公営企業委員会速記録第十一号

平成二十八年十一月二十二日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長高椙 健一君
副委員長田中 朝子君
副委員長山下 太郎君
理事加藤 雅之君
理事堀  宏道君
理事鈴木 章浩君
大門さちえ君
塩村あやか君
米倉 春奈君
小竹ひろ子君
田島 和明君
立石 晴康君
橘  正剛君
相川  博君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長山手  斉君
次長小泉  健君
総務部長土岐 勝広君
職員部長渡邉 範久君
資産運用部長広瀬 健二君
電車部長相川  準君
自動車部長根木 義則君
車両電気部長奥津 佳之君
建設工務部長野崎 誠貴君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務牧野 和宏君
安全管理担当部長裏田 勝己君
鉄軌道事業戦略担当部長高野  豪君
バス事業経営改善担当部長坂田 直明君
技術調整担当部長野崎 慎一君
技術管理担当部長谷本 俊哉君
下水道局局長石原 清次君
技監渡辺志津男君
総務部長津国 保夫君
職員部長久我 英男君
経理部長田中 宏治君
計画調整部長神山  守君
施設管理部長中島 義成君
建設部長池田 匡隆君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
IWA世界会議準備担当部長兼務
飯田 一哉君
技術開発担当部長小団扇 浩君
施設管理担当部長廣木 健司君
流域下水道本部本部長坂根 良平君
管理部長関  雅広君
技術部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
交通局関係
事務事業について(質疑)
下水道局関係
事務事業について(質疑)

○高椙委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局及び下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土岐総務部長 過日の委員会で要求のございました資料を、お手元の公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。廃止、短縮した都営バス路線でございます。
 廃止した路線は旧運行区間を、短縮した路線は新旧で比較して過去五年間分を記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。都営バス停留所における上屋、ベンチの設置状況でございます。
 都営バスの総停留所数と上屋、ベンチを設置している停留所数を記載してございます。
 次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるエレベーター等の整備状況でございます。
 都営地下鉄全百六駅のうち、エレベーターとエスカレーターがそれぞれ設置されている駅数及びエレベーター等によりホームから地上までワンルートが確保されている駅数を記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるホームドア設置状況及び転落件数でございます。
 ホームドアにつきましては、設置路線及び設置率を、転落件数につきましては、路線別に過去五年間分を記載してございます。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄の浸水対策の実施状況でございます。
 地下鉄の浸水対策の内容ごとに、対策済みの箇所数を路線別に記載してございます。
 次に、六ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄駅の民間委託状況及び駅別職員配置数でございます。
 都営地下鉄各駅の職員配置数を記載してございます。なお、駅名横の丸印は、業務を委託している駅をあらわしております。
 次に、七ページをお開きいただきたいと存じます。事業別職員数及び人件費割合の推移でございます。
 各事業における職員数及び経常費用に占める人件費割合を過去十年間分記載してございます。
 次に、八ページをお開きいただきたいと存じます。女性職員の職種別配置状況でございます。
 各所属における職種別の女性職員配置数を記載してございます。上段が女性職員数、下段の括弧書きが総職員数となっております。
 次に、九ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄における運転事故及び輸送障害の件数でございます。
 路線別の運転事故及び輸送障害の件数につきまして、過去五年間分を記載してございます。
 最後に、一〇ページをお開きいただきたいと存じます。工事請負契約における落札率九九%以上及び一者入札の契約件数並びに不調件数の推移でございます。
 不調件数を除きました契約件数、そのうちの落札率九九%以上の契約件数及び一者入札の契約件数並びに不調件数につきまして、過去五年間分を記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高椙委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大門委員 交通局の事務事業について伺います。
 都営交通は、東京の交通ネットワークの一翼を担い、都民の生活や東京の都市生活を、人が動くという側面から支える重要な役割を果たしています。
 本日は、その中でも、安全・安心のまちづくり、まちの活力アップにかかわる都営交通の取り組みを中心に何点かご質問したいと思います。
 まず、公共交通機関の使命は、誰もが安全で安心して利用できることにあると考えます。こうした中、本年八月十五日、東京メトロ青山一丁目駅で、盲導犬を連れた視覚障害者の方がホームから転落し、お亡くなりになるという痛ましい事故が発生いたしました。その後も、JRの西国分寺駅や大阪でも視覚障害者の方の転落事故が発生しており、ホーム上の安全対策は急務と考えます。
 都営地下鉄では、四路線のうち、三田線、大江戸線には既にホームドアが全線に設置されていて、ホームドアを設置した駅では、転落事故は一件も発生していないと伺っています。このことから、ホームドアの設置は、転落事故防止対策に極めて有効な設備といえます。残る二路線についても、ホームドアの急速な整備が求められるところであります。
 交通局の経営計画を見ると、都営新宿線では、平成三十一年度までに全駅に整備するということで、今年度より準備工事を進めることとなっています。
 そこでまず、新宿線のホームドア整備に向けた進捗状況と今後の予定について伺います。

○奥津車両電気部長 新宿線ホームドアの整備につきましては、現在、車両改修、信号設備の改修及びホームドア本体の設置に向けた電源工事などの関連工事を着実に進めているところでございます。今後は、監視カメラの増設やホームの補強工事などをあわせて行ってまいります。
 また、ホームドア本体につきましては、平成二十九年度に車両基地の引き込み線があります大島駅に先行的に設置し、試験、調整、取り扱い訓練などを行います。その後、平成三十年度から本格的にホームドア本体の設置を開始し、設置が完了した駅から順次稼働をさせまして、新宿線全二十一駅の整備を完成させる予定でございます。

○大門委員 一口にホームドアといっても、ただ駅のホームにドアを設置すればいいわけではなく、車両や信号設備の改修やホームの補強など、さまざまな取り組みが必要であります。だからこそ整備には一定の年月を要すると理解しています。
 とはいえ、転落事故は再びいつ発生するかわかりません。設置が早ければ早いほど望ましいです。交通局の計画では、平成三十一年度までとなっていますが、少しでも早く設置できるよう、さらなる努力や工夫をすべきと考えます。
 そこで、新宿線のホームドア整備について、工程を工夫し、できる限り工期を短縮して早期に全駅に設置していくことが重要と考えますが、局の考えを伺います。

○奥津車両電気部長 新宿線ホームドアの整備につきましては、お客様の安全に留意しながら、列車運行の安定性を確保し、早期に全駅設置することが重要と考えております。
 このため、ホームドアの設置に当たりましては、設置当初に予想されますホームドアの初期故障や各種機器の調整などの対応をするときに、列車の運行に影響が最も少なく、ホームドア設置期間中に駅の大規模改修工事の計画がない終端駅である本八幡駅から設置してまいります。
 また、本八幡駅から順次隣接駅へ設置していくことによりまして、実際に工事を行います夜間終車後の限られた時間の中、材料搬入や各種試験などを効率的に行うことで、作業工程を短縮することが可能となります。このような取り組みによりまして工期の短縮に努め、平成三十一年秋までの全駅設置完了に向けて取り組んでまいります。

○大門委員 平成三十一年秋までということで、安定運行を確保しながら全ての駅に前倒ししてホームドアを設置していくとの答弁がありましたが、引き続き工夫を凝らし、できる限り工期の短縮に努めていただき、より早期に、そして着実に整備を進めていただけるよう要望します。
 続いて、ホームドアの形状について伺います。
 近年、さまざまなタイプのホームドアが開発され、試験設置されているようです。例えば、ドアの向こうが見えるシースルー型やロープ式、バー式のもの、最近では京浜急行で、どこでもドアという名称の、人が乗りおりする開閉の間口が広い新型のホームドアの実験が行われています。それぞれのタイプにメリット、デメリットがあると思いますが、安全確保を第一に、路線ごとの状況に適したタイプのホームドアを選択していくことも必要と考えます。
 また、浅草線については、さまざまな課題から、いまだ全駅整備のめどは立っていないと聞いています。各社が新たな技術にもチャレンジしながら取り組む中、交通局にも課題解決に向けた積極的な取り組みが期待されるところであります。
 そこで、新宿線や浅草線のホームドア整備に当たり、どのようなタイプのドアを設置するのか、見解を伺います。

○奥津車両電気部長 新宿線ホームドアにつきましては、三田線、大江戸線の実績を踏まえつつ、安全性や信頼性が高いこれら二線と同様の腰高式ホームドアを採用することといたしました。
 導入に当たりましては、LED表示により、停車接近等の注意を促す機能や、乗車時に足元を確認しやすくなるようドアにガラス窓を組み込むなど、お客様の安全・安心につながる改良を行う予定でございます。
 浅草線ホームドアにつきましては、東京二〇二〇大会までに、大門駅と泉岳寺駅に先行整備する計画であり、これまでの運用実績を踏まえまして、今後、詳細な仕様を検討してまいります。
 現在、車両の大規模改修を必要としない新技術を用いましたホームドアの実証実験を実施するなど、ホームドア整備に向けた取り組みを行っておりまして、全駅整備の早期実現を目指してまいります。

○大門委員 浅草線については、既に新技術を用いた実証実験に取り組んでいるとのことですが、都営地下鉄線のホームドア設置率一〇〇%達成に向けて、引き続き積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 また、ただいまの答弁で、新宿線のホームドアについて、ドアにガラス窓を組み込むとの話がありました。乗りおりする際、ホームと電車との間に段差があったり、あるいは大きなすき間がある駅が都営地下鉄線にもあります。ガラス窓などの設置は、乗車する際に足元を見やすくするという点で、段差につまずいたり、すき間に足を踏み外さないようにするための対策として有効なものと思います。
 しかし、根本的な解決ではありません。やはり段差やすき間をできる限り減らしていくことが必要と考えます。ホームドアの設置の有無にかかわらず、ホームと電車との間の段差やすき間を減らし、安全性を高めていくべきだと考えます。
 そこで、都営地下鉄における段差やすき間対策について伺います。

○谷本技術管理担当部長 国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編におきましては、地下鉄駅のホームと車両扉の段差やすき間をできる限り少なくすることとされており、都営地下鉄ではこれまでも、段差やすき間の対策を講じてまいりました。
 具体的には、段差対策といたしまして、ホームドア設置済みの三田線及び大江戸線におきましては、車両の車椅子のスペースがあるドア位置のホーム上に、原則、固定式スロープを設置いたしました。さらに、新宿線では、車両の編成により車椅子スペースの位置が異なることから、ホームドア整備に合わせまして、ホーム端を全面的にかさ上げする計画でございます。
 また、すき間対策といたしましては、新宿線では、ホームドア整備に合わせ、新たな取り組みといたしまして、ホームと車両とのすき間が広い箇所で、ホームの乗降口にすき間を狭める部材を設置することとしております。
 さらに、車両とホームのすき間と段差が大きい箇所などにおきましては、お客様のご要望に応じ、各路線とも駅係員が備えつけのスロープ板を使用してご案内しております。
 今後とも、新宿線で実施する対策の効果や他社での取り組み等を検討しながら、各路線の段差やすき間の対策に取り組んでまいります。

○大門委員 より安全で、安心して都営地下鉄線を利用できるよう、この対策は進めていただきたいと思います。
 これまで、ホーム上の安全対策についてのハード面を伺ってきましたが、幾ら急いでも、ホームドアの整備に何年か時間がかかるというのも事実です。それまでの間は、ソフト面での対策を行うなど、安全のためにできる限りの手だてを講じることが重要と考えます。
 そこで、ホームドアが整備されるまでの間、ホーム上の安全を確保するためにどのような対策を講じているのか、また、今後の取り組みがあれば、あわせて伺います。

○相川電車部長 ホームドアが設置されていない浅草線及び新宿線におけるホーム上の安全対策といたしましては、ホームの両端部の固定柵や内方線つき点状ブロックを整備しております。
 また、朝夕のラッシュ時や曲線等により見通しの悪い駅では、終電まで駅員によるホーム監視を行うとともに、転落やトラブルの多い夜間等には、主な駅に警備員を配置しております。
 さらに、他社で発生した転落事故を受け、ホーム上の視覚障害者の動向に十分注意を払い、声かけをするよう、改めて関係係員に周知するとともに、視覚に障害のあるお客様への声かけにご協力をお願いするポスターを新たに作成し、駅構内に掲出しております。今月からは、転落件数や視覚障害者の利用実績などの状況を踏まえ、警備員を新たに五駅に追加配置いたしました。
 今後も、順次警備員の配置駅の拡大等を進めるほか、ホーム端を色づけして視認性を高めるなど、安全対策のさらなる充実を図ってまいります。

○大門委員 今後も、警備員の配置拡大やホームの端が目立つように色をつけるなど、さらなる対策を講じていくとのことですが、痛ましい事故を起こさないためにも、引き続きさまざまなアイデアで対策に万全を期していただくよう求めます。
 こうした安全対策やサービスを考える上で、実際に利用される方の意見を聞くことも重要であります。とりわけ、お年寄りや障害のある方の意見を直接聞くことは、そうした方々だからこそ感じる不便や不満などの課題への気づきにつながります。お年寄りや障害者にも優しいまちづくりを進める上で大変参考になります。
 こうした中、都議会自民党の小松議員の提案を受け、交通局では、本年八月、特別支援学校の生徒に都営交通を利用体験していただくとともに、駅係員との意見交換を行ったと伺っております。生徒たちからは、要望を聞いてくれる機会を設けてもらえてうれしいとの声が上がったそうですが、いただいた意見を改善につなげていくことが重要です。
 そこで、生徒たちからどのような意見があったのか、また、それを踏まえてどのように取り組むのかを伺います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましてはこれまでも、エレベーター等によるワンルートの確保など、駅や車両のバリアフリー化を進めてまいりましたが、さらなる施策を推進するため、特別支援学校の生徒に都営地下鉄の駅や車両を実際に利用していただき、バリアフリー対応について駅係員等との意見交換を実施いたしました。
 この中で、視覚に障害のある生徒からは、ホームドアの片側だけ点字シートが張ってあり不便だ、車内放送が電車の音で聞こえにくい、トイレの水の流し方がわからないなど、また、車椅子を使用している生徒からは、列車とホームとのすき間に車椅子の車輪がひっかかるかもしれない、車椅子が二台乗るにはエレベーターが狭いと感じたといったご意見もいただきました。
 これらのご意見を一つ一つ検証いたしまして、ホームドアの両側への点字シートの貼付やホームと列車とのすき間対策など、実現可能なものから順次改善を図ってまいります。
 今後とも、障害のあるお客様を初め、利用者の声を大切にし、どなたにも安心して快適にご利用いただける都営地下鉄を目指してまいります。

○大門委員 こうした取り組みは、我々では気づきにくい課題の抽出に有効です。引き続き、利用する方の声に積極的に耳を傾け、利用者がより安心して快適に使えるサービスを提供していただけるよう要望します。
 続いて、観光振興などの東京のまちの活力アップに向けた取り組みについて伺います。
 日本政府観光局の発表によると、ことし一月から十月までの訪日外国人の数は二千五万人と、初の二千万人突破を、十月にして早くも達成しています。
 今後も、東京二〇二〇大会に向けて、ますます外国人旅行者の数が増加することが見込まれる中、大会後も引き続き東京を訪れてもらうためには、来日した際に、都市に魅力を感じてもらい、リピーターとなってもらうことが重要です。そして、旅行者にとって、公共交通機関が便利で快適であることは都市の魅力を高める重要な要素です。
 こうした中、先日の事務事業説明では、都営浅草線のリニューアルプロジェクトを進めており、今後、全車両を更新するとの話がありました。浅草線は、羽田空港と成田空港を結ぶ路線であることから、外国人を初めとする観光客の利用も意識した魅力的な車両にしていくべきだと考えます。
 浅草線について、今後、新たにどのような車両を導入しようとしているのか伺います。

○奥津車両電気部長 都営浅草線では、羽田、成田両空港を結ぶ路線の特徴を生かしまして、東京と世界を結ぶ地下鉄というトータルコンセプトに基づき、駅構内の改装や駅出入り口の改修等の計画を進めるとともに、全ての車両二十七編成を更新することとしております。
 平成二十九年度は、新車を一編成導入することとしておりまして、日本らしさとスピード感が伝わる車両デザインとしてまいります。外観は、国際的な日本のイメージである歌舞伎のくま取りを現代風にアレンジし、りりしく躍動感のある車両をイメージしたものとしていきます。内装は、江戸小紋の文様を組み合わせた寄せ小紋や東京の伝統工芸品である江戸切り子調のデザインを採用しまして、和の落ちつきをイメージしたものとしてまいります。
 さらに、全ての車両にフリースペースや優先席の手すり、低いつり手や荷棚の設置、多言語対応の液晶モニターの設置など、観光するお客様にも魅力的で人に優しい車両を目指してまいります。

○大門委員 ぜひとも、外装、内装ともにデザイン性にすぐれ、乗り心地もよい魅力的な車両をつくっていただきたいと思います。
 また、リニューアルについては、駅改装にも取り組むとのことですが、私は大江戸線をよく利用しているのですが、その際感じるのは、それぞれの駅のホームのデザインがその地域をイメージしていて一つ一つ違い、個性的であるということです。それこそ、駅名の看板を見なくても、色や雰囲気でどこの駅かわかる、そんな駅デザインだと感じており、とてもよい取り組みであると思います。
 浅草線についても、リニューアルをするのであれば、そういった特色ある駅空間にすれば、便利なだけでなく、より東京の魅力の印象づけに役立つのではないかと考えます。浅草線のリニューアルについて、今後どのような考えで駅改装を進めていくのかを伺います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浅草線は、成田、羽田両空港へのアクセス線であるとともに、浅草や銀座といった東京を代表する観光地を結ぶ重要な路線であり、その沿線は、歴史や伝統を感じさせる下町や周辺開発が進む都心のほか、商業、文教、住宅など、エリアごとにさまざまな特色や豊かな表情を持っております。
 駅の改装に当たりましては、安全対策やバリアフリーの推進などを図るとともに、エリアごとの特色や雰囲気、まち並みの変化などを取り込みながら、通勤通学などのお客様はもとより、国内外から初めて沿線を訪れる旅行者にとりましても、快適で利便性が高く、かつ東京の魅力を体感できるよう、駅空間のデザインにおいても工夫を施すこととしております。平成二十九年度には、専門家の知見を得ながら、デザインガイドラインを策定し、エリアごとに駅のデザインコンセプトなどを決定することとしております。
 今後、車両の更新、駅の改修等を計画的に進めることにより、リニューアルを着実に推進し、浅草線の魅力を一層高めてまいります。

○大門委員 地域ごとの特徴を生かしながら、印象に残る魅力的な駅空間としていただけるよう要望します。
 さて、都営地下鉄では、近年、乗客数が伸び続けていると伺っておりますが、国内外からの旅行者が利用者数の増加を押し上げているのではないかと考えられます。
 交通局では、特に英語を話せる案内係であるコンシェルジュを配置していますが、こうした取り組みを初め、きめ細かい対応をすることで、日本語のわからない外国人の方でも利用しやすい環境を整備していくことが重要です。
 東京二〇二〇大会の開催時には、これまで以上に多様な国から多くの方が観戦に訪れると予想されるため、円滑に利用してもらえるよう、一層の多言語対応の充実が必要であると考えます。
 そこで、都営地下鉄では、今後とも外国人旅行者の増加が見込まれる中で、どのように多言語での対応の充実を図っていくのか伺います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましてはこれまでも、訪日外国人旅行者の利便性向上を図るため、案内サインの多言語化や改札口付近に設置した列車運行情報表示装置による多言語での情報提供など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今年度は、英語が話せるコンシェルジュを外国人利用者の多い四駅に追加配置し、二十四駅まで拡大するとともに、浅草駅及び上野御徒町駅には中国語対応も可能なコンシェルジュを新たに配置いたしました。
 また、全駅の係員を対象とする英会話研修を実施し、さらに駅の窓口等に配備をしておりますタブレット端末を、多言語による案内放送にも活用するほか、英語、中国語、韓国など五カ国語に対応する電話通訳サービスを都営管理全駅で開始いたしまして、多言語による対応力を強化してまいります。
 さらに、東京メトロと共同で開発をいたしました路線図や観光スポットから行き先を選んで切符を購入できる多言語の次世代券売機を順次導入していくほか、コンシェルジュが常駐する観光案内所の新たな設置についても検討してまいります。
 こうした取り組みを着実に進めることによりまして、東京二〇二〇大会に向け、今後さらなる多言語対応の充実を図ってまいります。

○大門委員 日本語のわからない外国人の方にとって、使いなれた言語で会話できたり、情報を仕入れられることは、利用する際の安心感につながります。このような取り組みを積極的に進めてもらいたいと思います。
 次に、都営バスについて伺います。
 地下鉄などホームまでに長い階段がある乗り物に比べ、バスは乗りおりが楽で、これからの高齢社会においてますます重要な交通手段になると考えられます。また、車窓の景色を楽しみながら快適に移動できることから、外国人旅行者の移動手段としても期待できます。
 一方、先日の事務事業説明では、都営バスの経営状況は赤字であるとの報告がありました。また、経営計画では、採算性が低く、民間事業者では運行が難しい路線であっても、地域に必要な路線については公営企業として維持していると述べられています。
 この点については、私は、公営企業である以上、地域の足を守ることは大切な役割だと思いますが、あわせて、企業としての将来ビジョンをしっかりと持ちながら経営改善に努めることが不可欠だと考えます。その際のポイントは、まず、不断の経費削減に努めることはいうまでもありませんが、同時に、いかに利用者をふやし、収益をふやすかということも重要と考えます。
 このような中、近年、臨海地域ではタワーマンションの建設が続き、さらに東京二〇二〇大会後には、選手村が大規模な住宅地に生まれ変わる予定になっています。まちづくりの進展による需要の増加を機敏に捉え、的確に対応していくことも経営改善には欠かせないと思います。
 そこで、臨海地域の需要の増加にどのように対応していくのか所見を伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、乗客潮流の変化を的確に捉え、乗務員や車両など、限りある経営資源を有効に活用することで、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
 お話の臨海地域につきましては、マンション開発に伴う利用者の増加に合わせて、有明、豊洲、晴海などと都心部を結ぶ路線を増強するなど、バス路線の充実を図ってきたものでございます。
 今後、さらなる開発の進展や東京二〇二〇大会後の選手村まちづくりによりまして、利用者の増加が見込まれることから、有明地区に新たな営業所を設置することといたしました。現在、基本設計を行っているところでありまして、あわせて路線の新設等についても検討しております。
 今後とも、需要の変化に柔軟かつ迅速に対応できるバスの特性を最大限に発揮いたしまして、路線の拡充やダイヤの見直しによりまして、臨海地域の開発、発展に貢献してまいります。

○大門委員 需要の増加を確実に取り込み、利用者増につなげていくとともに、臨海地域の開発、発展を交通アクセスの面から後押しできるよう路線整備に努めていただきたいと思います。
 続いて、都営バスにおける外国人旅行者への対応について伺います。
 先ほど、地下鉄における外国人旅行者への対応について伺いましたが、バスにおいても、外国人旅行者が東京観光を快適に楽しめるよう、環境づくりを進める必要があります。
 急増する外国人旅行者を利用者として取り込むには、経営状況を改善していく上でも重要であることから、多言語対応など使いやすい環境整備はもちろん、バスの利用促進につながるような情報を積極的に発信していくべきと考えます。
 そこで、都営バスにおける外国人旅行者への情報提供の充実に向けた取り組みについて伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、より多くの外国人の旅行者に都営バスを安心して快適にご利用いただき、東京の観光を楽しんでいただけるよう、情報提供の充実に取り組んでまいりました。
 例えば、停留所の標識柱や案内板の多言語表記を進めるとともに、バス車内で無料Wi-Fiサービスを提供しております。また、多言語に対応したウエブサイト、都バスでめぐる東京観光の開設や、英語版の都営バスルートガイド、主な沿線の観光スポットを紹介したリーフレットを発行しております。さらに、次の停留所名などをお知らせする多言語に対応した液晶ディスプレーを今年度末までに全車両に導入してまいります。
 今後は、バス車内にデジタルサイネージを新たに設置し、周辺のお勧め観光スポットなどの情報を提供してまいります。さらに、停留所に表記している都営バスの利用方法につきましても、平成三十年度までに全停留所において英語表記を追加いたしまして、外国人旅行者でも円滑にご利用いただけるようにしてまいります。
 引き続き、こうした取り組みを着実に進め、ご利用された外国人の方の声も取り入れながら、情報の内容や提供方法の一層の充実に努めてまいります。

○大門委員 外国人旅行者が急増している機会を捉え、サービスを充実し、都営バスならではの観光を提供していくことは、局の運営の上で重要であり、また利用する方にとっても東京観光を一層楽しむことにつながります。ぜひとも、外国人の目線を踏まえて取り組みを進めてもらいたいと思います。
 続いて、都営バスの乗務員の確保について伺います。
 これまで、バス路線の拡充やサービスの充実について伺ってきましたが、事業規模を拡大するにはもちろん、将来にわたって事業を存続する上でも、事業を支える人材の確保が必要不可欠です。
 一方、バス事業において直接サービスを提供するバス乗務員について、都営に限らず、このところ人材確保が難しくなってきていると聞きます。大型二種免許の取得者も減っていく中、バスの運転手の人材不足が慢性化しており、国土交通省の調査でも、バス事業者三十五社のうち九七%が運転手不足による影響が出ていると回答しています。
 都営バスにおいても、必要なバス乗務員が確保できなければ、サービスの継続が危ぶまれることから、例えば、入社後に免許の取得を支援したり、中途採用枠をふやすなど、何か手を打つべきだと考えますが、都営バスにおいて乗務員確保にどのように取り組むのか伺います。

○渡邉職員部長 近年、全国的に大型二種免許保有者が減少する一方で、交通局におきましては、今後、バス乗務員の大量退職時期を迎えることから、局事業を継続していく上で、バス乗務員の確保は重要な課題となっております。
 こうした課題に対処するため、昨年度は、採用選考を年二回実施したほか、受験資格の年齢要件を三十六歳未満から四十歳未満に引き上げ、また大型二種免許の未取得者に対しまして免許取得を支援する養成型の選考を新たに開始するなど、バス乗務員の確保に向けて取り組んでまいりました。
 今後は、採用に関するホームページにつきまして、バス乗務員の仕事内容や勤務条件など、応募者の関心事項をより多く取り入れた内容にリニューアルするとともに、都営地下鉄の車内液晶モニターでバス乗務員の魅力を幅広く伝える動画を配信するなど、採用PRの充実を図ってまいります。さらに、平成二十九年度には、養成型の選考の募集人員を拡大してまいります。
 今後とも、引き続きバス乗務員の人材確保に努めてまいります。

○大門委員 都営バスで働くということも選択肢の一つに入れてもらえるように、都営バスで働く魅力の周知が重要だと考えますので、工夫を凝らしながら継続的に取り組むことを求めます。
 人材確保について伺いましたが、バス乗務員に限らず、採用した人材を将来にわたり事業を支える人材として育成していくことも企業運営上、重要です。
 現場を持つ交通局において、安全・安心を確保し、おもてなしの心を持って利用される方にサービスを提供するのは人であります。サービス業は人が全てです。全ての職員が高い志を持って日々の仕事に取り組むことが求められています。そのためには、局が明確なビジョンを掲げ、共通した理念のもと、確保した人材を計画的に育てていくことが不可欠と考えます。
 そこで、人材育成に関する局の取り組みについて伺います。

