公営企業委員会速記録第十二号

平成三十年十一月六日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長川松真一朗君
副委員長村松 一希君
副委員長中村ひろし君
理事加藤 雅之君
理事保坂まさひろ君
理事河野ゆりえ君
成清梨沙子君
鈴木 邦和君
舟坂ちかお君
斉藤まりこ君
上田 令子君
菅原 直志君
宇田川聡史君
長橋 桂一君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長山手  斉君
次長桃原慎一郎君
総務部長土岐 勝広君
職員部長渡邉 範久君
資産運用部長広瀬 健二君
電車部長相川  準君
自動車部長根木 義則君
車両電気部長奥津 佳之君
建設工務部長野崎 誠貴君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務牧野 和宏君
安全管理担当部長塩田 孝一君
鉄軌道事業戦略担当部長櫻庭 裕志君
バス事業経営改善担当部長坂田 直明君
技術調整担当部長野崎 慎一君
技術管理担当部長谷本 俊哉君
下水道局局長小山 哲司君
技監神山  守君
総務部長安藤  博君
職員部長白川  敦君
経理部長久我 英男君
計画調整部長池田 匡隆君
施設管理部長佐々木 健君
建設部長猪八重 勇君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鈴木  豊君
技術開発担当部長袰岩 滋之君
施設管理担当部長井上 佳昭君
流域下水道本部本部長中島 義成君
管理部長飯田 一哉君
技術部長小団扇 浩君

本日の会議に付した事件
交通局関係
事務事業について(質疑)
下水道局関係
事務事業について(質疑)

○川松委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局及び下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土岐総務部長 過日の委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要につきましてご説明申し上げます。
 目次を二枚おめくりいただきまして、一ページをお開きいただきたいと存じます。廃止、短縮、新設した都営バス路線でございます。
 廃止、新設した路線につきましては当該運行区間を、短縮した路線につきましては、新旧で比較してそれぞれ過去五年間分を記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。都営バス停留所における上屋、ベンチの設置状況でございます。
 総停留所数と上屋、ベンチを設置しております停留所数を記載してございます。
 次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホームドア設置状況及び転落件数でございます。
 ホームドアにつきましては設置路線及び設置率を、転落件数につきましては路線別に過去五年間分を記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホーム端の点状ブロックの内方線の整備状況でございます。
 点状ブロックの内方線を設置しております浅草線及び新宿線につきまして、設置駅数と交通局が管理する駅数をそれぞれ記載してございます。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄においてホームから地上までのエレベーターによるバリアフリールートが複数ある駅でございます。
 都営地下鉄において該当いたします駅数及び駅名を路線別に記載してございます。
 次に、六ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄における誰でもトイレへの大型ベッドの設置状況でございます。
 誰でもトイレへの大型ベッドの設置駅数及び設置箇所数を記載してございます。
 次に、七ページをお開きいただきたいと存じます。エレベーターのない出入り口へのインターホンの設置状況でございます。
 該当のインターホンの設置箇所数を記載してございます。
 次に、八ページをお開きいただきたいと存じます。都営交通の車両、ホーム、駅窓口等への磁気ループの設置状況でございます。
 磁気ループの設置状況につきまして記載してございます。
 次に、九ページをお開きいただきたいと存じます。都営バスの交通事故発生件数でございます。
 交通事故件数につきまして、過去五年間分を記載してございます。
 次に、一〇ページをお開きいただきたいと存じます。監理団体及び報告団体の職員構成でございます。
 職員構成につきまして、都派遣職員、固有職員及び都退職者別に過去五年間分を記載してございます。
 次に、一一ページをお開きいただきたいと存じます。交通局所管施設における労働組合事務室の場所、面積、賃料及び光熱水費等徴収一覧でございます。
 当局所管施設におきます労働組合事務室の場所、面積並びに賃料及び光熱水費等の徴収実績につきまして記載してございます。
 次に、一二ページをお開きいただきたいと存じます。ToKoPoの事業開始以降の実績と利用状況でございます。
 年度別の会員数、付与ポイント及び変換ポイントにつきまして記載してございます。
 次に、一三ページをお開きいただきたいと存じます。広告料収入の実績でございます。
 媒体種類別の広告料収入につきまして、過去五年間分を記載してございます。
 次に、一四ページをお開きいただきたいと存じます。不動産貸付の収支でございます。
 当局が所有する土地及び建物の貸し付けにつきまして、収入と支出それぞれ過去五年間分を記載してございます。
 次に、一五ページをお開きいただきたいと存じます。交通局お忘れ物センターで取り扱った遺失物の件数でございます。
 遺失物の取扱件数と返還件数につきまして、過去五年間分を記載してございます。
 次に、一六ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるバリアフリー化及びホームドアの整備進捗状況でございます。
 バリアフリー整備進捗状況につきましては乗りかえ駅等でのエレベーター整備実績とトイレの改修実績を、ホームドアの整備進捗状況につきましては路線別の整備駅数をそれぞれ記載してございます。
 次に、一七ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄における痴漢等犯罪行為の対応件数と防犯カメラ映像の警察への提供件数及び警察との連携実績でございます。
 痴漢等犯罪行為の対応件数、映像の警察への提供件数及び警察との合同訓練の件数につきまして、過去三年間分を記載してございます。
 次に、一八ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄における帰宅困難者用備蓄品でございます。
 帰宅困難者用備蓄品につきまして、品目と数量を記載してございます。
 次に、一九ページをお開きいただきたいと存じます。深夜バスの利用状況でございます。
 当局が運行する深夜バス路線につきまして、既に運行終了した路線も含め、系統番号、運行期間、運行区間及び過去五年間分の一日当たりの乗車人員を年度別に記載してございます。
 次に、二〇ページをお開きいただきたいと存じます。さまざまなニーズに対応したバス路線の利用状況でございます。
 当局が運行するさまざまなニーズに対応したバス路線につきまして、系統番号、運行期間、運行区間及び過去五年間分の一日当たりの乗車人員を年度別に記載してございます。
 次に、二一ページをお開きいただきたいと存じます。都での使用期間を終了したバス車両の再利用についてでございます。
 使用を終了したバス車両の売却方法及び売却先実績につきまして記載してございます。
 次に、二二ページをお開きいただきたいと存じます。電気事業における事業者公募から東京電力との解決金を含め新電力への売却の成果でございます。
 東京電力株式会社との随意契約締結時から平成二十九年度までの経常利益等と売電単価につきまして、年度別に記載してございます。
 次に、二三ページをお開きいただきたいと存じます。サービス介助士の資格取得状況事業別推移でございます。
 サービス介助士の資格取得状況につきまして、事業別に過去三年間分を記載してございます。
 最後に、二四ページをお開きいただきたいと存じます。お客様の声の件数と主な内容でございます。
 当局事業に関してお客様からいただきましたご意見等につきまして、件数と主な内容を記載してございます。
 以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○保坂委員 私からは、まず交通局全般について質問をさせていただき、その後、各事業について質問をさせていただきたいと思います。
 交通局の昨年二十九年度決算では、自動車事業である都バスの乗車人員増による増益や軌道事業の都電荒川線、さくらトラムも黒字化を達成されたこともあり、経常損益も二十八年度の三百二十六億円を上回り三百五十億円を超えました。また、職員一人一人による不断のコスト削減はもちろん、生産性向上のための取り組みが実を結んでいるということも評価するところであります。
 経営が安定軌道に乗りつつある今だからこそ、公営企業経営の基本原則としての経済性と公共性をともに高めていくために、交通局の企業イメージを強化していくことも重要であると考えます。
 そこで、交通局の企業イメージを向上させるために、より積極的な取り組みが必要であると考えますが、交通局の見解を伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お客様に都営交通をより安心してご利用いただくとともに一層親しみを感じていただく上で、都営交通の取り組みをお客様に知っていただき、企業イメージの向上を図ることは非常に重要であると認識しております。
 そこで、交通局では、統一的なコンセプトのもと、日々の地道な仕事から先進的な施策まで、局のさまざまな取り組みを発信するプロジェクトといたしまして、PROJECT TOEIを平成二十八年八月から開始いたしました。
 具体的には、ホーム上の安全対策であるホームドア整備や、ふだんお客様の目に触れない夜間の地下鉄レール交換、水素社会の実現に資する燃料電池バスの導入など、交通局の取り組みを紹介するポスターや動画を作成し、車内液晶モニターや特設ウエブサイト、動画共有サービス、ユーチューブなどを活用して発信しております。さらに、本年六月の浅草線新型車両の導入に際して、歌舞伎役者を起用して作成したPR動画につきましては、テレビ番組でも紹介されたところでございます。
 今後とも、当局の保有媒体を初めさまざまなメディアの活用を通じて、都営交通の取り組みを積極的に発信することで、局事業への理解の促進や企業イメージの向上を図ってまいります。

○保坂委員 PROJECT TOEIによる企業イメージの向上とともに、利用者のニーズに的確に対応するために取り組んでいる都営交通の質の高いサービスを広く発信して、多くの人たちに知ってもらうことが重要であります。
 さきのイメージ戦略とあわせた効果的な広報活動を通じて、都営交通をより快適にご利用いただくことができ、結果として、都民生活の質を高めることにもつながるのではないでしょうか。
 同時に、海外からのお客様も有益な情報をオンタイムでキャッチすることができれば、交通の負担も軽減され、より快適な旅が提供されます。その結果として、新たなリピーター拡大にもつながっていくものと確信しています。
 そこで、都営交通の利便性や魅力など、国内外問わず効果的に情報発信していく必要がありますが、実際どのような取り組みを行っているのか伺います。

○土岐総務部長 交通局では、地下鉄、バスなどの交通ネットワークを有しており、その利便性、沿線の魅力などを効果的に情報発信することで、都営交通の利用促進を図っております。
 具体的な取り組みといたしまして、ホームページでは、事業の基本的な紹介や運行情報、経営情報などを掲載しており、平成二十九年度の一日平均アクセス件数は約十二万件となっております。また、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムといったSNSを活用し、運行情報のほか、沿線の観光情報やお勧めスポットの紹介などを掲載しており、現在、ツイッターには約百六十三万のフォロー、フェイスブックには約二万四千の称賛をあらわすいいねをいただいてございます。
 これらのほか、沿線の名所や飲食店、イベント等を紹介した広報誌やガイドブックを発行するとともに、沿線の施設等と連携し、都営交通の一日乗車券等を提示すると割引などの特典を受けられる取り組みを行っております。さらに、これらのSNS、広報誌などは多言語でも発信しており、外国の方に向けたPRについても行っております。
 今後とも、それぞれの媒体の特性を生かしつつ、都営交通の利便性や魅力を積極的に発信してまいります。

○保坂委員 ありがとうございます。
 交通局がお客様に対して効果的に情報発信していく中で、より質の高いサービスの実現を目指し続けていかなければなりません。そのためには、時代とともにますます多様化する利用者からのニーズをしっかりキャッチ、分析できるマーケティング的な機能を今後一層強化していかれることを強く要望します。
 続いて、軌道事業、東京さくらトラム、都電荒川線について伺います。
 明治四十四年創業という長い歴史とともに都民に広く愛されている東京さくらトラム、都電荒川線は、地域に根差した鉄道として沿線地域の発展とともにこれまで歩んできました。紛れもなく東京都の財産であります。
 実際、私の地元台東区池之端にも、かつて都電が複数路線走っており、地域住民に深く愛されていたことから、地域の歴史として後世に残したいという地元住民の強い要望で十年前に、かつて都電停留場があった区立児童公園内に、平成二十年までに活躍した七五〇〇形が譲渡されました。以来、地域のシンボルとして愛され続けております。
 東京さくらトラム、都電荒川線は、全長約十二キロメートルの沿線沿いに三十の停留場がありますが、東京の下町情緒が今なお色濃く残る地域が多く、風情にマッチした都電を一つの宣伝ツールとしてうまく活用することは、地域の魅力も発信できる大きな要素であります。
 地域や地元自治体と連携を密にして、駅や停留場を中心とするネットワークを構築することで、周辺地域の魅力を発掘、発信して、人の動きや集まりを生み出していくものと考えます。
 そこで、東京さくらトラム、都電荒川線における沿線地域と連携した旅客誘致の取り組みをお伺いします。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、沿線地域と連携いたしまして、都電の魅力の向上や地域の活性化に向けたさまざまな取り組みを行っております。
 具体的には、交通局が荒川車庫で開催するイベントには、沿線の区や商店に毎年出店していただいておりまして、本年六月の路面電車の日のイベントには約二千六百人、十月の荒川線の日のイベントには約三千七百人と、多くのお客様にご来場いただきました。一方、バラの市など、沿線の地域が開催するイベントにも交通局として出展しているところでございます。
 また、沿線区の協力を得て車内を装飾いたしまして、都電「さくら号」や「バラ号」、「ハロウィン号」を運行いたしますとともに、夏休み期間には、沿線の名所などをめぐる東京さくらトラムスタンプラリーを沿線区の施設も活用して実施いたしました。さらに、本年三月には、東京さくらトラムの愛称決定一周年を記念いたしまして、沿線区と連携して、新たに東京さくらトラム記念号を運行いたしました。
 そのほか、沿線に隠された宝箱を探す宝探しイベントを実施いたしました。加えて、十月二十一日に都営交通の案内所、三ノ輪橋おもいで館を開設いたしました際には、記念のスタンプラリーを荒川区や地元の商店街と連携して実施いたしました。

○保坂委員 ぜひ地域や自治体と積極的に連携して、都電と周辺地域が一つとなったテーマパークをつくり、東京下町の魅力を高めるべく取り組んでいただきたいと要望します。
 さて、東京さくらトラム、都電荒川線の起点である三ノ輪橋停留場は、商店街に隣接して、多くの方が利用されております。構内は都電を囲むように、ベンチや花壇、荒川区の公衆トイレもあり、訪れる方を温かく迎えております。
 地域との連携ということでは、三ノ輪橋停留場に隣接するジョイフル三ノ輪商店街は、大正時代に開業し、荒川区を代表する歴史ある商店街であります。そんな商店街も時代の変化にいかに対応していくかが一つのテーマとなっており、ソフト面はもちろんハード面の新たな起爆剤が求められておりました。
 そんな中、このたび三ノ輪橋停留場の近くに都営交通が新たな施設を開設しました。そこで、先月新設オープンしました三ノ輪橋停留場の三ノ輪橋おもいで館の設置目的とサービス内容についてを伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 三ノ輪橋おもいで館は、お客様の利便性の向上を図りますとともに、地域とも連携して沿線情報を発信する新たな拠点とすることを目的として設置したものでございまして、都電を初め都営交通や沿線情報のご案内や、乗車券、グッズなどの販売、各種案内冊子などの配布といったことを行っております。
 おもいで館の施設は、三ノ輪橋の停留場と同じように、昭和の雰囲気を持つレトロ調といたしまして、都電のジオラマや都電全盛期の懐かしい写真、路線図なども展示しております。
 オープニングイベントでは、都電の車体を花で装飾した花電車を展示いたしましたほか、先ほど申しましたけれども、荒川区や三ノ輪橋の商店街と連携いたしまして、抽せんで区内の商店街などで利用できる商品券などが当たるスタンプラリーを実施いたしまして、約一千人の方に参加していただきました。
 今後は、三ノ輪橋おもいで館を活用して、さまざまな機会を捉えて地域との連携を図り、都電を初め都営交通の魅力を広く発信いたしまして、都営交通のさらなる利用促進に取り組んでまいります。

○保坂委員 ありがとうございます。
 東京さくらトラム、都電荒川線としては初となる単独でのインフォメーションセンター、都営グッズショップとしての価値は非常に高いと思われますので、今まで以上に多くの方が訪れることは、オープニング当日のスタンプラリーで約千名の方が参加されたことを見れば予想ができます。さらなるサービス向上を目指して、利用者ニーズをしっかりキャッチ、分析もできる拠点としていただくとともに、地域や商店街と密に連携して積極的に情報発信をしていただきたいと思います。
 これだけ観光性の強い情報発信施設ですが、ただ一点、週休二日は、利用者目線からしても親切とはいえません。一日も早く改善していただき、年中無休としていただくことを要望します。
 また、このような観光拠点を、今後、乗降客の多いJR駅と結節する大塚や王子停留場などにも設置いただき、都電を中心にした駅周辺の魅力をさらに発信する環境整備を要望します。
 続いて、三ノ輪橋停留場の利便性向上について伺います。
 停留場から乗り継ぎができる駅は、東京メトロ日比谷線三ノ輪駅です。三ノ輪駅周辺は、近年人口が増加し、駅の一日乗降者数もついに四万人を超えました。三ノ輪駅と三ノ輪橋停留場の間は少し離れた場所に位置しており、国道四号線とJR常磐線ガードを越えて最短で約三百メートル、徒歩にして約五分です。加えて、メトロ三ノ輪駅は、明治通りと国道四号線の交差点にあるのに対して、三ノ輪橋停留場は商店街の中にあることから、地元はもちろん、都電、地下鉄、お互いの利用者からも非常にわかりにくいといわれており、改善の必要が求められております。
 三ノ輪橋停留場に設置されているメトロ三ノ輪駅へのアクセスマップは非常に小さくて、しかも手書きで、かつ老朽化が進んでおり、利用者には親切とはいいがたい上、商店街に隣接する停留場としても都が率先して改善していく必要があるのではないでしょうか。
 そこで、日比谷線三ノ輪駅から三ノ輪橋停留場への案内などの充実についてを伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅から東京さくらトラム、都電荒川線の三ノ輪橋停留場に向かう経路につきましては、道路管理者及び交通管理者の許可をいただいて、国道四号線沿いに標識を設置いたしましてご案内しております。
 このたびオープンいたしました三ノ輪橋おもいで館や東京さくらトラムをより多くのお客様にご利用いただくには、三ノ輪駅と三ノ輪橋停留場の間のご案内をさらに充実させることが重要と考えております。
 今後は、三ノ輪駅と三ノ輪橋停留場との間の経路を交通局のホームページに掲載いたしますとともに、地元区や近隣の商店などにもご協力をお願いいたしまして、わかりやすい案内板への更新や経路図の配布を行うなど、ご案内のさらなる充実に努めてまいります。

○保坂委員 これまで都は、国道沿いに看板を案内設置するなど対応されてきたことは評価をいたします。さらに質の高いサービスという視点で、ぜひ都営交通の看板などを目に入りやすい場所に設置していただければさらにアクセスは向上しますので、対応を強く要望します。
 また、メトロ側にも要求していただきたいのですが、日比谷線ホームページや路線図を見ても、三ノ輪駅での乗りかえ鉄道会社の欄は存在せず、当然、東京さくらトラム、都電荒川線三ノ輪橋停留場の明記はありません。一方、町屋駅はその明記があります。三ノ輪橋停留場の乗りかえ案内には、東京メトロ日比谷線三ノ輪駅が明記されております。都電の方は明記されている。
 東京メトロとの地下鉄サービスの一体化の中で乗り継ぎ改善項目もありますので、ぜひその中で扱っていただき、乗りかえ会社として都電三ノ輪橋停留場を入れていただくよう求めていただくことを強く要望します。
 続いて、自動車運送事業、都バス事業の環境対策について三点質問をさせていただきます。
 これまで交通局は、バリアフリーのノンステップバスの導入とともに、環境配慮型のバスとして、国や東京都環境局の協力を得ながら低公害バスの導入を進めるとともに、ディーゼル排出に適合した車両やハイブリッド型車両も順次導入されております。
 そんな中、最近特に注目されている車両が燃料電池バスであります。水素燃料の発電による電気自動車であり、ゼロエミッションバスであります。
 そこで、都が燃料電池バスを導入して二年たちますが、これまでの導入実績とお客様からの評価についてを伺います。

○根木自動車部長 都営バスでは、燃料電池バスを平成二十八年度に二両、平成二十九度に三両導入し、現在計五両で、東京駅丸の内南口と東京ビッグサイトを結ぶ路線を中心に運行しております。お客様からは、非常に静かで快適である、乗り心地がよいなどの声が寄せられております。

○保坂委員 私も幾度と乗車しましたが、これまでのバスとは違って、車外も車内も大変静かで快適であります。
 また、このバスのもう一つの魅力は、災害時に対応できる大容量外部電源供給システムを採用していることです。九キロワットの高出力と二百三十キロワットの電力供給能力を備えていて、災害時など、移動式発電機として活用することができるのも大きな特徴です。主に都の防災訓練でも展示されていますが、より広く都民に周知するため、区市町村の防災訓練にも積極的に協力いただけることを要望します。
 また、燃料電池バスを導入拡大していくには水素ステーションの整備が課題であることは、私も環境・建設委員会で深く議論をさせていただいておりましたので認識はしております。
 一方で、新砂の水素ステーションでは、燃料電池バスに対応できるよう改修していると聞いております。
 そこで、交通局は、二年後の東京二〇二〇大会のときでも、燃料電池バスを広く周知するため、さらなる導入が予定されておりますが、交通局の今後の導入計画と導入に当たっての課題についてを改めて伺います。

○根木自動車部長 都営バスでは、燃料電池バスについて、東京二〇二〇大会までに最大で計七十両の導入を目指しております。導入拡大に当たりましては、バスに充填可能な水素ステーションの整備が不可欠でありますが、現在は、有明のステーション一カ所のみであり、充填能力には限りがございます。加えて、毎年実施されますステーションの定期点検の際には、十日間程度、水素の充填ができないことから、そのバックアップも考慮し、バスに充填可能な複数のステーションの整備が必要であります。
 理事からお話ありました新砂にある水素ステーションの改修工事が間もなく完了し、バスにも充填可能になることから、今年度は新たに十両導入し、計十五両で運行する予定であります。
 さらに今後、葛西水再生センターの敷地の一部を活用して水素ステーションが整備される予定でありますことから、その状況等も踏まえ、燃料電池バスの導入を拡大してまいります。

○保坂委員 燃料電池自動車を含めた水素燃料を補給するステーション拡大は、国も整備を推進しており、既に全国百カ所で運営されております。二〇二〇年までに百六十カ所、二〇二五年までには三百二十カ所を目標とされております。
 今年度、東京都では、さらに既存の一施設がバス対応に改修され利用可能になりますことに加えて、先日、環境局が発表しましたが、下水道局が所有する葛西水再生センターの土地を利用して、二〇一九年十一月の開設を目指し、バス対応の水素ステーション整備と事業者が決定しましたので、来年度以降計画している燃料電池バスの追加導入に向けて計画どおり進んでいくことを期待いたします。
 最後の質問になります。
 先ほど、今後、水素ステーションの整備状況を踏まえ、燃料電池バスの導入を拡大していくとのことでありましたが、車両数がふえてくるとなると、運行する路線もふえてくると思いますが、交通局の燃料電池バスの運行路線の考え方についてを伺います。

○根木自動車部長 燃料電池バスの運行に当たりましては、営業所の近隣にバスに充填できる十分な能力を持つ水素ステーションが整備されていることが不可欠でございます。
 現在は、こうした状況を満たすステーションが有明にあることから、近隣の営業所が所管している東京駅丸の内南口と東京ビッグサイトを結ぶ路線を中心に燃料電池バスを運行しております。
 今後は、理事からお話もありましたが、バスに充填可能な新たな水素ステーションの整備が予定されておりますので、そうした状況も踏まえ、燃料電池バスの運行路線を検討してまいります。

○保坂委員 バスの航続距離、これが水素は二百キロに対して、通常、今走っている都営バス、ハイブリッド、ディーゼルバスの航続距離が三百四十キロということで、非常に水素、燃料電池バスの航続距離というのは限られているということは認識されていると思います。水素ステーションから離れれば離れるほど運行効率が低くなることが、これでわかりました。
 しかし、燃料電池バスが今後どの路線を走るか、都民も注目をしております。都民に広くさらに周知するためにも、利用者が多く、通行人の目に広く触れる繁華街を走る路線での効果は非常に高く、理想的であると考えますので、こうした点も踏まえ、運行路線を検討していただくことを要望します。
 環境先進都市東京として、水素社会の実現を目指す東京都ですが、都民にとって水素エネルギーは、まだまだ身近なものとは感じられない現状があります。さまざまな機会を捉え、燃料電池バスをPRしていただきたいと考えておりますので、先ほどの運行路線とあわせ検討していただくことを要望いたします。
 あわせて、都は引き続き、国に対して関連規制のさらなる緩和を求めておりますので、交通局もバス運営責任者としての立場から、水素ステーション拡大に向けて、環境局とより密に連携していただくことを強く要望して、質問を終わります。

○舟坂委員 初めに、都営地下鉄のバリアフリーの取り組みについて幾つかのお伺いをさせていただきます。
 障害者や高齢者を初めとした全ての人が地域で安心して暮らすとともに、積極的に社会参画していくためには、公共交通機関を安全に、そして安心して利用できるよう、バリアフリー化をより一層推し進めていくことが重要です。
 しかしながら、例えば、ことしの九月には、東急大井町線の下神明駅において視覚障害者がホームから転落するという痛ましい事故が発生するなど、駅のホームは、視覚障害者にとって命の危険がある非常に危険な場所となっております。そのような命の危険があるホームから転落事故を防ぐには、ホームドアの設置が急務であると考えております。
 交通局では、平成十二年に、営業中の路線として全国で初めて三田線にホームドアを設置し、三田線、大江戸線に続いて、現在は新宿線へのホームドアの設置を順次進めるなど、他の鉄道事業者に先駆け、公営企業として先導的な役割を果たしていると思います。また、残る浅草線についても、平成三十五年度までに、交通局が管理する全ての駅でのホームドア整備完了を目指していると聞いております。
 先日、九月十四日の公営企業委員会におきまして、東京二〇二〇大会までに整備する浅草線先行四駅分のホームドア製造の契約報告がありました。
 そこで、まず、都営地下鉄浅草線のホームドアについて、先行四駅を東京二〇二〇大会までに整備するとのことですが、現在の進捗状況と今後の設置予定についてお伺いをいたします。

○奥津車両電気部長 都営浅草線の先行四駅のホームドアにつきましては、本年五月に契約を締結し、現在、ホームドアの製作を進めているところでございます。また、ホーム補強の準備や電気関係の工事も実施しており、平成三十一年度上期に、まずは新橋駅二番線ホームにホームドアを設置し、試験、調整、取扱訓練を行います。
 さらに、平成三十一年度下期から、新橋駅一番線にホームドアを設置した後、二番線とあわせて運用開始し、以降、大門駅、三田駅、泉岳寺駅の順番で設置を進めていく予定でございます。

○舟坂委員 まずは新橋駅を皮切りとして、大門駅、三田駅、泉岳寺駅へと順次設置を行っていくとのことです。いずれも駅をご利用される方が多いと聞いておりますので、設置後の試験や訓練も含め、東京二〇二〇大会までの確実な整備を求めておきます。
 また、ホームドアの設置をすることによって、視覚障害者のみならず高齢者も含め全ての人が安心してホームを移動できるようになりますので、平成三十五年のホームドア全駅整備完了に向けて着実に進めていただきたいと思います。
 ホームドアの設置によってホームから線路への転落は防ぐことが可能となりますが、駅の形状によっては、ホームと車両の間に大きなすき間が生じているため、電車に乗りおりする際、そのすき間から転落してしまう危険性も指摘されております。そのため、安全に電車を乗りおりするためには、ホームと車両のすき間の対応が必要だと考えております。
 そこで、ホームと車両のすき間について、これまでの対応と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○塩田安全管理担当部長 都営地下鉄では、お客様が車両に乗降する際に、ホームと車両のすき間に転落することを防止するため、これまでホーム下から光を発して注意を促す装置を設置するとともに、ホーム端部に注意を喚起するための色づけを行ってまいりました。
 さらに、ホームの安全性を高め、ホームと車両のすき間への転落を防止するために、すき間が広い箇所につきましては、ホームからステップを張り出してホームと車両のすき間を狭める可動ステップの導入を検討しております。
 導入に当たりましては、技術面や運用面の課題等につきまして検証する必要がありますことから、三田線三田駅に可動ステップ一基を来年度試験設置し、実証実験を開始する予定でございます。
 引き続き、ホームのすき間対策に取り組み、お客様の安全と安心の確保に万全を期してまいります。

○舟坂委員 可動ステップの設置によって、ホームと車両のすき間を狭めることは有効な対策だと考えます。今後、実証実験の結果も踏まえながら、すき間への対応に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、都営バスのバリアフリーの取り組みについてお伺いをいたします。
 都営バスは、通勤や通学のみならず買い物や通院など、都民の生活を支える足として、一日平均約六十三万人の方が利用されております。バスは、自宅や目的地の最寄りのバス停で乗りおりができるため、高齢者や障害者にとっては日常生活に欠かすことのできない公共交通機関となっております。
 また、都営バスは観光バスも五両保有しており、地域の行事やイベントなどの際の貸切運行により、地域のさまざまな団体に利用されているとも聞いております。
 これからの一層の高齢社会においては、誰もがより乗りおりしやすいバス車両とするには、さらなるバリアフリー化を進めていくことが重要だと考えます。
 そこで、都営バスの車両におけるバリアフリー施策についてお伺いをいたします。

○根木自動車部長 都営バスでは、約千五百両ある車両の全てを全国に先駆けてノンステップバスにするなど、積極的にバリアフリー対策を進めてまいりました。
 さらに、超高齢社会の到来を踏まえ、車内後方の通路の段差を解消したフルフラットバスを国内で初めて導入する準備を進めております。この車両を導入することにより、高齢者を初め誰もが車内後方まで移動しやすくなり、また、前方の混雑も緩和され、快適通勤にも寄与することが期待されます。
 フルフラットバスは、外国メーカーのみが製造しており、現在運行している国産の車両とは構造や大きさ等が異なることから、乗務員や整備職員の習熟研修を十分に行った上で年内に運行を開始する予定でございます。
 また、観光バスにつきましては、東京二〇二〇大会の開催も見据え、障害をお持ちのお客様も安心して快適にご利用できるよう、車椅子に乗ったまま乗車が可能なリフトつきの車両を三両導入することとしており、現在、契約手続を進めております。
 こうした取り組みを着実に進め、都営バス車両の一層のバリアフリー化を推進してまいります。

○舟坂委員 年内にはフルフラットバスの運行開始を予定しているとともに、東京二〇二〇大会に向けて、リフトつき観光バスを導入するとのことです。特に、フルフラットバスは、国内初の導入とのことですので、都営バスがこうした先進的な取り組みを進めることによって、他の民間バス会社にもバリアフリーの取り組みが波及するよう、公営企業としての先導的な役割を担っていくことを期待いたします。
 次に、バス乗務員の確保、育成についてお伺いをいたします。
 昨年の公営企業決算特別委員会の分科会でも述べましたが、バス事業の大きな経営課題として、全国的に大型二種免許取得者が不足しており、都営バスでも、バス乗務員の採用で苦労していると聞いております。
 そのような厳しい状況の中にあっても、バス需要が増加する地域での路線拡充に的確に対応するとともに、採算面で厳しい地域においても、地域住民の足を確保していくという公営企業としての役割を果たすためにも、必要なバス乗務員を着実に確保していくことが求められます。
 そのためには、バス乗務員を希望する人をふやす取り組みを積極的に行っていくことが必要だと考えており、交通局では採用PRに力を入れていると聞いておりますが、そこで、都営バスにおける乗務員確保のためにどのような採用PRを行うのかをお伺いいたします。

○渡邉職員部長 都営バスが安定的な事業運営を行う上で、乗務員確保は重要な課題であることから、交通局では、バス乗務員の採用PRに積極的に取り組んでおります。
 具体的には、ホームページ等への募集案内の掲出、求人情報サイトへの求人広告の掲載などに加え、転職希望者に直接対面してPRできる転職支援イベントへの出展も行っております。
 また、採用に関するホームページやパンフレットについて、仕事のやりがいや働きやすさをよりわかりやすく伝えるため、当局の若手や女性職員がみずからの体験を踏まえて職場の魅力をPRする記事を掲載するなど内容の充実を図っております。
 さらに、バス乗務員の職業としての魅力を若者などに向けて効果的にPRし、イメージアップを図るため、新人乗務員が仕事に向き合う姿を描いた動画やポスターを制作し、都営交通の媒体等を活用して広く発信する取り組みも開始いたしました。
 こうした取り組みにより、バス乗務員希望者の裾野の拡大を図り、都営バスの人材確保に努めてまいります。

○舟坂委員 ただいまの答弁にもありましたとおり、若者向けにバス乗務員のイメージアップを図る動画やポスターを作成するなど、バス乗務員希望者の裾野拡大を図るため、さまざまな取り組みを行っていることは理解いたしました。
 一方で、バス乗務員不足は全国的な課題となっておりますので、これまでバス乗務員に興味がなかった層を業界全体として取り込めるよう、都営バスが率先してバス乗務員として働く魅力を積極的にPRしていただきたいと思います。
 次に、バス乗務員採用後の課題として育成体制を取り上げたいと思います。
 都営バスにおいても、バス乗務未経験者を新規採用するケースがふえていると聞いております。そうした中でも、都営バスの安全運行を確保していくためには、バス乗務員に対する育成体制をさらに充実させていかなければなりません。
 そこで、バス乗務員の新規採用者に対する育成をどのように行っているのかをお伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通局では、バス乗務員の新規採用者に対して、安全に対する強い責任感を持ち、お客様本位の質の高いサービスを提供できる人材を育成することを目標に、約三カ月間にわたる研修を実施し、当局バス乗務員として必要な技術や知識を習得させております。
 一方、バス乗務員の確保に向けた取り組みとして、平成二十七年度から大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型の選考を導入したことなどから、今後、バス乗務経験のない新規採用者が増加していくことが見込まれております。
 こうした状況を踏まえ、バス乗務未経験者にも必要な技術等を確実に習得させるため、指導教官用の補助ブレーキや補助ミラーを装備した教習専用車を二両導入し、より実践的な研修を開始したところでございます。
 今後、新規採用者の運転技量に応じて研修コースを細分化するほか、習熟度に応じて訓練時間をふやすなど、よりきめ細かな研修カリキュラムを整備することにより、バス乗務員の新規採用者に対する育成体制を一層充実してまいります。

○舟坂委員 バス乗務員一人一人の運転技術や接客スキルを向上させることが、都営バスの安全性向上とサービス向上につながっていきますので、新規採用者に対する育成を着実に行っていただきたいと思います。
 最後に、都営バスの路線運営についてお伺いをいたします。
 先ほどから議論をしておりますとおり、都営バスにおいてもバス乗務員の確保が困難になっておりますが、都営バスには、公営企業としてバス需要の増加に的確に対応していくだけではなく、赤字路線であっても地域住民の足として維持していくことが求められております。
 そこで、都営バスの路線運営をどのような方向性にしていくのかをお伺いいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉え、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
 具体的には、オフィスビルや大規模住宅等の開発が進み、都営バスへの需要が高まっている地域において、路線の増便等を行う一方、鉄道等の開業やコミュニティバスなど、新規事業者の参入により代替交通が確保され、利用者の少ない路線については減便等を行っております。
 都営バスの事業運営に当たりましては、乗務員の確保や育成に努めるとともに、今後とも、需要の変化に合わせ、限りある経営資源を有効に活用し、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、路線やダイヤの見直しを行ってまいります。

○舟坂委員 バス需要の変化に合わせて路線やダイヤの見直しを行っていくとのことですが、赤字路線を維持していくためにも、単に需要の増加に対応するだけでなく、バス路線の新設によって潜在的なバス需要を掘り起こし、利益を生み出していくことも必要だと私は考えております。
 引き続き、公営企業として地域に必要なバス路線を確保するとともに、新たなバス需要の創出という観点からも、的確に路線やダイヤの見直しを進めていただくことをお願いして、私からの質問を終わります。

○加藤委員 私からは、まず、都営バスについて何点か質問したいと思います。
 東京二〇二〇大会まで残り二年を切りまして、開催に向けた準備をさらに加速していく時期であります。大会期間中は、世界中から東京を訪れる大勢の観客や選手、関係者が、都内各地の競技会場などへ移動するため、道路交通や公共交通機関に多大な影響を与えることが想定されます。
 先日、十月末に開催されました交通輸送技術検討会で示されました渋滞予測マップ、この中では、競技会場があるエリア周辺では、通常の三倍以上の移動時間がかかるため、企業側などにも交通抑制の協力を求めていくということでありますけれども、非常に経済活動への影響も心配をされております。
 大会を盛り上げていくことは極めて重要なことであり、交通局は、大会開催期間中の輸送需要にも的確に対応していかなければなりませんけれども、同時に、地元住民の身近な公共交通機関としての役割を果たしていく必要もあります。
 そこで、東京二〇二〇大会開催時にも、都営バスが地域の足として役割を果たしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスの事業エリアには、選手村や複数の競技会場がございまして、東京二〇二〇大会期間中は、交通規制等による走行環境への影響や、観客等による輸送需要の増加などが想定されます。
 組織委員会と東京都が輸送の方針を示した輸送運営計画V1においては、TDM、交通需要マネジメントの実施等によりまして、大会に係る円滑な輸送の実現と都市活動の安定の両立を図ることを目標としております。
 都営バスでは、この目標の達成に貢献するため、大会開催時には、観客輸送に積極的に協力するとともに、通勤通学などでご利用いただいているお客様の足としての役割も十分に果たしていく必要がございます。
 引き続き、組織委員会や関係機関と連携しまして、円滑な運行が確保できるよう具体的な検討を進めてまいります。

○加藤委員 時差ビズとかテレワーク、そうしたことを進めていくとしましても、最低限必要な通院などの日常活動や経済活動というものはあるわけですから、公共交通としての役割はしっかりと果たしていってもらいたいというふうに思います。
 次に、以前もこの委員会で取り上げましたけれども、墨田区の北部にあります東京都リハビリテーション病院と両国駅を結んでいた墨38系統は、貴重な南北をわたる路線でありましたが、今回、きょうの要求資料にも掲載されているとおりでありますが、平成二十七年三月をもちまして廃止されました。区内には南北を結ぶ公共交通が少ないですが、両国駅周辺の病院や学校へ通う方々も多い状況であります。
 また、両国駅前には、江戸NORENという江戸の町家を意識した商業施設ができまして、人気の高い刀剣博物館が渋谷から両国に移りまして、さらには現在、両国駅周辺では、両国リバーセンタープロジェクトや両国駅北口地区の地区計画に基づいた大規模なホテル建設が進められております。
 東京二〇二〇大会では、両国国技館がボクシング会場ともなり、両国に近いエリアに世界的に有名な葛飾北斎の美術館もできて、江戸博との連携、回遊、滞在の拠点として相当のにぎわいが期待できます。
 そこで、両国駅再開発のその後の進展を踏まえ、墨38の路線の復活を含め、検討を始めるべきと考えますが、見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉え、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。具体的には、オフィスビルや大規模住宅等の開発が進み、都営バスへの需要が高まっている地域において路線の増便等を行うなど、バス路線の充実を図ってまいりました。
 お話の両国駅周辺の路線の拡充についてでありますが、再開発の進展等を注視していくことが必要であると考えてございます。

