委員長 | 伊藤しょうこう君 |
副委員長 | 田の上いくこ君 |
副委員長 | 山口 拓君 |
理事 | 大松あきら君 |
理事 | 河野ゆりえ君 |
平 慶翔君 | |
上田 令子君 | |
佐野いくお君 | |
中山ひろゆき君 | |
とくとめ道信君 | |
川松真一朗君 | |
長橋 桂一君 | |
鈴木 章浩君 |
欠席委員 一名
出席説明員交通局 | 局長 | 内藤 淳君 |
次長 | 久我 英男君 | |
総務部長 | 根木 義則君 | |
水道局 | 局長 | 浜 佳葉子君 |
技監 | 相場 淳司君 | |
理事総務部長事務取扱 | 岡安 雅人君 | |
職員部長 | 石井 英男君 | |
経理部長 | 金子 光博君 | |
経営改革推進担当部長 | 鈴木美奈子君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 鈴木 勝君 |
調整部長 | 小山 伸樹君 | |
施設部長 | 今井 滋君 | |
下水道局 | 局長 | 和賀井克夫君 |
技監 | 神山 守君 | |
総務部長 | 小林 忠雄君 | |
職員部長 | 白川 敦君 | |
経理部長 | 坂井 吉憲君 | |
計画調整部長 | 佐々木 健君 | |
施設管理部長 | 猪八重 勇君 | |
建設部長 | 青木 秀幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 福島 大起君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 矢岡 俊樹君 |
管理部長 | 後藤 徹也君 | |
技術部長 | 小団扇 浩君 |
本日の会議に付した事件
下水道局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・東京にふさわしい下水道施設運営手法のあり方について
水道局関係
報告事項(質疑)
・水道局所管政策連携団体におけるコンプライアンス確保について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○伊藤委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局及び水道局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより下水道局関係に入ります。
初めに、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言をお願いします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○伊藤委員長 次に、報告事項、東京にふさわしい下水道施設運営手法のあり方についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小林総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
表紙をおめくりいただきますと、目次がございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。施設運営手法の検討に関する調査費でございます。
平成三十年度から令和二年度までの施設運営手法の検討に関する調査費をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。区部のポンプ所及び水再生センターにおける民間委託状況でございます。
区部のポンプ所及び水再生センターにおける主な委託内容と過去二十年分の委託額をお示ししてございます。
三ページをごらんください。区部下水道事業における東京都下水道サービス株式会社への委託割合でございます。
区部下水道事業における東京都下水道サービス株式会社への委託割合を過去二十年分お示ししてございます。
四ページをお開き願います。多摩地域の水再生センターの委託状況でございます。
平成二十八年度から令和二年度までにおける多摩地域の水再生センターの施設管理業務委託の受託者をお示ししてございます。
五ページをごらんください。リスク分析の内容、プロセスについてでございます。
施設運営手法の検討にかかわるリスク分析の二つの視点とリスク項目をお示ししてございます。
六ページをお開き願います。施設運営手法に関する外部有識者からの意見聴取でございます。
意見聴取した外部有識者の選任理由、意見聴取の方法、氏名及び主な意見の内容等をお示ししてございます。
七ページをごらんください。区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の役割分担別職員構成と現員でございます。
区部の水再生センターにおける下水道局及び東京都下水道サービス株式会社の現員を、役割分担別、職種、雇用形態別にお示ししてございます。
八ページをお開き願います。施設運営手法の検討の契機と経過でございます。
施設運営手法の検討を行った契機と、これまでの経過をお示ししてございます。
九ページをごらんください。下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少及びこれらに係る財政的影響でございます。
平成二十九年度見える化改革報告書、下水道事業から、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少及びこれらにかかわる財政的影響の想定をお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。損益勘定留保資金の年度別実績額でございます。
損益勘定留保資金の実績額を過去十年分お示ししてございます。
一一ページをごらんください。平成二十九年度見える化改革報告書、下水道事業における区部下水道事業の収入、支出見込みでございます。
平成二十九年度見える化改革報告書、下水道事業における将来推計について、試算の条件並びに区部下水道事業の収入及び支出の見込み額を二十年分お示ししてございます。
一二ページをお開き願います。下水道局と東京都下水道サービス株式会社との一体的な事業運営体制による下水道サービスの効率的かつ安定的な提供でございます。
東京都下水道サービス株式会社の設立目的と役割、主な委託事業、局とTGSの職員数の推移をお示ししてございます。
一三ページをごらんください。運転管理の困難性の高さの詳細でございます。
民間事業者との意見交換における水再生センターの運転管理についての意見をお示ししてございます。
一四ページをお開き願います。豪雨時対応のリスク分担の課題の詳細でございます。
施設運営手法の検討において運営手法を比較した際の課題をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○佐野委員 それでは、下水道施設運営手法のあり方について、確認を含め、何点か質問をさせていただきます。
今回、安定性、経済性の確保や、技術力・技術開発力の維持向上の三つの視点から調査検討を行い、東京にふさわしい施設運営手法として一部の施設に包括委託を導入するという方針が示されました。
いうまでもなく、下水道は、都民の生活を支える不可欠なインフラであり、今後、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口の減少という三つの危機に直面する中で、施設をどのように運営していくのかということは極めて重要な問題と捉えています。
今回報告されました資料には、検討の経緯や背景、そして検討の手法、内容について簡潔にまとめられていると思いますが、改めて、具体的にどのような検討を行ってきたかについてお伺いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 施設運営手法の検討に当たっては、コンサルタント会社も活用しながら、他都市におけるコンセッションなどの施設運営手法の導入経緯、背景や運営主体、豪雨時等の対応などを把握するため、基礎調査を実施いたしました。
具体的には、パリ市など海外の主要都市三都市や、大阪市など国内の三都市の現地調査に加え、コンセッション事業やPPP、PFI事業経験を有する民間事業者九社にヒアリング調査を実施しております。
基礎調査の結果をもとに、豪雨時の運転管理など、東京下水道の特性や業務内容の分析、主な運営手法であるコンセッションと包括委託の比較、水再生センターの運転管理に関する困難度等の分析、運営主体として考えられる政策連携団体と民間事業者との比較など、さまざまな検討を行いました。
さらに、こうした検討プロセスや方向性について、外部有識者から意見を聴取し、最終的に一部の施設運営に包括委託を導入することといたしました。
○佐野委員 コンサルタント会社を活用するなどして、事例調査を含め、さまざまな調査と手法の比較、分析等を行ってきたのはわかりました。
こうした検討の結果として、一部包括委託の導入という方向性が示されたわけですけれども、もう少し詳しい説明といいますか、具体的には、手法として、コンセッションではなく包括委託とした具体的理由についてお伺いをいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京の水再生センターは、他都市に類を見ない、大規模かつ複雑にネットワーク化された施設でございます。
区部では、八十五カ所のポンプ所や十三の水再生センターを光ファイバー通信網で連結するとともに、送泥管により五つの汚泥処理プラントで集約処理を行うなど、ネットワークにより区部全域の下水道システムを一体的に管理しております。
これらの膨大な施設の改築更新について、ライフサイクルコストの最小化や事業の平準化を考慮しながら適切なタイミングで行うためには、下水道局が一体的に実施することが最適でございます。
下水道局ではこれまでも、全国に先駆けて、アセットマネジメント手法を活用した施設の再構築等の建設コストの縮減や、省エネルギー型機器の導入の維持管理コストの縮減などに取り組んでおり、こうした改築更新を局が実施していく場合、民間に委ねる業務範囲は限定的となり、民間事業者の創意工夫やノウハウの発揮の点において、コンセッションと包括委託は同等であると考えられます。
当局が、今後ICTやAIなど急速に進展する技術革新へ機動的に対応していくためにも、契約期間が二十年間程度と長期のコンセッションよりも、三年間から五年間の包括委託が適切であると評価いたしました。
○佐野委員 民間に委ねる業務範囲と施設の改築更新の関係や、機動的に対応しやすい契約期間などを踏まえ、包括委託が適しているということでありました。一定の理解はできました。
次に、リスク分析について伺いたいと思います。
報告では、施設の設置環境によるリスクと運転管理の困難性の二つの視点からリスク分析を実施し、リスクが小さい水再生センターにおける包括委託の導入について可能性を検討したとしています。
そこで、具体的にどのようにリスク分析を行ったのか、お伺いいたします。
○猪八重施設管理部長 リスク分析に当たりましては、国土交通省の下水道事業における公共施設等運営事業等の実施に関するガイドラインで示されておりますリスク項目等を参考にするとともに、浸水対策を担う下水道事業では、雨水ポンプ等の運転管理などで大きな責任が伴うことから、これらを総合的に勘案し、東京下水道としてのリスク項目を設定しております。
このうち、施設の設置環境によるリスクは、主に地形等による浸水件数や、水再生センター設備の老朽化度合いなどの基本的な施設特性に関するリスク項目でございまして、また、運転管理の困難性は、水再生センターがポンプ排水区に位置するかどうかや、雨水ポンプ台数の違いなど、豪雨時の運転管理に関するリスク項目でございます。
これらのリスク項目をもとに、比較的リスクが小さい水再生センターを抽出することについて検討いたしました。
○佐野委員 リスクについては、今回の検討の背景となった直面する三つの危機に加え、東京の下水道特有のシステム上のリスクなどがあり、その責任の範囲も検討課題であると理解をいたしました。
特に災害時のリスクについては、東日本大震災で被災した下水道施設の被害状況や復旧に至る調査、検証の報告書があります。また、国土交通省による災害時における下水の排除・処理に関する考え方などが示されております。
しかし、東京の下水道は、東部低地帯を抱え、システムの規模、人口や面積は東北の都市と比較にならないほど巨大で複雑なことを考えると、単純に当てはめることはできません。比較的リスクの小さい部分からの検討は妥当な判断ではないかと考えます。
次に、委託先について伺いたいと思います。
今回、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社、TGSと民間事業者を比較、分析し、区部の水再生センターでは民間事業者ではなくTGSが適当としていますが、運営主体の選定については特に慎重に検討すべき問題と考えます。
そこで、区部の包括委託先をTGSとした理由について具体的に伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 TGSは、昭和五十九年の設立以来、下水道局と相互の人材交流や受託業務を通じて、局と一体となって施設運営を行ってきました。
今回新たに委託する水処理施設の運転管理についても、これまで担ってきた設備機器の保全管理業務や一部の水質試験業務の受託などを通じて、その特性に精通し、高い技術力やノウハウを有しております。
また、TGSは東京都が五〇%を出資する政策連携団体であることから、その業務運営に対し、下水道局も主体的に関与することができ、豪雨時のリスクに対しても、局と密接に連携した対応が可能であると考えております。
一方で、民間事業者へのヒアリング調査では、都の水再生センターは施設規模が大きく、合流式が中心であることに加え、各施設がネットワーク化されていることから、運転管理の困難性が高く、豪雨時等に民間事業者だけで対応できる範囲は少ないといった意見が多数示されております。
こうした民間事業者の意見やこれまでの経緯等を踏まえ、区部の安定的な下水道サービスを引き続き提供するためには、委託先としてTGSが最も適切であると判断いたしました。
○佐野委員 区部については、委託先をTGSにするのが適当という判断には一定の理解をいたしました。
一方、多摩地域においては、委託先を民間事業者としていますが、多摩地域の包括委託先を民間事業者とした理由についてもお伺いをいたします。
○後藤管理部長 多摩地域においては、約八割が分流式で雨水ポンプを有しておらず、水再生センター稼働当初は流入量が少なく安定したことなどから、昭和四十六年の南多摩水再生センターの稼働を皮切りに、民間事業者に水再生センターの運転管理や保全管理などの維持管理業務を委託してきております。
具体的には、水再生センターごとに、競争入札によりまして、個々の業務に強みを持つ複数の民間事業者が共同企業体を組み、受注してまいりました。
これまで七つの水再生センターを順次稼働させていく中で、民間事業者はさまざまな経験やノウハウを蓄積してきました。今回さらなる効率化を図るため、包括委託を導入するに当たっては、局が培ってきた技術力を生かしながら、引き続き受注者を民間事業者とすることといたしました。
○佐野委員 多摩地域につきましては、私、小平市が地元で、市議会議員として十四年間、主に下水道の特別会計の予算や決算特別委員会などを通じまして、小平の下水道の事業内容やシステム、財政状況について関与してまいりました。今回の民間事業者への委託についても一定の理解はできるものでございます。
今後は、さらなる効率化による費用負担の軽減など、市長会の要望等にも応え得る管理運営に努めていただくことを要望しておきます。
次に、今回の検討に当たり、意見聴取を行った外部有識者についてお聞きいたします。
報告に当たっては、下水道に造詣の深い四名の外部有識者から意見を聴取したとのことですが、各有識者から、それぞれの専門分野や経験に基づいたさまざまな意見が出されたのではないかと思います。資料にも主な意見が箇条書きで示されています。
また、要求資料にもありますが、もう少し具体的に、どのような外部有識者からどのような意見があったのかをお伺いしたいと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 施設運営手法の比較、分析内容について、国や他自治体の事業運営等に関する検討委員の経験があるなど、下水道事業に関し知見を有する外部有識者四名に意見を伺いました。
都にふさわしい運営手法については、都市水システムが専門の東京大学の滝沢教授から、規模の大きい都がいきなりコンセッションを導入すると、災害時等のリスクがあり、非常に不安は大きい、まずは包括委託で経験を積み、民間に受け皿や準備ができた段階でもう一度考えるのが適当との意見をいただきました。
また、公共経済学が専門の一橋大学の山内特任教授から、下水道事業は努力すれば需要が伸びるわけではなく、かつ、都は規模の経済が既に働いているので、コンセッションの利点は都には当てはまらないという意見をいただきました。
さらに、運営主体については、交通経済論が専門の慶應義塾大学の田邉教授から、業務の受け手がいないので、最初はTGS、将来的には競争指向とすることも可能という意見に加え、環境科学が専門の一橋大学の大瀧教授などからは、委託先をTGSとするメリット等について説明をする必要があるという指摘をいただきました。
○佐野委員 外部有識者のそれぞれの知見に基づくさまざまなご意見は大変重要で、十分に参考にすべきだと思いますが、包括委託を導入するに当たっては、コスト面の検討も必要不可欠であると考えます。
そこで、包括委託によるコスト縮減について、どのように検討したのかについてお伺いをいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国土交通省のガイドラインをもとにコンサルタント会社が行った試算では、区部の水再生センターの水処理施設一施設を対象として包括委託を導入した場合、年額二千万円程度のコスト縮減となる見込みでございます。
○佐野委員 わかりました。
次に、具体的なスケジュールについて確認をさせていただきたいと思います。
今回の方針によれば、令和四年度から区部と多摩の水再生センターの各一施設に包括委託を導入し、その後、順次拡大を検討していくとしています。
そこで、今後、包括委託の導入を具体的にどのように進めていくのか、お伺いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後、令和四年度に包括委託を導入する区部及び多摩各一施設を選定してまいります。あわせて、包括委託とするための性能要件の設定や具体的な仕様内容の作成、リスク分担など、制度設計を進めてまいります。
導入後は、設定した性能要件の履行状況やコストメリットなど導入効果を検証し、対象施設の拡大を検討していく予定でございます。
○佐野委員 導入するとしています令和四年度までは、あと一年半しかありません。まずは具体的な導入施設の選定や準備をしっかりとしていただけるようにお願いをしておきます。
その後については、性能要件の履行状況やコストメリットなど、導入効果を検証した上で決めていくということですが、本来であれば、導入前に、リスク管理、費用対効果など、十分に比較検討した上での導入が望ましいと思われます。
しかし、これまで説明にありましたように、東京の下水道という複雑で大規模なシステムにおいては、例えば各種業務の効率化、人件費、資材費、諸経費などのスケールメリットの算定等、事前の詳細な設定が困難であることは、私も技術者の一人としてよく理解できます。したがって、導入しながら随時検証、そして、PDCAサイクルによる継続的に着実に進めていくことが極めて重要であります。
最後になりますが、都民生活や都市活動を支える下水道の将来像をどのように見据えているのか、局長の決意をお伺いできればと思います。
○和賀井下水道局長 下水道は、ふだんは決して目立たない、都市活動を支える重要なインフラでございます。
下水道サービス提供には膨大な投資が必要でございまして、競合相手が参入することはなかなか考えづらく、独占状態になりやすい業態であると考えております。
一方、一旦サービスが滞りますと、都民に甚大な被害が及びますので、それだけ責任は重いというふうに痛感をしているところでございます。
今回の運営形態の検討のきっかけとなりました三つの危機、施設の老朽化、豪雨対策、人口減少を考えますと、現在、多摩を除きまして、局がほぼ独占状態となっています水再生センターの運転管理におきましても、政策連携団体や民間事業者にも門戸を広げまして、競争原理を働かせることで、お互いに競い合い、下水道サービスの持続可能性、サービス水準の維持向上が図られると考えているところでございます。
また、コンセッションと包括委託を比較した場合、コンセッションで民間企業に参入していただくためには、先行事例にもあります二十年という長期にわたっておりますので、それでは現在の運営方法を場合によっては二十年続けるということになりかねず、新たな技術開発のインセンティブにはマイナスに働きかねないというふうに考えております。
そこで、当面の財政的メリットは、コンセッションには劣るかもしれませんが、長期に見れば、柔軟に新たな技術を取り入れ、契約更新のたびに運転方法の改善が可能な五年程度の包括委託の方が将来的にはメリットが多いのではないかというふうに考えたところでございます。
いずれにしましても、今後とも、下水道局として、さまざまな運営形態のもとでも水環境の維持、豪雨対策等、都民の生命、財産に直結する下水道サービスの安定供給に責任を持って取り組んでまいります。
○佐野委員 ありがとうございました。
これまで我が会派は、利用者に過度な負担を強いることなく、下水道事業が将来にわたって安定的に運営できるよう、不断の経営努力と運営手法の改善を求めてまいりました。
局長の答弁にありましたように、都民に安定した下水道サービスを提供し、都民生活の安全・安心を支えていくには、これから直面していく三つの危機にしっかり対応しなければなりません。
今回、一部の水処理施設に包括委託を導入するという報告がなされたわけですが、こうしたさまざまな工夫も凝らしながら、将来の財政需要に的確に対応していくためにも、今後、下水道事業の将来的な財政収支を示していくべきではないかと考えています。ぜひ検討していただくことを要望しておきます。
最後に、もう一点、要望を加えさせていただきたいと思います。
委託による分業化が進む中で忘れがちな取り組みと思われますが、下水道に対する都民の理解と共感を深める取り組みにぜひ力を入れてほしいということでございます。
経営計画二〇一六の多様なサービスの展開の六つ目には、東京下水道の応援団の獲得として下水道への理解を深める取り組みを掲げています。
私は、汚いもの、臭いものは水に流して、あとは知らないという社会に危機感を抱いています。自分たちのふん尿はどう処理されたのか知ること、関心を持っていただけることが下水道事業に欠かせないと確信をしています。
ちょっと長くなりますけれども、私は、ことし二月の一般質問でも申し上げましたが、アメリカの大学院で環境デザイン学部の修士論文、これには汚水の個別処理とデザインの研究ということで、トイレの歴史の分析やオンサイトでの汚水処理を生かした造園デザインというものを研究いたしました。日本では土壌浄化法という技術にかかわった経験もございます。
その論文の序文でございますけれども、子供のころ、埼玉の父の実家に夏休み泊まりに行くと、外に設置されたくみ取り式のトイレが、夜行くのが非常に怖かったとか、あるいは、そのふん尿が畑にまかれて自然の循環ができたことを序文に書きました。
江戸時代は、ふん尿は郊外の畑で有用に活用されていました。昭和初期まで、このふん尿を運ぶ専用の駅が、地元小平の西武線小平駅と花小金井の間にあったと聞いています。また、私の年がわかってしまいますが、私の子供のころは、東京でもくみ取り式が当たり前で、バキュームカーが市内を走るのをよく見かけたものです。都心では、船で運んで海に投棄する、そういうのが当たり前の時代でございました。ですから、現在の下水道、これが整備されたのは、この半世紀、ごく最近のことであります。
小平では、都市計画道路整備よりも下水道整備を優先して、平成六年に一〇〇%を達成しましたが、現在でも起債の返済や負担が続いています。
下水道は目に見えないところの投資なので、市民の理解がなかなか得られないという経験をしてまいりましたし、東京都でも同じでございます。一般の都民、特に若い世代は下水道が当たり前で、自分のふん尿は水に流して、あっという間に消えてしまいますから、この下水道のありがたみが実感できないのではないでしょうか。都が行った意識調査でも、若い世代の下水道への関心の低さが明らかになっています。
東京という大都市の大量の汚水と雨水を、地形の勾配、流域特性を生かして、網の目のように下水管でつなぎ、時にはその勾配も無視して、大量の電気を使って、バクテリアなどの生物の力によって浄化して海に流すという、複雑で巨大なシステムをつくり上げたわけでございます。
その基本は自然の循環システムであり、その運営は税と使用料です。それを負担する都民の理解が重要だということでございます。
都には、江東区有明に虹の下水道館があります。小平にもふれあい下水道館という施設がありまして、ここでは実際の下水道本管に入ることができますし、歴史やさまざまな技術を展示、微生物などの紹介もされています。家庭の油まじりの排水が管を詰まらせることになるなど、身近な問題もわかりやすく展示してあります。
こういう施設もぜひ活用しながら、都民の安心・安全を支えている下水道の理解を深める取り組みに、ぜひ力を入れていただけるようにお願いをして、私の質問を終わります。
○鈴木委員 私からも、新たなこの下水道施設運営手法のあり方について、幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
この施設運営の手法の検討というのは、二〇一二年以降、東京都の都政改革本部会議において幾度か検討されて、そしてまた、報告書もこれまで都議会に提出されております。
今回の下水道局の報告では、また改めてこの包括委託やコンセッションなど、新しい運営手法について検討して、その結果、今後、一部の水再生センターに包括委託を導入していくというふうにしております。
いわゆるPFI法の平成二十三年の改正によって、公共施設等へのコンセッションの導入が可能になった。そしてまた、平成三十年の水道法の改正によって、地方公共団体に水道事業の認可を残したままコンセッションの導入が可能になるなど、公営企業に対するコンセッションの導入に関する法整備が進んだことがゆえんではないかなというふうに思うわけですけれども、しかしながら、これまで下水道局は、この下水道施設の運営については、何度かの検討の中でも、局が主体となって担っていくという方針があったというふうに私は思っております。
その中で、今回新たな施設運営手法を検討したのは何なのか、そうした背景について、改めてお伺いしたいというふうに思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年十二月の都政改革本部会議において、見える化改革、下水道事業について報告いたしましたが、今後、下水道事業を取り巻く環境はより一層厳しくなることが予想されております。
具体的には、今後、二〇五〇年までの約三十年間で、法定耐用年数五十年を超えた下水道管が約七・六倍の約一万三千キロメートルに増加すると想定され、一時間五十ミリを超える豪雨回数は約一・三倍となることが推測されるなど、対策強化に要する事業費が増大いたします。
一方で、下水道料金収入は、二〇三〇年以降の人口減少に伴い、減少が見込まれております。
こうした背景のもと、東京下水道においても、将来にわたり安定的に事業を実施していくため、さらなる生産性向上やコスト縮減を目指し、民間の創意工夫やノウハウを活用することも視野に、コンセッションや包括委託など、新たな施設運営手法について検討することといたしました。
○鈴木委員 これまで、このインフラの延命というか、耐用年数を少しでも長くということで、いろんな取り組みをされてまいりました。
これまでの検討会議での報告の中でも、この老朽化するインフラの整備というものは大きな課題だったというふうに思います。
しかしながら、今、答弁がありましたように、さらに近年の自然災害、一時間五十ミリを超える豪雨の回数が一・三倍になったというような、そうした背景もある中で、私は、取り巻く環境や状況の変化によって、執行体制を不断に見直していくということは何よりも経営的に一番重要なことであるというふうにも思っておりますので、結果的に、最終的には、今回こういった結果になったわけですけれども、そうしたことを踏まえて、さらに新たなこの業務執行を行っていく中では、士気を高めるまた裏づけになったのではないかなというふうに思います。
その中で、今後、老朽化施設の再構築など事業費の増加が見込まれる一方で、収入の根幹である下水道料金も減少に転じるということであります。特に、この料金収入においては、ことしの上半期には、新型コロナウイルスの影響によってホテルやオフィスビルなどの大口の使用量が減って、大幅な減収となっていると聞いております。
こうした不測の事態もある中で、この東京のように下水道がほぼ普及している中においては、将来的に料金収入の増加は見込みづらいわけですので、長期的にますます下水道経営のかじ取りというのは確かに難しくなっているんだというふうに思います。
安定的な事業運営のため、さらなる生産性向上とかコスト削減を目指して、三年間にわたって施設運営手法について検討したということですけれども、今回導入するとした包括委託のメリットというのはどのようになっているのか、そして、今回比較したほかの手法とあわせて、メリット、デメリットについてお伺いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国土交通省の下水道事業における官民連携事業について等によれば、現在行っている業務委託は、一般的に個別業務を仕様で規定し単年度で発注することで、発注者側の管理がきき、安定的な業務の履行が期待できる反面、受託する側が保有する技術やノウハウの活用など、創意工夫を発揮する余地は少ないとされております。
包括委託は、複数の業務を性能で規定し、契約期間については三年から五年程度とするものであり、受託する側の創意工夫による技術力や経済性の発揮などが期待できるとされております。
コンセッションは、発注者が施設の所有権を保有したまま運営権を設定する方式で、一般的には二十年程度の長期契約となり、契約内容に施設の改築更新も含まれているため、運営権側の創意工夫の余地が包括委託よりも幅広く、経済性などの発揮が一層期待できるとされております。
一方で、発注する側のノウハウや技術の喪失、長期契約のための契約期間中における事業者の撤退などの予想外のリスク発生が懸念されている点に留意する必要があるとされております。
○鈴木委員 ただいまの答弁のように、当然ではありますけれども、直営も含め、それぞれの手法には、本当にメリット、そしてデメリットがあるわけです。その中で、この東京の下水道を取り巻く状況を踏まえて、どの手法が最適であるかを大局的に考えていかなければならない。
今回、このコンセッションは導入しないという方針であるわけですけれども、国が公共事業に対して、コンセッションの導入を法改正によって認められたことによって、コンセッションということがよく取り沙汰されるわけですけれども、このコンセッションについて少し伺いたいというふうに思います。
下水道事業へのコンセッション導入の事例としてよく引かれるのが浜松市だというふうに思います。今回の検討に当たっても、国内都市の一つとして現地調査を行ったというふうになっています。しかしながら、一言で下水道事業といっても、都市によって状況はさまざまでありまして、他都市で導入しているからといって、直ちに東京に当てはまるものではないということは当然だというふうに思います。
そこで、浜松市におけるコンセッションの導入の経緯、そして、東京下水道との違いについての認識をお伺いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浜松市においては、市町村合併に伴い、平成二十八年に静岡県から処理場等が移管されましたが、当時、市では、行政改革の一環として組織のスリム化に取り組んでおり、移管に伴い、施設の管理運営に従事する職員について大幅な増員は難しい状況にあったことなどから、市は、コンセッションを選択したとのことでございます。
導入した処理場は一施設であり、分流式の単独処理場でございます。なお、市内で稼働しているその他の処理場は、直営または業務委託等により運営されております。
一方で、東京都区部は約八割が合流式下水道のエリアとなっており、豪雨時等の運転管理の困難性が高く、また、施設規模が大きい上に、全処理施設をネットワーク化し、一体的に運営しているシステムとなっております。
○鈴木委員 結局、浜松市においては、コンセッションの導入というのは、静岡県から移管された一施設のみで、市内のその他の処理場は直営で、また業務委託で運営されているということだというふうに思います。
こういうことというのはしっかり踏まえていかないと、先ほどの有識者の会議でも、なぜ包括委託なのかというような、その説明責任を果たすべきだというふうな意見が付されておりましたけれども、やはりこういったことも下水道局としては、しっかりと都民にも、これからもこういった形で運営していくんだということを、ぜひもっと発信していただきたいなというふうに思います。
都と浜松市では、規模や雨水排除方式など、根本的なところが、状況が大きく異なっております。下水道施設をどう運営していくかということを検討するにおいては、将来に向けて都民サービスを安定的に提供していくために何が重要かということを考えることが何よりも大事だというふうに思います。
財政面を考えれば、経済性発揮の視点ももちろん大事なんですけれども、実際に都民にサービスを提供していくためには、下水道局が技術を持ち続けるという視点というのが何よりも欠かせないというふうに思います。
先日の我が会派の代表質問でも確認をさせていただいたんですけれども、包括委託を導入することによって、都から現場がなくなってしまう、そして、現在保有するこの技術力が継承されなくなるんだというような懸念が出されておりました。
将来、例えば豪雨災害とか有事の際に、東京都が現場対応力を失ってしまっては、民間事業者にお願いしないと何もできないというような状況になってしまうわけです。特に今回、区部では初めて運転管理を委託するということになるわけですけれども、昨年度の台風もまだ記憶が新しいところですけれども、これから激甚化していく豪雨に耐え得る、そうしたことが何よりも心配なことであります。
そこで、今後、下水道局は、この技術力をどのように確保していくのかということをお伺いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今般の方針により、豪雨時等の運転管理のリスクが比較的小さい水再生センターにおいては、三年間から五年間の包括委託を一部の施設に導入いたしまして、区部においては、政策連携団体であるTGSを委託先としております。
一方、区部のリスクが大きい水再生センターにおいては、局が引き続き直営で運営することで、局が有する技術を継承してまいります。
下水道局ではこれまでも、TGSとともに技術やノウハウを共有、蓄積することで、安定的な下水道サービスを提供しており、引き続き、多岐にわたる現場を局とTGSとが密接に連携して担い、東京下水道グループとして、技術力、技術開発力を一層向上させてまいります。
○鈴木委員 下水道施設の運営手法のあり方で、先ほども触れましたけれども、これまでも幾度となく検討して報告書も出されている、そうした中で一番の課題というのが、やはり技術力の確保なんですね。
やはりTGSを活用しながら、東京下水道グループの一翼として取り組んでいくということは、これまでも報告書に載っておりますけれども、大切なことであるというふうに私たちも思っておりますし、これからも経営効率を上げていくためにも、ますますの活用というのが必要になってくるんだろうというふうに思います。
しかしながら、ここで一番大事なのは、何度も触れますけれども、これはもう局が最終的には責任を果たす、そうした覚悟が必要だというふうに思います。
これから、リスクの大きいセンターは局が引き続き直営で運営して、リスクが比較的小さなセンターには包括委託を導入していくということで、区部の包括委託先はTGSとされているわけです。
そこで、このTGSは委託先としてふさわしい社内体制を有しているのか、また、局としてのガバナンスをどのようにきかせていくのか、これというのは、都民も素朴に思うわけですけれども、この区分についてお伺いいたします。
○小林総務部長 TGSにつきましては、昭和五十九年の設立以来、三十六年にわたりまして、下水道局との相互の人材交流や受託業務を通じまして、局と一体となって事業運営を担ってまいりました。
これまでTGSでは、内部監査の実施、内部通報制度におけます弁護士による社外通報窓口の整備、経営情報や契約情報にかかわる情報公開に努めてまいりましたほか、コンプライアンス推進委員会に外部有識者を追加して、社外からの客観的な意見を取り入れるなど、内部統制機能の強化、コンプライアンスの推進に取り組んでございます。
また、当局では、政策連携団体に対します経営目標評価制度により、TGSの経営状況等の適正な評価を行いますとともに、昨年度から新たにグループ経営会議を開催いたしまして、経営戦略や経営方針の共有化を図るなど、当局のガバナンスを強化してございます。
今後も、TGSとの一体的な事業運営を推進するに当たりましては、効率性に加え、公益性やサービスの質、経営の透明性など、さまざまな観点から、TGSに対しまして、引き続き適切な指導監督を行ってまいります。
○鈴木委員 本当に近年の豪雨において、この下水道局の皆さんのご努力というのは、都民の方々にも大分本当に伝わっているんだというふうに思います。
そうした中で、先ほどの質疑にもありましたけれども、下水道局が本当に都民のために、三百六十五日二十四時間、どのような形で都民サービスの向上のために取り組んでいるかということを発信していくということは、やはり本当に今後も大切な、力を入れていかなくてはいけないところだというふうに思います。
そしてまた、この経営体制、また、今回の施設の運営の体制についても、やはり、あり方ということについて、しっかりとこの部分も発信していっていただきたいなというふうに思います。
そして、TGSにおいても、下水道グループの一翼を担っているんだという認識の中で、皆さんと同じように、やはり都民サービスの向上というものが何よりも大きな課題だという中で、ともに取り組んでいただきたいというふうに思います。
TGSがこれまでも、下水道局と一体となって下水道サービスを提供してきたということは承知していることですけれども、水処理の運転管理を受託するのは今回初めてということになります。
そこで、例えば、万が一の際に、TGSを、いろんなことがある中で、どのようにバックアップをしていくのかということに対しても、しっかりと対応していくことが大事だというふうに思いますけれども、この件についてお伺いいたします。
○猪八重施設管理部長 TGSは東京都の政策連携団体でございますので、TGSの業務運営に対しましては、下水道局は主体的に関与することができるとともに、最終的には下水道局が責任を担うものでございます。
このため、水処理の運転管理を行う上で万が一の事態が生じた場合でも、東京下水道グループとして、人的、物的な支援を含め、支障のないようバックアップをしてまいります。
○鈴木委員 都民にとって、下水道局とTGSは一体である、そして、下水道局には、TGSをしっかりと指導監督、バックアップをしていっていただきたい、本当にそのようにお願いをさせていただきます。
