあります。今後の設置については、ぜひとも前向きに検討していただくことを要望させていただきます。
次に、京王線の事件では、乗客が窓の隙間から逃げ出す様子が繰り返し報道されていました。これは、車両ドアとホームドアが通常の停止位置と異なる場所に車両が停車したため、乗客の転落防止を優先に考え、乗務員の判断でドアを開けなかったと聞いています。
そこで、京王線の事件のように、車両ドアとホームドアが異なる位置で車両が停車した場合の対応についてお伺いします。
○市川電車部長 都営地下鉄では、列車が非常停止するなど、車両ドアとホームドアがずれて停止した場合、これまでは、お客様が線路上に転落する危険性があることから、車両ドアを開けない取扱いとしてまいりました。
今回の他社線での事件を踏まえ、緊急事態発生時の車両ドアとホームドアの取扱いについて、国や他の鉄道事業者と具体的な検討を進めております。
○石島委員 ここまで、都営地下鉄における車内トラブルの対応について確認させていただきましたが、今般の無差別死傷事件や放火事件などの凶悪な車内事件が発生している状況を踏まえると、今後、模倣犯がいつ現れてもおかしくない状況です。
乗客の安全を第一に考えれば、事前の抑止対策をはじめ、トラブル発生時の乗務員の適切な対応など、具体的な対応について、関係機関とも連携を図りながら、可及的速やかに検討を進めていく必要があると考えます。
そこで、今後どのような対応をされていくのかお伺いします。
○市川電車部長 交通局では、お客様に安心して都営地下鉄をご利用いただけるよう、車内トラブルの未然防止に努めるとともに、万一事案が発生した際にも被害を最小限にとどめることが重要と考えております。
このため、これまでも、防犯カメラの整備や各種訓練など様々な取組を進めてまいりましたが、他社線で事件が続いていることを踏まえ、緊急対応として、現在、駅構内や車内巡回の体制を増強しております。
また、お客様に非常通報器による通報にご協力いただけるよう、ポスター等による周知に取り組んでおりまして、今後は、通報器の位置をより分かりやすく示すステッカーを作成し、車内に表示してまいります。
加えて、防護盾等、暴漢対策用具の配備を進めていくこととしており、今後とも、国や他の鉄道事業者と連携しながら、より一層の安全確保に努めてまいります。
○石島委員 今までも様々な方法により安全対策に取り組んできているとのことですが、この一連の事件のように、想像を絶する凶悪事件が車内で発生した際の利用者の安全確保に向けて、鉄道事業者としてどのような対策が取れるのか、早急に検討を深めていく必要があると考えます。
例えば、防犯カメラ一つ取っても、常時監視式、録画方式など様々なタイプがあります。
交通局では、駅構内において不審物検知の実験なども行ったと聞いています。このように、車内に限らず、鉄道の施設内におけるトラブルに対して、一層の未然防止や被害を最小限に抑えるための検討を、国や各鉄道会社のみならず、メーカーとも連携をして、AIなどのデジタル技術も活用しながら、確実に進めていただくことを要望させていただきます。
次に、燃料バスを活用した取組についてお伺いをします。
交通局が保有する燃料電池バスを活用した取組についてです。
大規模災害等が発生した際には、警察、消防のみならず、都の各局が都民等への支援を行うことが不可欠です。
交通局では、保有する燃料電池バスを災害時に避難所の外部電源として活用し、給電支援を行う方針を明らかにしました。民間事業者とも協力し、交通局、環境局、総務局の三局間で実施協定を結んで、災害時対応を行う体制を構築したと聞いています。
そこで、災害時の燃料電池バスによる外部支援の具体的な取組についてお伺いいたします。
○櫻庭自動車部長 交通局ではこれまで、燃料電池バスを全国の事業者で最大の七十両導入しております。この車両に外部給電器を接続することによって、家電製品などに電気を供給することができまして、災害時には、移動式の非常用電源として避難所などで活用できることから、平成三十年には、江東区と災害時の電源供給に関する協定を締結いたしました。
本年九月には、より広い範囲で給電支援を実施できますよう、関係局や水素ステーション事業者などと連携いたしまして、新たなスキームを構築いたしました。
具体的には、被災された自治体などから総務局を通じて出動要請があった場合に、水素ステーションなどに配置した外部給電器を燃料電池バスで避難所などに運びまして、電気を供給するものでございます。
今後とも、防災訓練などを通じて取扱いの習熟を図るなど、関係機関と連携しながら、災害時の対応力の向上に努めてまいります。
○石島委員 水素ステーションなどに配備された外部給電器を活用し、水素を満充填している燃料電池バス一台で、避難所約四・五日分の給電が可能になるとのことから、燃料電池バスによる支援は非常によい取組であると考えています。
自動車会社においても、災害時、EVやFCVを活用した給電支援の災害協定を自治体と締結している企業があります。また、新たな活用方法として、タワーマンション等への給電技術も実用段階に入っていると聞いています。交通局をはじめ、都の各局による災害時における外部への支援の取組が、今後さらに広がっていくことを大いに期待させていただきます。
次に、都営地下鉄における移動の円滑化、バリアフリーについてお伺いします。
都営地下鉄では、いわゆるワンルート整備については全駅で完了し、現在は、さらなる利便性の向上のために、乗換駅等でのエレベーター整備を進めています。
東京メトロでは、本年七月に、赤坂見附駅と永田町駅とを結ぶ改札内の乗換え通路に、首都圏の鉄道事業者としては初となる斜行エレベーターという新しい設備を設置しました。東京の地下鉄は、複雑に入り組んでいるからこそ導入に至ったものと考えます。
そこで、都営地下鉄における斜行エレベーターのような新たな取組への認識についてお伺いします。
○坂口技術管理担当部長 東京メトロが設置した斜行エレベーターは、既存の階段スペースを活用し、掘削を伴わず設置しておりまして、お客様に、より便利に駅をご利用いただくことが可能となっております。
一方、導入に当たりましては、階段幅を狭めてしまうため、スペースに余裕がある場合に限られるほか、一般のエレベーターに比べメンテナンス費用が割高となるなどの課題がございます。
交通局では、日頃より、こうした新たな取組の情報収集に努めておりまして、引き続き、国や他の鉄道事業者等の動向も注視しながら、お客様の利便性のさらなる向上を図ってまいります。
○石島委員 首都圏では初となる新しい設備であることから、私も実際に試乗してきました。赤坂見附と永田町の通路は複雑な構造になっており、確かに階段幅を狭めていましたが、新しい技術の情報収集を行うことは大切です。今後も、関係機関とも連携して、全ての利用者が円滑に移動できるよう、引き続きご努力をお願いいたします。
次に、ホームドア整備についてお伺いします。
都議会自民党では、鉄道における安全対策の一つとして、利用者の安全確保に効果の高いホームドアの整備を積極的に進めるべきとかねてから主張しています。
そこで、都営地下鉄において最後に残った浅草線のホームドアの全駅整備に向けた取組についてお伺いします。
私の地元の東銀座では、ようやくドア本体が設置され、十二月下旬の運用開始に向けて調整が進められています。浅草線は、日本初の相互直通運転を開始した地下鉄であり、複数の鉄道会社の車両が乗り入れていることから、これまではホームドアの整備が困難であったと聞いています。
そこで、このような路線でホームドアを整備するためにどのような取組をされたのかお伺いします。
○生越技術調整担当部長 都営浅草線は、地下鉄としては日本で初めて相互直通運転を実施した路線でございまして、交通局を含め、五つの鉄道事業者の車両が浅草線内を走行しており、その車両数、ドアの数や位置も多岐にわたっております。
そのため、ホームドアの整備に当たりましては、扉の開口部の幅を広げることで、車両のドアの位置の違いに対応いたしました。
一方、車両につきましても、車両のドアとホームドアとを連動させる装置を設置する必要がございまして、その改修コストが多額になることから、民鉄各社が乗り入れる浅草線での整備は困難でありました。
そこで、民間企業と共同で、QRコードを使用した低コストのホームドア開閉技術を開発いたしました。
○石島委員 交通局と民間企業と共同で、QRコードを使用した新たな技術を開発したとの答弁がありました。
具体的に、その新しい技術をして、どのようなことが可能になり、ホームドア整備に至ったのかをお伺いいたします。
○生越技術調整担当部長 QRコードを用いたこの技術は、車両のドアにQRコードを貼り、その動きをホーム上に設置したカメラで読み取ることで、車両のドアとホームドアとが連動して開閉することを可能としたものでございます。
これにより、相互直通を行う民鉄各社の車両にも、ドアにQRコードを貼るだけで改修が不要となるため、低コストでホームドアを導入することができるものでございます。
○石島委員 低コストでホームドアが導入できるのであれば、他の鉄道会社も、この新しい技術を参考にして整備を進めることが可能になります。
そこで、他の鉄道事業者へも技術を積極的に提供、広めていくべきと考えますが、見解をお伺いします。
○生越技術調整担当部長 交通局では、この技術を他の鉄道事業者でも自由に使えるよう、共同で開発に当たった民間企業と一緒に特許を取得いたしまして、これを無償で公開しております。
これまで、他の鉄道事業者に会議などを通じて広く紹介しておりまして、現在、京浜急行電鉄や神戸市営地下鉄、小田急電鉄がこの技術を採用しているところでございます。
また、この取組は、国内外からの視察や取材も多数受けるなど関心を集めており、引き続き、様々な機会を捉えて紹介し、全国のホームドアの整備促進に貢献してまいります。
○石島委員 特許を取得した上で、他の鉄道会社にも無償で提供していることを確認させていただきました。整備全体に関わる技術の提供なども進めていただき、都内の全駅へのホームドアの早期整備に向けて、大いに貢献されることを期待させていただきます。
次に、同じ浅草線に関連して、リニューアルプロジェクトについてお伺いします。
浅草線は、開業から六十年を超え、都営地下鉄の中でも最も古く、他の都営三田線などと比べても駅施設の老朽化などが明らかに進んでいます。交通局は、経営計画二〇一九において、浅草線のリニューアルプロジェクトを進めるとしています。
そこで、浅草線リニューアルプロジェクトは、どのようなコンセプトで進めているのかをお伺いします。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年、開業六十周年を迎えました浅草線は、羽田、成田両空港へのアクセス線であるとともに、浅草や銀座といった東京を代表する観光地を結ぶ重要な路線であり、その沿線は、歴史や伝統を感じさせる下町や周辺開発が進む都心のほか、商業、文化、住宅など、エリアごとに様々な特色や豊かな表情を持っております。
浅草線リニューアルプロジェクトは、東京と世界を結ぶ地下鉄という統一的な考え方の下、車両更新やホームドア整備、駅の改装等を行い、古きよき伝統を守りつつ、現代的な地下鉄へと浅草線を生まれ変わらせるものでございまして、この取組を通じまして、東京の魅力向上に貢献してまいります。
○石島委員 先ほど質疑を交わしたホームドアは整備のめどが立ち、車両も更新が完了したとのことです。
一方で、多くのビジネスマンや観光客が行き交う浅草線各駅において、特に東京メトロとの乗換駅では、開業時からほとんど変わっていないことから、老朽化が際立っており、全面的な駅のリニューアルを早期に進めていくべきと考えます。
そこで、駅改装についてどのように進めていかれるのか、見解をお伺いします。
○坂口技術管理担当部長 浅草線の駅改装では、木目調を用いるなど路線の統一感を演出した上で、駅ごとに地域の特色を踏まえたデザインとし、まち並みに合わせた都市空間の形成を目指しております。
実施に当たりましては、ホームの壁面や天井等、内装を全面的に改修することとしておりまして、現在、東銀座駅につきまして、駅に近接している歌舞伎座や、かつて銀座にありましたれんが街などをイメージしたデザインを採用し、設計を進めております。
引き続き、工事の着手に向けた準備を進めるとともに、他の駅につきましても、順次検討を深めてまいります。
○石島委員 鉄道とまち並みの一体感は、地域を形成する上で非常に重要なことです。他の駅も、順次検討していくとのことですので、まちと一体となった浅草線になっていくことを期待します。
コロナの影響による人々の行動変容など、都営交通の経営は、今後も厳しい状況が続くものと推察します。そのような中でも、公共交通機関として、利用者の目線を忘れず、安全の確保を基本として、お客様が少しでも快適に利用できるよう、様々な環境の整備を進めていただくことを求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○保坂委員 私からは、最初に、交通局の新型コロナウイルス感染症対策から伺ってまいります。
交通局では、昨年末から今年の初めにかけまして、大江戸線で多くの乗務員が新型コロナウイルスに感染し、減便を余儀なくされるといった事案が発生しました。また、私の地元台東区でも、今年の夏に、清掃事務所において多くの職員が感染し、不燃ごみの収集を一時ストップする事態が発生しております。このように、職場において新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生することなどにより、都民生活に様々な影響を与えてしまうことがあります。
交通局は、都営交通機関として、しっかりと職場、職員の感染症対策に取り組んで、利用者の不安を解消していくべきであると考えております。
そこで、交通局の職場における感染拡大防止に向けた取組について、まず伺います。
○牧野職員部長 交通局では、国内で新型コロナウイルス感染症の発生が確認された昨年一月以降、各職場におきまして、手洗い、マスクの着用、職場内の換気や三密の回避など、感染症対策を徹底してまいりました。
また、十二月下旬に、大江戸線の清澄乗務区におきまして多数の職員の感染が確認されたことから、保健所の指導なども踏まえまして、交通局の職場全体で、手指消毒薬の設置場所の追加や共用箇所の消毒の徹底、洗面台へのペーパータオルの設置、寝具カバーの個人貸与などを行うほか、食事中や入浴時など、マスクを外す場面での会話を厳禁とするなど、さらなる感染防止策の強化に取り組んでまいりました。
さらに、ワクチン接種を進めるため、効果や副反応に関する知見につきまして職員に広く周知するとともに、都庁の職域接種や自治体が行っているワクチン接種などの情報提供に努めているところでございます。
○保坂委員 マスクの着用や消毒、三密の回避といった基本的な感染対策は、感染をこれ以上拡大させないための最低限の取組であります。第六波到来の懸念も拭えないことから、過去の経験を踏まえながら、引き続き対策を徹底することが重要です。
ここに来まして都内の新規感染者数も大きく減っております。昨年度からの状況も大きく変化しております。その一因として、ワクチン接種が進んだことが挙げられております。最新の情報によりますと、二回目の接種を終えた方の接種率は七割を既に超えていると、報道もあります。ワクチン接種には重症化を防ぐ一定の効果もあるといわれております。不特定多数のお客様と接します交通局の職員は、積極的にワクチン接種をすべきであるとも考えております。
一方で、ワクチンに関しては、持病など様々な事情により接種を受けられない職員が一定数存在すると思われます。また、不確かな情報を含め様々な情報が流布されているため、接種をちゅうちょする職員もいることが推察されます。
こうした点を踏まえ、各人がワクチン接種の必要性を正しく判断できることが重要であり、そのためにも、職員が適切に判断できるよう取組が必要となります。
そこで、ワクチンの未接種者が、ワクチンの効果を正しく理解することが大変重要であると考えますが、実際、職員に対し、どのようなことを周知したのか伺います。
○牧野職員部長 交通局では、常勤の産業医が中心となりまして、福祉保健局や厚生労働省、アメリカCDCなどが発信いたします新型コロナウイルスワクチンに関する情報を収集しておりまして、そこから得られた知見を職員に周知しております。
具体的な内容といたしましては、変異ウイルスに対してもワクチンの効果が認められることや、接種完了者には感染者が極めて少ないことなど、ワクチンによる高い感染、発症予防の効果を紹介しております。
また、ワクチン接種による副反応の症状や発生頻度、副反応への対処方法、さらには、SNSで流れている誤った情報に対する注意喚起なども行いまして、ワクチン接種に対する不安の解消に努めているところでございます。
引き続き、ワクチンに関する最新の情報を職員に周知するとともに、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえまして、職場内における適切な対策に努めてまいります。
○保坂委員 様々な対応について確認ができました。職場のワクチン対策をしっかり実施することで職員の安全が保たれ、お客様も安心して都営交通をご利用していただけます。
そのためにも、交通局のこうした取組について、利用者にしっかり周知していくことが大変重要であります。
そこで、都営交通の利用者に対し、感染拡大防止に向け、どのような啓発活動を行っているのか取組を伺います。
○西川安全管理担当部長 交通局では、関係機関等と連携しまして、手洗い及びせきエチケットの励行やスムーズビズへの協力などについて、ホームページやツイッターを活用して呼びかけを行ってございます。
また、改札口やバス車内のモニター、駅構内や地下鉄車内での放送など様々な媒体を活用いたしまして、マスク着用やせきエチケットなどにつきまして呼びかけを行っております。
引き続き、お客様に安心して都営交通をご利用いただけますよう、感染症対策に取り組んでまいります。
○保坂委員 お客様の不安を少しでも解消していく、そのための努力、行動を続けていくことこそが、利用者の信頼や増加にもつながっていくと確信をしております。
また、来月開催予定で、私の息子も大変楽しみにしています都営フェスタも、昨年に続いてのオンラインでの開催と聞いております。感染症対策に十分配慮したこういう取組の周知、こういったことを都内自治体にも協力依頼するなどして、都民に広くPRしていただきたいと要望しておきます。
続きまして、交通局の資産の利活用について伺います。
コロナによる通勤、生活環境の変化による乗客減少での収入は一層厳しく、今後も続くことが予想されます。サービスと安全の質をしっかり維持していくためにも、乗車料金以外での収入サービス、収入確保が求められます。その一つとして、広告事業をより積極的に展開できないかと考えます。
そこで、都営地下鉄における広告用デジタルサイネージの設置に関する取組状況について伺います。
○坂田資産運用部長 現在、都営地下鉄の駅構内におきましては、柱を利用した広告用デジタルサイネージを五駅に設置しているほか、パンフレットラックと一体となったデジタルサイネージを十五駅に設置しております。
また、地下鉄の車両更新に合わせ、車内に広告用の液晶モニターを順次設置しており、昨年度末までに五十七編成、全体の約四割に導入いたしました。
○保坂委員 今のご答弁で、都営地下鉄の駅や車内では広告用デジタルサイネージの設置が進んでいることが分かりました。
ところで、バス事業は、令和二年度決算で九十五億円の赤字となっております。収支改善のためには、バス事業の新たな収入源として、都営バス停留所における広告用デジタルサイネージの設置についても効果が期待できるのではないでしょうか。
都営バス停留所においても、広告用デジタルサイネージの導入を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○坂田資産運用部長 バス停留所における広告用デジタルサイネージの設置につきましては、ドライバーの注意がそれるなど、安全面への影響等の課題があるものと認識しております。
こうした課題の検証に向け、現在、都内では、民営バスを含む停留所において、広告代理店によるデジタル広告の実証実験が行われているところでございます。
都営バス停留所におきましても、この実証実験に協力して、上屋一か所にデジタル広告を試行設置しておりまして、今後も、実験の動向等を注視してまいります。
○保坂委員 交通安全面での課題があるということは分かりました。ただ、世界の先進都市でも既にこうした動きは出てきておりますので、東京も先進都市として、都心部を中心に、多くの人が行き交うバス停を選定するなどして、広告収入だけでなく、災害時の情報提供など都民利益に資することも踏まえて、戦略的かつ効果的に進めていただきたいと要望します。
広告だけでなく、局が所有します不動産資産を経営資源として最大限活用して、長期的に安定した収入を確保するとともに、様々な市街地再開発事業への参加などにより、周辺のまちづくりにも貢献していくべきと考えます。
そこで、経営計画二〇一九の資産の利活用に掲げる浜松町駅周辺と初台駅周辺の交通局に関わる二つの再開発事業について、その概要を伺います。
○坂田資産運用部長 浜松町駅周辺で進められております浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業は、老朽化した建物が建ち並ぶ当該地区の防災性の向上と土地の合理的かつ健全な高度利用を図るものでございまして、事業区域内に当局の庁舎が含まれております。
平成二十八年度の都市計画決定を経て、令和八年度には、共同住宅や港区文化芸術ホールを中心とした地上四十六階、地下二階の高層ビルが竣工予定でありまして、昨年度から建築工事が開始されました。
初台駅近くで計画されております西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業は、防災性の向上と土地の合理的かつ健全な高度利用を図るものでございまして、事業区域内に都営バスの支所の一部が含まれております。平成三十年度の都市計画決定を経て、現在、再開発組合の設立に向けた準備が進められておりまして、共同住宅、店舗等が入る施設建築物が整備される予定でございます。
○保坂委員 私も、都市計画審議会の委員として、この案件を審議させていただきました。どちらも東京の発展に資する大変価値のある開発であるからこそ、交通局もこうした事業に積極的に協力して、地域貢献や収益をしっかり確保していただきたいと思います。
そこで、再開発事業に関連し、安定した事業収入の確保や周辺まちづくりへの貢献に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○坂田資産運用部長 浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業におきましては、再開発後の新たな建物に庁舎機能を移転することに加えまして、賃貸用の床約千三百平方メートルを取得する予定でございます。再開発事業への参画を通じて、当該地区のまちづくりに貢献するとともに、庁舎機能の更新と関連事業収入の確保を図ってまいります。
西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業におきましては、事業区域に隣接する都道の拡幅を行う予定がありまして、この拡幅部分に、都営バス支所の一部約八百平方メートルが含まれております。本事業への協力に当たりましては、支所の機能が維持できるよう、関係者と適切に協議していくとともに、再開発建物の床の取得と有効活用について検討を進めてまいります。
今後とも、市街地再開発事業への参画など、所有する不動産を有効活用し、長期的に安定した収入の確保を図るとともに、周辺のまちづくりにも貢献してまいります。
○保坂委員 二〇二六年竣工予定となっています浜松町二丁目地区の再開発は、特に賃貸用として千三百平方メートルを取得とのことなので、収益が期待を持てます。ただ、周辺でも開発が進んでおり、テナントビジネスは競合となることが予想されますので、ぜひ、都ならではの価値ある物件を提供していただきたいと要望して、次の質問に移ります。
続いて、私も都度利用させていただいております日暮里・舎人ライナーについて伺ってまいります。
日暮里・舎人ライナーは、平成二十年三月に開業し、沿線地域における日暮里方面へのアクセスの利便性が飛躍的に高まり、沿線開発が進み、利用者が増え、令和元年度の混雑率は一八九%まで上昇し話題にもなりました。コロナ禍で利用者は現在減少しておりますが、再び以前のように需要が回復することも想定されることから、混雑対策については、引き続き検討課題であると認識しております。
これに対し、局が時差ビズと連携した取組を実施しているのは承知していますが、オフピーク通勤の呼びかけによるピークシフトにも限界があります。
都民ファーストの会ではこれまで、鉄道の混雑緩和に資する時間差料金制の導入について提案をしてきたところでありますが、導入に当たりましては、鉄道ネットワークを形成している事業者全体で実施しなければ効果が限定的などの課題があることは承知をしておりますが、交通局は、導入に向けた検討をより深めていただくことを要望します。
日暮里・舎人ライナーは、旅客需要が朝ラッシュ時間帯に偏っている一方で、日中の利用状況は比較的低調であり、こうした時間帯の利用促進につながる取組も事業運営上の課題であると認識しております。
去る十一月八日に、小田急電鉄が、子供のIC利用時の運賃を全線均一で五十円にするという報道がありました。小学生の鉄道利用に一定程度大人が同伴することを想定した需要創出策であるとともに、沿線の定住促進に結びつける狙いもあると聞いております。沿線の状況が異なることから、一概に取組の評価はいえませんが、こうした取組は、利用者の獲得にとってインセンティブになる可能性もあるのではないかと考えております。
