公営企業委員会速記録第二号

平成二十九年三月二十一日(火曜日)
第十委員会室
午後一時一分開議
出席委員 十四名
委員長高椙 健一君
副委員長田中 朝子君
副委員長山下 太郎君
理事加藤 雅之君
理事堀  宏道君
理事鈴木 章浩君
大門さちえ君
塩村あやか君
米倉 春奈君
小竹ひろ子君
田島 和明君
立石 晴康君
橘  正剛君
相川  博君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長山手  斉君
次長小泉  健君
総務部長土岐 勝広君
職員部長渡邉 範久君
資産運用部長広瀬 健二君
電車部長相川  準君
自動車部長根木 義則君
車両電気部長奥津 佳之君
建設工務部長野崎 誠貴君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務牧野 和宏君
安全管理担当部長裏田 勝己君
鉄軌道事業戦略担当部長高野  豪君
バス事業経営改善担当部長坂田 直明君
技術調整担当部長野崎 慎一君
技術管理担当部長谷本 俊哉君

本日の会議に付した事件
意見書、決議について
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十二号議案 平成二十九年度東京都交通事業会計予算
・第二十三号議案 平成二十九年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十四号議案 平成二十九年度東京都電気事業会計予算

○高椙委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件、決議三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○高椙委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十九年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。朗読は省略いたします。

平成二十九年三月十六日
東京都議会議長 川井しげお
公営企業委員長 高椙 健一殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1)
公営企業委員会
 第二十二号議案 平成二十九年度東京都交通事業会計予算
 第二十三号議案 平成二十九年度東京都高速電車事業会計予算
 第二十四号議案 平成二十九年度東京都電気事業会計予算
 第二十五号議案 平成二十九年度東京都水道事業会計予算
 第二十六号議案 平成二十九年度東京都工業用水道事業会計予算
 第二十七号議案 平成二十九年度東京都下水道事業会計予算

(別紙2省略)

○高椙委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の予算の調査を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第二十二号議案から第二十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土岐総務部長 過日の委員会で要求のありました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。都営バス運転手の雇用形態別の年間労働時間と年収でございます。
 雇用形態別に、それぞれ年間労働時間、年収及び平均年齢を記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。監理団体・報告団体・一般財団法人東京都営交通協力会における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 各団体における職員数と、そのうち都から派遣している職員数、団体の固有職員数、都退職者の職員数を記載してございます。
 次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。監理団体・報告団体・一般財団法人東京都営交通協力会における職員数の雇用形態別推移でございます。
 各団体における職員数を、過去五年間分記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。定数・職員数の推移でございます。
 当局の条例定数及び職員数を、過去五年間分記載してございます。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。女性職員数の推移及び女性職員の宿泊(仮泊)施設の整備状況でございます。
 当局の女性職員数を過去十年間分及び女性が宿泊できる施設数とその整備割合を記載してございます。
 最後に、六ページをお開きいただきたいと存じます。都営バス運転手の新規採用人数でございます。
 当局の都営バス運転手の新規採用人数を、過去十年間分記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高椙委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、私から、この豊洲市場移転延期に対する、交通局に対する影響について、冒頭お伺いをさせていただきます。
 豊洲市場問題については、現在、議会や各委員会で問題の本質であります安全性や問題の原因究明が行われているところであります。そうした中、先日の十九日、地下水モニタリングの九回目の調査の再調査の結果を受けまして、専門家会議の平田座長より、豊洲市場について、法的、科学的な安全性は保たれているとの判断が示されました。
 これまで移転延期の基準は、九回のモニタリング調査に対する専門家会議の評価を受けて決定するとされてきたわけでございます。しかし、その後の小池知事の記者会見より、安心であるとはいえず、判断はまだ早いとの見解が示されました。これまで安全に、さらに安心という新たな要素が加わったわけであります。これまで、判断に対する基準というのが明確に示されていたわけでありますけれども、安心の基準というのが明確に示されていない中で、今新たな局面に入ったといえます。
 安心というのは、主体である本人が安心であると理解することがまず必要であり、知事の安心の基準を明確に示していただきたいというふうに思っております。とにかく、大切なことは、関係事業者はもちろんのこと、一日も早く先を見通すことができるように、私たちは取り組んでいくことだというふうに思っております。そのことを踏まえまして、交通局関連の対応についてお伺いいたします。
 豊洲新市場は、昨年の十一月七日に移転することになっておりました。この移転が延期されたことにより、さまざまな影響が生じております。とりわけ豊洲移転を決めていた市場業者への補償といった追加の負担が発生したことはもちろんでありますけれども、このほかに、そのアクセス手段として準備を進めてきた交通機関も本当に無関係ではないというふうに思います。
 そこで、まず、豊洲新市場の開場に向けて、都営バスでは、今までどのような準備を行ってきたのかをお伺いいたします。

○根木自動車部長 都営バスでは、豊洲市場の開場に合わせ、路線の延伸を実施することとし、バス乗務員の確保やバス停留所の整備を行いました。また、路線の延伸等に当たりましては、地元区、道路管理者などと調整を図った上で国へ路線認可の申請を行いました。

○鈴木委員 これは交通局だけの問題ではなく、関連する地元区とか多くの方々に影響が出ているわけでありますけれども、それでは、今答弁にありましたこの路線の延伸について具体的にお伺いいたします。

○根木自動車部長 路線の延伸についてでございますが、地元区や中央卸売市場、道路管理者などと調整し、新橋駅と築地市場を結ぶ路線を豊洲市場へ延伸するとともに、東陽町駅と豊洲市場を結ぶ路線を新設することとしましたが、市場の開場が延期されたことに伴い、国への路線認可の申請を取り下げました。

○鈴木委員 この二路線の延伸によりまして、乗務員の確保、そしてまた新規の停留所の整備について取り組んできたというふうに思っておりますけれども、具体的にはどのようになっているのかをお伺いいたします。

○根木自動車部長 乗務員につきましては、平成二十八年十月に十五人を採用いたしました。また停留所につきましては、「ゆりかもめ」の新豊洲駅前と市場前駅前に、歩道に切り込みを入れたバスが停車するためのスペース、いわゆるバスベイを整備し、両方向で計四カ所設置いたしました。

○鈴木委員 今お話ありました、既に設置されている停留所というのは、今、白い紙が張られたままになっているわけでありますけれども、本当にこの利用というものがされない状況において、大変な無駄ではないかなというふうにも、誰もが思うわけでありますけれども、具体的に、この準備のためにかかった費用というのはどの程度のものなのか、改めてお伺いいたします。

○根木自動車部長 乗務員十五人の半年分の人件費といたしまして約四千五百万、バス停留所施設の整備費として約四千六百万円でございます。

○鈴木委員 本当に、今の話なんですけれども、こうした費用というのは、実際に無駄な支出だったんだというふうに思っておりますけれども、交通局の中で、この部分に対する対応というのは今どうなっているのか、お伺いいたします。

○根木自動車部長 確保しました乗務員につきましては、既存の路線で活用しておりまして、さらに今般の状況を踏まえ、平成二十九年度期首の採用数を調整し、増員分を解消することといたしました。また、停留所につきましては、他の既存路線のバスを停車させることも検討しておりまして、状況を踏まえながら適切に対応してまいります。

○鈴木委員 計画になかった乗務員を再配置して活用するというわけですけれども、一時的にはコストが増すということが考えられるというふうに思っておりますし、停留所の活用についても、とまる必要のないところに、改めて停留所があるからとまるということは、運行時間の問題とか、やはり地域の渋滞にも私は影響が出てくるんだろうというふうに考えます。
 また既に、環状二号線の開通が延期されたことに伴いまして、現実、晴海周辺の道路が本当に渋滞しているわけです。今後、選手村の建設が本格化していけば、さらに混雑が予想されるのは当然のことで、こうした状況において、時間どおりの定時の運行が、私はますます難しくなるというふうに思っておりますけれども、見解をお伺いいたします。

○根木自動車部長 都営バスが頻繁に運行しております晴海通りは、慢性的に渋滞しているため、運行の遅延が発生しやすい場所となっております。今後、大規模マンション等の建設が予定されていることに加え、選手村の工事車両の増加が続くことから渋滞がさらに悪化し、定時性の確保が難しくなることは懸念されます。
 このため、交通管理者等関係機関との連携に加え、バス運行管理システムに蓄積しました所要時間等のデータを活用することなどにより、計画的に安定的な運行確保に努めてまいります。

○鈴木委員 具体的に、選手村の工事車両というのは、ことしの十一月に、一日千二百六十九台とピークを迎えて、その結果、搬出と搬入の合計で一日に二千五百台以上が晴海ふ頭に出入りすることになるわけです。
 また、地元区周辺の自治体は、ここの地域はレンタサイクルの利用をこれから促進していきたいという、そういった取り組みがある中で、自転車利用者との事故など、都バスの運行におけるリスクというのは本当にますます高くなっていくというふうに思われます。
 こうした危険を当然回避するために、バス乗務員への注意喚起はもちろんのこと、これから本当に交通局の方々が、そうした事故も含めて、安全のためにしっかりと取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っておりますけれども、見解をお伺いいたします。

○根木自動車部長 渋滞など走行環境の悪化に対する事故防止対策といたしましては、適切な車間距離を確保し、追突事故を防止するとともに、停車している車両の側方をすり抜けてくるバイクや自転車や、車両の陰から横断してくる歩行者に注意するなど、十分に周囲の安全確認を行うことが必要でございます。
 また、自転車利用者との事故を防ぐためには、並走しないこと、無理に追い抜かないこと、追い抜く際には、自転車との間隔を十分にとること等を徹底することに加え、歩道や路地からの自転車の飛び出し等の危険を予測し、運転することが極めて重要でございます。
 このため、都営バスにおきましては、日々の点呼やバス路線上の危険箇所を表示したハザードマップにより注意喚起を図るとともに、安全研修においてドライブレコーダーの画像を活用し、自転車利用者の行動特性を理解させるなど事故防止に努めております。
 また、今後、選手村の工事車両が増加し、バスの運行に支障を来すような場合には、当該路線を所管する営業所におきまして、工事箇所や工事車両の走行ルート、周辺の道路状況などを掲示物や点呼等で各乗務員に周知し、注意喚起を図ってまいります。

○鈴木委員 大切なのは、本当に交通局さんだけではなく、地元区そして関係者の方々でしっかりと対応していく、そして事故やそういったさまざまな困難が起きないように、これからも取り組んでいっていただきたいというふうに思っております。
 また、この移転延期という影響において、今お話を伺いましたけれども、本当に議会においても一日も早くこの状況を改善していかなきゃいけないというふうに思っております。原因追及とこの責任の究明というものは本当に大切であるわけですけれども、責任ある都政の前進のために私たちも皆さんと一緒に、これからも取り組んでいきたいというふうに思っております。
 次に、地下鉄の安全対策についてお伺いいたします。
 交通機関にとって、今お話しさせていただいたんですけれども、安全の確保というのは本当に何よりも、いわずもがなの重要な事項であるわけですけれども、我が党から知事に提出いたしました交通局関係の予算編成に対する要望において、まず、安全対策に万全を期されたい旨要望させていただきました。
 さきの委員会では、局長から、予算編成の方針として、安全・安心の確保を最優先にとの説明がありました。昨年八月に、東京メトロ青山一丁目駅で、盲導犬を連れた視覚障害者の方がホームから転落して亡くなるという痛ましい不幸な事故が発生したわけでありますけれども、その後も、視覚障害者の転落事故が続きまして、こうした状況も踏まえて、国では、今、ハード、ソフト両面から転落防止にかかわる総合的な安全対策を検討するため、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を昨年八月に設置し、十月には、検討の中間の取りまとめを公表いたしました。
 安全の確保は輸送の最大の使命であるとの決意を改めて示したことになるわけですけれども、都営地下鉄の状況を見てみますと、ホームドアの整備については、三田線、大江戸線でホームドアが既に整備されております。また、都営地下鉄全駅に占める割合においても、六〇%を占める整備率となっており、首都圏の大手鉄道事業者との比較においても、ホームドア設置率というのは本当にナンバーワン、向上しているなというふうに、本当に皆様のお取り組みを評価するわけですけれども、さらに、平成三十一年秋までには新宿線への整備も計画している。また、浅草線についても、先日の我が党の代表質問において、大門駅、泉岳寺駅、三田駅、新橋駅の四駅の先行整備と新技術の実用化による早期全駅整備を目指すとの力強い答弁もいただきました。
 一方、ホームドアの全駅整備には本当に時間を要することから、それまでの間の事故を未然に防いでいくための措置を講じる必要があるというふうに思っております。代表質問において、四月には、ホームドア未設置の全駅に警備員の配置を完了するとの答弁もありましたけれども、重要なのは、配置された人が視覚障害者を前に、実際にどう対応できるかということであるというふうに思います。
 駅員や委託の警備員がしっかりと声をかけてサポートできるよう対応力を高める必要があるというふうに思います。視覚障害者のホーム転落事故を防ぐために、駅員等の対応力の向上のために、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○相川電車部長 都営地下鉄では、視覚障害者の転落を防止するため、さまざまな取り組みを実施しております。駅員につきましては、これまでも、おもてなしの心と安全な介助技術を身につけるため、サービス介助士の資格取得を進めており、現在、全ての駅に資格を持った駅員を複数名配置し、視覚障害者への対応を適切に行っております。
 さらに、ただいま理事からお話がございました、昨年末、国が公表した駅ホームにおける安全性向上のための検討会、中間取りまとめを踏まえ、本年一月に、駅員による視覚障害者への声かけ等の具体的な対応要領を定め、全ての駅員を対象に研修を実施し、視覚障害者への対応の徹底を図るとともに、白杖とアイマスクを使用して視覚障害者の疑似体験実習なども行いました。
 また、警備員につきましても、昨年十一月から、ホームドアが未設置の駅に順次配置を拡大しておりますが、交通局が定めた対応要領を踏まえた適切な対応が行えるよう警備会社が指導しており、駅員がその対応状況を確認しているところでございます。
 引き続き、サービス介助士の資格取得を進めていくほか、今後さらに、盲導犬使用者を講師に招き、状況に応じた適切な対応方法を学ぶ講習会を開催するなど、視覚障害者の安全確保に取り組んでまいります。

