公営企業委員会速記録第三号

平成三十一年三月十九日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長川松真一朗君
副委員長村松 一希君
副委員長中村ひろし君
理事加藤 雅之君
理事保坂まさひろ君
理事河野ゆりえ君
成清梨沙子君
鈴木 邦和君
上田 令子君
舟坂ちかお君
斉藤まりこ君
菅原 直志君
宇田川聡史君
長橋 桂一君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長中嶋 正宏君
技監田村 聡志君
理事黒沼  靖君
総務部長松丸 俊之君
職員部長金子 弘文君
経理部長志村 昌孝君
サービス推進部長小山 伸樹君
浄水部長青木 秀幸君
給水部長尾根田 勝君
建設部長特命担当部長兼務狩野 裕二君
経営改革推進担当部長石井 英男君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小平 基晴君
設備担当部長横谷  守君
多摩水道改革推進本部本部長岸本 良一君
調整部長坂井 吉憲君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長本荘谷勇一君
下水道局局長小山 哲司君
技監神山  守君
総務部長安藤  博君
職員部長白川  敦君
経理部長久我 英男君
計画調整部長池田 匡隆君
施設管理部長佐々木 健君
建設部長猪八重 勇君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鈴木  豊君
技術開発担当部長袰岩 滋之君
施設管理担当部長井上 佳昭君
流域下水道本部本部長中島 義成君
管理部長飯田 一哉君
技術部長小団扇 浩君

本日の会議に付した事件
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十八号議案 平成三十一年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十四号議案 東京都下水道条例の一部を改正する条例
・第九十号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
・第九十一号議案 多摩川流域下水道秋川処理区の建設に要する費用の関係市町村の負担について
・第九十二号議案 多摩川流域下水道野川処理区、北多摩一号処理区、北多摩二号処理区、多摩川上流処理区、南多摩処理区、浅川処理区及び秋川処理区並びに荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
水道局関係
請願の審査
(1)三一第一号 工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十六号議案 平成三十一年度東京都水道事業会計予算
・第二十七号議案 平成三十一年度東京都工業用水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十一号議案 東京都給水条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 東京都工業用水道条例を廃止する等の条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都が設置する水道の布設工事監督者に関する資格等を定める条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都工業用水道事業の廃止に伴う取組について
・職員の情報漏えいについてのこれまでの対応状況について

○川松委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の請願審査、下水道局及び水道局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに水道局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第二十八号議案、第七十四号議案及び第九十号議案から第九十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 表紙をお開きいただきますと、目次がございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。監理団体、報告団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 下水道局が所管する監理団体及び報告団体における職員数と、その内訳として都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししております。
 二ページをお開き願います。監理団体、報告団体の職員数の推移でございます。
 監理団体及び報告団体における職員数の推移を、雇用形態別に過去五年間分お示ししております。
 三ページをごらんください。定数と職員数の推移でございます。
 下水道局職員の条例定数及び職員数の推移を、過去五年間分お示ししております。
 四ページをお開き願います。障害者雇用率の推移でございます。
 国に報告しております障害者の雇用率の推移を、過去五年間分お示ししております。
 五ページをごらんください。工事請負契約の実績がある民間企業への局退職者の就職者数でございます。
 過去二年以内に下水道局と工事請負契約の実績がある民間企業へ就職した局退職者数を、過去五年間分お示ししております。
 六ページをお開き願います。超過勤務時間数の推移でございます。
 月八十時間を超える超過勤務実績のある職員数及び職員一人当たりの月平均超過勤務時間数の推移を、過去五年間分お示ししております。
 七ページをごらんください。業務委託の推移と委託先及びそれに伴う職員定数の削減数でございます。
 業務委託の委託先、主な委託内容及び職員定数の削減数を、過去五年間分お示ししております。
 八ページをお開き願います。二百五十平方メートル以上の未利用局有地の所在地及び面積でございます。
 当局が所有する二百五十平方メートル以上の未利用地を所在地別、面積別等でお示ししております。
 九ページをごらんください。職員の自殺の状況でございます。
 職員の自殺者数を、過去五年間分お示ししております。
 一〇ページをお開き願います。超過勤務時間が月八十時間を超えた職員の延べ人数でございます。
 一カ月当たりの超過勤務時間が八十時間を超えた職員の延べ人数を、過去五年間分お示ししております。
 一一ページをごらんください。恐れ入りますが、資料を横にしてごらんください。平成二十五年から直近の契約締結に係る入札参加条件及び辞退理由でございます。
 一一ページ以降六七ページまで、平成二十五年から今定例会までの間に、公営企業委員会にてご報告いたしました契約案件に係る入札参加条件と、辞退者がいる場合はその辞退理由を、辞退者ごとにお示ししております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○保坂委員 本日、私からは、セーフシティーの実現に向けた震災対策における取り組み強化の観点から質問をさせていただきます。
 東日本大震災から八年が経過しました。そして三年前は熊本地震、昨年は北海道胆振東部地震。気象庁のデータによりますと、我が国では、この三十年間に建物などに被害を及ぼすと考えられています震度六弱以上の地震が約六十回も発生をしております。これまでの地震では、地盤の液状化、これによりマンホールが地表に浮上、下水道機能のみならず応急復旧にも支障を来すなど、住民の生活に大きな影響を及ぼす例が見られました。
 そこで、下水道のマンホールの浮上を防止するため、下水道局では、まずどのような対策を講じているのか伺います。

○池田計画調整部長 東日本大震災では、東北地方や関東地方の沿岸地区や埋立地域等において液状化現象が発生し、マンホールが浮上するなどして下水道機能や交通機能にも支障を来しました。
 マンホールが浮上する原因は、地震による液状化現象により地盤内部で地下水圧が上昇し、その圧力をマンホールが受けて浮上するものでございます。そのため、マンホールの浮上を抑制し、地震時の下水道機能と交通機能を確保するため、地震時に上昇した地下水圧を逃がす消散弁と呼ばれる装置をマンホールの壁面に設置する対策を実施しています。
 この技術は、下水道局が東京都下水道サービス株式会社や民間企業と連携して開発したものでございまして、道路を掘ることなく既存のマンホールの中から工事を行うことが可能であり、効率的に施工することができるものでございます。

○保坂委員 地震時に上昇した地下水圧を逃がすという、この消散弁と呼ばれる装置ということでございますが、マンホールの浮上抑制対策、道路を掘ることなく効率的に工事ができるということであり、都市機能が集積した東京では、まさに有効な対策であると考えます。
 そこで、このマンホールの浮上抑制対策のこれまでの取り組み状況について伺います。

○猪八重建設部長 マンホールの浮上抑制対策につきましては、震災時において、救急活動や物資輸送を的確に行えるよう、液状化の危険性が高い地域にある緊急輸送道路などで、平成二十年度から本格的に事業を実施しております。
 平成二十三年度からは、緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路にも対象を拡大しており、二〇二〇年度末までに一千二百五十キロメートルの対策を完了させることを目標とし、平成二十九年度末までには全体の約九五%に当たる約一千百九十キロメートルの対策が完了いたしました。

○保坂委員 平成二十年度から対策が進んでいるということで、これまでに九割以上の対策が完了ということで、着実に取り組みを進めていることがわかりました。
 東日本大震災においてマンホールが浮上したとのことでありますが、東日本大震災において浮上抑制対策の効果があったのか教えてください。

○佐々木施設管理部長 東日本大震災では、宮城県石巻市などにおいて液状化現象が発生しましたが、浮上抑制対策を講じていたマンホールは浮上していないと聞いております。
 また、都内でも江東区新木場地区などにおいて液状化が発生しましたが、同様に対策を行ったマンホールにつきましては浮上がなかったことを確認しております。

○保坂委員 対策を打ったところは、都内でもマンホールの浮上はなかったということが確認されました。マンホールの浮上抑制対策は非常に有効ということで、今後もさらに対策を推進していくことが重要ではないでしょうか。
 そこで、東京二〇二〇大会以降を見据えて、これらの取り組みをさらに強化すべきと考えます。対象箇所を拡大するなど、平成三十一年度からの取り組みについてを伺います。

○池田計画調整部長 都市防災機能を一層強化するためには、これまでに実施してきた緊急輸送道路などに加え、浮上抑制対策の対象箇所をさらに拡大していく必要がございます。
 そのため、二〇二〇年以降を見据え、緊急輸送道路以外の無電柱化している道路にあるマンホールを浮上抑制対策の対象として拡大し、平成三十一年度は基本設計を進めてまいります。
 さらに、ターミナル駅周辺道路等にあるマンホールにつきましても、今後、対象を拡大するなどの検討を実施いたします。これらの取り組みにより、下水道管の震災対策をさらに強化してまいります。

○保坂委員 対象箇所の拡大という非常に前向きな回答をいただきました。
 マンホールの浮上防止を図る技術は、民間企業などと連携して開発した技術ということでありました。昨年の本委員会での事務事業質疑において技術開発の取り組みの例として取り上げた更生工法についても、都が開発された技術であります。
 これまでに下水道局などが開発してきましたさまざまな技術は、都の事業に活用するだけでなく、全国の下水道事業の課題の解決にも貢献してきたと伺っております。今後も、技術開発のニーズや有用な技術のシーズを的確に把握し、新たに技術開発を行い、サービスの向上と、また、コストの削減を図っていくことが必要と考えます。
 最後になりますが、技術開発の今後の取り組み方針を伺います。

○袰岩技術開発担当部長 急速に進行する下水道施設の老朽化など、下水道事業が直面する課題や将来を見据えた課題の解決を図るためには、従来の下水道技術にとらわれない技術や独創的かつ効果的な新たな技術の開発が不可欠でございます。そのため、さまざまな分野で技術開発を行っている民間企業、大学等との連携が非常に有用であり、当局の技術開発ニーズを積極的に発信するとともに、民間企業の技術者等との意見交換の場を設けるなど、技術の実用化や共同研究の可能性を検討してございます。
 また、民間企業や大学などとの共同研究のさらなる活性化が必要であることから、平成三十一年度には、研究開発の拠点である下水道技術研究開発センターを拡充いたします。この施設は、小規模な水処理実験プラントや実験フィールドなどを完備し、流入下水や汚泥等の試料を提供することで精度の高い実験を行うことができます。これまでには、本施設を活用して開発した汚泥の低含水率脱水機などの技術が実用化され、汚泥処理の効率化につながっております。
 今後とも、産学官が連携し、先進的な技術開発に積極的に取り組み、日本における下水道技術をリードしてまいります。

○保坂委員 研究開発の拠点ということで、下水道技術研究開発センター、これも拡充されるというお話をいただきました。
 これまでの質疑で明らかになりましたように、産学官のまさに英知を結集するといった、この連携を図り、技術開発を行うことができる仕組みであり、下水道事業の課題解決につながっているのが都の下水道事業の大きな特徴であることもわかりました。また、開発した技術が実際に事業に反映されれば、都民にとってもメリットがあり、非常によいサイクルができていくことになります。
 今後も、民間企業、大学などとより連携を深めた技術開発を積極的に推進され、コストの削減や下水道事業の安定的な運営に生かしていただきたいと要望して、質問を終わります。

○舟坂委員 私からは、安全・安心のまちづくりの視点から、浸水対策についてお伺いをいたします。
 昨年は、日本各地の豪雨による甚大な被害が発生いたしました。近年、都市化の進展などに伴い、降った雨が地面にしみ込みにくくなり、河川や下水道に流入する雨水の量が増加していることに加え、気候変動の影響と考えられる大雨などが頻発し、浸水に対するリスクが増大しております。都市部における浸水対策は、河川の整備に加え、内水の氾濫を防ぐ下水道整備も重要であります。
 まず、区部においてどのように浸水対策を進めているのか、基本的な考え方をお伺いいたします。

○池田計画調整部長 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針などに基づき、区部全域において一時間五十ミリ降雨に対応する施設整備を行うことを基本に、早期に浸水被害を軽減するため、対策地区を重点化し、施設整備を進めております。
 具体的には、くぼ地や坂下等、浸水の危険性が高い地区や浅く埋設された幹線の流域など三十五の重点地区を選定し、一時間五十ミリに対応する幹線や貯留施設等を整備しています。
 さらに、浸水被害の影響が大きい大規模地下街や過去に甚大な被害が発生した地域など十九地区を選定し、一時間七十五ミリに対応するなど、整備水準をレベルアップするための大規模な幹線や貯留施設等を整備しております。

○舟坂委員 これまでの一時間五十ミリに対応する施設の整備に加え、整備水準を一時間七十五ミリにレベルアップした対策も推進するなど、豪雨に対する安全性の向上に努めているわけですが、そこで、重点化した地区の取り組み状況についてお伺いいたします。

○猪八重建設部長 一時間五十ミリに対応する施設整備を行う三十五地区につきましては、平成三十年度に渋谷区恵比寿南地区、北区十条台地区など三地区で対策を完了いたしました。これにより十六地区で事業が完了し、現在十二地区で事業を進めてございます。
 また、整備水準のレベルアップなどを行う十九地区につきましては、全地区で事業に着手し、このうち新橋・汐留駅地区など六地区で事業を完了いたしました。

○舟坂委員 整備水準のレベルアップを図る地区の対策に全地区で着手するなど、着実に対策は進められていると思います。しかし、浸水対策の完了には相当な時間を要しているようであり、豪雨のたびに被害に悩まされている都民からは、一刻も早く浸水被害を軽減してほしいという切実な声をよく聞くことがあります。
 そこで、一日も早く浸水被害を軽減させるような工夫をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○池田計画調整部長 都市化が進んだ現在の東京では、浸水対策には大規模な幹線や貯留施設等が必要であるほか、密集した市街地や埋設物がふくそうした厳しい施工環境の中での工事となることから、完成までに相当な時間を要します。そのため、施設全体の整備が完成する前に、一部完成した施設を暫定的な貯留施設として活用するなどの工夫をしています。これにより豪雨時でも整備してきた貯留管が満水になるなどして被害軽減の効果を発揮しております。
 このほか、地元区と連携した雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえ、小規模なバイパス管の設置など、被害要因や現場状況に応じた短期的な対策もあわせて実施しております。

○舟坂委員 一部完成した施設への貯留や、地域の特性に応じたきめ細かな対策がなされるなど、工夫はされていると思います。
 一方、対策にはまだ着手していない重点地区もあり、このような地区では、局所的ではあるが、浸水被害も発生しているとも聞いております。早急な対策が期待されておりますが、事業が未着手の地区について、平成三十一年度はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○猪八重建設部長 重点化した五十四地区のうち、七地区は事業用地の確保などが困難であったことから事業未着手となってございます。このうち二地区につきましては、用地確保のめどが立ち、現在、詳細な設計を進めておりまして、板橋区小茂根、向原地区では、平成三十一年度に工事に着手するほか、大田区大森西地区では、現在の経営計画期間内の平成三十二年度末までに工事着手できるよう取り組んでございます。
 また、残る五地区につきましては、精力的に事業用地の確保に努めるとともに、幹線につながる主要枝線などを先行して完成させ貯留するなど、さまざまな工夫をすることで、早期に整備効果を発揮させるような対策につきましても検討をしてまいります。

○舟坂委員 事業実施時期が未定であった地区でも、新たに事業化に向けての検討に取りかかっているということであり、五十四地区全ての対策が早期に完了するよう積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 頻発する豪雨や被害の激甚化を踏まえると、対策をさらに強化する必要があると私は考えております。
 昨年十二月、政府は、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を閣議決定しましたが、東京都では、この取り組みを加速化、進化を図ることが極めて重要であると思います。我が党は、昨年の第三回定例会におきまして、豪雨災害が相次ぐ近年の気象状況を踏まえ、浸水対策を強化すべきとの観点から質問し、最新の流出解析シミュレーションの技術を活用し、区部全域で下水道施設の能力を検証するとの答弁がありました。
 そこで、平成三十一年度には、具体的にどのような取り組みを行っていくのかという観点からの質問をいたします。

○池田計画調整部長 下水道局では、効率的、効果的な下水道整備を行うため、最新の流出解析シミュレーションを活用することとしております。流出解析シミュレーションを活用すると、雨量の変化に応じた下水道管内の雨水の流れや下水道管から地上にあふれた雨水が地形に沿って流れる状況や浸水の深さなど、十メートル四方の区画ごとに再現することができます。これらは、従来の手法では再現できなかったものでございます。
 これにより、高台などから低地やくぼ地、坂下等への雨水の流れを正確に再現するとともに、既設の下水道管の能力も従来よりも現実に近い状況で評価できます。
 こうした特徴を有する技術を活用することで、浸水対策として必要な整備範囲を重点化することができるため、より効率的、効果的な対策を実施することができるようになります。

○舟坂委員 最新の流出解析シミュレーションでは、雨量の変化に応じて、下水道管内の水だけでなく、あふれた水の流れも再現できるとのことであります。近年は、台風のような大雨だけでなく、短時間の集中豪雨が増加しており、この技術を活用することにより、より現実に近い検討ができるのではないかと考えられます。
 そこで、流出解析シミュレーションをどのように行い、結果をどのように浸水対策に生かしていくのか、今後の見通しをお伺いいたします。

○池田計画調整部長 近年の降雨状況等を踏まえ、最新の流出解析シミュレーションの技術を活用し、既存の下水道施設に加え、計画している下水道施設が完成した場合を想定し、一時間七十五ミリの降雨があった際の下水道施設の能力検証を行うことといたしました。
 昨年十二月には、区部の面積の約半分で検証に着手し、平成三十一年度末までに区部全域での能力検証を完了させます。その後、シミュレーション結果と浸水実績等を踏まえ、新たな七十五ミリ対策地区の追加等を検討いたします。
 こうした整備水準のレベルアップを含めた浸水対策を積極的に進め、安全・安心のまちづくりに貢献してまいります。

○舟坂委員 きょう私が取り上げたのは、下水道局の主な施策のうち浸水対策ですが、下水道局では、浸水対策だけでなく、施設の老朽化対策や震災対策などさまざまな事業を、高度に都市化された東京という環境の中で着実に進めていると認識しております。
 今、東京都は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向け、全力で準備に取り組んでいるところであります。私は、下水道事業においても、東京二〇二〇大会の成功とその先を見据えて、これまでの事業で培ってきた経験やノウハウを次世代に引き継ぎ、後世に誇れる安全で安心できる世界一の都市東京を実現していくことが重要だと考えます。
 そこで、最後に、長年下水道事業に携わってきました局長から、下水道事業を通じた東京の持続的発展に向けた決意を伺い、私の質問を終わります。

○小山下水道局長 ただいま委員から、浸水対策という都民の安全・安心を確保する重要な施策につきまして、さまざまな視点からご質問をいただいたところでございます。
 下水道事業は、東京の発展に応じて、その時々のさまざまな課題を解決するために、計画的に、かつ技術開発もあわせて行いながらその歩みを進めてまいりました。
 浸水対策につきましては、全国の下水道事業の中で、初めてシールド工法を採用し、大規模な幹線などの工事に採用することによりまして、対策の進捗と雨水整備水準のレベルアップにもつなげてまいりました。
 さらに、降雨情報をお知らせする東京アメッシュのような先進的な取り組みも行いまして、ハードとソフトの両面から浸水対策を進化させてきたところでございます。川や海のさらなる水質改善に向けました合流式下水道の改善や温室効果ガスを削減するためのエネルギー対策などにつきましても、同様に着実に取り組んでまいりました。
 東京で下水道が始まったのは明治期でございますけれども、以来百三十年以上の間、二十四時間三百六十五日休まずに膨大な施設を稼働させまして都市活動を支えてこられましたのは、多くの職員がさまざまな現場に根差した創意工夫を重ね、技術と知識を継承、発展させてきた成果であると考えております。
 お話のとおり、今後とも下水道事業は、都民の安全・安心と東京の良好で快適な水環境を確保し、次世代に引き継いでいかなければならないと考えております。下水道局はこれまで培ってきた技術力、組織力、先進性を職員一丸となって発揮しまして、都民生活と都市活動を全力で支えてまいります。

○加藤委員 私からは、下水道管の維持管理とエネルギー温暖化対策などに関連して質問をいたします。
 昨年三月の公営企業委員会で、下水道へ紙おむつを受け入れることについての質疑を行いました。それは、国土交通省が昨年一月、下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会を立ち上げまして、下水道に受け入れる使用済み紙おむつの処理方式を三つのタイプに分けて検討を始めたからです。
 改めて申し上げますと、一つ目は、装置内で紙おむつと汚物を分離し、紙おむつはごみとして回収し、汚物は下水道に流す固形物分離タイプ、二つ目は、装置内で紙おむつを破砕し、破砕した紙おむつは分離してごみとして回収し、汚物のみを下水道に流す破砕回収タイプ。三つ目が、装置内で紙おむつを破砕し、破砕した紙おむつと汚物の全てを下水道に一緒に流す破砕受け入れタイプであり、二〇二二年までに、地方公共団体による導入の検討に向けたガイドラインを作成するとのことです。
 この検討会に、都の下水道局からも委員が参加していると聞いておりますので、まず、この検討会の今年度の進捗状況について伺います。

○井上施設管理担当部長 平成三十年度の検討会では、紙おむつなどを使用している一般消費者と介護関連施設に対してアンケート調査を実施するとともに、理事お話しの三つのタイプのうち、装置内で紙おむつを破砕せずに紙おむつと汚物を分離する固形物分離タイプの実証実験に向けた考え方案を取りまとめました。
 アンケート調査の結果では、使用済み紙おむつの保管場所やごみ出し作業、外出先での取り扱いなどに苦慮をしている実態や、紙おむつ処理装置の利用希望について、一定程度のニーズが存在していることを確認しております。
 また、固形物分離タイプにつきまして、紙おむつ分離装置が具備すべき条件を整理いたしまして、現在、実証実験に向けた考え方案についてパブリックコメントを実施しております。

○加藤委員 都の下水道のことを考えますと、三つ目の、おむつと汚物を一緒に流すタイプはあり得ないというふうに思うんですけれども、検討会の進捗状況は確認できました。
 超高齢社会を迎え、排せつに伴う介護負担が軽減されるなど、下水道への使用済み紙おむつの受け入れニーズがあることは理解できます。
 二〇四〇年には、年間百四十二億枚の使用量が予測されていることから、今から対策を考えていかねばならないこともわかります。一方で、水環境への影響などを懸念しており、下水道への受け入れについては慎重であるべきと考えております。
 そこで、今年度の検討状況を踏まえた下水道局の見解について伺います。

○井上施設管理担当部長 今回検討対象としております固形物分離タイプにつきましては、紙おむつを破砕しないタイプでございますが、汚物と紙おむつの確実な分離や、排水設備や公共下水道の詰まりなどの技術面の課題と、分離装置の法令上の位置づけや装置が適切に維持管理されていることを下水道管理者として確認できることなど、制度面の課題があると考えております。
 今後も、下水道に悪影響を及ぼさず、良好な水環境を実現し続けることができるよう検討会の中で必要な意見を発信してまいります。

○加藤委員 下水道局の見解はわかりました。
 紙おむつは、赤ちゃんが使用しても安全なようにつくられておりますけれども、高分子ポリマーやポリエチレンフィルム、ポリプロピレン、ポリウレタンなどが原料となっており、破砕処理して水に流すとなると、マイクロプラスチックの公共用水域への流出など水環境への影響も懸念されることから、慎重に判断すべきと考えます。
 今回検討しているタイプで、分離した紙おむつをリサイクルするのであれば、循環型社会の形成で大きく貢献できると考えられます。回収方法などさまざまな課題もありますが、今やリサイクルによる燃料化だけにとどまらず、紙おむつの再生化や、その工程で水質浄化を行う技術開発も行われております。
 下水道局も、エネルギー地球温暖化対策については熱心に取り組んできた実績があるわけですから、将来、他局などからの要請で下水道局の施設を利用して新たな環境対策に取り組もうという機運が生まれてくれればいいなと期待をしております。
 いずれにしても、下水道局は、検討会の委員として東京下水道の実情を踏まえ、また、全国の下水道管理者を牽引する立場から、引き続き下水道への紙おむつの受け入れに対して必要な意見を発信すべきと申し上げ、質問を終わります。

○河野委員 質問させていただきます。
 最初に、省エネルギーと自然再生エネルギーの導入について伺います。
 下水道局は、エネルギー地球温暖化対策として、アースプラン二〇一七やスマートプラン二〇一四を策定して、CO2などの温室効果ガスの削減や省エネ促進と自然エネルギーの導入拡大にさまざまな取り組みをされています。
 二〇一五年に国連において全会一致で採択された持続可能な開発目標、SDGsの十七の目標の中に気候変動への対策が掲げられており、地球規模での課題になっていますので、下水道局の二つのプランに基づいて、初めに、省エネの促進と自然再生エネルギーの導入拡大について何点か伺いたいと思います。
 下水道局は、各施設において太陽光や小水力発電の導入、汚泥によるエネルギーの活用などを進めていますが、局全体で再生可能エネルギーの取り組みにより、どのくらいの効果を生み出しているのか、目標及び進捗状況についてお答えください。

○池田計画調整部長 都内の電力使用量の一%強に当たる電力を使用している下水道局では、下水道事業におけるエネルギー基本計画であるスマートプラン二〇一四に基づき、再生可能エネルギーの活用、省エネルギーの取り組みを積極的に推進してきております。
 これまでに、森ヶ崎水再生センターなどで太陽光発電設備を整備するとともに、新河岸水再生センターなどで民間事業者と共同研究した、従来型の焼却炉よりも電力や補助燃料を大幅に削減する焼却システムなどを導入いたしました。
 このような取り組みにより、スマートプラン二〇一四で掲げた目標である総エネルギー使用量に対する再生可能エネルギー等の割合を二〇二四年度までに二〇%以上とする目標に対して、平成二十九年度末では、一一・二%まで高めたところでございます。

○河野委員 スマートプラン二〇一四では、二〇二四年度を目標年度として、総エネルギー使用量に対する再生可能エネルギーの合計割合について二〇%以上を目指すとしています。計画期間は二〇一四年から十年間の間です。
 省エネ、自然再生エネの合計を二〇%とするという目標なんですけれども、それぞれ個別の目標はどのように定められて取り組んでおられるでしょうか。

○池田計画調整部長 スマートプラン二〇一四では、二〇二四年度の目標として、総エネルギー使用量に対する再生可能エネルギーの割合は七%、省エネルギーの割合は一四%としております。

○河野委員 私は、下水道局の取り組み、頑張っておられると思うんですが、いろいろな施設も見せていただいて感じていることもあります。
 先日、斉藤委員と一緒に芝浦水再生センターを視察させていただきました。芝浦水再生センターの敷地の中に建てられたシーズンテラスの下水熱の利用について説明を受けました。
 シーズンテラスは、高さ百七十メートルの超高層ビルで、巨大な空間が広がっているという印象でしたが、このビルに下水熱を空調のエネルギー源として活用していました。下水の水と外気の温度差を季節の寒暖に合わせて熱利用しているわけですが、改めて下水道が生み出すエネルギーの大きさを感じたところです。
 このシーズンテラスでは、太陽光も集光して熱源にする仕組みが導入されていたのが印象的でした。超高層のビルでありますから、CO2の排出の問題や風の道を塞ぐ、そうした環境への影響が懸念ということで心配があるんですけれども、省エネ、再エネの試みの一つとしてシーズンテラスに注目しました。
 質問いたしますが、下水道は、エネルギーの宝庫ということをよく聞きます。下水道汚水の熱、スラッジの利用など、エネルギー源の種類は多様です。今後の局施設への自然再生エネルギーの導入を拡大すること、また、省エネルギー推進のための取り組みについてはどのような計画をお持ちでしょうか。

○池田計画調整部長 今後も、浸水対策の強化や合流式下水道の改善などにより、下水道事業で使用するエネルギー量の増加が見込まれることから、スマートプラン二〇一四を策定し、エネルギー使用量の削減に取り組んできているところでございます。
 具体的には、再生可能エネルギーの活用及び省エネルギーの取り組みとして、下水の処理過程のうち、約四割のエネルギーを使用する汚泥処理について、汚泥焼却炉の廃熱を活用した発電により運転に必要な電気を自給できるエネルギー自立型焼却システムを開発し、設備の再構築に合わせ、新河岸水再生センターなどで導入を進めています。
 今後も、技術開発に取り組み、再生可能エネルギーの活用や省エネルギーを推進し、スマートプラン二〇一四の目標達成に向けて着実に取り組んでまいります。

○河野委員 答弁にありましたように、新河岸の汚泥焼却炉の廃熱を活用した発電を行って電気を自給できる、そういう自立型焼却システムの努力などもされているようですが、まだこれは都内全域に広がっているわけではないと思いますので、ぜひ引き続きご尽力をいただきたいと思っています。
 これは要望になりますが、申し上げます。都の環境基本計画では、再生可能エネルギーによる電力利用割合を二〇二四年までに二〇%程度に高め、二〇三〇年までに三〇%に高めるという目標になっています。アースプラン二〇一七では、小水力や太陽光発電などの自然エネルギーをつくり出し、活用している状況が示されておりますが、都の環境基本計画のように、目標年度や割合は示されていません。
 スマートプラン二〇一四は、二〇二四年まで、再生エネルギーと省エネの合計の割合を二〇%としているわけなんですけれども、環境基本計画では、再生可能エネルギーの使用割合を二〇二四年までに二〇%としていますので、主に下水道局の施設内での取り組みという局としての限界はあると思うんですけれども、環境基本計画の目標値を視野に入れて取り組みを進めていただきますようにお願いをしておきます。
 次に、ただいま質問されましたけれども、紙おむつの問題についても、私からも二点ほど質問させていただきたいと思います。
 国土交通省が、紙おむつを粉砕して下水道に流す検討を始めたということは、今、質問にもありました。この間、多くの人が注目をしています。国の検討の三つのタイプについてもお話がありましたが、固形分離タイプ、そして二つ目に破砕回収タイプ、三つ目に破砕受け入れタイプの三つのことが、今のご質問で紹介があったわけです。
 三つの方法、このタイプが出されていますが、どの方法も下水道には影響があると私も考えます。特に二番目の破砕回収タイプ、そして三番目の破砕受け入れタイプ、これは下水道施設に負荷が大きくて、現在の水再生センターの構造では無理があるのではないかと思っております。
 そこで、お聞きいたしますけれども、これらの破砕する二つのタイプについて、下水道局はどのようなご見解をお持ちなのかお答えをいただきたいと思います。

○井上施設管理担当部長 ただいまご質問のありました、破砕するタイプについて下水道局はどのような見解を持っているかということでございますが、汚物と紙おむつの確実な分離や排水設備や公共下水道の詰まりなど技術面の課題と、分離装置の法令上の位置づけや、装置が適切に維持管理されていることを下水道管理者として確認できることなど制度面の課題があると考えております。
 破砕するものにつきまして、下水道管、それからポンプ施設、処理施設に対して、いろいろな課題があるというふうに認識しております。

○河野委員 そうですね、私もそのように、本当に課題は多いと思います。これまで都内の幾つかの水再生センターを視察させていただきました。現場では、職員の方が大変苦労しておられて、汚水を浄化し、河川に放流しております。その施設は一言でいえないくらい複雑で、沈砂池、沈殿池を初め、微生物の働きを弱めないように反応槽の維持管理などに努力されておられました。
 紙おむつを下水道に受け入れると、ごみ出し不要というようなメリットもあるということは聞いておりますが、下水道施設や水環境に十分な検討が必要、それは本当に今までのご答弁のとおりだと思います。
 特に、国際的にも関心が強まっているマイクロプラスチック問題、加藤委員も質問されましたけれども、私もこの問題に大変関心を持っております。マイクロプラスチックの課題については、紙おむつの中にたくさんのプラスチック製品が使われていて、三〇%から六〇%がプラスチックで生成されているということでありますので、改めて、検討会で国に対して、東京都の下水道局としての意見を本当に十分に発信していただきたい。これはただいまも質問されておりますが、私からも強く要望して、お答えがあればお伺いをしておきたいと思います。お願いいたします。

○井上施設管理担当部長 ただいま理事お話しのように、特に紙おむつを破砕して下水道に流すタイプの場合、下水道管の詰まり、ポンプ所等における揚水機能の阻害、さらには公共用水域へのマイクロプラスチックの流出の懸念など、さまざまな課題があることを既に検討会で発信しております。
 今後も、下水道に悪影響を及ぼさず、良好な水環境を実現し続けることができるよう、検討会の中で必要な意見を発信してまいります。

○河野委員 よろしくお願いします。
 続いて、耐震化対策について伺います。昨年六月の大阪府北部地震、そして北海道の胆振東部地震、また、熊本や茨城でも大きな地震が頻発しているという状況があります。下水道管路の施設での地震への備えが必要だと思います。
 これまで起きた大地震では、被災地で下水道管とマンホールの接続部が破損して、避難所等でトイレの使用ができない事態もたくさん起きております。大地震に耐えられるようトイレの機能を確保していくことが急がれます。
 生活に欠かすことができないトイレが使えないといったことが起きないように、下水道管の耐震化に力を入れていただきたいと思うんですが、これまでの区部における下水管の耐震化についてどのように取り組んでこられたかお伺いをしておきます。

○池田計画調整部長 震災時においても下水道機能を確保するために、地震によって被害を受けやすい下水道管とマンホールの接続部の耐震化を推進しています。
 下水道管とマンホールの接続部の耐震化については、阪神・淡路大震災を契機に、当局と民間企業等が連携して開発した既設マンホール耐震化工法を導入し、平成十二年度から本格的に実施しています。当初は、避難所からの排水を受け入れる下水道管を対象とし、平成二十五年度には、ターミナル駅などに対象を拡大するなど、現在では、約四千六百カ所を対象として対策を進めております。

○河野委員 ここで、これまでの取り組みの進捗状況と、それから今後の取り組みについてもお伺いをしておきます。お願いいたします。

○池田計画調整部長 現在の進捗状況でございますが、平成二十九年度末までに三千六百九十二カ所で完了し、避難所やターミナル駅など対象の八割において、震災時のトイレ機能を確保できている状況でございます。今後は、経営計画二〇一六の最終年度である二〇二〇年度末までに、四千百五十五カ所で完了させる予定でございます。また、避難所やターミナル駅以外でも、帰宅困難者が一時的に待機できる一時滞在施設等にも対象を拡大してまいります。

○河野委員 ありがとうございます。相当努力して取り組んでおられるということなんですが、ぜひ、震災時に備えて一日も早く目標が到達できるように、私たちも心から願っているということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、人材育成のことについて伺います。
 下水道管や施設の耐震化を進める上で必要なのは、工事に、技術を持った人材、この人たちがたくさん活躍していただくことが必要だと思います。
 昨年の事務事業質疑でもお聞きしましたが、下水道局の技術系職員の育成は重点を置いて取り組んでいただきたい課題です。その上で、砂町水再生センターに設置されている下水道技術実習センターの役割は大変大きなものがあると思っています。
 下水道技術実習センターを活用した技術職員の育成の取り組み、努力についてお聞きしておきます。

○白川職員部長 下水道局では、業務遂行に求められる知識、技術が高度化、複雑化する一方で、人材育成や技術継承の中心的な役割を担ってきたベテラン職員の大量退職と若手職員の増加が続く中、実践的な技術や業務ノウハウを、より効率的、効果的に伝えていく取り組みがますます重要となっております。
 そのため、実際の工事現場や水再生センターの施設などを再現した三十三種の実習施設を設置し、マンホール内や水が流れている中での作業実習、高電圧配電盤の点検作業の実習など、みずから体感するプロセスを通じ、技術、業務ノウハウの継承を効率的、効果的に進められる日本初の下水道技術専門の実習施設である下水道技術実習センターを平成二十五年十月に開設したところでございます。
 また、平成二十八年度には、宅地内の排水設備を可視化した排水設備流下モデルを整備し、二十九年度には、屋外テントの増設を行いまして全天候型とするなど、利用しやすい研修環境の整備を進めてまいりました。
 一方、下水道事業の安定的な運営に当たりましては、下水道局のみならず、下水道局と一体となって現場を担う監理団体や実際の施工と維持管理を行う民間事業者の技術向上も重要でございます。そのため、下水道技術実習センターでは、局職員のみならず監理団体や民間事業者を対象に実習を行っておりまして、その結果、昨年度は合わせて百三十九件、約四千名の利用となっております。
 今後も、下水道技術実習センターの施設の充実を進めるとともに活用を図り、下水道界全体の人材育成に貢献してまいります。

○河野委員 見せていただいて、視察に行きまして、大変大事な実習センターだと実感しておりますし、幅広いそういう方々を受け入れて、人材育成に努力されているということですので、ぜひ引き続きお願いいたします。
 最後に要望になります。浸水対策です。
 きょうは質問はいたしませんでしたが、下水道局には、耐震対策とともに浸水対策にも力を入れていただきたいと思っています。
 昨年の西日本豪雨の被害は甚大でありました。私は、東部低地帯の江戸川区に住んでいて、大雨が降ると道路冠水や床下浸水の被害が発生することがあります。地元自治体でも豪雨対策の取り組み、進めていますが、下水道局も先導して、浸水対策を進めていただくように努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○中村委員 初めに、下水道の事業運営について伺います。
 下水道事業は、汚水は利用料金で、雨水は一般会計で負担しています。今後、人口減少社会になると、汚水が減るのに伴い、設定がそのままであれば料金も減りますが、雨水については、都市型水害の対応として予算もふえることが懸念されます。このように、汚水と雨水とで全く逆の動きをすることも想定して事業を考えていく必要性があります。
 今後も、下水道事業の安定的な運営のための不断の努力は重要です。しかし、コンセッション方式といった民間委託も検討されているようですが、雨水の排除は完全に行政が行うべき仕事であり、料金は入ってきません。両方の対応を同時に行っている下水道事業においては、将来的な増減が違った動きをする汚水と雨水をそれぞれ分析し、運営していくべきと考えます。
 また、経営が厳しいなどの理由からコンセッション方式など民間活力を導入しているように聞こえますが、そもそも、民間だと創意工夫ができるのに、なぜ役所だとできないのでしょうか。民間のノウハウを生かすには委託しかないということではなくて、現状の体制でも、民間からよいところを学び改善するのが順序です。
 下水道局は、東京都下水道サービス株式会社と役割分担をしながら事業を運営していますが、下水道サービスは、都の出資は五〇%で、あとの半分は民間からの出資を受けています。民間の出資が五〇%もあるなら、普通の民間の資本提携や合弁会社なら、両社からの役員が参加しての役員構成になり、両方の長所を持ち寄ります。それができて初めて東京都下水道サービスの活用もあるのではないでしょうか。
 そこで、監理団体の活用も含め、今後の下水道事業の運営のあり方について見解を伺います。

○安藤総務部長 安定的に下水道サービスを提供していくためには、将来見込まれる豪雨回数の増加や人口減少などの課題に対し、重点化して浸水対策事業等を実施することや、人口や都市構造に応じた汚水排出量の推計を行うなど、財政収支への影響を踏まえて適切な対応を図り、一層効率的かつ効果的に事業を運営していくことが必要でございます。
 ご指摘のコンセッション方式には、民間事業者のインセンティブが働きやすいとされるメリットがある一方、豪雨時や災害時における官民のリスク分担などの課題があると認識してございます。
 今後の下水道事業運営については、将来の見通しを踏まえ、下水道局と監理団体である東京都下水道サービス株式会社との役割分担の見直しとあわせて、さまざまな施設運営手法について、経済性だけでなく安定的なサービスの提供という観点も重視し、幅広く検討してまいります。

○中村委員 下水道事業は厳しいと一言でいっても、雨水と汚水があり、水害対策は都の責任で行うべきとの主張をしました。都の事業とはいえ、常にコスト感覚を持つことは必要ですが、災害に備えることは、常に採算ベースに合うものでもありません。改めて、下水道事業の都民サービスの向上という面だけではなくて、都民の命と安全を守るという側面を、判断において重視すべきと申し上げます。
 また、東京都下水道サービスの活用ということもいいましたが、今のままでいいというつもりもありません。民間は倒産することもありますので、常に危機感を持ち、だからこそ創意工夫を持って取り組みます。監理団体は、半官半民という中で潰れないという安心感とモラルの低下ということにならないよう、高い公共性と民間の創意工夫の両方の長所を生かすよう求めます。
 また、同じ監理団体という点で、水道局の監理団体に特別監察が入りました。また、水道局本体でもたびたび談合事件も起きています。他局のこととはいえ、構造的には、他の局や監理団体にあってもおかしくない事件です。職員派遣やいわゆる天下りといわれる退職職員が多いこと、また、特命随意契約など、もたれ合いもあるとも考えられます。
 下水道局では、監理団体も含めたコンプライアンス確保にどのように取り組んでいるのか伺います。

○白川職員部長 下水道局では、東京都コンプライアンス基本方針の趣旨を踏まえ、コンプライアンス推進委員会を設置し、コンプライアンスの推進に向けた取り組みを進めております。
 具体的には、全職員を対象に、コンプライアンス推進研修を実施するとともに、局独自の取り組みでございます各職場での十分間ミーティングにおきまして、過去事例をもとにした討議を行うなど、職員の意識醸成や風通しのよい職場づくりのための取り組みを年間を通じて行っているところでございます。
 また、東京都下水道サービス株式会社は、コンプライアンス基本方針を策定するとともに、下水道局とコンプライアンス推進に関する連絡会議を実施し、取り組みを共有するなど、局と連携し、取り組みを進めているところでございます。

○中村委員 私は、この機に全ての監理団体の監査を行い、結果を公表する必要があると考えています。この定例会の議論の中で、全庁的に監理団体の監査を行うようですから、ぜひ監査に協力し、適切な運営をされるよう求めます。
 次に、下水道事業の国庫補助について伺います。
 ちょうど一年前の昨年三月、都議会で、下水道施設の改築に係る国庫補助の継続に関する意見書を可決し、国に提出しました。これは、国が下水道施設の改築に係る国庫補助を見直す方針を示したことに対し、都議会として意見を表明したものです。
 いうまでもなく、下水道は極めて公共性の高い社会資本であり、改築更新により老朽化対策を着実に進めることが必要です。国庫補助は、下水道局が事業を将来にわたって安定的に継続するために不可欠な財源と考えますが、国庫補助の状況と国への働きかけについて伺います。

○安藤総務部長 お話の国庫補助については、全国の地方議会の中で、いち早く都議会から意見書を提出していただいたところでございます。平成三十年度当初の下水道局への国庫補助額は約五百二十八億円で、前年度と比較すると約二十三億円の減少でございました。そこで、下水道局は、下水道施設の改築に係る財源の確保を平成三十年度から都の最重点事項として提案要求を行ってきたほか、他都市と連携した要望活動を精力的に実施するなど、例年以上に国への働きかけを強化してまいりました。
 一方で、平成三十年七月豪雨などの自然災害の頻発化、激甚化を踏まえ、昨年十二月に閣議決定された防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の実施に向けた国の補正予算では、約七十六億円の追加交付がございました。この補正も合わせますと、平成三十年度については、約六百億円の国庫補助の交付決定が出ておりますけれども、今後とも、これまでの要望活動に加え、本年一月に設置された国と東京都の実務者協議会などさまざまな機会を通じまして、国に働きかけてまいります。

○中村委員 三カ年の緊急対策ということがあったので、合計としては多くなったわけですけれども、ベースのところが減ってしまえば、三年後にどうなるのかわからなくなってしまいますから、引き続きこれは国に対して働きかけをお願いいたします。
 ここまで下水道事業の運営について質問してきましたが、市町村の財政も厳しく、都としては、流域下水道事業として市町村への協力が求められています。都への編入が進み、二〇一九年度予算では、八王子市と立川市の編入に向けた施設整備費用が計上されている中、残るは三鷹市だけです。都と三鷹市だけの問題ではなく、周辺関係市もあるので難しいことは承知をしておりますが、老朽化した三鷹市の施設をめどもなく更新し続けるには限界があります。
 これまでも機会を捉えて、たびたび質問し、事務事業でも質問したので、今回は問いませんが、流域下水道事業として三多摩地域で唯一編入がされていない三鷹市の編入について、引き続きの協力を求めます。
 次に、水環境について伺います。
 下水道局は、東京湾が富栄養化する一因である窒素やリンを削減するため、下水の高度処理を順次導入してきました。ことし一月に発表された二〇二〇年に向けた実行プランでは、高度処理を、二〇二〇年度に二〇一三年度比で一・八倍、二〇二四年度には二・六倍にするとのことですが、目標は順調でしょうか、伺います。

○池田計画調整部長 平成三十一年度は、八王子水再生センターに高度処理、森ヶ崎水再生センターなどに準高度処理を導入し、合わせて一日当たり三十三万立方メートルの処理能力を有する施設を完成させます。これにより平成三十一年度末までに、高度処理と準高度処理を合わせた一日当たりの処理能力は四百十四万立方メートルに達し、二〇二〇年度の目標である四百三十万立方メートルを達成する見込みでございます。
 今後も、高度処理の導入を計画的に進め、二〇二四年度の目標達成に向け、着実に取り組んでまいります。

○中村委員 二〇二〇年度の目標を達成できるという見込みだそうですので、計画どおり進んでいることが確認できました。文字どおり、高度に処理しているということは、標準的な処理に比べて処理に要するコストが増加するとも思われます。
 そこで、高度処理は標準的な処理に比べてどのくらいコストが増加するのでしょうか。また、それにより環境への影響はどう低減できるのか、それぞれ数値でお示しください。

○池田計画調整部長 電力使用量について、標準的な処理法と比較いたしますと、高度処理の場合は三割程度の増加、既存の施設の改造により、早期の導入が可能な準高度処理の場合は同程度となります。処理水質について、標準的な処理法と比較しますと、高度処理はおおむね窒素が三五%、リンが六〇%削減されます。同様に、準高度処理はおおむね窒素が一五%、リンが五〇%削減されます。

○中村委員 窒素とリンが削減され、快適な水環境の創出が期待できますが、高度処理の場合は、電力使用量がかなり増加するとのことでした。
 そこで、最終的に一〇〇%の高度処理を目指すのでしょうか。コストと環境のバランスをどのように考えているのか、見解を伺います。

○池田計画調整部長 高度処理は、施設の更新、再構築などの時期に合わせて適切な処理法を選択し、導入のスピードアップを図っております。また、当面、更新などの予定がない施設については、運転管理の工夫により処理水質を向上させています。ハードとソフト両面を組み合わせ、水質とコストのバランスをとりながら良好な水環境の創出に貢献してまいります。

○中村委員 高度処理にはコストがかかりますが、環境への影響をできるだけ減らしていくことを考えると、最終的には導入していくということになると思います。ただ、いつかは一〇〇%ということなのでしょうが、全くめどが立たないほどはるか将来というわけにはいかないと思います。もちろん、必要なエネルギーの低減という技術開発をしていくことでコストを下げることは当然努力しつつも、ぜひ計画的な導入を図り、将来に良好な水環境を残せるよう取り組んでいただくことを求めます。
 また、新たに策定された二〇二〇年に向けた実行プランでは、新規の目標として、下水汚泥処理工程におけるエネルギー自立型焼却システムの導入について記載されています。これまでのプランでは、開発との表現にとどまっていましたが、今回は二〇二〇年度に導入と前進をしています。
 改めて、エネルギー自立型焼却システムを開発した目的を伺います。また、今後二〇三〇年度までに四基導入との記載もありますが、全ての焼却炉について導入を進めていくのか伺います。

