委員長 | 清水 孝治君 |
副委員長 | 藤井とものり君 |
副委員長 | 本橋ひろたか君 |
理事 | 加藤 雅之君 |
理事 | とや英津子君 |
理事 | 菅原 直志君 |
大場やすのぶ君 | |
村松 一希君 | |
おときた駿君 | |
斉藤まりこ君 | |
もり 愛君 | |
あかねがくぼかよ子君 | |
中山 信行君 | |
三宅 茂樹君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
技監 | 田村 聡志君 | |
理事総務部長事務取扱 | 黒沼 靖君 | |
職員部長 | 筧 直君 | |
経理部長 | 志村 昌孝君 | |
サービス推進部長 | 小山 伸樹君 | |
浄水部長 | 青木 秀幸君 | |
給水部長 | 尾根田 勝君 | |
建設部長特命担当部長兼務 | 牧田 嘉人君 | |
経営管理担当部長 | 坂井 吉憲君 | |
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 IWA世界会議準備担当部長兼務 | 小平 基晴君 | |
特命担当部長 | 石井 正明君 | |
設備担当部長 | 横谷 守君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 岸本 良一君 |
調整部長 | 金子 弘文君 | |
施設部長 | 今井 滋君 | |
技術調整担当部長 | 本荘谷勇一君 | |
下水道局 | 局長 | 渡辺志津男君 |
次長 | 津国 保夫君 | |
総務部長 | 安藤 博君 | |
職員部長 | 久我 英男君 | |
経理部長 | 田中 宏治君 | |
計画調整部長 | 中島 義成君 | |
施設管理部長 | 池田 匡隆君 | |
建設部長 | 佐々木宏章君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 IWA世界会議準備担当部長兼務 | 鈴木 豊君 | |
技術開発担当部長 | 小団扇 浩君 | |
施設管理担当部長 | 廣木 健司君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 神山 守君 |
管理部長 | 飯田 一哉君 | |
技術部長 | 猪八重 勇君 |
本日の会議に付した事件
意見書、決議について
水道局関係
請願の審査
(1)三〇第一号 工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十六号議案 平成三十年度東京都水道事業会計予算
・第二十七号議案 平成三十年度東京都工業用水道事業会計予算
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十八号議案 平成三十年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第九十七号議案 多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第九十八号議案 荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
○清水委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議について申し上げます。
委員からお手元配布のとおり、意見書一件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○清水委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○清水委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成三十年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成三十年三月十五日
東京都議会議長 尾崎 大介
公営企業委員長 清水 孝治殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(木)午後五時
(別紙1)
公営企業委員会
第二十三号議案 平成三十年度東京都交通事業会計予算
第二十四号議案 平成三十年度東京都高速電車事業会計予算
第二十五号議案 平成三十年度東京都電気事業会計予算
第二十六号議案 平成三十年度東京都水道事業会計予算
第二十七号議案 平成三十年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十八号議案 平成三十年度東京都下水道事業会計予算
(別紙2省略)
○清水委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の請願の審査及び水道局及び下水道局関係の予算の調査並びに下水道局関係の付託議案の審査を行います。
これより水道局関係に入ります。
初めに、請願の審査を行います。
三〇第一号、工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○黒沼理事 それでは、請願につきましてご説明を申し上げます。
お手元に配布をしてございます請願・陳情審査説明表をごらんいただきたく存じます。
この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
請願の要旨といたしましては、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
この請願に関する現在の状況でございますが、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成二十九年第一回東京都議会定例会における工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重いたしまして、一般会計からの減収分の補填を前提に、独立採算制の原則及び負担の公平に対する例外的措置といたしまして、平成三十年三月三十一日までを期間として、基本料金の一〇%を減免しているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○清水委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○清水委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
請願三〇第一号は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○清水委員長 異議なしと認めます。よって、請願三〇第一号は趣旨採択と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
○清水委員長 次に、予算の調査を行います。
第二十六号議案及び第二十七号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○もり委員 先日、我が会派の定例会代表質問でも、IWA世界会議に向けて知事のご見解等を質問させていただきました。国連では、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsとして二〇三〇年までに全ての人々に安全な水と衛生施設を確保することが目標となっております。
水は、人々が生きていく上で最も重要な欠かすことのできない資源です。東京では、いつでも水道から安全でおいしい水が飲めますが、世界では、いまだに安全な水や衛生環境を手に入れることができない多くの人々がいます。アジア、アフリカを初めとする途上国では、安全な水にアクセスできないことによって多くの子供たちが命を落としている現状があります。また、水くみによって、学ぶ機会が奪われている子供たちも多くいます。
こうした状況の中で、東京都がこれまで培ってきたすぐれた水道技術やノウハウを広く世界に発信し、世界の水事情改善に寄与する会議となるよう願いまして、本日は、IWA世界会議について、より掘り下げて質問させていただきます。
ことし九月に、東京ビッグサイトで開催されるIWA世界会議まで、あと半年と迫っております。論文発表や出展は既に応募が開始され、会議準備が着々と進んでいると思います。
まず、会議の現在の準備状況と会議運営に係る局の負担経費についてお伺いいたします。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 世界会議を成功に導くためには、会議参加者の増加にもつながる論文応募、スポンサー、出展の確保は重要と考えております。
このため、局は、開催国委員会の一員として、説明会の開催や個別訪問、知事のビデオメッセージなどにより、国内の水道事業体や企業等に会議・展示会への参加を積極的に働きかけてまいりました。
その結果、論文につきましては、世界全体では過去最多の千七百編以上、うち国内から六百編以上の応募があり、これは開催国からの提出本数といたしましては、前回ブリスベーン会議の二倍の論文数となっております。
出展につきましては、約八十団体が参加する開催国独自のジャパン・パビリオンを設置いたしまして、国内スポンサーと合わせた開催国の出展面積は前回を大きく上回り、全体の半分に当たる約一千五百平方メートルと見込んでおります。
また、会議運営にかかわる負担経費といたしましては、IWAの拠出金やセキュリティー費用など約三千万円を見込んでおります。
今後も本世界会議の成功に向け、引き続き関係機関と緊密に連携し、積極的に準備を進めてまいります。
○もり委員 ありがとうございます。
日本で初めて開催されるこの世界会議は、国内外から六千名の参加者が想定される過去最大規模の会議となっております。世界各国から水分野の関係者が一堂に会し、世界の水問題の解決に向けて、新たな知見や技術を共有するものであり、まさに、二〇二〇年の東京五輪、二〇一九年のラグビーワールドカップと並んで世界各国から東京が注目をされる重要な機会であると考えます。
先月、都議会の視察団で平昌オリンピックを視察してまいりました。その際のジャパン・パビリオンでも、東京の魅力を紹介するパネル展示の中で、自然、文化、食に並んで東京が豊かな水環境を実現する水の都として大きく紹介をされておりました。
さて、今後、会議開催に向けては、次の四つの視点が必要であると考えます。東京開催ならではのプログラム、職員参加、東京の魅力発信、都民へのPRが重要です。
日本の水道事業が世界に誇る技術やノウハウを積極的に発信できる、日本独自の、そして東京ならではのプログラムが期待をされます。そのことが東京、ひいては日本の評価を高めることにもつながると考えます。
世界会議のプログラムを日本の特色のあるものにすべきかと考えますが、局の見解をお伺いいたします。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 世界会議は、国内外の水分野の関係者が一堂に会し、世界の水問題の解決に向けて、新たな知見や最先端の技術を共有する場となっております。
この世界会議を、日本の特色を生かしたものにするためには、日本が先進的な取り組みを行っている分野などに関するプログラムを取り入れることが重要と考えております。そこで、会議におきましては、日本が多くの経験と知見を有する災害対策と危機管理や大都市特有の課題に関するフォーラムを実施する予定となっております。
また、論文の募集に当たり、日本がすぐれた技術を有する震災対策、漏水対策などの応募テーマが当局の提案により新たに追加されたところであります。
こうした取り組みにより、引き続き日本の特色あるプログラムの充実に努めてまいります。
○もり委員 ありがとうございます。ぜひ東京水道がこれまで培ってきた技術や取り組みを世界の水問題の解決につなげるべく、日本ならではの特色を打ち出して発信していただきたいと考えます。
また、今回の世界会議は、水道局の職員の皆様にとっても、水に関する最新の知見、情報に加えて、他都市の取り組みに触れるまたとない機会であり、多くの学びが得られる貴重な機会と捉えて、水道局の多くの職員にもプログラムに携わっていただきたいと考えます。運営に関し、職員が携われることが、人材育成、組織力の底上げ、向上につながるのではないでしょうか。
会議を通じ、職員参加を積極的に進めるべきだと考えますが、局の見解をお伺いいたします。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 世界会議は、局職員にとっても、東京にいながらにして世界の水事情の動向に直接触れることができる好機と考えております。
このため、当局といたしましては、論文発表、展示会出展、水道施設等を見学するテクニカルツアーなどにおきまして、職員が英語により東京水道の技術、ノウハウを発信し、国内外の水関係者と意見交換をしながら交流を深める予定となっております。また、会議の運営サポートとして、会場内の案内を務めるコンシェルジュや通訳補助などについても検討を進めております。
このような職員の積極的な参加を通じまして、水を取り巻く幅広い視野や識見を養う機会にいたしますとともに、国際社会で通じるグローバル人材の育成につなげてまいります。
○もり委員 本世界会議は、約六千名の参加者のうち海外百カ国から二千人もの参加が見込まれており、海外に向けて東京の魅力をPRする絶好の機会だと考えます。
前回のブリスベーン会議の様子を資料として拝見させていただきました。かたいイメージの学術会議だけではなく、世界各国の交流イベントの開催も期待されます。東京の観光資源の活用や全庁を挙げた取り組みなどにより、世界会議の東京開催を東京の魅力発信につなげる工夫が必要です。
東京に注目が寄せられるこの機会に、積極的に東京の魅力を世界に発信すべきだと考えますが、局の見解をお伺いいたします。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 海外から多数の参加者が訪れる世界会議の機会を捉え、東京の魅力を世界に向けてアピールしていくことは非常に重要と考えております。
このため、日本の文化に触れながら、参加者間で交流を深めるイベント、カルチャーナイトを、都はIWAと協力して開催する予定となっております。
具体的には、本イベントを海外からの参加者の印象に残る東京の魅力があふれたものとするため、庁内各局と連携し、日本庭園などの都有施設を会場として活用することや、日本文化を感じられるアトラクションの実施等を検討しております。
こうした取り組みを通じて、都が有するさまざまな魅力を世界に広く発信し、一層の東京のプレゼンス向上につなげてまいります。
○もり委員 ありがとうございます。
今回の会議は、水関係者だけではなく、都民に水の大切さを知っていただく好機と捉え、会議開催の意義を理解していただくとともに、水の大切さや節水意識を高め、安定供給を実現する水道のすばらしさを一般都民向けに発信することが必要です。
そのためには、専門家のみならず、会議と連携した都民向けの水に関するシンポジウムやイベントの開催、都内の小中学校とも連携して、東京会議の機運を盛り上げるとともに、水への意識を高める取り組みが重要だと考えます。
会議の開催を契機として、都民に対して水の大切さや水道のすばらしさを伝えるための取り組みが必要だと考えますが、局の見解をお伺いいたします。
○小山サービス推進部長 今回の会議は、広く都民の方に、安全でおいしい水を安定して供給する当局の取り組みや水の大切さ、節水意識などに理解を深めていただく絶好の機会であると認識いたしております。
そこで、まず会議開催前には、局としてさまざまなイベント等を実施いたします。
具体的には、昨年秋に行いまして好評でしたインフラツアーを前倒しするとともに規模を拡大して開催いたしまして、東京水道の取り組みについてPRする予定でございます。
また、小中学生を対象とした水道週間作品コンクールにおいては、学校との一層の連携を図り、より多くの小中学生が応募し、水道への関心が高まるよう取り組んでまいります。
次に、会議開催中ですが、開催国委員会によるサイドイベントとして、水の重要性に関する講演や学生向けに水関係企業の取り組みを紹介するセミナーなどを実施いたしまして、幅広い世代に水の大切さや、すぐれた水道技術をPRする予定でございます。
なお、会議開催後も、このような取り組みを継続して実施いたしまして、東京水道の強みや魅力を引き続き都民に発信してまいります。
○もり委員 ありがとうございます。ぜひ多くの若者や子供たちにも参加いただけるような機会となってほしいと願っております。
水は、生活に一番身近なインフラである。ゆえに、日ごろ生活をしていると湯水のごとく蛇口をひねれば飲める水が出てくる、これは世界から見れば当たり前のことではなく、これほど恵まれた水環境に生活する私たち都民が、もう一度、水の大切さとともに貴重な水資源について考え、日ごろの節水意識を高め、行動につなげる機会にしていただければと願います。
最後に、今回の世界会議のテーマであるサステーナビリティー--持続可能性と、レジリエンス--強靭性の観点についてお伺いいたします。
水道水は、飲み水としてだけではなく、入浴、トイレや洗濯など、生活に欠かせない資源であり、災害時においても、水道水の安定供給をできる限り継続することが求められます。
都ではこれまでも、震災経験を踏まえた災害対策等が進められてまいりましたが、二十四時間三百六十五日、安定供給を継続するためには、さまざまなリスクを想定し、対策することが必要となります。東京二〇二〇年大会とその先を見据え、世界トップレベルの水道システムを維持していくために、IWA世界会議を契機に、これまでの取り組みのさらなる進化を期待するものです。
水道事業管理者として、世界会議の東京開催を、今後の事業運営にどう生かしていくのか、お伺いをいたします。
○中嶋水道局長 日本で初めて東京で開催されます今回のIWA世界会議は、国内及び世界百カ国から六千名の関係者が一堂に会する、水分野では世界最大規模の会議であり、東京のプレゼンスを向上させる千載一遇の好機でございます。
今回の会議では、レジリエンスとサステーナビリティー、つまり強靱さと持続可能性、これが主要なテーマの一つになっておりまして、持続可能で強靱な水道の実現に向けて、東京水道が百二十年の歴史の中で培ってきました技術やノウハウを国内外に発信することで、世界の水問題解決に貢献してまいります。
また、展示会におきましては、約八十団体が一体となって出展するジャパン・パビリオンを設けるなど、企業のすぐれた製品や、AI、IoTなどの水インフラを支える先端技術等のPRを支援することで、ビジネスチャンスを拡大し、日本の産業力強化に寄与してまいります。
また、国内外の参加者と最新の知見を共有しながら、直接交流を深めますことは、東京水道の将来を担うグローバル人材の育成や水分野における課題解決に向けた国際的な人的ネットワークの構築にも資するものでございます。
こうした世界会議を通じて得られるレガシーを継承、進化させまして、今後の事業運営に生かすとともに、日本の水道界のさらなる発展と、東京二〇二〇大会の成功につなげてまいりたいと考えております。
○大場委員 新風自民党から都議会自民党に復帰いたしました大場でございます。私からも、今定例会にご提案いただいている平成三十年度水道局予算案の審議に当たりまして、何点かお伺いしていきたいと思います。
私は、都議会議員として三期目となりますが、これまでの経験から、水道事業の使命は、何よりも都民の皆様に対する水道の安定給水の確保にあると受けとめております。
そのために、今、水道局が求められておりますことは、既存水道施設の更新、可能性が指摘される首都直下地震対策、そして東京水道を担う人材の育成などの水道事業の基盤を守り、強化することであると考えております。
本日は、平成三十年度に事業基盤強化に向けてどのように取り組むお考えなのかという観点から質疑をさせていただきたいと思います。
初めに、良好な水道水源の保全管理についてお伺いいたします。
東京水道の源である水源を適切に管理するためには、河川の上流に広がる水道水源林を良好な状態に守り育てていかなければなりません。それには長い年月、幾世代にもわたる取り組みが必要でありまして、特に、東京都が直接管理する多摩川上流域の水道水源林に関しましては、都民全体の水源地保全に対する理解と協力が重要であると考えます。
水道局では、この点も踏まえまして、多様な主体と連携した森づくりを主要な柱とした、みんなでつくる水源の森実施計画を昨年三月に策定し、既に企業などとの連携を進め、ネーミングライツや協賛金制度について進めているところであり、その点高く評価をいたします。
昨年の決算特別委員会では、この実施計画に基づきまして、都民などから協力金を募り、森林保全の費用に充てる制度について検討していくとのご答弁をいただいております。
そこで、まず、この協力金制度について、今後どのように取り組むのか、お考えをお伺いいたします。
○青木浄水部長 水道水源林を将来にわたり良好に保全していくためには、水源林に対する都民の意識に応じて、さまざまな形で森づくりに参画できる仕組みを用意することが重要でございまして、これまで水源地情報をメールマガジンで提供いたします多摩川水源サポーター制度や、水源林を散策するツアーなどを実施してまいりました。
この協力金制度は、従来の取り組みに加えまして、水源林の大切さを理解し、積極的に保全に貢献したいと考える方々から寄附を募り、それを水源林の保全に必要な下刈り、間伐、枝打ちなどの保全管理費用に充当させていただくものでございます。名称を東京水道水源林寄附金として、間もなく募集を開始することとしてございます。
この協力金制度の創設によりまして、さらに多くの方々が水源林の森づくりに参画をし、水源林保全の重要性に対する理解を深めていただけるものと考えてございます。
○大場委員 ただいまの青木部長のご答弁で、水道水源林保全に関して、寄附により参画できるというメニューが新たに加わることがわかりました。多様なメニューをそろえて重層的に取り組んでいくことは、さまざまな方が水源林保全に積極的に参加できるということで、息の長い取り組みとして大変有意義であると考えます。今後とも、水道水源林の保全が着実に進みますことを期待いたします。
さて、都民の皆様が水道水を日々安心して飲めておりますのは、東京都水道局が水源からの原水をきれいに浄水処理しまして、その清浄な水道水をご家庭の蛇口まで確実に送り届けている、すなわち配水しているからこそであります。
そこで、この浄水、そして配水といった一連の工程を支える水道施設の整備についてお聞きしておきたいと思います。
東京都水道局は、高度経済成長期における水需要拡大への対応、河川の水質悪化に伴う高度浄水処理の導入など、時代時代のニーズに対応し、我が党とともにさまざまな取り組みを推進し、安全でおいしい水づくりを実現してまいりました。
その一方で、水道施設の老朽化や首都直下地震への備えなど、新たな課題も発生してきており、これらの課題解決に向けても、不断の対策を講じていくことが必要であります。特に、首都直下地震の発生による大規模な断水対策は喫緊の課題であり、その被害軽減のためには、管路の継ぎ手化が重要であるとの認識から、その促進に取り組んでいるところです。
この耐震継ぎ手化については、先日の本会議、我が党の代表質問に対しまして、中嶋局長は、現在優先的に取り組んでいる首都中枢機関など重要施設への供給ルートに加えまして、震災時に被害が大きいと想定される地域に重点を置いて着実に推進していくとのご答弁をされました。
そこで、その重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化の現状と、今後の具体的な取り組みについてお伺いします。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 現在、当局では、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を優先的に進めております。
主な施設の耐震継ぎ手率は、平成二十八年度末時点で、首都中枢機関、救急医療機関が八五%、東京二〇二〇大会関連施設が七三%に達しており、これらについては平成三十一年度までに完了する予定でございます。また、避難所となる大学、高等学校等については、平成三十七年度としている完了時期の前倒しを検討してまいります。
重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化完了後は、首都直下地震等の発生時において被害が大きいと想定している地域に重点化し、断水率五〇%を超える地域の解消を目指してまいります。
○大場委員 ただいまのご答弁によりまして、震災による断水や漏水被害の軽減のため、来年度以降も優先度を決めて管路の継ぎ手化に取り組んでいくことが明確になりました。都民の皆様も安心されると考えます。
続きまして、浄水施設に目を向けたいと思います。
高度経済成長期に集中的に整備された大規模浄水場の多くが、今後、集中的に更新時期を迎えます。浄水場は水道事業の基幹的な役割を担う施設の一つであり、首都東京の安定給水を確保していくためには、計画的な更新が必要であることはいうまでもありません。
一方、都の推計によりますと、長期的には人口減少が見込まれておりまして、そのような状況変化を今後の施設整備に反映させることも重要と考えます。
そこで、将来を見据えた浄水場更新の進め方についてお伺いします。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 浄水場の更新には、半世紀を超える長い期間と多額の経費を要することとなります。このため、更新事業を計画的かつ効率的に進めることが不可欠でございます。
こうしたことから、まずは予防保全型管理を着実に進め、施設の長寿命化を図り、既存施設を有効に活用してまいります。その上で、浄水場や代替浄水場の整備の進め方について、将来の人口減少等を踏まえながら検討してまいります。
○大場委員 浄水場の更新に当たりましては、水道の供給能力が大幅に低下することのないよう、また、事業環境の変化も的確に捉えた上で、計画的かつ効率的に水道施設の整備を進めていくことを期待いたします。
続いて、東京の水道事業を担う基盤として忘れてはならない人材、その育成についてお尋ねいたします。
水道局をこれまで支えてきたベテラン職員の割合が減少し、事業を支える貴重な経験やノウハウの継承が難しくなっているなど、人材を取り巻く環境は厳しさを増しております。この点は、昨年十一月九日の本委員会の事務事業質疑におきまして、我が党の委員からの指摘のありましたところであり、水道局には、この困難な状況を打開するためのなお一層の努力が求められております。
そこで、人材育成に関する現状認識と、今後の対応の方向性についてお伺いいたします。
○筧職員部長 水道事業には、水源林の保全、水道施設の運転管理及び維持補修、料金の徴収業務といった多岐にわたる業務が存在し、それぞれ固有の技術やノウハウを必要とするため、それに合わせた人材確保と育成の方法が不可欠でございます。
