公営企業委員会速記録第十四号

令和二年十一月二十六日(木曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長田村 利光君
副委員長宮瀬 英治君
副委員長たきぐち学君
理事古城まさお君
理事おじま紘平君
理事大山とも子君
上田 令子君
馬場 信男君
中山ひろゆき君
とくとめ道信君
川松真一朗君
鈴木あきまさ君
山田ひろし君

欠席委員 一名

出席説明員
水道局局長浜 佳葉子君
技監相場 淳司君
理事総務部長事務取扱岡安 雅人君
職員部長石井 英男君
経理部長金子 光博君
サービス推進部長金子 弘文君
浄水部長特命担当部長兼務尾根田 勝君
給水部長藤村 和彦君
建設部長田中 慎一君
経営改革推進担当部長鈴木美奈子君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務清水 英彦君
設備担当部長岩崎 恭士君
多摩水道改革推進本部本部長鈴木  勝君
調整部長小山 伸樹君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長松田 信夫君

本日の会議に付した事件
水道局関係
事務事業について(質疑)

○田村委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡安理事 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は二十四件でございます。
 それでは、一ページをごらんください。公立小中特別支援学校の水飲栓直結給水化モデル事業の実施状況でございます。
 一ページから二ページにわたり、令和元年度までの区部及び多摩地区の実施状況を、それぞれ区市町別に一覧にしたものをお示ししてございます。
 三ページをごらんください。各浄水場等における自然エネルギー等の導入及び発電状況でございます。
 各浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備の発電規模及び平成二十七年度から令和元年度までの発電実績をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープラン及び東京水道経営プラン二〇一六の二つの計画における耐震継ぎ手率の計画値と、平成二十七年度から令和元年度までの実績をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。月別使用水量と調定金額の実績でございます。
 五ページから七ページにわたり、平成三十年四月から令和二年九月までの月別の口径別使用水量と、調定金額の実績をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。配水量及び料金収入状況でございます。
 令和二年及び令和元年の一月から九月分の配水量と税抜き料金収入につきまして、月別にお示ししてございます。
 九ページをごらんください。本年一月以降で水道局職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年を待たない退職、公務災害の状況についてでございます。
 平成三十一年と令和二年一月から九月までの職員の自殺者数、病気休暇及び病気休職職員数、定年退職者を除く退職者数及び公務災害の認定件数をお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。職員自殺の状況と超過勤務時間が月八十時間を超えた職員数でございます。
 上の表は、平成二十九年度から令和元年度までの職員の自殺者数をお示ししてございます。下の表は、平成二十七年度から令和元年度までの一カ月当たりの超過勤務時間が月八十時間を超えた延べ職員数をお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。政策連携団体、事業協力団体の都職員の現役派遣人数と退職者の再就職の実績とその役職区分でございます。
 一一ページは、政策連携団体等への退職派遣者数を、平成二十七年度から令和元年度まで、各会社の役職ごとにお示ししてございます。また、一二ページは、政策連携団体等への再就職者数を同様にお示ししてございます。
 一三ページをごらんください。令和元年度の政策連携団体、事業協力団体における接遇改善の取り組み実績でございます。
 政策連携団体、事業協力団体の接遇改善について、取り組み事項、実施時期、対象者及び取り組みの概要をお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。東京水道株式会社と東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの組織図の新旧対照表でございます。
 一五ページをごらんください。東京水道株式会社と同社の株主である水関連企業との受発注実績の状況でございます。
 東京水道株式会社の株主に、水関連企業は含まれておりません。
 一六ページをお開きください。東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCの取締役会等における過去五年間の監査役からの指摘事項でございます。
 上の表は東京水道サービス株式会社について、会議体名、指摘事項を年度別に、下の表は株式会社PUCについて、会議体名、指摘事項を年度別にそれぞれお示ししてございます。
 一七ページをごらんください。局所管政策連携団体、事業協力団体への現職派遣手続のフロー図でございます。
 一八ページをお開きください。局所管政策連携団体、事業協力団体への職員の推薦手続のフロー図でございます。
 一九ページをごらんください。局所管政策連携団体、事業協力団体への取締役監査役など幹部人事関与手順のフロー図でございます。
 政策連携団体と事業協力団体に分けてお示ししてございます。
 二〇ページをお開きください。局所管政策連携団体、事業協力団体以外の民間企業団体等への現職派遣手続のフロー図でございます。
 公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律及び公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例に基づく派遣の場合と、研修による派遣の場合に分けてお示ししてございます。
 二一ページをごらんください。局所管政策連携団体、事業協力団体以外の営利企業等へ人材情報を提供する場合及び個人による求職活動を承認する場合の手続のフロー図でございます。
 二一ページは、営利企業等へ人材情報を提供する場合をお示ししてございます。また、二二ページは、個人による求職活動を承認する場合をお示ししてございます。
 二三ページをごらんください。局所管政策連携団体、事業協力団体以外の民間企業団体等への現職派遣実績でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの派遣の種類別の派遣職員数をお示ししております。
 二四ページをお開き願います。局所管政策連携団体、事業協力団体以外の民間企業団体等へのOB再就職実績とそのうち利害関係企業等への再就職者数でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの民間企業団体等への再就職者数をお示ししてございます。東京都退職管理条例施行後の平成二十八年度以降、利害関係企業等へ就職した者はおりません。
 二五ページをごらんください。水道局職員が加入しております職員団体及び労働組合をお示ししてございます。
 二六ページをお開きください。水道局所管施設における労働組合の事務所の使用場所、面積、賃料及び光熱水費等の徴収一覧でございます。
 令和元年度末時点の使用場所、面積、賃料及び光熱水費等の徴収状況を所管部署ごとにお示ししてございます。
 二七ページをごらんください。水道局所管施設における労働組合の事務所の面積、労働組合数の増減の状況でございます。
 上の表は、労働組合事務室の面積を平成二十七年度から令和元年度までお示ししてございます。下の表は、労働組合数増減を同様にお示ししてございます。
 二八ページをお開きください。低入札調査の調査票提出件数及び未提出の割合でございます。
 調査票依頼件数、調査票提出件数及び未提出割合を、平成二十七年度から令和元年度までお示ししてございます。
 二九ページをごらんください。令和元年台風十五号及び台風十九号における水道施設の被害及び復旧状況でございます。
 台風十五号における被害はございません。台風十九号における被害は、奥多摩町、日の出町及び水道水源林における水道施設、地域別に被害内容及び復旧状況をお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○田村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中山委員 私からは、水道事業の経営方針について、全般にわたって質問をしていきたいというふうに思います。
 いうまでもありませんけれども、この日本の水道の普及率、これは九八%を超えているわけでありまして、まさに、経済活動を支える大切な日常生活のインフラだということであります。
 東京の水道というのは世界から本当に称賛をされているんですけれども、私どもも外国へ行くと、コーラに入っている氷が解けないうちに飲めなんて、よく指導されるわけなんですけれども、海外に行くと、日本の水道というのはすばらしいなという実感をするわけであります。
 しかし、こうした東京の水道事業も、次世代にしっかり引き継いでいかなければ、岐路に立たされているということでありまして、水道事業にかかわらず、日本の社会資本、これが大体一九四〇年代から六〇年代に中心に形成をされてきたということなんですが、四十年か六十年を経過した今、箱物施設を初めとして多くの社会資本が老朽化、更新時期を迎えている現状であります。
 まさに、これから、少子高齢化を迎えた段階において、更新期と、この財政負担という政策選択を迫られる、求められる、そうしたサイクルに入ってきたということであります。
 そこでまず、東京水道長期戦略構想を策定した趣旨を改めて伺いたいと思います。

○岡安理事 東京水道を取り巻く状況は、将来の人口減少に伴い、水道需要や料金収入が減少していくことが見込まれます。
 一方、大規模浄水場の更新を初め、安定給水のために必要な施設の整備を着実に進めていく必要がございます。
 さらには、労働力人口の減少への対応、スマートメーターを初めとするICTの進展などに対応した効率的な事業運営体制の構築が求められるなど、大きく変化していくと見込まれます。
 こうした状況が変化する中、将来にわたり持続可能な水道事業を実現するためには、先を見据えた長期の経営方針を立て、目指すべき目標を明らかにし、事業を戦略的に進める必要がございます。
 そのため、令和二年度が東京水道経営プラン二〇一六の終了年度でありますことから、都の戦略ビジョンを初め、外部有識者や都民の意見を踏まえ、二〇四〇年代を見据えた、おおむね二十年間の事業運営の指針として、東京水道長期戦略構想二〇二〇を策定したものでございます。

○中山委員 今、答弁で、外部有識者の意見を踏まえたことが取り上げられておりました。それはそれとして大変重要なことなんですけれども、もっと重要なことというのは、やっぱり一企業体としての持続性をどうやって分析しているのかということだというふうに思います。
 つまり、特に水道事業においては、現時点で民営化などの議論をする以前に、現状の水道事業が、水道料金の値上げだけに頼らず水道事業を維持していくことに英知を結集していくということが大変重要だというふうに思います。
 民間企業でいえば、ある意味、経営破綻、あるいは貸借対照表上、やはり債務超過にしないということが大変重要で、今の時点でも、最悪の財政状況を想定した上でどうなるかということは、特にこの水道事業については想定できるのであろうというふうに私は思うんですね。
 そこで、長期戦略構想では、料金水準を維持した上で健全な財政運営が維持されるべきと考えますが、具体的な取り組み内容について伺いたいと思います。

○岡安理事 水道事業は、多くの施設や管路を有します装置産業でありまして、将来にわたり安定給水を確保するためには、計画的かつ継続的な施設整備が不可欠でございます。
 当局では、将来の大規模施設の更新に備え、不断の経営努力による支出額の縮減とともに、企業債の発行を抑制し、残高の圧縮を進め、企業債の発行余力を確保してきており、給水収益に対する企業債元利償還金の割合は、ピーク時の六七%から七%まで減少しております。
 今後の財政運営に当たりましては、施設規模のダウンサイジングによる支出の抑制、予防保全型管理の導入による施設の長寿命化や更新の平準化を進め、年平均の事業費を抑制した上で、これまで確保してきた企業債の発行余力を活用し、施設整備に必要な財源を確保してまいります。
 さらに、スマートメーターを初めとする新技術の導入や政策連携団体への業務移転など、業務の効率化により経費の縮減を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、二〇四〇年代まで、現行の料金水準を維持した健全な財政運営ができると見込んでおります。

○中山委員 今の答弁でもありましたとおり、企業債の発行を抑制して、残高の圧縮を進めて、給水収益に占める企業債元利償還金の割合をピーク時の六七%から七%まで減少させている点は、これは確かな事実でありますし、答弁を多としたいというふうに思っております。
 しかしながら、先日、十月二十一日の日本経済新聞の中でも、首都圏の自治体が、水道料金の値上げをしないとやっていけないというような内容の報道の記事が出たんですね。横浜市なんかでも二〇二一年七月に平均一二%の引き上げを検討とか、あるいは埼玉県の川口市でも平均二五%の引き上げ、コロナの生活への影響を考慮して二一年一月に延期というような内容が書いてあるわけであります。
 東京の場合、このままの料金では債務超過になるといえる自治体もあるわけなんですけれども、もう一度ちょっと確認しますが、料金の値上げを先延ばししても債務超過にはならないのかどうか、質問したいと思います。

○岡安理事 当局は、独立採算制のもと、資金収支の状況を重視した経営を行っておりまして、平成十七年以降は、料金水準を維持した上で収支を均衡させております。
 東京水道経営プラン二〇一六におきましても、計画期間の収支を均衡できると見込んでおります。
 今回の長期財政収支の見通しでは、二〇六〇年までの推計期間を通じまして、長期的に資金収支を均衡できると見込むとともに、今後策定いたします中期経営プランにおきましても、状況変化を踏まえた見直しを行うことなどによりまして、五年ごとの資金収支を均衡させた財政運営を目標としてまいります。
 こうしたことから、二〇四〇年代まで、現行の料金水準を維持した健全な財政運営ができると見込んでおりますが、災害の発生や社会経済情勢の急激な変化などによります料金収入の大幅な減少が顕在化した場合は、改めて長期財政収支の見直しも検討いたします。

○中山委員 それでは、今後の事業運営のかなめといっても過言ではありません収支の工夫について、今、答弁されましたけれども、具体的に聞いていきたいと思います。
 まずは水道需要の見通しについて伺いたいと思います。
 都の人口については、昨年十二月策定の未来の東京戦略ビジョンで、二〇二五年にピークを迎えた後に減少に転じ、二十年後には千三百六十万人まで減少すると推計をされています。
 そこで、この未来の東京戦略ビジョンで示された人口推計を受けて、施設整備の基本となる将来の水道需要の見通しについてどのように考えているのか伺いたいと思います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 将来の水道需要は、都民生活と首都東京の安定給水を確保する上で適切に見通すことが必要でございます。
 このため、今回の水道需要の見通しは、二十年後の二〇四〇年度を見据え、過去二十年以上の水道使用の実績や安全度を検証、分析いたしまして、未来の東京戦略ビジョンで示された将来の人口動向などをもとに、合理的な統計手法により適切に見通しました。
 また、生活様式の変化などは一日平均使用水量に反映し、気候などにより変動する一日最大配水量の算出には、安定給水を確保する観点から、実績期間内の最適な負荷率を採用いたしました。
 その結果、一日最大配水量は、二〇二五年度のピーク時におおむね五百三十万立方メートルとなる可能性があり、その後は減少に転じ、二十年後の二〇四〇年度には、おおむね五百十五万立方メートルになると見通しております。

○中山委員 今の答弁で、一日の最大配水量について答弁がありました。
 我が会派の福島議員が一般質問でちょっと指摘をさせていただいたんですけれども、要は、一日のこの最大配水量が本当に適切なんですかという問いだったというふうに思います。
 今、答弁でありましたとおり、この最大配水量、二〇二五年には五百三十万立方メートルという見通しだということであります。
 特に最近十年間を見ておりますと、この負荷率が九〇%以上になっているにもかかわらず、平成二年の負荷率八二・四%を用いているわけであります。当然、この負荷率が低くなれば最大配水量は高くなるので、それだけの施設を維持していかなくてはならないということだと思います。
 当然これまでも、知見だとかいろいろと、経験のもとで最大限生かしての結果であることはわかりますし、そこには、さらなる分析とか検証が必要になってくるだろうというふうに思っております。適切な最大配水量の予測が適切なダウンサイジングにつながるということだと思います。
 例えば、電力需要でいえば、甲子園やっているとき、開催時期のちょうど日中が一番電力需要が大きいといわれているわけでありまして、水の需要でいえば、梅雨の時期の晴れ間というような状況も、私どもでも推測ができるわけでありまして、そうした調査分析、それをまた都民に適切に伝えていくということが今後大変重要になってくるだろうというふうに思います。
 そこで、日々刻々と変化する都民の水使用について、調査分析を行うとともに、この使用の集中を分散することができれば、より効率的な施設整備を行うことができると考えますが、見解を伺いたいと思います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 水道需要は、人口動態やライフスタイル、気象条件や社会経済状況など、さまざまな要因により変動するものであるため、これまでも、定期的な使用水量などの調査を行い、傾向を分析しております。
 その中でも、水道需要が集中する傾向、いわゆる一日最大配水量などにつきまして、日々の配水量の実績や天候等から分析し、一定の傾向を把握してまいりました。
 今回の水道需要の見通しでは、将来の水道需要が減少傾向にあることを受け、施設規模のダウンサイジングを検討しておりますが、今後、さらに一日最大配水量の減少が見込める場合、より効率的な施設整備が期待できます。
 このため、今後も、水道使用データの蓄積や分析を継続するとともに、水道の使い方に関するお客様へのPRなどについても検討してまいります。

○中山委員 簡単にいえば、リスクをとるという発想はよくわかるんですけれども、とり過ぎは都民の負担につながるということでありますので、需要の適切な把握と、都民に対しての周知を図っていただきたいと要望させていただきたいと思います。
 もう一つ、リスクといえば、昨今の地震や風水害などがありますが、そこも安定供給に支障がないようダウンサイジングをしていかなくてはならないということであります。
 そこで、浄水場の施設規模はどのようにダウンサイジングをしていくのか伺いたいと思います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 将来にわたり安定給水を確保していくためには、水道需要に加えて、災害時や事故時などにも対応できる施設能力を確保していくことが重要でございます。
 このため、浄水場の施設規模は、平常時は、一日最大配水量に補修等による能力低下量を加えた規模であり、また、リスク発生時は、補修等による能力低下量に加え、最大浄水場が停止した場合でも、計画一日平均配水量を確保できる規模としております。
 今後の浄水場更新に当たりましては、将来水道需要の減少傾向を見据えつつ、補修や浄水場停止などのリスクによる能力低下を考慮し、施設能力を適切な規模にダウンサイジングしてまいります。
 この浄水場のダウンサイジングは、水道需要の低下が顕在化する二〇五〇年代に着手する金町浄水場において実施する予定でございます。

○中山委員 答弁は多としておきたいと思います。
 昨今、耐用年数を延ばす長寿命化工事という言葉を耳にするわけでありますが、例えば二十三区の清掃工場でいえば、可燃ごみを燃やす清掃工場が、建てかえ中を含めてこの二十三区の中に二十一カ所あるそうですが、工場の建てかえには七年かかるということから、単純に順番で建てかえると、七つから八つの工場がとまってしまうということであります。しかし、この長寿命化工事によって、最大四十年程度まで耐用年数を延ばすともいわれているわけであります。
 そこで、浄水場において、この長寿命化、当然計画的に行ってしかるべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、学識経験者の指導助言をもとにコンクリート構造物の耐久性を分析した結果、定期的な点検及び必要な補修など適切な維持管理を実施すれば、コンクリート構造物の供用年数を百年以上とすることが可能と考えており、こうした考え方は、学識経験者からも妥当との評価を得ております。
 このため、今後は、法定耐用年数六十年を超過する前に、詳細目視点検や鉄筋探査、中性化などのコンクリート試験を実施し、劣化予測を行うとともに、損傷箇所の部分補修やコンクリートの増し打ちなどによる予防保全を確実に実施いたします。
 これにより、浄水場の更新につきましては、コンクリート構造物の予防保全型管理による施設の長寿命化や更新の平準化を図り、これまで浄水場の更新期間を法定耐用年数の約六十年としていたものから、九十年に見直しをいたしました。

○中山委員 ありがとうございます。
 次に、スマートメーターの効果の検証について質問をしていきたいと思います。
 やはり十月二十一日の日本経済新聞の記事で、首都圏の自治体が水道料金の値上げ不可避と書いてある中で、東京の場合は、スマートメーターを使って、今後、持続可能にしていくということで、記事を読むと、このスマートメーターがあれば将来バラ色だといったような文脈に読み取れるわけでありますが、しかしながら、このスマートメーターがどれだけの効果があるのか、東京の水道事業にどれだけ貢献してくれるのかということはまだ未知数であります。
 まず、このスマートメーター導入によりまして、どのようなことが可能になるのか、具体的に伺いたいと思います。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お客様各戸に設置している水道メーターをスマートメーターにすることで、検針データの取得が、これまでの二カ月に一回から一日に一回、一時間単位へと飛躍的に向上いたします。
 また、配水管にスマートメーターを設置することで、これまで測定ができなかった配水管内における水量、流向、水圧を詳細に把握することができるようになります。
 この結果、これまで二カ月ごとであった水道料金の請求を毎月実施できることに加えまして、水道使用状況の見える化や漏水の早期発見などのお客様サービスが向上いたします。
 また、詳細に水道使用実態を把握することで、配水管の口径など施設の最適化が図られるほか、施設の維持管理業務の効率化や、震災、事故発生時における漏水の早期発見、断濁水範囲の早期特定が可能となることがございます。

○中山委員 つまり、話を全体に戻しますけれども、最大配水量などの関係もあると思いますが、無駄をなくしていくということにスマートメーターが有効だということだというふうに思います。
 しかしながら、新たな投資ともいえるので、この費用対効果をしっかり検証していかなければならないということだと思います。
 そこで、トライアルプロジェクトでは、これらの効果について検証するとしていますが、トライアルプロジェクトでは何をどのように検証するのか、見解を伺いたいと思います。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回実施いたしますトライアルプロジェクトでは、お客様サービスの向上や水道事業への活用、導入コストなど、スマートメーター導入の効果を検証することとしております。
 検証に当たりましては、首都中枢地域や住宅地域、工場地域、山間部など、水道使用実態の特性の異なる地域をパイロットエリアとして設定してまいります。
 また、東京都が推進するスマート東京先行実施エリアなどにスマートメーターを導入し、先端技術を用いた先行的なモデル構築の実証プロジェクトと連携してまいります。
 具体的な検証項目といたしましては、自動検針による検針業務の効率化の効果や検針データ取得の安定性、見える化サービスなど、施策の内容、施設のダウンサイジングや維持管理の効率化の効果などを計画しております。
 さらに、導入コストの検証として、メーター開発に関する技術提案の公募や委託調査を通じて、メーター価格や市場動向の調査を今後実施することとしております。

○中山委員 質問するに当たって、いろいろ局の方からお話を聞きました。説明を聞いていますと、現在のメーターと比較しても高価格であるということが今の課題であると聞いております。つまり、逆に考えれば、この都の需要が価格を下げるということにもつながるといえるわけであります。
 検証は、慎重に進めなければならない一方で、より早く全戸を目指さなければいけないともいえるわけでありまして、現在、政府もデジタルトランスフォーメーションを進める上でも、このスマート事業というのは、いろんな意味で意義があるというふうにも思うわけであります。
 そこで、導入効果をより早く実現するために、早期に検証結果を取りまとめ、全戸導入に向けた取り組みをスタートすべきだというふうにも考えますが、見解を伺いたいと思います。

○清水企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 スマートメーターの全戸導入を進めるに当たりましては、価格が、現在の水道メーターと比較して六倍から十二倍と高額であることが大きな課題の一つであり、メーター価格の動向や財政への影響を慎重に検討する必要がございます。
 このため、今回のトライアルプロジェクトでは、価格低減に向けた取り組みとして、他の水道事業者と連携したメーター仕様の共通化や新技術の公募、情報発信の強化などにより、国内のスマートメーターの市場形成を促進することとしております。
 また、市場の形成には、全戸導入に向けた見通しを早期に示すことが重要でありますことから、可能な限り早期に検証結果を取りまとめ、二〇三〇年代までの全戸導入を進めてまいります。

○中山委員 ありがとうございました。
 ここまで、いろんな視点からちょっと質問させていただきました。
 基本は、やっぱり、値上げをしないで、持続可能な水道事業をやっていくことだというふうにも思いますし、それには収支の工夫が必要であるというふうにも考えるわけであります。
 ただ、このコロナ禍で大変財政が厳しい状況になってきたわけなので、ぜひ、厳しい財政の中でも、この水道事業、安心・安全にやっていくということを基本にして、今後も事業を進めていただきたいと思います。
 最後に、この持続可能な水道事業の実現に向けて、局長の決意を聞いて、終わらせていただきたいと思います。

○浜水道局長 都の水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、将来にわたり安定給水を確保していくことが不可欠でございます。
 今後、東京の水道を取り巻く状況が大きく変化する中におきましても、持続可能な水道事業を実現するため、本年七月、東京水道長期戦略構想を策定いたしました。
 この構想に基づき、施設のダウンサイジングや予防保全型管理による施設の長寿命化、スマートメーターの導入によるお客様サービスの向上など、将来を見据えた取り組みを積極的に進めてまいります。
 また、業務の効率化など徹底した経営努力とともに、企業債の適切な活用を図り、健全な財政運営に努めてまいります。
 一方、今般の社会情勢を見ますと、新型コロナウイルス感染症の拡大やさらなる気候変動など、これまで想定されていなかった変化も生じており、こうした状況変化にも的確に対応していくことがこれまで以上に重要と考えております。
 そのため、今後、五カ年ごとに中期経営計画を策定し、構想に掲げました目標の達成状況や社会経済情勢の変化などを的確に捉え、各施策を適切に見直すとともに、事業運営や財政運営に反映させてまいります。
 こうした取り組みにより、持続可能な水道事業を実現してまいります。

○鈴木委員 自民党の鈴木あきまさでございます。
 きょうは、特に地元の問題についても質問をして、ぜひ早急な改善を求めていただきたい、そんな思いで、この発言席に立たせていただきました。
 さて、平成二十三年の東日本大震災以降、平成二十八年熊本地震、平成三十年の北海道胆振東部地震など、全国各地で大規模地震が発生をしております。
 さらに、今後三十年以内に大規模地震が発生する確率は、南海トラフ地震が七〇%から八〇%、ご案内のとおり、首都直下型地震は七〇%と高い数値で予想されるなど、地震対策は待ったなしであります。
 加えて、昨年の台風十九号、大変猛威を振るったわけでございますけれども、ことし七月に九州地方などで猛威を振るった豪雨などの被害状況を踏まえれば、豪雨対策も早急に進めなければなりません。
 コロナの状況において、ことしも昨年と同じような豪雨が東京を襲っている状況があったらと思うと、本当にぞっとするような思いもいたしております。
 震災対策や豪雨対策は、道路、河川、公園、鉄道など、さまざまなインフラで実施しなければならないわけでありますが、私は、最も早急に対策を講じなければならないインフラは、命の維持に欠かせない水だと思っております。
 水道局ではこれまで、高度経済成長期などの水道需要の増加等に対応するため、水源の確保や高度浄水施設、送配水管ネットワークの整備などに取り組んで、現在は施設が充実いたしております。
 しかし、給水所について見ますと、広大な配水区域の見直しや、配水池ですね、池です、配水池容量の偏在の解消に努めてきたものの、区部の南部地域、私も住まいしておりますが、この区部南部地域では、いまだ給水所の整備が行われておらず、手薄な状況になっているわけであります。
 しかも、当該地域は、羽田空港の拡張や、ことし七月の産業施設や文化施設を有する大規模複合施設、羽田イノベーションシティというふうに命名されまして開業をしたところですけれども、近年、非常に発展が著しいわけでございます。
 こうした区部南部地域は、給水の安定性が低く、給水所整備に早急に取り組むことが必要であります。
 そこでまず伺いたいんですが、区部南部地域の給水安定性の向上は喫緊の課題であり、早急に給水所を整備すべきと考えますが、局の見解を伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 給水所は、浄水場から送られてきた水を貯留し、水の使用量の変化に応じて配水量を調整することで、地域に安定的に水を供給する施設でございます。また、災害や事故時には、応急給水の拠点として、住民に水を配る重要な役割も担っております。
 このため、給水所の新設や拡充を進め、配水池容量の地域的な隔たりや広大な配水区域の解消を図ってきており、現在、上北沢給水所、王子給水所の新設工事及び和田堀給水所の拡張工事などを施工中でございます。
 ご指摘の大田区を含む区部南部地域につきましては、羽田空港の拡張や、ことし七月の大規模複合施設の開業など、近年発展が著しいことから、より一層の給水の安定性向上が必要と考えております。
 こうした状況を踏まえまして、区部南部地域につきましては、新たな給水所の整備も含めた取り組みについて年度末までに取りまとめてまいります。

○鈴木委員 今の答弁の中で、区部南部地域については年度末までにこの計画を取りまとめていくという答弁がありました。しっかりお願いをしたいと思います。
 給水所は、平常時だけでなく、災害時においても、水道水を地域住民へ安定的に供給する役割を担う非常に重要な施設であります。さらなる給水安定性の向上に向け、着実に給水所整備を進めていただきたいと思います。
 給水安定性の向上には、給水所の整備に加え、既存の給水所の災害対策も欠かせません。
 そこで、大田区には、馬込、上池台、東海の三つの給水所がありますが、各給水所の震災対策と浸水対策について状況を伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、震災時においても可能な限り給水を確保するため、阪神・淡路大震災や東日本大震災を踏まえ、給水所の配水池について耐震診断を行った上で、必要な耐震強度を有しない施設に対し計画的に補強工事を進めております。
 大田区内に所在する馬込給水所は、平成十七年度に耐震診断を実施し耐震性を有していることを確認しており、上池台給水所は、平成十七年度に耐震補強工事を完了いたしました。さらに、東海給水所は、新しい耐震基準に基づき、平成二十一年度に整備しております。
 また、給水所の浸水対策は、平成二十二年の内閣府中央防災会議や平成二十四年の東京都防災会議における浸水被害想定に基づき、浸水被害が生じるおそれがある給水所の機能維持を図るため、防水扉の設置及び窓や換気口のかさ上げなどの対策を実施してまいりました。
 大田区内に所在する給水所につきましては、いずれの給水所も、国や都の浸水被害想定に対しまして、対策が必要ないことを確認しております。

