公営企業委員会速記録第三号

平成三十年三月十九日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長清水 孝治君
副委員長藤井とものり君
副委員長本橋ひろたか君
理事加藤 雅之君
理事とや英津子君
理事菅原 直志君
大場やすのぶ君
村松 一希君
おときた駿君
斉藤まりこ君
もり  愛君
あかねがくぼかよ子君
中山 信行君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長山手  斉君
総務部長土岐 勝広君
職員部長渡邉 範久君
資産運用部長広瀬 健二君
電車部長相川  準君
自動車部長根木 義則君
車両電気部長奥津 佳之君
建設工務部長野崎 誠貴君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務牧野 和宏君
安全管理担当部長塩田 孝一君
鉄軌道事業戦略担当部長高野  豪君
バス事業経営改善担当部長坂田 直明君
技術調整担当部長野崎 慎一君
技術管理担当部長谷本 俊哉君

本日の会議に付した事件
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十三号議案 平成三十年度東京都交通事業会計予算
・第二十四号議案 平成三十年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十五号議案 平成三十年度東京都電気事業会計予算

○清水委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の予算の調査を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第二十三号議案から第二十五号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○村松委員 よろしくお願いいたします。私からは、都営大江戸線の車両増備と更新計画について、また、オープンデータ化推進についてお伺いいたします。
 まず初めに、大江戸線の車両増備スケジュールについてお伺いいたします。
 臨海地域の開発や沿線住民の増加、外国人利用者の増加に伴い、大江戸線の乗降者は毎年ふえ続けております。平成二十三年には一日の平均利用人数は七十八・一万人でありましたが、二十六年度八十七・九万人、二十七年度九十一・四万人、二十八年度は九十三・四万人と、この三カ年をとっても、毎年二万人から三万人の利用増となっております。その結果、通勤時の車内混雑は一段と厳しくなっており、一刻も早く対応していただきたいと思っております。
 昨年十一月の公営企業委員会で、大江戸線については、平成三十年度中に三編成の増備が行われるとの答弁をいただいておりますが、この増備した車両はいつごろから営業投入されるのか、今後のスケジュールを教えてください。

○野崎技術調整担当部長 大江戸線につきましては、平成三十年度に新造車両を三編成増備いたします。このうち最初の編成は、平成三十年内に運用を開始する見込みでございます。また、残りの二編成につきましても、平成三十年度末までに導入し、順次運用を開始する見込みでございます。

○村松委員 ありがとうございます。三編成のうち一編成については、平成三十年内の運用開始予定、また残りの二編成についても順次ということで、ハード面での混雑対策として着実に進めていただきたいと思います。
 新型車両については、バリアフリーにも、さらに配慮されていると聞いております。二年後に控える東京二〇二〇大会に向けても、バリアフリー対策や快適性についてさらなる向上が必要だと考えます。今回増備される大江戸線について、どのように更新が行われるのか、教えてください。

○野崎技術調整担当部長 大江戸線ではこれまでも、車両の更新に際しましては、バリアフリー対策として、つり手や手すりの増設、ドアの開閉を知らせる表示灯の設置のほか、多言語にも対応した液晶モニターの設置などを行ってまいりました。
 今回増備する車両につきましては、これらに加え、これまで一編成当たり二両に設置されていた車椅子スペースのほか、残りの車両全てにベビーカーなどにも配慮したフリースペースを設置いたします。
 また、一人当たりの座席の幅を広げることにより、快適性の向上を図るとともに、乗降口両脇のスペースを広くとることにより、車両への乗りおりがよりスムーズになるよう配慮してございます。

○村松委員 国交省が定める鉄軌道車両におけるバリアフリー化の推進の中で、鉄軌道事業者等が講ずるべき措置として、一編成に一つの車椅子スペース設置が求められておりますが、大江戸線ではもともと二両に設置されており、今回の車両更新ではさらにその他の車両にベビーカーにも配慮したフリースペースを設置するということで、高く評価をしております。
 また、混雑対策、快適性の向上も含めた車両の更新ということですが、三編成だけでは利用者が実感するには至らないと感じます。
 一方、大江戸線の車両については、開業当時の六編成について更新が終了したと聞いております。バリアフリー化や快適性の向上を踏まえ、ほかの車両の更新についても計画的に進めていくべきと考えますが、車両の更新計画について教えてください。

○野崎技術調整担当部長 大江戸線の車両につきましては、平成三十一年度から三十三年度までの三年間で十二編成を更新する予定でございます。このうち八編成につきましては、東京二〇二〇大会までに導入する予定でございます。今後も計画的に大江戸線の車両更新を進めてまいります。

○村松委員 ありがとうございます。車両の更新は順次、確実に進めていただきたいと思います。利用する中で、さらなる改善を図り、より利用者目線で更新を進めていただければと思います。
 あわせて、大江戸線延伸について再度要望させていただきます。
 大江戸線延伸は練馬区民の悲願であります。早期実現に向けて、地元区や関係機関と検討を進めていただきたいと思います。
 そして、混雑対策をさらに推進していただきたいと要望いたします。ことしも時差ビズが行われると思いますので、交通局として積極的に協力し、他の鉄道事業者の見本となり牽引していただきたいと思います。
 次に、オープンデータ化推進についてお伺いをいたします。
 公共データの活用促進、すなわちオープンデータの推進により、行政の透明性、信頼性の向上、国民参加、官民協働の推進、経済の活性化、行政の効率化が三位一体で進むことが期待されております。
 都は、昨年十二月に東京都ICT戦略を作成されました。その中で、交通局の取り組みとして、公共交通オープンデータ協議会が運営するオープンデータセンターのAPI等を通じて、一事業者としてデータを順次提供していくとされております。
 オープンデータ化を推進することで、情報公開がさらに進むと高く評価をしておりますが、なぜ公共交通オープンデータ協議会を通じて提供するのかを教えてください。

○土岐総務部長 交通局では、公共性の高い都営交通のデータをオープンデータとして提供することで、個人や民間事業者などの自由な発想に基づくアプリ開発等を促進し、お客様への多様な情報提供につなげることとしております。
 こうした中、公共交通に関するオープンデータについての調査研究及びその活用を目的として、公共交通オープンデータ協議会が平成二十七年に設立され、現在、首都圏の主要な鉄道、バス事業者のほか、航空事業者、情報システム関連メーカー、大学などの研究機関等五十六団体が会員となっております。
 オープンデータは、事業者ごとに提供するよりも、事業者がまとまって提供することでシステム開発コスト等を抑えられることに加え、データ利用希望者も一カ所にアクセスし、ワンストップで効率的に公共交通のデータを活用できることから、交通局も協議会に参加し、来年度から本格稼働する協議会のサーバを通じましてデータを提供することとしているものでございます。

○村松委員 交通事業者のオープンデータは、ほかの事業者と共通のプラットホームを利用することで開発コストを抑え、データ利用者もワンストップで効率的に活用できるということで、その効果について理解をいたしました。
 交通局の平成三十年度予算では、オープンデータ化の推進が主要事業として挙げられており、来年度予算には約二億八千万円が計上されております。具体的な内容について教えてください。

○土岐総務部長 来年度予算に計上いたしましたオープンデータ関係予算の主な内容につきましては、公共交通オープンデータ協議会に接続するための新たな交通局独自のサーバーを構築する費用と、このサーバーに地下鉄やバスなどの各種システムからデータを送信するためのシステム改修等の費用でございます。

○村松委員 ありがとうございます。地下鉄やバス等の各種システムからデータを送信するためのシステム改修等の費用ということでございますが、交通局が提供するデータとはどのようなものか、また、データの提供により、どのような効果を見込んでいるのか教えてください。

○土岐総務部長 交通局では、公共交通オープンデータ協議会に対しまして、都営交通の路線や時刻表、運賃等の基本情報のほか、バスの運行情報など、従来からホームページで公表しているデータに加えまして、システム改修により、新たに地下鉄の列車位置情報を提供していく予定でございます。
 交通局を含む交通事業者がそれぞれデータを提供いたしまして、公共交通のオープンデータ化を推進することによりまして、民間から、さらに便利な乗りかえ案内のアプリなど事業者の枠を超えた新たなサービスが生まれ、公共交通利用者の利便性が向上することを見込んでおります。

○村松委員 ありがとうございました。鉄道事業者の枠を超えて、リアルタイムに列車位置を見ることができたり、訪日外国人向けの多言語化や観光案内、災害時の情報など、さまざまな情報を連携することにより、新たなサービスが生まれるものと期待をしております。
 公開するデータについては、ほかの事業者の動向やデータ利用者の要望により、必要であれば拡充を進めていただきたいと思います。いわれてから公開するのではなく、常に情報を発信する情報公開を今後も進めていただきたいと要望して、私からの質問は終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○加藤委員 初めに、都営バスの停留所に関して質問をいたします。
 東京二〇二〇大会を控えていることもあり、外国人旅行者の訪日が年々拡大しております。産労局が発表した昨年の速報値でも、国内への外国人旅行者数は過去最高を記録しております。都営バスでは、インターネットでtobus.jpというホームページを運用し、利用者に運行情報サービスを提供しています。英語の対応もしております。
 しかし、外国人旅行者がバスを利用する際には、停留所において、外国語で掲示されている情報が限られていることもあり、戸惑う場面も見受けられます。看板と持っている地図をにらめっこしたり、うろうろしている場面をよく見かけます。tobus.jpも有効ではありますが、なれない外国人旅行者にとっては、バス停留所において、この停留所からどこへ行く路線があるのか、何時にバスが来るのかというようなことが、知りたい情報だと思います。
 以前、都営バスでは、民間事業者と協力して、QRコードで運行情報サービスにアクセスできるようにしておりましたが、民間事業者の都合により、今は終了しているとお聞きしました。増加傾向にある外国人旅行者にとっても、QRコードの技術を利用して、簡単に停留所ごとのページにアクセスできたら便利ではないかと考えます。
 そこでまず、バス停留所におけるQRコードを活用した外国人旅行者等への情報提供について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、外国人旅行者にも安心して快適にご利用いただけるよう、バスの接近状況や行き先のバス停までの所要時間の見込み等を英語でも確認できるよう、インターネットでの運行情報サービスの拡充に努めてまいりました。
 バス停にQRコードを設置し、各停留所における運行情報サービスに、より簡単にアクセスできるようにすることは、外国人旅行者の利便性向上につながるため、導入に向け検討を進めてまいります。

○加藤委員 ぜひ検討を進めて便利になるようにしていただきたいと思います。利便性が高まれば、口コミ等によっても利用者が一段とふえることになりますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、都議会公明党としては、若者の声に応えるため、さきの都議選の重点政策にモバイル端末の充電スポットの設置を推進という項目を掲げました。
 充電設備の設置は、都民にとっても、外国人旅行者にとっても便利な設備となります。さきの事務事業質疑において、バス停留所へのスマホの充電設備設置について、早期に実証実験を開始するよう要望したところであります。
 そこで、今後のバス停留所の携帯電話の充電設備設置について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 バス停留所への携帯電話の充電設備を設置することは、充電のために停留所に長時間とどまる人により、歩行者の通行やバスをご利用されるお客様の乗りおりの妨げになることが懸念されます。
 このため、まずは、駅前広場等比較的歩道幅員が広い箇所の停留所に試験的に設置し、利用実態や通行への支障の有無等について検証する必要がございます。
 現在、具体的箇所について関係各機関と調整しながら選定しているところでありまして、来年度には試験設置をし、検証を行う予定でございます。

○加藤委員 都議会公明党としても、バス停留所に充電設備を設置することを強く推進したいと思います。速やかに検証を行い、設置へ向けて取り組まれるよう重ねて要望をいたします。
 次に、バスの車両について伺います。
 都議会公明党は、ノンステップバスの導入を推進してまいりましたが、今後は新たに、年内にフルフラットバスを運行するとの報告を受けました。ノンステップバスもバリアフリー対策としてはすばらしいのですが、後方が段差になっているので、どうしても前方に人が集中してしまいます。これが後方も含めてフルフラットとなれば、さらなるバリアフリー改善に期待ができます。
 ただ、契約報告案件にもありましたが、現行のノンステップバスに対して割高というふうに感じました。メーカーも海外の会社一者の入札だけでありました。したがって、フルフラットバスの導入には、いろいろな課題があると思料されますが、バリアフリーの一層の推進に向けて導入を拡大させていく必要があります。
 そこで、フルフラットバスの導入拡大に当たっての課題と今後の対応について伺います。

○根木自動車部長 フルフラットバスは欧米では一般的に運行しておりますが、日本ではノンステップバスが主流であり、国内の自動車メーカーはフルフラットバスを製造しておりません。そのため、今回、海外の自動車メーカーと契約することになりましたが、車両の幅や重量など、国内の基準に適合するよう、新たに設計したこともあり、車両価格がノンステップバスよりも割高になっております。
 また、ノンステップバスは、国のバリアフリー化設備等整備事業の補助対象となっておりますが、ノンステップバスよりも車両の奥まで床面がフラットであるにもかかわらず、国内での導入実績がないことなどから、より高額なフルフラットバスに見合った補助制度がございません。これらのことがフルフラットバスの導入拡大に当たっての課題となっております。
 このため、都営バスが運行実績を積みながら、国に補助制度の確立を求めていくとともに、フルフラットバスのすぐれた点を積極的にPRすることで他のバス事業者の導入意欲を高めてまいります。あわせて、国内の自動車メーカーにも生産を促し、車両価格の低減につなげてまいります。
 こうした取り組みにより、フルフラットバスの導入拡大を図ってまいります。

○加藤委員 フルフラットバスの拡大に当たっての課題を認識しましたけれども、今後は、課題解決へ向けて精力的に取り組み、導入拡大に努めてもらいたいと存じます。
 次に、都営バスでは、環境に優しい燃料電池バスについても導入拡大を予定しております。環境先進都市東京にとってふさわしい車両であり、今後も大いに進めてほしいと思います。
 そこで、燃料電池バスを今後どういう路線に投入していくのか伺います。

○根木自動車部長 燃料電池バスを導入するためには、営業所の近隣に、バスに充填できる十分な能力を持つ水素ステーションが整備されていることが不可欠となります。
 昨年三月に、東京駅丸の内南口と東京ビッグサイトを結ぶ路線に燃料電池バスを導入いたしましたのは、所管する営業所に近い有明に条件を満たした水素ステーションが開設されていたからでございます。
 今後も、バスに充填可能な水素ステーションの整備状況を踏まえ、運行する路線を選定してまいります。

○加藤委員 燃料電池バスを運行するには、もちろん水素ステーションが不可欠であります。水素ステーションの整備状況を的確に把握し、引き続き燃料電池バスの導入を進めてもらいたいと存じます。
 次に、ホームドア整備についてですが、駅のホーム上の安全対策としてホームドアの整備は最も有効な手段です。都営新宿線については、この四月から本格的な整備を始めると、先日公表がありました。そうすると、どのようなスケジュール感で各駅にホームドアが整備されていくのか、特に沿線の方々の関心が高まります。
 そこで、新宿線のホームドア整備における今後の予定について伺います。

○奥津車両電気部長 新宿線ホームドアの整備につきましては、平成二十九年十一月中旬に、車両基地への入出庫線があります大島駅におきまして、一番線から四番線まであるホームのうち、比較的使用頻度の低い二番線と三番線にホームドアを先行的に設置し、試験、調整、取扱訓練などを順調に実施してまいりました。
 今後、平成三十年四月から、本八幡駅より本格的にホームドア本体の設置稼働を開始いたしまして、順次隣接駅へと整備を進めてまいります。ホームドアの設置稼働には、一駅当たりおおむね一カ月を要し、平成三十一年秋までに新宿線全二十一駅の整備を完了する予定でございます。
 なお、各駅の設置及び稼働の時期につきましては、ホームページや駅のポスターによりまして丁寧に情報提供を行ってまいります。

○加藤委員 本八幡駅から順次隣接駅へと整備して、一駅おおむね一カ月程度という目安があれば、駅利用者にとっても見通しがわかり、より一層期待が高まります。一日も早い工事の完成を希望いたします。
 次に、浅草線についても、先日の本会議で、平成三十五年度までに交通局が管理する全ての駅でのホームドア整備完了を目指していくとの答弁がありました。
 浅草線は、車両の大規模な改修を伴わないQRコードを用いたホームドアを使用するとのことで、昨年の十一月には、大門駅に実際にホームドアを設置して実証試験を実施しました。
 この検証につきましては、私も会派の同僚とともに現地を視察いたしました。スムーズで正確なドアの開閉を拝見し、非常にすぐれた技術だと感心をいたしました。一方で、浅草線のホームドア整備にはさまざまな課題があるとも聞いております。
 そこで、浅草線ホームドア全駅整備に向けた課題と今後の予定について伺います。

○奥津車両電気部長 浅草線では、他の路線とは異なり、車両の大規模改修を伴わない方式によりまして、従来よりドアの幅が広いホームドアを整備することとしております。
 この方式で全駅整備するに当たりましては、乗務員が、車両をホームドアの開く位置に正確に停止させることや、ホームドアの開閉に時間を要することにより駅の停車時分が増加することなど輸送面の課題がございます。
 また、現在実施しているホームドア設置に向けた状況の調査では、多くの駅においてホームの下にある配管、電源ケーブルの移設、ホームの補強が必要となることも判明しております。
 今後、先行してホームドアを整備する四駅での状況を踏まえつつ、これらの課題への対応を進め、平成三十五年度までに交通局が管理する全ての駅でのホームドア整備完了を目指してまいります。

○加藤委員 浅草線のホームドア整備に当たっては、課題があることも理解はしましたけれども、日本のすぐれた技術と課題に立ち向かう局の皆様の熱い情熱にエールを送りますので、どうか、この都営地下鉄全駅のホームドア設置を一日でも早く実現できるように要望をいたします。
 次に、大江戸線の勝どき駅は、オフィス、マンションを擁した高層ビルが多く林立する商業地であり、住宅地でもあります。
 一昨年の公営企業委員会でも質問をいたしましたけれども、その後も再開発が進んでおり、平成二十八年度の一日当たりの駅の乗降客数は約十万人と伺っております。
 また、晴海に整備される東京二〇二〇大会の選手村の最寄り駅でもあり、住宅棟については選手の宿泊施設として一時使用した後には、住居棟として生まれ変わる計画となっており、さらに利用者の増加が見込まれます。
 そこで、勝どき駅の大規模改良工事の進捗状況について伺います。