一方で、団塊世代の大量退職などによる豊富な経験や知識を持ったベテラン職員の減少に伴い、当局の職員構成が若年化しており、こうした若手職員への技術継承が課題となっております。こうした課題に対応し、当局の実情に即した人材の確保と育成を行っていくため、取り組みの基本方針となる東京水道人材確保育成方針を、今月策定する予定でございます。
○大場委員 ただいま筧部長から、多様な水道事業の実情に即した人材を育成するため、その方向性の基本となる人材育成方針を作成すると、明確なご答弁をいただきました。
次に、こうした水道事業が持つ多様な業務に対応する職員をどのように育成していくか、また、具体的なお考えをお伺いします。
○筧職員部長 人材確保育成方針では、水道事業が持つ多様な業務を、営業、浄水、給水、建設という四つの業務分野及び企画管理部門にまとめまして、それぞれの職場で培われている固有の技術、ノウハウなどをもとに、求める人材像などを詳細に設定しております。
例えば、浄水業務で求められる人材像を挙げますと、平時においては刻々と変わる原水水質に対応し、適切な浄水処理を実施するとともに、事故時でも浄水処理及び水運用を行える技術や知識等を持つ人材でございます。
このように、業務ごとの求める人材像や職層別の到達目標に応じて、きめ細かな育成を実施することで、東京水道を各業務で支える職員全体の現場力を向上させてまいります。
○大場委員 水道事業には、さまざまな業務や現場があり、それぞれの現場力を高めていくために育成するというお考えがわかりました。
その一方で、局が出資する監理団体についても、水道事業の現場を支えておりまして、その果たすべき役割は拡大していると考えております。局からの事業の移転も進んでいる現状もあり、監理団体につきましても、今後の人材育成をどうしていくのかを考えていくことが重要であります。
そこで、局と監理団体の人材育成に関する課題認識と今後の対応についてお伺いします。
○筧職員部長 当局におきましては、監理団体への業務移転の進展に伴いまして、職員が現場経験を積み、技術やノウハウを習得するための現場や機会が減少しております。
一方、監理団体におきましても、広域的な水運用を行う上で重要である浄水場の運転管理や、水道全般の相談を受け付けるお客様センターの運営など、水道事業の全体的な方針や政策への深い理解が必要な業務を担当しているため、視野を広げるためのさまざまな経験を積むことが必要でございます。
こうした局と監理団体が持つ課題につきまして相互に補うため、現在も実施しております人材の相互交流の取り組みを、今後さらに充実拡大を図り、局と監理団体が一体となって人材育成を推進してまいります。
○大場委員 局においては、現場経験を積む機会の減少、監理団体においては役割拡大に伴う水道事業全体への深い理解の必要性など、ともに事業運営上の課題が存在するため、ご答弁のとおり、相互交流を行う意義は大きいと思います。
また、人口減少社会の到来により労働力の確保が難しくなっているため、より効果的な事業運営を推進するべく、人材の相互交流を一層強化することは重要と考えます。
そこで、局と監理団体の相互交流について、今後どのように取り組み、また、どうやって活発化させていくお考えなのか、お伺いいたします。
○筧職員部長 具体的な相互交流の内容といたしましては、例えば、監理団体社員の局への受け入れにつきましては、企画部門や浄水系職場などの事業実施部門への受け入れをこれまで以上に拡充し、政策形成過程や全体的な業務の流れを習得させます。そして、その経験を監理団体にフィードバックし、業務のレベルアップを図ってまいります。
また、相互交流の活発化につきましては、局職員の監理団体への派遣につきまして、総務局が策定予定の人事交流指針との整合性を図りながら、規模や範囲を拡大すべく多様な派遣方法を検討してまいります。
こうした人材の相互交流を通じまして、局と監理団体が一体となった人材基盤を確立させることで、東京水道グループ全体としての業務遂行能力を向上させてまいります。
○大場委員 現場力を高めるため、局と監理団体が事業を担う人材の育成にどのように対応していくのか、その方針についてよくわかりました。人材の育成を実際に進めていくために、方針を早期に具体化していくことが必要です。
そこで、この方針をどのように具体化させていくのか伺います。
○筧職員部長 人材確保育成方針で示した、求める人材像を育成していくためには、方針に基づき個別の取り組みを具体化させていくことが重要でございます。
このため、詳細な取り組み内容や取り組み目標、個別のスケジュールなどを体系的に取りまとめたものが必要でありまして、これを実行プログラムとして、本年秋ごろを目途に策定いたします。
例えば、さきに答弁いたしましたそれぞれの業務分野において、職員の現場力が的確に向上できるような、局と監理団体の相互交流も含めた配置モデルを示すなどといった内容を検討いたします。この実行プログラムに基づきまして、東京水道グループ一体となって人材育成に取り組んでいくことで、これからの東京水道を支える強固な人材基盤を確立してまいります。
○大場委員 東京水道を支える人材の育成に着実に取り組み、世界一の水道システムを今後も維持していくことを期待したいと思います。
これまで水源林保全の取り組み、水道施設整備の今後のあり方、事業を担う人材育成に関する考えと、いずれも水道事業にとって極めて重要である基盤強化に対する取り組みについて質疑を行ってまいりました。これらはいずれも一朝一夕に解決できるものではございません。長期的な視点を持って、一歩一歩着実に取り組んでいく必要があると考えます。そして、その推進のためには、組織のトップによる強い意思と信念が不可欠であります。
本日の質疑の総括といたしまして、二十四時間三百六十五日、東京水道の安定供給のため、その基盤強化に対する中嶋局長の強いご決意を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中嶋水道局長 安全でおいしい高品質な水の安定供給は、未来永劫変わることのない水道事業における根源的な使命でございます。
東京の近代水道が始まりまして、ことしで百二十年の節目を迎えますが、当局はこの間、都民の貴重な水を育んでまいりました水道水源林の保全や、一千三百万人を超える都民への安定給水を支える管路や基幹施設の整備、こうした事業運営の礎たる人材を育成するための取り組みを進めてまいりました。まさに委員ご指摘のとおり、一朝一夕で成るものではございません。
今後は、貴重な水源を次世代に引き継げますように、多くの方々の理解と協力のもと水源林保全を進めますとともに、将来にわたり持続可能で強靱な水道システムを構築するため、長期的な視点を踏まえた施設整備のあり方を検討してまいります。
また、人材の相互交流を強化することで、局職員と監理団体社員のレベルアップを図るとともに、事業運営の面でも、より有機的な連携を進めてまいります。将来にわたり東京水道を安定的に運営していくため、次の五十年、百年先を見据えて長期的に事業を考え、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとしての使命を全うしてまいります。
○加藤委員 それでは、質疑を行います。
ことしは東京府開設から百五十年の節目であるとともに、東京水道にとっても明治三十一年に通水を開始した近代水道の開始から百二十年という節目の年と聞いております。これまでも時代の変遷に合わせ、水道に求められる量も質も上がる中、東京水道は、水源から蛇口に至るまで、日夜さまざまな努力を行い、安全でおいしい水を安定的に供給してきたと認識しております。
私が生まれた昭和三十九年は、初めて東京でオリンピックが開催された年であるとともに、大規模な渇水が起きた年ということを知りました。今でこそ水は簡単に手に入りますが、それは日々の努力の積み重ねがあるからであり、先人を初め水道局や関係事業者など、多くの皆様のご努力に改めて感謝する次第です。
だからこそ、ふだん私たちの生活で当たり前に使っている水道水が東京水道のこれまでの経験やノウハウに基づく世界最高水準の技術によりつくられているということを積極的にPRすることで、都民の水道事業に対する理解、共感を得ることが肝要であると考えます。
こうした観点から、本日は、水道局の広報施策、これに焦点を当てまして、何点か質問をさせていただきます。
まず、まち中水飲み栓について伺います。
水道局では、都民に東京の安全でおいしい水を実感してもらい、水道事業に対する理解を深めてもらうため、我が党の提言を受け、平成二十六年八月に、国内外の多くの方が行き交う東京国際フォーラムにまち中水飲み栓を設置しました。
昨年の事務事業質疑では、より多くの方に水飲み栓を利用してもらうため、同じく東京国際フォーラムに、新たにマイボトルに水を注ぐことができるボトルディスペンサー機能のある水飲み栓を設置するため手続を進めていくという答弁がありました。
そこで、まず、このボトルディスペンサー式水飲み栓の設置に向けた取り組み状況について伺います。
○尾根田給水部長 マイボトル等を置いて直接水を注ぐタイプの新たな水飲み栓、いわゆるボトルディスペンサー式水飲み栓の設置に向けましては、これまで施設管理者である東京国際フォーラムと巡視や清掃などの維持管理等に関する調整を進めてまいりました。
設置する水飲み栓の仕様につきましては、衛生面や耐久性、保守管理面に加えまして、より多くの方に高品質な水道水を体感していただけるよう、デザインにも配慮しており、この新たな水飲み栓を今年度末までに設置することとしております。
○加藤委員 都民だけでなく、国内外から東京を訪れる多くの方が、この新たなまち中水飲み栓を利用し、水道水のおいしさを実感することで、東京水道のPRに大きく貢献することを期待しております。年度末までということは、あと少しの時間でありますが、この年度内の設置に向けまして、しっかりと準備を進めていただきたいと思います。
次に、安全でおいしい東京の水道水は、世界に誇る水道インフラ施設でつくられています。同様に、これも事務事業質疑で取り上げましたが、水道インフラ施設の中でも、特に技術的な側面や歴史的な背景、景観等がすぐれている七カ所を選定し、東京水道名所として都民にPRすることで、水道に対する親しみを深めてもらう取り組みを行うとしてPR冊子もつくるとのことでした。
そこで、今般でき上がりました東京水道名所のパンフレットを作成するに当たって工夫した点と、パンフレットのさらなる展開について伺います。
○志村経理部長 パンフレットは、お客様に手にとっていただくことが大切でございます。今回作成いたしましたパンフレットは、そのための工夫といたしまして、写真やイラストを多用しながら、名所のポイントをわかりやすく記載してございまして、これらは職員が手づくりで作成をいたしました。
加えて、拡張現実、こちらは英語の頭文字でARと表現されるものでございますが、パンフレットではこのARの機能を付加してございまして、スマートフォン等で専用アプリを起動し、パンフレットの画像を読み取りますと、名所を背景とした写真の撮影や、名所の紹介動画の視聴ができるなど、水道名所を身近に楽しんでいただけるよう工夫してございます。
今後は、英語版のパンフレットを作成し、本年九月に開催されるIWA世界会議・展示会などにおいても積極的に配布をいたしまして各所の魅力を国内外に広く発信してまいります。
○加藤委員 私も実際手にしましたけれども、これですね、非常に見やすく工夫されておりまして、答弁にありましたAR、この機能によりましてスマートフォンで読み取りますと、その場にいなくても水道名所を背景とした写真が撮れるなど、時代に合った水道をより身近に感じられるすばらしいパンフレットであると感じました。
今後は、英語版もできるということなので、ぜひ海外の方にも手にとっていただき、水道インフラ施設の持つポテンシャルを国外にも発信することで、東京水道のプレゼンスを高めていただきたいと思います。
プレゼンスを高めるという点でいえば、ただいまの答弁でも触れていましたが、いよいよ本年九月にはIWA世界会議が開催されます。
先ほどもやりとりがあったと思いますけれども、このIWA世界会議は、すぐれた水道技術やノウハウを世界に発信する絶好の機会であり、この世界会議の開催に向け、都民に対しても東京水道の魅力を知ってもらうなど、機運を高めていくことが重要であります。
そこで、IWA世界会議の開催に向けた機運醸成のため、具体的にどのような取り組みを行っているのか伺います。
○小山サービス推進部長 IWA世界会議を契機として、一人でも多くのお客様に東京水道の強みや魅力を理解していただくことは重要なことであると認識をいたしております。
このため、東京水道の持つ技術力や徹底した水質管理などについて、局ホームページやツイッター等でPRするとともに、地元に密着した情報を発信する地域水道ニュースを配布するなど、多様な手法を用いて広報を実施いたしております。
これらに加えまして、先月には、東京水の試飲により水道水のおいしさを実感していただくとともに、世界に誇れる東京の水道システムをクロスワードラリーにより紹介するなど、体験体感型のPRイベントを開催いたしました。このイベントは、都内二カ所で開催いたしまして、約二千二百名の方に参加をいただいたところでございます。
こうした取り組みを重層的に行うことにより、IWA世界会議に向けた機運を着実に醸成してまいります。
○加藤委員 今お話ありました、そのうちの一つが私の地元の墨田区でも開催されまして、先月、開催されましたイベントに出ました。さまざまな趣向を凝らした内容で、確かに子供からシニア世代まで多くの方が参加をしておりました。
ちなみに、小学校六年生の私の娘にも、この水道イベントでいただいたチラシを見せて、蛇口から水道水が直接飲める国が幾つあるかというクイズを出しまして、わずか九カ国しかないということを知り、驚いておりました。そんなに少ないのということで、本当にこうしたイベントは、特に子供がふだん何げなく使っている水道水に対して興味を持つよい機会であります。
そこで、子供にも水道に興味を持ってもらうため、特に多くの子供がイベントに参加しやすい夏休みに、子供向けの広報施策を実施すべきと考えますが、局の見解を伺います。
○小山サービス推進部長 子供向けのPR施策でございますが、次の世代につながるとともに、家族ぐるみでも楽しめることから、ご指摘のように、多くの子供が参加しやすい夏休みにイベントを実施することは非常に有益であるというふうに認識しております。
このため、当局では、東京国際フォーラムにおいて、夏休みに三日間にわたり開催され、延べ十万人以上が来場する丸の内キッズジャンボリーに参加をいたします。このイベントの中で、寸劇や映像などを交えて東京の水道を子供の視点で伝える水道キャラバンなどを一層充実して実施してまいります。
また、水の科学館では、夏休み期間において、水の性質に関する実験をふやすなど、子供の好奇心を刺激するような、より工夫した特別イベントを開催いたします。
今後、こうした取り組みとともにさまざまな機会を捉えて、子供向けの広報施策を展開いたしまして、次代を担う子供世代に対しても、水道への興味や親しみを深めてまいります。
○加藤委員 今後とも、次世代の水道を支えることになる子供にも積極的にPRを行うことで、水道に対する関心を喚起していただきたいと思います。
IWA世界会議については、当初、私、ちょっと勘違いをしておりまして、国際会議なので、世界中の関係者だけが集まって議論するだけで、一般の人が来場できる展示などはないというふうに思っていたんですけれども、そうではないということで大いにPRしていただきたいと思います。
また、その後も、ラグビーのワールドカップ二〇一九大会や二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック大会など、国際的なビッグイベントが続きます。各ビッグイベントの開催に向けては、機運醸成のイベントや各広報媒体を通じたPRなど、国内外の多くの方に発信していくことになると思います。
こうしたビッグイベントの機会を活用して、国内外の方に、実際、水道水を飲んでいただいて、東京水道の魅力を実感していただくべきと考えますが、見解を伺います。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 世界中から多くの方々が集まる国際的なビッグイベントは、東京水道の魅力を国内外に発信する絶好の機会と認識しております。このため、IWA世界会議を初めとする各イベントの開催期間中、会場や人が多く集まる場所などに、水道水を飲んでいただき、東京水道の魅力を体験、体感できる仮設水飲み栓を設置してまいります。
また、設置とあわせまして、お客様にマイボトルなどの飲用ツールを配布し、安全でおいしい水道水を飲んでいただくとともに、PR映像の配信等を通じ、高品質を確保するためのさまざまな取り組みや安定給水を支える技術力を東京水道の魅力として発信してまいります。
○加藤委員 ビッグイベントは国内外の方へPRするまたとないチャンスと捉え、ぜひ多くの方に東京の水道水を飲んでいただき、おいしさを実感してもらいたいと思います。
イベントに合わせて臨時で仮設の水飲み栓をつくり、集中的にPRしていくことも大切である一方、今度は、まち中に目を向けると、学校や図書館、スポーツ施設等の中には、冷水器など水を飲める場所が多数あります。
そこで、こうした設備を活用し、水道水が気軽に飲めることを認識してもらうことが必要と考えますが、見解を伺います。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 多くの方々に水道水を気軽に飲んでいただくためには、都内の公共施設等に多数設置されております既存の水飲み栓を活用することが有効であるものと認識しております。
そのため、各局や区市町等に協力をいただき、既存の水飲み栓に東京水の新ラベルデザインを印刷したステッカーを貼付し、飲用場所を効果的に周知しており、これまでにこのステッカーを約九百カ所、千六百枚配布しております。また、ステッカーには、先ほど答弁ございましたARを活用し、スマートフォンで読み取ると広報動画を視聴できるなど、発信機能を持たせることでお客様に有用な情報を適宜適切に提供しております。
これら既設の水飲み栓に加え、新たなまち中水飲み栓やイベントの際に設置する仮設水飲み栓等を含め、Tokyowater Drinking Stationと名づけ、より一層水道水に親しんでいただけるよう統一的に展開してまいります。
さらに、今後は、このTokyowater Drinking Stationの設置場所を、局のホームページ等を通じて広く発信してまいります。
○加藤委員 既存の設備を活用すれば、費用をそれほどかけずPR効果を得られる取り組みであり、ステッカーを東京水の新ラベルデザインに統一することで、しっかりとブランディングもできていると考えます。
さらには、こうした安全でおいしい東京水を体験できる空間をTokyowater Drinking Stationと称して、今後、統一的に展開していくとのことですので、ぜひ、より多くの方にこの場に立ち寄っていただき、東京の水道水を飲んでいただくことを期待しております。
先日、地元の中学校の周年行事がありまして出席しましたところ、よくあると思うんですけれども、実行委員会やPTAから冷水器が三台寄贈されたんですね。局では小中学校への水飲み栓直結給水化事業を行っているわけですから、こうした冷水器などにもステッカーを張れば、また一段とPRになるかと思います。
さらに、答弁にもありましたように、東京水を飲める場所の目印となるステッカーには、ARを活用した発信機能を持たせるとのことであります。
そこで、このARの活用法と今後の展開について伺います。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 ARを活用いたしました広報は、若年層を中心に、水道への親しみや理解を深めていただくツールとして効果的と考えております。
これまで、先ほど理事からもお話がございました、東京水道名所パンフレットやPRグッズ、外国人向け東京水PRチラシ等にARを設置しております。
今後は、カレンダー等に使う写真を募集する東京水道フォトコンテストの案内や、水道キャラバンにおけるグッズ等、お客様とのさまざまな接点で活用を検討してまいります。ARの設定をさらにふやし、お客様の興味を引き、時宜にかなったコンテンツを多数発信することで、局事業の理解促進につなげてまいります。
○加藤委員 情報通信白書によりますと、AR技術は、ポケモンGOに代表されるように、エンターテインメント分野での活用が進んでいますが、今後は、他の分野においても価値創出が期待されており、こうした新たな技術を活用し、若い世代にも水道に興味を持ってもらえるよう、取り組みを推進していただきたいと思います。
これまで、水道局の取り組む各広報施策について質疑を重ねてきましたが、冒頭申し上げましたとおり、これら広報活動は、都民の水道事業に対する理解、共感を得る上で必要不可欠であります。都民の求めるものが時代とともに変わる中、いかに戦略的に広報を行い、都民の信頼をかち得るか、本日の質疑の総括といたしまして、広報による都民の信頼確保に向けた局長の決意を伺います。
○中嶋水道局長 水道事業は、お客様から支払われる水道料金で成り立っております。そのため、お客様の信頼が不可欠でございます。
そのため、お客様の水道に対する理解を深め、共感を得ていくための積極的な広報は極めて重要と考えております。また、安全でおいしい水道水は世界に誇る強みであり、これを国内外に広報しますことは、首都東京の魅力を発信することにもつながるものと認識しております。
社会の変化に伴い、昨今では、ソーシャルメディアの発達により広報手段が多様化しますとともに、対象も拡大している中で、広報のあり方も当然ながら柔軟に変化させなければなりません。
そのため、当局におきましても、新たな手法による広報や外国人、また、小中学生を初めとしました子供など、多様な対象に向けた広報を効果的に展開してございます。
今後は、こうした各広報施策をさらに磨き上げまして、体系的に整理いたしますとともに、広報の対象となるお客様をライフステージごとにきめ細かく分類し、お客様の層に応じた広報施策を戦略的に展開してまいります。
今後とも、局一丸となりまして、真にお客様に信頼される水道を実現し、将来にわたり安定的な事業運営を推進してまいります。
○加藤委員 本日の質疑を通じまして、水道局がさまざまな工夫を重ね、水道事業をしっかりとPRしていることを理解いたしました。
蛇口をひねればいつでも水が出る、一見当たり前のように思える水道水のすばらしさを、今後も時期を捉えて力強く発信していくことを期待し、質問を終わります。
○斉藤委員 私からは、水道の民営化についてと検針業務の委託についての質問と、そして工業用水道についての意見を述べさせていただきます。
まず、水道の民営化の問題についてです。
水道局はこれまで、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインとして、安全で高品質な水を安定的に提供してきました。誰もが、どこでも安全な水にアクセスできる環境をつくり、都民の命と暮らしを支える上で、公営企業としての水道局の役割はとても大きなものだと思いますが、水道事業を行う上で基本となる水道局の考えや法的根拠について、改めてお伺いいたします。
○黒沼理事 水道事業の根拠法は水道法でございます。この法律では、第一条に、水道は清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する、このことが目的として定められております。
当局では、こうした法の目的に照らしまして、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、安全でおいしい高品質な水を安定して供給することを局事業の根源的な使命と位置づけております。
○斉藤委員 安全でおいしい高品質な水を安定的に安定供給することを水道事業の根源的な使命と位置づけていると、水道局の魂についてお答えいただいたと思います。
清浄にして豊富低廉な水の供給を実現するために、水道局の事業はとても大きな役割を果たしていると思います。安全な水の供給は、人の命や暮らしに直結するため、水へのアクセスは基本的人権や生存権を保障する上でも、とても重要なものです。今、改めて、この認識を皆さんとしっかり共有したいと思います。
しかし、今、国では、水道事業の民営化、具体的には運営権の売却を後押しするための水道法やPFI法の改定が検討されています。企業の裁量の幅が広がり、利益を上げることが目的になれば、高品質な水の安定供給という、水道局がこれまで果たしてきた事業のまさに根源が崩れることになるのではないかと思いますが、水道局の考えを教えてください。
○黒沼理事 ただいま委員お話がございました、水道法とPFI法の改正でございますが、今国会に上程されておりますが、水道施設への運営権設定に関しましては、改正水道法に基づいて手続が行われることになります。
この改正水道法の趣旨でございますが、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等、我が国の水道事業が直面する課題に対応いたしまして、この水道の基盤強化を図るため、官民連携あるいは広域連携といった所要の措置を講ずる、こうしたものとされております。
我が国には約千四百の水道事業体がございまして、その約七割は中小の事業体でございます。経営基盤が脆弱な事業体にとりまして、今般の水道法の改正、事業継続のための選択肢の一つとしての意義はあるものと考えてございます。
また、この改正法案では、あくまでも地方公共団体を認可事業者といたします。その上で、厚生労働大臣から許可を受けた上で、運営権を民間事業者に設定する、こうした方式を検討しているようでございます。
今後、こうした法改正の動向を注視するとともに、都の水道の官民連携につきましては、首都東京の事業の性格、あるいは都市機能としての役割を十分に踏まえまして、適切に対応してまいります。
○斉藤委員 今、水道事業が直面する課題ということがありましたが、国会でもこのことは議論をされており、施設の老朽化、職員数の減少、そして人口減少に伴う料金収入の減少という課題が挙げられています。
しかし、こうした課題は民間の手法でなければ解決できないということではありません。特に、職員数の減少については、行政がみずから、この間進めてきたことで、技術継承がきちんとされるのか危ぶまれている今こそ、職員増にも踏み出していかなければなりません。
国の動きに対しては、受け身の姿勢ではなく、理念を持って公営でやってきたからこそ、東京の水のライフラインが保たれてきたことと、これからも東京都や市町村が公共セクターとして都民の命と暮らしを守るために行う水道事業を支援するように、国に対して積極的に求めていく立場に立つことが必要だと思います。