区部においては、TGSに包括委託するということですけれども、多摩地域では、民間事業者が水再生センターの維持管理業務を受託してきたわけですけれども、この流域下水道の水再生センターが稼働してもう五十年以上経過して老朽化が進んでいる。
そして、都民の安全・安心な暮らしの確保に向けた適切な維持管理をしていかなくてはならないんですけれども、今回、流域下水道でも包括委託ということでありますけれども、多摩地域において、この包括委託を活用してどのように施設を運営していくのか、また改めてお伺いいたします。
○後藤管理部長 多摩地域におきましては、大部分が分流式で雨水ポンプを有しておらず、水再生センター稼働当初は流入量が少なく安定したことなどから、当初から、民間事業者に水再生センターの維持管理業務を委託してきております。
今後も継続的に民間事業者を委託先といたしますが、さらなる効率化を図るため、三年間から五年間の包括委託を一部の施設に導入することといたしました。
包括委託の導入に当たりましては、直営業務の技術力を継承しながら適切に指導監督してまいります。
また、老朽化対策や震災対策など、水再生センターの大規模な建設工事や改良工事などにつきましては、これまでどおり局が責任を持って実施してまいります。
○鈴木委員 多摩地域においても局が責任を持って実施していく、そういうような答弁でしたけれども、どのような手法でもって運営しても、一番大事なことというのは、都民の安全・安心な暮らしをしっかりと守っていくということであるというふうに思います。
そのためにも、この施設の再構築や浸水対策、そして震災対策など、都が責任を持って着実に進めていくことが重要であるわけですけれども、とりわけ喫緊の課題である豪雨対策、これについて今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
○佐々木計画調整部長 浸水対策は、都民の生命、財産を守り、都市機能を確保する重要な施策であり、これまでも着実に推進しております。
下水道局では、東京都豪雨対策基本方針に基づき、対策地区を重点化して施設整備を実施しており、具体的には、繰り返し浸水被害が発生している地域など、浸水の危険性が高い地区や大規模地下街など浸水被害の影響が大きい地区などを重点化し、幹線や貯留施設等の整備を進めております。
昨年十月の令和元年東日本台風の際には、区部の五十六カ所、総貯留量約六十万立方メートルの雨水貯留施設の約六割まで貯留するとともに、七十カ所の雨水ポンプ施設を適切に運転することで、浸水被害の軽減に貢献いたしました。
引き続き、責任を持って浸水対策を積極的に進め、その機能を十全に発揮することで、安全・安心な東京の実現に貢献してまいります。
○鈴木委員 今後も災害は本当にふえていく中で、気候変動に伴う豪雨災害、また、近い将来発生するといわれている大規模地震などにも備えていく必要があるというふうに思います。
繰り返しになりますけれども、都民の安全、そして安心な暮らしをしっかりと守っていくことを第一に考え、こうした事態に備えた取り組みもしっかりと進めていただきたいなというふうに思います。
また、下水道施設は、日々の都民生活に欠かせない公共性の高いインフラであるわけです。公営企業であることを踏まえて、引き続き下水道事業を安定的に運営し、都民サービスの向上をより一層図っていくためにも、不断の経営努力を続けていっていただきたいというふうに思います。
最後に、今回示した新たな施設運営の方針も踏まえまして、今後の事業運営に向けた局長の決意をもって、私の質問を終わります。
○和賀井下水道局長 本日、ご議論いただいています運営形態の検討のきっかけとなりました三つの危機を考えたときに、やはり施設更新に莫大な財源が必要になるということ、その一方で、人口減少によってこれまでのような収入を見込めないという財政問題が、一番最初に頭に浮かぶというふうに思いますけれども、同時に、今後の人口減少によって、委員からもご指摘もありましたように、技術継承を含みます下水道サービスの担い手不足というのも非常に大きな問題になってくるというふうに考えております。
そのような視点で今後の下水道サービスの提供方法を考えると、財源と人材の不足、双方を解決するのは、委託等によります経費節減だけではなくて、ICTやAIを活用して新たな技術を、局、TGS、民間企業で競い合って開発して、少ない人数でもサービスの水準を下げることのないよう省力化を進めていくという必要があるんだろうというふうに考えております。
人材不足の問題は、日本全体が人口減少に突入しております。この一年で五十万減ったという報告も聞いておりますけれども、この問題は他の自治体や民間企業でも同じだと思いまして、今後、今と同じような人数で確保し続けられるという保証は全くないというふうに考えております。
都におきましても、省力化ができますこういう技術開発が成功すれば、都民への下水道サービスの維持向上はもとより、全国の下水道サービスの持続可能性にも貢献できるものというふうに確信しておりまして、局一丸となって取り組んでまいります。
○長橋委員 私からも、東京にふさわしい下水道施設運営手法のあり方、これについて何点か質問、確認をさせていただきたいと思います。
この運営手法のあり方については、ご案内のとおり三年前、二〇一七年十二月に都政改革本部で示された見える化改革、その中で下水道事業の直面する課題というのが議論されたわけであります。そこに大きな課題が三つ示されましたわけであります。そこには、二〇二〇年以降、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少の三つの危機、既にもう二〇一七年の時点で、ある面では、老朽化の問題とか豪雨対策の問題は下水道局でも、私も何回も議論したわけでありますが、改めて、この三つが課題だということであります。
この三つの危機に対して、下水道局は、改めてどう分析をして対応していくのか、まず伺いたいと思います。
○佐々木計画調整部長 委員ご指摘の三つの危機の一点目、下水道管の老朽化につきましては、法定耐用年数である五十年を経過した下水道管が、今後一斉に増加する見込みでございます。そのため、老朽化対策にあわせ、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを効率的に行う下水道管の再構築を、ライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメントの手法を活用し、計画的、効率的に実施しております。
また、豪雨回数の増加に対しましては、区部全域で時間五十ミリ降雨に対応する施設整備を基本とし、早期に浸水を軽減するため、地区を重点化し、施設整備を実施しております。
また、浸水被害の影響が大きい大規模地下街や甚大な浸水被害が発生している地区において、整備水準を七十五ミリにレベルアップした対策を推進しております。
さらに、三点目でございます、二〇三〇年以降の人口減少に伴い、下水道料金収入が減少する見込みとなっており、これらに対応していくため、さらなる生産性の向上やコスト縮減を目指し、民間の創意工夫やノウハウを活用することも視野に、コンセッションや包括委託など、新たな施設運営手法について検討することといたしました。
○長橋委員 今ご答弁いただきましたけれども、いわゆる今までどういう対応をしてきたのかと、こういうご答弁だったと思います。
人口減少は今、東京都もまだ横ばいといいますか、二〇三〇年以降はもう明らかに人口減少ということで、その対応は本当に下水道局としても急がなきゃいけない対応だと思います。
また、豪雨対策、私もこの委員会でたびたび取り上げましたけれども、市街地での七十五ミリ対応、これも豪雨の激甚化に伴ってスタートしたということでありまして、私の地元でもその事業が今、進められているんですけれども、完成までにはまだ相当時間を要するというふうに思っております。
一方で、この二〇一七年十二月に、見える化、都政改革本部でこの課題があったわけでありますが、翌年の二〇一八年三月には、東京都は、見せる化アクションプラン、これを策定したわけでありまして、私もそのときに質疑をさせていただいたんですけれども、そのときの答弁が、下水道の普及は達成しましたと。区部は一〇〇%、多摩も九八%、ほぼ達成したと。今度は何といっているかというと、これまでの見える化から、より積極的に、施設や事業強化につきまして見せる化するためのメニューを整理いたしまして取り組んでいきますと、こういうことでありまして、どちらかというと、下水道局の事業がなかなか都民の皆様にも広報し切れていないのか、また、理解が進んでいないのか、こういうことだったと思います。
この二〇一八年三月にアクションプランを、そして、整理をして云々と、こういうことでございますので、ここで、下水道の役割は何なのか、それから、下水道施設の重要性は何なのか、どのように都民に広報してきたのか、伺いたいと思います。
○小林総務部長 下水道は、都民の暮らしにとりまして、今やあって当たり前となり、浸水からまちを守るという下水道の重要な役割につきまして認知度が低い傾向にございます。
そこで、下水道局では、今お話ございましたが、東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八に基づきまして、雨水貯留施設のメディア公開や浸水対策工事現場の見学会を実施いたしますほか、地下の貯留管などをVR技術により映像化いたしまして、イベントなどで気軽に施設見学を擬似的に体験できる取り組みを実施してございます。
また、東京アメッシュを活用いたしまして、浸水への備えに役立つ降雨情報を配信いたしますほか、SNSや各種広報誌などにおけますPRを通じて、都民に広く情報を発信してございます。
引き続き、都民に下水道事業への理解を深めていただけますよう、広報活動を積極的に進めてまいります。
○長橋委員 見せる化の事業についてご説明いただいたわけでありますけれども、このとき議論したのは、やはり下水道局として、都民の皆様には、浸水被害の恐ろしさであるとか、豪雨災害の恐ろしさ、これをどう伝えていくのかということが重要じゃないかと申し上げさせていただいたわけでありますが、一方で、見学会、今は中止、やっていないんですかね、できない状況でありますし、そういう意味でいうと、一方で、東京アメッシュ、これなんか私もこの委員会で何回もやりましたけれども、アメッシュは非常に私も活用させていただいておりますが、これはすばらしいと思うんですけれども、やはり大事なのは災害時の対応、下水道局は大きなリスク、また役割を持っているわけでありますから、それに取り組んでいただきたいと、こういうふうに思っております。
その上で、一方で、見える化改革の報告でもう一つは、下水道事業の維持管理費の増大が大きな課題になっている、縮減が必要だ、このようにいわれているわけであります。
下水道事業の維持管理業務が、当時では、それが今、下水道局の大事な業務の中心だけれども、そこで、現在の委託方法ではそのコスト縮減はもう限界に来ているんだと、このように指摘をされているわけでございます。
そこで、このコスト縮減、これもまた重要な下水道局の役割だと思いますけれども、その取り組みと、また、どういう方向性で持っていくのか、お伺いをしたいと思います。
○小林総務部長 下水道局はこれまでも、建設から維持管理までのトータルコストを縮減する観点から、省エネルギー型の汚泥濃縮機や汚泥脱水機の導入など、さまざまなコスト縮減を図ってまいりました。
今後とも、安定的に下水道事業を運営していくため、これまで培ってまいりました知識や経験を活用しながら、新しい技術の開発等によりまして、さらなるコスト縮減に取り組みますとともに、ICTやAIを活用した自動運転などの次世代の下水道システムの構築を目指していくなど、一層の維持管理費の縮減に努めてまいります。
○長橋委員 ICTやAIを活用してということで、次世代の下水道システムの構築を目指していくと、こういうふうにご答弁していただきましたが、一方で、今までのコスト縮減、私は、コスト縮減ということで、今の技術力といいますか、また、ICT、AI、こういうことも活用していくのは、ある面ではもう当然の流れだと思います。だけれども、新しい、新しい方法で縮減を図っていくということが今、求められているのではなかろうかと思うわけであります。
そこで、今回の報告書の中で示されているのは、現状の下水道局とTGSの役割分担を見直しして、区部及び多摩の水再生センターを対象に運営手法の調査検討をするというふうに、コスト縮減の目玉をここに置いたわけでありますけれども、その水再生センター、この運営手法の役割分担、これを見直す、この理由についてお伺いをしたいと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二〇一七年の見える化改革報告では、将来にわたり安定的に事業を実施していくために、さらなる生産性の向上に取り組む必要があることから、包括委託やコンセッションなどの新たな施設運営手法について検討を行うことといたしました。
包括委託やコンセッションなどの検討に当たり、一般的に民間の創意工夫の余地が比較的大きいとされる水再生センターの運転管理を、施設運営手法の調査検討の対象としたものでございます。
○長橋委員 今まで下水道局が担ってきたものに対して、新たな委託の方法として、下水道局にもしっかりと役割を担っていただくと、こういうことでありますけれども、この報告書を見ますと、民間事業者との意見交換というのが出ています。
これを見ますと、民間事業者と本当に技術力のあるPPPだとかPFI、そうしたことの経験のある事業者と意見交換をしたけれども、この報告書の中では、民間事業者が対応できる範囲はやはり少ないというのが大きな意見であったと思いますし、また、この業務分析では、やはり豪雨での運転の管理は大きいのでリスクと責任が伴うことと、施設の運営、改築更新は一体的に管理が必要だということで、そう考えると、まだまだ民間の事業者にそこまで--そこまでといいますか、それを考えているんでしょうけれども、そのリスクが非常に重たいということがいわれているんじゃなかろうかと思うわけであります。
運営手法でも、長期にわたるコンセッションよりは、三年から五年の包括委託が望ましいと書いているわけでありますけれども、そういう意味でいうと、民間の事業者に包括委託をお願いするといいますか、包括委託をやっていただくということでありますけれども、本当に、ある面では民間事業者が安心して、また、都民からすると、いざ災害のときに本当に大丈夫なんだろうか、災害のときに大丈夫なのかと、さっきも議論ちょっとありましたけれども、そう思うわけであります。
やはり、民間事業者の選定、これをどうしていくのかというのが、今までは下水道局の一部をやってきたわけですから、TGSも、それを包括委託するということは大きな転換であると思いますけれども、その中でも特に民間事業者の選定、これをどういうふうに行うのか、伺いたいと思います。
○後藤管理部長 現在、多摩地域の水再生センターにおきましては施設管理業務委託をしておりまして、具体的な作業内容を明示した仕様発注によります単年度契約で契約しております。事業者の選定につきましては、競争入札により受託者を決定しているところでございます。
令和四年度から導入いたします包括委託は、民間事業者に対しまして局が求める水準を規定し、これを達成する手段や方法は民間に任せる性能発注かつ複数年契約とすることから、国土交通省の性能発注の考え方に基づく民間委託のためのガイドラインなどを踏まえまして、金額だけではなく、技術、能力も評価できる選定方法の導入につきまして検討を開始しているところでございます。
○長橋委員 今の、民間事業者をどう選定するのか、これも今までは競争入札でこの業者を選定してきたことに対して、今度は局が求める水準を規定すると。国交省のガイドラインもあるし、また、金額だけでなく、技術、能力も評価できる選定方法と、こういっているんですけれども、ここがちょっとよくわからない。局が求める水準というのはどういう方向なのか。
これから検討するということだと思いますけど、やはり、こういうふうに踏み切るわけでありますから、民間に求める局の水準というのはどういう方向なのか、これから検討するということはわかっていますけれども、ご答弁をいただきたいと思います。
○小団扇技術部長 水再生センターは、水環境の向上に貢献するため、良好な処理水質を確保するなどの役割を担っております。包括委託後につきましてもこの役割は変わりません。
これを確保するため、局は、下水処理後の放流水質など、民間事業者が守るべき水準を規定いたします。具体的な水準につきましては、選定方法とあわせて検討してまいります。
○長橋委員 これから検討するという答弁なので、わかりましたけれども、民間事業者が、やはり下水道局の役割を考えると、ぜひ民間の技術力も生かして挑戦をしたいというところもあると思いますから、しっかりとこの検討を進めていただきたいと思います。
その上で、もう一方で、この委託を順次拡大していくと、このように記載されているわけでありまして、なおかつ、その順次拡大という意味は、私からすると、今は多摩と区部と、それぞれTGSと民間ということから始まるんでしょうけれども、順次拡大していく、このようになってくると、それがふえるのではなかろうかというふうに思うわけであります。一カ所ずつだったのが二カ所ずつになるのかわかりませんけれども、それも今、含めて、まずは一カ所ずつやって検討するということだろうと思います。
その場合に、先ほども議論ありましたけれども、やはり大きなリスクを伴う場合にどうこれに対応していくのか、災害時の対応をどうしていくのか、しっかりと答弁をいただきたいと思います。
○佐々木計画調整部長 令和四年度から、区部及び多摩それぞれ一施設に包括委託を導入した後、設定した性能要件の履行状況やコストメリットなど導入効果を検証し、対象施設の拡大を検討していく予定でございます。
委員からお話のありました包括委託を導入する水再生センターにおける災害時の対応につきましては、具体的な仕様内容において対応を定めてまいりますが、最終的には下水道局が責任を担うものであり、必要な措置を局として実施してまいります。
○長橋委員 きょうはもうご答弁いいんですけど、拡大していくと。順次、対象施設の拡大を検討していく予定だと。ですけれども、まずは、この大きく下水道局としての役割を、TGSと、それから民間と一緒になっていこうと、共有していこうということでありますから、まず、ここをしっかりと検証した上で、将来の人口減少も踏まえてこういうことは出されているわけなので、まずはモデルといいますか、しっかりと検証していただきたいと思います。
その上で、もう一つ課題なのは、今回のこの運営手法のあり方の中で、私は最も大きな課題だと思っているのは、人材の確保と、そして技術の継承。先ほども技術の継承については質疑がありましたけれども、技術の継承をしていくには、それを担う人材の確保が必要であります。人口減少していく中で、ましてや下水道局という、なかなか、何といいますかね、どう魅力を発揮していくのか、下水道事業にぜひ携わっていきたいという今の若い人たちにもそうした魅力を発揮していくことが必要だと思います。
そこで、人材の確保と技術の継承、これは一体だと思いますけれども、ご答弁をいただきたいと思います。
○白川職員部長 下水道事業の安定的な運営に当たりましては、これまで、下水道事業を担う局、政策連携団体であるTGS及び豊富な現場経験を有する民間事業者、これら三者が連携をいたしまして、人材の確保や技術の継承を進めてまいりました。
そのため、下水道局では、下水道局技術継承検討委員会を設置し、技術継承を局の主要な事業の一つとして位置づけ、局職員が一丸となって取り組んでいるところでございます。
また、下水道技術実習センターを活用し、TGSや民間事業者の技術者を対象に、連携してさまざまな研修を実施してまいりました。
今後とも、下水道事業を支える人材の育成に努めてまいります。
○長橋委員 今、私は、人材の確保と技術の継承、これは一体だと。今ご答弁は、技術の継承、これは下水道技術実習センターを活用して、TGSだけじゃなくて民間事業者の技術者も対象に継承していくと、これはもう大変重要であります。
一方で、人材の確保、これから人口減少の中でどう確保していくのか、ぜひ下水道局で仕事をしたいと、下水道事業をしたいということについて、見せる化という、前に質問やりましたけれども、今のご答弁では、技術の継承はわかるけれども、人材の確保、これはちょっとしっかりとしていかなきゃいかぬと思いますので、まさに変わり目でございますので、改めてちょっとそこら辺についてどう考えているのか、伺いたいと思います。
○白川職員部長 これまでも、大学生を対象にしたキャリアセミナーですとか都庁セミナーにおきまして、下水道事業の大切さ、下水道の技術者の担い手の確保につきまして、さまざまな観点から取り組んでいるところでございます。
その際にも、TGSや民間事業者と連携して、さまざまな機会を捉えましてPRを図って、人材の確保にも努めてまいりたいと、こう思っております。
○長橋委員 別に下水道局のみならず、まさに人材の確保というのがこれからの大きな課題だと思いますし、それをしっかりと育成していくということを考えると、下水道局の使命、ほかの局ももちろんそうでありますけれども、重要な使命があると思って取り組んでいただきたいと思います。
それでは、私もこの質問の最後の方なんですけれども、今回の定例会で、デジタルファースト条例、これが成立をするという予定でなっているわけでありますけれども、私は二定で久しぶりに質問に立ちまして、都政のデジタル化をどうするのか、こういうことを質問いたしましたら、知事答弁で小池知事が検討すると、こういう答弁をいただいたわけであります。そして、そのときに、同じく都政改革本部で、行政手続全体の九八%を占める主要な手続のデジタル化に来年度までに二年間で取り組む、集中的に取り組むと、こういうふうに答弁いただいたわけであります。
ご案内のとおり、国も、総理がかわってデジタル庁を創設する、デジタル化を優先してといいますか、急いでやっていくと、こういうことでありますので、なおかつ、二定での質問では、政策連携団体とも共有していくと、こういうふうに答弁いただいたわけであります。
まさに今後、下水道局と、そして、政策連携団体であるTGSと共有しながらデジタル化を進めていくということでありますけれども、この下水道局のデジタル化の取り組みについて伺いたいと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道局では、本年七月に行政手続のデジタル化推進PTを設置し、仕事の進め方、働き方改革の視点も踏まえ、事務の効率化など各行政手続の見直し、改善を進めております。
推進に当たっては、宅地内の下水を公共下水道へ流すための排水設備の設置工事をする際の届け出など七手続を中心に、政策連携団体でありますTGSとも一体となって、ウイズコロナの観点から、非対面で受理できる仕組みを早期に実現するとともに、受理後の審査等の内部事務についても、定型的業務のデジタル化など、一層の効率化を推進してまいります。
○長橋委員 本年七月に、最近ですね、推進PTを設置してやっていくと。中身は、届け出などの七手続についてやっていくということでありますので、話題になっている判こレス、これはもう下水道局だけのものじゃありませんけれども、国もこれを挙げて進めていこうとなっていますけれども、判こレスについては、お役所の仕事となると、どうしてもそれがなってくるわけで、これが大きく変わってくるというのも大きな問題だと思います。
また、今ご答弁ありましたけど、政策連携団体であるTGSとも一体となってやっていくと。デジタル化の問題は、お役所の問題もありますけど、民間との役割分担の中で、民間に対してどう説明していくのかと考えると、役所だけ変わればいいというわけじゃなくて、特に下水道局は包括委託で民間ともやっていくというわけでありますから、この判こレスの問題とデジタル化、民間ともどういうふうに共有していくのか、あわせて答弁を伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 行政手続のデジタル化を推進するに当たっては、都民の利便性の向上の観点からも、申請時に必要な押印についても検証し、判こレスにも積極的に取り組んでまいります。もちろんTGSとも一緒になってやっていきますので、よろしくお願いします。
○長橋委員 下水道局も判こレスに取り組んでいくという明快な答弁がありました。
最後に、局長にお伺いをしようと思っておりますけれども、今、SDGs、この取り組みが話題になっているわけでありまして、私もきょうそのバッジをつけさせてもらっておりますけれども、私の地元豊島区は、SDGs未来都市に選定されたんですね。
ご案内のとおり、SDGsというのは十七の取り組み目標、持続可能な社会を目指していく。貧困の問題とか教育の問題とかあります。もちろん環境の問題もあるわけでありまして、当然、下水道局も取り組んでいこうとの項目に入っているんだろうと思いますし、これを二〇三〇年までに達成していこう、こういうことになっておりますが、先ほども申し上げた豊島区が、全国七十七申請あった中で東京で唯一選定されたと。なおかつ、モデル自治体にも選定された、ダブルで選定されたんです。そうすると、今後、私の地元豊島区は、SDGsをしっかりと区として取り組んでいく、これをまた広く都内、全国、世界中に発信していくという役割も担っているわけであります。
実は、豊島区は以前、消滅可能性都市といわれたときがあって、大変な、豊島区としては大きな課題を背負ったわけでありますけれども、今は、国際アートカルチャー都市を目指していこう、こういうことで、そういうことが、豊島区の取り組みが評価されて選定されたというふうに聞いております。
あわせて、下水道局もこのSDGsに対して、しっかりと取り組んでいかなきゃいけないと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
○和賀井下水道局長 SDGsは、先生お話しのとおり、十七の目標で構成されておりまして、当局の事業に関連する事項も数多くございます。中でも、六番の安全な水とトイレを世界中に、十一番の住み続けられるまちづくりを、十四番の海の豊かさを守ろうの三項目は、下水道の基本的な役割でございます汚水の処理による生活環境の改善、雨水の排除による浸水被害の防除、公共用水域の水質保全と密接に関係しておりまして、まさに当局の事業目標そのものであるというふうに考えております。
東京の下水道は、明治時代に流行しましたコレラ対策を初め、公衆衛生の確保を主な目的としまして、欧米の技術を参考に整備が進められました。その後、浸水対策ですとか高度処理など、時代時代の要請に応えるため、さまざまな課題に対し、高い技術力を持って事業を進め、都民生活と首都東京の都市活動を支えております。
例えば、下水を流しながら、また、道路を掘削することもなく管渠をリニューアルできるSPR工法を、局、TGS、民間事業者と共同で開発し、現在、日本全国のみならず、海外でも採用されてございます。
今後とも、新たな施設運営手法のもとで、ICT、AIを活用した自動運転など、次世代の下水道システムの構築を目指し、東京の下水道の技術力を一層向上させ、持続可能な都市東京の実現に貢献してまいります。
○長橋委員 局長、ありがとうございました。局長から、TGS、下水道局の役割は多々あるということであります。ぜひ、日本のモデルとして、下水道局の事業が、世界中含めてモデルになるよう取り組んでいただきたいと思います。
さらには、この下水道の問題がほかの国では大きな課題になっているところもありますから、さらに日本、東京だけではなくて、世界にもその技術力をしっかりと伝えていただきたい、お願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○とくとめ委員 まず最初に、要求資料の提出、ありがとうございました。
それでは質問させていただきます。
公営企業としての東京下水道事業の果たすべき役割は、地方公営企業法が明記しているように、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するよう運営する責任があります。これは職員の皆さんにとっては周知のことだと思いますけれども、下水道の仕事の原点ではないかと思います。汚水の処理、雨水の排除など、浸水対策や公共用水域の水質保全など、衛生的で快適に暮らすことができるような環境を全ての都民に提供する重要な役割を担っているのが下水道局ではないでしょうか。だからこそ、さまざまな改革に取り組むときにも、都民の利益を守り、都民目線を踏まえた立場が不可欠ではないかと思います。
この間の改革論、その具体化には、その観点が著しく欠落しているような気がします。そのことを踏まえて質問いたします。
まず、最近の巨大台風や集中豪雨、首都直下地震の可能性など自然災害の頻発化、甚大化の中で、下水道事業にとって災害対策がますます重要になっています。
こうした中で、下水道局の役割の重大性をどのように認識し、首都の下水道事業の維持発展、災害対策の強化に取り組んでいくのですか、局の基本姿勢について伺います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京の下水道は、都民の生活と東京の都市活動を支える重要なインフラであると認識しております。
今後も下水道サービスを永続的に提供していくため、施設の再構築や豪雨対策のレベルアップなどについても積極的に取り組んでまいります。
○とくとめ委員 豪雨対策のレベルアップなどについても積極的に取り組むというのは重要なことです。また、昨年の台風十九号の経験でも、災害対策というのは、都の建設局や国、区市町村などとの連携も大変重要だと思います。
こうしたもと、小池知事の見える化改革で、二〇一七年十二月に、水再生センターの維持管理業務等について、包括的民間委託やコンセッション方式などの新たな運営手法の検討を進めるとの方針が示されました。
下水道局で検討を進めた結果、今回、包括委託を導入するという方向が示されました。二〇二二年度から、区部は政策連携団体であるTGS、多摩地域は民間事業者に、一カ所ずつ包括委託し、順次拡大するというふうになっています。
私たちは、国が旗を振って推進しているコンセッション方式については、公共事業、公営事業としては大きな問題があり、反対することを繰り返しこの委員会でも述べてまいりました。コンセッション方式とならなかったことはひとまずよかったと思いますけれども、では、どんな検討を行っての判断なのか、また、包括委託はどうなのかということについて議論する必要があると考えます。
まず、検討費用ですけれども、下水道局は、この検討に関する調査をPwCアドバイザリー合同会社に委託して行ってまいりました。その費用について、きょうは資料でいただいています。平成三十年度、二〇一八年度は三千六十五万円、令和元年度、二〇一九年度は三百七十四万円、令和二年度、二〇二〇年度は予算額で前年を大きく超える額の八千万円になっています。
今年度は調査はやらないと思いますが、この内訳と最新の執行状況はどうなっていますか。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度の調査費は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、受託者から要請を受け、契約期間の延長を行ったことによる令和元年度からの繰越額約四千六百万円と、当初の予算額の三千五百万円を合わせた約八千百万円を計上しております。なお、令和二年度の当初予算額三千五百万円につきましては、現時点において執行の予定はございません。
○とくとめ委員 昨年度末は新型コロナの影響で作業は進まず、今年度まで契約を延長したため、ほぼ二年分の予算額となっているとのことです。そして、今年度は予算計上したものの、使う予定はないということですから、差し引き約八千万円もの調査費をかけて検討したことがわかりました。
運営手法のあり方についての報告資料では、その調査結果が幾つか示されているわけですが、一連の自治体や民間事業者を含む国内外の調査とアンケートの結果では、豪雨などの自然災害のリスク、困難性の問題が共通しています。
局は、下水道施設運営手法のあり方として、この調査結果をどのように分析し、どのような認識と判断によって施設運営手法として包括委託を選択したのでしょうか。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京は、東部低地帯など豪雨に脆弱な地域特性を有していることに加え、人口や都市機能が高度に集積してございます。また、施設規模が大きく、雨水排除を伴う合流式が中心であり、各施設がネットワーク化されていることなどの特徴を有しております。こうした東京下水道の特徴を踏まえ、施設運営手法の検討を実施いたしました。
検討の結果、水再生センターの水処理施設において、下水道局、TGS、民間事業者の体制を踏まえ、一部の施設に包括委託を導入することといたしました。
○とくとめ委員 東京の地域特性として、豪雨に脆弱である上、人口や都市機能が集積をしている。つまり、災害対策は、的確に十分に行わなければ大惨事を招いてしまう難しい地域だということだと思います。
そして、下水道施設は合流式、つまり水再生センターで家庭や工場、オフィスなどから流れてくる一定量の汚水を処理していればよいというだけでなくて、自然現象に合わせた雨水の対応が必要で、しかも規模が大きく、各施設がネットワーク化しているということで、この運営は大変高度な技術が必要、リスクも責任も重いということだと思います。そんな重いリスクや責任はとても負えないというのが民間業者の皆さんの本音だと思います。
事実、報告資料にある九社の民間業者、実はこれ以外に情報開示でいただきました資料で、民間業者三十社となっておりますけれども、アンケート調査結果では、運営手法に対する民間事業者の評価は、豪雨時や災害時のリスクを受け入れ可能とする意見はなく、受け入れ困難との意見が大半と紹介されています。
にもかかわらず、今回、下水道局は、施設を民間に委ねる包括委託の結論を出したわけですが、東京下水道のかけがえのない安全・安心の役割を包括委託で果たせると判断しているのでしょうか。その根拠を明らかにしてください。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 TGSは、区部のネットワーク化された一体的な下水道システムにおいて、下水道局との一体的な事業運営を通じて高い技術力やノウハウを有しており、比較的リスクが小さい施設であれば運転管理のノウハウの移転が可能であると考え、運営主体として適切であると判断いたしました。
○とくとめ委員 政策連携団体であるTGSであれば、また、リスクの小さい施設であれば可能と判断したということです。本来であれば、ビジネスチャンスを拡大したいはずの民間事業者自身が無理だといっているのに、民間活用の拡大が先にありきの印象を拭うことができません。この間の施設運営手法に関する詳細調査では、豪雨のリスク、困難性を明確に受けとめているのが多数です。つまり無理だと、そういう受けとめが多数です。
ところが、結論において包括委託を選択して、区部ではTGSに、多摩地域では民間業者に、三年から五年の包括委託方式を選択するというのは、極めて疑問です。
もう一度伺いますが、なぜこれほどのリスク、困難性の判断が多いのに、包括委託にするのですか。あわせて、二〇二二年度から包括委託する施設は、具体的に、区部、多摩、それぞれどこを考えているんでしょうか。順次拡大を検討との答弁だったけれども、いつから拡大し、最終的には何施設程度を包括委託しようと考えておられるんでしょうか。お答えください。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京の下水道事業を将来にわたり安定的に運営していくためには、新たな視点で業務に取り組む必要がございます。そのため、区部と多摩地域の比較的リスクの小さい水処理施設、それぞれ一施設に包括委託を導入することといたしました。
時期なんですけれども、二〇二二年度から包括委託を導入する施設については、検討の深度を深めて決定していきたいと思っております。
導入後は、その効果や検証を進め、順次拡大を検討してまいります。
○とくとめ委員 二〇二二年度より包括委託を導入する施設はまだ決めていないと。いつから拡大して、何施設程度を包括委託するかも今後検討で今答えられないということです。
また、新たな視点で事業に取り組むということですけれども、新たな視点とは、安定性、経済性、技術力、技術開発力です。これらは包括委託しなければ得られないものなのか、大いに疑問に感じています。
実施場所を絞ったり、実施期間を三年から五年に短縮して包括委託を選択することになった、その理由は一体何でしょうか。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 施設の設置環境によるリスク等を勘案し、区部と多摩地域の比較的リスクの小さい水処理施設それぞれ一施設に導入することといたしました。
また、実施期間は、技術革新への柔軟な対応などを考慮いたしまして、三年間から五年間といたしました。
○とくとめ委員 今、答弁にあったように、比較的リスクの小さい施設を選ばなければいけないというところに、リスクや困難性が反映しているんじゃないかと思います。
実施期間は、技術革新への柔軟な対応を考慮して三年から五年ということです。事前にお伺いしましたら、今後、自動化へ、AIの活用など下水道施設の技術革新を進めようとしており、そこに下水道局がしっかりかかわっていくようにするためだと聞きました。大変重要な視点だと思います。
下水道局はこれまでも、さまざまな新たな技術を開発して下水道の性能を向上させてまいりました。その姿勢は非常に大事だと思いますので、ぜひそういう姿勢で臨んでほしいと思います。
同時に、今の答弁によれば、技術力などの新たな視点で事業に取り組むのは、あえて包括委託しなくてもできるのではないですか。むしろ、実施期間を短くして、技術革新を局が指導できるようにしていくということですから、新たな視点のために包括委託するというのは、私は筋が通らないのではないかと思います。
そこで質問ですが、さらに報告資料では、包括委託やコンセッションを導入した場合に、豪雨対策時のリスク分担に課題が残ると述べています。明確に課題があるんだと。だとしたら、包括委託とコンセッションと、それぞれについてどのような課題があるのか、具体的にお答えください。
○猪八重施設管理部長 東京は、人口や都市機能が高度に集積していることに加え、東部低地帯など豪雨に脆弱な地域特性を有しており、豪雨による甚大な被害から都民の生命と財産を守ることは、下水道の重要な役割でございます。
下水道局は、水再生センターに加え、光ファイバーネットワークにより遠方監視制御する無人ポンプ所等において雨水ポンプを保有しており、豪雨時には、降雨状況を踏まえ、これらを綿密に制御することが求められております。
このように、豪雨時の運転管理は困難性が高く、災害時を含め最終的には当局が責任を担うものでございます。
さらに、民間事業者との意見交換の中でも、都の雨水ポンプの運転管理には経験やノウハウが必須であること、また、マニュアルに沿った想定範囲内の運転管理までがリスクとして受け入れ可能等の意見が多数を占めております。
したがいまして、豪雨時等に民間事業者だけで対応できる範囲は、コンセッションと包括委託ともに極めて小さく、このことがリスク分担の共通の課題であると認識しております。
○とくとめ委員 民間事業者が受け入れ可能なのは、今の答弁にありましたように、マニュアルに沿った想定範囲内の運転管理まで、そして、コンセッションも包括委託も豪雨時に民間事業者だけで対応できる範囲は極めて少ないと、そういう判断をしているんです。そのとおりだと思います。
