公営企業委員会速記録第十三号

平成三十年十一月二十二日(木曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長川松真一朗君
副委員長村松 一希君
副委員長中村ひろし君
理事加藤 雅之君
理事保坂まさひろ君
理事河野ゆりえ君
成清梨沙子君
鈴木 邦和君
舟坂ちかお君
斉藤まりこ君
上田 令子君
菅原 直志君
宇田川聡史君
長橋 桂一君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長中嶋 正宏君
技監田村 聡志君
理事黒沼  靖君
総務部長松丸 俊之君
職員部長金子 弘文君
経理部長志村 昌孝君
サービス推進部長小山 伸樹君
浄水部長青木 秀幸君
給水部長尾根田 勝君
建設部長特命担当部長兼務狩野 裕二君
経営改革推進担当部長石井 英男君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小平 基晴君
設備担当部長横谷  守君
多摩水道改革推進本部本部長岸本 良一君
調整部長坂井 吉憲君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長本荘谷勇一君

本日の会議に付した事件
水道局関係
事務事業について(質疑)

○川松委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 この際、中嶋水道局長から発言の申し出がありますので、これを許します。

○中嶋水道局長 このたび、水道局発注の委託契約に関しまして、十月三十日に公正取引委員会の立入検査を受け、また、これに関連して多くの報道がなされることとなり、委員の皆様方に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを心からおわび申し上げます。まことに申しわけございませんでした。
 このたび公正取引委員会の調査対象となりましたのは、都庁本庁のほか、浄水管理事務所などの複数の事務所でございます。
 立入検査理由は、当局が発注している委託業務である浄水場の排水処理施設の運転管理業務について、独占禁止法第三条、不当な取引制限違反、すなわち談合による受注予定者を決定している疑いということでございました。
 これを受けまして、水道局では、立入検査当日に、浄水場排水処理施設運転管理業務に関する談合情報対策本部を発足させ、局としての体制を立ち上げました。また、同じ十月三十日以降、この委託業務の受注者等である四つの事業者に対しましても、同様の立入検査が行われているとの報道がございました。あわせて、職員が予定価格などを漏らした疑いがあるとの報道もございました。
 都では、こうした事情を重く見まして、知事の指示により、長谷川、多羅尾両副知事のもとで、全庁的な観点から、当局初め関係局による調査特別チームが設置され、集中的に調査を進めているところでございます。
 できるだけ早期に委員の皆様方にご報告いたしますので、どうかご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

○川松委員長 発言は終わりました。
 この際、委員長として、私から確認をさせていただきます。
 まず、長谷川、多羅尾両副知事をトップに調査特別チームが設置されたとのことでございますけれども、現在の調査状況について、もう少し詳しくお聞かせください。

○中嶋水道局長 本件の排水処理施設運転管理業務とは、浄水場におきまして、浄水処理過程で発生する沈殿物を脱水する機械の運転管理などを委託するものでございます。
 当局では、七つの浄水場におきまして、同様の業務をそれぞれ個別の契約により委託しております。本契約につきましては、平成十二年度以前は随意契約により行っておりましたが、平成十三年度以降の契約から、調達の経済性を高めるため、指名競争見積もり合わせに移行し、現在に至っております。
 調査特別チームでは、この契約の状況を調べるとともに、特に報道されておりますような職員からの情報漏えいがあったのか否か、あったのであれば、いつ行われたことなのか、動機は何か、職員への便宜供与などがあったのか否かなどにつきまして、過去にさかのぼり、現在、慎重に調査を行っているところでございます。

○川松委員長 現在の状況についてはわかりました。
 水道局としては、いつごろまでに、どのような調査結果をまとめようと今考えておられるのか、局長の考えを教えてください。

○中嶋水道局長 水道局といたしましては、これまでに過去二回の不祥事を起こした上での今回の立入検査でございますので、現在継続中である公正取引委員会による調査に全面的に協力をいたしますとともに、調査特別チームを通じまして、都独自に事実解明及び原因究明に努めているところでございます。
 一刻も早い信頼回復につながりますよう、できるだけ早期に対応策を策定し、委員の皆様方にご報告いたします。どうかご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

○川松委員長 冒頭、局長からの発言にございましたが、今回このような疑念を持たれる、そういう事態が発生したことは大変残念なことでございますし、重大なことだと認識をしております。
 先ほど、この本委員会の理事会におきましても申し合わせをさせていただきましたが、本件については、今後報告できる状況になり次第、できるだけ早期に本委員会においてきちんと報告をしていただきたい、このことを委員長として水道局にお願い申し上げる次第でございます。
 局長、確認でございますけれども、これでよろしいでしょうか。

○中嶋水道局長 ただいま全力で調査を進めているところでございます。できるだけ早期にご報告をさせていただきたいと考えております。

○川松委員長 よろしくお願いいたします。
 以上で私からの確認を終わりとさせていただきます。

○川松委員長 それでは、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松丸総務部長 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。水道事業の予算額、執行額、執行率でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの水道事業の予算額及び決算額とその執行率をお示ししてございます。一ページと二ページには、営業費用など収益的支出の各項目を、三ページには、建設改良費など資本的支出の各項目を、最下段には、支出の総計をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。工業用水道事業の予算額、執行額、執行率でございます。
 水道事業と同様に、平成二十五年度から二十九年度までの工業用水道事業の予算額及び決算額とその執行率を、四ページと五ページにお示ししてございます。五ページの最下段には、支出の総計をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。公立小中特別支援学校の水飲栓直結給水化モデル事業の平成二十九年度までの実施状況でございます。
 六ページは区部の、七ページは多摩地区の実施状況を、それぞれ区市町別に一覧にしたものをお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。各浄水場等における自然エネルギー等の導入及び発電状況でございます。
 各浄水場などにおける太陽光発電設備、水力発電設備の発電規模及び平成二十五年度から二十九年度までの発電実績をお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。多摩地区の地下水取水量実績でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの多摩地区統合市町における一日当たりの取水量が最大となった日付とその水量をお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。水道管路における耐震継ぎ手化の計画と実績でございます。
 東京水道施設整備マスタープラン及び東京水道経営プラン二〇一六の二つの計画における耐震継ぎ手率の計画値と、平成二十五年度から二十九年度までの実績をお示ししてございます。
 一一ページをお開き願います。避難所及び主要な駅の給水管の耐震化率でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの避難所及び主要な駅の給水管の耐震化率をお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。未納カード発行枚数及び給水停止件数でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの未納カードの発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 一三ページをお開き願います。監理団体、報告団体の職員構成でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの都派遣職員数及び固有職員数をお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。監理団体、報告団体における接遇改善の取り組み実績でございます。
 監理団体及び報告団体の接遇改善について、取り組み事項、実施時期、対象者及び取り組みの概要をお示ししてございます。
 一五ページをお開き願います。水道局所管施設における労働組合の使用場所、面積、賃料及び光熱水費等の徴収状況でございます。
 平成二十九年度末時点の使用場所、面積、賃料及び光熱水費等の徴収状況を、所管部所ごとにお示ししてございます。
 一六ページをお開き願います。職員自殺の状況とメンタルヘルス対策の取り組みでございます。
 平成二十七年度から二十九年度までの職員の自殺者数及びメンタルヘルス対策の取り組み状況をお示ししてございます。
 一七ページをお開き願います。元職員による競売入札妨害事件の対応状況と再発防止策でございます。
 平成二十六年に発生した競売入札妨害事件の対応状況と再発防止策をお示ししてございます。
 一八ページをお開き願います。直結給水率の推移及び直結給水方式への切りかえ件数でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの直結給水率と貯水槽水道方式から直結給水方式への切りかえ件数をお示ししてございます。
 一九ページをお開き願います。水道水源林の面積及び購入実績の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの水道水源林の面積と民有林の購入実績をお示ししてございます。
 二〇ページをお開き願います。多摩川水源森林隊のボランティア登録者数の推移と活動状況でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの多摩川水源森林隊のボランティア登録者数と活動状況をお示ししてございます。
 二一ページをお開き願います。ナレッジバンクの活用実績でございます。
 平成三十年十月末時点の資料の登録件数と平成二十九年度の一月当たりのアクセス数の実績をお示ししてございます。
 二二ページをお開き願います。水道局PR施設の曜日別平均来館者数及び年間経費でございます。
 平成二十七年度から二十九年度までの曜日別の平均来館者数及び年間経費を施設ごとにお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○川松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○保坂委員 私からは、先ほど中嶋局長からもご説明がありました談合疑惑について、意見表明だけ先にさせていただきまして、その後、質疑に入らせていただきたいと思います。
 先月末に、水道局発注の浄水場の運転管理委託業務について、談合の疑いで水処理事業者に対して公正取引委員会が立入検査を実施され、水道局にも検査が入っているとのことです。東京都の関与も含め、事態の推移については、今後の公正取引委員会の検査を注視していく必要があります。
 過去にも水道局は、談合の疑いで公正取引委員会の調査が入り、また、情報漏えいの関係で元職員が逮捕される事件がありました。情報漏えい事件を受けて、水道局は徹底した再発防止の確立に局を挙げて取り組むとして、平成二十六年九月に水道局汚職等防止対策本部を立ち上げ、同年十二月に汚職防止対策の検討結果を公表され、今に至っております。それにもかかわらず、今回再び情報漏えいの疑いで立入検査が入ったという事実自体が、都民の信頼を大きく損なうおそれがあります。
 談合によって入札価格がつり上げられた結果、その負担を強いられるのは紛れもなく水道利用者である都民であります。仮に、都職員が談合にかかわっていたとすれば、絶対に許すわけにはいきません。
 これまでの取り組みを総点検するとともに、今回発足された調査特別チームを通じて自浄努力をされるとともに、迅速かつ実効性のある対応で、都民の信頼回復に真摯に取り組んでいただきたいと強く要望して、質問に入りたいと思います。
 水源は、まさしく水の源であり、質疑の端緒としたいと思います。人間の生活には水が不可欠であり、都市の歴史を振り返ると、その発展には必ず安定した水源があったことからも、水源の確保は首都東京の維持成長にとって大変重要であります。
 近年における都の水源状況に目を向けると、主要な水源である利根川、荒川水系では、平成二十年以降で四回もの取水制限が実施されました。現在、利根川水系の上流で建設が進んでいる八ッ場ダムは、渇水が頻発している都にとっても重要な施設であります。しかし、これまでダム建設には多額の費用が投じられていることから、都としても負担も少なくはありません。
 八ッ場ダム建設事業については、二〇一六年度に、事業費が約四千六百億円から五千三百二十億円まで増加した経緯があります。現在、八ッ場ダムは、二〇一九年度完成に向け建設工事が佳境であります。
 そこで、改めて、八ッ場ダム建設事業の進捗状況と、水道局の負担額及び事業費の今後の増加の可能性についてを伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 八ッ場ダム建設事業は、平成二十七年一月に、ダム本体の掘削工事に着手し、平成二十八年六月にコンクリートの打設を開始いたしました。現在、ダムの高さ百十六メートルのうち、コンクリート打設高さは約八割から九割に達しており、平成三十一年度内の完成に向けて工事は順調に進捗しております。
 この八ッ場ダム建設事業に対する水道局の負担額は、全体事業費約五千三百二十億円のうち約五百四十六億円であり、平成二十九年度末時点においてその約九割が執行済みでございます。また、この事業費については、事業主体である国からは、増加につながる要因はないとの見解を得ております。

○保坂委員 八ッ場ダム建設事業が順調に進んでいるということ、その事業費もさらに増加する要因はないということが今確認できました。
 ことしは利根川水系での渇水はありませんでしたが、来年二〇一九年は、東京二〇二〇大会の前年であることからも、工期内に完成することは、将来の首都東京の安定水源となるだけでなくて、東京二〇二〇大会に向けた渇水への備えになると大いに期待をしております。
 そこで、八ッ場ダムが完成することで、東京の水源量がどの程度増加して、また、渇水に対する軽減効果はどの程度なのかを伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 八ッ場ダムの完成によりまして、水源量は日量四十三万立方メートル増加することになり、都の保有する安定した水源量は、日量五百三十六万立方メートルから日量五百七十九万立方メートルとなります。
 また、渇水に対する軽減効果については、国によれば、平成二十八年に利根川水系において発生した過去最長となる七十九日間の取水制限は、八ッ場ダムが完成していれば回避できたとされております。

○保坂委員 八ッ場ダム完成で増加する一日約四十三万立方メートルは、現在課題となっている水源量一日約九十四万立方メートルの約半分をクリアできるということで、非常に期待は大きいといえます。
 ことしは全国で豪雨災害が頻発している一方で、気温の上昇など異常気象が顕著となっている状況からしても、今後いつ厳しい渇水が発生してもおかしくはありません。都の安定給水の確保に必要不可欠である八ッ場ダムの早期完成に向け、引き続き国に対して強く働きかけを行っていただくことを要望いたします。
 一方、東京の水源には、河川だけではなく、多摩地区には地下水を活用しております。市町営水道時代に整備された井戸は二百七十八本であり、そのほとんどが小規模な施設であります。しかし、それらの井戸は、昭和三十年代から四十年代にかけて整備されたものが多く、老朽化が進行するなど地下水の揚水量の低下が懸念もされております。
 そこで、多摩地区における地下水の一日平均揚水量につきまして、近年三年間の推移と増減理由を伺います。

○本荘谷技術調整担当部長 多摩地区におきまして、当局が揚水しております地下水の一日当たりの平均水量は、平成二十七年度が日量十九万三千立方メートル、平成二十八年度が日量十六万九千立方メートル、平成二十九年度が日量十五万五千立方メートルであり、減少傾向となっております。
 この揚水量減少の理由としましては、地下水の水質悪化や水位の低下などのほか、揚水するための設備機器の補修や更新等による施設停止など、さまざまな要因によるものでございます。

○保坂委員 地下水には水質汚染などの課題があり、長期的に安定した水量を確保し続けることは困難な状況であります。しかしながら、地下水は身近な水源として利点もあると考えます。そういった中で、今後地下水をどのように活用していくのか、見解を伺います。

○本荘谷技術調整担当部長 多摩地区の地下水につきましては、水質の面などから、将来にわたる安定的な水源に位置づけることはできませんが、身近にある貴重な水源としまして、平常時はもとより、災害や事故時等における備えとしましても適切に活用してまいります。

○保坂委員 これまでの質疑で、ダムなどの新規水源開発には多額な費用を要すること、また、地下水などの身近な水源についても、安定的な水源と位置づけることは困難であることなど、水源確保は容易ではない、今後も予断を許さない状況であるということが確認できました。
 一方、近年の気候変動などの状況からも、将来の渇水リスクの高まりが懸念されております。こうした状況を鑑みると、水源の重要性、水が限りある資源であるということを利用者にしっかりと伝えていくことも水道事業者の大きな責務ではないかと考えます。
 経営プラン二〇一六によると、水道局は、都民の水道事業への理解を深めるため、多様な手法で、さまざまな内容の広報を展開しているとのことであります。
 そこで、水の重要性や水が限りある資源であるということをどのように都民に広報しているのかを伺います。

○小山サービス推進部長 水道水は、都民生活と首都東京の都市活動に欠かせないものでございまして、また、水は限りのある大切な資源でもございます。したがって、水の重要性等について、都民に広く理解をいただくことは大変重要なことというふうに考えております。
 このため、水道局では、ホームページやツイッター等のSNSにおいて、動画やイラストを活用しながら、水が限りある資源であることを広く都民に発信いたしております。
 また、営業所等では、地域イベントに参加して広報活動を行ったり、あるいは独自に紙媒体の地域水道ニュースを発行するなどして、地域に根づいたPRにも取り組んでおります。
 さらに、渇水時には知事のビデオメッセージを発信しているほか、水の科学館では、家庭での水の使用量が視覚的に理解できる展示を行うなど、水の大切さや貴重さが、より多くの方に伝わるように、多様な手段を用いてきめ細かく広報を行っているところでございます。

○保坂委員 局がさまざまな手法で、水の重要性について都民にPRされていることを確認できました。
 水の重要性は、将来にわたって継続的に伝えていくことが有用と認識しております。このため、特に、将来を担う子供たちや子育て世代へのPRを充実させていくことも効果的ではないでしょうか。
 そこで、子供たちや子育て世代に対する水の重要性について、PRの取り組みと今後の展開を伺います。

○小山サービス推進部長 ご指摘のとおり、次世代を担う子供たちや子育て世代に対しても、水の重要性について継続的にPRしていくことは非常に大切でございます。
 このため、子供向けのPRとしては、毎年、水道週間作品コンクールを実施いたしまして、小中学生から応募された水の重要性を表現するポスターや作文を表彰いたしております。このコンクールですが、今年度が六十回目の節目になっておりまして、給水区域内の小中学校全校に最優秀賞等を紹介した作品集を配布するなど、取り組みの強化を図っているところでございます。
 また、子供向けのホームページや子供新聞を発行するなど、さまざまな取り組みにより、水の重要性等のPRを行っているところでございます。
 今後ですが、ICTを活用して、二十四時間場所を問わず子育て世代も気軽に参加できるPRイベントを実施するなど、広報効果をより高める工夫や新しい手法を積極的に取り入れまして、発信の強化を図ってまいります。

○保坂委員 私も小学生のときに、都の水道週間作品コンクール、ポスターですね、これに毎年応募して、その時期は、学校教育を通じて水の大切さについて深く考えるきっかけとなったことを今でも覚えております。こういった水道局の地道な取り組みが、現在のみならず将来にわたっても、都民に対して、水の大切さへの理解が浸透していくことを期待しております。
 水道事業は、地球が育んだ貴重な水を資源としており、地球環境とかかわりの深い事業であり、その活動に伴い、資源である水を取水し利用することによって、エネルギーの使用や廃棄物の発生など地球環境に少なからず負荷を与えております。
 水の大切さを伝える取り組みを通じて、地球環境問題への関心、エコマインドの醸成にもつなげていただきたいと要望して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○加藤委員 本日は、水道局の事務事業について、三つのテーマを取り上げて質問したいと思います。
 まず最初に、工業用水道事業について伺います。
 工業用水道事業については、さきの第三回定例会で、東京都工業用水道条例を廃止する等の条例が可決されたことに伴い、平成三十四年度末をもって廃止することになりました。工業用水を利用している企業の多くは経営体力の弱い中小企業であり、事業廃止に伴う料金変動等が及ぼす影響が極めて重大であることから、我が党はこれまで、経営の維持存続を前提に支援策を検討するよう強く要望してまいりました。
 本年九月、都は、工業用水道利用者の意見等も踏まえ、支援計画案を策定しましたが、支援内容については、今後も引き続き議論していくことが必要です。
 これまでは、企業などの工業用水利用者が議論の中心となっており、私も、さきの財政委員会との合同審査会で、その点を中心に質疑をしました。一方で、多くの利用者がいる集合住宅への対応も工業用水道の非常に重要な課題であります。このため、今回は、事業廃止に伴う集合住宅居住者への影響を中心に質疑を行いたいと思います。
 現在、都の工業用水道事業は、私の地元墨田区を初めとした工水の供給エリアにある集合住宅に対して、トイレの洗浄用に雑用水を供給しています。
 そこでまず、集合住宅への雑用水の供給を開始した経緯と現在の使用状況について、改めて伺います。

○石井経営改革推進担当部長 都の工業用水道事業は、地下水揚水規制に伴う代替水を供給するため昭和三十九年に給水を開始いたしましたが、その後、工場の都外移転などが進み、工業用水の需要が減少をしてまいりました。
 そのため、施設の余剰能力を有効活用し、経営の安定化を図るための需要拡大策として、昭和四十八年度から洗車用水などとして雑用水を、さらに、昭和五十一年度には集合住宅のトイレ用水の供給を開始いたしました。
 平成二十九年度末時点において、トイレの洗浄用に雑用水を供給している集合住宅ですが、五十二団地、約三万五千戸となっております。また、集合住宅の雑用水に係る料金は、一カ月当たり百二十五円であり、上水道を一カ月に十一立方メートル以上使用した場合にご請求するということになっております。
 平成二十九年度の請求割合ですけれども、集合住宅の供給戸数の約半数となってございます。

○加藤委員 経緯としては、需要拡大策として、集合住宅へも供給を開始したということで、都の政策判断ということを確認いたしました。
 現在は、一カ月に十一立方メートル以上使用した世帯だけが対象ということで、割合としても、供給戸数の半分くらいということでありますけれども、料金請求がなかった世帯も含め、事業廃止によりトイレ用水に上水道を使用している他の一般的な家庭と同様の料金となり、それに伴い料金負担が増加し、家計に影響を及ぼすと予想されます。
 支援計画案によれば、集合住宅居住者に対する料金差額補填として、上水道への切りかえ期間を含めた七年間は、工業用水道料金の水準に据え置き、その後五年間かけて上水道の料金まで段階的に引き上げるとのことであります。企業と比べて支援策に差が生じておりまして、不公平だとの声もいただいております。
 そこで、集合住宅に対する料金差額補填の期間設定の考え方について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 有識者委員会報告書の提言におきまして、集合住宅を含む雑用水利用者に対する料金差額補填の期間は、施設の余剰能力を活用して供給しているという経緯や工業用水利用者より使用水量が少ないといった実態を考慮し、工業用水利用者の半分程度の期間とされております。都の支援計画案では、こうした考えを踏まえつつ、料金差額補填の期間を設定してございます。
 以上のことから、集合住宅を含む雑用水利用者に対する料金の据置期間及び料金負担の激変を緩和する期間を、それぞれ工業用水の半分とし、上水道への切りかえ期間を四年、その後、料金の据置期間を三年、激変緩和期間を五年と設定しております。
 その結果、集合住宅を含む雑用水利用者に対する料金差額補填の期間は、合わせて十二年となってございます。

○加藤委員 供給の経緯や使用実績等を考慮して、工業用水利用者と比較して短い支援期間を設定したということでありますけれども、そもそも集合住宅に入る人は、工業用水の経緯、仕組みを理解して入居しているわけではありません。途中から入ってくる人は、なおそうだと思います。また、所有者と入居者の違いとか、あと、対象者数の違いがあるので、これを一緒に比較するのは酷かもしれませんけれども、企業に対する丁寧な水道局の聞き取り調査に比べて、集合住宅入居者に対する意向調査はちょっと弱いんじゃないかなというふうに感じております。
 居住者からは、上水道への切りかえに伴い料金がどの程度変動するか不安であり、料金差額補填に加え、節水型トイレの設置など、料金負担の増加を軽減するための支援を拡充してほしいという声が我が党に寄せられています。
 都は、さきの第三回定例会において、支援策に関する我が党の代表質問、一般質問に対し、今後、利用者の支援状況などを的確に把握し、長期的な観点から支援内容や対象について検証を重ね、利用者の事業活動や生活に配慮し、きめ細かく対応していくと答弁がありました。
 そこで、今後、集合住宅居住者の料金負担の増加を軽減するための支援策等について、具体的にどのように検証していくのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 工業用水道利用者に対する支援は、今後、長期にわたり実施していくものであり、利用者に寄り添いながら、着実かつ円滑に進めていくためには、関係各局が連携して対応していくことが重要であるというふうに認識しております。
 そのため、利用者の支援等に関する事項について、検討及び調整等を行う関係六局による検討会を新たに設置し、庁内横断的な体制で検討を開始いたしました。
 今後、本検討会などを通じて、上水道への切りかえや利用者への支援の状況などについて、関係各局で共有するとともに、従来からの上水道のみを利用している集合住宅のお客様との公平性なども踏まえながら、支援内容や対象については検証を進めてまいります。

○加藤委員 対象住宅が都営住宅とか公社住宅とか公共住宅が多くて、他局の協力が必要となりますけれども、節水型トイレの導入など、集合住宅居住者の家計への影響についても最小限にとどめられるよう、きめ細かな対応をお願いしたいと思います。
 また、支援計画案によれば、料金差額補填のほか集合住宅に対する支援として、上水道への切りかえ工事を都の費用負担で実施するとのことです。都の政策判断により事業を廃止することから、切りかえ工事に利用者負担が発生しないよう配慮したことは評価できます。
 一方、事業廃止までに約三万五千戸にも及ぶ集合住宅を上水道へ切りかえるためには、計画的に工事を進めていくことが必要です。トイレが使えなくなる期間がどれぐらいになるのか、数時間単位なのか、それとも一日とか日をまたいでいくのか、そうしたことについても問い合わせを受けております。
 そこで、集合住宅における上水道への切りかえ工事について、どのように進めていくのか伺います。

○尾根田給水部長 集合住宅における工業用水道から上水道への切りかえ工事についてでございますが、各戸の居室内におきまして、上水道の配管から分岐させてトイレに接続し、あわせて、不用となる工業用水道給水管等を撤去することとしております。この切りかえが必要となる対象戸数は約三万五千戸と多いことから、計画的に切りかえ工事を進めるためには、現地の状況を把握し、事前に建物所有者等ときめ細かく調整する必要がございます。
 このため、施工時期や方法等について、都営住宅等の賃貸住宅の建物所有者や分譲マンションの管理組合等と速やかに協議してまいります。

○加藤委員 円滑かつ着実な切りかえに向け、引き続き検討を進めてもらいたいと思います。
 今回の質疑を通じまして、事業廃止に伴う集合住宅への影響について確認をいたしました。現状の支援計画案の内容にとどまらず、今後も利用者のさまざまな意見や要望を真摯に受けとめ、できる限りの支援策の検討を要望いたします。
 また、先ほど庁内テレビを見ておりましたら中継がありまして、この工業用水ユーザーである鍍金組合からも、来年度の予算について直接知事に対して要望がされておりました。その中に、水道料金、下水道料金のさらなる減額措置という項目が入っておりましたので、私からも重ねてお願いしたいというふうに思います。
 特に、水道料金につきましては、下水道料金の減額率より低い状態にありますので、重く受けとめていただきたいと思います。水道局の対応を見ながら、議会での議決については、各会派の協力を仰いでいきたいというふうに思っております。
 次に、工業用水道事業の廃止はもちろんのこと、水道事業も都民の理解を得なければ成り立ちません。そこで、理解という観点から、二つ目のテーマといたしまして、本年三月の公営企業委員会でも取り上げました水道局の広報施策について質問したいと思います。
 広報施策は、都民の水道事業に対する理解を得るために必要不可欠であり、中でも、東京の安全でおいしい水道水を多くの人に実感してもらうための取り組みは非常に重要と考えます。また、東京は、蛇口から直接水道水が飲める世界でも数少ない都市であり、安全でおいしい水道水は、首都東京の魅力の一つでもあります。
 本年三月の公営企業委員会において、私は、この安全でおいしい水道水を都民に実感してもらうためのPRについて質問をいたしました。
 これに対し、ボトルディスペンサー式水飲み栓を本年三月末までに設置するとともに、IWA世界会議を初めとした国際的ビッグイベントにおいて、仮設水飲み栓を設置するとの答弁がありました。さらに、こうした水飲み栓を含め、安全でおいしい水道水を体験できる空間を、Tokyowater Drinking Stationと称して、統一的に展開していくとのことでした。
 そこで、Tokyowater Drinking Stationの取り組み実績について伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本年三月、東京国際フォーラムに屋外型ボトルディスペンサー式水飲み栓を設置し、運用を開始いたしました。設置してから十月までの使用水量は約一万八千リットル、五百ミリリットルペットボトルに換算いたしまして約三万六千本に相当いたします。
 また、この九月に開催されましたIWA世界会議・展示会におきましては、会場等に可動型の仮設水飲み栓を設置し、会議期間中、国内外約八千名の方々に水道水を試飲していただいたところ、海外の方からは、自国と比べて東京の水道水はおいしい、東京では水道水がそのまま飲めることに驚いたなど、高い評価をいただきました。
 また、先月には、浜離宮恩賜庭園で行われました東京百五十年祭におきましても、仮設水飲み栓を設置し、二日間で約二千四百名の方々に水道水のおいしさを体験していただきました。
 さらに、都内約一千百カ所の公共施設等に設置されている約二千カ所の水飲み栓に、東京水のロゴをデザインしたステッカーを張っていただき、水道水の飲用促進に向け、飲用場所の効果的な周知を図っております。