○渡邉職員部長 都営交通が都民やお客様に信頼され、支持されるためには、安全・安心に対する高い意識を持ち、サービスマインドを備え、現場に精通するプロフェッショナル職員を育成することが極めて重要でございます。
 このため、交通局におきましては、経験や職種に応じた集合研修を実施するとともに、現場の実態に即したOJTを継続的に行っております。また、今年度、局職員の人事任用制度につきまして、第一線の業務に携わる職員を積極的に監督職に登用するなど、職員の意欲と能力を一層引き出せる任用体系に改めました。
 今後、現在の状況に即して、交通局人材育成方針を改定し、採用、研修、昇任、配置管理等の人事管理を改めて体系化し、新たな人事任用制度のもとで計画的に職員の能力向上を図ってまいります。こうした取り組みを通じて、局事業を支えるプロフェッショナル職員の育成に努めてまいります。

○大門委員 よりよいサービスを提供していくために重要なのは人であり、人材の確保、そして育成にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 本日は、都営交通の安全・安心のまちづくりへの取り組みや、まちの活力アップへの取り組み、さらには事業を支える人材の確保、育成について伺ってきました。
 この夏には、リオ大会が終わり、四年後の東京大会に向けて、国内外から東京に寄せられる期待は今後ますます高まってまいります。そして、東京二〇二〇大会の成功やその先の東京の発展にとって、東京の交通ネットワークの一翼を担い、一日三百三十二万人もの利用がある都営交通に期待される役割は決して小さいものではないと思います。
 そこで、交通局の事業運営のかじ取りを行う局長に、今後の事業運営に向けた考えを伺います。

○山手交通局長 交通局では、東京二〇二〇大会とその後も見据えて、本年二月に経営計画二〇一六を策定いたしました。この計画に掲げた事業を着実に推進いたしますとともに、計画策定後の状況変化も的確に捉えながら、さまざまな課題に積極果敢に挑戦していく考えでございます。
 まず、何よりも優先すべきは、安全・安心の確保でございまして、本日質疑もございましたが、ホーム上の安全対策はもとより、自然災害やテロへの備えを強化するなど、ハード、ソフト両面から災害に強く事故のない都営交通を実現してまいります。
 また、地下鉄の輸送力増強やバス路線の拡充など、輸送需要の増加に的確に対応いたしますとともに、高齢化や訪日外国人旅行者の増加なども踏まえ、誰もが便利で快適に利用できるサービスの提供に努めてまいります。
 さらに、まちづくりとの連携や観光振興など、都の施策と連携しながら東京の発展に貢献してまいります。加えて、中長期的に安定した事業運営を行っていくため、一層の収入確保と経営効率化に努めますとともに、次代を担う人材の確保、育成を図るなど、引き続き経営基盤を強化してまいります。
 今後とも、都民やお客様に一層信頼され、支持される都営交通を目指し、安全意識とサービス精神を局の隅々まで徹底、浸透させながら、局一丸となりまして、東京の都市活動や都民生活を支えてまいります。

○大門委員 交通局には、日々の安全運行はもとより、利用者の視点に立ったサービスを提供することで、都民の暮らしや東京を訪れる人の活動を支え、今後とも、輸送の面から東京の発展に貢献していただきたいと思います。そして、その実現に向けて、私も都議会議員として、局と建設的な議論を交わしながら、よりよい都営交通、よりよい東京の実現に向けて取り組むことを述べさせていただき、質問を終わります。

○加藤委員 それでは初めに、都営バスにおける広告つきバス停留所、上屋に関して何点か伺います。
 都バスのバス停に上屋を設置してほしいという声は大変大きいものがあります。私の地元の墨田区では、都バスの一大ターミナルである錦糸町駅駅前や東京スカイツリーなどを抱え、区内の各地域を多くの路線が走っています。
 バスは、地域の方々の日々の暮らしを支える足として、たくさんの方々が利用しております。例えば、小さな子供を連れたお母さんからは、雨のときに傘だけではベビーカーがぬれてしまう、また、お年寄りからは、夏の厳しい日差しの中、バスを待つのは大変だと、そういった声をよく聞きます。
 上屋があれば、雨や日差しを遮ることができ、困っている方々にも喜ばれます。もちろん交通局では、従来から上屋の整備を進めていることは承知をしております。さらに、平成十九年度からは、広告つきの上屋も導入し、その広告収入を整備費用に充当することで上屋の整備の拡大を図ってきたと聞いています。
 一方で、こうした利用者の切実な声を踏まえると、全てのバス停に設置できるわけではないものの一層の整備が求められていると強く感じます。設置費用に広告収入を充てることを考えると、広告つき上屋の整備拡大が望ましいわけですが、歩道の幅員等の制約から大幅な拡大は難しかったと思います。
 こうした中、昨年四月、我が党の主張により、屋外広告物に関する規制が緩和され、広告板と車道と平行についているタイプの上屋が設置可能となりました。このことにより、歩道幅員が従来の基準より狭くても上屋を整備できる箇所が大きくふえました。
 私も、地方都市に視察に行きましたが、もともと福岡など他の都市では認められていたわけですが、都内でも昨年十一月に民間バスで初めて導入がなされました。それ以降、各事業者が導入し、今では、まちじゅうで普通に見かけるようになりました。今後は、都バスとしても積極的に設置していくべきと考えます。
 そこで、広告つき上屋を含めた今後の上屋の整備目標について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 交通局では、バス停留所での待ち時間の負担感を緩和し、お客様の快適性の向上を図るため、上屋の整備を進めており、平成二十七年度末時点で千四百九十九棟の上屋を設置してございます。
 今後の目標につきましては、経営計画二〇一六におきまして、平成三十三年度までに新たに二百四十棟を整備するとともに、老朽化した上屋については、百五十棟を建てかえることとしてございます。これらのうち百棟につきましては、東京二〇二〇大会までに広告つき上屋として整備する計画としておりまして、今年度から二十棟ずつ設置してまいります。

○加藤委員 広告つき上屋については、これまで交通局では、直営で百棟を整備したと聞いており、今後、さらに百棟の整備を進めていくということでありますので、規制の緩和を生かして着実に進めてほしいと要望します。
 また、我が党では、上屋の整備が一層拡大するよう、直営だけでなく民間事業者を活用した広告つきの上屋の整備手法も採用するよう繰り返し主張してきました。この手法は、広告収入を活用することで、上屋の設置自体と維持管理を含めて民間事業者が行うものであり、局には費用負担が生じないスキームです。
 さらに、設置、広告販売、維持管理まで幅広く民間のノウハウを活用することができ、極めて有効な手法であると考えます。既に、都内を含めて各都市の多くの事業者がこの手法を導入し、多くの利用者に喜ばれています。交通局でも、速やかに導入し、整備の一層の拡大を図るべきと考えます。
 本年の第一回定例会の公営企業委員会においても、我が党の栗林のり子議員が検討状況を尋ねたところ、交通局としても、この手法の導入に向けて協力事業者の公募を開始したとのことでありました。
 そこで、民間事業者を活用した広告つき上屋の整備の取り組み状況と今後の展開について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 広告つき上屋につきましては、ただいまお答えいたしました局みずから整備する百棟に加えまして、東京二〇二〇大会に向けて整備を加速するため、民間事業者を活用することといたしました。
 本年三月に公募を行いまして、事業提案の審査を経まして協力事業者を決定し、六月に契約を締結したところでございます。この事業では、事業協力者が上屋の整備、広告の募集、掲出を行い、広告料の一部を交通局に納入するとともに上屋の維持管理を行うこととしてございます。今年度から段階的に整備を進め、東京二〇二〇大会までに四百棟を整備することとしております。
 現在、事業者と協力し、整備を検討している停留所におきまして、地下埋設物等の支障物を確認するとともに、交通管理者、道路管理者との協議などを行ってございます。

○加藤委員 着実に整備が進むよう、局としても、事業者と連携してしっかり取り組んでいただくよう要望します。二〇二〇大会まで、この上屋の整備率が、直営と民間主導を合わせると、現在の総停留所の三九%から五割を超えるのではないかと思いますので、着実な取り組みをお願いいたします。
 こうした上屋については、雨や日差しを避けるためではありますが、例えば、雨天時に、バスを待っている多くの方が、できるだけぬれずに済むようにするには、全長の長い大型のものが望ましいことはいうまでもありません。私が利用する都バスのバス停も、多いときは、バスを待っている乗客の半分ぐらいしか上屋のあるスペースにおさまっていません。
 一方、大型の上屋は、その分、設置費用も大きくなることから、広告板一基だけだと広告収入との関係上なかなか設置できません。広告板が二基あれば、その分、広告収入がふえるので費用に対して採算がとれ、設置しやすくなります。
 他都市では、こうした上屋が既に設置されていますが、都内では、屋外広告物に関する規制等の中で広告板が二基あるものは認められておりません。他都市で認められているものが、都内で何か問題が生じるとは考えにくいわけです。何らかの方法で設置しても問題ないということを示すなどして、このタイプの上屋も設置できるようにし、より快適な広告つき上屋の整備を加速させるべきと考えます。
 そこで、広告つき上屋の設置要件のさらなる緩和に向けた交通局の取り組みについて伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 広告つき上屋の整備に当たりましては、都内のバス事業者から成る協議会が屋外広告物条例等を踏まえて定めているガイドラインにおきまして、デザインや設置要件が定められております。
 現在のガイドラインでは、上屋の広告板は一基となっておりまして、お話のありました広告板を二基取りつけられる大型の上屋の設置は認められておりませんが、広告板を二基設置することで、より多くの広告料収入が得られることとなり整備費用の回収が早まることが期待されます。
 このため、交通局では、都市整備局、建設局及び民間バス事業者と協力いたしまして、広告板が二基設置された大型の上屋の整備に向けて検討を進めているところでございます。
 今後、交通局と民間バス事業者が試験的に上屋を一棟ずつ設置し、歩行者や通行車両、バス運行への影響などを検証することとしておりまして、その結果を踏まえ、設置要件の緩和が可能か、関係部署と検討してまいります。

○加藤委員 設置要件のさらなる緩和を含めて、上屋の整備が拡大すれば、利用者にとっても喜ばしいことでありますので、各局で連携して、ぜひとも検討を進めてほしいと要望します。
 さて、交通局では、先ほどの答弁にあったように、広告つき上屋の設置について、局みずから整備するとともに民間事業者を活用して整備していくということですが、交通局が設置した広告つき上屋のここ数年の広告掲載率が伸び悩んでいると聞いております。
 交通局が設置する広告つき上屋についても、これまで以上に広告料収入がしっかりと入ってくるようにして、さらに増設できるように努めていただきたいと思います。そのためには、これまでの広告販売のやり方を見直していくことも必要であると考えます。
 そこで、今後、交通局で設置する広告つき上屋の広告展開について伺います。

○広瀬資産運用部長 交通局では、広告が車道と平行に表示することが新たに認められたことに伴いまして、東京二〇二〇大会開催までに、広告価値の高い百カ所に広告つき上屋を整備することといたしまして、この機会に現行の販売方法を見直してまいります。
 具体的には、広告枠の半分を一社が販売し、残りの半分を指定代理店全てが販売できる枠としている現行の販売方法を、一社が全ての枠を責任を持って媒体管理、運営を行っていく販売方式に変更いたします。これによりまして、全ての枠に広告が入り、取り扱う指定代理店においても自由な広告展開が可能となり、広告料収入の増加につながると見込んでおります。
 今後とも、上屋の整備に寄与できるよう、さらなる増収の確保に努めてまいります。

○加藤委員 二十七年度の決算概要では、自動車運送事業の経常損益は赤字ということですので、少しでも広告料収入などで貢献ができるように取り組んでいただきたいと思います。
 また、利用者の利便性や快適性の向上のためにも、交通局がみずから整備する上屋とあわせて民間事業者を活用し、より景観にも配慮した広告つき上屋の整備を進めていただくようお願いをいたします。
 そして、交通局が自前で整備する上屋と民間事業者が整備する上屋とを、今後、費用対効果などの観点から比較検証して、いずれかの機会にまた質疑をしたいと思います。
 次に、地下鉄駅及びターミナルにおけるデジタルサイネージの設置について伺います。
 地下鉄だけでなく、バスなど複数の交通機関を持っているのは都営交通の強みだとよく聞きます。実際、地下鉄からバスに乗りかえる人も多いと思います。私自身、地下鉄を出てバスに乗りかえようとしたところ、バス停に着いて時刻表を見たら、ちょうどバスが出ていってしまったばかりであったりとか、逆に、到着、出発まで、まだゆとりがあったということが結構あります。
 こういうとき、地下鉄の改札口や駅前ターミナルで、乗りたいバスの発車時刻がわかればとよく思います。そうすれば、バスが来るまで時間があるなら、例えば、売店やコンビニで何かを買おうということもできるわけであります。もちろん、紙の時刻表が張ってあれば、もともとの予定時刻はわかるわけですが、道路混雑等により運行が多少おくれているというときもありまして、そうした状況まではわかりません。
 最近は、技術の進歩によって、高機能のデジタルサイネージをさまざまなところで見るようになりました。それらを活用すれば、こうした不便さを感じずにバスへの乗りかえが、よりスムーズになると思います。
 そこで、地下鉄駅及びターミナルにおけるデジタルサイネージの設置に向けた取り組みの状況について伺います。

○坂田バス事業経営改善担当部長 交通局ではこれまで、地下鉄の駅に周辺のバス乗り場や路線図を掲示するなど、駅からバス停までの情報案内の充実を図ってきたものでございます。
 今後、地下鉄からバスに、よりスムーズに乗りかえができるようにするため、駅改札口やバスターミナルにおいて、バス乗り場や路線図とともに、行き先ごとの発車予定時刻などの運行情報をご案内するデジタルサイネージを設置することといたしました。
 事業を進めるに当たりましては、民間事業者のノウハウを活用するため、本年九月に公募を行い事業者を決定したところでございまして、まずは、新橋、門前仲町、六本木の各駅の改札口付近や新橋駅のバスターミナルに試行的に設置いたしまして、その後、バスの乗り入れの多い駅などに順次設置する予定でございます。
 現在、設置に向けて、事業者とともに具体的な表示内容やデザインなどを検討しているところでございまして、リアルタイムに情報を更新できるデジタルサイネージの特性を生かし、最新の運行状況を表示するとともに、タッチ操作によりまして、路線図を拡大して見やすく表示できるようにするなど、よりわかりやすいご案内を目指してまいります。

○加藤委員 ぜひとも積極的に設置を進め、さまざまな技術を生かした便利な乗りかえを実現してほしいと考えます。
 最近では、スマートフォンを利用した民間の乗りかえ案内サービスも各種出ていますが、この事業を進めていく中で、新たなメリットや展開も出てくると思いますので、今後とも期待をしております。
 ところで、技術の活用という観点からいえば、既に都営バスの車内では、Wi-Fiサービスが提供されております。これについて、私は、平成二十五年の第一回定例会一般質問で提案をさせていただき、導入に至ったことを評価しております。また、地下鉄駅構内でのフリーWi-Fi環境整備も提案をしてまいりました。
 二〇二〇年東京大会に向かって、訪日外国人観光客がますます増加する中、必要とされるWi-Fiについては、バスの車内といった場所に限らず、東京という都市の中のもっとさまざまな場所で使えるようになると、都市全体としての利便性と魅力が高まると思います。
 バスに焦点を当てるのであれば、バス車内のほかにWi-Fiがあると便利な場所はと考えますと、単純にバス停が浮かびます。しかし、バス停の場合、ほとんどが歩道上にありますので、狭い場所で人々が滞留して大丈夫かといった課題があることも承知しています。
 しかし、さまざまな試行や検証を経て広告つき上屋の設置要件が緩和された例もあるわけですから、交通局としても、ぜひ東京の都市の魅力を高めるという観点から、関係機関と協力して取り組んでいただくことを強く要望しておきます。
 次に、都営地下鉄勝どき駅について伺います。
 現在、大江戸線勝どき駅は、朝のラッシュ時に電車をおりてから地上に出るまで、ホームや出入り口が混雑し、時間がかかっております。今後も、周辺開発が進むにつれ、乗降客もさらに増加し、勝どき駅の混雑もさらに拍車がかかることが懸念されております。
 交通局は、このような状況を改善するため、勝どき駅の改良工事を行っているわけですが、そこで、勝どき駅では現在どういった改良工事が行われているのか伺います。

○野崎建設工務部長 勝どき駅では、駅周辺の開発が進んだことから、朝ラッシュ時に、階段や出入り口付近にお客様が滞留する状況となっております。この状況を抜本的に改善するため、現在、一面のホームを二面に増設し、両国方面と大門方面のそれぞれ専用ホームとするとともに、晴海通りを挟んで二つに分かれているコンコースの接続、出入り口増設等の工事を行っておりまして、平成三十年度の供用開始を目指しております。
 供用開始後は、朝ラッシュ時のお客様の流動が改善し、ホームと地上出入り口間における移動が円滑になるとともに、コンコースの接続によりホーム上のどの階段からも全ての地上出入り口が利用可能となるなど利便性が向上いたします。

○加藤委員 改良工事後は大変便利になるというふうに思います。
 しかし、勝どき駅は、都心部でオフィス、マンションを擁した高層ビルが多く林立するビジネス、居住エリアとなっておりまして、歩行者や通行する車両も多い商業地であり住宅地です。このような都心部において、一たび、先日の八日に福岡市で発生したような陥没事故があると周辺への影響は、はかり知れないものがあります。
 この事故は、直下で行われていました福岡市営地下鉄七隈線延伸工事が原因であると伺っております。幸いにも死傷者は出ませんでしたが、事故現場に埋設されていた電気、ガス、下水道などのライフラインが損傷し、市民生活が大きく混乱をしました。また現場が九州随一のビジネス街である博多駅前であり、鉄道やバスの運行にも影響を与えました。さらに周辺で働く人々や企業、店舗などの営業活動も支障を来しました。同様な陥没事故が、勝どき駅改良工事においても発生しないよう、安全には十二分に配慮して施工することが重要です。
 そこで、勝どき駅改良工事において、どのような安全対策をとっているのか伺います。

○野崎建設工務部長 福岡市営地下鉄におけます道路陥没事故の原因につきましては、現在、福岡市において調査中でございますが、工事においては、地中を掘り進めるNATM工法を採用していると聞いております。
 一方、勝どき駅の工事に当たりましては、開削工法を採用しておりまして、地下水対策として地盤改良を施すとともに、地中の土砂の崩落や地下水の浸入を抑える強固な土どめ壁をつくった後、地面を掘り下げております。加えて、地下水や地盤変位の状況を日々確認するなど十分な安全対策を講じていることから、今回の事故のような道路陥没が発生するおそれはございません。
 さらに、交通局と受注者で、安全施工検討会や工程会議を定期的に開催し、常に安全を確認しながら施工を進めております。
 今回、福岡市の地下鉄工事で大きな事故が起きたことを踏まえまして、事故の原因究明を注視するとともに、工事の安全確保に万全を期してまいります。

○加藤委員 勝どき駅改良工事が十分な安全対策を行いながら工事を進めていることがわかりました。引き続き工事完成まで、周辺に配慮した工事を行いながら、事故のないように努めていただきたいと要望いたします。
 最後に、さきの第三回定例会一般質問においても質問をいたしました都営地下鉄におけるトイレのグレードアップについて伺います。
 トイレは、日常生活を送る上で必要不可欠なものであり、外出先のトイレの快適性を向上させることは、全ての都民の仕事や日々の暮らしの質を高める上で重要であります。都営交通モニターのアンケートでも、トイレの施設改善に関する要望が高いと伺っております。
 今後、少子高齢化が急速に進む東京は、高齢者、障害者、子育て世帯の方々が住みなれた地域で生き生きと暮らせる都市インフラの整備が不可欠であります。こうした方々については、まち中のトイレの段差や設備等のバリアにちゅうちょし、外出をためらったという話をよく耳にいたします。
 こうした中で、都営地下鉄では、高齢者や障害者など、誰もが使いやすい駅のトイレとなるよう、バリアフリー機能を充実させた、誰でもトイレを全駅に設置するとともに、トイレのグレードアップや和式トイレの洋式化を計画的に実施していることは評価をいたします。
 高齢者、障害者、子育て中の方々、さらには、東京二〇二〇大会を間近に控え、今後、さらなる増加が見込まれる外国人旅行者のおもてなしのためにも、都営地下鉄駅のトイレの利便性や快適性を高める取り組みを一層推進していく必要があります。例えば、温水洗浄便座の外国語案内も行った方がよいのではないかと考えます。
 そこで改めて、トイレのグレードアップに関する取り組みについて、現在の進捗について伺います。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、外国人旅行者を含め、全てのお客様がトイレを快適にご利用いただけるようユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへの改良を計画的に行っております。
 改良の具体的内容といたしましては、一般トイレにおきましても、出入り口の段差解消や手すりや簡易多機能便房を設置するほか、鏡と荷物棚を備えたパウダーコーナーの整備などを進めております。
 昨年度は、三田線高島平駅及び志村三丁目駅でトイレのグレードアップを実施し、簡易多機能便房や和式トイレの洋式化などを行っております。これらに加え、温水洗浄便座につきましては、今年度、一般のトイレで初めて新宿線曙橋駅へ設置する予定であり、東京二〇二〇大会までに、大江戸線環状部とその内側にある駅を中心に整備を進め、できるだけ早期の全駅整備を目指します。設置に当たりましては、外国人旅行者が容易に操作できるよう、多言語表記の操作説明ラベルを見やすい位置に掲示いたします。
 今後も、全てのお客様にとって利用しやすいトイレの整備に努めてまいります。

○加藤委員 開催二度目となる二〇二〇年大会においては、質の部分においても、世界一の都市を目指していかねばならないと考えます。トイレの質向上はバリアフリーの考えを進め、暮らしの質の向上につながっていくと思います。交通局の今後の取り組みに期待をいたしまして、質問を終わります。

○米倉委員 都営地下鉄のバリアフリーについて二点伺います。
 一つ目は、肢体不自由の方が利用する大型ベッド、おむつ交換シートの設置についてです。
 社会参加をする際、外に自由に出かけるためにはトイレの存在は欠かせません。今、年齢や性別に関係なく、車椅子の方、人工肛門などをつけているオストメイトの方、赤ちゃん連れの方、妊婦さんなど、誰もが使える誰でもトイレの普及が進んでいます。このトイレの中には、腰かけるためのベンチや赤ちゃんのおむつかえシート、ベビーチェアやオストメイト対応設備などの設備が設置されています。
 都営地下鉄では、全ての駅で誰でもトイレが整備されています。しかし、大人も使える六十センチ掛ける百五十センチほどの大型のおむつ交換シートについては、都営地下鉄を含めた鉄道駅でも、また多くの公共民間施設についてもまだまだ設置が進んでおりません。そのため、肢体不自由の方やその家族の方にとっては外出がしにくくなっております。
 肢体不自由のお子さんをお持ちの方は、子供が小さいときは、すぐにおむつがぬれてしまう、そうなると、車の中でしようがなくおむつをかえるか、トイレの中に簡易マットを敷いて、床に寝かせてかえることになると話してくださいました。
 外出の前には、どこにおむつ交換シートがあるかチェックしてから外出するのが習慣で、トイレがあるとわかっているところにしか出かけることができない、駅に設置されれば、駅でおむつをかえようとなるということでした。ですから、おむつ交換シートは、急いで都内の各施設に設置していくことが求められていると思います。
 そこで伺いますが、肢体不自由者が利用するおむつ交換シートの重要性をどう認識していますか。また、現在の整備状況について伺います。

○谷本技術管理担当部長 国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編におきましては、重度障害のお客様のおむつがえ用等におむつ交換シートを設置することが望ましいとされており、都営地下鉄では、地下鉄の限られた空間の中で、現場の状況に合わせ改修の機会を捉えまして、誰でもトイレにおむつ交換シートの設置を進めております。
 おむつ交換シートの整備状況につきましては、新宿線新宿三丁目駅や市ヶ谷駅など新宿線九駅及び大江戸線東中野駅の誰でもトイレに設置しております。

○米倉委員 ガイドラインでも、おむつ交換シートを設置することが望ましいとされていることで、それに基づいて都営地下鉄では、全部で十駅、おむつ交換シートを設置されているということでした。今、お話伺っていまして、その十駅のほとんどが新宿線となっております。なぜ設置が新宿線に多くなっているのでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 地下鉄駅は、一般的に、駅構内が狭隘で、トイレのスペースも限られております。おむつ交換シートは、標準的な誰でもトイレよりも広いスペースを必要とするため、比較的駅構内が広く、レイアウトの自由度が高い新宿線九駅に設置してきたところでございます。

○米倉委員 新宿線には、スペースの条件がある駅が多いということですね。
 では、今後はどのように、おむつ交換シートを設置していくのかを伺います。

○谷本技術管理担当部長 現在、交通局では、トイレのグレードアップなどを進める中で、さらなるバリアフリー化にも取り組んでおり、おむつ交換シートにつきましても、設置スペース等を勘案し、設置していくこととしております。

○米倉委員 今、交通局として取り組んでいらっしゃるトイレのグレードアップなど、改修を進める中で、おむつ交換シートを設置していかれるということでした。そして、設置スペースを勘案して設置をされていくというお答えだったのですけれども、それでは、既存トイレの面積が狭い場合、ベッドを設置するためにもトイレの面積の拡充の検討が必要だと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 地下鉄駅は、一般的に駅構内が狭隘であり、トイレのスペースも限られております。また、トイレの設置面積を広げるためには壁の撤去が必要でございますが、地下鉄の構造壁の撤去は不可能でございます。このため、トイレ全体の面積の拡充には限界がございます。
 こうした中でも、トイレ内のレイアウト変更を伴う大規模な改修を行う際には、活用可能なスペース等を勘案し、誰でもトイレに十分なスペースを確保できる場合には、おむつ交換シートの設置を進めてまいります。

○米倉委員 トイレ内のレイアウトの工夫とあわせて駅構内に活用可能な空間がある場合、積極的に設置を進めていただきたいと思います。
 トイレ内におむつ交換シートを設置していくこととあわせ、おむつ交換シートがどの駅に設置されているのか、わかるように周知していくことも大切です。
 私は、今回、複数の方に、トイレ内のおむつ交換シートが都営地下鉄内にあることをご存じかと伺ってみました。誰も都営地下鉄の中にあるということを知りませんでした。おむつ交換シートが設置されているトイレがどこにあるかについて、ホームページや駅でも−−この駅というのは、例えば、誰でもトイレのドアにステッカーを示すなどということを含みますが、こういうふうに知らせることが必要だと思いますが、見解を伺います。

○谷本技術管理担当部長 駅のエレベーターやエスカレーター、トイレのバリアフリー機能などの情報につきましては、現在、ホームページの駅立体図などで提供しているところでございます。おむつ交換シートなどの設備につきましても、今後掲載していくこととしております。また、駅におきましても案内サインにより表示していく予定でございます。