そこで、日暮里・舎人ライナーにおいては、平日朝の混雑緩和と閑散時の旅客誘致について、他社の取組を参考にするとともに、交通局が展開するポイントサービスなど、こういったものを通じて取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 日暮里・舎人ライナーは、都心方面への通勤路線となっており、朝のラッシュ時間帯の混雑緩和と平日の昼間及び土休日の旅客誘致が課題であると認識しております。
混雑緩和につきましては、これまで、オフピーク時間帯の利用に対して、都営交通のポイントサービス、ToKoPoのポイントを付与する時差ビズキャンペーンを実施するとともに、朝のラッシュ時間帯における混雑状況を見える化しホームページ等で公表するなど、オフピーク通勤の促進に取り組んでまいりました。
また、旅客誘致につきましては、ホームページやSNSなどにより、沿線の見どころやグルメスポットに関する情報を発信するほか、宝探しイベントや映画とタイアップしたキャンペーンを実施するなど、需要の創出に努めてきました。
これまで、緊急事態宣言の発令等に応じまして、こうした取組の実施を一部見合わせてきましたが、今後は、コロナの感染状況などを見極めながら積極的に実施していくとともに、他社の取組なども参考に、より魅力的なサービスを検討してまいります。
○保坂委員 時間差料金制、これに関しましても、先ほどの他の鉄道事業者の事例についても、ともに運賃の設定により、需要のコントロールや需要の囲い込みなどを図る手法であります。個人的には、日中の定期外利用の運賃を半額にするといった思い切ったことも検討してもいいのではないかと考えております。様々なハードルがあると思いますが、これらの事例を研究して、日暮里・舎人ライナーの課題解決に取り組んでいただくことを強く要望します。
続きまして、私の地元上野動物園のモノレールについて伺ってまいります。
上野動物園モノレールは、令和元年十一月から運行を休止しておりますが、休止については、地元でも大変惜しむ声を多く聞いております。この委員会の委員の方々も含め、多くの都民は、なぜモノレールが上野動物園内に建設されたのか、その経緯や意義を知らない方もいると思います。
そこで、改めて、上野動物園内にモノレールを建設した経緯について伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局は、路面電車の運行を明治四十四年に開始いたしまして、その後の人口の増加などに伴い、路線展開を拡大してまいりました。
太平洋戦争後の復興が進むと、経済の発展やモータリゼーションの発展などにより、都電の走行環境が悪化し輸送機能が著しく低下したことから、路面電車を代替する交通機関の検討を行いました。
その結果、自動車と同じ路面を走行しない地下鉄の建設を進めるとともに、将来の都市交通機関の開発に向けた実験線といたしまして、昭和三十二年十二月十七日、上野動物公園内におきまして、日本初となるモノレールの運行を開始いたしました。
○保坂委員 もともとは、路面電車を代替する交通機関の実験線として建設されたとのことですが、当時は大変画期的な取組であったと、私も、諸先輩方、都議会の先生方からも話を聞いております。実験線としての役割は終えましたが、私は、この取組が、その後の全国各地でのモノレールや新交通システムの開発と開業につながり、現在の公共交通の発展に寄与した面もあると考えます。
実験線として役割を終えた後は、国内の人気の施設として、モノレールに乗ることを目的に来園された方も多くいたものと推察されます。運行休止前には、園内でさよならイベントも行われ、私も参加させていただきました。
運行休止前に行われたイベントの際の利用状況と利用者からの声について伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 運行休止前の最後の週末となります令和元年十月二十六日に、上野動物園モノレール四〇形車両ありがとうイベントを実施いたしました。
イベント当日は、五千人を超えるお客様にご乗車いただくとともに、用意した大型のメッセージボード一面に、たくさんの思い出をありがとう、長い間お疲れさまでしたといった多くの感謝やねぎらいの言葉をいただきました。
○保坂委員 昭和、平成、令和にかけて、モノレールは、近年でも年間約百万人ものお客様にご利用いただくほどの人気でありました。所有者である建設局も、利用者からアンケートを取るなど、今後に向けて様々な調査をしており、復活を望む声が大変多いという報告も受けております。私自身、地元や都民の皆様方からも同様の要望を多くいただいております。ぜひ、また動物園の顔となる新たな軌道交通が導入されることを期待して、次の質問に移ります。
続いて、都営地下鉄のエスカレーターの安全対策について伺ってまいります。
私もエスカレーターを利用する際に、これまでも、横から歩いて駆け上がる利用者などを見かけ、大変怖い思いをしたことがあります。特に、立ち止まっている人や高齢者や小さな子供であれば、思わぬ事故になるケースも想定されます。利用者が安全に利用する意識を高めるため、マナー向上に向けた取組は大変意義が大きいものと考えております。
そこで、都営地下鉄の利用者がエスカレーターを安全に利用できるよう、啓発に向けてどのような情報発信を行ってきたのか、また、さらに効果的な発信を行う工夫も必要だと考えますが、見解を伺います。
○市川電車部長 エスカレーターにおいて、転倒や接触などによる事故を防止するためには、お客様に、歩かず立ち止まり、手すりにおつかまりいただくことが重要でございます。
都営地下鉄ではこれまでも、お客様にエスカレーターを安全にご利用いただけるよう、ポスター掲出などによるキャンペーンを鉄道各社等と共同して毎年実施するとともに、日頃から、駅の構内放送を通じて注意喚起を行っております。
また、令和二年度からは、エスカレーターの乗り口の床に、立ち止まっての利用を促すシールを順次貼り付けておりまして、今後は、お客様に、より効果的に訴求できるよう、シール等の掲出場所について検討してまいります。
引き続き、誰もが安全にエスカレーターをご利用いただけるよう、積極的なマナー啓発に努めてまいります。
○保坂委員 これまでも様々な啓発に向けた取組をしていることは評価をいたします。
最近では、埼玉県で、エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例が埼玉県議会で可決成立し、話題となりました。こうした動きは、利用者のモラルにかかっている側面は否定はしませんが、事業者としても、マナー向上に向け、満足することなく、これまで以上の努力を求めておきます。
最後に、東京さくらトラム、都営荒川線について伺います。
東京さくらトラムは、地域に根差した路面電車として、沿線地域の発展に寄与してきました。東京に残った唯一の都電であり、都民の財産として残していかなければなりません。
しかし、都電の利用者は、近年低い水準で推移しており、また、コロナ禍の影響や社会構造の変容から、コロナ前と比較して、令和二年度実績で二割近く減少していると聞いております。今後さらなる旅客誘致などにより、安定的な事業運営ができる基盤づくりが不可欠と考えます。
私はかねてから、公営企業委員会において、都電荒川線の将来を見据えた利便性の向上や地元連携などについて取り上げてきました。オープンしました三ノ輪橋停留場の三ノ輪橋おもいで館も、都電のPRや観光につながるものと考え、積極的に推進をしてきました。
そこで、東京さくらトラム、都電荒川線におけます沿線地域と連携した旅客誘致など、これまでの取組について、改めて伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、東京さくらトラム、都電荒川線の旅客誘致を図るため、沿線四区地域活性化協議会などを通じまして、地元区と連携し、車内を装飾した都電「さくら号」、「バラ号」等を運行するほか、夏休み期間に沿線の名所などを巡るスタンプラリーを実施しております。
また、都電の魅力向上やPRに取り組む都電サポーターズによる親子料理教室やバラの剪定体験を開催してきました。
引き続き、沿線地域との緊密な連携の下、東京さくらトラムの観光資源としての魅力を発信し、旅客誘致に取り組んでまいります。
○保坂委員 交通局が、東京さくらトラムにおいて、地元自治体と様々な取組を通じて連携してきていることが分かりました。こうした地道な一つ一つの取組は、確かに重要ではありますが、いずれも従前から継続している取組にすぎません。状況をさらに改善させるためにも、抜本的な対策の検討が必要ではないでしょうか。
例えば、現在、三ノ輪橋で止まっている路線を、隣接する台東区の浅草、上野まで延伸すれば、利便性向上はもちろん、旅客や沿線利用者が飛躍的に増え、収入も大きく増加することが期待が持てます。もちろん、台東区も期待をしております。
我が会派には都電研究会もあり、まさに都電の延伸は、東京の観光資源として大きな目玉になると考えております。
さらに、将来にわたりまして、東京も、高齢化社会や環境配慮型社会へとシフトする中、交通手段が、自動車交通がメインから、人や公共交通がメインとなる時代がやってきます。こうした変化を見越しての新たな投資についての議論が、今から必要ではないでしょうか。現状維持では成長はありません。
交通局においても、都市整備局や建設局、地元自治体など関係機関とも情報を共有しながら、将来に向けて、東京さくらトラムを東京一の魅力ある路線とするための方策の目玉として、時代のニーズを捉えた路線の延伸に向けた検討をぜひ進めていただきたいと強く要望し、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○小林委員 先日の公営企業会計決算特別委員会の全局質疑でも申し上げましたが、昨年来からのコロナ禍にあって、都営交通においても大変なご苦労をされながら経営に当たっていただいていると思います。都民の重要な公共交通機関の確保に向けてご努力いただいていることに、改めて敬意を表し、感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。
初めに、都営地下鉄についてお伺いいたします。
一九六〇年の浅草線の開業からスタートし、現在、四路線、合計百九キロの営業をされているわけですが、東日本大震災の後に、一時的に乗客数は減少したものの、その後、回復されていると聞いております。
しかし、昨年来のコロナウイルスの感染拡大に伴って、一日当たりの乗客数は、前年度の二百八十三万人から百九十二万人と三二%減少し、乗車料収入も前年度千五百六十億円から千四十億円と三三%減少とのことで、今後の安定した都営地下鉄の経営を継続していくために、まさに今は正念場であると思います。
安定した経営継続のためには、利用者の需要を的確に押さえていく必要があると思いますが、都営地下鉄において、利用者の需要把握をどのように行っているのかお伺いいたします。
○市川電車部長 都営地下鉄では、お客様の利便性の向上を図るため、毎年定期的に、混雑の集中する時間帯や区間の乗客量を調査するなど、お客様の需要を把握した上で適切なダイヤを設定しております。
○小林委員 現運行路線における需要把握の中で、利便性向上のための取組とともに、さらなる利便性強化のための新たな輸送力の確保も重要な課題であると思います。
未来の東京戦略においては、都市の機能をさらに高める戦略として、公共交通ネットワークのさらなる充実が掲げられています。
令和四年度の国の予算編成に対する東京都の提案要求の中でも、交通政策審議会答申において事業化に向けて検討などを進めるべきとされた路線の整備促進が掲載されており、交通局が主体となる東京十二号線、地下鉄大江戸線の延伸も含まれております。
大江戸線の延伸については、私も、十二年前に都政にお送りいただいてから、地元練馬区の最重要の課題の一つとして、今日まで幾度となく取り上げてまいりました。交通局からは、延伸に当たっての課題として、常に採算性ということがいわれております。
採算性を考慮する上では、旅客需要を把握することが大切になってきますが、地下鉄の新線整備において、輸送力を設定するに当たり、どのように旅客需要を予測するのかお伺いいたします。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地下鉄の新線整備におきましては、整備による旅客数の変化など、将来の旅客需要を見極めていく必要がございます。
旅客需要の予測に当たりましては、大都市交通センサス調査データ等を用いるほか、将来の人口動態や沿線地域の開発計画などを見込んだ上で算出を行うのが一般的でございます。
こうした手法によりまして算出いたしました将来の旅客需要の規模を基にいたしまして、整備後の運行ダイヤや車両数などを設定することとなります。
○小林委員 大江戸線延伸の検討状況については、コロナウイルス感染症拡大に伴い、テレワークの定着などの行動変容を踏まえて、将来の旅客需要の分析を改めて行っていること、また、事業費の算定を行う上での様々な検討を深めていると聞いております。
大江戸線の延伸は練馬区にとっては悲願であります。延伸予定地域の住民の皆さんとお会いすれば、真っ先に聞かれることは、大江戸線の延伸はどうなっていますかということが話題になります。二〇一七年の予算特別委員会でも触れましたが、延伸予定地域で長年にわたって延伸促進の活動に取り組んでこられた町会長の方が、延伸に向けて火を吐くような熱い思いを吐露されていたことをお話しさせていただきました。
私も、練馬区より都政に送っていただいた一人として、毎年、練馬区長や練馬区議会、延伸予定地域の住民の皆様とともに、東京都への要望も行わせていただいております。二〇一三年には、練馬区長とともに、当時の太田昭宏国土交通大臣に対しても、延伸に向けた要請活動を行い、太田大臣より、運輸政策審議会の答申で位置づけのある計画でもあり、国としても支援したいとのコメントをいただいたところであります。
課題が山積していることは重々承知をしておりますが、ぜひとも、課題の精査をスピーディーに深め、延伸に向けた取組を加速度的に進めていただきますよう、改めてよろしくお願いをしたいと思います。
次に、地下鉄のバリアフリー化についてお伺いします。
私も、日頃の活動の中で多くいただく要望の一つが、公共交通やまちにおけるバリアフリー化の取組の推進であります。特にご年配の方々からは、切実な課題として、安心、快適な地下鉄利用に向けたご要望をいただきます。
そこで、都営地下鉄におけるバリアフリー化、とりわけエレベーターの取組状況についてお伺いいたします。
○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、人に優しい公共交通機関を目指し、バリアフリー化を推進しており、エレベーター整備を積極的に進めております。
これまでに、ホームから地上までエレベーター等を利用して移動可能な、いわゆるワンルート整備につきましては全駅で完了しておりまして、現在は、さらなる利便性向上を図るため、東京メトロ等、他の事業者とも連携して、乗換駅等でのエレベーター整備を進めております。
令和二年度は、新たに六駅で整備を完了し、現経営計画で予定している九駅のうち八駅で供用を開始しておりまして、今年度は、残る新宿線小川町駅のエレベーター設置工事を実施しております。
また、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受けまして、バリアフリールートの複数化につきましても検討を進めております。
○小林委員 今ご答弁ありましたとおり、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等に伴って、バリアフリールートの複数化も検討されているとのことで、ぜひ、強力に推進をしていただきたいと思いますが、私が地元からのご要望として、かねてから議会でも取り上げておりますのが、大江戸線光が丘駅におけるエレベーターの増設であります。
現在、光が丘駅では、駅北側に一か所エレベーターが設置されていますが、都道を挟んだ南側へのエレベーター増設を地域住民の方より強くご要望をいただいております。
この問題については、二〇一七年の予算特別委員会で取り上げ、当時の山手交通局長より、駅の利用実態や駅施設の構造上の課題などを勘案しながら、設置の可能性を検討してまいりますとの答弁がありました。また、翌二〇一八年の第四回定例会の一般質問で、検討を加速させていただきたい旨を質問した際は、大江戸線光が丘駅について、関係機関と連携し、用地の確保や構造上の課題に関する検討を深め、バリアフリールートの充実に取り組んでまいりますとの答弁があったところであります。
この一般質問から三年が経過をいたしましたが、光が丘駅のエレベーター増設について、現在の検討状況についてお伺いいたします。
○坂口技術管理担当部長 バリアフリールートの複数化につきましては、移動距離を最短化する観点から、駅の利用実態のほか、駅周辺における病院、高齢者、障害者施設の立地状況などを勘案しながら検討を進めております。
この中で、大江戸線光が丘駅につきましても、バリアフリールートの充実に向けまして、公共用地への設置を念頭に、駅施設の構造上の課題に関する検討を深めてまいります。
○小林委員 ありがとうございます。二〇一七年は設置の可能性を検討、二〇一八年は用地の確保や構造上の課題に関する検討を深め、バリアフリールートの充実に取り組む、そして、今、今回、公共用地への設置を念頭に検討を深めると、答弁に前進の足跡を残していただいていると思います。光が丘駅周辺は、練馬区一の団地群であり、年々高齢者の方も多くなってきております。さらに検討を加速していただき、設置実現に向けた着実な取組をよろしくお願いしたいと思います。
次に、交通局における迷惑行為とマナー啓発についてお伺いします。
昨今、公共交通における安全・安心を改めて見直さなければならない問題が露見をしております。
初めに、都営地下鉄の迷惑行為について、対応や件数などの状況についてお伺いいたします。
○市川電車部長 都営地下鉄において、令和二年度に迷惑行為として警察に通報した件数は、暴力行為七十八件、盗撮二十九件、痴漢二十八件、その他お客様同士のトラブル等を含め、合計三百四十七件でございました。
○小林委員 さきの公営企業会計決算特別委員会の全局質疑でも、都営地下鉄車内の安全確保に向けた取組をお伺いしましたが、乗客の方にも協力をいただくために、マナー啓発の取組も大変重要であると思います。
先ほど、保坂委員の方からもご指摘がありましたけれども、私は以前、エスカレーターの右側を空けて上り下りすることが暗黙のルール化されている中、高齢者や障害者の方のエスカレーターの安全利用に向けた取組をしていくべきとのご提案を理学療法士の方からいただきまして、一般質問で取り上げたところ、交通局として、啓発のポスターを作成するなどの広報を行っていただきました。
マナー啓発は、間断なく継続して行っていく必要がありますが、交通局におけるマナー啓発の取組状況についてお伺いをいたします。
○土岐次長 交通局では、誰もが安全で快適に都営交通を利用できるよう、お客様へのマナー啓発に取り組んでございます。
具体的には、ただいま理事お話しのエスカレーターの安全利用をはじめ、駆け込み乗車や歩きスマホの防止、優先席の譲り合いなどにつきまして、駅構内放送等による呼びかけを行うほか、車内の液晶モニターでの動画の放映や駅構内でのポスターの掲出を行ってございます。
今年度は、お客様から寄せられたご意見などを踏まえまして、マスクの着用や会話控え目を題材に、オリジナルのアニメを活用した動画やポスターを制作し、啓発を行っております。
また、都内小学四年生を対象に配布している都営交通マナーブックでは、感染症の予防に向けた新しい生活様式のマナーについて周知を行っており、今後とも、時宜にかなったマナー啓発を行ってまいります。
○小林委員 今後とも、様々知恵を絞りながら、乗客の方に向けた効果的なマナー啓発に、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次に、都営バスについてお伺いをいたします。
初めに、現在の都営バスの経営状況と課題についてお伺いをいたします。
○太田バス事業経営改善担当部長 令和二年度における都営バスの経常損益は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、約九十五億四千万円の赤字となりました。また、一日当たりの乗車人員は約五十万人となり、前年度に比べて約十三万人、二一%減少いたしました。
今年度に入りましても、感染再拡大の影響やお客様の行動変容などにより、コロナ禍以前の水準からおおむね二割弱の減少が続いておりまして、今後も厳しい経営状況が続くものと認識しております。
こうした中、経営改善に向け、安全・安心の確保を前提に、事業全般にわたって経費の節減を徹底いたしますとともに、地域のニーズに的確に応えながら、各路線の需要を慎重に見極めてまいります。
あわせまして、将来にわたって持続的に事業運営を支える乗務員をはじめとする人材の確保、育成などに取り組んでいるところであります。
○小林委員 コロナウイルスの影響もあって、約九十五億四千万円の赤字とのことで、大変厳しい状況かと思います。
都営バスとして、慢性的な赤字路線がありますが、公共交通の維持、確保の観点からも、都営バス事業の一層の経営改善は最重要の課題でありますが、必要路線の確保や新たな路線の開設も大事な課題でもあります。
そこで、都営バスの路線について、どのように需要予測を行い、新設や廃止などを検討しているのかお伺いいたします。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用いたしまして、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、バス事業を運営しております。
こうした考え方に基づき、乗客潮流の変化を的確に捉えて、路線やダイヤの見直しを行っておりまして、需要が高まっている地域においては、新設や増便を行う一方、コミュニティバスなどの代替交通が確保されたり、利用者が少なくなった路線については、減便や廃止を行ってまいりました。
今般、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、お客様の行動も変容しておりますことから、そうした需要の変化を慎重に見極めるため、運行実績のデータの活用とともに、実際に職員が車内に乗り込み、各路線の時間帯ごとの利用状況などをきめ細かく把握しております。
引き続き、通勤通学、買物や通院など、地域のニーズに的確に応えながら、都営交通としての役割を果たしてまいります。
○小林委員 今ご答弁にもありました地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるようバス事業を運営するために、経常損失の縮減に向けた交通局の取組についてお伺いいたします。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、経営改善に向け、収支の両面から様々な取組を行っております。
支出面では、これまでも、民間事業者への営業所の管理の委託や現業系職員の給与水準の見直しにより、人件費の削減を図ってきたところであります。
さらに、このたびのコロナ禍による収支の悪化を受けまして、営業所の水道光熱費など運行に直接関わらない経常的経費や、車両の更新など投資的経費につきましても、幅広く見直しを行っております。
あわせて、増収に向け、感染症の流行状況等に留意しながら、旅客誘致を図っておりまして、大規模な集客施設等とタイアップして、都営バスのご利用をPRするとともに、沿線の見どころや人気の店舗等の情報を紹介する広報誌「TOKYO都バス乗り隊歩き隊」の発行などを行っているところであります。
引き続き、こうした取組を確実に進めながら、収支の改善を図ってまいります。
○小林委員 採算性が低くても、地域にとって必要な路線は確保しなければならない。一方、乗客へのサービスや利便性の向上にも取り組む必要があり、難しい経営手腕が問われると思います。
都議会公明党は、かつて、広告収入を活用して、ゼロ予算で屋根、ベンチつきの都営バスの停留所の設置を提案し、現在、取り組んでいただいておりますが、私たちも、今後ともさらに有効的な対策を模索し、提案をさせていただきたいと思いますので、収支改善に向けた着実な推進をお願いしたいと思います。
都営バス事業の維持において、その根幹を支えているのが乗務員の方々であります。公共交通の使命感の下、ハンドルを握り、無事故の運行、乗客への対応など、神経をすり減らす大変な業務かと思いますが、今後、都営バスでは、大量退職の時期を迎えつつあり、また、全国的に大型二種免許取得者数が減少しているとも仄聞しております。
そこで、乗務員の確保に向けた局の取組についてお伺いをいたします。
○牧野職員部長 バス事業の安定的な運営を行う上で、バス乗務員の採用は重要な課題でございまして、必要な人材確保に向けた様々な取組を行っております。
採用選考におきましては、申込み者に受験機会を増やす観点から、従来三十六歳未満であった受験資格の上限年齢を、平成二十七年度と二十九年度にそれぞれ引き上げまして、現在は五十歳未満としております。また、平成二十七年度からは、大型二種免許の未取得者を対象とした養成型の選考を実施しております。
さらに、今年度の選考からは、応募者の負担軽減を図り、より多くの方に応募いただけるよう、ウェブ上での申込みを開始いたしました。
広報活動におきましては、局の採用ホームページに、職員自らがバス乗務員のやりがいや魅力を語る特設ページを設置するとともに、バス乗務員の一日の具体的な仕事の流れなどを掲載しましたバス乗務員採用向けのパンフレットを作成いたしまして、活用しております。