○加藤委員 この墨38がなくなりまして、錦40という南千住と錦糸町を結ぶ路線が新たにできたんですけれども、本数が少なくて増便を求める声が上がっております。一時間に一本ぐらいで、走らない時間帯もあるんですね。錦糸町に行く路線はいっぱいあるので、錦糸町に行かないで、スカイツリーと両国を結ぶ路線に変更したらいいのではないかと、今後もぜひそういったことも含めまして、増便の検討をお願いしたいというふうに思います。
 次に、バス停留所の上屋について伺います。
 これまでも、この問題も何度か質疑で取り上げてきたところでありますが、交通局は、経営計画二〇一六におきまして上屋の設置について取り組んでおります。
 上屋は、雨や日差しを遮るなど、バス停の環境改善に大きな効果があります。また、バス停に広告を掲示することでバス停に注目を寄せ、広告料収入にもつながるため積極的に進めていくべきと考えます。
 東京二〇二〇大会に向けて、交通局では、民間事業者を活用しながら広告つき上屋の整備を進めていますが、昨年の公営企業委員会では、その整備を加速させていくとの答弁がありました。平成二十九年度は五十棟整備したとのことであります。
 そこで、今年度の整備状況について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 交通局では、平成十九年度から広告つき上屋の整備を進めておりまして、経営計画二〇一六では、東京二〇二〇大会までに新たに百棟の上屋を整備することといたしました。
 あわせて、上屋の整備を加速するため、平成二十八年に事業協力者を選定しておりまして、この事業協力者は、東京二〇二〇年大会までに四百棟を整備することを目標としております。
 今年度におきまして、交通局では十四棟、事業協力者では六十九棟、合わせて八十三棟の整備を見込んでございます。

○加藤委員 交通局の十四棟に対して事業協力者が六十九棟ですから、民間は約五倍のスピードで上屋を設置しております。民間の活力を生かす好事例といえます。
 昨年度に比べて、上屋の整備が加速している様子はわかりました。しかし、このペースですと、東京二〇二〇大会までに、交通局で百、事業協力者で四百という目標を達成できないのではないかと危惧をしております。この進捗が進まない理由の一つに、設置箇所の地下に埋設物などの支障物があり、広告つき上屋を構築できない場合があると聞いております。
 そこで、広告つき上屋を整備するに当たり、地下埋設物などが支障することについて、交通局ではその課題をどう捉えているのか、見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 広告つき上屋を整備する際には、電線共同溝や上下水道などの地下埋設物が支障となって、上屋の基礎を構築するためのスペースを確保できない場合がございます。こうした地下埋設物を移設して上屋を整備するには、移設先のスペースが確保できないといった施工上の制約や多額の費用を要するなどの課題がございまして、地下埋設物の支障は、広告つき上屋の整備が進まない一因と考えております。
 このように、さまざまな課題がございますが、お客様の利便性を高めるため、関係者と連携しながら、広告つき上屋の整備を鋭意進めてまいります。

○加藤委員 広告つき上屋の設置には、地下埋設物が支障となる場合があるようですけれども、工夫をして取り組んでもらいたいと思います。
 例えば、地下埋設物が支障するのであれば、基礎の形状が異なる上屋の設置を検討してはどうかと思います。要するに、埋設物を移設するのでは大変なので、この埋設物を避ける形で基礎の形状を変えるという方法があると思います。
 もちろん、この基礎の形状を変えても上屋が倒れるようなことがあってはならないので、安全面に配慮するのは当然ですけれども、実際、他都市では、さまざまな形の広告つき上屋が存在しており、基礎の形状もさまざまです。上屋が長いもの、短いもの、上屋を支える支柱が、本数でいえば四本というのが基本らしいんですけれども、これが三本だとか、二本だとか、一本だとか、こういうふうにあるわけです。そして、その支柱や上屋を支える基礎も、四角形のコンクリートの板が一枚で入っているものもあれば、分かれて入っている、支えているというものもあるようです。この基礎の形状を工夫することで、埋設物を避けて設置できる可能性が出てくるというふうに思います。
 私が民間の事業者に伺ったところ、この基礎形状を変更もしくは基礎の偏心を行うなど工夫して上屋を設置した箇所は、全国で六十一件もあるということでした。基礎形状を変更しても、当然、突風等で倒れたという報告はないわけですから問題がないわけです。
 また、都の広告つき上屋の基本形でも、広告面にある柱、これは補助柱というふうに聞いているんですけれども、構造計算上は取り除くことが可能だというふうに伺っております。したがって、画一的ではなく、場所に応じて弾力的に対応することができれば設置スピードを上げることができ、目標を捉えることができると思います。
 さらに、この地下埋設物だけではなく、道路には植栽帯や高木、街灯、道路標識など、上屋設置に当たって間口が確保できないという場合も多いわけです。だから、上屋のサイズが短いものについても、ぜひ導入を考えてもらいたいというふうに思います。
 上屋のサイズが短くても、ないよりはあった方がいいに決まっているわけですから、こうしたことも、ユーザーアンケートをとるなりしてニーズを把握すべきではないでしょうか。私どもには、この上屋設置を求める声がとても多く届いております。
 交通局も、一事業者としてご努力されているのは十分承知をしております。いろいろな規制があって他との調整に苦労されております。それを承知の上で、バス利用者や都民の利便性向上、周辺環境の向上に寄与する事業ですので、さらに力を入れて頑張っていただきたいというふうに思います。
 いずれにしましても、交通局には、いろいろな工夫を凝らして上屋の設置を進めることを、強く強く、もう一つ強く求めておきたいと思いますので、局長、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、地下鉄関係について伺います。
 まず、放置自転車対策でありますけれども、放置自転車は歩行者の通行を阻害し、さらに、災害時や緊急時の交通の障害となるほか、都市景観を損なうなど、地元墨田区でも対応に苦慮しております。
 墨田区では、自転車放置禁止区域を定め、この区域内の放置自転車を即時に撤去するなど、独自の対策を講じているところでありますが、浅草線本所吾妻橋駅、大江戸線両国駅周辺もこの区域として定められております。
 ところで、両駅とも年々利用者数が伸びているところであります。例えば、本所吾妻橋駅では、平成二十七年度、一万八千四百三十一名、二十八年度は一万八千七百三十七名、二十九年度は一万九千百十一名と、利用者が七百人ぐらい増加していると。両国駅では、二十七年度、三万一千四百七十二、二十八年度、三万二千七百三十九、二十九年度、三万三千八百三十九と、二千四百人ぐらい増加しております。
 そこで、鉄道事業者においても駐輪場の整備に協力していく必要があると考えますが、どのように取り組んできたのか、その実績とあわせて所見を伺います。

○広瀬資産運用部長 交通局では、関係法令に基づきまして、区が行う駐輪場整備のために、これまでも駅出入り口周辺の局有地を地元区へ貸し付けるなど協力してまいりました。現在、墨田区を初め九区に貸し付けている駐輪場用地は四十五カ所、貸付面積は約一万五千四百平方メートルとなってございます。
 今後とも、地元区が駐輪場を整備する際には、これまでと同様、可能な限り協力をしてまいります。

○加藤委員 可能な限り協力していくということでありますので、今後も需要に応えられるよう対応をお願いします。
 特に、本所吾妻橋駅付近は都道でありますので、都有地もあると伺っておりますので、スピード感を持ってしっかりと協力をお願いいたします。
 最後に、都営地下鉄におけるホームドア整備について伺います。
 東京二〇二〇大会までに、都営地下鉄浅草線の新橋、大門、三田、泉岳寺の四駅にホームドアを設置するとのお話がありました。また、平成三十五年度までに、交通局が管理する全ての浅草線の駅においてホームドアの整備完了を目指すとしております。
 交通局が管理する駅は当然として、忘れてはならないのが乗り入れの接続駅です。特に、京成電鉄が管理している押上駅については、東京スカイツリーのお膝元として二十万人以上の利用者がおります。しかも、今も増加中。先ほど、本所吾妻橋と両国を紹介しましたが、この押上は、平成二十七年度、二十万六千八百六十三、二十八年度は二十一万二千四百二十六、二十九年度は二十一万九千九百四と、一万三千人ぐらい増加しているんです。先ほどと桁が違うわけです。
 そこで、交通局の管理駅ではありませんが、浅草線押上駅へのホームドア整備について早期に取り組むべきと考えます。現在の取り組み状況及びホームドア整備における課題について伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 押上駅は、京成電鉄と交通局との共同使用駅であることから、京成電鉄とホームドア整備のための課題について認識を共有し、協議を行っているところでございます。
 具体的な課題といたしましては、ホームドアの重量を支えるためのホームの補強や、ホーム下にある支障物などの移設が必要となること、また、押上駅のホームは一部狭隘な箇所があり、お客様の通行への影響などにつきましても検討が必要なことなどがございます。
 今後とも、引き続きさまざまな課題の解決に向けて、京成電鉄との協議を進めてまいります。

○加藤委員 今、答弁ありましたとおり、このホームに狭隘な箇所があるというように、とても狭いところがあるんですね。私も利用しているから感じているんですけれども、ラッシュ時は、はみ出そうになることもあるわけです。
 世界中から訪れる観光客も含め、通勤通学などで日常的に利用しているお客さんがホームから転落する事故が起きたらどうするのかと、いつも心配をしております。踏切事故も含めそうなんですが、事故が起こってからでは遅いので、都営地下鉄浅草線におけるホームドアの整備に当たっては、交通局が管理する駅と同じ認識に立っていただいて、京成電鉄との協議を進めていただきたいと思います。
 そして、暫定でも、できることから安全対策を実行に移すよう促していただきたいと思います。もし、京成電鉄がやらなければ、乗り込んでいくぐらいの気持ちでお願いしたいと思います。
 硬軟長短織りまぜて、さまざまな課題を着実に解決し、早期の全駅整備につなげていくことを求めて、質問を終わります。

○河野委員 質問します。初めに、委員会資料を出していただきまして、ありがとうございます。
 きょうは、都バス、都営地下鉄の車内事故について伺います。
 この九月、十月と立て続けに、都バスの車内事故、都営地下鉄のホームドアでけがをした人からの相談が寄せられました。安全に運行し、誰もが安心して移動できる都営交通であることが望まれています。
 都バスの車内事故及び都営地下鉄の車両周辺の事故についてお聞きします。
 まず、都バスの交通事故です。私もほぼ毎日、都営バスに乗っております。運転手の方が、事故が起きないように高齢者が座席に座ったのを確認してから発車するなどの配慮をして、安全運行に努力されているのを目にしています。けれど、その一方で、事故は起きています。
 出していただいた委員会資料九ページによりますと、交通事故の発生件数は、過去五年間で、車内車外の合計で、毎年度三百数十件、特に昨年度は三百七十八件で、過去五年間で一番多い発生件数です。事故件数は減少していない、このように感じます。
 事故のない安全な運行を進めていく立場で都バスの車内事故について質問をいたします。
 都バスの車内事故については、九月初めから、東京新聞のシリーズ報道もあり、都民の関心が高まっています。九ページの資料では、都バスの車内事故は年間百数十件で、昨年度は百四十件となっています。都バスの乗務員の努力はあるのでしょうが、事故発生件数を見ると、なかなか改善の方向に向かっていないのが現状ではないでしょうか。
 都バスの車内事故について具体的な例を挙げます。
 ことし七月、都バスの横向きの思いやりシートに座っていた六十代後半の乗客が、バスがカーブを切った際に、座席から身を投げ出されて、反対側の座席にぶつかって頭部を打撲し、裂傷を負って縫合手術を受けるという事故がありました。
 この事故の場合、警察は都バスが時速二十キロ程度で走行していたこと、そして、けがをした乗客がそのとき居眠りをしていた、また、ドライブレコーダーの録画を見た限り、そして他の乗客等からの聞き取り、そういうものを合わせると、乗務員の瑕疵はなかったという判断で、交通局の責任はないということになりました。ですから、交通局からこの方への医療費補償は出ませんでした。この判断に、けがをした乗客は納得ができないということで、私たちのところに相談をされたという経過があります。
 そこで、お伺いいたします。
 都バスの車内事故について、交通局は、どのような基準で医療費を補償するというようなことをしているのでしょうか。国土交通省が出している政令とか基準となるものはあるのでしょうか。また、東京都交通局の基準や内規についてご説明いただくこととあわせて、補償の内容などについてお聞かせをいただきたいと思います。

○根木自動車部長 都営バスでは、運行による事故で生じたお客様等の損害に対して補償が適切に行えるよう保険会社との契約を締結しております。
 補償につきましては、診察料や通院費などが対象となりますが、その額につきましては、事故に遭われた方などとお話の上、類似の事故事例に基づき、事故の発生状況、過失割合、損害額などから算定いたします。

○河野委員 交通局が自賠責保険などに加入して、多くの場合、その査定が補償の基準になる、そういうふうなことかなと受けとめました。
 先ほど紹介した東京新聞では、交通局が把握している車内事故発生件数と警察が把握している車内事故発生件数にかなりの乖離があり、警察の件数の方が格段に少なくて、そのことについても都民の方から疑問が呈されているということがあります。
 東京新聞の記事では、二〇一三年度から二〇一七年度の五年間で、都バスの車内で、毎年九十八人から百二十一人のけが人がいたことを交通局が明らかにしたとあります。比べて、警視庁の統計は、同じ五年間で、二十五人から五十五人となって、交通局が把握している数の半分以下の人数です。
 記事によりますと、都の交通局は、基本的に自賠責保険で対応した事案を事故として扱っているとして、また、警視庁は、医師の診断書が出たものを人身事故として統計に入れていると説明しているとのことです。なぜ発生件数にこれだけの違いがあるのかわからないというのが現状でありますが、ある識者は、基本的なデータが正しくなければ、必要な対策はとれないのではないかという指摘もされています。
 交通局の事故発生件数の把握の方が警視庁よりも多いのですけれども、交通局はどのような状態の事故を車内事故として扱っているのでしょうか。そして、事故のケースや件数のカウント方法、これについてご説明をいただきたいと思います。

○根木自動車部長 交通局が事故として扱った事故についてですが、交通局では、局側にわずかでも過失があり、お客様等の損害を負担した場合には、責任がある事故として内容の軽重を問わず事故の件数に計上しております。

○河野委員 わずかでも過失があるということは非常に曖昧なんですけれども、具体的には、私が今申し上げたようなケースについては、警察の判断はありますけれども、交通局としてはなぜカウントしなかったのか、その辺はご説明いただけますか。

○根木自動車部長 今回の事故も含めてですが、事故の内容につきまして、警察の見解、例えばドライブレコーダーの映像等々を見て、乗務員が通常の運転操作等々をしている、そういう中で起こった事故については、場合にもよりますけれども、無過失ということで事故に計上しないということもございます。

○河野委員 新聞を読んでも、それから局の方の今の部長のご答弁を伺っても、なかなかその基準というところが非常に、警察の判断と、保険会社の査定ということが一つあるわけですけれども、都民にとってはわかりづらい。けがをした方がちゃんとした医療補償を受けられなかったのかという点では、すごく改善して都民にわかりやすい示し方をしていくことが必要じゃないかなと思っています。
 次に伺いますが、都バスの車内事故が発生した場合に、その対応はどのようにされているのでしょうか。心ならずも事故が起きた場合、けがをした人への補償については、交通局のどこの部署がどのように行っているのでしょうか。
 乗客の私たちは、実際には、具体的な交通局内の事故処理の進め方を知ることはまずありません。わかりやすくご説明をお願いいたします。

○根木自動車部長 都営バスにおきまして、例えば、車内事故が発生した際には、乗務員は直ちに運行を中止し、負傷者の救護に当たるとともに、救急車を要請し、警察一一〇番に通報いたします。あわせて、無線により営業所に事故の発生を報告し、報告を受けた営業所は事故現場に職員を急行させます。
 また、事故後の対応につきましてですが、まず、営業所の事故担当の職員が事故に遭われた方にお会いし、事故についておわびを申し上げた上で、損害の補償に関する今後の手続などについて説明させていただいております。
 補償対応につきましては、損害額や過失割合などについて専門的な知識が必要なため、適切に行えるよう交通局と契約を締結した損害保険会社が行っておりますが、担当職員も定期的に対応状況の報告を受けるとともに、必要に応じて打ち合わせの場に同席しております。

○河野委員 職員の方もきちんと打ち合わせの場に同席されているということは大事なことだと思います。
 七月に起きた都バスの事故の、けがをされた方の場合は、事故扱いにならないで、二回の縫合手術が必要だったにもかかわらず、医療費は全額自己負担ということになりました。この人のけがは、乗務員の責任は問われない、運行状況などから判断して、現行の基準では事故扱いにならないということではありますが、本当に、けがをしたご本人自身は、この判断に納得されておりませんので、そのことはこの機会に申し上げておきたいと思います。
 次の質問です。
 都バスに乗りますと、運転手さんは安全な運行を心がけていますから、私たちが思う以上にかなりの負担が運転手さんにかかっていると感じています。乗客が乗るとすぐにアナウンスをして、第一に、つかまってください、第二に、座席にお座りください、このように呼びかけておられます。車椅子の乗客の昇降補助も大変で、とても注意して接しているのを目にしています。しかし、こうした努力があるにもかかわらず、車内事故は毎年百件を大きく超えて起きています。
 伺いますけれども、車内事故防止のために、交通局としてどのような運行上の努力をされておりますか。また、高齢者の方からの意見ですが、現在運行しているバスの多くに設置されている横向きの思いやりシート、これは先ほどけがをした方が座っていたシートなんですが、この思いやりシートは、体が安定しなくて乗っていて不安、だから座席を前向きに変えてほしいと要望が出されています。安心して乗車できる座席の配置改善は本当に必要だと思います。検討されてきたのでしょうか。
 最近、私自身はバスの乗客となりますから、今までの横向きのシートから、運転手さんの方向を向いた、思いやりシートの三人分が前向きに配置になっているバスにも乗り合わせることがございます。改善が必要と交通局も判断されて、順次これからこのように切りかえていかれるのでしょうか。この点についてもお伺いしておきます。

○根木自動車部長 今、二点のご質問がございましたが、まず、優先席につきましてですけれども、都営バスでは、国の基準等に基づき安全性が確保された車両を導入しております。優先席につきましては、従来のノンステップバスは座席が横向きでございましたけれども、近年は、座席が前向きの車両が製造されるようになったことから、優先席が前向きの車両を導入しているところでございます。
 また、車内事故防止等のための運行上の注意点についてでございますが、全乗務員に対する定期的な安全研修や日々の厳正な点呼等を通じて、発車時においては、お客様の着席等を確認してから、発車します、おつかまりくださいとアナウンスした上で発車するよう指導しております。また、突発的な事態でも急ブレーキを避け、的確に対処できるよう、道路状況に応じた速度での走行や適切な車間距離の確保を指示しております。

○河野委員 路線バスの事故では、つい先日、十月二十八日に横浜市の民間の路線バスで交通事故があり、高校生が死亡され、負傷者が六名も出る痛ましい事故が起きました。現在、この事故は捜査中ですから事故の原因は明らかではありませんが、運転手の方が無呼吸症候群だったために起きた事故の可能性が高いといわれています。
 バス乗務員の健康管理は、乗客の安全のために欠かすことはできません。都バス乗務員の健康状態の管理のあり方など、交通局として努力されていることについてお伺いします。また、乗務員の健康を保つために適切な勤務状態が保障されているか、この点についてもお答えをいただきたいと思います。

○根木自動車部長 都営バスの乗務員の健康管理につきましては、全員に対して、法令で定められた定期健康診断を年二回実施するとともに、睡眠時無呼吸症候群、SASの検査を実施しており、乗務に影響する所見があった乗務員につきましては、症状の改善等を確認した上で乗務させております。
 また、各営業所において、運行管理者や乗務員が加わった会議を毎月開催し、健康管理上の注意点や生活習慣の改善などについて共有しているほか、産業医による巡回相談などを通じて健康管理の充実を図っております。
 さらに、乗務開始前には、運行管理者が乗務員一人一人と対面による点呼を実施し、健康状態について報告を受けるとともに、乗務員の顔色や目の動きなども確認しており、異常がないと判断した上で乗務させております。
 また、乗務員の勤務につきましては、バス乗務員の勤務時間について定めた国の告示等に従い、勤務時間や休息時間を定めております。

○河野委員 医療的なケアも含めて、交通局としては努力されていることは、今のご答弁で承っておきたいと思います。
 最初に示しました、都バス乗客が車内でのけがを負った路線は、はとバスに業務委託をしている路線です。交通局が業務委託をしているはとバスの営業所などに、車内事故防止や安全意識の向上に向けた情報提供や研修指導などはどのように取り組まれているでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○根木自動車部長 事業を一部委託しておりますはとバスは、交通局と同様に、一般乗合旅客自動車運送事業の許可を受けており、法令に定める運輸安全マネジメント制度のもと、事業者みずからが自主的かつ積極的に輸送の安全の取り組みを推進し、安全性の向上を図っており、安全に関する教育及び研修などについても交通局と同等の水準を確保しております。
 さらに、委託事業者であるはとバスも交通局の安全対策に関する会議のメンバーになっており、さまざまな情報を共有するとともに、事故防止対策等についても一緒になって議論、検討し、実行するなど、一体となって安全性の向上に努めております。

○河野委員 うちの方も、江戸川区内もはとバスの路線があります。バスの乗務員の方の制服も都バスと全く同じなので、みんな都バスだと思って乗っています。それはそれでいいんですけれども、都バスとはとバスの運転のあり方が著しく違うかというとそうでもなくて、はとバスの方も親切にはしていただいておりますが、やはり今、部長がご答弁されたように、さまざまな情報を共有することと、一体となって安全性の向上に努めている、これはもう本当に引き続き努力していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、都営地下鉄の車内事故について質問します。
 都バスの車内事故の場合には、先ほど内規とか伺いました。同様に、地下鉄の車内事故の場合の内規や補償の基準、内容についてご説明をいただきたいと思います。

○相川電車部長 都営地下鉄では、賠償責任保険に加入し、当局が責めを負う事由により車内事故でお客様に損害を与えた場合、診察料や通院費などの治療に係る実費相当分などにつきまして適切に補償を行っております。

○河野委員 これも都民の方からの相談であります。十月の半ば、都営地下鉄に乗車していた都民からのご相談が寄せられました。
 台風二十四号の強風が吹いた十月一日、都営三田線で、風によって倒れた樹木が西台の駅の付近で架線にかかって電車運行がとまってしまったその朝のことです。
 この日は、強風のために、JRの四ツ谷駅でも樹木が線路を塞いで運行不能になっていて、都内全体の交通が混乱をしていました。都営三田線は大変な混雑で、通勤を急ぐ乗客は一台の車両に詰め込み状態で乗車せざるを得ませんでした。
 相談を寄せてきた方は、白山駅で一台待って、二台目に来た電車に乗ったんです。その白山駅で乗車したのですが、ぎゅうぎゅう詰めの車内の乗客たちに押し戻される状態になって、閉まりかけた電車のドアに右手を挟まれてしまったんです。とっさに手を引いたそうですけれども間に合わなくて、右手の薬指を骨折、小指は骨が見えるほどの傷を負ってしまいました。
 次の春日駅で下車をしたんですが、このときには周りの人がびっくりするほど出血がひどかったそうです。春日駅の駅員の方の適切な対応で応急処置をしてもらい、救急車の手配もしてもらって入院となりました。春日駅の駅員のおかげで助かったと、この方は感謝しています。その後、四日間の入院でしたが、本当はもう少し入院しているようにいわれたけれども、仕事のために退院したということで、けがは全治二カ月の診断、現在は通院治療中です。
 都営地下鉄の各駅では、駅構内の事故は、駅務区とか、あるいは駅務管区などがあって、初期対応、事故後の対応を行っていると聞いています。
 まず、ご説明いただきたいのは、車内事故発生の場合の初期対応は、乗車した電車の乗務員が行うということが想定されるんですけれども、基本的に初期対応はどの部署がどのように行っているのか、これについてご説明をお願いしたいと思います。

○相川電車部長 都営地下鉄では、車内事故が発生した際、乗務員に直接または車内通報器によりお客様から申し出があった場合は、乗務員がその旨を運輸指令に連絡をし、運輸指令から最寄り駅の係員に対応を指示しております。また、直接、駅係員へお客様から申し出があった場合は、当該駅の係員が対応しております。
 具体的な対応といたしましては、負傷に至った状況を確認するとともに、応急手当てや救急車の手配など、措置を講じております。
 なお、賠償の可能性がある場合には、当該路線を管轄する乗務区などから改めて連絡することとしております。

○河野委員 そうですね、ここからが問題なんですが、十月一日、車両内の混雑でけがをしてしまって救急車で搬送され入院になった乗客の家族が、その日、事故後の対応に責任を負っている所管の駅に電話をされたそうです。
 所管の駅は春日駅とは別の駅であります。その担当者に電話をしたのですが、そのときの駅員の態度に大変驚かれたそうです。電話がつながったと同時に、医療費の補償の話ですか、交通局の規定で、今回のけがについては交通局は全く医療費の補償などはできませんと、開口一番いわれたんだそうです。
 この家族の人は、医療費を払ってほしいなどとは思わないで、どのような事故だったのかを教えてほしいと思って電話しただけなのに、いきなりのこうしたいい方をされて、当惑というよりも、むしろ怒りが湧いてしまったとおっしゃっていました。電話をされた家族は、入院しているけが人を心配しながら電話しているのに、このような対応をされたら怒りたくなるのは当然、これは私も感じます。
 事故後の対応に当たる職員はどのような心構えが必要なのか、デリケートなケースも少なくないのですから、いろんな場面を想定しての十分な研修をしていく必要があると思うんです。
 事故に遭ってしまった人の気持ちに思いを寄せながら接していく、すなわち接遇のあり方について交通局全体の認識になるような努力はされているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

○相川電車部長 接遇面では、お客様を第一に考え行動し、相手の立場に立った誠意ある対応を心がけるよう指導しております。なお、毎年、接遇を含めた事故時の対応に係る実務的な研修を事業所の職員を対象に実施をしております。

○河野委員 このけがをされた方のご家族から、私たち相談を受けています。決して医療費を補償してほしいと思って電話をしているわけではないので、私たちの気持ちもよく聞きながら、お話、説明をしてほしいということを強く要望されておりましたので、これから、こうした場合の乗客に対する方、都民に対する交通局の皆さんの対応、これについては、今後とも、今のままでいいと思わないで十分な対応をしていただくように努力を求めておきたいと思います。
 事故が起きないことが大事です。事故が起きないように、都営地下鉄でも車両運行や構内の安全に努力されていると思います。しかし、まだ改善するべき課題は残されていることも感じます。
 例えば今回、相談を受けた方は、車内のドアに手を挟まれてしまったわけです。事故後の対応をした職員の方が、車両のドア付近にステッカーを張ったり、車内放送で注意を呼びかけたりしていると説明したそうです。こうしたことに、注意の喚起に関心が薄かったんじゃないですかというようないわれ方をされてしまったようにこの方は受けとめていて、それも少し改善してほしいとおっしゃっています。
 私も、その話を聞きまして、都営地下鉄に乗る場合に車内を見ています。車両のドアに張ってある、開く扉にご注意ください、このステッカーは、ドアガラスの下の方に張ってあるんですね。大きさも直径十センチちょっとで、そんなに目立つものではありません。ラッシュ時などで乗客が多く乗った場合、目に触れることはまずないと思われる位置にステッカーはあります。
 車両だけじゃなくて、ホームドアにもステッカーが張ってあります。これも、引き込まれないように気をつけてくださいとかと書いてあるんだけれども、読みやすい、わかりやすいという表示にはなっていないと感じます。何より文字が小さい、私も老眼鏡かけていますけれども、老眼の人ではなかなか見づらいというような小さな字です。
 車両ドアには挟まれない、ホームドアに引き込まれない、こういう自覚を乗客に注意喚起する上では、現在使用しているステッカーを、それから掲示物をもっとわかりやすいものにすることや、張る位置についての検討などを進めていくことが必要じゃないかと思うんですけれども、交通局の見解を伺っておきます。

○相川電車部長 都営地下鉄では、戸挟みや戸袋への引き込まれによる負傷事故を防止するため、車両ドアの左右に注意喚起ステッカーを張りつけております。
 張りつけ位置につきましては、戸袋への引き込まれによる負傷事故が就学前の子供に多く発生していることから、四歳から六歳児の平均身長を参考にした高さとし、また、引き込まれが発生しやすい戸袋付近としております。
 なお、現状のステッカーの大きさや色彩につきましても、視認性を考慮したものとなっております。

○河野委員 子供さんたちをしっかり守ろうという交通局のお考えはわかりました。しかし、乗客はいろんな年代の方が乗るわけですので、どこにどのような掲示をすれば一番効果的かというのは工夫が要ると思いますし、視認性を考慮したデザインということなんですけれども、そういう考慮をしつつも、誰にでもわかりやすい掲示をしていただきたいというふうに思っています。
 ステッカーの改善、申し上げましたけれども、これはほんの一例です。基本的には、ホームや車両の安全のための、きちんとした職員、人員を配置することなどが第一課題である、このことも感じていることを申し上げておきます。事故のリスクを避ける最大限の努力をしていただくこと、これを交通局に要望したいと思います。
 次に、交通局の環境政策について伺います。
 交通局は、都営地下鉄の地上駅に太陽光発電のパネルを設置する計画を持っていました。具体的には、三田線の高島平駅と新宿線の東大島駅の改修に合わせてソーラーパネルを設置し、自然エネルギーの導入拡大を進めるとしていました。
 新宿線の東大島駅は改修が進み、駅のホームに待合室ができ、ホームドアも設置されまして、私たち乗客にとっては大変使いやすい駅になりました。しかし、ソーラーパネルの設置は進んでおりません。
 地上駅での太陽光発電の計画は、現在どのような状況にあり、今後はどのような見通しをお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄の地上駅における太陽光発電設備につきましては、費用対効果も含めまして設置の可否を検討してまいりましたが、買い取り制度の変化や電力の需給動向など、太陽光発電をめぐる状況が依然として大きく変化をしており、引き続き精査が必要と考えております。

○河野委員 引き続き精査されるということで、その答弁なんですが、新宿線の東大島駅が改修されてからもう大分たちますよね。私は、これから精査していくというご答弁はとても残念だと思います。
 北海道の胆振東部地震で、苫東厚真石炭火力発電所がストップしまして、大規模集中型の電力の供給に弱点があることが明らかになりました。小規模地域分散型自然エネルギーを活用した、そうした電力の供給を進めることが、ブラックアウトを防いでいくためにも大きな対策になる、力になるということがいわれています。北海道のブラックアウトの教訓も踏まえて、地域分散型自然再生エネルギーの活用、このことについて可能性を追求していただくことを重ねてお願いしておきたいと思います。
 もう一つ、ソーラーについて伺います。
 都バス停留所の上屋にソーラーパネルを設置する取り組みを交通局は進めておられます。現在の整備状況と今後の見通しについてお聞かせください。

○坂田バス事業経営改善担当部長 バス停留所上屋へのソーラーパネルの設置につきましては、平成二十九年度から補助制度が設けられました。都営バスでも、この補助制度を活用して、平成二十九年度から三十一年度の三年間で、三十棟の上屋にソーラーパネルを設置することを目標としております。
 本年十月末現在で四棟に設置済みでございまして、さらに今年度末までには、葛西臨海公園駅前バス停を含みます十六棟に設置いたしまして、合計二十棟が整備される見込みでございます。

○河野委員 ぜひ引き続きご努力をお願いします。
 持続可能な社会、世界のために、今、国際的な努力がさまざまに取り組まれています。国連サミットで採択された持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、いわゆるSDGsが、二〇三〇年までの国際目標を定め、十七のゴール、百六十九のターゲットで構成されています。このSDGsの十七の目標に向けて積極的に取り組むことが要請されています。
 交通局としては、SDGsの取り組みをどのように受けとめておられますか。そして、このことについての都民へのPR、情報提供はどのようにされているのでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局における環境対策の主な取り組みといたしまして、都営地下鉄では、駅や車両へのLED照明の導入を進めるとともに、全ての車両にエネルギー効率がよいVVVF制御を採用しております。また、都営バスでは、最新の排出ガス規制に適合した車両を導入するとともに、走行時にはCO2を排出しない燃料電池バスを先導的に導入いたしました。さらに、多摩川の流水を利用し、環境に優しい水力発電を行っております。
 こうした当局の取り組みにつきましては、ポスターや動画を作成いたしまして、駅の掲示板や車内液晶モニターなどを活用して発信しております。

○河野委員 交通局も努力されているということはお聞きしました。比較するわけじゃないんですけれども、同じ鉄道事業者で東京メトロでは、社会環境報告書に東京メトロのSDGsを示して、エネルギー使用量やCO2排出量などをわかりやすくホームページなどで公表しています。
 交通局でも、環境政策の取り組みについて、都民にわかりやすい情報提供、いわゆる見える化を進めていただくように、さらなる努力をお願いしておきたいと思います。
 最後に、消費税に関連して伺っておきます。
 十月二十二日の公営企業決算特別委員会で、我が党の尾崎あや子議員が、来年の秋、十月からの消費税率を一〇%に引き上げるといわれていることに関連して、交通局として料金の値上げなどの検討を行っているのかという質問をいたしました。交通局は、運賃への反映につきましては、現在検討を行っているところと答弁しています。
 ちょうど今は、来年度の東京都の予算案の編成に向けて、局要求の見積もりなどが出る時期でありますが、検討を行っていると答えたその内容についてご説明いただきたい。また、来年度予算案に計上しようとしているのか、その点についても具体的にお答えいただければと思っています。お願いします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 来年十月に消費税及び地方消費税の税率引き上げが予定されることを踏まえまして、運賃への反映につきまして、現在、検討を進めているところでございます。また、交通局の平成三十一年度予算原案につきましては、現在、編成作業中でございます。

○河野委員 最後に、意見として申し上げておきます。
 消費税率一〇%へということで、政府が増税の方向を打ち出していますが、国民世論は反対しています。世論調査の結果でもそれは明らかです。消費税は、所得が少なく生活困難な人ほど税の負担が重い逆進性の税だからです。暮らしをまさに直撃いたします。
 貧困と格差の拡大が本当に厳しいといわれている中で、依然としてこうした状況が深刻に続いている今、税の負担が重くなる消費税を運賃に交通局が転嫁するべきではないということを申し上げて、質問を終わります。
 以上です。

○中村委員 それでは、交通局の事務事業について質問いたします。
 最初に、災害への対応について伺います。
 ことしは西日本豪雨や大阪北部地震、北海道胆振東部地震など、大きな災害が相次いだ年でした。会派としても、岡山ほか大阪の被災地を訪問し、お話を伺った上で、さきの定例会の代表質問や決算委員会でも災害対策について質疑をしました。その上で、ここでは具体的に、ことし九月三十日に襲来した大型台風時の対応を通して都営交通の対応を質問したいと思います。
 台風等の豪雨災害は、地震と違い予測ができるため事前の準備ができますし、また、しなければなりません。まず、九月三十日の大型台風の来襲に備えて、交通局は運休等についてどのような対応をしたのか伺います。
 この台風は、家が揺れるほどの強い風が吹き、テレビを見ると、大型トラックでさえ横転するなど、各地に甚大な被害をもたらしました。都営バスの運行、また、地下鉄は基本的には地下で風の影響がないとはいえ、一部地上を走る部分もあるのですが、どのような対応をしたのでしょうか。また、公営企業局は局長が責任者ですが、大規模災害ともいえる大型台風でもあり、任命権者である知事からどのような指示があったのか、あわせて伺います。

○塩田安全管理担当部長 交通局では、本年九月に発生した台風二十四号の接近に当たりまして、防風雨の影響により大幅なダイヤの乱れや運休等が見込まれるため、局ホームページやツイッター、各駅や停留所等におきまして事前に注意を喚起する情報発信を行いました。
 その後、台風接近の影響により、地下鉄地上部区間と日暮里・舎人ライナーにおきましては、おおむね二十三時ごろから運休し、都営バスにおきましても、一部の路線で減便や終車の繰り上げを実施いたしました。
 なお、知事からは、今回の台風に際しましても、安全確保や情報収集に万全を期すよう指示がございました。

○中村委員 交通局として、乗客の安全を守ることが重要であり、状況を判断されて対応されたのだと思います。
 知事からも指示はあったとのことですが、大規模災害になれば社会全体に大きな影響を与えるので、これは都庁全体での対応というのが求められるかと思います。
 また、今回の台風で注目されたのは、JRが異例ともいえる対応として、早い時間から夜八時に全ての路線で運行を中止すると発表したことです。
 都営地下鉄は、直接JRとは乗り入れていませんが、多くの駅で乗りかえ駅として関連があります。JRの計画運休について、JRからの連絡がいつ、どのようにあり、都営地下鉄としてどのように対応したのか伺います。

○相川電車部長 JR東日本の計画運休につきましては、当日の昼前に、JRから交通局総合指令所に実施についての電話連絡がございまして、駅係員や乗務員等に情報を共有し、お客様からの問い合わせに対応をいたしました。
 なお、夕方には、JRから振りかえ輸送の依頼を受け、駅改札口付近に設置しているモニターに、JR線の運行情報を四カ国語で表示するなど、お客様への周知を行いました。