○袰岩技術開発担当部長 従来の焼却システムは、汚泥を焼却する過程で、都市ガスなどの補助燃料や電力を大量に使用しており、その使用量の削減が課題でございました。この課題を解決するため、下水汚泥の焼却処理工程における焼却炉の廃熱により発電し、炉の運転に必要となる電気を自給するエネルギー自立型焼却システムを開発いたしました。
 従来の焼却システムと比較した場合、廃熱発電システムなどが追加されることで建設コストが増加いたしますが、焼却時の補助燃料が不要となり、さらに、購入している電力費より安いコストで発電することから、維持管理コストが削減され、トータルコストは、これまでの焼却システムと同等以下になる見込みでございます。使用電力をみずから賄うことができ、補助燃料及び電力使用を大幅に削減が可能であり、省エネルギーに寄与するものでございます。
 本焼却システムにつきましては、新河岸水再生センターなど四基の導入を進めてまいります。そのほかの焼却炉につきましては、汚泥の処理量等に応じて適切な焼却システムを導入してまいります。

○中村委員 開発の目的として、エネルギー使用量の削減ということですが、副次的にコストの低減も可能になるかもしれないというのはよい話です。実際にどの程度低減できるかは具体的に動かしてみてということになるのでしょうが、仮にコストの低減が可能であれば、他の焼却炉への展開も積極的に行えますので、しっかりとした検証を求めます。
 次に、浸水対策について伺います。
 今般、想定する降雨強度が一時間当たり百十四ミリから百五十三ミリに見直されました。降雨が大きくなったことで浸水範囲も広がりました。例えば、私の地元三鷹市のことでいえば、神田川流域が昨年三月に見直されましたが、それでは市の一部分でしかなく、三鷹市の大半を占める野川、仙川、谷沢川及び丸子川流域の浸水予想図は、平成十七年六月以降、見直されていません。全地域の見直しに時間がかかってしまうと、地域ごとに想定が違い、面的な水害対策がとりにくくなってしまいます。
 そこで、都が管理する河川流域において、早急に全地域の見直しに取り組み、面的な水害対策をとることが必要ですが、見解を伺います。

○池田計画調整部長 浸水から都民の生命と暮らしを守るためには、下水道や河川の施設整備などに加えて住民の避難等に資する浸水予想区域図の公表など、ソフト対策を進めることが重要でございます。
 浸水予想区域図は、区市町村のハザードマップの作成に活用されており、平成十三年度から公表しております。平成二十七年の水防法改正を受け、これまでの東海豪雨規模の一時間百十四ミリの降雨から、現在想定し得る最大規模の一時間百五十三ミリの降雨を用いて浸水予想区域図の見直し作業を進めており、昨年までに神田川流域及び城南地区河川流域で改定を行っております。
 野川、仙川、谷沢川及び丸子川流域については、建設局等と連携して、出水期前の本年五月を目途に公表する予定であり、都が管理する全ての中小河川流域について、二〇二〇年度末までの改定を行う予定でございます。
 なお、想定される最大規模の降雨に高めたものの下水道の整備などが進んだ地域では浸水範囲が減少傾向にございます。

○中村委員 さて、今、浸水対策について質問をしましたが、そうした事業を含め下水道事業を推進していくには、工事における安全管理は重要と考えます。先月、下水道局の工事現場において墜落事故があり、とうとい命が失われました。一たび事故が発生すると社会的にも影響は大きく、事業の進捗にも影響を与えかねないのですが、何よりも人の命は重く、事故を未然に防ぐ取り組みが重要です。
 下水道局の工事は、規模が大きいものも多く、危険な作業もありますので、都の職員だけではなくて関係する多くの事業者の方も含めて、事故の防止、とりわけ命にかかわるような重大事故の発生を防がなければなりません。
 そこで、下水道局では、事故を防止するためにどのように取り組んでいるのか伺います。

○池田計画調整部長 下水道局では、工事の安全施工に最大限の努力を傾けております。受注者に対しては、工事着手前に個々の現場のリスクを踏まえた施工計画の作成などを徹底させるとともに、工事実施時においても、労働安全衛生法、建設工事公衆災害防止対策要綱等の関係法令などを遵守するよう、下水道工事安全管理者講習会や事故防止講習会などを通じて徹底しております。
 さらに、局職員にも安全管理研修などを実施の上、安全パトロールなどにより、工事現場で受注者への適宜適切な安全指導を行っております。こうした取り組みを通じて、受注者及び局職員の安全管理に関する意識の向上を図り、工事事故の防止を目指してまいります。

○中村委員 昨今では、オリンピックに向けた駆け込み需要もあり、建設現場では労働者不足もいわれています。無理なスケジュールになっていないのか、劣悪な労働環境になっていないのかなど、しっかりと監督し、事故のない工事現場を目指すよう要望して、質問を終わります。

○上田委員 まず、ポンプ所からの排水について伺いたいと思います。
 当初、平成三十一年までに整備するはずであった小松川第二ポンプ所ですが、今年度の公営企業委員会の質疑において、小松川第二ポンプ所は、大島ポンプ所などからの下水を切りかえるための幹線の発進立て坑を兼ねていることから、ポンプ所の工事完了は、下水道幹線工事の完成後となると。現在、幹線工事は、地下鉄都営新宿線の直下を通過する際の障害物撤去工事を施行中であり、地下鉄への影響を最大限抑制する必要があることから慎重に実施をしているということから、三十二年度以降も工事を継続するということでありました。
 新年度に当たりまして、工期の繰り延べに関する損失などなかったか、予算編成に当たり、当初よりも工事費が増大していないか伺いたいと思います。あわせまして、小松川第二ポンプ所の耐震性についても確認させてください。

○猪八重建設部長 小松川第二ポンプ所は、これまで旧中川に放流していた大島ポンプ所を廃止し、流域の雨水排除能力の増強とともに、旧中川の水質改善を図ることを目的に整備を進めております。
 現在施行している小松川第二ポンプ所の地下躯体は、大島ポンプ所などからの下水を切りかえるための幹線の発進立て坑を兼ねておりまして、ポンプ所工事の一部は、幹線工事の完了後でなければ施行することができません。幹線工事のおくれにより、ポンプ所の完成時期は当初計画よりおくれますが、そのことに伴うポンプ所の工事費の増額は基本的にございません。
 また、小松川第二ポンプ所の耐震性につきましては、想定される最大級の地震動に対する耐震性能を確保する施設として整備を進めております。

○上田委員 最大級の対策、耐震性は確認できましたけれども、一応、現時点での工期のめどを確認させていただきたいと思います。

○猪八重建設部長 地下鉄都営新宿線を建設した際の土どめぐいなどが多数残されておりますことから、幹線工事は、それらを撤去しながら施行する必要がございます。くいの撤去に際しましては、都営新宿線への影響がないよう、探査、地盤改良、切断、掘進を繰り返しながら慎重に施行する必要がございますため、現時点では完成時期を申し上げることはできませんが、工事の安全に十分配慮しながら早期の完成に向けて工事を進めてまいります。

○上田委員 地域住民及び江戸川区も待っていることですから、ぜひ早期の完了を求めたいと思います。
 あわせて、大島ポンプ所の跡地利用は未定のままなのでしょうか。地域住民、江東区からの要望をどう受けているのか伺いたいと思います。

○池田計画調整部長 大島ポンプ所廃止後の跡地利用につきましては、現時点でも未定でございます。

○上田委員 東京大改革の中でも、とうきょうほうれんそう等、区市町村に都有地を活用していただくと、大きな柱となっておりますので、江東区と引き続き連絡をとりながら、有効活用の方に向けてお取り組みをお願いしたいと思います。
 水再生センターです。
 芝浦水再生センターの新主ポンプ棟建設の計画に対する進捗状況でございますけれども、現在、当初見込んでいなかった構造物などが地下にあった等、地中障害物の撤去に時間を要しているということでございます。
 芝浦水再生センター新主ポンプ棟は、流入する幹線が深い上、雨天時貯留池や放流ポンプ棟など複数の施設と合わせて建設することになっていて、計画している施設が巨大となるため、現在コスト縮減及び工期短縮を図る目的で設計の見直しを図られています。
 このために完成時期をなかなか示せないということで、一日も早い工事を目指していらっしゃるということですが、新年度を踏まえまして、工期の繰り延べに関する、先ほど来申し上げておりますけれども、損失などないか、予算編成に当たり、今後も工事費が増大しないか、こちらについても伺いたいと思います。

○猪八重建設部長 当初見込んでおりません構造物などが地下にございまして、この撤去に要する費用は当初よりも増大してございますが、工期の延長に伴う工事費の増額は基本的にございません。

○上田委員 やはり撤去物に関しては予算が出ているということでございますね。これからまだ未知数ということでありますが、なかなか難しいと思いますけれども、これにつきましても工期のめどを伺いたいと思います。

○猪八重建設部長 現在、旧汚泥処理工場の撤去工事、導水渠人孔設置工事、そして発生土搬出用の仮桟橋設置工事などを行ってございまして、今後本格的な本体工事を行う予定でございます。
 新主ポンプ棟の施設規模が極めて大きいため、現在、コスト縮減及び工期短縮を図る目的で設計の見直しを行っておりまして、完成時期をお示しすることは困難でございます。今後とも一日も早い完成を目指して事業を進めてまいります。

○上田委員 私が都度確認させていただいたのは、できれば、これオリ・パラ開催に間に合わせていただきたかったということですが、オリ・パラ事務局と下水道局は主目的が違うということで連関しないということではありますが、オリ・パラ事業とは別としても、やっぱり間に合ってほしかったなというふうに思っております。
 今、コスト縮減及び工期短縮を図る目的で設計の見直しということでございますが、具体的に何を行ったのか、今後何を行うのか、伺いたいと思います。

○猪八重建設部長 現在、施設形状、施設配置、施工方法などの見直しを行っておりまして、今後はこれらの検討を踏まえまして、構造、工程などの詳細な検討を進めてまいります。

○上田委員 ご努力いただいているところではございますが、結局、工事は間に合わなかったようなので、トライアスロンなど東京湾の水質について影響はないのか、ないにこしたことはなかったのですけれども、見解を伺いたいと思います。

○池田計画調整部長 東京二〇二〇大会の開催までに、合流式下水道の改善対策として、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設と高速ろ過施設の整備により、約百五十万立方メートル相当の貯留施設等の整備を推進しています。
 現在、その完成に向け、鋭意取り組んでいるところでございます。

○上田委員 後ほど合流下水についてはお聞きしますけれども、近隣にあります品川シーズンテラスの平成二十七年竣工以来の収支の状況と評価、課題につきましてご報告ください。

○久我経理部長 品川駅から徒歩約六分という好立地を背景に、品川シーズンテラスへの入居が進みまして、土地貸付料とオフィスフロアの賃料を合わせた収入は、平成二十七年度は約三十一億円、平成二十八年度は約五十四億円、二十九年度は約六十九億円と年々増加しております。
 現在の稼働率は一〇〇%で、今後、JR高輪ゲートウェイ駅の開業など、周辺開発が進み、利便性が向上することから引き続き安定的な収入を確保できる見込みでございます。

○上田委員 稼働率は一〇〇%で順調に売り上げを伸ばしていることで、これは大きく評価をしたいと思います。
 次に、下水道局では、これまでに区部の各水再生センターにおいて、同じ敷地面積で二倍の処理能力となる二階層式沈殿池や深槽式反応槽を導入していらっしゃいました。区部の水再生センターにおける現有能力は、一日当たり約六百四十万立方メートルであり、平成二十九年度における一日の最大処理水量は約五百九十六万立方メートルを上回っており、現有処理能力で充足していると。限られた敷地で効率的に下水をより高度に処理できる準高度処理や新たな高度処理技術を導入することで良好な水環境の創出に貢献されてきたということですが、新年度に向けまして、限られた敷地で効率的に下水をより高度に処理できる準高度処理や新たな高度処理の導入の具体的な取り組みを伺いたいと思います。

○池田計画調整部長 経営計画二〇一六においては、平成二十八年度から平成三十二年度末までに、計画期間に区部で準高度処理と高度処理を合わせて一日当たり百十四万立方メートルの処理能力を有する施設を完成させる計画でございます。
 平成三十一年度は、既存施設の改造により、水質改善効果を早期に高めることができる準高度処理を森ヶ崎水再生センターや芝浦水再生センターなど四カ所に導入し、区部で合わせて一日当たり三十一万立方メートルの処理能力を有する施設を整備いたします。
 その結果、平成二十八年度から平成三十一年度末までに準高度処理と高度処理を合わせた処理能力は、一日当たり百十四万立方メートルの九二%に相当する百五万立方メートルとなります。

○上田委員 順調に処理能力が高まっている、量も高まっているとは思うんですけれども、何しろ広大な水の量なので、どれくらいのイメージかわからないので、また研究させていただきたいと思います。
 水質改善の取り組みについてですが、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において、目標とする水質の達成に向けた各水再生センターの取り組みにおいて、ご努力はいただいているんですけれども、前回の事務事業質疑の資料では、効率的な高度処理の事業に取り組んでいくとはおっしゃるんですけれども、一部稼働、稼動中、施設改造中というところが散見されました。
 何としてでも、窒素、リンを削減していただきたく、この点についての予算編成に当たり、水質改善に向けての取り組みを伺います。

○池田計画調整部長 平成三十一年度予算では、高度処理の導入に関連する費用を区部では約十億円計上しております。区部の水再生センター全体の計画処理能力は、一日当たり六百三十四万立方メートルであり、平成三十一年度末までに、高度処理施設と準高度処理施設を合わせた一日当たりの処理能力は、その四八%に相当する三百六万立方メートルとなります。

○上田委員 想定もしない雨の量とか、雨水対策という新しい課題が下水道局に入ってきてしまいまして、また、長い歴史の中で、下水道は世界でも早目に完備したと思いますが、なかなか合流式下水道の課題というのはお金もかかるところだと思います。高度処理においても、世界標準とは若干違うという話も仄聞しておりますので、引き続いての取り組みを申し上げます。
 さて、水再生センターの上部空間は都市の貴重なスペースであり、施設の機能や維持管理、将来計画などに支障とならない範囲で地元区に開放、区が地域のお客様の要望を受け、公園やスポーツ施設などとして活用しております。
 東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八に即した上部利用について、地域や都民からの要望などはどのようにすくい上げているのか伺いたいと思います。

○安藤総務部長 水再生センターの上部利用につきましては、地元区が地域の要望を受け、区が管理する施設として地域の皆様にご利用いただいております。上部利用施設の新設に当たりましては、あらかじめ地元区が地域と意見交換を行い区が用途を定めております。
 下水道局としましては、上部利用施設は下水道の維持管理などに支障がないことを確認した上で使用許可しております。

○上田委員 江戸川区では、野球場、サッカー場等、非常に有効活用させていただいております。区が主体ということですので、今後も区と協議を進めて、効率的、そして区民のためになる利用を推進していただきたいと思います。
 また、下水道局は下水道に親しみを感じていただき、理解を深めていただくため、水再生センターの特色を生かした桜祭り、蛍観賞会といったイベントを開催され、交流を深めているということでございます。
 昨年度は、アクションプランも策定されましたから、見せる化を推進していることから、新年度においての魅せる方針のもと、各センターで計画しているイベントの目的と趣向、予定についてお示しください。

○安藤総務部長 水再生センターで実施するイベントにつきましては、東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八における下水道の新たな魅力をプロデュースする、魅せるの方針のもと、各施設の特性を生かし、さまざまな趣向を凝らしたイベントを実施しております。
 各水再生センターでは、下水道の役割を理解していただくため、新年度も四月上旬にかけ、桜観賞会を実施するほか、夏以降も打ち水体験や蛍観賞会などさまざまなイベントを予定しております。
 今後とも、地域に親しまれるイベントを充実させ、東京下水道のイメージアップを図り、都民の理解と協力を得て円滑に事業を推進していけるよう、局一丸となって見せる化に取り組んでまいります。

○上田委員 有効活用、よろしくお願いいたします。
 マンホールトイレであります。
 私は、マンホールトイレのことについて質疑を重ねているのは、被災地支援に私も三・一一で行ったときに、やっぱりトイレの問題が大変な状況だったというのは非常に記憶をしております。
 約九百万人以上の特別区の人口に対して、事務事業質疑で取り寄せておりますけれども、マンホールトイレの箇所数が六千七百八十五カ所では少ないように思われてなりません。下水道管の耐震化が完了しているところを区へ周知し、仮設トイレ設置推進に向けて呼びかけをしているのか、数の適正性をどう評価しているのか、伺いたいと思います。

○佐々木施設管理部長 東京都地域防災計画では、災害用トイレの確保を区の役割としており、この災害用トイレには、仮設マンホールトイレのほか、便槽つきトイレ、簡易トイレなど、さまざまなタイプがございます。これを踏まえまして、各区では、地域の状況などに応じて必要な災害用トイレの数の確保に努めております。
 下水道局では、災害用トイレの一つでございます仮設マンホールトイレにつきまして、下水道管の耐震化が完了したところから、その設置ができるマンホールの場所を各区に情報提供しております。そして、区から要請があった場合に仮設トイレの設置ができるマンホールを指定しており、災害用トイレの確保に寄与しているところでございます。
 今後、区が避難所を新たに指定した場合など、その周辺のマンホールに仮設トイレを設置できるよう引き続き区の防災への取り組みに協力してまいります。

○上田委員 都の方は準備はできていると、そして災害用トイレの確保は区の役割ということで、区がインセンティブを持って手挙げをしていただきたいということであります。私たちは、各選挙区から出ておりますので、各地域で呼びかけをしていければというふうに思います。
 三・一一が過ぎまして、また放射能のことがいろいろと問題提起をされているところでございます。汚泥焼却灰の運搬処理について伺いたいと思います。
 現在、区部の汚泥焼却灰の放射性セシウム濃度は、測定を開始した平成二十三年度は一キログラム当たり千三百から五万五千ベクレルの範囲でした。今年度は、昨年になりますけれども、百五十から千二百ベクレルの範囲に減少していると。焼却灰の放射性濃度は、法令に定める基準である一キログラム当たり八千ベクレルを大きく下回る数値となっているとのことですが、現在、汚泥焼却灰をどのような方法で埋立処分しているのか確認いたします。

○佐々木施設管理部長 汚泥焼却灰の埋立処分につきましては、従来どおり、飛散防止措置として汚泥焼却灰にセメントと水を加えた混練り灰とした上で、中央防波堤外側埋立地におきまして実施しております。

○上田委員 中防に埋め立てているということです。その保存年限や長期管理方法について確認させていただきます。

○佐々木施設管理部長 平成二十四年一月施行の放射性物質汚染対処特別措置法は、放射能濃度が一キログラム当たり八千ベクレルを超える場合は発生場所で保管し、国が処分することと定めております。
 一方、八千ベクレル以下の汚泥焼却灰につきましては、下水道法の規定に従い、通常の下水汚泥の焼却灰として最終処分できるため、当局では、先ほど答弁申し上げましたとおり、中央防波堤外側に埋立処分しております。したがいまして、長期的に保管する必要のある汚泥焼却灰は当局は保有してございません。

○上田委員 オリ・パラ前に保有していないということを確認させていただきました。
 組合事務所でございます。
 職員団体、労働組合事務所を、地方公営企業等の労働関係に関する法律に基づいて、労働条件の維持改善等を目的に職員が結成した団体だから、労働組合法では最小限の事務所の無償貸与は認められていると。このため、下水道局では、毎年度、労働組合の使用申請について、活動上やむを得ないと認められる最小限度であり、かつ当局の事務執行及び財産管理に支障がない範囲で許可するとともに使用料を免除しているというところで無償貸与を是としております。
 公営企業法に基づいた効率的な経営が求められている下水道局において、七百九十六・二八平米も無償貸与していることは、ちょっと理解しがたいと思います。全て都民の共有財産であります。
 毎日なのか隔週なのか、いつ、どのようなとき何名が事務所を利用しているのか、下水道局は、都民財産である事務所の運用実態を把握しているのか。利用時間は勤務時間内なのか、時間外としても、残業代などよもや出ていないか。神戸の闇専従、京都、大阪の専従事案も踏まえ、具体的な把握の状況と、労働組合法に基づく適正化に向けた取り組みを確認します。

○白川職員部長 労働組合の事務室につきましては、東京都下水道局固定資産事務規程に基づきまして、団体交渉などの適法な交渉の準備など、労働組合の活動の場として使用を許可しているところでございます。
 使用許可をいたしました組合事務室の運用実態につきましては、事業所を管理する所長等が目的外使用をしていないことなど許可条件を遵守し、適正に使用していることを適宜確認しております。
 また、職員が勤務時間内に組合活動に従事する場合には、職員の職務に専念する義務の免除に関する規則に基づきまして、管理監督者に対する事前の申請と承認が必要でございまして、職員の勤務状況につきましては、出退勤を初め服務を管理するシステムで適切に把握をしております。
 引き続き、都民の誤解を招くことがないよう適正な取り扱いを行ってまいります。

○上田委員 品川シーズンテラスでは、しっかりと不動産賃料を、売り上げを伸ばしている下水道局でありますので、適正な管理、そしてゆめゆめ政治活動など行わないような徹底管理をお願いしたいと思います。
 外郭団体についてです。
 先ほど来、ご指摘も、ほかの議員からもありましたけれども、他局ではございますが、水道局のたび重なる不祥事が散見されております。特別監察では、特定の委託業者との癒着も疑われている状態です。
 下水道局は、下水道サービスを効率的かつ安定的に提供するため、東京都下水道サービス株式会社と一体的に事業運営を行っていると。このため、同社は下水道事業に関する豊富な経験とすぐれた技術を有する都を退職した職員を採用している、こうした職員が都で培った技術やノウハウを活用して業務に従事することで、下水道事業という強い公共性と高い専門性が求められる事業を着実に実施ということではございますが、他局ではございますけれども、残念ながら水道局の特別監察では数々の指摘がなされてしまいました。
 つきましては、管理職について、都関係者における課長級職員と非常勤職員の人数と比率を伺います。

○安藤総務部長 平成三十年八月一日現在、東京都下水道サービス株式会社の常勤職員七百六十四名のうち、課長級職員は二十三名であり、全員が都派遣または都を退職した職員でございます。また、非常勤の課長級職員は存在いたしません。

○上田委員 やはり水道局と一緒で、都関係者が役職についているということを確認させていただきました。さらに、TSSでは、協力会社など十四社に再委託しておりましたが、下水道局でもそのようなことはなかったか確認させていただきたいと思います。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社におきましては、協力会社と呼ばれるような会社は存在いたしませんが、下水道局から受託している業務のうち、監視制御設備のプロセスコントローラーの保守点検など、製造メーカー固有の技術が必要な作業、また、定型的な作業につきまして、平成二十九年度実績で二百十八社に再委託しているところでございます。

○上田委員 これも今まで本当、観点がなかったんですが、二百十八社へ再委託しているということ、新たなこと確認させていただきまして、引き続きまして定点観測させていただきたいと思います。
 これらの会社から、水道局のように出向などで社員を受け入れていないか確認させていただきます。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社では、他社からの出向は受け入れてございません。
 施設の安定的な運転には、製造設置業者固有の技術と高度な知識が必要不可欠なため、その内容を十分熟知するとともに、メンテナンス技術にも精通している民間メンテナンス会社から派遣社員の受け入れを原則としているところでございます。

○上田委員 メンテナンス技術にも精通している民間メンテの派遣社員の受け入れが原則ということであります。そうすると、やっぱり外郭団体の存在意義ということ、また研究させていただきたいと思います。
 また、これも水道局で問題になりました固有社員の中途退職が多いということで確認させていただきます。新卒、中途合わせて固有社員の直近五年間の離職数と定着率を伺いたいと思います。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社によりますと、固有社員の直近五年の採用者数は百名であり、うち九名が平成三十一年三月一日時点までに退職しているため、定着している率は九一%となります。

○上田委員 よかったです。定着率九一%ということで、意欲を持って働いて定着しているということを確認させていただきました。
 東京都の関係者の職員が多い外郭団体ではありますが、東京都は今、障害者雇用率について、非常にクリアをしているところでございますが、外郭団体におけます障害者雇用の現状と課題についてお示しいただければと思います。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社の障害者雇用率は、同社によりますと、平成三十年六月一日時点におきまして一・八七%でございます。
 同社では、従前より、公共職業安定所などの関係機関からの情報収集を図るとともに、障害者の配属職場の確保に努めるなど、障害者の法定雇用率達成に向け取り組みを実施しております。
 しかしながら、同社が行っております下水道管や処理施設の維持管理などの業務は、現場が中心でございまして、その現場は、地下や高所であるなど、身体障害者で車椅子やつえ等の補助具が必要な方には作業に携わることは困難な場合が多いなど課題が多いと認識してございます。
 当局におきましても、同社の障害者の雇用を促進していくため、障害者雇用促進法を踏まえた総務局の通知に基づき指導等を行うとともに、今後も引き続き情報提供等に努めてまいります。

○上田委員 やっぱり業種柄、現場の問題があるということを確認させていただきました。
 続きまして、都の派遣職員と都退職者、固有職員の職務分掌の違いにつき、都の派遣職員は、下水道局との連携を保ちつつ、事業の公共性を確保、主に同社の基幹的、中枢的な業務に従事しているということでございます。都派遣職員のうち若手については現場の技術やノウハウを取得する業務に従事、また、都退職者については、都で培った技術や豊富な経験を有していることから、即戦力として主な役割を担い、固有職員とともに業務全般に従事しているということですが、前問を受けまして、事業の健全性、不正や癒着、談合の入り込む余地はないのか、所見を伺いたいと思います。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社は、コンプライアンス基本方針を策定するとともに、下水道局とコンプライアンス推進に関する連絡会議を実施、取り組みを共有するなど、局と連携し、取り組みを進めております。また、同社は、コンプライアンス意識の強化に向け、全社員を対象とした研修等に取り組んでいるところでございます。
 局としても、効率性、公益性やサービスの質、経営の透明性など、さまざまな観点から同社に対し、適切な指導監督を行ってまいります。

○上田委員 どうぞよろしくお願いします。
 流域下水道本部の運営効率化についてでございます。
 さまざまな課題がるる指摘されておりますけれども、流域下水道の課題とその課題解決に向けた現時点の取り組みを伺いたいと思います。

○小団扇技術部長 流域下水道本部はこれまで、多摩地域の都民生活や都市活動などを支えるために、市町村と一体となって下水道整備を進めてまいりました。これにより多摩地域の下水道普及率は、平成二十二年度末に九九%に達し、既に維持管理の時代に移行しております。
 将来にわたり、多摩地域の都民生活や都市活動を支えるためには、安定的に下水道機能を確保していくことが課題となります。その課題を解決するため、下水道施設を適切に維持管理することで延命化を図るとともに、計画的に再構築などを推進しております。
 引き続き、永続的に多摩地域の下水道機能を確保していくために課題解決に向けて取り組んでまいります。

○上田委員 経営計画二〇一六の一一八ページと、経営レポート二〇一八の二七ページや二八ページを見ますと、やっぱり流域下水道においては、累積資金過不足額が百二十二億円に到達しているということであります。
 また、市町村の負担も重く、私たち特別区は、江戸川は本当にたくさん、一億ぐらい頂戴をしております、財調をですね。二十六市はないんですよね。乾いた雑巾を絞っている中で、非常に負担が重いと思いますので、引き続きましての合理化、効率化を進めていただきたいと思います。
 入札についてです。
 国は、総務省の行政評価局における平成二十六年一月、契約における実質的な競争性の確保に関する調査、役務契約を中心としての結果報告書を公表し、その中で、細かい契約にまで調査を行い、過度な応札条件等の設定や少額随意契約の分割契約の見直しを指摘しております。実質的な競争性の確保をして進めているところですが、これらに基づき随意契約が適切であるか否か、分割発注による少額随意契約を行っていないか、それらについて全局的に把握をしているのか、伺います。

○久我経理部長 随意契約につきましては、法令に従い適切に行っているところでございます。
 また、分割発注による少額随意契約につきましては、入札で実施すべき規模の契約案件を、必要以上に分割して少額随意契約とするなどの扱いは厳に慎むよう周知徹底を行ってきており、加えて、局の内部監察におきましても、必要以上に分割発注を行っていないか確認しているところでございます。

○上田委員 取り扱いを厳に慎むよう周知徹底するために何をどう行っているのか、私は全庁の少額随意契約、全件を取り寄せた資料ですが、他局ではありますが、同じ会社が同様工事を同時期に数回に分けてトータル一千万以上というのも散見されていることから、ご説明いただければと思います。

○久我経理部長 入札で実施すべき規模の契約案件を必要以上に分割して随意契約とするなどの取り扱いは厳に慎む旨の文書を、平成二十四年、平成二十九年、平成三十年と三回にわたって発出し、局内に周知徹底をしてきたところでございます。
 加えて、毎年行っております局内の契約事務担当者を集めた説明会の場におきましても、必要な注意喚起を行うとともに、通知文書等につきましては、局内のポータルサイト等を利用して、いつでも職員が閲覧できるようにしているところでございます。

○上田委員 閲覧するようにまた指導もお願いしたいと思います。要求資料でも、参加条件、また、辞退理由についても出していただきました。辞退理由のないところもありますので、財務局の方は、今後、辞退理由の把握に取り組んでいくということでありますので、把握をしていっていただきたいと思います。
 最後の経営戦略、事業の効率化についてお尋ねいたします。
 平成二十六年度公営企業決算特別委員会の質疑では、平成二十六年度の区部下水道事業については、維持管理費、元利償還金、建設改良費と合わせた財政規模五千四十億円の支出を、下水道料金、雨水、汚水の負担割合に基づく一般会計繰入金のほか、企業債や国費などの収入で賄っており、企業債利息三百七十二億円は財政規模の七%、企業債残高の縮減や金利低下の影響により減少傾向にあるものの、その負担は依然として重いという答弁を私はいただいております。
 改めて、企業債残高と企業債リスクを確認させてください。また、その負担削減に向けてどのような取り組みをされているのかお伺いしたいと思います。

○安藤総務部長 区部下水道事業の平成二十九年度決算における企業債の残高は約一兆四千二百五十三億円でございます。また、企業債利息は二百四十六億円で、これは財政規模四千八百四億円の五%程度となっております。
 下水道局では、将来的な財政負担を見据えて、企業債の発行及び償還の適切な管理を行うとともに、コスト縮減や資産の有効活用などの企業努力により、財政基盤の強化を図り、下水道サービスの安定的な提供に努めているところでございます。

○上田委員 私も初当選以来、オール東京の都債残高を減らしてくださいということをいって、やっと、それも小池知事になってから見える化して、資料で配っていただけるようになりました。
 下水道局におかれましても、るるこちらの経営計画にも書いてございますけれども、企業債残高を減らしていくこと、利息も積もれば山になりますので、お願いを申し上げまして、私の質疑を終わります。

○川松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後三時一分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。流域下水道について伺います。
 多摩地域の大部分の下水道は、東京都が管理する流域下水道と市町村が管理する公共下水道に分けられます。これらの下水道は決して単体で稼働しているのではなくて、それぞれに連携して、一体的な運営が行われております。多摩地域の下水道の中で、東京都と市町村がどのように連携してきたのか伺います。お願いします。

○小団扇技術部長 多摩地域の下水道事業を効率的に運営するため、都と市町村は連携を図ってまいりました。具体的には、都と市町村が設置した下水道情報交換会の場を活用し、区部における大規模な管渠のシールド工事現場見学会や災害時の危機管理研修を開催するなど、維持管理、危機管理などの技術支援やノウハウを提供してきました。
 また、それぞれの市町村が水質監視の目的で実施してきた公共下水道の水質検査を、専門の環境検査職員が多く在籍している都が実施することで、水質監視を強化するとともに効率化につなげております。
 さらに、災害時に市町村が設置する避難所等から発生するし尿の搬入、受け入れにつきまして、毎年、流域下水道本部と全ての市町村が合同で実践的な訓練を実施しております。加えて、災害時に職員派遣等の相互支援を行うためのルールを定めるとともに、被災した下水管などを速やかに応急復旧するための災害時復旧支援協定を締結して支援体制を強化してまいりました。

○菅原委員 これまで都と市町村が連携をして技術支援や効率化、災害時の支援体制などの強化を進めてきたことをご説明いただきました。
 公共施設の老朽化の問題が全国で顕在化してきましたが、下水道についても同じことがいえるのだと思います。大規模な地震が多摩地域で発生した場合、管渠の損傷なども想定されてトイレが使えなくなるなどの問題もあります。
 このような状況を踏まえて、これからも東京都と市町村の連携を一層強化する必要があると考えますが、都の見解を求めます。

○小団扇技術部長 市町村が管理する下水道管は、既に経過年数が三十年を超えるものが約四割を占め、今後、法定耐用年数五十年を超過するものが増加いたします。そのため、都が保有する技術で区部の再構築工事において採用している更生工法などのノウハウを提供することなどにより市町村への支援を一層充実してまいります。
 また、万が一、市町村が管理する下水道施設が被災した際に、応急復旧した施設を本復旧するため、国に対して必要となる手続を迅速に行えるよう支援体制の強化を検討しております。さらに、耐震性が不足し老朽化した流域下水道本部庁舎を建てかえることとしておりまして、あわせて防災機能の強化を図り、市町村との連携に活用してまいります。

○菅原委員 下水道管の老朽化対策や防災面で市町村との連携の強化は大切だとは思います。
 その上で、立川市にある流域下水道本部の庁舎の建てかえの方向性も示されました。この新しい庁舎は多摩地域の下水道を守るかなめとして、また、市町村から必要とされている施設としての整備が望まれております。そこで、新庁舎について伺います。
 まず、新庁舎は防災機能がどのように強化されているのか、次に、市町村連携にどのように活用されていくのかを具体的に伺います。

○飯田管理部長 流域下水道本部庁舎は、建てかえに合わせて防災機能の強化や市町村との連携機能の充実を図ることとしております。
 まず、防災機能の強化につきましては、大規模災害時に新庁舎が復旧支援受援拠点として、支援に当たる市町村や都外の自治体職員等が一堂に会して円滑な支援調整が図れるよう会議スペースを拡充いたします。また、断水時に備えて雨水を貯留するためのピットやマンホールトイレ等を設置いたします。
 次に、市町村との連携につきましては、市町村事業などのPRの場として、来庁者の目に触れやすいエントランスなどにパネルハンガーなどの展示設備を設け、また、会議スペースを市町村への技術支援や人材育成など、都と市町村の交流の場としても活用してまいります。
 新庁舎が市町村連携の拠点となるとともに、大規模災害時には防災機能を確実に果たし、多摩三十市町村の安全・安心につながるよう二〇二一年八月の完成を目指して整備を進めてまいります。

○菅原委員 通常、新しい建物をつくるときは近隣への説明などが行われます。今回は、立川市での庁舎移転なので、その立川市にも必要な情報を提供しながら話を進めていると思いますが、その状況について伺います。また、庁舎移転の地元となる立川市高松町に対しても同様であると思いますが、その状況についても伺います。お願いいたします。

○飯田管理部長 流域下水道本部庁舎の建てかえに当たりましては、新庁舎が引き続き多摩三十市町村との連携のかなめとなるよう、平成二十八年、市町村に対しまして計画概要等の説明や意見照会を行いました。
 その中で、地元立川市からは、流域下水道事業の展示スペースや広報設備の設置についての意見がございました。この間、こうした意見につきまして、できる限り設計に反映し、下水道情報交換会等で市町村に説明してまいりました。
 また、地元立川市及び地元住民に対しましては、工事スケジュール等につきましても情報提供してきてございます。昨年十月の地元住民への説明会では、非常用発電設備の排気口の設置位置や地域の交通事情に応じました車両の出入りに対する改善要望などを受け、排気口の位置や車両動線など設計を見直しております。
 今後とも、市町村や地元住民に新庁舎の進捗状況等を説明するとともに、工事に当たりましては周辺環境にも十分配慮してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。ぜひ地元と連携しながら、また、流域下水道全体、多摩地域全体の拠点としての整備をお願いしたいと思います。
 下水道の歴史は古くて、紀元前のメソポタミアの都市国家までさかのぼるといわれております。雨水の排除と汚水を集めて処理することは都市基盤整備の重要な機能です。多くの初期投資が必要となり、その後の維持管理にも多くの費用がかかります。公共的な利便性、快適性、衛生管理を兼ねる事業を効率的に進めてきたことを確認したいと思います。
 その上で、今後の流域下水道がどのようにあるべきなのか、最後に流域下水道本部長の決意を伺い、質問を終わります。

○中島流域下水道本部長 多摩地域では、高度経済成長期に市街化が進んだ結果、生活雑排水や工場排水などが河川に流れ込み、水質は悪化の一途をたどり、多摩川は死の川と呼ばれるなど、大きな社会問題となっておりました。
 これを改善すべく、都は流域下水道を導入し、市町村と一体的に下水道の整備を進め、平成二十二年度には多摩地域の下水道普及率は九九%に達しました。その結果、平成三十年には清流のシンボルであるアユが約一千万匹遡上するなど、多摩地域に良好な水環境がよみがえり、水辺は都民の安らぎと憩いの場となっております。
 これまでに流域下水道は、直面するさまざまな課題に対して持ち前の技術力を発揮してチャレンジするとともに、効率的な運転管理などの現場力を生かして成果を上げてまいりました。具体的には、全国に先駆けて複数の市町村にまたがる浸水被害を軽減する広域雨水幹線事業を実施するとともに、従来の高度処理に比べて消費電力を削減できる高度処理法の導入などを行ってまいりました。
 一方、現在は、維持管理の時代を迎え、老朽化した施設を稼働させながらの再構築、気候変動や地震などの災害への備えなど、困難な課題の解決にも取り組んでいかなければなりません。
 このため、流域下水道本部は、これまで培ってきた技術力や先進性、現場力に磨きをかけ職員一丸となって取り組んでいくとともに、多摩三十市町村との連携を一層深め、将来の多摩地域のさらなる発展につなげてまいります。

○斉藤委員 資料のご提出をありがとうございました。私からは、消費税と下水道施設へのコンセッション方式の導入について質問をさせていただきます。
 まず、消費税についてです。
 ことしは、年明けから毎月勤労統計の不正など、景気判断にも影響する重大な問題が明らかになっていますが、安倍首相は、ことし十月から消費税率を八%から一〇%に引き上げることに固執しています。
 しかし、内閣府が今月七日に発表した一月の景気動向指数では、これまで足踏みとしていた景気判断を下方への局面変化に引き下げました。景気が後退局面に入っていることを示すもので、民間のエコノミストも、ここで増税を強行することについて、今回は二〇一四年の増税時以上に景気低迷が長期化すると警告をしています。
 安倍首相は、ポイント還元などでいただいたものは全てお返しするといいましたが、全て返すなら最初から増税しなければよいことです。複雑な軽減税率についても、日々の買い物において必要のない混乱が生じると、日本スーパーマーケット協会も厳しく批判しています。
 中小企業や商店の方々への影響は深刻です。私も地元を回っていると、私たちのような小さなお店はもうなくなっていいと国はいっているんだという怒りの声をたくさん聞いています。共同通信の世論調査でも、消費税一〇%に反対が五四・四%に上り、八四・五%が景気回復を実感していないと答えています。
 厳しい都民生活の現状について、また道理のない今回の消費税の増税について、下水道局はどのように認識しているか伺います。

○安藤総務部長 本年十月に予定されております消費税の引き上げに当たりまして、国において軽減税率の導入を初めとするさまざまな対策の実施が表明されているところでございます。また、国からは、消費税の円滑かつ適正な転嫁を基本として対処するよう通知されているところでございます。

○斉藤委員 認識についてのお答えはありませんでした。
 増税について多くの批判が上がり、実際は、景気は後退局面にある中で強行されようとしていることに対して、自治体は住民の生活を守る立場に立つことが求められます。
 知事は、おととし十月に行われた衆議院選挙で希望の党を率いて、消費税の増税の凍結を公約として掲げました。国民生活へのお考えがあってのことだと思いますが、増税分の下水道料金への転嫁について知事との話し合いはあったのでしょうか。

○安藤総務部長 消費税率引き上げに伴う下水道料金の改定につきましては、本年一月の知事査定の場において説明し、了解を得てございます。

○斉藤委員 知事からは、特段のお話はなかったということでしょうか。非常に残念ですけれども、しかし、まだ消費税の増税は決まったわけではありません。事務的な確認だけでなく、今後、知事との話し合いをぜひ持っていただきたいと思います。
 今回の税率引き上げによる影響額についてですが、改めて確認させてください。平成三十一年度予算案及び平年度ベースで幾らになりますでしょうか。

○安藤総務部長 平成三十一年度予算案における料金収入への影響額は約十一億円でございます。また、平成三十一年度予算案をもとに、平年度ベースの影響額を算出すると約三十二億円となります。

○斉藤委員 来年度予算案では約十一億円、再来年度の平年ベースで約三十二億円が都民の新たな負担になるということです。
 消費税の導入当時は、下水道局は料金を値下げして、増税分を都民の負担にはさせませんでした。現在の下水道局の収支は堅調に黒字で推移しています。今回も消費税増税分の下水道料金を引き下げて、都民にとって負担が変わらないようにするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○安藤総務部長 仮に税率引き上げ分を吸収して料金水準を据え置いた場合、下水道料金には消費税一〇%が課税されるため、消費税分を除いた実質の下水道料金は、平年度で約三十億円の減収となる見込みでございます。これにより下水道事業の財政収支は、平成三十一年度から毎年度赤字に転落することが見込まれ、財政収支が悪化いたします。
 一方、下水道事業においては、施設の再構築や浸水対策、震災対策など都民の安全・安心と良好な水環境の確保のために、今後とも必要な事業を実施していかなければなりません。税率引き上げ分を吸収することは将来への負担の先送りにすぎず、結果的に都民負担のさらなる増大を招くとともに、必要な下水道サービスの提供にも支障が生じてくることが懸念されます。
 このため、財政基盤を確かなものとして必要な事業を着実に実施していくためには、今回の税率引き上げ分の転嫁は不可欠でございます。

○斉藤委員 約三十億円の減収になる、即座に赤字になるというようなお答えでしたけれども、お金のやりくりの仕方でいかようにもできることだと思います。
 昨年度は、建設改良費だけでも二千百五十億円が計上されています。三十億円というのは、そのわずかな割合にすぎません。剰余金の活用なども行えば十分に可能なことですし、料金負担の維持ということも都民の福祉に資することです。知事とも、いま一度検討をしていただくことを求めます。
 次に、下水道施設へのコンセッション方式の導入の検討について伺います。
 下水道局から、おととしの十二月に都政改革本部に提出した下水道施設の今後のあり方の検討を含む見える化改革に対して、昨年度末にパブコメが行われました。取りまとめをしている総務局に内容を伺ったところ、十件のコメントが寄せられているとのことです。
 中身を少し紹介しますが、下水道事業のコンセッション導入は、首都東京における安心・安全を脅かすのではないでしょうか、営利を追求する民間資本に全てを委ねることに反対です、また、民間企業のコスト重視、株主配当重視の考え方から来る料金の値上げ、設備投資の大幅カットによる水質の悪化などが懸念されるなど十件全てが反対、あるいは否定的な意見を明確にしています。
 この都民の声を下水道局はどのように受けとめているのでしょうか。

○安藤総務部長 二〇二〇改革プランの素案についてのパブリックコメントにおいて寄せられた意見の内容については承知してございます。このような意見も踏まえつつ、都民にとって最適な下水道サービスの提供が可能となるように、さまざまな施設運営手法を幅広く検討してまいります。

○斉藤委員 下水道施設によって衛生的で安全な環境にアクセスすることは、都民生活や都市活動において全ての人に保障されなければならない重要なものです。
 パブリックコメントで示されている民営化に反対する都民の声は、下水道施設の運営が民間に委ねられることで、利益追求や過度なコスト削減によって事業の安定性が保たれるのか、どんなときでも全ての人に衛生的な環境が保障されるのか、根源的なことが脅かされることに対する強い懸念であり、下水道局に公的な役割を求める切実な声だと思います。このことはしっかり受けとめて、これからの下水道事業の根本に据えていただきたいと思います。
 施設の運営手法の検討の状況について、十一月の事務事業質疑でも確認をしましたが、二〇一八年度から二〇二〇年度までの三カ年にわたり検討を実施することとしています。検討期間の初年度である今年度は予備的調査を実施し、二〇一九年度、二〇二〇年度は、前年度までの調査結果を踏まえ、詳細な調査を実施する予定ということでした。
 十一月の時点では、予備的調査として、国内、国外における他都市、他事業の文献調査などを実施しているところというお答えでしたが、その後の調査の進捗状況について伺います。

○安藤総務部長 平成三十年度から三十二年度の三年間の検討期間の初年度に当たります今年度は、予備的調査として、施設の老朽化や豪雨の増加などを踏まえた事業環境の検証、他都市、他事業の官民連携の導入状況についての調査、官民連携事業の実績がある企業等へのアンケート調査などを実施し、現在、調査結果について取りまとめを行っているところでございます。

○斉藤委員 豪雨の増加などを踏まえた事業環境の検証や、他都市、他事業の官民連携の導入状況についての調査、官民連携事業の実績のある企業等へのアンケート調査を行っているとのことです。それぞれについて伺いたいと思います。
 まず、豪雨の増加などを踏まえた事業環境の検証ということですが、ご存じのとおり、東京都の区部では、ほとんどの地域で汚水と雨水が同じ管を流れる合流式になっています。ある程度一定の量で推移する汚水や生活排水とは違って、大雨や豪雨のときに大量に水が施設に流れるときの対応は、平常時よりも公的責任のもとの対応が重要になると思いますが、見解を伺います。

○安藤総務部長 豪雨時における雨水の排除による浸水の防除は、都民の安全で安心な生活を支える下水道の役割として非常に重要なものでございます。

○斉藤委員 災害時の対応は公的責任が欠かせません。おとといですけれども、読売新聞が水道事業へのコンセッション方式の導入の意向について、全国の首長に行ったアンケート結果を掲載しています。結果は、過半数の五二%が導入する必要はないと答えています。理由として、安全面でなじまないが五一%で最も多く、災害時の対応などで不安という声が自治体の首長たちから寄せられているということです。
 下水道施設は、特に集中豪雨などの災害時に公的な責任がとても重要になります。ご答弁のとおり、その重要な責務をしっかりと果たしていただきたいと思います。
 今回の予備的調査についてですが、調査をPwC、プライスウォーターハウスクーパースというアドバイザリー合同会社に委託していると伺っています。同社が調査の委託先に選ばれた経緯と理由について教えてください。

○安藤総務部長 本調査業務委託を最も的確に実施できる者を選定するため、公募による企画コンペティションを実施いたしました。企画コンペティションでは、当局の今後の事業運営上の課題や、今回の調査目的の理解度、調査内容の実施方針の具体性など、企画実施提案について審査を実施し、その結果、当該受託者を選定したものでございます。

○斉藤委員 コンペを行った上で、今回の調査業務目的の理解度などから選定したということです。
 このコンペによるPwCの選定にかかわったのは下水道局だけでしょうか。都政改革本部や外部の方もかかわっているのでしょうか。

○安藤総務部長 本調査業務の受託者は、外部の学識経験者と当局職員で構成される審査委員会により選定したものであり、都政改革本部など外部は関与しておりません。外部では、都庁内の他局は関与しておりません。

○斉藤委員 外部の学識経験者と下水道職員で選定したということです。
 この選定についてですが、どのような方針に基づいて行われたのか、下水道局のホームページでも公開されていた下水道事業における施設運営手法の調査業務委託仕様書を確認させていただきました。
 それによると、調査の委託会社の業務内容として、今後の運営手法を経済性と安定性の観点から比較、検討すると記載されています。まさにそのとおりで、下水道事業においては、経済性と安定性のバランスは重要なものだと思いますが、改めて見解を伺います。