また、若者や女性などをターゲットといたしまして、SNSを活用した広告やウェブサイト上のインターネット広告なども展開しております。
今後とも、これらの取組により、バス乗務員の確保に努めてまいります。
○小林委員 都バス乗務員の接遇や運転に関して、私も、ご利用される方々から様々な意見をいただくことがございます。
先日も、ある利用者からの声をいただいて、担当者の方と意見交換をさせていただきましたが、こうした利用者の声を反映させ、接遇などを一層高めていくことが必要であると思いますが、見解をお伺いいたします。
○櫻庭自動車部長 交通局では、公共交通機関として、お客様の声を生かしながら、安全性や快適性を向上させていくことが大切であると考えております。
都営バスに寄せられました接遇や運転などに関するお声は、営業所と直ちに共有しておりまして、感謝の声につきましては、当該の乗務員を称賛する一方、苦情などにつきましては、営業所の責任者が事実を確認した上で、本人に対して速やかに指導を行っております。
加えて、改善すべき点を乗務員同士のグループで討議するなど再発防止を図っております。
また、集合研修や添乗による指導においても、お客様の声を活用して、乗務員全体の資質や技術の向上にきめ細かく取り組んでおります。
引き続き、都営バス全体の接遇や安全性のレベルアップを図り、お客様に寄り添った事業運営を行ってまいります。
○小林委員 地下鉄と同様に、都営バスについても多くのご年配の方が利用されておりまして、その利便性などのご要望も私も多くいただくところでございます。
そこで、都営バスにおいて年配の利用者を意識した利便性の向上に向けた取組についてお伺いいたします。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、ご高齢のお客様にも安心して快適にご利用いただけるよう、様々な取組を行っております。
具体的には、お客様から見やすくなるよう、停留所の行き先や路線図の文字をできるだけ大きく表示しております。
また、バス路線の乗り入れが多い駅などでは、停留所の上部の見やすい位置に乗り場番号を表示し、目的の乗り場が一目で分かるようにしております。
さらに、バスが幾つ前のバス停まで来ているのか接近状況をお知らせする装置を設置しているほか、バス停周辺の福祉施設や病院等の立地状況なども考慮いたしまして、ベンチを設置しております。
今後とも、ご高齢の方をはじめとした全てのお客様が利用しやすい環境整備に努めてまいります。
○小林委員 地下鉄においても、バスにおいても、利用者に向けたサービス品質の向上は大事な課題ですが、そのためには、利用者の声をいかに反映させ、具現していくかが大切であります。
そこで、お客様の視点に立ったサービスの提供における交通局の取組状況と成果についてお伺いをいたします。
○土岐次長 交通局では、お客様に、より快適に都営交通をご利用いただけるよう、局長を本部長とするサービス推進本部の下で、事業所ごとにチームを設け、接遇を含めたサービス向上に取り組んでおります。
また、経営層から現場の職員までが参加するサービス推進発表会などで優秀なチームの活動内容を紹介し、局全体に共有することでサービスの底上げを図ってございます。
加えまして、毎年約四百名の都営交通モニターを公募し、年二回、接遇などのサービスレベルを四段階で評価いただいており、局として評価の向上を目指しております。
こうした取組の中で、地下鉄駅構内のトイレのリニューアルやバス停留所における案内の充実、職員の接遇の向上などが図られており、モニターの評価にもつながっていると考えております。
今後とも、お客様の視点に立ち、さらなるサービスの充実を図ることで、お客様から信頼され、支持される都営交通の実現を目指してまいります。
○小林委員 ありがとうございます。恐らく、毎日毎日もう様々な声が届けられているかと思います。そうした中で、本当に粘り強い取組というものが必要になってくると思いますので、一つでも多く形にできるように、また、目に見える、具現化できるような形で取組が進むように、ぜひともお願いしたいと思います。
次に、都営交通公式アプリについてお伺いをいたします。
十年前、東日本大震災が発災した際に、私は、今後の東京都の防災対策にあって、防災情報の的確な発信をしていくためにも、当時、急速に伸長してきたスマートフォンを活用したアプリを活用していくべきではないかと、当時の総務局の方と意見交換をいたしました。
今でこそ東京都防災アプリが作成され、活用されていますが、当時は、まだ本腰を入れてアプリを導入していくとの機運がない中、いち早くアプリを取り入れ、提供していたのが交通局であり、先駆的な取組として注目をしておりました。
その後、アプリの提供がなくなり、私も復活を要望しておりましたが、紆余曲折を経て、交通局より、リニューアルしたアプリの提供が開始されましたが、都営交通公式アプリ導入の目的と現在の取組状況についてお伺いいたします。
○土岐次長 都営交通アプリは、お客様が地下鉄やバスなどをご利用する際、運行状況や時刻表、乗換え、運賃検索などの情報をスマートフォンを使ってより便利にご覧いただくことを目的として、令和二年三月に運用を開始してございます。
本年三月には、混雑を回避してご乗車いただく際の参考となるよう、車両から収集した膨大な混雑データを活用し、地下鉄全線の車両の号車ごとの混雑予測情報を提供しております。
このアプリのダウンロード数は、本年十月末までに約五万三千件となっており、今後も様々なお客様のニーズを的確に捉えた付加価値の高いサービスを提供し、誰もが利用しやすいアプリを目指してまいります。
○小林委員 私も、日頃大江戸線を利用していることから、この都営交通アプリ、ダウンロードをさせていただいております。今も答弁にありましたとおり、さらに充実したアプリ開発を進めていただきたいと思います。
経営計画二〇一九には、都営交通と文化施策との連携強化についても触れられておりますが、都営交通と都の文化政策との連携の取組についてお伺いをいたします。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、都の文化施策と連携した取組を進めております。
具体的には、東京の美術館、博物館等の入場券、割引券がまとまったお得なチケットブック、東京・ミュージアムぐるっとパスと都営交通全線を一日に限り何回でもご利用いただける都営まるごときっぷを組合せました都営deぐるっとパスを発売し、旅行者の都内文化施設等への来場促進を図ってきました。
また、東京文化会館におけるオペラ夏の祭典開催に合わせまして、機運醸成を図るため、大江戸線上野御徒町駅構内でオペラの劇中曲を放送するなどの取組を行っておりまして、今後とも、都の文化施策とも連携しながら、東京の発展に貢献してまいります。
○小林委員 様々な取組を進めていただいていると思いますが、今のご答弁にもありました上野御徒町駅構内でオペラ夏の祭典に合わせて劇中曲を放送したとありましたが、非常に面白い大事な取組であるというふうに思います。
地元練馬区にある西武池袋線大泉学園駅は、銀河鉄道999の作者で名誉区民の松本零士さんが練馬区大泉町にお住まいのことから、駅の発車メロディーは、銀河鉄道999の主題歌になっておりまして、アニメ文化の機運を非常に高めております。
さきの第三回定例会において、都では、東京二〇二〇大会における文化プログラムやコロナ禍の経験を生かした新たな文化戦略の策定をしていくことを公表しました。
都議会公明党は、文化芸術振興を都政の柱の一つとして取り組んでいくべきであると考えております。都内の文化を堪能するために、都営交通が果たしていく役割も改めて重視していく必要があるのではないかと思っております。
先ほどの都営交通アプリの付加価値の一つとして、文化芸術の情報発信を加えるなど様々な工夫を凝らしながら、都の文化芸術振興の一翼をぜひとも担っていただきたいと思います。
次に、都営交通の環境対策についてお伺いいたします。
二〇一九年度の東京都の事務事業活動における局別温室効果ガス排出量の割合を見ますと、知事部局などで三三%、下水道局が三五%、水道局が一八%、交通局が一四%とのことで、公営企業三局は、温室効果ガスの削減に向けた絶え間ない取組を進めていく重要な役割があると思います。
先日も、下水道局に対し、再生可能エネルギーの導入状況について質問しましたが、環境負荷軽減に向けた交通局の取組についてお伺いをいたします。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営交通は、環境に優しい公共交通であると同時に、事業活動に伴い相応のエネルギーを消費することから、その抑制に取り組むことが重要と考えております。
これまでも、地下鉄におきまして、エネルギー効率が高い車両を導入するとともに、都営バスでは、走行時にCO2を排出しない燃料電池バスを先導的に導入してまいりました。
また、今年度からは、都営バスの全ての営業所で、局の水力発電所でつくられた再生可能エネルギーの使用を開始したところでございます。
今後とも、環境に優しい都営交通の一層の利用促進を図るとともに、さらなる環境負荷低減に取り組んでまいります。
○小林委員 未来の東京戦略においても、ゼロエミッション東京の実現が戦略の一つとして掲げられています。都営交通の使命を果たしつつ、この戦略実現に向けて、公営企業局としての役割を堅実に果たす取組をお願いしたいと思います。
最後に、最新技術の活用についてお伺いします。
日進月歩の技術の進展にあって、都政においても、都民の利益に資する技術の活用が求められていると思います。
水道局や下水道局においても、様々な技術を開発し、活用していますが、交通局におけるICTや新技術の活用状況についてお伺いをいたします。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、お客様の利便性の向上等を図るため、デジタル技術の積極的な活用を進めております。
具体的には、多言語案内や筆談アプリなど様々な機能を搭載したタブレット端末を地下鉄全駅に配備するとともに、AIを活用してお客様をご案内するロボットコンシェルジュを導入しております。
また、昨年度には、日暮里・舎人ライナーにおきまして、5G通信等を用いて駅構内で移動型ロボットを遠隔操作いたしまして、お客様との対話や誘導案内を行う実証実験を行ってまいりました。
今後とも、技術開発の動向を注視しつつ、費用対効果なども見極めながら、デジタル技術の活用を進め、より質の高いサービスの提供に努めてまいります。
○小林委員 ありがとうございました。
さきの公営企業会計決算特別委員会において、今後の都営交通の事業運営について、安全・安心の確保、災害への備え、質の高いサービスの提供、これらの観点を踏まえ、次期経営計画の策定を推進していくとの答弁が局長よりありました。
国難ともいうべきコロナウイルス感染拡大の経験の上での次期経営計画の策定ですので、今までにない困難な状況を打開する未来志向の経営計画の策定としていただくよう要望させていただきたいと思います。
そして、最後に、先ほど局長の方からもお話がございました。根木総務部長、ご逝去ということで、私も、ご生前、大変にお世話になりました。改めてお悔やみを申し上げ、ご冥福をお祈りいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○こいそ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後二時三十六分休憩
午後二時五十分開議
○こいそ委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料のご提出をありがとうございます。
私からは、まず、日暮里・舎人ライナーについて伺います。
十月七日の夜二十二時四十一分に千葉県北西部地震が起き、私の地元の足立区では震度五強を観測しました。その影響で、日暮里・舎人ライナーで脱輪事故が起きたことはご承知のとおりです。まずは、当日の深夜、そして、翌朝にかけて、事故や利用者の方々の対応に当たった交通局の皆さん、現場の皆さんに、心からの感謝を申し上げたいと思います。同時に、今回の事故や対応を踏まえて、この対策の強化や緊急時の対応の改善につなげていくことが求められていると思います。
地震の影響で起きた脱輪事故について、詳細な原因究明については、国の運輸安全委員会の下で調査中とのことですが、交通局として、事故を踏まえて、今後についてどのような検討が行われているのか伺います。
○西川安全管理担当部長 現在、国の運輸安全委員会により、地震による脱輪の原因調査、分析が行われてございます。また、国土交通省が、交通事業者やメーカーとともに対策を検討していくものと聞いてございます。
交通局におきましても、今回の地震に伴う車両や設備の被害等について分析を開始しておりまして、今後、国の調査にも協力しながら、必要な対策を検討してまいります。
○斉藤委員 交通局においても、車両や設備の被害等について分析を開始し、必要な対策を検討しているということです。脱輪が起こった場所が軌道の切替えポイントであったことなど、考え得る要因はいろいろあると思いますが、可能な限りの技術的改善にもつなげていけるように取り組んでいただきたいと思います。
一方で、脱輪の原因やメカニズムの解明はもちろんですが、事故が起きたときの対応についても、今回のことから課題が見えていると思います。
まず、輸送代替手段について伺います。
脱輪した車両をすぐには動かせなかったことが分かった段階で、代替輸送を手配しなければならない状況になりましたが、事故の翌日の金曜日の朝と帰りの時間帯、代替輸送としてどのような対応したのか、また、今後については、事前に代替輸送の体制をつくっておくことも必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○市川電車部長 十月七日木曜日の地震発生後、日暮里・舎人ライナーの運行が停止したことを受け、直ちに鉄道や路線バスによる振替輸送を実施いたしました。
その後、地震による被害が徐々に明らかとなり、復旧に数日を要する場合も想定されたことから、翌日の八日金曜日には、都営バス里48系統を増便いたしました。
加えて、沿線の観光バス会社等に依頼して代替輸送を開始し、午前九時前からライナーの終電時刻まで、日暮里駅と見沼代親水公園駅との間を運行し、お客様の交通手段を確保いたしました。
今後とも、災害等発生時に、他路線の運行状況等に応じて、可能な限りお客様の代替の交通手段を確保できるよう努めてまいります。
○斉藤委員 この事故の翌朝に、私もライナー沿いを回ってきたんですけれども、バス停はどこも長蛇の列でした。バスを待っている方々にお話を伺いましたが、一時間半近く待っていてもバスが来ないという状況で、やっと来たと思ったバスは既に満員で、誰一人乗せることなくすぐにドアを閉めて走り去ってしまうというような状況でした。
交通局では、事故の深夜から翌朝にかけて、苦労されて代替のバスの手配に奔走していただいたというふうに思うんですけれども、今後も同じようなことが起こり得るということを想定して、いざというときの代替輸送の体制を構築していくことが必要ではないかと思います。
今回は、都営バスの増便だけでなく沿線の民間の観光バスにも協力をいただいたと、それで対応したということなので、今後もご協力いただけるところと緊急時の協定を結ぶなど体制をつくっていただくということを求めます。
また、運休時の駅には、代替輸送についての案内表示もなく、係員も誰もいないという状況でした。ツイッターなどネットの情報発信も弱く、利用者の皆さんは、どこで情報を取ればいいか分からないという状況でした。今後は、こうした利用客への情報提供も改善をしていただきたいというふうに思います。
次に、緊急時の係員等の体制について伺います。
日暮里・舎人ライナーでは、無人走行、無人駅で運行されており、駅員がいるのは日暮里と西日暮里だけで、ほかは係員等が巡回して、何かあれば駆けつけるという体制になっています。
緊急時の対応はどのようになっているのか、改めて伺います。
○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所から防犯カメラの映像を確認することにより、駅構内の状況を把握しております。
車内や、係員が常駐していない駅では、トラブル等発生時に、指令員と巡回中の係員等が連携し、お客様対応を行っております。
○斉藤委員 本当は、係員等が何人の体制なのかということを伺いたかったんですけれども、セキュリティ上の問題があるということで、お答えはできないということでした。
交通局の事業概要によれば、緊急時には、巡回している係員等が直ちに駆けつけるというふうにされていますが、今回の地震では、脱輪してから係員が車両に駆けつけるまで三十分かかったというふうに伺っています。
時間を要した理由は何だったのか、教えてください。
○市川電車部長 地震などにより、万一、駅間に列車が停止し、復旧のめどが立たない場合、係員を緊急自動車などにより現場に急行させることとしております。その間、お客様には落ち着いて行動していただけるよう、指令からの車内放送により、現在の状況とこれからの避難方法をお知らせすることとしております。
係員の現場到着後、お客様には、係員の誘導に従い、列車の前後にある非常ドアから走行路に降りていただき、徒歩で最寄りの駅に避難していただくことになります。
今回の地震に際しても、現場の状況に応じ必要な対応を確実に行った結果、地震発生から係員の現場到着までに三十分を要したものでございます。その間も、指令からお客様に呼びかけを行い、けが人の状況を確認し、救急車を手配するなど適切に対応いたしました。
○斉藤委員 必要な対応を確実に行った結果、三十分を要したということで、具体的にはどういうことを行っていたのかというお答えはないんですけれども、今、国による調査が行われているということで、詳細をお答えできないということでした。
具体的な検証は、事実が明らかになってからだということだと思いますが、ライナーの指令室は、車両基地、舎人公園のすぐ先にありまして、脱輪の現場となったポイントは、基地から目と鼻の先、すぐ近くにあります。現場の状況把握をもっと早く行うために、システムの改善や、車内への呼びかけ、人員の増員など、改善できるポイントはいろいろあるのではないかと思います。
今回のことを受けて、駅係員の配置や、少なくとも巡回する係員の増員など、体制を見直す必要があると考えますが、見解を伺います。
○市川電車部長 日暮里・舎人ライナーは新交通システムであり、コンピューター制御により自動運転を行い、列車の運行管理や駅の安全監視などは全て指令所で係員が行うものでございます。
通常時は、係員や警備員が各駅を定期的に巡回し、事故などに対応可能な体制を取っております。
異常時には、係員が緊急自動車等で現場に急行し、安全最優先の対応を取ることとしておりまして、現状の体制は妥当だと考えております。
○斉藤委員 この問題は、先日の決算委員会の中で、我が党の里吉都議もただしましたが、現状の体制は妥当だという同じ答弁なんです。
人員を、この体制を見直さないというのであれば、今回のような地震で何かあったときに、駆けつける時間をどのように短縮することができるのか、教えてください。
○市川電車部長 繰り返しになりますが、通常時は、係員や警備員が各駅を定期的に巡回し、事故などに対応可能な体制を取っております。
異常時には、係員が緊急自動車等で現場に急行し、安全最優先の対応を取ることとしております。
引き続き、迅速な対応が行えるよう努めてまいります。
○斉藤委員 今、調査中ということがあって、具体的なお答えができないということかもしれないんですけれども、今後の検証の中で、どういったことが改善できるか、この人員体制の見直しも必要なのかどうかということも、改めて明らかにしていただきたいというふうに思います。
我が党は、事故発生の翌週明けに、今、質疑をしたことも含めて申入れを行いましたが、このとき、交通局長からは、今回の対応の課題について検証していく必要があると考えているという回答がありました。現時点ではまだ明らかにできていない点についても、今後の調査を経て、課題については改善していくとともに、係員等の人員増を重ねて求めて、次のテーマに移ります。
足立区で新しくなる都営のバスのルートについてです。
足立区では、東京女子医科大学附属足立医療センターが竣工し、現在の荒川区から移転をして、年明けの一月五日から開業予定になっています。地域医療の中核医療機関として、また、高度医療を担う機関として、広範囲から来院者が訪れることになるため、病院へのアクセスを保障するために、私も、この都営バスのルートを新たにつなげる要望を行ってきました。
そこで、新しく導入されるルートの概要について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、東京女子医科大学附属足立医療センターの移転に合わせて、周辺の一部の路線を乗り入れることとしておりまして、今月、地元の足立区議会の特別委員会において、その概要が報告されたところであります。
詳細な運行経路、ダイヤにつきましては、現在調整しているところでありますが、里48系統のうち、加賀団地や江北駅を出発する便を医療センター経由とするとともに、王子駅と足立区役所などとを結ぶ王49系統につきましても、一部の便を医療センターに乗り入れる予定でございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。既存の路線から医療センターを経由する便を導入するということです。まずは医療センターへのルートを検討していただき、感謝を申し上げたいと思います。
民間バスも西新井駅からの乗り入れなどを決めているところですけれども、しかし、このルート改編によって、既存路線に大きな変化もあります。里48系統が、朝と夕方以降のみの運行になるということでご報告いただいているんですけれども、日中の地域住民の交通にどれぐらい影響があるのかなども、今後も丁寧に見ていかないといけないというふうに思います。引き続き、地元や利用者の声を聞いて、柔軟な対応をするなど、地域に寄り添うバス路線を実現していただきたいというふうに思います。
次に、エネルギー対策、地球温暖化について伺います。
気候変動危機に対応するための取組が喫緊の課題です。イギリスのグラスゴーで開かれたCOP26では、世界の平均気温上昇を一・五度に抑えることや二〇三〇年までの各国の温室効果ガスの排出削減の目標を強化することなどが合意されました。世界中で気候危機の打開のために対策が追求されている中で、東京都としても、未来を守るための対策が待ったなしです。
そこでまず、交通局における二〇二〇年度の再エネ、省エネの取組と温室効果ガス削減の実績について伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、都営地下鉄におきまして、庁舎の屋上に設置した太陽光発電設備により、令和二年度は、約三万五千キロワット時の再生可能エネルギー電力を創出し、それぞれの施設で利用いたしました。
また、省エネルギーの推進に向け、浅草線や大江戸線におきまして、エネルギー効率の高い車両に順次更新したほか、地下鉄の車両や駅、バス停留所へのLED照明の導入拡大などの取組を着実に進めております。
令和二年度の温室効果ガスの排出量は現在集計中でございますが、令和元年度の実績は、前年度比〇・五%減の三十二・六万トンとなっておるところでございます。
なお、交通局では、多摩川の流水を活用した水力発電を行っておりまして、令和二年度は、約一億五千万キロワット時の再生可能エネルギーを都内に供給しております。
○斉藤委員 庁舎屋上を利用した太陽光発電や多摩川の流水を活用した水力発電、また、省エネルギーの取組を進めているということです。
多くの電力を使う交通局として、再生可能エネルギーによる電力の導入を進めるということが重要であり、再エネ電力の購入も、運賃に転嫁させないような形で検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営交通は、環境に優しい公共交通であると同時に、事業活動に伴い、相応のエネルギーを消費することから、その抑制に取り組むことが重要と考えております。
これまでも、地下鉄などにおきまして、エネルギー効率が高い車両の導入を進めるとともに、今年度より、都営バスの全ての営業所で、局の水力発電所でつくられた再生可能エネルギーの使用を開始したところであります。
今後とも、環境負荷の低減に向けた取組を適切に進めてまいります。
○斉藤委員 公共交通は、環境に優しい交通手段ということで、その利用の促進の取組を進めることも社会全体として大切な取組だというふうに思います。同時に、ご答弁のとおり、省エネと再エネの取組を進めていくということが重要です。
今年度から、都営バスの全営業所で、交通局の水力発電所でつくられた再生可能エネルギーの使用を開始しているというご答弁でした。
交通局では、一九五七年、昭和三十二年から、この多摩川の流水を利用した水力発電事業を行っています。ここで発電したCO2フリーの電気を今年の四月からENEOS株式会社に売り、各都営バスの営業所で購入するという仕組みをつくったというふうに伺っています。交通局の水力発電量がそれで変わるということではないものの、再エネ利用の取組を身近に知ってもらう契機にもなるのではないかと思います。
今後も、環境負荷の低減に向けた取組を進めるということですので、再エネ利用のさらなる促進に向けて、交通局としても、全庁的な連携とともに対策を強化していただきたいというふうに思います。
特定低公害、低燃費車の導入についても伺います。