○鈴木委員 今、答弁をいただきましたように、しっかりと対策をしていただいているということで、災害が発生しても、給水所から配水がとまる可能性は軽減されているということで安心をしております。しかしながら、気を緩めることはできません。
 次に、給水所の水を地域に配水する役割を担う配水管の対策状況を確認したいと思います。
 配水管の総延長は約二万七千キロメートルで、令和元年度末の耐震化率は約四五%と伺っております。全ての管路の更新には、もちろん長期間にわたり多額の経費を要することから、水道局では、震災時の被害を効果的に軽減するために、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を推進しております。
 重要施設への供給ルートとなる配水管の耐震継ぎ手化について、大田区内の進捗状況と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

○藤村給水部長 大田区内におけます配水管の耐震継ぎ手率は、令和元年度末時点で四九%です。このうち重要施設への供給ルートの配水管耐震継ぎ手化は、令和元年度の完了目標六十施設に対して五十九施設が完了しております。
 具体的には、大田区役所や荏原病院などの首都中枢機関及び救急医療機関等十五施設、避難所となる中学校二十七校、羽田空港、警察署や消防署などを含む大規模救出救助活動拠点等十六施設と、蒲田駅の整備については完了しております。
 未整備である施設は、避難所となる中学校一校のみであり、この施設については、令和三年度に完了する見込みでございます。
 さらに、令和四年度の完了目標六十三施設に対して、小学校及び大学、高等学校、公民館等五十一施設が完了し、十二施設は令和四年度の完了に向けて耐震継ぎ手化を着実に進めております。

○鈴木委員 今、答弁でいただいた避難所で一校残っている中学校というのが、私の事務所のすぐ裏の中学校でございまして、道路を今整備中で、橋をかけかえしている、ちょうどそこにある中学校なんですね。そんなこともあり、一校残ったというふうに私は思いますけれども、ぜひ予定どおり工事を完了していただきたいなというふうに思います。
 それともう一つなんですが、この重要施設という位置づけで、大田区は、主要キーステーションはJR蒲田駅と大森駅なんですね。この重要施設の位置づけというのは、一日の乗降客、乗りおりが二十万人を超えている駅ということで、既に蒲田駅はやっていただいておるのですが、大森駅は二十万人いないということで基準の中に入っていないんですよ。
 でも、正直いって、これからの直下型地震への備え等々を考えますと、これは、私の大田区だけじゃないんですけれども、やっぱりキーステーションというのは、大勢の方が、帰宅困難者が滞留したりする状況の中で、地元の区でも、我が大田区でも、大森の駅前の広場を整備したりしておりますので、やっぱりこれは、しっかりと計画が完了して進んでいく中で、乗降客二十万人超というところもちょっとお考えいただいて、ぜひ取り組んでいただきたいなと、これはぜひお願いをしておきたいというふうに思っております。
 さて、大田区内の重要施設への供給ルートのうち、完了していないのは令和元年度の完了を目標としていた中学校一施設と令和四年度の完了を目標としている小学校や高等学校、大学などの十二施設だけであり、これらについては、目標に向けて着実に進めていることがわかりました。今も申し上げているように、予定どおり完成するようお願いをしたいと思います。
 重要施設の中でも、とりわけ避難所は、被災した方々の当面の生活の場として給水の確保が不可欠であります。
 そこで、水道局では、避難所への供給ルートの配水管の耐震継ぎ手化に加えて、避難所の給水管の耐震化、避難所内での応急給水が可能となる設備の設置を進めてきているところであります。
 そこで、避難所における給水管の耐震化と応急給水栓について、大田区内の進捗状況と今後の見通しについてお伺いします。

○藤村給水部長 大田区内におけます避難所の給水管耐震化の対象九十一施設については、令和元年度末時点で全て耐震化が完了しております。
 また、同様に、応急給水栓の設置対象九十一施設のうち九十施設が完了しており、一施設は今年度内に完了する見込みでございます。

○鈴木委員 避難所内の給水管の耐震化は全て完了して、応急給水栓も今年度内に完了とのことで、配水管の耐震継ぎ手化状況とあわせて、こちらの方も予定どおり完了するようお願いをしたいと思いますし、首都直下型地震や大型台風に備えることができるということで、大田区民も少しは安心をしているところだと思います。
 一方で、先般公表された東京水道長期戦略構想では、大規模震災時の被害想定が大きい地域の耐震継ぎ手化を進め、断水率が五〇%を超える地域を令和十年度までに解消するとあります。断水率の低減に向けて、引き続き、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を推進していただきたいと要望しておきます。
 また、交通量が多い交差点など、埋設物が錯綜する箇所に布設されている取りかえ困難な管の更新なども進めて、断水率の解消に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 これまで、施設整備の取り組みを確認してまいりましたが、首都直下型地震や千年に一度の大雨を想定した対策を施設整備だけで行うには限界があります。災害対策はハードとソフト両面の取り組みが重要であって、断水が発生した場合のソフト対策である応急給水の体制を整えることも必要であります。
 そこで、災害時における応急給水体制について伺います。

○金子サービス推進部長 災害により断水が発生した場合には、区市町や住民と当局が連携し、三つの方法で応急給水を行います。
 一つ目の方法は、浄水場や給水所、公園などに設置されている応急給水槽など、都内に二百十五カ所に設置している給水拠点で応急給水を実施いたします。
 二つ目の方法は、災害拠点病院などの医療機関や給水拠点から遠く離れている避難場所などに給水車等の車両を用いて水を運搬し、応急給水を実施いたします。
 三つ目の方法は、避難所に設置された応急給水栓や、あらかじめ指定した消火栓に仮設給水栓を接続し、応急給水を実施いたします。
 こうした多様な方法により、基幹ライフラインとして、有事の際にも住民の方へ確実に水を届けられるよう備えてございます。

○鈴木委員 備えあれば憂いなしと申しますが、いつ発生するかわからない災害に対しては、実効性を高める日ごろからの取り組みが重要であります。
 災害時の応急給水の実効性を高めるため、どのように取り組んでいるのかについてもお伺いします。

○金子サービス推進部長 災害時の応急給水活動を円滑に実施するためには、多くの方に応急給水活動を経験していただくことが重要であると考えております。
 そのため、当局では、浄水場や給水所などの給水拠点において、原則年一回、区市町の職員や地域住民と連携して、応急給水用資器材の組み立てや残留塩素の検査など、実践的な訓練を実施しております。
 また、区市町が主催する総合防災訓練等にも参加し、住民に給水車や消火栓からの応急給水を体験してもらうほか、当局が進めている災害対策を紹介するなど、応急給水の実効性を高めるための取り組みを行っております。
 今後とも、災害時に円滑に応急給水活動を行うため、区市町や地域住民との訓練を継続して実施してまいります。

○鈴木委員 応急給水の実効性を高めるためにも、今後とも地元と連携して訓練を継続して実施していただきたいとお願いをしておきます。
 一方で、訓練への参加が難しい方も多くいるわけです。例えば、お年寄りの方からは、震災時に断水が発生したら飲み水はどうなるのか、どこに行けば水がもらえるのかなどの声が寄せられております。こうした声が届くことは、訓練に参加できない方に対して局の取り組みが浸透していない部分もあるんじゃないかというふうに思うんです。
 そこで、応急給水の情報を都民に的確に伝えるためにどのような広報を行うのか伺います。

○金子サービス推進部長 災害時に円滑に応急給水を実施するためには、日ごろから、給水拠点の場所などに関する情報をお知らせすることが重要であることから、当局では、ホームページや地域広報紙、区市町が実施する防災訓練などを通じまして、給水拠点の周知を図っているところでございます。
 一方、発災時には、給水拠点の開設状況を的確にお伝えすることが重要であることから、ホームページに場所と開設状況を示す一覧表を掲載し、その状況を随時更新するとともに、ツイッターを通じて広く発信してまいります。
 また、各事業所の庁舎掲示板への掲示、拡声器つき広報車による巡回、区市町への情報提供や防災無線など、地域に合わせたきめ細かい広報も実施してまいります。

○鈴木委員 災害時は、ホームページやツイッター、防災無線や、広報車による巡回など、さまざまな手段により給水拠点をお知らせするということを今伺いました。
 あらゆる手段を用いて広報をしっかり行うということでありますが、広報は、お客様のニーズを把握して実施することが重要です。特に災害に関する情報は、都民が、何を知り、何を知らないのかを水道局が把握していなければ、迅速かつ円滑な応急給水はできないと思います。
 水道局の広報は、デジタル媒体、紙媒体、水道キャラバン、これは私もよく立ち会わせていただいたことなんかあるんですけど、こういうような水道キャラバンなどの体験型PRなどを、多岐にわたり、ライフステージに合わせたターゲットを設定して、各ターゲットに適した接点を活用して行うことを戦略としているとお伺いをしております。
 ことし九月に開催した運営戦略検討会議では、若者世代への水道事業に対する認知度が低く、デジタル媒体を活用した広報を充実させる必要があることが指摘されておりました。また、お客様との直接対話により水道事業の説明を行う水道キャラバンなどの双方向コミュニケーションを行った広報では、水道事業の理解が進んだとの声があるとも指摘をされております。
 災害時に迅速な応急給水を行うためには、区市町や住民との連携を深める取り組みや経験を重ねる取り組みに加えて、このような指摘を踏まえた広報の充実も重要な課題であり、今後、積極的に進めていただくよう要望をしておきたいと思います。
 東京の水道が将来とも安全でおいしい高品質な水を安定して供給していくためには、今回質疑で取り上げた災害対策はもとより、安定給水に必要な施設整備や事業を支える人材の育成が非常に重要だというふうに私は考えております。
 そこで、最後になりますけれども、水道事業者の責務である安定給水の確保に向けた局長の決意をぜひお伺いしたいと思います。

○浜水道局長 東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインでございます。
 今後、人口減少に伴って料金収入の減少が見込まれる中、水道事業を将来にわたり持続的に運営していくためには、震災などさまざまな脅威への備えとともに、浄水場などの施設を計画的に更新し、安全で高品質な水を安定して供給していくことが不可欠でございます。
 このため、当局では、予防保全型管理による施設の長寿命化や計画的な施設の更新により支出の抑制や平準化を図るとともに、企業債の発行余力を活用し、安定給水に必要な施設の整備を着実に進めてまいります。
 また、事業を支える人材を含めた経営基盤の強化が不可欠でありますことから、東京水道グループ全体のガバナンスを一層強化し、これまで培ってきた技術を着実に継承していくとともに、水道事業を支える工事事業者の方々の技術力向上の支援などにも取り組んでまいります。
 こうした取り組みを、東京水道グループのトップである私自身がみずから先頭に立って進めることで、水道事業者の使命である安定給水を将来にわたって確保し、都民生活と首都東京の都市活動を支えてまいります。

○鈴木委員 今、局長から、さまざま強い決意というものをお伺いすることができました。企業債の発行余力を活用して安定給水に必要な施設の整備を着実に進めることなど、非常に重要なのではないかなというふうにも思っております。
 東京の水道を取り巻く環境は、今後、大きく変動していくことが見込まれております。
 水道は、料金収入の減少が見込まれる中においても、施設整備を着実に行わなければ安定給水に支障を来すわけであります。
 また、労働力人口の減少が見込まれる中において、事業を支える職員や、二万七千キロメートルの管路の工事を行う工事事業者の育成も重要であります。
 先ほど、局長からも、東京水道グループ、このサービス全体のガバナンスを一層強化して、これまで培ってきた、蓄積してきた技術をしっかりと継承していく、こういうふうに答弁がありました。民間工事事業者の技術力向上への支援に特に力を入れていただくことも、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 水道にとっては、今後、厳しい時代を迎えますが、水道局長が強いリーダーシップを持ってグループを牽引していくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○古城委員 水は、国連の持続可能な開発目標、SDGsにおいて、独立した目標、ゴールとして章立てられているほか、他のゴールやターゲットにも包含されるなど、広く、市民、地域、自治体、国家、そして国際関係に当てはまるものであります。
 私は、東京が、課題解決先進都市としてSDGsの取り組みを進展させていく上で、水道局事業の果たす役割に期待をしておる一人でございます。
 本日は、この期待を込めまして、水道局が所管する事務事業に関連して、障害者雇用、水道水源林、そして玉川上水について質問させていただきます。
 初めに、障害者雇用についてであります。
 先日の本委員会でも申し上げましたとおり、都議会公明党は、都における障害者雇用の促進を強力に後押ししているところでございます。
 事業概要によりますと、水道局三千七百一名、東京水道株式会社一千九百七十二名の職員、社員を擁する東京水道グループとして、障害者雇用の充実に取り組むことは、全庁的かつ都庁グループ全体をリードする意義があると考えます。
 そこでまず、水道局における障害者の法定雇用率の達成状況についてお尋ねします。

○石井職員部長 令和元年六月一日における当局の障害者雇用率ですけれども、三・〇四%でありまして、これは、法定雇用率である二・五%だけではなく、都の任命権者ごとの障害者雇用率の目標値である三%、これを上回っております。

○古城委員 法定雇用率だけでなく、全庁的な目標も満たしているとのことでありますけれども、雇用率の達成については、単なる数合わせにならないよう、雇用の質や職場への定着にも力を入れる必要があります。
 水道局では、障害を有する職員の皆様が働きやすい職場づくりのためにどのような工夫をしているのかお尋ねします。

○石井職員部長 当局では、車椅子用トイレへの呼び出しボタンの設置や自動ドア、スロープの設置等により障害者が働きやすいよう設備改善を行っております。
 また、職員本人と相談の上、移動を伴う業務の軽減や業務負担の見直しなど、障害者の特性に配慮した人員配置を行っております。
 さらに、職員研修の実施などを通じて、周囲の職員の障害者雇用に対する理解促進を図っているところでございます。
 引き続き、障害のある職員が、その障害特性や個性に応じて能力を有効に発揮できるよう、本年三月に当局を含めた各局が連名で作成した都庁における障害者活躍推進計画というものがございまして、これは、知事部局、公営企業、各種行政委員会などオール都庁でつくったもので、施設整備はもちろんですけれども、相談体制の整備とか、それから、キャリア形成、こういったいわゆる障害者の方を下支えする部分を全て網羅した計画なのですが、この計画に基づき、水道局としても、引き続き就労環境の整備、これに取り組んでいきたいと思っています。

○古城委員 水道局においても、さまざまな取り組みを行っていただいているということを確認させていただきました。
 引き続き、今、部長からお話がありました都庁における障害者活躍推進計画に沿ったさまざまな取り組みを一層推進していただきたいと思いますし、また、周囲の職員の方々の理解促進というのも、これは特に重要であろうと、私自身も、私のサラリーマン時代の経験も踏まえますと強く思うところでございますので、重ねて要望させていただきたいと思います。
 次に、水道局とともに水道事業を担う政策連携団体においても、水道局同様に障害を有する方々にとって働きやすい職場となっているのか確認させていただきたいと思います。
 そこで、東京水道株式会社の障害者雇用の促進に向けた取り組みと法定雇用率の達成状況についてお尋ねいたします。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、障害者の雇用の促進等に関する事業主の責務を果たすため、ハローワーク等を通じて新たに障害者を雇用するとともに、就労支援機関に対して新たな求人情報を提供し、採用機会の拡大を図ってまいりました。
 また、障害特性に配慮した配置を行うとともに、就労支援機関と意見交換を行い就労環境の改善に努め、障害のある社員の定着を図ってまいりました。
 こうした取り組みにより、本年六月一日時点における同社の障害者雇用率は二・四一%であり、法定雇用率である二・二%に対し、必要な雇用者数を確保しております。

○古城委員 東京水道株式会社は、工事監督などの現場業務も有して、そして、こうした事業の特性から、障害者の方々が業務に携わることが非常に困難である場合もあろうかと思いますけれども、そうした一定の制約がある中で障害者の定着に向けた取り組みを実施し、そして雇用率、また雇用数の達成、これを行っているということを確認させていただきました。
 来年三月には、ご承知のとおり、障害者雇用率がそれぞれ〇・一ポイントずつ引き上げられまして、会社においては二・三%に引き上げられることになります。引き続き、しっかりと定着を確保する、そうした促進を促す取り組みが必要であると考えます。
 水道局として、東京水道株式会社に対して、障害者雇用の促進に向けた取り組みを伝えるなど、働きやすい職場づくりのために指導しているのか、この点、見解を求めたいと思います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局ではこれまで、障害者雇用促進法を踏まえた総務局の通知に基づき、政策連携団体に対して総務局が実施する団体職員の理解を深めるための研修会などへの参加を促してまいりました。また、総務局が取りまとめた他の政策連携団体の障害者雇用に関する受け入れ環境整備等の取り組み内容などを団体に情報提供しております。
 引き続き、東京水道株式会社の障害者雇用確保と定着の促進に向け、適切に指導監督や情報提供を行ってまいります。

○古城委員 都議会公明党は、政策連携団体における障害者雇用の促進についても、都庁グループ全体で都庁が培ってきた経験をしっかりと共有していく、こうしたことを訴えてきた中におきまして、今、答弁で確認をさせていただきましたけれども、総務局が実施するさまざまな取り組みに、水道局、また東京水道株式会社としてしっかりとそのノウハウがこれからも共有されていくことを期待したいと思いますし、加えまして、東京水道株式会社においても雇用率が達成される、この数字だけではなくて、誰もが働きやすい職場環境づくりに向けて水道局の取り組みもしっかりと共有、指導していただきながら、着実に前進させていくことを要望させていただきます。
 次に、水道水源林についてであります。
 都民の皆様に安全でおいしい水を安定して供給するためには水源の保全が欠かせず、そこで大きな役割を果たしているのが多摩川上流域に広がる水道水源林であります。
 まず、水道水源林の概要についてお尋ねいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、多摩川の安定した河川流量の確保と小河内貯水池の保全を図るため、明治三十四年から百二十年にわたり、多摩川上流域の森林を水道水源林として適正に管理し、守り育てております。
 その面積は、多摩川上流域の東京都と山梨県にまたがる約二万四千ヘクタールに及んでおり、これは、東京都の区部面積の約三九%に相当するものでございます。

○古城委員 一つの水道事業体が管理をする水道水源林としては、非常に広大であるということがわかりました。
 東京都水道局の成り立ちからしますと、いわゆる都道府県域と同じような範囲で運営をされている一方で、地方に目を向けますと、各市町がそれぞれ水道事業体として取り組んでいる。
 聞くところによりますと、例えば政令市の水道局が保有する水道水源林は約三百五十五ヘクタール、こうしたところもあるそうでございます。それと比べますと、東京都が持つ水道水源林の大きさというのは、桁が、ゼロが二つ違うわけでございますので、大変多くの水道水源林を保有しているということがわかります。
 この水道水源林でありますけれども、例えば、水源の涵養機能、緑のダムともいわれている機能ですが、土の中に雨水が浸透することによって徐々に河川に流れ出ていく。一方で、長く雨が降らないときでも、その蓄えられた水がゆっくりと河川に流れ出していく。非常に重要であると思います。
 加えて、豊かな森の土の層がフィルターの役割を果たすことによって、いわゆる自然の浄水場ともいえる機能を果たしているということであります。小さなごみを取り除くことはもちろん、また、窒素やリンを吸収する、非常においしい水をつくる、そうした要素がこの水道水源林にあるわけであります。
 さらに、土砂の流出防止や二酸化炭素の吸収といったさまざまな機能がありまして、都民の皆様にとってこれは大変に大切な財産であろうかと思います。将来にわたってこの水道水源林を守り育てるためには、都民の皆様に水道水源林の重要性を理解していただくことが必要であります。
 そこで、水道局が実施している水道水源林の重要性を都民の皆様に理解していただくための取り組みについてお尋ねいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 水道水源林を将来にわたり良好に維持管理していくためには、水源地保全の取り組みや重要性について、より多くの都民に理解していただくことが重要と認識しておりまして、これまでも、局のホームページにおける水道水源林の役割や管理方法、歴史などの紹介、水源林に関するリーフレットなどの作成、水の科学館等での展示など、広報に努めております。
 これらに加えまして、多くの方々に水源地へ来訪していただく取り組みとして、職員が現地を案内する水源林ツアーを開催することで、都民の方々に水道水源林の散策等を通じて森と水のかかわりや水源地保全の大切さを伝えております。
 また、奥多摩水と緑のふれあい館でのイベントや奥多摩町など地元町村の祭典にブースを出展し、水道水源林の大切さをパネル展示により丁寧に説明するなどPRを実施しております。
 さらに、子供たちに水源林の働きや大切さを伝える取り組みとして、希望する小学校を訪問して、わかりやすい動画や実験を取り入れた水道キャラバンや水道教室を実施しております。

○古城委員 水道水源林の重要性の理解を得るためには、今、答弁いただいた、現地を訪れることやイベントなどを通じて実感を持っていただける取り組みが重要であります。
 私も先日、東京都水の科学館を訪れまして、水源林の働きを学ぶアクアフォレストなどを見学してまいりました。先ほど申し上げた水道水源林の働きは、ここで学んだものでございます。
 しかしながら、今年度は、新型コロナウイルスの状況に鑑みて、通常の現地案内による水源林ツアーが中止されているとのことであります。そのような中であっても、水道水源林の重要性を知っていただくための取り組みは重要であります。
 そこで、現地でのイベントができない状況での取り組みの工夫についてお尋ねいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響から、職員が現地を案内する水源林ツアーの開催を中止いたしましたが、こうした状況においても、水道水源林の魅力発信やその重要性を理解していただく取り組みが重要と認識しております。
 このため、より多くの方々に、自宅にいながら水源林ツアーを体感していただけるよう、ウエアラブルカメラを活用し、参加者の目線で撮影した水道水源林の散策動画や水源林に親しみを持っていただくための動画などを作成し、おうちで水源林ツアーとして、九月から局ホームページ上で公開いたしました。
 引き続き、動画の公開を継続していくことで、水源地保全の重要性の理解促進を図ってまいります。

○古城委員 コロナ禍を踏まえた新しい日常に対応した新しい取り組み、非常に重要だと思います。
 私も、今ご紹介いただいた、おうちで水源林ツアーの動画を閲覧いたしました。九月一日、それから十月一日、十一月一日と、三回にわたって更新をされております。ということは、次は十二月一日なのかなということで、非常に待ちわびているところでありますけれども、例えば、腐葉土と普通の土の水の浸透ぐあいを比べたり、そうしたわかりやすい実験の内容についても紹介をしていただいて、まさに、現地に行くことはなかなか難しいかもしれないけれども、そうした中で、自宅で、そうした手軽に水道水源林の機能を理解していただけるこの取り組みは、とても重要であると思います。
 今後も、このコロナ禍を踏まえた新しい日常、これに取り組んでいかなければならない、そういう状況を鑑みますと、このおうちで水源林ツアーの動画についても、継続実施をしていただきたいと要望させていただきます。
 次に、最後のテーマですけれども、玉川上水について質問いたします。
 天皇陛下は、水問題へのご関心が深く、ライフワークの一つにされておられます。皇太子時代の一昨年九月には、国際水協会、IWA世界会議開会式にご臨席なされました。その際、SDGsについて、水の問題が誰ひとり取り残さない社会の実現に向けた国際社会の大きな課題となっていることを踏まえられ、歴史から学んだ知恵と現代のすぐれた技術をあわせて活用し、国際社会が連携して行動することが求められているとのお言葉を賜りました。
 また、二〇〇六年のメキシコシティーで行われた第四回世界水フォーラム全体会合における基調講演では、江戸の上水道、多摩川からの導水として、玉川上水の意義を飲み水の確保の視点からご考察されておられます。
 かつて武蔵野台地に刻まれた玉川上水は、世界に誇る大都市江戸を形成する根幹のインフラでありました。
 都議会公明党は、水の都東京の再生に向けて、かつて導水されていた玉川上水を再び活用する水と緑の回廊の創出を訴え、提言を繰り返しております。
 この提案を受けまして、外堀の水質を改善する外堀浄化プロジェクトが未来の東京戦略ビジョンに明記をされております。このプロジェクトの推進に関して、水道局の皆様に果たしていただくその役割は非常に重要であります。
 本年の予算特別委員会で、私は、外堀の水質改善のために玉川上水を導水路として活用する上で、下流部について、速やかな調査、検証を求めたところであります。
 これに対して、水道局長からは、庁内検討会において、事業スキームや施設の調査等の検討に当たっての役割分担等を関係各局で整理し、その上で導水路としての活用について検討する旨の答弁を得たところであります。
 そこで、玉川上水に関する調査について、その後の検討状況をお尋ねいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 外堀の水質改善に向けまして、関係五局による庁内検討会において、これまで、効果的な改善方策を幅広く検討し、河川水等の導水の有効性などを確認してまいりました。
 これまでの検討において、外堀への導水は、玉川上水等の既設水路や新たに整備が必要となる導水路に関して関係局が役割分担して調査検討を実施することとなり、当局は、玉川上水下流部の開渠部を含む浅間橋から新宿駅西側付近までの調査を担当することとなりました。
 当局における検討状況でございますが、調査委託を十一月十九日に契約しており、年度末までに報告がなされる予定でございます。

○古城委員 契約を終え、検討に着手したこの調査委託を着実に進めることを求めるものでありますけれども、予算特別委員会で確認をしましたとおり、玉川上水の下流部に当たる浅間橋から四谷大木戸までは、約〇・五キロメートルが開渠のほか、残りの約十二・五キロメートルが暗渠であり、特に新宿駅付近で複数の鉄道を下越しするなど、複雑な構造となっております。私も、現地、特に笹塚駅付近の開渠の状況を見ましても、外堀への導水を行っていく上では、詳細に状況を把握し、さまざまな検討が必要であるということを実感しているところでございます。
 そこで、この調査委託におきまして、玉川上水下流部の開渠や暗渠についてどのような調査検討を行うのかお尋ねいたします。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 本委託では、玉川上水下流部の開渠部について、断面形状の調査を行った上で、外堀への導水による玉川上水の流量の増大が、現状ののり面に対してどのような影響を与えるかを検討いたします。
 また、暗渠部につきましては、コンクリートの劣化状況や水路の沈下状況などを調査し、導水への影響について検討いたします。
 開渠部は、国の史跡であることから、のり面の保護が必要となる場合、できる限り現在の形状を維持するため、木柵などの限られた工法を選定した上で、文化庁の許可が必要となります。
 暗渠部は、通常、水の流れがほとんどない状況であり、コンクリートの劣化の進行状況や水路の起伏による導水能力への影響を見きわめる必要がございます。
 こうした玉川上水の開渠部及び暗渠部の特徴を十分に踏まえまして、慎重に検討を進めてまいります。

○古城委員 玉川上水の下流部について、既に水道局の方で把握されている課題も含めまして、さまざまに検討が行われていくということを確認させていただきました。
 外堀の水質改善を目指す外堀浄化プロジェクトの成就には、玉川上水を導水路として活用することが必要不可欠であると考えます。事業概要の一七五ページ以降に、東京の、特に水道局の水道史年表が記されておりますけれども、この水道史年表につながるところは、太田道灌の江戸城築造、そして、徳川家康による江戸開府以来、徳川の江戸幕府、さらに、明治以降の先人たちのさまざまなご苦労、そうしたご尽力があって、水道局の歴史につながっているものであると思います。
 そういう意味におきましても、玉川上水を管理し、そして、その特徴を熟知しておられる水道局の皆様が担う役割は非常に重要であると思います。
 そこで、外堀の水質改善に当たり、水道局は、関係各局と連携してどのように取り組んでいくのか、局長の決意を伺います。