○加藤委員 東京国際フォーラムにおける屋外型ボトルディスペンサー式水飲み栓とIWA世界会議での仮設水飲み栓のいずれにおいても、多くの方々に、安全でおいしい水道水を体験いただけたということがわかりました。
 IWA世界会議は終了しましたけれども、今度、ラグビーのワールドカップ、来年ありますし、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック競技大会といった国際的イベントの開催が近づいております。国内外から多くの方々が集まるこうした国際的イベントにおいて、可動型の仮設水飲み栓により、東京の水道水のおいしさをPRしていくことは、首都東京の魅力を国内外に発信していくためにも大変有意義であります。
 また、この水飲み栓は、さまざまな場所に移動可能であることから、国際的イベントのほかにも広く展開していくことで、さらなるPRはもとより、我が党がかねてから重要性を訴えてきた蛇口から水道水を飲む日本の文化、この継承にもつながると考えます。
 そこで、可動型仮設水飲み栓の今後の展開について伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会など、世界中から多くの方々が集まる国際的イベントや都民向けのさまざまなイベントは、水道水のおいしさを広くPRするとともに、東京水道の魅力を国内外に発信する絶好の機会でございます。
 このため、イベントにおきまして可動型の仮設水飲み栓を会場や人が多く集まる場所などに設置し、水道水を気軽に飲んでいただくことで、安全でおいしい水をPRしてまいります。あわせて、水飲み栓のディスペンサー機能を生かし、マイボトルなどの利用を促すことで、水道水の飲用行動とともに環境配慮行動の促進にもつなげてまいります。
 今後とも、さまざまなイベントを開催する庁内各局を初めとした多様な主体と連携しながら、水飲み栓を幅広く活用し、より多くの方々に水道水のおいしさを広く体験していただくとともに、高品質な水をつくり届ける技術力を東京水道の魅力として発信してまいります。

○加藤委員 マイボトルは、今話題の廃プラ対策にもつながってまいります。こうして、より多くの方々に東京の水道水を飲んでいただけるよう、今後も有効活用できる仕組みを検討してもらいたいと考えます。
 さらに、外国人が多く訪れる都庁舎、ここにおいても、ぜひこの水飲み栓等による水道水の飲用機会を創出するなど、東京水道の魅力を国内外に発信してほしいと思います。
 こうした水飲み栓を含め、安全でおいしい東京の水道水を飲んでいただくためには水源の保全、これが欠かせません。東京水道の水源の一つである多摩川の水を守るために大きな役割を果たしているのが多摩川上流域に広がる水道水源林です。
 そこで、本日の三つ目のテーマとして、水源林について何点か質問したいと思います。
 私の地元である墨田区も、実は江東区と隣接する地域は、今少し減少しているんですけれども、材木問屋や加工を行う事業者が集積をしております。先日、青梅市にある伐採の現場、日の出町にある材木店などを視察いたしまして、地元の方々と意見交換を持つ機会がありました。多摩産材の普及拡大に向け、現場の問題などを直接関係者からお伺いをし、森林の持つ多面的な機能のうち木材等の生産機能の重要性を改めて認識をいたしました。
 一方、この水源涵養や土砂の流出防止といった機能の保全も重要であります。我が国は急峻な地形が多く、国土を豊かに潤す水も、豪雨や台風のときには洪水や土砂崩れによって甚大な被害をもたらします。本年七月の西日本の豪雨でむき出しになった山肌を見まして、改めて自然災害の脅威を実感し、土砂流出の防止など森林の持つさまざまな働きが発揮される健全な森林の重要性を再認識いたしました。
 水道局は、多摩川上流域に東京二十三区の約三分の一の面積に当たる約二万四千ヘクタールの水源林を所有しており、水源涵養などの機能を発揮させるよう間伐や枝打ち等の地道な保全作業を通じて、百年以上にわたり水源林を管理してきております。
 一方、水源林とほぼ同面積の多摩川上流域の民有林の多くは、長期にわたる林業不振などにより管理が行き届かず、荒れた森林がふえていると聞いており、早急な森林保全対策が必要と考えます。
 このような中、水道局は、手入れができず所有者が手放す意向のある民有林を購入し、水源林として保全していく取り組みを平成二十二年度から実施しており、私はこれは非常にいい取り組みだと、そのように思っております。
 そこで、改めて、この民有林の購入の目的と、これまでの取り組みを伺います。

○青木浄水部長 水道水源林とほぼ同面積でございます多摩川上流域の民有林では、荒廃した森林が増加してございまして、水源涵養や土砂流出防止機能等の低下によります小河内貯水池への影響が懸念されております。
 このため、当局では、平成二十二年度から管理が不十分で所有者が手放す意向のございます民有林を公募によりまして購入をいたしまして、水道水源林として健全な森林へと再生する事業を開始したところでございます。
 本事業では、平成二十九年度末までに、合計で四十一件、約二千十ヘクタールの民有林を購入してございます。また、平成二十九年度からは、新たな取り組みといたしまして、小河内貯水池への影響が特に懸念されます周辺の民有林につきまして、土地所有者へ積極的に売却を働きかける事業を開始したところでございます。

○加藤委員 水道局がこれまでに水源林の約一割に相当する民有林を公募により購入し、荒廃した森林の保全に取り組んできたことを評価したいと思います。小河内貯水池周辺の民有林の荒廃は、今の答弁にあったとおり、貯水池への土砂の流入を引き起こすなど都民の貴重な水がめに直接的な影響を及ぼすおそれがあり、早急に対策を講ずるべきであります。
 積極的に所有者へ働きかけ、民有林の購入を進め、将来にわたり水源林として適正に管理をしていくことは、都民の大切な水源を保全する観点から大変意義のある取り組みと考えます。
 そこで、平成二十九年度からの新たな取り組みである民有林の積極的な購入の内容について伺います。

○青木浄水部長 小河内貯水池の周辺は、地形が急峻で手入れの行き届かない民有林が多くございまして、貯水池への土砂流入等が懸念されております。このため、小河内貯水池及び流入する主要な河川周辺の約二千ヘクタールを民有林重点購入地域と設定をいたしまして、積極的に売却を働きかけることといたしました。
 この重点購入地域でございますが、約千百名の土地の所有者がおられますが、小河内貯水池への影響の大きさによる優先度に基づきまして、順次働きかけを実施いたしまして、おおむね十年間で購入を推進する計画としてございます。

○加藤委員 長期にわたって民有林の購入を進めていくため、優先度を設定するなど工夫をして取り組んでいくことを確認いたしました。
 一方、山林では不在地主も多く、所有者が特定できないことや市街地に比べて土地の境界が明確ではないなど、山林地域特有の事情があり、売買を進める上での課題も多いと聞いております。今の答弁にあったように、約一千百名の土地所有者へ働きかけ、十年間での購入に結びつけていくためには、周到な準備や体制を整え、計画的に進めることが不可欠であると考えます。
 そこで、重点購入地域の土地所有者への働きかけの状況について伺います。

○青木浄水部長 小河内貯水池への影響の大きさによります優先度に基づき、順次、土地所有者に対しまして、売却意向を確認いたしますアンケートを実施してございます。
 これまでに、最も優先度が高いエリアの約五百三十名の土地所有者の皆様にアンケートを実施いたしまして、このうち約二割から売却の意向があるとの回答をいただいてございます。この結果を踏まえまして、売却意向のございます土地所有者の購入手続を進め、事業の初年度でございます平成二十九年度は十四件、約八十ヘクタールを購入いたしました。
 今後とも、売却意向がない等の土地所有者に対して直接訪問を行いまして、粘り強く事業の趣旨への理解を求めてまいります。また、これまでアンケートを実施していない土地所有者に対しましても、順次売却意向を確認し、積極的に働きかけてまいります。

○加藤委員 今の答弁で、この重点購入地域における民有林の購入、これについても一定の実績が上がっていることを確認いたしました。約二千ヘクタールの民有林の購入には大変な時間と労力がかかると思いますが、一刻も早く良好な森林へと再生することが大切であるため、着実に取り組むことを期待いたします。
 水道局はこれまでも、広大な水源林を管理してきており、今回の質疑で取り上げた、近年購入した民有林も含め、今後も水源林を適切に保全していくことが必要であると考えます。
 そこで、購入した民有林も含め、水道水源林の保全に向けた取り組みについて伺います。

○青木浄水部長 水道局では、安定した河川流量の確保と小河内貯水池を保全するため、水源涵養など森林の持つ機能を十分に発揮させるよう、多摩川上流域に広がる約二万四千ヘクタールの水道水源林を百十年以上にわたり管理してきております。
 管理に当たりましては、十年ごとに管理計画を策定いたしまして、森林の生育状況に合わせ、必要な保全作業を実施してきてございます。平成二十九年度は、購入した民有林も含めまして間伐や枝打ちなどの保全作業を約五百六十ヘクタール実施するとともに、管理に必要な歩道を約六キロメートルを整備いたしました。
 今後も購入する民有林を含めまして、水道水源林を計画的に保全管理してまいります。

○加藤委員 これまでに所有していた水源林に加え、購入した民有林でも森林の状況に合わせた作業を着実に実施していることはわかりました。引き続き、民有林の購入を進めながら、都民の貴重な財産である水源林を適切に保全していってもらいたいと思います。
 また、こうした水源林の管理には、多くの林業関係者が従事されていることと思います。このため、多摩川上流域の約半分を占める広大な水源林を水道局が継続して管理していくことは、この森林保全作業の場の提供や担い手の育成などにもつながり、地域の林業の活性化にも寄与するものと考えます。これは都全体の森林の再生にもつながっていくものであり、こうした観点からも、引き続き水道水源林の保全を見守っていきたいと思います。
 本日は、この三つのテーマを取り上げて質疑を進めてまいりましたが、先ほども申し上げましたとおり、水道事業はもとより、工業用水道事業の廃止に当たっても、都民の理解を得て進めることが何より重要と考えますが、最後に局長の見解を伺います。

○中嶋水道局長 水道事業は、お客様から支払われる料金によって事業が成り立っており、事業を運営するに当たりましても、お客様の理解を得ることが必要不可欠でございます。
 このため、水道事業へのお客様の理解促進に向け、水飲み栓の活用により多くの方々に安全でおいしい水道水を体験していただくなど、効果的な広報施策を展開してまいります。
 また、都民の貴重な水を育む水道水源林の重要性を理解していただくため、水道水源林の保全管理におきまして、都民や企業、大学等の多様な主体との連携を図るなど、さまざまな取り組みを推進してまいります。
 今後とも、お客様からの理解を得た上で、着実に事業を推進するという観点から、こうした取り組みに加え、施設整備やお客様サービスなどを充実向上させ、将来にわたり安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現してまいります。
 一方、工業用水道事業の廃止に当たりましては、工業用水利用者につきましては当然のこと、約三万五千戸に及ぶ集合住宅居住者を含めた雑用水利用者の事業廃止に対する理解を得ながら、きめ細かな対応を一つ一つ積み重ねていくことが極めて重要であると考えております。
 このため、これまで利用者の声を丁寧に伺い、支援計画案を取りまとめるとともに、集合住宅の建物管理者等への説明や居住者への情報提供などを継続して行ってきております。
 今後とも、利用者の声を真摯に受けとめながら、支援策などを丁寧に説明し、事業廃止の理解を得た上で、関係各局と連携を図りながら工業用水道事業の廃止に向けた取り組みを一つずつ着実に進めてまいります。

○加藤委員 工業用水の廃止に当たりましては、今後、利用者の声を満たしていくことは、さまざまな課題が出てまいりますけれども、関係各局の旗頭と旗振り役というんですかね、また調整役としても、しっかりと水道局が前に進めていただくことを求めまして、質疑を終わります。

○舟坂委員 都の主要な水源である利根川水系では、平成二十四年、二十五年、二十八年と立て続けに流域全体で取水制限が実施されるなど渇水が頻発していました。
 一方、ことしの平成三十年七月豪雨においては、西日本を中心に記録的な大雨となり、水道施設も被害を受け、長期の断水など極めて甚大な被害が発生をいたしました。
 このように、地球温暖化の進行によって渇水と豪雨などの極端な気候現象が常態化しており、将来の気候変動の影響も考慮すると、改めて水源の確保は重要であると考えます。
 このため、我が党は、利根川水系で最大の洪水調節機能を持つ、治水上、水道事業にとって重要な役割を果たします八ッ場ダムの必要性について繰り返し主張してまいりましたが、ようやく平成三十一年度に完成を迎える予定で大変喜ばしいと思っております。
 都民の重要な水源の一つである多摩川の上流域に目を向けてみると、都の独自水源である小河内ダムがあり、昭和三十二年の完成以来、都民の水がめとして重要な役割を果たしてまいりました。
 都は、小河内ダムの完成からさかのぼること半世紀、明治時代には既に水源地保全の必要性を認識し、百年以上も前から玉川上水部の森林を水道水源林として管理してきました。森林の育成には長い年月を要することから、地道な努力の積み重ねがあったと思います。
 そこでまず、東京の貴重な水道水源林を守り続けるための、これまでの取り組みと成果についてお伺いをいたします。

○青木浄水部長 安全でおいしい水を安定的に都民に供給していくためには、水を育む水道水源林の保全が重要でございます。
 このため、水道局では、小河内貯水池の保全と多摩川の河川流量の確保を目的に、明治三十四年から百十年以上にわたり継続して水源林を管理してきてございます。これまで、おおむね十年ごとに水道水源林管理計画を策定いたしまして、計画的に水源涵養機能などを維持向上させる取り組みを実施してきてございます。
 現在、第十一次管理計画に基づきまして、こうした水源林の保全管理に加え、水源林への理解促進に向けた取り組みも積極的に推進してございます。このように水源林を適切に管理してきたことにより、小河内貯水池の堆砂率は約三%と同時期につくられたダムと比較をして良好な状態を維持してございます。

○舟坂委員 計画的な管理により、森林のさまざまな機能が保たれ、小河内貯水池の保全に大変寄与していることを再確認いたしました。さきに行われた平成二十九年度の決算特別委員会の分科会質疑で、我が党は、平成二十九年度から取り組んでいるみんなでつくる水源の森実施計画を取り上げましたが、この計画に基づき行われている多様な主体との連携による森づくりや荒廃した民有林の購入なども必要な取り組みです。こうした取り組みに加えて、これまでも行ってきた間伐など水源林の保全作業を継続していくことが何よりも重要であると考えております。
 一方で、先日、温暖化などの影響で降雪量が減少傾向にあり、これまで越冬できなかったニホンジカが越冬し、山間部で増加しているとの報道を耳にいたしました。水源林においても、以前にも公営企業委員会で鹿の影響を取り上げられておりますが、今までとは違った意味で森林の機能を低下させかねない鹿の影響を懸念しております。
 そこで、水源林におけるニホンジカによる被害の現状と対策についてお伺いをいたします。

○青木浄水部長 ニホンジカによる樹皮や枝葉の食害でございますが、平成十五年度ごろから顕在化をいたしまして、平成二十九年度に被害を受けた本数は千九十一本でございました。
 こうした被害を防止するため、平成十六年度から水源林内の鹿の生息状況や樹木の被害状況についてモニタリングを実施いたしまして、その結果を踏まえ、鹿の侵入を防止する鹿柵を約百五十三キロメートル、若木を一本ずつ保護する単木ネットを約二十七万本、設置をしてまいりました。また、平成十七年度からは、鹿の生息数を抑制するため、水源林が所在する地元の市町村等と共同で鹿の捕獲に取り組んでおります。

○舟坂委員 樹木の保護とモニタリングの両面から対策を行っていることがわかりました。
 ニホンジカは行動範囲が広く、山梨から東京へ、東京から埼玉へとさまざまな場所へ移動すると聞いており、周辺自治体など関係機関と協力して対策を講じることが何より重要だと考えます。
 そこで、ニホンジカの被害対策において、関係部署との連携の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○青木浄水部長 当局では、庁内連携といたしまして、東京都シカ管理計画検討会に参加をいたしまして、環境局や産業労働局と鹿の生息状況や対策等に関する情報を共有いたしますとともに、共同で鹿柵を設置、管理をし、水源林の保護と希少な植生の保全を行っております。
 また、水源林が所在いたします奥多摩町などの四市町村と経費を共同で負担するなどにより、連携して鹿の捕獲を実施しております。さらに、国や水源林周辺の一都四県、専門家で構成されます関東山地ニホンジカ広域協議会に参画をいたしまして、水源林内の生息状況に関する情報を提供いたしますとともに、効果的な捕獲に向け、作業道等の管理施設を提供して、連携を図ってございます。

○舟坂委員 庁内の連携はもとより、水源林内の市町村、そして水源林の周辺の県などともしっかりと連携がとれていることを確認することができましたが、特に移動して生活している鹿の捕獲は、個々の対策を行うよりも連携の効果が非常に大きいと思います。今後も良好に水源林を維持していくためには、鹿の頭数を抑制することが極めて重要です。鹿被害への対策など、今後とも水源林の課題に的確に対応していく努力を続けていっていただきたいと思います。
 水源で確保された水は河川を流れて浄水場で利用されます。水道局では多摩川のほか多くの水源を利根川、荒川水系に依存しております。私の地元葛飾区にある金町浄水場は、江戸川の下流部にあり、上流の生活排水や工場排水などの影響を非常に受けやすい状況にあります。
 そこで、水源河川の水質管理をどのように行っているのかをお伺いいたします。

○青木浄水部長 水道局では、利根川、荒川、多摩川などの水源河川における水質状況を把握するため、群馬県や栃木県など約六十カ所で定期的に水質調査を実施してございまして、水源水質事故が発生した際には、通常の水質と比較することによりまして速やかに異常を検知できる体制を整えております。
 また、事故発生時に汚染物質が浄水場に到達する時間などを推定いたしますシミュレーションソフトを独自に開発、運用することで、浄水場における迅速な対応を支援しております。
 さらに、利根川、荒川水系では、事故発生時などに流域の水道事業体と情報共有をいたしますため、都が中心となり、昭和四十五年に一都五県の四十二の水道事業体から成ります利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会を設立し、各事業体と連携できる体制を構築してございます。

○舟坂委員 関東地方の広範囲にわたり面的に調査を実施するとともに、事故があった際には、独自のシミュレーションソフトを活用した先進的な対応を行っていることを確認いたしました。汚染物質が浄水場に到達する時間が正確にわかれば、効果的な対応をとることが可能となります。
 しかし、昨今の気候変動の影響で、水源地域で局地的に豪雨が発生するなど、河川流量が急激に変化するような状況がふえております。また、来年度には八ッ場ダムの運用が開始され、河川流量等も変化が予想されます。河川の状況は、天候や上流部のダム放流量などにより日々変化するものと考えられます。
 そこで、八ッ場ダムの運用後も、このシミュレーションを適切に機能させるためにどのような対応をしていくのかをお伺いいたします。

○青木浄水部長 当局が開発をいたしましたシミュレーションソフトでございますが、河川の流量、雨量及びダム放流量等のデータをもとに、汚染物質が浄水場に到達する時間などを推定するものでございます。
 そのため、著しい豪雨や八ッ場ダムの運用開始などによる河川流量の変化に適切に対応させていく必要がございます。そこで、八ッ場ダムの運用開始等や環境の変化に対応するため、適時適切にシミュレーションソフトの改良を行いまして万全を期してまいります。

○舟坂委員 汚染物質が浄水場に到達する時間を正確に把握できることは、広範囲にわたる水源地域の事故対応にとって、影響を最小限に抑制する視点から重要だと考えられます。八ッ場ダムの運用開始などに合わせて、速やかにソフトを改良し、事故対応に万全を期していただきたいと思います。
 また、先ほどの答弁にもありましたが、同じ河川を利用している水道事業体同士が連携して情報共有を行っているのは非常によい取り組みと思います。広範囲にわたる水源地域の水質に関する問題を解決するためには、都単独で対応するには限界があるのではないかと考えます。
 そこで、流域の水道事業体と具体的にどのように連携しているのかをお伺いいたします。

○青木浄水部長 利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会でございますが、メーリングリストなどを活用した情報連絡体制を整備することにより、万一、水質事故が発生した際には、迅速に事故情報を共有できる仕組みを構築してございます。
 平成二十四年に発生をいたしました人体に有害なホルムアルデヒドによる大規模な水質事故の際には、異常を検知した上流の事業体から早い段階で情報を得たことで、都を含めた下流の事業体が速やかな事故対応を実施できました。
 さらに、こうした経験を生かし、事故発生時にも混乱なく迅速な対応ができるよう、平成二十八年度から毎年、当協議会といたしまして、全事業体が参加する水質事故対応訓練を実施しております。

○舟坂委員 平成二十四年の水質事故のときには、実際にこの協議会が機能したことで、東京都を含めた下流の事業体への影響を軽減できたことを聞き、有効性を改めて確認することができました。
 水道水は、安全が第一なことはもちろん、おいしいことも重要な要素です。私の地元にある金町浄水場には高度浄水処理施設が最初に導入されました。昭和五十年代には、水道水がカビ臭いという声も都度耳にいたしましたが、高度浄水処理の導入後には、そのような声も聞かなくなりました。
 そこで、改めて、高度浄水処理によりどのように水道水の安全性とおいしさが改善されたのかをお伺いいたします。

○青木浄水部長 当局が導入してございます高度浄水処理は、オゾンによる分解作用と生物活性炭による吸着分解作用によりまして、通常の浄水処理では十分に除去できない農薬に含まれる化学物質などさまざまな物質の除去、低減に効果を発揮し、水道水の安全性が向上いたします。また、おいしさに影響いたしますカビ臭等のにおいの原因物質も除去することができますため、水道水のおいしさの改善に効果がございます。
 こうしたことから、平成四年に金町浄水場において初めて高度浄水処理を導入して以来、利根川水系の全浄水場に順次導入を進めまして、平成二十五年度に高度浄水処理一〇〇%を達成したところでございます。

○舟坂委員 しかし、私の周りでも水道水がおいしくなったという声を多く聞く一方で、まだまだ水道水を飲まないという人もおります。そこで、高度浄水処理の導入により、水道水に対する評価はどのように変わったかをお伺いいたします。

○小山サービス推進部長 当局では、お客様に対して、平成十五年度から水道水のおいしさに対する意識調査を継続的に実施いたしております。その結果、おいしさに対する満足の割合については、平成十五年度の二一・八%から、平成二十九年度では五三・三%となっておりまして、約三二ポイント上昇いたしております。
 一方、おいしさに対する不満の割合についてでございますが、平成十五年度の五一・六%から、平成二十九年度では一三・一%となっておりまして、約三九ポイント減少いたしております。
 また、平成二十九年度に約三万人の参加者を得て実施いたしました水道水とミネラルウオーターの飲み比べでは、水道水の方がおいしい、あるいはどちらもおいしいと答えた方が、合わせて五八・九%と半数を超えております。
 こうしたことから、高度浄水処理の導入によって水道水のおいしさに対するお客様の満足度は向上いたしておりまして、高い評価をいただいているというふうに認識をいたしております。

○舟坂委員 多くの都民の方々の水道水への理解が進んでいると思います。これは長年にわたり取り組んできた高度浄水処理の導入や、きめ細かな対応により実現されたものと思います。引き続き、都民に安全でおいしい高品質な水を提供するため、水質管理を徹底することを望みます。
 この水道水を都民へ安定的に供給するため、給水所は重要な役割を果たす施設です。給水所は、平時の安定給水に加え、震災時には給水拠点として水道水を地域住民へ提供する役割を担う施設でもあると聞いております。給水の安定性を向上させるためには、水を蓄える機能を持つ給水所の整備を計画的に進めることが必要です。
 そこで、給水所整備の基本的な考え方についてお伺いをいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 給水所は、平常時の安定給水はもとより、事故時等のバックアップや震災時の給水のかなめとなる重要な施設でございます。給水所の整備に当たっては、災害や事故時における断水などの影響が広範囲に及ばないよう、配水区域を適正な規模とし、必要な配水池容量を確保することとしております。
 こうした考え方に基づき、給水所の新設や老朽化更新による拡充に計画的に取り組んでおります。

○舟坂委員 区部北東部では、以前、都内でも規模が大きい金町浄水場から広大な配水区域に一系統で給水していた時期もありました。地震などの災害や事故などには、断濁水の影響が広範囲に及ぶおそれがあることから、現在、給水所の整備を積極的に進めていると聞いております。
 私の地元である葛飾区の水元給水所は、昭和五十六年に完成し、地域の皆様も震災時の給水拠点として認知をしております。
 そこで、区部北東部における給水所整備の現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 区部北東部においては、昭和五十年代前半まで金町浄水場から広大な地域に直接配水していたことから、配水区域を適正な規模に再編しながら、順次、給水所の整備に取り組んできております。
 これまで水元給水所が昭和五十六年度に完成し、平成二十一年度には小右衛門給水所が完成しております。現在、江北給水所と王子給水所の整備を進めており、足立区を配水区域とする江北給水所は、平成三十一年一月完成に向けて施行中でございます。また、北区、足立区及び荒川区を配水区域とする王子給水所につきましては、平成二十八年度に配水池築造工事に着手しており、完成時期は平成三十七年度となる見込みでございます。
 これらの整備によりまして、金町浄水場の広大な配水区域の分割再編が完了し、区部北東部における給水安定性が向上いたします。

○舟坂委員 区部北東部において、安定給水に向け計画的に取り組んでいることがわかりました。首都東京の安定給水の確保に向けて、給水所や配水池容量が不足しているその他の地域においても、必要な給水所の整備を積極的に進めていくべきと思います。
 そこで、都における給水所整備の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 都全体における現在の給水所の整備状況は、配水池容量で見ると、水使用の時間変動や事故などの非常時の対応分を合わせて目標の約八割にとどまっております。また、配水区域の規模を見ても、区部北東部以外にも、災害や事故時の断水や濁水の影響が広範囲に及ぶ配水区域がございます。
 このため、今後も引き続き給水所の地域的な偏在や配水池容量の不足等を解消し、事故や災害時において信頼性の高い給水拠点となるよう給水所の整備を進めてまいります。

○舟坂委員 給水所の整備を進める上では、工事の実施や用地の確保には困難を伴うと思います。都民の皆様に安全でおいしい水をお届けできるよう、今後とも、給水所整備を力強く進めていただきたいと思います。
 浄水場と給水所について幾つか確認をいたしましたが、整備した施設は、平常時はもとより、災害が発生した場合においても機能をしっかりと確保することが重要であります。
 冒頭にも触れましたが、平成三十年七月豪雨を初め大規模な土砂災害をもたらした平成二十六年八月の広島市における豪雨、鬼怒川が決壊した平成二十七年関東・東北豪雨など、近年まれに見る大規模な豪雨が頻発しております。こうした大規模豪雨のあった地域では、水道施設を含め極めて甚大な被害が広範囲で発生し、市民生活に大きな影響を及ぼしております。
 給水所や配水所は、安定給水に欠かせない基幹施設であり、このような自然災害が発生したときに備えた施設整備が必要と考えられます。
 そこで、浄水場や給水所の浸水対策について、これまでの取り組みをお伺いいたします。

○青木浄水部長 水道局では、平成二十二年の内閣府中央防災会議や平成二十四年の東京都防災会議における年超過確率二百分の一の降雨量での浸水被害想定等に基づきまして、浸水被害のおそれがある浄水場や給水所におきまして、施設の機能維持を図る浸水対策を推進してまいりました。
 平成二十五年度から、金町浄水場を初めとする浄水場五カ所、給水所八カ所、計十三カ所の施設におきまして、出入り口に防水扉の設置、窓や換気口のかさ上げなどの浸水対策工事を進めまして、平成二十九年度までに全て完了してございます。

○舟坂委員 年超過確率二百分の一、いわゆる二百年に一度レベルの浸水被害想定について、その対策が完了したということで水道局の災害対応力の高さもうかがえます。
 しかし、一方で、国は平成二十七年に水防法を改正し、平成二十八年度から、想定し得る最大規模の降水にかかわる浸水想定を順次公表しております。
 この想定は、近年の豪雨災害の頻発を踏まえ、雨の量が、これまでの二百年に一度のレベルから、千年に一度のレベルに大きく引き上げられた最大規模のものとなっております。これまで浸水対策を実施した施設においても被害が想定されることから、さらなる対策の検討が必要だと考えられます。
 そこで、国が順次公表しております、いわゆる千年に一度レベルの想定し得る最大規模の洪水にかかわる浸水想定に対してどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○青木浄水部長 国土交通省が平成二十七年に公表いたしました新たなステージに対応した防災・減災のあり方におきまして、最大クラスの大雨に対して、堤防などの施設で守り切るのは、財政的にも、社会環境、自然環境の面からも現実的ではないとされております。
 この想定し得る最大規模の洪水に係る浸水想定でございますが、既に浸水対策を講じました浄水場や給水所につきましても、これまで以上の浸水深となりまして、その深さは平均で三メートルを超えることから、施設整備による浸水対策には限界がございます。
 こうしたことから、被災時においても可能な限り給水を確保していくため、送配水ネットワークによるバックアップ機能の強化等によりまして対応していくことを検討してまいります。

○舟坂委員 地球温暖化や気候変動の影響を踏まえると、想定を超える豪雨災害はいつ起きてもおかしくないことから、速やかに対応を検討していただきたいと思います。
 また、本日は取り上げておりませんが、首都直下型地震の切迫性が指摘される中、管路の耐震継ぎ手化をしっかりと行っていくことは極めて重要です。
 我が党はこれまで、管路の耐震継ぎ手化の促進を提言してまいりましたが、そして、さきの決算特別委員会においても、管路の耐震継ぎ手化のほか私道内給水管整備などの計画的な整備を進めるよう指摘もいたしております。
 改めて申し上げることもありませんが、水道事業は、水源から蛇口までの整備と維持管理を的確に行い、安定給水を確保することが使命と考えております。引き続き、責任を持って事業を着実に進めていくことを強く要望しておきます。
 一方、近年は、地震災害などの自然災害だけでなく、テロへの脅威なども高まっており、ハード面だけでなくソフト面の取り組みも重要です。
 そこで、局が取り組む水道の危機管理強化に向けたソフト面での取り組みについてお伺いをいたします。

