委員長 | 田村 利光君 |
副委員長 | 宮瀬 英治君 |
副委員長 | たきぐち学君 |
理事 | 古城まさお君 |
理事 | おじま紘平君 |
理事 | 大山とも子君 |
上田 令子君 | |
馬場 信男君 | |
中山ひろゆき君 | |
とくとめ道信君 | |
川松真一朗君 | |
鈴木あきまさ君 | |
藤井 一君 | |
山田ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 内藤 淳君 |
次長 | 久我 英男君 | |
総務部長 | 根木 義則君 | |
水道局 | 局長 | 浜 佳葉子君 |
技監 | 相場 淳司君 | |
理事総務部長事務取扱 | 岡安 雅人君 | |
浄水部長特命担当部長兼務 | 尾根田 勝君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 鈴木 勝君 |
下水道局 | 局長 | 和賀井克夫君 |
技監 | 神山 守君 | |
総務部長 | 小林 忠雄君 | |
計画調整部長 | 佐々木 健君 | |
施設管理部長 | 猪八重 勇君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 矢岡 俊樹君 |
本日の会議に付した事件
水道局関係
報告事項(質疑)
・原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについて
下水道局関係
報告事項(質疑)
・原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについて
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○田村委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局及び下水道局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより水道局関係に入ります。
報告事項、原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○岡安理事 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は一件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。平成二十三年度以降の東京電力ホールディングス株式会社(旧東京電力株式会社)に対する賠償請求額、収入済額及び申立予定額でございます。
一ページから二ページにわたり、対象費用等ごとに、賠償請求額、収入済額、申し立て予定額につきまして、平成二十三年度から令和元年度までの年度別にお示ししてございます。
以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○田村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○古城委員 明年、二〇二一年三月十一日、東日本大震災の発災から十年を迎えます。犠牲になられた方々に改めて哀悼の意をささげますとともに、東京電力福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故により被害を受けられた皆様お一人お一人に、心からお見舞いを申し上げます。
都議会公明党は、発災直後から、被災地、被災者支援、都民を守る対策に全力で取り組み、風化と風評被害の払拭という二つの風と闘い続けています。
この機に、改めて、当時の対応を確認する必要があると考えます。
この観点から、水道局関係の報告事項、原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについてに関連して質問いたします。
二〇一一年三月二十二日に、金町浄水場で採水された浄水、水道水から、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値、この二倍を超える放射性ヨウ素131が検出されました。
これを受けて、東京都水道局は、翌二十三日、金町浄水場の供給先である二十三区と武蔵野、三鷹、町田、多摩、稲城の五市に居住する住民に対し、乳児による水道水の摂取を控えるよう要請しました。
なお、この暫定的な指標値、飲用の基準について、水道局からは、長期にわたり摂取した場合の健康影響を考慮して設定されたもので、代替となる飲用水が確保できない場合には摂取しても差し支えないとの説明もあったところでございます。
都議会公明党は、直ちに都庁各局と協議し、即日、知事に対して、乳児のいる家庭への飲用水入りペットボトルの配布などを緊急に申し入れました。
これを受けて、都は、緊急対応として、五百五十ミリリットル入りのペットボトル二十四万本を関係区市へ搬送し、約八万人の乳児がいる家庭へ、一人当たり三本提供いたしました。さらに、追加の提供も行われております。
都議会公明党は、これらを含めて、本会議などで、都民の皆様の不安を払拭することが重要であり、各浄水場での実態調査の充実など、浄水プロセスにおける放射性物質対策に万全を期すべきと訴えてまいりました。
そこで、当時の放射性物質に対する水道局の対応についてお尋ねいたします。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 少し長くなりますが、あらかじめご了承を願います。
当局では、福島第一原子力発電所の事故発生を受けまして、水道水の安全性を確保するため、平成二十三年三月二十一日から、浄水場で粉末活性炭等により浄水処理を強化するとともに、二十二日から、江戸川、荒川及び多摩川の各水系を代表する金町、朝霞、小作の三浄水場において処理した浄水の放射性物質濃度の測定を研究機関への委託により開始いたしました。
測定の結果、三月二十二日に採取した金町浄水場から、国が定めた乳児の飲用に関する暫定的な指標値を超える放射性ヨウ素が検出されたため、二十三日に乳児による水道水の摂取制限をお願いする広報を実施いたしましたが、その翌日の二十四日には同指標値を下回ったことから、その旨を周知いたしました。
また、四月十二日からは、東村山浄水場の浄水の測定を開始するとともに、四浄水場の原水も測定対象に拡大しております。その結果、金町、朝霞、東村山浄水場の原水で放射性ヨウ素や放射性セシウムがわずかに検出されましたが、浄水処理を強化していたため、浄水からは検出されませんでした。
その後、水質センターに放射性物質濃度を測定する機器を導入するとともに、そのほかの主要浄水場等においても測定を行い、平成二十四年度からは、当局で二台の機器により毎日測定できる体制を確保しております。
こうした一連の放射性物質濃度測定におきまして、浄水中の放射性ヨウ素は四月五日以降検出されておらず、また、放射性セシウムは一度も検出されていないため、安全性に問題はなく、こうした結果は、測定開始から現在まで、ホームページ上で都民に公表しております。