○谷本技術管理担当部長 勝どき駅につきましては、ラッシュ時の混雑を抜本的に解消するため、一面のホームを二面に増設いたしまして、両国方面と大門方面のそれぞれの専用ホームとするとともに、出入り口を増設するなど、大規模改良工事を行うこととし、平成二十三年八月に着工いたしました。平成二十八年十月には、駅部の構造物に関する土木工事が完了いたしまして、それ以降は、新設の出入り口、プラットホームなどの工事を行ってまいりました。
 現在は、トイレ新設、内装仕上げ等の建築工事、換気空調設備、通信設備等の電気工事、エスカレーター設置等の設備工事を行っており、平成二十九年十二月には、新設出入り口の供用を開始いたしました。また、来月には、二カ所のトイレを順次供用する予定でございます。
 今後とも、継続して、土木、建築、電気、設備の各種工事を進めてまいりますとともに、安全を第一に綿密な工程管理を行いまして、平成三十年度末までの新設ホームの供用開始を目指してまいります。

○加藤委員 引き続き、工事完成まで計画的に整備を進めてもらいたいと存じます。
 また、都営バスでは、臨海地域の開発に伴う需要への対応として、来月から、豊海水産埠頭、勝どき駅から東京駅八重洲口への直行便が新設されます。朝の通勤通学時間帯の混雑緩和策として、地元は大変期待をしております。鉄道に比べて需要の変化に素早く柔軟に対応できるのはバスの特性でもあります。
 そこで、オリンピック・パラリンピック開催後も見据えた臨海地域における今後のバス路線の充実について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、臨海地域の大規模開発により増加する輸送需要に対応するため、都心部とを結ぶ路線を増強するなど、バス路線の拡充を図ってまいりました。
 臨海地域は、大規模マンション等の建設が続いており、東京二〇二〇大会後におきましても、選手村のまちづくりなどによりまして、バスの利用者がさらに増加することが見込まれます。こうした需要に効率的に対応するため、新たな営業所を有明地区に設置することといたしまして、平成三十一年度末の開設を目指し、工事に着手いたしました。
 今後とも、新たな営業所も有効に活用しながら、需要の変化に柔軟かつ迅速に対応できるバスの特性を最大限に発揮し、路線の拡充やダイヤの見直しを適切に行い、臨海地域の開発、発展に貢献してまいります。

○加藤委員 四月からの新路線も、地元の通勤の便を考えて工夫を凝らしてくれたことがわかりました。オリンピック・パラリンピック開催後においても、地元の声を的確に拾い上げ、路線の拡充に努めてもらいたいと思います。
 最後に、東京二〇二〇大会の立候補ファイルによれば、サッカーの競技終了時間が二十四時、バスケットボールは二十四時半までの日程もあり、多くの観客を無事帰着させるためには終電の大幅延長が必要です。
 また、観戦後の飲食などで盛り上がり、帰路が遅くなることも想定され、夜間の観光としても対策が必要です。観客を安全に確実に混乱が生じないよう輸送するために、都営地下鉄としても期間を決めて終電延長に対応していく必要があると考えます。
 そこで、東京二〇二〇大会期間中の深夜時間帯の都営地下鉄での輸送対応について伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄では通常、終電から始発までの限られた時間帯に、安全で安定的な輸送を確保するためのさまざまな保守点検作業を実施するとともに、ホームドアやエレベーターの設置工事等も行っております。
 一方、立候補ファイルでは、大会期間中は一部の競技におきまして、競技終了時間が深夜時間帯に及ぶものとされていることから、深夜時間帯の観客輸送を想定いたしまして、夜間の作業を大会期間の前後に振り分けて実施することなどにつきまして、局内で具体的な検討を進めております。
 今後、明らかとなる競技日程や輸送運営計画などを踏まえつつ、終電時刻の繰り下げを含む大会期間中の運行につきまして、組織委員会や他の鉄道事業者と緊密に連携して対応策を詳細に検討し、輸送需要に的確に対応してまいります。

○加藤委員 ニューヨークやロンドンの地下鉄では、週末などに終夜運行が行われており、ナイトタイムエコノミーにも寄与をしております。東京二〇二〇大会を機に、将来は、週末などでの終夜運行も可能となることを期待いたしまして、質問を終わります。

○大場委員 平昌の冬季オリンピックが昨日、終了いたしました。安倍総理も臨席された二月九日のオリンピックの開会式から一カ月と十日余り、東京出身のモーグルの原選手を初め、多くのアスリートたちの最高のパフォーマンスによる熱戦が繰り広げられました。オリンピック、パラリンピックともに大成功に終わったと受けとめております。
 いよいよ次は東京です。あと八百五十八日、わずか八百五十八日で東京二〇二〇大会が開幕するわけでございます。東京都は、これから二年数カ月という短い期間で国や組織委員会との緊密な連携のもと、開催都市としての揺るぎない責任感を持って準備を進めていく必要があります。
 その中で交通局は、東京におけるバス、鉄道輸送を担う交通事業の柱として、その準備を入念かつ着実に進めていかなければなりません。
 本日の委員会の審議事項は、平成三十年度の交通局予算案でございますので、東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けまして、交通局がどのように取り組んでいくのか、そしてそのために今回どういう予算を編成したのか、そういったことを確認する観点から質疑を行っていきたいと思います。
 三十年度予算案に関しまして、二月十六日の本委員会での事前説明の際に提出いただきました資料を拝見いたしましたところ、随所に東京二〇二〇大会に向けた取り組みという記載を目にいたしました。
 そこで、初めに、東京二〇二〇大会を視野に入れた平成三十年度予算案の基本的な考え方についてお伺いします。

○土岐総務部長 交通局では、公共交通機関の使命でございます安全・安心の確保を最優先に、質の高いサービスの提供や東京二〇二〇大会の成功、さらには都の施策とも連携し、新しい東京の実現に向けて取り組むとともに、経営基盤をより一層強固にしていかなければならないと考えております。
 こうした考え方のもと、平成三十年度予算は、経営計画二〇一六の前期三カ年の最終年度予算として、次の二つの点を基本として編成いたしました。
 一点目は、安全・安心の確保を最優先に、お客様サービスの向上や東京の発展に貢献する取り組みを計画的かつ着実に進めるとともに、東京二〇二〇大会の成功に向けまして、大会期間中の輸送の主力の担い手として万全の準備を行うことでございます。
 二点目は、中長期的に安定した事業運営を行える強固な経営基盤を確立するため、限られた経営資源を最大限に活用し、これまで以上に増収に努めるとともに、より一層無駄の排除を徹底する取り組みを推進することでございます。

○大場委員 ただいま総務部長から、大きく二つの観点から平成三十年度予算を編成された旨のご答弁をいただきました。
 そのうちの第一の観点は、東京二〇二〇大会の成功に向け、大会期間中の輸送の主力の担い手として万全の準備を行うということでございましたが、何よりも交通局に求められておりますのは、大会を観戦する都民、そして国内外から集う観客の輸送をいかに安全かつスムーズに完遂できるかということでありましょう。そのための具体的な取り組みについて、幾つかお伺いしていきたいと思います。
 まずは、都営地下鉄における外国人案内についてです。
 最近、東京の地下鉄やJR線、さらには私の地元の東急田園都市線や世田谷線におきましても、以前とは比べ物にならないほどの外国人旅行者が乗っております。外国人旅行者が公共交通を利用する際に、日本語表記だけで自国語の表記がないとなりますと、やはり不安が生じるのではないでしょうか。逆に、自国語の表記が併記されていたり、自国語によって案内などのサポートをしてくれる人がいるならば、それは大変心強いものではないでしょうか。
 東京を訪れる外国人は、いうまでもなく観光だけではなくビジネス目的の方も数多くいらっしゃいます。観光でも、ビジネスでも、そして二〇二〇年オリンピック・パラリンピックにおける試合観戦でも、鉄道の駅は、旅行者の行動の起点となる場所にほかなりません。
 そういう意味では、鉄道の駅こそが外国人向けの案内の充実が最も求められている場所であり、そして鉄道の駅における案内を充実することが最も効果を上げるものと考えます。利用者が圧倒的に多い東京の鉄道の駅における案内の充実ニーズは、非常に高まっていると感じております。
 そこで、都営地下鉄の駅における外国人案内の充実について、これまでの取り組みと今後の見通しについてお伺いいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましてはこれまでも、訪日外国人旅行者の利便性の向上を図るため、案内サインの多言語化や全駅係員を対象とした実践的な英語研修の実施など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 外国人の利用が多い駅には、英語や中国語が話せるコンシェルジュを配置しており、来年度にはさらに二駅拡充し、平成三十二年度には、東京二〇二〇大会会場最寄り駅を含む合計三十駅に配置をいたします。
 また、大会後も見据えまして、今月十日には、英語や中国語などによる地下鉄や他の交通機関の案内、外国人旅行者向けの企画乗車券等の発売、観光情報の提供などを行うツーリストインフォメーションセンターを大江戸線上野御徒町駅に開設をいたしました。
 さらに、明日からでございますが、大江戸線都庁前駅におきまして、AIを活用した多言語対応のロボットコンシェルジュによる駅構内や周辺施設の案内に関する実証実験を行い、将来の導入の可能性について検討してまいります。
 こうした取り組みを着実に進めまして、東京二〇二〇大会に向け、今後さらに多言語による案内の充実を図ってまいります。

○大場委員 ただいまご答弁にありましたAIを活用したロボットコンシェルジュですけれども、これが実際に本格導入されることになりますと、外国人旅行者からは話題や人気を集めるのではないかと思います。日本の誇るテクノロジーの活用により、訪日外国人の利便性の向上、案内の充実について引き続き積極的に推進していただければと思います。
 続きまして、都営地下鉄のハード面に関する取り組みについてお尋ねします。
 オリンピック・パラリンピック観戦のために競技会場などを訪れる方々は、必ずしも自力でスムーズに動ける人たちばかりではありません。車椅子を利用されていたり、お手伝いが必要な方もいらっしゃいます。また、パラリンピックについては、選手や関係者の方々にも行動が制約されている方がいらっしゃいます。
 都営地下鉄におきましては、全ての駅で段差なく移動できるワンルートが、平成二十五年度までに整備済みとなっております。このことは、バリアフリーを実現するすばらしい取り組みとして世界に誇れるものであります。
 ただ、現在のエレベーターの設置場所が、必ずしも便利であるとはいえないような位置であったり、他社の路線と乗りかえるに当たり、一旦地上まで出なければならないという場合もございます。そういうことを考慮いたしますと、ワンルートの整備は大変評価できる施策ではありますが、現状で完結というのではなく、不断の改善、レベルアップが望まれていると考えます。
 エレベーターを一つ整備するにも大変時間がかかるものでございまして、東京二〇二〇大会のためというだけではなく、その後も見据えた整備になろうかと思います。地下鉄駅でのエレベーター整備について、その設置スペースを新たに確保するための物理的な制約に加えて多額の費用もかかります。各種権利関係などもあるでしょうし、そう簡単でないことは十分理解しています。
 ついては、中長期的な都営地下鉄におけるエレベーター整備方針についてお伺いします。

○野崎建設工務部長 交通局では、都営地下鉄全駅でいわゆるワンルートの整備を既に完了いたしまして、現在、東京メトロなど他の事業者とも連携を図りながら、乗りかえ駅等でのエレベーター整備に取り組んでおります。
 来年度は、浅草線人形町駅の東京メトロ日比谷線乗りかえエレベーターや、新宿線神保町駅の改札から地上までのエレベーター等の供用を開始する予定でございます。また、東京二〇二〇大会の会場最寄り駅でございます大江戸線青山一丁目駅や両国駅でエレベーター整備に着手いたしました。さらに、来年度は、国立競技場駅においても工事に着手する予定でございます。
 今後は、東京二〇二〇大会後を見据えまして、さらなる利便性向上を図るため、駅の構造や周辺状況等を踏まえながら、バリアフリールートの複数化についても検討してまいります。

○大場委員 パラリンピック開催を一つの契機として、都民の誰もがスムーズに移動できる交通機関が実現されるよう、さらに継続して努力していく必要があります。ただいまエレベーターの設置を前向きに進めていただけるというご答弁がございますので、期待をしていきたいと思います。
 次に、都営バスについてお尋ねします。
 電車とは少し事情が異なるのでしょうか、都営バスに限らず都内の路線バスの車内におきましては、外国人の乗客を見かけることは電車の中ほど多くはないように感じます。
 しかしながら、今般、首都圏の多くの鉄道やバスが三日間乗り放題となるGreater Tokyo Passという外国人向けの切符が発売されることになりました。こういう、外国人旅行者がバスも便利に使えるような切符が発売されるようになると、路線バスにおいても外国人の利用がふえることが予想されます。
 そこで、多言語表示など、都営バスにおける外国人向けの取り組みについてお伺いします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、外国人の旅行者にも安心して快適にご利用いただけるよう、停留所の標識柱や案内板の多言語表記を進めるなど、情報案内の充実に取り組んでまいりました。
 東京二〇二〇大会の開催を控え、地下鉄からバスへの乗りかえなど、誰もがよりスムーズにバスをご利用いただけるよう、多言語による案内を充実させるとともに、駅からバス車内まで連続した情報案内を提供していくことといたしました。
 具体的には、バス路線の乗り入れが多い駅の改札口や駅前広場に、バスの発車予定時刻などの運行情報を英語でも案内できるデジタルサイネージを設置することとし、今年度までに新橋駅などに十三基、来年度は亀戸駅などに十基設置する予定でございます。また、運行情報を英語で表示できる新型の接近表示装置を有楽町駅前バス停などに設置しておりまして、来年度以降も拡大する予定でございます。
 バス車内においては、次の停留所名などを多言語で表示する液晶モニターを全車両に設置しておりますが、これに加えまして、都営バス沿線の観光スポットなど、多彩な情報を英語でも提供できるデジタルサイネージを三百両に導入しておりまして、東京二〇二〇大会までには千両に拡大してまいります。
 引き続き、こうした取り組みを着実に進めてまいります。

○大場委員 沿道の光景や、まち中を歩く人たちの顔や姿が見えるといった路線バスでの移動は、単に移動の手段ということではなく、東京のまちや人を感じることができるという魅力があります。多言語活用によって路線バスのよさをアピールして、外国の方々の利用がふえていくことを期待しております。
 さて、先日、平昌オリンピックのために韓国を訪れた旅行者が、まちの食堂で食事をしようとした際に、スマートフォンの翻訳アプリを使って、店員さんと上手にコミュニケーションをとっている模様がテレビで放映されておりました。日本に来ている外国人旅行者も、ほとんどの方が自分のスマートフォンやタブレット端末を持ってきているようでございます。
 そういう状況を考えますと、各交通事業者が多言語案内等を充実させることに加えまして、旅行者自身が持っている機器によって、それを補完できる仕組みが構築できていれば大変便利なのではないでしょうか。そのためには、外国人旅行者が自分のスマートフォンやタブレット端末に入れた翻訳アプリを有効に利用するための基盤となる無料Wi-Fiが整備されていることが求められます。
 そこで、都営バスや都営地下鉄における無料Wi-Fiの提供状況と今後の整備予定についてお伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、訪日外国人などの利便性向上を図るため、都営バスの車内と都営地下鉄の駅構内及び車内におきまして無料Wi-Fiサービスを提供しております。
 バスでは、他社に先駆けまして、平成二十五年度から車内での無料Wi-Fiサービスを提供しており、全ての乗合バス車両で利用可能となっております。
 また、地下鉄では、現在、当局が管理する全ての駅と、当局が保有する浅草線、大江戸線の全ての車両で利用可能となっております。残る三田線、新宿線につきましても、東京二〇二〇大会に向けまして、平成三十二年三月までに全車両に導入することとしておりまして、引き続き利用者の一層の利便性向上に努めてまいります。

○大場委員 以上、東京二〇二〇大会に向けました具体的な取り組みについて、四点の質問をさせていただきました。
 さて、ここで少し視点を変えていただきます。都営交通における安全・安心の確保について二問ほどお尋ねさせていただければと思います。
 最近の交通輸送関係の報道で世間の注目を集めましたのは、新幹線のぞみの台車の亀裂のニュースでございました。この案件につきましては、実際の現場で危険を察知しておきながら、速やかに列車をとめるという判断ができなかったということや、そもそも台車を製造しているメーカーにおいて、削ってはいけない部分を削ってしまったために強度が下がり、結果として台車に亀裂が生じてしまったようなことが報道されておりました。
 現時点では、明確な原因までは判明してはおりませんが、関係者間での安全に対する意識の共有が十分ではなかったのではないかと指摘されておりますし、私は技術の継承が確実に行われてはいなかったのではないかとの意見にも一理あると思っております。
 その点、交通局の平成三十年度予算案におきましては、経営基盤の強化の項目に、技術力の維持向上という取り組みがございまして、安全・安心の確保の項目に、都電荒川線への運転訓練シミュレーターの導入という取り組みが記載されています。
 安全・安心の確保は、設備や車両の保守、維持管理が適宜適切かつ継続的に実施されていることが大前提であり、そのためには確実な技術の裏づけが不可欠と考えます。また、技術がきちんと維持向上されているということに加えまして、ベテランから若手への技術の継承が確実になされることが大変重要であると考えます。
 そこで、交通局の現場におきましては、予算案にもあります技術力の維持向上、そして技術の継承については、どのように取り組むお考えなのか、お伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通事業において、安全・安心を確保することは最大の使命であり、職員の技術力の維持向上を図り、若手職員へ着実に技術を継承していくことは不可欠でございます。
 このため、交通局では、技術力の向上を図る集合研修に加え、職場ごとの実態に即したOJTや各種訓練を通じて実践力を養っているほか、外部機関の技術研修に職員を派遣し、最新の知見を習得させているところでございます。
 OJTにつきましては、現場の業務に必要な技術スキルの体系化を行うとともに、車両基地の一角に架線やレールの交換など、実践的な訓練を行うための模擬実習設備を整備し、技術継承の取り組みを進めております。
 また、来年度、新たな実習設備として、信号機や転轍器の回路や動作を実践的に学習することができる訓練用の設備を整備することといたしました。保守職員等が活用することにより確実な保守作業の遂行や、障害時における迅速な対応などに必要な知識や技術力を身につけることが可能になると考えております。
 今後も、これらの取り組みにより、技術の継承のさらなる推進を図ってまいります。

○大場委員 技術の継承についてのお考えは、よくわかりました。一方で、乗客の方々にとりましては、適切に維持管理された設備や車両により、都営交通の技術面での安全・安心が確実に担保されていることはもちろんのこと、それに加えまして、運用面として運転される乗務員の方々のスキルアップが不可欠であります。
 都電荒川線においては、乗務員の方々のスキルアップを図るための方策の一つとして、来年度から運転訓練シミュレーターが導入、活用されるとの説明となってございます。
 ついては、都電荒川線の運転訓練シミュレーターとはどのようなものなのか、そしてその導入目的についてお伺いします。

