委員長 | 大山とも子君 |
副委員長 | 菅野 弘一君 |
副委員長 | 森村 隆行君 |
理事 | 斉藤まりこ君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 村松 一希君 |
石島 秀起君 | |
岩永やす代君 | |
成清梨沙子君 | |
かつまたさとし君 | |
西山 賢君 | |
保坂まさひろ君 | |
山口 拓君 |
欠席委員 一名
出席説明員下水道局 | 局長 | 神山 守君 |
次長 | 松川 桂子君 | |
総務部長 | 田中 彰君 | |
職員部長 | 白川 敦君 | |
経理部長 | 坂井 吉憲君 | |
計画調整部長 | 佐々木 健君 | |
施設管理部長 | 猪八重 勇君 | |
建設部長 | 袰岩 滋之君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 福島 大起君 | |
技術開発担当部長 | 青木 知絵君 | |
施設管理担当部長 | 鈴木 豊君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 佐々木秀之君 |
管理部長 | 後藤 徹也君 | |
技術部長 | 小団扇 浩君 |
本日の会議に付した事件
下水道局関係
事務事業について(質疑)
○大山委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、下水道局長から紹介があります。
○神山下水道局長 十月二十五日付の人事異動によりまして異動のございました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
次長の松川桂子でございます。総務部長の田中彰でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○大山委員長 紹介は終わりました。
○大山委員長 これより事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○田中総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
表紙をおめくりいただきますと、目次がございます。
恐れ入りますが、一枚おめくりいただき、一ページをお開き願います。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
区部における平成六年度から令和二年度までの公共雨水浸透ますの設置個数をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。浸水被害状況の推移でございます。
区部における浸水棟数について、過去十年間の推移をお示ししてございます。
三ページをご覧ください。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び令和元年度、令和二年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。電力使用量の推移でございます。
平成十二年度から令和二年度までの水再生センター、ポンプ所等の施設における電力使用量の推移をお示ししております。
五ページをご覧ください。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
区部におけるマンホールの総数と、緊急輸送道路などにおける浮上抑制対策の計画及び平成二十年度から令和二年度までの実績の推移をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移でございます。
区部における平成十二年度から令和二年度までの実績の推移をお示ししてございます。
七ページをご覧ください。区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の役割分担別職員構成と現員でございます。
区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の現員を役割分担別、職種、雇用形態別にお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○石島委員 それでは、事務事業につきまして質疑させていただきます。
本日は、主要事業である再構築事業を中心に、震災対策、そして、事業の基盤となる人材育成に焦点を当て、質疑をさせていただきます。
まず初めに、再構築事業についてお伺いします。
東京の区部における枝線と呼ばれる下水道管の老朽化対策については、計画的に維持管理を行い、八十年程度の経済的耐用年数まで延ばすなど、アセットマネジメントの手法を用いて再構築を進め、私の地元中央区など都心部の第一期再構築エリアの約六割が完了していると、さきの公営企業決算分科会で確認をさせていただきました。
再構築事業と一口でいっても、実際は、高度に都市化された東京において、住宅街の狭い道路から、昼夜を問わず交通量が多い国道等の様々な道路において、一つ一つ工事を積み重ねた結果であり、その道路上での工事の実施には、多大なご労力があったことと拝察いたします。
このような状況の中、下水道管の再構築を促進するため、下水道局では、普及概成する前からSPR工法を開発、実用化して効率的に進めていると聞き及んでいます。
そこで、枝線の再構築の事業を行うに当たり、具体的に工事をどのように進めていかれるのかお伺いをいたします。
○袰岩建設部長 再構築の事業を行うに当たりましては、周辺環境への影響、車両交通や既存の地下埋設物への影響などに配慮していく必要がございます。
そのため、膨大な下水道管の再構築を効率的に実施していくためには、全ての既設管を全面的に更新するのではなく、経済性や効率性を考慮して、健全な既設管は可能な限り活用することを基本としております。
具体的には、大きな損傷がない場合には、下水道局が東京都下水道サービス株式会社や民間企業と開発したSPR工法など、既設管の内面を更生する工法を採用してございます。
損傷が著しいなど、新しい管に取り替える場合のみ道路を掘削する開削工法を採用することで、騒音や振動の抑制等、周辺環境への配慮や工事コストの縮減、事業のスピードアップ等を図り、効率的に再構築工事を推進してございます。
○石島委員 下水道局が開発した技術を活用し、可能な限り道路を掘削せずに、周辺環境への影響を最小限に再構築を進めているとのことであり、そうした工夫や現場での努力が、さきに述べた第一期再構築エリアの六割完了につながったものと思います。まずは、第一期エリアの残り四割完了に向け、引き続き努力を重ねていくことをお願いいたします。
次に、下水道管のうち下水道幹線は、大量の下水を集めて水再生センターへ流すもので、施設の規模は極めて大きいものとなっています。その下水道幹線が、万が一、老朽化等により損壊し機能を失ってしまうと、その影響はかなり計り知れないものとなります。
そこで、下水道幹線の再構築事業の進め方についてお伺いをいたします。
○佐々木計画調整部長 下水道幹線の再構築は、昭和三十年代以前に建設した整備年代の古い四十七幹線や調査に基づき対策が必要と判明した三十七幹線など約三百キロメートルを対象に再構築に取り組んでおります。
幹線は規模が大きく、道路を掘削して新しい管に取り替える工法を用いると都市活動に大きな影響を与えることなどから、施工に当たっては、更生工法を最大限活用することなどにより、再構築を進めてまいります。
また、水位が高いなどの理由により再構築工事を行うことが困難な幹線につきましては、下水の流れを切り替えるために必要となる代替幹線を先行して整備した後に、幹線の再構築を進めてまいります。
○石島委員 水位が高い幹線への対応については、下水の流れを切り替えて、幹線の水位そのものを下げる代替幹線を整備するとのご答弁がありました。
下水道局では、代表的な代替幹線として千代田幹線を整備しているとお伺いしています。
そこで、代替幹線事業の確認として、千代田幹線事業の目的と工事の進捗についてお伺いをいたします。
○袰岩建設部長 千代田幹線は、大正から昭和にかけて整備された飯田橋幹線など五つの幹線の再構築を行うために、これら既設幹線の水位を低下させることを目的とした代替幹線でございます。
千代田幹線の工事は、千代田区飯田橋三丁目から港区港南の芝浦水再生センターまで、直径約五メートル、延長約八・七キロメートルの下水道管をシールド工法で整備するものでございます。
平成二十五年度からトンネルの掘進に必要な深さ約六十メートルの立て坑工事に着工し、平成二十八年度からシールド工法による掘進を開始しました。
令和二年度末時点で、全体の五割を超える四・七キロメートルの掘進が完了したところでございます。
○石島委員 大口径、長距離、さらに、非常に深い位置での工事であることが今の答弁で確認できました。工事として難易度は高いと思いますが、下水道局の高い技術力を生かし、事業をしっかりと進め、答弁にもあった古くからの下水道幹線の再構築へ早期につなげていただくよう要望をさせていただきます。
一方で、代替幹線の整備と幹線再構築の実施という抜本的な対策だけではなく、日常における点検、調査も重要であると思いますが、下水道管内の水位が高いところでは、調査員による調査そのものが困難であり、新たな技術により対応していくことも必要です。
そこで、調査が困難な箇所に対応するための技術開発についてお伺いをいたします。
○青木技術開発担当部長 下水道管の調査に当たっては、調査員が入れる比較的大きな口径の下水道管では、損傷や劣化の状況を直接目で調査することにより確認をしております。
しかしながら、下水道幹線などの中には、水位が高く流速が速いなどにより、調査員が下水道管内に入ることが困難な箇所があるため、安全に遠隔で調査を行う技術の開発に取り組んでいるところでございます。
具体的には、管内を安定して飛行できるドローンやカメラを搭載して水上を安定して走行できるロボットにより、下水が流下している管内でも、確実に調査ができる技術の研究を進めているところでございます。
○石島委員 水位が高い箇所の調査の技術開発のように、現場の課題を踏まえて、鋭意取り組んでいることなどを確認させていただきました。下水道事業においては、地下に埋設されていることや常に下水が流れているなど困難な状況が多いと認識していますので、引き続きしっかりと取り組んでいただくことを要望させていただきます。
次に、下水道設備の再構築についてお伺いいたします。
下水道を構成する施設のうち、下水道管を除くポンプ所、水再生センター、汚泥処理施設については、特に、大小様々な機械設備や電気設備を抱えています。東京の下水道の規模から考えると、それら設備の機器点数は膨大な数となり、設備の老朽化に対して、下水道管と同様、計画的に進めるべき必要があります。
そこで、下水道設備の再構築の進め方についてお伺いをいたします。
○佐々木計画調整部長 下水道設備の再構築につきましては、計画的な補修によって法定耐用年数の二倍程度となる経済的耐用年数まで延命化するとともに、中長期的な事業の平準化などを図るアセットマネジメント手法を活用し、計画的かつ効率的に進めております。
また、事業の実施に当たりましては、反応槽設備や汚泥濃縮機など、省エネルギー化等の大幅な機能向上が可能な設備につきましては、経済的耐用年数よりも前倒しして再構築を実施しております。
○石島委員 下水道の設備についても、下水道管と同様にアセットマネジメントの手法を用いて再構築を効率的に進めているだけでなく、大幅な省エネルギーが可能な設備については、前倒しして導入しているなど、計画的に進めているとのご答弁がありました。
そこで、区部における設備の再構築のこれまでの進捗状況についてお伺いいたします。
○袰岩建設部長 現在、区部の下水道施設におけるポンプ設備などの主要設備は、約四千台ございます。
令和二年度には、大森東ポンプ所の電気設備などを再構築し、令和二年度末までの累計で二千三百二十一台の再構築が完了いたしました。
今後は、経営計画二〇二一の期間である令和七年度までに、四百五十台の再構築を完了させてまいります。
○石島委員 主要な設備として四千台あり、これまでのところ二千三百台を再構築したとのことで、六割程度再構築が進んでいることを確認させていただきました。引き続き着実に進めていただきますようお願いいたします。
下水道の設備に関して、次に、光ファイバーケーブルに着目させていただきます。
光ファイバーは、高速で安定的に情報を伝達できる通信技術ですが、下水道局では、下水道管内のスペースを有効に活用し、光ファイバー通信網を構築するという先駆的な取組を進め、水再生センターやポンプ所等の施設管理等に活用していると聞いています。
その点で、光ファイバーケーブルは、施設管理における重要な役割を果たしているわけですが、そこで、下水道光ファイバーケーブルの経年化の状況と今後の対応について確認させていただきます。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、下水道管の中などに約九百キロメートルを超える光ファイバーケーブルのネットワークを構築し、ポンプ所など七十九施設の遠方監視制御に使用するなど、施設の運転や維持管理における重要な設備として活用しております。
このネットワークは、独自の通信網であることから外部からのアクセスに対してセキュリティが高く、また、地下に埋設されているため、電柱を使った場合と比べ、地震や火災などによる断線などの危険性が少なく安定した通信網でございます。
一方、光ファイバーケーブルは、古いもので整備してから三十年以上、全体平均では約二十年経過しており、こうしたことから、今後、光ファイバーケーブルの再構築計画の策定に向けて、ケーブルの劣化調査を実施してまいります。
○石島委員 光ファイバーケーブルに着目し、再構築計画の策定に着手していくとのこと、今後も、そうした下水道を構成する様々な施設や設備の特徴や課題を捉え、適切に対応されることを要望させていただきます。
次に、震災対策についてお伺いをいたします。
下水道局では、首都直下地震など大地震に備え、避難所など人の集まる施設や災害復旧拠点などを対象に、下水道機能を確保するため、下水道管の耐震化を進めていることに加え、地区内残留地区と呼ばれる区域において取組を進めていると聞いています。
そこで、地区内残留地区における下水道管の耐震化について進捗状況をお伺いいたします。
○袰岩建設部長 下水道局では、地区の不燃化が進み、万が一火災が発生しても広域的な避難を要さない約一万ヘクタールの地区内残留地区を対象に、震災時の下水道機能などを確保するため、下水道管とマンホールの接続部の耐震化とマンホールの浮上抑制対策等、面的に推進しているところでございます。
令和二年度は、中央区銀座など三百三十三ヘクタールで対策を行い、令和二年度末までの累計で、対象の約七割に当たる六千九百八十二ヘクタールの整備を完了したところでございます。
今後は、残り約三千ヘクタールのうち、経営計画二〇二一の期間に、二千五百ヘクタールの震災対策を完了させていくこととしております。
○石島委員 地区内残留地区は、今、指摘がありました銀座を含め、私の地元であります中央区においては、八重洲や京橋、日本橋室町等がその地区に指定されており、区部には約一万ヘクタールが指定され、そのうち約七割で対策が進んでいるとのことですが、残りの地区の対策に向け、引き続き着実に進められるようお願いいたします。
次に、災害時の対策についてお伺いをします。
先ほど設備の再構築でお聞きしましたが、下水道局では多くの設備を有していますが、その中でも、水処理の設備やポンプ設備などに大量の電力が必要とされます。
震災時には、電力の供給が途絶えることも想定され、また、過去には、都心部においても、クレーン船による電線切断や変電所の火災などによる予期せぬ大規模な停電が発生しており、電力供給を受ける上でのリスクもあります。こうしたことから、非常用発電設備の整備など非常時における電力確保は重要です。
そこで、区部における非常用発電設備の整備状況についてお伺いいたします。
○袰岩建設部長 下水道局では、区部の水再生センターやポンプ所九十八か所において、震災時などにおける停電の際にも下水処理機能や雨天時のポンプ排水機能を維持するために必要な電力を発電可能な非常用発電設備の増強を進めているところでございます。
令和二年度は、荒川区にある白鬚西ポンプ所など五か所の施設で発電容量の増強を行い、令和二年度末までの累計で八十三か所の整備を完了いたしました。
今後は、残る施設につきましても、非常用発電設備の増強を推進してまいります。
○石島委員 九十八か所の水再生センターやポンプ所のうち八十三か所で増強は完了しており、一定の対応は図られているとのことですが、非常時に備え、残る施設についても着実に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
最後に、人材育成についてお伺いします。
これまでの質疑を通じ、下水道事業はどれも専門的な知識が必要であり、また、高度な技術の下に事業を実施していることがうかがえました。そのため、日々の下水道事業を安定的に支えていくためには、専門家集団ともいえる局の技術系職員の果たす役割は重要です。
今後、本格的な人口減少社会を迎える中、下水道行政の未来を支えるプロ職員の育成を計画的に進めていく必要があると考えますが、技術系職員の人材育成と技術力向上に関する取組についてお伺いいたします。
○白川職員部長 下水道事業の安定的な運営に当たりまして、技術系職員は、調査、計画段階から設計、工事、維持管理の段階まで、様々な局面で重要な役割を担っております。
このため、技術を着実に継承することなどを目的に、下水道局技術力向上委員会を設置し、局一丸となって取り組んでいるところでございます。
具体的には、ベテラン職員が現場に同行し、若手技術職員を指導する取組を行うとともに、技術継承を専任とする再任用職員が各事務所を巡回し、きめ細かなサポートなどを行っております。
また、東京都下水道サービス株式会社、TGSを技術継承のフィールドと捉え、職員を派遣することで、現場での技術やノウハウを習得するとともに、TGSからも固有社員を局に受け入れ、相互の人材交流も行っているところでございます。
さらに、下水道界全体の人材育成を図るため、局が平成二十五年に開設をいたしました日本初の下水道技術専門の大規模実習施設でございます下水道技術実習センターを活用し、局職員のみならず、民間事業者のニーズに合わせた様々な研修を実施しておるところでございます。
今後も、こうした取組によりまして、技術系職員の人材育成と技術力向上を進めてまいります。
○石島委員 下水道局技術力向上委員会を設置し、プロ職員の育成を計画的に進めているとのこと、確認をさせていただきました。引き続き、人材育成と技術力向上に努めていただきますよう要望させていただきます。
本日は、再構築事業、震災対策、人材育成についてお伺いさせていただきましたが、いずれにつきましても、計画的かつ着実に進めていただきますことをお願いしまして、質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。
○保坂委員 私からは、まず、浸水対策についてお伺いします。
近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化など日本各地で豪雨が頻発するとともに、その被害は激甚化し、いつ首都東京で発生してもおかしくない状況であるといえます。
首都東京では、新宿駅、渋谷駅、池袋駅、東京駅といった一日数百万人が利用する主要駅の地下において大規模な地下街が存在しております。多くの人が利用する大規模なこの地下街で浸水が発生すれば、その被害は甚大であります。
そこで、大規模地下街における浸水対策の現状について、まず伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、豪雨対策基本方針などに基づき、浸水被害の影響が大きい大規模地下街九地区において、整備水準をレベルアップし、一時間七十五ミリの降雨に対応する施設整備を推進しております。
令和二年度末までに、九地区のうち渋谷駅東口地区など六地区で工事が完了しており、現在、上野・浅草駅地区など三地区で、早期完了を目指し、事業を着実に推進しております。
○保坂委員 現在の整備状況については理解できました。
今の答弁にもありましたが、現在事業を進めております大規模地下街を有する私の地元台東区の上野・浅草駅地区における整備内容と現状をお伺いします。
○袰岩建設部長 上野・浅草駅地区では、上野駅周辺と浅草駅周辺において、新たな下水道管を整備する事業を行っております。