公営企業決算の全局質疑において、環境確保条例に定める特定低公害、低燃費車の導入義務制度の都営バスにおける達成状況について、我が党の里吉都議が質問をし、交通局では、二〇二〇年度末で、全千五百三十四両のうち、ディーゼルバスが四百五十三両、燃料電池バスが七十両、計五百二十三両を導入し、導入率では四三%、目標の一五%を超えているという回答でした。
温室効果ガスの削減を加速化させるためにも、取組の強化が求められていますが、今後の導入計画とEVの導入の検討について伺います。
○櫻庭自動車部長 都営バスではこれまでも、最新の排出ガス規制や燃費基準に適合した車両を導入しておりまして、今後も、更新の際には、こうした車両を導入することとしております。
また、EVバスにつきましては、ディーゼル車に比べて航続距離が短いなど都営バスの運行に適した車両がないこと、導入台数に応じた変電設備、充電設備が必要なことなど、導入に当たっては様々な課題がございます。
このため、昨年度から、こうした課題について調査検討を行っているところでございます。
○斉藤委員 EVバスについては、様々な課題があるものの、昨年度からその課題について調査検討を行っているということです。
都は、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出を二〇〇〇年度比で五〇%削減するという目標を掲げています。あと数年しかない状況ですが、交通局としても、直近のこのカーボンハーフの取組に貢献できるように、EVバスの導入を実現できるよう、関係機関等とともに取り組んでいただきたいというふうに思います。
そして、この特定低公害、低燃費車ということで、水素バス、燃料電池バスを七十台導入しているということも報告をされています。
交通局では、水素バスは、この再エネのようにCO2削減に貢献するという考えなのか、見解を伺います。
○櫻庭自動車部長 燃料電池バスは、走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しない環境性能に優れた車両でございまして、ご利用いただいたお客様からは、非常に音が静かである、乗り心地もスムーズで快適であるといったお声が寄せられております。
一方、課題といたしましては、水素ステーションの立地が臨海地域に集中しておりまして、運行エリアの拡大が難しいこと、水素ステーションの故障時のバックアップ体制などを含めた安定的な水素の供給体制が不可欠であること、導入コストや燃料費などのランニングコストがディーゼル車に比べて割高であることなどがあります。
○斉藤委員 今いろいろご答弁いただいたんですけれども、走行時に温室効果ガスを出さないというお答えなんですけれども、しかし、今、世界的にも問題になっているのは、水素はその製造過程でCO2が排出されるということです。皆さんご存じだと思いますけれども。
我が党は、環境局の質疑でも明らかにしていますが、再生可能エネルギーを直接用いて製造した水素を常態として供給している都内の水素ステーションはないということが報告されています。天然ガスや石油などの化石燃料を原料として製造している水素が大半を占めているということ、さらに、この水素の製造過程で、多くのエネルギーロスが生まれます。水素バスは、CO2フリーではなく、省エネにも寄与しないということを受け止めて、今後の導入については見直しをしていくということを強く求めます。
このテーマの最後に、温室効果ガスの削減目標について伺います。
都では、今年の三月にゼロエミッション都庁行動計画を策定し、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出を五〇%削減するという目標を掲げて全庁的な取組としています。
交通局でも、公営企業の上下水道局と同様に、温室効果ガスの削減の計画を持ち、また、オール都庁で掲げている二〇三〇年までの温室効果ガス排出五〇%削減という目標を掲げて取組を強化していくべきだと思いますが、見解を伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 電車やバスなど公共交通機関は、自家用車に比べてエネルギー効率が高く、環境に優しい交通手段であり、交通局では、地下鉄やバスなどの利用促進を図っております。
また、自らも環境に配慮した事業運営を行い、環境負荷を可能な限り低減するよう努めており、引き続き、事業の推進を通じて、都が掲げる目標の実現に貢献してまいります。
○斉藤委員 引き続き、事業の推進を通じて、東京都が掲げる目標の実現に貢献していくということですけれども、そのためにも、抜本的な目標を交通局としても掲げて取り組むということが必要だと思います。その立場に立つことを求めて、次のテーマに移ります。
都営交通のバリアフリーについてです。
交通局では、オリンピック・パラリンピック大会のレガシーとしても、このバリアフリーについての取組の強化を行ってきましたが、大会の終了まででなく、また、大会会場の周辺だけでなく、今後もその理念を広げて、東京全体に施策を進めていくということが本当のレガシーだというふうに考えます。
私は、前期の最初の二年間に公営企業委員として、都営交通のバリアフリーについて取り上げてきました。
都営地下鉄についても、様々なケースを取り上げてきましたが、その一つがホームと電車の隙間や段差をなくして、車椅子の方でも自走で電車の乗降ができるようにしていくということでした。
特に当事者の方々からの要望に基づいて、都営地下鉄の新宿線のホームと電車の隙間の対策を求めてきましたが、交通局では、このホームの端のスロープ化や、くし状ゴムの設置を進めていくということでした。
現在の状況について伺います。
○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、高齢者、障害者をはじめ、全てのお客様に安全・安心にご利用いただけるよう、ホームと車両の段差、隙間対策に取り組んでおります。
新宿線では、車両編成により車椅子スペースの位置が異なることから、ホームドア整備に合わせて、ホーム端の全面的なかさ上げを行うとともに、ホームと車両の隙間が広い箇所の乗降口に、隙間を狭めるくし状ゴムを設置しております。
具体的には、平成二十九年四月から、交通局が管理する新宿線二十駅につきまして順次工事を行い、令和二年一月に完了しております。
○斉藤委員 新宿線の二十駅においてホーム端の全面的なかさ上げとともに、ホームと車両の隙間が広い箇所の乗降口に、隙間を狭めるくし状ゴムを設置、これが二〇二〇年の一月に完了したということです。今後も、対応が必要な箇所の対策を進めていただきたいというふうに思います。
また、都電のさくらトラムの荒川七丁目の停留場でも、隙間の危険性を指摘する声が地元の方々から寄せられています。停留場が、軌道のカーブに当たるところにあり、車両とホームの間に隙間ができてしまう状況で、高齢者がつまずいてしまわないか危険だという声、また、ベビーカーでの乗り降りが大変だという声が届いています。
隙間を埋めるための先ほどのくし状ゴムを設置することや、あるいは電車の停車位置をずらすなど、早急に対策を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○坂口技術管理担当部長 荒川七丁目停留場は急曲線上にありまして、地下鉄よりもカーブが急なため、車両と接触させることなく効果的にくし状ゴムを設置することは構造上困難であります。
また、当該停留場は、全体がカーブしておりまして、電車の停止位置をずらした場合でも、ホームと車両との隙間は狭まらないということでございます。
なお、当該停留場では、ホームの先端部を黄色で表示いたしておりまして、転落防止の注意喚起を行っております。
○斉藤委員 私は、先日、地元の方と一緒にこの現場を見てきました。電車が往来するのをホーム上で見て、隙間について確認をしてきたんですけれども、停車位置を少しずらせば、乗降口の部分の隙間は低減されるのではないかというふうに感じました。全体的にカーブになっているから、ずらしても隙間が狭まらないというのは、理論上はそうかもしれないんですけれども、ぜひ現地調査も含めて検討していただくことを強く要望いたします。
次に、都営バスのバス停についてです。
高齢者や病院を利用する方々から、バス停にベンチを設置してほしいという切実な声が寄せられています。スペースなどの課題もあるかもしれないのですが、それぞれの場所に合った形状のベンチを設置するなど、工夫して取組を進めることができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○太田バス事業経営改善担当部長 バス停留所へのベンチの設置に当たりましては、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たす必要があるほか、警察の許可や停留所付近の地権者の同意などが必要であります。その上で、利用状況のほか、周辺における福祉施設や病院等の立地状況なども考慮して、整備箇所を選定しております。
都営バスではこれまでも、設置スペースなどの課題に応じて、形状等を工夫しながらベンチを設置してきたところでありまして、今後とも、こうした取組を進め、お客様の利便性や快適性の向上に努めてまいります。
○斉藤委員 バス停に、ベンチや上屋の設置を進めてほしいということは、私も前期の間にも、これまで求めてきましたが、そのときにも同様のご答弁でした。資料要求でも、ベンチ、上屋の設置など出していただいていますが、十年間の取組の中でも、この間、到達はまだ三〇%になっていないという状況になっています。もうちょっと、この要望がたくさん上がっていますので、可能なところにつけていく、極力追求してほしいと思います。
病院等の立地状況なども考慮するということでしたが、まさに病院の近くのバス停にベンチを設置してほしいという要望があります。江戸川区の第二葛西小学校入口というバス停ですが、すぐ近くに病院があり、歩道の幅も五・四メートルあるということです。交通局も直接要望を受けているというふうに思います。病院を利用する方々が具合が悪いときに、バスを立って待たなきゃいけないことが本当に大変だということです。ぜひ設置していただきたいということをこの場で要望させていただきます。
次に、都営地下鉄のバリアフリーについて伺います。
車椅子の方の移動を保障するためにも、地下鉄へのエレベーターの設置は重要な政策ですが、交通局では、全駅でワンルートの確保は完了しているということですけれども、二ルート目の設置状況と今後の設置の方針について伺います。
○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄において、ホームから地上までのエレベーターによるバリアフリールートが複数ある駅は、令和二年度末時点で三十九駅でございます。
バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受けまして、移動距離の短縮を図る観点から、バリアフリールートの複数化につきましては検討を進めており、現在、各駅の利用実態や用地の確保、駅構造上の課題などを勘案しながら、エレベーター設置の可能性につきまして検討を深めているところでございます。
○斉藤委員 バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受けて、バリアフリールートの複数化について検討を進めているということ、また、各駅のエレベーター設置の可能性についての検討を深めているということです。
先日、都庁前駅を利用されている車椅子の方からご要望が寄せられました。都庁の周辺の民間企業で働く車椅子の利用者の方ですけれども、都庁前駅には、エレベーターが職場と離れた出口にしかなく、毎日の通勤に苦労をしているという声が寄せられました。
障害のある方々への合理的配慮を義務として掲げた障害者差別解消条例を制定した東京都として、その足元の都庁前駅で、二ルート目のエレベーターを設置し、誰もがアクセスしやすい環境をつくることに大きな意義があると思いますが、見解を伺います。
○坂口技術管理担当部長 都庁前駅のバリアフリールートの複数化につきましても、これまで検討してまいりましたが、用地の確保や駅構造上の制約など様々な課題があるものと認識いたしております。
○斉藤委員 検討をしてきたけれども、用地の確保や構造上の制約など課題があるということです。なかなか簡単なことではないというふうに思いますが、私は、障害のある方々への合理的配慮を義務として掲げた東京都として、都庁前駅で整備をしていくということには、本当に大きな意義があると思います。
当事者の方は、都庁前駅から会社へ移動するには、特に雨の日は大変だということでした。傘を差すことができないので、車椅子利用者の専用の雨がっぱを着ると。これも一苦労で、また、渡る道路にも段差があるため、毎日の負担が大きいということです。この周辺には民間企業のオフィスビルが多いですけれども、そうした民間事業者とも連携をしながら、エレベーターの設置が可能な箇所を追求する、そういう取組をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
また、車椅子を利用している方から、電車内のSOSボタンについてのご要望も寄せられました。ふだんの乗り降りを駅員さんに介助してもらうために、乗る駅の駅員さんから降りる駅の駅員さんに電車の降りる時間が伝えられ、到着する時間ですね、これが伝えられ、降りる駅の駅員さんが、その時間にホームで迎えてくれるという流れになっているということですが、乗る駅での駅員さんが連絡をし忘れたり、また、時間が間違って伝わっていたりするということで、降りるはずの駅で降りられないということが複数回あったということでした。このときに、SOSボタンを押していいのかどうかが分からずに押せなくて、周りの人にお願いをして降ろしてもらったということです。こうした降りられずに困ったときに、このSOSボタンを押していいのかどうか周知をしてほしいということでした。
車椅子利用者など、困ったときに車内のSOSボタンを押すこと、また、押しやすくするための取組について伺います。
○市川電車部長 都営地下鉄の全車両に設置している非常通報器は、車内で非常事態が発生した場合に、お客様から乗務員または指令員に通報できるものでございます。
現在は、他社線での事件も踏まえ、お客様に非常通報器による通報にご協力いただけるよう、ポスターやSNS等による周知に取り組んでおります。
非常事態発生時、お客様に非常通報器を適切にご使用いただけるよう、引き続き周知を徹底してまいります。
○斉藤委員 こうしたケースで押すということについて規定はありませんでしたので、利用していいということだというふうに受け止めましたけれども、他社線で事件などが相次いで、非常通報器、このボタンを適正に利用してもらえるように周知するというご答弁でした。ぜひ、車椅子の利用者の方で乗り降りができないなどのお困り事のときには、利用できることなども併せて当事者にお知らせができるようにしていただきたいというふうに思います。
次に、視覚障害者の方々からの要望です。
私は、エスカレーターに行き先を含む音声案内を整備してほしいということ、この要望も繰り返し行ってきました。
交通局では、大規模改修に合わせて設置をしていくということでしたが、それでは何年待てばいいのか分からないという声が届いています。せめて視覚障害者の方々がよく利用し、要望の上がっている場所については整備をしていくべきだと思いますが、見解を伺います。
○坂口技術管理担当部長 交通局では、国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編に基づきまして、老朽化したエスカレーターの更新等の機会を捉えて、音声案内装置を設置いたしております。
今年度は、視覚障害者団体よりご要望もございます上野御徒町駅など五駅二十七基のエスカレーターに音声案内装置を設置いたしまして、累計で五十駅、二百四十九基で音声案内を行う予定でございます。
引き続き、エスカレーターの改修や更新の機会を捉え、音声案内装置の設置を進めてまいります。
○斉藤委員 視覚障害者の方々が要望してきた上野御徒町駅や、また新御徒町駅などでも整備される予定だということも伺いました。こうした前進があることは本当によかったなというふうに思います。しかし、私も以前から要望してきた三田線の三田駅はまだとのことですが、三田駅の近くには、障害者福祉会館があり、視覚障害者の方々がよく利用する駅です。このほか要望が上がっている駅を含めて優先順位を高めて、音声案内の設置をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
次に、駅ホームでのアナウンスについてです。
都営三田線の地上駅において、午後九時以降はホームの放送が行われず、入ってくる電車がどこ行きなのか、ホームのどっち側に電車が入ってくるのかということが、視覚障害者の方々が分からなくて困っているという相談が寄せられました。
午後九時以降でも、ホームのアナウンスを流してほしいという要望に対して検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営三田線では、地上駅六駅のうち西台駅、高島平駅、新高島平駅の三駅につきまして、ホーム上の自動放送の実施を二十一時までとしてまいりました。
今般、視覚障害者のお客様からの要望を踏まえまして、今月一日から西台駅の自動放送を二十一時以降も行う取組を試行しております。
他の二駅につきましても、西台駅での結果を踏まえまして、自動放送の延長を検討することとしております。
○斉藤委員 今月一日から、西台駅で二十一時以降の自動放送を試行中ということでよかったというふうに思います。私も新高島平駅に行ってみましたが、やはり二十一時以降はアナウンスがありませんでした。視覚障害者の方は、アナウンスがなく、すっと電車が入ってくると、どっちのホームに入ってきているのかということが分からずに困るということでした。今は、試行中ということですが、近隣住民の方々にも配慮は必要かとは思いますが、誰もが使いやすい駅へと改善していただくということを改めて求めます。
バリアフリーのテーマの最後に、シグナルエイドの設置について伺います。
視覚障害者の方々から、毎年、バス停にシグナルエイドに対応する音声案内を設置してほしいという要望が寄せられています。今年も交通局と懇談を行った団体から、交通局からは、スペースがないということや、上屋や電源がないと設置できないという回答だったというふうに聞いています。
実際には、自治体の負担で設置しているバス停もありますが、交通局として、設置できる場所を、調査を行っているのか伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 シグナルエイドに対応した音声誘導装置の設置に当たりましては、都営バスの停留所は数が多いため、費用が高額となることに加え、上屋が装置の設置に適した形状であること、電源確保が必要であることなど様々な課題がございます。
こうした中、都営バスでは、江戸川区の音声誘導システムの設置事業に協力しておりまして、区が設置を希望する停留所において、区の負担で音声誘導装置を設置しております。
今後とも、地元自治体から要望があった場合には、設置可能性を調査するなど必要な協力を行ってまいります。
○斉藤委員 バスの停留所は数が多いということですけれども、全部のバス停につけられないということでも、せめて視覚障害者の方々からの要望のある停留所については、設置の可能性について検討するべきではないでしょうか。
シグナルエイドは、視覚障害者の方々に日常生活用具として給付されるものです。バス停名などが視覚障害者の方々にも分かるように、シグナルエイドに対応し、音声で名称を案内できるようにしていただきたいというふうに思います。都として、主体的に設置可能性を調査することを改めて求めます。
次に、生理の貧困、尊厳について伺います。
コロナ禍で長く続いた自粛によって家計が苦しくなる状況が広がる中、生理用品を手に入れることが、いかに女性の尊厳や社会参画にとって欠かせないものであるかが認識され、学校や公共施設での無償配布を求める運動が広がっています。
都では、全ての都立高校で無償配布を行う前進がありましたが、女性の困難を取り除くためにも、都立施設や交通局にも同様なことが求められています。
女性の生理の尊厳、貧困の問題を解決していく社会的要請についてどう認識しているか、また、都営地下鉄の駅に生理用品を置くことについての交通局の認識を伺います。
○市川電車部長 生理の貧困という問題が生じていることは承知しております。
交通局ではこれまで、関係各局と連携し、福祉をはじめとする様々な行政施策への協力を行ってきました。
都営地下鉄の駅のトイレは不特定多数の方が利用する施設であり、生理用品の配備に当たっては、提供方法やいたずら防止など様々な課題があると認識しております。
○斉藤委員 いたずら防止などの課題があるとのことですが、かつては駅のトイレにはトイレットペーパーもありませんでした。その頃は、トイレットペーパーを置くということも画期的なことだったというふうに思います。
そこで伺いますが、都営地下鉄の駅では、いつからこのトイレットペーパーが設置されるようになったのか、教えてください。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、平成十六年一月に駅のトイレにトイレットペーパーの設置を開始し、平成十六年度中に全駅への設置を完了いたしました。
○斉藤委員 平成十六年、二〇〇四年に初めて設置されたということで、そんなに昔のことではないんだなと、改めて私も驚いたところです。今では誰もが恩恵を受けていて当たり前のようになっているのが、公共交通のトイレのトイレットペーパーの設置です。
生理用品については、このコロナ禍で広がった経済的困難の中で、それがないことがいかに女性の社会参画を阻むものか、尊厳につながる問題なんだということが浮き彫りになりました。生理用品が公共交通機関で配備されれば、全ての女性が救われる、とても意義のある大きな施策になるというふうに思います。今後の意義ある取組として、生理用品の配備の検討を行っていただきたいというふうに思います。
最後に、交通局の事業協力団体、はとバスでの労働環境について伺います。
株式会社はとバスは、都が展開する政策の一端を担うなど、都と事業協力を行う事業協力団体として位置づけられています。
東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱では、事業協力団体に対して交通局はどのように関与するとされているでしょうか。
○土岐次長 東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱では、局長等は、事業協力団体に対しまして、法令その他の規程に定めるところにより適切な関与を行うほか、当該団体との協力強化に向け、必要な関与を行うものとされております。
また、局長等は、毎年度、事業協力団体の運営状況につきまして総務局長に報告するものとされており、事業協力団体に対し、その運営状況について適宜報告を求めております。
○斉藤委員 東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱、これでは、局長等は、事業協力団体に対して、法令その他の規程に定めるところによって適切な関与を行うほか、必要な関与を行うものとされているということです。つまり交通局は、事業協力団体に対して、指導監督する立場で、適切で必要な関与を行うということです。
はとバスで非正規雇用で働いている方から相談をいただきました。コロナの感染拡大になる前は、勤務日数は週四日という契約で、実際には週五日間働いて、その分のお給料が支払われてきたといいます。
しかし、二〇二〇年の四月一日から、コロナのときですね、二〇二〇年四月一日からの契約更新のときに、勤務日は週一日とするという条件に変えられてしまったということです。その方は、その旨を前日の三月三十一日に会社から説明され、十分に考えることができなかったということ、また、ほかの非正規雇用の方々と同様に、コロナだから仕方がないのかなと思ったということもあり、その契約書にサインをしてしまったということでした。
しかし、その下で起きたことがひどいことでした。正社員には、休業補償やボーナスの支給もあるのに、非正規職員、非正規雇用の方々には、その新しく結ばれた週一日という計算でしか休業補償が支払われなかったということです。
まず伺いますが、新型コロナの感染拡大が始まった二〇二〇年春以降に、はとバスがこのように非正規雇用の労働者に対して不利益な条件の雇用契約に切り替えている実態について、交通局は把握しているのでしょうか。
○土岐次長 雇用形態や労働条件等を含め、従業員の雇用に関しましては、法令等で定められた基準や手続に基づき、会社がその責任において適切に対応しているものと認識してございます。
○斉藤委員 会社がその責任において適切に対応しているものと認識しているというご答弁なので、交通局は知らなかったということでしょうし、今後も関係ないといっているような非常に無責任な答弁だと私は思います。
実質的に週五日間働いてきて、契約更新を続けて十五年近くも勤務をしてきた方ですけれども、週にたった一日分の休業補償しかもらえないという状況で、どうやって生活していくことができるんでしょうか。都の事業協力団体で、こうした労働者へのひどい処遇を許してはならないというふうに思います。
さらに伺います。
無期雇用への転換を希望した労働者に対して、はとバスが、二〇二〇年十月、昨年ですね、十月一日付で出した労働条件の書類には、勤務日について、勤務シフトによるという記載になっていたということでした。これは、労働基準法の第十五条に定められた明示すべき労働条件、具体的には、休日や労働時間について記載がなく、使用者が好きなようにできてしまうという中身です。このことについて、労働者が労働基準監督署に訴えた際に、これはおかしいという判断になり、はとバスに対して助言指導が行われたということです。
