公営企業委員会速記録第十号

平成二十九年十一月七日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長清水 孝治君
副委員長藤井とものり君
副委員長本橋ひろたか君
理事加藤 雅之君
理事菅原 直志君
理事とや英津子君
大場やすのぶ君
村松 一希君
もり  愛君
斉藤まりこ君
あかねがくぼかよ子君
おときた駿君
中山 信行君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長山手  斉君
総務部長土岐 勝広君
職員部長渡邉 範久君
資産運用部長広瀬 健二君
電車部長相川  準君
自動車部長根木 義則君
車両電気部長奥津 佳之君
建設工務部長野崎 誠貴君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務牧野 和宏君
安全管理担当部長塩田 孝一君
鉄軌道事業戦略担当部長高野  豪君
バス事業経営改善担当部長坂田 直明君
技術調整担当部長野崎 慎一君
技術管理担当部長谷本 俊哉君
下水道局局長渡辺志津男君
次長津国 保夫君
総務部長安藤  博君
職員部長久我 英男君
経理部長田中 宏治君
計画調整部長中島 義成君
施設管理部長池田 匡隆君
建設部長佐々木宏章君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
IWA世界会議準備担当部長兼務
鈴木  豊君
技術開発担当部長小団扇 浩君
施設管理担当部長廣木 健司君
流域下水道本部本部長神山  守君
管理部長飯田 一哉君
技術部長猪八重 勇君

本日の会議に付した事件
交通局関係
事務事業について(質疑)
下水道局関係
事務事業について(質疑)

○清水委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る十月五日付をもって、鈴木邦和議員が本委員会から経済・港湾委員会に変更になり、新たに、おときた駿議員が経済・港湾委員会から本委員会に所属変更になった旨の通知がありました。
 この際、新任のおときた駿議員をご紹介いたします。

○おときた委員 おときたです。どうぞよろしくお願いいたします。

○清水委員長 おときた委員でございました。
 紹介は終わりました。
 なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承を願います。

○清水委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局及び下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土岐総務部長 過日の委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。廃止、短縮、新設した都営バス路線でございます。
 廃止、新設した路線につきましては当該運行区間を、短縮した路線につきましては、新旧で比較してそれぞれ過去五年間分を記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。都営バス停留所における上屋、ベンチの設置状況でございます。
 都営バスの総停留所数と上屋、ベンチを設置しております停留所数を記載してございます。
 次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホームドア設置状況及び転落件数でございます。
 ホームドアにつきましては設置路線及び設置率を、転落件数につきましては、路線別に過去五年間分を記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホーム端の点状ブロックの内方線の整備状況でございます。
 点状ブロックの内方線を設置しております浅草線及び新宿線につきまして、設置駅数と交通局が管理する駅数をそれぞれ記載してございます。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄においてホームから地上までのエレベーターによるバリアフリールートが複数ある駅でございます。
 都営地下鉄において該当いたします駅数及び駅名を路線別に記載してございます。
 次に、六ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。
 都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。なお、駅名横の丸印は、業務を委託している駅をあらわしております。
 次に、七ページをお開きいただきたいと存じます。事業別職員数及び人件費割合の推移でございます。
 各事業におけます職員数及び経常費用に占める人件費割合を過去十年間分記載してございます。
 次に、八ページをお開きいただきたいと存じます。工事請負契約における落札率九九%以上及び一者入札の契約件数並びに不調件数の推移でございます。
 不調件数を除いた契約件数、そのうちの落札率九九%以上の契約件数及び一者入札の契約件数並びに不調件数につきまして、過去五年間分を記載してございます。
 次に、九ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄における誰でもトイレへの大型ベッドの設置状況でございます。
 都営地下鉄におけます誰でもトイレへの大型ベッドの設置駅数及び設置箇所数を記載してございます。
 次に、一〇ページをお開きいただきたいと存じます。エレベーターのない出入り口へのインターホンの設置状況でございます。
 都営地下鉄におけます該当のインターホンの設置箇所を記載してございます。
 最後に、一一ページをお開きいただきたいと存じます。都営交通の車両、ホーム、駅窓口等への磁気ループの設置状況でございます。
 都営交通におきます磁気ループの設置状況につきまして記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○清水委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○村松委員 私からは、大江戸線の延伸についてお伺いをいたします。
 大江戸線は、現在、光が丘駅で終点ですが、大泉学園町への延伸については、昭和六十年の運輸政策審議会の第七号答申で整備することが適当とされ、平成十二年の運輸政策審議会の第十八号答申では、平成二十七年度までに整備着手することが適当である路線に位置づけられております。
 また、昨年、平成二十八年四月の交通政策審議会が示した答申においては、進めるべきプロジェクトに位置づけられております。この答申で進めるべきと示された路線の中で、大江戸線の大泉学園町への延伸は最も実現性が高い路線であると考えております。大江戸線の導入空間である都市計画道路補助二三〇号線の整備も、事業認可期間が平成三十三年度までということで進んでおります。
 大江戸線の延伸は練馬区民の悲願であります。交通空白地域の改善や地域の活性化に大きく貢献する路線であります。交通局ではこれまでも、大江戸線の延伸に向けた検討を行っていると伺っております。
 そこで、まず大江戸線延伸についての検討状況と課題をお伺いしたいと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで交通局では、運輸政策審議会の答申などを踏まえまして、大江戸線の延伸ルート、駅の位置などの検討を進めてまいりました。延伸についての課題でございますが、路線上の地形や地下埋設物などを考慮した駅やトンネルの構造、収支採算性の確保などがあり、さらに具体的な検討が必要であると考えております。

○村松委員 平成十二年の運輸政策審議会第十八号答申では、この導入空間である都市計画道路補助二三〇号線の整備に時間を要すると見込まれており、こちらが課題とされておりました。その導入空間の完成が目前ということであります。現在の課題の一つとして収支採算性と今ご答弁をいただきました。
 大江戸線延伸の事業費とその収支採算性についてお答えいただければと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十五年度に交通局が行った試算では、大江戸線延伸に係る事業費は、六百億円から七百億円程度と見込んでおります。
 鉄道整備に当たりましては、資金収支を開業から四十年程度で黒字化することが必要とされておりますが、事業費や需要予測から試算すると、資金収支の黒字化までに四十年以上かかることが見込まれておりまして、現時点では採算性の確保は厳しいと考えております。

○村松委員 練馬区の交通対策等特別委員会での質疑の中で、事業費は六百億円から七百億円と聞いておりました。採算性の確保が難しいとの見解ですが、四十年というスパンを考えれば、確実に駅周辺は活性化し、利用者はふえるのではないかと思っております。
 練馬区内、大江戸線を除いて最後にできたのが、直近が有楽町線であります。昭和五十八年のことですが、成増駅から池袋までが開通し、練馬区内では、平和台、氷川台といった交通空白地域に駅ができました。これにより、まちは一変いたしました。畑が広がっていた平和台、氷川台周辺は、分譲マンションや大きなスーパーが建ちました。氷川台にある仲町小学校では、小学校の生徒がふえ、教室が足りないという現象も現在起こっております。駅ができると、まちが一変するということを間近で見てまいりました。
 大江戸線延伸実現のための大きなハードルが収支採算性の確保だとすれば、当然、地元自治体である練馬区との連携が不可欠だと思います。練馬区では、大江戸線延伸推進基金として、平成二十九年度末までに三十六億円積み立てると聞いております。こうした基金を活用することで解決できるのではないかと考えております。
 常に練馬区との意見交換はされていると伺っておりますけれども、この練馬区と交通局との連携の状況を教えていただければと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大江戸線延伸の事業化につきまして、地元区と交通局も含みます都の関係局とで連携して事業化に向けた課題の洗い出しを進めるとともに、沿線まちづくりの状況を反映した需要予測や収支採算性についての検討などを実施しております。
 また、その中で、延伸に必要な車両の留置場所の確保などの対策につきましても、新たな検討課題として共有したところでございます。

○村松委員 ぜひ、より積極的に意見交換をして、課題解決に向けてご努力をいただきたいと思います。
 課題はひとまず置いておいて、仮に、事業化となって工事をするとなった場合、すぐに工事が始められるわけではないと聞いております。国土交通省のホームページにも掲載してありましたが、鉄道事業の許可、環境影響評価などがあると聞いております。
 大江戸線延伸工事着手までに必要な手続とその期間について教えてください。

○野崎建設工務部長 新たに地下鉄を整備する場合、都条例に基づきます環境影響評価や都市計画の手続、さらには鉄道事業法に定められました鉄道事業許可や工事施行認可等の許認可手続を行う必要がございます。これらの手続には一般的におおむね五年を要します。

○村松委員 ぜひ練馬区や関係局と連携をして検討を行い、一刻も早く事業化を決定し、必要な手続に取りかかっていただきたいと思います。
 地元の練馬区では、区民、区議会、区で、大江戸線延伸促進期成同盟を組織し、要請活動や啓発活動などの促進活動を実施するなど、延伸に向けた機運も高まっております。
 導入空間である都市計画道路補助二三〇号線も、事業期間はあと四年です。今、事業化を決めても、工事着工までの手続を考えると、道路ができてから一年は何もできない状態となります。一刻も早い事業化を望みます。
 大江戸線延伸に対する交通局の見解を伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年四月の交通政策審議会の答申では、プロジェクトの整備着手に当たっては、関係地方公共団体、鉄道事業者などにおいて、改めてその時点で将来的な需要の見通し、採算性について十分な見きわめを行うことが必要とされております。
 大江戸線延伸に係る収支採算性を確保するためには、沿線まちづくりの具体化などによる将来的な輸送需要の確保が必要であり、地元区において、さらなる具体的なまちづくりの検討が進められることが必要であると考えております。
 交通局といたしましても、今後とも、地元区や関係局と連携し、事業化について採算性も含め引き続き検討してまいります。

○村松委員 この大江戸線の延伸は、昭和六十年の運輸政策審議会第七号答申から三十年以上にわたる練馬区の悲願であります。国の答申でも進めるべきプロジェクトと位置づけられております。
 導入空間である都市計画道路の整備が進み、駅の予定地のイメージもあり、機運は最高潮です。練馬区も延伸に前向きであります。練馬区とも連携をして、ぜひ早期に事業化できるようご努力いただきたいと改めてお願いをいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 地下鉄の混雑対策についてお伺いいたします。
 国の交通政策審議会の答申では、東京圏の主要三十一区間のピーク時の平均混雑率は一五〇%以下、個別路線においても、最混雑区間の混雑率を一八〇%以下という目標が立てられております。
 都営地下鉄はというと、二十八年度の最混雑区間における一時間当たりの平均混雑率は、新宿線が一五八%、大江戸線は一五五%となっております。
 混雑率一五〇%というのは、体が触れ合うが新聞は楽に読める程度とされております。私も大江戸線によく乗りますけれども、混雑時に新聞を読むことは到底できないくらい圧迫感があります。混雑率の定義が一時間平均するとということと、車両間で混雑率が違うということが、この実際の肌感覚と違うことだと理解はできますけれども、そう考えますと、一五〇%という目標も、本当は一〇〇%以下といいたいところですが、せめて一二〇%くらいにはしていただきたい、そんなふうに思うわけであります。
 小池都知事は、満員電車対策に熱心であり、ぜひ推進していただきたいと思っております。この夏は、都を挙げて鉄道事業者や民間企業等と連携をし、快適通勤ムーブメント、時差ビズに取り組まれておりましたが、まずは鉄道事業者としての努力が必要だと思います。それは輸送力の増強などのハードの整備であります。
 混雑緩和に向けた車両増備の状況と今後の取り組みについてお答えいただきたいと思います。

○相川電車部長 都営地下鉄では、混雑緩和と利便性向上を図るためにダイヤ改正を実施し、さらに必要に応じて車両の増備を行い、輸送力を増強してまいりました。
 新宿線では、車両更新に合わせて一編成当たりの車両数を八両から十両にふやしており、平成二十九年度には五編成を更新して、朝夕のラッシュ時及び夜間時間帯に投入し、輸送力の増強を図ったところでございます。
 大江戸線につきましては、平成三十年度中に三編成を増備した上でダイヤ改正を実施し、臨海地域等の開発による需要の増加に対応してまいります。
 今後とも、乗客量調査等により混雑状況を把握し、相互直通運転各社とも連携を図りながら、混雑対策に積極的に取り組んでまいります。

○村松委員 ハード面の整備は、当然、お金も時間もかかります。計画的に進めていただきたいと要望いたします。
 混雑対策を考える上で、ほかの国の地下鉄を参考にしていただきたいと思っております。例えば、ニューヨークの地下鉄は二十四時間運行されておりますので、特に終電間際の混雑緩和につながると思います。また、ロンドン地下鉄では、ピーク時間帯は割り増し料金となっており、オフピーク通勤の促進につながると考えられます。都営地下鉄が率先して大胆に取り組まれることを期待しております。
 ことしの夏に実施した時差ビズキャンペーンも、さらに多くの交通事業者や企業と連携をして、啓発に取り組まれることを要望します。この効果検証をするためにも、混雑率の計測データを正確にする必要もあると感じております。
 先日の公営企業決算特別委員会でも我が会派から要望いたしましたが、より正確に計測できるようハードの整備もぜひご検討ください。
 次に、都営バスのサービス向上についてお伺いいたします。
 都営バスの経常損益は、平成二十八年度は約五千万円の赤字となっており、毎年変動あるものの赤字傾向であります。
 赤字傾向にある都営バスのこれまでの経営改善の取り組みについて教えてください。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、乗客潮流に応じた路線やダイヤの見直しを適宜行うなど、増収対策に積極的に取り組んでまいりました。
 また、平成十五年度から一部の営業所において民間事業者に管理を委託するとともに、平成十九年度からは、運転手等の現業系職員の給与水準を一〇%引き下げるなど、人件費の削減に努めてきたところでございます。
 さらに、車両について、ふぐあいが生じる前に計画的に機器を交換する、いわゆる予防保全によりまして車両故障の発生が減少してきたため、平成二十三年度から使用期間を延長し、車両購入費の削減を図ってきたものでございます。
 今後とも、引き続き路線の見直しなどにより増収を図るとともに、一層の経費削減に努めまして経営改善に取り組んでまいります。

○村松委員 経営改善へのご努力は感じております。特に、給与水準の引き下げは、大きな痛みを伴う改革だと思います。引き続き経費削減に努めていただきたいと思います。
 経費削減とともに収入をふやす取り組みも大切だと思っております。
 都営バスの広告料収入は、平成二十八年度においては五億五千万円ほどでありました。都営バスの運行エリアは都心部が中心であり、車両や停留所などを活用した広告のニーズは高いと考えられます。
 バス事業の広告料収入確保に向けた取り組みについてお答えいただければと思います。

○広瀬資産運用部長 交通局では、都営バスの車両や停留所の上屋などのスペースを活用して広告事業を展開しております。
 具体的には、車内のポスターやステッカー、ラッピングバス、停留所の上屋広告などを販売するほか、広告代理店の意見も聞きながら割引キャンペーンなどの販売促進策を実施し、平成二十八年度は、委員お話しのように約五億五千万円の広告料収入がございました。
 今年度は、新たな取り組みといたしまして、車内液晶モニターの広告販売や民間のバス事業者と連携した窓上広告の共同販売を開始いたしました。
 引き続き広告代理店等と連携をとりながら、新たな媒体開発や販売方法の見直しを行い、広告料収入の確保に努めてまいります。

○村松委員 引き続き広告料収入の確保に努めていただきたいと思います。
 次に、都営バスのサービス向上の取り組みについてお伺いいたします。
 都営バスは、サービス向上のため、さまざまな取り組みを行ってきたと聞いております。今後、東京も高齢化が進む中でバスの需要はさらに増し、都営バスは、都民の足として、より一層重要な役割を担うと考えます。
 サービス向上についての取り組みをお答えいただきたいと思います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、全ての車両をノンステップバスにするとともに、停留所に上屋、ベンチやバス接近表示装置を設置したり、地下鉄駅改札口に駅周辺のバス乗り場や路線図を掲載するなど、サービスの向上に努めてまいりました。
 さらに、昨年策定した経営計画二〇一六におきまして、二〇二〇年東京大会や今後の超高齢社会を見据えまして、高齢者を初め誰もがこれまで以上に利用しやすい路線バスの実現を目指すことといたしました。
 具体的には、車内の通路段差を解消した日本初のフルフラットバスの導入や、駅の改札口や駅前広場に乗り場案内や運行情報を表示するデジタルサイネージを設置するとともに、新型接近表示装置や車内液晶モニターの整備などによりまして、駅から車内までの連続した案内を多言語により提供してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に進めるとともに、お客様のニーズや都営バスを取り巻く社会状況の変化を的確に把握し、さらなるサービスの向上に努めてまいります。

○村松委員 厳しい経営環境の中ではありますが、超高齢化を見据えた、より一層のサービス向上を目指していただきたいと思います。
 続いて、都営バスの環境対策についてであります。
 都は、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出量を二〇〇〇年比で三〇%削減するという目標を掲げておられます。この目標達成に向けて切り札の一つともなり得るのが、利用の段階で水しか排出しない水素エネルギーの活用であります。
 都では、生活のさまざまな場面で水素を活用する水素社会の実現を目指して、さまざまな取り組みを進めており、交通局においても、水素を動力源とする燃料電池バスを導入しているとのことです。
 一方で、導入拡大に際しては課題もあると聞いております。燃料電池バスの都営バスでの導入状況と今後の見通し及び導入拡大に向けた課題についてお答えいただければと思います。

○根木自動車部長 交通局では、都を挙げて取り組んでおります水素社会の実現に向け、経営計画二〇一六に基づき燃料電池バスを二両導入し、平成二十九年三月から営業運行を開始いたしました。今年度末までに、さらに三両導入し、二〇二〇年東京大会までに最大七十両の導入を目指してまいります。
 また、燃料電池バスの導入拡大に向けた課題といたしましては、燃料費が通常のディーゼルバスの二倍以上かかること、大型バスに充填できる水素ステーションの数が少ないことなどが挙げられます。

○村松委員 二〇二〇大会までに最大七十両の導入を目標ということでありますから、今のペースでは間に合わないと思いますので、ぜひスピードアップをしていただきたいと思っております。
 本日は、地下鉄とバスについてお伺いをいたしました。公共交通の整備は、二〇二〇年大会に向けても、また、東京都のブランディングにも、そして超高齢化社会に向けても重要であると考えております。
 都民サービス向上につながるとわかっていても民間鉄道事業者では取り組みにくいことも、公営企業なら取り組める。燃料電池バスやフルフラットバスのように、公営企業だからこそ率先して改革を進められることがあると思います。
 大胆な改革で公共交通のさらなる利便性向上を牽引していくことを期待して、私からの質問を終わります。ありがとうございます。

○中山委員 私からは、都営地下鉄を中心にバリアフリーの進展について伺います。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを機に、東京のまちを高齢者や障害者などがより一層外出しやすい環境に進展させていく必要があります。都議会公明党は、人に優しいまちづくりを目指してバリアフリー化の促進について訴えてきました。
 まず、トイレのバリアフリー化について伺います。
 トイレは日常生活を送る上で必要不可欠なものであり、外出先でのトイレの快適性を向上させることは、不安におびえることなく外出先を自由に選べるようにするための必須の要件であります。
 都議会公明党は、観光三つ星を得ている高尾山公園のトイレ整備や、都庁一階や議事堂の女性トイレの充実、災害時のマンホールトイレの普及などに積極的に提案も行い、都庁各局とともに、都民に喜ばれる改善の成果を上げてきたところであります。
 特にストーマ、人工肛門、人工膀胱を装着している人、オストメイトともいわれますが、それらの方々の中には、長距離の通勤や通学を余儀なくされている方々も少なくありません。長距離通勤に限らず、さらにはオストメイトであっても健常者であっても、必要を感じたときには、できる限り速やかにトイレを利用できる環境を整えておくべきだと考えます。
 とりわけ、通勤経路の地下鉄駅等にオストメイト対応のトイレがないことは大変な不便につながります。また、車椅子を利用している人にとっても、トイレの出入り口の段差の解消など、トイレに関するバリアフリーはとても重要であります。
 そこで、都営地下鉄駅におけるトイレのバリアフリー化を一層推進していく必要があると考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、高齢者、障害者を含め、全てのお客様がトイレを快適にご利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへの改修を計画的に行っております。具体的には、トイレ出入り口の段差解消や手すりやベビーチェア、水洗器具を有するオストメイト用設備の設置、トイレの洋式化等を進めております。
 また、平成二十二年度までに全ての駅への誰でもトイレの整備を完了させるとともに、大規模改修工事の際に、スペースに余裕があり、レイアウト変更が可能な場合には、誰でもトイレ以外の一般トイレにも、オストメイト用設備やフィッティングボード、手すりなどを備えた簡易多機能便房の設置を進めております。
 簡易多機能便房につきましては、これまで二十駅、二十二カ所に設置しており、今年度は、新宿線一之江駅、大江戸線勝どき駅等に、来年度は、三田線春日駅、日比谷駅などに設置する予定でございます。
 今後とも、誰もが利用しやすいトイレの整備を計画的に進めてまいります。

○中山委員 都営地下鉄では、計画的にトイレの改修に取り組んでいる現状をご答弁いただきました。今後も積極的に取り組みを進めていただきたいと思います。
 駅のトイレでいえば、誰でもトイレの整備が次第に進んでおります。これは、多機能トイレ、多目的トイレなど呼び方はさまざまでありますが、最近では、駅だけでなく商業施設などにおいても普及しております。
 ユニバーサルデザインのトイレが普及することは望ましいことでありますが、この誰でもトイレを一般の人が着がえ等で長時間使用したりするために、身体が不自由である方や乳幼児をお連れの人が使用できず困っているケースもよく見受けます。
 障害者団体の方々からも、全てのトイレがユニバーサルデザインのトイレになっているのであればまだしも、障害者が利用できるトイレが限られている現状であるにもかかわらず、スペースが広い、鏡があるなどの理由で健常者が長く誰でもトイレを使い、障害者が外で待たざるを得ないケースがふえ、待たせた後でも、車椅子の方が外で待っている姿を見ても、失礼しましたとか、お待たせしましたねといった言葉をかけるでもなく、平然と立ち去っていくことがふえたとの声も私も伺っております。
 そこで、誰でもトイレを一般の人が使用する場合、身体が不自由な方や乳幼児をお連れの方などに配慮して、そうした方々に優先して利用できるような環境を整えてもらいたいと考えますが、交通局としての考え方と今後の取り組みを伺います。

○相川電車部長 都営地下鉄では、駅施設を快適にご利用していただくため、ポスターの掲示や駅構内の放送等により、他のお客様に配慮を求めるマナー啓発を行ってまいりました。現在、着がえ等による長時間の利用が見られる大江戸線六本木駅では、誰でもトイレの入り口部分に、他のお客様へご迷惑がかからないような利用を求める掲示物を張り、ご理解とご協力を呼びかけております。
 今後は、交通局が管理する百一駅の誰でもトイレに同様の趣旨の掲示を行い、一層のマナー啓発に努めてまいります。

○中山委員 最終的にはマナーの問題でありますので、利用者一人一人のモラルに委ねられております。適正な利用を維持することには難しさが伴うことは理解しております。しかしながら、手をこまねいていては何も変わらないので、代替手段がなく、より必要に迫られている人が優先して誰でもトイレを使用できるように、粘り強く呼びかけや啓発を行っていただきたいと思います。
 これは私の提案でございますけれども、誰でもトイレの外側に一定時間、誰でもトイレがあかずに、トイレの必要を感じているけれども待ち続けなければいけない障害者の方などがいらっしゃる場合には、中のご利用者の方に優しい言葉でメッセージをお伝えする--例えば、音が流れるとかですね、そういったような装置を取りつけることも改善策の一つとしてご検討をお願いしたいと思います。
 また、当然のことですけれども、大規模にトイレを改造しなくても、普通のトイレが、障害者の方が使えるような前広便座でありますとか、あるいは和式トイレを洋式にどんどん変えていくとか、そういったことを基本としてお取り組みをいただきたいと思います。
 次に、都営地下鉄の移動の円滑化という点でのバリアフリー化の取り組みについて伺います。
 都市の地下空間には、さまざまな構造物があり、地下鉄駅を利用する際の上下移動は、身体が不自由な人や高齢者は非常な困難を伴うつくりとなっています。
 その点、都営地下鉄では、国のガイドラインの趣旨を踏まえて、身体が不自由な人や高齢者を初めとして誰もが利用しやすい駅施設の整備に努めており、エレベーター及びエスカレーターを計画的に設置し、全駅でエレベーター等によりワンルート化を既に達成していることは承知しているところであります。
 しかし、中には、エレベーターの設置が困難で、代替の設備によって、そのワンルート化を確保している駅もあると聞きます。
 エレベーターではなく、代替の設備でワンルートを確保している駅はどこか、また、現状をどのようにしてワンルート化を確保しているのか、今後の取り組みもあわせてお伺いいたします。

○野崎建設工務部長 エレベーター以外の設備でワンルートが確保されております駅は、浅草線の泉岳寺と高輪台の二駅でございます。この両駅ともコンコースと地上を結ぶエレベーターは設置されておりますけれども、現在の駅の構造上、ホームとコンコースを結ぶエレベーターの設置が困難でございまして、このため、階段昇降機を設置して、ホームから地上までのワンルートを確保しております。
 今後、泉岳寺駅につきましては、来年度着手予定の駅の大規模改良工事の中で、エレベーターによるワンルートを確保いたします。
 また、高輪台駅につきましては、現状では、駅の構造上困難でございますが、周辺開発等の状況を踏まえながら引き続き検討してまいります。

○中山委員 ちなみに、先ほど前広便座と申しましたけれども、ご存じだと思いますが、洋式トイレで後ろの方の腰かけ部分が大きくなっていて、前の方の開口部がより大きくとれる便座であります。ストーマからの排せつ物の廃棄とかに腰かけたままできるという点で、大規模な改造をしなくてもオストメイトが使いやすいというトイレが、便座だけの取りかえでできるというものであります。
 今ご答弁いただきましたけれども、平成二十八年四月には障害者差別解消法が施行されました。これによって差別的な取り扱いが禁止されることはもとより、努力義務とはいえ、障害者の意思の表明に対して合理的な配慮が事業者には求められることになっています。
 階段昇降機を使って、駅職員が駆けつけて、障害者の方などの上下移動をサポートするということが代替の方法としてご答弁があったわけですけれども、一々人の手をかりること自体、障害者の方々にとっては精神的な負担、ストレスであり、そうしたことが嫌だから、そもそも外出を控えているといった声も聞かれます。
 したがって、都営地下鉄では、階段昇降機などを使ってのサポートを要請された場合にありましては、忙しい中にあっても迅速に駆けつけていただく、にこやかに対応していただくなど、要請する側にストレスを与えない最大限の配慮に努めていただきたいと思います。
 その上で、何より浅草線の泉岳寺と高輪台の二駅にあっても、民間や地元区とも連携し、早急にエレベーターでの上下移動の確保をあくまでも求め続けていただいて、できる限り早急に実現していただきたいと願うものであります。
 一方で、ホームから地上へのエレベーターによる上下移動に加えまして、地下鉄におきましては、乗りかえ駅において、一旦地上に出ることなく、駅同士の間でスムーズに乗りかえができるように努めることもバリアフリーの大事な視点であります。
 例えば、東京の地下鉄は、都営四路線と東京メトロ九路線があり、それらを乗り継ぐことで便利に都内を移動することができるようになります。このため、乗りかえルートのバリア解消は、地下鉄の利便性向上に大きく寄与すると考えます。
 そこで、都営地下鉄と東京メトロとの乗りかえルートで、バリアフリー化されていない駅は何駅あるのでしょうか。また、今後の対応はどうなっているのかお伺いをいたします。

○野崎建設工務部長 都営地下鉄と東京メトロとの乗りかえ駅は全部で三十一駅ございまして、そのうち車椅子利用のお客様が一般のお客様と同じルートで乗りかえできないバリアフリー化が未整備の乗りかえルートがある駅は十九駅でございます。
 このうちエレベーターの設置が構造上可能な駅につきましては、東京メトロと連携しながら、今後も引き続き検討を進め、乗りかえルートのバリアフリー化を着実に推進してまいります。

○中山委員 ぜひ乗りかえ駅におきましても、障害者やお年寄りができる限り不自由なく地下鉄をご利用できるように、今後とも関係者間の調整を急ぎ、予算の確保に努めていただきたいと要望しておきます。
 その上で、本日は、第一歩として東京メトロとの乗りかえを題材としましたが、JR駅などほかの鉄道会社との乗りかえにおいても同様の課題があります。さらに取り組みの間口を広げていただいて、着実に改善の歩みを進めていただくようお願いしておくものであります。
 地下鉄駅にエレベーターを整備するためには、さまざまな課題があると承知しております。しかし、体が不自由な人や高齢者にとりましては、全ての駅で、全ての出入り口方向にバリアフリー化が実現されてこそ、東京のまちのバリアフリー化が実現したといえるものであります。その期待は根強く大きなものであることを、交通局には常に念頭に置いていただいて取り組んでいただきたいと思います。
 車椅子の移動、通勤には、健常者よりも長い時間を必要とします。出入り口の方向によっては、地上に出た後も、目的地までさらに多くのバリア、段差を越えなければならない状況があります。議会としてもできる限り応援に努めさせていただきますので、全ての出入り口方向でのバリアフリーの実現を、都交通局としての明確な課題として掲げていただきたいと要望いたします。
 具体的には、まずその第一歩として、二ルート目、ツールート目の整備に向けて、エレベーターの整備に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、現在既に設置されている都営地下鉄のエレベーターのサイズは、決して大きいものとはいえません。特に車椅子やベビーカー、キャリーバッグを使用する人が複数いらっしゃる場合には、一度に乗れない場合もあります。車椅子の利用者がエレベーターに乗り切れない様子もよく目にいたしますが、その場合、次のエレベーターが来るまでの間、相当の間、その場でとどまっていなければならなくなります。
 地下鉄をおりた後、他の乗降客の流動に気を使いながら、人が少なくなるのを待ってから移動を始めたりと、健常者には気づきにくいところで障害者の方は日ごろから肩身の狭い思いをされている場合もあります。
 こうしたことから、車椅子の利用者がエレベーターを円滑に利用できるよう、今後エレベーターの容量を大きくすることはできないでしょうか。エレベーターの大型化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○野崎建設工務部長 都営地下鉄では、平成三年度より国のバリアフリーに関するガイドライン等に基づきエレベーターを整備しておりまして、その多くが標準の十一人乗りとなっております。平成二十五年度には、国のバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編が改定され、標準が十五人乗り、推奨基準が二十人乗りとされており、現在、都営地下鉄におきましても、改定後に計画したエレベーターにつきましては、構造的に可能な場合は大型のエレベーターを整備するよう努めております。
 二〇二〇年東京大会時に競技会場周辺駅となります国立競技場駅や両国駅においても、組織委員会が定めたアクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、二十四人乗りのエレベーターを整備することといたしております。
 今後とも、エレベーターの新規整備に当たりましては、可能な限り大型エレベーターの整備に努め、バリアフリーのさらなる充実を図ってまいります。

○中山委員 ぜひ、エレベーターの大型化も力強く推進していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、エレベーターなどの設備が改修工事や点検等で運転を停止してしまいますと、とりわけ高齢者や障害者などの垂直移動を担保する重要な手段となっておりますことから、大変影響は著しいものがあります。もちろん安全な運転を行うためには、定期的な整備のメンテナンスが必要なことはいうまでもありません。
 ただ、その場合にも、設備、運行停止に関する、正確でより詳細な情報が事前に入手できることは極めて重要であります。というのも、車椅子を利用されている方にとっては、バリアフリールートが中断されている場合には、健常者の方が迂回に要するよりもはるかに多くの時間を用いなければ迂回できない、移動できないからであります。
 このご要望は、私の友人のお子さんが、この方は、特別支援学校の生徒会の会長も務めたりとかしまして、ご自分で車の運転もできますし、パソコンも打てる方なんですけれども、民間に勤務されている方からご要望がありました。その方は小児麻痺もあって、重心のバランスをとりながら、転んだり倒れたりしないように、いつも気をつけながら慎重に歩みを進めていらっしゃいます。
 そうした障害者の方は、必ず就職時の面接の際には、ちゃんと通えますかということを聞かれます。したがって、遅刻しないことに関しては、健常者以上に気を使っています。絶対に遅刻するものかと、そういう思いで通勤しています。ですから、そういう修繕のときとかメンテナンスのときとかにつきましては、その方に事前に情報提供をされていただきたいし、そういう要望を強く持っていらっしゃいます。こうした気持ちは健常者にはなかなかわかりにくいかもしれませんが、とても切実な願いなのです。
 こうした中で、エレベーター、エスカレーターの改修工事や定期点検等を実施する際に、事前にお客様に情報を提供する取り組みを進める必要があると思いますが、駅のエレベーター、エスカレーターの改修工事や定期点検等で運転停止する際に、事前にお客様に情報提供する取り組みについて交通局の見解を伺います。

○谷本技術管理担当部長 地下鉄駅のエレベーターやエスカレーターは、お客様が駅構内を安全かつ円滑に移動するために不可欠な設備でございます。このため、都営地下鉄では、エレベーターやエスカレーターが運転停止する際には、できる限り事前にお客様に情報を提供するよう努めております。
 具体的には、エレベーターにつきましては、更新工事や定期点検等の場合には、原則として一カ月前から、ホームページや当該駅でポスター等により情報提供をしております。それらに加え、更新工事の際には、案内チラシや構内放送で情報を提供するほか、路線全駅でポスター等により情報提供しております。
 また、エスカレーターにつきましては、更新工事の際に、エレベーターと同様にホームページ等で情報提供しております。
 一方、エレベーターやエスカレーターの急なふぐあい等の場合には、事前の情報提供に課題がございますが、今後とも、全てのお客様にとって利用しやすい地下鉄駅の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

○中山委員 ポスターやホームページでエレベーターやエスカレーターの運転停止の情報提供をしていることはよくわかりました。しかし、ポスターやホームページは、いわば法律施行の際に官報などで公示するようなものでありまして、最低限の役割を確保しているという、アリバイ的な役割を果たしているとしても、積極的、親切な情報提供という点では、むしろそれだけでは、大変忙しい通勤時間帯の往来の中で気がつくかどうかという問題ですから、そういう視点に立って対応を練るべきだと考えます。ましてや、急な運転停止などには、十分なお知らせ手段とはいえません。
 そこで私は、例えば、希望者に対しては、メールの配信やスマートフォンでのアプリによる通知など、リアルタイムに情報提供することが必要と考えます。私にご要望いただいた方からも、そうしたシステムをつくってもらいたいという強いご希望をいただきました。この点は、本日は要望でとどめますけれども、ぜひ、近々具体的な進捗を目指していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、都営地下鉄におきます優先席の適正利用について伺います。
 都営地下鉄では、優先席を必要とする乗客のために全車両に優先席を設置しているだけでなく、平成二十四年度からは、順次優先席を拡大していることは承知しております。
 しかし、一般の人が優先席に座り、本来必要としている人が座れない場面によく出くわします。先ほどの誰でもトイレと同様に、最後はマナーの問題であり、優先席を必要とする人に対して周囲の人が席を譲るのが理想でありますけれども、現状はそうなっていないため、鉄道事業者からも積極的に声かけをしていく必要があると考えております。
 また、仮にエレベーターの大型化が実現しても、このマナー向上が図られなければ、健常者ばかりが利用してしまっていて、車椅子や障害者の方がエレベーターに乗り込めないという現状が変わらないということになりかねません。
 そうした面で、特に音声や映像による優先席利用の呼びかけの強化や乗り合わせている利用者の方々から、障害者や高齢者、妊婦の方々の乗車を、優先席に座っている方へ嫌みのない形でお知らせする方法、新しい都内ルールといったものを広める方法に取り組むべきと考えます。
 席を譲ってくれた場合には、本人からでなく、周囲の人たちからも賛辞の言葉が贈られたりするようになれば、譲る側もさらに協力を惜しまない気風が育まれていくものと考えます。
 都営地下鉄におきます優先席利用のマナー啓発について、これまでの取り組みの現状と今後の取り組みをお伺いいたします。

○相川電車部長 都営地下鉄では、優先席を必要としている方が安心して地下鉄をご利用いただけるよう、さまざまな形で周知を図っております。
 具体的には、マナー啓発のポスターを駅構内、車内等に掲出するとともに、車内の放送や液晶モニターを活用して、お客様のご理解とご協力をお願いしているところでございます。
 また、都内の小学生には、公共交通を利用する際のマナーを記載した都営交通マナーブックを配布しております。さらに、平成二十八年度から鉄道各社と連携して実施している声かけサポート運動キャンペーンにおいても、お客様にご協力を呼びかけております。
 今後とも、誰もが安心して都営交通をご利用いただけるよう、マナー啓発に積極的に取り組んでまいります。