○米倉委員 事前に、トイレの場所が、また、おむつ交換シートがあるということがわからなければ利用ができませんので、早期に情報提供を行うよう要望しておきます。
 次に、視覚障害者にとって利用しやすい駅にしていく観点で幾つか伺います。
 初めに、トイレの音声案内についてです。
 視覚障害者は、トイレがどこにあるか、駅構内を見渡し知ることができません。また、利用したことがある駅であっても、大体のトイレの位置はわかるにしても、正確にトイレの位置がわからず苦労されることも多々あります。そのため、トイレの位置を知らせる音声案内は重要ですが、これについての都の認識を伺います。また、トイレの音声案内の設置状況についてもお示しください。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 目の不自由なお客様にとりましても、トイレの位置をわかりやすくするよう点字や音声などで案内が必要であると考えております。このため、改札口付近にトイレの位置を示す触知案内図を、また、トイレの入り口付近まで、目の不自由なお客様を誘導するブロックを全ての駅で整備をしております。
 トイレの入り口付近には、音声案内装置の整備も進めており、交通局が管理する地下鉄駅にございます百十四カ所のトイレのうち、現在三十二カ所に設置をしております。

○米倉委員 音声案内は、視覚障害者にとって必要なものであり、現在、全体の約三五%のトイレの入り口に音声案内が設置されているということでした。
 では、今後はどのように音声案内を増設するのでしょうか、いつまでに全ての箇所に設置する予定か伺います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 トイレの音声案内装置につきましては、経営計画二〇一六に基づくトイレ改修時等に順次整備をしているところでございまして、平成三十三年度までに、新たに五十六カ所に整備をする予定でございます。全駅への設置予定でございますが、現時点では未定でございます。

○米倉委員 改修のタイミングを捉えて、音声案内を設置していくということでした。
 トイレの音声案内について、これは改修待ちにせず、独自に早期に設置していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 トイレの音声案内装置の設置には、電源工事や天井内の配線工事などが必要でございまして、トイレ改修時に合わせて効率的に順次整備を行っていくこととしております。

○米倉委員 視覚障害者にとっては、このトイレの音声案内というものは非常に重要な施設となっております。整備を早期に進めていくということを重ねて要望しておきます。
 次に、ホーム階段の鳥の声、音声案内についての設置状況を伺います。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましては、視覚障害のお客様にも安心してご利用いただけますよう、ホーム上の階段に、鳥の声による誘導チャイムを、現在、二百八十六カ所中二百二十四カ所に設置をしております。

○米倉委員 鳥の声による案内は、長年、視覚障害者の皆さんが要望されてきたもので、交通局はその声に応えて設置を進めてこられたと聞いております。
 視覚障害者の皆さんからお話を伺いますと、この音声案内がついた駅では、ホーム階や改札階から移動する際に、どの方向に階段があるのかを知る大きな手がかりになるもので、非常に役に立っていると伺っています。また、それだけでなく、自分がどちらの方向を向いているかを知る手がかりになるということでした。
 特にホームでは、自分が向かう方向や乗りたい電車の乗り場がどちらの方向かわからなくならないように非常に神経を使うと伺っています。ですから、視覚障害者の皆さんは、そうしたホームドアがまだ未設置の駅が多く都内にも残されているのですけれども、そうした中で、ホームで自分の方角に気をとられる中でホームから転落するケースが多いと伺っています。ですから、そうした方向についてのストレスが減るということについて、また、交通局が音声案内の設置を促進されているということを、皆さん本当に喜んでいらっしゃいます。
 音声案内が未設置の階段は約六十カ所となっていますが、今後どのように整備していくのでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 ホーム上の階段の誘導チャイムにつきましては、経営計画二〇一六に基づき整備を進め、東京二〇二〇大会までに完了することとしております。

○米倉委員 全ての階段に音声案内を設置していくということは非常に大切なことだと思います。
 二〇二〇年五輪までに、全箇所に設置するという目標をぜひとも達成されるよう要望しておきます。
 次に、ホームドアの側面に張ってある点字の案内について伺います。
 これは、それぞれのホームドアが何両目の何番ドアなのか、またどこへ向かう電車の乗り場なのかを示しているシートです。各鉄道会社によって、点字案内を張っている位置などに違いはありますが、都営交通では、ホームドアの点字案内は、ドアの左端そばの側面一カ所のみに張っています。しかし、視覚障害のある皆さんは、自分がドアの左側にいるのか、それとも右側にいるのかは、ホームドアを実際にさわってみるまでわかりません。
 右端そばにも設置することを求めますが、いかがですか。また、点字案内をホームドア側面ではなく上部に設置することを求めますが、いかがでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 ホームドアの両側への点字シートの貼付につきましては、順次、改善を図っていくこととしております。
 都営地下鉄におきましては、現在、ホームドアの側面に貼付しておりまして、お客様にも定着をしていることから、現時点では上部に貼付することは考えておりません。

○米倉委員 ホームドア両側に点字の案内を設置されるということで、早期に進めていただきたいと思います。
 点字案内のシートをどこに張るかについては、他の鉄道会社では、ホームの上部、上の方に張っているところもあります。ホームドア上部に点字案内シートを張ってほしいという要望も、どうして出てくるかといいますと、ホームドア側面にこのシートが張ってありますと点字が読みにくくなると。大人の方ですと、少し膝を曲げてかがんだ方が、点字を読む角度として読みやすくなると。ですから、上部にシートが張ってあれば、そういうことをせず立ったまま楽に点字が読み取れるんだということがあります。
 今後、このホームドアの案内シートについては、壁側側面なのか、それとも上部なのか、張る場所の統一化というものも、もしかしたら各鉄道会社で統一していくということもあるかもしれませんが、どちらにしても当事者の意見を聞きながら進めていただきたいと思います。
 最後に、新御徒町駅のホーム上の点字ブロックについて伺います。
 新御徒町駅のホームにある点字ブロックは、階段からホームドアへ誘導する点字ブロックが二回も直角に曲がっております。数歩歩くと方向転換を九十度迫られることになり、視覚障害のある方にとって方向感覚がわからなくなると、視覚障害者団体の方から声が上がっています。
 誘導をシンプルに、一回九十度曲がるだけでホームドアへ誘導できるよう改善を求めますがいかがですか。

○谷本技術管理担当部長 視覚障害者誘導用ブロックにつきましては、バリアフリー整備ガイドライン旅客施設編に基づき設置しており、同ガイドラインでは、誘導する方向を変える場合には、直角に誘導ブロックを設置するよう図示されております。このため、経路上に障害物がある場合には、障害物を避けるために複数回直角に曲がる形で敷設しております。
 お話の新御徒町駅につきましては、現地の状況や利用実態を把握した上で検討することといたします。

○米倉委員 ぜひとも、視覚障害者の皆さんが使いやすい形に改善されるよう要望をしておきます。
 私も、この駅の点字ブロックについて視覚障害者団体の方と一緒に現地を確認しまして、点字ブロックの誘導を複雑にしないで階段とホームの間を、どのような形でならば視覚障害者にとってわかりやすく歩くよう誘導できるか検証してきました。
 その中で感じたことなんですけれども、バリアフリー対応の施設については、ガイドラインはあるんですが、しかし、その箇所が少し複雑な形状であったり、また床に傾きがあるような箇所については、視覚障害者や肢体不自由の方など、さまざまな団体の方の意見を伺うことは大切だと感じています。
 この新御徒町駅の点字ブロックについても、私も実際に行きまして、目が見えている人にとっては何が問題になっているか、なかなかわかりにくいところでした。ですから、今後、点字ブロック設置などバリアフリー対応の施設を整備する際には、こうした複雑な形状になる場合、当事者から意見を聞いたり、現地で立ち会いして要望を伺うなどの場を設けることが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 交通局ではこれまでも、障害者団体と定期的な意見交換を行っており、施設等の改修に当たりましては、引き続き障害をお持ちの方を初めとするお客様のご意見を参考に適切に対処してまいります。

○米倉委員 今後とも、駅を利用される方々の意見を丁寧に酌み取って、施設整備に反映していただきたいと思います。このことを要望して、私の質問を終わります。

○田中委員 私からは、まず都営地下鉄の混雑対策についてお伺いをいたします。
 ことしの夏の都知事選挙では、小池都知事が満員電車ゼロを公約の一つに掲げて都知事に就任をなさいました。その中で出ていた二階建て車両の導入案というのは、地下鉄には無理ですけれども、とはいえ、都営地下鉄においても混雑緩和は重要な使命だと思います。
 そこでまず、現在、都営地下鉄の各路線別において最も混雑している区間についてお伺いをいたします。

○相川電車部長 都営地下鉄各線の最混雑区間でございますが、浅草線は、本所吾妻橋駅から浅草駅間、三田線は、西巣鴨駅から巣鴨駅間、新宿線は、西大島駅から住吉駅間、大江戸線は、中井駅から東中野駅間となっております。

○田中委員 今の混雑区間、交通局としても、こうした混雑区間があることを認識なさりながら、何も対策せず手をこまねいているわけではないと思います。効果のある混雑対策を講じていくには、どれぐらいまでの混雑解消を図るのか、目標とする、目指すべき混雑率を定めて取り組む必要があると考えますけれども、都営地下鉄におけるこれまでの混雑対策の取り組み内容や、また、その効果について伺います。

○相川電車部長 交通局では、毎年、定期的に乗客量調査を実施し、混雑の集中する時間帯や区間の実態を把握しております。その調査結果等を踏まえ、必要に応じてダイヤ改正を行うとともに、混雑率の高い大江戸線や新宿線については車両の増備を行い、輸送力の増強を図ってまいりました。
 これらの取り組みにより、平成二十四年度以降、乗客数が毎年増加している中、混雑率は、浅草線については一二〇%程度、その他三線については、国土交通省が混雑改善の指標としている一五〇%程度となっております。

○田中委員 地下鉄の混雑対策といっても、これ地下鉄だけではなくて電車全般にいえるところですけれども、一旦、混雑率がさまざまな対応をして下がったとしても、沿線地域の大規模開発があって、また混雑率が上がったり、地域の環境の変化に大きく影響を受けることもあると思います。
 一朝一夕に劇的な効果を継続して上げられるものでもないだろうとは思いますけれども、とはいえ、だからこそ時期を逸することなく適切な対応が必要だと考えますけれども、都営地下鉄における今後の混雑対策、どのようなことをなさっていくのか、お伺いをいたします。

○相川電車部長 今後の混雑対策といたしましては、大江戸線については、近年、乗車人員が急増しており、今後も臨海地域等の開発による需要増加が見込まれるため、平成三十年度中に三編成を増備することとしています。新宿線につきましては、車両更新に合わせて、八両編成から十両編成に輸送力を増強することとしておりまして、平成二十九年度は五編成を十両編成化いたします。今後とも、乗客数の動向などをきめ細かく把握し、混雑緩和に取り組んでまいります。

○田中委員 今おっしゃったとおり、大江戸線などは、もう今東京の中でも最も人気のある路線となって、非常に混雑率も高くなっている時間帯もあります。今、東京メトロの方では、東京の路線の中で、混雑率ワーストといわれる東西線などでは、混雑緩和のためにホーム増設など駅の大規模な改良工事、また列車の増発なども行われていますし、日比谷線や半蔵門線では、信号設備の改良−−信号を効率的に使って混雑しないように早く動かすということですね、さまざまな混雑対策が行われています。また、地下鉄本体だけでなく、駅構内の混雑緩和の取り組みというのも、ラッシュ時にはこれから必要だと思われます。ぜひ新しい知事の公約にもあることですし、都営地下鉄においても、利用者の立場に立った積極的な混雑対策に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都営地下鉄の終電時間についてお聞きします。
 多くの都民が感じていると思いますけれども、都営地下鉄は、終電時間の設定が、他社線と比べて早いのではないでしょうか。知人からもたびたびそのことを指摘されることがありますけれども、例えば、都心部での会合や残業の後、都営地下鉄沿線に住んでいる人は、その他の沿線に住んでいる人たちより早く帰宅の準備をしているような印象があります。
 ここは、印象だけで質問するのもなんですので、仮に、新宿駅から東京メトロ各線、あとJR、それから私鉄各線、そして都営地下鉄を使って、それぞれの沿線に帰るときの新宿駅を乗る終電時間をそれぞれちょっと調べてみました。
 これ大体新宿駅から三十分程度の駅を設定しました。そして、ほかの路線が入っていない駅ですね、その沿線だけ。ほかの路線が入っていると、JRとか入っていると終電が遅くなってしまいますので。ちょっと調べてみましたけれども、JRが終電が遅いというのは、皆さんよくご存じだと思います。
 例えば、千代田線で町屋まで新宿から帰るとき、新宿を零時四分。それから南北線で赤羽岩淵まで帰るとき、新宿駅は零時九分。日比谷線で中目黒まで新宿駅から帰るとき、これちょっと近いですけれどもね、零時二十六分。あと、副都心線、これで和光市まで新宿から帰るとき、零時四分。これ、有楽町線は同じ条件で零時九分です。半蔵門線で二子玉川まで帰るときは、新宿発零時二十一分となっています。
 そして、JRや私鉄は本当に遅いですね。中央線高尾まで、これ一時間ぐらい乗っているわけですけれども、零時四十一分。総武線本八幡まで、これも千葉ですけれども、零時二十二分。京浜東北線大宮まで帰るとき、新宿駅を零時二十四分に乗れば帰れます。あと西武池袋線、西武新宿線、これは大変遅くまで動いていますね、私鉄の中では。所沢まで帰るのに、新宿駅を西武池袋線は零時半、西武新宿線が零時三十六分。小田急線で町田まで帰るのに零時三十八分。京王線で聖蹟桜ヶ丘まで帰るのが零時三十三分。田園都市線たまプラまで帰るのが零時十六分と。いずれも、零時をかなり超した時間に新宿駅を乗れば、最終電車に乗って自宅まで着くということになっております。
 都営大江戸線は、これはかなり遅いですね。光が丘まで帰るのに新宿駅零時四十六分ですけれども、残念ながら、ほかの都営三田線、浅草線、新宿線、これは、いずれも二十三時台に新宿駅を乗らないと終電では間に合わない。都営三田線で西高島平まで二十三時五十五分。浅草線本所吾妻橋駅まで二十三時四十七分。これ、一つ先の押上に帰るには零時でいいんです。これは、半蔵門線が入っているからなんです。それから都営新宿線船堀、これが二十三時五十九分。
 JRや私鉄と比べて地下鉄が終電が早いというのはお聞きはしていますけれども、これ東京メトロと比べても一本分ぐらい、ちょっと終電が早いのかなという感じを受けました。
 もうあと一本ぐらい終点が遅かったら、ちょっといいかなという感じだと思いますけれども、そこでまず、都営地下鉄における現在の終点時刻の設定の考え方についてお伺いをいたします。

○相川電車部長 都営地下鉄では、輸送の安全を確保する上で、トンネルや線路などの検査、点検業務を初め、維持補修等の保守作業や改良工事などを深夜の限られた時間内に行う必要があり、終電時刻については、そうした制約がある中で可能な限り遅く設定をしております。

○田中委員 終電時刻の設定というのは、まさしくお客様サービスの一環ではないかと考えます。そしてまた、それとあわせて、こちらも、よくいろんなご要望をいただくんですけれども、都営地下鉄の終電における他社線との接続に関して、他社線が夜、終電近くで混んでいるときは、ちょっとおくれてきたりするときがありますけれども、多少の遅延があるときなどは、発車を待ってくれるような措置も乗客にとっては非常に必要なのではないかと思います。
 都営地下鉄の終電時間が、先ほど申し上げたように少し早いことから、乗り継ぎに間に合わないということがありますと、大変遠回りをして、遠い駅から、最後タクシーで帰らなければ帰れない、都営地下鉄沿線の方々から、この問題に関して本当にいろいろな意見をいただくことが多いです。
 現在、都営地下鉄の最終電車について、他社線との接続をどのような考え方に基づき設定しているのか、まずお伺いをいたします。

○相川電車部長 最終電車につきましては、夜間の保守時間を確保した上で、可能な限り遅い終電時間の設定を行っており、その範囲で他社線との接続が図られております。
 都営地下鉄は、多くの路線とネットワークを形成しており、他社線との接続を個々に調整することについては限界がございますが、今後も関係各所と連携をとり、適正な電車運行に努めてまいります。

○田中委員 今ご答弁にあったとおり、可能な限り遅い終電時間の設定を行っているということでしたけれども、先ほども申し上げたとおり、都営地下鉄の終電時刻については、他社線、それも東京メトロのほかの電車に比べても明らかに早いわけです。
 今、交通局の経営計画二〇一六には、東京二〇二〇年大会の主要な競技エリアは、都営交通の事業エリアと重なっており、都営交通は、大会期間中の輸送の主力を担うことになっているとあります。これから、二〇二〇年東京大会に向けて、この東京大会では、深夜に及ぶ競技日程なども必ず出てくると思いますけれども、輸送対応に関して今の終電時間のままでいいのかということは必ず検討しなければならないと思います。
 もし、なかなか、一足飛びに終電時刻をおくらせるということができないならば、例えば、年末の忘年会シーズン、皆さんちょっと遅くまで飲んだりなさるわけですから、忘年会シーズンだけ終電を増発する、もう一台増発するとか、柔軟に考えれば、いろいろ工夫の余地はまだあると思います。
 先ほども申し上げましたけれども、終電時刻の設定というのは、お客様サービスの一環です。ぜひ、終電時刻の繰り下げ、それを前向きに検討して、そして積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○塩村委員 まず、私の方からは、駅の空間デザインについて質問をいたします。
 都営交通は、安全・安心にお客様に目的地まで行っていただくということが大前提ではありますが、快適性や利便性もあわせて重要です。東京の地下鉄の乗りかえは大変に複雑で、地方から東京に来た方などは難しいという方も多い状態です。そして二〇二〇年を控えて、外国人のお客様も増加をする中、わかりやすい乗りかえ案内を、ハード、ソフトの面、両面で整備をしていくことが重要であり、さらに、おもてなしの観点からいえば、清潔感や視認性だけではなく、デザイン性に富んだ駅空間を創造していくことが望ましいと考えています。
 そんな中、私が興味を持ちましたのは、私も利用しております東急線の駅構内における床面の案内ラインを含めた駅の空間デザインです。渋谷駅など、乗りかえがとても複雑な駅構内であっても、路線にリンクをさせた色とデザインで、確実にお客様を誘導できるつくりになっており、同時に駅空間の向上にもつながるデザインとなっています。
 まず、都営地下鉄駅構内における床面デザインの案内ラインについて、その設置状況と設置に当たっての考え方についてお伺いをいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましては、お客様に対しまして、出入り口や乗りかえ路線などをわかりやすく案内するため、従来から旅客案内標識設置マニュアルに基づきまして、駅構内の通路上部や壁、柱などに案内サインを設置しております。それに加えまして、床面の案内といたしまして、エレベーターの位置がわかりにくい駅には誘導する案内ラインを、また、乗りかえ駅におきまして、路線カラーなどを活用した乗りかえ路線への方向がわかるサインを設置するなど、お客様がよりスムーズに移動できるよう、サインの充実に取り組んでおります。
 今後とも、お客様のご意見等も踏まえながら、わかりやすい案内サインの整備を進めてまいります。

○塩村委員 先日、ある駅で、都営の床面の案内ラインを見てまいりました。東急線と比べてはいけないかもしれないんですけれども、比べてしまうと一目瞭然の差があるわけですね。お客様を確実に案内をするという目的は十分に達成はできているのかと思いますが、デザイン面では、そぐわないといいますか、ちょっと残念だなという印象を受けました。
 東急では、駅の空間づくりに当たって、きっと駅ごとにコンセプトを持っていると考えられます。例えば、駅の空間づくりの一環としまして、都内で生産される多摩産材の木材を利用したリニューアル工事をある駅で進めているというふうに聞いています。
 そこで、都営地下鉄における駅空間のつくり方やデザインのあり方について、駅の改良工事に際しまして、どのようなコンセプトを持って臨んでいるのかをお伺いいたします。
 また、先ほどの質問と重なってしまい少し恐縮なんですけれども、改良工事の際に、しっかりと誘導のサインを見直していただけないか、再度お伺いをいたします。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄は、開業五十年を迎え、この間に駅を取り巻く周辺環境も大きく変革する中、安全性、利便性や機能性の向上とともに、魅力的な駅づくりが求められております。このため、駅の安全対策やバリアフリー化を進めるとともに、駅周辺の環境や地域のまちづくりと調和を図りながら駅のリニューアルを進めることとしております。
 具体的には、大規模改修を進めている神保町駅につきましては、古書店街という地域イメージを、日比谷駅につきましては、皇居周辺のオフィス街のイメージを、駅デザインのコンセプトとしております。また、浅草線につきましては、東京と世界を結ぶ地下鉄というトータルコンセプトに基づきリニューアルを進めてまいります。
 なお、床面の案内サインにつきましても、日比谷駅や神保町駅も含め、大規模改修の際には、必要に応じて見直しを行うこととしております。

○塩村委員 ありがとうございます。私が見てきたのは、まさに神保町の駅でございました。大規模改修などで先進的な鉄道事業者さんに負けまいと努力をしていることがわかりました。
 こうした改修の際に、しっかりと、さきに要望している案内ラインなどを織り込んだ駅づくりをして、乗りかえがとても複雑だといわれている東京の地下鉄のイメージを都営から一掃していただきたいというふうに思います。
 さて、これまで視覚的なデザインの観点から質問を行ってきましたが、今度は、聴覚に訴える駅空間のデザインについて提言を行ってまいります。
 駅では、発車の際に、さまざまなベルや音声が流れます。例えば、JR蒲田駅では、蒲田行進曲だったり、東京臨海高速鉄道りんかい線東京テレポート駅では、踊る大捜査線だったり、小田急線登戸駅では、アニメ、キテレツ大百科のはじめてのチュウだったり、ドラえもんの歌だったり、そのほか、例を挙げれば切りがないほどです。また、有名な曲の発車メロディーだけではなく、楽曲以外の発車の音、メロディーという駅もあります。有名な歌などではなく、しかしそのメロディーを聞けば、あ、何々線だとか、何々駅だと親しまれているような発車時のサウンドが多々あります。
 そこでお伺いたします。二〇二〇年に向けて、観光客が増加をしている中、他社同様に、お客様に親しんでもらえるような発車メロディーに見直していくなど、さまざまな工夫を凝らして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えるべきだと考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 他の鉄道事業者におきまして、利用者の駅に対する親近感の醸成などを目的として、駅のある地域や周辺施設にちなんだ著名な楽曲などを列車の発車を知らせるメロディーに使用していることは承知をしております。
 こうした発車メロディーにつきましては、利用者におきまして、さまざまな意見があることや列車運行への影響、放送設備の改修などの課題があることから、引き続きお客様のニーズや他の鉄道事業者の実施状況などを見きわめつつ、その影響や効果について研究をしてまいります。

○塩村委員 研究をしているということは、ある程度前向きに考えているということがうかがえます。オリンピック・パラリンピックまでは四年を切っております。皆様に定着するということを考えますと、ある程度早い方がいい、期限を切るということも必要だと思いますので、早目にめどをつけていただきたいというふうにも思っております。
 次です。先般、JR、東急、メトロが三社共同でアプリ連携を開始いたしました。アプリはつながるどこまでもとプロモーションを行っており、皆さんもご存じかもしれません。これは三社で、列車の走行位置と時刻表のアプリの連携をしているというものであり、なかなか便利でシームレスに相互がつながるというのも評価ができます。
 この三社の連携に、なぜ都営交通が入っていない、都営地下鉄が入っていないのかと思い調べてみたところ、数年前まではアプリを持っていたということではございますが、現在は、残念ながら配信を中止してしまったと聞き、がっくりときているところでございます。
 何でも監査で指摘されたのが原因だそうですが、今アプリがない方がどうなのかなというふうにも思ってしまいます。これはアプリの内容が問題、充実性がなかったというのが問題なのかもしれません。アプリ自体が問題だったとは思えません。時代の流れからいけば、ちょっと早過ぎたということかもしれませんが、早目に始めたのであれば、先進事例として先鞭をつけていただきたかったというふうにも思います。
 さて、その従前の地下鉄アプリにあったコンテンツは、現在は、ホームページやスマホ版のホームページでカバーができているというふうに思いますが、そのホームページ自体も、外国人観光客が増加をしてきている中、多言語対応やアクセシビリティーはもちろんのこと、豊かなデザイン性も求められています。チェックをしてみたところ、情報はとても多いのですが、それなりにしっかりとまとまっている印象も受けますが、実際に使用してみると多々気になる点も出てきます。
 交通局が認識をしている現在のホームページの課題をお伺いいたします。

○土岐総務部長 交通局のホームページにつきましては、都民や利用者に局事業等を紹介するため、平成十一年四月に開設し、以来、都営地下鉄や都営バス等の運行情報の配信、四言語による多言語対応、スマートフォン対応など、新たなコンテンツの追加やリニューアルを適宜行い内容の充実を図ってまいりました。
 現在の主な課題といたしましては、視覚障害者に対するアクセシビリティーへの配慮が必要であること、日本語ページにおきまして情報量が多くメニュー構成が複雑であること、外国語ページの情報が乗車案内、路線図など必要最小限にとどまり、かつスマートフォンやタブレットに対応していないことなどが挙げられます。

○塩村委員 ありがとうございます。IT分野の進化は目覚ましいですから、そのスピードとホームページの改修とが、しっかりと歩調を合わせていっていただきたいというふうに思いますし、今お聞きしたところによりますと、数々の課題を認識されているということが確認できました。その課題の数も結構ありますので、これを機に、ホームページの大幅な見直しなどが必要であるというふうに考えられます。
 交通局は、これらの課題をどのように改善していくのか、お伺いをいたします。

○土岐総務部長 現在、ホームページにつきましては、現行の課題を踏まえまして、年度内を目途にリニューアルに向けた準備を進めているところでございます。その内容といたしましては、各ページともデザインを刷新して視認性を向上させるとともに、新たに音声読み上げソフトを導入し、アクセシビリティーにも配慮した機能を取り入れていくこと、また、わかりやすいメニュー構成への変更やサイト内検索機能などを強化するなど、操作性についても向上させていくこと、さらに、外国語ページではスマートフォンやタブレットに対応するとともに、時刻表や駅周辺図等の各駅情報を新たに掲載するなど、外国人利用者にも配慮した改善を図っていくことなどでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。しっかりと改善点を認識しまして、必要な情報にアクセスしやすく、視認性や操作性を高め、年度末までには改善をしていくということが確認できました。
 特に、音声読み上げソフトの導入は高く評価をさせていただきます。一人でも多くの方のお役に立ち、利用しやすい都営交通であるために、今後も、ホームページなど必要な改善にはしっかりと対応していただきたいというふうにお願いをいたします。
 次です。アプリに関連してですが、やはりアプリはお客様を引きつけるものであり、JR東日本のアプリを見てみますと、山手線の列車走行位置の情報のほかに、それぞれの車両ごとに混雑率を確認することができます。とても便利な機能だというふうに考えていますが、都営地下鉄では現在そのようなお知らせはどこにも見当たりません。
 そこで、都営地下鉄において、各車両の混雑率をお客様にお知らせをする仕組みが、今なぜできないのかをお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 委員お話しのサービスは、山手線トレインネット、列車情報のことでございまして、JR東日本では、平成二十六年から山手線全列車の走行位置、混雑状況等をお客様にお知らせしているものでございます。
 このサービスでは、リアルタイムで測定した各車両の重量に関するデータを混雑率に換算した上で、無線により車両から地上に送信し、データサーバーに集め、お客様の携帯端末に提供しているものでございます。
 現在、都営地下鉄では、車両も地上設備もそのような仕組みとなっていないことから、同様のサービス提供は困難でございます。お客様の利便性向上のため、今後もお客様のニーズや他社の動向等を注視してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。リアルタイムで混雑率がわかるというのは、お客様にとって大変に便利です。ふだん利用しない路線だったり、例えば、コンサートやスポーツ観戦終了後に混雑率がわかれば、混雑などを避けて友達などとともに食事を楽しんだりして帰路につくこともできます。
 JRでは、車両の重量から混雑率をはかるとのことで、都営地下鉄の車両では、そうしたシステムを持っていないとのことですから、今は難しいということはわかりました。
 しかし、車両重量という方法だけではなく、今後はセンサーだったり違う技術での導入は可能だというふうに思います。可能であれば、そうした方法での混雑率をお知らせするサービスの導入の検討をお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、車内の空間について質問をいたします。
 最近、ほかの民間の鉄道事業者の網棚、これ荷棚という事業者もあるようですけれども、網棚が大変にきれいで、ガラス製の網棚も採用されています。メトロではきれいな細工の入った江戸切り子ガラスを採用しており、後ろのLEDライトの光源によってきれいに模様が広がり、海外や地方の旅行者の方に、東京の伝統工芸のPRになっているというふうにも感じます。
 また、機能の面からいえば、網棚に置いた荷物に入っていた飲み物のふたが緩んでいたのか、私はコーヒーをかぶったこともありますし、逆に網棚に置いておいた荷物の中からお茶がこぼれて、下に座っていた方に迷惑をかけてしまったということもあります。小さなごみが落ちてきたという話も聞いたことがございます。網棚にすき間があれば、これは当然発生し得ることです。こうした小さな危険という視点はもちろん、デザイン性の観点からもデザインスペースとして考え、すき間のない網棚の方が安全性も高まるというふうに考えられます。
 そこでお伺いしますが、都営地下鉄の網棚は、どのような仕様になっているのでしょうか。また、その仕様を設置をした考え方についてお伺いをいたします。