○鈴木委員 転落という、こうした不幸な事故の防止には、都営地下鉄に従事する者一人一人の高いスキル、先ほど資格という話ありましたけれども、スキルと、さらに意識、また、その向上に向けた不断の教育体制がソフト対策として本当に極めて重要だというふうに思います。
 都営地下鉄はこれまでも、さまざま先駆的に安全対策に取り組んでいることは評価しておりますけれども、引き続き気を緩めることなく積極的に取り組んでいただきたいと要望いたします。
 次に、都営地下鉄の経営についてお伺いいたします。
 東京の社会インフラは、高度経済成長期に建設されたものが更新時期を迎える中、都は二月に、都有施設等総合管理方針を策定いたしました。これによると、都営地下鉄は、建設後三十年以上経過したトンネルが全体の五割に該当するとなっております。
 トンネルなどの構造物については、中長期的に維持補修を行う必要があり、そのほかのさまざまな施設、整備についても更新時期を迎えることから、そのための負担が増大することが想定されます。
 先日の委員会での予算説明では、地下鉄事業について、平成二十九年度に二百億円を超える利益を確保できる見通しとのことでありましたけれども、一方で、施設、設備の更新経費や将来的な人口減少、さらに、平成二十七年度末で、依然として三千二百七十五億円の累積欠損金を抱えている状況において、今後の経営にはまだ不安な要素があるわけであります。
 先日の一般質問において、十年先までの事業別収支の見通しを年度内に公表する旨の答弁もありましたけれども、都営地下鉄の今後の収支の見通しについてお伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、経営計画の策定に当たりまして、平成二十八年度から三十七年度までの十年間の収支見通しにつきまして、今後の需要予測や施設、設備の更新等を踏まえて推計しております。
 地下鉄事業につきましては、車両の更新に伴う減価償却費の増加などにより費用が増加するものの、沿線開発の進展等により、乗車料収入の増加も見込まれることなどから、今後十年間は、毎年度、おおむね百五十億円から二百億円の経常黒字を確保できる見通しでございます。
 しかしながら、平成三十七年度におきましても、約一千五百億円の累積欠損金を抱えることを見込んでおりまして、また、理事からもるるお話のございましたさらなる安全対策の充実やバリアフリー化の推進など、今後の事業運営には多くの投資も必要となります。
 そのため、引き続き増収対策に取り組むとともに、効率的な事業運営に努めることで経営基盤の強化を図ってまいります。

○鈴木委員 今後十年で累積欠損金もおよそ半減すると、そして大江戸線を初めとして、乗車料収入も増加しているということで、地下鉄経営が軌道に乗っているというふうにはうかがえます。
 都営地下鉄の経営に当たっては、かつて石原知事や猪瀬知事の時代に、都営地下鉄と東京メトロとの地下鉄の一元化の議論が盛んにされたというのは、記憶にまだ新しいところでありますが、その後、知事が何人もかわる中で議論が鎮静化している感じですが、今後、こうした議論が再燃することも想定されるわけで、地下鉄の一元化については、国との合意形成や東京都としての一元化会社への関与のあり方を初め、多くの課題があった。そうした中で、私は、軽々にこの話は進めるべきではない、それ以上に、一元化せずともサービス改善を進める余地はまだまだあり、両地下鉄のサービスの垣根をなくす、いわゆるサービスの一体化について、もっと積極的に進めていただきたいと改めて要望いたします。
 そこで、地下鉄のサービスの一元化について、現在の状況、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、東京の地下鉄の利便性を高めるため、東京メトロと連携いたしまして、サービス一体化に取り組んでまいりました。
 具体的には、案内サインの統一や駅ナンバリングの導入、無料Wi-Fi環境の整備、国内外の旅行者向けの割安なTokyo Subway Ticketの発売、東京メトロと共同で開発した多言語対応の次世代券売機の導入などを進めてまいりました。
 今後も、共通一日乗車券の値下げや東京メトロとの乗りかえ駅である人形町駅の乗りかえ専用改札口の設置、九段下駅などへのエレベーター整備を進めるなど利便性の向上を図ってまいります。
 さらに、安全対策といたしまして、東京メトロと合同で、非常時を想定した訓練を引き続き実施していくとともに、車内防犯カメラの設置につきまして歩調を合わせて進めていくなど、セキュリティー向上にも取り組んでまいります。
 今後とも、二〇二〇年東京大会の開催も見据え、東京メトロと一体となって、安全で誰もが利用しやすい東京の地下鉄を実現してまいります。

○鈴木委員 東京メトロとは、サービスのみだけでなく、安全対策についても引き続き連携を深めていただき、都民が安心して快適に地下鉄を利用してもらえるようにしていただきたいというふうに要望いたします。
 地下鉄については、安全対策、経営状況及びサービスの一体化について質問させていただきましたけれども、経営の基本である安全対策に必要な投資を行うためにも、強固な経営基盤を確立することが不可欠であり、そうすることにより、都民やお客様に対する質の高いサービスの提供につながるわけであります。
 公営企業というのは、比較的行政のお荷物的な存在であるというふうにもいわれる面があるわけですけれども、東京都のこの都営地下鉄においては、本当に都民の生活を支える重要な基盤として、これからもしっかりと認識を持って取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 次に、バス事業についてお伺いいたします。
 先日の本委員会での予算説明において、平成二十九年度には、六億円余り赤字となる見通しとの説明がありました。公営企業においては、企業の経済性を発揮しながら、独立採算で経営するのがもちろん大原則であり、健全な経営は、事業を安定的に継続する上で重要であります。
 そこで、平成二十九年度のバス事業の予算において経常損失を見積もった主な理由について、改めてお伺いいたします。

○土岐総務部長 バス事業の平成二十九年度予算では、二十八年度予算と比較いたしまして、臨海地域等の輸送需要の増加などにより、乗車料収入が約十五億円増加し、収入全体で約十四億円の増収を見込んでおります。
 一方、これに対応するため、乗務員の確保や車両の増備等を実施することから、人件費が二億六千万円、物件費が八億六千万円増加するなど、支出全体で約十二億円の増加となっております。
 この結果、経常収支では、二十八年度予算に比較して二億四千七百万円改善したものの、六億六千万円の赤字を計上してございます。

○鈴木委員 今、部長の答弁を聞かせていただきますと、臨海地域等の輸送要素を見込んだ先行投資であると理解してもよいのかなというふうに思うわけですけれども、そもそも都営バスというのは三分の二の路線が赤字といわれております。採算性が低く、民間バス事業者では運行が困難な路線であっても、地域に必要な路線を維持してこそ公営企業たるゆえんだということで取り組んでおるわけですけれども、とはいっても、赤字が続けば、都民の負担につながることも忘れずに取り組んでいただきたい。
 これまでも、バス事業の経営に当たっては、まさに血のにじむような内部努力をしてきたと思います。また、平成二十三年度以降の配当金収入の減少により、さらに経営状況が厳しくなったとも聞いております。
 来年度予算の考え方は、先ほどの答弁で理解させていただきましたけれども、今後、安定的にサービスを計上していくことが可能なのか、そして、いつごろ黒字化が見込まれるのか、バス事業の今後の収支見通しについてお伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 バス事業につきましても、地下鉄事業と同様に、今後十年間の収支見通しを推計しておりまして、当面は赤字が続くものの、長期的には収支が改善するものと見込んでおります。
 具体的には、臨海地域の開発、進展に伴う乗客数の増加や自動車営業所跡地の利活用などにより収入の増加が見込まれるとともに、平成十九年度から実施しておりますバス乗務員等の給与水準の引き下げにより、人件費がさらに逓減することなどから収支が改善し、平成三十五年度以降、経常黒字に転じる見込みでございます。
 しかしながら、乗客潮流の変化や原油価格の変動など、事業運営に当たりましては、さまざまなリスクを抱えていることから、引き続き収入の確保や経費の節減など、一層の経営改善に努めてまいります。

○鈴木委員 これまで、経営努力の成果が着実にあらわれてきて、将来的には収支改善が見込まれるということでありましたけれども、その見通しを確固たるものにしていただくためにも、新たな需要の掘り起こしというのは、積極的にこれまで以上にやる必要があるというふうに思っております。
 バス事業というのは、ある意味、サービス業に似た部分があり、バスは鉄道と比較しますと、ふだん利用していない、例えば、東京を初めて訪れた方や外国人旅行者には、電車をおりた後、乗りたいバスのバス停がどこだかわからないとか、バス停で待っていると、バスがいつ来るかわからない、また、バスで行ける魅力的なスポットなども伝わってこないといったようなさまざまな点で、まだまだわかりづらいというふうに話が出ております。
 今後とも、さらに需要を喚起していただくためにも、バス利用の促進に向けた情報案内の工夫というのが特に必要だというふうに思います。
 そこで、バスの利用促進や利便性向上に向けた情報案内の充実にどのように取り組むおつもりなのか、お伺いいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまで、地下鉄駅改札口に周辺のバス乗り場や路線図を掲載したり、停留所にバス接近表示装置を設置するなど、情報案内の充実に努めてまいりました。
 今後は、二〇二〇年東京大会も見据え、地下鉄からバスへの乗りかえなど、誰もがよりスムーズにバスをご利用いただけるよう、多言語による案内を充実させるとともに、駅からバス車内まで連続した情報案内を途切れることなく提供してまいります。
 具体的には、新橋駅など、バス路線の乗り入れの多い駅、こちらの駅の改札口や駅前広場に、バスの発車予定時刻などの運行情報を英語でも案内できる大型のデジタルサイネージを四月以降、順次設置してまいります。
 また、停留所においても、英語での運行情報を表示できる新型の接近表示装置の設置に今年度から取り組みまして、今後、順次拡大していくとともに、平成三十年度までに、全停留所の路線図や行き先表示などについて多言語での表記を充実させる予定でございます。
 さらに、バス車内では、次の停留所名などを多言語で表示するディスプレーを、今年度中に全車両に導入してまいります。
 また、都営バス沿線の観光スポットなど、多彩な情報を英語でも提供できるデジタルサイネージを、今年度百五十両に設置したところでございまして、二〇二〇年東京大会までに、多くの外国人のご利用が見込まれる路線を中心に千両に設置してまいります。
 今後とも、情報案内を充実させ、お客様の利便性を向上させていくとともに、都営バスの利用促進を図ってまいります。

○鈴木委員 やっぱりサービスの質の向上のためには、不断の見直しということがまず必要だろうというふうに思います。
 そのためには、お客様の声とかそうしたものをアンケートをとって調べてみるとか、さまざま、まず、みずからを見直すという、そういったスタンスが必要だというふうに思います。
 そして、今、答弁にもありましたけれども、地下鉄からバスへの乗りかえに当たって、お客様をスムーズに案内していく取り組みなどは、多くの交通モードを持つ都営交通がモード間を連携させながら、この一体的サービス、都民やお客様に提供できるという、まさしく都営交通の強みなわけでありますので、ぜひこの部分を、さらに伸ばしていただきたいというふうに思います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けまして、国内外から東京への来訪者が増加していく中、誰もが快適に都営交通を利用できるよう取り組んでいくことは、本当に論をまたないわけでありますけれども、今の答弁の中にありました、無料Wi-Fiサービス、コンシェルジュの配置など海外旅客の受け入れ環境の整備に都営交通が先導的に取り組んでいることは、本当に評価しておりますけれども、加えて、世界で最も時間に正確といわれる首都圏交通網の中で、都営交通の現場職員が、この安定的な定時運行に向けて日々奮闘しているとも承知しております。
 今後、さらにサービス、品質の向上を図っていくためにも、基礎的なことこそが重要であり、例えば、職員の身だしなみや言葉遣い、そして接客態度など、いわゆる接遇を初めとするソフトの面でも、これからもさらに重視して改善していただきたいというふうに思います。
 そこで、二〇二〇年東京大会に向け、職員の接遇レベルの向上に向けまして、どのように取り組んでいくお考えか、お伺いいたします。

○土岐総務部長 交通局では、二〇二〇年東京大会も見据え、お客様が求める質の高いサービスを提供するため、研修所での集合研修や事業所のOJT等を通じ、職員の接遇能力や意識の向上を図っております。
 研修所におきましては、職種や職層に応じ、ロールプレーイング等を取り入れ、接遇や苦情対応、外国人対応などの研修を実施しております。
 また、バス営業所の乗務員については、運行管理者によるバスの添乗を通じた安全や接遇に関する指導や、外国からのお客様に対応するコミュニケーション用案内ボードの活用方法の習得を行っております。
 地下鉄の駅員につきましては、サービス介助士の資格取得や、外国人を講師としたグループ形式の英会話研修などを行っております。
 さらに、局長を本部長とするサービス推進本部のもとで、事業所ごとにチームを設け、接遇を含めたサービス向上に取り組んでおります。また、サービス推進発表会などで優秀なチームの活動内容を紹介し、局全体に共有することでサービスの底上げを図っております。
 加えて、毎年公募する約四百名の都営交通モニターに、担当する地下鉄やバスなどについて、年二回、接遇等のサービスレベルを四段階で評価いただいており、局として評価の向上を目指しております。
 今後とも、これらの取り組みの一層の充実を図り、職員の接遇レベルのさらなる向上に努めてまいります。

○鈴木委員 国内外の方が東京に来て、職員のフェース・ツー・フェースによる対応というのによって、都営交通の印象、ひいては都営交通だけでなく、東京そのものの印象に私は大きく影響を与えるものであるというふうに思っておりますので、引き続き接遇のレベルアップに向けた教育においても不断の対策を講じていただきたいというふうに思っております。
 本日は、都営交通の安全対策、サービス、そして経営状況やその見通しを中心に伺ってまいりました。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会まであと三年と迫っております。東京の活力が、この大会の成功に導き、東京の未来を開いていくことになるわけですけれども、私は、東京のみならず、この国の今後の十年後、二十年後の軸になる大会であるというふうに思っております。
 そのためにも、都営交通においては、大会期間中の輸送の主力の担い手として、万全の体制で大会に臨んでもらうことはもとより、大会に至るまでの期間においても、機運醸成に向けた取り組み、例えば、都営地下鉄やバスに、オリンピック・パラリンピックのラッピングを張って都内を走らせるような、そういったことも、これはさまざまな制約があるということも十分承知しておりますけれども、各局と連携しながら、機運醸成に向けても取り組んでいただきたいなというふうに要望いたします。
 今後の経営について改善が見込めている今こそ、都営交通のプレゼンスをさらに高めていく絶好のチャンスであるというふうに思います。首都東京の交通ネットワークの一翼を担う公営交通事業者である都営交通が、現場の強みを最大限発揮して、他の民間事業者を牽引するエンジンとなっていただき、東京を世界で一番の都市にしていただくためにも、これからも積極的に貢献を期待するところであります。
 私ども、都民の与党として、引き続き局と建設的な議論を重ねさせていただきながら、都営交通の発展、東京の発展に向けて取り組んでいく考えでありますが、交通局の事業運営のかじ取りを担う局長に、今後の事業運営に向けた決意をお伺いいたしまして質問を終わります。