○中村委員 通常でも、事故の際など、各交通機関の間には振りかえ輸送などの依頼もあるでしょうから、今回だけが特別ではないとは思いますが、一定の時間で全てがとまるというのは異例な対応ともいえます。より緊密な連絡が必要と考えます。
 今回のように、JRだけが運行をとめても仕事やイベントは中止にならないし、周知が十分でなければ、駅まで行って立ち往生することもあったと思います。公共交通は社会への影響が大きいため、できるだけ運行はとめない方がいいのですが、危険だと判断されれば運行をとめることもやむを得ません。むしろ公共交通をとめることで、不要不急の外出を控えるように呼びかける効果はあります。
 ただ、計画運休するとなると、それなりの判断が必要になります。先ほど、知事から台風へ万全の対応を期すよう指示があったとの答弁がありましたが、計画運休についても相応の立場の人間が指示することが必要ではないかと思います。
 そこで、計画運休について、交通事業者全体で協議会をつくるなど、体制を整えておくべきではないでしょうか。都営交通は一事業者とはいえ、メトロと合わせれば都心の中心で多くの私鉄が乗り入れています。積極的に提案してもよいと思いますが、見解を伺います。

○塩田安全管理担当部長 先般の台風二十四号の来襲に備え、鉄道事業者各社におきましては計画運休を行いました。国土交通省では、その対応等を検証するため、本年十月に、鉄道の計画運休に関する検討会議を開催しました。この会議には、JR六社及び全国の大手私鉄十六社が出席し、計画運休や運転再開、利用者への情報提供の方法等につきまして意見交換が行われました。
 交通局では、こうした国や他事業者の動向を踏まえ、関係機関と連携を密にしながら適切に対応してまいります。

○中村委員 国の動向次第ということのようですが、残念ながら、国土交通省の検討会議には都営地下鉄は呼ばれていないようです。今後は会議に呼ぶよう求めることも必要だと思います。
 また、先ほどの質問で、知事からの指示についてあえて質問したのは、横並びの事業者の中で、都営交通は自治体が運営している交通機関であり、また、他事業者よりも行政には発信力があります。交通事業は国土交通省の管轄とはいえ、現場のある強みを生かし、今後起こり得る未曽有の災害から都民を守るために、ぜひ検討するよう求めます。
 さて、次に、台風ではなく地震に関する対応なんですが、北海道胆振東部地震で北海道全域が停電するブラックアウトとなり、交通は全面的に麻痺し、鉄道も運休となりました。地震が発生した際に、地下鉄構内での停電対策はどうなっているのか伺います。

○塩田安全管理担当部長 都営地下鉄では、各路線に、非常用バッテリーや非常用の発電機を設置しております。この非常用電源によりまして、停電時に、非常用照明や避難誘導灯、消防設備等に電気が供給され、これらの設備が二時間以上使用できるようになっております。
 駅の停電時には、このような設備を活用し、お客様を安全な場所に避難誘導できるようにしてございます。

○中村委員 二時間以上は駅の照明を確保するという答弁でしたが、本当に二時間程度で十分なのでしょうか。地下鉄構内に滞在するのは、一時避難場所に避難するまでの一時的に滞在するという前提ですが、地上が混乱した場合には、そのまま地下の構内に滞在せざるを得ないことも考えられます。
 そもそも都は、帰宅困難者の対策として一時滞在施設を確保するとしていますが、まだ目標数に対して三分の一しか確保しておらず、六十万人以上が居場所がないことにもなります。そうなると、駅などの地下にそのまま滞在せざるを得ない場合も想定されます。真っ暗になると人々の不安は増大します。さらに長い時間、照明が確保できるよう要望いたします。
 次に、事故時の対応について伺います。
 災害とまではいかなくても、悪天候によるダイヤの乱れ、また、都営地下鉄は、私たちも求めておりますが、ホームドアの整備などが進めば事故は減ると予想されますが、まだホームドアの設置のない他社の路線も含めて事故が発生した場合には、都営地下鉄だけではありませんが、鉄道事業者が発信する情報は少ないといえます。
 当然のことながら、利用者は目的地にどうすれば行けるのかをまず考えます。乗車する前なら、駅で待てばいいのか、迂回ルートをとるべきか、具体的な情報を求めています。また、乗っている電車がとまったのならば動くのを待つしかありません。地下鉄の中に液晶モニターがある場合は、広告を流すのではなく事故の情報を流してほしいと思います。
 事故や災害時もそうですが、インターネットの情報の方が早く流れてきますが、正確である保障もなく、場合によってはデマが流れることもあり、それを打ち消すにはしかるべき機関が正しい情報を適切に流すことしかありません。
 そこで、駅や車内モニターにおいて、事故や輸送障害時に、復旧の見込みや迂回ルートを早急に示すべきと考えますが、見解を伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、事故や輸送障害が発生いたしましたときは、駅の構内放送や改札口付近に設置してありますモニターによりまして、ほかの会社の鉄道を含む運行状況や振りかえ輸送のご案内などの情報を提供しております。車内につきましても、乗務員による車内放送により、適宜、同様の情報を提供しております。
 復旧見込みの情報につきましては、運転を再開する時間が予測できる場合には、放送や改札口付近のモニターによりご案内しておりますけれども、迂回ルートにつきましては、お客様の目的地によってさまざまなルートが存在いたしますことから、駅係員が個別に対応しております。

○中村委員 事故などの際には、正確に、いつ復旧するとは発表しづらいとは思いますが、とはいえ、事故の内容をやじ馬的に知りたいのではなく、余りにも情報がないので、急いで目的地に行きたい人もどうしてよいか判断がつかないわけですし、停止した車両に閉じ込められれば不満もたまります。正確な時間がわからなくても、命にかかわるような事故が起きているのか、それとも物が線路に落ちた程度なのか、事故の大きささえわかれば、乗客もおおよそ予想ができれば心理的にも違ってきます。他社の路線になると都営だけの問題ではないのですが、こうしたことも、先ほどもいいましたが、交通事業者間等で協議する場があればということを望むものでございます。
 さて、先ほど、事故の際の情報不足への質問も今しましたが、そうしたことが駅員への暴力につながることもあります。もちろん、どのような理由でも駅員に対する暴力行為が許されるわけではありません。
 また、これから年末に向けて、特に夜は酒に酔った乗客がふえる季節にもなります。鉄道やバスで騒いだりする行為や暴力行為、迷惑行為については、他の乗客を不快にさせるばかりか、駅員が暴力行為の被害に遭うケースもあると聞きます。
 そこで、地下鉄駅員に対する暴力行為の現状と対策について伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におけます駅係員に対する暴力行為で、警察に通報いたしました件数は、平成二十九年度には九件ございまして、お酒に酔われた上での事例が多く発生しております。
 駅係員が暴力の被害に遭いました場合は、直ちにほかの駅係員に連絡いたしまして、複数で対応をいたしますとともに警察に通報することとしております。また、鉄道各社及び警察と連携いたしまして、ポスターの掲出や車内放送などによりまして、暴力行為の防止を広く呼びかけております。

○中村委員 乗客の安全を守るのは職員の務めではありますが、職員の安全を守るのは事業者がしっかり体制をつくっていくことが大切だと思いますので、今後も適切な対応をしていただくことを求めます。
 さて、先日、消費者庁の発表により、路線バスの乗客が運行中に転倒し、けがをする事故が五年間で二百五十件起きたと報道されておりました。今後、ますます高齢化が進み、シルバーパスを利用して乗車する方もふえると予想されます。バス車内での転倒事故がふえていることが問題になりますが、事故の現状と事故を防止するための対策について伺います。

○根木自動車部長 車内転倒事故は、乗車したお客様が着席される前にバスを発車させてしまったときや、他車の割り込みや自転車の飛び出し等により急ブレーキをかけたとき、停留所に到着する前にお客様が席を立ち上がったときなどに発生しております。
 このうち、お客様が着席される前に発車したことによる事故につきましては、乗務員が十分注意すれば防ぎ得る事故であることから、全乗務員に対する定期的な安全研修や日々の点呼等を通じて、お客様の着席等を車内ミラー等で確認してから、発車します、おつかまりくださいとアナウンスした上で発車するよう指導を徹底しております。
 また、突発的な事態でも急ブレーキを避け的確に対処できる、道路状況に応じた速度での走行や適切な車間距離の確保を指示しております。さらに、乗務員の指導に当たる職員がバスに添乗し、指導及び指示したことが確実に実施されているかを確認するとともに、事故防止に向けた効果的な運転操作等をアドバイスしております。
 車内事故の防止には、お客様のご理解も必要であります。そのため、ポスターやステッカー、車内放送などにより、バスがとまってから席をお立ちいただくよう呼びかけるとともに、ターミナルやシルバーパスの更新会場においてご協力を求めるリーフレットを配布しております。

○中村委員 急ブレーキをかける原因には、自転車等いろいろと飛び出しとかもあるとは思うんですが、最近、特に自転車が車道を走るという、もともと法規制がそうではあったんですが、厳格化されるようになったので、自転車専用レーンが十分に整備されていない場合には、運転手からすれば、これまで以上に神経を使わざるを得なくなったと思います。道路の未整備にも問題はありますが、事故のないよう、また急ブレーキで乗客がけがをしないよう安全運転をお願いします。
 次に、ヘルプマークの普及について、都営交通の対応状況を伺います。
 内部障害や妊娠初期の方など、外見からわからなくても援助や配慮を必要としている方々が援助を受けやすくするものです。都の福祉保健局が作成をし、最近JIS規格化されたので、これまで以上に普及を進めるべきだと考えております。
 都営地下鉄では、これまでも普及に協力してきたと聞いていますが、一方では、都営地下鉄には他社の車両も乗り入れています。ヘルプマークを持っている方が、都営地下鉄の中であるにもかかわらず、たまたまヘルプマークのステッカーが張られていない他社の車両に乗り合わせたため座席を譲ってもらえなかったという話も聞きました。
 そこで、ヘルプマークの普及について都営地下鉄の対応状況を伺います。また、同じ路線を協力して運行しているのであれば、私鉄に協力を求めるべきと考えますが、見解を伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、福祉保健局に協力いたしまして、平成二十四年度から大江戸線でヘルプマークを配り始めまして、二十五年度からは、当局が管理している百一の駅でお配りしております。
 また、お客様にヘルプマークを広く周知するため、優先席の上部の窓や優先席近くのホームドアにステッカーを張りつけておりますほか、駅構内と車内へのPRポスターの掲出、駅改札口や車内のモニターを使ったPRなどを行っております。
 鉄道各社に対しましてはこれまでも、福祉保健局がヘルプマークの普及に向けた協力を呼びかけております。
 当局といたしましても、引き続きヘルプマークの普及啓発に努めてまいります。

○中村委員 都営地下鉄では全部で対応していただいているということなんですが、他社に対して余り前向きな答弁がないと感じます。福祉保健局が呼びかけるよりも、乗り入れで一緒に事業を行う交通局が声をかける方が、相手側も受けとめやすいのではないかと思います。改めて、交通局から私鉄へ協力を求めることについても要望いたします。
 次に、バスについても伺います。
 通勤通学時にバスを使う方も多いのですが、毎日使う路線以外にバスを使うことは余り多くありません。それは、路線がどこを通っているのかとか、どのくらいの時間で着くのかといったことがよくわからないからということも大きな理由だと考えます。
 バスは路線も時間もわからず使いにくいため、移動手段として、よりわかりやすく工夫すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 副委員長がお話しのように、バスは路線が複雑で、到着時間もわかりにくいという声が寄せられていることから、都営バスではこれまでも、お客様への情報案内の充実に努めてまいりました。例えば、路線の案内につきましては、こちらは委員会の資料としてもお配りいたしておりますけれども、都バスの路線案内マップ、みんくるガイドや、主要なターミナルごとに路線を案内する冊子を発行しております。
 また、ホームページの都バス運行情報サービスでは、目的地を入力すると利用可能な路線を検索できるとともに、バスの到着予定時刻や目的地までの所要時間の見込み等につきましても確認できるようにしておりまして、一日約四十五万件のアクセスをいただいております。
 さらに、駅の改札口や駅前広場に、バスの乗り場や発車予定時刻などの運行情報を表示するデジタルサイネージを設置するとともに、バス停では、接近表示装置によりまして、幾つ前のバス停までバスが来ているのかをお知らせしております。
 また、車内におきましても、四つ先までのバス停や鉄道との乗りかえ、都営バス沿線の観光スポットなどを案内する液晶モニターの設置を進めております。
 今後とも、お客様にわかりやすい情報案内の充実に努めてまいります。

○中村委員 よりよく、より利用されやすいようなという工夫をすることが必要だと思っております。
 最近、インターネットで調べることができる、わかりやすくはなってきましたが、ご高齢の方など使わない方もいますので、さらなる取り組みを求めるところでございます。
 さて、公共交通は、何よりも安全な運行が重要です。数年前に長距離スキーバス転落事故もあり、かなり注目されましたが、乗客の命を預かる乗務員が万全の体制で運転できるようにすることは重要です。
 昨今、働き方改革のことがいわれています。交通局の職員は、多くが乗務員や保守の職員など、乗客の命を預かる仕事をしています。全ての職員が家庭と仕事を両立し、安心して働けるようにしていかなければなりません。
 そこで、職員のライフワークバランスの取り組みについて伺います。

○渡邉職員部長 職員一人一人が仕事と生活の調和を図り、安心して働ける職場環境を整備することは重要であると考えております。このため、交通局では、残業削減マラソンや二十時完全退庁の徹底など全庁的な取り組みを実施し、超過勤務縮減に努めております。
 また、働き方改革の一環として、一部の職場で時差勤務やフレックスタイム制、在宅勤務型テレワークなど、柔軟で多様な働き方の推進にも取り組んでおります。
 さらに、不規則勤務職場では、妊娠期間中の職員に対し、泊まり勤務を日勤勤務に切りかえたり、事務室内での業務に従事させるといった配慮を行っております。
 また、育児、介護の事情を抱える職員には、子供の看護休暇や介護時間などの支援制度の活用促進を図るとともに、東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランに基づき、各職場において、職員の中から両立支援アドバイザーを選任し、育児、介護と仕事の両立に関する相談や問い合わせなどに対応しております。

○中村委員 都庁全体でも働き方改革が行われていますが、特に乗客の命を預かる交通局においては確実な取り組みを求めます。
 また、男女共同参画社会において、さまざまな職場で女性の活躍が期待されます。先ほどの答弁でも、妊娠期間中の職員への配慮であるとか、育児や介護など、いろいろと配慮はされているということなんですが、この交通の現場でも女性が安心して働くことができる職場環境を整える必要があります。
 女性の雇用について、更衣室やトイレの整備など現状と課題について伺います。

○渡邉職員部長 交通局では、女性が働きやすい職場環境の充実に向けて、地下鉄やバスなどの事業所において、女性職員の更衣室、トイレ、休憩室、宿泊勤務の際に使用する仮泊室などの施設の整備拡充を進めております。
 現在、バスの営業所や地下鉄の保守部門の庁舎においては、必要な施設の整備をほぼ完了しております。一方、地下鉄では、駅構内の空間が限られていることなど、さまざまな制約がありますが、駅の改修工事などに合わせて着実に整備を進めているところでございます。

○中村委員 おおむね取り組まれていることのようですけれども、地下鉄ではまだ課題があるようです。女性の活躍は人材の確保という点でも重要ですので、引き続きの取り組みを求めます。
 さて、生産年齢人口の減少や大型二種免許取得者の減少に伴い、バスの運転手不足も懸念されております。バスの運転手という職業については、きつい仕事というイメージを持たれているように思います。多くの乗客の命を預かるバスの運転手という職業は、確かに責任は重いのですが、魅力的な職業だということをアピールし、若い人たちが志すようにしていくことも必要だと思います。
 バスの運転手不足が懸念されますが、若い世代の確保のための取り組みについて伺います。

○渡邉職員部長 近年、全国的に大型二種免許保有者の高齢化と新規取得者の減少が進行していることなどから、バス乗務員の採用環境は厳しさを増しております。こうした中、交通局では、安定的なバス乗務員の確保に向け、大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型の選考を実施しております。
 また、ホームページに、当局の若手職員がみずからの体験を踏まえて職場の魅力をPRする記事を掲載したほか、主に二十代、三十代が集う転職支援イベントへの出展も行うことにより、若い世代のバス乗務員希望者の拡大を図り、都営バスの人材確保に努めてまいります。

○中村委員 最後に、公共交通のあり方について、少し広い観点から伺います。
 まだ東京の人口はふえ続けてはいますが、今後の超高齢社会、人口減少社会を見据えた公共交通のあり方を考えていく必要性があると考えます。
 中でもバスは、高齢者や障害者が利用しやすい身近な足だと考えています。各市区町村でも交通不便地域の解消のため、コミュニティバスの取り組みなどを行っています。
 交通局は、東京都の公営企業として、都営バスの路線について積極的に黒字路線を開拓するとともに、赤字路線についても、地域の足の確保のため維持すべき路線があると考えますが、見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、需要の変化に合わせまして、乗務員や車両など、限りある経営資源を有効に活用することで、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるようバス事業を運営しております。
 例えば、大規模住宅等の建設が進み、都営バスへの需要が高まっている臨海地域等では、ここ数年、積極的に増便等を行っております。
 一方、利用者が減少し赤字となっている路線であっても、代替交通手段が十分に整備されておらず、地域の足として必要な路線は黒字系統の収入で支えるなど、総合的な事業運営を行うことで維持しております。

○中村委員 公営企業として収支はもちろん重要ですが、公営企業がゆえに赤字路線でも住民の移動に必要な路線を簡単には廃止できないと思います。もちろん、収益を確保することに常に努力をすることは重要ですが、都として広域的な視点から、今後ふえ続ける高齢者も含めて、移動手段の確保を積極的に行うべきと考えます。
 安全で都民が暮らしやすい東京になるよう、今後の都営交通のあり方を検討することを求めて、質問を終わります。

○川松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時三十分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上田委員 事務事業質疑ということで、各項目、多岐にわたりまして端的にお尋ねさせていただきたいと思います。
 初めに、各事業の利用者数についてです。
 過去十年にわたる交通局事業の利用者推移と需要、傾向、それを受けての因果分析と対応の所見をお示しください。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営交通の一日当たりの乗客数は、平成二十二年度には約三百万人でございましたが、この十年間で増加し、平成二十九年度には約三百五十万人となっております。このうち自動車運送事業と新交通事業、高速電車事業につきましては、沿線開発の進展などによりまして乗客数が増加基調にあり、引き続き輸送需要に的確に対応してまいります。
 また、軌道事業につきましては、乗客数は、おおむね横ばいに推移しておりまして、沿線地域と連携しながら一層の旅客誘致に努めてまいります。

○上田委員 都電は横ばいということで、ほかにおきましては順調にお客様を伸ばしているということであります。
 事ほどかように、東京都の事業でも、最も毎日不特定多数の都民と接する事業でございます。その点で、交通局全般の各サービスについて確認をさせていただきたいと思います。また、その中心となります平成三十年度サービス推進活動方針について、どのように現場で向上対策をとっているのか、具体的にお示しいただければと思います。

○土岐総務部長 交通局における平成三十年度のサービス活動方針では、お客様の声等を活用した事業改善、お客様の立場でみずから考える風土づくりを主な取り組みと掲げております。これを受けまして、地下鉄やバスなどの事業所におきましては、それぞれの目標を定め、サービス推進活動に取り組んでございます。

○上田委員 ちょっと質疑が、時間がなかったようで、より具体的には伺いたかったところですけれども、そのもとになさっている。でありながらも、都営交通お客様センター、資料の24になりますけれども、寄せられた声を受けられまして、苦情相談内容の内訳と傾向、それを受けての対策についてもお示しいただければと思います。

○土岐総務部長 苦情の具体的な内容といたしましては、ダイヤの遅延や運転操作、接遇など職員の執務に関するものなどがございます。苦情への対応につきましては、まず事実を確認し、必要に応じて当該職員への指導を行ってまいります。
 また、参考となる事例は職場内で共有し、類似した苦情の再発防止に努めております。

○上田委員 職場内で共有して再発防止に向け努力をなさるということで、それにつきましての具体的な職員への教育体制についてお示しください。

○渡邉職員部長 交通局では、研修所が実施する集合研修と各職場でのOJTを二本の柱とし、職員の接遇研修を実施しております。
 集合研修としては、採用時研修や採用後の研修の中でも接遇の科目を設け、ロールプレーイングの実施など、より実践的な研修を取り入れております。
 また、OJTとしては、各職場で実施計画を立て、ベテラン職員によるマンツーマンでの新人教育など、実態に即したOJTを継続的に実施しております。

○上田委員 ベテランによるマンツーマンでの新人教育ということですが、大事なことだと思います。
 しかし、先ほど、やはり同僚委員から、けがをなさった方の電話対応についての接遇についての指摘もありました。私も、船堀ですので、住吉あたりで乗りかえたときに、駅のホームで、酩酊されているのかご気分が悪いのか、夜横たわっている方がいらしたんです。職員さんに一応伝えたんですけれども、もうわかっているからというふうにいわれてしまいまして、おやっと思ったこともありましたので、やっぱり末端にわたるまでの対応というのは、常に毎日、三百万人、三百五十万人と増加ということでございますので、目にしている、聞いているという利用者もいると思うので、徹底をお願いしたいと思います。
 また、こうしたさまざまな声をすくい上げるということで、都営交通モニター、外国人モニター制度を今度採用してやっていくということでございます。その成果と課題を具体的にお示しいただければと思います。

○土岐総務部長 都営交通モニター制度は、毎年約四百名の方を選任いたしまして、接遇や施設などのサービスレベルの調査をしていただく取り組みであり、これまで調査結果を生かして、職員のお客様対応、駅や停留所の改善などを図ってまいりました。
 また、外国人モニター調査では、外国人の方の視点から、地下鉄などの多言語表記などに対して率直なご意見を伺うなど、外国人利用の実態に合ったニーズを把握してまいりました。
 引き続き、さまざまな年代の方々や多様な国の方々の声をいただきながら、質の高いサービスの提供に努めてまいります。

○上田委員 そのモニターの声も、具体的にどこか事業概要とかでも、次回から何か集計したものも見てみたいなというふうに思っております。
 また、同じく、お客様の声システムの運用をされております。成果と課題、具体的な事例を挙げてご説明いただければと思います。

○土岐総務部長 現在のお客様の声システムでは、それまでお客様の声を受け付けた後に、紙媒体で処理しておりました文書を電子化したことにより、対応の決定に関する事務処理及びお客様への回答の迅速化が図られるとともに、事案の検索や集計の効率化にも役立っております。
 引き続き、このシステムを活用し、お客様サービスの向上につなげてまいります。

○上田委員 一五ページの忘れ物センターで取り扱った遺失物の件数なんですが、取扱件数は、上がっているのは大変評価できると思うんですが、もうちょっと返っていってもいいのかなとは思っております。ただ、忘れ物の対応もさまざまなシステムを駆使して早まってきたということであります。
 よくヤマトさんとか、何というんですか、どこに荷物があるかというのをすぐに持っているタブレットのもので確認できるように--まあ私もよく忘れ物をするんですけれども、大変いつもお客様の声の方にはお世話になっているんです。大分確かに早まったなとは思うんですけれども、どこに自分の忘れ物が、すぐにわかるようなシステムというのがあり、この遺失者返還数がちょっと伸びるといいかなと、局内のIC化も今進んでいるところで、あわせてお取り組みいただければと思います。
 妊婦、障害者対応についてであります。
 過去十年でかなり改善してきているとは思うのですけれども、今、SNS等でベビーカーや妊婦さんに対する、うちの都営交通に限ったことではないんですけれども、非常に社会問題化しております。
 東京都におきましては、サービス介助士取得支援などしておりますが、現状で追いついているのか、このサービス介助士の資格については二三ページの方をごらんいただければと思いますが、充足できているのか、できていないとすれば、どう取得を推進するかなど課題についても伺いたいと思います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、平成十九年度からサービス介助士の資格の取得を進めておりまして、資格を取るのに必要な費用は全額支出しております。現在、都営地下鉄の全ての駅にサービス介助士の資格を持った職員を複数名配置しております。
 マタニティーマークにつきましては平成十八年度から、内部障害や妊娠初期の方などが配慮を必要としていることを周りに知らせるヘルプマークにつきましては平成二十四年度から、それぞれ都営地下鉄の駅などでお配りするとともに、駅の構内のポスターや車内の優先席近くのステッカーによりまして周知を図っております。
 さらに、都営地下鉄では、鉄道各社と連携いたしまして、声かけサポート運動に取り組みまして、困っておられるお客様への駅係員などによるお声がけを徹底するとともに、ポスターや駅構内の放送などによって周りのお客様のご協力を呼びかけております。

○上田委員 本当に交通局のポスターは、ぷっと噴き出してしまうのもあったり、うんとうなずくのもあって、押しつけがましくない呼びかけ、非常に効果があると思っております。
 今、マタニティーマークだけではなく、マタニティーさんをサポートするマークといいますか、そういったものを、味方がいるよというところでつけていくというような運動も広まっているので、そちらのご支援をいただきたいと思います。
 また、一七ページを見ますと、犯罪行為も増加中でありますけれども、カメラ映像も毎回ちゃんと多くなってきて、しっかりと提携をしていることでございます。警視庁に確認したところ、必ず近隣の交番が大体各駅で決まっていて、そこと連携を図っているということであります。
 先ほども、暴力行為についての質疑もありましたところであります。お客様はもちろん、都の職員の皆様にも危害が及ばぬようお取り組みをお願いしてまいりたいと思います。
 また、多くの質問もありました防災対策です。
 有事のときと平素の訓練、帰宅困難者対策、特に災害弱者の対応につきましてのお取り組みをお聞かせください。

○塩田安全管理担当部長 交通局では、災害等の異常事態に備えまして、警察や消防と連携し、関係部門や各職場で毎年訓練を実施しております。
 帰宅困難者対策につきましては、一時滞在施設が開設されるまでの間、地下鉄の各駅におきまして帰宅困難者を一時的に保護するため、当局が管理する全駅に約五万人分の飲料水、防寒用ブランケット等を備蓄しております。
 お客様の避難誘導につきましては、避難路の安全を確認した上で、子供や妊産婦、障害をお持ちの方などに対しまして移動の補助などを行うとともに、必要に応じまして周りのお客様の協力を得ることとしております。

○上田委員 必要に応じてのお客様の協力を得ながらというところで、障害をお持ちの方、移動の補助というのが、先ほどの介助士資格の取得と連関してくるものと期待をするものでございます。
 また、同僚委員から、六十万人がとにかく構内に取り残されるんではないかという声もある中、この一八ページの資料、しっかりと保管していただいているということで、常に適正数の検討をお願いしたいと思います。
 さて、交通局全般にわたりますWi-Fi環境についてです。
 ちょっと地下鉄も、都バスもつながりにくいかなというふうにやっぱり思わざるを得ないんですね。現状の課題と、オリ・パラまでの解決策につきましてご説明いただければと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営交通で提供しております無料Wi-Fiサービスは、通信事業者が機器を設置して実施しております。ご利用が集中すると通信速度が低下する可能性はございますが、必要に応じて通信事業者に改善を促しているところでございます。

○上田委員 Wi-Fi、もうちょっと頑張っていただきたいなというふうに思います。多分朝とかほとんどつながらないし、都バスもちょっとつながりにくいかなというふうに思っております。
 つきましては、今度はバリアフリーですね、私の資料一六ページになります。
 私、この夏、ロンドンに行ってきたんでありますけれども、ロンドンの地下鉄は、本当、ワンルートも確保できていないというところで、改めて、何というんですか、海外を見て、日本のバリアフリーの取り組み、特に都営交通の取り組みを大いに再評価をさせていただいた次第でございます。とはいえ、現状の課題と苦情等々ございましたらば、そのあたりにつきましてもご報告いただければと思います。

○野崎建設工務部長 都営地下鉄では、バリアフリーの充実に取り組んでおりまして、平成二十九年度は、大江戸線新宿西口駅で乗りかえエレベーターの供用を開始いたしました。
 トイレにつきましては、新宿線市ヶ谷駅など四駅四カ所でグレードアップを行うとともに、大江戸線月島駅など八駅八カ所で洋式化を行いました。
 バリアフリー化に当たりましては、設置スペースの確保や契約不調などの課題がございます。また、エレベーターの増設希望などのご意見が寄せられているところでございます。

○上田委員 適切に対応しているところを確認させていただきました。
 また、これも大事で、事業外収入についてもお伺いしたいと思います。
 まず最初は、一三ページの広告収入であります。
 ざっと見ますと、横ばいでございますけれども、所見とデジタル広告の可能性と今後の展望についても伺いたいと思います。

○広瀬資産運用部長 広告事業につきましては、紙媒体の販売が厳しい中、デジタル広告の拡大を図るなどさまざまな取り組みを行うことによりまして一定の収入を維持しております。
 今後とも、地下鉄車両更新などに合わせましてデジタル広告の拡大を図ってまいります。

○上田委員 しっかりデジタルサイネージの方も定着化してきたと思いますが、また新しいアイデア、お取り組みをしていっていただきたいと思います。
 続きまして、不動産の有効活用についてです。
 こちらの事業の収支、金額の方は事業概要に書いてあったんですけれども、収支を伺いたいと思います。

○広瀬資産運用部長 不動産貸付の収支につきましては、行政財産や行政財産と供用している建物等を除きますと、平成二十九年度は、収入が四十八億円余、支出が七億円余、差し引き四十一億円余でございました。

○上田委員 四十一億円の収入があるということで、また、売り上げ増につきましても、こちら、一四ページですね、皆さん見ていただければと思います。引き続きのご努力をお願いいたします。
 次は、都バスです。
 ドライブレコーダー、この間も痛ましい、横浜でのバスの話も同僚委員がしていましたけれども、事故発生件数とドライブレコーダーがどのように生かされたか、具体的に説明をいただければと思います。

○根木自動車部長 都営バスにおける平成二十九年度の有責事故の件数は、ガードレールや駐車車両などに接触するといった軽微な事故を含めて三百七十八件でした。
 また、ドライブレコーダーについてですが、車両に五台のカメラを設置し、常時運行中の様子を撮影しており、事故が発生した場合には、時刻や速度などのデータとともに映像を保存し、確認できるようになっております。
 このドライブレコーダーを事故原因の究明に役立てるとともに、運行管理者が事故を起こした乗務員に映像を見せて、みずからの運転特性を把握させ、必要な指導を行うことで、安全意識や運転技術の向上を図っております。また、事故には至らない、いわゆるヒヤリ・ハットの映像を乗務員の安全研修などに活用しております。

○上田委員 三百七十八件ということは、毎日一件は発生するということでございます。有効活用して、訴訟等でも活用する場合もありますし、再発防止に向けての参考資料となることもあると思います。活用の方を徹底していただきたいと思います。
 次に、深夜バスについてでございます。資料一九ページです。
 以前、乗客潮流の変化を的確に把握し、需要に合った路線やダイヤの見直しを行っており、今後とも、地域のニーズも踏まえつつ、需要の動向を見きわめながら適切に対応との答弁をいただいております。
 こちら、要求資料の数字を受けまして、改めて、ニーズをどう捉えているのか、このままでよしとするのか、どうなのかというところを伺いたいと思います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 深夜バスにつきましては、お客様の声や地元からの要望を受け、夜十時以降のバスの利用者数や終バス後のタクシーの利用状況等を調査した上で、平成二十八年四月には、船堀駅と新小岩駅前を結ぶ深夜12系統を新設いたしました。
 また、臨海部の大規模開発に合わせて、平成二十九年四月には、東京駅丸の内南口と有明一丁目を結ぶ深夜13系統及び東京駅八重洲口と深川車庫を結ぶ深夜14系統を新設いたしました。
 深夜バスは一定のお客様にご利用いただいておりまして、需要に的確に対応できていると考えております。

○上田委員 江戸川区民待望の深夜12系統、大変好評を得ています。ありがとうございます。
 しかし、一方で、深夜01折返系統、この一九ページ上から二段、猪瀬元都知事鳴り物入りのバスは、しっかりと社会実験の結果、廃止という英断もされているというところも評価させていただきたいと思います。
 次に、資料二〇ページのさまざまなニーズに対応したバス路線についてであります。
 私の地元のアクセスラインバスは、私、朝夕、駅に立つことが多いんですが、通勤利用が多いように思いますが、それぞれのニーズや把握数値を見た上での需要に対応すべきか否かの所見を伺いたいと思います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、駅まで直行で結ぶダイレクトバスや、駅から近距離の通勤通学者の利便性を図るアクセスラインバスなど、ニーズに応じたバスを運行しております。
 今お話しのアクセスラインバスは、利用者の七割以上が通勤通学のお客様でありますことから、路線設置の目的は果たしていると考えております。

○上田委員 都庁と新宿駅を結ぶ、何というんですか、路線バスもあります。私の政調スタッフは、障害を持っている者がおりまして、大変ありがたく使わせていただいております。なかなか費用対効果のみでは判断もできないということで、常に検討を重ねつつ、住民生活に利するバス運行をお願いしたいと思います。
 次に、インターネットの運行情報の活用状況についてです。
 現状と課題、使いやすさなどを確認させてください。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都バス運行情報サービスでは、時刻表や路線別の運行状況などを確認することができまして、一日四十五万件を超える多くのアクセスをいただいております。
 引き続き、わかりやすい情報案内の充実に努めてまいります。

○上田委員 ありがとうございます。
 四十五万件ということで、しっかり利用していただき、恐らくわかりやすいということを、そこで効果として評価をさせていただきます。
 次に、売却されたバスの再利用についてです。二一ページとなります。
 この資料を受けて、具体的にどのように活用されているのか、東京都で使ったバスがほかの地域とか、例えば発展途上国みたいなところで使われたら本当にすてきなことだと思いますので、そこについてご説明いただければと思います。

○根木自動車部長 公営及び民間の路線バス事業者に売却した車両は、路線バスとして引き続き有効活用が図られております。

○上田委員 ありがとうございました。
 次に、燃料電池バスについてです。
 さきの決算審査で、私、環境局の担当だったんですが、オリ・パラまでに七十台を目指すというご回答を得ておりました。水素ステーションも、来年、葛西水再生センターに設置するが、今後も、またふえるという答弁を、さっきどなたかされていたと思うんですけれども、今のところ二カ所で、いずれも城東地区であります。
 東京の西部や三多摩地区の燃料電池バスも、そこで運行した場合どうするのか、また、現実的なところは、交通局が一番わかっていらっしゃると思うので、お題目もすばらしいんですけれども、環境政策にいたずらに引きずられない、現実的な交通局としての真の需要の有無を伺いたいと思います。

○根木自動車部長 環境政策に先導的に取り組むことは、公営企業では、都営バスの重要な責務の一つであると考えておりまして、交通局では、都を挙げて取り組んでおります水素社会の実現に貢献するため、経営計画二〇一六で、燃料電池バスを先導的に導入することとしておりまして、現在の五両に加え、今年度新たに十両を導入する予定でございます。
 燃料電池バスを運行するためには、営業所の近隣にバスに充填できる十分な能力を持つ水素ステーションが整備されていることが不可欠であることから、運行する路線につきましては、ステーションの整備状況を踏まえて検討してまいります。

○上田委員 水素社会実現、また私も定点観測させていただきたいと思います。
 都電です。
 長年親しまれた都電荒川線という名称が東京さくらトラムとなり、地元住民が突然の愛称決定に困惑しているとの報道があります。実際私、今実家、荒川区でございまして、どよどよとどよめいております。
 愛称変更の経過と、どのように普及を図ってきたのか、苦情はなかったのか、現状と所見を問いたいと思います。また、名称変更にかかったコストも伺いたいと思います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 愛称につきましては、若手の職員を中心とするプロジェクトチームによりまして、都電や沿線の魅力を伝えるために、ふさわしい愛称の候補を挙げました後、都民の方などから広く意見を募集した上で決定いたしました。
 普及への取り組みといたしましては、SNSなどでPRいたしますとともに、沿線地域や沿線区と連携したイベントなどで愛称を活用しております。
 お客様からは、都電荒川線という名称がなくなってしまうんでしょうかといったご心配をいただく一方で「さくら」という名前から日本をイメージできる、覚えやすいなどの声も寄せられております。
 なお、愛称をつけたことによります案内サインの改修などにかかりました費用は、約五百五十万円でございます。

○上田委員 何か昔、E電なんていうのもありまして、うちの父なんて国鉄の前の省線なんてずっといっていましたけれども、定着をするのも見守ってまいりたい、生暖かく見守ってまいりたいと思います。
 都営地下鉄でございます。
 ワンルート確保については先ほど評価させていただきました。一六ページですよね。この障害者、殊に障害者の案内、対応についてはどうなっているのか、お示しいただければと思います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 エレベーターなどによりますワンルートのご案内は、バリアフリールートとして駅の構内の案内図に表示しておりますとともに、交通局のホームページや、駅でお配りしているバリアフリーガイドに掲載しております。
 また、駅の天井や壁、柱、床面などに、エレベーターへの案内サインなどを設置しておりますほか、困っておられるお客様にはお声がけするなど、駅係員が適宜対応しております。

○上田委員 PASMOにくっついてきますね、ToKoPoについてでございます。
 以前、利用状況を確認したところ、新規入会の案内の各駅への掲出や、都営交通沿線で開催されるイベント等の来場者への特別ポイントの付与などのキャンペーンを実施とのことでございました。ToKoPo対象の利用者は、一日平均二百七十五万人いる中で、この表中、一二ページを見ますと、微増はしているけれども伸び悩んでいるのではないのかなというふうに思われます。
 ToKoPoのサービス内容や特徴等のPRを行うとともに、効果的なキャンペーンやイベント等を開催しまして利用者の拡大に取り組んでまいりますとも答弁いただいておりますが、その後の取り組みと課題と所見を伺いたいと思います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 ToKoPoの会員数は、平成三十年度期首で約九万二千人でございまして、近年は微増の傾向となっております。また、お客様がポイントを変換してPASMOにチャージした実績は、年間で約一千万ポイントで推移しております。
 これまで、ご利用を促進するため、駅の電飾ボードなどへの広告の掲出や映画配給会社とのタイアップによる入会キャンペーンなどを行ってまいりました。また、環境施策をPRするイベントに来られた方にボーナスポイントを進呈するなど、ほかの行政施策と連携した取り組みも行っております。
 引き続き、ToKoPoのサービス内容や特徴などのPRを行うとともに、効果的なキャンペーンなどを行いまして利用者の拡大に取り組んでまいります。