○松丸総務部長 当局では、さまざまな脅威への備えとして、地震災害などの自然災害のほか、テロ行為や新型インフルエンザなどに対応した訓練を行い、組織や職員の危機対応力を強化しております。訓練は、毎年度策定している東京水道危機対応力強化計画に基づき、年間を通じて体系的かつ網羅的に実施し、PDCAサイクルの実践により各災害への対応能力の向上を図っております。
 十月末には、首都直下地震を想定し、局職員及び監理団体社員合わせて千八百名が参加して、地震発生初期の応急対策、活動訓練を局内全部署で行いました。この訓練には、今回から、福祉保健局が初めて訓練に参加し、断水した病院への応急給水に関する情報連絡訓練を合同で行い、災害時に緊急を要する医療機関に対して応急給水活動の実効性を強化いたしました。

○舟坂委員 水道局がさまざまな危機への対応力強化を重視し、多種多様な訓練に局を挙げて取り組んでいることは理解いたします。災害時には、日常の訓練以上の対応は困難であることを認識し、これからも継続的に訓練を実施していただきたいと思います。東京は今後、ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会など大きなイベントを控え、世界中から注目される中、水道分野での危機対応力のさらなる向上が必要だと思います。
 また、首都直下地震により、東京で広範囲で甚大な被害が生じた場合には、水道局のみの対応には限界もあると考えられ、他都市からの救援も重要であると考えます。
 このため、ことしの第一回定例会代表質問における我が党の受援強化に向けた取り組みへの質問に対し、局は、災害時に救援部隊を効率的に受け入れるための中継地の覚書を茨城県と、相手側に赴き、救援要請に関するコーディネーター的な役割を行う覚書を仙台市と締結し、円滑な受援に向け取り組んでいると聞いております。
 そこで、東京が被災した場合に、他都市からの救援部隊を円滑に受け入れるための受援強化の取り組み、進捗状況についてお伺いをいたします。

○松丸総務部長 都において大規模災害が発生した場合には、一刻も早い平常給水への回復及び可能な限りの飲用水の確保を図るため、発災直後の混乱期における対外的な救援活動の調整や、応急給水、応急復旧などに対し数多くの水道事業体からの救援が早急に必要となります。
 そのため、こうした取り組みを相互に担うことを内容とする災害時救援の覚書を、平成二十八年十一月の仙台市に加え、本年一月には大阪市、そして二月には岡山市との間で締結し、東日本及び西日本、両方面からの受援体制を強化いたしました。さらに、これら三都市は、発災時において東北、関西、中国、四国地方のそれぞれの水道事業体の救援活動の取りまとめ役を担うことから、覚書締結により、これら三都市を初めとして各地方から多くの水道事業体の救援を受ける体制が構築できました。

○舟坂委員 災害時には、広範囲な連携の取り組みが有効に機能することが重要です。
 一方で、他都市とは受援だけでなく救援の取り組みも含めた双方性の連携強化も重要であると考えます。特に、国内で発生する大規模な災害への救援の取り組みは、国内貢献の観点からも極めて重要であると考えます。
 今月上旬には日本水道協会が主催し、南海トラフ巨大地震を想定して全国の水道事業体が集結した大規模な訓練も行われたと聞いております。こうした訓練による危機対応能力の向上は必要不可欠だと思います。さらに、実際に対応した経験は訓練以上のものがあると考えられます。
 これまで水道局が行った他都市への救援活動の内容についてお伺いをいたします。

○松丸総務部長 水道局ではこれまで、阪神・淡路大震災、東日本大震災及び熊本地震などにおいて、被災地へ迅速に局職員などを派遣し、応急給水や応急復旧などの救援活動を行ってまいりました。本年七月に発生した西日本豪雨においても、相互救援の覚書を締結している岡山市を通じて甚大な被害を受けた倉敷市から飲用水供給再開のための必要な水質検査の依頼を受け、水質職員及び水質試験車を直ちに派遣し、被災地での活動を行いました。
 今後も、当局へ救援要請があった場合には、被災地への迅速な職員派遣などにより、被災した土地のいち早い復旧に貢献していくとともに、被災地での活動経験を東京が被災した場合の応急対策活動に生かしてまいります。

○舟坂委員 今後とも、首都東京として国内で発生する大規模災害への支援を強化するとともに、災害支援で得られた経験や教訓を生かし、首都直下地震への備えにも万全を期していただきたいと思います。
 先ほども触れましたが、水道事業は、水源から蛇口までの整備と維持管理、そして危機管理対策と非常に多岐にわたり、しかも一つ一つが都民の生活に直結する重要な取り組みです。こうした水道局の事業運営を進める上で不可欠なのが技術と人材です。今後も、水道事業を継続的かつ安定的に運営していくには、局がこれまで培ってきた技術の継承と事業の担い手である人材の育成が極めて重要であると考えます。
 そこで、水道局として技術の継承と人材育成にどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○金子職員部長 当局が水道事業を持続的に運営していくためには、技術の継承と人材育成が重要と認識しております。
 そのため、事業運営の基盤となる人材の確保と育成に向けた具体的な取り組みの指針として、東京水道人材(財)確保・育成方針を本年三月に策定いたしました。この方針に基づき、水道事業は現場が基本であるとの考え方のもと、実際に稼働している水道施設を活用し、実践的かつ効果的に技術を継承するためのOJT、各業務部門で中核となる人材を育成する実務研修、さらには各職層において習得すべき知識、能力を明確にした職層別研修などを幅広く実施しております。
 今後は、当局のみならず、事業運営上重要な業務を担う監理団体に対しましても、局との相互の人材交流を強化し、局と監理団体が一体となった人材の育成に取り組んでまいります。
 こうした取り組みを行い、技術継承と人材育成に積極的に取り組み、将来にわたって着実に事業を運営していくための基盤を築いてまいります。

○舟坂委員 繰り返しになりますが、水道事業を継続的に運営していくためには、何より技術継承と人材育成が重要であります。ぜひ、将来にわたり水道を担う人材を育てていかなければなりません。
 これまで水を守るという視点で質疑を行ってまいりましたが、水道事業を取り巻く環境がいかに変わっても、将来にわたって持続可能な水道事業の運営にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 以上で質問とさせていただきます。

○斉藤委員 では、よろしくお願いいたします。資料の提出をありがとうございます。きょうは、水道局の監理団体である株式会社PUCの専任社員制度についてと消費税、それから水道料金の減免について伺います。
 まず、PUCの専任社員制度についてですが、私は、先日の決算の中で取り上げて質疑をしました。
 その概要についてですが、東京都は今、監理団体へのガバナンスの強化を図って経営の効率化などを進めるために、それぞれの団体に経営改革プランを作成させています。そうした中で、PUCでは、人件費抑制のために専任社員制度を導入したということが、この経営改革プランの中で示されています。
 専任社員とは、それまでのPUC固有の正社員と同様に無期雇用の社員でありながら、賃金形態の水準が低く抑えられて、モデルケースの試算では、従来の正社員の年収の六〇%まで抑え込まれているにもかかわらず、実際には現場で同じ仕事を行っているという実態を明らかにしました。
 勤務地の制限があるといいながらも、実際には都内を四つのエリアに区分した中での異動があり、正社員でも、異動については本人の同意が必要という点でも、実質的にはその違いがないということも現場の方々からの多くの声で明らかになっているところです。
 さらに、処遇が大きく切り下げられたこの専任社員制度、労使間で結んでいる事前協議合意協定に違反して、労働者側に事前の協議や合意がないままに導入されたことで今大きな問題になっています。
 労働者側が、東京都労働委員会に対して会社側の不当労働行為を申し立てる労働争議を起こし、昨年十月には、都労委は、会社側に対して労働条件の変更に当たっては労使の合意をもって実施することを確認するということ、そして、会社は今後、組合から専任社員の労働条件に係る協議を申し入れられた場合には、誠実に協議に応じることを求め、組合側の全面勝利の和解が成立しました。
 しかし、その後も、会社側の和解協定の不履行と不誠実団交により、具体的には専任社員の労働条件改善に対応せず、なぜ協議もせずに専任社員制度導入を行ったのかということについての回答がないということですが、そのため、組合は再びことしの九月に不当労働行為の申し立てを行うという事態になっています。
 この間、実際にPUCの固有の正社員として働いている方や専任社員として働いている方々から、改めて現場の実態についての訴えをいただきました。
 きょうは、その中身と、先日の質疑を踏まえて幾つかお伺いしたいと思います。
 まず、今の現状確認のために伺いたいんですけれども、区部の営業所と多摩地区のサービスステーションの社員数と、その内訳について教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 株式会社PUCの本年八月一日現在の営業系業務に携わる社員四百四十三人、このうち区部営業所の社員数は百六十五人、多摩地区のサービスステーションの社員数は二百七十八人でございます。
 その雇用形態別の内訳でございますが、特定の勤務地において現場業務に専任的に従事する正社員である、先ほど委員の方からお話がありました専任社員、こちらは九十九人、その他の固有社員は百二十人、嘱託社員は二十八人、契約社員は百十三人、パート社員は七十一人、都からの退職派遣は十二人ということになっております。

○斉藤委員 全体で四百四十三人に対して専任社員は九十九人ということなので、今、二二%が専任社員になっているということになります。
 この制度が導入されたのは二〇一六年度で、ことしで三年目になりますが、事前に年度ごとの人数についても伺ったところ、区部と多摩を合わせて二〇一六年度に三十人、二〇一七年度に六十六人、今年度に九十九人ということでしたので、この三年弱の間でも、当初から比べて三倍以上にふやしてきているということになります。
 従来からの正社員は今百二十名ということですので、全体の二七%ということになりますので、専任社員の数は、それに拮抗する数までになってきているということになります。
 さらに、今のご答弁のとおりですけれども、そのほかに嘱託社員、有期雇用である契約社員やパート社員など、実にばらばらな雇用形態の方々が同じ職場で働いているという状況だということがわかります。
 次に、専任社員九十九人のうち、有期雇用の契約社員から転換された人数を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 専任社員制度が導入された平成二十八年度以降、契約社員から専任社員に採用された人員は六十人で、そのうち四人が退職、それから二人が他部署への勤務ということで、本年八月一日現在、在籍している人数は五十四人でございます。

○斉藤委員 九十九人の専任社員のうち、有期雇用の契約社員から転換した人は、現在は五十四人ということで半数以上を占めているということです。
 では、契約社員から、専任社員ではない固有社員、従来の正社員に転換している数について、五年間の経年で教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 契約社員から、専任社員ではない、いわゆる固有社員に採用した人数ですけれども、平成二十六年度は二十二人、平成二十七年度は八人、平成二十八年度は六人、平成二十九年度は五人、平成三十年度は四人でございます。

○斉藤委員 契約社員から従来の正社員に転換している人の数は年々減ってきているということがわかります。特に、専任社員制度の導入以前の二〇一四年度には二十二人の方が従来の正社員に転換していますが、この専任社員制度の導入前後には、その数は多く減ってしまって、かわりに賃金水準の低い専任社員への転換がふやされているという状況です。
 皆さんご存じのことと思いますけれども、リーマンショックといわれた二〇〇八年の世界経済危機の際に、日本では、期間工や派遣労働者など有期雇用労働者が生産の調整弁として大量に解雇、雇いどめにされて大きな社会問題になりました。これを機に、制度の見直しの世論が高まって、二〇一二年の労働契約法改定で無期雇用転換へのルールが盛り込まれ、雇用期間の定めのある労働者が、それまで同じ会社で通算五年以上働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に転換できるルールが、ことしの四月から開始されています。
 ところが、その直前、五年たつ前に雇いどめにしたり、いわゆる空白の期間を置いて再び雇用したりするなど、無期雇用逃れの違法、脱法行為が問題にもなりました。民間企業が抜け道をつくって、あくまでも労働者を安く使っていこうとする姿勢が低賃金の不安定雇用を大量に生み出して国民経済にも悪影響を及ぼしている状況です。
 そうした中で、このタイミングで、PUCが無期雇用でありながら、賃金水準の低い専任社員制度を導入しているということは、まさに安い労働力として人を使い続けるための抜け道として考えたものではないかと疑念を抱かざるを得ません。
 実際に、経営プランには、人件費抑制のためと書かれてありますから、これはいい逃れができないものだというふうに思いますけれども、私は、このことが東京都水道局の足元で行われているということ自体が大問題ではないかというふうに思います。
 そこで、一つ改めて伺いたいのですが、PUCの経営改革プランにも書かれていますが、専任社員制度、この導入が人件費の抑制のためであるということ、これは水道局も確認をしているということでしたから、認めているということでよろしいでしょうか。

○石井経営改革推進担当部長 今、委員の方からお話ありました経営プランですね、PUCの経営プランの中に、専任社員で人件費の抑制をするんだというようなことの記載というものは、そのような記載はないということで、株式会社PUCの方からはお伺いしております。

○斉藤委員 私は、その経営改革プランを見て、人件費抑制のため専任社員の導入ということが書かれているのを見ております。それは、先日の決算の質疑のときにもやっていまして、お話をしています。これ東京都として、認めていると--今のようなお話はありませんでしたから、認めているのかどうかというのはどうでしょうか。先日の質疑と違うことになりますけれども。

○石井経営改革推進担当部長 直接の人件費の抑制という言葉ではないんですね。多様な、そういった形態でもって効率的な運営に努めてまいりますというような形になっているので、恐らくそれが人件費という言葉で、直接という形になってしまっているのかなというふうに思います。

○斉藤委員 総務局のホームページにアップされている資料の中には、人件費抑制という言葉が書かれておりました。違うということであれば、ちょっと再度、私、きょうはその資料は手元には持ってきていませんので確認しなければいけないと思いますけれども、少なくとも先日の質疑ではそういうことではありませんでした。
 このプラン、水道局としても認めているということ自体は、先日の質疑でお話しされていたというふうに思います。これ認めているなら、私は東京都水道局の責任はとても重大なものだというふうに思います。労働者を保護する改定労働契約法の趣旨を守って、本来ならば安い労働力として使い続けるような抜け道をつくるようなことは是正させなければならないということを強く指摘しておきます。
 この専任社員と固有社員、つまり従来の正社員との業務の違いや職場での現状について、私は固有の正社員として働いている方や専任社員として働いている方、両方の立場の方々から切実な声を直接伺いました。
 専任社員の方は、料金の未回収のところに何度も督促をして通ったりする中で、時には相手側の厳しい態度によって身の危険を感じるということもよくあるそうです。給水停止の重大な判断も任されるということもあるようです。また、専任社員でも、係長の補佐などを行い、ほかの専任社員ではない正社員に業務を教えるということもしているということです。業務量が多く、残業せざるを得ないということですが、残業すればパフォーマンス手当という一時金が査定によって減らされてしまうため、申告をしないでサービス残業するか、もしくは一時金の減額を覚悟で残業しなければならないという矛盾があり、多くの専任社員がそのどちらかを選択して残業せざるを得ないということです。
 さらに、勤務地に関しては、希望していないエリア外の、本来だったらこの専任社員、限定されているということですけれども、その限定された地域以外にも異動させられているというケースもあるということで、これでは従来の正社員とどこに一体違いがあるのかと、本当に疑問だという声が寄せられています。そのことは先日の質疑で紹介した、組合による社員向けのアンケートの調査でも明らかにしたところです。
 専任社員の処遇の実例として、三人のお子さんを持つ若い世代の方でも残業代が出なければ手取りは二十万円にも届かず、扶養手当や住宅手当も、通勤手当もないという状況で、契約社員から転換しても、また年数を重ねてもお給料は上がっていないということです。無期雇用といっても、これでどうやって家族を養っていけるのか、将来への不安に駆られながら仕事を続けているということです。
 そこで伺いますが、水道局が認識しているこの専任社員の業務内容について、改めて詳しく教えてください。

○石井経営改革推進担当部長 専任社員ですけれども、これはお客様サービスのプロフェッショナルとして、業務遂行に際して独力で完結できる専門的知識及び能力を発揮し、窓口業務など、現場業務に専任的に従事をしてもらっている、そういう職でございます。

○斉藤委員 そういうことに従事するというふうに聞いているというお話なんですが、私が現場の方々から直接伺っている話とは、やはり大分乖離があるので、この処遇や労働環境、業務の量などについても実態調査をぜひしてほしいというふうに思います。PUCの役員の方々に聞いても、今のご答弁のようなお話しか出てこないと思いますので、無記名のアンケートをとるとか、工夫をしてやっていただきたいと思います。
 そして、固有社員、つまり正社員の方からもお話を伺っています。先ほどもいいましたが、専任社員の方々は残業を申告しにくい状況になっているため、そのしわ寄せが従来の正社員に向けられているということです。立場の違いから残業を引き受けなくてはいけない状況なのですが、長時間労働で疲弊してしまう現状や、やはり残業目標が設定されている中で超過をしてしまえば、昇進などの評価にも影響してくるという状況だということです。
 何よりも、実質的に変わらない仕事をしているにもかかわらず処遇に差をつけられている状況で、互いによくない関係が生じてしまい、働く現場の方々のモチベーションも下がってしまうということです。
 やはりこの点からも、職場の実態把握をしていくことが必要ではないかというふうに思いますが、水道局では、監理団体の従業員の残業時間や賃金についてどのように把握しているのか、また、把握していないのか伺います。

○石井経営改革推進担当部長 当局では、監理団体指導監督基準に基づき、毎年度の運営状況報告として、人件費の総額や常勤社員の平均給与支給額などを把握しておりますが、社員ごとの残業時間や支給金額については、現在、把握はしておりません。

○斉藤委員 給与や賞与の総額、平均給与支給額は見ているけれども、個々の社員の残業時間等は見ていないということです。それは監理団体自身が行うことという見解かもしれませんが、しかし先ほどのとおり、専任社員制度の導入について、先日の質疑からそういうお話をされていますけれども、水道局は認めているわけですから、今、そのもとで起きている問題について、責任を持って向き合うことが必要だというふうに思います。
 ガバナンスを強化するというなら、水道局として、労働者の現場と実態把握をして、制度や処遇の改善を行うように指導するべきではないでしょうか。見解を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 当局は、監理団体に対して、経営方針や年間計画など重要事項の意思決定について、取締役会や職員派遣等を通じたガバナンスの強化を図っているほか、監理団体指導監督基準に基づいて適切に指導監督を行っております。
 一方、監理団体における社員の労働条件につきましては、雇用者と被雇用者の当事者間で決定されるものであり、法令や監理団体指導監督基準を逸脱しない限り、当局は関与する立場にはないというのがご答弁になるわけなんですが、このお話、委員から、決算特別委員会の分科会のときから、こういうご質疑でそういう声をいただいてということでお話を受けております。
 私の方も、これを受けまして、指導する立場にはないといったものの、確かに今、残念なことに、通常、労使協議は自主解決というのが大前提だと思うんですね。何というんでしょうか、労使間というのは、やっぱり信頼関係がないと、先ほど委員のお話もありましたように、職場の中がぎくしゃくするということもありますので、PUCの幹部の方と意見交換をしまして、どういったところがすり合わないのか、膝詰めでもう少し労働組合の方ともお話をしていただければということも含めてお話をしております。
 また、労働組合の方も全てかち取らなきゃだめだというような考え方ではなくて、どの辺で折り合いがつくのかというところで、よくいわれる、一定の到達点というところを見出していただいて、まずはそこでやむなしというような形で、労使協議というので自主的な解決を促すということは、先日、お願いを申し上げてきております。

○斉藤委員 今いわれましたとおり、あの質疑以来、PUCの幹部と話をして、この状況について意見交換を行ったということ、それをしていただいたということは大変ありがたいことだというふうに思います。
 責任がないということではないというふうに思うんですね、そういう意味では。この労働条件については、水道局が認めている経営方針に基づいてそれがつくられているわけですから、ぜひ労使の協議というのは、もちろん双方でやっていくものでありますが、東京都が上からPUCに対して経営方針、押しつけで人件費を抑制させていく、そういうことは、むやみに、無意識にといいますか、やらせていくようなことは改めてほしいというふうに思います。今、ご答弁のあったとおり、話し合いを進めていくということを今後も続けていただきたいというふうに思います。
 先日も私は、官製ワーキングプアを水道局がつくり出していくようなことはしてはいけないということを訴えました。
 さらに、リーマンショックのときの反省から労働契約法が改定されて、その趣旨に反するような脱法的な行為についても大きな社会問題になっているわけです。そのときに水道局が、労働者を安く使って当たり前という認識でいたらいけないというふうに私は思います。
 今後も、ぜひ現場で苦悩をしながら働かざるを得ない労働者の皆さんたちにきちんと向き合うように、このPUCに対しても指導監督という立場はあるわけですから、やっていっていただきたいと思います。
 次のテーマに移ります。消費税についてです。
 安倍政権は、来年十月から消費税を一〇%に引き上げるとしています。私たち日本共産党は、所得の少ない人ほど重くのしかかる消費税には反対し、優遇され続けている大企業、富裕層にこそ応分の負担を求めることで、消費税に頼らない別の道があることを示し続けていますが、今回の増税は、特に消費不況が長期化する中で、都民、国民の暮らしと経済に深刻な影響を与えかねない重大な局面にあると思います。
 二〇一四年に消費税が八%に引き上げられたのをきっかけに消費が大きく落ち込み、長期にわたって景気は回復していません。二人以上世帯の実質家計消費は、この五年間で二十一万円も減少し、労働者全体の実質賃金はパートも含めて十八万円も下がっています。こうした状況で、一〇%への増税が強行されれば、消費はますます冷え込んで、都民、国民の暮らしと経済に破滅的な影響を及ぼすものになります。
 安倍首相は国会で、消費税率引き上げが経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を総動員するというふうに述べて、万全の対策をとるように指示したと報道されました。とても矛盾している内容で、我が党は、万全の対策をとるというなら増税をやめるのが何よりだと考えていますが、同時に、もし政府が増税を強行するなら、都民の暮らしと経済を守るために、都としても最大限の対策をとるべきだと考えます。
 そこで伺いますが、政府は来年十月にこの消費税率、一〇%にするとしていますが、消費税率の引き上げに対する水道局の考え方、そして対応について伺います。

○松丸総務部長 消費税は消費に対して広く公平に負担を求める税金で、消費者が負担し、事業者が納税する仕組みでございます。
 水道事業者は民間企業と同様に法令上、消費税の納税義務者であり、国からの通知により消費税の税率引き上げ分を円滑かつ適正に料金に転嫁する必要がございます。
 そのため、水道料金は税率引き上げ分の単純転嫁を予定しており、平成三十一年度予算は、平成三十一年十月以降の消費税率を一〇%として見積もるとともに、給水条例の改正や税率改正に伴うシステム改修を予定しております。

○斉藤委員 消費税率の引き上げ分を円滑かつ適正に料金に転嫁をする必要があるということですが、今、政府でさえ影響の大きさを認めて負担軽減策を考えている中で、毎日消費しなければならない水道の料金に消費税の値上げ分を転嫁するということは、今の都民の暮らしの厳しさからいえば適正とはいえないのではないかと思います。
 私たちは、今からでも増税をやめるべきだと政府に強く求めていきますが、同時に、たとえ政府によって増税が強行された場合でも、都民の暮らしを第一に考えて、東京都が都民の生活を守る防波堤となって、水道局として都民の負担増にならないよう対策をとるべきだと考えています。具体的には、消費税増税分の水道料金を引き下げて、都民にとって料金が変わらないようにするべきだと考えます。
 そこで伺いますが、今回の消費税率の引き上げに伴う水道料金への影響額、つまり都民への影響額はどのくらいになるのか伺います。

○松丸総務部長 消費税率引き上げに伴う水道料金への影響額でございますが、平成二十九年度の給水収益決算額から試算いたしますと、平年度ベースで約五十八億円でございます。

○斉藤委員 約五十八億円が都民の新たな負担となるということです。これはやはり労働者の実質賃金が下がり消費が落ち込み続けている中で、都民の暮らしにも、国民経済にも深刻な影響を与えるものだと思います。
 消費税の導入や税率の引き上げのときに、水道局がどのように対応してきたのかについて、事務事業概要にも示されていましたが、水道局では、最初に消費税が導入された平成元年、一九八八年には料金を値下げして、都民にとって消費税分が値上げにならないようにしています。
 このときの料金の値下げと都民の負担の据え置きの対応の考え方について教えてください。

○松丸総務部長 平成元年度は、国会で成立した法律の規定に従い、公営企業料金にも消費税の転嫁を行うことが求められました。こうした状況の中で、転嫁を円滑に実現するためには、料金を負担する都民の十分な理解が必要であり、都としてとるべき措置を慎重に検討いたしました。
 その結果、水道料金につきましては、職員定数の削減を初めとする経営の合理化などを行った上で消費税を転嫁し、最終的にも料金を引き下げることとし、給水条例の改正案を上程いたしました。都議会に上程後、この改正案に対して、自治省からは説明を求められるとともに、適切な対応を図るよう指導を受けましたが、原案のとおり可決されました。
 なお、平成九年度と平成二十六年度の消費税率改定の際には、消費税率引き上げ分を適正に料金に転嫁しております。

○斉藤委員 消費税の導入当時は、料金などを負担する都民の十分な理解が必要だったと、そうした事情を踏まえて、都としてとるべき措置について慎重に検討して、最終的に料金を引き下げて、都民への負担にならないようにしたということです。このときの水道局の判断は、まさに都民の暮らしや世論に配慮して決断されたということだというふうに思います。
 職員定数の削減を初めとするということもありましたが、何を無駄として削減していくかということは十分に検討が必要なことでありますけれども、こういうことが東京都の独自の施策としてやれるんだということは改めて私自身も学ぶ機会になりましたが、バブル期だった当時と比べても今の経済状況は明らかに深刻です。むしろ一層慎重な検討が求められているのではないでしょうか。
 消費税の一〇%への増税については反対の声が根強く、今、安倍政権の内閣官房参与からも、一〇%への税率引き上げは日本経済を破壊するとして、来年十月の消費税増税は凍結すべきだと指摘をされています。内閣官房参与の藤井聡氏ですけれども、デフレ状況にある現在の我が国において消費増税を行うことは、国民を貧困化させ、日本の財政基盤そのものを破壊することにつながると確信すると、自身の著書でも訴えています。
 貧困と格差が深刻化する中で、低所得層に最も重くのしかかるのが、水を初めとする公共料金ではないでしょうか。特に所得の下位一〇%の層では、実質所得は下がり続けています。
 水道の利用は、所得が多くても少なくてもほとんど変わらないものであり、子育て世代など家族が多い方が利用量が多くなります。その値上げは、子育て世代や所得の少ない人ほど重くのしかかります。消費税の増税によって医療などのさまざまな生活必需品が値上げされ、所得の少ない人ほど負担感が高くなります。せめて、ライフラインである水道料金などの公共料金は据え置いてほしいというのが多くの都民の切実な願いです。
 先ほどもいいましたが、今、安倍首相でさえ、消費税率の引き上げが経済に影響を及ぼさないようにあらゆる施策を総動員するといって、食料品については軽減税率、つまり八%への据え置きを実施するとしています。軽減税率制度については、低所得者に配慮する観点から実施すると政府は説明をしています。低所得者に配慮する観点という点では、水を初めとする公共料金も同じではないでしょうか。
 特に、水については、今大きな矛盾が生じています。ペットボトルで買う水は税率が八%に据え置かれる一方で、蛇口から出る水には一〇%の消費税が課されるという矛盾です。
 飲料用でも、お風呂や洗濯、トイレに使う水でも同じです。しかも、毎日消費しなければならない、生きていく上で不可欠だという意味では、飲料用でも、生活用の水でも同じだというふうに思います。しかも、飲料用については、どちらかといえば、水道水よりもペットボトルの水の方が本来嗜好品に近いものではないでしょうか。節約が必要な方は、ペットボトルの水を買うよりも、水道局が誇る、蛇口から出てくるこのおいしい水を飲むのが一般的ではないかというふうに思います。
 水は命と暮らしに直結し、生きていく上で、その消費をやめることができない不可欠なものであると思いますが、水道局の認識を伺います。

○松丸総務部長 水道は水道法でも規定されているように、公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与するものでございます。東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える最も重要なものとして、安全で高品質な水を安定して供給しているところでございます。