一方、浄水処理過程で生じた発生土につきましては、放射性物質の濃度を定期的に測定しており、六月に国が発生土の処分等の基準となる放射性物質濃度を指定した以降、測定結果が常に下回っていることを確認しております。
また、平成二十三年七月から平成二十五年三月までは、発生土を仮置きする敷地内につきましても、国の通知等に基づき空間線量測定を行い、職員及び周辺住民への影響がないことを確認しております。
○古城委員 当時、水道局の方々、皆様が実証されたさまざまな取り組みについて確認をさせていただきました。
特に数値については、私も、水道局ホームページのトップページから、水源、水質、そして東日本大震災の影響等に関する情報とたどりまして、経年の記録を確認させていただきました。
答弁にもありましたけれども、現在、原水、水道水の原料となる河川水の段階でも、さらに浄水、浄水場において処理した水道水でも、さらには浄水処理過程で発生した沈殿物を排出し、脱水処理して生じた浄水場発生土においても、放射性物質は不検出、もしくは国の基準値以下となっているとのことであります。
なお、東京都の健康安全研究センターでは、新宿区百人町の水道蛇口から採取した水道水の放射性物質を毎日測定しまして、その結果をホームページで公表しております。それによれば、こちらでも放射性物質の不検出が続いております。
万が一、同様の災害が発生した際、こうした情報公開の取り組みを初め、これまでの経験を踏まえることが重要であります。
東京都地域防災計画の原子力災害編では、水道局の役割として、水質センターにおいて浄水場原水、浄水等の放射線量を測定するとともに、流域水道事業体の状況等について情報収集を実施すると示されています。
さらに、浄水場の入り口から出口までの一連の処理過程において、放射性物質に対する万全の対策を実施していくべきであります。
そこで、水道局の原子力災害に対する取り組みについて見解を求めます。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、今後、原水に放射性物質の影響が懸念される事態が発生した場合には、過去の経験を踏まえまして、まず、速やかに原水及び浄水の放射性物質濃度の測定を行うとともに、当局のホームページやSNSを活用して、その情報を広く都民に公表してまいります。
また、浄水場におきましては、原水の状況に合わせて粉末活性炭等の注入量を増量することなどにより、適切な浄水処理を行っていきます。
さらに、浄水場において処理が困難となった場合には、その浄水場の取水を停止し、原水の相互融通や送配水ネットワークを活用し、水道水を安定的に供給していきます。
加えまして、浄水場の敷地内で空間線量測定を適宜実施し、職員の作業環境の安全を確保してまいります。
○古城委員 特に粉末活性炭による浄水処理につきましては、二〇一一年当時、都議会公明党の長橋桂一議員が本委員会の質疑において明らかにしたところでありますけれども、水道局のホームページにおいても、放射性物質に関するQアンドAや、水質に関するトピックの第二十三回浄水処理による放射性物質の除去が掲載をされておりまして、私はこちらも拝見して理解をすることができました。
きょうの質疑においても、水道局が、発災直後から今日に至るまで、さまざまに対策に取り組んでおられるということを確認させていただきました。これらを含め、原発事故により支出を余儀なくされた費用については、原因者に対して賠償を請求し、速やかに回収されるべきものと考えます。
そこで、今後の東京電力への対応についてお尋ねいたします。
○岡安理事 当局では、平成二十三年三月の原発事故を受けまして、放射性物質濃度の測定や浄水処理の強化、浄水処理過程で発生しました発生土の処分等を行ってきております。
これらに係る費用の全ては、いずれも放射能対策のため支出を余儀なくされたものでありまして、東京電力に対して損害賠償請求を行うことで確実に回収していかなければならないと認識しております。
これまで、当事者同士の協議では、相当の時間を要し膠着状態となっておりましたが、今回、第三者機関であります原子力損害賠償紛争解決センターによります公正な観点からの判断を受けることで、適正な賠償金の受領と今後の協議に向けた考え方の整理につなげてまいります。
提示されます和解案の内容を踏まえまして、今後の東京電力との協議をより迅速に進めるなど、賠償請求額の早期回収に向け、引き続き精力的に取り組んでまいります。
○古城委員 改めて、都民の皆様、また、さらには、水道局の職員の方々の安全と安心の確保に向けて、水道局一丸となって取り組んでいただきたいと申し上げますとともに、今お話がありましたけれども、和解案が提示された後には、しっかりと都民の利益に資するように全力で回収に当たっていただきたいと、このことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○大山委員 私も、原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについてを質問したいと思います。
福島第一原発から放出された放射性物質は、ウラン換算で、広島型原爆二十個分という膨大な量でした。
この問題で重要なことの一つは、低い放射線量でも、呼吸や食べ物、それから、水を通じて体内に入ると、内部被曝による晩発性障害を引き起こす危険があることです。
とりわけ水道局は、生きていく上で欠かすことができない水を都民の皆さんに供給する重要な役割を果たしています。
しかも水道水は、飲むだけではなくて、料理するときも使いますし、洗い物するときも使いますし、洗濯やお風呂、生活する上でさまざまな場面で水道水と触れているという状況になります。
安全で安心できる水道水を供給するためにきちんと調査をし、都民に情報公開していくことが欠かせません。
測定していたからこそ、先ほどもお話ありました二〇一一年三月二十二日と二十三日に採水した金町浄水場の水道水から放射性ヨウ素が基準を超えて検出されたことを、都民の皆さんに知らせることができました。
この時期のヨウ素の暫定基準、指標は、乳児に対しては、キログラム当たり百ベクレルでした。この基準はもう国際的に見ても、緩過ぎる基準でしたから、翌年の四月からはキログラム当たり五十ベクレルになりましたが、その緩過ぎる基準からも超過して、三月二十二日の分が、金町浄水場では、キログラム当たり二百十ベクレル、二十三日は百九十ベクレルでした。水道局は、乳児には水道水を飲ませないようにということのお知らせを出すという状況にもなりました。
放射性ヨウ素は、半減期が八日程度です。けれども、セシウム137は半減期が約三十年と比較的長いため、より継続した測定が必要です。
先日の水道局の報告では、二〇一三年二月に、東京電力が原発事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針等に基づいて地方公共団体に対する賠償基準を決定して、その年の七月に東京都は賠償請求に関する基本方針を決定して、東電に対して賠償を求めるための協議を始めたということですね。
協議の中で合意したものもあるけれど、賠償の対象外とされるものもあって、協議が膠着しているから、今回、第三者に入ってもらって早期の打開を図るということで申し立てをしたということでした。