はとバスが、非正規雇用の労働者に対して、こうした勤務日について、勤務シフトによるという明示すべき労働条件を示さない書面を提示して、労働基準監督署から助言指導されているというこの事実について、交通局は把握しているのか伺います。
○土岐次長 会社に確認いたしましたが、そのような労働局の助言はないと聞いております。
○斉藤委員 会社はそのような助言はないといっているということですが、私が当事者から伺っている話とは食い違います。もう一度、確認をしっかりしていただきたいというふうに思います。
私は、労基署にも確認しました。労基署は、個別の案件について助言指導を行ったかどうかは第三者には教えないということになっていますが、ただ、一般論として、はとバスが出したような勤務日や労働時間の定めのないような書類を労働者に提示することは、労働基準法第十五条に反するものだと明言していました。労働条件を明示しない会社はブラック企業である可能性が高いので注意しましょう、こういう労働者向けの注意喚起もネットで見られるくらい、典型的な悪い例だと思います。
さらに、労基署の方からは、コロナに当たって労働者に契約の不利益変更を行って休業補償を出さないようにする会社は、残念ながらありますというふうにいっていました。私は、東京都交通局事業協力団体がこのようなブラック企業のような状況になっているということは、看過できない重大な問題だというふうに思います。
東京都の事業協力団体であり、交通局とのつながりの深いはとバスに、非正規雇用の労働者に不利益な契約や労働条件を押しつけるのをやめさせ、コロナ前の労働実績に基づいて休業補償を遡って行うことを交通局として指導するべきですが、見解を伺います。
○土岐次長 従業員への休業補償を含めました労働条件につきましても、繰り返しになりますが、法令等で定められた基準や手続に基づきまして、会社がその責任において適切に対応するものと考えております。
○斉藤委員 繰り返しの答弁なんですね。
ちょっと申し訳ないんですけど、もう一回質問させてもらいたいんですけど、これまで、はとバスのこのようなブラックな状況について質疑をしてきましたが、交通局は、これでもなお、はとバスが従業員の雇用に関して適切に対応していると認識しているといえるんでしょうか。少なくとも確認する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○土岐次長 はとバスの従業員の雇用に関しましては、同社と従業員との間で労働条件等を決定すべきものであり、交通局がお答えする立場にはございません。
○斉藤委員 あくまでも確認するということさえいえないということは、私、本当に重大だと思います。交通局の姿勢が問われるというふうに私は思います。
少なくとも、しっかりと交通局として実態を把握する必要があるというふうに思います。
当事者の方は、はとバスから提示された書類などは手元に残しています。そうしたものも含めて、交通局として確認をするべきだというふうに思います。
はとバスの問題については、我が党の大山委員が今年の三月にも質疑をしています。パワハラの問題があり、このときも、東京労働局から、はとバスの営業所に助言指導がされているということでした。
さらに、そのときに大山委員から指摘がありましたけれども、はとバスの代表者は、歴代元交通局長が務めてきました。今は、元主税局長が代表取締役社長になっています。こうした事業協力団体が労働者にひどい処遇を行うブラックな状況だということは恥ずかしいことではないでしょうか。いつも代表者に元局長を送り込んできた交通局として無関係だとはいえないんじゃないでしょうか。
この指導監督等に関する要綱に照らして、責任放棄をせず、適切な関与、必要な関与を行い、東京都としての責任を果たすべきです。そのことを強く求めて、質問を終わります。
○山口委員 それでは、私からも質問させていただきたいと思います。
緊急事態宣言が解除されて、もう間もなく二か月がたとうとしているところです。ワクチンの接種率も上がり、新型コロナウイルスの新規感染者数は日に日に確実に減少し、社会が日常を取り戻しつつあるなという実感は、恐らく皆さんもお持ちになられていることだと思います。しかしながら、長きにわたり、このコロナ禍は、交通局の事業運営にも大きなダメージを受けているのではないかと思うところでもあります。
利用者数も減少し、地下鉄やバスといった本業の売上げが大きく落ち込んでいるところは、これはもう誰が見ても明らかなわけでありますが、また、専門家からは、今後の状況について、感染の第六波は確実に訪れるのではないかと、そんな見通しもある状況の中において、今後、交通局は、どのような状況の中で経営を行っていくのか、また、ほかの交通事業者が表明しているような減便などを行っていくのか、はたまた運賃値上げをしていくのか、その際、都民への影響はどうなっていくんだろうか、コロナによる経営への影響について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
まずは、新型コロナウイルス感染症の影響下での地下鉄、バス、それぞれの乗車人員の推移について確認をしたいと思います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄、都営バスの乗車人員は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、昨年四月に一回目の緊急事態宣言が発令されると、地下鉄では対前年比四割から五割程度、バスでは四割程度減少いたしました。
翌五月末の宣言解除後、回復傾向は見られたものの、感染の再拡大などにより、今年度に入りましても、地下鉄ではコロナ禍以前の水準と比べて三割程度、バスにおきましてもおおむね二割弱の減少が続いているところでございます。
○山口委員 改めて確認をするとすごい数字だなと思うわけですが、コロナ前と比較をしても二割から三割程度の減少だということでありました。他社線ではありますが、私も朝、街頭演説とかそういったものをさせていただくわけでありますが、今朝見ていても、駅に流れてくる人は以前の七割ぐらいかなというふうに体感をしています。
事業者にとって厳しい状況にあることは、これはもういうまでもないわけでありますが、緊急事態宣言の発令によって、国や一都三県知事からの要請を受けて、JRや大手鉄道事業者は、今年の春のダイヤ改正で予定していた終電時刻の繰上げを前倒しして行うなど、感染拡大防止のための人流抑制に協力をされてこられました。こういった影響もあって、コロナを機に、鉄道の利用実態というものは大きく変わってきたんだろうなというふうに思います。
利用者も、この状態に慣れてきているのではないかと思いますし、私は、社会が変わり、それに合わせて鉄道業界も変わっていくのも、むしろこれは当然であって、このチャンスで変えていくべきものがあるならば変えていかなければならない最大の転機であるというふうに、いわば決断のとき、ターニングポイントになるのではないかというふうに考えるところでもあります。
そこで伺いたいのですが、コロナの影響を受けて、都営地下鉄のダイヤを今後どのようにしていくのか、その考え方について伺いたいと思います。
○市川電車部長 都営地下鉄では、お客様の利便性の向上を図るため、定期的に各線の利用状況を調査し、これに基づきダイヤ改正を実施しております。
新型コロナウイルス感染症に伴う行動変容などにより、利用時間帯など、お客様の利用状況に変化が見られることから、現在、運行ダイヤの見直しについて検討を行っておりまして、今後、相互直通運転を行っている他の鉄道事業者とも具体的な調整を進めてまいります。
○山口委員 このいわゆるコロナ禍における二年間の蓄積から、様々分かってきたことがあるんだろうかと思います。
列車ダイヤは、いわば鉄道という商品の肝であるわけであって、ぜひ利用状況を詳細に調査して、変化やニーズを見極めた上で経営とサービスの最適解を出していただくことを期待しているところであります。
また、このダイヤの見直しは、経営の面から経費削減につながるものと思います。先ほどの答弁の中には、早速このダイヤの見直しについても検討されるというご答弁でありましたので、こういった視点からもぜひ検討していただきたいというふうに思います。
同様に、都営バスも確認をしていきたいと思うわけでありますが、都営バスも、足下ではコロナ前の約二割弱の減少が続いていると先ほどもお話がありましたが、バスの場合、身近な足として日々の暮らしに密着した路線も多く、利用者数が減ったから減便されるのではないかと、逆に不安の声も私たちのところには届けられるところでもあります。
ここまで厳しい経営状況でありますと、乗車人員の変化に合わせて一定の効率化が必要であること、これは理解ができるわけでありますが、その一方で、こうした暮らしに身近な交通手段としての役割はしっかりと果たしていくことが重要だと考えます。
そこで伺いたいのですが、コロナの影響を受けて、都営バスの路線、ダイヤはどのようにしていくおつもりがあるのか、お考えを聞きたいと思います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用し、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、バス事業を運営しております。
こうした考え方に基づき、乗客潮流の変化を的確に捉えて路線やダイヤの見直しを行っておりまして、需要が高まっている地域においては増便などを行う一方、コミュニティバスなどの代替手段が確保されたり、利用者が少なくなった路線については、減便などを行ってまいりました。
今般、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、お客様の行動も変容しておりますことから、そうした需要の変化を慎重に見極めるとともに、引き続き、通勤通学、買物や通院など地域のニーズに的確に応えながら、都営交通としての役割を果たしてまいります。
○山口委員 申し上げるまでもなく、バスは地域交通のいわば毛細血管であり、経営が苦しいからといって見直せばよいというわけではなくて、最終的に、生活に密着せざるを得ない立場にあると思います。引き続き、地域の声などをしっかりと勘案しながら、この検討は進めていただきたいと要望しておきたいと思います。
交通局においては、地下鉄やバスといった交通事業を行われているわけでありますが、当然、乗客を増やして、乗車料を、収入を上げていくということが、これはもう本筋なわけであります。
しかしながら、本業が厳しいということであれば、新たな収益事業、これをしっかりと検討していかなければならないというふうに思うわけでありますが、交通事業以外の部分でいえば、例えば広告による収益確保といった、いわば稼いでいく取組を進めていくことが、私は重要だというふうに考えるところであります。
過去に私も、ラッピングバスや広告つきの上屋といった増収に関する質問もこの委員会において行わせていただいたところでもありますが、今日は、この地下鉄の広告事業、とりわけデジタル広告について質問させていただきたいと思います。
もはや時代も時代ですから、中づりの広告の時代というわけでもなくなってきておりまして、やはり今後は、デジタル広告、サイネージを活用した収益化に、しっかりと交通局としても取り組むべきだというふうに考えるわけであります。
この関連事業収入のさらなる確保のために、都営地下鉄のデジタル広告の拡充をしっかりと図っていくべきではないかと考えるわけでありますが、その辺の見解について伺いたいと思います。
○坂田資産運用部長 現在、都営地下鉄の駅構内におきましては、柱を利用した広告用デジタルサイネージを五駅に設置しているほか、パンフレットラックと一体となったデジタルサイネージを十五駅に設置しております。
また、地下鉄の車両更新に合わせ、車内に広告用の液晶モニターを順次設置しており、昨年度末までに五十七編成、全体の約四割に導入いたしました。
今後も、車両更新等に合わせ、広告用デジタルサイネージの設置を拡大するとともに、広告代理店と連携しながら、既存のデジタルサイネージにつきましても、販売を促進し、関連事業収入のさらなる確保に努めてまいります。
○山口委員 確実にニーズもありますし、今、取り組む意欲については、これまでの取組を見ても十分にその意欲は感じるところもありますが、さらにこれを拡大していくことによって、今、それを穴埋めするばかりではなくて、やはり、利用される方々にとってもメリットある導入というものに心がけていただければと思います。
特に海外などに目を向けてみても、台湾の地下鉄を見てみれば、よく皆さんもご存じかもしれませんが、駅の壁面にプロジェクターで映すタイプの広告もあります。また、ロンドンの地下鉄も、これも駅のエスカレーターに沿って何十枚もの液晶パネルがはめ込まれていて、エスカレーターに乗っている人に対しても、連続するパネルに映し出される映像を、こま送りの、例えばアニメーションのように見せるような広告なんかも、これも有名なわけでありますが、ぜひこのデジタル広告を、できる限りあらゆるところに進めていって、収益の確保に努めていただくとともに、東京の地下鉄にも負けない、海外にも負けない、おしゃれな駅になるように取り組んでいただきたいと思いますし、そういったところを活用して、防犯の取組だとか、東京都の取り組まれている取組であるとか、あらゆる周知にも使えるわけでありますから、ぜひ積極的にさらに進めていただくように要望しておきたいと思います。
さて、ここまで、地下鉄、バスの広告事業での取組や今後の展開を伺わせていただいたわけでありますが、改めて、この新型コロナウイルス影響下での今後の交通局の事業運営について伺いたいと思います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の影響により都営交通の乗車人員は大幅に減少し、今後も、コロナ禍前の水準への回復が期待できない厳しい経営状況が続くものと認識しております。
このため、まずは関連事業収入も含め、収入の確保や経費の節減に努めるとともに、お客様の需要の変化を慎重に見極め、中長期的な投資計画を検証しているところでございます。
これらを踏まえた今後の経営の方向性や考え方につきましては、現在策定を進めております次期経営計画で明らかにしてまいります。
今後とも、事業環境の変化に的確に対応しながら、都営交通としての役割を果たしてまいります。
○山口委員 これは何も都営交通に限ったことではなくて、全ての交通事業者が、そしてまた、世界中の交通事業者が全て、今まさに抱えている悩みだと思いますし、この状況が、大きく社会は変わり、世界も変わり、今まさに転換を求められている。そして、これは、交通事業者が今まで取り組んできたことが悪いわけではなくて、その量が間違っていたわけではなくて、社会が大きく変容していく中において、どのように計画を見直すかというのは、これは的確にやらなければならないわけでありますし、その時期を逃すと大変なことになるわけでありますから、どうかしっかりとまず検証していただいた上で見極めをし、そして、さらなる交通事業とはかくあるべき、新たな時代における東京の交通事業とはかくあるべきというものを、ぜひ都営交通がほかの事業者に示していく、それぐらいの決断と覚悟を持って臨んでいただきたいと強く要望しておきたいと思います。皆様が努力していることは十分理解をした上で、要望させていただきたいと思います。お願いします。
次に、どのような社会情勢にあっても、交通事業は安全の確保が最大の使命なわけであります。
十月七日、午後十時四十一分頃、千葉県北西部を震源とする地震が発生いたしました。東京での震度五強を観測もいたしました。東京二十三区内で震度五強以上を観測するのは、二〇一一年の三・一一の東日本大震災以来のことでありました。一部とはいえ、その地震により、日暮里・舎人ライナーは、舎人公園付近を走行中の車両が、この影響で脱輪するなど、交通局にとっても大きな被害が出たわけであります。
さて、この日暮里・舎人ライナーの地震発生時の対応、また、車両の整備の復旧対応について、改めて確認をさせていただきたいと思います。
○西川安全管理担当部長 本年十月七日に地震が発生した際、日暮里・舎人ライナーでは、お客様の安全を確保するため、指令所からの一斉非常停止操作によりまして、速やかに全列車を停止いたしました。
地震が収まった後、走行可能な列車は次の駅まで徐行運転させ、脱輪した列車では、安全を確認し、お客様を徒歩で最寄りの駅まで避難誘導いたしました。
翌日、国の運輸安全委員会による現場調査を受けた後、クレーンによる搬出や他の列車による牽引などによりまして、走行できなくなった車両を車庫に収容いたしました。
並行して、破損した設備や車両の復旧作業を昼夜を徹して進め、十月十一日月曜日の始発から全線で運行を再開いたしたものでございます。
○山口委員 なぜ、この大事な時間を使って復旧対応について伺わせていただいたのかというのは、これは、訓練でもなければ、実際に起こった事態として、映像でもなく、まさにそのとき何が行われて、どのように対応されたかというのを答弁にしていただいて、都民の皆さん一人一人が見ることがすごく私は重要だと思ったので、あえて質問させていただいたわけであります。
これまでになかった、まさか皆様も想定をされていなかった、でも、起こったときにはどのようにするかということを的確にされたというのは、今の答弁からも伝わってきたわけでありますが、この車両の復旧であるとか設備の復旧というものは、私は早かったなという印象があるわけでありますが、都民、利用者の皆様にはどのような対策を今後取っていくのかを明らかにしていくということが安心な利用にしっかりとつながっていくわけであります。
今お話もさせていただきましたが、改めて、今後どのような事象を防止するのか、対策について伺いたいと思います。
○西川安全管理担当部長 現在、国の運輸安全委員会によりまして、地震による脱輪の原因調査、分析が行われております。また、国土交通省が、交通事業者やメーカーなどと共に対策を検討していくものと聞いてございます。
交通局におきましても、今回の地震に伴う車両や設備の被害等について分析を開始しておりまして、今後、国の調査にも協力しながら、必要な対策を検討してまいります。
○山口委員 同様の事象についての対応は、今後さらに継続をしていくということもありましたが、今回の事故を受けての振り返りであったりだとか、検証を行って、今後の改善すべき点についてはしっかりと見直しもしていただきながら、災害に強い都営交通を実現していただくよう要望しておきたいとともに、そのデータというものは、交通運営において本当に貴重な情報になるわけでありまして、ほかにおいても絶対に繰り返されることがないように、また、それが生かされるように、ぜひここは都営交通の心意気というものを全国にお示しいただければというふうに思うところでもあります。
さて、また、この日暮里・舎人ライナーと同じシステムで運行する全国の新交通事業者に情報提供の発信、こういったものもぜひお願いしたいという話もさせていただいたところであります。
最後に、災害への対応もさることながら、公共交通の安全確保という観点から、まず、社会を揺るがした鉄道での車内傷害事案、これを受けての交通局の対応にもぜひ触れさせていただきたいと思うわけでありますが、八月には小田急線内で乗客十人が刃物で刺されるなどして重軽傷を負いました。また、十月には京王線車内で乗客が襲撃され十七人が重軽傷を負うなど、走行中の電車内で痛ましい事件が発生をしたわけであります。
相次ぐ車内での刃物や放火による事件を受けて、鉄道の安全対策が改めて今クローズアップをされているところであります。同様の事案がいつ交通局で起きてもおかしくはない状況にあるのは、これはいうまでもないわけでありまして、誰もが凶悪犯と遭遇する可能性がある。今回のように走行中の車両が現場となれば、お客様にしてみれば逃げようがないわけであります。
移動中の密室空間の中で予期せぬ出来事が発生した場合、乗客を守るためにどのような対応を取ればいいのか、可能な限りの備えを講じておく必要があることはいうまでもないわけでありますが、まず一点目は、車内トラブル発生時の都営地下鉄の対応について確認をしたいと思います。
○市川電車部長 都営地下鉄では、走行中に車内トラブルが発生した場合、ご乗車のお客様からの非常通報器での通報により、乗務員が車内の状況を把握することとしております。
通報を受けた乗務員は、その状況を運輸指令に連絡し、指令は、乗務員に対して必要な指示を行うとともに、状況に応じて、駅における係員の手配、警察、消防への連絡等の措置を行います。
また、安全確保の観点から、原則として次の駅に速やかに停車し、乗務員及び駅係員は放送によりお客様へのご案内に努め、警察、消防等と連携を図りながら、救護や避難誘導等の対応を行うこととしております。
○山口委員 さきの委員の質問と若干重複をしており恐縮に存じますが、大事なところですので、改めて確認をさせていただきました。
この緊急時の手順がしっかりあるということは、改めて確認をさせていただいたところでありますが、しかしながら、何かが電車内で起こったときに、このような突発的な犯罪を防ぐというのは、これはなかなか難しいと思います。
また、この京王線の事件においては、ホームドアを開けて乗客が逃げたとのことでありましたが、動いている車内において暴漢が暴れていても車外には出られない。出られたとしても、犯人も同時に外に出る、出てしまう、出すことになってしまうので、降りた駅にも乗客がいるわけであります。
今回の事案を受けて、都営地下鉄においては、その事件の経験から何が一体変わるんだろうかと。今回の他線での事件の影響を受けた、まさにこの都営地下鉄としての対策、対応について伺いたいと思います。
○市川電車部長 交通局では、お客様に安心して都営地下鉄をご利用いただけるよう、車内トラブルの未然防止に努めるとともに、万一事案が発生した際にも被害を最小限にとどめることが重要と考えております。
このため、これまでも、防犯カメラの整備や各種訓練など様々な取組を進めてまいりましたが、他社線で事件が続いていることを踏まえ、緊急対応として、現在、駅構内や車内巡回の体制を増強しております。
また、お客様に非常通報器による通報にご協力いただけるよう、ポスター等による周知に取り組んでおり、今後は、通報器の位置をより分かりやすく示すステッカーを作成し、車内に表示してまいります。
加えて、防護盾等、暴漢対策用具の配備を進めていくこととしており、今後とも、国や他の鉄道事業者と連携しながら、より一層の安全確保に努めてまいります。
○山口委員 今、丁寧に説明をしていただきましたが、例えば非常通報器というのも、何か事が起こってから押すためのものなんですよね。でも、車内で、これは明らかに何かが起きそうだなと、不審だなとかと思ったときに、駅員の方に通報しやすい仕組みを、もう少し考え直すとか、そういった告知を、あらかじめ駅でも、また、乗客の皆さんにも周知をして、しっかり、こういうときにはこういうふうにしてほしい、不審に思ったときにはすぐにこういうふうに伝えてほしい、これは、駅でも、実はホームでも、駅員さんが夜いるわけじゃありませんから、電車の中でおかしいなと思っても、駅員さんに声かけてといわれても声をかけられないわけであって、でも、降りてから駅員さんに伝えても電車はもう走ってしまうわけであって、やはりそういう不審だと思うこと、やっぱり乗客の皆様の目というものは最大の防犯につながるものでありますから、乗客の皆様にも、何か感じたときには、不審物はすぐご連絡をというのは度々アナウンスをしていただいているわけでありますから、それと同じように、何かきちっとできるすべはあると思うんです。
乗客の皆様にも協力をしてもらう、みんなで安全を図っていく、皆さんが利用する電車をしっかりと守っていこうという、乗客の皆様にもご協力をいただくような働きかけであるとか、通報の仕組みも、何か非常通報器、非常が起こってから通報する、警報を鳴らすというだけではなくて、しっかりと乗員の方に伝えられるような仕組みというものを確立していただいて、さらなる安全向上に努めていきたいというふうに思うところであります。
お話もしたように、事前の抑止であるとか、予防、不審者を検知すること、これが重要、ここに尽きるわけでありますが、例えば、DXを活用して防止することも検討してはどうかと私は提案させていただきたいんですが、例えば、鉄道ではないわけでありますが、渋谷スクランブルスクエアというところでは、不審者を事前に検知するシステムがもう既に導入されていて、これは、防犯カメラ映像から、感情レベルが高い、様々な、いろいろな要素があるそうですが、これ私も見学をさせていただきましたが、そういった感情レベルが高い人を検知するシステムによって、例えば、万引きしそうな人を八〇%判定できるということだそうでありました。
また、海外の、各国の主要空港の防犯カメラでは、不審人物を検知するとサーマルビジョンで赤く警告灯が光ったり、ボストンマラソンの爆弾テロの事件も、このカメラで犯人を検挙することができました。
こういった先端技術を活用するなど、都営地下鉄の安全性をより高める取組についても、ぜひ検討していただきたいと思います。
世の中の仕組みや人々の価値観や行動が大きく変容していく中で、交通局の経営方針に掲げる安全・安心の確保や質の高いサービスの提供は、これまで以上に重要度が増してくると思います。先の見えない時代だからこそ、交通局におかれましては、この基本を磨き上げていただきますことを強く要望いたして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○岩永委員 コロナ感染拡大の影響で乗客が減り、経営が厳しさを増していますが、都の事業として実施している公共交通の役割として、環境対策やバリアフリー化などを率先して進める必要があります。
