公営企業委員会速記録第二号

令和二年三月三日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長伊藤しょうこう君
副委員長田の上いくこ君
副委員長山口  拓君
理事大松あきら君
理事河野ゆりえ君
理事増田 一郎君
平  慶翔君
上田 令子君
川松真一朗君
佐野いくお君
中山ひろゆき君
とくとめ道信君
長橋 桂一君
鈴木 章浩君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長土渕  裕君
次長桃原慎一郎君
総務部長根木 義則君
水道局局長中嶋 正宏君
技監相場 淳司君
理事総務部長事務取扱岡安 雅人君
下水道局局長和賀井克夫君
技監神山  守君
総務部長久我 英男君
職員部長白川  敦君
経理部長坂井 吉憲君
計画調整部長佐々木 健君
施設管理部長猪八重 勇君
建設部長青木 秀幸君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鈴木  豊君
技術開発担当部長袰岩 滋之君
施設管理担当部長廣木 健司君
流域下水道本部本部長矢岡 俊樹君
管理部長神山 智行君
技術部長小団扇 浩君

本日の会議に付した事件
下水道局関係
付託議案の審査(質疑)
・諮問第一号 地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
付託議案の審査(決定)
・諮問第一号 地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について

○伊藤委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、下水道局関係の中途議決に係る付託議案の審査を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 諮問第一号、地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問についてを議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いします。

○中山委員 地方自治法第二百二十九条に基づく審査請求について、何点か確認させていただきます。
 本件は、工業用水の配管部分が損傷し漏水したことに起因していますが、簡単にいうと、工業用水料金については漏水量の相当分、二分の一おまけしてくれたんだけれども下水道はおまけしてくれないと、そうしたことが審査請求の理由であると思います。
 そこでまず、漏水の原因は工業用水道の配管部分のFMバルブの損傷ということでありますが、このFMバルブ配管部分は審査請求人が所有する施設で、請求人が管理責任を負っていたという理由で間違いありませんか。

○坂井経理部長 現場調査の際に、請求人の担当者及び深川消防署森下出張所の職員に対しましてヒアリングを行い、そのように確認してございます。

○中山委員 次に、水道局は、請求人の善管注意義務に怠りはなかったとして、漏水相当分の二分の一を減量して請求したとのことであります。
 個人の居宅ならともかくとして、メンテナンス業者もいる法人所有の設備が損傷して漏水が生じたにもかかわらず、善管注意義務に怠りはなかったということは少し違和感を覚えないでもありませんが、改めて伺いますが、減量の根拠規定は何であるのか、また、具体的にどのような運用になっているのか、見解を伺います。

○坂井経理部長 水道局の内部規定でございます工業用水道徴収業務委託処理要領に基づきまして、善管注意義務の範囲外と認められるものにつきましては、同一の使用者につき、一回に限り、漏水量の二分の一を限度として減量することができるというふうに聞いてございます。

○中山委員 工業用水は、使用者と水道局との契約行為に基づくものであるから、水道局は管理者の裁量の下で、その内部規定に定めることによって減量を行ったということですが、それに対して、先日の委員会でも説明のあったとおり、下水道の使用は法令に基づくもので契約行為によるものではないということであります。
 そうすると、下水道で減量を行うときは、原則として法律及び条例に基づく必要があるのかと考えますが、見解を伺います。

○坂井経理部長 公共下水道は、都市の健全な発達や公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全等を目的とすることから、排水区域内の土地の所有者等は、法令に基づいて汚水を公共下水道に流入させる排水設備を設置しなければなりません。また、下水道料金は公の施設の使用料でございまして、汚水の排出量に応じて使用者に公平にご負担いただくものでございます。
 こうしたことから、下水道の減量を行うときは、ご指摘のとおり法律及び条例に基づく必要がございます。

○中山委員 それでは、現行の法律及び条例上、下水道使用量の減量が行えるのはどのような場合で、本件はそれに当たらないのか、また、法律及び条例上、使用者の善管注意義務に怠りがなかった場合、減量できる旨の規定はないのか、見解を伺います。

○坂井経理部長 下水道条例第十七条におきまして、水の使用量と汚水の排出量が著しく異なる場合、その異なる分を減量できると定めてございます。
 具体的には、クーリングタワーやボイラーなど、使用した水のうち大気中に蒸発し、公共下水に流入しない水量が減量の対象となります。また、生コンクリートなど製造物に含まれて出荷され、公共下水に流入しない水量も減量の対象となります。
 本件の場合、漏水は全て公共下水道に流入していることから、水の使用量と汚水の排出量が異なる場合には当たりません。
 一方、法律及び条例上、使用者の善管注意義務に怠りがなかった場合、減量できる旨の規定はございません。