具体的には、上野駅周辺では、エリアを東西に分け、整備を進めております。上野駅の東側のエリアにつきましては、令和元年度に、雨水を収容する下水道管、延長約四百メートルが完成しております。上野駅の西側のエリアにつきましては、総延長約七百メートルの下水道管を整備することとし、令和二年度に、雨水を収容する下水道管の一部が完成し取水を開始しており、残りの延長約五百メートルの区間の令和四年度の完成を目指し、整備を進めております。
次に、浅草駅周辺では、延長約四百メートルの下水道管を整備しており、令和六年度の完成を目指し、整備を進めております。
○保坂委員 上野・浅草駅地区の現状について分かりました。この地区は、隅田川を有する東部低地帯でもあり、水害に強い地域ではありません。また、両地区共に海外からも多くの観光客が訪れます活気あふれる日本有数の観光地でもありますので、国内外から安心して観光に来ていただけるよう、早期事業の完了を目指していただくよう要望しておきます。
次に、震災対策について伺ってまいります。
さきに、区部においても震度五強の地震が発生しましたが、下水道施設については特段影響はなかったと聞いております。ただ、今後さらに大きな地震の発生が危惧されており、予断は許されません。
下水道局では、下水道管の震災対策として、避難所などの震災時に人が集まる施設や災害復旧拠点における下水道機能の確保及び液状化の危険性が高い地域の緊急輸送道路などで、交通機能を確保するための対策を進めてきました。地震による被害を最小限にするために、一刻も早く重要なライフラインである下水道管の耐震化を急ぐ必要があります。
そこで、現在の進捗状況と今後の取組について伺います。
○袰岩建設部長 避難所など震災時に人が集まる施設や災害復旧拠点などの下水道機能を確保するため、下水道管とマンホールとの接続部の耐震化につきましては、経営計画二〇一六の五か年の目標値である一千か所に対し、一千百六十四か所で対策を完了し、令和二年度末までに、区部全体で累計四千三百十五か所について対策を完了し、目標を達成しているところでございます。
経営計画二〇二一では、新たに一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象に追加し、前計画の目標値を二百か所上回る千二百か所で、令和七年度末までに対策を実施する計画でございます。
液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路などの交通機能を確保するため、マンホールの浮上抑制対策につきましては、経営計画二〇一六の五か年において、百七十六キロメートルで対策を行い、令和二年度末までに、区部全体で千二百五十キロメートルについて対策を完了し、目標を達成しております。
経営計画二〇二一では、新たに一時滞在施設などと緊急輸送道路を結ぶ道路、無電柱化している道路などを対象に追加し、前計画の目標値を約六十キロメートル上回る二百五十キロメートルで、令和七年度末までに対策を実施する計画でございます。
○保坂委員 下水道管の耐震化が計画的かつ着実に進んでいることが分かりました。
一方、東日本大震災では、発電所が甚大な被害を受け、大規模な停電も発生しました。災害時において停電が発生しても、重要なインフラである下水道の機能を確保することは極めて重要であり、その対策として、水再生センターやポンプ所には非常用発電設備が設置されております。
先日、我が会派で多摩川上流水再生センターを視察させていただき、この非常用発電設備についても確認をし、その重要性を肌で感じました。
さきの東日本大震災の際には、広域にわたり流通網が混乱して、肝腎の発電設備そのものを動かすための燃料の調達が大変困難となる状況が発生をしております。それだけに、平時より必要な燃料の準備をしておく必要があります。
そこで、停電時における非常用発電設備の燃料確保について伺います。
○佐々木計画調整部長 東日本大震災の際に発電燃料の調達が困難な状況があったことから、燃料の確保に向けた取組といたしまして、都と石油関係の組合との間で、大規模災害時における石油燃料の安定供給に関する協定を締結しております。
さらに、東日本大震災では、耐震性に優れている中圧の都市ガス管からのガス供給には支障がなかったことから、発電設備の再構築に合わせ、灯油のほかに都市ガスにも対応できるデュアルフュエル型の非常用発電設備の導入を水再生センターで進めております。
○保坂委員 災害時の燃料確保について、石油組合との協定といったソフト対策と都市ガスにもしっかり対応できる設備の導入といったハード対策の両面から準備、取組が進められていることが分かりました。さらに、発電設備自体の浸水対策なども含めて、これらの取組を着実に進めていただくよう要望します。
次に、水質改善について伺います。
東京の下水道の多くは合流式で整備され、強い雨が降りますと、市街地を浸水から守るため、汚水混じりの雨水が河川や海などに放流される仕組みとなっております。この汚水混じりの雨水が河川などへ与える影響は大変大きく、良好な水環境を創造する上では、合流式下水道の改善は欠かせないと感じております。
また、令和六年度からは、下水道法施行令の雨天時放流水質基準が強化されることとなっており、対策が求められております。
そこで、経営計画二〇二一における区部の合流式下水道の改善への取組について伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、令和六年度から強化される下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向け、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設など、累計約百七十万立方メートル整備する事業を推進しております。
令和二年度末までに、累計約百五十万立方メートルの貯留施設などの整備が完了しており、残る二十万立方メートルは、浮間水再生センターなどにおいて必要な施設を整備してまいります。
○保坂委員 雨天時の放流水質達成に向けて、下水道法施行令への対応を進めていくことが分かりました。
先般開催された東京二〇二〇大会では、競技の舞台となりましたお台場海浜公園の水質改善に向けて、様々な取組を、各局が連携し実施されました。
その中の下水道局の取組として、お台場海浜公園の水環境に直接影響を与えるおそれがある、会場付近に設置されています伏せ越し人孔について、大会開催前に清掃を行ったと聞いておりますが、伏せ越し人孔の特徴とその清掃内容について伺います。
○猪八重施設管理部長 下水道の伏せ越し管は、地下鉄や河川などが支障となり下水道管を一定の勾配で敷設ができない場合に、支障物の下を横断させるために一部区間を深くした構造でございまして、上流側と下流側の水位差を利用して、下水を流す仕組みでございます。また、伏せ越し管の上流と下流側にございます伏せ越し人孔は、その構造上、土砂やごみなどが堆積しやすく、強い雨が降りますと、堆積物が下流側の下水道管に押し出され、吐き口から河川や海へ流出いたします。
このため、下水道局では、日常から伏せ越し人孔の清掃を計画的に実施しているところでございますけれども、とりわけ東京二〇二〇大会を見据え、大会前や大会期間中に土砂やごみの流出を抑制する対策といたしまして、お台場海浜公園の水環境に影響が懸念されます二十七か所の伏せ越し人孔の清掃を重点的に実施いたしました。
○保坂委員 大会の開催に向けて、対応いただいたことが分かりました。
一方、伏せ越し人孔の清掃は、人孔内の下水を一旦全て排水して、人が中に入って清掃作業を実施したと聞いていますが、これは大変危険な作業ではないでしょうか。
伏せ越し人孔の清掃を安全に行うに当たり、安全性をしっかりと確保するための工夫が必要だと考えますが、今後の取組について伺います。
○猪八重施設管理部長 比較的浅い伏せ越し人孔は、安全に配慮いたしながら、人孔内に人が入って清掃を実施しておりますけれども、深い伏せ越し人孔に人が入って清掃を実施することは極めて危険な作業でございます。
このため、人孔内に堆積した土砂やごみなどを地上からつかんで引き上げる機械を昭和六十年に民間企業と共同で開発いたしまして、十五メートルの深さまでの清掃作業を安全かつ効率的に実施することが可能となりました。
その後、さらに機械の改良を重ねまして、平成十六年には、より効率的に土砂やごみをつかめる構造にするとともに、二十五メートルの深さまでの清掃作業が可能となりまして、当局で管理をいたしておりますほぼ全ての伏せ越し人孔に現在では対応できるようになってございます。
引き続き、このような技術を活用しながら、臭気発生の防止や良好な水環境の創出を目指しまして、伏せ越し人孔の清掃を計画的かつ効率的に実施をしてまいります。
○保坂委員 ぜひ安全第一でお願いします。また、東京二〇二〇大会に向けた取組に限らず、河川や海の水質を守る観点から、今後も引き続き取組を実施していただくことを要望します。
一方、東京湾全体を見ますと、夏場を中心に依然として赤潮が発生しております。赤潮の発生要因でもあります窒素、リンを削減して、東京湾の水環境の改善を図ることは大変重要であります。
下水処理水にも窒素やリンが含まれており、処理水質の高度化が必須と考えます。
そこで、水再生センターにおけます窒素やリンなどの放流水質の改善が必要と考えますが、改善に向けた取組内容について伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、標準的な処理法と比べ、窒素やリンを大幅に削減できる高度処理の導入を進めておりますが、高度処理は、規模が大きい施設を新たに整備する必要があることから、用地の確保とともに整備に時間を要します。
そのため、高度処理に比べ窒素とリンの除去率は若干低いものの、電力使用量が少なく、既存施設の改造などにより、効率的かつ早期に水質改善を図ることができる準高度処理の導入を水処理施設の設備更新に合わせて進めております。
○保坂委員 水質改善に向けて様々な取組を実施していただいていることが分かりました。引き続き着実な事業推進をお願いします。
先日、多摩川上流水再生センターを視察した際に、多摩地域では、市町村が管理する分流式の汚水管に雨水が浸入する雨天時浸入水により、下水道管の排水能力を超えた下水が、都などが管理する流域下水道のマンホールなどから溢水して被害が発生していると伺いました。
下水道局は、下水道管内の水位を測定できる多機能型マンホール蓋を用いて、今後の雨天時浸入水対策に活用しているとのことですが、多機能型マンホール蓋を活用する理由と設置状況について、まず伺います。
○小団扇技術部長 国土交通省が策定した雨天時浸入水対策ガイドラインにおきましては、発生源対策が基本とされておりまして、公共下水道の管理者である市町村が、効率的に発生源を特定し、対策を講じていくとされております。
都はこれまで、流量調査など市町村と連携して雨天時浸入水の調査を実施し、発生源対策を技術的に支援してまいりました。
さらに、効率的に調査を促進させるため、流域下水道と公共下水道の接続点や市境などに、当局と民間事業者が共同研究により開発したリアルタイムで水位情報を把握できる多機能型マンホール蓋を設置し、雨天時浸入水の対策などに活用していくことといたしました。
昨年度から今年度の雨期までに三十七か所の設置を完了し、現在、市町村との水位情報の共有を開始しているところでございます。
○保坂委員 貴重なデータですから、関係機関と共有して、効果的に活用していただきたいと思います。
今の答弁で、昨年度から今年度にかけて三十七か所の設置が完了済みで、市町村との情報共有を開始したとのことですが、多機能型マンホール蓋で得られるデータを具体的にどのように活用していくのか、見解を伺います。
○小団扇技術部長 多機能型マンホール蓋の設置により、時間経過に伴う流量変化などの計測データと降水量を併せて分析することで、晴天時と雨天時の流量差の大きい地域では、雨天時浸入水が多いと判断されるとともに、雨天時浸入水の要因も推定できます。
そこで、市町村は、この結果を基に、さらに上流域での絞り込み調査を行うことで、効率的な浸入水の発生箇所の特定や効果的な対策に活用いたします。さらに、市町村が対策を実施した後に雨天時の流量を比較することで、効果検証にもつなげていきます。
都は、今後もこのような新技術を活用し、市町村の技術支援に努めてまいります。
○保坂委員 今後もこうした新しい技術を活用して、雨天時浸入水対策の取組を積極的に進めていただくことを要望しておきます。
最後に、下水道局の企業努力について伺ってまいります。
下水道は、都民生活や東京の都市活動に必要不可欠な重要なインフラであります。その下水道事業の安定的な経営を実現するには、事業に必要な財源を確保する観点から、企業努力を推進することが重要です。
十月に公表されました経営レポート二〇二一では、経営計画二〇一六の五年間で取り組んだ企業努力の内容が記されております。五年間の総額で五百七十九億円、当初計画していた四百九十三億円を大きく上回る結果となったことについては高く評価をさせていただきます。
下水道局の企業努力は、建設から維持管理までのトータルコストの縮減と資産の有効活用の二つの柱に区分して取り組んでおられますが、このうち、建設から維持管理までのトータルコストの縮減については、経営計画二〇一六の五年間でどのような取組を行ってきたのか伺います。
○青木技術開発担当部長 下水道局では、これまで培ってきた知識や経験を活用しながら、非開削工法によるマンホール浮上抑制対策など建設コスト縮減に加えまして、省エネルギー型機器の導入や再生可能エネルギーの活用による電気料金の縮減などの維持管理コストの縮減を進め、経営計画二〇一六の五年間では、当初計画の目標を六十五億円上回る二百五十五億円のコスト縮減効果が得られました。
○保坂委員 再生可能エネルギーを活用することで、支出するはずだった電気料金の縮減などを図ったことの財政に与えるインパクトが分かりました。コスト縮減の取組は、実際に実施しようとしても、なかなかすぐには実現できるものではないと思いますが、新たな技術開発や事業の効率化に率先して取り組んでいただきたいと思います。
次に、もう一つの柱であります資産の有効活用について伺います。
私は、平成三十年の本委員会において、下水道局が運営している芝浦水再生センターの用地の上部に借地権を設定し、設定した借地権利金を品川シーズンテラスという民間の業務商業ビルのオフィスフロアの権利と等価交換することで、下水道局は、土地の貸付料に加え、テナント賃料を三十年間の長期にわたり毎年度安定的に得ることができる仕組みであることを確認させていただきました。こうした取組は、企業局ならではの有効な資産活用策であると考えます。
現在、下水道局では、この品川シーズンテラスに続く資産の有効活用として、東京駅周辺の千代田区常盤橋街区の再開発事業に参画していることは、これまでの都市計画審議会等でも、私も確認させていただいております。
この常盤橋再開発事業に関して、どのように下水道局が関わっているのか、また、今後の収益確保の予定について併せて伺います。
○坂井経理部長 常盤橋街区再開発地区内には、当局の銭瓶町ポンプ所等があったことから、地権者として本事業に参画いたしまして、再開発に合わせてポンプ所等の再構築を進めることといたしました。
本事業の開始に当たりましては、まず、平成二十九年に、銭瓶町ポンプ所等の土地建物を権利変換いたしました。これによりまして、当局は、新たに建設される民間ビルの一部の権利を取得したところでございます。
再開発事業は、令和九年度に完成の計画となってございまして、今後、当局は、権利取得いたしましたオフィスフロア等を貸し付け、新たな収益確保を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○保坂委員 令和九年度にこの再開発事業が完了し、新たな収益確保の見通しがあることが確認できました。下水道事業は、都民生活を支えていくことはもちろんのことですが、こうした民間活力を活用して、保有する資産の有効活用を図っていくことも重要な取組であると考えます。今後も、ほかの場所でも進めていただくことを要望しておきます。
以上、二つの柱に沿って確認をしてきましたが、最後に、今後の下水道局の企業努力全体についてどのように考えているのか伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公営企業である下水道局では、将来にわたり最少の経費で最良のサービスをお客様に提供していくため、不断の経営効率化に努め、安定的な経営の実現に取り組んでいくことが重要でございます。
今年度を起点とします当局の事業運営指針であります経営計画二〇二一では、五か年の計画期間におきまして、前計画を百五十億円以上上回る総額六百五十億円の企業努力を行うこととしております。
具体的には、新たな技術の導入などにより、建設、維持管理コストを二百億円縮減するとともに、下水道施設の上部利用など資産の有効活用などによって、四百五十億円の収入を確保してまいります。
引き続き、企業努力に積極的に取り組むことで、持続可能な財政運営を図ってまいります。
○保坂委員 前計画の実績五百七十九億円を上回る、五か年で六百五十億円の目標ということで、単年度平均で見ましても、約百三十億円の財源確保を目指すということになります。
下水道局をはじめ公営企業各局では、自局事業を安定的に実施していくためにも、将来の見通しを踏まえ、不断の経営効率化に努め、さらなる生産性の向上に取り組むことが大変重要であります。そのような意味におきましては、下水道局では、これまでの取組に満足することなく、前計画を上回る目標を設定するなど、努力を積み重ねていこうとする姿勢は評価したいと思います。
今後の下水道事業は様々な課題に直面していくこととなると思いますが、効率的かつ効果的な事業運営を実施していただき、将来に向けて課題を解決し、安定的な下水道サービスの提供に努めてもらうよう要望して、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○小林委員 よろしくお願いいたします。
東京の下水道の歴史をひもとくと、一八八四年、明治十七年、神田下水の建設が始まったことで東京の近代下水道の取組が始まったとのことであります。以来、百三十年以上にわたる歴史を刻む中、都民の重要な基幹インフラである下水道事業を日々守り、支え、特に昨年からのコロナ禍にあって、様々なご苦労がありながら、都民生活に寄与している下水道局の皆様に、改めて敬意を表しまして、質問をさせていただきます。
初めに、浸水対策についてお伺いします。
全国各地で甚大な浸水被害が毎年のように発生しており、ここ首都東京においても、浸水への備えを万全にしていかなければなりません。浸水対策においては、河川氾濫を防ぐ建設局の取組も重要でありますが、都内においては、都市化の進展により、雨が地中にしみ込みにくくなるなど、下水道に流れ込む雨の量が増加しており、浸水被害が発生する大きな要因となっております。
先日の公営企業会計決算特別委員会の全局質疑でも、令和二年度の浸水対策の取組を伺いましたが、改めて下水道局の浸水対策の基本的な進め方についてお伺いいたします。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針などに基づき、区部全域で一時間五十ミリの降雨への対応を基本に、早期に浸水被害を軽減するため、地区を重点化し、施設整備を推進しております。
具体的には、繰り返し浸水が発生している浸水の危険性が高い地区や、かつての川を下水道として利用した浅く埋設されている幹線の流域などを重点地区として位置づけ、幹線や貯留施設などの整備を進めております。
また、浸水被害の影響の大きい大規模地下街や甚大な浸水被害が発生している地区におきましては、一時間七十五ミリに対応する施設を整備しております。
○小林委員 私の地元であります練馬区の北町や田柄周辺は、かつて地域を流れる河川であった田柄川にコンクリート製の蓋を架け下水道幹線として利用している地域であり、過去に多くの浸水被害が発生しております。
下水道局では、この地区の浸水対策として、第二田柄川幹線の整備を進めていただいておりますが、田柄地域は、古くからこの地にお住まいの方も多く、過去の浸水被害を知っている方もおり、この施設の整備に関心も高く、私も三年前に、地域住民の方々とこの施設を視察させていただきました。
そこで、第二田柄川幹線の現在の整備状況についてお伺いいたします。
○袰岩建設部長 下水道局では、重点化して整備する地区の一つに、練馬区田柄、板橋区桜川地区を選定し、既設の田柄川幹線の雨水の一部を収容し、本地域の雨水排水能力を向上させる第二田柄川幹線の整備事業を平成二十六年度から進めております。
本事業は、既設の田柄川幹線の下に、直径三・五メートル、延長約四・二キロメートルの幹線をシールド工法により整備するものでございます。
シールドによるトンネル工事は令和二年度に完了しておりまして、現在は、シールドの掘進に必要な立て坑基地におきまして、既設の田柄川幹線から雨水を取り込むマンホールを築造しております。
今後とも、令和三年度末、今年度末の完了を目指しまして、工事を着実に推進してまいります。