まず最初に伺いたいのは、賠償請求する基本的な考え方を教えてください。
○岡安理事 当局では、平成二十五年七月に決定されました都の原発事故の賠償請求に関する基本方針と同様の考え方に基づきまして、東京電力の示しました賠償基準にかかわらず、原発事故によって支出を余儀なくされました費用の全額につきまして賠償請求を行っております。
○大山委員 東京電力の賠償基準にかかわらず、都の賠償請求に関する基本方針に基づいて、原発事故によって支出を余儀なくされた費用の全額について請求したということですね。
東電が賠償を拒否して協議が継続している案件と、その理由はどういうものでしょうか。
○岡安理事 東京電力から賠償の対象外とされました案件としましては、浄水の放射性物質濃度の測定費用が挙げられます。
当局では、各浄水場におきまして、浄水の放射性物質濃度の測定を毎日から月一回の頻度で実施し、その費用の全てを損害賠償請求の対象としたのに対しまして、東京電力は、週一回の測定を超える費用を賠償の対象外としております。
また、放射性物質濃度の測定に係る職員の超過勤務手当につきましても、当局は、測定の実作業のほか、関連する資料作成等の業務も含め損害賠償請求の対象としたのに対しまして、東京電力は、測定の実作業のみを賠償の対象とし、関連業務は対象外とするなど、当局と東京電力の見解に相違が生じ、協議中となっている費用が存在しております。
○大山委員 水道局は、浄水場によっては毎日、それから浄水の放射性物質濃度の測定をしているところもあるし、週に一回であったり月一回の頻度で実施するところもあるけれども、東電は週一回しか対象にしないということですね。
水道局のホームページを見ますと、金町浄水場、朝霞浄水場、小作浄水場、東村山浄水場、長沢浄水場については、現在も毎日測定をしているわけです。それは、都民にとっては、安全で安心できる水道水を給水するために必要だからということですね。
さらに、放射性物質濃度の測定について、東京電力は、実際の測定作業での超過勤務は認めるけれども、資料作成などの事務処理は対象外、これは私もびっくりしました。測定したら資料をつくる、そうしなければ役に立たないわけですから、そのための超過勤務は認めないなどと、本当におかしな話だと思います。原発事故がなければ、やらなくていい超過勤務だったわけです。
東京電力は、原因者責任をしっかりと果たすべきだと考えますけれども、当局としてはどのような立場でこの申し立てに臨むんでしょうか。
○岡安理事 東京電力に賠償請求してまいりました内容は、いずれも放射能対策のため支出を余儀なくされたものでありまして、こうした費用は確実に回収していかなければならないと認識しております。
今回、原子力損害賠償紛争解決センターによります公正な観点からの判断を受けますことで、適正な賠償金の受領と今後の協議に向けた考え方の整理につなげてまいります。
提示されます和解案の内容を踏まえまして、今後の東京電力との協議をより迅速に進めるなど、賠償請求額の早期回収に向け、引き続き精力的に取り組んでまいります。
○大山委員 東京電力が原発事故を起こしたことによって支出を余儀なくされたものについて、東京電力が賠償するのはもう当然ですから、きちんと責任を果たさせることができるよう要望して、質問を終わります。
○宮瀬委員 私の方からも、東京電力ホールディングス株式会社に対する賠償請求額の和解あっせんの申し立てのことに関しまして、質疑させていただきたいと思います。
内容が重複する質問は割愛させていただきますので、先ほど古城理事の方から聞かれた内容に関しましては、質問を割愛したいと思います。
やはり三月十一日、東日本大震災のときの水道局の対応を聞かせていただき、都民に対する影響といったところがありますが、私の方で少し気になっていることの意見でございます。
事故が起きたのが三月十一日で、実際に平成二十三年三月二十一日から浄水処理を強化する、二十二日から濃度の測定、二十三日から乳児による水道水の制限をお願いするという広報なんですけれども、初めてのことでありましたので、この十二日間の、本当に放射線量が多い時期の対応が、今後、短くしていかないと、その間、都民の皆さんは不安でしようがないと思います。事故が起きて、一日、二日、三日が、やはり相当多い放射線量が出ていましたので、ぜひ、あってはなりませんけれども、そういった時間の短縮を今後していただきたいと思います。
そういった対応についても、質問と答弁聞いていましたので割愛させていただきますが、私の方からは、放射線はやっぱり上空から落ちてくるものでありますので、私は、平成二十八年の九月から、富士山といった火山が噴火したときに、浄水場の方にふたがあれば火山灰が落ちてこないんじゃないかといった提案を大分前にさせていただいて、そういった動きもあると思います。
そういった、屋根があるということは大切だと思っておりまして、放射線の対応にもプラスになるのではないかなと思いますけれども、見解を伺います。
○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 今後の浄水場の整備に当たりましては、水道水の安全性や衛生面におきましても信頼性を向上させるため、浄水場を建屋型によって完全に覆蓋化することが必要と考えておりまして、更新に合わせまして効率的に覆蓋化を進めていくこととしております。
この覆蓋化は、河川の集水面積と比較いたしますと、その面積は小さいものの、放射性物質を含む降下物の直接混入の防止にも有効でございます。
○宮瀬委員 雨水があって、近隣の山から水を集めるわけですので、浄水場の上だけの話ではないというのは十分わかっておりますが、やっぱり、ろ過した後とか浄水した後の最終的な水をどうやって守っていくのかという意味では大変有効だと思いますので、ぜひ、ご答弁ありましたように進めていっていただきたいと思います。
また、文科省のホームページを見ますと、中間指針や賠償事例集が載っておりまして、こういった和解センター発足時から、累計受理件数二万五千七百五十一件のうち、既に二万四千九百四十七件が終局していて、和解成立件数が約二万件、和解成立率が約八〇%ほどだと聞いております。
和解しているものが既に八割ということなんですけど、その内容というのは、今回の事案にかかわる、似ているものがあるのであれば大変参考になると思っております。
これまでのセンターの和解の方針から、水道局として、東電から対象外とされた費用と同じ、また類似のものが賠償された事例というのはあるのかどうか、また、ほかの自治体ではどんな和解案が示されているのか、教えてください。
○岡安理事 事案の詳細が不明確な部分もございますが、公表資料によりますれば、例えば、関東地方の用水供給事業者からの申し立てにおきまして、当局の請求に対して東京電力が認めていない放射性物質の検査結果をホームページに掲載するための委託費につきまして、平成二十三、二十四年度は一〇〇%、その後も一定の割合が損害として認められた事例を確認しております。
また、職員の超過勤務手当につきまして、原発事故前と後のある期間における増額分を算定し、その一定割合を原発事故と相当因果関係がある損害として認められた事例なども、類似の事例として確認をしております。
