委員長 | 田村 利光君 |
副委員長 | 宮瀬 英治君 |
副委員長 | たきぐち学君 |
理事 | 古城まさお君 |
理事 | おじま紘平君 |
理事 | 大山とも子君 |
上田 令子君 | |
馬場 信男君 | |
中山ひろゆき君 | |
とくとめ道信君 | |
川松真一朗君 | |
鈴木あきまさ君 | |
藤井 一君 | |
山田ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員下水道局 | 局長 | 和賀井克夫君 |
技監 | 神山 守君 | |
総務部長 | 小林 忠雄君 | |
職員部長 | 白川 敦君 | |
経理部長 | 坂井 吉憲君 | |
計画調整部長 | 佐々木 健君 | |
施設管理部長 | 猪八重 勇君 | |
建設部長 | 青木 秀幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 福島 大起君 | |
技術開発担当部長 | 袰岩 滋之君 | |
施設管理担当部長 | 鈴木 豊君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 矢岡 俊樹君 |
管理部長 | 後藤 徹也君 | |
技術部長 | 小団扇 浩君 |
本日の会議に付した事件
下水道局関係
請願の審査
(1)三第一号 上・下水道料金と工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十八号議案 令和三年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第九十三号議案 多摩川流域下水道野川処理区、北多摩一号処理区、北多摩二号処理区、多摩川上流処理区、南多摩処理区、浅川処理区及び秋川処理区並びに荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の改良に要する費用の関係市町村の負担について
報告事項(質疑)
・東京都下水道事業経営計画二〇二一(案)について
○田村委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の請願審査、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより下水道局関係に入ります。
初めに、請願の審査を行います。
請願三第一号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小林総務部長 それでは、請願三第一号、上・下水道料金と工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願のうち、当局所管の下水道料金につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1、請願・陳情審査説明表をごらんください。
この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
請願の要旨は、令和二年度末をもって終了予定の油脂・皮革関連企業に対する下水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、用水型皮革関連企業に対する下水道料金の減免措置につきましては、平成二十八年第一回都議会定例会におけます決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補填を前提に、独立採算、負担の公平の原則の例外措置として、令和三年三月三十一日まで実施しているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○田村委員長 説明は終わりました。
念のため申し上げます。本件中、水道局所管分に対する質疑は既に終了しております。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 異議なしと認めます。よって、請願三第一号は趣旨採択と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
○田村委員長 次に、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第二十八号議案、第九十三号議案及び報告事項、東京都下水道事業経営計画二〇二一(案)についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小林総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の資料2、公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
表紙をおめくりいただきますと、目次がございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
下水道局が所管する政策連携団体及び事業協力団体における職員数と、その内訳として、都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
二ページをお開き願います。政策連携団体、事業協力団体の職員数の推移でございます。
政策連携団体及び事業協力団体における職員数の推移を、雇用形態別に過去五年分お示ししてございます。
三ページをごらんください。定数と職員数の推移でございます。
下水道局職員の条例定数及び職員数の推移を、職種別、雇用形態別に過去五年分お示ししてございます。
四ページをお開き願います。障害者雇用率の推移でございます。
国に報告しております障害者の実雇用率の推移を過去五年分お示ししてございます。
五ページをごらんください。工事請負契約の実績がある民間企業への局退職者の就職者数でございます。
下水道局と二年以内に工事請負契約を締結した実績がある民間企業へ就職した局退職者数を過去五年分お示ししてございます。
六ページをお開き願います。超過勤務時間数の推移でございます。
月八十時間を超えた超過勤務実績のある職員数及び職員一人当たりの月平均超過勤務時間数の推移を過去五年分お示ししてございます。
七ページをごらんください。業務委託の推移と委託先及びそれに伴う職員定数の削減数でございます。
業務委託の委託先、主な委託内容及び職員定数の削減数を過去五年分お示ししてございます。
八ページをお開き願います。二百五十平方メートル以上の未利用局有地の所在地及び面積でございます。
当局が所有する二百五十平方メートル以上の未利用局有地を、所在地別、面積別にお示ししてございます。
九ページをごらんください。委託費、人件費、固定費の決算額の推移でございます。
委託費、人件費及び固定費それぞれの決算額を過去五年分お示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。今後の少子高齢化、人口減少に対する施策でございます。
少子高齢化の進行や人口減少社会の到来を踏まえた下水道局の主な取り組みをお示ししてございます。
一一ページをごらんください。施設の維持管理に係る委託契約は民法上の委任契約に当たるか当たらないか契約形態がわかるものでございます。
下水道局における施設の維持管理に係る委託契約が、民法上の委任契約に該当するかについてお示ししてございます。
一二ページをお開き願います。局管理施設における感染症対策設備、対策の状況でございます。
下水道局における主な感染症対策などをお示ししてございます。
一三ページをごらんください。局職員における新型コロナウイルス感染症の発生状況でございます。
下水道局職員における新型コロナウイルス感染症の感染者数及び重症者数をお示ししてございます。
一四ページをお開き願います。障害者の採用、配置、業務、勤務評価における合理的配慮の取り組み状況でございます。
障害者への合理的配慮の取り組み内容を区分ごとにお示ししてございます。
一五ページをごらんください。障害者優先調達の契約件数、金額の実績でございます。
障害者優先調達の契約件数及び金額の実績について、随意契約、競争入札ごとに過去五年分お示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○田村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○たきぐち委員 それでは、下水道局の予算調査に当たりまして、私からは、先月発表された経営計画二〇二一につきまして、具体的な取り組み内容も含めて質疑を行いたいと思います。
まず、経営計画策定に当たっての基本的な考え方について伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回公表いたしました経営計画二〇二一は、今後の下水道事業が直面します施設の老朽化や、気候変動に伴う豪雨回数の増加、人口減少という三つの危機を見据え、長期的な視点に立って下水道サービスのさらなる向上を図るため、令和三年度から五年間の事業運営の指針として策定したものでございます。
この計画では、お客様の安全と安心を守り、快適な生活を支えるとともに、良好な水環境と環境負荷の少ない都市の実現に貢献することを目指して、老朽化施設の再構築や浸水対策、合流式下水道の改善、処理水質の向上などの施策について中期的な目標と取り組み内容を明らかにし、その目標に向け、事業を着実に推進してまいります。
また、水再生センターの一部に包括委託を導入し、効率的かつ安定的に施設を運営していくとともに、AIなどを活用した技術の開発、導入、行政手続のオンライン化などにより、サービスの質の向上に取り組んでまいります。
○たきぐち委員 老朽化、気候変動、そして人口減少という三つの危機を見据え、長期的な視点で事業の推進に取り組むということでありますが、具体的にどのような事業を推進していくのか、区部下水道事業と流域下水道事業のそれぞれについて伺いたいと思います。
まず、区部における主要施策についてでありますが、新年度予算では、一千八百億円の建設事業費が計上されておりますが、その半分に当たる約九百億円が再構築事業に充てられております。今後、高度経済成長期以降に整備された下水道管が、一斉に五十年の法定耐用年数を超える状況にあり、そこを見据えて再構築を進めていかなければなりません。
下水道管の延長は約一万六千百キロに及ぶわけでありますが、その中でも、網の目のように張りめぐらされている枝線の再構築は、まさに都民の生活に直結するわけであります。
そこで、下水道管の枝線の再構築をどのように進めていくのか、基本的な進め方について伺います。
○佐々木計画調整部長 枝線の再構築につきましては、アセットマネジメント手法を活用し、計画的に事業を推進してまいります。
具体的には、下水道管の状況を調査し、計画的な維持管理を行うことで、法定耐用年数の五十年から、経済的耐用年数でございます八十年程度まで延命化し、ライフサイクルコストの最小化を図るとともに、中長期的な事業の平準化を図り、再構築を実施しております。
事業の実施に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、老朽化対策とあわせて雨水排除能力の増強などを一体的に図ることにより、効率的に再構築を推進することとしておりまして、整備年代の古い都心部、約一万六千三百ヘクタールを第一期再構築エリアとして優先的に再構築を進め、令和十一年度までの完了を目指しており、今年度までに第一期エリアの六二%を完了する予定でございます。
今後は、経営計画二〇二一の五年間で、第一期エリアの再構築を八三%まで高めるとともに、第一期エリアの完了を見据え、区部西側の第二期再構築エリアの着手に向けた検討を開始いたします。
○たきぐち委員 整備年代の古いエリアから優先的に再構築を進めているということでありまして、この計画の五年間で、第一期再構築エリアの八三%まで高めるとともに、第二期再構築エリアの着手を検討していくとのことであります。確実に事業を進めていただきたいと思います。
下水道管の中には、こうした枝線が集まってきて、各水再生センターにつながる大きな下水道管である幹線があります。この管の大きさは、数メートルにも及ぶものもあるということでありまして、この再構築を進めていくには、技術的な困難さもあろうかと想像いたしますが、下水道幹線の再構築についても計画的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道幹線の再構築では、昭和三十年代以前に建設した整備年代の古い四十七幹線や調査に基づき対策が必要と判明した三十七幹線など約三百キロメートルを対象に再構築に取り組んでいるところでございます。
幹線は、規模が大きく、道路を掘削して新しい管に取りかえることは都市活動に大きな影響を与えることなどから、施工に当たりましては、道路を掘削せず、比較的短い期間かつ低コストで既設下水道管をリニューアルすることができる更生工法を最大限活用することなどにより、経営計画二〇二一の五年間で三十五キロメートルの再構築を進めてまいります。
また、水位が高いなどの理由により再構築工事を行うことが困難な幹線につきましては、下水の流れを切りかえるために必要となる代替幹線を先行して整備し、その後、幹線の再構築を進めてまいります。
具体的には、町屋幹線を新たに着手するなど、五つの代替幹線の整備を推進し、このうち駒形幹線など三つの幹線の整備を経営計画の期間でございます令和七年度までに完了する予定でございます。
○たきぐち委員 道路を掘らず、下水を流下させながら進めるSPR工法などの更生工法を活用して再構築を進めるということでありますが、こうした都と民間とで共同開発したすぐれた技術を活用することによって、効率的に老朽化対策を進められるということでありますので、幹線の状況に応じた代替幹線の整備もあわせて計画的に実施していただきたいと思います。
次に、浸水対策について伺います。
新年度予算では、建設事業費のうち、約四百七十億円が浸水対策に計上されております。
一昨年の台風十九号では、多摩川などの河川の溢水や多摩川の水位上昇による内水氾濫が発生したように、近年の激甚化、頻発化する豪雨への対策は大きな課題であると認識をしております。
都は、昨年一月に、東京都豪雨対策アクションプランを策定いたしましたが、浸水から都民の生命、財産を守るためには、貯留施設などの下水道施設整備を進めていくことが重要であります。
浸水対策の取り組みと今後の整備について伺います。
○佐々木計画調整部長 浸水対策につきましては、早期に浸水被害の軽減を図るため、五十四地区を重点化して、幹線や貯留施設などの整備を進めております。
現在の経営計画二〇一六の期間でございます平成二十八年度から令和二年度まで、今年度までの五年間で、渋谷駅東口地区など十一地区の整備を完了し、累計で二十五地区完了しているところでございます。
記録的な大雨となりました令和元年東日本台風の際には、これまでに区部で整備した合計約六十万立方メートルの貯留施設の六割程度まで貯留し、浸水被害軽減に大きく貢献いたしました。
今後は、経営計画二〇二一に基づきまして、目黒区自由が丘、世田谷区奥沢地区などの三地区を新たに重点化した地区に追加するなど、浸水対策を強力に推進してまいります。
○たきぐち委員 浸水対策につきましては、事務事業質疑でも取り上げさせていただきましたが、三地区を新たに重点化地区として追加するというご答弁でありました。
こうした重点地区などにおける施設整備を着実に進めると同時に、浸水予想区域図の見直しによる区市のハザードマップの作成とさらなる連携強化など、こうしたソフト面での施策もあわせて強力に推進していただくことを改めて強く求めておきたいと思います。
さて、下水道事業には、公共用水域の水質保全という大事な役割もあります。東京湾では、赤潮が発生し、海洋生物の生息に悪影響を及ぼしており、その要因の一つである窒素、リンの削減が求められています。また、雨天時における合流式の水再生センターは、晴天時の処理能力を超えた下水が流入した場合には、通常より簡易な処理を行った上で、川や海へ放流せざるを得ないと聞いております。
先日の一般質問におきまして、私の地元の荒川区にある東尾久浄化センターの水処理施設について伺い、高度処理によって水質改善が図られていくことを確認いたしました。同じく、荒川区にあります三河島水再生センターでいえば、一日当たり四十四万立方メートル、年間では一億六千万立方メートルに及ぶ下水を処理しておりまして、隅田川に放流しておりますが、この膨大な放流水の水質を向上させることは、隅田川の水質だけではなくて、その先の東京湾の水質保全にも効果があるものと考えます。
そこで、公共用水域の水質保全に向けた三河島水再生センターでの取り組みについて伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、標準的な処理法と比べ、窒素やリンを大幅に削減できる高度処理の導入を進めておりますが、高度処理は、施設規模が大きくなり、その用地確保や施設の整備には多くの時間を要しております。
そのため、既存施設の改造により、一定の水質改善を早期に実施可能な準高度処理の導入を進めることで、水質改善のスピードアップを図っております。
副委員長お尋ねの三河島水再生センターでは、今年度までに一日当たり三十三万立方メートルの準高度処理施設を整備し、さらに、経営計画二〇二一の五年間で、七万立方メートルの準高度処理施設を整備いたします。
また、雨天時の放流水質を向上させるため、三河島水再生センター内に降雨初期の特に汚れた下水を貯留する六万一千立方メートルの貯留施設などをこれまでに稼働し、さらに、令和五年度末までに、六千立方メートルの貯留施設の整備を完了させる予定でございます。
○たきぐち委員 高度成長期におきましては、隅田川に生き物が生息できないというふうにいわれておりまして、悪臭もひどく、区民からも敬遠されるほど汚染が深刻な状況だったと、今でも地元の方からかつての状況を伺うことがありますが、その後の下水道の整備、そして、今ご答弁がありましたが、三河島の水再生センターでの取り組みによって、現在では水質は大きく改善されているかと思います。
しかし、東京湾の水質を見ますと、赤潮の発生は依然として続いており、窒素やリンの除去に向けて、ほかのセンターも含めたさらなる取り組みを進めるなど、区部の処理水質の一層の向上を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局ではこれまで、隅田川や東京湾などに放流される下水処理水の水質を改善するため、高度処理や準高度処理の整備、さらには運転管理の工夫などに取り組んできております。
今年度までに整備した高度処理と準高度処理を合わせた一日当たりの処理能力三百四十三万立方メートルに加えまして、経営計画二〇二一の五年間で、準高度処理施設百九万立方メートルを新たに整備いたします。これによりまして、累計四百五十二万立方メートルの処理能力となり、水再生センター全体の処理能力に対する割合を約七割まで向上させます。
加えまして、窒素の流入負荷の大きい芝浦水再生センターなどで高度処理施設の整備に新たに着手するとともに、リンの負荷が大きい砂町水再生センターでは、汚泥処理の排水に含まれる高濃度のリンを除去する施設の整備に着手いたします。
このように、新たな経営計画では、各水再生センターの抱える課題に合わせて、高度処理及び汚泥処理の排水に含まれるリンを除去する施設などを導入し、効率的に処理水質の向上を図っていくこととしております。
今後とも、良好な水環境を創出するため、高度処理等の整備を確実に推進してまいります。
○たきぐち委員 東京湾に流入する窒素やリンなどは、周辺の埼玉、千葉、神奈川でも、約六割を占めるということでありまして、近隣自治体と共同した対策も必要でありますけれども、東京の水環境は、まさに下水道局が担っているわけであります。
先ほど申し上げたとおり、高度成長期に比べれば、東京の川や海の水質は大幅に改善されたかと思いますが、さらなる水質改善を目指して、取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
次に、地球温暖化対策について伺います。
事務事業質疑では、アースプラン二〇一七について取り上げまして、都の事務事業活動に伴う温室効果ガス排出量の約三五%を占める最大の温室効果ガス排出者である下水道局の取り組みについて確認をさせていただきました。
局では、二〇〇〇年度比で二〇二〇年度までに二五%以上、二〇三〇年度までに三〇%以上削減する目標を掲げ、温室効果ガス排出量の削減に取り組まれていますが、都は、ことし一月に、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けて、今後十年間の行動が非常に重要であるということから、二〇三〇年までに、温室効果ガスを二〇〇〇年比五〇%削減するカーボンハーフを宣言しました。
新年度予算では、エネルギー、地球温暖化対策として約百四億円を計上しておりますが、都や国において、脱炭素社会の実現に向けた機運が急速に高まっている中、下水道事業の温室効果ガス削減の取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、水処理やその処理過程で発生する汚泥の処理などに膨大なエネルギーを使用し、多くの温室効果ガスを排出していることから、アースプラン二〇一七を策定し、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでおります。
これまで再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギー型機器の導入などに取り組み、二〇一九年度には、二〇〇〇年度比で約二六%の温室効果ガス排出量を削減いたしました。
今後は、汚泥の焼却時に大量に排出される熱を活用した発電により、焼却炉の運転に必要な電気を自給できるエネルギー自立型焼却システムの導入などを着実に推進してまいります。
さらに、二〇三〇年のカーボンハーフを踏まえ、AIなどを活用し、一層の省エネルギー化と水質改善の両立を図る水処理技術の開発に取り組むなど、積極的に温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいります。
○たきぐち委員 下水道事業では、都内の年間電力使用量の約一%に当たる電力を消費していると聞いております。地球温暖化対策に局として大きな責任を負っているものと思います。