○小林委員 今年度末の整備完了に向け進めていただいているとのことでありますので、引き続き着実な整備を推進していただき、また、完成の暁には、地域住民の方々とぜひ見学の機会をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
浸水対策は、河川との関係性も深く、河川管理者との連携も重要と考えます。浸水対策を効果的に進めるためには、河川の整備に合わせ、多くの雨水を下水道から河川などに排水していくことが必要であると思います。
そこで、下水道局と河川管理者と連携した浸水対策の取組についてお伺いいたします。
○佐々木計画調整部長 浸水被害を早期に軽減するため、下水道管を先行的に整備し、雨水の貯留管などとして暫定的に運用している箇所におきましては、河道や地下調節池など河川施設の整備が進められた区間から、河川の能力に応じて吐き口の新設や吐き口の断面の拡大などを進めることにより、下水道から河川への放流量を段階的に増強し、浸水に対する安全性を向上させております。
さらに、今後は、より効率的に浸水対策を進めていくために、河川施設でございます調節池への直接接続を検討するなど、引き続き、河川管理者と連携を図り、浸水被害の軽減に努めてまいります。
○小林委員 河川管理者は、河川をコントロールすることによって河川氾濫の防止に取り組んでおりますが、強固な浸水対策を講ずるという目的においては、河川管理者も下水道局も同じでありますので、引き続き、河川管理者と緊密に連携して浸水対策を進めていっていただきたいと思います。
下水の雨水の排除方法には、先ほどお伺いした田柄川幹線のように、雨水を河川に自然放流する仕組みだけでなく、低地などにあるポンプ所では、雨水をポンプでくみ上げて河川に放流する取組もあります。雨水ポンプ所は、市街地を浸水被害から守る重要な施設であり、下水道局では、震災などによる断水時においても運転が可能な無注水形先行待機ポンプを導入し、ポンプ機能をさらに向上させた新たな技術を開発したと聞いております。
この新たに開発した無注水形先行待機ポンプの特徴と今後の導入についてお伺いをいたします。
○青木技術開発担当部長 まず最初に、無注水形先行待機ポンプの特徴でございますが、急激な豪雨に対して即座に雨水を排水できるよう、雨水の流入前からあらかじめ待機運転ができることに加え、ポンプの軸の回転を支える軸受けなどが運転時の摩擦熱により損傷しないよう注水する水が不要で、断水時にも運転することが可能なポンプでございます。
新たなポンプでは、耐久性の高い軸受けなどを開発し、従来のポンプでは最大一時間だった待機時間が、三時間まで可能となりました。これにより、急激な豪雨が断続的に繰り返される場合においても、ポンプを停止することなく運転を継続することができ、豪雨の備えが強化されております。
このポンプを、経営計画二〇二一の計画期間内に、篠崎ポンプ所や東小松川ポンプ所などに導入してまいります。
○小林委員 下水道局に限らず、各局とも施策の充実強化のために、新技術の開発や活用に取り組んでいると思います。今お伺いした無注水形先行待機ポンプも、どうしたらさらに浸水対策を強化できるかとの問題意識から開発されたものではないかと思います。引き続き、こうした新技術の開発、活用を模索しながら、浸水対策の強化に努めていただきたいと思います。
次に、合流式下水道の改善事業についてお伺いします。
合流式下水道は、強い雨が降ると、市街地を浸水から守るため、汚水混じりの雨水が、河川沿いの吐き口やポンプ所から河川や海などに放流される仕組みでありますが、これにより、雨天後に河川や海などの水質に影響を与えてしまう問題があり、水質改善の対策が必要になると考えます。
ここで、区部におけるこれまでの合流式下水道の改善対策をお伺いする予定でございましたが、先ほど保坂委員の方から、同趣旨の質問がございましたので、質問としては割愛をさせていただきますが、私の地元では、石神井川や白子川が流れており、石神井川の下流部は潮の干満の影響を受ける河川であることから、雨天後に汚濁分がたまりやすい特徴があり、下水道局では、このように水が滞留しやすい河川などを十四水域として位置づけ対策を進めているとのことですが、この石神井川における合流式下水道の改善対策についてお伺いいたします。
○袰岩建設部長 石神井川での合流改善対策といたしましては、石神井川に雨水放流している全ての吐き口百三十九か所に、ごみなどの流出を抑制する水面制御装置などの設置を完了しております。
また、北区王子本町付近に、貯留量約六百八十立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を整備し、平成二十八年度から稼働させております。
さらに、現在、王子第二ポンプ所、北区栄町、十条台の三か所で、合計二万一千立方メートルの貯留施設の整備を進めているところでございます。
○小林委員 石神井川においては事業が進んでいるとのことですが、練馬区内のもう一つの河川である白子川について、経営計画二〇二一の中で、区などと連携して効率的な合流式下水道の改善対策を検討と記載されています。経営計画二〇二一は二〇二五年までの五年間の計画でありますので、ぜひとも検討を進め、合流式下水道の改善対策が前進する取組をお願いしたいと思います。
次に、老朽化した下水道管への対応についてお伺いいたします。
下水道局では、枝線の再構築に当たり、道路を掘り返すことなく施工することが可能な既設管の内面を更生する工法を採用しておりますが、この既設管の内面を更生する工法は、どのような考えで選択をされているのかお伺いいたします。
○袰岩建設部長 下水道局では、交通量が多く施工時間が限定されるなど、区部の厳しい施工環境などを踏まえ、工事に採用できる更生工法の技術上の基準を作成、公表し、この基準に基づき更生工法を認定しております。
下水道管の更生工法といたしましては、SPR工法など十の工法を正式認定しております。
再構築を行う際には、認定工法の中から適用する下水道管の大きさや形状、現地の状況などに応じまして、適切な工法を選択して工事を実施しております。
○小林委員 私も以前、管更生工法を紹介する展示会に伺いまして、関係者の方からお話を伺う機会がありました。専門的なことでもあり、全てを理解できたわけではありませんが、大変優れた技術であると感じました。
今のご答弁の中で、十工法が正式認定されているとのことですが、このほかにも、新たな工法として、現在、二件が申請中と仄聞しております。更生工法という優れた技術を活用しつつ、施工業者と良好な協力関係を築きながら、再構築の取組を進めていっていただきたいと思います。
次に、ビルピット対策についてお伺いいたします。
都内には、多くのビルやマンション、商業施設が建ち並んでおり、これらのまち中を歩いていると不快な臭気を感じることがあります。この臭気の原因は下水道ではなく、地下排水槽であるビルピットが原因であり、下水道事業者として、その対策が重要な課題であると思います。
そこで、初めに、ビルピットによる臭気の発生原因と下水道に与える影響についてお伺いいたします。
○鈴木施設管理担当部長 一般にビルの地下にあります厨房やトイレなどから排水された汚水を下水道に流すためには、一時的にビルの地下に汚水を貯留するビルピットが必要となります。
このビルピットに汚水を長時間滞留させますと、腐敗して硫化水素が発生いたします。この腐敗した汚水をポンプでくみ上げて下水道に排出する際に、道路上の雨を下水道管に取り込む雨水ますなどから臭気が外部へと拡散をいたします。
また、このような民間のビルピットの排水から発生した硫化水素によりまして、下水道管が腐食して破損し、道路陥没を引き起こすおそれがあります。
○小林委員 経営計画二〇二一では、このビルピット排水対策を下水道局の重要な課題の一つとして掲げられていますが、ビルピット排水に対する下水道局の取組について、改めてお伺いいたします。
○鈴木施設管理担当部長 下水道局では、経営計画二〇二一に基づき、民間のビルピットから発生する臭気の改善と下水道施設の腐食による破損を防止するため、ビルピット排水対策を推進しております。
ビルピットの適切な維持管理をビルの所有者等に促すためには、建築基準法や悪臭防止法など関係法令を所管する各局及び区と連携して、効果的に対策を推進していく必要がございます。
具体的には、予防保全型の対策といたしまして、東京を代表する観光地や繁華街のうち、ビルピット臭気苦情が多い十二の地区をビルピット排水重点対策地区と設定し、苦情が寄せられる前に調査を実施することによりまして、腐敗したビルピット排水を排出しているビルを特定し、当該ビルの所有者等に対しまして、長時間汚水を貯留させないなどの改善を要請しております。
また、臭気発生源の対策といたしまして、臭気苦情を発生源対策の格好の機会として捉えまして、苦情を受けたら速やかに現地を調査し、発生源ビルを特定できた場合には、個別のビルごとに、所有者等に対し、関係部署と連携して改善を要請しております。
○小林委員 ビルピット排水による臭気対策はもちろん大切ですが、それに伴って発生する硫化水素が、下水道管やマンホールなどで使用されているコンクリートや鉄蓋の腐食の原因となり、道路陥没の発生にもつながるとのことで、安全対策、また、下水道施設の維持管理という観点からも大事な課題であると思います。
先ほど枝線の再構築についてお伺いしましたが、ビルピットが多く設置されている地区における既設管の枝線の再構築の取組についてお伺いいたします。
○袰岩建設部長 ビルピットからの排水を受ける下水道管は、ビルの所有者等によるビルピットの維持管理が適切に行われませんと、硫化水素によって腐食のおそれが大きくなることから、これまで繁華街や臭気苦情が寄せられた箇所において、五年に一回の頻度で下水道管を調査し、その結果に基づき、再構築や補修などの対策を行ってまいりました。
今後は、これまでの臭気苦情の維持管理情報などに基づき、腐食するおそれが大きな地域を対策地区として選定し、再構築を行うことで、ビルピットが多く設置されている地区において、重点的に腐食対策を実施していくことといたしました。
具体的には、枝線の再構築を実施する際に、管渠や人孔に防食性の高い材料を使用するなどの取組を行い、腐食環境にある地域でも、安定的に下水を流す機能を確保してまいります。
○小林委員 維持管理情報を基に、腐食に強い材料を使用して、重点的に腐食対策を講じているとのことですが、原因となる硫化水素への対策として、技術開発という観点での下水道局の取組についてお伺いいたします。
○青木技術開発担当部長 下水道局では、下水道施設の腐食による劣化や破損を防止するため、民間事業者等との共同研究により、新たな工法や材料、機器の技術開発を進め、平成二十三年度に、硫化水素に対して、コンクリート製の下水道施設の防食性を向上させる塗布材を開発いたしました。
さらに、新たな技術として、鋳鉄製のマンホール蓋についても、硫化水素の発生状況に応じた防食性を確保できるよう研究を行っております。
○小林委員 今後も課題解決のために、新技術の活用、開発に努め、再構築や維持管理の推進に役立てていただきたいと思います。
最後に、広報活動についてお伺いをいたします。
今や水道とともに、あって当たり前の下水道ですが、その当たり前が、どのような仕組みで、また、どのように都民の生活を支えているのかを広く都民に理解していただくことは大切な取組であると思います。
私も都政に送り出していただいて十二年になりますが、下水道局や水道局の皆さんと様々意見交換をさせていただく中で、あって当たり前のありがたさを改めて感じる一人でもあります。
こうした下水道事業を広く都民への理解促進に向けて発信する局の広報の取組についてお伺いをいたします。
○田中総務部長 下水道局では、平成三十年三月に策定した東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八に基づき、東京下水道の役割や課題、魅力を積極的に発信していく見せる化に取り組んでまいりました。
具体的には、工事現場等を巡る下水道のインフラ見学ツアーの開催や地下の貯留管などをVR技術により映像化し、イベントなどで気軽に施設見学を疑似体験できる取組を実施してまいりました。
さらに、水再生センター等の施設見学にARなどのデジタル技術を組み合わせ、外から見えないポンプの仕組みを可視化するなどの取組を実施しております。
○小林委員 下水道は、トイレなどの家庭排水の処理といった快適な生活環境の創出や浸水の防止など様々な役割や、事業としてどうしても温室効果ガスを排出することから、エネルギー対策、地球温暖化対策にも鋭意取り組んでいることなど、下水道事業そのものに対する認知度が高くないのではないかと思います。下水道が担う様々な役割の理解を促進していくためにも、広報活動は重要であると思います。
下水道局では、広報への課題をどのように捉えているのか、見解をお伺いいたします。
○田中総務部長 下水道局では、局事業への関心や認知度を把握する東京の下水道に関する都民意識調査を実施しており、令和二年三月に公表した調査結果では、下水道に関心を持っていると回答した割合は三割程度であり、六割以上の都民は、どちらともいえない、または下水道に関心を持っていないとの回答でございました。
また、若い世代ほど水環境の改善をはじめ下水道が果たす役割への認知度が低くなる傾向があり、こうした世代への認知度向上が課題であると認識しております。
○小林委員 今、都民意識調査の結果等ご答弁をいただきましたけれども、なかなか下水道に対して、下水道に関心がありますというふうに答えられる方というのはそう多くはないのではないかなと、結果にも現れていましたけれども、あると思います。
多くの都民に、下水道の仕組みや重要な役割を分かりやすく伝え下水道事業に対する理解を得ていくには、あって当たり前の世代、下水道の普及前を知らない若い世代に積極的にPRしていくことが大事ではないかと思います。
そこで、今後の広報活動の展開について見解をお伺いいたします。
○田中総務部長 経営計画二〇二一では、広報戦略を下水道事業への信頼性向上のための重要な柱として位置づけておりまして、次世代を担う若い世代に対して、下水道に関する正しい知識を持っていただくとともに、水環境に関する意識を高める取組を展開することとしております。
具体的には、都内の小学校を訪問する出前授業を実施するほか、子供たちが下水道を楽しく学べる下水道アドベンチャーなどのウェブコンテンツの充実を進めております。
また、大学生など若い世代に向けたワークショップやフィールドワーク等を通じて、下水道に関する知識を学ぶことができる東京地下ラボプロジェクト等を進めております。
若い世代をはじめ、より多くのお客様に、下水道事業への関心を高め、水環境の改善や快適な生活環境の創出など下水道が果たす重要な役割に対する理解を深めていただけるよう、効果的な広報活動を進めてまいります。
○小林委員 私の下にも、定期的に、ニュース東京の下水道をいただいておりますが、毎回興味深く読ませていただいております。都民生活を支える大事な事業を進めている下水道局の皆さんだと思いますので、今後も誇りを持って、皆さんの取組が正しく理解され、ひいては下水道事業が円滑に進んでいく、積極的な分かりやすい広報活動を今後も進めていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料のご提出をありがとうございました。
私からは、浸水対策とエネルギー、地球温暖化対策、ジェンダー平等の職場環境と包括委託について質問をいたします。
まず初めに、浸水対策についてです。
近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化など、激甚化する豪雨による水害が増えている中で、都民の命を水害から守るためにも、下水道局による浸水対策は喫緊の課題です。
経営計画二〇二一の浸水対策では、私の地元の足立区では、千住地区が対策重点地区として位置づけられており、隅田川幹線と千住関屋ポンプ所の整備が事業中となっています。もともと千住地域は浸水被害が多いところで、浸水対策は住民にとっての切実な要望でした。
二〇〇四年十月の台風による豪雨で、千住宮元町や千住大川町で、床上、床下浸水の被害、また、二〇〇九年八月の台風前の大雨でも、千住龍田町や千住中居町で、床下浸水や道路冠水の被害が出ました。
こうした水害から住民生活を守るための、そして、命を守るための対策が待望されていましたが、この隅田川幹線と千住関屋ポンプ所の整備の経過と進捗状況について伺います。
○袰岩建設部長 隅田川幹線と千住関屋ポンプ所は、千住地区の都市化の進展に伴う雨水流出量の増大に対応するため、本地区の雨水排除能力の向上を目的として、令和七年度末の完成を目指し、整備しているところでございます。
隅田川幹線は、直径最大五・五メートル、総延長約三・四キロメートルの幹線をシールド工事で整備するものであり、平成二十一年度に着手し、令和元年度に完了しており、現在、幹線に雨水を取り込むための取水管等を整備中でございます。
千住関屋ポンプ所は、平成二十一年度に工事着手し、ポンプを収容する地下の構造物の工事はおおむね完了しているところでございます。
○斉藤委員 令和七年度の完成ということで、完成はまだ四年先だということです。
下水道局の浸水対策の取組方針では、幹線などの規模の大きな施設整備には長時間を要するため、一部完成した施設の暫定供用など様々な工夫により、完成した施設の効果を速やかに発揮していくというふうにされています。
そこで、千住地域で、隅田川幹線と千住関屋ポンプ所の完成までに行われてきた浸水対策について伺います。
○袰岩建設部長 隅田川幹線と千住関屋ポンプ所は、規模が非常に大きく、完成までに相当の時間を要することから、早期に浸水被害を軽減するため、隅田川幹線に接続する取水管を先行整備し、平成七年度から暫定貯留管として順次供用を開始してございます。
具体的には、足立区千住龍田町など三か所におきまして、直径最大三・二五メートル、総延長約四キロメートルの下水道管で、総貯留容量二万九千立方メートルの暫定貯留管の供用を開始しております。
○斉藤委員 千住龍田町など三か所で、暫定貯留管を造って供用を開始しているということです。
千住龍田町のこの貯留管は、まさに、私の、代々から引き継いでいる事務所の前の道路に敷設されたものなんですけれども、対策の前には道路の冠水が頻繁に起こり、浸水の心配が絶えなかったということですが、この貯留管が敷設されてからは、浸水の被害がなくなってよかったという話を事務所のスタッフからも聞いています。浸水被害が出た当時から、私の前任のさらに前の渡辺康信都議のときからも、下水道局へ繰り返し要望を行って、暫定貯留管の整備、計画が出されたということが、事務所の資料にも記録されていました。
現在は、三か所の暫定貯留管が整備され、今後は、抜本的な対策として、千住関屋ポンプ所の完成が待たれているところです。
一方で、千住関屋ポンプ所の周辺は、住宅やマンション、都営住宅などが隣接している地域です。近隣の住民からは、計画当初はポンプ所の建設について反対の声もあったというふうに聞いています。地元の理解を得ながら進めるために、地元の協議会と足立区、下水道局とで話合いを行ってきたというふうに伺っています。住民の皆さんからは、ポンプ所の上部を広場のような空間として住民に開放することを求める声も届けられております。
そこで、関屋ポンプ所の上部利用の計画はどうなっているのか伺います。
○袰岩建設部長 ポンプ所などの上部利用に当たりましては、施設の下部の建設や管理について下水道局が担当し、上部利用施設の工事や管理については地元区が担当することとしております。
千住関屋ポンプ所においては、その上部の一部について、足立区からの要望等を踏まえ、区が維持管理することを前提に、上部利用の協議を進めているところでございます。上部利用に関する具体的な整備方針等は、区が検討を進めております。
○斉藤委員 足立区からの要望等を踏まえて、上部利用の協議を進めているということです。
この件について、地元の町会長さんからもお話を伺いましたけれども、コロナの緊急事態明けから、先日久々に開かれた協議会で、上部利用がいつできるのかと話題になったということです。施設の完成が二〇二五年で、上部利用はさらに先になるという説明で、残念だという声もあったということでした。
着実に工事を進めるとともに、建物が完成した際には、早急に上部利用の整備ができるように、足立区とも連携を取っていただくことを求めます。
また、工事現場の近隣の方々からは、工事車両による振動や道路のひび割れなどの被害があるということを伺いました。工事車両は、速度を落としてゆっくり走るというふうに事業者も配慮をしているということもあるということでしたが、ひび割れが補修されない状況もあるということです。こうした地元住民の声を直接聞く機会を改めてつくってほしいという要望も寄せられました。そうした機会をぜひつくっていただきますよう、改めて要望させていただきまして、次の質問に移ります。