○野崎技術調整担当部長 都営地下鉄では、全ての車両で荷棚を金属製のパイプ形状としており、最近導入している新型車両には、誰もが利用しやすいよう低い荷棚を優先席などに設置しております。一般的に、荷棚には、網形状、パイプ形状のものがあり、最近では透明な板などを採用している事業者もありますが、当局では、使用時にほこりが付着しづらく、清掃もしやすいこと、また、ごみなどを放置されにくいパイプ形状の荷棚を採用しております。
 今後も引き続き、より安全で快適な車両空間の創出に向けて、他社等の採用事例等を研究してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。荷棚を低くしているというのは、女性にも使いやすいということでとてもよいと思います。
 都営地下鉄では、全ての車両で金属製のパイプ形状としているとの答弁でしたが、確かにお掃除の面では有効だと思いますが、視点を変えて考えてみるといかがでしょうか。
 まず、荷棚が透明ですと、圧迫感をそんなに与えないというふうに感じます。そんなお客様の視点で採用した事業者もあります。
 また、先ほど液体がかばんからこぼれた話をしましたが、少し違う角度の安全面から考えてみたいと思います。
 昨今は、世界中でさまざまなテロが発生をしており、日本人も人ごとではないと警戒をしている人も出てきております。ですから、床に置いていかれたような不審物には、皆さんすぐに気づくようになってきているというふうに思います。
 一方で、荷物を置いて着席をしたり、混雑をした車内では網棚に荷物を置いて下車をしても、すぐさま不審物というふうに気づかれにくい網棚は狙われやすいというふうにもいう人もいますし、感じるところでございます。
 過去には、液体を化学反応させて危険な物質をつくるようなテロもありました。こうした大がかりなテロではなくても、愉快犯のようなテロが液体を使うことも十分に考えられ、そうした場合には、やはりすき間のない板状で透明な荷棚が有効であると考えられます。メトロなどでは既に対応ができておりますので、こうした手法で狙われるとしたら、地下鉄では都営となってしまいます。
 掃除がしやすいからとか、デザイン性だけではなく、さまざまなことをお客様の安全・安心のために、今後、総合的に考えていただくこともお願いしておきたいというふうに思います。
 次です。平成二十八年度第一回の、こちらの公営企業の委員会の質問で、路線バスへのコンセントの導入を要望しておきました。スマホなど充電用として、お客様にとって利便性の向上につながるから質問をしたものでございます。既に西東京バスでは導入され、SNSでもうちの路線のバスにコンセントついている、超便利と投稿されている様子がまとめサイトでも紹介されており、お客様にも好評のようです。
 質問時の答弁は、適正な設置方法や整備について検証を行いますというものでした。その後の電源つきバスの導入に向けた現在の取り組み状況と実現の可能性についてお伺いをいたします。

○根木自動車部長 本年十月から、委員お話しのスマートフォンやタブレット端末向けの充電器を取りつけたバスの実証実験を開始いたしました。この実験では、都営バスの特徴である、乗りおりが多くお客様の乗車時間が短い中で充電が可能か、また、混雑している車内で充電コードがほかのお客様の迷惑とならないかなどの検証を行っているところであり、この実証実験の結果も踏まえ、今後の展開について検討してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。コンセントではなく、USBケーブルを設置したと聞いております。
 主に都市部で走行する都営バスには、外国人観光客の方の割合も多いと考えられますので、そうした意味では、コンセントというよりは、USBの方が利便性が高いというのは納得できます。設置位置も含めまして、さまざまな角度からお客様が利用しやすい形態を考えていただき、既に他社が導入もしておりますし、都営バスも早期の導入に向けて進めるよう再度の要望をお願いをしておきます。
 次の質問に移ります。先般、東京メトロ銀座線青山一丁目の駅におきまして、視覚障害者の方が盲導犬を利用しながらの歩行中に、ホームから転落をして死亡する事故が発生をしてしまいました。大変に悲しい事故であり、私もどうしたらあの事故が防げたのかと考え、盲導犬関係の協会などに視察などに行き、意見交換を行ってまいりました。
 国土交通省も、この事故を重く見て、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を事故直後に開催をして、その後も回を重ねています。会議には、主要な鉄道事業者が参加をし、障害者団体からもヒアリングを行っているとのことでございます。交通局からも、この会議に参加をしていると聞いておりますが、行政の一翼を担う東京都交通局の発言は、こうした会議で一目置かれているのではないでしょうか。
 そこで、この国土交通省の会議では、どのような議論が行われているのか。また、交通局から出席をしている幹部は、この会議での議論の内容をどのように都営地下鉄の安全対策に生かしていこうと考えているのかをお伺いいたします。

○裏田安全管理担当部長 駅ホームにおける安全性向上のための検討会は、平成二十八年八月に設置されまして、これまでに四回開催されております。その中では、転落事故の概要報告や視覚障害者団体等からの意見発表などを通じまして、ホームドアや内方線つき点状ブロックの整備促進などのハード対策や駅員等による声かけ、監視員等の増配置といったソフト対策などについて議論が進められております。
 検討会における議論を通じまして、視覚に障害のあるお客様が、安全にホームを移動できる環境の整備に当たりまして多くの課題があることを改めて確認いたしました。
 今後とも引き続き、ホームの安全対策の充実に向けまして、ホームドアの早期整備はもちろんのこと、ホームドア設置までの警備員の増配置などハード、ソフト両面から積極的に取り組んでまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。多くの議論を行っていることがうかがえます。
 このような悲しい事故を未然に防いでいくためには、さまざまな対策が必要で、ソフトだけではなく、ホームドアなどハードの面も対策をしていくことが重要とのことで、私もそのとおりだと考えます。
 今部長のご答弁で、多くの課題があることを再認識とありましたが、多くの課題とは具体的には何で、また、それにどう対応していくのかをお伺いいたします。また、あわせて、会議で部長はどのような意見を述べたのかをお伺いいたします。

○裏田安全管理担当部長 検討会におきましては、視覚障害者団体等の方から、ホーム上では、視覚に障害のある方が、みずからの位置や進んでいる方向などを把握しづらいこと、それから積極的に声をかけてほしいといったようなことなどをお聞きいたしました。
 こうした課題を受けまして、ホームドアの早期整備はもちろんのこと、ホーム端の色づけや関係係員への声かけ等の周知、声かけへのご協力をお客様にお願いするポスターの掲出、警備員の追加配置などハード、ソフト両面から引き続きホーム上の安全対策に取り組んでおるところでございます。
 また、検討会におきましては、当局からホームドアの整備状況と今後の計画、駅係員等のサービス介助士資格の取得状況などにつきまして説明するとともに、ホームドア整備に当たっての国の支援を要請いたしました。

○塩村委員 ありがとうございます。確かに、ホームの端に色がついていない駅もあり、それは危険です。早急に実施をしてお客様の安全を高めることをお願いいたします。
 また、声かけポスターですが、数年前から、盲導犬はお仕事中です、話しかけないでということがネットを中心に広まりました。これはこれで事実なんですけれども、どうもこの件で、話しかけてはいけないという印象がついてしまっていることがあるということも、事故を機にあるということがわかりました。
 よくよく考えたら、声かけが有効であるということはすぐにわかるのですが、聞いたことがあると、そういうふうに思い込んでしまうということがあり、私も二、三人の方から、本当は話しかけたらいけないんじゃないのということも聞かれて、ちょっと考え込んでしまった次第でございます。
 ですから、ポスターは大変に有効だというふうに思います。盲導犬を利用している方に対する、危険時に声かけは有効であること、声をかけるときは盲導犬のいない方から、そして危険が迫っているときにストップと大声で伝えることなど、意外と知らないこともたくさんありますので、わかりやすいポスターの掲出を要望しておきます。
 続きまして、車内空間についての質問です。
 JR東日本は、ある電気製品メーカーと共同開発をしまして、山手線内に空気清浄機を部分的に設置したとのことでございます。お肌や髪に優しい弱酸性のイオンという、女性や健康を気遣う人にはうれしいニュースです。密閉された車内の空気の汚れやにおいは、男女を問わず多くの人が気になるものです。車内において、脱臭や空気感染症の予防などの対策をとっていくことは、お客様の快適性にもつながるものであります。
 そこで、都営地下鉄では、車内の空気清浄において、どのような対策をとっているのかをお伺いいたします。

○野崎技術調整担当部長 都営地下鉄の全ての車両では、空調装置にフィルターを設置し、空気中の粉じんを除去しております。さらに、平成二十五年度以降に導入した新宿線の新車十一編成には、脱臭や、より微細な粉じんも除去できる機能を標準装備した空調装置を搭載し、車内の快適性の向上を図っております。今後も、他の路線も含め、車両更新の際には、同様のものを採用してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。特段、お肌や髪に優しかったりするというものではありませんが、脱臭や微細な粉じんも除去できるような空調装置を導入したということで快適性は高まっているというふうに確認ができました。
 JRが採用している空気清浄機と比較をしますと、お肌や髪をケアする、潤いを与えるという女性向きというものよりは、余計なものは除去してしまおうという、取るというマッチョな印象の空気清浄をしているようでございます。一概にどちらがいいというものではありませんので、公共性の高い都営地下鉄は、これでいいというふうに思います。
 今後も、車両更新の際には、こうした脱臭や空気感染症予防対策効果のある空気清浄機を採用するとのことですので、しっかりと推進をお願いするとともに、これも温水便座つきトイレと同様、海外からのお客様へ、一種の日本技術のPRの場にもなるというふうに思います。JRのようにとまではいいませんが、外国人観光客の方に、こうした日本技術の小さなへえを伝えていってほしいと思います。
 次に、ペースメーカーに関する周知についてお伺いをいたします。
 実際に、よく都営を利用するペースメーカーを入れている方と、そのご家族より切実なお願いが届きました。心臓は、ほぼペースメーカーで動いており、万が一ペースメーカーがとまれば、それは即心臓がとまるということを意味します。スマートフォンが普及をした現在、混雑した空間では、常に死の恐怖にさらされているとのことです。
 しかし昨今、電子機器とペースメーカー双方の改良を理由に、病院や公共交通機関、航空機などでも部分緩和という流れになってきています。総務省の指針では、十五センチ以下にならないよう注意を払うことが求められているほか、最新式のペースメーカーであっても、二十センチ前後、これは前だけではなく背面もそうなんですけれども、これでも誤作動につながる可能性があると指摘がされています。
 日常生活ならまだしも、電車やバスの混雑時には、十五センチや二十センチどころか、強目のブレーキがかかったときには、限りなくゼロに近づくという可能性も十分にございます。ペースメーカーを利用している方は、混雑時も、できるだけ優先席付近に乗車するようにして自衛をしているとのことですが、先ほど指摘をしたように、技術の改良から使用が緩和されている昨今、多くの方は、もう大丈夫なんだ、使ってもいいという誤解や認識不足が広まってしまい、かえって今の方が恐怖を感じているという状況だということです。
 また、外国人観光客の方もふえており、結果的に、電磁波の危険を全く知らない外国の方が悪気なく携帯やスマホを使用しており大変に危険だというふうに訴えてきました。つまり、鉄道事業者が案内をしているようでも、必要としている方々に届いていないという現実があり、私自身もステッカーの掲出の少なさや、英語のアナウンスもないために、命を守る都営交通であるために改善が必要と判断をしまして、昨年度末から今年度の初めにかけて、局に多言語ステッカーの掲出や英語アナウンスについて強い要望をさせていただいた次第でございます。
 その後、どのように都は取り組んだのか、交通局は取り組んだのかをお伺いいたします。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 現在、都営地下鉄におきましては、優先席付近では、混雑時には、携帯電話の電源を切るように車内放送等でお願いをしているほか、車内の優先席付近に、日本語に加え、英語、中国語、ハングルの四言語によるステッカーを貼付するなど、外国人利用者に対する携帯電話マナーのご案内も行っております。
 英語による車内放送につきましては、駅間の限られた時間で案内することが困難であることから、車内液晶モニターを活用して、多言語による案内を行っておりまして、今後も液晶モニターを搭載した新車の導入に合わせて順次、多言語による案内をふやしてまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。現在、都営地下鉄についてご答弁をいただきましたが、同様の観点で、都営バスに関して、同様の取り組み内容についてお伺いをいたします。

○根木自動車部長 都営バスの車内におけるスマートフォン等の使用マナーにつきましては、優先席付近では電源をお切りいただき、それ以外の場所では、マナーモードに設定の上、通話はご遠慮いただくこととしております。
 この内容を外国人のお客様にもご案内するため、イラストを用いたステッカーを車内に掲出するとともに、多言語への対応といたしましては、本年六月から順次、次の停留所名をお知らせる液晶ディスプレーで、日本語に加え、英語、中国語、ハングルで表示しているところでございます。バス車内におけるスマートフォン等の使用マナーにつきましては、引き続きわかりやすいご案内に努めてまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。日々命の危険を抱えながら、都営交通、そしてバス、利用している方々の声を迅速に反映をさせていっていると評価をさせていただきます。
 実際にこの方々より、昨年度末に要望を寄せてから確実に対応がされていると感謝の声が届いております。今後も、お客様の声を大事に、命を守る都営交通であるようお願いをいたします。
 最後の質問です。私は、ほぼ毎回、交通局の質疑ではトイレの質問をさせていただいております。特に、温水洗浄便座や擬音装置など、高機能トイレの導入を拡大するように、しつこく要望をしてまいりました。日本の高機能トイレは、世界のセレブからも評価をされ、昨年には、こうした高機能トイレを世界に発信するアイデアを盛り込んだ成長戦略も閣議決定されたように、日本技術のPRにもなるからです。
 具体的には、羽田空港や成田などの国際空港に整備をするなど、昨年の事務事業質疑でお伝えをしまして、外国人観光客が多い駅を中心に、高機能トイレを整備、導入をする要望も続けてまいりました。高機能トイレは、まさしく日本の誇る文化でございます。
 また、昨今は、私も推進をしております育児に理解を示すイクボスや育児を積極的に行うイクメンも浸透しつつあり、男性トイレにも、ベビーチェアなどは必須でございます。外国人観光客も増加をし、オリンピックも近づく中、これまでの要望に対する取り組み状況をお伺いいたします。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへ改良する取り組みを、トイレのグレードアップ事業として計画的に進めております。
 具体的には、一般トイレへパウダーコーナーや、簡易多機能便房を設置するほか、男子便房、女子便房の双方でのベビーチェアの整備などを進めております。平成二十七年度には、三田線高島平駅及び志村三丁目駅でトイレのグレードアップを実施し、簡易多機能便房や和式トイレの洋式化などを行っております。
 今年度からの取り組みとしましては、一般トイレにも温水洗浄便座の設置を開始し、まず、東京二〇二〇大会までに、大江戸線環状部とその内側にある駅を中心に整備を進め、できるだけ早期の全駅整備を目指します。

○塩村委員 ありがとうございます。着実に進めていっていただいており、お客様の利便性も高まっていることが確認できました。
 今回の質疑は、お客様がいかに都営交通で移動できるのかという視点で、これまでしてきました質問と要望を中心に進捗を確認させていただきました。ほぼ、要望には丁寧に対応していただき、実現をしていっていただいていることがわかりました。
 今後も、お客様を一番に考えた取り組みを推進していただくようにお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○高椙委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十二分休憩

   午後三時四十分開議

○高椙委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○橘委員 私の方からは、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けた交通局としての取り組みについて質問いたします。
 東京大会は、おもてなしが世界へのアピールポイントとなっております。大会期間中は、世界から多くの人が訪れますことから、東京都の各局を初め関係する部門が一丸となって、おもてなしの心を具体に表現する、そういうことが大事であると思っております。いいかえれば、細やかなこの配慮、これをどう表現するかといっても過言ではないと思います。
 この点について、交通局として、大会に向けてどのように貢献していくのかという観点から何点か伺っていきたいと思います。
 まず一点目は、大会時の観客の輸送であります。
 大会の計画によりますと、夜の遅い時間まで競技が行われることになっております。この観客を宿泊施設まで送り届けるというのは、鉄道であり、また、バスであり、タクシーであり、そういった交通機関の役割になるわけでありますけれども、この中で都営地下鉄も重要な役割を担っていくことになるかと思います。
 そこで、先ほども質疑がございましたけれども、大会期間中に、都営地下鉄の終電の繰り下げが必要であると考えますが、これをどう対応していく予定なのか。また、そのための課題をどう認識しているかについて、まず伺っておきたいと思います。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会開催時には、競技終了時間が深夜時間帯に及ぶことが想定されております。終車時刻の繰り下げなどにより、観客の方々のお帰りの足を確保するためには、都営地下鉄も含めた全交通事業者間で連携しながら対応する必要がございます。
 深夜時間帯に鉄道を運行する際には、必要な乗務員や駅係員などの運行体制を整えることや、夜間の限られた時間に行っている安全運行に欠かせない保守作業を大会期間中においても確実に実施することなどが課題となっております。
 こうした課題への対応などにつきまして検討を深めるとともに、具体的な運行につきましても、組織委員会や他の交通事業者等と緊密に調整を図ることにより、安全で安定的な輸送を実現し、観客の輸送需要に的確に対応してまいります。

○橘委員 ただいまの説明の中で、組織委員会や他の交通事業者との密接な調整をということがございました。これは当然必要なわけでありますけれども、この終電をおくらせるということ、これについては、宿泊施設にも関係してくるんですね。終わった後にどこまで帰ることができるか、そういったことにも密接に関係してまいります。それから、都内の主な観光地、この受け入れにとっても重大な影響が出てくるわけです。
 こうしたことを考えますと、さまざまな分野から終電車をおくらせてもらいたいという、この要望というのは大変期待が大きいものがありますので、利用者だけではなくて、さまざまな産業分野にもわたる要望になってくるかと思います。
 かといって、一方で、先ほども説明ありましたけれども、安全点検で、限られた時間の中でやっていかなきゃならないという課題もございます。そうした面で、安全を軽視するようなやり方では絶対あってはならないことは当然でありますけれども、繰り下げをする場合に、終電を繰り下げる際にもその保守点検を確実に行っていくという、これもまた大事な課題として検討をしていかなきゃならないと私は思っております。
 そこで、都営地下鉄における夜間の保守作業の現状と、それから、今後どういうふうにして、利用者にとっては、もっと繰り下げてほしいということがあるわけですから、その関連について、その点の課題についてどう認識しておられるか、お願いしたいと思います。

○野崎建設工務部長 鉄道事業におきましては、安全な輸送を確保するため、法令に定められたトンネルや線路などの検査、点検業務を初め、維持補修等の保守作業を行っております。
 都営地下鉄では、終車後から始発までの送電が停止されている、おおむね午前一時半から午前四時までの限られた時間内に、レールをミリ単位の精度で保持しつつ、レールや枕木の交換などを行っております。また、列車などへ電力を供給する設備や列車を安全かつ安定的に運行させる信号保安設備などの機能を維持するための作業を行っております。
 このほか、トンネル内で足場を組み立てながら、構造物の長寿命化工事などを進めておりまして、各種工事の調整を図りながら、三百六十五日休みなく維持補修に努めております。
 今後とも、都営地下鉄の安全輸送の確保に向けまして、さまざまな検討を含めて適切な保守作業に取り組んでまいります。

○橘委員 今の答弁をお聞きしますと、わずか三時間半の間、約三時間半の間に保守点検、それから安全点検、こういったものをやっていかなきゃならないというふうになるわけですね。
 これをまた縮めていって、例えば五分なり十分なり、また、場合によっては、オリンピック期間中というのは二十分ぐらい、三十分ぐらいということも可能性があるかと思います。
 そういった技術的な問題を解決していって、利用者の需要にも、要望にも応えられるような、そしてまた、なおかつ安全点検を万全にするという、その大変な課題の中でやっていかなきゃならないわけです。これについては要望にとどめますけれども、とにかく研究に研究を重ねて、そして、ぶっつけ本番となってはなりませんので、何らかのイベントのときにそれを事前にやってみるという、こういった工夫も必要かと思いますので、これは検討していただきたいと思います。
 次に、大会期間中の観客に対する配慮として、バリアフリーの取り組みについて質問いたします。
 バリアフリーにつきましては、特にエレベーターを増設するなどの体の不自由な方への配慮が必要であることはいうまでもございません。都営地下鉄は、競技会場の周辺にも駅が幾つかありますけれども、大会を見据えまして、駅のエレベーターの増設が必要と考えますけれども、今後の見通しについて伺います。

○野崎建設工務部長 交通局では、都営地下鉄全駅のエレベーター等によるワンルート整備を完了いたしまして、引き続き、東京二〇二〇大会も見据えつつ、都営地下鉄相互の乗りかえ駅や東京メトロなど、他路線との乗りかえ経路等へのエレベーター整備に取り組んでおります。
 現在、主要なターミナル駅であり、JRや東京メトロなどとの乗りかえ駅であります大江戸線新宿西口駅では、乗りかえ経路へのエレベーター設置を進めております。また、オリンピックスタジアムの最寄り駅の一つでもございます大江戸線青山一丁目駅につきましては、エレベーターを二基整備することによりまして、大会までに大江戸線と東京メトロ半蔵門線、銀座線との乗りかえが全てバリアフリー化される予定でございます。さらに、両国国技館の最寄り駅である大江戸線両国駅では、改札と地上を結ぶ既設のエレベーターを大型化するとともに、さらに一基増設する予定で設計を進めております。
 今後とも、全ての人に優しい公共交通機関を目指し、乗りかえ駅等でのエレベーター整備に全力で取り組んでまいります。

○橘委員 今、競技施設のあるところの重立った駅の整備計画というのはございました。これは着実に進めていただきたいのでありますけれども、同時に、利用客が多いところ、これについては、オリンピック・パラリンピックの大会にもし間に合うのであれば、もう少し広げて整備を進めるべきであるかと思います。やはり移動というのは、パラリンピックを考えますと、障害者の方も世界中からかなりいらっしゃいます。大勢いらっしゃいます。そういったことを考えますと、やはり移動する手段としてのエレベーター、これは重要な役割を持ちますので、オリンピック・パラリンピックに、ここまで拡大したいとか、ここまで整備を進めたいとか、そういった計画もつくるべきだと思いますので、その辺も検討願いたいと思います。
 次に、環境面への配慮も東京大会の一つの大きなテーマであるかと思います。その点から、環境負荷の低減のために、地下鉄駅のLED照明の導入を加速する必要があるかと思います。LED化に向けた取り組みの現状、それから今後の対策について伺いたいと思います。

○奥津車両電気部長 都営地下鉄ではこれまで、車両や設備などの更新時には、省エネルギー効果の高い機器を導入するなど、さまざまな環境負荷低減対策に取り組んでまいりました。駅のホームやコンコースの照明につきましては、従来の蛍光灯と比較して五〇%程度節電効果が見込まれますLED照明の導入を平成二十三年度から進めております。
 今後は、東京二〇二〇大会を見据えまして、国立競技場駅を初めとする会場周辺駅の照明を優先してLED化するなど、省エネルギー対策に積極的に取り組んでまいります。

○橘委員 私たちも多く利用する地下鉄には非常に多くの照明等がございまして、ほぼ一日点灯しているわけですから、多くのエネルギーを消費しているなというのは、私たちも実感するわけでございます。
 駅のLED化など環境に配慮していくというのは、環境先進都市を東京は標榜しているわけでございまして、この取り組みはもっともっと推進をしていただきたい。できれば、今後の計画、二十三年度から取り組んでいるわけですけれども、その後の計画についても、まず目標値を明示して、それに取り組んでいくということも大事かと思いますので、進行計画というものをつくってやっていただきたいと思っております。
 次に、テーマを移しましてテロ対策について質問いたします。
 大会期間中は、多くの人が東京に集中することになります。このようなイベントを狙うテロなどの犯罪行為が世界では随時発生しているというのが現実であります。
 交通事業者としても、警察任せではなくて、独自にテロを抑止するための措置とか、それから犯罪発生時に的確に対応する手法、そういったことが求められていくかと思います。
 東京都の交通局におけるテロなどの犯罪対策についてどういうふうに対応していくのか、これについて伺いたいと思います。

○裏田安全管理担当部長 都営交通におきましては、交通事業者といたしまして、まずはテロの未然防止に努めるということとともに、テロが発生した際には、関係機関と連携し、的確な避難誘導等によりまして、被害を最小限にとどめることが重要と考えてございます。このため、各職場におきまして、警察や消防と連携してNBCや爆発物に対処する訓練を実施しまして、係員の対応力の向上に努めておるところでございます。
 都営地下鉄におきましては、駅員やガードマン等による巡回警備を行いますとともに、緊急事態が発生した場合に備えまして、駅構内監視カメラや車両内への非常通報装置の設置を行っております。また、ホーム上に駅係員呼び出しインターホンの設置を進めておりまして、今年度中に全駅へ設置を完了させるとしております。
 さらに、監視カメラの設置箇所の拡大や映像記録装置の増設等を進めるとともに、総合指令所に映像を集約するほか、映像を自動的に解析し、不審者等を検知する新しい技術の実証実験を行ってまいります。
 都営バスにおきましては、主要バスターミナルでの警戒や駅終点での車内点検を徹底しております。また、バスジャックなどの不測の事態に、乗務員がボタンを押下することによりまして、バスの車外に緊急事態を表示するとともに、全営業所に緊急事態を知らせる装置を全車両に設置しております。
 今後とも、ハード、ソフト両面から、テロや犯罪対策の強化に取り組んでまいります。