○浜水道局長 外堀の水質改善につきましては、未来の東京戦略ビジョンに位置づけられた都の重要な政策テーマでございまして、現在、関係局が連携して検討を進めております。
 当局は、国の史跡に指定されている玉川上水の開渠部の維持管理について、現在の形状を維持しながら、のり面を保護する工法などの知見を有しております。
 このため、外堀の水質改善に向けましては、こうした玉川上水の維持管理の知見を生かして、庁内検討会での役割分担のもと、玉川上水下流部の調査を行い、その活用について検討してまいります。

○古城委員 都議会公明党は、外堀への導水方法について、玉川上水や今後廃止となる工業用水道施設の管路も活用することを提案してまいりました。
 外堀浄化プロジェクトの成功の鍵は、水道局を初め関係各局が連携して着実に取り組んでいただくことだと考えます。
 中でも水道局の皆様におかれましては、特段に役割を担っていただかなければなりません。
 今後も、事業の進捗について確認させていただくことを申し添えまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○大山委員 私からは、水道料金の問題、それから検針業務の委託の問題、そして多摩地域における有機フッ素化合物による水道水汚染について、その三つについて質問します。
 まず、水道料金の減免の問題です。
 水道は、命をつなぐためにはなくてはならないライフラインです。
 しかし、給水停止件数、つまり水道をとめた件数が昨年度は合計十万三千八百二十件とのことです。結構給水停止しているという印象なんですけれども、給水停止になるまでにはどのような経過をたどるんでしょうか。

○金子サービス推進部長 初回請求でお支払いのないお客様に対しましては、催告文書の郵送あるいは訪問による催告を二回以上行った上で、再度、請求書とあわせてお支払いがなければ停水することを通知する文書を、郵送あるいは現地投函しております。この段階においてもお支払いのないお客様には、改めて訪問による催告を行っております。
 こうした催告を行った上でもお支払いいただけない場合には、やむを得ず給水を停止しております。

○大山委員 二回催告をして、改めて請求書を送って催促して、それでも支払ってくれなかったら給水を停止するとのことですね。
 訪問もするということはあるようですけれども、水道、電気、ガス、これライフラインです。ただ、それだけに命に直結することがあります。本来だったら、給水停止はしてはならないことだと私は思います。
 とりわけ、子育て家庭だとか高齢者の世帯などは配慮が必要だと思います。どのような配慮をして対応しているんでしょうか。

○金子サービス推進部長 当局では、子育て家庭や高齢者家庭など、お客様の年齢や家族構成などに関する情報は把握してございませんが、全てのお客様に向けて、ホームページや給水開始の申し込み書類に、生活保護などを事由とする減免についての案内を掲載するとともに、営業所などの窓口にも、同様の案内を記載したパンフレットを備えつけてございます。
 また、先ほど申し上げた未納料金の催告におきましても、催告書等に減免に関するご案内を記載するとともに、お客様からお支払いに関するご相談があれば、個別の事情に配慮し、支払い期限の延長や分割払いなどの対応をしているほか、必要に応じまして区市町の福祉部署をご案内しているところでございます。

○大山委員 特に子育て、子供がいる世帯だとか高齢者の世帯に配慮はしていないけれども、全体に同じように丁寧にやっているんですよというお話なんですけれども、そうしますと、昨年、給水停止した十万三千八百二十件のうち、高齢者の世帯だとか子育て中の世帯が何件あるかなんていうのも把握していないということですよね。

○金子サービス推進部長 当局では、お客様の年齢や家族構成などに関する情報は把握してございませんので、理事がおっしゃいますように、どれだけそういった世帯があったかということについては把握しておりません。

○大山委員 どうして子育て世帯だとか高齢者のことを気にするかといえば、水はまさに命の水だからなんです。とりわけ命にかかわる水道を、より影響を受ける子供がいる世帯だとか高齢者世帯は停止してはいけない、さっきもいいましたけれども、思います。
 コロナ禍のもとで、水道局は、ことし三月に水道料金を申し出日から四カ月間猶予する措置をとって、七月に猶予期間を一年に延長して、その後、今年度いっぱいまで申し出を受け付けるとしました。これは重要なことです。
 ことし七月に、しんぐるまざあず・ふぉーらむという、ひとり親を支援するNPOですけれども、七月に、しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査があって、ひとり親世帯のうち、水道代の支払い猶予を申請している世帯と申請していないけれども期限どおりに払えていない世帯を合わせると一〇・四%に上っています。
 ひとり親世帯は非正規雇用が多くて、コロナ禍で、非正規雇用の半数以上の方は収入が減少しています。その上、少ない預貯金がさらに減っていく生活では、ライフラインの支払いもままならない状況が明らかになっているということです。
 支払い猶予の期限を延長したことについては重要ですけれども、猶予では、翌年に倍支払わなければなりません。低所得者については、せめて基本料金を免除することが必要なんじゃないんでしょうか。

○金子サービス推進部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って実施している支払い猶予につきましては、猶予期間終了後も、一年以内の分割支払いのほか、お客様の経済状況などに応じた個別の相談に応じるなど、きめ細やかな対応を実施することとしてございます。
 一方、生活保護法により生活扶助の認定を受けている方や、児童扶養手当法により児童扶養手当を受給されている方などに対しましては、水道料金の基本料金と、一カ月当たり十立方メートルまでの従量料金の合計額の減免を実施しております。

○大山委員 児童扶養手当受給世帯が減免されていることは承知しています。
 ライフラインを確保するということがやはり必要なんですよね。児童扶養手当を受給していなくても、コロナ禍で家計が急変している世帯には、減免することなどもぜひ検討していただきたいと思いますし、それにしても二年分を支払わなければならないというのは、大変なことです。ぜひ、より一層きめ細かな対応をお願いしておきます。
 東京都子供の生活実態調査というのが行われていて、約三%の世帯で公共料金、つまり電話、電気、ガス、水道の滞納経験があるとなっているんです。
 都内の十四歳以下の子供たちの人口は、直近で百五十五万三千八百四十一人ですから、約三%ですと、約四万七千人もの東京の子供たちが家庭の公共料金の滞納を経験しています。世帯タイプ別に見ると、公共料金の滞納が、ひとり親世帯は二人親世帯の二倍以上います。この調査は、いわゆる平時の、普通のときの調査です。コロナ禍での緊急の対策は重要です。
 同時に、都民の誰もが日常的に健康で文化的な最低限の生活を保障することが求められています。減免制度の拡充が求められていますが、いかがでしょう。

○金子サービス推進部長 繰り返しになりますが、生活保護法により生活扶助の認定を受けている方や、児童扶養手当法により児童扶養手当を受給されている方などに対しましては、水道料金の基本料金と、一カ月当たり十立方メートルまでの従量料金の合計額の減免を実施しております。
 水道料金の減免措置は、受益者負担の原則、公営企業における独立採算制の原則及び使用者間の負担の公平に対する例外措置であり、その拡充につきましては慎重に考えるべきものと認識しております。

○大山委員 減免はやっているんだということですよね。
 今、コロナ禍で矛盾が噴出している状況なんですけれども、二〇一九年国民生活基礎調査、これ、ことし七月に発表されました。ということは、二〇一八年に調査した分ですから、コロナの影響はありませんが、日本の子供の貧困率は一三・五%に上っています。つまり、子供の七人に一人は、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らしているということですね。
 都立大の阿部彩氏は、不景気は貧困層を直撃します、七月に公表された子供の貧困率の数値は、まだ景気が悪化していなかった二〇一八年のものです、二〇二〇年に入って、新型コロナウイルスの感染拡大により経済状況は一変しています、今現在の子供の貧困がどのような状態にあるか、データが公表されるのはまだ先のことになりますが、かなり厳しいものであることは容易に想像がつきます、そう語っています。
 東京都の施策として減免制度が位置づいているからこそ、減免分は一般財源から補填されているわけです。減免の拡充など、ぜひ検討していただきたいということを申し述べておきます。
 次は、検針業務の委託のことです。
 水道局は、一九八〇年から検針業務を民間委託しています。二〇〇四年度の包括外部監査で、透明性や競争性の観点から契約方法を見直すべきとの意見を受けて、二〇〇七年度の契約を指名競争入札にした結果、新規事業者が落札しましたが、安定的な業務履行が行えないで、同年四月三十日に契約を解除したとの事実があります。
 どのようなてんまつで、水道局は、この事態をどう受けとめて、どう教訓を引き出したんでしょうか。

○金子サービス推進部長 平成十九年度の検針業務委託におきまして競争入札を導入したところ、新規事業者が落札しましたが、業務開始当初から定期検針の履行が困難となり、その遅延を解消することができず、同年四月三十日付で契約解除となりました。
 これを受けまして、当局は、事業者に対し、損害賠償の請求及び二年間の入札参加禁止の措置を講じました。
 この事態を踏まえ、価格による競争だけでは、検針及び料金算定に支障を来し、業務履行の確実性を担保することができないと判断したところでございます。
 そのため、翌年度の契約からは、価格のみでなく履行能力も含めて総合的に評価し事業者の選定を行う履行能力等審査方式を導入いたしました。

○大山委員 金額だけで判断したら、検針業務自体を履行することができなかったということですね。安ければいいということではないということです。
 検針員さんたちの仕事は、水道の検針には基準日があって、請求額が変動しないようにするためには、その基準日から外れて検針することは極力避けなければならないということになっています。一日何百件と検針するので、休むと、そのまま繰り越しになるか、ほかの人に頼むかということになるのですけれども、実際には、地域になれていないほかの検針員に任せるというのは大きな負担になるために、突発的な休みはほとんどとれない状態だということなんですね。
 検針員という職は、熟練や経験が重要な職種だと思いますけれども、水道局はどう認識していますか。

○金子サービス推進部長 検針員の業務経験は、業務の安定履行を確保するための要素の一つであると認識しております。
 このため、検針業務の発注は、価格のみでなく、業務経験や人員体制、研修計画などを総合的に評価し落札者を選定しており、安定した履行能力を確保しているところでございます。

○大山委員 業務の安定履行を確保するための要素の一つだと。業務経験も重要なんだということですよね。
 メーターが駐車した車の下になってしまうところだとか、狭いところに入っていかないといけないというところや、オートロックのマンションなども最近ふえているんですということなんですね。しかも、水量がいつもよりふえたり減ったりしているときには、何回も見にいくというんですね。
 検針のための機器などは結構たくさん体につけていて、五キロ以上にもなるということで、それを持って歩くわけです。どんな大雨や大風や大雪でも、悪天候の日でも、検針の基準日に検針しなければいけないということになっているということです。やはり地域をよく知っていることが重要な要素だということではないでしょうか。
 水道局としては、この検針員さんの一日の適正な検針数というのはどれぐらいと考えているんでしょうか。

○金子サービス推進部長 検針業務委託の発注仕様書には、検針員の人数は定めておりませんが、定期検針や中止清算などの料金算定にかかわる業務内容及び業務量等を示してございます。
 また、同時に、検針員の業務量が過大にならないよう、労働関係法規を含む各種法令の遵守を定めてございます。
 なお、令和元年度の実績を見ますと、都内一日当たりの検針件数を検針員総数で単純に割り返した場合、検針員一人一日平均約百八十件となっております。

○大山委員 平均すると、一人一日平均百八十件程度だということですけれども、人によって多い少ないはあるわけですね。
 検針員さんは、一件幾らの実績払いで、一件五十円といっていました。人の手で毎日毎日検針しているわけですから、委託単価というのは、お給料に、人件費に直接影響するわけです。
 検針業務の委託単価、例えば区部では、二〇一四年度は百二十六・九三円、二〇一九年度、百二十四・二七円、百二十六円から百二十四円ですね。単価自体が安くなっています。もちろんこの単価全て検針員さんに行くわけではありません。検針員は実績での賃金なので、単価の変動は給料に直結します。
 実際、長年検針員として働いている方は、以前は、検針だけで普通の暮らしはできていた。しかし、今は検針だけで生活するのは無理だとおっしゃっていました。
 委託している側としてどう認識していますか。

○金子サービス推進部長 検針業務委託契約では、委託を受けた業者が労働者を雇用することを仕様書で定めており、検針員の労働条件は、各検針受託事業者が雇用主として管理する事項でございます。
 なお、当局は、発注者として、各受託事業者に対し、労働関係法規を含む各種法令の遵守を求めております。

○大山委員 もちろん雇用主としての責任はあります。しかし、水道局の業務の、都民と接する最前線の業務を委託しているんですから、実際どういう状況になっているか、労働関係法令などを遵守しているかということなどはチェックしているんでしょうか。
 労使双方から聞く必要があると思いますけれども、どうなっていますか。

○金子サービス推進部長 業務委託契約は、一般的に請負の形式による契約でございます。
 厚生労働省が定める労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準によれば、請負契約におきましては、委託者は、労働者に対して労働時間等に関する指示等を行うことはできないとされております。検針業務委託は、この請負の形式による契約であり、当局が労働者に対して直接指示等を行うことはできません。
 このことから、当局では、労働時間等に関しまして、検針員に直接ヒアリングなどを行うことは適切ではないと考えております。
 一方、検針受託会社に対しましては、現場事務所での履行確認や年四回行われている定期的な連絡会を通じまして、現場の状況や労働関係法令の遵守状況等を確認しております。

○大山委員 労働者に直接指示しなさいとかいっているわけではないんです。
 委託業務内容が適切に遂行されているのか、水道局が、委託業者の承諾を得て検針員さんたちにアンケートするなどはできることです。それは、今後の委託内容を、適切なもの、適切でよりよいものにするためにも重要なことです。労務管理しろといっているわけではないんです。本来なら、東京都が直接やらなければならない仕事を委託しているんですから、都民へのサービスをよりよいものにするためにも有効です。
 四十年も前から検針業務は委託してしまっているわけですから、局の職員は、検針現場の仕事が全くわからないわけです。そして、都民にしてみれば、検針員さんは東京都なんです。それだけに、現場で直接検針業務に携わっている人から、どういう状況になっているのかとか、苦労していることだとか、働きがいになっていることだとか、東京都への要望はあるかなど、直接声を聞くことは、よりよい仕事をしてもらうためにも重要なことです。
 検針委託の発注において、平成二十六年度の包括外部監査の意見を受けて、昨年度から入札の方法を変えましたが、どのようなやり方に変えたんでしょうか。

○金子サービス推進部長 当局では、平成二十六年度の包括外部監査の意見を受けまして、検針委託の発注方法を、履行能力等審査方式による随意契約から、価格のみでなく、業務経験や人員体制、研修計画等を総合的に評価するとともに、外部有識者の視点も取り入れた総合評価方式による競争入札に変更いたしました。
 これにより、契約の客観性を高め、公平性、透明性、競争性をより適切に担保してございます。

○大山委員 価格だけではなくて、総合的に判断するんだということなんですけど、一つ伺いたいんですけど、昨年度から徐々にこの方式に変えていっているわけですよね。契約金額がどうなっているか、前年度と比較ができる検針業務の委託単価というのはなくなってしまったんですね。
 ですから、仕方がないので、契約方式が変わったところのうち、過去六年間の比較ができるところで、徴収業務委託の契約金額と、その地域の給水件数を伺いました。
 給水一件当たりの契約金額を比較してみました。荒川区と墨田区の地域は、二〇一四年度、千八十八円、二〇一九年度、千三十二円。下がっています。文京区と台東区の地域は、二〇一四年度が千三十七円、二〇一九年度は九百九十七円。江東区の地域は、二〇一四年度が千十五円でしたけど、一九年度は九百五十八円です。全て減額になっています。
 委託内容は、定期検針業務、中止清算業務、随時調査業務、メーター読針業務、徴収整理業務及び開栓業務となっていますから、まさに人がやる仕事ですからほとんどが人件費ではないかと。
 今申し上げましたように、どんどん委託費が下がっている状況を水道局はどう認識しているんでしょうか。

○金子サービス推進部長 今、幾つか例示をしていただきましたけれども、実際の契約金額というものは、現在、総合評価方式の競争入札、入札方式に順次移行している中で、結果としてそういった形になっていると。
 先ほども申し上げましたけれども、当局としましては、契約の客観性を高め、公平性、透明性、競争性を適切に担保していくという目的で契約方式を見直しているところでございますので、そういったことの効果としてあらわれているという面はあろうかと思っております。

○大山委員 結果として、こういう結果になったんだということなんですけれども、結局、契約金額を毎年下げている。経年で見ても、千八十八円、千七十九円、六十七円、千六十円、千五十三円、千三十二円。これ、荒川と墨田のところですけれども、そうやって契約金額、毎年下がっているということなんですね。それで、制度を変えても、入札方法を変えても、また下がっているということなんです。
 八時間働けば当たり前の生活ができる賃金を受け取ることができるように、水道局の仕事で官製ワーキングプアをつくってはならないと思います。水道局として、契約する事業者に一定額以上の賃金を保障することを求めることができるように、公契約条例の制定も含めて検討することを求めておきます。
 最後に、多摩地域における有機フッ素化合物による水道水の汚染についてです。
 NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が、ことし八月に、多摩地域でもPFOSとPFOAの汚染レベルが高い府中武蔵台浄水所と東恋ヶ窪浄水所からの給水地域の住民、合計二十二人の協力を得て、PFOS、PFOA、それからPFHxSの血液中の濃度の測定検査をしたところ、PFOSの血中濃度は、環境省の化学物質の人への暴露モニタリング調査における日本人の平均値と比較して一・五倍から二倍高い値でした。
 PFOSの代替物質として使用されているPFHxSについては二十七倍から二十九倍という高い値を示したことがわかりました。
 水道局は、この調査結果をどう受けとめていますか。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が、多摩地域住民の血液中の有機フッ素化合物検査結果を公表したことは承知しております。
 また、PFOS等の有機フッ素化合物につきましては、国が調査を進めていると聞いております。

○大山委員 人ごとのようないい方なんですけれども、有機フッ素化合物の一種でありますPFOSは二〇〇九年から、それから、PFOAについては二〇一九年から、ストックホルム条約の使用制限の対象物質に追加され、製造、使用が原則的に禁止されるようになりました。PFOS、PFOAなどの有機フッ素化合物は、環境中で分解されにくく、体内に蓄積されやすい性質を持っています。PFOSとPFOAの代替物質として近年使用がふえているPFHxSも同様の性質を持っていることから、ストックホルム条約の規制物質への追加が検討されているということなんですね。
 PFOSやPFOAの毒性については、大人では、がんだとか、精巣や腎臓ですね、それから、高コレステロール血症、潰瘍性大腸炎などの影響が指摘されています。子供では、低出生体重、ぜんそくなどの免疫異常、甲状腺ホルモンの攪乱、脳の発達阻害などが指摘されています。
 少数とはいえ、PFOSの血中濃度が日本人の平均値と比較して一・五倍から二倍も高い値、それから、PFHxSについては、二十七から二十九倍と高い値だったという結果が出たことは、決して軽視されるべきではないと思いますけれども、水道局はどう認識していますか。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 水道事業者の責務は、国が定める水道法における水質基準などを遵守いたしまして水道水を供給することであると認識しております。

○大山委員 水質基準などを遵守して水道水を供給することが大事、これはもう当然ですよ。
 しかし、実際、基準がない時期だったとはいえ、PFOSとPFOAの汚染レベルが高い府中武蔵台浄水所と東恋ヶ窪浄水所からの給水地域の住民、合計二十二名の血中から、濃度の高いPFOSとPFHxSが検出されているわけです。そのような水道水を供給してきたということです。重く受けとめなければならないんじゃないんでしょうか。どうなんですか。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 繰り返しになりますが、水道事業者の責務は、国が定める水道法における水質基準などを遵守いたしまして水道水を供給することであると認識しております。

○大山委員 水道局が供給したお水なんです。ですから、ちょっときちんと受けとめてもらいたいですよね。
 ストックホルム条約は、毒性が強く、残留性、生物蓄積性、長距離にわたる環境における移動の可能性、人の健康または環境への悪影響を有する化学物質について規制するものです。環境中に放出された際に国境を越えて移動するので、国際規制をすることによって環境への放出を防止することを目的としています。
 それが、この府中武蔵台浄水所と東恋ヶ窪浄水所からの給水地域の住民の皆さんの、二十二人の血中から、濃度の高いPFOSとPFHxSが検出されたわけですよね。
 汚染された地下水の飲用を中止するというのは当然です。汚染された地下水をそのまま放置しておいてよいわけではありません。汚染原因を調査分析して、原因を究明することが必要ですが、いかがですか。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 国では、PFOS等の有機フッ素化合物の調査を進めていると聞いております。
 当局としては、こうした国の動きを注視しながら、関係局と必要な情報を共有してまいります。

○大山委員 調査分析、原因究明することが必要なんじゃないんですかと聞いたわけです。
 さっきから、水質基準を遵守して水道水を供給することが水道局の使命なんだということなんですけど、水源を汚染する物質が地中にあることがわかっているわけですよね。しかし、それで、水源をきれいにするということは、水道の基本じゃないんでしょうか。原水を、水源を。汚染原因が特定されていないわけですから、調査分析して原因を究明するべきといっているわけです。
 対策をとるには、やはり現状を、まずは把握する、これが基本じゃないでしょうか。
 多摩地域は地下水が豊富だからこそ、おいしい地下水をくみ上げて、水道として使ってきたわけですよね。その水源が汚染されているわけですから、水道局だけでできないんだったら、他局や研究機関などとも協力して、原因を明らかにしていくことが必要なんじゃないんでしょうか。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 繰り返しになりますけれども、水道事業者の責務は、国が定める水道法における水質基準などを遵守いたしまして水道水を供給することであると認識しております。
 お話の件につきましては、当局が対応すべきものではないと考えております。
 水道水として利用する場合には、国が定める水道法における水質基準などを遵守してまいります。
 なお、先ほども申し上げましたが、当局としては、こうした国の動きを注視いたしながら、関係局と必要な情報を共有してまいります。

○大山委員 国の動きだとか国が調査しているといっていますけれども、国が調査している、実施しているのは、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいるときから十三歳になるまで健康状態を定期的に調べる、出生コーホート、集団を追跡する調査ですね。
 子供の健康と環境に関して、日本ではかつてないほどの大規模かつ長期的な調査です。全国十五地域、十万組の子供たちとその両親に参加してもらっての調査です。これはこれで重要な調査なんです。しかし、この調査の対象地域には、東京は一カ所も入っていませんね。
 都内で現状がどうなっているのかということは、都民の安全・安心という点から見れば、汚染の原因をきちんと調査すること、住民の健康調査も重要です。
 水道水源に含まれるPFOA、PFOSの濃度を正確に把握することは重要です。
 PFOS、PFOAなどの有機フッ素化合物は環境中で分解されにくく、体内に蓄積されやすい性質を持っているだけに、正常な地下水と健全な生態系保全の観点から、汚染された地下水の浄化の取り組みが必要不可欠だと思いますけれども、どう認識していますか。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 繰り返しになりまして恐縮でございますが、水道事業者の責務は、国が定める水道法における水質基準などを遵守して水道水を供給することであると認識しております。
 お話しいただきましたことにつきましては、当局が対応すべきものではないと考えております。
 水道水として利用する場合には、国が定める水道法における水質基準などを遵守して対応してまいります。

○大山委員 結局、答弁しているのは、水道法における水質基準などを遵守して水道水を供給するんだと。それはもう当然ですよ。今やっていることは、PFOAやPFOSなどの濃度が高い水源の井戸をとめて、そのほかのところから、結局薄めて供給しているということじゃないですか。原因を、やっぱりきちんと調査する、それ重要じゃないんですか。
 きちんと、汚染された水源から水を供給するんじゃなくて、幾ら基準からは下がっているといっても蓄積するわけですよ。ですから、長期的な毒性というのはまだわかっていないわけですよね。それだけに、やはりきちんと、水道局だけではできないんだといっているんじゃなくて、何度もいいますけれども、都民の大切な水源が汚染されて、住民にも被害が起きて、生態系にも影響を及ぼすことは必至なんです。だからこそ、原因を明確にして、原因者に責任も果たさせる、これ重要です。
 水道局だけでなく、全庁方針として位置づけて対応していただきたいということを申し述べて、終わりにします。

○田村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時三十分開議

○田村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○宮瀬委員 では、よろしくお願いいたします。
 私の方からは、水道局に対しましては、公営企業に戻ってきまして四年ぶりとなります。余り批判だけではなくて、具体的な対案ですとか、是々非々で皆さんと向き合っていきたいと思っております。
 まずは、私も民間のマーケッターをやっていましたので、水道局に都民の皆さんが望んでいることは、一番何なのかといったことで、皆さんのところにも声が届いていると思いますけれども、私の方で、九百三十四名の方に、フリーアンサーで、過去ですね、ご意見、ご批判等を自由に書いてもらって集計しましたら、やっぱり断トツに毎回一位なのが、水道料金に関してのご要望が非常に多いといったことでございます。
 そういった中で、数字の確認を最初にしたいんですけれども、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、令和二年度九月三十日まで、水道、下水道料金の支払い猶予を受けていた方というのが結構いらっしゃると思いますけれども、この件数ですとか、金額の実績、また、その割合が全体の何パーセントなのかというのをまずお伺いしたいと思います。

○金子サービス推進部長 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道、下水道料金の支払い猶予につきまして、本年九月三十日までの申し込み件数は約一万八千八百件でございます。
 支払いを猶予した金額は、累計約九億八千万円となりまして、調定金額に対する割合は〇・三九%でございます。

○宮瀬委員 支払い猶予ですから、先ほど大山理事がおっしゃっていたように、翌年は倍で払わなきゃいけないといったことでありますけれども、一方で、今、料金が払えない、コロナの影響もあって、水道料金はちょっと払えないということもきっとあると思います。
 コロナだけの影響ではないと思いますけれども、数字をまず確認したいんですが、水道料金の令和二年度四月から九月末までの未払いの件数と昨年度の同時期での前年度比でお伺いしたいと思います。

○金子サービス推進部長 未払いの件数でございますけれども、申しわけございませんが、今手元に区部の数字しかございませんので、区部ということでお答えさせていただきます。
 令和二年の四月から九月末まで、当局では、未納料金の収納を管理するために、未納カードという帳票を使っておりますけれども、その帳票の発行枚数でございますが、令和二年度四月から九月末までで、十六万三千五百二十二件でございます。前年同期と比べますと約一割増加しております。

○宮瀬委員 一〇%の方が、払えないといった方がふえていると。この経済状況の中、この数字、ますますふえていくんじゃないのかなといった課題認識がありまして、水はもちろん生命線でありますので、水の料金が払えないといったことは、よっぽどのことなのではないかなと思っています。
 そういった中で、コロナ禍における水道料金のあり方について提言させていただきたいんですけれども、まず、水道料金、実際にここ十年ぐらいどのように推移しているのか、金額について教えてください。

○岡安理事 過去十年間の水道料金につきまして、基本料金及び従量料金の改定はなく、消費税等の税率改定に伴いまして、基本料金と従量料金の合計額に乗じる率を平成二十六年及び令和元年に改正しております。
 料金収入の実績は、平成二十二年度は約二千九百六十七億円、平成二十六年度は約二千八百四十五億円、令和元年度は約二千八百九十三億円と推移しております。

○宮瀬委員 ここ十年、消費税の増税分の上乗せ以外はふやしていないと。
 ただ、都民の生活を考える中で、この十年間、可処分所得がそんなにふえていないといった状況の中で、水道料金は変わらないといった状況です。
 水道事業は、東京都の中における公営企業ということで、単に利益だけを追求する企業ではないと。その中で、私の意識としましては、何とか、乱暴ないい方をして恐縮ですが、いろいろこれから、インフラの再整備ですとか、費用がかかる、また、人口も頭打ちになっていく中で、何とか水道料金を下げて逆にいけないのかなといった問題意識を持っております。
 コストの削減でありますが、長年の整備のたまもの、皆さんのご尽力で、安定的に利益は出せていると思いますけれども、工事コストの削減ですとか、業務システムの導入によって、経費の削減というのは幾らになってきたのか。また、技法や工法が、時には閉鎖的で、コストが割高ではないかといった声も私のところに届いておりますが、見解を伺います。