○山手交通局長 交通局では、現在、経営計画二〇一六に基づきまして、安全・安心の確保を最優先に、お客様が求める質の高いサービスの提供やまちづくり、あるいは観光振興への貢献など、さまざまな課題に積極果敢に取り組んでいるところでございます。
 とりわけ、先ほど、今お話ありましたように、二〇二〇年東京大会の開催を見据えまして、ホームドアの整備促進等、ホーム上の安全対策の充実や言葉の壁を越えた円滑な案内、正確なダイヤ運行など、国内外から東京を訪れる多くのお客様に対し、最高のおもてなしをするための準備を加速していかなければなりません。
 一方、局を取り巻く事業環境は目まぐるしく変化してございまして、景気動向も緩やかな回復基調にあるものの、海外経済の不確実性等による変動リスクを抱えてございます。加えて、少子高齢化の急速な進行に伴う生産年齢人口の減少等により、長期的には乗客数の大幅な増加は期待できないなど、先行きは楽観できる状況にはないというふうに考えています。
 こうした中でも、事業環境の変化に迅速かつ的確に対応いたしまして、中長期的に安定した事業運営を行えるよう、今後の収支見通しを十分踏まえながら、引き続き旅客誘致対策、資産の利活用など、一層の収入の確保や効率的で無駄のない事業執行に努めまして経営基盤を強化してまいります。
 今後とも、ただいま理事からもいろいろとお話をいただきましたが、首都東京の公営交通事業者として、将来にわたり都民やお客様に信頼され、支持されるよう、また、その期待に応えられるよう、局一丸となってしっかりとその責務を果たしてまいります。

○加藤委員 初めに、バス路線について伺います。
 毎年、この時期になりますと、新年度からということで、路線の新設や廃止などのお話をいただきます。来年度の予算にも、そうした路線の変更が反映されていると思います。高齢化で人口が減ったり、またマンション等がたくさんできて人口がふえたりと、そうした変化もあると思います。
 いわば、乗降客の需要と供給の関係があると推測をしますが、新設や廃止などの路線の再編は、一体どのような考え方で行っているのか、伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉え、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
 具体的には、オフィスビルや大規模住宅等の開発が進み、都営バスへの需要が高まっている地域において路線の増便等を行う一方、鉄道等の開業やコミュニティバスなど、新規事業者の参入により代替交通が確保され、利用者の少ない路線については減便等を行ってまいりました。
 今後も、需要の変化に合わせて乗務員や車両など限りある経営資源を有効に活用することで、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、路線やダイヤの見直しを行ってまいります。

○加藤委員 例えば、二年前に、地元墨田区内の北部にあります東京都リハビリテーション病院と南部にあります両国駅を結ぶ墨38路線は、乗降客が少ないということで廃止がされました。墨田区も、維持費として毎年莫大な金額を都とともに負担をしており、自前のコミュニティバスに振り向けた方がいいということで廃止に合意した経緯があります。
 しかし、多くの利用者が存続を望んでいたこともあり、別の路線のコースを変更して、従前の一部区間が維持されましたが、両国駅方面に行くには乗りかえが必要となり不便を生じております。
 この利用者の多くは、教育機関への通学や病院への通院と聞いておりまして、公共交通を担う都としての役割は大きいものがあります。区内には、鉄道を含め東西を結ぶ路線は比較的充実していますが、南北を結ぶ路線は不足をしておりまして、この墨38は貴重な南北の路線でもありました。
 二〇二〇年には、両国駅近くの国技館がオリンピックの競技会場ともなり、にぎわいが期待されます。都も、関係局が開催準備として周辺整備に力を入れており、民間も再開発に向けて資金を投入しています。
 したがって、オリンピック開催までに間に合うよう、再度路線の復活も含め、検討を始めるべきと考えますが、見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 ただいまお答えしましたように、都営バスでは、オフィスビルや大規模住宅等の開発が進み、需要が高まっている地域におきましては、路線の増便等を行うなど、バス路線の充実を図ってまいりました。
 両国駅周辺については、お話のように再開発が計画されていることから、その進展を注視してまいります。

○加藤委員 次に、広告つき上屋について伺います。
 交通局がみずから整備する広告つき上屋については、来年度の予算でどのくらい計上されているのか、伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 交通局では、都内の他のバス事業者に先駆け、平成十九年度から、デザイン性の高い広告つき上屋を設置し、広告収入を上屋の整備費用に充てることで、都市景観の向上にも寄与する上屋の整備を進めてまいりました。
 こうした上屋の整備を加速させるため、経営計画二〇一六では、二〇二〇年東京大会までに、さらに百棟の広告つき上屋をみずから整備する計画としており、今年度から二十棟ずつ整備することとしております。平成二十九度予算では、約一億三千三百万円を計上してございます。

○加藤委員 今の答弁から推測しますと、広告つき上屋は、一棟六百五十万円ぐらいかかると思われます。昨年の事務事業質疑でもお聞きしましたが、民間主体で、二〇二〇年大会までに四百棟を整備するとの回答がありましたが、都の予算から単純に試算すると、六百五十万円掛ける四百棟で約二十六億円という数字が出てきます。四年間で割ると、年間約六・五億円、もし、これを交通局が自前で行おうとすると大きな負担となります。
 民間でやれば、維持管理費や固定資産税なども事業者負担ですし、交通局には広告料の一部なども入ってくることを考えますと、とてもお得な仕組みだというふうに思います。
 そこで、民間のノウハウを使った広告つき上屋整備の有効性について見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 広告つき上屋につきましては、先ほどお答えしましたように、二〇二〇年東京大会までに、局みずから百棟を整備する計画としておりまして、これに加えて、より多くの上屋を整備するため、民間事業者を活用することといたしました。
 昨年、公募により協力事業者を選定し、六月に契約を締結したところでございまして、現在、事業者と協力して地下埋設物等の支障物を確認するとともに、道路管理者、交通管理者との協議などを行いながら上屋の整備を順次進めているところでございます。
 今後とも、お客様の利便性や快適性の向上を図るため、民間事業者も活用しながら、広告つき上屋の整備を加速させてまいります。

○加藤委員 先ほどの質疑でも、バス事業の赤字のお話がありましたが、民間をうまく使って、少しでも貢献できるように事業を進めてもらいたいと思います。
 今後の問題といたしましては、整備を検討している停留所の地下埋設物等の支障物があるかないかの確認や、道路管理者、交通管理者との調整に時間がかかることだと思います。
 例えば、観光振興で、今後のWi-Fi整備を加速させるに当たり、我が党の提案で、関係局との協議の場を設けることになりました。民間による上屋整備についても、引き続き交通局も協力して取り組んでスムーズに設置がなされるよう要望をしておきます。
 次に、環境局による来年度の新規事業であるバス停へのソーラーパネル等の設置促進事業について、交通局としてはどのように取り組んでいくのか伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、最新の排出ガス規制に適合した車両を積極的に導入するとともに、バス停にLED照明を導入するなど環境負荷の低減に取り組んでまいりました。
 このたび環境局が、バス停へのソーラーパネル等の設置に対する支援を新たに行うこととしていることから、都営バスといたしましても、来年度は十カ所のバス停にソーラーパネルや蓄電池等を設置することとしておりまして、現在、環境局と連携して仕様の検討を進めているところでございます。
 こうした取り組みを進めることで、太陽光など再生可能エネルギーの普及に寄与するなど、環境により一層配慮した事業運営に努めてまいります。

○加藤委員 Wi-Fiやスマホの充電器も設置可能となるということで、大変期待をしております。先日も駅頭で、特に若者にアンケートをとりましたら、まち中での充電器の設置を望む声が大変多くありました。ぜひ整備が進むよう進めてもらいたいと思います。
 次に、先日、燃料電池バスの運行開始の報道発表がありました。ちょうど本日が営業運行の開始だと思いますが、ちょっと残念ながら雨で、晴れたらもっとふえたと思うんですけれども、燃料電池バスのすぐれた点と今後の取り組みについて伺います。

○根木自動車部長 都営バスでは、本日より、東京駅の丸の内南口と東京ビッグサイト間で、燃料電池バスによる営業運行を開始いたしました。実証実験用の車両ではなく市販車による営業運行は日本初であり、これまで燃料電池バスの技術開発に協力してきた交通局といたしましても、一定の貢献ができたのではないかと考えております。
 燃料電池バスのすぐれた点といたしましては、走行時にCO2、NOx、PMなどを排出しない、環境に優しいバスであり、音も静かであることが挙げられます。さらに、車体後部の電源供給システムから外部に電気を供給することができるため、震災等の災害時には、移動式の外部電源として活用することが可能です。
 交通局では、今後とも燃料電池バスの普及を先導し、水素社会の実現に貢献するため、実際の運行により得られるデータをメーカーにフィードバックすることで、よりよいバスの開発につなげていくとともに、本年度導入した二台に続き、来年度は三台の導入を予定しており、二〇二〇年東京大会までに最大七十台の導入を目指してまいります。

○加藤委員 東京駅丸の内南口から東京ビッグサイト間を運行するということは、二〇二〇年大会でも、主要駅と会場を結ぶルートで活躍すると思います。世界に向けて環境先進都市をアピールするツールとして、今後も台数をふやして充実させ、ぜひ成功に導いてほしいと要望いたします。
 最後に、利用者ニーズに応じたお客様サービスを行うには、以前、バスや電車内におけるWi-Fi設置などで、民間を利用してサービスを導入したように、今後も、都営交通全体であらゆる方策を駆使して民間活力をうまく使うことが必要だと思います。
 そこで、今後も民間活力の導入で、お客様サービスの向上と採算性の向上に努めていくことも大切だと考えますが、見解を伺いまして質問を終わります。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 民間の資金やすぐれたノウハウの活用は、効率的、効果的に事業を進めていく上で有効な手法の一つであると考えております。
 このため、理事からお話がありましたとおり、地下鉄及びバス車内における無料Wi-Fiサービスの提供やバス停の広告つき上屋の整備のほか、地下鉄駅構内やバス車内へのデジタルサイネージの設置など、交通局はこれまでも、民間事業者と連携した取り組みを進めてまいりました。
 一方、民間事業者と密接に連携した事業は、サービス提供の継続等について民間事業者の方針変更の影響を受けやすいなど一定のリスクも抱えております。こうしたリスクと効果等を総合的に勘案しながら、今後とも民間活力の導入も図りつつ、さらなるサービスの向上や効率的な事業運営に努めてまいります。

○田中委員 私からは、まず、都営バスのバリアフリー化と車椅子への対応についてお伺いをいたします。
 現代においては、移動に費やす時間というのが非常に多くなってきまして、誰もが安全性や快適性を十分に実感して交通機関を利用できるということは、社会的な要請としても非常に、より重要度が高まってきているといえます。この誰もがというところがポイントであって、高齢者やお子さん、妊娠している方や障害をお持ちの方、ベビーカーをお使いの方、車椅子の方など全ての方が移動の際の安全性や快適性を十分に実感できていなければならないと思います。
 特に、二〇二〇年にはパラリンピックがあり、障害をお持ちの方や車椅子利用者の移動の利便性と安全性の確保は都の責務といえるわけですけれども、まず最初に、都営バスにおけるバリアフリー化の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○根木自動車部長 都営バスでは、バリアフリー対策としまして、車椅子を利用されるお客様を初め、誰もが利用しやすいよう千四百六十五両ある全ての路線バスをノンステップバスとしております。また、これらの車両は車椅子スペースやスロープ板を備えているほか、バス停にとまった際に車高を下げる装置を導入しており、スロープ板の傾斜を緩やかにすることで、円滑な乗りおりができるようにしております。
 さらに、車椅子を利用されるお客様がご乗車される際には、これまでは両端にフックのついたベルトで、車椅子とバスの床の両方にフックをかけて固定する必要がありましたが、今年度導入した車両については、バスの車体にベルトを組み込み、車椅子のみにフックをかけて固定する方式を新たに採用するなど改善を図っております。これにより、安全性を損なうことなく、より迅速に車椅子を固定できるようになったため、今後はこの方式の採用を拡大してまいります。

○田中委員 まず、今のご答弁で、都営バスのバリアフリー化には、まことにいろいろ取り組んでいらっしゃるということが、よく理解ができます。
 この車椅子の利用者の方々にとっては、バスというのは最も身近な交通機関になるわけですけれども、一昨年、車椅子を利用されている方が都営バスに乗車中に、バスの前に急に乗用車が割り込んできて、乗務員の方が急ブレーキをおかけになったことによって、車がバスと接触してしまうという事故が起きました。
 都営バスでは、今ご答弁にもありましたけれども、車椅子の事故防止のためには、乗務員が車椅子に固定ベルトと横転防止ベルトを装着するということになっているわけですけれども、その事故のときには、そのどちらもが装着をされていなかった。そのために、急ブレーキをかけたときに、その車椅子が勢いよくばんと前に走って、車椅子の車輪というのは固定をできるんですが、急ブレーキかけると、その固定されたまま、すっと滑っていってしまうということなんですね。そのときもちょうどその現象が起きて、そして、前の座席に車椅子ごと突っ込んでしまって、車椅子に乗っていらっしゃる方なので足がお悪い方なんですけれども、そのときに両足、突っ込んだことによってけがをなさって、あと、その影響で腰もけがをなさったという事故が起きました。
 この事故は、お聞きするところによりますと、健常者の普通のほかのお客様にとっては、そんなに大した大きな事故ではなくて、ちょっとつかまれば踏ん張れるというぐらいの事故だったそうです。ですから、車椅子の方も、もしそのとき固定ベルトや横転防止ベルトがついていれば、こういったけがもなかったかもしれないというぐらいの事故だったわけですけれども、そうなりますと、決められた対応をしていなかったために起きた事故ということであることから、私、このときに、決算委員会で、乗務員への指導に関し、交通局に質疑をさせていただきました。そのときのご答弁は、こういったことが二度と起こることがないよう、乗務員の車椅子の方への対応方法については研修を実施していて、しっかりと取り組んでいくということでした。
 しかし、この固定作業については、乗務員の方にいまだ浸透していないケースが、現在まだ見られるということなんです。そのときにけがをした方は、バスのご利用は連日のようにしていらっしゃるわけですけれども、実際、現在も固定ベルトはほとんど装着をしてもらえないということをお聞きしております。
 幸いその後、事故には遭われてはいないということですけれども、この車椅子の方の乗車中の事故というのは、もちろんあってはならないことですので、乗務員に固定ベルトと横転防止ベルトを装着する指導教育を徹底させるということは、これは今後も必要であると思います。
 しかし、このときもう一度、私、委員会の中ではないんですけれども、まだベルトを装着していらっしゃらないそうですということを交通局の方には再度お願いをさせていただいたんですね。それでも今、つい二、三日前にお聞きしても、まだこのベルトをされていないということを、その利用者の方はおっしゃっていました。
 そうなりますと、本当に指導教育が徹底していないから、固定ベルトをなかなか装着してもらえないのかということになると思います。恐らく、ここまで、事故もあったことですし、乗務員の方にもそういう指導は徹底していらっしゃると思いますし、研修もきちんとしていらっしゃるとは思うんですね。でもなおかつ、まだ固定がなかなかされないということは、ほかの理由があるのではないかということを考えました。
 実は、お聞きしたところ、バスの場合は、車椅子の方がご乗車になるとき、その対応は、運転手さんですね、乗務員の方が一人で行わなければなりません。この作業は車椅子お一人に対し、大体五分ぐらいかかるんだそうです。この横転防止ベルト、固定ベルトを全部つけると、お一人五分ぐらいかかるんだそうです。お一人の乗務員が運行の遅延を気遣いながら対応することの大変さ、これは非常に理解ができますし、それによってつい固定を簡略化してしまうということも、これはあり得ることだと思います。
 そして一方、車椅子の利用者の方の方も、固定してもらいたいとは思うものの、時間をかけて対応してもらうことや、ほかの乗客の方を待たせるということに対する心苦しさを非常に感じるということをいっていらっしゃいます。
 となりますと、この車椅子の車内安全確保の方法は、もっと違った視点からの改善をすべきではないかと考えますけれども、都営バスにおける車椅子利用者と乗務員の負担軽減に向けた対策についてお伺いをいたします。