まず初めに、ゼロエミッションの取組についてです。
ヨーロッパから始まった交通手段のゼロエミ化が世界中に広がっています。自動車については、ガソリン車ゼロとする期限を決め、急速に取組が進んでいます。都でも今年、乗用車新車販売一〇〇%非ガソリン化を打ち出しました。交通局でもゼロエミッションに取り組んでいく必要があります。
そこで、都営バスのゼロエミ化について、導入の現状と今後について伺います。
○櫻庭自動車部長 都営バスでは、公営バス事業者として環境政策に貢献するため、走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しないゼロエミッション化、いわゆるZEV化に先導的に取り組んできたところでございます。
具体的には、燃料電池バスを平成二十八年度から導入いたしまして、現在、全国のバス事業者で最大の七十両を運用しております。
一方、EVバスにつきましては、ディーゼル車に比べて航続距離が短いなど都営バスの運行に適した車両がないこと、導入台数に応じた変電設備、充電設備が必要なことなど、導入に当たりましては様々な課題がございます。
このため、昨年度から、こうした課題につきまして調査検討を行っているところでございまして、今後とも、環境負荷の低減に資するよう、ZEV化の推進に取り組んでまいります。
○岩永委員 CO2削減に向けて、再生可能エネルギーを増やしていくことが重要です。
交通局では、庁舎などの建物とバス停留所の上屋に太陽光発電設備を設置していると聞いています。
まず、交通局の建物について、太陽光発電設備設置の現状と今後の計画について伺います。
○坂口技術管理担当部長 交通局では、老朽化した庁舎や自動車営業所の改修等の機会を捉えて、活用可能な屋上スペースにソーラーパネルを設置いたしておりまして、令和元年度までに、四か所の庁舎等におきまして合計七十六・五キロワットの太陽光発電設備を整備いたしております。
今後も、活用可能なスペース等を勘案しながら、庁舎改修等の機会を捉え、太陽光発電設備の整備に努めてまいります。
○岩永委員 次に、バスの停留所の上屋について、太陽光発電設備設置の現状と今後の計画を伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、環境政策に貢献するため、環境局の助成制度を活用し、令和元年度までに、停留所の上屋三十棟にソーラーパネルを設置いたしました。
今後の停留所へのソーラーパネルの設置につきましては、設置及び維持管理の財源確保に加えまして、都心部では発電効果が十分に得られる設置場所が限られていることなどの課題があると考えております。
○岩永委員 交通局には広い土地があるわけではないといっても、太陽光発電設備が七十六・五キロワット、プラス、バス停三十か所だけというのは、少なく残念であります。パネルも新たな技術で改善が進んでいます。屋上の緑地にソーラーシェアリングを検討するなど、さらなる取組に向けてもっと積極的に取り組んでいただきたいと思います。
気候変動対策では、太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大とともに、省エネルギーも重要です。
そこで、交通局で実施をしている省エネルギーの取組について伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、省エネルギーの取組として、地下鉄において、エネルギー効率の高い車両へと更新しているほか、都営バスでは、最新の排出ガス規制や燃費基準に適合したディーゼルバスの導入を進めております。
また、地下鉄の駅やバス停留所などにおいては、LED照明への更新等に取り組んでいるところでございます。
○岩永委員 ゼロエミッションには、プラスチックゼロを目指す取組もあります。その一環として、マイボトルキャンペーンを実施しているところです。
都営地下鉄の駅での給水器設置状況について伺います。
○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、交通局が管理する百一駅のうち、改修工事中の九段下駅を除き、全ての駅におきまして冷水器を設置いたしております。
○岩永委員 都営地下鉄に設置をしている冷水器は、直接水を飲むタイプで、マイボトルには入れにくい形のものです。プラごみゼロ、ペットボトル削減の観点に立って、給水器の形を見直していただくよう要望いたします。
こうした様々な分野でゼロエミッションを進めていくための局としての全体計画についてですが、交通局としても、ゼロエミッションの取組を、目標を定め計画的に実施していく必要があると考えますが、見解を伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 鉄道やバスなど公共交通機関は、自家用車に比べてエネルギー効率が高く環境に優しい交通手段であり、交通局では、地下鉄やバスなどの利用促進を図っております。
また、自らも環境に配慮した事業運営を行い、環境負荷を可能な限り低減するよう努めており、引き続き、事業の推進を通じて、都が掲げる目標の実現に貢献してまいります。
○岩永委員 交通局としても、積極的にこれからも進めていただくことを求めまして、次の質問に移ります。
水力発電についてです。
東京都では、多摩川の水を利用して水力発電をしています。小河内ダムから下流に向かって三つの発電所が稼働しており、発電事業は交通局が担っています。
交通局の発電事業について、今年度から売電先を変更したとのことですが、その特徴について伺います。
○生越技術調整担当部長 昨年度までは、売電単価の入札により選定した事業者へ電気を供給していたところでございますが、今年度からは、売電単価に加え、東京産の水力発電が持つ環境価値に着目した売電方法を導入しておりまして、都営バスの全ての営業所でもこの水力発電の電気を使用しているものでございます。
○岩永委員 水力発電の電気を都バスの営業所で使用しているとのことですが、交通局内でのさらなる活用について方針は持っているのか伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局の水力発電の電気は、小売電気事業者を通じて、その大半を都内のRE一〇〇宣言企業をはじめとする一般の需要家に販売し、事業運営上必要な収入を得ているところでございます。
このため、今後の局事業への活用に当たりましては、電力市場の動向など経営に与える影響を勘案しながら、慎重に対応を検討する必要があると認識しております。
○岩永委員 売電事業における環境価値は重要です。今回は、交通局内での活用について伺いましたが、せっかく都が行っている発電事業なので、高く売るだけでなく、地産地消や自前の電気を使うことがアピールになるので、知事部局も含めて検討するよう要望いたします。
続きまして、緑化について伺います。
緑を増やすことは環境対策でもあり、潤いをもたらす都市アメニティーの向上にも寄与します。
さくらトラムの軌道緑化の実証実験の結果と今後について伺います。また、都電荒川線以外の緑化についても伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、東京さくらトラムにおいて、軌道内を緑化するための実験を行っており、平成三十年からは、大学と連携し、日照等の環境条件による育成状況や維持管理にかかるコスト等について比較する実証実験を行いました。
この実証実験では、乾燥に強い品種や保水性を有する器材を採用した場合、日照が確保された環境であれば、肥料を適切に与えることなどにより、散水を行わなくても緑化を維持できることが確認できました。
一方、この実験で使用した器材は、定期的に実施している軌道の保守作業の都度移設する必要がありまして、コスト面等での課題もあることから、こうした課題について、引き続き検討を進めてまいります。
加えて、バスの営業所など建築物の屋上や壁面等の緑化も進めており、今後とも、こうした取組を通じて潤いのある都市空間の創出に貢献していきます。
○岩永委員 ぜひ緑化、これからも進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、防犯、災害対策について伺います。
十月七日の地震による舎人ライナーの事故や京王線車内での傷害放火事件を受けて、今後の対策が求められています。
新交通や都営地下鉄など、都営交通における防犯、災害対策の現状についてお尋ねします。
○市川電車部長 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーでは、大規模地震が発生した場合、走行中の列車は、緊急地震速報等を受け、一旦停止させ、安全を確認した上で次の駅まで徐行運転し、お客様を駅構内の安全な場所へ避難誘導することとしております。
また、万一、停電等により列車が駅間で停車した場合、車内放送によりお客様の動揺防止に努めるとともに、係員を急行させて、お客様の安全を確保した上で、徒歩で最寄りの駅へ誘導することとしております。
なお、日暮里・舎人ライナーは新交通システムであり、コンピューター制御により自動運転を行い、列車の運行管理や駅の安全監視などは指令所で係員が行っております。
異常時には、係員が緊急自動車等で現場に急行し、安全最優先の対応を取ることとしております。
○岩永委員 次に、京王線車内での事件と同様の事象が発生した場合の地下鉄及び無人の日暮里・舎人ライナーでの対応について伺います。
○市川電車部長 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーでは、走行中に車内トラブルが発生した場合、ご乗車のお客様からの非常通報器での通報等により車内の状況を把握するとともに、駅における係員の手配、警察、消防への連絡等の措置を行います。
また、安全確保の観点から、原則として次の駅に速やかに停車し、放送によりお客様へのご案内に努め、警察、消防等と連携を図りながら、救護や避難誘導等の対応を行うこととしております。
なお、日暮里・舎人ライナーでは、指令所係員が列車の運行管理や駅の安全監視などを行っており、車内トラブル発生時には、各駅を巡回している係員等を現場に急行させまして、対応に当たることとしております。
○岩永委員 日暮里・舎人ライナーは、災害時や車内トラブルなど非常時には係員が現場に急行して対応するとのことですが、利用者にとっては、無人運転であり、駅にも係員がいないため、不安も大きなものと思います。非常時の対応については、日頃から車両内や駅構内で周知するなどの取組を要望します。
続きまして、バリアフリーとユニバーサルデザイン化についてお尋ねします。
施設のバリアフリー化はもちろんのこと、情報のバリアフリーや心のバリアフリーなど、人に優しいユニバーサルデザインの考え方を取り入れたまちづくりが求められています。
公共交通機関である都営交通においても、ハード、ソフト両面からバリアフリー化を進め、誰もが安心して快適に移動できる環境づくりに取り組む必要があります。また、鉄道やバスなどの公共交通機関は、環境に優しい交通手段として利用促進が期待をされています。
そこでお尋ねしますが、都営地下鉄の駅トイレのバリアフリー化、誰でもトイレ、おむつ替えをするベビーベット及び介助用ベッドの設置状況、授乳スペースなどの状況と今後について伺います。
○坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、全てのお客様が駅のトイレを快適にご利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考えを取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへの改修を計画的に行っております。
具体的には、誰でもトイレは、交通局が管理する百一駅全てに設置いたしておりまして、介助用ベッドにつきましては、このうち設置可能な二十二駅、二十五か所の誰でもトイレ内に設置いたしております。
一方、地下鉄駅では、一般的に駅構内が狭く面積が限られており、授乳スペースは設置いたしておりませんが、ベビーベッドにつきましては、全ての駅に設置いたしております。
今後とも、駅の大規模改修等の機会を捉え、誰でもトイレ内に十分なスペースを確保できる場合に介助用ベッドを設置するなど、ユニバーサルデザイン化に取り組んでまいります。
○岩永委員 都営地下鉄の車両内に、車椅子、双子用ベビーカーを折り畳まずに乗車できる専用のスペースの設置状況がどのようになっているのかと、乗車時に駅員がどのようなサポートを行うのかについて伺います。
○市川電車部長 都営地下鉄では、車椅子やベビーカーをご使用のお客様などにご利用いただけるフリースペースを、車両の更新に合わせて導入しております。
今年度は、新たに、浅草線、新宿線及び大江戸線の三路線で計十一編成に設置し、令和三年度末時点の設置率は約三割となる予定です。
また、車椅子等をご利用のお客様からの申出に応じて駅係員がスロープ板を用意するなど乗車の介助を行い、降車時の対応が取れるよう、あらかじめ降車駅にお客様の乗車位置などを連絡することとしております。
引き続き、誰もがご利用しやすいサービスの提供に努めてまいります。
○岩永委員 では、同様に、車椅子やベビーカーに関する都営バスでの対応はどのようになっているのか伺います。
○櫻庭自動車部長 都営バスでは、全ての車両におきまして、国が定めるバリアフリー整備ガイドラインなどに基づき、座席を跳ね上げることで車椅子二台分のスペースを確保できるようにしておりまして、双子用ベビーカーを折り畳まずにご利用される際にも、そのスペースにご乗車いただいております。
ご乗車の際には、車椅子をご利用の方には、乗務員がスロープ板を取り出して中扉に設置した上でお客様を車内にご案内いたしますとともに、ベルトにより車体に固定しております。また、ベビーカーにつきましては、一人用の場合には前扉から、双子用の場合は中扉から、それぞれお客様ご自身でご乗車いただくこととしておりますけれども、乗り降りされる際に、必要に応じて乗務員がベビーカーを支えるなど、乗務員は適宜サポートしております。
今後とも、誰もが安心して都営バスをご利用いただけますよう取り組んでまいります。
○岩永委員 次に、自転車を分解しないでそのまま鉄道車両に乗せることができるサイクルトレインと呼ばれる取組が少しずつ普及しておりますが、都営地下鉄での取組状況について伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄への自転車の持込みにつきましては、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り、規程で定める大きさや重量の制限の範囲内で、かつ解体または折り畳んで専用の袋に収納したもののみ可能としております。
お話のサイクルトレインのサービスにつきましては、車内やホーム、コンコースでの他のお客様との接触等による危険性、また、乗降に時間を要することによる運行ダイヤへの影響、さらに、相互直通運転をしております事業者への影響等、様々な運輸上の支障がありますことから、都営地下鉄では実施しておりません。
○岩永委員 同様のサイクルトレインに関して、次に、都営バスでの取組状況をお伺いします。
○櫻庭自動車部長 一般的に路線バスは車内が狭いために、自転車を固定するスペースの確保は困難でございまして、国の規則におきましては、通路や出入口を塞いだり、ほかのお客様の迷惑となるおそれのあるものにつきましては、持込みを認めておりません。
特に都営バスはお客様が多く、自転車を分解しないまま車内に持ち込まれますと、ほかのお客様がその自転車に接触して負傷されるおそれがございます。
このため、都営バスに自転車を持ち込まれる際は、交通局が定める大きさや重量の制限の範囲内に分解した上で専用の袋に収納していただくなど、ほかのお客様のご迷惑とならないようにしていただくこととしております。
○岩永委員 次に、情報のユニバーサル化について、駅のサインなどの多言語化、または「やさしい日本語」の採用やカラーユニバーサルへの対応などの現状と今後の取組について伺います。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、外国人旅行者をはじめ、誰もが円滑かつ快適に移動できる環境を整備することが重要と考えております。
案内サインにつきましては、限られたスペースの中で必要な情報が分かりやすく伝わりますよう簡潔な表記とするとともに、色彩にも配慮したピクトグラムや駅ナンバリングを用いております。
また、駅出入口や改札口、トイレなどにつきましては、日本語と英語に加えまして、中国語、韓国語を含めた四か国語で表記をしております。
加えまして、駅ホームの行き先案内表示器や改札口の大型モニターにおきましても、運行情報などを多言語により提供しており、引き続き、どなたにも分かりやすい情報の提供に努めてまいります。
○岩永委員 地下鉄の駅における視覚障害者への情報のユニバーサル化の対応に関して、現状と今後の取組について伺います。
○生越技術調整担当部長 都営地下鉄では、国土交通省が定める移動等円滑化基準に基づき、バリアフリーに配慮した車両を導入しております。
具体的には、視覚に障害のあるお客様が安心してご利用いただけるよう、ドア付近に車両内の位置を示す点字シールを設置しているほか、優先席のつり革の色を弱視の方にも視認しやすいようにオレンジ色とすることなどを行っております。
今後も、車両導入に当たりましては、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた人に優しい車両の更新を進めてまいります。
○岩永委員 今は、車両の方の取組をお答えいただきましたが、その前に、駅の方の取組についてお願いいたします。
○築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法や、東京都福祉のまちづくり条例等に基づきまして施設の整備を行っております。
駅におけます視覚障害者への対応といたしましては、誘導チャイム、階段、手すりの点字案内、触知案内図、点字運賃表、点字表示付自動券売機などを設置しており、引き続き、高齢者や障害者をはじめ、誰もが利用しやすい環境の整備に努めてまいります。
○岩永委員 次は、都営バスの方なんですが、多言語化など情報のユニバーサル化への対応、現状と今後の取組について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、外国人のお客様をはじめ、誰でも安心して快適にご利用いただけますよう、情報案内における多言語化等の取組を進めております。
具体的には、停留所の標識柱や案内板において行き先等を多言語で表示し、文字をできるだけ大きくしております。
車内におきましては、次の停留所名などのお知らせについて、多言語に対応し、聴覚に障害のある方も見やすいカラー表示の液晶モニターを導入するとともに、デジタルサイネージを設置し、交通局からのお知らせや鉄道の運行情報などを英語でも提供しております。
さらに、聴覚に障害のある方や外国人のお客様への緊急対応にも使用できる指さし会話ボードを設置しております。
引き続き、こうした取組を着実に進め、全てのお客様に分かりやすい情報案内の充実に努めてまいります。
○岩永委員 都営地下鉄や日暮里・舎人ライナーで、緊急時の車内情報伝達における聴覚障害者や日本語に不慣れな外国人などの情報のバリアフリー化の現状について伺います。
○市川電車部長 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーの車内では、運行を見合せた場合等に、その理由や状況等について放送や表示器によりご案内しておりまして、その中で、多言語による情報提供も可能な限り行っております。
○岩永委員 次に、特に混雑時などは、駅のエスカレーターの右側を歩いて上り下りをする利用者も多い現状です。
子供や高齢者、また、左麻痺があって右側の手すりしか使えない人も含めて、障害のある人などが保護者や介助者と一緒に横に並んで安心して安全に乗れるような配慮が必要という観点からお尋ねします。
都営地下鉄のエスカレーターの利用ルールの現状と、周知啓発の現状について伺います。
○市川電車部長 エスカレーターにおいて転倒や接触などによる事故を防止するためには、お客様に、歩かず立ち止まり、手すりにおつかまりいただくことが重要でございます。
都営地下鉄ではこれまでも、お客様にエスカレーターを安全にご利用いただけるよう、ポスター掲出などによるキャンペーンを鉄道各社等と共同して毎年実施するとともに、日頃から駅の構内放送を通じて注意喚起を行っております。
また、令和二年度からは、エスカレーターの乗り口の床に、立ち止まっての利用を促すシールを順次貼り付けております。
引き続き、誰もが安全にエスカレーターをご利用いただけるよう、積極的なマナー啓発に努めてまいります。
○岩永委員 次に、交通局における障害者への配慮や認知症への対応などに関する研修の実施状況について伺います。
○牧野職員部長 交通局では、障害のあるお客様をはじめ、誰もが安心して都営交通をご利用いただけるよう、職員に対して様々な研修を行っております。
新規採用時や昇任時には、高齢者や障害者等への介助の心構えや方法につきまして座学と実習による研修を行っており、実習では、アイマスク等を用いて疑似的に身体の不自由な状態を体験する学習を取り入れております。
また、平成二十九年度からは、助役やグループリーダーなど駅やバス営業所の中核を担う職員を対象といたしまして、視覚や聴覚に障害のあるお客様への対応に関する研修を実施しております。
具体的には、障害者団体等から講師を招き、駅のホームで盲導犬を連れたお客様を誘導する実習や、聴覚障害のお客様が地下鉄やバスをご利用になる際のロールプレーを行っております。
さらに、令和二年度からは、認知症に対する正しい知識を持ち、理解を深め、適切に支援できる職員を育成していくため、管理監督者を対象とした研修を実施しております。
○岩永委員 様々な取組を伺いました。
自家用車から公共交通への利用を進め、自転車シェアリングとの連携などで、さらなるCO2削減に向けた検討を求めます。
また、都営地下鉄の駅構内には授乳スペースがまだないということです。授乳やおむつ替えができるスペース、赤ちゃん・ふらっとを東京都では進めておりますが、都営地下鉄の駅構内にも設置するなど、子育て世代のバリアフリーを進める一歩となるよう要望します。
公共交通が誰にとっても使いやすいように、ハード、ソフトの両面からユニバーサルデザインを進めるとともに、新たなニーズにも対応する努力が求められています。今後の取組に期待し、次の質問に移ります。
次に、交通局職員の女性割合と障害者割合についてお尋ねします。
多様な人が働く職場、誰もが働きやすい職場を目指した取組が必要であり、女性が働きやすい職場環境を庁内全体の取組として進めるために、それぞれの局や部内での取組が重要です。
交通局と政策連携団体である東京交通サービスにおける女性比率の現状について、管理職の状況も含めて伺います。
○牧野職員部長 令和三年八月一日現在、他団体への退職派遣者を含みます交通局の常勤職員に占める女性の割合は三・五%でございます。また、管理職に占める女性の割合は三・七%でございます。
政策連携団体である東京交通サービス株式会社には、女性の管理職はおりませんが、固有社員に占める女性の割合は四・八%でございます。
○岩永委員 ワーク・ライフ・バランスの推進に向け、女性だけでなく、男性も子育てや介護をしながら働き続けられる環境整備が求められています。
そこで、男性の育児休業取得率と、不規則勤務の職員が多い都営交通の現場ではどのような取組がされているのか、現状及び今後の取組について伺います。
○牧野職員部長 交通局では、事業所も含めた局全体で、東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランに基づきまして、育児や介護に関連する休暇等を取得しやすい職場環境づくりに取り組んでおります。
具体的には、全管理職がイクボス宣言を行いまして、超過勤務の縮減や休暇取得の促進等に率先して取り組むことを明らかにするとともに、子育て、介護中の職員を対象とする休暇などの支援制度への理解を促すため、両立支援ハンドブックなどを周知しております。
事業所におきましては、子育て中の職員に対する配慮として、泊まり勤務や深夜勤務など不規則勤務から日中の勤務への切替えを実施しております。
また、配偶者の妊娠が判明した男性職員に対しましては、管理職が、面談等を通じて育児休業の取得を勧奨するとともに、安心して育児休業が取得できるよう、休業期間中の業務計画を作成し、業務スケジュールの調整や業務分担の見直しなどの環境整備を行っておりまして、令和二年度における男性職員の育児休業取得率は二七・一%となっております。
今後とも、全ての職員のライフ・ワーク・バランスが実現できるよう、働きやすい職場環境の整備に取り組んでまいります。
○岩永委員 交通局と政策連携団体である東京交通サービスにおける障害者雇用の現状について伺います。
○牧野職員部長 交通局における令和二年六月一日現在の障害者雇用率は三・九%であり、当時の法定雇用率二・五%を上回っております。
また、東京交通サービス株式会社における令和二年六月一日現在の障害者雇用率は二・九九%であり、当時の法定雇用率二・二%を上回っております。
○岩永委員 障害者が働きやすい職場にするために合理的配慮が必要です。
駅やバス営業所などの現場で実施されている合理的配慮と相談体制について伺います。
○牧野職員部長 交通局では、障害のある職員が働きやすい職場となるよう、様々な取組を行っております。