○中山委員 都営交通で多くの取り組みを実施していることはわかりました。
 しかしながら、優先席のマナー啓発につきましては、東京都交通局だけでなく、鉄道事業者全体で取り組んでいくことが大切であると思っております。
 映像コマーシャルの装置を利用しての啓発活動におきましても、ぜひ、立って乗車している方々の心に訴えて、自分が優先席に座る、あるいはその周辺に立っている場合には、積極的に障害者や高齢者の方々に配慮した言動が行えるような、そういうことがとても大切だなと考えていただけるような内容を工夫していただきたいと思います。
 先ほど申し上げました、具体的に口にしやすい声かけの事例の周知なども、つまらないことかもしれませんけれども、とても大切な取り組みですので、ぜひお願いをしたいと思います。
 また、鉄道事業者の活動にとどまることなく、社会全体に広く呼びかけていくべきと考えております。
 五輪大会の開催を機に、国やさまざまな団体、民間企業団体とも連携しまして、テレビの公共広告のコマーシャルなどを通じて、多くの都民に取り組みへの協力を呼びかけていただきたいと思います。少しでもオリンピック開催時を目指しながら、都民の、あるいは都内の交通の利用者のマナー向上を果たしていただきたいというふうに思います。
 本日は、都営交通におけるバリアフリーの推進につきまして質問してまいりました。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックも三年後に控え、今後、我が国は、誰もが相互に人格と個性を尊重し合い、人々の多様なあり方を相互に認め合える共生社会を目指すべき時期になってきております。その言葉が、言葉だけでない国となっているかどうかということが問われております。
 エレベーターやエスカレーターの整備などを初めとする物理的なバリアフリーはもとより、誰でもトイレや車内優先席の適正利用を呼びかける心のバリアフリーについても、社会全体で進めていくべきと考えます。
 交通局は、都が経営する公営企業であり、多くの交通事業者がある中で、その活動の先頭に立っていただきたい存在であると考えます。
 最後に、都営交通におきます、都営地下鉄におきます利用者マナーの向上を含め、バリアフリーの進展に向けて交通局長の決意をお伺いしたいと思います。

○山手交通局長 交通局では、高齢者や障害のある方々を初め、誰もが安心して快適に移動ができますよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れまして、地下鉄のバリアフリー化を積極的に進めてございます。
 具体的には、ただいま、いろいろと答弁させていただきましたように、経営計画二〇一六に基づきまして、東京メトロと連携しながら、乗りかえ駅へのエレベーターの整備に取り組んでおりますとともに、温水洗浄便座を備えたトイレの洋式化や簡易多機能便房の設置など、清潔感と機能性のあるトイレの改修を進めてございます。
 また、お客様同士、快適にご利用いただくためには、お客様のマナー向上を図っていくことも重要でございまして、ただいまお話もありました誰でもトイレや車内の優先席利用時等におけるマナーにつきまして、駅や車内のポスター等を通じて呼びかけるなど、引き続き心のバリアフリーを推進してまいります。
 今後とも、二〇二〇年東京大会に向けまして、全ての人に優しい公共交通機関を目指し、ハード、ソフト両面からバリアフリー向上に積極的に取り組んでまいります。

○中山委員 きょう質疑させていただいた内容は、先般、要望書としてお届けしたところでございます。また、JR、東京メトロに対しても、同じようなものを私個人的に五月に届けさせていただきました。
 JRの首都圏の支社長さんだったですかね、国交大臣と大学の同級生ということで、特に、直接バリアフリー、マナー向上についてはいわれていますということで決意をしておりました。
 ぜひ都内の交通機関の中で、先ほど申し上げましたけれども、都営地下鉄初め東京都交通局の取り組み、バスも含めてですけれども、本当に率先して、そうした時代を切り開こうということで懸命に頑張っている姿を都民にお示しいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○三宅委員 交通局の主要事業である地下鉄事業とバス事業について、何点か質問したいと思います。
 ことしで創業百六周年を迎えた交通局は、これまで一貫して都民の足を確保し、重要な都市インフラの一つとして東京の発展を支えてきました。その間、震災や戦災、経済危機や物価の変動、人口の急増や都市圏の急激な拡大など、社会経済のさまざまな変化に見舞われる中、交通局は、時代に応じて輸送の主役を路面電車からバス、地下鉄へと変化させながら対応してきました。
 都営交通は、東京都がみずから所有し経営する公共交通機関であり、今後も都民の期待や負託に応えていく必要がありますが、一方で、今後、首都東京を取り巻く環境も次第に変わっていくものと考えます。
 本日は、質疑を通じ、やがて訪れる東京の将来を見据えながら、交通局が目指すべき方向や、そのあるべき姿について、ともに考えていきたいと思います。
 さて、先月でしたが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムをあしらった自動車のナンバープレートの交付が開始されたとの報道を目にしました。開催まで千日も切り、いよいよ大会の開催が三年後に迫ってきたとの実感が湧いてきました。
 先日の事務事業説明において配布された交通局の経営計画を拝見しますと、具体的な取り組みを紹介している第二章において、何よりも先に、史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現に向けた取り組みを掲げています。ここに私は、交通局の問題意識と二〇二〇年大会に向けた強い決意を感じます。
 交通局の事業概要によれば、昭和三十九年に開催された前回大会においても、都営浅草線は、東海道新幹線の開業日とちょうど同じ日に新橋駅から大門駅までの路線を開業させ、さらに、都営バスは、海外から訪日した多くの観客を輸送し、都営交通は大会の成功に貢献しました。今度の二〇二〇年大会は、東京の都市としての魅力を世界中にアピールするよい機会であり、その成功は、今後の東京の発展にとって極めて重要です。
 輸送に関しては、組織委員会及び東京都が本年六月に輸送運営計画バージョンワンを取りまとめ、IOCに提出しています。その中で、選手や役員などについては、専用の輸送サービスが提供されるとしていますが、観客の輸送については、充実した東京の公共交通網を最大限活用するとしています。都営交通は、大会期間中に観客の輸送の一部を担うことから、果たすべきその役割は決して小さいものではありません。
 例えば、大江戸線の環状部周辺には、複数の競技会場と選手村が存在しています。加えて、海の森の競技会場については、最寄り駅から遠く、シャトルバスによる輸送も想定されますが、その場合、相当数のバス車両と、それらを運転するドライバーが必要になります。このため、約千五百台のバス車両と二千名の乗務員、交通事業者としての知識、ノウハウなど、交通局が保有する経営資源は今大会の成功に大きく貢献できるものと期待しています。
 そこで、大会期間中の輸送に着実に対応し大会に貢献するため、交通局はどのように準備を進めるのか、現状と今後の取り組みについて伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、交通局では、二〇二〇年東京大会に向けて、組織委員会などによる観客輸送の検討に積極的に参画しております。
 地下鉄につきましては、競技終了時間が深夜時間帯に及ぶことが想定されていることから、鉄道事業者間で連携して観客輸送に取り組む必要があり、終電時刻の繰り下げなどについて検討を進めております。あわせて、終電後の限られた時間帯に行っている保守作業を、大会期間の前後に振り分けて実施することなどにつきましても局内で調整を進めております。
 また、組織委員会と東京都が輸送の方針を示した輸送運営計画V1では、徒歩圏内に鉄道駅がない競技会場につきましてはシャトルバスを運行するとしております。都営バスでは、その検討に当たりまして、バス事業者としてのノウハウを提供するとともに、大会時のシャトルバスの運行に向けて、車両更新サイクルの見直しによる車両の確保などの検討を進めております。
 今後とも、引き続き大会に向けて検討を深めるとともに、具体的な運行について、組織委員会や他の交通事業者などと緊密に連携を図ることで、安全で安定的な輸送を実現し、観客の輸送需要に的確に対応してまいります。

○三宅委員 大会前年の二〇一九年には、ラグビーワールドカップも開催されます。また、二〇二〇年大会についても、輸送運営計画バージョンツーが平成三十年度の末には策定される予定です。
 組織委員会はもとより、JR東日本や東京メトロを初めとする他の鉄道事業者とも連携を密にしながら、大会の開催に向けて着実に準備を進め、漏れや手戻りがないように計画的に取り組むべきと考えます。
 また、大会期間において観客の輸送を的確に行うためには、大前提となるのが安全の確保であります。大会期間中に、車両の設備の故障、トラブルによる遅延や運休などの事態が発生することは絶対に避けなければなりません。
 先ほどの答弁にもありましたが、地下鉄においては、本来、保守作業を行っている深夜時間帯における営業運行も予定されています。通常と異なる運営を行うこと自体が一つのリスクとなり得ますので、十分な検証と万全なリスクのコントロールをあらかじめ行うことを要望しておきます。
 次に、もう少し先の将来を見据え、長期的な視点で質疑を進めたいと思います。
 先般九月に、東京都は、都市づくりのグランドデザインを公表しました。これは、平成二十八年九月に東京都都市計画審議会から出された答申を踏まえ、二〇四〇年代の目指すべき東京の都市の姿と、その実現に向けた都市づくりの基本的な方針と具体的な方策を東京都が示したものであります。活力とゆとりのある高度成熟都市を都市づくりの目標としているこの方針の中で、人口予測についても言及されています。
 具体的には、二〇二五年をピークに東京の人口は減少局面を迎え、二〇四〇年代には高齢化率が三割を超えるなど、東京は、これまでどの都市も経験したことのない少子高齢、人口減少社会に突入します。このことは、交通局の事業を展望する上で極めて重要な要素と考えます。
 運賃収入の核となる定期的な利用者の多くを占める生産年齢人口が減少するばかりか、総人口も減少し、輸送需要が大きく変動することは論をまちません。
 ただ一方で、交通局にとって悲観的なことばかりでもありません。交通弱者になりがちの高齢者が大幅に増加しますが、これらの人たちにとって、低価格で良質な公共交通機関の存在は、生活の質の維持や向上に欠かせません。
 こうしたことを考え合わせれば、都営交通はこれまで以上に、今申し上げました高齢者に加え、障害者や外国人など、誰もが快適に利用できる公共交通を目指していくことが極めて重要ではないでしょうか。
 これは、単に事業者として生き残りをかけるといった消極的な価値観ではなく、社会のニーズに焦点を当てて、それを拾い上げ、さらには東京都みずからが経営する公共交通機関として、先駆的な施策を展開し、他の事業者を牽引するフロントランナーになるといった積極的な価値観に基づく意義のある戦略だと考えます。その際には、バリアフリーの推進といった観点が欠かせません。
 バリアフリーについては、これまで法令や東京都の条例などの相次ぐ改正により、社会全体で徐々に進歩してきています。具体的には、平成六年のハートビル法施行以降、東京都福祉のまちづくり条例や交通バリアフリー法、バリアフリー新法など法整備に伴い、基準が整備されていった経緯があります。
 時代によって変遷していく基準に追いつき、絶えず適合していくことは、交通事業者にとっては大変な苦労や負担が伴うものと思います。無論、交通局がこれまでもバリアフリーの分野で積極的に取り組んできたことを承知していますが、今後も引き続き率先して取り組むことで、他事業者の模範となるべきと考えます。
 そこで、まずは都営地下鉄のバリアフリー施策についてお伺いしたいと思います。
 地下鉄は、バスやタクシーと異なり、利用するには、地上から地下、地下から地上への縦方向の移動が避けられません。特に、大江戸線のように建設が新しい路線ほど地下深いところに駅があり、乗車や乗りかえにはエレベーターやエスカレーターを利用する人が必然的に多くなります。
 車椅子を利用している障害者にとってはエレベーターが、体力が低下している高齢者にとってはエスカレーターが、それぞれより重要な設備となり、これらをふやしていくことへの期待は非常に大きなものがあります。
 ここで、都営地下鉄におけるエレベーター、エスカレーターの整備に関するこれまでの取り組み状況と、今後の整備に関する考え方について伺います。

○野崎建設工務部長 交通局では、エレベーターにつきまして、都営地下鉄全駅でいわゆるワンルートの整備を既に完了し、現在、経営計画二〇一六に基づきまして、乗りかえ駅等への整備に取り組むとともに、二〇二〇年東京大会を見据え、競技会場の周辺駅での整備を重点的に進めることとしております。
 具体的には、今年度、三田線と新宿線の神保町駅で三基の整備を進めているほか、三田線春日駅及び新宿線一之江駅においても新設工事に着手しております。
 今後は、大江戸線青山一丁目駅において二基を整備し、大会までに大江戸線と東京メトロ半蔵門線、銀座線の三線を段差なく相互に乗りかえ可能といたします。
 また、大江戸線両国駅では、改札と地上を結ぶ既設のエレベーターを大型化するとともに、さらに一基増設いたします。国立競技場駅につきましては、ホームから改札、改札から地上を結ぶエレベーターをそれぞれ増設することといたしまして、特に改札から地上までは二十四人乗りの大型エレベーターといたします。
 新宿線九段下駅につきましては、東京メトロと共同で三基増設いたしまして、新宿線、半蔵門線と東西線との間に新たなバリアフリールートを整備いたします。
 一方、エスカレーターにつきましては、更新時期に応じまして適宜入れかえ工事を行うほか、駅の大規模改良に合わせて、構造上可能な箇所に整備することといたしておりまして、大江戸線勝どき駅では六基増設してまいります。
 今後とも、全ての人に優しい公共交通機関を目指しまして、引き続きエレベーター、エスカレーターの整備に積極的に取り組んでまいります。

○三宅委員 地下鉄の場合、限られた空間の中に駅施設を建設している場合が多いため、エレベーターやエスカレーターの整備にはさまざまな制約があることは承知していますが、ぜひとも計画的に整備を進めてもらいたいと思います。
 階段や段差によるバリアへの対応も重要ですが、あわせてホームから線路への転落防止の取り組みも欠かせません。特に、視覚障害をお持ちの方にとっては、多くの人が行き交い、狭いスペースである駅のプラットホームは、時間帯によっては危険を感じる場所の一つでもあります。いつでも安心して地下鉄を利用できるようホームドアの整備が求められます。
 平成二十八年八月には、銀座線青山一丁目駅において、視覚障害者の方がホームから転落するという痛ましい事故が発生しました。これを契機として国が対応を取りまとめ、現在、各鉄道事業者がさまざまな対応を進めていますが、最も確実で安心感のある対策は、何といってもホームドアの整備です。
 都営地下鉄では、平成十二年に三田線に導入して以来、先駆的に取り組んできており、整備済みの大江戸線のほか、新宿線全駅への整備と浅草線四駅への先行整備を既に発表しています。また、ホームドアの整備は、転落防止の効果もさることながら、整備に伴ってスロープを設置するなど車両とホームの段差解消が図られ、バリアフリーが一層推進できるといった効果もあります。交通局には、力強くホームドアの整備を進めていってほしいと思います。
 そこで、都営地下鉄におけるホームドア整備に関するスケジュールや今後の課題について伺います。

○奥津車両電気部長 交通局では、ただいま委員お話しのとおり、平成十二年度に営業中の路線として全国で初めて三田線にホームドアを整備いたしました。その後、平成二十五年度に大江戸線に整備するなど先導的な役割を果たしてまいりました。
 新宿線につきましては、平成二十九年十一月中旬、今月になりますが、車両基地への入出庫線があります大島駅におきまして、一番線から四番線まであるホームのうち、比較的使用頻度の低い二番線と三番線にホームドアを先行的に設置し、試験、調整、取扱訓練などを行います。その後、平成三十年四月に、本八幡駅から本格的にホームドア本体の設置、稼働を開始いたしまして、平成三十一年秋までに新宿線全二十一駅の整備を完了する予定でございます。
 また、浅草線につきましては、二〇二〇年東京大会までに、新橋、大門、三田、泉岳寺の四駅へ先行整備することとしております。浅草線全駅の整備につきましては、ホームの状況調査を行いました結果、ホームの補強工事の実施やホームの下にある配管、電源ケーブルの移設が先行四駅以外の全駅においても必要となることが判明いたしました。
 今後、輸送面の課題などにも取り組み、早期に全駅整備の実現を目指してまいります。

○三宅委員 本年の予算特別委員会における我が党の質疑の中で、交通局が、車両の大規模改修を行わずに、QRコードやカメラの活用により車両の扉とホームドアとの連動を可能とする新たな技術を民間企業と共同で開発したとの答弁がありましたが、これは非常に象徴的な出来事だと考えます。民間企業と連携を図りながら社会的な課題に取り組み、みずからも新たな技術開発を進めていくという姿勢を評価します。残る浅草線への全駅整備も待望していますので、早期に実現をしてもらいたいと思います。
 さて、駅施設の移動の円滑化も重要ですが、バリアフリーの観点でいえば、車両の改良も進めるべきです。
 交通局は、経営計画において、地下鉄四線の車両更新を打ち出し、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた、人に優しい車両を導入するとしています。
 一般に、車両の更新周期は二十年を超えると聞きますので、一度新車を購入すると、しばらくの間は同じものを利用し続けることになります。通勤通学で多くの人が毎日利用する鉄道事業の特徴を考えますと、客室の空間をより便利に快適にし、しつらえることは、サービス向上に大きく寄与するものと思います。
 加えて、カートを利用する高齢者や車椅子利用の身体障害者、キャリーケースを抱えた旅行者などにとっても利用しやすい車内空間をつくっていくことは、東京の将来を見据えた場合に欠くことのできない視点と考えます。
 都営地下鉄においても、車両のまとまった更新時期を迎えつつあるこの時期に、誰もがスムーズに、かつ快適に利用できる車両を率先して導入すべきと考えます。
 そこで、都営地下鉄における車両新造に関する考え方や今後の取り組みについて伺います。

○野崎技術調整担当部長 交通局では、安全・安心を最優先に、誰もが快適に都営交通をご利用いただけることを目指し、人に優しい車両というコンセプトを掲げて、車両の製作を行うこととしております。これまでも、車両の更新に際しましては、バリアフリー対策として、つり手や手すりの増設、ドアの開閉を知らせる表示灯の設置、多言語対応の液晶モニターの設置などを行っております。
 これらに加えまして、これまでは、車椅子スペースを一編成につき二両に設置していたものを、今年度新造いたしました新宿線二編成及び浅草線一編成には、残りの車両全てに、ベビーカーなどにも配慮したフリースペースを設置しております。
 今後、更新を控えております三田線を含め車両の更新に際しましては、引き続きバリアフリーに関するお客様の声や技術動向を踏まえながら、人に優しい車両を提供してまいります。

○三宅委員 先ほども申し上げましたとおり、自動車などとは異なり一度新車を導入しますと、数十年は固定化してしまいますので、単純に標準的な車両を導入するのではなく、都民や利用者の声やニーズを酌み取り、それらを反映しつつ、先ほどのホームドアにかかわる新技術の開発と同様、車両メーカーとも連携しながら、都民が誇りに感じられるようなすばらしい車両を導入してほしいと思います。
 次に、都バスのバリアフリー施策についてお伺いします。
 交通局は、先般九月に、誰もが利用しやすい路線バスの実現に向けた取り組みと題して、リーフレット、都営バス構想二〇二〇を発表しました。この中で、途切れることのない充実した情報案内など、さまざまな点で改善が図られることがわかり、私も大いに期待しているところです。
 このうち、特に私が注目していますのは、バス車両のバリアフリーが大幅に図られるという点です。
 都営バスはこれまでも、乗りおりの際に問題となる、地面と車両ステップとの段差を解消したノンステップバスの全車導入など、経営が厳しい中にあっても福祉に配慮した先駆的な取り組みを進めてきたことは承知しています。今回はさらに、車内後方の通路段差までも解消するということで、これは画期的なことではないかと思います。
 一方で、どんな分野であれ、今までにない新たなものを生み出すときには、相応の苦労や困難が伴うことは想像にかたくありません。恐らくフルフラットバスの導入を世に発表するに至った現時点までの間にも、我々利用者には思いも寄らぬ苦労があっただろうと思います。
 そこで、フルフラットバスのメリットとともに、その実現に向けてどのような工夫をしたのか、あわせて伺います。

○根木自動車部長 都営バスでは、ただいま委員からお話がありましたように、全国に先駆けて全ての車両をノンステップバスとするなど、積極的にバリアフリー対策を進めてまいりました。
 ノンステップバスは、車内前方の床を下げることで乗降口の段差を解消したことにより、お客様が容易に乗りおりできるようになりましたが、車内中央部から後方は、床下にエンジンやタイヤに動力を伝える装置である駆動軸が配置されているため床を下げることができず、通路に段差が生じてしまっております。このため、車内の後方に進むには段差を上がる必要があり、前方にお客様が滞留しがちになってしまいます。
 こうした状況を踏まえ、経営計画二〇一六を策定するに当たって、二〇二〇年東京大会や、今後の超高齢社会を見据え、さらなるバリアフリーを追求するため、フルフラットバスを導入することといたしました。
 このフルフラットバスは、エンジンや駆動軸の配置を変更することなどにより通路の段差を解消したバスでありますが、国内では製造されていないため、ヨーロッパで走行している車両の図面等を取り寄せ、研究いたしました。その結果、重量などが国内の車体規格に適合しないことが判明いたしましたが、小型のエンジンを採用すること等により、この問題を解決することが可能であると判断いたしました。
 フルフラットバスの導入により、高齢者を初め誰もが車内後方まで移動しやすくなり、前方の混雑も緩和されると考えております。都営バスでは、フルフラットバスの運行を、平成三十年内に開始し、新たなバスモデルとして発信することで東京の発展に貢献してまいります。

○三宅委員 路線バスは、鉄道路線のすき間を補い、停留所同士の距離も短く、高齢者にとって優しい乗り物であり、それだけに都営バスに対する期待も大きいものと考えます。それらの期待を背負って、ぜひ、路線バス車両の標準モデルとして採用され、広く普及するようにメーカーや国とも連携しながら積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 さて、ここまで人口の減少と高齢化の急速な進行など、やがて訪れる東京の将来を見据えて、交通局はバリアフリーの推進に戦略的に取り組むべきという観点から質問をしてきました。
 交通事業者の最大の使命である安全輸送を行い、民間企業に引けをとらない便利で快適なサービスを提供し、さらには都政と連携しながら、東京の発展のため社会的な課題に対応していく、これは決して容易なことではありませんが、都民の期待に応えるためには、ぜひとも交通局になし遂げてほしいことでもあります。そのときに重要になるのは、強固な財政基盤とともに、事業の担い手である職員、人材の確保や育成と考えます。
 現在、交通局では、バス乗務員の確保、経験豊かな職員の大量退職など、執行体制にかかわるさまざまな問題があることは、過去の質疑や先日の事務事業説明を通じて理解しています。また、行政職が主体となる知事部局と異なり、交通事業を経営する公営企業である交通局の職員には、他の民間事業者の従業員と同様、高度な専門的知識や経験が求められるものと想像します。着実に事業を推進し、都民の期待に応えるために、執行体制を強化し、経営の足元を固めていく必要があります。
 そこで、交通事業者の専門性を踏まえながら、限られた人的資源を最大限活用するための人材育成の方策について伺います。

○渡邉職員部長 都営交通において、安全の確保や質の高いサービスの提供に積極的に取り組み、事業を確実かつ円滑に推進していくには、現場に精通したプロフェッショナル職員を育成することが極めて重要でございます。
 このため、交通局では、職員の経験や職種に応じた集合研修を実施するとともに、現場の実態に即したOJTを継続的に行っております。また、昨年度には、第一線の業務に携わる職員を積極的に監督職に登用するなど、職員の意欲と能力を一層引き出すため、運輸系職員の人事任用制度の見直しを行ったところでございます。
 これを踏まえ、今年度、職員の研修、OJT、配置管理などについての方向性を示す局の人材育成方針を十年ぶりに改定いたしました。新たな育成方針では、新人から監督職に至るまで、職層別に求められる水準と人材育成の考え方を改めて整理し、人的資源を最大限活用するため、計画的に職員の能力向上を図っていくことといたしました。
 今後、職種ごとのキャリアプランなど、さらにきめ細かい人材育成計画を策定し、高度な専門的知識を持つプロフェッショナル職員の育成を局全体で着実に進めてまいります。

○三宅委員 本日は、東京の将来を展望しつつ、交通局の主要事業である地下鉄とバスについてお尋ねしてまいりました。
 交通分野において将来のことを語れば、本日言及しました人口動態のほかにも、電気自動車の普及、自動運転技術や情報通信技術の発展など、飛躍的にイノベーションが進む可能性もあります。あるいはテレワークの浸透など、働き方や仕事に対する価値観の変化などから移動に対するニーズそのものに大きな変動があるかもしれません。
 ただ、時代がどのように変化しても、交通事業の経営を通じて、東京の都市活動と都民生活を支えるという交通局の位置づけや交通局に対する社会の期待は変わるものではないと思います。
 都営交通は、地下鉄やバスを初め、都電、日・舎ライナーなど、今や一日三百四十万人もの人員を運ぶ公共交通機関へと育っています。これらの交通ネットワークに加え、保守職員や乗務員等の専門人材など、保有しているさまざまな資産を事業運営や都政に十分活用していくことで、交通局が今後もさまざまな形で東京の発展に貢献していくことを期待します。
 最後に、今後の事業運営に向けた局長の決意についてお伺いし、私の質問を終わります。

○山手交通局長 ただいま委員お話しのとおり、都営交通では、現在一日に約三百四十万人ものお客様にご利用いただいておりまして、安全・安心の確保を最優先に、お客様が求める質の高いサービスの提供に取り組んでございます。とりわけ開催まで千日を切った二〇二〇年東京大会におきましては、交通局は、開催期間中の輸送の主力を受け持つ極めて重要な役割を担ってございます。
 大会の安全でスムーズな運営のために、期間中の輸送対応やテロ対策の強化など、急ピッチで取り組みを加速してまいります。
 また、首都東京の公営交通事業者といたしまして、誰もが東京を快適に感じてもらえるよう、ホームドアの整備やフルフラットバスの先導的な導入など、バリアフリー化に積極的に取り組んでまいります。あわせまして、こうした取り組みを着実に推進していくため、一層の収入確保や経営効率化はもとより、事業を担う有為な人材の確保、育成に引き続き努めてまいります。
 今後とも、都民やお客様に一層信頼され、支持される都営交通を目指しまして、局一丸となって、東京の都市活動や都民生活を支えてまいります。

○とや委員 よろしくお願いいたします。まず、たくさんの資料をそろえていただきましてありがとうございます。私からは、地下鉄駅のバリアフリー化から伺っていきたいと思っております。
 交通局の経営計画二〇一六では、都営地下鉄のバリアフリー化について、全駅でワンルート確保ができていると。乗降客の安全・安心のための取り組み、これについては歓迎したいと思っております。さらに複数のバリアフリー化、エレベーターなどの設置に向けて、ぜひ努力をお願いしたいと思っています。
 いただいた資料では、浅草線で四駅、三田線で五駅、新宿線で六駅、大江戸線では十三駅の合計二十八駅で複数のエレベーターによるバリアフリー化が図られております。
 今後、交通局は、乗りかえ駅で整備効果の高い駅を優先して複数ルートの整備に入るとのことですが、複数ルートによる効果とは何を指すのか、教えてください。

○野崎建設工務部長 交通局では、今お話にございましたとおり、都営地下鉄全駅でのエレベーター等による、いわゆるワンルートの確保を完了しておりまして、現在は、都営地下鉄相互の乗りかえ駅や東京メトロなど他路線との乗りかえ経路等へのエレベーター整備を進めることとしております。
 これによりまして、地上に出ることなくエレベーターを利用して他路線に乗りかえできるようになることや、他路線の駅の地上行きエレベーターが利用可能になることなどが改善効果と考えております。

○とや委員 地上に出ずに他路線に乗りかえが可能であると、それから他路線の地上行きエレベーターが利用可能であるということですが、これ自体は進めていただきたいと思っています。
 経営計画では、第三章でこの問題に触れているんですけれども、質の高いサービスの提供として駅バリアフリー化を挙げています。経営計画の期間中に十六駅整備するとのことですが、効果というのであれば、乗りかえ駅でなくても切実な要求のある駅、あるいは乗降客も多くて、整備効果の高い駅はほかにもあると思います。
 乗降客の多さだとか要望の高さなど、他の要素も勘案して複数ルートを検討し、さらに多くの駅を対象にして、質の高い駅を目指していただきたいと考えていますが、いかがでしょうか。

○野崎建設工務部長 駅のエレベーター設置に当たりましては、乗降客数の多さだけではなく、駅の利用実態や駅施設の構造上の課題などを勘案しながら、エレベーターの設置が可能で、高い改善効果が見込まれる乗りかえ駅等を整備対象として選定して、十六駅を今選定しているというところでございます。

○とや委員 利用実態や構造上の課題を勘案しというご答弁でしたけれども、まずちょっと伺っておきたいんですが、来年度は、経営計画二〇一六の見直しの年度だと聞いておりますが、その認識でよろしいかどうか、教えていただけますか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 経営計画二〇一六に記載しているとおり、現在、この計画は、平成二十八年度から三十三年度までの六カ年を計画期間としております。このうち、後期三カ年の年次計画につきましては、前期三カ年の達成状況を踏まえ、平成三十年度に策定する予定としております。

○とや委員 ということは、来年度が検討の時期だということですけれども、先ほどの部長答弁で、利用実態や構造上の課題を勘案したというお話がありました。ぜひ見直しの中で検討して、乗りかえ駅でなくても検討対象には加えていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 続いて、具体的な駅について伺っていきたいと思うんですけれども、利用実態や構造上の課題だということでいえば、光が丘駅、練馬区にあります大江戸線のターミナル駅でございますけれども、ここの駅についてはとても要望の高い駅で、住民の皆さんからも、二基目のエレベーターを、A5という出入り口があるんですけれども、今ついていないところですね、そこにつけてほしいと、二年ぐらい前ですか、一千六百人を超える陳情が出された駅でございます。
 現在は、区民センターに併設されているA2、そしてA3出口に設置されていますが、乗降客は非常に多くなっています。平成二十六年の調査、二〇一四年では、五万九千百五十七人であったものが、二〇一六年になると二千人もふえて六万一千四百六十四人と、非常に乗降客がふえています。
 そしてさらに、ここの駅は、幹線道路並みの幅員二十五メートルぐらいある非常に大きな道路が挟まれていて、A3、A2ともにエレベーターがついている出入り口と、A5の出入り口には物すごく距離があります。障害者の皆さん、高齢者の利便性が損なわれている現状があるといわざるを得ない状況が続いています。
 練馬区が行った調査の中でも、実は、光が丘は高齢化率が高くなっていて、練馬区の平均の高齢化率よりも早く高齢化が進むというデータもございます。こういった特色を持つ、そして課題を持つ利用実態、構造上の課題、勘案しなければならないような問題を持つ光が丘地域、そしてその駅の状況について、交通局としてどういうふうに認識しているのかお答えください。

○野崎建設工務部長 光が丘のエレベーターにつきましては、地元区からの要望が出されていることは承知しております。
 一方で、光が丘駅につきましては、現在、エレベーター整備の検討対象となっていないため、必要性等についてお答えできる状況にはございません。

○とや委員 私がお聞きしたのは、承知しているかどうかということよりも、こういう地域であるということ、こういう光が丘駅の乗降客の状況や非常に課題も抱えている、そういう駅や乗降客の状況、どういうふうに認識しているかをお聞きしたんです。もう一度お答えください。

○野崎建設工務部長 光が丘駅につきましての、例えば、団地を抱えている状況である市街地の状況でありますとかインフラの状況、あるいは乗降客数等のデータについては承知しておりますが、お答えいたしましたのは、エレベーターの整備についての必要性について、お答えできる状況にないということでございます。

○とや委員 部長、私、必要性については次聞こうと思ったんですけれども、認識を聞いたんですよ。全然答えていただいていないんですよね。それで、承知をしているということですけれども、現在、整備されているエレベーターは練馬区の持ち物です。交通局の持ち物ではございません。交通局としてA5にもつけるべきだと私は考えています。
 東京都の福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルには、移動円滑化経路として望ましい整備とあり、全てのルートにおいても可能な限り移動円滑化経路を確保するとあります。この基本的な考え方には、高齢者、障害者を含めた全ての人々にとって、安全、円滑に移動できるよう、可能な限り最短距離で、かつ連続してわかりやすく通行できる経路を確保とあります。
 昨年は、先ほども出ていましたが、障害者差別解消法も施行されましたが、こうした条例あるいは法律に照らしても、先ほど承知していると部長おっしゃいましたが、A5出入り口のエレベーターの設置は必要と考えますが、必要か、必要でないと考えているのか、お答えください。

○野崎建設工務部長 繰り返しのご答弁になりますけれども、光が丘駅のエレベーターにつきましては、現在、整備検討対象となっていないため、必要性についての評価は差し控えます。
 なお、いわゆる障害者差別解消法におけます合理的配慮につきましては、必ずしも複数のエレベーターを設置することまでを義務づけているものではないと認識しております。

○とや委員 みずからの東京都がつくった福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルでも、全ての出入り口に可能な限り移動円滑化の経路を確保するというふうに書いてあるわけですよ。今ではないからやらなくてもいいという話ではありません。
 そして、障害者の差別解消法についても、一人一人の障壁を取り除いていく、それは行政だとかの義務ですよ。ですから、そこはぜひご努力をお願いしたいと思います。
 そして、先ほども局長がご答弁で、全ての人に優しい公共交通施設を進めていくとおっしゃいました。障害者の皆さん、それから高齢者の皆さん、赤ちゃんを抱えたお母さん、そういう人たち全てに優しい公共交通をつくっていただきたいと私は思っています。
 そして、そもそもこの駅のエレベーター、実は、隣にある光が丘区民センターのエレベーターと同じ系統です。区民センターのエレベーターが点検保守に入ると、駅のエレベーターも使えなくなってしまいます。先ほど他会派の方からもご質問ありましたけれども、その場合、どうやって車椅子の方の移動、体の不自由な方の移動を保障するのでしょうか、教えてください。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 お話のエレベーターにつきましては、練馬区所有のエレベーターでございまして、点検や保守につきましても練馬区が実施しており、通常の点検や保守につきましては、全てのエレベーターがとまらないように配慮し、実施をされております。
 また、年に一回、半日程度行われます電気設備の点検時には、全てのエレベーターが使えなくなるケースがございますが、その際には、練馬区が事前にお客様へ周知を行うとともに、練馬区からの申し出によりまして、駅においてもご案内を行っております。
 仮に、点検時等に車椅子のお客様などが駅にいらっしゃった場合には、状況に応じて適宜対応しております。

○とや委員 交通局が整備したエレベーターは、この駅には一基もございません。ですから、きちんと交通局として整備をしていただきたいと思います。
 一方、一基しかないエレベーターの問題にかかわっているわけですけれども、私がエレベーターが保守点検だとか改修とかで動くことができないときに見かけたというか、私が駅を利用しているときに駅員の人たちがやっていた作業なんですけれども、駅員が二人がかりで、車椅子の方をエスカレーターでおろす、大変危険なやり方をせざるを得なかったと。そして、車椅子の方をエスカレーターに乗せて、キャタピラー式階段昇降機でおろす作業をされておりました。
 当事者は、ふだんよりとても高いところに固定されて、おりるのに何と十分以上かかったと、それも非常に怖い思いをされたというふうな声が寄せられております。手動式の車椅子ならまだしも、電動車椅子の重量は百キロ以上ともいわれております。ちゅうちょして諦める方もいる、駅が利用できない状況を生み出すこともあるわけです。
 車椅子の方でなくても、ふだんエレベーターを利用している高齢者、赤ちゃんを連れたお母さん、ベビーカーを持ったお母さんやお父さんなどは本当に困っております。こういった状況を、東京都が進める質の高いサービスの提供といえるのかどうか、お答えいただけますか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 さまざまな課題や制約等はございますが、今後ともバリアフリー整備ガイドライン等を基本といたしまして、バリアフリーの向上には努めてまいりたいと思います。考えております。