○渡邉職員部長 東京さくらトラム、都電荒川線には、自動車や自転車など他の車両と同一の道路を走行する併用軌道区間があり、接触事故が発生するリスクがあることから、その防止に向けて乗務員の危険予知力や注意力を高める取り組みを日々積み重ねていくことが重要でございます。
 そのため、来年度、新たにバーチャルリアリティー技術を活用した運転シミュレーターを導入することといたしました。今回導入する機器は、ゴーグル型のディスプレーを装着し、沿線風景を再現した映像を見ながら実際の車両に近い感覚で運転操作を行うもので、臨場感のある模擬運転訓練を実施することができます。
 一例を挙げますと、飛鳥山-王子駅前間などの実際の併用軌道区間を映像化して、自動車の線路内への侵入や歩行者の飛び出しといった場面のほか、雨天や夜間などの設定をすることも可能であり、乗務員はさまざまな状況を体感し、対策を習得することができます。また、持ち運びが可能な大きさとなっており、局研修所における養成時の研修のほか、営業所における訓練にも積極的に利用していく予定でございます。
 今後とも、こうした新たな機器を有効に活用しながら、東京さくらトラムにおける安全教育の充実に取り組んでまいります。

○大場委員 都電荒川線については、単独での収支状況は決して余裕があるというわけではないでしょうが、予算案にございます運転訓練シミュレーターの活用を初め、交通事業の安全・安心の確保のために必要な投資、人材育成には、確実に取り組んでいただくことを要望いたします。
 ここまで東京二〇二〇大会を間近に控えた交通局の平成三十年度予算案に関しまして、さまざまな角度から質問をさせていただきました。今後とも、ハード、ソフト両面で、本日、各部長さんからご答弁をいただきましたような、利用者にとってプラスとなる多岐にわたる取り組みを着実に展開していただき、安全・安心でかつ利用しやすい都営交通の実現を図っていくことが、今の交通局に期待されていることと考えます。
 つきましては、今後の交通事業運営に対する交通局長としてのご決意を山手局長に最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○山手交通局長 交通局では、東京二〇二〇大会に向けまして、これまでも観客輸送の検討や大会機運の醸成などに鋭意取り組んでまいりましたが、開催まで二年となる本年は、準備に一層拍車をかけていかなければなりません。また、それにとどまらず、大会後のその先を見据えて中長期的な視点に立ち、安全やサービスにさらなる磨きをかけていかなければならないというふうに考えてございます。
 こうした考えのもと、安全・安心の確保を最優先に、バリアフリールートの充実等、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた施設設備の改修や、言葉の壁を超えた円滑な案内及び情報提供などを着実に進めているところでございます。
 あわせまして、こうした取り組みを進め事故を防止し、安全輸送を提供していくためには、事業を支える職員一人一人が安全やサービスに対する強い意識と使命感を持つとともに、おのおののスキルをさらに高めていくことが重要であるというふうに認識しておりまして、新たな機器を使い、さまざまな工夫を加えながら、日々のたゆまぬ教育と訓練によりプロフェッショナル職員の育成に努めてまいりたいと思います。
 今後とも、東京二〇二〇大会、そしてその先を見据えながら、局一丸となりまして、安全で安定的な輸送と快適で利用しやすいサービスを提供していくことで、首都東京の公営交通事業者としての責任と役割をしっかりと果たしてまいります。

○とや委員 よろしくお願いします。まず、私からは、先ほども質疑がありましたホームドアの整備、とりわけQRコードについて、少し伺いたいと思います。
 都営地下鉄のホームドアの設置は、ホームからの転落事故に効果があることから、交通局は順次整備を進めてきております。三田線、大江戸線は全駅設置が完了しておりますが、新宿線、浅草線は設置が完了をしておりません。そのため、列車の運行に影響が出た転落事故は、浅草線で、二十八年度が二十四件、新宿線が二十件となっています。
 このうち新宿線については、二〇二〇年までに全駅で設置をするということですが、浅草線については、交通局が民間企業と共同でQRコードを車両ドアに張りつけ、それをカメラで読み取ることでホームドアを開閉させる、連動させる技術を新規に開発をされております。私どもも、この新しい技術の検証実験を視察させていただき、とても感動しました。まずは心からの敬意を表したいと思います。
 多くの人たちに喜んでもらえるような仕事をすることは、職員の皆さんにとってもモチベーションが上がると思いますし、今後さらに新しい技術を開発していく糧になるのではないかと思っています。まだ、乗務員が車両をホームドアの開く位置に停車させなければならないなど課題は幾つかありますが、ぜひ推進していただきたいと要望します。
 今後は、この開発した技術を用いて、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会までに、新橋、大門、三田、泉岳寺駅の四駅にホームドアの整備を進めていく予定と聞いておりますが、このQRコードを用いたホームドアの導入の経済的効果について伺います。

○奥津車両電気部長 これまで都営地下鉄では、ホームドアの整備に当たりまして、車両のドアとホームドアとを連動して開閉させる装置を設置するなど、車両についても大規模な改修を行ってまいりました。
 QRコードを用いましたホームドアは、先ほど理事からもお話ありましたが、QRコードを車両のドアの定位置に張りまして、これをホーム上のカメラで読み取ることによりまして、車両のドアとホームドアとの連動を可能とするものでございます。この技術を活用することによりまして車両の改修が不要となり、経費の縮減が見込めるものでございます。

○とや委員 経費の縮減については、実際に運行をして検証して、具体的な経済的な効果が今後出てくると思うので、その際にはぜひご報告をお願いしたいと思っています。
 この技術は、交通局が特許を取得していると聞いています。仮に、民間の企業などが特許を持っていれば、活用する際に多額の費用を要する可能性もあります。その意味でも、都が、交通局が特許を取得できた意味は大変大きいのではないかと思っています。
 QRコードを用いたホームドアについては、まだ整備がされていない民間事業者が運営する路線にも、技術をぜひ広めていっていただきたいと思いますが、お考えを伺います。

○奥津車両電気部長 QRコードを用いたホームドアにつきましては、平成二十七年度より、段階的な試験、検証を行いながら、民間企業と共同で技術開発を行ってまいりました。この技術については、他の鉄道事業者に広く紹介するなど、ホームドアの整備促進にも貢献してまいります。

○とや委員 東京メトロの銀座線の青山一丁目駅で、盲導犬を連れていた目の不自由な男性がホームから転落し、電車にひかれてしまって死亡した事故から既に約一年半以上たっています。国土交通省と鉄道会社の検討会が二〇一六年に行われているんですが、十二月に、一日十万人以上が利用する駅では原則として二〇二〇年度までにホームドアを設置することを決めています。
 このとき対象は二百六十駅だったわけですが、一六年度末までに設置されたのは八十四駅、二〇年度までにさらに六十四駅が設置の見込みとなっていますけれども、車両によって扉の位置が異なることがネックとなって、二一年以降も六十一駅では設置の見通しが立たないそうです。
 ぜひ乗降客の安全と安心を保障するため、QRコードの推進を含め、各鉄道会社とも、この技術を広めて連携して取り組んでいただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 次に、電気事業について伺っていきたいと思います。
 東京都は、昭和三十二年以降、多摩川の流水を活用して発電した電気を電気事業者に供給する電気事業に取り組んでいます。
 私たちは、多摩川第一発電所、白丸調整池ダム--白丸発電所ですね、多摩川第三発電所、そして小河内ダムの調査に伺わせていただきました。この地域は豊かな自然に恵まれて、御岳山というのがここにあるんですけれども、私も以前、そこにハイキングなど行ってまいりました。
 交通局が発電事業と、一瞬意外に思ったんですけれども、実はこの事業は、明治四十四年から東京市電気局として火力発電をされてきたことを知りました。その後、小河内ダムを利用して水力発電を行うことを計画したわけですけれども、戦争のために工事が中断し、昭和三十二年から多摩川第一発電所、昭和三十八年からは多摩川第三発電所及び白丸調整池ダムが完成し、運転開始となっています。
 この発電所の最大出力は三万六千五百キロワット、一年間の最大発電力は、一般家庭のおよそ三万五千世帯分の使用量に相当すると聞きました。この発電事業が、今、二〇二〇改革の対象となっています。
 事業改革ユニットでは報告済みユニットとして、既に見える化改革報告書が出されております。
 都政改革本部会議では、上山特別顧問からも意見が出ており、老朽施設や設備の更新に当たり、多摩川第一発電所と第三発電所で、最大三十億から四十億の投資の必要性があるとして、今後の方向性としては、直営、コンセッション、民間譲渡について民間事業者との予備的対話を進めながら検討していくというふうにいっています。
 そこで、交通局として、この電気事業、現在の経営状況と今後の大規模更新について伺います。

○奥津車両電気部長 電気事業の経営状況につきましては、黒字基調で推移し、企業債等の長期債務もなく、大規模更新に備えた積み立てを行っております。交通局が所管する水力発電所のうち、多摩川第一発電所及び多摩川第三発電所につきましては、運転開始から六十年近くが経過しており、大規模更新に向けた調査を順次実施しております。
 今後、調査の結果に基づきまして、更新計画を策定してまいります。

○とや委員 経営状況は黒字基調ということです。私も報告書を読ませていただきましたけれども、企業債、長期債務もなく、自己資本比率は八七%と高く、剰余金は三十七・三億円あります。今後の施設整備の更新に備えた積み立てを行っているとのことです。
 さらに、二〇一五年度の電気事業会計の収入は十五・七億円で、経常利益は五・九億円と健全会計でした。特に、二〇一三年に売電事業者を公募し、このときはいろいろあったようですけれども、F-Powerに供給を開始して経常利益の拡大に結びつき、二〇一四年度は十億円を超える経常利益が上がっています。それなのに、民間譲渡やコンセッション方式の検討がなぜ必要なのか、大変不思議であります。
 さて、この問題はおいておいて、二〇二〇改革では、民間にはエネルギー業者が多数存在するので、都庁が手がける必然性は高くないとか、より効率的な運営、更新投資、最新最適な技術の活用ができるなどとの意見も出されております。
 ここでお聞きしたいんですが、これまで長きにわたって運営してきた交通局の電気事業がどうだったのか、その取り組みについて教えてください。

○奥津車両電気部長 交通局の電気事業は、これまで六十年間にわたり、多摩川の流水を利用して安定的に水力発電を行ってまいりました。この間、発電所やダムの運営に必要な資格保有者を育成しつつ、技術力の維持向上に取り組み、施設設備の更新を通じて技術と経験を蓄積しております。

○とや委員 私も視察に伺った際、二十四時間三百六十五日休むことなく稼働している発電所では、専門性が求められる大変重要な仕事だと感じました。
 電気事業法、電気事業法施行規則、主任技術者の解釈及び運用などの法令に基づいて、電気主任技術者、ダム水路主任技術者、ダム管理主任技術者をそれぞれ配置し、運営をしています。さらに、小河内ダムとの連携が必要な事業だと思います。
 現在の発電所の運営体制について確認をさせてください。

○奥津車両電気部長 現在、発電事務所には、交通局職員九名を配置するとともに、発電所の運転や点検等の定型的な作業につきましては、監理団体や民間企業を活用しております。交通局職員につきましては、監理団体等の指導、工事の施工管理のほか、地域の理解と協力を得るため、地元や電力会社等との間でさまざまな調整を行っております。
 また、台風等の出水時には、関係機関とも連携して洪水警戒態勢をとり、安全確保に努めております。

○とや委員 今ご説明ありましたように、交通局は、この電気事業の運営を監理団体である東京交通サービス株式会社に運転監視業務の履行確認、軽微な立ち会い業務、施設設備の遵守を委託しています。さらに民間事業者には、発電機の運転や監視、施設整備の点検を委託しています。
 どれも大切な仕事だと思いますが、一方、本局と発電事務所の職員、直営の職員は、車両電気部発電担当である電気主任技術者が、事業計画や設計業務、企画調整、渉外、発電事務所では運用計画の策定や設計、緊急時の対応、運転や管理業務を担っています。このすみ分けを見ますと、本当に事業の根幹にかかわる業務は、やはり直営でやっています。
 さらに、人件費と委託料の推移を読ませていただきました。二〇〇九年からは民間に一部業務を委託し、二〇一三年に監理団体に委託を開始していますが、最初はコストが下がったように見えるんですけれども、二〇一五年には、むしろ運営コストが委託前に戻っています。この間、直営の職員は四十人から二十三人に減らされていますが、果たして意味があったのかと疑問に感じました。
 私、ここへ行きまして、小河内ダムとあわせて発電施設を視察させていただく中で、まさに本当に自然を相手にしている仕事で、大変な業務であるということがわかりました。そして、自然自体を人間がコントロールすることはとても傲慢な態度でもあるし、実際することができないと思っています。
 実際、ことしは三・一一、東日本大震災から七年がたっていますが、このとき、福島第一原発、何度も何度も津波の危険性があるといわれながら、大丈夫だということで運転してきたわけですけれども、結局、水素爆発を起こして甚大な被害がありました。今でも生活再建ができない人たちが多数いるということです。
 都の発電事業は、特に集中豪雨とか地震のときなど、緊急時の対応は水道局が運営する小河内ダムとの連携も欠かせないというお話もありました。私は民間事業者に任せて、こうしたところで責任がとれるとは思えないんですね。これまで安全に運転し、人材育成にも努力をされてきたと思います。見える化改革の報告では、直営継続に加えてコンセッション、民間譲渡などを検討するとしていますが、東京都が運営する意義は大変大きいのではないかと思っています。
 そこで、東京都が電気事業を運営していく意義について伺っておきたいと思います。

○奥津車両電気部長 東京都交通局が水力発電を運営する意義といたしましては、大量に電力を消費する交通事業者として、環境負荷の軽減に貢献できること、東京都として、再生可能エネルギーによる電力を率先して確保できることなどが挙げられます。

○とや委員 資料を見ますと、全国九つの自治体では、発電所を手放し民間に譲渡がされていますが、全てのケースで譲渡価格が固定資産の帳簿価格を下回っています。結局、自治体が損をすることになっているのです。にもかかわらず、国は大手の電力事業者などからの要請を受けて、自治体の電気事業についても、PFI方式の導入の推進にかじを切って、この動きを受けて、東京都でも二〇二〇改革が出されていると思います。
 二〇二〇改革を読むと、昨年十一月に出された経産省の資料が、そっくりそのままといってもいいくらいの資料となっていることを私も読ませていただきました。
 今、エネルギー問題は、再生可能な純国産クリーンエネルギーとしての面がクローズアップされて、特に温暖化問題を受けて化石燃料、CO2削減といった、公共貢献を果たすことも大変求められているのではないかと思います。
 また、発電所を将来にわたって運用する場合、民間企業にそれが期待できるか、再生可能な国産エネルギーの保全という役割を果たし続けることができるのか、疑問を生じざるを得ません。
 さらに、現地に行って思いましたけれども、さっきもお話ありましたけれども、東京都の発電所は地元の地域にも貢献して、子供たちを招いたイベントだとか、学習のための地域ならではの教材の提供をされていました。これらの取り組みは、民間に移譲されてどこまで維持されるのか、ここも疑問です。発電効率などの経営的要素が相反すればどうなるかわかりません。
 さらに環境問題など、社会的貢献への要請の高まりの中で、近年では小水力発電などで、コストよりも環境負荷軽減に主眼を置いた建設を行っているようになっていますけれども、やっぱり企業主体の発電事業にとっては、電力というライフラインを担う事業者として、あくまで、こうした役割というのは道義的な、義務的なものだといわざるを得ません。だから積極的になりにくく、直接的な経済的利益をもたらすものではない事業については、後退していくのではないかと危惧をしています。
 長野県では、二〇一二年に、県営の水力発電所を中部電力に譲渡する計画を取りやめています。公営企業として継続することを決めて、電力の販売単価の上昇や培ったノウハウを生かして、自然エネルギーの普及拡大を進めるため、譲渡交渉を当時、白紙撤回をしました。
 水力発電は、東京都がみずから再生可能エネルギーをつくる、環境に貢献をしている事業です。安易に民間による運営を検討すべきではないと思います。明治以来培ってきた東京都交通局の皆さんの技術力、ノウハウを後世にしっかりと引き継いでいただきたいと思います。
 ぜひ引き続き、公営企業として電力事業を運営していっていただきたいと申し上げ、この質問を終わらせていただきます。
 次に、都営地下鉄駅の係員への暴力あるいはトラブルについて伺っていきます。
 一日に数万人規模で、多いところでは十万人、二十万人以上と駅を利用する人々への対応をする職員の人たちは、丁寧に接していても、乗客の機嫌によって暴言を受けたり、あるいは怒られたりすることは日常茶飯事だと聞いています。
 例えば、カードがたわんでいたりすると、ポケットに入れておいただけで曲がるようなカードをつくるのが問題だろうと絡まれたり、時には酔客に暴力を受けたりすることもあるそうです。
 最近の乗客から駅係員への暴力やトラブルの件数、特徴的な事例もあわせて伺いたいと思います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄における駅係員に対する暴力及びトラブルで、警察に通報した過去三年間の件数は、平成二十六年度二十一件、二十七年度十八件、二十八年度十三件でございます。特徴といたしましては、先生のお話にもございましたが、酔客、酔ったお客様によるものが多くなってございます。

○とや委員 今ご答弁をいただいた数字は、警察を呼ぶまで発展したときの件数だと思います。
 実際には、警察を呼ばないで、係員が何とかおさめたり、謝ったりして解決している事例が少なくないのではないかと思います。その意味で、係員の皆さんの接客スキルはとても高い水準が求められているのではないでしょうか。
 さらに、駅の職員全体で何か起きたときの対応について共通認識も持っておくことが大事だと思っています。
 駅係員に対する暴力、トラブルが起きたときの対応、そして未然に防ぐ方策について伺います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 暴力やトラブルが発生した場合に備え、対応マニュアルを作成しておりまして、職員が暴力の被害に遭った場合には、直ちに他の係員に連絡を行い、複数の係員で対応するとともに、警察へ通報することとしております。
 また、鉄道各社、警察等と連携いたしまして、ポスターの掲出や車内放送などにより、暴力行為の防止を広く呼びかける取り組みも行っております。

○とや委員 マニュアルを作成して、複数の係員で対応し、警察へ通報するというマニュアルがあるということですが、今やっぱり、警察を呼ぶまで発展しないまでもさまざまなトラブルが起きているということを聞いております。
 ぜひトラブルが起きたときのケーススタディーのようなものが研修であると参考になるのではないかと思いますので、ご検討をお願いします。
 経験としての蓄積も大事ですが、ぜひ研修などで位置づけていただき、乗客も、また係員も、ストレスなく駅を利用し、働ける環境をつくっていただきたいと要望します。
 次に、係員が実際に被害に遭ったときの対応についてです。
 実際に暴力被害に遭った場合、裁判に発展することもあるし、あるいは弁護士を雇って示談交渉をしなければならないなど、当事者の負担があるとも聞いています。実際、職員が被害に遭ったときには、どのような対応をとっているのか伺います。