だとすれば、なぜ包括委託を導入するのか。経験やノウハウがあり、ネットワークを一体に管理でき、リスクに責任を持って対応できる、都民の命、安全、財産を守ることを優先に行動できる下水道局こそが、これまでどおり運営するのが最も合理的だと受けとめざるを得ません。
次に、多摩地域の水再生センターについて伺います。
多摩地域の流域下水道の水再生センターは分流式となっており、現在でも民間委託されています。単年度契約で、競争入札で委託事業者を決定しているというふうに聞いています。それぞれの入札は何者ぐらいが入札し、入札経過はどんな状況になっているか、そして、落札金額はどうなっているか、お伺いします。
○坂井経理部長 令和二年度におきます多摩地域の水再生センターの民間委託でございますけれども、北多摩一号水再生センター、南多摩水再生センター施設管理業務委託外三件となってございまして、入札参加者はいずれも一者でございます。
また、落札金額でございますけれども、これはいずれも消費税を含む額でございまして、北多摩一号水再生センター、南多摩水再生センター施設管理業務委託につきましては十七億八千二百万円、北多摩二号水再生センター、浅川水再生センター施設管理業務委託につきましては十三億六千九百五十万円、それから、多摩川上流水再生センター、八王子水再生センター施設管理業務委託につきましては十八億三千七百万円、最後に、清瀬水再生センター施設管理業務委託につきましては十億五千二百七十万円となってございます。
○とくとめ委員 二つの施設を一つにまとめて委託をしているので、七つの水再生センターについて四件の入札が行われて、いずれも一者入札ということです。
今年度の入札についてご答弁いただきましたけれども、過去においても、一者入札が非常に多いと聞きました。また、きょうは資料もいただいていますが、JVで組む企業に若干の入れかわりはあるものの、ほぼ同じ施設、同じ事業者が受託を続けていることがわかります。そして、落札金額は約十一億円から十八億円程度となっています。
コンセッションや包括委託の導入は、経済性の確保、すなわちコスト削減が大きな動機の一つであるわけですが、現在の多摩地域の水再生センターの民間委託を包括委託にすると、コストの削減はどのような金額が見込まれるんでしょうか。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国土交通省のガイドラインをもとにコンサルタント会社が行った試算では、区部の水再生センターの水処理施設一施設を対象として包括委託を導入した場合、年額二千万円程度のコスト縮減となる見込みでございます。
○とくとめ委員 私は、多摩地域について伺ったんですけれども、区部についてお答えいただきました。区部でありますから、直営を包括委託にした場合は、国土交通省のガイドラインに従って計算すると二千万円のコスト削減になるということです。国土交通省の計算式がどうなっているかわかりませんが、大体こういう場合のコスト削減とは人件費だというのが実態です。
多摩地域の施設はどうでしょうか。事前にお伺いしても、もともと民間委託しているのだから試算もしていないということでした。これ以上のコスト削減は考えづらいというふうに思います。
この多摩地域の水再生センターは、現在は単年度契約ですが、都の契約として、包括委託しなくても三年、五年の複数年契約は可能です。現在の民間委託についてもいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、少なくとも積極的に包括委託を導入する理由は見当たらないというふうに思います。これは率直な感想です。
次に、報告資料の八ページ、施設運営手法の比較、分析では、包括委託とコンセッションを比較しています。通常、民間を活用した運営手法の検討といえば直営と民間を活用した場合を比較するものだと思いますけれども、都の直営の場合との比較はしなかったんでしょうか、お答えください。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 将来にわたり下水道事業を安定的に実施するため、不断の経営効率化に努めるとともに、新たな視点で生産性の向上に取り組むことが必要と考えまして、包括委託とコンセッションについて検討いたしました。
○とくとめ委員 先ほどの区部の場合、包括委託で二千万円というコスト削減という答弁もありましたが、全くしていないわけではないと想像しますが、今のお答えでは、直営との比較というよりも、民間活用ありきでコンセッションと包括委託を比較したのではないでしょうか。まず結論ありきで検討を行っているといわざるを得ません。
我が党は、これまで再三、下水道事業は東京都直営で行ってこそ公共下水道の役割が果たせ、衛生面でも災害時にも都民の命と健康、財産を守れると、人材を育成し、高い技術力と経験を継承、発展させることができると主張してまいりました。
きょうの質疑では、全体として結論先にありきで、安定性やコスト、技術力、どれを見ても包括委託を進めるメリットというのが見えてきません。東京で下水道施設運営手法として包括委託を選択することによって、これまで下水道局が都直営で築き上げ蓄積してきた、全国をリードするすばらしい技術力を維持発展させることができるんでしょうか。
このことについて具体的に説明をしていただきたいと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今般の方針によりまして、リスクが比較的小さい水処理施設においては、三年間から五年間の包括委託を一部の施設に導入することとし、区部においてはTGSを委託先としております。
一方、区部のリスクが大きい水再生センターにおいては、局が引き続き直営で運営することで、局が有する技術を継承してまいります。
下水道局はこれまでも、TGSとともに、技術やノウハウを共有、蓄積することで安定的な下水道サービスを提供しており、引き続き、多岐にわたる現場を局とTGSとが密接に連携して担い、東京下水道グループとして、技術力、技術開発力を一層向上させてまいります。
○とくとめ委員 委託先はTGSだから大丈夫ですよ、リスクの大きい水再生センターは引き続き直営でやるから安心ですよといいますけれども、その後、順次拡大を検討するとしているのですから、安心できるものではありません。結論先にありきで、下水道が直営で築き上げてきたすばらしい、世界的にも誇れる技術力や経験を手放していくなどということは、絶対にあってはならないと思います。
さらに今回の検討では、これまでと違う運営手法を選択することによるリスクの検証が不十分であると思います。例えば、技術力の確保は、人材こそがかなめではないかと思います。先ほども同僚の議員が強調しておりました。
また、一般質問において、私の前におります我が党の河野議員が豪雨災害の多発に触れて、気候変動による政府間パネル、IPCCの第五次報告書において、気候システムの温暖化については疑う余地がないということで、気象庁は、このまま温室効果ガスの排出が続いた場合は、短時間強雨の発生件数は、現在の二倍以上に増加する可能性があり、降雨強度のさらなる増加と降雨パターンの変化が見込まれると報告をしています。このことは、下水道事業において、ますますリスク、困難性の発生が頻発化、激甚化することになり、厳しい対応が求められていることを示しているんじゃないでしょうか。
こうしたことからも、下水道の包括委託化はメリットがなく、逆にリスクが大きく、推進すべきではないということを強く主張して、質問を終わります。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分休憩いたします。
午後二時五十五分休憩
午後三時十分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いします。
○上田委員 東京にふさわしい下水道施設運営手法のあり方につきまして、基本的にはこちらに書いてあるご報告の方を中心といたしまして、端的に質問させていただきたいと思います。
まず、かねてより下水道局がご指摘をされております三つの危機についてでございます。
きょう配布をされました資料の八ページ目、資料要求の方、対応いただきありがとうございました。かねがね出てきますけれども、不断の経営効率化についての具体的な内容についてご説明いただきたいと思います。
○小林総務部長 不断の経営効率化の具体的内容ということでございますが、当局では、アセットマネジメント手法を活用いたしました下水道管の再構築など建設コストの縮減や、芝浦水再生センター上部利用事業によります収入の確保など、資産の有効活用に取り組んでおるところでございます。
○上田委員 また、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少等の三つの危機があるということでございまして、それに対応するというようなことだと思われますが、役割分担の見直しということでございます。
新しいもの、古いもの、過去に振り返って見直しの内容についてご説明いただければと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 区部の水再生センターの水処理施設の運転管理は、これまで下水道局が担ってまいりましたが、検討の結果、豪雨時対応等のリスクが比較的小さい一部の施設において包括委託を導入し、TGSが担うことといたしました。
○上田委員 その延長線上に今回の東京にふさわしいというタイトルでございますが、何をもってどのようなことを実施するのが東京にふさわしいのでしょうか。こちらも具体的にご説明いただければと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京は、東部低地帯など豪雨に脆弱な地域特性を有していることに加え、人口や都市機能が高度に集積しております。また、施設規模が大きく、雨水排除を伴う合流式が中心であり、各施設がネットワーク化されているなど、特徴を有しております。
こうした東京下水道の特徴を踏まえ、施設運営手法の検討を実施いたしました。検討の結果、水再生センターの水処理施設においては、下水道局、TGS、民間事業者の体制を踏まえ、一部の施設に包括委託を導入することといたしました。
三者がそれぞれの立場で、下水道サービスの安定的な提供を競い、お客様サービスのさらなる向上を目指していくものでございます。
○上田委員 三つどもえになって対応していくのが東京にふさわしいというように解釈いたしましたけれども、資料の九ページですが、三つの危機及び(2)、財政的影響では、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少のそれぞれなんですけど、二〇一五年と二〇五〇年の比較において、いずれも歳出の増大と歳入の減少が想定されていますが、このバランスはどのように図っていくのか、とっていくのか、もう少し具体的な内容をお示しいただければと思います。
○小林総務部長 下水道施設の整備には、大規模で長期間を要するものが多くございまして、膨大な施設の維持管理と計画的な更新のための建設投資が必要でございます。
そのため、これまでも、国費の獲得や将来負担を踏まえた企業債の発行等によりまして、事業に必要な財源を確保することに加え、建設から維持管理までのトータルコストの縮減や資産の有効活用など、さまざまな企業努力を行い、円滑かつ安定的に事業を運営してきてまいりましたが、引き続きこうした取り組みによって財政基盤を強化し、収支均衡の財政運営を行ってまいります。
○上田委員 収支均衡や財政基盤の強化をするとか、常に毎回決算時に出てくるのが損益勘定留保資金の活用でございますけれども、これらについては総務省の移行事務について、八七ページ以降の解説では、補填財源として使用することのできる性質のものですが、これらが帳簿上は存在していても、それに見合う流動資産があるわけではないので、実際に補填財源として使用するためには、それに見合う流動資産があることを確認しておかねばなりませんとありますが、流動資産はどこにあるのでしょうか、下水道局は。わかりやすく説明ください。
また、補填財源の使用の順序が示されていますけれども、総務省が示している順序のとおりに補填されているのか、確認させていただきます。
○小林総務部長 流動資産につきましては、下水道事業会計貸借対照表におけます資産の部の中に記載してございます。
損益勘定留保資金を使用するに当たりましては、総務省策定の地方公営企業法の適用に関するマニュアルのとおりの順で補填してございます。
○上田委員 あわせて、一一ページ目、資料になりますけれども、企業債は引き続き発行し続けるとのことでございます。
いつも心配するんですけど、返済は可能なのでしょうか。償還計画を年次を追ってお答えいただければと思います。
○小林総務部長 下水道の建設は、集中的に多額の投資を要し、その事業効果は長期にわたりますことから、建設事業費の財源に企業債を充当することにより、世代間の負担の公平を図ることが適当とされてございます。
区部の企業債残高は、ピーク時の平成十二年度末で約三兆円でございましたが、その後、建設投資の重点化などによりまして、平成三十年度末では約一兆四千億円まで減少させてきてございます。
今後も引き続き、企業債の発行、償還の管理を適切に行ってまいります。
○上田委員 私個人としては、都債、区債、区議もやっておりましたけれども、毎度毎度発行するときに、世代間の負担の公平ということですが、少子高齢化に当たり、若い世代にはもう十分負担が行っていると思いますので、減少していることは確認させていただきましたので、引き続き、さらなる努力をお願いしたいと思います。
国庫補助金については、少子高齢化に伴う今後の国の財政状況に照らして、収入と見込んでいいのかなというふうに思うんです。都としての見解を伺います。
○小林総務部長 地方財政法上、下水道事業に対します国庫補助金は、国が義務的に支出する負担金として整理されてございます。
国庫補助金は、優良な財源でございますことから、下水道局では、下水道事業を運営する他都市等とも連携いたしながら、国に対して精力的に要望活動を実施しておりまして、引き続き、国が財源を継続的に確保し、確実に配分をするよう求めてまいります。
○上田委員 適正に国より担保できるものについては別に断る必要もないし、いろいろ東京都の方も政府の方に打診をしているということでございますけれども、適正活用の方をお願いしたいと思います。
一方、かねてより指摘をしてきました一般会計繰入金です。
地方公営企業は、法に基づき、企業性、経済性の発揮と、公共の福祉の増進を経営の基本的原則とするものでございまして、その経営に要する経費は、経営に伴う収入、まあ料金ですね、これをもって充てる独立採算制が原則とされております。
コロナ禍において都の財政もかなり厳しいことになっていることから鑑みても、当初から収入として当てにするというか、見込んでいいのか、今の時点での改めての見解を伺います。
○小林総務部長 一般会計繰入金は、雨水排除に要します経費などでございまして、負担する経費の考え方や算出方法につきまして総務省の繰出基準で定められております。
当局は雨水排除を行う責務を有しております以上、今後とも、基準に基づき財源として見積もってまいります。
○上田委員 雨水排除を対象として入れていくという、財源として見積もるということを確認しました。
借金、国及び都の財政状況を厳し目に想定しない状況においても、過去の収入見込みでは、二〇四〇年度の二〇二〇年度比において約三百五十億円の減少を見込んでいますけれども、本当にこの程度の減少を見込んでの予算編成方針で大丈夫なのでしょうか。
データと数字に基づいた経営分析を求めたいと思います。
○小林総務部長 見える化改革の報告書、下水道事業におけます将来推計は、料金収入の減少や支出の増加につきまして、より収支を厳しく見込み、新たな収支改善など何も対策を講じない場合を前提として推計したものでございます。
当局ではこれまでも、国費の獲得や将来負担を踏まえた企業債の発行などによりまして、事業に必要な財源を確保することに加え、建設から維持管理までのトータルコストの縮減や資産の有効活用など、毎年約百億円相当の企業努力を行い、円滑かつ安定的に事業を運営してございます。
今後も、こうした不断の経営努力を続けることによりまして、健全な財政運営に努めてまいります。
○上田委員 同じく資料一一ページの(3)の支出見込みについては、同じ二〇四〇年と二〇年の比において維持管理費は増加傾向にあり、今後の維持管理費を低減させていく方策を具体的にお示しください。
○小林総務部長 これまでも省エネルギー型の汚泥濃縮機や汚泥脱水機の導入などによりまして、平成三十年度では年間十三億円の維持管理コストの縮減を実施してきてございます。
こうした取り組みに加えまして、これまで培ってまいりました知識や経験を活用しながら、建設から維持管理までのトータルコストの縮減に引き続き取り組んでまいります。
○上田委員 ということは、収入が百億頑張ると、支出は十三億減らすということで、差し引きプラスの八十七億円、十年たったら八百七十億ということのご努力を見込めるということを確認させていただきました。
元金償還金及び企業債利子については、三十年債が最長であれば、今後の三十年間の毎年の帳簿上で明確になっている元金償還金及び企業債の利子についてお示しいただければと思います。
○小林総務部長 企業債は、各年度の事業規模に応じまして発行額を決定し、利率は発行時に定められるものでございます。
このため、今後三十年間の毎年の元金償還金や企業債利子につきましては、常に変動してまいりますことから、現状、お示しすることはできないものでございます。
○上田委員 そうですね。これは借金を返していく計画を立てないと厳しいと思いますので、今お示しできないかもしれませんが、想定はされているはずですので、そこに基づいての早目の償還、そして、適正な償還をお願いしたいと思います。
建設費です。
一一ページの下なんですけど、今後の維持管理費、元金償還金及び企業債利子という支出につながるものでございますので、可能な限り今後の建設費の具体的な額の編成を示すべきではないかなと思ったんですが、なぜかこれ、全部同額なんですね。千八百、千八百とずっと書いてありますけれども、その根拠をご説明した上で、今後、具体的な金額の算出をどうするかもご説明いただければと思います。
○小林総務部長 下水道サービスを永続的に提供していくためには、安定的な事業運営が不可欠でございますことから、事業を計画的に実施していくことが必要でございます。
このため、建設費の多くを占めます再構築事業では、アセットマネジメント手法を取り入れ、予防保全を重視した維持管理に取り組み、施設の延命化を図ることで更新時期を平準化し、投資を一定の水準として事業を推進していくことから、同額としてございます。
こうした考えに基づきまして、今後の具体的な建設費についても、主要施策の中長期的な事業目標を定めます経営計画の策定に合わせ、財政収支の中で示してまいります。
○上田委員 ざっくりこんなものだろうということではなく、アセットマネジメント手法を取り入れたということは理解いたしました。
次、資料一二ページ目なんですけれども、下水道局と東京都下水道サービス株式会社との関係でございますが、社員数の推移において社員数の減少を示されておりますが、実質的に効率化されているか否かは、下水道局と東京都下水道サービス株式会社、それぞれの人件費及び委託費を合計した数値を比較しなければならないと、かねてから私は思っているんです。
その根拠となる数値を時系列でお示しいただければと思います。
○小林総務部長 東京都下水道サービス株式会社への委託費につきましては、下水道局が直接運営していたものを業務委託に切りかえましたもののほか、新たな水再生センターなどの施設稼働によります増額や、東日本大震災以降の労務単価の上昇などの増加要因がございます。
また、水再生センターを保全管理する業務委託などには、それまで下水道局で直接購入してまいりました資器材や簡易な補修工事の費用など、人件費以外の経費も含まれてございます。
このため、下水道局の人件費と東京都下水道サービス株式会社の委託費を単純に合計し、時系列で比較したとしても、必ずしも効率化の状況を判断することはできないものと考えてございます。
○上田委員 TGSに委託する方が必要経費が著しく低下をするということが、私は大前提だと思うんですよね、どんな形の委託にせよ。イコールでは効率的とはいえないという観点から、いつも確認させていただいている次第です。
一三ページ目ですけれども、運転管理の困難性の高さについて、この説明ではやっぱりちょっとよく理解できませんので、具体的にご説明いただければと思います。
○猪八重施設管理部長 東京都区部では、国内最大の水再生センターを含む十三カ所の水再生センターにおきまして、東京ドーム約三・八杯分に相当する一日平均約四百六十七万立方メートルの下水を処理しております。
また、汚水の処理とともに、雨水を排除する合流式下水道が区部の約八割の地域を占めておりまして、豪雨時には膨大な量の雨水を迅速に排除しなければならないことから、雨水ポンプの運転管理に当たりましては、経験やノウハウは極めて重要でございます。
さらに、下水道管渠内に敷設しております光ファイバーネットワークにより、水再生センターから複数の無人ポンプ所を遠方監視制御しておりまして、これらを水再生センターの運転と同時に操作しなければならないことなどが運転管理の困難な要因となっております。
○上田委員 この報告の中でも出てきている、意見が多数というざっくりした表記があるんですけれども、分母がどのぐらいで、そのうちどの程度の割合で、先ほどいった運転管理の困難さが高くて、TGSが余人をもってかえがたい委託事業者だという意見が出たのか、具体的にご説明いただければと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 民間事業者九社を対象として意見交換を実施した結果、七社から、運転管理の困難性が高いことなどについて意見が示されたものでございます。
区部の豪雨時対応等のリスクが比較的小さい水処理施設の運営主体をTGSとした理由は、ネットワーク化された一体的な下水道システムにおいて、下水道局と一体的に事業運営をしており、運転管理ノウハウの移転が可能であると考えたものでございます。
○上田委員 民間事業者、これは公表できないということで、逆に、それだから忌憚のないご意見が聞けたということですが、そのうち九分の七から、自分たちでやるにはかなりリスクも大きいのだというご意見が出たということでありました。今後やっぱり、こうした分母と分子を出していただくと、非常に説得力あるかなと思いました。
一四ページなんですけれども、資料の方、豪雨時対応のリスク分担の課題について、これもちょっとざっくりしていてといったら失礼ですけれども、説明ではちょっとよく理解できませんので、具体的な運転手法を説明した上で、課題について具体的にご説明ください。
○猪八重施設管理部長 東京は、人口や都市機能が高度に集積していることに加え、東部低地帯など豪雨に脆弱な地域特性を有しておりまして、豪雨による甚大な被害から都民の生命と財産を守ることは、下水道の重要な役割でございます。
下水道局は、水再生センターに加えまして、光ファイバーネットワークにより遠方監視制御する無人ポンプ所等において雨水ポンプを保有しておりまして、豪雨時には、降雨状況を踏まえ、これらを綿密に制御することが求められております。
このように、豪雨時の運転管理は困難性が高く、災害時を含めまして、最終的には当局が責任を担うものでございます。
さらに、民間事業者との意見交換の中でも、都の雨水ポンプの運転管理には経験やノウハウが必須であること、また、マニュアルに沿った想定範囲内の運転管理までがリスクとして受け入れ可能等の意見が多数を占めております。
したがいまして、豪雨時等に民間事業者だけで対応できる範囲は極めて小さなことから、リスク分担の課題であるものと認識しております。
○上田委員 私、江戸川区選出でございますので、東部低地帯ですので、いつも豪雨があると冷や冷やしておりまして、今のご説明で、適材適所の場所が民間事業者さんは少ないのかなということがわかりました。いずれ管内視察等々でも、またご説明していただければと思います。
外部有識者についてですけれども、人選について、下水道事業への理解が深いと書いてありますけれども、理解も大事ですが、批判的な目線こそ必要ではないかと思います。
こうした多様な視点で、時に手厳しい指摘も外部有識者には必要であると思いますが、その点はいかに担保されているのか、伺いたいと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 外部有識者として、東京にふさわしい下水道施設運営手法についてご意見をいただくためには、施設運営手法等に関する専門知識のみならず、東京の下水道の仕組みや特徴に理解が深いことが求められます。
このため、国や他自治体の事業運営等に関する検討委員を務めた実績や、下水道局アドバイザリーボード委員の経験があるなどを要件として人選を行いました。
意見聴取した外部有識者からは、それぞれの専門分野を踏まえた率直な意見をいただいており、多様な視点は担保されていると考えております。
○上田委員 六ページにそのメンバーが書いてあるところでございます。
彼ら彼女らの有識者指摘の、ほかの団体にも門戸を開けないのか競争性確保に対する説明が必要、民営化できないことを正当化する十分な理由が必要、経済性や革新をもたらすなど、民間に比べた優位性の説明が必要、TGSとするメリット、TGSに新技術力があるのかなど、納得できる説明が必要という部分がございまして、これに関して、全てそれぞれの説明をお願いいたします。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 四つの意見のうち、一つ目の意見、他の団体にも門戸をあけないのか競争性の確保に対する説明が必要に対しては、TGSは、区部のネットワーク化された一体的な下水道システムにおいて、下水道局との一体的な事業運営を通じて高い技術力やノウハウを保有しており、比較的リスクが小さい施設であれば運転管理ノウハウの移転が可能であると考え、運営主体として適切であると判断いたしました。
二つ目の意見、民営化できないことを正当化する十分な理由が必要に対しては、一つ目と同様でございます。
三つ目の意見、経済性や革新をもたらすなど、民間に比べた優位性の説明が必要に対しては、TGSは、新たに水処理施設の運転管理を受託することで、下水道施設全般を管理運営する総合力を確保することで、東京下水道グループの技術力、技術開発力を一層向上させ、全国の下水道事業へ展開し、地方との共存共栄への貢献が可能となると考えております。
四つ目の意見、TGSとするメリット、TGSに新技術力があるのかなど、納得のできる説明が必要に対しては、三つ目と同様でございます。
○上田委員 それぞれの説明をいただきました。
それを受けまして、最後になりますけれども、TGSとするリスクや、逆にバイアスがないかについてもご説明をいただければと思います。
○小林総務部長 東京にふさわしい下水道施設運営手法につきましては、東京下水道の特徴を踏まえ、安定性、経済性の確保などの視点から、コンサルタント会社も活用しながら検討してきておりまして、委託先をTGSにすることにリスクやバイアスはないものと考えてございます。
今後も、TGSとの一体的な事業運営を推進するに当たりましては、効率性に加え、公益性やサービスの質、経営の透明性など、さまざまな視点から、TGSに対して、引き続き適切な指導監督を行ってまいります。
○上田委員 メリットについてご説明をいただいた次第です。
下水道料金収入は、使用者の小口化の進展により長期的に逓減傾向にあり、また、世界最速で進む超少子高齢化、今般のコロナ禍に当たり、これまでの横ばいから著しい減少傾向に転じることが予想されます。
維持管理費も労務単価及び電気料金等の上昇で増加傾向にあり、建設改良事業の財源として発行し続けてきた企業債の元利償還金についても、きょう確認をさせていただいたように、依然重い負担が見込まれていることが確認されました。
常々局としては財政基盤の強化に努めるとともに、中長期的な視点を持って財政運営を行うとされていますが、常に私は具体的な視点を求めてきましたが、まだ納得できるビジョンについては到達していないようにお見受けします。
今般のあり方の報告においても同様でございまして、TGSありきの調査、分析ではなかったか、一つ一つ確認させていただきました。
そもそも事業実施に責任を持つ下水道局を中心とし、東京都政策連携団体TGS及び民間事業者の三者がそれぞれの特性を生かした役割分担のもと協働し、連携を強化して運営していくという大前提でありますことから、TGSありきではなく、都度、民間事業者の検討を図ること、工事契約議案で毎回私も点検しておりますが、同一事業者が常に落札することのないフェアで透明性のある業務委託をすること、TGS自体の再委託も事務事業や決算等でも指摘をしてきましたけれども、こうしたこと、あと、人件費との比較によりまして、包括委託が効率的か、常に数字を見て費用対効果を厳しく精査することを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○川松委員 私からも、このコンセッション方式含めた経営のあり方について、いろんな観点からお話を聞いていきたいと思いますけれども、改めて、今回の報告事項の検討というのは、平成二十九年に東京都庁には都政改革本部というのがスタートしました。
そこからいろんな面で、これ下水道局だけではなくて、役所の中さまざまな面で改革をしていこうという声が上がっていたわけですけれども、ここから下水道事業を取り巻く環境、特に今までもお話出ていたように三つの危機があったり、財政的にも厳しくなる、これが見込まれているということから、効率化の観点からコンセッションの検討も必要ではないかというのが議論のきっかけだったと、私、記憶しているわけですけれども、今回の報告事項に関する、ストレートな議論をする前に、幾つか確認をしたいんですが、そもそも、日々、下水道局の皆さん方が頑張られて、この東京の日常生活というか、都市の当たり前の生活を支えていらっしゃるんですが、都民の皆様お一人お一人が、下水道というもの自体をあんまり知らないんじゃないかなというのを、僕はずっと感じていて、いろんなところで、この委員会でも質疑してきているわけですが、下水道はあるのは知っているけれども、この下水道の役割はどういうことなのか、そういうことを日々わからないまま、朝起きてトイレに行ったりとか、お風呂入ったりとか、あるいは雨の水が流れていくと、そういうのは知っているけれども、日々を過ごして、下水道を理解しないまま毎日過ごされている方が多いんじゃないかというのが現実だと思っています。
区部では平成六年、ですから、今から二十五年以上前に下水道が一〇〇%普及概成を達成したということもあって、下水道の存在というのは、実は、区部の皆さん、見ればもう当たり前なんだけれども理解できていないというのは、非常にもどかしいと感じているわけですね。
改めてここでお聞きしますが、下水道局では都民に対するアンケートなどを行っているということでございますけれども、いつ、どのような手法で行っているのか、都民の下水道に対する関心度や認知度などは、どのぐらいなのかを教えてください。
○小林総務部長 下水道局では、下水道事業への理解を深めていただくため、局事業への関心や認知度を把握いたします、東京の下水道に関する都民意識調査を実施してございます。
令和元年度は、十一月十五日から一月十五日を調査期間といたしまして、二十三区内の居住者三千人を対象に郵送などで実施してございます。
調査の結果、下水道事業に対する関心度は、関心を持っていないと回答された都民の方は一四・六%。どちらともいえないが五二・四%。関心を持っていると回答された都民の割合は三一・四%でございました。
また、下水道事業の役割に対する認知度につきましては、下水処理について知っていると回答した都民の割合は七一・二%。浸水の防除が六三・一%。快適な生活環境の創出が五五・七%でございました。
○川松委員 ありがとうございます。
今、教えていただいた数字をどう評価していくかということが重要になるかと思いますけれども、前段の関心度、関心を持っていない方が一四・六%で、どちらともいえないという方が五二%なわけですね。関心を持っている方が三割ということで、やっぱりこれ、関心を持っているか、持っていないかとアバウトな聞き方で、これだけの方しかお答えいただけないというのは、我々も含めて、もっと周知、広報、PRというのが大切なんだろうと思いますし、また、後段の下水道事業の役割の認知度ということについては、下水処理というのは、それはみんな何となくイメージわかっていると。また汚水と雨水というのがあって、雨水もそうだなと思いますけれども、快適な生活環境の創出が五五・七%ですから、本来は、日々の社会環境、衛生のために、日本国中に整備しようとしてきた下水道ですけれども、今の都市生活においてのこの下水道のあり方、ふだんはもう皆さんも、下水道管自体はもう目に見ることはないところにあるんですけれども、どう見せていくかということが大切なんじゃないかなと思います。
こちらも繰り返しになるんですけど、私、日ごろから下水道料金を支払っている、そういう認識をされている都民の方は少ないんじゃないかと思っています。特に、水道は蛇口ひねって水を使って、ちょっと余り節水しましょうねとインパクトありますけれども、それに連動する形の今の料金体系ですから、なかなか下水道料金を、自分たちで使っているという認識はないという中で、よく、ずっとこれテーマでも来ましたけれども、油断快適という言葉を皆さん方掲げられてやってきましたが、何度こう油を流さないでねと呼びかけたとしても、一般の家庭や、あるいは飲食店でも、少しぐらいなら大丈夫だろうといってお皿洗ったりとか、フライパン洗ったりで、そのまま何げなく流されている方がたくさんいるわけですね。
私自身はそういうのを見るたびに、それだめよと何度も注意しているわけですが、油を流す時点では、目の前にあるものは透明な液体かもしれないけれども、下水道管の中で、たまって固まってしまうと真っ白な塊となって、これが原因で下水道管が詰まって、流さなければならない汚水や家庭排水が流れなくなり、逆流によって、実は、悪臭が発生して、私たちの生活がおかしくなっちゃうとか、下水管の損傷にもつながるというのが現状なわけです。
ここでお聞きしておきますが、この塊を除去することは大変な作業であり、当然、労力とコストがかかりますけれども、ちなみに、下水道管の詰まりが原因の故障処理という事例は年間どれくらい発生し、一般的には一回当たりどのくらいの経費がかかるのかを教えてください。
○猪八重施設管理部長 油を下水道に流しますと、委員ご指摘のとおり、下水道管の中で冷えて固まり、詰まりなどの支障を来すことや悪臭発生の原因となることがございます。
ラードなど油に起因した詰まりによる故障処理は、区部におきまして年間約三百件発生しておりまして、その対応のために要する一件当たりの費用は約十万円となっております。
○川松委員 これだけいろいろ呼びかけたとしても、年間三百件は区部で発生してしまっているというのが実態だということがわかりました。
先ほどお話ししたように、私は、とにかく油を流すと下水道管が詰まってしまう、だからできるだけ、古紙などで吸収したりして、ビニール袋に入れて、ごみとして出してくださいと、いろんな人の家に行って、油を流そうとしていると、しつこくいっているわけですけれども、こういった、今いったような、一回それ、取ろうと思ったら大騒ぎになっちゃって、しかも十万円かかるんだということをいい続けなければいけないと思うんですね。
修繕などにそれだけの経費がかかっているということを、恐らく下水道料金をお支払いいただいている都民の皆さんは、ほぼ知らないんじゃないかなと思うんですね。何となく水道と一緒に取られているなぐらいの感覚の人、多いと思います。
私は、水道料金とは別立ての請求書が出てくると、下水道料金にはもっと関心を持ってもらえるんじゃないかと思って訴えてはいるんですが、なかなかここは前に進みません。
実際には、下水道工事の費用、いわゆる今の利用だけではなくて、未来に向けた再構築だとか大規模なハード整備ということにかかる費用も含まれるし、今お話ししたように、身近な部分の管路の整備、メンテナンスの経費もかかっているんだけれども、そこをどう圧縮していくかということが、実は経営改革の一番のことなんだと。
つまり、利用者も一緒になって下水道の経営改革に携わっていくという意識を持っていくことが大事だということで、今まで下水道局の皆さん方もさまざまな取り組みを行っていると思いますけれども、よりこういった、今挙げたような身近な問題をもって啓発した方が、都民にとっても理解されやすいんじゃないかなと考えるわけですが、先ほどの調査結果の数字をさらに向上させるために、都民の皆様お一人お一人が下水道事業の役割を実感し、関心が持てるよう広報活動を積極的に行うべきと考えますが、局の見解を伺います。
○小林総務部長 下水道局では、東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八に基づきまして、東京下水道の役割や課題、魅力をより積極的に発信いたします見せる化に取り組んでございます。
具体的には、下水道施設や工事現場などをめぐります下水道のインフラ見学ツアーや、都内の小学校を訪問いたします出前授業、また、若者の関心を高めるため、東京下水道発信事業として東京地下ラボプロジェクトなどを実施してきたところでございます。
さらに積極的な広報活動に向けまして、当局ツイッターやユーチューブに加えまして、ウエブサービスアプリにおけます電子配信などのデジタルメディアを活用し、より多くの都民へPRできるよう取り組みを進めているところでございます。
引き続き、東京下水道に対します都民の理解がより一層深まりますよう、幅広い機会を活用いたしまして積極的な広報活動に努めてまいります。
○川松委員 ありがとうございます。
まさに家庭排水という身近なところから、もっと、都市を守るというところまで幅広い下水道事業を、多くの皆さんに知っていただくために、ぜひ、このあたり力を入れていただきたいということを強調しておきます。
しかも今、コロナ禍ということでありますから、下水道事業の意義を伝えるチャンスなのではないかなというふうに私は思っています。
ぜひ、今後もしっかりとした、局を挙げた広報活動に尽力していただきたいと思います。
さて、この検討のスタートとなったコンセッションというのは、お話がずっと出ていましたけれども、行政が資産の所有権を保有したまま運営権を売却する、民間事業者が運営するという手法であると理解しています。
請け負った事業者側では経営者の視点が多分に入り、こうなってくると、もし、請け負った側からすると、やっぱり数字数字、経営どうしようか、赤字にならないようにといって、必要なメンテナンスがおろそかになっちゃうんじゃないかなと心配をしている方も、質疑であったし、私も感じていました。
経営者的な視点で考えると、再構築や浸水対策、さらなる水質改善にコストがかかることに加えて、先ほど、今、私が挙げてきたような日々の身近な課題についても労力とコストがかかってしまうんだと。本来この広報活動なんてやらなくてもいいんだみたいな人たちが経営に入ってくると、数字だけ見て、下水道施設はお荷物なんだみたいな存在になりかねない。効率化という名のもとに、日々の施設維持管理等がないがしろになるおそれがあるんじゃないかというふうにして、この問題に私は向き合ってきました。
今回の報告にも入っていましたが、浜松などのコンセッションのあり方が出てきて、ちょうどたまたま浜松の鈴木市長、きのう上京されていたので、この件についてお話ししてきましたけれども、やはり下水道というのは幅広いんだと。もう管路も含めて、いろんな施設も含めて、全部を含めて下水道だけれども、これを、全体で経営を考えていくのか、一部管路をどうするのかと、細かく考えていってベストなあり方を探った結果、浜松は一部をコンセッションにするということに決めて今も運営しているんだというお話でした。