○とや委員 ぜひ当事者の立場に立って、エレベーター、複数、どんな駅でもつけていただきたいなと思っております。
 この間、光が丘駅については、何度か私たちの会派としても質問させていただいてまいりましたが、練馬区が三回にわたって実施した調査結果も紹介させていただき、エレベーターの設置されているA3出入り口を利用している人たちが約二〇%であるのに対して、要望の高いA5は、ほかの出入り口と比較しても最も多く三一%に上っている、二階からエレベーターをつけてほしいとの要望も寄せられております。
 こうした状況をぜひ勘案していただいて、複数のエレベーター設置を、さらに二階からのエレベーター設置をお願いしたいと強く要望しておきたいと思います。
 続いて、駅における視覚障害者の対応について伺っていきます。
 視覚障害者が駅を利用するに当たって、この間も、駅ホームからの転落事故などがあって、鉄道各社はホームドアの設置を進めております。この取り組みはとても効果があるというので、今回いただいた資料でもそれがはっきりと出ていました。ぜひ早期に一〇〇%達成していただきたいと思っています。
 一方、安全に駅を利用するためには、駅の出入り口や改札口に視覚障害者を誘導する音声案内がとても重要だと考えています。
 まず、現在の地下鉄駅における音声案内の設置基準について教えてください。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、駅出入り口への誘導チャイムの設置につきまして、国土交通省監修のバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編を基本に行っておりまして、このガイドラインにおきましては、地下駅の一以上の地上出入り口において、その位置を知らせる音響案内装置を設置することが望ましいとされております。

○とや委員 バリアフリー整備ガイドライン、国土交通省がつくられた冊子がありますけれども、これも差別解消法だとか国連の条約批准を踏まえて、今、改定、見直し検討中だと伺っています。
 またここで、ちょっと光が丘の駅について伺いたいんですけれども、やっぱり先ほど申し上げたA5の出入り口には、この音声案内が設置されておりません、出入り口がわからないために通り過ぎてしまう視覚障害者の方がいらっしゃいます。先ほど申し上げたエレベーターもないし、音声案内もないというこの入り口、本当に不親切だといわざるを得ません。ぜひ、このA5の出入り口への音声案内の設置を要望いたします。
 さらに、改札口です。改札口には音声案内誘導装置がついていますけれども、ここの駅は大変、先ほども申し上げたように乗降客が非常に多く、喧騒にまみれて聞きにくくなっているとの要望が寄せられております。音の改善もあわせて要望します。いかがでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 繰り返しではございますが、バリアフリー整備ガイドライン旅客施設編におきましては、地下駅の一以上の地上出入り口におきまして、その位置を知らせる音響案内装置を設置することが望ましいとされておりまして、大江戸線光が丘駅につきましては、既にA1出入り口及びA3出入り口に音響案内装置を設置しておりまして、現時点では、追加設置する予定はございません。
 また、改札口の誘導チャイムの音量につきましてですが、設置場所周辺の環境に配慮しながら、各駅の状況等を踏まえ適切に管理を行っております。

○とや委員 A1とA3に設置されているということだからいいんだとおっしゃいますけれども、二カ所設置されているからいいというものではないと私は思います。なぜなら、A1もA3も、先ほど申し上げたように、大変幅の広い道路の向こう側にあるわけで、どうしても偏ってしまっているんですよ、設備がね。そういったことをぜひ考えていただいて、対応していただきたいと思っております。
 さらに、ちょっと確認したいんですが、視覚障害者の方が改札口の音の改善をしてもらいたいという要望をされているんですが、適切に管理されているからこの問題はいいんだと、管理されているからこのままだという理解でよろしいんでしょうか。それとも対応していただけるんでしょうか、明確にお答えいただけますか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 改札口誘導チャイムの音につきましては、バリアフリー整備ガイドラインに、ピンポンという音の標準例、それから音の周波数など配慮すべき事項について示されておりまして、これに沿った製品を設置しております。
 また、チャイムの音量につきましては、不特定多数のお客様が利用する場所でございまして、案内カウンターでの案内に支障がないことなどさまざまな配慮が求められております。こうしたことから、各駅の設置場所周辺の環境に配慮いたしまして、各駅の状況等を踏まえ適切に管理を行ってまいります。

○とや委員 ぜひ音声案内は早急につけていただきたいと思います。適切に管理されているから改善の余地なしといわないで、私も実際に駅で確認をしてきましたけれども、確かに改札口というのは待ち合わせ場所になっていたりとか、いろんな人が利用するために、人の声だとかでピンポンという音がわからなくなってしまっている、そういう状況もありました。
 ぜひ、いま一度見ていただいて、聞いていただいて改善をお願いいたします。これは要望しておきます。
 さらに、地下鉄駅の、これも視覚障害者の問題で伺っていきたいんですけれども、階段とか手すりの問題となります。
 階段の色のめり張りがなくて弱視の人には見えにくかったり、点字ブロックが剥げてしまっているなどの要望が寄せられているわけですが、こうした駅施設の定期点検はされているのかどうか、どのようにされているのか、お答えください。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄駅の階段、手すり等につきましては、ひび割れ、欠け、変形、破損等の有無につきまして、目視、触診等により、毎年定期点検を実施しております。
 なお、点検の結果、ふぐあいが発見された際には、必要に応じて修繕等を行っております。

○とや委員 定期点検を実施していらっしゃると、直ちに対応しているということです。
 そこで、先日、大江戸線の飯田橋駅、近くに文京盲学校がございますが、階段が茶色だとかグレーで、平らに見えて踏み外してしまうとか、電気も暗くて危険な状況があることが当事者からも要望が出されました。さらに点字シートが剥げてしまって、手すりには目の不自由な方に大切なシートと書かれていながら剥がれてしまっていて、本来の役割が果たせていない状況でした。
 交通局の皆さんには、事前に現場の写真もお見せして対応していただいたと思いますが、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、バリアフリー整備ガイドライン旅客施設編などに基づきまして、階段踏み面の先端部につきまして、全長にわたって周囲の部分との色の明度や彩度等の差を大きくすることにより、段を容易に識別できる仕上げとしております。
 お話の大江戸線飯田橋駅の都立文京盲学校に近いC2、C3地上出入り口階段につきましても、先端部を黒色御影石とし、周囲踏み面の白色御影石により区別するとともに、赤色と黄色を組み合わせた識別テープを先端部近くに張りつけ、視認性を高めております。
 お話の箇所につきまして、お客様から段差が認識しづらいというご意見がありましたことから、先般、踏み面の経年の汚れを清掃したところでございます。なお、点字シールにつきましても、既に張りかえを行ったところでございます。

○とや委員 直ちに可能な対応をしてくださったことについては感謝をしたいと思います。
 ただ、要望されている当事者の皆さんは、清掃を実施してくださったとはいえ、汚れて識別しにくいということではなかったんですね。私も改めて、駅にもう一度見に行ったりしましたけれども、それで当事者の声もまた聞きましたけれども、こういう要望されているお子さんは、弱視の方、あの学校自体が弱視の子供たちが半分以上いるというふうに聞いています。さらに、弱視な上に片方が義眼であったりとかして視野が狭くなってしまっている。そのために、非常に階段が見づらくなって、とても危ない状況なんだということをおっしゃっているんですよ。お母さんもとても心配をしているというふうに聞いております。
 改めて私、階段も見てきたんですが、今、部長がお答えになった黒色と白色で区別しているということだったんですけれども、駅にも確認したんですが、あそこのC3出口の階段は黒色と白色の識別ではありません。床はグレーで、階段もグレーで、踏み面の部分、先端部分は黒に近い茶色みたいな、だから、ほとんどコントラストがはっきりしていないんですよ。そこを改善してもらいたいという要望なんですね。
 特にやっぱりああいう学校があるところですから、事故が起きたら大変なことになってしまいますので、ぜひもう一度検討していただきたい。見に行っていただいて、当事者の声をきちんと聞いていただいて、改善をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 お話の階段の段差が見にくい点についてでございますが、当局としましては、清掃することによって見やすくなったと思ってはおりますが、ご要望の点につきましては、改めてご要望があれば検討し、適切に対応していきたいと考えております。

○とや委員 ぜひよろしくお願いします。やっぱり一番いいのが先端の部分にシールを張るとか、ペンキで黄色く塗るとか、はっきりとやっていただくのがいいと思いますので、それにしても、当事者の皆さんの声をしっかりと聞いていただきたいと思っています。
 続いて、これもまた駅についてなんですが、地下鉄駅の職員の配置について伺っていきたいと思います。
 ホームドアのある駅とない駅では、職員の配置が違います。これは先ほどいただいた、ご提出いただいた資料の中でもわかりましたので、ありがとうございました。あるなしにかかわらず、安全性を考えれば、常時職員の配置は必要だと思っております。
 現在の駅における職員の配置について、ホームドアのある駅とない駅、それぞれ教えてください。

○相川電車部長 都営地下鉄における駅係員の配置は、駅ごとの乗降客数、駅の構造や改札口等を勘案し、安全の確保を最優先に適切に行っております。
 駅のホームにつきましては、朝夕のラッシュ時間帯に全駅において駅係員がホーム監視を行うとともに、ホームドアがなく、かつ曲線等により見通しの悪い駅については、終電まで駅係員を配置しております。
 また、転落やトラブルの多い時間帯には、主な駅に警備員を配置しております。さらに、ホームドアが設置されていない浅草線及び新宿線におきましては、早朝から深夜まで警備員を配置しているところでございます。

○とや委員 ご説明ありがとうございました。ホームドアがある駅は朝夕のラッシュ時、転落やトラブルの多い時間帯は主な駅に警備員を配置しているということですが、私は、あるなしにかかわらず、本当に現在の配置で十分なのかというふうな疑問を持っていますが、交通局としてどうお考えかお答えください、十分かどうか。

○相川電車部長 繰り返しになりますが、都営地下鉄における駅係員の配置は、駅ごとの乗降客数、駅の構造や改札口等を勘案し、安全の確保を最優先に適切に行っており、さらに必要に応じて警備員も配置していることから、現在の駅係員の配置については適正であると考えております。

○とや委員 私が乗り合わせたとき、人が乗り過ごしそうになって慌てて電車からおりようとしました。こういったことはよくあることだと思うんですけれども、荷物と体が閉まりかけたドアに挟まれてしまって、荷物の中の物がこぼれてしまう、そういったことがあって、ホームでお財布だとかいろんなものがこぼれてしまったと。ドアも閉まりかけてしまったんですが、結局、それをとめたのは同じ電車に乗り合わせていた乗客なんですよね。本当に何とか安全を確保して初めて駅員さんが--警備員さんか係員さんかわかりませんけれども、駆けつけたという状況でした。
 これは、乗客がもしその扉をとめたりとかしなくて、自力ではい出さなきゃならない事態になっていたときに、どうなっていたかわからないと、私は本当に冷やりとしました。
 こうした状況を、交通局としてどう考えますか。

○相川電車部長 委員ご指摘の、例えば、かばん等が車両のドアに挟まった場合には、運転士が再度扉を開ける対応を基本的にはいたします。
 また、ホームには、例えば、お客様が転落した場合など危険な状況に陥った場合は、ホームに設置しています非常停止ボタン、これを押すことによって、駅付近の列車を緊急停止させることができます。そういうことにつきましては、お客様の方にもポスター等で掲示して周知を図っているところでございます。
 また、ホームには、緊急事態が発生した場合、駅係員の呼び出しインターホンがございますので、それで駅係員がいち早く連絡して駆けつけることができるということでございます。
 また、列車内におきましても、緊急事態が発生した場合には、お客様から乗務員または総合指令所の方に通報できるような非常通報器を設置しておりまして、これは全列車に設置をしているところでございます。

○とや委員 私が見たときは、ドアは、とめなければ閉まっていました。それから、インターホンとか通報装置とかと今おっしゃいましたけれども、全部乗客が押したり、インターホンで知らせたりしなきゃならないわけじゃないですか。結局、いろんなことが緊急に起きた場合、そんな冷静に対応できるような状況があるのかと私は思いますよ。実際、私が見かけたときも、目撃したときも、そんなことできるような状況じゃありませんでしたよ。
 私は、これはたまたま目撃した事例ですが、ほかにも似たような危険な状況はあるんじゃないかと思います。命にかかわる、例えば、亡くなってしまったとかというからニュースになるわけで、そうでない例はたくさんあるんじゃないかと思います。
 経営計画二〇一六では、経営の基本的な考え方で、事業運営に当たっては、都民やお客様に信頼され、支持される公共交通機関を目指し、安全・安心の確保を最優先に、お客様の求める質の高いサービスを提供していきますとあります。
 そして、交通局には、安全方針というものがあります。四つの柱の一つに、事故の芽を確実に摘み取りますとありますよね。まさに今回の事態は、私は事故の芽ではなかったのかなと思うわけですよ。結局、摘み取ったのは、インターホンでもなく、それから通報装置でもなくて、人力というんですか、だったわけですよ。係員でも何でもなかったんです。
 どういうふうにお考えなのか、事故の芽ではないかどうかも含めてお答えください。

○相川電車部長 委員がご指摘のとおり、安全の確保は最優先に行わなくてはいけないことだと思っております。交通局におきましても、そういったいろんなヒヤリ・ハットの事例というのをいろいろと参考にしながら事故の芽を摘み取っているところでございます。
 委員のご指摘になった事例については、ちょっと詳細が私どももよくわかりませんので、ちょっとコメントについては控えさせていただきたいと思います。

○とや委員 私が目撃をした事例ですから、部長はその場に居合わせないからわからないかもしれないけれども、長年、何年やっているかはご存じないですけれども、たくさんの事例があるからヒヤリ・ハットだとか、あるいは事故の芽を摘み取るだとか、こういった教訓を生かした方針を打ち立ててきたのではないかと思うわけですよ。そこは実際に見ていなかったとしても、やっぱり真摯に受けとめていただきたいと思っています。
 交通局には、安全管理体制の見直しとして、PDCAサイクルを適切に機能させるとありますよね。安全マネジメント内部監査の結果などを踏まえて検証を行い、継続的な改善を行うといっております。こうした立場に立てば、当然、人的配置も含めた検証が必要だと思います。
 こうした事例をきちんと検証をして、本当に今の人的な配置でいいのかどうか、増員が必要なのではないかどうか、その検証をすべきだと思います。いかがですか。

○相川電車部長 繰り返しになりますけれども、交通局といたしましては、安全の確保を最優先に、今後とも人員を配置してまいります。

○とや委員 私がお聞きしたことにきちんと答えていただきたいんですね。人的な配置が必要でないのかどうかを含めた検証をしてくださいといってるんですよ。PDCAサイクルをきちんとつくっているじゃないですか。監査を踏まえてやるっていっているじゃないですか。そこを答えてほしいっていっているんですよ。安全な交通機関を目指していきますじゃ、全然答えになっていないんです。ぜひお願いします。

○相川電車部長 交通局では、毎年安全管理体制のもと内部監査も実施しておりますので、そういうことにおいて、安全が担保されているかどうかというものについて、各部門でしっかりと監査を行っておりますので、そういったことも含めて、今後とも、安全確保を第一に事業を進めていきたいと思っています。

○とや委員 ちょっと曖昧な答弁だったんですが、結局最後は、インターホンだとか緊急通報システムだとかそういうものよりも、人の目や人的配置が決定的なんじゃないかなと私は思っていますので、ぜひ検証を行って必要な職員の配置をお願いしておきます。
 次に、先ほど出ておりました大江戸線の延伸問題について伺っていきたいと思います。私からも質問させていただきます。
 まずこれまで、運政審、審議会の十八号答申で、都営地下鉄十二号線、大江戸線はA2路線、目標年次の二〇一五年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられておりました。結局、二〇一五年までに整備着手することができておりません。そして、国土交通省は、東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会ということで、昨年、二〇一六年四月に新たな答申を出しました。目標年次は、おおむね十五年後の二〇三〇年ごろとして、百九十八号答申が示されたわけですが、これまでの運政審、運輸政策審議会でのA2路線だとかBだとかの格付あるいは優先度が、今回の百九十八号答申で上がったという声も出ておりますが、実際どうなのか教えてください。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成十二年一月の運輸政策審議会の第十八号答申では、整備対象とする路線を、今後の鉄道整備の課題に適切に対応できるよう三種類に分類しておりました。
 具体的には、目標年次までに開業することが適当である路線をA1に、目標年次までに整備に着手することが適当である路線をA2に、今後整備について検討すべき路線をBとしていた。この中で、大江戸線の大泉学園町までの延伸につきましては、理事お話しのとおり、A2に分類されておりました。
 一方、平成二十八年四月の交通政策審議会の第百九十八号答申では、十八号答申のような分類はなされておりません。したがいまして、交通局といたしましては、評価する立場にはございません。

○とや委員 評価する立場にはないということですけれども、地元の皆さんは評価が上がったというふうにおっしゃっている人たちが非常に多いというふうに聞いております。
 交通不便地域の皆さんからは、早く、とりあえず大泉学園まで延伸してほしいという要望も強く出されておりますが、先ほども六百億から七百億円かかるという莫大なお金がかかる事業を進めるためには、国の補助が不可欠となります。国の補助スキームはどうなっているのか、お示しください。

○土岐総務部長 補助金スキームについてのお尋ねでございますが、延伸を含む地下鉄の新線建設に対しましては、国土交通省所管の地下高速鉄道整備事業費補助の制度がございます。この制度に基づく補助金は、建設費から人件費、事務費等の総係費、車両費、建設利子を除きました額の約二六%を国が、約二九%を地方公共団体が交付するものでございます。なお、このほかに建設費の二〇%を地方公共団体が出資することとなっております。

○とや委員 補助対象になる建設費が一体幾らになるかとか、あるいは負担のあり方がどうなっていくのかということについては、まだまだ不透明な部分が多いというふうに聞いております。さらに、現在の段階では、誰が事業者としてこの事業を進めるのかも決まっていないというふうに聞いておりまして、負担のあり方自体が課題になっていると。
 東京都が事業者となった場合、一般論として、事業化する上での主な条件についてお答えいただきたいと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 百九十八号答申におきましては、整備営業主体を確立した上で、鉄道事業者が良質なサービスを安定的に提供していくためには、健全な経営の確保が必要であり、そのためには鉄道輸送に適した鉄道需要が安定的に存在することが必要である、そのため、プロジェクトの整備着手に当たっては、関係地方公共団体、鉄道事業者などにおいて、改めてその時点で将来的な需要の見通し、採算性などについて十分な見きわめを行う必要があるとされており、将来的な需要の見通しを踏まえた収支採算性の確保が必要となります。

○とや委員 採算性についていえば、四十年で採算を合わせなければいけない、黒字を出さなきゃいけないという国土交通省の示された基準というか、答申の中にそういったことが示されているわけですけれども、率直にお聞きしたいと思うんですけれども、交通局と練馬区とで工事の着手時期、あるいは着工時期について話し合いは行われているんでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大江戸線の事業者につきまして、地元区、すなわち練馬区でございますが、都は、都交通局を含む都の関係局とで連携して事業化に向けた課題の洗い出しを進めるとともに、沿線まちづくりの状況を反映した需要予測や収支採算性などの検討は進めております。

○とや委員 採算性だとかいろんなことが検討されていると、連携をしているということですけれども、もう一度確認したいんですが、交通局と練馬区で工事の着手をいつにするか、あるいは着工をいつにするかについての話は行っていないという理解でよろしいんでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 繰り返しの答弁になりますけれども、大江戸線の事業化に向けた検討を進めているところでございます。

○とや委員 私が聞いたことにきちんと答えてください。事業化に向けた検討と工事の着工時期、あるいは着手の時期の具体的な検討というのは全く違います。
 着手の時期か、着工の時期について具体的な検討を進めているのか、いないのかでお答えください。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 練馬区との協議の中では、具体的な着工時期等については明確になっておりません。

○とや委員 採算がとれるよう集客できるとなれば、上りも下りも一定の乗客がいなければなりません。かなりのまちづくり、開発も必要になってくるし、それにしてもまちづくりの主人公は地域の人たちですから、望ましいまちとはどのようなものかを含めて、時間をかけた検討も行わなければならないということになると思います。ましてや鉄道の延伸と引きかえに、住民合意のないまちづくりを進めるようなことがあっては、本末転倒だと私は思っています。
 これら非常に高いハードルをクリアするのは非常に大変だということが、きょうの質疑の中でわかりましたけれども、私自身も、地元の練馬の人たち、特に交通不便地域にお住まいの人たちが、なるべく早く大江戸線を延伸してほしいという悲願であるということは十分認識しております。ぜひ東京都として知恵を絞っていただき、お金もぜひ出していただいて、延伸に向けてご努力をお願いしたいと申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
 次に、バスの事業について最後伺います。
 資料をいただきました。バスの廃止、短縮、新設の状況がわかる過去五年間の資料ですが、二十四年から二十七年まで廃止路線が九路線、短縮が二路線、新設は一路線あります。特に心配なのが廃止された路線です。
 廃止する場合の基準、考え方についてお示しください。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉えまして、路線やダイヤを見直しており、鉄道等の開業やコミュニティバスなど代替交通が確保され、利用者の少ない路線については減便等を行ってまいりました。今後も需要の変化に合わせて、乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用し、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、路線やダイヤの見直しを行ってまいります。

○とや委員 ぜひ乗降客の要望がある路線については、廃止は極力慎重にしてほしいと思っています。存続の決断も必要なのではないかと思っています。
 特に、これも練馬ですけれども、大泉学園駅前から新江古田駅前の新江62系統、具体的に、廃止した理由を教えていただきたいと思います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 理事お話しの新江62系統でございますけれども、こちらは大泉学園駅から練馬駅を経由し、新江古田駅まで運行していた路線でございます。こちらについては、西武池袋線と並行していることなどにより利用者が少なく、大きな赤字を抱えていたため、平成二十五年四月一日に大幅に減便いたしました。
 さらに、西武バスが同じ区間を運行しておりまして、代替交通が確保されていたことから、平成二十五年九月末をもって廃止したところでございます。

○とや委員 西武池袋線と並行していると、競合していたという説明も当時受けたんですけれども、当時の説明で、乗客には迷惑はかけませんというふうにおっしゃっていました。本当にそうなっているのか、実態はどうなっているのかご存じでしょうか。
 今、西武線のバスのダイヤは、あるバス停で見ますと、朝は七時二十五分、次が九時十一分、次が十二時十七分と、何と二時間置きです。乗りおくれたら二時間も待たなきゃならないんですね。競合だとか同じ路線を西武線バスが走っているからカバーできているんだ、あるいは乗客に迷惑はかけないというのは全く成り立たない、代替などとはいえないと思うんです。
 さらに、西武線が並行して走っているといいますが、この新江62系統は非常に交通不便地域を走っていて、三原台とかという地域があるんですけれども、そこから駅までの時間は二十分から三十分かかってしまうと、高齢者の皆さんなどはとても駅まで行けないという状況が生まれております。こうした状況をどういうふうにお考えなのですか、お答えください。

○坂田バス事業経営改善担当部長 新江62系統を運行していた地域では、もともと民営バスが幾つかの路線を運行しておりまして、現在も新江62系統とほぼ同じ路線を西武バスが運行してございます。

○とや委員 西武バスが運行していても二時間置きなんですよ。西武線も二、三十分かかるというところで、当時、交通局が説明していた代替交通だというのは成り立たないんじゃないかと思うんですね。
 何でこうなってしまったかというと、これ西武バスに聞いたんですけれども、大泉と成増間、成増と練馬間の需要が高くて、そっちを増便したからということでした。民間バス事業者は採算を重視すると。もちろん交通局も経済性を重視するということをうたっていますけれども、さらに、そうした傾向は民間バス事業者は強いと思います。
 公営企業に求められる役割というのは、経営計画二〇一六でも、常に企業としての経済性を発揮するといいながらも、本来の目的である公共の福祉を増進するよう運営されなければならないというふうにおっしゃっています。首都東京の公共交通事業者として、行政のいろんな施策と連携して、東京が抱える課題に積極的に取り組み、民間事業者を牽引していくことがその役割だとも述べているわけです。
 都バスは、新しい車両の導入だとか、デザインも一新したりしています。それから、オリンピックを目の前に控えて、そちらに結構シフトしているのかなという印象も否めません。そうした取り組みが大事だということはわかりますけれども、困っているところに手が届くような事業をぜひお願いしたいと思います。
 廃止された路線であっても、現状をしっかりと調査して、必要であれば復活するという検討も必要なのではないでしょうか、お答えください。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、日ごろから、路線周辺のオフィスビルや大規模住宅等の開発状況を調査しておりまして、鉄道など他の公共交通機関が整備されておらず、バスへの需要が高まっている場合には、路線の増強等を検討しております。その結果を踏まえ、適切に対応することとしております。

○とや委員 本日は、多岐にわたって交通局の皆さんにお答えいただいて、質問させていただきました。
 交通局は、都民やお客様に信頼され、支持される公共交通機関として、安全・安心を何よりも大切にし、東京の都市活動や都民生活を支えていると、こういうふうに経営理念を掲げていらっしゃいます。
 安全方針も掲げている都営交通が、人の命を預かる公共交通機関としてその役割を果たせるよう、ぜひさまざまな施策の充実をお願いしたい。きょうお願いした要望事項についてもしっかりと受けとめていただいて、具体化を図っていただくようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○清水委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩

   午後三時四十五分開議

○清水委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤井委員 では、お願いいたします。
 まず、バス事業についてお伺いをいたします。
 このバス事業、全路線のうち七割が赤字路線ということで、収益性をいかに高めていくのか、そしてその収益性をもって真に都民が必要とする足をいかに確保していくかということが極めて重要だと思っているわけでありますけれども、交通局としては、バスの管理委託、赤字路線を中心にやられていると思いますけれども、これまでの実績とその効果について把握をされていることをお聞かせいただきたいと思います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 今、副委員長からお話ありましたが、都営バスでは、平成十五年度から一部の営業所につきまして、民間事業者に管理を委託してございます。このバス事業における管理の委託とは、道路運送法に基づきまして、交通局がダイヤ、運賃等の決定権を留保しながら事業所における運行等の業務を外部に委託するものでございます。こちらは、都営バスのサービス水準を維持しながら経営の効率化を図る上で有効な手段の一つでございます。
 平成二十八年度におきましては、路線の収支状況等を勘案しながら、五支所、四十二路線について管理を委託してございます。管理の委託による効果でございますが、委託金額を直営で運営した場合の金額と比較いたしますと、平成二十八年度には約三割のコスト削減効果が出てございます。

○藤井委員 今ご答弁あったとおり、三割のコストの削減につながったということでもございます。これはバスに限らずだと思いますけれども、民間でできることは限りなく民間でお願いをしていくと、民間力の活用をぜひバスの路線でもしっかり取り組んでいただきまして、昨年度において五千百万円の赤字が出ているということでもございますので、早急にこの黒字化を目指した取り組みをしていただきたいと思います。
 次に、東京メトロと都営地下鉄のサービスの一体化についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 都営地下鉄につきましては、東京都が一〇〇%所有をしていると。一方、東京メトロについては、都が五〇%、国が五〇%ということで、それぞれ半数ずつ持っていると。あくまでも法的形式からいうと別組織ということになってしまうかもしれませんが、先ほど申し上げましたとおり、この株式の所有という経済的実態に照らして考えると、いずれも東京都が深く関与している、それぞれ一〇〇%、五〇%を持っているということでございまして、利用者なり都民の人たちから見ると、いずれも地下鉄であることには変わりありませんので、やっぱりサービスを一元化、一体化してほしいというご要望ってあると思うんですが、これまでの東京都としての、交通局としての一体化に向けた、一元化に向けた取り組みについて簡単にお聞かせをいただきたいと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、東京の地下鉄の利便性を高めるため、東京メトロと連携してサービス一体化に取り組んでまいりました。
 具体的には、案内サインの統一や駅ナンバリングの導入、両地下鉄駅の乗りかえ駅へのエレベーターの整備、駅構内や車両内における無料Wi-Fiサービスの提供、国内外の旅行者向けの割安なTokyo Subway Ticketの発売、東京メトロと共同で開発した多言語対応の次世代券売機の導入などを進めてまいりました。
 今後とも、二〇二〇年東京大会の開催も見据え、東京メトロと連携して、安全で誰もが利用しやすい東京の地下鉄を実現してまいります。

○藤井委員 これまでの一元化に向けた、サービスの一体化に向けた取り組みについては、今部長さんからご答弁があったと思いますが、とりわけ利用者の方からご要望が強いのがやっぱり運賃の一元化だと思っております。
 私も、練馬区選出の都議会議員でありますけれども、練馬区でも大江戸線走ってございます。利用者の方、都民の方の話を聞きますと、どうしても東京メトロに比べるとやっぱり運賃割高感がありますというようなお答えを、ご要望をいただきます。
 この運賃の一元化について、もっとあっさり申し上げるならば、都営地下鉄の運賃の引き下げで東京メトロとの運賃の平仄を合わせていくということだと思うんですが、この運賃の一元化に関して、これまで東京都として取り組んできたことがあれば伺いたいと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄と東京メトロでは、乗り継ぎ時の割高感を緩和するため、運賃の合算額からの七十円割引や連絡定期券の一五%割引を実施しております。
 また、本年四月から、両地下鉄が一日乗り放題になる共通一日乗車券を千円から九百円に値下げし、運賃負担の軽減に努めているところでございます。

○藤井委員 ただいまお話あったとおりの取り組みをされていらっしゃると思いますけれども、ぜひ東京メトロに対しても、都は五〇%の株式を持っているわけですし、OBの方なり役員派遣をしているわけでありますから、この運賃の一元化に向けた取り組みをぜひ粘り強く、いろんな利害関係者の方がいらっしゃるとは思うんですけれども、利用者の方、都民の方から見ると、やっぱり運賃ってどうしても高いと思われていると思いますので、ぜひ粘り強く一元化に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、地下鉄の安全対策についてお伺いをしたいと思うんですが、いわゆる首都直下型地震が、いつ何どき起きてもおかしくはないといわれている中で、地下鉄の安全対策、震災対策の重要性は、もう申し上げるまでもないと思うわけでありますけれども、ただいまの震災の対策工事、これの進捗状況についてどうなっているのか、課題などあったらお聞かせをいただきたいと思います。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、阪神・淡路大震災を受けて出されました国の通達に基づく耐震対策は、平成二十二年度で完了しております。その後、東日本大震災を踏まえまして、施設の安全性をより一層高めるとともに、早期の運行再開を図るため、さらなる耐震対策として高架部の橋脚及び地下部の中柱の補強を開始いたしました。
 平成二十八年度には、新宿線一之江駅、浅草線本所吾妻橋駅などで工事を進め、昨年度末におきましては、約五百八十本の補強が完了しております。
 現在は、三田線志村坂上駅から高島平駅間の高架部の橋脚、大規模改良工事を行っている大江戸線勝どき駅、三田線日比谷駅などの中柱、合わせて約六百三十本の耐震補強工事を進めております。
 今後とも、都営地下鉄の一層の安全・安心確保のため耐震対策に積極的に取り組んでまいります。

○藤井委員 ハード面の対策という観点では、今おっしゃっていただいた、ご答弁いただいたとおりだと思うんですが、この地震災害発生時の備えとして、やっぱり防災訓練という、まさにソフトの対策が極めて重要だと思っているわけでありますけれども、これは都としてはどのような形で進めていらっしゃるのでしょうか。

○塩田安全管理担当部長 都営地下鉄では、地震や浸水等の異常事態を想定して、駅、運転、保守の各部門が合同でさまざまな訓練を毎年実施しております。異常時総合訓練につきましては、大規模地震等の発生を想定し、乗客の避難誘導、負傷者の救出、脱線した列車や損傷した施設の復旧等を消防と連携をしながら行っており、今年度は、十月二十日に志村車両検修場で実施いたしました。
 また、自然災害防止訓練につきましては、集中豪雨等による駅出入り口からの浸水のおそれが生じた場合を想定し、止水板や土のうの設置、部門間の情報伝達等を行っており、今年度は、六月七日に大江戸線、三田線の春日駅で実施いたしました。
 このほか、日ごろから駅や乗務管理所といった職場単位で、地元消防署などと連携をしまして、初期消火やお客様の避難誘導などさまざまな訓練を実施しております。
 今後とも、こうした実践的な訓練を通じまして、職員の対応能力の向上を図り、災害時等に適切に対処できるよう努めてまいります。

○藤井委員 最後の質問をさせていただきたいと思いますが、地震災害対策に関しては今おっしゃっていただいたとおりだと思うんですが、最近でもJアラートの通知ってあったと思うんですが、北朝鮮のミサイル発射を受けたこのJアラート通知に対する対策って各社ばらばらで対応したら、首都圏の交通の大混乱を引き起こしてしまうなど、いろんな問題を引き起こしてしまうと思うんですけれども、これは実際どのように都として対応されたのか、状況がわかったらお聞かせをいただきたいと思います。

○塩田安全管理担当部長 都営地下鉄におきましては、政府から伝達される全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートによりましてミサイル発射に関する情報を受信した場合は、お客様の安全を最優先で確保することとしてございます。
 具体的には、駅間を走行中の列車につきましては、次の駅まで走行し、駅に到着後は発車を見合わせるほか、駅停車中の列車は発車を見合わせることとしてございます。その後、ミサイルの通過など、Jアラートの続報等があった場合には、安全を確認の上、順次再開することとしてございます。
 なお、副委員長からご指摘のありました各鉄軌道事業者の対応でございますが、これにつきましては、国交省の方から運行の取り扱いについて周知徹底されておりまして、まず、お客様の安全を第一に考え、列車の運行を見合わせることとしてございます。その後、安全が確認され次第、今ご答弁申し上げましたとおり順次運転を再開することとしてございます。

○藤井委員 最後になりますけれども、鉄道会社さんによってはいろんな、まちまちな対応であったような話も漏れ伝わってきておりますので、都として他の会社さんともしっかり連携をしながら取り組んでいただきますよう要望いたしまして、私からの質問を終えさせていただきます。以上です。

○おときた委員 私からは、まず、交通局のいわゆる外郭団体、監理団体である東京都交通サービス株式会社、TKSへの特命随意契約についてお伺いをいたします。
 特命随意契約においては、競争原理が働かないこと、執行される予算の公平性、不透明性などといった課題が指摘をされてきたところです。特に、いわゆる外郭団体と呼ばれる都の監理団体との特命随意契約については、疑念を持たれないために透明性をより一層高く保つことが求められます。
 そこで、初めに、交通局の監理団体である東京交通サービス株式会社、TKSと昨年度結んだ契約の件数及びそのうちの特命随意契約の件数についてお伺いをいたします。

○土岐総務部長 東京交通サービス株式会社との契約件数につきましては、平成二十八年度で四十二件あり、そのうち四十一件が特命随意契約でございます。

○おときた委員 ほぼ全てが特命随意契約ということになるわけですが、さて、この四十一件に上る特命随意契約のうち、日暮里・舎人ライナー車両保守業務委託及び日暮里・舎人ライナー車両保守業務委託附帯作業についてお伺いをしていきたいと思います。
 これらは、交通局からTKSへ特命随意契約を結ばれているものでありますが、TKSが公表する平成二十八年度非競争型受託等事業運営状況報告書によれば、全く同一の名称で、TKSから別の事業者、車両メーカーへの再委託がなされていることがわかっています。
 そこで、交通局からTKS、TKSから車両メーカー事業者への委託内容に、契約上何か差はあるのでしょうか、この点をお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 交通局から東京交通サービス株式会社、いわゆるTKSへの日暮里・舎人ライナー車両保守業務委託及び同附帯作業委託におきましては、日々の運行を支える車両の安全管理、品質管理、工程管理、車両故障時の緊急対応などの管理監督業務及び各種点検保守作業といった現場作業を包括的に委託しております。このうち、各種点検、保守作業といった現場作業につきましては、TKSから車両メーカーに委託しております。

○おときた委員 ご答弁のような内容で、ここ数年間だけでもTKSを経由して、子請、孫請の契約状態が続いているようでありますが、昨年度、平成二十八年度の交通局からTKSへの委託額及びTKSから車両メーカー事業者への委託額、その差分をお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 日暮里・舎人ライナー車両保守業務委託につきましては、交通局からTKSへの支払い額が税抜きで約三億四千五百万円、TKSから車両メーカーへの支払い額が約二億七千九百万円で、差額は約六千六百万円でございます。
 次に、日暮里・舎人ライナー車両保守業務委託附帯作業につきましては、交通局からTKSへの支払い額が約六千八百万円、TKSから車両メーカーへの支払い額が約六千百万円で、差額は約七百万円でございます。