○宮瀬委員 事例があるなら、最初から本当に認めていただきたいと私も思いますけれども、やはり今回の金額が大体十七億一千五百万円ほど賠償されていないといったことでありますが、そのお金というのは、もともと都民の水道料金を原資としているわけでありますから、私の方で、水道料金の話、前回させていただきましたけれども、ぜひ全額賠償をかち取っていただきたいと、心から応援したいと思います。
以上で質問を終わります。
○上田委員 東日本大震災、もう早いもので来年は十年ということであります。
あのとき、私は江戸川区議会議員でございまして、週末に江戸川区は行事がたくさん入っていました。野球チーム、三月ともなりますと、春に向けてのシーズンで開会式等がありまして、土日の、特に子供が動員される全てのイベントを中止するように、全ての国政政党の会派、無所属も含めた議員、そして、江戸川区内の区長を初めとした幹部職に中止のお願いのメールを出しましたが、そのときは、どこの会派も、時期尚早で上田さんは騒ぎ過ぎだと冷笑されたこと、その後の急激に反原発、脱原発の嵐が吹き荒れたことの滑稽さをふと思い出しているところでございます。
常に地域住民の、プロパガンダとか党利党略ではなくて、地域住民の健康と安全は何かということを考えて動いていくのが地方政治、地方議会であるということ、改めて今回の東電のこちらの金額の大きさ、回収していない事実を踏まえて痛感した次第でございます。
こちらの請求資料の方も取り寄せさせていただきました。ぜひ、委員の皆様とも共有したいと思ったところでございます。
こちらですけれども、平成二十五年度から債権回収が滞っておりますけど、水道局が債権回収を怠ったのか、東京電力の遅延行為を水道局が放置していたのか、懸念するものでございます。また、逆に、水道局が、再三再四にわたって東京電力に適宜適正に債権回収を行っていたにもかかわらず、東京電力が水道局の請求行為に一切応じなかったのかという点も気になったところでございます。
これまでの水道局の東京電力への働きかけや催促、その行為に対する東電側の対応について、時系列で詳しくご説明をしていただきたいと思います。
○岡安理事 当局では、原発事故により支出を余儀なくされました全ての経費につきまして、毎年、対象費用ごとに請求内容を整理の上、各種証明書類を添えて東京電力と事前協議を経た上で協議を行い、合意に至ったものから賠償請求手続を進めております。
具体的には、平成二十三年度第一回請求分は、二十四年三月から東京電力と事前協議を行い、二十五年二月に賠償金額の回答を受けました。その後、二十八年二月には二十三年度第二回請求分、二十九年十一月には二十四年度請求分の賠償金額の回答を受けております。
当局は、原発事故との因果関係が認められているものについて、必要かつ合理的な範囲で損害賠償請求を行っております。
一方、東京電力は、それらに加えまして、法令や政府指示等の賠償基準に照らし、賠償の可否を決定しております。
こうしたことから、両者の見解に相違が生じ、東京電力の内部審査と当局との協議に相当の時間を要しますため、令和二年十月末時点におきまして、協議中となっている費用が存在しております。
○上田委員 この損害賠償におかれましては、公営企業は公営企業でございますので報告という形でございますが、知事部局は、総務局等々各常任委員会で議論もなされているところでありまして、たまたま下水道と水道と二つ比べて見させていただいたところ、下水道局の方が回収率が高いといったら変なんですけれども、順調に回収していると。各局ばらつきがあるんだなということ、ちょっとほかの局のはまだ精査していないんですけど、気づいた点であります。
そういった観点から、先ほど理事にもお答えいただいたように、両者の見解の相違については、具体的な事例を挙げて、どういうふうに相違しているのか、時系列でお示しいただければと思います。
○岡安理事 見解の相違が生じている例としましては、平成二十五年二月に東京電力から受けました回答の中で、当局は、放射性物質濃度の測定に係る職員の超過勤務手当について、測定の実作業のほか、関連する資料作成等の業務を含めまして損害賠償請求の対象としたのに対しまして、東京電力は、測定の実作業のみを賠償の対象とし、関連業務は対象外とされた事例がございます。
また、平成二十九年十一月に東京電力から受けました回答の中で、当局では、各浄水場において、浄水の放射性物質濃度の測定を毎日から月一回の頻度で実施し、その費用の全てを損害賠償請求の対象としたのに対しまして、東京電力は、週一回の測定を超える費用を賠償の対象外としたという事例もございます。
○上田委員 回収に向けての攻防があったことを確認させていただいたところです。それでも立ち行かないということで、センターに申し立てていることは承知しておりますが、センター任せにせず、水道局として随時確認すべきと考えます。
コロナ禍にあり、東京電力の経営状況は悪化するであろうことは必須でありますし、このような状況の変化によっては、東電と直接交渉する必要が生じることも考えられますが、東電に向けてどのようなアプローチをし、今後速やかな回収に向けて取り組むのか、ご説明ください。
○岡安理事 現在、東京電力からは、平成二十三、二十四年度分の賠償請求について回答を受けておりまして、そのうち、東京電力が賠償対象外としたもの及び二十五年度分以降につきましては、引き続き協議を行っております。
この協議では、賠償請求の一部については、令和三年二月に予定しております和解あっせん申し立て前までに支払う意向があると東京電力から聞いております。
こうしたことも踏まえまして、今後、収入済額を除いた請求額につきまして、原子力損害賠償紛争解決センターに和解のあっせんを申し立てるとともに、引き続き、東京電力と協議を進め、損害賠償請求の一部でも早期回収に取り組んでまいります。
○上田委員 これまでも都は、一生懸命、水道局は回収に向けて努力してきたという前提ですよね。でも、支払ってこなかった東電に向けて、引き続き協議というのか、今後どう進めるのか、お示しいただければと思います。
○岡安理事 繰り返しになりますが、今後、収入済額を除きました請求額につきまして、原子力損害賠償紛争解決センターに和解のあっせんを申し立てまして、そこで提示されます和解案の内容を踏まえまして、今後の協議を進めてまいります。
○上田委員 わかるんですけど、巨額ですから、これは銀行へ預けていたら金利がすごいことになって、莫大なこの未回収の金額は都民の貴重な財産でもあるともいえます。一刻も早く回収すべきだったのではないでしょうか。
都は、東電の株主であったことから、そんたくや配慮は存在していなかったのか都民に疑われても仕方のない関係性であります。都庁内外から何らかの圧力やそんたくがあり、都民のための強気の債権回収がなし得なかったのではないかと疑われかねません。水道局として、しっかりとアカウンタビリティーを果たすべきです。
つきましては、未回収となった時点から回収が停滞し続けている今日まで、知事やほかの部局と水道局の連携体制についてご説明ください。