○岡安理事 東京水道経営プラン二〇一六では、計画期間であります平成二十八年度から令和二年度までの五年間で、経費縮減や資産の有効活用などによりまして、百五十億円確保することを目標に掲げております。
 平成二十八年度から令和元年度までの四年間では、工事コストの縮減や業務システムの効率化、定期借地権制度の活用などにより、百四十三億円確保いたしました。
 公共工事の積算は、公共工事の品質確保の促進に関する法律などに基づきまして、国や都の積算基準、国が公表しております公共工事設計労務単価や一般財団法人経済調査会が発行しております土木資材単価等をもとに算出をしております。

○宮瀬委員 工事コストですとか、経営努力による経費の削減を都民の方にもぜひ直接的に何とか返せる方法はないのかなと思っております。同時に、コストを減らすだけではなくて、収益の柱をもう一つしっかりと育てていくことが大事だと思っています。
 水道局では、技術開発の方を行っていまして、多数の特許権があると。実際に特許による収入がどれぐらい入っているのか。また、その技術が有効に活用されているのか。状況の確認と今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。

○田中建設部長 当局では、水道メーターや漏水防止技術の開発、浄水処理技術の調査研究など、業務に即した開発はもとより、将来的な課題に対して、大学等と連携して、高度な研究開発を行ってまいりました。
 この結果、水道業務の改善につながる技術など三十件の特許を保有しており、令和元年度の特許等を使用した際の実施料の実績は約三百万円でございます。
 具体的には、特殊な形の配水管を防食するためのポリエチレンスリーブや、震災時でも携帯しやすい折り畳み式の制水弁開栓器などが、現在、当局の現場において広く活用されております。
 今後は、さらに、水道技術へのICTの活用について、他の水道事業体と積極的に連携して開発に取り組み、水道事業の課題解決に貢献してまいります。

○宮瀬委員 私は、東京の水道局というのは日本一の水道局だと思っておりまして、そこの特許料収入が三百万しかないと。
 今後、スマートメーターの事業ですとか、先駆的な取り組みも始まっていくと思いますけれども、水道料金収入以外の収入をどう得ていくのか。例えば、孤独死が東京都でも問題になっておりますけれども、そちら福祉保健局が所管していて、その福祉保健局がきちっと予算を持っているわけであります。そういった予算をしっかりといただいて、単に水道を安定供給するだけではなく、皆さん本当にいろいろ、ビッグデータの活用等裾野も広がっていく局だと思いますので、ぜひ広い視野で、いろんな収益の確保を目指していただきたいと思います。
 そういったコストと収入の話をいたしましたが、やはり、ダイレクトに聞いて恐縮ですけれども、実際に払えない人が一割ふえて、今後もふえていくでしょう、支払い猶予の方もふえていると。
 ということは、やっぱり、一年間限定でも、水道料金というのを公平に下げていく、そういったことを、水道局としても、こういった時代、こういった状況ですので、考えていくべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○岡安理事 現行の水道料金は、独立採算制のもと、安定給水に必要となる経費を適切に見積もり、総括原価方式により算定しており、適切なものでありまして、値下げを行う考えはございません。

○宮瀬委員 皆さん単体では、もちろんそういった考えはないというのはわかるんですけれども、さきの委員会で総務委員会におりましたけれども、いろいろ東京都も、いろんな協力金事業ですとか、いろいろ各業種に対してお金を提供していると。ただ、私の方、よく聞かれるのは、例えば、エステにはお金が出ないとか、飲食店ばかり百何十万も出てうらやましいとか、不公平なんじゃないかという声が正直聞こえます。
 そんな中で、昭島市とか武蔵野市、羽村市というのは、皆さんのところではないと思うんですけれども、水道水というのは、生活していれば、全ての都民が、企業体も含めまして使っている事業だと思いますので、そういう意味ではやっぱり公平だと思うんですね。なので、一般会計からお金をいただくとか、そういった判断を、もっと違うところで行われる可能性も高いと思いますけれども、我が会派も代表質問等の機会を捉えまして、結果、水道料金の減免ができるようなご提案を今後させていただきたいなと思っております。
 大体、最低水道料金のレンジは決まっていますので、年間にすると大体二万円とか、三万円とか、一万円とか、それぞれなると思いますけれども、それは公平に、多分すべからく都民の皆さんが恩恵を受けられることだと思いますので、提案をさせていただきたいと思いますが、そういった一割の人が払えない、そして、今後は、二割の人が払えない、三割の人が払えないというその状況は、皆さんが一番知っているわけでありますから、ぜひ皆さんの局からもご提案をいただいて、都民の皆さんが皆さんに一番望んでいることは水道料金の値下げです。せめてコロナ禍におきましては、料金が減額できるような、結果ですね、減額できるような取り組みをお願いしたいと思っております。
 次に、水道局に対します、めぐる不祥事についてでございます。
 ざっと私が知る限りでも、平成二十四年には、職員の方が業者に対して便宜を図って、その見返りに百万円以上の金銭、飲食で供与を受けたといったことが平成二十四年。二十六年には、工事の発注の契約情報を漏らして、最低制限価格に関する情報を伝えてしまっている。また、平成三十年も、同様に、設計の金額を情報漏えいした職員の方がいると。また、政策連携団体になりますが、令和二年には、書類の改ざんの問題が新聞報道でなされてきました。
 下水道局と比較するわけではないんですけれども、もうまさに二、三年に一回ずつ、必ず皆さんのところで不祥事が起きていると。そのたびに、私も機会を捉えて質疑させていただきますが、一向に、改善されて結果が出てこないといった問題意識がございます。
 私は、結論をいいますと、信賞必罰だと思っています。大変な状況の中で頑張っている職員さんの待遇をぐっと上げてあげる、でも、問題を起こしたり、怠けてしまうような職員さんのところには信賞必罰をしっかりと設けることが、局内のやる気、モチベーションにもつながっていくんだと思います。
 そこで、私なりに、どうして再発が続いてしまうのか、その中で、まず、処分をどうしているのかというところを、冒頭にいった四回ですか、過去、いろいろありましたけれども、不正や談合事件に際しまして、処分を決めている委員会のメンバーというのは、どういったメンバーなんでしょうか。

○石井職員部長 職員の処分の決定に当たりましては、処分実施の適正を期するために設置している東京都水道局職員懲戒分限審査委員会が、水道局長の諮問に応じ、処分内容について審査、答申を行っております。
 この審査委員会は、委員長に、次長または技監の職にある者のうち、局長が指名する者をもって充て、また、委員には、総務部長、職員部長、サービス推進部長、浄水部長、給水部長、建設部長、そして多摩水道改革推進本部長の職にある者をもって充てることとしております。

○宮瀬委員 今、メンバーのお名前聞いていたんですけれども、全員が水道局の関係者と。そこが私、一つ大きな問題だと思っています。ないとは思いますけれども、身内が身内を処分する委員会を開いていて、身内で全て対応してしまっていると。こうなると、やっぱり身内に甘いんじゃないかという批判が起きると思います。実際にその処分が適正だったのかの客観的、第三者的な視点が、今、担保されていないといったことは事実であります。
 これだけ不祥事が続いていることから、第三者的な人物をこの委員会の中に入れるべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○石井職員部長 この審査委員会ですけれども、懲戒処分の指針に基づき、過去の処分の程度や他団体における事例等を踏まえて、非違行為の具体的な内容、被害や過失の大きさ、職場への影響等を総合的に勘案した上で、処分内容について、これまでも厳正な審査を行っているため、この委員会に第三者のメンバーを入れるという考えは、今のところ持っておりません。
 副委員長のご懸念のところはよくわかりますが、我々も、これは、甘いことをやったら身内に甘いということで叱責されるのは当然のこと。そういうことを踏まえて、身内だから甘くするのではなくて、より厳しくする。そういう中で、この委員会運営に努めております。

○宮瀬委員 今ご答弁いただいて、いろいろその内容、過失の重さ、被害、過失の大きさ、職場への影響等というお言葉、他団体における事例とかあるんですけれども、この出てきた今のご答弁の内容そのものが、社会に対する影響、社会に対する視点というのはないわけですよ。今いったのは、職場への影響というお話ありましたけど、職場への影響ではなくて、公営企業としての社会に対する責任という観点が、今のご答弁の中に入っていないわけですよ。身内に甘くするつもりは毛頭ないといっても、今のご答弁を聞いていると、私なんかは、やっぱり違和感を感じてしまいます。
 社会、世の中がどう見ているのかという観点なくして、身内に厳しくやっている、それで、第三者も入れないといったことになりますと、私は、改めて機会を捉えて、いい方が悪いですけど、ここ二、三年必ず起きていますから、また必ず起きる可能性、高いと思います。そのときに、社会に対する影響はどうなのかというのをぜひ考えていただきたいなと思っております。
 また、再発防止をするためには、私は、罰則ですとか、ペナルティーが当然あってしかるべきだと思っております。
 その中で、民間企業でしたら、例えば、電車の中で痴漢行為をしたですとか、窃盗で捕まったとか、外で暴力事件を起こしたとなりますと、即、名前が出る。名前が出て、当然社会的な信頼を失うといったことがありますけれども、過去の、問題を起こした、不正を行った後、確定された職員の名前というのは、過去、出たことあるのでしょうか。

○石井職員部長 水道局が定めている懲戒処分の指針では、職員の懲戒処分の公表基準や公表する内容等を示しており、免職を行った場合または社会に及ぼす影響が大きい事案については、所属、職名及び氏名等を公表する場合があると規定をしております。
 この規定に基づき、過去に不正をした職員の処分について、事故発生時の所属、氏名等を公表した事実はあります。

○宮瀬委員 いわゆる懲戒免職、首になったパターンとストライキのとき。
 また、総務局の方から懲戒処分の指針というのをもらいまして、その中で、争議行為等、社会に及ぼす影響が大きい事案は公開するんだと、免職以外にですね。そこに等というのも入っていまして、では、今回、直近の情報漏えいに関して、大々的に新聞にも取り上げられて、実際に議会でも問題になって、実際に判決が出て、有罪と刑事罰が下されているわけでございます。
 そういった状況の中で、社会に及ぼす影響が大きいと私は考えますけれども、今回の件は大きいと考えていないんですか。

○石井職員部長 ここは非常に難しいところで、ご意見、ご主張の分かれてしまうところもあると思うんですが、新聞報道されたから全てが大きいのか、先ほどの争議行為のように、大多数の都民が、まさにその生活に支障を及ぼすような事案になってしまっているかどうかとか、そういったことをいろいろはかっていかないと、なかなかその事案について、その大きさをはかることは困難だというふうには考えています。
 ただ、今おっしゃられたとおり、新聞報道、それから、ここでも今、質疑をしている、こういう状態というのは、まさにその都民の信頼を大きく損ねる結果になっているということは間違いございません。
 水道局としては重く受けとめているという状況でございます。

○宮瀬委員 新聞報道は、あるかないかは、記者さんにもよると思いますけれども、少なくとも今回裁判が公平に行われて、そこで刑が確定しているといったことほど公平なことはないと思います。
 質疑するかどうかも、都議会議員次第だとは思いますけれども、結果ですね、皆さんが、皆さんの中で、社会に対する影響が大きいんだ、大きくないんだというのも、皆さん自身で判断されてしまうと、これはもう大きくありませんといったら、それで決まってしまうといったことが、私は問題で、そのことは問題なんじゃないのかと総務局の方に確認しましたら、もろもろの事情や過去の事例を総合的に勘案し、氏名等を公表する事案に当たらないと判断したと水道局から聞いていると、総務局の方はいっていますけれども、もろもろの事情や総合的な勘案というところがわからないわけであります。
 そういったもろもろの事情というのはどういったことで、総合的な観点というのはどういうことなんでしょうか。

○石井職員部長 実は、確かにもろもろのということと、今おっしゃったようなことで、総務局の方で答えておりますが、事はシンプルでございまして、事故を起こした職員も、処分を受けた後、これ懲戒免職になってしまえば別ですけれども、停職というようなことであれば、その処分を受けたそこまでが、処分の何日とか、何カ月かで終われば、全力でまた職務遂行、公務員には職務専念義務がありますから、仕事をしていかないといけないということになっていきますので、そういった点について、氏名の公表については、円滑な公務運営の妨げにならないように、慎重に行うべきというふうに認識をしています。
 職員も、この後、立ち直ってくれれば一番いいわけで、人材育成の点からいけば、更生して、しっかりと社会貢献していく人間になっていく、そのときに、その新聞報道で、また、要するにそういったことで、その本人に対して、いろんなことをとやかくいわれるというところまでいかないといけないのかどうかという事案を、そこは個々にしんしゃくしていかないといけないのだろうということで、こういうご答弁になっています。

○宮瀬委員 やっぱり民間企業と公務員は、ちょっと違うとは思いますけれども、職務を遂行するためには名前を出したらまずいんだというのは、ちょっと違和感が私はあります。
 どうでしょうか、今回の質疑の大前提は、不祥事がずっと続いてきていると。皆さん、そのたびにいろいろ改善策とか、コンプライアンスだ、意識啓発だといっているんですけれども、一向におさまってこないと。
 私は、不正が繰り返し起きていることこそが、また、名前も出ないことこそが、円滑な公務運営の妨げ、都民の立場からすれば、少なくとも私は違和感を感じていて、そういう人が、実際に、その後立ち直って頑張っていただきたいと思いますよ、でも、それはそれで、有罪判決を受けたら、民間企業は、まだ確定していない段階で名前出ちゃうんですから。
 きっちりと名前を出すべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○石井職員部長 副委員長のおっしゃることも、最初のところで信賞必罰という中で、真面目にやっている職員の目線、それで考えればというところは、確かに心情的によくわかるお話でもあります。
 一方で、済みません、怒られますけれども、私ども、先ほどいいましたように、その職員が、懲戒免職にならずに踏みとどまったという事案の中で、今後やはり仕事をしていく上で、氏名の公表で、SNSとか、またそういうところに名前をさらされていくということが本当にいいのかどうかとか、そういうところも考えていかないといけないのかなというふうに思い、こういう答弁になっているということでございます。

○宮瀬委員 名前の公表というのは、なかなかすぐにはどうこうという話ではないと思いますけれども、次のテーマといいますか、では、直近の情報漏えいに関しまして、実際に損害が、談合といいますか、損害が生じたと。その金額が一・五億円ですか、その大きな金額が、賠償責任が生じたといった判決が出たと思います。となりますと、企業と職員、両方に対しまして、その後、金額請求があったと思うんですけれども、問題を起こしてしまった職員というのは、実際にそのうち幾らお支払いになったのでしょうか。

○岡安理事 談合を行った企業と関与した職員とは連帯債務者の関係にありまして、当局は、一億五千三百八十万余円を企業側四社に、そのうち八千二百三十一万余円を職員二名に請求をいたしまして、令和元年十二月中に水ing株式会社から全額が支払われました。
 これによりまして、当局の損害は全て回復し、連帯債務が消滅しましたことから、各債務者の都に対する支払義務は消滅をしております。

○宮瀬委員 職員の皆さんに対しては、これ大変重いですね。職員二名の方に八千万円の請求をかけたと、連帯責任で。職員分は八千二百万円ですよといったことで、一番利益を受けたであろう水ing株式会社から振り込みがありましたよといったことでございます。
 となりますと、請求をかけて、実際に賠償命令が下った職員の皆さんが、私、お金を一円も払っていないということも耳にしています。やっぱり、情報を漏えいして、それによって談合が行われ、高い買い物をさせられてしまって被害を受けているわけですから、きちっと問題を起こした職員の方、八千万、二人です。八千万円の支払いを負担していただくことが再発防止につながる、ちょっと厳しい意見で恐縮ですけれども、必要なんじゃないのかなと。水ingという会社に一括して請求していますけれども、それぞれちゃんと請求した方がいいんじゃないのですか。

○岡安理事 当局では、談合を行った企業と関与しました職員を連帯債務者とする請求を行いましたが、令和元年十二月中に企業側から全額の支払いがございました。先ほどご説明申し上げたとおりでございます。
 これによりまして、各債務者の都に対します支払義務は消滅をしております。
 職員の負担の有無につきましては把握をしてございません。

○宮瀬委員 結局、お名前も出ないし、お金のところも、私は払っていないと聞いていますけれども、違いがあったら済みません。
 そういった状況の中で、経済的にも社会的にもしっかりと守られているといったことです。もちろん、疑わしい場合は別です。これ、しっかりと判決が出て、賠償命令が下っている案件です。そういった中で、今回の水ingという会社に、一・五億円のお金を支払っていただいていると思うんですけれども、じゃあその水ingという会社と水道局とのかかわり合いというのはどこにあるのか。
 人材の交流というのはあるんでしょうか。過去と現在ともにお伺いいたします。

○岡安理事 都では、幹部職員は平成二十二年以降、一般職員につきましては平成二十八年以降、退職後の再就職の届け出を義務づけております。
 これによりますと、浄水場の排水処理作業委託に関しまして、談合の事実が認められた企業のうち、水ing株式会社に、平成二十三年に、都を部長級で退職した職員一名が再就職しておりました。
 また、この談合事件をきっかけに調査をしました結果、平成三十年十月に、公正取引委員会の立入検査が行われました時点で、この職員のほか、退職管理条例上、届け出義務が生じない局長級及び課長級での退職者各一名の合計三名が同社に在籍をしておりました。
 なお、過去五年間におきまして、同社を含む談合の事実が認められた企業からの社員受け入れの実績はございません。

○宮瀬委員 三名の方が、水ingという株式会社に再就職していたと。総務局の人事部の方で、毎年、幹部職員の再就職状況という紙が出ています。
 これは、退職後二年間のうちは、届け出報告義務があるといったことで、企業名とお名前、全部書いて、在籍時の役職名と再就職した企業名が出ているんですけれども、これは、私、全部見ていったときに、水ingという株式会社しか名前がないと。要は、二年間の報告義務がある制度の中で、実際は再就職していた、この情報漏えいと談合が起きた会社には、一人しか、本来だったらわからなかったと。
 しかし、恐らく退職後二年たってから、その水ingに就職したのだと思います。それで二名、追加で都庁のOBの方がお勤めだったと。これ捜査でわかったことだと思いますけれども、そうなってしまうと、この再就職管理状況というものが、本当は、水ing以外でも、どこか一社を間に挟んで、二年たってしまって、ほかの取引関係企業に実際に再就職していたというこれ証拠だと思います。
 こういったことがベースにあって、今回の談合の件とか、情報漏えいが起きた土壌になっているんではないかなと私は思います。その辺の再就職の制度につきましては、所管外だと思いますので、そこはもうこれ以上いいませんけれども、そのことは指摘させていただきます。
 いずれにせよ、過去の不祥事から、私も過去、複数名での対応ですとか、相互チェック、また機能不全に陥った、そういった皆さんのご説明を聞いてきましたけれども、実際に不正を行ったごくごく一部の公務員が守られ過ぎてしまって、そのことこそが再発防止につながっていかない、民間では考えられないことだと私は思っております。
 改めて、氏名の公表、迅速な給与の支払い停止、経済的な負担などがやっぱり最大の抑止力になると思っています。つまり、問題を起こしたら、実際にお金も、莫大な金額を弁償しなきゃいけない、名前が出て、社会的な信用も失ってしまう、実際に多くの問題が情報を漏らしたら起きる、そういったことが目に見えてわかることが、最大の抑止効果になると思います。
 実際、今回の談合事件を起こした、情報漏えいした方は、半年間の休職で、その刑が確定するまでも普通にお勤めされて、その間、ボーナスも給料も出て、実際お名前も出なくて、実際に賠償も、お金も払っていないと、そういった方が普通に今も働いているのであれば、実際に問題を起こしても、通常どおりに戻れるんじゃないか。
 そういったことがないと思いますけれども、行われてしまうと、それこそ再発防止につながらないんじゃないかと思いますけれども、見解を伺います。

○石井職員部長 事故を起こした職員も、処分を受けた後には全力で職務を遂行していかなければなりません。このことから、氏名の公表については円滑な公務運営の妨げにならないよう慎重に行うべきという認識でございます。
 また労働基準法上、給与については全額を支払わなければならないとされており、職員が事故を起こしたとしても、懲戒処分の事実が確定されない限り、その間働いたのであれば、その対価としての給与を、支払いをしないといけないということになっております。
 なお、懲戒処分として、事実が確定した場合には、停職や減給の効果として、その期間中、全部または一部の給与は支給されないということですから、生涯賃金としてはかなりの差が出てくるというところはございます。
 すぐに処分が決まればいいのですけれども、事情聴取をしながら、事実の積み重ねで量定をかけていきますので、その間、その職員を自宅待機させて、ぼおっとさせていればいいという話ではないので、やはり働いてもらって、その分のところの対価は払いますけれども、処分が決まれば、そこからもう全て給与は支給しないという形になります。

○宮瀬委員 普通の民間企業だったら、問題が起きた時点で自宅待機ですよ、普通はね。私なりにいろいろ代案を出させていただきましたけれども、皆さんの、不正、ここまでずっと二、三年おきに続いている不祥事が、じゃあどうしてとまらないんですかといったことを確認したいと思います。
 毎回聞いていますけれども、こういった、じゃあどうするんですかと、再発が起きないためにどうするんですかということを確認させてください。

○石井職員部長 副委員長ご指摘のとおり、当局では、平成二十四年及び二十六年に不祥事が発生したその都度、再発防止策を講じてきました。
 コンプライアンス推進の側面では、ただコンプライアンス推進ということの側面では、外部の評価を受ける機会がほとんどなかったという状況は反省点としてあります。
 このため、平成三十年に不祥事が発生した際は、法曹関係者等の外部有識者から成る東京水道グループコンプライアンス有識者委員会において、再発防止策の検証を行ったと。第三者の方に入ってもらって、そこを厳しく見てもらったということです。
 また、策定した再発防止策については、有識者委員会に実施状況を報告して、委員会からの指導や助言をもとに改善を図ることとしております。
 一方、東京水道株式会社において、本年も新たな不適正処理事案が発生したことは、これまでの改善策の取り組みが不十分であったということで受けとめております。
 このため、工事監督業務におけるチェックシートの活用を受託業務の全ての案件に広げるなど、これまでの改善策の見直しを図るとともに、各種申請手続に関するフローと確認方法を見直すなど、新たな再発防止策を策定いたしました。
 このように、東京水道グループ全体でのコンプライアンスの強化という取り組みはまだ道半ばということでありますので、今後も継続して取り組みを強化しながら、実施、継続をしていきたいというふうに考えております。

○宮瀬委員 聞いていますと、何年か前にも同じようなご答弁を聞いた気がします。コンプライアンスの強化だ、フローの再確認だと。
 唯一あるのは、コンプライアンスの外部評価を受けるために、法曹関係者の方を入れたといったところが大きなところだと思いますけれども、率直にいって、この聞き方すると失礼なのかもしれないんですが、二、三年起きていて、私にとっては、同様のような毎回こうやっていきますという答弁をいただいているのですけれども、ちょっと失礼だったら済みません、この取り組みで、もう起きませんか、二、三年後、また、不祥事が。

○石井職員部長 起こさせない努力を続けてまいります。

○宮瀬委員 失礼ないい方だったらおわびしたいのですけれども、それはもう当たり前のことであります。なので、きょう厳しいことも大変いいましたけれども、お名前の件とか、経済的な賠償ですとか、その他もろもろですね、あと、処分を決める方のメンバーの配置ですとか、ぜひ一考していただきたいなと。なかなか今すぐどうこう変えていける話ではないと思いますけれども、ぜひ検討していただきたいと思います。これはご答弁もらいませんけれども、次の質問にしたいと思います。
 今、水ingの話もいたしましたが、企業と水道局のつながりで、企業に対しての再就職状況というのを水ing以外にも確認をしました。
 二〇一六年の三月から、私、指摘させていただいておりますのは、包括外部監査報告書で、特命随意契約で水道メーターの検針が、大体四十年、約三者で回して、その金額が合算三千億規模と、そういったいわゆる独占状態にあるようなことがあって、その指摘をさせていただいたときに、質疑の中で、その三者に対して、都庁関係者の方が再就職していたといったことを明らかにしたつもりでございます。
 そういった中で、特命随意契約を見直していかなきゃいけないのではないかといったことを二〇一六年よりお伝えし続けてきましたが、最新の状況について、特に先ほど大山理事の質疑も聞いていましたが、最新の状況の、令和三年度とか、また教えていただければと思います。

○金子サービス推進部長 最新の状況、まず、令和二年度からお話しいたします。
 令和二年度の検針業務委託は、区部と多摩地区合わせ、総合評価方式で十一件、履行能力等審査方式で十六件、特命随意契約で三件の契約を締結しております。
 これらの契約先は、株式会社宅配、第一環境株式会社、ヴェオリア・ジェネッツ株式会社、八王子管工事工業協同組合及び三鷹市管工事業協同組合の五者であり、契約の総額は、約八十六億円となってございます。
 令和三年度履行開始分の契約は、業務経験に対する評価方法について、これまで都における実績がなかった事業者も、競争上不利な立場とならないよう、評価基準の見直しを行い、特命随意契約であった三件を含めた六件を新たに総合評価方式で発注しているところでございます。
 この結果、令和三年度の検針業務委託につきましては、総合評価方式が十七件、履行能力等審査方式が十二件となることになります。

○宮瀬委員 特命随意契約の方が、令和三年度においては、もうなくなっていくといったことでございました。
 ただ、一点懸念しておりますのが、競争性の確保ですとか、コストの削減等いろいろメリットがあると思いますけれども、結果ですね、ぜひプレーヤーの数をふやしていただきたいなと。
 結局、宅配、第一環境、ジェネッツ等は、もう四十年間受けている会社で、もちろん、公平にコンペが行われてとっていただくのはいいんですけれども、やっぱり多くの方、多くの企業が入札に参入していただくということが、いい意味で競争が起きて、都民の利益につながると思いますので、ぜひプレーヤーがふえるような取り組みをしていただきたいと思っております。
 次に、検針事業と見守りについてでございます。
 これも二〇一五年から、十一月からずっと取り上げていまして、最近、スマートメーターという言葉も出ましたが、当時は、自動検針という表現で、その研究開発をやっていきます、検討していきますという段階だったと思います。それで、今、二〇三〇年代までに全戸配布といったことは、本当に夢のようで、皆さんのご努力に、心より敬意を表したいと思います。
 一方、私の観点としては、私も地元が高島平団地というところでありまして、高齢者がたくさんいると。毎月のように孤独死がふえております。さきのところでも提案させていただきましたが、年間、東京都内で孤独死とされる方、大体五千五百人ぐらいの方が亡くなっていて、その中で、実際に二カ月以上見つからない方の統計をちょっと算出してみました。
 つまり、水道メーターの検針の際、二カ月に一遍ですので、そのときに異変があったときに、区市町に連絡していただけるような仕組みが見守り事業だったと思います。
 実際に五千五百人以上の方がいまだに二十三区で孤独死していて、その中で、二カ月以上発見されていないという方が大体三百人ぐらいだったと思います。ということは、今のこの見守り事業で、どれぐらいの方が、実際に、通報といいますか、アラームが鳴って、皆さんから特別区の方に連絡されているのか、直近三カ年の数字、実績について伺います。

○金子サービス推進部長 当局は、平成二十八年度までに、水道の給水区域の全ての区市町と、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定というのを結んでございます。
 この協定に基づきまして、平成二十九年度に区市に情報提供した件数は七件、平成三十年度は十一件、令和元年度は九件、合計で二十七件でございます。

○宮瀬委員 やっぱり、これ三カ年見させていただいているんですけど、数字がなかなかとれてこないと。概算ですけれども、私の分母ですと、三百ぐらいの方は二カ月以上発見されていないと。
 しかし、見守り事業だけではなくて、虐待事案等、子供の案件もあると思いますので、その九件が全員孤独死だとはもちろん認識しておりませんけれども、そういった福祉保健局と水道局の方で連携を強化していただきたいとずっとお伝えし、皆さんからは、検討したいといったご答弁をいただいておりましたが、新たなその進捗ですとか、連携体制、どうなっているでしょうか。