具体的には、所属長が、職員との意見交換を通じて、合理的配慮の必要性を把握した上で、それぞれの障害特性に応じた執務環境の整備や業務内容を見直すなど、勤務面での柔軟な対応を取っております。
また、eラーニングを活用した障害者差別解消法の研修などを通じまして、周囲の職員の障害者雇用に対する理解促進を図るとともに、障害のある職員の相談に適切に対応するため、障害者職業生活相談員を各職場において選任しております。
今後とも、令和二年三月に他任命権者との連名で作成いたしました都庁における障害者活躍推進計画に基づきまして、障害のある職員がより一層活躍できる職場環境の整備に努めてまいります。
○岩永委員 交通局の常勤職員の女性割合は三・五%で、管理職の女性割合は三・七%ということでした。圧倒的にまだまだ女性が少ない職場です。
技術職が必要な職場でもありますが、積極的に現場の女性の声を反映して、女性が安心して働くことができる職場環境の整備が必要と考えます。
また、イクボス宣言の紹介もありましたが、男性の育児休業取得率は二七%ということです。不規則勤務の職場でもあるため、子育てや介護をしながら働き続けられる職場環境だけでなく、生活時間を持つことは、女性、男性問わずに大変重要なことです。
交通局としても積極的に取り組んでいただくことを要望します。
さらに、女性や障害者が職場で困ったときに相談できる体制の充実を要望いたします。
以上で質問を終わります。
○菅野委員 それでは、私からは、まず、電気事業の今後の方向性について伺いたいと思います。
先月、国では、エネルギー基本計画を改定し、温室効果ガス排出削減目標達成のための再生可能エネルギーの普及に最優先で取り組むとするなど、昨今、再エネが重要視されています。
そこで、環境負荷低減に関する取組として、今後、交通局が保有する水力発電をいかに安定的に経営していくかという視点で今日はお聞きしたいと思います。
水力発電は、発電の際にCO2を排出することがなく、再利用可能なクリーンエネルギーですが、発電電力量というのが降水量の点など天候の影響を受けやすいため、電気事業の経営は収入が変動しやすい側面があると理解しております。
昨年の公営企業会計決算特別委員会で、我が党からは、経営の持続可能性の観点が重要だと主張しました。こうした観点から、まずは交通局の電気事業の現状を確認していきたいと思います。
まず、電気事業における近年の経営状況について伺います。
○野崎車両電気部長 電気事業は、令和二年度決算で経常利益が約九億一千万円となっており、黒字基調で推移しております。
また、令和二年度末の利益剰余金は約六十八億七千万円となっており、企業債等の債務もなく、経営状況は安定しております。
○菅野委員 まずは健全な経営を維持しているようですけれども、交通局がどのように環境施策に貢献しているのかということも重要であります。
資源、エネルギーの大消費地である東京都は、自ら責務を果たし、気候変動に取り組むべきであります。そして、具体的に様々な策を実施する必要があります。
交通局では、今年春に、新しい売電方法に取り組むと発表していますが、そこで、今年度からの売電方法の具体的な取組状況を伺っておきたいと思います。
○野崎車両電気部長 交通局が所有しております多摩川上流の三つの水力発電所により発電した電気につきましては、今年度より、東京産の水力発電が持つ環境価値に着目した新たな売電方法を導入しております。
具体的には、公募型のプロポーザルにより選定された小売電気事業者にこの電気を供給し、その事業者が、RE一〇〇宣言企業等再エネの推進に積極的に取り組む企業などへ、CO2フリーの電気として販売するものでございます。
また、都の率先行動の一環として、都営バスの全営業所でも、この水力発電の電気を使用しております。
○菅野委員 私からも、都のそうした再エネ利用についての率先行動の取組がさらに進むことを期待しております。
こうした新たな試みにも取り組まれ、経営も堅調な電気事業ですが、発電施設や設備というのは極めて高額だと思います。
今後、老朽化が進んできた多くの施設設備を更新するには多額の費用がかさみます。こうしたことから、施設設備の更新が電気事業の経営を圧迫するのではないかと危惧しています。
昨年度までに、老朽化した発電所の施設設備の更新内容を整理したと聞いておりますが、そこで、老朽化した水力発電所施設や設備の更新内容、更新額及び更新の予定について伺いたいと思います。
○野崎車両電気部長 運用開始から約六十年が経過した多摩川第一発電所及び多摩川第三発電所につきましては、昨年度までに更新計画を策定しており、令和十年度までに工事を完了する予定でございます。
更新に当たっては、老朽化している水車などは、より効率的に発電できるものに交換する一方、発電機などの一部の機器は、補修して継続使用することで経費の節減に努めることとし、二つの発電所で約三十九億円の更新費用を見込んでおります。
○菅野委員 経費の節減に努めたということでありますが、それでも施設や設備の大規模な更新に三十九億円という多額の投資が見込まれるということであります。交通局による経営を続けていくことに支障がないのでしょうか。ちょっと心配になります。
鳥取県では、電気事業を一部コンセッション方式としているほか、事業を自治体から民間譲渡した例もあると承知しています。
交通局では、今後の事業の方向性について、民間事業者との予備的対話を進めながら比較検討をすると、これまで説明をしてこられました。
そこで、電気事業の方向性の検討に向けた民間事業者との予備的対話の実施状況を伺いたいと思います。
○野崎車両電気部長 発電施設の更新に合わせて、コンセッション方式の導入や民間譲渡の可能性について、当局の電気事業に関心のある民間事業者の意見を聴取いたしました。
平成三十年度に、コンサルタントなどを含む民間事業者十七社から幅広くヒアリングを実施し、令和元年度は、これらの意見や他県の動向を踏まえた上で、電気事業に特に関心の高い民間事業者十二社と予備的対話を実施いたしました。
これらの中では、水運用の制限などから収益性の向上が見込めないことや、白丸ダムを民間事業者が管理運営することへの懸念が示されるなど、コンセッション方式や民間譲渡については困難性が高いとの意見が多数寄せられました。
また、再生可能エネルギーとしての水力発電の価値が高まっているという意見や、黒字の事業を手放すことへの疑義が示されるなど様々な意見が寄せられたものでございます。
○菅野委員 民間事業者からは、コンセッションや民間譲渡の困難性が高いというような意見のようですが、事業経営を検討するに当たっては専門的な知見も必要であり、今年度には、学識経験者など第三者的な立場からの意見や助言を得るということも局から説明を受けてきました。
そこで、専門的知見を持つ有識者からはどのような意見であったのか伺いたいと思います。
○野崎車両電気部長 令和元年度までに民間事業者から聴取した意見を踏まえ、さらに専門的な知見を得るため、エネルギー施策、水力発電、経営及び法律の各分野に精通した四名の外部有識者から意見を聴取いたしました。
外部有識者からは、コンセッションや民間譲渡を引き受けた事業者による収益向上の余地は小さい、再生可能エネルギーの機運が高まる中で貴重な再エネ電源を手放すのはもったいないなど、民間事業者と同様の意見がございました。
また、引き続き交通局が経営していくことに際しましては、設備更新の手法次第では発電効率をさらに向上できることや、執行体制の効率化を図る必要があるなどのアドバイスもいただきました。
○菅野委員 やはり有識者の意見は、民間事業者が述べた困難性を裏づけるものと理解しました。現時点で経営形態を変えていくのは実現性が低いように思います。
そうした中での再エネ推進への取組は、水力発電所がある地元住民にも配慮し、理解がさらに促進されるべきだと思います。地元の理解を得た上で、連携して事業を推進することが、安定的な経営につながるはずです。
先月、再生可能エネルギーのPR施設を地元の白丸調整池ダムの近くで開設すると発表しました。
そこで、再生可能エネルギーPR施設の具体的な内容をお聞きしたいと思います。
○野崎車両電気部長 再生可能エネルギーPR施設は、交通局の水力発電や再生可能エネルギーの有効性をPRするとともに、奥多摩エリアの見どころを発信することを目的に設置したものであり、換気能力の増強など新型コロナウイルス感染症対策を実施した上で、今月六日に開館いたしました。
館内では、プロジェクションマッピングを用いて奥多摩の自然と水力発電のつながりを表現するとともに、デジタルサイネージ等により再生可能エネルギーや地域の観光地などのPRを行っております。
また、この施設が地元に溶け込み、より親しみを持ってもらえるよう愛称を募集し、地元の小学生から応募があった、エコっと白丸に決定したものでございます。
今後も、エコっと白丸を活用して再生可能エネルギーや水力発電の理解促進を図るとともに、地元地域への貢献に取り組んでまいります。
○菅野委員 こうした施設には、ぜひ多くの方に足を運んでいただいて、東京都の再エネの取組に触れていただきたいと思います。
地元の観光振興にも寄与するものと思いますので、地元や関係局とも着実に連携して運営していただくようお願いしておきます。
さて、発電所の調査検討を受けて、いよいよ事業の方向性をまとめる時期が近づいていると思います。電気事業における今後の方向性の検討について、今後の予定を改めて伺っておきたいと思います。
○野崎車両電気部長 電気事業の今後の方向性につきましては、これまで実施した民間事業者及び外部有識者への意見聴取で得られた知見を踏まえ、事業の採算性や安全の確保、環境施策との連携などについて総合的に判断し、現在策定を進めている次期経営計画においてお示ししてまいります。
○菅野委員 経済産業省が示しているような二〇三〇年度の電源構成における再エネ割合、これ三八%ぐらいと比率を出しているんですが、こうした数値を着実に確保するためにも、水力発電事業の役割というのは重要だと思います。
都における水力発電事業が安定的に実施され、クリーンなエネルギーを供給し続けられるよう、十分に気を配りながら事業の方向性について決定していただくことを求めて、次の質問に移りたいと思います。
それでは、次には、泉岳寺駅の機能強化について伺いたいと思います。
東京のまちの発展に都営交通がどのように貢献していくかという観点でお聞きしたいと思います。
コロナ禍はまだまだ予断を許しませんが、先月、リバウンド防止措置期間を終え、国内移動の需要増加だけでなく、いずれは海外からのビジネス客や観光客の回復も、これは想定されています。
浅草線泉岳寺駅が位置する品川駅周辺では、二〇二〇年にJR山手線の高輪ゲートウェイ駅が開業し、二〇二四年には一部のまち開きが予定され、さらには、将来的にはリニア中央新幹線が開通するなど、国際交流拠点として開発が進んでいます。
泉岳寺駅も、将来的には乗降客数がさらに増加していくことが見込まれるため、交通局では、東京都が施行する市街地再開発事業と一体となって大規模改良工事を実施しています。これまでも、私も含め、我が党から質疑を行ってきましたが、今後大きく発展することが見込まれ、ポテンシャルを秘めたこのエリアで、都営地下鉄の駅が担うべき役割は小さくありません。
このような観点から、泉岳寺駅の整備内容について確認していきたいと思います。
泉岳寺駅大規模改良工事によって、まずは駅をどのように整備するのか、内容を改めて伺っておきたいと思います。
○谷本建設工務部長 泉岳寺駅は、空港と都心を結ぶ重要な結節点であり、周辺の開発等の発展に伴いまして、さらなるお客様の増加が見込まれておりますことから、狭隘な現状の駅施設を大幅に更新するとともに、周辺のまちづくりと連携しまして、高輪ゲートウェイ駅や周辺施設との歩行者ネットワーク形成を図り回遊性を確保するなど、駅機能を大幅に向上させることとしております。
具体的には、お客様の増加に的確に対応するため、二面あるホームの幅員を、それぞれ現状の約五メートルから約十メートルに拡幅することとしております。
また、あわせまして、エレベーター、エスカレーター、トイレや出入口の増設などを行ってまいります。
○菅野委員 利用者の安全性などがより高まる駅となることは分かりましたが、着実に工事が進められることが重要です。
可能な限り早期に整備を完了させ、国内外の移動需要に対応すべきと考えますが、泉岳寺駅大規模改良工事の現在の進捗状況、そして、今後の予定を伺っておきたいと思います。
○谷本建設工務部長 泉岳寺駅大規模改良工事は、駅の部分約三百メートルに加えまして、列車の折り返し施設を含めますと、工事範囲は約一キロメートルと広範囲に及ぶとともに、列車の安全運行に支障を来さないよう夜間の限られた時間で工事を行う必要があるなど、困難性の高い工事でございます。
現在は、本体工事に先行しまして、下水道、電線共同溝の移設や構内補強などの準備工事を進めておりまして、完了した範囲から、順次、掘削のための土留めなどの仮設工事に着手する予定でございます。
○菅野委員 この泉岳寺駅の改良工事を進める上では、既出の周辺再開発事業と歩調を合わせる必要があります。交通局の経営計画二〇一九では、二〇二四年度に拡幅ホームの供用開始としていました。しかし、周辺再開発事業が当初の予定どおりには進んでいないと認識しています。
そこで、周辺の再開発事業の関係も踏まえ、拡幅ホームの供用開始時期への影響があるのかを伺っておきたいと思います。
○谷本建設工務部長 泉岳寺駅大規模工事と一体となって都市整備局が施行します泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業につきましては、昨年十一月に、施行期間を令和六年度末から令和九年度末に延長するなどの事業計画の変更を行いまして、本年六月に、建築工事を施工する特定建築者を決定いたしました。
泉岳寺駅の大規模改良工事は、これまで、拡幅ホームの供用開始時期につきまして令和六年度を目指してまいりましたが、駅拡幅部分を再開発事業用地内に構築する必要がございまして、再開発事業の工程と本工事の工程が密接に関連するため見直しが必要な状況でございます。
このため、都市整備局をはじめ、関係者と工事調整を進め、拡幅ホームの早期供用開始に向け着実に工事を実施してまいります。
○菅野委員 利用者や周辺住民は、改良された駅の整備が早期になされることを願っています。今お話があったように、ぜひ都市整備局や関係者との調整などもしっかり進めていただいて、早急に今、計画を立て、これ以上遅れがないように進めることを要望しておきます。
そこで、この泉岳寺駅ですが、今後のまちの発展や活性化のために、周辺の再開発と連携した整備を実施することで、国際交流拠点の駅にふさわしい、また、障害者や高齢者など誰にでも優しい先進の駅に整備すべきだと思います。隣接のJR高輪ゲートウェイ駅では、AIやロボットなど最新技術を導入して新たなサービスを提供しています。泉岳寺駅でも、時代に即した新たな機能を備えさせ、利用者の利便性や快適性あふれる魅力的な駅とすべきだと思います。
そこで、泉岳寺駅のサービス機能の強化に向けた取組の現在の検討状況について伺っておきたいと思います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 泉岳寺駅は、羽田、成田の両空港に直結し、リニア新駅にも近接する交通結節点であることから、今後、ご利用になる旅行者やビジネス客などがさらに増加することが見込まれております。
このため、お客様の利便性を高められるよう情報案内の充実を図るほか、例えば、非対面、非接触による新たなサービスの提供につきましても、AIや5Gなど活用した最新のデジタル技術の動向を注視しつつ、費用対効果などの観点も踏まえ、具体的な検討を進めているところでございます。
泉岳寺駅を国際交流拠点にふさわしい機能を備えた駅としていけるよう、引き続き検討を深めてまいります。
○菅野委員 今ご答弁いただいたように、日々進展するデジタル技術なども踏まえた具体的な検討を進めていただいて、国内外の利用者、また、多くの方たちにとって本当に便利で快適な駅と認められるようなものになることを要望しまして、私の質問を終わります。
○こいそ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
午後五時十五分休憩
午後五時二十九分開議
○こいそ委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○成清委員 私は、平成三十年にもこの公営企業委員会に所属しておりましたので、その際に質疑した項目の進捗の確認と、都営バスの顧客満足度の向上、都営交通の子育て支援についてお伺いしていきます。
まず、ホームの安全対策についてです。
過日の公営企業会計決算特別委員会においても、我が会派として、ホームドアの設置を引き続き進めるとともに、設置工事中にも転落事故が起きないよう万全の対策をお願いいたしました。
浅草線は乗り入れやホームの形状などの課題がありますが、令和元年度に四駅の先行整備が完了しております。都営浅草線の始発でもあります私の地元の押上駅ですが、都営浅草線の中でも最も乗降客数が多い駅であるにもかかわらず、ホームドアの設置が進まなかった経緯がありますが、昨年十二月に、令和五年までの整備完了を目指す旨が発表されました。
そこで、浅草線押上駅のホームドアの整備に向けたこれまでの取組状況について伺います。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 押上駅は、駅を管理する京成電鉄と交通局との共同使用駅でありまして、これまで、両社局で課題認識を共有しながら、ホームドア整備に向けた取組を進めてまいりました。
具体的には、ホームドアの重量を支えるために必要なホーム補強の検討や構造計算、ホームドア設置に伴う運転への支障確認などを両社局で実施してまいりました。
現在、基本協定締結の準備を進めておりまして、引き続き、令和五年度までの整備完了を目指し、整備主体となる京成電鉄と綿密に連携を図ってまいります。
○成清委員 以前にも申し上げましたが、押上駅は島式の狭いホームであるにもかかわらず、乗降客数が多く、また、以前は観光客も多かったので、大型のスーツケースを使う人が多く危ないという声が多く届いておりました。基本協定の準備を進めていただいているとのことであり、引き続き取組をよろしくお願いいたします。そしてまた、整備されるまでの転落防止対策についても、よろしくお願いいたします。
続いて、土地の活用についてお伺いします。
交通局では、本来事業で使用しない土地については、公募による貸付けや売却などによる有効活用を図っているとのことであります。
私の地元墨田区にある本所吾妻橋駅A2出入口近くに、現在利用されていない交通局の庁舎がございます。平成三十一年三月時点で、今後の活用可能性が高いにもかかわらず遊休状態となっているのは本件土地だけだと伺い、その翌年度には建物解体設計を予定していると伺っておりました。
旧吾妻橋乗務区庁舎の解体工事の準備状況について伺います。
○坂口技術管理担当部長 旧吾妻橋乗務区庁舎につきましては、現在、解体工事に向けた契約準備を進めておりまして、今年度中に工事を発注する予定でございます。
隣接のビルとの離隔が余りないことから、近隣への丁寧な説明などを実施しながら工事を進め、令和四年度中の完了を予定しております。
○成清委員 アスベストなども使われていた建物だと聞いております。近隣の皆様のご理解を得ながら安全に解体工事を進めていただければと思います。
そして、地元では跡利用についての関心が高まっております。ただし、活用については、どのような場所でも様々な制約が存在するものです。
旧吾妻橋乗務区庁舎の跡地利用に当たってどのような制約があるのかお伺いします。
○坂田資産運用部長 旧吾妻橋乗務区庁舎の跡地につきましては、良好なまち並みを形成する観点から区が指定する高度地区に含まれておりまして、建築物の高さ制限が定められております。
今後の活用方法は、現時点では未定ではございますけれども、建築物を建てる場合は、三十五メートルを超えるものを建てられないこととなっております。
○成清委員 建物の高さ制限があるということです。大まかにいうと、建物でいえば大体十一から十二階建てくらいというところでしょうか。広大な土地というわけではございませんが、駅徒歩ゼロ分の好立地であり、区としての要望、地元町会としての要望も様々届いておるかと思います。社会貢献としての子供向けの機能も取り入れるなど、複数の機能を持たせるような活用をお願いしたいと思っております。
次に、地元の方からも多く要望いただきますバス停のベンチ増設について、先ほども取り上げられておりましたが、私からもお伺いします。
都営バス停留所におけるベンチの設置状況とベンチに座れる人数を増やすための課題について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、約三千八百の停留所のうち約千百か所にベンチを設置しております。
設置に当たりましては、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たす必要があるほか、警察の許可や停留所付近の地権者の同意等が必要であります。その上で、利用状況のほか、周辺における福祉施設や病院等の立地状況なども考慮して、整備箇所を選定しております。
また、ベンチは原則として上屋と併せて設置しておりまして、座れる人数については、最新の上屋では、柱や掲示板等の位置との関係上、二人がけとなっております。
この人数を増やすには、設置スペースの確保に加えまして、お客様が座った際に時刻表等が隠れない位置にベンチを設置する必要がございます。
○成清委員 広告つき上屋は、都営交通としては費用をかけずにバス停の更新をしていくということで、スキームとしてすばらしいものだと思いますが、この広告つき上屋に更新される際に、原則として二人がけになるため、従来よりベンチの数が減ってしまったという声も届いております。今まであったものがなくなってしまったということで、特に残念に感じている方もいらっしゃるようです。顧客満足度を向上させるためにもレイアウトなどを工夫していただきたいと思います。
都営バス停留所におけるベンチを多くのお客様が利用できるための取組について、今後の見解を伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 ベンチの設置に当たりましては、設置スペースの確保などの課題がございますけれども、バスをお待ちいただく際の快適性の向上を図るため、必要性が高い箇所につきましては、形状や配置の工夫など設置可能性について検討してまいります。
○成清委員 先ほどの方と意見もかぶるんですが、特に高齢の方が多く利用する病院の前など、現状の規格では難しいのかもしれませんが、最大限工夫いただくようお願いいたします。
次に、運賃面での子育て応援について伺います。
これまで、都バスにおいて二人乗りベビーカーを折り畳まずに乗車できるような取組や都営地下鉄における子育て応援スペースの設置など、子育て世代に優しい取組を進めてくださったことを高く評価いたします。
先日、小田急電鉄が、どこまで乗っても子供のIC運賃一律五十円という驚きの発表をしました。新宿から小田原まで乗っても五十円だそうです。この企画による子供運賃のマイナス影響は約二・五億円と見積もられているそうですが、同社が掲げる子育て応援ポリシーに基づく施策の一つとして、子育てしやすい沿線の実現を目指していくとのことです。
こういった民間の動きを受けて、都営交通においても同様のことを実施したらいいのではないかという声が、必然的に私たちの下にも届いてまいります。
そこでまず、こういった企画をするに当たり、必要となる経費を試算するために、令和元年度の都営地下鉄の乗車料収入と乗車人員及び乗車人員に占める小児の人員と割合について伺います。
○市川電車部長 都営地下鉄の令和元年度における乗車料収入は約千五百五十億円でした。また、乗車人員は約十億三千六百万人で、そのうち小児は約七百七十万人、割合は約〇・八%でございました。
○成清委員 コロナの影響が比較的少ない令和元年度の数値を示していただきました。
今、答弁された実績データを基に、仮にとなりますが、試算をしてみます。
子供運賃は大人の半額ですので、小児約七百七十万人は、大人約三百八十五万人分と換算するといたします。そうした場合、乗車人員は大人約十億三千二百十五万人、このうち三百八十五万人相当の〇・三七%が小児に相当するわけですので、乗車料収入は千五百五十五億円掛ける〇・三七%、約五・八億円分と、ざっと試算ができます。
小児七百七十万人から一律五十円支払ってもらったとすると、小児運賃の収入は約三・九億円となります。現行の五・八億円との差額約一・九億円が、子供運賃一律五十円としたときの大まかな減収の試算となります。
こういった企画をやるとなると、無料でできるわけではありませんので、財源の問題も同時に発生します。システムの改修の費用も必要になってくるでしょうし、それらを公営企業として、他の乗客に負担してもらう形になるのか、また、シルバーパスなんかは毎年約二百億円が一般財源で予算化されていたりと、財源は様々考えられます。
都営交通は、今まさに子育て応援の取組を全力で進めているところです。ぜひ運賃面での取組も検討していただくよう要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○かつまた委員 では、私からは、都営地下鉄について伺います。
都営地下鉄は、都営浅草線、都営三田線、都営新宿線、都営大江戸線の四路線を営業しております。都営大江戸線以外は民間の鉄道と相互乗り入れを行っており、都営浅草線は京急線、京成線、北総線、芝山線の四路線と、また、都営三田線は東急線と、そして、都営新宿線は京王線と行っております。