○岡安理事 当局では、平成二十五年七月に決定されました都の基本方針と同様の考え方に基づきまして、原発事故によって支出を余儀なくされました費用の全額について賠償請求を行っております。
今後は、先般、総務局が策定しました全庁的な実施方針に基づき、収入済額を除きました賠償請求額につきまして、公正な立場の第三者機関であります原子力損害賠償紛争解決センターへの和解あっせんの申し立てを行ってまいります。
○上田委員 最後に、回収に向けての局長の意気込みを伺いたいと思います。
○岡安理事 東京電力に賠償請求してまいりました内容は、いずれも放射能対策のため支出を余儀なくされたものでありまして、こうした費用は確実に回収していかなければならないと認識をしております。
今回、原子力損害賠償紛争解決センターによります公正な観点からの判断を受けますことで、適正な賠償金の受領と今後の協議に向けました考え方の整理につなげてまいります。
提示されます和解案の内容を踏まえまして、今後の東京電力との協議をより迅速に進めるなど、賠償請求額の早期回収に向けまして、引き続き精力的に取り組んでまいります。
○上田委員 厳しいことを申し上げましたが、東京都初め水道局は、それなりの根拠に基づいて請求をしてくださっております。それに対して、東電は、法令や政府指示の賠償基準で賠償額を提示しています。
東京都は大株主ですよね、大株主と損害賠償請求者という利益相反の関係が好むと好まざるとに関係なく成立しておりますので、東京都水道局は、もう徹底的に、東電側ではなくて、もう都民の利益、こちらに軸足を置いて、引き続いての損害賠償請求、債権回収に努めていただきたいと申し上げまして、私の質疑を終わります。
○田村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
○田村委員長 これより下水道局関係に入ります。
報告事項、原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小林総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。平成二十三年度以降の東京電力ホールディングス株式会社(旧東京電力株式会社)に対する賠償請求額、収入済額及び申立予定額等でございます。
平成二十三年度から令和元年度までの賠償請求額と収入済額等の内訳を、検査費用、処分費用に分けて、それぞれお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○田村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○古城委員 下水道局関係につきましても、報告事項、原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについてに関連して質問させていただきます。
二〇一一年の東京電力福島第一原子力発電所の事故後、東京都内の下水道施設でも下水汚泥や焼却灰から放射性物質が確認されました。
都議会公明党では、下水道施設周辺の放射性物質などに対する不安の声が寄せられたことから、木内良明議員と東村邦浩議員が東部スラッジプラント、遠藤守議員が南部スラッジプラントをそれぞれ視察いたしました。その上で、代表質問において、先行する報道の影響もあり、都民の皆様に必ずしも正確な情報が伝わっているとはいえないと指摘し、施設周辺の放射線量の測定頻度を高め、ホームページなどで都民にわかりやすく公表すべきと求めました。
きょうは、まず、事故直後、下水道局ではどのような対応をとられたのかお尋ねいたします。
○猪八重施設管理部長 原発事故の発生直後に、汚泥施設を有する水再生センターやスラッジプラントの汚泥焼却灰から高濃度の放射性物質が検出されたことから、当時、周辺環境や作業従事者等の健康への影響が懸念されました。
周辺環境への対応といたしまして、施設周辺の地域住民の安全性を確保するため、施設の敷地境界の空間放射線量の測定に加えまして、汚泥焼却炉の排ガスや汚泥焼却灰などの放射性物質濃度を測定し、その結果をホームページで公表するとともに、報道機関を対象とした施設見学会を開催し、正しい情報を正確に伝えるよう努めてまいりました。
また、作業従事者等への対応といたしまして、汚泥焼却灰等の処理や運搬作業における労働安全衛生の環境確保に向け、放射性物質が含まれる汚泥の処理などの作業に当たり、個人線量計による被曝線量の測定や保護具の使用などの安全対策を実施してまいりました。
○古城委員 当時、殊さら不安をあおるような報道を受けた非常に厳しい状況の中で、下水道局の皆様は大変に努力をされてこられたのだと思います。当時の公営企業委員会の会議録、議事録を見ましても、そのようなことが非常に伝わってくる、そういう思いをいたしました。
下水道局事業は、二十四時間三百六十五日休むことなく安定的に運営しなければならないことから、局では、安全・安心につながる取り組みを継続してきたと聞いております。
東京都地域防災計画の原子力災害編では、下水道局の役割として、汚泥処理を行っている各水再生センター、スラッジプラントの汚泥焼却灰及び混練り灰に含まれる放射能量を測定、公表すると示されています。
そこで、現在の放射性物質の状況はどのようになっているのか、また、原発事故後の対応の教訓などを踏まえ、今後、下水道局としてどのように取り組んでいくのか、あわせて見解を求めます。
○猪八重施設管理部長 施設の敷地境界の空間放射線量の測定結果におきましては、事故直後から低下傾向を示しまして、令和二年十一月末現在で、一時間当たり〇・〇四マイクロシーベルトから〇・〇六マイクロシーベルトと、国際基準における公衆被曝線量限度でございます一時間当たり〇・二三マイクロシーベルトを下回る数値となってございます。
また、汚泥焼却灰の放射能濃度の測定結果につきまして、区部の汚泥焼却灰から発生する放射性セシウム等の濃度は、測定を開始いたしました平成二十三年度は、一キログラム当たり千三百ベクレルから五万五千ベクレルの範囲にございました。令和二年十一月末現在では、一キログラム当たり八十ベクレルから七百三十ベクレルの範囲まで減少してきておりまして、法令基準でございます一キログラム当たり八千ベクレルを大幅に下回る数値となってございます。
今後も、下水道局では、施設の敷地境界の空間放射線量や汚泥焼却灰の放射性物質濃度の測定結果を、引き続き局のホームページで公表していきますことで、都民や作業従事者等の安全・安心の確保に努めてまいります。
○古城委員 現在、汚泥焼却灰の放射能濃度も各施設の空間放射線量も、基準値以下となっているとのことであります。
私も、下水道局ホームページのトップページから、事業案内、下水道放射線情報とたどりまして、これまでの経年の記録を確認させていただきました。平成二十三年当時の数値が、大変に高い数字を見まして、本当にこれは甚大な、そういう事故であったんだろうということを推察するところであります。
また、下水道局におかれても、原発事故当時から今日に至るまで、さまざまに対策に取り組んでこられたということも確認をさせていただきました。