○金子サービス推進部長 令和元年十一月に、スマートメーターを先行導入した晴海地区を所管する中央区と、また、十二月には、福祉保健局と、スマートメーターの見守りサービスへの活用について打ち合わせを実施いたしました。
 これらの打ち合わせで、スマートメーターから得られる情報は、これまでの二カ月に一回の検針に比べ、より詳細なデータを得られることから、見守りのツールとして有効であるという意見がございました。

○宮瀬委員 ありがとうございます。
 スマートメーターのお話はとってもいいんですけれども、私もそれを期待しています。ただ、二〇三九年、最長かかるとしたときに、残りの十七年間どうするんだといった課題認識があります。ですので、ぜひここの数字をやっぱりふやしていただきたいなと。民生委員の方もですね、私の地域ですと、一人当たり四百世帯、四百人ですか、担当していて、もう回り切れないと。この二カ月に一回、なかなか、直接訪問してメーターを見るだけかもしれないですけれども、こことの接点をつなげていくことが大きな可能性を秘めていると思います。
 見直しですとか、新たな取り組みというものを検討していただきたいんですけれども、見解を伺います。

○金子サービス推進部長 先ほど申し上げました区市町と締結している協定に関しましては、定期的に、営業所やサービスステーション、それから、検針業務等を受託している事業者の方に周知をしていくという取り組みを行ってまいります。
 また、スマートメーターに関しましては、実施に当たっていろいろ課題がございます。費用の問題ですとか、異常と認定する場合の基準の設定の仕方等ございますので、そういったことを、引き続き、福祉保健局、区市町と検討してまいりたいと思っております。

○宮瀬委員 これ毎回数字を確認していきますので、毎回十件とか、十一件とかという数字から、ぜひ桁が一つふえるような取り組みをお願いしたいなと思います。
 また、水道局の方で、そのスマートメーターでも課題だと思いますけれども、一つ宝の山だと思うのは、オープンデータ、水道の使用料ですとか、先ほど質疑でも聞いていましたけれども、ここは意見だけにとどめますが、水道の利用状況と利用者がひもづいていない。どういうことかといいますと、冒頭に確認した水道をとめられた世帯は何人ですかといっても、把握されていないと。つまり、皆さん、蛇口の数で把握していて、実際にそこにどういう世帯で何人いるのか、実際に、水道、支払い猶予された方の人数というのを把握されていないと。これは、今後のオープンデータとか、ビッグデータの活用、スマートメーターの活用も含めて、このひもづけを、今のうちから個人情報に配慮した上でやっておかないと、正確な情報がとれないと思いますので、そこは要望とさせていただきます。
 最後の質問でありますが、スマートメーターは、私も大いに期待をしていまして、今までは、二カ月に一回だった検針のデータを、二カ月に一回、利用状況を携帯で見られると。それは単に請求書を携帯で見られることにすぎなくて、やっぱりリアルタイムで、今の状況がどうなのか。例えば、うちの母親も七十歳ですが、ひとり暮らしをしております。生きていれば必ず水は、トイレの水、流しますので、使わなければならないと。でも、なかなか見にも行けない中で、携帯で、きょう水使っているかなと確認できれば、すぐ安否が確認とれると。ただ、スマートメーター自体は、データの送信に大変お金がかかると聞いていますので、その頻度を、今のところ、一日当たり、一時間ずつとって、それを一日終わった時点で送信する、つまり、安否が一日後の確認になってしまうといったことも聞いております。
 もろもろその辺含めて、最後に、このデータを用いた新たなお客様サービスの検討状況、スマートメータートライアルプロジェクトの導入に向けてお伺いしまして、私の質問を終わります。

○金子サービス推進部長 ご質問にお答えする前に、一つ前の質問で、ちょっと若干言葉足らずだったところがあるので、補足させていただきたいと思います。
 スマートメーターによる見守りの実施に当たりましては、使用データによる異常の判断基準、個人情報の取り扱い、サービス実施に係る費用とその負担のあり方など、さまざまな課題がございます。このため、福祉保健局や区市町と連携を図り、ニーズや意見なども踏まえながら、引き続き幅広く検討してまいります。
 それから、ただいまのご質問でございますけれども、スマートメーターからのデータ取得頻度は、通信に要する電池の容量とその価格から、一時間ごとのデータを一日一回取得することを予定しております。
 このデータを利用して、漏水や蛇口の閉め忘れ等による使用水量の急増や一定期間継続する水の不使用など、水道使用状況の異常を感知した場合に、お客様にメール等でお知らせするサービスを検討しております。
 また、日々の水道使用量を、日別、時間別等のグラフや表として見える化し、お客様の節水意識の向上にもつなげていくことができると考えております。
 今後、トライアルプロジェクトの中で、お客様のニーズを把握するとともに、ニーズに即したサービス内容を検討してまいります。

○上田委員 事務事業質疑ということで、ことしも四千億円の大規模な予算というか、収支があるところでございますので、多岐にわたりまして端的にお尋ねさせていただきたいと思います。
 まずコロナ対策についてです。
 これまでのBCP対策とコロナ対策を実施するに当たっての新たな問題点の洗い出し、改善策などなされたと思います。
 これまでの新型インフルエンザ対策から、今般コロナ対策に対応してきた取り組みを時系列でご説明ください。

○岡安理事 当局では、新型インフルエンザ対策といたしまして、水道局のBCPを作成し、海外発生期から都内感染期までの四つの段階に応じた対策や活動内容を定めておりまして、新型コロナウイルス感染症への対応につきましても、これを参考に対策を行ってまいりました。
 具体的には、本年一月三十日に、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部の設置に合わせ、当局も対策本部を設置いたしました。その後、十一回の対策本部会議を開催し、局としての対策を決定したところでございます。
 主な対策としましては、二月末に局PR館を休館、三月に浄水場等の運転要員及びお客様等の対応を行う職員に対するマスクの支給や、水道料金の支払い猶予の受け付け開始などの取り組みを行いました。

○上田委員 未曽有の事態だったと思いますが、見えてきた課題認識と改善策など、具体的な取り組みと対応状況の詳細をご説明ください。

○岡安理事 今回の新型コロナウイルス感染症への対応では、新型インフルエンザに対しますBCPの想定外となる対応が必要になりました。
 一つ目は、BCPで想定している流行期間が二カ月に対して、今回は長期化しているということであります。このため、感染対策として、全職員に配布することとしていましたマスクを、浄水場の運転要員やお客様対応を行う職員等に限定して配布をしております。
 二つ目は、BCPでは、都内大流行時には職員の四〇%が欠勤すると想定しておりましたが、今回は、都内大流行以前に八〇%の出勤抑制がございました。このため、BCPでは、継続する業務に分類していた業務を縮小するなどし、安定給水を優先した業務体制を確保したところでございます。

○上田委員 現在、感染者数がふえているところですが、検針、検査等で、利用者様と直接コンタクトすることが水道局はありますけれども、感染防止アプリについて、厚労省COCOAなどありますが、東京都版新型コロナ見守りサービスによるアプリ、どちらを推奨しているのか。あるいは場面場面で近隣県や他機関のものも併用して利活用しているのか。いずれかについて状況をご説明ください。

○岡安理事 当局では、東京版新型コロナ見守りサービスにつきまして、東京都水道歴史館、東京都水の科学館、奥多摩水と緑のふれあい館、小河内ダム展望塔の四施設で、来訪者に向けたサービスを提供しております。
 新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAにつきましては、国からの通知を受け、局内周知を図っております。
 どちらのサービスも有効と考えております。

○上田委員 いずれかのアプリ等で、濃厚接触が疑われた事例と、その場合の対応についてご説明ください。

○岡安理事 当局職員が、COCOAからの通知により濃厚接触が疑われた事例は二例ございまして、PCR検査を実施した結果、二例とも陰性でありましたが、検査結果が判明するまでの間は、テレワークなどの対応をとったところでございます。

○上田委員 資料5の料金収入ですが、五月、六月に底を打っているようですが、どのように水道局として分析しているのか、ご説明ください。

○金子サービス推進部長 本年五月及び六月の料金収入は、前年同時期と比較して約一〇%減少しております。
 この減少の要因は、相対的に単価の低い、主に家庭用に用いられる口径二十五ミリメートル以下の区分では、在宅勤務やリモート授業の拡大、ステイホームなどによる在宅率の上昇の影響で増加した一方、相対的に単価の高い、主に業務用に用いられる口径三十ミリメートル以上の区分では、社会経済活動の停滞などを反映して、大幅に減少したことによるものと考えております。
 七月以降の料金収入は、徐々に回復する傾向にありますが、九月時点においても、前年同時期より下回っている状況でございます。

○上田委員 廃プラ対策についてのことです。
 水道水利用の普及について、昨年、局より、都庁プラスチック削減方針を策定、都が率先してワンウエープラスチックの削減に取り組み、東京国際フォーラムに設置した屋外型のボトルディスペンサー式水飲み栓やイベントにおける可動型水飲み栓の活用を通じて、マイボトルを利用して、東京水を直接飲用いただくなどの局独自の取り組みを推進していることを確認しております。
 コロナなど想定外のことはあったと思いますが、その後の成果を確認します。

○金子サービス推進部長 東京国際フォーラムに設置している屋外型ボトルディスペンサー式水飲み栓における利用水量は、令和元年度、約二万四千五百リットルであり、五百ミリリットルのペットボトルに換算しますと、約四万九千本の削減につながったと考えられます。
 また、特設サイトをウエブ上に設置し、高度浄水処理やマイボトルによるまち中での水道水飲用をPRするとともに、アンケートを実施いたしました。アンケートに回答のあった約二千六百名のうち、九五%以上の方から、まち中の水飲み栓で、マイボトルに水道水を入れて飲んでみたいと思うとの回答を得るなど、安全で高品質な水道水の飲用や環境配慮行動の促進に向けた取り組みを進めております。

○上田委員 収入も下がっているということで、ぜひ、水道水を自宅でしっかりとペットボトルなり、ボトルに入れていただくような習慣づけをお願いしていきたいと思います。
 資料24です。昨年の台風十九号被害のその後の対応、対策状況についてご報告ください。

○松田技術調整担当部長 昨年の台風十九号の被害を踏まえまして、配水池の被害状況を迅速に確認するため、山間部にある小規模配水所など二十二カ所に遠隔監視設備を整備し、本年十月から運用を開始しております。
 日の出町及び奥多摩町で発生した道路崩落により損傷した導送水管につきましては、本年十二月以降、道路の本復旧に合わせて、耐震継ぎ手管による本復旧を行い、年度内の完了を予定しております。
 奥多摩町にある大丹波浄水所につきましては、取水施設への土砂の流入を防止する改良工事の契約手続を進めておりまして、令和三年度に完成予定でございます。
 山梨県甲州市にある当局管理の林道一ノ瀬線で発生した二カ所の崩落につきましては、本年三月に一カ所が復旧し、残る一カ所は令和三年度に復旧予定でございます。
 今後は、日の出町にある文化の森給水所への送水管の二系統化によるバックアップ機能の確保や、被害の大きかった河川沿いの送配水管の耐震継ぎ手化などの中長期的な対策を実施し、風水害に強い施設整備を着実に進めてまいります。

○上田委員 災害時給水ステーション、応急給水拠点については、同僚委員の方からしっかりと確認があったので、こちらは割愛させていただきます。
 過日、初めて、小河内貯水池と水道水源林を視察させていただきました。その節は、多大なるご協力を賜り、ありがとうございました。
 殊に、森レールに乗りまして、山頂まで一気に上がったことは、大変鮮明な思い出となっております。人の手の入った水源林と荒廃林の違いを拝見させていただき、悠久の歴史の中で、いかに日本人は森と山と川を大切にしてきたか、痛感させていただいた次第です。
 山や森で過ごすことは、とても精神的によい効果をもたらすということもいわれております。殊に、子供たちの心には、大きな好影響があるということをかねてより確認させていただいているところです。
 局ではこれまで、学校教育と連携した森づくり活動とし、小学生を対象に、水道水源林を学習する水道教室や学習支援教材の提供、高校生を中心に奉仕体験活動の受け入れ、大学を対象に共同研究の実施や作業体験の受け入れを行い、積極的にPRを行われてきました。
 私は、ぜひ不登校やひきこもりの児童生徒、青年らに体験してほしいと求めてきておりましたが、その後の取り組みについて確認させてください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、森づくり体験活動の希望がある高校や大学からの学生を多摩川水源森林隊で受け入れておりますが、不登校やひきこもりの学生が参加しているかは把握してございません。

○上田委員 ぜひ近隣自治体、教育庁や都民安全推進本部との連携、呼びかけをお願いしたいと思います。
 また、ボランティアや多摩川水源森林隊の参加状況など、コロナはあるものの、推移について、ここ数年の傾向と、傾向に係る見解を教えてください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 多摩川水源森林隊におけるボランティアの参加状況は、平成二十八年度は千九百九十九名、平成二十九年度も千九百九十九名、平成三十年度は千八百四十三名であり、二千名弱で推移しておりましたが、令和元年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、本年二月末から三月まで活動を中止したため、千五百四十三名でございました。
 また、今年度は、五月まで活動を中止していましたが、六月から再開をしております。
 多摩川水源森林隊は、活動に適した場所が限られていることなどから、参加者数は、年間千五百名から二千名程度が適当な規模と考えております。

○上田委員 生物多様性は、環境局も含め東京都は、水道水源林を、産業労働局、建設局もかかわって、花粉症対策や害獣問題など、各局が取り組んでおります。環境施策は、どの局にも切っても切れないものであり、水源林はそのかなめのような存在です。
 水源涵養機能、土砂流出防止、水質浄化、これらの機能を高め、東京の安全でおいしい水を生む源となります水源林の管理、育成に当たりまして、自然環境保全、林業産業振興など、地域や事業に接点がございます産労、環境局など関係各局との近年の連携の取り組みについての所見と課題をお示しください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 水源林としての機能を最大限発揮させるためには、多摩川上流域の森林全体を適切に管理していく必要があり、環境保護や林業振興のための森林整備等を行っている庁内関係各局との連携は不可欠でございます。
 このため、当局では、環境局及び産業労働局と連携いたしまして、花粉症対策や鹿被害対策に取り組んできておりますが、例えば、標高の高い地域での鹿の生息密度が高い状況にあり、被害の拡大が懸念されるなどの課題がございます。
 これらの課題の解決に向けましては、詳細な現場調査を実施し、より効果的な鹿の侵入防止柵の設置等について検討を行っております。
 さらに、関係各局と引き続き連携をいたしまして、課題の解決を図りながら、多摩川上流域全域の保全を図ってまいります。

○上田委員 都の害獣対策の徹底の結果、どんどん鹿が高いところに行ってしまったというようなお話も聞いております。引き続きましての対応をよろしくお願いします。
 一方、グローバル資本による水源林事業への投資は、着実に我が国にも及んでいる中、自治体の水道事業の海外資本の参入や海外の飲料水メーカーによる大量取水について、メディア、自治体、政府においても、数年前から問題提起がされております。
 日本の国土の約七割を占める森林は、まさに水の資源の宝庫、その売買については、公共インフラ保全の観点から、慎重な対応が必要とされてきましたが、現行制度では、水資源の管理と森林保全は、切り分けて行われている場合が多く、制度整備が追いつかない中、都では、積極的に民間林購入事業を進められてきましたが、これまでの実績と本年の成果、課題、外国資本による買収の可能性などご報告ください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、平成二十二年度から、公募による民有林の購入事業を実施しており、平成二十九年度からは、小河内貯水池への影響が特に懸念されるエリアを民有林重点購入地域と位置づけて積極的に購入を進めまして、令和元年度末までに約二千六百六十ヘクタールの民有林を購入いたしました。
 今年度は、年度末までに合計約二百七十ヘクタールを購入する予定でございます。
 これまで事業を進めてきた中で、民有林重点購入地域には、土地所有者の所在が不明で、交渉が進められない土地があるなどの課題が明らかになっております。
 このため、専門の事業者への委託により、土地所有者の所在調査を開始する等の対応を進めております。
 なお、本年五月八日に国が公表した外国資本による森林買収に関する調査結果によれば、多摩川上流域の民有林における外国資本による買収は確認されておりません。

○上田委員 外国資本はないということで安心しました。
 荒廃林についても、都として、地元自治体としても、看過できないこともあると思います。里山保全に係り、これまでどのような取り組みをしてきたのか、課題と今後について伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、多摩川上流域の荒廃が進行した民有林において、平成十四年度から、多摩川水源森林隊による森林の保全活動を行っております。
 しかし、ボランティアから成る多摩川水源森林隊の活動は、安全確保や活動時間に配慮する必要があり、急傾斜地や道路から遠い地域を対象とすることは困難でございます。
 このため、今後は、一定の手続を経ることにより、市町村が民有林を管理することができる森林経営管理制度の活用など、地元自治体と連携した新たな民有林保全の取り組みについても検討してまいります。

○上田委員 視察当日は、地元協会にある、害虫駆除と地域活性の一環でもあります小河内振興財団の森林恵工房峰、鹿肉の処理場の視察もさせていただきました。当地の水道局水源管理事務所の職員の皆様は、地域に溶け込まれ、情報もたくさんお持ちで、感銘を受けました。山の中で、鹿やイノシシをしとめても、解体場までおろす、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律等に定められている処理の法的時間が間に合わない、法改正を望むなどの声も伺いました。
 水道局は、区市町村と地域住民を水源林を中心としてかけ橋となって、産業振興に貢献できるのではないかと考えました。
 前問の局間連携と同じく地域連携を図って、水源林という資源を生かした産業振興、地域振興、地域交流の取り組み、害獣解体に当たる国への法改正の申し入れなどを期待するものでございます。ご所見をお聞かせください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、水源地域を適正に保全していくため、地元自治体と連携して、都民の水源地保全への理解を促進する取り組みを実施し、地域振興にも寄与しており、産業振興、地域振興、地域交流等につきましては、関係各局で情報を共有し、それぞれの役割分担のもと取り組むべきものと考えております。
 具体的には、奥多摩町など地元自治体が行うイベントのブース出展や、奥多摩水と緑のふれあい館において郷土芸能を紹介するイベントなどを行っております。また、水源地域に関心がある方に、多摩川水源サポーターに登録していただき、イベントや季節の動植物など水源地域の魅力を紹介するメールマガジンを定期的に配信しております。
 今後も、地元自治体と連携した取り組みを推進することにより、水道水源林を通じた地域振興に寄与してまいります。

○上田委員 鹿や熊やイノシシの類、一千三百万種とも、世界でも珍しく、里山を世界の共通言語としていくべく、引き続きましての保全をお願いしたいと思います。
 次は電源確保です。
 二〇二一年までは、大規模停電時におきまして、浄水場の施設能力を一〇〇%発揮できるよう整備するため、金町浄水場では自家用発電設備の設置工事を進め、給水所などは、一日平均配水量を維持する規模で整えていく等の取り組みを報告いただいております。
 今後十分に調査分析を行い、必要に応じて計画の見直しを検討するということですが、現時点の見直しなどなされているのか、取り組みの成果について所見をお聞かせください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 今後の施設整備計画につきましては、災害リスクへの対応を重点項目とし、災害対策として管路の耐震化や自家用発電設備の増強、風水害対策として河川を横断する水管橋の地中化などについて実効性を検証するとともに、優先順位を定めるなど計画的に整備できるよう検討を進めております。
 なお、検討に当たりましては、外部有識者で構成する東京都水道事業運営戦略検討会議におきまして、地震時の被害を軽減させる取り組みとして、特に管路の対策が必要であることや、被害が生じた場合に断水の影響が大きい水管橋等の優先的な解消、他都市における豪雨災害の復旧等に関する情報収集を行うことの意見をいただいております。

○上田委員 直結給水見積もりサービスでございます。
 昨年度は七四%の達成率でしたが、現時点はどうでしょうか。その評価も伺います。

○藤村給水部長 令和元年度末の直結給水率は約七五%となっています。この直結給水率は、令和七年度末の目標値七五%を既に達成しているものであり、これまでの直結給水方式の普及促進に向けた取り組みの成果と考えております。

○上田委員 また、毎回確認していますが、見積もりサービス利用者実績につきまして、契約締結に向けての営業努力は、本年どのようにされたか、成果と課題を含めご報告ください。

○藤村給水部長 直結切りかえ見積もりサービスを通して見積もりを取得したお客様は、必ずしもその見積もりを行った施工業者に工事の施工を依頼する必要はなく、お客様自身が施工業者を選択することができます。
 このため、当局では、直結切りかえ見積もりサービスを利用したお客様に対し、契約の締結を促すようなことは行っておりません。

○上田委員 その見積もりサービス登録事業者は、現在九十七者、指定給水装置工事事業者は五千九百八十八者あります。特別監察にてTSSは、委託事業者と不適切な関係が指摘されたわけであり、癒着が疑われるような寡占状態となっていないか、かねてより指摘しているところです。
 その後、コンプライアンス管理も立ち上がってきた中で、参入障壁となるこの登録制度自体を見直すべきと、業界団体と一体化した体質改善に向けた努力は当然されていることと思料いたします。
 合併後の東京水道でも、登録事務には関与していないとは思いますが、水道業界のトップランナーである東京水道が、リーダーシップを持って、登録業者増加に促進すべきと考えておりますが、その後の取り組みと成果と課題について、野田数社長の所見をお尋ねします。

○藤村給水部長 直結切りかえ見積もりサービスについては、局、東京水道株式会社、業界団体との間で基本協定を締結し、それぞれの役割を明確にして事業を実施しております。
 その協定の中で、見積もりサービス実施店の登録は、業界団体が行うこととなっており、同団体では、東京都指定給水装置工事事業者を対象に広く募集した上で、実施店を登録しております。
 この実施店の登録条件は、三年以内に直結切りかえ工事の実績があることなどであり、特段の参入障壁とはなっていないと認識しております。
 なお、東京水道株式会社は、登録事務には関与しておりません。

○上田委員 勤務管理です。資料7でございます。
 情報漏えい事故や損害賠償、不適切事案、特別監察など、不祥事の後始末で超過勤務がふえるというのは、本末転倒だと指摘させていただいているところでございます。
 水道局は、超過勤務は、業務の内容にかかわらず、本来臨時的なもので、必要最小限にとどめるという認識をされていることですが、コロナ禍にあっても、リモートワーク、テレワークになじまぬ現場や現業部門を抱える水道局として、本年の取り組みと成果、見えてきた課題と対策について伺います。

○石井職員部長 当局では、本年二月から十月にかけて、本庁及び一部の事業所において、モバイル端末を約二千二百台配備し、在宅勤務型テレワークを積極的に推進をしております。
 これにより、育児、介護との両立や通勤負担の軽減などによるライフワークバランスの向上とともに、出勤の抑制による新型コロナウイルス感染症への感染リスク低減につながっているものと考えられます。
 なお、現在、モバイル端末が配備できていない事業所においても、来年度までに全て配備し、在宅勤務型テレワークを進める予定でありまして、委員からのお話のあった工事現場など、なじまぬところも一部ありますが、なるべく入れられるところにはトライをしていくということで、今、取り組んでいる途中でございます。

○上田委員 昨年は、災害対策で残業が生じたと思うので、これはもう仕方がないことだと思いますが、都民を欺くような行為で残業になるのは、本当に真面目な職員が気の毒です。
 結局、こういう不祥事が起こると、まあ、ことしも発生したわけですが、必ずやしわ寄せは、本局及び東京水道の善良な職員に行ってしまうことについて、局長及び野田社長の所見を伺います。

○岡安理事 当局と東京水道株式会社の多くの職員と社員は、コンプライアンス意識を持ち、日々の業務や再発防止に取り組んでいると認識をしております。
 しかし、当局では、過去三回の不祥事が発生し、本年も、同社において道路占用許可申請における不適正処理が発生し、東京水道グループに対する都民の信頼を大きく損なうこととなりました。
 失われた信頼を回復するため、職員と社員一人一人にコンプライアンス意識を定着させるとともに、グループ全体として、コンプライアンスの徹底に取り組んでまいります。

○上田委員 続いて、メンタルヘルスと服務規律です。
 かねてより水道局では、管理職を含めた全職員を対象に、きめ細かい支援を行っています。
 一方、水道局と一体化したグループである東京水道で、ことしも不祥事が発生、初めて、水道局局長経験者といった現場経験のない、実務経験のない人材が社長に就任、専横的なマネジメントが行われていないか、精神面で追い込まれる同社職員がふえるのではないかと懸念しております。
 東京水道における職員の適正な管理とメンタルサポートについて、取り組み状況と実績、今年度特別に配慮する点を改めてご説明ください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、労働安全衛生法に基づき、社員の安全と健康を確保するための取り組みを適切に実施しております。
 本年度は、ストレスチェックを一回実施するとともに、長時間労働を行った社員を対象とした産業医による面接指導や健康相談を月二回実施しており、十月末までに、延べ二百十八件の実績がございます。
 また、メンタルヘルス相談は、面談、電話、メールなど多様な相談環境がある健康保険組合の相談窓口を活用しており、適切に機能しております。
 さらに、今年度は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中での業務遂行に不安を感じる社員がいることから、子育て等で出社が困難な社員に対する特別休暇の付与や、感染予防の手引の発行、社内相談窓口の設置など、より社員に寄り添ったメンタルサポートを推進しております。

○上田委員 都の資本も入り、水道局の人事異動も活発になされ、半分は公的企業ともいえるのですが、東京水道におけるコンプライアンスの推進がどう図れるのか、内部からの声をどう受けとめていくのか、野田社長に所見と意気込みを伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、統合前に引き続き、公益通報制度を設けており、コンプライアンスやハラスメントに関する通報や相談を受ける外部弁護士窓口を設置するとともに、ポスターの掲示や社内電子掲示板を通じて、広く社員に周知しております。
 また、同社の代表取締役社長が、事業所訪問などを通じて社員との意見交換を行っており、その声を同社の事業運営やコンプライアンスの推進に活用しております。
 さらに、社長との意見交換に参加した社員七百五十二名に対して行ったアンケートでは、有意義だった及びやや有意義だったと回答した者が八割を超えており、着実に社員の意識改革が進んでおります。

○上田委員 社長自身が行くことが、逆に圧迫面接、おどし、ブラフにならないか、むしろ逆効果にならないか、現場が萎縮しまいか、今後も注視してまいりたいと思います。
 水道局における公益通報の実績と、その後の対応を受けての対策での局内規律への反映を伺います。

○石井職員部長 公益通報として昨年度に受理された実績は四件でございます。このうち都の事務事業に関するものが三件、職員の服務等に関するものが一件でございました。
 これらの受理案件の対応については、現在調査中のものが一件、調査の結果、法令等違反に当たらないものが二件、法令違反行為に当たり、是正措置を行う必要があるものが一件ございました。
 通報案件の個別具体的な是正措置内容等は、個人の特定につながるおそれがあるためお答えできませんが、是正措置を講じる必要のある案件につきましては、必要な指導監督や関連規定の周知徹底などの対策を速やかに講じております。

○上田委員 くれぐれも犯人捜しのない組織風土の醸成をお願いいたします。
 入札です。
 入札契約をしっかりとチェックする指名業者選定委員会というのがあるのですけれども、こちら議事要旨を取り寄せましたけど、議事が毎回同じだったりして、どうなのかなというところがございます。ことしの予算調査でも、指摘をしてまいりました。改めて、強く議事録の作成を求めるものですが、局長の所見を伺います。

○金子経理部長 指名業者選定委員会は、東京都水道局財務規程第二百三十七条の規定に基づき設置され、請負業者の適格性の判定及び格付に関すること、指名業者の適格性の判定及び選定に関することなどにつきまして調査、審議を行っております。
 その調査、審議は、局の財務規程や指名競争入札参加者指名基準等に基づき、恣意的な判断が入らないよう厳正に実施し、同委員会に出席した複数の委員により手続の適正性について確認しております。
 適正な契約手続に必要となる同委員会の審議結果は、委員の出席状況とともに記録しているため、審議の過程を記録した議事録を作成する必要はないと考えております。