○渡邉職員部長 暴力の被害を受けた職員は、地方公務員災害補償基金に療養補償や休業補償の請求を行うか、加害者に治療費、休業損害、慰謝料等の請求を行うかのいずれかを選択することができます。これらに際しましては、基本的に上司が指導と助言を行っているところでございます。

○とや委員 裁判に訴える場合はそんなにないとは思っていますが、その場合でも警察からの聴取、裁判所への出廷など時間もとられます。また、職場のバックアップは十分なのか、さらに、言葉の暴力についてはそもそも立証が難しいのではないかと思います。
 そこでお聞きしたいんですが、裁判などで休暇をとる場合、職免などとれるようにできないのか。また、公務上の負傷に伴い、先ほどおっしゃられた、見舞金を支給する制度があると聞いておりますが、こうした金額を引き上げするとか、支援を強化すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○渡邉職員部長 交通局職員の職務専念義務免除の範囲につきましては、知事部局と同様でございまして、職員個人が民事訴訟の原告として裁判所に出頭する場合には職務専念義務免除の対象とはならないものでございます。
 また、見舞金でございますが、駅係員等が公務上で第三者の暴力行為により負傷し、加害者から慰謝料等を受けることができない場合に、公務災害の認定による補償のほかに、公務災害とは別でございますが、局が公費により、負傷の程度に応じて三千円から二万円を支給するものでございまして、妥当な金額であると考えているところでございます。

○とや委員 乗客への対応は非常に難しい仕事の一つだと思います。職員の皆さんがやりがいを持って仕事ができる環境を整えるのは、交通局の仕事だと思います。ぜひ職員の皆さんから意見を聞いていただいて、改善するべきところは改善していただきたいと思います。
 そして、一番は暴力やトラブルを未然に防ぐこと、抑止対策として駅構内でできることはないのかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 駅係員及び警備員による駅構内の巡回や防犯カメラの活用等により、暴力やトラブルの未然防止を図っております。さらに、先ほどご答弁申し上げましたとおり、鉄道各社や警察等と連携いたしまして、ポスターや車内放送などによりまして暴力行為の防止を広く呼びかけております。

○とや委員 例えば、オープンカウンターになっている駅で乗客に暴力を振るわれたりしたことが、以前、裁判に発展したということも聞いております。ぜひ、あらゆるケースを想定し、できることをやっていただきたいと思います。
 百人百通りの乗客がいるわけで、かなり精神的にも厳しい職場なのではないかと思っていますが、職員のメンタル面でのフォローはどうなっているでしょうか。

○渡邉職員部長 交通局では、職員のメンタルヘルス対策として、管理監督者が心の健康問題へ対応できるよう研修を行っており、公務中に暴力などの被害に遭った職員に対しては、その後の心身の状況を確認し、産業保健スタッフ等と連携しながら適宜相談に応じるなど、きめ細かな対応を行っております。

○とや委員 一定程度やっていらっしゃるということですけれども、交通局として、ソフト、ハードの両面からのフォローをしていただきたいわけですが、メンタル面でいえば、研修や産業保健スタッフが配置されているということですが、なかなか行きづらいという意見もあるようです。よく検証していただきたいと思います。
 こうした声が上がってくるというのは、やっぱり職場が、この間、業績評価などで職員一人一人が大変孤立感を感じていることも背景にあるのではないかと思います。ぜひきめ細かい対応をお願いしたいと思います。
 駅にとって、そこで働く職員は、どんなに技術が進んだとしても、なくてはならない大事な存在ですので、よく声を聞いて改善に努めていただきたいと要望して、次の質問に移ります。
 交通局が保有している公有地の問題について伺いたいと思っております。
 東京都は、都有地の活用で福祉に貢献するため、この間、土地の減額制度などを創設してきました。公営企業も同じく、福祉インフラ事業と同様、減額措置を準用するなどして、住民要望に応える福祉インフラ整備に協力をしていらっしゃいます。
 東京都の福祉インフラ整備のための土地活用チームの議論にも参加してきていると聞いていますが、交通局として、都有地活用における考え方、交通局の考え方を改めてお聞かせください。

○広瀬資産運用部長 交通局におきましては、自動車事業、地下鉄事業等の本来事業の経営基盤の強化に寄与し、質の高いサービスを提供するため、土地建物などの資産の有効活用を進め、長期的に安定した収入を確保しております。
 利活用に当たりましては、採算性を確保するとともに、市街地再開発事業への参画などにより、周辺のまちづくりに貢献することとしております。

○とや委員 交通局、公営企業だから経営基盤の強化とか市街地再開発とかに合わせてということもあるのかもしれないんですけれども、では、具体的に聞いていきたいと思います。
 交通局の経営計画二〇一六では、資産活用の項に、目黒の分駐所、大門庁舎の利活用、南青山の旧工務事務所、そして大塚の都バス支所跡地が掲載されております。それぞれ違う手法によって、この間、都有地が活用されてきているようですが、きょうは都バスの大塚支所跡地について伺っていきたいと思います。
 この都バス跡地ですが、きょうはパネルを用意させていただきました。敷地面積が七千二百五十五・六九平米にも及んで、大変広い敷地となっています。私もこの間、二回ほど行ってきて、きのうも行ってまいりましたけれども、駅にも近くて大変利便性のよい土地です。隣が茗荷谷の駅の再開発地区、ここですね、一街区、二街区とあるわけですけれども、東京都交通局は、もともと、ここのオレンジで囲まれた土地を持っていたんですが、ちょっとわかりにくいんですが、今、二街区となっている場所と換地をして、文京区が地区計画全体をかけて、この黄緑色のところに現在、民間事業者が駅前の再開発地区で、アトラスタワーという大変高い建物を建てられております。春日通りに面しているわけです。
 交通局の説明では、この交通局の土地と民間の土地の権利変換をした上で開発をされて、新たに交通局の土地として春日通りに面した場所に茗荷谷交通ビル、そして計画によると、都は二〇一七年度中に事業者を決定し、公募をする。二〇一八年度には、この大塚の支所、黄色いところで囲まれたところが利活用の予定となっていると聞いておりますが、この進捗状況についてお尋ねをします。

○広瀬資産運用部長 大塚支所跡地におきましては、旧庁舎の解体を完了し、現在、埋蔵文化財の発掘調査や土壌汚染対策を実施しているところでございます。このうち埋蔵文化財の発掘調査はおおむね完了しておりまして、土壌汚染対策につきましては、隣接地の一部を除き完了し、現在、残る隣接地の工事の施行に向け近隣調整を進めております。

○とや委員 この間、この敷地の活用については、福祉のために使ってほしいという住民の強い要望を受けて、二〇一五年には、当時、現職であった小竹都議、そして日本共産党の文京区議団が交通局に、認可保育園や特養ホーム、高齢者住宅などとして活用してもらいたいという申し入れを行っております。二〇一七年には、都知事と交通局長宛てに同趣旨での要望書も出されてきました。文京区議会でも二度にわたって福祉活用を求める区民の請願が採択をされております。
 こうした住民の要望、願いを、交通局としてどのように受けとめているでしょうか。

○広瀬資産運用部長 理事お話しの都営バス大塚支所跡地につきまして、認可保育園、特養ホーム、若者、高齢者向け公営住宅などへの活用を求める要望があることは承知しております。
 交通局はこれまでも、局有地の利活用に当たり、地元区との意思疎通を図りながら地域の発展に貢献してまいりました。
 大塚支所跡地の利活用につきましても、これまで地元区である文京区と協議を進めているところでございまして、引き続き適切に対応してまいります。

○とや委員 福祉インフラへの活用を求める要望は承知していると、文京区とも適切に対応するということでした。
 交通局は、土壌汚染と埋蔵文化財の除去が済んで、いつでも都バス跡地を活用できる準備が整い次第、事業者を募集するとしているわけですが、文京区とは、福祉インフラの整備に当たって協議もされていると聞いております。区議会でも、保育園や特養など、都と協議をしていると、公式に区長答弁もありました。
 事業者を募集する際の公募条件、これから事業者を公募していくわけですけれども、定期借地権方式でやられると思うんですが、この際の公募条件を具体的にお答えください。

○広瀬資産運用部長 公募条件につきましては、公平性、公正性を確保するため、公開募集時に初めて公表するものでございまして、現時点では内容についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

○とや委員 二〇一五年の私ども共産党の質問に対して、交通局の大切な資産として有効活用を図る観点から、地元区とも協議をするなど適切に対応する旨の答弁を、交通局としてはされております。
 地元区である文京区は、自転車駐車場、地域活動センター、図書館の機能、さらに郵便局を入れるための協議をしていると具体的に施設を挙げています。しかし、福祉インフラである保育園や特養については、この場で答えられないと。特に保育園など整備する場合、ご承知のようにいろんなところで問題が起きているわけですよ。保育園をつくろうと思っても、なかなか近隣住民の人たちの反対が上がって、できないような場合もあります。そういったことを考えれば、近隣住民の理解をあらかじめ得ることが大前提だと思うんですね。
 公募をするまで、何をつくるか何を入れるか、何もいえないというのは、それはどうなのかと思うんです。あらかじめ住民に明らかにすべきではないでしょうか。協議の具体的な内容を示せないのはなぜでしょうか。ほかのところは出ているのにです。地域活動センターとか、図書館機能とか、自転車駐車場とか、郵便局とか、出ているじゃないですか。ぜひお答えください。

○広瀬資産運用部長 ただいまの理事のお話の件につきましては、あくまで区の意向でございまして、公募条件につきましては、現時点で交通局の方からお答えすることにつきましては差し控えさせていただいております。

○とや委員 そこがおかしいんですよね。もうここまで郵便局とか地域活動センターとか、図書館機能だとか、具体的に明らかになっているにもかかわらず、区の要望だからと。
 じゃあ福祉インフラである保育園とか、あるいは特養ホームは区の要望ではないのかと。さらにいえば、先ほど住民からの要望はちゃんと承知していると、区と適切に協議をしていくというふうにいっているじゃないですか。それにもかかわらず、公募の条件だからという理由で、住民の人たちに明らかにできないというのは、私はおかしいと思います。
 さらにいわせていただくと、経営計画二〇一三、これ読ませていただいたんですけれども、今の計画の前の計画です。資産の利活用の推進の項で、局が所有する不動産の有効活用を推進し、収益力の一層の強化を図るとともに、保育施設など地域の社会的要請にも対応していくというふうに書いてあります。都営バス大塚支所の利活用の調査、目黒分駐所跡地初め都内の土地の活用計画も、この中に、保育施設など地域の社会的要請にも対応していくというところに書いてあるんですよ。
 ところが、経営計画二〇一六では、文言がどういうふうに変わっているかというと、資産の利活用の題目は変わっていません。しかし、その中で、局が所有する不動産の有効活用を進め、安定した収入を確保するとともに、市街地再開発事業への参加などにより周辺のまちづくりに貢献と、保育園が消えちゃって文言が変わっています。
 今の答弁とあわせて考えると、今まで明らかになった地域活動センターなど、郵便局も含めた、これまで明らかになっているところではない保育園などはいえないというふうに聞いていると、二〇一六年のこの経営計画では、じゃあ福祉インフラ整備はしないのかというふうに受け取らざるを得なくなってしまうんですよ。
 さらに、福祉インフラ整備事業として、二〇一六年の経営計画の中には、別項目で、世田谷区用賀の職員寮跡地に、認可保育所、看護小規模多機能型介護事業所を併設したサービスつき高齢者向け住宅の整備が掲載されております。ほかの土地については、保育施設などの文言が消えていて、市街地再開発に変わっているんですよ。これは何ででしょうか、教えてください。

○広瀬資産運用部長 経営計画二〇一六におきましては、福祉インフラ整備事業への協力を計画期間における具体的な取り組みの一つとして位置づけております。
 この中で、局資産を有効活用し、用地確保が困難な都市部における福祉インフラ施設の整備事業に協力することとしておりまして、前経営計画と比べ後退しているとは考えてはおりません。

○とや委員 用賀の土地は具体化したので、別に項目を立てたということですね。ほかの土地についても、私は、引き続き福祉施設など地域の社会的要請に応えていくことが重要だと思います。
 今、部長のご答弁では、後退はしていないというふうに確認をさせていただきましたので、ぜひ、そこら辺は住民要望に応えていただきたいと思っております。
 用賀と同じく、経営計画二〇一三に掲載されていた巣鴨営業所の敷地の利用についても伺っておきたいと思うんですけれども、後退していないというのであれば。この巣鴨営業所の敷地では、現在、郵便局が入っているんですが、実は、アパホテルが事業者として選定をされています。
 この事例は、今の答弁との関係でどういうふうに考えればいいのか、どうして福祉施設が入っていないのか、教えてください。

○広瀬資産運用部長 巣鴨自動車営業所跡地での利活用におきましては、地元区であります豊島区に照会をいたしましたが、福祉インフラの要望はなかったため、整備には至らなかったものでございます。

○とや委員 巣鴨については福祉インフラの要望がなかった、地元の要望がなかったので福祉施設は入っていないと今おっしゃいました。つまり、要望があれば整備をするという、この理解でよろしいでしょうか。そうですよね、先ほど来、協議をしてきたともおっしゃっていますし、その確認だけさせてください。

○広瀬資産運用部長 大塚支所跡地の利活用につきましては、先ほどもお答えしたとおり、地元区であります文京区と協議を進めているところでございまして、引き続き適切に対応してまいります。

○とや委員 交通局の土地の活用で用賀の土地があります。あれはとても評価できる整備じゃないかと思います。この経過を聞いたところ、世田谷区が福祉保健局に要請をして、交通局も加わって、保育園が入った整備へとつながったと聞いています。交通局も、公共の福祉という本来の目的に立って、今回の大塚の都営バスの跡地については、保育園や特養の整備をしていただきたいと要望しますが、いかがでしょうか。もう一度お答えください。

○広瀬資産運用部長 交通局はこれまでも、局有地の利活用に当たりまして、地元区との意思疎通を図りながら地域の発展に貢献してまいりました。大塚支所跡地の利活用につきましても、これまで地元区である文京区と協議を進めているところでございまして、引き続き適切に対応してまいります。

○とや委員 東京都では、福祉インフラ整備に当たって、福祉保健局が公有地の減額制度を持っています。保育園や特養ホームを整備するとなれば、一番ネックになるのが東京の土地の高さです。これを軽減するため、各種の減額制度を活用して施設整備へとつながってきたわけですね。公営企業の土地は、交通局でいえば、例えば、先ほど申し上げました用賀の職員寮跡地が減額対象になって、保育園や看護職員の研修所などが整備されました。
 都バスの大塚支所跡地については、七千二百五十五・六九平米もありながら、交通局は、土地を一体で活用することを前提に事業者を募集する。文京区と協議をする中でも、補助や減額の考えはないと回答しているようですけれども、庁内の公有地活用にかかわる、さっきもいいましたけれども、検討会議にも出席をされて情報交換もされているようです。しかし、この減額制度を活用すれば、保育園や特養ホームなどの福祉インフラ整備がより進めやすくなるのではないかと思います。
 今、交通局は、福祉インフラを整備する際、減額補助制度は、福祉保健局の補助を準用していますが、先ほど申し上げました検討会議にも出席して、意見とか情報の交換をしていると聞いています。ぜひこうした場で、福祉インフラ整備にかかわる減額補助要綱の対象を広げる、あるいは柔軟な対応ができるよう要請していただきたいと思います。
 さらに、この土地を見ますと、これ本当に私も行って驚いたんですけれども、奥行きがとても深くて、いびつな形をしているんですね。道路といえば、敷地内通路として、アトラスタワーとの間にある、この通路のみなんですよね。幅員八メートルで大変歩きやすい道路となっているんですが、公道ではありません。
 また、敷地の奥は消防困難地域だということですが、それを解決するためにも、交通局の敷地内に、ぜひ公道を整備し、接道をするという形、手法をとって、土地が分割できるようにした上での有効活用をすることが、私は大変、住民の人たちの声に応えた活用の仕方ではないかと思います。道路ができれば、分割して減額制度を活用することができるんです。
 ぜひ、そのためにも文京区とも積極的な協議をしていただくことを強く要望して、私からの質問を終わります。
 以上です。

○藤井委員 私からは、先ほど他会派さんからもお話がございました電力事業についてお伺いをしてまいりたいと思います。見える化改革におけるこの分析をもとに質問をさせていただきます。
 事業の意義として、東京の電力の安定供給に寄与、そして環境に優しいクリーンエネルギーであるということなど、意義がある事業であるという旨のご答弁、先ほどもされておられました。
 まず、お伺いをしたいと思いますが、東京都と他団体との経常収支比率の比較を初め、東京都の決算の状況、平成二十七年度、そして平成二十八年度、この間の状況について、都としてどのように分析をされているのか、お伺いをしたいと思います。

○土岐総務部長 電気事業の経営水準についてでございますが、昨年十一月に公表いたしました見える化改革の報告書では、平成二十七年度決算の経常損益は約五億九千万円の黒字であり、財政の健全性を示します経常収支比率が、東京都は一五九・七%で、公営電気事業者のうち、水力のみ運営している十一団体の平均一二六・五%と比べ高い水準となっております。
 平成二十八年度決算における経常損益は約七億七千万円の黒字であり、経常収支比率は一八五・四%と、抜水点検等により稼働日数が少なかった前年度から二五・七ポイント増加するとともに、団体平均の一四〇・七%と比べても引き続き高い水準にございます。

○藤井委員 ただいまのご答弁では、他団体と比較してもかなり良好な経営状況にあるというお話でございました。
 一方で、報告書を拝見しますと、他県では、発電所施設を民間に譲渡をした公営電気事業者が九団体存在するそうでございます。過去に公営電気事業者が民間譲渡を実施していると思いますけれども、他の事業者が譲渡した理由と売却価格の水準について把握をされていることがあればお答えをいただきたいと思います。

○奥津車両電気部長 過去に発電所施設を民間譲渡した公営電気事業者は九団体あり、主な譲渡理由は、施設老朽化によりまして多額の維持管理費用が必要であることや、経費節減や効率化などによる行財政改革の一環などによるものでございます。また、民間に譲渡した全ての団体におきまして、売却価格が固定資産の帳簿価格を下回っております。