これらを含めて、原発事故により支出を余儀なくされた費用につきましては、原因者に対して賠償を請求し速やかに回収されるべきものであります。
そこで、これまで下水道局が行ってきた賠償請求の経過とともに、今後の東京電力との協議に当たっての考えについてお尋ねいたします。
○小林総務部長 東京電力は、法令や政府指示等の賠償基準に照らしまして、原発事故との相当因果関係が認められるものについて賠償する方針を定めております。
毎年、被災自治体宛てに賠償金請求にかかわる案内を通知してございまして、これを受けまして、下水道局では、東電との協議に臨んでございます。
当局では、平成二十五年に決定した都の方針に基づきまして、東電の賠償基準にかかわらず、事故により支出を余儀なくされた全ての経費について請求することとしておりまして、必要な証明書類とともに協議を行ってございます。
これまでの協議の結果、東電から支払い意向が示され、手続中の約五十三億円のうち約三十五億円が十二月上旬に納付され、現時点で約五十七億円が収入済みでございます。
これにより、引き続き手続中の約十八億円を加えますと、総額約八十五億円の約九割に当たります約七十五億円の支払いを受けることとなります。
来年二月に、公正な第三者機関でございます原子力損害賠償紛争解決センターへの和解あっせんの申し立てを予定してございまして、残る請求額についても東京電力と合意できますよう、引き続き取り組んでまいります。
○古城委員 下水道局におかれましても、都民の皆様の安心・安全、また職員の方々の安心・安全も含めて、引き続き万全の取り組み、ぜひともこの点、しっかりと行っていただきたいと思いますし、東京電力とのこの和解あっせんの申し立て以降の合意に向けて、都民の皆様の利益に資するように全力で当たっていただきたいと重ねて申し上げさせていただきます。
さて、来年三月には、ハード面の復興を目指す第一期復興・創生期間が終了し、心のケアなどソフト面を重視する第二期復興・創生期間がスタートいたします。
一方で、千年に一度の地震に津波、さらには原発事故という、広域かつ複合的な災害である東日本大震災が時の流れとともに忘れられていく、風化が予想以上の速さで進んでいることに危機感を覚えなければならないと思います。
三・一一は、二万人以上のとうとい命が犠牲となりました。震災の経験を後世に、また、日本全国、世界に伝えていくことが、風化をさせないこと、そして犠牲者の皆様に応える道であると信ずるものであります。
本日の水道、下水道両局との質疑が、その一助になることを強く願いますとともに、公明党は、被災地、被災者が心の復興をなし遂げるその日まで、誰も置き去りにしない、誰ひとり取り残さない人間の復興へ闘い続けることを改めてお誓いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○大山委員 私も、原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについて質問します。
二〇一一年の福島原発事故由来の放射能汚染は、下水道事業においても影響があって、当時、下水道汚泥から高濃度の放射性物質が検出されたことがマスコミでも報道されたほか、汚泥焼却灰の有効利用や資源化ができなくなったと伺っています。
都は、原発事故によって支出を余儀なくされた経費全額について東電に賠償請求することとし、十年近くにわたり協議をしていますが、今回の報告にあったように、東電と合意には至っていない事案について、第三者に間に入ってもらうためのあっせんを申し立てるということですね。
水道局でも確認したんですけれども、下水道局が東京電力に賠償請求するに当たっての基本的考え方はどのようなものでしょうか。
○小林総務部長 平成二十五年に策定されました都の基本方針では、東日本大震災に伴う東京電力の福島第一、第二原子力発電所の事故により、都の事務事業として本来支出する必要のない費用であるにもかかわらず、支出を余儀なくされた費用について賠償請求を行うとしてございます。
当局も、この方針に基づきまして、全ての費用について請求をするということでございます。
○大山委員 東京電力が原発事故を起こしたために支出を余儀なくされた費用について賠償請求をするということですね。
現時点で、下水道局関係で、東電と合意に至っていない事案のうち、賠償拒否されているものはどういうものがありますか。その理由も含めて教えてください。
○小林総務部長 現時点で東京電力から賠償を拒否されている事案といたしましては、検査費用では、放射性物質汚染対処特別措置法及び国のガイドライン等で規定されております測定頻度である月一回を超えて測定した焼却灰等の放射性物質の検査費用や、電離放射線障害防止規則において使用が義務づけられていない個人線量計にかかわる保守費用などがございます。
また、処分費用では、放射能濃度が原子炉等規制法に基づくクリアランス基準未満でありました焼却灰の運搬費や資源化にかかわる費用などは、原発事故との相当因果関係が確認できないとされてございます。
○大山委員 月一回以上測定した費用は出さないという話ですけれども、下水道局のホームページで確認しましたけれども、脱水汚泥、汚泥焼却灰、空間放射線量を、二〇一一年は月に四回、五回、測定しています。その後、月に四回、二〇一八年三月までは月に四回ですから週一回測定しています。それは、下水道汚泥から高濃度のセシウムが検出されていて必要だから実施していたということですね。
例えば、二〇一一年五月十九日に発表した江戸川区臨海町にある葛西水再生センターの脱水汚泥一キロに含まれていた放射性ヨウ素は九十三ベクレル、放射性セシウム134が千四百五十ベクレル、放射性セシウム137が千七百ベクレルでした。福島第一原発から二百キロ以上離れた東京で検出された高いこの数値は、研究者も、衝撃的であると述べていました。
下水処理施設には雨水が流れ込みます。検出された放射性物質の数値が高いということは、その周辺地域の放射能汚染の濃度がより高いことを示すということですから、その地域の放射能の状況を把握する参考にもなりますから、これは重要な測定だと思っています。
スラッジプラントや水再生センターの空間線量も高い値が出ています。この空間線量で比較できるのは、大気圏内での核実験が行われている時代からずっと毎日、一年間通して測定している、東京都健康安全研究センターが空間線量を測定しているわけですけれども、例えば、それまでの健康安全研究センターのところではかっている五月の一日単位の平均値というのは、一時間当たり〇・〇六八から〇・〇六二マイクロシーベルトでした。
下水道局の二〇一一年五月十日から十二日の測定を見ると、葛西水再生センターでは、一時間当たり〇・一四マイクロシーベルト、それから、江東区の新砂の東部スラッジプラントでは、一時間当たり〇・一三マイクロシーベルトなど、桁違いに高い値でした。このような状況ですから、月に一回ではなくて頻度高く測定するのは当然です。空間線量でさえこんなに高い値なんですから、個人線量計は、働く人たちの健康を守るためにもなくてはならないものだと思います。
それでは、明確に東電から賠償拒否まではされていないけれども、継続協議しているものはあるでしょうか。あれば、その内容と理由を教えてください。