○おときた委員 こうした状態を指して、外形上、TKSに七千三百万円以上の金額を中抜きされているとの評価も根強く存在いたします。もちろん、保守管理を行う上で日暮里・舎人ライナーの車両を製作したメーカー、事業者にしかない専門的知識や技術を必要とすることから、最終的にメーカーと特命随意契約を締結することに必ずしも異論はありませんが、TKSを挟むこと、中抜きと指摘されかねない状況になっていることについては、その理由が必ずしも明らかになっているとは思えません。
 なぜ、交通局が直接車両メーカー事業者と特命随意契約を結ぶということができないのか、TKSを経由して特命随意契約を行うことの合理的理由について、交通局の所見をお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 交通局では平成二十三年度から、TKSに日暮里・舎人ライナー車両保守業務の委託を行っております。委託業務のうち、TKSが直接担っておりますのは、車両の検査にかかわる安全管理、品質管理、工程管理、車両故障時の緊急対応など、管理監督業務でございます。
 これらの業務は、平成二十二年度までは、交通局の職員が直接行っていたものでございます。車両の増備に伴う業務量の増加等に対して効率的に対応するため、局の保守体制を見直し、局職員と同等の知識、経験、技術を有し、局と一体的な事業運営が可能な監理団体であるTKSに委託することとしました。
 TKSから車両メーカーに委託されている業務は、装置、部品の検査、清掃などの定型的な作業であり、管理監督業務とこの定型的業務を一体として委託することで、安全・安定な運行が可能になるものと考えております。

○おときた委員 るるご答弁いただきました。交通局の正規職員数はふやさずに、業務効率化を図る目的であったというのが主な趣旨であると理解します。
 しかしながら、都営交通の利用者である都民の目線になって考えると、その効率化のために七千三百万円という説明には理解しがたい部分があること、より一層の透明化を図る必要があることをまず指摘をいたしておきます。
 さて、平成二十四年第三回定例会に監査委員より提出された平成二十四年各会計定例監査において、本件について主たる業務を再委託しており、現在の特命随意契約は見直す必要がある旨が指摘されています。
 確認までにお伺いいたしますが、この監査報告を受けて、当時の交通局としてどのような対応をとったのか、お伺いをいたします。

○野崎技術調整担当部長 平成二十四年の定例監査において、日暮里・舎人ライナー車両保守業務及び同附帯作業の委託に関し、特命随意契約の妥当性について指摘がございました。
 これを受け、安全性の観点から改めて検討した結果、日暮里・舎人ライナー車両の構造等を熟知し、法定検査、故障、事故対応などに加えて管理監督業務を行えるのは、局との一体的な事業運営が可能であり、局と同等の安全管理体制を有しているTKSのみであるとの結論に至ったところでございます。
 また、特命理由について、抽象的であったものを見直し、具体的かつ明確にしたところであり、この対応につきましては、監査委員から措置が講じられたものとして平成二十六年六月に議会に報告されたものでございます。

○おときた委員 再検証の結果、TKSしか委託することはできないという結論に達したということになります。
 それでは、契約の詳細な内容について確認をさせてください。
 この契約によると、車両の午前八時三十分から翌日午前八時三十分まで、すなわち二十四時間三百六十五日の作業が求められているわけであります。車両が運転しない時間帯である午前二時から午前五時までの時間帯は、緊急時等、局からの要請がない場合、作業時間としない旨の留保もありますが、一日二十時間以上にわたることが実態であります。
 そこで、まずTKSから再委託をされている車両メーカーによる管理保守業務について、どこで、何名体制で行われているのか等、職員の勤務実態についての詳細をお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 日暮里・舎人ライナーの車両保守業務は、基本的に舎人車両基地で行われており、平成二十八年度は、二十一名の車両メーカーの社員が従事していたとTKSから報告を受けております。
 勤務につきましては、泊まりを含む交代制であり、列車検査や月検査、始発から終電時間に及ぶ日々の出入庫点検などの作業点検、部品交換、車両故障時の修理対応などの実作業を行っているとの報告を受けております。

○おときた委員 文字どおり二十四時間体制で現場対応を行っていることがわかりました。
 では、実質一日二十時間以上にわたる業務の管理監督に当たるTKS側は、どこで、何名体制で行われているのか等、職員の勤務実態について詳細をお聞かせください。

○野崎技術調整担当部長 TKSの社員につきましても、基本的に舎人車両基地で業務を行っており、鉄道車両等に関する十年以上の業務経験を有する統括責任者や作業責任者など六名が専属で配置されております。
 勤務時間は、平日の日中を主とし、安全管理、品質管理、工程管理などの管理監督業務を行うほか、事故、障害、災害などの緊急時には、時間外でも対応することとなっております。

○おときた委員 舎人の車両基地においては、平日、日中を主として、保守管理業務やその立ち会いに当たっているということがわかりました。
 ここに一つの疑念が生じます。TKSの職員は日勤勤務であるとのことです。交通局とTKSが結んでいる特命随意契約の仕様書上は、TKSに対して実質二十四時間の保守管理業務を求めているものであります。
 もちろん、最終的な成果としては、日暮里・舎人ライナーの日々の安全な運行が求められているということはいうまでもありませんが、それを支える契約内容とその実態がずれているように見える点は、客観的に見て疑念を生むといわざるを得ない状況です。
 特に、冒頭でご答弁いただいたように、TKSには、とりわけ交通局から管理業務を委託されているわけですから、その管理業務の契約内容どおりに履行されていないようにもとれることは、契約そのものへの疑念を生じさせかねません。
 次年度以降、契約内容の精査、そしてTKSに対する特命随意契約を通しての交通局の業務効率化の程度について、より見える化、情報公開を進めていっていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。
 続いて、都営交通における戦略的な経営についてお伺いをいたします。
 初めに、都営バスの路線再編についてです。
 都営バスでは、区部、多摩地域合計で百二十九系統ものバス路線を運行しています。これまでにも、路線の増便や減便、廃止、運行ルートの変更など複数の路線で再編がなされてまいりました。この路線再編の考え方、プロセスについては、先ほど他の委員から質問がございましたので省略をいたします。
 さて、こうした都営バスには、地下鉄など他の公共交通機関と一部区間を競合する路線がございます。私の地元北区にも、王57という路線があるんですが、本日取り上げたいのは、荒川区の日暮里駅から足立区の見沼代親水公園駅を結ぶ、都営交通の日暮里・舎人ライナーと都営バスの里48系統であります。これらは、里48-2系統の区間を除き、ほぼ全ての区間で日暮里・舎人ライナーとバスが競合しております。
 里48系統は、日暮里・舎人ライナー開業前においては、一定の役割を果たしてまいりました。しかしながら、日暮里・舎人ライナーは、駅間距離が比較的短いこともあり、開業後の路線維持の意義は薄れてきているようにも感じられます。
 里48系統の現状と、それに対する交通局の所見をお伺いいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 今お話のありました日暮里駅と見沼代親水公園、または加賀団地を結ぶ里48系統につきましては、平成二十年三月の日暮里・舎人ライナー開業に合わせまして減便いたしまして、平日では、百五十九便から五十六便、約三分の一となりました。
 その後、利用状況等を踏まえ、さらに減便いたしまして、現在は一日三十六便となっております。日暮里・舎人ライナー開業前は、一日平均約一万三千人の利用者がございましたが、現在は約一千人となっております。
 都営バスでは、需要が高まっている地域において路線の増便を行う一方、鉄道等の開業やコミュニティバスなど新規事業者の参入により代替交通が確保され、利用者の少ない路線については減便等を行っておりまして、里48系統につきましても同様に対応してございます。

○おときた委員 これまでも減便の対応を続けられてきたことがわかります。
 しかしながら、それでも交通局のホームページに掲載されている最新のバス系統別収支状況によれば、里48系統の営業係数、すなわち百円稼ぐのにかかる経費は、多摩地域を含めた全路線で最も悪い二百五十七円となっており、さらなる見直しが求められる値を示しております。
 そこで、里48系統への交通局の今後の対応についてお伺いをいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、都営バスでは、乗客潮流の変化を的確に捉えまして路線やダイヤの見直しを行っておりまして、里48系統についても適切に対応してまいります。

○おときた委員 利用者が少ないとはいえ、存在する以上、不採算路線であっても撤廃というのが難しい決断であることは理解はするところです。
 しかしながら、代替交通によって沿線住民の利便性が確保された路線、特に不採算の路線については、今後も不断の見直しを求め、会計の経営改善に努めていっていただきたいと思います。これからは、何をやるか、何を残すかということよりも、何をやめるか、そういったことも問われてくる、残念ながらそういった時代にも入っているということも申し添えておきたいと思います。
 次に、交通系ICカードのデータ活用についてお伺いをいたします。
 昨今、SuicaやPASMOなど交通系ICカードは、利用者の利便性が非常に高く、広く普及をしております。また、交通事業者としても、現金の運用を減らすことができることから、業務の軽減につながるばかりではなく、そこに蓄積された行動記録は、ビッグデータとしての利活用も期待されています。
 そこで、まず都営交通における交通系ICカード利用率についてお伺いをいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営交通における平成二十八年度の交通系ICカードの利用率でございますが、都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーでは約九割、さくらトラム、都電荒川線では約八割、都営バスでは約六割となっております。

○おときた委員 都営バスの普及率が低い点については、シルバーパスなどの磁気券ベースでの乗車券利用が存在していることが理由であると推察いたしますが、業務効率化の観点からも、私がかねてから主張しているシルバーパスのICカード化も含めたICカードの利用促進の徹底をお願いしたいと思います。
 次に、ビッグデータの活用について伺います。先ほども述べたとおり、交通系ICカードのデータには、単に利用区間だけではなく、利用者の属性や他の公共交通機関の利用状況など、これまで切符や現金ベースでの運賃収受では把握し得なかった情報が多くあります。こうしたデータをビッグデータとして活用することが期待されており、これらが持つ可能性は、例えば、外国人訪日客の行動パターンを分析して、観光施策に反映させることや、高齢者の行動を医療データと組み合わせて研究するなど多岐にわたります。
 そこで、来るべき国際化、高齢化社会の到来に備えて、ICカード内に蓄積されたデータの利活用について積極的に推し進めるべきと考えますが、交通局としての取り組み状況についてお伺いをいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 記名式の交通系ICカードの発行時には、お客様に、氏名、性別、生年月日などの個人情報を登録していただいておりますが、この情報は、株式会社パスモ等のICカード発行事業者が管理しており、交通局が自由に利活用することができない状況にございます。
 なお、交通系ICカードにチャージされている金額を使用した実績につきましては、PASMO加盟の各交通事業者は、個人情報を含まない自社の利用実績のみを株式会社パスモから受け取っており、交通局では、こうしたデータを運輸統計の作成などに活用しております。

○おときた委員 交通局として入手できるデータは自社の利用実績のみであり、現状では、データ活用には限界があるとのご答弁でした。
 しかしながら、ビッグデータは関連する広範かつ膨大なデータを解析するからこそ意義があり、業界全体として取り組むべき課題といえます。PASMOに加盟している事業者で構成される協議会があるとも聞いております。そうした場において、ぜひ都が主導権をとって、他の民間事業者と連携しながら株式会社パスモに働きかけを行い、ビッグデータの利用可能性を切り開いていただくことを要望いたします。
 続いて、広告事業についてお伺いをいたします。
 都営交通において運賃収入以外の収益確保の一環として、さまざまな媒体で広告事業を展開されていますが、これらの現状についてお伺いをいたします。

○広瀬資産運用部長 交通局では、地下鉄事業やバス事業などの本来事業の経営基盤の強化に寄与するため、車両や駅のスペースなどを活用し、広告事業を展開しております。
 具体的には、地下鉄の中づりや駅張りポスター、バスのラッピング広告などを販売しているほか、地下鉄の駅構内におけるデジタルサイネージ広告、地下鉄の車内液晶モニターなど新規媒体の導入を進めております。
 また、地下鉄車内広告では、広告代理店の意見も聞きながら、割引キャンペーンなどの販売促進策を実施するとともに、昨年度は、首都圏の十一社局の鉄道事業者が連携した共同商品を販売するなどの取り組みを行い、平成二十八年度は、広告料収入全体で約三十三億円を確保したところでございます。

○おときた委員 交通局の経営計画二〇一六における広告料収入の目標金額は、税込みで四十三億円となっております。税金抜き金額でご答弁いただきましたが、三十三億円に一〇八%を掛けても七億円程度未達成であることが指摘できます。関連事業とはいえ、広告料収入の増加は一つの課題であるといえます。
 では次に、その広告事業のうち、車内サイネージのチカッ都ビジョンについてお伺いをいたします。
 動画広告を流すことができるという点で、訴求力がある広告が打てることから、民間鉄道事業者においても類似の事例は数多く見受けられます。しかしながらチカッ都ビジョンにおいて流されている広告は、多くが都庁関係の行政広告であり、そもそも目を向ける機会が少ないといった声が聞かれます。
 そこで、広告の出稿の状況を初めとするチカッ都ビジョンの現状をお伺いいたします。

○広瀬資産運用部長 愛称として使っておりますチカッ都ビジョン、地下鉄車内液晶モニターでございますけれども、こちらは広告料収入の確保やお客様サービスの向上などを目的として導入し、平成二十八年三月から動画広告の販売を開始しております。
 運用に当たりましては、交通局の業務情報や広報PR、ニュース、天気予報等の枠に七分間を確保した上で有償広告を放映しております。平成二十八年度は、一ロールの平均放映時間が約八分となっており、民間有償広告はこのうち一分程度でございました。
 なお、地下鉄車内液晶モニターの当面の広告販売につきましては、広告代理店による買い取り方式としておりまして、有償広告の出稿数が少ない場合でも一定の収入を得られる仕組みとしております。

○おときた委員 チカッ都ビジョンの広告枠については、現状、多くが行政広告であることがわかります。公営企業として、都のさまざまな政策を紹介するのはよい機会になっていることは間違いありませんが、それが常に流れている状態では、都営交通の利用客も見飽きてしまうのではないでしょうか。
 利用客に、チカッ都ビジョンに流れる広告はどうもつまらない、そういうイメージを持たれてしまっては、広告を出稿しようとする民間企業も少なくなってしまうということも起きかねません。都庁内で広告枠を消化するのではなく、民間事業者からの出稿量をふやしていく必要があります。
 そこで、こうしたチカッ都ビジョンの現状と今後について、交通局の所見をお伺いいたします。

○広瀬資産運用部長 チカッ都ビジョンが導入されている車両は、平成二十八年度末で全百四十七編成中の十七編成でございまして、お客様の目に触れる機会が少ないことから、モニター単体での広告商品価値は低く出稿が少ないものと認識しております。
 このため、同一車内の中づり、あるいは他の鉄道広告などとのタイアップなど、広告主の出稿意欲を引き出すことが可能となるように、一社による買い取り方式としたところでございます。
 今後は、液晶モニターつき車両の増加に合わせまして、広告代理店とも協議を行いながら、民間有償広告の出稿増加策を検討し、さらなる増収に努めてまいります。

○おときた委員 民間広告の出稿が少なく、再生される広告が行政広告ばかりになったとしても、交通局に広告料収入が一定金額入ってくる、こうした現状そのものを否定するわけではありませんが、原資が税金ではない広告料収入をより一層ふやしていく、民間出資をふやしていくために、解決策の具体化、そしてその具体化の検討を深めていっていただくことを要望いたします。
 最後の項目です。交通局の監理団体における障害者雇用についてお伺いをいたします。
 障害者雇用促進法によって、事業者等に対し、いわゆる法定雇用率の達成義務が課されています。現在、法定雇用率は、民間企業が二・〇%、国や地方公共団体等が二・三%とされており、平成三十年四月からは、それぞれ〇・二%引き上げられること、また雇用を義務づける対象を、現在の身体障害者と知的障害者に加え精神障害者にも広げることになっております。
 TKSは、都交通局が株式を一〇〇%保有するものの、民間企業として位置づけられ、法定雇用率は現在二・〇%が該当します。
 初めに、ここ五カ年のTKSにおける障害者雇用率の推移をお伺いいたします。

○土岐総務部長 東京交通サービス株式会社の障害者雇用率につきましては、過去五年間、六月一日時点の数字でございますが、平成二十五年は三・〇七%、平成二十六年は三・三八%、平成二十七年は三・六九%、平成二十八年は四・三五%、平成二十九年は二・六四%となっており、法定雇用率として定められております現在の二・〇%をいずれも上回っております。

○おときた委員 TKSにおいても法定雇用率が達成されていることが確認できました。三年ほど上昇傾向にあった雇用率が、今年度、大きくポイントを落としているところは残念ではございますが、引き続き法定雇用率の達成、そして障害者雇用のさらなる促進に努めていただくことを期待するところでございます。
 さて、東京都では、平成二十九年度の採用選考より、身体障害者だけではなく、知的障害、精神障害の方にも正規職員としての雇用枠を拡張することとなっています。こうした取り組みは前向きなものと評価されるところではありますが、この方針は、都の監理団体であるTKSにも同様の対応で行われるのかどうかをお伺いいたします。

○土岐総務部長 東京交通サービス株式会社におきましてはこれまでも、障害の有無やその種類にかかわらず社員を募集しているところでございます。
 今後とも、応募者の能力や適性を踏まえまして適切に採用していくこととしております。

○おときた委員 従前から、障害の有無や種類にかかわらず採用に当たられているとのことでした。この障害の有無に関する具体的な雇用者数を質問することはプライバシーに配慮して差し控えますが、民間企業全体では、障害の種別によって雇用者数が大きく異なっている現状が指摘をされています。
 ことし六月に公表された平成二十九年版障害者白書によると、精神障害者が初めて身体、知的障害者の数を上回りました。その一方で、民間企業における障害者の雇用状況については、精神障害者は四万二千人であり、次いで知的障害者の十万五千人、身体障害者の三十二万八千人となっています。特に母数が最も多いにもかかわらず雇用が進まない精神障害者、そして身体障害者の三分の一程度の雇用にとどまっている知的障害者は、事実上、雇用のハードルが高いことを示しているといえます。
 また、東京都における民間企業の障害者雇用率は、全国平均と比べても低いものとなっています。これは、ダイバーシティーの実現を目指す東京都として看過できない課題であります。
 法律上、TKSは民間企業に位置づけられるものの、こうした課題に対し、公的機関や都の監理団体のようなそれに準ずる組織に、この率先垂範が求められるのではないでしょうか。
 障害の種類によらない雇用機会の均等を提供するためにも、ハードルが高いと思われている知的障害や精神障害の方にも、TKSから積極的に門戸を開く努力をするべきと考えますが、交通局の見解をお伺いいたします。

○土岐総務部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、東京交通サービス株式会社におきましては、これまでも障害の有無やその種類にかかわらず社員を募集していることから、知的障害者や精神障害者の方も含め、全ての方に門戸を開いてきたものと認識しております。
 同社におきましては、今後とも、応募者の能力や適性を踏まえ適切に採用していくこととしております。

○おときた委員 身体障害の方に比べて精神障害者や知的障害者の雇用率が低くなってしまうのは、我が国のみならず、福祉先進国でも同様の課題でございました。TKSでは門戸が開かれているとはいえ、まだまだ多くの企業、組織で、現状では、先ほど申し上げた障害種別の母数の比率どおりに採用できてはいないのが実情です。
 引き続き、東京都交通局及びその監理団体には、公的性格を持つ組織としての率先垂範、民間企業の模範となるような実績が示されることを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○大場委員 私は、公営企業委員会に属しましたのは二度目になりまして、何か古巣に戻ってきたような、そんな気分になります。委員長も務めさせていただきましたが、そのときの経験、また、三期目となります都議会議員としての都政全般に関する経験を生かしまして、委員会の円滑な運営に協力しつつ、この公営企業委員会から東京大改革に取り組んでいく所存です。
 さて、小池知事が進める東京大改革が目指す柱として、三つのシティー、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーを実現することがあります。したがって、私は、本日の事務事業質疑において、交通局がこれら三つのシティーに関連して、どのような取り組みを進めているのか、伺っていきたいと思います。
 それでは、まず一つ目のセーフシティーの観点から伺います。
 セーフシティーの取り組みが目指すものは、都民の毎日の生活を守り、さまざまな災害から都民の命や財産を守られる東京です。つまり、都民が安全に安心して日々生活を送ることができるということです。
 交通局においても、事業運営において最優先すべきは安全・安心の確保であるとしています。公共交通機関において、安全と安心の確保は最も重視されるわけであるとの考えは、私も強く共感するものです。
 このような認識のもと、昨年十一月の公営企業決算特別委員会の総括質疑において、私は都営地下鉄の安全対策の取り組みについて幾つかの質疑をさせてもらいました。その際、山手局長より、ホームドアの整備については、既に全線全駅に設置されている三田線と大江戸線に加え、東京二〇二〇大会までに新宿線全線の整備を終え、浅草線については、大門駅と泉岳寺駅の二駅で先行整備するというお話がありました。
 そのホームドアの整備において、直近の交通局の資料を拝見しますと、浅草線の先行整備駅に新たに新橋駅と三田駅の二駅が加わり、合計四駅になっておりました。浅草線は施設が古かったり、相互直通運転を行っている会社が多かったりして、ホームドアの整備の制約条件が多いとのお話でしたが、そのような条件のもとでも、より踏み込んだ安全対策が進められるということについては率直に感謝したいと思います。
 また、ホームドア未整備駅のホーム上に警備員の配置を拡大すること、変電所の更新、信号保安設備の維持管理についても答弁をいただきましたが、これらの取り組みについても引き続き強化、継続しているということを伺っています。
 このように、さまざまな安全・安心確保のための体制が強化されつつありますが、最終的にそれらを運用していくのは人の力であると考えます。
 都営交通の現場においては、地下鉄の乗務員、駅員、保線や車両整備の職員、バスの乗務員など多くの職員の方々が働いています。当然、全ての職員が使命感を持って日々仕事に打ち込んでおられるとは思いますが、都営交通の安全・安心の取り組みを心のこもったものとするためには、それらの職員の皆さん一人一人が安全・安心に対する高い意識を持つ必要があると考えます。
 そのためには職員の育成が大変重要であり、育成のためには、教育と訓練の二つの柱に取り組む必要があると思います。
 昨年の質疑で、訓練について答弁いただきましたので、今回は、もう一つの柱である教育について伺いたいと思います。
 交通局では、局の研修所でさまざまな研修を行い、職員の育成を行っていると聞いていますが、職員の安全・安心に対する意識を高めるため、研修所においてどのような安全教育を行っているのか、お伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通事業において、お客様の安全・安心を確保することは最大の使命であり、交通局では、安全に対する強い意識と使命感を持った職員の育成が重要であると考えております。
 そのため、局研修所におきましては、各職層、職種別の研修の中で、職員の経験や職責に応じ、きめ細かい安全教育を実施しており、講義形式の研修に加え、より実践的な研修に取り組んでおります。
 具体的には、地下鉄では、さまざまなトラブルに対処する訓練を行う地下鉄運転シミュレーターを導入するとともに、バスでは、運転手の運転特性を客観的に把握できる運転訓練車を導入するなど、実践的研修のレベルアップを図っております。
 また、これまでの事故から学んだ教訓を風化させず、職員の安全に対する意識を向上させるため、過去の事故事例のパネルや映像資料を集めた、事故から学ぶ展示室を研修所内に設けております。
 昨年度は、こうした事故の原因や対応を検索、閲覧できるよう、事故情報のデータベース化を図ったところでございまして、今後とも、引き続き研修所における職員の安全教育の充実に取り組んでまいります。

○大場委員 ただいま、これまでの事故から学んだ教訓という答弁がありました。もちろん事故はあってはならないものですが、人間誰しも失敗することがあるし、ミスを犯すこともあります。また、駆け込み乗車に起因する事故のように、事故の原因が事業者の側にあるものばかりではありません。
 しかし、いずれにせよ、過去に起きた事故からどれだけのことを学び、糧にすることができるかということが重要です。事故から学ぶ展示室のような取り組みは、派手さはありませんが、とても大切なものだと考えます。引き続き安全意識の向上に努めていただければと思います。
 次に、ダイバーシティーの観点から伺います。
 ダイバーシティーという言葉は、すなわち多様性という意味ですが、人は、性別、年齢、障害の有無など、それぞれが違う属性を持っており、人それぞれが属性に関係なく尊重される社会をつくることがダイバーシティーの実現だといえます。
 都政においては、これまでの障害者の暮らしやすいまちづくり、高齢者や女性が活躍できる社会づくりといったことに取り組んできており、それらの取り組みはダイバーシティーを推進することに資するものだったといえます。
 交通局においては、先ほどのホームドアの整備を初め、乗りかえ駅におけるエレベーターの整備などといったバリアフリー化の推進を積極的に進めており、ダイバーシティーの推進にはこれまでも、また現在も貢献しているものと考えています。
 そういう意味では、都営交通利用者に対するダイバーシティー推進は、引き続き積極的に進めてもらいたいと思います。
 一方、交通局の経営計画二〇一六を拝見しますと、ダイバーシティーの推進という項目が掲げられています。こちらの項目を見ますと、いろいろな職員が活躍できる職場づくり、とりわけ女性職員の活躍について記載されています。図らずも都政においては、猪熊副知事が就任され、二十二年ぶりの女性副知事の誕生が話題となっているところです。
 先日、私が電車に乗った際、車掌さんからの車内向け放送が女性の声でした。気をつけてみますと、以前は余り見かけなかった女性の電車運転士、車掌、バス運転手といった人たちをよく見かけるようになりました。恐らく交通局においても、多くの女性が活躍していることだろうと思いますし、今後もますます多くの女性が活躍するようになるだろうと思います。
 そこで、交通局における女性職員の人数と割合について、本庁と事業所それぞれについて、改めてお伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通局における女性職員の人数とその割合につきましては、平成二十九年四月一日時点で、本庁に百四名、事業所に九十八名を配置しており、常勤職員に占める割合は、それぞれ一五・二%と一・七%となっております。

○大場委員 今のお話ですと、交通局の女性職員の人数や比率は、まだ決して多いとはいえないのかもしれませんが、同業他社の状況などを勘案しますと、今後さらに女性職員数や割合はふえるものと考えます。
 そういう状況において、女性職員に活躍してもらうためには、妊娠、出産、子育てといったライフイベントの時期に安心して働くことができる職場をつくることが非常に大切です。
 そこで、交通局では、妊娠中や子育て中の女性職員に対し、どのような対応をしているのか、お伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通局では、妊娠期間中の職員に対し、妊娠出産休暇や妊婦通勤時間といった休暇制度等を整備するとともに、不規則勤務職場では、泊まり勤務を日勤勤務に切りかえたり、事務室内での業務に従事させるといった配慮を行っております。
 また、子育て中の職員には、育児時間や子供の看護休暇などの支援制度の活用促進を図っているほか、東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランに基づき、各職場において、職員の中から両立支援アドバイザーを選任し、育児と仕事の両立に関する相談や問い合わせなどに対応しております。
 今年度はさらに、働き方改革の一環として、時間や場所を弾力的に活用できる柔軟な働き方により、育児と仕事の両立を支援するため、一部の職場で時差勤務の拡大や在宅型テレワークの試行にも取り組んでいるところでございます。

○大場委員 妊娠中、子育て中の職員に対し、勤務時間や休暇制度といったソフト面での配慮がなされているということはよくわかりました。
 一方、交通局の現場は、二十四時間三百六十五日稼働しています。したがって、第一線の現場で働く職員については、男女かかわりなく宿泊を伴う勤務が必要となるときもあると聞いています。そういう状況において、女性職員が男性職員と同様に働くためには、施設面での整備も重要だと考えます。
 そこで、交通局の現場において、女性職員が宿泊できる施設の整備状況はどうなっているのか、また、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通局では、地下鉄やバスなどの事業所において、女性用の仮泊室、トイレ、休憩室などを計画的に整備しております。女性職員が宿泊できる施設の数は、平成二十九年四月一日時点におきまして、地下鉄、都電などの鉄軌道部門等では、全百四十一カ所の宿泊施設のうち五十カ所、バス部門では、全十九カ所のうち十四カ所、全体では百六十カ所のうち六十四カ所となっております。
 施設の整備に当たりましては、駅構内の空間が限られていることなどさまざまな課題がありますが、今後も、施設の大規模改修に合わせて着実に整備を進めるなど、引き続き女性職員が十分能力を発揮し、安心して働ける職場環境の充実に努めてまいります。

○大場委員 女性職員用の施設を積極的に整備しているということはわかりました。確かに、地下鉄の駅などについては、後から増築のようなことはできないわけですから、物理的にスペースの制約があるでしょうし、多額の整備費用も要することと思います。
 しかし、さまざまな工夫をしながら、駅や事業所などに女性用の仮泊施設の整備を行う等の取り組みはぜひとも着実に進めてもらいたいと、女性も男性も働きやすい職場をつくっていただきたいと思います。あわせて、こういう設備の整備を進めることにより、交通局は、女性も男性も働きやすい職場なんだなということについても、どんどん外に向けて発信し、優秀な人材確保に取り組んでほしいと思います。
 続いて、スマートシティーの観点から伺います。
 スマートシティーの取り組みとは、世界に開かれた環境先進都市、国際金融経済都市東京を実現するために、スマートエネルギー都市を目指す取り組み、交通物流ネットワークの形成、世界的な観光都市を目指すための取り組みなどのことです。
 都がこのようなスマートシティーを目指すためには、さまざまな取り組みが必要だとは考えますが、東京都の公営企業である交通局が都政の一部として積極的に貢献していくことも重要だと考えます。
 中でも都営地下鉄は、一日二百七十万人のお客様が利用するという大変大きな事業ですので、多くのエネルギーを消費する主体でもあります。そういう都営地下鉄が効率的なエネルギー利用、いわゆる省エネルギーに取り組むことは非常に重要だと考えます。
 そこで、都営地下鉄の車両や設備における省エネルギーに対する基本的な考え方と具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○奥津車両電気部長 都営地下鉄はこれまで、さまざまな省エネルギー対策に取り組み、電気の使用量削減に努めてまいりました。特に、車両の更新に当たりましては、節電効果が大きいVVVF制御装置やLED照明など効率のよい装置や、省エネ機器を積極的に採用しておりますほか、車体の軽量化やエネルギーを有効に利用できる電力回生システムの導入等によりまして、更新前の車両に比べ約二〇%の電力を削減しております。
 また、このほか、駅など車両以外の電気設備におきましても、更新時にLED照明や効率のよい機器を採用し、省エネルギーに努めております。

○大場委員 今、都営地下鉄の省エネルギーの対策については、さまざまな努力をしているということがわかりました。
 ところで、今答弁いただいた幾つかの取り組みの中に、駅照明のLED化というものがありました。図らずも今、都政においては、家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業が行われており、自宅で使用している白熱電球二個を持って電器店に行くと、LED電球一個に交換してもらえるという取り組みが行われております。
 地下鉄の駅では、大変多くの照明が使われており、それらをLEDに交換することで相当な省エネ効果があるものと考えます。とはいえ、地下鉄駅のLED化は、一般家庭のように電球を白熱球からLEDに交換すれば済むというような簡単なものではないと思います。
 最後の質問になりますが、都営地下鉄の駅照明のLED化の進捗状況はどうなっているのか、また、事業を進めていく上での課題と、どう解決しているのか、お伺いいたします。

○奥津車両電気部長 都営地下鉄では、ホームやコンコースの照明について、設備の更新などに合わせましてLED化を進めております。
 平成二十八年度末時点において、交通局が管理する百一駅中五十四駅、約二万カ所にLED照明を設置しております。
 LED照明の更新工事を行うに当たりましては、膨大な数の照明を器具ごと交換しなければならず、そのための詳細な設計調査が必要であり、かつ終車後の限られた時間で工事を完了しなければならないなどの課題もございます。こうしたことから、大規模改良工事に合わせて更新を行うなど、今後とも計画的かつ効率的にLED化を進めてまいります。

○大場委員 昨年度末時点で二万カ所のLED照明を設置ということで、これだけの数になりますと相当な省エネルギー効果が見込まれます。とはいえ、LED照明を設置した駅は百一駅中五十四駅ということであり、まだまだ進める余地があります。いろいろと課題もあると思いますが、着実に進めていただければと思います。
 本日は、三つのシティーという観点で質問し、交通局の取り組みの一端を伺ってまいりました。今後とも、交通局が都政に大きく貢献することを願いつつ、私の質疑を終わります。

○加藤委員 初めに、都営地下鉄に関して伺います。
 これまでも東京の地下鉄の利便性向上を図るため、東京メトロと連携し、サービス一体化に取り組んできたと思いますが、現在の状況、今後の取り組みについて、ハード面とソフト面について伺っていきたいと思います。
 近年、東京には多くの外国人観光客が訪問をし、二〇二〇年東京大会に向け、今後も増加が見込まれます。東京に訪れる観光客ももちろんでありますが、ふだんから地下鉄を利用されている車椅子など障害をお持ちの方や高齢者の方にもスムーズに東京の地下鉄を利用してもらうための取り組みは重要です。
 都営地下鉄と東京メトロとの乗り継ぎ時における移動の負担軽減など、さらなるバリアフリーの充実を図るべきと考えます。そのためには、都営地下鉄と東京メトロが連携して、バリアフリーの充実に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄と東京メトロでは、エレベーター等によるワンルート確保を完了しておりまして、現在、乗りかえ駅におけるエレベーター整備に連携して取り組んでおります。
 整備に当たりましては、各駅の構造やお客様の流動、二〇二〇年東京大会などを考慮しつつ、東京メトロと緊密な調整を図っており、今年度は、既に大江戸線新宿西口駅におきましてエレベーターを整備し、丸ノ内線との乗りかえルートのバリアフリー化を図っております。
 また、青山一丁目駅や九段下駅におきましても、全ての乗りかえルートにエレベーターを設置すべく、工事着手に向けた準備を進めております。
 今後とも、東京メトロと連携を図りながらバリアフリー化の推進に取り組んでまいります。

○加藤委員 地下鉄の路線図を見ますと、縦、横、斜めと非常に複雑な路線となっておりまして、乗りかえ駅でスムーズに移動ができることが大切です。今後とも、改善に努めてもらいたいと思います。
 一方、都営地下鉄、東京メトロを乗り継ぐ場合において、運賃の割高感の軽減を図るなどソフト面の取り組みも必要です。先ほどちょっと話がありましたけれども、この都営地下鉄と東京メトロとの運賃割引や共通乗車券の取り組みについて伺います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄と東京メトロでは、乗り継ぎ時の割高感を緩和するため、運賃の合算額からの七十円割引や連絡定期券の一五%割引を実施しております。
 また、両地下鉄全線が一日乗り放題になる共通一日乗車券を、本年四月に千円から九百円に値下げし、運賃負担の軽減に努めております。
 さらに、国内外の旅行者向けの企画乗車券につきましても、平成二十六年四月から、両地下鉄全線が割安で利用できるTokyo Subway Ticketを発売しております。この乗車券は、従来、有効期間が利用開始時刻にかかわらず、その日の終電までの一日単位となっておりましたが、平成二十八年三月には、利用開始時刻から二十四時間単位で利用できるよう変更いたしました。
 今後とも、東京メトロと連携しながら、さらなる利便性の向上に取り組んでまいります。

○加藤委員 確認なんですけれども、Tokyo Subway Ticketを、国内外の旅行者という今答弁がありましたけれども、これは国内の旅行者も買えるのでしょうか、その確認をさせて--いわゆる訪日外国人旅行者用なのか、国内も買えるのかという、ちょっとそこを、済みません。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 国内外の旅行者向けと申し上げましたTokyo Subway Ticketでございますが、東京の外から東京都内に旅行されるような場合に、外でお買い上げいただくというような形でご利用いただくことは可能でございます。

○加藤委員 済みません、そこの確認だけしたかったので、申しわけないですね。
 このTokyo Subway Ticketなんですけれども、一日単位から二十四時間単位に変わったということは、訪日外国人旅行者にとっては非常にありがたい制度だというふうに思うんです。例えば、空港に夜間に着くと、そうすると、もうほとんど乗れないという、こういう状況になるので、これが二十四時間単位で使えるということは非常にすばらしいことだというふうに思っております。
 今後、二〇二〇年大会では、先ほども少しお話出ましたけれども、終電の延長等、こういうこともあると思うんですけれども、また、ナイトライフの充実という点でも、どう終電を延ばしていくかという、こういう課題にもなりますので、そうしたことも先取りしたチケットだというふうに思いまして、非常にこれは評価をしたいというふうに思います。
 次に、東京の地下鉄を安心して利用するためには、東京メトロと災害時において連携して対応することが重要であります。先ほど防災訓練についてもお話ありましたけれども、非常時を想定した東京メトロとの合同訓練の実施状況について伺います。