○根木自動車部長 ただいま副委員長からお話がありました事故を受けまして、車椅子を利用されるお客様への対応につきましては、改めて全乗務員に対する指導を徹底したところでございます。車椅子をご利用されるお客様からお褒めの言葉をいただいている乗務員がいる一方、今お話がありましたように、まだ改善されていないとのご指摘を受けたことにつきましては、正しい対応方法が浸透していないということであり、再度強く指導してまいります。
 車椅子を利用されるお客様と乗務員の負担軽減についてでございますが、車椅子を利用されるお客様がご乗車される際には、車椅子のブレーキが確実にかかっていることを確認し、車椅子に固定ベルトと横転防止ベルトを装着することを基本手順としており、乗務員が、今副委員長からお話がありましたように、ベルトの装着に時間を要する場合があることから、先ほどご答弁いたしましたように、より迅速に車椅子を固定できる改善を図っているところでございまして、引き続き車両メーカーと改善に向けた検討を行ってまいります。

○田中委員 ありがとうございます。今、車椅子、電動車椅子など大型化をどんどんしていて、それによって外出なさる方も、本当に今はもうふえていらっしゃると思いますし、また、バス等でも、一台だけではなくて二台でお乗りになる、連れ立ってお乗りになるという、さっき申し上げた事故に遭われた方も、ご夫婦とも車椅子の方なんですね。
 ですから、そういったときも、一人五分かかるということは十分かかってしまうということになりますので、そういったところ、ぜひ今おっしゃった改善を進めていっていただきたいと思います。パラリンピックに向けても、また、海外からも車椅子で来られる方もふえていくと思いますので、早急に改善を実現させていただきたいと思っております。
 次に、都営バスのダイヤ改正と路線の再編についてお伺いをいたします。
 先日、この四月一日からの都バスのダイヤ改正が発表されました。私も早速、交通局のホームページで内容を拝見をいたしましたけれども、まず、表記の仕方が、単に系統番号のみ、例えば、渋88とか、宿91とか書いてあって、どこを走っている路線なのか、また、減便したのか、増便したのかということも、全くわからない表記でした。
 ホームページにおける都バスのダイヤ改正の周知については、やはり利用者のために載せていらっしゃるんだと思いますので、運行場所やダイヤの増減などを都民利用者にわかりやすく案内すべきと考えますけれども、ご見解をお伺いをいたします。また、ホームページ以外でのダイヤ改正の周知方法についても、あわせてお伺いをいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、ダイヤ改正日の一、二週間前から、改正後の時刻表をホームページやバス停に掲示するとともに、営業所窓口においても配布しております。副委員長お尋ねのホームページでの周知につきましては、現在の記載に加え、ダイヤが改正される路線の運行経路や改正の内容をわかりやすく案内するなど改善に努めてまいります。

○田中委員 各バス路線の利用者にとっては、ダイヤ改正というのは大きな影響を与えます。ぜひ、全ての都民にとってわかりやすい改善をお願いしたいと思います。
 さて、このダイヤ改正というのは、路線ごとの状況の変化に対応しているものと考えますけれども、ダイヤ改正をするに当たっては、どのような調査を行って検討を行っているのかを、まずお伺いをいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、オフィスビルや大規模住宅と鉄道駅を結ぶ路線など需要が高まっている路線の増便等を行う一方、鉄道等の開業やコミュニティバスなど新規事業者の参入により代替交通が確保され、利用者の少ない路線については減便等を行うなど、適時ダイヤ改正を行っております。
 改正に当たりましては、実際にバス車内に乗り込み、時間帯ごとの利用者の乗降数を把握するとともに、バス運行管理システムに記録された、路線ごと、時間帯ごとの運行データを活用するなど、さまざまな検討を行っております。

○田中委員 バス路線のダイヤ改正や再編というのは、利用者の利便性のよしあしを大きく左右するものでありますし、また経営上も、乗客の利便性やサービスを高めるためにも非常に重要と考えます。
 私、以前、交通局に路線別の乗客数や乗車料収入を出していただきたいと聞いてみたところ、公表できないというお答えでした、これ三年ぐらい前だったと思いますけれども。しかし、よい効果の出る的確なダイヤ改正や再編を行うためには、乗降客数や乗車賃の収入、需要や地域の変化等のデータを適切に常時、変化も含めて把握をしていかなければ対応が遅くなってしまうと思うわけです。
 そこで、再度お伺いをいたしますけれども、以前公表できないとされていた路線別の乗客数や乗車料収入などは必ず把握するべきと考えますけれども、把握をしていらっしゃるんでしょうか。また、現在は公表できているのでしょうか、お伺いをいたします。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、毎月、乗車料収入や乗客数の実績を集計して、増減要因などを分析しておりまして、路線別の乗客数や乗車料収入についても集計しております。現在、路線別の乗客数についても公表してございます。

○田中委員 以前は公表していなかったというものが、現在は公表している。また、路線別の乗客数や乗車料収入なども把握しているとのことで、以前に比べれば前進しているということだと思います。
 しかし先ほど、バス路線の再編を検討する際、年一回、実際にバス車内に交通局の方が手分けして乗り込んで、利用者の乗降数を把握するというご答弁ありました。しかし、これからはそういったアナログ的なデータ収集を脱して、システム化されたデータ収集に変えていかなければいけないのではないかと思います。
 このことに関しては、私は一昨年の公決でも提案をさせていただいておりますけれども、そのとき申し上げましたが、実際そういったデータ収集をして、ビッグデータを活用しているバス会社が実際にあります。ご存じの方も多いかもしれませんけれども、埼玉県川越市に本社を構えるイーグルバスという会社です。
 イーグルバスは、バスにセンサーを取りつけました。そして、そのセンサーによって乗ったりおりたりする人の人数、場所等把握をして、そのビッグデータを多角的に収集をしています。そして、そのビッグデータ分析によって、大手バス会社が−−このイーグルバスというのは新興のバス会社、観光バスをやっていた会社で、路線バスの会社ではなかったんですけれども、その大手バス会社が撤退した赤字路線を引き継いだんですね、そこから路線バスを始めた。そして、その引き継ぎで、そのビッグデータの収集によって、利用者を増加に転じさせたということなんです。
 路線バス事業が抱えていた課題と、その改善策をデータで徹底的に可視化して分析することで、わずか四年で乗客を前年比で増加に転じさせて、一路線全体でなく区間ごとの乗客や採算をあぶり出すことによって収益に結びつく打ち手を繰り出せるようにした会社です。これ非常に、そのことで有名になった会社でして、人が乗る流れですね、そういうのも把握をして、路線の通るところを変えたりとか、そういったことをしてお客さんをふやして黒字に転じさせているという会社なんです。
 先ほども、ほかの理事からお話ありましたとおり、都バスの路線の三分の二は今赤字路線です。もちろん公営でございますので、採算が低い路線を維持するという義務があるということは、もちろん理解ができますし、また、それはしていかなければならないと思っております。
 しかし、この赤字路線を少しでも解消するための努力はしていかなければならないと思います。そのために、これまでのようなアナログな方法ではなく、先ほど申し上げたようなビッグデータを多角的に収集して、そのデータを活用して事業に反映し、経営の効率化を図っていくべきだと考えますけれども、ご見解を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、先ほどお答えいたしましたとおり、路線別の乗客数や乗車料収入を推計、分析したデータに加えまして、実際にバス車内に乗り込み、各路線の停留所ごとの乗降数などを調査いたしまして、路線別の利用実態や乗客潮流の変化を把握しております。こうしたデータや調査結果をもとに、需要が高まっている路線については増便等を行う一方、乗車人員の少ない路線については減便等を行うことによりまして、乗務員や車両など、限りある経営資源を有効に活用しております。
 引き続き、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性を高めるため、利用状況やさまざまなデータ等を活用してまいります。

○田中委員 もちろん、今おっしゃられたようなことは、これまでやってこられているわけですけれども、私が申し上げたのは、それだと後手後手に回るでしょうということを申し上げているわけです。
 ですから、もっと現状をオンタイムで把握して、どんどん手を打って経営状況を変えていくということが必要ではないかということを申し上げているので、こういった、センサーをつけるかどうか、その方法はいろいろあるかと思いますけれども、ビッグデータの収集ができるような仕組みを都バスもつくっていくべきではないかということを提案をしていきたいと思っております。
 次に、都営地下鉄の方をお聞きいたします。都営地下鉄と東京メトロのサービスの一体化について伺います。
 先ほども、ほかの理事からご質問がございました。交通局ではこれまで、東京メトロと同じく、東京を支える地下鉄事業者として、サービスの一体化に取り組んできていらっしゃいます。
 ちょっと重なって申しわけないんですけれども、まず、東京メトロとのサービスの一体化について、これまでの取り組みと今後の予定についてお伺いをいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、東京の地下鉄の利便性を高めるため、東京メトロと連携いたしまして、サービス一体化に取り組んでまいりました。
 具体的には、案内サインの統一や駅ナンバリングの導入、無料Wi-Fi環境の整備、国内外の旅行者向けの割安なTokyo Subway Ticketの発売、東京メトロと共同で開発いたしました多言語対応の次世代券売機の導入などを進めてまいりました。
 今後も、共通一日乗車券の値下げや東京メトロとの乗りかえ駅である人形町駅の乗りかえ専用改札口の設置、九段下駅などへのエレベーター整備を進めるなど利便性の向上を図ってまいります。
 さらに、安全対策といたしまして、東京メトロと合同で、非常時を想定した訓練を引き続き実施していくとともに、車内防犯カメラの設置につきましても歩調を合わせて進めていくなど、セキュリティーの向上にも取り組んでまいります。
 今後とも、二〇二〇年東京大会の開催も見据えまして、東京メトロと一体となって、安全で誰もが利用しやすい東京の地下鉄を実現してまいります。

○田中委員 ありがとうございます。質問が重なってしまいまして申しわけありませんでした。
 今のご答弁で、都営地下鉄と東京メトロのサービスの一体化に向け、積極的に取り組んでいらっしゃることは評価ができると思います。
 しかし、このサービスの一体化ということで、一番都民から望まれているのは、運賃の同一化ではないかと思います。利用者である都民の方からのご要望の中で、都営地下鉄に関して一番多いのが、都営地下鉄の運賃が東京メトロに比べて高過ぎるということ、これは本当によくお聞きをすることでございますし、恐らく交通局の皆さんも、それはご存じだと思います。
 サービスの一体化を今後も積極的に進めていくのであれば、今後運賃についての同一化も必須と考えますけれども、利用者の立場、また小池都知事がおっしゃるところの都民ファーストのサービス提供の観点からも、都営地下鉄の運賃について、東京メトロとの同一化を検討していくべきと考えますけれども、ご見解を伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都営地下鉄は、東京メトロと共同して、さまざまなサービスの一体化の取り組みを実施するとともに、運賃につきましても、乗り継ぎ時の割高感を緩和するため、七十円の乗り継ぎ割引や乗り継ぎ定期券の一五%割引を実施しております。
 一方、運賃は収入の太宗を占め、安定した事業運営を続けていくための根幹であり、何よりも大切な安全・安心対策への投資や、お客様が求める質の高いサービスを提供するための貴重な原資でございます。
 このため、単年度の経常損益は黒字でありましても、それをサービス一体化といたしましての運賃施策へ振り向けるかどうかにつきましては、その効果や経営に与える影響などを十分に検証した上で判断すべき課題でございます。
 したがいまして、現時点では、運賃をメトロと同水準まで値下げすることは考えておりません。

○田中委員 今おっしゃったように、都営地下鉄は一応黒字営業でございます。都営で運賃を下げることが、今、考えておりませんというお答えでしたけれども、だとすれば、やはり利用者サービスの観点からは、都営の民営化とか、または東京メトロへの売却ということも、これは話が出てきてしまうのではないでしょうか。要するに、そうすれば料金は同一化できるわけですからね。
 公営交通というのは、全ての方、誰もが安全性、快適性を十分に実感して利用できるようにしていかなければならないわけですけれども、それだけではなくて、それに加えて、民間との競争によりサービスの向上をあらゆる面から常に図っていかなければならないわけです。これは運賃も同様だと思います。
 ぜひ交通局は、公営交通の代表として、ますますの安全性はもちろん、そして何よりも、全てのよりよいお客様サービスの最高を目指していただきたいと思います。
 そして、それが結果としては、都営交通のさらなるイメージアップに必ずつながると考えます。そのことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○米倉委員 初めに、都電荒川線の踏切の安全対策について伺います。
 都電荒川線においての事故やトラブルは、過去五年間の傾向では年間十件前後起きております。その多くが踏切の部分、また、王子駅付近の車と一緒に走る部分だと伺っております。
 私も先日、三ノ輪橋駅から早稲田駅まで乗車をして、都電荒川線の踏切部分の状況を確認に行きまして、遮断機が設置されている箇所や、遮断機はなく信号で電車も自動車も歩行者も整理している箇所など、対応はさまざまだということがわかりました。
 そこで、都電荒川線においての踏切部分などについて、横断する人や自動車などとの接触事故を防止するために、どのような考え方で安全対策を講じているのか伺います。