地球温暖化は、結果として、豪雨の激甚化、頻発化という形で、下水道事業に直接はね返ってくる問題でもあります。次の世代によりよい環境を引き継ぐためにも、下水道局の技術力の総力を挙げて対策を進めていただきたいと思います。
次に、多摩地域の施策、流域下水道事業についても確認をしておきたいと思います。
多摩地域の下水道は、都の流域下水道と市町村の公共下水道が一つのシステムとして機能しております。市町村では、下水道職員が減少し、効率的な事業実施が求められており、都と市町村がより一層連携を強化して取り組むことが重要であります。
そこで、都として、市町村との連携強化に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。
○小団扇技術部長 市町村では、下水道担当職員が減少する中、下水道施設の老朽化対策や雨水管の整備、雨天時に分流式下水道の汚水管に雨水が流入する雨天時浸入水対策などを着実に実施する必要がございます。
このため、都は、下水道情報交換会や現場見学会などを活用して、維持管理や危機管理に関するノウハウの提供や市町村職員の人材育成を支援しております。
さらに、令和三年度から、都市整備局が担ってきた市町村への下水道指導事務を下水道局へ移管することで、災害時の復旧支援など技術支援体制を強化充実させてまいります。
また、市町村の良好な事業運営の継続に向け、市町村が効率的な維持管理等に取り組む広域化・共同化計画を連携して策定し、多摩地域の下水道の持続的な運営を図ってまいります。
○たきぐち委員 来年度から、市町村への下水道指導事務が都市整備局から下水道局に移管されるということであります。よりダイレクトな支援体制のもと、多摩地域の安定的な下水道事業に取り組んでいただきたいと思います。
事務事業質疑では、樋門の操作に関するAIやICTの活用について質疑を行いました。一昨年の台風十五号、十九号では、樋門の開閉のタイミングや作業の危険性などが課題として指摘されたことから、職員による樋門などの開閉操作を支援するICTやAIを活用した技術を研究しているという答弁でありました。こうした気候変動や将来的な人口減少などを見据えると、さらなる事業の効率化や都民サービスの向上を図るためには、デジタル技術の活用は必須であります。
下水道事業におけるデジタルトランスフォーメーション、DXを推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道局では、AIなどを活用した新たな技術の開発、導入に向け、産学公が連携した共同研究などに取り組むとともに、行政手続のデジタル化を進めてまいります。例えば、激甚化する豪雨に対し、確実に雨水を排除していくため、幹線水位情報や東京アメッシュの降雨データ等をAIが解析し、雨水ポンプの適切なタイミングでの起動の判断を支援する流入予測技術の開発を推進してまいります。
また、多摩地域では、雨天時浸入水の発生源対策として、流域下水道と公共下水道の接続点等に、下水道管内の水位情報をリアルタイムに測定する多機能型マンホールぶたを設置していきます。これを活用し、測定結果を共有することで、市町村による効率的な原因調査と対策を促進してまいります。
さらに、行政手続において、お客様に来庁していただくことなく、いつでも、どこからでも手続を行っていただけるクラウドを活用したオンライン申請サービスを排水設備計画届等に導入し、都民サービスの向上を図ってまいります。
○たきぐち委員 下水道事業のあらゆる分野でデジタル技術を活用し、事業の効率化に向けて取り組んでいただきたいと思います。
さらに、下水道局では、事業の生産性、効率性を高め、さらなる下水道サービスの向上を図るため、二〇一八年から三年間、包括的民間委託やコンセッション方式などの新たな運営手法について、調査検討を行い、一部の水再生センターの水処理施設に包括委託を導入することとしました。
水再生センターは、いかなる状況においてもとめることができない施設でありますから、施設の選定に当たっては、慎重に検討する必要があると考えますが、経営計画二〇二一では、令和四年度から、区部では落合水再生センター、多摩では清瀬水再生センターに包括委託を導入するということであります。
そこで、この二つの水再生センターを選定した理由について伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 包括委託の導入を行うに当たり、浸水対策を担う下水道事業では、雨水ポンプ等の運転管理などで大きな責任を伴うことから、運転管理の困難性と施設の設置環境の二つの視点から評価、分析を実施してまいりました。
運転管理の困難性は、ポンプ排水区に位置するかどうかや雨水ポンプ台数の違いなど、豪雨時の運転管理等に関する事項であり、施設の設置環境は、主に地形等による浸水件数や設備の老朽化度合いなど、基本的な施設特性に関するものでございます。
落合水再生センターでは、雨水ポンプがない自然排水区にあることと水再生センターから遠方制御する雨水ポンプ所がないことなどの特性があります。また、清瀬水再生センターでは、分流式下水道であり、単独処理区編入による流入水量の増加がないことなどの特性があります。
これらを含め、総合的に判断した結果、運転管理の困難度が相対的に小さい両水再生センターを選定したものでございます。
○たきぐち委員 今回、落合水再生センターと清瀬水再生センターに包括委託を導入するということで、今、理由について伺いました。
その導入効果や履行状況などを検証し、効率的かつ安定した下水道サービスを提供すると同時に、しっかりと都民の安全・安心を支えていただきたいと思います。
次に、財政運営について伺います。
区部下水道事業の主たる財源である下水道料金は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、現時点では、前年度比で百億円を超える大幅な減収となる見込みと聞いております。来年度以降も、将来の人口減少などを勘案すると、下水道事業を取り巻く経営環境の厳しさは増していくものと考えられます。
都は、建設、維持管理コストの縮減とあわせて、下水道施設の上部空間を活用して、土地建物の貸し付けなど資産や資源の有効活用を進めることで、年間百億円を超える企業努力を行っており、今回の経営計画においても、五年間で総額六百五十億円の企業努力を行うことを掲げておりますが、いうまでもなく、企業努力は、局の財政基盤を強化するために重要な取り組みであり、確実に進めていっていただきたいと思います。
そこで、こうした企業努力を含め、今後どのように財政運営を行っていくのか、局の考え方を伺います。
○小林総務部長 下水道料金収入は、使用者の節水意識の向上などに伴う小口化の進展などによりまして、長期的に逓減傾向にある一方、労務単価や電気料金の上昇などによりまして、維持管理費などの支出は増加傾向でございまして、事業を取り巻く経営環境は厳しいものと認識してございます。
このため、財政運営に当たりましては、事務事業の効率化や建設維持管理コストの縮減、資産の有効活用などの企業努力を積極的に推進するとともに、国費等の財源確保や企業債の適切な発行管理を行うなど、不断の経営努力に取り組み、経営計画期間中は、現行の料金水準を維持してまいります。
さらに、計画期間以降の事業運営を見据えまして、今回新たに十年間の収支推計による中長期的な視点からの財政分析や他団体との比較をお示ししておりまして、これまで以上に、財政指標に基づく経営管理を推進することで、計画の実効性を高め、持続可能な財政運営に努めてまいります。
○たきぐち委員 不断の経営努力に取り組み、計画期間中は、現行の料金水準を維持するということでありますが、計画期間以降についても、東京駅周辺の常盤橋街区の再開発事業への参画など、さらなる資産有効活用によって収入確保を図るなど、引き続き安定的な財政運営に努められたいと思います。
また、流域下水道事業では、維持管理収支の赤字基調が続いている中、令和三年度から、市町村改良負担金を導入するということでありますが、この改良負担金を導入する目的について伺います。
○後藤管理部長 流域下水道の維持管理収支は、下水道の普及による増収効果や経営努力によって黒字基調で推移しておりましたが、近年は、多摩地域の下水道普及率が九九%に達し、さらなる増収が期待できない中、東日本大震災以降の労務単価や電気料金等の上昇により支出が増加し、赤字基調となっております。
維持管理収支の過去の黒字分である利益剰余金の残高は、この赤字基調に加え、施設の延命化や機能向上を図る改良費の市町村負担分に充当してきたことにより減少傾向であり、利益剰余金残高が底をついた場合は、安定的な事業運営に重大な支障が生じます。
現在の負担の仕組みのままでは、維持管理負担金単価と改良費財源を合わせて見直さざるを得なくなり、市町村の財政負担を急激に増加させることになりかねません。
このことから、多摩三十市町村の同意を得た上で、改良費の市町村負担分を改良負担金による直接負担方式へ変更することとしたものでございます。
○たきぐち委員 改良負担金の導入は、安定的な事業運営を行っていく上で必要な措置であるということがわかりましたが、事業主体である流域下水道本部としても、公営企業としての経済性を発揮し、事業執行全体についての一層の経営効率化に取り組んでいくことを強く求めておきたいと思います。
下水道事業における一年間の維持管理経費に当たる収益的支出は約四千億円であり、来年度の収益的収支は約二百四十九億円の黒字を見込んでおりますが、前年度に比べると、三十六億円の減少となっております。
きょうは、経営計画二〇二一の全般について、主要施策を中心に質疑を行いましたが、人口減少や気候変動など、将来のさまざまな変化を見据えながら、経営計画を着実に実行することが求められます。
最後に、経営計画二〇二一の推進に向けた局長の決意を伺います。
○和賀井下水道局長 東京の下水道は、先ほど質疑にも出ておりましたけれども、荒川区にあります三河島の汚水処分場が、大正十一年に我が国初の近代下水処理施設として稼働してから、来年で百年という節目の年を迎えることになります。この百年の間に、時代の変化に応じまして、さまざまな技術を導入してまいりまして、都民の生活衛生、それから水環境の向上に貢献してまいりました。今後とも、常に新しい技術を導入して、進化し続ける必要があると考えております。
そのためにも、この経営計画において、水再生センターへの包括委託の導入や、AIの活用等を含みますデジタルトランスフォーメーションの推進など、将来を見据えました新たな取り組みや新しい技術を積極的に取り入れることで、さらなる事業の効率化、サービスの向上に加えまして、エネルギー、地球温暖化対策も推進することで、下水道事業の経営のみならず、気候変動対策を含めたSDGsの達成と持続可能な都市東京の実現に貢献してまいりたいと考えております。
今後とも、お客様であります都民の生命と財産を守り、良好な水環境を次世代に引き継いでいくため、持続可能な下水道サービスの提供に向け、職員一丸となって経営計画の達成に全力で取り組んでまいります。
○たきぐち委員 来年、三河島汚水処分場が稼働して百年ということで、今、局長から決意を述べていただきました。
このポンプ場施設が、平成十九年に、下水道施設として初めて重要文化財として指定をされまして、一般公開されることになった平成二十五年に、式典が現地で開催されて、当時の猪瀬知事が出席をされまして、私も出席したことを思い出すところであります。ここに行けば、下水道の歴史や下水道処理の技術の進化などを知ることができるわけでありまして、ちょうど都電荒川線の荒川二丁目停留場の目の前にありますので、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたいと、個人的にも強く思っているところであります。
これまでの歴史の上に立って、今、局長から答弁がありましたけれども、将来を見据えた新たな取り組み、DXを初めとする新たな技術を取り入れて、都民の生活を支える下水道サービスの提供に向けて、局一丸となって取り組んでいただくことを最後に要望しまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員 私からは、浸水対策や震災対策といった安全・安心の確保に向けた下水道の強靱化に関する取り組みを中心に質問をいたします。
マスクしていますが、よく聞こえますか、大丈夫ですか。(「はい」と呼ぶ者あり)はい、わかりました。じゃあ、つけたまま質問させていただきます。
私からも、下水道局の新たな経営計画における浸水対策の取り組みをまず伺ってまいります。
近年、毎年のように、全国各地で記録的な豪雨が発生しておりまして、先週の土曜日も大変な雨の降りようで、本当にどうなってしまうのかなというような状況でございます。都内でも、令和元年東日本台風が襲来したことは記憶に新しいところです。また、昨年も、令和二年七月豪雨により、九州などを中心に、全国的な被害が発生をいたしました。このように、頻発する豪雨への対策は急務であり、浸水への取り組みは非常に重要であります。
令和三年度からの新たな経営計画では、これまで以上に浸水対策を強力に推進していくべきであると思いますが、まず、下水道局の見解をお伺いいたします。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、五十四地区を重点化し、幹線やポンプ所などの施設整備を進め、二十五地区で完了しております。
現在、二十三地区で事業を実施しておりまして、残る六地区につきましては、経営計画二〇二一の期間でございます令和七年度までに工事に着手いたします。
さらに、これらの地区に加えまして、新たに三地区を重点化する地区に追加し、一時間七十五ミリ降雨などに対応する下水道施設の整備に着手いたします。
今後とも、浸水対策を着実に推進することで、将来にわたり都民の安全・安心を確保してまいります。
○鈴木委員 新たな経営計画において、これまで以上に強力に浸水対策が進められるということですけれども、この中で、重点的に浸水対策を行う地区を三地区追加するということを今伺いました。
先ほどの質問にもありましたけれども、この新たな地区の選定方法と、選定した地区についても、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。
○佐々木計画調整部長 新たな地区の追加に当たりましては、雨量の変化に応じた下水道管内の雨水の流れや雨水が地形に沿って流れる状況などを評価できる流出解析シミュレーションの技術を活用いたしまして、区部全域で一時間七十五ミリ降雨があった場合の下水道施設の能力検証を実施しております。
その結果を踏まえ、広い範囲に床上浸水等が確認された世田谷区野毛地区と目黒区自由が丘、世田谷区奥沢地区の二地区を一時間七十五ミリ降雨に対応する対策強化地区として追加いたします。
また、近年の浸水被害の状況などを踏まえ、一時間五十ミリ降雨への対応を基本とする対策重点地区といたしまして、板橋区熊野町、中丸町地区を追加いたします。
○鈴木委員 今お伺いをしました新たな地区でも、これまでの対策と同様に、早期の事業着手に向けて、着実に進めてもらいたいと思います。
私の地元の大田区においては、既に四地区が重点化する地区に選定されており、このうち馬込地区では、事業が完了して、豪雨時には、貯留管に雨水が取水されて、浸水被害の軽減に大きく貢献をしております。この事業前は、中馬込地区は、もう本当に何年かに一度は、必ずこの浸水被害が出ていたんですけれどもね、そういうのがなくなりました。
その他の三地区について、田園調布地区での上沼部雨水幹線の整備など、過去にも私、質問をさせていただきましたが、改めて、大田区内のその他の三地区における事業の進捗状況についてお伺いをさせていただきます。
○青木建設部長 大田区内で実施中の浸水対策地区のうち、平成二十五年七月の豪雨で甚大な浸水被害が発生をいたしました上池台地区につきましては、一時間七十五ミリに対応する対策強化地区として、大森西地区、田園調布地区の二地区では、一時間五十ミリ降雨への対応を基本とする対策重点地区として選定し、事業を進めております。
上池台地区では、新たな増強幹線の整備に先行いたしまして、自然流下では浸水が発生しやすい低地部におきまして、多くの雨水を排除できるポンプ排水区への切りかえを行っておりまして、現在は、直径最大二・六メートル、延長約千七百五十メートルの下水道管のトンネル工事を施行中でございます。
大森西地区におきましては、既設幹線流域の雨水排除能力を増強いたします馬込幹線の下流区間の整備を行うものでございまして、現在、幹線のルート等に係る調査検討を進めておりまして、新たな経営計画の期間でございます令和七年度までに工事に着手する予定としております。
田園調布地区におきましては、新たな対策幹線でございます直径最大一・八メートル、延長約七百十メートルの上沼部雨水幹線を整備するものでございまして、令和三年度中の完成を目指し、現在、下水道管のトンネル工事を施行中でございます。
○鈴木委員 今、着実に工事が進んでいる状況をお伺いいたしました。
これまでも、この貯留管などの整備により、浸水被害は大幅に軽減されてきたわけでございます。浸水被害の早期軽減に向けて、引き続き円滑なスピーディーな事業の推進に取り組んでもらうことを要望いたします。
さて、次の質問ですが、川や海などの水環境を保全していくことも重要でございます。
東京都区部の八割の区域は、合流式下水道で整備されており、強い雨が降ると、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水を放流せざるを得ないという課題があり、下水道局では、この合流式下水道の改善に向けた取り組みを進めているわけであります。
また、下水の処理水質の向上については、窒素やリンを削減する高度処理施設等の整備を進めてきております。
私の地元の大田区に立地する森ヶ崎水再生センターは、晴天時に国内で最大となる日量百五十四万トンの処理能力を誇り、区部で発生する下水のおよそ四分の一を処理する重要な施設であります。都民の方々に、この森ヶ崎水再生センターの役割の重要さをぜひ知っていただきたいな、住民も、今までのこのセンターの取り組みに大変協力をしてきたわけでございます。私の地元の大森ふるさとの浜辺公園の水質を初めとして、周辺の、何というんでしょうか、水辺環境の改善、こういった良好な水環境を創出するために、水再生センターの放流水質を向上させていくことが私は重要だと考えております。
最近では、大分水質は改善されてきていると、私も地域に住む者として肌で感じてはおりますが、森ヶ崎水再生センターの合流改善と高度処理の取り組み状況をお伺いいたします。
○佐々木計画調整部長 森ヶ崎水再生センターでは、雨天時の放流水質を改善するため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する十二万二千立方メートルの貯留施設などをこれまでに稼働し、令和六年度から強化されます下水道法施行令への対応に必要な施設の整備を完了しております。
また、高度処理につきましては、今年度までに、準高度処理を含めて一日当たり九十一万立方メートルの施設を整備し、さらに、経営計画二〇二一の五年間で、五十九万立方メートルの準高度処理施設の整備を完了する予定でございます。
これによりまして、森ヶ崎水再生センターの水処理能力に対する高度処理と準高度処理を合計した割合は九七%まで向上させます。
○鈴木委員 この森ヶ崎水再生センターの処理能力に対する高度処理と準高度処理、割合を九七%まで向上させるというような今答弁をいただきました。
森ヶ崎の水再生センターに合った、現在、効果的な処理を行っていただいているというふうに理解をしております。より周辺の水辺環境が改善をされていくように、今後もこの取り組みというものをしっかりと進めていただきたい、このようにお願いをしておきたいというふうに思います。
下水道は、我々の日々の暮らしや都市活動によって汚れた水をきれいに生まれ変わらせ、川や海に戻すことで、首都東京の水循環を担っております。この水環境をさらに健全に保ち、よりよい水質を目指して、水質改善に一層の取り組みというものをしっかりと進めてもらいたいと思います。
私ども都議会自民党も、水の都議連というのがあるんですけれども、まさに水の都東京の実現に向けて、下水道局のしっかりとした取り組みを一層期待したいと思っております。
次に、水再生センターを結ぶ連絡管の整備について伺わせていただきます。
水再生センターは、二十四時間三百六十五日使われている重要なインフラでありますが、大規模な施設であり、老朽化対策による施設の更新には長期間を必要として、また、工事の期間中は一部の施設を休止しなければなりません。
下水道局では、森ヶ崎水再生センターと政治経済の機能が集中する都心部の下水を処理する芝浦水再生センターを結ぶ連絡管の整備を現在進めておりますが、この連絡管の整備目的について、これは私が二十年前に都議会に初めて当選させていただいたときにも伺って、公営企業委員会に最初入りまして、こういった問題も質問しているわけですけれども、二十年たっているわけなんですけれども、この整備目的についても、いま一度お伺いをさせていただきたいと思います。
○佐々木計画調整部長 森ヶ崎水再生センターと芝浦水再生センターを結ぶ連絡管は、将来、センターの施設を再構築する際の処理能力を補完するとともに、緊急時のバックアップ機能を強化するという主に二つの目的で整備を進めております。
具体的には、それぞれの水再生センターで再構築の工事を行う際に一部の施設を休止する必要があり、処理能力が一時的に減少することから、水再生センターの再構築の実施に先立って連絡管を整備し、もう一方のセンターへ下水を送ることで、再構築の期間中に不足する処理能力を補完いたします。
また、連絡管は、地震などにより一方の水再生センターが被災した場合でも、下水をもう一方のセンターに送って処理するバックアップ機能を有しておりまして、危機管理への対応を強化する役割も担っております。
○鈴木委員 連絡管の完成によって、水再生センターの再構築を進めるとともに、危機管理としての水処理のバックアップ機能が強化されるということは、大変心強いことであります。
そこで、森ヶ崎水再生センターと芝浦水再生センターを結ぶ連絡管の現在の工事、進捗状況についてもお伺いをさせていただきます。
○青木建設部長 連絡管でございますが、主に京浜運河の地下約六十メートルの位置に直径約六メートルのトンネルを延長約八キロメートルにわたって整備し、そのトンネル内に下水の送水管などを敷設するものでございます。