○安藤総務部長 今後の施設運営手法の検討に当たっては、経済性とともに下水道サービスを安定的に提供する役割も重視する必要があるため、本調査業務委託の仕様書に記載したものでございます。

○斉藤委員 経済性だけでなく、安定的なサービスの提供という観点も重視していくということ、それを仕様書に掲載したということ、重要なご答弁だと思います。
 都政改革本部で下水道施設運営のあり方の検討が出されて以来、私も確認をさせていただいていますが、下水道事業は、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、公共用水域の水質の保全に資することを目的とする下水道法に基づく事業であり、また、公営企業として企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないとする公営企業法に基づいて行われているものです。
 経済性と安定性のバランスは重要であり、公営企業法に照らせば、経済性の発揮に偏って公共の福祉の増進という本来の目的が果たされなくなるようなことはあってはなりません。
 しかし、このPwCというコンサルタント会社に調査の委託をしているということに対して非常に不安も感じます。同社のホームページで紹介されている主要メンバーは、各地で空港や有料道路などのコンセッションやPFIを行ってきた方々です。水道事業の民営化において大きな利益を得ている水メジャーのヴェオリアの日本法人の社長であり、横浜市の元副市長だった野田由美子氏もここに在籍していました。
 上下水道の官民連携が専門の同社のシニアアドバイザーという方のインタビュー記事が、昨年十月二十三日に発行された下水道情報という業界紙に掲載されています。ここで同氏は、上下水道分野でもPPP、官民連携やPFI、コンセッションをきっかけに、監査法人系コンサルタントなどの参画がふえてきている背景について、こう答えています。
 PPP、PFIやコンセッションになると、より経営的な視点が重視され、監査法人やシンクタンクが担える一定の役割があるからではないでしょうかと。さらに、自治体、事業者への導入可能性調査を数多く手がけていることについて、PPP、官民連携に古くから携わっている我々--PwCのことですが、我々にたけたところだと自負しています。導入可能性調査で監査法人やシンクタンクに期待されているのは、より経営的な視点からどういう方策をとるべきかの提案だと思いますと述べています。
 より経営的な視点が重視されるというPwCのシニアアドバイザーのこの言葉は、経済性と安定性のバランスを欠き、まさに安定性や安全性を脅かすもので、下水道局が仕様書で求めている内容、そして下水道法に基づく事業内容とは一致しない姿勢ではないかと思いますが、いかがですか。

○安藤総務部長 今後の施設運営手法の検討におきましては、経済性とともに下水道サービスを安定的に提供する役割も重視していくことが仕様書に定められております。本調査業務委託が仕様書に基づき適切に履行されるよう受託者を監督してまいります。

○斉藤委員 このPwCのシニアアドバイザーの方は、今、県として上下水道へのコンセッション方式の導入に向けて検討を進めている宮城県上工下水一体官民連携運営検討会の委員も務めている方でもあります。
 当然のことですが、民間企業は利益を目的として動くものです。PFIかコンセッションなどの、いわゆる官民連携にかかわる企業は、利益を目的に公的分野に目を向けているわけです。その中で、利益の増大とコスト削減が追求されることによって脅かされるのが、まさに事業の質の確保や全ての人に安定的なサービスを保障するという公共性です。PwCのこの同氏の言葉は、民営化や官民連携の本質をあらわしているものだと思います。
 ご答弁では、仕様書に基づき、適切に委託業務が履行されるよう受託者を監督していくということでした。都民の立場に立って公営企業として公共の福祉を増進する立場を堅持していただきたいと思います。
 先ほどのご答弁の中で、民間事業者へのアンケート調査を行っているということですが、調査の内容について教えてください。

○安藤総務部長 アンケート調査は、さまざまな官民連携の施設運営手法の実現可能性や、導入する場合に想定されるリスクなどを把握するために実施したものでございます。その内容は、当局施設の運営への関心や、さまざまな官民連携の施設運営手法に対する各企業の評価などでございます。

○斉藤委員 下水道施設の運営への関心や想定されるリスクなどについて聞いているということです。
 また、官民連携事業の実績のある企業等へのアンケート調査を行っているというご答弁、最初にもありました。昨年の四月に、国内では初めて下水道施設の運営にコンセッション方式を導入した浜松市では、水メジャーのヴェオリア・ジャパン、オリックス、JFEエンジニアリングや大手建設会社が特別目的会社を構成しています。こうした会社や、PFI事業にかかわっている総合商社やゼネコン、外資系企業などに意向調査をしているのだろうということだと思います。
 先ほど下水道施設の運営への関心や想定されるリスク、つまり企業側のリスクについて聞いているということでしたが、利益を得たい企業からすると、安定的な収益が得られる下水道施設の運営は魅力のあるものだと思います。しかし、民間に運営を任せた後の代償が非常に大きいということが海外の事例からも示されています。
 また、浜松市でも、ヴェオリア社を中心とした特別目的会社の浜松ウォーターシンフォニーとの間での契約書の中で、災害時の対応については、市は不可抗力により履行困難となった運営権者の業務の履行を必要な範囲と期間において免責することができるとされています。さらに、地震、暴風、豪雨等の自然災害にかかわる不可抗力による費用の増加等による負担は、原則的に市の負担になるという契約の内容です。企業はリスクの負担を負わないようになっているわけです。
 企業にとっては至れり尽くせりになるコンセッション方式は、住民の福祉の増進とは相反することになるということを改めて指摘しておきます。
 今後ですけれども、民間事業者への面談でのヒアリングの予定はあるのでしょうか。また、アンケート結果やヒアリングの議事録、会議録については公開していくことが重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○安藤総務部長 今後、アンケート結果を分析する上で、回答内容を確認するために必要に応じて民間事業者へヒアリングを行います。
 また、アンケート結果等につきましては、今後の施設運営の方向性を整理するための要素の一つであり、現時点で公表することは考えておりません。

○斉藤委員 必要に応じてヒアリングをしていくということです。その議事録内容やアンケート結果について公表する考えは現時点ではないということですが、都民の生活の根本にかかわる重大な検討については公開をしていくべきだと思います。当事者である都民の参加のないところで、生活の根本にかかわることについて、企業と東京都だけで検討を進めていくということは許されません。
 浜松市の水道事業へのコンセッション方式についての事前の導入可能性調査については、コンセッション方式の旗振り役をしてきた当時の官房長官補佐官の出身の法人である新日本監査法人が行っていたことが報じられています。
 さらに、市民団体が情報公開で入手した市の会議録の中で、市の幹部職員がコンセッション方式が最善の選択であることを示してほしいと担当職員に指示していたことがわかり大問題になっています。
 浜松市では、水道事業へのコンセッション方式の導入について大きな反対運動が起こり、市長は検討を中断させることになりました。この東京都で同じようなことがあってはなりません。情報公開や透明性を都政改革の一丁目一番地にしている小池知事の方針に基づいて、企業との会議録やアンケート結果を都民に公開していくことを強く求めます。
 次に、浜松市の事例から幾つか伺います。
 私は、先月にも、河野議員と一緒に浜松市に行きまして、市の上下水道部の方々からお話を伺いました。
 浜松市からいただいた資料には、運営権者の浜松ウォーターシンフォニーの取り組みについて紹介されていました。調達方法の工夫による電気コストの削減、熟練技術職員による機器点検、修繕による維持管理コストの削減、省エネ型の機器、散気装置への改築で省電力化というものです。
 散気装置というのは、水中に細かい空気を送り込んで微生物の活性化を促すというものですが、これらの取り組みは、東京都下水道局では行われているものなのでしょうか。現状について伺います。

○安藤総務部長 下水道局では、従前より、将来にわたって最少の経費で最良のサービスをお客様である都民に提供していくため、不断の経営効率化に努め、安定的な経営の実現に取り組んでまいりました。
 例えば、電力使用量を削減するために、平成十三年度から水処理施設への微細気泡散気装置、平成十九年度から汚泥処理施設への省エネルギー型濃縮機、脱水機の導入を行ってまいりました。
 また、局内の熟練技術職員は、技術の継承などノウハウの維持、職場の技術力の向上に取り組んでおります。
 さらに、水処理施設に送る空気量を最適制御して電力を削減する技術などの開発、導入を行い、建設から維持管理までのトータルコストの縮減に努めてございます。

○斉藤委員 東京都でも行われている省エネや効率化の技術だということです。
 浜松市にも、これらの取り組みや機器が民間でしかできない特殊なものなのかと伺いましたが、特殊なものではなく、ほかにもあるということでした。東京都でも、民間の運営に頼らなくてもできるということで安心しました。ぜひこうした技術を局の中で継承していっていただきたいと思います。
 浜松市のコンセッション方式の導入でも、経済性が上がるのかという点についても大きな疑問があるといわなければなりません。
 十一月の質疑でも紹介しましたが、浜松市では、設備改修について、運営権者による独占的な契約が既に始まっています。ヴェオリア社が買収した完全子会社の株式会社西原環境という東京の会社に約三億円の随意契約を行っているというものです。まさに、下水道事業という公共事業の中で競争原理が働かない、極めて独占的な契約が、二十年という長い契約期間の中で行われてしまうという実態です。
 このことは経済性の発揮という点からも矛盾するものだと思いますが、見解を伺います。

○安藤総務部長 各自治体におきまして、さまざまな事業環境がございますので、その中で発注者の判断として行ったものと考えております。

○斉藤委員 ほかの自治体のことは、なかなか答えられないものだというふうには思います。
 しかし、二十年、三十年という長期の契約になるコンセッション方式、さらに上下水道という消費者の選択のきかない事業の中で独占状態となり、事業の競争性や透明性が低下することが根本問題としてあります。それが現実にそうなっているということをぜひ直視していただきたいと思います。
 次に、海外事例について伺います。
 現在、下水道局としては、海外の事例についての調査の中ではどのようなことがわかっているでしょうか。

○安藤総務部長 海外においてさまざまな施設運営手法を活用している都市があることはわかってまいりましたが、どのような背景でその手法を採用しているのか、また、官民連携を行っている施設の範囲や期間などの詳細につきましては、文献を中心とする調査であるため、十分には把握できておりません。

○斉藤委員 ぜひ現地などにも行って調査を進めていただきたいなと思います。
 海外の事例については、この間の報道や、ここでの質疑の中でも、一九八〇年代から公共事業を含む民営化が世界で進められてきた中で、水質汚濁や給水の停止、汚水の未処理などが起こっていることが明らかにされています。
 オランダの政策研究NGOのトランスナショナル研究所の調べでは、二〇〇〇年から二〇一六年末までに、世界で少なくとも二百六十七件の水道の再公営化がされています。
 ドイツのベルリン市でも、上下水道とも再公営になっています。
 最近では、昨年、二〇一八年十一月に、アメリカのボルティモア市が住民投票によって水道の民営化を禁止するということがニュースになりました。それに先立って、市議会では、市が所有する水道施設の売却やリースを禁止する決議を満場一致で行ったということです。住民投票の結果により、上下水道の施設は譲渡できないボルティモア市の資産になったということです。
 水道の再公営がされてから約十年がたつパリ市では、今、公営企業の取り組みが市民からの大きな支持を得ているということです。再公営してから料金を八%値下げしたほか、無料飲水機の設置など、コスト削減を実現しながら多くの社会貢献の活動をしているということです。
 世界中で見直されている公営企業の取り組みを、私たちは大事に発展させていかなければならないと思います。
 誰ひとりとして取り残さないという理念を掲げているSDGsにおいても、そのゴールの一つに、きれいな水と衛生を掲げて、全ての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保することを目指しています。このことは、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、公共用水域の水質の保全に資するということを目的とする下水道法に基づいて仕事をしている下水道局の皆さんの取り組みと一致するものではないでしょうか。
 最後に改めて伺いますが、下水道事業において、経済性を発揮しつつも、本来の事業の安定性を脅かすことのない運営を行うことが重要だと考えますが、それを踏まえて、今後の検討に当たっての局の見解を伺います。

○安藤総務部長 下水道は二十四時間三百六十五日休むことなく稼働し、都民生活と首都東京の都市活動を支える必要不可欠なインフラであり、安定的に運営する必要があります。このため、経営計画二〇一六においては、不断の経営効率化に努め、将来にわたりお客様に最少の経費で最良のサービスを安定的に提供していくことを経営方針としております。
 今後の施設運営手法の検討は、経済性だけでなく、安定的なサービスの提供という観点も重視し、幅広く実施してまいります。

○斉藤委員 公営企業としての使命は、皆さんはよく理解されていることと思います。今いただいたご答弁は重要なものだと思います。多くの都民や国民が不安を感じている上下水道の民営化への道への検討、東京都で行わせている知事やその直轄の都政改革本部に都民の声を届ける必要があると思います。下水道局からもしっかりとそのことを伝えていただきたいと思います。
 検討は二〇二〇年度までということですが、事業の直営を堅持していただくことを求めて、質疑を終わります。

○川松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。

○川松委員長 これより水道局関係に入ります。
 この際、中嶋水道局長から発言の申し出がございますので、これを許します。

○中嶋水道局長 先般、水道局の監理団体である東京水道サービス株式会社、以降、略称TSSと呼ばせていただきますが、TSSが総務局の特別監察を受け、先月二十二日、その結果が公表されました。
 当局職員の情報漏えいに続き、こうした不適正事案が判明し、当局のガバナンスの甘さが指摘されたことを局長として大変重く受けとめております。
 既に総務委員会や予算特別委員会におきまして取り上げられているところですが、改めまして、簡単ではございますが、経緯と概要をご説明させていただきます。
 今回の特別監察により、結果として、次の五点の不適正事案が報告されました。
 一点目は、協力会社との関係です。
 TSSでは、土木系業務の再委託先である協力会社四社との間で定期的に飲食を伴う会合を行い、TSS側の出席者の飲食代を交際費から支出しておりました。特別監察では、TSSとこの協力会社との関係は特に密接なことから、この会合が関係性への疑問を生じさせる要因であるとの指摘がありました。
 二点目は、巡回点検業務の不履行です。
 受託業務の一つである緊急資材置き場の巡回点検につきまして、実際には現地へ行っていなかったものや、現地に行っても倉庫内の点検を怠っていたものなど、仕様どおりに実施されていないケースが多数判明いたしました。
 三点目は、竣工写真の改ざん指示です。
 工事監督をするTSS社員が、施工が不十分である竣工写真を発見したものの、施工業者に対して、再施工を指示せず、写真の改ざんを指示し、それを国道事務所へ提出したというものでございます。
 四点目は、不適切な設計変更協議対応です。
 工事の設計変更協議をする際、TSSの担当監督員及び副総括監督員が、本来提示してはならない決定前の金額が書かれた変更設計書を工事事業者に提示し、渡してしまったというものでございます。
 五点目は、設計違算による予定価格の誤りです。
 水道局が委託した工事費積算業務におきまして、TSSが誤った単価を入力し、結果として過小積算となっていた案件がございました。これは当該工事請負契約の締結後に発覚いたしました。
 これらの不適正事案につきましては、既にTSSにおいて対策が講じられておりますが、調査の結果、原因の分析が不十分であったり、原因と対策が不整合なものもあるなど、問題の本質を捉えた対応ができていないなどの指摘がなされております。
 同時に、TSSの内部統制やコンプライアンスに対する意識の低さ、水道局への依存と主体性の衰退、また、水道局のガバナンスの甘さなどが指摘されております。
 また、特別監察では、改善に向けて、外部の目線による監視体制の確立や人材戦略、人材育成に関する方針の再構築などを提言しており、これを踏まえ、TSSにおきましては、内部統制体制の改善やコンプライアンスの強化を図ってまいります。
 水道局といたしましても、今後、TSSの改善に向けた取り組みに対し、ガバナンスを発揮し、しっかりと指導監督してまいります。
 今後とも、委員の先生方のご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、東京水道サービス株式会社に対する特別監察についてのご説明をさせていただきました。

○川松委員長 発言は終わりました。

○川松委員長 次に、請願の審査を行います。
 三一第一号、工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松丸総務部長 それでは、請願につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1、請願・陳情審査説明表をごらんください。
 この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨といたしましては、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
 この請願に関する現在の状況でございますが、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成三十年第一回都議会定例会における工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補填を前提に、独立採算制の原則及び負担の公平に対する例外的措置として、平成三十一年三月三十一日までを期間として、基本料金の一〇%を減免しているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○川松委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認めます。よって、請願三一第一号は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。

○川松委員長 次に、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二十六号議案、第二十七号議案及び第七十一号議案から第七十三号議案まで並びに報告事項、東京都工業用水道事業の廃止に伴う取り組みについて及び職員の情報漏えいについてのこれまでの対応状況についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松丸総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。監理団体、報告団体の社員数、都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの社員数を、常勤、非常勤別に、また、常勤社員数のうち都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。定数及び職員数でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの局職員の条例定数及び事務、技術、技能の区分別の職員数をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。障害者雇用率でございます。
 平成二十六年から三十年までの障害者の実雇用率をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。監理団体への業務委託の委託先及びそれに伴う職員の削減数でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの監理団体への業務委託の委託先及びそれに伴う職員の削減数をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。長時間労働の面接対象者数でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの面接対象者数と、そのうち一月当たりの超過勤務時間が百時間を超えた職員の延べ人数をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。局退職者の再就職者数でございます。
 平成二十六年から三十年にかけて公表されました局退職者の再就職者数と、そのうち工事請負契約の実績がある民間企業への就職者数をお示ししてございます。
 七ページをごらんください。定期検針業務の委託単価でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの定期検針業務の委託単価をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。導水施設の二重化、送水管の二重化、ネットワーク化の事業費でございます。
 各事業における整備区間、総事業費をお示ししてございます。
 九ページをごらんください。一日当たり平均使用水量及び生活用水一人一日当たり平均使用水量でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの一日当たり平均使用水量及び生活用水一人一日当たり平均使用水量をお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。民有林の購入実績と購入した民有林の整備実績でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの民有林の購入件数及び面積、また、購入した森林の整備実績を内容別にお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。局所有の未利用地でございます。
 局が所有している未利用地について、地域区分別、面積区分別に件数及び面積をお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。平成二十五年から直近の契約締結に係る入札参加条件及び辞退理由でございます。
 かなりの分量がございますが、一件別に調査して作成しております。まず、一二ページから一〇七ページまでは、契約ごとの入札参加条件を九十六件お示ししてございます。次に、一〇八ページから一一四ページは、契約ごとの入札辞退理由を五十二件、辞退者のあった契約のみをお示ししてございます。なお、契約締結に係る入札辞退理由に記載のございます番号は、契約締結に係る入札参加条件の番号と対応してございます。
 恐れ入ります、一一五ページをお開き願います。職員自殺の状況でございます。
 平成二十五年度から三十年十二月末までの自殺した職員数をお示ししてございます。
 一一六ページをお開き願います。超過勤務時間が月八十時間を超えた職員数でございます。
 平成二十五年度から三十年十二月末までの一カ月当たりの超過勤務時間が八十時間を超えた職員の延べ人数をお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○川松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 ちょっと花粉症の薬が効かない部分がありまして、お聞き苦しいところがあるかもしれませんけれども、ご了解いただければと思います。
 来年度の予算調査を行うに当たり、水道局として向き合わなければいけない課題があります。今回は、その点に絞って質疑を進めてまいります。
 平成三十一年二月に、東京都総務局の特別監察の報告書が提出されました。これは、東京水道サービス株式会社に対する特別監察の結果報告書です。先ほど中嶋局長からもご説明がございました。
 まず、この特別監察でどのようなことが指摘をされているのか、改めて水道局の認識と今後の対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 今回の特別監察では、東京水道サービス株式会社における不適正事案について、社内での原因分析や問題の本質を捉えた対応が十分ではないことなどが指摘されております。
 また、同社の内部統制について、法令上の不備はなかったか、取締役会や監査役、監査室の運用のほか、コンプライアンス推進の取り組み、内部通報制度の運用、人材育成、水道局の関与、指導監督などに不十分な点が認められたとされております。
 あわせて、同社の内部統制やコンプライアンスに対する意識の低さ、水道局への依存と主体性の衰退といった同社に対する指摘も加え、水道局のガバナンスの甘さについても指摘をされております。
 こうした指摘を受けたことについては、当局として大変重く受けとめております。抜本的な改革が必要と、こういう認識でございます。
 今後、有識者による外部の視点からの検証等を通して、組織構造改革などを進め、東京水道が抱える構造的な課題を解決していきます。

○菅原委員 今回の事案というのは、個人の問題なのか、会社の風土や仕組みの問題なのか、認識、そしてまた今後の対応について伺います。お願いします。

○石井経営改革推進担当部長 今回の特別監察において厳しい指摘を受けたことは、東京水道サービス株式会社の内部統制やコンプライアンスに対する意識の低さ、水道局のガバナンスの甘さに加え水道局及び監理団体から成る東京水道グループ全体の構造的な課題に原因があると認識をしております。

○菅原委員 特別監察の対象となったのは、今、局長からもお話がありました五つの事例だと思います。
 まずは協力会社、特に土木関係の四社との関係について。また、貯蔵品の業務委託について巡回点検を行っていなかった事例が百三十七回あったということ。また、工事監督の竣工写真の改ざんについて。また、工事の設計変更の際の手続の問題。そして最後、五つ目が、配水本管新設工事の際の設計、積算の誤りと。そのほかるる幾つかの事例が指摘もされているというふうに読ませていただきました。
 これらの処理については、既に総務委員会や予算特別委員会にて指摘されて、答弁もされておりますので、重複を避けるために今回は触れません。今回の質疑では、特別監察で報告されている内部統制、そしてまた水道局と東京水道サービス株式会社の関係に焦点を当てて進めさせていただきます。
 まず、東京水道サービス株式会社は、大会社には該当しておりませんけれども、内部統制システムの構築義務があることは明らかとされています。その点についての認識と今後の対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の内部統制システムの整備に関する指摘を受け、当局としても、会社法の趣旨を踏まえた同社の内部統制システムの構築が課題であると認識をしております。
 そのため、今後は、同社の取締役会において、社の内部統制について集中的な議論を進めるほか、当局としても、会社法上、大会社に求められる水準と同等の体制を整備するよう、同社に対し強く指導を行ってまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 そのほかにも、内部統制やコンプライアンスに関する全社的な基本方針がいまだに策定されていないということも指摘をされていますが、この原因についての認識と今後の対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、平成二十年四月に、コンプライアンス推進に関する要綱を定め、社内会議の開催など取り組みを進めてきましたが、内部統制やコンプライアンスに関する基本的な方針を策定していなかったこと、これは課題と認識しております。
 そのため、今後は同社において速やかに基本方針を策定し、局が設置する第三者コンプライアンス委員会において、外部の視点での検証を通して必要な提言をいただきながら、コンプライアンスの推進に向けて改善を進めてまいります。

○菅原委員 次に行きます。
 経営上のリスクの問題もあります。経営上のリスク項目の洗い出しとその対処方針、これはリスク管理行動計画というそうです。また、事業継続計画、これは例えば災害のときの事業計画ですね、いわゆるBCPといわれるもの、これらが策定されていないという指摘もあります。
 この点についての認識と今後の対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 今回の特別監察では、東京水道サービス株式会社において、経営上のリスク項目の洗い出しとその対処方針並びにBCPが策定されていないとの指摘をされており、当局としても、同社が経営上のリスク管理や災害時の対応等の構築について主体的に取り組む必要があるという認識でございます。
 今後は、リスク管理行動計画や震災時の事業継続計画等のBCPの策定に向け、早急に取り組んでまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 今のやりとりの中で、四つ大きく答弁いただいたと思っております。内部統制システムをつくるんだということ。二つ目は、コンプライアンスに関する基本方針も策定するということ。三つ目は、リスク管理行動計画も策定するよと。そして四つ目は、BCPも策定するということの答弁をいただきました。ぜひ早急に策定をしていただきたいと思います。
 ちょっと角度を変えて、質疑を続けたいと思います。
 現在の東京水道サービス株式会社の取締役会のメンバーについて伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の取締役会の構成員は、代表取締役社長と常勤の取締役二名、非常勤取締役四名、非常勤監査役二名の計九名でございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 この九名の取締役のうち、東京都の関係者の方が八名ということも特別監察の報告書の中に書かれておりました。
 この取締役会とは別に、東京水道サービス株式会社の経営に関する重要事項を審議するとして設置をされた執行調整会議という機関があります。これは平成二十八年の七月に設置されたと。このメンバーについて伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の執行調整会議の構成員ですが、代表取締役社長と常勤の取締役二名、非常勤取締役四名の計七名でございます。そのほか、議長である社長が必要と認めるときは委員以外の者を出席させることができるため、必要に応じて監査役や部長級社員が出席している、こういう状態でございます。

○菅原委員 この取締役会と、そして今答弁をいただいた執行調整会議のメンバー、この二つの会議体のメンバーが重複しているという指摘がございます。この点についての認識と今後の対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の取締役会は、同社における意思決定機関であり、社長、取締役及び監査役がメンバーとなっております。
 一方、執行調整会議のメンバーは社長及び取締役でありますが、必要に応じて監査役や部長級社員が出席をし、社の重要事項を審議して取締役会に付議をする実務的な役割を担っております。
 このように、両者はメンバーは重複しているものの、部長級社員も出席して実務的な審議を行い、取締役会に付議する執行調整会議と、社長、取締役及び監査役のみが出席し、社における意思決定を行う取締役会では、その機能が異なっております。

○菅原委員 執行調整会議と取締役会の役割の違いが不明確だと特別監察の中ではいわれております。また、執行調整会議は、正式な議事録をとっていないということも報告をされております。
 これらの指摘がありますけれども、改めて認識とその対応、取り組みについて伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社が設置している執行調整会議は、社の重要事項を実務的に審議し、取締役会に付議しているのに対し、取締役会は、社における意思決定を行う会議体であり、その機能は異なっております。
 しかし、今回の特別監察の指摘を受け、当局としては、今後、取締役会の執行調整会議の運用について、それぞれの機能を一層明確化するよう指導をしてまいります。
 また、執行調整会議が正式な議事録をつくっていないと指摘されたことにつきましては、正式な議事録を作成するよう既に改善を図っております。

○菅原委員 ありがとうございます。取締役会と執行調整会議のあり方については、特別監察からの指摘を受けて整理をしていただければと思います。
 ちょっと角度を変えて質疑を進めさせていただきます。
 監査役、そして監査室についてです。
 東京水道サービス株式会社は、定款を変更して、監査対象の拡大と監査役の増員を行ってまいりました。しかし、その増員した監査役は、二人いるんですけれども、一人は東京都の現職の課長級、もう一人はみずほ銀行公務部長ということだそうです。この方は、都の監査役など十五ポストを兼務されているということもわかってまいりました。
 この監査報告書の記載内容は、例年同じであり、監査増員の具体的効果は見受けられないという指摘がございます。また、監査を増員しても、内部統制の強化につながっている部分がわかりにくいという報告も上がってまいりました。さらに、東京水道サービス株式会社は、監査室を社長直轄部門として設置をしたと。しかし、平成三十年四月以降、監査室長を総務部長が兼務しており、監査室の設置の目的が形骸化しているということも報告をされてまいりました。また、監査室の定員の七名のうち二名が欠員となっていると。これも円滑な業務執行に支障を来しているんだという報告もございました。
 これらの状況を踏まえて、水道局の認識と今後の対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 当局の幹部職員である監査役は、不適正事案発生の都度、東京水道サービス株式会社に対して原因調査や再発防止策について報告を求めるとともに、取りまとめられた改善策等について実効性を確保するための調整を行ってきたと認識をしております。
 一方、総務部長が監査室長を兼任していることや監査室の欠員といった状況は、当局としても早急に改善すべき課題と認識しており、今後、監査業務の経験を有する人材を監査室長に配置するといった対応を、鋭意準備を進めております。

○菅原委員 ぜひ進めていただければと思います。
 またちょっと角度を変えます。
 コンプライアンスの推進の取り組みです。
 昨今、セクハラ、またはパワハラ、さまざまな問題がございます。これについても、特別監察の中で指摘をされております。
 東京水道サービス株式会社では、コンプライアンス推進会議というのが設置をされた。平成二十六年度以降に年に一回程度の頻度で開催をされていると。この会議では、セクハラやパワハラと認定された重大問題が報告をされてきたということでございます。これらの事例は、コンプライアンス推進に関する要綱によりますと、是正勧告が行われるのがルールとなっている。しかし、コンプライアンス推進会議から社長への是正提言はなされていないと。
 この点について、水道局としてはどのように認識をし、今後対応していくのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の社内規定では、コンプライアンスに関して不適正な事案があった場合、コンプライアンス推進会議から社長に対して是正を提言することになっております。
 しかし、これまで同社において、不適正事案が発生した際には、コンプライアンスを所管する監査室長が、事案の原因究明、再発防止の取り組みについて個別に社長に諮った上で対応してきたと、こういう経緯があります。
 結果として、コンプライアンス推進会議から社長に対する是正の提言がなされていなかったということは事実であり、今後こうした提言が適切になされるよう、当局としても指導監督を徹底してまいります。

○菅原委員 ぜひ徹底していただければと思います。
 もう少し掘り下げて伺いたいと思います。
 平成二十七年度に発生をいたしました給水管撤去工事における不適正処理事案というのがございました。これを受けて、東京水道サービス株式会社の中に、受託業務委員会というものを設置されたということを伺いました。
 しかし、その後も毎年、不適正処理事案が発生しています。この点について、水道局の認識と今後の対応を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の受託業務委員会に関する指摘を受け、当局としても、同社のコンプライアンス推進体制の改善が必要であるという認識を持っております。
 今後、同社とともに組織の内在する構造的な課題分析等に取り組むとともに、二度と同様の事案が発生しないよう指導監督を徹底してまいります。

○菅原委員 それでは、もう少し進めたいと思います。いわゆるハラスメント対応、また内部通報制度の運用、こういう視点でございます。
 東京水道サービス株式会社の中には、三つの相談窓口といっていいんでしょうか、ございます。一つ目は、コンプライアンス相談、通報の窓口である。二つ目は、内部通報の窓口である。三つ目はハラスメントの相談窓口であるということです。
 これらの相談があった場合に、それぞれの窓口で事案の程度を判断する仕組みになっているというふうに伺いました。しかし、これも特別監察の中では機能していないと指摘をされております。
 例えば、何らかの通報があった場合でも、その事例の重さを窓口で判断するため、監査室には、懲戒処分に該当する事案のみが届くようになっているということです。これでは会社として一元的な把握ができないのではないか、これが特別監察の指摘でございます。
 さらに、特別監察の報告書の中では、本来監査室が対応すべき事案も見られた、また、相談窓口の明確で統一的な基準がない、意思決定過程が記録に残されていない、運用の改善の余地が大きいと、さまざまな表現で指摘もされております。
 水道局の認識、そして今後の対応を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の内部通報窓口の運用についての指摘を受け、当局としても、同社の内部通報制度を改善していく必要があると認識をしております。
 そのため、同社において、各窓口から監査室への報告基準を明確化し、対応記録の作成を徹底するなど、内部通報制度の運用を直ちに改善するよう指導してまいります。

○菅原委員 それでは次に、人材の育成について視点を当てていきます。
 東京水道サービス株式会社の研修は、東京都水道局の研修に参加する形で行われているそうです。共同で行うというのがスタンダードな考え方というふうに伺いました。しかし、東京都の研修には、コンプライアンスに特化した研修はないということです。特別監察の中では、水道局と東京水道サービス株式会社の連携体制は、余りにも脆弱といわざるを得ないという表現で報告されております。
 水道局の認識と今後の対応を伺います。

○金子職員部長 グループ一体となった人材育成を標榜する中、当局と東京水道サービス株式会社の連携が脆弱であるとの指摘を受け、当局としても、コンプライアンス研修に関する連携体制の構築が課題であると認識してございます。
 そのため、今後は、同社が社内で実施するコンプライアンス研修に対し、当局が必要な助言、支援等を行い連携体制を構築することで、グループ一体となった人材育成を強化してまいります。

○菅原委員 ぜひ、人材は会社の命だと思いますので強化していただければと思います。
 次に、東京都水道局が東京水道サービスに関与している部分、または指導監督する部分について焦点を当てたいと思います。
 東京水道グループという、東京水道を一体化する、グループ的に運営するという部分ですね、経営基本方針というのがございます。この経営基本方針の中で、コンプライアンス推進会議を新たに設置するとされておりますが、この会議はまだ一度も開催をされていないという報告がございました。
 また、この東京水道グループ経営基本方針に書かれておりますコンプライアンス行動基準や行動計画の策定、またその進捗管理が行われていないということも報告書に書かれておりました。個人情報の紛失事案がありました。その報告が、事業所から東京水道サービスへの報告が四カ月もおくれたということもあります。結果、水道局への報告もおくれたということです。
 これら幾つかの指摘がありますが、その点についての認識とその対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 コンプライアンス推進会議が平成三十年十二月まで開催されなかったことなどの指摘を受け、当局としても、東京水道サービス株式会社への指導監督を改善していく必要があると認識をしております。
 そのため、今後、昨年十二月に開催したコンプライアンス推進会議において策定をした東京水道グループコンプライアンス行動基準を踏まえ、監理団体及び報告団体の各団体が策定した年間行動計画に基づいて、適切に各団体の取り組みを進捗管理してまいります。
 また、事故事案の報告をより迅速にするため、東京水道サービス株式会社において事故報告フローを整理し、全社に周知するとともに、当局の情報を集約する部門に確実に報告がなされるよう、当局と同社の間で締結している協定書の見直しを含め、事故報告制度の改善を進めてまいります。

○菅原委員 それでは、ここからは、いわゆる内部統制について質疑を進めさせていただきたいと思います。特に、特別監察の中で書かれていることをやはり軸にして進めていきます。
 東京水道サービス株式会社の職員構成は、まずは一つ目、固有社員がいる、当然です。二つ目、定期的に入れかわる東京都庁の職員。三つ目、定期的に入れかわる派遣社員。四つ目が、課長以上の場合は九〇%以上は都庁職員やOBであるということ。そして五つ目、取締役は都庁関係者と銀行からの派遣など、こういう特徴があります。
 それぞれの所属機関が違うために、職員には、同床異夢、違う夢を見ているということですね、この同床異夢の状況を生じる土壌があるという報告もございます。
 四十代以上の固有社員が三百名以上おりますけれども、その多くが課長にはなっておらず、第三者から見て都職員優遇といえると。固有社員のモチベーションを喪失させてしまう可能性があるという記載もございました。
 このような状況は、社員の一体感を阻害するのではないか、社員相互の関心、お互いに関心を持ち合う関係ですね、そういう関心も下げていく、情報流通の停滞を招く、お互いに何をやっているのかわからないという、結果としてコンプライアンス意識の低下、重大な事故の発生の可能性を高めてしまう、このような指摘がございますけれども、どのように受けとめていらっしゃるか、認識と今後の対応について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の社員構成や人事システムについての指摘を受け、当局としても、同社の固有社員の人事制度の改善が喫緊の課題であると認識をしております。
 そのため、今後、同社において、能力と業績に応じて早期に上位職層へ任用できる昇任制度への見直しや当局への派遣を含めた計画的な配置管理など、意欲と能力がある固有社員が適正に処遇され、昇任することのできる仕組みを早急に構築してまいります。
 また、当局との共同研修や相互の人材交流の拡大を図り、若手社員の育成と活躍の場をつくることで職場の活性化を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、固有社員のモチベーションを高め、全社的な一体感の醸成とコンプライアンス強化につなげてまいります。

○菅原委員 今の答弁では、固有社員の人事制度の改善、これが喫緊の課題だということで提示されたと思います。固有社員、いわゆるプロパーの社員が希望を持って仕事ができる環境、これはしっかりと構築をしていただきたいと思います。
 しかし、特別監察で指摘をされているのは、東京都の職員や退職職員が、自分たちの会社、つまり東京水道サービスの会社の役員や課長を占めているという、こういう状態、現状なんです。この点を見直さないと、いつまでも固有社員の意識は高まらないのではないかと感じております。
 会社としての主体性の問題について、ちょっと触れていきたいと思います。
 水道局は、東京水道グループ経営基本方針において連携強化を打ち出しております。しかし、東京水道サービスの末端まで浸透してはいないという指摘がございました。一方、東京水道サービス株式会社は、東京都水道局を意識する余り指示待ちになっている、思考停止であると、こういう表現も特別監察の中には記載されておりました。
 内部統制の面から見れば、連携強化のメリットよりも、TSS、東京水道サービス株式会社の企業としての主体性の衰退という負の局面が顕在化しているのではないでしょうか。
 この指摘について、水道局はどのように受けとめて改善していくのか伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社が主体性の衰退を招いているとの指摘は、グループ全体の構造的な課題に要因があると認識をしております。
 そのため、今後、同社において、改めてグループの経営方針を社内に周知し、社員一人一人に浸透を図るとともに、同社において、みずからの業務を主体的に改善し、PDCAサイクルに基づく運用を行うよう指導をしていきたいと考えております。
 こうした取り組みを通じて、グループとしての連携を強化させながら、同社における主体的な取り組みを促進してまいります。

○菅原委員 話が行ったり来たり、ちょっと堂々めぐりしてしまう部分がありますけれども、この問題は、幾つかの角度から議論しなければいけないと思うので、もう少しおつき合いをいただければと思います。
 水道局は、この数年の間に、いわゆる不祥事が頻発してきたといわれております。そのたびに、不適正事案の再発防止を目的として体制整備やまたは会議体を設置してきた、これも事実でございます。しかし、その多くが形式的な運用にとどまっているのではないかと思います。当初の目的から乖離したり、または後退してしまっているという報告もございます。東京水道サービス株式会社の傾向として--文化的なものでしょうかね、傾向として、問題意識が高いのは制度や体制の構築時までであり、その場限り、それ以降は意識が低下するという報告書の表現もございました。これらの根底には、水道局からの指示を前提とする水道局への依存、または思考停止にあるのではないか。
 この指摘に対して、どのように受けとめるのか、認識を伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社が、局からの指示待ちや思考停止状態であるとの指摘を受け、当局として、同社がみずから業務を主体的に改善し、PDCAサイクルに基づく運用を行っていく必要があると認識をしております。
 このため、当局が設置する第三者委員会において、外部の視点から、監理団体の業務運営のあり方を含めた検証、提言をいただき、その提言を踏まえ、同社における自主的な改善の取り組みを促進してまいります。
 さらに、同社と株式会社PUCとの統合に合わせ、より経営の自主性が向上されるよう抜本的な組織構造改革を進めてまいります。

○菅原委員 第三者委員会が、来年の四月、新年度の四月から始まるという部分に委ねていく部分があるのだろうと思います。そこは期待をしたいと思います。
 今度は、水道局のガバナンスについて進めたいと思います。
 水道局は、東京水道グループ経営基本方針で掲げました項目に実施していないものがあっても、重大な問題として認識をされていないという指摘がございます。そして、その進捗の管理も甘いのではないかという指摘がございました。情報を集約する部門が有効に機能しておらず、いつ、どこで、何が起きているのか、これらを総括して把握できていないのではないか、水道局は、計画をつくることが目的化し、実際の業務連携の関心は高くはないと、このように指摘がございました。
 この件について、水道局の認識と今後の対応を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 今回の特別監察におけるグループ経営に関する一連の指摘については真摯に受けとめております。
 そのため、東京水道グループ経営基本方針で掲げたコンプライアンスの取り組みに関する進捗管理については、本年一月に、監理団体及び報告団体の各団体が策定したコンプライアンスに関する年間行動計画に基づいて、適切に各団体の取り組みを進捗管理してまいります。
 また、当局の情報を集約する部門に確実に報告がなされるよう、当局と同社の間で締結している協定書の見直しを含め、事故報告制度の改善を進めてまいります。
 さらに、当局と監理団体の連携を含めた東京水道グループ全体のガバナンスのあり方などについてみずから検証し、第三者コンプライアンス委員会から提言をいただきながら、グループとしての内部統制の強化に向け、改善に取り組んでいく所存でございます。

○菅原委員 今、答弁の中で、水道局と、そして東京水道サービス株式会社の間で業務運営に関する協定書、これも見直していくというお話がございました。この業務運営に関する協定書を精査していく、これについても特別監察で次のような指摘がございました。
 一つ目は、手続変更の記録が書面で残されていないものがあるんだ。二つ目は、協議、報告の具体的な対象が明確でないものもある。三つ目、個別契約の仕様書と手続が錯綜しているものがあった。こんな指摘がされています。
 東京都としては、一つは、株主としての立場があるでしょう。二つ目は、監理団体へのコントロールをするんだ、こういう立場もあると思います。この二つの立場から、東京水道サービス株式会社の事業を見るべきだと指摘もございました。さらに、東京水道サービス株式会社の内部統制は、本来株式会社が求められる水準から大きく見劣りするという表現もございました。これらの実態は、東京都が見落としてきたのではないか、こんな言葉もございました。
 さて、これらの指摘について、認識と今後の対応を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 当局が株主としての立場、監理団体を指導監督する立場の両方で、東京水道サービス株式会社の内部統制における課題を看過してきたとの指摘を受け、当局として、同社への指導監督を見直していく必要があると、このように認識しております。
 そのため、当局では、今後、株主として同社の経営状況を適切に評価するほか、同社の業務の進捗により綿密に管理していくなど、株主の立場と指導監督する立場の両面から緊張感のある関係を維持し、同社に対するガバナンスを強化してまいります。

○菅原委員 ぜひガバナンスの強化をお願いしたいと思います。
 少し角度を変えていきたいと思います。
 水道局も、この東京水道サービス株式会社の自立した運営、自主性を保持すること、これは私たちと気持ちが一緒だと思います。その上で、この東京水道サービス株式会社の自律性を阻んでいるのは何だろうなということを考えました。
 私は次の四つかなと思います。一つは、東京水道グループとしての縛りを過度にTSS、東京水道サービス株式会社が感じているんじゃないかということ。二つ目は、東京都からの人事、これも影響しているだろうと。三つ目は、東京都からの指示を待っている、これも影響している。四つ目は、東京都からの仕事がほとんどもう九十何%の会社ですよね。こういうことが絡まって思考停止に陥って、自律性または自主性、これらがそがれてきた、このように感じております。
 さて、東京都は、退職管理制度というのがございますね。この退職者への一定の管理と公表もしていること、これもいいことだと思います。職業選択の自由がある中で、公務員としてのぎりぎりの制限をしてきたというふうにも受けとめております。
 この退職管理制度の意義について伺いたいと思います。

○金子職員部長 退職した職員がこれまで培ってきた知識や経験を社会のさまざまな分野で活用することは有意義なものでございますが、職員が再就職することにより公正な都政運営が損なわれるといったことがあってはなりません。
 そのため、都におきましては、退職管理制度の厳格な運用に努めているところでございます。
 例えば、監理団体への再就職につきましては、外部有識者で構成する退職管理委員会への諮問、答申を経た上で適材を推薦する団体として指定し、人材の推薦を行っております。また、管理職のみならず職場の中核を担う一般職員につきましても、再就職情報を公表することで、退職管理の透明性の確保に努めているところでございます。
 今後とも、退職管理の適切な運用を図ってまいります。

○菅原委員 退職管理制度というのは、天下りの横行、また、公務員の特権としての批判などを受けて国が制度設計をしてきたということが歴史的にございます。例えば、本部長級の再就職に関しては、退職前の五年間、そして退職後の二年間、合わせて七年間、かかわった企業への再就職を認めないと、こういうこと、この制度設計のことをいうのだと思います。
 退職者の再就職については、東京都退職管理委員会でも審議をされて、再就職情報は公表もされております。しかし、東京都は、適材推薦団体というものを指定しております。この適材推薦団体に限り、先ほど紹介した仕組みの適用は受けないという制度も運用されているということでございます。この適材推薦団体というのは、聞きますと百二十団体以上あるということでございます。
 これらの仕組みは一定程度は理解をしますし、必要な場面もあるかと思います。しかし、今後、この点は別の場での検討が必要なのではないかということも感じております。
 その理解を踏まえて確認をします。過去五年間に水道局を退職した人数、そして実際に適材推薦団体への再就職をした人数、これをお答えいただきたいと思います。

○松丸総務部長 平成二十五年度から平成二十九年度までに当局を退職した幹部職員の人数は五十四人でございます。そのうち実際に適材推薦団体へ再就職した幹部職員の人数は四十七人でございます。

○菅原委員 総務局の特別監察報告書によりますと、次のように書かれております。
 東京都の人事により、東京水道サービス株式会社の内部統制に強い影響が出ているということが書かれている。また、東京水道サービス株式会社の自律性、自主性の低下を招いている、固有社員のモチベーションにも影響が出ている、こんな書かれ方をされております。
 このことについて見解と今後の取り組み、伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、課長級職員に占める固有社員の割合が少なく、固有社員のモチベーションを喪失させている可能性があるとの指摘を受け、当局としても、同社の人事制度の見直しが必要であると認識をしております。
 そのため、今後、同社において、能力と業績に応じて早期に上位職層へ任用できる昇任制度への見直しや、当局への派遣を含めた計画的な配置管理など、意欲と能力ある固有社員が適正に処遇され、昇任することができる仕組みを早急に構築してまいります。
 こうした取り組みを通じて、東京水道グループの一翼を担う同社のマンパワーをさらに強化させていきたいと考えております。

○菅原委員 今回の事件を通して私たちが考えなければいけないのは、東京水道サービス株式会社が、自立して、主体性を持って、独立した存在として機能することではないかと思います。その点についての見解を求めます。

○石井経営改革推進担当部長 当局では、東京水道サービス株式会社の局への依存体質を克服し、企業としての主体性を改善していく必要があると認識をしております。
 そのため、今後、同社において、みずからの業務を主体的に改善し、PDCAサイクルに基づく運用を行うとともに、同社の取締役会において、社の内部統制やコンプライアンスについて議論を活性化させるなど、内部統制のあり方を見直してまいります。
 また、監理団体の指導監督のあり方についても、根本的に検証し改善に取り組んでまいります。さらに、来年度中に、監理団体統合を機に、経営の自主性を一層向上させられるよう組織構造改革もあわせて進めてまいります。

○菅原委員 それでは、ちょっと質問の角度を変えていきます。
 災害のときに、ライフラインの確保ということが議論をされます。水道事業の際のライフラインの確保とはどのようなことか伺いたいと思います。

○松丸総務部長 いわゆるライフラインとは、水道、電気、ガスなど、都民生活や都市機能を支えるインフラのことでございます。
 当局では、平常時は当然のこと、災害時においても可能な限り給水を確保するため、水道施設の耐震化や送水管の二重化、ネットワーク化、水道管路の耐震継ぎ手化、避難所の給水管の耐震化など、水源から蛇口までの施設整備を進めております。また、お客様に対する情報提供のほか、災害時における応急給水体制の確保など、安定給水を支える取り組みも積極的に行っております。
 こうした取り組みを進め、安全でおいしい高品質な水を安定して供給し、都民生活と首都東京の都市活動を支えることが、水道事業におけるライフラインの確保であると認識しております。

○菅原委員 ライフラインの確保は非常に重要なことです。その反面、現在、水道局が行っている事業の中には、ライフラインの確保を踏まえて、さらに追加したサービスがあるのではないかと思いますが、その事業はどんな事業があるのかお答えいただきたいと思います。