○上田委員 PASMOへのチャージが若干一手間なのでしょうか。余り広告料を払って、無理してPRもすることもないのかなとも思いますので、微増と、チャージを見ながら、身の丈に合った事業としていただきたいと思います。
 次は、混雑対策です。
 新宿線では十両編成をふやし輸送力の強化を図っております。最も混雑する路線の課題と対応策を伺いたいと思います。

○相川電車部長 都営地下鉄において、平成二十九年度に最も混雑率が高かった路線は、大江戸線でございます。近年、臨海地域の開発等により需要が増加しているため、今年度中に三編成を増備した上でダイヤ改正を実施する予定でございます。

○上田委員 副都心開発、東京都が手がけたことが功を奏したということで、大江戸線がトップというのは、非常に、私もおやっと意外なことでございました。引き続いての取り組みをお願いします。
 電気事業でございます。資料の二二ページをご参照ください。
 公募による売却から、これまでの経緯と見込みと実績、解決金の回収状況、収支も含めお示しください。

○奥津車両電気部長 東京電力と契約していた平成二十四年度決算までの経常利益は一億円程度で推移しておりました。平成二十五年度に公募で決定した事業者への売却開始からの経常利益は、平成二十五年度は約三億円、二十六年度は約十一億円、二十七年度以降は毎年五億円を超えてございます。
 このことから、平成二十六年度に東京電力に支払った解決金十三億八千三百万円は既に回収できております。

○上田委員 お見事、解決金を既に回収ということでございます。なかなか天候に左右され、苦労されていたかと思いますが、公募による売却を開始したことに関する評価と所見をお示しください。

○奥津車両電気部長 公募による売却を開始した平成二十五年度より、経常利益が大幅に増加しており、十分に成果が出ているものと考えてございます。

○上田委員 成果が出てよかったと思います。
 組合事務所です。一一ページをごらんください。
 職員団体の事務所の都有財産の提供について基本的な考え方をお伺いしたいと思います。また、資料によれば、無償貸与をしているというところですが、果たして労働組合法に定める賃料コスト、面積、立地ともに最小限なのか、お考えもお示しください。最小限ではない、すなわち過剰、不適当であると判断された場合の対応についても、あわせてご説明ください。

○広瀬資産運用部長 交通局と労働組合が適法な交渉を通じて適切な労使関係を維持することは、局事業の円滑な運営にも資するものであることから、局事業に支障のない範囲におきまして事務室を使用することを認めております。また、事務室の広さは適当なものと考えております。

○上田委員 今後、賃料を徴収するかどうかのお考えもお示しいただければと思います。

○広瀬資産運用部長 交通局におきましては、規定にのっとりまして無償で使用することを認めております。今後も、関係法令等に照らし適切に対応してまいります。

○上田委員 大阪など、賃料を取ったり、江戸川区でも、私、指摘しまして、労働組合から適切賃料を徴収するようなことを改善させていただきました。一応、都民財産でございますので、都民の目にどう映るのかということも、そういった観点に立っていただきまして、常に適切に対応していっていただきたいと思います。
 外郭団体についてです。一〇ページをごらんください。
 東京交通サービスのOB採用が多い理由についてお示しいただければと思います。

○土岐総務部長 監理団体でございます東京交通サービス株式会社は、都営交通の安全・安心を技術の面から支えるパートナーであり、都営地下鉄を初めとした都営交通の車両や施設、設備の保守管理業務等を実施してございます。
 これらの業務は、交通局と一体的な事業運営や安全管理体制が必要であり、業務遂行に当たりましては、局職員と同等の知識、経験、技術が求められますことから、局からの派遣職員の受け入れや局を退職した職員の採用を行っております。
 こうした職員が局で培った技術、ノウハウを活用して業務に従事するとともに、団体固有職員の人材育成を着実に行うことで、局と関連団体とがグループ一体となった執行体制が構築されるものと認識してございます。

○上田委員 私は、外郭団体においては可能な限りはプロパーで雇っていただいてという考え方でありますが、こうした培われた、特に交通局のような特殊な技術の継承については、全く、また逆の立場で評価をさせていただきたいと思います。
 二〇二〇改革プランにのっとりまして、全体的なこの資料を見ますと、おおむね健全な状況というふうに評価をさせていただきたいと思います。
 公営企業というのは、地方自治法にのっとりまして、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施すると定められております。また、地方公営企業法によりまして、三条ですね、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければいけないと定め、公営企業経営の基本原則として、経済性、公共性の二つを掲げていると事業概要でもうたってあります。
 この法の理念と独立採算制の原則のもと、経済性、公共性、住民福祉の実現を願い、私の質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○鈴木委員 私からは、日暮里・舎人ライナーの混雑対策と、それを踏まえた時差ビズの今後の方向性について質問をいたします。
 二〇〇八年に開業した日暮里・舎人ライナーの混雑率は、二〇一七年時点で一八七%となっています。これは全国の路線で五番目に高い混雑率です。特に、この日暮里・舎人ライナーは、沿線の開発に伴って乗客数が急激に伸びており、この五年間で、混雑率が実に二五%も上昇しているという状況にあります。日暮里・舎人ライナーの車両混雑は、将来的にも深刻な課題になると考えられます。
 そこで、最初に、基本的な情報の確認になりますが、日暮里・舎人ライナーの乗客数について、開業前の想定と比較して、現在どのような状況か伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 日暮里・舎人ライナーの乗車人員につきましては、開業前の見込みは、開業当初の平成二十年度は一日当たり約五万一千人、開業から六年目の平成二十五年度以降は七万人程度で推移するというものでございました。
 実際の乗車人員は、平成二十年度が一日当たり約四万九千人でございましたけれども、地域の足として定着するとともに、沿線でマンションなどの建設が進んで、通勤通学でのご利用がふえたことなどにより毎年増加しておりまして、平成二十九年度は約八万六千人となりました。

○鈴木委員 一日七万人の当初の想定を上回る八万六千人の乗客があるということでした。
 開業当初は十五年で黒字化、つまり今から五年後の二〇二三年には黒字に転換する見込みでした。当初の予測を上回る乗客であれば、経営状況も好転していると考えるのが一般的です。
 そこで、日暮里・舎人ライナーの今後の経営の見通しについて伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日暮里・舎人ライナーの乗客数は、先ほどご答弁申し上げたとおり、当時の予測を上回っておりますが、朝ラッシュ時間帯の日暮里方向に集中しておりまして、混雑対策として、当初予定していなかった追加投資を行ってきたことなどから、経常収支は開業当初から赤字が続いております。
 また、今後も、老朽化した車両や設備の更新を控えておりまして、厳しい経営状況が続くものと見込んでおります。

○鈴木委員 乗客数が当初の予測を上回っているにもかかわらず、経営状況はいまだに厳しいということがわかりました。
 私は、満員電車の問題を考える上では、この経営の圧迫というのはやはり一つのポイントになるだろうと考えています。日暮里・舎人ライナーの平日朝の上りに乗客が集中しており、この最混雑時の需要に合わせて車両を購入しなければなりません。そうすると、オフピーク時には運行しない車両も多くなってしまうため、満員電車は乗客に対してだけでなく、鉄道事業者の経営にも大きな負担となってしまいます。しかし、経営が厳しい中でも増加する乗客への混雑対策は必要です。
 そこで、交通局がこれまで取り組んできた混雑対策について伺います。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、朝ラッシュ時間帯に増発を行うため、平成二十一年度及び二十三年度に、それぞれ車両を二編成増備し、さらに平成二十七年度及び二十九年度には、全席をロングシートにして車内空間を広げた新型車両をそれぞれ一編成増備してきました。
 こうした取り組みにより、朝ラッシュ時間帯については、開業当初の五分間隔から、現在は三分二十秒間隔に短縮しております。また、開業当初から運行してきた車両につきましても、座席の一部をクロスシートからロングシートに改修するなど、車内レイアウトを改善することで混雑対策に努めてまいりました。

○鈴木委員 車両の増備などハードの面から混雑対策に取り組んできたということがわかりました。
 実際に、これまでの混雑率の推移を毎年見てみますと、ハード面で対策を実施した年には大きく改善が見られています。しかし、それをも上回る需要の伸びがあって、現状一八七%という数字になっているのです。そして、沿線の開発動向を踏まえると、乗客数は今後も増加すると予測されます。交通局では、平成三十一年度にも新たに二編成を増備すると聞いています。
 そこで、購入する車両の特徴と費用について伺います。

○野崎技術調整担当部長 昨年十二月に契約を締結しました日暮里・舎人ライナーの新型車両は、全席をロングシート化し、開業当初から運行してきた車両に比べ、定員で八%程度多いお客様にご乗車いただけるよう設計を行っております。また、全ての車両に車椅子スペース、またはフリースペースを設置するほか、優先席の縦手すりをふやすこととしております。
 なお、新型車両の購入金額は、二編成十両で税込み十四億二千五百六十万円でございます。

○鈴木委員 やはり車両の更新、増備には経営にも非常に大きな負担があるということがわかります。
 続いて、混雑対策としての車両増備の効果についてもあわせて伺います。

○相川電車部長 平成三十二年春には、朝の混雑時間帯に運行本数をふやすダイヤ改正を行う予定でございます。このことにより一定程度の混雑緩和が図られるものと考えております。

○鈴木委員 今回、私の方でも、混雑率にどのくらい寄与があるのかというのを考えてみたところ、新型車両の導入とダイヤの改正によって、輸送力はおよそ六%向上するという試算になりました。その結果、混雑率は現行の一八七%から一七六%まで下がると予測されます。ただし、これは現行の乗客数を前提にした試算であり、今後も乗客数がふえるようであれば、混雑率はより上昇する可能性があります。
 このように、混雑対策としての車両の増備は確かな効果があると考えられます。他方で、ここからが問題なのですけれども、ハード面の対策というのは、もはや限界に近づいているのではないかというのが私の認識です。
 例えば、今回購入した二編成を加えると、合計で二十編成となりますが、運転間隔や車庫の関係で、二十編成よりもさらにふやすのは現状のシステムでは極めて困難な状況であると考えられます。
 また、一編成五車両のところ六車両にしてはどうかという指摘もありますが、六両編成に対応するためには、ホームの拡張も含めて多額の投資が必要であり、収支が赤字の中で大規模改修ができるかといえば、現実的には難しい状況です。
 先ほどの試算によれば、平成三十二年の混雑対策によって一定の効果は見込まれますが、平成三十二年以降も仮に乗客数が伸びるようであれば、ハード面の混雑対策は手詰まりになる可能性があります。
 これまで、日暮里・舎人ライナーの混雑対策に、交通局として、ハード面から積極的に取り組んでいただいているということはよくわかりました。やはり今後はソフト的な対策で、ピーク時の過剰な需要を分散させる取り組みが必要だと考えます。
 そこで、時差ビズに関する質疑に移ります。
 東京都では、時差ビズを昨年度から実施しており、昨年度の時差ビズ集中期間では、約三百二十社の企業、団体が参加し、交通局を含む鉄道事業者も協力しました。そして、ことし七月にも再び時差ビズ集中期間が実施されています。
 そこで、今年度の時差ビズ集中期間の交通局の取り組み内容と、昨年度と比べた参加者数の変化について伺います。

○櫻庭鉄軌道事業戦略担当部長 交通局では、官民が一体として取り組む時差ビズを推進するため、朝のラッシュ時間帯における各駅の混雑状況が見える化する駅を、今年度は五十三駅から七十八駅に拡大いたしまして、ポスターやホームページで公表して、オフピーク通勤へのご協力を呼びかけました。
 また、朝活応援・時差ビズキャンペーン、これは最も混雑する時間帯を避けてご利用され、かつ、専用端末にICT定期券をタッチされたお客様にポイントをつけまして、抽せんで朝活を応援する景品などをプレゼントするという取り組みでございますけれども、この都営交通朝活応援・時差ビズキャンペーンを昨年度に引き続き実施いたしました。
 今年度のキャンペーンは、期間を平日の十日間から平日の二十四日間に拡大いたしましたとともに、キャンペーンの対象となる駅を二駅ふやしまして、浅草線の新橋駅、三田線の大手町駅、新宿線の岩本町駅、大江戸線の都庁前駅及び日暮里・舎人ライナーで実施いたしました。
 こうした取り組みによりまして、ご参加いただきましたお客様の人数は、昨年度と比べますと、期間中の合計では約二万五千人多い三万五千人、一日平均では約四百人多い千五百人となったところでございます。

○鈴木委員 キャンペーンの参加者が去年度よりもふえて、一日平均で千五百名ということでした。しかし、このキャンペーンには、もともと朝のピークを避けて通勤していた方も参加できるようになっており、時差ビズによってどこまで人数が実際に通勤時間帯を変えたのか不透明です。
 やはり時差ビズの政策目標は、あくまでもピーク時の混雑率の低下にあります。そして、そのためには、時差ビズの期間内と期間外でどのぐらい混雑率に優位な差があったのかということを計測しなければなりません。しかし、現行の混雑率の測定は、年に数回程度、人の手によって計測されており、時差ビズ期間内の測定もできていない状況にあります。
 こうした課題意識から、私は、昨年度の一般質問で、重量センサーなどを活用した車両の混雑状況の把握について質疑をいたしました。車両の重量センサーを使えば、機械によって、一年中毎日全ての時間帯で、車両ごとに混雑率を把握することが可能になります。
 そこで、混雑状況のデータを収集、蓄積する装置を導入するというご答弁でありましたが、現在の状況について伺います。

○野崎技術調整担当部長 本年七月に契約を締結いたしました都営三田線の新型車両では、重量センサー等を活用し、混雑状況のデータを収集、蓄積するための装置を採用することとしております。今後、この機能を活用することで車両の混雑状況をより正確に把握してまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 時差ビズに参加する鉄道事業者の中で、交通局が混雑状況の正確な把握に踏み出したことの意義は大変大きいと考えております。今後は、時差ビズ期間内における混雑率の測定を正確にするとともに、より効果の高いインセンティブを設計して、時差通勤を恒常化していくということが重要になります。
 海外では、例えば、ロンドン、ニューヨーク、ワシントン、シンガポールなどのように、時間帯別の料金変動システムを導入して満員電車の解消を図っている都市があります。時差ビズのその先の施策として、このような時間帯別の料金変動システムを導入することは、やはり有力な選択肢の一つです。
 ただし、日本にそのままシステムを持ってきても、定期の問題などがありまして、なかなかうまくはいきませんので工夫は必要です。満員電車のソフト的な対策については、私も調査研究を重ねさせていただいて、今後また提案をさせていただきたいと考えております。
 今回、交通局として、満員電車対策にご努力をされているということを改めて確認ができました。今後、ソフト面でもより効果の高い施策をさらに充実していただくよう求めまして、私の質疑を終わります。

○宇田川委員 まず、燃料電池バスの導入、運行について伺います。重複した質問がありましたので、それは省かせていただきます。
 概要によりますと、平成二十九年度末時点で五両保有となっていますが、さっきのご答弁で、残念ながら、今も五両のまま、こういう答弁がありました。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催時には、民間の三十台を含んで百台を目標としています。つまり東京都交通局としては、七十台を保有、運行する、これは目標であるわけでございますけれども、現状を考えると、とても私には達成できるとは思えません。いかがでしょうか。

○根木自動車部長 燃料電池バスの導入には、バスに充填可能な水素ステーションの整備が不可欠でございます。その整備状況を踏まえながら、交通局としましては、東京二〇二〇大会までに最大で七十両の導入を目指してまいりたいと思っております。
 今後とも、水素ステーションの整備状況等を踏まえ目標達成に向けて導入を拡大してまいります。

○宇田川委員 水素ステーションの整備が不可欠というのは、ステーションがないからバスが導入できない、仕方ないですねというふうに聞こえるんですけれども、今後の運行路線に対する答弁の中でも、当然ステーションができる場所でという、こういう話でありました。当然、そのとおりだとは思っていますが、しかし、いかにも人任せ、交通局のやる気が感じられない、そう思うのは私だけかもしれませんけれども、ステーションの設置を主体的に行っている所管は環境局ですけれども、連携はされているんでしょうか。

○根木自動車部長 交通局では、関係局と情報交換に努め、水素ステーションの整備状況等については、逐次情報を入手して対応しているところでございます。

○宇田川委員 一般社団法人次世代自動車振興センターって、私も調べて初めて知ったんですけれども、東大の大学院の教授が代表理事で、国の産技研の事業所長が監事をお務めなので、決して怪しいものじゃなくてしっかりした組織だと思いますけれども、ここに、非常に詳細に水素ステーションの状況の資料がありました。
 さっきもお話あったんですが、現在、全国で百カ所、そのうち関東地方では三十九カ所、うち東京都では十四カ所、既に設置をされています。四十七都道府県で最多なのは東京じゃなくて愛知なんですね、十六カ所。さすがトヨタのお膝元、そんな感じがいたします。
 東京都としては、今環境局の話をしましたけれども、先ほどの、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の時点で三十五カ所、つまり今より二十一カ所ふやす目標ということで、今取り組みが進められているところでございます。
 都バスとして燃料電池バスを走らせるわけでございますから、営業所に水素ステーションを設置すべきというのは当然の考え方だと思います。交通局の見解を伺います。

○根木自動車部長 交通局におきましても、営業所に水素ステーションを設置するということを検討した経緯がございますが、水素ステーションは、水素の高圧貯蔵タンクや圧縮機等を設置する必要があるため、通常の給油スタンドと比べ広いスペース、約千平方メートル程度といわれておりますが、必要になるとともに、施設の建設費や維持管理費が非常に高額になります。また、充填設備の取り扱いにつきましては、専門性が高く資格を持った技術者による運用、維持管理が必要になるなどの課題がございます。
 バスの営業所に、水素ステーションを設置するためには、技術進展等により建設費等が低減するとともに、維持管理が容易になる必要があると考えております。

○宇田川委員 今のご答弁、民間も全く同様のご認識、課題認識だと思います。しかし、民間は頑張ってやっているんですよ。
 今、施設の建設費の話がありました。これ、場所によっては、十億とか十五億とかいわれていますけれども、ここに環境局の資料があるんですけれども、国が実施する燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金の交付対象となる設備として決定したものが補助要件である。つまり、国の補助対象である商用ステーションのみに補助金が出されるので、今のご答弁になっている部分があるかと思いますけれども、国が商用ステーション限定の補助制度であることを受けて、環境局が都単で、東京都単独で補助を行う検討をするということだそうであります。ご存じでしたか。
 先ほど、環境局と連携されているとおっしゃいましたよね。そう答弁聞いたんですけれども、都単の補助、このことによって極端にハードルは低くなることが考えられるわけでございまして、営業所への水素ステーション設置を積極的に検討し、実現すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○根木自動車部長 今、委員からお話がありました補助金の適用拡大については、環境局からお話を聞いたことはございます。ただ、一方で、維持管理費が毎年一億五千万から二億円以上かかるということと、先ほどもご答弁させていただきましたが、そもそもの設備の取り扱いについて、例えば、うちは、バスの営業所は乗務員とか、いわゆる運輸事務の職員しかおりません。車両整備の人間もおりますけれども、そういう人間では、充填設備の取り扱いは非常に専門性が高いということで、資格を持った技術者等々を配置するなどして、運用維持管理が必要になるという課題もございますので、水素ステーションの技術進展の動向を見て検討していきたいと、今のところはそういうふうに考えてございます。

○宇田川委員 余り積極的ではないようでございまして、そもそもこの件、事業概要の中でたった九行しか記載がないことを見ても、そうじゃないかなとは思っていたんですけれども、残念でなりません。
 次に、震災対応について伺ってまいります。
 国土交通省の荒川下流河川事務所が作成したフィクションドキュメンタリー、荒川氾濫というDVD、動画があります。理事者の中にも、委員の中にもごらんになった方がいらっしゃるかと思います。ユーチューブでも見ることができまして、再生回数は十万回を優に超えております。ある意味、ドラスチックといいますか、非常にセンセーショナルな映像でございます。
 この動画では、荒川上流部の秩父を中心に、三日間で五百ミリの降水量、これによって、北区岩淵、京浜東北線の鉄道橋付近、荒川右岸二十一キロ地点で堤防が決壊した、こういう想定でございます。豪雨を降らせた台風は既に通過をしておりまして、雨は全く降っていない中、東京が水にのみ込まれていく、こういう映像でございます。
 氾濫した水は、十分後には地下鉄南北線の赤羽岩淵駅、四時間後には千代田線町屋駅などから地下へ流入、十二時間後には東京駅や大手町駅、十五時間で銀座、赤坂、六本木、霞ケ関などが浸水、最終的には、地下鉄の十七路線九十七駅、総延長百四十七キロが浸水、そのうち今いった九十七駅百四十七キロのうち八十一駅百二十一キロが水没、水没というのは、水で満杯になる状態になるということであります。
 これは平成二十一年の国の中央防災会議の専門調査会が取りまとめを行って、内閣府が公表した荒川堤防決壊における地下鉄等の浸水被害想定、これを映像化したものだと思われますが、二百年に一度の発生確率であるとされております。水が全て引くまでは一カ月、こんな予想も出ています。
 三日間で降水量六百八十ミリという千年に一度の発生確率の洪水想定もなされておりますけれども、今申し上げた二百年に一度と比べ、浸水速度がやや早まり、水没区間が若干増加はするもののほとんど変わりはない、こう報告をされています。二百年に一度、千年に一度、いずれにしても大惨事になることは間違いないと思います。
 同様に、内閣府から示されている地下鉄の浸水シミュレーションによりますと、都営関連の駅についてだけ申し上げると、決壊八時間後には、大江戸線の新御徒町駅がつくばエクスプレスから流入、浅草線浅草駅は銀座線から流入、人形町駅も日比谷線から流入、十時間後には、東西線からの流入が三田線の大手町駅に到達をし、十二時間後には何と都営三田線の三田から春日駅間の全駅、浅草線においては大門から本所吾妻橋間の全駅などに浸水が広がる、こうなっています。最終的には、大江戸線でいえば、そのうちの実に七五%に当たる駅が、浸水ではなくて水没、完全に水に埋まるということになります。
 これはあくまで、荒川右岸二十一キロという、さっきいった条件の設定であって、例えば、この浸水想定だと、都営新宿線の森下から大島、ここゼロメートル地帯が結構あるんですけれども、ここは浸水しない想定となっているんです。裏を返せば、この浸水予想、違う条件でどこかの決壊を考えれば、今申し上げたところだけが被害を受けるということではないということ、あらゆる駅がその可能性を持っていると、こういうことだと思っています。
 こうした状況を踏まえて、まず必要なのは、浸水をいかに防ぐかということだと思います。しかし、都営地下鉄関連だけで考えても、京成押上線の押上駅とか、新宿線の東大島駅のそばにある坑口部、これは車両が地下に入っていく入り口でありますけれども、こことか、駅の出入り口、当然地下街、換気口、いろんな流入場所があって、その流入場所は無限といえるほどだと思います。ゲリラ豪雨等の限定された地域の浸水であれば、いわゆる止水板、一メートルぐらいの高さの止水板も役に立つことがあるんだと思いますけれども、この場合はそうはいかない。
 これは江東五区広域避難推進協議会という機関が発行しているハザードマップなんですけれども、先ほど来、話している想定とは全く別の前提なんですが、皆さん見ていただくと、ピンクと赤が多いと思うんですけれども、ピンクの箇所は浸水三メートル以上、赤は五メートル以上となっているんですね。
 これほどの浸水となれば、さっきいった止水板は何の役にも立ちません。流入は防げるとは思えないんですが、いかがでしょうか。

○塩田安全管理担当部長 今、委員から、荒川堤防が決壊した場合の国の方の浸水想定のお話がございました。昨年八月に国が発表した浸水想定の直近のものによりますと、都営地下鉄四十駅を含む十七路線百駅で浸水するとされてございます。
 国におきましては、こうした荒川氾濫のような大規模水害に対しましては、施設で守り切るのは現実的でなく、命を守ることを目標とすべきとしてございます。
 交通局としましても、迅速な避難をすることが重要であると認識してございます。

○宇田川委員 今、私、防げますかと聞いたんですよ。はっきりと言及をされなかったんですが、防ぐことはできないということでよろしいんですね。

○塩田安全管理担当部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、荒川の氾濫のような大規模な水害に対しましては、施設、ハードで守り切るのは現実的ではなく、まず、お客様の(宇田川委員「できるか、できないかと聞いているんです」と呼ぶ)ええ、まず、命を守ることが目標としていることもありまして、ハード面、これに対して、こういった大規模水害に対して対策というものは限界があると感じてございます。
 したがいまして、先生からもお話がありましたが、荒川が決壊……(宇田川委員発言を求む)ええ、場合には浸水を防ぐことはできないと。

○宇田川委員 防げないということはわかりました。水の浸入は、とてもじゃないけれども防ぐことはできません。だとすれば何をすべきか、こういう話だと思います。
 今も答弁の中にお話ありましたけれども、浸水する前提では、まず避難だと、こういうことだと思います。
 新宿駅などは、地下街が複雑に絡み合って存在をしていたり、避難経路確保が難しい駅とかもあるんだと思います。避難誘導は全ての駅において、きちんとシミュレートされているのか、お伺いをいたします。

○塩田安全管理担当部長 交通局では、水防法に基づきまして、地下鉄全駅で避難確保・浸水防止計画を定めております。大規模水害の発生が見込まれる場合には、防災関係機関と連携いたしまして、あらかじめ荒川氾濫時の事前行動を時系列で整理しましたタイムラインに沿って、大規模水害が発生する前に、駅ごとに設定しております避難経路によりまして、お客様を適切に避難誘導することとしてございます。

○宇田川委員 シミュレーションはあるんですかと伺ったんですけれども、余りはっきりしたご答弁はいただけないようでございます。
 先ほど申し上げた地下鉄の浸水シミュレーションというグラフみたいのがあるんですが、駅がどういう深さで上ったり下ったりしているみたいな、こういう資料があるんですけれども、なかなかおもしろいことがわかってきます。
 一番深い駅のホームはというと、大江戸線の六本木駅というのは結構有名な話だと思います。しかし、標高でいうと違うんですね。六本木駅の隣の駅が麻布十番駅なんですけれども、こっちの駅の方が十五メートルも低い位置にあることがわかります。ちなみに、全ての地下鉄の中で一番標高が低い部分は、つくばエクスプレスの浅草-新御徒町駅間にある地下約五十メートルの線路のところだそうでございます。
 さっき上田委員からも船堀という話がありましたが、私も同じところに住んでいますけれども、新宿線の船堀駅は地下鉄なのに地上駅であります。ホームは標高約五メートル、地表からは七メートルぐらいあるんで、マイナス二メートルのところに地表があると、こういう話なんですけれども、浅草線の高輪台などの駅は、地表から二十メートルの深さにホームがあるのに標高十メートル、我々の方が低いという現実が、これがゼロメートル地帯の現実だと思います。
 それはそれとして、避難誘導はいつの時点で開始をするんでしょうか。気象情報などの情報収集はもちろんのこと、その分析等をしっかりと行って決定をされることと思うんですが、この決定は、いつの時点で、一体誰がするのか、お尋ねをいたします。

○塩田安全管理担当部長 都営地下鉄におきましては、河川の氾濫危険情報や自治体の避難勧告等が発令された場合、そういった時点におきまして、局の災害対策本部長である交通局長が避難誘導を指示することとしてございます。この指示を受けまして、各駅におきまして、避難確保・浸水防止計画に基づきましてお客様の避難誘導を開始することとしております。

○宇田川委員 誰かというのは、局の災害対策本部長である交通局長だと、きっちり答弁があったんですけれども、いつの時点ですかという問いに対しては、避難勧告が発令された場合などにおいてと、先ほど来、非常に曖昧な答弁が続いております。
 昨今、災害時対応で、先ほども言葉が出ていましたが、タイムラインというのが重要視されております。震災であれば発災直後から七十二時間以内、その後なんていうのが有名な時間の流れでありますけれども、では、水害では一体どうなるんでしょうか。
 先ほど申し上げた想定によると、決壊後十二時間で、大手町駅外六十六駅が浸水します。そのうち都営の駅は二十以上を数えることになります。
 ただ、ここで注意すべきことが二つあるんですね。
 一点目は、北区、荒川区、台東区、要は決壊場所に近いところでは、地下鉄駅が浸水する以前に地上部に水があふれ、既に逃げ場がなくなっているというのが一点目。
 二点目は、申し上げた大手町駅などでは、地上部よりもホームに水が浸入するのが六、七時間早いんです。ですから、地上部は全く何の影響もないのに地下だけ浸水している。要は、地上にいる人の危機感と大きなずれが出ているということになるんだと思います。
 先ほど申し上げた震災発災後の七十二時間、これは命を守るための本当に大事な意味のある時間だと思っています。しかし、大規模水害にとっては、今申し上げたとおり、十二時間であっても対応がおくれることになりかねないんです。
 確かな情報発信と間違いのない避難誘導のためには早目早目の判断をし、思い切った対応が必要だと考えます。都の対応を伺います。

○塩田安全管理担当部長 大規模水害の発生が予想される場合には、お客様の命を守るため、早期に運休や避難誘導を判断するとともに、適時適切な情報発信を行うことが重要であると認識してございます。
 このため、交通局におきましては、防災関係機関や気象情報提供会社から、リアルタイムに詳細な情報を入手し、いち早く必要な対策、対応がとれるように備えをしてございます。
 また、運休に向けた情報につきましては、構内放送や管内付近のモニターによりましてご案内するとともに、ホームページやSNSなども活用し広く周知してまいります。

○宇田川委員 内閣府の公表によりますと、最終的には九十七駅が浸水をいたします。先ほどこのことを申し上げさせていただきました。そしてその多くが地下鉄内の浸水にとどまらず地上部浸水という状態に陥ります。ドキュメンタリービデオでは、水が引くまで一カ月、こう想定がなされています。
 二〇一二年十月、アメリカ東海岸を襲ったハリケーン・サンディによる高潮では、ニューヨーク市地下鉄に海水が流入、運行は早期に停止をし、避難も全て完了をしていたため、人的被害はなかったものの全線復旧までに九日間を要したそうでありです。
 二〇〇四年十月、台風二十二号の影響で古川が氾濫、麻布十番駅が浸水をし、これも浸水はしましたが完全に水没したわけではなかったので、被害は少なく済んだため、すぐに復旧をすることができました。
 しかし、二〇〇一年九月、台風十六号が直撃した台湾、台北市においては、まさに二百年に一度の豪雨が降りまして、MRTの地下部分が約十二キロにわたって完全に水没されたそうであります。復旧までかかったのは実に三カ月という大被害でありました。
 今まで申し上げてきた被害想定では、地下鉄どころか東京の都市機能も失われかねないという大惨事でありまして、復旧作業はままならないことになるとは予想がつきます。ここまでの被害とはならずとも、当然、被害を受ければ一日でも早く復旧を目指していかれることだと思います。どう取り組まれていくのか伺います。

○塩田安全管理担当部長 交通局では、施設整備に大規模な被害が発生した際には、被害状況を把握した上で、復旧の優先順位等に関する基本方針及び実施計画を定め、これに基づきまして復旧作業を迅速に実施することとしてございます。
 また、早期復旧には、事前の対応により、可能な限り被害を軽減させることが重要と考えており、例えば、地下鉄車両につきましては、事前に浸水のおそれのない場所まで移動させることとしております。
 一方、地下にある設備につきましては、相応の被害のおそれがあることから、可能な限り早期に復旧できるよう、地下駅を持つ他の鉄道事業者を初め関係機関と緊密に連携し、検討を進めてまいります。

○宇田川委員 これですね、交通局に限ることではないんですけれども、首都直下地震とか南海トラフとか、大きな地震に対する備えについては、さまざまな取り組みが今まさに進行しているんだと思っています。しかし、震災に比べて水害への対応はおくれがち、そんな印象であります。印象というより事実だと思っています。
 三・一一東日本大震災、あれは地震の被害よりも津波という水害の被害が大惨事を引き起こした、このことは皆さんよくおわかりのことだと思います。
 きょうの質疑でいろんな答弁を伺ってきましたけれども、やっていないとはいえないんでしょう、だからいろんな言葉でおっしゃっていましたけれども、まだまだスタート地点に立ったぐらいなのかなと、そんな状態だということがわかりました。
 当然一朝一夕で事をなすことはできないことはわかっています。しかし、今後ぜひ、まあ今後というよりも今すぐに、ぜひ水害対策の検討を早急に進めていただきたいと思うんですが、局長、お願いします。

○山手交通局長 ただいま委員から、いろいろお話がございました水の危険を十分に認識をさせていただいて、さまざまな状況、さまざまなシミュレーションが考えられると思いますので、できるだけ多くの情報を集めて、お客様、それから職員の命を守るために避難誘導をしていくことを十分に検討いたしますとともに、また、早期に復旧できるように、これもまた計画的に努めてまいりたいというふうに思います。

○宇田川委員 今、地下鉄、地下街ということで地下鉄の話をしましたが、これは地下鉄に限らず、地上部に走っているバスから何から全部そうだと思いますので、ぜひ水害対応ということを重く受けとめていただいて、昨今、ことしもそうですけれども、異常気象というのが恒常化しているのは事実でありますので、水害対策というものをしっかりと打ち立てて、今局長がまさにおっしゃった人の命をまず守るため、そして復旧、復興のためにも力を尽くしていただくようにお願いしたいと思います。
 以上です。

○斉藤委員 まず、資料のご提出をありがとうございました。
 私からは、都営バスについてと地下鉄のバリアフリー、それから都バスの大塚支所跡地の活用について伺います。
 まず、都営バスについてです。
 高齢化が進む中、都営バスは、身近に利用できる都民の移動手段として、その役割はますます重要になってきています。特に、私の地元の足立区では、電車の駅から離れた地域が多く、都営バスやコミュニティバスは地域の重要な交通手段になっています。
 交通局のバス事業は、二〇一七年度の決算において五年ぶりの黒字になりました。先日の決算特別委員会では、我が党の質疑の中でも、乗車料収入の伸びに伴って営業収益が前年度に比べて大幅に増加したことが経常収支改善の最も大きな要因であると認識しているという答弁がありました。
 今後も、都民の期待に応えて、特に安心・安全で利便性の高いバス事業を拡充していただきたいと思いますが、その中で、先日私は、都営バスの拡充を求める要望を、足立区民や文京区民の方々からいただきました。
 まず、今多くの足立区民の方々から要望が高まっているのが、二〇二一年度に足立区の江北地域に開設予定の東京女子医大東医療センターへのアクセスの向上です。移転予定の場所は駅から離れているため、バスの需要が非常に高い地域です。足立区でも、この移転開設に合わせたバス路線の検討をしているということが、区の総合交通計画改定協議会で報告されています。
 現在、西新井駅から池袋駅東口行きの王40系統と日暮里・舎人ライナーの江北駅から駒込病院行きの東43系統がこの江北地域を走っていますが、この二つの路線について、移転が予定される東京女子医大東医療センターを経由するようにして、区内外からのアクセスをよくしてほしいという声が上がっていますが、交通局の見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 東京女子医科大学東医療センターの移転に伴いますバス路線の見直しにつきましては、今後の状況などを注視いたしまして、足立区や荒川区など、関係区や周辺を運行いたしております民間バス事業者などと調整をしながら適切に対応してまいります。

○斉藤委員 関係区や周辺を運行する民間バス事業者などと調整しながら適切に対応するということです。
 東医療センターの開設に当たっては、都民のアクセスには必ずバスが必要になってきます。ですので、足立区とも丁寧な協議の上、ぜひ実現していただくように強く要望いたします。
 この江北駅から駒込病院行きの東43系統ですが、江北駅発は七時台と十時台、十五時から十六時、十七時台にそれぞれ一便、一日でたった五便しかなく、使いたいのにとても不便だという声が寄せられています。
 この路線は、足立区の江北、小台、宮城という公共交通の空白地域を走っているため、都バスの便数が少ないことが切実な問題になっています。せめて通勤時間帯の六時から八時までは一時間に二本、日中はせめて一時間に一本は走らせてほしいという切実な要望が寄せられています。
 また、文京区の方々や障害者団体の方々からは、上野公園から大塚駅、池袋駅まで運行している上60系統の拡充について要望をいただいています。
 この系統は、根津から千川通り沿いの都民の生活の移動手段として欠かせない路線になっており、増便を求める声が高まっています。千川通り沿いには文京区役所があり、都バスが、根津の方から唯一の直通の交通手段になっているということです。さらに、沿線では開発が進み、区役所の近くでは七百戸規模の高層マンションが今建設中とのことで、バスの需要はますます高まっていくことが予想されます。
 この上60系統と東43系統をあわせて増便することを求めますが、いかがでしょうか。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、乗客潮流の変化を的確に捉え、乗務員や車両など、限りある経営資源を有効に活用しながら、路線やダイヤの見直しを行っております。見直しに当たりましては、各停留所の乗降客数の変化や沿線の開発状況などを営業所からヒアリングし、検討の対象となる路線に実際に職員が乗り込み、お客様の流動等を調査分析の上、適宜見直しを実施しております。お話の上60系統や東43系統につきましても、同様に対応してまいります。

○斉藤委員 東43系統では、一時間に一本というダイヤが一日に五回あるだけで、もともと便数が少ないために、なかなかそのバスを当てにできないという声もあります。便数がふえれば利用したいという潜在需要もあり、また、江北地域では、東京女子医大の東医療センターの移転によって周辺の事情も変わってくることが予想されます。ぜひ、足立区民からの要望について検討していただきたいと思います。
 また、上野と大塚、池袋を結ぶ上60系統では、終点の大塚から巣鴨の車庫の間を回送車が頻繁に走っているということもいわれています。住民の方によれば、千川通りと不忍通り、白山通りを走っているということですが、この間を空のままにしないで、幾つかだけでもバス路線として走らせてほしいという要望も届いています。こちらも検討していただくように求めさせていただきます。
 次に、草63系統と上26系統についてです。
 ことしの四月のダイヤ改正で、池袋駅と浅草寿町を結ぶ草63系統が平日四便、上野公園と亀戸を結ぶ上26系統が平日六便の減便となりました。こちらも沿線にお住まいの文京区の方々から、区民の移動手段としての利便性が低下しているという声が寄せられました。
 二つの路線とも、主要駅や浅草寺、巣鴨、また、東京スカイツリー、上野公園など観光名所を回る路線でもあり、需要の高い路線だと思いますが、この二つの路線がなぜ減便されたのか、理由について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、バス運行管理システムに蓄積したデータ等を活用しながら、適宜所要時間等を見直しております。
 例えば、遅延が多く発生している路線につきましては、所要時間を見直し、定時性の向上を図っております。また、近年、高齢のお客様がふえていることから、高齢者がより安全に乗降できるように、所要時間をこれまでよりも長く設定しております。お話の草63系統、上26系統につきましても、こうした対応を行ったため、減便となりました。