森ヶ崎水再生センターから品川区内の大井ふ頭中央海浜公園内までの約二・三キロメートルの区間につきまして、平成三十年度にトンネル工事を完了させ、現在、トンネル内の底部をコンクリートで仕上げる工事を実施しているところでございます。
残る約五・七キロメートルの区間につきましては、接続先となります芝浦水再生センターに新たに設置いたします主ポンプ棟の工事の進捗を見据えまして、鋭意設計作業を進めているところでございます。
引き続き、水再生センターの再構築の推進や危機管理の対応強化に向け、着実に事業を進めてまいります。
○鈴木委員 整備に当たって、大変長い年月を要しているわけでありますけれども、残る約五・七キロメートルの区間ということで、鋭意設計作業を進めているという今答弁をいただきました。非常に規模の大きい事業でありますが、引き続き、早期の完成に向けて、事業を円滑に進めていただきたいと思います。期待をしております。
危機管理への対応としては、先週、東日本大震災から十年目を迎えましたが、東日本大震災では、発電所が甚大な被害を受けたことから、計画停電や夏季の電力使用制限が実施されたことが思い出されます。また、平成三十年北海道胆振東部地震や令和元年台風十五号では大規模な停電が発生をいたしました。
震災などによる停電の際にも重要なインフラである下水道施設を機能させるためには、非常用発電設備の整備やそれを動かすための燃料の確保が重要でありますが、森ヶ崎水再生センターにおける停電対策はどのようになっているのか伺います。
○猪八重施設管理部長 森ヶ崎水再生センターでは、震災などによる停電の際にも水処理の機能や雨天時におけるポンプ排水の機能を維持するため、非常用発電設備を整備いたしまして、必要な電力を確保しております。
また、東日本大震災の際には、発電燃料の調達が困難な状況がございましたことから、発電燃料の確保に向けた取り組みといたしまして、都と石油関係の組合との間で、大規模災害時における石油燃料の安定供給等に関する協定を締結してございます。
さらに、東日本大震災では、耐震性にすぐれております中圧の都市ガス管からのガス供給には支障がなかったことから、灯油や重油のほかに都市ガスにも対応できるデュアルフュエル型の非常用発電設備を、発電設備の再構築に合わせまして、水再生センターで導入を進めてございます。
森ヶ崎水再生センターでは、経営計画二〇二一の期間でございます令和七年度までに、こうした非常用発電設備も整備を完了する予定でございます。
○鈴木委員 今お伺いをさせていただきましたように、非常用発電設備の整備、あるいは関係団体との協定の締結であるとか、新たに都市ガスにも対応できるデュアルフュエル型の非常用発電設備など、まさに危機管理への対応として、ハード、ソフトの面からさまざまな対策を進めているという、この状況をお伺いさせていただきました。令和七年度までに整備を完了する予定ということも今お伺いをしましたので、しっかり進めていただきたい、そのようにお願いをしておきたいと思います。
さて、最後になりますけれども、下水道の強靱化に向けた局長の決意をぜひお伺いさせていただきたいと思います。
○和賀井下水道局長 激甚化します豪雨から都民の生命、財産を守り、都市活動を支えるとともに、ちょうど東日本大震災から十年たちますけれども、いつ発生してもおかしくない首都直下地震などの自然災害に対しましても、下水道の機能を確実に確保するという、当局が担う役割は大変重要であるというふうに考えております。
新たに策定いたします経営計画でも、お客様の安全を守り、安心で快適な生活を支えることを経営方針の大きな柱に掲げまして、浸水対策や震災対策など、施策を積極的に推進してまいります。
具体的には、幹線やポンプ所などの整備を着実に進めるとともに、最新の流出解析シミュレーション技術の活用や、雨雲の発生をより高精度に観測できます東京アメッシュの整備など、浸水対策を強化してまいります。
また、施設の耐震化、非常用発電設備の増強、事業継続計画、BCPに基づきます応急復旧体制の整備など、震災への備えを万全にしてまいります。
今後とも、局一丸となって、ハード、ソフトの両面から下水道の強靱化を進め、安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。
○鈴木委員 今、局長から答弁をいただいた中で、特に私、思いますのは、最新の流出解析シミュレーション技術の活用や東京アメッシュの整備などで得られたこういった情報を、区市町村の防災部などにスピーディーに情報提供をしていただきたいんです。こういうような体制をしっかり整えるということが、本当に、先ほども、ソフト、ハードの面を充実していくという答弁があったんですけれども、こういったこともぜひお願いをしたいというふうに思います。
浸水対策の強化、震災への備えと下水道の強靱化に取り組むという局長からの力強い答弁をいただきました。
引き続き、下水道の強靱化を進め、安全・安心の東京の実現に貢献していただくことを要望して、私の質問を終わります。
○藤井委員 私は、令和三年度における下水道事業の予算に関連して何点か質問いたします。
まず、令和三年度の予算の内容を見ますと、震災対策の完成施設といたしまして、水がない状態でもポンプの運転ができるという無注水形雨水ポンプ設備というのがあるそうですけれども、これを三河島の水再生センターに設置するというふうになっております。
そこで、無注水形ポンプの内容、それから性能、そしてメリット等について伺います。
○袰岩技術開発担当部長 従来型のポンプを運転するに当たりましては、ポンプの内部の軸が回転する際に発生する熱によりまして部品が焼きつくのを防止するため、冷却する水が必要でございます。しかしながら、震災時には、停電や断水などによりこの冷却水が供給できない可能性がございます。
無注水形のポンプは、耐熱性の材料などを用いることでこの問題を解決し、冷却水が不要となるため、断水しても運転し続けることが可能となるものでございます。
このため、無注水形ポンプを導入することで震災への対応力が強化されることとなるものでございます。
○藤井委員 この無注水形のポンプというのは、冷却水が要らないから、断水しても運転ができる、まさに、いざというときの、震災のときの強力な力になるというふうに期待されているわけでございます。
また、無注水形ポンプの整備状況、今、どのような整備になっているのか伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、再構築などに合わせて無注水形ポンプの導入を平成二年から進めており、今年度、令和二年度末までに四百四十七台の無注水形ポンプ設備を導入しております。
令和三年度は、三河島水再生センターなどにおいて、新たに十三台整備する予定でございまして、令和三年度末には、七百四十一台のポンプのうち四百六十台が無注水形ポンプとなる予定でございます。
○藤井委員 今後も、この無注水形ポンプを拡大していくよう期待をしたいと思います。
さらに、エネルギー、地球温暖化対策といたしまして、下水道局は、江東区の東部汚泥処理プラント、このプラントでは、エネルギー自立型焼却炉というものを整備すると、新たに着手するというふうになっております。
そこで、このエネルギー自立型焼却炉とはどういう内容なのか、また、これによって、地球温暖化へどのような貢献をするのかについて伺います。
○袰岩技術開発担当部長 エネルギー自立型焼却炉は、下水汚泥の焼却処理工程における焼却炉の廃熱により発電し、炉の運転に必要となる電気を自給できる汚泥焼却システムでございます。
この汚泥焼却システムは、当局と民間事業者五者とが共同で技術開発を実施し、平成二十七年に実用化いたしました。
特徴でございますけれども、従来の焼却システムと比較した場合、焼却時の補助燃料が不要になることに加えまして、使用する電力をみずから賄うことで、二酸化炭素排出量を大幅に削減することができるため、温室効果ガス排出量の削減に寄与することができるものでございます。
○藤井委員 下水道局と民間事業者で共同開発をされたということで、すばらしいこういった技術を活用して、地球温暖化にさらに貢献できるように努力をしていただきたいというふうに思います。
次に、東京の浸水対策について伺いたいと思います。
東京の下水道は、二十四時間三百六十五日休むことなく都民の生活と首都東京の都市活動を支えている重要な役割を果たしております。台風やあるいは大雨の災害による浸水対策として、東京二十三区内では、一時間五十ミリや、あるいは七十五ミリの降雨に対応する基幹施設を整備しているわけでございますが、令和元年東日本台風、我々は台風十九号といった方がわかりやすいですけれども、この東日本台風の際に、都内二十五の区市町村で初めて大雨特別警報というのが発令されました。
そこで、この令和元年東日本台風の際に、二十三区内にあります下水道局の雨水貯留施設の中で雨水をどのぐらい貯留したのか、この点について伺います。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針に基づきまして、早期に浸水被害を軽減するために、地区を重点化し、施設整備を進めております。
これまで、幹線などの基幹施設の整備に加えまして、区部全体で五十八カ所、容量にして約六十万立方メートルの貯留施設を整備しております。
一昨年十月の令和元年東日本台風の際には、総貯留量の約六割程度まで貯留するなど、これまでの施設整備が浸水被害の軽減に貢献いたしたものと考えております。
○藤井委員 区部全体で約六十万立方メートルの貯留施設を整備しているということでございましたが、その容量の六割程度まで貯留したということでございます。
このように、貯留施設などの整備が完了した地域では、浸水対策が着実に効果を上げているというふうに考えます。そのため、さらにこういった貯留施設や幹線などの基幹施設の整備を拡充していくべきと、このように考えます。
そこで、今後の施設整備の拡充など、具体的な進め方について、令和三年度の取り組みを伺いたいと思います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、浸水対策の実施に当たり、従来から五十四地区を重点化して施設整備を進めており、この拡充につきましては、浸水状況を詳細に把握できる流出解析シミュレーションの結果と近年の浸水被害の状況などを踏まえまして、多摩川沿いの野毛地区など、新たに三地区を重点化する地区として経営計画二〇二一に位置づけ、対策を強化いたします。
今後、これまでの取り組みを着実に進めるとともに、新たに追加した三地区を含む九地区につきまして、経営計画の五年間で着手することを目指しており、早期着手に向け、調査や設計を令和三年度より順次行い、具体的な施設内容を検討してまいります。
○藤井委員 令和元年東日本台風では、すごい雨と風が吹く中で、多摩川の水位上昇に伴う排水不良ですね、水が流れない、排水不良による内水滞留やあるいは樋門が閉じられなかったことなどで、さまざまな要因によって、世田谷の二子玉川やあるいは大田区の田園調布地域などで、住宅地域に浸水被害がありました。
私の地元大田区でも、これが大きな問題になったわけですが、その際、下水道局は、樋門操作を遠隔化するとしておりましたが、これまでの下水道局の取り組み状況と今後の対策について伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、令和元年東日本台風の対応などで明らかになった課題を踏まえ、多摩川の樋門操作の安全対策などを実施してまいりました。
具体的には、堤防より川側でのみ操作する構造になっていた二カ所の樋門操作の遠隔化を昨年五月の出水期前までに実施し、下水道局が設置した七つ全ての樋門で堤防より宅地側からの操作を可能といたしました。
今後は、樋門操作をより確実、安全に実施するため、下水道事務所や区役所等の遠方から操作する検討を進めてまいります。
○藤井委員 樋門は、地域を水害から守るために設置をされているわけですが、樋門を閉鎖すると、降った雨が川に流れていかなくなることも考えなければなりません。地元大田区においてもこの課題に直面をしているわけでございます。
例えば、上沼部排水樋門付近において、一時間五十ミリ対応を目指した上沼部雨水幹線の工事が行われておりますが、この幹線に流入した雨水は、上沼部排水樋門を通って多摩川に流れる仕組みになっております。この雨水幹線が完成しても、多摩川の水位が上昇して樋門が閉鎖される状況になれば、雨水が多摩川に排水されず浸水被害が起こる可能性があります。
また、沼部地区においても、高潮防潮扉が設置されておりますけれども、昨年の浸水被害を受けまして、道路の雨水ますのふたですかね、これをグレーチングにつけかえる対策がとられました。これは効果があるといわれておりますが、やはり多摩川の水位が上昇して、この防潮扉が閉鎖されれば、雨水が多摩川へ排水されないで浸水被害が発生する可能性があると考えます。
一方、国土交通省の発表の資料によりますと、令和元年東日本台風は、多摩川流域の一部の観測地点で過去最大の雨量を記録したというふうにあります。さらに、大田区にあります多摩川の水位観測地点においても、過去最大の水位を記録したとのことで、その意味で、改めて、令和元年東日本台風の雨は、とてつもないものであったということがわかるわけです。
地球温暖化による気候変動が叫ばれている中で、このような事態にどう対応していくのかが課題になります。浸水被害が発生した地域住民からは、このような台風が再び来る可能性があり、台風や大雨のたびに自分の地域が浸水するんじゃないかと、不安で仕方がない、何とか対応してほしいという、こういった声をいただいております。
そこで、樋門を閉鎖するような大雨が降った場合の対応をさらに充実していくべきと考えますが、見解を伺います。
○佐々木計画調整部長 令和元年東日本台風は、多摩川流域を中心に計画規模を超える降雨がございました。このような雨に対応するためには、さまざまな関係者が連携し、減災に向けた対策に取り組む必要がございます。
このため、都では、大規模風水害検証会議を立ち上げ、令和元年十一月に三十五項目の対策を取りまとめました。
さらに、国、都、区などの関係機関が連携して、多摩川緊急治水対策プロジェクトを令和二年一月に取りまとめ、河川管理者である国は、堤防整備のほか、多摩川の水位を下げる対策として河道掘削等を実施しているところでございます。
下水道局においては、施設整備に加えまして、浸水被害を軽減するためのソフト対策を充実することとしており、具体的には、台風や豪雨時において樋門操作の情報共有を行うため、地元区と連携し、情報伝達ルートや方法を定めるとともに、住民の方々に対して、ホームページやSNS等を活用し、迅速に周知する体制を構築しております。
今後とも、多摩川の河川管理者である国、水防管理者である地元区との連携をより一層強化し、浸水被害を軽減させるための取り組みを進めてまいります。
○藤井委員 やはり住民の不安を解消するために、どんどん情報を伝えるということは重要だと思います。ぜひ、今後とも情報伝達について、さらに力を入れていただくよう要望したいと思います。
最後に、浸水対策に対しまして、下水道局長の決意をお伺いしたいと思います。
○和賀井下水道局長 近年、地球温暖化等の影響もありまして、これまで以上の豪雨ですとか大型台風が発生し、全国各地で浸水被害が多発している状況にあると思います。
令和元年東日本台風におきましても、私自身も、実際、直後に現地を訪れて、被災状況を見てまいりました。たしか台風が上陸したのは三連休の初日だったというように記憶していますけれども、私が行ったのは、ちょうど連休明けでした。もう既に水は引いていましたけれども、泥は固まって、ほこりだらけみたいな形になっておりました。甚大な浸水被害の中で、住民の皆さんが、泥をかぶった家財道具を懸命に後片づけする姿を目の当たりにしまして、改めて浸水対策の重要性を認識いたしました。
そして、その後、関係各局と連携しました豪雨対策アクションプランの策定ですとか、あるいは先ほどから出ています多摩川の樋門の安全対策など、スピード感を持って対応してきたところでございます。
一方で、抜本的な浸水対策には、幹線ですとかポンプ所などの基幹施設整備が不可欠でございます。
経営計画二〇二一におきましても、これまでのハード対策に加えまして、重点化する地区を三地区追加し、浸水対策を強化していくことといたしました。
また、樋門の操作情報を住民の皆さんに発信するためのツールを充実させ、浸水に備えるためのソフト対策も推進してまいります。
今後とも、局一丸となりまして、ハード、ソフトの両面から浸水対策を進め、安全・安心の確保に努めてまいります。
○藤井委員 引き続き、その浸水対策を強力に進めていただいて、安全・安心な都市づくりに貢献されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○大山委員 私は、九十三号議案について質問します。
この議案は、流域下水道の改良に必要な費用について、関係市町村の負担額を定めるものです。五十三億九千九百万円を三十市町村で水再生センターへの下水の流入量に応じて案分して負担するというものです。
今年度までは、維持管理収支会計が黒字のときの利益剰余金を積み立てていたので、そこから改良負担金に充てていたというわけですけれども、その積立金が少なくなってきたので、市町村に改良負担金を求めるということです。今までは、積み立ててあったものから出していたので痛みはなかったわけですが、今後は、市町村財政からの支出が必要になります。
議案の説明資料を見ますと、負担金額算出方法として、都と関係市町村の負担割合は、流域下水道改良事業に要する費用から、当該事業に対する国費を控除した額のそれぞれ二分の一とする。ただし、多摩川流域下水道改良事業のうち野川処理区における野川第二幹線の改良事業並びに北多摩一号及び北多摩二号処理区の改良事業に係るものについては、当該事業に要する費用から、当該事業に対する国費を控除した額の十分の七を都、十分の三を関係市町村が負担すると、二種類の負担割合基準がありますけれども、どうして二種類の負担基準があるんでしょうか。
○後藤管理部長 流域下水道におけます改良事業の都と市町村の負担割合は、建設事業と同様の考えに基づき定めておりまして、市町村と合意の上、国費を除いて、都と市町村とで原則二分の一ずつの負担としております。ただし、合流地域における野川第二幹線並びに北多摩一号及び北多摩二号処理区の幹線につきましては、雨水排除のため進められ、流域下水道幹線に河川の役割を兼ねた特殊性があることから、例外的に、都が十分の七、市町村が十分の三の負担割合としているものでございます。
○大山委員 建設事業と同様の考え方で、原則二分の一ずつの負担。十分の三と十分の七の割合になっているのは、雨水排除のためにつくられていて、河川の役割を兼ねているから下水道の役割だけではないからということです。つまり、原則は二分の一ずつだけど、理由があるから市町村負担の割合が三割というものもあるということです。
都と市町村の負担割合の二分の一ずつ、それから、都と関係市町村が七対三の根拠は何なんでしょうか。
○後藤管理部長 改良事業のそれぞれの負担割合につきましては、昭和四十六年に旧建設省から示されました関係市町村に負担させるべき額は、事業費から国費を除いた額の二分の一以下の額とするという通知を踏まえまして、市町村と十分な調整の上、定めたものでございます。
○大山委員 昭和四十六年の旧建設省の通知を踏まえてということです。
これ、昭和四十六年に各知事宛てに出された通知です。これに何が書いてあるかということなんですけれども、流域下水道の建設費または維持管理費について、関係市町村に分担金を求めることができるけれど、流域下水道が広域根幹的な施設であることから、原則として都道府県が管理すべきものを明記して、市町村の負担は、国費を除いた額の二分の一以下の額とすることや、関連公共下水道管理者、つまり、市町村が使用料として利用者に負担させるべき額、使用料の徴収状況等を勘案して定めることとされたいとしています。
つまり、下水道料金の値上げなどするようなことにならないように考えてくださいねということなんじゃないんでしょうか。今回の負担割合を決めるとき、この通知の内容はどのように考慮したんでしょうか。
○後藤管理部長 今回の改良負担金の都と市町村の負担割合につきましては、今ございました旧建設省通知を踏まえまして、市町村と十分な調整の上、定めたものでございます。
なお、改良費は起債が可能なことから、市町村の下水道財政の当面の影響は限定的でございます。
また、都といたしましても、市町村の負担軽減に配慮するため、国費の確保に向けて国に要望していくとともに、コストの縮減や事業費の平準化に取り組み、改良事業の効率的な執行に努めてまいります。
○大山委員 国費の確保については、国への要望はぜひ引き続き頑張っていただきたいと思います。
同時に、平準化にも取り組んでいくんだということなんですけれども、肝心なのは、都と市町村の負担割合です。通知は、先ほど述べたとおり、流域下水道は原則として都道府県が管理するべきものとして、市町村の負担割合は二分の一以下の額とするということ。さらに、その維持管理に要する費用については、下水道料金などが値上げにならないようにということまで通知で述べています。
改良事業の負担割合は、建設事業と同様の考え方でと一番最初に答弁されましたが、流域下水道建設事業関係市町村負担金事務取扱要綱というのが、やはり昭和四十六年六月十一日に局長決定がされています。その中に、関係市町村の負担金について、当該事業に関する国庫補助金及び調査費、施設購入費を控除した額の二分の一、これ局長決定ですよね。結局、この要綱に基づいて二分の一にしたということじゃないんでしょうか。
それぞれの市町村がどういう状況になるのかということを調べました。例えば、来年度の一般会計の予算額が約三百三億円の市は、毎年二、三千万円の負担増となるとか、一般会計の予算が約四百四十八億円の市は、大体二千七百万円の負担なんだということだとか、一般会計予算が約三百十六億円の市は市債をも発行するんですということでした。やはり、財政が小さい自治体にとっては、本当に大きな負担だといわざるを得ません。
改良負担金について、都と市町村の負担割合を定めて賄うというやり方自体は否定するものではありません。
しかし、財政力の弱い自治体にとって、大きな負担になることは確かであり、将来の下水道料金に影響を与えかねません。