○奥津車両電気部長 都電荒川線では、踏切道において人や自動車等との接触事故を防止する安全対策といたしまして、遮断機や警報機などの踏切保安設備を設置することを基本としております。
 また、道路内に軌道が敷設されている場所には、標識や電車接近表示器を設置いたしまして、横断する人や自動車に注意喚起を行っております。
 そのほか、自動車と同様に、交通信号に従って走行している場所もございます。

○米倉委員 踏切については、遮断機などの設置が基本ではあるけれど、道路の中に軌道がある場合には、遮断機ではなく、標識や電車の接近を示す案内での注意喚起や信号で整理することもあるということでした。
 都電は、私の地元豊島区でも走っていまして、地元の方々からも非常に愛されています。その一方で、安全対策についても要望が幾つも出されております。特に大塚駅付近についての踏切は、交通量が多いことに加えて、大塚駅の南口は視覚障害者団体の事務所も近くにありますから、視覚障害者の交通量が多いところであります。そのため、安心して踏切を渡れるようにすることが求められています。
 大塚駅南側には、都電のホームが、おりたすぐそばに都電の軌道を横切ることができる踏切部分が設置されています。ここには、遮断機ではなく、音声と電子掲示板で案内をする電車の接近表示器が設置されています。
 この電車の接近表示器について、視覚障害者の方々からは、電車が踏切に到達する直前に音が鳴り始めるんだと、これでは無事に踏切を渡り切れるかどうか、怖い思いをしているんだという声が寄せられております。音を鳴らすタイミングをもう少し早めてほしいという声が寄せられております。電車の接近表示器の改善が必要と考えますが、いかがですか。

○奥津車両電気部長 大塚駅では、道路内に軌道が敷設されておりますことから、踏切が設置できない軌道横断部におきまして、歩行者に対して電車の接近を知らせる文字表示と音声で注意を促すことを目的に、電車接近表示器を設置してございます。
 委員ご質問の軌道横断部の電車接近表示器につきましては、平成二十六年度に、以前よりも表示と音声鳴動を早く開始するように改修いたしました。
 当該箇所は、停留場から軌道横断部が近く、停留場を出発直後に表示と音声鳴動を開始させていることから、これ以上開始するタイミングを早めることは困難でございます。このため、軌道横断部を走行する際には、運転手が歩行者の動向を確認し、安全を確保しているところでございます。

○米倉委員 改善が図られているということは大事だと思いますが、私も現場に行きましたが、ここの踏切部分、軌道横断部は、早い場合は、電車が来るという接近表示器のアナウンスが鳴り始めて、三秒から長くても五秒で電車が踏切に到達します。早過ぎると感じました。視覚に障害がある方にとっては、これはかなりプレッシャーになるというふうに思いました。
 運転手が歩行者の様子を見ながら安全を確保されているということですが、視覚障害者といいましても、全盲でない方の中には白杖や盲導犬を連れていない方もいらっしゃいますから、見た目だけではわからなくて、電車が近づいてから、歩行者が焦って転倒するということも、これはあり得ると思います。さらなる改善を強く求めておきます。
 大塚駅の南口については、現在、広場を整備している最中です。地域の住民の皆さんにとって、ここの整備後に、視覚障害者を初め車椅子利用者や高齢者、ベビーカー利用者などが安全に駅前を通行できるかどうかも、今、気になっている事項になっております。
 交通局は、来年度の予算案で、大塚駅前の整備に伴い、踏切部分の電車の接近表示器を増設するとしていますが、その場所がどこになるかが重要です。
 というのも、工事前の駅前の踏切の一つ、大塚駅前の踏切部分ですが、一つは、軌道がカーブしている部分にあったんです。そうなりますと、カーブの部分というのは、電車が遠心力で倒れることがないように、車体を内側に傾けて走るように軌道を斜めに設置することになっていますから、通行者はでこぼこした路面を歩くことになってしまうんです。角度のついている踏切は、車椅子や手押し車を利用する高齢者にとっては危険な場所になっています。
 ことし二月九日に豊島区内で起きた西武池袋線の踏切死亡事故というのも、やはりカーブにある踏切で、高齢者が手押し車の車輪が軌道の溝に入ってしまい、抜け出せなくなっているうちに電車と接触して起きたケースでした。
 近所にお住まいの肢体不自由のある息子さんがいらっしゃる七十代の女性は、線路内を横断するには非常に神経を使うと話をされていらっしゃいます。
 まず、軌道の溝に車椅子の前輪がくるっと横を向いてはまってしまうと、これはもう抜け出すのにかなり時間がかかってしまうんだと。その間に電車が近づいてきてしまうと大変なことになってしまうと。だから、踏切は車椅子の前輪を上げて渡るなど、かなり注意して横断しているんだということでした。これに加えて、軌道のカーブのあるところに踏切があるとなりますと、路面が平らではなくて、線路の溝に向かって上り下りの坂ができますから、さらに渡りにくくなるんだと。だから、新しく整備される踏切については、絶対にカーブには設置してほしくないというふうに話していらっしゃいます。
 大塚駅前の踏切設置箇所については、軌道がカーブしている部分ではなくて、直線の箇所で踏切を設置することが重要と考えますが、いかがですか。

○谷本技術管理担当部長 大塚駅南口付近は、駅前整備事業を行っております地元区が、歩行者動線を含め広場の全体計画を定めております。
 ご質問の軌道横断部につきましても、地元区が定めました広場の全体計画に基づき、整備を進めております。
 なお、従前の軌道横断部は、軌道がカーブしている区間に設置されておりましたが、現在は、整備計画で定められた位置に整備されておりまして、ほぼ直線の区間に移設されており、さらなる移設はないと聞いております。

○米倉委員 つまり、新しい踏切は直線部分につくられるということでした。
 踏切を障害者や高齢者などが安全に渡るためには、踏切の場所も重要ですが、同時に、踏切内に必要以上に、例えば軌道の溝が広がるですとか、そういうことがないように、バリアフリーの観点での日ごろの安全点検も重要となっています。都電のホームや踏切などを障害者が安全に利用できるよう、交通局はどのような取り組みを行っているでしょうか。
 また、大塚駅のこの南口付近の踏切内には、ケーブルを通すものなのか詳しくはわかりませんが、金属の柱のようなものが路面横断部分に走っていまして、その表面に凹凸があるために、これが車椅子で横断する方にとっては非常に利用しにくくなっているんだという声も上がっています。これについては速やかに改善が必要だと思いますが、いかがですか。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、日々の巡回等を通じまして、荒川線の停留場や踏切の点検を行っており、点検で確認したふぐあいにつきましては、適切に補修等を実施しております。
 お話の大塚駅南口付近は、現在、駅前広場整備に伴って工事中でございまして、軌道横断部につきましては仮舗装となっております。ご指摘の凹凸につきましても、適切に対処してまいります。

○米倉委員 早期の改善を強く要望しておきます。
 次に、都営地下鉄のバリアフリーについて伺います。
 昨年は東京メトロの青山一丁目で、そして、ことしの初めにはJR蕨駅でも、盲導犬を連れた方がホームから転落し、死亡する事故が起きました。
 交通局は、都営地下鉄各駅での視覚障害者の利用者数を把握しているのでしょうか。把握しているならば、二〇一五年度の視覚障害者の利用者数と、その把握の仕方について伺います。また、都営地下鉄において、二〇一五年度に視覚障害者の方がホームから転落した件数についても伺います。

○相川電車部長 駅員が改札口などで目視により把握した、白杖をお持ちのお客様や盲導犬をお連れのお客様の人数ではございますが、平成二十七年度、四線合計で約二万人でございます。
 次に、平成二十七年度に都営地下鉄のホームから転落した方のうち、視覚に障害のある方は三人でございます。

○米倉委員 都営地下鉄でも視覚に障害のある方の転落事故が起きているという中で、転落防止対策は急がれていると思います。昨年の銀座線青山一丁目の転落事故を受けて、都としては、視覚障害者が安全に駅を利用できるよう、どのような対策を講じているんでしょうか。

○相川電車部長 都営地下鉄では、昨年八月、他社で発生した転落事故を受け、直ちにホーム上の視覚障害者の動向に十分注意を払い、声かけをするよう、改めて関係係員に周知いたしました。
 また、昨年末、国が公表した駅ホームにおける安全性向上のための検討会、中間取りまとめを踏まえ、本年一月に、駅員による視覚障害者への声かけ等の具体的な対応要領を定め、全ての駅員を対象に研修を実施いたしまして、視覚障害者への対応の徹底を図りました。
 さらに、警備員につきましても、昨年十一月から、ホームドア未設置の駅に順次配置を拡大しているところでございます。

○米倉委員 視覚障害者や車椅子利用者などの介助については、研修などを受け、適切に対応できるようにしていくことが重要ですが、具体的にはどのような取り組みをしているのでしょうか。
 また、新たにホームに配備する警備員については研修などあるんでしょうか。

○相川電車部長 都営地下鉄ではこれまでも、おもてなしの心と安全な介助技術を身につけるために、駅員のサービス介助士の資格取得を進めており、現在、全ての駅に資格を持った駅員を複数名配置し、視覚障害者や車椅子利用者への対応を適切に行っております。
 また、本年一月、駅員による視覚障害者への声かけ等の具体的な対応要領を定め、全ての駅員を対象に研修を実施いたしました。
 警備員につきましても、この対応要領を踏まえ、視覚障害者に適切な対応を行えるよう、警備会社が指導しており、各駅においても対応状況を確認しております。

○米倉委員 職員については研修を行い、警備員については警備会社が指導しているということですが、今回新たに配置する警備員は、一般的な危険物がないかどうかだとか、そうした安全を確保する警備員ではなく、障害者などの安全利用のために配置するものですから、位置づけが違うと思います。都として警備員の対応状況を確認するとのことですが、状況によっては、都の研修に参加できる機会をつくるなど、必要な対応を身につけられるよう対応を求めておきます。
 ホームドアがない駅のホームでの転落事故を起こさず、安全を確保するためには、視覚障害者の場合、無事に電車に乗るところまで見届けることが重要です。そのためにも、視覚障害者が改札内に入ったら、ホームにいる駅員などに情報を共有し、対応することが重要と考えますが、どのように対応していきますか。

○相川電車部長 都営地下鉄では、駅員が改札口で、介助者のいない視覚障害者に気づいた際は、駅長事務室に連絡しております。連絡を受けました駅員は、お客様が希望される場合には、乗車されるまで誘導案内を行い、また、希望されない場合でも、可能な限りホームまで付き添い、乗車されるまで見守りを行っております。
 また、駅員が携帯しております業務用電話を、ホームに配置しております警備員にも携帯させ、確実に見守ることができるよう、既に準備を進めているところでございます。

○米倉委員 駅員と警備員で連絡をとり合い、電車に乗るまで視覚障害者を見守るという対応は重要です。同時に、ホームからの転落事故を防ぐには、根本的にはホームドアの早期設置こそが求められていますので、ホームドアの整備スピードをさらに引き上げることも求めておきます。
 最後に、都営地下鉄駅構内のエスカレーターの音声案内についてです。
 視覚障害者の皆さんからは、駅構内のエスカレーター音声案内の設置をさらに進めてほしいという声が上がっています。地下鉄は深いため、階段で上るのは非常に大変です。エレベーターを利用したらいいという意見もありますが、駅構内のつくりは複雑なところも多いですし、エレベーターの出口も、入ったときのドアと出る出口が違うものもあります。ですから、エレベーターというものは、違う階に移動することはできますが、おりた先で、自分がどの方向を向いているかがわからなくなると。ですから、視覚障害者にとって使いにくいものとなっているんです。
 一方で、エスカレーターというのは、進行方向に向かって上るか下るかというものですので、駅構内を歩く際に非常に使いやすいということになっています。ですから、エスカレーターがどこにあるか把握をするために、音声で案内があることが視覚障害者にとって重要となっています。
 都はこれまでも、音声案内を設置してきましたが、今後は、エスカレーターの音声案内についてどのように設置を進めていくんでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、単独でエスカレーターをご利用している視覚障害者のお客様の円滑な移動を図るため、エスカレーターの更新等の機会を捉えまして、音声案内装置を設置しております。
 現在、交通局が管理する九十九駅六百八十七基のエスカレーターのうち、浅草線新橋駅、新宿線市ヶ谷駅など、四十三駅百三十六基で音声案内を行っております。来年度は、三田線巣鴨駅や新宿線曙橋駅などで設置する予定としております。

○米倉委員 現在、交通局が管理するエスカレーターの約五分の一に音声案内がついていて、来年度も新たに設置がされるということは重要だと思います。
 今後の設置についてなんですが、今のご答弁では、更新の機会などを捉えて音声案内をつけていくということですが、エスカレーターの音声案内は、まさに円滑な移動に必要な整備ですから、全てのエスカレーターに設置していくための整備目標、また、早期に整備していくということが求められていると思うんですが、そこはどうでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 交通局では、エスカレーターの更新時等の機会を捉えて設置していく予定でおりまして、来年度は四駅十基、その後は状況を見ながら設置していくという状況でございます。

○米倉委員 ぜひ都として音声案内についても、設置は進めていらっしゃいますが、位置づけをさらに高めて、早期に整備を進めていただきたいと要望しておきます。
 音声案内については、案内の内容と同時に、音声を流す場所の配慮が必要です。視覚障害者の皆さんは、音を頼りにエスカレーターがどこにあるか把握し、そこに向かうからなんです。しかし、エスカレーターは、多くの場合、上りと下りのエスカレーターが隣り合っているケースがかなりありますので、誤って逆方向のエスカレーターの出口に向かうということもかなり起こっております。そうなりますと、対向者と衝突してしまいますから、できるだけこの音声案内によって乗り口にたどり着けるよう、そうした配慮が求められています。
 都営地下鉄では、どのように音声案内を設置するとしていますか。

○谷本技術管理担当部長 国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客編では、エスカレーターの音声案内装置につきましては、進入可能なエスカレーターの乗り口端部において、該当エスカレーターの行き先及び昇降方向が十分に聞き取れるよう、音源を乗り口近く、利用者の動線に向かって設置することとしております。
 都営地下鉄では、このガイドラインに基づきまして、エスカレーター正面、先端部等に音声案内装置を設置しております。