○斉藤委員 バスの定時性の向上などを図るために、適宜所要時間等を見直しているということと、高齢者がより安全に乗降できるように所要時間をこれまでよりも長く設定したということです。特に、高齢者が安全に乗降できるように、ゆとりを持たせて所要時間を長く設定するという対応については、ここ近年の乗降客の高齢化の背景の中で取り組まれていると伺いました。
 先ほどの河野都議の質疑でもありましたが、バス車内での高齢者の転倒などの事故がふえていて、都営バスでも、この五年間では、年間百件以上で推移し、昨年では百四十件にふえている状況です。消費者庁の調べでも、二〇一七年度までの五年間に、路線バスの車内で転倒し、骨折など重傷を負った事故のうち、六十歳から九十歳代の乗客がけがを負ったケースは八割を超えていると報道されています。
 さらに、ここ最近では、運転手の容体の急変による重大事故が続いているということも深刻です。
 バスを運行中の運転手が発病や体調不良を起こして運行を中止した事例が、二〇一五年からの三年間で、全国で少なくとも四百五十一件起きていて、そのうち百十九件が脳梗塞や心筋梗塞など重症疾患や意識喪失、失神、目まいなど重大事故につながりかねない症状だったということが、我が党の機関紙「しんぶん赤旗」の調べでもわかりました。
 長距離バスだけでなく路線バスでも事故が起きていて、先月末にも、横浜の路線バスで運転手が走行中に意識を失い乗客の高校生が死亡するという痛ましい事故が起こりました。
 過密ダイヤや長時間拘束によって休息が十分にとれないバスの運転手が健康の危機にさらされているという背景があります。トイレ休憩もまともにとれない状況の中で、水分をとることを控えたり、長時間同じ姿勢でいることが血栓ができやすい要因になっているのではないかという専門家の指摘があります。
 こうした中で、バスの安全な運行を実現していくためには、ダイヤにゆとりを持たせて、高齢者や障害者の乗降の安全を確保していくこと、運転手の労働環境を改善していくことは重要な取り組みだと思います。この視点は大切にしていただきたいと思いますが、一方で、バスが減便されたままでは、都民の移動手段としての利便性も低下してしまいます。
 こうした安全な運行を維持しながら利便性の向上を図っていくためには、バスの運転手の増員のための抜本的な対策が重要になります。
 そこで伺いますが、バスの運転手の確保のための取り組みはどのようになっているのでしょうか。

○渡邉職員部長 近年、全国的に大型二種免許所持者が減少する一方で、交通局においては、今後、バス乗務員の大量退職時期を迎えることから、局事業を継続していく上で、バス乗務員の確保は重要な課題となっております。
 このため、バス乗務員の確保に向けた取り組みとして、採用PRの充実や年齢要件の見直しなどに加えて、平成二十七年度の採用選考から、大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型の選考を実施しているところでございます。

○斉藤委員 バス乗務員の確保は重要な課題だと、その中で、年齢要件の見直しや、大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型の選考を実施しているということです。
 バスの運転手不足ということも大きな社会問題になり、先日の決算特別委員会でも、我が党の質問に対し、大型二種免許保持者が全国的に減少していることと、今後、バス乗務員の大量退職を迎えることから、交通局にとっては、バス乗務員の確保は重要な課題になっているという答弁がありました。
 運転手不足の背景には、運転手の苛酷な労働環境とその処遇の低さがあると指摘されています。東京都も含めて地方自治体では、この間、人件費の効率化という名目でバスの運行を民間委託、これを広げてきました。
 東京都交通局でも、全百二十九系統のうち四十三系統を委託して、経費を圧縮するためにバスの運転手の処遇を低下させてきました。直営では、バス部門に限って一〇%の給与カットを続けています。そうしたバスの運転手の冷遇が、全国的に運転手の確保が困難な状況を生み出しています。
 我が党は、働く人々の処遇を切り下げていくということは、サービスの質の低下を招くことにつながると訴えてきましたが、まさにそのことが今現実になっている状況です。運転手の確保の困難さから、今ここで、交通局が都バスの運行の民間委託をやめて独自の採用に踏み切っていることは当然であり、また重要な取り組みだというふうに思います。
 決算の質疑では、退職者数を考慮しながら必要な人数を採用していくという答弁がありましたが、運転手を確保してバスの便数や路線の拡充をしていくためには、退職者の補充だけにとどまらず新規採用をふやしていくべきだと考えますが、交通局の見解を伺います。

○土岐総務部長 都営バス乗務員の採用に当たりましては、今後のバス需要の変化を見据えながら、退職者数や定年後の職員の活用等も考慮いたしまして、必要な人数の乗務員を新規採用してまいります。

○斉藤委員 今、若い世代の運転手が圧倒的に少ないということもいわれています。安全・安心な運行を守り、バスの増便や路線の拡充などの都民の期待に応えながらバス事業を発展させていくためには、交通局に求められている役割は大きなものだと私は思います。
 免許取得を支援する養成型の選考など、交通局ならではの取り組みを充実させて、さらに運転手の処遇改善を図りながら、運転手確保のための対策を強化して、安心・安全で利便性の高いバス事業を発展させていっていただきたいと思います。
 次に、バス停の環境改善について伺います。
 高齢者が車の運転をやめ、公共交通機関の利用へとシフトする背景もある中で、高齢者のバス利用がふえています。そうした中で、バスの待ち時間の負担をなくすためにも、バス停の環境改善をしてほしいという要望が私たちのところにも多く寄せられています。
 そこで、改めて伺いますが、バス停の上屋とベンチの設置の取り組みについて、どのような考えのもとで行っているのか教えてください。

○坂田バス事業経営改善担当部長 上屋とベンチが設置できる前提といたしまして、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たす必要があるほか、警察の許可や停留所周辺の地権者等の同意が得られることが挙げられます。その上で、利用者数や福祉施設及び病院等の有無も考慮し、整備箇所を選定しております。
 しかしながら、街路樹や街路灯により設置スペースが確保できなかったり、地下埋設物により上屋やベンチの基礎が構築できないなど整備が進められぬ箇所も多くございます。

○斉藤委員 先ほどと重なった部分がありましたが、整備可能な場所や福祉施設、病院などの有無を考慮して整備しているということです。
 都民の生活にとって重要な移動手段として頼られている都バスでは、特別な場所ではなくても、高齢者が日々利用する中で、ベンチがなければ待つことができない、あるいは、上屋がないところでは、吹きさらしになり寒さや暑さが体にこたえるという声をたくさん聞いています。都民からの要望が寄せられる場所については、積極的にバス停の環境改善に取り組んでいただきたいと思います。
 足立区では、例えば、江北四丁目のバス停など、歩道に隣接する民有地に区がベンチや上屋を建ててバス停の環境改善を行っているところがあります。足立区の担当課に詳しく伺いましたが、まちづくりの中で、住民から要望が上がった場所について、民有地の所有者と区が話し合いをして、バス停として活用させてもらっているということです。その分の土地の固定資産税を免除するなど区として工夫を行っているということですが、ほかにも、狭い歩道に民有地が隣接しているような場所について、バス停の環境改善のために利用できないかという声が寄せられているところもあります。
 こうした場所について、交通局としても、利用者の声に耳を傾けて、積極的にバス停の環境改善に区と連携して取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○坂田バス事業経営改善担当部長 お話のございました江北四丁目の停留所のように、都バスの停留所に隣接する民有地に区が上屋やベンチを設置する事例はございます。区からそのような申し出があった場合につきましては、お客様が利用しやすい上屋やベンチの仕様を提案するなど協力を検討いたします。

○斉藤委員 区から申し出があった場合には協力を検討するということですが、ぜひ交通局からも、住民から直接届けられた要望については、区にフィードバックをして、積極的に連携をしていただくように要望いたします。
 次に、地下鉄のバリアフリーについて伺います。
 交通局では、オリンピック・パラリンピックの東京二〇二〇大会に向けて、その開催地にふさわしく、また、障害者差別解消条例により、各事業所にバリアフリーのための合理的配慮が義務づけられた中でも、全ての人に移動の権利を保障する都営交通を実現していくことが喫緊の課題になっています。
 そうした中で、都営地下鉄のバリアフリー化の拡充を求める声が寄せられています。
 まず、地下鉄駅ホームへの人員配置についてです。
 交通局では、特にホームドアがない駅では、ホームに駅員を配置するなど取り組みを行っていると思いますが、ホームドアがある駅でも、障害者の方々が多く利用する駅については、常時ホームに駅員を配置してほしいという要望が上がっています。
 都営三田線の三田駅のことは三月の予算議会の中でも取り上げましたが、視覚障害者の方が、ホームと電車のすき間に、足を踏み外して足のつけ根の部分まで落ちてしまったということがありました。一緒にいた視覚障害者の友人たちで引き上げて大事には至りませんでしたが、足を踏み外した女性はけがをして、周りの友人たちも目が見えない中で冷や汗をかいて救出したということです。
 安全性確保のためにも、特に障害者福祉会館や盲学校などがあって、障害者の利用が多い三田駅や飯田橋駅などは、ホームに人員を配置していただくことを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○相川電車部長 都営地下鉄における駅係員の配置は、駅ごとの乗降客数、駅の構造や改札口等を勘案し、安全の確保を最優先に適切に行っております。
 駅のホームにつきましては、朝夕のラッシュ時間帯に全駅において駅係員がホーム監視を行うとともに、ホームドアがなく、かつ曲線等により見通しの悪い駅については終電まで駅係員を配置しております。
 また、転落やトラブルの多い時間帯には、主な駅に警備員を配置しているほか、ホームドアが設置されていない全ての駅に、早朝から深夜まで警備員を配置しております。
 さらに、駅係員による視覚障害者への声かけなどの具体的な対応要領を定めまして、全ての駅係員を対象に研修を実施しているところでございます。

○斉藤委員 今、駅員配置の現状についてお答えをいただきましたが、質問は、障害者が多く利用する三田駅や飯田橋駅のホームに駅員を常時配置することを検討してほしいということです。
 お答えがないということは、検討もしないということでしょうか。検討をしないのかどうか、もう一度お願いします。

○相川電車部長 ご指摘の三田線三田駅及び大江戸線の飯田橋駅については、ホームドアが設置されているため、朝夕のラッシュ時間帯に駅係員がホームの監視を行っております。また、同じ三田駅でございますが浅草線の三田駅につきましては、曲線等により見通しが悪いため、終電まで駅係員がホーム監視を行っているところでございます。現在の駅係員の配置については適正であると考えております。
 また、視覚障害者の方が、仮に乗車及び降車のときに駅係員の介助が必要なときは、駅係員にそれを申し出ていただければ、駅係員が適切に対応しているところでございます。

○斉藤委員 ホームドアがあるということは私もわかっていますし、障害者の方々もわかっていることなんですね。だけれども、挟まることがあるという状況の中でつけてほしいと、先ほど紹介したような、踏み外してしまう、特に三田駅では、電車と駅ホームの間にすき間があるということも、この間質疑をさせていただいています。
 この障害者の方々は、毎年この要望を交通局に届けています。障害者差別解消条例の制定やオリンピック・パラリンピックの大会を迎えようとしているときに、交通局が、この障害者の方々から何度も上げられている声に対して、適切にやっているからといって向き合わないという、そのままでは許されないというふうに思います。
 今、いろいろな優先順位をつけて駅員を配置しているというお話でしたが、毎年、この視覚障害者の方々が直接届けに来ている内容についても、優先順位に含めるべきではないでしょうか。
 駅係員に声をかけてくれればということもありましたが、誰もが自分で単独で歩行できる、そういう社会を目指して、それができる人には、そういう社会を用意していく、そういうことが今求められているんだというふうに思います。
 この当事者の方々は、電車に乗るタイミングが健常者のようにはいかなくて、白杖がドアに挟まるということもあるということです。そのたびに生きた心地がしないというお話をされました。とっさのときには、カメラでは間に合わないという不安を抱えています。それでも福祉会館や盲学校がある場所だから使わざるを得ないということです。せめてこの二つの駅について、駅ホームに人員の配置を図るよう強く要望をいたします。
 次に、駅ホームの点字ブロックについてです。
 点字ブロックはいうまでもなく、特に単独歩行する視覚障害者を安全に誘導するために重要なものです。これが白杖や足裏の感触でわからないくらいに摩耗していたり、JIS規格以前の古いものが混在していると、視覚障害者の方々の誤認を招くことにもなります。
 都営大江戸線の練馬駅、新江古田駅、豊島園駅のホームには、乗降口の前に点状ブロックがない、あるいはJIS規格以前の小判型の古いものがあってわかりにくいため、改善をしてほしいという声が上がっています。
 この三つの駅、練馬駅、新江古田駅、豊島園駅のホームにおける視覚障害者用誘導ブロックを、乗降口前面に点状ブロックを敷設して、乗降口の間を線状のブロックで接続する形状に改修していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○谷本技術管理担当部長 大江戸線練馬駅、豊島園駅は平成三年十二月に、新江古田駅は平成九年十二月に開業いたしまして、その際、視覚障害者用誘導ブロックにつきましては、国が監修する当時のガイドラインに従いまして点状のブロックをホーム端部全体に敷設いたしました。その後、平成二十五年四月の大江戸線全線での可動式ホームドアの設置に合わせまして乗降口の前に点状のブロックを追加いたしました。
 一方、平成二十五年十月には、バリアフリー整備ガイドライン旅客施設編が改定されまして、ホームドアを設置した場合には、今お話しのあった敷設方法とすることが新たに示されました。これを踏まえまして、ホームにおける誘導用ブロックにつきましては、改修工事等の機会を捉えまして、ガイドラインに基づく敷設方法にのっとった改修を行うこととしております。

○斉藤委員 ホーム改修工事等の機会を捉えて点字ブロックの改修を行うということですが、これでは一体いつになるのか、ずっと先のことになるのではないかというふうに思います。点字ブロックの敷設の改善は、駅ホームの改修を待たなくてもできることではないかと思います。この三つの駅について早急な対応をしていただくよう要望をいたします。
 先ほどは、改修工事等の機会を捉えて点字ブロックの改修を行うということでしたけれども、都営新宿線は、まさに今ホームドアの設置に向けてホームの床面を改修しているところです。新宿線の新宿三丁目駅と曙橋駅についても、点字ブロックをJIS規格に改修してほしいという要望がありますが、この二つの駅のホームの点字ブロックのJIS規格化は早急に対策していただけるのか、見解を伺います。

○谷本技術管理担当部長 新宿線新宿三丁目駅及び曙橋駅のホームの誘導用ブロックにつきましては、現在進めているホームドア整備に合わせました床のかさ上げ工事の中で、JIS規格の誘導用ブロックへ改修を行うこととしております。

○斉藤委員 ありがとうございます。現在進めている工事の中で改修を行うということです。
 点字ブロックについては、日本盲人会連合でも、JIS規格以前のものが混在していて視覚障害者の誤認を招く事例があり、JIS規格への見直しが望ましいとしています。着実に改修していただくように重ねてお願いをいたします。
 次に、エスカレーターの音声案内について伺います。
 エスカレーターの音声案内は、視覚障害者の方々にとって、エスカレーターの場所や行き先、上り下りを知らせるためにも重要なものです。既に認識されていることだと思いますが、二〇一四年に、国土交通省の鉄道局や東京都の交通局からも委員を出して行った、視覚障害者のエスカレーター誘導に関する調査研究の報告書があります。
 その中では、視覚障害者のエスカレーターの利用状況について行ったアンケート調査の中で、エスカレーター、エレベーター、階段の中で利用したいものの回答として、エスカレーターと答えた方が一番多く、七二%となっています。そのエスカレーターの音声案内の課題としてよく感じるものとして、エスカレーターの位置を知らせる音声案内がない、音声案内が普及していないというのが最も高い割合になっています。
 この間、取り組みも進めているという状況だと思いますが、この視覚障害者の方々が上下の移動に最も使いたいと思っているエスカレーターについて、安全に誘導できる音声案内の設置の重要性がアンケート調査の結果からも明らかになっています。
 そこで、都営地下鉄におけるエスカレーターの音声案内の設置状況と取り組みについて伺います。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編に基づきまして、老朽化したエスカレーターの更新等の機会を捉えまして音声案内装置を設置しております。
 今年度は、九月末までに三田線日比谷駅、新宿線神保町駅の二駅、三基のエスカレーターに音声案内装置を設置し、合わせて四十四駅、百五十基で音声案内を行っております。
 引き続き、エスカレーターの改修や更新の機会を捉えまして、音声案内装置の設置を進めてまいります。

○斉藤委員 エスカレーターの改修や更新の機会を捉えて音声案内装置の設置を進めていくということですが、こちらも先ほどの駅ホームの人員配置と同様ですが、視覚障害者の方々が多く利用する都営三田線の三田駅には設置がされていません。視覚障害者の方々からの要望の大きいこの三田線の三田駅にも早急に設置することを改めて求めます。
 最後に、都バスの大塚支所跡地の活用について伺います。
 大塚一丁目にある都バス車庫跡地の定期借地権の公開募集要項が六月に発表され、十一月の応募書類の受け付けを経て、先週にこの応募が締め切られ、十二月中までに事業者の選定が行われるという予定です。
 この地元の文京区民の方々や区からの要望で、認可保育園や地域コミュニティ施設の設置などが事業者の募集要項に盛り込まれています。特に、区民の方々からは、保育園や特養ホームなど、地域の福祉に資する施設の設置が強く期待され、募集の開始前にも、直接、交通局にも要望が出されていました。
 先週この公募は締め切られ、これから交通局が事業者の選定を行うという段階ですが、文京区民の方々から、この選定に当たって、住民の要望を極力反映してほしいという要望が出されています。
 今回の募集要項では、用途地域は商業地域と近隣商業地域として、それぞれ四十六メートル高度地区、そして三十一メートル高度地区と二通りの高さの制限が記されていますが、地元住民の方は、特例などは適用せずに、この高さ制限の範囲内でおさまる建築計画を示す事業者を賃借人として選定することを求めています。
 この跡地に隣接している敷地で行われた茗荷谷駅前地区第一種市街地再開発事業、これでは絶対高さ制限の特例が活用されて、高さ九十六・五メートルのアトラスタワー茗荷谷が建設されて、近隣の住民は日照が奪われ、風害や交通量の増大などに悩まされています。その状況からも、現在示されている高さ制限を守ることが、この地元の住民の方々から強く求められています。
 また、計画されている認可保育園は定員が百人規模となっていて、ここで生活する子供たちの健やかな発達と成長を保障する環境を整えることが重要です。子供たちが外で遊べる環境についても、この計画の中の動線を活用して、できるだけ配慮するように求められています。
 特に文京区は、保育園を考える親の会という団体の調べでも、保育園の園庭整備率が一八・三%と、全国の政令都市の中でもワースト一位となっています。都営住宅の跡地に、これからできる園庭つきの保育園には、近隣の園庭のない保育園七園が利用できるように呼びかけたり、児童相談所の建設予定地を暫定的に園児の遊び場として活用するために、近隣の十五の園に案内が出されたりしています。
 しかし、そもそも一カ所に七つの園や十五の園の園児たちが集まるということ自体が異常な状況です。そのために区民の皆さん方、子供たちに何とか最善の環境を用意しようと、区に対しても交通局に対しても、今、必死に訴えているわけです。
 今、東京都では、全ての局において都有地を福祉インフラのために供出していくための仕組みがつくられて、全庁的に一丸となって逼迫する福祉インフラの整備に全力を挙げています。
 都庁の一員として、また公営企業である交通局として、採算性だけでなく地域住民の福祉に資する役割や周辺住民の環境に配慮した選定が求められると思いますが、交通局の認識を伺います。

○広瀬資産運用部長 今、委員お話しの要望があることはよく承知しております。交通局では、経営基盤の強化に資するため局有地の有効活用を図り、長期的に安定的な財源を確保するとともに、地域のまちづくりなど社会的要請に対応することとしております。
 大塚支所跡地の利活用につきましても、こうした考えのもと、地元区である文京区と協議を重ね、区の要望である認可保育所や地域コミュニティ施設などを入居させることを条件として公募いたしました。
 借地人の決定に当たりましては、公募要項に基づきまして、応募書類の内容と募集条件との整合性等を総合的に審査することとしております。

○斉藤委員 募集条件との整合性等を総合的に審査するというお答えですが、採算性だけでなく地域住民の福祉に資する役割や周辺住民の環境に配慮した、これを選定するということにおいても配慮するということについては明確なお答えがありませんでした。
 募集要項以上のことはいえないという建前があるかもしれませんが、私は、地方公営企業法に基づいて、本来の目的である公共の福祉を増進するように運営することが求められている交通局の事業として、当然に周辺住民の環境への配慮や公共の福祉に資する視点を持って事業者を選定することが求められていると思います。
 認可保育園のことについては、募集要項の中にも、設置位置について、建物の避難上の安全性の問題からも、建物の一階にすることが望ましいということが記載されています。
 そこで、最後にお尋ねしたいと思いますが、募集要項に記されている保育園の設置位置について、一階が望ましいということですが、これは当然、この募集要項に書かれているわけですから、選定の基準として考慮されるものだという認識でよろしいでしょうか。

○広瀬資産運用部長 先ほども答弁いたしましたとおり、借地人の決定に当たりましては、公募要項に基づきまして、応募書類の内容と募集条件との整合性とを総合的に審査することとしております。

○斉藤委員 今の保育園の設置の位置については募集要項に書かれていますので、これを踏まえて選定、当然やっていただきたいというふうに思います。
 採算性だけでなく子供たちのために最善の環境をつくるということ、これは公営企業としての皆さん方にしかできないことなんです。だからこそ、この要望に皆さんに真剣に向き合っていただきたいというふうに思います。
 この用途地域は、複雑な土地の形をしているため活用が難しい、いわゆるデッドスペースが生まれるということも考えられます。こうした場所を子供たちの遊び場として開放できるように整備するなど、今からでもできる工夫はいろいろとあると思います。
 こうしたことに配慮できる事業者を選定すること、また、交通局として積極的に地域住民からの要望を事業者や区に伝えて実現できるように協議していただきますよう強くお願いを申し上げまして、私からの質疑を終わりにします。

○成清委員 ホームドアの整備に関連して、今までの質疑と少しニュアンスが違いますので、二点だけ質問させていただきます。
 都民の安全のためにホームドアの整備は重要でして、これまで都営線のほぼ全ての駅にホームドアを整備する方針が明示されており、積極的な姿勢は評価したいと思います。
 具体的な計画としては、ホームドアが未整備の路線のうち、新宿線については平成三十一年秋までに全二十一駅での整備を完了する予定となっております。ところが、浅草線については、先ほども触れられておりましたが、新橋、大門、三田、泉岳寺の四駅について先行的に整備を進めるとのことです。さらに、平成三十五年までに、交通局が管理する全駅についてホームドアの整備を目指すこととされております。
 一方で気がかりなのが、やはり押上駅でございます。相互直通している京成電鉄の管理駅ですが、成田から京成線が直通しており、非常ににぎわっている駅でございます。島式の狭いホームである一方、大型のスーツケースを利用している乗客も多く、車椅子利用者など多くの方からは転落しそうで怖いという声もあり、ホームドア設置の要望が根強い駅となっています。
 利用者の安全性向上のため、押上駅を含めた浅草線全駅で、一日も早くホームドアの整備を進めていただきたいと考えますが、押上駅を含めた浅草線全駅のホームドア設置に向けた取り組みについて伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浅草線におきましては、東京二〇二〇大会までに先行四駅にホームドアを整備することとしておりまして、現在、ホームドアの製作や関連工事を実施するなど、設置に向けた準備を進めております。
 また、ホームドアの重量を支えるためのホーム補強など技術面の課題やホームドア設置に伴う運行時間の影響など、輸送面の課題などへの対応を進めまして、平成三十五年度までに当局が管理する全ての駅で整備完了を目指すこととしております。
 さらに、京成電鉄と交通局との共同使用駅である押上駅につきましては、ホームドア整備のための課題の解決に向けまして、京成電鉄との協議を進めてまいります。

○成清委員 浅草線は、成田空港と羽田空港を結ぶ路線であるとともに、鉄道名に名前を冠している浅草駅といった日本有数の観光地を沿線に抱えるなど、東京の顔ともいえる路線でもあります。交通局が管理する全駅でのホームドア設置を着実に進めていただきたいと思います。
 また、押上駅は、民間事業者との共同使用駅であり、ホームドア整備の計画は打ち出されておりませんが、都営浅草線の駅である以上、交通局の方でも積極的に後押ししていただくということを要望いたします。
 次に、ホームドアが整備されるまでのホームの安全性確保について伺います。
 ホーム事故をゼロとするためには、ホームドアの整備が有効でありますが、ホームドアの整備にはホームの補強なども必要であり、一朝一夕には整備が完了しません。交通局が管理する全駅にホームドアが整備されるまでの間は、転落防止に向けた対策を行うことが必要であると考えます。
 そこで、ホームドアが整備されるまでの浅草線におけるホーム上の安全対策の取り組みについて伺いまして、質問を終了します。

○相川電車部長 視覚に障害をお持ちのお客様を初め誰もが安心してご利用いただけるよう、ホームドアが設置されていない浅草線におきまして、さまざまなホーム上の安全対策を講じております。
 具体的には、ホームの両端部の固定柵や内方線つき点状ブロックを整備するとともに、ホーム端に視認性を高めるための色づけを行っております。また、朝夕のラッシュ時には全ての駅で、曲線等により見通しの悪い駅については終電まで、駅員によるホーム監視を行うほか、全ての駅に警備員を配置しております。さらに、視覚に障害をお持ちのお客様への声かけについて具体的な対応要領を定めまして駅係員を対象に研修を実施しております。
 引き続き、お客様に安心してご利用いただけるよう、ホーム上の安全対策に努めてまいります。

○川松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十四分休憩

   午後五時五十分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより下水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 さきの委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 表紙をお開きいただきますと目次がございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 区部における平成六年度から二十九年度までの設置個数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。浸水被害状況の推移でございます。
 区部の浸水棟数について、過去十年間分をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
 項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十八年度、二十九年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
 区部におけるマンホールの総数と緊急輸送道路等における浮上抑制対策の計画及び平成二十年度から二十九年度までの実績の推移をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移でございます。
 区部における平成十二年度から二十九年度までの実績の推移をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。監理団体、報告団体の職員構成でございます。
 過去五年の監理団体及び報告団体における都派遣職員、固有職員等、都退職者の人数構成をお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。平成二十九年度下水道局所管施設における労働組合の使用場所、面積並びに賃料及び光熱水費等の徴収状況一覧でございます。
 所管部署ごとに、労働組合の使用場所などについてお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。仮設トイレの設置ができるマンホールの数でございます。
 区部の設置箇所数について、過去三年間分をお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。水再生センターにおける処理状況でございます。
 (1)としまして、区部の各水再生センターにおける放流量について、過去三年間分をお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。前ページに続き、(2)としまして、区部十三の水再生センターにおける平均の流入水質と放流水質について、過去三年間分をお示ししてございます。
 一一ページをお開き願います。多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において目標とする水質の達成に向けた各水再生センターの取り組み状況及び簡易処理水の改善目標でございます。
 同計画では、平成三十六年度時点において、水質汚濁防止法などで定められた水質基準よりも、BODなどについて高い目標水質が定められており、その目標の達成に向け、各施設において、表のように高度処理等の取り組みを進めております。なお、同計画において、簡易処理水の水質改善について目標は設定されておりません。
 一二ページをお開き願います。芝浦水再生センター新主ポンプ棟建設計画の進捗状況でございます。
 芝浦水再生センター新主ポンプ棟の建設目的及び主要施設やスケジュールなどをお示ししてございます。
 一三ページをお開き願います。都心部の人口増加に伴い下水の処理能力を高める技術的な方策でございます。
 計画汚水量、区部の水処理能力、晴天日最大汚水量とともに、下水の処理能力を高める技術的な方策についてお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。汚泥焼却灰の放射能濃度の推移でございます。
 平成二十三年度から三十年度までの推移をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 私からは、下水道管の老朽化対策に関して、特に更生工法の技術的な意義と開発の背景について質問いたします。
 東京都の下水道事業は、平成二十九年度末で、土地を除く資産の取得額が合計九兆円近くとなっており、その更新には膨大な費用がかかります。こうした状況下で、いかに更新コストを抑えて下水道事業会計を持続可能なものにしていくかというテーマは、私も大変関心を持っているものです。
 昨年十二月の都政改革本部において、下水道事業の見える化改革報告書が公表され、今後、下水道が直面する三つの危機が示されました。その危機の一つが下水道管の老朽化です。
 報告書によれば、何も工夫をしないで区部の下水道管の老朽化対策を行う場合、今後の事業費は五十年間で約五兆九千億円にも上ると試算されております。この対応として、アセットマネジメント手法を活用して再構築事業費の大幅な縮減を図ると記載されています。
 そこで、まず改めて、下水道管の再構築をどのように進めていくのか、考え方を伺います。

○池田計画調整部長 老朽化した下水道管の再構築に当たっては、ライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメント手法を活用し、計画的かつ効率的に事業を実施しています。
 具体的には、下水道管の状態を調査し、適切な維持管理を行うことで、法定耐用年数の五十年から経済的耐用年数である八十年程度まで延命化を図っており、その上で再構築の工事を行います。
 再構築を進めるに当たっては、中長期的な事業の平準化を図るため、区部を下水道管の整備年代により三つのエリアに分け、そのうち最も整備年代の古い都心部の約一万六千三百ヘクタールを第一期再構築エリアとして優先的に再構築を進めており、平成四十一年度を目標に完了させることとしております。
 なお、工事の実施に当たっては、道路を掘削せず老朽化した下水道管の内部から補強することで、下水道管をリニューアルできる更生工法を活用しております。これにより、比較的短い工期で、かつ低コストで下水道管を再構築することができるものでございます。

○鈴木委員 低コストで事業の平準化が図れるようにしているということでした。
 下水道管の再構築に当たっては、やはりこの更生工法がポイントになると考えております。先ほどのご答弁にもありましたように、更生工法とは、老朽化した下水道管を取りかえるのではなく、現状の下水道管を内部から補強することで下水道管をリニューアルする手法です。しかも、道路を掘らずに工事できるため、都市の経済活動への影響を極力抑えることができ、コストも安く済みます。
 見える化改革報告書によれば、この更生工法を活用することで、先ほどの五・九兆円のうち三兆円近いコスト削減が実現できるとしています。古くから下水道が整備されてきた東京のような大都市には、耐用年数を超えて老朽化している下水道管が多く存在しており、更生工法に対するニーズが高いことから、さまざまな種類の更生工法が開発されていると聞いています。
 そこで、さまざまある更生工法のうち、下水道局では、どのような考えで更生工法を選択しているのか伺います。

○猪八重建設部長 下水道局では、交通量が多く施工時間が限定されるなど、区部の厳しい施工環境などを踏まえ、活用する更生工法の基準を作成、公表しておりまして、この基準に沿って更生工法を認定しているところでございます。
 下水道管の本管の更生工法としましては、当局が開発にかかわったSPR工法を含め、工法数としては、現在十の工法を認定しております。再構築を行う際には、これらの認定工法の中から、適用する下水道管の大きさや形状、現地の状況などに応じまして適切な工法を選択して工事を実施しております。
 また、これらのほかに、宅地内からの排水を受け入れる汚水ますと本管とを接続する取りつけ管に適用可能な更生工法として、現在、十五の工法を認定しております。

○鈴木委員 ただいまのご答弁にもありましたように、この更生工法というのは、実は最初の開発に下水道局が直接かかわって生まれたものです。
 私、今回の質疑に向けまして、実際、虹の下水道館に行きましてSPR工法を見てきました。私も工学部出身でして、実は特許を持っていまして、こういった技術に非常に関心を持っております。その観点から、SPR工法を見たときに、非常に高い技術だというふうに感心をいたしました。
 通常、下水道管の内部から補強する場合、管の口径が小さくなってしまうため、下水の流量が下がってしまうという懸念をしていたんですが、しかしながら、その素材に塩化ビニールを使うことで、水の抵抗量は非常に小さくなっており、口径は小さくなっても、むしろ流量がふえるということでした。また、道路を掘らないだけではなく、水が流れている状態でも工事できるというのはさらに驚きでした。
 実際に、SPR工法については、日本の技術分野のノーベル賞といわれている大河内記念賞を平成二十四年度に受賞しているとのことです。過去の受賞例を見てみると、建設分野では異例の受賞です。そして私は、これだけのすぐれた技術を開発できた背景に興味を持ちました。
 そこで、東京都下水道局が開発にかかわった更生工法であるSPR工法とは、いつ、誰が、どのように開発したのか伺います。

○袰岩技術開発担当部長 早くから下水道が普及した地域では、下水道管の老朽化が課題となっておりました。この下水道管の老朽化対策に着手するに当たり、区部のような既成市街地での工事は、電気、ガスなどの埋設物や道路交通事情、周辺環境などからさまざまな制約を受けており、道路を掘削し、新たな下水道管に入れかえる工法を採用することは困難であると考えられました。
 そこで、当局では、昭和五十九年から、道路を掘削せずに下水道管をよみがえらせる工法の調査研究に取り組み、昭和六十年より、監理団体である東京都下水道サービス株式会社及び民間事業者二社と共同で技術開発を実施し、昭和六十二年にSPR工法を実用化したところでございます。

○鈴木委員 将来起こり得る下水道事業の課題や維持管理の時代を見据えて、約三十年も前から監理団体や民間企業とともに技術開発を進め、そして実用化を図ってきたという先見性はやはり注目すべきです。
 区部では、下水道が始まって百三十年以上が経過していると聞いております。東京だけではなく、早くから下水道が普及したほかの自治体や海外でも同じように課題を抱えているはずです。
 そこで、SPR工法の国内外における利用の実績について伺います。

○袰岩技術開発担当部長 SPR工法の利用実績についてでございますが、平成二十九年度末現在、国内では、四十七都道府県で採用されており、施工延長の累計は、東京都で約七百キロメートル、国内他都市で約五百キロメートル、合わせて累計約千二百キロメートルでございます。
 また、海外では、十七の国と地域で採用されておりまして、施工延長の累計は約百三十キロメートルでございます。

○鈴木委員 東京で開発された技術が他都市の下水道事業の課題解決にも貢献し、さらに海外でも利用されているということでした。
 私が今回、この更生工法に着目したもう一つの理由は、このSPR工法の開発こそ、行政がかかわったイノベーションと国際展開の一つの成功例ではないかと考えたからです。もともと東京の課題の解決のために開発された技術が、同じような下水道事業の課題を抱える他都市でも採用され、共同開発した民間企業の機動力によって海外でも営業ができて、実際に採用されているわけです。しかも、技術が広まることで、ほかの民間企業も技術開発を行い、切磋琢磨をしながら、よりよい技術、より安い技術の開発が促されてきました。このイノベーションの成功要因を分析することには価値があると考えております。
 そこで、下水道局は、これまでどのように技術開発を進めてきたのか、進めているのか伺います。

○袰岩技術開発担当部長 急速に進行する下水道施設の老朽化など、下水道事業が直面する課題や将来を見据えた課題の解決を図るためには、新たな技術の開発を進めることが不可欠であり、当局では、技術開発推進計画を定め取り組んでおるところでございます。
 現在、技術開発推進計画二〇一六に基づき技術開発を進めており、主要施策を踏まえた五十三の開発テーマを設け、設定し、技術開発のニーズを積極的に発信し、民間企業などからの提案を求めているところでございます。
 また、下水道システムは、土木、機械、電気など、さまざまな分野の技術から構成されており、これらを融合して技術開発を進めることが必要であるため、東京都下水道サービス株式会社や民間企業、大学との連携強化や共同研究の活性化に取り組むこととしております。
 このほか、民間企業等の開発意欲を高める開発技術の導入を前提とした共同研究の実施や、研究開発拠点である下水道技術研究開発センター等を活用し、各種試料を用いた実証実験を行う機会の提供なども行っているところでございます。

○鈴木委員 下水道局では、都の課題や必要な技術開発テーマをオープンにすることで、民間企業も技術開発が進み、実際に事業が反映されれば、都民にとってもメリットがある、非常にいいサイクルができていると思います。
 また、監理団体である東京都下水道サービス株式会社との技術開発や民間事業者との技術開発、あるいは大学との共同研究など多様な仕組みを有していることも特徴として挙げられます。
 特に、東京都下水道サービス株式会社がさまざまな側面を持っているということは、今回の大きな成功要因の一つではないかと私は考えております。つまり監理団体として中長期的な行政課題を把握しつつ、実際の現場を持っているために現場の課題も理解している、さらに株式会社としての高い機動性や民間企業との連携も可能にしているということです。これらの成功要因については私もさらに分析をしていきたいと考えております。
 最後に、これまでどのような技術開発の成果を得ることができたのか伺います。

○袰岩技術開発担当部長 これまで当局は、百六十件を超える共同研究を東京都下水道サービス株式会社や民間企業などと実施しており、老朽化した施設の再構築、震災対策、エネルギー、地球温暖化対策などにかかわるさまざまな技術の開発を行い、その成果を導入することで東京下水道の課題の解決を図ってまいりました。
 主な技術開発の成果として、老朽化対策では、先ほどお話のありましたSPR工法を採用することで再構築事業を推進しているところでございます。
 震災対策では、マンホールと管渠との接続部の耐震化や、地震時の液状化現象によるマンホールの浮上抑制を図るに当たり、道路を掘削せずに施工できる技術を開発し、避難所からの排水を受け入れる下水道管や緊急輸送道路等のマンホールに導入するとともに、現在、国内他都市でも広く使われているところでございます。
 エネルギー、地球温暖化対策では、温室効果ガスである一酸化二窒素を約五割削減できる高温省エネ型焼却システムを開発し、実用化しており、都内の一%を使用している下水道局の電力使用量の削減に貢献しております。
 今後とも、現場の課題に対してさまざまな技術を開発し、これを導入することで下水道界の発展に貢献してまいります。