来年度は、下水道料金には影響ないと答弁もされましたけれども、毎年の負担として積み重なっていくものです。旧建設省の通知でも、下水道料金のことを心配しているわけですから、東京都は、国費の確保について、国へ要望することはもちろんですけれども、都費の負担割合を大きくして、市町村の負担分を少なくしていくことが必要であるということを述べて、終わりにします。
○宮瀬委員 では、よろしくお願いいたします。
私の方からは、今回の予算審議に当たりまして、三局の皆さんに対して、特命随意契約の件を共通して聞かせていただいております。
下水道局に関しましては、政策連携団体であります東京都下水道サービス株式会社があると思いますけれども、その中で、東京都が、皆さん下水道局が、政策連携団体に特命随意契約をかけて、そのこと自体はもちろん悪いことではないと思うんですけれども、その内容が本当に正しいものなのか、二〇二〇改革プランの中におきまして、総務局の方が問題点を指摘しております。
やはり、監理団体の位置づけ、役割について、しっかりした検証が行われていない状況だと明言されていまして、活用する業務の領域や民間との動向などに係る検討が十分とはいえず、結果として特命随意契約の割合がほかの自治体と比較し高くなっている状況ですと。改めて、民間活用の可能性や他事例との比較検討を行うなど取り組みが必要なのではないかと書かれております。平成三十年一月三十日付の総務局監理団体改革の検討状況についてといったことであります。
それを受けて、今後点検していきましょうといった流れになっておりまして、この数字を見ると、平成二十八年度全体が四百三十六件、件数がある中で、皆さんのところは七十二件、大変ボリュームの多い数になっていると。監理団体改革は、公営企業が、大体半分ぐらいを占めている大きな領域になりますので、まずは数字をちょっと確認させていただければと思います。
下水道局から政策連携団体であります東京都下水道サービス株式会社への特命随意契約について、平成三十年度と令和元年度の契約件数と金額、下水道局全体の契約に占めるそれぞれの割合について伺います。
○小林総務部長 東京都下水道サービス株式会社、TGSに対します特命随意契約の契約件数と金額については、平成三十年度が七十八件、約二百六十五億円、下水道局全体の契約に占めます割合は、件数が一・五%、金額が一〇・六%でございます。令和元年度は七十四件、約二百七十九億八千万円で、局全体に占めます割合は、件数が一・四%、金額が一〇・六%でございます。
○宮瀬委員 割合は大体変わらずでありますが、金額で比べますと、大体十四億ぐらいふえているといったことでございます。
民間活用をするメリットとしていろいろありますけれども、やっぱり適切な競争が起きて、サービスの品質が上がっていく、もしくは価格の、コストが削減できると。その努力が最終的にコストの削減につながって、都民が最も求めております水道、下水道料金の値下げにつながっていくのではないかなといったことが、私の問題意識の出発点でございます。
そういった中で、総務局の方で点検をしなさいよといったお話があったと思いますが、平成三十年度から令和元年度にかけて削減した件数というのは何件なんでしょうか。
○小林総務部長 統合、廃止により削減した契約件数につきましては二十二件、新規に発注した案件が十八件でございまして、平成三十年度から令和元年度にかけて、差し引きで四件減少ということでございます。
○宮瀬委員 今のご答弁の中で、統合、廃止により削減した案件が二十二件とありまして、その一覧表を見せていただいて、廃止、廃止と二十二件続いているんですけれども、これは記載が廃止となっているんですが、これ総務局の書き方の指定が悪いのかもしれませんが、廃止という内容は、やはり一個一個見ていくと、契約がそのときでちょうど終了したものを廃止といっているようなニュアンスを受けておりまして、今ご答弁がありました削減した二十二件のうち事業が終了した案件というのはどれぐらいなのでしょうか。
○小林総務部長 平成三十年度から令和元年度にかけまして統合、廃止といたしました二十二件のうち、公設ます工事にかかわる施行監理作業を出張所業務委託に統合するなど、委託管理の効率化などの観点から契約を他の案件と統合したものが二件、老朽化した幹線の再構築計画立案のための事前調査委託など業務が終了したものが二十件でございます。
○宮瀬委員 二十二件のうち統合が二件と終了したものが二十件ということでございます。
となりますと、単なる事業終了ではなくて、本来の意味での見直しがされた案件というのは、実際幾つ、というか、あるんでしょうかお伺いいたします。
○小林総務部長 二〇二〇改革ということが出ておりましたので、平成三十年一月の都政改革本部会議で示されました団体改革の実施方針に基づき、下水道局におきましても、平成三十年度に、TGSへの特命随意契約について、社会情勢の変化を踏まえた民間活用の可能性や、他自治体におけます類似業務の実施方法との比較という二つの視点で随意契約を点検し、妥当性を確認したところでございます。
TGSへの委託業務につきましては、下水道管の維持管理業務や水再生センターの保全管理業務など、多岐にわたる複雑で専門性の高い困難な作業を束ねて、総合的かつ一体的に実施していく必要がある業務でございます。
このような業務は、都の下水道事業と密接な関係を有し、下水道局との一体的な事業運営により、技術とノウハウを共有するTGS以外には確実な実施ができないため、引き続きTGSへ委託することが妥当であると考えているものでございます。
平成三十年度から令和元年度にかけまして、縮小あるいは廃止した委託案件はございません。
○宮瀬委員 縮小、廃止した委託案件はないと。ゼロ件だというご答弁でございますが、では、再委託率ですね、平成三十年度、令和元年度について、東京都下水道サービス株式会社からの再委託率についてお伺いしたいと思います。
○小林総務部長 TGSでは、製造メーカー固有の技術が必要な設備の保守点検などを再委託してございまして、契約額に占める再委託率は、平成三十年度が三九%、令和元年度が三六%でございます。
○宮瀬委員 数字の方を最初に確認させていただきましたが、改革をやっていこうと、政策連携団体に対する特命随意契約をやっぱり考えていった方がいいのではないかといった問題提起がなされていて、実際、数字を確認していきますと、ちょっと厳しいいい方をして恐縮ですが、何ら削減、見直しがなかったといったことであります。
そうなりますと、特命随意契約の見直しというのがなされていかないのではないのかなと思っておりますけれども、本質的な見直しをすべきではないのでしょうか、見解を伺います。
○小林総務部長 下水道局におきましても、先ほど申し上げました団体改革の実施方針に基づきまして、平成三十年度に、TGSへの特命随意契約についての妥当性を確認してございます。
TGSへの委託業務は、下水道管の維持管理業務や水再生センターの保全管理業務など、多数の機械、電気設備や土木施設で構成されます下水道施設全体の状況を把握しつつ、多岐にわたる複雑で専門性の高い困難な作業を束ね、総合的かつ一体的に実施していく必要がある業務でございます。
このような業務は、都の下水道事業と密接な関係を有し、下水道局との一体的な事業運営により、技術とノウハウを共有するTGS以外では確実な実施ができず、二十四時間三百六十五日、下水道事業を安定的に実施していくため、TGSへ随意契約を継続しているものでございます。
今後とも、TGSへの業務委託に当たりましては、適切な委託管理に努めてまいります。
○宮瀬委員 そうなってきますと、総務局が掲げた特命随意契約に対する改革というのが、そもそもその改革のプランが間違っていたのか、皆さんのところだけ適切で全然問題ないのか。
三局聞きましたので、公営企業委員会全体で数字を計算してみました。平成三十年度と元年度の比較で、東京交通サービス、東京水道サービス、PUC、東京都下水道サービス、四団体が政策連携団体でありまして、その契約金額と件数を平成三十年度と元年度で比較しますと、まず、平成三十年度で答弁いただいた数で二百八、元年度になりますとそれが二百四になって、金額ベースでいいますと、六百二億五千万円が平成三十年度、元年度になりますと六百二十五億六千万円という形で、平成二十八年度比で恐縮ですけれども、平成二十八年度の全体の東京都から特命随意契約で発注しているその金額が一千二百四十六億円、件数にして四百三十六件でございますから、何がいいたいかといいますと、この三局が持っている四つの政策連携団体で、全体の約半数の金額と件数を占めていると。
廃止と書かれていたもので実際に終了だったのは七十件もございます。その中で本質的に見直したのは、大体六百二十五億のうち幾らなのかといったことを集計していきますと、水道局の案件で一件、四百十六万円です。予算六百億のうち見直しされているのが四百十六万円というのが、この三局の数字を計算した中でのファクトであります。全体に占める割合はその三局で五〇%を占めているわけであります。
そうなっていきますと、皆さんが政策連携団体に対する特命随意契約というものを本当に減らす気があるのか、はたまた問題ないと考えているのか、点検したけれども、私は、かねてよりいっているんですけれども、発注している局が点検してほしいといっても、当然皆さんがいいと思って発注したものでありますから、正しい点検ができるかどうかというのは、ほかの方が点検をしないとチェックがかからないと思っております。このことは総務局に対して質問する話なので、この場ではいいませんけれども、こういった状況というのは、そもそも問題点の解決にならないわけであります。
では、総務局の二〇二〇改革プランの中で掲げている理念、特命随意契約を減らして民間への委託を進めていく、そういった認識を皆さんお持ちなんでしょうか、改めてお伺いします。
○小林総務部長 TGSへの委託業務に関してでございますが、総務局が定めます全庁の政策連携団体改革の実施方針に基づきまして、社会情勢の変化を踏まえた民間活用の可能性や、他自治体におけます類似業務の実施方法との比較という視点で点検を行いまして、TGS以外では確実な実施ができないものについて、今後とも、TGSへ随意契約で委託を行ってまいります。
定型業務を初め、民間事業者に委ねられる業務につきましては、引き続き、民間事業者に委託をしてまいります。
○宮瀬委員 とはいいながらもですね、数字を見ればゼロ件なわけであります。引き続きという表現がありましたけれども、ここの数字は、私もちょっといつまで都議会議員やっているかわかりませんけれども、確認させていただきたいと思いますので、ぜひ、ご検討いただきたいと思っております。
次に、先ほど、藤井委員の方からも−−台風十九号、令和元年東日本台風という名称でありますけれども、その件について質問をさせていただきたいと思います。
昨年の事務事業質疑におきまして、ちょっと恐縮ですが、宿題とさせていただいた案件がございます。これは何かといいますと、大きな被害が出て、その数が、区部では二百七十八棟の浸水被害といったことであります。その中で、やはり、次、大丈夫なのかと。同じような台風が来たときに、もう一度浸水しないかどうかというのが、やっぱり住民の方の最大の関心事だと思っております。昨年は大きな台風来ませんでしたので、それはよかったと思うんですけれども、いつ来るかわからないと。
そこで、大きな被害が出ました多摩川流域、つまり、大田区、世田谷区のところと、それ以外のところに分母を分けまして、進捗を確認させていただきたいと思っております。大体二百七十八件のうち、大田区、世田谷区が二百三十三件と。残り四十五件がそれ以外の地域でありますけれども、その後の、次、大丈夫なのか、対応は終わったのかといったことでの状況についてお伺いしたいと思います。
○猪八重施設管理部長 令和元年東日本台風では、多摩川流域を中心に、計画規模を超える降雨がございました。
大田区、世田谷区では、浸水被害の要因が、多摩川の水位上昇に伴う排水不良による内水氾濫や多摩川からの溢水など、複合的な要因であると検証されまして、国や都、区などの関係機関で取りまとめいたしました多摩川緊急治水対策プロジェクトに基づき、各事業主体で対応を図ってございます。
下水道局ではこれまでに、樋門を堤防より宅地側から安全に操作するための遠隔化や地元区と連携した操作情報の共有など、対策を充実しておりまして、今後は、樋門操作をより安全、確実に実施をするため、遠方にございます下水道事務所等から操作する検討を進めてまいります。
また、河川管理者であります国では、多摩川の河川水位を下げるため、河道掘削等を行っていると聞いてございます。
さらに、水防管理者でございます地元区の大田区、世田谷区では、排水ポンプ車を増強させたことに加えまして、現在、大田区では、水防活動のための拠点整備を行っていると聞いてございます。
○宮瀬委員 ご尽力されていることには敬意を表したいと思いますが、やはり住民の方の不安は、それ、いつ終わるんですかと。この二百三十三件浸水してしまって、台風がいつ来るかわからないと。
今、やられていること、述べられていたと思うんですが、それはいつ終わるんでしょう。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、多摩川緊急治水対策プロジェクトに位置づけてございます樋門を堤防より宅地側から安全に操作するための遠隔化や地元区と連携した操作情報の共有化などによる対応を、昨年の出水期前の五月末までに完了いたしました。
今後は、樋門操作をより一層安全、確実に実施する観点から、遠方にございます下水道事務所等から樋門操作できるよう検討を進めるということでございます。
その他の対応につきましては、各事業主体がそれぞれ進めておりますことから、具体的な完了時期について、現時点でお示しをすることは困難でございます。
○宮瀬委員 大変広域災害ですので、国の問題、また地元区も複数ございますし、また、東京都の方でも、建設局ですとか、総務局ですとか、下水道局等あると思いますけれども、そのために多摩川緊急治水対策プロジェクトというのができていて、やっぱり、一局が終わったから終わりですという話でもありませんし、今の樋門の遠隔操作の件も検討を進めるといったこと、これ、皆さんのお話だと思いますけれども、そのスケジュールが見えてこないと。
大変難しい問題なのはわかるんですけれども、さきの事務事業質疑でも困難だと。やっぱりこういった縦割りですとか、横断をするそのプロジェクトがあるわけですから、全体で、このプロジェクトの、この二百三十三棟が再び浸水しないためのロードマップをちゃんとつくって、いつまでには完了するんだといったことを、やはり、時間がかかるのはしようがないと思いますよ、大きな話ですから。そのロードマップを見せないと、ちゃんと議論していただかないと、皆さん不安なのではないでしょうか。これ、じゃあ十年後なのか、五年後なのか、五十年後なのか、人によってそれぞれ危機管理の考え方、違うと思いますので、そこはぜひお願いしたいと思います。
また、二百三十三件のお話をさせていただきましたが、全体では二百七十八件浸水被害が起きたわけであります。その中で、引き算しますと、四十五棟の対応についてもお伺いしたいと思います。私の地元であります板橋区の地域でも、十棟、浸水被害が出ていますので、対応状況についてお伺いしたいと思います。
○猪八重施設管理部長 大田区、世田谷区以外の四十五棟のうち、三十五棟につきましては、区などと連携して、雨水ます等の点検や改良、清掃等の対応を昨年の出水期前までに完了いたしております。
残る十棟、板橋区の十棟でございますけれども、大雨で、志村幹線の水位が上昇した際に、雨を排水する雨水ますやU字側溝が破損しておりましたため、宅地や道路に降った雨を流すことができなかったのが主な原因でございました。
このため、都からの要請により、雨水ますとU字側溝の管理者でございます区が補修工事を実施し、出水期前の本年五月末までに完了させることとしております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。全体で二百七十八棟浸水していて、二百三十三棟、大田、世田谷に関しては、まだスケジュールが見えてこないと。しかし、残りの四十五棟について、うち三十五棟は全て昨年の台風の季節の前までに対応が終わっていると。昨年には間に合いませんでしたが、板橋区の十棟に関しましては、ことしの五月末までに完了させるということのご答弁でございます。
ぜひ皆さん、不安な方も、板橋区だけの話をしたつもりもございませんので、ぜひ、全体のスケジュール、絵を描いていただいて、順次対応していただければと思います。
質問終わります。
○田村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十八分休憩
午後三時十五分開議
○田村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○上田委員 まず、コロナ対策から伺います。
下水道局では、平成二十二年十二月、新型インフルエンザの際にBCPを策定して、去年一月、こちらを準用しまして、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置され、下水道機能を維持するための態勢の確保、感染拡大防止のために必要な情報共有を行っております。
国による感染症法改正及び一年以上の経過を経ての現行の運用と取り組み、課題についてご説明ください。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今般の新型コロナウイルス感染症につきましては、BCPや、都庁全体での取り組み方針等を踏まえまして対応しております。
感染症対策や全庁の支援対応が長期化する中、ライフラインを担う事業局として、事業継続のための態勢が確保できるよう、今後も取り組んでまいります。
○上田委員 対策、順次講じていらっしゃると思いますが、やっぱり職員の作業環境の整備も大切だと思います。
オンライン、テレワーク、テレハーフ、働き方改革等、知事が掲げるコロナ禍の都政運営、職場環境整備において、この一年の実績を踏まえた報告をお願いいたします。
○白川職員部長 当局ではこれまで、ライフワークバランスの向上のため、テレワークの積極的な実施に努めまして、育児、介護との両立や通勤負担の軽減等を図ってまいりました。
さらに、昨年二月から、全庁的な新型コロナウイルス感染症対策の方針を踏まえ、職員の出勤抑制などの取り組みを強化し、感染症リスクの低減を図っております。
なお、本年二月の本庁職場のテレワーク実施率は約七〇%に達しております。
今後も、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めてまいります。
○上田委員 事務事業質疑の資料7で確認したんですが、去年五月及び六月の料金収入は、前年同期と比較して一五%減少、この減少の原因は、緊急事態宣言が発令された四月以降、人の往来が減少したことによる駅、空港利用の縮小やテレワークによるオフィスビルでの勤務者の減少などに伴い、汚水排出量が減ったことによるものと考えられているとのことです。
新年度予算編成に当たって、この減収分の対応等、どう補っていくのか、見解を伺います。
○小林総務部長 来年度におけます下水道料金につきましては、使用者の小口化の進展に加えまして、新型コロナウイルス感染症の影響による使用量の減少などを見込み、今年度予算対比で約八十七億円減収すると見積もってございます。
こうした減収に対しましては、工事の平準化等に伴う約四十四億円の維持管理費の縮減や資産の有効活用等に伴う約二十五億円の増収などにより、対応することとしてございます。
○上田委員 水道さんと交通局の現場に組合事務所があるので、確認させていただいているんですけれども、資料12にありますように、組合事務所でのコロナ対策については、当局が管理していないということでありました。
しかし、幾ら本庁が所管しているところで徹底しても、組合事務所、現場にありますから、クラスターが発生しちゃえば意味がないわけで、どのような感染拡大防止策を打っているのか、関知しないでは済まされないと思います。
対策、課題認識等、所見を伺います。
○白川職員部長 下水道局の労働組合事務室における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、労働組合に対して、必要に応じて要請をしておりまして、当局に準じた対策の徹底が図られているという認識でございます。
○上田委員 先ほどのテレワークやリモートワーク等、コロナ対策についても、労働環境につきまして、局事業の円滑な運用に資する活動をされているということでの無料で都民の財産を貸しているということと私は考えておりますけれども、こういったところで、クラスターが、先ほどいったように、発生しないように、交通局でも、多数、クラスターも発生したこともあるので、把握をしなければならないので、認識しているでは、どうも済まされないと思います。
ご説明をお願いします。
○白川職員部長 下水道局における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、労使から成る各部所の安全衛生委員会を通じまして、当局が実施する対策について情報提供を行っておりまして、労働組合の理解、協力は得られているものと認識をしております。
○上田委員 今後の課題としては、認識から確認ということが必要と考えますけれども、所見を伺います。
○白川職員部長 労働組合とは、新型コロナウイルス感染症に対する危機意識を共有しておりまして、労働組合事務室における新型コロナウイルス感染症対策については、労働組合の役員等を通じて、必要な措置をとっていることを確認しております。
引き続き、新型コロナウイルス感染症対策については、労使で確認をしながら取り組んでまいります。
○上田委員 確認のお言葉をいただきました。よろしくお願いします。
災害対策です。
かねてより、私は、地下調整池や国土交通省所管の首都圏外郭放水路が活用され、氾濫防止に大いに貢献したことを挙げ、浸水対策については、都庁内はもちろん、国、近隣自治体と縦串、横串で縦横無尽な連携体制で臨むことを求めておりました。
東京都では、東京都豪雨対策基本方針に基づき、下水道や河川の整備、雨水浸透ますなどの雨水の流出を抑制する施設を、民間施設などに設置を促進する流域対策について、役割分担を定め、関係局が連携して浸水対策を推進しています。