地球温暖化対策についてです。
気候変動危機に対応するための取組が喫緊の課題です。イギリスのグラスゴーで開かれていたCOP26では、世界の平均気温を一・五度抑えることや二〇三〇年までの各国の温室効果ガスの排出削減の目標を強化することなどが合意されました。
日本政府は、日本だけでなく、アジア全体で、化石燃料と同様に、水素とアンモニアを燃料としてゼロエミッション化を推し進めるという岸田首相の演説によって、化石賞を受賞するという不名誉な結果になりましたが、世界中で気候危機の打開のための対策が追求されている中で、首都東京として、未来を守るための対策が待ったなしです。
特に下水道局では、東京都内における年間電力使用量の約一%に当たる電力を消費する都内最大の電力消費事業者であり、その取組は重要です。
そこでまず、現在の下水道局のCO2削減の目標と二〇二〇年までの実績について伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、地球温暖化防止計画アースプラン二〇一七を策定し、温室効果ガス排出量を、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%以上削減する目標を掲げ、排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程等で削減対策を行っており、昨年度には、温室効果ガス排出量を約二八%削減しております。
○斉藤委員 今後、二〇三〇年度までの削減目標については、後ほどまた取り上げたいと思いますが、二〇二〇年度までに約二八%削減したということです。二〇二〇年度までの下水道局での目標は二五%の削減だったので、目標は超過達成されたということです。
下水道局での取組について詳しく伺っていきたいと思いますが、経営計画二〇二一のエネルギー、地球温暖化対策のページを見ますと、下水道事業での温室効果ガスの排出は、水処理工程で約五九%、汚泥処理工程で約三二%と、この二つの工程で多くが排出されているということが分かります。
それぞれについて伺いたいのですが、まず、水処理工程ではどんな取組を行ってきたのか伺います。
○佐々木計画調整部長 水処理工程におきましては、水処理に必要な空気を小さな気泡にして水に溶けやすくすることで送風量を少なくし、電気使用量を削減する微細気泡散気装置を導入するなどの取組を進めております。
○斉藤委員 微細気泡散気装置というものを導入して、水処理に必要な空気を小さな気泡にして水に溶けやすくすることで送風量を少なくして、電気使用量を削減しているということです。
省エネルギーにつながる大切な取組だと思いますが、その微細気泡散気装置の導入率と今後の導入計画について伺います。
○佐々木計画調整部長 微細気泡散気装置は、昨年度までに約七割の散気装置で導入しておりまして、今後も、再構築などに合わせて導入を進めてまいります。
○斉藤委員 約七割の装置で導入しているということですが、ご答弁のとおり、今後も、再構築に合わせて着実に広げていただきたいというふうに思います。
次に、汚泥処理工程ではどのような取組を行ってきたのか伺います。
○佐々木計画調整部長 汚泥処理工程におきましては、重力を利用してろ過濃縮することで電気使用量を削減できる省エネルギー型汚泥濃縮機の導入や、電気や燃料使用量を大幅に削減できる省エネルギー型焼却炉を導入するなどの取組を進めております。
○斉藤委員 重力を利用してろ過濃縮する省エネルギー型の汚泥濃縮機の導入や、省エネルギー型焼却炉の導入を進めてきたということです。
電気や燃料の使用量を大幅に削減できるということで、ぜひ導入を進めていただきたいと思いますが、それぞれの現在の導入率と今後の導入計画について伺います。
○佐々木計画調整部長 省エネルギー型汚泥濃縮機につきましては、昨年度までに約四割の汚泥濃縮機で導入しておりまして、また、省エネルギー型焼却炉は、昨年度までに約二割の焼却炉で導入しております。
今後も、再構築に合わせて、省エネルギー型汚泥濃縮機や省エネルギー型焼却炉の導入を進めてまいります。
○斉藤委員 省エネルギー型汚泥濃縮機は約四割、そして、省エネルギー型焼却炉は約二割まで導入されているということですが、特に省エネルギー型焼却炉について注目をいたしました。この焼却の過程では、CO2の約三百倍もの温室効果を持つN2O、一酸化二窒素というものが排出されるということなんですが、省エネルギー型焼却炉では、その排出が八五%削減されるということで、非常に重要な取組だというふうに思います。着実にその導入を進めていただきたいと思いますが、経営計画二〇二一では、省エネルギー型焼却炉とともに、エネルギー自立型焼却炉を今後導入していくというふうにされています。
このエネルギー自立型焼却炉の特徴と今後の導入状況について伺います。
○佐々木計画調整部長 エネルギー自立型焼却炉につきましては、従来の焼却炉と比べまして、汚泥焼却時の燃焼温度を高温化することで一酸化二窒素の発生を大幅に削減でき、さらに、運転時の補助燃料が不要で、運転に必要な電気を自給できることから、温室効果ガス排出量を大幅に削減できます。
現在、新河岸水再生センターなど三施設において整備を進めております。
○斉藤委員 従来よりも高温で燃焼させることでN2Oの発生を大幅に削減し、窒素と酸素に分解して排出させることができるというふうに伺いました。さらに、この新しい焼却炉では、運転時の補助燃料が不要で、運転に必要な電気を自給できるということです。
現在は、新河岸水再生センターに初めて建設中であるということ、また、今後は、葛西と南部スラッジのセンターにも導入予定だということも伺いました。
ぜひ、導入条件に合うところに、この更新を進めていただきたいというふうに思います。
経営計画二〇二一に掲載されている温室効果ガス削減の実績と目標についてのグラフがあるんですけれども、この二〇三〇年度には、二〇〇〇年度比で汚泥処理工程で発生する温室効果ガスは、CO2換算で三十四万トンの削減という見込みになっていますが、水処理工程では、ほぼ横ばいになっています。これはどのような理由によるものか伺います。
○佐々木計画調整部長 水処理工程では、合流式下水道の改善や高度処理の導入などによる下水道サービスの向上に伴い電力使用量が増えるため、対策を講じない場合は、温室効果ガス排出量が増加することになりますが、微細気泡散気装置などの省エネルギー型機器の導入を進めることで、温室効果ガスの排出量を抑制しております。
○斉藤委員 合流式下水道の改善や高度処理の導入などによる下水道サービスの向上に伴って電力使用量が増えているという中でも、この微細気泡散気装置など省エネルギー型の機器の導入で、その増加を抑えている、そういう努力を続けているということです。
私も勉強させていただきましたが、アースプラン二〇一七には、このことが詳しく掲載されていました。対策がない場合は、二〇三〇年度までには、二〇一六年度比で四・三万トンの排出増加になるということです。しかし、これまで伺ってきた中でも、下水道局は、技術開発によって、排出削減や省エネルギーを着実に進めてきているということを実感しました。
今後も、水処理過程でも、さらなる技術開発を進めていただくことを期待すると同時に、開発、研究分野の体制を充実させていくということも求めさせていただきます。
次に、自然エネルギーによる取組について伺います。
小水力発電や太陽光発電の今後の導入計画について教えてください。
○佐々木計画調整部長 小水力発電と太陽光発電の、まず、現在の状況でございますが、下水道局では、水再生センターから放流する際の落差を有効活用した小水力発電を設置しておりまして、現在、二か所で約三百キロワット導入しております。
また、太陽光発電設備におきましては、現在、四十八か所で約五千九百キロワットを導入しております。
今後は、これらに加えまして、新規稼働する施設の屋上など維持管理に支障のない場所を活用いたしまして、太陽光発電設備の導入拡大に向け検討してまいります。
○斉藤委員 小水力発電は二か所の水再生センターに導入されているということですけれども、放流する際の落差が一定程度必要なことなど導入できる条件が必要だと思います。
太陽光発電は四十八か所ということで、多くの施設に導入されているということですが、ご答弁にもありましたとおり、引き続き可能な限りの取組を追求していただきたいというふうに思います。
これまでの質疑で、下水道局として様々な技術革新によっても努力をされてきたということが分かりましたが、しかし、人類の未来を左右する気候危機を打開するためには、温室効果ガスの排出削減の高い目標を掲げて、取組を強化していかなければなりません。
東京都は、今年三月に、ゼロエミッション都庁行動計画を策定し、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出を五〇%削減するという目標を掲げています。
下水道局としても、オール都庁の一員として、五〇%削減に目標を引き上げるべきですが、見解を伺います。
○佐々木計画調整部長 ゼロエミッション東京戦略の目指すべき姿を見据えた環境負荷の少ない都市の実現に貢献するため、アースプラン二〇一七に基づく省エネルギーの徹底や再生可能エネルギーの利用拡大の取組に加えまして、新たな技術開発を推進するなど、温室効果ガスの排出量のより一層の削減を進めてまいります。
○斉藤委員 温室効果ガスの排出量のより一層の削減を進めていくという前向きなご答弁のとおり、着実に取り組んでいただきたいと思いますが、私は、ここははっきりと、やはり知事部局と同様に、五〇%削減の目標を明確に掲げていく必要があるというふうに思います。再エネ電力の購入を増やして、供給を後押ししていくということも一つの方法だと思います。抜本的な目標に向けての努力がなければ、危機を乗り越えていくことができません。二〇三〇年までに五〇%削減という目標を知事部局と共に掲げることを強く求めます。
次に、ジェンダー平等の職場環境への取組について伺います。
日本は、今年三月に発表されたジェンダーギャップ指数二〇二一でも百五十六か国中百二十位と、先進国として異常に低い位置にとどまり続けています。
ジェンダー平等の社会の実現のために、東京都の取組の強化が求められています。とりわけ働く職場では、女らしさ、男らしさというジェンダーロールが女性の仕事の継続を困難にしているだけでなく、男性の長時間労働という異常な働き方にもつながっています。家事や育児、介護などが女性だけに押しつけられない環境をつくること、また、家事や育児、介護などがあっても、誰もが働きやすい職場環境をつくることが大切だと思います。
そこで、下水道局における男性職員の育児休業の取得率について、二〇一八年度からの推移を伺います。
○白川職員部長 当局におけます男性職員の育児休業取得率でございますが、平成三十年度は五・二%、令和元年度は一八・八%、令和二年度は四八・一%でございます。
○斉藤委員 二〇一八年度は五・二%だった取得率が、二〇二〇年度では四八・一%まで伸びたということです。
都全体の男性職員の二〇二〇年度の育児休暇取得について総務局に確認しましたが、全体では三三・六%ということでしたので、下水道局での到達は、都の全体の中でも進んでいるという状況だというふうに思います。
そこで、男性職員の育児休暇の取得向上のための取組としてどのようなことをしてきたか伺います。
○白川職員部長 当局では、東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランに基づきまして、育児休業等を取得しやすい職場環境づくりに取り組んでいるところでございます。
具体的には、管理職が育児休業の取得を進めるため、イクボス宣言を行い、取得希望者との面談を実施いたしまして、休業期間中の業務計画を作成するなど、育児休業を取得しやすい環境づくりに努めております。
○斉藤委員 二年間で取得率が伸びたポイントとしては、管理職から育児休暇を取るように呼びかけることや、希望者に面談を行って、休業期間の職場での業務計画を作成して、休みやすい環境をつくるということをやってきたということです。
生活文化局が二〇二〇年度に行った多様な働き方への取組等、企業における男女雇用管理に関する調査、ここでは、男性の育児休業取得に当たっての課題について、代替要員の確保が困難というのが六七・二%で最も高くなっています。それぞれの企業のいろんな事情があるというふうにも思いますが、下水道局では、休業期間中の業務計画を作成するということですので、そうした点に、休暇を取りやすい安心感が生まれるのではないかというふうに感じました。
一方で、取得率が伸びたといっても、何日間の休暇を取ったのかということが肝腎なところだと思います。
二〇二〇年度の男性職員の育児休業の取得期間について伺います。
○白川職員部長 令和二年度の取得人数は三十七人でございまして、取得期間の分布状況でございますが、一か月以下が二十一人、一か月を超え三か月以下が八人、三か月を超え六か月以下が六人、六か月を超えた職員は二人でございます。
○斉藤委員 一か月を超えて休暇を取った方が十六人ということですけれども、一か月以下が一番多くて二十一人ということです。
女性職員の休暇取得期間については事前に伺いましたが、二〇二〇年度に取得した方は十三名いたという中で、一か月以内というのはゼロで、ほとんどが六か月以上、そして、一年、二年と取得をしているというふうにも伺いました。それに比べると、男性は短く、数日から一週間程度というケースもあるというふうに聞いておりますので、遠慮や長期間の休みが取りづらいということが、まだあるのかなというふうにも感じます。
しかし、二〇一八年度はたった五・二%だったことからすると、着実に前向きの変化が生まれてきているのではないかというふうに思います。
そこで伺いますが、育児休業を取得した男性職員からは、どのような声や感想があるのでしょうか。
○白川職員部長 職員の声でございますが、職場の理解を得ることにより、安心して育児休業を取得することができた、また、妻だけに負担させず協力することによって夫婦にとって貴重な時間を過ごすことができたなどの意見がございました。
○斉藤委員 職場の理解があることで、安心して育児休業を取ることができたという声やパートナーだけの負担にしないで、協力することによって貴重な時間になったという前向きの声があったということです。
私自身もパートナーと共に、育児をしながら、今の議員活動をやっていますけれども、どちらも、仕事だけでなく、家庭のことに関われる時間があるということは、生きることを豊かにしてくれるものだというふうに実感をしています。
育児休業を取ってどうだったかという調査を全体的にはかけてはいないというお話だったんですけれども、今後の取組の発展のためにも、ぜひ育児休暇を取った職員への意識調査も行って、職員の皆さんの声を生かして取組を進めていただきたいというふうに思います。
最後のテーマに移ります。下水道事業の包括委託についてです。
下水道局は、この間、下水道施設の運営の在り方の検討を続けてきました。前期では、コンセッション方式の導入等を含む運営手法の在り方を検討してきましたが、私は、公営企業の委員だった二年間、前期の二年間で、この問題を取り上げてきました。
施設の所有は公に残したまま、運営権だけを民間企業に売却するコンセッション方式では、リスクを負うことができない民間企業に対して、長期にわたる運営を投げ出すということになり、技術が局から失われるだけでなく、いざというときに公的な責任の下の迅速な対応ができなくなる重大な問題だと指摘をし、そして、局直営での事業を行うことを求めてきました。
下水道局では、三年間の検討の結果、コンセッション方式の導入はやめるということを決めましたが、同時に、水再生センターの包括委託を導入するという発表をしました。しかし、これまでの仕様発注による委託とは違い、複数年にわたって性能発注、いわば丸投げになっていくこの包括委託には、多くのリスクや矛盾があると考えます。
確認していきたいと思いますが、まず、この水処理施設の運転管理に対する包括委託の導入について、これまでどのようなことを検討してきたのか。また、落合水再生センターと清瀬水再生センターへの包括委託に関して、来年度からの導入に向けた局としての検討について伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 包括委託の導入に当たりましては、東京下水道の特徴として、豪雨に脆弱な地域特性を有することに加え、人口や都市機能が高度に集積していることなどを踏まえ、水再生センターの水処理施設の運転管理に関する困難度等の分析や運営主体の比較など、様々な検討を実施してまいりました。
その結果、運転管理の困難度が相対的に小さい水再生センターに対して、性能発注方式で複数年契約である包括委託を導入することといたしました。
区部では、落合水再生センターを運転管理ノウハウの移転が可能な政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社に委託し、多摩地域では、清瀬水再生センターを引き続き民間事業者に委託いたします。
契約確定前のため詳細は明らかにできませんが、事業者が満たすべき基準となる要求水準やリスク分担など、性能要件の基本的事項について検討を実施いたしました。
○斉藤委員 運転管理に関する困難度の分析やリスク分担など検討してきたと。その中で、運転管理の困難度が小さい水再生センターに対して導入することにしたということです。しかし、そのこと自体が、困難があるところは任せられない、公としての責任が大きな仕事なんだということの表れだというふうに思います。
そういう仕事を何年の契約で委託をするのか、包括委託の契約期間は何年か、また、それぞれの契約方式について伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 来年度から包括委託を導入する二つの水再生センターのうち、落合水再生センターは、三年間から五年間の契約期間で随意契約を予定しております。
また、清瀬水再生センターは、五年間の契約期間で総合評価方式の一般競争入札による契約を予定しております。
○斉藤委員 区部の落合水再生センターは、三年から五年の契約期間で随意契約、これは、契約相手はTGS、東京都下水道サービス株式会社ということになりますが、多摩の清瀬水再生センターでは、五年で総合評価方式の一般競争入札で契約を予定しているということです。
清瀬水再生センターの包括委託における総合評価方式の入札において、事業の効率化を図るような提案は求めているのか伺います。
○小団扇技術部長 清瀬水再生センターの包括委託の事業者を決定するに当たり、落札者決定基準を定めております。
この決定基準では、コスト削減などを行う旨の実施方針、それを踏まえた省エネ、温室効果ガス排出量の削減やデジタルトランスフォーメーションの活用などを評価項目として、既に公表しております。
○斉藤委員 省エネ、温室効果ガス排出の削減やDXの活用などを評価項目としているというお答えですけれども、省エネ、温室効果ガスの排出の削減、つまり電気料金や燃料の効率化などについては、先ほど質疑をしたとおり、局直営の事業の中でかなり技術開発を行って実現してきているわけです。
前期の質疑でもいいましたけれども、日本では、下水道事業は、都市の健全な発達と公衆衛生の向上に寄与するために、ずっと基本的に公営で行われてきました。だからこそ、技術もノウハウも一番に有しているプロが、ここや現場にいる局職員の皆さんなのではないかと思います。
ちょっと伺いたいんですけれども、そうした一番のプロの皆さんにできなくて、民間事業者にしかできない工夫、これ、どういうことがあるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○大山委員長 どなたが。
○猪八重施設管理部長 水処理施設や汚泥処理施設を効率的に運転することで得られる電気や薬品などコストの削減分につきましては、受託している事業者のインセンティブとして設定しています。
○斉藤委員 すみません、ちょっと今、よく分からなかったので、もう一回私の方から質問、いいたいと思うんですけど、皆さん、プロの集団なわけですね。再エネや燃料の効率化、こういったことからも、経営の効率化っていうのを行ってきたわけですね、技術開発、直営でやってきた中で。
そういう皆さんが行ってきた努力というのはあると思うんですけど、そういう皆さんから見て、皆さんたちにできない工夫で、民間にしかできないものというのは、どういうことが考えられますか。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 例えば、事業者に、これ先ほどお話ししましたとおり、三年間から五年間、または五年間と長期間で委託することになります。そうしますと、事業者は自ら、例えば、安い電気料金を自ら長期間で購入するというインセンティブが働くのかなと思っております。このようなことで、事業者の方々にも工夫が行われるかなと思います。