○鈴木委員 今後、日本の各自治体が財政的に厳しくなっていく中で、ますます多様化する行政課題を解決するためには、従来の手法の延長線上ではないイノベーションが求められます。
 今回取り上げた更生工法の例のように、東京都の下水道事業の課題を解決し、さらに中長期的な視点を持って事業費の縮減を図り、東京だけでなく他都市、そして海外へも展開し、東京のプレゼンスを高めていく、こうした下水道局の取り組みは非常に参考になるモデルだと私は考えております。
 今後とも、このようなニーズの発信から技術開発の導入までのサイクルをぜひ活用していただきたいと思います。また、IoT、AIなどの先端技術の活用も含めて、下水道局の今後の技術開発の取り組みに期待をいたしまして、私の質疑を終わります。

○宇田川委員 まず、災害対策についてお尋ねをいたします。
 事業概要の三七ページには浸水対策、そして三九ページから震災対策についての記載がございます。震災対策の中では、首都直下地震などの際に、下水の機能を確保するために対策を推進していくとしているのに対して、浸水対策においては、大規模水害に対する取り組みの記載はありません。
 先ほど交通局とのやりとりで荒川決壊のシミュレーションについて申し上げました。その内容をここで繰り返すつもりはないんですけれども、そのような大規模水害への対応ができているとはとても思えません。現在の取り組みについて、まずお伺いをいたします。

○池田計画調整部長 下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、ハード対策として地区を重点化し、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を進めております。
 また、ソフト対策として、避難等に関する情報を住民にわかりやすく提供することにより、人的被害を防ぐことを主な目的とした区のハザードマップ作成に活用するため、浸水予想区域図を作成し、公表しております。
 東部低地帯の水再生センターやポンプ所などの下水道施設は、基本的には、外郭堤防により守られているものでございますが、万が一、外郭堤防が損壊した場合に備え、下水道局では、水再生センターやポンプ所につきましては、東京都防災会議で示された最大津波高さに対しての耐水化を完了しております。

○宇田川委員 いろいろご説明をいただきました。最後に最大津波高にも対応していると、こういう話もありましたけれども、しかし残念ながら、私がお伺いした河川決壊等の水害対策については言及が一切ございませんでした。ということは、取り組みはなされていないということで受けとめをさせていただきます。
 水再生センターは、最終的に放流をいたしますので、全て水際に存在をしております。当たり前のことです。水際というのは、すなわち低地であります。ということは、水害にはもろい場所に設置をされていると、こういうことになるわけです。
 数メートルの水没となれば、管路内にも当然に水が浸入をし、オーバーフロー、下水道設備は全て機能しない状態に陥ります。対策をせよといっても恐らく困難でありましょう。しかし、せめて、復興に向けての計画なりをつくるべきだと考えますが、ご見解をお伺いたします。

○池田計画調整部長 平成三十年七月豪雨により大規模な内水被害が発生したことを踏まえ、国において浸水被害激化への対応や、河川の氾濫等による被災時の下水道システムの機能確保を強化するための施策の検討を進めており、都も参画しております。
 具体的には、地区を重点化した浸水対策の推進や想定最大規模の降雨に対するリスク把握を行うとともに、水害時の下水道業務継続計画の整備を充実させることにより、一日も早く確実に下水道機能が復旧できるように備える対策などを検討しております。
 大規模災害、大規模水害への備えは、国、防災部局、下水道部局、河川管理者、区等、さまざまな機関の役割分担に応じて行うべきものでございますが、今後、国の提言を踏まえ対策を検討してまいります。

○宇田川委員 地球温暖化は着々と進行していまして、異常気象は恒常化しつつあります。二百年に一度、一千年に一度といわれる大規模な災害は、それは間近に起こる可能性はゼロではありません。今ね、いろいろご答弁されて、やってきたみたいなふうな聞こえ方をするんですけれども、やってきていないんですよ。有事の際に被害を最小限に抑えるための減災、そして一日も早い復旧に向けた取り組みをしっかりと果たされることを望みます。
 次に、水質規制について何点かお伺いをさせていただきます。
 事業概要の三二ページ、水質規制の目的にはこう書かれております。重金属は、水再生センターでは処理されずに放流水質を悪化させる上、一部活性汚泥中に蓄積されるため、汚泥処分を困難にします、したがって、これらの物質などが大量に公共下水道に流入することがないようにする必要がありますということであります。
 まず一点目、処理されずにと、こう書いてあるんですけれども、この処理されず、処理しないんですか、処理できないんですか、明確にお答えをいただきたいと思います。

○井上施設管理担当部長 下水道法第七条及び下水道法施行令第五条の五の技術上の基準では、水再生センターは、pH、浮遊物質、大腸菌群数、生物化学的酸素要求量、全窒素、全リンの六項目を処理する構造とする旨を規定しております。
 水再生センターは、この技術上の基準に基づいて整備されておりまして、重金属類を処理できる施設とはなってございません。

○宇田川委員 重金属類を処理できる施設とはなっていないということは、処理できないということでよろしいですね。

○井上施設管理担当部長 水再生センターでは、活性汚泥による生物処理を主体に処理を行っておりまして、活性汚泥による分解処理はできないことになっております。

○宇田川委員 では、第二点目、大量に流入することがないようにと、こう書かれているんですけれども、規制は濃度で定められております。法も条例もみんなそうです。大量にという立場をおっしゃるのであれば、なぜ総量規制にしないんですか、お答えをいただきたいと思います。

○井上施設管理担当部長 下水道法では、特定事業場からの下水につきまして、終末処理場からの放流水の水質を、水質汚濁防止法の排除基準に適合させることを困難にするような水質の下水を排除することを禁止しております。おっしゃるとおり、その基準が濃度で定められてございまして、それに基づき規制を行っているところでございます。

○宇田川委員 法の基準が濃度である、そうでしょうね。だとすれば、この大量にという表現、変えておいてください。
 私の地元に、村井染工場という浴衣や手拭いの手染めを行っている染物屋さんがあります。東京マイスターにも認定をされている方、NHKを初め、いろんなメディアにも取り上げられている、ある意味、地域の誇りの方であります。
 きょう午前中、河野さんと一緒に、一之江の地元の小学校の周年行事に行ってきたんですが、その中に記念品で入っていた、(実物を示す)これ村井さんのところの、皆さんも見ます、はっぴの形をしている、これが手拭いなんですよ。注染という、注ぐに染めるという字を書くんですけれども、そういう伝統工法で、これ何かというと、白い部分の型紙に押し当ててのりを塗るんですね。のりを塗る、で、染めると。最終的にのりを取ると白い部分が浮き上がるということで、これはこういう形をしているんですけれども、実は手拭いを折ってあるだけという、こういうことなんですね。そののりなんですけれども、こういう白い部分に塗るのり、これ昔は、モチ米などでそののりをつくっていました。しかし、今は、亜鉛を含んだ合成のりでこの染物をやっているんです。
 数年前にご相談がありました。まさに水質規制のことでありました。結局、排水設備を更新することになりました。これは何かというと、ふだんから規制値をオーバーしていたわけじゃないんです。立入検査があったときに最大値で引っかかってしまったと、こういうことでありました。これ平均値ではなく、なぜ瞬間最高値で判断されるのか、見解を伺います。

○井上施設管理担当部長 下水道法におきまして、事業者は公共下水道に排除する水質が、その排出口において政令で定める基準に適合しない下水を排除してはならないと規定されております。

○宇田川委員 下水道法なんですけれども、私もこのたび公営企業委員会に所属が決まりまして、改めて下水道法も全て目を通しました。法の基準だからというのは百も承知のことです。じゃあ何でそんなわかり切ったことを質問したかといえば、この件の初めに、処理できないという確認を私はさせていただきました。
 下水道局ができない処理を民間企業の努力で担っていただいているんです。にもかかわらず、抜き打ちを含めた検査を下水道局が行い一発指導、場合によっては事業停止ですよ、こういう処分まである。それもこれも、法だから、法に基づいていて、条例があって、それに基づいているとおっしゃればそのとおりだと思いますよ。しかし、それだけじゃないんじゃないのかなという思いがあって質問させていただきました。
 濃度の規制ですから、話は簡単なんですよ。大量の水で希釈をすれば薄まる。薄めてしまえばどれだけ大量であろうが、ダイオキシンだろうが、重金属だろうが何だろうが、薄めてしまえば有害物質は放流し放題、こういうことなんですよ。
 地方では可能なこの方法は、東京ではできません。なぜかといえば、水道料金と下水道料金がかかるから大量の水が使えないんです。そのために、少量の水で何とか頑張って努力をして、なおかつ規制を守るために努力を続けているんですよ。
 下水道料金の汚水の処理、これは何かといったら、下水道料金って何ですかって聞けば、汚水の処理費用ですって答えるんですよ。しかし、できない処理をさせ、なおかつ減免もしていない。都内産業、特に中小零細企業の振興、育成について、下水道局としても、ぜひ一役を担っていただきたい、局長、何かあったら答えてください。

○小山下水道局長 委員お話しのとおり、下水道事業では、下水道法に基づく下水排除基準が定められておりまして、この基準を満たす汚水を受け入れ、処理することが前提となっております。
 これは、下水道の施設が生活排水を処理するということを中心に整備されてきたということに由来しているものと考えてございます。この下水排除基準を遵守していただくために必要な排水の規制を行っているところでございます。また、下水道の料金というものは、委員お話しのとおり、汚水の処理に必要な経費を賄うために、下水道料金として使用者にご負担をいただいているというところでございます。
 産業政策についてということになりますけれども、現在の下水道料金につきましては、公益上その他特別な事情があるときに限り、下水道条例上、例えば、生活扶助世帯などに対しまして、一般会計からの補填を前提として、例外的、限定的に実施しているというところでございまして、ただいま委員のお話の下水道料金の減免の内容あるいは方策を拡充するということにつきましては、独立採算の原則あるいは使用者間の負担の公平というところから、慎重に考えるべきものというふうに現時点で考えているところでございます。

○宇田川委員 局長、おっしゃるとおりなことはわかっています。ただね、減免、今一部しているのはなぜかといったら、議会で議決されているからなんですよ。ですから、共産党さんからも、付帯決議でこういう話ありましたよね。これね、我々議決すれば減免できるんです、議会で。だから、中小企業振興のために議決して、下水道料金の減免、みんなでやりましょうよ。
 以上です。

○長橋委員 じゃあ私からも、今、質疑があった浸水被害、この状況について質疑をさせていただきたいと思います。
 さまざまな局が、この最近の気候変動、そうした取り組みを進めておるわけでありますが、やはり何といっても下水道局の取り組みが重要だろう、このように思うわけでありまして、まず初めに、ことしの平成三十年の浸水被害の状況はどうだったかお伺いします。

○佐々木施設管理部長 本年は、八月及び九月に大雨が数回あり、中でも八月二十七日の局地的な集中豪雨では、当局の世田谷出張所で時間八十八ミリ、杉並出張所で時間六十七ミリなど、区部の西部を中心に非常に強い雨が降り浸水被害が発生しました。
 浸水被害状況につきましては、区と連携して調査中でございますが、現段階では、当局調べで、半地下家屋も含めて数百棟の被害が発生しております。

○長橋委員 浸水被害があったと。答弁で、現段階では、当局、下水道局で調べた結果、数百棟、まあ半地下家屋があったということなんですけれども、きょうの資料に、たまたま見たら、去年までの浸水被害状況の推移が出ている。去年は百二十三件。平成二十五年は七百九十五件といって非常に多かった時期なんですけれども、もう調べているんだから、ことしは何件あったんですか。

○佐々木施設管理部長 被害状況の把握につきましては、個人の財産にかかわることでもございますので、地元区と調整いたしまして慎重に実施しているところでございます。
 したがいまして、現段階での把握の状況では約数百棟というふうなことで把握しているところでございます。

○長橋委員 いや、そうじゃなくて、数百棟というのは、ここに、きょうこの資料があるじゃないですか。去年は百二十三件だと。平成二十五年は七百九十五件だった。もっとさかのぼると、平成二十二年は七百九十九件あった。
 浸水被害は、この夏の台風シーズンに多く起きるわけですよ。別に細かく数字を何件まで答えろなんていっていない。大体何件ぐらいあったのか、これからの質疑に大変重要なことなんだよ。だから私は、ことしの浸水被害の状況はどうだったかと。浸水被害はあったといっているんだけれども、数百棟じゃ、百棟なのか七百棟なのか、どれぐらいあったのか、これが欲しいんだ。これからの質疑で大事なので答えてください。

○佐々木施設管理部長 ただいまご答弁させていただいたように、現在、慎重に区の方と調整しているところでございますが、私ども把握している中では、現時点での数字ではございますが、三百から四百ぐらいの範囲だというふうなことで把握しているところでございます。

○長橋委員 済みませんね、答えていただいた。三百から四百件ということですから、この資料ね、私も要求したわけじゃないけれども、見させてもらったら、多い年は八百件近くもあって、もっとさかのぼると千件超えた時期もあったように聞いているわけでありまして、そう考えると、この浸水対策、下水道局としても取り組んだ結果、自然災害ですから、なかなか年によって変動があるのでしようがないですけれども、私は、この浸水被害対策について、平成二十六年の予算特別委員会で取り上げたことがございました。
 このときに、下水道局が、豪雨対策下水道緊急プランを、私、平成二十六年の予算委員会で取り上げたので、平成二十五年の年末にこれを作成してもらって、このポイントは、どういうことかというと、今まで七十五ミリ対応、五十ミリ対応、事業として進めてきたけれども、地下街は七十五ミリ対応進めたけれども、市街地でも、東京で四カ所、七十五ミリ対応を進めた、これが明記されたわけです。
 それは、私の地元の南大塚、文京と一緒になって、そこが、普通の、地下街でも何でもないのだけれども、大変なくぼ地なことから大きな被害を受けたので、地元の皆さんと下水道局にお邪魔して、ぜひこの対策も取り組んでもらいたいと。一生懸命やっていただいた結果、今、既に事業化がスタートしたばかりでありますけれども、そうした意味では、下水道局が、この豪雨対策、浸水対策、そのリーディング局であるということは私は間違いないだろうと思うわけであります。
 そこで、このとき平成二十五年に作成した、平成二十五年年末作成した豪雨対策下水道緊急プラン、現在、どういう進捗になっているのか。あわせて、この中には、平成三十一年、来年までにその効果を発揮すると、このようにいわれているわけでありまして、その状況について伺います。

○猪八重建設部長 豪雨対策下水道緊急プランにおきましては、時間五十ミリを超える降雨に対しても被害を軽減する五十ミリ拡充対策地区や、甚大な浸水被害が生じた市街地を対象といたしました七十五ミリ市街地対策地区を設定いたしまして、雨水整備水準のレベルアップを図ってございます。
 また、被害が比較的小規模な地区につきましては、小規模緊急対策地区を設定いたしまして、区などと連携しつつ、雨水ますの増設やバイパス管の整備などを図っており、進捗といたしましては全六地区について既に対策を完了してございます。
 先ほどの七十五ミリ市街地対策地区は、委員ご指摘のように、全四地区でございますけれども、全ての地区で、現在、施設整備を進めてございます。
 また、五十ミリ拡充対策地区は、全六地区でございますけれども、既に一地区で対策が完了し、現在、四地区で施設整備を進めております。残る一地区につきましても、本年度事業着手をする予定でございまして、これにより整備水準のレベルアップを図る全ての地区で事業着手をいたします。
 整備効果につきましては、整備水準のレベルアップを図る全十地区のうち、二地区につきましては、既に整備効果を発揮させておりますけれども、残りの八地区につきましても、整備中の下水道管の中に、仮の仕切り壁を設置し、先行して完成した部分に雨水を貯留するなどいたしまして、平成三十一年度末までに整備効果を発揮させてまいります。

○長橋委員 進捗状況を伺いました。先ほど、ことしはどれぐらい浸水被害があったんだと、数字を答えていただきましたけれども、これは、この豪雨対策緊急プラン、平成二十五年の被害があったがゆえにこの緊急プランを作成した、ここに書いてあるわけです。集中豪雨や台風で、七百棟を超える甚大な浸水被害が生じたことから、雨水整備水準のレベルアップを含めたプランを検討ということで、この豪雨対策緊急プランが作成をされているわけであります。
 そして、今ご答弁あったとおり、全地区で事業が開始をしたと。事業を開始したばかりのもあるわけでありますけれども、下水道の整備事業というのは、長年、時間がかかりますから、そのために、三十一年、来年度までに、どう効果を発揮するのかということについてもお答えをいただきましたけれども、さっきいった、市街地で七十五ミリ対応の私の地元の南大塚でも、クイックプランというんですかね、それをやっていただいたことによって、もう地元の皆さんは、大変喜んでいます。喜んでいるといいますか、感謝しています、はっきりいって。
 被害があったときも私も現場にいましたけれども、夜中徹して、何でこんな--今までなかったことだから、浸水被害の中でですね、私も含めて地元の皆さんも夜を徹して水害対応、消防団の人たちは一番活躍しておりましたけれども、そんなこともございました。
 そこで、平成二十五年、ここに書いてあるとおり、七百九十五、八百戸近くの浸水被害があったことによってこのプランがつくられたということでありますから、平成二十五年以降、この集中豪雨の発生状況、どうだったのか、まずそこをお伺いしたいと思います。

○池田計画調整部長 建設局の過去の水害記録によりますと、区部における一時間五十ミリを超える豪雨の年間発生回数は、平成二十五年度六回、平成二十六年度六回、平成二十七年度三回、平成二十八年度五回、平成二十九年度一回となっております。
 長期的な傾向としましては、東京都豪雨対策基本方針によりますと、東京における十年間の年間最大降雨の平均値を見た場合、昭和四十年から五十年代までは徐々に低下していったものの、その後上昇に転じ、平成に入り強い雨が観測されるようになるなど、近年、一時間五十ミリを超える豪雨は増加傾向でございます。

○長橋委員 確かに気候変動により五十ミリを超える豪雨が増加している、こういうことでございます。発生状況、平成二十五年からどうかと聞いたら、平成二十九年度までの答えはありましたけれども、ことしはどうだったかというのは最初に聞きましたけれども、いわゆる水害、災害、これの危機感といいますか、また、都民の意識というのは非常に高まってきていると思います。
 例えば、内閣府の世論調査によると、自然災害について具体的な、どういうイメージをしているかというと、もちろん最初に上がってくるのは地震なんですけれども、二番目に上がってくるのが台風などによる風の災害による被害、それから河川の氾濫、この二つを足すと地震の、世論調査ですから、地震を挙げた人は八〇%だけれども、この台風などによる災害と河川の氾濫を入れると、ほぼ同じぐらい意識が高いということがわかるわけであります。
 また、これは生活文化局がやっていると思いますけれども、都政への要望、ここ五年間、一貫して防災対策がトップなんです。途中、高齢者対策も入っているんですけれども、ここ数年は防災対策、これをしっかりと東京都で取り組んでもらいたいと、こういうことが書いてあるわけでございます。
 そこで、あわせて、この豪雨対策下水道緊急プラン、最後に何て書いてあるかというと、今後の局地的集中豪雨等による浸水被害の発生状況により、実施地区の追加を検討すると。今、部長も答えたとおり、五十ミリを超える豪雨災害がふえていると、こういうことですから、この緊急プラン、実施地区の追加を検討するとしておりますけれども、平成二十五年にこれをつくったわけでありますから、五年たって、追加地区の検討を含めてどのように検討しているのか、お答えいただきたいと思います。

○池田計画調整部長 下水道局では、区部全体で時間五十ミリ降雨に対応する施設整備を実施するとともに、平成二十五年の甚大な浸水被害を受け、豪雨対策下水道緊急プランを策定し、被害が大きな地区において整備水準を最大で七十五ミリにレベルアップした対策を推進しております。本年度は、整備水準のレベルアップを図る全ての地区で事業に着手するなど施設整備を着実に進めております。
 本年八月二十七日の豪雨では、整備した雨水貯留施設が満水になるなど効果を発揮していることを確認しており、また、浸水被害が発生した地区でも、既に施設整備に着手した箇所があり、被害の軽減が期待できることなどを地区ごとに検証しております。
 本年三月に改定した神田川流域の浸水予想区域図においても、想定する降雨強度を一時間百十四ミリから一時間百五十三ミリに高めたものの、下水道や河川の施設整備の進捗などにより、流域全体では浸水深さが減少傾向にあるとともに浸水面積は増加しておりません。
 このことから、引き続き、経営計画二〇一六で重点化した残る地区について、基本設計や地元との調整等を積極的に行い浸水対策を進めてまいります。

○長橋委員 ご答弁いただきましたけれども、この緊急プランには、実施地区の追加を検討すると書いてありますけれども、実施地区の追加については答弁がなかったと思います。今ある事業をしっかり進めていくと、こういうことであろうと思いますし、また、その事業は非常に年度もかかるわけでありますので、これはよくわかるわけであります。
 先ほど、被害状況、浸水状況がありましたけれども、私もちょっと調べたら、ことし、さっき浸水が三百件ぐらいありますと。台風はいつ来たかというと、接近したのが二〇一八年、ことしですね、平成三十年は十五回あったというふうに国交省が発表しているんです。十一月、十二月は台風は余り来ないでしょうから。十五回あったと書いてあります。去年は八回、二〇一六年は十一回というふうに、ことしは台風が多かったという年であろうかと思います。
 そうした意味では、この下水道が一〇〇%概成して当たり前のようになっていますけれども、都民の皆さんにしっかりと、下水道事業--下水道事業を実際にやると、私の知り合いの業者が都内でやると、交通渋滞の中でやるとか、道路を閉鎖しなきゃいけないので大変なご苦労をしているけれども、住民の皆さんからすると、下水道事業をやっているのはわかっているんだけれども、何でこんな時間かかるのとかということがよくあるわけでありまして、ぜひそうしたことを理解してもらうことが、下水道局としては、都民を災害から守る上で大事だろうと思います。
 その上で、今、下水道局は、私も公営企業委員会に来て初めて知ったんですけれども、今まで事業の見える化をやってきて、今度は見せる化を推進していくと、そのアクションプランがこの見せる化アクションプラン、これをことし三月に策定をしております。ぜひこの内容について、皆さんの事業を都民に積極的に見せていこうということだと思いますけど、この内容についてお知らせください。

○安藤総務部長 下水道の普及を達成しました現在、あって当たり前のものとなりました下水道につきまして、都民の関心や認知度が低下しているところでございます。
 このため、下水道局では本年三月、東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八を策定しまして、これまでの見える化から、より積極的に施設や事業効果につきまして見せる化するためのメニューを整理いたしました。
 開く、伝える、魅せるの三つの方針ですけれども、その三つの方針のもと、大人、子供、若者のターゲットごとに伝える内容を具体化するとともに、伝え方につきましても、局ホームページの充実のほか、SNSなど新たな手法も活用しまして、戦略的に見せる化を展開することで、下水道事業の認知度や理解度、イメージ向上に取り組み、お客様の満足度向上につなげてまいります。
 今後とも、都民の理解と協力を得て、円滑に事業を推進していくため、局一丸となって見せる化に取り組んでまいります。

○長橋委員 見せる化アクションプラン、私もちょっと見させていただきましたけれども、都民の皆さんに広報、アピールしていくと、こういうことであろうと思いますけれども、なぜ今回、浸水被害対策を取り上げたかというと、やはり都民の皆さんにしっかりと伝えていく、浸水被害の恐ろしさ、豪雨災害の恐ろしさ、これを伝えていくことが私は大変重要であろうと思います。
 皆さんの事業をしっかりと理解してもらうとともに、皆さんの役割といいますか仕事は、豪雨対策をいかに未然に防いでいくか、これが大きな皆さん方の一つの使命だと思うわけであります。
 その上で、下水道局では、下水道に光ファイバーシステムを活用していると、今、東京を網羅しているというふうに聞いております。このシステムを使って、最初は、ポンプ所の監視から始まったようでありますけれども、私、聞いたら、東京アメッシュにも活用されていると。私も愛用しています。いざというときにアメッシュがあると非常に助かります。新宿で降っていなくても豊島に帰ると降っていたりするのがすぐわかるわけであります。
 それから、幹線水位情報、そうした地面の地下のことはわからないのを、しっかりと区市町との連携をとってやっていくと、こういうことがありますけれども、この光ファイバーシステム、この活用状況、今どうなのか教えていただきたいと思います。

○池田計画調整部長 浸水被害を軽減させるためには、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の着実な整備はもちろんのこと、地域の自助や共助を支援するため、情報提供等のソフト対策も重要でございます。
 下水道局では、地域の水防活動を支援する取り組みとして、下水道管内に敷設されている光ファイバーを活用し、浅く埋設された地表に近い下水道幹線などを対象に、幹線の水位情報をリアルタイムで地元区に提供しております。これまでに練馬区田柄川幹線など八つの下水道幹線の水位情報を六つの関係区に提供し、地域の水防活動を支援しております。
 今後、下水道幹線の水位情報の提供を、現在の八幹線から十二幹線へ拡大してまいります。

○長橋委員 光ファイバーの活用をさらに進めていくと、こういうことでございます。
 先ほど、下水道緊急プランについてお答えをいただきましたけれども、平成二十五年の緊急プランを受けて、平成二十六年六月に豪雨対策基本方針、これを策定しているわけですよね。
 まずは下水道局が豪雨対策の取り組みを、緊急プランを発表して、その翌年二十六年六月に、都市整備局と建設局と、そして下水道局、三局合わせてこの対策をつくっておられると。この発端となったのは、さっきいいましたけれども、平成二十五年の七月の集中豪雨、七百棟を超える浸水被害があったことからこの計画ができた。
 もう少し聞くと、改定となっているものですから、豪雨対策基本方針、平成二十六年六月には改定となっているので、その前はいつだったかというと、平成十九年の八月に、まず最初の豪雨対策基本方針、これができ上がっているわけであります。これもいつでき上がって、なぜでき上がったかというと、平成十七年の九月、ここにはありませんけれども、このときも大変大きな集中豪雨があったことから、この豪雨対策基本方針ができ上がったわけであります。ですから、ある面でいえば、東京は大変大きな浸水被害を受けた、それを受けてこの緊急プランができたり、また、基本方針ができているわけであります。
 ですから、もし今度つくるとなれば三回目になるわけでありますが、そこで先ほど光ファイバーの話をしましたけれども、東京全体、二十三区ですね、張りめぐらされた光ファイバーの活用をもっとしていくことによって、被害が起きたから基本方針をつくる、また、豪雨対策をつくるのではなくて、それをいかに未然に防いでいくかということが大事だと思います。
 自然との対応ですから、なかなか予測しづらいと思われますし、年によっては、浸水被害が、私の地元豊島区なんかは去年はゼロですよ。でも、多いときには何百件とあった。未然に防ぐことが大事であって、実際に、先ほど宇田川議員も二百年に一度の話もしました。被害が起きてから対策をつくるのでは、基本方針つくるのであれば三回目になるわけですから、これを考えると事前にその対策を講じていくことが必要だろうと、こういうふうに思うわけです。
 ですから、この緊急プランには追加地区も検討すると、こういっていますけれども、追加地区はまだどこかと決まっていない、追加地区はまだ検討していませんと、こういう話だったけれども、皆さんの中では、下水道局として、この気候変動の中で、ますます五十ミリを超える豪雨災害がふえてくるわけでありますから、そうした新たな地区も事前に検討していく、これも大変重要なことだろうと思いますので、ぜひそうしたことを踏まえて、下水道局のこれからの活躍を心からご祈念します。頑張ってください。

○河野委員 私は、下水道管工事にかかわっての街路樹の保護の問題と、それから人材育成、技術の継承ですか、この二つのことについて質問をします。
 初めに、下水道管工事をする際の道路の脇にある街路樹の扱いについて伺います。
 ご存じのように、街路の木々は、夏には涼しい木陰、秋には美しいもみじを見せてくれるなど、その地域に暮らし、働き、学ぶ多くの人たちにかけがえのない潤いを与えてくれていると思います。また、地球温暖化防止に役立つものであり、国立科学博物館名誉研究員近田文弘氏によれば、イチョウ並木など樹齢が高く枝葉の多い街路樹は、大気の温度を下げ、湿度の維持といった働きを持ち、東京の中心を潤しているというふうにおっしゃっています。まさに環境問題でも緑、街路樹は大切だということが明らかなんですね。
 このように、街路樹は景観でも環境でも、都会の生活には欠かせないものとなっています。それは、下水道の配管工事で、道路脇の街路樹や公園などの木が支障となった場合も変わりはありません。樹木を保全し守ることを基本として事業を進めることが大切だと思っています。
 下水道局は、樹木を守ることについてどのように措置することにしているのか、工事に当たっての基本的な考え方をお伺いいたします。

○猪八重建設部長 下水道工事におきましては、既存の樹木が工事の支障となった場合には、支障となる範囲を特定した上で、樹木の種類や大きさ、状態などを調査し、樹木の管理者と協議して対応を決定しております。

○河野委員 その木の状態などを調査して、管理者と協議し、対応を決定することが基本的な考え方であるとのことでした。木の状態というのは、木が病気であるかどうかを調査し、また、対応を決定するというのは移植あるいは枝葉を落とす、もしくはどうしても難しい場合は伐採に至るということだと思うんですね。
 伐採するのは、まさに最後の方法かと思いますが、下水道管工事のために木が伐採されてしまった、この問題で、最近のことでありますが、木は去年切られているんですけれども、私たちのところに都民の方から意見が寄せられております。
 場所は、皇居近くの内堀通りで、国立劇場前の四車線の道路です。一年ほど前に下水道管の配管工事のためのシールド工法で立て坑掘削工事がありました。その際に、街路のユリノキ三本の枝葉が掘削の重機に当たるということでばっさりと切られてしまったわけです。私も現地に行ってみましたが、お堀端の歩道は多くのランナー、ランニングを楽しむ人や観光客が行き交って、江戸時代から続いている水と緑の織りなす景観を皆さん思い思いに楽しんでいる、すばらしい場所でありました。
 背の高いユリノキがずっと並んで植わっているんですけれども、その中で三本だけが切り株となっている姿は、やはり痛々しいなというふうに感じました。その切り株は、私、手ではかったんですけれども、直径が約九十五センチほど、幹回りはほぼ二メートルに及ぶということで、大変大きな立派な木だったというふうに想像しました。
 そこで伺います。都民の憩いの場となっている内堀通りのユリノキ、大径木三本が、なぜ伐採されなくてはならなかったのか、その経緯についてご説明をいただきたいと思います。

○猪八重建設部長 皇居周辺の国道二〇号、通称内堀通りで施行しております下水道幹線工事におきまして、発進立て坑を道路上に築造する際に、街路樹の樹高約十五メートル、幹回り約二メートルのユリノキの枝葉が支障となりました。
 このため、街路樹を管理する道路管理者に樹木の扱いについて協議いたしましたところ、伐採し、若木を植樹することとなりました。

○河野委員 この内堀通りのところは国立劇場の前ですから、国が管理する国道ですよね。だから、道路管理者は国土交通省ということになるんだと思います。道路管理者と協議をして、そして伐採後には苗木を植えるとのことですけれども、ほかに方法はなかったのかなと考えるんですね。移植をするとか、また、重機が当たってしまう道路側の枝葉だけを伐採するといった方法は検討されなかったのか、とても残念な気持ちでその場を見てきました。
 一枚だけ写真を持ってきたんですが、こういう大きな木に、切り株のところに張ってあるんです、紙が。後でいいますけれども、私が思ったのは、木を伐採する際に、都民、関係者への周知がどうだったのかという問題です。
 今回、この三本の伐採については、前もって工事説明会やお知らせの配布などは行われていませんでした。木の伐採後、この黄色の大きなステッカーが幹の部分に張られているだけです。
 張られた大きな表示には、この樹木は、現在、下水道工事の支障となるため一時的に撤去しておりますと書いてありました。景観を損ねてご迷惑をおかけしております、下水道工事完了後、苗木を設置いたします、ご迷惑をおかけしますが、ご理解、ご協力をお願いしますと書いてあるんですね。
 地域周辺への事後報告のみというのが率直な印象で、周囲の理解を得てからこういう伐採という措置に移っていったとはとても思えませんでした。
 このような下水道工事の施行に伴って、既存の樹木をやむを得ず伐採する場合は、あらかじめその必要性を地域住民に周知するとか、理解を得るべきだと考えるんですけれども、下水道局のご見解はいかがでしょうか。

○猪八重建設部長 一般的に、近隣にお客様がお住まいの場合には、工事説明会の機会を捉えまして樹木の取り扱いについてもご説明いたしますとともに、お知らせの配布などを行った上で作業を実施してございます。

○河野委員 今、お示ししました皇居の周りの内堀通りは、真ん前が国立劇場ですから、住民が住んでいるわけではないですよね。お隣は最高裁判所の大きい建物があるという、そういう地域ですから、皇居の周りには住民といった方は余り住んでいないと思います。
 でも、せめて工事前には、木を守るために活動している自然保護団体とか専門家に意見を聞いてみるとか、ランニングなどをしている周辺の方々にヒアリングをしてみるとか、方法は幾らでも工夫できたんじゃないかと思ったんです。
 これからのことなんですけれども、できる限り木を伐採せずに保全する方法を考えていただき、また、関係者や住人などへの丁寧なヒアリングを重ねていただくこと、貴重な東京の緑を守る努力に努めていただきたいということをすごく、この木を見て、痛ましい思いで痛感いたしました。
 切られた大径木のユリノキは、もうもとどおりにはなりません。このまま放置しておけば、ひこばえといって、ちょっとずつ小さな芽が出てくるかもしれませんけれども、工事のために根も踏みつけられていて、かなり木そのものにストレスが与えられ、弱っているという感じもしました。
 私は、この間ずっと、東京の木を守りたいということで運動されている方々と話をしてきましたけれども、その方々はみんな、木々は私たちと一緒に生きている命ですといっています。本当に慈しんでいます。東京の緑を守るために力を尽くしている都民の思いを受けとめて、下水道局も事業に当たっていただくように求めておきたいですし、東京全体が、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さまざまなインフラ整備が行われる中で木が大切にされているかというと、そういう状況がなかなか見受けられませんので、これは下水道局だけじゃなくて東京都全体の思いとして、都民のそういう努力を受けとめていただくように、この場でお願いをしておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 十月十六日の委員会で、下水道事業運営の基本ということで説明をされた局長は、人材育成と技術の継承に触れられて、平成二十八年三月に改定した東京都下水道局の人材育成方針に基づき、人材育成と技術継承に向けた体制と施策の強化を図っていくと述べられました。これはしっかり取り組んでいただきたい方針だとお聞きしました。人材育成と技術の継承についてお尋ねをいたします。
 砂町の水再生センターには、下水道技術実習センターが設置されています。私も視察に行ったことがありますが、下水道局として、技術を習得した人材の育成に向けてセンターを開設していることはとても大切なことだと思いました。
 そこで、下水道技術実習センターの特徴について、まずご説明をいただきたいと思います。

○白川職員部長 下水道局では、業務執行に求められる知識、技術が高度化、複雑化する一方で、人材育成や技術継承の中心的な役割を担ってきたベテラン職員の大量退職と若手職員の増加が続く中、実践的な技術や業務ノウハウをより効率的、効果的に伝えていく取り組みがますます重要となってまいりました。このため、平成二十五年十月、日本初の下水道技術専門の実習施設として、下水道技術実習センターを開設いたしました。
 下水道技術実習センターでは、みずから体験するプロセスを通じまして、技術業務ノウハウの継承を効率的、効果的に進めることができるよう、実際の工事現場や水再生センターの施設などを再現した三十三種の実習施設を設置しております。
 また、下水道技術をともに支えている監理団体である、TGSと呼んでおりますけれども、東京都下水道サービス株式会社ですとか、民間事業者においても、人材育成や技術継承は深刻な課題となっていることから、TGSや民間事業者などが、みずからの研修として下水道技術実習センターを活用しているところでございます。

○河野委員 ありがとうございます。
 今ご答弁で、日本初の技術実習センターということで、大変重要な、大事な施設を下水道局が設置されたということを認識いたしました。
 このセンターは幅広い役割を果たしていると想像いたしますけれども、具体的な利用状況、活用状況についてお示しいただけますか。

○白川職員部長 下水道技術実習センターでは、局職員に加えまして、他の自治体やTGS、民間事業者などによる活用が進みまして、昨年度は百三十九件、約四千名が利用しているところでございます。
 また、下水道技術実習センターの昨年度の稼働率でございますが、研修での利用では六三%、民間事業者などへのPRを兼ねた視察、これも含めますと七二%となっているところでございます。

○河野委員 一年間で四千人を超える方が実習、研修を受けているということで、下水道局の技術実習センターが、本当に技術者の育成に力を発揮している、そういう場所なんだなということを感じております。
 私は、この夏に、斉藤委員とともに砂町水再生センターを訪れて施設の説明を受けました。水再生センターでは、下水処理のみでなくて、小水力発電やバイオマス発電、下水熱の供給など、多くの業務に取り組んでいることがわかり、下水道局の業務の広さと重要さを改めて認識したところです。
 お伺いいたしますけれども、下水道局が所管されている技術実習センターは、下水道局が直営されているものなのでしょうか。それとも、先ほどからお話があります東京下水道サービス株式会社、監理団体のTGSなどの民間事業体が運営しているのでしょうか、この点も伺っておきたいと思います。

○白川職員部長 理事、今おっしゃられた民間事業者ではございませんで、TGSは監理団体でございます。
 下水道技術実習センターは、多岐にわたる現場を再現した施設でございまして、実習センターでの研修は安全かつ確実に行うとともに、みずから体感するプロセスを通じ、効率的、効果的に行う必要がございます。
 TGSは、これまで下水道局と一体となりまして、多岐にわたる現場を担ってきており、現場における業務の工夫やノウハウを共有しているところでございます。
 このため、下水道技術実習センターの運営はTGSへ委託しているところでございます。