○藤井委員 他団体で売却をした例について今ご紹介をいただきましたけれども、かなり売却価格としては低い状況にあるのかなと思っています。先ほど東京の経営状況についてお伺いをしましたけれども、かなり良好な状態にあるものとは相当違うのかなと思っています。
 この見える化改革の報告書の結論においては、今後、三つのパターンを示しておりまして、一つは直営、二つ目はコンセッション、三つ目は民間売却ということで、今後、民間事業者との予備的対話を進めながら検討していくということであります。
 特に、このコンセッション方式を導入するということもご検討されているかと思いますけれども、その選択肢の一つとされている中で、現時点で、導入のメリットとデメリットについて、局として把握をされていることがあればご紹介をいただきたいと思います。

○奥津車両電気部長 現時点で想定されるコンセッション方式のメリットといたしましては、契約形態次第で収支変動リスクを回避可能であることなどが挙げられます。
 一方、デメリットといたしましては、対価を一括で受けた場合、売電価格が上昇しても恩恵を享受できないことや、都が直接現地にかかわらなくなることによる委託管理や技術面でのノウハウの喪失、事業者の撤退等における最終的な事業継続リスクを都が負担せざるを得ないことなどが挙げられます。

○藤井委員 ただいまメリット、デメリット、簡単にお話を、ご答弁をいただきましたけれども、今後しっかり検討していただいて、都民にその詳細な内容をぜひご報告をいただきたいと思います。
 最後に、報告書の中で目につきましたのは、民間事業者との予備的対話をスタートするということなんですけれども、やっぱりその検討の期間がちょっと長過ぎるのではないだろうかと思いました。
 直営、コンセッション、民間譲渡と三つの選択肢の中でやっていくということでありますけれども、二〇二〇年代の後半まで検討するということでございまして、いささかスピード感に欠ける対応なのかなと思わざるを得ないんですけれども、なぜそこまでの期間を要する話なのか、局として考えていることがあればお答えをいただきたいと思います。

○奥津車両電気部長 民間事業者がコンセッション方式や発電所の買い受けを検討する際には、設備の劣化状況が判断材料の一つとなります。現在、多摩川第一発電所を対象に劣化状況の調査を実施中でありまして、今後、多摩川第三発電所についても順次調査を行う予定でございます。
 これらの調査結果に基づいて、発電所設備の更新計画を策定した上で、電力市場の動向等も踏まえながら、直営継続、コンセッション方式、民間譲渡の比較検討を行うため、検討期間を二〇二〇年代半ばまでと想定してございます。

○藤井委員 二〇二〇年代後半ということでございますので、ちょっと時間がかかり過ぎているのかなと率直に思います。
 プラント、施設の更新に合わせて今後どうしていくかということで、そういった若干の時間の検討が必要だというお話であることは理解できますけれども、スピーディーにご検討いただきたいと思っています。
 先ほど来、黒字というお話がありましたけれども、やっぱり幾ら黒字であっても、じゃあ東京都がやるべきなのか、行政がやるべきなのかというのは、また別の話だと思っていまして、行政で直接やるべきものでないことであれば、幾ら黒字であったとしても、それは民間に任せるべきなのかなということを率直に思いました。
 水力発電に関して、東京都がやる意義として、電力の安定供給と、そしてクリーンエネルギーの創出という二点を述べられておられましたけれども、この点についても、民間にこの経営を委ねていく範囲を広げたとしても、これは民間でもできることだと思いますので、先日、下水道事業に関してちょっとコンセッション、慎重にご検討いただきたいという旨を申し上げましたけれども、この電力事業に関しては、やはり東京都としての役割から民間に委ねていくという部分をどんどんふやしていくべきだというふうに思っていますので、ぜひご検討をいただきたいと思います。
 現状、二十三人の職員さん、監理団体の職員さん五人が関与をされている、投入されている事業ということでもありますので、この点は、ぜひ検討の二〇二〇年代後半というところまで待たずして、一定の方向性を出していただけますように要望をいたしまして、私から要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○清水委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時二十分開議

○清水委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○おときた委員 私からは、都営交通における混雑緩和対策、オリンピック・パラリンピック東京大会時の終夜運転、都営交通協力会についてと、三つのテーマで質問させていただきます。
 まず初めに、時差ビズの取り組みについてです。
 小池知事が満員電車ゼロを公約に掲げてから一年半が経過をいたしました。その間、さまざまな取り組みがなされてきたものの、残念ながら都民の実感としては混雑が緩和されたとは感じられていないのが現状ではないかと思います。そこで、PDCAサイクルを健全に回していくために、これまでの施策を検証していくことは欠かせません。
 満員電車での混雑緩和のために行われた代表的な取り組みが時差ビズでありますが、まずこの時差ビズにおける都営交通としての取り組みについてお伺いをいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーにおきましては、時差ビズ期間に合わせまして、各駅の朝のラッシュにおける時間帯別の混雑状況を見える化し、駅構内のポスターやホームページにおいて公表をいたしました。
 また、大江戸線都庁前駅、三田線巣鴨駅及び日暮里・舎人ライナーにおきまして最混雑時間帯を避けて利用し、駅に設置した専用端末にIC定期券をタッチされたお客様にポイントを付与し、抽せんでトースターなど朝活応援家電を提供する取り組みを実施するとともに、加えまして、希望者に対し、喫茶店や都庁内の職員食堂で使える割引クーポンも発行いたしまして、オフピーク通勤を促したところでございます。

○おときた委員 啓発活動のほかに、具体的には、ICカードをタッチした方にポイントを付与する施策、こちらが講じられていることがわかりました。それに応じて抽せん企画も実施されたということで、このどちらについても正確な数値がとれていると思います。
 そこで、この朝活応援・時差ビズキャンペーンにおける各路線駅でのタッチ回数、クーポンの発券枚数及びキャンペーンへの応募件数についてお伺いをいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 平成二十九年七月十一日から二十五日までの平日十日間のタッチ回数は、都庁前駅約二千回、巣鴨駅約三千回、日暮里・舎人ライナー約五千回の合計約一万回でございます。割引クーポンにつきましては約二千枚発行しております。
 また、景品の抽せんにつきましては、二百二十五人の当せん者枠に対しまして約千人の応募がございました。

○おときた委員 タッチ回数が合計一万回、そして抽せんの応募者数は千名と、数字だけを見るといささか少ないのではないかと感じられます。特に抽せんを見ますと、二百二十五名に当たったわけで、応募者が千名という状況ですから、四人に一人当たっているわけです。私も頑張って集めて応募すればよかったなと思うんですけれども、応募者側からすると、当せん確率が高くてこれは非常によいわけですけれども、施策を仕掛けた側としての費用対効果が低いということになります。
 そもそもこの専用端末へのタッチ回数については、事前に目標値が設定されていたのかどうかをお伺いいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 時差ビズキャンペーンは、企業と鉄道事業者などが連携して、快適通勤ムーブメントの輪を広げていくことを目的に実施しておりまして、タッチ回数につきまして具体的な数値目標は設定しておりません。

○おときた委員 ここが問題なんですね、数値目標を設定していないと。これまでも多くの場面で指摘をしてまいりましたが、民間企業であれば、予算を投じてこうした施策を実施する際、数値目標を立てて行うことが全ての前提です。そうでなければ、目標管理や結果の振り返りなど、冒頭に申し上げたPDCAサイクルというものをきちんと回すことができません。
 というわけで、残念ながら数値目標が前提にはなかったわけでありますけれども、今回の時差ビズの取り組みとその実績について、交通局としてはどのように評価をされているのか、局の所見をお伺いいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 今回行われました時差ビズの取り組みにつきましては、時差出勤やテレワークの実施など、民間企業や団体の協力も得ながら、当局を初め鉄道各社が工夫をしてさまざまな取り組みを一斉に展開したものでございまして、調査によれば、約七割の方が時差ビズを認知しているとの結果が得られております。
 また、当局が実施いたしました朝活応援・時差ビズキャンペーンにおきましても、平日十日間で延べ約一万人の参加がございまして、オフピーク通勤の機運醸成に向け一定の寄与ができたものと考えております。

○おときた委員 あれだけ宣伝されていましたから、ポスター等も見た方も多いですし、全く効果がなかったということはないと思います。ただ、結果として一万人の参加があったから効果があったんだろうということでは、やっぱりその数値の裏づけがないので、感覚的なものになっているということが否めません。とりあえずやってみたら何人が利用した、そして感覚的に効果があった、なかったということではなくて、ICカードなどの技術で、数値の把握が容易になったんですから、今後は、きちんと数値目標を設定することが最低限必要なことではないでしょうか。
 時差ビズについては、次年度も引き続き同種のキャンペーンがなされると聞いておりますので、事前に数値目標を設定し、事後にはその検証が数値に基づいてなされることを強く求めておきます。
 次に、混雑率の把握状況について伺います。
 混雑率緩和対策を講じるに当たり、現状をできる限り正確に把握することが必要となるわけですが、現在、都営交通の時間別混雑率はどのようにしてデータを取得されたのかを伺います。

○相川電車部長 今回公表いたしました都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナー各駅における朝ラッシュ時間帯別の混雑状況につきましては、担当職員が調査したデータをもとに作成したものでございます。

○おときた委員 現状では、朝ラッシュの時間帯のみ、担当職員の方が人力で調査を行っているということがわかりました。こうした混雑率のデータをより正確に、客観的に把握する方法として、車両の重さではかる方法がありますが、この手法の都営交通への導入可能性と見通しについて所見を伺います。

○野崎技術調整担当部長 混雑率を車両の重さで算出するためには、車両の重量を計測し、混雑率に変換した上で、そのデータを収集、蓄積する必要がございます。そのためには、車両の大規模な改修等が必要となり、現時点での導入は困難でございますが、今後、車両の更新等に合わせた導入について検討してまいります。

○おときた委員 車両を新たに更新する際には導入を検討されるということですが、まだかなり時間がかかるかなという印象です。なかなか、この目的のためだけに車両を更新するというのも難しいものと思いますが、更新が必要となった際には、順次導入していただき、データの蓄積を順調に進めていってほしいなと感じます。
 さて、やはり今行っている時差ビズキャンペーン等の施策だけでは、混雑緩和を劇的に進めることはできないのではないかと率直に感じています。混雑緩和のためには、より大胆で思い切った施策が必要です。
 そこで、かねてから私が提言しておりますのが、時間差別運賃の導入です。混雑時間帯と、そうでない時間帯で乗車賃に差をつけることで、利用者に混雑時間帯を避けるインセンティブを付与することができ、シンガポールなどでは、実際に導入されて一定の成果が上がっていることは、さきの本会議でも鈴木邦和都議が指摘をしたとおりです。
 あるいは、そこまで一足飛びには難しいとしても、京王線などでは、有料座席指定列車を導入するなど、やはり金銭的なインセンティブを付与する試みの一つが行われています。こうした時間差別運賃の導入や座席指定列車の導入について、都営交通への導入への可能性について所見をお伺いいたします。

○相川電車部長 混雑緩和を図ることを目的に、委員ご提言の時間差別運賃を導入し、朝ラッシュ時間帯の運賃を高く設定することは、通勤費が主に企業の負担であり、お客様自身がオフピークに通勤するインセンティブが働きにくいこと、鉄道ネットワークを形成している事業者全体で実施しなければ効果が極めて限定的であることなどから、現時点で時間差別運賃を導入する考えはございません。
 次に、有料の座席指定列車についてでございますが、朝夕ラッシュ時等における長距離利用のお客様をターゲットに、他の事業者において導入が進められております。
 交通局が座席指定列車を導入するためには、需要を十分見定める必要があるとともに、車両の確保やダイヤの設定、座席予約システムの構築など、さまざまな課題があると考えております。

○おときた委員 時間差別運賃については、現時点で実施する考えはございませんと力強い答弁をいただいたわけですけれども、通勤費が企業負担だから、インセンティブが働きにくいという見解には、これは違和感があります。時差ビズキャンペーンも、実際に多くの企業に対して協力を働きかけているわけですから、企業側にメリットを感じてもらって、協働して参画してもらうという、そういう意識が必要ではないでしょうか。
 事業者全体でということでも、こちらを待っていたら、いつまでたっても導入なんてできません。実験的にでも都営交通からやってみる、満員電車を本当にゼロにしようとするのならば、それぐらいのチャレンジ精神が不可欠であると私は思います。
 座席指定列車についても、もちろん答弁のような課題もあると思います。ただ、本当に時差ビズキャンペーン、こういった今やっている施策で混雑緩和ができるのか、満員電車ゼロが達成できるのか、そういった危機意識は、ぜひ強く持って今後取り組んでいただきたいと意見を述べまして、次のテーマの質問に移ります。
 次に、オリンピック・パラリンピック開催時の終夜運転の可能性について伺っていきたいと思います。
 先般、私も、平昌五輪開会式を視察に伺ったのですが、開会式後の輸送は大混乱、さらにはシャトルバスが行き着いた先の駅では終電がなくなっているという事態が発生しておりました。もちろん東京大会は平昌と違って都心で行われるため、終電がなくなったからといって宿泊先に全くたどり着けなくなるようなことはないかもしれません。
 しかしながら、利便性や、外国人観光客がナイトライフ観光を楽しむ意味も含めて、五輪開催期間中、あるいは少なくとも開会式の日は、都営交通の終夜運転ができないものかと感じています。
 そこでまず、実際に終夜運転をされているケースとして、都営地下鉄における大みそかから元旦にかけての終夜運転について、運行本数と利用状況についてお伺いをいたします。

○相川電車部長 都営地下鉄各線における今回の終夜運転につきましては、三十分から六十分間隔で運行を行い、各線合計の運行本数は六十八本、乗車人員は約六万人でございました。

○おときた委員 なかなか多くの方が利用されているのだなという印象でございます。こうした終夜運転については、保守点検が犠牲になることから実施が難しいといわれています。
 それでは、これらの都営地下鉄の大みそかの終夜運転の際には、点検等安全性確保のための取り組みはどのように行われているのかをお伺いいたします。

○塩田安全管理担当部長 鉄道事業におきましては、安全で安定的な輸送を確保するため、法令に定められたトンネルや線路などの検査、点検業務を初め、維持補修等の保守作業を行ってございます。
 都営地下鉄では通常、終電から始発までの送電が停止されているおおむね午前一時半から午前四時までの限られた時間内に、レールや枕木の交換を行うとともに、列車などに電力を供給する設備や、列車の運行を制御する信号保安設備などの機能を維持するための作業を行っているところでございます。
 大みそかの終夜運転時につきましては、こうした必要な保守点検作業を計画的に前後の日程に振り分けるなどの調整を行ってございます。

○おときた委員 大みそかから元旦にかけては、あくまで一日限りなので、前後の日程に分散して何とか対応できるということかと思います。これがある程度の連続日数となると、どこまで対応できるのか難しい部分もあると思いますが、やはり大会開催期間中については、あらゆる可能性を模索する意義があるのではないでしょうか。
 そこで、現時点における大会会場やホテルなどの周辺を走る都営バス、都営地下鉄の終夜運転の導入可能性について、局の認識をお伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 組織委員会と東京都が輸送の方針を示した輸送運営計画V1では、観客輸送につきまして、駅から競技会場までの距離が長く、徒歩でのアクセスが困難な場合を除き、ほとんどの移動で鉄道の利用を想定しております。
 交通局では、都営バスにつきましては、徒歩圏内に鉄道駅がない競技会場へのシャトルバス運行を検討しておりますが、この競技は日中に終了することとされているため終夜運転を行う予定はございません。
 一方、都営地下鉄におきましては、一部の競技において、競技終了時間が深夜時間帯に及ぶものとされていることから、深夜時間帯の観客輸送を想定いたしまして、組織委員会や他の鉄道事業者と緊密に連携しつつ、終電時刻の繰り下げ等について検討を進めているところでございます。

○おときた委員 こちらは以前にオリ・パラ委員会の方でもご答弁があったと記憶をしておりますけれども、一部の日程では、終電時刻の繰り下げが検討されているとのことでした。繰り下げをすると、終了時刻は二時か三時ということになりますから、それであれば、終夜運転をされた方が使う側にとっては利便性が高いのかなと感じます。
 また、冒頭から意見を述べているとおり、競技終了後の帰路の手段というだけではなく、大会開催中の交通機関は、東京でナイトライフ観光を楽しむ方々の交通手段ともなり得ます。そうした観点から、必ずしも競技に関係ないルートで運行されている都営バスなどについても、臨時で深夜便を運行することも検討に値するのではないかと思います。
 こうしたさまざまな観点から、東京大会の成功に都営交通が寄与していただけるよう検討を進めていただくことを要望いたします。
 次の、最後のテーマとして都営交通協力会についてお伺いしていきます。
 この都営交通協力会は、外郭団体ではない民間事業者であるものの、交通局が特命随意契約で多くの契約を交わしており、そのあり方がこれまでも議会、委員会で何度も課題として指摘されてきたところでございます。
 そこでまず、この一般財団法人東京都営交通協力会とはどのような団体であるのか、また、監理団体などのように都が指導監督することができる団体なのかを、確認のためお伺いいたします。

○土岐総務部長 東京都営交通協力会は、都民及び都営交通利用者の安全の確保、利便性及び快適性の向上を推進する事業などにより、都営交通事業の使命達成に協力し、もって、首都東京の交通事業の健全な発展などに寄与することを目的とする一般財団法人でございます。
 この協力会は、昭和十八年、東京都交通局の前身でございます東京市電気局の局長及び後に東京都知事を歴任されました安井誠一郎氏が私財二万円を基金として出捐し設立した法人であるため、交通局との間には、いわゆる出資関係はございません。
 そのため、協力会は、都が全庁的な指導監督を行う団体として位置づけております監理団体には該当いたしませんが、都営交通の事業を支えるパートナーであり、効率的な役割分担のもと、交通局と一体的な事業運営を行っている団体でございます。

○おときた委員 ご答弁のように、歴史的な背景から、交通局との間に出資関係はなく、外郭団体、いわゆる監理団体には該当しないということなんですが、それでは都営交通協力会の財務状況について、受託事業と収益事業の内訳、局資産の提供状況などについての現状をお伺いいたします。

○土岐総務部長 協力会の財務状況について、平成二十八年度における経常収益では百九億余円、経常費用は百四億余円を計上し、差し引き四億余円の黒字でございます。このうち、地下鉄等の駅業務や清掃業務、定期券発売所における乗車券販売業務などを行う受託事業は、収益六十一億余円、支出六十億余円を計上し、差し引き一億余円の黒字でございます。
 また、駅構内における売店の運営など、交通局の資産を活用して行う収益事業は、収益四十七億余円、支出四十三億余円を計上し、差し引き三億余円の黒字でございます。
 一方、交通局では、所有する土地建物や駅構内の売店スペース等を協力会に貸し付けており、交通局が受け取る賃貸料等は十八億余円となっております。