東京の場合には、それとはいろんな状況も違うし、まちのあり方、利用者の数も違うだろうという話を市長ときのう、大分意見交換してきたんですけれども、今回、東京都としてコンセッションを採用しないとした理由というのは何なのか、改めて伺いたいと思います。
○福島企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道局が今後、ICTやAIなど急速に進展する技術革新へ機動的に対応していくためにも、契約期間が二十年間程度と長期のコンセッションよりも、三年間から五年間の包括委託が適切であると評価いたしました。
また、東京の下水道は、大規模かつ複雑なネットワークにより、区部全域の下水道システムを一体的に管理していることから、施設の改築更新に当たっては、ライフサイクルコストの最小化などを考慮しながら適切なタイミングで行う必要があり、下水道局が一体的に実施することが最適であると判断いたしました。
このため、下水道局が改築更新を実施していく場合、民間事業者の創意工夫やノウハウの発揮の点において、コンセッションと包括委託では同程度であると考えられ、コンセッションと委ねる業務範囲が限定的となります。
なお、外部有識者の意見聴取において、公共経済学が専門分野である山内特任教授から、下水道事業は企業努力により需要が伸びるわけではないとの意見も示されているところでございます。
○川松委員 ありがとうございます。
今お話、過去にもあったし、経営期間二十年間程度と長期のコンセッションよりも、三年、五年の包括委託が適切であるという評価だということなんですね。
特に東京都の場合は、利用者も、危機とはいって、人口減少とはいっているけれども、やはり今、この東京に人口が集中している状況がある、まちがある、企業があるといった中での東京として捉えていくとそういう結論にもなるし、だとすると、都内の下水道以外の施設ではコンセッション方式を取り入れるような施設があって、明らかに私は何度も反対してきたし、もっと東京都が独自に手を出して運営していけば、もっと利益が出るような体質になるような施設までコンセッションという議論に進んでしまったと、過去には。
その意味では、下水道局の皆さん方、有識者の皆さん含めて、現実的な路線で踏みとどまったということはすばらしいというふうに認識をしています。
つまり、個人的には、そもそもコンセッションなんていう手法は、検討する必要もこの東京都にはなかったと思っているわけですね。他都市と比べても都市機能が多分に集積し、災害リスクも高いこの東京においてコンセッションを採用しないとしたことは、当たり前、至極当然の結果です。
この委員会で何度も私、述べてきていますが、ほかの委員の皆さんもいっていることですけれども、下水道は、日々の都民生活に欠かせない存在であって、果たすべき役割、求められる役割は、今後ますますふえていく極めて公共性の高いインフラです。今回のコロナウイルスのような感染症の脅威から身を守るためにも、下水道事業の安定的な運営が不可欠であるということはいうまでもありません。
感染症とこの人類の闘いにおいて、いかに世界的に見ても下水道のインフラ整備というものが人類に貢献してきたかということを、改めて多くの皆さんに、私は認識していただきたいと思っているわけです。
とすると、局、TGS、民間事業者の三者が、まずは、この骨格としてしっかりと連携していくことは重要であって、その中心にいる、ヘッドクオーターとなる下水道局の技術系職員の担う役割というのは極めて大きいと考えるわけですが、現在、下水道局には、技術系職員は何人ぐらいいらっしゃるのか、教えてください。
○白川職員部長 下水道局の職員数でございますが、令和二年八月一日現在、二千四百八十六人でございます。
このうち、土木、機械、電気、環境検査職など技術系職員は千九百六十七人でございまして、約八割となっております。
○川松委員 もう本当に八割ということは、いかに技術系の皆さん方が、日夜、もう本当に一日二十四時間三百六十五日、下水道のインフラを整備していただいていることで、この都市生活は守られていると思いますけれども、今、話していた、こういった局の皆さん方、そしてTGS、民間との連携を図っていくためにも、今後とも、技術系職員の育成というのは非常に重要なわけです。
今までも議論が出ていましたけれども、改めて、この育成をどのように進めていこうと考えているのか、詳しく教えていただきたいと思います。
○白川職員部長 下水道事業の安定的な運営に当たりまして、技術系職員は、調査、計画段階から設計、工事、維持管理の段階まで、さまざまな局面で重要な役割を担っておりまして、技術力向上は重要でございます。
そのため、下水道技術を着実に継承することを目的に、下水道局技術継承検討委員会を設置し、局職員が一丸となって取り組んでいるところでございます。
具体的な取り組みといたしまして、若手技術職員が、ベテラン職員と現場への同行を計画的に実施することや、技術継承を専任とする再任用職員を本庁に配置し、各事務所を巡回しながら、きめ細かなサポートなどを行っております。
また、下水道局では、下水道事業を担う局、政策連携団体であるTGS及び豊富な現場経験を有する民間事業者、これら三者の人材育成や、技術継承を推進、支援してまいりました。
具体的には、下水道技術実習センターを活用して、TGSと連携した局職員に対する研修、TGSが企画し、TGSや民間事業者の新入社員や若手技術者を対象に、民間事業者等のニーズに合わせた研修などを実施しております。
さらに、TGSを技術継承のフィールドと捉え、TGSに職員を派遣するなどして、現場で技術やノウハウを習得することで職員の現場力を高めております。
加えまして、TGSからも固有社員を局に受け入れ、相互の人材交流も行っているところでございます。
今後も、こうした取り組みを進めまして、技術系職員の育成を進めてまいります。
○川松委員 ありがとうございます。
本当にきっちりとやっていただきたいと思いますけれども、引き続き、技術系職員一人一人の能力や、仕事の進め方をさらにレベルアップしていくことを強くお願いいたします。
また、今お話に出ております実習センターについては、大変有益な施設であって、下水道関係者の育成などには、さらにフル活用していっていただきたいと思っています。ああいうものを通して、一人でも多くの方に下水道のあり方を知っていただくということでも、やはり実習センターがあるということ自体もまだ知られていないわけですから、多くの人に知っていただきたいなと考えています。
下水道局は、局としては、事業全体をしっかりと監督し、日ごろから下水道の現場で汗水流して働いておられる民間事業者などを見てあげていってほしいんですね。
ほかの政策連携団体と民間の関係を見ていると、極めて連携ができていなかったり、極めて評判の悪い団体もあるんですね。そうすると、やっぱり一緒になって東京都のために事業をやろうと思っても、民間の事業者の心がついてこない。そういったことを結局は怠っているからこそ心が離れていってしまって、安定的な事業運営が、もうこのことは危ないんじゃないかと心配されている面も、そういう組織もありますので、ぜひ下水道はそんなことにならないように、局として頑張っていただきたいと思います。
まとめますけれども、下水道は人々が生活する以上、永遠に、この後、これだけ発展してきた都市においては、なくならない施設であるといっても過言ではありません。
ただ、その先に自然災害が多発することが見込まれる中、下水道というインフラの存在は、いろんな面でどんどん大きくなっていくはずです。そのときに向けて、技術系職員をしっかりと育成し、我が会派の代表質問などでも確認したことでありますが、局としての技術力を今後もしっかり確保、継承していただくことを強く望みます。
都民に下水道のありがたみ、必要性というものをしっかりと理解してもらうこと、この先も決して民営化などしないということをお約束していただいて、安定的な施設運営を進めてもらうことを要望しまして、私の質問を終わります。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
○伊藤委員長 これより水道局関係に入ります。
報告事項、水道局所管政策連携団体におけるコンプライアンス確保についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○岡安理事 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は十六件でございます。
それでは、一ページをお開きください。東京水道株式会社における部門ごとの固有社員、都退職社員及び都派遣社員それぞれの社員数、年齢構成及び勤続年数でございます。
一ページから二ページにわたり、東京水道株式会社社員の年齢構成につきまして、固有社員、都退職社員、都派遣社員に分けまして、部署ごとに、年齢層別の社員数をお示ししてございます。
二ページをお開きください。二ページから四ページにわたり、東京水道株式会社社員の勤続年数につきまして、固有社員、都退職社員、都派遣社員に分けまして、部署ごとに、それぞれの勤続年数別の社員数をお示ししてございます。
五ページをごらんください。町田市に対します謝罪文の写しでございます。
町田市に対しましては、水道局及び東京水道株式会社の連名で謝罪文を提出しておりまして、その写しをお示ししてございます。
六ページをお開きください。令和元年八月二十五日から同年十一月二十四日までに、東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCが東京都から受注した業務の一覧でございます。
件名、契約方法、発注者、契約金額につきまして、会社別にお示ししてございます。
七ページをごらんください。東京水道サービス株式会社における過去五年間に労働基準法第三十六条に基づく労使協定の協議対象となりました社員数及び時間数でございます。
労使協定の協議対象である一月三十時間超と、一年三百六十時間超に分けまして、協議対象の社員数及び超過勤務実績時間を、平成二十七年度から令和元年度までの年度別にお示ししてございます。
八ページをお開きください。東京水道株式会社に設置されております各委員会の概要でございます。
八ページから一三ページにわたり、同社に設置されております委員会につきまして、委員会ごとに、設置規程、設置目的、主な所管事項、構成員をそれぞれお示ししてございます。
一四ページをお開きください。東京水道株式会社に設置されている各委員会の設置日、開催日程、議事要旨でございます。
一四ページから四七ページにわたり、同社に設置されております委員会につきまして、委員会ごとに、設置日、開催日程、議事要旨をお示ししてございます。
四八ページをお開きください。東京水道株式会社に設置されている各委員会から業務執行部門に対する指示等の内容でございます。
上の表ではリスク管理委員会から、また、下の表では技術系受託業務改善委員会から、それぞれ業務執行部門に対して行った指示等の内容についてお示ししてございます。
四九ページをごらんください。不適正処理事案が発生した場合の役員に対する処分規程、事案ごとの対応状況及び再発防止策でございます。
役員に対する処分規程でございますが、東京水道株式会社では、役員に対する処分規程を策定しておりませんが、役員規程で辞任勧告及び解任について規定をしております。なお、参考に、同社の役員規程の抜粋をお示ししてございます。
五〇ページをお開きください。事案ごとの対応状況及び再発防止策でございます。
五〇ページから五三ページにわたり、不適正処理事案ごとに、時期、事案の概要、対応状況、再発防止策及び役員に対する処分をお示ししてございます。
五四ページをお開きください。水道局から政策連携団体への指導文書の写しでございます。
令和元年度から現在までに、水道局が所管政策連携団体に対して行いました指導について、団体ごとに、文書名、指導内容、施行日をお示ししてございます。
五五ページから六六ページにわたり、それぞれの指導文書の写しをお示ししてございます。
六七ページをごらんください。東京水道サービス株式会社に対する特別監察報告書及び今回の不適正処理事案に関する報告書の写しでございます。
東京水道サービス株式会社に対する特別監察報告書につきましては、令和元年八月三十日に開催された当委員会におきまして配布してございます。
六八ページをお開きください。今回の不適正処理事案に関する報告書でございます。
今回の不適正処理事案に関して、六八ページに即時報告を、六九ページから七〇ページにわたり検証時報告書を、七一ページから九〇ページにわたり令和二年八月二十六日に提出された事故報告書を、九一ページから一一四ページにわたり令和二年八月三十一日に提出された事故報告書を、それぞれお示ししてございます。
一一五ページをごらんください。指名停止期間中に予定されていた水道局から東京水道株式会社への発注予定案件の一覧でございます。
予定案件名、当初契約予定時期、対応につきましてお示ししてございます。
一一六ページをお開きください。当該事故者が不正に作成した道路占用許可書の写しをお示ししてございます。
一一七ページをごらんください。当該事故者の入社からこれまでの経緯と職歴でございます。
当該事故者の東京水道サービス株式会社への入社以降の職歴につきまして、時系列でお示ししてございます。
一一八ページをお開きください。東京水道株式会社代表取締役社長の東京都知事選挙期間中及び一カ月前からの出退勤状況でございます。
代表取締役社長は、会社法で定める義務と責任のもとに自己の職務を執行するものとされておりまして、従業員と同様の勤怠管理は行ってございません。
一一九ページをごらんください。東京水道株式会社代表取締役社長による事業所訪問についてでございます。
上の表では令和元年度に東京水道サービス株式会社において、下の表では令和二年度に東京水道株式会社において、それぞれ行いました社長による事業所訪問につきまして、訪問日、内容、事業所名及び参加者をお示ししてございます。一二〇ページに、その成果をお示ししてございます。
一二一ページをごらんください。東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCにおける歴代社長の前職、都における役職、在職期間及び業務実績でございます。
上の表では歴代社長それぞれの前職と都における役職を、下の表では歴代社長の代表取締役在職期間と主な業務実績を、会社別にお示ししてございます。
以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いします。
○中山委員 今回のこの事案というのが、道路占用許可申請の不適正処理ということなんですけれども、何でそこなんだというような感想を持っておりまして、大きなお金が絡む、そうした不祥事ということを私たちは望んでいるわけじゃないんですけど、何でそういうところなんだということだというふうに思っております。
昨年度の四定でも、この不祥事の防止について多くの時間を費やしたところでもあります。そういう面で、本当に残念でなりません。
起こってしまったことは仕方がないことではあるんですけれども、今後、東京水道株式会社がよりよい組織になるために、しっかりと教訓を生かせるように、まず、事故者の本人について、そして、雇用者たる東京水道株式会社について、また、監督局の水道局それぞれについて、それぞれに問題がなかったか、何をどうするべきか、質問をしてまいりたいと思います。
まず、今回の不祥事、コンプライアンスイコール法令遵守という問題というより、それよりも本当に根本的な職業倫理的なレベルの話ではないのかなというふうに思うわけでございます。そういう面では、何のために仕事をしているのか、あるいは社会がどのように成り立っていて、その中で自分の仕事に何を求められているのか、何をしてはいけないのか、初歩的な倫理観に問題があるように思います。
そこでまず、根本的な職業倫理が欠如しているように思いますが、これまでに、大小含め不祥事を起こしたことがあるのか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 本事案の事故者は、業務及び服務上のいずれにおいても、過去に不適切な行為を行っていないことを確認しております。
特に、道路占用許可申請手続等の事務処理については、事故者がこれまでに監督した全ての工事で今回確認を行いましたが、今回の事案を除いて適正に行われていることを確認しております。
○中山委員 今の答弁どおり、当然のごとく、ないということであります。なら何でというふうに思うわけであります。
そもそも、その方の資質に問題はなかったのかという点について確認したいと思いますが、採用時点から評価に問題はあったのかどうか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、採用時に、一般教養と作文による筆記試験に加え、面接試験を実施しております。
事故者の採用時の評価は問題がございませんでした。
また、社員の人事評価を業務プロセスと職務上の業績の二項目で行ってまいりました。その評価方法は、所属長が日常的に社員の業務に対する取り組み状況や成果等、業務プロセスを確認するとともに、課長が年一回の面接を行い、課長と部長による二段階の評価を経て、最終的な業務評価を行っており、入社以来の人事評価はおおむね良好とされております。
○中山委員 今、答弁のとおり、おおむね良好ということですから、採用時点、あるいは入社後においても、いわゆる人事評価において特段の問題はなかったと思います。つまり、人となりというか、人物、資質やこれまでの行動においては、特段問題はなかったということだというふうに思います。
それでは、次に、事故者がそのような行為に及ばざるを得なかったような職場環境ではないのかということについて伺いたいと思いますが、申請手続を省いて偽造しなければならないほど多忙で追い込まれていたのか、あるいは超過勤務の状況はどうであったのか、仕事を頼む部下、同僚がいなかったのか、そこを伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 事故者の超過勤務時間は、本事案が発生する以前の本年二月が四十三時間、三月が三十三時間、四月が二十四時間でございました。
一方で、事故者と同じ職場における社員一人当たりの月平均の超過勤務時間は、二月が四十四時間、三月が三十一時間、四月が二十一時間であったことから、事故者の超過勤務時間が特に多いとは考えていないため、同僚に対して道路占用許可申請手続を依頼する必要はなかったと認識しております。なお、事故者には部下はおりません。
○中山委員 じゃあまた、なぜという不思議が深まってくるわけでありますが、事故者が極端に多忙であったり、そのような行為に及ばざるを得ないような追い込まれた状況があったかというと、そうでもなかったということを理解いたしました。
次に、何か本人のモチベーションを大きく損なうようなことがなかったのか、確認をさせていただきたいと思います。
当該工事に長くかかわっていたので、モチベーションが低下したとの分析がありますが、当該社員の異動状況と、今後の人事配置の考え方について伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、業務を習熟させるため、これまで同一業務に複数年にわたって従事することを基本として人事配置を行ってまいりました。
事故者は、入社して六年が経過しておりますが、直近の人事異動における異動希望はなく、これまで同一の事業所に配置され、配水本管の工事監督業務に一貫して従事してきております。
一方、同社では、昨年度、特別監察における指摘を受け、幅広い業務経験による職務遂行力の向上を図るとともに、社員の意向、適性、経験等を適切に人事配置に反映させていくため、満七年以上同一業務に従事している技術系社員を原則として異動対象とする異動方針を策定し、その方針に基づく人事異動を行いました。
東京水道株式会社においても、この異動方針に基づき、人事異動を行っていくこととしております。
○中山委員 一概に、一つの仕事についていることによってモチベーションが低下するということではないと思いますけれども、やはり、新たな興味を引き出したり、かき立てたり、また、不正の意見を容易にしたりとするために、一定の仕事の、やっぱりローテーションとか、そうした工夫が今後必要になってくるだろうというふうに思います。引き続きその点について十分に配慮していただきたいと思います。
本件の、切り張りして改ざんするなど、故意性と悪質性が今回大変高かったわけなんです。公文書の偽造という刑事罰の処理はどうなっていくのか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 道路管理者である町田市は、刑法上の有印公文書偽造及び同行使の疑いがあるため、本事案について告発を行ったと聞いておりますが、現時点において、本事案の捜査に関する警察等からの事故者や東京水道株式会社に対する調査はなく、それ以外の動向については把握しておりません。
また、同社においても、当局からの指導に基づき事実関係を詳細に調査した上で、事故者を告発するか否かについて検討しました。
その結果、事故者は十分に反省しており、事故者への厳正な懲戒処分を行った上で、引き続き厳格な指導を行い、社員として育成を図っていくことが適当との考えから、同社による告発は行わないことといたしました。
○中山委員 告発の結果はまだ判明をしていないということでありますが、内容によっては、やっぱり厳しい対応も必要かもしれないと思います。一罰百戒ということも健全な組織づくりには必要なときもありますし、適切に判断することを求めておきたいというふうに思います。
次に、本件発覚後の対応について伺いたいと思います。
本件発覚後、処分が確定するまで、事故者は社内でどのように扱われているのか、通常業務からは当然外すべきだというふうにも考えますが、いかがでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 事故者については、本年六月十六日の本事案発覚後、翌十七日付で、工事監督業務から書類整理等の内勤業務に担当を変更させております。
○中山委員 六月十六日に本事案が発覚して、翌十七日に担当を変更されているということであります。現場業務から内部業務に配置がえを行ったということでありますが、周囲への影響も慎重に検討すべきでありますし、また、あろうかというふうにも推測するわけであります。
他の民間企業であれば、もっと厳しい対応をとるところが多いというふうにも認識をしておりますし、法令等への配慮はもちろん重要ですし、都の関連企業は不祥事に甘いんじゃないかといわれないように、世間一般とのバランスもしっかり意識して対応してもらいたいというふうに強く思います。
昨年度の四定の不祥事再発防止について、多くの時間を費やしたわけでありますが、その後、東京水道株式会社では具体的にどのような策を打ってきたのか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、昨年八月に策定した東京水道サービス株式会社に対する特別監察結果改善報告書に掲げた日常のコミュニケーションの活性化や、情報共有、業務進捗管理を行うためのショートミーティングを毎日グループ単位で実施しております。
また、コンプライアンス研修を実施し、全社員の注意喚起や意識醸成を図りました。
また、リスク管理委員会において、発生する可能性のあるリスクを抽出してリスト化した上で、工事監督業務を含めた各業務について、本年二月にリスク管理行動計画を策定し、業務執行上のリスクの未然防止に取り組んでおります。
さらに、本年四月以降は、新たに設置した監査等委員会が、内部統制システムの適切な運営やコンプライアンスの徹底について、組織的なリスク管理が行われているかという視点でチェックを行っております。
○中山委員 四定での議論というのがまだ記憶に新しいところではあるわけでありますが、東京水道株式会社も打つ手は打っているんだろうなというふうに私どもも認識をしております。
その策に対して、局としてどう評価をしているのか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社が、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会の意見や助言を得て昨年八月に策定した改善策は、当局としても事案に即した改善策として妥当なものと認識しております。
その後、全社を挙げて改善策に取り組んでいたものの、コンプライアンス意識の社員一人一人への浸透や業務の確実な進捗管理などについて改善すべき点がございました。
また、改善策を推進する取り組み体制として、同社に組織としての危機意識が不足していたことや、同社に対する局の指導監督に不十分な点があったと考えております。
○中山委員 冒頭に申し上げたとおり、前回の入札の不正をめぐる情報漏えいの不祥事と今回の不祥事の性質は、ある意味違うというふうにも思うわけでありまして、会社の社会的な存在意義や仕事のやりがいなどについて、上下のコミュニケーションをとることも必要かもしれないというふうに思います。
次に、監督者としての局の対応について伺いたいと思います。
工事全体に対して責任を持つのは局でありますし、東京水道株式会社の監督体制や局の関与には問題はなかったのか、認識を伺いたいと思います。
○今井施設部長 東京水道株式会社は、配水本管新設工事の工事監督について、当局が定める工事監督指針に準拠した体制で業務を行っておりました。
しかし、当局が、本工事に引き続く漏水調査及び補修工事を瑕疵担保に基づく工事として行うよう受注者に求めた際に、当局として履行期限を設けていませんでした。そのため、工事監督を担う同社は、受注者に対して明確な指示や進捗管理を行うことが困難でありました。
さらに、当局と同社との調査、工事の進め方、進捗管理に関する情報共有が十分でなく、当局が、同社の工事監督に対して適切に関与できませんでした。
○中山委員 業務には効率性も求められるわけでありますから、微に入り細に入り監督するということは求めませんが、やっぱり瑕疵担保工事の期限管理など、改善できる点は改善してほしいということを求めておきたいと思います。
今後に向けての具体的な対応について伺いたいと思います。
再発防止策に取り組んでいる中で、今回の不祥事を受けて、東京水道株式会社はどのような再発防止策を講じるのか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、不正のトライアングル理論により、本事案の原因を分析し、個人的側面と組織的側面に分類した七項目の解決すべき課題に対し、十四の再発防止策を取りまとめました。
そのうち、代表取締役社長が全ての事業所を訪問し社員の意見に直接耳を傾けることで、社員との意識の共有、モチベーションの向上を図るとともに、社の一体感を醸成など、七つの再発防止策は新規の取り組みでございます。
また、管理監督者が業務の進捗状況を正しく把握するとともに、必要に応じて社員との面談を実施し、業務内容やモチベーションを含めた課題の共有を図り、課題を速やかに改善など、七つの再発防止策は、これまでの対策を拡充する取り組みでございます。
同社では、これまで以上に危機意識を持って、これらの再発防止策を着実に実施するとともに、進捗管理を徹底していくこととしております。
○中山委員 今回の事案というのは、先ほども何回もいうように、コンプライアンスとも違う、職業倫理の共有と、特に若い社員へのモチベーション高揚のための工夫など、単にルールという、周知させるだけではなくて、新たな視点も取り入れていかなければいけないと思います。
防止策を講じるに当たって、それをきちんとフォローし、検証していくことが大変重要だというふうに思っておりますが、東京水道株式会社では再発防止策をどのように検証するのか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、再発防止策について、実施可能なものから取り組むとともに、実効性について検証していくこととしております。
具体的には、各再発防止策について、その内容ごとにコンプライアンス推進委員会や技術系受託業務改善委員会等に対し、社内の各部署から実施状況を定期的に報告させることで、各対策の進捗状況を把握いたします。
その後、それぞれの委員会が取りまとめた内容をリスク管理委員会に報告することで、同委員会が全体の進捗状況を検証し、必要に応じて改善指示を行います。
さらに、同社は、再発防止策の浸透度を把握するため、定期的に全社員アンケートを実施するとともに、監査等委員の意見も聴取し、改善状況を確認しながら取り組みを進めてまいります。
○中山委員 ちゃんとフォローして検証してほしいということだというふうに思います。
次に、今回の不名誉な指名停止処分について伺いたいと思います。
今回の指名停止処分は、東京水道株式会社にとっては当然初めてのことでありますし、社員へのショック効果としては一定の効果があると思います。
一方で、水道は、いうまでもなくて、都民にとって最重要のインフラの一つであることから、都民生活への影響、これを最小限にとどめるべきというところが大変難しいところだろうというふうに思います。
三カ月の指名停止処分を受けたが、この期間中に、局が東京水道株式会社に発注を予定していた案件の対応と、都民生活への影響について伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、東京水道株式会社の指名停止期間中に、同社に対して、水道料金ネットワークシステムなど、既存の業務システムの改修八件の発注を予定しておりました。
このうち四件は、検針などのお客様サービスに影響を及ぼすものや他の自治体の事業運営に不可欠なものなど、発注時期を変更することができません。このため、この四件については、同社がこれらの業務システムの改修業務を確実かつ円滑に履行できる唯一の事業者であることから、特命随意契約を行う予定でございます。
一方で、都民生活等に直ちに影響が及ばない残りの四件については、同社の改善状況を確認した上で発注を行うこととし、指名停止期間中における発注を差し控えることとしております。
○中山委員 都民生活への影響を最小限にすることを確認させていただいたわけでありますが、一方で、このペナルティーというものの実効性が骨抜きになってしまってはなりません。
そこで、指名停止期間の経過後、東京水道株式会社に発注するとのことですが、東京水道株式会社以外に受注できるところはないのか、引き続き同社に発注する理由を伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局が東京水道株式会社に発注している業務は、民間事業者に委託した業務の監督指導、施設の運転管理や維持点検業務、水道料金の徴収業務など、民間事業者への発注がなじまない業務でございます。
また、同社が開発した水道料金徴収システム等の運用管理を委託しております。
このため、引き続き同社に対して特命随意契約で発注していくことが妥当と考えております。
○中山委員 都民への生活に対して十分に配慮していくということは大変重要なんですけれども、やっぱりこれ、都民から見て、都は、身内の不祥事に甘いのではないかといわれることを絶対避けなければならないと思いますし、どう対応することが長期的に最も都民のためになるのかということを、今後、検証していかなければいけないというふうに思います。
最後に、局長としての再発防止に向けた覚悟を伺っておきたいと思います。
○浜水道局長 東京水道グループを挙げてコンプライアンスの強化に取り組んでいる中で、東京水道株式会社において不適正処理事案が今回発生し、都民の皆様の信頼を著しく失ったことにつきまして、グループのリーダー、水道局長として大変重く受けとめております。
グループの職員、社員全員が、都の水道事業を担う責任を改めて認識し、グループが一丸となって再発防止に取り組むことが何よりも重要であると痛感をしております。
そのため、東京水道株式会社におきまして、今回策定した再発防止策を確実に実施させるとともに、局におきましては、その実施状況を適宜適切に確認し、必要に応じて対策のブラッシュアップを図るなど、指導監督を徹底してまいります。
また、局といたしましても、局と同社の役割分担の見直しを行うなど、今回の不適正処理事案により明らかとなった課題に対応し、適切に事業運営を進めてまいります。
さらに、東京水道グループとして、水道事業を責任を持って支える人材を育成するとともに、仕事の進め方についても不断の見直しを進めてまいります。
こうした取り組みを東京水道グループ全員の力で全力を挙げて進めまして、都民の信頼回復に努めてまいります。
○中山委員 最後になりますけれども、昨年もそうであったんですけれども、これだけの資料をこうやって集めたり、あるいは、いろんな違う業務を職員さんがやらざるを得ないということになったり、時間と労力というものが大変無駄になるというふうにも思います。
その分、都民に対していろんなことが、水道サービスのさらなる向上ということが、業務ができるわけでありますから、このような質疑がまさに最後になりますように私から求めまして、質問を終わらせていただきます。
○鈴木委員 私からも、水道事業の今回の事案を含めて、さまざま質疑をさせていただきたいというふうに思います。
水道局では、一昨年来、局、そして東京水道サービス株式会社における不祥事が相次いで、都議会では、貴重な時間を割いて、今の質疑もそうでしたけれども、原因究明、再発防止に関する議論を幾度となくやってきました。私も、いいかげんにしろよという思いも本当にあるんですけれども、しかしながら、やはりこの部分というのは最も大事な部分であるというふうに思っております。
こうしたさまざまな議論を踏まえながら、局としても、四月の団体統合以降、この新たな体制のもと、再発防止に徹底して取り組んでいるとされております。
今回、東京水道株式会社において、刑法上の有印公文書偽造及びその行使という新たな事案が発生したということは、本当に甚だ遺憾であります。
先ほども触れられましたけれども、新たな、今までとはまた性質の違う事案であります。
文書偽造の犯罪の中でも、この有印公文書偽造、これはまさに最も刑が重い犯罪であるというふうにいえます。
昨年の特別監察や、これまでの公正取引委員会による是正勧告を受けて、再三、コンプライアンスの強化に向けた改革をしてきたというふうに述べられております。
しかしながら、その最中に、これだけ深刻な事案が生じたということは、本当に都民に対して、皆さんはどのような弁解をするのか、説明責任を果たすのか、そのことが今一番求められているというふうに思います。
またかという話なんですけれども、四月に、長期構想に基づいて、今年度中には五年間にわたる経営計画がまとめられるというふうにいわれているやさきに、このような都民の信頼を失うような状況になっているということ、このことは、水道グループ全体が、本当に改めて、この重さを見詰めていかなくてはならないというふうに思っております。
こうしたことを含めて質疑をさせていただきたいというふうに思いますけれども、今回の報告書では、今回の事件は、事故者と上司とのコミュニケーションの不足があった、そして、進捗管理が不足していた、チェックシートが機能していなかったなどとされております。
TSSに関する特別監察結果を踏まえて策定した再発防止の実施状況、まず、これについてお伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、昨年八月に特別監察結果改善報告書を取りまとめ、不適正事案及び内部統制に関する各種改善策を実施してまいりました。
不適正事案に関する改善策については、コミュニケーションの活性化や、業務進捗管理のためのショートミーティングの実施、工事や設計におけるチェックシートの改善等による審査体制の強化を推進してまいりました。
これらの取り組みは、受託業務委員会で管理しており、同委員会は、今年度七回開催し、再発防止策の取り組み状況の管理とともに、新たに不適正事案が発生した際の原因究明及び改善策を策定しております。
内部統制に関する改善策については、企業統治に関する基本方針等の策定や、取締役を委員長とするリスク管理委員会を設置し、本年二月にリスク管理行動計画を策定いたしました。
また、同委員会は、今年度四回開催し、リスク管理行動計画の実施状況を確認するとともに、実施状況を踏まえて、新たなリスクに対する計画の見直しなどを行っております。
○鈴木委員 今、るる説明いただきましたけれども、しかしながら、なぜこういうことになっているのかという話なんです。
冒頭も、報告書の内容について三つの要因があるというふうに触れさせていただきましたけれども、企業統治に関する基本方針が策定されて、取締役を委員長とするリスク管理委員会も設置されて、二月にはリスク管理行動計画を策定したにもかかわらず、今回のような事件が起きてしまったという話です。
そこで、先ほど、るるお話ありましたけれども、コミュニケーションの活性化について、具体的な内容というのはどういう状況だったのか、お伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、昨年八月以降、コミュニケーションの活性化の取り組みとして、全ての職場で、日ごろから上司による社員への積極的な声かけを行っておりました。
また、技術系の職場では、課内会議を通じた不適正事案や事故事例などに関する情報共有や意見交換を、原則週一回実施しました。
さらに、水道管路の維持管理を担当する部署では、現場経験の少ない若手社員を主な対象として、工事の懸案事例をもとに課題の抽出や解決策について議論する討議形式の職場研修を四半期に一度開催いたしました。
この各職場での取り組みに加え、新卒新入社員を対象として、コミュニケーション手法や問題解決方法をテーマにした研修を、昨年五月から九月までの間に五回実施いたしました。
また、部署を超えた取り組みとして、若手社員の新しい発想を業務改善に活用するためのプロジェクトを設置し、改善提案の検討などに取り組みました。本年四月の会社統合後も、引き続き同様の取り組みを実施しております。
なお、若手社員によるプロジェクトチームのメンバーを対象としたアンケートでは、メンバーの八二%が他部署の社員と交流できたことがよかったと回答しているなど、コミュニケーションが活性化し、報告、連絡、相談のしやすい職場づくりが進められているものと認識しております。
○鈴木委員 若手社員からのいろいろな前向きな話もありましたけれども、しかしながら、今、るる説明いただいたにもかかわらず、もしそれがちゃんと行われていれば、今回のように、先ほどの報告書の中に、コミュニケーションの不足が要因だというふうに指摘されるような内容が起きるはずがない。
要するに、上辺だけの体制を整えただけでは改善ができないという深刻な話だというふうに思います。報連相のしやすい職場づくりが進められていたのか、今回の事案というのは本当にそのような、上司に本当のことがいえたのか、そういったことが問われているというふうに思います。
会議や研修だけで本当にコミュニケーションの活性化につながったといえるのか。例えば日ごろの声かけ、研修も、上辺だけの取り組みとしか本当に見えないんです。特に技術系の職場で、課内会議を週一回実施しているという報告もありましたけれども、なぜ事故者が一人でこの業務を任されていたのか、そういったことも本当に疑問であります。
次に、業務進捗管理のためのショートミーティングについても、具体的な取り組み内容と状況をお伺いいたします。
○今井施設部長 東京水道サービス株式会社では、昨年八月以降、全ての技術系の部署で、業務の進捗状況や課題の報告を行うショートミーティングを毎日実施しておりました。
また、工事の監督部署やお客様や事業者の対応を行う部署では、このミーティングにおいて、会社に寄せられた問い合わせ等への対応状況などを共有するとともに、他部署の対応事例を紹介し業務に反映しました。