○米倉委員 利用者の動線に向かって音声案内を設置されているということで、今設置されている音声案内については配慮されているということでした。
 どこに音声案内を設置することが利用者にとって効果的かという問題では、視覚障害者団体の皆さんも運動を積み重ねておられます。その中で、私もご一緒に取り組んできましたが、昨年、東京都の障害者福祉会館の最寄り駅であるJR田町駅の改札から地上道路に出るエスカレーターの音声案内が利用しにくいと、つまり、音声案内が遠くから聞こえにくいということと、進行方向がわかりにくいということを受けて、改善を求めてきました。
 エスカレーターの管理者の港区の担当者の方と、現場で要請をし、そうした状況も説明する中で、エスカレーターに乗った足元にもともと設置されていたスピーカーを、エスカレーターに乗る前の部分に設置をされている進行方向を示す表示板にスピーカーを設置するよう、改善を実現してこられました。
 港区は、視覚障害者の皆さんの声を受けて、すぐにメーカーと相談をして、これを新たに開発をしてくださったものになっています。
 エスカレーターの乗り口よりも手前に音声案内が今回設置されたことで、以前よりも音が遠くから聞こえやすいということとあわせて、エスカレーターの乗り口も、進行方向に、乗る方に向かいやすくなったんだと、逆方向の出口での衝突というものが減りましたというふうなことで、皆さん大変喜んでいらっしゃいます。
 そして、この方法を、恐らく、この方式が初めて実現したものですので、全国の駅でエスカレーターに普及していきたいということで今取り組んでいらっしゃいます。
 都も、進行方向をわかりやすく音声案内を設置されているということでしたが、エスカレーター前に、進行方向を示す表示板を設置などから、音声案内を設置するなど、できるだけ乗り口がわかりやすいよう、さらに配慮した設置を進めることを求めますが、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 ご質問の進行方向を示す表示板ですが、これは、いわゆるゲートポストといわれているものでございまして、都営地下鉄では、自動運転のエスカレーターにおきましては、誤進入防止のために設置しております。
 音声案内装置のない自動運転エスカレーターにつきましても、先ほどご答弁したとおり、エスカレーター更新時等の機会を捉えまして、ガイドラインに基づき、音声案内装置を設置してまいります。

○米倉委員 ぜひ、誤進入を防ぐということでは、まさに視覚障害者の方々も同じことだと思いますので、今後も、こういう方式を含めて、よりわかりやすい音声案内を探求して、整備を進めていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○高椙委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時一分開議

○高椙委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○塩村委員 私からは、まず、まちの印象も変えることもあるバスの乗務員の運転マナーからお伺いをいたします。
 車を運転しておりますと、都営バスを初めとした公共交通のバスとまちで出くわすことがあります。そんなとき、すばらしいなと思う譲り合いや、的確な判断をして渋滞の回避をしていると思われる場面にも出くわします。そのおもてなしである譲り合いの判断の基準が安全であることが一番であることは当然なんですけれども、なおかつ譲り合いという優しさを感じ、さらには渋滞回避にもつながっていると驚くような運転手にも多々出くわすわけです。
 それは特にある私鉄の事業者さんであり、同じ思いを持っている人は多いようで、バスの中にいる人などがたまたま撮れた動画などをネット上に上げられ賞賛されています。
 つまり、多くの方がそう思うということは、各バス事業者さんがそれぞれの理念を実現するための研修などがしっかりと行われているからであると推察されます。
 運転マナーはそのまちの姿の一つであり、成熟度を示すもの、世界一の都市東京につながるものであるということは間違いありません。
 そこで、まず都営バスに寄せられる苦情やご意見などで、乗務員の運転マナーについてはどの程度あったのか、また、その内容をお伺いいたします。

○根木自動車部長 都営バスの乗務員の運転マナーについて、例えば一般のドライバーですとか、歩行者から寄せられた苦情の件数は、平成二十七年度は十一件、二十八年度は十三件でありまして、その内容は、割り込み、幅寄せ、クラクションの使用などでございます。
 これらの指摘につきましては、その都度、営業所の運行管理者が当該乗務員に対して再発防止を指導しております。

○塩村委員 ありがとうございます。この数を多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれではあると思うんですけれども、苦情やご意見は、連絡をしてくる人の数倍が同じ思いをしているというふうにもいわれています。
 一方で、こうしたご意見は、オポチュニティー、好機、転機ともいわれており、転換のチャンスでもありますので、生かしていただきたいというふうに思います。
 さて、先ほどお伝えしたんですけれども、すばらしいなとお客様や対向車や後続のドライバーがいい印象を持つようなことも多々あるわけで、そうした事業者さんは研修をしっかりと行っていると思います。
 そこで、都営交通における運転マナー向上の研修について、内容と実施サイクルをお伺いいたします。

○根木自動車部長 バス事業者は乗務員に対して、国の告示で定められた項目について指導することが義務づけられており、都営バスでも各営業所において全ての乗務員に対し、年四回研修を実施しております。
 この研修では、公共交通機関の社会的使命や、プロドライバーとしての自覚といったバス運転上の心構えを再認識させるとともに、危険の予測と回避などに必要な知識や技能を高めるための指導等を行っております。
 それに加えて、都営バスでは少人数の乗務員によるグループ討議の充実を図っており、その中で、過去の事故事例及び割り込みや車間距離不足等によるヒヤリ・ハットを題材に意見交換をすることで、安全で、より円滑な運転に生かしております。
 また、局の研修所で定期的に実施している悉皆研修においても、接遇や安全運行に資する運転操作等を指導するとともに、運転訓練車を活用し、乗務員一人一人の運転特性に応じたきめ細かな個人指導等を行っております。
 今後とも、バス運転上の心構えや運転マナーについて適切に指導してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。都営バスでもさまざまな研修が行われているとのご答弁でした。
 先ほど来、私が話をしている事業者さんについて、少し調べてみました。
 都営バスでは、運転手さんは乗務員とご答弁されているので、乗務員だと思うんですけれども、その事業者さんは乗務員ではなくサービスプロバイダーという名称で呼ばれています。ホームページ等を拝見してみると、安全な運転を大前提に、プラスオンで丁寧な接遇を大事に育成されているということがうかがえます。
 実際に働いている方の声なんですけれども、座学と実技で徹底的に運転やサービス技術についての指導を受けたことで、次第に不安が解消されて、サービスプロバイダーとなるための自信を抱くようになりました。このように研修、教習制度が充実をしていることが強みとのことです。
 ホームページで紹介をされている乗務員全員がサービスプロバイダーとしてマナーに触れており、乗客や周辺ドライバーへ配慮した運転と接遇意識の高さがうかがえます。
 ぜひ、都営の研修でも、こうした他社の事例を参考にしていただきたいなというふうに思います。
 二〇二〇年を控えまして、多くの外国人観光客の方も東京にお越しになり、公共交通を使われています。運転マナーがまちの印象につながっていきます。そして、それがSNS等で世界中に発信されたりもします。こうしたところからも、世界一の都市東京を下支えしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、都内の渋滞対策についてお伺いをいたします。
 都内に渋滞はつきものではありますが、お急ぎのお客様にとってはいらいらとするものでしょうし、これまでの研究からもさまざまなデメリットがわかっています。
 国土交通省道路局混雑度別延長の割合によりますと、人口集中地区における混雑時旅行速度というものがありまして、これは時速二十キロ以下に定義をされているようなんですけれども、大都市では約四〇%の一般道路でピーク時に渋滞が起こっているということがわかります。
 次に、同じ国土交通省交通流対策資料を見てみますと、渋滞損失時間は東京都が圧倒的なワーストワンで、一人当たりの年間渋滞損失時間はおよそ四十時間、乗車時間が百時間としますと、その四割、移動時間の四割は渋滞によって生まれているんだということにもなります。
 渋滞による経済損失も東京都では四兆九千億円とのことですし、国土交通省の資料でも、渋滞によってCO2の排出量が五〇%もふえると記されております。
 厚生労働省の調査によりますと、事故や病気などで、目撃のあった時刻から救急隊員が心肺蘇生を開始した時点までの時間区分ごとに一カ月後生存率を比較した際、五分から十分が一二・六%に対しまして、十分から十五分となると八・三%と、五二%ですね、この差があるんですね。これに着目したレポートでは、渋滞によって救急車の到着がおくれると救命率が五〇%下がるというふうに指摘がされています。このように、渋滞の解消は、経済の側面だけではなく、人命救助の面からも重要でございます。
 そこで、都営バスが取り組んでいる渋滞対策とその効果についてお伺いをいたします。

○根木自動車部長 交通量が多い都心部を走る都営バスにとって、渋滞の解消は定時性の確保によるお客様サービスの向上の観点からも重要でございます。
 このため、路線上において慢性的に渋滞している箇所などについて、道路の拡幅、信号サイクルの変更、路上駐車の取り締まりなど、道路管理者や交通管理者等に適宜要望しております。
 この結果、バスの定時性が向上した箇所も見られますが、渋滞を解消するためには、さまざまな取り組みを継続していく必要があるため、今後とも関係機関に要望してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。さまざまなご要望をされているということがわかりました。
 要望ももちろん重要なんですけれども、まずは自分たちができることを認識しまして、改善をしていくということも必要だというふうに思います。
 例えば運転マナーで貢献ができるという部分もあると考えます。ご答弁にも、渋滞を解消するためには、さまざまな取り組みを継続していく必要とあるんですね。ちょっとその後に続く言葉が、関係機関に要望となってはしまうんですけれども、さまざまな取り組みを継続するというこの部分、とても大事だと思いますので、自分たちでもできることも一緒に今後検討して、ドライバーさんとですね、共有をしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、これまでも質疑で取り上げてきている都営地下鉄への床面のサインについてお伺いをいたします。
 サインを含めた駅の空間づくりについて、以前質疑を行いました。きょうは、ここでは細かいことは割愛するんですけれども、駅の雰囲気、明るさ、わかりやすさ、空間デザイン性を高めていくことで、そのまちの価値も上がっていきます。駅を中心としたまちづくりを行い、駅周辺のまちの価値をどんどんと高めている事業者さんもあります。
 前回の質疑で、床サイン、床誘導サインともいわれておりますが、駅の改修時に、デザインだけにとらわれるのではなく、わかりやすく、デザイン性もある、某事業者さんのサインを引き合いに出しまして、都営交通も参考にしてはどうかとの提言をさせていただいております。
 なぜなら、今、都営交通も誘導の床サインはあるんですけれども、比較をすると、都営交通のものは少しわかりにくかったり、デザインとしても、本来の役割としても、比べてですね、少し中途半端であるというふうに感じるところでございます。
 今回の質疑では、乗りかえの床誘導サインとあわせまして、乗車エリアと降車エリアの床誘導サインについてもお伺いいたします。
 電車の乗降時は、まずはおりる人が先で、乗る人が後です。そうなるように、各鉄道事業者さんは、ドアが開いた外側部分に乗車をする人が待つための乗車位置お知らせサインをつけています。しかし、乗降客の多い駅では、乗りおりの際に肩がぶつかったり、おりる方が全員おり終わっていないのに乗り込むような人たちも、朝のラッシュ時には、悪気はないようなんですけれども、多々見受けられまして、ちょっとしたトラブルのもとになったり、それを不快に感じる方も多くいらっしゃるようです。
 そうしたトラブルを未然に防いで、朝のラッシュ時のホームでの乗降をスムーズにするために、大阪では、乗車位置だけではなく、その乗車位置の間の車両のドアが開く部分に、青でですね、降車方向に大きく流れをつくって、降車エリアとしています。
 ちょっと軽く見ていただくとこんな感じなんですけれども、(資料を示す)ここに電車がありまして、待っていて、おりる人ががっと出てくるというような、こんな感じになっているんですけれども、これは、きのう私の友だちが大阪で撮ってきてくれたものなんですね。
 これによりまして動線が確保されまして、降車をする人たちは流れに乗ってどんどんと改札や次の乗りかえに向かうことになりまして、狭い地下鉄のホームにとってはとても有効だというふうにいわれています。
 実際に、私は、この大阪の新しい降車サインを知ったのは、SNSで、わかりやすいとか、新しくなったねというふうに何度かタイムラインで流れてきたからなんですね。それだけ利用者の方にとっても有益なんだというふうに感じました。
 そこでお伺いをいたします。
 前回の質問でですね、サイン、全てなんですけれども、視認性を含めて具体的に何か改善した点があるんでしょうか。また、降車サインも、今の写真の青い部分ですね、しっかりと検討をしていくべきだと思うんですけれども、ご見解をお伺いいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましては、出入り口や乗りかえ路線などをお客様にわかりやすく案内するため、従来から旅客案内標識設置マニュアルに基づき、駅構内の通路上部や壁、柱などに案内サインを設置しております。
 床サインにつきましては、これらのサインを補完するものとして、路線カラーを活用するなど、マニュアルに準じたデザインにより、乗りかえ路線への案内などを行っております。
 今年度も駅改修工事に伴い、通路の変更などに対応するため、新宿線東大島駅などで新たに床サインの設置を行っております。
 また、都営地下鉄におきましても、ホームの列車乗降口付近には、各駅におけるお客様の流動の実態に応じまして床サインを設置し、スムーズに乗車や降車ができるよう、ご案内をしております。
 今後とも、旅客案内標識設置マニュアルに基づきつつ、他社の事例等も参考にしながら、わかりやすいサインの整備に取り組んでまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。いろいろと取り組んでいるんだなということはわかります。答弁的にはしっかりできているというふうにも受けとめられるんですけれども、実際にものを比較して見ると、実は全然違うんですね。比較が大事だと思います。
 国土交通省の発表している主要区間の混雑率を見てみますと、大阪市営交通のなんば駅、混雑率そのものは出ていないんですけれども、その周辺が出ておりまして、およそ一五〇%です。乗りかえも多いため、ひときわ混雑をするのがなんば駅なんですね。
 一方、都営地下鉄の三田線や新宿線、混雑率がそこを超えているんですね。大阪よりも混雑率が高く、乗りかえも複雑というのが東京の特徴です。
 床面のサインは、乗りかえ時にスムーズに移動ができて、また、無用のトラブルを未然に防ぐことのできる無言のおもてなしともいえます。
 わかりやすさとデザイン性や空間との調和の問題があるという意見もあるかもしれませんが、それを高い次元で実現したのが前回の質疑で紹介をした民間の事業者さんです。
 わかりやすいサインを採用して、予算が大きく変わるというものではないというふうにも思います。改修予定の駅では引き続き、大阪と同じものをつくれというものではなく、他社事例も参考にしつつ、わかりやすいサインを整備とのご答弁もありましたので、同じレベルでのわかりやすさとデザイン性の両立を実現するよう要望をしておきたいと思います。
 次に、PROJECT TOEIについてお伺いをいたします。
 私は、東京都交通局をSNSでフォローしておりますので、時にPROJECT TOEIという動画が流れてきます。都電荒川線七〇〇〇形の走行音、発車合図音、遮断機音などです。そのほか、奥多摩での水力発電を取り上げており、二分程度の動画にまとまっておりました。別段、水力発電を説明しているわけではないんですけれども、キャッチで、使う以上はつくっていますとありまして、現場を映像で伝え、職員さんたちが自分の声で語ることで都営交通を身近に感じることができます。
 まず、このPROJECT TOEIの趣旨についてお伺いをいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年八月から開始いたしましたPROJECT TOEIは、都営交通に対する理解を深めていただくことで、お客様により安心して快適にご利用いただくとともに、より多くの方々に都営交通に親しみを感じていただけるよう、先進的な施策から日々の地道な仕事まで、さまざまな取り組みにスポットを当て、広くわかりやすく発信していくプロジェクトでございます。
 具体的な内容といたしましては、地下鉄の駅や車内など、交通局が保有するさまざまな媒体を活用いたしまして、ふだんお客様にごらんいただけない真夜中の保守作業などのデザイン性を重視したポスターを掲示するほか、都営地下鉄車内モニターで動画を放映しております。
 動画につきましては、より多くの方に都営交通の取り組みに触れていただけるよう動画共有サービス、ユーチューブでも配信しております。
 また、特設ウエブサイトを設けまして、これまで発信してまいりましたポスターや、動画などを掲載するほか、著名なコラムニストの連載や、都電荒川線の発車合図音のような都営交通のさまざまな音をダウンロードできるSound of Toeiのコンテンツも加えるなど、幅広い層の方々の支持をいただけるよう内容の充実を図っているところでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。特設サイトも、シンプルかつ見やすくて、あらゆる方に受け入れられるつくりでいいというふうに思います。この特設サイトの閲覧数や閲覧をしている方の傾向についてお伺いいたします。また、その反応をあわせてお伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 特設ウエブサイトにつきましては、平成二十八年八月の開設以降、本年二月末現在におきまして、閲覧数といたしましては、ページビューが二十八万回を超え、ユーザー数といたしましては十二万人以上となっております。
 ユーザーの傾向といたしましては、男女比につきましては七対三程度、年齢層につきましては偏りなく、幅広い世代の方々に閲覧されております。
 サイトに対する反応につきましては、都営交通モニターに対しまして、平成二十八年十一月に調査したところ、PROJECT TOEIを閲覧した方のうち、このプロジェクトを通じましてイメージが変わったという方の割合が六割を超えておりました。
 主な感想といたしましては、実際に保守、メンテナンスをする姿が見えて、より安心を感じるようになった、役所的なかたいイメージがなじみやすいイメージに変わったなど、好意的な意見を多く頂戴しております。また、ツイッターやフェイスブックなどSNS上では、おもしろい、公営の力を感じる、格好いいなどのコメントが投稿されております。