○松丸総務部長 水道事業におきましては、安定給水のため根幹をなす事業が大きく二つあり、施設の整備や維持管理はもとより、日々お客様と向き合い信頼を得るための取り組みや企業としての社会的責任を果たすための取り組みなど、ハード、ソフトの両面からの取り組みが必要不可欠でございます。
 このうち、ソフト面では、料金徴収業務や検針業務、窓口対応に加えまして、水道キャラバンなどの広報がございます。また、高品質な水への対応といたしまして、水質への適切な対応や貯水槽水道の適正管理などの取り組みを行っております。これらの取り組みの中には、今回特別監察で調査の対象となったお客様ニーズをきめ細かく把握するためのあんしん診断や、貯水槽水道から直結給水方式への切りかえを促進するための直結切りかえ見積もりサービスも含まれております。
 このような取り組みに加え、企業としての社会的責任を果たすためのエネルギー環境対策などさまざまな取り組みを行い、ハード面の事業とともに首都東京のライフラインを支えております。

○菅原委員 私は、今の水道事業に起こっている状況、現在の状況ですね、これは災害のときに匹敵するのではないかというふうに受けとめております。このようなときには、まず自分たちの事業について改めて見詰め直す時間、または手続が必要なのではないかと思います。
 東京水道グループとしての一体的な事業推進を進めることも必要だとは思いますが、その前に整理することがあるのではないかと思います。
 この点についての認識、伺いたいと思います。

○松丸総務部長 このたび都の特別監察におきまして指摘されたことは、都民の信頼を根底から揺るがすものでございまして、大変重く受けとめております。
 都民の信頼を得て水道事業を行っていくためには、先ほど答弁しましたとおり、ハード、ソフトの両面の事業が必要であると認識しております。これらの事業は、日々変化する社会状況の中で不断の見直しを行いながら、二十四時間三百六十五日、遅滞することなく取り組んでいくことが必要でございます。あわせて、これらの取り組みを支える人材基盤の確立のため、監理団体と一体となったコンプライアンスの徹底を図ってまいります。
 なお、貯蔵品業務委託や浄水場排水処理施設運転管理作業委託など、見直すべき点につきましては、業務を継続しつつ、早急に改善に向け着手をしているところでございます。

○菅原委員 水道局は、新年度、東京水道サービス株式会社と、もう一つ監理団体がございますね、このPUCとの合併も予定されております。この合併の前に、PUCについて、総務局の特別監察を受けるなどの手続は行われますか、確認をしたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 株式会社PUCについても、総務局において、来年度早々に特別監察の手法により点検を実施するよう準備を進めていると聞いております。

○菅原委員 水道局からは、今回の事案を、都民の信頼を根底から揺るがすものであり、大変重く受けとめているという答弁をいただきました。この点は、私たち共通をしているのだと思います。
 そこで、私は、一度立ちどまって事業全般を見直すことが必要なのではないかと考えています。
 数年前に、大相撲で問題がありましたよね。あのときに、大事な興行自体を中止したことがありました。また、最近では、不祥事のあった大手の飲食チェーンが、全てのチェーン店を一日休業して社員全員の研修に当てた、こんなこともあります。
 水道局は、都民生活に直結する事業ですから、全ての事業をとめることはあり得ませんけれども、今ある事業のやり方、あり方や必要性、または方向性などを見詰め直す時間があってもいいのではないかと思います。
 きょうの水道局の答弁で全体的に感じるのは、事業の改善を漢方薬で進めようと、こんなことを感じました。私が求めているのは、漢方で改革を進める事態ではないんじゃないかな、外科手術が必要なのではないかということでございます。この点は、大きな開きがあることを指摘させていただきたいと思います。
 次の質問に入ります。
 水道局は、改善を進めていく意思を示しております。このことは応援をしたいと思います。その上で、この改善点をどの機関に報告をして、認証を受けていくのか伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 当局では、今回の特別監察の結果も踏まえ、今後、当局と監理団体との関係や東京水道グループのガバナンスのあり方など、東京水道グループ全体の構造的な課題について、四月に設置する第三者委員会で検証し、必要な提言をいただくこととしております。
 この提言をもとに、当局が責任を持って必要な改善策を迅速に実施をし、東京水道グループ全体のガバナンスとコンプライアンスを徹底して図っていきたいと考えております。
 こうした取り組みにより、お客様の信頼回復につなげてまいります。

○菅原委員 この第三者コンプライアンス委員会でしょうかね、これらの委員会の設置の目的、そして設置は誰がするのか、そしてその概要などをご報告いただきたいと思います。

○金子職員部長 当局ではこれまで、過去二度の事件に対するさまざまな再発防止策を局内で検討し、実施してきましたが、それにもかかわらず新たな事故が判明いたしました。
 そのため、事故の直接的な要因のみならず、局事業の構造的な課題についても、外部の視点から検証し、根本的な改善策を策定することを目的として本委員会を設置することといたしました。
 また、その後、東京水道サービス株式会社に対する特別監察において厳しい指摘があったことから、監理団体のコンプライアンスにつきましても、本委員会の検証対象とすることといたしました。
 本委員会は、法曹関係者、公認会計士、学識経験者から成る四名の有識者で構成する予定でありまして、東京水道の課題を各委員の専門的な知見を生かしたさまざまな観点から包括的に検証し、助言や提言を行っていただきます。
 また、本委員会を円滑に運営するための事務局として、コンプライアンス専管組織を局内に新たに設置いたします。

○菅原委員 では、二つ伺います。
 この検証事項が何なのかということが一点、もう一つは、やはりこの会議はある程度公開する部分があろうかと思います。この二点について伺いたいと思います。

○金子職員部長 本委員会では、東京水道グループとして、局及び監理団体が抱えるコンプライアンス上の課題につきまして、原因分析の妥当性や対策の有効性及び適法性、代替策の可能性、さらには他団体、他企業との比較等の視点から幅広く検証を行っていただきます。
 具体的には、局について、昨年判明した当局職員による情報漏えい事故の調査特別チーム中間報告書に掲げた再発防止策を検証の対象といたします。
 また、監理団体につきましては、今般の東京水道サービス株式会社への特別監察で指摘されている監査や人材育成のあり方に加え、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCとの統合後の新会社における内部統制につきましても検討の対象といたします。
 さらに、委託業者との関係や組織運営上の問題など、東京水道の構造的な課題についても検証を行います。
 また、公開方法についてでございますけれども、水道事業に対する都民の信頼を回復していくためには、本委員会における検証の過程を公表していくことが重要であると認識しております。
 本委員会におきましては、個人情報や契約情報などの秘密情報を扱うこととなるため、会議自体は非公開といたしますが、議事概要等は、会議終了後、速やかに公表いたします。また、検証結果や改善に向けた助言や提言を取りまとめた委員会の報告書を、年内を目途に公表する予定でございます。

○菅原委員 行政が行う会議、特に諮問機関的な会議には、事務局に主導権がある場合が少なくないと感じております。しかし、今回の第三者コンプライアンス委員会は、委員の自律性や主体性が重要になってくるのではないかと思います。その認識を伺います。そしてまた、その主体性を担保する方法についても伺いたいと思います。お願いいたします。

○金子職員部長 東京水道のコンプライアンス強化に向け、局や監理団体の抱える課題を抜本的に改善するためには、本委員会の自律性や主体性を確保した上で検証し、助言や提言をいただくことが重要と認識しております。
 そのため、本委員会には、昨年判明した事故の再発防止策に関しまして自由な議論を通じて助言や提言を行っていただくことはもちろん、局や監理団体の構造的な課題においては、過去の包括外部監査等における指摘事項や各職場で行うリスクの総点検の結果など、さまざまな素材を委員会に提供した上で委員会において課題を抽出し、改善策の策定に向けた助言や提言をいただきます。
 一方、局内には、コンプライアンス専管組織を新たに設置し、委員会での検討のための素材提供や、委員の指示による必要な調査を行うほか、委員の意見や指摘に基づき報告書を取りまとめる作業などを担います。加えて、この組織には、法曹関係者を任期つきで登用する課長級職員を配置しまして、事務局機能にも客観性を確保しながら、委員会の活動をサポートしてまいります。

○菅原委員 今回の特別監察の報告を通して、東京都が推進してきた東京水道グループとしての一体化した事業の問題点というのが浮かび上がったのではないかと思います。
 私は、今回の問題の焦点というのは次の項目にあると感じています。六項目です。
 一つ目は、具体的に明らかになった事案、いわゆる最初の五つですね、この事案を通した事業をもう一回見直そうということ。二つ目は、東京水道サービス株式会社が抱える自律性の欠如、思考停止の状態、これを改善しなきゃいけないねということ。三つ目は、その原因の一つとなっている東京都からの人事の問題。四つ目は、改革を進めるための処方箋、これは漢方薬なのか外科手術なのか、この辺も議論ではないかと思います。五つ目は、今、お話がありました第三者委員会、これが自主的に運営されるということが担保されなければいけないと思います。そして最後、これらを都民に示して、その信頼を担保した上で、その上でPUCとの合併に進むということ、こういう議論が必要ではないかと思っております。これらを踏まえて、新年度の水道局の事業執行を進めていただきたいと思います。
 最後に、水道局長の決意を伺いたいと思います。

○中嶋水道局長 昨年明らかになりました情報漏えい事故に引き続きまして、今回、特別監察で指摘を受けましたことは、当局のこれまでのコンプライアンスに対する信頼を覆すもの、そして東京水道グループ全体としても構造的な課題に原因があると痛感しております。局長として、極めて重く受けとめております。
 今後、私みずから先頭に立ちまして、速やかに外部の視点も取り入れ、見直すべきものは大胆に見直し、東京水道グループ全体の組織改革などを進めまして、東京水道が抱える構造的な課題の解決に全力を挙げてまいります。
 また、同時に、当局の本来使命でございます都民生活と首都東京の基幹的なライフラインによる二十四時間三百六十五日、安全でおいしい高品質な水道水を安定供給するとともに、お客様サービスを一層向上し、将来を見据えたさまざまな改革を遅滞なく推進してまいります。こうした取り組みを総合的に進めることで、東京の水道事業を預かる公営企業管理者としまして責務を果たしてまいります。

○舟坂委員 水道局の情報漏えい事故の再発防止の取り組みも道半ばの中で、今回、東京水道サービス株式会社の特別監察で委託先業者と飲食を伴う会合、未実施の点検を実施したとする虚偽の報告、工事監督における竣工写真の改ざんの指示の不適正な事案があったこと、そして、この原因として、同社における内部統制やコンプライアンスに対する意識の低さ、主体性の衰退、水道局のガバナンスの甘さなどが指摘されたことは甚だ遺憾であります。
 同社は、都の水道事業の一翼を担っていることは事実であり、多摩地区水道の事務委託解消が計画どおりに進められたのも同社が業務の受け皿として機能したもので、これもまた事実であります。そして、これを現場で支えてきたのは水道局のOB社員の皆さんであることもいうまでもありません。
 この問題が公表され、真面目に働いているOB社員を初め社員の多くは困惑しているのではないでしょうか。この問題は、水道局と同社、そして東京水道グループ全体の組織的な問題と捉えるべきと考えます。
 そこで、今回の東京水道サービス株式会社の指摘に至った要因をどのように認識しているのかお伺いをいたします。

○石井経営改革推進担当部長 今回の特別監察では、東京水道サービス株式会社における過去の不適正事案への対応が不十分であるとともに、内部統制に改善が必要であるとの厳しい指摘を受け、当局としても大変重く受けとめております。
 これらの指摘は、同社の内部統制やコンプライアンスに対する意識の低さや、当局のガバナンスの甘さなど、水道局及び監理団体から成る東京水道グループ全体の構造的な課題に原因があると認識をしております。

○舟坂委員 東京水道サービス株式会社が、指摘されたさまざまな課題を同社がみずから改善することは至極当然ですが、私は、指摘にもありますが、水道局のガバナンスの甘さが何よりも大きな課題と考えております。
 水道事業、そして安定給水を確保する責任は水道局が担っていることは当然のことであります。水道局が同社に水道事業の一翼を担わせているわけですから、水道局が責任を持って改善することが必要と考えます。
 今後、水道局がどのようにガバナンスを発揮していくのかをお伺いいたします。

○石井経営改革推進担当部長 当局ではこれまで、取締役と監査役の増員等を通じて東京水道サービス株式会社への指導監督を強化してまいりました。しかし、取締役会や監査役が従前同様に形骸的で有効に機能しておらず、当局のガバナンスが発揮されていない状況であったことも事実でございます。
 そのため、今後は、同社の取締役会において、社の内部統制やコンプライアンスについて集中的な議論を進めるほか、会社法上、大会社に求められる水準と同等の体制を整備するよう、同社に対して強く指導を行ってまいります。
 また、当局と監理団体の関係や、東京水道グループのガバナンスのあり方などについて、本年四月に設置する第三者コンプライアンス委員会で検証し、提言をいただき、必要な改善策を迅速に実施することで東京水道グループ全体のガバナンスの徹底を図ってまいります。

○舟坂委員 繰り返しになりますが、水道局が責任を持って改善すること、これを強く指摘しておきます。
 局の同社に対するガバナンスを強化することは重要ですが、人材に目を向けることも重要であります。冒頭にも申し上げましたが、水道局のOB社員が活躍されていますが、水道局の職員がもっと同社の業務に携わることも必要なのではないでしょうか。
 現在、局から同社への職員の派遣は、経営層と業務移転に伴うものが大半と聞いております。業務を実際に行っている現場にも局職員を派遣することが同社の改善、そして局と同社の人材育成に必要と考えます。また、同社の固有社員が局の業務を学ぶことも、水道技術を維持向上させる上で重要であると思います。
 局と東京水道サービス株式会社との人材交流をどのようにしていくのかお伺いをいたします。

○金子職員部長 当局と東京水道サービス株式会社が、一体的な事業運営体制のもと水道事業を円滑に進めていくためには、局職員のみならず同社の社員の人材育成が重要でございます。
 これまで当局から同社に職員を派遣し、計画策定などの社内マネジメント支援に加え、給水所施設の点検、保全など現場作業を通じて技術の継承を行っております。また、同社から局の事業実施部門に研修生を受け入れ、若手社員の育成を行っております。
 今後、当局職員の同社への派遣を、現場を含む多様なポストへ拡充し、局と同社の効果的な人材育成につなげてまいります。また、同社からの研修生の受け入れにつきましても、企画部門などを初めさまざまな部門に拡充し、一層幅広い視点で事業を習得させ、同社のマネジメントにフィードバックさせてまいります。
 このように、人材の相互交流を一層拡大し、水道事業を支える人材を育成することにより、東京水道グループとして強固な人材基盤を確立してまいります。

○舟坂委員 ぜひ長期的な視点を持って、東京の水道を持続的に支える人材の育成に取り組むことを要望しておきます。
 この東京水道サービス株式会社の件は課題が多く、改善に向けて議論することが必要でありますが、総務委員会や予算特別委員会でも多くの議論が行われておりますので、本日の私からの課題の洗い出しはこの程度にしておきますが、最後にリーダーの姿勢をただしておきます。
 水道事業の責任者は、公営企業管理者である水道局長にあることは当然のこと、そして、東京都の水道事業の最終責任者は都知事にあると認識しております。小池知事がこの場にいないので申し上げても仕方がないのですが、知事のこの件に関する発言を聞いていると、東京都の水道事業の責任者としての認識がないといわざるを得ません。
 知事からは、水道という現場は局長に任せていますと、言葉の端々にあらわれておりませんか。現場に目を向けて現場の声を聞いてこそ、水道事業が運営できるのです。小池知事は、知事としての責任を全うしているとはいいがたいと考えます。姿勢を改め、水道局の構造的な課題という、ぜひ責任を持って改善に取り組むべきであります。強く指摘をしておきます。
 また、水道局長も水道事業の責任者として、その重さを改めて認識していただきたいと思います。東京水道グループを統括する水道局長が責任を持って改革すべきであります。その見解をお伺いいたします。

○中嶋水道局長 当局職員の情報漏えいの発覚に続きまして、東京水道サービス株式会社に関する不適正事案への対応が指摘されましたことは、東京の水道事業の信頼を根底から揺るがすものであり、局長として大変重く受けとめております。
 この状況は、水道局及び監理団体から成る東京水道グループ全体の構造的な課題に原因があると私自身痛感しております。
 当局としましては、直ちに団体に対しまして再発防止策を含む内部統制体制を見直すよう、改めて指示いたしますとともに、今後設置いたします第三者委員会におきまして、外部の視点から監理団体を含む東京水道グループ全体の人事、契約制度など構造的な課題を検証し、必要な提言をいただいてまいります。
 この提言を踏まえまして、来年度の統合に向け、組織構造改革などを進めるとともに、局と監理団体が担うべき役割をしっかりと見据え、技術継承や経営基盤の強化を図り、東京水道が抱える構造的な課題を解決してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、私が責任を持ちまして東京水道グループ全体のガバナンスとコンプライアンスを徹底し、都民の信頼回復に向け総力を挙げて取り組んでまいります。

○舟坂委員 小池知事には、最終的には責任は知事にはあるんですよと、ぜひお伝えをいただきたいと思います。
 続けて、平成三十一年度の予算審議に当たり、何点か質問させていただきたいと思います。
 我が党はこれまでも、首都直下地震に備えた水道管の耐震継ぎ手化を初め、漏水の発生リスクが高い老朽化した管路の解消にも早急に取り組んでいくべきと主張してきており、本定例会の一般質問において、私は今後の水道管路の更新に関して質問をいたしました。
 これに対し水道局は、災害や漏水事故などの発生に万全を期するため、更新する管路については、今後、優先順位を明確にし、重点的かつ効率的な整備を進めていくとのことでした。また、現在進めております重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化において、大学、高等学校、公民館等の完了年度を三年前倒しするとともに、取りかえ困難であった箇所に点在する老朽管を集中的に更新し、いずれも二〇二〇年度までに完了させるとのことであります。
 平成三十一年度予算を見ますと、配水管の耐震強化として、取りかえ延長が三百六十七キロメートル、前年度から六十八億円増の一千二十億円の予算が計上されております。
 まずそこで、改めて、平成三十一年度の配水管の耐震強化の具体的な内容についてお伺いをいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 当局では、震災時の断水被害を効果的に軽減するため、水道管路の耐震継ぎ手化など、管路の更新に計画的に取り組んでおり、平成三十一年度は約三百六十七キロメートルの取りかえを予定しております。
 現在、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を重点的に推進しており、首都中枢機関や救急医療機関、避難所となる中学校、一日当たりの乗車人数が二十万人を超える主要な駅、大規模救出救助活動拠点及び東京二〇二〇大会関連施設の五つを対象とする供給ルートの耐震継ぎ手化については、目標の平成三十一年度の完了に向け着実に取り組んでまいります。
 また、交通量の多い幹線道路の交差点などに点在しております取りかえ困難管についても、平成三十一年度は八十八カ所、約三キロメートルの取りかえを集中的に進めてまいります。

○舟坂委員 取りかえ困難管は、布設年度が古く、漏水発生のおそれがあるため、本来であれば既に更新されているべきではありますが、交通量が多い幹線道路に埋設されていたり、他のライフラインの管路とふくそうするなどの理由から残っているようでもあります。このような取りかえ困難管を着実に更新するためには、どのような課題があり、どのように解決していくのかをお伺いいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 取りかえ困難管は、交通量が多い幹線道路の交差点や地下埋設物とふくそうする施工が困難な箇所に点在しております。さらに、取りかえ困難管の中でも、管口径が大きい配水本管は深い位置に埋設されており、その取りかえには大規模な仮設工事が必要となるなど高い技術力が求められます。
 そこで、工事に当たっては、道路を掘削せずに取りかえが可能な既設管の中に新しい管を挿入する工法や推進工法など、さまざまな工事手法を採用していくことといたします。また、高い技術力を必要とする配水本管の取りかえ工事については、工事事業者の技術力の向上に取り組み、受注できる工事事業者を一層確保してまいります。
 こうした取り組みにより、二〇二二年度までに取りかえ困難管を解消いたします。

○舟坂委員 ただいまの答弁の中でも、工事事業者の確保と技術力の向上が重要とのことでありますが、本定例会の一般質問において、局は、発注者が率先して工事事業者の技術力の維持向上に取り組むことが重要であり、関係団体等のニーズを把握し、多様な技術支援を検討していくとのことでありました。
 そこで、現段階で工事事業者からどのような声が上がっているのかをお伺いいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 中小の工事事業者さんからは、配水本管の取りかえ工事について、大規模な土どめなどの仮設の設置に高度な知識や技術が求められる、また、工事着手時の試験掘りで他の埋設物とのふくそうが判明し、施工方法の再検討が必要となる場合が多く、工事中止期間が長期に及ぶリスクがある、技術力や経営の視点から、本管の取りかえ工事を受注しづらいなどの声が寄せられております。

○舟坂委員 工事事業者の意見を聞き取り、発注意欲の向上に努め、工事事業者への技術支援策の検討を具体的に進めることは非常に重要なことではありますが、技術力は一朝一夕に向上するものではありません。
 そこで、工事事業者の施工能力を確保するためには、発注者として速やかに技術支援策を実行することが必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 これまでいただいた工事事業者のご意見を踏まえ、工事事業者の技術力向上に向け、局の研修施設を活用した高度な配管技術を学べる実務研修を初め、仮設や工事書類作成の留意点などについて解説する講習会の開催を検討しています。こうした研修会や講習会を平成三十一年度から速やかに実施するとともに、今後、関係団体等との意見交換を重ねながら、さまざまな技術支援について速やかに取りまとめてまいります。
 さらに、ご意見があった工事中止期間の短縮に向け、平成三十一年度から取りかえ困難管等の工事における設計段階での試験掘りを新たに導入し、より正確な現場状況を反映させた工事を発注してまいります。

○舟坂委員 都内の水道工事の多くは中小の工事事業者が担っており、その多くは、人材面、経営面などにおいて余裕がなく、みずからの力で技術力を向上させることが難しい状況であると推察されます。今後、中小の工事事業者の技術力向上に向け、さまざまな技術支援策を講じていくことを強く要望いたします。
 局はこれまでも、管路の耐震化など、さまざまな災害対策に取り組んでいますが、こうした取り組みを行っていても、首都直下型地震が起きた場合には、断水は発生し得ると考えておかなければなりません。昨年六月に発生した大阪北部地震では、吹田市の病院、国立循環器病研究センターで給水装置の破損により断水したため、自衛隊の給水車が緊急派遣され、応急給水が行われたと聞いております。このように、人命に直結する病院が被害を受けた場合には、より迅速な応急給水が必要であります。
 都内には、六百強の病院がありますが、局の計算によると、発災時に断水した場合には給水車により水を運搬するとのことです。具体的には、局が現在所有している給水車十四台に加え、ほかの都市からの応援による給水車で応急給水を行っていくとしております。しかし、応援部隊の到着には、道路や橋を初め、地域の状況を考えますと時間を要することから、発生初期の給水体制に不足が生ずるおそれがあります。このような状況の中、局は、平成三十一年度に給水車を九台購入し、さらには翌年、七台の追加配備を計画していると聞いております。
 そこで、給水車の追加配備をすることで応急給水体制がどのように充実するかをお伺いいたします。

○松丸総務部長 当局では、現在、先生ご指摘の給水車十四台を、区部では杉並区にある水道緊急隊等に十台、集中的に配備いたしております。エリアが広い多摩地区におきましては、四カ所の給水管理事務所に各一台配備するとともに、他都市等からの支援による給水体制を確保しております。
 今後、二〇二〇年度までに十六台を新たに購入することとしており、区部では水道緊急隊に加え、八カ所の支所等に分散して配備することで病院への移動距離の短縮化が図られます。
 また、多摩地区では既存の給水車に加え、必要に応じて水道緊急隊から給水車を派遣することが可能となり、バックアップ体制が充実いたします。これにより、より多くの病院への応急給水が可能となり、他都市等の救援部隊が到着するまでの災害発生初期の応急給水体制が充実強化されます。

○舟坂委員 局が災害発生時に人命にかかわる病院への応急給水対策を強化していることは理解ができました。しかし、給水車の配備を拡充しただけでは、実際の災害時に水を確保する実効性を担保することは困難と考えられます。
 そこで、病院への応急給水の実効性を確保するための方策についてお伺いをいたします。

○松丸総務部長 病院への応急給水の実効性を確保するためには、関係機関と協力した訓練の積み重ねが重要でございます。
 当局ではこれまでも、全ての災害拠点病院を対象に、給水車による給水の手順等を確認するための実地訓練を実施してきております。本年一月、首都直下地震を想定し、二十三の大都市が参加する合同防災訓練を初めて実施いたしました。この訓練の中で、都立広尾病院に当局及び各都市の給水車を出動させ、病院への応急給水の流れについて、救援隊となる各都市とも連携して確認や習熟を図りました。
 今後は、災害拠点病院以外の病院につきましても、関係各局と連携し、各病院の貯水槽の容量や設置位置等の情報を事前に把握するための調査を進めるとともに、給水車による応急給水訓練をさらに充実させてまいります。こうした取り組みを着実に実施していくことで、発災時の対応に万全を期してまいります。

○舟坂委員 発災時に蛇口から水が出なくても、都内各所に配備された給水車より機動性を持った展開ができるのかなとは思います。しかし、東京は大変に広いわけですから、新たに十六台配置するだけではなく、また次の課題にも取り組んでいただければと思います。
 次に、命に直結する病院などの重要施設を初め、都民生活や都市活動に欠かせない水をつくるための浄水場について質問をさせていただきます。
 私の地元にある金町浄水場では、現在、総事業費三百二十億円をかけ、送配水ポンプ所を新たに整備しております。先月、二月二十八日に私も現地を視察してきましたが、この新たなポンプ所は平成三十一年七月から運転を開始する予定で、一日最大百五十万立方メートルの施設能力を有し、約二百九十万人の都民生活を支えることになります。
 そこで、改めてこの送配水ポンプ所の整備による効果をお伺いいたします。

○横谷設備担当部長 新たに送配水ポンプ所を整備することで耐震性が確保され、金町浄水場から配水する葛飾区を初め区部東部における給水安定性が向上いたします。
 また、三カ所に分散している送配水ポンプ所を一カ所に集約し、同一型のポンプを設置することで、ポンプ所の運転管理が単純化され、誤操作を防止できるほか、点検や保全にかかる時間を短縮できます。
 さらに、今回導入するポンプ設備には、より高効率な省エネルギー型の制御装置を採用することから、電力の削減と環境面でのメリットがございます。

○舟坂委員 ポンプ所の更新により耐震性が確保されるとの答弁でしたが、つくった水を送り出す重要施設の安全性の向上は評価をいたします。
 また、環境面でもメリットがあるとのことですが、水道局の年間の電力使用量は、都内の総電力使用量の約一%にも上っており、ポンプの運転を含む配水にかかわる電力使用量は非常に大きいと聞いております。地球温暖化の軽減策としてCO2削減が叫ばれる中、施設の整備に当たっては、電力の大口使用者としてエネルギーの効率化も意識し、CO2等の排出抑制に努めるべきです。
 そこで、今回導入するポンプの環境面での具体的な効果についてお伺いをいたします。

○横谷設備担当部長 金町浄水場において整備中の送配水ポンプは、一日最大百五十万立方メートルの水道水を送り出す非常に大型のポンプであり、その使用電力量は浄水場全体の約四割を占めております。
 ポンプの整備に当たっては、水量や水圧の変動に対して電動機の電圧や周波数を変化させることで、より高効率な運転が可能となるインバーター制御方式を採用することにより、送配水ポンプが使用できる電力量の約五・五%、年間約二百二十万キロワットアワーを削減できる見込みでございます。これは一般家庭約七百四十世帯分の電力量に相当し、電力料金に換算すると年間約四千二百万円、CO2削減量は約千百トンとなります。

○舟坂委員 今の答弁により、給水安定性を確保した上で、環境にも配慮した施設に生まれ変わるということがわかりました。完成に向けて着実な施設の整備に努めていただきたいと思います。
 視察した金町浄水場は、開設以来、水道需要の増加に伴い、相次ぐ拡張工事を行いながら需要に見合う施設能力を確保しつつ、都民生活を支えてきました。こうした経緯から、各施設、そして設備が混在し、配置も複雑となっております。このため、今後集約される既存の三つのポンプ所の用地は有効に活用していただきたいと思います。
 そこで、新ポンプ所の完成後、旧ポンプ所の用地はどのように活用するのかをお伺いいたします。

○青木浄水部長 金町浄水場を含む大規模浄水場では、長期に及ぶ更新工事を計画的に推進するため、定期点検に基づき適切な補修を行う予防保全型管理を導入いたしまして長寿命化を図ることとしており、金町浄水場の更新は二〇五〇年代となる予定でございます。
 更新の際には、将来の水道需要に見合う都全体の施設能力を考慮した上で、効率的な施設レイアウトを検討することとしてございまして、旧ポンプ所用地の利活用につきましても、この中で検討してまいります。
 当面は、既存の建物を撤去し、経常的な維持工事等の資材置き場などとして有効利用してまいります。

○舟坂委員 浄水場内の貴重な用地であることから、中長期的な視点での活用を十分に検討していただきたいと思います。さらに、浄水場の更新については、全体の更新期間が約六十年から約九十年に延伸され、金町浄水場の更新時期は二〇五〇年代になると聞いております。現在の施設を長期に活用していかなければならず、水をつくる重要な浄水施設としても健全な状況を確保していくことが重要であると考えます。
 そこで、浄水場における浄水施設などのコンクリート構造物の長寿命化に向けた取り組みについて伺います。

○青木浄水部長 浄水場の更新は、長期にわたり多額の経費が見込まれることから、より効率的な施設整備に向け、安定給水を確保しつつ事業量を平準化しながら計画的に推進する必要がございます。
 また、浄水場における浄水施設などのコンクリート構造物につきましては、更新を迎えるまでの間、常に健全な状態を確保していくことが重要でございます。このため、定期的に点検を行い、コンクリートのひび割れや剥離などの状態を的確に把握するとともに、構造物の耐久性に影響を及ぼす中性化やすり減りなどにつきまして、定量的に劣化予測を行った上で、適切な補修を実施いたします。
 こうした予防保全型管理を確実に実施することで長寿命化を図ってまいります。

○舟坂委員 将来にわたり安定給水を確保するため、次の世代に浄水場の施設を健全な状態でしっかりと引き継いでいただきたいと思います。
 二〇一九年には、天皇即位やラグビーワールドカップなどの歴史的なイベントが実施され、テロの脅威が高まっていると考えられます。我が党では、浄水場の重要性を鑑み、かねてからテロ対策の重要性を主張してきました。先日もそのような観点で、施設の覆蓋化や守衛による入退場管理、監視カメラによる警備の状況等についても確認をいたしました。さらには、東京二〇二〇大会の開催が控えており、テロ対策を強化すべきと考えます。
 テロ対策の具体的な内容については、機密情報が多く含まれるものと推測します。そこで、テロ対策に対しては、毎年のように委員会で取り上げられておりますが、差しさわりのない範囲で今後のテロ対策の考え方についてお伺いをいたします。

○青木浄水部長 浄水場は、都民に安全でおいしい水を供給するための基幹施設でございまして、テロ対策に万全を期す必要がございます。
 このため、施設の覆蓋化や警備会社による機械警備、守衛巡回警備などの侵入防止対策、職員のテロ対処訓練への参加による対応力向上など、局の行動計画に基づいたさまざまな取り組みを実施し、テロの脅威に備えております。
 今後、世界の注目が東京に集まるラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会などの国際的なイベントの開催時には、テロの脅威に応じた警備強化を行うことでテロ対策に万全を期してまいります。

○舟坂委員 東京二〇二〇大会に向け、テロ対策により一層励んでいただきたいと思います。
 最後に、平成三十一年度の事業運営をどのように取り組んでいくのか、その決意を水道局長にお伺いいたします。

○中嶋水道局長 水道事業は、都民生活と都市活動を支える基幹ライフラインでございまして、持続的に運営していくためには震災やテロなどさまざまな脅威の備えとともに、安定供給のために必要な施設整備を着実に実施していかなければなりません。
 それぞれの取り組みにつきましては、ただいまのご質疑を通しまして、担当の部長からご答弁をさせていただきましたが、水源から蛇口に至るこの水道システムを、長期的視点にも立ちまして、より一層強靱かつ持続可能なものとしていくため、ハード、ソフト両面にわたり局が一丸となって全力を挙げて取り組んでまいります。
 また、このたびの一連の不祥事への対応としまして、来年度の最大の課題は、局の構造的な課題の解決にあると考えております。そのため、水道局職員及び関連団体社員一人一人が水道事業を担う責任を改めて強く認識いたしますとともに、外部有識者の視点を入れた抜本的な改革を進め、グループ全体のガバナンスとコンプライアンスをより一層強化し、都民の信頼回復に努めてまいります。
 こうした取り組みを進め、信頼性の高い水道システムを構築し、将来にわたり首都東京の安定給水の供給に努めてまいります。

○加藤委員 私からは、初めに排水処理施設の委託契約における談合疑惑に関して伺います。
 昨年十二月の公営企業委員会では、契約の面から質疑をしました。競争性の確保と談合の防止のため、局自身の取り組みと受注者の立場に立った取り組み、外部からのチェックといった三点からの問いでありました。今回は、さきの委員会でただした事項のこれまでの取り組み状況と、三十一年度の内容について確認していきたいと思います。
 さきの委員会では、事業者の意見を十分に聞きながら、契約のあり方を見直すとの答弁がありましたが、来年度の排水処理施設に係る委託契約はどのような考え方で発注したのか伺います。

○青木浄水部長 平成三十一年度の排水処理施設運転管理作業委託の検討に当たりまして、全国における排水処理業務委託の受注実績を有する十七者に対しましてヒアリングを実施いたしました。
 その結果、複数の事業者から受託に前向きな意思を確認できましたが、人員の確保と業務習熟が最大の課題であることが明らかとなりました。そこで、排水処理量が比較的少ない三郷浄水場、三園浄水場、小作浄水場及び玉川浄水場の四浄水場につきましては、少ない人員で運転が可能であることから、新規参入を促すため、実績要件を緩和するなど入札参加条件を見直した上で、当該業務を委託により発注することといたしました。
 一方、大規模浄水場である東村山浄水場、金町浄水場及び朝霞浄水場につきましては、入札参加条件を初め契約手続全般を抜本的に見直すため、平成三十一年度に限り職員の直営で運転する体制といたしました。

○加藤委員 来年度の排水処理施設に係る委託契約の考え方を確認いたしました。一部の大規模浄水場では、職員による直営で行うということですが、しっかりと体制を確保して実施していただきたいと思います。
 また、委託を行う四つの浄水場については、競争性を発揮しながら確実に履行できる事業者の確保が必要であると考えます。
 そこで、契約手続においてはどのような見直しを行ったのか、また、落札結果はどのようになったのかを伺います。

○志村経理部長 契約手続の見直しでございますが、平成三十一年度における排水処理施設運転管理作業委託契約では、談合等の不正競争防止のため、入札参加条件に独占禁止法違反等の法令違反がない旨の誓約書を提出することを追加いたしました。
 また、受託者が変更となる場合における業者の引き継ぎ期間を十分確保できるよう、二月中旬に入札契約手続を前倒しいたしました。
 さらに、今回の事故を踏まえて実施した事業者ヒアリングにおきまして、落札者が落札決定後に契約を締結しない場合に指名停止措置を受ける規定があるため、複数の類似案件の開札日が同一では、履行能力を超えた落札とならないように入札参加希望を控えてしまうとの意見があったことから、案件ごとの落札日をずらすことといたしました。
 これにより、既に類似案件を落札した事業者が、次に開札される案件について入札を辞退することが可能となりました。
 この結果、入札を実施した二案件につきましては、これまでとは別の業者が落札をいたしました。

○加藤委員 一部でありますけれども、こうした当該契約の改善がされたことはよかったと思います。
 さきの中間報告では、抜本的な対策として複数年契約と総合評価方式の導入を行うこととしています。そこで、三十二年度の契約に向けた検討状況について伺います。

○青木浄水部長 平成三十二年度からの排水処理施設運転管理作業委託でございますが、受託者の作業員の安定確保に加え、価格及び業務履行能力なども評価するため、五年間の複数年契約と総合評価方式の導入を予定してございます。
 総合評価方式の導入に当たりましては、公正かつ適切に事業者の履行能力を評価する基準の作成と学識経験者の意見を得る必要がございます。
 現在、当該業務の特性を踏まえた評価項目、審査基準及び学識経験者の人選等につきまして検討を進めているところでございます。

○加藤委員 現在、評価項目や審査基準、学識経験者の人選について検討中とのことですけれども、契約の公正性、透明性を担保し、今回のような事件が二度と起こらない制度となるよう、引き続き取り組みを進めてもらいたいと思います。
 次に、契約手続の監視体制強化について伺います。
 これまで物品契約と工事契約とそれぞれに委員会があるとのことですが、これまでどのような活動を行ってきたのか伺います。

○志村経理部長 現行の物品契約監視委員会では、水道用資機材や水道メーターの購入契約において、過去に発生した独占禁止法違反事件を踏まえ、水道事業運営上、特有な物品の購入契約のうち、大量かつ継続的に購入が見込まれるものを対象として、落札金額や入札参加者数の推移等の調査を行っております。この調査結果につきましては、公正取引委員会に情報提供するとともに、当局のホームページにおいても公開をしてございます。
 また、工事契約監視委員会では、平成二十六年度の職員の情報漏えい事故を踏まえまして、落札価格が予定価格や最低制限価格と近似値になった案件を対象として、設計担当職員や業者へのヒアリング調査を実施してございます。

○加藤委員 この再発防止策では、今答弁のあった二つの委員会を統合し、機能強化を図るとしていますが、具体的にはどのような活動を考えているのか伺います。

○志村経理部長 これまで物品契約監視委員会では談合防止、工事契約監視委員会では情報漏えい防止を目的に調査を行い、落札結果の数値的な分析を中心に行ってまいりました。今後は、本年四月に二つの委員会を統合し、新たに、仮称でございますが、契約監視委員会を設置いたしまして、談合、情報漏えいの両方の防止を目的とした調査を実施してまいります。
 また、同一業者が複数年にわたり高落札率で受注している案件など、特に注意が必要な案件を抽出し、所管部署や契約の相手方、同業者へのヒアリングなどの詳細調査を実施いたします。さらに、それぞれの契約が法令はもとより庁内、局内で定められたルールや方針を遵守しているか、都民が期待している使命に沿っているか、質の高い効果的なものになっているかといったコンプライアンスの観点からの調査も検討しております。
 このように、新たな視点を取り入れた取り組みを行うことにより監視を強化してまいります。

○加藤委員 ぜひ実効性のある取り組みをお願いしたいと思います。また、調査監視活動を行うことは、事業者に対する不正行為への抑止力としての効果も期待できます。ぜひ効果的な監視活動を行うとともに、結果については広く公表をしていただくことを望みます。
 そして、事業者への監視の目を光らせている取り組みを示すことも重要ですが、より積極的に不正行為防止に向けた姿勢を示す必要があると考えます。局の見解を伺います。

○志村経理部長 独占禁止法違反等の行為については、これまでも契約約款上において、契約解除や違約金、損害賠償の支払いを規定してございます。
 今回の事故を受けた再発防止策としましては、契約手続上の機密情報を聞き出そうとする行為である、いわゆる探り行為に対するペナルティーを強化いたしました。
 具体的には、まず一回でも探り行為があれば、事業者に対して文書で注意を行うこととし、担当職員に対しても所属長と契約所管部署への報告を義務化いたしました。
 次に、探り行為を行った事業者に対しまして、都の契約事務協議会の審議を経て注意喚起を行った場合は、それ以降一年間は、水道局が発注する契約案件への入札参加申し込みのあった際、指名決定を保留して調査の実施と誓約書の提出を求め、提出がない場合には入札を取りやめることといたしました。
 そして、以上の取り組みを示した文書を作成し、水道局発注の全ての契約案件について、案件公表時に入札参加に必要な仕様書等とともにこの文書を配布して、局の不正行為防止に向けた姿勢を示すとともに、事業者への注意喚起と周知徹底を図ってまいります。

○加藤委員 今、いろいろ答弁いただきまして、さきの委員会で質疑をして、ただした事項について取り組みが進められていることを確認をいたしました。
 また、さきの委員会で、水道事業は、お客様から信頼を得ながら事業を進めることが不可欠であると指摘をいたしました。信頼を高めていくためには、これまで質疑してきた再発防止策などに着実に取り組む必要があります。
 今後、四月に設置する第三者委員会での検証や調査特別チームとして最終報告書を取りまとめていくに当たって、さらなる対策に努めていただきたいと思います。
 一方で、説明責任の観点から、お客様とのコミュニケーションも重要です。特に、本定例会に上程されている給水条例などの改正案には、消費税率の改定に伴う料金改定の内容が含まれており、これは都民生活に直接的に影響するものであります。このため、料金改定の内容について確実に周知し、理解を得る必要があると考えます。
 そこで、今回の消費税率の引き上げに伴う水道料金等の改定について、お客様に対してどのように周知を図っていくのか伺います。

○小山サービス推進部長 水道料金等の改定に当たりましては、お客様に料金改定の趣旨と内容を理解していただくことが重要というふうに認識しております。このため、お客様一人一人に対して当局は多様な広報媒体を通じてPRを展開してまいります。
 具体的には、水道メーターの検針時にチラシを各戸へ配布するほか、「広報東京都」への掲載や局ホームページ、ツイッター、フェイスブックなどを用いて広く周知を行ってまいります。また、局ホームページではチャットボットを活用いたしまして、より的確な解説等ができるよう対応を行うほか、お客様センターにおいても、想定される質問をあらかじめオペレーターに十分周知いたしまして、お客様からの問い合わせには迅速に対応してまいります。

○加藤委員 さまざまな方法により周知するとのことですが、東京都には一千四百万人に迫る都民が居住しており、その中には、障害者の方や外国人も多くおります。特に、外国人の人口は、平成三十一年一月時点で約五十五万人となっており、五年前と比べて四割近くふえております。
 そこで、障害者や外国人のお客様にも周知が届くようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○小山サービス推進部長 お客様に対する情報提供におきましては、情報のバリアフリー化も必要であるというふうに認識しております。
 このため、水道局はこれまで、希望するお客様には点字文書や音声コードつき文書を請求書に同封しておりまして、また、お客様センターでは多言語対応による案内等を実施いたしております。
 今回の料金改定に関するPRにつきましても、各戸に配布するチラシに音声コードや多言語併記で問い合わせ先を掲載するなど、きめ細かく対応してまいります。

○加藤委員 この音声コードなどのバリアフリー対策は、我が党が求めてきたことでもありますので評価をいたします。読みやすい活字であるUDフォントの使用もお願いしたいと思います。
 先ほど申し上げたように、料金改定は都民の関心が高い事柄です。周知の方法に工夫を凝らし、情報を確実に届けるよう要望いたします。
 次に、都民の関心ということに関連しまして、昨年十二月に成立した改正水道法について質問したいと思います。
 今回の改正水道法では、水道の基盤強化を図るため、広域連携や官民連携の推進などが規定されています。とりわけ、官民連携の推進については、民営化をうたうさまざまな報道がなされ、都民の関心も非常に高いものでありました。しかし、改正水道法で新たに導入されることとなった指定給水装置工事事業者への更新制の導入も大きなポイントの一つと考えます。
 我が党は、不適格事業者の排除を図り、水道利用者の安全・安心を確保するため、かねてより更新制の早期導入を主張してきました。このため、私からも平成二十九年一定の公営企業委員会で更新制について質疑をし、水道法が改正された場合は、制度の適正な運営に努めるよう要望いたしました。
 また、当委員会でも指定給水装置工事事業者制度における更新制の早期導入に関する意見書を取りまとめ、本会議の議決を得て国に提出をされました。現在、政令の改正案のパブリックコメントが行われており、本年十月一日には改正水道法が施行される予定と聞いています。こうしたことから、改めて更新制について何点か確認しておきたいと思います。
 まず、指定給水装置工事事業者制度における現状の課題について伺います。

○尾根田給水部長 現在、都が指定している指定給水装置工事事業者数は約五千八百社と非常に多く、そのうち約六%に当たる約三百五十社が所在不明であるなど、実態把握に苦慮しているところでございます。また、一部の指定給水装置工事事業者における無届け工事や不良工事が発生しており、工事を適正に行うための資質の保持が必要となっております。

○加藤委員 以前、私が質疑したときから状況が変わっていないということがわかり憂慮をしております。更新制の導入は、指定事業者の資質の保持と実態との乖離の防止を目的としており、こうした課題の解決が期待されます。
 改正水道法では、更新の要件は新規指定と変わりはないものの、五年ごとに更新を行わなければ指定が失効することになります。開始まで残るところ半年余りであり、十分な準備を進め、混乱を招かないようにしなければなりません。
 そこで、更新に必要な手続や導入に当たり必要な対応について、確認の意味で伺います。

○尾根田給水部長 改正水道法の施行を受けまして、東京都給水条例を改正した後の指定給水装置工事事業者の更新手続は、新規指定の申請手続と同様に、必要な書類の提出と更新に係る手数料を納入していただくことになります。また、給水条例の改正では、指定給水装置工事事業者の更新に係る手数料が現在規定されていないため、新たに更新に係る手数料を規定する必要がございます。

○加藤委員 今の答弁にありましたような手続や対応は、他の水道事業者においても共通のことと思います。しかし、都の指定事業者は数が非常に多いため、円滑な更新制の運営のためには十分な対策が必要と考えます。
 そこで、更新制の導入へ向けての水道局の対策について具体的に伺います。

○尾根田給水部長 改正水道法では、指定給水装置工事事業者の更新サイクルを五年ごとに規定しております。また、今後、施行が予定されている同法の施行令には、更新の申請時期について割り振る経過措置が設けられる予定でございます。
 都の指定する事業者約五千八百社は、現行の指定事業者制度の開始と同時に指定された事業者が多く、更新の申請時期が一定期間内に集中するおそれがあるため、申請の受け付け期間を分散し、事務の平準化を図る予定でございます。
 また、全ての事業者が更新制に円滑に対応できるよう、更新制手続に係る案内等を郵送するとともに、当局ホームページにて周知を図ってまいります。

○加藤委員 更新制は、水道利用者のための制度という側面が大きいものですが、指定事業者にとっても負担とならないよう、今の答弁にあったような対策を適切に講じることが重要です。更新制の導入によって支障を来すことのないよう、しっかりと準備を進めてもらいたいと思います。
 また、水道利用者にとっての安全・安心の確保につながるよう、指定事業者の資質の保持のための取り組みはもとより、都民に有用な情報の発信などにも取り組むよう要望しておきます。
 こうした水道利用者の安全・安心の確保と安定給水は水道局の最大の使命であり、社会的責任ともいえますが、これに加えまして、もう一つ重要な社会的責任があると考えます。それが環境対策でございます。
 近年、日本各地で集中豪雨などの自然災害が多発し、甚大な被害が発生しています。気候変動の影響の大きさと対策の緊急性が改めて浮き彫りになっています。東京でも、平均気温がこの百年で三度も上昇するなど、環境対策は都政においても重要課題であります。
 特に水道事業は、送配水過程を中心にエネルギーを大量に使用し、環境に負荷をかけております。地球温暖化防止を初めとする環境対策に取り組み続けることは、公営企業が果たすべき社会的責任であります。
 そこで、水道局がこれまで実施してきた環境対策の取り組みについて改めて伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局は、電力の大口需要家であるとともに、貴重な資源である水を原料としておりますことから、環境対策を局の重要施策の一つと位置づけております。
 そのため、二〇〇四年度から三年ごとに環境計画を策定し、現在は、来年度までを計画期間とする環境五か年計画に基づき、エネルギー対策や水道水源林の保全、資源の有効利用などの取り組みを展開しております。
 この計画では、それぞれの環境対策の取り組み事項ごとに具体的な目標を設定し、毎年度、この計画に基づき取り組みを進めております。また、取り組みの実施状況や効果について、毎年度、環境報告書として取りまとめ、公表することで、お客様や関係者への説明責任を果たしております。