○塩田安全管理担当部長 都営地下鉄と東京メトロの接続駅におきましては、非常時にお客様の安全確保や地下鉄機能の維持、早期復旧に向けて両者が相互に連携して対応する必要があることから、平成二十四年度以降、東京メトロとの合同訓練を毎年実施してございます。
 これまで、首都直下地震を想定しました帰宅困難者対応訓練や、大規模テロ災害を想定した対処訓練、集中豪雨等を想定した駅の浸水防止訓練を実施し、非常時における対応能力の向上を図るとともに、その訓練の成果を踏まえまして、実際の対応手順の改善も図っているところでございます。
 昨年度は、接続駅である都営地下鉄春日駅、東京メトロ後楽園駅におきまして、コンコースからの出火を想定した合同消防訓練を実施し、自衛消防隊による初期消火やお客様の救護及び避難誘導を行いました。
 今後とも、こうした訓練を通じまして、東京メトロと連携しながら東京の地下鉄を安心してご利用いただけるよう努めてまいります。

○加藤委員 指揮命令系統へ情報の伝達と共有等、いざというときにこの訓練以上のものは発揮されないと思いますので、今後もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、両地下鉄が連携し、サービスの改善、一体化を進めるためには、利便性向上におけるソフト面、ハード面の連携に加え人的交流も大事だと思います。
 そこで、東京メトロとの人事交流の目的と実施状況について伺います。

○渡邉職員部長 交通局と東京メトロとの人事交流につきましては、お客様の視点に立ったサービスの改善、一体化に連携して取り組むとともに、職員の育成や視野拡大につなげることなどを目的として平成二十五年九月に開始いたしました。
 開始当初から、事務職と技術職の管理職一名ずつを相互に派遣しておりまして、その後、一般職員にも対象を広げ、現在は、両者四名ずつの人事交流を行っております。これまでに両者で合わせて十九名の交流を行い、バリアフリーや防災対策の推進、乗りかえ利便性の向上などの共通課題に連携して取り組んでいるところでございます。
 今後とも、東京メトロと協議しながら、適切に人事交流を行ってまいります。

○加藤委員 次に、相直各社とのサービス連携関連について質問したいんですが、都営地下鉄は、大江戸線を除き私鉄各社と相互直通運転を実施しております。私鉄各社とのサービスの連携も大事となります。東京メトロとの連携に加え、相互直通運転各社とのサービス面での連携も必要です。特に、浅草線については、京急線、京成線、北総線、芝山鉄道線といった私鉄四社との相互直通運転となります。
 そこで、相互直通運転各社のうち、京成電鉄と連携したサービス向上の取り組みについて伺います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましては、京成電鉄を初め、京浜急行電鉄、京王電鉄等の事業者と相互直通運転を行っており、これまでも各社と連携し、さまざまなサービス向上に取り組んでまいりました。
 このうち、京成電鉄との間では、都営浅草線との接続駅でございます押上駅から双方二駅までの区間を利用した場合に運賃を二十円割引し、近距離区間運賃の負担軽減を図っております。
 また、都営地下鉄と東京メトロの全線を割安で利用できます、先ほど申し上げました国内外の旅行者向けの企画乗車券Tokyo Subway Ticketと、京成スカイライナーの乗車券を成田空港駅等におきましてセットで購入する場合にも割引を実施しております。
 さらに本年九月には、京成電鉄のほか、京浜急行電鉄とも連携いたしまして、市販の紛失防止タグのついたお客様の所持品がお忘れ物センター等の専用アンテナ設置箇所に届けられた場合に、お客様のスマートフォンに自動的に通知するサービスを、三社局で試験的に導入いたしました。
 今後とも、京成電鉄を初めとする相互直通運転を行っております各事業者と連携いたしまして、一層のサービス向上に取り組んでまいります。

○加藤委員 今のお話なんですけれども、都営の駅で降車して、あっ、しまったと、かばんを置き忘れたということで駅に戻っても、既に都営の駅を通過して私鉄の駅に行っているということもありますので、これは大変すばらしいサービスだと思います。こうしたことを今後もいろいろと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、ホームドアに関してですけれども、浅草線は、二〇二〇年東京大会までに、先ほども答弁ありましたが、四駅で先行整備を実施して早期の全駅整備を目指すということでありました。そして、この浅草線は、先ほど申し上げましたが、相互直通運転を実施して多くの車両が乗り入れており、従来の方式では各社の車両の改修が必要となるなど、ホームドア整備に際してはさまざまな課題があります。
 それで、交通局では、解決策の一つとして、新技術を用いたホームドアを整備していくとの答弁が先ほどありましたけれども、この新技術を用いたホームドアの開発経緯と効果について伺います。

○奥津車両電気部長 これまで都営地下鉄では、ホームドアの整備に当たり、車両のドアとホームドアとを連動して開閉させる装置を車両に設置するなど大規模な改修を行ってまいりました。
 浅草線は、五つの鉄道事業者による相互直通運転を実施しておりまして、乗り入れ車両が多く、従来の方式では各社の車両の改修に多くの経費と時間が必要となります。このため、交通局では、車両の大規模改修を行わずに、QRコードを車両のドアの定位置に張りまして、これをホーム上のカメラで読み取ることでホームドアとの連動を可能とする新たな技術を民間企業と共同で開発いたしました。
 この新技術の開発による効果として、車両の改修が不要となり、経費の縮減が見込めるとともに、早期のホームドア整備に寄与するものと考えてございます。

○加藤委員 多くの事業者と相互直通運転を実施している浅草線ならではの課題について、新技術の開発により解決策を見出したことを評価いたします。
 そして、この技術については、浅草線のホームドア整備において有用なものとの説明でありますが、それでは、この実用化に向けた現状と今後の予定について伺います。

○奥津車両電気部長 本技術につきましては、平成二十七年度より、段階的な試験、検証を行いながら技術開発を行ってまいりました。
 平成二十九年八月には、夜間試運転において、駅にホームドアを一時的に設置し、先ほどのQRコードを用いまして、車両のドアとホームドアとが確実に連動することを確認いたしました。
 また、今月、平成二十九年十一月から二カ月間程度、浅草線大門駅にホームドアを一台設置し、営業列車を用いた動作検証を行う予定でございます。
 今後、こうした検証結果を踏まえまして、この技術を実用化するとともに、輸送面などの課題解決を図りながら、全駅へのホームドア整備に向けて積極的に取り組んでまいります。
 なお、この技術については、他の鉄道事業者にも広く紹介するなど、ホームドアの整備促進にも貢献してまいります。

○加藤委員 全駅へのホームドア整備に向けて積極的に取り組むとの答弁があり、早期具現化を期待しております。本日提出の資料にも、ホームドア設置状況と転落件数がありますけれども、これを見れば、ホームドアがあるかないかで一目瞭然というふうに明確にわかりますので、よろしくお願いをいたします。
 また、浅草線がかかわる押上駅は、これ都営ではなくて京成線の所管と、先ほどもありましたけれども、非常に誤解を与えておりまして、都営とよく間違えられるんです。この押上はスカイツリーのお膝元の駅でもあります。残念ながら、乗降客が多いにもかかわらず、ホームは狭く、いつ転落事故が起きるか心配でなりません。京成電鉄に任せきりではなくて、都としてもぜひ応援してもらいたいと要望いたします。
 ホームドアの整備に当たっては、新技術の導入でドアの連動の課題は解決すると思いますが、車両を決められた位置に停止させる技術、これも必要であります。こうしたことも含めまして、ホームドアの開閉などにより各駅での停車時間が延びてしまうなど、輸送力の影響などの課題があるとも聞いております。この技術の実用化を図るとともに、さまざまな課題を一つずつ着実に解決し、早期の浅草線ホームドア全駅整備につなげていくことを期待いたします。
 次に、浅草線の新型車両導入について伺います。
 外国人観光客の利用も多い浅草線においては、ホームドアの設置など安全性の向上に加え、車両の魅力向上も重要となります。現在、浅草線は車両更新に向けて準備を行っているとのことでありますが、浅草線における新型車両の特徴と運用開始時期について伺います。

○野崎技術調整担当部長 浅草線では、現在使用しております車両全二十七編成につきまして、平成三十三年度までに新型車両に順次更新する予定でございます。この新型車両は、羽田、成田の両空港を結ぶ浅草線の特徴を生かし、東京と世界を結ぶ地下鉄というトータルコンセプトに基づき製作したものでございます。
 デザイン面では、日本らしさとスピード感をテーマとし、外観につきましては、歌舞伎をイメージした、りりしく躍動感のあるものとしております。また、内装では、江戸小紋を用いた寄せ小紋や東京の伝統工芸品である江戸切り子調のデザインを採用し、和の落ちつきをイメージしたものとなっております。
 設備面では、これまで車椅子スペースを一編成につき二両に設置しておりましたが、残りの車両全てにベビーカーなどにも配慮したフリースペースを新設しております。このほか、優先席に設置するつり手や荷棚を低くし、多言語対応の液晶モニターを設置するなど、快適で魅力的な人に優しい車両としております。
 新型車両の最初の一編成につきましては、現在、馬込車両検修場において試験、調整を進めており、平成三十年の春に運用を開始する予定でございます。

○加藤委員 私も、地元から都庁に来るときに利用することもありますので、来春からこの新型車両にめぐり会えるかもしれないということで非常に楽しみにしております。
 次に、自動車事業について伺います。
 交通局は、経営計画二〇一六において、上屋の設置について取り組んでおります。広告つきバス停留所上屋については、雨や日差しを遮るなど、バス停の環境改善に効果が大きいと思います。広告を掲示することで、バス停に注目を寄せ、また、広告料収入にもつながることから、積極的に進めていくべきだと考えております。
 そこで、広告つきバス停留所上屋設置の今年度の進捗状況について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 交通局では、都内の他のバス事業者に先駆けまして、平成十九年度から、デザイン性の高い広告つき上屋を設置いたしまして、広告収入を上屋の整備費用に充てることで都市景観の向上にも寄与する上屋の整備を進めてまいりました。
 広告つき上屋は、さまざまな規制等により設置できる箇所が限られておりましたが、平成二十七年四月に設置条件が緩和されたことから、経営計画二〇一六におきまして、二〇二〇東京大会までに新たに百棟の上屋を整備することといたしました。あわせて、より多くの上屋を整備するため、民間事業者を活用することといたしまして、平成二十八年六月に、上屋の整備等に関する契約を事業協力者と締結いたしました。なお、事業協力者は、二〇二〇年東京大会までに四百棟の整備を目標としております。
 今年度におきまして、十月末現在、交通局では、完成二棟を含む十七棟、事業協力者では、完成十八棟を含む五十一棟、合わせて六十八棟について整備を進めております。

○加藤委員 この交通局分につきましては、二十分の十七ですから、順調に設置が進んでいることがわかりました。これからも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 しかし、民間事業者の方は、二〇二〇年大会までに四百棟なので、今年度五十一棟のペースだとちょっと達成が難しいのではないかと心配をしております。一年に百棟以上を設置しないと間に合わない計算なんですけれども、都にとっては経営面で、都民にとっては利便性の点でメリットがあり、サービス向上とまちのにぎわいにも寄与するものですので、ぜひ交通局がサポートして進めてもらいたいと思います。
 民間がやることですので、役所と同じ感覚ではだめで、スピードが大事だと思います。民間の活力を生かして殺すことのないようにお願いしたいと思います。
 このことは今後、関係する他局に対しても直接申し上げたいというふうに思っております。もし、各種規制でつまずいているようであれば、例えば、道幅の問題など、さらに規制緩和を働きかけていきたいと思いますので、交通局としてもご協力をお願いしたいと思います。
 最後に、環境局は、再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでおり、バス停留所上屋にもソーラーパネル等を設置する事業を推進しています。再生可能エネルギーである太陽光を利用することは、昨今の環境意識の高まりにおいて明確な指針となり、今後も進めていただきたい事業です。
 バス停留所において、ソーラーパネルにより発電された電力は、停留所の照明への利用のほか、他の用途にも活用できます。例えば、携帯端末の充電設備があれば、バスの待ち時間を利用して充電ができ利用者に便利であります。しかし、バス停留所は道路上の施設であり、充電設備を自由に設置できるのかどうかという点があるかもしれません。
 そこで、バス停留所への携帯電話の充電設備設置に向けた課題について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 バス停留所への携帯電話の充電設備の設置につきましては、ソーラーパネルつき上屋の整備とあわせまして検討しているところでございますが、充電のために長時間バス停留所にとどまる人により、歩行者の通行やバスをご利用されるお客様の乗りおりの妨げになることが懸念されております。
 こうしたことから、まずは駅前広場等、比較的歩道幅員が広い箇所の停留所に試験的に設置いたしまして、利用実態や通行への支障の有無等について検証してまいります。

○加藤委員 今、充電のために長時間バス停にとどまって、歩行者やバス利用者の妨げの懸念があるという答弁がありましたけれども、とどまるのは充電をしているその人と、それを待つためのせいぜい一人だと私は考えております。それはなぜかというと、私の感覚では、恐らく一人が充電していれば待たないんじゃないかと、このように思っているんです。
 それはなぜかというと、皆さんもスマホを持っていてわかると思うんですが、充電するのにどれぐらい時間がかかるかということなんです。また仮に、充電容量がなくなってゼロで、そこからどれぐらい満充電になるのに時間がかかるかと。一〇〇%にするには大体一時間以上かかるんです。そうすると、恐らく一時間もかけて、ずっとそこで充電するということは考えられないと。だから、よく知っている人は、充電をするという人はそこら辺をよく知っていますので、先に充電をしている人がいれば、いつ終わるかわからないので、多分、諦めて並ばないと思うんです。そうした意味で、非常に時間がかかります。だから通常時は、充電をしていたら、ほかの手段を考える、そういうふうに私は思うんです。
 ただ、災害時は、充電できる場所が限られますから、並ぶということは当然考えられると思います。だから、ほかに手段が限られるので、そのときは並んでもしようがないんじゃないかと、非常時ですから、そういうふうに思います。したがって、滞留するということは余り考えられないのではないかと私は考えております。
 都議会公明党としては、若者の声に応えるため、今回の都議選の重点政策に、モバイル端末の充電スポットの設置を推進というのを掲げました。
 充電スポットはバス停だけにこだわる必要はありませんけれども、民間事業者がみずからの資金で、電気代も含め、民間設置のバス停に充電設備を設置してもいいと、協力するというお話を伺っておりますので、これは利用した方がいいんじゃないかと、このように思っております。
 したがって、早期に実証実験を開始し、サービス向上に向けてぜひ取り組んでもらいたいと要望をしまして、質問を終わります。

○斉藤委員 私からは、足立区に走っています日暮里・舎人ライナーについて伺います。
 先日、十月二十七日付で車両増備についてプレスリリースがあり、全席をロングシートにして輸送力をアップさせた新型車両を二編成増備して、二〇二〇年の春に運行開始予定とのことが発表されました。
 日暮里・舎人ライナーは、現在、一日八万人以上が利用し、特に朝のラッシュ時は一八八%の乗車率と、その混雑率は都内でも最も高い状況になっています。私もここ数日、一番混雑が激しいといわれている朝の七時二十分から八時二十分の間に、日暮里・舎人ライナーに乗って都庁まで来ていますが、動けるすき間もなく、押されたままの状態で動けないという、そういう状況で、日暮里駅に近づくほど乗り込めない人の姿というのも見かけます。
 この状況に対して、交通局はこれまでも混雑緩和のための取り組みをしてきたと思いますが、まずはその内容について伺います。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーにおける混雑対策といたしまして、平成二十一年度及び二十三年度に各二編成、平成二十七年度及び本年度に、全席をロングシートとして車内空間を広げた新型車両を各一編成増備するとともに、朝ラッシュ時間帯に増発を行うなど、適宜ダイヤを改正し、輸送力の強化を図ってまいりました。
 また、開業当初から運行してきた車両につきましても、平成二十三年度及び二十五年度に、座席の一部をクロスシートからロングシートに改修するなど、車内レイアウトを改善いたしました。
 さらに、平成二十五年度から、IC乗車券を活用して朝ラッシュ時間帯を避けたオフピーク通勤を促進するためのキャンペーンを実施するなど、ハード、ソフト両面で混雑対策に取り組んでまいりました。

○斉藤委員 開業当初は十二編成でスタートしましたが、それから増備を続けて、現在は十八編成、さらに今回の増備で三年後の春には二十編成になるということです。
 旧車両の座席の改修やダイヤ改正、オフピーク通勤の促進など、さまざまな対策をとってきたということがわかりましたが、それでも現在のピーク時の乗車率が一八八%という点では、依然として厳しい状況が続いているということだと思います。
 そこで伺いますが、開業当初の一日の乗車人数はどのくらいの見込みだったんでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日暮里・舎人ライナーの乗車人員につきましては、開業当初は一日当たり約五万一千人、その後は約七万人程度になると見込んでおりました。

○斉藤委員 開業当初は五万一千人、その後数年で七万人になるという見込みをしていたということですが、今、実際には八万人の利用者になっています。交通局の当初の見込みを上回る一日八万人の利用者になっている要因について、どのように分析しているのでしょうか。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーの一日平均乗車人員は、開業以降、毎年増加し、委員のお話のとおり平成二十八年度には一日約八万人となっております。この間、地域の足として定着するとともに、沿線でマンションなどの建設が進み、通勤通学での利用がふえたことが乗客数増加の大きな要因と考えております。

○斉藤委員 今ご答弁にありました沿線でのマンションなどの建設が進んだということは、私もこの混雑率が上がっている大きな要因だと思っています。この沿線では、ライナーの開業の影響もあって、マンションの建設や宅地開発が進んでいます。
 私は、この沿線の地域、舎人や江北、谷在家、入谷、古千谷において、日暮里・舎人ライナーの開業の二〇〇八年から二〇一七年一月までの人口増加について、足立区が発表している人口統計から調べてみました。この九年間、これらの町内だけで人口が五千人近くふえている状況です。さらに、利用客は、今いった地域外からもありますので、そこも含めると沿線の人口増加はこれにとどまりません。一編成の定員が二百四十五人ということを考えれば、本当にこの人口増加の影響は大きいのではないかというふうに思われます。
 こうした中で、厳しい混雑状況が続いているのだと思いますが、足立区でもこの状況は大きな課題として、交通局と連携しながら取り組みをしているところだと思います。
 そんな中ですが、その足立区の区議会から、ことしの三月二十八日に、日暮里・舎人ライナーの輸送サービスの改善を求める意見書が全会一致で都知事宛てに上げられました。
 今の五両編成を六両、七両編成に増結できないかということと、そして、土曜日、休日の最終列車の発車時刻を平日と同様に繰り下げてほしいという内容ですが、交通局では、どのような検討結果になったのでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日暮里・舎人ライナーは、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、混雑緩和を図るため、順次車両を増備し、輸送力増強に努めてきたところでございます。
 一方、日暮里・舎人ライナーは、五両編成を前提に車庫や駅施設を建設しており、車両を六両や七両編成に増結することは物理的に困難でございます。
 また、土休日の終電の繰り下げについては、日暮里・舎人ライナーでは、安全運行に欠かせない保守作業の多くを終電から始発までの短い時間帯に行っておりまして、保守作業の時間をこれ以上短くすることは困難であることから、終電の繰り下げは極めて厳しいと考えております。

○斉藤委員 車両を長くするということは物理的に難しいということ、また、保守作業の時間を保障するためにも、土曜日、休日の終電を延ばすということも困難だということでした。
 しかし、こうした意見書が足立区議会からも上げられるというその背景には、切実な状況があるということを再度認識していただきたいと思います。
 先ほど、私も、ライナーに乗って通勤してきたといいましたけれども、日暮里・舎人ライナーは車体が小さくて、乗車率一八八%というのは非常に圧迫感があって、ほかの電車の同じ乗車率よりも息苦しく感じるような状況です。
 今後も設備投資を計画的に行えるように、また、できる限りの対策を実行できるように工夫をしていただきたいと思います。そのためにも、これからの改善策や計画をどのように立てていくのかがとても重要だと思います。
 今回、新たに新車両が二編成増備されるに当たっての知事の記者会見では、この対策によって、現在の一八八%の乗車率が一〇%程度緩和されるとのことでした。この計算には、足立区の人口推計は反映されているのでしょうか。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、混雑緩和を図るため、新たに二編成の車両を増備し、平成三十二年の春に朝ラッシュ時間帯の運行本数をふやすこととしております。
 お話の混雑率低減の見込みにつきましては、平成二十八年度に調査した輸送人員を基礎に算出したものでございまして、足立区の人口推計などは反映しておりません。

○斉藤委員 沿線の人口推計については反映していないというお答えでした。
 今回、増備が決まった二編成が導入されるのは約三年後の二〇二〇年の春ということですが、今からその時点までも、この沿線の人口はふえ続けるという推計を足立区は発表しています。今、一八八%のピーク時の乗車率が、三年後にはまたさらに上がっているということも十分に考えられます。
 さらに、足立区では、平成四十一年までの人口推計を出していますが、その時点まで、少なくとも人口増加は続いていくという見込みになっています。今後の人口推計も見込んで、混雑緩和の対策の計画を立てていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日暮里・舎人ライナーでは、朝ラッシュ時間帯の混雑状況を踏まえた追加の対策として、新たに車両を二編成増備することといたしました。
 今後とも、早起きキャンペーンの実施など、時差ビズとも連携しつつ、まずはこの二編成の増備を平成三十二年春に向けて着実に進めてまいります。

○斉藤委員 取り組みについてのご説明はわかりましたが、人口推計を見込んだ計画を立てるべきではないかという問いに対してはお答えがありませんでした。
 これまでのご説明の中で、交通局が今現状でき得る対策をしてきたということはわかりましたが、先ほどは、沿線のマンションなどの建設が進んだことが利用客の増加の要因と分析しているという答弁がありました。私も全く同感で、沿線の人口増加は、日暮里・舎人ライナーの乗車率に今後も大きく影響してくることだというふうに思います。
 沿線の開発によって、最初の利用客の見込みよりも多くの利用客になっているということを認識されているのであれば、この人口推計、今後の計画に反映していくということに対してお答えがないのはちょっと不思議な感じなんですが、もう一度質問させていただきます。この混雑緩和対策の計画の中で、人口推計、本当に検討していくという方向はないのでしょうか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日暮里・舎人ライナーにつきましては、今回の二編成増備に加え、さらなる車両の増備を行うためには大規模な投資が必要となります。
 日暮里・舎人ライナーの経営状況は、混雑対策として、車両の増備や当初の計画では予定をしていなかった全編成の車両レイアウトの改善などの追加投資を行ってきたことから、経常収支はいまだ赤字基調が続いております。
 混雑対策のさらなる投資につきましては、まずは今回の二両編成増備の効果を見きわめた上で、経営状況を踏まえつつ慎重に検討すべきものと認識しております。

○斉藤委員 先ほど、とや委員の質疑の中でもありましたが、来年度は、経営計画二〇一六の見直しがあるという答弁がありました。
 今のご答弁の中で、収支の問題もありますが、やはり利用客がふえるということで、収益も上がってきているという状況もあります。こうした収益をふやしていくような取り組みと同時に、また、公共交通というその使命を担っている交通局で、やはりこの沿線の皆さんの生活の向上のため、しっかりとこの混雑緩和対策、計画的に進められるように、人口推計も捉えながら対策をしていただきたいということを強く要望いたします。
 最後に、駅の係員や警備員の配置やその巡回の体制についてお伺いします。
 日暮里・舎人ライナーでは、日暮里と西日暮里駅以外では、平日の朝七時から九時以外の時間帯は警備員や駅員さんがいない無人状態になります。このことで、何かあったときはどうなるのかと心配する声が地元の方々から聞かれます。
 駅が無人になる時間帯で、急病人の発生や乗客同士のトラブルが起きたときなどの対応は、どのようになるのでしょうか。

○相川電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、係員や警備員が各駅を巡回するとともに、指令所から防犯カメラの映像を確認することにより駅構内の状況を把握しております。係員が常駐していない駅で、急病人の発生など緊急時において車内やホーム等に設置しているインターホンからの通報があった場合などには、指令所の指示により巡回中の係員が急行し、お客様の対応を行うこととしております。

○斉藤委員 警備員の配置や巡回の体制についてご説明いただきました。住民目線からの素朴な心配事として、何かあって呼び出しをしたときに駆けつけていただくのにどれぐらいの時間がかかるのだろうかというのがあります。
 例えば、巡回している方がどこでも五分で駆けつけられるという、そういう体制を明確化して巡回やその配置、この強化をしてもらえるように要望をしたいと思います。これで質問を終わりにいたします。

○清水委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○清水委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。

○清水委員長 これより下水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 さきの委員会で要求のございました資料六項目につきましてご説明申し上げます。お手元の公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 平成六年度から二十八年度までの設置個数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。
 平成二十年度から二十九年度までの浸水棟数をお示ししてございます。二十九年度については十月一日時点までの集計でございます。
 三ページをお開き願います。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
 項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十七年度、二十八年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
 区部におけるマンホールの総数と緊急輸送道路等における浮上抑制対策の計画及び平成二十年度から二十八年度までの実績の推移をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移でございます。区部における平成十二年度から二十八年度までの実績の推移及び計画をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。下水道工事請負契約における一者入札及び落札率九九%以上の契約件数並びに不調件数の推移でございます。平成二十四年度から二十八年度までのそれぞれの件数をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○清水委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 それではよろしくお願いいたします。私の方からは、浸水対策と下水道管の老朽化対策の二点についてご質疑をお願いしたいと思います。
 まずは、浸水対策について質問いたします。
 大雨や熱波、水不足、大気汚染といった気候変動は、日本だけでなく、世界でも重要な課題となっております。先月末には、この課題に対応するため、世界大都市気候先導グループ、C40運営委員会が開催されました。この会議は、気候変動の要因の一つであります温室効果ガスに対し世界の都市が連携して削減に取り組むことを目的としたものでございます。
 IPCC第五次評価報告書では、二十一世紀末の平均気温は、温室効果ガスの排出量が最も多い最悪のシナリオの場合には、一九八六年から二〇〇五年の平均に対し、最大四・八度C上昇すると報告されているとのことであります。
 気象庁気象研究所は、先月、今世紀末の平均気温が現在より三度上昇した場合、日本列島の南海上からメキシコ沖にかけて帯状に伸びる海域では猛烈な台風の発生数と通過数がふえるとの予測を発表いたしました。
 これらのリスクを少しでも減らすため、世界の大都市が協力して温室効果ガスの削減に取り組むことは大変重要である、世界一の都市を目指す東京が世界をリードしていかなければならない、私はそう考えております。
 一方で、異常気象が進行している現在におきまして、猛烈な台風が襲ってきても、被害を最小にするための豪雨対策は待ったなしということができます。
 昨今、ゲリラ豪雨といわれるものも大変頻発しているところでございます。命を守る、頼れる東京を基本政策に掲げ、災害対策の強化を推進しております私ども都民ファーストの会といたしましても、セーフシティーの実現に向けまして、都民の生命と財産を守る浸水対策を強力に推進していくべきであると考えているところであります。
 下水道局では、平成二十五年の豪雨による浸水被害を踏まえて策定された豪雨対策下水道緊急プランに基づきまして、浸水対策の充実強化を図っていると聞いております。
 そこでお伺いいたします。四年前に豪雨対策下水道緊急プランを策定し取り組みを推進していることと思いますが、改めてこのプラン策定の意義についてご所見をお聞かせいただきたいと思います。

○中島計画調整部長 豪雨対策下水道緊急プランの意義についてでございますが、近年の雨の降り方が従前と異なることや、区部において豪雨による甚大な浸水被害が生じたことを踏まえまして、雨水整備水準の引き上げなどを含め、より効果的に浸水被害を軽減するため、新たな視点から平成二十五年十二月に策定いたしました。
 本プランでは、新たな幹線の整備や既存の貯留施設の活用などを図り、時間五十ミリを超える降雨に対しましても被害を軽減することとしております。また、従前から進めてきた地下街に加えまして、市街地においても、時間七十五ミリ降雨への対策に初めて踏み出すなど、雨水整備水準のレベルアップを図る対策を盛り込んでおります。

○本橋委員 今のお話のように、近年の豪雨発生状況では、このプランで盛り込んだ雨水整備水準のレベルアップ、そして事業の着実な推進は当然重要であると思うところであります。
 そこでお伺いいたします。今、言及されました七十五ミリ降雨対策地区の進捗状況についてお聞かせいただきたいと思います。

○中島計画調整部長 時間七十五ミリ降雨対策といたしまして、地下街対策九地区と市街地対策四地区を選定し、増強幹線や貯留管などの整備を重点的に推進しております。地下街対策地区は、既に渋谷駅西口地区など四地区で事業が完了しております。
 現在、残る五地区で事業中でありまして、二〇二〇年大会前の平成三十一年度末までに、新橋・汐留駅など二地区を完了させる予定でございます。
 市街地対策地区は、今年度、目黒区八雲、世田谷区深沢地区で着手したことで、全ての地区で事業中であります。市街地対策地区については、二〇二〇年大会に向けまして一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、平成三十一年度末までに効果を発揮させてまいります。
 引き続き、全事業の一日も早い完了に向け浸水対策を強力に推進してまいります。

○本橋委員 ありがとうございます。そこで恐縮ですけれども、複数ある市街地対策地区のうち、例えば、私の地元の豊島区の南大塚を取り上げてみたいと思うところであります。
 千川幹線流域における具体的な整備内容としては、既設の千川幹線や第二千川幹線の排水能力を増強する幹線を既設幹線沿いに新設すると聞いておりますけれども、実際に被害に遭った地域住民の方々のお気持ちを察しますと、一日も早い整備を待ち望んでいることはいうまでもありません。
 そこでお伺いいたしますが、この千川増強幹線事業の現時点での進捗状況について、所見をお聞かせいただきたいと思います。

○佐々木建設部長 豊島区の南大塚周辺では、平成二十五年八月二十一日に発生した既存の幹線の雨水排除能力を上回る集中豪雨により、主に幹線沿いの低地で浸水被害が発生いたしました。
 このため、この地区を時間七十五ミリ降雨対策を行う地区に位置づけ、千川増強幹線を整備しております。立て坑用地の確保が難航したため、工事の着手までに時間を要しましたが、本年三月に本体工事に着手しております。現在は、立て坑築造に必要な地盤改良工事や土どめ壁の施工を行っております。
 なお、増強幹線の整備には時間を要することから、即効性のある対策として小規模なバイパス管などを先行して整備し、平成二十六年度に完成させました。これにより大雨時の水の流れを変え、浸水被害が頻発している箇所における被害を軽減させる取り組みを行いました。

○本橋委員 今のご説明から立て坑用地の確保に時間を要したとのことでありますけれども、まずは、小規模なバイパス管の整備による即効的な対策により浸水被害を軽減させ、次に増強幹線の整備による抜本的な対策という段階的な整備によりまして、一歩一歩着実に取り組みが進められていることがわかりました、よく理解できました。引き続きご尽力願いたいと思うところであります。
 そこで、さらにお伺いさせていただきますと、千川増強幹線工事を円滑に進めるための取り組み、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

○佐々木建設部長 千川増強幹線は、区立宮仲公園を主要な作業基地として検討していましたが、使用が長期間にわたり、全面的に公園が使用できなくなることについてお客様から多くのご意見をいただきました。
 そこで、お客様のご意見を丁寧に聞き、主要な作業基地を区立上池袋東公園に変更するとともに、宮仲公園については、既設幹線から雨水を取水するマンホールの築造のみの計画に見直しました。
 その結果、宮仲公園の使用面積は約半分に縮小し、使用期間も約四年から約二年に短縮したことにより、お客様のご理解を得ることができました。
 今後とも、工事の進捗状況に合わせて、きめ細やかに作業内容を説明するとともに、工事を安全に行いながら、一日も早い工事完了に向けて取り組んでまいります。

○本橋委員 地元住民の理解から始まって、こうした大規模な工事にはさまざまな課題があると思います。ぜひとも早期完成に向けて着実に取り組んでいただきたいと切に願うところであります。
 さて、次ですが、浸水棟数が少なくその被害が比較的小規模ではあるものの、近年の集中豪雨で繰り返し被害が発生している箇所があります。こうしてお話しすると、もう大抵、議員さんなんかは、特に地元のあそこ、きょうのこの雨で大丈夫かなという形ですぐ連想されるかと思うんですけれども、このような地域の特性としましては、発生箇所が点在していることもあり、先ほど述べました増強幹線事業のように大規模な施設整備による改善は難しいと思われます。
 被災者の立場になって考えてみますと、台風や大雨のたびに不安や心配に襲われる現状については早期に改善する必要があると考えております。区部におきましては、区道上の雨水ますの管理は各区が行っており、そことの連携が必要であることはいうまでもありません。
 そこでお伺いいたしますが、比較的小規模な浸水被害のケースで有効となる対策と今後の整備方針についてお聞かせいただきたいと思います。

○中島計画調整部長 豪雨対策下水道緊急プランにおきましては、被害が比較的小さい地域を小規模緊急対策地区として六地区を定め、区などと連携し、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどを実施しております。このうち、雨水ますの増設やグレーチングぶたの取りかえなどにつきましては、平成二十六年七月までに全て完了しております。
 こうした対策のみでは不十分な地区につきましては、流出解析シミュレーションにより、バイパス管の設置など必要な対策を実施しており、本年九月までに全ての地区での対策を完了いたしました。

○本橋委員 浸水対策を進める上で、区など道路管理者と連携した雨水ますの増設など、被害要因や現場状況に応じた短期的な対策も極めて重要であります。きめ細かな作業で大変だとは思いますが、浸水被害の低減には効果があると思いますので、引き続き頑張ってほしいと思います。
 また、これまでの質疑における幹線の整備のような長期的対策と小規模緊急対策地区のような短期的対策だけでなく、土のうの日常的保管や緊急時の設置など、自助の取り組みも欠かすことはできないと思うところであります。
 そこでお尋ねいたします。下水道局では、自助を支援するソフト対策として、これまでも降雨情報システムである東京アメッシュを配信しておりますが、この取り組みについて、お話をお聞かせください。

○池田施設管理部長 下水道局では、気象情報を迅速に把握し、ポンプの運転管理に活用することを目的として、降雨情報システムを昭和六十三年六月に導入し、平成十四年度からは、東京アメッシュとして降雨情報をインターネットで配信しております。その後、設備耐用年数が経過し老朽化したことに加え、観測精度の一層の向上を図るため、最新式レーダーの導入とシステムの再構築を平成二十七年度に完了いたしました。
 昨年度からは、新しいシステムにより、都内ほぼ全域で表示メッシュを五百メートルから百五十メートルにするとともに、降雨強度表示を八段階から十段階に細分化し、これまで観測できなかった降り始めのわずかな雨も表示することが可能となり、より精度の高い降雨情報の提供を開始し、昨年度は約五千百万件ものアクセスがございました。
 加えて、今年度からは、GPS機能による現在地表示や希望する二地点の登録が可能なスマートフォン版の配信も開始しております。その結果、今年度上半期のアクセス数は、昨年度の上半期に比べて約一・二倍に増加しております。

○本橋委員 すごい何か進化ぶりと、都民の皆さんにとっては非常に強い味方があるななんて、そんな感想を今持ったところです。
 また、総務省が平成二十九年六月に公表した情報通信白書によりますと、スマートフォンの個人保有率は五割を超えているということであります。外出先からでも手軽にGPS機能により降雨情報を得ることができるようになったことは、東京アメッシュの利便性をさらに高めたものと評価することができます。
 ソフト面でもさまざまな対策が行われており、大変心強い限りであります。引き続きソフト対策の充実に頑張っていただきたいと思うところでございます。
 それでは、次に移らせていただきたいと思います。
 下水道管の老朽化対策について質問させていただきます。
 大変地味なテーマでございますけれども、意外と私は区議時代から橋梁とか施設の修繕というのに関心がありまして、ちょっとこの辺もおつき合いいただければありがたいと思います。
 昨年の十一月に発生した博多駅前の陥没事故は、直接見ることができない路面下における地下鉄工事の影響によりまして、突然道路が崩壊するという大惨事寸前の出来事でございました、記憶に新しいことかと思うんですけれども。
 こうした地下鉄工事とは別に、下水道管が原因の陥没事故が全国で年間約三千三百件も発生していると、テレビ等メディアで大々的に取り上げられたところであります。ある番組では、車両が道路に埋まる映像や実際に被害に遭った男性のインタビューなどが流され、改めて老朽管改修の必要性を実感させられたところであります。
 これまで都内には、第一期に整備された都心四処理区の面積の約四割に当たる地域で再構築を完了しておりますが、法定耐用年数五十年を超えた下水道管の延長は、既に約一千八百キロメートルに達し、今後二十年間で約八千九百キロメートルの下水道管が法定耐用年数を超えるというように、急速に下水道管の老朽化が進む見込みと聞いております。
 下水道管の老朽化による影響は陥没のみならず、排水機能の低下を招き、浸水被害の一因となっている可能性も考えられるところであります。東京都下水道局は、今後の取り組みとして、急速に進む老朽化に対し、再構築の整備ペースを約二倍にアップしますと、ホームページ上で公表しているところであります。
 そこでお伺いいたしますが、下水道管の再構築における現時点での進捗状況と、今後の整備スケジュールについてお聞かせいただきたいと思います。