○上田委員 議事録を作成しない理由を法令上の根拠をもってお示しください。

○金子経理部長 指名業者選定委員会の議事録につきましては、いずれの規則においても、作成することを規定されておりません。
 繰り返しになりますが、指名業者選定委員会における調査、審議は、東京都水道局財務規程や指名競争入札参加者指名基準等に基づき、恣意的な判断が入らないよう厳正に実施しております。
 適正な契約手続に必要となる同委員会の審議結果は、委員の出席状況とともに記録しているため、審議の過程を記録した議事録を作成する必要はないと考えております。

○上田委員 同委員会の否決の事例ですけれども、特命随意契約により発注を予定していた工事請負契約の事案につき、競争入札による発注が可能であるとして、否決になったものがたった一件でした。また、この委員会にて原案を修正した事例はないということでありました。
 引き続きまして、業者選定や随意契約の適正性などを調査、審議を行い、公正性の確保に取り組んでいくとのことでご答弁いただいたんですが、形式論ばかりで、実質的な事由はお示しいただけませんでした。
 議事録を作成していない中で、審査の健全性、公平性がどう担保されるのか、改めてご説明ください。

○金子経理部長 指名業者選定委員会における調査、審議は、東京都水道局財務規程や指名競争入札参加者指名基準等に基づき、複数の委員により、恣意的な判断が入らないよう厳正に実施しております。
 これにより、指名業者選定委員会における調査、審議の健全性、公平性は担保されていると認識しております。

○上田委員 いろいろご説明いただいているのですが、議事録を出すことで、具体的に都や都民にどのような不利益が生じるのか、誰のどのような保護法利益が失われるのか、具体例をもってお示しいただければと思います。

○金子経理部長 繰り返しになりますが、適正な契約手続に必要となる指名業者選定委員会の審議結果は、委員の出席状況とともに記録しているため、審議の過程を記録した議事録を作成する必要はないと考えております。

○上田委員 談合、いろいろありまして、未然防止のために、しつこく指摘をしています。
 この作成の要、不要は、本来最大の出資者である都民が決めるわけでありまして、東京都の未来も都民が決めるわけで、その都民代表として、引き続き議事録の作成を求めていきたいと思います。
 活性炭談合でございます。
 昨年、物品契約監視委員会についても確認させていただきましたが、物品調達についてもチェックさせていただいてきたわけです。
 今回は、活性炭の入札談合に関する賠償金請求について、排除措置命令が下されました。対象となる活性炭入札約百二十件、全て調べさせていただきました。
 私の持ち込み資料をごらんください。十月十四日付の水道局からの資料では、排除措置命令を受けた会社が六者ですが、それぞれの契約内容の落札者と六者が一致していないのはなぜなのでしょうか。落札業者と排除措置命令が出た会社との関連性についてもご説明ください。落札業者を談合認定しなくていいのでしょうか。
 水道局が把握している状況を全てご説明ください。

○金子経理部長 公正取引委員会が、令和元年十一月二十二日に行った排除措置命令等は、活性炭の販売業者十六者に対するものでございます。
 一方、当局が行った損害賠償請求は、その十六者のうち、当局の活性炭購入等に係る契約の落札業者へ活性炭を納入した販売業者六者に対するものでございます。
 したがいまして、この六者と契約の落札業者は、別の事業者であるため一致しておりません。
 なお、排除措置命令等において、落札業者は談合を行ったとの認定を受けておりません。

○上田委員 水道局としての事実関係の把握を公取任せではなく、業者さんが同じようなところから出ておりますので、みずから行うべきと考えますが、今後の対処と処分についてご説明いただければと思います。

○金子経理部長 独占禁止法上の不当な取引制限の禁止の規定に違反する行為の調査は、法令上の権限を有する公正取引委員会が行うことになっております。
 今回の談合の事実関係は、公正取引委員会が、令和元年十一月二十二日に行った排除措置命令等において明らかにされており、当局として、改めて事実関係を把握する必要はないと考えております。
 一方、当局では、東京都水道局競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱に基づきまして、排除措置命令等において、談合を行ったと認定された十六者のうち、都の入札参加資格を有する三者に対しまして、指名停止措置を行いました。

○上田委員 今回、談合はいろんな種類があって、製造、引き抜き、敷き込み工事がありまして、一枚目になりますが、これ全部で六件、四番目、五番目が談合認定されたわけですが、談合がないとされるものは七〇%前後の落札率。水ingについても落札率が九七・八%となっているわけですが、こちらについては、なぜ認定外となったのでしょうか、ご説明ください。

○金子経理部長 ご指摘の契約案件は、公正取引委員会が、令和元年十一月二十二日に行った排除措置命令等において、談合が行われたとの認定はされておりません。
 この公正取引委員会の認定理由につきましては、当局としては承知しておりません。

○上田委員 先ほど同僚委員も指摘しましたが、水ingは水道局におけます不適切事案でたびたび顔を出す企業でございます。今後も厳しく精査していただきたいと思います。
 また、ウエット炭買い入れについて、応札金額の幅が一番大きいものが百六十四円から三百九十円と倍近く、全体的にそのような状況です。落札額も、百六十四円だったり、三百九十八円だったりするわけで、倍以上の差がついています。
 ウエット炭は、二・四倍も価格変動するものなのか、確認させてください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 各契約案件での入札参加者間の入札価格の差につきましては、入札参加者によって活性炭の調達価格や輸送価格等が異なることによるものと考えられます。
 また、契約案件ごとの落札価格は、入札時における原材料の価格や市場の動向などによって異なるものと考えられます。

○上田委員 何か先物取引的なぐらい、もう随分と価格が変動するんだなと思っております。
 平均して二十者くらい入札に参加しているんですけど、結果はいつも同じような会社が入札しております。これほど金額の差があって、納品能力があるのか、確認させてください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 活性炭の買い入れに当たりましては、契約案件ごとに、入札参加者に対しまして、活性炭の供給能力等を示す調査票を事前に提出していただき、製造方法、供給能力、貯蔵量、運搬方法等を確認しております。
 これにより、履行能力を有しない者は、入札に参加できないこととなっており、落札者は、契約した案件の履行能力に問題はないと認識しております。

○上田委員 同じくドライ炭も応札金額の幅が大きく、一番安いところでは、百十一・九円、高いところが三百十九円となっており、三倍近い差がついております。
 まず、予定価格の設定そのものが妥当なのか、なぜこれだけ価格差が出ているのか、これらの積算根拠、方式を伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 活性炭の買い入れ契約における予定価格につきましては、市場の動向を調査した上で決定しており、妥当なものと考えております。
 また、予定価格の積算根拠及び方式につきましては、厳格管理情報に該当することから、お答えはできません。

○上田委員 ジェットコースター価格変動、積算根拠も明示なし、適正価格の謎はむしろ深まりまして、また研究させていただきたいと思います。
 資料23ですが、いわゆる辞退談合です。
 活性炭談合についても、辞退談合と見てとれる事案が認定されております。敷き込み工事の方ですけど。
 これまで、多発する不祥事を踏まえ、再三再四にわたり要請してきておりますが、改めて、入札辞退理由明記の義務化、明記をしなければ、当初から受け付けない等の体制を強く求めた結果、一昨年の八月三十一日から、今後の発注の参考とするため、辞退届の提出の際には、五つの選択肢により辞退理由の回答を必須とされています。その後、契約案件を都度精査させていただいておりますが、毎回辞退が発生しております。
 辞退するなら入札するわけないはずで、辞退理由を必須とした前と後の動向についての評価をお示しください。

○金子経理部長 入札の辞退理由の回答を必須とした前後で、指名業者数に対する辞退者数の割合を比較いたしますと、回答を必須とする前の平成二十九年四月一日から平成三十年八月三十日までの二八・二%に対しまして、回答を必須とした後の平成三十年八月三十一日から令和二年三月三十一日までは四二・三%でございまして、増加しているところでございます。
 また、辞退者数の割合が増加した要因は、辞退理由を配置予定技術者の配置が困難とする事業者が多いことから、事業者の施工体制の確保の問題であると考えられます。

○上田委員 何か、配置が確保困難で入札するというのも、やっぱりよくわからないのと、資料23の低入札調査票の未提出は、令和元年は九八%、平成二十七年の倍近くになっている点も鑑みまして、競争入札をすると見せかけて辞退をするような、こうした実態、談合的なもの、都民に疑われるようなことに関しては、引き続き厳しく防いでいってほしいと思います。
 浄水場排水処理作業委託談合に関する損害賠償です。
 この件に関して、水道局は、今回の談合を受け、単年度契約を五年間の複数年契約とすることにし、スケールメリットが発揮されるとお答えになっていましたが、契約金額上の具体的なメリットがどのように算定されたか。また、算定方法についてご説明ください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 平成三十年度までの排水処理施設運転管理作業委託は、単年度の契約としておりましたが、令和二年度からは五年間の契約といたしました。
 このため、平成三十年度と令和二年度の排水処理施設運転管理作業委託の金額を単純に比較することはできませんが、本委託を受託した事業者の入札金額の合計は、平成三十年度は六億七千七百八十九万四千五百円であり、令和二年度は五年間で二十二億六千万円、一年当たり平均四億五千二百万円でございます。

○上田委員 年約二億円のメリットが出たということでよろしいでしょうか。
 この件ですが、事実解明に努めた、便宜供与の事実は確認されなかった、公取も便宜供与を受けたと認定していない、便宜供与の事実は認められないと判断とご報告いただいていますが、便宜供与について把握しなければ厳しい措置がとれず、先ほどほかの委員も指摘しましたが、再発防止にもつながりません。
 現在、どのような便宜供与の把握に努めているか伺いたいと思います。

○石井職員部長 当局では、日ごろから、職員が報告、連絡、相談しやすい風通しのよい職場環境づくりを推進するとともに、業務上の問題点、違和感や気づきがある場合には、速やかに上司等へ相談するように徹底をしております。
 また、定期的に実施する上司と部下との個別面接時に、職員が抱えている業務上の課題やコンプライアンスに関して率直な意見交換を実施し、法令違反行為やそのおそれがあるような場合には、報告するように促しております。
 さらに、公益通報制度をわかりやすく説明した当局独自のリーフレットの活用などにより、職員一人一人の周知徹底を図り、法令違反の把握とともに、状況に応じた是正措置を講じております。
 このような取り組みを通して、便宜供与などの法令違反等に関する状況把握に努めているところでございます。

○上田委員 改善策の一環といたしまして、排水処理に係る職員数につきましては、直営に必要な体制を確保した上で運転しているとのことでしたが、今年度と今後はどうなっているのか、ご説明ください。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 令和元年度は、東村山、金町及び朝霞の各浄水場において、排水処理業務を直営で実施してきましたが、令和二年度からは、東村山浄水場については引き続き直営で排水処理施設の運転を行うこととし、金町及び朝霞浄水場につきましては、効率性の観点から、運転は委託により実施する一方で、運転計画作成などの重要な業務は直営で実施することといたしました。
 こうした排水処理業務の見直しを踏まえて、東村山浄水場については、より安定的に業務を行うため、人員体制を強化し、金町及び朝霞浄水場につきましては、運転業務を委託したため、人員を削減いたしました。
 今後は、業務委託の状況を踏まえまして、業務内容や業務量に応じて、必要な人員を適切に配置してまいります。

○上田委員 一方、物品調達など業務分担については、仕様書に規定されているが、定めのないものは、局と受託事業者がその都度協議して決めるという説明を聞いておりました。そこに不正や談合の余地が生まれてしまうのだと思料いたします。
 これら過去の事例を全て蓄積して、パターン化しておけば、職員が困って業者に泣きついたり、その見返りとして、あってはならない情報漏えいをしたりすることもないと考えます。
 職員が一人で抱え込まず、負担を軽減するために、このような対応が望ましいと考えますが、所見を伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 排水処理施設の運転管理における当局と受託事業者との業務分担は、これまでの委託業務での事例や令和元年度における直営での運転の経験を踏まえた仕様書や業務マニュアルの見直しなどにより明確化しております。
 一方、日々変化する原水や施設の状況に応じた作業内容や業務量については、当局と受託事業者で具体的に協議し、指示しております。
 このような際に、適切な対応を行うため、昨年度から、排水処理担当と浄水施設担当を一つの担当として、組織の大くくり化をしており、受託事業者と一対一になる状況を未然に防ぐとともに、職員の相互支援を図っております。

○上田委員 再発防止に向けて、職員を孤独にしないため、幹部職が職場に赴き、風通しをよくすべく意見交換をするということなんですが、効果について、どのような意見交換がなされ、その目的と評価、どのような改善策が得られたのか、プロセスを追ってご説明ください。

○石井職員部長 局内のコミュニケーション活性化を目的に、局長を初めとした本庁幹部職員が事業所を訪問し、それぞれの現場におけるリスクとその防止策、さらには、現場における悩みや課題などについても忌憚のない意見交換を行っております。
 この意見交換では、現場の職員からは、事業所全体でのコンプライアンス意識の向上が図られたとの声が聞かれるとともに、各職場ごとのさまざまなコンプライアンス上の課題等も明らかになっております。
 こうした課題等に関して、各職場で独自に実施している効果的な取り組みなどを局内全体で水平展開し、共有することで、コンプライアンス強化の取り組みの改善につなげております。
 このように、本庁幹部による事業所への訪問は、局のトップの声を現場に直接届け、現場の生の声を聞くと。こういうことで、職員へのコンプライアンス意識の浸透が一層図られるとともに、本庁と事業所で業務にかかわる課題や危機意識を共有し、必要な改善等を図るなどの効果があったというふうに考えております。

○上田委員 現場の声が届くこと、期待したいと思います。
 外郭団体の経営戦略と健全性確保についてです。
 PUCとTSSというのは、統合は、情報システムについては、東京水道サービス、株式会社PUCについて、サーバーなどの機器類や通信回線の統合、PC端末の規格統一化のほか、会計、人事給与、勤怠、旅費等の事務系システムなどを検討し、新団体の業務開始から、おおむね二年以内に完了する見込みと報告いただいているところですが、進捗とこれまで発生した経費及び今後想定される経費見通しについて伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、既に社内ネットワーク回線の整備、新会社のホームページの作成、グループウエア及び会計システムの統合を完了しており、本年十月末時点で約四千万円を支出しております。
 引き続き、人事給与、勤怠等の事務系システムについて、来年度末までに順次統合作業を行う予定であり、必要な経費として約五千万円を見込んでおります。

○上田委員 都合一億ということでございました。
 合併後、受注、発注業務にかかわる部署へ人事配置していないか、配置しないだけでなく、健全性をどう保っているのか、改めて確認をさせてください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、統合前に引き続き、当局からの受注契約における積算業務や契約手続について同社の固有社員が行っており、これらの業務を行う部署には、都から派遣される職員を配置しないことを確認しております。
 また、積算業務等を担当する固有社員と都派遣社員の執務場所を明確に区分けするとともに、社内共有フォルダーに厳格なアクセス権限を設けることで、積算業務や契約手続に関する電子情報に、都派遣社員がアクセスできない環境を構築し、情報漏えい対策を講じております。

○上田委員 東京水道ですが、特別監察が入った後、事故発覚を受け、当局では、中間報告に掲げた再発防止策に着実に取り組み、二度と同様の事故を起こさせない実効性ある再発防止策を取りまとめ、都として最終報告を公表、さらに、たび重なる不祥事を起こした局の体質について厳しくメスを入れ、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会における外部の幅広い視点からの検証を経て、抜本的な見直しを実施するという答弁をいただいておりましたが、またしても道路占用許可に係る違法行為が発生してしまいました。
 過去の不適正事案の再発防止策とほかの個別の受託業務にまで適用させていく取り組みが不十分と認識、リスク管理委員会などが本事案の発生を防止する機能を十分に果たせていなかったと、先月十月二日の委員会で答弁をいただいていますが、どう不十分な取り組みを徹底され、各委員会の機能を果たすのか、これは経営者でなくては答えられません。
 これまでは、野田社長の就任前の不祥事であるから、野田社長の直接の責任はないということで、委員会において社長からの説明はなされませんでした。
 改めて、この点に係る野田数社長ご自身の責任と再発防止に向けた社長の見解を伺いたいと思います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社における特別監察結果改善報告書の取りまとめ以降、全社的にコンプライアンスの徹底を図ってきた中で、今回の不適正処理事案が発生したことについて、東京水道株式会社の代表取締役社長は極めて重く受けとめております。そのため、代表取締役社長が先頭に立って、各委員会の運営や過去の不適正事案の再発防止策を見直すことといたしました。
 具体的には、リスク管理委員会において、開催頻度の増加や討議する事項の見直しを行うとともに、技術系受託業務改善委員会において、リスクとして想定すべき業務の洗い出しを行い、不適正事案の発生防止を徹底するための取り組みを講じるなど、各委員会の機能強化を図りました。
 また、研修の効果確認を徹底するとともに、工事監督業務におけるチェックシートの活用を受託業務の全ての案件に広げるなど、再発防止策の充実を図りました。

○上田委員 そのコンプライアンス委員会、リスク管理委員会などの外部委員会のメンバー構成と人選、あと、情報公開状況について、問題があることをかねてより指摘させていただきました。
 コンプライアンス委員会については、非公開から原則公開にすると、さきの委員会で答弁をいただいており、オンライン傍聴についても検討状況となっているかと存じます。
 結論はいつごろまでに出すのか、ご説明ください。

○石井職員部長 東京水道グループコンプライアンス有識者委員会のオンラインでの傍聴については、現在検討途上ということです。なるべく費用面も考えながら、まずは既存システムを活用してこれができないかということで、今、検討を行っていたのですが、そのシステムの構築ですと、傍聴者が、委員同様に、口頭発言とかチャットによる発言が可能となってしまうということで、議事の進行上の課題もいろいろと出てきてしまい、正直今ちょっと壁に当たっています。
 引き続き、課題解決に向けた取り組みを行ってまいります。

○上田委員 頼みます。
 人件費、委託費から見た効率化の実態についてです。
 平成二年の職員は六千百二十七名、令和二年四月時点の職員は三千七百六名となっております。
 二千四百二十一名、人数が減ったことに関して、削減された人件費は一体幾らか、人数が減った原因の確認を合併後に当たり、確認させてください。

○岡安理事 人件費の平成二年度予算額は約五百八十九億円、令和二年度予算額は約三百七十九億円でありまして、約二百十億円減少しております。
 また、人数が減った原因は、徴収事務オンライン導入や給与事務システムの改善などによります事務事業の見直し、営業所の再編などの組織の統廃合、給水所の遠隔制御化など施設管理体制の見直し、政策連携団体への業務移転などでございます。

○上田委員 一方、平成二十六年度から三十年度までにおける人件費の総額は約三%減少しておりますが、その主な減少理由は、平均年齢が約一歳下がっていることと職員数が二%減少、一方、管理職分の人件費は五%増加、その主な増加理由は、平均年齢が〇・五歳上がっていることと管理職の人数が三%増加していることによるものでした。
 また、職員は、毎年度の事業運営や業務執行等に必要な人員を適切に配置しており、毎年度の人件費は妥当とされていますが、管理職温存、現業は委託といういびつな構造になっていまいか、業務量は、効率化によって実際に減ったのか、確認させていただきます。

○岡安理事 施設の遠隔監視などの新技術の導入や人事給与システムなどの業務システムの導入、全職員へのパソコン配備などにより、業務の効率化が図られておりますとともに、営業所業務など政策連携団体へ移転した業務もございます。
 一方、水道事業の過去十年間の経営状況を見ますと、一日平均配水量はおおむね横ばいでありますが、給水件数は増加傾向にあり、施設整備は計画的に進めております。
 こうしたことから、全体として業務量の大きな増減はございません。

○上田委員 委託料の方から見ていきたいと思いますが、二社に支払われた分は、PUCが監理団体に指定されました平成十八年度は百五十六億円、次が二百四十二億円、次が三百億円、二百八十五億円、平成三十年度は二百八十八億円、令和元年度は二百九十三億円です。
 増加傾向にあるとはいえますが、前回指摘しましたが、都の職員平均は八百万円、固有は五百万円、削減人数は二千三百七十三人であり、政策連携団体へ業務委託した成果と鑑みて、人数で割り返すと、実際二千百万円払っていることになります。しかしながら、固有職員の平均給与は五百万円でありまして、七百万円の差額はどこに消えたのか、なぜ生じるのか、疑義を呈していたところです。
 水道局としては、業務委託につきましては、業務量に応じた人件費のほか、諸経費なども含まれる政策連携団体への業務移転に伴う業務委託費は、業務ごとに必要な歩掛かりを積み上げた業務量に、業務ごとに見合う労務単価を乗じて人件費を算出、次に、この人件費に、業務に直接必要な経費を加えて直接経費を算出、これに伴う諸経費と間接経費を加えまして、業務委託を算出し、なお、業務委託を受託する事業者は、業務に関する人件費のほか、会社の経費も必要であり、このことは政策連携団体も同様のことというふうな説明を聞いて、要は、これだけ経費がかかっているんだということですね。
 一方、政策連携団体の固有社員の給与は、団体が会社を経営する中で、就業規則、賃金取扱要領に基づき支給されている、したがって、水道局から支払われる政策連携団体の業務委託費と固有社員の給与水準に単純な相関関係はないということを確認させていただいておりますが、一方、私たちは、物事はシンプルに考えると実態が見えるわけでございます。都政グループ、政策連携団体とやってきましたが、それでも税金は流れていて、それで本当に効率化になっているのか、かかる経費は、差し引きマイナスになるのか、プラスになるのか、要は、外郭団体に、政策連携団体に委託することで、かかる税金がとにかく減るかということを考えたいんですね。
 また、外郭団体で働いている人が同一賃金、同一給料になっているのかということを確認したくて、毎回聞いているわけでございます。
 端的にいえば、政策連携団体に業務委託することで、税金は最小限の出費になっているか、東京水道内で、プロパーと出向間での給与や待遇の差が出て、士気やモチベーションが低下して、不正がつけ入る温床になっていないか、確認したいということです。
 資料10にございますが、合併後の組織体制と派遣社員、固有社員、再委託業務の仕事の中身をご説明の上、人員配置についてご説明ください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、ガバナンスやコンプライアンスを強化するため、監査等委員会設置会社とするとともに、業務ごとの執行責任を明確化するため、管理部門、お客様サービス部門、技術部門など、六つの本部を設置いたしました。
 当局から同社へ派遣している職員は、社の経営管理に携わる部署や営業所等に配置され、同社の固有社員に対して、業務に係る指導を通じて、必要な技術、ノウハウを継承しております。同社の固有社員は、水道業務のプロフェッショナルとして、主に受託業務の現場実務に従事しております。
 一方、再委託業務は、受託業務の補助的な作業を効率的に民間事業者に行わせる業務でございます。
 人員の配置については、民間企業としての効率性、経済性を発揮するとともに、社員一人一人の能力、適性、経歴等を踏まえ、働きがいを感じられるよう適材適所に配置しております。

○上田委員 再委託業務は、効率化を図ることができるということですが、昨年の九月十一日答弁では、TSSにおいて、昨年度の契約から、定型的な業務を切り分け、再委託については、当局から民間事業者の直接発注に切りかえているとしており、昨年の事務事業では、見直しについても言及されていたところです。
 合併後に当たっての具体的な全体業務のうち、どの程度を誰が決めて、誰の責任で直接発注にしていくのか、数値、比率、目標があるのか、現時点で、そのうちどのぐらい達成したのか、お答えいただければと思います。
 前回、個別に判断するため、目標などの設定はしないということでしたが、この点についても、見直さないのかについてお願いします。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、定型業務を初め、民間事業者に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託するとともに、水道事業における基幹的業務を、当局と政策連携団体が担う一体的事業運営体制を構築してまいりました。
 この業務運営体制の考え方は、政策連携団体の統合後も同様でございます。
 当局が直接発注する契約件数などの数値目標や比率は定めておらず、必要に応じて個別に判断してまいります。

○上田委員 これまで、数年にわたりまして、私、再委託と直接委託の状況を確認してきました。いろいろとご説明を伺い、どうしても直接発注できないものがあるというご答弁に終始されてきました。こちらも、端的にいえば、可能な限り直接契約にすることを実現していけば、東京水道自体もスリム化して経費が減って、それこそが効率化できるのではないでしょうか。
 これまで、TSSの管理下で、民間企業への再委託を行い、代表取締役社長のもと、契約を見直す改善を図ってきたということです。
 また、政策連携団体に業務移転を行う場合は、予算編成などにおきまして、一件ごとに個別に費用対効果の検証を行った上で実施をして、業務移転に当たりましては、経済的効果が発揮されているということでございますから、合併に当たりまして、たびたび強く要請しております東京水道現社長の再委託見直しと直接契約推進についての見解と今後の計画、何度もおっしゃっている経済的効果が発揮されている具体的なご説明を求めます。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、当局から受託した業務のうち、一部の補助的な作業については、効率性の観点から、同社の管理下で民間企業への再委託を行っております。
 この再委託は、コンプライアンス有識者委員会の検証に基づく助言、提言を踏まえて、当局が認めており、今後も引き続き再委託を行うとともに、必要に応じて見直しを行ってまいります。
 また、同社では、代表取締役社長の指揮のもと、契約手法を見直すなど必要な改善を行っており、引き続き、民間企業としての効率性、経済性を発揮しつつ、受託業務の着実な実施、健全な事業運営に取り組んでまいります。
 当局から同社への業務委託に当たっては、予算編成などにおいて、一件ごとに個別に費用対効果の検証を行った上で実施してまいります。

○上田委員 それでは、局長もかわられ、合併もしましたことから、大局的にどの業務を業務移転、業務委託、直接発注、直営することが効率的と考えていらっしゃるのか、政策連携団体が、水道局委託事業の着実な実施、健全な事業運営など、社会全体で取り組んでいくべく、過去、現在、将来と分けた局長の所見を伺いたいと思います。

○浜水道局長 当局では、民間に委ねられる業務は可能な限り民間に委託するとともに、水道事業における基幹的業務を局と政策連携団体が担う一体的事業運営体制を構築し、公共性の確保と効率性の発揮を両立させながら事業を進めてきております。
 今日、AIやICTなどの進展や、水道法の改正を契機とした水道界の官民連携や広域連携の拡大など、水道事業を取り巻く環境は大きく変化しております。また、今後の水道事業は、将来の労働力人口の減少に伴い、水道事業を担う人材不足が深刻化するなど厳しい局面を迎えます。
 こうした中、都の広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、将来にわたり水道事業を安定的に運営していくためには、引き続き、当局と政策連携団体が担う一体的事業運営を進めていくことが不可欠でございます。
 そのため、現場業務の業務移転を着実に進め、東京水道グループの経営基盤の強化を図り、安定的な事業運営を行っていくとともに、政策連携団体の強みを生かして、国内水道事業体の事業運営にも貢献してまいります。

○上田委員 その局長の意気込みのとおり実現するためにですが、合併後の内部監査役、すごい大事だと思うんですよね。
 この登用と人選についてどのようになっているか。そのメンバーで数々の不祥事を発生させている東京水道において、厳正なる監査は適正に成立できるのか、確認させてください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社は、ガバナンスやコンプライアンスを強化するため、監査等委員会設置会社として、監査等委員会が監査を行う体制としております。
 この同社の監査等委員会が、外部からの推薦及び公募によって選任した社外取締役で構成されており、客観性を持った上で、適法性及び妥当性の観点から、取締役の職務の執行について監査を行っております。