東京都での議論ですが、先月発表された東京都の二〇二〇改革プランの素案には、事業ユニット一覧の中で、水道事業は、現在分析中のユニットとされています。今現在、何か分析されていることはあるのでしょうか。
○黒沼理事 これまで、都政改革本部におきましては、見える化改革といたしまして、経営戦略改革レベルで、局事業の自律的かつ総合的な見直しにつなげていく改革を実施しておりまして、平成三十年一月現在で十五の事業ユニットの分析が報告されております。
お話のございました水道事業のユニット分析でございますが、都政改革本部からは、施策、事業の体系整理など、現状分析に着手するよう依頼がございまして、現在、局内において準備を進めているところでございます。
○斉藤委員 分析に着手するよう依頼があり、その準備を進めているということです。この問題は、国も、コンセッション方式の導入の後押しを進めようとする中で、大阪市議会では繰り返し議論が行われ、また、下水道事業でのコンセッション方式が始まる浜松市でも、既に水道事業への導入も検討が始まっているということです。
これまで水道の民営化が議会で議論されてきた大阪市では、水道事業が公営で行われていることの意義を、今、多くの市民が自覚をして、大阪の水道を民間に委ねていくのではなく、市民のために守ってほしいと、大きな運動が起こっています。東京都でも、公営で水道事業を行っていることの意義について再認識していくことが重要だと思っています。
私は、人の命と暮らしに直結する水へのアクセスは、公営だからこそ、どこに住んでいても、誰にでも保障されるように、これまで整備できてきたのだと思っています。民間の手法で利益を得ることが水道事業の目的に入り込んでしまったら重大な結果を招くことになるということは、既に世界で多くの事例が示しています。
世界では、一九八〇年代から、いわゆる水メジャー、ウオーターバロンといわれる水をビジネスとする大企業が各国政府と結びついて、世界銀行をバックにしながら発展途上国や先進国にも民営モデルを押しつけてきました。
しかし、その結果、パリ市、アトランタ市、ベルリン市でも、水道料金が高騰し、配水阻害や水質汚濁が起きて、それぞれ再公営化がされています。二〇〇〇年から二〇一五年の間に、民営から公営に戻した事例が世界各国で二百三十五件にも上るという我が党の独自調査の結果も国会で明らかにしています。
国際公務労連、PSIの報告書によると、民間から公営に戻したケースでは、サービス実施のコストを軽減させて、労働者の労働条件の改善にもつながり、サービスも向上し、透明性や説明責任の確保も進んだということです。
コンセッション方式など、この民営化においては、株主配当や役員報酬、法人税や内部留保など、余計な支出が発生することも既に明らかになっています。民間事業者の収益は、投資家や経営層など一部の人たちの利益にしかならず、大多数の住民や労働者、行政にとっては不利益になることが今や明らかではないでしょうか。
国連は、二〇一〇年の七月に水と衛生に対する人権について決議を採択しました。これは、水を商品として捉えて水道の民営化を進め、水メジャーが利益優先の事業を行う中で多くの市民が苦しむことになり、水問題を捉え直す動きの中で採択されているものです。
人間にとって、安全で清潔な水にアクセスすることは、生きるために欠かせない基本的人権だという認識が広がり、それを保障できるのが公共セクターの施策なんだということが見直されています。水道事業の民営化で苦しめられてきた世界中の市民たちが、今、公営での水道事業を求めて活動をしています。
水問題について国際的に活動しているモード・バーロウさんという活動家が書いた「ウォーター・ビジネス」という本の中で、日本の水道事業について記載している箇所があります。
二〇〇三年に京都市で開かれた第三回世界水フォーラムのことです。このとき、水道局の皆さんもこのフォーラムに参加しているということを伺っています。ここで世界中から集まった市民活動家たちが日本の自治体の責任者たちに会って話を聞いたそうです。その一節をご紹介したいと思います。
日本では、世界で有数のすばらしい公営水道が存在する。私たちは、幾つもの自治体の誇り高き公営水道の責任者たちに会い、日本の公営水道サービスの維持管理に必要な技術的専門性について話を聞いた。フィリピンのIBON財団、これはフィリピンの市民参加型の調査開発機関のことですが、この財団のトニー・チュハン氏は、日本の公共セクターの持つ専門性が専門家派遣や知識経験の移転を通じてマニラにもたらされていれば、全ての人のお金が節約でき、苦悩が軽減されただろうと、そう書かれています。
私たちは、ふだんの生活の中で何げなく使っている水道ですが、その環境は世界がうらやむ環境だということ、そして、それが水道局を中心とした公共セクターの皆さんの仕事だからこそ実現できているのだということ、今、改めて認識を深めていかなければいけないと思います。
世界が羨望する東京の水環境を実現してきた背景には、高度な技術だけではなく公的に責任を持って行うという理念があったからだと思いますが、水道局の認識を伺います。
○黒沼理事 水道事業は、冒頭にご答弁申し上げましたが、公衆衛生の向上、生活環境の改善への寄与といった公共的な性格を持つ一方で、常に企業の経済性を発揮するように運営されなければならないともされてございます。
東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える、まさに基幹ライフラインといたしまして、安全でおいしい高品質な水を安定的に供給することを使命とし、これまでも技術力の蓄積あるいは向上に努めるほか、民間委託の推進やPFIの積極的な導入など、他の水道事業体にも先駆けたさまざまなチャレンジを行ってまいりました。
今後とも、水道事業の根源的な使命はしっかりと踏まえつつ、不断の経営努力を行い、効率的で健全な経営に努め、首都東京の水道システムを次世代にしっかりとつなげてまいります。
○斉藤委員 水道局の事業の根源をしっかりと踏まえつつという言葉に頼もしさを感じました。民間委託なども実施してきたということですが、システムや技術力のかなめを東京都水道局がしっかり握っているからこそ、安全で高品質な水を安定的に供給できているのだと思います。
ことしの九月には、東京でIWAが開催されます。水道局が持つ技術力を発信していくこととともに、公的に水道事業を行ってきた理念についても、その発信が今、求められているのではないかと思います。
政治的だと思う方もいるかもしれませんが、安心で高品質、低廉な水のアクセスは誰もが必要とするものです。水道事業を公的に行うことの意義を改めて認識して、都民に発信していく積極的な立場に立っていただくことを要望いたしましてこの質問を終わります。
次に、検針業務の委託について質問をいたします。
検針業務の委託、特に、検針員の労働環境について、我が党は昨年の予算委員会の中でも質疑をいたしました。今回またこの問題を取り上げさせていただくのは、一年たってもなお、検針員の方々から、働く現場が本当に大変だという切実な声が届いているからです。
まず、定期検針業務の委託単価についてですが、現在は幾らでしょうか、消費税を除いた金額で教えてください。
○小山サービス推進部長 定期検針業務において、契約総金額を水道メーターの個数で割った委託単価でございますが、平成二十九年度は消費税抜きで百十八・一三円となっております。
○斉藤委員 二〇一七年度は百十八・一三円ということでした。昨年度が百十七・二八円でしたので、八十五銭上がっているということです。
昨年の質疑の中で、近年五カ年では、二〇一二年度が百二十一・〇三円、二〇一三年度が百二十・五五円、二〇一四年度が百十八・五一円、二〇一五年度が百十七・七八円と、昨年まで単価は下がり続け、二〇〇九年の百二十六・〇八円から現在まで、七・九五円、およそ八円も下がっています。
単価が下がっている状況に対して、昨年の質疑では、競争性が発揮された結果であると認識しているという答弁がありました。今、委託会社の決定に適用されている履行能力等審査方式でも、二、三者が審査された上で価格を入れるということになっているので、そうした競争にさらされる中で、検針員の方々が厳しい労働環境に置かれている状況です。
昨年の委員会で我が党が、これ以上の単価の切り下げにつながらないようにするためにも、実態を調査するべきではないかと求めたことに対し、検針会社、委託業者に対して、業務指導等を通じて履行状況を適宜確認しているところだというご答弁がありました。
検針員の労働条件や実態も確認しているということでしょうか、
○小山サービス推進部長 業務委託契約でございますが、委託を受けた業者みずからの責任において労働者を雇用いたしまして、労務管理を実施するという性格を持っております。したがって、検針員の労働実態についても、各委託業者が雇用主として管理すべき事項でございます。
なお、業務指導等を通じた履行状況の確認でございますが、定期検針などの業務についてマニュアル等に基づき、適切な手続で行われているかなどを確認しているところでございます。
○斉藤委員 労働条件については委託会社の責任であるというご答弁ですが、水道局の仕事をしていただいている中で、労働者がどういう状況に置かれているのかは、委託会社の責任で、水道局はあずかり知らないという姿勢のままでは私はいけないと思います。ディーセントワークを掲げている東京都の仕事の足元で、苦しい働き方を余儀なくされている状況を改善していくことは、水道局の重要な役割だと思います。
検針員の方々から私のもとに、労働環境の厳しさについてさまざまな声が寄せられて、私は今回、多くの実態を知ることができました。水道局の皆さんはよくご存じのことと思いますが、水道の検針には基準日があって、請求額が変動しないようにするためには、その基準日から外れて検針をすることは極力避けなければならないようになっています。
加えて、一日何百軒と検針するので、休むとそのまま繰り越しになるか、ほかの人に頼むということになるのですが、実際には地域になれていないほかの検針員に任せるということは大きな負担になるため、突発的な休みはほとんどとれない状況になっているということです。
そうした中で、どんな悪天候の日でも、警報が出ているような日でも、検針に出ていかなければならないという実態があります。大雪で電車がとまっているようなときでも、五キロにもなる検針機器などを持って歩いたという例、集中豪雨で道路が冠水しているときでも、じゃぶじゃぶと水の中を歩いて検針に回ったという例、また、東日本大震災の翌日にも検針に回って、こんなときでもやっているんですかとお客さんに心配されたということもあったということです。
委託会社は、お客様サービスの観点や他社との競争もある中で、会社として検針を休みにするということはいえない状況があるということもいわれています。こうした苛酷な状況を改善し、働く皆さんの安全を守る観点からも、悪天候や警報が出ている日、あるいはそれに該当する地域に対しては、水道局から検針の中止の指令を出すなど、対応を考えていただきたいという声がありますが、いかがでしょうか。
○小山サービス推進部長 定期検針などの委託業務につきましては、当局と委託業者との間で密接に連携を図りながら実施しているところでございます。当局では、悪天候や警報が出された際などには、委託業者に連絡を入れまして、注意喚起をその都度行っております。
また、委託業者から相談等が寄せられた際は、現場状況などを踏まえ、柔軟に対応することとしているところでございます。
○斉藤委員 水道局としては、注意喚起をして委託業者から相談があれば対応するということですが、現場では検針日を守るために、大雪でも、道路が冠水していても歩いて回っている状況です。
今、民間企業でも、台風や大雪などの予報があれば外出を控えるなどの対応をとるところがふえています。水道局からの仕事をもらう業者は立場が弱く、自社ではなかなか独自の対応ができないのだと思います。このことについて水道局から積極的に話し合いの場をつくっていただいて対応していただきたいと思います。また、局として、実態の把握がきちんとできるように、例えば検針員向けの無記名アンケートの実施などを検討していただくよう要望をいたします。
次です。
検針員の皆さんは、水道局が委託会社に貸し出しをしているハンディーターミナルと、プリンター、そしてペーパーロール、そしてバッテリーなど担いで一軒一軒回って検針をしています。
このプリンターから検針の結果や請求書が、その場でプリントアウトされるようになっているわけですが、このプリントアウトが検針の基準日として決められた、その日一日しかできないようになっているということです。その日から一日でもずれてしまったら、あとは手書きで検針結果を書いて、請求書はセンターから発行しなければならないというふうになっていて、これが大きな負担になっているということです。
特に今は、オートロックのマンションがふえて、その日に入館できずに何度も足を運んでようやく入館する中で、検針日がずれる例が多くあるということです。その中で、検針員の方々の負担は大きなものになっています。
システム改修は大変なことかもしれませんが、設定した基準日しか検針結果などプリントアウトできないという仕組みは改善の余地があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小山サービス推進部長 先ほど答弁させていただきましたとおり、委託業務の実施については、当局と委託業者との間で密に連絡をとっております。先ほどのお話にございましたが、話し合いの場も定期的に設けて密接に連絡をとっているところです。
あと、詳細な事柄につきましては、引き続き委託業者との間で密接に連携を図りながら適切に対処してまいります。
○斉藤委員 引き続き密接に連携をとりながら適切に対応していくということですので、ぜひ改善の検討をしていただきたいと思います。
先ほどの悪天候の日の検針についても、検針日がずれると手書きの検針結果をつくらなくてはならないために、休むことができない状況に拍車をかけていると思います。システムの改善ができれば、こうした負担の解消にもつながると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
また、先ほどと同様ですが、こうした現場の状況について水道局が把握できるように、先ほど懇談もしているということもありましたが、仕事を水道局からもらうという立場上、委託会社は弱い立場にあります。こういうことにも配慮をして、例えば、検針員の方々に無記名アンケートなどの実態調査を行って、発注元として業務改善につなげていただくことを重ねてお願いをしたいと思います。
次に、労働条件の話についてですが、検針業務の委託について、今、履行能力等審査方式という制度で委託業者を決定しているということ、先ほどもお話をさせていただきました。
この履行能力等審査方式では、実際にはどういった項目を審査しているのでしょうか。
○小山サービス推進部長 履行能力等審査方式でございますが、安定した業務履行を担保しつつ、競争性、透明性を確保するため、履行能力を総合的に評価し、事業者を選定する制度ということでございます。
審査項目は、定期検針業務や徴収整理業務等の業務処理能力に関する項目に加えまして、財務状況や組織体制、研修計画といった業務体制などに関する項目がございます。これらについて、価格面とあわせて総合的に審査を行っております。
○斉藤委員 検針業務の委託については、二〇〇七年に一般競争入札を行ったところ、落札業者の検針員が労働条件の悪さからやめてしまい、新しい検針員が確保できずに二週間でギブアップをして現行の制度になったということが昨年の質疑でもいわれています。
今の制度に変わっても、業務委託単価がトータル的に下がり続けている状況があり、検針員の方々は厳しい労働環境に置かれています。検針員の方々は、経験を積み重ねながら、担当地域のことを熟知して検針業務に回っています。十年、二十年と続けて仕事をする中で、お客様サービスの質の向上につなげて仕事をしていることは、皆さんもご存じのことと思います。
業務委託は五年契約ですので、検針員さんたちの担当地域での委託会社がそのたびごとに変わることがあります。委託を受ける会社が変わっても、検針員さんが同じ担当地域で業務を続けることは、本人にとっても、会社にとっても、継続性のある仕事を続ける上で大きなメリットがあるため、検針員さんが会社を移って同じ地域で業務を続けるというケースがたくさんあります。
そうした中で、検針員さんがさまざまな問題を抱えていることは存じでしょうか。
例えば、お給料や有給休暇の問題です。同じ会社で仕事を続けていれば、昇給や有給休暇も積み重なっていきますが、会社を変えれば一からのスタートになってしまいます。検針員の皆さんは、長年キャリアを積み重ねていても、今の仕組みの中で悩みながらそういう矛盾に置かれて仕事を続けているということです。
また、委託を受けた会社の労働条件が大きく変わると、生活できなくなるほどの影響を受けるということもあります。具体的には、社会保険に入れてもらえる会社かどうかで大きな影響を受けるという声が上がっています。
例えば、社会保険の加入の措置をとっている会社かどうか、労働条件がどうなっているかなども審査の対象にするなど、改善していく方法を検討してもらいたいと思います。
単価の切り下げを防いで、人員の確保が可能かどうかとあわせて労働条件を確認し、働く方々の環境を悪化させないための審査項目も設定していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小山サービス推進部長 先ほども申し上げまして繰り返しでございますが、業務委託契約というものは、委託業者みずからの責任において労働者を雇用いたしまして労務管理を実施するものでございます。したがって、検針員の労働条件は、各委託業者が雇用主として管理すべき事項であることから、お話の賃金実態や労働条件に関する審査項目の設定については考えてございません。
なお、検針業務に限らず全ての公共調達に当たっては、東京都における賃金動向を的確に捉え、適切な人件費を予定価格として積算しているところでございます。加えまして、各委託業者に対しては、発注者である当局から、労働関係法規を含む各種法令の遵守と適正な業務履行を求めているところでございます。
○斉藤委員 労働法規等を守ってもらうということは当然ですが、ディーセントワークを掲げている東京都として、検針員の皆さんが人間らしく働ける環境を都の責任として整えていくことが、今求められているのではないでしょうか。
同じご答弁の説明いただいていますが、この契約は特に、工事や物品の契約とは違って人の労働環境に直接影響を与える契約です。従来の考えに踏みとどまるのではなく、この機会を捉えて、積極的に働く環境の改善に向けて、水道局としてできることに踏み出していただくことを強く要望いたしまして、この問題での質疑を終わらせていただきます。
最後に、工業用水道についての意見を述べます。
私は、昨年十二月十一日の委員会において、工業用水道を使用している集合住宅の方々へ廃止の検討についてのお知らせをして、アンケート調査などを行って要望を聞き、必要な支援をしてほしいというお願いをいたしました。
今回、水道局から、集合住宅の居住者に対して、順次情報提供を行うこと、また、利用者負担に対する支援について、関係各局と連携して検討していくということが報告されました。要望を受けていただき感謝をいたします。該当の方々に丁寧に対応していただき、情報提供や支援の検討を確実に進めていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○おときた委員 私からは、東京水、そしてIWA世界会議、水道局のOB活用、監理団体の株主構成、この四つのテーマについて順次お伺いをしたいと思います。
初めに、東京水についてお伺いをいたします。
東京の水道水は、水道局が東京水道国際展開プログラムを策定し、海外の途上国などに技術支援などをしてきたように、世界に誇る技術を持つものであります。二〇〇四年より販売が開始された東京水は、高度浄水処理を初め、世界に誇る技術の結晶である東京の水道水をペットボトルでも楽しむことができるものであります。
さて、この東京水の販売は、水道局が担っているわけでありますが、初めに、本事業における全体の経費と、その大まかな内訳についてお伺いをいたします。
○小山サービス推進部長 ペットボトル東京水でございますが、平成二十八年度実績として、配布用と販売用を合わせまして約三十二万五千本製造しておりまして、その製造経費は約二千九百万円というふうになっております。製造経費の内訳につきましては、製造原価として約二千三百万円、それからラベル作成や在庫管理等の経費として約六百万円というふうになっております。
○おときた委員 年間約三千万円ほどの予算が使われていることがわかりました。当然ことしの予算案にも、この東京水に係る費用は計上されているわけでございまして、これは都民の税金でありますから、もちろん費用対効果を最大化していかなければなりません。
東京水は、ペットボトルで販売や配布をされているわけでありますので、その売り上げ本数、そして一本当たりの製造費用を含め、収益状況全般についてお伺いをいたします。
○小山サービス推進部長 ペットボトル東京水でございますが、安全でおいしい水道水を実感していただくことを目的に、平成十六年度からPR用として製造しておりまして、イベント等で無償配布を行っております。
また、イベント等に参加ができないけれども入手をしたいとのお客様の声に応えるために、製造にかかわる実費相当額をもって都の関連施設等に卸売を行っております。
具体的に申しますと、一本当たりに換算して、平成二十八年度は卸売価格が七十円、それから実費相当である製造原価は七十三円というふうになっております。これらの単価は、一般競争入札等により毎年変動するものでございますが、ほぼ収入と支出は均等でございます。平成二十八年度の卸売実績は、本数としては約四万七千本、収入は約三百三十万円でございます。
○おときた委員 数字をいろいろご答弁いただきまして、私もこの製造原価などは初めて知りました。製造原価が約七十円ということで、率直に結構高いんだなと感じるところでもあるんですね、このサイズのペットボトルですとディスカウントストアなどでは数十円で売っているものですから。
そこで、この製造コストについては、どういった業者に発注しているのかをお伺いいたします。
○小山サービス推進部長 ペットボトル東京水の製造に当たっては、飲料水の製造業者に対しまして、より多くの入札参加を募るため、資格の対象を拡大するなどして広く公募を行っております。業者の選定につきましては競争入札を行いまして契約を締結しております。
○おときた委員 特命ではなくて、しっかりと競争入札をされていることがわかりました。
やはりこれはペットボトルの飲料としては製造数が極めて少ないので、スケールメリットがききづらいということがあるのかなと思います。製造単価が下げられないのであれば、収益を上げていくことで費用対効果は高めることができるんですが、販売価格と卸売価格がほぼ均衡ということなので、売れば必ず上がるというわけではございません。
その点の収益性についての質問は後に伺うといたしまして、まず、都として事業全般については、この費用対効果をどのように捉えているのか、お伺いをいたします。
○小山サービス推進部長 当局では、お客様へのアンケート調査を実施しておりまして、ペットボトル東京水によるPRを実施する前の平成十五年度の調査では、水道水のおいしさへの満足度は二一・八%でございました。これが平成二十八年度では五四・四%となっておりまして、約三三ポイント上昇しております。
また、安全性に対する満足度についても、三八・四%から七一・〇%と、こちらも偶然同じなんですが、約三三ポイント上昇しております。さらに、ペットボトル東京水を配布した際には、その場で飲んだ方から、今後、水道水を飲もうと思ったなどの声も多くいただいております。
こうした状況を踏まえまして、ペットボトル東京水は、PRとして一定の費用対効果があると認識をしております。
○おときた委員 ご答弁で、PR効果は数字で見ても極めて高いものがあるということがよくわかります。
そこで、ぜひこの東京水をもっと知っていただきながら収益も上げる。収益も上げると申しますのは、正確にいうと、ただで配るよりも買っていただいて、なるべく費用負担を減らしながら東京水を知っていただくために、この販売チャネルについてお伺いしたいんですが、現在、この東京水が購入できる販売箇所の現状をお伺いいたします。
○小山サービス推進部長 ペットボトル東京水の販売でございますが、イベントに参加できないお客様からの要望に応えるものであることを考慮いたしまして、出かけやすい、アクセスしやすいなどの視点を踏まえまして、販売箇所の選定を行っております。
平成二十九年度の販売箇所は、東京都庁舎や上野公園、東京駅など十八カ所となっております。また、ペットボトル東京水は通信販売も実施しておりまして、販売業者は競争入札により決定をいたしております。
○おときた委員 このように、販売箇所がかなり限定的なんですね。なので、これだとなかなか手に入らない、見たことがない、売っているところを見たことがないという声が届くことになります。ここにもっとポテンシャルがあるんじゃないかと感じています。
とはいえ、都民や日本人の方が、わざわざ水道水で飲める水をお金を出して買うというのも、なかなか難しいのは事実だと思います。そこで着目すべきなのは外国人観光客です。
我々も海外に行って、いろんな種類の水がコンビニエンスストアなどで売っていたら、これはその土地のものを買うと思います。例えばクリスタルガイザーとか、我々よく見るコンビニで買えるものと--ニューヨークに行ったときにニューヨーク水というが売っていたら、私はニューヨーク水を買うと思うんですよ。やっぱりお土産になりますからね。
こういった観点から、外国人観光客に向けPRも含めて、インバウンドの多く集まる都内主要施設や都営交通駅の構内設置の自動販売機など、販売チャネルの拡大をしていくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
○小山サービス推進部長 東京水道の取り組みや水道水のおいしさなどを広く世界に発信していくことは大変重要でございまして、外国人観光客に向けて、ペットボトル東京水によるPRも有益であるというふうに認識いたしております。
そのため、当局では、平成二十八年度から、多くの外国人観光客が集まる羽田空港の国際線ラウンジや、観光情報センターなどで無償配布を行うなど、PRを強化しておりまして、平成二十八年度は約三万本配布いたしております。それから、平成二十九年度になりまして、在京大使館情報連絡会や、昨年六月にオープンした、立川にあります東京観光情報センター多摩でも配布を開始するなど、配布場所の拡大を図っているところでございます。
お話のございました販売チャネルの拡大でございますが、本件はあくまでもPRを目的としていること、それから需要動向や民業への影響など検討すべき課題も多いため、考えておりません。
しかしながら、外国人観光客への一層のPRは必要というふうに認識しておりまして、引き続き、配布場所の拡大等によって積極的に取り組んでまいります。