○斉藤委員 水道水は、都民生活を支える最も重要なものだということですけれども、本当にそのとおりだというふうに思います。だからこそ私は訴えています。消費税の引き上げ分を都民に負担させることが当然ではなくて、命や暮らしに不可欠な水だからこそ、都民には新たな負担をさせないということ、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。たとえ消費税が一〇%に引き上げられても、こうした観点から、引き上げ分の料金を値下げして、都民への負担を現行と同様に据え置くことを強く要望いたします。
 次に、中小企業に対する水道料金の減免について伺います。
 水道局では、現在、用水型皮革産業とメッキ業者に対して、水道料金の減免を行っています。
 この二つの業種では、さきの第三回定例議会においての工業用水道の廃止の条例が可決されたその審議の中でも、この工業用水を利用している業者だということが議論をされてきましたが、その調査に当たって、私たちは事業者の方々にお話を重ねて伺ってきました。
 その中で、例えば、メッキ業者さんの中では、工業用水道の給水管が離れているという条件から工業用水を使っていないという方も多く、より高額な水道水を使わざるを得ない事業者の方々が多くいるということも改めて伺ってきました。その中で、こうした事業者の方々にとって、この水道料金の減免制度は大変助かるものだということも伺ってきました。
 まず、この皮革と、そしてメッキ業への減免を開始した時期と経緯について伺います。

○小山サービス推進部長 用水型皮革関連企業に対する減免措置についてでございますが、昭和五十年九月の水道料金改定に伴う給水条例改正に対して行われました都議会の付帯決議を踏まえまして、同年九月分の水道料金から適用いたしております。また、メッキ業に対する減免措置ですが、昭和五十三年十二月の水道料金改定に伴う給水条例の改正に対して行われました都議会の付帯決議を踏まえて、同年十二月分の水道料金から適用いたしております。
 なお、この当初の減免期間以降は、都議会による決議を踏まえまして減免を継続しているところでございます。

○斉藤委員 いずれも水道料金の改定のとき、つまり料金の値上げのときに都議会の付帯決議があり、減免が実施されているということです。どちらも約四十年前に開始され、期限も延長されてきているということですが、製品の製造過程や処理の過程で多くの水を使う必要があるこうした地域の産業を支えていくためには、とても大切な支援だということをこの間、実感してきました。
 しかし、一方で、この減免制度の対象は水の使用量によって制限があります。用水型皮革産業では水の使用量が一カ月当たり百トン、メッキ産業については百五十トンを超える部分が減免となっていて、それ以外の小口のユーザーは減免の対象になっていません。このことについて、使用量による減免の対象の制限をなくして、多くの事業者がこの措置を受けられるようにしてほしいという切実な要望を伺っています。
 この減免制度について、使用量の制限についてですけれども、この根拠について伺います。

○小山サービス推進部長 水道料金の減免は、水道事業における受益者負担の原則の例外として、減収分を一般会計が負担することを前提に、公益性、客観性、合理性が認められる場合に限定して実施をいたしております。
 用水型皮革関連企業やメッキ業に対する減免措置についてでございますが、実施した当時において、こうした例外的措置であることを踏まえた上で、業種や使用量の違い、影響範囲、他企業との公平性などを総合的に勘案して、対象水量や期間を限定して決定しているものでございます。

○斉藤委員 その当時において、業種や水道使用量の違い、対象への影響範囲など勘案したということですけれども、用水型皮革産業では一カ月当たり百トン、メッキ産業については百五十トンを超える部分という線引きの根拠については、この間、いろいろお話をさせていただいていますが、明確になっていません。さらに、それよりも小口のユーザーには減免措置がないというのも、なぜなのかはっきりしません。
 今、対象への影響範囲ということもご答弁にありましたけれども、小口ユーザーはそれこそ零細企業や家族経営が多く、水道の利用量が多くなくてもその費用の負担は経営に大きく影響します。
 この対象の制限によって、メッキ業の中でも減免の対象になっているのは三分の一程度の事業者さんに限定されているということです。少なくともこの従量制限をなくして、中小零細、家族経営こそ、この減免の対象として支援していくべきではないかと思います。また、減額の率についても引き上げて、制度のさらなる充実を願ってほしいという声も事業者の方々から伺っています。
 メッキ業、用水型皮革産業について、先ほどの従量を超える部分について、それぞれ一〇%、二〇%の減免になっています。排水基準を守るための水の使用の増大が避けられないメッキ業の仕事ですけれども、これに見合うように減免の率についても見直すことが必要ではないでしょうか。
 このことについて、まさに、きょうの午前中に、先ほどの質疑でもありましたけれども、メッキ業界の方々が知事に予算要望されているということがネットで中継されていました。毎年の予算の中で訴えているということで、私も昨年からこの要望の内容については確認をしていまして、切実な都民の要望として受けとめております。
 鍍金組合から毎年提出されているこの要望に対して、水道局としてどのように対応するのか伺います。

○小山サービス推進部長 まず、先ほどメッキ業、対象となっている業者数、三割ほどというふうにお話がございましたが、三九・〇八%、約四割というふうになっております。
 ただいまのご質問についてですが、東京都鍍金工業組合からは、平成三十一年度東京都予算等への要望書を確かにお受けいたしました。その要望事項の一つに、水道料金、下水道料金の減免措置の拡充が掲げられております。
 当局では、水道料金の減免措置は、公営企業における独立採算の原則及び負担の公平に対する例外的措置であることから、減免措置の拡充については慎重に対応していかなければならないものというふうに認識いたしております。

○斉藤委員 このメッキ業について、改めてですけれども、実に多くの製品にかかわるもので、自動車や電子機器、携帯電話やパソコンなど多くの必需品の中で利用され、まさに広範なサプライチェーンの中の不可欠なものだということです。また、東京の地場産業を支える重要な業種でもあります。
 ところが、全国鍍金工業組合連合会が発行しているめっき要覧二〇一八によりますと、東京のメッキ業者というのは、平成に入ってからこの三十年間で、八百三十八件から三百十二件へと、六三%も減っており、全国の中でもその減少が最も激しい状況になっています。
 多くの事業者が廃業していく背景には、後継者不足や設備更新の負担がありますが、そのさらに背景には、なかなかもうからないということがあると伺いました。当然に、その裏には、水道料金の高どまりしたコスト高が招いているということもあります。特に、揚水規制の高い東京東部地域では、全国のほかの地域のように無料の地下水を豊富に使うということができないハンデがあります。
 負担の公平性ということも答弁にありましたが、それならば、地下水を豊富にくみ上げられない東京の実態に配慮して、地場産業を守っていくためにも、水道局として関係者や都民の要望を伺いながら、必要な業種にこの減免制度を拡充していくことが重要ではないかというふうに思っています。
 我が党は、こうしたことから、工業用水道の廃止の議決のときには、この工業用水の利用者にとどまらず、中小企業への上下水道料金の減免を拡充していくことを付帯決議案として提案しましたが、残念ながら否決ということになりました。今後もこの件については引き続き水道局、そして議会としても検討して実現をしていきたいというふうに思っています。
 また、工業用水道事業についてですけれども、私も昨年来、この質疑にかかわってくる中で、事業者ユーザーさん、そして集合住宅での雑用水のユーザーの方々に、きちんと十分な支援をしていくようにということを求めてきました。
 こうした中で、東京都が事業用ユーザーに対しては、十年間の料金据置期間と、そして、さらにプラス十年間の激変緩和期間、集合住宅での利用者には、その半分の期間、トータルで十二年になりますけれども、支援の期間が設けられたということはよかったというふうに思っています。
 ただ、これにとどまることなく、今後もいろんな問題が出てくると思いますので、各ユーザーの方々のご要望をしっかり聞いて、丁寧に対応していただきたいというふうに思います。そのことを求めまして、私からの質疑を終わりにいたします。

○川松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十分休憩

   午後三時四十五分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、水道局への質問の冒頭に当たり、先ほど局長から報告のあった談合の問題について申し述べます。質問も用意していたんですが、まだ調査中とのことでしたので、理事会の申し合わせで、早期の報告を求めて、その際に質疑をすることになったため、本日は意見を述べるにとどめます。
 水道局が関係する談合事件が報道されたことは、まだ捜査中とのことですが、事実であれば極めて残念なことです。水道局でこうしたことが繰り返し行われているため原因を徹底的に究明し、再発防止に全力を努めなければなりません。
 今回、副知事をトップとした調査特別チームを設置して対応するとのことですが、水道局内部だけではないとはいえ、都庁内には変わりはありません。一般的にこれでは第三者の目とはいえません。事件の検証を行うためには、都庁内だけではなくて外部による第三者委員会を立ち上げることを求めます。また、調査とともに、今後二度とこうしたことが起きないよう、コンプライアンスの徹底も求めておきます。
 それでは、質問に移りたいと思っています。
 最初に、水道局が所管をする玉川上水についても伺いたいと思っています。
 玉川上水の方も、多摩地域の中で本当に緑豊かなすばらしい景観を備えています。特に中流部のところにおいては、小金井の桜並木などのように、名勝指定の区間もあるなど、すばらしい光景も見ることができます。
 また、私の地元の三鷹市付近にとっても、大変地域にとっても愛着のあるものであって、例えば三鷹駅の付近では、太宰治が入水をしたとかいうことも地域の方にはよく知られておりますし、今では、三鷹の駅から玉川上水を大体十分ぐらい玉川上水沿いに歩いていくと、都立井の頭恩賜公園があり、そこにジブリ美術館もあることから、日本だけではなくて海外からも多くの方々がこの沿道を歩くなど、非常にこれは保存していきたいものだと思っています。
 ただ、この玉川上水というものの文化的な意義というのが、素掘りののり面というところにあるわけですけれども、地域の住民は緑地の保全を望んでいるところも多いわけですが、その両立というのが必要になります。文化的な意義が十分に伝わっていないと、のり面を保護するために樹木を伐採することになるのですが、緑が減ることは周辺住民が必ずしも望んでいるというわけでもありません。もし仮にこの樹木を切るのであれば、のり面に影響がないところで別に緑の確保もしていくことも望まれています。
 それには、この玉川上水だけではなくて、沿道も含めてもう少し管理の幅を広げて一体として管理をしていくことが必要です。
 しかし、玉川上水の管理は、柵の中は水道局で、沿道の道路は建設局や地元自治体にまたがり、文化財としては教育庁になっているなど所管がわかりにくくなっています。
 同じ玉川上水でも、羽村から小平までは水道原水の導水路として使用しているのですが、小平監視所からは、現状、上水道施設としては使用しておらず、清流復活事業として下水の高度処理水を流しています。
 このようにいろんな管理状況があるわけですが、都として一体的な管理をするよう運営体制の見直しが必要と考えます。
 そこで、都として一体管理すべきと考えますが、見解を伺います。

○志村経理部長 玉川上水は、貴重な土木施設、遺構であるとともに、羽村取水堰から小平監視所までの上流部は、原水導水路としての役割を担うなど、重要な水道施設であることから、水道局が管理してございます。一方、周辺の緑道は、道路としての役割を担うことから、建設局や地元自治体が管理しており、都としての一体的な管理が難しい状況にございます。
 このため、当局及び関係各局による庁内連絡会議を初め、関係各局とともに地元自治体や地元住民で構成する玉川上水緑の保全事業都・区市連絡協議会を設置し、玉川上水の適切な管理運営に取り組んでおります。
 しかし、地元住民からは、関係機関が多く管理者や問い合わせ先がわかりにくいなどの意見もいただいているところでございます。このため、平成二十九年度の、今申し上げました都・区市連絡協議会におきまして、内容に応じた問い合わせ先を整理した玉川上水問い合わせ先一覧を配布するなど、対応の充実に努めているところでございます。
 今後も、都・区市連絡協議会などを活用し、地域の方々からの要望について積極的に情報交換を行うなど、関係各局や地元自治体等と連携して課題解決に取り組んでまいります。

○中村委員 玉川上水は、地域にとって多くの方が愛着を持ち、それぞれ沿線にいろんな市民団体があるんですけれども、それらが連携をしていろんな取り組みを目指しています。世界遺産を目指すという取り組みがあったりとか、また、実現は難しいのかもしれませんが、羽村から小平までだけではなくて、この河川の水を小平から先も、皇居のお堀まで通したいというような意見もあったりするようです。
 いろいろとそういった関心も高いものですから、今後も、文化的意義は大切ですし、一方では地域にとって緑豊かな空間を求めていますので、情報共有だけではなくて、これまでと違った管理体制の構築によって、こういった歴史遺産と、また自然環境等が残されていくような体制を構築していただけるよう検討していただきたいと思います。
 次に、断水の対策について伺います。
 水は、生活にはなくてはならないものであり、蛇口をひねれば出るのが当たり前になってはいますが、そのため、水道局の皆様が日々努力をされていることは十分承知をしております。それがゆえに、普通の生活の中で万が一断水してしまえば生活に大きな影響が出てしまいます。そこで、現在の断水についての状況を伺います。
 東京水道経営プラン二〇一六では、多くの業務指標が掲載されており、その中で事故時の断水や濁水時間が指標値として記載されています。しかし、断水、濁水時間は都全体における割合になっているので、一千三百万都民の割合からすればゼロに近い数値になっています。しかし、実際に断水となれば、都民生活に影響が生じてしまいます。
 この東京水道経営プラン二〇一六の業務指標にある事故時の断水、濁水時間について伺います。

○尾根田給水部長 水道事業における業務指標は、水道業務の効率化を図るために活用できる規格の一種で、厳密に定義された算定式により施設の管理や事故、災害対策など、水道事業体が行う多岐にわたる業務を定量化し、評価するものでございます。
 経営プランで掲げている業務指標の値は、国内規格である日本水道協会の水道事業ガイドラインに基づき算定しております。このうち事故時の断水や濁水時間の指標は、全給水人口に対する時間割合で、一人当たり何時間断水、濁水があったかを示すものでございます。
 その値を年間で見ますと、平成二十七年度は〇・〇一時間、平成二十八年度は、ほぼ数値にあらわれない〇・〇〇時間となっております。

○中村委員 この指標の数値を見ると、断水や濁水の時間は都全体における割合としてはごく小さな数値が出てくるということではあります。もちろん、それだけ大きな事業をやっているわけですから、そういった数値が小さくなる努力はしていただいているというのはわかりますが、どの程度の事故が発生しているのかという具体的な実数が公表されていません。
 そこで、平成二十九年度に発生した断水を伴う事故件数と断水の影響戸数について伺います。

○尾根田給水部長 平成二十九年度に発生した断水を伴う配水管の漏水や損傷の事故の件数は四十八件でございます。また、これらの事故による断水影響戸数は約千八百五十戸でございます。

○中村委員 今、実際の数値の方も公表していただきました。決まった指標を公表するというだけでは、都民全体から見て影響が少ないから問題ないといっているように聞こえてしまいます。実数は、これは存在しているわけですし、決まった指標を出すから実数を出していけないという決まりはないはずですから、たとえ都民全体の割合では少数でも、当事者にとっては極めて大きな事態です。きちんと公表して、場合によってはどういう原因で発生し、どう対策するかまで公表し、漏水事故の未然防止に努めていただきたいと思います。
 あえて数字にこだわって質問したのは、都全体としての割合は小さくても、そのお一人お一人、本当にひねったら出るのが当たり前という状況の中で、実際に断水すれば、その方にとってはやっぱり大きな影響があるわけですから、こういった一つ一つのことをしっかりと重く見て、今後もそういった断水がないような取り組みをしていただきたいと思います。
 次に、平常時ではなくて災害時の対応を伺います。
 全国各地で地震が起こるたびに断水が発生し、生活に大きな影響が出ている様子が報道されます。ガス、電気もとまると大変ですが、水がとまると深刻な影響が出ます。そのため、震災時にもできるだけ断水しないような対策が必要です。
 都では、水道管路の耐震継ぎ手化を進めているとは思いますが、どういう順番で耐震継ぎ手化をしているのでしょうか。災害の想定やネットワーク、危険度、老朽化度などをどう考慮しているのでしょうか。耐震継ぎ手化の目標は避難所などの重要施設について設定されていますが、全家庭一〇〇%達成はどういう計画になっているのでしょうか。
 そこで、水道管路の耐震継ぎ手化の考え方と今後の計画について伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 水道局では、強度にすぐれたダクタイル鋳鉄管への取りかえをほぼ完了しております。
 現在は、震災時の断水被害を効果的に低減するため、首都中枢機関、救急医療機関や避難所などの重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を重点的に推進しています。また、液状化の危険度や地震動に加え、水道管路の耐震継ぎ手化の進捗などを考慮し、被害が大きいと想定される地域においても耐震継ぎ手化を進めております。
 こうした取り組み状況を踏まえ、外部の有識者のご意見を伺いながら、今後の水道管路の耐震継ぎ手化の進め方について検討しているところでございます。

○中村委員 水道管は強度にすぐれたものへの取りかえがほぼ完了ということですので、一〇〇%に向けて引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 また、耐震継ぎ手化も順次行っているということですが、避難所や小中学校などの重要施設も大事ですが、一般の家庭でも一刻も早く断水しないよう対策が必要です。都の計画では、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を重点的に推進しており、その他についても今後検討するということのようですが、まだ時期も未定なようですので、早急に検討し、震災時も断水しないよう対応を急いでいただくことを求めます。
 一方で、震災等により断水が発生した際の対応も備えていくことが必要です。震災等が発生した際には、市や区や町が、都が設置した給水拠点や避難所などの災害給水ステーションにおいて応急給水を行うことになりますが、これを迅速に行うためには、市や区や町と地域住民が連携して対応することが重要です。災害時の応急給水の実効性を高めるためにも、水道局は応急給水訓練などを活用して積極的に支援すべきです。
 そこで、災害給水ステーションなどでの訓練について、市や区や町や、また町会などと協力しながら実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○小山サービス推進部長 震災等が発生した際に、区市町が地域住民などと連携して、災害時給水ステーションにおける応急給水を迅速に行えるようにするためには、応急給水訓練を通じた水道局の支援も重要というふうに認識いたしております。
 このため、当局では、区市町などの災害対応力を高めてもらうことを目的といたしまして、浄水場など当局所管施設の災害時給水ステーションにおいて、区市町や地域住民、学校などと連携した訓練を定期的に実施いたしております。
 訓練実施に当たっては、多くの方に参加していただけるよう積極的にPRを行っておりまして、平成二十九年度は百四回実施いたしまして、地域住民や学校生徒など約三千百名に参加をいただきました。また、内容も、残留塩素の検査や資器材の組み立てなど、実際の応急給水に即した実践的なものとなっております。
 引き続き、区市町が担う応急給水の実効性を高めるために、水道局としても、区市町や地域住民などと連携した訓練を通じて支援を行ってまいります。

○中村委員 災害時給水ステーションなどで定期的に訓練をしているということは理解はいたしましたが、そもそもこの災害時給水ステーションというのが、まだ地域に十分知られていないのではないかと思いますが、今後、どのようにこれをPRしていくのか伺います。

○小山サービス推進部長 災害時給水ステーションは、災害時に応急給水を行う場所であることから、この場所と機能を多くの方に知っていただくため、当局は、ホームページやツイッターなど多様な媒体により広くPRを行っているところでございます。
 また、QRコードを用いて災害時給水ステーションに関する情報を入手しやすくするなどの工夫も行っております。
 さらに、災害時給水ステーションの場所等を掲載したメモ帳など、PRグッズを作製いたしまして、地域のイベントや水道キャラバンなどで配布をいたしております。
 今後も引き続き、あらゆる機会を捉えまして、さまざまな手法によるPRを効果的に実施いたしてまいります。

○中村委員 いざというときに備えて、都がPRをしていただいているのはわかりましたが、それだけではなくて、先ほど数値もお答えいただきましたが、三千百人の方々が参加をしているという数字を多いと見るか少ないと見るかというのはあるんですけれども、もう少しこういった地元自治体や町会、自治会とも連携して、実際に集まって給水する訓練を行っていただきたいというふうに思っています。
 また、災害時給水ステーションが二キロメートルごとに配置をされているということですけれども、多摩地域の自治体から求めもあるんですが、地図上の直線距離が二キロであっても、山があったり谷があったりということで、実際には簡単に行けないところも多くあるということです。そういったところからは、さらに応急給水所の設置を求めるという意見がありますけれども、少なくとも現状の場所で実際に行ってみることが大切ですので、さらなる訓練の実施や広報や啓発を求めます。
 また、昨今、都内にも高層マンションがふえ、災害時に高層階での断水が心配されます。災害時に電気がとまり、エレベーターがとまると特に大変との報道もあります。非常用電源を備えた高級マンションばかりではないので、こうした集合住宅での対応が必要です。
 都では、直結給水方式を進めていますが、災害時に停電した場合、中高層階へポンプ設備より直結給水するマンションでは断水が想定されます。
 水道局は、直結給水を検討しているお客様に対して、こうしたリスクについてきちんと説明をしているのかどうか伺います。

○尾根田給水部長 マンション等の中高層階への給水方式は、一旦受水槽に貯留した水をポンプにより中高層階の高置水槽までくみ上げ、自然流下により給水する貯水槽水道方式と、配水管の圧力を有効に活用し、不足する圧力を増圧ポンプにより補う増圧直結給水方式があり、双方ともポンプ設備を使用しております。
 そのため、停電が発生した場合、貯水槽水道方式では高置水槽に水がなくなれば全戸で断水が生じます。一方、増圧直結給水方式では、ポンプにより給水している中高層階において断水が生じますが、低層階については配水管の圧力により給水を継続することが可能でございます。
 このように、貯水槽水道方式と増圧直結給水方式、それぞれにメリット、デメリットがございます。
 このため、お客様からの給水設備に関する新設、改造の申請や相談に対しましては、こうしたリスクに加え、衛生面や維持管理性を説明するとともに、増圧直結給水方式の場合には、一階の共用部等に直圧給水栓を必ず設置することなどを指導しております。

○中村委員 それぞれの給水方式の仕組みはわかりますが、それがゆえに起こり得る状況と対策まで含めて一緒に考える姿勢が大切かと思います。
 例えば、非常用電源の設置など、非常時の対応について啓発していくこともあってもよいかと思います。直結給水方式に切りかえたら水がとまったということにならないように対応を求めたいと思っています。
 さまざま質問の中で、断水への対応ということについて求めてまいりました。水が出れば当たり前という状況は普通は持っているので、そこへの対応をしていくことが必要です。
 通常時でしっかり断水ゼロにしていただくということがまず前提なんですが、仮に災害のときなどにおいても、基本的には、災害にも備えとして断水しないような対応をしていただきたいと思っているんですが、それでもどうしても断水してしまう場合に備えて、早期に復旧できる体制と、その復旧するまでの間の応急給水できるような体制もとっておくことが必要だと思っています。
 ことしは地震も多くて、いつ東京で起こるかわからないという状況でございますので、より一層のこういった災害への対応を含めて、断水への対応に取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○上田委員 まずは、水道局の真骨頂であります水道施設の維持管理の観点から尋ねたいと思います。
 高度浄水なんですが、私はちょうど江戸川を原水とする金町浄水場のところ、台東区上野で生まれまして、その後、荒川区日暮里で住み、そして江戸川区でお嫁に来て住んでいるということで、とにかく金町浄水の水質というのがカビ臭かったり、あるいはマンションに住んでいますと貯水槽を通してで、非常に評判が悪かったということで、舟坂委員からも質問がありましたとおり、平成四年で一期、平成八年で二期、平成二十五年で三期、全量が、高度浄水化が金町浄水場ができたということと、あと高度浄水化については、先ほど同じような質問で、同様の質問を舟坂委員にしていただいたので、こちらはちょっと飛ばさせていただきますが、とにかく満足度が二一%から五三%、不満が五一%から一三・一%というふうに上がって下がり、飲み比べてみると、水道水もペットボトルのああいった水と、本当にどちらもおいしいというのが六割近いということであります。
 私は、ウオーターサーバー不要論で、リフォームしてからも浄水器もつけていないんですね。ウオーターサーバーはやっぱり電源も確保しますから環境負荷がどうしても出てきてしまうので、やっぱり水道水を飲んでいただくということこそが環境負荷を下げていくことそのものになるというふうに考えております。
 そこで、水道局は、今後とも水道水が安全でおいしいことに加え、環境負荷が少ないことなど、そのよさをお客様に一層広く伝えて、その伝える取り組みを進めていくとのことでございますので、そちらの方の現状の取り組みと実績を伺いたいと思います。

○小山サービス推進部長 当局では、東京の水道水が安全でおいしいことに加えて、環境や経済面からもすぐれていることをPRいたしております。
 具体的には、まず、こうした水道水のメリットを伝える動画を作成いたしまして、JRなどの車内で放映するとともに、局ホームページや東京動画サイトに掲載をいたしております。
 また、品質の高さをお客様に体感していただく取り組みとして、水道水質モニターを募集しておりまして、毎年千人程度の方に、ご自宅の水道水質をみずから測定していただいているところでございます。
 さらに、各地のイベントにおいて、水道水とミネラルウオーターの飲み比べを実施いたしまして、水道水のおいしさを実感していただくなど、お客様へ東京の水道水の魅力を発信しているところでございます。

○上田委員 東京都の各局の中でも、下水道局が最も事業によって多量のエネルギーを消費しておりますが、水道局もかなり全局の中では多いところだと思います。引き続きましての環境負荷を下げるお取り組みと、そしてまた全体に水道水を飲むことで東京全体の環境負荷が下がる、水道水を飲もうということを推進していただきたいと思います。
 震災対策です。災害時給水ステーションについての現状の応急給水の整備状況と、それで足りているのかどうか、運用上の課題を伺いたいと思います。

○松丸総務部長 災害時給水ステーションにつきましては、おおむね半径二キロの距離に一カ所設置することとしておりまして、本年、総務局からの依頼により新設いたしました杉並区の都立善福寺川緑地のものを含め、浄水場などの局施設と合わせて二百十三カ所整備いたしております。
 この災害時給水ステーションが発災時に有効に活用されるためには、平常時から住民の方に災害時の給水ステーションの場所を認知してもらうことが重要であると考えております。
 このため、都区市町が実施する防災訓練、防災PRイベント及び当局のホームページ等を活用して、引き続き住民の方々などに災害時給水ステーションの場所の周知を図ってまいります。

○上田委員 あっても周知をされていなければ活用できないということで、引き続きお願いしたいと思います。
 また、今回、補正予算で電源の確保の方も上がってきているようでございます。震災時には電源確保、非常に重要でございまして、自家発電設備の増強及び一日平均配水量を維持する規模の自家発電設備の具体的な説明、何日、何時間もつのか、各浄水場の整備の状況などについての所見と課題を伺いたいと思います。

○横谷設備担当部長 当局では、東京水道施設整備マスタープランに基づき、平成三十三年度までに大規模停電時における給水確保率一〇〇%を達成できるよう自家用発電設備の増強を進めており、平成二十九年度末までに、浄水場や給水所等二十三施設で整備が完了し、現在の給水確保率は六九%となっております。
 発電設備の規模につきましては、浄水場は施設能力を一〇〇%発揮できるよう整備するとともに、給水所は一日平均配水量を維持する規模で整備しており、合わせて七十二時間の連続運転が可能な燃料タンクの設置を進めております。
 一方、限られた敷地面積や埋設物がふくそうしている中における大容量の燃料タンクの設置場所の確保が課題となっておりますが、施設のレイアウト変更や他の整備工事との調整を図ることなどにより設置スペースを確保し、計画の達成に向けて着実に整備を進めてまいります。

○上田委員 江戸川区は東部低地帯ですので、また水没等々の心配もありますので、そこも含めた計画の達成をお願いしたいと思います。
 事ほどかように、水はライフラインということでございますが、その源となります水道水源林でございます。生物多様性も環境局も含め東京都は取り組んでいらっしゃって、そして求められていることから、殊に環境施策には配慮をし、それぞれの局に相乗効果の出る森林管理の現在の取り組みを伺いたいと思います。

○青木浄水部長 水道局では、多摩川の安定した河川流量の確保と、小河内貯水池の保全を図るため、明治三十四年から百十年以上にわたり、約二万四千ヘクタールに及ぶ水道水源林を管理してきてございます。
 平成二十九年度は、約五百六十ヘクタールで間伐や枝打ちなどの森林保全作業を行い、このうち花粉の抑制につながる杉の保全作業を約四十ヘクタールで実施をしたところでございます。加えまして、樹木への食害対策の観点から、水道水源林内におきまして鹿の生息状況の調査を継続するとともに、鹿の侵入を防止する鹿柵を約四千メートル設置をいたしました。

○上田委員 花粉症対策ということで、それが長ずれば福祉保健局にもつながるでしょうし、産業労働局、建設局、環境局とともに一体となった森林保全、水道水源林を中心とした保全をお願いしたいと思います。
 その保全なんですが、高校生の奉仕体験活動を多摩川水源森林隊で受け入れるなど、学校教育と連携した森づくり活動にも取り組んでいます。登録者は、二〇ページの16の資料の方をごらんいただきますと伸び悩んでいるようですけれども、所見と課題を伺いたいと思います。