○上田委員 東京水道の社長の責任についてです。
 今般、町田市で発生した道路占用許可における違法行為において、発生時から、各委員会設置、対応、都民と議会への報告、再発防止策に係り、野田数社長がどのような対応し、その結果はどうだったのか。
 発生時から今日に至るまで、時系列でご説明ください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の代表取締役社長は、不適正事案が発覚した直後の本年六月十七日に、原因究明と実効性ある再発防止策の策定及び実施について、全社に対して指示をいたしました。
 八月三日には、同社のホームページにおいて、本事案を公表し、お客様を初めとする関係者に対して謝罪いたしました。
 八月二十六日には、事故報告書を水道局長に提出いたしましたが、再発防止策の不足について指導を受けたことから、八月三十一日に、指導に対する不足を補い、十四項目の再発防止策を取りまとめた事故報告書を再提出いたしました。
 九月七日から十一月十二日にかけて、社員一人一人に、本事案の重大性と社員として持つべきモラルを伝えるため、全八十八事業所等訪問し、社員に対して訓示を行うとともに、意見交換を実施いたしました。
 また、社長を委員長とするリスク管理委員会において、十月以降、再発防止策の実施状況の点検を行うとともに、進捗状況を踏まえた対応策を全社で共有いたしました。
 この結果、社長との意見交換に参加した社員七百五十二名に対して行ったアンケートでは、有意義だった及びやや有意義だったと回答した者が八割を超えており、担当業務におけるモチベーションの向上に向けて、着実に社員の意識改革が進んでおります。
 また、リスク管理委員会において、全社を挙げた再発防止策の進捗を確認しており、不適正事案の再発防止に向け、コンプライアンスの改善が図られております。

○上田委員 その各種委員会ですけど、十月二日の委員会資料で明らかにされた東京水道に設置されている委員会メンバー構成員は、全て身内で固められていました。この顔ぶれで、客観的かつ厳正なる組織風土と職員倫理認識の改善ができるのか、非常に疑問に思いました。
 原則公開にするなどをすれば、緊張感も保てると思いますが、現行の是非に関する所見と意気込みを同社の役員を兼任されている幹部職員に伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社に設置されている各委員会は、経営上のリスク、個人情報、入札の予定価格や参加業者の情報、情報セキュリティー対策など、同社の経営情報や社員の個人情報等、直ちに対外的に公表すべきではない情報を多く取り扱っております。
 そのため、公開にはなじまないものと考えております。

○上田委員 この事案に関して、水道局長は、不適正処理事案発生後の指導監督について、一度突き返した経緯を十月の委員会にて報告いただきました。そもそも突き返されるような報告をした時点で反省が見えないし、これまでの野田社長の実績に係る局の答弁、余人をもってかえがたい的な答弁と乖離があると思料いたします。
 この点のそごについてのご説明を同社役員を兼任される幹部職よりお願いいたします。

○鈴木経営改革推進担当部長 本年八月二十六日に、東京水道株式会社から提出された事故報告書の再発防止策において、監査等委員から得られた指摘や意見が反映されていなかったことから、また、再発防止には、代表取締役社長に率先した行動を行わせることが不可欠であるとの当局の認識から、同社に追加の指導を行いました。
 この指導は、同社が策定した再発防止策の実効性を高めるために指摘したものであり、同社の社長の対応について指摘したものではございません。

○上田委員 また、今回の事案について、なぜ刑事告発をしないのか不思議でなりません。身内に甘過ぎるのではないでしょうか。これこそが、たび重なる不正、不祥事の同社体質の温床であります。
 今後の綱紀粛正と長期指名停止となったことに関しての経済的、事務的信頼などの有形無形の費用が発生するかもしれないもの全てさまざまな損失については、トップマネジメントを預かる社長から話を伺うべきだと、十月の委員会で強く申し上げました。
 我々は、都民の代表として、これがなくしては、我々は都民の代表として責任を持ってこの議案に関して議論ができません。
 東京水道は民間ですか、民間セクターではありませんか、民間であれば、株主に不祥事に当たって説明するはずです。株主は誰でしょうか、東京都で、都民ではないですか。東京都民ではないですか。都民の代表の私たちに説明してほしいんですよ。
 東京都外郭団体の指名停止という前代未聞の事態に当たり、都民の代表である我々に直接謝罪し、説明をすべきであり、そうした組織運用に速やかに東京水道は変革すべきではないか。東京水道株式会社社長の所見を伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社は、当局所管の政策連携団体であり、同社に関する都議会の説明は、これまでも当局が適切に行っております。

○上田委員 私としては、説明が適切とは到底思えないです。
 資料13から17のフロー図資料を提供いただきました。築地と豊洲の著者、澤章氏は、異例の短期間で外郭団体の理事長を退任されておられる一方で、都民ファーストの会代表を務めつつ、知事特別秘書を兼ね、退任後、現在は東京水道株式会社に就任している野田数氏は、平成二十七年と同様の不祥事が本年も発生しているにもかかわらず、その去就については議論にすらならず、公営企業委員会に出席しての陳謝も説明も実現されておりません。
 外郭団体トップ人事の去就についての判断基準はどこにあるのか、任期に関しての審議は改めてなされないのか、まず、局長の所見をお聞かせください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の定款では、監査等委員である取締役を除く取締役の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでと定めております。
 また、取締役の再任は、役員業績評価のほか、監査等委員会の意見など株主総会参考書類等を踏まえて総合的に判断し、株主総会において議決権を行使することになります。

○上田委員 政策連携団体の社長という大変な人事の質問につきまして、部長答弁ということでした。承りました。
 では、この件に関して、小池知事はどのような所見をお持ちなのか、確認をさせてください。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の取締役の選任については、同社の定款に基づき適切に対応してまいります。

○上田委員 適切な対応ということですが、昨年の事務事業質疑におきまして、野田社長の実績と成果を確認したところ、社内における議論や検討を踏まえた上で、代表取締役社長の判断や指示のもと、企業統治に関する基本方針や内部統制に関する基本方針を策定するなど、内部統制の強化に関する取り組みが着実に進められておりますという力強い答弁をいただいていますが、就任後、今般事案が発生しました。
 この点に関しての局長の評価を伺いたいと思います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社及び東京水道株式会社において、昨年来、企業統治に関する基本方針などの策定を初め、さまざまなコンプライアンス強化に関する取り組みを進めております。
 こうした中で、不適正処理事案が発生したことは、これまでの取り組みに不十分な点があったと受けとめております。
 東京水道株式会社においては、今回の事例を真摯に受けとめ、改めて、代表取締役社長が先頭に立ち、今回策定した再発防止策を着実に実施していくことが極めて重要でございます。

○上田委員 最後になります。東京水道社長の勤怠管理について。
 毎度、代表取締役社長は、会社法で定める義務と責任のもとに、自己の職務を執行するもの、従業員と同様の勤怠管理は行っていない、会社の業務執行に関係しない社長の行動については承知しない旨の答弁をいただいております。
 昨年、明らかに職務時間であろう時間に、小池百合子知事の後援会団体ですか、百成会のパーティー券購入を求める電話を野田社長がかけていたことを上田は確認しております。
 これまで、野田社長就任前の不祥事ということで、直接責任を問われませんでしたが、不祥事は再発しました。野田社長の責任は免れないはずです。野田社長はもとより、今後、東京水道に当たっては、役員クラスであっても、勤怠管理をしなければ、勤怠管理をしなければ、同社のガバナンスが成り立たないことがこれをとっても明らかです。
 強く勤怠管理の徹底を求めるものですが、東京都側は、株主総会でこの件について確認したのかも含め、局長の所見を伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 代表取締役社長を含めた役員は、会社法で定める義務と責任のもとに自己の職務を執行するものとされており、従業員と同様の勤怠管理は必要ないものと考えております。

○上田委員 そうした身内の甘さが、毎度毎度のご報告と、そして、長々とした質疑になっているというふうに思っております。
 ほかの委員も非常に憂慮していましたけれども、コロナ禍にありまして、光熱費負担に耐えられない都民も急増し、水道局も収入面で、来年度以降、大きな試練を迎えることとなると痛感しております。
 そんな中で、鳴り物入りで、効率化を求めて、本年合併した東京水道株式会社は、数々の不祥事を乗り越えて、世界に冠たる日本の水道事業、世界のトップランナーとして、都民、ひいては日本のために役立つ、真の効率化を実現する経営基盤となるいわゆる外郭団体として機能するのか、分岐点にあると、昨年度来、警鐘を鳴らしておりました。
 コンプライアンス委員会にも大いに期待していましたが、町田の事案等を受けても、今後の改善が必要でありましょう。なぜ刑事告発をしないのか、この一点だけでも非常に疑問があります。これは、野田数社長がしっかりと決断をしなければいけなかったと思います。
 再委託、直接契約、こうしたことも含めて、東京水道においての人事、財務に係るガバナンス運営について、我々都民の代表の出席する公営企業の委員会で、野田数社長のアカウンタビリティーは不可欠でございます。
 コロナ禍による予算編成に当たり、本日は六百億ものコロナ債が計上され、法人二税も、もう七兆円ぐらい上下するんですね、もうかつかつになる中、呼べど叫べども来ない野田社長において、混迷をきわめるだろう令和三年度の予算に当たりまして、ぜひ予算審査においては、委員会招致を強く求めるものです。
 かつて、都議会議員選挙に、あるいは希望の塾運営に、特別秘書でありながら携わり、非常に政治色が強い、歴代局長とは著しく異なる経歴、前代未聞の経歴であり、小池百合子知事との距離感も都民に疑義を抱かれかねないことからも、委員会招致と、そして、勤怠管理を強く求めまして、私の質疑を終わります。
 今後は、局長、社長と、せっかく一応都民の代表であります私が答弁を求めているので、しっかりと、局長におかれましても、部長答弁ではなく、お答えいただければと最後に希望をいたします。
 以上です。

○山田委員 東京水道の長期戦略構想二〇二〇でも述べられていますけれども、東京水道を取り巻く状況は、今後やはり大きな変化が想定されます。人口減少と給水収益の減少、また、浄水場の更新時期の集中など、環境の変化に応じて東京水道の経営のあり方も変化が求められてきます。
 そのためにも、都民の重要なインフラでありますので、都は、その供給管理に責任を持ちながらも、民間の発想を、水道経営、事業執行に取り入れていくことが重要です。
 本年四月に新たな政策連携団体である東京水道株式会社が誕生いたしました。都の水道局との間の業務の切り分けとして、水道局がコア業務、東京水道が準コア業務を担っていくのが基本原則と理解していますけれども、水道局がコア業務、東京水道が準コア業務を担うこととした理由、また、コア業務と準コア業務の具体的な中身、切り分けについて、どのように決定しているのか、まず伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、定型業務を初め、民間事業者に委ねられる事業は民間事業者に委託し、水道事業における基幹業務を当局と政策連携団体が一体的に担う事業運営体制を構築し、公共性の確保と効率性の発揮を両立させながら事業を実施しております。
 コア業務は、事業運営の根幹にかかわる業務で、経営方針や施設整備計画の策定、水質管理、施設整備、重要な施設の維持管理、広域的な水運用などであり、当局が担うこととしております。
 準コア業務は、事業運営上重要な業務で、民間事業者に委託した業務の監督指導、施設の運転管理や維持点検、総合受付などであり、政策連携団体である東京水道株式会社が担うこととしております。
 今後、経営の効率化を一層推進するため、準コア業務のうち、現在、局が行っている営業業務は十年、技術業務は二十年を目途に、当局から政策連携団体に移転してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 その業務の移管の期間ですけれども、今後十年から二十年ということで移転していくということですが、かなりの長期間にわたります。その間も、東京の水道事業をめぐる社会情勢の変化というのは、大きいものになってくると思いますので、今後も、両者の間の業務の分担というところについて、絶え間ない検証をお願いしたいと思います。
 では、民間の発想といったときに、東京水道が担うとされている準コア業務に限らず、水道運営全般に、そういった民間の発想というのは必要になってくるというふうに考えております。
 東京水道の経営方針を決定すると。まさしく、皆さん水道局が担うそのコア業務にこそ、民間の発想をしっかりと取り入れていくということが必要ではないかと考えております。
 水道局の担うコア業務に、民間の発想を、今現在どのように取り入れているのか伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、水道事業を将来にわたり安定的かつ効率的に運営するために、外部有識者の幅広い見地から、意見と助言を得ることを目的に、東京都水道事業運営戦略検討会議を設置しております。
 今回策定した東京水道長期戦略構想についても、コンクリート構造物を物理的な耐用年数で更新時期を変えていく方向性はよいが、専門的な分析やエビデンスを用意すべきとの意見、業務運営体制はグループ経営が最も適当との意見、管路にスマートメーターを設置して維持管理に生かすと、経営の効率化や更新の最適化だけでなく、都民生活の利便性向上につながるとの意見など、外部有識者からのさまざまな意見を反映しております。

○山田委員 ありがとうございます。
 今のような形で、外部有識者からご意見を頂戴するということは、極めて重要だというふうに考えております。ですけれども、伺っておしまいにしてしまうのではなく、いただいた有識者のご指摘の趣旨を十二分に反映した上で、計画プランを策定していくということと、都庁の内部において、しっかりと推進体制を構築していく、そして着実に実行に移していくということこそが重要だというふうに考えております。
 特に、都庁だけを念頭に置いているわけではないんですけれども、各自治体さんが主催するさまざまな会議というところで、外部の方から意見をいただくと。極めて重要なご指摘があった、ですが、事務局の担当の公務員の方が、さまざま意見を集約する過程で、当然、現実やられていらっしゃる公務員の方が、現実的な視点から意見をまとめていくというのも極めて重要だというふうには思っておるのですけれども、その結果、有識者からのご意見を頂戴して、残念ながら、これまでの延長線上のものにとどまってしまうであるとか、公務員の方にとって若干耳が痛いといった指摘について、そういったことが、残念ながら十分に反映されない、そういった可能性もやはりあるところだとは思っています。
 そういったことを防いで、しっかりと効果的なプランを策定して進めていくというためには、期間を定めた数値目標の設定であったり、また、プラン実行の節目節目で、改めて外部の方のご意見をいただくであるなど、外部から継続的に関与いただくということが重要だと考えております。
 では、コア業務における民間発想の導入を徹底するために、外部有識者からのご意見を継続的に取り入れる仕組みづくりと、また、場合によっては、コア業務を担う水道局の内部に民間人材を入れていくなど、より踏み込んだ取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局の経営方針である長期構想や中期経営計画の策定に当たっては、外部有識者から意見をいただくとともに、パブリックコメントを実施し、都民の意見を踏まえた上で策定しております。
 今後、計画に掲げた目標の着実な達成と各施策をブラッシュアップするため、東京都水道事業運営戦略検討会議において継続的に検証を行い、外部有識者からの意見をいただくとともに、都民の声を継続的に把握する仕組みを新たに導入してまいります。
 また、迅速な課題解決が求められるとともに、高度な専門性や豊富な経験を必要とする業務については、都庁外の民間人材を課長級職員として採用しており、これまでに、コンプライアンスの強化に向け、弁護士資格を持つ人材とICT施策の推進に向け企画開発の経験を十年以上有する人材の二名を採用しております。

○山田委員 ありがとうございます。ご答弁いただきましたように、継続的に、今お話ありました検証の仕組みというので、ぜひしっかりとした対応をお願いしたいと思います。
 また、私、質問の趣旨、ポイントは、特に経営方針の決定とその実行といった部分において、民間の力をというところでございまして、なかなかさまざまなハードルはあるとは承知はしておりますけれども、引き続き検討を求めておきたいと思います。
 別のテーマについて、次、伺いたいと思います。広域化について伺いたいと思います。
 水道を取り巻く環境について大きな変化が想定されるのは、東京都だけではなく、日本全体での課題であるというふうにいえると思います。
 日本における水道事業の課題について、老朽化の進行であったり、また耐震化のおくれ、主に市町村単位で経営されているために、多くの事業が小規模で、また、経営基盤が脆弱であるといったような点が、日本全体で見たときの水道事業の課題として指摘されております。
 そういった小規模事業の経営基盤、その安定の対策の一つが広域化となります。
 東京水道の広域化、こちらはほぼ完了はしているといってもいい状況だとは思っておりますけれども、全国では、まだ十分に広域化が進展しておりません。
 東京の水道事業、東京水道としましては、これまでの広域化、そして、特に多摩における経験を生かして、ほかの水道事業者をサポートしていくと。先ほどは、官民の連携のお話、ベースでしたけれども、これからは、官と官の、官官の連携というのも、今後のあり方として、検討して求められているのではないかというふうに考えております。
 東京都として、また、東京水道株式会社の強みを生かして、国内の水道事業体に対し、これまで実施してきたその支援の具体的な内容と成果について伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、平成二十九年度から、国内貢献事業として、首都圏水道事業体支援事業を展開し、首都圏内の水道事業体の要請に基づき、水道事業の一元化や水質及び危機管理等に関する研修に講師を派遣してまいりました。
 また、平成三十年度からは、島しょ町村への技術協力として、漏水防止や事故防止研修に講師を派遣するとともに、町村が抱える技術的課題に対する助言を行ってまいりました。
 さらに、令和元年六月に、宮城県企業局と当局で、水道事業における人的基盤や災害対応の強化等事業連携に関する協定を締結し、人的基盤の強化につなげるための職員の相互交流を実施しております。
 こうした当局の取り組みは、国内最大の事業体としての役割を果たし、経営に課題を抱える水道事業体を支援するとともに、当局の人材育成にも資するものと認識しております。
 一方、当局所管の政策連携団体では、これまで、水道料金徴収などの営業系業務、上下水道料金システムの構築、保守、運用などのIT系業務を秋田市、松阪市などから受託しているほか、漏水調査業務や給水装置工事技術支援等のコンサルティング業務などの技術系業務を他事業体から受託しております。
 こうした政策連携団体の取り組みも、当該事業体の課題解決に貢献しているものと認識しております。

○山田委員 ありがとうございます。今、これまでの取り組みを確認することができました。
 さて、二〇一六年に、公益社団法人日本水道協会が実施したアンケート結果が公表されております。こちら、千以上の事業体を対象に実施されました。
 その中で、近隣水道事業等との広域連携による運営基盤の強化について検討あるいは検討の予定がありますかという質問が行われまして、それに対して回答が得られまして、ここでは要約して回答をお伝えしますけれども、例えば、施設の共同化であるといった、そういったものの踏み込んだ連携についての検討については、回答全体のうち七%ぐらい。勉強会であったり、協定であったり、そういったソフトな形での連携については六〇%程度という回答でございました。
 ただ、回答全体のうちで、そういった広域連携について、やはり検討していないという回答が二二%、数でいうと、二百二十一事業体ありましたと。この検討していないというところに対して、さらに質問が行われて、その理由についてアンケートがまたされております。それについても、細かくはここでは述べませんけれども、検討はしていないけれども、広域的な連携に関心はあるんだというのが、そのうちの三六%でございました。ただ、なかなか具体的な検討にまで至っていないといったところの理由として、きっかけがないとか、やっぱり余力がないとか、そういった回答の結果が多かったというところでございます。
 このアンケート結果からわかってくることといたしまして、広域連携に関して、きっかけだったり、体制だったり、また、適切な調整役の不足といったところが、広域連携に関する課題であるというところは一ついえると思いますけれども、ぜひここで、東京都がそこで貢献する余地が逆にあるのではないかと私は感じております。
 東京水道長期戦略構想二〇二〇でも、国内水道事業体への貢献が掲げられておりますけれども、都として、そして、東京水道株式会社としても、ほかの自治体に対して、待ちの姿勢ではなく、より積極的にアプローチをしていくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 水道法の改正により、今後、全国の水道事業体では、広域連携や官民連携の拡大が見込まれます。
 当局では、真の地方創生を目指した全国との共存共栄に寄与していくため、多摩地区水道の一元化や長期構想策定などの取り組みを全国に発信していくとともに、全国の水道事業体からの研修実施要請や広域化に関する相談等の要請に対応していくなど、国内水道事業体の基盤強化に向けた支援を引き続き実施してまいります。
 また、東京水道株式会社は、これまで培ってきた技術力などの強みを生かして、他事業体が行う包括委託等の受け皿としての支援やコンセッション方式を導入する場合の受託者に対する監視への支援等を検討し、国内水道事業体の事業運営に一層貢献してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 ぜひそういった国内水道事業体への貢献も積極的に進めていただきたいんですけれども、そういった国内のほかの水道事業体への貢献も、その対応自体にも、都としてメリットがあるものであれば、より一層望ましいのではないかというふうに考えております。
 一般的に、広域化のメリットといたしまして、施設の整備や運用におけるメリット、経営の効率化によるメリット、また、事業運営におけるメリットなどが挙げられると思います。
 他方で、広域化の実現に向けたハードルとしては、例えば、地理的なハードルであったり、地域間での格差がある、また、調整が大変難しいであるといったところが一般的に挙げられていると思います。
 こういった水道事業の経営改革全般について、DBJ、日本政策投資銀行、いろいろな視点で研究、検討はされているんですけれども、その中で、例えば同じ流域内で事業統合を実施する場合には、水源の根本的な見直しであったり、浄水場からの効率的な配水システムの再構築を計画することは、比較的容易であるというような指摘もなされておりまして、要は、同じ流域における統合というのは比較的容易であると、そういった指摘の趣旨だと思っております。
 そういった観点からいたしますと、都が水源としている河川、幾つかあると思いますが、特に、東京と、あと群馬と埼玉に流れている利根川の流域というものにもひとつ注目すべきではないかというふうに考えております。一朝一夕には行かなくて、かなりの長期的なスパンに基づくものだと思いますけれども、利根川流域の水道事業の統合であったり、そういった効率化というものを都が重点的にサポートしていくという形で、行く行くはそういった事業体さんと都と一緒にやって、広い超広域連合を構築する。そして、流域全体の水道事業の効率化を達成すると。こういった長い、やや広大過ぎるのかもしれませんけれども、非常に大きな視点からの戦略的な支援というのも検討すべきじゃないかというふうに考えております。
 将来的な利根川流域での広域的な統合の第一歩といたしまして、利根川流域の水道事業の統合、それを、都、そして東京水道株式会社として、重点的に支援していくべきではないかと考えますけれども、見解を伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 今回の改正水道法では、広域化の推進は都道府県の責務とされており、水道事業者である当局が、利根川流域の水道事業体に対し、広域化に向けた働きかけを行うことは困難であると考えます。
 一方、利根川流域では、当局を初めとする流域の四十二の水道事業体で、利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会を設置し、水質事故時の情報連絡体制や監視体制を整えるとともに、水質事故を想定した訓練を毎年実施するなど、利根川流域における水道事業体の連携に既に取り組んでおり、今後とも、連携強化を図ってまいります。
 また、東京水道株式会社においても、これまで培ってきた技術力などの強みを生かし、他の水道事業体の支援を行うことも検討してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 なかなか難しいというお話もあるとは思いますけれども、このような官官連携といった話に関して、日本全国でさまざまな先行事例も存在しておるところでございます。
 例えば、北九州市、市内企業や北九州市の外郭団体である株式会社北九州ウォーターサービス、それを活用して、ほかのエリアの事務組合から包括的な業務を受託している。また、大阪広域水道企業団、横浜ウォーター株式会社でも、同様の取り組みが行われているというふうに理解しておるところでございます。
 さらに、八戸圏域水道企業団、これは、青森県内の自治体が統合されて、水道事業における広域化の先駆けというふうになっておる事例でございますけれども、これが、青森県内にとどまらず、県境を越えて、二〇〇八年、岩手県の複数の市町村とともに、北奥羽地区水道事業協議会というのを設立されております。
 このような動向を見ていきますと、現在、先ほどご答弁いただきました利根川の連絡協議会の中身というものを、より都が率先して、さらに深めていくということが必要ではないかと考えます。
 このような、関与であったり、働きかけに関して、東京水道株式会社が民間である自由度が高いということから、積極的に動くということができると考えますけれども、東京水道株式会社によるほかの事業体への貢献の今後のあり方について伺います。

○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、団体統合により、水道業務を包括的に担うことができる体制を構築し、国内水道事業体への積極的な貢献を主要事業と位置づけております。
 今回の水道法改正に伴い、全国の水道事業体では、包括委託の受け皿としての支援のほか、コンセッションへのモニタリング、広域化に向けたコンサルタント、システム開発を含めた水道施設台帳の整備、指定給水装置工事事業者の更新支援など、さまざまなニーズが高まることが想定されます。
 個別の事業体のこうしたニーズに関する情報を収集し、同社の強みを生かした提案などを行い業務を受託することで、他の事業体への貢献を目指し、今後、同社独自の営業戦略を策定するとともに、受託後の安定的かつ効率的な履行を確保するために、柔軟な執行体制を構築してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 質問自体は、もうこちらで最後となりました。今ので終わりになります。
 先ほども述べましたとおり、さまざまな、広域連携だったり、統合のあり方がある中で、同じ流域の統合というのは、一般的にほかと比べるとハードルが低いのではないかということもいわれております。
 長期的なものになりますし、また、県境、都道府県の枠を越えていくということで、さまざまなハードルがあるということは重々承知しておりますけれども、ぜひ、先ほど申し上げたような視点で、流域全体の水道事業の効率化を達成していくということが、都にとっても、また、ほかの自治体、日本全体にとっても、貢献できる道になると思いますので、ぜひそういった視点での検討について、研究会であったり、また有識者会議での議論の開始など、積極的な検討を求めさせていただきまして、私の質問は終わりとさせていただきます。

○川松委員 まず、私からは、私自身がこの委員会でも何度か質問させていただきました有機フッ素化合物について、改めて質問いたします。
 先ほど大山理事の質問も聞いていましたけれども、一方的な見方だけでこの問題を取り上げると、非常に、水道局にとって、利用者の皆さん方の不安だけをあおる結果になりやしないかということもありますので、多角度的に私、質問していきますので、ぜひ浄水部長、丁寧にお答えいただきたいと思いますが、十月二十九日以降、東京新聞などが、先ほど大山理事もお話ししていたように、有機フッ素化合物のPFOSとPFOAについての報道などがありました。その中に、水道局に関係する記述として、去年まで、都内浄水場二カ所で国の暫定目標値を超過していたという内容や、有害化学物質で水道水が汚染されているなど、水道水に対して不安をかき立てるような内容も含まれていたと、私、認識しています。
 以前の答弁において、水道局は、国が暫定目標値を定める前から、独自の取り組みとして、アメリカの勧告値を参考に管理しており、本年四月以降、全ての給水栓において国の暫定目標値を超えないよう管理徹底していくという答弁を、私、いただいたことを記憶しています。そのとおりであるならば、水道局の対応は適切であったわけでして、それなのに、なぜゆえに今回、水道局の対応が不適切であったかのように報道されてしまったのか。
 こういう報道を受けて、東京の水道水に不安を覚えたという都民もたくさんいたということだと思いますけれども、そこで、改めて、PFOSとPFOAに対する水道局の取り組みについて伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 お話の先月二十九日のPFOSとPFOAに関する新聞報道では、昨年の時点で暫定目標値を超過していたとされておりますが、当時は、国は暫定目標値を設定しておらず、事実とは異なります。
 当局のPFOSとPFOAに関する対応は、国が本年四月に暫定目標値を新設するのに先立ち、昨年六月から、都独自に、その当時、世界の国々の中では最も厳しい目標値であった米国の健康勧告値、一リットル当たり七十ナノグラムを参考にした管理を開始し、それを超えた場合には、井戸水源の一部を停止する等の自主的な取り組みを始めました。
 その後、本年二月に、国が一リットル当たり五十ナノグラムの暫定目標値を四月から設定する方針を示したため、三月までに臨時調査を都内全域で実施するとともに、さらに、一部の井戸水源を停止することにより、全ての浄水場等の水道水が暫定目標値未満となる対応を完了いたしました。
 それ以降も、稼働中の全ての浄水場等におけるモニタリングを継続し、暫定目標値に従った厳格な管理を実施しており、水道水の安全性に問題がないことを確認しております。