役割分担として、下水道整備は下水道局、河川整備は建設局、流域対策を都市整備局が担当しているということですが、有事におけます連携体制につきまして、具体的にご説明ください。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大雨や洪水の警報が都内に発出された場合、地域防災計画に基づき、総務局総合防災部を中心に、各局及び関係機関との情報を共有する態勢が構築されております。
○上田委員 有事のときこそ、縦割りではなくて、連携の強化を求めまして質問をしている次第でございます。
一方、流域下水道においては、災害時などにおける下水汚泥処理の共同事業に関する協定が締結されました、埼玉県とですね。全国初ということで、かねてより連携を求めていた私としても大いに評価させていただきます。
締結までの経緯と、今後も近隣自治体とこのような連携を進めていくのか、方向性と所見を伺います。
○小団扇技術部長 都と埼玉県の流域下水道の処理施設は、近接した立地にございます。
このため、災害時などで、汚泥処理機能が低下した場合に備え、埼玉県と連携して、汚泥処理のバックアップ強化に取り組んだものであり、現時点では、その他の自治体との予定はございません。
今後、本協定の締結を契機として、埼玉県とともに、下水汚泥の受け入れ訓練を行い、協定の実効性を高め、連携してまいります。
○上田委員 経験値を生かしていただきたいと思います。
台風のとき、一昨年にもうなりますけれども、江戸川区には、冠水履歴マップというのがあるんですね。そのあたりを中心に、雨水ます、これが区道と都道にあって、江戸川区の危機管理室と、そして、東京都の五建に清掃の徹底のお願いをしたところでございます。
下水道局としても、浸水未然防止について、地域連携の一端を担う責務があると存じますが、どのような形で連携を図られているのか伺います。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、毎年六月を浸水対策強化月間と定めておりまして、区などと連携して、雨水ますの合同点検のほか、お客様に浸水の備えをしていただきますよう、土のうや止水板の準備などの注意喚起を行っております。
○上田委員 毎年六月の強化月間ということですけれども、一応、呼びかけをしているということなんですけれども、やっぱり江戸川区、下町なので、どうしても、玄関の前、張り出して、植木を置いたりしちゃうわけなんですね。
ぜひ、事前に周知をしていただきたいということで、それらの確実な効果的な住民周知、確実な実施ができているのか、取り組み状況と課題を確認いたします。
○猪八重施設管理部長 毎年六月に実施しております浸水対策強化月間につきまして、局のホームページやツイッター、さらには、駅前のデジタルサイネージなどを活用いたしまして情報発信を行うことで、多くの都民の皆様への周知を図っておるところでございます。
こうした取り組みによりまして、今年度の下水道モニターアンケートの実施結果を見てみますと、平成三十年度と比較いたしまして、浸水対策強化月間の認知度は向上してございます。
今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、都民の皆様と接するイベント等は実施しておりませんけれども、引き続き情報発信に努めることで、浸水に対する注意喚起を行い、さらなる認知度向上を図ってまいります。
○上田委員 やはり、よい意味で、さきの台風は危機感を持っていただけたものと数字でわかった次第でございます。
さて、平井地区地域住民が大変心待ちにしておりますことから、今回も確認させていただいております、小松川第二ポンプ所、本体は、ニューマチックケーソン工法によって沈下させた四つの地下構造体を連結して築造するものであって、現在は連結部分の掘削工事を随時施行中でございます。
東大島幹線において、地下鉄都営新宿線の直下を通過する際の障害物撤去工事を実施中でありますが、現在、障害物撤去予定区間の約八割に相当する四十五メートル地点を通過したところであります。引き続き、地下鉄への影響を抑制しながら、慎重に工事を推進していく状況にありますが、現時点の進捗と新年度に向けての想定を伺います。
○青木建設部長 小松川第二ポンプ所建設工事でございますが、ケーソンと呼ぶ四つの地下構造体を連結して築造する世界でも例を見ない工事でございます。
ケーソンの連結部は、狭小で、かつ地下四十メートル以上の深さがあることから、その掘削は、高い地下水圧や構造体の変位を、常時計測、監視しながら、慎重に進める必要がある技術的に非常に困難な工事で、掘削に時間を要しておりまして、来年度も引き続き施行してまいります。
東大島幹線及び南大島幹線工事における障害物撤去工事でございますが、掘削機内から鋼鉄製で強硬な障害物の切断撤去を行うものでございます。
本工事は、都営地下鉄の運行に影響を与えないよう、地盤や地下鉄の変位を、常時計測、監視しながら、慎重に進める必要があるとともに、切断に伴い、摩耗した設備を適宜取りかえながらの施行となるため、撤去に時間を要しておりまして、来年度も引き続き施行してまいります。
○上田委員 局は異なりますけれども、調布での陥没事故がありまして、慎重に慎重を要している様子はしっかりと受けとめさせていただいております。引き続き、定点的に確認をさせていただきます。
ことしで、東日本大震災から十年の歳月がたちました。被災地支援に、私、直後から入ったんですけれども、トイレの問題は、もう数々の方々が語られて、口々に語られていました。
東京は、人口規模も比較にならず大きいことから、下水道局の本領発揮であると考えております。さきの委員会で、仮設トイレが設置できるマンホールの数について質問しましたが、令和元年度末で七千四十五カ所であり、前年に対する増加はないとのことでありました。
そこで、仮設トイレが設置できるマンホールの数について、現状維持でよいかという考えか、もしくは設備上の限界があるのか、所見を伺います。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、震災時にも避難所などのトイレ機能を確保するため、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールとの接続部の耐震化を推進してございます。
耐震化が完了した場所におきまして、し尿が堆積しない程度の水量があること、また、道路交通や応急活動の支障とならない場所であることなどを条件といたしまして、仮設トイレを設置できるマンホールを、区からの要請に基づき指定をしてございます。
○上田委員 条件が整えば、ふえる可能性もあるというふうに理解させていただきました。
下水道管の耐震化が完了した箇所において、区から要請があった場合、仮設トイレが設置できるマンホールを指定しているということなんですが、そこで、区からの要請がされる前に、区が知らなかったりすることもあると思うので、周知はされないのか、また、増設への働きかけ、呼びかけはしないのか、見解を伺います。
○猪八重施設管理部長 東京都地域防災計画では、災害用トイレの確保を区の役割としており、この災害用トイレには、仮設マンホールトイレのほか、便槽つきトイレ、簡易トイレなど、さまざまなタイプがございます。
これを踏まえまして、各区では、地域の状況などに応じて、必要な災害用トイレの数の確保に努めておるところでございます。
仮設トイレを設置できるマンホールの指定に当たりましては、区から避難場所等の指定に関する情報提供を受け、これに対して、下水道局では、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールとの接続部の耐震化工事を行うとともに、工事の完了を区に周知いたします。その上で、区の要請に基づき指定をしているわけでございます。
今後も引き続き、区の防災への取り組みに協力をしてまいります。
○上田委員 ありがとうございます。しっかり周知をしていただいているということでありました。
そして、第四回定例会の事件案として、東日本大震災における原子力発電所に係る損害賠償請求に関する和解あっせんの申し立てが上がりました。
江戸川区もホットスポット最南端といわれ、葛西水再生センターにおいて、汚泥焼却灰から高濃度のセシウムが検出されたり、江戸川区民に大変に心配をかけ、その際、周知が後手に回ったことも物議を醸しました。その後の都の取り組みは承知しているところでございますが、一連の経費をようやく東京電力に請求するに至りました。
放射性濃度の検査費用については、事故発生後の平成二十三年度から昨年度までの累計で約一億四千万円とのことですが、新年度に当たり、東電への賠償請求の取り組みの考え方や目標をお示しください。
○小林総務部長 下水道局では、原発事故により支出を余儀なくされた全ての経費について賠償請求をするという都の方針に基づき、毎年度、請求内容を整理し、東京電力と協議を行ってまいりました。
これまで、放射性物質の検査費用や汚泥焼却灰の運搬、処分費用など、局全体で総額約八十五億円を請求しておりまして、既に約七十五億円を収入しております。
残り約十億円につきましては、本年二月に、原子力損害賠償紛争解決センターに和解あっせんの申し立てを行っており、公平かつ適正な和解案が示されますよう、審理の中で説明を尽くしてまいります。
○上田委員 総額八十五億円ですか、一億四千万、ちょっと、私の方、後で訂正の方をお願いしたいと思います。
水質悪化対策です。
一年延期となったオリ・パラですが、外国人観光客受け入れ断念の方向性の中、実施予定ではあります。
トライアスロンを安心して実現できるよう、開催に向けて、合流式下水道の改善対策として、降雨初期の特に汚れた下水を一時的に貯留する施設を百四十万立方メートル整備するとともに、芝浦水再生センターなど六カ所における高速ろ過施設の整備、お台場周辺海域の雨天時放流口にスクリーンネットの設置を完了させたとのことです。大会開催前や大会期間中においては、下水道施設に堆積した土砂などの清掃体制を強化し、ごみなどの流出を抑制することで水質の保全に取り組むということです。
港区やトライアスロン等関係団体からの要望は、何か受けとめていらっしゃるか、情報交換や連携体制等を具体的に実施しているか、全般について伺います。また、その成果や課題についても、どのように評価されているのか、ご説明ください。
○佐々木計画調整部長 港区からは、合流式下水道の改善対策に関して、区への情報提供など、密に連携や調整することを要望されている一方、トライアスロン等の関係団体からは、水質の保全に関する要望は受けておりません。
合流式下水道の改善対策といたしましては、水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域など十四水域などにおきまして、経営計画二〇二一の期間でございます令和七年度末までに、累計百七十五万立方メートルの貯留施設を整備する予定でございます。
貯留施設の整備には、事業用地や埋設空間の確保が必要となるため、関係区との連携を強化し、合流式下水道の改善事業を推進してまいります。
○上田委員 その芝浦水再生センターでございますが、新主ポンプ棟は、旧汚泥処理工場の撤去工事と並行して整備を進め、発生土搬出用仮設桟橋工事を令和二年八月に完了しております。旧汚泥処理工場の撤去工事については、平成二十四年度から撤去を開始されていますが、約二ヘクタールの敷地に構造物が点在している等のため、時間と費用を要しており、令和元年度までに要した撤去工事費は五十八億五千万円です。よって、コスト縮減及び工期短縮をさらに図ることを目的とし、引き続き、施設形状、施設配置、施工方法など、設計の見直しを行っているところです。また、本事業では、約六十万平米に及ぶ大量の掘削土が発生することから、搬出量の平準化や処分方法などの検討も進められています。
見直しと検討について、現時点の、時間も大分押しているところでございますので、現状を確認させていただきます。
○青木建設部長 芝浦水再生センターの新主ポンプ棟につきましては、発生土搬出用仮設桟橋工事を令和二年八月に完了いたしまして、引き続き、近接するモノレールなど重要な施設への影響を抑制する地盤改良工事を発注し、令和三年三月に契約したところでございます。
設計の見直しにつきましては、今年度中に完了する予定で進めておりましたが、本工事で最盛期に発生する年間約十五万立方メートルの掘削土の仮置きや処分先の検討に時間を要しておりまして、引き続き検討してまいります。
○上田委員 小松川のポンプ所等々なかなか難しいところがあると思います。
さて、水質改善の取り組みなんですけれども、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において、ご努力はずっといただいているんですけれども、いまだ一部稼働中、施設改造中でございますが、区部の水再生センター全体の計画処理能力は、一日当たり六百三十四万立方メートルであり、令和元年度まで、高度処理施設と準高度処理施設を合わせた一日当たりの処理能力は、その四八%に相当する三百三万立方メートルとのことで、今後とも、高度処理施設の導入を進めるとともに、関係自治体と連携し、東京湾の良好な水環境の創出に貢献するということで、下水道局は、水再生センターから放出される下水処理水の水質をより一層改善し、東京湾の赤潮発生要因の一つである窒素とリンを従来の処理方法よりも多く削減する高度処理施設や準高度処理施設の導入を進めています。
令和二年度は、森ヶ崎水再生センターなどで準高度処理施設の導入を進めているとのことでございます。
導入の進捗と成果についてご報告ください。
○佐々木計画調整部長 令和二年度末には、高度処理と準高度処理を合わせた一日当たりの処理能力は、三百三万立方メートルから三百四十三万立方メートルになる予定でございまして、これにより、水再生センター全体の処理能力に対する割合が四八%から五四%まで向上いたします。
○上田委員 一歩ずつ前進していること、確認しました。
この水質改善については、東京だけではなくて、国やほかの自治体で構成する東京湾再生推進会議で、水環境再生を図るための行動計画を策定し、水質改善に取り組んでおります。
今後も、関係自治体と連携し、良好な水環境の創出に貢献していくとのことですが、東京湾再生推進会議における国、ほかの自治体等、東京都へ求める施策、取り組みなどは何なのか、水質改善に向けて、都が担う役割は何なのか、広域連携の考え方も踏まえた所見を伺います。
○佐々木計画調整部長 東京湾再生推進会議は、国土交通省が事務局となり、関係省庁及び関係九自治体で構成され、東京湾の水環境改善に向けて取り組んでおります。
当局も含めた関係自治体の役割といたしましては、合流式下水道の改善及び高度処理の推進などにより、東京湾に流入する汚濁負荷の削減に取り組むことでございまして、引き続き、関係自治体と連携しながら、東京湾の良好な水環境の創出に貢献してまいります。
○上田委員 九自治体の声をちゃんと受けて、東京都だけのワンボイスではなくて、皆さんの声を受けとめて、ワンボイスでの取り組みをお願いいたします。
事業外収入です。
常盤橋街区再開発プロジェクトは、東京駅周辺の敷地三・一ヘクタールを、国家戦略特別区域の認定事業として、平成二十九年度から令和九年度まで、段階的に整備する計画となっております。下水道局では、銭瓶町ポンプ所が再開発区域内にあり、施設の再構築が必要なことから、地権者として本プロジェクトに参画しているということでございます。再開発区域内に銭瓶町ポンプ所及び下水道事務所等の土地建物を平成二十九年度に権利変換したことにより、新たに建設される民間ビルの一部にオフィスフロアの権利を取得しました。
また、これまでの収支の評価でございますけれども、芝浦水再生センター上部ビルの貸し付けなど、資産の有効活用に努めた結果、安定的に収入を確保できると認識していることですが、進捗と、令和三年度に当たって、プロジェクトがどう都民に還元、寄与するか、所見を伺います。
○坂井経理部長 資産運用についての評価でございますけれども、今年度は、芝浦水再生センター上部ビルの貸し付けで約七十八億円の収入を得るなど、資産の有効活用に努めた結果、安定的な収入確保はできているというふうに認識してございます。
常盤橋街区再開発プロジェクトにつきましては、新たに建設する民間ビルの完成後に保有する権利床を民間事業者に貸し付け、収入を確保していくことになるわけでございますけれども、その完成時期につきましては、令和九年度となってございます。
○上田委員 前向きな、こちら、工事となっていると思いますので、常盤橋の方は、またチェックをさせていただきまして、また、こちらの上部利用の方の収支も期待させていただきたいと思います。
外郭団体でございます。
東京都下水道サービス株式会社へ二百名超の都職員が派遣されていること、受発注の立場に同じ都の職員がいることの不健全性、利益相反が疑われないかを、水道局、下水道局だけじゃなくて、指摘し続けております。
毎回、適切に行っている旨、ご答弁いただいておりますが、新年度に向けて、コンプライアンスの徹底にどう取り組むのか、具体事例、研修、日々のルーチン業務を含めてご説明ください。
○白川職員部長 下水道局では、職員がその職務に利害関係を有する団体及び個人と接触するに当たって遵守すべき事項等を局の指針に定め、TGSから復帰した職員も含め、全職員が受講する研修などを通じて、局内に周知しております。
また、昨年度は、日々の業務の中で取り組むべき汚職等防止策の中に、テレワークを実施する際の注意事項を新たに設け、職員に周知徹底を図ってまいりました。
さらに、コンプライアンス推進月間を実施し、意識啓発資料の配布や職場討議を行う等、全職員の意識向上に努めているところでございます。
引き続き、こうした取り組みを進め、局一丸となって、コンプライアンスの推進を図ってまいります。
○上田委員 同じく、TGSの株式を一八・五%持っている一般社団法人東京下水道設備協会の会員には、下水道局発注の事業を受注している業者が会員となっていながら、全て随意契約となっていることを懸念しておりまして、コンプライアンス基本方針を踏まえて、問題がないか、以前にただしたところ、同様に法令、規則等に従いまして、適切に契約手続などを行っておりまして、コンプライアンス上の問題はないとのことで、それは当たり前のことですので、確認したところ、TGSとの契約に当たっては、契約内容や随契理由について、局指名業者選定委員会による確認を行うとともに、契約事務に従事する職員を対象とした契約事務研修を実施するなど、健全性の担保に努めているとの答弁でありました。
しかし、頼みの選定委員会は傍聴もできませんし、議事録全文も、都民も都議も見ることができません。この条件において、どうコンプライアンスを担保しているのか、ご説明ください。
○小林総務部長 TGSへの委託業務は、下水道管の維持管理業務や水再生センターの保全管理業務など、多岐にわたる複雑で専門性の高い作業を束ね、総合的、一体的に実施していく必要がある業務を委託してございます。
技術とノウハウを下水道局と共有するTGS以外には確実な実施ができないため、随意契約により行っております。
TGSとの契約に当たりましては、契約内容や随意契約理由について、局指名業者選定委員会による確認を行うなど、健全性の担保に努めるとともに、東京都電子調達システムの入札見積もり経過情報におきまして、件名、金額、委託概要、特命理由などの情報を公表し、閲覧することが可能でございまして、透明性の確保に努めてございます。
○上田委員 制度は瑕疵がないけれども、だから、結果なんですね、やっぱり随契が多いというところで、今後も着目させていただきます。
下水道局は、もうとにかく都政屈指に大型巨額工事が多くて、毎回毎回、工事議案が上がってきておりまして、細かく精査をさせていただいております。傾向として、同じ事業者が受注をすることの多さ、随契、特命随契の多さを懸念し、憂慮しております。
つきましては、地方自治法第二条第十四項の最少経費、最大効果の原則について、下水道局の見解を確認いたします。
○坂井経理部長 当局では、地方自治法等の規定に基づきまして、入札契約手続につきましては適正に行っているというふうに考えております。
○上田委員 規定に基づき適正に行っているというのは、一応、公営企業であれば当たり前のことではございますけれども、地方自治法の努力義務とされている最少経費、最大効果について、行政として具体的にどのような努力をされているのか伺います。
○坂井経理部長 地方自治法における最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならないとの規定につきましては、入札契約手続を含めまして、地方自治体が事務を処理するに当たって準拠すべき指針であるということから、当局もこの原則に基づきまして、適正に事務処理を行っているところでございます。
○上田委員 それでは、将来の人口減少に対応できる最少経費、最大効果を発揮できる方策の検討状況についてご説明ください。
○坂井経理部長 将来の人口減少に対応しまして、より効率的かつ効果的な事業運営を実現する上で、入札契約制度が果たす役割は重要であると考えてございます。
このため、今後とも引き続き、入札契約制度の適正な運用に努めてまいります。
○上田委員 では、契約の現状を見てみます。
形式上は一般競争入札とされておりますが、実質的には、適正な競争性が発揮されず特命随契とみなすことができるような契約状態でありますことから、実質的な競争性を確保し、最少経費、最大効果を発揮させるための方策を検討すべきと考えているんですけれども、そのように留意しているのか、所見を伺います。
○坂井経理部長 当局の契約においては、地方自治法施行令に基づきまして、経営の規模や過去の同種の工事実績等に関しまして、必要最小限の入札参加条件を付すなどによりまして、競争性と適正な履行の確保に努めているところでございます。
○上田委員 そのお取り組みの結果なんですけれども、かねてより入札辞退者が多過ぎることに関しても指摘し、辞退理由の把握を求めてまいりました。
下水道局では、辞退理由について、平成三十年八月三十日以降、電子調達システム上、回答が必須となり、提出が義務づけられておりますが、その運用と蓄積されたデータをどう入札制度に反映されているのか、また、データに係る課題も含めた所見を伺います。
○坂井経理部長 電子調達システムで把握している辞退理由を見ますと、技術者不足も含め、施工体制が整わないことというのが多い傾向にございます。
このため、発注時期を平準化するなど、多くの事業者が入札に参加できるような工夫を行っているところでございます。