○中山委員 条例に根拠がない以上、汚水の排出量を減量する余地がない。そして、請求人の求めるよう、水道と同様の措置をすれば条例違反になってしまうということが明らかになったわけでございます。
 それでは、念のために確認しますが、現行の条例ではできないとして、仮に条例改正すれば減量も可能ということでしょうか。
 また、請求人が求めているのは減量ですが、下水道には料金の減免制度があったと思います。これを適用して請求人の負担軽減を図っていくようなことは考えられるでしょうか、見解を伺います。

○坂井経理部長 下水道料金は、法令に定める公の施設の使用料でございまして、使用したという事実に基づきまして使用水量を認定することが原則でございます。
 このため、公共下水道を使用した事実があるにもかかわらず、善管注意義務に怠りがなかったということを理由といたしまして減量することができる規定を設けることは、この原則に反するだけでなく、公益性や他の使用者との負担の公平性、こういった観点からも困難であると考えてございます。
 次に、下水道料金の減免につきましては、公益上、その他特別の事情があると認めたとき、一般会計からの減収分の補填、これを前提といたしまして、公平な使用者負担の例外として限定的に実施しているところでございます。
 具体的には、生活保護法に基づく生活扶助の受給者などの福祉増進ですとか、都議会の議決に基づく都市型産業を担う中小零細企業など産業振興を目的として減免が実施されておりまして、個々の使用者の救済を目的として減免を実施することは、公益上の必要性を見出せないことから、ふさわしくないというふうに考えてございます。

○中山委員 最後に確認いたしますが、先ほどの水道局の内部規定について、一回限り漏水量の二分の一を限定として減量できるとすると、二回目以降は善管注意義務の範囲外であっても、もはや減量できないということであると思います。
 一方で、下水道の場合、汚水が公共下水道に流入した事実をもって料金が発生するとの説明がありました。仮に汚水が公共下水道に流入していなければ、使用者の善管注意義務に怠りがあったか否かにかかわらず、一切料金は生じないということで間違いないのか、また、一回に限る等の制限はないものか、見解を伺います。

○坂井経理部長 汚水が公共下水道に流入していなければ、その分の水量は下水道料金の対象に含めることはございません。また、回数の制限もございません。

○中山委員 最後に意見だけいわせていただきたいと思います。
 今回、本件の説明を受けた最初に、なぜ水道局は減量し、おまけしてくれているのに下水道がだめなのかということは、請求人の求めにも一理あるのではないかと率直に感じたわけでありますが、法令や制度の成り立ちやたてつけ等を確認する中で、実は相当異なり、さらにそれぞれの合理性があるということ、そして法的性質を異にする上下水道で、仮に同じ取り扱いをすれば条例違反に当たることが明らかになったわけであります。こうしたことから、本件については請求棄却やむなしと考えるわけであります。
 しかしながら、何回かにわたって質疑させていただきましたけれども、大変難しい仕組みであるわけでございまして、そういう意味では、今後、都民の皆さんにもしっかりわかるように説明していただくこと、ご尽力いただきますようにお願いします。
 以上で質問を終わります。

○上田委員 ちょっと重なる部分あるんですけれども、簡潔にお聞きします。
 先ほど中山委員もおっしゃったように、水道局は二分の一の請求で、下水道局は漏水相当分を含めた使用水量を汚水排出量と認定され、本件処分下水道料金納入通知を行われました。
 そこで、水道局は漏水相当分はどのように積算されたのか、お聞かせいただきたいと思います。

○坂井経理部長 水道局では、漏水発生以前の直近半月間の水量から推計をいたしました当該月の使用水量と、実際に当該月に検針した検針水量との差を、漏水相当分に当たるというふうに認定したというふうに聞いてございます。

○上田委員 そこで、水量をある程度認定をした上で二分の一減量して、一回こっきりの請求ということでございますが、一方、下水道局は漏水相当分を含めたものとしておりまして、この下水道局と水道局の取り扱いが異なる理由をお伺いしたいと思います。

○坂井経理部長 工業用水道は、使用者と水道局との契約行為に基づきまして、水道局は、工水条例及び同局の内部規定でございます工業用水道徴収業務委託処理要領に基づきまして減量して請求したというふうに聞いてございます。
 一方、下水道料金につきましては、公の施設の使用料といたしまして、汚水の排出量に応じ、使用者に公平にご負担いただくというものでございます。
 汚水排出量の減量を行う際には、法令に基づいて行う必要がございますけれども、東京都下水道条例第十七条におきまして、水の使用量と汚水の排出量が著しく異なる場合、その異なる分を減量できるというふうに定めてございます。しかしながら、善管注意義務に怠りがなかったときに減量できる旨の規定はございません。
 こうしたことから、下水道局におきましては、水道局と異なる取り扱いとなったものでございます。