○おときた委員 考えておりませんと、力強い答弁をいただいてしまったわけではありますけれども、PRも本当にそれはそれで重要で、ぜひ外国人向けに今後も積極的にやっていただきたいんですが、外国の方というのは、日本人の方よりさらに水というのを自然に買う習慣があるわけですから、買いたいという声も今後ふえてくると思います。
空港とかでも、空港水とか自販機で結構売っているのを見た方いらっしゃると思うんですけれども、ああいうのを結構買っていますよね。なので、都営交通の駅とかにやっぱり、電車水じゃないですけれども、その中に東京の水が売っていれば、外国人の方は気軽に買ったりすると思いますので、二〇二〇東京大会に向けて、これから多くの外国人観光客がふえてくると思います。多くの場所で、ぜひ訪日客が東京水を気軽に手に入れる、購入できる状況をつくっていただきたく、これは要望をさせていただきます。
さて、技術力を広めるための絶好の機会でもある国際水協会世界会議・展示会が、いよいよ本年九月東京で開催されます。
世界百カ国、六千人もの水関連企業や研究者、政府関係者などが集うIWAは、日本でも初めての開催であります。昨年二月には、知事がオールイングリッシュでのビデオメッセージを寄せるなどして関心を集めているところでもあります。
さて、このIWA世界会議の東京開催に当たり、都として招致活動がされたと聞いておりますが、今回、東京開催が決まった経緯と、都が世界会議を誘致した目的、狙いを改めてお伺いいたします。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 IWA世界会議は、世界における安定的かつ安全な水の供給等に寄与することを目的に設立された国際水協会、IWAが、二年に一回開催している国際会議であります。
この会議を誘致した目的、狙いでございますが、世界会議の開催を通じ、東京水道が長年の事業運営により培ってきた、すぐれた技術やノウハウを世界に発信することで、世界の水問題解決に貢献するとともに、東京のプレゼンス向上や日本の産業力強化につなげていくため、東京が開催都市に立候補いたしました。
その後、平成二十五年三月に、水道局、下水道局を初め関係省庁などの関係機関で構成される招致推進委員会を設立し、東京開催に向けた招致活動を実施いたしました結果、同年九月に開催されましたIWA理事会におきまして、日本の水道界として四回目の立候補で招致が実現いたしまして、東京で世界会議が開催されることが決定いたしました。
○おときた委員 関係者の皆様の尽力が実って、四回目の招致活動で、ついにこの招致が実現したということがわかりました。都としても積極的に招致活動にコミットしていたということです。
さて、招致決定後、開催都市となったこの東京都、その東京都の具体的な役割をお伺いしたいと思います。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 都は、知事を会長とし、産学官の関係機関から構成される開催国委員会の一員として、また、開催都市及び開催国の水道事業体の代表として開催準備に当たり、中心的な役割を担っております。
具体的には、これまでの国際会議の開催等により得た経験やノウハウを生かし、開催国にとっても有意義で特色のある会議とするため、開催国独自のフォーラムやテクニカルツアーの実施等を主体的に検討、調整しております。
また、国内から多くの会議参加者、論文、出展及びスポンサーを集めるため、説明会の開催、個別訪問、知事のビデオメッセージの発信等により、国内企業や事業体に対し、積極的に協力の働きかけを行うなど多岐にわたる準備活動を主導しております。
今後も、世界会議の成功に向けて、引き続き本委員会を牽引し、関係機関と緊密に連携しながら開催準備を着実に進めてまいります。
○おときた委員 東京の水道技術を世界各国の水関連企業や研究者らにPRする絶好の機会になると考えておりますので、世界会議の成功に向けてぜひ尽力いただければと思います。その一方で、コストがかかる、公費を支出する以上、費用負担に見合った効果が得られるのか、これは厳しく精査をしていかなければなりません。
まず水道局として、今回の世界会議に係る拠出金及び世界会議開催を通じて期待される成果をお伺いいたします。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 当局は、主催者であるIWAに対する拠出金といたしまして、会議開催決定後にIWAと締結した協定に基づき、開催国委員会の中で取り決めた六百万円を負担する予定となっております。
世界会議開催を通じて期待される成果といたしましては、東京水道がこれまで培ってきました、すぐれた技術やノウハウを論文発表や展示会への出展などにおきまして世界に広く発信していくことで、世界の水道事情の改善に寄与してまいります。
また、開催国独自のプログラムの実施等により、東京のプレゼンス向上を図るとともに、展示会場に八十を超える国内企業等が一体となって出展するジャパン・パビリオンを設け、国内企業のPR活動を積極的に支援することで、日本の産業力の強化につなげてまいります。
さらに、職員の積極的な参加は、水を取り巻く幅広い視野や識見を養う経験になり、当局の事業運営を通じて、広く都民に還元されることを期待しております。
○おときた委員 水道局の拠出金について六百万円とのご答弁でした。これは下水道局さんがもう六百万円負担するので、都としては千二百万円の負担ということになるんだと思います。
前回の実施都市の拠出金は九百万円だったということも伺っております。都市によっていろいろインフラが違いますから拠出金の根拠は異なってくるんだと思いますが、東京都合計で千二百万円、都民がこの負担額にぜひ納得できるような成果を期待したいと思います。
さて、オリンピック・パラリンピック大会では、有形無形問わず、大会後にわたるレガシーを醸成することが求められています。今回、日本初開催となるIWA世界会議についても、まさにレガシーづくり、具体的にいえば、これは参加者である企業などのさまざまな主体が、この東京でのIWA世界会議を契機に、次につながるチャンスを生み出すことでないかと思っております。
そこで、参加者に対して開催後、東京都はどのような支援や働きかけを行っていくのか、所見をお伺いいたします。
○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 海外から多くの関係者が来訪する見込みである世界会議におきましては、海外の水道事業体等と対面での意見交換を行うことができると考えております。
この機会を活用いたしまして、海外とのより緊密な関係を構築し、現地の水道事情やニーズをじかにつかむとともに、論文発表や展示会を通じて、漏水防止を初めとする高い技術やノウハウを発信してまいります。
会議開催後は、参加した海外水道事業体等からの依頼に応じ、訪日研修の受け入れや職員派遣を行い、相手との信頼関係を構築していくとともに、日本の製品や事業運営手法のすぐれた点をアピールしてまいります。また、要請に応じまして、海外水道事業体等のニーズを民間企業にも提供してまいります。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、日本企業の海外展開を支援するとともに、海外諸都市の水道事情の改善に貢献してまいります。
○おときた委員 具体的には、訪日研修受け入れや職員派遣等を継続して行っていくとのご答弁でした。ぜひ東京の水道技術、この存在価値、プレゼンスを向上させていく上でも、会議終了後を見据えた運営を目指していただきたいと思います。
次に、水道局のOBを活用された災害時支援協力員制度についてお伺いをいたします。
首都直下型地震も想定される東京都において、災害時の対応はいうまでもなく重要なことです。このときに貴重な人材となるのが、専門知識を持つ水道局のOBです。これ非常に大事な制度だと思うんですが、余り知られていませんので、初めにこの制度の概要と支援協力員の方の活動内容についてお伺いをいたします。
○黒沼理事 災害時支援協力員制度でございますが、この制度は、水道局の退職者で支援協力員の趣旨に賛同し登録した者が、在職時の豊富な知識や経験を生かし、ボランティアとして当局が行う応急対策活動の支援を行うものでございます。
その活動内容でございますが、災害時に水道施設に関する被害情報を収集し局へ報告すること、また、災害時給水ステーションにおきまして当局職員が実施をいたします応急給水資器材の設置補助、こういった応急給水活動の支援を行うことを定めたものでございます。
○おときた委員 ボランティアとして豊富な知識や技術を持つ水道局OBの皆さんが活動に加わってくださる、特に一般の民間人の方ではできない応急給水資器材の設置補助など、そういった活動をしてくださるという、非常に意義深い制度なわけでございます。
災害時は、一刻も早いインフラの回復が必要になりますので、本制度にご協力いただいているOBの皆さんには、改めて私からも感謝を申し上げたいと思っている次第でございます。
さて、本制度の現在の登録者数の状況と、訓練などを含めた活動の実績についてお伺いをいたします。
○黒沼理事 現在、水道局での在職中の実務経験を通じて、災害時の強い貢献意欲を持っている九十七名の局退職者が登録をしてございます。
これら協力員は、災害時給水ステーションにおきまして、区市町や住民と連携して行います応急給水訓練に参加をいたしまして、活動手順の確認などを行ってございます。また、定期的に局の防災事業等に係る研修を実施しておりまして、毎回三十数名の協力員が参加をいたしまして、局の最新の防災対策などの知見を習得していただいております。
○おときた委員 登録者の数は九十七名とのことでした。来るべき災害、非常に規模が大きいことも予想されておりますので、ぜひ、より登録者数をふやせることが望ましい、ふやしていっていただきたいと考えるところでございますが、本制度の周知徹底や協力員の募集を局としてどのように行っているのかをお伺いいたします。
○黒沼理事 水道局の退職者だけではなく、監理団体の退職者に対しましても登録の呼びかけを毎年度末の退職のタイミングでそれぞれ実施をしてございます。さらに、これ以外のタイミング、時期におきましても、幅広く局の退職者等には、本制度の周知を図るとともに、在職時に培った経験等の重要性をアピールするリーフレットも配布してございます。
今後とも、あらゆる機会を通じて本制度の趣旨並びに登録の呼びかけを実施しまして、登録者数の確保に努めてまいります。
○おときた委員 ぜひOBの方々が登録したいと思えるような呼びかけをお願いいたします。
ボランティアなので、もちろん無償になるわけですが、例えば、人気の高い水道局のポスターを登録者には差し上げるなど、小さなインセンティブを設定することなどは一考に値するのではないかと思っています。ぜひこういうのをご検討いただければと思います。
さて、先ほどの答弁では、訓練等の参加者が三十人程度である旨の内容がございました。九十七名の登録者数から考えると、訓練等への参加率が三割程度にとどまっていると、そういうことが指摘できます。もちろん、参加を強制するということはできませんが、ボランティアとして手を挙げてくださっている支援員の皆様が参加をしやすいよう、各種取り組みに工夫を加えることはできるのではないでしょうか。
参加率を向上させるために、防災研修を、現在、平日だと聞いておりますが、これを土日に開催したり、欠席者には最新の資料を共有したりするなどのフォローアップが重要になると考えますが、局としての所見をお伺いいたします。
○黒沼理事 多くの支援協力員は、平日勤務をしている状況がございます。こうした状況を踏まえまして、局が実施する研修に一層参加しやすくなるよう、今後、今お話がございました土日も含めた開催日につきまして、それぞれ協力員の意向等を確認してまいります。
また、欠席者への対応につきましても、今後は、研修資料を郵送し情報共有に努めるなど、協力員の活動のレベルの向上に向けまして、フォローアップも適切に実施をしてまいります。
○おときた委員 ご指摘を受けまして、現在、まだ行われていない研修の土日開催の検討や、あるいは欠席者への研修資料の郵送などに新たに取り組んでいただけるとの前向きなご答弁をいただきました。ありがとうございます。
小さな一歩のように見えるかもしれませんが、東京の防災を守らんと手を挙げてくださった皆さんが、よりよい環境で研修を受けられるよう、本制度の充実を求めておきたいと思います。ぜひよろしくお願い申し上げます。
最後の質問に移ります。監理団体である東京水道サービス株式会社、いわゆるTSSの株主構成についてお伺いいたします。
TSSについては、何度も本委員会で取り上げておりますので、概要などをお話しすることは省略させていただきまして、初めに、このTSSの株主構成、こちらについてお伺いいたします。
○坂井経営管理担当部長 東京水道サービス株式会社の株主構成でございますけれども、発行済み株式数二千株を持ち株比率で見た場合でございますけれども、まずは東京都水道局の五一%を筆頭といたしまして、株式会社クボタ、これが一九%、そして株式会社栗本鐵工所一〇%と、三者で約八割となってございまして、残りの二割につきましては、株式会社みずほ銀行などの銀行三行、それから損害保険ジャパン日本興亜株式会社など、損害保険会社二者が、それぞれ数%の持ち株比率となってございます。
○おときた委員 ご答弁のように、過半数が東京都の水道局で、その他もほとんど金融機関なんですが、株式会社が二者入っています。TSSのほかにもう一者、水道局所管の監理団体としては株式会社PUCがありますが、こちらのPUCは株主構成を見ると、東京都の水道局と複数の金融機関のみで構成されているんですね。なので、このクボタさんと栗本鐵工所さんが、やや異質といいますか、浮いているように見えるわけですが、この株式会社クボタ及び栗本鐵工所とは、どのような企業であるかをお伺いいたします。
○坂井経営管理担当部長 株式会社クボタでございますけれども、トラクター等の農業機械、それから水道用鉄管、産業用エンジン等の製造をグローバルに展開している企業でございます。
それから株式会社栗本鐵工所でございますけれども、こちらにつきましては、主にダクタイル鋳鉄管、それからバルブの製造、プラント事業等を全国展開している企業でございます。
なお、この二者でございますけれども、水道管の工事で一般的に用いられてございますダクタイル鋳鉄管、この国内における業界の第一位及び第二位の製造業者となってございまして、日本水道協会の資料によりますと、二者で国内シェアの約九割を占めていると、こういう状況になってございます。
○おときた委員 これ、ご答弁いただいたように、水道管工事で用いられる材料のトップシェアを誇る会社なんですね。そしてTSSの役割の一つは、工事の管理監督です。さまざまな企業と取引がある中で、材料を供給している会社が大株主になっていると。すると、TSSと取引をしている工事をする企業は、その会社の材料を使わなければいけないんじゃないかと、そんたくや配慮をしてしまう、そういう影響を心配する指摘もございます。
もちろん法的には両事業者がTSSの株式を保有することに問題はないものの、工事の管理監督を行うTSSの特性上、二者の存在が他の取引先企業に対して無言の圧力となっている、あるいは、もっと大きくいえば、官民癒着の象徴と捉えられかねない、そういった指摘もございます。
こういった指摘に対する都の所見の方をお伺いいたしたいと思います。
○坂井経営管理担当部長 東京水道サービス株式会社の株主でございます株式会社クボタ及び株式会社栗本鐵工所につきましては、会社の所有と経営の分離という原則から、これまで直接同社の経営に関与したことはございません。
また、東京水道サービス株式会社におきましては、都の監理団体といたしまして、公正、中立の観点から、経営の透明性が求められているということがございますので、監査室を設置いたしまして、毎年、社員研修それから業務監査を実施するなど、コンプライアンスの強化に努めているところでございます。
一方、当局が発注してございます水道管の工事につきましては、原則として競争入札により受注者を決定いたしておりまして、受注者につきましては、当局の仕様書書類に基づき、みずからの判断で工事に必要な水道管を調達しているという状況でございます。
東京水道サービス株式会社につきましては、工事監督の業務をやってございますけれども、工事請負契約、この適正な履行を図る観点から、受注者の工事施工に関してのみ必要な指示を行うということでございまして、材料調達に関与できる立場にはございません。
こうしたことから、ご指摘のような官民癒着といったご懸念は当たらないというふうに考えてございます。
○おときた委員 二者に指摘されているような影響力はないと、懸念は、そういうものは存在しないということをはっきりお答えいただきました。私自身もそういうことはないと信じておりますし、確かに法的な問題もございません。
ただ、公的な企業として、企業倫理的な観点から業務に関連する株主が存在することに対しては、日増しに世間からの目線が厳しくなってきています。これは株の問題ですから、東京都あるいはTSSだけでどうこうできるわけではないんですけれども、PUCのように、やはり東京都と金融機関だけで構成される方が公明正大であり、疑惑を招かないのではないかと思います。
いろいろな歴史的な背景があって、この株主構成ができ上がっているのだと思いますけれども、こうした視点で、いま一度あり方も検討していただく、見直していただくことを私からは要望いたしまして、質問を終わります。
○中山委員 それでは、私からも質疑させていただきます。
初めに、工業用水道について意見を申し上げさせていただきます。
第四回定例会の橘都議の質問に対しまして、防災という面から、仮に事業廃止となった場合におきましても、配水管の破損により道路陥没が生じないよう道路管理者などと調整し、必要な対策を講じてまいります、こうした取り組みにより工業用水道施設の防災対策に万全を期してまいりますとご答弁いただきました。ありがとうございます。
また、第一回定例会の代表質問で、東村都議の質問に対しまして、仮に事業廃止となった場合、個々の居室内の配管工事等が必要となることから、今後順次、工業用水道事業の現状と課題に加え、施工方法等についても情報提供を行うとともに、問い合わせにもきめ細かく対応してまいります、また切りかえに伴い生じる利用者負担に対する支援につきましては、関係各局が緊密な連携のもと検討してまいりますとご答弁いただきました。ありがとうございます。
私も、十二月、小池知事に直接都議会公明党の要望を提案させていただくときに、要望書は分厚いんですけれども、その中のサマライズするものの中に工業用水道の問題を取り上げさせていただきました。団地等への配慮というのを入れさせていただきました。
前向きなご答弁もいただいて、大変に感謝しているところでございますけれども、根本的には--お隣の韓国では、ご存じのとおり、国がこの工業用水道の対策というのをとっています。これからいろいろなところで企業と話し合いをしていかなきゃいけませんし、日本の産業界の発展という点でも大事な視点なんですけれども、国への提案要求の中にも入れていただいて、やはり国策としての対応もしていかないと、中には、日本にとって非常に基幹な産業であるにもかかわらず、経営が厳しくなってくるというところも、あるいは東京都内の企業においても、そういうところが出てくるかもしれませんので、そういう要望もしていただきたいということを、意見開陳もございますけれども、意見開陳のときにこれだけ長く話しているわけにいかないので、申しわけございませんがきょう入れさせていただきました。よろしくお願いいたします。
それでは、本題に入らせていただきます。
私はこれまで、本委員会の質疑を通して、主に三つのテーマの質疑をさせていただいてまいりました。一つは、下水の三次処理水配管と水道給水管の違法接続事故の問題であります。二つ目は、水道施設への多摩産材の活用という点でございます。三つ目は、水道管工事案件の安定確保に向けた取り組みという三つの視点でございます。
さまざま議論を重ねさせていただいて、提案もさせていただいてまいりました。本日は、平成三十年度の予算議案に係る委員会でございますので、これまで取り上げさせていただいてまいりましたこれらのテーマに基づきまして、水道局の取り組みが三十年度、どのように展開されていくのか、質疑をさせていただきたいと思います。
まず、一点目でございますけれども、昨年九月に私の地元の足立区で起きました下水の三次処理水配管と水道給水管の違法接続に関する事故について質問いたします。
この事故につきましては、事故直後の昨年九月の第三回定例会中の委員会や十一月の事務事業質疑でも取り上げて、初動体制のあり方について、主に四つの点から指摘をさせていただきました。
一つは、事案発生、事故ですけれども、事故発生現場で採取された水の保管の問題、二つ目は、応急給水の開始までに必要であった時間の短縮の問題、三点目は、においなどの主観的な要素に頼らない飲用の差し控え--水道水を飲むという行為ですね、差し控えを求める際の基準、客観的な基準の問題、四点目は、応急給水を行う際の周囲の方々への広報のあり方、そしてまた対象範囲をどう設定するか、そういった運用のあり方の問題の四点でございます。
これらの点につきましては、地元住民の方々からのご意見やご指摘等も踏まえて事故対応マニュアルにご反映をいただいて、改定をしていただいて、事故現場付近の住民の方々にも報告すべきということを申し上げさせていただきました。
これを受けて水道局では、昨年末までに、指摘事項を盛り込んだ改定版マニュアルを作成していただいて、地元自治会初め、具体的にいいますと大谷田東町会というところですけれども、各委員へ報告するとともに、局のホームページなどでその内容を公開していただいております。
加えて、マニュアルを改定したことをもって終わりとするのではなく、今後の事故対応に間違いなく活用されるよう、実践的な取り組みが必要であると指摘をさせていただいて、水道局からは、改定したマニュアルが有効に機能するよう、水質事故を想定した訓練を実施する旨の答弁がございました。
そこで、まず、改定後のマニュアルに沿った訓練の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。
○尾根田給水部長 水質事故を想定した訓練でございますが、先月十四日に、昨年の違法接続事故現場を所管区域とする東部第二支所におきまして実施をいたしました。
当日は、事業所管部でございます給水部のほか、水質を担当する浄水部、水質センター、応急給水を担当する水道緊急隊などが参加しております。今回の訓練は、手引改定後、最初の訓練でございまして、改定内容に基づきまして忠実に実施いたしました。
具体的には、お客様に書面を用いて飲用を控えていただくよう案内する丁寧な説明、給水車出動要請のタイミング、応急給水や飲用禁止に関する広報の実施方法など、改定のポイントを確認しながら実施しております。こうした訓練を通じまして、改定した手引の実効性を確認いたしました。
○中山委員 早速、新たなマニュアルに沿った訓練を実施していただいて、実効力を高めていただいたようでございますので、改定後、速やかに訓練に着手されたこと自体を大変評価させていただきたいと思います。
しかし、水質事故は、いつ、どこで、どのような原因、規模で起きるかわかりません。さまざまなことをあらかじめ想定しながら、訓練自体もブラッシュアップしていく必要がございます。
そこで、さきに実施した訓練の課題と、来年度、三十年度ですけれども、水質事故訓練をどのように展開していくのかをお伺いいたします。
○尾根田給水部長 今回の訓練を通じまして、初動時の混乱した中では、指示、報告の伝達方法や、対応漏れを防ぐための確認方法について課題があることもわかってまいりました。
こうした課題を踏まえまして、手引を充実させるとともに、この手引に基づいた訓練を他の事業所にも水平展開をいたしまして、内容について職員の理解を深めてまいります。
さらに、実践的な現場対応能力を磨くブラインド型の訓練を実施いたしまして、事故の原因や影響範囲など、さまざまな状況にも的確に対応できるようステップアップを図ってまいります。
○中山委員 人々の体内に入り体に触れる水道水でありますから、そうであるからこそ、今回の事故によって都民の方々に強い不安感を与える結果となりました。
この違法接続事故を教訓に、事故後の都民対応や応急給水開始までの時間など、事故当時課題となりました事柄を中心に、緊張感を持って今後も訓練を積み重ねていただくことで、事故対応に万全を尽くしていただきたいと思います。
次に、二つ目のテーマでございます、水道施設への多摩産材の利用について質問をさせていただきます。
昨年の事務事業質疑でも取り上げましたが、水源林の間伐材や多摩産材を水道施設に活用することは、資源を循環させていく取り組みであるとともに、水道事業が環境に配慮しながら運営をされている、そのアピールにもなるというふうに考えております。
水源林の間伐材は、確保できる量や質にばらつきがありまして、もともと小物なものしか加工はできませんし、利用の裾野が限られてしまいますことから、本格的には、多摩産材を中心に建物の材料、建材として活用していただきたいというふうに要望いたしました。
もちろん、災害応急活動に必要な施設や防火地域での建築物での利用は難しいということは理解しておりますけれども、こうした施設以外の、これから新築、改築する水道施設には、多摩産材を初めとした木材を積極的に利用できるところがあるというふうに考えております。
特に、水源林を管理する施設では有効な取り組みと考えますが、水道施設への多摩産材の利用について、来年度どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○志村経理部長 水道水源林を管理する事業者といたしまして、また、環境への配慮をアピールする面からも、多摩産材を活用することは重要であると認識してございます。
平成三十年度におきましては、水道水源林における活動拠点の一つである、水源管理事務所丹波山出張所の改修工事を予定してございまして、この工事において、床の張りかえに使用する床材や執務室や廊下の壁面に多摩産材を活用いたします。
これ以外の事務所用建物などへの多摩産材を初めとした木材使用につきましては、引き続き庁内関係部署とも連携しつつ、さまざまな観点から研究してまいります。
○中山委員 山梨県の水源林に位置する丹波山出張所で多摩産材を利用していただけるとのことでございますので、豊かな自然環境と調和した、環境に優しい水道施設ができ上がっていくことと思います。期待しております。
水源から水を引いて各家庭に給水する過程では、膨大なエネルギーを使います。エネルギーの大量消費者である責務として、水道局は環境に配慮した積極的な取り組みを行うべきでございまして、今後も機会を捉えて、水道施設に多摩産材を初めとした木材を活用していただきたいというふうに思います。
最後に、三つ目のテーマであります、水道管工事案件の確保に向けた取り組みについて質問いたします。
