公営企業委員会速記録第三号

平成二十九年三月二十二日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長高椙 健一君
副委員長田中 朝子君
副委員長山下 太郎君
理事加藤 雅之君
理事堀  宏道君
理事鈴木 章浩君
大門さちえ君
塩村あやか君
米倉 春奈君
小竹ひろ子君
田島 和明君
立石 晴康君
橘  正剛君
相川  博君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長醍醐 勇司君
技監田村 聡志君
総務部長黒沼  靖君
職員部長筧   直君
経理部長加藤 英典君
サービス推進部長浅沼 寿一君
浄水部長青木 秀幸君
給水部長尾根田 勝君
建設部長特命担当部長兼務牧田 嘉人君
経営管理担当部長坂井 吉憲君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
IWA世界会議準備担当部長兼務
小平 基晴君
設備担当部長横田 秀樹君
多摩水道改革推進本部本部長池田 俊明君
調整部長金子 弘文君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長本荘谷勇一君
下水道局局長石原 清次君
技監渡辺志津男君
総務部長津国 保夫君
職員部長久我 英男君
経理部長田中 宏治君
計画調整部長神山  守君
施設管理部長中島 義成君
建設部長池田 匡隆君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
IWA世界会議準備担当部長兼務
飯田 一哉君
技術開発担当部長小団扇 浩君
施設管理担当部長廣木 健司君
流域下水道本部本部長坂根 良平君
管理部長関  雅広君
技術部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
水道局関係
請願の審査
(1)二九第一号 工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十五号議案 平成二十九年度東京都水道事業会計予算
・第二十六号議案 平成二十九年度東京都工業用水道事業会計予算
報告事項(質疑)
・みんなでつくる水源の森実施計画(案)について
・多摩水道運営プラン二〇一七(案)について
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十七号議案 平成二十九年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第八十二号議案 多摩川流域下水道北多摩一号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について

○高椙委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の請願審査、水道局及び下水道局関係の予算の調査及び下水道局関係の付託議案の審査並びに水道局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 初めに、請願の審査を行います。
 二九第一号、工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○黒沼総務部長 それでは、請願につきましてご説明を申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
 この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一様から提出されたものでございます。
 請願の要旨といたしましては、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
 この請願に関する現在の状況でございますが、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成二十八年第一回東京都議会定例会における工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補填を前提に、独立採算制の原則及び負担の公平に対する例外的措置としまして、平成二十九年三月三十一日までを期間として、基本料金の一〇%を減免しているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議くださいますようお願い申し上げます。

○高椙委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 異議なしと認めます。よって、請願二九第一号は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。

○高椙委員長 次に、予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二十五号議案及び第二十六号議案並びに報告事項、みんなでつくる水源の森実施計画(案)について及び多摩水道運営プラン二〇一七(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○黒沼総務部長 お手元に配布してございます資料2、公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめてございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入ります、一ページをお開きいただきたいと存じます。監理団体・報告団体の社員数でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの社員数を常勤、非常勤別にお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。監理団体・報告団体における都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの常勤社員数と、そのうちの都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。定数及び職員数でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの局職員の条例定数及び事務、技術、技能の区分別の職員数をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。業務委託の委託先及びそれに伴う職員の削減数でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの各年度の業務委託の委託先及び委託内容、それに伴う職員の削減数をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。定期検針業務の委託単価でございます。
 平成二十四年度から二十八年度までの各年度の委託単価についてお示しをしてございます。
 六ページをお開き願います。局退職者の再就職者数でございます。
 平成二十四年から二十八年にかけて公表されました各年の局退職者の再就職者の数と、このうち工事請負契約の実績がある民間企業への就職者数をお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。長時間労働の面接対象者数でございます。
 平成二十三年度から二十七年度までの各年度の面接対象者数と、そのうち一月当たりの超過勤務時間が百時間を超えた職員数を延べ人数でお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。導水施設の二重化、送水管の二重化・ネットワーク化の事業費でございます。
 各事業における整備区間、事業費をお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。民有林の購入実績と購入した民有林の整備実績でございます。
 平成二十三年度から二十七年度までの民有林の購入件数及び面積、また、購入した森林の整備実績を内容別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。局所有の未利用地でございます。
 局が所有している未利用地につきまして、地域区分別、面積区分別に件数及び面積をお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○高椙委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、ただいまの説明を踏まえまして質疑をさせていただきます。
 まだ記憶に新しい東日本大震災において、震源に近い東北地方で、水道管が継ぎ手部分で外れるなどの断水が発生して、また、トイレや風呂などの生活用水の確保が困難となる大変不便な生活が強いられ、これは避難所や行政や病院など重要な施設ではなおのこと、震災時において給水の継続性の重要性というのが改めて認識をされたわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、切迫性が指摘されている首都直下地震などの大規模地震の被害想定を見直し、一部の地域では、断水率が六〇%を超えることが予想されており、震災対策を着実に進めていくことの重要性が改めて認識されたわけです。こうした経緯をもとにして、基幹的ライフラインの確保を目的として、配水管の耐震継ぎ手化や避難所等給水管の耐震化、また私道内給水管整備など、都議会自民党の私たちも提言をさせていただいて取り組んでいるわけでございます。
 このことは、東京水道経営プラン二〇一六においても、本当に経営方針の重要な項目として記されているわけですけれども、この経営方針を支える基盤の一つが人材(財)、財産の財とも書かれておりますけれども、人材(財)基盤、そして運営体制、財政基盤であると示されている中で、新年度を迎えるに当たりまして、本日は、この最初の人材(財)基盤の確保、育成の考え方について、具体的に案件を示してお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。
 水道局は、今触れさせていただいた項目の中で、特に、耐震継手化十カ年事業を主要な事業に位置づけて今取り組んでおります。しかし、今年度の工事のうち、口径が小さい水道管の工事について、発注件数がこれよりも減っているという声が、かなり工事事業者から上がっておりました。
 これについて私も先般、局から説明を聞いたわけですけれども、やはりその説明を聞いた感覚としても、減っているというのが実感でございます。そこで、平成二十六年度から二十八年度までの配水小管工事及び私道内給水管整備工事について、各年度の延長実績をお伺いいたします。

○尾根田給水部長 配水小管におけるこれまでの工事延長の実績でございますが、平成二十六年度決算では五百三十七キロメートル、平成二十七年度決算では五百四十六キロメートル、平成二十八年度では四百八十キロメートルとなる見込みでございます。
 また、私道内給水管整備におけるこれまでの工事延長の実績でございますが、平成二十六年度決算では六十五キロメートル、平成二十七年度決算では六十八キロメートル、平成二十八年度では五十五キロメートルとなる見込みでございます。

○鈴木委員 今、延長実績をお伺いいたしましたけれども、あわせて、平成二十六年度から二十八年度までの配水小管工事及び私道内給水管整備工事についての各年度の事業費の実績もお伺いいたします。

○尾根田給水部長 配水小管工事のこれまでの事業費でございますが、平成二十六年度決算では七百四十七億円、平成二十七年度決算では九百十四億円、平成二十八年度では一千億円となる見込みでございます。また、私道内給水管整備工事のこれまでの事業費は、平成二十六年度決算では百九億円、平成二十七年度決算では百三十六億円、平成二十八年度では百二十億円となる見込みでございます。

○鈴木委員 ただいま二つのご答弁をいただいたわけですけれども、配水小管工事については、延長は減っておりますけれども、事業費はふえている。私道内給水管整備工事については、延長も、そして事業費ともに減っているということがわかったわけですけれども、一体何でこういうふうになっているのか、平成二十八年度の延長が前年度より減った要因をお伺いいたします。

○尾根田給水部長 要因の一つは、近年の労務単価の大幅な上昇や施工が困難な箇所の存在が顕在化したことに対し、経費を見直すなどの工夫を講じた結果、工事単価が増嵩したことでございます。さらに、平成二十八年度は、前年度の冬季の降雪量が記録的に少なかった上、五月から七月の降雨量が平年の半分程度であったことから、利根川水系のダムの貯水率が急激に減少し、六月から九月にかけて渇水状態となりました。
 水道管の工事では、管路を地中に埋設した後、大量の水を使用して管内清掃を行っておりますが、昨夏は、降雨の見通しが立たない厳しい渇水状態となりましたことから、予定していた工事案件の発注を一時的に絞る必要が生じたことも要因として挙げられます。

○鈴木委員 ただいまご説明いただいた中で、施工困難箇所の存在が顕在化したというふうにいわれて、これが要するに事業費が上がって延長が減った一つの原因だというふうにいわれておりますけれども、この部分というのは品確法が影響しているのか、ちょっとお伺いいたします。

○尾根田給水部長 委員ご指摘のとおり、公共工事の品質確保を目的とした品確法の趣旨を踏まえたものでございます。

○鈴木委員 この品確法は、二〇一四年六月に改正されまして、建築労働者の待遇の改善とともに、将来の担い手を確保するために、担い手三法というふうにいわれているわけですけれども、この部分で本当に将来の担い手を確保するということの趣旨に私は著しく反しているのではないかなというふうに思っております。
 今回、今お話ありましたように、労務単価の上昇というのは、これは今全国的にいろんな部分で、入札不調の対策とか中小企業対策の取り組みで、改善されている面もあるわけですけれども、やはりこの部分というのは、しっかりと事業者を含めて説明をしてご理解をいただく中で進めていかなくてはならないものだというふうに私は思っています。
 もう一つ、渇水の発生について、都民に節水を呼びかける状況で、水道工事というのは多量な水を使用するということを考えますと、そういうこともあり得るかなというふうに思っておりますけれども、地元の工事事業者があってこの事業というのは成り立っているということを考えますと、やはりその部分もしっかりと皆様が理解できるような形で、渇水が原因でなかなか今発注できない、しかしながら、それが改善されたら、計画的な、しっかりと予算の中で執行するんだという話をなぜ説明してあげなかったのかなということで、その部分においても、本当に残念だというふうに思っております。
 事業者は、本当に皆様方といろいろなやりとりをしながら、年内の予定をもとに計画して、人材の確保をして仕事をしているわけでございますけれども、こうした部分のきめ細やかな配慮が、本当にこれからは、ぜひさらに配慮をしていただきたいなというふうに思います。
 そこで、工事費の上昇について、今回の平成二十九年度予算ではどのように対応しているのか、お伺いいたします。

○黒沼総務部長 本定例会でご審議をいただいております平成二十九年度予算につきましては、昨年二月に策定をいたしました東京水道経営プラン二〇一六の二年目といたしまして、プランに掲げた施策を着実に推進するための予算として編成をしております。
 この二十九年度予算における工事費増への対応でございますが、事業費につきましては、配水小管の工事では七百二十一億円、私道内の給水管整備工事では九十億円と、いずれも二十八年度予算を上回る金額を計上してございます。
 延長につきましては、今、委員からもお話がございましたとおり、二十八年度予算と比べまして、配水小管工事では、ほぼ同規模ではございますが三百三十八キロメートル、私道内の給水管整備工事につきましては、約三分の二であります三十九キロメートルとしてございます。
 このように、事業量は減少してございますが、効果的に断水被害を軽減するため、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を優先的に進めておりまして、二十九年度は避難所となります中学校あるいは一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅、こういったものにつきまして、三十一年度までの完了に向け、財源を重点的に投入することといたしております。

○鈴木委員 今、総務部長から、来年度の予算についてお話いただきましたけれども、本当に前年度を上回る予算を確保していただいて重点化を図っているということは理解できました。
 しかし、これは先ほど触れさせていただきましたけれども、来年度の水道局の予算や取り組みというのを、事業者にやはりある程度説明をして、ともにこの事業を推進していこうという、ある種そういった考え方が、これからさらに必要になるのではないかなというふうに思います。
 冒頭申し上げさせていただきましたけれども、この水道管路の耐震継手化十カ年事業というのは、まさにライフラインの確保にとって災害対策の本当に私、かなめであるというふうに皆さんが、計画でも申し述べているのであれば−−皆さんがやるわけじゃないんですよ、事業者の人たちと一緒になってこの事業を進めるという観点を、やはり大事にしていただきたいなというふうに思います。
 それともう一つ、先ほど触れさせていただいた件ですけれども、やはり工事事業者というのは、予定をもとに計画を立てて人材確保する、しかし、その人材が、仕事がなくなってしまえば、逆に、それが経営の大きな足かせになるということも踏まえていただきたい。そして特にこのパートナーである事業者の方々は、やはり小規模な事業者が大変多いという状況も考えながら、ぜひこれからも、そうした事業者の育成という立場も踏まえて取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
 そこで、今般の状況を踏まえまして、工事事業者に対して、今後どのような説明をしていくつもりなのか、局の考え方をお伺いいたします。

○尾根田給水部長 水道管路の耐震継ぎ手化につきましては、首都直下地震等の切迫性を踏まえますと、東京水道経営プラン二〇一六に掲げた目標の達成に向け、着実に取り組む必要があると認識しております。
 そのためには、工事業者の皆様と意思疎通を図り、協力を得ることが不可欠ですので、これまでも、耐震継ぎ手化事業の取り組み方針等について、管工事組合を初めとする業界団体等さまざまなルートを通じ、幅広くお知らせをしてきたところでございます。
 しかし、お話の件を踏まえまして、水道管路の耐震継ぎ手化事業を着実に推進していくため、引き続き業界団体等に対し、一層きめ細かに局事業の動向について情報提供を行ってまいります。

○鈴木委員 この件は、昨年の事務事業質疑でも触れさせていただきましたけれども、本当に工事業者というのは、皆さんを支える本当に大切なパートナーというふうに思っております。また、今月発足いたしました災害救援隊でも、局と業界団体が連携をして取り組みを進めていくということになっております。
 昨年の熊本地震においても、この管工事の工事事業者の方々が、皆様の要請に応えて、仕事をさておいてまでも災害復旧のために取り組んでいる、そうした志をやはり皆様も大切にしていただくということで、本当にこの重要なパートナーである工事事業者に、皆さんの考え方もわかりやすく伝えていただく中で、一緒になって地震に強い水道管路を着実につくっていっていただきたいということを強くお願いをさせていただいて、終わらせていただきます。
 ありがとうございます。

○橘委員 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催まであと三年半となりました。それに関連いたしまして、オリンピック・パラリンピックと渇水対策について幾つか質問させていただきたいと思います。
 前回の東京オリンピックが開催された一九六四年、昭和三十九年でありますけれども、この年は東京砂漠といわれるほど大渇水の年でございました。当時、東京の水道の水源というのは、ほとんどが多摩川とか江戸川であって、利根川からは取水がまだされていない、そういった時代であったようでございます。
 この歴史についていうときに、東京近代水道百年史というのがありまして、この資料を拝見いたしました。その記録によりますと、昭和三十九年というのは、それ以前から続いていた渇水状況、それから梅雨どきも雨が非常に少なくて平年の五〇%にも満たなかったと。さらに、梅雨が明けてからも猛暑日が二十九日間も続くという、そういう厳しい気象状況にあったというふうにして記載されておりました。
 そして、六月十五日からは一五%の給水制限が実施されまして、八月中旬には、東京水道の歴史上空前の五〇%という給水制限が行われ、実際は、朝と夕方しか水が出ない状況になったという状況が記載されておりました。
 そして、他の水道事業体とか、それから自衛隊、在日米軍による応急給水も行われ、そして、東京オリンピックがこれで開催できるのかという社会問題にまでなったという、そういった記載もございました。
 実は、私が初めて都議会議員に当選して議会に来させていただいてから、最初に視察に、先輩議員に連れていっていただいたのが水源地でありました。これ、なぜ最初に連れていったかと、バスの中で先輩議員が語ったことによると、昭和三十九年のときに、私たちも大変な思いをしたんですと。つまり大渇水の状況で、これでオリンピックが開けるのかと、都民からは、怒りの声であるとか不安の声がたくさん議会にも寄せられた。また、当然皆さん方のところの局にも行ったと思いますけれども、そういったときに、自分たちは地図を広げて、そして山の中に入って、ここからこういうふうにして引くことはできないのかとか、そういったことまで長靴を履いてやったんだと、今日の東京の水を確保するために、現場で私たちは発想したんだという、そんな話もそこで聞かせていただいて、水の確保というのは非常に大事なんだなということを私は印象に強く残っております。
 そうした出来事が昭和三十九年にあったわけです。そして、八月二十日に未明から雨が降って、この雨によって水源が確保されて、それでオリンピックを無事開催することができた、こういった経緯をたどるわけであります。
 この間のことについて、水道局の職員という立場で描いているのが、日本水道新聞というところに、赤川正和さん、これは元の水道局長でいらっしゃいますけれども、この赤川さんがつづっておられます。
 その当時、昭和三十九年当時、この記事によりますと、赤川さんは、水道局の経理部門を担当していた職員というふうに書いてありましたけれども、そのときの思いというのをつづっておりまして、私もじんと来るものがありましたので、紹介させていただきたいと思います。
 八月二十日未明から降り始めた雨は、都心でも七十数ミリ、小河内ダム上流では八十二・一ミリにも達しましたと、そこから始まりまして、そのとき水道局内は異様な興奮に包まれていましたと。私たちはその夜、東京都庁があった付近の有楽町ガード下の飲み屋で、涙をぽろぽろ流しながら、淡谷のり子の「雨のブルース」など、知っている限りの雨の歌を仲間とともに歌いましたと。というふうな描き方をしておりまして、いかにそれまでつらい思いをしてやってきたのか、そしてまた、この雨が本当にありがたかったのか、そんな思いをつづっておられました。
 これは、一人の水道マンとしての思い出を語ったわけですけれども、それほど東京にとっての雨というもの、また、水というもの、水源というものがいかに大事なのか、それに携わる職員がいかに真剣であったのか、そしてまた、これがいざ渇水状態になると、いかに東京全体の問題となって社会問題になるか、それを見事に描いているなというふうに私は思いましたので、紹介をさせていただきました。
 そして、この難局をどうにか乗り切ったその経験を踏まえて、いろんなその後の対策が講じられていって、現在の今の東京の水道があるわけでありますけれども、その厳しい渇水を教訓にして、水道局としてはその後どういう施設整備であるとかいろんな対策を積み重ねてこられたのか、それについてまず確認しておきたいと思います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 昭和三十年代までの東京の水道水源は、主に多摩川水系でございまして、急増する水道需要に対して水源が大幅に不足していたことから、利根川水系における水源確保が積年の悲願でございました。
 このため、国及び関係県とたび重なる協議を経て、矢木沢ダムや下久保ダムなどの水源開発に参画してきた結果、現在では、東京の水源のおよそ八割を利根川、荒川水系に確保してございます。
 また、こうした水源開発を初め、利根川水系と多摩川水系の原水を有効活用するための原水連絡管を整備するとともに、浄水場や給水所の整備拡充とあわせ、それらを有機的に結ぶ送水管ネットワークの構築を進めてきております。こうした取り組みにより、渇水への対応力を強化し、都民への安定給水に努めてまいりました。

○橘委員 今答弁にありましたように、この利根川水系からの取水というのは大きな威力を発揮したというふうにいわれました。また資料にもそう残っておりますけれども、実は、この利根川水系というのは、全国の主要水系や世界の主要都市と比べますと、渇水に対する安全度が非常に低いといわれております。
 現に、平成二十四年、二十五年、それから昨年の夏、二十八年ですが、渇水が発生しているわけです。これはやっぱり脆弱性が、この一端をのぞかせたような気がいたします。
 そして、二〇二〇年の東京大会の成功には、大都市東京というのを支える水道の安定供給というのが、これが一番大事だと私は思っております。万が一、大会期間中に、また、その前に渇水が発生した場合には、やっぱり都民が本当に大丈夫なのかという、そういう不安があるだろうし、世界から来られる方たちも、水は大丈夫なのかという、そういう不安がつきまとう、そういった大会にしてはならないと思います。
 こうした大会運営に大きな支障を及ぼす可能性がある、そういったことを念頭に置いて渇水対策というのは講じていかなければならないと思いますけれども、まずは、二〇二〇年の東京大会に向けて、渇水対策についてどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 水道局では、渇水が発生した場合でも、二〇二〇年東京大会の運営への影響を最小限に抑えることを重要課題といたしまして、あらかじめ対応策を検討し、準備を進めております。
 現在、平成二十七年五月に策定し、渇水対応の基本的な考え方と具体的な取り組みを定めた行動計画について、昨年夏の渇水を踏まえた見直し作業に着手し、大量の水を使用する工事の施工時期の調整や取水制限が行われた場合のより効果的な水運用計画の検討などに取り組んでおります。

○橘委員 今おっしゃいました水運用計画というのは、これはいつごろをめどに策定されるんでしょうか。

○高椙委員長 手を挙げてください。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 来年度前半を目指しまして、できるだけ速やかに策定してまいります。