○青木浄水部長 当局では、多摩川上流域の荒廃した民有林をボランティアの手で再生いたします多摩川水源森林隊を平成十四年度に設立をいたしました。多摩川水源森林隊のボランティア登録者数は、平成二十九年度末時点で千二百八十三名となってございまして、五年前と比べまして二百三十五名増加をしてございます。
 一方、登録者の年齢構成を見ますと、若年層のボランティアが比較的少ないことから、引き続き高校や大学などと連携をいたしまして、学生の作業体験を積極的に受け入れることで活動への参加を促すこととしてございます。

○上田委員 実は私も登録しておるんですが、まだ一度も行けておらず、ぜひ行きたいと思っております。ひきこもりや不登校の子供たちって森に触れるとすごくいいというので、いずれそちらについても、教育委員会になるとは思うんですが、そういったところにも水道局の方からもぜひ呼びかけていただければと思います。
 また、こういったボランティアだけではなく、水道局職員の皆さんみずから水源の森づくりの大切さを理解し、大変さを学ぶための体験研修もしていらっしゃるということです。実績と成果を伺いたいと思います。

○金子職員部長 水道局では、平成十八年度から新規採用職員や転入、昇任した管理職員を対象に、水源林管理作業体験研修を継続して実施してございます。本年度は百三十三名が受講いたしました。
 この研修では、実際に水源林に赴き、水源の森づくりの大切さを学ぶとともに、枝落としなどの管理作業を実際に体験させることにより、職員が健全な水源林の育成と維持の重要性を認識するとともに水源林の適正な管理について学習し、水道事業への理解をより一層深めているところでございます。

○上田委員 事業の起承転結をすることは大変にいいことだと思います。また、多摩産材への理解も深まるのではないか、よい取り組みですので続けていただきたいと思います。
 資料のナンバー15、一九ページなんですけれども、平成二十五年には一千万平方メートル、七億五千万円という大きい敷地の購入がかないましたが、その後は資料のとおりの状況です。
 その後の取り組み、所見、課題を伺いたいと思います。

○青木浄水部長 平成二十二年度から、管理が不十分で所有者が手放す意向のございます民有林を公募により購入する事業を実施してきてございます。さらに、平成二十九年度からは、小河内貯水池への影響が特に懸念されるエリアを民有林重点購入地域と位置づけまして、土地の所有者に対しまして積極的に売却を働きかける事業を推進してございます。
 これらの取り組みによりまして、平成二十九年度末までで五十五件、約二千九十ヘクタールの民有林を購入したところでございます。
 しかし、重点購入地域には約一千百名の多数の土地の所有者がおりますことから、事業の趣旨などを丁寧にご説明を申し上げ、引き続き着実な購入につなげてまいります。

○上田委員 日本は有史以来、森に手を入れる里山ということをやってきたことが--まあ七割という、先進国でありながら森、山に囲まれるすばらしい国だと思います。荒廃林が自然環境を壊し、熊が里におりてきたりというようなこともあることから、これを水源林にすることで里山保全にもつながり、また水質保全にもつながるということで、積極的に、ここについては取り組んでいただきたいと思います。
 直結給水です。直結給水方式の採用や貯水槽水道からの切りかえ推進の進捗について、当初からこれまでの成果と課題を伺いたいと思います。資料の方は14、一八ページとなっております。

○尾根田給水部長 直結給水方式は、浄水場でつくった高品質な水を直接蛇口まで給水する方式で、貯水槽のメンテナンス等が不要となるなどのメリットがあり、当局では、直結給水の普及促進に取り組んでまいりました。これまで、増圧ポンプによる中高層階への直結給水方式を採用するなど適用を拡大してきた結果、現在は、ほとんどの新築建物で採用可能となっており、平成二十九年度末の直結給水率は七四%となっております。
 一方で、既存の建物では直結給水方式への切りかえが余り進んでいないことから、貯水槽水道点検の際に設置者に対し直結給水をPRするとともに、平成十九年度からは、切りかえに要する費用を無料で見積もりするサービスを実施するなどの支援策を展開しているところでございます。

○上田委員 これらの取り組みをされていたのでありますが、見積もりサービスですけれども、事業者さんが出しているにもかかわらず、オーナーさんに送ってしまうというトラブルが発生しました。事業者もお客様の一人であります。上から目線ではなく、TSS及び監理団体、報告団体の接遇改善をどう実現していくのか伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 監理団体及び報告団体は、当局が出資する団体として、事業者を含むお客様に対して丁寧な接遇が求められます。これは当然のことだと思います。ご質問の東京水道サービス株式会社ですけれども、新任社員や監督者等、職責に応じて実際の実例に基づいたロールプレーイングやグループ討議など、実践的な接遇研修を計画的に実施をしてまいりました。
 さらに、平成三十一年度からは、新たに全社員を対象とする接遇研修を実施し、より一層接遇に対する意識向上を図る予定でございます。

○上田委員 詳細については、要求資料の10、一四ページの方でも確認させていただいております。引き続いての徹底をよろしくお願いいたします。
 そしてまた一八ページ、14ですけれども、切りかえ件数が、二十九年度はなぜか激減しているようです。理由がわかれば伺いたいと思います。また、見積もりサービスの過去三年の実績と、サービスを通じ工事に至った件数を伺いたいと思います。

○尾根田給水部長 平成二十九年度に切りかえ件数が減少した理由の特定は困難でございますが、直結給水への切りかえ工事は、設置者みずからが判断し実施するものでございますことから、工事費用の負担や所有する給水設備の更新のタイミングなどの要因が考えられます。
 また、見積もりサービスの過去の三年間の実績でございますが、平成二十七年度は六百十六件、平成二十八年度は六百三十二件、平成二十九年度は四百四十件となっております。
 このうち、見積もりを行った実施店が工事を実施した件数でございますが、平成二十七年度は九十六件、平成二十八年度は七十六件、平成二十九年度は五十四件と把握しております。

○上田委員 その見積もり無料サービスなんですけれども、直結工事ができる指定業者の総数は五千八百九十八社、見積もりサービスの登録者は百十社とのことです。総数と登録者が桁違いに乖離している理由と、百十社以外の事業者へ登録への勧奨などを行っていないのか伺いたいと思います。

○尾根田給水部長 指定給水装置工事事業者は、法で定めた全国一律の基準に基づきまして、工事を適正に施行できると認められる者として水道事業者が指定しているものでございます。一方、見積もりサービスの実施店は、この指定給水装置工事事業者のうち、当局の直結給水化の取り組みに対し賛同をいただき、無償で協力していただける事業者を登録実施店リストに掲載しているものでございます。
 また、実施店の登録につきましては、業界団体を通じ随時募集を行っており、登録実施店リストとして四半期ごとに更新しております。

○上田委員 やっぱり先ほどの報告を見ると、無料見積もりしても一割、二割も実際の発注に至っていないとなれば、手間かかって、及び腰になるのかなと思われますが、そうであれば、あわせて、マンションオーナーや事業者がTSSを通さずに指定業者に直接アクセスできる情報提供の状況、乖離に関しての課題認識と所見も伺いたいと思います。

○尾根田給水部長 直結給水方式への切りかえを検討するお客様に対しましては、東京水道サービス株式会社に委託している給水管工事事務所の窓口のほか、水道局のホームページやパンフレットにおいて切りかえに向けた手続を案内しております。
 その中で、見積もりや工事については、当局に登録された見積もりサービス実施店以外の指定給水装置工事事業者においても実施可能であることをお客様に情報提供するほか、水道局ホームページで指定給水装置工事事業者の名称、所在地及び連絡先を記載した名簿を公開しております。
 また、本年十月末現在、登録されている実施店の数は百十社でございますが、おおむね都内全域に分散しており、見積もりサービスは円滑に実施できていると認識しております。

○上田委員 登録者、問い合わせがあれば、江戸川区内でどこみたいなのがあれば、無料のところもあれば、そうじゃないところも紹介してあげてください。
 次に、やっぱり稼げる自治体ということも大事だと思います。小水力発電、太陽光発電について、固定価格買い取り制度を活用した導入実績と結果の発電量と売電量について伺いたいと思います。

○横谷設備担当部長 当局におきましては、太陽光発電は七事業所で約三千キロワット、小水力発電は三事業所で約六百五十キロワット発電できる設備に対して、固定価格買い取り制度を活用し電力を売却しております。
 これらの発電設備では、平成二十九年度に約五百六十万キロワットアワーを発電し、その全量を売却することで約一億六千万円の収入を得ております。

○上田委員 一億六千万円、十年たてば十億です、ありがとうございます。
 国際展開です。東京都都市外交基本戦略を受けた小池都政となって、改めての水道局の位置づけ、方向性と所見を伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十六年度に策定されました東京都都市外交基本戦略におきまして、都は、大都市の課題解決に向け、水道を初めとする先進的な技術などを持つ分野において、貢献、協力を行う方針を示しております。水道局では、本戦略に基づき、引き続き都市外交の一環として、東京水道の技術力を活用した国際展開を推進しております。
 具体的には、東京水道国際展開プログラムを踏まえ、これまで培ってきた技術、ノウハウを提供する人材育成、途上国の水道事情を改善するための技術協力やインフラ整備、さらに、東京水道の先進的な取り組みなどの国内外への情報発信を三つの柱として取り組んでおります。
 今後も引き続き、途上国の水道事情改善を目的とする国際貢献を推進してまいります。

○上田委員 国際展開を進めるに当たりまして、さまざまな、産業労働局もどこか拠点を持っていたと思います。庁内二十二局で構成する東京都都市外交推進会議の場などにおいて、広く情報共有を行って連携を図っているとのことですが、具体的な実績、取り組み、縦割りになっていないのか、ちょっと気になっているので所見を伺いたいと思います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都都市外交推進会議では、各局の国際事業の取り組み実績等を取りまとめて共有しております。水道局も、訪日研修の受け入れ状況や国際貢献事業の取り組み状況等に合わせまして、本年九月に開催されましたIWA世界会議・展示会についても報告しております。
 今後も、東京都都市外交推進会議等を活用し、各局と広く情報を共有し、連携を図ってまいります。

○上田委員 水道局が国際展開する何よりの売りは、その技術だと思います。実習フィールドを活用した管の接合、漏水探知などの実務研修や技術継承の取り組みは、研修・開発センターが中心に行っております。監理団体、ほかの自治体や民間企業も当施設を利用して技術の向上を図っているとのことです。
 どのようなシナジー効果を期待しているのか、ナレッジバンク、具体的な成果、実績を踏まえた所見をいただきたいと思います。

○金子職員部長 当局では、水道界全体の技術継承を図るため、日本水道協会と連携し、研修・開発センターの実技フィールドを活用した研修の実施を支援するなど、他水道事業体や民間事業者の担い手となる水道技術者の技術力向上に貢献しております。また、監理団体の人材育成を支援するため、監理団体社員の局研修への受け入れや共同研修などに取り組んでいるところでございます。
 これらの取り組みにより、引き続き他水道事業体や民間事業者における水道技術者の人材育成に貢献していくとともに、局と監理団体が一体となった人材育成を進めてまいります。

○上田委員 まさに一子相伝というような技術だと思います。高い技術を持つ経験豊富な水道技術エキスパートが中心になってやっていらっしゃるということなので、その人数と、この職員が有する経験やノウハウをナレッジバンクにどう蓄積して見える化したか、いろいろな部署から相談を受けて対応した実績も問いたいと思います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 平成二十年に認定を開始した水道技術エキスパートは、現在七十名が認定されております。これらのエキスパートが有する漏水防止や震災対策、配管工事等の水道技術に関する豊富な経験やノウハウをわかりやすい動画に見える化し、ナレッジバンクに蓄積しております。
 各部署では、ナレッジバンクを活用するとともに、漏水事故対応、大規模工事の施工変更、他企業工事における水道管防護対策等の技術的な対応についてエキスパートに相談し、指導や助言を受けております。

○上田委員 そのナレッジバンクの状況を見える化させていただきましたのが、資料の17、二一ページでございます。一万件近い登録がある、これ本当にすばらしいことだと思うんですが、アクセスが月に六百十四というのは、ちょっと少ないのかなというふうに思われるんですが、ご説明をいただければと思います。

○金子職員部長 ナレッジバンクには、主に技術的業務に有用な情報を動画、研修資料、職員の報告、研究発表の成果などの形態にて蓄積しております。資料の登録件数は、本年十月三十一日現在、九千百五十二件ございます。また、このナレッジバンクのアクセス数は、平成二十九年度の月平均が六百十四人でございますが、これは水道局の平成二十九年度末現在の職員数三千七百二十九人の約一六%に相当するものでございまして、有効に活用されているものと認識しております。
 今後も、ナレッジバンクの活用について局内で周知を図ってまいります。

○上田委員 活用をよろしくお願いします。
 地下水です。防災対策における井戸水の活用状況を、ほかの委員も確認されていたようでございますので、適切な活用を求めたいと思います。
 次に、職員管理体制であります。12、資料の一六ページを見ていただければと思います。
 超過勤務が一般的に過労死ラインとされる月八十時間を超えるような状況が続く場合には、職員部労務課から各所属へ通知し、職員の申し出に応じて産業医の面接指導を実施することがガイドラインのはずですが、徹底できているのか確認したいと思います。
 というのは以前、月八十時間を超える超過勤務実績は、年間延べ百八十八人で、月平均で見ると十六人とのご答弁を得ているので、水道局におきまする長時間労働問題が改善されたか伺いたいと思います。

○金子職員部長 超過勤務時間が二カ月ないし六カ月の間におきまして、一カ月平均八十時間を超える職員など、長時間労働による面接指導の対象になった職員につきましては、当該職員とその所属長に通知を行い、面接指導を受けるよう促すこととしております。これにより、職員の申し出に応じた産業医の面接指導を実施し、長時間労働による健康障害の防止を徹底しているところでございます。
 ご質問にありました平成二十六年度における月八十時間を超える超過勤務を行った職員の数は、年間延べ百八十八人であったのに対しまして、平成二十九年度は百十人と、七十八人減少し、改善が図られたところでございます。

○上田委員 改善が図られてほっといたしました。また、どうしても残業があるということは仕事がきっと多いということで、欠員補充のことが気になります。
 非常勤を含む欠員補充の状況を伺いたいと思います。

○金子職員部長 各職場におけます年度途中に生じる欠員につきましては、局全体の人員状況を勘案し、可能な限り補充することとしております。今年度は、年度途中の退職などによる欠員五名について補充を行ったところでございます。

○上田委員 また、残業する職員に対しては、所属長が通知を行い面接指導を促している、その促していることに課長職級以上の残業については度外視されちゃっているのではないかなと非常に心配しております。
 課長級以上の残業、メンタルヘルスの管理についての状況と所見を伺いたいと思います。

○金子職員部長 課長級以上の管理職につきましては、労働基準法における管理監督者に該当することから労働時間の管理は行っておりません。しかし、課長級以上の職員につきましても、さまざまなメンタルヘルスの取り組みを実施しているところでございます。
 具体的には、専門機関によりますメンタルヘルス相談、巡回メンタルヘルス講習会、ストレスチェック、産業医による健康相談などを実施しております。こうしたメンタルヘルス対策に取り組むことにより、健康管理を促進しているところでございます。

○上田委員 あとは、女性職員の昇進試験など、アファーマティブアクションにつきましての取り組み、どのようになっているのか伺いたいと思います。

○金子職員部長 主任試験や管理職試験の有資格者につきましては、各所属長が定期的な面接の場で、受験を勧奨する取り組みを継続的に実施しております。
 その結果、管理職試験につきましては受験者数は横ばいでございますが、主任試験については増加している状況でございます。一方で、職員の中には、出産や育児等を理由として昇任に不安を感じている者もございます。
 そのため、平成二十九年度から女性特有のライフイベントによる働き方の変化に備え、女性職員自身が中長期のキャリア形成について考える機会とすることを目的とします女性活躍推進研修を実施しているところでございます。

○上田委員 よろしくお願いいたします。
 談合事案です。後日まとめてということでございますが、二十四年、二十六年でしたっけ、ずっと私、フィーチャーしておったところで、また残念な報道がありました。その報道前に、私は一七ページ、13の資料を取り寄せております。見ていただければと思います。
 まず、端的に事実確認です。浄水場排水処理施設運転管理業務委託では、通常入札参加できる、入札参加を付していると思いますが、それを確認させていただきたいと思います。

○青木浄水部長 浄水場排水処理施設運転管理作業委託は、東村山浄水場など七カ所の浄水場におきまして発注しております。希望申請要件は、都の競争入札参加有資格者名簿において、局に登録されまして、営業種目、浄水場、処理場、機械運転管理のAに格付されていること、取扱品目、浄水場排水処理、給水所等機械運転管理としてございます。
 また、東村山、金町、三郷及び朝霞の四つの大規模浄水場につきましては、過去十年以内に浄水処理能力日量十万立方メートル以上の浄水場における元請実績を有することとしてございます。

○上田委員 物品契約監視委員会は、業務委託契約についても機能しているのか、本庁及び多摩水道改革推進本部の部長級の十名が委員ということですが、これで公正、公明を担保できるのか、また、この委員会以外に適正に業務委託契約がなされていることを検証する取り組みをしているのか伺います。

○志村経理部長 水道局では、東京都水道局物品契約監視委員会を設置いたしまして、水道メーター、水道用工業薬品等の水道事業運営上有用な物品の購入契約のうち、大量かつ継続的に購入が見込まれるものを対象といたしまして、落札金額や入札参加者数の推移等の調査を行っております。しかし、業務委託契約につきましては、同委員会の調査の対象としてはございません。
 業務委託契約につきましては、委託契約、委託業務の所管部署における発注仕様の作成や委託料の積算、経理、契約所管部署における契約手続等の内部決定手続を通じまして、契約内容や形態等の適正性などについて常に検証をしてきてございます。

○上田委員 職員の異動期間はどのぐらいの期間なのか、長期在籍は問題ありと考えています。平成二十四年、二十六年、問題となった職員の在籍期間を伺います。

○金子職員部長 職員の異動基準でございますが、監督職につきましては、同一ポスト三年以上の在職者を異動の対象としております。また、一般職員につきましては、同一事業所五年以上の在職者を原則異動させるものとしてございます。
 お尋ねの平成二十四年に発生した事件の職員でございますが、事件発生時、同一部署に四年間所属しておりました。また、平成二十六年に発生した事件の職員三名でございますが、事件発生時、それぞれ同一部署に四年間、一年間、五年間所属しておりました。

○上田委員 汚職等非行防止強化月間として年二回、水道局は実施しています。具体的に何を強化していたのか伺いたいと思います。

○金子職員部長 二十六年の事件を受けまして、平成二十七年度から、汚職等非行防止月間を四月と九月の年二回に拡大しているところでございます。
 強化月間では、各職場の汚職等防止策などに関する職場討議や汚職等防止策の取り組み状況について、管理職みずからが確認する自己監察などを実施しております。
 平成二十九年度からは、コンプライアンス推進月間といたしまして、よりよい都政の実現といった観点を加えて実施しているところでございます。

○上田委員 監理団体、報告団体について伺いたいと思います。水道局でOBの採用をしている理由を問いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 当局の職員は、長年にわたり水道事業の現場で業務に従事し、さまざまな水道技術や実務的な知識、ノウハウを培ってきております。
 このため、浄水場の運転管理や水道料金の徴収など、事業運営上重要な業務を担う監理団体では、確かな技術力や知識、ノウハウを持った当局の退職者を即戦力として雇用していると聞いてございます。

○上田委員 それは理解できますが、特殊な水道技術も必要としないのに、新宿グリーンビル管理株式会社では、都のOBが常に登用されている理由を伺いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 新宿グリーンビル管理株式会社ですけれども、淀橋浄水場の跡地等を再開発するに当たり、新宿グリーンタワービルのメンテナンスを行うことを目的に、当時の地権者十一名が合同で出資をして設立された会社でございます。
 こうした経緯から、地権者との円滑な調整を行うため、当局の退職者を採用してきたと聞いておりますが、現在は、当局の退職者は在籍しておりません。

○上田委員 他局OBというのも何だか腑に落ちませんが。
 労働組合事務所でございます。資料にもありますけれども、適切な規模でなければならないというふうにされておりますけれども、過剰、不適当で判断された場合の対応についても伺いたいし、また、基本的な考え方を伺いたいと思います。

○志村経理部長 地方公営企業の労働組合は、地方公営企業等の労働関係に関する法律に基づき、労働条件の維持改善等を目的に職員が結成した団体でございます。
 局と労働組合における適法な交渉を通じて、適切な労使関係を維持することは、局事業の円滑な運営に資するものであり、労働組合法においても、労働組合に対する最小限の事務所の無償供与は認められてございます。
 このため、当局では労働組合からの使用申請に対しまして、労働組合の活動上、必要最小限で、かつ当局事業に支障がない範囲において事務所の使用を許可するとともに使用料を免除してございます。

○上田委員 賃料を取る予定は今後ないか伺います。

○志村経理部長 繰り返しで恐縮でございますが、労働組合法では、労働組合に対する最小限の事務所の無償供与は認められているところでございます。
 このため、労働組合からの使用申請に対しまして、労働組合の活動上、必要最小限であり、かつ局事業に支障がない範囲において使用を許可し、使用料を免除する考えでございます。

○上田委員 常に検証してください。
 最後です。入札について。一般競争入札、指名競争入札、随意契約について、過去三年の件数と構成比をご説明の上、所見を伺います。

○志村経理部長 水道局における過去三年の契約形態別の件数と構成比についてでございますが、平成二十七年度は、一般競争入札三百五十六件、七・二%、指名競争入札二千五百二件、五〇・七%、随意契約二千七十九件、四二・一%でございます。
 平成二十八年度は、一般競争入札が三百六十八件、八・四%、指名競争入札二千六十件、四七・〇%、随意契約一千九百五十三件、四四・六%でございます。
 平成二十九年度は、一般競争入札三百七十九件、八・五%、指名競争入札二千二百九件、四九・三%、随意契約一千八百九十三件、四二・二%でございます。
 水道局が締結する契約においては、法令の規定に従いまして、契約の目的や性質に照らして、案件ごとに適正な契約方法を選定して実施してございます。

○上田委員 二十四年、二十六年、そして今回の談合事案ということで、やはり随意契約のあり方等と、このパーセンテージも改めて検証していっていただきたいと思います。また報告の方をお待ちしております、談合事件については。
 私の質疑は以上になります。

○菅原委員 私からは、大きく二点です。一つは、テロ対策について、もう一つは、IWAがこのたび行われました、そのことについてということで伺いたいと思います。
 まずは、浄水場の話でございます。
 浄水場は水道の基幹施設の一つであります。水面が覆われていない施設に異物が混入されれば、浄水処理に影響を与えて、安定供給に支障が出る可能性もあります。東京都は、浄水場への異物混入防止対策として、浄水施設の覆蓋化--上を覆うっていうやつですね、覆蓋化を実施しております。この浄水場施設の覆蓋化の取り組みについて、まずは伺います。お願いいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 水道局では、浄水施設への異物混入対策として、浄水処理の最終工程でございます、ろ過池における覆蓋化を対策が必要な施設では全て完了しております。
 異物混入対策に万全を期すためには、浄水場内の水面が開放されている全ての施設を覆う必要がありますが、池の面積が大きい沈殿池などの覆蓋化は、柱や、はりの設置が必要であることから大規模な改造を伴い多額の経費を要します。このため、今後実施する浄水場の更新などに合わせ覆蓋化を進めてまいります。

○菅原委員 浄水場の覆蓋化は、浄水場の更新に合わせて実施していくということを確認させていただきました。
 しかし、東京都が保有する浄水場は大規模なものが多い。更新の完了には、長い期間がかかります。二〇二〇年東京大会を控えて、東京が世界中から注目を浴びる中、テロの危険性も一層高まっております。対策は喫緊の課題だと思います。
 覆蓋化が完成するまでの間、さまざまなアプローチによりリスクを低減することが大切だと思います。都民ファーストの会では、かねてからテロ対策の強化の必要性について提言をしてまいりました。
 改めて、浄水場におけるテロ対策について伺います。

○青木浄水部長 水道施設の中でも浄水場は、都民に安全でおいしい水を供給するための重要な基幹施設でございますことから、テロ対策に万全を期すため、さまざまな取り組みを実施してございます。
 具体的には、テロにつながる不審者の侵入防止対策として、警備員が写真つきの身分証明書等で本人確認を行うなど、厳格な入退場管理を実施するとともに、浄水場の外周部に、上部に忍び返しを備えました高さ二・五メートルの周囲柵と監視カメラを整備いたしております。
 あわせまして、警察と連携した訓練を行い、警察は死角や開放水面などの警備上のポイントを把握することで、広大な浄水場内でも速やかに必要な現場へ到着できるとともに、浄水場は、日ごろから警備の相談をするなど、万が一の際に迅速に対応できるよう取り組んでございます。
 さらに、不審者等を発見時に通報していただくなどのテロ対策パートナーシップ協定を浄水場周辺の自治会等と締結をいたしまして、地域住民の方に見守っていただくなど、ソフト面の取り組みを強化してございます。

○菅原委員 浄水場において、ハード、そしてソフトの両面からテロ対策に努めているということを確認いたしました。
 しかし、テロの危険は浄水場に限ったことではなくて、より上流域で発生するということも考えられます。特に、貯水池など水源から浄水場へとつながる河川において、その範囲が広範であることから警備が困難だと考えられます。
 そこで、河川において毒物混入が起きた場合の対応について伺います。お願いいたします。

○青木浄水部長 当局では、主要な水源河川におきまして、水質状況を定期的に把握するために水質検査を実施してございまして、通常の水質と比較することにより、毒物が購入したときなどに異常を早期に発見することが可能となってございます。こうした水質事故発生時に迅速かつ柔軟に対応するため、さまざまな水質検査機器等を備えました水質試験車を配備し、検査に必要な職員を出動させる体制を常に確保してございます。
 河川で魚が大量死するなど毒物の混入等が疑われる場合には、この水質試験車を現地に派遣し、その場で検査を行い、必要な情報を速やかに浄水場等に連絡をいたします。浄水場では、この情報に基づき、他水系の原水への切りかえや浄水処理の強化などの効果的な対応を迅速に行うこととしてございます。
 さらに、万が一、毒物が混入した原水が浄水場に到達した場合でも、魚の反応を利用した毒物検知水槽により異常を速やかに検知し、送水の停止などの適切な対応を行うことで、水道水の安全に万全を期してございます。

○菅原委員 ありがとうございます。浄水場だけではなくて、その上流域でテロが発生した場合の体制も整備される、二重三重、さらにその上に重ねて体制を整えているんだなということを、説明をいただきました。今後も、オリンピック・パラリンピックに向けて万全の体制を整えていただければと思います。
 IWA世界会議について伺います。
 IWA世界会議・展示会が九月に開催されました。私もその開会式に参加をさせていただきました。開会式では、皇太子同妃両殿下がご臨席をされて、関係省庁の大臣なども出席をされました。マスコミでも多く取り上げられるなど、会議は成功のうちに終了されたと伺っております。
 小池東京都知事も、三日間連続して会議に参加をされました。講演、またはおもてなしをされたというふうに伺いました。国内外に東京の水、東京水をアピールするとてもいい機会になったのではないかと思います。
 まずは、今回の具体的な開催実績について伺います。お願いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回のIWA世界会議・展示会には、九十八カ国から、前回開催されましたブリスベーン会議の参加者数の約二倍に相当する過去最高の九千八百十五名が参加いたしました。
 この会議では、国内外から口頭発表とポスター発表、合わせて九百八十五編の論文が発表されるなど、世界の水問題解決に向けた先進的な技術や取り組みなどについて活発な議論が行われました。
 また、展示会では、国内百十二団体を含む計二百五十二団体に上る企業、団体が出展し、最新の製品や技術等を積極的にPRいたしました。
 さらに、ユニークベニューとして都立清澄庭園を活用し、参加者の交流を図る東京ガーデンナイトを開催するなど、東京の魅力を世界に向けて発信いたしました。
 こうした取り組みの結果、会議全体を通して参加者からも高い評価をいただいたところであります。