東京の地下には、地球半周以上にも及ぶ約二万七千キロメートルの水道管が埋設されています。人体に例えるならば、水道管はあたかも張りめぐらされた血管でございまして、大動脈から毛細血管に至るまで、日ごろから適切なメンテナンスをして初めて、東京の都市活動の全体が健全に機能されていくものといえます。
管工事業者は、この長大な水道管を日夜支え続けており、東京の安定給水を実現させる東京水道の大切なパートナーであります。その多くは、経営資源、経営体力の限られた私企業、中小企業であります。
中小企業は、東北の復興需要などにより、労働力の確保の困難な状況が続いている中で、担い手の育成を初め社員の技術継承や将来の経営に不安を抱えている会社も少なくありません。
一方、近年の労務単価の上昇は大変なものがございまして、先日、国土交通省が発表した新たな公共工事設計労務単価も、全国全職種単純平均で対前年比二・七%の増ということになっております。技術者が高齢化する中、東日本大震災の復興の取り組みも続く中、働き手が不足している。水道工事も例外ではなく、労務単価の上昇は、これは当然いいこともありますけれども、経営にとっては大変な課題もあって、今後も当分の間続いていくものと思います。
こうした背景がありながら、東京の安定給水を維持していかなければなりません。水道の安定給水を支える中小企業の技術力を維持していくためにも、今後も、管工事案件は一定規模の発注件数を確保していく必要があると考えます。
そこで、来年度の管工事発注に係る局の基本的な考え方をお伺いいたします。
○尾根田給水部長 管工事の発注に当たりましては、第一に、合理的かつ経済的な工事価格で発注すること、第二に、中小工事業者の受注機会を確保すること、第三に、首都直下地震を初めとする危機に備えるため、実務を通じて管工事業者の危機管理対応能力を維持させること、以上の三点に留意することが必要であると認識しております。
しかし、お話のとおり、近年の労務単価の大幅な上昇等により工事単価が増嵩しておりまして、昨年度からの管工事の事業量が減少しております。
そのため、来年度からは、限られた予算の中でさまざまな工夫により管工事の発注件数を増加させ、水道事業の重要なパートナーである中小の管工事事業者の受注機会を安定的に確保してまいります。
○中山委員 来年度からは発注件数を安定的に確保するために工夫していくとのご答弁でございまして、大枠の考え方として、その内容を是認するものでございます。
管工事に充てられる予算が限られている中で、工事の総延長をふやすことは、本来的には望ましいんですけれども、具体的、現実的には難しい面もあるのかもしれません。しかし、局は、さまざまな工夫をすることで、工事の発注件数をふやして、工事業者の将来の不安を払拭するとともに、若手人材を確保し、安心して技術継承等に取り組める環境づくりを進めていかなければなりません。
そこで、管工事の発注件数確保に向けて、来年度、平成三十年度、具体的にどのように取り組みを行うのか、お伺いをいたします。
○尾根田給水部長 管工事の発注件数を確保するためには、工事費の縮減と案件規模の縮小に取り組む必要がございます。
工事費の具体的な縮減策でございますが、諸経費につきまして、道路交通量や埋設物のふくそう状況を、現場実態に合わせ、よりきめ細かく分類いたしまして、補正係数を適切に設定いたします。
また、工事による断水の影響を最小限にするために、仮配管方式を採用しておりますが、お客様への安定給水の確保を前提に、仮設の水道管延長が最小となるよう、現場状況に応じて見直しを行ってまいります。さらに、工事費の縮減とともに、事業者の受注機会を幅広く確保できるよう、工事一件当たりの規模を縮小いたしまして、工事発注件数の増加を図ってまいります。
これらの取り組みにより、平成三十年度の発注件数は約三百五十件となりまして、平成二十九年度の約三百二十件から一〇%程度増加する見込みでございます。
○中山委員 いうまでもございませんけれども、管工事業者の方々のご活躍なくして東京水道の安定給水は実現することができません。工事の案件数がふえることで、工事業者に幅広く仕事が行き渡ることが望ましく、来年度以降も、少しでも管工事の案件確保にご尽力を願いたいというふうに思います。
管工事業者と一体となって、東京の安定給水を実現していただきたいというふうに思います。
中嶋局長以下、水道局の皆様は、一生懸命頑張っていただいて何とか工夫して来年度の件数を確保していただきました。知事にも、機会があれば、ご努力をされていることを申し上げたいというふうに思います。その上で、東京全体として応援をしていただかないと、これからの先というものが明るくなっていかないという点も、機会があれば申し上げていきたいと思います。
ここまで、違法接続事故等の再発防止のための訓練や水道施設への多摩産材活用、管工事の案件確保に向けた取り組みについて質疑を重ねてまいりました。
いずれのテーマにも共通していることでございますけれども、水道局は、公営企業として、経済性を発揮するという視点だけでなく、公共の福祉の増進に結びつくように運営されていくことが大事であります。
事故の再発防止に努め、都民の信頼する安全な水を安定的に送り届けていくとともに、環境に配慮した事業にも取り組んでいく。また、工事業者と協力して、都民生活と東京の都市活動を支える水道管を適切に維持管理していただいて安定給水に万全を期していただきたいと思います。
こうした水道局の一連の事業は、全て公営企業としての社会的責任を痛切に感じていらっしゃるから運営できるものと認識しております。
来年度も引き続き、こうした観点を忘れずに事業運営に当たることを要望して、質問を終えさせていただきます。
ありがとうございました。
○清水委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時二十五分休憩
午後三時四十六分開議
○清水委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○とや委員 質問させていただきます。
本日は、水道局の関連で水需要予測、そして小中学校などにおける直結水飲み栓について伺っていきたいと思っております。
私ども都議団は、これまで何度か水需要予測問題については質問させていただいてまいりました。人間にとっても都市活動にとっても、水は欠かせない資源です。都民に安全で安心な水を供給する自治体、公営企業である水道局の責任を果たす上で、水需要予測は重要な仕事の一つだといえます。
本日は、この立場から、改めて質疑をさせていただきたいと思います。
基本的なところから伺います。まず、そもそも水需要予測の目的について教えてください。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 将来における水道需要の推計は、安定給水を確保する水道事業者の責務を果たすため、水道施設の規模や送配水運用などの将来計画を立案する上で基本となる水道需要を長期的に見通すことを目的とするものでございます。
○とや委員 水需要を分析して将来的な需要を見通すということなんですけれども、では、実際に、都の水需要の想定はどうなっているでしょうか。
東京都水道局は、二〇一二年の水需要予測で、将来の一日最大配水量を算出しました。それを見ると、平成三十年代、ことしですね、二〇一八年、ことしからは六百万立米になるとしています。
五年ごとの予測では、二〇一〇年度以降急増し、二〇一五年には五百九十二万立米、二〇二〇年には五百九十三万立米、それ以降は少しずつ減っていますが、二〇二五年は五百八十九万、二〇三〇年は五百八十二万となっています。この予測を根拠に、現在よりも五百万立米ほどの水源が必要だとして、国とともに八ッ場ダムの整備を推進しています。
ところが、この間の実績で見ると、十年前、二〇〇七年の一日最大配水量は四百九十七万三千立米だったのですが、どんどん減って、二〇一六年度は四百六十万七千立米へと減少して、予測の四分の三程度の配水量で推移しています。
どうして実績が減っているのに水需要予測は増加してきたのか、大変不思議でなりません。水道局の水需要予測の算出根拠をお答えください。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 現在の水道需要の見通しでございますが、実績の傾向から、将来の推計が可能な時系列傾向分析により、高度経済成長期から安定成長期に移行した昭和五十一年から平成二十二年までの三十五年間の使用水量の動向に最もよく適合するロジスティック曲線式などを統計的に選定いたしまして、将来の一日平均使用水量を推計しております。
この使用水量をもとに、浄水場からの配水量に対するお客様の使用水量の割合であります有収率、この有収率と一日最大配水量に対する一日平均配水量の割合である負荷率を考慮いたしまして、将来の一日最大配水量、おおむね六百万立方メートルと算出しているところでございます。
○とや委員 私も、いただいた資料をもとに、現行の水道需要予測方法を調べてみました。
予測の基本となる一日の平均水量を算出するのですが、それは今ご説明いただいたように単純ではありません。生活用水、都市活動用水、工業用水の実績から推計しますが、例えば、生活用水でいえば、都民が一日一人当たり何リットル使うのか予測を立てて、それに人口を掛けて出していきます。そうやって東京都が算出をした一人当たりの水需要は二百四十三リットルとなりました。
きょうはパネルを用意させていただきました。これが二百四十三リットルです。ところが、その計算を行った年の実績は、実は二百三十リットル程度で、実績と乖離をしています。なぜ数字が違うのか。このとき使ったのが、先ほどおっしゃった時系列傾向分析です。時系列傾向分析とは、どんな方法で、なぜこの分析方法を使用したのかお答えください。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 時系列傾向分析による推計手法は、過去の実績に適合する推計式をもとに将来需要の推計を行う手法でございます。
将来の水道需要を算定するに当たっては、過去の長期間にわたる使用水量の増加や減少の動向を総合的に捉えて、将来推計を行うことが重要でありますため、この時系列傾向分析を採用しているものでございます。
○とや委員 過去、長期的、総合的に分析してきたと。過去の水量の動向が、予測する上で最も重要と考えられたということですが、時系列傾向分析は、この間、使ってこなかった分析方法です。前回、二〇〇三年に行った、十五年予測といわれていますが、この予測のときには、重回帰式分析を使って、十五年間の実績をもとにしております。
しかし、今回は、時系列分析で、実績期間を、今おっしゃったように三十五年間もとっています。昭和五十一年までさかのぼって、今より水の量が大変多かったころも含めて分析する、予測する方法です。これを見ていただくとわかるんですけれども、前回は過去十五年間、しかし今回は、過去三十五年間とっているわけです。
過去の需要予測は、いずれも十年から十五年の実績期間ですが、なぜ二〇一二年の調査では、今まで使ってきた実績期間を採用しないで三十五年間としたのか、改めてお答えください。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 水道施設は、五十年から百年程度にわたって使い続けるものでございますので、できる限り長期的な視点で将来の水道需要を見据える必要があるというふうに考えてございます。
このため、水道需要の推計においては、首都東京の安定給水を確保する観点から、高度経済成長期から安定成長期に移行した昭和五十一年から平成二十二年までの三十五年間の実績を採用しているものでございます。
なお、この水道需要推計に当たっての実績期間、これにつきましては、平成二十七年九月、最高裁で確定した八ッ場ダムの住民訴訟判決においても支持されているものでございます。
○とや委員 五十年から百年というのであれば、これまで行ってきた水需要予測、前回、前々回の調査でも、なぜ同じように実績期間を長くしなかったのか。今回だけです。極めて疑問です。
そして、この昭和五十一年からの三十五年間を見てみますと、またパネルです。平成六年、一九九四年までは、この線を見ていただくとわかるんですけれども、黒い線では、水需要は右肩上がり、そしてこの年をピークに少し横ばいになって、さらに平成十三年、二〇〇一年ごろからは右肩下がりになってきています。つまり正反対の二つの傾向があるわけです。
その際、実績を調査する期間に二つの傾向がある場合、専門家から見れば数学的に時系列傾向式は使ってはいけないそうです。なのに、使ってはいけない式を東京都は使いました。そしてさらに、七種類ほどある曲線式の中から、先ほども出ておりましたロジスティック曲線式という手法を使いました。それがこのオレンジ色の、黄色の式です。
そして、お聞きしたいと思います。ロジスティック曲線とはどんなものなのか、なぜロジスティック曲線式を採用したのかを教えてください。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 まずは、ロジスティック曲線式というものでございますが、これは日本水道協会発行の水道施設設計指針に示されている時系列傾向分析に関する七つの推計式の一つでございます。
このロジスティック曲線をなぜ使ったのかということでございますが、一つには、使用水量の減少がどこまでも続くという前提で将来予測を行うということは、安定給水を確保するという面から問題があるというふうに考えてございます。
首都東京の安定給水に責務を負っている水道需要の推計に当たりましては、過去の長期間にわたる使用水量の増加や減少の動向、これらを総合的に反映した実績データに基づいて行うべきであると考えております。直近の需要動向だけで推計式の成否を判断するのは妥当ではないというふうに考えてございます。
現行の水道需要の推計方法では、水道施設設計指針に示されている七つの推計式全てについて分析を行い、その結果、ロジスティック曲線式が過去の長期間にわたる使用水量の動向と統計的に最もよく適合していることを検証いたしまして、この推計式を採用しております。
したがいまして、この推計式の採用は合理的であるというふうに考えてございます。
○とや委員 ロジスティック曲線式は、減少傾向を含む水需要を反映できない式です。上昇傾向を示す計算式が実績と合う合理的な式は、一九九〇年代までといわれております。二〇〇〇年以降は全く反映できないともいわれております。
そして、このロジスティック曲線です。私も勉強を少しさせていただき、専門家にも聞きました。これは、あるときまでは急速に数がふえる。
もう一回見せます。あるときまでは急速に数がふえるんですけれども、ある限界値に近づくと増加が鈍ります。最終的には、限界値に落ちつくという傾向を示す式です。ところが、このパネルを見ていただければわかりますが、平成十三年、先ほどもいいましたように、東京は、一人当たりの生活水の需要がちょうど減り始めるあたりにロジスティック曲線を使った東京都の最新の水需要予測は、一人当たりの予測が二百四十三リットルあたりで落ちついてしまうんですね。だから実態に合わないんです。これでずっと落ちついちゃうんです。
この十年間は、一日平均でも、配水量が年間を通じて、どの月も減っています。大体約四百二十万立米程度です。一日最大配水量もこの十年間で五百万立米を超えた年はありません。ところが、水需要予測の計算式で出された一日最大配水量は約六百万立米なのです。
二〇一二年の予測も、それ以前の予測と同様に、過去十五年間と同じにやった、基づく予測であれば、一人当たりの生活用水は減り続ける。つまり、曲線は右肩下がりになり、需要は減りますよという結果になるはずでした。
さらに、先ほども出ていましたが、水使用形態の変化を示す負荷率というものがあります。負荷率は、水道事業の施設効率を判断する指標の一つで、数値が大きいほど効果的とされています。
ライフスタイルの変化、そして、先ほど来、うちの斉藤委員もいっていましたが、水道局の皆さんのご努力によって水需要の年間変動は安定し、負荷率は、資料もいただきましたが、年々高くなっているんです。
前回の二〇〇三年に行った十五年予測といわれる水需要予測、過去十五年間の最小値を採用しているんですけれども、これも問題があるとの指摘がありますが、そのとき使った負荷率でも八六・五%だということです。
ところが、都の最新の予測は、これをさらにエスカレートさせて、過去三十五年前にまでさかのぼって、それによって最近の実績のない昭和五十年の昔の数値七九・六%という低い数値を使ったのです。なぜかといえば、三十五年前にまでさかのぼらなければ低い数値が見つからないからです。
皆さんも、まだ生まれていない人もいるかもしれませんが、昭和五十一年といえば一九七六年です。現在と全く違う社会状況です。水道使用傾向も違います。年間ピークの差が近年は小さくなって、負荷率が上昇してきているにもかかわらず、三十五年間の負荷率の最小値を使って予測することは、予測自体をあえて過大にすることになります。このようなやり方を続けていけば、過大な設備投資が続くことになってしまいます。
来年度の予算案の中でも、八ッ場ダムの水源分担金六十七億円が計上されていますが、水需要予測がきちんと実態に近づいて得られていれば、建設改良費の縮減につながり、例えば、検針単価の引き上げ、福祉施設や低所得者の水道料金減免の拡充をすることができます。
私は質疑を通じて、道理に合わない、通常の常識が通じない、この水需要予測の不思議さを感じました。この際、水需要予測、調査をやり直して、実態に合った将来の需要を算出すべきと申し上げて、この質問を終わって、次に移りたいと思います。
次に、水道直結栓について伺います。
〔牧田建設部長特命担当部長発言を求む〕
○清水委員長 ちょっと何かいっているから。
牧田建設部長、何ですか。
○牧田建設部長特命担当部長兼務 これまでの答弁でもご説明申し上げたとおりでございますが、現在の水道需要の推計は、過去の長期間にわたる実績の動向に最も適合する推計式を、水道施設設計指針に示されている推計式の中から、検証の統計的な手法で検証の上、客観的に選び適切に推計しているものでございます。
そして、こうした推計の考え方、データとして採用している実績の期間等については、最高裁判決という公の場で認められているものであり、現在の水道需要の推計は妥当であるというふうに考えてございます。
また、八ッ場ダムについてのご意見がございましたが、八ッ場ダムにつきましては、都の主要な水源である利根川、荒川水系の水源開発は、五年に一回程度発生する規模の渇水に対応することを目標としておりまして、全国の主要水系や諸外国の主要都市と比べて、渇水に対する安全度が低い計画となってございます。
利根川水系では、ご存じのとおり三年に一回程度の割合で取水制限が実施されている状況にございます。また、今後、気候変動による水資源への影響も懸念されておりまして、さらに厳しい渇水が発生する可能性がございます。
現在建設中の八ッ場ダムは、上流域に豪雪地帯を抱え、流域面積も利根川上流ダム群の中では最大でございまして、渇水対策として大きな効果が期待されるものでございます。
国によりますと、八ッ場ダムが完成していれば、平成二十八年の七十九日間にも及んだ取水制限は回避されたとしておりまして、首都東京の安定給水のためには必要不可欠だというふうに考えてございます。
○とや委員 今るるご説明いただきましたけれども、さまざまな指標を見ても、東京都が行っている水需要予測はおかしいですよ。渇水の問題でいえばですよ、この間、一九九六年の夏に渇水が起きて、百十七日間の取水制限が起きたという記録を私も見ました。
しかし、東京はもう十五年以上、給水制限は行われていません。さらに、取水制限と給水制限は違うし--取水制限は川の水をとることを減らすことですけれども、蛇口から水を出にくくする給水制限とは違います。さらに、一九九六年に行われた給水制限は四十四日間でした。しかし、そのうち昼間に制限されたのはわずか六日、残りは深夜十時から朝六時まででした。こうしたさまざまな状況を考えれば、私は、水需要予測を本当に実態に合うものとしてやり直すべきだと改めて申し上げて、次の質問に移ります。
都内小中学校における水飲み栓直結モデル事業の問題です。児童数の減少や土日の使用頻度の減少によって、貯水槽の中で水が滞留するようになって、水道管網の整備とともに、蛇口から水を飲むという日本の水文化を次世代に引き継ぐという目的で始められた水飲み栓直結事業です。
二〇一六年度末の数字を見ますと、小学校一千二百三十九校中四百八十二校で、中学校では五百八十三校中百五十七校が東京都から補助を受け、直結栓の整備が行われました。これは本当に皆さんから喜ばれていて、今の水需要予測とはちょっと違う感じで、もう本当に感謝でいっぱいなんですけれども、ことしからは、今年度からは、フォローアップ事業に移行をしております。
そこで伺います。この十年間、二〇〇七年から二〇一六年度までの十年間をどう検証しているのか、効果も含めて伺います。
○尾根田給水部長 配水管から取り出す給水管や蛇口等の給水設備でございますが、お客様の財産でございますので、直結給水化に係る改造につきましても、本来、所有者でございますお客様が実施するものでございます。
一方で、今、先生もおっしゃってございましたけれども、本事業は、蛇口から直接水を飲むという日本の水道文化を次世代に引き継ぐとともに、小中学校の運営主体であります区市町及び私立学校法人に対しまして、直結給水化を促すことを目的にモデル事業として実施してまいりました。
平成十九年度から二十八年度までの事業期間におきまして、事業目標でございます三割の小中学校で、水飲み栓の直結給水化を達成したところでございます。
その効果といたしまして、実施校の児童生徒や教職員に対する平成十九年度から二十八年度に実施いたしましたアンケート調査でございますが、学校の水道水を飲む児童生徒が、工事実施前の七一%から、工事実施後には八三%に増加し、家から水筒を持参する児童生徒が二六%から一二%に減少するなど、直結給水化のメリットを実感していただいております。
また、区市町みずからの取り組みとして直結給水化を実施しているところもございまして、所期の目的でございます直結給水化のPRや、その促進効果が発揮されていると認識しております。
一方、区市町の実施状況につきましては、校舎の耐震化を優先するなどの事情により、直結給水化の実施率が三割に満たないところもございます。こうした区市町や私立につきましては、平成二十九年度から三十二年度までのフォローアップを実施していくこととしております。
○とや委員 かなり効果があったということだと思います。その中で、今ご答弁あった区市町みずからの取り組みとして直結化が実施されている、そういう自治体もあると思うんですけれども、一方で、今おっしゃったように、校舎の耐震化を優先するなどの事情によって、できないところもあるということでした。
この直結給水化の目的、そして効果なんですけれども、もう一つの効果として、近年災害が多発しているもとで、小中学校の避難拠点としての役割、衛生面から見ても効果が見込めるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○尾根田給水部長 給水方式は、直結給水方式と貯水槽水道方式の二つに分類されます。
直結給水方式は、配水管の圧力を活用いたしまして水道水をそのまま蛇口まで届ける方式でございまして、先生おっしゃるように衛生面での不安が払拭できます。
一方、貯水槽水道方式は、適切な管理が前提とはなりますが、断水時におきましても貯水槽内の水が使用できる特徴がございまして、災害時等における給水の確保の面から有効でございます。
このため、各区市町では、本モデル事業により、水飲み栓を直結給水化するとともに、既存の貯水槽をそのまま残しまして、日常のトイレ洗浄用などに使用する事例が大多数となっております。
本事業は、直結給水化を促すことを目的に、モデル事業として実施しておりまして、避難拠点としての給水方式につきましては、あくまでも避難所の運営主体でございます区市町で選択すべきものと考えております。
○とや委員 貯水槽方式では、断水時において貯水槽内の水が使用できるという利点もあって、ほとんどの自治体では両方残す、貯水槽も残すということで、私は、そういう意味でも、直結栓にしたことが、貯水槽方式、貯水槽を有効に活用できることにつながっているんじゃないかなと思っています。
そして、平成二十九年度からフォローアップ事業に移行しているんですけれども、実施率の低い区市町、確かにあります。それと同時に、それ以外、例えば練馬も三割を超えて整備されているんですけれども、手を挙げた自治体にも、ぜひ負担金支出も継続していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○尾根田給水部長 これまでの取り組みによりまして、事業目標としてきました公立、私立の小中学校全体の三割で直結給水化を達成しておりまして、その効果が発揮されていると認識しておりますが、本モデル事業の実施率が三割に満たない区市町もありますことから、フォローアップを実施するものでございます。
なお、直結給水化を促していくという本モデル事業の目的を踏まえまして、対象外の区市町等に対しましては、引き続き工事に関する助言や技術支援を行ってまいります。
○とや委員 都内の自治体にお話を聞いたんですけれども、一〇〇%直結化をした自治体あります、幾つかあったんですけれども、そこでお話を聞くと、一〇〇%達成できたのは、全て東京都の補助金を入れて実施できたと、補助金があったからこそできたんだという話がありました。
学校が単費で直結栓をするとなれば、これは一つの例ですけれども、約三千万円ぐらいかかると。敷地内の水道管の耐震化もあわせて行うと、さらにその倍、約六千万円もかかってしまうということを考えると、自力でやるのが非常に大変だという声が上がっております。ぜひフォローアップ事業を、せっかくやってきた、そして検証して効果もあるのだから、本格事業として、ぜひ希望する自治体の声には応えていただきたいと思っています。
さらにお聞きしたいのが、都立高校、都立特別支援学校、都立福祉施設は対象外ということですが、なぜでしょうか。また、現状を把握されているのでしょうか、教えてください。
○尾根田給水部長 先ほども答弁をさせていただいておりますが、直結給水方式への切りかえに必要となる給水管や給水設備の改造は、本来、所有者がそれぞれの費用で行うものでございます。
本事業は、直結給水化のPR、普及促進の観点から、実施割合を三割と定めたモデル事業として実施しておりまして、給水装置の財産区分や事業目的を踏まえまして、都とは別の事業主体である区市町及び私立学校法人に対しまして、その費用の一部を負担しているものでございます。このため、都立学校につきましては対象外としております。
なお、都立学校を所管している教育庁に対しましては、本事業で得られた効果や児童生徒及び教職員からの評価等につきまして、情報提供をさせていただいているところでございます。
都立高校等の実施の状況でございますが、これにつきましては、教育庁の方にも問い合わせたところでございますが、実態としては把握していないということでございました。