○斉藤委員 ご答弁ありがとうございます。
でも、そうしたことが、直営じゃできないということでは、私、ないと思うんですね。皆さんだって考えられるわけですから、東京都の政策、下水道の政策としてやることはできるはずなんです。この質問、前期のときもしているんですけれども、そのときも、民間にしかできない、こういう工夫が何なのかということに対しては、明確にお答えがありませんでした。
さらに伺います。
受託した事業者の業務効率化やコスト削減に対して、インセンティブというものは設定されるのか伺います。
○猪八重施設管理部長 水処理施設や汚泥処理施設を効率的に運営することで得られます電気や薬品などのコストの削減分は、受託事業者へのインセンティブとして設定してございます。
○斉藤委員 コスト削減分は、受託事業者へのインセンティブとして設定するということですけれども、なぜインセンティブが必要なんでしょうか。
これ、ちょっとお伺いしたいんですけれども、局直営の事業なら、コスト削減分は、管路の更新や、例えば浸水対策に回したり、都民に還元できるものだと思います。なぜインセンティブが必要なんでしょうか。
○猪八重施設管理部長 効率的な運営によります受託事業者のインセンティブと申しますと、やはり企業努力あるいはそういったものが含まれているというふうに考えております。
○斉藤委員 ちょっとよく分からなかったんですけど、企業努力に対してインセンティブを払うということですよね。私、こういうインセンティブ、モチベーションに対して払うということなのか、インセンティブを設定するということは、包括委託の中ではいわれていることなんですけれども、こういうことが必要、そういう、いわば民間事業の努力に対して、モチベーションになるというふうに語られますけれども、そういうインセンティブは必要、また、それがなかったらモチベーションが低下するというような、こういうことが、公共サービスの下水道事業としてふさわしい在り方かというふうに私は思うんです。民間事業者は、常に利益を出すことがその原動力になるということは分かります。だからこそ、そのやり方では、公共の福祉に資するような運営をしなければならない下水道事業にはなじまないのではないかと思います。
さらに伺います。
災害時の対応ですけれども、受託した事業者が行うのか、また、責任の所在はどのように分けられるのか伺います。
○猪八重施設管理部長 災害時の対応についてでございますが、災害が発生した場合には、当局と事業者が連携して対応してまいります。
また、責任の所在につきましては、性能要件として業務実施に伴うリスク分担を定めてございまして、事業者の責めによる事故、災害の発生につきましては、事業者が責任を負うことといたしております。
○斉藤委員 災害が発生した場合は、事業者と連携して対応していくということなんですけれども、現場の運転管理を複数年にわたって事業者に任せているという状態で、いざというときに適切な判断が局の職員にできるのかということが、重大な懸念があります。
私は、下水道局がコンセッション方式か包括委託かを検討していたときに、下水道事業を既に包括委託していた大阪市に調査に行き、そのときの質疑でも取り上げてきました。
大阪市はこれまで、市が出資するクリアウォーターOSAKA株式会社、ここに下水道事業を五年間の包括委託をしてきました。
今回改めてお話伺いましたけれども、五年間で五十五億円のコスト削減ができたということなんですが、その中身を聞くと、それは全て人件費だということなんです。そして、さらに大阪市では、この五年間の契約期間が今年度で終了になり、来年度からは、二十年間の包括委託にすると。同じクリアウォーターOSAKA株式会社に対してになりますが。この二十年間のコスト削減は約二百二十億円だと。これが人件費。
そして、新技術導入による効率化で、約百億円の削減になるということで記者発表されているんですけれども、やはりその効率化の百億円の中身について伺うと、これ、何で削減になるのかは明確になっていないというお答えだったんです。人件費以外は分からないんです。クリアウォーターOSAKA株式会社から具体的な提案があるわけではないというふうにいっていました。
こうした曖昧なことで、民間に仕事を投げていくということ、私、これ、公共のサービスである下水道事業でやってはならないというふうに思います。
包括委託の実態は、民間事業者あるいは政策連携団体などで、局直営でこれまでやってきた仕事を安い労働力で肩代わりさせることにほかならないのではないでしょうか。目先の経費削減にとらわれて、技術やノウハウの流出を起こして、公の責任が負えなくなってしまうような下水道事業に変質させるわけにはいきません。柔軟な人材確保といいながら、雇用を細切りにして、局が責任を持って行う仕事で官製ワーキングプアを生み出したり、技術の継承を困難にさせていくようなことは許されません。
都民に対する責任を負っている下水道局として、局直営での下水道事業を堅持することを強く求めて、質問を終わります。
○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時二十分開議
○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山口委員 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
さて、私も幾つか伺わせていただきたいんですが、まずは、本年の十月七日に、千葉県の北西部を震源とする最大震度五強の地震が発生をいたしました。恐らく、この部屋にいる皆様も冷やりとされたのではないかと思いますが、当時、都は、一夜明けた、もう八日の日には危機管理対策会議を開かれて、都内の被災状況を確認されたというところでありました。
具体的な被害状況については、同日八日に開かれた公営企業委員会においても、各公営企業から地震の被害状況についての報告というものを受けたわけでありますが、下水道施設については被害は発生しなかったと伺いました。
こういった大きな地震の際には、初動対応というのが非常に大切になるわけでありますが、地震があった翌日には、既にこういった状況が確認をされたということがあって、迅速に対応いただいたということはすばらしいことだなというふうに思っているところなのでありますが、そこで伺いたいのは、十月七日の地震発生後の下水道局の区部における施設点検に関する対応について、まずは伺いたいと思います。
○猪八重施設管理部長 十月七日の地震発生後における施設の点検でございますけれども、当局では、東京都下水道局災害対策マニュアルなどに基づきまして、速やかに下水道管や水再生センターなど、施設の点検を実施いたしました。
具体的には、下水道管の点検につきましては、当局及び東京都下水道サービス株式会社、下水道メンテナンス協同組合による二十班、計四十名体制で区部の主要道路などを巡視し、陥没などの発生の有無について確認をいたしました。
また、水再生センターなどの施設につきましては、当局及び東京都下水道サービス株式会社が二十四時間三百六十五日運転をしておりますため、いわゆる常時監視を行っておりますので、十三水再生センター、二スラッジプラント、八十五ポンプ所の全施設に異常のないことを即座に確認いたしました。
これらの点検の結果、八日の早朝には全ての下水道施設の点検を完了いたしまして、局が管理いたします施設で被害がないことを確認してございます。
○山口委員 下水道局職員皆様と関連団体の皆様とで迅速な点検体制を築いていただいて、速やかに被害状況を、あの時間からでも確認をしていただいたということで理解をしました。
また、東日本大震災から十年以上が経過をしているわけでありますが、この間、下水道局が地道に耐震対策を進めてきた、いわば努力が、この地震による被害なしという結果に現れたのだろうというふうにも、これは評価をしたいと思います。
下水道局の耐震対策に関する計画的な取組については、これまでも確認させていただいているところでありますが、今回の地震を機に、改めてこの事業内容を確認したいと思うわけでありますが、まずは、下水道管の耐震化の基本的な進め方についてお伺いしたいと思います。
○佐々木計画調整部長 下水道管の耐震化につきましては、震災時の下水道機能の確保とともに、緊急輸送道路などの交通機能の確保という二つの面から実施しております。
このうち、下水道機能の確保といたしましては、避難所や避難場所、災害復旧拠点などを対象といたしまして、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化及びマンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
また、交通機能の確保といたしまして、液状化の危険性の高い地域における緊急輸送道路などを対象に、マンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
○山口委員 下水道管とマンホールの接続部の耐震化、マンホールの浮上抑制対策、また、今回の地震を受けて、その重要性を再認識したところであります。
また、対策を推し進めていく必要があるんだなということを改めて伺っていきたいわけでありますが、まず、これら二つの対策について、個別に状況を伺いたいわけでありますが、まずは、下水道管とマンホールの接続部の耐震化についての取組状況について伺いたいと思います。
○袰岩建設部長 下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、避難所など震災時に人が集まる施設や災害復旧拠点などの排水を受け入れる下水道管を対象に対策を進めてまいりました。経営計画二〇一六の五か年の目標値である一千か所に対し、一千百六十四か所で対策を完了いたしました。
令和二年度末までに、区部全体で累計四千三百十五か所について対策を完了し、目標を達成いたしました。
経営計画二〇二一では、新たに一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象に追加し、前計画の目標値を二百か所上回る千二百か所で、令和七年度末までに対策を実施する計画でございます。
○山口委員 今のご説明で、下水道管とマンホールの接続部の耐震化の取組については順調に進捗しているんだろうなということや、対策のスピードアップもさせているということは分かりました。
続いて、もう一点、マンホールの浮上抑制対策について、取組の状況も確認をしたいと思います。
○袰岩建設部長 マンホールの浮上抑制対策につきましては、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路などを対象に対策を進めてまいりました。経営計画二〇一六の五か年におきまして、百七十六キロメートルで対策を完了いたしました。
令和二年度末までに、区部全体で一千二百五十キロメートルについて対策を完了し、目標を達成したところでございます。
経営計画二〇二一では、新たに一時滞在施設などと緊急輸送道路を結ぶ道路、無電柱化している道路などを対象に追加し、前計画の目標値を約六十キロメートル上回る二百五十キロメートルで、令和七年度末までに対策を実施する計画でございます。
○山口委員 計画を前倒しにする目標値を上回る進捗状況ということで、このあたりの危機管理に対する思い入れであるとか、局の皆様方の力の注ぎようというものが、十分に酌み取れる報告だったというふうに思います。
液状化による人孔浮上抑制対策についても、事業を確実に進められているというふうに理解していいのかなというふうに思うところでありますが、その一方で、過去の地震においては、液状化によるマンホールの隙間、目地から土砂が流入して、下水道の流下を阻害した事例が報告をされたというのも聞いているわけであります。
こういった現象に対しても、しっかりと対策を進めていく必要があると思いますが、液状化した土砂のマンホール内部への流入を防ぐための対策についても伺いたいと思います。
○袰岩建設部長 地震時に、地盤の液状化によりましてマンホールの目地ずれが発生して土砂が流入することにより、下水道の流下阻害などが発生するおそれがございます。
そこで、マンホールへの土砂流入防止対策として、既設マンホールの目地に非開削でシートなどを貼ることにより、液状化現象による目地ずれを抑制するとともに、水密性を確保する技術を新たに開発いたしました。現在、本格的な導入に向け、現場の設計や監督業務に活用する設計や施工の手引を作成しているところでございます。
今後、避難所などの排水を受け入れる下水道管を対象に取組を進めてまいります。
○山口委員 新たな対策によって、土砂の流入防止についても対応を図られるということでありましたから、引き続き積極的な、この分野に関しては対応もお願いをしておきたいと思います。
これまで耐震対策についてお伺いさせていただいたわけでありますが、実際に首都直下地震が発生をした場合においては、避難所には行かないで、自宅にとどまって生活をしたい、避難生活を送りたいという都民の方もたくさんおられると思います。実際に避難者といわれる方は、都の想定では、最大およそ四百六十万人といわれているわけでありますから、およそ八百万人以上の方々は在宅避難生活をされるのかなというわけでありますが、そう考えてみると、発災後は、まず、緊急的な対応を行いつつも、一刻も早く下水道を使用できるように、復帰をさせるようにする必要があるわけであります。
そのため、下水道局は、緊急時に対応できる体制を確保するべきだと思うわけでありますが、しかしながら、区部の下水道管の延長は一万六千キロメートルを超えると。膨大であって、広域に被害が生じた場合に、下水道局だけで迅速に対応することは難しいと容易に想像ができるわけであります。
こういった場合の、民間企業などと連携をした緊急時の体制の強化であるとか、災害時を想定した訓練について、どのような状況になっているのか伺いたいと思います。
○猪八重施設管理部長 広域的な被害が発生した場合には、下水道局だけで迅速に対応することは困難でございます。
そのため、発災後、速やかに応急復旧等ができるよう、政策連携団体でございます東京都下水道サービス株式会社と覚書を締結しているほか、民間協力団体でございます下水道メンテナンス協同組合や東京建設業協会、東京下水道設備協会、日本下水道施設管理業協会、東京都管工事工業協同組合の五つの下水道関連団体と災害時に関する協定を締結してございます。
これらの覚書や協定では、被災した下水道施設の点検や応急措置、応急復旧に関しまして、当局からの要請に基づく人員の出動や建設資機材の提供などについて取決めをしてございます。
また、政策連携団体や民間協力団体と定期的に防災訓練を共同して実施しており、昨年度は、十月に局の防災訓練を、十一月に東京都・北区合同総合防災訓練を実施いたしました。
発災後の復旧が速やかに行えるよう、引き続き、各団体と連携した防災訓練の実施を通じて災害に備えてまいります。
○山口委員 平常時から、災害を見据えて訓練を実施されていると、また、緊急時に対応できる体制も、民間企業、また各団体とも連携をして図られているということはよく分かりました。
例えば、四人家族で、一日の排せつ、排尿だけでも、一日大体五回必要だといわれています。これが一週間続くと三十五回、数、一家族にすると百四十回の排せつを必要とするわけで、一日延びるだけでも三十五回分のトイレを確保しておかなければ、家庭においてはいけないと。これは非常に、やっぱり一日一日、もっというと、一日、半日、もう一時間でも早いにこしたことはないわけで、この体制の確保というもの、また、復旧のスピードというものは、やはり極めて求められてくるところだと思いますので、ぜひとも一日でも早い復旧ができるような体制の強化をしていただきたいということと、また、適切な家庭でのトイレの使用、こういったものもまだまだ認知されていないように感じるところが多々あります。
災害時にはトイレを使ってはいけない、また、うっかり使ってしまうと大変な被害が、またさらに拡大する可能性もあると。こういった排せつの状況だとか、こういう適切なトイレの利用だとか、復旧の情報はどこで得ればいいのかとか、そういった情報提供なども適切に行われるように、広く情報提供も努めていただきたいと思います。
今後とも、地震が発生したときに備えて、決して油断をすることなく、事業継続に向けた取組を推進していただくことを強く要望して、次の質問に入りたいと思います。
さて、続いて、下水中の新型コロナウイルスに関して伺わせていただきたいと思います。
このコロナ禍において、都民の暮らしに不可欠な下水道施設の事業継続のために、下水道局の職員の皆様や関係事業者の皆さんも、二十四時間、もうまさに三百六十五日体制で対応していただいていることは重々承知をしております。日々下水道事業に従事する職員、関係者に、下水から感染するリスクがないのかと心配をするところでもあります。
下水道局では、下水中の新型コロナウイルスの感染性調査を行ったと聞いているところでありますが、そこで、この下水中の新型コロナウイルスの感染性調査の方法とその結果について伺いたいと思います。
○猪八重施設管理部長 昨年、下水道局が所管する全二十か所の水再生センターに流入いたします下水及び川や海に放流される下水処理水の新型コロナウイルスの感染性を調べることといたしまして、東京都健康安全研究センターの協力の下、調査を実施いたしました。
調査の内容といたしましては、下水試料を遠心分離などの前処理をした後、新型コロナウイルスの遺伝子の有無を確認するPCR検査と、感染性の有無を確認する細胞培養試験を行いました。
その結果、全ての水再生センターの下水中から、感染性のある新型コロナウイルスが検出されなかったことを確認いたしました。
○山口委員 下水中からは、幸いにして感染性のある新型コロナウイルスが確認されなかったことは分かったということで、恐らく都民の皆様も安心をされることだと思います。一時混乱をしている情報の中で、都市伝説のようにこういった情報も流れたことは非常に残念なことでありますが、一つ一つこういった確認と証明をしていくことによって、都民の皆様の安心にもつながっていくんだろうなというふうに思います。
この結果は、エッセンシャルワーカーである下水道関係職員の皆様や下水道事業に、もうしっかりとこれをアピールして、正確に、正しく的確にお伝えしていくべきであると思いますが、下水中の新型コロナウイルスの感染性調査結果について、これまで局としては、例えば、どのようにアピールをして、どのようにこれが役立ってきたのか伺わせていただきたいと思います。
○猪八重施設管理部長 下水中の新型コロナウイルスの安全性につきまして、下水道関連団体に周知いたしましたほか、ホームページや新聞、雑誌、メールマガジン等の様々な媒体を通じて積極的に発信いたしまして、他自治体も含めた下水道界全体で情報共有をいたしました。
こうした下水の安全性について広く発信をすることにより、下水道関連団体からは、安心して下水道工事や作業ができるとの声が寄せられたほか、国や幾つかの自治体では、東京都の調査結果を活用するなど、下水道関係者の安心確保に貢献できたと考えてございます。
○山口委員 まさにこのエッセンシャルワーカーである下水道関係職員の皆様や事業者の皆様にしっかりと伝わって、安心感としてお伝えができたということであれば、よかったかなというふうに思うところでもあります。
最後に、一問伺わせていただきたいのですが、この下水道局で得た知見を下水道界全体で情報共有をして、下水道関係者の安全確保に貢献することは非常に重要だというふうに思うわけでありますが、一方で、広報という観点でいうと、この下水道界だけではなくて、広く都民に向けて、下水道局の取組をもアピールしていく必要があるんじゃないかなというふうに思うわけであります。
私自身、個人が見ている限りで、そもそも多くの都民の皆さんにあっては、今や当たり前の存在であるこの下水道の役割というのを本当に詳しく正しく理解をして知ってくださっているかというと、ちょっと疑問があるところもありまして、そこで、もはやあって当たり前になっているこの下水道事業についてどのような広報活動を行われているのか伺いたいと思います。
○田中総務部長 下水道局では、ふだん目にすることが少ない下水道の仕組みや役割について、若い世代を含め多くのお客様に分かりやすく伝えることで、下水道事業に対する認知度が向上するよう取組を進めております。
具体的には、水再生センター等の施設見学にARなどのデジタル技術を組み合わせ、外から見えないポンプの仕組みを可視化するなど、見えにくい施設の見せる化を進めております。
また、情報入手経路が多様化する中、SNSや動画等のデジタルメディアをはじめ、様々な媒体を積極的に活用し、情報を発信しております。
広報戦略につきましては、経営計画二〇二一において、下水道事業への信頼性向上のための重要な柱として位置づけており、引き続き、下水道事業に対するお客様の関心や理解がより一層深まるよう、効果的な広報活動を進めてまいります。