本年四月の会社統合後も、引き続き同様の取り組みを実施しております。
現在、旧株式会社PUCの各部署を含めた全ての部署でショートミーティングを毎日実施しており、組織的に業務の進捗管理を行い、課題を共有し、速やかに支援や改善が図られていると認識しております。
○鈴木委員 これ、幾多となくこういう質疑をやらせていただきましたけれども、皆さんの説明を聞いていると、だったら、こういった事案がもう二度と起きないような、そういった状況になっていなきゃならないわけですよ。
しかしながら、こういった状況が多々生じていると。この部分において、どこが違うのか、何がいけないのか、そういったことを、やはり本当にこの機に及んで改善していかなくてはいけないというふうに思います。
特に、今、話になっていたショートミーティングが毎日行われていたのであれば、上司が指示したことに対する対応結果という話にならなかったということ自体が本当に考えられないというふうに思います。上司が漫然と話を聞いていて、こういった状況になっていたのか。
今回、進捗管理の不足が先ほどの報告書でも要因となったというふうにされておりますけれども、進捗管理や課題の解決に結びつけていかなくては意味がないわけですよ。
この件に関して、なぜそういった解決に結びつかなかったのかという見解をお伺いします。
○今井施設部長 事故者が所属している工事監督部署においても、業務進捗管理や課題の報告を行い、ショートミーティングを毎日実施しており、工事の進捗や課題の組織内における共有や監督に対する必要な助言や指導を行っておりました。
しかし、ショートミーティング実施後、進行管理が必要な案件などについて詳細な確認を行っていないなど、ショートミーティングが十分に生かされておりませんでした。
本案件についても、担当者を指導する立場にある管理監督者が、道路占用許可書の申請手続について再三にわたり指示は行っていたものの、十分な事実確認にまでは至っておりませんでした。
○鈴木委員 再三にわたり指示は行っていたけど、十分な事実確認まで至らなかったという説明をされているんですけれども、これ、そもそも、問い合わせに対して対応を一人でやられていたという報告ですよね。
それを指名してやらせていた上司というのが、ショートミーティングでいろいろかかわっているはずなんですけれども、毎日これを行っているにもかかわらず、自分が指示したことに対して対応の結果が何も報告されないということに対して、この方自体もどういう意識で仕事をしているのかというふうに思わざるを得ないんですけれども、実際、今、るる説明されていましたけれども、この件に関してどう思われますか、お伺いします。
○今井施設部長 ただいまのご質問でございますけれども、東京水道サービス株式会社では、八月以降、工事監督を行う全ての部署で、工事の安全管理の状況や、設計図書のとおり施工されているかなどを確認するチェックシートを全ての工事を対象に活用しておりました。
また、工事の設計業務を行う全ての部署で、設計図面と設計数量……
〔鈴木委員「委員長、質疑がかみ合っていないんです」と呼ぶ〕
○鈴木委員 私がいっているのは、先ほどの、ショートミーティングを毎日やっている、そして、管理者がこの道路占用の許可書の申請手続について指示したと。それ、どうなっているのかと、毎日会っているのに聞かないという話があるんですかという話を聞いているんですよ、素朴に。
今いろいろと、るる説明されていましたけれども、説明しているあなたが、話を自分で口にしていて、何でというふうに思われていませんか。思っているか、思っていないかだけでいいです。
○今井施設部長 先ほどもご答弁させていただきましたけれども、管理監督者にある立場の者は、確認はしておりましたが、その現物を確認していなかったというところは、非常に残念なところでございます。
○鈴木委員 仲間をかばうようないい方やめてほしいんだよね、本当に。確認はしていたと。確認していないからこうなっている、確認しなかったからこうなったんじゃないんですかというお話をさせていただいているんです。報告書に、それが要因の一つだというふうに書かれているのでお伺いしているんですけれども、執行機関の皆さんがそういった認識を共有できていなかったら、これは全く意味ないんですよ。
ここにとどまっていてもしようがないんですけれども、それで次の質疑なんですけど、もう一つの要因である、工事や設計におけるチェックシートの改善等による審査体制の強化について、どのような状況と内容なのか、お伺いいたします。
○伊藤委員長 施設部長、手を挙げて。
○今井施設部長 東京水道サービス株式会社では、昨年八月以降、工事監督を行う全ての部署で、工事の安全管理の状況や設計図書のとおり施工されているかなどを確認するチェックシートを全ての工事を対象に活用しておりました。
また、工事の設計業務を行う全ての部署で、設計図面と設計数量が整合しているか、現場条件を反映した補正がされているかなどを確認するチェックシートを全ての設計案件に活用しておりました。
本年四月の会社統合後も、引き続き同様の取り組みを実施しており、設計、積算の基準の改定などに合わせて、チェックシートの改善を図っております。
こうした取り組みにより、各業務が適切に処理されているとともに、チェックシートを改善する過程で行われる担当者間の議論や、チェック項目の検討などを通じて、担当者の技術力向上にもつながっていると認識しております。
○鈴木委員 このやりとり、都民の皆様が聞いていると、何をやっているんだろうという話になると思いますよ本当に。恥ずかしい。私、質疑しているだけでも、また同じような話をして、皆さんが組織をかばう、それだけでやりとりしているのであれば、全くこんな質疑、やっても意味がない。
今回の事案というのは、先日、過去の職員が酒を飲んでコンビニで暴れたというような事案も出ていましたけれども、本当に、水道局どうしちゃったんだというふうにみんな思っているわけですよ、はっきりいって。
この事案というのは、平成三十年でしたっけ、三十一年でしたっけ、その前の話が、今、報道されたという話なんですけれども、都民の方は本当にそういうふうに思っていると思いますよ。
皆さん方が水道局やる中で、都民の水道料金の中で成り立っている、そして、皆さんが必ず口にするのは、都民サービスの向上といいながら、全く都民の目線なんか全然無視したやりとりが続いていて、今後もそのような可能性につながっていくというような質疑なんだなというふうに、やりながら感じているんですけれども、今、この三つの要因に対して、一様に、チェックシートの活用も効果があったという話をされておりましたけれども、三つの要因に対して全て対応していて、全てやっていることは効果があったという話をされているんですけれども、効果があって、何でこのような状況になっているのか、再発防止策として不十分だったというふうにいわざるを得ないんです。
今回の事案が発生したということに対しては、これまでの取り組みが効果があったといっているんですけれども、この件に対してはどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
○今井施設部長 コミュニケーションの活性化のための取り組みにより、若手社員を対象としたアンケートでは、他部署の社員と交流ができたことがよかったとの声が多く挙げられるなど、取り組みに効果があったものと認識しておりますが、全社員にまでは効果が行き届いていなかったものと考えております。
また、ショートミーティング実施後、別途、進行管理が必要な案件などについて詳細な確認を行っていないものがあり、ショートミーティングは十分に生かされておりませんでした。
さらに、本事案のような瑕疵担保に基づく補修工事は、チェックシートによる進捗管理の対象から漏れておりました。
こうしたことにより、今回の不適正処理事案が発生したものと認識しております。
○鈴木委員 これまでの不祥事によって、リスク管理委員会というのが立ち上がって、行動計画にのっとってさまざま対応されていると。
そして、今回は、瑕疵担保に基づく補修工事は、チェックシートによる進捗管理の対象にならなかったというふうな話になっているんですけれども、何でならなかったのかということ自体が、もう本当に不思議でなりません。
今回の瑕疵担保に基づくチェックシートをつくることをなぜ思い至らなかったのか、お伺いいたします。
○今井施設部長 事故者が所属する工事監督部署においても、施工状況などを確認するチェックシートにより工事進捗状況などを把握して、適正に工事監督業務を遂行しておりました。
しかし、今回の漏水補修工事は瑕疵担保に基づく工事であったことから、履行期限が定められていなかったことなど、通常の案件とは異なっていたため、チェックシートを作成しておりませんでした。このため、同社で再発防止策の一つとしているチェックシートによる進捗管理の対象から漏れてしまっていました。
なお、工事の進捗状況や調整は、東京水道株式会社と当局の施工部署間で個別に随時行っておりました。
○鈴木委員 履行期限が定められていなかったから漏れてしまったという話なんですけれども、履行期間が定められていようと定められていなくても、最後まで、お客様への対応が完結するまで大切な仕事であるというふうには変わりないんです、はっきりいって。そうした誠心誠意仕事をする。ある意味、会計上は、それに対して新たな歳入がふえるわけでもないかもしれない。しかしながら、そのために仕事をしているのではなく、お客様に対して、しっかりとしたサービスを提供していくためにやっているんじゃないんですか。
履行期限が定められていなかったから対象にならなかったということを、こういう場で答弁する、説明するということ自体の、その感覚が本当に私たちとはかけ離れているとしかいいようがない。本当に新たな事件も、起こるべくして起きたといわざるを得ません。
さらに、再発防止の取り組みは、取締役を委員長とする受託業務委員会で管理しているという話です。今年度に六回も開催しているにもかかわらず、この事件が発生している。これはまさに受託業務委員会が全く機能していなかったのではないかなというふうにも当然思うんですけれども、これに対してはどういうふうにお考えですか、見解を伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 受託業務委員会は、当局から受託した技術系業務の適正かつ的確な遂行のため、改善が必要な事項に関することや、不適正事案が発生した場合の原因調査及び再発防止策等に関することを所管しております。
本委員会では、各部署の再発防止策の取り組み計画や実施状況を管理し、改善内容等の社内への水平展開を実施しました。
しかし、本委員会は、報告された事案だけでなく、関連する全ての案件について改善を求めることを期待されておりましたが、報告されていなかった今回の不適正事案について対応することができませんでした。
本事案の発覚後は、改めて本委員会に報告し、再発防止策の策定とともに、その進捗管理を行い、不適正事案の再発防止に取り組んでおります。
○鈴木委員 本委員会が、関連する全ての案件について改善を求めることを期待されていたという認識の中で取り組んでいたわけですけれども、じゃあ何でこのように報告されなかったのか。本事案の発覚後は改善したという話なんですけれども、そんな簡単な話ではないということです。
結局は、受託業務委員会での再発防止策の管理というものが、実効性が、これもなかったとしかいわざるを得ません。
取締役を初め、団体の幹部は、委員会の場で真剣に審議していたのか、そもそも受託業務委員会で不適正事案を所管することが本当に適切なのか、そういうふうに思ってしまうわけですけれども、今回、局はどのように、この再発防止策について評価してきたのか、またどのように実施状況を検証すべきだったというふうに考えているのか、お伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局は、昨年八月に、東京水道サービス株式会社が策定した再発防止策については、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会の検証も得ていることなどから妥当なものと認識しておりました。
再発防止策の実施状況や効果については同社において検証し、その結果を本年七月に当局に報告させ、その内容を十一月に開催する東京水道グループコンプライアンス有識者委員会で検証することを予定しておりました。
当局としては、同社からの報告が出るまでの間、指導を行っていなかったものの、個別の業務については、進行管理、情報共有、役割分担の明確化について指導を行うべきだったと考えております。
○鈴木委員 今の答弁では、局としてもかかわりが不足していた、責任があるという話をされたんだというふうに思います。
私は、この有識者委員会がこの件で検証しているにもかかわらず、このような深刻な事案が発生したということは、この有識者委員会にも責任を感じてしまわざるを得ない。なぜ有識者委員会が設置されたのかということ、これを考えれば、真剣に考えれば、一日も早く、特別監察を受けた、そういった状況の中で、都民の信頼を回復して、二度とこのようなことが起こらないように、幾重にもチェックをして、皆さんで改善していこうという、そうした取り組みだったはずなんですよ。
しかしながら、このような状況になってしまったということに対して、そもそも今の説明の中で、策定から一年たってから報告というような話がありましたけれども、策定から一年たつ、この一年間、じゃあ都民に対する信頼回復というのは、そんな悠長な考えでよかったのかというふうに私は思うんです。
このように、局と団体というのが事件のたびに表面的な再発防止策を策定して取り組んでいるんですけれども、これまで判明した課題だけでなく、私は、ほかにも課題があるのではないかなというふうに思うんですけれども、この件について、局の見解をお伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局の職員と東京水道株式会社の多くの社員は、コンプライアンス意識を持ち、日々の業務や再発防止に取り組んでいると認識しております。
そのような中、今回の不適正処理事案が発生したのは、これまで進めてきた取り組みが不十分であり、社員一人一人にコンプライアンス意識が十分に浸透していなかったことも原因と考えております。
そのため、今後はより一層、当局の指導監督体制や同社の経営体制に組織として危機意識を強くする必要があると認識しております。
○鈴木委員 一生懸命仕事をされている、本当に都民サービス向上のために頑張っている職員が大変多い中で、やはりこういった状況になっているというのは、誰に責任があるのかということを、きょうここにいらっしゃる皆さん共有していただきたいなというふうに思います。
グループ全体でお客様に誠心誠意の仕事をもって奉仕する、お客様あっての水道事業だという認識がまさに欠けているわけです。特に、経営を語る以前に、公に水道事業を通して奉仕するという誠実な姿勢というのが、このグループ全体にやっぱり不足している。先ほどの質疑でも職業倫理が不足しているんじゃないかという指摘がありましたけれども、全くそうなんですよ。
野田社長の就任した意味というのは、社会的使命に応えるために経営手腕を発揮していただきたい。それが、仕事へのモラルすら欠けているとすれば、本当に一体何だったのかというふうに思わざるを得ないんですけれども、都、局は、東京水道サービス株式会社社長野田氏は、同社の社長に就任以降、強力なリーダーシップを発揮して、改革やコンプライアンス強化に邁進していると何度も説明しているんですけれども、今回の事件は、これまでの説明と全く異なって、社長の責任が果たされていなかった証明じゃないかというふうに思うんです。
再発防止に取り組んでいる中で今回の事件が起きてきた社長の責任というのは一体何なのか、見解をお伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、特別監察結果改善報告書で取りまとめた改善策に基づき、代表取締役社長が先頭に立って、全社員に対するコンプライアンス研修の実施や、内部通報制度の改善などに取り組んでおりました。
東京水道株式会社においても、こうした取り組みを引き継ぎ、改善策の実施と定着に取り組むとともに、代表取締役社長が委員長としてリスク管理委員会を主宰するなど、全社的なコンプライアンス対策を強化しております。
こうしたことから、代表取締役社長の責任のもとで改善報告書に掲げた取り組みが着実に推進されてきましたが、今回の不適正処理事案の発生により、全ての取り組みが十分でなかったことも明らかになったため、社長が先頭に立ったさらなる改善策の推進が必要であると認識しております。
○鈴木委員 代表取締役社長の責任のもとで改善報告書に掲げた取り組みが着実に推進されてきたというふうに述べておりましたけれども、こういう質疑の中で、本当に組織を守るだけ、この社長をかばう姿勢というのは、都民には通じないというふうに私は思いますよ。
社長として、どのような認識を持って責任を果たそうとしているのか、これについて見解をお伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社における特別監察結果改善報告書の取りまとめ以降、全社的にコンプライアンスの徹底を図ってきた中で、今回の不適正処理事案が発生したことについて、東京水道株式会社の代表取締役社長は極めて重く受けとめております。
全社を挙げた対応が必要との考えのもと、まずはみずからが先頭に立って、社員一人一人に本事案の重大性と政策連携団体の社員として持つべきモラルを伝えるとともに、コンプライアンス意識やモチベーションを改めて向上させるため、全ての事業所を訪問し社員との意見交換を行うこととし、既に多摩地区の全事業所を訪問いたしました。
あわせて、二度と同様の事態を起こすことのないよう、原因究明と実効性のある再発防止策の策定及び実施について、全社に対して指示いたしました。
さらに、会社の体制を立て直す決意を社内外に示すため、月額報酬の二〇%、一カ月を自主返納いたしました。
こうした強い決意のもと、今回策定した再発防止策を代表取締役社長が先頭に立って着実に実行することで責任を果たしてまいります。
○鈴木委員 社長みずからが、社員一人一人に本事案の重大性と政策連携団体の社員として持つべきモラルを伝えるために、多摩地区も含めて全事業所を訪問したという話なんですけれども、それでは、何カ所の事業所を訪問して、何人と意見交換をして、どのような意見が出たのか、お伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の代表取締役社長は、本事案の発生、そして、水道局長からの強い指導を受け、本年九月から同社の全事業所の訪問を開始し、九月末までに多摩地区にある全ての事業所四十五カ所を訪問し、約二百人と意見交換を行いました。
社員との意見交換では、社長から、社員一人一人に本事案の重大性と政策連携団体の社員として持つべきモラルを伝え、社員からは、みずからの業務の重要性の理解促進が図られたという意見のほか、文書の電子化によるセキュリティー向上や業務の効率化、研修の増加などの人材育成の強化を求める意見がございました。
○鈴木委員 いろいろと説明されましたけれども、形じゃないんですよ。やっぱり大事なのは本質的な姿勢、心、そういった仕事に対する姿勢だというふうに思います。
事件を起こしたことを反省して、再発防止を図るのは当然なんですけれども、真っ先に行わなくてはならないのは、社長として、水道を使用する都民への真摯な謝罪ではないかなというふうに思います。
会社のホームページには、私も見ましたけれども、申しわけ程度の謝罪文が掲載されています。しかしながら、団体の業務運営に責任を持つ社長が社員の犯した事件について非を認めて、自分の責任を自覚した上で、みずからの言葉で謝罪する、それが何よりも都民に通じる、都民に理解される、私はそういった姿勢ではないかなというふうに思います。
今回、月額報酬二〇%、一カ月を自主返納するということが本当に責任を果たすことになるのか、これは都民がどういうふうに理解するのかと私は思います。局として、適正な対応と考えているのか、お伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局では、今回の自主返納について、東京水道株式会社の代表取締役社長みずからが範を示し、再発防止に率先して取り組んでいくことの決意を示したものと認識しております。
また、今回策定した再発防止策を代表取締役社長が先頭に立って着実に実行することで責任を果たしていくことが重要と考えております。
○鈴木委員 以前のこの委員会の質疑の中で、役員に対する業績評価についての話をさせていただきました。
今回の月額報酬二〇%の一カ月自主返納は、あくまでも自主返納ですよね。業績評価にはどう反映されるのか、また、対象者は、取締役社長だけでなく、誰と誰なのか、改めてお伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 今回の自主返納につきましては、代表取締役社長と副社長と業務執行した取締役の三名でございます。
業績評価につきましては、こちらは、今年度の業績評価は来年度行われる形になってございます。
○鈴木委員 以前の答弁では、取締役が対象だという話があったんですけれども、今のこの三名というのは、非常勤は除いた常勤なんですか、お伺いします。
○鈴木経営改革推進担当部長 おっしゃるように常勤の三名の取締役でございます。
○鈴木委員 そういったこともきちっと答弁していただきたいなというふうに思います。
私は、民間企業であれば、先ほどの話も本当にこれ一緒なんですけれども、トップが責任とって本当に辞任するというような、そういった責任のとり方もあるんだろうというふうに思うんですけれども、公益性が強い政策連携団体のトップならば、やはり、みずからが厳しく身を処すべきであるというふうに強く指摘しておきます。
私は、委員長、前回もこの委員会でお願いをさせていただいたんですけれども、こういった事案が再三生じる中で、社長みずからのお話を伺う機会が全くないという状況の中で、今回の重大事案の再発を受けて、改めて本委員会に野田社長を呼んでいただきたいというふうにお願いをさせていただきます。
また、今回のような事案が発生した原因というのは、会社としてのチェックが働いていなかったためではないかなというふうに疑問を持つのは当然だというふうに思います。
私は本年三月の公営企業委員会で、社員のみならず役員に対するチェックについても、独立した監査等委員会を通じて担保して、会社全体としてのガバナンスをきかせてコンプライアンスを徹底しなければ、新会社は本当の意味で生まれ変わることはないというふうに指摘をしました。
監査等委員会の設置というのは、新会社のガバナンス強化のための最も重要な取り組みの一つであるというふうに私は考えているんですけれども、そして、局もこれまで、たびたびそのような答弁をしてきたんですけれども、果たして設置した効果というのは出ているのか、本当に疑問でならないんですけれども、監査等委員会を設置した効果についてお伺いいたします。
○伊藤委員長 その前に、ただいまご発言のありました参考人につきましては、これまでのとおり、後刻、理事会で協議をさせていただきます。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の監査等委員会は、原則として月一回開催し、株主総会に提出された議案等の監査や監査方針及び監査計画の策定、取締役の選任に関する意見、会計監査人の選任の適否などを決議し、従来の監査役よりも広い権限を持ち、経営の適法性や妥当性をチェックする機能を発揮しております。
また、監査等委員は、リスク管理委員会やコンプライアンス推進委員会等の重要会議に出席し、法律的な視点や会社経営の知見を生かした専門的な意見を述べるとともに、適切な議題設定など、会議の運営方法そのものについてもきめ細やかに助言しております。
リスク管理委員会では、経営上の大きなリスクについて、経営層が共通認識を持つための話し合いを持つべきとの助言を受け、自然災害や感染症拡大、業務事故など、経営上の大きなリスクの評価を議題とすることといたしました。
また、今回の不適正処理事案については、業務フローにおいて、不正や不適切な取り扱いを阻止する仕組みを導入するべきといった意見があり、これを受けて、会社は、再発防止策として、各種申請手続に関する業務フローや確認方法を見直し、構造的に不適正処理が発生しない仕組みの導入を決定いたしました。
○鈴木委員 今の答弁で、もう一つ触れなきゃいけないのは、監査等委員会は--株式会社に欠けているのは、都民に説明できる、都民が納得するのか、そうした外部の視点が改善策に感じられないというふうに指摘しているんですよ。
その部分においては全く反映されていない。ある意味、つまみ食いみたいな感じになっているのかなというふうに思わざるを得ません。経営や事業運営にもこの視点が欠けているのではないかというふうに私は思います。
東京水道株式会社は水道事業の重要な仕事をしているんですよ。都民生活を支えている、こういう経営をしている、こうしたことを都民に発信して、都民から逆にまた意見をいただく、そして、その声を経営や事業運営に反映させる、そうしたことが、私は、今、早急にやるべきことではないかなというふうに思います。会社としての危機意識の保持、そして、社員のモチベーションの向上に、そのことがやはりつながっていくんだというふうに思います。
水道局の皆様がグループ全体で本当にこのすばらしい高品質な水道を供給していただいているということは、もう改めていうべきことではないんですけれども、しかしながら、皆様に一番不足しているのは、やはり都民に対しての信頼をしっかりと回復するということが今一番求められているというふうに思っておりますので、あえていわせていただきますけれども、しっかりと都民に対して、いろいろとホームページで発信しているということは承知しておりますけれども、やはり今回のことに対しても、逆に意見をいただいて、そしてしっかりと取り組んでいくという姿勢を示していただきたいなというふうに思います。
監査等委員会からの意見や指摘を真摯に受けとめながら、団体の改革を進めていくということが大事だというふうに思うんですけれども、局も団体も危機意識がない中、本当に改革が可能なのか、幹部の意識改革もやはり私は急務ではないかなというふうに思います。きょういらっしゃる皆さん、幹部ですけれども。
また、団体の課題として、局派遣社員、局OB社員、そして固有社員の間に壁があって、コミュニケーションや技術継承などの障壁になっていることが、これまでも挙げられて、課題だというふうになっていたんですけれども、会社としてこの課題に対しては、今、具体的にどのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社は、固有社員、都OB社員及び都派遣社員で構成されておりますが、コミュニケーションや技術継承を円滑に行う上で、近年の急速な固有社員の採用の拡大により、固有社員の年齢層に偏りがあるとともに、固有社員の管理監督者が少ないなどの課題がございます。
このような中、昨年度から固有社員の課長昇任選考の資格要件を緩和し、管理職への任用を促進するとともに、不足している中堅社員を増員するため、中途採用を通年実施しております。
こうした取り組みにより、昨年度の課長昇任選考の合格者は、一昨年度の二人から十人に、また中途採用についても、昨年度の採用数が一昨年度の十四人から四十四人に大幅に増加いたしました。
今年度も同様の取り組みを継続するとともに、技術系の就活サイトを活用した募集方法の改善など、経験者採用の取り組みを強化することで、社員構成の適正化と固有社員のモチベーションの向上を図ってまいります。
また、ベテランの都OB社員と若手固有社員とのペア体制で工事監督業務等の現場OJTを実施するなど、技術継承とコミュニケーションの活性化に向けた取り組みを推進いたします。
さらに、当局から同社に中堅職員を派遣し、組織マネジメントの支援や有為なノウハウ等を固有社員に継承するとともに、同社から当局に若手社員を派遣し、専門的ノウハウを習得させることとしており、今後、順次拡大していく予定でございます。
○鈴木委員 グループ全体の士気を高めていくためにも、やはりコミュニケーションの壁があってはままならないというふうにも思います。ぜひこれからも、そうしたことが改善できるように取り組んでいただきたいなというふうに思います。
私は、この委員会の場でも、ベテラン社員の大量退職を踏まえた技術継承と人材育成は喫緊の課題であるというふうに再三指摘してまいりました。コンプライアンスの確保はもちろん当然でありますけれども、団体が組織としての改革を進め、技術継承と人材育成を行っていくことも大事だというふうに思います。
都は、契約の適正な執行を確保するためのペナルティーとして、同社に対して、八月二十五日から三カ月の指名停止措置をとったわけですけれども、この間に、水道局から新たに委託された契約がほとんどない。同社の経営には実質的に影響がないというふうに思わざるを得ません。これではペナルティーとして本当に意味があるのか。
水道局が行うべきことは、指名停止期間が明けるのを待って委託を再開するというよりは、競争もせずに当然のように業務を受け取って、緊張感がない団体の体質を是正しなくてはならないのではないかなというふうに思います。それがまさに一番の改善策だというふうに思います。
そもそも水道局は、工事監督などの民間事業者ができない業務を基幹的業務と位置づけて政策連携団体に担わせて、水道局と政策連携団体が一体となって事業を進めるグループ経営を推進しており、その契約方法も特命随意契約であります。
しかし、このような事件を繰り返し、自浄能力も発揮できないような団体に水道事業の一翼を担わせること、さらには、業務を獲得する努力も、漫然と業務を受託している状況で、都民の理解を得ることができるのかなというふうにも思います。
有識者の見解の中にも、いろいろと特命随意契約については指摘されておりましたけれども、水道事業に責任を持つ水道局は、当局と政策連携団体の東京水道グループによる事業運営体制のあり方を原点から見直すべきではないかなというふうにも思うんですけれども、これに対する見解をお伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局及び東京水道株式会社において不適正事案が連続して発生しており、これまでの対策に加え、新たな視点からの抜本的な改善が必要と強く認識しております。
将来にわたり安定給水を継続していくためには、局と同社による人材育成や経営基盤を強化し、グループ経営を推進していくことが不可欠でございます。
局として指導監督する立場から、同社に改めて都の水道事業の一翼を担う会社であることを念頭に、このたびの責任を明確にし、原因分析、再発防止を徹底し、経営や業務運営の改善等について、都民への説明責任を十分に果たすよう強く指導いたしました。
また、同社の監査等委員との意見交換を行うとともに、指名停止期間における改善状況等を確認、検証した上で、コンプライアンスと業務執行の抜本的な改善を図ってまいります。
○鈴木委員 説明責任をどのように果たすのかという話もそうなんですけれども、もうこれ時間ないからやめます。
指名停止期間における改善状況を確認、検証するというふうにされておりますけれども、具体的にどのように検証するのか、お伺いします。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、指名停止期間中に全ての再発防止策に取り組み、同社及び当局において実施状況を検証してまいります。
まず、同社では、同期間中の改善状況を自己評価するため、再発防止策の取り組みに対する浸透度を把握するための全社員アンケートを実施するとともに、監査等委員から取り組み状況について論評をいただきます。
当局では、同社の自己評価を精査するとともに、全ての再発防止策の進捗管理を初め、アンケートの回答状況から全社員に対するコンプライアンス意識の浸透度合いを見きわめることや、監査等委員の論評を考慮し、改善状況を総合的に検証いたします。
○鈴木委員 特命随意契約についての見直しも聞こうと思ったんですけれども、これもやめます。
しかしながら、特命随意契約だけでなく、契約方式の見直しというのは、やはり不断に見直していくことも必要ではないかなというふうに思うんですけれども、これに対して、どのように見直しをしていくのか、お伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局と東京水道株式会社との契約方式は、現在、実施方法等を詳細に指示する仕様発注による業務ごとの委託契約でありますが、創意工夫や業務改善が進みにくいという課題がございます。
このため、これまでの仕様発注とは異なる新たな包括委託を性能発注方式により実施するための検討を進めております。
包括委託は、料金徴収などの営業系業務と配水管の維持管理などの技術系業務を一括して委託することで、業務の効率化等を図る契約方式でございます。
性能発注方式は、安定給水に必要な当局が求めるサービス水準を提示し、その水準を確保することを条件として、実施方法等について創意工夫を促す契約方式でございます。
実施に当たっては、営業系業務と技術系業務をエリアごとに包括的に行わせるとともに、成果に応じたペナルティーとインセンティブを導入することなどにより、同社に業務遂行の責任を持たせ、創意工夫を促し、一層の効率性を発揮させてまいります。
○鈴木委員 これまで指摘してまいりましたけれども、局にも団体にも、やはり危機意識というものを持っていただきたい。それがなくては改善につながらないというふうに思います。
その意味で、今お話いただきましたけれども、ペナルティーとインセンティブの導入や団体に業務の責任を持たせることは必要であり、そうした観点から、契約方式の見直しにもやはり真剣に取り組んでいただきたいなというふうに思います。
民間事業者では、複数の子会社をつくって、その子会社同士を競争させて、経営の効率化や、業務品質の向上につなげている例もあるんですけれども、局と団体は、こうした緊張感は当然のこと、何よりもやはり危機意識を持つために、これからどうするのかということが大事だというふうに思います。
そもそも水道事業は、二十四時間三百六十五日、安定給水を確保することが使命であって、業務を政策連携団体に移転したとしても、その責任というのは局が負わなくてはならない。仮に政策連携団体が業務継続が困難になった場合でも、しっかりと局が責任を持って対応していくということが求められるんですけれども、どのように対応するのか、見解をお伺いいたします。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局と東京水道株式会社の業務分担の状況は、区部では局の直営が多く、多摩地区では同社へ多くの業務を委託しております。
また、共同での研修や人材交流などを行っており、局と同社の双方に水道事業に関する幅広い技術とノウハウが蓄積されております。
今後、現場業務について同社への業務移転を推進していくことから、人材交流を一層拡大し、東京水道グループ一体となった人材育成により、グループ全体で技術とノウハウを維持してまいります。
さらに、自然災害が発生したときなどにおいても、確実に業務の継続ができるようバックアップ体制の構築などについて同社への指導監督を引き続いて行ってまいります。
今回、新型コロナウイルス感染症が拡大した際においても、十分な感染症対策や複数のチーム体制構築など、事業継続のための対策を講じることを指示いたしました。
なお、これまでも、大規模な漏水事故等が発生した場合には、局と同社のいずれも現場に駆けつけ、局の指示のもと、協力して対応に当たっており、当分の間は局の応援による業務継続も可能な体制となっております。
○鈴木委員 局はこれまで、議会での質疑や長期構想において、将来にわたり安定給水を継続していくために、局と東京水道株式会社が人材育成や経営基盤を強化してグループ経営を推進していくことが不可欠であると主張しているんです。
しかし、今回の事件を契機に、本当に最後のチャンスだと肝に銘じて、東京水道グループが生まれ変わらなければ、その実現は、私はないというふうに思っております。
私はこれまで、局のコンプライアンスの強化について、幾度となく、別にやりたいからやっているわけじゃなく、やらざるを得ないからやっているんですけれども、意見を述べてまいりました。
その中で、中嶋前局長は、みずからが先頭に立って都民の信頼の回復を図っていくと述べられておりました。道半ばといえるというふうに思いますけれども、その本人が異動してしまったということは、私は本当に残念でならないんですけれども、今回新たに浜局長が就任をされました。都政新報にも浜局長のことが書かれておりますけれども、気が緩まないよう継続的な取り組みを進めていく構えを示すのがコンプライアンスの強化だ、これまでの不祥事を踏まえ、前任からも重い課題として引き継いでいると力を込めております。政策連携団体の東京水道とは、人材育成などの課題を共有し、一体的に取り組んでいきたいというような抱負が述べられて、決意を述べられておりました。
今後、将来にわたる安定給水の実現のために、水道局長はどのような決意でグループ経営を推進していくのか、お伺いをいたします。
○浜水道局長 将来にわたり安定給水を継続していくためには、東京水道グループを担う人材の育成や経営基盤の強化を図ることが極めて重要でありますことはもとより、都民の信頼を得て事業を進めていくことが欠かせません。
今回、東京水道株式会社において不適正処理事案が発生したことによって、東京水道グループに対する都民の信頼を大きく損なってしまいましたことを重く受けとめております。
このため、同社に対して徹底した原因分析を行った上で、実効性ある再発防止策の策定と、その実施などを強く指示するとともに、都の水道事業の一翼を担う会社として都民への説明責任を果たし、都民の信頼を回復するよう責任を持って指導監督してまいります。
さらに、東京水道グループとして、水道事業を担う誇りと高いコンプライアンス意識を持つ職員、社員を育成するとともに、経営基盤の強化を図るため、新たな視点から、同社が責任を持った事業運営を行えるよう、局と同社の責任と役割を見直してまいります。
当局は、東京水道グループが将来にわたって事業を効果的かつ効率的に推進できますよう、責任を持ってグループを牽引していくことで、都民の皆様からの真の信頼回復を果たし、持続可能な事業運営を行ってまいります。
○鈴木委員 これまでも実績のある浜局長でございますので、ぜひ、今、大変窮地に陥っているこのグループ全体を立て直していただきたいなというふうに思います。
大切なことは、方針とか対策とか、策ではなく、お客様に対して誠心誠意の仕事を通して奉仕するという、そういった姿勢ではないかなというふうに思います。お客様あっての水道事業であるという意識が何よりも求められるというふうに思います。今、コロナ禍で大変な状況にあり、水道料金の減免だとか、そしてまた支払い猶予だとか、さまざまな声が聞かれるわけですけれども、しかしながら、そうしたことも全て、生活、そして、社会経済に必要なインフラを皆さんが担っているという意識のもとに、ぜひこれからも取り組んでいただきたいなというふうに思います。
何度も触れますけれども、失った信頼を回復するというのは大変困難きわまることであるというふうに思っておりますけれども、今までの質疑を通して、ぜひとも信頼回復につなげていっていただきたいということを要望いたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分休憩いたします。
午後五時三十五分休憩
午後五時五十分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いします。