○橘委員 テロというのは、今、答弁にありましたような既存のテロ対策を知悉した上で犯行に及ぶわけでありまして、防ぐ側としては、そのことを踏まえた上で、盲点をいかになくすかという、このことが重要だといわれております。
 これから、警察などと、関係機関との連携も深めていかなきゃなりませんけれども、万全な対策を構築していく、それにはやっぱり盲点をなくすということ、それから知恵比べでもあると思いますので、そういったテロを未然に防止するための知恵比べで勝利するような、そういった対策を講じていっていただきたいと思っております。
 次に、都電におけるおもてなしの工夫について質問いたします。
 都電荒川線は、東京に唯一残った路面電車でありまして、地域の足として親しまれております。一方で、厳しい事業環境にあることも承知しております。車両などは古いものを大切に使い続けて、少しずつ古い車両を新型に置きかえてきたとのことであります。
 まず、これまでの荒川線の車両更新の実績と今後の予定について伺います。

○野崎技術調整担当部長 都電荒川線では、安全性と快適性、さらには都電の魅力の向上を図るため、計画的に車両更新を進めております。
 平成十九年度から平成二十二年度の四年間で、合計十二両の車両更新を行いました。このうち十両につきましては、先進性をコンセプトとした現代風なデザインとしており、外二両につきましては、昭和初期の東京市電をイメージしたレトロなデザインとしております。
 また、平成二十七年度から平成二十八年度の二年間で、合計十六両の車両更新に取り組んでおり、現在までに十三両の更新を完了し、今年度末までに残り三両の車両更新を行う予定でございます。

○橘委員 昨年度から今年度にかけて、十六両もの車両を一斉に更新しているとのことでございますけれども、厳しい事業環境の中で、いろいろな工夫を凝らしている努力が見受けられます。
 この十六両の車両はどのような車両なのか。また、コスト削減のためにどのような工夫をしたのか伺います。

○野崎技術調整担当部長 平成二十七年度から導入している車両十六両のうち八両は新型の八九〇〇形車両ですが、他の八両につきましては、コスト縮減を図るため、旧七〇〇〇形の車体や一部装置を再利用し、大規模改修をした車両でございます。
 車両は、どちらも乗車口の幅を広くし、つり手や降車押しボタンの増設、座席の縦手すりの設置、また、光でドアの開閉を知らせる表示灯など、安全性、快適性を向上させた人に優しい車両としております。
 新型車両は、シートに荒川線マスコット、とあらんをあしらったものを採用し、車体をオレンジ、ブルー、ローズレッド、イエローの四色と、カラーバリエーションを豊富にし、親しみやすさが持てるようにしております。
 一方、大規模改修をした車両は、車体デザインは、緑、青、えんじの三色の車両とし、全盛期の市電をイメージしたクラシックモダン調の配色のものとしております。そして、主要な機器や台車は新しいものに更新するなど、新型車両と同様に安全性、快適性を向上させております。

○橘委員 かなり経費節減の努力をされていることが今の答弁からもにじみ出ておりました。
 古い車両がなくなって一抹の寂しさも感じるわけでありますけれども、このクラシックモダン調の車両により、荒川線の魅力も十分に残されているかと思います。
 二〇二〇年の東京大会には、国内外から来られる観光客や、それから観客にとって都電を利用することも魅力の一つとなり得るかと思います。また、思い出にもなろうかと思います。そうした意味を持つ荒川線のさらなる魅力向上に知恵を絞って、そして愛される都電にしていっていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○小竹委員 ことしの四月に、障害者差別解消法が施行されました。生活をする上で、その足となる交通におけるバリアフリーの実現は欠かせません。障害を持った方々にとって、安全で安心なものは、全ての人にとって安全・安心なものにつながります。
 ことし八月には、地下鉄銀座線青山一丁目駅のホームから、視覚障害者が転落して亡くなるという悲しい事故が起きました。ホームドアの整備は急務となっています。現在、都営地下鉄四線中、三田線、大江戸線にはホームドアが設置されて人身事故は起きていません。きょうの委員会資料でも明らかです。
 新宿線のホームドア設置の契約案件が九月の三定に報告されました。一日も早い完成を願うものですけれども、都営新宿線には、新宿三丁目駅、東大島駅など、ホームがカーブしている駅があります。ホームと車両の間に段差とすき間があり危険です。これまでも段差、すき間の解消について提案をしてきましたけれども、今回の新宿線のホームドア設置と同時に、この対策を行うべきだというふうに思いますが、その取り組みについてお伺いします。

○谷本技術管理担当部長 国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編におきましては、地下鉄駅のホームと車両扉の段差やすき間をできる限り少なくすることとしております。
 新宿線のすき間対策につきましては、ホームドア整備に合わせまして、ホームと車両とのすき間が広い箇所にすき間を狭める部材を設置することとしております。

○小竹委員 ぜひ同時にやっていただきたいというふうに思うんです。その部材というのは、メトロで設置されている可動ステップのようなものを取りつけるんでしょうか。その点いかがですか。

○谷本技術管理担当部長 都営地下鉄では、今のところ、メトロの可動ステップ等は考えておりませんで、ゴム製による部材を考えております。

○小竹委員 カーブによるすき間は、視力障害者ばかりではなくて、子供にとっても、また、車椅子の方にとっても、前輪の小さいところがはまってしまうという点では、すき間を埋める状況になれば、介助がなくても自由に車椅子も乗れるというふうなことで強い要望が出されています。ぜひ進めていただいて、安全・安心、ホームドアと一緒にやっていただきたいというふうに思います。
 同時に、ホームドアをつけると、この間、大江戸線でもワンマン運転になる、三田線でもワンマン運転になるというふうになりましたけれども、ぜひ、ワンマン運転で人員削減するのではなくて、やっぱりきちんと車掌さんも確保するような体制をやっていただきたいということを、これは要望しておきます。
 三田線の三田駅−−浅草線もあるわけですけれども、三田駅は、東京都の障害者福祉会館があって、視力障害者や車椅子の障害者の方々が多く利用しています。前回から改善を求めてまいりましたけれども、先日、三田駅、たまたま利用したときに改善がされていなかったわけです。
 三田線三田駅のホームと車両の段差、すき間の解消の取り組みについてはどうなっているんでしょうか。

○裏田安全管理担当部長 三田線三田駅におきましては、ホームドア稼働時からホームと車両のすき間対策といたしまして、全てのドアのホーム下に発光機を設置するとともに、ホーム端部にも黄色のテープを貼付しております。
 また、ホームドアが開く際には、ホームドア本体から足元の注意を喚起する放送を流しておりますほか、駅の到着前には車内でも注意喚起の放送を実施するなど、乗りおりのお客様に対して注意を促しております。さらに、ご要望に応じて、駅係員が乗りおりするお客様の介助も行っております。
 今後とも、新宿線で実施する対策の効果や他社での取り組み等を検討しながら、すき間対策に取り組んでまいります。

○小竹委員 ソフト面で、駅の係員の皆さんがやったり、放送が入ったりはしているわけですけれども、やはりきちんと一人でも行動ができるようにするという点では、このすき間対策は欠かせないというふうに思うんです。
 新宿三丁目駅のすき間と、三田線のすき間は同じくらいだというふうに思うんですけれども、新宿線で、同時にやるからというふうには思うんですが、部材をホームに張りつけるというふうに伺ったので、そういうことで三田駅の解消ができないのか、その点はいかがでしょうか。

○裏田安全管理担当部長 繰り返しになりますけれども、三田線三田駅につきましてのすき間解消につきましては、新宿線で実施する対策の効果や、他社での取り組み等を検討しながら取り組んでまいります。

○小竹委員 障害者のセンターもあるわけですから、他社の状況を見て検討していくというお答えでしたけれども、やはり障害者がたくさん集まる、利用する交通機関の駅でもありますので、一日も早く−−もう三田線の場合には多分十数年たっていますから、改修の時期も近いんじゃないかなというふうに思うので、優先的に改修を含めて早期に改善していただくように、これは強く求めておきます。
 次に、ホームドアの問題では残っている浅草線についての設置についてお伺いします。
 浅草線二十駅あるうち、泉岳寺と大門にホームドアを設置するというのは、どういう理由なのか、いつまでにつけるのか、その点についてまずお伺いします。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浅草線のホームドアにつきましては、平成二十六年度に、一日当たりの利用者数が十万人以上の当局管理の乗りかえ駅である大門駅と泉岳寺駅につきまして、従来と異なる車両の改修を伴わない方式により、東京二〇二〇大会までに先行整備していくことといたしました。

○小竹委員 浅草線の場合、泉岳寺駅と大門駅の間に、先ほど申し上げた三田駅があるわけですよね。なぜ二つの、大門と泉岳寺をやりながら三田も連続して三駅やらないのか、それを設置しないのはどう考えておられるのか、お答えください。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浅草線三田駅につきましては、平成二十六年度に一日当たりの利用者数が十万人未満であったことから対象とはいたしておりません。

○小竹委員 平成二十六年度には十万人に達しなかったということですが、都営交通のあらまし二〇一六を見ると、ことしの四月には十万人超えているんですよね。しかも、先ほどからいっているように、三田駅は、東京都立の障害者福祉会館があって、視覚障害者も、車椅子の障害者も、障害者の多くの人たちが利用する駅でもあります。
 こういう駅については、機械的に十万人だからということで切ってしまうんじゃなくて、やはり設置すべきだというふうに思うんですよ。それで、もう既に、ことしには十万人に達しているわけだから、実際に二〇二〇年までには、もっと利用者がふえるわけですよね。だから、そういう点では、きちんとホームドアを三つ、どうせやるんだったら、真ん中の駅だけ除くんじゃなくて三駅連続してやると、こういうふうにすべきではないですか。
 全盲の視覚障害者の方は、こういうホームドア、ついているところと、ついていないところを錯覚するということなんですよ。三田駅は、三田線の方はついているわけですから。三田線の三田駅ではついている、だけれども浅草線はついていない。同じ浅草線でも、大門と泉岳寺はついているという、こういう点でいったら、錯覚する人が、起きる状況になるということですから−−私たち目の見える者は、見れば、間があいてるからということはあり得るんだけれども、やっぱり錯覚して落ちてしまうということにもなりかねないわけですから、ぜひ、これはつけるべきだというふうに思うんですが、もう一度お伺いします。
 視覚障害者の安全と安心を守るためにも、三田、大門、泉岳寺、三駅連続で設置すべきだと考えますが、いかがでしょうか。二〇二〇年までにつくるわけだから、できないことではないというふうに思いますので、再度お答えください。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 浅草線三田駅の利用者数が十万人を超えていることは認識しております。経営計画二〇一六にもお示しいたしましたとおり、浅草線につきましても全駅整備の早期実現を目指しているところでございます。

○小竹委員 全駅目指すということでは三田駅もやるわけですけれども、泉岳寺と大門、先行でしょう、その先行するところに一緒につけなさいということなんですよ。やっぱり視覚障害者だとか、障害者がたくさん使う駅には優先的につけるべきだというふうに思うんですが、そういう点で検討できないんでしょうか。どうですか。

○牧野企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 既にご答弁いたしましたとおり、浅草線につきましても、三田駅も含めまして全駅の早期整備の実現を目指してまいります。

○小竹委員 全駅整備ということですからあれしますが、実際に二〇二〇年まで、障害者の方々が多く利用するところ、しかも、国の基準でいっている十万人を超えてきたんだから、あわせて、二〇二〇年までに先行実施するんだったら三田駅も同様にやるべきだということを強く申し上げて、再検討を要望しておきます。
 京急では、三浦海岸で、どこでもドアの実証実験が行われています。それらと連携しながら、都営浅草線へのホームドアも急ぐべきだと考えます。今、お答えもありましたので、この点でも強く、早く設置できるように要望しておきます。
 次に、エスカレーターへの誘導についてお伺いします。
 地下鉄駅は、地下深くなっています。視覚障害者の誘導点字ブロックは、エレベーターと階段への誘導設置になっています。
 しかし、エレベーターは、現在、多くの駅でワンルートしか確保されていません。国土交通省のバリアフリー整備ガイドラインは、音声による行き先と上り下りの方向をわかるように案内してエスカレーターの利用を可能にしています。音声案内があれば、階段の誘導ブロックから音が聞こえて、エスカレーターを利用できると喜ばれています。
 都営地下鉄も音声案内つきのエスカレーターを設置していると伺っていますが、主な駅を含めてお答えください。

○谷本技術管理担当部長 エスカレーターへの視覚障害者誘導用ブロックによる視覚障害者誘導につきましては、バリアフリー整備ガイドライン旅客施設編を踏まえますと、進入してはならない昇降口へ誤って進入する可能性があると考えております。このため、交通局では、視覚障害者誘導用ブロックにより、エスカレーターではなくエレベーターへの誘導を行っております。
 一方、委員お話しになりました同ガイドラインにおきましては、単独でエスカレーターを利用している視覚障害者のお客様が円滑な移動を図るためには、音声により、その位置と行く先及び上下方向がわかることが必要とされております。
 そのため、都営地下鉄では、こうした案内を行う音声装置を、エスカレーターの更新等の機会を捉えて設置しており、現在、交通局が管理する六百八十七基のうち、浅草線新橋駅、新宿線市ヶ谷駅など四十二駅百三十五基で音声案内を行っております。
 また、駅係員がご要望に応じ、エスカレーターを利用するお客様に付き添うなどの対応も行っております。

○小竹委員 四十二駅百三十五基で音声案内をされているというのは、非常に私、前進をしたなというふうに思っているんですが、前回、私がエスカレーターについて音声案内でも利用できるようにしたらどうかという提案をしてきました。そういう点では、そのときは危険だからというお答えだったんですが、この音声案内、エスカレーターの更新の機会に設置しているということですが、いつごろから始めたのでしょうか。その点いかがですか。

○谷本技術管理担当部長 エスカレーターの音声案内でございますが、バリアフリー法施行以降ということで、平成十二年以降だと思います。

○小竹委員 ぜひ促進をしていただきたいというふうに思うんですけれども、音声案内を設置した駅でエスカレーターを乗降して、けがをした人はいるんでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましては、駅で事故が発生した場合に、一一九番通報し、記録をしておりますが、詳細な記録が残っております平成二十七年度以降につきましては、エスカレーターを利用された視覚障害のお客様が事故に遭ったという事実はございません。

○小竹委員 私も、音声案内つきのエスカレーターのある駅で、駅務をしている職員の方に伺ってきたんですが、事故はなかったと。JRの側の田町駅でも、JRの駅の方に伺ったところ、田町駅の場合は港区の管理なんですけれども、そういう話は聞いていませんということでした。
 ですから、そういう点では、前に提案したときに、エスカレーターの乗り間違えがあったりして事故につながるからというお答えがあったわけですが、きちんと、どこどこ駅、どこへ行くために、上り方向、それから下り方向というのを音声で案内すれば、階段のところに点字ブロックをつけなくても、階段の方向へ行く点字ブロックを歩いていると音が聞こえてくれば、そっちへ利用しようと思えば行かれるということだというふうに思うんですね。
 視力障害者の方にも伺いましたけれども、音声案内があればエスカレーターを利用できるというふうなことで喜んでいました。そういう点では、エスカレーターには必ず音声案内をつける。そして、特に今、地下鉄は深くなっていますから、高低差があって、高低差の大きい場所で階段を上るのが大変だという声を聞くわけですから、ぜひ、エスカレーターを利用したい方々に、そういう高いエスカレーターの場合には、エレベーターは一基しか、どっちかにしかついていないというところが圧倒的なわけですから、エスカレーターに音声案内をぜひつけていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○谷本技術管理担当部長 先ほどご答弁いたしましたけれども、バリアフリー整備ガイドラインにおきましては、単独でエスカレーターの利用をしている視覚障害者のお客様にとって、音声により、その位置と行く先及び上下方向がわかることが必要だという、そのための音声案内でございます。
 誘導ブロックでご案内してしまいますと、単独で移動できない方も誘導してしまうおそれがありますので、誘導ブロックは設置せずに、この音声案内を設置していきたいと考えております。

○小竹委員 ぜひ、だんだん深くなってきていますから、バリアフリーという点でいっても、高齢者の人も含めて、障害者の方々だけじゃなくて、やっぱり全ての人にわかるように、特に視覚障害者の場合には音声で判断するということですから、そういう点でも早急にエスカレーターには音声案内をつけていただきたいというふうに思います。
 次に、情報のバリアフリーについてお伺いします。
 視覚障害者は、目が見えないために情報が少ないといわれています。その点では、音声や点字による広報が欲しいと声が上がっています。情報のバリアフリーが必要です。地下鉄の駅構内にある触知案内板は、前に直してほしいという提案をしまして、音声が流れるように、常時、間隔、間を置きながら流されているという点では、置かれている場所がわかって存在が知られるようになり、喜ばれています。
 これは、駅の出口だとか構内の案内に限られています。地下鉄網の案内や乗りかえなどの案内の点字版、音声版はありません。都交通局とメトロと共同で、バリアフリー便利帳が発行されています。これも点字版はありません。視覚障害者の方々の利用を支援するためにも、点字版ないしは音声版をつくって充実すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄におきましては、視覚に障害をお持ちのお客様が安心してご利用いただけますように、全ての駅におきまして視覚障害者誘導用ブロックを設置し、点字誘導シールを階段の手すりに貼付しております。また、切符売り場付近には、点字運賃表を整備しており、駅構内の触知案内図や、ホーム上の階段などの誘導チャイムの設置も進めているところでございます。
 また、車両におきましても、ドア付近に、車両内の位置を示す点字シールを設置し、優先席のつり革の色を弱視の方にも視認しやすいようにオレンジ色としてございます。
 さらに、平成二十五年度には、点字の路線案内冊子及び各駅のバリアフリー施設や乗りかえ方法などを音声で案内をしますCD−Rを東京メトロと共同で作成、配布をいたしました。
 今後とも、視覚に障害をお持ちのお客様の声も伺いながら、どなたにも利用しやすい都営地下鉄を目指してまいります。

○小竹委員 平成二十五年に点字の案内版をつくったということなんですが、ごく限られたところ、限られた方しかそれは配られていないわけですよ。一般の視覚障害者の人たち、欲しいと思っても、限られた部数しかつくられなかったために手に入れることはできない状況です。
 先ほど前半でお答えいただいた中身ですと、そこの駅に行ったときに利用する、ないしは電車に乗ったときにわかるということなわけですけれども、自分の行きたいところを探す上では、これは目の見える人たちには役に立つわけですよ。しかし、目の見えない方々には役に立たないという点では、やはりこういうもの−−これに私こだわりませんけれども、バリアフリーというんだったら、そういう視覚障害者の方々に対する情報提供をきちんとやるべきだというふうに思うんですね。
 外国語版では、バリアフリー便利帳もメトロと一緒につくっているわけです。外国語版はつくっているわけですよ。こういうのがあるわけですね。こういうものについて、外国から来られている方々へサービスをするというのは、私は当然だというふうには思うんですが、やはり国内で、都民の視覚障害者の方々に対する情報提供を、どこでも行きたいところへ行けるようにするためには、少なくともこういう情報が必要なんじゃないかというふうに思うんですが、その点どうでしょうか。

○高野鉄軌道事業戦略担当部長 視覚障害をお持ちのお客様への情報提供の方法につきましては、今後とも、さまざまなご意見やニーズを伺いながら、方法も含め検討してまいりたいと思います。

○小竹委員 視覚障害者の方々にもそういう情報が提供できるように、当事者の声も聞いて、こっちがよかれと思ってやっても役に立たない場合もありますから、ぜひ当事者の方々の声も聞いて、つくっていただきたいというふうに思うんです。
 あわせて、もう一つは、バス路線の問題です。
 路線バスはいろんなところから、いろいろバスが発車しているわけですけれども、地下鉄のように階段を上らないでも乗りおりが可能であり、バス停も短い間隔で利用できますから、そういう点では、バリアフリーの乗り物といえるというふうに思うんですね。しかし、視覚障害者の方々にとっては、目的の場所に行くために、どこからどの路線のバスに乗ったら行けるのかという、そういう情報が少なくて、一人で出かけるときは本当に不自由するんだということをおっしゃっているんです。
 まずは、バス停に点字や音声で行き先を表示する、それから時刻表についても、弱視の方を含めて字を大きくするとか、点字で表示ができないかとか、それから都バスの点字や音声の案内板、これは地下鉄ですけれども、こういう案内板を、視覚障害者の利用を促進するためにも支援のためにできないだろうかというのを提案したいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○根木自動車部長 都営バスでも、視覚に障害をお持ちのお客様のご利用に配慮し、さまざまな取り組みを行っております。
 バス停につきましては、可能な限り照明を設置し、時刻表等を見やすいように大きな字で表示したりしてございます。
 また、停留所でお待ちのお客様に対しましては、バスが到着した際に、乗務員が車外マイクにより行き先等をご案内するとともに、車内では行き先や次の停留所の案内放送を行っております。また、一部の停留所では、バスの行き先や接近を音声でお知らせする装置を導入しております。
 路線案内みんくるガイドの点字版の作成についてでございますが、このみんくるガイドは、都営バスの全路線と全停留所を表示した地図であり、情報量が膨大なことから、点字での作成は困難であると考えております。そのかわりといたしまして、ホームページの都バス運行情報サービス、tobus.jpと呼んでおりますが、この中で、路線案内や時刻表、バスの接近情報について、視覚障害者用の音声読み上げソフトに対応したページを設けております。
 今後とも、さまざまなご意見やニーズを伺いながら、わかりやすい情報の提供に努めてまいります。

○小竹委員 一部の停留所で、バスの行き先や接近の音声ということでお伺いして、私、きょう、文京区役所前の春日駅前のバス停で、バス停に点字で行き先が表示されているというのを見てまいりました。これはぜひほかのバス停にも、つければできることですから、ぜひやっていただきたいというふうに思うんですね。
 それと、バスが接近してきましたという音声が出るんですが、車が物すごい走っているものだから聞き取れないんですよ。だから、やはりそういう点では、聞き取れるように音声を上げていただいて、ぜひつくっていただきたいというふうに思います。
 そして、バス停に上屋をつけたりしているわけですけれども、ぜひ、視覚障害者の方々が利用しやすいように、音声と点字の表示をしていただくようにお願いしたいというふうに思うんですが、今後の取り組みとしていかがでしょうか。

○根木自動車部長 バス停につきましては、スペースの制約もありますし、音声を上げるとなりますと、近隣の方からの苦情等もあったりいたします。いずれにしましても、さまざまなご意見やニーズを伺いながら、よりわかりやすい情報の提供に努めてまいりたいと思います。

○小竹委員 点字は、貼付するだけでそんなに場所とるわけじゃないですから、せめて、同じバス停でも行き先が違う、そういうあれもありますから、ぜひ点字を含めて音声も可能な限りつけていただくように、これはお願いしておきます。
 オリンピックに合わせて、先ほども地下鉄の方でいいましたけれども、これは観光財団がつくっている地図と、それから案内版で、世界各国の、タイ語だとか、そういう言語まで含めて、新宿の西口の駅には置かれているんですけれども、やはり視覚障害者の方々への案内というのは全くないという点でいうと、やはりバスを利用してもらうためにも、視覚障害者向けの情報が欠かせないというふうに思います。
 私たち目が見える者にとっては、みんくるで、確かに、あれ情報多いです。だけれども、それを分割しても、例えば、発車駅、新宿駅からはどういうバスがどこから出るというふうなことだとか、それは当事者の方々の知恵もかりて、ぜひ情報が欲しいとおっしゃっているので、出かけたりするための情報を提供できるように今後も検討していただくよう求めて、質問を終わります。

○谷本技術管理担当部長 先ほどエスカレーターの音声案内を設置した最初の時期についてご質問がございましたが、基本的には、平成十二年の交通バリアフリー施行法以降つけておるんですが、例外的に、平成九年から一部の新宿駅等で設置しております。
 以上でございます。

○高椙委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。

○高椙委員長 これより下水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○津国総務部長 さきの委員会で要求のございました資料、六項目につきましてご説明申し上げます。
 お手元の公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。下水道事業における公共雨水浸透ますの設置状況でございます。
 平成六年度から二十七年度までの設置個数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。二十三区における主な浸水被害状況の推移でございます。平成十九年度から二十八年度までの浸水棟数をお示ししてございます。
 二十八年度については、十一月一日時点までの集計でございます。
 三ページをお開き願います。再生可能エネルギーによる主な発電設備の規模と発電量の実績の推移でございます。
 項目ごとに、設備の所在する施設名、施設規模及び平成二十六年度、二十七年度における年間発電電力量をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。下水道マンホールの総数と浮上抑制対策の計画と実績の推移でございます。
 区部におけるマンホールの総数と緊急輸送道路等における浮上抑制対策の計画と実績の推移をお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。下水道マンホールと下水道管の接続部の耐震化が完了した施設数の推移でございます。
 区部における実績の推移と計画をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。下水道工事請負契約における一者入札及び落札率九九%以上の契約件数並びに不調件数の推移でございます。
 平成二十三年度から二十七年度までのそれぞれの件数をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高椙委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○堀委員 初めに、国際展開についてお伺いをいたします。
 東京の下水道が技術的な支援を行っているマレーシア下水道整備プロジェクトについてでありますけれども、我が党としても、平成二十六年四月に行政視察団を現地に派遣するなど、以前からこのプロジェクトについて応援をしてまいりました。インフラシステムの輸出は、我が国の成長戦略の最重要施策の一つであり、マレーシア下水道整備プロジェクトに大いに期待しているところであります。
 そこで、マレーシア下水道整備プロジェクトをどのように進めてきたのかについてお伺いをいたします。

○飯田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務
 当局は、マレーシアの下水道整備のため、監理団体でございます東京都下水道サービス株式会社と一体となり、東京下水道として平成二十二年度から今日に至るまで、現地調査や下水道整備計画の提案など、技術面も含めさまざまな支援を実施してまいりました。
 こうした取り組みが実り、平成二十六年十月には、マレーシアの現地企業と住友商事株式会社のコンソーシアムがマレーシア政府と合意に至り、本プロジェクトの始動の契機となりました。
 本プロジェクトは、管渠約百キロメートル、ポンプ所十カ所、一日の処理能力が二十万立方メートルの処理場一カ所の設計、建設、維持管理に至るまでを一括して受注するもので、総事業費五百億円に及ぶ我が国初の官民連携による下水道システム全般の大規模海外プロジェクトでございます。
 平成二十七年度には、プロジェクトの詳細設計に関する現地技術者への技術的な支援、助言や図面の精査などのほか、マレーシア政府高官を招聘し、下水道展や当局の幹線工事現場及び水再生センターの視察などを通して、東京下水道の技術やノウハウについて理解を深めていただきました。現在、早期の建設完了を目指して、処理場の躯体工事や管渠の敷設工事が進められております。

○堀委員 まさに、マレーシアの国策ともいえる事業に貢献していることが確認できて非常に誇らしく思います。
 さらに、マレーシアの水環境の課題解決には、建設工事完了後、処理場の運転や保全を含めた維持管理が円滑に行われるよう、現地技術者の育成が必要と考えます。
 そこで、今後、こうした観点から、東京下水道としてマレーシア下水道整備プロジェクトにどのようにかかわっていくかについてお伺いをいたします。

○飯田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長IWA世界会議準備担当部長兼務
 本プロジェクトは、平成二十六年から平成三十二年までの間に、設計から建設、維持管理の準備を行うこととしており、円滑に下水道施設が供用開始されることを目指しております。
 このため、下水道局と東京都下水道サービス株式会社は連携しながら、JICA草の根技術協力事業を活用し、施設建設時から、マレーシアの現地技術者に対し、当局施設を活用した維持管理研修を実施するほか、技術面での助言、情報提供を行い、人材育成を図ってまいります。また、施設完了後には、完成した施設で、現地技術者に対して維持管理の指導を行ってまいります。
 こうした東京下水道の持つ技術力、現場力などを現地技術者に確実に移転していくことで、このプロジェクトを成功に導いてまいります。