○山口委員 下水道事業の広報に関して、様々なデジタルメディアを活用するなどの具体的な取組をされているというのは伺いましたが、今、ツイッターでいうと、まだ二万三千人ぐらいのフォロワーでありますし、まだまだ努力できるところはあるのかなというふうにも思います。
例えば、うちの子供に、今回この質問をするに当たって、下水道局のホームページを見せて、何か思うところないって、中学校一年生に見せましたら、トイレの水って何で大と小なのっていうところから引っかかるんですよね。多い少ないなんじゃないのと。水ってと。でも、大と小って何でだろうと思って、僕も調べてみたら、要するに、大便をするときには大を使って、トイレットペーパーも含めて物を流さないときには小の水で流すんだと、ちゃんとホームページに詳しく出ているんですよね。
水量の規制なんかも見てみると、EUだとか、アメリカだとか、中国だとか、シンガポールというのは、トイレの水量の規制もきちんと八リットル以下とか、六リットル以下、四リットル以下とか全部法規制があるけど、日本には法規制がなかったりとか、まだまだ興味が湧くところってたくさんあって、もっというと、知っておいてから、SDGsのこの時代に、やっぱり下水道局からも発信ができることだとか、取組でもっと強化をしているところだとか、力を入れているところっていっぱいあると思うんですね。
でも、今回よく見ました、この下水道VRも拝見もしました。虹の下水道館も、残念ながら今見学はできないので、ホームページで拝見をしました。下水道アドベンチャーもやりましたよ、やりました。やりましたけど、残念ながら、携帯電話ではまだ見られないページが実は存在、下水道局でつながらない、アクセスできないところがあります。残念ながら、その漫画、子供が読む漫画なんかも、タブレットでも今実は読めなくなっていたりもしています。
まだまだ改善できるところってたくさんあると思いますので、それを一つ一つ、もう一回しっかりと検証していただいて、今後はそういったところも生かしていただきながら、さらに都民の皆様に、下水道というもののよさ、必要性、重要性というものを知っていただく取組をしていただければありがたいのかなと思います。
引き続き、都民に積極的な広報でアピールしていただくことを強く要望して、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○岩永委員 それでは質問させていただきます。
まず最初に、再生可能エネルギー、地球温暖化対策についてお伺いします。
十一月十三日に、COP26は、一・五度Cを目指す合意がされ、閉会しました。東京でも、ゼロエミッション東京戦略二〇二〇 Update&Reportが作成されまして、二〇三〇年までにCO2を半減するカーボンハーフの目標が定められました。省エネルギーに加えて、再生可能エネルギーのさらなる拡大、温室効果ガスのさらなる削減が急務です。都が先頭に立ち、脱炭素化を一層加速させ、社会全体を力強く牽引することを期待します。
中でも、都内電力の一%と多くのエネルギーを使用している下水道局は、積極的な取組が求められています。
そこでお尋ねします。
下水道事業における省エネルギー、再生可能エネルギーの取組、温室効果ガス削減の取組の現状と目標を伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、アースプラン二〇一七を策定し、温室効果ガス排出量を、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%以上削減する目標を掲げ、排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程等で削減対策を行っております。
具体的には、微細気泡散気装置や省エネルギー型焼却炉の導入などを進めた結果、昨年度には、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で約二八%削減しております。
○岩永委員 次に、下水道局が管理をしている水再生センターなどの太陽光発電設備の設置状況と今後の見通しについて伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、建物の屋上や水再生センターなどに太陽光発電設備を設置しており、現在、四十八か所で約五千九百キロワットを導入しております。
今後は、これらに加え、新規稼働する施設の屋上など維持管理に支障のない場所を活用した設備の導入、拡大に向け、検討してまいります。
○岩永委員 一酸化二窒素、N2Oは、温室効果がCO2の二百九十八倍といわれておりまして、排出削減が急がれます。
汚泥焼却時に発生する一酸化二窒素を削減できる炉の更新が行われており、その目標と現状について伺います。また、水処理の過程でも発生するとのことですが、その対応について伺います。
○佐々木計画調整部長 汚泥焼却時の燃焼温度を従来の焼却炉に比べて高温化することで、一酸化二窒素の発生を大幅に削減できる省エネルギー型焼却炉などの導入を再構築に合わせて進めております。
令和二年度までに省エネルギー型焼却炉などを七基導入しており、今後、経営計画二〇二一の期間において、さらに六基導入していくこととしております。
また、水処理過程におきましてのご質問についてでございますが、現状では、水処理工程で一酸化二窒素の発生を効率的に抑制する技術はなく、対策は困難でございますが、今後の技術動向を見極めつつ、発生を抑制する技術を研究してまいります。
○岩永委員 次に、下水道事業におけるバイオマス発電など、下水汚泥のエネルギーを活用した発電について、現状と今後の取組を伺います。
○佐々木計画調整部長 下水汚泥の処理工程で発生する消化ガスを燃料として利用する発電を森ヶ崎水再生センターで行っております。
また、汚泥焼却時の廃熱を活用した発電を東部スラッジプラントなど三か所で行っております。
今後は、汚泥の焼却時に大量に排出される熱を活用した発電により、焼却炉の運転に必要な電気を自給できるエネルギー自立型焼却炉の導入などを推進してまいります。
○岩永委員 事業概要によりますと、水再生センターが区部に十七、多摩地域の流域下水道で七つあり、敷地面積の合計は四百七十一ヘクタールを超えます。水再生センターだけを見ても、太陽光発電のポテンシャルは大変大きいと考えます。現在、ポンプ所などを含めて四十八か所、約五千九百キロワットとのことですが、一キロワットで十平方メートルとして計算をしても、発電面積は五・九ヘクタールで、敷地の一・二五%にすぎません。もちろん下水道局の用地や建物は、様々な用途として使われており、単純計算はできませんが、緑地の上のソーラーシェアリングなど新たなアイデアも入れながら、太陽光パネルの設置について、改めて増やす努力を要望いたします。
また、バイオマス発電など下水汚泥の活用についても、新しい技術が報じられており、さらなる検討を求めます。
COP26の開催に合わせて、世界気候アクション一一〇六が開催され、世界中の若者を中心に、待ったなしの気候危機への対応を呼びかけました。
そのような中、東京都の役割として、ゼロエミッション都庁行動計画の新たな目標として、二〇二四年度には、都有施設の使用電力の約四割程度を再生可能エネルギー一〇〇%にすることや、その他の施設でも、再エネ電力の使用促進をすることで五〇%を目指すという取組が目標として掲げられております。
現在、環境基本計画の改定議論が進められており、下水道局としても、新たな目標を掲げる必要があります。すぐにでも積極的な取組を求めまして、次の質問に移ります。
続きまして、浸水災害対策についてお尋ねします。
豪雨対策として、下水道の役割は、内水氾濫に対応することとしておりますが、都内で起こる浸水被害は、ほとんどが内水氾濫です。気候変動により、単発のゲリラ豪雨だけでなく、巨大台風や線状降水帯に見舞われるおそれもある中で、浸水から都民を守る下水道の役割は大きいです。
そこでお尋ねします。
時間七十五ミリ対応の整備が地下街を中心に進められています。対策市街地については対象地区を増やしておりますが、事業の進捗状況について伺います。
○袰岩建設部長 下水道局では、一時間七十五ミリ降雨に対応した施設整備を行う地区として、地下街対策地区九地区、市街地対策地区六地区を重点化して事業を推進しております。
地下街対策地区は、令和二年度末までに渋谷駅東口地区など六地区で事業が完了し、上野・浅草駅地区など三地区が事業中でございます。
市街地対策地区は、目黒区八雲、世田谷区深沢地区など四地区が事業中でありまして、新たに追加した残り二地区も、事業着手に向け、取組を進めております。
経営計画二〇二一の期間では、上野・浅草駅地区などの三地区で事業が完了する予定でございます。
○岩永委員 経営計画二〇二一には、総力戦で挑む豪雨対策、下水道、河川、まちづくりの連携というコラムがあります。
河川との連携では、建設局や国土交通省との連携が必要になります。また、まちづくりとの連携では、都市整備局や各自治体との連携が必要になります。それぞれどのような連携体制をつくっているのか伺います。
○佐々木計画調整部長 都では、東京都豪雨対策基本方針に基づき、下水道や河川の整備、雨水浸透ますなどの雨水流出を抑制する施設を民間の施設などに設置を促進する流域対策について、役割分担を定め、関係局が連携して浸水対策を推進しております。
具体的な役割分担といたしましては、下水道整備は下水道局、河川整備は建設局、流域対策を都市整備局や地元自治体が担当しております。
また、国土交通省とは、多摩川流域協議会に参画するなど、連携して浸水対策を推進しております。
○岩永委員 下水道局は、災害対策の総合的な判断をする部署ではないとしても、全体像を見つめつつ、局の役割を果たすことになり、連携、調整が重要です。
地震の際にも、発災後に必要となるトイレの確保を自治体と協力して設置していかなければなりません。震災時に水再生センターや下水道管が機能していれば、マンホールトイレが使えます。各自治体と連携して、マンホールトイレの設置を進めていただきたいと思いますが、区部における設置状況について伺います。
○猪八重施設管理部長 東京都地域防災計画では、災害用トイレの確保を区の役割としておりまして、地域の状況などに応じて、必要な災害用トイレの数の確保に努めているところでございます。
下水道局では、避難所などの周辺におきまして、下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、道路交通や応急活動などの支障にならない場所に仮設トイレが設置できるマンホールを、区からの要請に基づき指定をしております。
区部における令和二年度までの指定状況は、累計で七千六十五か所でございます。
○岩永委員 実際にマンホールトイレを使う際には、下水道管が機能しているかどうかの情報を得る必要があります。
被害状況などの区への情報連絡について伺います。
○猪八重施設管理部長 仮設トイレの設置が可能なマンホールは、下水道管の耐震化が完了したところから指定をしてございますけれども、発災時に被害があった場合には、東京都下水道局災害対策マニュアルなどに基づきまして、関係区などに対して、速やかに被害の状況に関する情報提供を行うことといたしております。
○岩永委員 国もようやく流域治水を掲げるようになりました。経営計画のコラムにもあるとおり、豪雨対策は、様々な機関が連携し、総力戦で臨む必要があります。過密都市である東京では、内水氾濫から身を守るための方策が大切です。ハード、ソフト両面での対策を自治体と共に進める必要があります。
また、地震によって自宅トイレが使えなくなったときにマンホールトイレが頼りになると思います。下水道局のマンホールトイレは、現在あるマンホールの中から設置できるところを指定するとのことです。各区は、学校や公園などの公共施設にマンホールトイレを設置していますが、実際に使うためには、下水道管の被害状況を把握する必要があります。地震後にそのエリアが使えるのかの情報を当該区に伝える連絡を速やかに行うことを要望いたします。
続きまして、次の質問に移ります。
老朽化対策についてお尋ねします。
都市インフラの老朽化対策は、全国的な課題であり、膨大な下水道管を今後も使い続けていくために、下水道管の老朽化対策は重要です。
老朽化した下水道管の再構築を計画的に進めています。延命化と更新の状況についてお尋ねします。
○佐々木計画調整部長 延命化と更新の状況についてのご質問でございますが、下水道局では、老朽化した枝線の再構築に当たりまして、アセットマネジメントの手法を活用し、計画的、効率的に事業を実施しております。
また、事業の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、整備年代の古い都心部を第一期再構築エリアとして優先的に再構築を進めており、昨年度末までに、第一期再構築エリア一万六千三百ヘクタールの六二%に当たります一万八十二ヘクタールを完了し、経営計画二〇一六の目標を達成しております。
○岩永委員 それでは、続きまして、水質改善対策についてお伺いします。
オリンピックのトライアスロン会場になった東京湾お台場の水質について問題になりました。水再生センターから放流する水質や雨天時に流れ出る下水道からの水の水質改善のために実施していることについてお聞きします。
水再生センターにおける大腸菌対策の取組について伺います。
○猪八重施設管理部長 大腸菌対策の取組についてでございますが、水再生センターからの大腸菌群数の放流基準は、一立方センチメートル当たり三千個以下と定められてございます。
そのため、各水再生センターでは、この基準を遵守するため、次亜塩素酸ナトリウム等の薬剤を用いて必要な消毒を行ってございます。
○岩永委員 次に、雨天時の放流水質の改善対策である合流改善事業について、区部における進捗状況を伺います。
○佐々木計画調整部長 合流式下水道の改善の主な取組といたしましては、雨水吐き口からの流出を抑制する施設の整備、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、降雨初期の下水を貯留する施設の整備の三つがございます。
このうち、ごみの流出を抑制する施設の整備につきましては、令和二年度に対策を完了しておりまして、下水道管の整備につきましても、おおむね完了しております。
現在は、下水を貯留する施設の整備を進めており、令和六年度から強化される下水道法施行令の対応に必要な貯留施設百七十万立方メートルのうち、令和二年度までに累計で百五十万立方メートルの整備を完了しております。
○岩永委員 次に、流域下水道事業についてお尋ねします。
流域下水道についても、合流改善と雨水対策について伺います。
まず、多摩地域の合流改善事業について進捗状況を伺います。
○小団扇技術部長 多摩地域の合流式下水道の区域は、北多摩一号処理区外二処理区ございますが、下水道施行令に定める雨天時放流水質基準に対応するため、公共下水道管理者である関係市と連携し、平成二十五年度末までに対策が完了しております。
具体的な対策といたしましては、流域下水道におきましては、雨天時貯留施設や、ごみなどの流出を抑制する水面制御装置などを設置し、公共下水道におきましては、この水面制御装置や雨水浸透ますなどを設置しております。
○岩永委員 多摩地域の雨水対策として、分流区域では、各市町村が雨水管を、都が流域下水道雨水幹線を整備しておりますが、その役割分担の考え方と事業の進捗状況について伺います。
○小団扇技術部長 多摩地域の分流区域の雨水対策は、原則、市町村が実施することとなっておりますが、雨水の放流先となる河川などがなく、市単独では雨水排除が困難な場合などには、都が、複数市にまたがる流域下水道雨水幹線を整備しております。
市町村の雨水対策につきましては、令和二年度末で約三割が完了しております。
都においては、これまで五つの流域下水道雨水幹線を整備してきましたが、現在、空堀川上流南部地域に整備する流域下水道雨水幹線の設計を実施しているところでございます。
○岩永委員 多摩川では、近年、アユの遡上がかなりの数になるなど水環境が改善されています。流量の五割から六割が下水道から供給されていると聞いています。多摩川にとって、水の量も質も、下水道の役割は大きいということです。今後もさらなる水質改善を要望します。
続きまして、下水道局職員の女性割合と障害者割合についてお尋ねします。
多様な人が働く職場、誰もが働きやすい職場を目指した取組が必要です。女性が働きやすい職場環境を庁内全体の取組として進めるために、それぞれの局や部内での取組が重要になります。
そこで、下水道局と政策連携団体の職員の女性比率の現状について伺います。また、女性管理職の割合についても伺います。
○白川職員部長 令和三年八月一日現在、他団体への退職派遣者を含む下水道局職員に占める女性職員の割合は一二・九%でございます。下水道局の管理職に占める女性職員の割合は六・五%でございます。
また、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社の固有社員に占める女性社員の割合は七・三%でございまして、女性の管理職はおりません。
○岩永委員 ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて、女性だけでなく、男性も、子育てや介護をしながら働き続けられる環境整備が求められています。
そこで、男性の育児休業取得率と、水再生センターなどの現場もある下水道局における現状及び今後の取組について伺います。
○白川職員部長 当局におけます令和二年度の男性職員の育児休業取得率でございますが、四八・一%でございます。当局では、水再生センターを含む局全体で東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランに基づきまして、育児や介護に関連する休暇等を取得しやすい職場環境づくりに取り組んでおります。
具体的には、管理職が休暇取得や超過勤務縮減を進めるため、イクボス宣言を行いまして、取得希望者と面談を実施いたしまして、休業期間中の業務計画を作成するなど、休暇等を取得しやすい環境づくりに努めております。
引き続き、全ての職員のライフ・ワーク・バランスの実現に向け、取り組んでまいります。
○岩永委員 次に、下水道局と政策連携団体の障害者雇用の現状を伺います。
○白川職員部長 当局におけます障害者雇用率は、令和二年六月一日時点におきまして、三・三五%でございます。
また、東京都下水道サービス株式会社の障害者雇用率は二・〇三%でございます。
○岩永委員 障害者が働きやすい職場にするために、合理的配慮が必要です。
水再生センターなどの現場で実施されている合理的配慮と相談体制について伺います。
○白川職員部長 下水道事業は、下水道管や処理施設の維持管理などの業務が中心でございまして、地下や高所など困難な現場が多い実態がございます。
こうした中におきましても、これまで当局では、水再生センターなどの現場を含む局全体で、障害を有する職員が働きやすい職場となるよう、障害の特性に応じた必要な配慮を実施してまいりました。
具体的には、多目的トイレやスロープ等を設置しているほか、職員との面談を通じまして、必要に応じて業務内容を見直すなど、きめ細かく対応しているところでございます。
また、都庁における障害者活躍推進計画に基づきまして、各部所に障害者職業生活相談員を選任いたしまして、職員が相談しやすい体制を整備しております。
引き続き、障害を有する職員が働きやすい職場環境の整備に努めてまいります。
○岩永委員 下水道局の女性割合は一二・九%、女性管理職の割合は六・五%、また、東京都下水道サービス株式会社の女性割合は七・三%で、女性管理職はいないということです。まだまだ圧倒的に女性が少ない職場であります。技術職が必要な職場ということでもありますが、女性を積極的に採用するなど雇用も含めた改善が必要と考えます。
また、イクボス宣言の紹介もありました。長時間労働の改善は、女性だけでなく、男性にとっても、子育てや介護のみならず、生活時間を取り戻すために大変重要な取組です。下水道局としても積極的に取り組んでいただくことを要望いたします。
さらに、女性や障害者が職場で困ったときに相談できる体制の充実を要望しまして、質問を終わります。
○西山委員 それでは、質問させていただきます。
私は、八王子市議のときに、八王子市の小宮町にあります八王子水再生センターを視察する機会がありましたので、そのときの説明で、多摩地域における下水道に関する管理は、東京都が水再生センターや幹線など、そして、市町村が公共下水道管を、それぞれ整備、管理しており、これにより一体となって機能していると報告を受けました。
そこで、本日は、東京都と市町村の連携という観点から、多摩地域の下水道における老朽化対策、雨天時浸入水対策、そして、震災対策などの取組について伺いたいと思います。