○橘委員 この渇水というのも、我々都民全体に影響を及ぼす、生活にも大きな影響を及ぼすことでございますので、これは一つの災害というふうに捉えていきますと、災害対策というのは、やはり最悪の事態を想定して最善を尽くすというのが、これが行政としてのまた役割であろうかと思っております。
 ただし、渇水というのは、自分の自宅の、また職場の水が出なくなったというふうになると、これは直接響くなというのは実感できるんですけれども、ただダムの水が減ってきたとか、渇水状況になってきたとかというふうなことだけでは、生活にぴんとこないという、こういったこともあります。
 したがって、水の確保であるとか、生活に直結するんだという、それが渇水なんだということが、ある程度日常生活の中でも都民が実感できるような、こういう状況を共有できるような、その環境をつくるということも大事かと私は思います。
 したがって、一つの提案ですけれども、渇水状況に応じて、例えば、レベル一からレベル五とか、そういったランクをつけまして、そして今現在こういう状況、レベル三だったらこういう状況ですよということが、都民が一目でわかるような、また、スマートフォンとかを使って、水道局のネット上のデータを活用できるとか、レベル幾つのものができるとか、入手できるとか、そういった都民の皆さんが簡単に日常的に活用できるような、そういった対策をしていってはどうかと。それがまた、都民に公表することによって、危機的な状況であるとか、渇水状況を共有できるという、そういったことも大事かと思いますので、この点はいかがお考えか、ちょっとお聞きしたいと思います。

○浅沼サービス推進部長 当局ではこれまでも、渇水時には、その時々の渇水状況に応じた対策につきまして、新聞やテレビなどの媒体や局のホームページ、ツイッターで都民に公表してまいりました。
 また、昨年の渇水時には、知事からの節水の呼びかけのビデオメッセージですとか、デジタルサイネージを利用し、より関心を引く方法で都民に周知を図ってきたところでございます。
 一方、渇水対策におきましては、当局として行うべき多摩川水系の有効活用などの取り組みに加え、都民の皆様による自主節水は非常に重要な位置づけとなっております。そうしたことから、先生ご指摘の趣旨を踏まえまして、渇水の状況や対策につきまして、都民の皆様によりわかりやすくお伝えする方法を検討してまいります。

○橘委員 ぜひ、その都度その都度の状況を都民とも共有できるような、そういった公表の仕方、都民への訴え、これをお願いしたいと思います。ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 次の質問に移りますけれども、昭和三十九年の渇水状況というのは、先ほど私も紹介いたしまして、答弁にもありましたけれども、対応については、しっかりこのレベルの渇水に対応策を講じていかなきゃならない。これは当然でありますけれども、ただ、近年の異常気象を見ますと、昭和三十九年のレベルもはるかに上回るような、そういった状況も十分あり得るというふうに思います。異常気象もそうですけれども、人口の集中、それから下水道整備によって水需要というのはますます高まっていく、いろんな面で水需要というのは高まっていくと思います。
 したがいまして、異常気象と水需要のさらに進んでいくというこの状況の中で、万が一、大渇水の状況、雨が降らなかった、降雪が少なかった、そういった事態を、最悪の事態を考えて、この対応策を考えていかなきゃならないと思いますけれども、さらに厳しい渇水状況が生じた場合の対処、これについてお答えいただきたいと思います。

○黒沼総務部長 渇水時には、都民生活や都市活動への影響を最小限に抑えること、これを基本方針といたしまして、渇水の状況に応じた最も適切な対策を講じていくこととしてございます。
 ただいまサービス推進部長が答弁しましたとおり、渇水の段階に応じまして、都民への節水の呼びかけ、あるいは多摩川水系を活用した水運用などを行うほか、さらに渇水が深刻になった場合でございますが、ポンプ圧力の調整による給水制限、こういったことを実施することも想定されますが、その際もできるだけ都民生活等への影響を限りなく軽減するため、そういった少ない時間で、影響のなるべく及ばない時間帯を選んで給水制限を実施するなどの配慮を行ってまいります。
 さらに、万が一、一部の場所や地域におきまして断水等が発生した場合におきましては、応急給水を実施することになりますが、当局でも応急給水の備えはございますが、当局だけで対応が困難な場合は、あらかじめ締結している協定等に基づきまして、他の水道事業体から応援を受ける仕組みとなってございます。
 こうした厳しい渇水時にも、都民生活への影響を可能な限り軽減するため、渇水の状況に応じた重層的な対策に取り組んでまいります。

○橘委員 今の応急給水であるとか、他の事業体からの応援、確かにこれは緊急事態にとっては大事なことであり、これも整備していかなければならないというのは当然でありますけれども、この渇水の根本的な問題というのは、水道の原水を確保するという、これが大事かと思います。これがやっぱり根本的な対策としては一番大事なことかなとは私は思っております。それが今、不十分な状況にあると思います。
 そこで、現在の利根川の上流域には八ッ場ダムの建設が進められておりますけれども、もし、このダムが、仮にですけれども、仮に完成していれば、昨年の夏の渇水による取水制限は、まず実施しなくてもよかったんではないかと思います。歴史にイフとか、もしというのはありませんので、事実は事実として受けとめざるを得ませんけれども、そのことを振り返ってみても、コンクリートから人へだとか、そういったことで政治に翻弄されたのが八ッ場ダムであったと思います。同時に、これは、都民の生活を危機にさらしたという要因にもなったかと思います。こうした政治の愚というものは繰り返してはならないと私は思っております。
 そして、この八ッ場ダムの重要性でありますけれども、この水源の確保にとって、八ッ場ダムというのは重要な役割を果たしていると思いますけれども、これが完成して、取水ができるようになれば、二〇二〇年の東京大会も少しは安定できるのかなと思いますけれども、この大会の鍵を握っているのは、やはり八ッ場ダムがいかに早く完成するか、そして取水ができるかということであろうかと私は思います。
 したがって、八ッ場ダムの効果、それから工事の進捗状況、これについてお答えいただきたいと思います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 まずは八ッ場ダムの進捗状況でございますが、平成二十七年度末時点で、国道や鉄道のつけかえ、家屋移転などはほぼ完了しておりまして、事業費ベースでの進捗率は約八割となってございます。
 平成二十八年六月からは、ダム堤体のコンクリート工事に着手し、今月四日には定礎式が開催されるなど、二〇二〇年東京大会の前年度に当たる平成三十一年度の完成に向け、着実に工事が進められているところでございます。
 また、八ッ場ダムの効果でございますが、建設中の八ッ場ダムは、上流域に豪雪地帯を抱え、流域面積も利根川上流ダム群の中では最大であることなどから、貯水量の確保にすぐれた特性を有してございます。加えて、利根川上流八ダムの総貯水量の約二割に相当する九千万立方メートルもの水を蓄えることが可能でございまして、渇水対策として大きな効果が期待できます。
 先生ご指摘のとおり、国は、八ッ場ダムが完成していれば、昨年夏の渇水を回避できたと評価してございます。

○橘委員 これまで、るる水源の確保であるとか、それから施設整備の話とか、いろいろ質疑してまいりましたけれども、まずは八ッ場ダム、これは三十一年度までに完成することを期待したいと思います。
 最後の質問となりますけれども、この東京にとっては、大事な大事な箇所であります渇水対応能力の強化、それから安定供給をずっと続けていくという、これは至難のわざですけれども、これをどうやって乗り越えていくのか、安定給水というものを確保していくのか、これがこれからの東京の発展にとっても大事かと思いますので、その辺の決意を含めて、東京都水道局の意見を伺いたいと思います。

○醍醐水道局長 東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える上で欠かすことができない、まさに基幹ライフラインでございます。こうした認識のもと、当局ではこれまで、水道需要への対応のため、幾多の水源開発に参画するとともに、水道システムの骨格となる浄水場や送水管ネットワークなどの施設整備を計画的に実施をしてまいりました。
 しかしながら、今もお話ございましたとおり、近年、利根川水系では、三年に一回程度の割合で取水制限を伴う渇水が発生している状況にございます。残念ながら、首都東京における安定した水源の確保というのは、いまだ道半ばといわざるを得ない状況でございます。
 委員からもお話ございました、三年後には二〇二〇東京大会、これは世界中から注目を集めるイベントでございますが、その大会が開催をされます。渇水が大会の運営に影響を与えることのないよう、あらゆる対策を講じていくことが不可欠であるというふうに私ども認識をしておるところでございます。
 このため、まずは、昨年夏の渇水を踏まえまして、今まで質疑の中でもございました多摩川水系の計画的な運用ですとか、それから効果的な自主節水の呼びかけ等々、さまざまな渇水対策を強化していくとともに、八ッ場ダムのさらなる工期短縮を国に強く求めてまいります。
 こうしたことによりまして、二〇二〇年東京大会、そしてお話のその先も含めました首都東京の安定給水の確保に向けまして万全を期してまいりたいというふうに思います。

○山下委員 私からは、多摩地域の都民生活にとって必要不可欠な水道水をどのように供給していくのか、都が今後取り組む事業を記した多摩水道運営プラン二〇一七が示されました。都民生活の向上、そして危機管理にも資する都の取り組みのあるべき姿について伺ってまいりたいと思います。
 多摩地域の水道事業については、もとは各市町の事業であったことから、東京都に移管された後においても、地域住民の皆さんが地元自治体に問い合わせることが多いと伺っております。地域住民から地元自治体への問い合わせの内容や情報を、自治体から東京都水道局へ確実に伝達されるよう、自治体と東京都水道局の協力体制を保ち続け、水道サービスの向上につなげていただくことをまず求めるものであります。
 さらに、都としても、水道事業に関する情報を発信する、例えば、この地域で、この期間に、こうした水道工事が行われますよとの情報や、災害発生時にはこの給水拠点で給水が行われますなど、都民生活に必要な水道に関する情報を、現在どのような形で発信しているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○金子調整部長 水道事業に関する情報発信は、お客様のご理解を得るために重要と認識しており、多摩地区におきましても、区部と同様に、さまざまな手法を用いて積極的に取り組んでいるところでございます。
 水道工事に関する情報は、周辺のお客様に工事のお知らせビラを配布するとともに、工事内容をわかりやすく説明した看板を設置するなどして周知を図っております。また、大規模工事におきましては、工事説明会や現場見学会を実施するなど、水道工事への理解促進に努めております。
 発災時に応急給水を行う給水拠点につきましては、局ホームページに地図を含めて掲載しているほか、訓練やイベント、さらには窓口等でお客様へ配布している地域水道ニュースなどにおきまして、近隣の給水拠点をご案内しております。
 さらに、多摩地区では、市町への水道に関する問い合わせも多いことから、各市町に対しまして、ホームページ上での給水拠点の情報掲載を依頼してきておりまして、順次掲載していただいているところでございます。

○山下委員 ありがとうございます。
 工事の際にビラを配布するとか、あるいは説明会、見学会を実施される、ホームページに載せていくという、今極めてオーソドックスなご説明を頂戴したというふうに思っています。
 しかしながらもちろん、皆さんがご努力されていないという意味ではありませんけれども、今日においては、ご承知のとおり、スマートフォンで、緊急災害等ではダイレクトにタイミングよく情報が入ってくる時代でございます。さらなる多様な形での広報が水道局でも図られていく必要があるというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。

○金子調整部長 水道局では、発災時にどの地域において断水あるいは通水しているかを、平成三十二年度から視覚的な地図情報としてホームページで発信するための準備を現在進めているところでございます。
 また、多摩地区では、平成二十九年度に多摩水道のSNSアカウントを新たに設置し、平時から適時適切に給水拠点や地域に密着した情報などをきめ細かく発信してまいります。こうした取り組みを含め、さまざまな媒体を活用した情報発信の充実に努めてまいります。

○山下委員 すばらしいというふうに思います。まず、平成三十二年度から運用開始を目指されているということについて、ホームページ上での断水あるいは通水がどこでなっているかといった、こういった取り組みも、すばらしいお取り組みだというふうに思うので、ぜひ一日も早い実現をお願いしたいというふうに思いますし、多摩地域で、この二十九年度、SNSアカウント、新たに設置をということでありますので、ぜひそちらもよろしく強力に推進していただきたいというふうに思います。
 先ほど、災害時の給水情報について触れられましたけれども、災害が発生したときに都民の皆さんが備えられるように、平時から可能な対応を進めていくべきだというふうに考えております。
 神戸や淡路の震災は夜が明けない冬の早朝に、中越地震は週末、東日本大震災は平日の日中に起こるなど、いつ何どき、災害が発生するのかは誰にもわかりません。
 そこで、地域において的確な災害対応を行うためには、多くの人々が、まさかのときに備え準備をする必要があります。地元市町では、自治体職員と地域の皆さんが消火栓からの応急給水訓練を行ったり、地元事業者と連携した配水管応急復旧訓練などを行っています。
 また、地域の人材として、学校に通う高校生たちも災害時に地域で助け合うため、災害時に水を確保するために、平時に都教育庁、自治体などと協力して、応急給水体験を学べる取り組みをさらに広げていくべきではないかというふうに考えております。
 現状の水道局の取り組みを伺いたいと思います。

○金子調整部長 水道局では、都立高校生に、水道が使えない状況を体験し水道の大切さを再認識してもらうことを目的に、給水訓練を活用した断水体験事業を、教育庁と連携し、平成二十八年度から試行的に実施しております。平成二十八年度は、多摩地区十二校、区部九校の計二十一校で実施したところでございます。
 多摩地区におきましては、参加した高校生から、助けられる側から助ける側への意識が変わったとか、災害時に高校生が担う役割について意識することができたといった声をいただいておりまして、次代を担い災害時に地域を担う人材である高校生に対し、災害対応への意識を高める効果があると認識しております。

○山下委員 本当に、ただいまご答弁いただいた体験学習といったものは、私も極めて重要な取り組みの一つだというふうに考えています。私自身も高校生のころに、形は違いますけれども、一切光の通らない目隠しをして、全く見えない状況の中で盲導犬に連れられて、自分一人で誰の助けも得ずにまち中を歩くというような体験学習をした記憶が今でも鮮明に残っています。
 こういった震災時にどう備えるかというのを、このように若い時代から体験をし、それが後年になってもその人たちの意識の中に深く根づいていく、こういったことは極めて重要な取り組みですので、ぜひ今後とも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 ただ、ご答弁にあったように、区部で九校、多摩地区で十二校ということでございますので、今後さらに多くの高校生にそういったすばらしい取り組みを広げていただきたいというふうに考えております。見解を伺いたいと思います。

○金子調整部長 平成二十九年度は、平成二十八年度の実施状況等を検証しまして、限られた時間内で給水活動など、体験メニューをふやすでありますとか、震災対策講話に映像を取り入れるなど、実施内容のブラッシュアップを行い、より効果的に実施する予定でおります。
 現在、教育庁と連携しまして、より多くの高校で実施できるように働きかけを行っており、多くの高校生に断水体験を実際に経験していただけるよう努めてまいります。
 さらに、SNSなどの媒体を活用しましてこうした取り組みを発信することで、より多くの高校生の災害対応意識を高めてまいります。

○山下委員 今まで、平時や災害時の情報や対応力の強化など、ソフトの部分について伺ってまいりましたが、ハードの部分についても確認をしてまいりたいというふうに思います。
 災害時や水道の事故が発生した場合に備えて、多摩地域における水道のバックアップ機能を強化する必要があります。
 我が会派においては、多摩丘陵幹線が全線完成したときに、その拠点である八王子市と町田市の市境にある鑓水小山給水所を視察いたしました。多摩西南部百六十万人の都民の皆さんへの水道水の送水能力が強化をされ、この地域に対する給水がさらに向上していった状況を確認させていただいてまいりました。
 また、送水管ネットワークの一つである多摩南北幹線については、私自身、さきの事務事業質疑において確認をさせていただいているところでございます。その整備の進捗状況と完成により、給水安定性が向上しているというふうにも認識をいたしております。
 引き続き、送水管ネットワークの構築を着実に進めていただきたいと思いますが、それとともに、送水管の先、給水所等から都民の皆さんへ水を届ける配水管の整備も大変重要であります。
 そこで、多摩地域の配水管網の現状と課題についてお伺いいたしたいと思います。

○本荘谷技術調整担当部長 多摩地区におきましては、都営水道を一元化した後も、各市町が水道施設の管理を行ってきたことから、多くの配水区域がそれぞれの市町域内で設定されているため、市町域にとらわれない合理的な配水区域となっておらず、配水区域を結ぶ連絡管の整備も不十分でございます。また、区部に比べ配水区域内の配水管網の整備も不十分であり、配水管のネットワーク化が不足している状況にございます。
 このため、災害や事故時には、バックアップ機能が不足し、断水被害が広範囲に及ぶほか、管路の更新が困難な状況となっております。

○山下委員 ご答弁いただいたように、多摩地域では、まだまだ配水管網の整備が十分でないということがわかりました。
 東京改革議員団として、多摩地域の都民に必要不可欠な水道インフラが整備をされ、災害にも強く持続可能な更新が行われるよう、東京都水道局にさらなる取り組みを求めるものであります。
 そこで、今後の配水管網整備の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。

○本荘谷技術調整担当部長 今後の多摩地区におけます配水管網整備の取り組みといたしましては、隣接する配水区域と連絡する管路の整備を計画的に進めることで、配水区域間の相互融通機能を向上させてまいります。
 また、各配水区域におきまして、給水所等からの配水本管の二系統化によるネットワーク化を推進し、バックアップ機能の強化を図ってまいります。さらに、既設の配水管を耐震継ぎ手管に更新することで管路の耐震性を高めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、多摩地区全体で信頼性の高い配水管網を構築することで、災害や事故時におきます給水安定性のさらなる向上を図ってまいります。

○山下委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 ただ、こういったインフラ整備というのは、どうしても限られた財源の中で、課題があるということはわかっていても、対応がおくれがちになってくるというような実態もあろうかというふうに推察をいたしております。
 しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、事故あるいは災害というのは、こちらの準備が一〇〇%整うまで待ってくれるかといえば、必ずしもそうではないというふうに思います。もちろん、むちゃな提案要求をするつもりはありませんけれども、極めて厳しい状況の中でも、一日も早くこういった課題がクリアされるように、皆様のさらなるご努力を強くお願いを申し上げ、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。

○米倉委員 初めに、水道料金の減免について伺います。
 水道局は、生活が困窮されている方、具体的には、生活保護を受けていらっしゃる方や、ひとり親家庭への児童扶養手当、また、障害児を育てる親への特別児童扶養手当の受給者、東日本大震災の避難者などへの減免を行っています。その他、公衆浴場や社会福祉施設なども対象としています。
 そこで、水道料金の直近の減免の実績と金額を伺います。

○浅沼サービス推進部長 平成二十七年度における減免件数は、約二十三万六千件でございます。
 また、減免額につきましては、約三十八億円となってございます。

○米倉委員 二〇一五年度の減免実績は、トータルで約二十三万六千件とのことでした。減免の対象は、最新の統計を見てみますと、都内では生活保護の受給世帯だけで約二十三万三千世帯あります。水道局の減免実績と同じくらいの数になっております。
 さらに、児童扶養手当を受ける世帯は、都内に約百六万世帯あり、ほかにも震災の避難者や社会福祉施設も都内に数多くあることを考えますと、減免制度を利用している方と対象の数には、かなり開きがあることがわかります。
 料金の減免制度については、どのように周知を図っているのでしょうか。

○浅沼サービス推進部長 減免制度につきましては、当局のホームページ、検針時に使用水量等をお知らせする検針票、また、営業所等で発行する地域広報紙など、さまざまな媒体を使用しまして広く周知しております。
 各営業所等におきましては、お客様からの料金の支払いなどに対する相談の際に、必要に応じて減免制度の説明を行っております。また、生活保護等を受給されていないお客様に対しましては、各区市町の福祉部署も案内しております。
 さらに、各区市町に依頼しまして、福祉部署の窓口に減免申請書を配置していただいて、きめ細かな対応を行っているところでございます。

○米倉委員 いろいろな手段で周知はされているということですけれども、例えば、ホームページを拝見していまして、社会福祉施設なども減免対象なんですが、これは対象になる施設と対象にならない施設なんかを定めていらっしゃいますけれども、自分の施設が当てはまるかどうかが、やっぱりわからないんですね。そういうところも、さらに充実していただきたいと要望しておきます。
 水道料金の減免の対象自体の拡充も必要です。今、十八歳未満の子供の六人に一人が貧困状態だと指摘をされています。これを受けて東京都は、首都大学東京の阿部彩教授と共同で子供の生活実態調査を行い、ことし二月には調査結果の中間まとめを発表しています。
 小学五年生、中学二年生、十六歳から十七歳を対象とした調査結果から明らかになったことは、どの世代でも二〇%を超える子供が生活困難層だということです。
 その中でも深刻なのは、生活困窮層です。生活困窮層とは、低所得、そして家計の逼迫、経済的な理由でキャンプに行ったりお年玉をもらったりするなど子供の体験や所有物を持つことができない、この三つの項目のうち二つ以上に当てはまる方を示しています。
 調査結果からは、小学生、中学生、高校生世代、どの世代でも、困窮層の二〇%から三〇%の家庭で、水道料金の滞納経験があると答えていらっしゃいます。
 都は、こうした生活困窮者の実態をどう受けとめているでしょうか。

○浅沼サービス推進部長 当局は、営業所等におきまして、生活困窮等のお客様から、個別に料金の支払いに関する相談を受けた場合には、お客様ごとの生活状況を踏まえまして、料金の分割や、必要に応じて、先ほど申し上げましたように、区市町の福祉部署を案内するなど丁寧に対応しております。

○米倉委員 都が行った、この子供の生活実態調査では、ひとり親家庭だけでなく、二人親家庭であっても約一〇%の家庭が生活困窮に直面しているということも明らかになっています。
 こうした実態を考えますと、先ほどのご答弁で、生活困窮されている方については、分割の相談などを行っていらっしゃるということで、これ自体は否定はしませんが、ただ、水道局の料金減免制度自体も対象範囲を拡大することを検討すべきだと思います。
 ひとり親家庭で、児童扶養手当を受けている家庭だけでなく、二人親家庭についても対象とすることが必要ですが、いかがですか。