○河野委員 続いて伺います。
 事業概要のパンフレットをいただいております。この事業概要八〇ページに、平成十八年度末と二十七年度末の十年間の技術職員数の年齢構成の変化が円グラフで示されています。
 少し驚いたんですけれども、まず、職員数が十年間で二千五百五十五人から千九百六十二人と約六百人減少しています。都内全域で、災害対策も含めて下水道局の業務の重要さは年ごとに増していると思うんですけれども、職員は技術力の向上とあわせ、その人員の配置についてもふやされて当然と考えますが、技術職員が十年間でなぜ六百人近くもの減員になっているのでしょうか、ご説明お願いします。

○白川職員部長 下水道局は、TGSを活用した業務の委託やポンプ所の遠制化など、不断の経営努力を行いまして、簡素で効率的な体制の構築に取り組んでまいりました。
 この結果、お話の平成十八年度から二十七年度までの過去十年間での技術系の職員数は五百九十三人減少となったところでございます。

○河野委員 もう一点、この示された円グラフに関して質問をいたします。
 グラフで見ますと、平成二十七年度末で、二十歳代が二〇%で、平成十八年度よりふえています。若い世代がふえているのは好ましいことだと思います。しかし、技術力を積んだ熟練の年代が減少していることもこの円グラフから読み取れます。特に五十歳代の比率は、五〇%から一九%へ十年間で減少しています。
 私は、若い人と熟練した職員が一緒に仕事に当たることが、技術の継承、人材の育成につながると思うのですけれども、こういう状況の中で、若い世代の育成が追いつかない、そういう事態は起きていないのでしょうか。

○池田計画調整部長 下水道局では、平成二十六年度に、下水道技術を確実に継承する方策を検討するため、下水道技術継承検討委員会を設置し、技術継承を局の主要な施策の一つとして位置づけ、局職員が一丸となって取り組んでおります。
 具体的な取り組みとしては、ベテラン職員が若手職員とペアを組んで現場に足を運び、実地で技術を継承するほか、先ほど答弁で申し上げた下水道技術実習センターに加え、実務に活用できる技術情報などを簡単に検索できる下水道電子図書館を整備し運用しております。

○河野委員 下水道技術継承検討委員会ですか、設置されたのは平成二十六年度ということですから、具体的に重点を入れて取り組みが始まったのは、この数年間かなという印象を受けています。
 もう一点伺いますが、技術力が熟練した職員が退職年齢を迎えたとき、下水道局の再任用職員として残る人もいるけれども、多くは東京都下水道サービス株式会社、TGSですね、そちらに再就職するとの話も聞いています。
 TGSも下水道事業に役割を発揮している監理団体ですが、下水道局長が説明されたように、人材育成と技術継承に向けた体制と施策の強化を図っていくのが局の方針となっているのですから、本来ならば、下水道局内に、より積極的に若手育成に当たる力量のある熟練職員の力を保持し、体制を厚くする努力が必要なのではないかというふうに考えるのですけれども、この点はいかがでしょうか。

○池田計画調整部長 下水道局とTGSは一体的に運用してきております。必要な人員をそれぞれ確保するために、知識、ノウハウを持ったベテラン職員を適切に採用してまいりました。下水道局の若手職員の育成に当たっては、TGSに派遣し、現場の業務を体験させるなど経験と知識を習得させてきております。
 さらに、下水道局においては、若手職員に直接寄り添い、業務の支援、相談を行うため、平成二十九年度から、技術継承を専任とする再任用ベテラン職員を本庁に配置し、出先事務所を巡回しながら、若手職員に対する実践的なアドバイスや工事現場などを活用したディスカッションを行うなど、下水道技術の知識、ノウハウを学ぶ機会をふやし、若手職員の育成に努めております。

○河野委員 先ほどからお話がありますように、近年は、気候変動のために大災害が多発しています。気象庁の天気予報で、これまで経験したことがないという言葉が豪雨のたびに使われています。下水道の維持管理にも、想定外のイレギュラーな事態が起きてもおかしくない状態だと思います。
 下水道は、汚水を浄化して自然に返し、そして衛生と環境を守る役割と、雨水を排水して、住民の命、財産を守るという二つの役割を担っています。まさに都民にとって重要なライフラインなのですから、管理保全に力を注ぐことが求められるのは当然だと思います。
 そのためには、適切な職員の配置が必要であります。十年間の比較で、技術系職員が、ご答弁にあったように五百九十三人の減となっているのは、局自身が答弁されていることでありますが、今後、下水道局が担っている責務の重要性にふさわしい職員の確保、そして体制の充実に努めていただくように改めてお願いをしておきます。
 もう一点、東京都下水道サービス株式会社、TGSのことも伺います。
 TGSは、東京都下水道サービス株式会社経営改革プランというのを出しています。この改革プランを見ると、下水道局と同じように、若手職員の育成、熟練技術者の保持ということが必要だということがすごく書かれています。
 TGSのこのプランでは、自己分析を踏まえた経営課題の第一に人的資源の確保が挙げられています。さっきの質問で申し上げましたように、TGSはこのようにいっています。
 当社の事業は、下水道の現場実務に精通した技術とノウハウを持つ都のOB社員等の活用で支えられているが、その結果として社員の年齢層が高くということで、ちょっと長いので中略しますけれども、社員の年齢層が高く、技術系社員を中心に人材確保の困難性が高まると予想されるとしています。
 TGSの社員の平均年齢は、これを見ますと、五十四・五歳、六十歳以上の社員構成は、五一・九%とのことです。TGSでは、若手派遣社員の増加や固有社員の新卒採用の拡充で、下水道事業の経験が浅い社員がふえており、人材育成の強化が課題と書いて、今の局面を明らかにしています。
 TGSは、下水道局の事業の四十数%を担っていると聞いております。そうしたきちんとした事業を営んでいるわけなんですが、下水道局としても、TGSが抱えている課題にしっかりとした支援策を持つ、対応策を持つ、そのことが必要なのではないかと、今私は感じるものなんですけれども、この課題については、下水道局、どんな見解をお持ちかお聞きしておきます。

○安藤総務部長 安定した下水道事業の執行に向けては、まずは下水道局とTGSのそれぞれが、人材の確保、育成と技術継承に取り組むことが重要でございます。
 このため、下水道局としては、TGSとの間の人材交流や研修の共同実施など必要な取り組みを進めてまいります。

○河野委員 TGSの経営改革プランには、下水道局の定年退職者等が人材の供給の源になってきたと書いてあります。TGSにとっては人材供給のオアシスとなってきた、それが下水道局だと思うんです。そのオアシスの下水道局の技術者育成、本体の技術者育成が、やはりTGSと一体となって下水道事業を進めていくという上では大変大事な問題になってきている、そういう局面に本当に向かっているということなのでご努力を求めておきたいと思います。
 これまで質問してきましたけれども、下水道技術実習センターは、人材育成、技術力の向上に重要な役割を果たしています。昨年度は、民間も含めて七二%の稼働率ということです。今後、より多くの利用となることが大事だと思います。
 下水道事業にかかわって、民間事業者も多くの役割を担っているわけですが、今後、下水道局、監理団体、民間事業者など、官民合わせての技術者の育成について、局はどのように支援を進めていくのか、その取り組みの方針を伺っておきます。

○白川職員部長 下水道事業の安定的な運営に当たりましては、下水道局とTGSのみならず、実際の施工と維持管理を行う民間事業者の技術向上も重要でございます。下水道局では、TGSと連携協力いたしまして、将来にわたる安定した下水道サービス提供のため、下水道事業を担う局、TGS及び民間事業者、三者の人材育成や技術継承を推進、支援しております。
 具体的には、下水道技術実習センターにおいてTGSと連携協力し、局職員に対する研修を行うとともに、TGSがみずから企画し、新入社員や若手技術者などを対象に、民間事業者などのニーズに合わせた研修を実施しております。
 研修内容もさまざまでございまして、マンホール内や水が流れている中での作業実習、高電圧配電盤の点検作業の実習など、実務に即した幅広いものとなっております。
 今後も、下水道技術実習センターの活用について、毎年、全国規模で開催される下水道展など、さまざまな機会を通じPRを行い、下水道界全体の人材育成に取り組んでまいります。

○河野委員 最後にお願いしておきます。
 前に技術実習センターを見せていただいたときに、下水道局の職員の方、そしてTGSの社員の方、そのほかに民間事業者あるいは他の自治体からもそういう研修する方を受け入れている、それから外国人の方なども見えているということで、本当にたくさんの方々がここの技術実習センターに来て、とにかく下水道事業に力を注ごうということで頑張っているということを伺いました。
 技術実習センターの活用を進めて、これからも体制を強化し、技術者の育成に努めていただく、そのことを切に求めて、私の質問とさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

○中村委員 それでは、下水道局の事務事業について、まず最初に、豪雨対策について質問いたします。
 ことしは西日本豪雨災害や大阪で関西国際空港が冠水した台風二十一号など、全国で甚大な被害をもたらしました。東京においても何十年に一度といわれる集中豪雨が頻発しています。一時間当たり百ミリを超える雨も降るため、浸水対策は急務です。各市区町村では浸水ハザードマップも作成しています。
 そこで、浸水が予想される地域における貯水能力を高める取り組みについて伺います。

○池田計画調整部長 都市化の進展により、降った雨が地面に浸透しづらくなるなど、下水道に流入する雨水の量の増大によって、下水道が整備された地区でも浸水被害が発生しております。
 このため、下水道局では、下水道の能力不足を解消し、時間五十ミリの降雨に対応できるように施設整備を計画的に進めております。
 また、都では、河川や下水道の整備に加え、流域内における雨水流出抑制施設の整備、設置など、さまざまな対策を組み合わせ、浸水被害の軽減を図る総合的な治水対策を進めております。この一環として下水道局では、雨水を地中に浸透させる公共雨水浸透ますの設置も進めております。

○中村委員 浸水する地域は、そこに降った雨の量だけではなくて、高い土地から低い土地に降った後の雨が流れ込むことでも被害も起こります。だからこそハザードマップは地形で判断してつくることができますし、警告というどころか、実際に浸水が繰り返し発生している箇所も多くあります。当該地域に暮らす方からすれば早急な対応が必要ですので、より一層の取り組みを求めます。
 さて、市区境などで各市での下水道事業だけでは対応できない広域的な豪雨対策は、都と市が連携して対応する必要があると考えます。
 具体的には、京王井の頭線の三鷹台駅は、三鷹市と杉並区の境界近くにありますが、駅の北側の地域は、高地にある杉並区側から低地にある三鷹市に向かって雨水が流れ、たびたび浸水する地域があります。雨水の多くは線路沿いに流れる神田川にも注がれるようですが、線路が堤防になってしまい冠水する地域があります。
 三鷹市だけでは区側から流れてくる雨水への十分な対応ができず、平成十七年以降だけでも九回も浸水しています。区部の下水道は都が管理していますので、都として早急に対応すべきですが、見解を伺います。

○猪八重建設部長 三鷹台駅の周辺はくぼ地で、また、坂下となっておりまして、雨水がたまりやすい地形となっておりますことや、雨水流出量が増大しておりますことなどが浸水被害の原因であると考えております。
 これまで、杉並区と協力しながら、雨水ますのふたを格子状のグレーチングに取りかえたり、道路を横断する方向にグレーチングを設置することなど、下水道管に雨水を取り込みやすくするための対応を行ってまいりました。
 今後、過去の浸水被害の状況や降雨の特性、被害の発生原因などを踏まえ、地元の三鷹市や杉並区と連携しながら調査検討を実施してまいります。

○中村委員 線路の構造もあり複雑な状況でもありますが、同じ地域が何度も浸水するという状況は異常な事態ですので、今回、地域でも大きな課題になっている地域についてピンポイントで質問しましたが、頻繁に浸水する箇所については特に早急な対応を求めます。
 また、豪雨の対応という点では、合流式下水道の改善も急がれます。分流式と違い、汚水と雨水が分かれていない合流式の場合、豪雨時に汚水があふれ、そのまま河川に放流されてしまいます。
 そこで、合流式下水道の改善についての取り組みについて伺います。

○池田計画調整部長 合流式下水道の特徴として、大雨の際に、まちを浸水から守るために、汚水まじりの雨水が河川などへ放流されます。区部においては、約八割を占める合流式下水道の改善対策として、雨天時に河川などに放流されていた降雨初期の特に汚れた下水を水再生センターで処理するための下水道幹線の増強や、一時的に貯留する施設の整備、雨水はけ口やポンプ所から流出するごみなどを削減するための対策などに取り組み、平成三十六年度から強化される下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向けて事業を行っております。

○中村委員 引き続き合流式下水道の早期の改善を求めます。現状、対応が終わっていない場合には、汚水まじりの雨水が河川に放流されるどころか、浸水すれば、汚水がまちにあふれることになります。大量の雨水に比べれば薄まってしまうとはいえ、環境衛生上よいわけではありません。
 まずは、排水口の清掃など、雨の前に浸水を予防することが重要で広報もされていますが、同時に、合流式下水道の仕組みも都民にも理解していただくことで、豪雨時に使用して出た汚水がまちを汚す可能性があることを広報することも検討していただきたいと思います。
 次に、流域下水道の大きな課題でもある単独処理区の編入について伺います。
 都が直接下水道事業を行う区部と異なり、多摩地域では対応が異なって、市町村が独自に行っています。下水処理については、複数自治体が共同で行う流域下水道の方が環境上も望ましいことから、多くは広域自治体である都が行うようになってきています。
 そうした中、多摩地域では、地形的に編入が難しい町田市を除き、八王子市、立川市、三鷹市の三市以外は流域への編入が行われていますが、三市の単独処理区を流域下水道に編入することが下水道局の経営計画に盛り込まれ、既に八王子市、立川市は具体的に話が進んでいますが、三鷹市だけが進んでいません。
 平成二十一年に改定された都の多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画にも、平成三十六年度に野川処理区への編入が定められています。編入に向けた取り組み状況について伺います。

○小団扇技術部長 お話のあった三鷹市単独処理区の野川処理区への編入につきましては、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において定められております。この編入を事業化するには、都市計画法や下水道法などに基づき関係市の同意を得るなど、定められた手続を進める必要がございます。
 野川処理区への編入には、六市という多くの市が関係しているため、流域下水道本部が主体となり、関係六市と情報交換を行っているところでございます。

○中村委員 既に都の計画で平成三十六年度に編入するとなっていますが、水再生センターのような巨大な施設をつくるとなると、六年前の段階で、現状を踏まえると事実上計画どおりにはいかないというような状況になっているのではないかと思います。
 三鷹市を含めて関係市が六市あり、それぞれの自治体の事情があり複雑なのは理解をいたしますけれども、だからこそ、都が広域的な視点で調整をすべきだというふうに思っております。先ほど、流域下水道本部が主体となりという話がありましたので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思っております。
 また、多摩地域では、各市町村が下水道事業を行っておりまして、実は三鷹市は、全国で初めて下水道一〇〇%を達成するなど、自治体として事業を優先して取り組み、努力もしてきました。
 しかし、流域下水道の考えでは、複数自治体で取り組むことが前提の制度になり、市町村の事業への国費の補助率が違っています。現在、市町村が行う下水道事業への補助について、単独と流域でどう違うのか伺います。

○飯田管理部長 下水道事業に対する国庫補助金は、下水道法施行令第二十四条の二におきまして、管渠建設費等と処理場建設費について定められております。
 管渠建設費等に対する補助率は、流域下水道、市町村の単独公共下水道とも五〇%でございます。また、処理場建設費に対する補助率は流域下水道では約六七%であり、市町村が行う単独の公共下水道では五五%となっております。
 流域下水道に対する補助率が公共下水道に対する補助率よりも高いのは、流域下水道による水質保全の効果が広域に及ぶことなどによるものでございます。

○中村委員 国の制度の方を伺いましたけれども、ご答弁のように、市町村単独事業よりも広域的に行う流域事業を推奨しています。この考え方に基づいても、都も協力して、より一層の取り組みを行うことを求めます。
 三鷹市では、計画がなかなか見通せていないために、老朽化した現在ある三鷹市東部水再生センターに、長らく時間をかけながら九十五億円ももう投資をして再構築せざるを得なくなってきました。そのため、昨年、三鷹市長からも、流域への早期編入を求める要請書について、流域下水道本部長にも提出をされました。
 これから進める野川処理区だけではなくて、流域下水道事業は、公共用水域の水質保全にも資するなど重要です。もとより三多摩格差などの財政の問題もあるので、建設負担金が各自治体の財政の重い負担にもなっています。東京都市長会や議会による三多摩上下水及び道路建設促進協議会からも建設負担金軽減の要望が出ていますが、それに対して見解を伺います。

○飯田管理部長 東京都市長会や三多摩上下水及び道路建設促進協議会から都に提出されました陳情書の中で、下水道局に対しては、建設負担金等についての要望があり、これまでも要望の背景等を認識し、建設負担金の軽減などに取り組んできております。施設の老朽化が進む中、今後とも国費の安定的な確保に努めるとともに、施設の建設に当たりましては、一層の効率的な事業執行を図り、建設コストの縮減に努めてまいります。

○中村委員 東京都は昨今、以前に比べると、社会インフラの整備率の差が縮まったことで、みずから格差ということをいわなくなってきましたが、財政の差はあり、今後は老朽化した施設の改修なども考えると、より一層財政的な負担が重くなってしまいます。ぜひ市町村から出ている要望は、役所のためではなく、多摩四百万都民として、意見として聞いていただき、引き続き負担軽減に取り組んでいただきたいと思います。
 これから計画されているこの野川水再生センターについてですが、予定地が調布基地跡地の中にあるとはいえ、昨今の社会状況を見ると建設は簡単ではありません。
 現在は、都から調布市、府中市に貸与され、両市はグラウンドとして使用しています。この場所に下水処理場を整備するとなった場合には、施設の上部でのスポーツ施設利用は可能でしょうか。また、現在利用されている方も含め、地域にお住まいの方々には、突然使えなくなると知れば驚かれるでしょうから、この場所に下水道施設が建設される計画があることなども知っておいていただくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○飯田管理部長 水再生センターの上部利用の一般的な手続につきましては、地元市が住民要望を踏まえて利用形態を決め、下水道局へ要望をいただいております。
 下水道局は、施設の構造や維持管理に問題がないことを確認した上で、上部利用に関する基本協定を締結して使用許可を行い、地元市の施設として地域の皆様にご利用いただくことになります。
 今後、事業化する際には、地域にお住まいの方々などに丁寧に説明してまいります。

○中村委員 このグラウンドの場所というのは、味の素スタジアムのすぐ北側になるので、私もよく前を通りますし、この週末も通りました。多くの方が野球やサッカーなどを楽しんでいます。上部の利用ができるようになるというのは、現在利用されている方にとっても、建設中は一時的に使えなくても、よりよい施設として整備され、また使えるようになれば理解もされやすいと思います。
 スポーツも下水処理も生活にとっては必要な施設ですから、地域の皆様とともに考えていくためにも、今からお知らせをしていただくことが大切です。
 さまざま質問もしてきましたが、改めて、この三鷹市単独処理区の野川処理区への編入については、関係市が多くて調整が大変ですが、都の広域的な視点に立った取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。

○小団扇技術部長 流域下水道本部は、流域別下水道整備総合計画で定められている三鷹市単独処理区の野川処理区への編入を事業化するため、関係市などの理解が得られるように情報交換を行ってまいりました。
 引き続き、関係市の理解が進むよう取り組んでまいります。

○中村委員 関係市が多く、大変な状況ということは理解はしますが、横並びの市同士の中で決めていくというのは、なかなか限界もあります。
 きょうは流域下水道本部長もこの場にいらっしゃいますので、ぜひ都が率先して取り組んでいただくよう強く求めまして、質問を終わります。

○上田委員 きょうは、交通局から、また、この下水道局において、水害の議論が大変興味深く交わされてまいりました。また、ほかの議員も指摘いたしましたが、私も合流式下水道の改善につきまして、事務事業の中の四一ページですね、先ほど部長からも説明がありましたが、雨水と汚水を一本の下水道管に収容することから、大雨が降ると、やはり市街地を浸水被害から守るために、汚水まじりの雨水を川や海に放流している状況であります。まずは、地元のことから、この抜本的改善について伺いたいと思います。
 以前、大島ポンプ所からの下水の放流は、小松川第二ポンプ所の完成後は小松川第二ポンプ所を経由して荒川に放流する計画だと。大島ポンプ所については、小松川第二ポンプ所などを平成三十一年度までに整備し、下水の流れを切りかえた後に廃止する予定、廃止後の跡地利用については、大規模なポンプ所躯体の撤去後に可能とはなりますが、その撤去についてはかなり長期間を要す、現時点では未定という答弁をもらっております。
 現状についてお示しください。

○池田計画調整部長 小松川第二ポンプ所は、大島ポンプ所などからの下水を切りかえるための幹線の発進立て坑を兼ねていることから、ポンプ所の工事完了は、下水道幹線工事の完成後となります。現在、幹線工事は、地下鉄都営新宿線の直下を通過する際の障害物撤去工事を施行中であり、地下鉄への影響を最大限抑制する必要があることから慎重に施行しております。
 こうしたことから、平成三十二年度以降も工事を継続いたします。大島ポンプ所廃止後の跡地利用については、現時点においても未定でございます。

○上田委員 三十二年度以降ということですが、かなり悪臭がひどいということで、長年、区民からの声が届いております。また、跡地利用につきましても、地域住民、自治体ともしっかりと協議をしながら、区民福祉に貢献するような形としていただきたいというふうに思います。
 つきましては、やはりオリ・パラを踏まえて、東京港の水質についてお尋ねしてまいりたいと思います。水再生センターにつきまして中心にお尋ねしたいと思います。
 芝浦水再生センターの新主ポンプ棟建設の計画に対する進捗状況を、一二ページ、資料11について要求させていただきました。こちらの方をまとめていただきましたけれども、所見と今後の展望についてお聞かせ願えればと思います。

○池田計画調整部長 芝浦水再生センター新ポンプ棟については、現在、旧汚泥処理工場の撤去工事、導水渠人孔設置工事、発生土搬出用の仮桟橋設置工事などを行っております。当初見込んでいなかった構造物などが地下にあったため、地中障害物の撤去に時間を要しておりますが、今後、本体工事に着手する予定でございます。
 芝浦水再生センター新主ポンプ棟は、流入する幹線が深い上、雨天時貯留池や放流ポンプ棟など複数の施設をあわせて建設することになっており、計画している施設が巨大となるため、現在、コスト縮減及び工期短縮を図る目的で設計の見直しを行っております。このため、具体的な完成時期をお示しすることは困難でございますが、一日も早い完成を目指して工事を進めてまいります。

○上田委員 具体的な完成時期を示すのが困難ということであります。ということは、オリ・パラまでには間に合わなそうという判断をさせていただくしかないのかなということを考えております。
 オリ・パラだけではなく、やはり都心部の人口増加に伴いまして、処理能力を高めざるを得ないかなというふうなことは考えている次第でございまして、一三ページのナンバー12の資料も取り寄せさせていただいた次第でございます。こちらの資料をまとめていただきましたけれども、これらのこれまでの取り組みと今後の改善計画及び課題というか所見をいただければと思います。

○池田計画調整部長 下水道局ではこれまでに、区部の各水再生センターにおいて、同じ敷地面積で約二倍の処理能力となる二階層式沈殿池や深槽式反応槽を導入してまいりました。
 区部の水再生センターにおける現有能力は一日当たり約六百四十万立方メートルであり、平成二十九年度における一日の最大処理水量約五百九十六万立方メートルを上回っており、現有処理能力で充足しております。
 限られた敷地で効率的に下水をより高度に処理できる準高度処理や、新たな高度処理技術を導入することで良好な水環境の創出に貢献してまいります。

○上田委員 高度処理、準高度処理ということでご努力はいただいてはいるけれども、資料10、一一ページの方の資料、効率的な高度処理の事業に取り組んでいくけれども、この資料を見ると、一部稼働、稼働中、施設改造中ということで、これからまだまだ取り組んでいかねばならないということ、同僚委員の質問に答えていらっしゃったと思います。
 先ほど、また同じく江戸川の宇田川委員も指摘しましたけれども、民間の水質規制には極めて厳しいというところであります。それと同じように、やはり汚濁負荷量、汚水を何としてでも削減していただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。
 一方で、水再生センターの上部空間は都市の貴重なスペースでありまして、施設の機能や維持管理、将来計画などに支障とならない範囲で地元区に開放しており、区が地域のお客様のご要望を受け、公園やスポーツ施設などとして活用、また、下水道局は、下水道に親しみを感じていただき、下水道事業への理解を深めていただくため、それぞれ水再生センターの特色を生かしました桜祭りや蛍観賞会といったイベントを開催され、地域のお客様との交流を深めているということでありますが、現状の具体的な取り組みを伺いたいと思います。

○安藤総務部長 水再生センターの上部利用につきましては、地元区市からの要望を受け、施設の構造などに問題がないことを確認した上で、地元区市が管理する施設として地域の皆様にご利用いただいております。
 次に、水再生センターで実施するイベントについてでございますが、現在、東京下水道の役割や課題、魅力をより積極的に発信する見せる化に取り組んでおり、ことし三月に策定した東京下水道見せる化アクションプラン二〇一八では、下水道の新たな魅力をお知らせする魅せる方針のもと、地域に親しまれるイベントを充実させていくこととしております。
 各水再生センターでは、地域のお客様との交流を深めるため、桜観賞会、打ち水体験や蛍観賞会などのほか、国の重要文化財である旧三河島汚水処分場喞筒場施設をキャンドルで照らし出すキャンドルナイトなど、施設ごとに内容を工夫し、さまざまな趣向を凝らしたイベントを実施してございます。
 今後とも、地域に親しまれるイベントを充実させ、東京下水道のイメージアップを図り、都民の理解と協力を得て円滑に事業を推進していけるよう、局一丸となって見せる化に取り組んでまいります。

○上田委員 我が葛西水再生センターでも、息子たちも野球チームで大変お世話になっております。こうして親しんでいただくことで、放水したとき、におうとかそういったところの理解も深まっていき、ちょっと時間をかけながら、両側で高度処理の実現に向けまして取り組んでいっていただければと思います。
 マンホールトイレであります。資料は8、八ページでございます。
 以前、今後も仮設トイレの設置ができるマンホールについては、区が指定した避難所などの周辺において、要請があった場合に下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、交通や応急活動の支障とならない場所を対象に指定との答弁を得ております。
 こちらの方の資料を見させていただきますと、微増かなというふうに思われますが、見込みとして、充足しているのか、所見を伺いたいと思います。

○佐々木施設管理部長 下水道局では、震災時にも、避難所などのトイレ機能を確保するため、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールとの接続部の耐震化を推進しております。この下水道管の耐震化が完了した場所において、区からの要請があった場合に、仮設トイレを設置できるマンホールを指定しているところでございます。
 下水道局は、区から避難所の指定状況について情報提供を受けるなど、連携して取り組んでいるところでございます。

○上田委員 現時点では、区の要請を受け、充足をしているというふうな判断でよろしいのでしょうか。
 続きましては、汚泥焼却灰についてでございます。資料は一四ページの13の方を見ていただければと思います。
 東日本大震災のもう一つの、津波以外の大きな被害はやっぱりあの原発事故であったかと思います。直後に降りました雨がフォールアウトしまして、放射性物質が江戸川区にも非常に集中しまして、都心部のホットスポット最南端といわれ、川も下流域ということで、葛西の水再生センターにおきます脱水汚泥の放射性物質が非常に高く出て、地域住民も大変不安に陥れられまして、いまだに生々しい思い出として残っております。
 私もそのときは区議会議員でございまして、陳情を出してくれたお母さんたちとともに現状の確認を行ったことが、きのうのように思い出されます。
 その後、都は、汚泥焼却灰の放射性物質の検査を、環境省が定められたガイドラインに従いまして、二週間に一回の頻度で行い、区部の汚泥焼却灰の放射性セシウムの濃度が減少していることを確認され、また放流水中の放射性セシウム濃度は全て不検出であったということを報告いただいております。
 また、移動するときにやっぱり大丈夫かという、汚泥焼却灰の運搬方法についても、非常に厳しく管理をしている、適正な管理を実施し、安全を確保しているというご答弁をいただいております。
 パラリンピック・オリンピックを踏まえまして、国際的に関心を求めていることから、資料を受けての、現時点の評価と所見を伺いたいと思います。

○佐々木施設管理部長 区部の汚泥焼却灰の放射性セシウム濃度は、測定を開始した平成二十三年度は一キログラム当たり千三百から五万五千ベクレルの範囲であったものが、今年度は、百五十から千二百ベクレルの範囲に減少しております。焼却灰の放射能濃度は、法令に定める基準でございます一キログラム当たり八千ベクレルを大きく下回る数値となっており、安全性について確認しております。

○上田委員 当初は本当にどうなることかと思いましたけれども、本当に激減しているということを確認させていただきましたけれども、引き続きましての計測と安全な処理をお願いしたいと思います。
 またポンプ所についてですが、今度は耐震化についてお尋ねしたいと思います。
 小松川ポンプ所施設の耐震化については、平成二十四年度から壁の補強などの工事を行い、完了しているということです。耐水化については既に設計を進めておられ、ポンプ所の出入り口扉を防水扉に取りかえるなどの工事はどうなっていたのか、状況を伺いたいと思います。あわせて、第二ポンプ所についても伺いたいと思います。

○猪八重建設部長 小松川ポンプ所の耐水化につきましては、ポンプ所の建物の出入り口扉を防水の扉に取りかえるなどの工事は平成二十七年度に完成してございます。また、現在建設中の小松川第二ポンプ所につきましては、地震動や津波に対する耐震性能や耐水性能を確保する施設として、現在、工事を鋭意進めているところでございます。

○上田委員 私どもゼロメートル地帯で、先ほども、荒川右岸の破堤の話などを聞いて、本当に大丈夫かなと、ポンプ所の方も心配になりました。耐水化の方、工事進めているということで、進捗を今後も確認させていただきたいですし、都民にもお示しいただければと思います。
 組合事務所です。労働組合事務所の都有財産の提供につきまして、各ところで確認させていただいているんですけれども、労働組合の都有財産の提供について基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 資料によりますと無償貸与しているというところですが、果たして労働組合法に定める賃料コスト、面積、立地ともに最小限なのか、お考えをお示しいただきたいと思います。最小限ではない、すなわち過剰、不適当であると判断された場合の対応についてもご説明ください。

○久我経理部長 労働組合は、地方公営企業等の労働関係に関する法律に基づき、労働条件の維持改善等を目的に職員が結成しました団体でございます。
 労働組合法では、最小限の事務所の無償貸与は認められているところでございます。このため、当局では、毎年度、労働組合からの使用申請に対しまして、労働組合の活動上やむを得ないと認められる必要最小限であり、かつ当局の事務執行及び財産管理に支障がない範囲で許可するとともに使用料を免除しているところでございます。

○上田委員 資料は7、七ページでありました。今後賃料を徴収するかどうかのお考えをお示しいただきたいと思います。

○久我経理部長 労働組合との適法な交渉を通じまして適切な労使関係を維持することは、当局の円滑な事務事業運営に資するものでございます。
 先ほども申し上げましたが、労働組合法でも、最小限の事務所の無償貸与は認められているところでございます。よって、当局では、労働組合の活動上やむを得ないと認められる必要最小限であり、かつ局事業執行及び財産管理に支障がない範囲で使用を許可するとともに、使用料を免除する考えでありまして、今後もこの考えに変わりはございません。

○上田委員 都庁本庁舎は、私が当選して指摘をさせていただき、平成二十五年度からは、こういった組合事務所、職員団体の事務所ですね、面積が半減をするという努力をしていただいておりますので、公営企業でございますので、まだ採算性も考えられるということ、また都民の目も一般の都庁よりは厳しく向けられると思うので、常に検討していただきたいと思います。
 外郭団体です。先ほども質疑が重なって、深く議論がありましたけれども、東京都下水道サービス株式会社、改めて、なぜ都の退職者採用が多いのか、ご説明いただければと思います。

○安藤総務部長 下水道局は、下水道サービスを効率的かつ安定的に提供するため、東京都下水道サービス株式会社と一体的に事業運営を行っております。
 このため、同社は、下水道事業に関する豊富な経験とすぐれた技術を有する都を退職した職員を採用しております。こうした職員が、都で培った技術やノウハウを活用して業務に従事することで、下水道事業という強い公共性と高い専門性が求められる事業を着実に実施しているところでございます。

○上田委員 私は、なるだけ民でできることは民でということですが、技術職が外郭団体で力を発揮するということに関しては全く否定するものではございません。
 確認なんですが、都の派遣職員と都退職者、固有職員の職務分掌の違いはあるのかないのか、ご説明いただければと思います。

○安藤総務部長 都派遣職員は、下水道局との連携を保ちつつ、事業の公共性を確保しており、主に同社の基幹的、中枢的な業務に従事しております。また、都派遣職員のうち若手職員につきましては、現場での技術やノウハウを習得できる業務に従事してございます。
 都退職者については、都で培ったすぐれた技術や豊富な経験を有していることから、即戦力として主要な役割を担っており、固有職員とともに同社の業務全般に従事しております。

○上田委員 バランスよく民間と、また若手職員を育成して、プロパーの、また元の局に戻るんでしょうから、そこで効率的な経営をしながら、なるだけ税金を使わずに技術の継承をしていくということで、民間と三すくみで行っているということを、先ほどほかの委員の答弁でいただいておりました。
 私も、実習センターは視察をさせていただきましたので、今後も効率いい運営、経営並びに技術の継承に努めていただきたいということをお願い申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○川松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後七時五十四分休憩

   午後八時十分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○菅原委員 委員長のお許しをいただきまして質疑をさせていただきます。
 九月の第十一回国際水協会の主催するIWA世界会議、これに関するところから入らせていただきます。
 このIWA世界水会議には私も参加をさせていただきました。IWAの事業本体にかかわる質疑は、水道局の方で行わせていただく予定でございます。本日は、このIWAの展示会の中で、東京都が模型を出展いたしました水面制御装置について質疑をさせていただきます。
 まずは、水面制御装置について、どのような技術なのかを確認いたします。改めて、水面制御装置の長所についても伺います。お願いいたします。

○袰岩技術開発担当部長 水面制御装置は、雨天時に合流式下水道の雨水はけ口から河川などへのごみの流出を防ぐことを目的とした技術でございまして、下水道局、監理団体である東京都下水道サービス株式会社及び民間企業の三者で、平成十四年度に共同開発し、平成十八年度に特許を取得いたしました。
 この装置は、水の流れのエネルギーを活用することで動力を必要としないこと、構造が単純で設置や維持管理が容易であること、低コストであること、下水中の七割以上のごみが除去できることなど、すぐれた特徴を有する技術でございます。
 下水道局では、区部にある約七百三十カ所の雨水はけ口への設置についておおむね完了しており、東京都のほかでは、大阪市や名古屋市など大都市を中心に国内の約六十の都市においても導入されております。

○菅原委員 私も、この水面制御装置を見させていただきました。専門家ではないので、この技術の本質的なすばらしさは理解できていないかもしれませんが、それでも三つ、一つ目は動力、電力が必要ないこと、二つ目は、構造が簡単なので設置や維持管理が簡単なこと、三つ目はコストが低いということなどの説明は理解ができました。その上で、七割のごみが除去できる、こういう技術はすばらしいと感じました。
 さて、この水面制御装置の国際展開について伺います。
 水面制御装置は、ことしの五月に、ドイツの企業と共同研究の覚書を締結する旨の発表がありました。
 そこで、水面制御装置のこれまでの海外展開の経緯と、今回の共同研究の内容について伺います。
 水面制御装置は、合流式下水道の改善に効果があると聞いていますが、ドイツとの共同研究の締結など、この技術の海外展開の経緯や共同研究の内容についてお願いをいたします。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道局、東京都下水道サービス株式会社、民間企業の開発三者は、下水道関連装置を扱うドイツ企業との間で、ドイツ、フランス、イギリスにおける水面制御装置の製造、設置、販売の権利を付与するライセンス契約を平成二十二年度に締結いたしました。これまでの設置実績は、平成二十九年度末時点で、ドイツ二十カ所、フランス四カ所でございます。
 欧州では、東京と同じ合流式下水道でも、雨水はけ口の状況や下水道に流入するごみの状況などが異なる場合もあり、現地でのごみの除去率等の実証データを把握する必要があるため、ドイツ企業が現地の市や大学と連携し、産学官で共同研究を行うことといたしました。
 下水道局を含む開発三者は、この共同研究に技術支援を行い、欧州での普及拡大につなげてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。現在は、ドイツを中心としてヨーロッパに展開しているというご説明をいただきました。
 新しい技術の海外展開というのは、決して簡単にはいかないということを思います。答弁にもありましたように、ごみの状況が違ったり構造が異なるということがあるようです。歴史的または文化的な背景も絡んでいるように感じています。
 この海外展開にも、共同研究という新しい動きがあるという答弁がございました。水面制御装置の技術は、これからさらに普及拡大する可能性があるのでしょうか。東京都の取り組みについて伺います。

○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水面制御装置の欧州地域での一層の普及拡大を図るため、先月、契約対象国を拡大し、新たにイタリア、スペイン、ベルギー、オーストリア、スイス、チェコの六カ国を追加することといたしました。
 また、ライセンス契約を締結しているドイツ企業は、北米地域にも強力な販売網を有しておりますことから、欧州六カ国に加えて、アメリカ、カナダの北米地域も対象国に追加し、水面制御装置の普及拡大につなげてまいります。
 東京下水道といたしましては、今回の共同研究と対象国の拡大を足がかりとして、東京発の下水道技術であります水面制御装置のさらなる普及拡大を支援し、日本の下水道関連企業の海外展開を後押しするとともに、欧州及び北米地域の水環境の改善に貢献するよう努めてまいります。