○加藤委員 水道局が二十年近くにわたって計画的に環境対策に力を注いできたということを評価いたします。
 環境対策は、継続的に取り組むことが重要であるとともに、実効性を確保するため、適切に進捗を管理していくことも必要でございます。
 そこで、現在の環境計画における具体的な取り組みと実施状況について伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 エネルギー対策につきましては、浄水所等のポンプ設備のインバーター化や、事業所等の照明のLED化など、エネルギー効率にすぐれた機器の導入に加え、太陽光や小水力といった再生可能エネルギーによる発電設備の導入などの取り組みを進めております。
 このうち、太陽光発電につきましては、現在の環境計画の目標八千キロワットに対し、既にそれを上回る八千五百五十八キロワット相当を導入いたしますとともに、小水力発電設備につきましても、本年一月、江北給水所に完成いたしました。
 また、水源涵養など多面的な機能を持つ水源林の保全につきましては、当局による作業のほか、多摩川水源森林隊による民有林での活動を毎年度の目標である百五十回程度実施するなど、着実に取り組んでおります。
 このように、積極的に環境対策に取り組んできた結果、現在の環境計画で掲げました三十四の取り組み事項の目標をおおむね達成しております。

○加藤委員 環境計画に基づいた取り組みを着実に進めてきたことや、これまでの達成度は評価をいたします。
 一方、これにとどまらず、現計画期間の最終年度となる来年度においても、さらなる取り組みを行っていくべきと考えます。
 そこで、来年度における主な環境対策の取り組みについて伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二〇一九年度は、太陽光発電設備を江東給水所及び上北台浄水所に設置いたしますとともに、LEDなど高効率照明につきまして、亀戸給水所を初め十五カ所で導入いたします。また、ヒートアイランド現象を緩和するため、拝島給水所などの配水池上部の緑化も実施いたします。
 これらの整備経費といたしまして来年度予算では約八億円を計上しております。

○加藤委員 ぜひ着実な執行を求めます。
 水道局では、数多くの環境対策を行っていることがわかりましたが、先ほども触れた気候変動に大きく影響してくるのは、CO2を初めとする温室効果ガスの排出です。
 先日、環境局が、環境確保条例におけるキャップ・アンド・トレード制度の二〇二〇年度以降の改正案を公表いたしました。これまで以上に大規模事業所に排出量の削減を求めていく内容となっています。エネルギーを大量に消費する水道局としても、より一層CO2排出量の削減が求められます。
 そこで、今後さらにCO2排出量を削減していく上での課題と対応の方向性を伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 環境確保条例におけるキャップ・アンド・トレード制度では、現在のところ、当局の浄水場や給水所など二十施設がCO2排出量の削減義務対象となっております。これらの施設におきまして、これまで設備の省エネルギー化や再生可能エネルギーの積極的な導入など、CO2排出量を削減するための努力を積み重ね、現計画期間におきましては削減義務を達成する見込みとなっております。
 しかし、二〇二〇年度からの次期計画期間では、CO2排出量削減の義務率が大幅に強化されますことから、これまでの施策の継続や強化のみでは十分に対応できないことも考えられます。
 このため、さらなるCO2排出量削減策につきまして、必要経費も勘案しつつ、さまざまな視点から幅広く検討してまいります。

○加藤委員 早急に検討を進め、ぜひより一層、CO2排出量の削減に取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、国際的な環境対策の動向を見ると、SDGsの達成を視野に入れた取り組みが求められています。また、昨年のIWA世界水会議でも、持続可能性が重要なテーマとなり、その中の大事な要素として環境に関する発言も多くなされたと聞いています。
 こうした状況を踏まえ、今後、水道局がどのように環境対策に取り組んでいくのか、局長に伺いたいと思います。

○中嶋水道局長 水道局の現在の環境対策は、二〇一五年に策定いたしました環境五か年計画に基づいておりますが、これを二〇一五年に策定して以降、世界におきましては、お話がございました持続可能な開発目標、いわゆるSDGsや、パリ協定といった地球環境に関する新たな国際目標が採択されてまいりました。
 また、昨年九月のIWA世界水会議におきましては、強靱性と持続可能性をテーマに、気候変動や環境対策に関しましても、小池知事の基調講演における発信や参加者の論文発表を通じました活発な意見交換などを行ったところでございます。
 今後の環境対策におきましては、これら世界的な潮流や水道界の最新の動向なども踏まえつつ、今後、大幅に強化されます都のCO2排出量削減義務の確実な履行を達成いたしますため、さまざまな施策をさらに推し進めていく必要がございます。
 こうした考えに基づきまして、二〇二〇年度以降を新たな計画期間といたします環境計画を来年度中に策定し、限りある資源である水を原材料とする水道事業体の責務といたしまして、今後も着実に環境対策に取り組み、持続可能な水道事業の実現を目指してまいります。

○加藤委員 先ほども申し上げたとおり、環境対策は、水道局の社会的責任でもあります。新たな環境計画が都民の、そして時代の要請に応えたものとなるよう、力を入れて検討、策定に取り組むことを要望いたします。
 最後に、工業用水の廃止に伴い、少し触れておきたいと思います。
 昨年九月に取りまとめた工業用水道事業の廃止及び支援計画案に基づいて、三十一年度予算には、廃止に係る経費として二十九億四千四百万円が計上され、上水道への切りかえ工事などが始まります。工業用水ユーザーにとっては、十年据え置きといっても、その後は料金が上昇していくわけですから、今後の対応の決断を迫られるわけです。
 将来の事業計画を考えると、厳しい経営環境に思い悩んでおられる事業者が数多くいらっしゃいます。そうした中、工業用水を使用する皮革関連事業者の間では、何とかして激しい競争を勝ち抜くために、都有地を活用した工場集約化による協力体制を構築して、すぐれた技術を生かしながら、将来にわたって事業を継続していこうとの機運も出てきております。
 水道局の相談窓口にも、こうした事業者団体から、都の支援を求める要望書が提出されたと伺っています。ぜひ水道局から、庁内に設けた局横断的な会議体に要望を伝えていただいて、全体的に支援策の検討を行っていただきたいと要望をいたします。
 また先ほど、工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願が趣旨採択され、会期末には、工業用水道料金の減免に関する決議が議決されると思います。これを受け、水道局も現行の据置措置を一年延長することを期待しております。
 こうした事例を参考に、将来において経済の動向がさらに悪化し、事業継続を断念せざるを得ない状況となった場合には、工業用水事業が行政施策として開始された経緯を踏まえ、議会としても合意形成を図りながら対策を講ずる必要があると申し上げて、質問を終わります。

○川松委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三分休憩

   午後六時三十五分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 まず、資料のご提出をありがとうございました。私からは、TSSの特別監察とPUCとの統合について、それから、見える化改革の中から幾つか質問をさせていただきます。
 まず、TSSに対する特別監察についてです。なるべく重なったところは省いて質疑をしようと思います。
 監理団体である東京水道サービス株式会社、TSSに対する特別監察について、先日の総務委員会には、水道局も理事者として参加されていますが、公営企業委員会としても把握し、検証するべきことがいろいろあると思いますので、よろしくお願いします。
 特別監察の報告書を読むと、事案の発生時期や発覚した時期もそれぞれ複雑ですので、まず、整理の意味で教えてください。
 今回の不適正事案に対して、総務局では、目安箱からの情報提供があった後、昨年の十二月から特別監察として調査を行っていますが、水道局としては、これらの事案について、いつからどのように把握していたのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 今回の特別監察で、不適正事案として指摘された事案のうち、貯蔵品業務委託における巡回点検業務不履行については、平成三十年五月、当局が資材置き場における機械警備の入退場記録を精査したことを契機に発覚したものでございます。
 工事監督における竣工写真改ざん指示につきましては、平成二十七年十月に、東京水道サービス株式会社が国道事務所に改ざん写真を提出した後、同年十一月に、国道事務所から、改ざんの疑いについて当局の事業所に指摘があり発覚をしております。
 不適切な設計変更協議対応につきましては、平成二十八年六月に、同社の社員が決定前の契約金額入りの設計変更書を受注者に渡した後、同年七月に同社から当局へ報告を受けております。
 契約後の設計違算、計算間違いですが、これにつきましては、平成三十年四月に当局が契約した配水本管の新設工事、これにつきまして、同年五月に当局に対して情報開示請求があり、調査したところ判明したものでございます。
 また、協力会社との飲食を伴う会合につきましては、平成二十六年度の包括外部監査におきまして、当局はその状況を把握しております。
 いずれの案件にしましても、同社からの報告などにより局が把握しております。

○斉藤委員 水道局が認識した一番最初の事案は、工事監督における竣工写真の改ざん指示についてで、平成二十七年、二〇一五年十月に把握したということ、巡回点検不履行については、昨年五月に発覚したということですが、その後の調査では、二〇一二年から巡回点検不履行が行われていたことがわかったというふうに報告書にもありました。繰り返し行われていたということがわかります。
 TSSの社員構成の特徴として、社員全体の約三割が都関係者、管理職のほぼ全て、また、課長級職員の約九割、再雇用、非常勤社員の約八割が都関係者で占められているとのことです。
 また、今回の問題の貯蔵品業務委託における巡回点検業務の不履行では、複数の水道局OBの臨時社員たちが当事者として関与していたということも明らかになっています。
 水道局には、TSSの管理監督者としてだけでなく、当事者としてかかわっている重大な責任があると思いますが、どう受けとめていますか。

○石井経営改革推進担当部長 今回の特別監察において、東京水道サービス株式会社及び当局に対し、厳しい指摘がなされたことを大変重く受けとめております。
 当局では、直ちに同社に対し、再発防止策を含む内部統制体制を見直すよう指示をするとともに、監理団体への指導監督や、ガバナンスのあり方などを根本的に検証し、改善に向けた取り組みを進めております。
 今回の不適正事案においては、都OBを初め複数の関係者が関与しておりました。このことについては猛省すべきと考えており、今後、襟を正して、東京水道グループ全体のコンプライアンス及びガバナンス強化に向けて、あり方を含め抜本的な対策を講じてまいります。

○斉藤委員 水道局として重く受けとめて、猛省をして、再発防止や業務体制の再構築に取り組んでいくとの答弁でした。有言実行していただきたいと思いますが、私たち議会としても、なぜこのようなことが起こったのか検証していかなければなりません。
 そこで、個々の事案について幾つか質問させていただきます。
 緊急資材置き場の巡回点検の不履行については、調査の結果、過去七年にわたって繰り返されていたと報告されています。さらに、本件から浮き彫りになった問題点として、事故者や周囲の者への事後の指導が問題点を十分認識させるに至るものではなく、表面的だったということが指摘されています。
 このこと自体も問題ですが、この業務の不履行があったことは社内で認識されていたことでしょうか。それはTSSの都OBの社員や、水道局の現職の役員までは伝わっていなかったということでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 貯蔵品業務委託における巡回点検業務の不履行については、平成三十年五月に、当局が資材置き場における機械警備の入退場記録を精査したことを契機に発覚をしたものです。
 当局から、巡回点検報告書と機械警備記録に差異があると指摘した後、東京水道サービス株式会社が社として不履行を確認するまで、都OB社員や取締役を含め、社内で不履行は認識されておりませんでした。不履行の確認後、本件については速やかに社長及び担当の取締役まで報告がなされております。

○斉藤委員 二〇一二年からの事案が役員にまでは伝わっていなかったということです。
 TSSの取締役会は、十人中八人が水道局の現職かOBです。さらに、二〇一六年には、現職の都職員による四名を増員しています。きょうここにおられる方々、たくさんいらっしゃいますが、ガバナンスを強化する目的で増員したということですから、それがちゃんと機能していたのかということは大変疑問に思うところです。
 TSSの社内の風通しはどうだったのだろうかということも疑問というか心配です。現場の社員と取締役会では、情報の断裂状態のようなものがあるのではないかと感じました。取締役をふやしても、お飾りのようになっていたのではだめだろうと思います。
 上から強権を振るって締め上げるということではなく、職場環境の改善を行って、日ごろから社員たちが抱えている問題を共有して一緒に解決していく、そのための体制づくりを考える必要があるのではないかと思います。
 次に、不適正事案があるとして寄せられていた情報として、関係団体や受注工事会社との不適切な関係が指摘され、その中で、土木協力会社への再委託についても検証されています。
 二〇一三年度から二〇一七年度までの五年間を単位として、初年度にプロポーザルで選定した事業者から毎年度の委託契約の見積もりをして価格交渉を行う優先交渉権を付与するものとなっているということですが、この点について、報告書では、参入や競争の機会、透明性の確保の点からも課題があるといえるとしています。
 東京都監理団体指導監督基準においても、契約相手となり得る者が複数いる場合、競争契約を原則としています。都の監理団体として、一般の民間事業者よりも高い透明性や説明責任が同時に求められると指摘されていますが、この点についての水道局の見解を伺います。また、協力会社への委託契約についても、委託方法を見直す必要性について、水道局も一体となって検討することが求められていますが、どのように対応するのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 監理団体は、都の行政を代行または支援、補完する団体であり、監理団体が行う契約においても、都と同様に公正性や透明性を確保する必要が当然のごとくあります。
 こうしたことから、管路診断業務の再委託については、当初の随意契約を、平成二十五年に、施工能力を保持する業者をあらかじめ登録の上、プロポーザルで競争させ、落札者に五年間の契約優先交渉権を与える契約に改善してきましたが、入札参加者が少ないなど、競争性の観点から、いまだ課題が残っておりました。
 そのため、来年度は、事前の業者登録制度と五年間の契約優先交渉権を廃止して、参加業者を広く募ったプロポーザルによる契約を施行することで、その後の抜本的な見直しにつなげていきたいと考えております。
 当局においても、これまで同社に委託する管路診断業務委託について、一部委託方法の見直しを図っており、また、貯蔵品管理業務委託を競争入札方式に移行するなど、随時監理団体に対する契約を見直してまいりました。
 今回の特別監察の指摘も踏まえ、第三者コンプライアンス委員会において、外部の視点から、監理団体の契約全般について検証、提言をいただき、同社において改善を図るよう指導してまいります。

○斉藤委員 第三者委員会を立ち上げていくということ、また、さらに、都と同様に競争性や透明性を担保する必要があるという認識で、五年間の契約優先交渉権を廃止するということ、重要なご答弁だと思います。
 また、この土木系協力会社との交際費の件ですが、総務委員会で我が党のとくとめ議員がただしましたが、今ありましたように、その中でも、特別監察の中でも指摘された飲食を伴う会合については、今後取りやめるということ、これも重要なご答弁だと思います。
 次に、コンプライアンスの推進、内部統制にかかわることについて伺います。
 TSSでは、平成二十年四月にコンプライアンス推進に関する要綱を定めて、コンプライアンス推進会議を設置していますが、内部統制やコンプライアンスに関する全体的な基本方針は未策定であるということが指摘されていました。
 先ほどからの質疑の中で、この基本方針は策定していくということを答弁を聞かせていただきました。着実に進めていきたいというふうに思います。
 取締役会についてですが、TSS固有の社員が取締役会に一人もいないという状態で、現場の仕事に精通している役員がいるのかどうかが疑問ですが、実際に、水道局として現場にどんな問題があるのか、把握ができているという認識でしょうか。また、TSS固有の社員が取締役会にいないのはなぜでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の取締役は、当局から水道事業に精通した都職員及び都のOBを配置しております。
 また、同社における現場の業務や社員の状況を把握するため、社長を初め常勤取締役が定期的に職場を訪問し、社員との意見交換を行っており、当局はその状況については把握をしているところでございます。
 同社の固有社員は、就業年数が比較的短い若手の社員が大半を占めており、いまだ部長職の社員及び取締役がいないという状況でございます。

○斉藤委員 状況の把握を行っているということですが、実際には、繰り返されてきた不適切な事案について、数年たってから知るような状況になっているわけです。固有社員は若いということですが、この固有社員の方々の育成にも努めて、今後は取締役会にも入れていくようにしていただきたいと思います。
 平成二十六年、二〇一四年度には、コンプライアンス推進会議が設置されて、年一回の頻度で開催されているということですが、会議では、セクハラやパワハラと認定された重大問題が報告されているにもかかわらず、コンプライアンス推進に関する要綱に定められているコンプライアンス推進会議から社長への是正提言は、これまで一度もなされていないと報告されています。なぜ報告されていなかったんでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の社内規定では、コンプライアンスに関し不適正な事案があった場合、コンプライアンス推進会議から社長に対し是正を提言することになっております。
 しかし、これまで同社において不適正事案が発生した際には、コンプライアンスを所管する監査室長が、事案の原因究明、再発防止の取り組みについて個別に社長に諮った上で対応してきたという経緯がございます。
 結果として、このコンプライアンス推進会議から社長に対する是正の提言がなされなかったことについては事実でございまして、今後こうした提言が適切になされるよう、当局としても指導監督を徹底してまいります。

○斉藤委員 せっかくつくった体制や要綱が生かされていなかったということだと思います。ご答弁のとおりに改善をしていただきたいというふうに思います。
 平成二十七年度には、取締役会に外部から役員として入っているみずほの総合研究所の診断を受けて、監査室を社長直轄部門として設置しているが形骸化しているとの指摘がされています。
 二〇一五年度に発生した給水管撤去工事における写真の改ざんの事案を受けて、TSSでは、受託業務委員会を設置して、再発防止策など検討を実施しているということですが、それでも二〇一六年度以降も、毎年、不適正処理事案が発生しているということ、また、同委員会で検討されているということがコンプライアンス推進会議では議題になっていないということです。
 不適正事案が繰り返されていたこと、コンプライアンスにかかわる情報や検討が社内で共有されていないことについて、役員は皆知らなかったのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 コンプライアンス推進会議及び受託業務委員会の議長は、それぞれ異なる取締役が務めており、担当外の会議で取り上げられている議題について、残念ながら取締役間での情報の共有というのはされていなかったようでございます。

○斉藤委員 情報の共有がされていなかったということで、この点も改善をぜひしていただきたいというふうに思います。
 水道局と監理団体、報告団体を構成員として、東京水道グループ全体におけるコンプライアンスの徹底のために設置されたコンプライアンス推進会議、これ、TSSのコンプライアンス推進会議もあるのでちょっとややこしいんですけれども、これは今回の特別監察の実施通知後の昨年十二月まで開催されていなかったということですが、なぜ開かれなかったのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 コンプライアンス推進会議は、東京水道グループにおけるコンプライアンスの徹底のため、グループの行動基準の策定や、各団体における年度ごとの行動計画策定及び進捗管理を行うことを目的として平成二十八年八月に設置をいたしました。
 設置後、行動計画の策定に必要な各団体の組織、人員、業務プロセス等の詳細なコンサルティング調査を行うとともに、経営管理体制や内部統制体制について検討していましたが、これまで団体における不適正事案等の発生に対して個別対応を優先してきておりました。しかし、昨年の当局職員の情報漏えいが発覚した時点で、これらの事案への対処について、グループ全体に早急に情報共有化を図り、浸透させる必要性から、昨年十二月に開催いたしました。
 今回の特別監察で、グループとしてのコンプライアンス推進が実態として機能していなかったとの指摘については真摯に受けとめ、今後は、適切な会議運営と各団体の取り組みの進捗に努めてまいりたいと思います。

○斉藤委員 この間、対策としてさまざまな会議体がつくられてきているんですが、それぞれの取り組みが不十分だったり、連携がされていないという印象がとても強いという状況です。
 これらの体制の整理と実際に機能させていく取り組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、取締役を議長としたコンプライアンス推進会議を設置し、社内の服務事故を初めコンプライアンス推進に関することを幅広く審議をしております。また、受託業務における不適正事案が発生した場合の原因調査、再発防止及びその予防を目的として受託業務委員会を設置しております。
 このように、同社ではこれまで、個々の不適正事案にそれぞれ対応するために、複数の会議体を設置し、検討してきましたが、残念ながら全社的な検討という視点に欠けておりました。
 そのため、今後は、受託業務委員会で協議された事案のうち、全社的に情報共有が必要な事案をコンプライアンス推進会議に報告をしていく、そういった流れをつくりたいと考えております。

○斉藤委員 全社的な検討という視点に欠けていたということです。今後は、社内と水道局とで共有できるような体制をつくっていただきたいと思います。
 次に、TSSの社員構成や人事システムなどの社内の構造問題について伺います。
 報告書では、固有社員の定着状況について、直近五年間で、新卒、中途を合わせて四百十五名を採用している一方で、同期間に計二百名が離職しているということです。約半数がやめているということにまず驚きましたが、なぜなのか、退職の理由について、総務委員会でも我が党が質問したところ、最も多い理由が、地元、実家へのUターンや、公務員、団体職員への転職が上位だというお答えでした。
 TSSは主に工事等の技術にかかわる仕事をしているので、地方自治体の直営での水道事業の弱体化が進んでいる中では、引く手あまたの状況なのではないかと推察されますが、そのままでは東京都の水道事業の根幹を支えていくことができません。TSSでの仕事をやりがいのある魅力的なものにしていかなくてはならないと思います。
 中身はどうなっているのかという点で、報告書では、先ほども取り上げられていましたが、不正の温床となり得る危険性を内在した社員構成や人事システムについて指摘されています。課長ポストの約九割を都派遣者と都OB職員が占め、課長級社員のうち、固有社員の割合はわずか三%、四十代以上の固有社員が三百名以上在籍する中、その多くが課長任用されていない実態があると。第三者の視点から見て、都職員の厚遇ともとられかねない状況は、意欲のある固有社員のモチベーションを喪失させてしまっている可能性も否定できないとしています。
 この指摘は非常に重要なものだと思います。いわば、水道局組、固有社員組、ほかの会社からの派遣組という分断の中で一つの会社としての一体感の醸成が阻害され、社員間の情報共有も停滞する状況が生まれているのではないかと考えられます。
 ここに関連して伺いますが、平成十八年、二〇〇六年度以降、東京水道グループの方針に基づき、TSSは水道局事業の業務受託を拡大し、社員数が急増したということですが、現在の職員数と属性について教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の職員数ですが、平成三十年八月一日現在で、固有社員が千百五十三名、都派遣社員が四十名、その他の常勤社員が百五十一名、非常勤社員が二百名であり、その合計は千五百四十四名でございます。

○斉藤委員 その他の常勤社員というのは、民間会社からの派遣の方々だということは確認をさせていただきました。
 実にさまざまな属性の人が働いているということ、また、圧倒的多数を固有社員が占めているということがわかります。年齢層のこともあるかもしれませんが、改めて、管理職のほとんどを局の関係者で占めているということのいびつさを感じます。固有社員はまだ若いということですが、四十代以上の方が三百名以上いるということもありますので、早期にここは改善をしていただきたいと思います。
 さらに伺いますが、都派遣組と固有社員の間には、社内でのポストの違いのほか、賃金体系の違いはあるのでしょうか。あれば教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 都からの退職派遣は派遣法に基づくものであり、派遣を必要とする業務のポストが明確であることなどから、固有社員との間で対象ポストが異なっております。
 また、賃金体系につきましては、当局から派遣されている職員の給与は、当局と東京水道サービス株式会社が取り交わしている職員の派遣に関する取り決め書により、東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例及びこれに基づく管理規定の例により支給をされております。
 一方、同社の固有社員の給与は、同社の就業規則や賃金取扱要領に基づき支給をされております。
 そのため、都からの派遣社員と固有社員の給与は、体系及び水準の面でそれぞれ異なっております。

○斉藤委員 要するに、賃金体系も別で差がつけられているということだと思います。働く人たちのモチベーションが下がらないように、待遇の改善も検討していただきたいというふうに思います。
 報告書では、最後に三つの提言をまとめていますが、その中で、人材戦略のあり方、人材育成に関する方針の再構築が掲げられています。私はここが、いわば会社改革の一番の根幹だと思います。
 提言では、TSSの核となるべき固有社員を着実に育成し、中長期的にその比率を高めていくことが重要であること、属性によらず誰しも正当かつ客観的に評価され、昇任する人事制度が不可欠であること、早期に固有社員の中から管理職に登用される人材を育成することを求めています。
 今までの質疑に重なる部分もありますけれども、これらの人材育成、人事システムの検討について、水道局はどのように取り組んでいくのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社における現行の昇任制度は、管理監督職になるまでに必要な社外の就業年数が都の制度の場合よりも長く設定をされております。一方、固有社員の現在の人員構成を見ると、就業年数が比較的短い若手の社員が大半を占めていることから、管理監督職への昇任選考の有資格者が少ない、こういう状況にございます。
 このため、能力と業績に応じて早期に上位職層へ任用できる昇任制度への見直しを行い、有資格者をふやしていく、また、固有社員自体のモチベーションを高めるため、会社を支える意識の高い社員の当局への研修派遣や計画的な配置管理を行い、管理監督職にふさわしい人材を育成していくよう、当局としても改善を指導してまいります。

○斉藤委員 固有社員を早期に上位職層へ任用できる昇任制度への見直しを行い、有資格者をふやしていくということ、さらに会社のポスト管理のあり方についても検証し、管理監督職への固有社員の登用を推進していくということです。重要なご答弁だと思います。
 賃金格差がもたらす影響についての検証がないというのは残念ですが、意欲が持てる職場環境への改革を着実に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、テーマが変わります。水道局の見える化改革から幾つか伺います。
 水道局ではこれまで、経営の効率化として事業の民間や監理団体への委託、また、職員の定数減などによってコスト削減を行ってきています。今改めて、人口減少による収入減や老朽化した施設の更新などの水道事業が抱える課題を前に、経営の効率化がますます求められているところだと思います。しかし、人的コストの削減に偏ってきたこれまでの政策がどういうことに影響しているのかということについても考えていかなければならないというふうに思っています。
 TSSとPUCの統合について、まず伺います。
 水道局が一月に発表した見える化改革では、技術系業務を行っているTSSと営業系業務やシステム業務を行っているPUCについて、二〇一九年度中に統合する考えが示されています。
 まず、この監理団体を統合する目的について教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道が広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、監理団体に業務移転を一層進めることで、経営基盤の強化を図ることを目的に監理団体を統合してまいります。
 また、水道法改正を踏まえ、統合後の新団体は、東京水道で培った技術、ノウハウを活用し、他の水道事業体の事業運営上の課題解決に貢献していくことで、より自主性を向上させていく、そういった狙いもございます。

○斉藤委員 さらなる効率化と経営基盤の強化を図ることを目的に統合をするということです。
 水道局は、平成十八年に監理団体との一体的事業運営体制を順次構築していく方針を決定し、人材、財務の両面において水道局と一体となった運営体制を構築してきたということですが、それはなぜでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 平成十八年七月に都が策定した行財政改革実行プログラムにおいて、監理団体については、都の事業を支援、補完する団体と明確に位置づけ、都からの事業移管や受託拡大を進め、行政の支援、補完機能を拡大していくこととされておりました。
 また、本プログラムでは、公営企業改革として、多摩地区水道の経営改善のため、各市町への事務委託の解消への受け皿として、監理団体と民間事業者の活用による事業運営の効率化を推進することとされました。
 これらを踏まえ、水運用や水質管理など水道事業の根幹にかかわる業務や工事監督など、民間事業者に委託した業務の監督指導など重要な業務につきましては、都と監理団体が一体的に担う事業運営体制を構築し、公共性の確保と効率性の発揮を両立させながら、将来にわたり、安全でおいしい高品質な水を安定して供給していくこととしたものでございまして、今お話ししてきたようなことが一体運営体制構築の背景であり理由ということになると思います。

○斉藤委員 都の事業を支援、補完する団体として位置づけながら、効率性の発揮を行うということでした。これは本来、局が直接かかわることが必要な仕事を低コストで行えるように監理団体を使ってきたということではないかというふうに感じています。
 今回、質疑がされているとおり、統合については、TSSはコンプライアンス上の課題を抱えています。少なくとも、まず、TSSの事態の収拾、問題の改善が優先だと思いますが、いかがでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 当局では、東京水道サービス株式会社に対する特別監察の指摘を受け、直ちに同社に対し、再発防止策を含む内部統制体制を見直すよう指示をするとともに、監理団体への指導監督やガバナンスのあり方などを根本的に検証し、東京水道グループ全体での改善に向けた取り組みを進めております。
 一方、監理団体の統合は、東京水道の経営基盤強化を図るため、早期に実現しなければならない取り組みであり、来年度中の実現に向け、両社の社員が総力を挙げて統合に向けた準備を進めていく必要がございます。
 今後、統合までに両社が抱えるコンプライアンス上の課題を改善し、都民の信頼回復に向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。

○斉藤委員 統合までには課題を解決していくということです。要するに、来年度内には統合を行うという方向性は変わらないということだと思いますが、丁寧に検討していく必要があるのは、今回のコンプライアンスの課題だけではありません。
 PUCについては、昨年から労働問題について取り上げてきました。質疑を受けて、専任社員制度、この改善についても検討をしていただいているところだと思います。今回の統合の話も、両社の社員にとってはまだ発表されたばかりの段階で戸惑いの声があるということも聞いています。少なくとも、職員たちの声や意見に耳を傾けて、結論ありきやスケジュールありきではいけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 監理団体の統合につきましては、本年一月に、会社から社員の皆様にご説明をしております。また、統合に向けた準備作業については、固有社員が多数参画して主体的に検討を今進めているところでございます。
 なお、統合後の新団体における労働条件につきましては、今後検討していくことになりますが、その内容は労使協議を経て決定されるものであると認識をしております。

○斉藤委員 労働条件については、労使協議を経て決定されるということですが、この問題もコンプライアンスの問題の一つでもあると思います。ガバナンスを強化している水道局として、監理団体任せにするのではなく、労働条件や環境の悪化を招くことがないように力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 次に、民営化と官民連携について伺います。
 金町浄水場のPFIのモデル事業について、見える化改革の中で示されていました。金町浄水場では、PFI法の制定に先駆けて、日本初のPFIモデル事業を一九九九年から二〇二〇年の二十年間にわたって行っているところです。
 石川島播磨重工、清水建設及び電源開発株式会社の企業グループが出資して設立した金町浄水場エネルギーサービス株式会社が水道局に電力と蒸気を供給し、水道局は供給された電力及び蒸気に対する料金を支払い、事業会社はこの料金によって建設資金等の初期投資額の返済や人件費、燃料等の運営費を賄うというものです。
 この事業が二〇二〇年に終了するということで、見える化改革では、今年度末に事業の検証をし、その結果を整理すると記載しています。この結果はいつまとまるのか、また、その内容は公表されるのか伺います。

○青木浄水部長 金町浄水場常用発電PFIモデル事業でございますが、民間事業者が常用発電設備を設置、運営し、電気及び蒸気を供給する事業で、その事業期間でございますが、平成十二年からの二十年でございます。この事業が平成三十二年度に終了することから、現在、事業方式や経済性につきまして検証し、評価を実施してございます。
 本年三月末までに評価を取りまとめた上で、公表の取り扱いを含めた今後の対応方針を平成三十一年度の早期に整理する予定でございます。

○斉藤委員 今後の対応方針について早期に整理するものということですが、ぜひその内容を公表していただきたいというふうに思います。
 事業の評価に当たっては、局の直営で事業を実施する場合に対して、民間によるPFI事業がどのくらいその事業費を削減することができたのかを示すバリュー・フォー・マネーの算定が重要とされています。これは水道局がみずから算定するものでしょうか。

○青木浄水部長 バリュー・フォー・マネーでございますが、PFI事業における重要な概念の一つでございまして、公共がみずから実施する場合と比較し、PFI事業の方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合のことでございます。
 金町浄水場のPFI事業に係る評価に用いるバリュー・フォー・マネーの算定につきましては、当局の指示のもと、必要なデータを示した上で内閣府で示してございますガイドラインを参考にコンサルタント会社が試算をし、局が検証しております。

○斉藤委員 ぜひ局としてもしっかり検証していただきたいと思います。
 評価に当たってはコンサルタント会社を活用しているということですが、このコンサルタント会社の調査対象はどういうものでしょうか。

○青木浄水部長 コンサルタント会社でございますが、物価変動や需要変動を加味したバリュー・フォー・マネーの試算や事業開始後に制定されました関係法令及びガイドラインに基づきまして、契約内容の妥当性の分析を実施したところでございます。
 また、類似事例の調査や関連する事業者に対する各種のヒアリング、社会経済情勢など、さまざまな情報を収集し、取りまとめを行っております。この取りまとめの結果をもとに、当局がモデル事業の検証、評価を実施しているところでございます。

○斉藤委員 バリュー・フォー・マネーの試算だけでなく、類似事例の調査も行っているということです。類似事例の調査については、ぜひ水道局としてもきちんと行ってほしいと思います。
 特にPFI事業については、先進事例を多く持っているイギリスで、その評価に大きな変化が起こっています。この金町浄水場のPFI事業を紹介する水道局の当時の記事が今でもホームページに掲載されていますが、そこでは英国で成果を上げて注目されているということが書かれています。しかし、今そのイギリスでは、会計監査院が昨年、PFIが公的な財政にプラスであるという証拠が乏しく、多くのPFIが通常の公共入札プロジェクトより四〇%割高になっていると結論づけました。公的サービスを守り、鉄道やエネルギー、水も再公営化していく政策の提案が八割に達する国民の支持を得ているということが報じられています。
 日本のPFIでも、高知県の市営病院で汚職や予算八億円の超過の末にPFI契約が解除になった例や、北九州市のコンテナターミナルで事業者が経営破綻して、市が四十億円で買い取ることになった例、それから、名古屋港イタリア村でも百七十億円の負債を抱えて事業者が倒産した例があります。
 金町浄水場では、バリュー・フォー・マネーの値も維持する形で事業が続いているようですが、このバリュー・フォー・マネーだけでなく、どんな経費が削減されているのか、株式配当や法人税はどうなっているのか、お金の流れについても都民の前に極力明らかにしていただきたいというふうに思います。
 次に、水道法改定に関連して伺います。
 地方自治体の水道事業の広域化や運営権の民間企業への売却、いわゆるコンセッション方式を推進する水道法の改定が十二月の国会で十分な議論もないままに強行されてしまいました。一月に発表された水道局の見える化改革では、水道法の改定を受けて、経営基盤の強化として官民連携についてのページがあります。
 見える化改革報告書に、コンセッションのメリットとして、民間事業者のノウハウや活力が生かされる余地が大きいとの記載がありますが、水道局としては、具体的にどのようなメリットがあると考えているのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 コンセッション方式は、利用料金を徴収する公共施設において、施設の所有権を自治体が保持したまま、民間企業に水道事業の運営を委ねる方式であり、官民連携の一手法とされております。そのメリットにつきましては、国は、民間の技術力や経営ノウハウの活用によるサービスの向上や業務の効率化が図れるとしておりますが、水道事業体によって抱えている課題はさまざまでございます。そのため、メリットは事業体によって異なるものと認識をしております。
 当局でございますが、当面、外部有識者の意見を聞きながら、メリットも含め、幅広く官民連携の手法を検討していくこととしております。

○斉藤委員 メリットについては、国は民間の技術力や経営ノウハウの活用によるサービスの向上や業務の効率化が図れるということですが、まさに見える化改革に記載されているものは、これは国の資料であって、水道局の見解ではないものだと思います。
 同じことを、昨年、コンセッションを含めた経営のあり方の検討をスタートさせている下水道局や大阪市にも行きまして担当の方にも聞いたんですけれども、人件費が抑えられるということ以外については、はっきりとした答えがないというのが--要するに、ほかに何が削減できるかというのは、東京都の場合、下水道局も水道局も技術を曲がりなりにもちゃんと持っていると思いますので、ほかにあるのかといわれたら、首をひねるというような状況でした。
 一方で、民間に運営を委ねて人件費の削減が行われれば、事業を行う上で根幹部分の技術の継承が脅かされることになります。
 これに関連して伺いますが、二〇二四年度をめどに、経営統合した監理団体に包括委託を性能発注方式によりモデル導入するとしていますが、こうした包括的な委託が進んでいくと、水道局から技術が失われていくことが危惧されます。
 水道局は委託化が進む中でどのように技術の継承を図っていこうと考えているのでしょうか。

○金子職員部長 当局ではこれまで、水道技術エキスパートによる指導助言やナレッジバンクの活用はもとより、実践的な研修や、きめ細かいOJTなどにより技術の継承を進めてきております。しかし、監理団体への業務移転により、現場経験を積むフィールドが減少し、コア業務や委託管理を担うための技術やノウハウの習得に課題がございます。
 一方で、監理団体においては、受託事業の拡大に伴う若手社員の増員により、組織体制やガバナンスを強化するため、中核人材の育成が必要であります。
 そのため、これまでの人材育成に係る取り組みを進めつつ、当局と監理団体との間での人材交流を拡大するなど、技術の継承とマンパワーの強化を東京水道グループ全体で着実に推進してまいります。

○斉藤委員 監理団体への業務移転により、現場経験を積むフィールドが減少し、コア業務や委託管理を行うための技術やノウハウの習得に課題があるということは、つまり、既に現状の水道局においても、技術やノウハウの習得に課題があると、問題があるという、まさにそういう認識だというふうに思います。
 そうした中で、さらに民間委託や官民連携で技術を流出させていくようなことがあってはなりません。完全な民間事業者ではなく、東京都の関与が強い監理団体への包括委託のモデル導入ということですが、このことで本当に局への技術継承が行われるのか、あるいは賃金格差もある中で新たな矛盾を引き起こさないか、十分に検討していく必要があるということを指摘しておきたいと思います。
 最後に、水源への投資についてお伺いします。
 コストダウンを名目に、都は水道局の人員をどんどんと削減してきました。その一方で、水源確保を名目に巨大なダム建設についてはメスが入ってこなかったのではないかと痛感をしています。
 まず、確認させていただきますが、八ッ場ダムの建設に要する水道局の総負担額は幾らでしょうか。また、平成三十一年度、二〇一九年度の建設費負担金の予算額はどのくらいでしょうか。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 八ッ場ダム建設事業の全体事業費約五千三百二十億円のうち、水道局の負担額は約五百四十六億円でございます。また、平成三十一年度における負担金の予算額は約二十九億円でございます。

○斉藤委員 全体の事業費は約五千三百二十億円、水道局は総額五百四十六億円にも上る支出をしてきたということです。
 八ッ場ダムは、これまで五度の計画変更を行い、一九八六年発表の当初計画の約二千百十億円から二・五倍にも事業費が膨れ上がりました。八ッ場ダムは、ことし中にダムに貯水して機能を確かめる試験湛水を行う予定ですが、それを前に、地質学の研究者たちが先月末に会見を開いて、同ダムの不十分な地すべり対策について告発をしています。
 予定されていた十カ所への地すべり対策が半分しか行われていないこと、また、高台に移転した住宅地の盛り土が安価な方法に変更されているということが明らかになっています。住民の不安も高まっている中、対策のために、また負担額が発生する可能性もあります。
 見える化改革では、人口、水道需要が減少する中でも安定供給のために必要な施設整備を推進するとしていますが、これはどのような施設整備を行うのか教えてください。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 水道は、都民生活と都市活動を支える重要なライフラインでございます。安定供給に必要な施設整備を着実に実施していくことが必要でございます。
 当局ではこれまで、水道事業を取り巻く環境の変化を踏まえ、高度浄水処理の導入や水道管路の耐震継ぎ手化、浄水施設の災害対策など、水道システム全般にわたって計画的に施設整備を進めてまいりました。
 長期的には、人口や水道需要が減少するとともに高度成長期に集中的に整備された施設が一斉に更新時期を迎えます。このため、大規模浄水場においては、施設の長寿命化や更新の平準化を図るとともに、水道需要等を考慮した施設のダウンサイジングを行いながら、計画的に更新を進めてまいります。また、水道管路の耐震継ぎ手化につきましては、震災時の断水被害の効果的な低減に向けて、優先順位を明確にした上で計画的に進めます。
 こうした取り組みを含め、安定供給のために必要な施設整備を着実に推進してまいります。

○斉藤委員 今、水道事業が抱えている課題を考えれば、水道需要に応じて施設のダウンサイジングを検討していくということは当然のことと思います。しかし、水源施設については、巨大化しているということに大きな疑問を感じます。
 では、水需要と需要予測について伺います。昨年度、二〇一八年度の一日最大配水量は幾らだったでしょうか。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 平成二十九年度の一日最大配水量は、七月十二日に記録した日量四百六十六万立方メートルでございます。

○斉藤委員 昨年度の一日最大配水量は四百六十六万立方メートルということです。
 いつも私たちは資料を出していただいているんですけれども、この前年の二〇一六年度の一日最大配水量の実績値は四百六十一万立方メートルで、この十年間でも五百万立方メートルを超えた年はありません。
 そこで、このパネルをごらんください。ごらんくださいといいながら数字が小さくて大変申しわけないんですけれども、これは見える化改革の二一ページにあります水道の需要が……(発言する者あり)見えないですね、水道需要の減少としてあらわしているグラフです。お手元に見える化改革を持っていらっしゃる方はそちらを見ていただいてもいいと思うんですけれども、このグラフ、横軸は五年ごとの目盛りになっていて、二〇二〇年のスタートの地点ですね、ちょうどことしのあたり、ここですけれども、一日最大配水量五百九十四万立方メートル、さっきのご答弁では四百六十六万立方メートルということでした。しかし、ここは二〇三五年までおおむね六百トンというふうになっています。
 今から十五年以上先の二〇三五年までおおむね六百万立方メートルが続いて、その後徐々に減少して、二〇六〇年には五百二十三万立方メートルになるということなんですが、今現在でも、この五百二十三よりもずっと下回っているという状況です。随分と乖離していますが、このグラフ上の現在の出発点、おおむね六百万立方メートルという数字はどういう数字なんでしょうか、お答えください。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 一日最大配水量は、水道施設の規模などの計画を立案する上で必要となる将来の水道需要として見通したものでございます。
 水道施設は、数十年から百年程度にわたって使い続けることから、将来の水道需要については、できる限り長期的な視点で見通す必要がございます。
 このため、水道需要を算定するに当たり、過去の長期間にわたる使用水量の動向に最もよく適合する推計式を統計的に選定し、一日平均使用水量の推計を行い、この推計した使用水量に、漏水や日々の配水量の変動等を考慮して、将来の一日最大配水量をおおむね六百万立方メートルと算出しております。

○斉藤委員 いろいろ計算した結果の将来の水需要、つまり予測値だということですが、しかし、実際には、先ほどいったように、この十年間にわたって一日最大配水量は五百万立方メートルまで届いたことがなく、現時点でもこの二〇六〇年時点の予測よりもはるかに下回っているんです。なぜ予測値が既に今の現状と合っていないのにこの数字を使い続けているのか大変疑問です。
 将来の一日最大配水量が六百万立方メートルになる可能性があるという過去の予測値をいまだに使っているということは、昨年度の実績を踏まえると大きな疑問ですが、いかがでしょうか。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 繰り返しになりますが、将来の一日最大配水量を推計するに当たっては、過去の長期間にわたる使用水量の動向に最もよく適合する推計式を統計的に選定し、一日平均使用水量の推計を行い、将来の一日最大配水量六百万立方メートルは、この推計した使用水量に、漏水や日々の配水量の変動等を考慮して算出したものでございまして、長期的な実績を反映し、合理的な手法によることから妥当と考えており、この推計手法については、平成二十七年九月に最高裁で確定した八ッ場ダム住民訴訟判決においてその合理性が認められております。
 なお、現行の水道需要の見通しについては、今後の社会経済情勢、政策展開、人口動向などを踏まえ、見直しをしてまいります。

○斉藤委員 今ご答弁があった計算式について、裁判で支持されたということもありますが、昨年の予算質疑の中で、我が党のとや議員がこのことをただしています。
 水道局では、二〇一二年に現在の水需要予測を計算していますが、その推計では、平成三十年代、昨年、二〇一八年からということですが、六百万立方メートルになるというふうに出しています。実際はどうかというと、今のように、二〇一八年の実績値は四百六十六万立方メートル、もう十年も前から大きな変化がありません。
 計算式については、昨年の質疑の中で、日本水道協会発行の水道施設設計指針に示されている時系列傾向分析に関する七つの推計式の中から、ロジスティック曲線式というものを使っているということでした。今のご答弁で、過去の長期にわたる使用水量の動向を反映した計算式を選定したということですが、昭和五十一年、一九七六年から平成二十二年、二〇一〇年までの三十五年間の使用量の動向、つまりバブルの時期、水需要が増していたときの動向まで含めて計算しているわけです。
 長期的な視点で見通す必要があるというご答弁でしたが、この計算式を使っているのは二〇一二年だけです。それ以前にはこの計算式は使っていません。この過大な水需要予測の背景にあるのが巨大な水源施設である八ッ場ダムです。建設事業の工期はあと一年となっていますが、八ッ場ダムの完成により、さらに日量約四十三万立方メートルの水源ができ上がることになります。
 我が党は、当初から過大な水需要予測に基づくダム建設には道理がないことを訴えてきました。結局、以前から指摘してきたとおり、巨額をつぎ込んできた八ッ場ダムの完成の前に、水の需要は予測値に全く乖離した低い実績値になっています。五百四十六億円もの予算があれば、水道局が今直面しているような技術継承のための体制維持や職員の確保にも、その分を振り向けることができたわけです。
 国は、巨大なダム建設を押しつけた末に、今度は、経営基盤の強化ということを振りかざして、大切な公共財である水の市場開放への道を強行に進めようとしていることは本当に許しがたいことです。しかし、水は住民自治によってこそ守られていくものです。先ほど水道局は、今後は水需要予測を見直していくというご答弁でした。ようやく見直されるということです。
 今後は、持続可能な水道事業を直営として守って、全ての人に安全な水を保障できるように、都民の立場に立った事業の見直し、水需要の見直しをしていくように強く求めて、質疑を終わります。

○中村委員 初めに、水道法改正について伺います。
 今回の法改正はいろんな項目がありますが、いわゆる水道民営化を進めるためのコンセッション方式の導入が最も注目をされ、国会では野党がこの点を追及し、反対をしています。
 導入するかどうかは事業者である自治体の判断とはなりますが、水という命に欠かせないものであり、水道はその命を支える重要な生活基盤であることから、私も導入の必要はないと考えます。
 今回の法改正を受けて、小池知事から水道局にどのような指示が出ているのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 水道法改正を受け、知事からは、事業運営のあり方について、外部有識者のご意見も聞きながら調査研究などを行うように指示がございました。
 当局ではこれまでも、監理団体の活用やPFIの導入など、多様な官民連携の取り組みを進めてきております。今後とも、都の広域水道の一体性の確保を前提に、一層の効率化を追求する観点から、コンセッション方式も含め、さまざまな官民連携を幅広く検討してまいります。

○中村委員 まだ、今後検討ということのようです。
 先日の新聞のアンケートでも、多くの自治体の首長が導入を検討しているというわけではないようですから、これはぜひ、後にも質問しますけれども、災害時の対応など行政の責任でもってやっていくべきことがあるわけですので、慎重な判断を求めます。
 また、法改正の他の内容として、広域連携の推進があります。他県と違い、都では二十三区ではもともと一体として扱っていますが、多摩地域でも、もともとは各市や町で担っていたものが都への一元化が進み、現在では、武蔵野市、昭島市、羽村市の三市以外の市と町は既に都に一元化をしています。基本的には各自治体の判断になりますが、現在の状況を伺います。