○大松委員 このたび、東京水道株式会社の社員が道路占用許可書を不正に作成したと。これは、申し上げるまでもなく絶対に許されない行為であります。そして、この社員個人が行ったことではありますけれども、当然、同社が組織として反省をすべき問題でありますし、何より同社を指導監督する立場の水道局の責任が極めて大きいということを、冒頭、まず申し上げておきたいと思います。
この東京水道株式会社は、ことしの四月、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCが合併して発足をしたわけでありますけれども、合併前の東京水道サービス株式会社において、関係団体や受注工事業者との不適切な関係、そして、書類の改ざんや虚偽報告書の作成指示等が行われているなどの指摘を受けて、昨年の二月に、東京水道サービス株式会社に対し特別監察が行われまして、そして、昨年の八月には、同社と水道局が改善報告書を出したというところでございます。
しかしながら、再びこのたびのような不祥事が発生をしたということは、結果としてその改善策は機能しなかったということになるわけであります。この改善策が行われたにもかかわらず、それが改善できなかった、この理由について、このたびまとめられた報告書を読みますと、上司が事故者からの報告をうのみにし、裏づけを確認しなかった、補修工事においてはチェックシートが作成されていなかった、コロナ禍で集合研修が未実施だったと、このようにされているわけでありますけれども、これらはいずれも非常に表層的な事象を列挙しているだけにすぎません。なぜ、このようなことになったのか、その原因がきちっと分析をされているというふうには、とてもいえないわけであります。
なぜ、この改善策が機能しなかったのか、同社はどのように分析を行っているのか、改めて見解を求めます。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社ではこれまで、業務進捗管理のためのミーティングや上司による確認、工事や設計におけるチェックシートの作成による進捗管理、コンプライアンス研修の実施などの再発防止策を積極的に進めてまいりました。
しかし、ショートミーティング実施後、別途進行管理が必要な案件等について詳細な確認を行っていないものがあり、ショートミーティングが十分に生かされておりませんでした。
また、本事案のような瑕疵担保に基づく補修工事は、チェックシートによる管理の対象から漏れてしまっており、進行管理が適切になされておりませんでした。
さらに、昨年度、座学を中心に実施したコンプライアンス研修では、研修後アンケートを実施しておらず、効果確認が十分でありませんでした。また、今年度は、コロナ禍で集合研修を実施できておりません。
こうしたことにより、特別監察の改善報告書で掲げた改善策が機能しなかったと分析しております。
○大松委員 先ほど鈴木委員からも指摘がありましたけれども、補修工事のチェックシートが作成されていなかった理由について、先ほどの答弁で、瑕疵担保に基づく補修工事は、チェックシートによる管理の対象から漏れてしまってと、こういう答弁がありましたけれども、リスク管理委員会からも、新設工事に付随する漏水補修工事ですから、本体工事よりも重要な位置づけであるべきと、こういう意見も付されているわけでありますので、この瑕疵担保による補修工事の位置づけを、これはきちっと見直していかなければいけないということを申し上げておきたいと思います。
そしてまた、先ほどの答弁で、昨年度、座学を中心に実施したコンプライアンス研修では、研修後アンケートを実施しておらず、効果確認が十分ではなく、今年度はコロナ禍で集合研修を実施できていないと、こういう答弁もいただきましたけれども、むしろこうした研修は、コロナ禍だから実施しなくていいと、こういう位置づけのものではないはずなんですね。オンラインでの研修であるとか、工夫をして、コロナ禍であっても、きちっと実施をしていくべきものであるということも指摘をしておきたいと思います。
今後、同様の事故を二度と起こさないために、改めてしっかり原因を分析して、対策を講じていく重要性を指摘しておきたいと思います。
その上で、やはり指導監督する立場の水道局の責任が重いということは、冒頭申し上げたとおりでございます。改善策を同社に着実に実施させて、東京水道グループとして都民の信頼回復に努めることは、水道局としても急務だったはずであるわけであります。本当に適切に水道局として指導監督が行われたのかということについては、やはり疑問を感じざるを得ないというわけでございます。
結果的に、同社に対する特別監察結果、この改善報告書の改善策を行ったにもかかわらず、不祥事、不適正処理事案が発生したことについて、局は、指導監督を行う立場として、どう責任を認識しているのか、答弁を求めます。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局は、昨年八月に、東京水道サービス株式会社が策定した改善策について、それぞれの事案に即した対策として妥当なものと認識しておりました。また、当局として再発防止策の実施状況を今年度検証することとしておりました。
そして、東京水道株式会社みずからが、再発防止策の実施状況を検証し、その結果を当局に七月に報告させ、その内容を十一月に開催する東京水道グループコンプライアンス有識者委員会でさらに検証を行い、さらなる改善に向けた指導を行うことを予定しておりました。
しかし、今回の不適正処理事案が、検証を行う以前の六月に発覚いたしました。
当局としては、同社からの報告を受けるまで実施状況に関する指導を行わなかったこと、また、個別業務の執行について進行管理や情報共有、役割分担の明確化が不十分であったことがこうした結果を招いたものと認識しており、その責任を痛感しております。
○大松委員 やはり、これまでの水道局の指導監督が不十分であったということが明らかになったわけでございます。
先ほどの答弁でありましたが、東京水道サービス株式会社時代に特別監察結果改善報告書が出されたのが昨年の八月、そして、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会で検証を行うのがことしの十一月だったと、こういうことだったわけでありますけれども、改善策の取り組みの開始から検証報告まで一年以上かけるというのは、やはりこれは長過ぎるんじゃありませんか。
局は、責任を持って、同社に対して、本来であれば、定期的に報告を求めるべきであったということを指摘しておきたいと思います。
同社は、本年の四月の統合を機に、都の政策連携団体では初めてとなる会社法上の監査等委員会設置会社となり、公募等により三名の監査等委員を選任しております。
現在、水道局が、外部有識者によるコンプライアンス委員会を設置していることからもわかるように、組織の改善を進めるためには、外部の視点による助言も重要と考えるわけでございます。
局の指導監督を強化するために、今回の報告書には、監査等委員との意見交換を行うとありますけれども、これ実際に行われたのでしょうか。そして、行われたのであれば、指導監督に生かすことができる、そういう成果があったのか、答弁を求めます。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社のガバナンス体制の整備や運用状況等に関する外部の視点による意見を同社に対する指導監督に生かしていく目的で、本年九月十五日、水道局長と同社の監査等委員との意見交換を実施いたしました。
その際、監査等委員からは、東京水道株式会社における不祥事であっても、外部に対しては東京水道グループ全体として責任を持って対応すべきという意見のほか、お客様のためという意識の不足についての指摘や、当局と同社が連携して事業を推進していく意識を浸透させることの重要性などについて意見をいただきました。
このような、監査等委員からさまざまな意見を得ており、今後、当局の同社に対する指導監督に反映してまいります。
○大松委員 監査等委員からも、東京水道グループ全体として責任を持って取り組むべきと指摘をされております。今後も、監査等委員の外部の視点からの意見を傾聴して、局長の責任のもと、同社に対する適切な指導監督をしっかりやっていただけるように求めるものでございます。
また、同社に対する指導監督は、報告を受けて指示する方法だけには限りません。水道局は、同社の八割の株式を保有しているため、株主としての権利の行使や、また、職員を同社の取締役として派遣しておりますので、取締役会での決議などさまざまな方法があるわけでございます。今後もグループ経営を推進して、水道事業における基幹的業務を水道局と同社が担っていくのであれば、指導監督のあり方、特に同社に対する関与のあり方を抜本的に見直す必要がございます。
今後も、水道局が都の水道事業を東京水道株式会社とともに運営していこうというのであれば、この指導監督のあり方をよく踏み込んで、見直していかなければなりません。見解を求めます。
○鈴木経営改革推進担当部長 当局は、東京水道株式会社との間で業務運営に関する協定書を締結し、この協定書に定める協議事項や報告事項に対して必要な指導監督を実施しております。
また、東京水道グループ経営基本方針を策定し、当局と同社で東京水道グループが目指すべき理念等を共有するとともに、グループ経営戦略会議やコンプライアンス推進会議の開催など、グループ経営の推進に向けた取り組みを実施しております。
しかし、今回の不適正処理事案が発生したことで、当局の同社に対するさらなるガバナンスの強化が必要であると認識しております。
このため、今後は、監査等委員の意見等も踏まえて、グループ経営戦略会議における議題の追加や経営指標の設定による目標管理の実施など、同社の業務運営に対する指導監督のあり方を見直してまいります。
また、当局と同社における人材交流や共同研修などの実施により、東京水道グループとしての人材育成にも取り組んでまいります。
○大松委員 東京水道グループが、今後、都民の信頼を回復して、安定的な事業運営をできるかどうかは、全て水道局長にかかっているわけでございます。二度と不祥事を起こさないよう、局内は当然のこととして、同社に対して、しっかり指導監督を徹底していただきたいと思います。
今後の局の指導監督について、局長の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
○浜水道局長 東京水道株式会社において信頼回復に向ける取り組みを進めている中、今回の不適正処理事案が発生いたしましたこと、指導監督する立場である水道局長として大変重く受けとめております。
同社は、都の水道事業の一翼を担う政策連携団体であり、社員はもとより、組織として企業一般が求められる水準よりも高いコンプライアンスの徹底が求められることは当然のことでございます。
このため、当局は、東京水道グループ経営基本方針の見直しを進めるとともに、同社の株式の八割を有する支配株主としての立場、また、東京水道グループを束ね、同社を指導監督する立場の両面から、同社の事業運営及びコンプライアンス強化に関する意思決定への関与をこれまで以上に強めてまいります。
こうしたことにより、水道局長として責任を持って、東京水道グループ全体を牽引し、安全でおいしい水を安定的に供給するという水道事業に課せられた根源的使命を果たしてまいります。
○とくとめ委員 それでは、質問をさせてもらいます。
要求資料の提供はありがとうございました。
水道局所管の政策連携団体におけるコンプライアンス確保にかかわって質問します。
地方公営企業法では、常に公営企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するよう運営されなければならないと強調していることは、皆さんも周知のとおりです。
水道は、生命、健康の維持に不可欠であると強調しています。水道事業に携わる職員、社員の皆さんにとって、全ての都民の命の水を供給する仕事を担うことは、誇り高き最大のモチベーションではないかと思います。この原点に立って、それにふさわしい職場環境を確立するとともに、一連の不適正事案に対する再発防止の体制を実現し、都民の信頼をかち取ることが極めて重要だと思います。都民の信頼確保にとって、もう再発など許されないという状況ではないかと思います。
そこでまず、今回の経緯ですが、本年四月、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCが統合し、新たな政策連携団体である東京水道株式会社となりました。
しかし、本年六月、社員が、工事に必要な道路占用許可書を偽造する事件が発覚しました。
二社の統合以前から、水道局と政策連携団体は、相次いだ不適正事案から、コンプライアンスへの取り組みを強化してきたと思います。
新会社では、監査等委員会、社内コンプライアンス推進委員会、リスク管理委員会と内部統制の体制強化に特別に取り組んできたとありますが、TSSの特別監察の内容や体制強化は、新会社ではどのように徹底をされ、改善されてきたのですか。特に、六月に発覚した今回の事故者や関係する社員などには徹底されていたのでしょうか。お答え願いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、日ごろからの上司による声かけや毎日実施するショートミーティングなどで業務の進捗管理を行うとともに、社員間のコミュニケーションの活性化を図り、水道事業や担当業務の意義や重要性を伝えております。
また、職場内の会議などで、不適正処理事案に関する職場討議や再発防止策の周知徹底を図ることに加え、社員を対象に、不適正事案の解説を行うコンプライアンスに関する特別研修を行ってきております。
さらに、社員全員に対する社内報として、仕事における心構えなどを啓発するコンプライアンス通信を今年度五回発行いたしました。
こうした取り組みを通じ、社員一人一人のコンプライアンス意識の浸透やモチベーションの向上、さらには、社員の一体感の醸成を図ってきているところでございます。
○とくとめ委員 新会社では、日常業務の中で、コミュニケーションを図り、研修や社内報を出して啓発するなど、機会あるごとにコンプライアンスの大切さを伝えているとのことでした。先ほど社内報も読ませてもらいました。
しかし、そうした努力の中でも、今回の不適正行為は、虚偽内容の記載のてんまつ記など幾つかの不適正行為が重なっていますが、こうした事態を現場作業の中で日常的にチェックする体制はどうなっていたのか、伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、監督員を指導する立場にある総括監督員等が、事故者に対し、日ごろの声かけなどによるコミュニケーションの活性化により、報告、連絡、相談のしやすい職場づくりを進めておりました。
また、業務の進捗管理や課題の報告を行うショートミーティングを毎日実施し、業務における課題を組織内で共有するとともに、通常の全ての工事に対して、チェックシートによる進捗管理を行っておりました。
○とくとめ委員 いろいろと仕組みはあったということですけれども、今回の不適正事案の原因分析の中で、不適正行為を見逃した現場の業務責任者など上司の対応についても問題を指摘していますが、なぜ見逃すことになったのか。どのように改善をしていくのですか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社ではこれまで、業務進捗管理のためのミーティングや上司による確認、工事や設計におけるチェックシートの作成による進捗管理等を行っておりました。
しかし、ショートミーティング実施後、別途進行管理が必要な案件等について詳細な確認を行っていないものがあり、ショートミーティングが十分に生かされておりませんでした。
また、本事案のような瑕疵担保に基づく補修工事は、チェックシートによる管理の対象から漏れてしまっており、進行管理が適切になされておりませんでした。
こうした本事案の原因を分析し、取りまとめた十四の再発防止策について着実に実施するとともに、進捗管理を徹底していくこととしております。
○とくとめ委員 東京水道グループコンプライアンス有識者委員会の第九回の議事メモにおいて、不正の起きないシステムということで、仕事のやり方について見直していく、それは団体だけでなくて、都も踏まえて一緒に見直していくと、東京都の責任についても指摘をされています。
どういう点をどのように見直していくのか、伺います。
○今井施設部長 今回の事案では、東京水道株式会社内で申請手続などに関する管理監督者による確認行為が不足していたこと。
また、当局においても、道路占用許可の申請手続状況について、同社に対して口頭により確認を行っていたものの、許可書の原本を確認していなかったことが発生の原因の一つでございました。
今回の事案を受け、同社では、管理監督者が担当者からの報告を受ける際に、業務日誌や報告内容を裏づける資料を確認するとともに、各種申請手続の事務フローを見直し、他部署によるチェック体制を確保することで、不適正処理が構造的に発生しない仕組みを構築します。
また、当局におきましても、許可書につきましては、取得後速やかに同社から当局に原本を提出させ、内容を確認の上、管理簿を作成し管理するよう改善しました。
○とくとめ委員 東京都でも許可書について確認することにしたとのことでした。確実に、確実に、この許可書について確認をしていくようにしていただきたいと思います。
同じく、議事メモで、有識者委員会の発言として、研修を徹底するというのは非常に重要、具体的なケースで行う研修、そういったところも、やはりもっと突っ込んで検討してもらいたいという意見が上がっています。
この間のコロナ災難の中で、研修などが十分にできなかったといわれていますが、どのように受けとめていますか。今後、どのように研修のあり方を改善していくのですか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、令和二年度新規採用社員を対象に、水道事業の重要性やコンプライアンスに対する基本的な知識等の習得を図ることを目的とした新入社員研修や、主査、課長代理社員を対象に、若手を指導する視点を加えたコンプライアンス研修などの実施を計画しておりました。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、同社では、年度当初の新入社員研修などの集合研修を中止、または延期してきたため、その代替として、研修資料の配布による研修を実施してまいりましたが、水道事業や担当業務の意義や重要性、コンプライアンス意識を浸透させる上で、効果が不十分であったと認識しております。
今後は、感染予防策を講じ、安心して受講できる環境を確保した上で、もともと計画していた新入社員のフォローアップ研修など、重要度の高い研修を優先して集合研修を再開してまいります。
○とくとめ委員 新型コロナのもとで研修を中止や延期にして、代替として資料を配布してきたけれども、その効果が不十分だったと。感染予防対策を講じ、重要度の高い研修を優先して再開していくということでした。
やっぱりチラシを配るだけでは徹底しないと思います。中身をしっかり魂を込めて受けとめてもらうことが大事だと思います。やはり書面で配布されただけでは難しい面があるのは、誰でも感じるところだと思います。特に新入社員ならなおさらです。感染防止をしながら、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
再発防止の策定に当たっての一つとして、モチベーションの低下への対応の中で、代表取締役社長が、全ての事業所の訪問、社員の意見には直接耳を傾けること、モチベーションの向上、一体感の醸成などを強調しています。
こうしたことが今回対策として重視されるようになり、社長に提起されることになったのは、どういう理由からでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、事故者のモチベーションが低下していたことが不適正処理事案が発生した原因の一つであると分析しており、社員のモチベーション向上に取り組むことも重要と考えております。
同社では、代表取締役社長みずからが先頭に立って、社員一人一人に水道事業や担当業務の意義や重要性を伝えることは、改めて社員のコンプライアンス意識やモチベーションの向上につながるものと認識しております。
また、同社社長は、昨年来、同社の業務の基本は現場であるとの観点から、現場を訪問し、現場で働く社員との意見交換を行った際、社員から、みずからの業務の重要性の理解促進が図られたという意見のほか、文書の電子化によるセキュリティー向上や業務の効率化、研修の増加などの人材育成の強化を求める声など、現場から多くの意見を受けました。
この取り組みにより、社長みずからが各職場が抱える課題を把握し、改善を進めることが可能となるほか、社長と社員との意識の共有化やモチベーションの向上が図られることから、社全体の一体感が醸成され、円滑に業務運営を進めることができると認識しております。
○とくとめ委員 昨年来、現場から多くの意見を受けて、社長みずからが課題の把握と改善に取り組める、また、社長と社員の意識の共有化やモチベーションの向上が期待できるということでした。本当に、社長自身が、この会社の重みというんですかね、置かれている大事な役割を大いに語ってやる気を引き出すという、モチベーションそのものですけど、そういうことが、やっぱり私は大事だと思います。
去年の委員会のときにもいいましたけれども、幾らコンプライアンスといっても、法律を守れ、法令遵守しろというだけでは、本当の人間の意欲は出てこないと思うんですね。やっぱり仕事に対するやりがい、意欲、そういうものが結びついてこそ、ルールもモラルも守ろうということになるわけで、社長がそういう立場で、東京水道株式会社の役割を語っていくということが非常に大事で、その中でみんなの意見を聞いて、その意見を生かすような会社のあり方を築いていっていただきたいと思います。
経営者自身、社長を先頭にして、社員を大切にして、意見をよく聞く、意見をよく聞いて育てるということが、これからの東京水道株式会社にとって大事だと。後でもちょっと触れますけれども、やっぱり若い人が中心になっています。中堅社員が少ないということが、いろんな意味で、コンプライアンスやモチベーションを本当に組織的にグループで築き上げていくというのは弱い感じがいたします。
そこで、きょういただいた資料の東京水道社員の年齢構成や勤務年数一覧で、社員の年齢構成や勤務年数で中核を占める経験のある中堅社員の構成が、技術職などを中心にして少ない状態にあるのは問題ではないかと思うんです。
今回の事故者は、町田市の工事を担当していたということですから、多摩水道技術本部の所属だと思いますけれども、固有社員は、三百三十人のうち百九十二人、六割が三十歳以下です。そういう社員の構成になっています。こうした職場状況は、不適正事案の再発防止に向けたコンプライアンスとか、内部統制の体制強化には問題があると、そういう体制をしっかりつくり切れない、そういう人材の実態があると思います。
この状況をどのように認識していますか。会社の中核を支えるプロパーの中堅社員の人材育成を意識的、系統的に推進すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、近年の急速な固有社員の採用の拡大により、固有社員の年齢層に偏りがあるとともに、固有社員の管理監督者が少なく、固有社員のモチベーションが上がりにくいという課題がございます。
このため、昨年度から、不足する中堅社員の増員を目的として、中途採用の通年募集などを実施するとともに、固有社員の昇任選考の資格要件を緩和しております。
また、中堅固有社員に対して、組織のマネジメント力を向上させるための職層別研修を受講させるとともに、職場内研修講師や若手社員のチューターを担わせるなどにより人材育成を行っております。
今後とも、会社の中核を支える中堅固有社員の確保、育成を着実に進めてまいります。
○とくとめ委員 これまでも、TSSの社員の勤続年数の短さ、つまり、すぐに退職してしまい人材が育たないことは問題にされてきました。改善に努めていただきたいと思います。
職場環境に関連して、やはり働きやすい勤務条件や待遇改善は重要です。
コロナ災難の中で、現場労働者の若い社員がたくさんいる中で、また近年、そういう中で共働きも多い中で、職場の社員の勤務条件など待遇改善については検討されているんでしょうか。また、何らかの待遇改善がされているんでしょうか。お答えください。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、社員の待遇改善の観点から、統合前から段階的に初任給の引き上げ等の給与の見直しや、固有社員の昇任選考の資格要件を緩和し、管理職への任用を促進するなどの取り組みを進めてまいりました。
今回の新型コロナウイルス感染症拡大に際しても、社員やその親族に発熱等の風邪症状が見られる場合や、保育園や小学校等の休校などの事情により勤務が困難な場合などに利用できる特別休暇を速やかに導入いたしました。
また、オフピーク通勤の推進や在宅勤務やテレワークシステムの導入、各職場での飛沫防止パーティションの設置、全社員へのマスク配布などによる職場環境の整備に取り組んでおります。
○とくとめ委員 新型コロナウイルス感染拡大の対応などを含めて取り組んでいるということでした。ぜひ、社員の皆さんの意見を聞きながら、一層の改善に努めていただいて、意欲の湧く、やる気の湧く職場にしていただきたいということを要望しておきます。
同時に、きょういただいた資料で重大な問題だと驚きを持って見たのが、労働基準法三十六条、いわゆる三六協定に基づく労使協定の協議対象になった社員、すなわち違法状態の長時間労働をした社員が、月三十時間超過は、二〇一五年度、延べ二千九百七十五人、二〇一九年度は延べ四千二百四十四人となっています。これは延べ人数ですから、実際の人数はもっと少ないとしても、大変な数です。しかも、年々増加傾向になっています。
さらに、年三百六十時間を超過し、協議対象になった社員も、二〇一五年度は二百四十二人、二〇一九年度は三百六十四人もいて、こちらも増加傾向です。本当に大問題だと思います。
今回の不適正事案の件ですが、年度末の繁忙期であったとのことです、この事故者はですね。確かに虚偽の申請手続をした不正は重大で弁解の余地はないと思いますけれども、その背景に何があったのか、どれくらいの業務量を一人で担っていたのか、そこに無理は生じていなかったのか、会社として十分に人材を確保しているのかなど、根本の労働環境の改善を迫ることが求められていると思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 お示しした資料のとおり、東京水道サービス株式会社における労働基準法第三十六条に基づく労使協定の協議対象社員数及び協議対象の超過勤務実績時間数は年々増加しており、これは、業務量が増加してきたことによるものでございます。
これに対して、同社は、採用活動の強化や年度の途中でも業務の繁忙期に合わせて柔軟な人員配置を図るなどの対策を講じております。
一方、事故者の所属していた技術系の職場は、工事の夜間立ち会いや漏水事故などに対する待機業務もあるため、それに伴う超過勤務もあり、昨年度における事故者の月平均超過勤務時間は三十九時間となっておりますが、法令の範囲内でありました。
東京水道株式会社においても、柔軟な人員配置等により業務の平準化を図るなど、超過勤務の縮減を行い、社員の健康保持に向けて取り組んでまいります。
○とくとめ委員 業務量が増加してきたからといいますけれども、率直にいって、三六協定を超過して働いている、働かせるというのは違法行為です。対策を講じているといいますけれども、年々ふえているのです。対策になっていないのではないでしょうか。抜本的に人員増を図るなど業務の軽減をして、仕事が所定時間内に終わるようにする必要があります。残業するとしても、三六協定を超えることはあってはなりません。
TSSは、この間急速に、国も含めた水道民営化の動きの中で、東京の水道事業の受け皿としてクローズアップされてきました。
また、近年、災害対策など新たな課題に対応する業務もふえているのではないかと想像します。その中で、東京都から無理な業務の発注などはなかったのか、TSSとPUCの統合に当たり、社員に無理を強いることがなかったのかなど、東京水道株式会社だけの問題にせず、東京都自身の問題でもあるのではないかと思います。
しかも、事故者の月平均超過勤務時間、三十九時間ですけれども、待機業務があったので、法令の範囲内との答弁でしたけれども、それは違います。待機業務というのは、職場を離れて、全く自由な時間として過ごすことができたのかどうかが問われます。
今の答弁を聞く限り、漏水事故などに対する待機業務というのは、万が一の場合に、すぐ対応できるように待機しているということではないでしょうか。それは労働時間の範囲内であり、だからこそ超過勤務時間の中に含めているのではないかと思います。それを法令の範囲内だと問題がないかのようにいうのは納得できるものではありません。労働時間を守る三六協定を超えて働かせないというのは、これは、企業としてのコンプライアンスの基本中の基本の問題だと思います。三六協定を超えたら違法なのですから、まずもってここを改善する必要があることを強く申し述べておきます。
最後に、指名停止について伺います。
今回、東京水道株式会社は、八月二十五日から十一月二十四日までの三カ月の指名停止処分となっています。これは、都の事業の受注企業に今回のような事故があった場合の通例の処分と聞いております。前年の同時期のTSSとPUCの都からの受注事業を資料で出していただいておりますが、競争入札での受注はありません。随意契約がTSSで四件、PUCが十二件とのことであります。
そして、先ほど、ほかの委員への答弁もありましたけれども、今年度の指名停止となった期間に、本来であれば八件、随意契約での発注が予定されておりました。そのうち四件は指名停止期間中の発注を差し控えるということでした。
処分は当然だとしても、これらの会社経営への影響が、一般の社員への不利益と及ぶことが懸念されますけれども、どのように扱われるんでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、今回の指名停止期間中に、都から新たな業務を受託できないこと等によって、現時点で本年度の営業利益が約四千万円減少すると試算しております。
この状況を踏まえ、今後、事務経費等のさらなるコスト削減や他事業体からの新たな受注などの経営努力により、経営への影響を最小限にとどめるよう努めていくこととしており、そうした懸念はないものと考えております。
○とくとめ委員 この間、私たちは、水道民営化の流れの中で、東京都が水道事業の現場を直営から手放していくことについて問題があるということを繰り返し指摘してきましたが、水道局が現場を手放すその受け皿として、TSSとPUCが統合されました。この四月に、東京水道株式会社が設立をされました。その方向性はともかく、やはり東京都の政策連携団体で、現に働き、東京の水道事業の一翼を担っている社員の皆さんが、良好な職場環境と待遇で、やりがいとやる気、誇りを持って気持ちよく働けることが大変重要で、そのことがモチベーションのもう最大の土台だと思うんです。その環境整備や東京都の責任も大きいと思います。
水道局の皆さんが、今回、水道局所管政策連携団体におけるコンプライアンス確保についてという報告事項にされたのは、今回の事故を一個人の資質や責任とするのではなくて、組織のあり方や職場環境の改善こそが必要だと感じていらっしゃるからこそだというふうに思います。この立場で、ぜひ改善に取り組んでいただきたいと思います。
私たちは、本当に、この皆さん方の職場が、都民の皆さんの信頼を受けて、命の水である水道が、三百六十五日二十四時間、しっかりと届くようなそういう職場として誇りを持って、現場の職員の皆さんに働いていただきたいというふうに思っています。そういう意味で、局長にその決意を最後に伺いたいと思います。
○浜水道局長 水道事業は、二十四時間三百六十五日、安定給水を確保することが使命でありまして、それを支えているのは、東京水道グループの職員、社員でございます。その職員、社員の仕事に対するモチベーションの源は、水道事業に対する誇りと都民の信頼でございます。
今回の東京水道株式会社における不適正処理事案の発生は、都民の信頼を失い、社員のモチベーションの低下につながることであり、大変重く受けとめております。
同社におきましては、再発防止を徹底するとともに、組織としてコンプライアンスの強化に取り組み、都民の信頼回復に努めてまいります。
また、東京水道グループ全体では、人材育成ややりがいを持って働ける職場づくりを推進し、職員、社員のモチベーションを向上させることにより、より質の高い事業運営を行ってまいります。
こうした取り組みによって、将来にわたり安定給水を継続してまいります。
○山口委員 水道局所管政策連携団体におけるコンプライアンス確保についてということで、東京水道株式会社のコンプライアンスですよね、これは。ずっとこの間拝読して中身を見ているんですが、ここまで六時間ぐらいですか、質疑が行われて、答弁を聞いていて、まず一ついえることは、本当によくできているんですよ、よくできているんです。よくできていて、これきっちりできていれば、こんなことになっていないんだろうし、これは本当に思いがこもっていれば、きっとこんなやりとりしていないんだろうなと思うんですよね。すごい基本的なことなんですけど、でも、熱を感じないんですよ、ここに。すごくよくできているんですけど。本当に変えるんだとか、本当に守ろうとか、何とか見返してやろうでもいいけど、何か今までと違うんだというものを一向に感じないんです。だから、このやりとりがずっと続いているんです。
ひょっとしたら、また繰り返されるんじゃないかという持ちたくない疑惑のもとに、この質疑がずっと繰り返されているのをこの六時間聞いていたんです。どうしたらこれって変わるんだろうかというのを、ずっと今考えていたんですけど、答えが出ないんですよね。何かこっちばっかりが何とかしたいという思いがあって、すごい伝えているという、恐らく局の皆さんも思っていると思うんですよ。ここでしているやりとりが、現場に届いていないんだとしたら、こんなことってないですよね。
という前提のもとに質疑をさせていただきたいんですが、過去の不祥事も踏まえて、水道局のコンプラについていうと、ずっと再発防止であるとか、今後の防止策ということについても、ずっと伺ってきたわけでもあるんですが、それでも、この事態が起きているということは、やはりこれはもう遺憾だといわざるを得ないと思います。
さらに、この報告書では、今回の事故について、原因分析も中に行われているわけでもありますけれども、特別監察の改善策など過去の取り組みが果たして不十分だったのか、それとも、この取り組み自体には大きな問題はないんだけれども、たまたま、たまたまですよ、一名の方が、この事故者の方に問題があったのか。これはどうしても今のやりとりの中から読み取れないんですよね。
今回は、この事故について、不正のトライアングルを用いて分析をされているわけでありますが、主な原因は、これ本当、個人の問題なのか、組織としての問題なのか、率直にどっちだと考えられていますか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社が、今回の事案を不正のトライアングル理論を用いて、動機、機会、正当化の三つの要素について分析した結果、個人、組織それぞれに不適正処理が発生した原因が明らかになりました。
まず、個人としての原因は、道路占用許可申請業務の重要性や公文書であることの認識が不足していた点、手続よりも、滞りなく工事を進めることが最優先であると考えていた点等が挙げられます。
また、組織としての原因は、事故者の特性を踏まえた指導が行き届かなかった点、十分な進捗管理が行き届かなかった点、担当者だけで事務処理が完結する体制となっていた点等が挙げられます。
○山口委員 個人としての原因の部分がもし本当だったとすると、そこに責任を持って任せている体制というものに本当に疑問がありますし、もっというと、悪気がなかったんだとすれば、気づいてあげられる環境が、何度もチャンスがあるのに通過してしまう状況が、これだけの規模の会社で、他局さまざま、公共に携わる民間企業も公的な事務所も含めて、通常ちょっと考えられない事件が起こり得る原因を本当に考えないと、この議論が成立しないんですよ。九九%以上の人が、この意味もわかっていて、コンプライアンスの意味もわかっていて、当然遵守されていて、今置かれている環境も理解をされて、本来自分たちがどうあるべきかということもわかっていて、恐らく一生懸命努力をされていると思うんです。だから、この一例をとって、それが全てを否定するようなことはあってはならないんだけれども、でも、それにしたって、全員が不幸になる事件じゃないですか、この事件って、全員が。この一件が起こり得る環境ができてしまったことが、最大の罪だと思うんですよ。そこが本当に、今までの答弁の中からやっぱり見えてこないんですよね。
そうして考えてみると、今まで東京水道株式会社は、見抜くという点で考えると、特別監察の改善策であったりの内部統制の体制構築に取り組まれてきたと当然思うんですけれども、何が一体不足をしていたんでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社は、コミュニケーションの活性化や業務進捗管理のためのショートミーティングの実施、チェックシートによる進捗管理、コンプライアンス研修の実施など、再発防止策に取り組んでおりました。
しかし、社員一人一人に対し、コミュニケーションを活性化させることや業務進捗管理のためのショートミーティングを生かして、別途進行管理が必要な案件について詳細な確認を行うこと、さらには、瑕疵担保に基づく補修工事をチェックシートで進捗管理すること、コンプライアンス研修の効果を確認することなどが不足していたものと認識しております。
また、局の指導監督体制や同社の経営体制に組織としての危機意識が不足していたことも要因の一つと考えております。
○山口委員 今、いろんな取り組みをされていたことを聞きましたけど、ポジティブに物事を考えていく取り組みもたくさんされているわけですよ。いろんなことに対して、仕事への向き合い方だとか。
この一件で、そういった取り組みをも否定しなければならないようになってしまうんですよ。それはそれでいいこと、やるべきことでやっている、でも、こういう事案が発生をしてしまったのはなぜかという原因は、別なものとしてきっちり捉えていかないと、こういうこともやっていた、あんなこともやっていたんですけれども、こういうことが起こっちゃったんですじゃなくて、それはそれ。どうしてこれが起こり得る体制があったのかということをきちっと会社の中で分析をしてもらって、原因追及をして、明示してもらわない限りは、やっぱりこれ、わからないんですよ、本当に。いろんなことはやっていました、でも、起こっちゃいましたと。よくよく聞いてみたら、こんな漏れがありました、あんな漏れがありました、これ繰り返していくことになってしまうので、それがないようにするべきなんじゃないですかという質疑が、今ずっと繰り返されているんですよ。
六月に事件が発覚してから、この事案を含めて、この課題を捉えて、どのように再発防止策というのをしてきたのかというのがすごい重要だと思うんですが、ちょっと角度を変えて、東京水道株式会社が、新たに策定をしたこの再発防止策の実施状況というんですかね、それを伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社は、本事案の原因を分析し、七項目の解決すべき課題に対し、十四の再発防止策を取りまとめました。そして、既に十二の取り組みを進めており、七月には、事故の発生状況報告を定例化するとともに、管理監督者による進捗管理の徹底を周知いたしました。また、コンプライアンス違反を題材とした全職場討議を行いました。