○浅沼サービス推進部長 水道事業は、地方公営企業として独立採算のもと、受益者負担を原則として経営しております。こうした観点から、料金の減免措置は基本的になじまないものであると考えております。
 現在実施している生活保護世帯などに対する減免措置は、減収分を一般会計が補填することを前提に例外的に行っております。したがって、減免措置を拡大する考えはございません。

○米倉委員 減免措置は例外的に行っているものとおっしゃいますが、こういう世帯こそ減免の対象になるべきなのではないんですか。せめて検討はやるべきじゃありませんか。いかがですか。

○浅沼サービス推進部長 繰り返しになりますが、水道事業は、地方公営企業として独立採算のもと、受益者負担を原則として経営してございます。したがって、こうした観点から、料金の減免措置は基本的になじまないものであると考えてございますので、減免措置を拡大する考えはございません。

○米倉委員 水道は、命と健康に直結する非常に重要なインフラです。民間企業ではなく、公営企業ですので、この役割は本当に重いものがあると思います。減免対象の拡充を強く要望しておきます。
 次に、社会福祉施設の料金の減免についてです。
 世田谷のある社会福祉法人から、水道料金の減免が受けられないことについて相談を受けています。三階建ての建物の中に、定員十八名のグループホームと定員二十五名のデイサービスセンター、そして訪問介護を行うヘルパーステーション、在宅支援センターなど四施設が設置をされています。まさに地域の介護サービスの拠点としての役割を担っていらっしゃいますが、今、水道料金の高さが経営を圧迫しています。
 水道を最も使うのはお風呂だということです。デイサービスの利用者だけでも、一日当たり十人から十五人が入浴をされると。一月にしますと三百人がお風呂に入ると。さらに加えて、グループホームの入所者もお風呂に入ります。その結果、一月の水道料金は、施設全体で約十五万円かかると。加えて、ガス代が一月約五万円かかるんだということです。この施設は、数年前に水道料金の減免を希望したそうですが、受けられなかったということでした。
 社会福祉施設については、例えば、グループホーム単独の場合は、水道料金の減免の対象となっています。では、減免の対象外となっている居宅介護等事業、つまりヘルパーステーションなどが同じ建物に併設されている場合は、減免は受けられるのでしょうか。受けられない場合は、理由も伺います。

○浅沼サービス推進部長 グループホームなどの減免対象施設と、ヘルパーステーションなどの対象外施設が同一建物に併設されている場合、対象施設部分だけの使用水量を算出することが不可能であることから、適用対象外としております。

○米倉委員 ヘルパーステーションで使った分の使用水量がわからないから、グループホームの使用料について減免ができないということですが、そもそもヘルパーステーションは、条例で定める料金減免の対象にならないということなんでしょうか。条例上、こうしたケースが減免を受けられない理由があるのかどうか伺います。

○浅沼サービス推進部長 水道事業は、独立採算及び受益者負担を経営の基本原則としているため、減免の実施につきましては、水道使用者間の公平確保の観点等から、慎重に対応すべきものと考えております。こうしたことから、料金の減免措置は、議会の付帯決議等を踏まえまして実施しているところでございます。

○米倉委員 条例では、こういうふうに書いてあります。公益上その他特別の理由があると認めたとき、料金などを減免できるというふうに書いていますから、今のご答弁のように否定はできないわけです。しかも、都議会の水道料金の減免措置に関する決議は、社会福祉施設については、施設の種類を制限せず全ての施設について減免を求めているわけです。ですから、寄せられた相談のような減免が受けられないケースは、条例上、減免が可能ですし、議会の付帯決議でも対象の範囲となっております。
 こういう福祉施設の中に、今、水道局の判断で対象施設と対象外の施設を分けているために、こういうケースが生まれているのではないでしょうか。本来は、福祉施設全てを減免の対象にすべきで、減免の適用範囲を見直すことこそ検討するべきだと指摘をしておきます。
 同時に、早期に、料金減免の対象となっている福祉施設が減免が受けられるように、例えばグループホーム、今回のようなケースですけれども、改善が必要です。少なくとも、水道料金の減免対象となる社会福祉施設にヘルパーステーションなどほかの施設が、対象外の施設が併設されている場合、建物の面積や、また何らかの方法で料金を案分し、水道料金の減免額を決めるなど検討すべきと考えますが、いかがですか。

○浅沼サービス推進部長 ただいまお話のありました、料金の案分等による対応では、それぞれの施設の水道使用状況を適切に反映できないということから対応できないということになっております。
 ただし、同一の建物でありましても、水の使用用途ごとに配管形態が分割されており、それぞれのメーターが設置されている場合には減免の対象となります。

○米倉委員 水の使用用途ごとに配管が分かれていて、メーターがそれぞれ複数、一つの建物に設置されていれば適用もあり得るということで、つまり一つの建物に、グループホームに一つ水道メーターがついていて、別にヘルパーステーションにも水道メーターがついていれば減免の対象になるということなんですが、しかし、そもそもそうしたケース、一つの建物に複数の水道メーターがつけられるということは、水道局の考え方からしたら、例外的なものなのではないんですか。

○尾根田給水部長 一つの建物に二つのメーターということでございますが、一つの建物に一つのメーターというのが原則でございますが、例えば、今申し上げましたように、全く用途が分かれていて、それが末端で接合していないとか、使用形態がはっきり分離できる構造になっていれば、それは例外として設置することが可能となってございます。

○米倉委員 今のご答弁のように、例外的な話であって、基本は一つの建築物に一つの水道メーターを設置するという考え方になっているわけです。
 そうなりますと、一つの建物に幾つもの社会福祉施設が入っていれば減免が適用されないということになるんです。例外的な対応として、水道メーターを複数設置すれば減免は適用されますが、新築ならまだしも、既存の福祉施設が新たに配管工事を行うということになれば、場合によっては数百万円になることだって考えられるわけです。
 私も、地元の豊島区の特別養護老人ホームについて調べてみましたが、十カ所ある施設のうち八つの施設が減免対象外の福祉施設と併用となっております。加えまして、この複数の施設を併設した社会福祉施設というものは、今、東京都が旗を振って推奨しているものなんです。
 特養ホームの整備費補助の説明会でも、施設の複合化も限られた土地を有効活用する手法の一つとしていますし、土地が限られた都内で、特養ホームなどに併設する形で訪問サービスなどの施設も一緒に設置することで、地域の介護サービスの拠点にしていくとして、場合によっては、併設加算までつけて促進しているんです。にもかかわらず、水道料金については、訪問系のサービスを同じ建物の中に併設した場合には減免の対象外になってしまうということは整合性がありません。
 介護などの事業者というのは、介護保険の給付対象事業と、それ以外の事業を行っていたり、複数の介護保険の給付対象事業を行っているケースが多いために、会計はどのように区分するかということについては、厚生労働省から都道府県宛てに、案分の基準や考え方が示されております。
 知事も、できない理由を探すのではなく、どうすればできるか考えるべきだとおっしゃっているわけですから、こうした基準なども参考にしたり、もしくは水道局としての独自の基準を考案するなどして、グループホームなどが減免を受けられるよう検討することを強く求めておきます。
 次に、水道局が管理する羽村取水堰についてです。
 この堰は、江戸時代からの投げ渡しの技術を用いた、全国でも珍しい取水堰でありまして、現在の堰は明治四十二年に建造された歴史的にも価値ある施設となっています。投げ渡し堰というのは、丸太ぐいに、むしろ、木の枝を束ねたもの、砂利などを重ねて堰をつくり、台風などで増水する際にはくいを外して、それらを一緒に流すことで施設が壊れることを防ぐ仕組みとなっています。
 伝統的な堰であり、今後も適切に維持管理していただきたいのですが、その一方で、大雨の際に堰を払うことで土砂や丸太が下流に流され、特に丸太の回収が課題となっております。地元の秋川漁協の方に、羽村の堰、現地でお話を伺ったところ、羽村堰を増水の際に払って、それによって下流に流れた丸太が、すぐ下流の茂みに引っかかったままになっていたり、テトラポットに丸太が刺さったままになり、丸太が新たなごみを引っかける原因となっているため撤去してほしいんだと、非常に強い要望を伺いました。
 私も、現場を確認しましたが、確かにテトラポットに数本丸太が入ったままになっていて、もしくは水に浮かんだままになっているものも数本ありました。地元の漁協は、川べりの管理を行っていますが、ごみだけでも数十キロ回収するんだということで、ごみの処理で手いっぱいだと、しかも、丸太は重過ぎるために回収できずに放置しているんだということで、都としてやはり回収してほしいということでした。
 洪水時に、羽村堰を、投げ渡し堰を払った際、堰に用いた丸太は回収するのか伺います。

○青木浄水部長 羽村堰では、台風等の洪水により河川水位が上昇した場合、操作規程に基づきまして投げ渡し堰を払う操作を実施してございます。投げ渡し堰で使用した丸太につきましては、洪水が去った後に、羽村堰周辺の当局管理施設の巡視点検などにより、必要に応じて回収してございます。

○米倉委員 必要に応じて回収されるということです。
 今、既に、地元関係者から要望が出ていますので、早期に対応していただくことを要望しておきます。
 羽村取水堰には、魚の道と書きまして魚道という、アユやカニなど魚介類が堰などの河川を横断する工作物を越えて自由に河川の中を移動できるように施設が設置されております。河川内の生物をふやし、生態系を保全、回復するための重要な施設となっています。
 羽村の堰の魚道については、いつ設置されたんでしょうか。また、日ごろ、保守点検はどのように行っているんでしょうか。

○青木浄水部長 羽村堰の魚道につきましては、多摩川が国の、魚がのぼりやすい川づくり推進モデル河川に指定されたことから、国や地元市などと、魚道の設置場所や構造などについて協議した上で平成十四年に設置したものでございます。
 日常の保守点検につきましては、施設の破損や流木などによる機能障害の有無等を確認するため、週一回実施してございます。

○米倉委員 週に一度、魚道に機能障害などがあるかどうか確認していらっしゃるということで、ここには、魚道が機能しているかどうか、つまり魚が通れるように魚道にたまる砂利などが適切に撤去されていることも入ると伺っております。
 しかし、漁協の方にお話を伺いますと、また、釣りをされる方なんかにも伺いますと、魚道が適切に管理されているのか疑問を持っていらっしゃるんです。去年については、魚が遡上する時期に、魚道に砂利がたまったままである上に、魚道の周囲に草が生い茂ったままになっているために、とても魚が泳いで遡上できる状況ではなかったということでした。
 そこで伺いたいんですが、保守点検については、魚が通れる状況を保つ観点を改めて位置づけるべきと思いますが、いかがですか。

○青木浄水部長 日常の保守点検でございますが、当然、魚がしっかり遡上ができるような観点も含めまして、点検をしているところでございます。

○米倉委員 現場をよくご存じの方からのお話ですので、ぜひ受けとめて対応していただきたいと要望しておきます。
 魚道については、河川水位の変化や、また魚道の構造が魚の習性と合わないために、魚が魚道にうまく向かわずに滞留してしまうという状況が起きることも指摘をされています。ですので、どのような工夫をすれば魚道が機能するかということについては、さまざまな研究や検証が行われています。
 簡易の対応では、魚道の周辺に土のうを積み上げることで、魚がより上流に向かって、魚道に向かって進めるようにという対応もありますし、場合によっては新たに構造を変えるために工事を行うというケースもあります。河川状況によって、どのような構造がいいかという研究も行われています。
 羽村堰についても、関係者の方々から、堰の下に魚がたまっていることから、改善が必要ではないかという指摘もあります。魚道の改善が必要となった場合、産業労働局などと連携し改善を行うことが必要と考えますが、いかがですか。

○青木浄水部長 水道局では、羽村堰の魚道につきまして、適切に管理を実施してきてございまして、現時点で魚道としての機能を十分に発揮しているものと認識してございます。
 今後、改善が必要となった場合には、国や都の関係各局等と調整の上、適切に対応してまいります。

○米倉委員 魚道がより機能するようにという改修ですとか、簡易の対応については、産業労働局も研究をされていると伺っていますので、羽村堰についても魚道が機能しているかどうか、国や産業労働局など関係各局と検証していただいて、改善の取り組みを進めていただくことを求めて、私の質問を終わります。

○堀委員 まず初めに、今般の豊洲市場移転問題について、水道局に関連して何点か質問をさせていただきます。
 一例として取り上げさせていただきますが、先日、築地市場のろ過海水送水ポンプが停止いたしました。水産仲卸売り場等の活魚の水槽や床洗浄に使用されるろ過海水が供給不可能となりまして、安全で安心な市場運営に支障を来す事態となりました。幸いにも一日で復旧いたしましたが、これまで我が党が指摘をしてきたとおり、老朽化した築地市場での運営が限界に達しているという大きな証左であると思います。
 今の事例を踏まえながら質問させていただきますが、水道局では、東京水道経営プラン二〇一六に基づき、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を重点化して進めており、平成二十九年度予算においても主要事業として位置づけております。これは先ほど鈴木委員からも指摘がございました。
 まず、豊洲市場への供給ルートの耐震継ぎ手化状況についてお伺いをいたします。

○尾根田給水部長 豊洲市場への供給ルートにつきましては、一〇〇%耐震継ぎ手化されております。

○堀委員 次に、築地市場への供給ルートの耐震継ぎ手化の進捗状況についてお伺いをいたします。

○尾根田給水部長 築地市場への供給ルートにつきましては、一部耐震継ぎ手管に取りかえていない箇所がございますため、全体としては約七割となっております。

○堀委員 築地市場への供給ルートの耐震継ぎ手化は約七割ということで、本当に道半ばだと認識いたしております。
 阪神・淡路大震災では、水道管の継ぎ手が多く抜け出して被害が出たことから、首都直下型地震が発生した場合には、都内の水道管路でも同様のおそれがあるのではないでしょうか。そのような観点で見ますと、築地市場への供給ルートの耐震継ぎ手化状況では、やはり震災時の被害の懸念が残念ながら拭えないと思います。
 次に、配水管から取り出されている給水管について確認をさせていただきます。
 市場の給水管は、本来、施設管理者である中央卸売市場が管理していることは承知をいたしておりますけれども、配水管から取り出されている給水管については、水道局でも把握していると認識しております。
 そこで、築地市場の給水管の布設状況についてお伺いをいたします。

○尾根田給水部長 委員のお話のとおり、給水管は施設管理者である中央卸売市場が管理するものでございますが、あらかじめ市場に了解を得ておりますので、この場でお答えをさせていただきたいと思います。
 築地市場には、口径四十ミリから二百五十ミリの給水管が七本布設されております。当局に届け出されている資料で確認できる範囲においてでございますが、市場の大部分の給水管は、昭和四十年代から五十年代に布設されており、その後の維持管理につきましては、中央卸売市場が適切に行っていると認識しております。

○堀委員 築地市場の給水管は、水道局で管理しているものではございませんけれども、今答弁にございましたように、大変に古い管があることは理解をいたしました。築地市場の給水管が非常に古く、老朽化が懸念をされ、震災に対して不安であることが理解できました。
 私が市場に確認した数字によりますと、給水管路が、七十五ミリから二百五十ミリまでの管が八千五百メートル布設されていて、給水揚水ポンプは四十五台あるということでございます。布設時期は昭和の時期ということと、詳細については不明であるということを局の担当者から情報として得ております。詳細は不明でありますので、先ほど局が答弁されました、昭和四十年代から五十年代に大半布設をされたという答弁でありましたけれども、それ以前のものも埋まっている可能性が十分にあるということはいえるのではないかと思っております。
 これらの状況を踏まえて、今回の質疑を通して私が主張したかったことは、今後三十年以内に首都直下地震が起こる確率が七〇%とされる今日、このまま築地市場を使い続けることは相当なリスクが伴うものであるということであります。よって、豊洲市場への速やかな移行を判断すべきということを申し上げさせていただきます。
 次に、水源林の保全についてお伺いをさせていただきます。
 水道事業の運営基盤のあり方と危機管理という観点から質疑をしてまいりたいと思います。
 首都東京の都市活動を支える安全でおいしい水の安定供給には、まずは水そのもの、水源の確保が不可欠であります。明治憲法下では皇室財産であった御料林の時代から、都が譲り受け、百年以上にわたり、多摩川の水を育む水道水源林として管理をしてまいりましたと聞いております。
 都の主要な水源である利根川水系では、近年、取水制限を伴う渇水が頻発をしており、昨年夏の渇水で給水制限を回避できたのは、多摩川水系の活用が大きいと聞いております。都の唯一の域内水源である多摩川水系は、渇水時に大きな役割を果たす、まさに東京を支える基盤であり、その上流にある森林の保全に努め、将来にわたり森林の多面的機能を維持することは、危機管理という点から見ても非常に重要であります。
 多摩川上流域の森林全体の約半分、東京二十三区の三分の一の面積に当たる約二万三千ヘクタールの水道水源林は、水道局が百年以上にわたり適切に管理してきた結果、小河内貯水池の堆砂率が約三%と、他のダムと比較しても極めて少なく、良好な状態を維持しております。
 この堆砂率について、他のダムとの比較表を手に入れましたのでご報告をさせていただきますが、荒川水系の埼玉県の二瀬ダム、堆砂率が一七%、これは同年代に建設されたダムを申し上げます。そして、利根川水系の下久保ダム、これは七%の堆砂率、天竜川、静岡県の佐久間ダム、ここは堆砂率が三六%であります。
 今のような数字と比較しますと三%、これは小河内ダムは三・三%であります。三・三%というのは極めてすぐれた数字でありまして、周辺環境に恵まれているということがあるかもしれませんが、私はそれ以上に、水道局が今まで百年以上にわたり、たゆまぬ努力をしてきた、そして管理をしてきた結果であるということにほかならないと認識をいたしております。
 しかしながら、水道水源林とほぼ同規模の民有林については荒廃が進んでおりまして、このまま放置をすると、今後は、小河内貯水池への影響が懸念されます。
 多摩川上流域の森林が抱える課題への対応については、我が党と水道局は、本会議や委員会の場で何度も議論を重ねてまいりました。これらの議論を踏まえて、水道局は昨年十二月に、民有林の積極的購入などの施策を掲げた、みんなでつくる水源の森実施計画の素案を公表し、パブリックコメントを実施しました。その際、都民からは、荒廃した民有林の再生などに理解を示すとともに、さまざまな意見、要望が出されたとのことであります。これは水に対しての都民の関心のあらわれであると思います。
 今回の計画では、多様な主体との連携と銘打った取り組みが一つの柱であり、この取り組みにおいて、都民の関心の高まりに応えてもらいたいと思います。都民の参加できる水源林保全の取り組みとしては、これまでも水源林体験イベントや、ボランティアによる森林保全を実施していると聞いておりますけれども、都民との連携をさらに強化するとのことであります。
 そこで、お伺いをさせていただきますが、都民と連携した森づくりにおいて、新たに強化される取り組みの具体的な内容についてお伺いをいたします。

○青木浄水部長 水道局ではこれまで、ボランティアの方々の手で、民有林を緑豊かな森林に再生する多摩川水源森林隊や、水源林を歩いてもらう水源林ふれあいウオークなどを通じ、森づくりへの理解を得るための取り組みを行ってまいりました。
 本年四月からは、新たに、より多くの方々に水源地への関心を持ち、水源林の保全、育成についてご理解をいただくため都民サポーター制度を導入いたします。本制度は、インターネットなどにより、無料で申し込み登録を行い、登録したサポーターには、メールマガジンにより水源地の状況やイベント、地域の情報などを発信するものでございます。
 さらに、水源地保全の取り組みに貢献したいという都民の方々などから広く協力金を募る制度を創設いたしまして、水源林の保全、育成に活用してまいります。

○堀委員 サポーター制度によりまして、都民にホットな水源地の情報を届けることは、水源地を身近に感じ、水源地保全の理解の裾野を広げる絶好の機会であり、取り組みであると思います。着実に進めていただきたいと思います。
 また、初めての取り組みとして、企業との連携も打ち出しております。これまで水道局主体で行ってきた水源の森づくりを真に水に理解のある企業とも協働して行っていくことは、画期的な取り組みとして期待せずにはいられません。
 そこで、企業と連携した森づくりの具体的な内容についてお伺いをいたします。

○青木浄水部長 今回、初めて取り組みとして実施いたします企業と連携した森づくりでは、東京水道企業の森と企業協賛金制度を導入いたします。
 東京水道企業の森は、水道水源林の一部にネーミングライツを制定いたしまして、その収入金を水源林の保全、育成に活用するとともに、当該企業の社員や家族など関係者が、森林保全作業を初めさまざまな体験を行っていただくものでございます。
 企業協賛金制度につきましては、森づくりへ賛同いただける企業から協賛金を募り、水源林の保全、育成に活用するものでございます。
 両事業とも、本年四月から募集を開始いたしまして、速やかに取り組みを始動させ、社会の重要な構成員でございます企業が社会貢献活動などの一環として森づくりに参画することで、水源地保全の取り組みへの理解をさらに広げてまいります。