○とや委員 東京で学んでいる子供たちにおいしくて衛生面でも安心な水を提供する、この立場で考えれば、確かに都立学校は一般会計からということなのかもしれませんけれども、都立学校全てで直結栓を実施していただきたいと思います。少なくとも、現状を教育庁として直ちにつかむように、水道局としても要請をしていただきたいと思っております。
きょうは、水需要予測と水道の直結管の質問をさせていただきました。公営企業として来年度に向けて、都民の皆さんに安心で安全な水をきちんと供給できるようにご尽力いただきたいと要望して、私からの質問を終わります。
以上です。
○清水委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○清水委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
○清水委員長 これより下水道局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第二十八号議案、第九十七号議案及び第九十八号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○あかねがくぼ委員 合流式下水道の改善についてお伺いをいたします。
私の地元杉並区の中核的な河川である善福寺川は桜の名所でもあります。春には大変多くの人々が集まる場所でございます。子供からお年寄りまで自然を感じることができる憩いの場でありまして、特に働く世代にとって、都会の喧騒を離れ、仕事のストレスから解放される数少ない場所になっていると思います。
さて、我が党のスマートシティーを目指す政策の中で、河川などの水質改善を挙げており、重要な課題の一つとして位置づけております。現状では、強い雨が降りますと、合流式下水道からの放流により、川の水の色が濁るということがあります。豪雨時の水質が大変懸念されております。
そこで、本日は合流式下水道の改善についてお伺いをいたします。
まず、東京の下水道が合流式下水道を採用した経緯についてお伺いいたします。
○中島計画調整部長 明治四十一年四月に告示しました東京における下水道計画の基礎となる東京市下水道設計におきまして、下水の排除方式を合流式と定めております。
その背景としましては、当時の東京は、コレラや赤痢、その他の伝染病が蔓延していたほか、浸水被害が多発していたため、早期の対策が求められておりました。合流式を採用することにより、生活環境の改善と雨水排除を効率的に進めることが可能となりました。
○あかねがくぼ委員 合流式下水道を採用することで、衛生的な生活環境、それと浸水に対する安全性の向上に向けた取り組みを早急に進められたということであるかと思いますが、一方で課題もあると思います。
そこで、合流式下水道のメリット、デメリット、それぞれについてお伺いをいたします。
○中島計画調整部長 まず、合流式下水道のデメリットとしましては、大雨の際には、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水を河川などへ放流せざるを得ないという課題がございます。
一方、メリットとしましては、少ない雨の場合には、地面や道路の汚れを含む雨水を河川などへ放流することなく、水再生センターで処理することができるほか、雨水と汚水を一本の下水道管で排除することから、整備費用が安く早期に整備できるという点が挙げられます。
○あかねがくぼ委員 少ない雨の場合には、合流式下水道にメリットがあるということは理解をいたしましたが、やはり合流式下水道では、浸水からまちを守るためとはいえ、強い雨が降ると河川などに汚水まじりの雨水が放流されてしまうということであります。
水質の悪化を防ぐために、下水道局では、さまざまな対策を進めておられるかと思いますが、合流式下水道の改善に向けた対策、具体的にどのようなものがあるのか、お伺いをいたします。
○中島計画調整部長 合流式下水道の改善対策としましては、雨天時に河川などに放流されていた降雨初期の特に汚れた下水を水再生センターで処理するため、下水道幹線の増強や一時的に貯留する施設の整備などに取り組んでおります。また、雨水はけ口やポンプ所から流出するごみなどを削減するための対策も行っております。
○あかねがくぼ委員 ごみなどの河川への流出は、美観が損なわれることに加えまして、周辺の環境を悪化させる原因になっておりますから、その対策が非常に重要であると考えます。
そこで、雨天時に流出するごみを削減するため、どのような技術を使っているのか、お伺いをしたいと思います。
○小団扇技術開発担当部長 家庭などからの排水や道路などに堆積したごみなどは、下水道管を流れ、河川の出口となる雨水はけ口へ集まってくるため、河川に放流される直前の雨水はけ口で対策をすることが効果的でございます。
この対策として、下水道局では、区部にある約七百三十カ所の雨水はけ口のうち、九割以上に水面制御装置を設置しております。この装置は、設置前に河川などに流出していたごみを七割以上除去できることに加え、構造が単純で、設置や維持管理などが容易なこと、低コストであること、動力を必要としないことなど、すぐれた特長を有しております。
具体的には、ごみなどをできる限り水再生センターへ送るため、渦の力で下水道管に引き込むためのステンレス製の板を取りつけるものでありまして、当局と監理団体である東京都下水道サービス株式会社及び民間企業が共同開発し、平成十八年に特許を取得した技術でございます。
○あかねがくぼ委員 動力が不要と。低コストでありながら、ごみの七割を除去できる非常にすぐれた技術である水面制御装置をいち早く利用しているという点は大変評価ができます。
そこで、この水面制御装置について、国内外ではどのぐらい使われているのか、活用状況についてもお伺いをいたします。
○小団扇技術開発担当部長 国内では、大阪市や名古屋市など大都市を中心に約六十の都市で水面制御装置が導入されております。
また、海外におきましては、ドイツ、韓国及びアメリカの企業との間でライセンス契約を締結しております。平成二十八年度末現在、水面制御装置は、国内外で約千七百カ所に設置しております。
○あかねがくぼ委員 都が開発した水面制御装置は、多くの都市で使われているということで水環境の向上にも貢献しているように思います。
今後とも、この水面制御装置のみならず、東京下水道のすぐれた技術を情報発信していただいて、また、すぐれた技術を開発し続けることで、国内外の下水道分野のトップリーダーとして役割を果たしていただきたいと考えます。
これまでは、合流式下水道の改善に向けた全体的な取り組みについて確認をしてきましたが、私の地元であります杉並区も合流式の下水道で整備されていると聞いています。
そこで、先ほどの善福寺川の流域におきまして、これまではどのような合流式下水道の改善対策を行ってきたのか、お伺いをいたします。
○佐々木建設部長 善福寺川流域におきましては、先ほど申し上げた合流式下水道の改善対策のうち、下水道幹線の増強と雨水はけ口などからのごみなどの流出を削減する対策は既に完了しております。
現在は、降雨初期の特に汚れた下水を一時的に貯留する施設として、善福寺公園から杉並区上荻二丁目に至る内径二・四メートル、総延長約三・四キロメートル、貯留量約一万五千立方メートルの貯留管の整備を進めております。
○あかねがくぼ委員 現在、貯留管の整備中ということでありますけれども、進捗状況についてお伺いします。
○佐々木建設部長 貯留管につきましては、平成二十六年十一月に工事に着手、総延長約三・四キロメートルのうち、善福寺公園から区立関根文化公園付近に至る約二キロメートルのシールドトンネルが完成しております。
引き続き、シールドトンネルの残りの区間とマンホールなどの整備を行い、平成三十三年度末の完成を目指して工事を進めてまいります。
○あかねがくぼ委員 既にシールドトンネルが完成した区間もあり、着実に工事は進めているということでありますが、本工事については、最初の説明会から着手するまで約十年という大変な時間がかかっていると、地元調整に苦労したというふうに聞いています。
この貯留管工事を進めるに当たりまして、地元の住民の方々、理解を得るために行った取り組みについてもお伺いしたいと思います。
○佐々木建設部長 委員ご指摘のとおり、善福寺川流域における貯留管工事の着手に当たっては、地元調整に時間を要しました。平成十七年以降、地元説明会を五回開催したほか、区と連携して、地元町会との調整を繰り返し実施するなど、事業の必要性や施工方法などを丁寧に説明するとともに、地元要望にも最大限配慮することで、地元の理解を得て工事に着手することができました。
一例を挙げますと、工事基地に設置する防音ハウスにより、周辺の日当たりが悪くなることを心配する声に対しましては、防音ハウスの上部を透明なパネルに変更するなどの対応を行いました。
今後とも、工事の進捗状況に合わせて、きめ細やかに作業内容を説明するとともに、工事を安全に行いながら、一日も早い工事の完成に向けて取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
善福寺川は、区民にとっては大変親しみのある川であります。水辺環境の改善は、多くの地元住民が待ち望んでいることであります。こういった必要な工事でありますが、どうしても、総論賛成、各論反対ということで、実際に工事を進めていく上では大変なご苦労あろうかと思います。
今後も、貯留管全体の整備を完成させるまで、まだまだ長期間かかるということでありますが、一日も早い工事の完成をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○三宅委員 今後の下水道事業の運営について何問か質問いたします。
昨年十二月、下水道の運営権売却検討という新聞記事を目にいたしまして大変に驚いたところです。その記事は、十二月二十六日に行われた都政改革本部会議の内容を報じたものでした。
下水道局では以前から、期間を定めて経営計画を策定し、その計画と事業の実施状況を議会に明らかにしながら、着実に事業運営を行ってきたと認識しています。また、経営計画に基づき、企業努力として不断の経営効率化に努め、安定的な経営の実現に取り組んでいることも承知いたしております。
私は、公営企業としての企業努力に加えて、下水道局が施設を一体的に管理して事業を運営してきたからこそ、今日、東京の下水道サービスが、安定的かつ効率的に提供されていると考えています。
このように安定的かつ効率的にサービスが提供されている中で、下水道局は、コンセッション方式を含む新たな運営手法の検討を来年度から行うことを発表いたしました。なぜ、この時点でコンセッション方式など新たな運営手法の検討を行うのか、本日の質疑を通じて下水道局の真意を確認したいと思います。
それでは、早速ですが、新たな運営手法の検討を行うことになった背景を伺います。
○安藤総務部長 下水道局ではこれまでも、不断の経営効率化に取り組んでまいりましたが、二〇二〇年以降、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少の三つの危機に直面することが見込まれます。
こうした状況に対処し、安定的に下水道サービスを提供していくため、一層効率的かつ効果的な事業運営が必要でございます。さらに、今年度から国土交通省の国費の交付要件として、一定規模以上の下水処理場の改築に当たっては、コンセッション方式の導入を検討することが加わっております。
このようなことを踏まえ、下水道局と監理団体との役割分担の見直しとあわせて直営や現状の業務委託も含め、包括的民間委託やコンセッション方式などのさまざまな運営方法について幅広く検討することといたしました。
○三宅委員 検討の背景には三つの危機があるとのことですが、確かに東京では、高度経済成長期以降に大量に整備した下水道管が、今後一斉に耐用年数を迎えるため、これらを適切に更新していく必要があります。また、近年多発する局地的な集中豪雨などに伴う浸水被害に対応するための浸水対策も下水道局の重要な役割です。さらに、東京の人口が減少に転じれば、料金収入の減少が見込まれるため、これも今から備えなければいけない課題だと思います。
ですから、下水道局が三つの危機に対処し、将来にわたって下水道サービスを安定的に提供するために検討を行うという事情については、理解できました。
では、どのような検討を行うのか、検討の中身について、確認するために、まず包括的民間委託とコンセッション方式の内容について伺います。
○安藤総務部長 一般的に包括的民間委託とは、三年から五年程度の複数年間、一定の性能の確保を条件に、民間事業者の創意工夫を発揮させる性能発注方式で、維持管理業務を委託するものでございます。
一方、コンセッション方式とは、二十年程度の期間を定め、施設の所有権を自治体に残したまま、民間事業者に運営権を付与することで、運営権者が利用者から徴収する料金により施設を運営する方式で、維持管理業務に加え、施設の改築更新なども行うものとされております。
○三宅委員 包括的民間委託は、現状の業務委託の年数や範囲などを拡大したイメージだと思います。一方、コンセッション方式は、維持管理業務だけではなく、施設の改築更新など工事も含めた施設運営全般を民間事業者に任せるもので、包括的民間委託と比べて民間事業者の裁量範囲が広く、従来の委託や包括的民間委託とは全く別物と捉える必要があります。
コンセッション方式は、一般的にはコストメリットが高いといわれているようですが、民間事業者の裁量の範囲が広いということは、デメリットも多いのではないかと感じます。
そこで、下水道局として、現時点で把握しているコンセッション方式のメリット、デメリットにはどのようなものがあるのか伺います。
○安藤総務部長 これから本格的な検討を行うことになりますが、現時点で把握している一般的にいわれているメリットとしましては、運営権設定により自治体が運営権対価を取得できることや、民間事業者のノウハウ等を生かし、コスト縮減が可能であることなどがございます。
一方、デメリットとしては、運営権者である民間事業者が倒産あるいはみずからの都合で撤退するリスクがあるほか、直営職場の減少に伴い、自治体職員のノウハウや技術力が低下することで、震災などの災害時における対応に不安があることや、運営権者のサービス水準の監視、評価が十分にできなくなるおそれがあることなどでございます。
○三宅委員 自治体にとっての一般的なメリットは、運営権対価の取得や民間事業者のノウハウを生かしたコスト縮減が期待できるということですが、既に民間の力も活用しながら企業努力を続けてきている東京の下水道事業においては、大きなメリットは望めないのではないかと思います。
一方、挙げられたデメリットは、いずれも現実化した場合は重大な事態を招くと思われますが、中でも一番気になりましたのは、運営権者が倒産あるいはみずからの都合で撤退するリスクがあるという点です。
民間企業は、利潤の追求を目的としていますから、たとえ契約で縛ったとしても、もうからなければ当然撤退するものです。首都東京の下水道において一時的にでも施設が停止した場合、東京の都市活動の停滞につながり、ひいては日本の政治や経済に甚大な影響を及ぼすことになります。
昨年、都議会でコンセッションの導入に関する条例を可決した有明アリーナなどのいわゆる箱物の運営と重要な社会インフラである下水道施設の運営は、明らかに異なります。下水道局がコンセッション方式も含めて検討するというのであれば、この際、その方式の問題点について、しっかり検討してもらいたいと思います。
そこで、今後、コンセッション方式について具体的にどのような検討を行うのか伺います。
○安藤総務部長 平成三十年度は、競争性テストや民間事業者との予備的対話、いわゆるサウンディングを行うこととしております。
現在、調査研究の具体的な方法について検討しているところですが、競争性テストとしては、水再生センター等の流入水量の特性や処理区内の地域特性などの分析に加え、運営主体の違いによるコスト分析などを行うことを考えております。
また、サウンディングとしては、民間事業者の参入意欲がある事業範囲や想定されるリスク分担の考え方などについて意見交換を行うことを考えております。
これらを通じて、コンセッション方式の課題などを検証していくなど、さまざまな運営方法について幅広く検討してまいります。
○三宅委員 ただいま検討の具体的な手法について答弁がありました。
私は、下水道のような重要なインフラは、行政が責任を持って運営していく必要があり、民間企業が運営主体となるべきではないと考えています。ですから民間のノウハウを活用するとしても、現在の個別の業務委託のように下水道局が責任を持てる範囲にとどめるべきであり、たとえ一つの水再生センターであったとしても、利潤、それも最大利潤を追求する民間企業に全面的に運営を任せるのは危険だと思います。
検討する際に大切なのは、手法よりもむしろ着眼点だと思います。そもそも公営企業というものは、企業努力をみずからしっかりと行い、それを議会がチェックする、そのようなプロセスを通じて効率性を確保するべきものだと私は考えます。
今後、検討に当たっては、効率性以上に、安定性、公共性、都民生活への影響などを十分に考慮し、首都東京の重要なインフラである下水道を管理する下水道局として、その責務を強く認識し、慎重に対応してもらいたいと思います。
そこで、最後に、今後の事業運営に向けた局長の決意を伺って、私の質問を終わります。
○渡辺下水道局長 ただいま委員から、下水道事業の運営のあり方に関するご質問やご意見を頂戴しました。
東京の下水道は、これまで培ってまいりました高い技術力を生かし、施設の老朽化や局地的な大雨による浸水被害など、さまざまな課題の解決に向けて取り組むとともに、今日まで二十四時間三百六十五日、休むことなくその機能を発揮させ、都民生活と首都東京の都市活動を支えてまいりました。引き続き、下水道という重要なインフラの運営に全力で取り組んでまいります。
また、将来見込まれる課題を乗り越えていくため、経済性だけでなく、安定的な下水道サービスの提供といった観点を重視して、施設の運営手法を幅広く検討してまいります。
今後とも、お客様である都民の生命と財産を守り、良好な水環境を次世代に引き継いでいくため、職員一丸となってよりよい事業運営に努め、都民の負託に全力で応えてまいります。
○加藤委員 ただいま都政改革についての質疑がありました。特にコンセッション方式については、さまざまな課題があるということでありましたけれども、私は、下水道事業に関する技術力、これに絞ってお聞きしたいと思っております。
都市インフラである下水道は、都民生活を営むためになくてはならないものであり、何よりも安定的に運営されることが重要です。私は、どちらかというと、民間ができることは行政がやらなくても民間がやるべきだという基本的な考え方を持っております。行政がやるよりも都民サービスが向上して、しかも安全性が確保できるものであれば大いにやるべきだと思います。
しかし、効率性だけの観点で民間企業を活用すれば、民間企業は利益優先となりがちであり、結果的にサービスの低下を招くことも懸念されます。このため、民間企業に対する適切な監督体制の確保が必要となりますが、その裏づけは組織として保持する技術力であるというふうに考えます。
これまで下水道局は、安定的に下水道サービスを提供するための技術力を保持した上で、業務委託などを進めて、簡素な運営体制とするよう努めてきたと思います。
そこで、まず、技術力を保持しながら事業運営体制の効率化をどのように図ってきたのか伺います。
○安藤総務部長 下水道サービスを効率的かつ安定的に提供するため、事業実施に責任を持つ下水道局を中心として、監理団体である東京都下水道サービス株式会社及び民間事業者との三者で、それぞれの特性を生かした役割分担のもと事業を運営してきております。
特に、技術力を保持するため、多岐にわたる専門性の高い現場を下水道局と東京都下水道サービス株式会社とが密接に連携して担うことで、事業運営に不可欠な技術やノウハウを共有、蓄積してまいりました。
また、事業運営における効率化の取り組みにつきましては、これまで汚泥処理施設の運転管理業務を初め東京都下水道サービス株式会社への委託を拡大するとともに、ICT等の活用により、ポンプ所の遠方監視制御化などを進めてまいりました。
これらの取り組みを通じて、管理する下水道施設は増加しているものの、職員定数は、昭和五十三年度のピーク時と比較して約半減、東京都下水道サービス株式会社との合計でも約三割減となってございます。
○加藤委員 これまで下水道局は、技術力を保持しつつ職員定数の削減を行い、スリムな体制を実現してきております。
今後において、検討の結果、仮にコンセッション方式を導入することになった場合、さらなる体制のスリム化はできるかもしれませんが、一方で、安定的に良質なサービスを提供していくために必要不可欠である民間企業を監督するための技術力を保持していくことは難しいのではないかと思います。
そこで、コンセッション方式を導入した場合、民間企業を監督するための技術力を保持することができるのか伺います。
○安藤総務部長 コンセッション方式で施設運営を民間の運営権者に長期間にわたり委ねた場合、一般的には直営職務が減少することから、自治体職員の技術力やノウハウが失われていく可能性があり、これに伴い震災などの災害時における対応に不安があることや、運営権者のサービス水準の監視、評価が十分にできなくなることなどがいわれております。
このため、今後、技術力の保持の観点からも十分に検討していく必要がございます。
○加藤委員 将来にわたり下水道事業を安定的に運営していくためには、技術力の保持が極めて重要であることは明らかです。
そこで、今後の技術力の保持を見据えた施設運営手法の検討の考え方について伺います。
○安藤総務部長 現在でも、現場の維持管理等から得た知識を技術開発につなげ、下水道サービスを維持向上させていくなど、事業運営に当たっては、現場に根差した技術力が極めて重要であると認識してございます。
今後の施設運営手法の検討に当たっては、経済性だけでなく、技術力の保持に基づく安定的な下水道サービスの提供といった観点を重視し、直営職場のあり方や監理団体への派遣なども含め、幅広く検討してまいります。
○加藤委員 下水道局は、今後の検討に当たり、目先の効率化にとらわれず、都民のためのインフラであることを十分に認識した上で、技術力保持の観点も含め、慎重に下水道事業運営のあるべき姿を追求してほしいと思います。
次に、下水道へ紙おむつを受け入れることについて伺います。
先日、我が会派は紙おむつのリサイクル工場を視察してまいりました。工場では、介護施設等から回収された紙おむつを再生パルプや堆肥、固形燃料などにリサイクルしているとのことで、循環型社会の新たな取り組みに大変参考となりました。
使用済み紙おむつは、現在可燃ごみとして収集されておりますけれども、焼却場では、この使用済み紙おむつが、生ごみに含まれている水分等を吸収してしまい、製品重量の二十倍から四十倍もの水分等を吸収して膨張し、炉内の温度低下対策と焼却処理に多大なエネルギーを消費するため、ごみとして焼却するのではなく資源として再利用するという、紙おむつのリサイクルの流れが広がることが望ましいというふうに考えております。
一方で、介護や子育ての負担軽減のために、下水道に紙おむつを流して処分することを検討するため、国土交通省が検討会を設置したとの報道がありました。この検討会には、下水道局からも委員が参加しているようであります。
そこで、まず、この検討会の概要について伺います。
○廣木施設管理担当部長 委員お話しの検討会は、下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会であり、下水道に紙おむつを受け入れた場合に想定される下水道施設や環境への影響、解決すべき課題等を検討、審議するために、ことしの一月に国土交通省が設置したものでございます。
検討会では、今後、五年程度かけて技術面や制度面の検討や実証実験を行い、下水道としての紙おむつの受け入れ条件の取りまとめを行う予定とのことでございます。検討会の委員は、東京都などの地方公共団体のほか、学識経験者、公益社団法人日本下水道協会、下水道事業関連の業界団体、国土交通省の関連部署などで構成されております。
○加藤委員 検討会の概要についてはわかりました。
超高齢社会を迎えるに当たり、紙おむつを下水道に流せるようになれば、排せつに伴う介護の負担が軽減されるなど、一見すると、よいことのように思えます。
一方で、新聞報道等によると、検討会では、この紙おむつを破砕装置で処理したものを下水道に流すことを想定しているようでありまして、下水道施設や環境へのさまざまな影響が懸念されます。
そこで、下水道に紙おむつを流すことに対しての下水道局の見解を伺います。
○廣木施設管理担当部長 紙おむつを破砕して下水道に流す場合、地下埋設物を避けるために、管の一部を深い位置に設置する伏せ越し構造など、ごみが堆積しやすい箇所に破砕された紙おむつが堆積し、詰まりや臭気の発生が想定されます。
また、ポンプ所等の施設におきましては、破砕された大量の紙おむつが流れてくることにより、入り口でごみなどを除去するためのスクリーンが目詰まりを起こし、揚水機能が阻害されるおそれがございます。
さらに、東京都では、区部の面積の八割で合流式下水道を採用していることから、雨天時に雨水はけ口から破砕された紙おむつが越流し、河川や海などの公共用水域に悪影響を及ぼす可能性が高いものでございます。加えて、下水道管の清掃頻度や水再生センターにおける水処理や汚泥処理に係るエネルギー使用量が増加するなど、下水道事業のさまざまな面でコスト増加の要因となります。
下水道局といたしましては、このような影響などにつきまして、現場を持つ下水道管理者の立場から検討会の中で必要な意見を発信してまいります。
○加藤委員 紙おむつを下水道に流すことは、下水道局がこれまで取り組んできたオイルボールや合流改善対策にかけてきた努力を無駄にする行為ではないかと考えます。
技術的には、再資源化できる紙おむつをごみとして下水道に流すのではなく、リサイクルする方が循環型社会の形成に大きく貢献できます。環境先進都市東京の役割としても、全国をリードしていくべきだと思います。
ただ、この収集、運搬、リサイクルの各段階で、関係者の協力が必要ですし、今直ちに導入できるわけではありませんが、実現可能性を探っていくべきだと考えます。
国としても、地域事情を無視して進めることはないと思いますが、下水道局としても、検討会の委員として東京下水道の事情を訴えるとともに、全国の下水道事業者をリードする立場から、下水道への紙おむつの受け入れに対して、引き続き必要な意見を発信していただきたいと思います。
さらには、下水道局としてもアースプランやスマートプランを策定して、独自に環境への貢献の取り組みを行ってきたわけでありますから、環境の観点からも、しっかりと発信をお願いしたいと要望いたします。
最後に、下水道事業における国際展開について伺います。