○上田委員 東京都下水道条例第十七条、初めて私も当たったんですけれども、このところではないということを確認させていただき、適正な対応をされたということであると存じます。
 しかれども、やはり払う方は納得いかない部分があると思いますので、請求人に対しまして、今後どのように説得していくのか、ご説明いただければと思います。

○坂井経理部長 本件処分に対しまして、請求人からは既に下水道料金をお支払いいただいてございますが、引き続き、下水道の法整備や事業の仕組み等につきまして丁寧に説明をさせていただいて、請求人の理解を求めてまいりたいというふうに考えてございます。

○上田委員 お支払いいただいたのはありがたいことですが、やはり納得ができないという形での申し出だったように思います。このようなことがないように、今後同様な事例が発生した場合、どう納得していただくのか、ご説明いただければと思います。

○坂井経理部長 今後同様な事例が発生した場合におきましても、お客様に対しまして、下水道の法整備、それから事業の仕組みなどにつきまして、できるだけ丁寧にご説明をさせていただいて、ご理解をいただけるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○上田委員 まさか、下水道の契約するときに一々説明しても忘れちゃうと思うので、発生したときにいきなり請求書を送るのではなくて、一報、連絡してというふうに私の方で解釈させていただきました。よくこの件につきましてはご説明いただきました。
 以上をもって私の質疑を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。

○伊藤委員長 これより付託議案の審査を行います。
 諮問第一号、地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問についてを議題といたします。
 本件については、既に質疑を終了しております。
 この際、本件に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○とくとめ委員 諮問第一号、地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について、若干の経過にも触れながら意見を述べます。
 審査請求人である日の丸交通株式会社が所有する受水槽のFMバルブが損傷して、工業用水の漏水が生じ、また、その全てが下水道に流れ込みました。水道局は、善管注意義務違反ではない、つまり設備をきちんと管理していたにもかかわらず漏水してしまったとの判断によって、水道局の内規に基づいて漏水の二分の一の水量を減量、すなわち使わなかったとみなして、料金を五〇%減額しました。
 一方、下水道局は、こうした扱いはできないとして全額を請求しました。そのことについて、下水道料金についても水道料金と同様の措置をしてほしいというのが審査請求の内容です。
 上下水道で検針も料金の請求や支払いも一緒にされているわけですから、都民の方がそういう思いを抱くのも、ごく自然なことのように思います。
 これについて、処分庁、つまり下水道局は、水道は契約に基づく給水を受け料金が発生するけれども、下水道は下水道という公の施設を使用したことにより料金が発生するという法的性格の違いがあると。また、水道局には漏水の場合の減量の内規があるが、下水道局にはないので減量や減免はできないと主張をされています。
 事前に下水道局にお伺いしたところ、そもそも下水道局は公の施設なのだから、法律的に漏水の場合に減量する規定を設けること自体不可能なのだと。また、減量せず料金を減免する方法についても、下水道条例第二十条の規定があり、生活保護世帯や水を大量に使用する中小企業などに適用されているものの、漏水の場合に減免してやるということは公益性がないので、この二十条を適用することも不可能だという局の見解の説明を受けました。
 しかし、一方で、全国の少なくない自治体が、漏水の場合に、水道料金とともに下水道料金も減額する措置をとっています。幾つかの自治体にその考え方を確認しましたが、ある自治体では、漏水した場合に減免しているのは、全額請求すると市民の負担が著しく重くなるという公益上の理由と語っていました。別の自治体では、漏水はどこでも発生するおそれがあるため、広く公共で負担するべきだろうという考え方で減額をしているということでした。
 また、条例で水道の使用水量をもって下水道への排出量とみなすと定めているために、漏水分の水道使用量を減量して使用しなかったとした場合は、連動して、下水道への排出量も減量し排出しなかったとみなす考え方だという自治体もありました。これらの考え方と措置は理にかなっていると考えますし、法的にも問題はないと考えております。
 そもそも、水道が契約である一方、下水道は使わなければならないという施設です。衛生上も環境的にも、住民が下水道を使わずに汚水をどこかに流した場合、直接川に捨てたりすることはできません。
 下水道は公の施設と下水道局はいわれますが、まさにそのとおりであり、裁判の判例でも、誰でも通れる道、公道に近いものだという指摘もあります。そういう意味では、下水道は非常に公共性が高く、誰でも使えるようにするための配慮が必要な施設ともいえるのではないでしょうか。
 そうしたことから、今回の審査請求の請求人の主張には理があると考え、処分庁、すなわち下水道局の主張には反対をするものです。今後、ぜひ漏水についての規定を下水道局も設けるべきだという考えを述べて、意見といたします。

○伊藤委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 諮問第一号、地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問についてを採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、棄却すべき旨答申することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立多数と認めます。よって、諮問第一号は、棄却すべき旨答申することに決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十二分散会

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