○川松委員 つまり、今、浄水部長からもお答えいただいたように、十月二十九日に出た東京新聞の報道の前提自体が違っていたということなわけですよ。
 都は、国の暫定目標値の設定に先んじて、PFOS等への対応がされていた。これ、過去の答弁のとおりでありまして、水道局の対応というのは万全であるということが、今の浄水部長のお話で確認できました。
 今後も適切な管理を行って、都民の健康と安全を確保し、安心して水道水を使ってもらえるよう万全を期していただきたいと思いますが、しかしながら、今回の複数の新聞社による報道で、私だけではなくて、先ほどもいったように、多くの都民の皆様が、水道水に対し不安を感じていることだと思います。
 こういった類いの報道による不安を払拭するために、水道局はこの状況にどう向かっていくのか、取り組みを伺いたいと思います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 お客様の水道水に対する不安を払拭するためには、当局の取り組みについて正しく理解していただくことが重要であるとの観点から、これまでも水質管理に関する情報を積極的に提供してまいりました。
 しかし、本年一月には、水道水に問題がないにもかかわらず、多摩地区の一部の井戸水源でPFOSとPFOAが高い数値で検出されたとの報道がございました。
 当局は、この報道が、水道水の信頼に影響を与えかねないと考え、その日のうちに、過去からの水質検査結果とともに、既に米国の健康勧告値を参考に一部の井戸水源を停止するなどの安全対策を講じていることをホームページのトップへ掲載するとともに、SNSでも発信いたしました。
 本年十月以降の一連の報道に対しても、当局では、国が新たに設定した世界で最も厳しい暫定目標値でしっかりと管理しており、水道水は安全で、安心して利用いただけることを改めてホームページの見やすいところに掲載するとともに、SNSでも発信するなど速やかに対応いたしました。
 今後も、水道水への信頼に影響を与えかねない報道に対しましては、記事の内容を踏まえまして、お客様の不安を払拭するために必要な情報を、その都度速やかに発信してまいります。

○川松委員 都民の皆様の不安を払拭するために、水道局が積極的に情報発信されているということは、今のご答弁でわかりましたけれども、なかなか、何が大切で、水道水はどうなっているんだということが、まだまだ伝わっていないからこそ、不安の声が出てくるんだと思います。今後に向けて、さらなる都民の安全・安心につながるように、有機フッ素化合物に関する取り組み等について、より一層積極的に発信をし、そして、水道水はこうなんだと。水源と水道水の違いということも全部混同されたまま、多くの皆さんの頭の中に入っていくと、不安だけが残ってしまいますので、この情報発信、気をつけていただきたいと思います。
 次に、水質全般に関する情報提供についてお聞きしますが、水道水の水質は、人の健康に直接影響するものであり、自分が飲んでいる水道水の安全性はどのように確認されているかといった情報に対する都民の関心、高い方もたくさんいらっしゃると思うんですね。水道局は、都民に安心して水道を使ってもらえるように、都民のニーズに応じた情報発信をするべきと考えます。
 そこで、水質に関する情報に対し、都民のニーズをどう把握されているのか伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局では、平成二十七年度から令和元年度までに実施した東京水道あんしん診断において、水道使用者約七百五十万件のアンケートを実施いたしました。
 このアンケート結果では、水道事業に関してどのような情報を提供してほしいかという質問に対して、全ての世代のお客様から、安全でおいしい水の取り組みや水質検査結果などの水質に関する情報を提供してほしいとの回答が多くございました。
 また、約二十八万件の自由意見の中で、水質に関する意見は約五万九千件と最多であり、水質に関するニーズの高さが明確に示されております。

○川松委員 今ご答弁ありましたように、やはり水質に関する都民の皆様のニーズというのは高いということだと思います。
 水道局が、積極的に水質に関する情報を発信する必要性が高いということを確認させていただきましたけれども、一方で、水道局のホームページを見てみると、水質に関するさまざまな情報が載っていることは確かなんですが、ちょっと難しい専門的な記述が多くあるんじゃないかなというふうに感じます。
 水質検査結果については、数値が掲載されているだけで、それが安心してよいものなのか、どうなのか、この数値をどう見ていくかということについて、都民の皆様にやっぱりわかりづらい点もあるんじゃないかなと感じております。取り組みの説明については、長い文章で、文字による説明が多くて、これ、ウエブサイトの構成として、このつくり方の問題として、本当に都民が知りたい情報へのアクセス性ということを考えると、ちょっとサービス精神が足りないんじゃないか、アクセス性が悪いんじゃないかというふうに感じています。
 私と同じように感じている都民の方も多いと思いますけれども、都民の皆様の水道水質への理解を得るためには、求めている情報、知りたい情報について、わかりやすい形で水道局が提供されていく、このことがちゃんとできているかどうかというこの一点に限ると思うんですね。水道水質への理解度が低いと、水道水に対する不安が都民に生じ、結果的に、水質の満足度にも影響するおそれがあります。
 アンケート調査による飲み水としての水質の満足度は、平成三十年度で七二・三%と聞いておりますが、さらにこの数値を高めていくためには、情報提供の仕方についても工夫が必要なのではないかと思います。
 そこで、水質に関する情報提供について、今後どのように工夫を重ねていくのか、どうされていこうとしているのかを伺います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 水質に関する情報提供は、水道水が安全であることをお客様にわかりやすく伝えることが重要であり、東京都水道事業運営戦略検討会議においても、水質の見える化を積極的に進めるべきとのご意見をいただいております。
 このため、当局独自のおいしさに関する水質目標に加えまして、お客様に安全性を理解していただくため、水質の安全度を一〇〇%で示した安全・安心の指標を提示し、お住まいの地域ごとに検索できるようにすることとしております。
 また、ホームページなどの表示を、従来の検査項目ごとの数値による水質検査結果に加えまして、お客様が水道水が高品質であることを一目で理解できるように、グラフや図を積極的に活用し、ビジュアル化するなどの工夫を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、水質データの見える化を図り、都民にわかりやすい形で情報提供してまいります。

○川松委員 ぜひお願いしたいと思います。
 ホームページまで来て、水質を調べたいという方、意識が高い方で関心が高いと思いますけれども、その人たちにさらに納得してもらえれば、ごらんになった皆さんが、また多くの都民の皆さんに伝えてくださるという可能性もありますので、ぜひさまざまな取り組みによって、わかりやすい情報提供がされていくということに期待をしたいと思います。
 安全・安心が高いレベルで担保されていることを新たな指標等を使って積極的に発信し、水道水の信頼性のさらなる向上に努めていただきたいと思いますが、その一方で、従前からの取り組みであるおいしさに関する水質目標については、おおむね目標を達成していると聞いておりますけれども、残留塩素だけがいまだに目標を達成できていないわけですね。
 残留塩素は、衛生上の観点から、法令で一リットル当たり〇・一ミリグラム以上とすることが定められていますが、浄水場から各家庭に水道水が届くまでの間に、時間とともに減少していく特徴があるということが知られています。そのため、都内全域で、この濃度を確保しつつ、おいしさの観点から都が掲げている独自の目標の一リットル当たり〇・四ミリグラム以下の範囲内で制御することは、ほかの項目に比べて難しいということは理解できるんですが、毎日のきめ細かな管理をしている中で、その達成率は、昨年度、八六・五%と、近年、これずっと頭打ちの数字が出ています。現状のこの取り組みのままだと、これ以上の改善が見られるか、疑問を感じているところであります。
 ここでお聞きしますけれども、残留塩素の目標達成に向けた今後の取り組みについて、どのようなことがあるのか、お聞きしたいと思います。

○尾根田浄水部長特命担当部長兼務 当局ではこれまでも、高度浄水処理や追加塩素設備の導入、老朽管の取りかえなど、残留塩素の低減化に向けて取り組んでまいりました。
 今後は、これらに加えまして、東京水道あんしん診断で得られたお客様宅での残留塩素濃度を、診断実施当時の水質状況や都内百三十一カ所に設置した自動水質計器の測定データなどとあわせて解析し、都内全域の残留塩素濃度の分布を把握いたします。
 この解析結果を踏まえまして、必要な箇所に自動水質計器をさらに設置することで、より厳密な管理につなげ、浄水場での塩素注入率のきめ細かな調整などを行い、残留塩素の低減化に努めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。
 この残留塩素というのは、安全性とおいしさの両方にかかわる項目でありまして、モニタリングするポイントをふやすなど、さらなる適正な管理により、より高品質で、本当に皆様方に選ばれる、喜ばれる水道水の提供を追求していただきたいということを要望いたします。
 さて、ここから、職員部長にお聞きしますけれども、水道局における人材育成について、これ、いろんなところでテーマにはなっていますが、きょうも改めてお聞きします。
 水道局がこれまで培ってきた技術を確実に次世代に引き継いでいくというのは非常に重要な課題であり、我が党はこれまでも、水道局の人材育成、技術継承のあり方について指摘をしてきました。
 一方で、現場での水道局職員の対応に問題があるとの事業者からの苦情が、引き続き、もうこの間も委員会でやったばかりですけど、最近もまた届いています。
 おととしに発覚した情報漏えい事故を初め、コンプライアンスに違反するような行為が、残念ながらこの水道局では起きてしまっている。
 こうした事故等が繰り返される背景には、技術の継承が十分になされておらず、職員が仕事の進め方を適切に理解していないことも要因の一つではないかと考えるんですが、水道局はこれまで、技術継承の取り組みが十分になされてきたと考えるのか、局の認識を伺いたいと思います。

○石井職員部長 まず、取り組みの状況ですけれども、水道事業を将来にわたり安定的に運営していくためには、組織を支える人材を育成していくことが極めて重要であるということはいうまでもありません。
 当局はこれまでも、こういった考え方に立って、人材育成及び技術継承に関するその取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、OJT計画書の策定による各職場での計画的なOJTを行うとともに、研修・開発センターの体験型研修施設を活用して、少人数での実践的な研修を数多く実施するなどの取り組みを推進してきております。
 また、ベテラン職員などの技術を映像化することにより、データベース化したナレッジバンクを構築し、現場でのOJTを支援してまいりました。
 さらに、都の人事制度等に基づき、計画的な配置管理を行うとともに、業務移転の状況に合わせ、局と政策連携団体の人材交流を順次拡大し、東京水道グループが一体となった人材育成を推進してきたつもりです。
 しかし、今、委員ご指摘のとおり、工事事業者との対応で一部課題が見られることやコンプライアンスに関する課題が発生しており、そういった意味では、現場実務、とりわけその技術継承が十分でないということも、そういった事例のトラブルのもとをたどっていくとあるのではないかなというふうに考えております。
 こうしたことから、技術継承に関する取り組みをより一層強化して、専門性に根差した質の高い人材を育成していくことが必要不可欠であると、認識をしているというよりは、私としてはもう痛感をしております。

○川松委員 対策は、表面的にはしてきている、実施しているというようなことはわかりますけれども、今、部長おっしゃったように、東京水道グループが、一体となった人材育成を推進してきたつもりだと、これがやっぱり現実的にでき上がっていないんじゃないかということが、局で起きているさまざまな問題につながっているんだろうと思います。まだまだ取り組みが不十分だということはいわざるを得ません。
 現場を支える技術を磨いて、次世代に引き継がなければ、今後、五十年先、百年先の水道事業は成り立ちません。
 一方で、技術継承の取り組みに当たっては、継承していくべき技術が何なのか、職員の中で共有されなければいけないと思いますけれども、じゃあこの技術って何なのか、はっきりしないまま、ふわっとした状態のまま来てしまって、継承のための取り組みも意味が深まってこないんじゃないかというふうな見方もあります。
 では、水道局では、この継承すべき技術をどのようなものとして考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○石井職員部長 当局ではこれまで、現場を中心に多様な技術を培ってまいりました。例えば、土木職の場合ということであれば、施設整備計画、管路等の設計や工事監督、漏水防止などの業務があって、その業務ごとにさまざまな知識やノウハウ等を蓄積しています。
 こうした局内の各業務における知識、ノウハウ等を総称したものが継承すべき技術であるというふうに認識をしているところです。
 一方、こうした継承すべき技術については、本庁から現場に至る全ての職員の間で共通の認識を持つことが重要であります。本庁と現場で認識にずれがあれば、それは工事業者さんやお客様にご迷惑のかかることになるわけですから、ここは必ず共通の認識を持つということが重要であるというふうに考えています。
 このため、現在、各現場が有する技術を体系化していく取り組みを進めており、今後、これらをOJTや研修等の指標として活用することを今検討しております。

○川松委員 今お話しされたように、現場を含めて、本庁の職員も含め、全ての皆さんが共通の理解に立って取り組みを進めるということはもう本当に大切なことであります。
 現在検討中ということでありますが、ぜひ着実に取り組んでいただきたいと思いますが、やはりこの水道というものは、二十四時間三百六十五日、普通に皆さんのところに届くというのが当たり前であって、何か事故があってはいけないと。その緊張感の中で、この都市生活において、全く欠かすことのできない、特に東京の水道局の使命というものをさらにここで重みを皆さん感じていただきたいと思います。
 そこで、今お話あったような内容をどのように継承していくのかという手法の話を伺っていきたいと思いますが、技術継承のための取り組みを進めるには、まず、現場の声をしっかりと聞いて、現場実態に即した対策を実施していくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○石井職員部長 技術継承の取り組みを効果的に進めていくためには、現場を含めた職員の声をきめ細かく把握する必要があると認識をしております。
 このため、当局では、本年六月から七月にかけて、全職員を対象にアンケートを実施しました。全体で二千六百九十四名から回答を受けております。
 アンケートの内容は、技術継承ができているか、あるいは人材育成を進めるために重要なものは何かといったことなど、十のテーマについて複数の選択制の設問と自由意見で聞いており、現場の声を適切に把握することができたと考えております。
 このアンケートで得られた職員の声については、今後の人材育成の取り組みに関する検討に着実に反映させていきたいと思っております。

○川松委員 職員アンケートを実施したということであります。さまざまな声が上がっていると思われますけれども、本年六月から七月にかけて全職員を対象にしたアンケートで、回答率が七一・六%、まず、そこから改善しないと、職員部長として、石井部長、何度も局一体となって取り組むといって、もうみんなで意識を高めていこうといった時点で、アンケートを、別に答えなくてもいいやと思っている職員がこんなにいること自体が問題なんですよ。そういうところから徹底していただいて、一〇〇%の声を聞くというか、当たり前の、皆さん、ほかの人が書いているのに、俺は関係ないやという人がいること自体が、私はこれ、水道局は危ないと思います。
 ただ、その出てきた中での職員の皆さんの現場の声というのは、傾聴すべき点も多々あると思いますので、その上で、さらに改善、どうしたらいいのか改革をしていっていただきたいと思いますけれども、この職員アンケートにおける職員の声などを踏まえて、局は、今後の人材育成に関して、どのような点に課題があると認識されたのか伺います。

○石井職員部長 まず、当局の人員構成が、十年前と比較すると、五十歳代の職員が三一%から二五%に減少する一方、二十歳代の職員が九%から一七%に増加しているという、まず、背景があります。
 このため、技術やノウハウを有するベテラン職員が減少する中で、将来の局の中核を担う若手職員の育成が課題であると認識をしております。
 また、今回の職員アンケートの結果ですけれども、この中で、技術継承ができているかとの質問に対して、どちらかといえばそう思わない、またはそう思わないと答えた職員が三割と高い数字になっています。やはり技術継承そのものについての課題があると、ここでかいま見られるわけです。
 これらの課題に対応していくためには、職員相互のコミュニケーションを充実させ、組織の活性化を図るとともに、OJTや研修等を通じて、個人の力量を伸ばしていくことが重要であるかというふうに考えております。

○川松委員 技術継承が課題だというのは、きのうきょういわれたことではないにもかかわらず、約三割の職員が技術の継承がうまくいっていないと認識している。これはゆゆしき事態だと思います。
 技術継承を進めるに当たり、さまざまな課題があると思いますが、これ、我が党ではこれまでも、管理職と一般職員の間の意識の差、本庁と事業所間の認識の隔たりといった観点から、局に課題があるということは再三指摘してきたわけですね。当たり前のことですが、職員同士や組織間のコミュニケーションが円滑になされ、個々の職員のモチベーションを上げて業務に取り組まなければ、幾ら研修やOJTをやったとしても実にならない、全く意味がないものだと思います。
 人材育成を真に意味のあるものとするには、風通しのよい職場づくりをし、皆で育て合う雰囲気をつくっていくことが必要だと思います。
 そのためには、各職場のリーダーとなる管理職や監督職の意識啓発が重要と考えますが、人材育成に当たっては、管理職や監督職を育成していくための取り組みをどう考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○石井職員部長 今回の職員アンケートでは、人材育成を進めるために重要なものは何かといった問いに対して、職場の雰囲気の醸成や職員の意識啓発と答えた職員が約四割を占めている。こういうことから、各職場において、人材育成を進めていくための機運醸成が重要であると考えております。
 このことを踏まえると、現場の核となる管理職や監督職のマネジメント力の一層の向上を図り、職場内のコミュニケーションを活性化させ、人を育てる意識を組織内に浸透させていく必要があると考えています。
 このため、今年度から実施をしている局内全ての課長級職員を対象としたマネジメント研修について、人材育成の視点をより充実させ、組織の司令塔である管理職みずからが率先して人材育成に取り組む意識を向上させてまいります。
 また、監督職につきましても、新たに局独自の研修を実施し、若手職員の直接の取りまとめ役として、職場内の円滑なコミュニケーションを図る能力を身につけさせていきたいと考えております。
 こうした取り組みを通じて、管理職及び監督職における組織運営力のさらなる向上を図ってまいります。

○川松委員 今お話ありました管理職、監督職というのは組織のかなめです。ぜひ意識改革に向けた取り組みをよろしくお願いいたします。
 一方、コミュニケーションについては、各職場の中の問題だけではない、もう何度もいいますが、本庁と事業所の間の意識の差があるのが課題なんですね。現場実態をよく理解せずに、本庁から一方的に事業所に指示をすると、現場のモチベーションも下がり、組織は疲弊してしまいます。本庁と事業所が綿密に意思疎通を図り、同じ方向を向いて取り組みを進めていくことで組織は活性化し、現場の職員の皆様の意欲も湧いてパフォーマンスが向上する。
 そうした組織風土にしていかないと、人材育成の取り組みは絵に描いた餅になるおそれがございますけれども、人材育成に当たっては、本庁、事業所間のコミュニケーションを活性化させるため、どのような取り組みをしていくべきなのか、見解を伺います。

○石井職員部長 今、委員のおっしゃられた、特にその本庁と事業所間のコミュニケーションの活性化が大事だということで、今月に入ってですけれども、和泉庁舎という永福町にある庁舎、これ水道局の幾つかの組織が入っているんですけれども、局長と一緒に訪問させていただいて、率直な意見交換というようなことをやってきました。
 局長から、本当にその生の声を届けてもらったということで、職員も喜んでいたということがありますので、実際その幹部職員が、現場に行く機会をこれからどんどんふやしていきたいというふうに考えています。
 ご答弁ですが、今回の職員アンケートでは、人材育成を進めるための課題は何かという問いに対して、本庁と事業所の意思の疎通と答えた職員が約三割を占めたことから、本庁と事業所間でのコミュニケーションを充実させて、相互理解を深めていくことが重要であるというふうに認識をしております。
 このため、局長を初めとする本庁幹部職員による事業所での意見交換や、各部と系列事業所による定期的な連絡会等を継続的に実施して、局事業や現場の課題を共有するとともに、現場の声をきめ細かく把握していく、これが重要だと思っています。
 さらに、今後、人材育成の所管部署である職員部が、現場の管理職と定期的な意見交換において、人材育成に関する現場での課題や取り組みのあり方等について綿密な議論を行い、課題を明らかにした上で、現場実態に即した取り組みの改善へとつなげていきたいと考えています。
 今後とも、本庁と事業所間の意思疎通を徹底させ、局を挙げて人材育成に取り組んでいくための機運醸成を図っていきたいと思っています。

○川松委員 今の最近の取り組み、実際に現場に行かれたというお話もありましたし、職員部としての強い思い、決意というのをお聞きしましたが、これは本庁と現場の共通理解に向けて、今後の取り組みに大きな期待を寄せたいと思います。
 繰り返しになりますが、組織におけるコミュニケーションの円滑化は極めて重要な問題です。ここをしっかりとやらなければ、水道局は変わらないと思います。ぜひ真剣になって取り組んでいただきたいと思いますが、一方で、技術継承を着実に進めていくには、先ほどからお話が出ているように、OJTや研修等、個々の職員を育成するための取り組みも重要です。
 こうした取り組みについて、職員の声を踏まえ、必要な改善や見直しを図っていく必要がありますが、局職員の技術継承に向け、OJTや研修等の取り組みの充実が重要であると、私は、今いったように考えていますけれども、局としてはどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○石井職員部長 OJTの取り組みに関して、今回の職員アンケートでは、先輩職員等の教え方がわかりづらいとの声が多数あり、また、個々の職員の裁量や感覚に委ねられているのでないかという声もありました。昔のように、俺の背中を見て育てというのはなかなか難しい時代に入っているんだろうと思います。
 このため、各職場の経験豊富な主任級の職員をOJTの推進役として位置づけるとともに、当該職員に対して、コーチング研修やふさわしい行動例の提示等を通じてサポートを行うことで、OJTをより組織的に進める体制を構築して、各職場でのOJTの取り組みを促進していきたいと考えております。
 また、研修に関して、今回の職員アンケートでは、体験型研修の充実を求める声が多数あり、また、理解度テスト等の実施により、職員の到達状況を把握すべきなどの声もありました。技術の進歩によって、漏水事故とか、ほかの事故とかも減っているものですから、なかなかそういった危機管理上の経験ができないという、そういう声もあったということです。
 このため、こういった声に対して、研修については、実技フィールドによる研修に加え、突発時の対応やヒヤリ・ハットを擬似的に体験できるVRを活用した研修を充実させるとともに、研修全般に関して、到達度の確認や効果測定を徹底し、継続的に研修内容を見直していくというように対応していきたいと思っています。

○川松委員 今いったようなことも、とにかく繰り返し繰り返しやる中で、自然と水道局の皆さん方の意識というのが、どんどんレベルが高まっていくんだと思いますけれども、今の前段の中で、先輩職員等の教え方がわかりづらいという声がありましたが、僕は今、石井部長がいったように、俺の背中を黙って見ろという職員がいっぱいいるだけじゃなくて、先ほどのホームページの件もそうですけど、丁寧にいろんなことを伝えようという根本的なものを、部署関係なく、水道局の中、お一人お一人の皆さん方が思いを持つことで、こういうことも改善されていくんじゃないかなと思いますが、これはもうとにかく大切なことでございますので、ぜひ力を入れていっていただきたいと思います。
 これまで、東京水道グループの中でも核となる水道局職員の人材育成の取り組みについて伺ってまいりました。局職員の育成ももちろん重要ですが、今後の業務移転ということを見据えますと、多くの現場を担っていくこととなる政策連携団体社員の育成は、これは、あわせて重要になっていきます。
 局、団体を含めた東京水道グループ全体で人材育成に取り組んでいかなければならないという、今、環境にあるわけですけれども、水道局と政策連携団体が連携し、東京水道グループ全体で人材育成の取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○石井職員部長 水道事業を円滑に進めていくためには、局はもとより、東京水道グループ全体で人材育成をしていくことが重要であります。
 このため、危機管理やコンプライアンスに関する局と団体の共同研修を実施するとともに、工事監督など局の技術系実務研修等への団体社員の受け入れを今行っているところです。
 また、局職員を団体へ派遣し、給水所等の点検、保守など、実際の現場作業を通じて、局職員から団体職員に対する指導も行っております。
 さらに、団体の若手社員を将来の幹部候補として育成していくために、これらの社員を局の企画部門等に受け入れ、政策形成過程や全体的な業務の流れを習得させているところです。
 一方、局及び団体の人員構成や今後の団体に対する業務移転を踏まえると、こうしたグループ全体での取り組みを一層加速させる必要があると認識をしております。
 今後とも、東京水道グループの共通する課題の理解促進はもとより、局が培ってきた技術やノウハウの継承、団体のマネジメント力の強化、グループの一体感醸成に向け、局と団体が連携した人材育成の取り組みを一層推進してまいります。
 先輩方が築いた、二十四時間水が出ることを当たり前にしてしまったという、この技術継承、これを、やはり我々は、次の百年に向けても確実に継いでいかないといけないというふうに考えておりますので、そういう思いでこの人材育成に取り組んでいきたいというふうに思っています。

○川松委員 一日二十四時間、三百六十五日、蛇口から水が出続けるということは、これはもう本当に当たり前のことなんですけれども、その中には、今いったように、歴史があったり、いろんな人たちがそこに汗を流しているからだということも、これ、利用者の皆さん方にも知っていただかなければいけないことだと思いますが、今、人材育成の視点で、局と団体がともに取り組んでいくということも、部長からの答弁、お話聞いてわかりましたけれども、技術を継承し、未来へつなげていくというのは、誰もが重要であると考えるのは当然の話です。その前提には、水道局や、この東京水道株式会社が求められているコンプライアンス遵守という課題もあるわけですね、根本的な部分で。
 水道局では、今までもさんざん話が出てきましたけれども、このコンプライアンス遵守という視点で取り組んできているわけですが、新会社としてスタートした東京水道では、社長以下コンプライアンス研修はしっかりやられているんでしょうか。企業統治に関する基本方針の中には、就任後三カ月以内に研修をやると書いてありますけれども、新会社ができて三カ月以上たちました。実際にこの研修をやられているのか、教えてください。

○石井職員部長 確かに、この企業統治に関する基本方針の第十五条のところに書いてあります。就任後三カ月以内にということでございますが、実際には、この十月からの実施になってしまっております。
 今、コロナ対策というのは、こういったアクリル板とか、少し離れてとかいうようなことで、ソーシャルディスタンスということでできていたのですが、当時、四月、五月あたりは、ステイホームの中で、企業もそんな感じになって、どうしたらいいんだというようなところで、ちょっとそこで動きがとまってしまったというのは事実でございます。
 それを挽回すべく、十月から、コーポレートガバナンスだの、財務関係だのといったところの取締役、社長も含めてですけれども、そういった企業上層部の研修を始めたところでございます。

○川松委員 コロナが理由、例えば、職員の皆さんが集まって、大人数で研修するときに、これコロナが理由というのはわかりますけど、この企業統治に関する基本方針というのは、取締役なんですよ。しかも、新会社の社長になった野田氏みずからが、自社が定めたルールにのっとって研修をやられていないこと自体がまず問題ですし、さらに、今いった十五条の中には、取締役に対するトレーニングに関する基本方針を別途定めるとあるんですけど、別途定めたことについて、ちゃんとトレーニングしているんですか。

○石井職員部長 別途定めたこのコーポレートガバナンスの関連とか、コンプライアンスの関連につきましては、当然、社の内部でもやっておりますけれども、私ども、局、株主としてもありますし、政策連携団体を所管する局としても、トップ同士の意見交換や、あるいはもろもろの会議といったものがありますので、その中で、今の情勢等を厳しく語りながら、ちゃんとやっているかどうかという確認をしておりますので、取締役については、そういう認識を持って業務に当たっていると考えております。

○川松委員 私は、ちゃんとやっているかどうかだけ聞いているんですけど、今の話だと、認識を持ってやっていると思うってことは、やっていないんじゃないですか。
 要は、事実として、会社でつくったルールなんだから、それに基づいて、社長以下、取締役の皆さんがやらないと、下の人たちだって、今いったように、風通しのいい文化だとか、みんなで一丸となってやっていきましょうよというときに、しかも管理職、監督職の話をしてきたわけですよ。水道局だろうが、これは政策連携団体だろうが、トップのリーダーたる者が、しっかりと襟を正して、みずからのルールに基づいて、コンプライアンス等の研修をして、先頭に立っていかなければ、私は、この新会社のあり方も先行き不透明だなといわざるを得ません。
 改めて、まとめますけれども、人材育成、技術継承は、息の長い取り組みが必要でありまして、一朝一夕にはなし得ることはできません。今後も、緊張感、スピード感を持って、取り組みを進めていっていただきたいと考えます。
 水道局における人材育成、技術継承の取り組み、これは、我が党自民党としても引き続き注視してまいります。
 皆さんの活躍、努力というものを期待して、質問を終わります。

○田村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時七分散会

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