○坂井調整部長 都では、昭和四十六年に策定いたしました多摩地区水道事業の都営一元化基本計画に基づきまして、多摩地区における市町村水道の都営一元化を全国に先駆けまして推進してまいりました。一元化に当たりましては、各市町からの申し出に応じまして、個別に協議を重ねまして、協議が調った市町から順次統合してきたという経緯がございます。
 一方、武蔵野、昭島、羽村の未統合三市につきましては、平成八年度及び平成十二年度、二回にわたりまして、都が都営一元化の意向調査、この確認を実施しましたところ、当面は市の事業として行う旨の回答を受けております。このため、現在、多摩地区では、二十六市町を都営水道といたしまして運営しているところでございます。

○中村委員 現時点では、各自治体から一元化の意向はないということのようですが、先々その意向が出されることがあれば真摯な対応をすることが必要ですのでお願いいたします。
 また、今回の改正では余り報道されていませんでしたが、指定給水装置工事事業者制度に五年の更新制が盛り込まれました。これまでは更新の必要がなかったため、問題のある事業者があったということが背景にあったようですが、現状どのような問題があるのでしょうか、伺います。また、他県の事業者で、都内に電話一本だけ引いて実態のない企業が受注をしているという問題もあるようですが、その対応について伺います。

○尾根田給水部長 現在、都が指定している指定給水装置工事事業者数は約五千八百社と非常に多く、そのうち約六%に当たる約三百五十社が所在不明であるなど実態把握に苦慮しております。
 また、一部の指定給水装置工事事業者における無届け工事や不良工事が発生しており、工事を適正に行うための資質の保持が必要となっております。
 現行の水道法に基づく指定給水装置工事事業者制度では、新規指定の際に、事業者の所在地を把握しているものの、休廃止等の実態が反映されにくいといった課題がございますことから、ご指摘のような実態との乖離を防止するため、今回の水道法改正に至ったと認識しております。

○中村委員 今回の水道法改正は、コンセッション方式など問題のある部分もあったんですが、ただ、この項目のように真面目に事業を営む事業者から改正の求めが出ているということもありました。
 今後、この法改正の部分には対応して、所在確認のとれない事業者の排除や無届け工事や不良工事の排除に取り組むよう求めます。
 次に、コンプライアンスと監理団体について伺います。
 既に多くの議員からも質問されていますが、ここ数年、この水道局をめぐる談合事件などがたびたび発生し、さらに今回、監理団体である東京水道サービスに不正の情報があり、特別監察が入りました。
 水道局グループとして、法令遵守、コンプライアンスが問われています。過日の委員会で、事件に関して、都庁内だけではなく第三者委員会を立ち上げて調査すべしと主張しましたが、四月から立ち上げるとのことでした。もっと早く立ち上げるべきだったとも述べましたが、今後、これまでの都庁内での検証を再検証することになりますが、第三者委員会は独立性を担保した組織にしていただくよう求めます。徹底した調査を行い、水道局グループ全体の信頼回復に努めることを重ねて求めます。
 さて、今般、この東京水道サービスに特別監察が入りました。とりわけ工事監督における竣工写真の改ざん指示は極めて悪質であり、これをもって水道局から水道サービスへの仕事の発注を本当に見直してもいいのではないかと思うぐらいの事件だというふうに思っています。
 大変重いことだと受けとめていただきたいと思いますが、いわゆる天下りによる退職職員の再就職と、特命随意契約など、もたれ合いがあるのではないでしょうか。PUCなど他の関連団体についても監査を行い、結果を公表すべきではないでしょうか、見解を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 このたびの特別監察において、東京水道サービス株式会社及び当局に対して厳しい指摘がなされたことを大変重く受けとめております。
 同社は、都の水道事業を補完し、浄水場の運転管理業務など当局と一体となって事業運営上の重要な業務を担っており、これら民間委託になじまない業務を現場で支えるため、さまざまな水道技術や実務的な知識、ノウハウを有する当局のOBを活用しております。
 また、株式会社PUCにつきましては、来年度早々に特別監察の手法によって点検がなされるということを総務局から聞いており、当局としてもこれに協力をしていきます。

○中村委員 都政改革本部からの求めで水道局が提出した見える化改革報告書によれば、コンセッション方式を含め、幅広く官民連携手法を検討していこうということになっています。
 しかし、安易に事業を外出しするのではなくて、東京の水道を担う立場としての民間のノウハウを取り入れ、みずから民間にできることを実践できるようにすることも重要です。これは水道局と一体的に事業を担っている監理団体においても同様ですが、東京水道サービスやPUCはどのように民間のノウハウを取り入れているのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 当局所管の監理団体が水道事業の基幹的業務を担いながら、より一層、効率的な業務運営を行うとともに技術力を向上させていくためには、民間のノウハウを有効に取り入れていくことが重要でございます。
 そのため、民間企業の持つノウハウを事業活動に活用することを目的として、これまでに民間の出資者等と協働して技術開発を行ってきております。
 今後は、東京水道の経営基盤を一層強化するため、来年度中の監理団体統合に向けて、さらなる民間人材の活用を検討し、効率性や技術力の向上を図ってまいります。

○中村委員 今、水道局の二つの監理団体である東京水道サービスとPUCの統合の話が出ましたが、この意義は何でしょうか。何か急に決まった感はありますが、昨今、監理団体の数をなかなかふやせない状況といわれる中、教育庁の監理団体を新たにつくるために数合わせをしたというふうにも見えなくもありません。
 一般的には、組織の統合は間接部門の削減にもつながりますが、民間企業とはいえ、準公的組織でもあり、簡単に解雇していいものではないと考えますが、見解を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 今回の監理団体の統合は、東京水道が広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、将来にわたり持続可能な事業運営を行うため経営基盤の強化の必要性から、当局として実施する方針を打ち出したものでございます。
 そのため、技術系業務と営業系業務をそれぞれ担う監理団体二社を統合し、水道事業を包括的に担う体制を構築することにより、この新団体への業務移転を一層進め、さらなる効率化と経営基盤の強化を図ってまいります。
 また、水道法改正を踏まえ、全国の水道事業体が今後取り組む広域連携や官民連携に対して、当該団体が東京水道で培った技術、ノウハウを活用し、ニーズに応じた支援を進め、他の事業体の事業運営上の課題の解決に貢献してまいります。
 統合時の間接部門を含めた組織、人員構成につきましては、今後、両社において適切に検討していくものと考えてございます。

○中村委員 大きな監理団体をつくって、他の自治体の仕事を受けるということのようです。他の自治体で困っていらっしゃるところはあるとは思いますけれども、ただ、この監理団体は、都が都民の税から出資して設立した会社ですから、まずは都民のための仕事をすべきではないかと思います。
 なぜ、他の自治体の仕事を受ける必要があるのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道が広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、将来にわたり持続可能な事業運営を行うためには、東京水道の経営基盤を強化し、効率経営を一層推進することが何よりも重要でございます。
 そのため、監理団体二社を統合し、新団体への業務移転を一層推進していくことが、まずは不可欠な取り組みとなります。一方、当局所管の監理団体は、売上高のほとんどを当局からの受託事業に依存しており、団体経営の自主性を高める必要も、これもあります。
 今後は、水道法改正を踏まえ、全国の水道事業体が、この後、取り組むであろう広域連携や官民連携に対して、新団体が東京水道で培った技術、ノウハウを活用した支援を進めることにより、他の事業体の問題解決に貢献してまいります。
 これらの取り組みを進め、団体経営の自主性を向上させ、その経営基盤を強化していく、こういうものでございます。

○中村委員 昨今、コンセッション方式が問題になっているのは、水という重要な事業を民間の責任にして大丈夫なのかということがあります。これは他の困っている自治体について、そのまま放っておいていいということではないと思ってはいるんですが、今、みずからの自治体の責任を他に任すことはいかがなものかという議論をしているそばから、他の自治体の責任を引き受けてくるということに問題はないのかということは疑問が残ります。
 都は他の自治体の水道事業の責任をとれるのでしょうか、見解を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 水道法の改正後も、住民に水を供給する責任は、引き続き水道事業者が有するとされております。新団体が支援する内容は、水道事業の見える化改革報告書でもお示ししたように、コンセッション方式を導入する水道事業体が実施するモニタリングへの支援や、水道事業の部分的な受託から包括的な受託まで多様なものを想定しており、それぞれの受託に伴う責務やリスクもさまざまであると考えております。
 これらの支援に当たっては、業務内容を初め、採算性や将来負担などの責務とリスクを十分に精査した上で、東京水道事業運営に影響を及ぼすことのない範囲で行うよう留意をしていきます。

○中村委員 都の監理団体は普通の民間企業とは違いますし、本当に困った自治体が民間企業よりは都の監理団体にお願いしたいということもあり得るかもしれません。しかし、全国的な水道事業の課題について、都の監理団体だけで解決できるわけではありません。監理団体の経営の安定化も重要かもしれませんが、制度の根幹にかかわることなので慎重な対応を求めます。
 次に、震災対策について伺います。
 三・一一東日本大震災から八年が過ぎました。ここ数年でも、熊本、大阪、北海道など全国各地で地震が頻発しており、重要なライフラインを担う水道事業者にとって、いつ起こってもおかしくない災害への備えは待ったなしです。
 質問の冒頭で水道事業の民営化の質問もしましたが、都民の生命と安全を守る役割はまさしく行政が果たすべき最も重要な役割であり、人にとって欠かすことのできない水については、都みずからが責任を持って対応することを改めて求めます。
 現在の震災対策への取り組みを加速する必要があると考え、昨年の事務事業質疑でも、配水管の耐震継ぎ手化を一刻も早く進めるようお願いしました。配水管の耐震継ぎ手化を早期に実現するための取り組みについて伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 当局では、震災時の断水被害を効果的に軽減するため、水道管路の耐震継ぎ手化について、優先順位を明確にした上で重点的かつ効果的に整備を進めてきております。
 現在進めている重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の中で、避難所となる大学、高等学校及び公民館等への供給ルートの耐震継ぎ手化については、当初の完了年度である二〇二五年度から三年間前倒しいたします。これにより全ての重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を二〇二二年度までに完了させます。
 こうした水道管路の耐震継ぎ手化を着実に推進し、震災時の断水被害の低減に努めてまいります。

○中村委員 配水管の耐震継ぎ手化を前倒しで進めていくとのことです。ぜひ着実な取り組みをお願いします。
 水道局は、配水管の耐震継ぎ手化のほかにも、大規模な貯水池や配水池の耐震化等も実施をしています。しかし、震災時に、本当に住民の方々が水を手に入れることができるのか懸念をしています。都民の皆様には備蓄は要請はしていますが、必ずしも全ての方が備蓄をしているわけではないのは現状だと思います。
 そこで、給水拠点や避難所に確実に水が届くのか、改めて伺います。

○尾根田給水部長 給水拠点には、浄水場や給水所と公園等に応急給水槽を設置しているものを指定しております。浄水場や給水所の配水池と応急給水槽は常時水がたまっており、発災時にも確実に水を確保することが可能でございます。
 また、区市町が指定する避難所につきましては、先ほどの答弁にもありましたとおり、供給ルートとなる配水管の耐震継ぎ手化に加え、避難所への給水を確実なものとするため、配水管から分岐する水道メーターまでの給水管の耐震化を進めるとともに、迅速な応急給水に向けた応急給水栓の設置を鋭意進めているところでございます。
 こうした避難所等の給水管耐震化及び応急給水栓の設置につきましては、平成三十一年度の整備事業費として十八億七千万円を計上しており、全ての避難所約二千六百カ所を完了する予定でございます。

○中村委員 大規模震災時にも住民の方々に確実に水を届けるために、給水管を含めて水道施設全体の耐震化を着実に進めていただきたいと思います。
 しかし、災害はいつ起こるかわかりません。耐震化の取り組みを進めている途中の段階で被災する可能性も考えられます。この場合、避難者が多く集まる避難所に水が届かないことも考えられますが、どのように対応するのか伺います。

○小山サービス推進部長 当局では、災害時においても区市町が避難所で給水できるよう、給水ルートの耐震継ぎ手化や給水管の耐震化を図るとともに応急給水栓の設置を進めております。
 また、消火栓を活用した応急給水も行えるよう、あらかじめ区市町に資器材を貸与しているところでございます。しかし、管路の被害によって避難所への給水が停止した際は、消火栓を活用した応急給水ができなくなることもございます。こうした場合は、区市町からの要請を受け、給水車による応急給水を実施いたします。

○中村委員 現在、水道局が保有する給水車は十四台あるそうですが、給水車による給水の優先順位は病院が第一順位であると聞いています。避難所へ給水車が来ることはなかなかないのではないかと考えます。
 そこで、給水車が必要な避難所などに水を届けるために、どのように取り組んでいくのか伺います。

○松丸総務部長 発災時における給水車による応急給水の優先順位は、第一順位に病院、第二に水を供給できない給水拠点、第三に避難所に対応することと定めております。
 給水車につきましては、当局では、平成三十一年度から二カ年で十六台を追加配備し、合計三十台に強化してまいります。また、発災時に他都市等から多くの給水車の支援を受けられるよう、仙台市、大阪市、岡山市と覚書を締結し、広域的な支援を受ける枠組みを構築するとともに、本年一月には、全国の大都市が参加し、応急給水活動等を行う訓練を実施するなど救援活動の実効性確保にも努めております。さらに、発災時に区市町等が避難所に仮設水槽を設置することとしており、給水車はその仮設水槽まで水を運搬し、住民に対し、この仮設水槽から応急給水を行うこととなります。
 このように、発災時に都内で活動できる給水車の数を増加させるとともに、給水車を最大限効率的な活用を図ることで、多くの施設に給水車が派遣できるようにしております。

○中村委員 大規模震災時に想定外の事態が発生した場合も、住民の方々に水を届けるためには、訓練などを通じた職員の対応力、組織全体としてのスキルアップが必要と考えます。大規模震災時等の対応力強化に向け、水道局は二〇一九年度にどのように取り組んでいくのか伺います。

○松丸総務部長 当局では、大規模災害やテロの発生など、さまざまな脅威に的確に対応するため、年間を通じて体系的かつ網羅的な訓練を実施しております。
 平成三十一年度におきましても、これまで積み重ねてきた実績の検証等を踏まえ、複数の大規模浄水場が被災し、広域的な断水が発生するような厳しい状況を想定し、実効ある訓練を着実に実施してまいります。また、訓練実施後、速やかに浮かび上がってきた課題や対応策を整理し、各部署で作成している行動マニュアルに反映いたします。
 このように訓練の計画から実施、検証、そして対策の見直しまでのPDCAサイクルを通じて、組織全体で危機対応力の向上を図ってまいります。

○中村委員 災害への水道局の取り組みについてここまで伺ってきました。懸命に取り組んでいただいていることは理解しましたが、この取り組みの途上で震災が来ることもあり得ます。耐震継ぎ手化の早期の実現や市区町村との連携による訓練、さらには水道局としても機会あるごとに水の備蓄を都民に呼びかけていただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、都民にとって重要な水が災害時にも確保されるよう、都みずからが責任を持って取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。

○上田委員 現在、政府を挙げて廃プラスチック対策が推進されております。最大消費地東京においては、この取り組みが進むと飛躍的に激減するものと思います。ペットボトル使用の抑制インセンティブを進めることと、水道水の飲用は多大なる相乗効果をもたらすものと確信しております。
 ついては、水道水質モニター事業と水道水とミネラルウオーターの飲み比べの具体的実績と今後の展開について伺った上、この事業を開始してから数値的にはどのような効果があったかご説明ください。

○小山サービス推進部長 水道水質モニターは、ご家庭の水道水について、簡易水質測定キットを使ってセルフチェックを行いまして、水道水に対する不満や不安を払拭していただき、満足度の向上やモニター体験をSNSなどで発信していただくことを目的に実施しております。平成三十年度は約八百三十名の方々が参加していただき、水道水の安全性やおいしさを体感していただきました。
 次に、水道水とミネラルウオーターの飲み比べですが、高度浄水処理によりおいしくなった水道水を直接実感していただくことを目的に、多くのお客様が参加するイベントなどで実施しております。
 平成三十年度は、この一月末までに約二万四千名の方々に飲み比べをしていただき、水道水のおいしさを実感していただくことができました。三十一年度は、前年度と同規模での実施を予定しておりますが、その後についてはお客様ニーズなどを踏まえて検討してまいります。
 開始してからの効果でございますが、水道水質モニターでは、モニターになる前に比べて水道水に対する満足度が高くなった、または少し高くなったと回答した方が約七五%でありまして、満足度が大幅に向上しております。
 一方、水道水とミネラルウオーターとの飲み比べでは、水道水の方がおいしい、またはどちらもおいしいと回答した方は五七%となっておりまして、半数以上の方々が水道水のおいしさを実感されております。
 これらの回答から、水道水質モニターや飲み比べ事業はPR効果が高いものと認識いたしております。

○上田委員 環境局はもとより、ほかの都道府県の関係機関とともに廃プラと水道水飲用促進のコラボレーションによる事業展開を今後、希望をするものであります。
 災害時給水ステーションです。
 都、区市町が実施する防災訓練にはどのぐらいかかわって、どのように周知しているのか、内容、自治体数、回数など数値を含め、詳細をご説明ください。

○松丸総務部長 当局は、震災等を含めた災害発生時に、区市町の職員や住民の皆さんが迅速かつ円滑に応急給水等を行うことができるよう、都や区市町が実施する防災訓練に積極的に参加し、支援をしております。
 具体的には、各防災訓練に当局職員が参加し、消火栓から応急給水を行うための訓練への支援や、当局が推進している震災対策等に関するPRを行っております。
 平成三十年度は、都を含め四十の自治体において実施した防災訓練に、平成三十一年二月末時点で計五十四回参加しております。

○上田委員 今度は都民向けです。防災PRイベント及びホームページの活用を含めた周知についても、同様に詳細を伺います。

○小山サービス推進部長 当局では、多くの方が来場する防災に関するイベントにブースを出展しまして、災害時給水ステーションの役割などについて、パネルの展示や局職員による解説などによりPRを行っております。平成三十年度は、約十七万人が参加した東京国際消防防災展や、約三千七百人が参加した東京都防災展に出展をいたしました。
 また、各自治体が開催する防災イベントなどでは、営業所の職員等が近隣の災害時給水ステーションの案内図などを記載した地域水道ニュースも作成しまして、約二十四万七千枚を配布しております。
 さらに、水道局ホームページやツイッターなどを活用しまして、災害時給水ステーションの場所や機能を紹介しております。

○上田委員 電源を失う前に、ちゃんとインターネット検索できなくなっちゃう前に、やっぱり把握していただきたいなと思いました。
 自家発電です。二〇二一年までに大規模停電時におきまして、浄水場の施設能力を一〇〇%発揮できるよう整備するということでございますが、新年度予算に当たっての対策を伺います。

○横谷設備担当部長 現在、金町浄水場におきまして、自家用発電設備の設置工事を進めております。平成三十一年度予算には、この工事の事業費約十六億円を計上しております。

○上田委員 そして現在、給水所等は一日平均配水量を維持する規模で整備しており、合わせて七十二時間の連続運転が可能な燃料タンクの設置を進めているとのことですが、その給水所の普及の状況を伺います。

○横谷設備担当部長 当局では、給水所等における自家用発電設備の整備に合わせて、七十二時間の連続運転が可能な燃料タンクの設置を進めております。平成三十年度末までに十六施設で整備が完了しており、平成三十一年度には五施設で整備する予定でございます。

○上田委員 また、普及が済んでいないこと、そして七十二時間で時間的に問題はないかなどの課題を伺いたいと思います。
 あわせて、構造上、燃料タンクの設置が不可能な浄水場や給水所がないのか、具体的な場所名を挙げてご説明いただければと思います。

○横谷設備担当部長 当局では、東京水道施設整備マスタープランに基づき、自家用発電設備の整備を進めておりますが、整備が完了していない浄水場等は金町浄水場、上北沢給水所など十六カ所ございます。
 また、燃料タンクは七十二時間分の燃料を確保するように整備しておりますが、大容量となるため、設置スペースの確保が課題となっております。燃料タンクにつきましては、浄水場や給水所内の空きスペースに設置しております。しかし、東京水道施設整備マスタープランに基づき整備することとしている施設のうち、所内に燃料タンクを設置することが難しい朝霞浄水場、石畑増圧ポンプ所などの七カ所では、隣接する用地を確保した上で設置を予定しております。

○上田委員 非常に電源確保は重要でございます。工夫をしながら進めていただきたいと思います。
 水源林です。
 伸び悩んでいる高校生の奉仕活動体験を多摩川水源森林隊で受け入れていることにつきまして、新年度に向けて、学校教育と連携した森づくり活動の取り組み全般を伺うとともに、教育委員会と連携を図られ、不登校、ひきこもり対象者への呼びかけをしていただきたいと考えますが、実施可能性について検討されているのか、所見を伺います。

○青木浄水部長 当局ではこれまで、学校教育と連携した森づくり活動といたしまして、小学生を対象に、水道水源林を学習する水道教室や学習支援教材の提供、高校生を対象に、奉仕体験活動の受け入れ、大学を対象に共同研究の実施や作業体験の受け入れを行っております。来年度も積極的にPRを行い、これらの取り組みを継続してまいります。
 続きまして、不登校、ひきこもり者への対応でございますが、多摩川水源森林隊におきましては、これまでも高校や大学などと連携した森づくりに取り組んできてございます。今後も、不登校やひきこもりの方々に限らず、活動の際の安全管理に十分配慮した上で、希望のある学校につきましては学生の体験活動を受け入れてまいります。

○上田委員 学校に関しては、確保法もできましたので、NPO等々も巻き込みまして、ひきこもりの子供たち、非常に森林はよいということでございますので、お声がけを広めていただきたいと思います。
 民間林購入についてです。
 新年度に向けて、約一千百名の多数の土地の所有者に働きかけを説明会などでするなど、具体的な計画と目標について伺いたいと思います。

○青木浄水部長 これまで、重点購入地域のうち、最も優先度の高いエリアの約五百四十名の土地所有者に売却意向を確認するアンケートを実施してございます。
 平成三十一年度も引き続き、優先度の高いエリアから約二百二十名の土地所有者へアンケートを送付する予定でございます。このアンケートの回答を踏まえ、土地所有者に売却に向けた積極的な働きかけを実施してまいります。

○上田委員 荒廃林になる前に、順次購入の方の努力を続けていただければと思います。
 発電事業です。
 小水力電力、太陽光発電につきまして、固定価格買い取り制度の活用につき、今後の展開と目標について伺います。

○横谷設備担当部長 再生可能エネルギーを利用した発電設備につきましては、費用対効果を勘案し、固定価格買い取り制度を活用して電力を売却しております。
 今後整備する発電設備につきましては、買い取り価格の推移を注視し、固定価格買い取り制度の活用を検討してまいります。

○上田委員 二十九年度は一億六千万、環境負荷を下げる、こうした新しいエネルギーの取り組み、東京が率先して進めていただければと思います。
 水道事業の運営戦略です。
 TSSとPUCの統合に向けましては、同僚議員から議論がありましたところで、これは飛ばさせていただきます。
 ただ一点、統合による民業圧迫の問題などないか、課題や委員から寄せられた危惧などもお示しいただければと思います。

○石井経営改革推進担当部長 会議の委員からは、いろいろ外部の委員とかなのですが、今後、監理団体が他事業体の事業運営上の課題解決に貢献していくことに対する、支持する意見というのもありますが、一方で、他事業体の業務を受託する際のリスク管理が必要であるというような意見もいただいております。
 いずれにしましても、民業圧迫の問題云々というのはありますが、この意見などを踏まえて、他事業体の業務受託に際しましては、地元の業者に配慮するとともに、業務内容を初め、生産性や将来負担などの責任とリスクを十分に精査して、東京水道の事業運営に影響を及ぼすことのない範囲で事業を行うよう留意をしていきます。

○上田委員 民業圧迫の次は民営化ということで、コンセッション方式につきましても、るる議論がされたところで重なるので、これも飛ばさせていただきます。
 人材育成です。
 前問を受けまして、統合後は、より効率的、経済的に水道技術者の人材育成に貢献していくとともに、局と監理団体が一体となった人材育成をどう果たされるのか、所見を伺います。

○金子職員部長 当局では、日本水道協会と連携し、研修・開発センターの既存の実技フィールドを活用した研修の実施を支援するなど、効率的かつ経済的に他水道事業体や民間事業者における水道技術者の人材育成に貢献しております。また、監理団体の人材育成を支援するため、監理団体社員の局研修への受け入れなどに取り組んでおります。
 今後、監理団体の統合を見据え、局と監理団体の人材の相互交流の活性化や共同研修の拡大を図り、当局及び監理団体が水道事業運営に必要なノウハウを共有することで、局と監理団体が一体となった人材育成を一層推進してまいります。

○上田委員 きょうも技術者の確保並びに技術の維持が議論されてきました。それを担う水道技術エキスパートは現在七十三名が認定されております。ちょっと少ないように思うんですけれども、今後の増員にするための数値目標や取り組みがあるのか伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 東京水道技術エキスパート制度は、高い技術力を持つ経験豊富な職員を東京水道技術エキスパートとして認定し、効果的に技術継承を進めるものでございます。
 認定に当たりましては、技術に関する見識や経験、職務経験年数、後進の指導育成に対する熱意などの認定要件を審査した上で、効果的な技術継承を行うために必要な人数を認定しております。
 現在の認定者数は、職場を超えた全職員に対する指導助言、自身が持つ経験やノウハウのデータベース化、各種検討会への参加といったエキスパートの活動を行う上で適切な人員でございます。
 今後も必要なエキスパートを適宜認定し、効果的な技術継承を行ってまいります。

○上田委員 そのデータベース化の象徴であるナレッジバンクですが、事務事業のとき、ちょっと利用率がどうかと思っておりました。利用率アップに向けての新年度予算、具体的な局内での周知の取り組みを伺います。

○金子職員部長 ナレッジバンクにつきましては、現在、局内報等を活用し、局内の全職員に対し周知を図っております。特に、新たに局に配属になった新規採用職員や転入職員につきましては、職員研修でナレッジバンクを紹介してございます。さらに、実務研修におきまして、ナレッジバンクの動画を活用した研修を実施しているところでございます。
 今後は、全職員向けの研修で新たにナレッジバンクの紹介をしていくとともに、局内報等での周知をさらに強化してまいります。

○上田委員 現在あるリソースで技術力のアップ、向上、維持をお願いしたいと思います。
 今回の資料の14、一一六ページでございますけれども、職員の勤務体制です。
 三十年度は、超過勤務となった者は百三十二名と、若干ではありますが前年より増加に転じております。その分析と、現状と新年度の見通しを示していただきたいのと、そういったものの解消に向けて、新年度へ向けての非常勤を含む欠員補充の考え方、方針、対策をお示しください。

○金子職員部長 平成三十年度は、十二月末現在で、月八十時間を超える超過勤務を行った職員が延べ百三十二人と、二十九年度の百十人に比べ二十二名増加しております。
 各部におきましては、毎週水曜日及び給与支給日に定時退庁に努めるなど、超過勤務の縮減に取り組んでおりますが、今年度はIWA世界水会議や情報漏えい事故に係る業務などにより超過勤務が増加したと考えております。平成三十一年度は、二十時完全退庁の取り組みの強化や一層の効率的な業務運営に努め、超過勤務の縮減により、職員の健康増進、ライフワークバランスを増進してまいります。
 また、欠員補充の考え方でございますが、平成三十年度につきましては、年度途中の退職者等による欠員八名について補充を行いました。新年度、三十一年度におきましても、各職場における年度中途に生じる欠員につきましては、局全体の人員状況を勘案し、可能な限り補充を行ってまいります。

○上田委員 そうですね、情報漏えい事故で業務がふえたということで、特別監察でまたふえちゃうような感じがします。今後、確認させていただきたいと思います。
 メンタルヘルスです。
 専門機関によるメンタルヘルス相談、巡回メンタルヘルス講習会、ストレスチェック、産業医による健康診断など実施しているとのことですが、具体的な内容、回数、対象者及び職員への周知方法につきご説明ください。

○金子職員部長 メンタルヘルス対策は、管理職を含めた全職員を対象に、ストレスチェックは年一回実施し、メンタルヘルス講習会は各職場への巡回により年四十四回実施しております。また、通年で産業医による健康相談と、電話、メール、面接によるメンタルヘルス相談を実施しております。
 また、職員に対しましては、職員向け掲示板への掲載やポスターの掲示のほか、職員への文書による通知や、メンタルヘルス相談のリーフレットを配布するなど、メンタルヘルスへの取り組みを周知しております。

○上田委員 水道局は、やっぱり現場の人が多いので意外に我慢強いんじゃないかなと思って、ちょっと心配になっております。産業医の面接指導に至った人員数も示してください。

○金子職員部長 平成二十九年度の長時間労働面接の対象者数は五十人おりましたが、そのうち、産業医による面接指導を実施した人数は五人でございました。
 平成三十年十二月現在で、長時間労働面接の対象者は五十三人おりますが、このうち産業医による面接指導を実施した人数は二十一名でございます。

○上田委員 適正な管理とサポートがなされていることを確認させていただきました。
 次は、アファーマティブアクションといいますか、水道局におけます女性管理職、主任の人数と割合について伺いたいと思います。

○金子職員部長 三月一日現在、水道局における部長級と課長級合わせた管理職員は百五十七名でございます。そのうち女性管理職は十二名で、割合は七・六%、主任級職員につきましては千二百四十一名おりますが、そのうち女性主任級職員は二百四十四名で、割合は一九・六%でございます。

○上田委員 管理職予備軍の女性主任級職員が二〇%近くいるということで、ぜひ管理職になっていただきたいなということで、サポートをよろしくお願いします。
 直接給水です。
 私も、直接給水の問題でTSSの問題に遭遇しました。接遇が非常に事業者に悪くて、調べていくうちに文書質問もさせていただき、事務事業質問もさせていただきまして、今回の件でございますけれども、まずは事務事業質疑で明らかにした切りかえ件数なんですけれども、思うような数字が出ているのかなというふうに思っております。
 新年度に向けての数値を踏まえた目標を伺います。

○尾根田給水部長 直結給水への切りかえは、貯水槽水道を設置管理するお客様がみずから判断するものでございますので、切りかえ件数の目標設定は難しいと考えております。
 水道局では、給水件数に対する直結給水件数の割合として直結給水率を設定しておりまして、これまで切りかえのPRや直結切りかえ見積もりサービス等を積極的に実施してきた結果、経営プランに掲げる目標値七五%に近々に達する見込みとなっております。

○上田委員 見積もりサービス利用者実績なんですけれども、二十七年は六百十六件、二十八年は六百三十二、二十九年は四百四十件となっていますが、その結果、工事に至ったのは二十七年は九十六件、二十八年は七十六件、平成二十九年、五十四件ということですが、この数値をどう捉えて、今後反映するか伺いたいと思います。

○尾根田給水部長 直結切りかえ見積もりサービスを通して見積もりを取得した貯水槽水道を設置管理するお客様は、必ずしも見積もりを実施した施工業者で工事を行う必要がなく、改めて施工業者を選択できることとしております。
 見積もりを実施した事業者が工事を実施する割合は、過去三年平均で一割程度でございますが、見積もりの実施主体が、お客様に切りかえの工事内容等を情報提供する機会となりますことから、直結給水化の促進に寄与していると捉えております。
 このため、直結給水の普及促進に向け、引き続き本サービスにより、切りかえ工事に必要な情報提供を行ってまいります。

○上田委員 登録しているのが、見積もりサービスは百十社なんですね。でも、工事ができる業者は五千八百九十八社あります。前回は、こちらにどんどん協力していただくことにお願いしているんですが、業界を通じ随時募集を行っていて、登録実施店リストとして四半期ごとに更新というような感じですが、これでふえるのか、実現できるのか、新たな取り組みなどないか、伺いたいと思います。

○尾根田給水部長 ご指摘の点につきましては、今後とも指定給水装置工事事業者に対しまして、当局の直結給水化の普及促進の取り組みや、本サービスの趣旨につきまして、あらゆる機会を捉えて周知し、協力を求めてまいります。

○上田委員 直結給水やりたいと、マンションオーナーや事業者が問い合わせたとき、あらゆるアクセスの場で、指定業者情報、これ五千八百九十八なんですよね、容易に得られる努力をすべきと考えます。これまでの周知では、典型的な官報主義といわざるを得ません。改善に向けた検討、取り組みの所見を伺います。

○尾根田給水部長 指定給水装置工事事業者の情報につきましては、水道局ホームページにおきまして、事業者の名称、所在地及び連絡先を公開しておりますほか、見積もりサービスの受け付け時や給水管工事事務所の窓口などで案内しております。
 今後も、お客様に対して適切に指定事業者の情報を提供してまいります。

○上田委員 もうBツーCで直接やっていただくようなご努力をお願いいたします。
 それでは、今般のさまざまな不適切事案です。
 水道局は、平成二十四年九月に飲食接待を受けた職員が逮捕、起訴され、平成二十六年九月に職員が元職員及び工事事業者に情報漏えいをする事件が立て続けに発生し、さらに、昨年十月に当該局発注業務の見積もりの情報漏えいによる談合の疑いで公正取引委員会の調査が入り、さらにさらに、今般二月は外郭団体TSS不適正事案により特別監察が入るという尋常じゃない事態が発生しております。
 私は、過去に公営企業決算特別委員会、公営企業委員会に属し、その都度、資料を請求し、その都度ただし、その都度、適宜適正に対処している、職員研修を行う、行っているというご答弁を得るたびに新しい事件が発生するというとんでもない事態が起こっております。
 まず、過去の事件が全く生かされなかった原因は何であったか。悔いても改まらぬ水道局の体質について率直な局長の所見を伺います。

○中嶋水道局長 当局におきまして、過去二回の不祥事があったにもかかわらず、昨年秋に職員による情報漏えいが発覚し、さらに今回、東京水道サービス株式会社に関する不適正事案への対応が指摘されました。
 同社に対しましては、不適正事案発生の都度、原因究明と再発防止に向けた取り組みを徹底してまいりましたが、今回の特別監察におきましては、内部統制の仕組みが会社全体に浸透していないとの指摘を受けております。
 こうした不祥事が続きましたことは、当局及び監理団体から成る東京水道グループ全体の組織風土や職員意識などの構造的な課題が原因でありまして、水道事業の信頼を揺るがすものと認識しており、局長として大変重く受けとめております。
 このため、みずから責任を持ちまして監理団体にふさわしい内部統制確立のため、指導監督をさらに強化いたしますとともに、東京水道全体のガバナンスとコンプライアンスの強化のため、外部有識者の視点を入れ、組織、機構のあり方も含めた構造的な課題を抜本的に改革してまいります。

○上田委員 局長の重い責任感もありますが、基本はやっぱり最終責任者は小池知事でありますので、しっかりと、やっぱり私も同じく記者会見見ていても、人ごとのように聞こえてしまいましたので、知事と一丸になって抜本的対策を進めていただきたいと思います。
 浄水場の排水処理の作業委託についてですが、局としては十七者で競争原理が働いているということですが、十七者だけの顔見せとなり、新規参入が事実上ない状況ではないか、入札に緊張感が失われているのではないかと危惧を持っております。
 まず、この点の所見を伺います。

○青木浄水部長 当局の排水処理施設運転管理作業委託を受注可能な業者は十七者でございまして、競争性は発揮されると考えております。一方、これまでの入札結果を見ますと、公募による競争の結果と認識してまいりましたが、より競争性を発揮させるための不断の見直しが不十分でございました。
 このことから、平成三十一年度の当該契約では、新規参入を促進するため、実績要件など、入札参加条件の見直しを実施したところでございます。

○上田委員 今回、談合が疑われた三者における水道局OBの天下りともいわれかねない東京都退職時の所属と役職と再就職後の役職を伺います。あわせて、いま一度、東京都職員OBの今般の事案への関与はなかったのか、確認させてください。

○松丸総務部長 報道されている一者に公正取引委員会の立入検査が行われた時点で、元水道局局長級、元水道局部長級及び元水道局課長級の各一名、計三名が再就職しておりました。再就職先での役職は一名が顧問、二名が担当部長と聞いております。今般の判明した事故に関しましては、現時点までの調査では、元職員による関与の事実は確認されておりません。

○上田委員 都関係者はいたということですね。そして、今回発生した事故の当事者となった職員ですが、事故が発生したと考えられる期間は同一部署に四年間所属しておりました。三年以上の在籍者は異動の対象なのに、異動していなかったということだと思います。
 この事案を受けとめて、見直しを含めて必要な措置をとっているか確認させてください。

○金子職員部長 当局における異動基準は、監督職は、同一ポストを三年以上の在職者は異動の対象とすることに加えまして、五年以上の在職者につきましては全員異動させます。また、一般職員につきましては、同一部署五年以上の在職者は原則として異動させます。
 今回の事故発生当時、当事者が同一部署に四年所属していたことは異動基準に反しているものではございませんが、今後とも、こうした異動基準を遵守し、長期在職が発生しないよう努めてまいります。

○上田委員 本来、技術取得しなきゃいけないので、ころころ変わるというのも痛しかゆしのところではございますが、こういう状況であれば仕方がないと思います。
 今回の業務委託契約につきまして、委託業務の所管部署におけます発注仕様の作成や委託料の積算、経理契約所管部署における契約手続等の内部決定手続を通じまして契約内容、形態等の適正性など検証を行ってきたということですが、事件が発生しました。
 今後、どう見直して再発防止につながる実効性のある具体的措置を講じていくのか伺います。また、関係者、職員への措置、ペナルティーや研修などについても伺いたいと思います。

○青木浄水部長 再発防止策として、まず昨年十二月から、これまで受託事業者を管理する浄水場の職員が行ってまいりました積算業務を切り離し、本庁で一括して実施することで現場職員が厳格管理情報を保持しない体制に改善をいたしたところでございます。
 また、平成三十一年度の契約では、発注に当たって新規参入を促進するため、実績要件など入札参加条件の見直しを実施したところでございます。
 さらに、平成三十二年度からの契約は、受託者の作業員の安定確保に加え、価格及び業務履行能力なども評価するため、五年間の複数年契約と総合評価方式の導入を予定してございます。

○金子職員部長 関係職員への措置でございます。本件に係る職員に対する処分等につきましては、事実関係を調査している段階でございます。今後、公正取引委員会の調査状況も勘案しながら厳正に対処してまいります。
 また、職員への研修につきましては、都の汚職等防止部会が本年一月に取りまとめた中間報告書に基づきまして、公務員倫理の徹底という観点から、来年度、コンプライアンス推進研修の見直しを行います。
 具体的には、職員自身がみずから考え職責や職務に関する理解を一層深めるために、管理監督職に対する研修においては、管理監督者が果たすべき役割や事故発生後の対応について検討するケーススタディーやグループ討議、講義を新たに実施するほか、管理職を除く全職員に対して行う職場研修におきましては、過去の懲戒処分事例をもとにしたグループ討議や講義を新たに実施いたします。

○上田委員 職員の負担にならない合理的、効果的な研修をお願いしたいと思います。
 東京都の水道局物品契約監視委員会と工事契約監視委員会を統合するとのことですが、その経緯と構成メンバー、今後について伺います。

○志村経理部長 物品契約監視委員会では、過去の水道資機材や水道メーター談合を受け、談合防止を目的に調査分析を行ってまいりました。また、工事契約監視委員会では、さきの情報漏えい事件を踏まえ、落札価格が予定価格等に近い工事契約案件を対象に調査をしてまいりました。
 しかしながら、今回判明した事故を踏まえまして、監視体制の機能強化を図るため、平成三十一年四月に、これら二つの委員会を統合し、仮称でございますが、契約監視委員会を設置することといたしました。
 この委員会の構成員でございますが、これまでの委員会の構成員である局内関連部署の部長級職員に加えまして、平成三十一年四月に局内に新たに設置するコンプライアンス専管組織の職員も加える予定でございます。
 こうした取り組みにより、工事契約、物品契約のいずれの契約においても、談合、情報漏えい、両方の防止を目的とした調査を実施してまいります。

○上田委員 全て都の職員のようにお見受けしますが、そのメンバーで公正、公明を担保できるのか伺いたいと思います。

○志村経理部長 この委員会の公正性の担保についてでございますが、新たに設置する契約監視委員会の調査結果につきましては、これまでと同様に、ホームページ上で広く外部に公表するとともに公正取引委員会に情報提供を行ってまいります。
 また、本年四月に設置する法曹関係者等の有識者による第三者コンプライアンス委員会に調査結果を報告し、外部の視点から検証、提言をいただくこととしてございます。
 こうした取り組みによって委員会の公正性を担保できると考えております。

○上田委員 こもごも仕組みがあるようですが、仕組みがあっても組織に緩みなどの温床があれば同じことが繰り返されるものではないでしょうか。一過性のキャンペーン、場当たり的なコストばかりかかり効果が生み出せないアリバイ的研修だけではない、水道局の職務倫理の醸成をいかに実質にしていくのか伺います。

○金子職員部長 今回、職員による事故が判明したことを受けまして、汚職等防止に係る強化月間や研修を拡充することで、職員の意識改革や管理監督者の職場管理を強化していくことはもちろん、年に二回、管理職員が職員一人一人との話し合いを持つ自己申告面接の場を活用しまして、きめ細かな個別の指導を行うこととしました。
 具体的には、昨年十二月に実施した自己申告面接での指導の際に、自発的な申告の有無を懲戒処分の量定に反映させることを説明した上で、これまで不法、不正行為を行ったことはないか、あるいは今後もそうした行為を行わないかといった点について明確に確認するとともに、汚職等根絶に関する宣言書にサインをさせる取り組みを行いました。
 今後、こうした取り組みを繰り返し行っていくことで、全ての職員の公務員としての高い倫理意識を醸成してまいります。

○上田委員 報告では、金品の授受等確認できなかったということですが、特別監察の方の事案を受け、接待などなかったのか気になるところです。この点については、公正取引委員会の調査の最中ではありますが、飲食、ゴルフ、遊興、その他、接待などの確認はされているのか、されているとすれば確認の結果についてご答弁ください。

○金子職員部長 今回の事件につきましては、公正取引委員会の調査が継続中でございますが、都として局の関係部所長によるヒアリング調査、局監察部門による事情聴取、チェックシートによる調査など、できる限りの調査を実施いたしました。
 これらの調査の結果、現時点では金品の授受、飲食、ゴルフ、遊興、その他、接待などの事実は確認されておりません。

○上田委員 服務監察の対象となる事案はなかったということですね。
 続きまして、職員Aが相談時間がとれなかったということが報告されましたが、そもそも所属長の仕事のボリュームはわかっているわけで、職員が多く、時間がとれないということにも問題を感じます。組織体制、人員配置と機能的な意思の疎通により相談しやすい環境づくりなど、今後に向けて改善の余地が大いにあると考えます。
 現状を踏まえた取り組みの方向性と所見を伺います。

○金子職員部長 今回の事故の要因としまして、事業者対応が特定の職員に偏ることなどにより、他の職員が不適正な事務処理に気づくことが困難な職場環境となっていたことが挙げられます。
 そのため、その改善策として、各職場におきまして、これまでの汚職防止の取り組みに加え、定期的に課や担当単位で職員が相互に他者の視点から業務の点検を行う仕組みを構築し、コンプライアンス意識の向上を図ります。
 具体的には、職場ごとに洗い出したリスク及びそれに対応した汚職防止策等を踏まえまして、職場ごとのチェック項目を整理して、職員による相互点検を実施します。職場内で組織を挙げて、不正等を発見、防止する体制を構築してまいります。あわせて、定期的に実施している職場討議の内容をさらに強化充実させることで、日ごろから職員同士のコミュニケーションを活性化させ、風通しがよく汚職等が起こりにくい職場づくりに取り組んでまいります。
 こうした取り組みを進め、全職員のコンプライアンス意識を向上させてまいります。

○上田委員 コミュニケーションの活性化、風通しをよくする、ここに尽きると思います。再発防止に向けまして、自発的な申告の有無を懲戒処分の量定に反映されることで、自発的な申告を促す効果があると考えていらっしゃるようですが、その後の服務監察と処分量定の新たな基準の策定状況及び実施の見通しを確認させてください。

○金子職員部長 今後は、自発的な申告がなかった場合には、懲戒処分の決定に当たり原則として処分量定を加重して適用することとし、自発的な申告があった場合には懲戒処分が軽減されることとあわせ職員に文書で周知を行いました。
 また、職員の自己申告の面接時に、管理職員が職員に文書の内容を再度説明し、過去に非違行為を行っていないかを確認した上で、職員に汚職等根絶に関する宣言書にサインをして提出させております。
 これらの自発的な非違行為の申し出を促す取り組みにつきましては、来年度以降も、職員の自己申告の面接時に継続して実施してまいります。この取り組みを実施して以降、自発的な申告の有無により処分量定を加重または軽減して適用した事故は現時点では発生しておりません。

○上田委員 現時点ではないということです。
 特別監察不適正事案です。
 全職の都関係者の占める割合が三割であるにもかかわらず、管理職はほぼ全て、また課長級職員の九割が都関係者であり、また再雇用非常勤職員の八割が都関係者という驚愕の実態に驚いております。
 都関係者管理職の内訳、都退職前、出向前、復職後の東京都における所属局と役職についてご報告ください。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の平成三十年八月一日時点の管理職二十六名の内訳は、都OB社員が十九名、都から派遣されている職員が六名、他の自治体のOB社員が一名でございます。都OB社員や都から派遣されている職員は、取締役や各部の部長職に就任をしております。
 同社の管理職で都OB社員及び都から派遣されている職員の退職前または派遣される前の所属と役職につきましては、二十五名のうち四名が部長職、二十一名が課長職であり、全員が水道局に所属しておりました。
 復職後の所属と役職については、都から派遣されている職員のうち一名は、八月末に当局に復職後、九月から独立行政法人水資源機構へ派遣されております。

○上田委員 華麗なる部署に配置されて、また天渡りなんて言葉もありますけれども、独法に行かれたという方もいるということですね。外郭団体については、実行プラン二〇二〇、水道局のパンフレットにも健全性、有用性を高らかにうたっているにもかかわらず、最も重要な人員体制において、このような異様な、いびつな人事階層構造となってしまった原因についてご説明ください。また、問題意識はこれまで全くなかったのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、当局からの業務受託拡大に伴い、この十年で社員数が一千名以上増加してきました。このため、同社の固有社員は、過去十年以内に採用された社員が多く、管理監督職への昇任資格を有する社員が少ない状況であることから、同社の管理監督職における都関係者の割合が多い要因となっております。
 こうした状況を踏まえ、これまで同社では、実務研修や資格取得支援等の取り組みを推進し、将来の管理監督職候補の育成に努めているところでございます。