○菅原委員 ご説明ありがとうございます。
 アースプラン二〇一七という、こういう本もいただいて読み進めてまいりますと、この七ページに、こんな資料がございました。
 温室効果ガスの排出の実態というグラフがございます。これは東京都の事業全体で出している、温室効果ガスがどのぐらいあるのかということです。全体を一〇〇とすると、交通局で一四%、水道局で一八%、知事部局などで三三%で、一番大きいのが下水道局で三五%だということなんですね。
 私、今回、この水面制御装置すばらしいなと思ったのは、これはやはり動力を使わないという点だと思います。これはやはり世界に広げていく誇るべき技術ではないかというふうに感じたので取り上げさせていただきました。
 きょう、鈴木委員の質疑の中でもございましたSPR工法、または震災時のマンホールが浮上しないような技術、これはフロートレス工法というんでしょうか、こういうすばらしい技術を東京都下水道局は持っているということでございます。
 下水道の本来的な業務というのは安定した運営だと思います。その点から考えれば、これら海外の展開というのはメーンの技術ではないかもしれません。しかし、東京都下水道局がかかわる優秀な技術を国際展開するということは、国際的な環境衛生問題を解決することになるのではないかと思います。また、自分たちの技術を、改めて違う視点から見詰める経験にもなります。そして、国際都市東京のブランディングにも資するのではないかと思います。
 これからも丁寧に事業を進めていただくことをお願いいたしまして、質疑を終わります。

○加藤委員 初めに、ホウ素、フッ素の排水規制について伺います。
 ことしも、平成三十一年度東京都予算等への要望の中で、東京都鍍金工業組合から電気メッキ業におけるホウ素、フッ素に係る暫定基準の再延長について要望が出ております。
 メッキは、あらゆる工業製品に施され、現代社会を支える重要な加工技術であるとともに、我が国の基幹産業である自動車や電子機器にとっても欠かせない基盤技術でもあります。
 このような中で、ホウ素、フッ素に係る暫定基準の再延長が要望されているということは、メッキ事業者にとって本則基準の達成が困難であるとともに、ホウ素、フッ素はメッキ業界で、なくてはならない物質であると理解しています。
 そこで、メッキ業において、ホウ素、フッ素はどのように使用されているのか、まず伺います。

○井上施設管理担当部長 ホウ素につきましては、メッキのむらをなくすために使用されております。また、フッ素につきましては、メッキを施す前に金属表面の酸化皮膜を取り除くために使用されております。いずれの物質ともメッキのつきをよくし、きれいに仕上げるために使用されているものでございます。

○加藤委員 このホウ素、フッ素がメッキ工程にとって重要な役割を果たしているということは理解できました。
 では、ホウ素、フッ素はなぜ規制されているのか、また、排水基準はどのように設定されているのか伺います。

○井上施設管理担当部長 ホウ素、フッ素は、高濃度の摂取により健康影響がある有害物質であることから、平成十二年十二月の中央環境審議会答申に基づきまして、平成十三年に規制が開始されました。
 ホウ素、フッ素の本則基準は、河川等を放流先とする下水道へ下水を排除する場合と、海域を放流先とする下水道へ下水を排除する場合で異なりまして、放流先が河川等の場合、ホウ素が一リットル当たり十ミリグラム、フッ素が一リットル当たり八ミリグラム、海域の場合は、ホウ素が一リットル当たり二百三十ミリグラム、フッ素が一リットル当たり十五ミリグラムとなっております。
 河川と海域で基準が異なるのは、中央環境審議会答申によりますと、河川では、水道水源として取水することを考慮しているからでございまして、海域では元来、ホウ素、フッ素が比較的高濃度で存在しているからでございます。

○加藤委員 今、二つの基準があるということがわかりました。いわゆる河川と海域で異なる、特にホウ素の場合は、河川と海域で十と二百三十なので、物すごい開きがあるということなんですね。
 先ほど、宇田川委員の方からもいろいろお話が、指摘がありましたけれども、例えば、水処理センター、水再生センターですね、荒川でいいますと、海に近いところに葛西の水再生センターがあると。この荒川をずっと上っていくと、例えば、小菅というところに水再生センターがある。そうしますと、そんなに距離が離れていなくて同じ荒川のところにあるんだけれども、一方では十で、一方は二百三十という、同じ下水を通って水再生センターに行って処理をするんだけれども、海か川でこんなに変わってしまうと、同じ都内なのに本当にわからないといいますか、ちょっと理不尽だなというふうに思います。
 先ほども話があったとおり、薄まるかどうかということだと思うんですけれども、それにしても、東京の下水道普及率が大変整っていると。都道府県によっては違う、整っていないところもあるわけですね。
 そうしますと、事業所で基準値にちゃんと抑えて、東京は下水道に流す、一方では川に直接流すということになると思うんです。そうしますと、東京の場合は、下水処理料金も払うと、一方では払わないということになるんじゃないかと--まあ推測しているんですけどね、そうしたこともちょっと不公平じゃないかなというふうに思っております。
 確かに、ホウ素、フッ素が有害物質で健康影響があるから規制が必要だということは理解できます。決められたことだということだと思うんですけれども、しかし、河川と海域で基準が異なるということは、メッキ事業者にとっては合理性がないのではないかと、このように思います。
 そうしたことからも、この本則基準の達成が非常に困難だということから、実際には電気メッキ業には、本則基準よりも緩やかな暫定基準が設定をされております。
 そこで、ホウ素、フッ素について、電気メッキ業に暫定基準が設定された経緯と、現在の暫定基準の適用期限について伺います。

○井上施設管理担当部長 ホウ素、フッ素に関する排水の暫定基準につきましては、排水濃度の実態や本則基準に対応する排水処理技術の小規模事業者への導入可能性などを考慮いたしまして、直ちに本則基準を達成するのが困難と認められる業種を対象としまして、環境省令に基づき下水道法施行令で定めております。
 電気メッキ業のホウ素、フッ素の暫定基準は、平成十三年に本則基準が定められると同時に設定されました。その後、基準値が段階的に強化されるとともに、五回にわたって期限延長されております。現行の暫定基準の適用期限は平成三十一年六月までとなっております。

○加藤委員 この暫定基準の設定状況ということはわかりましたけれども、しかし、現状のままでは非常に厳しい本則基準が適用されると法令を遵守できないメッキ事業者が出てくるのではないかと心配しております。私どもとしましても、来年の暫定延長については、しっかりと働きかけていきたいと思います。
 今は、メッキだけではなくて数業種が暫定基準の適用を受けているということであります。先ほどもありましたとおり、この水再生センターで有害物質が処理できればいいわけなんですけれども、そこが先ほどもあったように処理できないというお話が出ておりましたので、そうしたところも支援という形においては、いわゆる川上の方にある水再生センターでもう少しそういったところもできればいいのではないかということも思います。(「そうだ、もっと強くいった方がいいよ」と呼ぶ者あり)はい、ぜひよろしくお願いします。
 そこで、この中小メッキ事業者が、ホウ素、フッ素の本則基準が達成できるようにするための下水道局の取り組みについて伺います。

○井上施設管理担当部長 下水道局では、本則基準の達成が可能となるよう、基準を満たしている事業場の例を参考に、作業工程の改善や使用薬品の変更など、個々の事業場の実情に応じてきめ細かな助言や指導を行っております。
 また、国が主体となって、環境負荷の少ないメッキ加工技術につきまして、早期に調査研究、開発を推進し、その実用化、普及に努めるとともに、暫定基準の取り扱いにつきましては、中小のメッキ事業者の排水実態、操業の状況、適用可能な排水処理技術の動向などを十分に踏まえ、適切に対応することを、関係各局とともに国に対して要望しております。

○加藤委員 しっかり働きかけをお願いしたいというふうに思います。
 このホウ素、フッ素の本則基準適用に向けて、メッキ事業者の置かれた状況と、それに対する下水道の取り組みは理解したものの、この本則基準達成に向け、メッキ事業者への一層の細やかな支援が必要となることから、個々の事業者の実態を踏まえ、今後も関係する各局と連携して、積極的に対応をお願いしたいと存じます。
 また、引き続き国に対しても関係各局と連携して強く要望をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 私どもも、国会議員に対して、いわゆるこの全国一律基準というのは、ちょっとおかしいんじゃないかと、やっぱり地域に応じて変えていくべきじゃないかということを、国会議員を通じて、今、働きかけもさせていただいておりますので、しっかり連携して頑張っていきたいと思います。
 最後に、下水道管整備に関して、地元の京島幹線工事について伺います。
 この工事は、浸水対策の一環として、雨水の一部を収容する新たな下水道管を整備し、浸水被害の低減を図るものと伺っています。
 近年の集中豪雨被害を考えますと、必要な工事と理解をしていますが、三年間という長期間の工事におきまして、区立公園が立て坑の発進基地となるため、利用が制限されております。また、車両の通行規制が行われているため、工事中の安全への配慮は十分に行う必要があります。さらに、地元としましては、この工事終了後の公園の復旧がどのようになるかも心配をしております。
 そこで、工事中の車両等に対する安全配慮と、公園の復旧方法について、下水道局はどのように考えているのか伺います。

○猪八重建設部長 京島幹線の施行に当たりましては、墨田区立あずま百樹園の用地に主要な作業基地を設置して事業を進めております。
 施行に当たっては、周辺のお客様への安全確保に向け、ガードマンを適切に配慮するなど、徹底した安全管理に努めているところでございます。
 また、公園の復旧内容につきましては、今後、墨田区と十分に協議をしてまいります。

○加藤委員 今回の工事では、工事として利用しているのが公園の大部分であり、公園機能としては、今ほとんどといっていいほどないという状況なんですね。このため、周辺住民に大きな負担をかけております。
 したがって、復旧に当たっては、そうした点も考慮し、公園機能の復活、再編も含めよく区と連携して進めるよう要望して、質問を終わります。

○斉藤委員 よろしくお願いします。まず、資料の提出をありがとうございました。
 私の方からは、先日の決算委員会で、浸水対策や管路の耐震化などについて質疑させていただきましたので、今回は、災害時に利用できるマンホールトイレの設置と、コンセッション方式も含めた施設運営手法の検討について、そして消費税の問題について質問いたします。
 まず初めに、マンホールトイレの設置についてです。
 ことしは、大阪北部地震を初め西日本の豪雨災害、北海道胆振東部地方での地震など、これまで経験したことがないような大規模な災害が相次ぎました。上下水道の安定的な稼働が人々の命や生活にとっていかに大切なものであるか、多くの方々が認識を新たにしたのではないかと思います。
 被災地では、今なお、不便な避難所での生活を余儀なくされている方々がたくさんいらっしゃる中で、この避難所での環境に大きな課題があることも明らかになってきています。その中でも、災害時のトイレの環境は切実なものがあることが、この間の教訓として認識され始めています。
 大規模災害のときには、断水や停電、給排水管の破損などにより水洗トイレが使用できなくなり、災害発生直後の多くの避難所トイレは劣悪な衛生状態になったといわれています。トイレの使用を敬遠した避難者が水分の摂取や食事を控えるようになり、脱水症状や体力の低下など、健康被害やエコノミークラス症候群を発症し、いわゆる災害関連死を引き起こす事例も起きています。
 そうした中で、下水道局が行っているマンホールトイレの設置の取り組みは、災害時に備える上で非常に大切なものだと思います。
 そこで、現在の下水道局のマンホールトイレの設置についての基本的な考え方を伺おうと思いましたけれども、先ほどの質疑の中でありましたので、これは省略をさせていただきます。
 下水道管の耐震化が完了したところから、区と調整し、避難所などの周辺において、仮設トイレを設置できるマンホールを指定しているというのが先ほどのご答弁でした。
 政府は、相次ぐ災害の教訓から、二〇一六年四月に、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを発表して、その中で、スフィアプロジェクト、人道憲章と人道対応に関する最低基準、いわゆるスフィア基準を紹介しながら、災害発生当初は、避難者約五十人当たりに一つのトイレ、そして避難が長期化する場合には約二十人当たりに一つのトイレを目安として、災害用トイレの確保計画を作成することが望ましいとしています。
 この目安に基づいて、避難所などの身近にトイレが十分用意されていることが重要だと思いますが、マンホールトイレの設置可能なマンホールの指定について、区部及び足立区における現在の取り組みについて伺います。

○佐々木施設管理部長 区部では、平成二十九年度に百八十三カ所を指定し、累計で約六千八百カ所となってございます。このうち足立区内につきましては、これまでに四百六十四カ所を指定しております。

○斉藤委員 区部で約六千八百カ所、足立区では四百六十四カ所ということです。提出していただいた資料を見ますと、この三年間では微増にとどまっているというような印象で、特にこの新宿区を含めた都心部に少ない印象になっています。
 スフィア基準のように、人数当たりのトイレの数の目安を持って取り組むということは、まだ多くのところでこれからの課題なのだと思いますが、実は足立区では、この九月の定例議会の中で、我が党の代表質問に対し、スフィア基準を参考に避難所のあり方を検討してまいりますという答弁が区からありました。
 また、徳島県では、内閣府の発表を受けて、徳島県災害時相互応援連絡協議会とともに、徳島県災害時快適トイレ計画というのを徳島県が策定をしています。この中で、災害用トイレの備蓄のほか、主要な避難所のマンホールトイレや地下貯水槽の整備を県が進めていくということが明記されています。
 東京都でも、総合的な計画の策定には、総務局を初めとして、全庁横断的な対応が必要になってくると思いますが、下水道局としても積極的に区などと連携して、マンホールトイレを設置可能なマンホールの指定箇所をふやすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○佐々木施設管理部長 仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定についてでございますが、避難所などの周辺において、下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、道路交通や応急活動などの支障にならない場所を対象といたしまして、引き続き、区などと連携して指定拡大を図ってまいります。

○斉藤委員 区などと連携して指定拡大を図っていくという前向きなご答弁をいただきました。ぜひこの取り組みを重視していただきたいと思います。
 先ほどの徳島県災害時相互応援連絡協議会について、徳島県の担当者の方に伺いましたが、東日本大震災の後、二〇一三年に設置され、県と市町村が参加して、年四回の協議会を開いているということです。その中で、それぞれの市町村の取り組み状況について情報共有がなされ、災害時の対策についての各市町村の取り組みの底上げにつながっているということでした。まさに下水道局では、各区のマンホールトイレの設置数や人口当たりの数について、区部全体のデータを集約できる立場にあると思います。
 そうしたデータを各区とも共有をして、区の取り組みを後押ししながら、下水道局としても耐震化を進めて、マンホールトイレの設置を進めていくように、積極的な役割を果たしていただきたいと思います。
 次に、コンセッション方式などの下水道施設の施設運営手法の検討について伺います。
 昨年十二月の都政改革本部に、下水道局は、下水道施設の運営手法の検討について報告書を提出しています。下水道管の老朽化対策と浸水対策、人口減少に伴う下水道料金の収入の減少の三つを今後の課題として、コンセッション方式や包括民営委託という経営手法などを検討していますが、私は三月の委員会で、コンセッション方式を四月から導入している浜松市と、包括民営委託を行っている大阪市、そして海外での上下水道の再公営化が起きている事例を取り上げながら、下水道事業の直営を堅持してこそ、衛生的で快適な暮らしを全ての都民に保障していくことができるということを申し上げました。
 そこで、まず、下水道局では、現在、施設運営手法の検討をどのような考え方で実施しているのか伺います。

○安藤総務部長 今後とも下水道事業を安定的に実施していくため、将来の見通しを踏まえ、直営や現在の業務委託方式も含め、包括的民間委託やコンセッション方式などのさまざまな施設運営手法につきまして、経済性だけでなく安定的なサービス提供といった観点も重視し、幅広く検討してまいります。

○斉藤委員 経済性だけでなく、安定的なサービスの提供といった観点も重視して、幅広く検討していくということですが、この点は私は非常に重要な点だというふうに思っています。
 地方公営企業法の第三条では、企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進させるように運営されなければならないとされています。経済性の発揮という点では、三月の質疑の中で、下水道局は、電力を大幅に削減できる省エネルギー型の濃縮機の導入を初め汚泥焼却時の廃熱を活用した発電、また、水再生センターやポンプ所の遠方監視制御化など、多くの技術革新によって、維持管理費の削減に取り組んできたということを明らかにしました。
 先ほどもありましたが、事業を平準化するアセットマネジメント手法の活用や、道路を掘らずに施工可能な管渠の更生工法を活用することで、年間で四百四十億円の経費削減ができるわけです。
 さらに、それに加えて、私たちは歓迎していることではありませんが、既に下水道局では、事業の四四%を民間委託する中で人件費の圧縮も行っています。その中で、今、むしろ危ぶまれているのは、本来の目的である公共の福祉の増進や安定的なサービスの提供について、下水道局が公的な責任を果たし続けられるのかということです。
 先ほど河野都議からの質疑でも示されたとおり、人材の流出によって、下水道局本体の中での技術継承がきちんとなされているのか、大変に危険な状況になってきていると思います。これ以上の民間委託や運営権を民間企業に与えるコンセッション方式の導入は、全ての都民に対して責任ある事業を果たさなければならない下水道局の本来の目的の根幹を崩してしまうことになるといわなければなりません。
 特に、二十年、三十年という長期の契約が基本となるコンセッション方式では、長期にわたって直接的な運営が下水道局の手から離れることにより、民間の事業のチェックの機能は果たせなくなるということ、そして私企業による独占的な経営になるという大きな矛盾が生まれる中で、料金の高騰やサービスの質の低下など不安定な状況になっていくことは、多くの海外の事例でも既に示されています。
 安定的なサービスの提供といった観点も重視するという先ほどの答弁を大事にして、根幹に据えていただきたいと思いますが、下水道局が提出した報告書では、二〇二〇年までに検討を行って結論を出すというスケジュールが示されています。
 そこで、現在の検討状況について伺います。

○安藤総務部長 下水道事業における施設運営手法の検討につきましては、平成三十年度から三十二年度までの三カ年にわたり実施することとしてございます。検討期間の初年度に当たります今年度は、予備的調査を実施し、平成三十一年度、三十二年度は、前年度までの調査結果を踏まえ詳細な調査を実施する予定となっております。
 現在は、予備的調査として、国内、国外における他都市、他事業の文献調査などを実施しているところでございます。

○斉藤委員 今年度は、予備的調査として、国内、国外における他都市、他事業の文献調査を実施しているということですが、私は三月の質疑では、特に浜松市と、水メジャーのフランスのヴェオリア社を中心とした企業体が結んでいる契約書の中身から、その問題点について明らかにしました。
 百二条に及ぶ契約書の中身について、この新しくなった委員会でも共有をしたいと思いますが、事業の質の担保、議会と住民によるコントロール、そして料金設定、災害時の対応という四つの点でも重大な問題がある中身になっています。
 一つは、下水道施設の管理運営という本来事業について、市に通知をすれば、第三者に委託することができるということです。市が契約した相手、運営権者とは別の事業者が業務を行うことができるようになっていて、まさにその事業が公的機関の手から離れたものになっていってしまいます。
 さらに、運営権者は、設備や機器の改修も行うことができるので、それらをヴェオリア社の物にかえられたら、二十年間もの契約の中で、管理運営、技術の面にわたって主導権は運営権者に渡り、市や議会のコントロールが及ばないものになっていく危険性が非常に高くなります。
 運営権者の情報開示の範囲は、契約書によれば、運営権者自身が作成する取扱規定によるものとされていて、まさに多くの事項が企業秘密として非公開になるおそれが大きく、極めて不透明な運営になる危険性があります。こうした運営権者の主導の中で料金の値上げが進む可能性もあります。
 さらに、この契約書の中では、利益追求のための条項と、そして下水道事業として当然に発生する自然災害などの対応について、運営権者のリスク回避のための条項も盛り込まれています。契約書によれば、運営権者は本来事業とは別の収益事業を行ってよいことになっていて、驚くべきことに、その資金調達のために運営権を担保にすることに対して、市は合理的な理由なく拒めないというようなことになっています。事業に失敗して強制執行となれば、運営権が移転してしまうことを市は制止することができないということです。
 さらに、災害時などの不可抗力により履行困難となった運営権者の契約上の業務の履行を市は免責できることになっています。このときの費用の増加などの負担は、原則的に市が負うことになります。また、住民の反対運動や訴訟などが起きたときの運営権者の損害は市が補償するものとなっています。住民の反対の声を損害と捉えること自体が住民の利益とは相反するとんでもない内容で、まさに民主的なコントロールができないものになります。
 このように、契約書の内容は、企業にとっては至れり尽くせり、利益だけは吸い上げてリスクや負担は負わないという、まさに無責任体制そのものだといわなければなりません。この契約書の中身を、ぜひ皆さんで確認していただきたいと思います。
 そういう契約を結ばなければいいんだろうと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら、この運営権者は、本来事業とは別の収益事業を行ってよいということなども二〇一三年に改定されたPFI法にも盛り込まれていることです。そもそも企業のもうけのために考えられているコンセッション方式を導入すること自体が、そういう結果を招くものになるということです。
 では、実際に、四月から下水道施設にコンセッション方式が導入された浜松市では、今どのようなことが起きているのか、我が党の浜松市議団に聞いてきました。
 ヴェオリア社を中心とする運営権者は、既に運転業務の六〇%を別の子会社に委託をし、水質検査についても別の専門会社に委託をしているということです。結局、運営権者に本来事業を行う能力がないということが明るみになっている状況、契約書の懸念どおりの状況になっているということです。結局、運営権者は間に入ってマージンを取っているだけではないかといわれるような事態になっています。
 市は、二十年間の設備更新費について、総額で二百七十五億円の費用を債務負担行為で負担することにしていますが、この中で、今年度、運営権者は、設備改修について、ヴェオリア社が買収した完全子会社の株式会社西原環境という東京の会社に約三億円の随意契約を行っています。まさに、下水道事業という公共事業の中で競争原理も働かない、極めて独占的な契約が行われているという状況です。
 そもそも一九九〇年代から始まったコンセッションを含む上下水道の民営化は、今回のフランスのヴェオリア社が代表するような世界の水メジャー、大企業が利益目的のために各国政府に圧力をかけながら進めてきたものでした。利益を追求する中で料金は高騰し、水質保全の機能は低下し、市民は、お金がなければ安全な水や衛生が保たれた環境を享受できない事態が生まれました。給水がとまっても株主配当だけは続いたという水道の事例もあります。
 世界各国で水の問題に苦しめられた市民たちが立ち上がり、公正な水の環境を求めて、再び公営化した上下水道の事例が二〇〇〇年から二〇一五年の間で二百三十五件にも上っています。どういう思惑のもとに、世界の水メジャー、そして日本の財界も動いているのか、国民的にもしっかり見据えていかなくてはならないと思いますが、下水道局は、報告書の中で、民間企業との予備的対話を行っていくと示しています。民間事業者との意見交換はどのようなことを行うのか伺います。

○安藤総務部長 現在、直営や、現在の業務委託方式も含め、包括的民間委託やコンセッション方式など、さまざまな施設運営手法について検討しているところでございますが、今後、さまざまな施設運営手法の可能性や想定されるリスクなどにつきまして、民間事業者と意見交換を行う予定でございます。

○斉藤委員 今後に意見交換を行うということです。私は、ここで公衆衛生の向上に寄与して、公共用水域の水質保全と災害時の対応という全ての都民への責任を果たしている下水道局が、営利目的の民間企業にみずからの事業を身売りする、あるいはそういう検討をすることがないように強く願っています。
 三月の質疑でも明らかにしましたが、民間の運営でコスト削減できるということがいわれていますが、これはまやかしだといわなければなりません。企業による運営では、株式配当、役員報酬、法人税、また過大な内部留保など、住民目線から見れば余計な支出がたくさん出てきます。
 公営であれば、余剰の部分は余計な支出をせずに、利益目的に陥らずに、将来への設備投資、事業の質の向上あるいは料金の値下げという形で都民に利益を還元するということができます。公営だからこそ、下水道事業の技術を全ての都民のために低廉に供しながら、さらに発展させていくことができるのだと思います。
 下水道事業の直営を堅持して、さらに公共の福祉に資する事業を発展させていただくことを改めて強く求めます。
 次に、まさに公営企業である下水道局にしかできない、公共の福祉に資する貢献について伺います。
 消費税についてです。
 安倍首相が来年十月から消費税を一〇%に引き上げることを宣言しました。我が党は、所得の少ない人ほど重くのしかかる消費税にはもともと反対ですが、今回の増税は、消費不況が長期化するもとで、国民、都民の暮らしと経済に深刻な影響を与えかねない重大な局面にあります。
 二〇一四年に消費税が八%に引き上げられたのをきっかけに消費が大きく落ち込み、長期にわたって景気は回復していません。二人以上世帯の実質家計消費は、この五年間で二十一万円も減少し、労働者全体の実質賃金はパートも含めて十八万円も下がっています。こうした状況で、一〇%への増税が強行されれば、消費はますます冷え込んで、都民、国民の暮らしと経済に破滅的な影響を及ぼすものになります。
 安倍首相は国会で、消費税率の引き上げが経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を総動員すると述べ、万全の対策をとるように指示したと報じられました。とても矛盾している内容で、我が党は、万全の対策をとるというなら増税はやめるのが何よりだと考えていますが、同時に、もし政府が増税を強行するなら、都民の暮らしと経済を守るために、都としても最大限の対策をとるべきと考えます。
 そこで伺いますが、来年十月の消費税を一〇%にするという消費税率の引き上げに対する下水道局の基本的な考え方について教えてください。

○安藤総務部長 消費税につきましては、民間企業と同様に、下水道局も法令上納税義務が課されております。消費税は最終的に消費者が税負担を負うものでございまして、税率改正分については、下水道料金に転嫁するものと考えてございます。

○斉藤委員 最終的に消費者が税負担を行うものと。今、政府でさえ、影響の大きさを認めて負担軽減策を考えているにもかかわらず、住民生活に直結する仕事をしている下水道局が、あっさりと下水道料金に転嫁するものということは非常に残念です。
 私たちは、今からでも増税をやめるべきだと政府に強く求めていきますが、同時に、たとえ政府によって増税が強行された場合でも、都民の暮らしを第一に考えて、東京都が都民の暮らしを守る防波堤となって、下水道局として都民の負担増にならないよう対策をとるべきだと思います。
 具体的には、消費税増税分の下水道料金を引き下げて、都民にとって負担が変わらないようにするべきだと考えます。
 改めてですが、今回の消費税率の引き上げに当たって、下水道局として、料金の値上げ等について、現在どのような対応を行っているのか伺います。

○安藤総務部長 来年十月に消費税率の引き上げが予定されていることを踏まえまして、現行の下水道料金の税抜き額を維持した上で、改正後の税率一〇%を転嫁することを前提に、現在準備を進めているところでございます。

○斉藤委員 改正後の税率一〇%を転嫁することを前提に準備を進めているということですが、今回、税率引き上げ分を転嫁した場合の影響額、つまり都民への影響額はどれぐらいになるのか伺います。

○安藤総務部長 平成二十九年度決算をもとに、平年度ベースで算出いたしますと約三十二億円でございます。

○斉藤委員 約三十二億円が新たに利用者の負担になる見込みだということです。これは消費が冷え込んで国民経済が低迷している中で重大なことだと思います。
 下水道の利用はやめることができない生活インフラであり、増税の負担は極めて重いものです。増税分をそのまま価格に転嫁するのではなく、都民生活を守る立場に立って、下水道の料金を引き下げることをぜひ検討していただきたいと思います。これは都民の切実な要求であるとともに、下水道局の財政状況に照らしても十分可能なことだと思います。
 下水道局の経常損益は、区部の事業だけでも、この五年間で二百八十四億円から三百七十二億円に伸びており、経営は非常に安定しています。昨年度の剰余金は四千二百三十二億円に上っています。もちろん管渠の更新や浸水、震災対策など必要な経費はありますが、計画的に進める中で増税分を飲み込む体力は十分にあるのではないかと考えます。
 今、都民から緊急、切実に求められているのは、これ以上の負担増を行わないことです。その優先順位を明らかにして、下水道局ができる都民への貢献を実現していただくことを求めて、私からの質問を終わりにします。

○保坂委員 私からは、下水道局経営の収益力強化について何点か質問させていただきます。
 経営計画二〇一六によると、経営方針にもあります、お客様の安全を守り、安心で快適な生活を支え、良好な水環境と環境負荷の少ない都市の実現に貢献する、そして最少の経費で最良のサービスを安定的に提供するため、平成三十年度予算では、主要施策の建設工事費だけで約千七百億円を計上されております。これは年間の下水道料金収入とほぼ同額規模であります。
 今後、電気料金の上昇や施設更新など多額な費用を要することから、下水道料金収入の維持に努めることはもちろんのこと、下水道料金収入以外での自立した収益の確保は非常に重要になってまいります。
 特に、補助燃料や消費電力を削減できる新たな焼却方法の汚泥焼却炉の導入によるコスト削減や、資産の有効活用による積極的な収入確保で経営効率化に取り組む必要があります。
 下水道局は、経営計画二〇一六において、資産の有効活用として、資産の運用管理を適正に行い、土地建物の貸し付け、施設跡地の売却により積極的に収入の確保に努めるとして、五カ年で三百三億円の収入確保を計画されております。
 この中でも、二〇一五年よりスタートしました芝浦水再生センターの上部を利用した品川シーズンテラス、これは局の課題を解決する非常に効果的な手法であり、評価に資する事業であります。
 そこで、芝浦水再生センターの民間活力を生かした事業、品川シーズンテラスについて何点か伺いたいと思います。
 私もこれまで幾度か視察をさせていただきました。品川シーズンテラスは、下水道事業として全国で初めて立体都市計画制度を活用した水再生センター内に建設されている大型複合ビルです。下水熱や再生水も活用し、国内最高水準といわれる環境性能を有し、この大型複合ビルの地下には、降雨初期の特に汚れた下水を七万六千立方メートルほど貯留できる雨天時貯留池を整備し、高浜運河、東京湾の水質改善にも寄与しています。
 日本最大級の面積構造、店舗数が二十、延べ床面積は約二十万平方メートルと都庁第一庁舎と同程度、品川港南エリア最大級の商業ゾーンに生まれ変わりました。また、水再生センターの上部を利用した三・五ヘクタールの広場には、地域住民にも開放されており、日々さまざまなイベントも開催され、地域に大きく貢献をされております。
 そこで、まず、芝浦水再生センター上部利用事業である業務商業ビル品川シーズンテラス事業のスキームについてを改めて伺います。

○久我経理部長 品川シーズンテラスは、芝浦水再生センターの雨天時貯留池用地の上部に借地権を設定し、民間事業者に貸し付け、その民間事業者が建設、運営している業務商業ビルでございます。一般には、借地権を設定して土地を貸し付ける場合には、初年度に事業者から権利金を一括徴収した上で、貸付期間中、都市の土地の貸付料を毎年度、収入しております。
 本事業では、設定した借地権利金を業務商業ビルのオフィスフロアの権利と等価交換することにより、当局は、土地の貸付料に加えまして、オフィスフロアの賃料を三十年間の長期間にわたり、毎年度、安定的に得る仕組みとなってございます。

○保坂委員 三十年の借地権を設定し、その権利金とオフィスフロアの権利を等価交換することによって土地の貸付料とオフィスフロアの賃料収入を得るスキームで、しっかりとした収益を上げていく、引き続き運営管理を委託している民間事業者と連携して事業を進めていかれることを要望します。
 その品川シーズンテラスは、オープンから三年ほどが経過しておりますが、その後、収入について、現状と今後の見込みについてを伺います。

○久我経理部長 品川駅から徒歩六分という好立地を背景に、品川シーズンテラスへの入居が進み、土地貸付料とオフィスフロアの賃料を合わせた収入は、平成二十七年度は約三十一億円、二十八年度は約五十四億円、二十九年度は約六十九億円と年々増加しております。
 平成三十年十月現在の稼働率は一〇〇%でございまして、今後、JR品川新駅の開業など周辺開発が進み、利便性が向上することから、引き続き安定的な収入を確保できる見込みでございます。

○保坂委員 ありがとうございます。
 下水熱を有効活用する、豪雨災害に対応できる大型の雨天時貯留池も整備するなど、付加価値の非常に高い環境配慮型の施設を建設され、高い評価も得ていることは、水再生センターのイメージを一新するほどのインパクトがありますので、今後も注目していきたいと思います。
 続いて、二〇二〇年春に暫定開業を計画して整備が今進んでおります品川-田町間の新駅との連携についてです。
 JRが駅と周辺のまちづくりを主体的に進めていく開発で、総事業費約五千億円規模の事業といわれております。
 そこで、品川シーズンテラスとまちづくりが進む新駅周辺とのアクセスについて伺います。あわせて、周辺開発事業と下水道局との連携にかかわる具体的な計画があれば伺います。

○池田計画調整部長 品川駅周辺のまちづくりにおきましては、国際交流拠点の形成に向けて、計画的、段階的に開発が進められております。
 品川駅北周辺地区におきましては、八月にJR東日本が、都市整備局へ都市再生特別地区の都市計画素案を提案しました。素案には、新駅と品川シーズンテラスのアクセスについて新駅東側連絡通路の設置や、下水道局との連携では、下水熱と再生水の活用が盛り込まれています。
 新駅東側連絡通路は、周辺地域の歩行者ネットワークを確保するために設置するもので、品川シーズンテラス前に広がる芝浦水再生センター上部公園と新駅を接続する計画となっており、品川シーズンテラスの利便性が向上いたします。
 下水熱及び再生水につきましては、環境負荷低減と資源の有効利用を図るため、芝浦水再生センターの下水処理水を当該地区における地域冷暖房の熱源の一部として利用するとともに、再生水をトイレ用水等に供給することとなっております。

○保坂委員 この開発において、下水道局が密接にかかわっていることが確認できました。それによって、品川シーズンテラスの価値がますます高まっていくことが期待されます。そしてますます注目され、多くの方々が訪れるこの地域において、芝浦水再生センターが環境負荷低減に大きな役割を果たしていることのPRや、水再生センター施設見学のさらなる充実も図っていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 最近では、環境局が水素ステーション整備のため、都有地として初めて下水道局の葛西水再生センターの一部敷地を活用することが決定しました。年間貸付料は一千二百二十四万円、環境局が行政財産の使用許可を受けた上で民間事業者に貸し付け、事業者が燃料電池バスに対応した水素供給設備を整備、運営する特別対策事業を行うこととなっております。水素社会実現に向けて、都が抱えるステーション整備拡大という行政課題の解決に貢献するとともに、収益もしっかり確保できる取り組みであり、評価をいたしております。
 品川シーズンテラスに続く資産の有効活用として、下水道局では、東京駅周辺で現在進んでいる千代田区の常盤橋街区再開発プロジェクトへの参画が上げられています。
 そこで、常盤橋街区再開発プロジェクトの事業スキームと事業の現在の進捗についてを伺います。

○池田計画調整部長 常盤橋街区再開発プロジェクトは、国家戦略特別区域の認定事業として、東京駅周辺の敷地三・一ヘクタールを国際金融都市等の拠点に再生するものでございます。超高層タワーを含む四棟のビルや大規模広場等を、平成二十九年度から平成三十九年度まで、段階的に整備する計画となっております。
 下水道局は、当該街区に都心部の下水を送水する重要な施設である銭瓶町ポンプ所を所有しています。銭瓶町ポンプ所は、稼働から五十年以上が経過し、老朽化しておりますが、民間ビルと一体となっているため、ポンプ所機能を維持しながらの再構築が課題となっていました。
 本プロジェクトでは、再開発地区内を段階的に整備することにより、既存の銭瓶町ポンプ所を稼働させながら新たなポンプ所の用地を確保し、再構築を進めることが可能となりました。
 平成二十九年四月に新ポンプ所の建設に着手しており、平成三十九年度の再開発プロジェクト全体の完成に向けて、事業者と連携しながら着実に事業を進めてまいります。

○保坂委員 この都心部での大型再開発がポンプ所を持つ下水道局にとって重要な位置を占めていることがわかりました。
 なお、この再開発により、地価上昇はもちろん、テナントニーズも見込まれることから、資産を有効活用され、下水道局の新たな収益を生み出すことが期待されます。平成三十九年度のプロジェクト完成に向けて引き続き注視をしていきたいと思います。
 品川シーズンテラスを収益モデルの成功例として、今後、多額の費用が発生する施設更新に対して、民間活力もこうして活用し、収益を生み出す、資産運用を続けていくという経営基盤強化の重要性に対しての下水道局の見解を求めます。

○久我経理部長 将来にわたりまして、最少の経費で最良のサービスをお客様に提供していくため、不断の経営効率化に努め、安定的な経営の実現に取り組んでいくことが重要でございます。このような考えのもと、当局では、企業努力の柱の一つとして、資産の有効活用による収入の確保に努めております。
 下水道施設の立地条件などから、品川シーズンテラスのように収益性の高い民間の業務商業ビルなどに活用できる用地は限られますが、用途廃止した施設跡地を売却し、また、利活用可能な用地を貸し付けるなど、今後とも可能な限り資産を活用し、収入の確保に努めてまいります。

○保坂委員 それでは最後に、千代田区和泉町ポンプ所について伺います。
 昨年十月に開催されました第二百十八回都市計画審議会において、私は審議委員として、下水道局が所有する和泉町ポンプ所の廃止に伴う都市計画変更案件の審議の中で、敷地活用については、地元行政区である千代田区とも協議され、行政課題を解決するために協力いただきたいと強く要望しましたが、現在の状況について伺います。

○久我経理部長 老朽化した和泉町ポンプ所は、送水ルートの切りかえによりまして役割を終えたことから、平成二十八年度末をもって機能を停止し、今年度に都市計画事業の廃止手続を完了する予定でございます。
 お話の跡地につきましては、東京都としての活用の見込みがないため、現在、所在区である千代田区に対しまして取得の意向を照会しているところでございます。

○保坂委員 先月開催された千代田区議会第三回定例会で、千代田区は、出生数の増加や子育て世帯の転入などで、ゼロ-五歳の就学前人口が急増していることを受け、公有財産を活用した保育所の整備を促進することが決まりました。
 その整備場所として検討するのは、旧高齢者センターと旧東京都下水道局のこの和泉町ポンプ所の二カ所が含まれておりますので、引き続き千代田区と協議され、地元の行政課題解決に向けて積極的に協力いただきたいと要望します。
 下水道局の経営努力の一環として取り組んでいる幾つかの資産の有効活用について確認をさせていただきました。その中で、まちづくりや地元行政の課題解決にも貢献されていること、こちらも評価するところであります。
 今後も、安定かつ効率的で質の高いサービスを提供するため、鋭意取り組んでいただきたいと要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○川松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時十四分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る