○塩村委員 ありがとうございます。都営交通の仕事を理解してもらうきっかけになり、多くの人が親しみを持っていることがわかります。私もその一人です。
 次にお伺いいたします。
 現状において、どのような分析をされておりますでしょうか。改善するポイントや伸ばすこと、今後どのようにサイトづくりに取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 PROJECT TOEIのウエブサイトには、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、十二万を超える方々に訪問していただいておりますが、さらにより多くの方に特設ウエブサイトをごらんいただけるよう、現在、話題性を意識しました企画の検討を進めております。
 一方、特設ウエブサイトをごらんになられた方からは、安心や親しみを感じるとのご意見を頂戴しているところでありまして、地道な都営交通の取り組みにつきましては、引き続き積極的に発信してまいります。
 今後とも、PROJECT TOEIの効果検証や、手法の見直しなどを適宜行いながら、取り組みを一層強化し、都営交通に対しまして、多くの方が信頼や親しみを感じていただけるよう努めてまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。十二万を超える方に見てもらっているとのことなんですけれども、まだまだ伸びるポテンシャルを持っているというふうに感じています。
 言葉が正しいのかわかりませんが、ニッチでマニアの心をつかんでいるのはもちろん、そのニッチさが、一般の方には新鮮に映っているんだというふうに感じます。
 私は、前職が放送作家ですので、その視点から感じたことを申し上げますと、その狭い、ニッチ、マニアである部分をうまく生かすことで、マスも食いつくポテンシャルを持っているというふうに感じております。素朴さゆえに、高感度が高い企画だと私は評価をしたいと思います。引き続き頑張ってくださいとお伝えします。
 最後に、TOKYO100と書いてワンハンドレッドについてお伺いをいたします。
 このTOKYO100というのは、都営交通と旅の比較、予約、検索サイトであるトリップアドバイザーという媒体が組みまして、東京を旅し、撮影をしたスポットから一押しの写真をトリップアドバイザーのサイトに投稿して、ベスト百スポットを決めるというものだというふうに私は認識をしております。
 まず、この企画、TOKYO100の趣旨、そして広報手法についてお伺いをいたします。

○土岐総務部長 TOKYO100につきましては、ただいまのお話のとおり、交通局と世界最大の旅行口コミサイトを運営するトリップアドバイザーとが連携し、東京の人気スポットについての口コミ投稿を一年をかけて広く募集するキャンペーンでございます。
 口コミにより、定番の観光地だけでなく、穴場スポットや隠れた名店などを掘り起こすことが期待でき、選ばれた施設等については、特設サイトを開設し、ベスト百として紹介していくこととしております。
 広報手段につきましては、本事業開始初日に、都庁においてキックオフイベントを実施したほか、双方のウエブサイト上でのPR、都営地下鉄の駅構内、車内へのポスターの掲出、ラッピングバスの運行などを実施しております。

○塩村委員 幅広く周知をしているということがわかりました。
 それでは次に、なぜ民間企業であるトリップアドバイザーと連携をしているのか、その経緯をお伺いいたします。

○土岐総務部長 交通局では、平成二十七年三月、他の鉄道事業者二者とともに、トリップアドバイザーと共同でスタンプラリーを実施いたしました。また、同年五月には、都電荒川線が旅行者等の評価が高い観光施設として同社から認証を受け、その際、荒川線へ認証ステッカーや、車両へのヘッドマークを掲出する共同PRも実施しております。
 こうした状況の中、交通局では、都営交通の沿線のさらなる魅力を発掘し、発信するに当たりまして、SNS等による口コミサイトが持つ効果に着目していたところであり、これまでもかかわりがありました同社の世界的なブランド力を活用し、都営交通全体の一層の旅客誘致につなげるため、連携事業を検討し、実施に至ったものでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。
 次に、トリップアドバイザーとの役割分担など、連携手法についてお伺いをいたします。

○土岐総務部長 今回のキャンペーンに当たりましては、双方の媒体やノウハウを持ち寄り、効率的かつ効果的に実施できるよう連携して取り組んでおります。
 具体的な役割分担につきましては、双方のウエブサイト上でのPRのほか、交通局ではラッピングバスの運行や都営地下鉄の駅構内、車内へのポスターの掲出などを行い、トリップアドバイザーでは、本キャンペーンのための特設サイトの開設、運営、口コミの分析やランキングの作成などを行うこととなっております。

○塩村委員 ありがとうございます。都営交通では、発信に限界がありますので、民間の協力を得て、東京の魅力と旅客の誘致をすることについてはウイン・ウインになっていることからも賛成です。
 ただ、一方で、ご答弁をいただいた内容で大ざっぱに計算をしてみますと、都営交通のラッピングバス三台で平均をとると大体六百万円、これはランクがかなり低い地区も入れているので、そこを走行しないと考えるともう少しはね上がってしまうのですけれども、都電荒川線は一台で百万円、駅、車内の広告掲出を年間で考えますと、大体一千万円程度を都営で提供しているというふうにも考えられると思います。
 それに加えまして、世界一の都市東京都の圧倒的なブランド力もつくわけです。これは信用力ともいえ、プライスレスだというふうに私は思います。そのかわりに、東京都は得るものが大きいということもわかるんですね、先方の本来業務の延長線上の口コミサイトの作成とホームページでの特設サイトもつくってもらえるということで。
 これまでにも、荒川線が同社で行う評価の高い施設の認定を受け、認証ステッカーや車両へのヘッドマークを掲出するというPRもされたということで、広告枠として考えたときには、東京都も、金銭的に換算しますとかなりの協力をしているとも考えられます。これ、どちらも否定をするものではないんですね。しかし、以前に広告の空き枠を利用した社会貢献についてお伺いをしたところ、もちろんこれはさまざまな手法がありますので、都営交通が企画をしたり、民間事業者とともにコラボをすることなども含めてお聞きしたんですけれども、社会貢献だろうと、広告枠は大前提として売るもの、掲出には割引制度があるので、それを利用するべきとのことでした。
 また、団体は、例えば、東京都の登録団体など一定の基準が担保できるものではどうかというふうにも聞いたところ、どの団体や会社がいいとか線引きはできないのでできないということだったんですね。これは答弁調整を含めてでの話でありまして、委員会での質疑、答弁は、もう少し丸い言葉になって議事録には載っていると思うんですけれども、広告の空き枠を利用した社会貢献と今回の企画を単純に比較するものではないと思うのですが、公営企業としての姿勢を見てみますと、前者を否定して、後者を、一年半もしないうちに企画としてスタートさせてしまっているのは少々誠実ではないというふうに感じるところでございます。
 とはいえ、何度もいいますが、この企画のメリットも十分にわかりますので、否定をするものではなく、そごが生まれないよう、しっかりとした説明ができるよう、常日ごろから誠実に職務に当たってほしいとお願い申し上げまして質問を終わります。

○小竹委員 私の方からは、バリアフリーについてお伺いいたします。
 まず、ホームドアの整備についてですが、都営新宿線は全駅に整備されることになりました。残るは浅草線についてですが、先行実施の泉岳寺、大門の二駅のホームドア整備について、本議会の本会議でさらに拡大する旨の表明がありました。今後どのように整備していくのか、改めてお伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浅草線につきましては、乗り入れ各社の車両数が多く、車両を改修して、定位置停止装置等を搭載する従来の方式により、全駅にホームドアを導入するためには多くの課題がございます。
 こうした中、泉岳寺、大門に、三田と新橋駅を加えた四駅につきましては、車両の大規模改修を行わない方式により、ホームドアを先行整備していくこととしております。
 今後は、車両の大規模改修を必要としない新技術の実用化を図るなど、引き続き全駅整備の早期実現を目指してまいります。

○小竹委員 三田駅と新橋駅にも、泉岳寺、大門と同様に先行整備されるということについては、私も歓迎したいというふうに思います。
 昨年十一月の事務事業質疑で、泉岳寺と大門の間にある三田駅については、連続してホームドアを整備するように、私、求めました。それは、三田駅の乗降客が二〇一五年度、十万人を超す状況になったということと、それに加えて都の障害者福祉会館を利用する視覚障害者の方々がたくさん乗降するということを挙げて設置を求めたんですが、そのときは検討するともお答えになりませんでした。それがわずか数カ月の間にこうなったことは、私は歓迎しますけれども、どのような検討がされたのか、お伺いいたします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年十二月に国が公表いたしました駅ホームにおける安全性向上のための検討会、中間の取りまとめでは、一日当たりの平均的な利用者数が十万人以上の駅について、ホーム幅を確保できるなどの整備条件を満たしている場合、原則として平成三十二年度までにホームドアを整備するものとしております。
 このことも踏まえまして、平成二十七年度に利用者数が十万人以上となりました浅草線三田駅につきましても、二〇二〇年東京大会開催までにホームドアを整備することとしたものでございます。
 また、新橋駅につきましては、二〇二〇年東京大会開催時に多くの乗りかえのお客様が見込まれることから、三田駅と同様に先行整備に加えたものでございます。

○小竹委員 昨年十二月に出された駅ホームにおける安全性向上のための検討会の中間まとめということで検討の対象になったということですが、この検討会は、この間の相次ぐ視覚障害者の方々の転落事故死を受けて、国交省が昨年八月二十六日に検討会を設置して、転落防止にかかわる総合的な安全対策を検討するということで出された中間のまとめです。
 私も、このまとめを読ませていただきました。この検討会には、東京都の担当者の方も参加しておられますよね、それは確認だけですが。このまとめに基づいて検討されたということは私自身、是とするところなんですが、このまとめの七ページには、二〇一一年八月に出されたホームドアの整備促進等に関する検討会、これも視覚障害者の事故が多発したということで国交省が開いた検討会なんですが、この中間のまとめに基づいたものであるということが明記されています。
 それと同時に、転落防止について、そこには、利用者数の多い駅並びに視覚障害者団体からの要望が高い駅について、転落防止策を優先して実施することが望ましいと、この十二月に出された中間のまとめには書かれています。
 そこで、私は、二〇一一年八月の検討会の、どのようなものかというのを改めて読み直してみました。この年の二月に検討会が国交省で設置されて、同年の八月に、ホームにおける旅客転落防止対策の進め方についてという検討会のまとめが出されています。
 その中に、転落防止策を優先して実施すべき駅の考え方についてが明示されています。〔1〕として、視覚障害者団体から整備の要望が高い駅を挙げて、駅周辺に視覚障害者の関連施設が存在するなど、視覚障害者の利用や整備要望が多い駅については、その理由を把握、整備し、ホームの状況を勘案した上で、必要性や対策の内容、優先度を検討することが望まれると書かれています。
 二〇一一年にこういう方針が出ているわけですから、当然、最初に、二駅の検討の時点で三田駅も対象として検討すべきだったんではないでしょうか。その点についてはどうだったんですか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員お話しの平成二十三年度の中間取りまとめにおきましては、お話のとおり、十万人以上の駅という条件はありますが、そのときには、時期の設定はなく、また、停止装置等の条件はあり、定位置停止装置等を車両に装備しているもの、これにつきましては望ましいというような表現でございます。
 したがいまして、交通局が最初に検討いたしました泉岳寺駅及び大門駅は、この方針を上回るものとして先行整備するものとし、さらに昨年十二月に出されました中間の取りまとめを踏まえまして、二駅を追加したものでございます。

○小竹委員 二〇一一年に出ていたという点でいうと、泉岳寺と大門を検討する時点で、やっぱり同時に検討すべきだったと私は思うんですよね。利用者の多い駅ということで十万人、挙がっています、その当時も。しかし、一番に挙げられているのが視覚障害者団体から要求があった場合というのが書かれているわけですから、やはり三つの駅を当初から検討してやるべきが筋だったんではないんですか。その点、同時に検討をして三田駅を除いたのかどうか、もう一度お伺いします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浅草線のホーム柵の全駅へのホーム柵を検討するに当たり、全駅の状況について調査しましたが、その時点では、三田駅は十万人を超えておりませんので、対象から外したものでございます。