○中島計画調整部長 区部の下水道は、高度経済成長期以降、集中的に整備してきたことから、副委員長ご指摘のとおり、対策を行わなければ法定耐用年数の五十年を超える下水道管が二十年後には約八千九百キロメートルに増加する見込みでございます。下水道局では、下水道管の劣化状況を調査、評価し、適切に維持管理することで、ライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメント手法を活用いたしまして、経済的な耐用年数となる八十年程度まで延命化を図っております。
 昨年度からは、国道及び都道下にある下水道管につきまして、劣化状況の調査を重点化するとともに、これまで以上に調査頻度を高め、調査延長を約二割アップさせ、予防保全型管理を強化しております。
 また、中長期的な事業の平準化を図るため、区部を下水道管の整備年代により三つのエリアに分け、最も古い都心部の第一期再構築エリア約一万六千三百ヘクタールについて、平成七年度から優先的に再構築を進めてきております。第一期再構築エリアにおきましては、平成二十八年度末までに累計で七千二百五十八ヘクタールの再構築が完了しており、平成四十一年度末までの完了を目指してまいります。

○本橋委員 お話のように、下水道管の再構築を計画的に推進しているとのことでありますが、中でも下水道幹線は規模が大きいため、老朽化による破損が発生するようなことがありますれば、甚大な道路陥没の原因となるなど、深刻な社会的影響を及ぼすものと考えられます。
 そこでまたお伺いいたしますが、下水道幹線の再構築における現時点での事業の進捗状況と今後の整備スケジュールについてお聞かせいただきたいと思います。

○中島計画調整部長 下水道幹線の再構築につきましては、区部全域にある約千百キロメートルの幹線の中から、経過年数や健全度などにより再構築を実施する対象を選定しております。
 具体的には、昭和三十年代以前に建設した整備年代の古い四十七幹線や、調査に基づき対策が必要と判明した三十七幹線など約三百キロメートルを対象として優先的に整備を進めております。
 施工に当たりましては、道路を掘削せず、比較的短い工期で、かつ低コストで既設下水道管をリニューアルすることができる更生工法を主に活用し、効率的に再構築を実施しております。平成二十八年度末までに約六十五キロメートルの再構築が完了しており、今後は、経営計画二〇一六の最終年度である平成三十二年度末までに、累計で九十六キロメートルの再構築を完了させる予定でございます。

○本橋委員 ぜひ予定どおりに、粛々と事業を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 また、道路陥没を未然に防ぐためには、陥没を引き起こす路面下の空洞を事前に発見することが重要になってまいります。そのため、近年、路面下空洞調査を実施する道路管理者がふえていると伺っております。
 そこでお伺いいたしますが、道路管理者による調査で、空洞が確認された箇所のすぐ近くに下水道管があった場合の対応や道路管理者との連携について、お話をお聞かせください。

○池田施設管理部長 国道や都道などの管理者は、道路下の空洞調査を実施しており、下水道局も埋設物管理者として、道路管理者と連携して必要な対策を実施しております。
 具体的には、下水道管の周辺で空洞が発見された際には、道路管理者から連絡を受け、当局が直ちに現場を調査し、その空洞が下水道管に起因している場合には、速やかに下水道管を補修するとともに空洞の埋め戻しなどの対応を実施しております。このほか、当局独自の調査として、下水道管の状況を把握するため、テレビカメラや目視により下水道管の内側から管路内調査を実施しており、平成二十八年度は約八百六十キロメートルを調査いたしました。
 今後も、道路管理者とお互いに調査に関する情報をより一層密に交換するなど、連携を強化し道路陥没対策に積極的に取り組んでまいります。

○本橋委員 下水道は、大都市東京を地下から支え、安全で快適な都民生活をバックアップするための大変重要な都市基盤であります。浸水対策においては、基幹施設の一層の増強、また老朽化対策では、下水道管の再構築の推進を強くお願いいたします。
 以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○中山委員 私からは、土づくりの里、そして豪雨災害対策について何点か質問いたします。
 まず、足立区中川の中川建設発生土改良プラント、いわゆる土づくりの里についてであります。
 九月十日に足立区で発生した下水道局の三次処理水の配管と水道給水管とを違法に接続し、三次処理下水が水道に混入した事故に関しまして、これまで下水道局は、水道局とともに事故の内容や原因などについて地元の自治会に説明を行ってきました。先々週の十月二十六日には、三回目の住民説明会を開いたと聞いております。私もその際の資料を後で入手し、拝見いたしました。
 初めに、十月二十六日の地元説明会では、地域の方々からどのような意見や要望があったのかお伺いいたします。

○佐々木建設部長 自治会の主催により、大谷田東自治会館において開催されました住民説明会には、地元の皆様約四十名が参加されました。
 下水道局関係では、三次処理水の製造方法や色、水質に加え健康診断の受診方法について説明した後の質疑応答で、補償に関する要望のほか、再発防止策などについて意見がございました。
 これらに対しましては、今後は個別に対応させていただくとともに、これまで自治会に対して説明してきた内容を報告書として取りまとめ、自治会に提出することとなっております。

○中山委員 地域の皆様の中には、まだ不安を抱えている方も多いと聞いております。補償問題への丁寧な対応など、下水道局は引き続き地域の皆様の不安を解消するよう努めていただきたいと強く要望いたします。
 また、違法接続が発生した給水管を周辺地域の給水管網から切り離すというか、要望も出たとのことであります。水道水が土づくりの里から逆流するといった事態が二度と繰り返されることがないように願う地域住民の強いお気持ちから発したものであると思いますので、適切な対処を私からもお願いするものであります。
 次に、そもそも土づくりの里の事業とは、どんな役割を担うものであるのか、確認する意義も含めてお伺いいたします。
 土づくりの里は、昭和六十三年に操業を開始し、都内区部の下水道工事に伴う掘削土を仮置きし、下水道工事の埋め戻し土に改良して再利用する施設でありますが、改良土は、液状化対策にも効果があると聞いております。地元の方と話をしておりますと、改良した土が液状化にも効果がある点は余りご存じではないように感じます。
 そこで、なぜ改良した土に地盤の液状化を防ぐ効果があるのか、そのメカニズムについて改めてお伺いいたします。

○佐々木建設部長 地下水で満たされた砂質の地盤などは、強い地震動を繰り返し受けると、地下水圧が上昇し、砂粒子と地下水とのバランスが崩れてしまい、砂粒子が自由に動き回れる泥水の状態となり、液状化現象が起こることがあります。
 土づくりの里でつくる埋め戻し土は、石灰をまぜて水分を減らし、粒度を調整しており、これを用いて埋め戻しをした場合、通常の砂の埋め戻しよりも土の締め固めが強くなり、強い揺れを受けても砂粒子が自由に動き回りにくくなるため液状化を防止する効果がございます。

○中山委員 単に掘削土をそのまま埋め戻すのではなく、石灰で水分を減らして砂の粒の大きさをそろえてから埋め戻すと、通常の砂よりもかたく締まった土質となるということであると思います。これはわざわざ一手間かけた作業であり、地味な作業に見えますが、とても重要な工程であると理解します。
 私はかつて東日本大震災が起きた後に、首都圏でも発生した液状化対策の現場を視察するため、市内の約八割が液状化した浦安市の取り組みを調査したことがあります。その際、浦安市の取り組みでは、かたく締め直した土の壁を道路に沿ってくいのように打ち込んで、建物が現存している中で液状化が再発しないような土質に変えるための対策をこれから行うという説明がありました。現存する建物の下の土の性質を改良することは、費用の上でも、手間の上でも、余りにも膨大なものを要し、物理的には困難でありますが、建物周辺の道路部分だけでも液状化しにくい土質に改良すれば、十分に準じた効果を得られるということでありました。
 下水道局の改良土の取り組みも、道路下などに埋められた下水道管周辺の土壌を改良するものであり、浦安市の取り組みと似た効果を持つのではと受けとめるものであります。できれば、今後その効果が都民にもわかりやすく伝わるようにするため、第三者の専門機関などの評価を得て、改めて効果の内容を検証し公表していただくことを要望しておきます。
 これまでの下水道の工事現場では、相当の量の改良土が埋め戻されてきたと思います。今のご説明が確かであれば、都内でも液状化しにくい土地の面積がかなりふえてきたはずであります。
 そこで、これまでの下水道工事において埋め戻しに使用した改良土の量と再構築工事で敷設がえを行った下水道管の延長距離などについてお伺いをいたします。

○佐々木建設部長 中川建設発生土改良プラントで生産された改良土は、再構築工事のほか、シールド工事に使用する立て坑や水再生センター、ポンプ所工事、道路陥没対策として進めている陶器製の取りつけ管の取りかえ工事の際の埋め戻しなどに使用されており、その量は、平成二十八年度で約七万立方メートル、これまでの累計で約三百三十万立方メートルでございます。
 再構築工事において、既設の下水道管を入れかえる場合には、更生工法は適用できず、掘削して下水道管の敷設がえを行った後、埋め戻す必要があり、埋め戻し用の土には改良土を使用しております。平成七年度に再構築事業を開始して以来、下水道管を入れかえた延長は、平成二十八年度末の累計で約四百三十キロメートルでございます。

○中山委員 都内には、液状化の可能性が高い地域が東部地域を中心に、私の地元足立区を初め、多く存在しています。ぜひ改良土による液状化対策を今後とも力強く継続していってもらいたいと思います。
 一方で、土づくりの里での改良土の製造事業は、液状化対策に貢献するだけでなく、都みずからが再利用を図ることにより、処分に係る費用という面においても経済的な効果を得ているのではないかと考えます。
 そこで、処分費用の経済的な効果はどのくらいなのか、お伺いいたします。

○佐々木建設部長 平成二十八年度の下水道工事における一立方メートル当たりのコストを試算し比較しますと、まず、埋め戻し土を使用する場合のコストでございますが、発生土の処分費は約三千八百円、埋め戻し用砂の購入費は約四千円であり、合計七千八百円でございます。
 一方、土づくりの里で製造される改良土の製造コストは約六千二百円であるため、一立方メートル当たり約千六百円のコスト縮減効果となります。工事現場へ搬出された改良土は、年間約七万立方メートルであることから、一年間のコスト縮減効果は約一億一千万円と試算されます。また、本来、埋立処分される発生土を改良土として再生することで、埋立処分場を延命させる効果もございます。

○中山委員 年間で約一億一千万円のコスト縮減ということでありました。既に数十億円に達しているわけであります。当然このほかに、掘削土は本来、産業廃棄物でありますから、その処分先の確保には相当高いハードルが伴います。また、掘削した土を再利用することで自然の山を新たに崩して採取した山砂を使う必要もなくなるわけですから、自然環境の保全にも役立っているものと考えます。
 下水管の再構築や浸水対策の工事など、下水道工事では、今後も掘削土は常に発生し続けてまいるものと思われます。その処理過程において、土づくりの里は、液状化の改善にも役立ち、自然環境を保護し、コストダウンにも貢献するという重要な役割を担う施設ではありますが、地元にとっては頻繁に大型トラックが出入りし、かなり改善されてきたとはいえ、強風時には土ぼこりが舞い、においも伝わってくるという迷惑施設でもあります。
 したがって、土づくりの里が、今後とも大事な社会的使命を果たし続けていけるかどうかは、ひとえに地元自治体、とりわけ周辺住民の皆様の理解が得られるかどうかにかかっています。
 土づくりの里をめぐる問題は、私の前任都議である、故土持正豊都議の時代から取り組んできた問題であり、我が党は、地元住民の皆様のご理解を得ながらも、都民全体の利益を確保するという困難な課題の両立が何とか果たせないものかと、逃げずに真正面から取り組んでまいりました。都内の他の場所への移転や他県への委託などを望む声も残る中、地元大谷田東町会の町会長などを初めとする皆様のご英断により、地元要望の受け入れという条件つきではありますけれども、地元町会の総会をわざわざ開いて検討の受け入れを決められたというのが、いわゆる覆蓋化計画であります。
 これは四ヘクタールもある土づくりの里の上部にふたをして、その覆蓋の上部を高台公園とし、隣接する中川下水処理場建物の上部に広がっている都立中川公園A地区、そして同じく隣接する平地の都立中川公園B地区と一体的な活用を図るというプロジェクトであります。
 そこで、次に、土づくりの里の覆蓋化についてお伺いいたします。
 このプロジェクトにおきましては、覆蓋化そのものは下水道局が担い、覆蓋上部の公園化は建設局が担うというおおよその役割分担ではないかと承知しております。
 私は、本年の第一回都議会定例会の一般質問におきまして、土づくりの里の覆蓋化について質問し、下水道局長から答弁を得たところであります。
 その内容は、現在は、足立区が主体となり設置され、当局もオブザーバーとして参加している中川公園整備検討協議会において、公園となる覆蓋上部の利用方法などについて、地元の要望が取りまとめられているところであり、今後とも要望を踏まえ、建設局、足立区等と連携を図りながら覆蓋の設計に取り組んでいくといったものでありました。
 これまで周辺の自治会及び町会で構成する中川公園整備検討協議会は、地元の要望を取りまとめるため、平成二十七年十一月から延べ七回の協議会を開催し、熱心に議論を重ね、地元の要望を取りまとめ、本年四月に足立区長へ提出したところであります。現在、足立区が地域の皆様のご要望を受けて、区としての要望を改めて整理し直していると聞いております。
 そこで、下水道局は、覆蓋化に向けて、現在どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○中島計画調整部長 下水道局はこれまで、中川公園整備検討協議会の全ての会合に参加し、覆蓋する範囲や覆蓋施設の高さ、事業スケジュールなどについて丁寧に説明を行い意見交換を行ってまいりました。
 現在、足立区が地域の皆様のご要望を踏まえ、区としての要望を整理しているところでございますが、地域の皆様のご要望の中には、覆蓋施設の上部にどの程度の重さをかけられるかといった荷重条件、覆蓋上部へのアクセス位置など基本設計に影響を与える内容も含まれていると聞いております。
 このため、当局は、足立区から下水道局へ要望が届き次第、速やかに基本設計に着手できるよう前提条件の整理を行うなど準備を進めているところでございます。

○中山委員 地元を流れる中川は、先日の台風二十一号におきましても、氾濫危険水位をその上流域で超えまして、中川の地域に避難勧告が出されております。土づくりの里が覆蓋化されることで、中川水再生センターの上部の屋上公園とあわせて、水害に強い約八ヘクタールもの高台公園が出現することになり、事業の実現に対する地元の期待は非常に大きいものがあります。引き続き地元の皆様の声を聞きながら、足立区、建設局と緊密に連携して、土づくりの里の覆蓋化の事業を着実に進めていただきますようお願いいたします。ぜひ早期に計画立案、工事着手が実現できますよう要望しておくものであります。
 最後に、浸水対策について何点かお伺いいたします。
 豪雨水害には、河川からの溢水と内水の氾濫の可能性の二つが、大きくいってあります。内水氾濫は下水道局がその備えを整える役割を担っています。
 平成十九年に策定され、平成二十六年に改定された都の豪雨対策基本方針では、おおむね三十年後を見据え、東京都として都内全域で時間六十ミリの降雨までは浸水を解消することを目標に、河川や下水のハード整備で時間五十ミリの施設整備を推進することとしております。
 そこで、この方針策定時に示されている区部下水道の五十ミリ浸水解消策は六七%でありましたが、現在の状況及び今後の見通し、さらには時間のかかる浸水対策について、どのように効率的に対策を進めているのか、その取り組みについてお伺いをいたします。

○中島計画調整部長 平成二十八年度末の五十ミリ浸水解消率は七〇%でございまして、経営計画の最終年度である平成三十二年度末には七四%を目標としております。下水道局では、浸水対策を効率的に進めるため、東京都豪雨対策基本方針に基づき対策地区を重点化し、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を進めております。
 具体的には、浸水の危険性の高い地域や、繰り返し浸水被害が発生している地域を対策促進地区として二十地区を選定しております。さらに、かつての川を下水道幹線として利用している、浅く埋設された幹線の流域などでは、大雨により幹線内の水位が上昇すると、周辺の地盤の低い箇所に雨水が逆流し、浸水被害が発生しやすいため、重点地区として十五地区を選定しております。

○中山委員 計画策定時から約三ポイント前進したということです。都の予算はたくさんありますけれども、医療や福祉などさまざまなことをやる中で、こうした対策を進めなければなりませんので、毎年遅々とした歩みのように見えますけれども、着実に予算を確保して事業を推進していただく必要がある、その取り組みが非常に大事だということを改めて感ずるものであります。
 私の地元足立区千住地区は対策促進地区に位置づけられておりまして、ポンプ所など基幹的な施設の整備が進められています。
 そこで、千住地区における現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○佐々木建設部長 足立区千住地区では、基幹的な施設である千住関屋ポンプ所と隅田川幹線の整備を推進しております。
 千住関屋ポンプ所は、既存の千住ポンプ所など二カ所のポンプ所とあわせて流域全体の雨水排除能力の増強を図るもので、平成二十一年度に工事に着手し、現在は、地下構造物の築造を行っております。
 また、隅田川幹線は延長約三千四百メートルのうち、現在、約三千百メートルが完成しております。いずれの工事も大深度でかつ軟弱な地盤での工事であるため、難易度が高く慎重な施工を求められております。
 このため、千住地区については、経営計画二〇一六の最終年度である平成三十二年度以降も事業を継続いたしますが、今後も、地元の皆様のご理解をいただきながら、早期の完成に向けて鋭意工事を進めてまいります。

○中山委員 今後も早期完成に向けまして鋭意取り組んでいただきたいと思います。
 足立区を含む東部地域は地盤が低い地域でありまして、浸水に対するリスクが高く、集中豪雨や台風時期など住民の方々は常に不安を抱いております。今回、確認した時間五十ミリ降雨対策はもちろんのことでありますが、整備水準をさらにレベルアップした、時間七十五ミリ降雨対策や目標を超える降雨に対しても、ぜひとも東部低地帯全体の浸水リスク、そして都内各所には、くぼ地になっていて雨水が集まりやすい、そうした場所もたくさんございますので、そうした場所の浸水リスクの軽減に向けて対策を積極的に進め、都民の生命と財産を守っていただくことを要望し、質問を終わります。

○清水委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時二十分休憩

   午後六時五十分開議

○清水委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○三宅委員 浸水対策について質問をいたします。
 本年は、かつて経験したことがなかったような台風が相次いで日本列島を襲いました。七月に発生した台風は、過去最多タイの八個を記録し、さらに九月には史上初めて九州、四国、本州、北海道の全てに上陸した台風十八号が発生し、日本各地に甚大な人的被害、物的被害をもたらしました。
 その被害の傷を癒やす間もなく、先月には伊勢湾台風並みの強い勢力を持った台風二十一号が本州に上陸し、和歌山県の新宮市では二日間の雨量が観測史上最大となる八百八十八・五ミリに達するなど、近畿地方や東海地方で記録的な大雨となりました。一連の台風によって東京で大規模な被害が発生したという報道はされておりませんが、全国各地に甚大な被害をもたらしたような豪雨が、いつ首都東京で発生してもおかしくない状況だと思います。以前に比べて雨の降り方は明らかに変わってきており、東京においても浸水に対する備えを万全にしていかなければなりません。
 我が会派は、第一回都議会定例会の代表質問で、下水道における時間七十五ミリ降雨対策について質問しましたが、その際に、地下街だけではなく市街地においても時間七十五ミリ降雨へ雨水整備水準のレベルアップを図っているとの答弁がありました。時間七十五ミリ降雨対策では、新たな幹線などを整備するため、費用も時間もかかると聞いております。
 そこで、時間七十五ミリ降雨対策では、どのような地域を対象に、どのような工夫をして進めているのか伺います。

○中島計画調整部長 下水道局におきましては、一度浸水すると人命にかかわる重大な被害が発生し、地下鉄などの都市機能への影響も大きい大規模地下街や、平成二十五年の局地的な集中豪雨などにより甚大な被害が発生している市街地に重点化して、整備水準を時間七十五ミリ降雨対応へレベルアップし、事業を推進しております。
 七十五ミリ施設整備に当たりましては、地形や既存施設の能力をきめ細かに再現できる流出解析シミュレーションにより、下水道幹線や調整池など、これまで整備してきた施設能力を適正に評価した上で、時間七十五ミリ降雨に対応する新たな対策幹線などの整備を推進しております。
 引き続き、事業の一日も早い完了に向け浸水対策を強力に推進してまいります。

○三宅委員 既存のストックを活用しながら対策を講ずるべき地区を重点化して効率的に整備を進めているとのことでしたので、今後も工夫を凝らして事業を着実に進めてほしいと思います。
 現在、下水道局では、七十五ミリ施設整備地区として、世田谷区内で二つの地区を市街地対策地区に指定して取り組んでいます。市街地対策地区の工事では、密集した住宅地や繁華街での工事も多いため、地元の理解と協力が不可欠ですが、蛇崩川増強幹線工事では、地元住民の理解を得るのに特に苦労したと聞いています。
 そこで、世田谷区内における時間七十五ミリ降雨対策の進捗状況とあわせて蛇崩川増強幹線工事において、事業を円滑に進めるためにどのような取り組みを行っているのか伺います。

○佐々木建設部長 平成二十五年七月二十三日に発生した集中豪雨により、世田谷区では、主に下水道幹線沿いの低地で浸水被害が発生しました。
 このため、目黒区上目黒、世田谷区弦巻地区では蛇崩川増強幹線の整備を推進しており、現在は、立て坑整備工事を行っております。また、目黒区八雲、世田谷区深沢地区では、呑川増強幹線の整備を推進しており、現在は、立て坑設置に伴う用地の整備工事を行っております。
 また、委員ご指摘のとおり、浸水対策事業を円滑に進めるためには、お客様のご理解を得ることが重要となります。蛇崩川増強幹線工事では、弦巻三丁目東公園を工事用地として長期間使用することについて、お客様から多くのご意見が寄せられました。
 このことから、地元説明会を十六回開催し、事業の必要性を丁寧に説明するとともに、お客様の声をお聞きするなど、きめ細やかに対応いたしました。その上で、施工方法を一部変更して公園の使用期間を短くすることや、工事期間中に代替となる広場を近隣に整備することなどを提案し、工事に着手することができました。
 今後とも、工事の進捗状況に合わせて丁寧に作業内容を説明するとともに、工事を安全に行いながら、一日も早い工事完了に向けて取り組んでまいります。

○三宅委員 毎年のように浸水被害に悩まされている地元住民にとって一刻も早い浸水被害の軽減は長年の悲願です。浸水対策事業を一日でも早く、また、完全に完了させていただきたいと思います。
 局地的かつ突発的なゲリラ豪雨に備えるためには、こうした時間七十五ミリ降雨対策などのハード対策だけではなく、人的、物的被害を未然に防ぐための情報発信などのソフト対策の充実も必要と考えます。
 浸水対策におけるソフト面での取り組み状況について伺います。

○中島計画調整部長 浸水被害を軽減するためのソフト対策としましては、降雨や浸水に関する情報提供の充実を図る取り組みを進めており、お客様がみずから浸水に備えられるよう支援しております。
 具体的には、東京アメッシュにより降雨情報をホームページやスマートフォンなどでお客様にリアルタイムで配信しております。また、浅く埋設された幹線など浸水被害が発生する危険性の高い幹線を対象に、幹線内に設置した水位計による水位情報を、要望に応じて関係区へ提供することで地域の水防活動を支援しております。
 さらに、毎年六月を浸水対策強化月間として、お客様に自助による浸水への備えをお願いしております。このほか、関係区市が作成する避難場所や避難経路等を図示した洪水ハザードマップのもととなる浸水予想区域図も、一昨年の水防法改正を踏まえ、見直しを進めているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みを積極的に進め、浸水に対する安全・安心を確保してまいります。

○三宅委員 ソフト面でもさまざまな対策を行っているということで大変心強く感じます。情報通信技術が発達している現在においては、危機管理情報の発信や共有は、さまざまな媒体を利用して、迅速かつ的確に発信することも可能となっています。これからも住民一人一人がみずから判断し、行動するために必要となる正確な情報の迅速な提供をお願いしたいと思います。
 ところで、ただいまの答弁で、水防法の改正を踏まえ、浸水予想区域図の見直しを進めているとのことでしたが、具体的には何を変えるのでしょうか。また、現在の進捗について、私の地元である蛇崩川流域、呑川流域も含めて伺います。

○中島計画調整部長 平成二十七年七月、改正水防法が施行され、想定最大規模降雨を、平成十二年の東海豪雨から、国土交通省が定める総降雨量六百九十ミリ、時間最大雨量百五十三ミリに変更し、浸水想定区域図を作成することが必要となりました。
 都では、この想定最大規模降雨を用いて、河川と下水道が一体となった浸水シミュレーションを行うこととしており、学識経験者を含む委員会を設置し、第一弾として、神田川流域における浸水予想区域図の見直しを行っております。
 今後は、委員会での検討結果を踏まえるとともに、関係区市と十分に調整を図り、年度内の公表に向けて取り組んでまいります。
 お尋ねの蛇崩川及び呑川流域を含む城南地区河川流域の浸水予想区域図につきましては、今年度、浸水シミュレーションなどを実施しております。

○三宅委員 私の地元である城南地区でも、既に検討をスタートしているということなので、建設局河川部など関係機関と連携を密に図りながら、一日も早い公表に向けて引き続き取り組んでほしいと思います。下水道局が取り組んでいる浸水対策によって、首都東京の安全・安心が守られることを期待しているので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、震災対策について伺います。
 我が国において観測史上最大となるマグニチュード九を記録した東日本大震災では、広範な液状化、多数の帰宅困難者、交通機関の麻痺、事業活動の停止、電力やライフラインの途絶、日常生活物資の不足など、大都市特有の課題が顕在化し、大地震に対する備えの重要性を改めて認識させられました。
 一方、首都直下地震は二百年周期で発生しており、現在、活動期に入っているとされています。多くの都市機能が集積し、社会経済活動の中枢である東京は、災害に対する脆弱性を内在しており、今この瞬間に起きるかもしれない首都直下地震の脅威と常に背中合わせであります。
 震災による被害を最小限に食いとめるためにも、一刻も早く重要なインフラである下水道管を震災に強いものにレベルアップし、万全の措置を講じてほしいと考えています。
 区部における下水道管の耐震化の取り組みについて伺います。

○中島計画調整部長 下水道管の耐震化につきましては、被災時の下水道機能の確保と緊急輸送道路などの交通機能を確保する二つの対策を実施しております。
 まず、下水道機能を確保する対策として、地震によって被害を受けやすい下水道管とマンホールの接続部の耐震化を進めており、避難所や災害拠点病院など約二千六百カ所の対策は既に完了しております。これに加え、ターミナル駅や災害復旧拠点、地域防災計画に定められている防災上重要な施設など、新たに追加した二千カ所のうち、平成二十八年度末までに累計八百二十五カ所の対策を完了しており、平成三十二年度末までに約千五百カ所の対策を完了させる予定としております。
 次に、交通機能を確保する対策として、地盤の液状化現象によるマンホールの浮上抑制対策を進めており、緊急輸送道路など約五百キロメートルの対策を既に完了しております。
 現在は、緊急輸送道路のほか、緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路約七百五十キロメートルを対象に追加しております。平成二十八年度末までに累計約六百五十キロメートルの対策を完了しており、平成三十二年度末までに残りの約百キロメートルの対策も完了させる予定としております。

○三宅委員 過去の震災では、各地で下水道管とマンホールの接続部が破損した結果、下水が流れなくなり、避難所ではトイレが使用できない事態が発生しました。平成七年に発生した阪神大震災の際には、避難所の神戸市民が一番困ったことは、水洗トイレが使えなかったこととの報道がありました。
 トイレが使えなくなると、水分や食事を控えてしまいがちになり、その結果、脱水症状を起こし、それが原因で、エコノミークラス症候群や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こし、最悪の場合は命を落とすこともあるといいます。
 また、地盤が液状化すると、道路上にあるマンホールを浮上させてしまい、消防車や救急車、さらには支援物資を運ぶ車両も通行できなくなります。
 こうした深刻な事態を防ぐために、私の地元の世田谷区では、どのような震災対策が行われているのかを確認したいと思います。世田谷区内における下水道管の耐震化の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。

○佐々木建設部長 下水道機能を確保する下水道管とマンホールの接続部の耐震化としましては、ターミナル駅や災害復旧拠点、地域防災計画に定められている防災上重要な施設など、世田谷区内百七十七カ所の対象施設のうち、平成二十八年度までに累計で六十カ所の対策を完了しており、今年度は、さらに十九カ所で対策を完了させる予定でございます。
 次に、交通機能を確保するマンホールの浮上抑制対策としては、平成二十八年度までに世田谷区内約十・六キロメートルの緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路のうち約八・五キロメートルで対策を完了させました。
 引き続き、下水道管の耐震対策を積極的に進め、平成三十二年度末までに対策を完了させる予定でございます。

○三宅委員 世田谷区内における浮上抑制対策は着実に進められているとのことでした。下水道管とマンホールの接続部の耐震化も前倒しして進めていただくよう頑張ってもらいたいと思います。
 東京は、二〇二〇年大会の開催都市として、世界中からお迎えするアスリートや観光客が安心して競技や観戦ができるよう、過去の大震災の教訓を踏まえ、地震に対する備えを万全にする必要があります。
 東京下水道の高い技術力を発揮し、局地的集中豪雨や首都直下地震への備えを着実に進めていき、首都東京の都市基盤を確固たるものに磨き上げてほしいと思います。
 本日は、我が会派の安全・安心ビジョンに掲げている局地的な集中豪雨や、あす起こるかもしれない大地震などの自然災害への備えについて、下水道事業における取り組みを確認しました。
 下水道局では、このほかにも再構築や合流式下水道の改善、高度処理あるいはエネルギー、地球温暖化対策などの多岐にわたる取り組みを推進しており、今後も多様なサービスを展開しつつ、経営計画二〇一六の目標達成に向けて着実に事業を推進してもらいたいと思います。
 最後に、今後の事業運営に向けた局長の決意をお伺いし、私の質問を終わります。

○渡辺下水道局長 ただいま委員から、浸水対策、震災対策という都民の安全・安心を確保するための当局の取り組みにつきまして、さまざまな視点からご質問をいただきました。
 東京の下水道は、高度経済成長期における普及拡大、公共用水域の水質保全、局地的集中豪雨からまちを守る浸水対策など、その時々の社会の要請を的確に捉え、機能向上を図りながら、二十四時間三百六十五日休むことなく都民生活と都市活動を支えてまいりました。
 現在は、経営計画二〇一六に掲げた目標を達成すべく、局職員が一丸となって全力で取り組んでおり、二〇二〇年大会の開催と、その後の東京のあり方を見据えて着実に事業を進めてきております。
 今後とも、都民の生命と財産を守り、豊かな環境を次世代に引き継ぐため、長年にわたり培ってまいりました技術やノウハウを生かしながら、局を挙げて下水道サービスの向上に努めてまいります。

○斉藤委員 私からは、三点、下水道管の老朽化対策、そして流域下水道について、それから九月に中川水再生センターで発生した水道管と三次処理水の配管の誤接続の問題について幾つか質問をさせていただきます。
 まずは、下水道の配管の老朽化対策についてです。
 下水道事業は、水循環を健全に保ちながら、将来にわたって安定的に下水を流す機能を果たし、都民の生活とまちを守る重要な役割を担っています。今、戦後から高度成長期にかけて敷設された多くの下水道管が更新時期を迎えていて、老朽化した下水道管を再構築していくことが全国的にも重要な課題になっています。
 私の地元の足立区では、特に千住地域の住民の方々から、古い時代に敷設された下水道管について陥没などが起きないかと心配する声が上がっています。
 まず、区部の下水道管について伺います。千住地区にある幹線と、その中で老朽化などにより再構築の対象となっている幹線について伺います。

○中島計画調整部長 幹線再構築は、昭和三十年代以前に建設されて老朽化した四十七幹線や、幹線調査に基づき対策が必要な幹線などを優先して進めております。足立区千住地区には、砂幹線、千住東幹線、竜田町幹線、隅田幹線の四つの幹線があり、このうち幹線再構築の対象となっているものは、砂幹線と千住東幹線でございます。

○斉藤委員 砂幹線と千住東幹線が再構築の対象ということですが、このうち砂幹線については、工事契約も済んでいるということが公表されています。
 その工事の内容と今後のスケジュールについて教えてください。

○佐々木建設部長 砂幹線において、今年度新たに再構築工事に着手する区間は、足立区内と墨田区内を合わせて約六百七十メートルであり、道路を掘り返さずに施工することができる更生工法を活用して実施するものでございます。当該区間は、来年度には完了する予定でございますが、砂幹線の再構築は引き続き行ってまいります。

○斉藤委員 砂幹線の一部、約六百七十メートルの部分が来年度には完成するとのことです。道路を掘り返さずに施工することができるということですが、工事に当たっては、周辺住民の声を聞きながら安全性の確保や騒音対策など、住環境への配慮を十分に行って進めていただきたいと思います。
 次に、枝線の再構築について伺います。
 千住地域は、下水道事業の経営計画の中でも、一番敷設年代が古い第一期の処理区に指定されています。この千住地域では、二〇〇八年の七月に、区立千寿青葉中学の前の道路で小さな陥没が見つかりました。足立区に連絡をして応急措置をとってもらったものの、翌日にはさらに大きく陥没が広がって、再度調査をすると、下水道管からの漏水が原因であったことがわかり、当時、下水道局にて下水道管の一部の補修が行われました。
 下水道管の更新が進まなければ、こうしたことがまた起こるのではないかと心配する住民の方々の声があります。
 枝線の再構築も喫緊の課題だと思いますが、この足立区千住地域における下水道管の平均経過年数と今後の再構築の目標について伺います。

○中島計画調整部長 足立区の千住地区は第一期再構築エリアに含まれておりますが、この第一期再構築エリア一万六千三百ヘクタールのうち、再構築が完了していない約九千ヘクタールにおける下水道管の平均経過年数は、平成二十八年度末時点で六十年となっております。第一期再構築エリアは、平成七年度から再構築を進めており、平成四十一年度末までの完了を目指しております。

○斉藤委員 第一期のエリアでは、平均経過年数が六十年ということですから、相当に古くなっている状態ということだと思います。そして、この第一期エリアの再構築の完了までには、あと十年以上がかかるということです。
 足立区のほとんどを占める荒川より北の地域は第三期に当たりますが、その第三期と、第二期の再構築はそれよりもさらに先になるということになります。
 この間に、下水道管の状況を把握しておくことも重要だと考えます。区部には延長一万六千キロメートルにも及ぶ下水道管があるので重点化しながら調査するべきだと考えますが、優先順位など調査の考え方と足立区内を含めた下水道管の調査状況について伺います。

○池田施設管理部長 下水道管の調査につきましては、下水道管の整備年次や道路状況などに基づき計画的に実施しております。平成二十七年の下水道法施行令の改正により、腐食するおそれが大きい箇所の調査については、五年に一回以上の適切な頻度で行うことが定められたことから、当局では五年に一回実施することといたしました。
 また、局独自の取り組みとして、下水道管に起因する道路陥没の発生により交通に重大な影響を及ぼすことが懸念される、国道及び都道下などにある下水道管については、下水道法施行令の対象以外においても、優先順位を定めて調査を実施することにいたしました。
 お尋ねの区部における下水道管の調査状況につきましては、平成二十八年度は約八百六十キロメートル実施しており、このうち足立区内では約七十キロメートルを実施しております。

○斉藤委員 腐食のおそれが大きい箇所や陥没が起きた場合に交通に重大な影響をもたらす国道や都道の下などを優先的に調査をしているということでした。ぜひこの取り組みを続けていただいて、早期に効果的な対策を進めていただきたいと思います。
 さらに、これ以外の場所でも、やはり老朽化が進んでいるところ、住宅街にもありますので、そういったところにも手が伸ばせるように、早急に対策を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、流域下水道について伺います。
 多摩地域の下水道は、市町村が管理する枝管、いわゆる公共下水道と、都が管理する幹線、いわゆる流域下水道とが一体となって機能しています。下水道事業においては、全国的にこの下水道施設の老朽化が課題になっていて、多摩地域においても、その更新や維持管理の問題が顕在化しています。
 そこで、まず流域下水道における再構築の取り組みについて、どのようになっているか伺います。