○上田委員 毎回そうなんですけど、そもそも技術者が足りないのに、何で入札するんだろうというのを常に疑問に思っているところでございます。辞退して一者になっちゃいましたということであれば、その論理となってしまうと、入札結果については、当局における工事の特性によるものと考えますというふうにいつも答えるんですけど、その論理となると、そもそも入札の前提条件が機能しないということかなというふうに思っております。
せっかく入札しても、一者残って全部辞退、工事の特性だから仕方がない、技術者がそろわないということでありましたらば、どう健全性、公平性が担保されるのか、東京都の入札制度改革理念にのっとって、下水道局の所見を伺います。
○坂井経理部長 当局における施設の多くにつきましては、他の自治体に例を見ない大規模かつ高度、複雑な施設設備でございまして、システムとして一体的に制御、操作するものでございます。
改修等の工事につきましては、水再生センターやポンプ所等の施設を稼働させ、その機能を維持しながら、確保しながら、設備やシステム等を部分的、段階的に改築することが通例でございます。
入札参加を申し込んだ企業におきましては、こうした発注図書を入手した上で、工事内容を確認し、応札するか否かを判断しているというふうに認識してございます。
入札契約手続につきましては、関係規定に基づきまして適正に行ってございまして、今後につきましても、健全性、公平性の確保に努めまして、入札契約手続を適正に運用してまいります。
○上田委員 るる入札に関するご答弁いただきました。
令和三年度予算に向けまして、改めまして、実質的な競争性を発揮させる契約方法に転換させていく努力が必要だと思料いたしますが、下水道局の今後に向けての所見及び具体策を伺います。
○坂井経理部長 繰り返しになりますけれども、将来の人口減少に対応いたしまして、より効率的かつ効果的な事業運営を実現する上で、入札契約制度が果たす役割というのは重要であるというふうに考えてございます。
このため、今後とも引き続き、入札契約制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○上田委員 毎回毎回、確認させていただきますが、だんだんだんだん現状の厳しさが、ご答弁にも加味されていることは読み取れてまいりますので、適正運用にさらにお努めいただくよう、重ねてお願いします。
さて、本年度も、料金支払い者の減少と高度処理施設の高額化と下水道料金との関係の今後について、コロナ禍による経済の停滞、税収の悪化も踏まえた下水道局の見解は、処理水の水質を改善するための施設の改造や高度処理技術の導入など、都民生活や都の都市活動を支える必要不可欠なインフラとして、その役割を着実に果たしていく必要があると。コロナ禍における不透明な経営状態ではあるが、引き続き、コスト縮減や資産活用等の不断の経営改革に取り組み、下水道サービスのさらなる向上と持続可能事業の運用に努めていくというものでした。
令和三年度予算編成に当たって、都税収入も四千億ですか、減ったことから、当たり前のように繰り入れを当てにするというようなことも、厳しい財政状況となることは、今後間違いなく、これまでの想定から大きくモデルチェンジが求められます。見解を伺います。
○小林総務部長 下水道事業会計におけます一般会計繰入金は、総務省の繰り出し基準において、一般会計が負担すべき経費として、雨水処理に要する経費や企業債の元利償還金、高度処理に要する経費などが定められてございます。
今後も、この総務省の基準に基づきまして、適切に繰入額を見積もってまいります。
○上田委員 同じことは企業債にもいえます。
区部下水道事業の令和元年度決算におきます企業債の残高は一兆二千九百九十四億円、企業債利息は百七十八億円で、これは財政規模四千七百九十九億円の三・七%となっており、下水道の建設は、集中的に多額の投資を要し、その事業効果が長期にわたることから、企業債を充当することにより、世代間の負担の公平性を図っていると、予定調和を前提とした答弁をいただいておりますが、コロナ禍、世界最速で進む少子高齢化にあって、昭和の時代からの世代間の負担の公平という従来モデルでは対応できなくなることは明らかです。
こちらもモデルチェンジが必要であります。見解を伺います。
○小林総務部長 下水道は、その事業効果が長期にわたる公共性の高い社会資本でございますことから、世代間の負担の公平を図るために、施設などの建設財源として企業債を活用してございます。
都におきましても、今後、人口減少が見込まれる中、将来的な財政負担を見据え、企業債の発行規模や利率のバランス、償還方法などを検証しながら、適切に発行管理してまいります。
○上田委員 同じく損益勘定留保資金についての考え方も確認いたします。
○小林総務部長 損益勘定留保資金は、施設の減価償却費や資産減耗費など、現金支出を伴わない費用を計上することにより、内部に留保される資金でございまして、主に企業債の元金償還に充当してございます。
今後も投資水準を平準化することによりまして、安定的に推移すると見込んでございます。
○上田委員 最後に、毎度のこととなりますが、固定費の今後のあり方についてもご説明をお願いいたします。
○小林総務部長 下水道事業は、下水道管や水処理施設などの膨大な施設により運営するものでございまして、建設投資から生じる減価償却費と企業債利子が固定費の多くを占めてございます。
このため、減価償却費につきましては、アセットマネジメント手法を活用した施設の耐用年数の延長や道路を掘らずに施工可能な、更生工法の採用などによる建設費の縮減などによりまして、可能な限り抑制してございます。
また、企業債につきましては、発行、償還の管理を適切に行うことで、未償還残高の縮減を図り、利子負担を軽減させてございます。
今後とも、持続可能な財政運営に向けまして、固定費の縮減に努めてまいります。
○上田委員 ご答弁、しっかりと受けとめました。
委託費は、資料9にありますように、増加し続けております。企業債と損益勘定留保資金と固定費は、それぞれ相関しているわけで、企業債残高は一・二兆円、一兆円を超えるわけですね。これは、東京都でいうと、福祉保健局予算分ぐらいで、特別区だと、二区から三区ぐらいの一年の予算、十万人の市部であれば、多分、十市相当という巨額ということになりまして、ご説明のとおりの縮減、平準化、適切な発行管理といわれても、なかなか、どうやって解消していくのか、イメージがつかみ切れないところであります。
毎々、資料10にあります少子高齢化、人口減少施策をお尋ねするのは、常に同じような状況が続くわけではなく、今般、コロナ禍のように変わるわけで、こうした社会経済情勢に、いかに下水道局がスピード感を持ち対応しているのか、確認しているからなのでございます。平時も有事も常に支出を抑えることが肝要なのは、地方自治法、地財計画、そして、公営企業法を引き合いに出すまでもないところでございます。
では、どうするべきかということで、事業外収入をふやすことや入札、外郭団体への委託、再委託を精査させていただきまして、多くの事業者に入札参加を求めたり、人件費を減らしても、委託費がふえて、総体的にコストカットができていない点、TGSの副社長や相談役に受発注関係にある事業者をなぜ置くかと指摘してきたのは、そこに、不正や癒着、天下りという税金の無駄遣いを徹底してなくしてほしいからでございます。
改めまして、時宜に応じ、常に今般策定されました経営計画を見直し、支出の圧縮にありとあらゆる方策を講じることを強く求めまして、私の質疑を終わります。
○川松委員 私からも、質問を始めさせていただきますが、今回、令和三年度からの五年間を計画期間とする新たな経営計画が策定をされました。この計画に盛り込まれている老朽化施設の再構築や豪雨、地震等へ備える浸水、震災対策など、主要施策の推進は、当然ながら大変重要でございまして、都民の安全・安心のためにも、騒音や振動など、地元にも十分に配慮をしながら、引き続き着実に進めていただきたいと思います。
また、こうした施設整備とともに、下水道施設は、二十四時間三百六十五日運転し続けなければならないわけでありまして、下水道管などの管路施設や水再生センターなどの維持管理も極めて重要でございます。
ちょっと質問に入る前に一点だけ指摘しておきますけれども、特にコロナ禍において、きょうも一日、いろいろな質疑ありましたけれども、大災害のようなものがここに重なってきたときには、恐らく現場を持たれている皆さん方がそれぞれ瞬間的に判断をして対処しなければいけない事態になるんだろうと思っています。一年間のこのコロナ禍における東京都政の体制を見ていても、いろんなところにいろんな人たちが確認し合っている間に、手おくれになっている事案が多いように感じます。
コロナの対応で、いろいろ対策本部会議などやっていますけれども、この担当部局が総務局の総合防災部なんですね。それで、ずっといっているんですけれども、総合防災部は、地震やそういった豪雨対策を中心にずっとやってきた、災害対策としてやってきた部署であるにもかかわらず、一年間ずっとコロナにつきっきりで、もう残業時間も大変なことになって、疲弊している状態なわけですよ。そこに、もし仮に、大きな災害が来たときには、今の体制だと、私は、総合防災部という組織自体が機能するかどうか心配になっていまして、そういう最悪なことを想定すると、やはりそのときに、下水道局、それぞれの皆さん方、現場の皆さん方、お一人お一人のマンパワーによって、この東京が支えられるという局面も想定しながら、さまざまな行動をしていかなければならないんじゃないかということを、まずもって指摘をさせていただきたいと思います。
そこで、次期経営計画における維持管理に係る取り組みについて、まず初めにお伺いいたします。
○猪八重施設管理部長 下水道施設は、都民生活に必要不可欠な施設でございまして、委員お話しのとおり、二十四時間三百六十五日良好な状態を継続させるため、効率的に維持管理し、将来にわたって安定的に機能を確保することが求められてございます。
具体的に、経営計画二〇二一では、下水道管に起因した道路陥没が発生いたしますと、下水道の流下機能や道路交通に多大な影響を及ぼしますので、定期的に調査を実施するなど、引き続き、予防保全に取り組んでまいります。
また、自然流下が困難な箇所で用いる圧送方式の下水道管につきましては、運用上、長時間の停止ができないことから、点検や調査を充実させるとともに、計画的な補修を実施し、漏水などの事故に備えた対策を強化してまいります。
また、水再生センター、ポンプ所につきましても、定期的に調査を実施するなど、予防保全に取り組むとともに、水処理の運転に必要な送風機や汚泥焼却炉などの省エネ性を踏まえた最適運転に努め、維持管理費の縮減などの効率化に引き続き取り組んでまいります。
さらに、下水道管や施設などで、水位が高いことなどにより、人が入れず点検が困難な箇所もございますので、ドローンなどによる新たな調査手法を検討し、定期的な点検調査に活用してまいります。
○川松委員 ありがとうございます。本当に膨大な施設でございまして、定期的な点検調査や計画的な補修をしっかり行って、適切な維持管理に取り組んでいただきたいというふうに思います。
少し視点を変えますと、下水道施設が休みなく稼働しているということは、そこに従事されている下水道局の職員、関係事業者の皆様方も、当然ながら、二十四時間三百六十五日体制で対応されているということになります。
それは、このコロナ禍においても例外ではなくて、都民の皆様の暮らしに不可欠な下水道機能をとめないために、日々尽力されているということについて、改めて敬意を表したいと思っています。
この一年間、エッセンシャルワーカーという言葉をよく耳にするようになりました。最前線で感染者の治療に当たっている医療従事者の方が象徴的に取り上げられていることが多くて、そのエッセンシャルワーカー、イコール医療従事者というふうに認識されている方もたくさんいらっしゃるわけですけれども、生活の根幹を支えるライフライン維持のために働く人々、下水道局の職員の皆様、関係者の皆様も、まさにエッセンシャルワーカーであるということをここで強調したいと思うんですね。
そこで、このコロナ禍における現場職員等の安全対策について確認をさせていただきたいと思います。
この一年、下水から新型コロナウイルスが検出されたというような衝撃的な話も報道などでたびたび目にしております。下水道局においても、日本水環境学会のメンバーである東京大学からの依頼を受けて、下水試料の提供をしているということでございましたが、その東京大学においても、新型コロナウイルスRNAの検出に成功したことが去年発表されていることは、誰もが承知だと思います。
この日本水環境学会の研究の目的は、標準的な分析手法の確立と感染拡大の兆候の把握ということでありまして、その研究成果について期待すると同時に、日々、下水道事業に従事する職員の皆様、関係者の皆様に、下水から感染するリスクはないのかということが心配されるわけであります。
先般、下水道局において、下水中の新型コロナウイルスの感染性についての調査を行ったということですが、改めまして、その内容と結果についてお伺いいたします。
○猪八重施設管理部長 下水道局職員や下水道事業に従事する関係者に対しまして、下水中の新型コロナウイルスの感染性に対する不安を払拭することは、下水道事業を安定的に運営する上で極めて重要であると考えてございます。
そのため、昨年、全ての水再生センター二十カ所の流入下水及び放流水中の新型コロナウイルスの感染性を調べることといたしまして、東京都健康安全研究センターの協力のもと、調査を実施してまいりました。
調査の内容といたしましては、下水試料を遠心分離などの前処理を行った後、新型コロナウイルスの遺伝子の有無を確認するPCR検査と感染性の有無を確認する細胞培養試験等行ってございます。
その結果、全ての水再生センターの下水中から、感染性のある新型コロナウイルスが検出されなかったことを確認しております。
○川松委員 ありがとうございます。下水道局の調査においては、感染性のある新型コロナウイルスは確認できなかったということでございまして、ひとまず安心をいたしました。
しかしながら、まだ解明できていない部分もあるウイルスが相手でもあることから、やはり、感染症のこの予防対策は重要だと考えます。
そこで、今回のコロナ禍において、現場で働く下水道局職員の皆様、あるいは関係する下水道従事者の皆様の安全確保のために、下水道局ではどのような感染防止対策を実施しているのかをお伺いします。
○猪八重施設管理部長 下水道局ではこれまで、国内外におきまして、新型インフルエンザやSARSなどの感染症が流行した際にも、現場で働く局職員や下水道事業に従事する関係者に対しまして、安全確保のために、ゴム手袋やマスクの着用等の感染防止対策を徹底してまいりました。
今般の新型コロナウイルス感染症に対しましては、これまでの取り組みに加えまして、消毒の実施や現場事務所等における休憩時の三密の回避等、さらなる感染防止対策の周知徹底を図ってまいりました。
今回の調査結果から、下水からの感染リスクは低いと考えられますけれども、今後とも引き続き、同様の感染防止対策を実施いたしまして、万全を期してまいります。
○川松委員 先ほど指摘したように、エッセンシャルワーカーとしての下水道局の関連の皆様方について、こういった議論を今までもされてきたことがなかったので、改めて確認をさせていただきましたが、現場の職員等が安全に働くことができてこそ、我々の都市生活の当たり前になった下水道機能が維持され、ひいては、この都民生活、そして、都市機能というものが維持されていくんだということにつながっていくわけです。
下水道局の、ここにおられる幹部職員の皆様も、現場の職員の皆様、関係者の皆様の安全には、引き続き十分に配慮していただきたいということを強く要望しておきます。
下水道局では、感染対策は万全に行っているということでしたけれども、どれだけ気をつけていても感染してしまうことはあるんだろうと思うんですね。今週も、交通局の質疑もありましたけれども、交通局では、昨年末から年明けにかけて、地下鉄業務に従事する職員の集団感染によって、大江戸線の運行本数を通常の七割程度に減らさざるを得なかったという事態も起こりました。下水道局においても、この先、万が一、こうした集団感染が絶対に起こらないとはいい切れないわけです。
そこで、水再生センターや管路施設等を管理する現場において、集団感染が仮にも発生してしまった場合、下水道機能維持のために、どのように対処していく考えであるのかをお伺いいたします。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、施設を管理する現場におきまして、いかなる危機的な状況下におきましても、下水道施設の機能維持のために、事業継続計画、BCPを策定しておりまして、その中で、集団感染が発生した場合には、継続すべき業務を絞り込み、維持管理体制の確保に万全を期しております。
まず、水再生センターやポンプ所におきましては、安定運用を確保するため、通常時では、水処理施設などの運転監視及びポンプなどの機器の点検や故障対応などの業務を実施しております。
このうち、運転監視は最も重要で、いわゆる継続すべき業務でございますので、運転監視の実務経験者による代替要員を抽出し、同じ事務所管内や他の水再生センターから優先順位を定めた綿密な支援体制を整えてございます。
また、管路施設を管理する二十三区ごとに配置されております出張所におきましては、膨大な下水道管の機能を維持するため、通常時では、計画的な調査や補修のほか、緊急業務等を実施しておるわけでございます。
このうち、道路陥没や管の詰まりによる対応などの緊急業務やお客様対応につきましては、即時対応が不可欠なことから、いわゆる継続する業務と位置づけまして、近隣の出張所や下水道事務所等からの支援体制を構築しております。
○川松委員 ありがとうございます。万が一の際には、バックアップする体制も整えられているということが確認できたわけですが、ワクチン接種も始まったものの、先行きはいまだ不透明な感もあります。引き続き、安全に留意しながら、万全の備えをしていただきますことをよろしくお願いいたします。
そして、下水道はとめることのできないライフラインだからこそ、施設にも、下水道事業者にも余計な負担をかけるべきではないというのが、私の下水道に関しての一貫した考えです。幾度となく、私自身申し上げていますけれども、多くの都民の皆様におかれては、下水道の役割を十分に知らないまま、下水道のことを意識することなく、日常生活の中で、当たり前のように下水を使っている、これが現実ではないかと思っているんですね。
例えば、これも私は発言する機会のたびにいっていますけれども、下水道局では、油を下水道に流さないでください、油断快適という広報をしていますけれども、家庭や飲食店では、少しぐらいなら大丈夫だろうという感覚で流してしまい、その結果、下水道管の中が固まり、詰まり、悪臭が発生したり、場合によっては下水道管の損傷にもつながっている事例があるわけですね。
さきの委員会で、ラードなどの油に起因した下水道管の詰まりによる故障処理について質問いたしましたが、そのとき、年間で約三百件発生している、一回当たり対応のコストが十万円程度の費用だということがわかったわけです。
本来、利用される方々、都民の皆様方が、大原則となっているルールを守っていれば、こういったコストや労力というのは必要なかったんですね。
ですから、改めて、繰り返しになりますが、下水道局では、油を下水道に流さないよう、飲食店などに対して、どのような働きかけを行っているのかお伺いします。
○鈴木施設管理担当部長 油を多く使用する飲食店などには、厨房の排水から油を取り除いて下水道管に流さないようにするグリース阻集器を設置することとされております。
下水道局では、ラードなどの油で下水道管を詰まらせた飲食店等を個別に訪問して、グリース阻集器が設置されているかどうか、また、日常的にメンテナンスがなされているかどうかを確認しております。その際に、グリース阻集器が汚れている場合には、清掃する場所や頻度をイラストで紹介しておりますリーフレットをお渡して、適切な維持管理について説明をしております。
この後、おおむね三カ月後に再び訪問し、飲食店からの下水が流入する公共汚水ますをあけて、中を調べ、油が付着している場合には、再度グリース阻集器の状態を確認し、定期的な清掃など、日常的に適切な維持管理を行うよう、繰り返しお願いをしております。
○川松委員 もうまさにその公共汚水ますをあけて、中、きれいなもの、汚いものというか、ルールを守っていただけない方たちの使った跡というのは、もう一目でわかるわけですから、こういうものを多くの人に見せていくということに尽きるんだろうと思いますが、下水道局が行っている都民に対する意識調査によれば、下水道事業者に対する関心度では、下水道に関心を持っていない、どちらともいえないと回答した割合を合わせると六七%という高い結果になっています。
これまでも下水道局では、見せる化アクションプランに基づいて、浸水対策などPRやこの油の例のような生活に身近な問題など、下水道に関心を持ってもらう取り組みを行ってきたとは思いますけれども、より一層、都民のお一人お一人に下水道の役割を実感してもらうためには、さまざまな広報手法をもって、都民の皆様の関心を引くような啓発も必要だと思います。
そこで、次期経営計画では、東京下水道の広報戦略を掲げておられますけれども、下水道への関心を高め、理解促進を図るために、次期経営計画においてはどのような広報展開を実施するのか、局の見解を伺います。
○小林総務部長 次期経営計画におきましては、これまでの見せる化の理念を継承いたしますとともに、都民意識調査によります年代別の特性やホームページのアクセス解析などを踏まえながら、効果的な取り組みを深化、発展させることで、持続可能な事業運営に向けまして、戦略的に広報を展開してまいります。
具体的には、都民が知りたい情報や必要とされている情報を把握いたしまして、SNSや動画等のデジタルメディアを積極的に活用することで、お客様の反応を捉えた双方向かつ機動的な広報を実施してまいります。
また、デジタル技術を活用し、ふだん目にすることが少ない雨水貯留施設や水再生センターなどにおきまして、リアルとバーチャルを組み合わせた施設見学を体験できる取り組みを充実させ、下水道の基本的な役割を広くアピールしてまいります。
今後とも、東京下水道に対する都民の関心や理解がより一層深まりますよう、あらゆる機会を活用し、広報活動を進めてまいります。
○川松委員 ありがとうございました。