○堀委員 水源地の森づくりにネーミングライツを導入することは、水源林保全という水道局の目的と企業のCSR導入というニーズがうまくマッチングしたアイデアであり、高く評価するものであります。企業との森づくりは新たな取り組みであり、企業の意見をできる限り取り入れ、よりよい事業に育てていっていただきたいと思います。
 あわせて、水源地を守っていくためには、そこに住み、そこで働く地元の方々との協力が欠かすことができません。このため、地元自治体ともしっかりタッグを組み、地域と一体となって、みんなでつくる水源の森実施計画を着実に推進をして、東京の水を支える水源地を将来に確実に引き継いでいっていただきたいと思います。
 次に、水道水の品質管理についてお伺いをいたします。
 安全でおいしい水の供給には、水質の確保も大変に重要でございます。都は、高度浄水処理の導入、国が定める基準よりも厳しい水質目標の設定などによって、高品質な水を供給しております。しかし、河川流域には多くの人が生活すると同時に工場等も立地をしており、水質汚染物質が流れることもございます。安全でおいしい水を、いつ、いかなるときも供給するためには、こうした不測の事態に対処できることが重要でございます。
 そこで、水道水の品質確保における危機管理の取り組みについてお伺いをいたします。

○青木浄水部長 水道水のもととなる河川水の水質は、降雨等の天候に左右されるだけでなく、油や工場排水の流出事故等によっても大きな影響を受ける状況にございます。
 浄水場では、このような河川水の水質変化に適切に対応していくため、水源から浄水処理に至るさまざまな工程における水質検査を実施するとともに、必要に応じて活性炭の注入量を調整するなど、きめ細かな水質管理を徹底してございます。
 加えまして、利根川水系では、全浄水場でオゾンと生物活性炭を活用した高度浄水処理を導入いたしまして、従来の処理では除去が難しいカビ臭などの原因物質を効果的に除去してございます。
 さらに、突発的な水質事故に対しましても、対応手順を取りまとめたTOKYO高度品質プログラムを適切に運用することにより、迅速かつ的確に対応できる体制を整えてございます。
 こうした取り組みによりまして、安全でおいしい高品質な水の安定供給に向け万全を期してございます。

○堀委員 局の水道管理が不測の事態をも考慮し徹底されていることがわかり、安心をいたしましたが、二十四時間三百六十五日、高品質な水道水を安定して供給するために今後もしっかりと取り組んでほしいと思います。
 ただいまの答弁で、浄水処理工程におきまして活性炭が大きな役割を果たすことがわかりました。しかし、残念なことに、本年二月二十一日、浄水場で使用される活性炭の納入に関して、談合の疑いで公正取引委員会がメーカーへの立入検査を行ったとの報道がございました。談合の有無については、基本的には公正取引委員会の調査結果を待つこととなると考えられますけれども、東京都の信用を失墜させる大事件であり、談合があった場合には、局は断固とした対応をとるべきであります。
 活性炭談合の報道を受けての局の取り組みと、現時点での見解についてお伺いをいたします。

○加藤経理部長 安全でおいしい水を供給するための浄水処理に不可欠な活性炭の調達に関しまして、独占禁止法違反が事実であったとすればゆゆしき問題であり、まことに遺憾であります。
 報道を受けまして、契約した相手方だけでなく、入札の参加者も含めて幅広くヒアリングを行い、今回、立入検査が行われたメーカーとの関連性などを確認し、必要に応じて公正取引委員会へ情報を提供するなど局としてできる限りの対応を行っております。
 今後、公正取引委員会による処分が確定した場合には、発注者として指名停止や損害賠償請求を行うなど厳正に対処してまいります。

○堀委員 改めて申し上げますけれども、談合があった場合には厳正に、今答弁にありましたように、指名停止や損害賠償請求など厳正に対処していただきたいと思います。
 しかし、公正取引委員会の結果が出るまでには時間がかかるでありましょう。先般の答弁にもございましたように、活性炭は浄水処理に極めて重要であり、欠かせないものだと認識しております。
 今後の公正取引委員会の動向を注視しつつ、安定給水に支障が出ないように、必要に応じた調達を適正に行って、安全でおいしい東京の水の供給に万全を期していただきたいと思います。
 次に、災害時の応援体制の強化についてお伺いをいたします。
 これまで、平時の危機管理についてお伺いをさせていただきましたが、もう一方で重要なのは、やはり有事、まさに災害が発生した場合の水道局の対応でございます。首都直下地震等が発生した場合の備えとして受援の取り組みを進めていくべきということは、先般の本会議で我が会派も主張したところでございます。
 しかしながら、国内の水道事業体の状況に目を向けますと、中小規模の水道事業体を中心に、施設の耐震化のおくれや技術者の不足等により災害対応力が不十分と思われます。そのため大規模な災害が発生をした場合、被災自治体や周辺自治体のみでの復旧は非常に困難であり、これは過去の例からも明らかでございます。
 そうしたことから、水道局は先日、災害時に即応が可能な東京水道災害救援隊を創設いたしました。災害発生時における応援要請への即応体制の確保に、国内水道事業を牽引する都水道局が取り組んだことは大変意義があります。
 しかし、平常時の工事のみならず、災害時の応援作業は水道局のみで実施できるものではなく、水道事業は実際に工事を行う工事業者の協力によって成立しております。そのため、有事における工事業者との協力体制の構築が不可欠であると考えます。
 そこで、有効な災害支援に向け、工事業者とどのような連携を行うかについてお伺いをいたします。

○黒沼総務部長 さきの熊本地震を初めとする、これまでの災害支援の経験からも、効果的な支援を実施するためには、ご指摘のとおり管路の復旧工事を担う管工事業者との強固な連携が不可欠でございます。
 そのため、先日、多くの管工事業者が所属します四つの工事団体との間で、都の給水区域以外にありましても、この復旧支援に関する協力につきまして、新たな協定を締結したところでございます。
 この中では、当局の災害支援の準備体制や緊急時の連絡先、こういった情報を共有するなど、相互に連携を深めることとしております。こうした取り組みによりまして、発災初動期におきまして、工事業者と緊密な連携をとった機動的な対応が可能となるとともに、災害復旧に従事したこの経験が都内の発災時の対応力の向上にも結びつく極めて重要な取り組みであると認識しております。

○堀委員 水道事業は、さまざまな主体が支えていることを忘れずに、これからも工事事業者と緊密な連携をとりながら取り組んでいってもらいたいと思います。
 次に、国内水道事業体への支援についてお伺いをいたします。
 東京水道災害救援隊は、国内水道事業体への有事の際の貢献である一方、平常時においても、局は近隣事業体と連携し、国内貢献の取り組みを実施していくと聞いております。全国の水道事業体では、施設の老朽化や技術継承などの課題を抱えており、国はこうした課題克服のため水道法を改正し、水道事業の広域化を推進する方向だということでございますが、これは法改正による制度構築だけで解決できる問題ではなく、事業運営ノウハウを有する大規模な事業体による、きめ細かな支援が必要とも考えます。
 このため、我が党はこれまでも、国内最大の規模を有する東京都水道局が、こうした課題の解決に向けて、これまで培ってきた経験や知見を最大限に活用していくべきと主張してまいりました。
 そこで、東京都水道局が近隣事業体と連携し国内貢献を行う意義について改めて見解をお伺いいたします。

○坂井経営管理担当部長 全国に千四百ございます水道事業体のうち、約七割を占める中小事業体の多くは、先生ご指摘のとおり施設の老朽化などの問題を抱えており、広域化などによります運営基盤の強化が不可欠でございます。
 こうした水道事業体の課題解決に貢献することは、多摩地区で水道事業統合、この経験のございます東京水道における重要な役割であると認識しております。
 そこで、当局におきましては、今般、水道事業体の基盤強化に向けまして、横浜、川崎の両市と連携し、全国でも初の試みであります大都市との連携によります国内貢献の取り組み、これを推進することといたしました。
 今後、三事業体の窓口や事務局となります事業推進基盤といたしまして、国内貢献プラットフォーム、これを当局の多摩水道改革推進本部、こちらの方に設置をいたしまして、これまでの経験を生かしたさまざまな支援を展開するとともに、日本水道協会とも連携いたしまして、こうした取り組みを全国に広く発信してまいります。

○堀委員 中小水道事業体の運営基盤強化に向けて、官と官の連携ともいえるような、自治体による自治体の、公による公の支援が必要な時代になったともいえます。中小水道事業体の課題として、施設の老朽化だけではなく、事業運営を担う技術職員の不足や高齢化、それに伴う技術の維持継承も大きな課題でございますけれども、国民の話題になっておりません。
 東京水道には、多摩地区において、山間部から市街地までさまざまな施設の整備や維持管理を行ってきた経験を有しており、こうした技術等の提供は、全国の中小水道事業体にとって大きな参考になると確信をいたしております。現場を持たない国にはできない、東京だからこそできる、実現のできることだと思います。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、中小水道事業体にとって必要な技術的支援の具体的な内容について見解をお伺いいたします。

○坂井経営管理担当部長 国内貢献の推進に当たりましては、広域化に資する取り組みの実施に加えまして、技術面等で大きな課題を抱えております中小規模の水道事業体に対する、きめ細かな支援が重要でございます。当局では昨年、延べ約五百人の中小水道事業体職員などに対しまして研修フィールドを提供するなど、これまでも日本水道協会と連携して必要な協力を行ってまいりました。
 今後は、お話にございましたように、多摩水道の強みを踏まえた支援メニューを体系的に整備いたしまして、多摩で稼働いたしております二百を超える多様な施設の管理ノウハウ、これを生かしました技術支援や研修の実施などを展開してまいります。

○堀委員 有事と平時の両面における国内水道事業への貢献を通じた日本の水道界のレベルアップが、結果として東京が被災した場合の支援体制の充実にもつながるので、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、水道事業を支える運営基盤の確立についてお伺いをいたします。
 こうした国内水道事業体への貢献は、東京水道にはこれまで培った技術やノウハウが蓄積しているからこそできるものであると考えます。この技術やノウハウは、職員一人一人がそれぞれの持ち場で積み重ねた、不測の事態が発生した場合にも、的確かつ柔軟に対応できるような、いわば現場の力が支えているものにほかなりません。
 一方で、局は既に現場業務の多くを監理団体に移転をしており、こうした状況においては、現場における業務執行を担う監理団体を含めた現場での対応力を継承していくことが必要であります。
 そこで、監理団体への業務移転を進める中、水道事業を支える現場の力を次世代に継承するため、人材育成をどのように行っていくかについてお伺いをいたします。

○筧職員部長 これまで当局では、先生ご指摘のとおり、水道事業運営の根幹にかかわる業務を当局が実施し、事業運営上重要な業務を監理団体が担っていくこととして、配水管の設計業務、工事監督業務、営業所業務など、現場業務の多くを監理団体に移転してまいりました。
 こうした中、水道事業を支える現場の力を次世代に継承するためには、職員一人一人の育成はもとより、局と監理団体が一体となって人材育成を行っていくことが重要でございます。
 このため、学習施設の見直し、更新を図るとともに、実践的な研修を充実させるなど、職員一人一人のスキルアップを図ってまいります。これに加え、監理団体と共同で研修を実施するほか、監理団体を貴重な現場として捉え、局職員を派遣するとともに、平成二十九年度から新たに、監理団体社員を局へ長期で受け入れ、相互に人材交流を推進していくなど、グループ経営体制のもとで組織としての現場力を高めてまいります。
 これらの取り組みを、東京水道人材確保育成方針として取りまとめ、東京水道の将来を担う人材育成を行ってまいります。

○堀委員 水道局が監理団体と一体となって、現場の知識やノウハウといった現場の力を将来に継承していくための取り組みをしっかりと行っていくということが確認されましたけれども、本日は、水道事業の運営基盤のあり方や危機管理などの観点から質疑をさせていただきまして、将来に向けた着実な取り組みを随所に確認することができました。
 首都東京を支える水道事業で重要なのは継続であり、これには、いつ、いかなるときも水道を安定して供給するための日々の危機管理の継続と、将来にわたる安定した事業運営の継続という二つの側面がございます。
 水道事業は、水源から蛇口までがつながる巨大な一つのシステムであり、いうまでもなく、貯水池や浄水場を初めとする施設が事業を支える大きな基盤であります。
 事業を、運営を担うのは人であります。災害時に備えた取り組みを進め、将来にわたり安定した事業運営を行うには、これまで培ってきた技術力等を着実に継承するとともに、将来を見据えた取り組みに率先して取り組むことのできる職員を育てていくことが不可欠でございます。
 最後に、本日の質疑の総括といたしまして、水道に不可欠な危機管理の強化と、将来を見据えた水道事業の運営基盤の確立に向けた局長の決意をお伺いさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○醍醐水道局長 水道の根源的使命であります安全でおいしい高品質な水の安定供給は、今も理事からお話ございましたとおり、災害時はもとより、平常時の事故対応なども含めた、まさに毎日の危機管理によって成り立っているというふうに思っております。
 こうした観点から、当局はこれまでも、多摩川水系の水道水源林の保全ですとか、突発的な水質事故にも対応し得るきめ細やかな水質管理など、平時における危機管理の取り組みを推進してまいりました。
 また、有事に向けましても、切迫性が指摘される首都直下地震などに備えた受援体制の整備ですとか、工事業者とも連携した東京水道災害救援隊を初めとする災害支援体制の強化など、災害対応力の向上を図っているところでございます。
 こうしたさまざまな取り組みを支える最大の基盤は、まさに人でございます。これまで東京水道が培ってまいりました現場の力、この確実な継承に向けた人材育成に取り組むことで、将来にわたりまして、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとしての使命を全うしてまいります。

○加藤委員 二巡目ですので、ちょっと重複するところもありますが、よろしくお願いをいたします。
 震災時における水の確保は、命に直結するものであり、迅速な復旧が求められます。昨年発生した熊本地震は、水道管路に甚大な被害をもたらしました。
 こうした被害に対し、熊本市長みずからがツイッターで、市民に対し、水道の漏水状況について、現場写真や住所の提供を求めたところ、多くの情報が寄せられ、漏水箇所の早急な特定につなげたとの報道がなされました。
 ツイッター等のSNSは、今や情報伝達のツールとして広く普及しており、大いに活用すべきと考えます。国のIT総合戦略室の調べでは、地方公共団体の災害対応におけるSNS活用状況調査で、平成二十八年度では、調査対象自治体数千七百四十一のうち、利用自治体数九百三十四、割合が五三・六%、人口としては八一・五%をカバーしているようです。
 そこで、東京でも、首都直下地震の切迫性が指摘されており、いざというときに備えて、水道局においても活用を検討すべきと考えますが、震災時のSNS等による情報収集の検討状況について伺います。

○尾根田給水部長 水道局では現在、熊本市の事例を踏まえ、ツイッターによる情報収集を検討しているところでございます。
 当局のツイッターアカウントフォロワーは五万五千人を超えておりまして、震災時に、フォロワーの皆様に漏水情報等の提供をお願いするとともに、リツイートによる情報拡散もあわせてお願いすることで、多くの情報が寄せられることが期待できます。さらに、住所等の文字情報に加えまして写真等も送っていただくことにより、漏水の規模や位置の特定が可能となり、復旧の優先度や施工箇所の判断が容易となります。
 こうした取り組みにより、震災時において、都民の皆様に協力をいただき、迅速な水道の復旧につなげていくよう検討してまいります。

○加藤委員 SNSの特性である速効、速達性や拡散性を活用して、震災時に迅速に情報を収集することは有効であり、効率的な対応を確保するよう努めてもらいたいと思います。
 ところで、東日本大震災では、都内においても多くの給水管で漏水被害が発生をいたしました。局では、配水管の耐震化を進めておりますが、配水管と一体となっている給水管が漏水してしまっては耐震化の効果が十分に発揮されません。
 水道局では、給水管が多く布設されている私道について、私道内給水管整備事業を実施しております。本事業は、私道に布設されている給水管を耐震化し、漏水の未然防止を目的として配水管を新設する事業であります。その配水管の耐震化率は、平成二十八年度の見込みで四二%と伺っております。今後、首都直下地震の切迫性も懸念されている中、水道管路の耐震化を着実に実施していくことが必要であります。
 加えて本事業では、消火栓と同等の機能を持ち、初期消火にも活用できる排水栓も設置しております。排水栓は、私道の行きどまりに設置しており、震災時だけでなく、通常の火災に対する延焼防止にも効果を発揮し、地域防災力の強化に有効であり、水道施設の耐震化と地域防災力向上という二つの効果が期待できるため、この事業を積極的に進めていくべきであります。
 そこで、この私道内給水管整備事業を効率的に実施していくための課題について伺います。

○尾根田給水部長 近年、労務単価や資材単価の高騰により、急激に工事単価が上昇してきております。このため、平成二十八年度は、全体の進捗状況を把握しつつ、きめ細かな執行管理を図り、計画的に工事を発注してまいりました。
 これにより執行額は前年度並みとなりましたが、工事単価上昇の影響が大きく、前年度と同程度の整備延長は見込めない状況でございます。

○加藤委員 工事単価が上昇しているとのことでありますが、本事業は大変重要であり、計画的かつ確実に取り組んでいく必要があると考えます。
 そこで、私道内給水管整備事業の今後の取り組みについて伺います。

○尾根田給水部長 平成二十九年度は、限られた財源の中で、できる限りの予算措置をした結果、対二十八年度比で十八億円増となる九十億円を計上しております。
 一方、増嵩した工事単価の影響を軽減するため、掘削範囲や配水管の埋設深度を見直すなど、これまで以上に工事コストの縮減対策を講じてまいります。
 こうした取り組みにより、限られた予算の中で最大限の整備延長を確保するとともに、徹底した執行管理を行い、発注量の平準化に努め、計画的に事業を推進してまいります。

○加藤委員 本事業は、管路の耐震化のみならず、初期消火など、地域防災力強化のためにも役立つ重要な事業であります。水道は、生命にかかわる都民にとって欠かすことのできないライフラインであります。震災は場所や日時を問わず突然襲いかかる天災です。今後も、効率的かつ積極的に事業を進めてもらいたいと思います。
 いわゆる単価が上がる中で、一生懸命やっていただいているということは本当にありがたいことでございます。
 そこで、二十八年度は、新設が約五十四キロ、二十九年度は三十九キロと、この新設延長が減少しておりまして、今そうした中で工事単価が上がっているけれども一生懸命やっていると、これは非常に理解をしております。
 私が単純に計算をしましたところ、私道内給水管耐震化率の二十九年度の見込みは四三%になるのではないかと思いますが、このペースでいくと、東京水道経営プラン二〇一六の目標である三十二年度までに五九%の耐震化率というのは、ちょっと達成が難しいのではないかと、そのように思います。毎年、新設延長を百キロぐらいやらないと難しいのではないかなと。これはちょっと私の勝手な計算なのでわかりませんけれども、今後、ピッチを上げてもらいたいと思います。
 私も、業者さんにいろいろ話を聞くと、昨年末のときに、工事が終わってしまって大変暇だったと、このようなお話も聞いておりますので、そうした意味で、工事単価が上がっている中でも、苦労していただいていることは十分わかっておりますが、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、私道内給水管整備事業を初め、給水管の工事については、指定給水装置工事事業者が行うことになっております。指定給水装置工事事業者制度は、給水管の工事を行うことができる工事事業者を水道事業体が指定するもので、規制緩和を目的に平成八年の水道法改正でできたと聞いております。
 以前は、東京都が定める基準で指定されていましたが、国家資格者である給水装置工事主任技術者の選任等の要件をそろえるなど全国一律になりました。これにより、どの水道事業体からも指定を受けられるようになり、工事事業者は広域的な活動が行えるようになりました。
 一方で、連絡もつかない所在不明の指定事業者がいるということも聞いております。こうした事業者は、お客様とのトラブルも発生させることから、指定事業者の運営状況を把握しておくことが必要です。
 水道局は、指定給水装置工事事業者の運営状況をいかに把握しているかについて伺います。

○尾根田給水部長 水道局では、個々の指定給水装置工事事業者の運営状況について、日常業務において確認を行っているほか、お客様とのトラブルが発生した場合などには、工事事業者に対して指導などを行っております。
 また、これまで、全ての工事事業者を対象とする講習会を定期的に実施するとともに、不参加事業者に対しましては、電話連絡などにより実態把握に努めてまいりました。
 しかしながら、こうした取り組みにもかかわらず、東京都の工事事業者約五千六百社のうち、所在不明の事業者は約三百五十社に上っております。
 工事事業者の廃止、休止等には、事業者からの届け出が必要ですが、届け出がなければ、その実態を全て把握することは困難な状況でございます。

○加藤委員 所在不明の事業者が三百五十社にも上るとは本当に驚きでございます。
 都民が安心して水道を利用できる環境をつくるためには、指定事業者が所在不明や不適格な場合について何らかの対応が必要であります。また、水道事業を円滑に実施していくためには、都民に直接接する指定事業者の資質向上が欠かせません。
 現在、国では、指定事業者をめぐるトラブルの防止や指定後の実態を把握し、事業者の資質が継続して保持されるよう、指定に有効期間を設ける水道法の改正が進められているというようなことも聞いております。
 そこで、今回の水道法改正を契機に、指定給水装置工事事業者のさらなる資質向上に向け、水道局はどのように取り組んでいくのか伺います。

○尾根田給水部長 これまで、不適正な工事を行うなど違反行為を行った事業者については、処分基準に従いまして、指定の取り消しや停止等の措置を講じてまいりました。しかしながら、所在地や連絡先の変更等の届け出を怠り所在不明となっている事業者については、こうした措置を講じることが困難でございました。
 水道法の改正により、新たに更新制度が設けられれば、全ての工事事業者の実態を定期的に把握することが可能となり、個々の工事事業者に対する指導監督を行いやすい環境を整えることができます。
 当局では、こうした環境を整えた上で、お客様が安心して工事を依頼できるよう、引き続き工事事業者への指導を行っていくとともに、現在も定期的に実施している講習会の中で、マナー講習の充実を図り、資質の向上に向けて取り組んでまいります。