○おときた委員 このように、交通局が所有する土地や売店スペースなどを活用して、かなりの規模の事業を行ってきておりまして、こうした事業のかなりの割合を交通局と契約するものがもちろんのこと占めており、その関係性の強さが指摘をされてきたわけではございますが、それでは、都営交通協力会との各種契約状況について、都からの支出額、件数、そのうちの特命随意契約の割合、委託内容とその性質、つまり特命随意契約となり得る理由について教えてください。

○土岐総務部長 協力会に対する平成二十八年度の交通局からの支出額は、総額で約六十八億円、件数は三十三件で、ほぼ全てが特命随意契約となっております。
 交通局では、協力会に対し、地下鉄等の駅業務や車両等の清掃業務、定期券発売所における乗車券販売業務、広告媒体の管理、掲出業務などを委託しており、これらについては、業務に精通し、交通局に準じた履行能力が求められるとともに、安全やセキュリティーを確保するため特命随意契約としております。

○おときた委員 交通局からは総額で六十八億円もの支出がされており、しかもそのほぼ全てが特命随意契約、競争性が働いていない状況なわけですね。安全やセキュリティーにかかわりのある分野については、特命となる理由も理解できなくない部分もありますが、駅ナカの購買店や飲食店などについては、なぜ特命随意契約で協力会を指名する必要があるのか、これはかねてから強く問題視されてきたところでもありまして、私も同感です。
 例えば、大阪でも、改革の一環として、市営地下鉄の購買店を一般のコンビニエンスストアにしたんですが、品ぞろえなどのサービスが格段に向上いたしました。
 このように、特命随意契約ではなく競争入札にするべきもの、できるものが多く散見されると私は考えておりまして、その中で今回は、交通局の事務所食堂などにおける給食業務の委託について指摘をしていきたいと思います。
 まずは、都営交通協力会が特命随契で指定した給食業務の委託の契約について、特命随契を結んだ理由を初め契約の内容についてお伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通局では、泊まり勤務など不規則勤務の職員に対して、早朝時間帯などにも食事を提供できるよう、地下鉄庁舎や自動車営業所などに厨房設備を備えた食堂を設置しております。
 給食業務の委託は、十九カ所の事業所の食堂において、指定する時間帯に職員に有償で食事を提供するものでございます。業務を履行するに当たりまして、受託者には、職員の不規則勤務に対応して、早朝から長時間、不定期な食事時間にあっても食事を提供できるよう調理人を確保すること、また、災害時等には、局の指示に基づき食事を提供できることなどが求められるものでございます。このほか、交通局施設内での業務であるため、事業に支障を来さないよう、局業務をよく理解し、安全の確保に十分配慮することも必要でございます。
 これらの理由から、局事業に精通し、局と一体となって安定的に業務を行える東京都営交通協力会と特命随意契約を締結しているものでございます。

○おときた委員 ご答弁のように、さまざまな時間帯に対応して、常に安定して食事が提供できるように努めなければならない、このことが特命随意契約の大きな理由の一つとなっているわけですね。
 では、まず、あらかじめこの契約について、仮に稼働できない際には違約金等が発生する契約になっているのかどうかを確認いたします。

○渡邉職員部長 給食業務の委託については、単価契約方式を採用しており、毎月の営業日数の実績に応じて委託料を支払うこととしております。このため、仮に食堂が一時的に稼働できず、営業日数が予定営業日数に満たないとしても、局は履行実績に見合った額のみを支払うものでございまして、違約金は発生いたしません。

○おときた委員 予定どおりに稼働はしなくても、違約金などのペナルティーはないとのことでした。
 今、仮に予定営業日数を満たさないとしてもというご答弁ありましたけれども、何がいいたいのかと申しますと、現在、品川など、数カ月以上も食堂が実際に稼働していない営業所があるんです。都営交通協力会のホームページに行くと、ずっと事業者募集のお知らせが載っています。さまざまな時間帯や災害時にも安定して食事を供給できることが重要としながら、そもそも通常時における今ですら、営業すらできていないのでは、これは問題ではないでしょうか。
 品川以外にも、各事業所の稼働実績について詳細を教えてください。

○渡邉職員部長 平成二十九年度における各事業所の稼働実績についてでございますが、一日も営業しなかった月のある事業所は、本年二月末時点で、全十九カ所のうち四カ所でございます。
 具体的には、委員からお話のありました品川自動車営業所では計六カ月、千住自動車営業所では計八カ月、巣鴨自動車営業所では計二カ月、北自動車営業所では計一カ月、それぞれ食堂を休業しております。なお、それ以外の十五カ所では年間を通じて食堂を営業しているところでございます。

○おときた委員 ご答弁では、今現在十九カ所のうち四カ所もの箇所で稼働できていない、稼働していない食堂があります。長いところでは八カ月、もうすぐ休業状態が一年にもなろうかとしているわけですね。これはやはり大きな問題ではないでしょうか。
 都営交通協力会の役割は、ホームページにて食堂で勤務する給食業務責任者を募集しているように、実際に食堂で料理を提供するのは別の人で、管理運営をやっているだけです。しかもそれが、もはやまともにできていない。民間の食堂運営会社が幾らでもある中で、どうして都営交通協力会に委託を続けているのか、率直にいって私は理解に苦しみますし、多くの都民も、この実態を聞けば納得いただけないと思います。
 このような都営交通協力会が、特命随契を結ばなければならないほどの適切な事業者であるのか、特にこの給食事業について、局の所見をお伺いいたします。

○渡邉職員部長 これまでも協力会は、職員の不規則勤務に対応して、早朝から長時間、不定期な食事時間にあっても食事を提供しているほか、東日本大震災の際には、近隣の小売店で食料品等が品薄となる中、営業を継続し、都営交通の安定運行の確保に貢献するなど、受託者としての役割を的確に果たしております。
 仮に、競争性のある契約方式により他の事業者に委託することとした場合には、不採算等による契約解除により、全事業所における食事の供給に支障が生じ、また、局施設の安全の確保ができないおそれもございます。
 これらの理由から、局事業に精通し、局と一体となって長期にわたって安定的に業務を行える団体である協力会は、特命随意契約の相手方として適当であると考えております。
 なお、一時的に食堂が稼働できない場合には、速やかに代替の調理人を確保するよう協力会に求めてまいります。

○おときた委員 何回聞いても、相手方として適当という見解は覆されないと思いますので、質疑はここまでにしておきますけれども、今、東日本大震災のときの対応などが例に出されました。そのときの対応については、確かにすばらしいものがあったかもしれません。ですが、そもそも今、通常時にまともに営業ができていないのであれば、やはりこれはもうそれ以前の問題ではないでしょうか。
 競争性のある契約方式では食事の供給に支障が生じるという理由についても、現時点でもう既に生じているわけですから、全く説得力がありません。加えて、局施設安全確保ということもおっしゃられましたけれども、私も実際に品川の営業所、見てまいりましたが、特定の組織でなければ安全性に懸念が生じるような複雑な施設であるとは、私は思いませんでした。事業者側が給食事業者にしっかりとレクチャーを行って、非常時の対応などについても認識を合わせておけばよいのじゃないか、そのように私は思います。
 この給食事業の業務の委託における特命随意契約には、合理的な理由が一切なく、既に複数の事業所で休業状態が発生していることから、これは問題が極めて大きいと改めて申し上げます。
 また、数カ月以上にも及んで給食事業者が見つからない状況からして、都営交通協力会側の管理体制に何らかの問題がある可能性もあり、発注者の交通局としては、いま一度、現状を一から精査し直す必要があるとも考えます。
 本件については、現状が改善されるまで、今後も強く指摘を続けていくという旨を申し上げまして、私の質問を終わります。

○もり委員 交通局関連について、都営バス等におけるバリアフリー化の推進と環境の視点から質問させていただきます。
 先日の委員会で契約報告がありましたフルフラットバスの導入についてお伺いいたします。他の委員からも指摘がございましたが、一部重複するところがありますが、質問させていただきます。
 都営バスのバリアフリーの取り組みとしては、現在約千五百台の全ての路線バス車両にノンステップバスが導入されており、全国の導入率から見ても進んだ取り組みをしていただいておりますが、後方には段差があり、乗客が段差の前に滞留してしまう状況があります。そこで、今回導入予定のフルフラットバスは、路線バスとして日本で初めて導入されるものとして期待をされております。
 ヨーロッパで普及しているもので、後方まで段差がなく、より安全な車両とのことで、高齢者の方、車椅子利用者、私も当事者であるベビーカー利用者にとっても、公共交通におけるバリアフリー化の推進として、とても望ましいことであると感じております。
 先日の委員会で契約報告がありましたが、フルフラットバスの導入に向けた現在の進捗状況と運行開始に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○根木自動車部長 先日の委員会でご報告させていただきましたとおり、昨年十一月にフルフラットバス二十九両の購入契約を、スウェーデンの自動車メーカー、スカニア社の日本法人であるスカニアジャパンと締結いたしました。
 今回、国内において初めてフルフラットバスを導入いたしますことから、ブレーキ性能や排出ガス等が国内の法規に適合しているか確認する必要があり、現在、試験車両を生産して性能試験を行う準備を進めております。
 この結果を国土交通省へ届け出て認定を得た上で、車両を生産し、国内で走行するための諸手続を経た後、乗務員や保守職員の習熟研修を十分に行い、年内には運行を開始する予定でございます。

○もり委員 海外メーカーとの日本初の車両を作製するものという先ほども答弁がございまして、実際に営業投入するためには、さまざまな検証等が必要かと思います。
 先日、平昌オリンピックが閉幕をし、いよいよ次は東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックです。安全で利用しやすい公共交通のバリアフリー化、ユニバーサルデザインが求められております。
 フルフラットバスのさらなる拡大に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○根木自動車部長 フルフラットバスにつきましては、営業開始後のお客様の意見などを車両の仕様等に反映させながら、平成三十一年度以降も順次導入していく予定でございます。
 フルフラットバスの導入拡大に当たりましては、価格が高いことや、それに見合う国の補助制度がないといった課題がございます。このため、都営バスが運行実績を積みながら、国に補助制度の確立を求めていくとともに、フルフラットバスのすぐれた点を積極的にPRすることで、他のバス事業者の導入意欲を高めてまいります。あわせて、国内の自動車メーカーにも生産を促し、車両価格の低減につなげてまいります。
 こうした取り組みにより、フルフラットバスの導入拡大を図ってまいります。

○もり委員 今回は、ヨーロッパでも普及しているスウェーデン製、スカニア社のフルフラットバスですが、今後の導入拡大に向けては、日本の誇る製造業の技術がバリアフリーの推進に寄与するよう、ぜひ国内メーカーにも積極的に働きかけていただき、国産のフルフラットバスの製造が進むこと、また、東京大会の際には、東京から、すぐれた、人に優しい公共交通を世界に発信していただきたいと願っております。
 交通局は、経営計画で、誰もが円滑に利用できる新たなバスモデルを提示していくとしていますが、フルフラットバスは、東京から新たなバスモデルを発信する上で重要な一つであり、効果的に活用すべきだと考えております。
 フルフラットバスをどのような路線に活用していくのか、所見をお伺いいたします。

○根木自動車部長 フルフラットバスは、車内後方の通路の段差を解消したことにより、高齢者を初め誰もが車内後方まで移動しやすくなるとともに、前方での混雑が緩和され、快適通勤にも寄与することが期待されます。
 こうした車両の特徴を生かせるよう、高齢者が多い路線や車内が混雑する路線のうち、まずは、フルフラットバスをより多くのお客様や都民にPRできるよう、都心部や主要幹線道路を運行する路線等への導入を考えております。

○もり委員 ありがとうございます。高齢者はもちろん、自身もバスに乗る際など、ベビーカーなどで大変肩身の狭い思いも感じておりますので、そういった子育て世代が多いエリアなど、さらに検討していただきたいと要望させていただきます。
 先日、都議会視察団で、平昌オリンピックを視察してまいりました。競技場周辺の混雑を抑制するため、競技場周辺には、一般車両の進入が規制され、拠点となる巨大駐車場が整備をされ、そこでシャトルバスに乗り継いで大会会場に向かうのですが、マイナス十八度にもなる環境の中で、閉会式終了後は、シャトルバス乗り場に多くの人が大挙して、円滑にシャトルバスに乗ることができず、寒い中で、一時間以上も立ち尽くす幼い子供を連れた親子の姿も見られました。
 平昌五輪においては、寒さ対策は重要であり、まちの至るところにスタンド式のヒーターが設置をされておりましたが、東京五輪においては、厳しい暑さが予想されております。ぜひ、五輪部局とも連携をしながら、バス停などの暑さ対策に取り組んでいただきたいと要望いたします。
 東京二〇二〇大会に向けても、改めて会場までの円滑な公共交通インフラの充実が重要であると実感をする中、都内においては、地下鉄、鉄道も整備をされ、交通インフラは充実しておりますが、バリアフリーの視点から見ると、まだ十分とはいえません。
 都内において、都営線では、全駅で一ルートが整備をされているものの、乗り継ぎが予想されているJR線などにおいては、いまだにエレベーターが一基も整備されていない駅があり、自身も駅員さんにお願いをして、ベビーカーを一緒に運んでいただいたり、タクシーで次の駅まで行ったりと、とても困った経験がございます。ぜひ他の鉄道事業者とも連携をしながら、ホームドアの設置やバリアフリーを推進し、誰もが利用しやすい公共交通ネットワークの充実を願い、次の質問に移ります。
 環境先進都市東京の実現を目指して、水素社会の先導役と期待をされる燃料電池バスの導入について質問させていただきます。
 走行時にCO2を排出せず、排出するのは水だけという水素エネルギー自動車、燃料電池バスは、水素と酸素の化学反応によって発電をした電気エネルギーによって走る究極のエコカーとも呼ばれております。
 東京都は、水素社会の実現を目指し、全国初となる燃料電池バスの導入を行い、昨年三月より、東京駅からビッグサイト間の運行をスタートして約一年が経過しました。二両の燃料電池バスを導入して約一年たちますが、その評価をお伺いいたします。

○根木自動車部長 交通局では、昨年三月に燃料電池バス二両を導入し、市販車としては国内で初となる営業運行を行ってまいりました。走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しない上、お客様からは、非常に静かで快適であるとの評判を得ております。また、動力である燃料電池や水素タンクといった主要箇所での故障は発生しておらず、乗務員からも、運転しやすいとの感想が寄せられております。
 一方で、燃料費が通常のディーゼルバスの二倍以上かかることや、現在、バスに充填できる十分な能力を持つ水素ステーションは、都内には有明の一カ所しか整備されておらず、この水素ステーションが定期点検等により休止した際には、バスの運行に支障が生じるといった課題が明らかとなりました。

○もり委員 ありがとうございます。快適な乗り心地で、乗客からは評価が高い一方で、燃料費がディーゼルバスの二倍かかるという課題があるとのことです。
 水素の価格低減には、大量に水素を提供する環境をつくることが重要であり、そのためには燃料供給地となる水素ステーションの拡充や水素自動車の普及は欠かせないと考えます。
 特に、公共交通であり、水素を大量に使うバスの導入拡大が期待されますが、都営バスにおける燃料電池バスの今後の導入計画についてお伺いをいたします。

○根木自動車部長 燃料電池バスにつきましては、平成二十八年度に二両、今月末までにはさらに三両を導入し、計五両となります。燃料電池バスの導入拡大には、バスに充填可能な水素ステーションの整備が不可欠であり、その整備状況を踏まえながら、来年度は新たに二十五両を導入し、東京二〇二〇大会までに最大で計七十両の導入を目指してまいります。

○もり委員 現在、都内にある水素ステーションは十四カ所、目標では、二〇二〇年までに三十五カ所を整備するとしておりますが、一般車はさておき、その全てがバスに対応できるわけではありません。民間が主体となって設置している水素ステーションですが、東京都の燃料電池バス導入計画と連動した水素ステーション設置の拡充が求められると感じます。
 また、本当に環境に優しい燃料電池バスとなるためには、水素を生み出すための電気が何に由来するのかも大変重要です。ぜひ環境に優しい持続可能な都市交通となるよう、クリーンエネルギーの拡大とも連携した取り組みとなるよう願っております。
 環境先進都市東京として、水素社会の実現を目指す東京都ですが、都民にとって、水素エネルギーは、まだまだ身近なものとは感じられない現状があります。
 さまざまな機会を捉え、燃料電池バスをPRしていただきたいと考えますが、所見をお伺いいたします。

○根木自動車部長 都営バスが燃料電池バスを率先して導入していることは、お客様や都民に、東京都が目指している水素社会をより身近に感じていただくことにつながると考えております。また、都営バスが安定した営業運行の実績を積むことで、他のバス事業者の導入意欲を高めることができると考えております。
 こうしたことから、他都市やバス事業者等の視察にも積極的に対応してきたほか、他県が開催した水素社会の実現に関する講演会に出席して、燃料電池バスの運行実績等を報告いたしました。
 さらに、昨年夏には、親子を対象とした燃料電池バスツアーを実施するなど、先導的に導入した事業者として普及に向けたPRに努めてまいりました。
 来年度につきましても、他都市等からの視察に積極的に対応するとともに、都内で開催される国際会議の場で体験試乗会を実施するなど、さまざまな機会を捉えて燃料電池バスのPRに努めてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。ぜひ多くの都民の方にとって身近に感じられる機会をふやしていただくようお願いいたします。
 次に、地元大田区に車両基地があります都営浅草線の新型車両について質問させていただきます。
 二〇二〇年に開業六十周年を迎える浅草線の目玉ともなる車両のリニューアルが予定をされております。浅草線の新型車両は二十年ぶりとのことで、五五〇〇型の導入が期待をされております。浅草線新型車両のデザインの特徴についてお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 浅草線の新型車両は、羽田、成田両空港を結ぶ浅草線の特徴を生かし、日本らしさとスピード感をコンセプトとしております。外観につきましては、国際的にも日本のイメージとして一般的であり、かつ浅草線沿線とゆかりのある歌舞伎のくま取りを現代風にアレンジし、りりしく躍動感のあるデザインとしております。
 内装につきましては、壁面に和紙風の柄を用いるとともに、座席の背もたれ部に寄せ小紋をあしらい、カーテンには、みこしや花火等、沿線由来のイラストを施すなど、落ちつきのある和の雰囲気の中に遊び心がある空間デザインとしております。

○もり委員 ありがとうございます。一見すると、子供たちが大好きな戦隊物のヒーローのようなデザインですが、日本らしさとスピード感がコンセプトとのことで、ぜひ東京二〇二〇大会の際にも、多くの国内外からの観光客の皆さんに浅草線を利用していただき、日本らしさを感じていただければと思います。
 次に、デザインのみならず設備面でも、日本のおもてなしを感じていただけるバリアフリーや多言語対応等の視点が求められます。
 浅草線新型車両の車内整備面の特徴についてお伺いをいたします。