○猪八重技術部長 流域下水道本部では、幹線及び水再生センターなどの基幹施設を管理しております。
 まず、流域下水道の幹線につきましては、平均経過年数が約三十年と、区部と比較して新しい施設が多いことから、計画的に補修を実施するなど予防保全を重視した維持管理を行い延命化を図ってございます。
 しかし、幹線の中で経過年数が五十年に近づいております乞田幹線の一部の区間につきましては、幹線調査に基づく損傷の程度などから、早期の対応が必要であり、再構築の整備手法を検討しているところでございます。
 次に、水再生センターなどにつきましては、定期点検や保全に努めながら耐用年数が短い設備を中心に再構築を実施しております。

○斉藤委員 流域下水道の幹線については、区部よりは比較的新しく、予防保全を重視した維持管理を行っているということですが、一部の幹線やセンターについても再構築の取り組みを進めているということでした。
 再構築に当たっての建設財源について確認をさせていただきたいと思います。流域下水道における建設財源はどのようになっているのでしょうか。

○飯田管理部長 流域下水道の幹線や水再生センターの再構築、震災対策、エネルギー、地球温暖化対策などの建設に要する経費につきましては、国庫補助金、都費及び市町村負担金などを財源としてございます。

○斉藤委員 財源は、国庫補助金と都費、そして市町村の負担ということです。東京都からの補助金は一般会計からで、所管は都市整備局ということも伺っております。補助の割合についても確認したいのですが、流域下水道と、さらに単独処理区になっている町田市への国庫補助金と都費の補助の割合はどうなっているのでしょうか。

○飯田管理部長 流域下水道事業におけます幹線工事に対する国庫補助金と都費の負担割合は、それぞれ五〇%、二五%でございます。
 委員お尋ねの町田市の管渠工事の負担割合は、国庫補助金が五〇%で、都費は二・五%が限度となっております。

○斉藤委員 ありがとうございます。区部であれば東京都が自治体の立場で事業を行っていて、下水道管や下水処理場の建設更新の費用は国と東京都が負担をして進めていますが、今のお答えのとおり、多摩地域では国費と都費を除いた残りの四分の一を各自治体が負担しているということです。
 また、町田市は、市の北部に分水嶺があり、独立して下水道事業を行っているということもあると思いますが、都からの補助は、わずか二・五%だということです。
 これに対して、今この負担が大きく、今後、各自治体が下水道管の更新時期を迎えるに当たって、市町村財政を圧迫してくるという問題があります。三多摩全地域の自治体が参加して、インフラ整備においての、いわゆる三多摩格差解消のため、その整備促進を国や都へ要望する活動を行っている三水協、三多摩上下水及び道路建設促進協議会では、流域下水道事業建設負担金の補助率を引き上げることを求める要望書を下水道局宛てにも提出をしています。
 さらに、同じことが東京都市長会からも来年度の予算編成に向けて要望されていて、これまでの負担ルールを見直すなど、流域下水道に係る市の財政負担の縮減を図ってほしいと、はっきりと求められています。
 また、単独処理区の町田市からも、この三水協を通して要望が出ています。単独公共下水道事業として実施している整備に対する補助は、流域下水道事業に比べて低いため、助成制度の内容のさらなる充実を図ってほしいというものです。
 こうした多摩地域の各自治体から上がっている声について、下水道局ではどのように受けとめていますか、その認識について伺います。

○飯田管理部長 ただいまの委員からお話のありました、三多摩上下水及び道路建設促進協議会から都に提出されております陳情書のうち、下水道局に対しましては、建設負担金等についての要望が上がっており、これまでもその背景等を認識し、市町村の建設負担金の軽減などに取り組んできております。

○斉藤委員 建設負担金の軽減に努めているというお答えでしたが、具体的には、その取り組みはどのようなことでしょうか。

○飯田管理部長 市町村の負担金につきましては、今後、施設の老朽化が進行していくことから、引き続き国費の安定的な確保に努めるとともに、各年度の事業費の平準化に配慮するなど、市町村の負担軽減に取り組んでまいります。

○斉藤委員 東京都より財政規模が小さい市町村にとって、建設費の負担は厳しいものがあります。なるべく市町村の負担を軽減できるように、今ご答弁いただいたような取り組みは、ぜひ続けていただきたいと思います。
 同時に、東京都としても求められている支援の拡充についても検討が必要ではないかと思います。流域下水道事業建設負担金については、先ほどもいったとおり、その財源は一般会計からであり、その負担率の所管も都市整備局だということも私も認識しているんですが、現地に流域下水道本部を置いて事業に当たっている下水道局では、自治体からの切実な声を一番そばで聞いている部署ではないかと思います。両局でしっかり連携をして、東京都からの支援の拡充を検討するように要望をさせていただきます。
 最後に、市町村が管理する枝管、いわゆる公共下水道について伺います。
 多摩地域の公共下水道においても、今後、下水道管の老朽化が進んでいくと考えられます。例えば調布市では、最も古い下水道管は、敷設後三十年を経過している管が市の全体の七割を占めているということです。
 調布市に伺いましたが、市では更新などの長寿命化事業について計画策定を進めていますが、その実施に当たっては、市の下水道事業に大きな負担になるということが見込まれるということです。
 公共下水道への国費の対象となる口径は四百五十ミリ以上、または下水排除面積が〇・四ヘクタール以上というふうに定められていますが、実際には、それよりも小さな口径の管路の損傷が多いというのが実情だということです。
 こうした市町村が管理する管渠の老朽化に対して、都はどのような支援を行っているのでしょうか。

○猪八重技術部長 多摩地域の下水道普及率は九九%を超え、市町村が管理する下水道管は老朽化に伴い、今後は、管渠の再構築が主要な課題となってまいります。このため、流域下水道本部では、区部の下水道事業で培ってまいりました再構築のノウハウを生かし、下水道情報交換会などの場を通じて、市町村に対する技術支援を行っているところでございます。
 引き続き、技術情報の提供を行うなど支援の充実に努めてまいります。

○斉藤委員 下水道局が培ってきたノウハウを生かして技術支援など行っているということでした。市町村の公共下水道や施設の長寿命化事業についても補助率の拡充が求められています。
 私は足立区に住んでいますので、この問題は、直接自分の地域の問題とは離れている問題ですが、しかしこの問題、都議会でも余り取り上げられてこなかったのではないかと思いましたので、今回取り上げさせていただきました。
 流域下水道の問題についてさまざまな声を伺ってきた中で、そもそも東京都で、流域下水道事業が始まった背景にさかのぼって、その役割と使命について考える機会になりました。
 高度成長期に区部の都市化が急速に広がる中で、人口急増の受け皿となった三多摩地域では、各地で上下水道や学校などのインフラ整備が追いつかず、行政水準の劣化が生まれていました。そのため、格差解消を行政課題に掲げた、当時、一九六九年の都政白書には、都民一人一人がそれぞれに違った機能を分担する地域に生活しても、実質的に平等な生活を享受し得る条件が与えられるべきだと、そして、地域格差の解消ということについて、政治や行政がとるべき方向は、生命や生活を守るための条件において何らかの差があれば、それを埋めるための施策を第一とするというふうに記されておりました。
 今の現実においても、自治体の負担が大きくのしかかる三多摩地域では、下水道料金の値上げが検討されているというところもあります。区部と流域では、仕組みや成り立ちが違うということがあるかもしれませんが、同じ東京都に住む住民の間で享受できる行政サービスに差がある状況は改善していかなければならないと思います。
 下水道局におきましては、この問題を東京都の今後の大きな課題の一つとして認識を新たにしていただいて、関係各局との連携をとりながら支援拡充の取り組みを前に進めていただくようお願いを申し上げます。
 次に、九月に発生しました、中川水再生センター、正確には中川水再生センター内の土改良プラントの中で起きた事故ですが、水道管と三次処理水配管の誤接続、この問題について伺います。
 先日、十月二十六日に、足立区中川の地元の自治会が主催する第三回の説明会が開かれたということでした。この中身について、どういう声が上がったのか伺いたいと思いましたが、別の質疑の中でお答えがありましたので、そちらは省略させていただきます。
 この件は、実際に被害に遭われた方や周辺にお住まいの方々にとっては、ショックで不安の広がる事故であったと思います。住民の皆さんから寄せられている要望一つ一つにしっかりと対応して、事故の補償と、そして不安の払拭、事故の再発防止に確実に取り組んでいただきたいと思います。
 また、最終的に自治会に提出すると、今お話ありましたその報告書については、本委員会の委員に配って報告をしていただきますように要望いたします。
 事故の再発防止の取り組みについてですが、私は、九月二十八日の本委員会において、東京都下水道サービスの職員が責任を持って管理監督や改善に当たることが必要だと思うが、どうかという質問をいたしました。
 下水道局から、東京都下水道サービス株式会社では、検討委員会を立ち上げ、全社を挙げて再発防止に取り組んでいくことにしているという答弁がありました。
 東京都下水道サービス株式会社は、いつ検討委員会を立ち上げ、この委員会で何を行うことにしているのか、現在の取り組み状況について伺います。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社では、今回の事故の原因究明、再発防止とともに、社内全体の仕事の進め方や意識の共有化なども含めて点検、見直しを行うため、本年九月二十二日、TGS総点検委員会を立ち上げたところでございます。
 現在、再発防止策として点検及びチェック体制の強化など仕事の進め方の改善、社員教育の充実等コンプライアンス意識の強化について取りまとめ中でございます。

○斉藤委員 TGS総点検委員会、これを立ち上げて再発防止に向けての取り組みを開始しているとのことです。私は、この際に、TGSの施設で働く現場の皆さんからの声を吸い上げて、職場にどんな問題があるのか、問題意識を現場から拾い上げて改善につなげていくことが必要なのではないかと思います。
 社内アンケートなどを実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社ではこれまでも、若手職員と管理職との意見交換会等を通じて社員の声を吸い上げてきたところでございます。今回の事故を受けまして、今後全社員を対象として、コンプライアンスや職場の実態等に着目した意識調査の実施を予定してございます。

○斉藤委員 全社員を対象として意識調査を行うとのことでした。派遣の方も含めての調査をするということも確認させていただきました。
 九月二十八日の質疑でも申し上げましたが、私は、東京都の施設で働く皆さん方の職場環境がよいものになってこそ、都民の皆さんに信頼されるよい仕事、事故を起こさない、そういう仕事ができるのではないかと思っています。ぜひ意識調査などから得られた結果を社内改善につなげて、事故防止の取り組みを確実なものにしていただきたいと思います。
 以上で私からの質問を終わりにします。ありがとうございました。

○おときた委員 私からは、まず、昨年度の公営企業会計決算特別委員会でも指摘をさせていただきました簡易処理水の情報公開についてお伺いをいたします。
 下水道局が運営する水再生センターでは、各地域より汚水が集められて処理された後、河川や運河などに放流をされています。しかしながら、雨天時などには、一部の下水が反応槽を通さずに沈殿処理と塩素をまぜた簡易の処理を行っており、一部では未処理水、未浄化水などとも呼ばれておりますが、こういった形で放流されていることが問題視される向きもございます。
 昨年も指摘したように、特にこの状況を問題視しているのが芝浦水再生センターからの放流先となっている港区であり、これまでも継続して、この放流水の性質や、あるいは放流情報を、より情報公開するようにということを訴えておりました。こちらの情報公開については、昨年の委員会答弁にて、今後は晴天の日だけではなく、放流する機会の多い雨天日も含めた公表を検討していく旨の答弁がありました。
 そこで、この情報公開については、現在どのような状況になっているのかお伺いをいたします。

○池田施設管理部長 芝浦水再生センターの雨天日の処理状況につきましては、簡易放流量や貯留量など単なる数字だけの公表ではなく、下水道の仕組みや当局の取り組みを図やイラストを用いて都民の皆様にわかりやすくご理解いただけるよう工夫して、既に本年一月からホームページにて公表しております。

○おときた委員 委員会での指摘を受けまして、雨天日の処理状況、放流状況についても迅速に情報公開の対応をされている点について高く評価をしたいと思います。ただ、その一方で、こういった情報が発信されていること自体をまだまだ知らない都民がいる。また、簡易処理水が放流される際の動画を、港区議会議員がSNS上で公開したところ、合計で百万回以上再生され、水質に対する懸念の声が多く寄せられるなど、都民、区民の不安が完全に解消されているとはいえない状況です。
 簡易処理水を少なくするためには、貯留池の施設能力を大幅に拡張しなければならず、一朝一夕にできるものではないのは十分に理解するところですが、引き続き放流水の状況や水質に関して適切な情報公開を行いながら、改善計画を着実に前に前進していただくことを改めまして要望をいたします。
 次に、下水道局が運営している東京アメッシュについてお伺いをいたします。
 正確な降雨情報を提供する東京アメッシュの信頼性は高く、多くの都民が利用するところになっています。こちらのアメッシュについては、昨年度の決算特別委員会において、平成二十四年度から最新型のレーダーを導入するためのシステム構築に入り、平成二十七年度までに十七億円かけた再構築が完了したとの答弁がございました。
 もちろん、こちらのアメッシュは、気象情報を迅速に把握し、ポンプの運転管理に活用することを目的としたものであり、都民に降雨情報を提供するのは副次的な要素でありますが、これほどの費用をかけて精密な情報を収集しているのですから、多くの都民にその存在を周知し活用してもらうことは、まさにワイズスペンディング、税の有効活用の一つにほかなりません。
 そこで、このアメッシュの利用状況はどのように推移しているのか、東京アメッシュの過去三年の推移についてお伺いをいたします。

○池田施設管理部長 平成二十六年度のアクセス件数は約七千八百万件、平成二十七年度は約六千万件、平成二十八年度は約五千百万件となっております。
 より多くのお客様に利用していただけるよう、今年度からは、GPS機能による現在地表示や希望する二地点の登録が可能なスマートフォン版の配信も開始しております。その結果、今年度は、既に上半期だけで約四千万件ものアクセスがございました。

○おときた委員 東京アメッシュのアクセス件数について理解ができました。恐らく近年のアクセス件数の低下は、競合サイトやアプリが登場したことやスマートフォン対応が未実装だったことなどが大きく影響していたものと推察をされます。
 今年度からスマートフォン対応がスタートしたことにより、アクセス数は回復傾向にあるとのことなので、引き続きスマートフォンなどの時代の趨勢に合った対応を適宜進め、将来的には、スマートフォンアプリ化なども検討していただきたいと期待をいたします。
 情報発信についての提案は、後ほど追加でもう少しさせていただくといたしまして、もう一点、東京アメッシュは、島しょ部が対象外となっている点について確認をいたします。昨年度の委員会でも、島しょ部への対応について、他の委員から指摘や対応を期待する声が上がりました。
 そこで、東京アメッシュが島しょ部に対応していない点について、都の所見をお伺いいたします。

○池田施設管理部長 東京アメッシュは、当局が実施している下水道事業において、ポンプの運転管理に活用することを目的に導入したシステムですが、都民みずから浸水に備える取り組みも重要であるため、インターネットで配信しております。
 当局が実施している下水道事業は、区部における公共下水道事業と多摩地域における流域下水道事業で、島しょ地域の下水道事業は町村の管轄であること、また、当局のレーダーの観測能力の範囲は八十キロメートル程度であり、島しょ地域の降雨の観測は困難でございます。

○おときた委員 そもそも都の下水道事業において、島しょ部は管轄が異なり、また技術面からも、残念ながら八十キロでは対応が難しいというご答弁でございました。これは合理的な理由であり、十分に理解のできるところです。
 一方で、島しょ部も都の一部であることは間違いないわけでございますから、これは下水道局だけの課題ではなく、全庁的に情報からの疎外感を持たれないような工夫を別途行っていただきたいなというふうに思います。
 次に、この情報公開に関連して、下水道局が掲げた自律改革の東京下水道の応援団の獲得についてお伺いをいたします。
 下水道の存在をPRし、都民に身近なものとしていく活動は、いうまでもなく大変重要なものです。この応援団の獲得という施策の中で、若い世代をターゲットに作成したPR動画を活用し、東京下水道を積極的に見せる化するという項目があり、既にこの動画は作成、公開された状況にあるものと思います。
 この動画は現在どのような状況にあるのか、作成費用と現時点での再生回数などをお伺いいたします。

○安藤総務部長 平成二十七年度に実施しました下水道事業都民意識調査の結果、若者を中心に下水道への認知度が低くなっていることが判明しましたことから、平成二十八年度に、若者を対象に、下水道に関心を持ってもらうことを目的として、動画トーキョー・マンホール・ストーリーを作成いたしました。作成した動画は、平成二十八年九月より、動画共有サイト、ユーチューブへ配信し、さらに本年八月より、東京都公式動画チャンネル、東京動画からもアクセスが可能となっております。
 アクセス数は、平成二十九年十月末現在、約十八万件となっております。また、このほかにも、局広報施設、東京都虹の下水道館で常時放映しているほか、局が実施する各種イベントでも放映しております。動画作成に要した費用は千二百九十六万円でございます。

○おときた委員 若者向けのPRは、ウエブ動画であるという視点は間違ったものではありませんし、実際に私も動画を拝見させていただきましたが、クオリティーの高いものが完成していると思います。だからこそ、一人でも多くの方に見ていただき、費用対効果を高めていかなければなりません。
 一概に、制作費に対してどれだけの動画再生回数があったから成功という指標が存在するわけではありませんが、自治体のPR動画の成功例として挙げられる大分県の、おんせん県おおいたの動画、おんせん県シンフロ篇の制作費は約一千万円と発表されており、その再生回数は百五十万回を超えています。今回の下水道局の十八万回という再生回数も立派なものではありますけれど、約千三百万円という制作費用を考えると、まだまだ改善の余地はあるのかなと感じるところがございます。
 ここまでいろいろと主に情報公開、情報発信という視点から質疑を重ねてまいりました。放流水の状況にせよ、アメッシュの存在にせよ、PR動画にせよ、大切なのは、都民に情報を適宜自発的に繰り返し届けていくことです。そうした情報発信の一例として、ツイッターを見ると、残念ながら下水道局のツイッターアカウントは活発とはいえない状況に思います。
 アカウントの状態としては、十一月の六日時点で、フォロー数四十八に対してフォロワー数は一万七千九百四十と、一般的に見れば非常に優良な状態です。しかしながら、情報の提供量は極めて少なく、本年の九月十三日から十月十六日まで、一度も発信がされないという状態もありました。十月中旬に本件について意見交換をしてから、つぶやきが活発になったように思えるのは気のせいかもしれませんが、いずれにせよ、フォロワー数が六万人を超え、土日や祝日を除いて、原則毎日何らかの発信がされている水道局ツイッターアカウントなどと比較しても、見劣りをしているのが実情です。
 そこで、まずこのツイッターの運営方法、運営趣旨について現状の認識をお伺いいたします。

○安藤総務部長 下水道局の公式ツイッターは、下水道事業に関する情報を、より迅速かつ的確に発信することを目的として、平成二十四年十二月に開設いたしました。発信する内容は、報道発表資料のうち、お客様に密接に関連するもの、局が実施する各種イベント情報のほか、災害に関する情報や下水道の仕組みや役割のPRなどでございます。

○おときた委員 こちらは、私が持論として、オリ・パラ特別委員会などでも述べてきた意見になりますけれども、昨今の情報化社会においては、情報をホームページなどに置いて待っているだけでは不十分です。こうした閲覧者を待っていて引っ張る、プル型の情報提供のほかに、みずから積極的に情報を届けていくプッシュ型の情報提供ツールも充実してきており、その代表例としてツイッター、ほかにも、より情報が手元に届きやすいメールマガジンやLINEといった方法があります。
 東京下水道の応援団を獲得していく、それが若い人たちが対象というのであれば、なおさら若者たちになじみが深い、プッシュ型のSNSなどにより情報提供を充実していくことが求められます。
 こうしたSNSを活用し、より積極的な情報発信に努めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○安藤総務部長 本年九月に実施しました下水道デーイベントでは、起用したタレントによるツイッターの情報発信が集客につながったほか、先月発生した台風接近時に発信した浸水に対する注意喚起などの情報については、フォロワーの方々により広く拡散されており、ツイッターは効果的な情報発信ツールとして認識しております。
 今後も、引き続き積極的にツイッターを活用して、お客様に対して迅速かつ的確に情報を発信してまいります。

○おときた委員 ここでは、主にツイッターを例に出して議論をしてまいりました。なお、下水道局が持つ約一万八千というフォロワーの数値でどれだけの情報を閲覧者に届けられるポテンシャルがあるのか、私のツイッターアカウントの記録を解析してみたところ、大体同じぐらいのフォロワー数だったのが、昨年の七月ごろでして、そのときのインプレッション数、ツイッターでは、閲覧者に情報が一回届くことを一インプレッションという単位で数えますが、そのインプレッション数は、最高で月一千万回を超えておりました。もちろんこの時期は、いわゆる舛添問題や都知事選挙などの特殊な状況下にあったものとは推察されますが、それでも、下水道局のツイッターアカウントが適切な運用がなされれば、月々延べ数百万人の方に情報を提供できる、そういったポテンシャルを秘めています。
 また、水道局では、画像SNSであるインスタグラムの活用もスタートしています。下水道局も、下水管の中など、一般の方ではなかなか撮影することのできない貴重な画像、いわゆるインスタ映えする画像を撮影することが可能なのではないかと考えられます。若者の応援団獲得のために、ぜひこちらの活用も検討していただきたいと思います。
 いずれのSNSにせよ、情報というのは一朝一夕に伝わるものではありません。いわゆるインフルエンサーと呼ばれるSNSにおける情報発信巧者の方々のSNSを見てみますと、同じ情報を角度を変えて、繰り返し繰り返し投稿、発信しているのが目につきます。放流状況も、アメッシュの存在も、PR動画についても、こうした姿勢を参考にしながら、一人でも多くの都民に伝わる不断の努力を重ねていただくことを強く要望いたします。
 最後の項目です。
 次に、こちら公営企業各局にお伺いしている共通項目になりますが、外郭団体、監理団体の東京都下水道サービス株式会社における障害者雇用及び優先調達についてお伺いいたします。
 障害を持った方も、障害者雇用促進法によって、事業者等に対し、いわゆる法定雇用率の達成義務が課されています。細かい数字は省略いたしますが、いわゆる監理団体の一つである東京都下水道サービス株式会社、TGSは、売り上げの九七%が東京都下水道局からの委託事業であり、その公益性は極めて高いことからも、率先垂範して障害者雇用率を達成することが求められます。
 そこで、TGSにおける障害者雇用率の推移を過去三年分お伺いをいたします。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社の障害者雇用率は、同社が公共職業安定所に提出した各年度六月一日時点の障害者雇用状況報告書によりますと、平成二十七年度は一・七一%、平成二十八年度は一・六〇%、平成二十九年度は一・三二%でございます。

○おときた委員 ご答弁のように、現在は法定雇用率は未達成という状況であり、わずかながらもその割合が減少しているのはゆゆしき事態であるといわざるを得ません。例年指摘されているところではありますが、二〇二〇年にパラリンピック東京大会が行われることにも鑑み、監理団体における法定雇用率は、早急に改善されることを強く要望いたします。
 さて、東京都では、平成二十九年度の採用選考より、身体障害者だけではなく、知的、精神障害者にも正規職員としての雇用枠を拡張することになっています。こうした方向性は望ましいものと考えますが、TGSの障害者雇用に対する取り組み状況、こちらもお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社では、障害者雇用率の達成に向け、従前から身体障害者だけでなく、知的障害、精神障害者の方も採用対象としております。

○おときた委員 いわゆる障害者雇用枠を設定することなく、障害の有無や種別にかかわらず、採用に当たられているとのことでした。こちらも細かな数字の読み上げは省略いたしますが、民間企業全体では、障害の種別によって雇用者数が大きく異なっている現状が指摘をされています。
 端的に申し上げますと、どうしても身体障害に比べて他の障害が雇用のハードルが高いという現実があるのが実情でございます。
 そこで、公的性格の強い都の監理団体であるTGSは、知的障害者や精神障害者により積極的に門戸を開く努力をするべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社では、従前より、関係機関からの情報収集を図るとともに、障害者の配属職場の確保に努めるなど、障害者の法定雇用率達成に向け取り組んでおります。
 当局では、障害者雇用促進法を踏まえた総務局の通知に基づき、東京都下水道サービス株式会社における障害者の雇用を促進していくため指導等を行っており、今後も引き続き情報提供や適切な指導監督を行ってまいります。

○おときた委員 法定雇用率の達成とともに、三障害に対する雇用姿勢についても、率先垂範の姿勢が実現されることを要望するものです。
 最後に、優先調達についてお伺いいたします。
 昨年の決算特別委員会において、TGSの平成二十七年度の障害者就労施設等からの優先調達の契約金額は約三百五十万円という答弁があり、今後も、こうした障害者施設等からの優先調達に取り組んでいく旨が示されました。実際にこの優先調達は、増加傾向にあるのか否か、近年の推移三年分を確認いたします。

○安藤総務部長 東京都下水道サービス株式会社における障害者就労施設等からの優先調達の契約実績の推移は、平成二十六年度は約千四百六十万円、平成二十七年度は約三百五十万円、平成二十八年度は約百五十万円でございます。年度ごとに必要な物品等に対する需要が異なるため契約実績は変動いたします。

○おときた委員 さまざまな事情はあるかと存じますし、この平成二十六年度は、災害用備品をまとめ買いしたというような事情も仄聞しております。とはいいながらも、残念ながら、優先調達の金額は減少しているという実情がございます。こちらについてもぜひ公益性の高い都の監理団体が実績を示すことで、民間企業にも好ましい影響を与えていただくことを切に要望いたしまして、私の質問を終わります。

○大場委員 本日の下水道局の事務事業質疑に当たりまして、私からは、十月二十八日をもって開会一千日前を迎えた二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を世界一安全・安心な大会として開催する観点から、幾つか質問させていただきます。
 初めに、道路陥没対策についてお伺いいたします。
 皆様も覚えていらっしゃると思いますが、ちょうど一年前の十一月八日の早朝、JR博多駅前で五車線の道路の道幅いっぱいの約三十メートル四方、深さ十五メートルという巨大な穴が発生いたしました。この道路陥没は、福岡市営地下鉄の延伸工事が原因でありましたが、東京でも規模は小さいながらも道路陥没が発生していると伺っております。そのうちの幾つかは、高度成長期以降に整備された都市基盤の一つである下水道管の老朽化に起因するものと聞いております。
 そこで、下水道管に起因する道路陥没の原因についてお伺いいたします。

○池田施設管理部長 下水道管に起因する道路陥没の主な原因は、老朽化や衝撃等により下水道管が破損し、周りの土が管の中へ流れ込むことで、道路の下に空洞が発生することによるものと考えられます。
 陥没の多くは、家庭などからの排水を受けて下水道管につなぐ取りつけ管が原因の道路陥没が多く発生しており、発生件数全体の約七割を占めております。
 取りつけ管に起因する道路陥没が多い理由は、平成元年度までに整備された取りつけ管の多くが陶器製であるため衝撃に弱いことや、比較的浅い位置に埋設されていることから、車両通行による振動の影響を受けやすいことが要因と考えております。

○大場委員 下水道管に起因する道路陥没の原因はわかりましたが、その発生件数はどのようになっているのかをお伺いいたします。

○池田施設管理部長 区部における下水道管に起因する道路陥没の発生件数につきましては、平成十二年度には、陥没の兆候である路面の落ち込みも含めて約一千五百件を超えておりました。直近の平成二十八年度は四百六十件となっており、平成十二年度の三分の一以下に減少しております。

○大場委員 区部全体の道路陥没の発生件数は減少しているとのことでありますけれども、年間四百件以上の陥没が発生しているのであれば、まだまだ多いといえます。
 そこで、陥没を未然に防ぐため、下水道局ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○中島計画調整部長 現在、第一期再構築エリアとして、整備年代の古い都心部の芝浦、三河島、小台、砂町の各処理区において下水道管の再構築を推進しております。再構築に当たりましては、老朽化した下水道本管、ます、人孔の取りかえなどとあわせまして陶器製の取りつけ管を衝撃に強い硬質塩化ビニール管へ取りかえる取り組みを実施しております。
 第一期再構築エリア以外におきましても、特に道路陥没が多い地区を道路陥没対策重点地区として位置づけ、優先的に硬質塩化ビニール管へ取りかえる取り組みを実施しております。

○大場委員 下水道局は、道路陥没対策をこれまで以上に計画的かつ重点的に発展していただきたいと思います。
 さて、私の地元世田谷区にある馬事公苑、これは日本中央競馬会の施設でありますが、昭和三十九年、一九六四年の東京オリンピックで馬術競技が行われまして、二〇二〇年のオリンピック、そしてパラリンピックにおいても馬術競技の会場となります。こうしたオリンピック・パラリンピックのために東京にやってくる選手や関係者、そして観客のためにも陥没対策が講じられる必要があると考えます。
 そこで、東京二〇二〇大会の開催に向けて、道路陥没対策を一層加速させる必要があると思いますが、その取り組みについて、世田谷区内の取り組みもあわせてお伺いいたします。

○中島計画調整部長 経営計画二〇一六では、先ほどお答えいたしました第一期再構築エリアにおける取り組みを進めるとともに、東京二〇二〇大会競技会場周辺の二十二地区と、新たに選定した道路陥没が多い四十二地区を合わせました合計六十四地区を道路陥没対策重点地区として追加し、オリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みを加速しております。
 世田谷区内の道路陥没対策重点地区といたしましては、委員ご指摘の競技会場となる馬事公苑周辺の一地区と道路陥没が多い十地区を合わせました十一地区を位置づけております。馬事公苑周辺は、今年度の完了を予定しているほか、世田谷区内全ての地区の対策を平成三十一年度末までに完了させる予定でございます。

○大場委員 引き続き二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催に向け、道路陥没対策を着実に進めていただきたいと思います。
 次に、下水道局が取り組まれている油対策についてお伺いいたします。
 ことし九月、ロンドンの下水道で、重さ百三十トン、長さ二百五十メートルの油の塊が発見されたという報道がございました。東京は、ロンドンほどの状況ではないと思いますが、同じように下水道管に油が固まっているというのであれば、詰まって降雨時に浸水が発生することや豪雨時に油が流れ出して川や海を汚すことが懸念されます。
 油対策としては、日々の食事をつくる際に使った油をできるだけ下水道に流さないようにすることが重要ではないでしょうか。実際、私が地元でお母さんやお父さん方とお話をしますと、環境のためと意識されて、フライパンなどの調理器具や食べ終わった食器についた油汚れを、洗う前に拭き取られている方もいらっしゃるようです。
 下水道局では、かねてより油を流さないことについての広報、PRを行っていると聞いています。
 そこで現在、下水道に油を流さないことについて、どのような啓発活動を実施しているのかお伺いいたします。

○安藤総務部長 お台場海浜公園にオイルボールが漂着したことをきっかけとしまして、平成十三年度から「油・断・快適!下水道」キャンペーンを展開してございます。十月をメーン月間としまして、下水道に油を流さないことを広くお知らせするため、スーパーの店頭などで、油の拭き取りペーパーを配布するなどの、お客様が実践しやすい油汚れを拭き取る行動の呼びかけなどをしてございます。
 また、局広報施設、東京都虹の下水道館におきましても、パネルやオイルボールの実物の展示を行い、来館者の理解を深める取り組みを実施しております。さらに、局公式ホームページやツイッターでの情報発信に加えまして、本年十月からは、動画共有サイト、ユーチューブへ啓発動画の掲載を開始するなど、インターネットを活用したPRにも取り組んでおります。このほか、区市が主催するイベントにも参加するなど、幅広い機会を活用して啓発活動を実施してございます。

○大場委員 下水道局では、ソーシャルメディアの活用など幅広く啓発の取り組みを行っていることがわかりました。しかしながら、ご家庭はもちろんのこと、特に油を多く使う事業者が油を出さないようにする取り組みが水環境対策には大変効果的であると考えます。
 そこで、最後に、飲食店などに対する取り組みについてお伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 飲食店などから下水道に油が出ないようにするためには、排水中の油脂分を分離、貯留するグリース阻集器の設置が有効でございます。このため、油を多く使用する飲食店や給食施設等には、当局への排水設備計画の届け出時に、グリース阻集器の設置を指導しております。
 また、阻集器の不十分な管理により油が流出し、公共汚水ますや取りつけ管の詰まりを発生させた店舗等に対して個別訪問を実施し、阻集器の日常的な清掃や定期的な油の除去など、適切な維持管理を重点的に指導しております。
 さらに、飲食店チェーンなどの本社への訪問や各区保健所が主催する飲食店向け講習会での説明など、さまざまな機会を捉えて、当局からグリース阻集器の設置及び適切な維持管理を要請しております。

○大場委員 二〇二〇年の東京オリンピック、そしてパラリンピックの成功に向けまして、本日質問をさせていただいた道路陥没対策、そして油対策については、引き続き局を挙げて積極的に推進していただきたいと思います。
 さらに、二〇二〇年以降の東京の未来のために、都民の皆さんの日々の暮らしを支える下水道事業について、渡辺局長を初め理事者の皆様のさらなる取り組みに大いに期待していることを申し上げまして、私の質問を終わります。

○もり委員 都民ファーストの会東京都議団もり愛です。
 下水道局所管事務事業について、地元大田区を流れる呑川における合流式下水道の改善対策と下水道局の環境学習の取り組みについて質問させていただきます。
 まず初めに、呑川における合流式下水道の改善対策についてお伺いいたします。
 都市河川は、都市に潤いと憩いをもたらし、川沿いに植えられた桜並木等、季節ごとに川沿いの景観は美しく、近年では、目黒川等川沿いが観光スポットとしても人気のエリアとなっております。地元の呑川は、世田谷区、目黒区、大田区の三区を通る十四・四キロメートルの二級河川ですが、上流の世田谷区と目黒区では暗渠となっており、河川の水質改善には、都と区の連携が欠かせません。
 東京都の清流復活事業として、下水道局落合水再生センターの高度処理水を利用して、流量の確保が行われて以来、呑川に野鳥が戻ってくるようになりました。現在、区内の上流では、カワセミやカルガモが子育てする様子も目を楽しませてくれています。
 私も地元呑川の会の皆さんと地域の小学校の生徒へ環境学習に参加する機会がございますが、野鳥、アカミミガメ等カメやボラ等、約三十種類の生き物が生息する姿を観察することができ、都市河川は、子供たちに身近な自然に目を向ける貴重な資源であります。生物多様性を育む河川整備に向けては、河川管理者とも連携しながら、都市河川における環境の意識を高め、環境学習の一助となる親水性を高める護岸整備のあり方も求められます。
 生活に大変身近な呑川ですが、下流部は、潮の干満の影響を受け、河川の水が滞留することから、白濁化やスカム、臭気の発生など水質が悪化する状況があり、地元住民から水質改善に対する要望が上がっております。一方、呑川流域の下水道は、合流式下水道で整備をされており、そのため、大雨が降ると、まちを浸水から守るため呑川に汚水まじりの雨水が放流され、その越流水対策も課題となっております。
 東京都下水道局では、このような課題に対応するため、合流式下水道の改善対策に取り組んでおり、経営計画二〇一六では、合流式下水道の改善の取り組みとして、下水道法施行令の対応を図るとともに、十四水域での対策を着実にするとしております。対策を行う場所の地図が示されており、区内では、内川、海老取川とともに、呑川も十四水域の一つに位置づけられております。
 そこで、なぜこの十四水域を選定したのかをお伺いいたします。

○中島計画調整部長 潮の干満の影響を受け、水が滞留しやすい河川の一部区間や内堀などの閉鎖性水域は、雨天時に放流された汚水まじりの雨水の影響を受けやすくなっております。このことから、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などを重点的に進める対象として、呑川など十四水域を選定いたしました。

○もり委員 十四水域の選定について、都市河川における課題に対応して選定をしていただいたものと理解をいたしました。
 呑川も十四水域に選定されているというようなことですが、そこで、呑川流域の合流式下水道の改善対策について、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○佐々木建設部長 呑川ではこれまで、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水する下水道管の整備や雨水はけ口から河川などへ流出するごみなどを取り除く水面制御装置などの設置を行っており、これらは全て完了いたしました。
 雨天時に放流される汚濁負荷量を削減するため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を、大田区の協力を得て区立公園用地の下などに整備することとしており、現在、工事の着手に向け、調査検討などを行っております。