○菅原委員 さきの第三定例会では、都民ファーストの会からのIWA世界会議の成果に関する質問に対して、知事から、最新の知見や技術の共有、また、人的ネットワークの構築などが行われて、東京のプレゼンス向上などに貢献したという答弁もいただきました。本日は、会議の成果を一過性のものとしないで、今後の水道事業の運営にどう生かしていくか、それを中心に質疑をいたします。
 今回の会議のメーンテーマはレジリエンスとサステーナビリティー、強靱性と持続可能性でした。災害時にも強い、強靱な水道を構築して、将来にわたって持続するために、水道局では、例えば、管路の耐震化、または二重化、またネットワーク化など、さまざまな取り組みを推進しております。今回の会議は、こうした取り組みを国内外に知っていただくための格好の機会ではなかったかと思います。
 IWAにおいて、水道局の取り組みをどのように発信したのか伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 世界会議は、東京水道がこれまで培ってきました技術やノウハウを国内外に効果的に発信する絶好の機会でございます。
 そこで、知事による基調講演では、都市における水循環を支える強靱かつ持続可能な上下水道の実現に向けた取り組みについて発信いたしますとともに、水道のスマートメーターに関する新たな取り組みを発表いたしました。
 また、災害対策と危機管理をテーマとしたフォーラムでは、災害リスクに対するソフト、ハード両面にわたる当局の取り組みについて紹介するとともに、巨大都市における水管理をテーマとするフォーラムでは、メガシティー東京を支える水道施設の整備や更新の考え方について講演を行いました。
 さらに、漏水防止や水質管理、環境対策など、当局のさまざまな取り組みを六十九本に及ぶ論文の発表、ワークショップ、展示会などを通じて積極的に発信いたしました。
 こうした発信に対し、国内外の参加者からは多くの質問が寄せられるなど、東京水道の技術には、世界各国の参加者から大きな関心と期待が寄せられていることを実感いたしました。

○菅原委員 ありがとうございます。フォーラムや分科会など、さまざまな場面で水道局の取り組みを発信されたということでございます。幾多の困難を乗り越えてきた東京、そして日本の経験は、水に関する諸問題の解決に向けた世界各国の参考になるのだと思います。
 一方、水道局からの発信だけではなくて、海外の最新の知見など、論文などを通して把握して、吸収、そして活用していくことも重要です。そのことが局事業の発展につながるのではないかと思います。
 今後、会議で得られた知見や技術をどのように局事業に生かしていくのかを伺います。お願いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国内外の先進的な取り組み、技術が盛り込まれた多数の論文や発表資料等を共有化し、局の資産として事業に活用することは会議の成果を生かす意味でも重要と考えております。
 今回の会議では、発表や意見交換を通じ、災害対策、水質管理、エネルギー効率化のほか、ICTなど多岐にわたる最新の知見や技術が共有され、当局の事業の参考になる内容も多数見受けられました。
 今後は、会議を通じて得られた論文や資料等の情報を分類、データベース化し、局内のネットワーク上に掲載することで、職員が容易に参照できる環境を整備し、局職員の技術力の向上を図るほか、新たな技術の導入など局の事業運営に積極的に活用してまいります。

○菅原委員 会議で得られた知見や技術を集積したデータベースをつくるんだと、そして、今後の事業運営に活用していくということでございました。
 データベースの構築に当たっては、単に情報を参照するのではなくて、より効果的な活用を考えていただきたいと思います。あわせて、最新の情報を継続的に収集し、その情報を最大限に生かしていくためには、会議で得られた人的なネットワークを活用していくことが重要だと考えられます。
 今回の会議で得られた人的ネットワーク、人のつながりをどのように局事業に生かしていくのか伺います。お願いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 海外の水分野の関係者とさまざまな情報をやりとりできる人的ネットワークの形成は、局の国際展開において非常に有用と考えております。
 そのため、会議期間中には、主に論文発表における質疑応答の場や展示会での事業説明などの交流を通じまして、人的ネットワークの形成と拡充を行ってまいりました。
 今後は、こうして構築いたしました人的ネットワークを先ほどのデータベースに蓄積することで、局の財産として共有化し、職員が円滑に海外とのコミュニケーションを行うことができる環境を整備してまいります。
 このように、人的ネットワークを最大限に活用することで、海外に向けた東京水道の技術、ノウハウの発信を強化していくとともに、海外からの情報を収集、分析し、局の事業運営に生かしてまいります。

○菅原委員 新たに構築された人的なネットワークを活用していただきたいと思います。そして、今後の国際展開の充実につなげていってほしいと思いました。
 IWAの会場では、水道局の皆さんが一生懸命働かれていた、動かれていたという印象です。ふだんの仕事とは違って、なれないこともたくさんあったと思います。大きな会議を局全体で成功させたという経験は、チーム水道局のチームワークを強くしたのではないかと思います。これは数字で示されるものではありません。しかし、大きな財産だと感じました。
 また、今回の会議は、水分野の専門家以外の方々に対しても、水の大切さなど、水に関心を持っていただくいい機会となりました。このため、開催国委員会が主体となって、一般の方々を対象とするサイドイベントを実施するとともに、局としても、可動式水飲み栓を設置して東京の水道水のPRを行うなど、さまざまな取り組みを展開してまいりました。
 こうした一般都民向けのイベントの実績を伺いたいと思います。そして、今後の展開についての見解も伺います。お願いいたします。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の世界会議は、水関係者だけでなく、広く一般の方々に対しても、安全でおいしい水を安定して供給する当局の取り組みや水の大切さなどに理解を深めていただく好機でございます。
 このため、開催国委員会によるサイドイベントとして、暮らしと水に関するシンポジウムや高校生によるワークショップ、大学生向けのセミナーなどを実施し、二日間で計六百七十一名の方々にご参加いただきました。
 また、安全でおいしい東京の水道水を体感していただくため、会場各所に可動型水飲み栓を設置したところ、約八千名の方々に試飲していただき、高い評価を得ることができました。
 加えまして、会議開催前には、東京水道のインフラ施設をめぐるツアーを、前年度より規模を拡大して実施し、当局のすぐれた技術やノウハウを実感していただきました。
 会議開催後も、こうしたサイドイベント等を通じて得た情報発信における経験やノウハウを生かし、東京水道の強みや魅力を発信することで、局事業に対するさらなる理解促進を図ってまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。まとめたいと思います。
 国内外から九千八百名もの参加者を集めて、IWAの世界会議は終わりました。冒頭にも述べましたが、大事なことは、会議で得られた成果を一過性のものとはせず、将来の水道事業に生かしていくことではないかと思います。
 今回の開催会場となった国際展示場に向かう途中に、デジタルサイネージによる広報がありました。職員の方がつくられたということも聞きましたので、少し紹介をしたいと思います。
 世界で飲み水を入手できない人はどのぐらいいるのか、答えは八・四億人、九人に一人が飲み水を入手できていない。
 二つ目は、地球上で水道の水源として利用できる水はどのくらいあるのか、答えは〇・〇一%しか使えない。
 三つ目は、世界で衛生的なトイレを使えない人はどのくらいいるのか、答えは二十三億人、三人に一人が衛生的なトイレを使えていないということでございました。
 これらの問題は、東京の問題ではないかもしれません。しかし、想像することや知ることで水に対する見方が変わってくるのではないかと思います。
 今回のIWAは、東京の水道事業のすばらしさを再認識するとともに、地球規模での水問題と向き合う機会となったのではないかと思います。答弁をいただいた点を含め、強靱で持続可能な水道を実現するために、局を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 終わります。

○宇田川委員 私からは、工業用水道事業について伺ってまいりたいと思います。
 先ほど、委員会の冒頭におきまして、局内の談合疑惑について、責任者である局長を初め出席された全員の皆さんが深く深く頭をお下げになりました。現在調査中とのことでありますが。
 一方、工業用水道の廃止については、責任の所在は明らかであります。にもかかわりませず、局長からは、現在に至るまでそういった言動は残念ながら一切ございません。
 十月二日、財政委員会における私の質疑の答弁で、武市財務局長は、じくじたる思いと発言をされています。じくじたるというのは、深く反省をしている、恥じ入っているという意味です。都の行政施策として開始をされ、都の一方的な判断により廃止される工業用水道、そのあおりを真正面から受けるユーザーの皆さんに対して、また、一般会計からの繰り入れは、もとより貴重な税収により賄われることを考えれば、都民の皆さんに対し誠意ある言動が必要だと、私はそう思います。説明責任を果たさなければならないとも思っています。
 中嶋水道局長、局長の思いのたけを、ご自身のお言葉でおっしゃっていただきたいと思います。

○中嶋水道局長 東京都の工業用水道事業は、さきの第三回の定例会におきまして、東京都工業用水道条例を廃止する等の条例案が可決されまして、平成三十四年度末をもって廃止をすることが決まりました。非常に重く受けとめております。
 これを受けまして、上水道への切りかえや料金差額補填などの利用者支援の実施、さらには配水管の撤去や安全対策など、事業の廃止に向けました取り組みを円滑に進めていくことが、工業用水道事業を預かる公営企業管理者としての今後の責務というふうに認識しております。
 また、上水道への切りかえに向けた利用者への説明を実施してございますけれども、この間、さまざまなご意見をいただいておりまして、廃止に向けた今後の取り組みに対しまして、ご不安やご心配の声も幾つか届いてございます。
 私どもとしましては、こうした声を真摯に受けとめまして、今後は、利用者の皆様にこれまで以上に寄り添いながら、とにかく丁寧に対応していくということを第一に、事業の廃止に伴う支援計画案を基本として、関係各局と連携いたしまして、また、水道局が先頭に立ちまして、支援策を具体化、充実させ、工業用水道事業の廃止に向けた取り組みを一つ一つ着実に進めてまいりたいと考えております。

○宇田川委員 支援策は、当然大事なことだと私も思っています。ご答弁のとおり寄り添っていただきたい、そうも思います。
 しかし、先ほど申し上げましたが、これは東京都の一方的な都合によりこうなったんです。そうなったからには、その前段階で局の姿勢をしっかり示すことが私は必要だと思います。今の局長の言葉に、私は誠意を感じることはできませんでした。残念でございます。
 では、次に、第三回定例会後の対応について伺ってまいります。
 十月五日に廃止条例の議決が行われました。それから既に一カ月半が経過をしているわけでございます。この間、局内の検討は、局を挙げて相当なスピードで進行していると私は期待をしております。
 項目ごとの進捗状況については後ほど伺ってまいりますので、まず、局内で行われた検討会の頻度、回数はどの程度なのかお答えをいただきたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 さきの第三回定例会において条例案が可決されたことに伴い、十月九日以降、関係省庁、関係団体等に事業の廃止を報告いたしました。また、利用者に、事業廃止の報告を行うための準備を行い、十月二十五日、利用者を訪問する職員向けの説明会を開催しております。
 こうした中、事業所管局として、利用者支援や配水管の撤去など事業廃止に向けた実務上の課題を整理し、着実に実行していく必要があることから、十月二十九日に、条例案可決後、最初の局内検討会を開催いたしました。十月五日以降の検討会の回数と開催回数としては一回ということになります。
 今後、この検討会において整理することが山積しておりますので、一つずつ方向性を定めるために、関係各部で連携して速やかに課題の整理を行っていく所存でございます。

○宇田川委員 お尋ねしたことだけお答えをいただければいいわけで、私は今、何回開催をされましたかって聞いただけでございますので、今後そういうふうに答弁をいただきたいと思います。
 局内では、正式には一回というようなこと、言葉を失います。その上で、関係局との会議も、ようやく先週一回目が開催されたということを聞いております。
 八月末に知事に報告をして一週間か十日の短期間、ユーザーの意見の取りまとめを行って、その上で素案から案に改定をして九月十二日の告示日に廃止条例を提出、この間の、我々からいわせれば実に拙速な、猛スピードの動きから考えれば、怠け者かと思うような緩慢さは一体何なんでしょうかね。
 なぜ一カ月半もほったらかしにしてきたのか、お答えをいただきたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 この廃止に伴い整理すべき事項が多岐にわたるということで、困難な課題も多く、極力、庁内検討会を早期に立ち上げようとして努力していたことは事実でございます。
 そういう中にあって、検討会、今度は、これは利用者等を支援するための検討会ということで、衣がえをするということで要綱改正をして、ようやく今、委員のご指摘のところの開催にこぎつけたというようなところになっております。

○宇田川委員 今のご答弁の中では、新しい検討会をつくって、その要綱をつくるだけのために三週間かけたという答弁なんですよ。私にはにわかに信じられません。
 ほったらかしているという言葉は余りきれいな言葉じゃございませんが、今のことだけじゃありません、わかりやすい例を挙げさせていただきます。皆さん、ご自身の局のホームページはごらんになるんでしょうかね。きょう委員会前にもう一度確認してきました。工業用水道の現状と課題というページがあります。ここにQAがあるんですね。
 なぜ事業の廃止などを含めた抜本的な経営改革の検討をしているのですか、Qですね。アンサーは、工業用水道事業の廃止などを含めた抜本的な経営改革について、関係各局で検討を進めています。いつ結論が出るんですか、現在検討を進めており、具体的な時期は未定です。事業を廃止する場合、工業用水はいつ供給停止になるんですか、現在検討を進めており、具体的な時期は未定です。事業を廃止する場合、支援策は考えているんですか、仮に、事業を廃止する場合のお客様への影響を考慮し、対応を検討していきます。こんなホームページがいまだに載っているんですよ。
 これ、先ほどいいましたけれども、この直前で私、確認をしました。担当の方、何かいいわけがありますか、あるならどうぞ発言をいただきたいと思いますけれども。ないようなら、いいわけもできないような状況だと。誰ひとり気にしていない、チェックもされていないということがよくわかりました。
 さて、本年七月に、相談窓口を開設したということでございます。連合審査会において浄水部長が答弁をされまして、九月末時点で二十社から問い合わせがあったとのことをお伺いいたしました。
 その後の来訪者と主な相談内容はどうなっているか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

○青木浄水部長 お話の相談窓口でございますが、九月二十八日以降、今月十九日までに、十七社から合計二十三件の問い合わせや要望が寄せられ、職員が直接伺うなど丁寧な対応を実施してございます。
 また、第三回定例会での条例可決以降は、上水道への切りかえ時期を知りたい、工事内容について早期に調整したいという要望が寄せられております。
 このような要望に対しまして、配管や受水タンクなど施設設備の状況を利用者と現地で確認するとともに、切りかえ工事に関する不安、要望を伺うなど丁寧に対応してございます。

○宇田川委員 ユーザーの皆さん、まだまだ現実どうなるかわからないという、想像もつかない部分が大変多いと思いますので、今のお話のとおり、ぜひ丁寧に対応していただいて、一人一人に寄り添った支援を続けていただきたいなということをお願いしておきます。
 一件ずつ、一件一件丁寧に訪問をし、相談を受けることになっていましたよね。事前の説明でもそう聞いておりますし、石井部長からもそういった趣旨の答弁が何度も明確にありました。全てのユーザーに訪問をされたのか否か--いいですか、お尋ねしているのはそれだけですから。答弁は、行ったのか行っていないのか、それだけ答えていただければ結構ですから、よろしくお願いします。

○青木浄水部長 お尋ねの十一月十九日まででございますが、雑用水利用者の官公庁を除きます三百十件のうち百九十七件を訪問してございますが、残りの百十三件のうち五十七件の利用者の皆様は、これまでの説明で内容は了解をしているとの理由によりまして、資料送付のみを希望されたため、関係資料を送付してございます。今後、資料……(宇田川委員「もう結構です。そんなこと聞いていませんよ」と呼ぶ)今後、資料を送付しました利用者を含めまして、百十三件の利用者に対しまして、十二月を目途に現地事務所の職員が足を運び、丁寧に対応してまいります。

○宇田川委員 私も限られた時間で質疑をやらせていただいているので、お尋ねしたことだけお答えいただくようにお願いをいたします。
 今の話を聞くと、全件に訪問はされていない。八割方、それ強ぐらいかなと、こんなふうに受けとめさせていただきました。直接顔を見て話もすることなく、膝詰めでなんておっしゃっていましたけれども、よく丁寧な対応と--私には理解ができません。
 いただいた資料の意見の取りまとめを見てみますと、九月十四日を最後にユーザー訪問がぴたっととまってしまったことがわかります。その後、十月三十日まで一月半、一切の訪問が行われていないようでございます。十月三十一日に訪問を開始、また再開をされたようでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、八月末から九月の前半にかけて必死になって訪問をされた時期、アリバイづくりとまではいいませんけれどもね、あのときと比べようもない緩慢な動きじゃないですか。これも一月半まるっきり何もしていない状態が続いたわけであります。訪問されていないところもあるのに、この間、なぜ一件も訪問しようとしなかったのか、私には理解できません。どうぞお答えをお願いしたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 委員ご指摘の、全くもってほったらかしていたのかということなんですが、毛頭そのつもりはないんですが、九月の中旬からは、まず都議会での、公営企業委員会含めて審議に向けた取り組みを行っておりました。
 条例が可決されたことで、十月九日以降動き出したんですけれども、お客様のところに次に行くときには、条例が可決されたことと、次のステージのお話をどういうふうにするのかなというところも含めて、また、現地事務所の開設のお話もありましたので、そういうことをふくそう的にやっていた結果として、十月三十一日からの利用者への説明になってしまったということでございます。

○宇田川委員 さまざまなことがあったから、事前調整をするために時間がとられたと、こういう話ですよね。そういう自爆のような発言はやめた方がいいと思いますよ、私は。
 では、なぜ、焦って三定で条例案を提出したんですか。我々自民党は、そうしたさまざまな準備ができていないからこそ反対したんじゃないですか。準備ができてから提案すべき、そういってきたんですよ。おかしいじゃないですか、明らかに。さまざまな相談内容を見ると、地下水揚水の希望がたくさん出ております。これ、きちんとユーザーに説明をされているのか、私は不安であります。
 ユーザーに示されている計画案を見ると、揚水は自由みたいなことが書いてあるんですよ。よく読むと違うんですけれどもね。そうとられかねない文章が記載されている、少なくとも私にはそう見える箇所があります。井戸設置の費用の支援のことまで書いてありますね。だからこそ、井戸設置の要望が今になっても多数来ているんですよ。揚水規制の話をきちっとなされていると私には思えない。丁寧に説明をしているのか、お答えをいただきたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 地下水のお話につきましては、全く使えないということではなくて、十立米までのお話というのも、これもありますので、その点については、しっかりご説明をしてきています。特に井戸から転換者の方、でもそれじゃ足りないよとかそういうこともあって、いろんなお話はあるんでしょうけれども、現場の方としては、そういったことで丁寧に説明するようにしてきているということで私は受け取っております。

○宇田川委員 皆さんがお取りまとめいただいた、一々見ませんけれども、この個別意見の欄を見ると、井戸水使っていいんだというような話で、じゃあぜひうちも井戸掘りたいと、こういう非常に素直なご意見が多数あるんですよ、ご存じですよね。(石井経営改革推進担当部長「はい」と呼ぶ)だとすれば、今、部長がいったとおりだと私は思えない。規制があることは私もよく知っていますよ。しかし、皆さんの意見はそうはなっていないんですね。
 さきの連合審査会において、我が党の小松委員から参考人に対しまして、きめ細やかな支援策とは一体どういうものなのか、こういう問いかけをいたしました。
 参考人の井手先生からは、経営について指導するといった、金額以外の支援がまさに手厚い支援策だとお答えになっていらっしゃいました。産業労働局商工部長からは、無料の相談窓口を設置し、きめ細かい支援を行うとの答弁があったところですが、産労に確認しましたが、まだ、この窓口は設置されていないということであります。
 井手先生のおっしゃった金額以外の支援、水道局はどのように考えているのか、具体的にどのようなものかをお聞かせください。

○石井経営改革推進担当部長 具体的には、産業労働局の商工部長からもお話があったんですけれども、中小企業の経営をサポートするという意味で、その経営の改善に向けた専門家の派遣ですとか、販路拡大につながる展示会の出展への支援ですとか、新技術の開発の後押しとか、そういった方面で協力ができないかというところが、金銭を伴うものではないのですが、経営支援策というふうに考えてございます。

○宇田川委員 部長、今の話聞くと、何か産労が中心になってやるような話に聞こえてならないんですけれども。
 今後、決めていくという話が今ありましたよね。今後っていつのことですか。ユーザー一件一件にこれ示していかなきゃいけないんですよ、早くやらなきゃいけない。いつまでに具体化して、ちゃんとユーザーにお示しするのかお答えください。これ大事な話ですよ。

○石井経営改革推進担当部長 なかなか水道局ひとりでできることではないものですから、今のような答弁になってしまっているんですが、関係各局のやっぱり連携、支援をかりないとできないものですので、極力早期にということしか、今、実際にお答えができません。

○宇田川委員 じゃあ、来年の四月一日の前か後かだけ答えてください。

○石井経営改革推進担当部長 ともかく早期に頑張りますということしか、今の時点では申し上げられません、済みません。

○宇田川委員 それは決まってないから、もっと落ちついてちゃんと議論して、四定なり一定なりでやりましょうって、私ずっとそういっていたじゃないですか。
 十月の公営企業委員会、私はそのときおりませんでしたが、このときに、事業を諦める中小企業については、円滑な廃業を進めるための支援を行っていくと、石井部長答弁がありました。円滑な廃業を進めるための支援、こういう言葉でありました。連合審査会では、産業労働局からは、他の地域へ転出することへのサポート等はしない、これも明確に答えがありました。当然のことだと思っております。
 ここでお伺いしますが、廃業補償のような支援をされるのか、そのときには今の産業労働局の答弁との整合性はどうされるのか、お答えをいただきたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 その産業のですね、廃業の補償ということで、金銭の補償は実施はいたしません。
 さきの連合審査会でも産業労働局の答弁があったんですけれども、仮に廃業せざるを得ない場合というところは、例えば、都の中小企業振興公社を通じて、専門家が会社の整理を円滑に進めるさまざまな手法を検討し、最も適切な進め方を助言するサポートを行うというようなこととか、そういったところで、今度立ち上がるその相談窓口のところで、そこは丁寧に聞いていくということになるかと思います。

○宇田川委員 今、立ち上がる窓口でということは、やっぱり産業労働局にやっていただくということなんでしょうかね。廃業補償はしないと冒頭でいわれましたが、私そのとき財政委員会に出席していましたので、後で議事録を読ませていただいただけであります。しかし議事録を読んだ限り、支援はしていくんだなという、解釈の話なのかもしれませんが、私はそう捉えております。
 今いったとおり、その場はわからないんですけれども、その場の雰囲気もそんなような状態だったのか、当時の状況、委員長、そのとき質問者でしたよね。どんな形でありました。

○川松委員長 条例の審査と、そこの補償に対しての審査の中で、石井部長から、廃業に対しても見ていくというような趣旨で皆捉えていたと思いますが、いかがでしょうか。

○宇田川委員 済みません、お手を煩わせました。
 私もそう思っているからこそ、今そういうのを聞いているわけであります。
 支援策の中で、もう一点確認をしていきますけれども、利用者の事業経営等への影響を最小限にとどめるということですね、これは大変重要なことだと思います。だからこそ、重要だからこそ、このフレーズ、連合審査会の答弁では二十一回繰り返されました。そのうち石井部長、十七回答えていますよ。一つの答弁で二回発言しているところもありました。
 今申し上げたとおり、このことは、工業用水道廃止において最も重要視しているからにほかならないと私は認識をしております。しかし、今の時点においても、この工水の廃止によって、残念ながら廃業せざるを得ないとおっしゃっている企業はまだまだあるんですよ、重大なことですよね。何をもって影響が最小限なのかな、疑問に感じざるを得ません。廃業に至らなければいけないことは瑣末なことなんですかね。
 一体どういうお考えなのか、お聞かせを願いたいと思います。

○石井経営改革推進担当部長 廃業に至るということについては、全く瑣末なことなどというふうには毛頭考えてございません。どういう理由で廃業になるのかというのは、また難しいところではあるんですけれども、いずれにしましても、お話をじっくり今後聞いていく、そういう中でご支援できることがあればということで、対応をしっかりととっていきたいというふうに考えています。

○宇田川委員 さっきも、今後っていつですかって聞きましたけれども、全ての今後について、いつまでですかとお尋ねをしたいと、そんな思いがあります。
 次に行きます。三定での委員会質疑の際に投げかけた個別の取り組み施策について伺ってまいりたいと思います。
 第三回定例会の常任委員会質疑の際に、公営企業委員会では、今、委員長ですが、当時、川松委員が、そして、財政委員会におきまして私が、それぞれの局へお尋ねをした点を改めて伺ってまいりたいと思います。
 まず最初ですが、再生水、河川水、雨水、こうした上水道以外の水の利用についてお尋ねをいたしました。その後、どのような検討がなされてきたのか、検討内容をお知らせください。

○石井経営改革推進担当部長 河川水につきましては、建設局に、要するに河川法に基づく規定や必要条件、そういったものを改めて確認を行っています。
 それから、下水の再生水、それから雨水についても、課題として関係局と確認をしているところでございます。
 河川水についてですが、今のところ、流下能力など公共的な機能の確保とか、利用目的における公共性などが求められるというようなところもありまして、なかなか課題が多いというようなことになっております。
 また、再生水についても、新たな配管をどうするのか、供給施設の整備をどうするのかといったことが多いというようなことになっているんですが、そういった課題が多いということを、庁内では今項目の整理をしているんですけれども、利用者と向き合う私ども水道局としては、支援策の中で、より多様な支援策を利用者に提示できるようにしたいというふうに考えておりますので、今現在ですけれども、庁内検討会などを通して、関係局には積極的にいろんな発案でできないだろうかということも一緒に考えてくれということで働きかけているところでございます。

○宇田川委員 前半、何をいっているのかよくわからないんですけれども、検討を開始した、意見を行った、これは一歩前進だったと思います。上水への切りかえ以外に選択肢を示すということは、ユーザーにとって非常に大事なことだと思います。いろんな条件、ハードルがあると思いますけれども、しかし、それを乗り越えてぜひ積極的にやっていただきたいと思いますが、そういう気概はございますか。

○石井経営改革推進担当部長 都庁内の中では、なるほど、やはりそうかなということで難しい課題というのは、本当にそれはいろいろあるんですけれども、一方で、我々公営企業というのは、常にお客様と向き合っています。
 なぜならば、事業の根幹には、お客様の水道料金、工業用水道料金というのがありまして、それで運営が成り立っているわけですから、お客様の声を代弁するといいますか、そういうものを……
   〔宇田川委員発言を求む〕

○宇田川委員 答弁になっていないです。私は積極的にやっていく気概はありますかと聞いたんです。

○石井経営改革推進担当部長 気概はあります。

○宇田川委員 ぜひよろしくお願いします。
 今の答弁のとおりだとすれば、一点確認があります。連合審査会での財務局長答弁ですが、予算議会には現行の支援計画案、これをそのまま出していくと財務局長はお答えになっています。しかし、今いった河川水等の利用もあり得るとなれば、当然、案は異なってまいりますよね。
 計画案を変更することがある、そういう認識でいいんですね。これ大変重要なので、局長に伺います。

○中嶋水道局長 三定でお示ししました支援策につきましては、基本的には、予算議会の方に、財務局長のいうとおり、そのまま出していきたいと考えておりますけれども、先ほどの河川水その他の周辺の支援策、これにつきましては、現在、庁内で検討しまして、また、それぞれユーザーの方をお回りしながら、どうしていくのかということを恐らく少し時間をかけながらやっていく話になると思いますので、これにつきましては、先ほど石井部長がいいましたように、積極的にやっていく気概が水道局ございますが、予算案に対します支援策につきましては、財務局のいうとおり、原案のまま出していきたいというふうに考えております。

○宇田川委員 何か気概があるとか、積極的であるとか、よくわからないな。
 時間がないので進めます。次に、有効活用の検討はどうなっているのか、このことについてお尋ねをしていきます。
 老朽化した配水管の中に新しい水道管を挿入して活用すると、こういった答弁がありました。それも含め、有効に活用する取り組みを具体的にお示しいただきたいと思います。

○尾根田給水部長 工業用水道配水管約三百四十三キロメートルのうち、都道高島通りや環七通り等の配水管約五十八キロメートルにつきまして、管の中に新しい水道管を挿入し、上水道事業に活用することとしております。
 また、他のライフライン事業者に対しましても同様に、工業用水道配水管の中に新しい管等を挿入することによる活用を働きかけておりまして、現在、江東区東砂等の配水管約五キロメートルにつきまして転用の調整を進めているところでございます。
 今後、年度末までに、国道、都道、区道の各道路管理者と転用区間等について協議を行い、平成三十一年度に転用、撤去の見通しを立て、引き続き検討を進めてまいります。

○宇田川委員 今の話、技術的に見てとか、費用対効果としてどうなのか、果たして有効活用なのかなという、私は専門家でないので純粋にお尋ねをしたいと思うんですが、技術的にしっかりと間違いなくできることであって、費用対効果も含めて有効なんだということ、これ技術担当にお答えいただきたいと思いますが、どなたか、技監、技術担当。

○田村技監 ただいま管の転用について給水部長が説明いたしましたが、費用対効果、そういったことも含めてしっかりと検討しているところでございます。

○宇田川委員 次は、施設売却の話について伺ってまいります。
 資産の有効活用として売却等を進めていくと、こういう話でありました。一体、土地は幾らで、建物は幾らで売れる見込みなんですかね。これは何を基準に算定をされるのか、売却益の見込みをお尋ねいたします。