○野崎技術調整担当部長 浅草線の新型車両につきましては、各車両に車椅子スペース、またはベビーカーなどにも配慮したフリースペースを設置するほか、低いつり手や荷物棚を設置するなど、バリアフリーに十分配慮した、人に優しい車両としております。
 また、一人当たりの座席の幅を既存のものより十五ミリメートル広くするとともに、多言語に対応した液晶モニターの設置や、空調装置に空気清浄機能を追加するなど快適性の向上を図るほか、防犯カメラを各車両に設置するなど、一段の安全性の向上にも努めております。

○もり委員 ありがとうございます。先日、平昌オリンピックで伺ったソウルでも、会場からソウルへの鉄道車内のモニターでは、多言語での文字と音声での駅名や乗りかえ案内があり、観光客でも安心して利用することができました。ぜひ誰もが利用しやすい、人に優しい公共交通の取り組みをお願いいたします。
 次に、この新型車両について、営業開始に向けた現在の状況と今後の予定をお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 浅草線新型車両は、既に一編成が馬込車両検修場に搬入され、組み立て整備を終えており、現在は、機器の試験調整等を実施しているところでございます。今後、本線における試験運転を実施しつつ、乗務員への教習訓練を終えた後、営業運行を開始する予定でございます。
 また、その後につきましては、平成三十年度中に、さらに七編成を更新するとともに、平成三十三年度末までに浅草線の全二十七編成をこの新型車両に置きかえる予定でございます。

○もり委員 都営浅草線の新型車両の導入は、地元はもちろん多くの鉄道ファンの皆様に期待されていると思います。また、二〇二〇年に六十周年を迎えるに当たり、例えば、車両基地を公開して、新型車両を身近に触れ合う機会をつくるなど、地元や鉄道ファンを初め、多くの都民の方に浅草線の魅力を知っていただくための取り組みを進めるべきだと感じます。
 こうした視点から、浅草線の新型車両について積極的にPRをしていくべきだと考えますが、交通局の取り組みをお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 新型車両導入のPRにつきましては、これまでもデザイン案の公表や、昨年十二月に馬込車両検修場で実施した都営フェスタで車両のお披露目を行い、多くのメディアに取り上げられております。また、ユーチューブでの新型車両搬入動画の配信、都政広報番組での紹介なども適時実施してまいりました。
 今後は、都営交通の情報発信プロジェクトであるPROJECT TOEIの一環として、歌舞伎役者を起用して馬込車両検修場で撮影したPR動画を車内液晶モニターや局ホームページで配信するなど、積極的な広報に努めてまいります。

○もり委員 浅草線の新型車両については、デザインを工夫し、設備も車椅子スペースやベビーカーのフリースペースもふえ、バリアフリーや快適性に配慮したことをとても評価をしております。多くの方に利用していただけるよう、ぜひともさまざまな機会を捉えて積極的にPRをしていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

○中山委員 最初に、先ほどおときた委員からありました時間帯別料金、いわゆる混雑対策について、ちょっと意見を申し上げたいと思います。
 私も、推進には賛成でございまして、シンガポールではやっているということでしたよね。ただ、課題は、やはり多摩モノレールも、日暮里・舎人ライナーも通勤客が多いわけですね。通勤手当の収入が多くて、日中が比較的あいていると、すいているといいますか、そういう状態で、先ほどの話にございましたけれども、会社側が交通費を払っているという中で、インセンティブとして、どれだけメリットがあるかということなんですけれども、シンガポールの事例をよく検討していただいて、通勤制度というのが、通勤手当制度というのがあるのかどうかということも含めてですけれども--ないのかな。ちょっと答弁して--答弁しちゃいけないの。自由に発言していただいて結構ですから、何かありましたら。

○清水委員長 いや、指名させてもらいますので。

○中山委員 それで、そういうあたりよく検討していただいて、何が課題なのかも含めてご検討いただければと思います。
 そういう意味で、会社側としてもメリットがあるということになれば進んでいくんじゃないかと思いますので、よろしくお願いします。
 ただ、通勤手当、本当に難しいですよね。時間帯によって値段が違うとなった場合、どういうふうに設定するのかということなんです。そういうあたりもよくご検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。じゃあ答弁は、何かご遠慮されているようなので要望だけにとどめさせていただきます。
 それでは、本日は、都営バスの赤字対策と都営地下鉄のバリアフリー化、特にトイレ施設の改善について取り上げて質問させていただきたいと思います。
 経営努力を続けていることは大変高く評価しているわけでございますけれども、現状としては、バス路線の約三分の二が赤字という大変厳しい状況があります。赤字路線であっても地域の方々の暮らしを支える大事な足でございまして、例えば、赤字路線の中では最も厳しい状況ということで指摘もありましたけれども、地元に里48系統という路線がございます。かつてはバス路線は混雑が激しかったんですけれども、日暮里・舎人ライナーの開通に伴いまして、バス路線の方は減便をいたしました。
 ただ、私どもは、日暮里・舎人ライナー開通時に、これはバス路線を廃止したらいけないということを強く申し上げさせていただいて、それはこれからも述べさせていただきますけれども、バスでなければ困るという方々が大勢いらっしゃるという状況がある中で、廃止をしないでいただきたいということを前提にさせていただいたところでございます。
 一方、日暮里・舎人ライナーは混雑が激しくて、これまで車両の増備や車内空間を広げた新型車両の導入による輸送力の増強、オフピーク通勤、時差ビズキャンペーンの実施など、さまざまな混雑対策に取り組んできていただいておりますが、これからもさらなる対策が必要な状況でございます。
 御局の職員の方とも丁寧にやりとりをさせていただいて、私としては、秘中の秘みたいな策があったんですけれども、お金がいっぱいかかるということがございました。これは時期を見なければいけないなというようなこともございます。
 このため、日暮里までの所要時間は、バスの方がかかるけれども、混雑する日暮里・舎人ライナーを避けバスを利用する方々もいらっしゃいます。やはりバス停は駅よりも短い間隔にありますので、目的地の近くでおりられるということもあります。
 また、鉄道とバス路線がかなり離れているというところにあっては、駅よりもバス停の方が自分の家から近いという方々もいらっしゃって、高齢者にとってみれば、やはりバスの利用というのはとても便利だという点もあるんではないかというふうに思います。
 特に、足腰の弱った高齢者などにとっては便利でありまして、私ども地元の関係者としては、里48系統には一定の存続理由があるというふうに考えております。こうした路線は、赤字であってもしっかりと維持を前提に、さまざまなお取り組みにご努力いただきたいということをお願い申し上げます。
 三分の二という状況は大変厳しい状況でございますけれども、それを少しでも減らしながら、赤字路線を支える、そのためには黒字路線で収入益を、もうけなければいけませんから、その全体で調整していただけるということが、やはり公共交通として、東京都がバスに乗り出している意味がある、わかりやすい一つのメリットであるし、都民にも理解していただけるのではないかというふうに思います。
 仮に赤字だからといって廃止していけば、そのまちの将来的な設計、発展の目安といいますか、手がかりといいますか、そういうものがなくなってしまいますので、当然民間企業であれば、それは仕方がないわけですけれども、公共交通としてみれば、まちの発展ということの将来的な可能性というものを維持していただくためにも、できる限りのご努力をお願いしたいと思います。
 とはいいましても、先ほど申し上げましたとおり赤字路線を維持し続けるためには、バスの利用を促進することで増収を図り、全体として黒字に近づけていくということがとても大事であります。
 先ほども教えていただいたんですが、各公共交通の会計機関がありますけれども、それぞれごとに独立採算制といいますか、やっているので、バスはバスで、その中で黒字を目指して努力していかなきゃいけないということですね。
 主に利用者層である高齢者を対象に集客を図っていることは大変効果的であると考えております。例えば、バスの広報誌において、高齢者が出かけたくなるようなスポットを重点的に取り上げたり、高齢者が楽しめるバスでの観光ルートの案内、そうしたスポットとのタイアップなども考えられます。
 高齢者をターゲットにした利用促進について、取り組みの状況について、お話をお伺いしたいと思います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、各路線の利用促進に向けまして、沿線の魅力とバスの利便性を各媒体でPRするなど、さまざまな取り組みを行っております。
 具体的には、沿線ごとに人気の名所や店舗、商店街、イベント情報等を紹介する広報誌である「TOKYO都バス乗り隊歩き隊」、こちらや、「ふれあいの窓」等を発行するとともに、旅行誌への観光ルートの掲載、バスで沿線をめぐりながら紹介するテレビ番組への撮影協力などを行っております。また、一日乗車券の提示による施設の入場料等の割引サービス、新作映画に関連するスポットをめぐるクイズラリー等のキャンペーンを行っております。
 今後、これらの取り組みがお客様の一層のご利用につながるよう、各広報誌のアンケートの回答やお客様の声等を年齢別、地域別に分析し、ただいま委員お話しの高齢者を初めとする各年齢層のニーズを酌み取り、広報誌やキャンペーン等で取り上げる施設などに活用してまいります。

○中山委員 広報誌、私も改めて拝見させていただきましたけれども、すばらしいデザインで、いいものをつくっていただいているなというふうに思います。
 やはり何事もそうですけれども、自分が載っていると、ついその広報誌をほかの人に示したくなりますから、大勢の高齢者の方が、かわりばんこでもいいですから、それぞれの赤字路線について載っけていただいて、また、そうした広報誌に載せていただいた方が、いろいろな意味で協力していただけると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、広報誌を、より多くの高齢者の方々に手にとって見ていただけるような、そういう努力も大事であります。例えば、地域の老人会を通じて接骨院や病院などにも置いてもらえれば、元気で--元気で接骨院に行くというのも変な話ですけれども、そういったところにお出かけになっている高齢者の方々が何人か集まって、今度は出かけようよと、ここに行ってみようよという話になるんではないかというふうに思います。
 広報誌の設置先を、高齢者が集まる身近な場所に拡大していくことについて、見解をお伺いいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 広報誌につきましては、現在、都営バスの各営業所や地下鉄各駅等に設置しているほか、掲載した地域の区役所や作成にご協力いただいた施設等にも送付しております。
 より多くのお客様にごらんになっていただくためには、設置場所の拡大が重要であることから、現在、都営バスの路線図を置いていただいている病院等に対して、広報誌もあわせて置いてもらえるよう働きかけているところでございます。
 今後、ただいまお話のあった高齢者が集まる身近な場所を含めまして、設置場所のさらなる拡大に向け、各地域の区役所等とも相談しながら検討してまいります。

○中山委員 また、高齢者だけではなくて、お子さん、子供たちにも注目したいと思います。
 子供たちが、子供たちの時代にバスに乗る習慣というものが身についてくれば、将来の増収にもつながっていくと思います。小さいころから親子でバスに乗って出かけるよう働きかけたり、そうしたことを促すイベントなどを企画すると効果的ではないかというふうに思います。
 親子連れの利用促進に向けた取り組みについて、見解をお伺いいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、子供のころからバスに親しんでもらえるよう、さまざまなサービスやイベント等を実施しております。
 具体的には、夏休み中には、親子でバスで出かけてもらえるよう、IC一日乗車券を購入された方は、同乗する小学生二名まで無料でご乗車できる、おでかけパスもキャンペーンを行っております。
 また、毎年九月には、民間バス会社にも参加していただき、バス車両の展示や撮影会、グッズの販売、ステージイベントなどを通じて、バスの魅力をPRするバスまつりを開催し、多くの親子連れの方々にご来場いただいております。このほか鉄道関係のイベント等にも出展し、グッズの販売や都営バスのPRなどを行っております。
 今後とも、こうした取り組みを進めまして、親子連れなど、より多くのお客様にご利用いただけるよう努めてまいります。

○中山委員 赤字路線のバスを少しでも黒字に近づけていくために、自然な形で、やはり利用者の方をふやしていくということはとても大事だと思います。無理やりに、赤字路線を支えてくれるために乗ってくれよといっても、なかなかこれは、一時的にはできても長続きしませんので、今申し上げたような高齢者の方々、親子連れの方々、そうした方々が楽しみにお出かけいただけるような企画というものを展開していただいて、冒頭申し上げましたけれども、バスを使ってのまちの発展というのは、本来であれば地元の区市町村というものが、より真剣にお取り組みいただくことが大事だと思うんですね。
 そういう面では、赤字路線をいろんな工夫しながら維持している東京都交通局の考え、そういうものもよく地元の区市町村に理解していただいて、一緒にそのバス路線を維持しながら、まちの発展のためにどういう努力ができるか、それを意見交換していくことが大事じゃないかと思います。
 高齢者にしても親子連れにしても、自分の地域のバス路線というのは、自分の家族みたいなものです、ある面ではですね。なくされちゃうということになったら、これは本当に大騒ぎになると思います。
 そういう面では、やはりサポーターといいますか、そのバスを応援している一人として、地域住民の方々、特に町会、自治会の中心者の方であるとかいろんな方々になっていただいて、どういう取り組みができるのかということをやはり知恵を絞っていただく。また、その知恵を絞っていただいたものを、どんどん交通局側も採用していただいて、一緒になってレスポンスのよい取り組みをしていただくということが大事じゃないかと思います。
 まちのポテンシャルを発展させるために、交通局がそのお手伝いをさせていただく、赤字路線を維持するために力をかしてくださいということじゃなくても、そういう形で発想を転換して、サポーターの方々と一緒になった赤字路線の盛り上げ策というものをご検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、地下鉄のトイレについて取り上げさせていただきたいと思います。
 我が党はこれまで継続的に、駅のトイレの質の向上、良質な質です、質の向上について取り上げてまいりました。
 東京二〇二〇大会開催まで間もなく二年となります。今後、さらに外国人旅行者の方々の増加が見込まれております。外国人旅行者へのおもてなしや、高齢者、障害者の方々の日々の暮らしの質を高めていくためにも、都営地下鉄の利便性や快適性を高める取り組みの一環として、一層このトイレの質の向上というものをお取り組みいただく必要があるかと思っております。
 都営地下鉄におけるトイレのバリアフリーに関する取り組み状況についてお伺いをいたします。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、高齢者、障害者、外国人旅行者を含めた全てのお客様が駅のトイレを快適にご利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへの改修を計画的に進めております。
 具体的には、トイレ出入り口の段差解消や、手すりやベビーチェアの設置、お客様から要望の強いトイレの洋式化に取り組むとともに、スペースに余裕がある場合には、誰でもトイレ以外の一般トイレにも、オストメイト用設備やフィッテングボードなどを備えた簡易多機能便房の設置を進めております。
 平成二十九年度は、新宿線曙橋駅、市ヶ谷駅、一之江駅でトイレの改修工事を行い、供用を開始いたしました。来年度は、三田線日比谷駅、春日駅、神保町駅等で完了する予定でございます。
 さらに、外国人旅行者向けに、四カ国語表示やピクトグラムにより、トイレの使用方法等の案内を実施しております。
 今後とも、誰もが利用しやすいトイレの整備を計画的に進めてまいります。

○中山委員 トイレということを取り上げさせていただきましたけれども、ちょっとしたことで印象というのは随分変わる。そういうトイレというところにおいても、ここまで清潔に、また、心を尽くして環境整備をしているんだということをご理解いただくということは、日本社会の精神面、あるいは物質面等いろんな豊かさというものを感じていただけるということで、とてもいい宣伝効果になるんではないかと思いますので、もちろんそれは障害者、高齢者の方々にとっても助かる話ですし、お力を入れていただきたいと思います。
 それから、前にも申し上げたかもしれませんが、最近こういう話をよく聞きます。誰でもトイレということで設置をしていただいているけれども、実は誰でもトイレという名のもとに、障害者の方が使いづらくなっちゃっていると。
 というのは、障害者じゃない方が、広いスペースなものですから、いろいろ身支度を整えたりとか、いろんなことでもお使いになったりして、しばらく出てこないなと思っていると、障害者の方が外で車椅子で待っていながら、若い方が身支度を整えて出てくるというようなことがあったりするので、外側に表示をつけて、本当にこのトイレを使おうとしている障害者の方々がいらっしゃる場合がありますよということをご注意を促していただいて、それで皆さんが気持ちよく使えるようにしていくことが大事じゃないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これからも健全な経営に心を尽くしながらも、東京都の持つポテンシャルというものを、さまざまなおもてなしだとかに尽くしていただいて、世界に誇る東京交通というものを維持していただきますようによろしくお願いいたします。
 以上です。

○斉藤委員 私からも、これまでのお話とテーマがかぶるんですけれども、都営交通のバリアフリーについてと、それから地元を走っています里48系都営バスの活用についてお伺いをいたします。
 まず、都営交通のバリアフリーについてです。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けて、空港から競技会場や宿泊施設だけでなく東京の観光スポットまで、多くの方々が都営交通を使う機会がふえることが予想されます。障害を持つ方を含めて、どこへでもスムーズに安全に移動できる環境をつくることが重要です。
 交通局では、地下鉄のバリアフリー化について、エスカレーターによる地上からホームまでのワンルートの確保やホームドアの設置などの取り組みを進めていただいているところです。
 そうした中、視覚障害者の方から、都営地下鉄の駅で電車に乗ろうとしたときに、車両とホームの間のすき間に足を踏み外して、足のつけ根のところまで落ちてしまったということを伺いました。
 車両とホームのすき間については、都営地下鉄の駅で、子供がすき間に落ちそうになり、近くにいた大人が慌てて手をとって支えたというお話や、私自身もベビーカーを押して移動するときに、車輪がすき間にはまってしまうということなどを経験したことがあります。
 既に対策をとっているところもあると思いますが、ホームと電車の間の段差とすき間の対策の取り組みについて、状況をお伺いいたします。

○谷本技術管理担当部長 国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編におきましては、地下鉄駅のホームと車両の扉の段差やすき間をできる限り少なくすることとされておりまして、都営地下鉄ではこれまでも、段差やすき間の対策を講じてまいりました。
 具体的には、段差対策といたしまして、ホームドア設置済みの三田線及び大江戸線におきましては、車椅子スペースがある車両のドア位置のホーム上に、原則、固定式スロープを設置いたしました。さらに、新宿線では、車両編成により車椅子スペースの位置が異なることから、ホームドア整備に合わせまして、ホーム端の全面的なかさ上げを全二十駅で実施することとしております。今年度は、七駅の整備を行い、来年度残る十三駅の整備を完了いたします。
 また、すき間対策といたしましては、新宿線におきまして、ホームドア整備に合わせまして、ホームと車両とのすき間が広い箇所に、ホームの乗降口に、すき間を狭めるくし状ゴムの設置を進めております。これまでに、すき間対策の対象としている十三駅のうち五駅でくし状ゴムの設置を行い、来年度、残る八駅の整備を進めてまいります。