先ほど、下水道における技術力の重要性について伺いましたが、国際展開を行う上で必要なことは、高い技術力を保持することが何といっても重要です。この高い技術力やノウハウが海外で活用されている事例として、東京下水道が技術支援しているマレーシアの下水道整備プロジェクトがあります。
このプロジェクトがスタートした年度の平成二十七年三月、勇退した我が党の吉倉正美前議員が公営企業委員会で質疑を行いました。水環境に課題を抱える国に対して東京の技術力をもって国際貢献をすることは、大変意義のあることだと考えています。
そこで、改めて、マレーシアのプロジェクトの内容と東京下水道の支援の状況について伺います。
○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 このプロジェクトは、マレーシアの首都クアラルンプール郊外のランガット地区におきまして、管渠、ポンプ所、下水処理場の下水道システム全般を、設計、建設、維持管理まで一括して実施するもので、平成二十六年から三十二年までを実施期間としております。このプロジェクトに対して、当局と東京都下水道サービス株式会社が一体となり、現地の水環境の改善を目的に技術的な支援を行ってきております。
具体的には、調査、計画の段階から、マレーシア政府に対して技術提案を行うとともに、東京都下水道サービス株式会社がテクニカルアドバイザーとして定期的に現地を訪れ、助言や指導などを行っております。
ことしの秋ごろには下水処理場の建設工事が完了する予定でございまして、現在は、この建設される下水道施設の円滑な運営に向けて、JICA草の根技術協力事業を活用し、当局と東京都下水道サービス株式会社が連携しながら、現地の技術者に対する人材育成研修を実施しております。
○加藤委員 東京下水道の技術支援もあり、プロジェクトが順調に進められているということがうかがえました。
以前、吉倉前議員が、この施設をつくるだけでなく、それを確実に維持管理していけるよう、現地技術者に技術移転していくことが必要だと主張したところであり、人材育成研修が実施されていることは大いに評価できます。
そこで、JICA草の根技術協力事業を活用して、どのような内容の研修を行っているのか伺います。
○鈴木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 この人材育成研修は、平成二十九年二月から三十年九月までを事業期間といたしまして、研修場所には、水再生センターや下水道技術実習センターなど、当局が所有する施設を活用しております。一回当たり三週間のプログラムを三回、合計三十名の研修生を対象に、ポンプ設備の運転管理や水質分析など、研修生がマレーシアに戻ってから実際に行う業務を経験できる効果的な研修内容としております。
本日午前中には、都内での研修としては最後となります第三回目の研修の修了式が行われたところでございます。この研修を受講した者は、マスタートレーナーとして、マレーシア国内の技術者に対して、東京下水道の技術やノウハウを伝える役割を担っており、帰国後は、現地で研修生みずから技術研修を企画し、実施することとなっております。
今後も、現地の技術者が施設を適切に維持管理できるよう、東京下水道として引き続き技術支援を行い、マレーシアの水環境の改善に貢献してまいります。
○加藤委員 引き続き、東京下水道が誇る高い技術力とノウハウを生かして、このプロジェクトの成功に向けてしっかりと支援をしていっていただきたいと存じます。
本日は、下水道事業におけるさまざまな質疑を通じ、技術力の重要性を中心に改めて確認をいたしました。今後も、下水道局が有する高い技術力を発揮し、都民生活を支える下水道事業の安定的な運営を進めていただきたいと主張いたしまして、質疑を終了します。
○とや委員 私からは、下水道施設の耐震化と浮上対策などの安全対策、そして浸水対策について伺っていきたいと思います。
さきの三月十一日、今月三月十一日は、東日本大震災が起きた日です。それから早くも七年がたちました。震災の教訓を風化させてはならないと思います。また、この震災のときには、下水道施設など、さまざまな形で大変な被害が起こりました。
さらには、近年のゲリラ豪雨時には、下水道内の水圧が急激に高まって、下水が噴き上げて、重さ四十キロから八十キロのふたが飛んでしまうケースもあると聞いています。過去には、冠水した道路を通行した人がマンホールに吸い込まれて水死してしまうという事故も起きています。
下水道局では、下水道管の耐震化として、下水道管とマンホールの接続部の耐震化、そしてマンホールの浮上抑制対策に取り組まれております。
まず、区部における下水道管の耐震化に取り組む対象の施設について伺います。
○中島計画調整部長 下水道局では、震災時の下水道機能の確保及び緊急輸送道路などの交通機能の確保という面から取り組みを実施しております。
まず、下水道機能の確保としましては、地震によって被災した人の受け入れ先となる避難所や避難場所に加え、災害拠点病院やターミナル駅、災害復旧拠点、地域防災計画に定められている防災上重要な施設など、約四千六百カ所を対象に、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化を実施しております。
次に、交通機能の確保としましては、地盤の液状化現象が生じるエリアの緊急輸送道路などに加え、緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路約千二百五十キロメートルを対象に地盤の液状化現象によるマンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
○とや委員 避難所や避難場所に加えて、災害拠点病院やターミナル駅、災害復旧拠点など防災上重要な施設などを、下水道管とマンホールの接続部の耐震化を実施されている。そして、交通機能の確保として緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路一千二百五十キロメートルを対象に浮上対策を実施されているということです。
先ほど申し上げた東日本大震災のときには、大変な被害があったと聞いております。マンホール本体の浮上が見られた、そういった地域もあった一方で、対策を講じていたところでは効果が出ていたという報告もあります。
下水道局では、経営計画二〇一六で耐震化を順次進めていますが、下水道管の耐震化の進捗状況と、今後どのように進めていくのかを伺います。
○佐々木建設部長 まず、下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、避難所や災害拠点病院など約二千六百カ所の対策を平成二十五年度末までに完了しております。また、地域防災計画の改定で追加された避難所や、新たに対象に加えたターミナル駅、災害復旧拠点、防災上重要な施設など約二千カ所のうち、これまでに約八百二十カ所で対策を実施しており、経営計画二〇一六の最終年度である平成三十二年度末までに、累計で約千五百カ所の対策を完了させる予定でございます。
次に、マンホールの浮上抑制対策につきましては、緊急輸送道路など約五百キロメートルの対策を平成二十二年度末までに完了しております。また、新たに加えた緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路約七百五十キロメートルのうち、これまでに約六百五十キロメートルで対策を実施しており、平成三十二年度末までに対策を完了する予定でございます。
○とや委員 区部のマンホールの数の資料をいただきましたけれども、四十八万四千七百三十四個だということです。膨大な量になります。順次、耐震化と浮上対策を進めていらっしゃるとは思いますけれども、区部にある全てのマンホールについて、下水道管との接続部の耐震化や浮上対策をさらに進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○中島計画調整部長 区部には、お話のとおり約四十八万個という膨大な数のマンホールが敷設されていることから、下水道管の耐震化につきましては、施設の重要度などを考慮し優先度を定め、計画的に対応しております。
○とや委員 いつ来るかわからない、いつ来てもおかしくない震災、特に首都直下型、南海トラフなど、危険性は首都にはたくさんあると思います。ぜひ都内のマンホールの耐震化、そして浮上抑制対策の強化を進めていっていただきたいと求めて、次の質問に移ります。
下水道は、汚水だけでなく雨水も扱うインフラです。近年の集中豪雨を考えると、浸水対策は重要な取り組みだと思います。一方、河川もさまざまな治水対策を進めているようですけれども、お互いが連携して豪雨への対策を進めていくことが必要と考えます。
そこで伺いますが、下水道局における浸水対策の進め方について伺います。
○中島計画調整部長 東京都では、都民の生命を守り、都市機能を確保することなどを目的に東京都豪雨対策基本方針を策定し、その中で、効果的、効率的な豪雨対策を実現するため、河川や下水道などの役割分担などについて定め、関係部局が連携して取り組むこととしております。
区部の下水道では、時間五十ミリ降雨への対応を基本に施設整備を進めるとともに、対策強化地区においては、時間五十ミリを超える降雨に対しても、被害を軽減する五十ミリ拡充対策や、時間七十五ミリ降雨への対策も進めております。
○とや委員 豪雨対策における時間五十ミリをこの間進めてきて、さらに最近では七十五ミリ対応へと進んでいるということです。
先ほども出ていましたけれども、必要なところへは対応が急がれると思いますが、一方で、住民合意、合意形成も必要だと思います。よく精査して進めていっていただきたいと思っています。
そこで伺いますが、具体的にどのように取り組んでおり、現在、区部全域に対してどれほど進んできたのか伺います。
○中島計画調整部長 区部全域で、時間五十ミリ降雨の対策を効率的に進めるため、地区を重点化し、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を進めております。
具体的には、繰り返し浸水被害が発生している地域など、浸水の危険性の高い地域を対策促進地区として二十地区選定しております。さらに、かつての川を下水道幹線として利用している浅く埋設された幹線の流域などでは浸水被害が発生しやすいため、重点地区として十五地区を選定しております。
こうした対策地区を中心に基幹施設などの整備を進めてきた結果、区部における時間五十ミリの降雨への対応が完了している面積の割合は、平成二十八年度末で七〇%となっております。
○とや委員 五十ミリ降雨の対策を効果的に進めてきたと。地区を重点化し、下水道管やポンプ所などの基幹施設の整備や浸水の危険性の高い地域を二十地区指定されてきたということです。そして、二十八年度末で七〇%に達している。こういった取り組みについては、今申し上げましたけれども、ぜひ地域の人たちの声もよく聞きながら進めていっていただきたいと思います。
私の地元練馬区に、白子川という河川が流れています。この河川の流域では公園も整備されたり、湧き水が湧いたりして、夏になると子供たちがそこで泥んこになって遊んだり、地域の人たちが、白子川の自然を守ろうと長年活動をしていらっしゃいます。
一方で、この地域では、これまでたびたび浸水被害が発生してきておりますが、下水道の施設整備によって浸水被害は軽減をしていると思うんですけれども、練馬区内の白子川流域における浸水対策の施設整備の状況及びその効果について伺います。
○佐々木建設部長 白子川流域における下水道の浸水対策施設につきましては、これまで練馬区大泉町地区、南大泉地区で貯留管を整備しております。
練馬区大泉町地区では、平成十四年度に貯留量約六百立方メートルの貯留管の整備が完了しており、流出解析シミュレーションによると、貯留管の流域において浸水被害が軽減する結果となっております。
南大泉地区では、平成二十九年度に貯留量約四千八百立方メートルの貯留管の整備が完了しており、この結果、貯留管の流域において時間五十ミリメートル降雨への対応が完了しております。
○とや委員 施設整備自体も大変重要なところもあると思いますけれども、もし浸水が発生した場合でも、被害を最小限度に軽減できるように、降雨情報の提供、そして通常の建物より雨水が流れ込みやすい半地下など、建物への危険性の周知の取り組みも重要だと考えます。この点で、それぞれの取り組みについて伺います。
○池田施設管理部長 豪雨からお客様の生命や財産を守るため、施設整備によるハード対策に加え、お客様みずからが浸水に備える取り組みを支援するソフト対策にも取り組んでおります。
委員お尋ねの降雨情報の提供や半地下家屋への取り組みについてでございますが、まず降雨情報につきましては、東京アメッシュによりホームページやスマートフォンなどでお客様にリアルタイムで配信しております。
次に、浸水被害が発生しやすい半地下家屋につきましては、ホームページなどでその危険性を周知するとともに、毎年六月の浸水対策強化月間において半地下家屋へ戸別訪問するほか、当局や区が主催するイベントなどで浸水に対する注意喚起を行っております。
○とや委員 ソフトの分野での取り組みも大事だというふうに思います。さらに浸水被害を防ぐには、下水道や川へ雨が流れる量を少なくしていくことが重要と考えます。雨水の流出抑制対策のためには、個々の宅地内の雨水を浸透させることや貯留することが必要だと思います。雨水の流出抑制対策は、まちづくり全体の問題となっていますが、下水道局としても、できることは取り組んでいっていただきたいと思っております。
そこで、下水道局が取り組んでいる公共雨水浸透ますの取り組み状況について伺います。
○中島計画調整部長 公共雨水浸透ますにつきまして、分流式下水道の整備地区では、雨水管整備などに合わせて設置をしております。合流式下水道の整備地区におきましては、公共雨水浸透ますを設置するには、宅地内の排水管を新たに汚水管と雨水管に分ける必要があり、お客様の費用負担などが発生するため、理解が得られたところから設置しております。
このため、当局のホームページやリーフレットなどで、お客様へ公共雨水浸透ますの必要性などの周知を図りながら設置を推進しております。
これらの取り組みにより、平成二十八年度末までに約八千三百個の公共雨水浸透ますを設置したところでございます。
○とや委員 ありがとうございます。先ほども申し上げましたように、この地域は、長年、白子川の流域における自然を守る、生態系を崩さないよう、大切に住民の人たちが守ってきた歴史があります。なるべく自然に負荷をかけずに浸水対策を行っていただきたいと思っています。
今、下水道ではないんですけれども、全国、東京都内含めて河川の大規模な調整池などが建設、計画をされています。それが自然の、地下水の水脈を切ってしまったり生態系を崩してしまったりと、そういうこともあります。ぜひ、こうしたソフトの面、浸水対策はハードの面だけではなくて、先ほど来おっしゃっていただきました雨水流出抑制対策、こうしたものを進めていっていただきたいと思います。
そして、下水道局の立場でできることをやっていただき、本当に住みやすいまちをつくるために力を尽くしていただきたいと要望をして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤井委員 昨年十二月の都政改革本部会議において、下水道局長から見える化改革報告書が示されました。先ほど来の質疑にもございましたけれども、二〇二〇年以降に下水道は、下水道管の老朽化、豪雨回数の増加、人口減少という、大きくは三つの課題に直面をしているかと思います。
今後、法定耐用年数五十年以上を超える下水道管が老朽化をしていくということでございまして、実にこの二十年で延長二千キロから一万二千キロになるということでございまして、もう本当にこの老朽化の山が来るといってもいいかと思います。
対策に要する経費が拡大をしていきますと、将来的には、この間下水道料金値上げをされていないということなんですけれども、下水道料金の値上げにもつながりかねないということで、大変懸念をしているわけであります。
下水道管の老朽化対策に関連をして、今、局としてどのようなコスト削減のご努力をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○中島計画調整部長 下水道管の再構築に当たりましては、施設の劣化状況を調査し、適切な維持管理を行うことで、法定耐用年数より三十年程度延命化し、経済的耐用年数である八十年程度で再構築するアセットマネジメント手法を活用することにより、計画的かつ効率的に実施しております。
工事の実施に当たりましては、既設の下水道管内の状況を評価した上で、健全であればそのまま活用するほか、損傷が軽微の場合は、既設の下水道管を利用し、道路を掘らずに施工可能な更生工法を活用するなど、再構築にかかわるコストの大幅な縮減を図っております。
○藤井委員 下水道管の再構築に当たりましては、延命化ということが本当に大切なのかなというふうに今答弁を聞いていて思いました。資料にも、見える化改革の資料にも載っているんですけれども、何も工夫をしないということであれば、もう三十年間で実に六兆円近く再構築事業にかかるというように試算をされていまして、年間にかえれば二千億ということなので、いかにこのコスト削減に向けた努力をすることが重要かということがわかるかと思います。ぜひ、さまざま優先順位なり工夫をつけながらご努力をしていただきたいと思います。
次に、豪雨対策についてお伺いしたいと思うんですけれども、一時間当たり五十ミリを超える豪雨が増加をしているということであります。昨今、豪雨回数が増加する傾向にあろうかと思いますけれども、下水道管への雨水流入量が増加しているかと思います。
そこでお伺いをいたしますけれども、浸水対策に関連して対応強化と、特に、先ほど来話ありましたけれども、別の視点で、コスト削減に関連をしてどのようなご努力をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○中島計画調整部長 浸水対策に当たりましては、くぼ地や坂下など浸水被害が発生しやすい地区や、過去に甚大な浸水被害が発生した地区などに重点化することにより効率的に実施しております。
工事の実施に当たりましては、既設の調整池などの能力を最大限活用した施設整備のほか、流出解析シミュレーションを活用し、浸水被害の状況、降雨の強度、地形、河川や下水道の整備状況などの現場条件をきめ細かく反映することで効率的な整備を実施しております。
○藤井委員 ただいまのご答弁によりますと、特に過去に甚大な浸水被害が発生をした地区を重点的に対策をするということが有効なのかなと思いました。その点、特にご留意をされて対策を進めていただきたいと思います。
次の質問に移らせていただきますけれども、先ほど来ご議論ありましたコンセッションについてお伺いをしてまいりたいと思います。
見える化改革報告書におきましては、いわゆる水再生センターの維持管理業務につきまして、包括的民間委託やコンセッション方式の検討を進めるということに言及をされております。
新聞報道によりますと、浜松市においては、この四月に、国内で初めてコンセッションにチャレンジを、挑戦をされるということであります。浜松市がコンセッション方式を導入することになった経緯について、東京都としてどのように把握をされて、分析をされているのか、まずお伺いをしたいと思います。
○安藤総務部長 浜松市の資料によりますと、平成十七年七月の市町村合併を受け、平成二十八年四月に、西遠流域下水道事業が静岡県から浜松市に移管されるに当たり、経営の効率性向上が求められたことや、職員の大幅な増員が困難であることが課題としてあり、民間でできることは民間でという市の方針のもと、コンセッション方式の導入を決定したものとのことでございます。
○藤井委員 浜松市は、コンセッションを導入した経緯としては、市町村合併による事業移管が背景にあったというご答弁でありました。
私たち東京と浜松市ではかなり置かれた状況、環境が違うのかなと思うわけでありますけれども、これから検討されるということでありますけれども、東京へのコンセッション方式の導入の可否を検討する際のポイントについて、どのように把握をされているのか、都の見解を伺います。
○安藤総務部長 東京の下水道は処理区内の人口が多く施設規模が大きいこと、多くが合流式により整備されており、雨天時には一時的に膨大な雨水が流入し、施設の運転が複雑であることなどのほか、首都機能を有するという特殊性もございます。
施設運営手法の検討に当たっては、これらのことにも留意しながら、経済性だけでなく安定的な下水道サービスの提供といった観点を重視して慎重に検討する必要がございます。
○藤井委員 私たちの会派としては、とにかく民間でできることは民間でやると、進めるべきだという意見を持っていますけれども、その一方で、なかなか下水道に対してコンセッションを適用していくというのは、得られるメリットに対して失われるかもしれないデメリットの方が、かなり予想されるのかなというふうに思うわけであります。
この間の維持管理コストも、二〇一一年の九百十七億円から二〇一五年の千四十一億円ということで、かなり上がっているので、この維持管理コストを軽減していくという意味合いにおいては、さまざまな民間の活力を活用していくことによってやっていくべきではありますけれども、一方、公営企業としては、雨水の排除あるいは水質の保全なり、公営企業としての役割もあると思っていますので、やはり民間企業とはそれなりに役割は違うのかなと思っています。
他会派さんからも話ありましたけれども、この事業運営にかかわる、いわゆるノウハウについては、一度失ってしまうと、それを取り戻すのは相当厳しいということでもありますから、やはり今後、東京都としてはコンセッション方式も含めて検討されるということだと思いますけれども、公営企業としての価値、公の役割ということをしっかり念頭に置きながら、ぜひ慎重にご検討いただきたいことを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。
以上です。
○おときた委員 私からも、今般、都政改革本部でテーマに上がりました、下水道のコンセッション方式と外郭団体の株主構成、こちらの二点のテーマについてお伺いをしてまいります。
今まで、この下水道コンセッション方式について、さまざまな委員の方々からご意見がありました。どちらかというと、皆さん消極的と申しますか、慎重なご意見が多いのかなと感じるところですが、私はこのコンセッション方式、結論から申し上げると、ぜひ積極的に導入する方向で検討を進めていただきたいと思っております。
静岡県浜松市では、一部の下水道処理場の運営権を民間事業者に委託するコンセッション方式を本年四月より導入いたします。先月、私も実際に浜松市に赴きまして事業者への移管を進める市担当部署の方からもいろいろとお話を伺ってまいりましたので、その内容も含めて質問や意見を述べさせていただきたいと思います。
コンセッション方式とは何か、そして、経緯や都の見解などは他の委員から出てまいりましたので、ばっさり切りまして、今検討中ということなんですけれども、現時点で、このコンセッション方式についてどのような検討を進めているのか、この点から伺いたいと思います。
○安藤総務部長 国や他自治体の動向等の情報収集を行うなど、来年度以降、本格的に調査研究するための準備を進めております。
○おときた委員 他の自治体の動向ということで、もちろん先進事例の浜松市を大いに参照されていると思います。ここで少し、私が浜松市を見てきた感想も含めて、コンセッションについての意見を述べさせていただきます。
やはり民営化されるとサービスレベルが下がるのではないか、あるいは中長期にわたる寡占ゆえに利用料を値上げされてしまうのではないかといったご懸念を持たれる方が多くいらっしゃるかと思います。また、見方を変えれば、先ほど来出てきているように、中長期にわたって運営権を譲渡することは行政側の技術、ノウハウの喪失にもつながりかねないといった指摘もあるわけでございます。
しかしながら、四月より全国で初めてコンセッション方式を導入する浜松市は、こうした課題を制度設計の段階でしっかりと回避をしており、導入を検討する都としても、ぜひ参考にしていただきたいと強く思うところであります。
例えば、行政側のノウハウ喪失について見れば、これ本当に皆さんご心配されるんですが、浜松市は全ての下水処理にかかわる施設や設備の運営権を全部委ねたわけではなくて、市内で十一ある下水処理区のうち、最大の処理量を有する西遠処理区の浄化センターや中継ポンプ場等、三つの施設を対象としているにすぎません。ほかにも、あと十個あるわけですね。東京都も今、一部を検討している状況だと思います。
事業者側からしては、たった一つの処理区であれ、その処理量のスケールメリットを生かして利益を生み出すことができる点から、手を挙げていただくことにつながりますし、逆に行政側から見れば、その他の処理区については引き続き市が担うことで、技術等のノウハウの喪失を防ぐことができるわけです。あるいは行政が持ったままでも、民間の力を使えばコストをカットできるんじゃないかというご意見もありましたけれども、やはりこの合理化には限界があります。
なぜPFI、コンセッション方式などが政府によって進められているかというと、行政が所有権を持っていると、調達など、例えば公共調達、これはさまざまな制限がありますから、どうしても、手順にのっとれば、コストにはね返ってきます。でも民間企業であればそういう縛りがないから、民間が運営権を持つと大幅なコストカットに成功するわけですね。
あるいは老朽化の対策にしても、二十年という長さのスケールメリットをもらいますと、民間企業が柔軟にその改善計画を立てていけますから、どうしても公平中立性を保たなきゃいけない行政はコストが上がる。その点、民営化にすると、そこも自由度が増しますので、コストがカットできる、こういう利点が生まれてくるわけです。
あるいは、先ほど来、突然撤退したらどうするんだというご指摘もあります。これは確かに民間企業ですから、一〇〇%回避するということはできません。
しかしながら、浜松市では、やはり取り決めの中で、その民間企業の中の経営に参画して、それを指導助言するという、そういった契約を結んで、しっかりと監視をしていく仕組みをとったりでありますとか、あるいは徴収する使用料を、これを二カ月間なりタイムラグを設けて、仮に撤退するとなったら、このタイムラグで、二カ月分プールしてあるお金は、その事業者には支払われずに、その分のお金を使って、二カ月の間にしっかりと運営撤退した後の事業を継続できるように、そのお金を使って対策を立てられたりとか、そういったリスクヘッジの対策をいろいろと仕掛けてあるわけでございますね。こういったものも非常に参考になるのではないかと思います。