○小竹委員 十万人から超えていなかったから外したというんだけれども、二〇一一年の方針には、〔1〕として書いてあるのが、視覚障害者団体というのが〔1〕に挙げられているんですよ。そういう点でいうと、やはり問題だなというふうに思うんですね。
 ホームドアを一番必要とされているのは、やはり視覚障害者です。乗降客が多いことについても必要ではあるんだけれども、視覚障害者の人たちにとっては、あるかないかで、転落するかしないかということ、命にかかわるわけですから、そういう点では、やはり一番必要とされている人に対して優先的にやるという姿勢が必要だというふうに思うんです。
 三田駅の設置については、東京都の障害者福祉会館があるわけですよ。多くの障害者の方々が利用する。そういう点では、視覚障害者だけじゃなくて、いろんな障害を持った方々が利用しているわけですから、特に視覚障害者団体の強い要望でもありました。何度も交渉されているわけですね。
 九月八日の日には、障害者団体の方々と交通局の交渉があり、私もそこに立ち会いました。三田駅のホームドア整備をぜひともやってほしいという強い声だったんですよね。ところが、交通局は十万人にならないからだめだと、すげなく拒否をした。私は、二〇一一年のその時点で、二〇一一年にこういうものが出ていたというのを知っていたらいうことはできたんですが、その時点では知りませんでしたから−−どうしてもつくってほしいという強い要望が出されているわけで、そういうことというのは、やはり都の検討がそうされていないということ自身、十万人だけでやるということ自身が問題があるんじゃないかというふうに思うんですね。この二〇一一年の検討会には、都の担当者も参加しておられたんじゃないんですか。その点どうですか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十三年度に出された中間取りまとめの検討会には、交通局職員も参加しております。

○小竹委員 都の交通局の担当者も参加していたわけだから、そういう答申が出たら、十万人だけじゃなくて、やはり視覚障害者の団体から強い要望があった場合には、真っ先に検討するというのが筋だというふうに思います。やはり今後、都民の声や特に障害者など弱い立場の人に寄り添ってきちんと対応していただくように、この点については強く求めておきたいというふうに思います。
 引き続きホームドアの問題ですが、押上駅も十万人を超えた乗降客がある駅です。しかも、この押上駅はホームが狭くて、柱が点字ブロックの上に乗っている駅でもあります。京成線に都営が乗り入れているわけですが、押上駅へのホームドアの整備については、京成との協力が必要だというふうには考えますが、今後どのように交通局は考えておられるのか、お伺いします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 交通局では、既に浅草線と相互直通運転を行っている各社と、ホームドア等に関する検討会を設置しておりまして、ホームドア整備に関する課題等につきまして情報交換を行っております。
 その中で、京成電鉄が管理する押上駅につきましては、委員お話しのとおり、ホームの幅が大変狭く、ホームドアを整備するための必要な幅の確保が困難な状況があるなどの課題を共有しております。
 これらの課題につきましては、まずは共同使用駅として管理している京成電鉄が主体となり取り組むべき事項ではございますが、交通局といたしましても引き続き情報交換等を行いまして、浅草線全駅へのホームドア整備の早期実現を目指してまいります。

○小竹委員 全駅整備で目指していくということですが、私も、押上駅に行って、やはり視覚障害者の人にとっては怖いなというふうに率直に思いました。ホームが狭いと同時に、柱が点字ブロックの上に乗っかっているという点なんかも含めると、やはり早期の整備が必要だというふうに思いますので、この点については、京成とよく話し合っていただいて、早期に整備できるようにご努力いただきたいというふうに思います。
 次に、エレベーターの整備について伺います。
 ワンルート確保の後、乗りかえ駅のエレベーター整備を進めるとしてきました。先日の予算委員会で、国立競技場駅のエレベーターを増設するということが答弁されましたけれども、我が党は一貫して、私もこの委員会で主張しましたが、二〇二〇年のパラリンピックを考えたときに、エレベーターの増設はどうしても必要だということを提案してきました。国立競技場駅のエレベーターはどの位置に整備するのか、まずお伺いします。

○野崎建設工務部長 国立競技場駅のエレベーターにつきましては、大会組織委員会など関係機関との協議を踏まえまして、オリンピックスタジアムへのアクセスの強化を図るため、ホームから改札、改札から地上を結ぶエレベーターをそれぞれ増設することとし、現在のエレベーターの近傍に設置する予定でございます。

○小竹委員 国立競技場は、メーンスタジアムですから、競技場側へのアクセスをふやすということは大事だというふうに思います。しかしもう一つ、東京体育館側についても、前に問題にいたしました。こちらの側はエレベーターがありません。ホームからコンコース、そしてコンコースから外へ出るエレベーターもないのですが、パラリンピックでは卓球会場になるわけですよね。それで、車椅子の観客が多数来られることも予想されます。将来にわたって東京体育館を障害者の方々が利用する上でも、エレベーターは欠かせないというふうに思います。周辺の都有地も含めて検討してほしいということを前に提案をしたわけですが、この点については検討されたんでしょうか。

○野崎建設工務部長 東京体育館側へのエレベーターにつきましては、駅構造上、設置スペースの確保ができないため、設置が困難との結論を得ております。

○小竹委員 構造上、無理だというのを押してということはいえないんですが、相当深いですよね、体育館側も。そういう意味では、やはり車椅子の方々については、介助するといっても、国立競技場の側から出て回っていくということだって大変になるわけですから、専門家の方の知恵をかりたりすることも含めて、ぜひ、パラリンピックで来られる観客の皆さんの利便性を確保する上でも、構造上、動かすことも含めて検討をしていただきたいというふうに思います。
 あわせて、エレベーターが増設されるとはいっても、全ての障害者の方々が競技場へ行ったりする上では、それだけでは足りないというふうに思うんですよね。そういう点では、エスカレーターの整備も必要だということだと思うんですが、先ほど米倉委員からも、エスカレーターの音声案内ということが出されましたけれども、私は、競技場駅のエスカレーターについても音声案内をつけて、少なくとも障害を持っていて、エレベーターに乗れなくても出られるようにするという点では音声案内、必要だというふうに思うんですが、この点について検討されているのかどうか、お伺いします。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、先ほど米倉委員にもお答えしたとおり、エスカレーターの更新等の機会を捉えまして、音声案内装置を設置することとしております。ただし、競技場周辺駅であります国立競技場駅につきましては、今後の組織委員会等の動向を踏まえて適切に対処してまいります。

○小竹委員 適切に対処していくというふうなお話でしたが、体育館側に、エレベーターが設置されても、乗りおりする方々にとってはエスカレーターも必要だというふうに思うんですが、東京体育館側の階段も、エスカレーターもすごい長い距離なんですよね。上りと下りが二つついているんだけれども、やはりそれがわかるように、左と右、左は上りです、右は下りですというふうな案内を含めて、きちんと対応していただくように、これはホームも含めてお願いをしておきます。
 続いて、聴覚障害者への支援としてお伺いいたしますが、地下鉄内、電車内で、電車がとまったとき、我々は音声で聞いてわかるわけですが、聴覚障害の方々については、聞こえないために非常に不安感が募るということで、何とか文字案内をしてほしいというふうなお話が寄せられています。
 この問題については、前にも私、取り上げたことがあるんですが、いろいろ改善するためには問題が、課題が大きいというふうにそのときにはいわれました。今、文字盤の表示、いろいろ広告を含めて駅に表示が出ておりますので、駅も、電車内も出ておりますが、ぜひ、とまったときの理由を一定想定をして、こういう場合にはという想定をして文字表示をやれないかなというふうに思うんですが、その点についていかがでしょうか。

○相川電車部長 都営地下鉄では、次駅情報などを案内する車内表示器を全ての車両に設置しております。また、三田線と大江戸線の車両では、電車がとまったときなどには、その理由や状況等について車内の自動放送とあわせて事前に登録した定型文により、車内表示器で情報提供しております。
 今後、浅草線と新宿線につきましても、新車導入などに合わせ、同様に文字による情報提供を行うこととしております。

○小竹委員 ありがとうございます。聴覚障害者の方々は、本当に、地下鉄というのは、周りは全く何があるかわからないから、目で見えるのと違いますので、ぜひ文字盤の表示を充実していただくように、これはお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、都バスの運転手さんの労働条件にかかわってお伺いいたします。
 バスの運転手は、勤務時間が変則で、苛酷な労働条件で働いているということが大きな社会問題にもなっています。都バスの運転手の方の勤務時間も変則勤務になっていると聞いていますが、実態についてお伺いいたします。

○根木自動車部長 公共交通機関であるバスは、三百六十五日、早朝から深夜まで運行することで、地域における身近な移動手段として重要な役割を果たしております。一日の中でも、特に利用者が多い朝夕のラッシュ時間帯に対応するため、バス事業者は、乗務員の勤務時間について幾つかのパターンを設けております。
 都営バスにおきましても、例えば、始発から朝ラッシュの時間帯に対応し、昼過ぎまで乗務するパターン、昼過ぎから乗務し、夕方から深夜までの帰宅者に対応するパターンのほか、朝と夕方のラッシュ時間帯に乗務し、昼間に長めの休憩をとるパターンがございます。週休二日を基本に、これらのパターンを日ごとに変えながら、労働基準法等の法令に適合するよう運用しております。

○小竹委員 労働基準法の法令に適合するようにやっているというお話ですが、変則勤務であることは間違いないわけですよね。そういう点では、やはり運転手の方々のご苦労も多いかというふうに思います。
 さらにお伺いしたいのは、大型二種免許の取得者が減っているというふうに聞いています。都バスの運転手確保について影響が出ていないかどうか、そして現状と対策についてお伺いいたします。

○渡邉職員部長 交通局では、今後、バス乗務員の大量退職時期を迎えることから、バス事業を継続していく上で、バス乗務員の確保は重要な課題となっております。このため、バス乗務員採用選考の年齢要件の見直しや、大型第二種免許未取得者を対象とした養成型選考の実施など、バス乗務員の確保に向けた取り組みを着実に進めているところでございます。

○小竹委員 本当に変則勤務ということと同時に、大型二種を持つ人が少なくなっているという点では、大変な状況に来ているかなというふうに思うんですが、こういう状況の中で、二〇〇七年、バス運転手の給料を一〇%削減する提案がされ、労使合意で段階的に削減をし、来年度より本格実施に移されると聞いています。その理由についてお伺いします。

○渡邉職員部長 バス運転手等の給料表の見直しを検討していた当時、平成十八年度ごろでございますが、都営バスでは、営業損益で大幅な赤字が続くなど大変厳しい経営状況にございました。交通局では、運行業務の委託や路線の見直しなどによる経営効率化に努めてまいりましたが、少子高齢化や、さらなる鉄道新線の開業など、その後も一層厳しい経営状況に陥ることが危惧されておりました。
 こうした中、都営バスの経営を公営企業として安定的に継続していくためには、民間並みの効率化を目指し、経費の大宗を占める人件費の削減など、抜本的な経営改善に取り組むことが不可欠となっておりました。このため、民間バス事業者との給与水準の格差の大きいバス運転手などの現業系職員に適用している給料表の見直しを、労使妥結を経て平成十九年度から実施したものでございます。

○小竹委員 都バスの運転手さんたちの変則勤務や、大変な中で、こういうことが行われるというのは非常に問題があるなというふうに思います。
 都営バスは、都民の重要な足として欠かせない交通機関でもあります。特に高齢化が進む東京にとって、なくてはならない都民の足で、拡充こそ必要です。バス事業の赤字分をバス労働者、運転手に負わせるのは、私は本末転倒だと考えます。公共交通、都民の足を守る立場に立って、都営交通、そして東京都全体で考えていくことではないでしょうか。
 また、民間との格差が大きいといいますが、民間バスの運転手の労働条件の改善が今求められています。また、低賃金であることが問題になっているわけですから、都バスの運転手さんの給料を下げれば、公が下がったということで、また民が下がるという悪循環に陥ることになりかねません。さらなる労働条件の悪化を招き、運転手確保を困難にすることになりかねません。労使合意がされたということですが、今後このようなやり方は二度としないように強く求めておきたいと思います。
 続いて、泉岳寺の大規模改良工事についてお伺いします。
 来年度予算で二十一億一千九百万円が計上され、今年度より十六億三千五百万円が増額されています。品川駅周辺のまちづくりに合わせた駅の拡張等の改良工事を実施するため、地上部分の再開発と一体的に都が再開発をするに当たり、都市開発事業会計に十四億円を出資すると伺いました。その内訳をお伺いします。

○土岐総務部長 お尋ねの平成二十九年度におけます都市再開発事業会計に対する出資金十四億円の内容につきましては、再開発地区の用地買収費、施設建築物工事費や一般庶務費などとなっております。

○小竹委員 このまま再開発が進んでいった場合には、都の交通局の出資がさらにふえることになるんではないかなというふうに思うんですが、その額がどのぐらいになるかというふうなことについては試算されているんでしょうか。増額することになるのかどうかも含めてお答えください。

○土岐総務部長 再開発事業につきましては、所管外でございまして、お答えする立場にないものでございます。

○小竹委員 再開発事業だから答えられないということですが、今後、開発事業が進んでいけば、先ほどお答えいただいた用地費のために、用地を買収するための費用などを負担するわけですから、今後も膨れ上がっていくということが予想されます。
 泉岳寺駅は、年々利用客がふえて、十万人を超える乗降客が利用する駅となっています。混雑緩和というためには、ホームの拡張は必要だということは私たちも認めます。東京都が品川駅・田町駅の周辺まちづくりガイドライン二〇一四を策定し、周辺十八ヘクタール、JRの土地も含めて、ここを国家戦略特区に指定して開発を計画しています。泉岳寺駅のところは、都が施行することになる第二種再開発の事業の建築物で、品川や田町の周辺一帯の開発の一つだというふうにいえます。
 これまで、東京都は、第二種再開発事業で、北新宿や大橋、虎ノ門ヒルズなど施行してきましたが、結果的に見ると、従前から居住していた住民の多くの方々が住みなれた地域から出ていかざるを得ない、こういうまちづくりになっています。
 ここの再開発についても、説明会で、地権者の方から、管理費や修繕積立金が現在より高くなるのではないか、現在と同等の面積程度の床を取得できるのか、転出する前にそういう情報がきちんともらえない場合には、入居した後、管理費や修繕積立金が払えなくなる可能性があるんじゃないかということで、権利者の方からも不安が訴えられています。
 また、この第二種再開発の地域には港区の区営住宅があります。そこに住んでおられる住民の方々は高齢者が多く、長年住みなれたところであるここには住めなくなる、出ていかなければいけないということで、引っ越し先をあっせんされても、本当にどこへ行くかまだ決まっていない、不安だということで訴えておられます。
 近くに区営住宅ができても、一旦出て二度引っ越しをするというのは、もう年齢的にも無理だというふうなことで訴えておられるという点では、本当にこの開発を進めること自身が問題が多いというふうに思います。交通局は、公共の電車事業者としての都民の立場に立って事業を進めるべきだということで、このことを求めて質問を終わります。
 以上です。

○高椙委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五分散会

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