○斉藤委員 大切な取り組みをしていただいていると思います。
 段差についても、すき間についても、ホームドアのない新宿線での対策をしているというところだと思いますが、ホームドアがあるところでも対策が必要だと思っています。
 先ほど紹介した視覚障害者の方のお話ですが、これは三田線の三田駅でのことです。私も実際に現場を見てきたんですけれども、三田駅では、ホームの真ん中あたりですき間があいている状況でした。すき間に落ちたという視覚障害者の方は、三田駅近くの障害者福祉会館からの帰りで、視覚障害者の友人たちと白杖を使いながら移動をしていました。このときに女性の視覚障害者の方が足を踏み外して、お尻のところあたりまで落ちてしまって、駅員さんもいなかったために慌てて視覚障害者の方たちで引っ張り上げたということです。
 東京都障害者福祉会館のある三田駅は、視覚障害の方だけでなく、車椅子の方やさまざまな障害をお持ちの方が多く利用しています。ホームドアのない新宿駅での対策をとるということでしたが、ホームドアがあるところですと、ドアがあいた瞬間に足元にぽっかりとすき間ができるということになりますので、障害がなくても一瞬どきっとするような感じになります。
 特に、東京都障害者福祉会館のある三田線の三田駅に早急に対策をとる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○塩田安全管理担当部長 三田線三田駅では、ホームドア稼働時から、ホームと車両のすき間対策としまして、全てのホームドアの下に発光器を設置するとともに、ホーム端部にも黄色のテープを貼付しているところでございます。
 また、ホームドアが開く際には、ホームドア本体から足元の注意を喚起する放送を流しているほか、列車の到着前に、ホームのほか車内におきましても注意喚起の放送を実施しております。さらに、ご要望に応じ、駅係員がお客様の介助も行っております。
 今後とも、新宿線で実施する対策の効果や他社での取り組みなどを検討しながら、すき間対策に取り組んでまいります。

○斉藤委員 新宿線での効果などを検討して、今後も対策に取り組むということです。先ほどのご答弁のとおり、新宿線では、くし状ゴムの設置の対策が完了しているところが既にありますので、検討はすぐにでもできるのではないかと思います。新宿線の全駅での完了を待たずに、三田駅での対策もぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 次に、段差解消の取り組みについてです。
 最初のご答弁にもあったように、新宿線では、ホームドアの整備に合わせてホームの端の全面的なかさ上げの対策をしているとしていて、今年度は七駅の整備が完了するということです。
 しかし、残念ながら、工事が完成した駅でもスロープの高さが十分でなく、車椅子の方が乗車するときに、がたんと衝撃を受けるという声があります。例えば、大阪市の御堂筋線や千日前線は、車椅子でも衝撃なくスムーズに乗降車ができるというふうにいわれています。
 こうした先進例を確認していただいて、今後の段差解消の取り組みに生かしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 新宿線のホームをかさ上げする高さにつきましては、車両がホームと接触することを防止するために定められました建築限界や車両とホームの段差などを考慮した国の技術基準等に基づき定めておりまして、できる限り段差の解消に努めております。
 今後の国の動向や他の鉄道事業者の取り組み事例等を踏まえつつ、引き続き段差の解消に取り組んでまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。ほかの鉄道事業者の取り組み事例を踏まえて、引き続き段差の解消に取り組むということですので、ぜひ期待をしたいと思います。
 建築限界や技術基準等がある中で努力をしていただいていると思いますが、先ほど挙げました大阪の御堂筋線や千日前線では、段差は二センチ、すき間は三センチという目標を定めて整備をしているということです。こういうことをぜひ参考にして検討をしていただきたいというふうに思います。
 次に、視覚障害者の方へのバリアフリー対策としてエスカレーターについてお伺いをいたします。
 私は今回、視覚障害者の方々と都営地下鉄の三田線、大江戸線、そして新宿線の一部を実際に歩きながらお話を伺ってきました。その中で、エスカレーターの設置場所に音声案内がない箇所が多くあり、視覚障害の方々が利用できないという声を伺いました。
 まず、都営地下鉄のエスカレーターにおける音声案内の対策状況はどのようになっているでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 現在、交通局が管理いたします九十九駅、六百九十基のエスカレーターのうち、浅草線日本橋駅、大江戸線新宿駅など四十三駅、百四十五基で音声案内を行っております。

○斉藤委員 全部で六百九十基のうち百四十五基に音声案内をつけているということなので、二割ちょっとだということになります。やはり視覚障害者の方が多く利用する三田線の三田駅でも、音声案内がないところがあって、エスカレーターがあっても、あることがわからずに使えないか、あるいは、あるとわかっていても上りか下りなのかが時間帯で変わることもあるので、どちらかわからなくて使えないということでした。特に長い階段では、障害のない方でも上りおりが大変でエスカレーターを使う方が多くいますが、白杖を使いながら上りおりする視覚障害者の方々にとっては、その負担は大きなものです。
 視覚障害のある方でも安心して移動できるように、エスカレーターの音声案内の対策を早急に進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編に基づき、エスカレーターの更新時等の機会を捉えまして音声案内装置を設置しております。来年度は、新宿線九段下駅や大江戸線国立競技場駅などで設置を予定しております。

○斉藤委員 更新の機会を捉えてということですが、それだけではちょっとペースが遅いのではないかと思います。来年度に対策する二駅について、今ご紹介いただきましたが、やはり障害者の方の利用が多い三田駅や、あるいは都立の盲学校のある三田線の春日駅、大江戸線の飯田橋駅などでも確認をしていただいて、音声案内の設置の検討を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、点状ブロックについて伺います。
 まず、こちらのパネルを見ていただきたいと思います。そんなに難しいものではなくて、一回見れば一瞬でわかるようなものなんですけれども、これは大江戸線の上野御徒町駅のホームなんですけれども、階段へ誘導する点状ブロックの誘導が遠回りになっているということがわかりますでしょうか。この写真でいきますと、この奥の方から誘導、こっちの方でおりた場合、誘導されてくるわけなんですが、ここまでずっと来て、ここから折り返していくわけなんですけれども、ここに、間にすごくスペースがあるのがわかるかと思うんですけれども、障害者の方はここを回って歩く間に、あれ何か階段から遠いな、やたらと遠いなというふうに感じることがあるということです。
 実は、同じようなケースが以前には新御徒町駅でもありまして、我が党の米倉議員の質疑で要望して改善をしていただいたということです。その改善について、この場をおかりしまして感謝を申し上げたいと思います。しかし、今回は上野御徒町駅でも同じケースがありました。
 それから、また別のものなんですが、こちらのパネルをごらんいただきたいと思います。これも上野御徒町駅なんですけれども、改札を出てすぐのコンコースというのか、廊下の部分になるんですけれども、このように点状ブロックが通路の端に敷設されているので、地図や看板を見ている人がブロックを踏んだ状態で立っていることがよくあるということです。視覚障害者の方々がぶつかってしまうということが聞かれました。
 通路の壁側は待ち合わせで立っている人も多くて、視覚障害者の方からすると、とても歩きにくいんだそうです。こういう端よりも、もう少し廊下の真ん中から少し端に寄るぐらいの方が歩きやすくて、対面から来る人たちからも、よけてもらえるということでした。
 この点状ブロックについては、国が定めたガイドラインに沿って敷設されていると思いますので、こうした光景は、都営地下鉄だけでなく、メトロやJRでも見かけることが多くあります。東京都だけの問題ではないというふうに思いますが、二〇二〇年のオリンピックに向けて、もう一度総点検の意味でも確認をしていただいて、より多くの声を聞いて改善に向けて検討していただけないかなと思いました。
 改めて、先ほどの、階段から離れて、遠回りに点状ブロックが敷設されている箇所の点検と改善、そして駅構内の廊下の点状ブロックの敷設場所についての確認や検討を求めますが、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 視覚障害者誘導用ブロック、いわゆる点状ブロックにつきましては、バリアフリー整備ガイドライン旅客施設編等に基づきまして、壁や柱等を考慮しつつ、安全で単純な経路に敷設しております。
 なお、経路上問題があると思われる箇所につきましては、現地の状況や利用実態等を把握した上で検討することとしております。

○斉藤委員 現地の状況や利用状況を把握した上で検討するということでした。ぜひお願いをしたいと思います。
 この点状ブロックなのですが、敷設をするときに、視覚障害者の方と一緒に歩いて敷設場所を確認してほしいという声が強くありますが、この点についてはいかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 交通局ではこれまでも、地下鉄駅施設等の改善につきましては、障害者団体と定期的な意見交換を行うとともに、必要に応じて障害者団体と現地での確認を行っております。
 引き続き、障害のある方を含め、お客様のご意見を参考に適切に対処してまいります。

○斉藤委員 定期的な意見交換をやっているということなんですけれども、敷設した後からでは改善にも手間がかかってしまうと思いますので、ぜひ敷設をする前に、視覚障害者の方々と現地の場所などについて意見を聞くということをしていただきたいというふうに思います。
 次に、都営交通全般における聞こえのバリアフリー対策について伺います。
 我が党は、二〇一二年に、聞こえのバリアフリーの対策、特に磁気ループの対策について、交通局を初め福祉保健局や産業労働局など関係各局にわたるトータル的な対策を提言しています。
 磁気ループまたはパネルは、音声を磁気に変えて、その磁気を補聴器や受信機が受けて音声として聞くことができるようになるものです。普通の補聴器だけでは全ての音を大きくしてしまうために、人が多く集まる劇場や会議場、また駅窓口やホームなどでは聞こえにくくて、磁気ループやパネルは、この点でとても有効に活用ができるものです。
 聴覚障害や高齢による難聴の方々にもクリアに聞こえるものとして、海外では公共施設や映画館のほか、駅や空港、タクシーなど、さまざまな場所で設置されていますが、日本ではまだまだ普及していない状況です。
 二〇一二年の我が党からの提言では、交通局に対しては、都営交通の車両やホーム、駅窓口などへの磁気ループやパネルの設置を普及することを求めていますが、聞こえのバリアフリー対策の検討は進んでいるのでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 磁気を利用した補聴システムを活用するためには、施設や車両などに磁気を発生するためのワイヤ等を設置するほか、お客様がシステムに対応した補聴器などをお持ちになる必要がありまして、当局といたしましては、そうした器具を持たない方にも情報が適切に伝わるよう、文字による情報案内に努めているところでございます。
 具体的には、耳の不自由なお客様に対しまして、東京都福祉のまちづくり条例に基づき、窓口などに筆談用具を設置するほか、車両の運行情報や列車の接近等を文字で表示することなどにより案内を行っております。
 また、近年では、駅係員やコンシェルジュによる筆談アプリの活用や駅構内、車内への液晶モニターの設置など、文字による情報案内の充実を図っているところでございます。

○斉藤委員 文字情報や筆談で対応しているということでした。
 オリンピックに向けても、海外の先進例を参考に取り組みを進めていくことが重要だと思います。今は、国内でも山口県萩市や香川県高松市などで、路線バスに磁気パネルを設置して運行をしています。
 また、自治体の役所や公共施設では、京都市や和歌山市、千葉の習志野市などでも活用され、東京都では台東区や小平市、そして足立区でも活用がされています。台東区の窓口に設置しているものを見に行きました。A4判ぐらいのそんなに大きくないパネルで、非常に手軽なもので、駅の窓口でも十分活用できそうなものでした。
 普及に当たっては、受信機となる補聴器の利用も支えていかなければなりませんが、我が党はそのため、補聴器の助成について福祉保健局にも要望しているところです。オリンピックを契機に先進的な取り組みを進めて、誰もが社会参加できる東京をつくるためにも、ぜひ全庁的な取り組みとして前に進めていく検討をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、障害者の方々の参加型のバリアフリーの対策について伺います。
 先ほどの視覚障害者の件での質問とも重なりますが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けても障害当事者の参加型の対策が求められています。
 皆さんもご存じのとおり、二〇一四年に、日本は障害者権利条約を批准しています。この条約は、障害者がほかの人と平等に、住みたい場所に住み、そして受けたい教育を受け、地域社会におけるサービスを利用できるよう、障害者の自立した生活と地域社会への参加について定めています。この条約の交渉には、障害者団体が同席して条約の起草にかかわっています。
 ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちのことを私たちのことを抜きに決めないでというこのスローガンを掲げた皆さん方が条約の作成にかかわったことは、障害者の方々が主体的にかかわって住みやすい社会を一緒につくっていくという国際社会の総意だったのではないかと思います。
 東京都としても、オリンピック・パラリンピックを契機に、東京が世界に誇れるレガシーを残すために、設計段階から障害当事者が参加してバリアフリーを確保することが求められています。
 オリンピックの前に、視覚障害者の方や聴覚障害者、また車椅子の方など障害をお持ちの方々と都営交通のバリアフリーについて一緒に歩いて検証したり、新しく対策をするところについて意見を伺いながら進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○土岐総務部長 交通局では、先ほどもご答弁がございましたが、これまでも、各障害者団体と定期的にバリアフリーに関する意見交換を行っております。
 また、必要に応じ障害者団体と現地確認を行っているほか、特別支援学校の生徒をお招きし、地下鉄の駅や車両を利用していただいた上でご意見を伺う取り組みなども行いました。
 引き続き、障害のある方を含め、お客様のご意見を参考にさせていただくなど適切に対処してまいります。

○斉藤委員 引き続き、障害のある方を含め、お客様のご意見を参考に適切に対処するということです。ぜひ対策をとる段階で、事前に障害者の方々と検証していただくことを実現していただきたいと思います。
 このオリンピックの機会を捉えて、交通局が積極的に障害当事者の方々と都営交通のバリアフリーづくりを行って、その取り組みを見える形でアピールしていくということは、東京だけでなく、全国のバリアフリーのまちづくりに対する意識を牽引していくよいきっかけになるのではないかと思っています。誰もが住みやすい社会をつくっていく、その先頭に東京都交通局が立ってくださることを期待して、このテーマでの質問を終わりにいたします。
 次ですが、先ほどもお話がありましたが、主に足立区と荒川区を走っている都営バス里48系統と日暮里・舎人ライナーの併用活用についてお伺いをいたします。
 昨年の事務事業質疑の中で、都営バス里48系統について取り上げられ、同路線が日暮里・舎人ライナーの開業以来、減便されたことについてご説明がありました。代替交通ができたことで利用者が減る中で、今後の同路線の見通しについて、乗客潮流の変化を的確に捉えて、路線のダイヤの見直しを行っており、里48系統についても適切に対応してまいりますというご答弁がありました。
 この路線の今後について、改めて交通局ではどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉え、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
 具体的には、オフィスビルや大規模住宅等の開発が進み、都営バスへの需要が高まっている地域において路線の増便等を行う一方、鉄道等の開業やコミュニティバスなど、新規事業者の参入により代替交通が確保され、利用者の少ない路線については減便等を行っております。
 日暮里・舎人ライナーと並行して見沼代親水公園駅から日暮里駅まで運行している里48系統についても、こうした考えに基づきダイヤの見直しを行ってまいりました。
 今後も、乗客潮流の変化を的確に捉え、都民の足としての役割を果たせるよう適切に対応してまいります。

○斉藤委員 乗客潮流の変化を的確に捉えながらも、都民の足としての役割を果たせるように適切に対応していただくということでした。
 私は今回、この里48系統のバスを運転していたという運転手の方からお話を伺いました。この路線は、日中に地域のお年寄りの方もまだ多く利用されているというだけでなく、若い人でも日暮里・舎人ライナーのひどい混雑を避けるためにバスを利用している人もいるということでした。
 また、パーキンソン病の方や障害のある方もいて、乗車に時間がかかるような方々がバスを利用しているということです。運転手がいるバスなら対応ができても、日暮里・舎人ライナーは、駅も車両も駅員さんが無人ですので、こうした方々には危険が伴います。こうした心配があるため、高齢の親御さんをライナーには乗せられないという声もあります。
 高齢者や病気、障害のある方々の貴重な交通機関として、また混雑を避けたい働き盛りの世代からのニーズがあるこの路線の意義について、改めて認識していただいて、ぜひ地域の方々の生活を支えていただきたいというふうに思います。
 同時に、混雑率が一八八%にもなっている日暮里・舎人ライナーの混雑緩和のためにも、このバス路線を生かすことを考えることが必要ではないかなというふうに思っています。
 もともと里48系統のバス路線の、この交通の混雑などの理由から、利便性を確保するために、同じラインを走る日暮里・舎人ライナーが開業されたわけですけれども、日暮里・舎人ライナーは開業当初の見込みを大きく超えて、今は一日八万人が利用をしています。この混雑緩和の対策については、車両の改良やダイヤ改正、また時差ビズなど対策をとっていただいているところです。
 二〇二〇年の春には、新型車両が二編成増強されますが、しかし、この対策をしても緩和の見込みは一〇%程度、つまり一七八%ぐらいにしか下がらないということも明らかになっています。
 こうした状況の中で、同じラインを走る都営バスの里48系統の有効利用ができないものかと考えています。
 例えば、神戸市では、第三セクターが運行する神戸ポートライナーと、同じ三宮からポートアイランドの間を走る民間バスとが連携をして、ライナーとバスの共通券を希望するお客様に発行して、朝のラッシュ時間だけバスに乗ることができるようにする社会実験を行っています。昨年の十月から開始していて今年度末までの予定ですが、好評のようで、四月からも続けるという予定で検討をしていると神戸市の方から伺いました。
 日暮里・舎人ライナーの混雑緩和の対策のためにも、神戸市の例などを参考に、バスとの併用活用ができる仕組みも検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日暮里・舎人ライナーの混雑対策といたしまして、里48系統を活用することにつきましては、例えば、見沼代親水公園駅から日暮里駅まで、朝ラッシュ時間帯に、日暮里・舎人ライナーでは約二十分のところバスでは約五十分かかるなど、速達性に大きな差があること、また、定員や運行本数の違いから、輸送力にも大きな差があることなど多くの課題があると考えております。

○斉藤委員 現時点では考えていないというお答えですが、神戸市の件も併用活用しているのは朝のラッシュ時間の三便だけです。朝のラッシュ時間に限って、ダイヤ改正や停車するバスの調整など工夫できることはあるのではないかと考えています。
 また、お話を聞かせていただいた運転手さんによりますと、日暮里・舎人ライナーが開業して以来、下の道路の混雑が逆に緩和されて、以前のように渋滞になるということも減って、バスの定時性、時間どおりに運行するということが保たれるようになってきたということです。
 日暮里・舎人ライナーの深刻な混雑率の緩和のためにも、都営バスとあわせた対策を今後の検討課題としていただきますようお願いをいたしまして、私からの質疑を終わりにします。
 ありがとうございました。

○清水委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○清水委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十八分散会

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