八月には、道路占用許可申請手続の事務フローを見直し、他部署によるチェック体制を確保するとともに、社員の職種ごとに経験すべき業務を整理し、キャリアプランの明確化に着手いたしました。
九月には、社長による全事業所訪問を開始するとともに、管理監督者による社員への面談やワークショップ形式の研修等を行いました。
十月には、一日付で社員の業務量や職場配置の適正性を確保する人事異動を実施いたしました。
今後、残る二つの再発防止策である全管理職会議と社内インターンシップについても、十月末までの実施に向けて準備を進めております。
○山口委員 水道というのは、申し上げるまでもなく、恐らく全ての事業の中においても、全家庭、全都民の方々と最もつながりのある事業だと思うんですよね。
当然のことながら、それだけに、水道がない家ってほとんどないはずですから、そう考えると、都民の皆さんが注目をされていることはいうまでもないわけであって、我々は、当然、都民の皆様がどういうふうに思うか、どう考えるか、どういうふうに注目するかを前提として、この議会に臨み、委員会で質疑をさせていただいているわけですけれども、そこに響く声かというと、我々がいまいち腑に落ちないまま持って帰ったところで、それはやっぱり響かないので、そこはしっかりとコンプライアンスという言葉をもっと重い意味を持って考えてくださるのであれば、しっかりと水道グループとしての対策について考えている、やっているだけではなくて、発信についてもしっかりとしていただかなければならないと強く要望しておきたいと思います。
最後になりますが、東京水道グループとして、これまで局のさまざまな取り組みをされてきたわけですが、信頼回復に向けて、コンプライアンス強化に向けて、どのように取り組む決意があるのか、局長に伺いたいと思います。
○浜水道局長 水道事業は、お客様の水道料金を得て事業が成り立っておりますことから、お客様の信頼を得られるよう、局職員、そして東京水道株式会社社員が、東京水道グループの一員としての誇りと高いコンプライアンス意識を持ち続けることが重要でございます。当局と同社は、昨年来、こうした認識のもと、信頼回復に向けたさまざまな再発防止策を積極的に実施してまいりました。
しかしながら、今回の同社における不適正処理事案の発生によりまして、再びお客様からの信頼を失う事態となりました。大変重く受けとめております。
このため、同社においてさらなる再発防止策を策定いたしますとともに、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会におきまして、グループ全体の再発防止の取り組み状況や今回の不祥事が発生した経緯などを改めて検証し、局としてグループ全体でこれまで以上にガバナンスを強化していくこととしております。
今後、東京水道グループが一丸となって、このコンプライアンス強化の取り組みを着実に進め、今度こそ都民の信頼回復に努めてまいりたいと思います。
○山口委員 局としての思いや決意というものは、局長の言葉を信じなければならないだろうというふうに思っておりますが、それがどこまで浸透し、誰もにそう思っていただけているかというところが大事なところなんだろうというふうに思いますし、その確認のすべというものが、どうあるべきだというのも、やはり考えていかなければならないのかなというふうに思います。
この彼も、何らか追い込まれて、こういう事態に陥ってしまったのではないかと思う一面もあるんです。というのも、この質疑の中で、誰も個人を責めていないんですよ。誰も、一人も。本質的に、やっぱり体制だとか、何か組織に欠けている部分だとか、もう少しケアできる部分だとか、気づいてあげられるとか、この事件が起こる前に気づいてあげられるようなことがあったはずなのに、そんな簡単なことはできるはずなのに、できていない体制に問題があるというのをみんなで今指摘しているんです。
というのは、これは組織の問題であって、やはり局と、この株式会社がしっかりとその認識を持って取り組んでいただかない限りは、再発は免れないと思いますし、どこかで追い込まれている方がほかにもいるんだとすれば、同じように過ちを犯してしまうかもしれない。絶対に犯させてはいけないし、そんなようなことが起こってはならないということを強く考えていただいて、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○上田委員 昨年の八月に、特別監査結果報告書が取りまとめられまして、ちょうど一年前の委員会では、こちらを配られました。水道局所管政策連携団体の改革についてです。この中にも、東京水道グループ全体のガバナンス及びコンプライアンスの強化に取り組んでいると、一年前にいっていながら今般のような事態となりました。
端的にお尋ねしてまいります。
今回の資料、ナンバー8、五〇ページの要求資料を受けまして、不祥事続きのこの十年間を総括した経緯をご報告ください。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、平成二十七年八月に、工事監督における竣工写真の改ざん指示、平成二十八年六月、七月に、不適切な設計変更協議対応、平成三十年五月に、貯蔵品管理業務委託における巡回点検業務不履行及び契約後の設計違算に対する外部からの指摘の不適正処理事案が発生しております。この四件の不適正処理事案は、平成三十一年二月に公表された東京水道サービス株式会社に対する特別監察結果報告書で指摘されております。
さらに、本年六月に、道路占用許可申請手続に係る不適正処理事案が発覚いたしました。
このように、政策連携団体において、過去六年間で五件の不適正処理事案が発生しております。
これに対して、令和元年八月に策定した東京水道サービス株式会社に対する特別監察結果改善報告書で、コミュニケーションの活性化や業務進捗管理のためのショートミーティングの実施、工事や設計におけるチェックシートの改善等による審査体制の強化などの再発防止策を策定し、順次取り組みを進めておりました。
また、リスク管理委員会の設置を初めとする内部統制体制の強化も図ってまいりました。
さらに、今回の道路占用許可申請手続に係る不適正処理事案の発生を受け、新たな再発防止策を策定し、順次実施しております。
○上田委員 この間、水道局本局においても、二十三年、二十六年、二十八年ですか、本局自体でも不適切事案が、結局グループ全体、一丸となってとよくおっしゃいますけれども、相次いだわけでございます。
都度対策はとられておりますけれども、殊にこの外郭団体というのは、プロパー、都からの派遣、都のOB職員と、さまざま給料や待遇やら属性の違う職員がいるものなんですが、画一的な教育研修をしているのか、各属性に即した対策や教育研修等を実施しているのか、これまでの実績を伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 政策連携団体における研修は、社員の属性にかかわらず、職層や職種、課題、担当業務等に応じた技術や知識の習得を目的とした研修や、全社員が悉皆で受講するコンプライアンス研修のほか、職場で行うOJTがございます。
東京水道サービス株式会社における昨年度の主な研修実績は、職層別研修として新規採用者研修、主任研修、主査研修、課長研修など十三科目を計二十八回。課題別研修として接遇研修、情報セキュリティー講師養成研修など十二科目を計五十回。さらに、実務研修として土木系研修、設備系研修、事務系研修など九科目を計九回実施しております。このうち、コンプライアンスに関する研修は、職層別研修において七科目を計二十三回実施しております。
また、同様に、株式会社PUCにおける主な研修実績は、職層別研修として新入社員研修、主任研修、課長代理研修、課長研修など二十六科目を計五十一回。課題別研修としてクレーム対応など二十一科目を計四十五回。さらに、実務研修として危機管理基礎、漏水対応、事例研究、実務など二十三科目を計二十七回実施しております。このうち、コンプライアンスに関する研修は、職層別研修及び課題別研修等において五科目を計十一回実施しております。
また、政策連携団体が当局と連携して実施する共同研修や政策連携団体社員を受け入れ対象としている主な局研修の昨年度の実績は、職層別研修として二科目、計三回。課題別研修として二十七科目、計五十九回。さらに、実務研修として六十五科目、計八十三回ございます。このうち、コンプライアンスに関する研修は、課題別研修等において十一科目、計二十五回ございます。
○上田委員 コンプライアンスに関しては、都合四十八回行われているということでございましたけれども、それらたびたび実施されていた対策、指導内容に効果があったのかなかったのか、なかったとしたらばなぜなのか、伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、特別監察による指摘を受けた以降、特にコンプライアンスの強化に向けた研修を重点的に行ってまいりました。
このコンプライアンス研修を受講した社員に対するアンケートでは、九割以上の社員が参考になったと回答しており、また、具体例があってわかりやすかった、日ごろ会社の指針等に触れることがないので、よい機会になったなどの意見があったことから、社員のコンプライアンス意識が向上したと認識しております。
一方、コンプライアンス主任研修では、研修目的が、新たに若手社員を指導していく立場としてコンプライアンスを再認識するとのことだが、どのように指導すればよいのかを聞きたかったなどの意見もあったことから、研修内容のさらなる充実が必要と認識しております。
○上田委員 具体性に欠けたようでございました。
このことをやっても、事案が発生した原因の分析としては、ほかの委員にお答えされていましたが、詳細な確認を行っていないとか、チェックシート、要するに、瑕疵担保に基づく補修工事のチェックシートが漏れていたと。また、研修後のアンケートが未実施で効果が不十分であったということで、また、コロナの影響もあった。それで、特別監察の改善報告書、膨大な時間を割いたんですけれども、改善策が機能しなかったという答弁を先ほどされておりました。
これまでの再発防止策等も今回本当に変えなきゃいけないと思うので、どこが違い、どこが進化したのかということを知りたいと思います。ほかの議員に説明した部分は省略をしていただいて、私が聞きたい、今回は、何をもって効果が出るかと想定している部分を中心にお答えください。
○鈴木経営改革推進担当部長 再発防止策の違い及び進化の取り組みについては、先ほど答弁したとおりでございます。
なお、これらの再発防止策の策定に当たっては、同社の監査等委員、リスク管理委員会及び東京水道グループコンプライアンス有識者委員会からそれぞれ意見を聞いており、外部の意見も取り入れた有効な対策であると認識しております。
○上田委員 では、外部の声を聞くということでございますけれども、今回のコンプライアンス、資料の一ページですよね。右下のリスク管理委員会、ポンチ絵がございますけれども、これらについて、機能していたのか、機能するのかについて伺っていきたいと思います。
こちらの要求資料を受けまして、公知性と情報公開の見地に立って、各委員のあり方が、都民益につながっているのかどうかという見解を伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、内部統制体制を強化するため、コンプライアンス推進委員会、技術系受託業務改善委員会など八つの委員会を設置し、それらを統括するリスク管理委員会を設置しております。
これらの各委員会において、リスクへの対応を適切に行い、不適正処理事案や不適切な事務処理などの再発を防止することによって、適正かつ効率的な業務執行を確保するとともに、お客様サービスの向上を図ることが都民の利益になるものと考えております。
しかし、各委員会は、経営上のリスク、個人情報、入札の予定価格や参加業者の情報、情報セキュリティー対策など、同社の経営情報や社員の個人情報等、直ちに対外的に公表すべきでない情報を多く取り扱うこととなります。こうしたことから、公開にはなじまないと考えております。
○上田委員 公開にはなじまないということでしたが、この委員会の存在、会議、監視、指示が同社に対してどのような権能を行使しているのか。
先ほど来ご説明されているので、コンパクトに要旨をまとめて、改めてご説明をいただければと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 リスク管理委員会は、社内の各部門に対し、リスクの洗い出し、評価、対応策の策定について指導監督を行っております。
また、コンプライアンス推進委員会は、コンプライアンス年間行動計画を策定し、各部門にコンプライアンス推進の取り組みを実施させ、その状況を管理しております。
さらに、技術系受託業務改善委員会は、各部門の適正な業務執行にかかわる年間の取り組み計画を策定し、その実施状況を管理するとともに、不適正事案が生じた際に、発生原因の究明や再発防止策の審議、策定を得て社内展開を図っております。
このように、それぞれの委員会が、役割に応じて各部門へ必要な取り組みを指示し、その実施状況を報告させ、それを確認、検証した上で必要な対策を講じることで、同社の業務運営の改善を図っております。
なお、その他の委員会についても、それぞれの役割に応じ適切に運営しております。
○上田委員 これまでだめだといったらあれなんですけれども、公開がなじまないというふうにおっしゃっていたんですけれども、第三者の目に触れられるよう、やっぱり私は、議事録を公開していくことが、ノリ弁、私もコンプライアンス委員会のを取り寄せても、ノリ弁なんですね。これを剥がしていくことが、コンプライアンスを守ることにつながると思料します。
まず、各委員会の情報公開の深度を進めるに当たり、黒塗りを激減させる等の取り組みについて伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社は、東京都情報公開条例の趣旨に基づき、同社において情報公開を実施するに当たり、必要な事項を定めた情報公開規定を策定し、情報公開に取り組んでおります。
また、同社のホームページに、コーポレートガバナンス体制図や内部統制に関する基本方針、財務状況等を開示して、積極的な情報公開を行い、業務運営の透明性の確保に努めております。
同社に設置されている各委員会の議事内容は、情報公開規定に基づき、開示の申し出があった場合に開示することとしております。
ただし、個人情報、率直な意見交換や円滑な意思決定が不当に損なわれるおそれ、社の業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある内容については開示をしておりません。
○上田委員 コンプライアンス会議の傍聴も、今後--今、委員会で私たち議員もオンライン参加の条例改正等も出てきているところなんですけれども、こちらもオンラインの傍聴が可能になるべきだ、そういうふうな第三者に見られるということが、緊張感が高まり、再発防止につながるものと思っておりますけれども、ホームページに会議の予定ももっと積極的に階層深くないところで、ちょっと私の探し方が悪いのか、なかなかたどり着けない等の問題もあったので、会議の予定も積極的にわかりやすく掲載されるべきだと思いますけれども、これを受けまして、どういうふうに今後取り組まれるか、お聞かせください。
○石井職員部長 東京水道グループコンプライアンス有識者委員会は、昨年度まで、個人情報や契約情報、それから調査中の事故案件、そういったものを取り扱っていたことから、原則非公開として、開催後に議事概要を公表してまいりました。
現在は、個人情報等を除き、事故の調査結果を受け策定した再発防止策の実施状況を報告し、取り組みの有効性や妥当性をモニタリングする段階となっており、委員会における審議過程の透明性向上を図るため、委員会を原則公開としております。
会議の傍聴につきましては、新型コロナウイルス感染症対策の状況を踏まえ、当日の会議室で原則誰でも傍聴できるように、傍聴者数の拡大を検討していくというふうにしております。
また、お尋ねのオンラインの傍聴でございますけれども、これにつきましては、その要望を踏まえた上で、今後検討していくというふうにしております。
また、ホームページの会議予定の掲載につきましてですが、今後は、プレス発表ページに加え、委員会を紹介するページにも掲載して、より都民の皆様に広く目にとまるように、周知をしていきたいというふうに考えてます。
○上田委員 水道局に限らず、結構プレスアップページだけに載っけて、本番の会議体のところに載っていないということも結構あるので、ぜひそれは、傍聴されるかどうかは別として、会議が開かれているということも、都民の信頼につながると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
引き続きまして、この同社におけます開かれた委員会運営を求めるものですけれども、ご所見を伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社に設置されている各委員会は、経営上のリスク、個人情報、入札の予定価格や参加業者の情報、情報セキュリティー対策など、同社の経営情報や社員の個人情報等、直ちに対外的に公表すべきでない情報を多く取り扱うことになります。
こうしたことから、公開にはなじまないものと考えております。
○上田委員 中身によっては出せないことがあるのは十分承知しておりますが、八、九、十、十一と、これだけ会議体がありますよね、一三ページまでですかね。この構成委員なんかも踏まえて、この情報を少なくとも、中身は見られないとしても、ホームページ等でわかりやすく公表すべきと思っておりますので、取り組みをお願いいたします。
さて、再発防止について、外部組織というふうに出てくるんですが、何をもって外部というのか。他部署とは、水道局のことなのか、東京水道の社内組織なのか。そして、それでいいのかについて伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 今回の事案に対する再発防止に向けた意見として、監査等委員から、差し当たっては、業務フローに外部組織を介在させるとか、他部署によるチェックを組み入れるなどの対策を講じる必要があるとの意見が出されておりますが、この外部組織とは、社内の他部門の手続等を行う専任部署を指し、他部署とは、社内の別の部署を指していると聞いております。
これを踏まえ、東京水道株式会社では、道路管理者への提出などの各種申請手続を特定の担当者のみで行わずに済むよう、工事監督担当部署以外の社内の別組織で行うこととしました。
工事監督担当部署の役割は、申請書類の作成のみとし、この申請書類の審査及び当局への提出を社内の別組織が担うことで、一方の部署だけでは手続が完結しない仕組みとなっており、社内であっても、不正が介在しない体制が構築されております。
○上田委員 また資料の5なんですけれども、この構成員を見ると、社長がトップであったりとか、管理本部長とか、全部委員もほぼほぼ身内というところでございますので、再発防止にいかほど効果があるのかは、ちょっと疑問視をしながら、引き続き見させていただきたいと思います。
そして、リスク管理委員会自体なんですけれども、誰がどうやって運営しているのか、やっぱり明らかにしていただきたいと思いますし、ITフローとはどういうことか。仮にICT化しても、やっぱりその人材、今回の事故者のような人が起こしてしまう、また、結局いいものを取り入れても、運用がだめなら意味がないんですよね。具体的、詳細に説明を求めたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社のリスク管理委員会は、代表取締役社長を委員長、常勤取締役や本部長等を委員とし、同社のリスク管理のための方針、体制、手続を定め、各職場のリスクを監視し、課題がある場合には、改善を指示しております。
同委員会では、経営上のリスク、非違行為等のコンプライアンス違反、事故情報など、直ちに対外的に公表すべきではない情報を多く取り扱うことから、公開にはなじまないものと考えております。
また、監査等委員の意見にあるITを使ったフローの検討とは、業務フローをIT化することにより、不正や不適正な取り扱いが行われた場合に、自動的に検知して阻止する仕組み、システムを導入することでございます。
ただし、導入には経費を伴うことから、中長期的に検討すべきと同委員から意見が出されております。
○上田委員 そうですね、やはり経費も伴うし、拙速に新しいことに手をつけずに、先ほど部長も答弁あったように、研修の中で、幹部職が若手を指導していくうちで、コンプライアンスを再認識するといわれても、どう指導していいかわからないということで、こうしたアナログ的なところにまず着手してから、最新、最先端のものを導入していっていただければと思います。なれるまで時間もかかると思いますし、結構、これ職員も、いろいろな人的コストがかかると思いますので。
次に、責任の所在と処分のあり方についてお尋ねしていきます。
通常、工事の詳細などについては、一般都民はあずかり知らないことが多いと思うんですね。
今回、なぜ町田沿道住民から問い合わせがあったのか、経緯を伺いたいと思います。
○今井施設部長 今回の住民からの問い合わせは、工事沿道で発生した渋滞に関して、道路管理者である町田市に対して寄せられたものでございます。
なお、町田市に寄せられた問い合わせのため、当局及び東京水道株式会社では、沿道住民からの渋滞に関する問い合わせという情報以外、詳細の内容については把握しておりません。
○上田委員 ちょっと何で聞いたかというと、そういうずさんな管理が行われていることの内部リーク的なものではなかったのかなと思って質問させていただきました。
一方、この問い合わせがなければ、今般の文書の偽造に気づかなかったのか、見解を伺います。
○今井施設部長 本事案のような道路の掘削を伴う工事の場合、掘削が完了し、道路舗装を復旧するに当たって、復旧範囲を確定するための現地立ち会いを道路管理者である町田市と東京水道株式会社で行うこととなります。
また、工事完了に際しては、道路管理者に対し、竣工届を提出しなければなりません。
さらに、工事完了後の当局の維持管理部署に対する引き継ぎにおいて、道路占用許可書の原本の確認が行われます。
こうしたことから、沿道住民からの問い合わせがなかったとしても、本事案は判明したものと考えております。
○上田委員 じゃあ、原本を見れば、必ずわかったという理解でよろしいんですね。
一一六ページ、原本、白黒なので、かなり巧妙にできていて、やっつけ仕事でばあっと見ているとわかるのかなと思ったんですけれども、きっとおわかりになるんだと思います。
これほど巧妙に見えていることは、有印公文書偽造同行使の構成要件に該当すると思料します。公印を押した申請書は、コピーで通用したのか、通常の場合、朱肉で押した公印のある申請書を道路占用書面として使用しているのではないかと思っておりました。
警察署の道路占用許可をだました偽造がどれほどのものであったのか、その写しを見たく、今回、資料を要求した次第です。
有印公文書偽造同行使の構成要件に該当すると思料しますが、改めて見解を伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 道路管理者である町田市は、刑法上の有印公文書偽造及び同行使の疑いがあるため、本事案について告発を行ったと聞いております。
なお、警察への道路使用許可の申請に際しては、道路管理者からの道路占用許可書の写しを添付することになっております。
○上田委員 町田は告訴しました。都は告訴しないのでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社においては、当局からの指導に基づき、事実確認を詳細に調査した上で、事故者を告発するか否かについて検討しました。
その結果、事故者は十分に反省しており、事故者への厳正な懲戒処分を行った上で、引き続き厳格な指導を行い、社員として育成を図っていくことが適当との考えから、同社による告発は行わないことといたしました。
当局としても、同社の判断を踏まえた上で、告発の可否を検討しましたが、同社の判断を尊重し、当局による告発を見送ることといたしました。
○上田委員 東京都の外郭団体の不祥事を町田市が告発していて、管理監督責任のある東京都がやらないというのはとんでもない話だと私は思います。
こうした身内に甘い体質が、たび重なる不祥事が繰り返し発生する温床になっているのではないでしょうか。先ほど来、公開はなじまないとされる体質と相通ずるものがありまして、ここには全く都民益は存在しておりません。
この体質こそが諸悪の根源ではないかと、改めて告発を求めます。所見を伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 繰り返しになりますが、東京水道株式会社が告発を行わないこととしたため、当局はこの判断を尊重し、告発を見送ることといたしました。
○上田委員 当局は判断を尊重しということですから、東京水道、つまり野田社長の判断を尊重するということでございますね。わかりました。
事故者の入社からこれまでの経緯と職歴を説明の上、事故が起こった要因がそこにあるのかないのか、答弁重複しないように、簡潔にお答えください。
○鈴木経営改革推進担当部長 事故者の経歴及び職歴については、先ほど答弁したとおりでございます。
事故が発生した要因でございますが、事故者は、採用時に新規採用者研修を受講し、基本的な業務知識等を習得した後は、所属している職場におけるOJTを中心に業務知識を向上させてきましたが、道路占用許可申請の目的、意義等について認識が不足しておりました。
一方で、事故者は、コミュニケーションが苦手で、報告を怠りがちな面があることを上司は把握しておりましたが、そうしたことを踏まえた適切な指導を行うことができておりませんでした。
これらのことから、不適正処理事案が発生した原因は、個人の側面と組織の側面の両方にあると分析しております。
○上田委員 個人と組織の両面にあると分析されているのですから、やはり告発することが大事だと思います。綱紀粛正のインセンティブとなります。
役員を送っている水道局から告発をぜひ促していただきたいと思います。
社長の事業所訪問に効果があるのか、社長が先ほど告発をしないとされた、社長の事業所訪問に効果があるのかどうなのか、理論的かつ具体的にご説明をいただければと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の代表取締役社長は、同社の業務の基本は現場であるとの観点から、都民や事業者の声をいただく機会の多い現場や業務が繁忙な現場などを訪問し、現場で働く社員との意見交換を行っております。
この取り組みにより、社長みずからが各職場が抱える課題を把握し、改善を進めているほか、社員との意識の共有、モチベーションの向上が図られるとともに、社の一体感が醸成され、円滑に業務運営を進めることができております。
○上田委員 一体感といっても、学園祭じゃないんですよね。社長みずからが範を示すことが、何だか本当、曖昧模糊としているんですね。
具体的にお示しの上、社長訪問の過去の実績状況の方は、こちらへ出していただいていますけれども、こちらの効果を踏まえた上でご報告をしていただきたいと思います。重複部分は答弁しなくて結構です。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の代表取締役社長が、業務の基本は現場であるとの観点から、昨年五月に東京水道サービス株式会社の社長に就任した後、六月末までの間に同社の事業所を十八カ所訪問し、現場で働く社員との意見交換を通じて、各事業所が抱える課題を把握してきました。
令和二年度においても、社員への訓示や意見交換のため、六月中に事業所を七カ所訪問し、社員との積極的な意見交換を行っております。
九月以降の実績につきましては、先ほどご答弁したとおりでございます。
なお、訪問した際の意見を受けまして、社長は、実現可能なものから順次取り組むよう指示をしているところでございます。
これらの取り組みによりまして、社長を含む社内のコミュニケーションの活性化が図られ、社の一体感が醸成されるとともに、社員が担う社会的な役割に対する自覚が高められたものと認識しております。
○上田委員 社長は、実現可能なものから順次取り組むように指示したということで、社長が実現可能なのが告発だと思うので、取り組むように、水道局からぜひ指示していただきたいと思います。
報告書の七ページにあるように、一方、水道局長は、不適正処理事案発生後の指導監督について、中身を精査されて、毅然と一度突き返した経緯がここに書かれておりますけれども、実際に資料の方にも、浜局長によります文書の方、八月三十一日を締め切りとして、再提出を願う文書も、こちらの方に出していただいております。
こちらにつきまして、経緯について伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 本年八月二十六日に、東京水道株式会社から当局に対して、今回の不適正処理事案に関する事実確認や原因分析を踏まえて作成した再発防止策を取りまとめた事故報告書が提出されました。
その事故報告書には、再発防止策の策定に当たって、監査等委員から得られた指摘や意見が付されていなかったこと、そして、再発防止には、代表取締役社長に率先した行動を行わせることが不可決であるとの当局の認識から、同社に追加の指導を行いました。
これを受け、同社では、監査等委員の指摘や意見を追記するとともに、代表取締役社長が全事業所を訪問し、社員との意見交換を実施する再発防止策を追加した事故報告書を取りまとめ、八月三十一日、社長から水道局長に直接提出されました。
報告書が提出される際、水道局長から代表取締役社長に対し、社長みずからが先頭に立って、社員一人一人に本事案の重大性と政策連携団体の社員として持つべきモラルを伝え、コンプライアンス意識やモチベーションを向上させるとともに、適正な業務運営の徹底に向けて取り組むよう強く指導を行いました。
○上田委員 東京水道株式会社の社長というものは、最高責任者として、技術的指導、手続全般にわたる専門的及び法的権限に裏づけられた指導が不可欠だと思います。行って活を入れるだけなら、私でもできると思います。実際に、前の答弁で、道路占用許可申請の目的、意義等についての認識が不足していたと、事故者が、ありましたよね。東京都の職員経験者、民間での同様企業での経験者であるトップであれば、具体的な指導、指示ができるはずで、またそうでなくてはならないと思っております。
現社長、野田数社長は、そのような指示、指導ができるのか、実際に実施したのか、伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 取締役の役割は、経営の視点に立って、会社全体を統括することであり、同社における日常的な業務の具体的な指導、指示については、それぞれの部署の管理監督者が本来実施するものと考えております。
○上田委員 指名停止中の影響額は四千万円ということで、経営努力によって補うということをさっきほかの委員にご答弁されていました。ゆめゆめ都からの繰り入れは当てにしないようお願いしたいと思います。
さて、指名停止期間は、どこにも発注せず、案件をプールするようなことはあってはならないというふうに考えておりますけれども、この業務委託、再委託についても、指名停止期間中の発注を差し控えるとか、いろいろと工夫をされているようですから、基本的には、時期を見て、東京水道にまた投げようということになるのかなというふうに、ほかの委員の答弁を聞いて思っております。
特に、今プールしている四件については、ここの東京水道じゃない場所に発注すべきと考えるんですけれども、なぜ固執するのか、改めて伺いたいと思います。
○鈴木経営改革推進担当部長 都民生活等に直ちに影響が及ばない残りの四件でございますが、これについては、既存の業務システムの改修案件であり、東京水道株式会社が、これらのシステム改修業務を確実かつ円滑に履行できる唯一の事業者であることから、同社に対して発注を行う予定でございます。
○上田委員 となると、形だけの指名停止にはなりますまいか。東京水道がなくても、運用できる実績が、もしもこれでちゃんとほかに発注できたならば、できることになると思います。そうなったならば、そもそもの存在意義も問われるものとなります。
改めて、指名停止というような前代未聞の状態の中の外郭団体の必要性を確認したいと思います。
余人をもってかえがたい東京都政策連携団体活用戦略にあるような美辞麗句は不要です。直截にお答えください。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道が将来にわたり安定給水を維持していくためには、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、引き続き、基幹的業務を当局と政策連携団体が担うグループ経営を推進していくことが不可欠でございます。
しかし、今回の東京水道株式会社における不適正処理事案の発生により、お客様からの信頼を損ね、東京水道グループへの不信感を招く事態となったことを重く受けとめております。
このため、今回改めて策定した再発防止策にグループ全体で着実に取り組むことで、都民の信頼回復に努めてまいります。
○上田委員 さっきの質疑の中で、ほかの発注先の選択肢は、結局、同社に対して特命随意契約にしていくことが妥当という判断、民間事業者への発注がなじまないということで、念頭にないということを確認させていただいております。この点につきましては、引き続き、事務事業、決算等で確認させていただきたいと思います。
さて、野田数社長の勤怠状況についてお尋ねします。
知事選中、小池百合子都知事選中の野田数社長の出社状況はどうであったのか。知事選にかかわったのか、伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 代表取締役社長は、会社法で定める義務と責任のもとに自己の職務を執行するものとされており、従業員と同様の勤怠管理は行っておりません。
また、会社の業務執行に関係しない社長の行動については承知しておりません。
○上田委員 二〇一九年九月二十五日から二十九日の野田社長の行動履歴を確認します。
○鈴木経営改革推進担当部長 繰り返しになりますが、代表取締役社長は、会社法で定める義務と責任のもとに自己の職務を執行するものとされており、従業員と同様の勤怠管理は行っておりません。
また、会社の業務執行に関係しない社長の行動については承知しておりません。
○上田委員 同年十一月二十八日に開催された小池百合子知事の後援会組織百成会のパーティー券の業界団体等への販売、周知について、野田社長は関与していたのか、伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 繰り返しになりますが、会社の業務執行に関係しない代表取締役社長の行動については承知しておりません。
○上田委員 同じく、野田社長及び東京水道社長というお立場の方の勤務中の電話を使っての政治活動の是非を伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 繰り返しになりますが、代表取締役社長は、会社法で定める義務と責任のもとに自己の職務を執行するものとされており、従業員と同様の勤怠管理は行っておりません。
また、会社の業務執行に関係しない代表取締役社長の行動については承知しておりません。
○上田委員 最後は、大きな意味で、東京水道社長が、特定政治家、しかも利害関係のある東京都知事の政治団体の会合にかかわることについての都及び同社のコンプライアンス意識について伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 繰り返しになりますが、会社の業務執行に関係しない代表取締役社長の行動については承知しておりません。
○上田委員 何をやっていても自由ということなんでしょうかね。
さて、要求資料の16、一二一ページですが、社長の平均在職年数は、約六年、五・八年でした。また、こちらの資料を見ますと、歴代社長と現社長のキャリア、実績の差は歴然としております。
そして、今回、東京水道のような不祥事も発生もしていないのに、先ごろ、築地と豊洲を上梓された元東京都中央卸売市場次長、澤章氏は、二〇一九年六月から東京都環境公社理事長に就任するも、ことしの七月に、急遽、何も不祥事は起こしてもいないのに、退任に追い込まれております。
さて、野田社長はいつまでが任期なのでしょうか、伺います。澤さんは一年四カ月でした。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社では、監査等委員を除く取締役の任期を、選任後一年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでとすると定款に定めております。
現在の代表取締役社長は、本年三月二十五日に開催された株式会社PUCの臨時株主総会において、統合後の東京水道株式会社の取締役として選任された後、七月二十九日に開催された同社の定時株主総会において、改めて取締役に選任されました。
そのため、現在の代表取締役社長の取締役としての任期は、令和三年度に開催される定時株主総会の終結のときまでとなります。
○上田委員 澤さんの退任よりも、目に見える瑕疵があったわけですから、任期に当たっては、資質を冷静に見きわめて、総会の、令和三年度のですね、株主総会の皆様の賢明なる審議を期待するものでございます。
こうした合併したとたんの不祥事にありましては、どのような存在意義があるのかなというふうに、不祥事に当たって、改めて、存在意義があるのか、社長交代をすべきではないのかと、今まで話したことを鑑みますと思うのですが、そのあたりはどのような所見をお持ちでしょうか。
○鈴木経営改革推進担当部長 東京水道株式会社の代表取締役社長は、全社的にコンプライアンスの強化に取り組んできた中で、今回の不適正処理事案が発生したことを重く受けとめております。
このため、会社の体制を立て直す決意を社内外に示すため、月額報酬二〇%、一カ月を自主返納するとともに、今回策定した再発防止策を社長が先頭に立って着実に実行することで、社長としての責務を果たしていくこととしております。
○上田委員 水道局長が、先ほど申しましたけれども、報告の七ページ、資料の六三ページ、六六ページですけれども、指導監督について、一度突き返した経緯を改めて伺います。
○鈴木経営改革推進担当部長 先ほども申し上げましたが、本年八月二十六日に、東京水道株式会社から当局に対し、今回の不適正処理事案に関する事実確認や原因分析を踏まえて策定した再発防止策を取りまとめた事故報告書が提出されました。
その事故報告書には、再発防止策の策定に当たって、監査等委員から得た指摘や意見が付されていなかったこと、そして、再発防止には、代表取締役社長に率先した行動を行わせることが不可欠であるとの当局の認識から、同社に追加の指導を行いました。
これを受け、同社では、監査等委員の指摘や意見を追記するとともに、代表取締役社長が全事業所を訪問し、社員との意見交換を実施する再発防止策を追加した事故報告書を取りまとめ、八月三十一日、社長から水道局長に直接提出されました。
報告書が提出される際、水道局長から代表取締役社長に対し、社長みずからが先頭に立って、社員一人一人に本事案の重大性と政策連携団体の社員として持つべきモラルを伝え、コンプライアンス意識やモチベーションを向上させるとともに、適正な業務運営の徹底に向けて取り組むよう強く指導を行いました。
○上田委員 こちら何度も確認しているのは、そもそも突き返されるような報告をしている時点で、やっぱり反省が見られないのではないのかなと。これまで、就任以来、野田社長の取り組みと説明をいろいろ受けてきましたけど、明らかな乖離があるというふうに思います。