○加藤委員 水道法が改正された場合は、その後は、法に基づいて所在不明や不適格な指定事業者を排除することが可能となりますので、この指定事業者の更新制度の適正な運営に努めていただきたいと思います。
 最後に、二〇一八年IWA世界会議・展示会について伺います。
 日本は、世界有数の地震国であり、二〇一一年三月の東日本大震災では、特に甚大な被害が発生をいたしました。折しも、その年の九月、IWAのアジア太平洋地域会議が東京で開催されました。会議では、地震及び津波の被害状況を報告するとともに、今後の復興や水道施設の耐震化の取り組みについて議論がなされました。
 東日本大震災から七年が経過する来年の九月には、今度は、世界中の国々が参加するIWAの世界会議が日本で初めて東京で開催されます。
 そこで、二〇一一年の地域会議に続き、二〇一八年世界会議においても、震災対策の取り組みや知見を世界に広く発信すべきと考えますが、見解を伺います。

○小平企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務 世界百カ国以上の国から約六千人が集まるIWA世界会議・展示会は、当局の取り組みや技術、ノウハウを世界に向けて発信する絶好の機会と考えております。
 震災対策に関しましては、ただいま理事お話がありましたとおり、東日本大震災後のIWAアジア太平洋地域会議におきまして、地震被害や復興に関するワークショップを開催いたしますとともに、昨年十月に開催されましたIWA世界会議のワークショップにおきましても、災害対策と危機対応をテーマに活発な議論が交わされるなど、震災に対する各国の関心の高さがうかがえる状況となっております。
 こうした状況を踏まえ、東京会議におきましても、ワークショップの開催や論文発表などを通じまして、震災対策や復興支援など、これまでの取り組みを積極的に発信することを検討してまいります。
 今後とも、会議などさまざまな場面を通じまして、当局が有する知見を世界各国と共有し、震災対策の強化に貢献してまいります。

○加藤委員 先月には、この世界会議の開催に向けて、より多くの参加者を呼びかける知事からの英語によるビデオメッセージが、都のホームページなどに掲載をされました。
 会議開催を一年半後に控え、開催の機運をますます高めていかなければなりません。開催都市である東京も、震災の教訓を生かした震災対策を含め、これまで培ってきた技術やノウハウを会議で積極的に提供し、水に関する世界のさまざまな問題の解決に貢献してもらいたいと要望をいたしまして質問を終わります。

○高椙委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時三十分開議

○高椙委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○小竹委員 私の方から、水道局の職員の問題についてお伺いしたいというふうに思います。
 年々職員が水道局においては減らされてまいりました。二十年前、一九九七年の定数及び実際の職員数、事務、技術、技能のそれぞれの職員は何人だったのか、まずお伺いいたします。

○筧職員部長 平成九年度の当局の条例定数は六千百二十三人、同年度末時点の職員数は五千五百五十五人、うち事務が二千百九十二人、技術が二千六百二十人、技能が七百四十三人でございます。

○小竹委員 都民の生命と健康を守るという点で、水道技術は非常に大事だというふうに思います。
 都として、技術を継承していくということについてどのように認識しておられるか、お伺いします。

○筧職員部長 ベテラン職員が大量退職する時代を迎え、これまでに蓄積された技術やノウハウを継承していくことは重要でございます。
 当局では、従前から、実践的な研修やきめ細かいOJTなどにより、技術の継承を図っております。

○小竹委員 水道は、都民の命を預かるという点で、非常に重要なライフラインを担っています。その技術は世界に誇るものがあるといわれています。
 それを支える技術職は、二十年前の九七年には二千六百二十名、そして技能職は七百四十三人いました。二〇〇〇年までは、技術職は二千六百人台で来ましたが、二〇〇一年から減り続けて、二〇一五年には二千人を割り千九百八十五人、一六年には千九百七十九人と、六百四十一人も減って二十年前の七五%にまでなっています。技能職は、二〇一六年、四百二十九人減って三百十四人、四三%にもなっています。
 なぜこれほどまでに減ってきているのか、これで技術の継承ができるのか、お伺いします。

○筧職員部長 当局ではこれまで、事務の効率化や監理団体への業務移転などを進めてまいりまして、その結果として、職員数が減少しているものと認識しております。
 なお、当局では、年間の業務量に応じまして人員を各部署に配置しておりますので、現在の職員数は適正と考えております。

○小竹委員 定年退職だけじゃなくて、今も業務の委託ということをおっしゃいましたけれども、現場業務が水道サービス株式会社、TSSなどの監理団体に委託が進められたという点でいうと、技術部門が、かなりそちらの方へ移行しているという点では、力が、そちらを頼らなければならないような状況になってきているのではないでしょうか。その点はどうですか。

○筧職員部長 当局ではこれまで、監理団体への業務移転を進めておりまして、当局がこれまで培った技術やノウハウは、一部が監理団体に出ていくことは事実でございます。
 そうした中、当局ではこれまでも、局職員に対しまして、実践的な研修やきめ細かなOJTなどによって技術の継承を図っておりますし、監理団体への業務移転が進む中、局と監理団体が一体となった人材の確保、育成を行っておりまして、こうしたことから、技術の継承は図られていると考えております。

○小竹委員 技術の継承は図られているということですけれども、やはり監理団体と一体にならなければ技術の継承が図られないという点では、監理団体は、都が出資しているとはいっても、私は株式会社だというふうに思うんですね。株式会社は営利を目的とするところでもあり、公共の福祉を担う東京都とは、東京都の水道局とは、やはり違うというふうに思うんですよね。
 技術、技能の継承は一朝一夕にはできません。現場の経験を経て、その蓄積の中で受け継がれていくものだと私は考えています。それが、現場業務が民間に委託されている状況では、やはり片手落ちになりかねないというふうに思うんです。
 まち場の業者の方から、昔はよくわかって相談に乗ってもらえたということがいわれます。現場を一緒にやってきて苦労したからこそ、その痛みがわかり、それを改善するためにはどうしたらいいのかということの発想になるのではないでしょうか。
 技術等を継承、発展させていくという点では、やはり現場の経験というのが鍵を握っているというふうに思います。官から民へということで、現場業務が、監理団体とはいっても委託されて、現場での体験が弱まるということになるわけですから、こういう点では、やはり職員を減らして、都民の命を預かる水道事業の根幹にかかわることになりかねないというふうに私は危惧をしています。そういう点では、きちんと技術職の職員を確保することを求めておきたいというふうに思います。
 引き続いて、職員の問題でお伺いします。
 二十年前の一九九七年のときの定数は、先ほどお答えいただきましたように、六千百二十三人おりまして、実際の人員との差は五百六十八人もありました。その後、その差はだんだん縮小されてきていますけれども、二〇一一年には百人台になったとはいえ、一一年では百五十九人、一二年では百九十四人、二〇一六年には百六十五人と、百人以上の差があります。なぜこのような差ができるんでしょうか。

○筧職員部長 条例定数は、職員数の上限を定めるものでございまして、いかなる行政需要が発生しても、条例定数を超えない範囲で弾力的に対応するため、条例定数を下回る職員数による管理を行っているものでございます。

○小竹委員 条例定数を下回る職員数といいますけれども、やはりそういうことが長時間労働の状況につながっているというふうに思うんですね。
 長時間労働の実態について委員会の資料で出していただきました。これは、月八十時間以上と百時間以上の数です。これらは過労死ラインを超える働き方といわれているわけですが、厚生労働大臣の残業の上限は、現在、四十五時間となっています。
 四十五時間を超える残業をしている職員について、五年間それぞれ何人であったか、お教えください。

○筧職員部長 月の超過勤務時間が四十五時間を超えた職員の年間の延べ人数は、平成二十三年度は二千四百三十一人、平成二十四年度は千九百四十四人、平成二十五年度は千九百四十九人、平成二十六年度は二千十四人、平成二十七年度は千六百七十一人でございます。

○小竹委員 この五年間、四十五時間を超す残業をしている方が毎年二千人前後いるということが今、お答えで明らかになりました。これを一人当たりにすると、月平均の残業時間はどのぐらいになるんでしょうか。同じように五年間、明らかにしてください。

○筧職員部長 職員一人当たりの月平均超過勤務時間数は、平成二十三年度は十三・七時間、平成二十四年度は十三・三時間、平成二十五年度は十三・四時間、平成二十六年度は十三・八時間、平成二十七年度は十二・九時間でございます。

○小竹委員 先ほど、適正な職員配置を確保しているというふうなお答えでしたけれども、職員一人当たりの平均時間が十三時間前後に上っているということが明らかになりました。
 しかも、繁忙期には八十時間を超し、百時間を超える職員が、この五年間、減っているとはいっても、二〇一一年には五十七名、そして一二年には二十五名、一三年には四十二名、一五年には十六名もいるという、百時間を超す方がいる異常な残業が続いています。このことは、やはり人が足りないということではないでしょうか。
 今年度、条例定数と職員数との差が百六十五人もあるわけですから、残業を減らすという立場から、職員をきちんと配置する、そういうことができるのではありませんか。見解をお伺いします。

○筧職員部長 局内の各部署の業務量は、年度を通じて均一ではなく、一時的な業務量の増加に対して超過勤務で対応しているところでございます。
 なお、当局では、年間の業務量に必要な人員を配置しておりまして、職員数は適正と考えております。

○小竹委員 適正な職員数だというお答えですが、残業時間が一人当たり十三時間前後もあり、そして過労死ラインを超すような超過勤務をやらなければならないという点でいうと、やはり職員をきちんと配置すべきだということを求めておきます。
 国の働き方改革で、繁忙期には、月残業時間百時間未満を上限とするということが打ち出されました。過労死をますます促進させることになりかねません。
 このことについて、局はどのように考えておられますか。

○筧職員部長 当局ではこれまでも、超過勤務の縮減に努めてきておりまして、引き続き、局事業の安定運営に必要な業務についてはしっかりと対処しつつ、長時間労働の是正など、国の働き方改革の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいります。

○小竹委員 国の働き方改革そのものが、残業時間百時間未満ということにしようとする方向というのは、やはり今でも過労死が、八十時間を超した方々のところに過労死の危険性があって社会問題になっているわけですから、そういう点でいうと、働く人たちの使い捨てにつながる道だというふうに私は思うんですね。
 小池知事は、ライフワークバランスの充実を進めることを目標にしておられるわけですから、東京都が率先して、過重労働解消のために積極的に国に働きかけるとともに、局内の人の配置も確保することを求めておきます。
 次に、検針業務の委託問題についてお伺いします。
 提出していただいた資料の金額は、消費税が含まれているのかどうか、まずお伺いします。

○浅沼サービス推進部長 公営企業委員会の要求資料におけます定期検針業務の委託単価は、税込み価格となっております。

○小竹委員 消費税が入っているということですが、検針員の、これは検針単価といって、検針員の方々の賃金の単価になるんじゃないですか。賃金ということであれば、消費税は入らないと思うんですが、品物と同じように扱うというのはどういうことなんでしょうか。

○浅沼サービス推進部長 定期検針業務を含めました検針会社との委託契約につきましては、履行能力等審査方式に基づきまして適正に契約しておりますので、その指摘は当たらないと思います。

○小竹委員 適正な協定をしているというお答えですけれども、賃金の部分は、消費税は抜くわけですよね。そういう点では、こういう契約の仕方というのは問題があるということは指摘をしておきます。
 資料でいただいた五年間の検針単価について、消費税を除くとそれぞれ幾らになりますか。二〇〇九年の単価についても、消費税抜きでお答えください。

○浅沼サービス推進部長 先ほどの先生のお話でございますけれども、あくまでも、賃金と、いわゆる検針委託会社に委託している業務費は異なりますので、先ほどの指摘は当たらないと思います。
 ただいまご質問いただいた単価でございますが、消費税を除いた平成二十一年度の定期検針業務の委託単価は、百二十六・〇八円となっております。直近五カ年では、平成二十四年度が百二十一・〇三円、平成二十五年度が百二十・五五円、平成二十六年度が百十八・五一円、平成二十七年度が百十七・七八円、平成二十八年度が百十七・二八円となってございます。

○小竹委員 当たらないということですが、これ論争やっていてもしようがないから、後でまたなんですが、今お答えいただいた消費税を抜いた額をグラフにしてみました。
 この間、私は、前に議論をしたときにも、単価が年々下がっているということを、働いている方々から訴えられていることを取り上げたことがありますけれども、資料では、消費税が入っているために、二〇一四年度、消費税が八%に上がったときに高くなっているわけですよね。だけど、実際に、消費税を抜くと、ずっと年々下がってきているということが、このグラフで明らかだというふうに思います。
 ことしの単価は百十七円二十六銭、八年前の九三%にしかなりません。現在は、検針業務と請求書業務をやっていますから、検針員さんからすれば、入札するたびに下がっているということが、このグラフでも明らかなのではないでしょうか。
 二〇〇七年に一般競争入札を行って、落札業者の検針員が業務の重さからやめてしまい、新しい検針員が確保できずに、二週間でギブアップをして現行の制度になったというふうに伺っています。
 現行制度は、どのようにして検針単価を決めるのか、その仕組みについてお伺いします。

○浅沼サービス推進部長 定期検針業務の委託単価につきましては、先ほど申し上げましたように、価格などの競争性とともに、業務の適正な履行を担保するため、委託業者の執行体制ですとか、検針員の安定的な雇用に向けた取り組みなど、総合的に審査いたします履行能力等審査方式により決定してございます。

○小竹委員 履行能力審査制度でやるということですが、その場合にも、二、三者が審査された上で価格を入れるということになっているというふうに伺いました。
 それらの会社の間での競争になるわけで、業務をどうしても受けようとすれば、おのずと安く入れざるを得ないのが実態です。働く人たちから、生活をしていけないという悲鳴が上がり、会社側も、利益率が下がってもう限界に近いという声が上がっているとのことです。
 このように単価が下がっている状況について、水道局はどのように認識しておられますか。

○浅沼サービス推進部長 各年度間の単価の違いにつきましては、先ほど答弁いたしました履行能力等審査方式による契約手続の中で、委託単価を決定する過程において、その都度、競争性が発揮された結果であると認識しております。

○小竹委員 単価の決定の過程で競争性が発揮された結果とお答えになられましたが、そこで働く人たちの労働環境が、単価が下がることによって労働環境が悪化していくような状況に今なってきているという点では重大な問題です。
 検針員さんたちは、検針業務だけのときよりも、請求業務など責任が重くなった上に、単価は、先ほどのグラフのように年々下がっています。今までどおり稼ごうとすれば、長時間働かなければならない状況になってきています。事務所に戻ってからの仕事も大変になっているというふうに伺っています。やめる人も出ているというふうに聞いています。
 (パネルを示す)検針員さんが持つ荷物は、左側のようなこれだけの荷物をしょうのと、ハンディーターミナルをしょうのと、そしてバッグを持つので、大体三キロを超えるというふうなお話なんですね。
 今度新しい器械にかえる、四月からは新しい器械になるというふうに伺っていますけれども、このハンディーターミナルの目方が百グラムぐらい下がるんだけれども、バッテリーが早く切れてしまうということで、ここにあるバッテリーが二時間程度しかもたなくなってしまうために、それこそ、たくさんバッテリーを持たなければいけないような状況になるということなんですね。
 しょうのは、こちらにあるように、ハンディーターミナルと、それから検針の器械とバッグというあれで、これを、ハンディーターミナルの中には個人情報が入っていますから、朝しょったまんま出かけて、休憩時間も、事故が起きたら大変だからということで、しょい続けたまんまやるような重労働になっているということなんです。
 今、事務所が統合されているということで、片道十キロ、検針する先まで十キロ行ってやる方もいるということでは、本当に重労働になっているということで、そういう点で、仕事を続けることが厳しくなってきているというふうに伺っています。
 重要な個人情報を持っているために、休憩時間も、この格好のままとらなければならないという点で精神的に負担も大きい、そして特に女性の方が多いから、腰痛や頸椎を患う人もふえてきているというふうに伺っています。ストレスから来るメンタルの疾患の方も出るというふうな状況のようです。
 このような労働の実態を、局の方はどのように認識しておられますか。

○浅沼サービス推進部長 検針員の労働実態につきましては、各委託事業者が、一義的には雇用主として主体的に管理すべき事項と認識しております。
 当局は、発注者として各委託業者に対して、当該契約において、労働関係法規を含む各種法令の遵守を求めております。また、局としましても、業務指導等を通じまして、履行状況を適時確認してございます。
 なお、お話のありましたように、当局では、この二十九年四月から、検針用のハンディーターミナル機器を更新しまして、軽量化を図るものとし、検針員さんの作業軽減にも努めているところでございます。

○小竹委員 作業、先ほど申し上げましたけれども、確かにハンディーターミナルそのものは軽量化されたんだけれども、中に入れるバッテリーやロール紙をたくさん持っていかなければいけないというので、逆に、そちらの方の目方が相当重くなってきているというふうに伺っています。
 業者の責任だということではあるわけですけれども、法令遵守を業者に求めているということだけれども、やはり労働の実態を、局の方が、発注者として確認をすることが必要だというふうに思うんですよね。
 先ほど写真で見ていただいたように、相当重い物を持って、朝から夕方まで、正規の人だったら働くわけです。だから、そういう点を考えたときに、やはりきちんと労働の実態を掌握するということは発注者としての責任ではないでしょうか。
 今、なかなか正社員でやることが大変になってきて、やめた人の補充は非正規に変わっているというふうに伺っています。会社は、単価が下がることによって利益率が下がって、社会保険や雇用保険の負担が大変になってきているために、不安定雇用に変えざるを得ないような状況になっているともいわれています。
 水道局は、発注者として、非正規雇用の検針員に置きかわることについて、どのように認識しているんでしょうか。

○浅沼サービス推進部長 当局は、委託業者が適正に業務履行を行うよう、正規雇用社員、非正規雇用社員を含めた人員配置を確認しております。
 なお、検針員の雇用形態等につきましては、各委託業者が雇用主として主体的に管理すべき事項と認識しております。

○小竹委員 委託業者の責任、直接雇用は委託業者ですから、責任は委託業者にあることは認めます。しかし、もともとの単価が下がってきていれば、下がり続けた状況の中で業務に責任を負うという、正規できちんと安定した検針員を確保するというのは、非常に困難になってきている実態がここにあらわれているのではないでしょうか。
 非正規の不安定な雇用状況になっていくことによって事故につながりかねません。事故が起きないようにするためにも、これ以上の単価の切り下げにつながらないような状況をつくるためにも、実態を調査すべきだと考えますが、この点についてはいかがですか。

○浅沼サービス推進部長 先ほど答弁させていただきましたように、局としましても、検針会社、委託業者に対しまして、業務指導等を通じまして、履行状況を適時確認しているところでございます。

○小竹委員 今まで確認している状況の中で、もっと深刻な状況が生まれているわけですよね。検針業務は、都民と直接接するという点では、重要な仕事だというふうに思うんですね。しかも、個人情報を扱っているわけで、大切な業務となっています。
 そういう点では、きちんと安定した事業とする上でも、検針単価は、これ以上下げることはやってはならないというふうに思うんですよね。都の仕事を委託する事業でワーキングプアを生むような状況は、私は許されないというふうに思います。この点からも、きちんと働く人の実態、それから業者の実態調査をすることを強く求めておきます。
 最後に、先ほども議論になりましたけれども、水源林の整備についてお伺いをしておきます。
 民有林の荒廃度調査を年度末までにやるということを、十一月のときに伺いましたけれども、まとまった調査は終わったんでしょうか。その点いかがですか。

○青木浄水部長 小河内貯水池への影響が懸念される民有林重点購入地域、約二千ヘクタールの荒廃度調査でございますが、平成二十八年度に実施いたしました。
 その結果、既に崩壊が見られるなど、小河内貯水池への影響が最も大きい地域が約四割、急傾斜地であるなど、次に影響が懸念される地域が約五割、それ以外の地域が約一割という結果でございました。

○小竹委員 小河内ダムに最も大きい影響を与えるところが四割ということですから、それに基づいて、民有林の購入をしていくというふうになるんだと思います。
 資料に民有林の購入実績を出していただきましたけれども、購入件数や面積も年々ふえてきています。購入した森林の荒廃状況を調査した上で、間伐や枝打ちを行うというふうに、事務事業の質疑のときにお伺いしました。
 整備する過程で出た間伐材などはどのように活用されているんでしょうか。

○青木浄水部長 整備に際し発生いたしました間伐材でございますが、費用対効果等を考慮し、適宜活用してございます。
 購入した民有林を含めまして、水道水源林から発生する間伐材につきましては、主に管内で実施いたします治山工事用の土どめ柵や、歩道整備用の木柵などの土木資材として活用してございます。
 このほか、キーホルダーなどのグッズや庁舎改修時の内装材として活用しているなど、水道水源林の大切さを都民に身近に感じてもらうため、今後とも可能な限り活用してまいります。