○石井経営改革推進担当部長 まず、三園浄水場で水道事業と共有で使用している資産については、土地は適正な時価により設定した評価額で、また、その他の資産は、取得額から減価償却累計額を控除した残存価格で水道事業会計に有償移管する方向で今検討しております。具体的には、土地は約百十四億円、建物は約一億円、構築物は約四億円、機械及び装置は約二億円で、それぞれ有償移管を見込んでございます。
 このほかになりますが、旧南千住浄水場用地等の土地については、評価額より約二十八億円で第三者等への売却を検討しているところでございます。
 次に、配水管は、水道事業の管路などの他の用途への活用が可能なものについては、残存価格で有償移管することを検討しており、配水本管六十三キロメートル分で約二十九億円と試算しております。
 また、ダムの使用権などの無形固定資産につきましては、施設の建設にかかわる費用や事業廃止までの受益年数等をもとに、適正な売却額を約十四億円と試算しており、水道事業への移管を見込んでおります。
 こうした資産の有効活用により、合計の売却見込み額ですけれども、約百九十二億円と試算しております。

○宇田川委員 今の答弁の中でびっくりすることがあるんですけれども、配水本管六十三キロを二十九億円で有償移管とお話がありました。一キロ五千万円。老朽化が進んで、今にも破裂する可能性がある、ある意味ぼろぼろの、廃止の理由の一つにもなっている配管が二十九億円、幾ら残存価格だとはいったって、これ常軌を逸していますよ。
 続いて、清算会計についてお尋ねしてまいります。
 公営企業委員会でも話があったと思います。私は財政委員会でこの件を質問いたしました。日立市の例を参考にしつつ、特別会計の設置も含め検討を始める、こういう答弁でありました。しかし、財務局に確認をしたところ、日立市の工業用水道の利用者は何と十一件という規模だったそうであります。これが参考になるのか疑問でいっぱいです。お答えください。

○石井経営改革推進担当部長 確かに、十一件ということで事業規模は都に比べて小さいんですけれども、これも参考にしたというのは、やはり公営企業会計としての経理は都と変わらないということですので、事業廃止に伴う撤去工事の経理や事業廃止後の会計の引き継ぎ等、さまざまな事例の一つとして参考にしたということでございます。

○宇田川委員 全国で工業用水道を計画的に運営をし、努力している自治体は数多くあるんです。しかし、都と同じように廃止の道を今後歩むところも出てくるかもしれません。東京都の対応が全国のモデルケースになってしまうんですよ、これ。
 連合審査会で、参考人の井手先生からは、一般会計からの繰入金が年八億円、廃止のときに巨額な支援、それもこれも東京都だからできること、そうおっしゃいました。もっと早く抜本的な改革をすべきだった、こんな話もありました。
 恐らくなんですが、経済産業省からも支援策を含めた対応を東京都は聞かれていることではないかなと思っています。だからこそ、後処理も含めてしっかりとした取り組みを行わなければならないのであります。拙速な議論ばかりでは困るんです。こうしたことをわきまえての対処を望ませていただきます。
 水道局からいただいた資料によりますと、昭和三十五年の庁議において、工業用水道について、経営費並びに建設改良の企業債償還費に不足を生じるときは、一般会計負担とした記述がありました。いいですか、一般会計負担もあり得る。これ工業用水事業の開始前からこういう話があったということであります。
 昭和四十六年一月には、企業債の元利償還費と水源施設費用を一般会計から繰り入れをする。昭和四十六年十二月には、営業費用の不足分についても一般会計で措置する。昭和五十三年には、施設の維持管理費は全額使用者負担にすることが妥当としながらも、それ以降ずるずると一般会計からの繰り入れで賄ってきた。これ全部工業用水道の話であります。
 十月二日のこの委員会における川松委員の質問に対して、事業スタート当初からの修繕計画はわからない、確認できない、こういう答弁がありました。一般会計からの繰り入れ容認は、工水の事業開始前、今から約六十年近く前から脈々と引き継がれてきた、これが水道局です。計画性に疑問があることを繰り返し申し上げておきます。
 委員会に要求いたしました資料を眺めますと、そういったことがわかってきます。工業用水道事業の予算額、執行額を見ていくと、配水小管取りかえが平成二十五年度に執行率三%、翌平成二十六年度、一七六%、平成二十七、二十八年度がそれぞれ三〇%、四七%、翌二十九年度が一四八%、配水管等改造工事費は、執行率が同じく四%、二九%、〇%、一三〇%、〇%、こうなっています。
 三園浄水場設備改良工事の欄を見ますと、平成二十五年度が八千二百万円の予算計上に対し、執行額は五百三十万円弱の六・五%、二十六年度は六千三百万円の予算で執行は〇%。いいですか、六千三百万円の予算で〇%です。翌二十七年には予算計上ゼロなのに八百十万円の支出、翌二十八年度が九千六百万円の予算で一〇〇%、翌年も計上はなしと。私はこれを見たときに、計画性のかけらもないと。責任問われますよ。いかがですか。

○石井経営改革推進担当部長 これはいろいろな要因が考えられると思うんですけれども、共同溝の工事ですとか、再開発の工事なんかで、当初予定したものが延びたり、不要になったりということ、そういうこともあったと思いますが、その一方で、工業用水道事業会計、事業の存続の検討状況を踏まえて、配水管の取りかえ工事を実施してきたことから、残念ながら、その年度間においての不均衡というのも生じているのではないかなというふうに分析をしてございます。

○宇田川委員 さっきの繰り返しで申しわけないんですけれども、浄水場の設備改良工事は、繰り越したりとかそういう話はわかりますけれども、前年が予算計上されていて一円も使っていない状態で、翌年は予算計上しなかったんです。でも、八百万出している。翌年は予算執行していましたけれども、翌々年は計上していない。繰り越したとかそういう話じゃないと思いますよ。何で予算計上したんですかという話になっちゃいますよね。
 計画性を持って執行しましたというような答弁なのかどうか、私には理解できませんけれども、今指摘した数字を見て熟考していただいた上で、胸を張って計画性を持って実行してまいりました、こんなことがいえるのかなと思っています。こんなことでは、平成三十四年度末ですよ、要は工業用水道廃止に至るこの期限内にやるべき事業が完結できるのかな、そういう心配をしていっているんです。
 改めて伺います。計画性がしっかり立てられた局運営をすべきだと思います。局長、どうですか。

○中嶋水道局長 るるご質問いただきまして、これまでの条例可決後の対応が遅いんではないかというご指摘と、あと、今後の計画性がないのではないかというご指摘と二つ大きな点があったと思いますけれども、三定で条例を可決いただいた後、予算案で支援策を議決いただきましたら、新年度より、いろいろな対策を、予算を執行しながら実施していくという運びになりますので、今私どもは、その前段階の貴重な準備期間というふうに考えております。
 したがいまして、出足が遅いというご批判はございますが、今必死にユーザーの方も回り始めておりますし、また、関係各局とも調整を進めているところでございます。
 そういった中で、この四年間で切りかえ工事を終わりまして、その後も円滑に安全対策を施しながら上水道に移管していくという事業です。まさに、これから計画的に進めていく段階でございますので、その計画を緻密につくりながら、確実に実行できますように局を挙げて取り組んでまいります。

○宇田川委員 まず一言申し上げますが、私は、出足が遅いと批判なんかしていません。事実を申し上げている。
 次に、関係する団体等の調整についてお尋ねをしてまいります。
 国との調整はいかがなっているんでしょうか。経済産業省には議決したとの報告はもう既にされたと思いますが、その際に経産省からどのような話があったのかお尋ねいたします。

○石井経営改革推進担当部長 国との調整状況でございますが、廃止条例可決後の本年十月十日に、水道局と環境局の職員が経済産業省を訪問して、経済産業省及び環境省の職員に対しまして条例案が可決されたことを報告いたしました。あわせて、工業用水道の利用者に対して、都の支援計画の案を説明した際にいただいたさまざまなご意見についてもご説明を行っております。
 一方、国からは、支援計画の確定時期や切りかえ工事の際の利用者負担の範囲、対応が難しい利用者の状況及び今後の打ち合わせスケジュール等について確認があり、意見交換をしてきてございます。また、工業用水道事業を廃止した場合の工業用水法上の指定地域の取り扱いについても、整理すべき事項の一つとして、改めて国と認識を共有したということでございます。
 今後ですけれども、十二月に国を訪問して、現在行われている利用者訪問の状況をまた報告するとともに、工業用水道事業の廃止と工業用水法に関する都の解釈や、事業廃止時の届け出手続、また、国庫補助金の返還など、そういったことが、課題がございますので、都の考え方をまた提示をする予定でございます。

○宇田川委員 先ほども申し上げたんですが、国としては、東京都のケースをモデルケースと捉えようとするはずです。だからこそ、いろんな注文があることだとも思っています。なので、ぜひ確たる対応をしてほしいとお願いをしておきます。
 主には、今も答弁の中でお話があったんですが、環境省との関係になるんですが、お話の工業用水法による地域の指定、これは守られるか、この件、区部東部低地帯、きょう、委員にいっぱいいるんですけれども、かつて地盤沈下を経験した地域にとって大変重要な課題であります。間違いなく、必ず、絶対に、指定が外れないように対応いただきたいと考えます。いかがですか。

○石井経営改革推進担当部長 地域指定の要件を定める工業用水法と今回廃止することとなった工業用水道事業との関係につきましては、明文の規定はございません。このため、今後、国に都の法解釈を提示し、確認する予定でございます。
 水道局としての法解釈は、工業に用いる水道であれば、工業用水道事業における工業用水道に限らないと解されることから、上水道をもって、事業廃止後も地域指定を継続できるというふうに整理しており、この解釈で今、関係局とも調整中でございます。
 いずれにしましても、本年十二月には、国に対して都の法解釈を示して、工業用水道事業の廃止後においても地域指定を継続するよう調整を進めていきます。

○宇田川委員 ぜひ環境局ともしっかり連携をしていただいて、着実に調整ができることをお願いしたいと思います。
 工業用水道の水源は、利根川水系が約八四%、ほかが多摩川。利根川水系では毎秒〇・九八立米、日量八万四千六百七十二立米が廃止によって宙に浮いてしまうことになるんです。利用者は水利権に応じた負担を当然行っておりまして、水源となっている利根川水系渡良瀬川の草木ダム、この維持管理費は、廃止しようがしまいが払い続けなければならないことだと思っています。
 当然、この管理者である水資源機構ともやり取りをしているとは思いますが、どのように処理されるのか伺います。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 草木ダムにおける工業用水道の水源についてでございますが、水道水源として活用する方向で検討を行っております。これまで工業用水道の廃止について、国土交通省や独立行政法人水資源機構及び関係県に対して説明をしてきたところでございます。
 第二回定例会の知事所信表明後には、水利使用の許可権者であります国土交通省に対しては、水道水源としての水利使用許可について、また、草木ダムの管理者である水資源機構に対しては、ダム等の施設管理規程について、それぞれ意見交換を行いました。
 草木ダムを利用している関係県に対しましては、水道水源として活用する方向で検討している旨を説明しております。また、廃止条例案が可決されたことに伴いまして、国土交通省には、水道水源としての水利使用許可について、協議事項の確認を行っているところでございます。
 今後は、国以外の関係者に対しても水道水源の活用に向けた必要な手続について調整をしてまいります。

○宇田川委員 よろしくお願いいたします。
 次に、共同住宅の雑用水ユーザー対応についてお尋ねをしていきます。
 上水道への切りかえ工事の際には、各住戸その全てに入室をしなければなりません。先ほど三万五千を超える世帯だと、こういう話もありました。
 先週、都市整備局の担当課長と私、話をしましたが、通常の補修作業等においても、入室を拒否されるケースは、本当に数えるほどじゃないそうですよ。たくさんあるといわれて、この件について頭を抱えられていました。関係局の会議でもそうした発言があったはずです。まして今回は、この工事を行うことによって料金の負担の増加の可能性もあるわけです。だからいつもよりハードルが高い工事なわけで、なおさらのことであります。一体、誰の責任で入室の承諾を得ていくのかお尋ねします。

○青木浄水部長 賃貸住宅では、建物所有者の協力もいただきながら、水道局の責任におきまして、上水道への切りかえ工事や、施工の際の居室への立ち入りにつきまして、居住者に丁寧に説明を実施し、承諾をいただきたいと思っております。
 具体的には、十二月をめどに、工事方法等について建物所有者と協議を開始しまして、一月以降、協議が調った集合住宅から説明会を開催し、居住者に説明をいたします。また、分譲住宅につきましても、水道局の責任におきまして区分所有者やその代表者で組織される管理組合等と協議してまいります。

○宇田川委員 都住、つまりJKK、そしてUR、これ以外のいわゆる民間住宅に対してお尋ねしますが、上水への切りかえを余儀なくされることについて、きちっと話がついているのかお答えください。

○青木浄水部長 工業用水道を使用しております集合住宅でございますが、お話の都営住宅、東京都住宅供給公社等が経営する賃貸住宅のほかに、民間に分譲された集合住宅がございます。
 今月、賃貸住宅と同様に分譲住宅につきましても、各戸に工業用水道事業の廃止に関するお知らせを郵送いたしましたが、これに合わせ、要望に応じて管理組合の理事会での説明も実施してきてございます。
 来年度より上水道への切りかえ工事を実施するに当たっては、管理組合や管理組合から委託された管理会社と、十二月を目途に工事方法等につきまして協議を開始し、一月以降、調整が整った分譲住宅から説明会を開始いたしまして、区分所有者等に説明してまいります。

○宇田川委員 工水ユーザーの給水管の工事、今申し上げた各戸の切りかえ工事、かなりのボリュームになると思います。四年間で全て完了しなければならない。今年度中は一切手をつけないということですから、来年度予算執行が始まる四月当初、でも、四月当初からすぐに行われることもなかなか考えづらく、実質、三年から三年半の間に全てを完結させることになる、そんなスケジュール感だと思います。
 工事の施工業者の手配はどうされるか伺います。

○尾根田給水部長 工業用水及び一般雑用水利用者における工業用水道から上水道への切りかえ工事につきましては、当局の給水管工事を担う受注者で実施をしていくことを基本的に考えております。このため、来年度の契約発注に向け、工事実施規模や仕様書等について精査を進め、十二月末までに整理してまいります。
 また、官公庁やみずから発注を希望する利用者の切りかえにつきましては、利用者が選定した指定給水装置工事事業者により切りかえ工事を実施し、その工事費用を都が負担することを想定しており、今後、各利用者に対し、意向を確認してまいります。
 次に、集合住宅における居室内の切りかえ工事につきましては、当該施設の状況に精通し、日常管理を行う事業者がいることから、都の費用負担により、建物所有者等での実施を想定しており、今後、建物所有者や管理組合と工事の役割分担などにつきまして協議を進めてまいります。
 なお、分譲マンションにつきましては、水道局での施工を要望されることも想定されますことから、局による施工も含め調整してまいります。

○宇田川委員 この切りかえ工事、期限は平成三十五年三月末であります。それまでに一〇〇%完了させる必要があります。たとえわずか一件でも工事することができなければ配水をとめることはできません。しかも、これ強制することもできないと思います。そうならないように頑張りますという答弁をされるんでしょうけれども、努力ではなく結果が全てなんですよ。そのときの対応は考えておくべきだと私は思います。それだけハードルの高い作業だと思っています。ご見解を伺います。

○青木浄水部長 第三回定例会におきまして条例が可決されましたことから、今後、上水道への切りかえの詳細につきまして、利用者お一人お一人に理解をいただきながら、計画的に切りかえ工事を行うことで、事業の廃止に向けた取り組みを着実に進めることが重要と認識してございます。
 このため、工業用水利用者や官公庁を除く一般雑用水利用者につきまして、現地事務所の職員が一件ずつ訪問を行い、現地の状況を具体的に把握した上で、当面、来年度の切りかえ計画を立案し、施工に向けた協議を実施してまいります。
 また、集合住宅につきましても、賃貸住宅の建物所有者や分譲住宅の管理組合などと、施工の時期や方法等を定めた個々の集合住宅の切りかえ方針の決定に向けまして、十二月を目途に順次協議を開始し、一月以降、協議が調った集合住宅から利用者等への説明を開始いたします。
 来年四月以降、合意に達した利用者から速やかに施工を進めるとともに、進捗管理を徹底いたしまして、三十四年度末までの四年間で切りかえ工事を全て完了できるよう、全力で取り組んでまいります。

○宇田川委員 全力で取り組んでいっていただきたいんですが、さっきいったように、結果が問題でありまして、これも先ほど申し上げましたが、住戸内に立ち入ることを本当に嫌がる方というのは少ない数じゃないということなので、これ相当厳しいことになると思うので、本腰を入れてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 切りかえ工事に伴って、もう一点確認をさせていただきます。
 現状は、上水と工水二系統で配管がなされていて、配水もなされているという状態です。切りかえによって全てが上水になるわけでありますから、そうなると上水の使用量に当然雑用水使用量の分がオンされると、こういう話になると思います。
 共同住宅のほとんどは、まず、屋上か何かにある貯水槽を利用して供給されることが多いんですが、その容量、今使っている上水プラス雑用水分の必要とする貯水槽の容量、また、水圧、これについても足りるのかお伺いいたします。

○尾根田給水部長 工業用水及び一般雑用水利用者につきましては、工業用水道の受水タンクがある場合、その受水タンクや加圧ポンプを使用することにより、工業用水道から上水道への切りかえ後も水量、水圧を確保することができます。
 一方、受水タンクがない場合につきましては、受水タンクの容量や加圧ポンプの規格を選定することが必要なため、今後、現地事務所の職員が直接訪問し、工場等の使用水量や稼働時間など、必要な情報を年度末までに確認してまいります。
 また、集合住宅のうち都営住宅につきましては、当局において、工業用水道及び上水道の使用水量と上水道の受水タンク容量で確認したところ、上水道の既存給水設備を活用することで、切りかえ後においても水量、水圧が確保できると考えております。
 このことから、都営住宅以外の集合住宅につきましても、上水道の既存給水設備を活用することで、必要な水量、水圧を確保できると想定しておりますが、引き続き十二月末までに確認を進めてまいります。

○宇田川委員 水圧って大事な話でありまして、シャワーしていたら急に水になっちゃったとか、そういう話にかかわってきて、生活の根本の一つでありますから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ここで一点申し上げておきたいんですが、今さまざまな実施される工事について話をしてきました。そしてきょう、事務事業で、それぞれの委員の皆さんから、水道管の耐震化であるとか、直結給水化であるとか、私道内給水管の整備とか、配水管の取りかえ、漏水防止などの老朽化対策、こういった話、そして避難所の給水管耐震化などなど、従来からずっとやっている水道局の事業があるわけです。どれをとっても私は大事な事業だと思っています。なので、これをおろそかにしてはならないと思っています。
 今申し上げた、そしていろいろご答弁をいただいた中で、工業用水道廃止に伴う工事で、幾ら人手が必要だからといって、発注をそちらにシフトするようなことは絶対にやめていただきたい。今申し上げた、いろんな大事な水道局の事業をとめてはならないんです。よろしいですか。何か答弁ありますか。

○中嶋水道局長 もちろんご指摘のように、工業用水道事業も私ども廃止に向けて円滑に進めていくというのも非常に重要な事業でございますが、やはり上水道の事業、これを都民の皆様に安定的に供給していくということが根幹の事業でございますので、これをおろそかにすると、これは本末転倒ということになりますので、ご指摘のとおり水道事業の工事を円滑にできますように、こちらとしても運営してまいります。

○宇田川委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
 連合審査会における局長答弁について、改めてお尋ねをさせていただきます。
 支援計画として認めていただいた暁に支援計画として決定する、条例については、議決事項なので現在諮っている、中段がありますが、支援計画は報告事項だがお諮りしている、こう答えられました。私は、その言葉を聞いた時点では、まるで何をいっているか理解ができませんでした。その後、武市財務局長が助け船のように、予算審議の場で決定するとの答弁があり、一定の理解を得られました。
 しかし、財務局長は、その前段で、支援策は密接不可分、表裏一体ともいっているんです。なのに廃止だけ先行した。私のできの悪い頭では、これすとんとおりてこないんです。局長、申しわけないんですが、改めてご説明をいただければありがたいんですが。

○中嶋水道局長 条例の廃止と、それに伴いまして支援策をどうしていくのかというのは、これは密接不可分だということは、三定でも十分、こちらの方としてもご説明いたしましたし、議論させていただいたところでございます。
 ただ、支援策につきましては、ご指摘のように、三定では報告事項でございましたので、条例が可決された暁に、この第一回の定例会で予算案としてかけまして、これが議決されますと正式に支援計画として成立するということは、これはもちろんでございます。
 したがいまして、先ほども申し上げましたように、三定でご報告いたしました支援計画、これをベースに予算案として上程いたしまして、これをご議論の上で支援計画として決定していくということでございます。
 また、それができました暁には、支援計画の予算に基づきまして、私どもとしてこれまでいろいろユーザーの方にお話を伺ったり、また、関係各局と調整した上で計画を策定していくわけでございますが、これを着実に執行していくというような運びになろうかというふうに考えております。

○宇田川委員 すっきりとわかったとはいえないんですけれども、いろいろお尋ねをしてまいりましたが、まだまだ検討中の事項、課題は山積しております。廃止は決めたが、残念ながら中身は先送り、こういったものがございます。
 私は今現在も、なぜ第三回定例会でこの廃止条例案が提出されたのか、いまだに全く理解ができません。
 中嶋局長には、三定の告示日前に、大変お忙しい中にもかかわりませず、貴重なお時間をいただきまして、マンツーマンでお話をさせていただいたことがありますよね。あのとき、私はなぜ今回、廃止条例を急ぎ提出しなければいけないのかお尋ねをいたしました。あの時点では、支援計画も煮詰まっておりませんでした。今後のさまざまな対応、対処についても定まっていませんでした。今なお定まっていないことがたくさんあることも事実であります。
 しかし、局長からは、さまざまに積み上げを行ってきた、だからこそ提案をするんです、そういう言葉でしたよね、間違いありませんね。一体、何を積み上げてきたのか。局長からは、答弁の中でも、有識者の提言を受ければ一刻も早く決断すべき、こんな答弁もありました。しかし、その有識者からは、もっと早い段階で抜本的な改革をしておくべきであった、ずっと先送りにしてきた都の責任、しまいには都の怠慢とまでいわれてしまいました。
 長谷川副知事から案件説明があった際にも--これも第三回定例会に提出される案件説明が私のところに来たときです、条例提案は拙速だと私から申し上げましたが、副知事はやはり中嶋局長と同様に、積み上げは十分に行ってきたのでという、こういうお答えでありました。
 一体誰が、一体何を積み上げてこられたのですか。本当にあの時点での積み上げは十分だとお考えですか。何をもって十分だと判断されたのですか。廃止をするための積み上げが十分だったのですか。局長、お答えいただきたいと思います。

○中嶋水道局長 三定での議論の以前の話になりますけれども、有識者委員会から報告をいただきまして、それをベースにいたしまして、私どもユーザーの方々を個別に訪問いたしまして、また声を聞き、意見を伺いながら、その有識者委員会の報告の支援策をさらにバージョンアップといいますか、充実させましたものを、第三回の定例会で、報告事項ということでございますが、ご説明をさせていただいたわけでございます。
 そういった意味では、有識者委員会の中の議論を踏まえた上で、さらに、ユーザーの方々の意見を反映させて支援策として計画を立てましたので、そういった意味で、私ども積み上げてきたというふうに発言をさせていただいた次第でございます。
 また、三定でもそれぞれいろいろな議論がございまして、また今、条例可決後、私どもユーザーの方を一件一件これから回りまして、また、関係各局とも調整をしながら、さらにそれを具体化していく計画をつくりまして、予算案で一定で議決いただきましたら、それを四月以降執行していくというような段取りで考えておりますので、そういった意味で、これまでも積み上げてきましたし、これからも中身を詰めていくというようなことで私ども考えております。

○宇田川委員 一定の理解はしますけれども、今最後に、これからも詰めていくというお話をしましたよね、先ほど私伺いましたよね、支援策が変わって、それが提出されることはありますかと、いや、ありませんというお話があったじゃないですか。それをきちっと詰めて、ユーザーのためになるようなことをみんなで考えてよりよいものをつくって、一定に、予算に提出するのは当たり前のことじゃないですか。私はそう思います。
 支援策も依然として十分とはいえないんです。いまだユーザーの理解も得られていない状況があります。イバラの道は続きます。というより、これから始まるんですよ、イバラの道が。まだ議論は尽きていません。与えられた時間も少ないので、ぜひ今後も随時報告をしていただき、私どもも発言を繰り返させていただいて、ユーザーのためになる、そして都民のためになる、よりよい積み上げをぜひやっていただきたい、そのことをお願い申し上げます。

○河野委員 質問に入る前に申し述べます。
 先ほど水道局長から、都水道局発注の浄水場排水処理業務の談合疑惑で、公正取引委員会が立入調査に入った件について謝罪と報告がありました。もし談合が行われ、しかも都の職員がかかわっていたとしたら、都民の信頼を裏切る重大な問題です。議会でも事実を明らかにして、正すところは正す必要があります。
 私は、きょうの委員会で質問を予定しておりましたが、この件についてはできるだけ早い時期に、当委員会での質疑ができるように努力すると、その旨の局長のお話がありました。委員長の確認もされました。早期にこの件について委員会質疑の機会を設けられるように誠実に対応していただくことを求めておきます。
 質問に入ります。
 東京都水道局は、地方自治体である東京都が公営企業として運営しています。初めに、地方公営企業で働く自治体労働者の役割について、水道局はどのような認識をお持ちになっているかお聞きします。お答えいただきたいと思います。

○金子職員部長 地方公営企業法では、地方公営企業の基本原則について、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないと規定されております。そして、公営企業の職員は、この基本原則を理解した上で、その実現に努めなければならないものと認識しております。

○河野委員 地方自治法の第一条の二では、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとすると定めています。
 都水道局においても、ご答弁にありましたように、地方公営企業法に基づいて、公共の福祉の増進を進めることが本来の目的との認識で事業に取り組んでいるということでありました。ぜひこの点で努力をお願いしておきたいと思います。
 次に、憲法二十八条についてです。
 憲法二十八条には、労働者の団結権、団体交渉権、その他団体行動権が明記されています。勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障すると憲法に書いてあるわけです。この憲法二十八条によって労働組合法などの法律が定められています。働く人にとっては大事な法律であります。
 今回伺っておきたい質問の一つに、職員組合の事務所のことがあります。水道局は、職員事務所について、憲法や労働組合法に照らしてどのような見解をお持ちか、お答えをいただきたいと思います。

○志村経理部長 労働組合法におきましては、労働組合に対する最小限の事務所の無償供与が認められてございます。このため、水道局では、労働組合からの事務所の使用申請に対しましては、労働組合の活動上、必要最小限で、かつ当局事業に支障がない範囲において事務所の使用を許可してございます。

○河野委員 自治体労働者及び水道局を初めとした公営企業の労働組合は、先ほどの答弁にありましたように、公共の福祉の増進のために重要な役割を担っていると思っています。
 労働組合が果たしている役割については、水道局はどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○金子職員部長 公営企業の労働組合は、地方公営企業等の労働関係に関する法律に基づき、労働条件の維持向上を図る目的で結成された団体であります。局と労働組合における適法な交渉を通じて、適切な労使関係を維持することは、水道事業の円滑な運営にも資するものであると考えております。

○河野委員 私たちの見解になりますが、自治体労働者は、住民全体の福祉の増進に寄与する仕事に従事しています。地方公営企業に働く労働者も同じだと思います。労働組合は、答弁にありましたように、労働条件の維持向上など労働者の権利を守る活動をしています。同時に行政のチェック機関の役割も果たして、自治体の行政サービスをより質の高いものにして住民生活の向上に貢献している、この役割を果たしていることも重視されなくてはならないと思います。
 住民の福祉や健康の増進に寄与すべき地方自治体において、適切に組合事務所が供与されることは法律で認められており、必要なことであると考えています。今後も、住民の福祉と暮らしの向上に貢献されるように要望しておきます。
 次に、漏水の問題についてお聞きします。
 宅地内の地中配管や壁の中、壁中配管などの漏水の修繕に高額の費用がかかる問題についてお聞きします。
 一戸建て住宅で漏水が起きた場合、水道メーターまでは水道局の負担で修理工事をしてもらえますが、それ以外の壁面配管などの漏水については、修繕は自己負担です。漏水でかさんだ水道料金の負担も都民にとっては悩みの種の一つになっています。漏水管の修繕費用や水道料金の負担が重過ぎると困った都民から、私たちに相談が寄せられておりますので、実情を踏まえながら質問をしたいと思います。
 地中や壁面などの見えない箇所の配管からの漏水に気がつかず、水道局から料金請求があって初めて驚く家庭があります。また、トイレや台所、風呂場の設備が破損して水がとまらなくなって慌てて修繕を依頼するという場合もあります。いざ修繕となると、工事業者によって修理代が違い、その額は二十万、三十万、四十万ですとか、中には、私たちが伺った例では百五十万かかった例もあったということです。
 水道局、ご存じだと思うんですが、都内では水道工事業者が乱立しています。これ、ちょっと参考に持ってきました。皆さん、マグネットつきの、こういうの配られていますよね、ご存じだと思うんです。これ十七、八枚あるんですけれども、全部私の家の近くで配られていたもので、全部業者が違います。これは本当にすごい数なんですが、このマグネットつき宣伝シール、全部違う業者がこのような水漏れや詰まりを修理しますと各戸に宣伝をかけています。
 マンションとかアパートとか集合住宅は、管理組合や不動産会社が契約したり、間に入ってしてくれていますが、一戸建ての住宅の場合は、業者との直接交渉、契約、工事ということになります。
 寄せられている相談は、漏水の修繕費用が高額で支払いが困難という悩みです。
 そこで、まずお伺いしますが、昨年一年間の宅地内の漏水の認定件数とその水量はどうだったか、この点をお答えいただきたいと思います。