今回の経営計画では、十年間の財政収支の長期推計も示されています。区部についていうと、建設維持管理コストの削減や資産の有効活用などの企業努力により、収支均衡を保っているものの、老朽化施設の再構築や浸水、震災対策等に加え、高度処理などによる処理水質の向上や地球温暖化対策にも取り組んでいかなければならず、決して財政状況としては楽観視できるものではございません。
将来的に経営環境が厳しさを増す中において、今後とも安定した下水道サービスを提供していくためにも、都民や使用者の理解と協力を得ることは不可欠であり、当たり前の存在になっている下水道の役割や現状、課題をしっかりと認識してもらうための積極的かつ効果的な広報活動を要望して、私の質問を終わります。
○古城委員 新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行の状況下であるからこそ、人間の安全保障に立脚をしました誰ひとり取り残さないという理念のSDGsを進める大きな契機であるとの主張が各界から湧出しております。
持続可能な二十一世紀型の都市には、失業や健康不安、生活苦などで孤立した人が社会に復帰できる社会的包摂や、災害に強く、災害から復興できる回復力のあるレジリエントなインフラなどが求められております。
十九世紀の世界的なコレラ流行を背景に、明治期の我が国でも近代下水道整備が進められました。コロナ禍の今、感染が一定程度に抑えられている、こうした見方からすれば、その要因の一つに、区部では普及率一〇〇%を達成した下水道の存在があり、都市環境を守る縁の下の力持ちとの識者の評は、私自身も我が意を得たりとの思いであります。
安全、快適なまちと生活環境の創出、良好な水循環の形成に尽力をされております衛生工学の専門家を初め、我が国屈指の技術者集団である下水道局の皆様には、SDGsの目標実現に、これからも貢献をしていただきたいとの期待を、僣越ながら、まず、冒頭に申し上げまして、第二十八号議案、令和三年度東京都下水道事業会計予算、第九十三号議案、流域下水道各処理区の改良に要する費用の関係市町村の負担について及び報告事項、東京都下水道事業経営計画二〇二一(案)に関連して、合流式下水道の改善、震災対策、多摩地域の流域下水道について質問いたします。
初めに、合流式下水道の改善についてであります。
都議会公明党は、さきの予算特別委員会の代表総括質疑でも質問をいたしましたが、東京都の未来の東京戦略案にも盛り込まれております外堀浄化プロジェクトを進めるためには、雨天時に下水道のはけ口から外堀に放流される汚れを削減する合流式下水道の改善が重要でございます。
その際、下水道局長からは、外堀の流域において、大規模な貯留施設を整備しており、昨年九月に貯留管本体が完成し、今後は、地下五十メートルの貯留施設に雨水を取り込む施設の整備を進めていくとの答弁を得たところでございますが、これまで下水道局が培ってきた技術力だからこそ挑める大深度の難工事であると思います。令和五年度末には整備が完了するとのことでありますけれども、その後は、雨天時の外堀への放流回数が大幅に削減されることになります。
そこで、この取水施設の具体的な整備内容と貯留施設が稼働した際の整備効果について見解を求めます。
○佐々木計画調整部長 取水施設についてでございますが、外堀の両岸にございます十二カ所のはけ口から、外堀に放流される雨水を整備済みの貯留管本体へ取り込むために、はけ口手前の下水道管へのマンホールの設置やマンホールから貯留管本体へとつなぐ取水管などを整備いたします。
これらの工事は、貯留管本体が地下約五十メートルと非常に深く、飯田橋駅付近などにおいて、地下鉄や埋設物がふくそうする難しい条件での工事となりますが、早期着手に向け、現在関係機関との協議等を鋭意進めております。
この一万六千六百立方メートルの貯留施設を整備することで、整備前と比較いたしまして、外堀に放流される汚濁負荷量と放流回数を年間七割程度削減する効果を見込んでおります。
○古城委員 外堀への汚濁負荷量と放流回数が七割減とのことでありまして、大幅に減るわけでございますが、この貯留施設が稼働すれば、外堀の水質改善に大きく貢献すると確信をいたします。
一方で、現在、外堀への雨水の供給は放流水のみに頼っているため、外堀への放流回数が大幅に減少するということは、雨水貯留施設が完成する令和六年度以降は、外堀は、まさに閉鎖水域、たまり水となり、依然としてアオコの発生が懸念されることになります。
したがいまして、都議会公明党は、今後とも、外堀浄化プロジェクトを強力に牽引してまいりますけれども、都においても、スピード感を持って、外堀の水質改善の早期実現に向け、積極的に取り組むとともに、先達の熱意を受け継がれる下水道局の皆様におかれましても、このプロジェクトの推進力となることを強く、そして、熱く要望をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
さて、私は、令和六年度から強化される下水道法施行令への対応に向けて、本委員会や公営企業会計決算特別委員会でも、下水道局の皆様と議論を交わしてまいりましたけれども、外堀だけではなく、区部全域で合流式下水道の改善を進める必要がございます。
そこで、経営計画二〇二一における区部の合流式下水道の改善の取り組みについて見解を求めます。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、雨天時に合流式下水道から放流される汚濁負荷量を削減するために、令和二年度末までに累計百五十万立方メートルの貯留施設などを整備してまいりました。
新しい経営計画では、下水道法施行令の雨天時放流水水質基準の達成に向けて、貯留施設などを令和五年度末までに、外堀を含め、累計約百七十万立方メートルを整備することとともに、水が滞留しやすい河川区間など十四水域における貯留施設の整備を行うことにより、令和七年度末までに累計百七十五万立方メートルの施設整備を位置づけてございます。
さらに加えまして、関係区などと連携し、公共施設や再開発地区などにおける部分分流化などにも取り組んでまいります。
今後とも、合流式下水道の改善事業を推進し、良好な水環境の創出に貢献してまいります。
○古城委員 合流式下水道の改善に向けて、その貯留施設として、この五年間で、外堀の貯留管など累計で百七十五万立方メートルまで整備を完了させるとのことでありますが、地下も、ビルの地下階、また、地下街、さらには地下鉄、通信、また送電、上水道などが複雑にふくそうする東京のような過密都市においては、極めて難度の高い工事であると思いますけれども、東京の水環境に大きな効果を発揮することになろうかと思います。これまでに磨かれた技術は世界最高レベルである下水道局の今後の取り組みに大いに期待をさせていただきたいと思います。
次に、震災対策についてであります。
十年前の三月に発生した東日本大震災の教訓を決して風化させることなく、首都直下地震などの自然災害に備えなくてはならず、都民の皆様の安全を守り、安心で快適な生活を支える事業も、下水道局にとっては重要な取り組みであります。
私の地元新宿区には、落合水再生センターがありますが、このセンターは、防災面でさまざまな地域貢献の場ともなっております。昨年度は、センターの敷地を、立地町会である上落合東部町会主催の防災イベントに提供をしていただきまして、東京消防庁のVR防災体験車も体験できるということもあって、多くの地域の方々がセンターに来場をされました。
私も、その来場された方、また、主催をされた町会役員の皆様の喜びの声を伺いました。これまでも申し上げているところですが、日ごろの地元の消防団活動へのご協力とあわせて感謝を申し上げたいと思います。
今年度は、この防災イベント、町会連合エリアにも呼びかけて開催をされる予定であったのですが、残念ながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて中止となりました。
今後も、同様のイベント開催や地域への貢献をぜひとも行っていただきたいと要望させていただきます。
また、落合水再生センターの水処理施設の一部は覆蓋化されまして、上部が新宿区立落合中央公園となっており、その一帯は、上落合一丁目、二丁目、中落合一丁目を対象とする新宿区の広域避難場所に指定されています。
下水道局は、停電の際にも水処理をとめないため非常用発電設備を設置していますが、この電力の一部を下水処理機能に支障がない範囲で避難場所に供給する取り組みを実施しております。
これまで申し上げましたさまざまな事柄、このように、落合水再生センターは地域の防災面にとっても心強いセンターであるとともに、大規模地震でも下水道機能をしっかりと確保することも重要でございます。
そこで、経営計画二〇二一における水再生センターの震災対策の取り組みについてお尋ねします。
○佐々木計画調整部長 下水道局ではこれまで、おおよそ震度七に相当いたします想定される最大級の地震動に対し、水再生センターの耐震化の優先度が高い揚水機能、沈殿機能、消毒機能の三つの機能につきまして耐震対策に取り組んでまいりました。
具体的には、三つの機能を耐震化するハード対策と、被害が発生した場合を想定し、応急対応や復旧などを事前に計画するソフト対策を組み合わせた耐震対策につきまして、令和元年度末までに全ての水再生センターで完了いたしました。
今後は、落合水再生センターを初め全ての水再生センターで、この三つの機能の耐震化につきまして、対策する施設の範囲を拡大することで、震災時の処理能力を向上させ、下水処理機能の確実性を高めてまいりますとともに、さらに、新たに水処理施設の流入渠、導水渠、放流渠、汚泥処理関連施設を対象とした耐震化にも取り組んでまいります。
○古城委員 この水、また水処理はとめることができないことから、耐震化の取り組みは非常に困難な面もあろうかと思います。特に落合水再生センターは住宅地の中にございまして、敷地も狭隘であるため、それらの工事施工は大変に厳しいものが想定されると思いますけれども、ぜひとも安全に、かつ着実に進めていただきたいと要望させていただきます。
さて、この落合水再生センターは、今申し上げました立地環境もありまして、下水を処理したときに発生する汚泥を処理する施設を有しておらず、汚泥は送泥管により送られたみやぎ水再生センターの汚泥処理施設で処理されております。
落合水再生センターにとって、水処理をとめることなく続けるためには、この汚泥を送る管、送泥管の果たす役割は大きく、経営計画二〇二一では、その再構築に取り組むとあります。
そこで、落合、みやぎ水再生センター間の送泥管の再構築の取り組みについてお尋ねします。
○青木建設部長 下水道局では、区部十三カ所の水再生センターで発生いたします汚泥を五カ所の汚泥処理施設に集約をいたしまして、効率的に処理を行っております。
落合水再生センターで発生する汚泥をみやぎ水再生センターへ送る送泥管でございますが、供用開始から五十年以上経過してございまして、計画的に再構築を実施しております。
再構築に当たりましては、汚泥処理の信頼性を強化するため、直径約三メートルのトンネルの中に送泥管を二本配管し、人が入って点検や補修などの維持管理が容易に実施できる管廊方式として計画し、工事を進めております。
現在、全体延長約十キロメートルのトンネルのうち、約一キロメートルを完了してございまして、残る区間においても工事などを実施中でございます。
今後とも、汚泥処理の信頼性の強化に向けまして、着実に事業を推進してまいります。
○古城委員 将来にわたって安定的に下水を処理する機能を確保するために、今後もしっかりと取り組んでいただきたい、再構築をしていただきたい、このことを要望させていただきます。
次のテーマといたしまして、多摩地域の流域下水道についてであります。
多摩地域では、都が流域下水道として幹線や水再生センターなどを設置、管理し、市町村は各家庭から幹線までの管渠などを設置、管理しており、流域下水道事業の財源には、国と都からの支出に加え、市町村からの負担金が充てられております。
今回提案をされております改良負担金の導入は、流域下水道事業の財政状況が近年厳しく、利益剰余金残高も減少傾向にあることから、その対応策として、改良費の市町村負担分を利益剰余金の充当から直接負担へと変更するものでありますが、負担する市町村の十分な理解と協力が必要であることはいうまでもありません。
また、経営計画二〇二一における長期推計では、改良負担金を導入しても、令和九年度に利益剰余金残高がマイナスに転じる見込みとなっており、持続可能な事業運営に向けて課題があると考えます。
そこで、改良負担金導入に当たり、市町村の理解を得る取り組み状況とともに、その効果と将来的な収支改善について見解を求めます。
○後藤管理部長 流域下水道は、事業開始から五十年が経過し、施設の老朽化の進行などにより、近年、維持管理収支は赤字基調となっております。
こうした状況を踏まえ、市町村に対して、昨年度から説明会や個別の意見交換を積み重ね、持続可能な事業運営のためには改良負担金の導入が必要であることについて理解を得ており、下水道法に基づく意見照会を実施した結果、多摩三十市町村全てから同意をいただいております。
改良負担金導入により、経営計画期間中は維持管理負担金単価を維持しつつ、経営計画期間最終年度の令和七年度においても、利益剰余金残高を十三億円確保できる見込みでございます。
しかし、長期推計では、令和九年度に利益剰余金残高はマイナスに転じる見通しとなっていることから、利益剰余金残高の推移や維持管理収支の状況を踏まえ、市町村と情報共有を図りながら、維持管理負担金単価等の見直しについて継続的に検討することとしております。
引き続き、施設更新に合わせた省エネルギー型機器の導入など、一層の経営努力に取り組むとともに、市町村とも十分に意見交換を行いながら、流域下水道事業を着実に運営してまいります。
○古城委員 市町村に対して説明会や個別の意見交換を積み重ね、理解を得てきたとのことでありますけれども、市町村の財政状況は厳しい状況でもありまして、また、普及を支えてきた技術職員も減少していると仄聞をいたします。
今後、市町村においては、改築需要の増加が見込まれており、また、首都直下地震など災害への備えも欠かせず、下水道事業の持続可能な運営には、事業の効率性を高めるとともに技術力を確保していく必要があります。
ことし一月には、八王子市単独処理区が流域下水道に編入され、施設の更新への対応や高度処理による多摩川の水質改善へ貢献するなど、事業の効率化に向け、都と市町村が連携する取り組みが実を結んでおりまして、こうした取り組みを積極的に進めていただきたいと要望させていただきます。
そこで、下水道局は、新たな経営計画の期間中に、都と市町村が連携した広域化、共同化による業務の効率化や市町村への技術支援に取り組むとのことでありますけれども、具体的な内容についてお尋ねいたします。
○小団扇技術部長 都はこれまで、単独処理区の編入、水質検査の共同実施など、市町村とともに業務の効率化に取り組んでまいりました。
これらに加え、市町村が持続可能な事業運営を推進するために策定する広域化・共同化計画の検討を進めております。
具体的には、災害への備えとして、被災した公共下水道施設の早期復旧に必要な災害査定の資料作成に当たりまして、都、市町村、民間事業者団体等が協力する協定を締結するなど、災害時の技術支援体制を充実させてまいります。
また、年間二万件ある排水設備の審査の共同化に向け、排水設備計画届出書について様式を統一して簡素化するなど、さらなる業務の効率化に取り組んでまいります。
○古城委員 この事業実施に当たりましては、ぜひとも市町村の実情も踏まえまして検討を進めていただきたいと要望いたします。
都議会公明党は、一貫して、多摩地域の下水道の拡充や、さらなる環境保全に全力を挙げております。生活排水などの汚水を浄化することで自然を守り、さらには、豪雨によるまちの浸水被害を防ぐ下水道であります。
そうした中で、下水道局では、下水の高度処理を進め、河川の清流復活にも取り組んでおりまして、この流域下水道域内であります多摩川上流水再生センターで処理された再生水が、野火止用水にも流れておりまして、野火止では水の大半がこの再生水であるとも伺っております。玉川上水でも清流復活事業に利用をされておるわけでございます。
大自然に恵まれた東京の中でも、奥多摩地域でございますが、ここは、都民の命の水がめである奥多摩湖を擁し、都民にとってのオアシスでもありますけれども、二〇〇〇年、今から二十一年前ですが、二〇〇〇年、奥多摩町の町長と我が党公明党の町議らが、当時の知事宛てに、公共下水道整備事業について申し入れをさせていただいております。下水道整備事業は膨大な経費がかかることから、過疎化が進んでいるまちにとって財政力などの面から単独で整備することが困難な状況であるということから、特段の配慮で下水道整備を推進してほしい、このように都側に要請をしたものでございます。
さらには、多摩川について、高度経済成長期には環境汚染で水質が悪化し、死の川とも酷評をされておりましたけれども、さらにその昔、かつてはアユの川とも呼ばれておりました。
そこで、二〇〇三年九月の都議会定例会におきまして、我が党の中嶋義雄、当時幹事長が、多摩川などの河川に関する新たなプランを策定すべきと主張し、アユやウグイなどを呼び戻すことができる河川環境の整備を訴えました。
これを受けて、東京都は、二〇〇六年に水産業振興プラン(川編)を策定し、川の恵み復活プログラムをスタートさせております。この復活プログラムでは、良好な水質の確保を掲げて、流域下水道のさらなる普及や下水処理場、現在の水再生センターにおける高度処理化などを進めてきたところでございます。
そして、もう一点申し上げたいと思います。皆様ご承知のとおり、都市部での浸水被害というのは八割以上が内水氾濫によるといわれてもおりまして、特に雨水対策における下水道の役割は大変に重要でございます。
そうした中で、この下水道における雨水対策については、各公共下水道管理者がそれぞれ実施をするということになっており、多摩地域では各市町村が個別に行っております。しかし、市の中には、雨水の排水先となる河川がなく、複数の市をまたがなければ雨水の排水ができない地域も存在をしております。
このような地域に対しましては、流域下水道事業として、関係する市の雨水排水を広域的に行い、雨水幹線整備などの浸水被害の軽減を図る事業が下水道局により進められてきております。これは、下水道局が全国で初めて取り組んだ事業でありまして、この事業により、下水道法の改正にもつながったといわれておりまして、この点、改めて評価をさせていただきたいと思います。
こうした事業が進展をしている中で、昨年の第一回定例会において、我が党の谷村孝彦議員は、東大和市、また武蔵村山市、立川市の三市の空堀川流域南部地域では、浸水被害がたびたび発生していることを指摘しまして、そして、三市にまたがる雨水流域下水道の整備を都の責任で推進していくべきであるということを改めて求めたところでございます。
都は、この地域について、新たに事業化をして取り組むということ、これは既に二〇一八年九月の我が党の代表質問に対して表明をしておったところでありますけれども、局長からは、雨水幹線が機能を発揮するためには、関係市が枝線を整備し、雨水幹線へ接続することが不可欠であり、事業完了まで長い期間を必要とすると、こうした課題もお示しをいただいたところでございます。
この場におきましては、一部完成した施設を暫定的に稼働させて、浸水被害の早期軽減、また、事業効果の早期発現に向けた取り組みを検討すると、こうした答弁もいただいたところでございまして、この点につきまして、私からも改めて、事業効果の早期発現、また、浸水被害の早期軽減に向けた下水道局の取り組みをしっかりと行っていただきたい、このように要望させていただきます。
そして、安定的な事業運営に向けて、将来を見据え、市町村とも連携して流域下水道事業を強力に推進するべきと考えます。
そこで、今後の多摩地域の流域下水道事業について、流域下水道本部長の決意を伺い、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○矢岡流域下水道本部長 多摩地域における下水道は、先ほどお話もありましたけれども、流域下水道と三十市町村の公共下水道が一体となって機能しております。多摩地域の都民生活や都市活動になくてならない重要なインフラでございます。
昨年度、流域下水道は、事業開始から五十年が経過しまして、これまで下水道普及率は九九%に達し、先ほどお話もありましたけれども、多摩川などの水質改善、また清流復活などに大きく貢献をしてまいりました。
その一方で、今後急速に進む施設の老朽化への対応、近年の豪雨、浸水対策、また震災などへの対策、また、再生可能エネルギーへの転換や温室効果ガスの削減など、喫緊の課題も山積してございます。
そのため、市町村とこれまで以上に緊密に連携する必要がございまして、広域化・共同化計画の策定や市町村指導事務を当局へ移管することによる技術支援の強化などを進めております。
また、今回、市町村にご理解をいただき、改良負担金を新たに設けましたが、引き続き、市町村と協力をしまして、財政基盤をより強固なものにしなければならないと考えております。
多摩地域は、今後、二〇二〇年をピークに、区部に先んじて人口減少が進むことが見込まれており、下水道を取り巻く環境は今後大きく変化していくものと考えております。
今後、デジタル化を図るなど事業の一層の効率化を進めまして、市町村とも知恵を出し合いながら、万全の体制で流域下水道事業を推進してまいります。
○とくとめ委員 それでは、今回の報告事項の下水道事業経営計画二〇二一(案)にかかわって質問をさせてもらいます。
要求資料についてはありがとうございました。
経営計画二〇二一案には、この間の台風や集中豪雨の中での浸水対策の経験から、これまでにない異常気象のもとで、今後さらに生かすべき浸水対策の重要な内容が盛り込まれていると受けとめています。
知事も、本会議の施政方針演説で、激甚化する風水害から命を守ると表明し、下水道事業では、激甚化、頻発する台風や豪雨を踏まえた浸水対策の強化に触れています。
ことしの六月からの本格的な出水期も近くなり、台風、集中豪雨の季節も迫っている中で、浸水対策などの本格的な取り組み強化が求められていると思います。
経営計画二〇二一案に提案されている具体的な浸水対策の内容を中心に質問しつつ、さらに幾つかの問題にかかわって質問をします。
私の地元板橋区は、ここ数年、二十三区内では最も浸水被害の多い地域の一つになっています。二〇一五年から二〇一九年までの五年間で、床上浸水、床下浸水が七十七カ所、もう昭和の時代から何度も浸水に遭っている地域や住民の皆さんがいらっしゃいます。