○小竹委員 間伐材については、現場で活用しておられるということがわかりました。将来、民有林の購入が増加していけば、間伐材もふえるというふうに思います。木質バイオマスなど、再生エネルギーへの活用を図ることも可能になっていくんではないかなというふうに思うんですよね。
 そういう点では、活用をさらに促進していただきたいというふうに思いますし、また、今大きな問題になっているのが獣害です。獣害を防ぐ上でも、間伐した後に、広葉樹など実のなる木などの植林もして、森を育てて水源林としての機能を充実していくことが必要だというふうに思います。
 この点からも、環境局や産労局などと庁内での連携もとっていただいて整備を図るように求めて質問を終わります。
 以上です。

○高椙委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○高椙委員長 これより下水道局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第二十七号議案及び第八十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○津国総務部長 さきの委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。監理団体・報告団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 当局が所管する監理団体及び報告団体における職員数と、その内訳として、都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。監理団体・報告団体の職員数の推移でございます。
 監理団体及び報告団体における過去五年間の職員数の推移をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。定数・職員数の推移でございます。
 過去五年間の下水道局職員の条例定数及び職員数の推移をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。工事請負契約の実績がある民間企業への下水道局退職者の就職者数でございます。
 過去二年以内に下水道局と工事請負契約の実績があった民間企業へ就職した局退職者数を、過去五年間お示ししてございます。
 五ページをお開き願います。超過勤務時間数の推移でございます。
 過去五年間の月八十時間を超える超過勤務実績のある職員数及び職員一人当たりの月平均超過勤務時間数の推移をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。業務委託の推移と委託先及びそれに伴う職員定数の削減数でございます。
 過去五年間の業務委託の委託先と新規委託内容及び職員定数の削減数をお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。二百五十平方メートル以上の未利用局有地の所在地及び面積でございます。
 当局が所有する二百五十平方メートル以上の未利用地を、所在地別、面積別等にお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高椙委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 最初に、築地市場の下水道管について、まずお伺いいたします。
 家庭や事業所、また工場などから排出された水を処理する施設も総称して下水道と呼ぶわけでありますけれども、本当に下水道は、私たちが使う水を、衛生的に、そして健全に保つために欠かせないものであります。
 この下水がきれいになる仕組みの中で、築地市場にかかわる下水道管については、市場内の下水配管と、そして周囲の道路の下水道管があり、市場内の下水配管は、下水道法の規定によりまして排水設備と位置づけられ、その維持管理は市場が実施するものとされております。また、場外の公共下水道については下水道局が管理するものとして、事業排水、そして雨水を効率的に運ぶために、その維持管理はとても大切であります。
 しかしながら、昭和十年、一九三五年に築地市場が開設されて以来、排水設備の大規模改修は行われておらず、排水設備に詰まりが発生した際に、高圧洗浄機によるメンテナンスが施され、排水ポンプにおいても、年間の補修、点検の際に部品の交換が行われるぐらいの対応で今日に至っております。
 そうしたところ、三月十七日に築地市場のろ過海水送水ポンプが停止して、水産卸売市場等の活魚の水槽や、また、床洗浄に使われるろ過海水が供給不能となり、安全で安心な市場運営に支障を来す事態となったわけです。
 この件は、先ほどの水道施設の老朽化と全く同じなわけでございますけれども、老朽化した築地市場での運営が本当に限界に来ているということを、本当にまざまざと物語るものであり、私たち都議会自民党といたしまして、市場開設者としての小池知事に、翌日、責任ある対応、緊急申し入れをしたところでありますが、排水ポンプにおいても、年間の部品交換などによる補修、管理しかなされておらず、本当に大変危惧しております。
 また、このほかにも、このところの集中豪雨の影響もあって、昨年は、八月二十日と八月二十二日の二回、下水があふれ出すという事態が発生いたしました。それ以前にも、数年において二回、こうしたオーバーフローが発生しているわけでありますけれども、その後の対応として、この市場は、土のうを用意して、そしてまた、事前に事業者に対する注意喚起を促すなどの取り組みがされているだけで、老朽化や排水設備の処理能力の限界など、本当に新鮮で安全な食品を提供する市場として、今まさに深刻な状況であります。
 そこで、下水道局では、築地市場の場内にある排水設備の状況確認や、老朽化対策の指導の取り組みについて、今どのように行われているのかをお伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 市場内の排水設備につきましては、中央卸売市場の責任で、適切な維持管理や修繕等を行うべきものでございます。
 下水道局におきましては、排水設備の新設、改築、増設時に届け出を受けまして、設計図書等の審査を行っているところでございます。
 今後、市場から、老朽化した排水設備につきまして、技術的な相談等がございましたらば、適切に助言を行ってまいります。

○鈴木委員 市場が場内の配管を適切に維持管理しているかどうかというのは、今答弁ありましたけれども、排水設備の届け出を確認する程度で、行われているということでありますけれども、それを類推することは可能であります、状況を。
 そこで、築地市場における排水設備の届け出についてどのように把握されているのか、お伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 築地市場におきます排水設備の届け出につきましては、確認できる最新のものといたしまして、平成十二年五月二十三日に、場内の排水系統の変更を内容とする改築に関する届け出の記録が残っております。

○鈴木委員 今、届け出あった案件について、私も市場当局に確認をいたしましたけれども、平成三年から八年にわたる現在地再整備工事を断念して、今後の検討をされている中での工事であり、応急措置であったというふうにおっしゃっております。
 下水道に排出される排水には、下水排除基準があり、下水道局では、事業者がこの下水排除基準を遵守しているか、不定期に水質検査を行っているというふうに聞いております。
 先日の報道で、築地市場の地下に米軍がかつてクリーニングに使用したソルベントという有機溶剤による汚染がある可能性が示唆されておりましたけれども、仮に市場内の下水道管に問題があれば、このソルベントが下水道に流入している疑いもあるわけです。
 そこで、築地市場において水質検査を行っているのか、また、その結果がどうだったのか、お伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 築地市場の排水につきましては、市場としての業態等を考慮いたしまして、測定対象としているpH、BOD、浮遊物質、窒素、リン、ノルマルヘキサン抽出物質につきまして、不定期に水質検査を行ってまいりましたが、これまでの水質検査結果では、下水排除基準を超過するものはございませんでした。
 先ごろ、築地市場の土壌がソルベントで汚染されている可能性があるとの報道を受けまして、念のため、平成二十九年三月二日に、下水道へ排出される汚水につきまして、トリクロロエチレンや四塩化炭素などソルベントに該当する規制項目についても測定を行いましたが、いずれも定量下限値未満であり、下水排除基準の超過はございませんでした。

○鈴木委員 先日、先ほども話させていただいた、ろ過海水送水ポンプが停止したという話がありましたけれども、今、排水の水質については今のところ問題がないというふうに答弁いただいたわけですけれども、排水設備の老朽化というのは、やはり深刻でありますので、移転延期が今後も続くのであれば、水質検査が、先ほど不定期だというふうにおっしゃっておりましたけれども、水質検査の間隔を、毎月行うなど、築地市場の排水設備も含めまして安全対策を、やはりこの際、真剣に検討すべきであると要望いたしておきます。
 次に、豊洲市場の地下水管理システムについてお伺いいたします。
 この豊洲市場における地下水モニタリング調査というのは、今後も豊洲市場の安心を提供する上で、とても大切なものであるわけです。
 先日の再調査では、環境基準の百倍という有害物質が検出されたというふうにされておりますけれども、地下水は、地下水管理システムの浄化施設を経由して下水道管へ排出されるわけです。
 そこで、この地下水管理システムの管理にかかわる市場と下水道局の役割分担について、改めてお伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 地下水管理システムは、その設置者として、中央卸売市場が維持管理を行うものでございます。当局では、地下水管理システムの浄化施設部分につきまして、処理の方式等、技術的な指導を行った上で施設設置の届け出を提出させ、平成二十八年九月に工事完了検査を行い、下水排除基準を遵守するのに適切な設備となっていることを確認いたしました。
 また、工事完了検査以降、地下水管理システムにおきまして、必要な浄化を実施する浄化施設から下水道に排出される時点での汚水について、下水排除基準に適合しているか、確認を行っております。

○鈴木委員 今ご答弁いただきました地下水管理システムの管理というのは、当然、法令上、市場が行っているということですが、都民の皆様の信頼を得ていくためには、本当に、この局の垣根を取っ払って、東京都が組織の総力を挙げて対応していくことが必要であるというふうに思います。
 そもそもこの市場の地下水の安全性を調査するための地下水管理システムの浄化施設を、法令上、今ご答弁いただいたように、市場管理者が維持管理するということですけれども、市場の安全性が今疑問視されている中で、その市場管理者が維持管理することが都民の理解が得られるのかとも思います。
 そこで、下水道法上、下水道局が直接管理することはなくても、地下水管理システムについても、下水道局が水質規制の権限を活用して、もっと指導を強化すべきと考えますけれども、下水道局の見解をお伺いいたします。

○廣木施設管理担当部長 地下水管理システムからの排水につきましては、今後も適宜、立入検査を行いまして、下水排除基準に適合しているかどうかを確認してまいります。
 また、水質検査の結果、仮に下水排除基準を超えている等の問題があれば、排水の水質が下水排除基準に適合するよう、浄化施設の適切な維持管理等、必要な指導を行ってまいります。

○鈴木委員 豊洲の問題については、先日の専門家会議の平田座長より、科学的、法令上、安全との評価が示されましたけれども、小池知事は、記者会見において、地下水のモニタリング調査による結果が都民の安心につながる重要なファクターであると、新たな判断基準が加わったわけでありますけれども、やはり私は現実問題として、築地市場の状況を、あわせて判断基準にすべきであるというふうに思っております。
 こうした状況において、最後に、本日の質疑を踏まえて、排水設備所有事業者に対して、下水道局においても、今後、最大限の取り組みを要望いたしまして質問を終わります。

○橘委員 私の方からは、下水道事業における地球温暖化対策について質問をいたします。
 昨年の国連気候変動枠組条約第二十二回締約国会議、いわゆるCOP22でありますけれども、ここにおきまして、二〇二〇年以降の各国の取り組みを二〇一八年には実施ルールを決めるというふうな段取りになったわけであります。これによりまして、都も新たな段階の温暖化対策を求められることになるわけであります。
 こうした背景もございまして、私は昨年のこの委員会の事務事業質疑におきまして、下水道局の地球温暖化対策について質疑を行いました。下水道局の温室効果ガスの排出量が大きいからであります。
 そこでまず、下水道局における、これまでの温暖化対策の取り組みから確認しておきたいと思います。

○神山計画調整部長 下水道局では、京都議定書に先駆けまして、平成十六年に、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を策定し、温室効果ガス削減対策を本格的にスタートいたしました。
 引き続きまして、平成二十二年にアースプラン二〇一〇を策定し、下水道事業から発生する温室効果ガスを二〇〇〇年度比で二〇二〇年度までに二五%以上削減することを目標といたしました。
 これまで汚泥の高温焼却や、省エネルギー型機器の導入など、地球温暖化対策を積極的に進めてきたことによりまして、平成二十八年度の温室効果ガス削減率は、アースプラン二〇一〇の最終目標である二五%以上を達成できる見込みでございます。

○橘委員 今、時系列的にこのアースプランの策定の内容、推進ですね、これを説明いただきましたけれども、このように温室効果ガスの削減については、全てアースプランが基本となって、取り組みの目標、それから取り組みの中身、こういったものを明確にしてきたということになるかと思います。
 このアースプランですけれども、アースプラン二〇一〇の目標達成に向けて取り組むことは非常に重要であるかと思います。下水道局は、平成二十六年度の東京都の事務事業活動における局別の温室効果ガス排出割合で見ますと、全体の三五%、下水道局が占めているわけですね。したがって、これは都庁最大の温室効果ガスの排出者といえるわけです。
 このような背景を踏まえまして、このたびアースプラン二〇一七を策定したわけでありますけれども、このアースプラン二〇一七、この柱となる対策、それから計画のポイント、この概要についてお答えください。

○神山計画調整部長 今後、浸水対策や水質改善などの下水道サービス向上の取り組みによりまして、温室効果ガス排出量が増加する見込みでございます。
 そこで、エネルギー基本計画であるスマートプラン二〇一四との両立や最新技術の先導的導入などの三つの基本方針と、徹底した省エネルギーや処理工程・方法の効率化、再生可能エネルギーの活用などの六つの取り組み方針を掲げ、温室効果ガスの削減に取り組んでいくことといたしました。
 これらの方針のもと、下水道事業から発生する温室効果ガスを二〇〇〇年度比で二〇三〇年度までに三〇%以上削減するという、これまでより一段高い目標を設定したところでございます。

○橘委員 今の答弁の中で、主なポイントというのが、キーワードがあるんですね。温室効果ガス排出量が増加するということ、これをまず前提にいたしまして、三つの基本方針、それから六つの取り組み方針、そして二〇〇〇年度比で二〇三〇年度までに三〇%以上削減するという、これが主なキーワードになるかと思います。
 ざっと聞いておりますと、本来ならば、温室効果ガスを削減するという、そういう方向を全面から打ち出すべきでありますけれども、これが本来のあり方なんだろうけれども、実際は増加するということを前提にしているという、これはどういうことなのか説明いただけますでしょうか。

○神山計画調整部長 浸水対策や合流式下水道の改善の取り組みにおきましては、雨天時に貯留した雨水や下水を、晴天時に水再生センターで処理するため、下水処理量や汚泥処理量がふえることから、電力使用量や燃料使用量も増加いたします。
 高度処理の導入におきましても、処理水質の向上のために必要な攪拌機や汚水を循環するためのポンプ設備の導入などによりまして、これまでの標準活性汚泥法に比べ電力使用量が増加いたします。こうしたことから温室効果ガス排出量が増加することとなります。

○橘委員 こういうふうにしてやりとりやっていますと、なぜふえることを前提にしているのかというのがわかっていくわけですけれども、この辺のことを、下水道局さんが出しておりますいろんなパンフレットがありますけれども、その辺のことも都民にわかりやすく説明していただくと、かえって理解が広がるのかなと思いますので、その辺、ちょっと工夫をしていただければと思っております。
 今、出ました浸水対策、合流式下水道の改善、これは非常に大事なことでありまして、都民の安全とか、それから安心、それから良好な水環境をつくるためにも、大事な事業であることは私も認識をしております。
 特に東京湾沿い、東京湾岸、ここでは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会では、いろんな競技も行われますし、また、ベイエリア地域については、観光客もたくさん、外国からの観光客もいらっしゃると思います。そうした東京の水辺に触れるという快適性ということ、水環境の創出、こういった点では非常に大事な事業だと私は思います。
 それで、合流式下水道の改善として、雨天時の下水を貯留する施設の整備等の対策を進めているということでありますけれども、貯留施設は規模が大きくて、完成には相当な期間を要するわけであります。この対策は早目にやっていく工夫が必要かと思います。
 合流式下水道の改善を早急に進めるべきと私は思いますけれども、これについての見解を伺っておきたいと思います。

○神山計画調整部長 合流式下水道の改善対策のスピードアップを図るため、区部の合流式の水再生センター全十一カ所では、既存の施設の改造により早期に導入でき、雨天時の汚濁物を除去できる、高速ろ過施設を整備する計画としております。
 さらなるスピードアップを図るため、そのうちの五カ所では、高速ろ過施設を導入するかわりに、流入する下水をセンター間で適切に配分することなどによりまして、既存の貯留施設をより効果的に活用してまいります。
 六カ所整備する高速ろ過施設と、河川沿いのはけ口などに新たに整備する貯留施設などによりまして、整備ペースを年間平均七万二千立方メートルへと倍増させ、平成三十一年度末までに百五十万立方メートルの貯留量を確保いたします。
 今後とも、早期に効果を発揮するため、さまざまな工夫によりまして合流式下水道の改善を着実に推進してまいります。

○橘委員 今、やりとりで出てきた浸水対策であるとか合流式下水道の改善、これにやはり多くの電力が必要だし、また燃料も必要だ、そのために温室効果ガスも出てくるというふうになってまいります。ただし、こういった事業を実施していかなきゃならない、その事業の重要さもよくわかりますけれども、これによって増加する温室効果ガス排出量、これもやっぱりしっかりと削減していくという、この努力も必要であろうと思います。
 その点について、このアースプラン二〇一七では、どのような具体的な対策を講じているのか、ご説明をお願いします。

○神山計画調整部長 アースプラン二〇一七では、徹底した省エネルギーや処理工程・方法の効率化など六つの取り組み方針に沿いまして、具体的な対策を掲げております。
 例えば、徹底した省エネルギーでは、既存施設の改造により、これまでの高度処理に比べ、電力使用量を二割以上削減するとともに、同等の水質を確保できる新たな高度処理の導入や、使用時間の長い照明器具を中心にLED化を推進してまいります。
 また、処理工程・方法の効率化では、下水の汚れの分解を行う微生物に空気を送り込む曝気システムの最適化に加えまして、多摩地域では、多摩川の対岸にある水再生センター間の連絡管を活用し、効率的な汚泥焼却を行うなど、システム全体としての効率化を図ってまいります。
 さらに、汚泥焼却廃熱を一層活用して発電を行うエネルギー供給型焼却システムの技術開発を進め、一層の温室効果ガス排出量の削減を目指してまいります。

○橘委員 アースプラン二〇一七の目標達成の実現を目指して、さまざまな取り組みを進めていくという決意も伝わってまいりましたし、それもまた大事だと思います。率先して、温室効果ガス排出量削減に努めていただきたいと思います。
 それでは最後に、今後の下水道局としての地球温暖化防止対策について、下水道局長の決意を伺いたいと思います。

○石原下水道局長 ただいま橘委員から、下水道事業における地球温暖化防止対策につきましてさまざまな視点からご質疑をいただきました。
 東京下水道は、高度経済成長期における普及の時代から成熟都市東京を支える再構築の時代へと変化を遂げる中で、今日まで、いっときも休むことなく都民生活と東京の都市活動を支えてまいりました。
 汚れた水を浄化し、再び水循環のサイクルに戻すという下水道の使命を果たすために、多くの水再生センターやポンプ施設を稼働させまして、結果として膨大なエネルギーを使用し、また、温室効果ガスを発生させております。
 今後も、処理水質の向上や浸水対策の推進など、一層の下水道サービス向上の取り組みにより、温室効果ガス排出量の増加も見込まれるということを、ただいまご答弁申し上げましたけれども、今回策定いたしましたアースプラン二〇一七では、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三〇%以上削減するという高い目標を掲げたところでございます。
 引き続き地球温暖化防止対策を推進するため、積極的に技術開発に取り組むとともに、現場での創意工夫や、長年にわたって培ってまいりました高度な技術を駆使するなど、局の総力を挙げて目標達成に取り組んでまいります。

○田中委員 私からは、落合処理区に関するいろいろな施策について幾つかお伺いをいたします。
 私は、昨年、地元の善福寺川沿いの上流に整備が今進んでいる合流式下水道の改善対策である善福寺川流域貯留管の進捗状況を確認して、善福寺川の水質改善に向けた取り組みを伺ってまいりました。
 今回は、この杉並区を含めた区部西部の落合処理区全体での良好な水環境の実現に向けた施策や浸水対策、それから震災対策、道路陥没対策等について質問をしたいと考えています。
 まず、善福寺川の水質改善には、先ほども申し上げました上流側の善福寺川流域貯留管の完成が今待たれるところですけれども、下流の地域や善福寺川が合流する神田川の水質が改善されるためには、神田川と合流する地点の善福寺川の貯留施設、落合水再生センターでの対策が大変重要な取り組みになると考えます。
 そこで、善福寺川の下流域や、落合水再生センターにおける合流式下水道の改善の取り組みについて、まずご見解を伺います。

○神山計画調整部長 下水道局では、合流式下水道の改善対策といたしまして、平成三十六年度から強化される下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向けた取り組みを着実に推進しております。
 善福寺川流域では、上流部の貯留管の整備に加えまして、神田川との合流点近くに降雨初期の特に汚れた下水を貯留するため、約三千六百立方メートルの貯留施設を整備することとしており、現在設計を進めております。
 さらに、落合水再生センターにおいて、雨天時の放流水質の改善を図るため、約一万立方メートルの貯留施設を増設するとともに、既存の処理施設の改造により早期に導入でき、雨天時の汚濁物を除去することが可能な高速ろ過施設の導入を予定しております。

○田中委員 善福寺川は、後ほども申し上げますけれども、割と水害が出やすいところなんですけれども、降雨がありますと、すぐ、もう水が本当に真っ茶色になってしまいまして、本当に、こういった取り組みをぜひ進めていただきたいと思っております。
 続きまして、同じ杉並でありますけれども、妙正寺川や神田川へ放流される下水処理水の高度処理を進めて、都内で良好な水環境を実現させていかなければならないと思います。その取り組みが進むことによって、下流にある隅田川や、多くの河川が流れ込む東京湾の水質が改善されることにもつながるわけですけれども、落合処理区において高度処理を進めていくべきと考えますけれども、ご見解を伺います。

○神山計画調整部長 下水道局では、従来の処理法に比べまして、窒素とリンの除去率が若干劣るものの電力使用量の増加がなく、既存施設の改造などにより効率的に水質改善を図ることができる準高度処理などを設備の更新に合わせて導入してきております。
 落合処理区には、中野と落合の二つの水再生センターがございますが、中野水再生センターでは準高度処理の導入を進めており、平成二十九年度には一日当たりの処理能力十万立方メートルの施設が完成する予定でございます。また、落合水再生センターでは、設備の更新から年数が経過していないため、当面は運転管理の工夫により水質改善に対応することといたしまして、設備の更新のタイミングに合わせまして高度処理の導入を検討してまいります。