ところで、区部におきましては、現在、老朽化した枝線と呼ばれる下水道管の再構築として、資産管理となるアセットマネジメントの手法を活用し、計画的かつ効率的に事業を実施していると聞いております。一方、多摩地域では、この枝線の管理は、それぞれの市町村が行っており、地域によっては、下水道整備から五十年を経過している地域もあり、区部同様、老朽化対策が必要となるのが現状でございます。
そこで、まず初めに、多摩地域における市町村の下水道管の老朽化の状況と対策について伺いたいと思います。
○小団扇技術部長 市町村の下水道整備につきましては、昭和二十六年から開始され、現在では普及率が九九%を超え、下水道管の総延長は約一万三千七百キロメートルに及んでおります。
このうち、整備後五十年経過している法定耐用年数を超えた延長は約七百五十キロメートルとなっておりまして、まだ全体の約六%にとどまっております。しかし、耐用年数を超える下水道管の割合は、十年後には全体の約三割になり、二十年後には約六割を超えます。
こうした状況を見据え、市町村におきましては、予防保全の観点から、国が創設した下水道ストックマネジメント支援制度に基づき、二十七市町村が計画を策定し、下水道管の適正な維持管理に努めていくこととしております。
具体的には、下水道管の劣化損傷を把握するための点検調査や補修による延命化、計画的な改築を進め、老朽化対策を実施しております。
○西山委員 多摩地域の公共下水道の現状と対策について伺いました。
下水道整備が昭和二十六年から開始し、整備後から数十年を超えているにもかかわらず、次なる保全整備が整っていない現状を考えれば、今後ますます増加していく下水道管の老朽化に対応するためには、着実に対策に取り組むことが重要だと考えます。
事務事業の説明の中で、下水道局では、今年度から、市町村への下水道指導事務を都市整備局から移管を受けたことを踏まえ、市町村が抱える下水道事業の課題に対して、局の知識や経験を活用して、技術支援を充実させていくという内容でありましたので、ここで確認をさせていただきますが、下水道局は、市町村の老朽化対策に対してどのような技術面での支援を行っていくのかお伺いしたいと思います。
○小団扇技術部長 市町村は、当局が民間企業などと共同研究により開発したSPR工法などの更生工法を積極的に活用し、老朽化対策を実施しております。
そこで、当局がこれまで区部の再構築事業で培ったノウハウや経験を活用することで、市町村に対して、更生工法の設計、積算、施工に関する技術的な助言を行っております。
また、市町村職員の技術力向上を図るために、今月には、市町村の下水道事業の経験が浅い職員に対しまして、下水道管の再構築工事で採用している機材を使った実演など更生工法に関する技術の研修を当局の水再生センターにおいて開催いたしました。
今後も、市町村の課題を踏まえて、技術支援の充実に努めてまいります。
○西山委員 今ご答弁いただきましたように、これまでの経験を生かし、市町村の下水道事業の後押しをよろしくお願いいたします。
それでは、次に、下水道における雨天時浸入水対策について伺いたいと思います。
令和元年東日本台風の際に、私の地元であります八王子市の小宮地域におきまして、この雨天時浸入水を起因として、マンホールからの溢水などによる浸水被害が発生し、近隣の方々に大変な迷惑をかけたことから、雨天時浸入水対策におきましては、地元も強い関心を示しております。
冒頭に、八王子水再生センターを視察したという話をしましたが、まさにこれがきっかけでの視察となりました。視察時に説明いただきましたが、分流式下水道の汚水管に雨水が大量に浸入する原因として最も高い割合を占めるのが、市町村の管理する公共下水道管のひび割れであるという話を伺いました。また、このほかにも、排水設備の誤接続や大雨時の屋外流しからの雨水流入もあると伺っております。下水道管は、地下に埋設されておりますので、雨天時の浸入水の原因であるひび割れが、特にどこがひどい地域なのか特定させるとともに、その対策を取ることは急務でございます。
そこでまず、雨天時浸入水の原因となります公共下水道管のひび割れ対策をどのように進めているのか伺いたいと思います。
○小団扇技術部長 都はこれまで、市町村と連携して流量調査を実施することで、雨天時浸入水が大量に発生している地域の絞り込みを行ってまいりました。
さらに、効率的に調査を促進するため、昨年度から今年度の雨期までに、リアルタイムで雨水情報を把握できる多機能型マンホール蓋を設置し、時間経過に伴う流量などのデータを計測しております。
都と市町村で構成される雨天時浸入水対策促進会議を開催いたしまして、これらの調査結果を共有することで、雨天時浸入水量が多い地域の老朽化対策を優先的に実施するなど、市町村の効果的な対策を促進しているところでございます。
○西山委員 市町村の効果的なひび割れ対策への支援について伺いましたが、現在、ある程度地域の絞り込みができているようですので、速やかに情報共有を行い、効果的に対応していただきますようお願いをいたします。
次に、雨天時浸入水として、ひび割れ以外の原因となっているのが、排水設備の誤接続、また、屋外流しになりますけれども、この排水設備の誤接続並びに屋外流しに対してどのように取り組んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○小団扇技術部長 都は、公園などの排水設備などについて、市と合同で現地調査を実施し、雨水が浸入しないよう対策を促しております。
また、宅地内の屋外流しを通じて雨水が汚水管に流入しないよう、水のうで排水溝を塞ぐなど、簡易な対策を掲載したホームページや、リーフレットを作成することで、市町村の広報活動と連携しながら、都民への啓発を実施しているところでございます。
また、加えて、東京都排水設備要綱におきまして、屋外流しから雨水が浸入しないよう、排水溝の周囲をかさ上げする構造を明確化し、当局のホームページで周知するとともに、市町村の下水道部署に対しても、排水設備事業者を指導するように依頼しているところでございます。
○西山委員 これまで、発生源対策として、東京都と市町村の取組について伺いましたが、八王子市では、豪雨時にマンホールからの溢水が原因で周辺地域に浸水被害が発生していることから、さらに対策を強化する必要があり、地元もその対策と効果に注目をしております。
そこで、マンホールからの溢水を防ぐため、東京都の取組について伺いたいと思います。
○小団扇技術部長 都は、台風など豪雨時に、マンホールなどからの溢水被害を防止するため、昨年度の台風時期までに、八王子水再生センターにおいてポンプの増設を行いまして、揚水できる能力の増強を図っている、また、水再生センター付近のマンホール内部の改造を行うなど、施設の排水能力を強化いたしました。
これに加え、東日本台風時に、センター敷地内から雨水流出があったことから、今年度は、敷地内から雨水流出を防ぐため、敷地境界などに高さ一メートルの止水板を設置いたしました。
今後も引き続き、市町村と連携を図り、雨天時浸入水対策を強化してまいります。
○西山委員 東京都が雨天時浸入水対策を行っていることが分かりました。引き続き、よりスピード感を持って、市町村と連携した対策を促進していただき、地域住民の不安を取り除いていただくことを求めます。
続きまして、震災対策について伺いたいと思います。
先日、千葉県北西部を震源とする地震が発生し、多摩地域の一部でも最大震度五弱を記録したところもございました。今後も大きな地震が起こるともいわれているからこそ、事前の備えが必要であり、災害時においても、下水道機能の確保をするためには、東京都と市町村が一体となって行動することが重要だと考えます。
そこで、震災発生時におけます東京都と市町村の連携について伺いたいと思います。
○小団扇技術部長 これまで、災害発生時における下水道機能確保のため、多摩地域の三十市町村の職員による相互支援体制を構築し、都は、その調整役を務めてまいりました。
今年度から、下水道指導事務の当局への移管を契機に、この体制を拡充することとしまして、島しょのうち、公共下水道を有する新島村がこの体制に参画するとともに、当局職員が自ら被災市町村への支援を行う体制といたしました。
また、平成三十年度は、公共下水道施設の早期復旧に必要な応急復旧に係る協定を、令和二年度は、災害査定に関する協定をそれぞれ民間事業者団体などと締結などを行っておりまして、体制を強化しており、今回の拡充する支援体制も含め、訓練を実施いたします。
今後とも、都と市町村が連携しながら、災害時の支援体制の実効性を向上させ、安定的な下水道事業が運営できるよう努めてまいります。
○西山委員 災害に備えて、東京都と市町村が連携強化していくことにつきましては、評価させていただきます。引き続き、より多くの民間事業者団体とも協調し、災害時の体制強化に努めていただくことを要望いたします。
今回の千葉県北西部の地震では、下水道施設の被害はなかったものの、より震度の大きな地震が発生すると、下水道施設に被害が生じることも想定ができます。
そこで、東京都と市町村の下水道施設の震災対策の取組について伺いたいと思います。
○小団扇技術部長 都が管理する水再生センターでは、経営計画に基づき、耐震化の優先度が高い揚水、沈殿、消毒機能についての耐震補強などのハード対策と、応急対応や復旧などのソフト対策を組み合わせた対策を実施しておりまして、令和元年度までに、複数ある水処理系統の一系列で耐震対策が完了しております。
さらに、施設能力を最大限発揮するため、新たに対象に追加した水処理施設の導水渠、放流渠などの耐震化を推進してまいります。
具体的には、令和三年度は、八王子水再生センターの放流渠などの耐震化工事を進めております。
一方、公共下水道におきましては、二十六市町が下水道総合地震対策計画を策定しておりまして、そのうち十三市町では、避難場所などからの下水を受け入れる下水道管や緊急輸送道路等の下に埋設された下水道管の耐震化など、計画で定めた対策を完了しております。
○西山委員 震災対策のハード整備の取組についてご答弁いただきましたが、多摩地域には、市が整備、管理をしている下水処理場もあることから、東京都のこれらの取組についても、情報共有をしていただきたいと思います。
また一方、市単独では、様々な理由から耐震化が困難な下水処理場もあることから、東京都と市町村が連携をして、編入事業も進めていると聞いております。私の地元の八王子市でも、市が管理をしておりました北野下水処理場の下水を流域下水道の八王子水再生センターに編入することとしました。
そこで、編入事業におけますその効果についてお伺いをしたいと思います。
○小団扇技術部長 編入事業につきましては、八王子市が流域下水道の幹線につなぐ接続管などの整備を行うとともに、当局が水処理施設などを増設することで、令和三年一月に事業が完了しております。
その効果につきましては、市が管理する北野下水処理場の敷地は、狭隘なため施設の更新ができず、耐震化や高度処理への対応が困難でありましたことから、北野下水処理場を八王子水再生センターに統合することにより、これらの課題解決が可能となってございます。
また、八王子水再生センターと多摩川を挟んで対岸にある多摩川上流水再生センターを結ぶ連絡管によるバックアップ機能を活用することで、震災時における下水道機能を確保するとともに、スケールメリットを生かして、施設の更新費や維持管理費の軽減を図ることもできます。
こうした取組により、多摩川の良好な水環境の創出への貢献や、災害に強い安定的な下水道事業の運営を実現してまいります。
○西山委員 今後、経営計画二〇二一では、立川市の錦町下水処理場の編入も、令和五年度を目標に進めていると聞いておりますので、編入事業の効果をしっかりと見極めながら進めていただくようにお願いいたします。
本日は、東京都と市町村の連携という観点から、多摩地域の下水道における老朽化対策、雨天時浸入水対策、そして、震災対策などの取組を中心に伺いましたが、市町村との連携をさらに強化しながら、それぞれの市町村の各体力や事情をしっかりと見ながらも、都民の皆様に、水環境の改善、そして、危機管理の強化を図り、持続可能な多摩地域の下水道事業を実現することを要望し、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。
○村松委員 私からは、情報システム経費についてお伺いします。
まず、下水道局における情報システムにはどのようなものがあるか。開発経費と年間運用費がどれぐらいかかっているのかお伺いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局が開発、導入し、現在稼働している情報システムは、工事総合管理システムや下水道台帳情報システムなど、下水道の維持管理に欠かせないシステムのほか、人事給与システムや庶務事務システムなど、合計二十六システムございます。
これらのシステムの開発経費は、合計で約二十七億円、年間運用費は、令和三年度の契約額で合計約八億五千万円でございます。
○村松委員 開発経費の合計が二十七億円で、年間運用費が、本年契約額でいうと八億五千万円ということでございました。
システムは、便利な面がある反面、経費が増える傾向にありますから、セキュリティや利便性を追求しながらも、経費削減に努めていただきたいと思います。
国の会計検査院によると、平成三十年度に各省庁が行ったシステム改修の競争入札のうち、参加した業者が一つだけだった一者応札が九四%となっていたということで、ベンダーロックインが懸念されています。また、同報告によると、平均落札率は、応札者数が一者の場合は九六%になっているのに対して、応札者数が二者以上の場合は八二・五%と、一三ポイント以上低くなっていたとのことです。これを受けて、公正取引委員会では、全国の自治体へ実態の調査と報告をまとめる予定と聞いております。
システム運用において、特定のベンダーに発注せざるを得ないベンダーロックインになると、経費が高止まりする等の弊害が懸念されます。
そこで、下水道局におけるシステムでベンダーロックインが起きないようにするためにどのように取り組んでいるかお伺いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 システムの再構築に当たっては、総合評価入札方式等により、複数のベンダーから選定することを基本としております。その際には、要件定義を行う専門的知識を有するITコンサルタントを入札で選び、客観性のある要件定義を行うとともに、開発ベンダーを選定する際には、要件定義を行ったITコンサルタントを除外するなど、業者選定の公平性を確保する工夫を行っております。
こうした対策を講じ、複数ベンダーが競争できる仕様にしていくことで、今後もベンダーロックインにならず、経費が増大するなどの弊害が発生しないように取り組んでまいります。
○村松委員 開発ベンダーを選定する際には、ITコンサルタントを入れて、また、そのITコンサルタントは、その入札には参加できないようにするという工夫をされているということでございましたが、やはり現在の下水道局の多くのシステムで、開発委託事業者が運用委託事業者になっているということが見られます。
開発事業者が運用するということは一定理解をしております。開発事業者と運用事業者が変わってしまうと、一からシステムの見直しをしなければいけませんから非効率的ですし、入札しても受け手がいなくなると思います。また、下水道局固有の業務については、独自にシステム開発する必要があることも理解をしております。
一方で、他局と共通する業務については、システムを共用することで経費の削減に努めるべきと考えますけれども、見解を伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局では、下水道事業固有の業務については、独自にシステムの開発、運用を行っております。
一方で、デジタルサービス局が運用しているTAIMSによるポータル機能やメール機能をはじめ、総務局が運用している文書総合管理システムや財務局が運用している電子調達システムなど、知事部局と共通する業務については、システムを共有しております。
今後も、業務内容を踏まえ、システムの共有化などを検討し、経費の削減に努めてまいります。
○村松委員 システムの再構築を行う場合においても、特定ベンダーの技術に大きく依存することのないよう、また、他局と共有できる業務については共用化を検討するなど、経費の削減に努めていくということでございますから、さらにデジタルサービス局と連携をしながら行っていただきたいと要望して、私からは終わります。
○かつまた委員 下水道事業についてお聞きをいたします。
令和元年に発生しました東日本台風により、多摩川では氾濫危険水位を大きく超過し、田園調布にある水位観測所では既往最高水位十・八一メートルを記録するなど、計画規模を超える記録的な豪雨となりました。この台風の影響で、私の地元大田区の多摩川沿いの地域では、五百件を超える大規模な浸水被害が発生をいたしました。この原因は、浸水被害の影響が大きかった谷沢川からの越水のほか、多摩川の水位上昇に伴う多摩川への排水不良や上沼部排水樋門の閉鎖による内水の滞留、等々力排水樋門から多摩川の水が逆流したことなどが重なったことによるものだと聞いております。
浸水被害の軽減を図るためには、多摩川の水位が上昇した際にも安全かつ適切に樋門の操作ができることが必要だと考えます。
そこで、下水道局の樋門操作の安全対策に関する取組の状況を伺います。
○猪八重施設管理部長 樋門操作の安全対策についてでございますが、区部では、下水道局が多摩川に設置した樋門が七か所ございまして、そのうち五か所につきましては、大田区及び世田谷区と協定を締結し、操作を委託しているところでございます。
令和元年東日本台風の際には、区に委託しております一部の樋門では、強風などにより、操作盤に近づけず閉鎖作業ができなかった課題を踏まえまして、多摩川の樋門操作の安全対策などを実施いたしました。
具体的には、樋門操作に関わる職員の安全性を確保するため、堤防から河川に張り出した操作盤につながる通路の対策といたしまして、転落防止柵のかさ上げを実施しております。
また、樋門を操作する職員が、堤防から河川に張り出した通路を通らなくても、宅地側から安全に操作ができるよう、遠隔化を実施いたしました。
これらの取組につきましては、昨年五月の出水期前までに完了し、現在では、全ての樋門を適切なタイミングで安全に操作することが可能となっております。
○かつまた委員 ただいまの説明で、樋門操作の安全性に対しては、対応が完了していることが分かりました。
一方で、樋門閉鎖により内水氾濫が発生する場合もございます。樋門の開閉操作と維持管理は、都が地元区に委託をしているものもあり、多摩川など複数の自治体に沿って流れる河川では、下水道局や地元区、河川管理者である国などの関係機関相互で樋門に関する情報共有を行うことが重要となります。
また、災害時において、いつ、どこの樋門が閉まったのかなどの情報があれば、浸水被害を軽減する措置を講ずることができるため、近隣住民へも確実に情報が届くような情報共有の仕組みづくりが重要であると考えます。
そこで、樋門操作に関する局と関係機関との連携や住民への情報発信について伺います。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、令和元年東日本台風の際に樋門操作に関する情報共有に課題がございましたので、関係機関と情報連絡体制を構築いたしました。
具体的には、多摩川の水位や樋門の開閉状況などの情報を速やかに共有するため、地元区や国などの関係機関との情報伝達ルートやその手法を定めたことに加え、樋門の操作を委託している大田区及び世田谷区と、操作訓練や情報連絡訓練を、昨年度から年に一回、合同で行うことといたしておりまして、今年度は六月に実施をいたしました。
また、住民の方々に対しましても、地元区と連携し、ホームページやSNSなどを活用し、樋門の操作情報を迅速に広く周知することに加えまして、現地においては、樋門に回転灯を新たに設置し閉鎖時に点灯させることで、地域の住民の方々が樋門が閉鎖されたことを直接確認できるようにいたしました。
今後も引き続き、区などとの関係機関との連携や住民周知を徹底してまいります。
○かつまた委員 やはり地元の住民の方は、情報が入ってこないで非常に不安になる、そういった状況になると思いますので、ぜひ情報発信をお願いいたします。
また、引き続き地元区と連携を強化し、台風などの豪雨時においても万全な体制を確保できるように努めていただきたいことを要望とさせていただきます。
次に、合流式下水道の改善について伺います。
私の住んでいる地元大田区の呑川において、下水の貯留施設を整備する計画があります。
呑川の合流改善施設を整備する経緯を教えていただきたいと思います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、呑川など潮の干満の影響により水が滞留しやすい河川区域や水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域など十四水域を選定し、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設などの整備を推進しております。