また、コンセッション方式においては、プラスの利益面ということで運営権を委ねられた事業者が、運営費対価として行政費にお金を支払うことになります。浜松市は当初、事業者からのプロポーザル条件として、ゼロ円以上としていたわけですね。もうゼロ円でもいいから、やってくださればいいですと浜松市は最初思っていたわけですけれども、しかし、行政側がさまざまな情報を提供して、事業者側にプロポーザルしてもらったところ、最終的には事業者側から二十五億円の対価の提案がありまして、これを支払うことになりました。
二十五億円、これも自治体にとっては非常に大きな収益です。実績のある民間企業者から見れば、これだけのお金を自治体に払ってでも十分に利益を生み出すことができると、工夫の余地が大きい魅力的な事業がコンセッション方式の下水道における事業なわけですね。
コンセッション方式は、政府も積極的に導入を進めている、まさに官民双方にとってメリットが大きい手法であると、実際に浜松市の導入事例を見てきた私は感じた次第でございます。
長くなりましたが、さて、こうした運営費対価について、浜松市のケースに鑑みれば、どの施設をコンセッション方式で事業者に委託するかを検討し、最終的に公募するためには、個々の下水処理施設に関する状況の情報を収集してこれを開示していく必要がございます。
都においても、コンセッション方式の導入を見据えて、個々の水再生センター等の経営状況の情報を収集し、順次公表していく必要があると考えますが、現状と都の見解をお伺いいたします。
○安藤総務部長 個々の水再生センター等の運営情報の公表等につきましては、今後必要に応じて対応いたします。
○おときた委員 必要に応じて対応とのことでして、ただ、コンセッションの導入検討を進める上で、この点については欠かすことのできない課題でございますし、都民への情報公開にもつながることでございます。早急にこれは取りかかっていただけるよう求める次第です。
さて、スケジュール面についてもお伺いしてまいります。
昨年十二月の第十三回都政改革本部にて発表された見える化改革報告書、下水道事業では、このコンセッション導入検討について、二〇二〇年を年限としております。
まず、このスケジュールを組んだ理由についてお伺いをいたします。
○安藤総務部長 サービスの提供が滞ることは許されないという下水道事業の特性や首都東京における特殊性を考慮し、慎重かつ迅速に検討を行うための期間として、現時点の想定スケジュールを示したものでございます。
なお、国内で唯一のコンセッション方式を四月から導入する浜松市の検討期間は四年でしたが、当局では、一年短縮して三年としております。
○おときた委員 浜松市のスケジュールよりも一年短縮されたとのことでありますが、一般質問におきましても、やながせ都議から指摘のあったように、既に公営企業として運営して情報を把握している都であれば、さらにこの予定を短縮できる可能性も十分あるのではないかと思います。
改革の要点はスピードです。都政改革に乗り出した小池知事の任期も限られておりますから、ぜひスピード感を持って取り組まれることを強く要望いたします。
さて、この見える化改革報告書では、二〇一八年度においては、競争性テスト、サウンディングなどの調査研究を行うとあります。これらはどのようなもので、実際にどうやって進めていくのかをお伺いいたします。
○安藤総務部長 現在、調査研究の具体的な方法について検討しているところですが、競争性テストとしては、水再生センター等の流入水量の特性や処理区内の地域特性などの分析に加え、運営主体の違いによるコスト分析などを行うことを考えております。
また、サウンディングとしては、民間事業者の参入意欲がある事業範囲や想定されるリスク分担の考え方などについて意見交換を行うことを考えております。
○おときた委員 水再生センターなどの流入水量など特性の分析、こういったことなどを行うと考えているというご答弁がございました。浜松市の事例から見ても、重要なデータになると思いますので、ここはぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さて、本件に関連いたしましては、提案をされた都政改革本部の構成メンバーでもあった特別顧問が、今月末をもって退任されるという大変残念なニュースもありました。都政改革本部及び特別顧問は、東京大改革を推し進めていくエンジン役として、さまざまな都政改革を打ち出してこられた点は高く評価されるところでもございます。もちろん課題もあったと思います。
実際に、このコンセッションについても、都政改革本部の議論で検討課題として取り上げられたわけであります。
そこで、この件については、最後に一点お伺いいたしますが、下水道のコンセッション導入の検討に当たって、都政改革本部との関係性や今後の連動はどのように行われていくのか、所見をお伺いいたします。
○安藤総務部長 都政改革本部へは、今後、適宜検討状況の報告等を行うことになると考えますが、現時点では未定でございます。
○おときた委員 体制変更ということもありますので、現時点で未定というのは仕方ないことなのかもしれませんが、やはりこれ、しっかりと取り組んでいただきたいと本当に思っております。
やはり不断の都政改革を推し進めていく上で、この下水道のコンセッションというのは、やっぱり賛否両論、たくさん出てくると思うんです。それぐらい皆さん注目しているテーマの一つですし、改革のシンボルにもなり得るようなものだと思います。
これは、国がやっぱり進めていこうとして、いろいろ法改正をして、政府与党が率先しているにもかかわらず、でも地域においては非常に皆さん消極的で、いわゆる国と地方がねじれている、そういう政策の一つなわけでございます。
ですので、ここはやはり浜松市に次いで、東京都がここでコンセッション方式を実現すれば、政府が推し進める方向に地方もかじを切る大きなきっかけの一つとなりますから、ぜひこれは東京都が主体的に積極的に進めていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
最後に、監理団体である東京都下水道サービス株式会社、TGSについてお伺いをいたします。
TGSについては、これまでの質疑で何度か取り上げておりますので、その概略については省略いたしまして、このTGSの株主構成についてお伺いをいたします。
○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社の株主構成は、東京都が五〇%、一般社団法人東京下水道設備協会が一八・五%、その他金融機関等が三一・五%でございます。
○おときた委員 株主の過半数は東京都下水道局で、その他はほとんど金融機関なんですが、東京下水道設備協会という組織が株主であることがわかりました。
これ、やはりほかの株主と比べるとやや異質な存在であるわけですが、東京下水道設備協会とはどのような組織であるのかを伺います。
○安藤総務部長 一般社団法人東京下水道設備協会は、下水道設備関連の処理装置の製造会社などが集まった組織でございます。
東京都における下水道設備の質的向上を図るために、専門技術の向上、維持管理に関する技術的調査研究、普及啓発などの事業を行い、都民の生活環境の向上と地球環境保全に資することを目的として、昭和五十九年四月に設立されたもので、平成三十年一月現在、会員数は二十四社でございます。
○おときた委員 ご答弁のように、東京下水道設備協会は、下水道設備関連の会社が集まった組織で、この中には、実際に、TGSと取引のある事業者も加盟しています。となると、ここで、やはり実際に利益相反や、いわゆる癒着が発生してしまうんじゃないかと、そういう指摘が、かねてから外部からされているわけでございます。
本件についての都の所見をお伺いいたします。
○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社は、事業実施に当たり、都に準じた適切な契約手続などを行っており、一般社団法人東京下水道設備協会が株主であることに伴う不適切な関係はないと考えております。
○おときた委員 不適切な関係はないとのご答弁でありましたが、これはやはり私も引っかかっています。
公的性格を持つ監理団体の一つとして、実際に取引のある企業が含まれる団体が株主を構成しているというのは、企業倫理的な観点から疑問が残りますし、取引に影響があるんじゃないかと、こうした点については世論の目は年々厳しくなっております。
外郭団体の株主は、東京都と金融機関で占められている方が公明正大であると考えます。こちらも株ですから、一方的に東京都やTGSがすぐに変更できるわけではないことは承知をしておりますが、ぜひここは都民の皆さんに疑念を持たれないような形に改めて行っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○斉藤委員 私からも、下水道事業の民間への包括委託とコンセッション方式の検討について伺います。
先ほどのお話とは真逆の論を展開することになりますが、下水道局の事業は、これまで公営企業として、衛生的で快適な暮らしを全ての都民に提供する使命を持って行われてきました。汚水の処理による生活環境の改善だけでなく、雨水の排除による浸水対策や公共用水域の水質保全など、都民生活と公共の福祉に資する大切な役割を担ってきました。今後も、この役割は都民にとって欠かせないものであり続けると思いますが、それを果たすためのあり方の検討が始まっているところです。
十二月二十六日に都政改革本部に提出された報告書では、下水道管の老朽化対策、浸水対策の強化、人口減少に伴う下水道料金の収入の減少という三つの課題が示されています。
下水道事業の今後のあり方を検討する上で、民間への包括委託、また、コンセッション方式が具体的に取り上げられています。これらの課題を解決する手段として、果たして民間が担う範囲を広げていくこと、つまり民営化が有効な手段となり得るのか、冷静に考えていかなければならないと思います。
この報告書は、主に区部での状況がまとめられていると思いますので、私からの質問もこの報告書に沿って区部でのことが中心になると思いますが、まず基本的なことをお伺いしたいと思います。
東京都において、下水道局がどのような法律に基づいてこれまで事業に取り組んできたのかを改めて伺います。
○安藤総務部長 下水道局は、下水道法に基づき下水道の整備を図り、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、公共用水域の水質の保全に資することを目的として事業を実施しております。
同法では、公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、市町村が行うものとされており、東京都区部におきましては、市町村を都と読みかえることとなっております。
○斉藤委員 今ご答弁いただきました下水道事業においての根幹部分は、とても大切なところだと思います。
そしてもう一つ、事業の大切な基本となっているのが地方公営企業法だと思いますが、第三条では、企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないとされています。つまり、本来の目的は公共の福祉を増進することであり、経済性の発揮に偏って本来の目的が果たされなくなるような状況をつくってしまってはなりません。
この理念に支えられて、東京の下水道、多摩地域も同様ですが、誰もが衛生的な水環境の中で暮らすことができる社会が実現できているのだと思います。
皆さん方も、日々このことを誇りに思って仕事をされていることと思います。そうでもないという方がいましたら、きょうは、このことをぜひ一緒に共有していきたいと思います。
まず、都政改革本部に提出された報告書に、現在の委託の状況が示されています。東京都は、維持管理業務を中心として、既に四四%の業務が委託されています。維持管理コストの削減と示されていますが、これまでの業務の民間委託により、具体的にはどのような経費が削減されているのでしょうか。
○安藤総務部長 これまで、汚泥処理施設の運転管理業務や下水道管の維持管理業務などを監理団体である東京都下水道サービス株式会社へ委託することなどによりまして、主に人件費を削減してまいりました。
○斉藤委員 主に人件費が削減されてきたということです。
東京都と同じく委託率が四四%とされている大阪市では、下水道事業が二〇一六年から包括民営委託にされています。大阪市に伺ったところ、それによって五年間で十三億円の経費削減ができるとのことでしたが、中身について伺うと、ほとんどが委託会社に転籍させた六百七十人分の人件費だということです。
人件費を削減していく、職員数を減らしていくということについては、我が党はこれまでも、事業の質が担保できるのか、技術や経験が下水道局内に蓄積できるのかという観点から厳しく追及をしてきました。
民間委託の中で働く人たちの雇用や労働環境が低下していくことは、下水道事業の質を保ち、公共の福祉の増進を図ることにつながるものではないと、我が党は懸念を指摘しているところです。
では逆に、民間委託ということではなく、下水道局が直営でやってきた事業の中で、維持管理経費を削減するためにどのような工夫をされてきたのか伺います。
○中島計画調整部長 下水道局では、これまでに、電力を大幅に削減できる省エネルギー型濃縮機の導入を初め、新たに技術開発した汚泥焼却時の廃熱を活用した発電や送風機の運転時間を短縮する運転管理の工夫、さらには水再生センターやポンプ所などの遠方監視制御化など、維持管理費の削減に積極的に取り組んでまいりました。
○斉藤委員 下水道局みずからの技術力によって、直営事業の中でもさまざまな経費を削減してきたというお答えでした。
冒頭でご答弁もいただきましたが、東京都の下水道事業は、公衆衛生の向上に寄与し、そして公共用水域の水質を保全する目的を安定的に果たすために、下水道局がその役割を長年にわたって担ってきました。
その意味では、皆さん方は下水道事業においてまさにプロの集団なんだというふうに思っています。だからこそ、今お答えいただいたような技術革新によっての経費削減も、民間でなければできないということではないんだと思います。
報告書には、民間を活用した運営手法について示されています。包括民間委託、コンセッション方式をそれぞれ比べると、委託よりも包括民営、包括民営よりもコンセッション方式の方が、民間事業者のインセンティブが働きやすく、コスト削減につながると書かれていますが、では、コンセッション方式を導入すると、具体的にはどんなコストが削減できるのでしょうか。考え得ることがあれば教えてください。
○安藤総務部長 これから本格的な検討を行うことになりますが、一般的にはコンセッション方式では、民間事業者のノウハウなどを生かし、施設の維持管理費に加え、改築更新費などのコスト縮減が可能であるといわれております。
○斉藤委員 一般的にいわれていることとしてのお答えでしたが、これは正直いって、皆さんも頭をひねるところではないかと思います。
民間でなければできない経費削減とは、具体的にはどんなことがあるのか。例えば、調達を工夫してスケールメリットを生かすということもいわれていますが、これは公営ではできないということではありません。先ほどのご答弁でもあったように、技術と経験を蓄積している下水道局であれば、技術革新も直営の中で進めていけるわけです。
また、先ほどもお話にありましたように、事業を平準化するアセットマネジメント手法の活用や管渠の更新の際に、道路を掘らずに施工可能な更生工法を活用するなど、この整備手法の導入ができるということも報告書の中で示されています。このことで年間で四百四十億円の経費削減ができるということは、とても重要なことだと思います。
結局、民間の手法でしか削減できない経費とは一体どんなものかを突き詰めていくと、働く人の労働条件を切り下げて人件費を抑えていくということしか明らかにはなりません。これが民営手法の本質の部分ではないでしょうか。
さて、今後、施設運営のあり方の検討についてですが、下水道局ではどのように検討されるのでしょうか。ちょっと重複するかもしれませんが、お願いいたします。
○安藤総務部長 現在、調査研究の具体的な方法について検討しているところですが、国や他自治体の動向及び海外の事例も含め、幅広く情報収集してまいります。
○斉藤委員 四月から、下水道の浄化センターでコンセッション方式が導入される浜松市のことや、上下水道の再公営化が進んでいる世界の事例を検証していくことはとても大事だと思っています。
今回、私も浜松市まで伺いまして、いろいろ資料などもいただいてきました。浜松市の件は、市が南東の沿岸部に位置する西遠処理区にある下水道最終処理場の運営権を、ヴェオリア社を中心とした民間企業六者によって設立された特別目的会社に売却し、二十年間にわたって同社が運営をするという契約です。
まず驚いたのが、その運営権対価の二十五億円、これ、先ほどもお話ありましたが、金額に驚いたのではありません。その金額が適正なのかどうかをどのように検証したのかを伺ったところ、適正価格という概念はないということでした。これも先ほどのお話にもありましたが、契約前のその資料には、確かに運営権対価はゼロ円以上とし、優先交渉権者選定時の提案によるものとすると書かれています。
なぜなのかと伺うと、このケースでは七・六%の経費削減ができるために、運営権対価はなくてもいいという考えだということでした。七・六%のコスト削減の中身は何なのかと伺うと、企業秘密のために公にはできないということでした。非常に曖昧で、中身の検証さえできない極めて不透明なものだといわなければなりません。
その契約書、こちらですが、百二条に及ぶ膨大なものです。私は、民営化に詳しい弁護士さんと一緒にこの分析を行いました。驚くべき条項が多く盛り込まれていますので、その一部を四つの観点からご紹介をしたいと思います。
まず、事業の質の担保にかかわる条項ですが、本事業にかかわる業務について、市に通知をすれば第三者に委託をすることができるという条項があります。市が契約した相手とは別の事業者が業務を行うことができるようになっていて、まさに市の手から離れたものになっていってしまう可能性があるということです。
また、業務の監督は、運営権者によるセルフモニタリングが原則というふうになっています。二十年もの長期間の契約の中では、市や第三者にモニタリングができるだけの能力や体制は残らない可能性が大きくなります。
さらに、この契約では、運営権者は設備や機器の改修も行うことができるので、例えば、設備がヴェオリア社の物にかえられてしまったら、そのモニタリングや質のチェック、これは企業の手の中に入って、なってしまうということが懸念されるわけです。
次に、議会と住民によるコントロールはどうなるのかという点ですが、契約書の中では、情報開示の範囲は、運営権者が、自身が作成する取扱規定によるとされて、そして市と運営者の互いの承諾がない限り、契約に関する情報を他の者に開示しないという秘密保持の義務が課されています。
先ほども触れましたが、まさに多くの事項が企業秘密として非公開になるおそれが大きく、議会や住民による運営権者に対するコントロールが極めて困難になります。
また、本来事業とは別の任意事業、収益事業を行ってよいということになっていて、さらに運営権者の事業資金調達のために、運営権への担保の設定は、市が合理的な理由なく拒めないとなっています。
例えば、本来事業とは別の収益事業のために運営権を担保にすることができるということになりますが、事業に失敗して強制執行となれば、運営権が移転してしまうことを市は制止することができません。
さらに、近隣住民の反対運動や訴訟等が起きたときの運営権者の損害は、市が補償するということになっています。住民の反対の声を損害と捉えること自体が住民の利益と相反するものだと思いますが、その負担を市に負わせるということは、まさに企業は責任をとらないという無責任な体制だといえます。
次に、料金設定はどうなるのかという点ですが、浜松市のこの施設では、分流式ですので、合流式の東京都の区部とは条件が違うと思いますが、この契約ではどうなっているのかといいますと、利用料金は、市の基準に従って運営権者が設定し、増減が必要な場合は協議するということになっています。
しかし、情報開示が十分に行われるか保障がなく、さらに先ほどもいいましたが、設備改修の際に、例えば、ヴェオリア社の設備を導入するということも可能なため、長期間にわたる契約の中で、市側に知識や経験に習熟した専門的力量のある職員が残らない可能性が大きく、料金の設定の協議も、実際には運営権者主導で行われるおそれが大きくなります。世界ではまさに、この民間主導の仕組みの中で上下水道の料金が引き上げられてきているわけです。
そして、災害時のことも重要です。特に、下水道施設に大きな影響を及ぼす集中豪雨の発生など、施設への流入水量が著しく変化する場合の対応はどうなるのか、まずは、今の下水道局での対応についてお伺いしたいと思います。
○安藤総務部長 下水道サービスを効率的かつ安定的に提供するために、事業実施に責任を持つ下水道局を中心として、監理団体である東京都下水道サービス株式会社及び民間事業者との三者で、それぞれの特性を生かした役割分担のもと事業を運営しております。
現在、雨水ポンプの運転などについては、集中豪雨時の迅速かつ的確な判断などが必要であることから、局直営で行っております。
○斉藤委員 集中豪雨における雨水ポンプの運転は、緊急時の判断などが必要となるために直営で行っているということです。
私は、こうした災害時には、公的にきちんと責任を持って対応ができることが大事だというふうに思っています。都民の暮らしと命を水害から守り、公衆衛生を保つために、人目には触れないような皆さんの仕事がライフラインを支える重要な役割を果たしているということを、改めて認識する必要があると思っています。
この災害時での対応について、浜松市とヴェオリア社を中心とする民間会社との契約ではこうなっています。市は、不可抗力により履行困難となった運営権者の本契約上の業務の履行を必要な範囲及び期間において免責することができる。これでは、災害など不可抗力が起こったときに、この運営権者がしっかり責任を持って対応するのかということが大変不安な状況になるわけです。さらに、地震、暴風、豪雨等の自然災害にかかわる不可抗力による費用の増加等、この負担は原則的に市の負担になるということです。リスクの負担を減らすことは企業の利益にはなるでしょう、しかし、それは住民の利益とは明らかに反するものとなります。
このように、契約書全般にわたって、企業の不利益にならないような条項が定められています。当然ですが、自分たちに有利にならないような契約を企業は結びません。民間の創意工夫でコスト削減できるということがいわれていますが、私はこれは逆だろうというふうに思っています。
企業による運営では、住民目線から見れば、余計な支出がたくさん出てきます。株式配当、役員報酬、法人税、そして内部留保。公営であれば、余剰の部分は余計な支出をせずに、例えば、将来への設備投資、事業の質の向上、あるいは料金の値下げという形で都民に還元することができます。
これまで、浜松市での契約書の内容から細かい部分を見てきましたが、木を見て森を見ずということではいけないと思います。全体を見ることも大切なことだと思います。
世界では、一九八〇年代から水の民営化が進められてきましたが、発展途上国でも、先進国でも、お金持ちしか安全な水や衛生的な水環境にアクセスできない社会が生まれ、多くの市民が苦しめられました。一九九〇年代、二〇〇〇年代を通じてコンセッションが成功した例はないといわれています。パリやベルリン、アトランタなど世界の主要都市において、一旦民営化した上下水道事業の再公営化が進んでいます。
そもそも世界の水の民営化は、水をビジネスとする大企業、浜松市と契約をしたヴェオリア社やスエズ社などの水メジャーと結びついた各国政府が、世界銀行をバックに民営水道モデルを自治体に押しつけて、利益拡大を図ってきたものです。利益をめぐって汚職まで起きている事例もあります。
全ての人々に、健康で衛生的な環境を提供するという本来の下水道事業の目的を果たすためには、例えば、不採算性の強い地域だからといって、下水道事業を撤退することはできません。そのために公費も入れて事業を行ってきたのが下水道事業です。利益を上げることが目的になる企業の論理に下水道事業を落とし込めば、事業の質の悪化、不採算部門の切り捨て、料金の高騰につながることは既に世界の多くの事例で明らかになっています。
個人的なことになりますが、私は四十歳まで民間企業で働いてきました。今回初めて議員になる前まで勤めていた会社は、世界百五十カ国に支店や代理店を持つグローバル企業でした。しかし、何でもかんでも民間の手法で社会事業の問題が解決するわけではないということを今痛感しています。
東京都や自治体、公共セクターには、民間にはできない重要な役割があります。全ての人々に、安全で衛生的な水環境を提供していく、下水道の仕事はその最たるものだと思います。
水問題に対して、国際的に活動を展開しているモード・バーロウさんの「ウォーター・ビジネス」という本に、二〇〇三年に京都市で開かれた第三回世界水フォーラムのことが書かれています。これは先ほどの水道局でもやりましたので、委員の皆さんには繰り返しになってしまうんですが、下水道局の皆さんにも聞いていただきたいと思います。
二〇〇三年に京都市で開かれた第三回世界水フォーラム、下水道局の方もこのとき数名の方が傍聴をしてきているというふうに伺っています。ここで、世界中から集まった市民活動家たちが、日本の自治体の責任者たちに会って話を聞いたそうです。その一節を紹介したいと思います。
日本には、世界で有数のすばらしい公営水道、上下水道が存在する。私たちは、幾つもの自治体の誇り高き公営水道の責任者たちに会い、日本の公営水道サービスの維持管理に必要な技術的専門性について話を聞いた。フィリピンのIBON財団、これはフィリピンの市民参加型の調査開発機関のことですけれども、この財団のトニー・チュハン氏は、日本の公共セクターの持つ専門性が専門家派遣や知識、経験の移転を通じてマニラにももたらされていれば、全ての人のお金が節約でき、苦悩が軽減されていただろう、そのように書かれています。
これまで世界を席巻してきたウオータービジネスですが、そのひどい実態に苦しめられてきた世界中の市民たちが今求めているのは、ウオータージャスティスです。市民生活を一番に考え、社会正義を貫く公共セクターの上下水道の施策こそが今求められています。
下水道事業を公的に行うことのとうとい意義を再認識して、都民の暮らしを守る使命を全うするために、上下水道をこれ以上民間に委ねていくのではなく、公営としての事業を堅持していただくことを強く求めまして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。
○清水委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○清水委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願は、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時十三分散会
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