○もり委員 ありがとうございます。呑川流域の合流式下水道の改善対策について、現状の取り組みとともに、今後、貯留施設の整備に向けて取り組んでいただいていることがわかりました。
 呑川周辺では住宅などが密集していることから、河川沿いの用地確保が難しい現状もあります。今後も、大田区と連携し、効果的な施設整備を進めていただきたいと考えます。
 また、大田区が中心となって、下水道局、建設局の参画のもと、呑川水質浄化対策研究会を設置していると聞いております。その取り組みの中で、大田区でも、呑川に空気を送るスカム発生抑制装置や高濃度酸素水浄化施設の設置を行い、水質浄化に取り組んでいるところであります。
 私の地元大田区の東京国際空港羽田空港は、日本の玄関口として、東京二〇二〇に向けても、さらに多くの国内外のお客様を迎えるその周辺に注ぎ込む呑川の水質改善は、とても重要な対策事業であり、日本のおもてなしにもつながるのではないかと考えております。一日も早く呑川の水質が改善されるよう、引き続き改善対策に取り組むことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、下水道局が行う環境学習についてお伺いをいたします。
 私の地元である森ヶ崎水再生センターでは、毎年、蛍の夕べが行われており、幻想的に飛ぶ蛍を間近に観賞することができ、とても美しく地域の皆さんからも大変好評です。ふだんなかなか入ることのない水再生センターに入ることができ、蛍の会場に向かう途中、水処理模型を使って、どのように下水がきれいに再生されるのかを子供たちに説明していただき、下水道局の事業の理解を深め、環境学習の機会としても、とてもよい事業であると感じております。
 また、森ヶ崎水再生センターには、絶滅危惧種の渡り鳥コアジサシが飛来することから、屋上を営巣地としてNPOに開放していただいております。営巣地の整備には、汚泥資源化製品であるメトロレンガやスラジライトが利用され、ことしは六百五十羽のコアジサシの飛来があり、千四百羽のひなが生まれ、二百五十羽が幼鳥として巣立っていきました。NPOリトルターン・プロジェクトの取り組みは、以前、高円宮妃殿下もコアジサシの群れを視察され、野生動物保護学会の世界会議でも取り上げられる等、海外からも注目をされており、貴重な生態系を守るために、下水道局のご理解をいただき、環境に配慮した取り組みが行われていることを高く評価し、感謝をしております。
 そこで、経営計画にも、子供たちへの環境学習の機会を提供するということで、出前授業、東京都虹の下水道館などの記載がございます。小学生を対象とした環境学習は具体的にどのような取り組みなのか、お伺いをいたします。

○安藤総務部長 下水道局では、次世代を担う子供たちに、下水道学習を通じて、水環境に関する意識を高めてもらうことを目的に環境学習の機会を提供しております。
 都内小学校では、学習指導要領に基づきまして、四年生の社会科の授業において、水道、下水道、ごみなどを取り上げて環境学習を実施することとなっております。そこで、下水道局では、小学四年生を対象として、社会科授業の副読本として、下水道の仕組みや役割などをわかりやすく解説した「みんなの下水道」を都内全ての小学校に配布しますとともに、要請のあった都内の小学校を訪問する出前授業を実施してございます。
 このほか、出前授業などの学習の成果を発表する小学生下水道研究レポートコンクールや、小学校全学年を対象として、下水道施設や工事現場を見学する下水道施設親子見学ツアーも実施してございます。

○もり委員 さまざまな取り組みを実施していただき、私も大変充実した副読本を拝見させていただきました。
 子供たちが水環境について学ぶことは、日ごろの水の使い方、家庭でもできるだけ排水を汚さない、油を流さないといった日常の意識向上につながり、とても重要だと考えます。中でも、学校教育と連携した出前授業は大変重要な取り組みであると考えます。
 下水道局が行う出前授業の内容や規模に加えて、私の地元である大田区の実績や児童の声などについてお伺いをいたします。

○安藤総務部長 出前授業では、小学四年生の社会科の授業におきまして、下水道の仕組みや役割についてわかりやすく説明するため、下水道局のお姉さんと小学四年生の翔太に扮した役者が、実験や映像を活用し、児童に疑問を投げかけながら問題解決型の授業を行うことで、主体的に考え、楽しみながら学ぶことができるよう工夫しております。
 授業を受けた児童からは、下水道がないとまちの清潔を守れないことがわかった、皿についた油は拭き取ってから洗うよう気をつけようと思ったなどの感想が寄せられておりまして、下水道や環境について深く学んでいただけていると考えます。
 平成二十八年度の実績は、都内二百八十二校において延べ四百九十回、大田区内では十一校において延べ二十回実施してございます。

○もり委員 ありがとうございます。ぜひ、より多くの学校で子供たちに環境学習に参加いただけるよう、事業の拡充を望みます。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会開催まで、もうわずかです。この歴史的なオリンピック・パラリンピックを通じて、子供たちにも東京で開催される競技を目で見て、体いっぱいに感じてもらうことを願うとともに、下水道局が実施する環境学習を通じて、未来を担う子供たちが水環境の大切さ、とうとさを身につけることで、東京の水環境の向上と、未来へつなぐ心のレガシーとして残していただきたいと意見を述べ、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○加藤委員 私からは、次世代に良好な水環境を引き継いでいくための取り組みである合流式下水道の改善を中心に幾つか質疑を行います。
 前回のオリンピックがあった昭和三十九年、一九六四年大会が開催されたころ、これは私の生まれた年でもあるんですが、東京都区部の下水道普及率は約三割と伺いました。そのころの日本は、アジアで初めてのオリンピックを迎えるくらい高度経済成長まっしぐら、一方で、東京のふるさとの川、私の地元を流れる隅田川は、死の川と呼ばれるなど水質汚濁が進行していました。川の近くには工場も集積して、工場排水を垂れ流している問題もありました。昭和三十六年には、隅田川花火大会や早慶レガッタが中止となったのもやむを得ません。
 こうした状況に、昭和三十八年、我が党の先輩都議が、し尿運搬船の船底まで入り、隅田川へのし尿垂れ流しの動かぬ証拠をつかんで議会で追及したことも語りぐさとなっております。
 公害列島といわれた時代から、都は、下水道の整備を積極的に進め、普及率が向上するのに伴って水質も改善し、昭和五十三年には隅田川花火大会と早慶レガッタが再開されるまでになりました。
 東京の下水道が、水辺環境の改善に大きく貢献したことは紛れもない事実であります。しかしながら、合流式下水道では、浸水からまちを守るため、強い雨が降ると川や海などに汚水まじりの雨水を放流せざるを得ないという課題があります。水辺環境の改善に効果を果たしてきた一方で、このような雨天時の問題を抱えているのは、合流式下水道という東京の下水道のシステムによるものだと思います。
 そこで、区部下水道のシステムとして、最初に合流式下水道を採用した理由を伺います。

○中島計画調整部長 東京における下水道計画の基礎となる東京市下水道設計が、明治四十一年四月に告示されまして、この中で、区部における下水の排除方式を合流式と定めました。
 当時の東京は、人口の集中などにより、汚水などの排除が十分に行われず、コレラや赤痢、その他の伝染病が蔓延するなど対策が急務でありました。
 また、低地帯が多い東京は、浸水被害の危険性が高いため、早急に雨水の排除を行うことが求められておりました。そのため、生活環境の改善と雨水排除などを早期かつ効率的に進めることが可能な方式として、汚水と雨水を同一の下水道管で流す合流式を下水の排除方式として採用いたしました。

○加藤委員 東京は、明治時代に合流式下水道を採用することを決定したとのことでありますが、他都市における合流式下水道の採用状況と、国内主要都市における面積割合、これについて伺います。

○中島計画調整部長 他都市における合流式下水道の採用状況についてでありますが、古くから下水道を整備してきた全国百九十一の都市におきまして合流式下水道を採用しております。また、海外では、ニューヨークやロンドン、パリなどの主要都市で合流式下水道を採用しております。
 合流式下水道の面積割合につきましては、東京都区部は八二%でありますが、全国の主要都市では、大阪市九六%、名古屋市五六%、札幌市六三%などとなっております。

○加藤委員 世界に名立たる大都市のニューヨークやロンドンも合流式であり、国内でも、大阪市は東京よりも合流式の割合が高いということがわかりました。しかし、これまでは、合流式下水道で整備してきましたが、雨天時の課題への対応を考えたときに分流化していくという議論もあると思います。
 そこで、合流式下水道と分流式下水道のメリット、デメリットについて伺います。

○中島計画調整部長 合流式下水道では、大雨の際には、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水を河川などへ放流するというデメリットがある反面、少ない雨の場合には、地面や道路の汚れを含む雨水を河川などへ放流することなく水再生センターで処理することができます。また、雨水と汚水を一本の下水道管で排除することから、分流式と比べて整備費用が安く、早期に整備できるというメリットもございます。
 一方、分流式下水道では、合流式下水道のように、汚水まじりの雨水が河川へ放流されるということはありませんが、雨水は全て河川などへ直接放流されるため、地面や道路の汚れ、ごみなどが雨水とともに河川などへ流出してしまうというデメリットがございます。

○加藤委員 少ない雨の場合には、合流式下水道にメリットがあることは理解しましたが、やはり放流先の河川などの水質の面から考えますと、大雨の際には、汚水まじりの雨水が河川へ放流されるということはないという分流式のメリットも大きいのではないかというふうに思います。
 そこで、合流式下水道を分流式につくりかえたらどうかと単純に思ってしまうんですけれども、そのことにつきまして、所見を伺います。

○中島計画調整部長 区部では、多くの地区が合流式下水道で既に整備されておりますが、幅員が狭い道路の下には埋設物がふくそうしている状況などから、新たにもう一本の下水道管を整備することは物理的に困難な上、多額の費用を要するという課題がございます。
 また、汚水と雨水を分離するためには、下水道管の分流化だけではなく、これまで合流式で整備されたお客様の宅地内の排水設備についても、お客様のご負担により分流化しなければなりません。
 そこで、合流式下水道のメリットを生かしながら、雨天時に河川などへ放流する汚濁負荷量を分流式下水道と同程度まで削減する対策を基本としております。

○加藤委員 さまざまな都市インフラが埋設されている東京の道路事情やコスト面での課題があるということで、分流式下水道につくりかえるのではなく、合流式下水道の改善を進めていくとのことでありましたが、では、合流式下水道の改善に向けた具体的な対策について伺います。

○中島計画調整部長 具体的な対策といたしましては、雨天時の下水をより多く水再生センターに送水するための下水道幹線の増強や、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などに取り組んでおります。
 さらに、雨水はけ口やポンプ所から流出するごみやオイルボールと呼ばれる油の塊などを削減するため、水面制御装置の設置などの対策も行っております。

○加藤委員 下水道幹線の増強や貯留施設の整備に取り組んでいるとのことでありますが、では、合流式下水道改善対策の現在の進捗状況について伺います。

○佐々木建設部長 雨天時の下水をより多く水再生センターに送水する下水道幹線の整備についてはおおむね完了いたしました。降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設につきましては、分流式下水道と同程度まで改善するために必要な貯留量三百六十万立方メートルを長期的な目標としておりますが、当面は、平成三十六年度から強化される下水道法施行令の基準を達成するために必要な貯留量百七十万立方メートルの整備を目指しており、平成二十八年度までに累計で約百十五万立方メートルの貯留施設の整備を完了しております。また、河川へのごみなどの流出を削減する雨水はけ口やポンプ所における対策についてもおおむね完了しております。

○加藤委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの正式種目であるトライアスロンは、お台場海浜公園で競技が行われます。先日の報道では、お台場の水質が、一昨年、昨年のデータで、大雨の後に、国際大会で許容される水準を超える大腸菌群などが検出され、今回の調査でも問題のある数値が出たため、国際トライアスロン連合、ITUがこの公園周辺の水質に懸念を示し、東京都に下水対策の強化を求めているとのことでした。
 局に確認したところ、お台場海浜公園は、実は東京都だけでなく、神奈川県、千葉県、埼玉県からの汚れが流れ込んでくる東京湾の一角にあり、東京都以外からの汚濁負荷の排出割合が約七割を占めているとのことでした。このため、東京湾の水質を改善するには、関係する全ての自治体の協力が欠かせません。
 これまで東京都は、東京湾再生推進会議に参画し、国や他の関係自治体と共同しながら、環境改善対策を進めてきているとのことですが、二〇二〇大会の開催都市として、東京都が率先して、東京湾の良好な水環境の創出に尽力すべきと考えます。
 そこで、東京二〇二〇大会開催に向けた合流式下水道の改善対策について伺います。

○中島計画調整部長 降雨初期の特に汚れた下水の貯留施設につきましては、今後新たに二十五万立方メートルの貯留施設を整備いたしまして、既存の貯留施設と合わせて百四十万立方メートルの施設を東京二〇二〇大会開催前の平成三十一年度末までに整備する予定でございます。
 また、貯留施設を整備するかわりに、既存の施設の改造により早期に導入でき、汚濁物を二倍程度多く除去することが可能な高速ろ過技術を導入いたしまして、平成三十一年度末までに、対策が必要な合流式の水再生センター六カ所で整備を完了させてまいります。
 このように、貯留施設に加え、早期に導入可能な高速ろ過施設を組み合わせることで、整備ペースにつきましては、これまでの年間三万六千立方メートルから七万二千立方メートルに倍増させるなど対策を強化しております。

○加藤委員 大雨時に合流式下水道から河川などに放流される対策は着実に進めているとのことでありますが、二〇二〇年大会に間に合わせるよう頑張ってもらいたいと思います。
 さて、東京湾の水質は、雨天時のみが課題ではなく、夏場を中心に、依然として赤潮の発生が確認されています。赤潮の発生の要因の一つである窒素とリンのさらなる削減には、高度処理の導入が必要でありますが、多くの時間と費用を要すると聞いております。
 そこで、高度処理の現在の導入状況と今後の取り組みについて伺います。

○中島計画調整部長 下水道局では、標準的な処理法と比べ、窒素やリンを大幅に削減できる高度処理の導入を進めてまいりました。しかし、高度処理は、標準的な処理法と比べ施設の規模が大きく、導入に時間を要するため、窒素とリンの除去率が若干劣るものの、既存施設の改造などにより効率的に水質改善を図ることができる準高度処理の導入を、平成二十二年度より推進しております。
 これまでに、水再生センター全二十カ所のうち、砂町水再生センターなど十一カ所で準高度処理施設が一部完成しており、現在は、新河岸水再生センターなどで建設中でございます。
 さらに、準高度処理と同様、既存施設を改造することで導入が可能で、従来の高度処理と同等の窒素、リンの除去率を確保する新たな高度処理技術を平成二十五年度に開発いたしました。平成二十八年度末までに、芝浦、葛西、浅川の各水再生センターで、新たな高度処理施設が一部完成しておりまして、現在は、八王子水再生センターで建設中でございます。
 平成二十八年度末までに、高度処理と準高度処理を合わせた一日当たりの処理能力は、三百十万立方メートル、水再生センター全体の計画処理能力に対する割合は四〇%となっており、平成三十二年度末には五五%まで向上させてまいります。

○加藤委員 東京は、二〇二〇年大会の開催都市として、良好な水環境と高度に発達した都市機能が見事に調和した成熟都市となるべく、たゆまぬ努力を続けていかなければなりません。大会の大舞台となる東京湾や河川などの水質改善への取り組みは大変重要であり、それに寄与する下水道局の役割というのはとても大きなものがあります。
 先日、MXテレビの番組で、もっと東京の水辺空間に親しむためにというテーマで、各党の代表が出演し、私も出席しました。下水道局を初めとした関係者の今日までの取り組みによって東京の水辺環境は大変よくなってきております。だからもっと水辺に親しもうではないかとの共通認識でありました。
 オリ・パラの競技はもとより、観光対策やレジャー、憩いの場としても、水質の維持向上に向けた取り組みは重要です。快適な水辺空間は都民の貴重な財産であり、それを次世代に引き継いでいくことが今の時代を生きる我々の使命であります。水と親しむことができる快適な水辺空間の創出に向け、着実に取り組みを進めてもらうことを大いに期待し、次の質問に移ります。
 次に、我が会派が一貫して主張してきましたエネルギー、地球温暖化対策について伺います。
 私は、平成二十年度決算特別委員会において、下水道局が京都議定書に先駆けて策定した地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四の目標や具体的な取り組みについて質疑をしました。
 当時の質疑では、水処理工程や汚泥処理工程において、日本初の先端技術を導入し、温室効果ガス排出量の削減に積極的に取り組んでいることを確認しました。
 それから八年余りが経過しましたが、この間、地球温暖化防止対策に向けた世界、日本、東京都の動きは大きく進展しています。昨年の国連気候変動枠組条約第二十二回締約国会議、いわゆるCOP22では、二〇二〇年以降の各国の取り組みの実施ルールを二〇一八年には決めるなど、国を挙げた温暖化防止対策が地球規模で加速しております。
 そこで、まず下水道局におけるこれまでの地球温暖化防止対策の取り組み状況について伺います。

○中島計画調整部長 下水道局では、京都議定書に先駆け、事務事業活動から発生する温室効果ガスを、二〇〇九年度までに一九九〇年度比で六%以上削減することを目標とした下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を平成十六年度に策定いたしました。平成二十一年度には、アースプラン二〇〇四の新たな技術の導入などによる温室効果ガス排出量削減の取り組みを継承し、事務事業活動から発生する温室効果ガスを、二〇二〇年度までに二〇〇〇年度比で二五%以上削減することを目標としたアースプラン二〇一〇を策定いたしました。本計画では、汚泥の高温焼却や省エネルギー型機器の導入、再生可能エネルギーの活用など、地球温暖化防止対策を積極的に推進いたしました。
 これらの取り組みにより、平成二十八年度の温室効果ガス排出量の削減率は、アースプラン二〇一〇の目標である二五%以上となっております。

○加藤委員 下水道局における温室効果ガスの削減は、アースプランが基本となっており、目標や具体的な取り組みを明確にして、これまで地球温暖化防止に取り組んできました。前回の質問から八年たちましたけれども、大きな成果が上がっているとお聞きしまして、大変うれしく思います。この質疑に先立つ本委員会において、本年三月、アースプラン二〇一七を策定し、温室効果ガス排出量のさらなる削減に向けた取り組みを推進との説明がありました。
 そこで、この計画の概要について伺います。

○中島計画調整部長 アースプラン二〇一七では、都内の人口増加に加えまして、浸水対策や合流式下水道の改善などの下水道サービスの向上により、温室効果ガス排出量の増加が見込まれる中、平成二十八年三月に策定された東京都環境基本計画を踏まえ、下水道事業から発生する温室効果ガス排出量を、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%以上削減するという、これまでより一段高い目標を設定いたしました。
 本計画では、エネルギー基本計画でありますスマートプラン二〇一四との両立や最新技術の先導的導入などの三つの基本方針と、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの活用、水再生センターにおける処理工程・方法の効率化などの六つの取り組み方針を掲げ、温室効果ガスの削減に取り組むこととしております。

○加藤委員 都内の人口は、二〇二五年にピークの一千三百九十八万人を迎えるまでふえ続けると見込まれており、下水や汚泥の処理に必要となる電力や燃料使用量の増加が懸念されますが、下水道事業から発生する温室効果ガスはしっかりと削減していかなければなりません。
 下水道局はこれまでも、地球温暖化対策を積極的に進めてきており、さらに高い目標に向けて取り組んでいくとのことで、大いに期待しております。しかし、下水道局は、これまでもさまざまな取り組みを通じて温室効果ガスを削減してきましたが、絞った雑巾をさらに絞るように、さらなる削減を目指して取り組んでいくことは並大抵の努力ではないと思います。
 そこで、アースプラン二〇一七の目標を達成するための具体的な取り組み内容について伺います。

○中島計画調整部長 アースプラン二〇一七に掲げた取り組み方針のうち、主なものといたしまして、まず、徹底した省エネルギーでは、水処理に必要な微生物の働きを活発にするために送る空気を水に溶けやすい小さな気泡にして送風量を少なくし、約二割の電気使用量を削減する微細気泡散気装置の整備を落合水再生センターなどで進めてまいります。
 次に、再生可能エネルギーの活用では、水再生センターの豊富な放流水量と放流落差を有効活用した小水力発電を森ヶ崎水再生センターで増強するとともに、南多摩水再生センターで新たに整備してまいります。
 また、処理工程・方法の効率化では、送風機と散気装置の組み合わせを見直すことで送風量の最適化を図るほか、多摩地域では、多摩川の対岸にある水再生センター間の連絡管を活用いたしまして、高効率な焼却炉で定格運転の汚泥焼却を行うなど、システム全体としての効率化を図ってまいります。さらに、汚泥焼却廃熱を一層活用して発電を行うエネルギー供給型焼却システムの技術開発なども進めてまいります。
 今後とも、下水道事業における地球温暖化防止対策を積極的に推進してまいります。

○加藤委員 本当に多岐にわたる取り組みを進めているのだと思うと同時に、アースプラン二〇一七の目標を必ず達成するのだという下水道局の熱意、これもお聞きいたしました。
 五年前には、清瀬水再生センターの全国初となる下水汚泥ガス化炉を視察して、従来の焼却炉より九割近い温室効果ガスの削減を実現していると伺いました。また、二年前にも、葛西水再生センターを訪れ、太陽光発電、小水力発電の利用と汚泥焼却に、全国に先駆けてターボ型流動焼却炉を導入して電力を四〇%以上削減している話も伺いました。
 下水道技術研究開発センターなど、産学公で連携しながら、下水道局の技術力をもってすれば、この高い目標も達成できると確信している一人であります。ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
 次に、事業に伴って下水道に排出されるホウ素、フッ素、亜鉛の排水規制について伺います。
 都内には多くの中小企業が集積しており、中でも小規模企業が多い電気メッキ業は、東京のものづくり産業を第一線で支える代表的な業種であり、東京における重要な地場産業でもあります。
 私の地元である墨田区にも、減ったとはいえ四十余りの事業者がおります。地元の電気メッキ事業者から、ホウ素、フッ素及び亜鉛の排出基準は、本則基準よりも緩い暫定基準が設定され、何回か延長措置がされていると聞いております。
 そこで、ホウ素、フッ素、亜鉛に関する電気メッキ業の暫定基準が設定されている経緯について伺います。

○廣木施設管理担当部長 ホウ素、フッ素、亜鉛に関する暫定基準につきましては、排水濃度の実態や本則基準に対応する排水処理技術の小規模事業者への導入可能性などを考慮して、直ちに本則基準を達成するのが困難と認められる業種を対象としてこの暫定基準が環境省令で定められております。
 電気メッキ業の暫定基準につきましては、まず、ホウ素、フッ素につきましては、平成十三年に本則の排水基準が定められると同時に設定され、その後、基準値が段階的に強化されるとともに五回にわたって期限延長されております。
 また、亜鉛につきましては、平成十八年に本則基準が強化された際に暫定基準が設定され、それ以降、同一基準値で二回にわたって期限延長されております。
 現行の暫定基準の適用基準は、ホウ素、フッ素につきましては平成三十一年六月まで、亜鉛につきましては平成三十三年十二月までとなっております。

○加藤委員 暫定基準が設定されている状況は理解できました。小規模企業の多いメッキ業の実態を踏まえて、これまで何度か暫定基準の期限延長がなされてきたとのことでありますが、現状のままで、今後、本則基準が適用されると、これに対応できない事業者も出てきます。
 そこで、中小企業が、ホウ素、フッ素及び亜鉛の本則基準を達成できるようにするため、下水道局はどのような取り組みをしていくのか、最後にお伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 下水道局では、本則基準の達成が困難と思われる事業場に対し、基準を満たしている事業場の例を参考に、作業工程の改善や使用薬品の変更など、個々の事業場の実情に応じて、引き続ききめ細かく相談、指導を行ってまいります。
 また、狭隘な敷地で事業を営んでいる中小企業が導入可能な設置面積が小さく安価な排水処理技術について、国が主体となって、早期に調査研究、開発を推進し、その実用化、普及に努めるよう、引き続き関係各局と連携し、国に対し強く要望してまいります。

○加藤委員 下水道局の取り組み、わかりました。生活排水ではないものの排水対策に取り組む局として、さまざまな技術開発を行ってきた実績があるわけですから、事業概要にも、研究開発の成果が、これでもか、これでもかというぐらいいっぱい掲載されていますので、有害物質の排水対策にも取り組んでもらいたいと思います。
 鍍金組合としても、都の産技研に対して研究開発の要望を行っていると聞いておりますので、排水基準の達成に向け、個々の事業場の実態も踏まえ、下水道局を初め、今後も関係する各局と連携して適切な対応をお願いしたいと思います。
 本日は、合流式下水道の改善対策、地球温暖化防止対策、さらには地元墨田区の中小企業経営に影響の大きい排水基準について伺いました。
 本当にこの基本中の基本を、きょうは聞かせていただきましたけれども、これからも下水道局の総力を挙げて水辺環境や地球環境を守るさまざまな取り組みに挑戦し続けるとともに、東京のものづくりを支える中小企業が事業を継続していけるよう支援していただくことを要望して、質問を終わります。

○とや委員 まず、追加分含めまして資料の作成をありがとうございました。私からは、下水道局職員の働き方、職場環境について伺っていきたいと思います。
 この間、都庁各職場の長時間労働が常態化しており、私どもとしても何度も労働時間の短縮あるいは職員の健康問題、定数問題などについて質問をさせていただいてまいりました。
 今年度は、九月に人勧、勧告が出て、また、小池都知事になって、ライフワークバランスの取り組みが始まって一年となります。改めて、この問題を取り上げさせていただきたいと思います。
 下水道局として、ライフワークバランスについて、どのような取り組みをされてきたのか、そして効果はどうだったのか、お示しください。

○久我職員部長 ワークライフバランスの取り組みとしまして、昨年十月から、残業削減マラソンや二十時完全退庁の徹底など、全庁的な取り組みを実施しております。
 また、局独自の取り組みといたしまして、事務の簡素化や効率化とともに、毎週水曜日及び毎月の給与支給日を一斉定時退庁日と定めまして、超過勤務縮減に取り組んでおります。こうした取り組みによりまして、昨年十月からの一年間におけます本庁職員一人当たりの月平均超過勤務時間数は十四・四時間でありまして、対前年度比で約八%の減となりました。

○とや委員 八%の減ということで、さまざまなご努力があったということはわかったんですが、いただいた資料によれば、月残業四時間を超えている職員は、平成二十三年で三百六十七人、二十四年で三百四十二人、二十五年三百七十二人、二十六年になると四百人を超えて四百四人、次の年、四百二十三人、二十八年は四百三十五人と年々増加をしております。さらに、月八十時間超えの職員も同じように、でこぼこはあるんですけれども、二十四年三十七人、二十五年も三十七人、二十六年は三十二人、二十七年四十一人と横ばい状態だと。二十八年は三十三人に減りましたけれどもね。ことし三月の議会でも、残業削減マラソン等の取り組みを通じて、さらなる超勤縮減に努めるとご答弁をされているんですけれども、改善があったとはなかなかいえないのではないかというふうに、この数字を見て思いました。
 さらに、二十九年度の人勧、勧告では、依然として都全体で長時間労働が存在しているといった指摘がありますけれども、この実態についての認識を教えてください。

○久我職員部長 当局では、一月当たりの超過勤務時間数が百時間を超えた職員または二カ月ないし六カ月の超過勤務時間数が一月平均八十時間を超えた職員を産業医による面接指導の対象としております。平成二十八年度のこの対象者は延べ三十三人でありまして、対前年度比で八名の減となりました。
 面接対象者の所属につきましては、予算、人事、決算と特定の時期に業務が集中する部署等でございます。今後も引き続き、超過勤務の縮減に向けて取り組みを進めていく必要があると認識しております。

○とや委員 仕事の進め方あるいは業務自体の見直しということですけれども、本当に、職場の実態を正確に詳細につかんで、効率的で職員が働きやすい、サービスの向上に資するような取り組みや人員配置になっているのかどうか、私はここがとても心配です。
 職員の配置については、これも資料をいただきましたけれども、私どもの会派から以前も指摘をさせていただいてまいりました。この間の資料とあわせて見ると条例定数は、やっぱり年々減らされて、この十五年ほどで四千人以上であった条例定数が既に二千人以上減っており、二十八年度は二千五百十五人になってしまいました。さらに、実人員は、定員に全然満たない人数がずっと続いて、二十八年は二千四百四十三人で、条例定数よりも七十六人も少なくなっています。かなりの職員削減がされてきたことになります。
 仕事の進め方とか業務の見直しというよりも、職員が少ないことをやっぱり改善しなければならないのではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。

○久我職員部長 職員の削減でございますけれども、これまでの職員数の削減の主な理由としましては、監理団体を活用した業務の委託とかポンプ所の遠制化などの不断の経営の努力を行いまして、簡素で効率的な体制の構築に取り組んだ結果によるものでございます。
 また、職員数でございますけれども、その結果でございまして、当局は、業務量の適切な算定に基づいた定数管理のもと適切な人員を配置していると考えております。

○とや委員 監理団体への委託あるいは事務の効率化をやってきたと、職員は適正に配置されているといいますけれども、私がいろいろこの問題を取り上げるに当たってさまざまなところで調べていきますと、やっぱり職員を削減し続けた上に、職場で必要とされている人員も最低限だと。その上で、一年限り、単年度限りの職員を雇用して済ませている職場もあるというふうに聞いています。必要なところには、こうした職員で対応するのではなくて、最初からきちんと配置して計画性を持って仕事できるようにしていただきたいと、これは要望しておきます。
 さらにお聞きしますけれども、人はふやさないけれども、定時の退庁を促すということですけれども、実際、職場からは、人もふやさないで早く帰れといわれても無理だとか、こういう声もあります。さらに、小池都知事になって、都知事がかわれば方針も変わるでしょう、かなり事務処理が大変になったとか、むしろ仕事量がふえたとか、こういった部署もあるのではないかと推察されます。早く帰らなければならないから、早朝から来て仕事をして帳尻を合わすという人もいると聞いています。これでは何のための定時退庁日あるいは残業削減マラソンなのかわからないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○久我職員部長 超過勤務縮減の取り組みが、いわゆる隠れ残業につながるようなことはあってはならないと認識しておりまして取り組んできたところでございます。
 引き続き、超過勤務の縮減に取り組んで、効果のある取り組みをしていきたいと思っております。

○とや委員 人事院勧告では、前日の終業時刻と翌日の始業時間の間に一定時間の休息を確保する勤務間インターバル、この問題について指摘されていますよね。厚生労働省の労働政策審議会において、民間の事業者に対して努力義務を課すことが適当とするという内容が建議されていると、任命権者の取り組みについて注視していくとあります。これはお読みになっていると思うんですけれども、ぜひ職場の状況、実態をよく見て、改善すべきところは改善していただきたいと思っております。
 やっぱり職員をきちんと増員していく、少なくとも条例定員にまず戻していくことが一番の超過勤務の解消につながる道ではないかと思うんですけれども、もう一度お答えいただけますか。

○久我職員部長 条例定数は、職員数の上限を定めるものでありまして、いかなる行政需要に対しましても、条例定数を超えない範囲で弾力的に対応するため、条例定数を下回る職員数にて管理しております。
 当局は、業務量の適切な算定に基づいた定数管理のもと、適正な人員を配置しているところでございます。

○とや委員 この答弁は、いつも何か毎年同じなんですよね、何回も。やっぱり現実問題として、過労死ラインを超える長時間過重労働をそのままにして適正というのかと私は思うんですよ、こういう答弁があると。いかがですか。

○久我職員部長 過重労働防止、特に、厚労省が定めますような精神疾患をもたらすような労働の防止につきましては、厚生労働省の指針に基づきまして産業医の面接とか対策をとっているところでございます。本年は、先ほど申しましたとおり、多少横ばいでございますけれども、上昇せずにそういう水準でいるところでございます。

○とや委員 この問題では、職員の増員なしに根本的な解決はあり得ないと考えています。健康まで損なうような働かせ方をやめて、本当に適切な人員配置にするよう求めておきたいと思います。
 次に、精神疾患の問題について伺います。
 二十九年の人事院勧告では、長期療養者のうち精神疾患関連による割合が半数を超えている現状にあり、引き続き重要な課題であるというふうにいっております。
 精神疾患による病気休職者は、この五年間、十三人から十一人ぐらいの間で横ばいです。潜在的には、長期療養とはいわないまでも、薬を飲み続けているとか、ボーダーラインの方とかという方々がいるんじゃないかというふうに思います。こうした精神疾患は、やっぱり長時間過重労働が要因の一つではないかと考えられるわけですけれども、改善がなかなか見られないのはなぜでしょうか。その対策についてもあわせてお示しください。

○久我職員部長 精神疾患は長時間労働も発病の一つといわれておりますが、業務以外の心理負荷や個人の既往歴なども含めてさまざまな要因が複合的に重なり発病するとされております。過去五年間、当局においては、病気休職に入る前の一年間、精神疾患の原因となるような長時間労働を行った職員は確認されておりません。
 今後とも、精神保健相談、精神疾患の予防指導、精神保健に関する啓発やストレスチェックなどメンタルヘルス対策を推進してまいります。

○とや委員 休職に入る前の一年間は、精神疾患の原因となるような長時間労働を行った職員は確認されていないという、そういうご答弁だったんですけれども、ここは、やっぱりきちんと職場で聞き取りを行うとか、実態をよく見ていただきたいと思います。
 精神疾患は、一度かかれば治療にも、また完治するにも時間がかかるものです。最悪は、この間も問題になった電通の女性社員だとか、あるいは新国立競技場の現場の労働者の方だとか、長時間過密労働により、みずから命を絶ってしまうという事態を引き起こしかねないという危険性もはらんでおります。
 さまざまな要因だというんだけれども、仕事の量が減らない一方で早く帰れといわれている、そうすると自分を追い込んでいって、残業が減らないのは自分の能力がないからだと自分を責めてしまう職員もいるんだという話も聞いております。こういうせつない声がやっぱり上がらないようにしていただきたいと思います。
 そこで一つお聞きしたいんですけれども、自分を追い込んだりとか、さまざまな要因のもととなる一つにハラスメントの問題があります。この問題での認識、チェックをする仕組みなど対応策はありますか。

○久我職員部長 当局では、職員が働きやすい職場づくりのために、ハラスメントの防止に取り組むことが重要だと認識しております。ハラスメントを防止するため、局において相談窓口を設置するとともに、各職場において悉皆研修を実施して意識啓発を推進しております。
 今後とも、ハラスメントのない職場づくりに努めてまいります。

○とや委員 こうした取り組みは、さらに進めていただいて、働きやすい職場をつくっていっていただきたいと思います。
 今回は、精神疾患の問題を含めて職員の働き方の問題、長時間労働の問題を取り上げさせていただいたんですが、いろんな方策をとったとしても、やっぱり職員削減を毎年行えば、当然一人一人の業務量が増加する職場もあるんですよ、必ず出てきます。長時間過重労働は、なかなか改善しないところもあるはずです。
 この間、いろんな資料を見ますと、職員の年齢バランスも崩れてきております。一部の職員に負担もかかっていると。過去を洗うと、東京都は、過去十数年ぐらいですか、採用しない年が続いてきました。今は毎年三桁ぐらいで職員を採用されているようですけれども、当時のしわ寄せが今来ているのではないか、ゆがみが出てきているのではないかと私は思います。
 全職員のうち、再任用の職員が年々増加しているという資料もあります。技術職だとか事務は、いただいた資料では、人員はこの五年間で、でこぼこはあるんだけれども、減っているんですけれども、着実にふえているのが再任用職員なんですよ。つまり、一旦退職された方が引き続き働いて職場を支えていると。事務概要を見ると、平成十八年にベテランの職員の方、五十代が半分、五〇%、六十代は七%であったものが、二十七年には、五十歳代の方が激減して一九%にまで減ってしまっています。六十代が一方で二〇%になっています。このバランスの悪さは明らかにやっぱり職員採用のひずみからきているのではないかなと思っています。
 実人員が減らされてくれば、その傾向、再任用だとかで支えなければならない傾向はますます強くなると思います。さらに、再任用職員は一年更新で、途中でおやめになる方も結構いらっしゃると聞いています。安定して職員を育てるのは、職場の実態に見合った人員配置をすることだと申し上げておきたいと思います。
 ぜひ職場の声、職員の声をよく聞いて、必要な職員数を確保してください。それが都民サービスの向上へと必ずつながると考えます。
 今後ぜひ、労働時間の短縮とそれから健康管理にもあわせて取り組むことを強く要望して、私からは終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○清水委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○清水委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時六分散会