最後になりますけれども、外郭団体が指名停止となる前代未聞の事態におけます局長の所見をまず伺います。
○浜水道局長 このたび、東京水道グループを挙げてコンプライアンスの徹底に取り組んでいる中で、東京水道株式会社において不適正処理事案が発生いたしましたこと、そして、当局の政策連携団体である同社が指名停止措置を受けたことは、都民の信頼を大きく損なう重大な事態でございまして、大変重く受けとめております。
このため、今回改めて策定した再発防止策を東京水道グループが一丸となって着実に実施することで、都民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
当局の適切な指導監督のもと、当局と同社で都の水道事業を担うグループ経営を推進し、東京水道が将来にわたり安定給水を維持していくことこそが、都民の皆様の信頼に応えるものと考えております。
○上田委員 水道グループが一丸となることが、なぜ都民の信頼回復になるのか、都民がそのようなことを期待しているのか、なぜそう局長はお考えなのか、根拠を明確にしていただきましたが、都民の信頼回復が、水道グループが一丸となることとはちょっと思えないんですね。少なくとも、水道グループが一丸となってほしいという都民からの陳情は、私が当選以来、見たことも聞いたこともありません。
まず、都民ファースト一丁目一番地、情報公開とスピード感を持って、コンプライアンスの対策を隗より始めよだと思います。
これまで、本当にたくさん、ほかの委員も私も質疑してきたことが全く生きていない理由と、今後の東京水道及び東京水道株式会社社長のあり方、委託のあり方、局長のあり方についての所見と再発防止に向けた意気込み、決意を伺います。
○浜水道局長 これまで部長からご答弁申し上げましたとおり、東京水道株式会社において、昨年来さまざまなコンプライアンス強化に関する取り組みを進めてきたにもかかわらず、このような事案が発生いたしまして、これまでの取り組みに不十分な点があったと受けとめております。
同社は、社長が先頭に立って新たに策定した再発防止策を実施していくことで、引き続き東京水道グループの一員として、都の水道事業の一翼を担ってまいります。
また、私は、同社が責任を持って事業運営を行えるよう、局と局の業務を受託する同社との責任と役割を見直し、東京水道グループのリーダーとして信頼の回復に努めてまいります。
○上田委員 男女共同参画等、生活文化局で実績を残された浜局長のこれからの采配に非常に期待をしたいと思います。
一方、東京水道は、なぜ事故者を告発しないのか。反省しているからよいでは、やっぱりだめですね。身内に甘過ぎるのではないかというふうに思います。
今回、改めて資料の8、四九ページを見ましたら、役員処分の規程がないということがわかりました。これこそが身内に甘い、これこそがたび重なる不正、不祥事の温床ではないのでしょうか。
今後の綱紀粛正と長期指名停止となったことに関しての経済的、事務的信頼など、有形無形、費用が発生するもの、しないもの、全てにおいてのさまざまな損失については、トップマネジメントを預かる社長からお話を伺わなくては、我々は都民の代表として、責任を持ってこの事案については議論ができません。ここまで来たら、社長が来て説明することこそが、都民の信頼回復につながります。指名停止という前代未聞の事態に当たり、都民の代表である我々に直接謝罪し、説明をすべきです。不要だとする委員は理解できません。なぜ野田社長をかばうのか。都民ファーストの理念に著しく反するものだと思います。至急、社長のこちらの委員会参加を求め、委員長においては、委員会終了後、速やかに理事会開催を行い、この件について、即決を求めるものでございます。
以上をもちまして、私の質疑を終わります。
○伊藤委員長 参考人の件、後刻、理事会で協議します。
この際、議事の都合により、おおむね二十分休憩いたします。
午後七時四十三分休憩
午後八時五分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いします。
○川松委員 最後になりますが、質問させていただきます。
水道事業において、最も重要なのは安定給水の確保です。そして、局と政策連携団体が、その実現に向けて日々の業務をしっかり行うことが一番大切なことなのはいうまでもありません。
一昨年来、局とこの団体との事件が立て続けに発生し、この間、コンプライアンスの強化や確保について貴重な時間を割いて議論してきたわけです。コンプライアンスは確かに必要なことではありますけれども、そもそも遵守するのが当たり前の話であって、本来は、こういった都議会委員会の場で何度も議論されるような話ではないはずです。日々の業務が問題なく行われ、安定給水が確保されていれば、水道事業が都議会で何度も議論になるようなことはないはずなのです。
こうした観点から、今回の事件において、局と団体が本来行うべき業務を行っていたのか、役割を果たしていたのかを確認していきたいと思います。
今回の町田の事件でありますけれども、三年前に完成した配水管に漏水の疑いが生じ、本年五月から施工した瑕疵担保に基づく補修工事において発生したわけですけれども、工事の完成から今回の工事まで、なぜ、まずひとまずこの三年間という時間がかかったのか疑問なわけですね。
まず、今回の瑕疵担保に基づく補修工事は、どのような内容だったのかを伺います。
○今井施設部長 工事請負契約約款において、発注者は、工事目的物に瑕疵があるときは、受注者に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求し、または修補にかえ、もしくは修補とともに、損害の賠償を請求することができると瑕疵担保について定めております。
当局は、平成二十八年五月に完成した隣接工事及び平成二十九年十一月に完成した本工事のいずれかで、工事完了後に漏水があることが確認され、その後の漏水調査におきまして、本工事区間での漏水と判明したことから、工事請負契約約款に定める瑕疵担保に基づき、補修工事を行うよう本工事の受注者に求めました。また、その補修工事の工事監督については、当時の東京水道サービス株式会社が行うよう当局が指示しております。
○川松委員 概要というのはわかりましたけれども、では、なぜ漏水修理の工事に、三年もの長期間かかったのか。工事監督に課題はなかったんでしょうか、伺います。
○今井施設部長 漏水修理工事は、新設工事が完了した平成二十九年十一月から補修工事が完了した本年八月までに、合計で約三十三カ月の期間を要することとなりました。
具体的には、当時の東京水道サービス株式会社は、新設工事の完了後、局の指示により、受注者に対して漏水箇所特定のための調査を要請していましたが、隣接工事と本工事のどちらに漏水があるかの確認に時間を要したこと、ごく微量の漏水のため、漏水箇所の特定が困難だったこと、調査体制の手配や調査に必要となる多量の特殊ガスの調達などに時間を要したことから、漏水箇所の特定までに十八カ月を要しました。
また、漏水箇所を特定した後の補修工事につきましても、受注者に対して補修を要請していましたが、受注者の体制確保や資材調達に時間を要し、着手までにさらに十二カ月を要するとともに、本年五月の着手後においても、本事案の発生による約一カ月半の工事の中止があったため、合計で十五カ月を要しました。
そのほか、当局が、受注者に対して瑕疵担保に基づく漏水調査及び補修工事を指示した際に履行期限を定めなかったため、当局も工事を監督していた同社も、受注者に対して適切な指示や調整ができなかったことも原因であると認識しております。
○川松委員 これは、局が受注者の履行期限を設けていなかったために、受注者の調査や工事に時間がかかったのはやむを得ませんが、それにしても三年というのは長過ぎると感じますね。そして、団体も、工事監督としてしっかり受注者と話し合いができていれば、ここまで長くならなかったんじゃないかという根本的な問題があると思います。
そして、事件を起こした社員も、当初の工事から補修工事まで長期間担当したことが、不正の原因の一つとなったということは、報告出ているわけですね。
じゃあ、この漏水調査や補修工事の工事監督は団体が行ったということでありましたけれども、ここで一つ疑問なのは、局は団体に全て任せきりだったんじゃないか。そして会社は、担当者任せの結果、今回のような事件が発生したのではないかと思いますけれども、見解を伺います。
○今井施設部長 当局は、東京水道サービス株式会社とともに、本工事の受注者と漏水調査に関する打ち合わせを重ねるとともに、補修工事の早期の着手を促すため、口頭による指示を同社に対して複数回行っておりました。
さらに、道路占用許可申請書の提出に関しましても、口頭により同社の事故者に対して確認をしておりました。
また、同社においては、本工事の監督に当たって、事故者を指揮する立場である管理監督者が、事故者に対して日ごろから声をかけるとともに、ショートミーティングなどによる進捗管理を実施しており、道路占用許可申請書の提出に関しても、再三にわたり確認や指示を行っておりました。
しかし、管理監督者が、事故者からの虚偽の報告を受けた際、それをそのまま信頼し、報告内容の裏づけとなる道路占用許可書の原本の確認を行わなかったなど、同社と局の進捗管理やチェックが十分でなかったことが、本事案の発生の要因となったと認識しております。
○川松委員 この東京水道サービス株式会社というのは、常々その体制がどうなのかとか、あるいは、いわゆる東京水道サービスの先の皆さん方からも、本当に不安の声がたくさん届いていたにもかかわらず、今お話あったように、虚偽の報告を受けて、そのまま信頼してしまったというのは、果たしてこういうことでいいのかなと。もちろん今までも議論出ていましたけれども。
それならば、改めてお聞きしますが、会社は、工事の監督業務について、どのような改善策を講じていくのか、どう考えているのか、教えてください。
○今井施設部長 東京水道株式会社における工事監督業務の改善策は、まず、管理監督者が、担当者からの報告を受ける際に、業務日誌や報告内容を裏づける資料を確認するとともに、工事の進捗が不十分な場合は、応援体制を構築するほか、必要に応じてみずからが監督業務に直接関与していくなど、管理監督者の業務及び責任を明確化いたします。
また、各種の申請手続に関する業務フローと確認方法を見直し、他部署によるチェック体制を確保することで、不適正処理が構造的に発生しない仕組みを構築します。
また、事務処理の進捗状況を確認することができる処理簿を新たに作成することなどにより、チェック機能の強化を図ってまいります。
○川松委員 これまでも議論で出ていましたけれども、そういうルールをつくるとか、いろんな報告書をつくる、改善案をつくるというのは、書けばいいので誰でもできます。それをどう実践していくかということが、これまでも足りなかったんじゃないかという中で、水道局は、この団体に対するガバナンスとかコンプライアンス強化とかいう前に、そもそもの団体自体が行う業務の指導監督というのをもっと直接的に厳しく徹底して見ていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、この工事の監督業務に関する水道局の関与に問題はなかったのか、どう認識されているのか、教えてください。
○今井施設部長 当局は、漏水調査及び補修工事を瑕疵担保に基づく工事として行うよう受注者に求めた際に、当局として履行期限を設けておりませんでした。
そのため、東京水道株式会社が行った工事監督においても、受注者に対して、適切な進捗管理を行うことが困難でありました。
こうしたことから、当局も、同社との調査や工事の進め方や進捗状況に関する情報共有が十分でなく、同社が行った工事監督に対して適切に関与することができませんでした。
○川松委員 今の話は、そういうことなんだろうと思いますけれども、さんざんこれまで水道局と連携団体というのは、東京水道の一つのファミリーとして一緒なんだ、局と団体はグループ経営だと、お話しされていたのは水道局の皆さん方ですよ。それにもかかわらず、情報共有、進捗管理が適切に行われていなかったというのは、これは問題じゃないかと、私は本当に強く思うわけですね。
そして、この団体の工事監督については、何度も、個別にも、私も水道局の皆さんにお伝えしていますが、接遇に関すること、担当によって指導内容が異なる。もう本当に苦情が多かったわけです、この東京水道サービス会社については。この委員会でも何度もいってきました。
そういうことを考えると、コンプライアンス強化に加えて、今後も、グループ経営を続けていくという方針も示されているわけですから、それならば、業務上の役割分担、責任の所在を整理していかなければならないと思いますが、こういった点について、今後どのように改善を図っていこうと考えているのか、見解を教えてください。
○今井施設部長 東京水道株式会社が担う工事監督の業務においては、水道工事を円滑に進めるため、受注者はもとより、工事現場の地元住民の皆様の協力を得ることが不可欠であります。
同社の監督員は、若手で経験が浅い社員が多いことから、同社においては、配管実習や施工技術に関する定期的な実務研修や、ベテラン社員とのペア制によるOJTなどを通じて、能力の向上を図ってまいります。
また、当局においても、工事監督の実務の委託監理を通じて、施工管理や工程管理などに関する団体への指導を積極的に行っております。
さらに、局内各部署で実施している職場研修に、同社の社員の参加を受け入れることなどにより、同社の実践力の向上を支援してまいります。
加えて、今回のような事案が発生した場合には、当局と同社による対策会議を速やかに立ち上げ、工事が遅延しないよう情報の共有化を図り、適切な進捗管理を行ってまいります。
○川松委員 これは、ほかの業務に関しても、検証して、必要があれば見直すべきであるということを強く指摘しておきます。
そして、今回の件は、やはり問題だというふうに皆さんも認識されていると思いますけれども、五月から補修処理の工事が始まりました、事件発覚六月、プレスされたのは八月三日です。これは、一部ではこれ、いわゆる東京水道株式会社は隠蔽していたんじゃないかという声もあるわけですね。東京水道サービスとPUCという会社が統合して、新しく東京水道株式会社ができるときのこの議論も含めて、新しい会社というのはすばらしい会社なんだと、そして、いろんな、風通しもよくて、情報共有もできるから、新社長のもと、しっかりとした運営ができるんだって、何度も聞いてきたけれども、結果として、こういう六月から八月までおくれる、時間がかかってしまったという状態になりました。
なぜ、この間ギャップができてしまったのか、皆さん方は、一体何をしていたのか、それを教えていただきたいと思います。
○今井施設部長 東京水道株式会社においては、六月十六日に本事案が発覚した後、直ちに同社の幹部及び当局への報告を行うとともに、事故者やその上司など関係社員に対する事実経過の確認を行いました。
当局と同社は、六月二十三日道路管理者である町田市に、七月六日には交通管理者である所轄の警察署に、事実経緯の説明及び謝罪を行いました。
その後、七月十三日には町田市に謝罪文を提出し、七月十五日は本工事の受注者へ道路占用許可書を不正に作成したことについて説明及び謝罪を行いました。
また、同社は、事故者が担当した過去の全ての案件における不適正処理の有無の調査や事故原因分析、再発防止策などについて、七月三十一日金曜日までに一定の整理を行い、当局に報告するとともに、八月三日月曜日にプレス発表を行いました。
○川松委員 ですから、これ警察が入っている事件ですよ。それを、整理ができるまで公表しない、外側に出さないということ自体が、東京水道株式会社の情報公開や会社としてのあり方を問われると思いますけれども、私の記憶によると、東京水道株式会社は、TSSとPUCの統合により誕生する際に、野田社長の手腕には問題ないということを皆さん方が強調されていたんです。それは水道局の皆さんだし、この場におられる委員の中にもいらっしゃるわけですよ、新社長を応援された方は。でも、これ、TSSという会社の議論をしたときも、野田氏が社長となって風通しがよくなったという説明をされてきましたが、今回の事案を見る限り、風通しがよかったとは全く思えません。
そして、水道局のトップバッターの都民ファーストの中山議員の質疑でも、打つ手は打ってきたんだけれどもこうなったということに対して、部長の答弁は、会社には危機意識が薄いという話もあったと。そんなような話が出てきたわけですよ。
危機意識、ここまでさんざんと、もうTSSもそうだし、局も含めていろいろ水道局は、もう次から次へと問題が出ているのに、ここの場に来ても危機意識が薄かったというのは、つまり、この東京水道株式会社の社長は、経営者として見通しが甘く、規律を保てない。私たちが説明を受けてきた新会社になったらすばらしい会社ができるという話も全く絵に描いた餅で、ここで議論してきたことがほとんど意味がなかった、我々何のために、ここで水道局のこと、あり方を議論してきたのかも、本当にばかばかしくなるわけですよ。
さらに、いろんなことを皆さん方が指導して、そこで文書もついたりしてきますけれども、お話も出ていますが、当の野田社長は、ご自身の経営方針を語ることもありませんでした。今回も、前代未聞の行為に対して、発覚後すぐに会社としてはオープンにすることがなかった。再発防止策の検証は、社内ではなく、まさに、もうここまで議論を重ねてきたんだから、この委員会で細かいこともやるべきだったと私は思います。
水道局の皆さんがいうコアに対して、切っても切れない会社が立ち上がってすぐこんなことを起こしていると。水道局も指導した、それは実情かもしれませんけれども、新会社として船出を切ったばかりで、本当にこういう危機感が現場まで行き渡っていなかったのかという、もう会社の船出からして間違っていたんじゃないかというふうに私は思います。
いろんなこの新会社については、私がこういうだけではなくて、関係の皆さん方に、TSS、新会社が変わって大きく変わりましたかっていって、誰もよくなったという人はいませんよ、はっきり、私の周りで。ここにおられる皆さんの前でも、いろいろとヒアリングしてきたけれども、誰も変わったといわない、これが実情なんです。
ですから、きっちりとここは東京水道会社についても、皆さん方のご指導をさらに強めていただきたいと思います。
また、これは今、この会社の話ですけれども、今回の事件は、九月十七日の公営企業委員会で報告されたわけですが、何とこの翌日に、局の職員二人が、飲酒トラブルを起こしたという報道がありました。
報道によると、委員会の開かれる一カ月以上前、八月十一日には、このトラブルを受けた通知文が出ていたと。団体のコンプライアンスについては報告したのに、委員会が開かれているんですよ、臨時で開けといったのではなくて委員会が開かれていたのに、局はなぜこの委員会の場で報告をしなかったのか。先ほどの会社の体制と含めて、やっぱり水道局のあり方として、隠蔽体質なんじゃないかなといわれても仕方がないと思います。
局は、事件の再発防止、コンプライアンス強化に全力で取り組んできたといっておりますが、じゃあ、水道局としても、いろんな不祥事も起きてきましたけれども、再発防止の実施状況を教えてください。
○石井職員部長 当局では、昨年十一月に公表をしました調査特別チーム最終報告書で掲げた二十四項目の再発防止策について、準備が整ったものから速やかに実施をしております。
昨年度は、異なる担当の職員が、相互に業務の点検を行い、職場内のコミュニケーションの活性化をする取り組みや、独占禁止法及び入札談合等関与行為防止法、こういった法の趣旨及び内容の理解を深めるための取り組みなどを実施してきております。
今年度は、こうした取り組みを継続して実施するとともに、新たに、課長級の職員を対象に、コミュニケーション能力やリーダーシップ能力の向上を目的とした研修を実施し、ミドルマネジメント層の意識改革を行っているところです。
また、今月には、公益通報の相談後の流れや秘密保持について解説したリーフレットを作成し、全職員に配布することで、公益通報制度の周知徹底というものを図ってまいります。
なお、今、委員の方からご指摘ありました残念な事件、今回の非行事件につきましては、現在調査中であり、処分が決定した段階で懲戒処分の指針に基づく公表を行います。
○川松委員 最終報告書に掲げた取り組みは、準備が整ったものから速やかに実施しているということですが、どう見ても改善につながっていないというふうに思わざるを得ません。
そして、今、今回の非行事故については、現在調査中といっていますけど、八月十一日にトラブルを受けた通知文が出ていて、もう二カ月近くたとうとしているのに、これ、直後に聞いている話じゃないんですよ、部長。それをこれから何か懲戒処分の指針に基づき公表する予定って、こういうことこそ速やかにやっていくことが、体制を何かうやむやにしないで前に進んでいくことだと思います。
今回この不祥事が発生した、局として、今、部長がおっしゃった内容、この改善状況というのはどのように評価されているんですか。水道局としてどう思っているのか、教えてください。
○石井職員部長 当局の再発防止策については、本年一月から、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会に、その進捗を報告し、有効性や実効性を検証の上、評価をいただいております。
また、本年六月に実施した全職員向けアンケート、この結果を専門の事業者が分析したところ、再発防止策の認知度や個人のコンプライアンス意識などの項目でよい評価であり、全体傾向としても、民間企業と比較して遜色のないものであったことから、これまでの再発防止の取り組みは一定程度の効果があったとされております。
しかしながら、しかしながらですが、アンケートの項目のうち、例えば、仕事に対する内外からのプレッシャー、これについては、あると答えた方、それから、縦割り意識がどうもあるんじゃないかというようなこと、そして、組織外の状況への関心が薄い、内向きになっているというような、全体としては平均点はとれているのですけれども、そのとれていない項目を見ていくと、今話したような不祥事の発生要因となり得る項目の評価というのが悪いところが、傾向が見受けられました。こういった原因を分析して、今後適切な対応を図っていくことが必要と認識をしております。
こうした状況を踏まえて、東京水道グループのコンプライアンス強化についての取り組みは、残念ながら、いまだ道半ばというふうに考えておりまして、今後も継続して取り組みを実施していく必要があると考えております。
○川松委員 道半ばではなくて、当たり前のことを当たり前のようにできないんですかって話をしているわけです。アンケートだって、もう部長が人がよすぎるのかわかりませんけど、私は悪人ですとアンケート答える人がどれだけいるんですか、ほかの会社を含めたって。いるんですか、そうしたら、その時点で処分するわけでしょう。そこをどう読み解いていくかっていう内容だし、今おっしゃったようなそのプレッシャーを感じているとか、縦割り意識があるとかって、水道局の問題じゃないですか。もともとそれをやった上でアンケートをやるとか、だから改善が何もできていなかったっていうことなんですよ。それは部長、自分でやったアンケートをかみしめて組織改革していかないといけないと思いますよ。
しかも、去年十二月の公営企業委員会では、局の再発防止策の一つであるコンプライアンス宣言書への署名について、私、取り上げたんです。コンプライアンス、もともと、そもそも公務員ということは、宣誓しているにもかかわらず、なぜ水道局に入ったら、二段階でもう一回今コンプライアンス宣言を書くのかさえも異常なんだから。その上の結果が、こういうアンケート結果が出てくるということは、本当に問題だと思いますけれども、コンプライアンス宣言書への署名の意義をここで聞かせていただきますが、今回事件を起こした二名というのは、このコンプライアンスの宣言書、書いていた、署名していたんですか。
○石井職員部長 最初、委員の今お話のあったアンケートの方は、答えにくいということもあるでしょうから、当然無記名で誰が書いたかわからないということの中では、実施はしております。
コンプライアンスの宣言書の署名ですけれども、これは職員が将来にわたって、みずからコンプライアンスの推進に向けて主体的に行動していくということを書面で確認をして、職員の意識改革を図ることを目的に実施しています。
今回、非行事故を起こした職員二名ですが、それぞれこの宣言書には署名をしております。
○川松委員 アンケートは無記名だったとしても、そういう、もうそもそも水道局で働いている人の中に悪い人がいちゃいけないんだから、前提として。でも、こういう不祥事が起きちゃっているってことを認識して、アンケートの結果も踏まえてですが、コンプライアンスの宣言書というのは、今ちょっと部長に追加でお聞きしますけど、職務中、水道局の職員として仕事をしているためだけのそのコンプライアンスなのか、プライベートな分、職場を離れた一回後のことも含めてのコンプライアンス宣言なのか、どちらを対象にしているんですか。
○石井職員部長 これは、コンプライアンス宣言は、法令遵守ということやコミュニケーションの活性化ということで、職場の仕事につながることもそうですが、法令遵守というのは、我々、一般的な私生活を送る上でも、当然守らなきゃいけないことですので、この両方にかかっているというふうに解釈をしております。
○川松委員 とすると、署名していたのに、その非行案件が二件、二人ですよ、しかもこの直近で。しかも小池都知事が営業時間短縮要請をかけているときに、それは営業時間短縮のお店に行っていたと思いますけれども、その時間帯で酔っぱらってしまって、こういう問題を起こしたと。
そもそもこのコンプライアンス宣言書の署名自体が、もう全く意味なくて、水道局として、適当に今回の改善策でみんな宣言しますよ、署名してもらいますよと。これ報告、さっきの話じゃないけれども、ただ報告書に載せただけみたいな印象になります。コミュニケーション、本当にとってやったのですか。改めてこの意義というのを教えてください。
○石井職員部長 このコンプライアンス宣言なんですが、大きく四項目に分けて、さっきいいましたように、法令遵守とかいろいろあるわけなんですけれども、これは、一旦出していただいた後、毎年、管理職が職員と面談をして、個別にいろんなお話を聞くという機会を必ず設けています。その際には、一旦署名したもの、毎回署名させるわけではないので、一旦署名したものを見ながら、再度二人で確認をし合うと、意見交換をするというような場でも使っておりまして、また、これをもとに、全職員を対象とした悉皆研修とか、職場討議なども行っております。
ただ、今回このような事件がそれでも発生してしまったということについては、大変重く受けとめております。本当にコンプライアンス意識の向上というものが、まだ全部になされていないということで、全体になされていないということは痛感をしております。
今後、こういった状況がありますので、これまで進めてきたコンプライアンスに関するさまざまな取り組みを繰り返し継続して実施をして、職員一人一人に意識を根づかせて定着させていく、こういうことが重要ですので、この取り組みを、まずはもう継続してやっていくということで、職員がコンプライアンスの推進に向けて主体的に行動できるようになるまで、さらなる意識の浸透を図っていきたいというふうに考えています。
○川松委員 このコンプライアンスの署名、何度も書かせているものじゃないといったって、つい最近書いているんですよ。何年も前に署名しているんですかって聞いている話じゃないんですよ。皆さん方だって、いつ書いたか記憶にあるような、中身はわかっているような状態で聞いているのに、そういう答弁を部長がされること自体、緊張感がないんじゃないかと思うんですよね。
コミュニケーションだし、まさに書いてもらうときに、話をするときに、もっと詰めて、水道局のあり方、水道局の職員ってどういうふうに見られているかってことを意識を持っていただきたいと、きょうの議論にも出たことです。
このコンプライアンス対策については、もう水道局、道半ばといわざるを得ませんが、この再発防止は、この連携の団体でも、着実に行われているとはいえない現状です。
さらに、工事監督も適切に行われていない状況では、冒頭にいいました安定給水のために必要なあらゆる業務が適切に行われているのか、業務全体を検証し、見直すべき点はしっかり見直していく必要があると考えます。
水道事業というのは、とにかく安定給水が責務です、それなんです。それによって、私たちの日常生活が支えられている。そのためには、危機感を持って、コンプライアンスの強化、業務運営の見直しに取り組むべきと思うんですが、私は、今、この委員会に当たって、コンプライアンスのあり方とか、職員の、局も含め、団体も含め、あり方をずっと議論して、皆さん方とここまで質疑にたどり着いたわけですけれども、ただ私は、このコロナ禍という特別な、特別体制の中だと思いますけれども、今いったような不祥事を担当する職員部長が、私は、本来だったら、石井部長には、専門的にこのコンプライアンスをどうするか、職員を立て直すか、これだけに集中していただく、これが当たり前だと思うんですけれども、このコロナ禍で仕方がないとはいえ、その一番先頭に立つ部長が、新型コロナウイルスの宿泊療養施設の対応を行っているということは、どっちも重責なんですよ、右手にも重い仕事がある、左手にも仕事がある、そして、これどっちも中途半端になってしまったら、水道局にとっても、東京都のそのコロナ対応にとっても、中途半端になってしまうんじゃないかというおそれがあるんですけれども、どういう形で今仕事をされているのか、見解を伺います。
○石井職員部長 まず、私、新型コロナウイルスの宿泊療養施設の事務責任者をやっておりますが、これは、東京都として、今、八施設運営しているわけなんですけれども、なぜ、職員部が引き受けたかというところなんですが、まず、今も日に日勤ですと、十名以上の職員を交代交代で、そちらの方の勤務に、支援についてもらっていると。そういった配置のあり方については、職員部長みずから、各部の部長にお話をして、ご理解いただきながら人の配置を行っているということと、やはり、軽症者とはいっても陽性患者さんですので、そこと接するようなところについては、安全衛生上しっかりと感染防止を行わなきゃいけないと。感染防護衣も着なければいけませんし、それから、入所者さんとの動線、こういったところもしっかりと分けないといけない。そういう部分を担うのは、やはり水道局としては、安全衛生を所管する職員部がやるべきではないかというようなことで、私がその任に当たっているということです。
本務との関係ですけれども、たまたまなんですが、私ども歌舞伎町のところにホテルがあるものですから、ここと歌舞伎町の間の往復はそう時間がかかりません。それで、朝と夕方だけは、職員の交代の時間、それから医療スタッフとのミーティング、これは、預かっている入所者さんの情報なんかも、責任者としてはちゃんと見ておかないといけないということで、その部分だけは行っておりますけれども、そのほかの部分は、ホテルスタッフや、それから、こちらから行っている職員にお願いをしているということです。
当然、そういう時間帯にあっても、こちらの方の仕事は優先ですので、本務があれば、向こうの方はお任せをして、こちらの方は行っているというようなことの体制の中で今仕事を行っています。
○川松委員 私は、今、部長がお話しされたことは当然のことだし、もちろんそのホテル対応ということでお仕事をされていることは承知しているんですが、目の前で、ご自身の担当する担務の中でコンプライアンス事案、職員どうしていこうかと、不祥事が起きているときに、職員部長が--コロナのことだって重要ですよ、どこも気も抜けない状態で毎日過ごされていること自体が、私は、水道局の皆さん、それぞれの部長さんだってみんな大変な重責抱えている中で、特にその上を行くコンプライアンス事案が発生した中でも、石井部長が背負っているということが、非常に体制として不安定じゃないかなというのをここずっと見ていました。だから、ここは別に今の石井部長の仕事が足りないといっているのではなくて、私はこれ、水道局、信用していないからですよ、仮に、次にまたコンプライアンス事案が出てきたとき、また次出てきたときに、今、職員部が引き受けると、ホテルはやります、その責任感はすばらしいと思いますけれども、だから、次のコンプライアンスの事案が出ないように徹底してやらないと、また職員部が大変になっちゃうということを指摘したくてこの質問をしました。
最後にしますけれども、とにかく今いっているように、水道局というのは、さまざまな不祥事が多発しているんです。これまでも何度も水道局長を先頭に、水道局の皆さん方、謝罪を繰り返してきました。その都度、当事者意識が少し足りないんじゃないんですかというのは、いろんな方たちから、局長以下、皆さん方指摘されてきたわけですけれども、結果として、次の事案、次の事案と続いてきてしまっています。
こういう大変な状況の中で、水道局長に新たに就任をされた浜局長は、水道事業というものに対して、どのような認識を持たれているのか、どのように感じているのか。そして、この大きな水道事業をどう運営されていくのか、率直に考えを教えていただきたいと思います。
○浜水道局長 私から改めて申すまでもなく、水道は、都民生活と首都東京の都市活動にひとときも欠かすことのできない極めて重要なライフラインでございます。
今般の新型コロナウイルス感染症対策におきましても、十分に水質管理された水道水が、いつでも十分に使えるというのは大変重要な根幹にかかわることだと思っております。
私ども水道局では、こうした安定給水を確保するために、東京水道株式会社と合わせてグループ全体で五千六百人を超える職員、社員が、職場によっては、二十四時間三百六十五日、休むことなく職務に取り組んでおります。
水道局長は、このような組織の責任者でございまして、着任以来、公営企業管理者としての責任の大きさを日々感じているところでございます。
そのような組織にあって、これまでの反省を踏まえて、コンプライアンスの強化にグループ全体で取り組んでいるにもかかわらず、不適正処理事案やその他職員の非行事故が発生していることは大変残念でございまして、信頼してご利用いただいている都民やお客様、日ごろよりご支援をいただいている都議会の皆様、そして、日夜誠実に職務に取り組んでいる大多数の職員、社員に、大変申しわけないことだと思っております。
水道事業は、お客様からの水道料金で運営するものでございますから、まずはお客様からの信頼が極めて重要でございます。また、水道工事事業者の関連の事業者の方々との協力関係、信頼関係も欠かせないと考えております。
そして、何より職員、社員が、誇りとやりがいを持って頑張れる職場でなければ、水道事業は立ち行かないというふうに考えております。
そのため、私ども東京水道グループといたしましては、再発防止策に基づいて、改めてコンプライアンスの徹底を図り、信頼回復を目指すとともに、お客様を初めとする皆様方からのニーズや社会経済状況の変化も十分に目を向けまして、引き続き、安定給水とお客様サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
私自身も、水道事業に関して、守るべきものは守り、改善すべきものは改善を怠らないということを基本にいたしまして、今後百年につなげていかれるような事業運営が行えますよう、水道局長として力を尽くしてまいりたいと考えております。
○川松委員 局長の大変かたい決意を聞かせていただきましたけれども、改めて、東京の水道だから、地方の水道と比べて、どれだけ今、恵まれてお客様がいるか、当たり前のように水が出てくるというふうに、ユーザーの方は思っているし、逆にいうと、水道局の皆さん方は、経営努力をそんなにしなくても、水道料金を払ってくれる人がいるという気持ちがどこかにあるとするならば、私は、怠慢というか、ゆがんだ気持ちが出てきちゃうんだと思うんです。地方に比べて東京が恵まれている、これはいろんな意味で、地方と東京といわれていますけれども、水道事業というのは、顕著にそこがあらわれます。
改めて、東京水道というのは、全国の中で模範となって、そして、引っ張っていく立場ですから、この新局長のもと、気を引き締めていただいて、信頼される東京都水道局、そして東京水道ファミリーを、皆さんと一緒に信頼を回復すべく、私も努力をしていきたいと思いますので、頑張ってまいりましょう。
以上です。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後八時四十四分休憩
午後九時三十分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
この際、理事会の協議結果について申し上げます。
先ほどの理事会において、東京水道株式会社代表取締役社長野田数氏の参考人招致について協議いたしましたが、本件については、次期の公営企業委員会において結論を出すことを、私から次期の委員長に申し送り事項として引き継ぐことを申し合わせいたしました。ご了承願います。
次に、報告事項についてお諮りいたします。
報告事項、水道局所管政策連携団体におけるコンプライアンス確保についてに対する質疑は、先ほどの質疑をもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
○伊藤委員長 請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○伊藤委員長 この際、所管三局を代表して、内藤交通局長から発言を求められておりますので、これを許します。
○内藤交通局長 公営企業三局を代表いたしまして、ご挨拶申し上げます。
伊藤委員長を初め委員の皆様方には、この間、数々のご指導、ご鞭撻を賜りまして、まことにありがとうございました。
私ども公営企業が行っております事業は、都民生活や首都東京の都市活動に欠かすことのできない重要な事業でございます。
これまでに賜りました貴重なご意見、ご指摘をそれぞれの事業運営に十分反映させ、都民サービスのさらなる向上と効率的な経営に努め、都民の皆様の信頼と負託に全力で応えてまいる所存でございます。
今後とも、公営企業三局に対しまして、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
まことにありがとうございました。
○伊藤委員長 発言は終わりました。
この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
昨年、委員長に就任をさせていただき、今日で一年が経過をいたしました。その間、山口、田の上両副委員長、また理事の皆さん、委員の皆様、そして所管三局の理事者の皆さんにも大変お世話になりまして、委員会運営にご協力をいただきましてありがとうございます。
新型コロナウイルスの影響によりまして、傍聴の制限や今までと異なる環境の中での委員会運営を進めることが何とかできたのも、皆さんのおかげだと思っております。
所管の三局につきましては、さまざまな課題もありますが、引き続き、都民の安全確保と都民サービスの向上にひたすら努力をしていただきたいと思っております。
なお、東京水道株式会社の野田数社長について、本委員会において、直接コンプライアンス関連でお話を聞きたいという声が、この一年間、さまざまな委員の先生方から要望をいただいてまいりました。
その都度、必要に応じて、副委員長、理事の皆さんと協議を重ねてきました。この議論の過程を次の委員長にしっかりと引き継ぎ、都民の皆様のために、継続して協議を行ってほしい旨を申し送りますので、ご了承願います。
最後に、皆様方のご健勝をお祈りして、ご挨拶にかえさせていただきます。皆さん、大変お世話になりました。ありがとうございました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時三十四分散会
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