○田中委員 ぜひ、良好な水環境を実現させるために、なるべく早期の導入をお願いしたいと思います。
 次に、昨年、私、地元ですけれども、杉並区荻窪地区の皆さんが豪雨被害から解消されて安心で快適な生活を過ごせるよう、浸水対策の推進について質疑を行ってまいりました。皆さんもご存じのように、この善福寺川流域、特にこの荻窪地域で、平成十七年の九月に杉並豪雨と呼ばれる大変な集中豪雨が起きまして、一時間百ミリ超の雨が降りました。普通の住宅街なんですけれども、道路と川の区別が全くつかなくなりまして、お信じにならないかもしれませんけれども、本当に肩から首まで水が上がりまして、本当に大変な被害を受けたところなんです。
 ですから、住民の方たちが、この豪雨の被害というのが今もうトラウマになっていまして、ちょっと降っただけでも足首からふくらはぎぐらいまで水が出やすいところでしたので、こういった浸水対策の推進をお願いをしてきたわけです。
 それと同時に、杉並区の阿佐谷地区から中野地区に広がる桃園川地域、この桃園川というのは、今、全部暗渠になっていますけれども、もともとが下水管になっているんですけれども、もともと川ですから、非常に水が出やすいところになっています。こちらにおいても、着実に浸水対策が進むよう取り組むべきと考えますけれども、ご見解を伺います。

○神山計画調整部長 副委員長お話のとおり、桃園川幹線は、かつての桃園川を下水道幹線として利用している浅く埋設された幹線で、平成二十五年の豪雨により大きな浸水被害を受けたことから、時間五十ミリを超える豪雨への対策を進める五十ミリ拡充対策地区の一つと位置づけております。
 具体的な対策といたしましては、桃園川幹線を増強する第二桃園川幹線を新たに整備することといたしまして、豪雨時には、この流域に既に整備した調節池とあわせまして、時間五十ミリを超える降雨に対しても浸水被害を軽減してまいります。
 本年一月には、シールド機が発進する作業基地を、蚕糸の森公園に整備する工事を契約したところでございまして、今後、天沼弁天池公園までの区間で直径二・六メートル、延長四キロメートルのシールド工事を進めてまいります。

○田中委員 本当に、杉並地域でいろいろな取り組みを進めていただきまして、住民の方々も非常に関心のあるところですので、喜んでいらっしゃると思います。
 次に、首都直下地震への対応についてお伺いをいたします。
 六年前に発生した東日本大震災においては、宮城県仙台市の下水道施設が損壊をしました。私たちも、この委員会で視察に伺いまして、その被害、目の当たりにしましたけれども、テレビ等で見た方も多くいらっしゃると思います。
 震災後においても、下水の処理や放流の機能を確保できるようにするとともに、災害からの早期の施設復旧に取り組めるようにする必要があると思います。
 そこで、落合水再生センターの耐震対策を推進するべきと考えますけれども、ご見解をお伺いいたします。

○神山計画調整部長 昭和三十九年に稼働した落合水再生センターは、旧耐震基準で整備されているため、平成七年に発生いたしました阪神・淡路大震災の被害実態を踏まえた現行の耐震基準に沿って想定される最大級の地震動に対し、震災後においても必ず確保すべき揚水、簡易処理、消毒などの機能を担う施設の耐震対策を進めております。
 これまで、消毒機能を担う施設の耐震対策は完了しており、残る揚水、簡易処理機能を担う施設の対策につきましては、平成三十一年度までに完了させる予定でございます。

○田中委員 水道が確保されても下水道がストップしてしまうと、なかなか大変なことになると思いますので、ぜひ耐震対策、進めていただきたいと思います。
 それと同時に、停電などの非常時の電力の確保というのも必要だと思います。非常用発電設備の整備を推進するということが必要だと思いますけれども、落合水再生センターにおける非常用発電設備の整備状況、そして今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○神山計画調整部長 落合水再生センターでは、非常用発電設備が稼働しているものの、限られた用地に水処理施設が密に配置されており、震災時における下水処理機能などを維持するための非常用発電設備の増設に必要な用地の確保が課題となっております。
 落合水再生センターでは、施設の再構築を将来行うため、センターへ流入している下水の一部を中野水再生センターへ切りかえる予定であり、切りかえに伴い、落合水再生センター内の施設配置を工夫することで増設スペースを生み出すこととしております。必要な電力容量の確保に向けまして、平成三十二年度までに非常用発電設備の増強工事に着手してまいります。

○田中委員 用地の確保と、いろいろ工夫をなさっていることがわかりました。ぜひ耐震対策とともに進めていただきたいと思っております。
 水再生センターでの耐震対策、それだけではなくて、地域の下水道管の耐震化が進まないと、避難所生活や自宅での避難で大変な思いをすることになるわけですけれども、下水道管の耐震化について、この区部全体と杉並区内それぞれの進捗状況と今後の予定についてお伺いいたします。

○神山計画調整部長 被災時のトイレ機能などを確保する対策といたしまして、地震によって被害を受けやすい下水道管とマンホールの接続部の耐震化を進めており、区部全体では避難所や災害拠点病院など約二千六百カ所の対策を既に完了しております。このうち、杉並区内では、避難場所として指定されている和田堀公園一帯や、災害拠点病院など全百カ所の対策を完了しております。
 さらに、耐震化事業の進捗や地域防災計画の改定などを踏まえまして、ターミナル駅や災害復旧拠点、防災上重要な施設など約二千カ所を新たに対象に加えまして、平成三十二年度までに、そのうちの約千五百カ所で対策を完了させることとしております。このうち杉並区内では、災害復旧拠点の杉並消防署など六十七カ所で対策を推進しておりまして、平成二十七年度までに二十一カ所が完了しております。
 引き続き、下水道管の耐震化を着実に推進してまいります。

○田中委員 では最後に、下水道管の老朽化対策についてお伺いいたします。
 下水道管の建設から平均三十八年が経過する杉並区を含めた区部西南部の地域では、第二期再構築エリアであることから、まだ再構築には取り組まれてはいないとお聞きをしています。そうした状況の中でも、下水道管を適切に維持管理することで、陶製の取りつけ管の破損などによる道路の陥没事故を防止しなければなりません。
 お聞きするところによりますと、杉並区では、十七の地区が道路陥没対策重点地区に指定されていて、これ本当に、杉並多くて驚いたんですけれども、陥没というと、昨年の十一月の福岡の博多の駅前通りでの大きな道路陥没、どうしても思い出してしまいます。あれは地下鉄工事でしたけれども、そういったことで、この道路陥没対策、多くの区民の皆さん、余りご存じないと思いますので驚かれると思います。
 そこで、これらの地区の下水道機能も維持して、区民の皆さんが安心して暮らせるように、どのような対策を進めていくのか、区部全体と、それから杉並区内、それぞれの取り組みについてご見解をお伺いしたいと思います。

○中島施設管理部長 経営計画二〇一六では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技会場周辺の二十二地区と、新たに選定した道路陥没が多い四十二地区を合わせた六十四地区を道路陥没対策重点地区として、取りつけ管の硬質塩化ビニール管への取りかえを平成三十一年度末までに完了させるよう取り組んでいくこととしております。
 杉並区におきましては、堀ノ内二丁目地区や、阿佐谷北三丁目地区など、十七地区を道路陥没対策重点地区に位置づけ、対策を着実に進めてまいります。

○米倉委員 豪雨対策について伺います。
 近年、地球温暖化に伴う気候変動などにより、時間五十ミリを超える集中豪雨が増加しています。そうした中で、建設局が毎年発表している浸水被害状況では、最新の二〇一四年までの三年間を振り返りましても圧倒的に内水氾濫となっています。
 さらに、今後、気候変動に関する政府間パネル、IPCCや気象庁も、これから大雨の頻度は引き続き増加する可能性が非常に高いと指摘をしています。
 浸水被害として特に深刻になるのは、地下空間においての浸水です。地下空間は、避難ルートが地上に向かう出口だけになる上に、避難経路が水の入ってくる経路ともなります。流入してくる水に逆らって避難をすることになると避難が極めて困難となります。
 また、地上の状況がわからないために、避難を始める判断もおくれる傾向にあります。一度浸水が始まると、地下空間は一気に水が流れ込むことも特徴です。ある程度の浸水を超えると、水圧で扉が開かなくなるなどの危険もありますから、避難に与えられる時間的余裕も少ないと指摘されています。
 実際に、平成十一年には、福岡市中心部で、ビルの地下や地下鉄などが浸水した大雨により、ビルの地下一階が水没し、飲食店の従業員一人が逃げおくれて死亡するという事故も発生しました。地下の水位は急上昇し、最終的には、床から約三メートルのところにまで水は達し、地下はほとんど満水状態となりました。亡くなった方は、外開きだった店のドアが水圧であかず、店内に閉じ込められたものと見られています。
 東京は、国際的に見ても有数の地下鉄網が発達し、また、新宿駅、渋谷駅、池袋駅、東京駅など、一日数百万人が利用する主要駅では、地下街が大規模化しています。浸水が起これば被害は甚大になる可能性が指摘されています。
 そこで伺いますが、地下街が発達している中で、豪雨対策について、下水道局はこれまでどのような取り組みをしてきたのでしょうか。

○池田建設部長 浸水の被害の影響が大きい大規模地下街を対象に、時間七十五ミリの降雨に対応した施設整備を実施しております。対象地区は、全九地区で、平成二十七年度末までに四地区が完了し、五地区で実施中でございます。
 経営計画期間の平成三十二年度末までに、渋谷駅東口や上野・浅草駅、新橋・汐留駅の三地区が完了予定でございます。

○米倉委員 下水道局としても、これまで浸水被害の影響が大きい地域について、位置づけて取り組んでこられたということです。
 一昨年、国も同じ問題意識で水防法の改正を行いました。これにより、これまでは洪水、つまり河川の氾濫が対象だった浸水想定区域制度では、新たに市街地にある水、例えば下水管などがあふれる事態である内水が位置づけられました。都市のどこが浸水するのかをあらかじめ想定し、公表することになります。また、想定し得る最大規模の内水に対する避難体制などの充実強化を図ることも示されました。
 都としても、内水の対策をさらに重視することが重要ですが、法改正を下水道局はどう受けとめていますか。どのような取り組みを行っているかも伺います。

○神山計画調整部長 今回の法改正では、雨水出水に係る水位情報の通知などが新たに規定されたところでございます。その内容は、都道府県知事は、当該都道府県が管理する公共下水道等の排水施設等で、雨水出水により相当な損害が生じるおそれがあるものとして指定したものについて、雨水出水特別警戒水位を定め、水位がこれに達したときは水防管理者に通知するとともに、必要に応じ、一般に周知させなければならないとされております。
 下水道局では、国や他の大都市と連携いたしまして、下水道管渠内の水位の測定場所や設定方法等の課題に対する調査検討を平成二十七年度から開始いたしました。その一環といたしまして、地下街対策が完了している渋谷駅西口周辺で、下水道管渠内における水位の挙動などを把握するため、流出解析シミュレーションを実施し、水位設定等の課題を検討しているところでございます。

○米倉委員 法改正を受けて、内水対策を行うための調査などを行っているということでした。
 東京都は日本の首都でありまして、人口も集中し、地下も開発が進んでいる都市ですから、都民の命や財産を守り、被害を最小にしていくためには非常に重要な取り組みだと思います。
 今ご説明がありました法改正の中には、内水の相当な被害を引き起こすおそれがある下水道については指定をして、水位をはかると同時に、危険水位に達した場合は、水防管理者や住民の方に周知していくと、都知事がこれを指定して行っていくということが示されております。
 これは重要な対策なんですが、現段階では、都として、この下水道、水位周知下水道といいますが、指定は一件もありません。今後、内水による相当な損害が生じるおそれのある下水道については指定していくことが重要と考えますが、下水道局の認識を伺います。

○神山計画調整部長 法改正時の国からの通知には、人的被害が発生するおそれがある地下街等が発達している区域にある下水道施設などが水位周知下水道として例示されております。先ほどお答えしました国や大都市と連携した調査や検討の結果を踏まえまして、適切に対応してまいります。

○米倉委員 検討されているということでした。
 この内水により大きな被害が発生する箇所というのは、では、都内には数多くあると思うんですけれども、下水道局はどの程度あると想定しているんでしょうか。

○神山計画調整部長 都では、東海豪雨と同規模の雨が降った場合に、浸水が発生する範囲と深さを地図上にわかりやすく表示した浸水予想区域図を既に作成し、公開しております。
 また現在、先ほどの水防法改正に伴いまして、より円滑かつ迅速な避難等に資するため、浸水想定に用いる降雨を東海豪雨から想定最大規模降雨に変更した浸水予想区域図の見直しに向け、関係各局等と連携して検討を行っているところでございます。

○米倉委員 内水による被害については、新たに関係局と連携をして検討されているということです。こうした検討を進める上でも、大規模地下街がある地域や、また、甚大な浸水被害が想定される地域については、下水道管内の水位を調査することは重要ですが、下水道局はどのように進めていくのでしょうか。

○神山計画調整部長 先ほどお答えしました東海豪雨でございますけれども、平成十二年に名古屋市などに大きな被害をもたらしました東海豪雨と同規模の雨が降った場合の流出解析シミュレーションを、渋谷駅西口周辺で行っておりまして、その中で、地下街出入り口周辺の溢水状況や、下水道管内の水位を検証しているところでございます。
 今後、これらの検証結果などをもとに、国や大都市と連携いたしまして対応を検討してまいります。

○米倉委員 ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
 この内水による被害の軽減を図る問題では、水位周知下水道の指定と同時に、下水道の水位を把握するシステムの構築も重要ではないかと考えています。
 今回の水防法の改正により内水が位置づきました。このことが大きな一歩となり、今後の内水対策として、今ある下水道施設を最大限活用するストック活用という考え方が大事になるという指摘もあります。
 これは、これまでは、集中豪雨対策といいますと、ハード対策になり、費用は莫大になる上に、整備に時間がかかっていましたが、新たな施設を整備するのではなく、既存施設を活用するという発想です。下水道管渠はネットワークになっていますので、ネットワークを利用して大雨に対応する考え方です。
 そのためには、既存施設のどこに余裕があり、どこが弱いかなど、正しく評価し、大雨が降るケースでのシミュレーションが必要です。そして、シミュレーションのために必要なのが管渠内の水位の観測です。早く安く対策を進めるためにも水位の計測は必要となります。
 名古屋市では、甚大な浸水被害を受けて、既存施設の効果的、効率的な運用が求められているとして、幹線水位を常時把握することは有効な運用のための重要な手段の一つと考えているとしています。
 光ファイバー水位計で幹線水位を常に把握し、雨水ポンプをより効果的に、効率的に運転することで貯留施設への流入をおくらせ、全体としての浸水対策効果を高めることを検討しています。
 内水の被害対策は、被害の大きさや起こる可能性を考えても喫緊の課題です。都は、国や他の大都市と連携しているということですが、対策を進める上でも、こうした機会を活用し、先進的な取り組みを研究、蓄積していくことが重要です。同時に、今後は都が、水防管理団体である区市町村との連携や勉強会の場をつくっていくことも必要です。
 新たな知見や各自治体の状況や取り組みなどを共有し、頻発する集中豪雨への対応力の強化に努めていただくことも提案させていただきまして、質問を終わります。

○塩村委員 二〇三〇年までに二〇〇〇年度比で温室効果ガスを三〇%以上も削減をするというアースプラン二〇一七が策定をされ、発表がされました。
 昨年の事務事業質疑におきまして、私は、下水汚泥の活用、焼却廃熱発電を行うエネルギー自立型の焼却システムの導入など、エネルギーや環境保護の視点から、多くの質問を行わせていただきました。
 その中でも、質問調整も含めまして、多くの時間を割いたのが、未利用エネルギーであります下水熱の活用についてです。今回は、この下水熱の活用についてお伺いをしていきます。
 下水熱は、都内の未利用エネルギーの約四割を占めて最大のポテンシャルを秘めています。前回の質疑でも触れましたが、下水熱というのは、下水は大気に比べて、冬は暖かく夏は冷たい特性を持ち、安定的に存在をしています。
 平成二十八年度末で、全国で十六カ所と、まだ限定的なんですけれども、東京都では、その下水の特性を早くから活用しています。平成六年から後楽一丁目におきまして、地域冷暖房事業を開始し、そのほかで三カ所、計四カ所で下水熱の利用事業を開始しておりますが、これは、どれも大きな熱量がとれるものの、供給先が当該施設の近隣の比較的大規模な施設に限られてしまっていました。
 二〇一六年に開催されました国土交通省主催の下水熱利用促進ワークショップでも、普及の初期段階では、規模というメリットを生かした宿泊施設や温浴施設など、大規模な施設が有望とのことです。しかし、利用する事業者側が下水熱のことを知っているかいないかで、普及促進のスピードが大きく変わってくるとのことです。
 そこでお伺いいたしますが、都は、熱供給事業者や熱利用を行う民間事業者への情報発信をどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○神山計画調整部長 平成二十七年五月の下水道法の法改正以降、下水道局では、民間事業者による下水熱利用拡大に向けて、技術的な課題への対応や利用手続の整備などの検討を行っているところでございます。
 今後は、これらの検討を踏まえ、民間事業者の下水熱利用が促進されるよう、利用手続等の情報を発信してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。
 現在、さまざまな検討を行っており、今後、情報発信をしていくということで、まだできていないんだなということがわかりました。下水熱普及の速度は、民間事業者さんが知っているか、理解しているかで大きく違ってきます。情報発信次第ということでございますので、今後の都の取り組みを期待しまして、次の質問に移ります。
 先ほど大規模なものの方が事業者さんにとっても初期は進みやすいといいましたが、今後は、技術論文などでも指摘がされているように、我が国の最終エネルギー消費は、業務部門での割合が三四%、家庭部門での割合は五五%であることからも、給湯、暖房用の消費が多く、熱需要に占める割合が大きいマンションなど住宅部門への展開が重要であり、それが課題といわれています。
 その課題の解決の一歩となる下水道法の改正が平成二十七年に行われました。規制緩和が行われまして、民間事業者も下水熱の利用に、活用に限って、自治体の許可を条件に熱交換器を下水道管の管路に設置ができるようになりました。
 この規制緩和の第一号が長野県の小諸市です。これは病院ですので、直接的な家庭部門とはいえないんですけれども、大規模という定義を下水道施設からとると考え、小規模の定義は地中に埋まっている下水道管からとっていくというふうに考えれば、少しわかりやすいんじゃないかなというふうにも思います。
 この小諸市は、シーエナジーという中部電力の子会社が、下水道管内に熱交換器を設置して熱を回収し、病院の給湯に利用をするものです。この下水管に熱交換器を設置する方法は、一度にとれる熱量は少ないとのことなんですが、下水管というのは、人が生活をしている場所のあらゆる地中にありますから、大口ではなくていいということからも、需要マッチングの自由度が高くなるというメリットがあります。
 一方、メリットばかりでもなくて、事務事業質疑では、下水熱に関してのご答弁で、都内では合流式下水道の地区が多いため、熱交換器やその配管が破損することや、下水の流れを阻害する懸念があり、それらを解決する必要がある、下水道局では、民間事業者による下水熱の利用が促進されるよう技術支援に取り組んでいくとのことで、デメリットを克服しつつ推進をしていくというようなご答弁でした。
 ご答弁をいただきました技術支援なんですけれども、その後どのような技術支援を行ったのか、または取り組んでいくのか、具体的な内容をお伺いいたします。

○神山計画調整部長 委員ご指摘のとおり、都内では合流式下水道の地区が多いため、豪雨時における熱交換器や、その配管が損傷すること、あるいは配管等が下水の流れを阻害するおそれがあるなどのさまざまな技術的な課題がございます。
 今後、下水道管渠用の熱交換器を開発した民間企業とともに、下水道管渠内に熱交換器を設置して調査を行いまして、安全性を確認するとともに技術的課題への解決策などを検討し、その成果を民間事業者への技術支援に活用してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。
 実際に熱交換器の設置を民間事業者とするということが技術的な支援だということがご答弁でわかりました。個人的には、熱交換器の設置というよりは、既にそれを終えて、改良などの共同開発が行われているとの期待をしておりましたので、少し私の考えていることとは違ったのではありますが、まずは熱交換器を設置し、そこで出た課題は、ぜひ下水道局で、積極的に解決に向けて動いていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、今月策定されましたアースプランにおきましても、この下水熱の活用が取り上げられておりまして、民間事業者による下水道管渠からの下水熱利用の拡大に向けて、必要な技術の調査を行うとともに、利用手続等を定め下水熱利用促進と記されています。
 アースプランに記されている必要な調査は行われたのか、また、その内容、利用手続は定めたのかをお伺いいたします。