この貯留施設の整備には事業用地の確保が必要となりますが、地元大田区の協力により、呑川流域にございます区立東調布公園の一部を事業用地として確保できたことから、シールドトンネルによる貯留施設の建設を行うこととし、令和二年より事業に着手しております。
○かつまた委員 多くの区民の方が、この貯留施設建設に大きな期待を寄せております。特に呑川流域にお住まいの方はなおさらであります。
私は、毎日のように呑川の側道を通っておりますけれども、特に台風など大雨が降った後は、川の水の汚れが非常に目立つ状況であります。一日も早く貯留施設の完成を待ち望んでいる一人として、この呑川の貯留施設の整備状況について教えていただけますか。
○袰岩建設部長 呑川の合流改善施設の整備事業は、呑川沿いに直径最大三メートル、総延長六・一キロメートル、総貯留量約三万八千立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する雨水貯留管を整備するものでございます。
現在、シールドトンネルの着手に向け、大田区立東調布公園の一部をシールドの掘進に必要な立て坑基地として借用し、用地の整備工事を進めているところでございます。
○かつまた委員 現状についてのご説明ありがとうございます。引き続き、地元大田区と連携して、呑川の良好な水環境の創出に向けて取り組んでいただきたいことを要望いたします。
次に、下水管の再構築工事についてお聞きをいたします。
東京都下水道事業経営計画二〇二一には、五年間の主な取組として、再構築工事と補修工事を組み合わせた対策を推進と題し、道路を掘らずに下水道管を内側からリニューアルする更生工法を活用し、道路交通や生活への影響を最小限に抑えて再構築を推進、下水道管の機能を維持するための補修や、道路陥没の影響が大きい路線を優先した取付管の取替えなどを計画的に実施となっております。
私の地元大田区では、区内の生活道路の路面下の空洞調査を行い、空洞を発見し、空洞にランクづけを行い、危険度の高い方から補修工事を行っておりますが、その空洞が、何らかの原因で陥没事故につながるケースが見受けられました。なぜ路面下に空洞ができるのか、様々な要因があると認識をしておりますけれども、その空洞の原因の一つが、下水管の老朽化によるといわれております。ぜひ、この下水管の再構築工事と補修工事を計画どおり、そして、加速度を上げて行っていただきたいと考えます。
そこで、下水管の再構築工事と補修工事の進め方について、下水道局の見解を求めます。
○袰岩建設部長 下水道局では、下水道管の調査を行い、健全度を把握し、老朽化対策と併せて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを図る再構築や定期調査結果を踏まえた補修など、計画的に推進しているところでございます。
枝線の再構築につきましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、このうち整備年代の古い都心四処理区を第一期再構築エリアとして優先的に再構築を進め、令和十一年度までに完成させます。
また、補修工事につきましては、定期的に目視やテレビカメラなどによる管路内調査を実施し、その結果に基づき補修工事を計画的に行うこととしております。
○かつまた委員 次に、再構築工事で活用するとしている道路を掘らず下水管を内側からリニューアルする更生工法とはどのような工法なのか、お聞かせください。
○袰岩建設部長 下水道管の更生工法でございますけれども、道路を掘り返すことなく下水道管の内側から補強する工法でございまして、既存の下水道管の内側に新たな下水道管を造ることで、新しく敷設した管と同等以上に機能を回復することが可能なものでございます。
○かつまた委員 ありがとうございます。更生工法について分かりました。
それでは、これまでの枝線の再構築の整備実績についてお伺いをいたします。
○袰岩建設部長 下水道局では、整備年代の古い都心部の約一万六千三百ヘクタールを第一期再構築エリアとして、汚水処理の普及概成後の平成七年度から優先的に再構築を進めております。
枝線の再構築につきましては、令和二年度に七百九ヘクタールで実施し、令和二年度末までに、第一期再構築エリアの六二%に当たる約一万八十ヘクタールを完了しております。
引き続き、令和十一年度までの第一期再構築エリアの完了を目指し、整備を進めてまいります。
○かつまた委員 ありがとうございます。
では、次に、道路の陥没の影響が大きい路線を優先した取付管の取替えなどを計画的に実施という方針を示されておりますけれども、この取付管の取替えに関する具体的な優先順位の考え方について教えてください。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、腐食のおそれが大きい箇所や国道、都道など重要な路線に埋設された下水道管等を優先し、調査頻度を定めまして計画的に調査を実施しております。
調査の結果から、劣化状況に応じ取付管の硬質塩化ビニール管への取替えや更生工法などによる道路陥没対策を実施しております。
また、整備年代の古い都心部の第一期再構築エリアでは、下水道管の再構築に合わせまして、取付管の取替えを実施しております。
○かつまた委員 経営計画二〇二一にも記載がございました下水道事業のさらなる推進が、国連で採択された持続可能な開発目標、SDGsにつながる二〇三〇年の年限を目指し、推進されることを最後に要望いたしまして、質問を終わります。
○森村委員 下水道事業は、都民生活や経済活動を支える重要な社会インフラであり、三百六十五日二十四時間、止まることなく汚水の処理や雨水の除去を行っております。
また、近年は、温暖化により頻発化、大型化する台風やゲリラ豪雨等による浸水から市街地を守る役割が年々重要性を増しており、あわせて、温室効果ガスの排出量削減や省エネの推進などを通じた気候変動対策など、時代の要請に応えていかなければなりません。
下水道事業の各種施設は高度経済成長期に集中的に整備されており、整備後半世紀以上が経過する施設が大多数を占める中で、今後、膨大な施設の更新を控えているという状況があります。そこで、私からは、下水道局が、今後どのように持続可能性を持って事業運営を行っていくのかという視点から質疑を進めさせていただきます。
まず初めに、汚水の処理、雨水の排除の方式についてですが、これは他の委員からも質疑がございましたので、私からは簡単にお伺いします。
汚水と雨水を同じ管で流す合流式と、汚水と雨水を別々の管で流す分流式、それぞれの特徴について伺うとともに、導入の経緯と今後の方向性について、改めて伺います。
○佐々木計画調整部長 合流式下水道は、強い雨の日にまちを浸水から守るため、汚水混じりの雨水を川や海などに放流せざるを得ない仕組みでありますが、弱い雨の日は、道路や宅地内にたまった汚れも雨と一緒に下水道管に集め、水再生センターで処理することができるメリットがございます。
一方、分流式下水道は、汚水混じりの雨水が川へ放流されるということはありませんが、雨水は河川などへ直接放流されるため、地面や道路の汚れ、ごみなどが雨水とともに河川などへ流出してしまうというデメリットがございます。
東京の下水道は、コレラ等の伝染病の蔓延や大雨による浸水被害が頻発していたことから、その対応を早期に図るため、合流式下水道を採用し、現在では、区部の約八割が合流式下水道で整備されております。
この合流式下水道の改善といたしまして、現在は、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めており、令和六年度から強化される下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に必要な貯留施設百七十万立方メートルのうち、令和二年度までに累計で百五十万立方メートルの整備を完了しております。
○森村委員 合流式下水道については、東京二〇二〇大会の開催に伴いまして、降雨時の水質悪化の要因として注目を集めましたが、その改善、着実に進めていかなければなりません。改善策の中でも大きな役割を担う貯留施設について、百五十万立方メートルが既に整備されているということですが、私からも、可能な限り早期の整備をしていただけるよう求めておきます。
さて、先日、会派メンバーとともに、多摩地域の汚水と雨水を処理する多摩川上流水再生センターを視察いたしました。そこでは、沈砂池、沈殿池をはじめ、微生物の働きを活用して汚れを分解する反応槽など下水の浄化処理工程をつぶさに確認させていただきました。
中でも私が関心を持って見せていただけたのが、下水の処理で発生する汚泥の焼却施設です。焼却灰は資源化され、コンクリート資材として活用されておりました。また、焼却の過程で、大量のエネルギーが必要になりますが、視察した炉は、昨年度の施設更新に伴い新たに導入されたもので、エネルギー効率が高く、従来のものに比べてCO2の排出量を年間約一万トン削減可能だというふうな説明を受けております。
こうした技術革新は、例えば、微細な気泡を活用した水処理工程などにおいても確認できましたし、使用電力の削減につながっています。このように、環境面での配慮や工夫が随所に施された施設整備は極めて重要なものです。
下水道事業については、都事業の中でも温室効果ガスの排出量や電力使用量が大きいものと承知しておりまして、さらなる技術革新が求められています。ゼロエミッション東京を実現するための取組についてお伺いします。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、アースプラン二〇一七を策定し、温室効果ガス排出量を、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%以上削減する目標を掲げ、排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程等で削減対策を行っております。
具体的には、副委員長お話ありました微細気泡散気装置や省エネルギー型焼却炉の導入などを進めた結果、昨年度には、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年度比で約二八%削減しております。
今後は、ゼロエミッション東京戦略の目指すべき姿を見据えた環境負荷の少ない都市の実現に貢献するため、アースプラン二〇一七に基づく省エネルギーの徹底や再生可能エネルギーの利用拡大の取組に加えまして、新たな技術開発を推進することなどにより、より一層温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいります。
○森村委員 ぜひ、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さて、今日の社会環境下において求められる役割を果たすためには、新たな施設の整備に加え、稼働施設の維持管理や老朽化した施設の更新が必要です。こうした施設更新については、新たに開発された技術を適時取り込みながら、計画的、戦略的に実施していかなければなりません。
今後、老朽化した施設の更新に莫大な費用がかかる見通しがありますが、どの程度のものになるか、見解を伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、老朽化した施設の更新に合わせて、雨水排除能力の増強や耐震性の強化などの機能向上を図る再構築を計画的、効率的に推進しております。
具体的には、下水道管の枝線につきまして、経営計画二〇二一の五年間で三千五百ヘクタールの再構築を進め、また、下水道管の幹線につきましては、五年間で三十五キロメートルの再構築を進めてまいります。
これら下水道管の再構築に加えまして、水再生センターやポンプ所の再構築の取組を着実に推進するため、五年間で約四千六百億円の事業費を見込んでおります。
○森村委員 二〇二五年には東京の人口はピークアウトし、その後漸減していくことが確実視されています。
一方、高度経済成長期に構築された下水道関連施設の老朽化は着実に進んでいきますので、更新していくには、今後の例えば三十年間、今ご答弁いただいた数字を基にすれば、単純計算で三兆円程度かかってくるんじゃないかと思います。非常に莫大な金額だと思います。
そこで、施設の長寿命化を図るなど、更新費用自体をミニマイズしていくべきだと考えますが、取組を伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、老朽化した枝線の再構築に当たりまして、ライフサイクルコストの最小化などを図るアセットマネジメントの手法を活用いたしまして、計画的、効率的に事業を進めております。
具体的には、下水道管の状況を調査し、計画的な維持管理を行うことで、法定耐用年数の五十年から、一年当たりの建設費と維持管理費の合計が最小となる経済的耐用年数の八十年程度まで延命化を図りまして、再構築を推進しております。
○森村委員 ご答弁いただきました八十年という延命化の目標年数を着実に実現していただくことを求めます。
その上で、施設更新については、これまでも様々な経験があると承知していますが、こうした点を踏まえれば、より効率的な更新ができるという技術がないか、具体的にお伺いいたします。
○青木技術開発担当部長 下水道局では、膨大な量の下水道管を適切かつ効率的に維持管理するため、劣化状況の撮影、診断等を自動に行うことができるミラー方式テレビカメラを採用するなど、デジタル技術を導入し、調査を効率的に進めてまいりました。調査の結果は、補修や再構築の推進に活用しております。
さらに、この技術をより発展させ、劣化状況等をAIが判定する技術の開発を東京都下水道サービス株式会社、TGSや民間会社と進めております。
また、道路を掘削せず、既設の下水道管の内面を更生するSPR工法をTGS等と共同で技術開発し、再構築を効率的に進めてまいりました。
一方、かつての水路を下水道幹線に転用したもののうち、SPR工法の適用が難しかった強度が低い幹線においても適用できるよう技術開発に取り組み、令和元年度から令和二年度にかけて試行工事を行い、品質等に問題がないことが確認できたことから、今後、本格採用に向け、工事事例を積み重ねてまいります。
効率的な事業の推進に向け、当局が開発した技術を活用していくとともに、さらに技術開発を進めてまいります。
○森村委員 ご答弁いただきました技術開発については、下水道局が本年九月に策定した技術開発推進計画二〇二一を確認しましたが、民間企業、大学、研究機関、国や他の自治体等々と連携しながら、オープンイノベーションを推進していくことが示されています。
こうした様々な事業主体と連携をしながら、都の下水道施設の場を活用して共同研究を行い、効率的、効果的な施設の維持更新につなげていただくよう求めさせていただきます。
次に、経営面での取組について伺います。
今年度から五か年を計画期間とする経営計画二〇二一においては、六百五十億円の企業努力を行うと聞いております。その中で取り組む予定の具体的な建設、維持管理のコスト削減について伺います。
○青木技術開発担当部長 経営計画二〇二一の計画期間五年間の企業努力として、建設、維持管理コストについて、二百億円の縮減に取り組んでまいります。
具体的には、建設コストの縮減として、ライフサイクルコストの縮減などを図るアセットマネジメント手法を活用した設備の再構築や、道路を掘らずに工事を行う非開削工法によるマンホール浮上抑制対策などを実施してまいります。
維持管理コストの縮減といたしましては、エネルギー自立型焼却炉等の導入や省エネルギー型機器の導入などを図ってまいります。
○森村委員 五年間で二百億円の建設、維持管理コストの縮減を行うとのことです。持続可能な財政運営を進めていくためには、しっかりとぜひ取り組んでいただきたいと思います。
引き続き、事業経営面での工夫について伺います。
水道事業においては、効率的な事業運営を行うために、官民連携の手法としてコンセッション方式の導入が一部の自治体で進んでいます。
下水道局においても、コンセッション方式等を含め、新たな施設運営手法を検討し、その結果、水処理施設の運転管理に包括委託を導入することにしましたが、この包括委託の導入効果について、局としてどのように考えているのか、見解を伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 包括委託の導入に当たりましては、東京下水道の特徴として、豪雨に脆弱な地域特性を有することに加え、人口や都市機能が高度に集積することなどを踏まえ、水再生センターの水処理施設の運転管理に関する困難度等の分析や運営主体の比較など、様々な検討を実施し、その結果、来年度から二つのセンターにおいて包括委託を導入いたします。
包括委託は、性能発注方式の複数年契約であり、現在の仕様発注方式と比べ、受注者のノウハウや技術力を生かした創意工夫が発揮しやすいものとされております。
区部では、落合水再生センターを運転管理ノウハウの移転が可能な政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、TGSに委託し、多摩地域では、清瀬水再生センターを引き続き民間事業者に委託します。
これにより、局、TGS、民間事業者の三者がそれぞれの強みを生かし、下水道事業を安定的に運営していくとともに、サービスのさらなる向上を目指してまいります。
○森村委員 包括委託導入後の評価、検証は、ぜひしっかりと行っていくことをお願いしておきたいと思います。
最後に、財政面について伺います。
下水道事業には、水道事業と異なりまして、一般会計から多額の繰入れが行われていますが、その理由と直近の決算額についてお伺いします。
○田中総務部長 下水道事業における経費の負担区分につきましては、汚水処理に要する経費は特定の利用者が便益を受けるため下水道料金により賄い、社会全体が便益を受ける浸水対策のような雨水の処理に要する経費等については一般会計が負担することが原則となっております。
雨水の処理に要する経費の対象や範囲は、総務省から毎年示される繰出基準に基づくものであり、都においても、この基準に従い一般会計繰入金として収入しております。
令和二年度の下水道事業会計決算における一般会計からの繰入額は一千六百四十四億円でございます。
○森村委員 下水道は、他の公営企業と比べても極めて公共性の高い事業であり、一般会計が事業財源を負担することは理解できます。持続可能な下水道事業の運営には、事業に必要な財源をしっかりと確保していかなければなりません。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響に伴いまして、昨年度の料金収入は大きく減収したと聞いております。新型コロナウイルス感染症が今後の社会経済活動に与える影響はいまだ不透明なところがあり、下水道事業を取り巻く経営環境はますます厳しくなるのではないかと考えています。
そこで、最後に、今後も厳しい経営環境を勘案すると、下水道収入の主たる要素である下水道料金の値上げにつながることを懸念するものですが、料金改定の見通しと将来的な財政運営について、局の見解をお伺いさせていただきます。
○田中総務部長 下水道料金収入は、将来的な人口減少等により長期的に逓減傾向にある一方、維持管理費は、労務単価や電気料金などの上昇により増加傾向にあります。
下水道事業を取り巻く経営環境は厳しい状況にありますが、新たな技術の導入による建設、維持管理コストの縮減や資産の有効活用による収入の確保など、様々な企業努力に取り組んでまいります。
経営計画二〇二一に基づき、これらの取組を通じ財政基盤を強化し、現行料金水準を維持しながら安定的な財政運営を推進してまいります。
○森村委員 厳しい経営環境の中にあっても、現行料金水準を維持しながら財政運営を推進していくとのご答弁、ありがとうございます。
冒頭から申し上げておりますとおり、近年、温暖化の影響が顕著でありまして、豪雨の際の雨水処理や浸水対策、また、ゼロエミッション東京の実現に向けた温室効果ガスの削減など、下水道局に求められる業務水準は、質、量ともに今後増加していくと考えております。
このような状況下にあって、膨大な施設更新を行いながらも現行料金水準を維持していくことは、決して容易なことではないと思います。引き続き、技術面、財政面、事業運営面であらゆる手法を検討しつつ、様々な工夫を行いながら下水道事業の持続可能な推進を求め、質問を終わります。
○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時八分散会
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