○堀委員 現地技術者の人材育成も含め、引き続き東京下水道の高い技術力を活用し、技術支援を続けることで、このプロジェクトを成功に導いて、マレーシアの水環境の改善に貢献してほしいと思います。
 水インフラ整備の推進は、東南アジアを初め、世界的に喫緊な課題だと認識しております。マレーシア以外にも東京下水道は、ミャンマーのヤンゴン市において、下水道設備改善に向けた現地調査を実施していると聞いております。
 今後も、東京下水道の技術やノウハウを活用して、こうした諸都市のニーズに応じた技術支援を進めていってほしいと強く要望するとともに、さらなる事業の拡大を期待して次の質問に移ります。
 次に、震災対策についてお伺いをいたします。
 けさ、大きな揺れで目を覚ましました。福島沖でマグニチュード七・三、震度五弱の地震が発生をし、津波警報が発せられました。東日本大震災をほうふつさせる、大変に怖いなと思うような光景が展開をされ、危機感を感じたところでございます。また、ことしの四月には、熊本で震度七の地震を観測するなど大地震が頻発をしております。南海トラフ巨大地震や首都直下型の地震がいつ起きてもおかしくない状況であり、地震に対する備えが求められております。
 下水道局は、かねてより震災対策の一環として下水道管の耐震化を推進してまいりました。そこで、区部における下水道管の耐震化の進捗状況について、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○神山計画調整部長 下水道管の耐震化につきましては、被災時のトイレ機能並びに緊急輸送道路などの交通機能を確保する二つの対策を実施しております。
 まず、被災時のトイレ機能を確保する対策といたしまして、地震によって被害を受けやすい下水道管とマンホールの接続部の耐震化を進めており、避難所や災害拠点病院など約二千六百カ所の対策は既に完了しております。
 さらに、ターミナル駅や災害復旧拠点、地域防災計画に定められている防災上重要な施設など約二千カ所を対象に加え、平成三十二年度までに、そのうちの約一千五百カ所で対策を完了させることとしております。
 次に、交通機能を確保する対策といたしまして、地盤の液状化現象によるマンホールの浮上抑制対策を進めており、緊急輸送道路のほか緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路を対象といたしまして、平成二十七年度までに約一千七十キロメートルの対策が完了しており、平成三十二年度までに累計約一千二百五十キロメートルで対策を完了させることとしております。
 こうした避難所やターミナル駅などの耐震化に加えまして、今後は、面的な対策も強化することといたしまして、地区の不燃化が進み、大規模な延焼火災のおそれがなく、広域的な避難を要しない区域として指定されております地区内残留地区における下水道管の耐震化の整備ペースを、これまでの年間三百ヘクタールから五百ヘクタールへスピードアップいたしまして、平成三十二年度までに累計三千五百ヘクタールで対策を完了させることとしております。

○堀委員 かなりの対策が講じられていることが確認できました。
 区部全体の取り組みについてお伺いをしたわけでございますが、私の地元である豊島区においても、どのような震災対策が行われているかについて確認をしておきたいと思います。
 そこで、豊島区内の下水道管の耐震化の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○池田建設部長 豊島区内では、下水道管とマンホールの接続部の耐震化について、避難場所として指定されている豊島区総合体育場一帯など全百四十二カ所の対策は既に完了させております。
 現在は、災害復旧拠点の池袋消防署など五十六カ所を対象に追加し、平成二十七年度までに、そのうちの十七カ所で対策を完了させました。
 次に、液状化現象によるマンホールの浮上抑制対策につきまして、緊急輸送道路に加え、緊急輸送道路と避難所を結ぶ道路を対象として、平成二十七年度までに約十六キロメートルで対策を完了させました。
 これらに加え、地区内残留地区の面的対策についても、池袋駅周辺など約九十九ヘクタールのうち、平成二十七年度までに約四十ヘクタールの対策を完了させるなど、下水道管の耐震化を推進しております。

○堀委員 ありがとうございます。多くの人が利用する池袋駅周辺が地区内残留地区に指定されておりまして、震災時には帰宅困難者がとどまることが想定されることから、一日も早く対策を完了させてほしいと要望いたします。
 次に、水再生センターやポンプ所における対策についてお伺いをいたします。
 大震災があったとしても、必要最低限の処理を行って、川や海の水質を守らなければなりません。
 そこで、水再生センター及びポンプ所の耐震対策の取り組みについて、どのような対策が講じられているのか、お伺いをいたします。

○神山計画調整部長 下水道局が管理する水再生センターやポンプ所は、合計百八施設ございまして、これらは昭和の時代に整備されたものが多く、当時の耐震基準に基づき整備されてまいりました。その後、平成七年に発生いたしました阪神・淡路大震災の被害実態を踏まえまして耐震基準が改定されております。
 現在は、この耐震基準で定めている想定される最大級の地震動に対し、揚水、簡易処理、消毒など、震災後におきましても必ず確保すべき機能を担う施設の耐震対策を進めているところでございます。平成二十七年度までに十六施設で対策が完了しており、平成三十一年度までに全ての施設で対策を完了させることとしております。

○堀委員 水再生センターやポンプ所の耐震補強工事におきましては、施設規模も大きく、施設を稼働させながらの工事となるため、大変に難しく手間がかかると思いますが、震災時におきましても、安定的な下水道機能を確保するため、着実に対策を進めていただきたいと思います。
 一方、下水処理やポンプ運転には電力の使用が不可欠であり、下水道機能を維持するためには、震災時などの非常時における電源の確保も重要であります。
 そこで、水再生センター及びポンプ所の非常時における電源確保の取り組みについてお伺いをいたします。

○神山計画調整部長 下水道局では、震災時などにおける停電の際にも、下水処理や雨天時のポンプ排水機能などを維持するために必要な電力を確保するための取り組みを進めております。
 都内にある水再生センターやポンプ所全百八施設において、平成三十一年度までに非常用発電設備の導入を行うこととしておりまして、平成二十七年度までに累計八十一施設の水再生センター、ポンプ所で整備を完了させました。
 また、東日本大震災直後に発電燃料となる灯油の調達に苦慮した経験を踏まえまして、燃料の確保についても、多重の安全対策をとることが重要でございます。東日本大震災では、耐震性にすぐれている中圧の都市ガス管からのガス供給には支障がなかったことから、灯油のほかにも、都市ガスにも対応できるデュアルフュエル型の非常用発電設備により燃料を多様化する取り組みも進めております。
 昨年度には、第一号機が中川水再生センターで完成しており、今年度は、中野及び葛西水再生センターにおいても整備に着手いたしました。
 さらに、災害時に燃料を安定的に確保するため、石油関係の組合と石油燃料の安定供給などに関する協定を締結しているほか、水再生センター、ポンプ所間で燃料を相互融通できるよう、非常時の輸送手段の確保に向けて組合と協議を進めているところでございます。

○堀委員 デュアルフュエル型の導入など、さまざまな状況に対応すべく対策を講じているということが確認できましたけれども、今後も取り組みを確実に進めて、震災後においても安定的に下水道機能を確保していただくよう要望いたします。
 次に、浸水対策についてお伺いをいたします。
 私の地元である豊島区では、ここ二、三年は数棟の被害にとどまっております。先ほどの資料でも確認できますが、平成二十五年度には、百棟を超える大規模な浸水被害が発生をいたしました。この年は、集中豪雨や台風に多く見舞われたと記憶しておりますが、二十三区全体でも約八百棟もの浸水被害があったと報告を受けました。浸水からまちを守る取り組みは、都民の生命と財産を守り、社会経済活動を支える上で極めて重要だと認識いたしております。
 そこで、下水道局が取り組んでいる区部における浸水対策の基本的考え方についてお伺いをいたします。

○神山計画調整部長 浸水対策としては、区部全域での時間五十ミリ降雨への対策を基本といたしまして、浸水の危険性の高い対策促進地区や、かつての川を下水道幹線として利用している浅く埋設された幹線の流域などの重点地区を選定し、対策を実施しております。特に、浸水被害の影響が大きい大規模地下街では、時間七十五ミリ降雨への対策を実施しております。
 これに加えまして、平成二十五年の甚大な浸水被害を受けまして、同年十二月に豪雨対策下水道緊急プランを策定いたしました。本プランでは、既存の貯留施設を活用するなどして五十ミリを超える降雨に対しても被害を軽減する五十ミリ拡充対策地区を定めるとともに、市街地においても時間七十五ミリ降雨への対策地区を定め、雨水整備水準のレベルアップを図ることとしております。

○堀委員 浸水対策について、地区の重点化や、一部地区ではレベルアップも取り入れるなど工夫しながら実施しているとのことであります。
 それでは、まず、対策促進地区や重点地区で進めている時間五十ミリ降雨対策の進捗状況についてお伺いをいたします。

○神山計画調整部長 時間五十ミリ降雨への対策といたしましては、浸水の危険性の高い対策促進地区として二十地区を選定しております。このうち平成二十七年度までに、荒川区西日暮里、東尾久地区など十地区が完了いたしまして、残る十地区で対策を実施中でございます。
 また、浅く埋設された幹線の流域などの重点地区といたしましては、十五地区を選定いたしまして、北区十条台地区など六地区が事業中となっております。
 平成二十七年度までの五十ミリ浸水解消率は六九%でございますが、経営計画の最終年度である平成三十二年度には七四%まで引き上げることを目標としております。

○堀委員 着実に進捗していることが確認をできました。
 次に、時間五十ミリを超える降雨に対しても、雨水整備水準のレベルアップを図るとのことでありますけれども、時間五十ミリを超える降雨への対策の進捗状況についてお伺いをいたします。

○神山計画調整部長 既存の貯留施設を活用するなどして、時間五十ミリを超える降雨に対しても被害を軽減いたします五十ミリ拡充対策地区につきましては、六地区を選定し、文京区大塚地区など二地区が事業中でございまして、中野区東中野、杉並区阿佐谷地区など二地区で、今年度の着手に向けて設計などを進めているところでございます。
 次に、時間七十五ミリ降雨への対策につきましては、地下街対策地区と市街地対策地区を定めております。地下街対策地区といたしましては、東京駅八重洲口地区など九地区を選定しており、平成二十七年度までに池袋駅地区など四地区が完了いたしまして、残る五地区で対策を実施中でございます。
 市街地対策地区としては、文京区千石、豊島区南大塚地区など四地区を選定いたしまして、全地区で工事の着手に当たり課題となるシールド工事の立て坑用地確保に向けた地元区との協議や設計などを進めているところでございます。
 これらの地区では、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなどいたしまして、平成三十一年度までに効果を発揮させることとしております。

○堀委員 さきにお話ししましたけれども、平成二十五年八月二十一日に発生した集中豪雨、私の地元豊島区でも、南大塚地区で床上浸水が発生するなど甚大な被害を受け、時間七十五ミリ降雨への対策地区に選定をされました。
 このときには、被害を受けた五町会の皆さんとともに、下水道局に対して支援の要請を、また対策の要請をしたところでございますけれども、記憶に新しい中で、本当に真摯にまちの方に向き合って対策を講じていただいたこと、改めて皆様方には感謝をしたいと思っております。
 そこで、豊島区南大塚地区における浸水対策の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○池田建設部長 平成二十五年八月二十一日に発生した集中豪雨により、豊島区南大塚地区では、既存の幹線の雨水排除能力を上回り、主に幹線沿いの低地で浸水被害が発生いたしました。
 このため、この地区を時間七十五ミリ降雨への対策地区に位置づけ、千川増強幹線を整備することといたしました。しかし、幹線の整備には時間を要することから、早期の効果発現を目的として、管渠の流下能力が不足している区間においてバイパス管などの整備を、平成二十六年に先行して完了させ、浸水被害の低減を図っております。
 現在、千川増強幹線の工事発注に向けた設計や関係機関との協議を精力的に進めるとともに、地元との合意形成に向け、鋭意努力をしております。

○堀委員 当局の誠意ある取り組みに改めて感謝を申し上げたいと思っております。
 地元との合意形成というお話がありましたけれども、確かに豊島区南大塚地区は、商業ビルや住居が密集しており、工事の実施に当たっては地元の理解が欠かせないと思います。
 そこで、この工事を円滑に進めるための具体的な取り組みについてお伺いをいたします。

○池田建設部長 本事業では、シールド工事の作業基地のほか、既設幹線から取水するマンホールを築造するための工事が必要となり、これらの用地確保が重要な課題でございます。
 これまで、区や地元町会と地元の要望を踏まえて慎重に協議を進めてきており、豊島区立の上池袋東公園や宮仲公園、文京区立の窪町東公園などを借用する方向で調整しております。
 公園の使用に当たっては、使用面積を極力小さくし、樹木の伐採範囲を最小化するほか、工事期間を短縮するなど、地元の要望を踏まえた検討を重ねてまいりました。今月末から、地元住民向けに説明会を開催し、工事の内容や効果などをわかりやすく説明することで理解を得られるよう努力してまいります。
 また、工事の実施に当たっては、騒音対策として低騒音の機械を使用するとともに、シールド工事の基地を防音ハウスで覆うなど環境にも配慮してまいります。
 今後とも、地元の要望を聞きながら、一日も早い工事着手並びに効果発現を目指してまいります。

○堀委員 私もその当該町会に何度か足を運んで理解を求めましたけれども、以前にも、この当該町会が利用する公園が全面閉鎖ということで、四年間にわたって閉鎖を余儀なくされた、そういった思いであったり、さまざまな苦労があったということもお話を聞きました。
 その中で、なかなか理解を得にくいということで苦労をいたしたわけでございますけれども、下水道局の皆さんの地道な努力と、また工夫によって、当初計画を手直しする形にはなりましたけれども、対応を図ったことにより理解を得られたものと認識いたしております。
 地元の悲願であります一日も早い事業効果の発現に向けて、私も最善を尽くしていきたいと思います。下水道局も関係機関との連携を図って、地元との合意形成を精力的に進めていただきたいと思います。
 本日は、我が党の政策提言であります世界で一番の都市東京の実現のため、安全・安心を守る取り組みや、海外における技術支援について確認をさせていただきました。
 下水道局では、このほかにも、公共用水域の水質保全を目的とした合流式下水道の改善や高度処理あるいはエネルギー、地球温暖化対策などを推進しており、その取り組みは多岐にわたっていることは認識をいたしております。
 今後も、多様なサービスを展開しつつ、経営計画二〇一六の目標達成に向けた事業の着実な推進が求められます。
 最後に、今後の事業展開に向けた局長の決意をお伺いをして、私の質問を終わります。

○石原下水道局長 ただいま理事から、浸水対策、震災対策など安全・安心を確保する取り組みや技術の国際展開など、さまざまな視点からご質疑をいただきました。
 東京下水道は、高度経済成長期における普及から社会情勢の変化を的確に捉えて機能向上を図りながら、今日までいっときたりとも休むことなくその機能を発揮させることで、都民生活と東京の都市活動を支えてまいりました。
 下水道局は、これからも都民の生命と財産を守るとともに、豊かな環境を次世代に引き継ぐため、今年度から五カ年の事業運営の指針となる経営計画二〇一六を策定し、既に新たなスタートを切ったところでございます。
 東京下水道が取り組んでいるさまざまな事業は、現場の創意工夫から生まれた高度な技術の裏づけによって実現をしており、それらの技術は、今や活躍のステージを東京から世界へと広げております。
 我々は、これまで培ってまいりました現場力、技術力、組織力を発揮いたしまして、いかなる困難な課題にも果敢に挑戦を続け、日本ひいては世界の下水道を牽引する先駆者として未来を切り開いていく決意でございます。

○橘委員 先週十八日に閉幕いたしました国連気候変動枠組条約第二十二回締約国会議、いわゆるCOP22では、二〇二〇年以降の地球温暖化対策に関する今後の作業計画が採択されたわけであります。これを受けて我が国では、今後、多くの分野で、温室効果ガス削減の強化が求められることになります。
 そこで、下水道局のエネルギー、地球温暖化対策について幾つか質問してまいりたいと思います。
 まず、下水道局では、公衆衛生の確保、浸水の防止、公共用水域の水質保全等日常の暮らしに関する事業から都民の生命、財産を守る事業に至るまでさまざまな役割を担っている重要な部門でありますけれども、事業を進める上では多くのエネルギーを必要とする部門でもあります。
 下水道局では、都内の年間消費電力の約一%強の電力を消費するなど、都内最大級のエネルギー消費者であり、より一層の再生可能エネルギーの活用が求められることになるかと思います。その一方で、エネルギー使用量そのものを減らすという省エネルギー対策も必要でありまして、これら両面から対策を進めていくことが重要であると思います。
 こうした中で、下水道局はスマートプラン二〇一四を策定し、再生可能エネルギーの活用拡大と徹底した省エネルギー対策に取り組んでいるわけであります。
 そこでまず、下水道局におけるこれまでの再生可能エネルギーの取り組みについて説明を求めます。

○神山計画調整部長 下水道局では、平成二十六年六月に、下水道事業初のエネルギー基本計画スマートプラン二〇一四を策定し、再生可能エネルギーの活用拡大と、省エネルギー対策を推進してまいりました。
 このスマートプラン二〇一四では、下水道事業で使用する総エネルギーに対する再生可能エネルギー等の割合を、二〇二四年度までに二〇%以上とすることを目標としております。
 再生可能エネルギーの取り組みといたしましては、これまで下水道施設の上部空間を活用した太陽光発電や水再生センターからの放流落差を活用した小水力発電、下水汚泥中に含まれるエネルギーを活用した消化ガス発電などを導入してまいりました。
 また、大気温に比べ、夏は冷たく冬は暖かいという下水の温度特性を利用した下水熱利用事業を平成六年から後楽一丁目地区で、平成二十七年二月から品川シーズンテラスで開始するなど、合計四カ所で実施してまいりました。
 さらに、平成二十七年度には、森ヶ崎水再生センターで水処理施設の臭気対策用のふたの再構築に合わせましてメガワット級の太陽光発電を導入するなど、下水道施設の空間や下水道の持つエネルギーを有効活用することで、可能な限りみずからエネルギーを確保する取り組みを進めてきたところでございます。

○橘委員 今、答弁の中で説明がありましたけれども、さまざまなメニューを組み合わせて再生可能エネルギーの拡大を図っているという、この努力はよくわかりました。
 こういう目標達成ということを明確にして、目標に向かってさまざまな工夫をしていくという取り組みは、これ非常に重要であります。これをまたさらに強化していっていただきたいと思います。
 一方で、再生可能エネルギーの拡大だけではなくて、省エネルギーのさらなる推進を図る必要があるわけであります。
 そこで、これまでの省エネルギー対策の取り組みの状況について伺っていきます。

○神山計画調整部長 当局のエネルギー使用量の内訳では、水処理施設と汚泥処理施設の運転にかかわる電力及び燃料が全体の約八割を占めており、これらの施設で一層の省エネルギー対策が求められております。
 これまで水処理施設では、従来の高度処理と同等の水質を確保しつつ、電力使用量の削減が可能な新たな高度処理を葛西水再生センターで導入したほか、新河岸水再生センターでは、より小さな気泡を発生させる散気装置と小型送風機の組み合わせにより送風電力量を削減するなど、省エネルギー対策を行ってまいりました。また、汚泥処理施設では、燃焼方式の改善によりまして、補助燃料を削減できる焼却システムを新河岸水再生センターに導入してまいりました。
 さらに、これらの省エネルギー機器の導入に加えまして、処理水質の状況を確認しながら、水処理施設の運転管理の最適化を図るとともに、汚泥焼却においても焼却温度の管理を適切に行うなど、日々の維持管理をきめ細やかに実施するなどいたしまして、省エネルギー対策を継続的に推進してきております。

○橘委員 私の地元であります板橋区にある新河岸水再生センターで、さまざまな省エネルギー対策を積極的に推進しているということでありました。そうした取り組みを推進している努力は評価したいと思っております。
 また、再生可能エネルギー、省エネルギーの推進を盛り込んでいるスマートプラン二〇一四の達成に当たっては、確実な進行管理を行うことが重要であります。さまざまな計画があり、そしてまた下水道局以外にもさまざまな計画があり、この管理計画というのはつくられるわけでありますけれども、これが曖昧になるとやっぱり崩れてまいります。したがって、この進行管理というのは非常に大事でありまして、常に監視をして、そして、それがどの時点で、どういうふうに達成できるのか、それには何が必要なのか、そういったことを絶えず見直していくことが非常に大事になってくるポイントだろうと思います。したがって、スマートプラン二〇一四については、徹底した進行管理をお願いしたいと思います。
 そこで、このプランの現在の達成状況について説明をお願いいたします。

○神山計画調整部長 下水道局で使用する総エネルギーに対する再生可能エネルギー等の割合を、二〇二四年度までに二〇%以上とする目標の達成に向けまして、これまで申し上げた再生可能エネルギーの活用や省エネルギーの取り組みを推進してまいりました結果、平成二十七年度は、目標値である九・五%を上回る一〇%となっております。

○橘委員 現在、着実に省エネルギー対策が進められているということでございますけれども、二〇二四年度までに二〇%削減するという目標の達成に向けては、再生可能エネルギー等の割合をさらに一〇%以上高める必要があるわけであります。相当の努力と緻密な推進計画が必要と考えますけれども、このスマートプラン二〇一四における今後の取り組みについて伺います。

○神山計画調整部長 今後も浸水対策の強化や合流式下水道の改善などによりまして、下水道事業で使用するエネルギー量の増加が見込まれることから、再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギーのさらなる推進が求められております。
 そこで、再生可能エネルギーの取り組みといたしましては、森ヶ崎水再生センターなどに小水力発電を導入するほか、南多摩水再生センターに汚泥焼却時の低温域の廃熱を活用した発電を導入してまいります。
 また、省エネルギー対策といたしましては、省エネルギー型の濃縮機を北多摩二号水再生センターに導入するほか、燃焼方式の改善により補助燃料を削減できる焼却システムを南部スラッジプラントに導入してまいります。
 さらに、新たに開発した再生可能エネルギーの活用拡大と省エネルギー対策を両立するエネルギー自立型焼却システムを導入することなどによりまして、スマートプラン二〇一四の目標の達成に向けて着実に取り組んでまいります。

○橘委員 ただいまエネルギー自立型焼却システム、これを導入していくというお話でございましたけれども、これは再生可能エネルギーの活用の拡大と省エネルギー対策を一本のシステムで両立できるというふうにして理解してよろしいのでしょうか−−というふうに理解いたしますけれども、このエネルギー自立型焼却システムの概要と開発の経緯について、もう少し詳しく説明願えますでしょうか。

○小団扇技術開発担当部長 下水の汚泥には大量の水分が含まれていることから、汚泥の焼却工程において、多くの補助燃料と焼却炉内に空気を送り込むための電力が必要でございますが、これまでは主に燃料を削減する技術を開発し、導入してまいりました。
 今回、汚泥を燃焼しやすくするため、焼却炉内に投入する汚泥の水分量をより一層削減する超低含水率型脱水機と焼却炉からの廃熱を活用して発電する技術を取り入れたエネルギー自立型焼却炉を組み合わせたシステムを民間企業と開発いたしました。
 このシステムの確立により、焼却時に補助燃料が不要になることに加え、発電を行うことで使用する電力をみずから賄うことが可能になるため、補助燃料及び電力による二酸化炭素の排出量を大幅に削減することができます。
 本システムは、平成二十八年八月に、新河岸水再生センターにおいて工事に着手しておりまして、下水道事業では、実運用で日本初のシステムとして、平成三十一年度の建設完了を目指しているところでございます。
 今後は、葛西水再生センターや南部スラッジプラントなどにおいて順次導入する予定でございます。

○橘委員 今説明がございましたけれども、自立型焼却システム、これは私も説明、事前に受けておりましたけれども、理論的には効率的であるし、今後、非常に有望かなという気がいたします。これから実証実験なんかをやっていかなきゃならないかと思いますけれども、これがまた都内で、東京都下水道局さんで導入していって、そしてまた全国にも波及していけば、これは非常に大きな成果かなと、また大きな効果を生むのかなというふうに思います。まず、ぜひとも新河岸の水再生センターで、平成三十一年度完成を目指して取り組んでいただきたいと思います。
 そして、スマートプラン二〇一四の目標達成の実現を目指して取り組みを進めまして、エネルギーの削減にさらに努めていただきたいと思いますし、これは目をみはるような成果を出していただければと思って期待をしております。
 一方、先日、発効されたパリ協定の目標達成に向けて、全世界において、より一層の温室効果ガスの削減対策が求められております。下水道局でも、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇一〇という計画を策定いたしまして、温室効果ガス削減対策に取り組んでいるわけでございます。
 そこで、アースプラン二〇一〇のこれまでの取り組み成果について伺っておきたいと思います。

○神山計画調整部長 アースプラン二〇一〇は、二〇二〇年度までに、下水道事業から排出される温室効果ガスを二〇〇〇年度比で二五%以上削減することを目標としております。
 これまで省エネルギー型機器の導入など、地球温暖化対策を積極的に進めてきたことによりまして、平成二十七年度の温室効果ガスの削減率は二五%以上という目標を前倒しで達成いたしました。

○橘委員 温室効果ガス削減対策におきましても、前倒しで目標を達成できた点は、大いに評価したいと思っております。
 しかし、国や東京都では、これまで以上に、さらに一段上の目標に向けて、温室効果ガスの排出量削減を目指すことになっているわけでございます。
 そこで、下水道局の今後の温室効果ガス削減対策について伺っておきたいと思います。

○神山計画調整部長 今後も、下水道サービスの向上によりまして温室効果ガス排出量の増加が見込まれるため、二〇二〇年度までの目標達成に向けまして継続的な取り組みを推進してまいります。
 しかし、ご指摘のとおり、国や東京都において、これまで以上に温室効果ガス排出量の削減を目指すこととしており、東京都では、平成二十八年三月に策定された東京都環境基本計画におきまして、二〇三〇年までに、東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で三〇%削減するという高い目標を設定いたしました。
 これを踏まえまして、当局においても、新たな技術を活用するなどして、地球温暖化対策に取り組むための新アースプランを今年度末を目途に策定することといたしまして、下水道事業における温室効果ガス排出量の一層の削減を目指してまいります。

○橘委員 ぜひとも新アースプランという新たなプランを策定いたしまして、一層の温室効果ガス排出量削減対策に取り組んでいただきたいと思います。
 あわせて、エネルギー削減も両立しながら、環境に配慮した下水道事業の推進に期待をいたしまして、私の質問を終わります。

○米倉委員 私からは、豪雨による中心市街地の浸水被害対策などを中心に質問させていただきたいと思います。
 いただいた資料によりますと、床上浸水や床下浸水の被害状況について、例えば二十三区では、この三年間で約千四百棟の被害が報告されています。地球温暖化の問題を考えるための国連機関であり、世界百九十五の政府がメンバーであるIPCCは、これから大雨の頻度は引き続き増加する可能性が非常に高いと指摘しています。
 また、気象庁も一時間降水量五十ミリ以上の年間発生回数が日本のほとんどの地域で増加すると指摘しています。
 そこで、こうした近年の都内の浸水被害はどういった特徴があるかについて、都の認識を伺います。