○小林総務部長 現在、継続協議をしている事案といたしまして、原発事故が原因で長期間休止しておりました東部スラッジプラントの汚泥炭化設備を再稼働するため、令和元年度に実施いたしました補修工事や点検などに要した費用に係る損害賠償請求でございまして、本年十月に協議を開始したものがございます。
東電は、直ちに賠償の可否を判断できず、事故との因果関係などについて詳細に審査する必要があるというふうにしてございます。
○大山委員 協議を始めたばかりの案件だということですね。
それで、最後に、局としては、今後どのような考えでこの申し立てに臨むのでしょうか。
○小林総務部長 賠償請求の内容は、いずれも原発事故後も下水道施設を安全・安心に安定的に運営するため支出を余儀なくされた経費でございます。
今後、原子力損害賠償紛争解決センターへ和解あっせんの申し立てを行う中で、原発事故により追加的費用を支出せざるを得なかった理由や、その経緯などについて説明を尽くし、公平かつ適正な和解案が示されるよう努めてまいります。
○大山委員 いずれも原発事故がなければ発生しなかった経費や事項です。東京電力が原発事故を起こしたことによって支出を余儀なくされたものについて、東京電力が賠償する、東京電力が原因者責任をきちんと果たすということはもう当然です。
かかった経費についてはしっかりと東電に賠償させることができるように要望して、質問を終わります。
○宮瀬委員 私の方からも、東京電力における原子力損害賠償紛争解決センターに対する和解あっせんの申立てについて質問させていただきます。
時間ももったいないので、重複する質問は割愛させていただきます。
今までのご答弁を聞いていまして、事故後の対応と住民周知のところのお話もあったんですけれども、やっぱり都民の健康に影響するような事態ですとか対応というのを、日付と数値入りで聞いた質問はありませんでしたので、改めてお伺いいたします。
○猪八重施設管理部長 下水道局では、発災前までの区部四カ所の水再生センターにおきまして、局独自の取り組みといたしまして、総量としての放射能でございます全ベータ放射能による汚泥中の濃度の測定を年に二回、定期的に実施をしておりました。
震災発災直後の三月十四日に、施設周辺の地域住民等への健康への影響が懸念されておりましたことから、汚泥中及び放流水中の全ベータ放射能濃度の測定を臨時的に実施をいたしましたが、放射能は不検出でございました。
その後、三月二十一日には降雨がございまして、翌日の三月二十二日に放流水などの全ベータ放射能濃度を測定いたしましたところ、一時的に最大で一キログラム当たり九十二ベクレルまで上昇いたしましたが、すぐに低下をいたしまして、六月七日には不検出であることを確認いたしました。
また、焼却灰につきましては、三月二十三日及び三月二十五日に全ベータ放射能測定をいたしましたところ、東部スラッジプラントにおきまして、最大で一キログラム当たり十七万ベクレルを検出しております。
五月十二日になりますけれども、国が、福島県に対しまして福島県内の下水処理副次産物の当面の取り扱いに関する考え方についてとした通知を示しておりまして、当局も、その考え方を準用いたしまして、セシウム等の放射性物質濃度を測定いたしますとともに、空間放射線量の測定結果とあわせまして、五月十九日から、その結果を局ホームページで公表いたしてございます。
現在も、施設の敷地境界の空間放射線量や汚泥焼却灰の放射性物質濃度を月に一回の頻度で測定いたしまして、その結果を局のホームページで広く公表いたしますことで、都民の安心・安全の確保に努めているところでございます。
○宮瀬委員 三月十一日に事故が起きまして、もう三月十四日には測定をしているといったことで、わずか三日間ですね、大変すばらしい動きだったと思っております。
そういった状況の中で、実際その再発ということはあってはなりませんけれども、どのような対応をしていくのかについては、先ほど質疑も聞かせていただきました。
被曝線量の測定や保護具の使用を常備されているということで、焼却する際にいろいろ有毒なガス等ありますので、そういったものもあると思いますけれども、ぜひこれは、対応を引き続きしていただきたいと思います。
また、飛ばしまして、先ほど水道局にも聞いたんですけれども、文科省のホームページを見ますと、中間指針として賠償事例集が載っています。センター発足時から、累計二万五千七百五十一件で、二万四千九百四十七件が終局、終わって、和解成立数が約二万件、和解成立率八割ということですけれども、やっぱり私としても気になりますのが、ほかの自治体等で、どの自治体も下水処理をやっているわけでありますから、こういった和解案というものを参考にした方が、大変、交渉が有利に進むんじゃないのかなと思っています。
下水道局として、東電から対象外とされた費用と同じ、あるいは類似のものが賠償された事例があるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
○小林総務部長 文部科学省のホームページの賠償事例の確認や他団体へのヒアリングを行う中では、現時点で、当局の請求に対して東電が認めていないものと同じ案件、あるいは類似の案件で賠償された事例は確認できてございません。
ただし、下水道事業ではございませんが、関東地方の自治体の和解案において、法令などの基準を超えて実施いたしました放射性物質の測定、検査などの費用につきまして、その一定割合を原発事故と相当因果関係があるものとして認められた事例は存在いたします。
○宮瀬委員 事業としての事例がないといったことで、先ほど水道局さんの方に質疑しましたら、事例はあって、ちゃんと賠償されていたと。ただ、下水に関しては、今のご答弁だと確認できないということでありますので、ぜひ、ここは一層奮闘していただきたいなと思っております。
金額にして約十億ということで、それは、水道さんにもいいましたけれども、都民の利用料のお金が原資だと思っておりますので、その十億円がロスするということは都民にとっての損害だと思っておりますので、ぜひ、満額賠償をかち取っていただきますよう応援しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上で終わります。
○上田委員 和解あっせん申し立ての事案です。
先んじまして、十一月の事務事業におきまして、私は、今までの取り組みの根拠となり、今回賠償の根拠となってきた下水道局の取り組みについて確認させていただきました。
先ほど、ほかの委員からもご指摘あったように、江戸川区は葛西の水再生センターがありまして、非常に放射性物質が高く脱水汚泥が出まして、また中防に移動することに関しましても、地域住民に大変な心配とご不安をおかけいたしましたことがございます。
そこで、下水道局におかれましては、区部の汚泥焼却灰については、事故発生後の二十三年五月から放射性セシウム濃度を測定してホームページで公表してくださっておりました。
検査費用については、二十三年から年度末の累計で約一億四千万円となっていて、検査状況については、現在、区部の汚泥焼却灰の放射性セシウム濃度は、当初、一キログラム当たり千三百ベクレルから五万五千ベクレルの範囲であったものが、今年度は、一キログラム当たり百十ベクレルから七百三十ベクレルの範囲に減少しているというご報告をいただいておりまして、とりあえず安堵しております。