都民の利便性を高めるための相互乗り入れ運転区間について、ある都民の方よりご質問をいただきました。例えば都営三田線は東急線に相互乗り入れを行っておりますが、日吉駅までの乗り入れ区間となっております。都民の利便性を考えると、日吉駅より先にも相互乗り入れした方が、より利便性が高まると思います。
相互運転についてどのように考えているのか、また、実施に向けての課題についてお伺いをいたします。
○神永企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、都営地下鉄では、浅草線、三田線、新宿線の三路線におきまして相互直通運転を行っており、異なる鉄道事業者間でもスムーズに移動できる環境をお客様に提供しております。
相互直通運転を行うことにより、乗換え回数の減少や所要時間の短縮、接続駅での混雑緩和など、お客様の利便性の向上が図られたと考えております。
一方で、相互直通運転の実施に当たりましては、関係各社の仕様に合わせた設備を各路線で導入する必要があるほか、各社の経営方針などを踏まえ、慎重に合意形成を図っていく必要がございます。
こうした中、三田線におきましては、令和四年度下期に開業が予定されている東急新横浜線との直通運転について関係者と協議を行っておりまして、引き続き、お客様の利便性の向上に努めてまいります。
○かつまた委員 相互直通運転には様々な課題があると思います。都民の利便性向上をあらゆる角度から追求していただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
都営地下鉄は、都民の安全・安心の確保をこれまで進めてまいりました。他の委員も取り上げておりましたけれども、地下鉄車両内に設置する防犯カメラについてちょっとお伺いをしたいと思います。
令和三年度の交通局事業概要には、テロ対策として、車両更新等の時期に合わせて、地下鉄車内に防犯カメラの設置を進めていくというふうになっております。現在、車両内には非常通報器の設置は行われておりますけれども、先日起こってしまいました小田急線や京王線での痛ましい事件を考えると、やはり車内に防犯カメラを設置することは、車両内の安全対策をより進める上で重要な取組につながるというふうに考えます。事業概要にあるように、車両の更新時の設置は必須であるというふうに考えます。
その都営地下鉄における防犯カメラの設置状況について詳細をお聞きいたします。
○生越技術調整担当部長 都営地下鉄では、迷惑行為の未然防止やテロ対策等セキュリティ強化を図るため、車両の更新に合わせまして、車内への防犯カメラの設置を進めております。
今年度は、浅草線五編成、新宿線四編成、大江戸線二編成、計十一編成に新たに設置いたしまして、令和三年度末時点で約四割の車両への設置を完了する予定でございます。
引き続き、車内防犯カメラの設置を進め、お客様の安全・安心の確保に努めてまいります。
○かつまた委員 約四割の車両に設置完了ということでありますけれども、一〇〇%設置するにはまだまだ時間がかかるとは思いますが、その間どのような対策をするのか。
例えば、私も大江戸線を利用させていただいていますけれども、ホーム上に警備員の方がいたりとか、そういう状況も見受けられますが、そういった、その代わりになるものをぜひ考えて、安全・安心を進めていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
都営交通のあらまし二〇二一によりますと、改良型自動列車停止装置、自動列車制御装置、脱線防止ガードなど様々な安全対策にご努力していることがうかがえます。
東京都が出資する鉄道の脱線事故で思い出すのは、平成十二年三月八日に起きた現東京メトロ、当時の営団地下鉄日比谷線の脱線事故を思い出します。この脱線事故の原因について、ある資料によりますと、一車両のうちの八輪にかかる重量の不均衡が三〇%に及んでいても放置されており、また、事故が起こった箇所は半径百六十メートルの急カーブであったにもかかわらず脱線防止ガードがなかったことや、多数の列車が集中し、レール塗油の効果が減少する朝のラッシュ時であったことなどが挙げられており、複合的な要因により発生した脱線事故というふうに説明をされておりました。そういった意味でも、脱線防止ガードは大変重要な役割を担っていると考えております。
この脱線防止ガードの設置基準や、現在の都営地下鉄内で設置の必要性が求められている急カーブについて、現時点での設置状況をお知らせ願います。
○谷本建設工務部長 脱線防止ガードの設置につきましては、日比谷線脱線事故を受けた当時の運輸省からの通達に基づきまして、浅草線、三田線、新宿線は半径二百メートル以下の曲線部、大江戸線は半径百六十メートル以下の曲線部に設置することとされておりまして、平成十三年三月末に対象となる百三か所への設置を完了しております。
○かつまた委員 一〇〇%完了しているということですので、安心をいたしました。
駅施設での災害対策として、帰宅困難者対策についてお聞きをいたします。
都営交通のあらまし二〇二一には、帰宅困難者対策として、首都直下型地震が発生した際には、帰宅困難者による混乱を防止し、一斉帰宅の抑制を徹底する必要があるため、お客様を一時的に駅構内に保護するために必要な災害対策用備蓄品を各駅に合計五万人分配備していますとなっております。
都営地下鉄では、災害時の帰宅困難者対策として、各駅で飲料水やブランケットを配備していると聞いておりますけれども、その考え方についてお伺いをします。また、都営地下鉄全駅で五万人分と聞いておりますけれども、その考え方についてお伺いをいたします。
○西川安全管理担当部長 都営地下鉄の各駅で保管いたします帰宅困難者用備蓄品は、震災発生時に地元区等が設置する一時滞在施設が開設されるまでの間、駅を利用されるお客様に構内の安全な場所で一時的に待機していただくものでありまして、飲料水、防寒用ブランケット、簡易マット等を配備してございます。
備蓄品の保管数につきましては、国等における議論を踏まえ、帰宅困難者等が最も多く発生する平日正午の発災を想定いたしまして、都営地下鉄全駅にとどまる帰宅困難者数として推定いたしますと約五万人分を、当局が管理する百一駅に保管しているものでございます。
○かつまた委員 ありがとうございます。
今後も、様々な角度で都民に愛される東京都交通局になることを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○村松委員 冒頭、根木前総務部長のご冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。
私からは、情報システム経費についてお伺いいたします。
交通局における情報システムについて、どのようなものがあって、開発経費、また、運用経費はどのくらいかかっているのかをお伺いいたします。
○土岐次長 交通局におきまして現在稼働しているシステムは、現場における日々の業務遂行に必要な駅務総合ネットワークシステムや自動車部事務管理システムなどのほか、財務会計システムやお客様の声ネットワークシステムなど、合計二十二ございます。
これらの開発経費は合計約五十九億六千百万円、年間運用費は令和三年度の契約額で合計約十一億八千九百万円でございます。
○村松委員 開発経費の合計が約五十九億円で、運用費の年間費用は約十二億円ということでございました。
システムは、便利な面がある反面、経費が増える傾向にありますから、セキュリティや利便性を追求しながらも、経費削減に努めていただきたいと思います。
国の会計検査院によると、平成三十年度に各省庁が行ったシステム改修の競争入札のうち、参加した業者が一つだけだった一者応札が九四%となっていたとのことで、ベンダーロックインが懸念されています。また、同報告によると、平均落札率は、応札者数が一者の場合は九六%になっているのに対して、応札者数が二者以上の場合は八二・五%と、一三%以上低くなっていたとのことです。これを受けて、公正取引委員会では、全国の自治体へ実態の調査と報告を求める予定と聞いております。
システム運用において、特定のベンダーに発注せざるを得ないベンダーロックインになると、経費が高止まりする等の弊害が懸念されます。
そこで、交通局におけるシステムでベンダーロックインが起きないようにするためにどのように取り組んでいるのか伺います。
○土岐次長 システム開発や再構築を行う場合には、客観性及び公平性を確保するため、外部のITコンサルタントの専門的な知見を得ながら、仕様の前提条件となる要件定義を策定しております。
仕様の作成に当たりましては、類似の発注事例に関する技術的な情報をできる限り複数の事業者から収集するとともに、システム所管部署のほか、局の情報化推進部門において内容をチェックし、適正な仕様となるよう取り組んでおります。
また、総合評価方式により入札を行う際には、技術力やイニシャルコストのほか、運用コストの抑制方法についても評価を行い、これらを総合的に勘案して事業者の選定を行っております。
こうした取組を通じまして、引き続き、特定のベンダーの技術に大きく依存することのないようシステム開発等を進めてまいります。
○村松委員 開発や再構築を行う際には、外部のITコンサルにより要件定義を策定し、適正な仕様になるよう取り組まれており、運用コストについても、総合評価方式において評価しているということでございました。
開発事業者が運用するということは一定理解をしております。開発事業者と運用事業者が変わってしまうと、一からシステムの見直しをしなければいけませんから非効率的でありますし、入札にしても受け手がいなくなります。交通局固有の業務についても、独自にシステム開発する必要があることも理解をしております。
一方、他局と共通する業務については、システムを共用することで経費の削減に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
○土岐次長 交通局では、駅務総合ネットワークなど当局固有の業務に係るシステムにつきましては、独自に開発、運用を行ってまいりました。
一方、文書や人事管理、契約事務など知事部局等と事務処理が共通している業務につきましては、他局とシステムを共用してございます。
今後も、業務内容に応じて共用化を検討するなど、効率的なシステム開発、運用に努めてまいります。
○村松委員 システム再構築を行う場合においても、特定のベンダーの技術に大きく依存することのないよう、また、他局と共有できる業務については共用化を検討するなど、経費の削減に努めていくということでございますから、デジタルサービス局と連携しながら行っていただきたいと要望をいたします。
車内での死傷放火事件等について意見を申し上げます。
小田急線、京王線の死傷放火事件があり、都営交通においては、職員の皆様が警備に当たっていただいていると伺っており、迅速な対応を評価しております。
元警視庁の刑事の方のお話を伺う機会がございました。十二月もこうした事件が起きやすいということでございます。犯人の思考からすると、警備員を見ただけで、あるいはアナウンスで警告があるだけで犯行を思いとどまるということがあるそうです。引き続き、警戒をしていただきたいと思います。
大江戸線延伸についても改めて要望をしておきます。
大泉学園町までの延伸は、昭和六十年の運輸政策審議会第七号答申以来、地元住民の悲願であります。さきの一般質問において、交通局長より、コロナによる行動変容を踏まえた将来の旅客需要の分析を行うとともに、事業費の算定に向けて車両編成数や留置施設などの構造や規模などについて検討を深め、引き続き、地元区や関係局と連携し、大江戸線延伸の事業化の検討を進めるとのご答弁をいただきました。延伸の事業化が決まってから、工事開始、工事完了までは十年以上かかると思われますので、早期事業化を改めて要望いたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○森村委員 本日は、まず、私の地元青梅地区における都営バスの営業について伺います。
現在、都バスは、二十三区内を中心とした営業が行われていますが、多摩地域においては、限定的に青梅市を中心とした一部エリアでのみ営業が行われている状況です。
これまで、都営バスの歴史の中で、多摩地域を走る路線については段階的に廃止され、現在の状況に至ったわけですが、今残っている路線については、地域住民からの強い要望によって、地元自治体が一部経費を負担することで維持をしているという実態があります。
そこでまず、青梅地区における都営バス路線の設置と、地元自治体の負担を導入することになった経緯について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 青梅地区におきましては、昭和二十四年に青梅車庫から荻窪駅間の運行を開始いたしました。その後、昭和二十六年には成木方面を運行する路線を、また昭和五十年には吉野や河辺駅と青梅駅とを結ぶ路線の運行をそれぞれ開始いたしました。これらの路線につきましては、昭和五十年代に著しい赤字となり、廃止の対象として検討せざるを得ない状況でございました。
こうした中、昭和五十五年の公営企業等財政再建委員会の答申におきまして、赤字路線を黒字路線の収入で支える、いわゆる内部補助の可能な限度を超えて路線を存続する場合は、その性格、内容により、特別区や市町の公共負担も検討すべきであるとされ、この答申を踏まえまして関係自治体との協議を行いました。
その結果、関係自治体が赤字額の三分の二を負担することを前提に路線を存続することといたしまして、昭和五十九年六月に交通局と関係自治体とで協定を締結し、現在に至っております。
○森村委員 路線の廃止を免れるために、赤字額の三分の二を関係自治体に負担してもらう形で存続をしているということですが、経営状況について把握するためにも、利用実態について確認したいと思います。
青梅地区を運行する路線の利用状況の特徴と、コロナ禍を受けての乗車人員の変化について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 青梅地区を運行する路線におきましては、朝夕のラッシュ時は、駅に向けた通勤通学のほか、地区内の小中学校や高校への通学の利用が多くなっております。また、日中は、買物や通院などを目的とした高齢者の利用が中心となっており、暮らしに密着した路線となっております。
こうした特徴もあり、令和二年度の乗車人員は、青梅地区の路線ではおおむね一割減となっておりまして、都営バス全体では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け前年度の二割減であることと比べますと、減少幅は小さくなっております。
○森村委員 コロナ禍において、他の路線に比して青梅地区ではさほど大きくは減少していないということで、この点においてはひとまず安心いたしております。
一方、都営バス全体では影響が大きく、大変厳しい経営状況であると聞いております。
恐らく過去にもこうした経営危機は幾度かあったはずであるものと思いますが、コスト構造を常に見直し、経営を筋肉質にしていくことが重要だと考えます。
経営改善に向けた支出面の見直しについてどのように取り組んでいくのか、これまでの取組も含めて伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、効率的な事業運営に努めており、平成十五年度からは一部の営業所において民間事業者に管理を委託するとともに、平成十九年度からは乗務員などの現業系職員の給与水準を見直すなど、人件費の削減を図ってきたところであります。
さらに、このたびのコロナ禍による収支の悪化を受け、安全・安心の確保を前提に、事業全般にわたって支出の削減を徹底しております。
具体的には、営業所の水道光熱費など運行に直接関わらない経常的経費について抑制を図るとともに、車両の更新など投資的経費についても幅広く見直しを行っているところでございまして、引き続き、徹底した経費の節減に努めてまいります。
○森村委員 コストの削減策についてご答弁いただきましたが、経営改善には収入増に向けた取組が必要です。特に、都営バスがその役割を果たすには、本来的にまず、利用者にとって便利で使いやすい路線、ダイヤにし、さらなる利用促進を図っていくことが重要だと考えます。
そこで、青梅地区における路線やダイヤの設定の考え方について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流を的確に捉えながら、乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用し、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう路線やダイヤを設定しております。
青梅地区におきましては、車庫の立地を生かし、大半のダイヤについて、車庫を出庫してから青梅駅や東青梅駅などの路線の起点までの走行等についても、回送とせず営業運行としまして、より多くの便数を確保しております。
また、どの路線におきましても、お客様のニーズに合わせた運行ができますよう、車両の運用を工夫しながら各路線のダイヤを設定しております。
○森村委員 次の路線の起点まで回送せずに運行するなどの工夫をされていると、考え方は分かりましたが、青梅地区では残念ながら、おととし減便がございました。
令和元年度の減便の経緯、そして、考え方について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、運行実績等を踏まえながら適宜ダイヤを見直しておりまして、例えば、遅延が多く発生している路線につきましては、所要時間を見直し、定時性の向上を図っております。
また、近年、高齢のお客様が増えておりますことから、高齢者がより安全に乗車できますよう、所要時間をこれまでよりも長く設定しており、その際、運行回数が減少する場合がございます。
青梅地区の路線につきましても、こうした考えの下、令和元年度にダイヤの見直しを行いまして、一部の路線を除き運行回数が若干減少したところでございます。
○森村委員 サービスの向上を図っていくということは大変重要なことですが、その結果減便に結びつくとすれば、路線の利用者にとって容易に受け入れられるものではありません。もちろん減便の決定に当たっては、青梅市等とも丁寧に協議を行ったものとは思いますが、地域住民に愛される便利な路線にしていくには、地域のニーズをしっかり酌んでいくことが重要です。
私も、地元の人々に、大切な路線を維持していくためにはバスを積極的に使ってくださいと常々申し上げております。利用促進を図っていくためにも、地元自治体と連携協力した利用促進の取組が大切です。
公共交通の確保や充実、利用促進に向けて、青梅市とどのように連携して取り組んでいるのかを伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 交通局では、沿線の自治体が地域公共交通の充実に向けて設置している会議に委員として参加しておりまして、地域のバス事業者としての立場から様々な助言や意見などを述べております。
青梅市におきましても同様の会議が設置されておりまして、現在、地域公共交通計画の策定や、利用促進方策の検討などが行われております。
この中で、交通局は、都営バスの各路線の利用状況、特徴などの情報に加えて、利用促進に関する市の広報誌向けのPR内容などを提供しているところでございまして、引き続き、地元自治体との連携に努めてまいります。
○森村委員 地元自治体との連携、ぜひお願いしたいと思います。
利用促進に向けては、地域外からの需要を喚起することも不可欠です。特に、青梅は、豊かな観光資源に恵まれており、多くの観光客が訪れる地域です。
生活者のニーズに加え、観光客など外からの訪問者のニーズを的確に満たしていくことが必要だと考えますが、紅葉シーズン真っ盛りの今月、産業労働局が中心になりまして、地域の公共交通機関と連携し、この地区でMaaSの実証実験を行っています。
この西多摩MaaSに対し、交通局はどのように協力をしているのか伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 副委員長お話しのように、現在、青梅市におきまして、産業労働局と東京観光財団が観光型MaaSの実証実験を行っているところであります。
都営バスといたしましても、この実証実験に参画し、お得な企画乗車券や地域交通機関の経路検索機能をご利用いただけるようにしております。
この企画乗車券は、スマートフォンアプリ等で発売するウェブチケットでございまして、都営バスを含めた市内の路線バスを一日に限り何度でも自由に乗り降りできる青梅周遊パスと、これに御岳山ケーブルカーの往復乗車券をセットにして二日間利用できる青梅周遊パスプラスの二種類がございます。
また、経路検索機能は、観光客が鉄道、バスの経路や最新の運行状況を検索できるほか、タクシーやシェアサイクルを組み合わせて一体的に検索できるものでございまして、都営バスは、このスマートフォンアプリに時刻表やリアルタイムの運行情報を提供しております。
今後とも、沿線地域と連携しながら、公共交通の利用促進に取り組んでまいります。
○森村委員 次に、そもそもの話になるわけですが、地域外からの観光客にとってバスの路線や系統、あるいは行き先の地名などになじみがなく、乗りたくても乗れない、すなわち実は使いづらいんだというケースが多いのではないかとも思います。
特に、コロナ禍で急減した外国人旅行者については、感染の終息とともに今後は回復も期待されてくるわけですけれども、外国人観光客にとって言語の違いも利用をためらう壁となります。
外国人旅行者も含めて、誰もが利用しやすい路線バスにするための取組についてお伺いいたします。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、誰もが安心して快適にご利用いただけるよう、案内表示等の改善を図っております。
具体的には、停留所や案内板等の路線番号につきまして、都バス路線案内みんくるガイドで用いた路線の色とそろえて、分かりやすく表示しております。
また、車内で次の停留所名をお知らせするモニターにつきまして、フルカラー液晶ディスプレーを採用することにより、複数先の停留所などを見やすく表示しております。
さらに、バスの接近状況や目的地のバス停までの所要時間の見込みなどをリアルタイムで確認できるよう、インターネットで運行情報サービスを提供しております。
加えて、時刻表やバスの現在位置の情報をオープンデータとして提供しておりまして、グーグルマップなどの地図や経路検索にこれらの情報を掲載できるようにしております。
こうしたご案内につきましては、外国人旅行者にとっても利用しやすいものとなるよう、英語をはじめとする多言語でも提供しておりまして、引き続き、お客様の利便性の向上に着実に取り組んでまいります。
○森村委員 視覚を活用した工夫を様々に行っていただいていることが分かりました。
さて、有識者によれば、海外からの観光客を本格的に迎えることができるのは恐らく二〇二三年以降であるという予測がありますが、こうした地域の外からの需要に適時応えることができるよう改善を重ねていただけるよう求めておきます。
さて、経営的な観点でいえば、路線の維持や充実に向けては技術革新を活用した取組も重要です。
都営バスのコスト構造を確認いたしますと、乗務員を中心とした人件費が大きな割合を占めていることが分かります。路線の維持や便数の拡充をしようとすれば、安全で安心な運行を支える優秀な乗務員の方々を確保するための費用が過大になってくるというわけです。
また、今後、先ほどもお話ありましたが、乗務員の大量の退職や慢性的な人手不足の問題がございまして、こうした構造に一石を投じる可能性があると期待されているのが自動運転でありますが、バスの自動運転については近年各所で実験が行われており、将来的に事業構造を抜本的に変えられるものと期待できるのではないかと考えます。
そこで、路線バスの自動運転に関する交通局の取組について伺います。
○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、先端技術の普及に先導的な役割を果たしてきており、自動運転につきましても、お話のように、将来的に事業構造を大きく変革する可能性がありますことから、車両メーカー等へのヒアリングを実施するなど情報収集を行ってまいりました。
今年度、デジタルサービス局が西新宿エリアにおきまして、小型の路線バス車両及びタクシータイプの車両を用いた自動運転の実証実験を行う予定であり、交通局としても、これに協力することとしております。
具体的には、今回の運行ルートとなっております新宿駅から都庁までの間の停留所を供用するほか、自動運転車両の運行ダイヤについても助言を行っております。
また、都営バスの車内デジタルサイネージを用いて、お客様へのPRを行っていく予定であります。
今後とも、こうした取組に協力することで、自動運転などの先端技術の開発に貢献してまいります。
○森村委員 自動運転の社会実装に向けては様々な主体が検討を進めておりますが、その実現は二〇三〇年代になるといわれています。自動運転技術の進歩に向けて、都としても全面的に協力を行い、都民の大切な移動手段である都営バスの運行にも、ぜひ活用していただくことを求め、私の質問を終わります。
○こいそ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○こいそ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で交通局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時十四分散会
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