○神山計画調整部長 都市化の進展によりまして下水道への雨水流入量が増加し、場所によっては雨水排除能力が不足し、浸水被害が発生しております。
 また、近年の東京における浸水被害の多くは、局所的な集中豪雨によるもので、河川へ流入する前に、くぼ地や坂下など浸水に対して比較的弱い箇所で発生しております。

○米倉委員 浸水被害が増加している要因として、近年、時間五十ミリを超える豪雨が増加していることが挙げられます。豪雨については、地球温暖化、ヒートアイランド現象の影響も考えられ、今後多くの地域で増加する見込みと指摘されています。
 加えて答弁でもありましたが、まちづくりのあり方として、雨水排出抑制、雨水の地面への浸透などの対策がおくれていることが挙げられます。
 都は、二〇一三年の豪雨により、区部で合計約八百棟もの浸水被害が発生したことを受けて、豪雨対策下水道緊急プランを取りまとめました。豊島区南大塚など四地区で、時間七十五ミリの降雨に対応できるよう、新たな幹線を建設するなど進めていらっしゃいます。また、品川区戸越など六地区の時間五十ミリを超える降雨への対策を、そして被害が比較的小規模な六地区ではバイパス管の設置などを進めていらっしゃいます。
 そこで、七十五ミリ対策を進めている豊島区南大塚、文京区千石地域について、今、対策はどこまで進んでいる段階なのでしょうか。
 あわせて、現状と今後のスケジュールを伺います。

○池田建設部長 現在、千川増強幹線の工事発注に向けた設計や関係機関との協議を精力的に進めております。また、今月末には、地元住民向けの説明会を開催し、工事の内容等について説明する予定でございます。
 今後とも、地元住民の要望を聞きながら、一日も早い工事着手並びに効果発現を目指してまいります。

○米倉委員 地元住民の要望をお聞きいただき、一日も早い工事完了を目指していただきたいと思います。
 今、スケジュールについても伺いましたが、ご答弁では、この工事の完成めどについては示されませんでした。工事完成はいただいた資料から推測しますと、少なくとも七、八年はかかると思われます。となると、集中豪雨や台風は、近年増加傾向にあり被害も広がっています。完成までに時間がかかることから、その間の対策も求められます。
 都は、工事の完成を待たず、二〇一九年段階で工事効果を一部発揮させるとしていますが、具体的にこれはどのようなものでしょうか。

○池田建設部長 本流域の対策としましては、千川増強幹線本体のほか既設下水道管から雨水を取水する施設などを整備する必要がございます。これらの整備には時間を要するため、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなどして効果を発現するよう工夫してまいります。
 平成三十一年度末までの、効果発現の具体的内容は、今後の工程などを勘案して検討してまいります。

○米倉委員 つまり今の時点では、完成途中段階といいますか、これから工事されるということで、どのくらいの効果が出るかわからないということですね。しかし、一刻も早い対策が求められると思っているんです。
 私は、二〇一三年に、南大塚地域で起こった豪雨被害の状況を調べました。地下室が水浸しで、アルバムや遺品が台なしになる方や、床や布団がぬれて、しばらくはホテル住まいを強いられた方、建てたばかりの家の床下を乾燥させるのに費用がかかった方、マンションではエレベーターがだめになり、自動車、オートバイが使えなくなるなど、多くの方が甚大な被害を受けました。公的保障はほとんどありませんから、保険に入っていない方は全て自己負担になりました。被害に遭った方は財産を失ったということです。
 浸水被害に遭うと修繕にも、費用も労力も大きな負担がのしかかります。例えば、部屋が泥水に長時間つかると部屋中がどぶ臭くなります。放っておくと感染症の原因にもなるとのことで、部屋の中やにおいの原因にもなる床下にたまった泥を取り除き、消毒する必要があります。この泥の撤去と消毒を業者に依頼すると五十平米の家の場合では十万円近くになるといわれています。
 床上十センチの浸水被害では、床の全面張りかえだけでなく、全ての内壁を床から一メートルのあたりまでカットして張りかえる。部屋のドアや収納の扉が水を吸って膨張しますから、建具を全て取りかえることにもなります。損傷したキッチン、洗面台、トイレ、給湯器の交換、こうした修繕が必要となります。
 ある不動産会社の試算では、五十八平米の家の場合、一戸当たり三百万から六百万円もの費用になるともいわれています。ですから、住民の皆さんは二度と浸水被害には遭いたくないという思いで、今でもまとまった雨が降るたびに不安を抱えて過ごしていらっしゃいます。水害対策は待ったなしなんです。
 それぞれの地域で、大規模な対策工事、これは重要ですが、工事待ちにならず、総合的な治水対策が必要です。とりわけ雨水を下水などに集中させないために、雨水ますなどの設置で、できるだけ雨水を地中へ浸透させることは重要となります。
 そこで、予想を超える降雨などが全国で発生する中、七十五ミリ対策工事待ちにならず、雨水ますを増設するなど、早期にできる対策を行う必要があると考えますが、都の取り組みを伺います。

○神山計画調整部長 下水道局では、平成二十五年の浸水被害などを受けまして、豪雨対策下水道緊急プランを策定し、時間七十五ミリの降雨への対応も含めた幹線や貯留管の整備に取り組んでいるところでございます。
 しかし、これらの整備には時間を要するため、先ほどお答えいたしましたように、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなどして、早期に効果を発現することといたしております。
 また、区など道路管理者と短期的に浸水被害を軽減できる対策を密接に協議いたしまして、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなど、現場状況に応じた対策を区などが実施しております。

○米倉委員 道路管理者と対策について協議をされ、雨水ますの増設などを進めていらっしゃるということです。そうなると、都や区が管理する公道については、浸水被害が起きたり、その可能性がある地域の雨水ますを増設するということは進めやすいと思いますが、私道については、また私有地については、関係権利者の調整や工事費の負担が理由になり、なかなか整備が進まないことになるのではないでしょうか。というふうになりますと、例えば、南大塚の三業通り周辺などのように私道の多い部分は、七、八年は現状に近い状況が続くことになるおそれがあります。
 そこで伺いたいのですが、私道、私有地での雨水ますなどの改善がおくれていると思うんですが、そうした現状について、都はどのように認識していらっしゃいますか。

○廣木施設管理担当部長 当局におきましては、公道上の公共下水道の管理修繕は行っておりますが、私道を含む私有地内の排水設備につきましては、下水道法の規定により、当該土地の所有者が行うことになっております。
 なお、区によっては、私道排水設備の助成制度がございます。

○米倉委員 私道や私有地の雨水ますの設置の現状についての認識は示されませんでした。しかし、他局とも連携して、こうした現状を把握して、オール都庁として対策を講じていかなければ、下水道の会計を財源とした対策が増加しかねないというふうに思っています。
 大塚のこの三業通り周辺では、私道が非常に多く、公道だけで下水道のネットワークが構築できずに、私道に下水道局管理の下水道管が埋設されているところでもあります。特にこうした地域には、私道内の下水道への雨水流入対策、私有地内でのこうした対策を進める必要があり、下水道局からの働きかけ、例えば、この下水道管更新工事の際に雨水ます設置を呼びかけるなどできると思います。できる限りのこうした対策を、他局と連携して検討していただくことを強く要望いたします。
 次に、浸水被害対策では、施設設置などハード対策だけでなく、周辺住民への情報提供などの取り組みも重要です。
 そこで伺いますが、豪雨災害が増加する中、浸水被害が起きそうな地域については、住民が下水道管内の水位を把握できるようにすることが重要と思いますが、都の認識を伺います。

○神山計画調整部長 豪雨時の浸水の発生に対応するためには、下水道幹線内の水位情報を把握するとともに、水防管理者である地元区にいち早く提供し、水防活動に役立てることが重要でございます。
 このため、下水道局では、浅く埋設された幹線など浸水被害が発生する危険性の高い幹線を対象に、水位の情報を区の要望に応じて提供しております。また、一部の区では、ホームページなどで水位情報を区民に提供しております。

○米倉委員 私も事前に伺いましたが、下水道局では、桃園川幹線など八つの下水道幹線の水位情報を六つの関係区へ提供していらっしゃるとのことです。
 都内の集中豪雨や台風などから水害被害を軽減させ、都民の命と財産を守るには、正確な情報を迅速に、そして広く伝達することが重要です。また、情報を得たいときというものは、台風や集中豪雨などが発生しているときですから、屋内において情報を受け取るシステムが重要です。
 浸水被害状況を建設局は毎年公開しています。二〇一二年から三年間だけを振り返っても、圧倒的に内水氾濫となっています。ですから、下水道管内の水位情報を把握し、早期に避難や浸水への対策を行うことは集中豪雨対策として重要だと考えます。
 過去に水害が発生している地域やくぼ地など、豪雨に弱いと考えられる地域については、積極的に、今後、水位計を設置することが重要と考えますが、都の取り組みを伺います。

○神山計画調整部長 下水道幹線の水位情報の提供は、水防管理者である地元区の正式な要望を踏まえまして実施することとしており、今後、千川幹線など四幹線について水位情報の提供を検討していくこととしております。

○米倉委員 新たに四幹線で水位情報の提供を検討していく積極的な姿勢は評価したいと思います。ぜひその立場で、今後も水位計設置と情報提供を行っていただきたいと思います。
 しかし、二〇一三年の豪雨では、約八百棟もの浸水被害が起こるなど、豊島区を含め、都内各地での被害が起きています。こうした被害状況から見ると、今の水位計設置ですとか、今後の予定はやはり少ないのではないかというふうに思います。
 次に、水位計設置についてですが、南大塚地区の住民の皆さんからも東京都に要望が出ています。都は、水位計の設置について、これまで豊島区とはどのような協議を行ってきたのか伺います。

○神山計画調整部長 千川幹線流域におけます南大塚地区の住民の方々のお話でございますけれども、この地区の水位計の設置につきましては、一昨年から豊島区と打ち合わせを行っております。昨年は、下水道事業促進に関する特別区別要望におきまして、区で予算化した場合は、特段の配慮をと要望されており、引き続き協議をすることとしております。

○米倉委員 つまり二年前から協議をされているということですね。そこで伺いたいと思うんですが、既に二年協議されている中で、設置のためのめどというものは、現時点で立っていらっしゃるんでしょうか。

○神山計画調整部長 先ほどもお答えしましたが、区の要望を踏まえて我々対応するということでございますので、区の要望をいただければ、しかるべき対応をしてまいります。

○米倉委員 住民の皆さんからも要望が出ていますから、豊島区との協議の中で、下水道局の方からも積極的に設置を働きかけることを強く要望したいと思います。
 この水位計については、例えば、品川区では、暗渠となっている立会川の水位をホームページで公開をしています。品川区は、そのふたがかかっている地域の水位を知ることで、下流の川のふたがない地域の水位をあらかじめ予測して、浸水被害対策を区民に周知する手段として活用をしています。このような情報提供の取り組みを広域的な立場から、他の自治体に普及するための協議会などの設置も効果的と考えます。
 また、さらに促進しなければならない雨水浸透ます設置などについては、甚大な浸水被害が発生している地域などを基準に選ばれている対策強化流域の中では、十八の区のうち九つの区にしか雨水浸透ます補助制度もありません。豊島区にもありません。私道、私有地の方々の認識を深め、こうした課題はどこにあるのかなど、課題の整理をする場としても有効な場となり、都の施策に効果的に生かしていく土台ともなると考えます。
 特別区長会からも、来年度の予算要望で、大規模水害時における自治体の枠を超えた広域避難を迅速かつ統一的に行うための体制の早期整備を求めています。ですから水害対策においては、都の広域的な役割が決定的です。
 以上のことからも、水害被害の軽減を図るために重要な役割を担う都の取り組みをオール都庁でさらに充実させることを強く要望して、質問を終わります。

○山下委員 私からは、多摩地域の下水道再構築と今後の財政運営について伺ってまいりたいと思います。
 まずは、流域下水道について質問をいたします。
 ご承知のとおり、昭和四十三年に事業を開始した多摩地域の流域下水道は、市町村が公共の下水道、都は幹線や水再生センターなどの基幹施設を整備いたしております。公共用水域の水質保全など、良質な下水道サービスを提供し続けるためには、老朽化した施設や設備の対策が最重要課題だというふうに認識をいたしております。着実に取り組んでいただきたいというふうには思っておりますが、これは更新時期が重複したりといったようなこともあり、事業費が膨大になることも懸念をされているところだというふうに思っているところであります。
 流域下水道幹線は、複数の市町村の下水を集めて水再生センターに送る重要な役割を担っており、老朽化の状況などを見きわめながら対策を講じていく必要があると思います。
 そこでまず、流域下水道幹線の再構築の取り組みについてお伺いをいたします。

○佐々木技術部長 流域下水道幹線は、建設から、平均で三十年程度経過しており、これまでの幹線調査に基づき、損傷の程度、管内水位や流速などから、対応方針や優先順位を整理しています。
 特に、昭和四十三年に建設に着手し、老朽化が進行している乞田幹線につきましては、管内水位が高いことから、代替幹線による整備を検討しております。

○山下委員 ご答弁いただいた昭和四十三年に建設がされ老朽化が進行している乞田幹線については、代替幹線による整備を検討されるというふうなご答弁でございますので、ぜひお願いしたいなというふうには思っております。
 私ども、多摩に住まう人間としては、やはり現実を見ていく中で、老朽化が進む区部下水道の再構築、これが進んでいるように見えます。多摩においてもしっかりと、検討から実施に向けて踏み込んでいただけるように、アクセルを踏んでいただけるように要望を、これはさせていただきたいと思います。
 次に、水再生センターの再構築についてお伺いをいたします。
 多摩川や私の地元の柳瀬川の水環境を支えているのは、下水道処理水と私は考えております。また、水再生センターの施設の再構築がなければ、水環境を良好に保つことは難しいとも考えております。
 そこで、流域下水道の各水再生センターの再構築の進め方についてお伺いをいたします。

○佐々木技術部長 流域下水道の水再生センターの再構築につきましては、耐用年数が短い電気、機械設備を中心に更新を進めております。
 電気、機械設備は、予防保全の観点から、設備再構築基本計画に基づき、計画的な延命化を図り、法定耐用年数の二倍程度の経済的耐用年数で再構築していきます。また、再構築時には、省エネルギー化や準高度処理の導入など、機能向上やコスト縮減にも取り組んでまいります。

○山下委員 水再生センターの再構築は、大規模工事となり、時間とコストがかかることから、現在ある施設の延命化を図ることで既存施設を極力活用することが重要だというふうに認識をいたしております。
 私の地元の清瀬水再生センターでも、再構築が行われているというふうに伺っております。この清瀬の水再生センター、私自身も地元でありますので何回も伺ったことがございます。まさに下水を受け、それから水に、柳瀬川に柳瀬川自体の水質よりもいいお水を出してあげるといったような段階的なところも見せていただいて、あわせ、その敷地内にある公園、これは地元の住人の方ともリンクをしながら、自然を皆さんに触れていただけるような、そこにいる生き物も非常に大切にしていただいていると。
 この水再生センター自身、この清瀬にあるものに関しては、地域の地元自治体も、ご承知のとおり、野球のグラウンドであったり、サッカーのグラウンドであったり、テニスコートであったり、スポーツと融合という形の中で、地域も本当に注目をしている施設であります。
 そういった、この清瀬の水再生センターの水処理施設の再構築の進捗状況と完成見込みについてお伺いをいたしたいと思います。

○佐々木技術部長 清瀬水再生センターは、昭和五十六年の運転開始から三十五年が経過し、設備の再構築を計画的に行っております。
 現在、日量約三十六万立方メートルの処理能力を有している水処理施設のうち、約十万立方メートルの電気、機械設備の再構築を、平成三十二年度末までの完成を目指して順次進めております。
 再構築に当たりましては、既存施設の改造により整備が可能な準高度処理の導入、微細気泡散気装置への更新など、省エネルギーに直結し、維持管理費の縮減にも寄与する再構築に取り組んでおります。

○山下委員 清瀬水再生センターの汚泥処理施設、これも老朽化をしており、再構築が必要だというふうに考えております。
 今後どのように整備を行い、処理機能を向上させていくのか、汚泥処理施設の再構築の状況についてお伺いをいたしたいと思います。

○佐々木技術部長 清瀬水再生センターには三つの焼却炉がございますが、設置から二十年以上が経過し、老朽化が進んでいる一炉について、平成三十二年度末までに、電気や燃料の使用量を削減することができる、高温省エネ型焼却炉に再構築する予定でございます。あわせて、老朽化した脱水機、濃縮機につきましても、省エネルギー型機器を導入することにより、汚泥処理全体の温室効果ガスの削減にも取り組んでまいります。

○山下委員 将来的には、電気、機械設備だけでなく、施設全体の再構築が必要になるというふうに考えておりますけれども、建設はもとより、水処理施設などの維持管理も含めた効率的な下水道事業の運営が必要であるというふうにも考えております。
 そこで、最少の経費で最良のサービスを多摩地域の住民の皆さんに提供するために、流域下水道事業において、健全な財政運営を考えていく必要があるというふうに考えておりますが、流域下水道事業をどのように運営していくのか流域下水道本部長にお伺いいたしたいと思います。

○坂根流域下水道本部長 多摩地域の流域下水道を取り巻く経営環境は、下水道の普及率が九九%を超え、維持管理負担金収入の伸びが見込めない中、労務単価の上昇など外的要因によって維持管理費は増加傾向にあり、厳しい状況にございます。
 そこで、施設の効率的な運転を行うとともに、再生可能エネルギーの活用拡大や、省エネルギー型機器の導入など、さまざまな経営努力に取り組むとともに、事業費の平準化や国費の確保などにより、多摩三十市町村の負担にも配慮した財政運営を行ってまいります。多摩地域の下水道は、普及概成を目前に控えており、効率的な再構築や維持管理に取り組むことが極めて重要でございます。
 今後とも、経営改善や市町村との連携強化を図りながら、多摩地域の安定的な下水道運営に努めてまいります。

○山下委員 下水道局として、人口減少社会に向かう社会状況の変化や、今後の需要などを踏まえながら、施設設備などの再構築に取り組むことを求めさせていただきたいと思います。また、新たな課題や持続可能な事業経営を図るために、経営の健全化を図ることを求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○高椙委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩したいと思います。
   午後五時五十二分休憩

   午後六時十分開議

○高椙委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○田中委員 私からは、浸水対策と合流式下水道改善対策についてお伺いをいたします。
 ここのところはもう毎年夏になると、ゲリラ豪雨や大型台風が増加して、各地で浸水の被害などが出ています。私の地元、杉並区の善福寺川の流域でも、ゲリラ豪雨により毎年のように浸水被害が出ています。
 この善福寺川というのは、杉並の善福寺池が水源地で、その先は神田川につながる川ですけれども、特に環七よりも西側の善福寺川の水源に近い上流での被害が非常に顕著です。特にひどかったのは、十一年前の平成十七年、二〇〇五年九月四日の集中豪雨です。このときの集中豪雨は、一時間に何と百十二ミリという過去に例のないような大雨で、床上浸水が千二百一件、床下浸水が六百六十九件、土間上浸水が四百四十四件という甚大な被害が出ました。その後、平成二十五年、二〇一三年にも、東京の区部において時間五十ミリを超える豪雨が四回も発生し、合わせて約八百棟もの浸水被害が出ました。
 この年は、七月下旬から八月上旬に、都内各地で七十回以上のゲリラ豪雨を観測していますが、この年も杉並区では、善福寺川沿いの低地を中心に、荻窪近辺で床上浸水など多くの被害が出ています。
 私は、この平成二十五年、二〇一三年の被害を受けて、この年の本委員会の事務事業質疑において、浸水被害が多い善福寺川流域の荻窪地区における浸水対策について質問をさせていただいたところ、荻窪地区を重点地区として位置づけ、対策を行う旨のご答弁をいただきました。
 一方で、荻窪地区より上流の水源の善福寺池に近い西荻窪地域では、雨天のときに善福寺川に放流される水の水質を改善する取り組みである合流式下水道の改善対策も進められています。善福寺川上流付近においては、浸水対策と合流式下水道の改善対策という複数の下水道事業が同時期に実施されているわけですけれども、どちらも、これまで同じように、この地域は浸水被害が発生してきた地域であるため、地元の住民としては、この場所での下水道工事は浸水対策工事だと誤解している人も多いです。
 まず、この浸水対策と合流式下水道の改善対策が、それぞれこの場所で実施されている理由についてお伺いします。

○神山計画調整部長 浸水対策は、過去の浸水被害実績や浸水に対する危険性などを総合的に勘案した上で実施箇所を選定しております。
 善福寺川沿いでは、これまで局地的に浸水被害が発生していますが、中でも荻窪地区は繰り返し浸水被害が発生し、大きな被害を受けたことから事業を実施することといたしました。
 一方、合流式下水道の改善対策は、雨天時に合流式下水道から河川や海へ放流される汚濁負荷量を削減し、良好な水環境を創出することを目的といたしまして、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などを行うものでございます。
 善福寺川流域における合流式下水道の改善につきましては、平成二十四年に三千六百名を超える地元住民の方々の署名が都と杉並区に提出され、あわせて区からも当局に対して事業の早期実現を強く求める要望書が提出されております。さらに、杉並区の協力によりまして工事用地が確保できたことから、本事業が実現したものでございます。

○田中委員 それぞれの施策において、その必要性や地域特性などを踏まえて事業の実施箇所を選んでいるということです。
 今後、地元の住民の方々への工事の説明会などがもしあった場合は、ぜひ、こうした事業の目的をわかりやすく説明するようにしていただければと思います。
 次に、ご答弁にあった荻窪地区における浸水対策について、まずお聞きをいたします。
 この地区の善福寺川付近は、昔、オギが生えて、あたりがくぼ地であったことが荻窪という地名の由来だといわれていますけれども、昔は沼や水田ばかりのところでした。もともと水が集まりやすい地形となっているわけです。
 先ほど申し上げました平成十七年、二〇〇五年の浸水被害のとき、この地域は大人の肩まで水が出まして、付近の道路は全て川のようになりました。浸水というより大洪水で、大きな被害が出ています。もともと水っぽい地域ですので、少し強い雨が降っただけでも足首くらいまでは水につかるという被害が出て、これまで何度も浸水被害があり、地元の方々からは浸水対策を進めてほしいという声が多く寄せられていました。
 そこで、この荻窪地域において、どのような浸水対策を行うのか伺います。

○池田建設部長 荻窪地区の浸水対策につきましては、浸水被害の多発している善福寺川沿いの低地部において、時間五十ミリの降雨に対応する施設整備を行います。
 具体的には、大宮前幹線を増強する施設として、内径〇・八から二・六メートル、延長約六百五十メートル、貯留容量二千二百立方メートルの貯留管を整備いたします。

○田中委員 今のご答弁で、大宮前幹線の増強施設として貯留管を整備するということでしたけれども、今、この浸水対策の進捗状況についてお伺いをいたします。

○池田建設部長 貯留管の設置位置や規模などを検討する実施設計は既に完了しております。本年九月には、地元住民向けに説明会を開催し、事業の目的や区立荻窪公園を工事の作業基地として利用する計画などについて説明したところでございます。現在は、工事発注に向けた準備を進めているところでございます。

○田中委員 ありがとうございます。また繰り返しになりますけれども、ここは毎年のように浸水被害が出る地域ですので、できる限り早い工事の進捗をお願いできたらと思います。
 次に、荻窪地域より上流の西荻地域における善福寺川の合流式下水道の改善対策についてお聞きします。
 善福寺川は、川沿いでは、春の桜から秋の紅葉まで四季の変化を楽しむことができ、また、今ごろはマガモやカルガモ、コガモ、カモですね、オオサギ、コサギなどの水鳥が多く見られ、もうちょっと阿佐谷の方の下流ではカワセミなども多く見られるところです。住宅街の中で自然を感じることができる、晴天時はとても水のきれいな川です。
 また、善福寺川というのは杉並が水源地で、神田川に合流する手前までの川なので、杉並で始まって杉並で終わる川です。区民にとって、とっても親しみのある川ですので、善福寺川の自然を守る活動をしている区民の方々がとても多いのです。こうしたことから、私も地元住民の一人として、この善福寺川の雨天時の放流対策は極めて重要だと考えています。
 そこで、善福寺川において、どのような合流式下水道の改善対策を行うのでしょうか。また、それによってどのような効果が出るのかをお伺いいたします。

○神山計画調整部長 善福寺川流域におきましては、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送水する下水道管の整備と、雨水はけ口からごみなどの流出を抑制する対策を既に完了しております。さらなる水質改善を図るため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を整備することとしており、これによりまして、整備流域で雨天時における善福寺川への放流回数を半分以下といたします。これらの取り組みによりまして、善福寺川はもとより下流の神田川の水辺環境も改善してまいります。

○田中委員 雨天時の下水をより多く水再生センターへ送水する下水道管の整備と、雨水のはけ口からのごみなどの流出を抑制する対策は終わっているということでしたけれども、雨が降り出したときの初期の、特に汚れた下水を貯留する施設の整備の方はどうなっているんでしょうか。貯留施設の整備の進捗状況についてお伺いいたします。

○池田建設部長 現在、内径二・四メートル、総延長三・四キロメートル、貯留量一万五千立方メートルの貯留管を計画しております。そのうち、区立関根文化公園から善福寺公園までの延長一・八キロメートルの区間でシールド工事を施行しており、今年度中に完成する予定でございます。引き続き、残る一・六キロメートルのシールド工事や既設の下水道管と貯留管とを接続する工事などを進めてまいります。

○田中委員 荻窪地区の浸水対策も、それから上流の西荻地域の合流式下水道の改善対策も、この地域の方々にとっては悲願ともいえる善福寺川対策なんです。都や区の浸水対策や治水対策というのは、降雨量の八〇%を河川改修と下水道の工事、そして降水量の二〇%を雨水浸透ますとか透水性舗装などの雨水流出抑制施設その他で対応する計画で進めているはずです。
 この地域は、善福寺川に住宅が迫っていて河川改修がなかなか難しい。ということは、ハードの対策としては下水道の対策は不可欠だということになります。大きな工事などで時間がかかるということはお聞きをしておりますけれども、ぜひ一日も早い工事の完成をお願いをしまして、質問を終わります。

○塩村委員 私の方からはまず、待機児童の解消に向けた取り組みとしまして、下水道局が所有をしている土地についてお伺いをいたします。
 私の地元の世田谷区は、待機児童が大体毎回ワーストと深刻な状態です。世田谷の特性としまして、園庭を望む声も多く、都市部である世田谷では土地の確保が一番の問題であり、特区制度を利用した保育園の開設にもいち早く名乗りを上げております。
 東京都では、都有地を活用した保育所等の整備を推進するため、副知事をトップとして全庁横断的な都有地活用推進本部を設置し、民間保育事業者からの照会や提案に回答をする窓口、とうきょう保育ほうれんそうを開設されました。下水道局はどのような協力をして、待機児童解消に貢献をしていくのかをお伺いいたします。