○上田委員 育成に努めているところでございますが、直近五年で新卒、中途合わせて四百十五名を採用するも、同期間中に二百名が離職、意気揚々と民間から就職しても、元役人様が悠々と管理職に甘んじては努力は報われないと、さっさとやめるのは自明のことではないでしょうか。そして、でもリクルートはコストもかかるものです。せっかく経費を使って新規採用して、これほど退職者が出ても、みずから何の問題意識もなかったのか、この点は総務委員会、またきょうも議論がありましたので重複するので飛ばしますが、今後は研修と状況把握をしてしっかりと対応していただきたいと思います。
 そして、今回初めて十四社の企業に再委託していることが判明して、これも大変驚いております。再委託するのであればTSSは不要で、直接民間企業へ水道局から直接業務委託する方が、TSSへの中間マージンとなる税金投入も不要で、コストパフォーマンスがよいのでないかと考えざるを得ません。莫大な中間マージン、職員三割が都関係者、管理職九割も都関係者、その上、不適切事案が発生、本当にTSSが必要なのでしょうか。
 率直に公共性と効率性を両立させながら将来にわたる責任を持って、お客様に安全でおいしい水を安定的に供給するはずのTSSの存在意義を改めて伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社は、当局と一体となって民間事業者への指導など民間事業者への委託になじまない水道事業の基幹的業務を担っております。また、この基幹的業務は、当局の方針を経営に確実に反映させることができるとともに、水道事業に対する豊富な経験や高い技術力を有している監理団体に担わせることが不可欠と考えております。
 今後、特別監察の指摘を踏まえ、同社の内部統制等について必要な改善を実施し、当局と監理団体の一体的な事業運営体制のもとで、公共性の維持と経営効率化の観点に立った業務運営を推進してまいります。

○上田委員 さて、この十四社の社名なんですが、出せないのは承知しておりますが、業種内訳と委託がいつから始まったのか、まずご説明ください。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社は、管路維持にかかわる作業を四社に、施設の運転監視等にかかわる作業を七社に、図面作成等を三社に、それぞれ委託しております。
 東京水道サービス株式会社から協力会社への委託の開始は、同社が設立した昭和六十二年当初から管路維持等に係る作業を協力会社へ委託してきたほか、図面作成等や施設の運転監視等に係る作業を順次委託をしてまいりました。

○上田委員 昭和六十二年といったら、私、大学生のころからですね。この協力会社五社から百十二名も出向で受け入れており、うち百十一名は今回問題となった土木系協力会社の社員ということも初めて聞いて腰を抜かしております。調査魔の私も何で自分が知らなかったのか、自分を恥じていたんですけれども、それは外郭団体になると、議会も細かいチェックができないからだとすぐに気がつきました。九割はお役人様ゆえ、都職員からの管理職、都職関係者が三割、協力会社から百十二名出向では、新卒も中途もやめてしまいますよね。出向を安穏と受け入れてきたことへ問題意識はなかったのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、受託業務が拡大する中でのマンパワーの確保のため、豊富な実務経験等高い技術力を持ち、水道に精通した協力会社の社員を主として現場業務に受け入れてきた、こういう経緯がございます。
 今後、協力会社からの出向社員の受け入れにつきましては、固有社員の育成状況や局からの職員の派遣状況などを勘案し、計画的に所要人員の見直しを図ってまいります。

○上田委員 それでは、お金の方から見ていきたいと思います。
 TSSの人件費の総額と最高額と平均と、最高額の給与と最高額者の役職及び都関係者か否か伺います。管理職、非管理職、非常勤それぞれの平均給与も伺います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の平成二十九年度の人件費総額は八十八億七千万円でございます。年間の平均給与ですが、管理職は六百四十九万円、非管理職が四百九十七万円、非常勤が二百八十三万円でございます。また、最高額が支給されているのは都OBの社長でございます。金額につきましては、個人を識別することができる情報のため、お答えを控えさせていただきたいと思います。

○上田委員 それでは、TSSの都からの出向者の給与の積算の方法、根拠となる規則を伺います。新卒、中途との格差はないのかも伺います。

○石井経営改革推進担当部長 都から派遣されている職員の給与は、当局と東京水道サービス株式会社が取り交わしている職員の派遣に関する取り決め書により、東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例及びこれに基づく管理規定の例により支給をしております。
 一方、同社の固有社員の給与は、同社の就業規則や賃金取扱要領に基づいて支給をしております。そのため、都からの派遣社員と固有社員の給与は、体系及び水準の面でそれぞれ異なっております。

○上田委員 都からの派遣社員と固有社員の給与は、体系及び水準がそれぞれ異なっているということです。
 それぞれの平均年収と最高額をお願いしたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 都から派遣されている職員の平均年収は八百三十二万円であり、最高額が支給されているのは取締役でございます。また、固有社員の平均年収は四百七十九万円であり、最高額が支給されているのは課長というポストになります。
 金額につきましては、個人を識別することができる情報のため、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

○上田委員 ここで実態が明らかになりましたよね。都から派遣されている人は八百三十二万円、固有職員は四百七十九万円、これ本当に公務員給与と民間給与の格差の金額と全く同じなんですね。この格差是正をしない限り、退職者は私は減らないと思います。そして、これを高い方に合わすのでなくて、民間並みにしっかりと合わせていくことを検討していくということを考えていただきたいと思います。
 また、出向者の方です。これは給与をTSSが支払っていたという認識でよいのか、総額と最高額と平均と、最高額の給与と最高額者の役職を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 都から派遣されている職員の給与は、東京水道サービス株式会社が負担しており、平成二十九年度におけるその給与総額は三億六千六百十八万円であります。それから、平均と最高額の給与と最高額者の役職ということですが、先ほどのご答弁のとおりでございますが……(上田委員「そうでした、済みません。いいですよ」と呼ぶ)いいですか、以上でございます。

○上田委員 済みません、重なってしまって失礼しました。
 今まで見てきますと、業務委託もしてくれて、人件費まで払ってくれるとなれば接待の一つもしたくなるものでありますよね、業者さんも。さすがに都の関係者が協力会社に経費を支払うことはできないものの、懇親はどうしてもしたくなるのが人情なんでしょう。協力会社に人件費も委託費も払って血税が注がれるTSSの交際費から飲食代が支出されるというのは、大変ゆゆしい事態だと思います。
 いつから始まり、金額は総額幾らで、誰が参加していたのか、把握している状況と具体的実態を詳しく報告ください。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社に残っている記録では、少なくとも平成二十四年度以降、土木系協力会社との飲食を伴う会合を行っており、同社の社員の飲食代を交際費から支出しておりました。その交際費の支出は、平成二十四年度から現在までで約三百九十二万円でございます。
 また、当該会合へは、主に同社の取締役や部長級の都OB社員及び都から派遣されている職員が出席をしております。

○上田委員 平成二十四年から六年間ですか、もう七年になりますか。まず、TSSにおけます交際費の決裁権と決裁過程はどうなっているのか伺いたいと思いますし、所属部長が決裁したことに関してどのような責任が問われるのか、監督責任を含めて説明いただきたいと思います。また、平成二十四年度から現在まで約三百九十二万円について、今後どう扱うのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 まず、決裁のプロセスですが、東京水道サービス株式会社では、同社の交際費等支出基準に基づき、交際費の使用に当たっては、所属部長の決裁を経た上で事前に申請し、担当役員が承認をして支出をしているというものでございます。
 どのような責任を問われるか、またこの三百九十二万円について、今後どう取り扱うということでございますが、東京水道サービス株式会社では、取引先等との飲食を伴う会合などに対する交際費の支出について、同社内の交際費等支出基準に基づき定められた手続により支出を行ってまいりました。
 今回の特別監察で取り上げられた土木系協力会社との飲食を伴う会合についても、同基準に基づいて支出されており、違法性等の指摘はございませんでしたが、この協力会社との関係は特に密接なことから、飲食を伴う会合などは関係性への疑念を生じさせる要因とされております。そのため、この趣旨を踏まえ、土木系協力会社との飲食を伴う会合については、直ちに取りやめることを決定しております。
 今後、交際費の支出のあり方につきましては、相手方との関係性の軽重などを考慮し、適切な運用を図るよう局としても指導をしてまいりたいと考えております。
 なお、支出自体には違法性がないことから、本件について過去にさかのぼって社員の処分や金銭の返還を求める予定はございません。

○上田委員 三百九十二万といえば、江戸川区民の平均給与よりも高いんですよね。三割の都の関係者はいずれもOB出向であり、水道局及び都へ人事で出入りしていたはずでございます。この見える化改革の、この五〇ページでも、誘導的にやる、それはすばらしいといっているんですけれども、これまでこのことを知らなかったはずがないと思うんですよ。交際費を使っていたのは都の関係者で、また戻っているんですから、常習化して感覚が麻痺していたとしか思えないんですね。なぜおかしいことだと気がつかなかったのか、出向から戻ってきた管理職を含めた都の職員は知らなかったのか伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社が交際費を支出していた協力会社との飲食を伴う会合については、平成二十六年度包括外部監査において、当局はその状況を把握しております。また、当該監査においては、交際費の支出額の大きさについて意見が付され、同社は支出基準の明確化をするなど交際費の支出の見直し、抑制を図ってきております。
 今回の特別監察を踏まえ、協力会社との飲食を伴う会合については、これを直ちに見直しを図り、やめることということで、またさらにそこを厳しく決定をしております。

○上田委員 二十六年の包括外部監査で指摘をしながら、特別監察が入るまで動かなかったのかなと思いますが、今般は、職員目安箱が利用されました。志高い勇気ある職員がいてくれたのが、本当に地獄で仏様なのか、神は細部に宿るなのか、本当に救いだと思います。
 今回の一般質問で、私は知事に勇気ある職員が排除されない組織風土をたださせていただきました。内部通報した職員の犯人捜しなど、よもやしていまいか、目安箱などの内部通報をすることをちゅうちょさせたり抑制するような空気が醸成されることがないか確認します。

○松丸総務部長 当局では、寄せられた通報につきましては、通報者に関する情報や知り得た情報の秘密保持などに適切に対応しております。また、局内の研修や職員向けのポータルサイト等を通じて、内部通報の意義や通報窓口を継続的に職員に周知し、内部通報にちゅうちょすることがないよう啓発に努めております。
 今後とも、職員の内部通報制度への正しい理解を深めてまいります。

○上田委員 この特別監察の内部統制体制の改善に向けた取り組みの方向性の提言について、どのように受けとめ、局内で共有され、今後の業務に生かされていくのか、この件に関しては最後の質問になりますけれども、局長のご覚悟を伺います。

○中嶋水道局長 今回の指摘を受けまして直ちに同社に対し、再発防止策を含む内部統制体制を見直すよう指示いたしますとともに、当局では、特別監察報告書での提言も踏まえながら指導監督やガバナンスのあり方などを根本的に検証し、東京水道グループ全体での改善に向けた取り組みを局を挙げて進めております。
 今後、有識者による外部の視点からの検証等を通して局として責任を持って課題の解決に全力を挙げてまいります。

○上田委員 入札についてです。
 政府も東京都も入札改革の方で、少額随契とか過度な応札条件等の見直しの指摘をして、公正、公明な入札、随契、そうしたことの方向性が打ち出されております。二十四年、二十六年、そして今回の談合事案、さらには不適正事案ということで随契のあり方などと、さまざまな随契のパーセンテージも含めて検証をしていただきたいと思っております。
 あってはならない四件もの不正事案を踏まえて、新年度の取り組みとご所見をお聞かせください。

○志村経理部長 まず、随意契約についてでございますが、契約方法として随意契約によることができる場合は、地方公営企業法施行令により限定列挙されております。
 特に特命随意契約につきましては、発注部署及び契約部署において、その契約の目的や性質に照らし、競争入札に適さない事例であるかなど、特命随意契約にする理由が法令に適合しているかどうかを案件ごとに厳格に審査をしてございます。今後とも、不断の見直しを行いながら特命随意契約の適用について適正な運用を図ってまいります。
 また、今回の事故等を踏まえた対応といたしましては、昨年十一月に取りまとめた中間報告に掲げた再発防止策を着実に実施するとともに、契約のあり方につきましても、今後設置する第三者コンプライアンス委員会におきまして幅広く議論をしていただく予定でございます。

○上田委員 しっかりと今まで以上に、特に水道局におきましては取り組まざるを得ないと思います。よろしくお願いいたします。
 今般の水道法改正を受けまして、東京水道局の経営状況について、経営面からの方のちょっと私、関心が高いんですけれども、総務省が公表している水道事業経営指標に関する影響などはないかどうか伺いたいと思います。

○松丸総務部長 総務省の水道事業経営指標は、同省が実施している公営企業決算状況調査を基礎とした統計資料でございますが、今般の水道法の改正内容からすると影響は生じないと想定しております。

○上田委員 検討中のところでございますが、影響は生じないということです。
 また、水道民営化によって、一般会計からの繰入金の取り扱いなど、今後の展開と見通しについて、検討中ではございますけれども、具体的事業に即してどのようなものになるのか、ご説明いただきたいと思います。

○松丸総務部長 現時点で水道の民営化に関する関係法令の整備が行われていないため、一般会計からの繰入金の取り扱いなどについては不明でございます。

○上田委員 ぜひ、念頭に入れておいていただきたいと思います。今後、喫緊の課題として設備の老朽化対策、メンテナンス投資が迫られるものと考えます。設備の規模が大きいため、事業展開に当たっては優先順位を明確にし、適正な投資が行われ、各指標とも悪化しないよう適正かつ効率的に事業を進めるために、今後、業務及び財務状況を的確に把握し、いかにこれから持続可能なインフラ事業としていくのか、方向性を具体的にご説明ください。

○松丸総務部長 持続可能な水道事業を実現するためには、長期的な視点に立った事業運営が必要でございます。このため、本年一月の都政改革本部会議における見える化改革でも報告いたしましたとおり、今後の都の人口推計に合わせ、水道需要の動向や施設整備のあり方、財政収支の見通しなど、おおむね二十年間の事業運営について検討の上、二〇一九年度に長期の事業運営方針を作成する予定でございます。
 この方針のもと、状況変化に合わせ必要な見直しや改善を行い、五カ年程度の中期経営計画をローリングしながら、事業の優先順位や適正な投資の観点も踏まえ、事業を着実に推進してまいります。また、中期経営計画の進捗管理を適切に行うことで業務及び財務状況を的確に把握してまいります。

○上田委員 一般的に公営企業における一般会計からの赤字補填は重大な問題になりますので、水道民営化による一般会計からの取り扱いがどのようになるのか、今後は丁寧に検討と、また、何か決まることがあれば情報発信をお願いしたいと思います。
 また、五年間の中期計画、二十年間の長期計画を安定的に事業運営する上でも、今般の水道民営化が東京水道局にとって与えるリスク面もしっかりと把握しつつ、長期的な検討を図られることをお願いしたいと思います。
 私、過去の意見開陳で、懲戒、行政監察による服務事故に迅速、厳格に対応することということをたしか申し述べさせていただきました。残念ながら予言のようになってしまいました。不正、癒着、天下り、談合というのは、もうこれ四すくみになっております。いうまでもなく猛省を促させていただきたいと思います。
 また、るる超過勤務を私ども議員で指摘をしているのに、働き方改革を進めなさいといっているのに、こんな時間になりまして、大変、議会の都合で申しわけないと思います。できれば、二局同時はかなり厳しいと思うので、分けてやることを希望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。

○川松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後九時休憩

   午後九時十五分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○鈴木委員 私からは、工業用水道の廃止と水道局のICT活用について八問質問いたします。
 初めに、工業用水道から上水道への切りかえ工事についてです。
 来年度より上水道への切りかえ工事が開始されます。今後四年間で完了予定とのことですが、数百件の利用者がいることを考えると、この期間で切りかえを完了させるためには計画的な取り組みが必要になります。
 そこで、工業用水、一般雑用水利用者の合計四百七十八件について、水道局は、平成三十一年度は百五十五件、三十二年度は百四十八件など四年間の切りかえ件数を示していますが、その考え方をまず伺います。

○青木浄水部長 平成三十一年度から三十四年度までの上水道への切りかえ件数でございますが、廃止条例案が可決されて以降、各利用者を訪問した際に寄せられました施工時期に関する要望等を踏まえて設定してございます。
 平成三十一年度は、給水設備の老朽化などにより早期の切りかえをご希望される利用者六十三件のほか、基本水量に対して使用水量が著しく少ないご利用者など五十三件など百五十五件を予定してございます。
 平成三十二年度以降は、建物の改築予定に合わせて施工したいなど具体的な要望がある利用者五十八件は、それらの要望を踏まえて三十二年度から三十四年度にそれぞれ設定をいたしました。
 また、施工時期に関する要望が特にない利用者二百六十五件につきましては、やむを得ない事由により工事がおくれる事態も想定をし、遅くとも平成三十三年度までに工事を完了するよう三十二年度と三十三年度に設定してございます。

○鈴木委員 今後も利用者からの意見や要望には引き続き丁寧に対応していただくとともに、期間内に完了するよう計画的に進めていただきたいと思います。
 次に、配水管の転用、撤去費用の削減についてです。
 さきの予算特別委員会では、現時点の廃止経費は八百四十八億円であり、昨年九月の試算から百十七億円の縮減になったとの答弁が水道局からありました。今後は、平成三十四年度までには、配水管の撤去、転用計画を策定するとのことです。
 そこで、配水管の転用、撤去計画の策定に向けて平成三十一年度中に転用や撤去の方向性を取りまとめるとしていますが、その目的や内容について具体的に伺います。

○尾根田給水部長 配水管の転用、撤去は、布設路線ごとに配水管の口径や埋設状況等がそれぞれ異なりますことから、施工方法やその規模を決めた上で、施工時期などについて地元区を初めとした関係機関と綿密な調整を行う必要がございます。
 このため、平成三十一年度は路線ごとの施工方法やその規模を決めてまいります。また、転用する路線につきましては、上水道や他のライフライン事業者と転用の調整や協議を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、円滑に関係機関と調整をしていくための配水管の転用、撤去の方向性を取りまとめてまいります。この方向性をもとに、配水管の布設路線ごとに関係機関との調整を進め、平成三十四年度までに計画を策定してまいります。

○鈴木委員 昨年末に、私は配水管の撤去費用について委員会で質疑をさせていただいたんですけれども、その内容を記事にしてネットで公開したところ、一万人近い方々からアクセスがありました。やはり都民にとっては、この配水管の撤去費用だけで約八百億というのは、非常に大きな金額なんだと思います。
 私は本件については、水道局は努力をしていただいていると受けとめております。ぜひ今後も廃止経費を常に縮減するという姿勢で取り組んでいただきたいと思いますし、来年度に方向性を取りまとめる際には、廃止経費を改めて試算していただくようにお願いいたします。
 次に、水道局のICT活用について質問します。
 来年度より水道局では、お客様センターにおいてAIを導入する予定です。今回導入するAIでは、オペレーターがお客様からご連絡をいただいた際に、お客様の会話内容を自動認識し、回答候補をオペレーターに提供するものです。現段階ではAIの役割は回答候補の提示にとどまっていますが、AIの進歩は早く、相談内容と回答のデータを蓄積していくことで、将来的にはAIのみで対応できる相談内容がかなりの部分を占めていくと考えられます。
 そこで、業務支援機能のAIを導入した先に、将来的にはカテゴライズが不可能な相談内容以外は、完全自動化を視野に入れていくべきだと考えますが、今後収集するビッグデータをどのように活用していくのか伺います。

○小山サービス推進部長 当局では、お客様センターにおけるサービスの向上と効率性の発揮を目的に、AIによるオペレーター業務支援について、今月から五十ブースで試行を開始いたします。そして、平成三十一年秋を目途に三百五十ブースで本格運用に移行いたしまして、AIによる支援で迅速的確なお客様対応を行ってまいります。
 このAIの導入によりまして、オペレーターの応答時間の短縮化が図られることから、人件費等の削減効果を見込んでおります。
 さらに、問い合わせ、相談の内容が多岐にわたることから、検証を重ねまして、将来的には完全自動化も視野に検討を進めてまいります。
 加えて、AI導入によって得られるビッグデータについては時間別、曜日別など詳細かつ複合的に分析が可能となることから、業務改善などさまざまな取り組みに活用していきたいと考えております。

○鈴木委員 大変前向きなご答弁だと思います。ぜひ検証を重ねて完全自動化も視野に検討していただくとともに、収集できるビッグデータも積極的に活用していただきたいと思います。
 次に、キャッシュレス化についてです。
 水道事業の料金徴収においては、やはり料金の未納が大きな課題だと考えております。東京都水道の利用者約七百五十万件のうち、未納カードは約六十七万件となっており、未納者への催促を行うための人員は二百九十二名で年間十九億円の人件費のコストがかかっています。経済的な理由でなかなか支払えない方々がいらっしゃることはもちろん仕方ありませんが、料金を自動的に支払う形で契約していないために未納となってしまう方々も少なくないはずです。
 例えば、キャッシュレスの一つであるLINEペイでは、継続決済も可能となっており、ユーザーによる承認を必要とせずにサービスプロバイダーとLINEペイの間だけで決済を実行できる仕組みがあります。一度LINEペイで支払ったユーザーを自動的に料金徴収する仕組みに誘導できれば、料金未払い分の徴収に係るコストも下がるはずです。
 そこで、振り込みによる支払いの未払いを防ぐという観点からも、キャッシュレス化をあわせて検討すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○小山サービス推進部長 当局ではこれまで、お客様サービスの向上のため、請求書のほか、口座振替、クレジットカード払い、コンビニエンスストアによる収納など、支払い方法の多様化を図ってまいりました。口座振替については、インターネットによる受け付けを検討しておりまして、今後も一層充実を図ってまいります。
 一方で、近年急速に拡大している請求書のスマートフォンアプリを活用した支払いは、窓口に行く必要がなく、いつでも行うことができるため、利便性が飛躍的に向上し、未納の抑止効果も期待できます。こうしたキャッシュレス支払いについて、現在、実現に向けて具体的な検討を進めているところでございます。

○鈴木委員 ぜひ未納の抑止という観点からもキャッシュレスに取り組んでいただきたいと思います。
 キャッシュレスの普及率は、今急速に伸びております。スマホのQRコード決済サービス利用者数は二〇一六年度には六十二万人だったのが、二〇一八年度には五百十二万人となっており、二〇二一年度には千八百八十万人に上ると予測されています。行政分野でも都内では、あきる野市で住民税などの納税がLINEペイで可能となっており、渋谷区も四月から導入予定です。
 そこで、水道局の来年度予算では、キャッシュレスの調査委託費として一千万円を計上していますが、各業界でキャッシュレス化が急速に進む今、調査委託の段階では既に遅く、早期導入を目指すべきだと考えますが、見解を伺います。

○小山サービス推進部長 当局では、スマートシティーの実現を見据えて、キャッシュレス利用者層の現状、最先端の技術動向や将来の可能性などについて調査分析等を行うことを目的として、平成三十一年度予算に調査委託費を計上いたしました。
 その後、キャッシュレスについては技術革新などにより多種多様なサービスが短期間で急速に普及が進んできております。そのため、キャッシュレス支払いの中でも、経費面の負担も少ないスマートフォンアプリを活用した支払いについて、導入に向け具体的に検討を進めてまいります。

○鈴木委員 ぜひ早期に具体的な検討に入っていただきたいと思います。
 次に、ウエアラブルカメラの活用についてです。
 水道事業では、災害時などを含めてさまざまな事故の発生が想定されますが、その際には関係部署などと的確に情報共有を行い、迅速に対応する必要があります。先日の東京マラソンでも、警察官がウエアラブルカメラを装着し、ランナーや会場の状況をリアルタイムに共有したと聞いています。
 そこで、水道局においてもウエアラブルカメラを活用し、事故時など迅速な対応が求められる現場で情報共有を行うことが有効だと考えますが、局の見解を伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ライフラインである水道事業におきましては、速やかな事故対応が非常に重要と考えております。これまで事故発生時におきましては、対応拠点である事務所と現場との間で携帯電話や写真の送付などによる情報を共有し迅速な対応を行っておりますが、時に情報のタイムラグが発生することがございます。
 一方、ウエアラブルカメラを導入することで、事故現場の状況のリアルタイムな共有が可能となり、事務所からの適切な指示のもと、事故対応をより円滑かつ迅速に行うことができると考えております。こうしたことから、来年度、事故対応におけるウエアラブルカメラの活用を試行実施いたします。
 また、この試行では、平常時におきましても現場点検時の映像を事務所の職員と共有することで状況の的確な把握にも活用してまいります。今回の試行結果を検証し、今後のウエアラブルカメラの活用方策を検討してまいります。

○鈴木委員 次に、テレワークについてです。
 東京都では、働き方改革の一環として、持ち運びに適したパソコンの導入によるテレワークの推進を掲げています。一方、安定給水を支える多くの現場を有する水道局においては、柔軟な働き方を実現する在宅勤務はもちろん、現場業務にも活用していくことも肝要だと考えますが、見解を伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局におきましては、職員のライフワークバランスの推進と現場を中心とした業務の効率化に向け、本年一月からモバイル端末三百台を導入し、一年間のテレワークの試行を開始いたしました。まずは本庁勤務の職員三十名を対象に在宅勤務を一月から三月まで実施したところ、通勤時間がなくなり、時間にゆとりができたといった声が寄せられております。
 また、営業所や建設事務所など、現場業務への活用が期待できる部署に約百台の端末を配置し、翻訳アプリによる外国人のお客様への窓口対応や現場調査における業務システムの閲覧、関係者等への工事の説明など日々の業務に活用し、その効果を検証しております。
 今後、この試行結果を踏まえ、さらなる活用を検討しつつ、二〇二一年度末までに全職員の端末をモバイル型に更新し、局全体でのテレワークを推進してまいります。

○鈴木委員 本日、水道局のICT活用について質疑させていただきました。今回の質疑でも明らかになったように、水道局として各事業においてICT活用に前向きに取り組んでいることは高く評価したいと思います。
 最後に、私から、さきの本会議で質疑したスマートメーターを含め、今後のICTを活用した局の事業運営について局長の考えを伺いまして、私の質疑を終わります。

○中嶋水道局長 将来の人口減少や情報社会の急速な進展など、水道事業を取り巻く状況の変化に的確に対応していくためには、ICTの積極的な活用が不可欠でございます。
 特に水道事業の効率化、最適化、高度化というものを今後実現していくためには、ただいまご質疑にございましたさまざまなICT技術、またスマートメーターも含めまして、水道事業におけるICTが決定的に活躍する分野は非常に多いというふうに思っております。
 したがいまして、当局では、昨年一月に、東京都水道局ICT戦略検討・活用推進委員会を設置し、局を挙げてさまざまなICTの活用に向けた取り組みを進めております。この中では、本日ございましたAIやウエアラブルカメラなどの活用のほか、ドローンや水中ロボットを用いたダムの点検など、幅広い事項について検討しております。
 また、二〇二五年までに十万個のスマートメーターを導入するトライアルプロジェクトにつきましても、今後検討を深め、来年度には具体的な実施プランを策定いたします。
 今後も産業界や学術界などとも連携しながら、最新のICTを活用することで水道システムを高度化、効率化し、首都東京を支える基幹ライフラインである東京水道を将来とも強靱かつ持続可能なものにしてまいります。

○宇田川委員 委員会における我々の質疑って一体何なんでしょうか。きょうも長時間にわたり、いろんな議員が一生懸命質問しているんですが、意味あるんですかといいたくなります。
 TSSが特別監察を受けた。本日も各委員よりさまざまな議論、意見がありましたが、これ、そもそもTSSとの関係で問題が生じる可能性を持っていた。このことを危惧していたこともあり、水道局と監理団体のあり方について、五年前の事務事業質疑で取り上げました。このことを記憶されている職員もいるかと思います。黒沼理事も当時総務部長として質疑をさせていただきました。この質疑、何かといえば、水道局と監理団体との連携、そして人材育成についてというものであります。
 当時、職員部長として答弁された松丸部長はしっかり覚えておられることだと思います。もっともあのとき、私も野党じゃなくて与党の立場でありましたから、やんわりと質問したことは否めません。こうした問題が発覚し、改めて考えさせられます。
 松丸総務部長、あのときの答弁は一体何だったんですかね。この結果を、今も水道局の幹部として籍を置いておられる部長、どう受けとめておられるのか見解を伺います。

○松丸総務部長 平成二十六年の事務事業質疑におきまして、宇田川委員との間で質疑を行いました。宇田川委員の方からは、職員数の減少の中で技術やノウハウが継承できるのか、現場実態がしっかりと把握できているのかという問題意識のもと、技術職員の人材育成についての質疑、あと監理団体への業務移転、これにつきましては、局職員と現場が離れてしまうだろうと。監理団体や業務の、局職員の技術、ノウハウがどうやって継承できるのかという視点で質疑を行ったところでございます。
 それにつきまして、私を初め局幹部職員がるる答弁をしましたが、結果として特別監察報告書におきまして、人材育成について課題が指摘されたということは大変重く受けとめております。

○宇田川委員 昨年、表面化した局内の談合疑惑、今回発覚した不祥事、これらを含めて、知事は、長年の文化をつくってきた、長年にわたって積み上げてきた文化だと繰り返し発言をしております。体質だ、風土だという言葉はよく聞きますが、文化ですよ。この言葉を局長、どう受けとめていますか。

○中嶋水道局長 水道局は、百二十年にわたる年月をかけまして、世界有数のシステムを築き上げてきたと。また、水道局自体も同じ年月をかけて、幾世代も職員がその技術を引き継いで今日の体制を築いてきたという面での文化というのは、これはすばらしく評価できるものだと思います。
 ただ一方で、やはり水道事業というのは、ほかの自治体でもそうなんですけれども、地域独占事業ということで、競争相手がいないというような観点から、どうしても閉鎖的な市場になってしまうという環境にあるのではないかというふうにかねがね思っております。
 今回、起きました不祥事にしましても、過去に起きました不祥事につきましても、水道局の中では、それなりの理論としてこれまでやってきているんですけれども、やはり外から見れば、非常に危ない面がある。また、間違った面があるというようなことが、なかなか積み重なって、それが顕在化してきたものが出てきているんではないかと思います。
 したがいまして、過去におきましては三回ございましたが、一回目は汚職収賄と、二回目がOBの関与による情報漏えいと、三回目が現場における情報漏えいと、それぞれ三回とも、出どころといいますか、原因が全部違うわけですね。ですから、私どもはその都度再発防止策をとって、対策をとってきたわけですけれども、やはりこれは何か局全体の、しかも監理団体の今回も指摘がございましたが、局と監理団体を含む、いわゆる東京水道グループ全体の、長年培ってきた構造の中に課題があるんだろうというふうに考えて、今回、この構造的な課題も含めまして、外部の視点を含めて検証していただこうというふうな取り組みを進めているわけでございます。
 知事がおっしゃいました文化といいますのは、そういったものを総合的に捉えた上でのご発言ではないかというふうに考えております。

○宇田川委員 その都度対処をしてこられたといいますが、対症療法が足りなかったということも認識をしてほしいと思います。
 先ほど出ました五年前の質疑で、私は冒頭こういっています。東京都水道局の技術職員、彼らは世界に誇れる日本人技術者の代表である、こう始めました。
 局長の後ろには、将来を有望視される若い職員が懸命に頑張っています。この場にいない局全体で三千数百名に及ぶ職員が現場で歯を食いしばって努力しています。工業用水道事業の廃止に向けた作業にしても、現場は大変な苦労を強いられています。局長になるまで水道局に籍を置いたことがない、ましてや現場の経験がない中嶋局長に、こうした現場の苦悩がわかるのか、わかりません。
 一般の企業においても同様ですが、上司が部下に対してなすべきことの第一は、責任をとること。何があっても最終的に上司が責任をとる、だからこそ部下は思い切った仕事ができる。第二は、モチベーションを与えること、やる気を出させることですね。先ほど舟坂委員からも指摘がありましたが、水道局内部の件は局長が、最終的には知事が一切の責任を負う、当たり前のことであります。
 昨年よりこの委員会に在籍し注視しているつもりでありますが、重く受けとめる、先頭に立って、全力を挙げる、そんな言葉がありました。しかし、あくまで私の私見でありますが、職責を全うしているとは受け取ることができません。残念であります。
 昨年十一月二十二日、工業用水道事業についての質疑を行いました。あれから三カ月、四月は目前に迫っている中で、具体的な取り組みを伺ってまいります。
 この間、ユーザーを個別に訪問すると同時に現地調査を続けている、そう聞いています。何度も聞いていますが、全てのユーザーを訪問されましたか、イエスかノーでお答えください。

○石井経営改革推進担当部長 お答えいたします。昨年から今回っている件数、官公庁を除くと三百八件あるんですが、三百一件のユーザーについて今回ったところでございます。

○宇田川委員 全てを把握してほしいと思っています。現地調査を行うと、机上論では見えなかった課題がつまびらかになってきているのだと思います。
 本日までの調査の実施状況と、浮かび上がってきた課題について伺います。

○尾根田給水部長 本年四月から上水道への切りかえ工事を円滑に進めるため、切りかえに当たっての相談対応を行う現地事務所の職員が、昨年十二月から官公庁を除く三百八件の工業用水道利用者を改めて個別に訪問し、現地調査を行ってまいりました。
 先ほど答弁ございましたけれども、そのうち既に三百一件が終了しております。この調査におきまして、利用者ごとに異なる敷地内の配管や受水タンクなどの設備の状況を確認するとともに、現在の工業用水道の使用実態や今後の使用水量の見込み、施工時期の要望等を伺うなど具体的な確認を進めております。
 こうした調査により判明した課題でございますが、既存の工業用水道受水タンクがない一部の利用者におきまして、狭隘な敷地の中で新たに受水タンクを設置しなければならないことや、断水や工事による工場等の操業への影響を最小限にとどめるため、施工する曜日や施工時間等の制約があり、切りかえ工事の具体的な施工日時を調整することなどがございます。

○宇田川委員 より具体的な課題とともに要望も新たに上がってきているということであります。
 ところで、産業労働局が中心になってつくるといった無料の相談窓口は開設したのでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 産労の窓口ですが、四月開設で今準備を進めております。

○宇田川委員 早く開設をしていただきたいと思います。
 工水ユーザーの中には、業種によって、受水タンクの設置や塩素除去装置の設置などを要する企業があります。そのスペース確保の話なんですが、小零細企業には余分なスペースはありません。どう対応されますか。

○尾根田給水部長 薬品や化学物質を使用している施設につきましては、逆流による上水道への浸入を防止するため、当局の給水装置設計・施工基準におきまして、直結給水を認めておりませんことから、受水タンクを経由した給水方式を採用することとなります。このため、これまで現地調査をもとに、利用者の状況に応じて、給水管の引き込み位置の変更や敷地内の状況に応じた工場内の機器等の移設、架台の設置等により敷地内の上部空間を活用するなど、受水タンクの設置に向けて、利用者ごとに個別具体的な設置に向けた検討を進めております。
 こうした検討を踏まえまして、速やかに利用者の状況や意向を確認しながら、受水タンクの設置を含めた上水道への切りかえを具体的に調整してまいります。

○宇田川委員 現場を踏まえた対応をしっかりしていくということでよろしいですね。--はい、わかりました。
 平成三十四年度末まで丸四年、限られた期間で一〇〇%完了を終えなければなりません。工事の希望は営業日を避けた土日祝日に集中、現場ごとに施工方法はまちまち、早期に切りかえを望むユーザーが多く、調整するだけでも相当な手間になると思います。
 着実に切りかえ工事を進めることは困難をきわめると考えますが、どう進めるんですか。大丈夫ですか。

○青木浄水部長 平成三十一年度に上水道への切りかえ工事を予定しております百五十五件の中には、給水設備の老朽化などにより早期の切りかえを希望する利用者等が含まれていることから、切りかえに関する利用者との合意形成を早急に行い、順次工事に着手してまいります。
 平成三十二年度以降に予定しています利用者につきましては、原則として三十三年度までの切りかえ完了を目指して合意形成や施工スケジュールを適切に管理し、おくれが生じないよう対応いたします。
 また、切りかえに向けた課題等に速やかに対応できるよう、平成三十一年度から利用者対応を行う現地事務所の体制を充実するとともに、関係部署間で常に情報を共有し、平成三十四年度までに全件を確実に切りかえてまいります。
 さらに、本局におきましても進行管理を徹底するとともに、現場で生じるさまざまな課題に迅速に対応するなどフォローアップ体制を構築してまいります。

○宇田川委員 着実に完了するように頑張ります、まあそういうしかないと思います。進行管理を徹底するという言葉もありましたが、実効性について担保されているかといえば、まだまだそうではないということなので、もっと実効性を持った具体論をきちっと詰めていくようにお願いをします。
 現場の声を丁寧に聞いた結果、想像だにしていなかった課題が出てきているとも聞きました。例えば、工水から上水に切りかえることによって、その企業が生産している製品の認定書が認められないことになり再取得が必要になる。結構な経費のかかるものだそうであります。これに限らず、支援計画案で示された支援内容では賄い切れないことが出てきているということです。どう対応されるのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 本年四月から上水道への切りかえ工事を円滑に進めるために、昨年十二月より官公庁を除く三百八件を、今、これ一件一件回っているところでございます。
 そういう中で、利用者からさまざまな意見、要望というのを受けておりまして、今委員からのご指摘がありましたような、そういった製品の問題、それを工業用水から水道水に変更するということで新たな認定を受ける、その費用を支援してほしい、こういった、これは残念ながら想定をされていなかったことでございまして、そういった個別具体な要望が、これからも寄せられると思います。
 こうした要望についてですけれども、庁内検討会等において支援内容や対象の拡充についても、その必要性あるいは費用対効果など、あわせて検討していかなきゃならないだろうというふうに考えております。
 今後、上水道への切りかえを進めていくに当たっても、想定し得なかった課題や要望が寄せられることも、それはもう考えられることですから、これについては、庁内検討会の中で幅広く議論をして検討し、適切に対応していきたいというふうに考えております。

○宇田川委員 想定をしていなかったことに対してもしっかり対応していくということでよろしいですね。--はい、ありがとうございます。
 昨年の質疑では、支援策は変えないと、局長がかたくなにいっていたので心配をしておりましたが、計画案に示されなかった支援も踏み込んでやるということが確認できました。
 塩素除去装置等の設置についてでありますが、導入が必要なユーザーから不安の声が上がっています。それは通常のランニングコストと定期的なメンテナンス費用についてであります。どのように対応されるか伺います。

○青木浄水部長 昨年九月に策定をいたしました工業用水道事業の廃止及び支援計画案において、塩素除去装置や節水対策に資する設備のランニングコストは、支援の対象外で利用者負担となるため、利用者が設備設置の判断や機種の選定に当たって必要な情報であると認識しております。
 このうち塩素除去装置に関しましては、設置検討のために運転や維持管理に要する費用を知りたい、設置する必要があるか都で調査してほしいとの要望が中小企業を中心に寄せられてございます。
 そのため、利用者の意向把握を進めるとともに、関係局と連携をして、利用者の塩素による影響を検査する仕組みの構築など塩素除去装置の導入に向けた実施手順等の整理を進め、速やかに利用者に情報提供を行ってまいります。

○宇田川委員 ランニングコストについてはご答弁あったんですが、メンテナンス費用についてはいかがですかね。今の答弁にはなかったんですけれども、答えられますか。--考えていないということがわかりました。

○石井経営改革推進担当部長 済みません、それについても同様に検討してまいります。

○宇田川委員 考えていないということは取り消させていただきます。
 それでは、ここからは雑用水ユーザーである集合住宅対応について伺ってまいります。
 工業用水ユーザーへの訪問によって想定外の課題が浮き彫りとなった。さっきのやりとりでわかりました。集合住宅のユーザー数は二桁違うわけでありまして、新たに認識する課題も多いのではないかと思います。要望も多種多様だと思います。現在どう対応しているのか、お聞かせください。

○青木浄水部長 現在、建物所有者等との意見交換を進める中で、居住者説明等を行う上での役割分担や時期、方法など切りかえ工事の実施に向けたさまざまな意見や要望が寄せられております。具体的には、工業用水道の給水設備が老朽化しているため、早期に切りかえ工事を実施したい、一方で、多額の経費をかけて設備を更新したばかりであり、住民へ丁寧に説明してほしい等の要望がございました。
 今後、建物所有者等と共同で行う現場調査や意見交換を通して切りかえ工事に向けた集合住宅の課題を整理した上で、切りかえの時期や工事方法等の詳細な協議が調った住宅から順次居住者への説明を丁寧に実施してまいります。また、所有者や居住者から寄せられるさまざま意見、要望に対しまして、できる限り足を運び、理解を得られるよう丁寧に対応してまいります。

○宇田川委員 今の答弁を聞いていると、ようやくスタートラインに立ったのかなと、そんな状況に思えます。もっとスピード感を持って、時間管理をきちんとしながら進めなければ間に合いませんよ。私の認識の方がずれているんでしょうか、お伺いいたします。

○石井経営改革推進担当部長 これまでの取り組みも含めてとなりますが、廃止条例案が可決されて以降、この半年の間、本年四月からの上水道への切りかえに向けた準備を進めてまいりました。
 具体的には、これまでもお話が出ましたが、一件一件個別に訪問をして、敷地内の配管や受水タンクなど設備の状況等について速やかに現地調査を始めており、三月中に対象となる三百八件全ての利用者の調査は完了する予定でございます。
 また、集合住宅についても同様、建物所有者六件及び管理組合二十五件など、全ての対象者を訪問し、切りかえに向けた役割分担や施工方法について協議を進めており、一部の住宅では配管の状況について現地調査まで実施をしているという状況にあります。このように当局としては円滑な切りかえに向け、この半年間で行うべき準備作業を本局と現地事務所が一体となって鋭意進めてきております。
 今後は、これまでにも増して丁寧な対応に努め、利用者の十分な理解を得て上水道への切りかえを計画的に進め、円滑な事業廃止に向けて着実に取り組んでまいります。

○宇田川委員 先ほども申し上げましたが、実効性を伴った施策をしっかり進めていただきたいと思います。切りかえ工事は、建物の所有者や管理組合の選定した業者に任せる、希望があれば都で手当てする、そういうことですよね。これで果たして時間の管理、工事の進行管理ができるのか心配です。いかがですか。

○青木浄水部長 委員お尋ねのとおり、集合住宅の切りかえ工事でございますが、建物所有者や管理組合が選定した事業者が施工していただくことを基本としてございまして、こうした体制で施工していただくよう、今後速やかに所有者と調整を進めてまいります。この調整におきまして、建物所有者等が施工できないとの意向が示された場合、局による工事の発注を行うこととしてございまして、指定給水装置工事事業者の方々にも協力を得られるよう最大限努力して努めてまいります。

○宇田川委員 工事の進行管理ができるのか、工事の進行管理をいかに行っていくかと聞いているんですが、もう一度聞いても答えは出ないと思いますので、時間がないので次に行きます。
 次に、何度か尋ねてきた河川水量について伺います。
 検討状況はどうなっているんでしょうか。昨年の質疑で、積極的にやっていく気概が水道局にございますと答弁された局長にお尋ねいたします。

○石井経営改革推進担当部長 河川水の利用につきましては、現在、河川管理者である建設局に、河川法に基づく規定や必要条件等を確認しながら検討を進めております。具体的には、河川水の利用に当たり、その目的及び事業の内容が公共の福祉の増進に寄与することが必要となるということですので、このため、民間企業による河川水の利用が認められている事例を調査するほか、地方公共団体など公益性を認めやすい主体が取水する場合などについても多角的に検討しております。
 また、必要となる取水量が確保できるかについては、当該河川の流量や他の水利使用者の取水量への影響を調査する必要があるということでございますので、正式な判断には基礎的な資料をそろえた上で、河川管理者に申請し、個別に審査を受ける必要があるため、現在、その調査方法についても建設局に確認をしている、そういった段階でございます。

○宇田川委員 私もこの間、建設局の担当部長とやりとりをさせていただきました。私が聞く限り、そんなに高いハードルがあるとは思えないんですが、私が確認したところ、公共性があるか否かという点、この一点さえクリアすれば河川水利用は可能である、そう聞きました。では、どうすれば公共性が担保できるのか。今の答弁にも入っていましたが、取水を水道局の責任で行えばそれでよしという答えです。そんなに難しいことなんですかね。積極的にとか、気概とか、口先だけでは困ります。局長が責任を持って積極的にやっていく気概がありますと答えたんですから、きちっと検討して結果を出してください。
 もう一点確認をさせていただきます。
 新たに井戸の設置を希望するユーザーが多数いらっしゃいます。掘削及び揚水設備の設置費用まで負担すると支援内容が示されております。設置希望者のユーザーを支援し、では井戸を掘りましょう、こうなったとき、そのユーザーは、井戸水及び不足があれば上水を使用することを前提に、使用する水のコストに基づき経営計画を立てることになります。当然なことだと思います。
 ここで問題は、井戸を掘ってみた結果、井戸水の水質はまるで使用にたえるものではなかったという場合、事後策はどうするかということです。江戸開府前から江戸東京の地下水の水質は塩分がまじるなど非常に悪い状態、だからこそ玉川上水などを整備してきた。こんなことは小学校で教わるような話ですが、井戸を掘って終わりですか。

○石井経営改革推進担当部長 決して事前に、井戸を掘って、それで使えないから終わりだということではなくて、まず、調査方法を含めて、そういったことも想定しながら、ユーザーさんに対してどういうふうにご説明するかということも出てくるので、そこを今検討している最中でございます。

○宇田川委員 きちっと具体的に検討を進めてほしいと思います。
 さて、五千四百二十三億円もの都費投入である築地市場跡地問題に世の関心は行っておりますが、工業用水道事業も実に一千億円に及ぼうかという税金がどおんと投入されることになるわけです。
 さきの予算特別委員会、当時の川澄副知事の発言を取り上げました。工水の話は金で済む話、十年もたてばユーザーは事業をやめる、工水廃止によって廃業は加速する、こんな会話が平然となされている。これを聞いたユーザーの皆さんはどう思われるんでしょうか。貴重な都税を納めている都民の皆さんはどう感じるのでしょうか。この会話は事実かと長谷川副知事に尋ねたところ、経営断念につながらないよう、地下水利用以外の手厚い支援策を策定すべきとの趣旨だと答弁しました。
 いいですか。工水の話は金で済む話、十年もたてばユーザーは事業をやめる、工水廃止によって廃業は加速するという発言メモ、きょうの理事会で了解とらなかったためお配りできないので、興味がある方は後でごらんいただきたいと思いますが、このメモをどう読めば--右から左から、斜めから、どう読めば、そして行間を見出そうとしても、そんな趣旨と受けとめられるはずがないんです。このメモをとった職員も誰だかわかりませんが、もしそういう趣旨だと感じれば、括弧書きで補足するのが通常です。このメモも、接続がわからない部分はちゃんと括弧書きで補填しているんですよ。メモのとり方が悪いとでもいいたいんでしょうか。
 局長もこの場におられましたね。長谷川副知事と同じ考えですか。曲解するのか、詭弁を弄するのか知りませんが、いかがですか、局長の考えを伺います。

○中嶋水道局長 先般の予算特別委員会のご質疑の中で出ました、その議事録のメモ、パネルに掲示されましたけれども、あれは私どもの方で情報開示請求をいただきまして、その開示制度にのっとりまして膨大な資料を出した、四百八十ページ以上にわたります膨大な資料の中の一ページでございます。しかもこれは、この工業用水の支援策をいろいろ庁内で議論する、あまたある会議の中の一つの議事録でございます。ですから、長谷川副知事もそのときに申し上げましたが、これはいろいろな支援策含めて、いろいろ意思決定するまでの庁内での自由な議論の一過程であるという認識を私は持っております。
 ただ、その発言の趣旨は、長谷川副知事もあのときおっしゃいましたけれども、やはりこれは、ユーザーにとりまして経営断念につながらないようにするためには、支援策を最大限充実すべきであるという趣旨で川澄副知事はおっしゃったものというふうに受けとめております。