○小山サービス推進部長 平成二十九年度において宅地内漏水として認定した件数でございますが、約二万八千件となっております。また、漏水分として認めまして減量した水量は約二百十万立方メートルでございます。

○河野委員 昨年度一年間で約二万八千件、漏水認定件数があったというご答弁でした。この件数、考えてみますと、例えば、漏水があっても届け出ない例もあると思いますので、実際にカウントするともっと件数が多いのではないかと私たちは想像しています。
 では、メーター検針時に宅地内漏水を発見した場合は、水道局は、現在どのような対応をされておりますか。

○小山サービス推進部長 検針時に宅地内の漏水を発見した際は、お客様に声かけをいたしまして早急に修理していただくように依頼を行っております。その際、お客様に知り合いの工事事業者が存在しない場合は、東京都指定給水装置工事事業者の組合が運営するメンテナンスセンターをご案内いたしております。

○河野委員 水道工事店の組合が運営しているメンテナンスセンターは、都内で一カ所ということを聞いています。宅地内漏水の人がメンテナンスセンターに問い合わせた場合の対応はどのようになっているのか、その点もご説明ください。

○尾根田給水部長 お客様から問い合わせを受けたメンテナンスセンターは、漏水の状況を聞き取り、修理の内容や緊急性の有無などを把握いたします。その上で、メンテナンスセンターに登録している指定給水装置工事事業者のうち、漏水修理に伺うことができる最寄りの事業者を一社紹介いたしまして、その事業者からお客様へ連絡することをご案内しております。その後、事業者は、修理費等についてお客様から同意を得た上で漏水の調査や修理を行うこととなります。
 また、メンテナンスセンターでは、事業者から連絡を受けることに抵抗感があるお客様や、複数社の見積もりを希望するお客様に対しましては、漏水の修理を行うことができる都内の事業者一覧を案内しております。

○河野委員 漏水で困っている人が相談をすると、水道局が案内、紹介するメンテナンスセンター、ここと水道局はどのような連携があるのでしょうか。都民からの相談の内容や調査、修繕費用の問題、また、漏水発生を防ぐことなどについて、センターと東京都水道局は、情報の共有などはされておりますでしょうか。

○尾根田給水部長 メンテナンスセンターは民間が運営する修繕受付センターでございまして、お客様とは民間同士の関係であること、また、問い合わせ内容には個人情報等が含まれておりますことから局との情報交換は行っておりません。
 なお、当局では、お客様が漏水の修理ができる事業者を見つけられない場合などに対応するため、メンテナンスセンターの紹介に加えまして、都内の漏水の修理ができる事業者をホームページ等で案内しております。

○河野委員 メンテナンスセンターの存在は、都民にとっては漏水発見のときに相談に乗ってもらえる、そういう点ではとても助かる団体だと思います。
 一方で、水道工事の業者は、先ほどいいましたように、まさに乱立しています。こうしたシールが戸別配布で家に届きますが、どの業者を選べばよいか、都民はなかなか判断がつきません。
 また、センターに入っている事業者は、事業規模、技術水準、その上修繕費用などがまちまちというのも現状です。大体、このシールにある事業者がセンターに入っているかどうか、それを確認するのも難しいと思います。
 それはなぜなら、漏水という早急に対応が必要な状況で、都民はゆっくり情報収集をしたり、複数の事業者から見積もりをとるというような余裕は持てないからです。高齢世帯になれば、なおさらのことだと思います。
 この問題について、もう一点伺っておきたいと思います。
 漏水修理の工事費は家庭によって異なり、業者は相手を見ながら工事費を決めているのではないかとの声が寄せられているんです。漏水修理の工事費が高かった場合に、負担を軽くする、軽減するための対応を局がぜひ講じてほしいという声も私たちのところには寄せられておりますが、その点については、お考えはいかがでしょうか。

○尾根田給水部長 先ほどもお答えしたとおりで、繰り返しの答弁で恐縮でございますが、お客様とメンテナンスセンターは民間同士の関係でございまして、局が関与すべきではないと考えております。
 なお、メンテナンスセンターや、登録している指定給水装置工事事業者への苦情が局へ寄せられた場合には、メンテナンスセンターにその事実を確認した上で適切に処理するよう依頼をしているところでございます。

○河野委員 宅地内漏水の調査や修繕の実態を、東京都が本当に実態に基づいて正確に把握していただくこと、業界が適切な金額で修繕などの仕事をしているのかなどの検討をしていただくことが必要であるということを、私たちは都民から寄せられている相談を受けながら痛感しております。メンテナンスセンターとの定期的な情報共有、そして都民に対しての適切な情報提供について、今後検討されることをこの機会に求めておきたいと思います。
 次に、漏水によって高額になった水道料金について伺います。
 これも私どもに寄せられた相談の一例ですが、戸建て住宅の人が長期に家をあけている間に漏水が起きてしまいました。家に帰ってから、金額にして三十万を超える水道局の請求を見て驚き、何とか減額する方法、減額してもらえないかと相談がありました。こうした場合の水道料金の負担軽減はどのように行われているのでしょうか。
 また、本人が気づくことができない状態での漏水によるものは減額、その制度はあると思うんですけれども、基準についてはどのような定めがあるのか、わかりやすくご説明をいただきたいと思います。

○小山サービス推進部長 お客様が長期不在のときに漏水があった場合においても、原則として、東京都給水条例に基づきまして、メーターで計量された水量で料金を算定いたします。ただし、その漏水を修理した場合で、同条例第十八条に基づく善良な管理者の注意をもって給水装置を管理していたと認められる場合は、漏水量の全て、または一部を除いて、認定した水量により料金を算定いたしております。
 なお、特定のお客様の水道料金を減額することは、ほかのお客様との公平性や受益者負担の原則に反することにもなりかねないために慎重な判断が必要でございます。

○河野委員 今のご答弁で、善良な管理者が注意義務をもって給水装置を維持管理したと認められれば、全額または一部を除いて料金が算定されるというご説明で、減額とか、あるいは免除ということは、制度があるというのはわかりましたが、どこが基準なのか、善良な管理者の注意義務というのが何なのかという点では、なかなか一般の都民、水道使用者にとってはわかりづらいというものがあると思うんですね。漏水でどんな場合に減額してもらえるのか、それを決める使用水量の認定について、都民に理解できるような説明が、私は、まだまだ水道局が努力していただかなくてはならない、不足している問題があるんじゃないかと感じています。
 漏水で多額になった水道料金の減額や免除の基準を明確にして、都民への周知に努めるべきだと考えているんですけれども、この点についてはどんなご見解をお持ちでしょうか。

○小山サービス推進部長 当局では、検針時に宅地内の漏水を確認したり、あるいは漏水の疑いがあると認識した場合は、お客様に対してその旨と、それから漏水の認定に対する考え方を丁寧に説明してございます。
 しかしながら、漏水の認定は例外的な取り扱いでございまして、あらかじめ都民に周知することは、減額について誤解を招くおそれがあることから行ってはおりません。
 一方、漏水の認定に当たっては、漏水場所や不可抗力の有無など、個々の事情を確認した上で、東京都給水条例第十八条の、先ほど申し上げました注意義務に該当するかを判断しなければならないことから、一律の基準は適さないというふうに考えております。
 このため、引き続き、漏水のときはお客様に対して個々の事情等を丁寧に確認した上で認定を適切に行ってまいります。
 なお、漏水の未然防止あるいは発見方法、修理の依頼先については、当局のホームページやイベントにおいて配布するパンフレットなどにより、都民に広く周知を行っているところでございます。

○河野委員 私もこの質問をするに当たって、幾つか、漏水の疑いがありますというこのチラシとか、漏水修繕のお知らせとか、水道局が出しておられるものも見ましたし、それから東京水読本という、こういうものも配られているんだなというのも見ました。
 でも、今、私が質問しましたような宅地内漏水の問題とか修繕費の問題ですね、調査とか、それから水道料金の問題とか、なかなかこういうものを見ただけではわからないんですね。
 丁寧に確認等を行って周知に努力されているというお答えだったんですけれども、それでも高齢の方などは高額な料金請求書をもらって途方に暮れてしまって、家族の方が相談を受けて、そして水道局のホームページを見ても、またこれもよくわからない、どうしたらよいのかということで、私たちのところに相談が寄せられている、それも複数いただいているというのが現状です。
 宅地内漏水に関連して調査、修繕費用、そして水道料金の負担軽減について質問をしてきました。
 水道局は、これまでの対応を変える必要はないとしか判断できない答弁でありました。しかし、他の自治体の取り組みなども研究していただいて、漏水による高額な費用負担で実際に困っている都民がいることを認識し、検討していただきたいと思うんです。
 例えば、神奈川の川崎市では、メーターの下流で発生した漏水に、お客様が漏水の事実を容易に確認できないと認められるときなどは、水道料金を減額できるなどのわかりやすい基準を示しております。
 東京都水道局は、ホームページの活用を今、進めておられますけれども、高齢社会の中で、私も含めてですが、インターネットで情報を得ることが困難な都民は少なくありません。
 水道局ホームページから漏水の減額について具体的に調べてみました。けれども、局のホームページのよくある質問、ここには事情によっての減額というのは載せてありますが、これを見つけるのは難しい。そして水のトラブルのページには、わかることは、私にとってはわかる、理解できることは何も書いてありませんでした。
 比べて、埼玉県飯能市には、漏水した場合の減免制度について、ホームページに制度の趣旨、減免の要件が詳しく書かれて、申請書をプリントできるようになっています。市民が漏水で困ったときに、ここを見れば理解でき、安心の気持ちになると感じました。
 ぜひこれから実態を調査していただきまして、周知の仕方の工夫をしていただくこと、そして宅地内漏水の調査や修繕の問題、また、漏水で高くなった水道料金の負担軽減についてどのような方策がとれるのか、そうした検討を深めていただくように要望いたしまして、質問を終わります。
 以上です。

○成清委員 監理団体について伺います。
 水道局の監理団体には、現在、東京水道サービスとPUCの二社がございます。局ではこれらの監理団体を積極的に活用し、公共性の確保と効率性の発揮を両立させてきたと伺っております。局と監理団体によるグループとしての一体的な経営を適切に行うためには、局と監理団体が経営方針を共有するとともに、監理団体の経営目標設定と、局による評価を適切に行っていく必要がございます。
 まず、グループ経営における経営方針の徹底と経営評価についての取り組みについてお伺いします。

○石井経営改革推進担当部長 当局と監理団体が水道事業における基幹的業務を担っていくためには、グループ全体における課題や今後の方向性に関して、当局と監理団体が共通認識を持つ必要がございます。
 そのため、当局の局長及び監理団体の社長等を構成員としたグループ経営戦略会議などにより、グループ全体の理念や経営方針を監理団体に浸透させ、その徹底を図っているところでございます。
 また、監理団体の経営状況を的確に把握するとともに、監理団体の自律的経営を促進するため、毎年度、監理団体が設定した目標の達成状況を当局が適正に評価をし、結果を役員報酬へ反映させております。
 このような経営方針の徹底と経営評価により、グループが一体となって東京の水道事業を担う体制を構築してございます。

○成清委員 引き続き、経営方針の共有や経営目標の達成状況の評価をしっかりとやっていただきたいと思います。
 なお、グループ経営を推進するためには、グループレベルでの数値的な経営目標や、それをブレークダウンした各社ごとの経営目標を持つことが必要でございます。
 東京水道経営プラン二〇一六には、水道局単体での数値目標は示されておりますが、グループでの全体目標や監理団体ごとの数値目標は示されておりませんので、グループレベルと各社での数値目標の設定を要望しておきます。
 グループ経営を進める中では、各監理団体が主体的に経営改善を行うことも必要であり、それを担保するものの一つが社内の内部監査であると考えます。
 平成二十六年度の包括外部監査において、東京水道サービスは、内部監査の対象を限定することなく、入札全般や稟議決裁全般なども監査対象とすることを検討されたいと指摘されておりますが、東京水道サービスの内部監査の取り組み状況についてお伺いします。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社では、平成二十六年度の包括外部監査の指摘を受け、内部統制を強化するため、社長直轄の組織である監査室を設置しました。
 また、事務手続の妥当性や有効性を検証するため、稟議監査、契約監査を新たな検査項目として追加し、稟議文書や契約手続など、業務に関する意思決定経過が適切であることを確認しているとの報告を受けてございます。
 今後とも、監査室を中心に内部監査を充実させることにより、社内コンプライアンスを徹底するよう局としては注視をしていきたいというふうに思っています。

○成清委員 次に、障害者雇用についてお伺いします。
 平成三十年四月から法定雇用率が二・〇%から二・二%に引き上げられたものの、株式会社であるため行政機関より満たすべき雇用率は低くなっております。
 確認したところ、東京水道サービス、PUCともに平成二十九年度は障害者雇用納付金を支払っている状況とのことです。監理団体における障害者雇用についての現状と今後の取り組みを伺います。

○石井経営改革推進担当部長 監理団体が公共職業安定所に提出した障害者雇用状況報告書によりますと、本年六月一日現在の障害者雇用率は、東京水道サービス株式会社が二・〇四%、株式会社PUCは二・〇七%にとどまっておりました。
 こうした状況に対し、監理団体では、障害者雇用支援のコンサルティング会社を活用するなど、積極的に障害者の採用活動を進めており、株式会社PUCの本年十一月一日現在の障害者雇用率は、法定雇用率を上回る二・三六%となってございます。
 今後も監理団体において、引き続き障害者の採用活動を進めるとともに、障害者雇用促進法の趣旨を踏まえ、局としても情報提供や適切な指導監督を行ってまいりたいと思います。

○成清委員 障害者雇用促進法の趣旨と監理団体の公益性に鑑み、積極的にダイバーシティー社会の実現に貢献していただきたいと思います。
 東京水道サービス、PUC両社は、局と一体となって業務を実施する立場である監理団体のため、契約における一定の競争性の確保が必要です。監理団体の特定契約は、適切な契約相手方が特定の一者しかいない場合などに、監理団体が一者とのみ契約手続を行う契約です。この特定契約には、効率的な契約手続を可能にするとともに、信頼性の高い業者と契約ができるなどメリットがありますが、安易に利用すると競争性を損なうおそれがあります。
 平成二十六年度包括外部監査報告によると、平成二十五年度の特定契約の件数が、東京水道サービスは二百二十四件、PUCが六十二件でありました。その後の件数の推移を含め、監理団体における特定契約の契約状況について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 平成二十六年度包括外部監査におきまして、監理団体が特定契約の妥当性について指摘を受けたことを踏まえ、監理団体において特定契約に関するガイドラインやチェックリストを作成し、個々の契約を改めて精査いたしました。
 こうした取り組みにより、平成二十九年度の特定契約の契約数は、東京水道サービス株式会社が百四十件、株式会社PUCが五十一件となってございます。この契約数は、包括外部監査報告書に記載されている平成二十五年度実績と比較して、東京水道サービス株式会社では三八%、株式会社PUCでは一八%減少しております。
 今後も、競争性の確保に留意しながら個々の契約の特性に応じ、合理的な契約手法をとるよう、局として監理団体を指導監督していきたいと思っております。

○成清委員 今後も、競争性を確保しながら適切な契約手続をするよう、しっかりと指導していただきたいと思います。
 次に、事業別収支について伺います。
 水道局では、平成二十七年度から連結貸借対照表など、局と監理団体との一体的な財務情報を公開しております。監理団体において適切な経営管理をしていくためには、こうした取り組みに加え、純然たる局からの受託事業の収支とその他の自主事業の収支を分けて経理する事業別収支による原価管理を行う必要があります。また、一層の透明性向上のために、事業別収支を都民に向けて情報公開することも必要です。
 局からの受託事業と自主事業を分けて収支を把握し、その結果を経営に生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○石井経営改革推進担当部長 監理団体では、コスト管理を徹底する観点から、受託事業と自主事業のそれぞれに労務費や間接費を社員の従事時間に応じて割り振ることなどにより、事業別収支を算出してございます。また、経営の透明性を確保するため、平成二十九年度決算から監理団体のホームページで事業別収支を公開しています。
 今後も、事業別収支の内容を分析し、監理団体が行う事業に関する費用の抑制などの経営改善に取り組んでいくとともに、情報公開に努め、都民の理解をより一層得られる事業運営を実施してまいります。

○成清委員 監理団体が適正な経営を進めるため、事業ごとの正確な収支を管理するとともに、都民に対しわかりやすく情報公開していくことは重要です。引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、自主事業について取り上げたいと思います。
 自主事業は、株式会社としての柔軟性を発揮すべき分野でありますが、監理団体二社の自主事業の内容と売り上げに占める自主事業の割合についてお伺いします。

○石井経営改革推進担当部長 東京水道サービス株式会社の自主事業は、ミャンマーやベトナムにおけるODAを活用した無収水対策事業や、国内の水道事業体におけるコンサルティング業務などでございます。これらの事業の平成二十九年度の売り上げは約五億円であり、売上高の約三%を占めてございます。
 また、株式会社PUCの自主事業は、国内の事業体における人事給与システムなどのシステム開発、運用、改善や水道料金徴収業務などでございます。これらの事業の平成二十九年度の売り上げは約十三億円であり、売上高の約一一%を占めてございます。

○成清委員 自主事業が売り上げに占める割合は小さく、監理団体二社の経営は局に大きく依存している状況とのことですので、今後、自主事業を拡大し、より一層の利益の確保に努めていくべきであると考えます。
 そこで、今後の監理団体の自主事業の方向性について伺います。

○石井経営改革推進担当部長 監理団体は、当局とともに東京の水道事業の基幹的業務を担い、水道事業に関する技術、ノウハウを蓄積してまいりました。こうした技術、ノウハウを生かし、東京水道サービス株式会社ではコンサルティング業務、株式会社PUCは水道料金徴収業務などを自主事業として、国内の水道事業体から受託しております。
 今後は、監理団体がこうした取り組みを拡大し、国内の水道事業体のニーズに合った事業を展開してまいります。それにより、売り上げに占める自主事業の比率を高めるよう局として促し、監理団体の経営の自律性の向上を目指してまいりたいと思います。

○成清委員 本日は、監理団体に焦点を当て、適正な運営がなされているかについて質問させていただきました。課題はあるものの、局の指導監督のもと、透明性の確保などに取り組んでいるということですので、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、監理団体の将来ビジョンを考えると、水道局とともに東京の水道をしっかり支えてもらうというだけではなく、株式会社として強みを生かした自主事業を拡大し、経営の自律性を高めることで会社を発展させていくべきだと思います。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木委員 私からは、先日発表がありました水道スマートメーターの大規模な実証実験に関しまして、特に、将来的な一般普及に向けての課題と効果について質疑をさせていただきます。全体で五問ですので、もう少しだけおつき合いをいただければと思います。
 今回発表された実証実験では、都心や郊外など複数の地域にスマートメーター約十万個を設置する予定で平成三十七年をめどに始めるとされています。このスマートメーター事業は、今、検針員の人手によって行われている水道メーターの検針業務を自動化するというのが第一の意義でございます。
 そこで、初めに、現在の水道メーターの検針業務に係る年間経費についてお伺いをいたします。

○小山サービス推進部長 水道メーターの検針は、使用水量を計量いたしまして料金を算定するために行うものでございます。具体的には、検針員が直接現地に赴きまして、水道局が設置しているメーター約八百十二万個を対象に、原則二カ月に一回検針を行っております。
 この定期検針業務の平成二十九年度の経費でございますが、約六十三億円となっておりまして、検針受託業者の人件費が多くを占めております。

○鈴木委員 ただいまご答弁にもありましたように、年間六十三億円、そのうちほとんどが人件費とのことで、これを自動化することで代替できるのではないかと考えられます。
 また、水道メーターの検針業務は、料金徴収のための使用量測定とともに、先ほど河野理事の質疑の中にもございました、検針時における漏水の発見というのも重要な役割でございます。
 そこで、検針時における漏水の発見について、現状どのように行っているのか伺います。

○小山サービス推進部長 水道メーターの定期検針時におきまして、メーターの針が回転を続けている場合や、今回の使用水量が従前の水量と比較して大きく増加している場合には、漏水の可能性を発見することができます。こうした場合、お客様が在宅されている際には、漏水の可能性を直接説明するとともに修理をお願いすることといたしております。
 また、お客様が不在のときには、漏水の可能性がある旨の連絡メモを投函の上、メーターの針が回転しているかの確認と、それから当局への連絡をお願いしているところでございます。
 さらに、必要に応じまして、その後も検針員や局職員が再訪問するなど、きめ細かく対応を行っているところでございます。

○鈴木委員 現状の漏水発見もかなり丁寧に取り組んでいるという印象ですが、人手である以上、やはり原則二カ月に一回の頻度で行われておりまして、スマートメーター化によって、さらに早期に発見できる可能性が高いと考えられます。
 横浜市で行われたスマートメーターの実証実験の報告書を見てみたところ、スマートメーターを導入した場合、時間帯別の水道使用量を分析することで早期に漏水が発見できるという記載もありました。また、スマートメーターの導入によって正確な検針や料金の毎月徴収が可能になるとともに、データをパソコン、スマホなどで消費者に提示することができ、料金問い合わせに詳細な対応も可能となるなど、導入の意義は大きいということでした。加えて、今後の生産年齢人口の減少に伴いまして、将来的な検針員の不足も課題となると考えられ、自動化はもはや必然的な潮流ともいえます。
 このように、スマートメーターの導入には意義があります。一方で、スマートメーター導入における最大の課題は、やはりコストです。現時点では人手検針とコストを比較すると大きな差があります。
 そこで、水道のスマートメーター価格が高い要因と、都としてどのように今後コストダウンを図っていくのか伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国内におけます水道のスマートメーターは、現在のところ実証実験の段階にとどまっており、普及が進んでいないことから、結果としてメーターの価格が高くなっております。
 一方、スマートメーターの普及等に向け、現在当局も参画している公益財団法人水道技術研究センターのプロジェクトにおきまして、産官学一体となって導入にかかわる手順書の作成や要求要件の整理などの検討が進んでおります。
 さらに、当局では、将来的なスマートメーターの導入に向け、東京二〇二〇大会の選手村跡地である晴海五丁目地区における約六千個のモデル事業や、お話のIWA世界会議において知事が発表しました十万個規模のトライアルプロジェクトなど、大規模な実証実験を予定しております。
 こうしたさまざまな取り組みにより、国内の水道事業体にスマートメーターが普及し、市場価格が低下していくことを期待しております。

○鈴木委員 現状の水道メーターは一つ二千五百円ほどですが、スマートメーターは一万五千円近い値段でございます。最初のご答弁にもありました、仮に都営水道利用世帯の全戸、八百十二万戸でしょうか、水道局が設置しているメーターは八百十二万個というお話がございましたが、これ全戸に導入するとすれば、単純に計算すれば一千二百億円近い金額が必要になるという状況だと思います。しかも、メーターの入れかえは八年に一度行われているため、八年に一度、千二百億円近い金額を投じなければいけないということで、現状の価格では全戸導入はとても現実的ではありません。
 先行している電力のスマートメーター分野では、要求要件の整理と大量生産によってコストを半減させました。今回、都が発表した十万個という大規模な実証実験の意義はここにあると思いますので、ぜひ実証実験を契機に、スマートメーターのコスト削減に、都としてもさらに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、こうしたコスト削減を進めていったとしても、現行の検針業務をただ自動化するという意義だけでは、導入コストを最終的に超えられない可能性もあるのではないかと私は考えております。
 水道スマートメーターの一般的な普及に向けては、検針業務の代替機能以上の付加価値を考えていかなければなりません。例えば、スマートメーターによって高齢者の在宅確認や生活状況の把握もできるのではないかと聞いております。
 そこで、東京都が想定しているスマートメーターの見守りサービスについてお伺いいたします。

○小山サービス推進部長 お話がございましたとおり、スマートメーターを設置いたしますと、水道の使用状況を遠隔地でも把握することが可能となります。このため、例えば、ひとり暮らしの高齢者の水道使用状況について、離れた場所にいる親族などでも確認ができるようになります。
 そこで、当局では、従来からスマートメーターを活用した見守りサービスに関する調査研究も行っておりまして、平成二十六年九月から同二十八年一月にかけて実施いたしました通信事業者などとの共同研究においてアンケート調査を行ったところ、高齢者のほか、家族や子供の確認にも使用できたなどの回答がございました。
 今後は、この調査結果や他事業体の動向も参考にしながら、晴海五丁目地区におけるスマートメーター化モデル事業の中で、具体的な見守りサービスの内容についても検討を進めてまいります。

○鈴木委員 ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 また、水道スマートメーターを先行して導入したイギリスの報告書では、スマートメーターの導入によって利用者の節水意識が向上し、少なくとも実証実験の段階では、およそ一二%の節水効果があったという記述もございました。もちろん日本で同程度の効果が期待できるかどうかは検証が必要ですが、こうした二次的な効果についても、あわせて調査研究を進めていただきたいと思います。
 最後に、より長期的な視点でスマートメーターの活用の可能性を探っていきます。
 スマートメーターが導入されると、用途ごとの時間帯別、曜日別、地域別の水道の使用状況というビッグデータをリアルタイムに把握することができます。そこで、このデータを活用すれば、より精緻に水道需要の動向を捉えられ、将来予測の幅が広がる可能性があります。
 個人的にはスマートメーター導入の効果としてこの点に最も注目をしております。つまり、スマートメーターを単なる年間六十三億円の検針業務の代替として捉えるのではなく、ビッグデータを活用して、よりきめ細やかな需要予測を行い、その結果を施設更新時に活用すれば、償却資産にして二兆円以上の施設を有する水道事業にとって、このインパクトははるかに大きいのではないかと考えられるからです。
 そこで、現状は水道需要の将来予測をどのように行っているのか、具体的にお伺いをいたします。

○狩野建設部長特命担当部長兼務 水道需要の将来予測については、水の使用量の実績の傾向から将来の推計が可能な時系列傾向分析を用い、都の人口動向を考慮して、お客様が使用される一日平均使用水量の推計を行いまして、この一日平均使用水量に気温、天候及び曜日などのさまざまな要因による配水量の動向や、浄水場から配る過程で漏水等を考慮し、将来の水道需要として一日最大配水量を算出しております。

○鈴木委員 現在の水道の需要予測は、過去の使用水量の実績をもとに将来の人口動向も加味して算出しているということでした。
 私も、今回の質疑をつくるに当たりまして、水道の需要予測の計算式を調べさせていただいたんですけれども、この需要予測というのは非常に難しく、現行の計算は過去の需要に統計的に最も当てはまる関数を採用して、さまざまな要因を考慮して将来予測を行っております。
 都の人口はやがて減少局面に入り、水道施設を再構築する際には、需要に応じた施設規模の見直し、特に二〇四〇年以降は施設のダウンサイジングも視野に入れていく必要がございます。施設規模の見直しに当たっては、現行よりもさらに精緻かつ柔軟な予測方法が不可欠です。
 そして、そのときこそ、水道事業にとってスマートメーターの本当の価値が出てくるのかもしれません。人口などをもとに長期的なトレンドに基づいて行っている現在の予測方法と、スマートメーターから得られるビッグデータを融合させ、将来の需要予測へ活用できれば、非常に大きな意義があります。
 また、リアルタイムに得られる水需要の把握により、電力と同様に時間帯別料金体系の導入や瞬時に漏水が検知できるシステムの構築が実現できれば、都民サービスの向上や効率的な水運用が可能となるなど、より柔軟な事業運営のアイデアも出てきます。
 本日は、スマートメーターの一般普及に向けて  の課題と効果について質疑をさせていただきました。スマートメーターの実用化までに乗り越える課題が多いことは、本日の質疑で改めてわかりましたが、私はそれ以上に期待の大きな挑戦だと考えております。
 今回、都としてスマートメーターの大規模な実証実験に踏み出されたことは高く評価をしたいと思いますし、ぜひ、今後も導入コストの削減やビッグデータの活用など、継続して検討を行っていただくように求めまして、私の質疑を終わります。

○川松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時七分散会

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