こちらは、すなわち経費がかかっていて、東電さん払ってくださいよということでございまして、資料の方を取り寄せさせていただきましたところ、やはり平成二十五年度から債権回収が滞っています。下水道局が債権回収を怠ったのか、東電の遅延行為を放置していたのか、それとも、下水道局が、再三再四東電側に適宜適正に債権回収行為を行っていたにもかかわらず、東電が一切応じなかったのかどうかという点を確認したいと思います。
これまでの下水道局の東電への働きかけや催促、その行為に関する東電側の対応について、時系列にて詳しくご説明ください。
○小林総務部長 下水道局では、平成二十五年に決定いたしました都の基本方針に基づきまして、原発事故により支出を余儀なくされた全ての経費について賠償請求することとしておりまして、各種証明書類を添えて東京電力と協議を行い、合意に至ったものから収入手続を進めております。
具体的には、平成二十三年度から令和元年度までに支出いたしました費用について、毎年度、検査費用と処分費用ごとに請求内容を整理いたしまして、これまでに二十一回にわたり協議をしてございます。
東電では、法令や政府指示などの賠償基準に照らし、原発事故との相当因果関係が認められるものについて賠償する方針を定めておりまして、数カ月程度かけまして社内審査を経た上、当局と協議を重ね、賠償の可否を判断してございます。
○上田委員 この、払ってください、対象外だという交渉が続いていることが読み取れましたけれども、東電が賠償を拒否している事案について、案件ございますけれども、具体的な事例を挙げて時系列でお示しいただければと思います。
○小林総務部長 当局が実施しました検査のうち、平成二十九年度まで、放射性物質汚染対処特別措置法及び国のガイドラインなどで規定されております頻度を超えて測定してきました焼却灰などの放射性物質の検査費用などは、追加的な検査であるというのが東京電力の見解でございます。
○上田委員 見解の相違がどうもあるようでございます。だから、センターに申し立てることは承知しておりますが、センター任せにせず、下水道局として随時確認もすべきと考えます。
コロナ禍ですから、東電も経営状況は悪化していることは想定できますことから、このような状況の急変によって、東電と直接交渉する必要も今後生じることもあると考えられますが、東電に向けてどのようなアプローチをし、速やかな回収に向けて取り組むのかご説明ください。
○小林総務部長 これまでの東京電力との協議の結果、現時点では、請求総額約八十五億円の約九割に当たります約七十五億円の支払いを受けることが決まってございます。
この内訳についてでございますが、令和二年十月末時点で約二十二億円は収入済みでございまして、また、十二月上旬には約三十五億円が納付されてございます。残り約十八億円につきましても支払い意向が示されておりますことから、現在、収入に向けた手続を進めているところでございます。
合意に至っておりません残る請求額につきましても、来年二月に、原子力損害賠償紛争解決センターに和解のあっせんを申し立てることによりまして、東電と合意できますよう、取り組んでまいります。
○上田委員 莫大な請求金額というのは、下水道局だけではなく、他局にもわたっています。知事部局の方は、私たちは報告という形ですけれども、知事部局は知事部局でまた議論が交わされているところであります。いずれにしろ、ほかの委員からも指摘がありましたけれども、私たちからすれば、この未回収のものは私たち都民の貴重な財産であると思いますことから、一刻も早く回収すべきではなかったかというふうには考えております。
私も、今回調べて気づいたのが、下水道局の方が水道局よりも回収率がよいというところも、結構ばらつきがあるのかなというところも知ったところであります。
ただ、東電は−−東京都は株主でございます。そんたく、配慮が存在していなかったのか都民に疑われても仕方のない関係性にあり、都庁内外から何らかの圧力、そんたくがあって、都民のために強気の債権交渉ができなかったのかなと疑われかねませんことから、アカウンタビリティーを果たすべきでございます。
未回収となった時点から回収が停滞し続けている今日まで、知事やほかの部局と下水道局の連携体制についてお聞かせください。
○小林総務部長 下水道局では、都の方針に基づきまして、事故によって支出を余儀なくされた全ての経費について賠償請求をしてございます。
現時点で合意に至っておりません請求金額については、先般、総務局が策定いたしました全庁的な実施方針に基づき、公正な第三者機関であります原子力損害賠償紛争解決センターへ和解あっせんの申し立てを行うこととしてございます。
○上田委員 総務局が策定した全庁的な実施方針に基づいているというだけなのでしょうか。
金額や項目の洗い出し、回収可能な項目については優先順位を上げるなど、作業レベルのことはせず各局判断という理解でよろしいのでしょうか、確認させてください。
○小林総務部長 下水道局では、事故によって支出を余儀なくされました経費全てについて年度ごとに取りまとめ、平成二十五年の都の方針を踏まえ、東京電力に対し直接賠償請求をしてございます。
合意に至っていない請求額につきましては、全庁的な実施方針に基づいて、下水道局として和解あっせんの申し立てを行ってまいります。
○上田委員 下水道局において申し立てを行っていくということは、しっかりと優先順位等々を検討していくというふうに理解させていただきます。
最後になりますが、回収に向けての局長の今後の意気込みを伺います。
○小林総務部長 賠償請求の内容につきましては、いずれも原発事故後も下水道施設を安全・安心に安定的に運営するため支出を余儀なくされた経費でございまして、今後、第三者機関へ和解あっせんの申し立てを行い、残る請求額についても東電と合意できますよう、引き続き取り組んでまいります。
○上田委員 水道局にも申し上げましたけれども、下水道局も、私たち東京都側はしっかりと根拠に基づいて請求をしているということを今回確認させていただきましたが、東電側は、法令や政府指示等の賠償基準で提示をしてきて、それがずっと交渉になっているということだと思います。
一方で、先ほど指摘させていただきましたが、東京都は東電の株主の立場にある、立場上は利益相反の関係が成立しているので、都民にもその関係性を疑われず、徹頭徹尾、東京都は東電にそんたくせず、徹頭徹尾、東京都の都民に重きを置きまして、損害賠償を引き続き続けていっていただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わります。
○田村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
○田村委員長 請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時二十分散会
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