○宇田川委員 局長、やっぱり大変優秀な方ですね、ある意味。本日の質疑の前段で申し上げましたが、局長の後ろには三千数百人の職員が、部下がいらっしゃいます。局長が守るべきは知事や副知事でなく水道局職員じゃないんですか。知事からは、不適正な事案が発生しても対策は不十分、これは長年つくってきた文化だといわれ、これは主体はTSSのこととはいえ、全く意に介していないかのよう、その姿を部下はどう見ているんでしょうか。
 十一月の質疑で、貴重な税収により賄われることを考えれば、都民の皆さんに対し誠意ある言動が必要だ、私はそう申し上げました。下げるべきときには頭を下げ、きちっとした説明責任を果たすべきは当たり前のことです。
 しかし、工水の話は金で済む話、このことを共有している理事者のトップたちは、一般会計、つまり都民の税金を投入することに一切悪びれることもない、当然の施策だと認識していることがはっきりとわかりました。このメモこそがそのファクトであり、エビデンスでもあります。オリンピック施設の話もそう、築地跡地再開発もしかり、工業用水道事業についても、ワイズスペンディングとは一体何なんでしょうか。ごまかしや議論のすりかえ、詭弁で固められたずる賢い姿勢、支出ではないですか。こうしたことも含めて、決して頭を下げてはならないといった副知事の依命通達でも出ているんでしょうか。誤ったことはわびて訂正する、この当たり前のことができない都は、知事の言葉をかりれば、それが東京都の文化となってしまったかのように私は思えます。
 いずれにしても、工業用水道事業を畳むための四年間、生半可な取り組み方では到底及びません。進行管理の組み立てをいま一度しっかり行い、各ユーザーの意見を真摯に受けとめての責任ある取り組みを求めます。以上です。

○河野委員 質問します。まず、消費税について伺います。
 安倍政権が実施するといっている、ことし十月一日からの消費税率一〇%引き上げ、増税を見込んで、水道局は二〇一九年度予算案に、二%増税分として、水道料金で十九億五千五百万、工業用水道料金分五百万、合計二十億円を料金に転嫁するとしています。これは水道局の場合、二カ月ごとに行う水道メーター計測との関係で、ことし十二月から来年三月までの四カ月分の転嫁額です。今回の消費税増税についてのちまたの声の多数は、法律で決まったことといわれても納得できないというものが多数です。
 三月九日から十日にかけて実施された共同通信の調査では、反対という声が五四・四%、その背景には、二月に行われたJNNの調査に見られるように、景気回復の実感はないという人が八二%に及んでいる暮らしの厳しさがあるからです。
 所得が少ない年金生活者や子育てをしている若い世代に経済不況が重くのしかかっていることに加えて、消費税は、低所得の人ほど負担が重くなり、中小商工業者からも反発の声が上がっています。
 こうした中で、消費税一〇%への税率引き上げを受け入れて、二〇一九年度予算案を編成し、条例改正案を上程した水道局の考え方をお聞きします。

○松丸総務部長 消費税は、消費に対して広く公平に負担を求める税金で、消費者が負担し、事業者が納税する仕組みでございます。
 水道事業者は、民間企業と同様に、法令上、消費税の納税義務者であり、国からの通知により、消費税の税率引き上げ分を円滑かつ適正に料金に転嫁する必要がございます。
 このため、消費税の税率引き上げ分を適正に転嫁する給水条例の改正案を上程し、平成三十一年度予算案に盛り込んでおります。

○河野委員 私たちのところには、消費税増税は困るという切実な声が寄せられているんです。
 ある電気屋さんは、カード決済でポイントがつくというけど、以前に導入してやって以来もうこりごり、カード会社にマージンを取られて、粗利の少ない商店ではやっていけない、ナンセンスで消費税増税はとんでもないと、実体験に基づいたお話をしてくれました。
 日本スーパーマーケット協会は、消費者にわかりづらい、過当な競争を巻き込むとして、セブン&アイ・ホールディングスの元会長は、今のタイミングで増税をしたら、消費が減少して倒産は増加、失業率上昇の負の遺産になると厳しい見通しをしています。年金生活者の人は、家計が苦しいのにこれ以上の負担がふえるのかと思うと気持ちが重くなると嘆いています。
 消費税は、水道局にとっては、一旦都民から預かり、それを国に納めるという通過点、それにすぎないかもしれませんけれども、都民にとっては生活に欠かせない命の水にも増税される重大問題です。
 都民の生活実態等、切実な声をどのように水道局は受けとめているか、お聞かせいただきたいと思います。

○小山サービス推進部長 消費税率改定に関するお客様からのご意見は、現在のところ、局の広報広聴窓口やお客様センターには寄せられておりません。しかしながら、今後お客様から問い合わせが寄せられた場合は、きめ細かく丁寧に対応してまいります。

○河野委員 水道経営プラン二〇一六を見てみましたが、これに関して伺います。
 このブルーの冊子ですね、プランのページ六六と六七に、財政収支見積もりのことが出ています。六六ページの料金収入は、平成三十二年度まで順調で、おおよそ三千二百億円で推移して増加する傾向です。水道事業の原資で大きな割合を占めている料金収入は増加するというのが見通しです。そして一方、六七ページの下段には、財政収支の推移で特徴的なのは、国庫補助金が、平成十六年度は二十四億五千六百万あったのが、十二年後の平成二十七年度は六億三千二百万と約四分の一に減額になっています。
 そこで伺います。今後も、水道事業会計を堅実に維持していく、そのためには国に対して施設の管理維持に必要な補助をきちんと要求していくことが、まず第一に必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○松丸総務部長 委員ご指摘の国庫補助金の減少につきましては、平成二十五年度から、国庫補助対象事業でございます高度浄水処理施設の整備事業が終了したことによるものでございます。
 当局ではこれまでも、首都東京の安定給水を継続する観点から、国に対しては老朽管の更新に対する国庫補助採択基準の緩和や浄水場の更新事業に対する国庫補助制度の創設など、さまざまな機会を捉えて提案要求しております。

○河野委員 東京の水道は約一千三百万人に供給しているのですから、給水人口や配水量にふさわしいインフラ整備ができるように、国に対して、こうした大幅な減額が行われていることについては意見を上げて、さらに増額を求めていくべきだと思いますし、財源をそういう意味でもしっかりと獲得してほしい、頑張っていただきたいと思っています。
 最大の原資の料金収入は、先ほどいいましたように増加傾向にあります。二〇一九年度の局予算案は、収益的収支で、当年度純利益は約三十七億円となっております。純利益が出ているのは健全な企業体といえるのではないでしょうか。
 水道プラン二〇一六では、給水収益は増加傾向、そして累積収支過不足額を見ても、今の経営基盤は、基本的には堅調と判断しますが、いかがですか。財政状況、経営の状況、お答えください。

○松丸総務部長 委員ご指摘のとおり、現時点では、例えば、平成三十一年度予算案におきましては、純利益は約三十七億円を見込んでおりますが、この純利益につきましては、今後の浄水施設の大規模更新等に備える、また、そのために減債積立金や建設改良積立金等の財源として処分する予定でございます。

○河野委員 そういうご答弁をこれまでも水道局は繰り返してきているわけなんですが、水道局がこうした、私たちが見て企業体として健全な財政を維持しているという、そういう判断ができるのは、水道局の財政運営の努力もあるかと思います。しかし、その財政力をどう生かすかというのが今問われているんだと思います。
 消費税増税で大変苦しい思いをしているという都民のために、増税の負担を回避していただくこと、それを水道局に今求めたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○松丸総務部長 繰り返しになり恐縮でございますが、消費税は消費に対して広く公平に負担を求める税金でございまして、消費者が負担し、事業者が納税する仕組みでございます。
 水道事業者は、民間企業と同様に、法令上、消費税の納税義務者でございまして、国からの通知により、消費税の税率引き上げ分を円滑かつ適正に料金に転嫁する必要がございます。
 このため、消費税の税率引き上げ分を適正に転嫁する給水条例の改正案を上程し、平成三十一年度予算に盛り込んでいるところでございます。

○河野委員 先ほどと同じ答弁でした。私は答弁を聞いていて、都民の暮らしを守る観点が極めて弱い、そういうご姿勢だと思います。
 振り返りまして、平成元年、一九八九年に消費税が初めて導入されたとき、東京都は、三%の消費税を料金に転嫁はいたしましたが、一方で、四%の料金の引き下げを実施しています。また都は、歴代知事の政策判断や議会からの要望で、生活保護世帯などへの料金減免措置を講じています。
 消費税増税は困りますという都民の意見は、今、水道局の方には寄せられていないという答弁に私は少し驚いておりますが、都民生活は厳しさを増しているんです。水道局は、都民生活の実態をよく把握して、知事に対して、一般財源も活用して負担軽減策を講じることなども提言をしていく、進言をしていく、そういう努力をしていただきたいし、都民の負担軽減、そのことについて、本当にしっかりと検討していただくことを強く求めておきたいと思います。
 消費税の質問は、もっともっといいたいことがありますが、これで終わります。よろしくお願いします。
 次に、昨年起きた水道局の職員の情報漏えいと談合に関連して質問します。
 昨年の十二月三日の当委員会で、公正取引委員会の調査が入った浄水場排水処理場で起きた職員の情報漏えいと談合疑惑のことで私も質問をいたしました。
 そのときに、談合にかかわった調査を受けている受託事業者四者のうち一者だけは、東京都の聞き取りに応じていないという答弁でありました。その後、その残りの一者にヒアリングは行われているのでしょうか。

○志村経理部長 水道局の発注する排水処理施設運転管理作業委託の指名競争見積もり合わせに参加していた業者に、公正取引委員会が立入検査を実施したとの報道を受けまして、直ちに当該四者に対し、事実確認等のためにヒアリングを実施する旨申し入れを行いました。
 この当局からの申し入れに対しまして三者が応じまして、昨年十一月二日に、この三者に対してヒアリングを実施したところでございます。残りの一者につきましては、公正取引委員会による調査が継続をしていることを理由に、当局からの申し入れには応じられないとの回答でございました。
 その後も、公正取引委員会による調査が継続している状況に変わりがないため、この一者へのヒアリングは実施してございません。

○河野委員 わかりました。昨年の公営企業委員会の質疑で、公正取引委員会が調査に入った委託業者の一つの水ingに、昨年十月の時点で、東京都水道局の元局長、元部長、そして元課長の職員三名が再就職をしていたということがわかりました。その後十一月に、局長級の方と部長級の方は--元ですね--水ingを退職したそうです。東京都水道局として、元職員三人に対しては、どのように聞き取り調査を行い、その結果はどうだったかも、この機会に伺っておきます。

○松丸総務部長 元職員に対しての聞き取り調査につきましては速やかに実施いたしました。その結果、今回判明した事故に関しましては、元職員による関与の事実は確認されませんでした。

○河野委員 この元局長の方、元部長の方、この方は、十一月に退職されているわけですよね。退職時期が公正取引委員会が調査に入った直後でありました。というのは、情報漏えいと談合とかかわりがあるのかと疑問を持ってしまうんですが、二人の在職期間及び退職理由などについて、水道局が把握していることがあったらお答えください。また、退職後の再就職のことなどについてもわかっていることがあったらお答えください。

○松丸総務部長 元局長級職員につきましては、平成二十七年四月一日から平成三十年十一月三十日まで在職していたと聞いております。また、元部長級職員につきましては、平成二十三年九月一日から平成三十年十一月三十日まで在職していたと聞いております。退職理由、退職後の再就職状況につきましては把握しておりません。

○河野委員 この二人の退職は、昨年の十一月三十日ですね。ということで、局長級の人は、二年近くこの職場にいたことになります。それから部長級の人は、平成二十三年九月から働いておられますから、まさに五年以上職場に在籍をしていたわけです。この二人が軌を一にして水ingを退職していること、ここにクエスチョンマーク、疑問符がつく、そういうふうに感じる方はたくさんいるんじゃないかと思うのですが、そのことを改めて申し上げておきたいと思います。
 私は、この情報漏えいと談合の問題で、ことし二月十五日に、委員会で、職員の情報漏えいについてのこれまでの対応状況ということでご説明を受けました。この中に書いてある第三者のコンプライアンス委員会の設置ということについて、きょう質問しようと思ったんですけれども、先ほど質問と答弁がありましたので、意見だけを述べさせていただきたいと思います。
 第三者コンプライアンス委員会については、一つに、情報漏えいの問題に端を発して、局の課題だけでなくて、TSSなどの監理団体もコンプライアンス委員会の検証対象にしていくという考え方が示されました。都民は注視をしています。コンプライアンス委員会の役割がきちんと果たされるように要望しておきたいと思います。
 情報漏えいと談合の問題で、今、水道局は、公正取引委員会の調査結果が明らかになるまでは答弁ができないということをおっしゃっております。しかしながら、局として今できることは、今後一切不祥事を起こさない、業務発注先との癒着の根を断ち切る、そのための実効ある対策をあらゆる面から講じていただくことだと思います。その点での努力も強く求めておきたいと思います。
 次に、ダクタイル鋳鉄水道管の発注に関してお伺いをいたします。
 浄水場排水処理業務で起きた職員の情報漏えいで、都水道局の幹部職員が、関連企業に再就職、天下りしていたことが浮き彫りになりました。先週金曜日三月十五日になりますが、私どもが発行しております日本共産党発行の「しんぶん赤旗」は、過去十年間の調査で、水道局のダクタイル鋳鉄水道管を受注した四つの民間企業に、水道局や下水道局などの元局長、元部長ら五人が顧問や技術開発部長の約束で再就職していたということを報じました。
 記事によりますと、都水道局は、二〇一三年度から二〇一七年度までの五年間にダクタイル鋳鉄管を三十四社に総額約十九億円発注していて、都の幹部職員を受け入れたクボタは三億二千三百万、日本鋳鉄管は二億七千二百万、栗本鐵工所は七千九百万、コスモ工機は七千二百万を受注しています。四社の発注を受けた総額は、東京都が発注した総発注額の十九億円余りの三八%、約四割に及びます。発注を受けているのは三十四社ありますから、大変大きな割合を四社が占めているということになります。
 クボタは、東京水道サービス株式会社、TSSの出資会社であります。また、一般社団法人日本ダクタイル鉄管協会の会員企業でもあります。この日本ダクタイル鉄管協会にも、水道局のOBの方が四人在籍していました。
 二〇〇九年に、公正取引委員会は、都水道局発注のダクタイル鋳鉄水道管をめぐる闇カルテルを告発しましたが、そのときに、クボタ、栗本鐵工所、日本鋳鉄管の三社に合計五十八億円の課徴金を命じました。公正取引委員会の告発があった後も相変わらず都水道局の幹部OB職員が再就職を続けているこの状況は、世間でいう天下りと、そして癒着、これが温存されていると指摘されても仕方がないのではないかと考えるんです。
 水道局と業界の癒着、疑惑について、今後、局としてどのように是正していくお考えか、私はこの質問は、ぜひ局長にお答えいただきたいと思います。各会派の委員の皆さんにも局長はご答弁にお立ちになっておられますので、この質問、大事な問題なのでぜひお願いをいたします。

○中嶋水道局長 当局の職員は、長年にわたり水道事業の第一線で業務に従事しておりまして、実務面での技術やノウハウを持っていることから、退職後、監理団体やその他の企業等で即戦力として、その経験やノウハウが活用されている例が多い状況でございます。また、これは人材活用という面でも意義があると思いますし、また東京都全体でも同じような状況がいえると思います。しかしながら、職員が再就職することにより、公正な都政運営が損なわれるといった疑念を持たれることがあってはなりません。
 都におきましては、退職管理条例で幹部職員について、退職時の職務に利害関係のある企業への求職活動を退職後二年間原則禁止としておりまして、外部有識者で構成される退職管理委員会を設置、運用し、第三者の目を通してその妥当性についてチェックを行っております。当局におきましても、これに基づきまして、再就職のより一層の公正性、透明性の確保に努めております。
 今後とも、都の退職管理制度の適切な運用に努めてまいります。

○河野委員 ありがとうございます。局長の今のご答弁で、方向性を見定めていくという点では、一定の展望を見ることができました。今後とも、都の退職管理制度の適切な運用に努めていくという今のご答弁、都民の信頼をかち取っていくためにも、ぜひ進めていただきたいということをお願いしておきます。
 続いて、金町、東村山、朝霞の三浄水場の平成三十一年度一年限りの都直営化の問題について伺います。
 平成三十一年度の浄水場排水処理施設運転管理作業の委託の事業者を決めるに当たっての入札方法とその結果についてお聞きいたします。関連した質問もありますけれども、角度が違いますので、お伺いをしておきます。
 入札事業者数など七カ所の浄水場それぞれについて、二月十五日の委員会で職員の情報漏えいについてのこれまでの対応状況として報告をお聞きしたのですが、この二項目と三項目に、入札契約の方法の見直しが書いてありますので、この二つの項目に沿って、今伺いました入札方法の問題、どのように改善の方向に向けて取り組んでこられるのか、現状についてお聞かせをいただきたいと思います。

○青木浄水部長 平成三十一年度の排水処理施設運転管理作業委託は、三郷浄水場、三園浄水場、小作浄水場及び玉川浄水場の四浄水場を対象に、新規参入を促進するため実績要件を緩和するなど入札参加条件の見直しを行った上で入札を実施いたしました。
 三郷浄水場の案件でございますが、六者が入札に参加し、最低入札金額でございましたテスコ株式会社が落札をいたしました。
 三園浄水場、小作浄水場及び玉川浄水場につきましては、三浄水場一案件として発注をいたしまして、六者が入札に参加した結果、最低入札金額でございました日本環境クリアー株式会社が落札しております。
 東村山浄水場、金町浄水場及び朝霞浄水場の三浄水場につきましては、平成三十一年度は、職員が直営により運転管理することといたしております。

○河野委員 この入札で、それぞれ事業者が入札したということなんですが、事業者の出した最低金額と最高金額それぞれ、三郷、それから小作、三園、玉川は一グループということでありますが、どのような入札の価格があったのでしょうか、最高金額、最低金額、お答えいただけますか。

○青木浄水部長 平成三十一年度の三郷浄水場の案件でございますが、入札金額の最低が四千八百六十三万二千円、最高は九千万五百三十円でございまして、落札金額は、最低入札金額に消費税を加算いたしました五千二百五十二万二千五百六十円となっております。
 三園浄水場、小作浄水場及び玉川浄水場の案件でございますが、入札金額の最低が九千万円、最高は一億三千六百十二万円でございまして、落札金額は、最低入札金額に消費税を加算いたしました九千七百二十万円でございます。

○河野委員 入札経過で、入札経過調書というのも私たち調べてみたんですが、予定価格非公表ということにしているようですけれども、この非公表ということになっている理由は、どんなものでしょうか。これもお聞きしておきます。

○志村経理部長 お話にあります排水処理施設運転管理作業委託契約のような業務委託契約は、工事請負契約のように公表している積算基準が存在せず、業務の性質上、同一の仕様により毎年継続して行うものが多うございます。
 このため、予定価格を公表いたしますと、当該契約以降に行われる契約におきまして予定価格が類推されるおそれがあることから、競争入札における公正性及び競争性を確保するため、事後においても非公表の取り扱いとしてございます。

○河野委員 事後も公表しないということなんですけれども、私は、都政の透明性という点で、いろいろ仕組みはあるし、リスクとかいろいろあるでしょうけれども、やはり少なくとも事後の価格については公表するということを改めて検討していくべきときにあるんじゃないかなと思いますので、申し上げておきます。
 次に伺います。公正取引委員会の調査を受けている委託企業の平成三十年度の落札額と、今回、委託業者になる事業者の受注額の比較はどのようになっているか、割合などでお示しをいただければと思っています。

○青木浄水部長 平成三十年度の三郷浄水場の排水処理施設運転管理作業委託の落札金額は一億一千七百五十三万一千円、平成三十一年度の落札金額は、先ほどご答弁させていただきましたが、五千二百五十二万二千五百六十円でございまして、前年度の約四五%となっております。
 三園浄水場の平成三十年度の落札金額は五千九百五十五万千二百円、小作浄水場は五千三百三十七万三百六十円、玉川浄水場は千六百二十八万四千二百四十円、三浄水場分を合計いたしますと一億二千九百二十万五千八百円でございまして、平成三十一年度の落札金額九千七百二十万円は、前年度の約七五%となってございます。

○河野委員 私も、去年の十二月三日の当委員会の質疑の際の資料を使って計算してみたんです。平成二十三年度から三十年度までの八年間、七つの浄水場の契約額一覧との比較で計算してみたんですが、ずっと同じ業者が七つの浄水場の契約を受けていたわけですよね。
 今回、平成三十一年度は、今、部長がご答弁いただきましたような金額で業者が決まったわけですけれども、三郷浄水場の排水処理施設運転委託の契約額が、平成二十七年度から平成三十年度は四年間で一億円をそれぞれ毎年超えているんです。これに比べて、平成三十一年度の契約額は、テスコ株式会社という企業が税込みで五千二百五十万円ですか、落札して、三十年度の金額に比べますと四四・七%、まさに、部長お答えになった四五%を切るという状況で、半分以下に値下がりしています。小作、玉川、三園の三浄水場も、平成三十年度の契約額よりも七五%と大幅に値下がりになっています。どうしてこのような状況が起きているのか、徹底した解明が必要であることをこの場で指摘させていただいておきます。
 契約額が大幅に下がりました。かつ受託事業者が変わりました。この浄水場の運転管理業務の遂行に心配はないのかどうか、そこは局はどのようにご判断されているでしょうか。

○青木浄水部長 平成三十一年度の契約は、浄水処理能力日量十万立方メートル以上の浄水場における排水処理施設運転管理業務の受託実績を有していること等を入札の参加条件としてございまして、契約内容の履行が確保できると考えております。
 また、受託者間の業務引き継ぎに関してでございますが、平成三十年度の排水処理施設運転管理作業委託の仕様書には、受託者は履行期間終了日の二カ月前までに引き継ぎ資料を作成し、委託者である水道局が立ち会いのもとで、次年度受託者と引き継ぎを行うことを定めております。
 一方、平成三十一年度の受託者は、作業委託のための体制を整備するとともに、委託者立ち会いのもとで前年度受託者と引き継ぎを行うことを定めてございまして、既に引き継ぎを開始しておりますことから、運転管理業務に支障はないものと考えてございます。

○河野委員 新しく受託事業者が変わるというところで、引き継ぎのこともきちんとされて、大丈夫ですよというのが今ご答弁でありました。しかし、やはり私は、先ほど答弁いただきました落札金額が本当に大きな幅で差があったということについては大変驚いております。
 前年よりも半額以下で契約したということは、逆にいえば、三十年度までの業者の契約額が多過ぎたということになるのではないですか。談合があったかどうかは、今後の公正取引委員会の調査結果で示されることではありますが、今この事実を見て、これまで受託事業者として仕事をしてきた企業は大きなもうけを上げていた、このようにいえるのではないかというふうに判断するんですけれども、これは意見として述べておきます。
 次に、二〇一九年度に、三つの浄水場について、一年度のみの都直営の方法を選択した理由、平成三十二年度以降はどのように対応していくのか、金町浄水場、東村山浄水場と、もう一カ所、朝霞ですかね、この三浄水場についての対応について伺っておきたいと思います。今後どのように、この一年間、どのようにされるのかお伺いします。

○青木浄水部長 平成三十一年度の排水処理施設の運転管理の検討に当たりまして、全国における排水処理業務の受注実績を有します十七者に対しましてヒアリングを実施いたしました。その結果、複数の事業者から、受託に前向きな意思を確認できたものの、人員の確保と業務の習熟が最大の課題であることが明らかになってございます。
 そこで、東村山浄水場、金町浄水場及び朝霞浄水場につきましては、安定給水確保の観点から排水処理の運転を停止できない重要施設でございまして、大規模な施設の運転に必要となる多くの人員を事業者側で確保することが困難で、入札不調のリスクがあることを踏まえまして、平成三十一年度につきましては、職員が直営により運転管理する体制としたところでございます。
 平成三十二年度以降につきましては、七つの全浄水場におきまして、作業員の安定的な確保に加え、価格だけでなく業務履行能力なども評価をする五年間の複数年契約によります総合評価方式の導入を予定してございます。

○河野委員 都直営ということで、少し、本当に大丈夫なのかという点があるんですが、昨年の十月に公正取引委員会の調査が入ったと、そこで調べた中で明らかになったのは、処理場で働いていたA係長、都の職員が、職場に都の水道局の職員として業務をわかる人が少なくて教えてもらえなかったと。逆に、業務委託をされている民間会社のX所長が大変親切に対応してくれたということで、そこに情報漏えいの問題が起こったということが私たちに示されています。
 このことを考えると、都直営で排水処理場に配置される職員の方、都の職員の人は、本当に業務に精通しているのかどうかというのが、A係長の受けた職場での思いと一致しないというのでしょうか、そういう点で、本当に業務に精通した職員が配置されるのかどうかという点で、水道局はどのようなお考えをお持ちか、そして緊急事態が起きた場合などには、そういう直営でしっかりと対応することができるのであろうかという点での率直な疑問にお答えいただきたいと思います。

○青木浄水部長 浄水場の職員は、日々の業務を通じまして、浄水場の運営に必要な知識やノウハウを既に身につけております。しかし、排水処理施設の運転でございますが、これまで委託で実施してきたため、職員が運転に係る十分な経験を有しておりません。
 このため、直営による運転を行う浄水場では、業務を円滑に実施できる体制を構築するため、操作マニュアルを整備するとともに、業務を短期間で習得できますよう重点的に実務研修を実施しております。
 また、操作マニュアルと実務研修でございますが、緊急事態にも対応できる内容としてございまして、万一、排水処理施設に重大な故障が発生した場合などにおきましても、速やかに補修工事を発注し、早期に復旧を行ってまいります。

○河野委員 現場の職員の人は大変だと思うんです。三つの浄水場で民間委託だった場合の職員配置状況はどうだったのですか。また、都の直営にすると、職員の配置数に変化はあるのでしょうか。あわせて、浄水場全体の職員配置数は、平成三十一年度、新年度はどのようになるのでしょうか。全体で職員の減員にならないのかと心配しているのですが、その職員の配置状況についてお示しください。

○青木浄水部長 排水処理施設運転管理につきましては、これまで民間委託を前提とした職員配置になってございますため、直営化による業務量増に応じた職員配置が必要となりますが、電気点検などの既存業務を一部見直すことなどによりまして、平成三十一年度は現状の職員で対応してまいります。例えば、金町浄水場の職員数でございますが、平成三十年度百四十六名でございまして、平成三十一年度につきましても同数で変更はございません。

○河野委員 民間企業にお願いして稼働させていた施設が、今度は都の職員がちゃんと責任を持ってやりますよと、それはそれでいいと思うんですけれども、人員を民間の人がいなくなった分ふやすのかというとそうじゃない、現状維持で頑張ってくださいよという点では、相当職員の方に負担がかかるんじゃないかと心配しておりますので、やはり局の方でその点はきちんとした目配りをしていただきたいと思っています。
 この問題でちょっと一点確認しておきたいんですけれども、新しく浄水場排水処理業務を受託するテスコ株式会社、そして日本環境クリアー株式会社、この会社への水道局幹部職員の再就職は行われていないかどうかお答えください。

○松丸総務部長 都庁版人材バンクにより再就職先状況を公表した平成二十二年度以降、テスコ株式会社、日本環境クリアー株式会社への水道局幹部職員の再就職は行われておりません。

○河野委員 職員の情報漏えいや談合疑惑が起きたことは重大です。これを機会にして、浄水場業務などを都の直営に戻す方向に決断をすべきではないかと考えます。民間への業務委託の促進を改めてここで見直す選択をしていただいて、都の職員が仕事に精通した知識、技術を身につけるチャンスと捉えていただきたいと考えるんです。
 命の水は、公的責任で供給する責務、これを重視して、効率化のみを追い求めるあり方を改めて、都民の信頼が寄せられるように取り組んでいただくことを求めるものなのですが、局のお考えをお示しください。

○石井経営改革推進担当部長 当局では、定型業務を初め民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託するとともに、水道事業における基幹的業務を水道局と監理団体が担う一体的事業運営体制で事業を進めてまいりました。
 今後とも、この体制を一層強化することで、公共性の確保と効率性の発揮を両立させながら、責任を持って安全でおいしい高品質な水を安定供給していく所存でございます。

○河野委員 部長のお話を聞いて決意はわかりましたが、本当に大丈夫かなという思いがあります。
 昨年十二月十八日の都政新報に、水道局の技術継承に関する記事が載りました。そこには、都では、一九九五年、主任昇進時に他局に異動する主任人事交流制度が始まった、ゼネラリストはいるが生え抜きのスペシャリストがいない、行政マンとしての力は以前より落ちたのではないかとして、業務の合理化や組織のスリム化のために委託は避けられない面もあるが、後世に引き継ぐべき技術やノウハウを再検討する必要があると書いてあります。
 昨年十月末に公正取引委員会が調査に入った職員の情報漏えいと談合疑惑は、業務のことがわからなかったA職員が、職場内のフォローが弱かったことによって、過度に民間の委託業者に頼ってしまったことが原因でありました。技術の継承と民間委託のあり方については、今こそ改善が必要であると私は申し上げておきたいと思います。
 続いて、水道メーターの検針業務、特に検針員の労働条件、労働環境の改善について伺います。
 水道メーターの検針は、区部での民間委託は昭和五十五年に始まり、平成二年から全面的に民間委託になり、多摩地域は平成十二年四月に全面実施と水道局の事業概要に出ています。事業概要には、水量、料金等のお知らせと料金請求を一体化した様式で発行する、サービスも公平化されて郵送料金等の徴収業務にかかわる経費削減も図っていると書いてあります。
 水道メーターの検針員が置かれている労働の状態は、昨年の三月の当委員会で、斉藤まりこ議員が質問をし、改善を求めています。その後も働く人から意見が寄せられていますので、私自身が確認したいことも含めて簡潔に何点か質問させていただきます。
 一つです。検針業務委託の契約方法、随意契約なんでしょうか、それとも他の契約方法がとられているのか、また契約期間は決まっているのか、このことについてお答えください。

○小山サービス推進部長 検針業務委託については、平成二十年度以降、競争性や透明性を確保しつつ、安定した履行能力を担保するため、履行能力等審査方式で評価した上で、最も得点の高い業者を契約相手として随意契約により契約を締結しております。
 平成三十一年度からは、契約の客観性をより高めるため、外部有識者の視点を取り入れまして、五年間の複数年契約を条件とした総合評価方式による競争入札を一部の地域において導入することとしております。この総合評価方式による平成三十一年度の契約については、既に審査手続を経て契約を締結しておりまして、今後も順次導入して全域に拡大してまいります。

○河野委員 それぞれの委託会社の検針担当エリアは決まっているんでしょうか。

○小山サービス推進部長 当局の検針区域は、給水件数や面積等を考慮いたしまして、区部では十九区域、多摩では十一区域に設定いたしております。それぞれの区域の委託業者は、入札や審査を経て決定しており、あらかじめ決めているものではございません。

○河野委員 契約のあり方も、平成三十一年度から総合評価方式とか導入して、順次それを拡大していくとかということで、契約のあり方、改善の方向がとられていると思うんですが、私たちのところには声が届いているので、ご紹介しておきます。
 ある地域ですけれども、何年も同じ事業者が委託を受け続けている営業所があるといっています。これは委託業者が変わってしまうという体験を持っている労働者にとっては大変なことで、どうしてこういう事態が起こるのか、ぜひ、やはり水道局としても、契約方法の改善に向けて頑張ってほしいということで、今、方向性が少し出されているという答弁ですので、今後とも注視させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 委託会社の労働時間、賃金、社会保険の加入などについては、各社の公平性は保たれているのかどうか、ご確認されておりますか。

○小山サービス推進部長 検針業務委託は、委託を受けた業者みずからの責任において労働者を雇用するものでございまして、検針員の労働条件は、各委託業者が雇用主として管理する事項でございます。なお、水道局は、発注者として各委託業者に対し、労働関係法規を含む各種法令の遵守を求めております。

○河野委員 労働者の生活や権利を守るために、法令の遵守を求めているということは大変大事なことだとは思います。
 次に伺っておきたいことは、一人の検針員の人が担当するエリアは変わらないんだけれども、その地域の委託会社が変わると、検針員は、新しく委託を受けた会社に移籍することになる、そういう事態があるのはご存じでしょうか。

○小山サービス推進部長 先ほど申し上げましたとおり、検針業務委託は、受託者の責任において検針員を雇用するものでございます。当局は、各社における検針員の移籍について業務を通じて知ることはございますが、検針員の雇用に関して関与する立場ではございません。

○河野委員 きょうは、限られたことについてお聞きをいたしました。検針員が計測する水道メーターは水道局の所有であります。公の仕事といえるその職場にいるメーターの検針員の労働状況は決して恵まれているとはいえません。
 局は、受託事業者の雇用の条件で雇ってもらって働いてもらっているんだというご認識ですけれども、本当に、会社会社によって労働条件、さまざまな雇用条件は変わっています。会社によっては、国保に加入か社会保険に加入できるか、その違いがありますし、委託会社が契約したエリアが変わることによって所属会社を移籍することになって、そして有給休暇もリセットされてしまって、半年間働いてようやく取得できるようになった例もあります。夏の季節には一着しか作業着が支給されないで、会社は、毎日洗えばいいじゃないかという、そういう会社もあります。冬の防寒着は支給なし、自転車のかごさえつかない会社もあります。一番困るのは、会社を変わらざるを得ないことによって賃金が下がる、そのことがあります。本当に働いている人たちは改善を求めているんです。
 検針員の仕事は、検針をしながら高齢者の体調不良のことに気がついたりしてやりがいを感じているんだけれども、人間らしく安定して働いて生活を向上させていきたいと、そういうふうに強く望んでおられます。検針委託会社の労働条件は、その会社会社でちゃんと決めてもらうんだという、お任せというような状況でなくて、水道局は、労働の実態をきちんと把握して、水道メーターという東京都が持っている、所有している財産を守っている、そういう職場の人たちの労働についてもきちんと目配りをしていただきたいと思います。
 最後に、条例の改正について一点だけ伺います。
 水道布設監督者の資格等を定める条例の一部改正が今議会で上程されております。技術士法の規定による第二次試験で、これまで選択科目となっていた水道環境が削除され、上水道及び工業用水道を選択したものということになりますが、水道環境の資格の取得の際に学んできた水質保全や、あるいは水環境などの知識や技術の取得が、この法改正というのですか、条例改正ですね、条例改正によって後退することはないのかと、そういう疑問があります。
 水道工事の監督業務に支障が生じることがないのか、そのことを確認のためにお聞きしておきます。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 本条例の一部改正は、学校教育法に専門職大学等が位置づけられたこと及び技術士法施行規則が定める上下水道部門の第二次試験選択科目において水道環境が上水道及び工業用水道に統合されたことを踏まえ、資格要件の変更を行うものでございます。いずれも資格要件が緩和されるものではないことから、水道の布設工事に関する監督業務に支障が生じることはないものと考えております。

○河野委員 専門職大学の設置を認める学校教育法の一部改正は、学術の探求など基礎的な力を培う高等教育を充実させることよりも、個別の職業に特化した教育になっていきます。若い世代が即戦力になって現場で働ける、そのような教育をする大学の設置よりも、現在ある専門学校や職業訓練などを行っている、そういう専門的な学校ですね、そこを支援することが大事ですし、何よりも学費の負担軽減などに対して国は重点を置くべきだという、そういう考え方がありますので、そのことを申し添えて、私の質問を終わらせていただきます。

○成清委員 水質管理について伺っていきます。
 東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要な基幹ライフラインであり、安全でおいしい高品質な水を二十四時間三百六十五日、着実に供給することは極めて重要であります。
 日本は水道水を直接飲める世界でも数少ない国の一つで、水道水を直接飲むのは日本固有の文化ともいえます。こうした文化を守っていくためにも、水道水の安全性が高いということを十分に理解してもらうことが重要です。
 そこで、水道局では、水道水の安全性をどのように確認し、都民に情報提供しているのかを伺います。

○青木浄水部長 水道局では、水道水の安全性を確認するため、都内百三十一カ所の蛇口から水道水を採取し、国が定めた水道水質基準の五十一項目全てを定期的に検査をしております。また、同所に自動水質計器を設置いたしまして、国の基準で、一日一回の検査が義務づけられております濁度、色度及び残留塩素につきまして、二十四時間三百六十五日、常時連続で監視してございます。
 さらに、国の基準には位置づけられていませんが、都独自の基準で、水源流域で使用されている農薬や金属など約百七十項目につきまして水道原水を定期的に検査し、安全性を確認しております。こうした水質検査の結果は、局ホームページ等で随時公表してございます。

○成清委員 法令で義務づけられた検査以外に非常に多くの検査を行っており、東京の水道水は、改めて高い安全性が確保されていることを確認させていただきました。
 ところで最近、社会問題になっているプラスチックごみに関連して、それが細かく砕けたマイクロプラスチックが水道原水である河川の水の中にあるという報道もございました。こうした報道によって、飲み水でもある水道水の安全性に対して不安を持っている都民もいるのではないかと思いますが、マイクロプラスチックによる水道水への影響についてお伺いします。

○青木浄水部長 現在、国が定めております水道水質基準項目にマイクロプラスチックは位置づけられておりません。また、水道水中のマイクロプラスチックの有無を確認する検査手法も確立されておりません。
 マイクロプラスチックでございますが、環境省によりますと、大きさが五ミリメートル以下のものをいうとされております。この五ミリメートルの千分の一に当たります五マイクロメートルの大きさの病原性微生物でございますクリプトスポリジウムでございますが、これは浄水場の凝集沈殿、砂ろ過の過程で除去できることから、クリプトスポリジウムと同程度の大きさまでは、万が一、水道原水に含まれていた場合でも除去ができるものと考えております。
 今後とも、国等の動向や技術開発などにつきまして情報収集を行ってまいります。

○成清委員 さまざまな記事によりますと、マイクロプラスチックについては、人への影響など、いまだ不明確なこともあり研究途中ということです。今後新たな知見が出てくるかもしれないので、ご答弁にありましたとおり、水道局は、国や研究機関とも連携をとり、引き続きその動向を注視していっていただきたいと思います。
 東京の水道原水は、主に河川水であり、その水質は環境の変化によって大きく左右されることもあります。最近も雑誌で、近年の気候変動が自然生態系や水道原水となる河川の水質に悪影響を与えていると目にしましたが、このような原水の水質変化に対して水道局が講じている対策についてお伺いします。

○青木浄水部長 水道原水の水質でございますが、長期的には、気候変動や下水道普及率等の水源を取り巻く状況に応じまして変化していることから、河川水等の水質を定期的にモニタリングしてまいりました。
 また、短期的にも、大雨などによりまして河川流量も大きく変動いたしまして、水道水質に影響を及ぼします。
 利根川水系におきましては、昭和五十年代に、流域河川において下水道整備のおくれに起因いたします高濃度のカビ臭原因物質が発生したことを受けまして、カビ臭などを除去し、安全でおいしい水を供給するため、平成二十五年度までに高度浄水処理を全面的に導入したところでございます。
 一方、多摩地区におきましては、水源水質は良好であるものの、降雨による急激な濁度上昇がたびたび発生いたしますことから、河川水を原水とする浄水所では膜ろ過処理施設を順次整備してございます。

○成清委員 水道原水の水質変化に対して定期的にモニタリングを行い、それに基づき適切に対応しているとのことでした。
 今、答弁にありました高度浄水処理は、安全でおいしい水の供給に重要な施設でありますが、多額の建設経費と維持管理費について懸念されます。
 そこで改めて、高度浄水処理の導入効果やコストについてお伺いします。

○青木浄水部長 当局では、平成元年からおよそ四半世紀にかけまして、利根川水系から取水をしております全量に高度浄水処理を導入してまいりました。
 高度浄水処理の導入によりまして、従来の凝集沈殿と急速ろ過の通常処理では除去が難しかったカビ臭原因物質等を効果的に除去できることに加えまして、農薬などの微量有機物質の除去性が高くなるとともに、発がんのおそれのありますトリハロメタンを低減でき、水道水の安全性とおいしさが向上したところでございます。
 この高度処理に係るコストでございますが、平成二十九年度における一立方メートル当たりの給水原価二百三円に対しまして七円となっております。

○成清委員 高度浄水処理の導入で東京の水道水の品質が大幅に改善され、良質な水道水が供給できるようになったことを改めて理解いたしました。経費についても、そのコストは給水原価の二百三円に対して七円にとどまっているとのことですので、今後ともしっかりと運営をしてほしいと思います。
 一方、原水を多摩川系とする多摩地区では比較的原水がきれいであることから、膜ろ過処理を導入している施設が多いとのことです。
 そこで、多摩地区における膜ろ過処理のメリットと今後の導入計画についてお伺いします。

○本荘谷技術調整担当部長 多摩地区におきましては、小規模な浄水場が点在しており、これらの取水におきましては、豪雨による急激な濁度の上昇など水質上の課題がございました。
 このため、濁りなどの不純物を確実に除去できる膜ろ過処理を導入することで、既存の浄水所に比べて原水水質の変化に対応することが可能となりました。また、膜ろ過処理を導入した浄水場におきましては、自動運転や遠隔制御方式での運転管理が可能となることで維持管理が容易となるというメリットもございます。
 こうしたことから、既存浄水場の更新に合わせまして膜ろ過処理の導入を進めておりまして、平成三十年度には、奥多摩町の小河内浄水所などで整備が完了しております。また、平成三十一年度には、青梅市の千ヶ瀬第二浄水所の更新工事に着手し、平成三十四年度には完成する予定でございます。
 今後とも、原水水質の状況や浄水場の維持管理などを踏まえまして、適切な浄水処理方式を導入してまいります。

○成清委員 膜ろ過処理は、多摩地区の浄水所に適した方法であり、水源を取り巻く状況の変化や原水水質に応じて適した浄水施設を整備し、水道水のおいしさと安全性を確保していることがわかりました。
 都民にとっては、水道水が安全であることはもとより、飲み水としてのおいしさも重要であります。
 水道局のホームページを見ますと、においや味等に関する八項目について、都独自のおいしさに関する水質目標を設定しております。しかし、その中で、カルキ臭の原因となる残留塩素の低減化に関しては目標に達していない状況であります。
 そこで、残留塩素に関する目標達成に向けた取り組みについてお伺いします。

○青木浄水部長 当局では、蛇口における残留塩素濃度の目標といたしまして、安全の面から〇・一ミリグラム・パー・リットル以上を保持しつつ、おいしさの面から〇・四ミリグラム・パー・リットル以下と設定しております。目標の達成に向けまして、これまで高度処理の導入、貯水槽の適正管理の指導、直結給水方式への切りかえ促進、追加塩素注入設備の導入など総合的な対策を講じてきております。こうした取り組みによりまして、平成二十九年度の達成率は八五・二%となっております。
 平成三十一年度は、江北給水所に追加塩素注入設備を導入するとともに、配水区域の適正規模への見直しや浄水場や給水所における塩素注入量を配水量や水温の変化に合わせてきめ細かく調整するなど、運用面での改善を行ってまいります。
 今後も、達成率一〇〇%に向けまして、給水所の整備に合わせて追加塩素注入設備を導入するなど、総合的な対策を講じてまいります。

○成清委員 達成率は改善傾向にあるということですが、引き続き目標達成に向けて着実な取り組みを求めておきます。
 経営プランでは、水質管理の徹底、直結給水方式の普及拡大、施設の耐震性強化など、都民生活と首都東京を支えていくため、さまざまな事業に対し到達目標を定めております。
 予算特別委員会の一般質問では、直結切りかえ見積もりサービスの質疑の中で、直結給水率が七五%になっているとお伺いしましたが、その他の事業進捗について確認させていただきます。
 まず、配水池の耐震施設率について、経営プランでは平成三十二年度の目標を八九%としておりますが、これまでの達成状況とその取り組みについてお伺いします。

○青木浄水部長 平成三十年度末の配水池の耐震施設率は、練馬給水所、江東給水所及び砧下浄水所の耐震化が完了いたしますことから、七六%となる見込みでございます。
 平成三十一年度は、有明給水所、八王子市の大船給水所外二カ所の耐震補強に新たに着手をいたしまして、平成三十二年度の目標達成に向けまして配水池の耐震補強を推進してまいります。

○成清委員 配水池は、災害時に重要な役割を果たす施設と聞いております。今後も耐震化事業を着実に進め、目標達成に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化でございますが、首都中枢、緊急医療機関等の耐震継ぎ手率が平成三十一年度に一〇〇%とする計画となっております。また、避難所、主要な駅の給水耐震化率も、平成三十一年度が到達目標一〇〇%となっております。ともに都民にとって重要な事業であることから計画達成に向け、全力で取り組むことを強く要望しておきます。
 これらの事業の目標達成のためには、当然ではありますが、事業に係る財源の確保も重要です。経営プランによると、水道局は、事務事業の効率化を初めとする不断の経営努力を行い、経営プランの五年間で百五十億円の経費縮減と収入確保をするとされております。
 そこで、平成三十一年度予算における経営努力の状況についてお伺いします。

○松丸総務部長 東京水道経営プラン二〇一六の四年目であります平成三十一年度予算におきましては、江戸川営業所を監理団体に業務移転するなど、事業運営体制の抜本的な見直しにより約四億円、工事コストの縮減により約二億円、薬品及び電力の調達方法の見直しにより約二十七億円、業務運営コスト等の削減により約六億円、資産の有効活用等により約一億円の合計約四十億円を達成することとし、経営プランで計画した額三十二億円に対して約八億円を上回る経営努力を見込んでおります。

○成清委員 水道事業には、公共性とともに独立採算ですので経済性の発揮も求められます。このことから、今後も、既定経費の節減、資産の有効活用など徹底した企業努力を求めます。
 コストの縮減を図り、可能な限り有利子負債を増加させない財政運営を行っていくことは、企業にとって重要なものであると考えます。
 平成三十一年度予算では、浄水場更新及び代替浄水場整備の計画の見直し等により建設改良費が前年度に比べ百二十億円と大幅に減少しており、これに伴い、当然のことでありますが企業債の発行額も減少しております。
 一般企業では借入金を減らし、返済の必要がない資金の調達源泉である自己資本を増加させることは、会社経営の安定性を左右する重要な要素でありまして、自己資本構成比率を見れば事業体の経営状況がある程度把握できます。
 そこで、水道局の自己資本構成比率はどのようになっているのかお伺いします。

○松丸総務部長 当局はこれまでも、不断の経営努力を続けるとともに、将来の施設更新等に備え、企業債の残高を圧縮することに努めてまいりました。過去八千億近くありました企業債残高は平成三十一年度予算では三千百億円を下回ると見込んでおります。この結果、平成三十一年度予算における自己資本構成比率は八四・六%となっております。

○成清委員 総務省の公表している地方公営企業年鑑によると、地方の水道事業の借入金は約八兆円に達しております。今の答弁から、自己資本構成比率が八四・六%ということで一律には比較できませんが、他都市の水道事業体と比較して高い状況にあり、健全経営が維持できていると見えます。
 しかし一方で、先ほども申し上げましたが、建設改良費が前年度予算に比べ大幅に減少している状況はやむを得ない面は多々あるとは思いますが、やはり計画的な施設整備、そして財政の平準化は極めて重要なことであります。
 こうした点を踏まえ、適正な事業運営に取り組んでいただき、そして将来に向けて効率的な財政運営を推進されることを要望して、質問を終了します。

○川松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願は、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時十一分散会

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