○神山計画調整部長 先ほどお答えいたしましたように、今後、下水道管渠内に熱交換器などを設置いたしまして、技術的な課題を調査することとしております。
 この調査結果を踏まえまして、民間事業者が下水道管渠からの下水熱利用が可能となるよう、利用手続や下水道管渠の使用許可基準などを整備してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。
 前回の事務事業質疑でのご答弁、技術支援が技術調査と同じであるということがわかりました。
 先ほどの質問と今回の質問の違いなんですけれども、技術支援と手続を切り分けて質問したんですけれども、ご答弁自体が余り変わらなかったということは、まだ、技術支援のその先には行っていないというふうなことだと思います。
 ご答弁では、まずは熱交換器を入れて課題を整理して、それも踏まえて、民間事業者さんが利用がしやすいようにさまざまな整備をして、使用許可基準が策定されるということがわかりました。
 利用手続の策定が早ければいいというものではないとは思いますが、下水熱に関しましては、東京都のポテンシャルが日本で一番高いですので、着実かつスピーディーに対応していただけますと、ほかの自治体を牽引ができると思いますので、よろしくお願いいたします。
 次は、そのスピード感に関連をしてお伺いをいたします。
 例えば、浦安市なんですけれども、下水熱利用構想の策定をしておりまして、ロードマップを描いております。これは既成市街地の下水道インフラを活用しました、まさに今後活用していくべきものであり、浦安市は、二〇一五年から構想策定に着手をしまして、具体的な構想を策定もしているんですね。二〇二〇年には、下水熱の利用を普及促進を目指すとしまして、既にモデル事業を開始しています。
 東京都下水道局が策定をしました今回のアースプランにも同じようなロードマップ、図が掲載されてはいます。アースプランでは、各事業に、実施場所と削減効果が大体三期に分けてグラフで記されているんですけれども、下水熱につきましては、二〇一七年以降は活用検討となっており、これは、ちょっと浦安市とは違いまして、見込みが立っていないということがうかがえます。
 全国を見れば活用が進んでいることは、前回の質疑でも指摘をしたとおりです。下水道というのは、都市こそ豊富なインフラですから、東京のポテンシャルが一番高いことは明らかなんですね。少し出おくれてしまっている理由をお伺いしたいと思います。

○神山計画調整部長 出おくれといわれると若干心が痛いところなんですが、先ほど先生の方からもお話がございましたように、当局では、全国に先駆けて、後楽であるとか、あるいは品川シーズンテラスであるとか、あるいは砂町の方でも大規模な熱利用を進めているところでございます。
 また、その前にも、当局のセンター、事務所ですね、執務室についても、下水を使った熱利用を、ほぼ、センターの執務室で導入しているところでございます。必ずしもおくれているということはないと私は感じております。
 今後も、さまざまな条件はございますけれども、その条件の課題をクリアしながら、熱利用の拡大に努めていきたいと考えております。

○塩村委員 ご答弁ありがとうございます。
 本当に、大規模なもの、下水道施設から、都の施設からとるものに関しては、大口でとれますよね、量が多くとれますので。これに関しては、本当に東京都は早くから取り組んでいると思うんですね。今回、私がお話しているのは、まちのインフラとして埋まっている下水道のインフラですね。なので、ちょっと大きく違うんですね、取り上げているものが。
 やっぱり、地中に埋まっているインフラの方が多く、小口でしかとれないんですけれども、これが今後の課題というふうに国土交通省もいっておりますので、ぜひ、ここは東京都が先駆けて行っていっていただきたいというふうに思います。
 課題はどの都市もやっぱり抱えているもので、浦安もその課題を克服しようと頑張って手を挙げてやっているわけですので、東京都にも頑張っていただきたいというふうに思います。
 東京都も、今後二〇三〇年までに市街地の下水道インフラを活用しました下水熱の利用について、具体的な目標を持っていただきたいということが今回の趣旨でございます。日本のCO2排出量はアースプランにも記されているとおり、世界五位と、決して誇れるような状態ではありません。九七年の京都議定書、二〇一五年のパリ協定を踏まえまして、異常気象の原因と考えられている温室効果ガスの削減をしていくことが必要です。
 政府も二〇三〇年時点での電源構成としまして、再エネによる発電を二二から二四%と定めており、エネルギー政策基本法では、地方公共団体の責務を第六条で定めており、国の施策に準じて施策を定めるべきだというふうにも記しています。
 他府県に目を向けてみると、地域の特性を生かした再エネを活用しています。温泉県としても有名な大分県は、再エネの内訳が地熱発電と地熱利用でおよそ五割にもなります。先ほども指摘をしましたが、東京は間違いなく日本一の都市ですから、下水インフラが集中をしており、処理をしている下水量は十六億立方メートルで全国トップだと考えられていることからも、都が持つ特色の一つであるというふうにいっても過言ではないと思います。ですが、その具体的な見通しが立っていないことが少し残念だなと思いまして、今回、取り上げさせていただきました。
 熱交換器や蓄積によって化石燃料の燃焼を抑えて、窒素酸化物などの大気汚染物質も抑制し、さらには下水熱の利用で、供給される処理水や冷温水、蓄熱槽の水は災害時の消防用水や生活用水にも活用ができるというふうにも聞いております。課題としましては、小口径の下水管路に対応する技術が必要というふうにいわれておりますが、これも多分進んでおりますし、今後、東京都も一緒にやっていくんだろうというふうに期待をしております。
 国が下水道法を改正してまで推進をしたい下水熱の活用を、東京都もより積極的に検討すべきだと、再度、指摘と要望をいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○加藤委員 それでは、私は、昨年十一月の本委員会の事務事業質疑におきまして、下水道管に起因する道路陥没について質疑をいたしました。その中で、これまで下水道管の再構築や取りつけ管の硬質塩化ビニール管への取りかえを進めてきた結果、下水道管に起因する区部の道路陥没件数は減少傾向にあり、昨年度は、約五百三十件であったとの答弁がありました。
 そこでまず、今年度の区部の道路陥没件数について伺います。

○中島施設管理部長 区部における下水道管に起因する道路陥没件数は、陥没の兆候である路面の落ち込みも含めまして、今年度は、二月末時点の速報値では約四百四十件となっております。平成十二年度に緊急対策を開始して以降、さまざまな対策を実施してまいりました結果、今年度の道路陥没件数は、平成十二年度の約千五百件に比べ三分の一程度までに減少してきております。

○加藤委員 下水道局の取り組みが着実に成果としてあらわれており、今後も道路陥没対策をしっかりと継続して取り組んでいっていただきたいと思います。
 続いて、道路陥没対策にも寄与する下水道管の再構築について詳しく聞きたいと思います。
 明治以来長い年月をかけて整備されてきました東京の下水道は、老朽化の進行が懸念されます。そこで、下水道管の老朽化の現状とその対策について伺います。

○神山計画調整部長 区部の下水道管約一万六千キロメートルのうち、法定耐用年数の五十年を超えるものは、現在約一千八百キロメートルであり、二十年後には約八千九百キロメートルに増加する見込みでございます。
 下水道局では、下水道管の劣化状況を調査、評価し、適切に維持管理をすることで、ライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメント手法を活用し、経済的な耐用年数となる八十年程度まで延命化を図っております。
 今年度からは、さらに予防保全型管理を強化するため、劣化状況調査を重点化いたしまして、調査延長を二割アップさせております。
 また、中長期的な事業の平準化を図るため、区部を下水道管の整備年代により三期に分け、このうち最も古い都心部の約一万六千三百ヘクタールを第一期再構築エリアとして優先的に再構築を実施しております。
 平成二十九年度末までに第一期再構築エリアの約五割を完了させる予定であり、今後も、年間七百ヘクタールのペースで再構築を実施することで平成四十一年度末までの完了を目指し鋭意取り組んでまいります。

○加藤委員 下水道管の再構築を計画的に推進しているとのことでありますが、中でも下水道幹線は規模が大きいため、老朽化による破損が発生するようなことがあれば、下水が流れなくなるばかりか、甚大な道路陥没の原因となるなど深刻な社会的影響を及ぼします。
 そこで、下水道幹線の再構築の進め方とこれまでの進捗状況、今後の取り組みについて伺います。

○神山計画調整部長 区部では、約一千百キロメートルの下水道幹線のうち昭和三十年代以前に建設した整備年代の古い四十七幹線や、調査に基づき対策が必要と判明いたしました三十七幹線など約三百キロメートルを対象に再構築に取り組んでおります。
 施工に当たりましては、道路を掘削せず、比較的短い工期で、かつ低コストで既設下水道管をリニューアルすることができる更生工法を主に活用し、効率的に再構築を実施しております。平成二十七年度末までに約六十一キロメートルの再構築が完了しております。
 今後は、経営計画二〇一六期間の平成三十二年度末までに累計で九十六キロメートルの再構築を完了させる予定でございます。

○加藤委員 地元の墨田区は、戦前から下水道が整備されてきた地域であり、当然、老朽化が進行していると思います。下水道事業会計予算の概要によると、平成二十九年度の新規着手案件として駒形幹線を整備するとありました。その駒形幹線に関して、老朽化対策及び雨水排除能力の増強という二つの目的の記載がありましたが、これについて詳しく説明を伺います。

○池田建設部長 近年の都市化の進展による雨水流入量の増加に伴い、現在、当該流域では、雨水排除能力が不足しております。
 また、このエリアには、大正時代から整備され、老朽化が進行して再構築が必要な既存の横川幹線がございます。横川幹線は、底面が波打っており、更生工法により平たんに再構築すると、幹線の断面が通常よりも小さくなり流下能力が低下いたします。
 そこで、再構築を実施することにより生じる流下能力不足を補うため、横川幹線に流入している雨水の一部を新たに整備する駒形幹線に切りかえを行います。
 この駒形幹線と更生後の横川幹線の能力を合わせ、必要な雨水排除能力を確保する計画でございます。

○加藤委員 再構築だけでなく、浸水対策にも寄与するということで、ぜひ着実に事業を推進してほしいと思います。
 それでは、この駒形幹線の整備計画と今後のスケジュールについて伺います。

○池田建設部長 駒形幹線は、内径三・七五メートルで、横川五丁目付近から吾妻橋三丁目の業平橋ポンプ所に至る延長約一・六キロメートルの区間をシールド工法で整備する計画でございます。現在、設計や関係機関との協議を精力的に進めており、来年度工事に着手し、平成三十四年度までに完成することを目指しております。

○加藤委員 工事着手から約五年間かかるということですので、地元がこの事業の目的や重要性をきちんと理解できるよう、十分な説明と丁寧な対応に努めていただきたいと思います。
 そこで、最後に、この工事を円滑に進めるための取り組みについて伺います。

○池田建設部長 工事の着手に当たっては、近隣の皆様に工事の内容や効果などをわかりやすく説明することで理解を得られるよう努力してまいります。また、工事中には、騒音対策として、低騒音の機械を使用するとともに、シールド工事の基地を防音ハウスで覆うなど、環境にも配慮してまいります。

○加藤委員 この駒形幹線につながる業平橋ポンプ所は、東京スカイツリーに近く、北十間川に接して建っております。現在、二〇二〇年東京大会に向けて、川の護岸整備と遊歩道の整備が行われております。スカイツリーのたもとがちょうど樋門となっておりまして、船は通れません。せめて人が通行できるようにと改良が行われております。
 そして、浅草方面からスカイツリーへとポンプ所の前を多くの観光客も通りますので、下水道局としても、ぜひ地元貢献策として、のぼり旗とか横断幕など、二〇二〇年大会を景観的にも盛り上げられるようご協力をお願いしたいと思います。
 また、その業平橋ポンプ所の前は、工事の用地として下水道局さんが今所有しておりますけれども、そうしたところの後利用等も含めて、また地元ともいろいろ協議していただきたいとお願いをいたしまして、質問を終わります。

○小竹委員 私の方からは、職員の問題についてお伺いしたいと思います。
 職員の条例定数と職員数については、委員会に出していただきました直近の五年分は、見ると毎年定数も職員数も減らされています。区部の下水が普及概成した二十二年前、一九九四年当時の条例定数並びに職員数、職員の内訳として、事務、技術、技能職についてのそれぞれの人数についてお答えください。

○久我職員部長 下水道が普及概成しました平成六年度の条例定数は、四千七百七十七人でございます。また、職員数の合計は四千五百二十四人で、そのうち事務職が七百九十四名、技術職は三千百八名、技能職は六百二十二名でございます。

○小竹委員 定数と実際の職員数との差が一九九四年には二百五十人ありました。年々その差も縮まってきて百人台になり、資料によれば二〇一三年には八十三人、一四年三十六人、一五年は五十六人と差がありますけれども、なぜこのような差が出るのでしょうか。

○久我職員部長 条例定数は、職員の上限を定めるものでありまして、いかなる行政需要に対しても、条例定数を超えない範囲で弾力的に対応するため、条例定数を下回る職員数にて管理を行っております。

○小竹委員 二〇〇〇年ごろには、定数上も、実際の職員数も四千人以上いました。二十二年たった二〇一五年には、定数は二千五百十九人、二千二百人以上減って四八%削減されています。約半分になっているわけですね。実際の職員数も同様で、二千四百三十六人、二千人以上減らされて半分近くになっています。
 下水道は、重要なライフラインとして、家庭や工場などから排出される汚水の処理や快適な生活環境を確保するために、浸水から都市を守るという大きな役割を担っています。この点からも、下水道技術や技能は重要な役割を果たしているというふうに思いますが、下水道局は、この技術の継承についてどのように認識しておられるのでしょうか、お伺いします。

○久我職員部長 下水道サービスを安定的に提供していくためには、これまで培ってきた技術やノウハウを確実に継承していくことが不可欠でございます。下水道局ではこれまでも、技術系職員も含めて適切な人員体制を整えまして、実践的な研修やOJTなどにより、必要な技術継承を行うことによりまして円滑に事業を運営してまいりました。
 さらに、平成二十六年度には、下水道技術を確実に継承する方策を検討するため、技術継承検討委員会を設置しまして、局一丸となって技術継承と人材育成を進めているところでございます。

○小竹委員 適切に技術継承をやっているというお話ですけれども、実際には、先ほどお示しいただいた一九九四年、技術職は三千百八人、技能職は六百二十二人おられました。それが二〇一五年には、技術職は千百人以上減って六二%の千九百二十七人、技能職は五百人以上も減らされて、一四%の八十八人まで減っている状況です。これでどうして技術継承が可能になっていくんでしょうか、その点についてお伺いします。

○久我職員部長 繰り返しになりますが、先ほども申し上げましたように、これまでも、技術系職員も含めまして、局としては必要な人員体制、適切な人員体制、これは技術継承していくためも含めての体制でございます。そういった体制を整えましてOJTを中心に技術継承を適切に行ってまいりました。繰り返しになりますけれども、さらに、近年、二十六年度になりましては、技術継承検討委員会を中心に、一丸となって進めているところでございます。

○小竹委員 同じお答えなんですが、この間、下水道の事業は、資料にもあるように現場の業務が、監理団体の下水道サービス株式会社に委託されてきました。技術や技能を持った技能職が減ったのは、団塊の世代の退職と同時に委託が進められたことだというふうに思うんですね。やはり、かなりの技術部門が、現場の仕事と一緒になって技術部門が委託されたということが影響しているというふうに思うんですが、その点についてはどうなんでしょうか。

○久我職員部長 確かに当局は、TGSと連携しまして、TGSに対して現場業務を中心に委託を進めてまいりました。ただ、事業運営につきましては、TGSと一体となって進めているところでございまして、さまざまな交流をしております。技術継承につきましてもTGSと一体となって現場の研修を当局職員がするというような取り組みをしておりまして、技術継承につきましては何ら問題がないと認識しております。

○小竹委員 何ら問題ないということですが、監理団体と一体になって、技術や技能の継承を進めていくということですけれども、監理団体は、東京都が出資しているという点では、一般の民間企業とは違いますけれども、株式会社という点でいえば、営利を目的にするという点での中身があるわけで、公共の福祉を進める下水道局とはやはり違うというふうに思うんですね。
 技術の継承というのは、私は簡単ではないというふうに思うんですよ。現場での業務をきちんと体験して、その痛みや何かを経た上で技術が向上するというふうに、私は技術関係者からお話を伺ったりしているんで、そういう点でも、やっぱり現場業務をいかに体験するかというのは非常に重要なことだというふうに思っています。
 まち場の人から、昔の人はよく現場のことがわかって相談に乗ってもらう、こういうことができたけれども、やはりそこら辺が、今、現場体験が弱まっているんではないかというふうに指摘もされています。
 設備の老朽化に伴う対策や耐震化、温暖化に伴う集中豪雨対策、下水道のエネルギー利用など、これまで技術を受け継ぐとともに技術開発も求められているわけですから、これ以上、委託や職員の削減はやめて、必要な数、技術者や技能職をふやすよう求めておきます。
 次に、超過勤務についてお伺いします。
 超過勤務についても、五年間の職員一人当たりの月平均勤務時間と八十時間以上についての資料を出していただきました。
 職員一人当たりの月平均の超過勤務は十年間どのように推移をしてきたのか、お伺いします。

○久我職員部長 職員一人当たりの月平均超過勤務時間数につきましては、十年前の平成十八年度は十・六時間でございまして、以降、おおむね十時間程度で推移しておりまして、横ばいの状況にあります。

○小竹委員 一人当たり月十時間程度ということで推移してきているということですが、資料には八十時間を超す超勤の人数が示されています。厚生労働大臣の規定で、残業時間の限度は、現在、月四十五時間を限度としています。それを超える超勤をしている人数、五年間示してください。

○高椙委員長 挙手お願いします。

○久我職員部長 申しわけございませんでした。月四十五時間を超える職員数についてでございますが、平成二十三年度は三百六十七名、二十四年度では三百四十二名、二十五年度では三百七十二名、二十六年度では四百四名、二十七年度では四百二十三名となっております。

○小竹委員 今ご説明がありましたけれども、このように超勤があることについて、下水道局はどのように認識しておられるのでしょうか。

○久我職員部長 当局はこれまでも、事務の簡素化や効率化、職員が定時退庁しやすい職場環境づくり等によりまして、超過勤務の縮減に取り組んでまいりました。これにより、先ほどお答えしましたとおり、職員一人当たりの月平均超過勤務時間数は、おおむね十時間程度で推移しております。また、四十五時間を超える超過勤務はふえておりますが、提出した資料のとおり、八十時間超え、百時間超えといった長時間労働は着実に減少してきております。
 引き続き、残業削減マラソン等の取り組みを通じまして、さらなる超勤縮減に努めてまいりたいと思います。

○小竹委員 この十年間、職員一人当たり月平均で十時間前後の超勤はあるわけですよね。そのうち五年間で見ると、延べ人数で、職員の一五%前後が四十五時間以上の残業をしているという状況がありますし、百時間を超える、本当に過労死ラインをはるかに超えるような超過勤務が、二〇一五年でいえば十四人もいる異常な状況です。こんなに残業があるというのは、やはり人が不足しているということのあらわれだというふうに思うんですね。
 先ほどは、人員は、きちんと配置されているというふうなお答えでしたけれども、やはり不足しているという状況、そして四十五時間以上の中には、過労死ライン八十時間を超える人が一割以上を占めているわけですから、異常な状況です。超勤をこのまま放置するということは、ライフワークバランスを掲げる小池知事の目指す方向にも私は反するというふうに思います。
 超勤をなくす上でも、少なくとも定数までは増員をして仕事を軽減するということが必要なのではないでしょうか。このことを指摘をしておきます。
 次に、工事の入札契約問題でお伺いします。
 今議会に報告された下水道局の工事請負契約、十一月一日から一月三十一日までの九億円以上の契約は十二件ありました。そのうち事実上一者入札が五件に上っています。落札率九九・九%のものが三件、残りも九〇%以上ということで、高落札率になっています。
 このように、一者入札や高落札率の契約は、競争性や公平性に疑問を感じますが、下水道局の認識をお伺いします。

○田中経理部長 下水道局では、電子入札方式を採用しておりまして、入札段階で事業者が一堂に集まる機会はなく、入札参加者は、ほかにどういう参加者がいるかや、何者入札に参加しているかなどを事前に知ることは不可能であります。入札の公正性は確保されております。
 また、結果的に一者入札になったといたしましても、入札参加者は、仮想の参加者と価格競争を行っていることになり、競争性も担保されております。

○小竹委員 競争性も担保されているし、電子入札だから連絡は、相互の関係はないというふうなことですけれども、事務事業質疑でもこのことは問題にしました。
 都政改革本部会議でも、入札問題について、二回から五回の本部会議で問題になり、議論が行われています。第五回本部会議では、調達、入札制度の適正化に向けてという内容が示されています。一者入札を回避する入札制度の導入、最低制限価格制度や予定価格の事前公表制を見直す方針が出されています。入札参加者が少ないほど落札率が高くなり、一者入札には競争性が認められないと、本部会議でも指摘されています。
 下水道局は、都政改革本部会議のこのような指摘を受けてどのように改善しようとしておられるのか、その取り組みをお伺いします。

○田中経理部長 現在、都政改革本部におきまして、入札契約制度についてさまざまな検討が行われております。お話ありました都政改革本部で示されたシミュレーションにつきましては、単純な機械的試算として説明をされているところであります。
 また、その際の報告資料のまとめの部分におきましては、今後の改革の方向性として、一者入札に関しましては、実質的な競争環境を確保するための制度及び運用の整備といったことが記載をされてございます。
 下水道局では、そうした検討内容を踏まえまして、今後適切に対応していきたいと考えております。

○小竹委員 この間、入札問題について議論してきましたけれども、入札の辞退などで事実上、一者入札になって九九・九%や、この間でいえば、一〇〇%の落札率もありました。やはりこういう点でいって、競争性や公平性に疑問を感じます。
 こういう状況の中で、予定価格の事前公表などは見直すべきだというふうに思います。都政改革本部で問題になっているわけですから、検討をして改めるよう求めて、質問を終わります。

○高椙委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願は、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十分散会

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