浸水地域のハザードマップの浸水履歴を見ると、これまで、昭和の時代から何十年も長期にわたって、時間降雨五十ミリ以下であっても、床上浸水や床下浸水が発生して多くの被害に遭っている住民がいる地域です。何とか早く解決できないのかという声が日ごろから寄せられています。
そこで、下水道局の浸水対策の基本的な進め方はどうなっているのか伺います。
○佐々木計画調整部長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針などに基づき、早期に浸水被害を軽減するため、地区を重点化し、幹線や貯留施設などの整備を進めております。
さらに、浸水被害の影響が大きい大規模地下街や甚大な浸水被害が発生している地区などにおいて、時間七十五ミリ降雨に対応するなど、雨水整備水準をレベルアップするための対策も従来から進めております。
○とくとめ委員 浸水被害が発生している地区などにおいて、早期に浸水被害を軽減するため、地域を重点化して幹線や貯留施設などの整備を進めているということでした。下水道局の経営計画に基づく取り組みが浸水被害を解決する上で鍵を握っていると感じております。
そこで、板橋区で浸水対策の重点化地区に指定されている成増地区の工事の最新の進捗状況と、早期に浸水被害を軽減するためにどのような工法を取って取り組んでいるのかについて伺います。
○青木建設部長 板橋区成増地区につきましては、既設の成増幹線を増強いたします新たな下水道幹線の整備に時間を要すことから、別途、緊急対策として、過去に浸水被害が繰り返し発生しております成増三丁目付近におきまして、雨水の流れを比較的余裕のある下水道管に切りかえる新たなバイパス管の整備を令和元年五月に完成させております。
また、成増幹線の下流部に位置する成増五丁目付近において、昨年二月、同様のバイパス管の工事に着手し、ことしの出水期までに完了させる予定でございます。
成増幹線を増強する新たな下水道幹線につきましては、ルートや規模等に係る調査設計が完了し、昨年十二月より実施設計に着手しているところでございます。
○とくとめ委員 浸水対策には長い時間と大きな経費がかかり、関係住民からは、いつものように、もっと早くできないのかという声をよく聞いています。
経営計画二〇二一案の三二ページのところに、こうした要望に応えるかのように、整備した基幹施設の効果を速やかに発揮させるとか、整備した施設で早期に効果が発揮できるようになどの事例が紹介されています。下水道局が、さまざまな工夫を行って、時間がかかり過ぎると思っていた被害住民の切実な要望に応えるために大変な努力をされていることがわかりました。こうした取り組みが一層強化されることを要望しておきます。
板橋区には、こうした地域以外にも、小茂根、向原地区、西台、徳丸地区などが、この間重点化されている地区ですが、この二つの重点地区の浸水対策について、最新の進捗状況を改めて伺いたいと思います。
○青木建設部長 小茂根、向原地区では、既設の向原幹線を増強するため、新たな下水道幹線を整備する計画でございまして、現在は、幹線に雨水を取り込む取水管を先行して整備しております。当該取水管は、令和四年度内の完成を目指して工事を進めてございまして、完成後は、早期の浸水被害の軽減のため、暫定貯留管として稼働させる予定でございます。
西台、徳丸地区におきましては、既設の下赤塚幹線を増強いたします新たな下水道幹線等を整備するため、ルートや規模等に係る調査設計を進めております。
○とくとめ委員 小茂根、向原地区では、工事の途中であるにもかかわらず、暫定貯留管として稼働させるなど、短期間で浸水対策の効果を出す予定になっているとのことです。地域の住民にも、こうした努力をもっと周知していただければ、大変喜んでいただけるんじゃないかと思います。
下水道局の新しい経営計画二〇二一案では、何十年も前から浸水被害で悩まされている板橋区の熊野町、中丸町が新しい浸水対策の重点地区に追加指定をされました。
中丸町と熊野町の今後の浸水対策は、工事着手までの時間が五年前後の長い期間になると聞いております。対象地域の住民にとっては早期の浸水対策を要望しています。それぞれの地域の下り坂やくぼ地などの特殊な地域の条件を考慮して、板橋区のくぼ地の成増地区で浸水対策を行ったように、バイパス管を設けるなどして、当初予定よりも短期間で効果を発揮し、大変喜ばれているような、こういう取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。
時間五十ミリの重点地域であったとしても、実際の降雨が時間五十ミリ以下であっても、特殊な地形や道路の側溝などの特徴から、繰り返し浸水している地域の実態があります。都や区のそれぞれの独自の浸水対策の取り組みの情報交換や密接な連携を行って、繰り返しの被害を受け困っている住民の思いに寄り添って、短期的にも有効な性能が発揮できるような浸水対策が非常に必要だと思います。
そこで、下水道局が地元の区などと連携して進めている浸水対策の取り組みの内容について伺います。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、地元区などと連携をいたしまして、浸水被害の軽減に向けて、地域の実情に応じたきめ細かな対策を実施してございます。
具体的には、地形や下水道管の雨水排除能力などを確認の上、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどの取り組みを実施しております。
新たに浸水対策重点地区に追加をいたしました板橋区熊野町、中丸町地区におきましては、平成三十年度に、道路を横断するグレーチング側溝の設置や、雨水ますをグレーチングぶたへ取りかえる短期的な対策を区と連携して実施をしております。
さらに、幹線など浸水対策施設の整備に当たりましては、立て坑等の用地が不可欠でございまして、区や地元の協力を得て、公園など事業用地の確保を進めてございます。
○とくとめ委員 浸水被害の軽減に向けて、地域の実情に応じたきめ細かな対策を実施しているということでした。
私も現場に何度も行って、苦情も聞いておりますけれども、特に側溝や道路を横断するように配備されている金属の網目のグレーチングぶたの効果は大きいことが実体験できました。
国道だとか、国道に接する区道、このT字になっている所にグレーチングがちゃんと設置されますと、ほとんど水が外には漏れてこないということを聞きました。もちろん限界はあると思いますけれども、五十ミリ以下でも、実際は雨水がはみ出るわけですけれども、このグレーチングの設置によって、雨水の氾濫がおさまっているということがあります。特に、下り坂の地形や下水道管の雨水排除能力などを確認の上、雨水を飲み込む雨水ますの増設や網目のグレーチングぶたへの取りかえなどを実施することは、即時の効果が期待できる対策です。
問題は、そういう実態を掌握できているのか、具体的な対策が明確にされているのか、そこが大事な決め手だと思います。きめ細かい対応をお願いしたいと思います。
また、下水道局が活用している流出解析シミュレーションを用いたリアルな情報提供を住民に行うことは、浸水対策の予防にとっても、関係地域の住民の予防対策にとっても、重要な役割を果たすと思いますけれども、どういう取り組みになっているんでしょうか。
○猪八重施設管理部長 豪雨からお客様の生命や財産を守るため、お客様みずからが浸水に備える取り組みを支援するソフト対策は極めて重要でございます。
具体的には、浸水の危険性の理解や迅速な避難に役立てていただきますよう、区市が作成する洪水ハザードマップのもととなる流出解析シミュレーションを活用した浸水予想区域図を、局のホームページなどで周知をしております。
また、日ごろより、東京アメッシュでは、きめ細かな降雨情報をリアルタイムで発信しておりまして、スマートフォンなどでご活用いただいているところでございます。
さらに、毎年六月を浸水対策強化月間と定めておりまして、下水道施設の総点検を行いますとともに、お客様に浸水の備えをしていただきますよう、区などと連携して、土のうや止水板の準備などの注意喚起を行うことに加えまして、浸水のおそれのある半地下家屋への戸別訪問を実施いたしております。
○とくとめ委員 大変きめ細かな対策をとって、浸水被害が広がらないような努力をされているということを、この間、準備の過程でもよく知ることができました。
流出解析シミュレーションを活用した浸水予想区域図の周知徹底や、日ごろより流出解析シミュレーションを生かした東京アメッシュによって、きめ細かな降雨情報を機敏にリアルタイムで発信することが、多くの住民の協力を広げて、効果的な浸水対策を具体化する上で重要だと思います。
ぜひ、地域住民一人一人が、面的な広がりを持って浸水対策に協力してもらえるよう、雨水ます、貯水槽など、イメージが湧くような、具体的な協力を呼びかけていただきたいと思います。
次に、昨年以来、この委員会で議論になりました包括委託の導入問題です。
昨年九月に、東京にふさわしい下水道施設運営手法のあり方について発表があり、区部と多摩、それぞれ一施設について包括委託を導入することが示されました。
我が党は、公営企業にとって不可欠の安全・安心の公的な役割を果たすためにも、包括委託には反対の立場で質問し、都民にとって抜本的なインフラである下水道などの公営企業は、都の直営で責任を持って運営すべきであることを提案してまいりました。
しかし、今回の経営計画二〇二一案の中で、最少の経費で最良のサービスのスローガンのもとに、東京にふさわしい下水道施設運営手法として、二〇二二年度から、区部では落合水再生センター、多摩地域では清瀬水再生センターに包括委託を導入し、順次拡大を検討することが計画として明記されています。
包括委託による事業運営に当たり、自然災害などのリスクの問題点など、さまざまなリスクの指摘について、下水道局は、どのように受けとめ、どのように解決をして、公営企業としての下水道局の浸水対策などの特別な役割を守っていこうと考えていらっしゃるんでしょうか。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京は、人口や都市機能が高度に集積していることに加えまして、東部低地帯など豪雨に脆弱な地域特性を有しております。さらに、豪雨による甚大な被害から都民の生命と財産を守ることは、下水道の重要な役割でございます。
浸水対策を担う下水道事業では、これまでの対策を着実に実施するとともに、ハード、ソフトの両面から対策を検討、推進し、都民の安全・安心を確保してまいります。
令和四年度から、運転管理の困難度が相対的に小さい一部の水再生センターに包括委託を導入することとしておりますが、導入施設の事業運営におきましても、最終的には当局が責任を負うこととしており、受託者を適切に指導監督し、下水道の公的な役割を着実に果たしてまいります。
○とくとめ委員 最終的には当局が責任を負うとのことですが、包括委託とは、複数の業務や施設を包括的に委託すること、一定の性能を発揮するのであれば、施設の運転方法の詳細等は、運営主体の自由裁量に任せる性能発注に加え、複数年契約を基本的な要素とすると説明されています。つまり、結果さえ出せれば、運転方法は自由で、下水道局がその内容を問うことはしませんということになるんじゃないでしょうか。
運転方法は事業者に任せの委託方法で、災害時に下水道局がどこまでその内容をわかって指導監督していくことができるのか、大変疑問です。
包括委託を拡大すると、指導監督といっても、肝心の行政側の方に技術がなく、わからなくなってしまう危険性が指摘をされています。
昨年、この議論をしたときも、下水道局からさまざまな資料を、提案いただいて、今ここに私、持ってきていますけれども、学者の皆さん、いろんなアンケートをした方々も、ああいう豪雨災害や台風があったということもありますけれども、大変リスクを感じているということがありました。
多摩地域で包括委託の対象になっている清瀬水再生センターは、何と二〇一九年の巨大台風の十九号によって、大きな被害を受けていることが、ここに持ってきておりますけど、二〇一九年の十一月二十七日の要求資料で紹介されています。沈砂池ポンプ棟の冠水による開口ぶたの落下、ろ格機の損傷となっています。
現にこうしたことが起こっているもとで包括委託にしていくのは、危険だといわざるを得ません。しかも、下水道の仕事は、水再生センターの運営だけではありません。先ほど、質疑したような浸水対策ですとか、また、昨年の事務事業質疑のときに、我が党の大山とも子都議が質問し、今回の経営計画二〇二一案の中にも新たに項目が加えられたような、雨天時浸入水対策も、区市町村と水再生センターで連携した取り組みが必要となっています。
水再生センターの部分だけ切り取って、運営方法は自由にやってくださいという包括委託では、こうした連携作業はスムーズにいくとは考えられません。
公営企業としての下水道事業の安心・安全、そして安定性を守ることは不可欠の条件ですが、自然災害時などにもこうした下水道事業の安心・安全、安定性の保証はされるんでしょうか。さまざまなリスクはどのように検証され、解決されていくことになっているのか伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 包括委託の導入に当たりまして、浸水対策を担う下水道事業では、雨水ポンプの運転管理などで大きな責任を伴うことから、運転管理の困難性等の視点から評価分析を実施した結果、雨水ポンプがない自然排水区に当たるなどを総合的に判断し、導入施設を選定いたしました。
なお、自然災害時など、性能発注の想定を超える範囲につきましては、引き続き下水道局が責任を持って対応してまいります。
今後、包括委託の発注に当たりましては、具体的な性能要件の設定やリスク分担などに加え、受注者側の創意工夫を促す仕組みを検討するとともに、契約後においても、モニタリングや履行状況等の検証などを通じて、安全・安心な事業運営を目指してまいります。
○とくとめ委員 そもそも九月に発表された東京にふさわしい下水道施設の運営手法のあり方については、民営化ありきの路線で、コンセッションと包括委託のどちらにするのか比較検討になっています。
下水道事業は、災害対策の役割を果たすにはさまざまな自治体との連携が必要で、直営が最もスムーズに行われることはもう明白なんだけれども、直営との比較は全くされておりません。直営を排除した検討になっているのが、そもそも問題だと思います。
しかも、この経営計画二〇二一案にあるように、包括委託の目的は、最小限の経費でサービスを提供することにあるわけです。施設運営ですから、当然その経費の大きな部分は人件費となるわけです。官製ワーキングプアをふやすことがあっては、絶対にならないと思います。
運営管理の困難性等の指摘から、評価分析を、ちゃんと実施を行って導入施設を選択したといいますけれども、経営計画ではどんどん拡大していくというのですから、下水道局は技術を失い、災害対策も困難にする方向に進もうとしているのではないでしょうか。
包括委託の導入は中止して、都直営で下水道局が責任を持って事業運営をしてこそ、公営企業本来の役割を果たすことができると確信しています。
公共の福祉を増進するという公営企業としての独自の役割に誇りを持って進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
最後ですけれども、今回の経営計画二〇二一案の中で、法令遵守を意味するコンプライアンスの推進が特別に項目を設けて強調されています。
この間、水道局で信頼を失うような不祥事や事故が発生する経験があり、再発防止に向けて、この委員会でも、何度も繰り返し議論してまいりました。
下水道局として、経営計画案の中で取り上げられたことは重要なことだと思いますけれども、なぜ今、改めてこの課題を取り上げているのか、どういう事実や背景、動機があって、経営計画案の中で特別に取り上げられたのかを伺います。
○白川職員部長 現計画でございます経営計画二〇一六の策定後の平成二十九年五月、都民から信頼される都政の実現を目指すため、東京都では、東京都コンプライアンス基本方針を策定いたしました。
下水道局では、この基本方針を踏まえまして、下水道局コンプライアンス推進委員会を毎年度開催し、具体的な取り組みを定めた計画を策定し、これら取り組みを実施しているところでございます。
コンプライアンス意識を啓発、徹底することが重要であると、こういった認識のもと、今回、経営計画二〇二一の中に新たに項目を設け、職員一人一人が、法令遵守はもとより、業務の改善に向けて行動できるよう取り組んでまいります。
○とくとめ委員 公営企業としての下水道事業において、コンプライアンス意識をと、局内の職員に啓発、徹底することは、都民の安全・安心の下水道事業のために、しかも誠実に真剣に働く職員の姿は、必ず都民からの信頼と共感を広げることになるのではないかと思います。
特に、現在のように民間企業やさまざまな組織、団体、また、残念ながら、政治の分野でも、公的な分野で信頼を失墜するような、コンプライアンスやルールやモラルの違反、崩壊が日常的に広がって、事業の失敗や後退に至るような事例を数多く見せつけられています。
それだけに、この問題は、組織と事業の活性化にとって極めて重要だと思います。
次に、公営企業として特別な役割を担う下水道事業を進める中で、今後、公共性や公益性を確保しながら、コンプライアンスの重要性について、下水道局内の職員に徹底することは当然だとしても、事業の一翼を担って協力、協働している政策連携団体や民間事業の関係者などにも広げることが、ふさわしいやり方で広げることが重要だと思いますけれども、どのように普及啓発することになっているんでしょうか。
○白川職員部長 当局では、毎年度、職場研修やコンプライアンス推進月間を通じた意識啓発の取り組みを実施し、職員のコンプライアンス意識を継続的に喚起しているところでございます。
政策連携団体に対しましては、コンプライアンス推進に関する連絡会議を通じ、当局の取り組みを情報提供するとともに、コンプライアンスの取り組みに関する実施状況の報告を求め、意見交換を行い、下水道グループ一体としてコンプライアンスを推進しているところでございます。
また、民間事業者につきましては、その契約において関係法令を遵守するように求めるとともに、仕様書に基づき、委託した業務が適切に遂行されるよう、指導監督しているところでございます。
○とくとめ委員 今回のコンプライアンス徹底の重要性は、公営企業としての下水道事業が、都民の信頼を得るとともに、この下水道局の三つの経営方針に明記された内容を、前進的に実行していく上で、水道局と政策連携団体の不祥事や事故の発生の経験、あるいはこの委員会の中での議論からも、こうしたコンプライアンスの徹底は不可欠の前提条件だということを痛感しています。
水道局と政策連携団体で発生した問題の総括、点検が、専門家を含んで、局の職員、政策連携団体の全社員を対象にして繰り返されて、昨年末に、東京水道株式会社におけるコンプライアンス状況報告として同社から報告文書が発表されていることはご存じでしょうか。これが、十回やった総括文書ですけれども、私は大変、感動することがありました。
この報告冊子で、私が一番理解を深めることになったのは、この委員会質疑でも、これまでずっと思っていた、なぜこんなことが何回も何回も繰り返されるのかと、そういう問題意識でした。私は、これを読むまで、まだどこに問題があるかというのを気づいていませんでした。だけれども、この報告冊子は、重要な回答を与えてくれたような気がしております。
これまで、組織、団体、企業などのさまざまな不祥事の際に、必ず問題の要因や再発防止をめぐって語られてきた言葉は、法令遵守のコンプライアンス、そして、組織や管理の統制のガバナンスという、そういう言葉だったのではないかと思います。
ところが、今度のこの文書の中には、水道局関係の一連の問題をめぐる総括文書には、エンゲージメントという言葉が、これまで、私は委員会の質疑の中で一回も聞いたことがないこの言葉が、総括文書の中に、コンプライアンスの言葉とほとんど同じくらいの量でエンゲージメントという言葉が登場してまいります。
どういう意味かということでいろいろ調べたりしますと、エンゲージメントのおおよその意味は、会社への愛着心、魅力、仕事でのやりがい、誇りなどと捉えられています。最近は、この言葉や考え方が多くの企業や組織などで注目、重視をされているそうです。
水道局の総括報告文書の中では、コンプライアンス、エンゲージメントは密接な関係にある問題として注目をされて、政策連携団体のTSS、PUC、その社員からのアンケートが全員から実証されております。結果としては、約八割の社員がアンケートに答えているんですけれども、大変率直な意見が書かれていることが報告をされています。
私は、このエンゲージメントの重要性は、やっぱり上から目線で、コンプライアンスだと、規則を守れというだけではなくて、職場の中で業務の負荷が高過ぎて、自分たちのもらっている給料と条件が見合わないとか、あるいはストレスがあったり、キャリアアップや将来への不安があったり、給与水準が業務内容からも割に合わない、まさにエンゲージメントを低下させるような、そういう環境があったら、幾ら法令遵守といわれても、人間として真面目に受け切れないというのはあり得るんじゃないかと思うんですね。
私は、事故を起こした人が、職場の中で配られたチラシに言葉を書いているのを見ましたけど、率直にいって全く反省がないというか、だから、やっぱり人間の集団ですから、ルールやモラルを守りなさいというだけじゃなくて、そういう方々が、意欲を持って、誇りを持って、仕事ができるような環境を一方でつくっていかなきゃいけないっていうことを大変痛感しております。
コンプライアンス、法令遵守という、上から目線ではなくて、現場の実態を構成する一人一人の個人を尊重して、意見や実態を聞くことが重要だということを教えている、そういう総括文書だというふうに思いました。
今回の下水道局の経営計画二〇二一案で、特別に強調されているコンプライアンス問題も、エンゲージメントの考え方も含めた深みのある、個人に焦点を当てた対応をする、そういうことが非常に大事じゃないかな。職員全体が公営企業の一員として、都民の福祉、命を守るという下水道局の仕事に、特別の誇りを持って取り組んでほしいということを要望意見として述べて、質問を終わります。
○田村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時二十三分散会
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