○田中経理部長 都有地活用推進本部では、公営企業を含む全ての局等が所管する都有地を対象に洗い出しを行い活用可能性を検討した上で、区市町村に対して、それらの土地の情報について提供していくこととしてございます。
 現在、本部からは、各局に対して活用可能な土地の洗い出しが求められており、当局においても所管する用地について精査する作業に取り組んでいるところでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。働き方や家族構成など、時代が変わり、保育園の絶対数が足りない状態ですから、解決するまで下水道局も積極的に協力をしていってほしいと思います。
 また、保育園だけではなく、都市部では、子供たちが放課後にちょっと遊べるような広場も足りないと区議会議員より要望を受けております。未来を担う子供たちの育ちには、遊びも重要です。広場や公園などの要望にも応えていただけましたら幸いです。
 次に、下水汚泥の処理と処分についてお伺いをいたします。
 下水道法は、努力義務とはいえ下水汚泥の軽量化を義務づけているのは、多量の水分を含んだまま処理や処分をすると大変なコスト高につながり、運搬費を含む汚泥処理費の高騰につながって下水道経営を圧迫するからです。
 下水汚泥は、発生時現物量ベースで見てみますと、日本で発生をする全ての産業廃棄物のおよそ二割を占めており、今後も増加傾向にあるとのことです。これらの汚泥をそのまま埋め立てる最終処分場も全国的に逼迫しており下水汚泥の削減が急務です。そのため、下水汚泥の有効活用とリサイクルの必要性が急速に高まっております。
 下水道は二十四時間三百六十五日稼働し、管理と運営には莫大なコストがかかります。特に負担となっているのが電気代と汚泥処理費です。汚水くみ上げやエアレーションに大量の電気を使いますから、下水道処理場が使う電力消費量は、日本の電力消費量のおよそ〇・七%、莫大なことです。この割合の構成比は、日本と東京を置きかえてみても、都もおよそ一%に相当し同じです。
 そして、下水汚泥は、活用されず処理場で最後に残った最終残渣、脱水汚泥や焼却灰は処分業者にお金を支払って引き取ってもらいますが、これが汚泥処分費で、これに運搬費までかかるのが普通ですから、量がふえればふえるほど処分費がかさむと聞いております。ということで、下水汚泥の有効活用が注目されて久しいです。
 そこでまず、東京都はどのように下水汚泥を処理しているのかをお伺いいたします。

○中島施設管理部長 下水処理の過程で発生した汚泥は、区部と流域下水道を合わせて、一日に約二十万トンとなっております。発生した汚泥は水分量が非常に多いため、汚泥処理施設において濃縮、脱水といった工程により水分を減らした上で、焼却炉で焼却し、一日約百トンの焼却灰とすることで大幅な減量化を図っております。この焼却灰につきましては、適切に運搬、埋立処分を行っているとともに、一部は資源として有効活用をしております。

○塩村委員 ありがとうございます。ご答弁を伺いますと、資源として有効活用している、つまりマテリアル利用しているということでございます。
 マテリアル利用というのは、固形物として下水汚泥を利用しているということですが、これまでどのように下水汚泥をマテリアル利用してきたのか、その割合と推移をお伺いいたします。

○中島施設管理部長 東日本大震災以前は、セメント原料や軽量骨材、炭化物、アスファルト舗装の材料などとして、下水汚泥の約八割を資源化しておりましたが、汚泥から放射性物質が検出された以降、資源化を見合わせておりました。
 現在、放射性物質の濃度が低下してきたことから、安全性を確保しつつ、下水道工事で使用する鉄筋コンクリート管の材料や建設資材としての軽量骨材などとして試行的に資源化を再開しておりまして、平成二十七年度末の下水汚泥の資源化率は約五割となっております。

○塩村委員 ありがとうございます。放射性物質が検出され、セメント会社からも受け入れてもらえなくなったと聞いておりまして、二十三区の下水汚泥のマテリアル利用は、下水道局の経営レポート二〇一二にあるように、一割強と全国でも最低の水準にまで落ち込んでいた時期もあったものの、少しずつ利用率は回復をしているとのことです。
 一方で、まだ資源化率は五割とのことですから、残りの五割は埋立処分をしていることになります。
 そこで、今後の資源化率向上へ向けての見通しや改善策、東京都の未活用下水汚泥の活用法をお伺いいたします。

○神山計画調整部長 汚泥焼却灰の受け入れ量の拡大や新たな受け入れ先の開拓などによりまして、資源化の早期回復を図るため、関係機関との協議を推進しております。また、粒度を調整した焼却灰を有効活用した鉄筋コンクリート管や組み立てマンホールなどの二次製品につきまして、東京都の公共工事での利用拡大に向けて取り組んでいるところでございます。
 さらに資源化メニューの多様化などを図るため、リン濃度の高い余剰汚泥を分離することで、焼却灰をリンとして資源化する技術の開発にも取り組んでまいります。
 今後も、限りある埋立処分場の延命化を図るなど、下水汚泥の資源化を推進してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。さまざまな取り組みを推進していることがわかりました。今後も、安全性に留意をしながらリサイクルの推進をお願いしたいと思います。
 リンの話がありました。特にリンの資源化は重要で、リンは窒素、カリウムと並ぶ肥料の三大要素の一つであり、食料生産に欠かせない重要なものであります。
 しかしながら、日本は原料を中国やモロッコなど海外からの輸入に依存しており、産出国では輸入制限もあって価格が上がったり下がったり乱高下しまして、近い将来の枯渇も予想されているというリン資源の確保は、国家的課題とのことですから、ご答弁にありました技術の開発に期待をしております。
 さて、下水汚泥は、この東京のような大都市であればあるほどに大量に発生しまして、石油や石炭のように遠くから運び入れる必要のない集約型、都市型の資源エネルギーであるといわれております。今回、参考にしました日経の資料によりますと、日常生活の中で必ず発生をする量的、質的に安定をしたバイオマス資源で、人間が存在をする限り枯渇することがない再生可能エネルギーとのことです。つまり下水汚泥をエネルギーにして、化学燃料の使用をリデュースできれば、地球の温暖化対策にも貢献ができます。
 政府は、二〇一四年四月に閣議決定をしました第四次エネルギー基本計画には、再生可能エネルギー導入の最大限の加速と積極的な推進を明記し、下水汚泥もその一つとして利用の推進が盛り込まれました。また、地域性の高いエネルギーは、地域の特性に合わせた推進が重要とされました。
 そういうことを踏まえまして、ここから先は、先ほどのマテリアル、固形物としての利用からエネルギー利用に質問の方向性をシフトしていきたいと思います。
 下水道汚泥の有効活用は、大きく分けて二つの分野に分けることができ、マテリアル利用、そしてもう一つはエネルギー利用です。最近は、バイオマス資源としてのポテンシャルから、エネルギー利用に注目が集まっております。農林水産省のバイオマス活用推進基本法では、二〇二〇年までに下水道場でのバイオマスとの混合利用などを通じまして、下水道汚泥の八五%が利用されるということを目指すとのことです。
 一方で、下水道行政を所管する国土交通省が最も重要視しているのがエネルギー化率です。第四次社会資本整備重点計画、二〇一五年から二〇年ですが、こちらの方でエネルギー化を期間中に約三〇%に引き上げるとの新目標も打ち出しておりました。
 下水道バイオガスの発生量は一三年度でおよそ三億立方メートルで、その七割がエネルギー利用されており、残りの三割が利用されず焼却処分となっております。未利用分の活用は課題とされています。
 例えば、福岡市なんですけれども、世界初の下水汚泥から水素を実規模レベルで量産をする水素製造装置と燃料電池車に供給をする水素ステーションが設置され、稼働を開始しております。資源エネルギー庁が、平成二十四年に創設しました再生可能エネルギー固定買い取り制度を各地で活用しているわけですが、神戸市は、バイオガスを天然ガス自動車の燃料と都市ガスとしての利用をしまして、およそ二千万円の収入を得ているとのことです。
 このように、各地で強みを生かしながらエネルギー利用しておりますが、東京の特性を生かしたエネルギー利用、どのようになっているのかをお伺いいたします。

○神山計画調整部長 区部と多摩地域を合わせまして、昨年度の実績で一日約五百五十二万立方メートルの下水を処理するために、揚水や送風機などの設備に大量の電力を消費していることから、再生可能エネルギーを活用した発電の取り組みを進めております。
 まず、森ヶ崎水再生センターでは、汚泥の消化を行っており、発生した消化ガスの全てを消化ガス発電に利用しております。発電量は、昨年度実績で、年間二千百万キロワットアワーでございまして、これは約三億円の電気使用料に相当いたします。
 発電した電力は、当センターの水処理施設などで全量使用しており、使用電力量の約二〇%を賄っております。また、新河岸水再生センターにおいては、再生可能エネルギーの活用拡大と省エネルギー対策の両立を目的として新たに開発した第三世代型焼却システムの工事に今年度着手したところでございます。

○塩村委員 ありがとうございます。第三世代型焼却システム、エネルギー自立型と呼ばれていますが、こちらを開発しまして、効率的に下水汚泥のエネルギーを活用しまして焼却廃熱発電を行う仕組みとのことですけれども、この新システムですと、外部の電力会社から買うよりも低コストの焼却廃熱発電を行うとともに、その発電量が年間で使用電力量を上回り、補助燃料も必要としなくなると聞いております。
 温室効果ガスの削減にもつながりますし、当然、下水処理における電気代が大幅にカットができるようになるということですが、どれぐらいのコストの削減を見込んでいるのでしょうか、メリットをお伺いいたします。

○小団扇技術開発担当部長 エネルギー自立型、いわゆる第三世代型の焼却システムを従来の焼却システムと比較した場合、廃熱発電システムなどが追加されることで建設費などが増加いたします。
 一方で、ご指摘のとおり、焼却時の補助燃料が不要となり、購入している電力費より安いコストで発電することにより、維持管理コストの削減効果が見込まれます。これらを勘案した本システムのコストは、これまでの焼却システムと同等以下を見込んでおります。
 また、本システムを導入することで、補助燃料及び電力使用による二酸化炭素排出量を大幅に削減できるというメリットがございます。

○塩村委員 ありがとうございます。コストを回収するには初期投資もあり、聞いたところによりますと二十五年ほどかかるとのことで、報道されている印象のような、すぐに全てがプラスになるというわけでもないということでありますが、一方で、現在かかっている補助燃料代も下水道処理における電気代がかからなくなるということは事実ですので、長い目で見れば確実にコストカットになるということで、環境の面とあわせて大変に期待をしているところでございます。
 東京都は、焼却で汚泥を有効活用しまして、廃熱電気を効率化し、汚泥のリサイクル率をエネルギー利用でも高めていっていること、そして第三世代型、エネルギー自立型の焼却システムで着実に推進していることがわかりました。
つまり、下水汚泥のエネルギーの利用の重点を、消化ではなく焼却にシフトしていっているということだというふうに感じて、思っております。
 最後に、下水熱エネルギーの活用について何点かお伺いをいたします。
 下水道は、深く埋設された配管の中を通るため外気の影響を受けにくく、年間を通じて十五度から二十五度の間で安定をしており、冬には暖かく夏には冷たいという特性があります。この差を利用しまして、冷暖房や給湯、融雪などに利用しているのが下水熱のエネルギー利用です。この下水熱を利用するメリットは、省エネの促進、地球温暖化対策、そしてヒートアイランド対策への貢献です。
 都は、一九八七年から落合水再生センターで下水熱エネルギーを空調に活用していたということですから、かなり早くから取り組んでいたことがうかがえます。
 また、この下水熱は、利用が促進されれば、歳入源にもなると期待がされております。東京都下水道局は、この下水熱を供給することができ、これを熱源として利用できるのは自治体自身や企業、商業施設などです。下水熱は、未利用エネルギーの約四割を占めており、国土交通省は、現在の技術水準を踏まえて、全国の商業系、工業系の地域において、下水から熱エネルギーを回収して、冷暖房や給湯に活用すると仮定した場合、およそ八十万世帯分の熱利用量に相当するとの試算を示しておりまして、期待がされています。
 都が年間に処理する下水量は、二十三区でおよそ十六億立方メートル、東京ドームで一千三百杯分相当ですから、熱量はお聞きしているところによりますと、三万三千テラジュールと試算されているすごさでございます。
 そこでお伺いをいたします。この下水熱を利用した都の取り組み、あれば教えてください。

○神山計画調整部長 下水道局では、先ほどお話にもありました下水の温度特性を活用いたしまして、平成六年七月から後楽一丁目地区におきまして地域冷暖房事業を開始したことを初め、外二カ所の下水熱利用事業を実施してきております。さらに平成二十七年二月には、芝浦水再生センター上部に建設された業務商業ビルである品川シーズンテラスにおいても下水熱利用事業を開始しており、合計四カ所で実施しております。

○塩村委員 ありがとうございます。現在四カ所、この取り組みはCO2の削減につながりますから、すばらしいと思います。
 日経の調査によりますと、地域の要因や個別の案件によって事情は異なるという条件でしたが、数年の幅で見れば、初期投資や運転資金の負担を上回るコスト削減効果が期待できるとのことです。現在は四カ所で稼働中とのことですが、まだまだ普及できるものであれば、環境にもいいですし、長期的なコスト削減にもなり、推進していくべきだと考えています。
 都の今後の方針、計画や方向性をお伺いいたします。

○神山計画調整部長 これまで当局が水再生センターやポンプ所で実施してきております下水熱利用事業におきましては、熱交換のためのプラント設備などの初期投資が大きく、利用者から相応の使用料を回収する必要がございます。
 したがいまして、相当量の下水が流れていること及び一定規模で安定的な熱需要が望めることなどの条件を満たす必要があり、実施できる場所は限られているため、それぞれの条件に応じまして適切に対応してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。大規模なものは課題も多いようでございます。それでは、中規模とか小規模なものではどうでしょうか。
 これまで下水熱は、下水道法の規制で厳しく制限されてきたという事実はありますが、昨年の下水道法の改正で、これまで光ファイバーの敷設を除いて原則禁止をされていたものが、民間事業者にも下水熱の活用に限って、自治体の許可を条件に、熱交換器を下水道管の管路内に設置ができるようになりました。イメージとしてはショッピングセンターやスーパー、保育園などのようです。しかし、そうした規模感を捉えた利用者ニーズを的確に把握をして、マッチングをしていく枠組みづくりも課題と聞いております。
 また、将来的な下水道の変動や、一日や季節による熱回収のピークの不一致や冬季の雪やみぞれによる極端な気温の変化で水温の低下の懸念もあり、調査も必要かもと複数の課題点も耳に入ってきています。
 下水道局としまして、省エネルギー対策につながる下水熱の利用拡大にどのように対応していくのかをお伺いいたします。

○神山計画調整部長 民間事業者が下水道管渠からの下水熱利用を行うためには、事業者みずからが下水道管渠内に熱交換器を設置する必要がございます。そのため、事業者においても、初期投資や熱需要に見合った水量などの課題が想定されております。
 加えまして、都内では合流式下水道の地区が多いため、豪雨時における熱交換器やその配管などが損傷することや、下水の流れを阻害するなどの懸念があるため、こうしたさまざまな課題を解決する必要がございます。
 下水道局では、民間事業者による熱利用が促進されるよう、技術支援などに取り組んでまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。やはりさまざまな課題があるようです。今、出てきた課題をどのようにクリアにして、法改正してまでも推進すべきだと国が判断した施策に、今後どのように対応していくのかという都の積極的な取り組みと姿勢が問われています。
 この下水熱を利用した取り組みは、環境先進国の、例えばスイスでは八十件、ドイツではイケアなどに導入して三十件、中学校では管路内から採熱して実績を伸ばしていると聞いております。
 都の今のご答弁は、前向きと捉えたいんですけれども、新しいアースプラン等もできるようでありますし、さまざまな取り組み、しっかりと検討をしていただきたいというふうに思います。
 地球温暖化や世界的な資源エネルギー需要の逼迫が懸念をされて、循環型社会への転換、低炭素社会への構築が求められています。従来の下水を排水処理する一過性のシステムから、汚泥を利用した資源エネルギーとして活用する循環型システムに転換をする時代に入っており、今後も力強く推進をしていくことが重要です。
 先進的な技術を取り入れ、環境都市づくりに貢献をしてきた東京都下水道局には、今後とも全国のリーダーとして、バイオマスエネルギー、下水熱など、より一層的に活用しまして下水道のイメージを東京から変えていってほしいと期待と要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○加藤委員 まず、下水道局の多様なサービスの展開について質問をいたします。
下水道局は、お客様に事業の必要性や重要性を理解していただくため、東京都虹の下水道館や、旧三河島汚水処分場喞筒場施設を活用したPR活動、小学校への出前授業、施設見学会の実施など、さまざまな取り組みを実施しています。
 私も、虹の下水道館に視察に行きましたけれども、下水道の仕組みを体験しながら学ぶことができ、また下水道局で働く皆さんの仕事を映像で紹介する内容はとても格好よくて、将来こういう仕事についてみたいなと思わせるビデオでありました。また、年末にはキャンドルナイトもありますし、ぜひ行きたいとは思っております。
 そして、下水道事業を推進するに当たっては、これらの取り組みとあわせてお客様から寄せられる意見や要望を的確に捉えていくことも重要です。生活に密接にかかわる下水道局には、お客様の声を通じてさまざまな意見や要望が寄せられていることと思います。
 そこでまず、下水道局に寄せられているお客様の声について伺います。

○津国総務部長 下水道局には、都や局の都民の声窓口などを通じて、毎年千件を超えるお客様の声が寄せられております。平成二十七年度の実績としましては、全体で約千四百件の声が寄せられておりますが、内訳を見ますと、排水設備の詰まりに対する相談や工事に伴う騒音、振動に対する苦情のほか、最も多いのはビルの地下排水槽、いわゆるビルピットが原因と思われる臭気苦情で約九百六十件となっており、全体の約七割を占めております。

○加藤委員 お客様の声の多くが、ビルピットが原因と考えられる臭気苦情であるということでありますけれども、では、このビルピットの臭気の発生原因について伺います。

○廣木施設管理担当部長 ビルの地下に店舗などがある場合、厨房やトイレの排水を下水道に排出するためには、ポンプでくみ上げる必要があり、一時貯留するためのビルピットが必要となります。ビルピットの適切な維持管理がなされず排水が長時間貯留されると、腐敗し、硫化水素が発生をいたします。この排水をビルピットから下水道に排出する際に、路上の雨を取り込む雨水ますなどから臭気が拡散することが原因と考えられます。

○加藤委員 ビルピットの臭気対策は、一義的にはビルオーナーの責任だと思いますが、下水道局も快適な都市環境の形成に貢献する立場から対策に取り組んでいることと思います。
 私の地元である墨田区は、錦糸町駅周辺に繁華街を抱えておりまして、以前は私自身も、卵が腐ったようなにおいを感じることがありましたけれども、最近は少なくなったように思います。
 そこで、錦糸町駅周辺における取り組み状況も含め、ビルピット臭気対策の取り組みの内容について伺います。

○廣木施設管理担当部長 ビルピット臭気対策は、公共下水道を所管する下水道局、建築基準法を所管する都市整備局、ビル衛生管理法を所管する福祉保健局、悪臭防止法を所管する環境局及び区の関係部署が連携し、取り組んでおります。
 臭気の原因となる硫化水素は、長時間排水中の酸素が少ない状態にあると生成されます。このため、ビルピット臭気対策の基本は排水を長時間ためないこと、ためる排水の量を減らすことにより硫化水素の発生を抑制することでございます。
 対策といたしましては、排水ポンプの運転を水位制御やタイマー制御により、ビルピット内の排水の腐敗が進む前に小まめに下水道に流すことや、ビルピットの改造による槽の縮小により滞留時間を短くさせることなどがございます。
 お話のあった錦糸町駅周辺は、平成二十二年度から二十四年度にかけて集中して改善の要請を行う臭気対策の促進地区として位置づけ、臭気調査と発生源のビルに対して改善を要請いたしました。
 その結果、多くのビルで改善が見られ、この付近の臭気苦情も減少しております。

○加藤委員 局の取り組みを評価いたします。
 墨田区では、東京スカイツリーや両国国技館などの観光名所に加え、本日、葛飾北斎を顕彰する、すみだ北斎美術館がオープンをいたしました。
 昨日、内覧会とオープニングセレモニーがありまして、私も出席をいたしましたが、関係者一同大変な期待を寄せているところであります。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを控え、多くの観光客が区内を訪れることを期待しております。
 錦糸町駅周辺のように、臭気対策の取り組みが功を奏した地区もありますが、東京二〇二〇大会で全世界から多数の観光客をお迎えすることとなる東京としては、臭気対策をさらに推進する必要があります。
 そこで、ビルピット臭気対策の今後の取り組みについて伺います。

○廣木施設管理担当部長 当局では、寄せられた臭気苦情に対しまして、速やかに現地調査を行い、原因のビルが特定できた場合は、個別のビルごとに所有者等に対して関係部署と連携し、臭気発生のメカニズムの説明を行い、改善要請を実施しております。
 また、臭気苦情を減らすためには、臭気発生を未然に防ぐ予防保全対策が重要であり、臭気苦情の多い地区を重点化対策地区として七地区選定をしております。この地区で、過去に臭気苦情があり、いまだ改善がなされていないビルを対象として、改めて臭気発生状況を調査の上、対策が必要なビルに対して改善要請を実施してまいります。
 さらに、今年度は、多くの観光客が訪れる東京駅周辺丸の内地域や浅草地域などの五地区と、東京二〇二〇大会競技会場周辺の八地区を合わせた計十三地区を対象に、臭気の発生状況等の調査を行っており、この結果を踏まえ、重点化対策地区を拡大して、予防保全対策を実施してまいります。

○加藤委員 東京二〇二〇大会の成功に向け、開催都市にふさわしい環境を整備するため、引き続き精力的に取り組んでいただくようお願いをいたします。
 続いて、東京二〇二〇大会の成功に向け、安全・安心な大会の開催の観点から、下水道の道路陥没対策について伺います。
 先ほど交通局に対する質疑でも取り上げましたが、ちょうど二週間前のきょう、JR博多駅前で発生した道路陥没は、地下鉄の延伸工事が原因とのことですが、道路陥没という点では、東京の地下に張りめぐらされた下水道管に起因する道路陥没の発生も危惧されます。
 そこで、下水道管に起因する道路陥没の原因と発生件数について伺います。

○中島施設管理部長 道路陥没の主な要因でございますが、老朽化や衝撃などにより下水道管が破損し、周りの土砂が流れ込むことで、道路の下に空洞が発生するためと考えております。
 発生件数の約七割を占めておりますのが、家庭などからの排水を受けて下水道管につなぐ取りつけ管が原因となる比較的小規模の道路陥没でございます。取りつけ管に起因する道路陥没が多い理由は、平成元年までに整備された取りつけ管の多くが陶器製であるため、衝撃に弱いことや比較的浅い位置に埋設されていることから、車両交通の振動の影響を受けやすいことが原因と考えております。
 平成十二年度に約千五百件あった区部の下水道管に起因する道路陥没は、平成二十七年度には五百三十三件となっており、過去三カ年の平均でも約六百件程度と減少傾向にございます。

○加藤委員 道路陥没の発生件数は減少しているとのことでありますが、では、道路陥没を減少させるため、どのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○神山計画調整部長 現在、第一期再構築エリアといたしまして、整備年代の古い都心部の芝浦、三河島、小台、砂町の各処理区において、下水道管の再構築を進めております。
 再構築に当たりましては、老朽化した下水道本管、ます、人孔の取りかえなどに合わせまして、陶器製の取りつけ管を衝撃に強い硬質塩化ビニール管へ取りかえる取り組みを行っております。平成二十七年度までに、第一期再構築エリアの約四割で再構築を完了させた結果、道路陥没件数は再構築前の三割程度まで減少いたしました。あわせて、特に道路陥没が多い六十一地区を対策重点地区として位置づけまして、優先的に硬質塩化ビニール管へ取りかえる取り組みも完了しております。
 平成二十七年度までに約六十五万カ所の取りつけ管の取りかえを完了しており、その割合は、区部全体で三六%となっております。これらの取り組みによりまして、道路陥没の発生件数は着実に減少しております。

○加藤委員 道路陥没の発生件数の減少は着実な取り組みの成果であり、評価できます。
 やはり心配なのは、東京二〇二〇大会の競技会場周辺で万一発生した場合であり、大会の円滑な進行に支障が出るばかりか、世界中に東京はインフラの老朽化対策ができていないというような印象も与えかねません。下水道局は、道路陥没対策をこれまで以上に計画的、重点的に進める必要があると考えます。
 そこで、東京二〇二〇大会の開催に向けた道路陥没対策の取り組みについて伺います。

○神山計画調整部長 経営計画二〇一六では、再構築の推進や東京二〇二〇大会競技会場周辺での重点的な対策によりまして道路陥没を未然に防止することとしております。
 具体的には、先ほどお答えしました第一期再構築エリアにおいて、平成三十二年度までに約六割で再構築を完了させる計画としております。さらに、国立競技場や東京国際フォーラムなど、競技会場周辺の二十二地区と新たに選定した道路陥没が多い四十二地区を合わせた六十四地区を道路陥没対策重点地区と位置づけまして、取りつけ管の硬質塩化ビニール管への取りかえを平成三十一年度までに完了させることとしております。

○加藤委員 引き続き、東京二〇二〇大会の円滑な開催に向け、道路陥没対策を着実に進めていただくよう要望いたします。
 次に、道路陥没対策も重要ですが、都民の生命や財産を守り東京の都市活動を支える観点から、多発する局地的な集中豪雨への備えも重要です。
 下水道局では、幹線の整備など浸水に対するハード対策を進めていますが、浸水の危険性を知らせるソフト対策も重要であり有効です。近年は、計画規模を超える降雨も発生しており、河川や下水道の能力を超えて水があふれ出しても命の安全が確保されるよう、必要となる情報の提供や避難体制を充実させることが必要です。現在は、浸水の危険性を都民に知らせるツールとして、浸水予想区域図が作成されています。
 そこで、現在の浸水予想区域図の内容と、その活用状況について伺います。

○神山計画調整部長 現在の浸水予想区域図は、平成十二年に発生いたしました総降雨量五百八十九ミリ、時間最大雨量百十四ミリの東海豪雨と同規模の雨が降った場合に、浸水が発生する範囲と深さを地図上にわかりやすく表示したものでございます。
 現在までに、都が管理する全ての中小河川流域についての浸水予想区域図を、下水道局と河川管理者などが連携して作成済みでございます。この浸水予想区域図は、都民の皆様に台風などによる水害の危険性をお知らせし、みずから水害への備えや迅速な避難に役立てていただくため、下水道局ホームページ上などで公表しております。
 また、この浸水予想区域図をもとに、関係区市では、避難場所、避難経路等を図示した洪水ハザードマップを作成しております。

○加藤委員 都が管理する全ての中小河川流域に対し、浸水予想区域図が既に作成されているとのことですが、一方、昨年、水防法が改正され、最大規模の洪水による浸水想定区域図を新たに策定することになっています。
 都では、下水道局も含めた関係五局から成る連携会議で対策を検討していると伺っています。巨大台風が東京を直撃した場合、高潮によって二十三区東部などで最大七千六百名の死者が出ると国が想定をしております。
 私は、さきの第三回定例会本会議一般質問において、関係五局の一つである港湾局に対して、高潮対策として堤防等のハード対策に加え、ソフト対策を早急に講ずるべきと求めました。同様に、東京の中小河川でも現在の浸水予想区域図の改正が必要であります。
 そこで、都における浸水予想区域図の見直し状況について伺います。

○神山計画調査部長 昨年七月には、地域ごとの想定最大規模降雨による浸水想定区域図を作成するよう改正水防法が施行されました。これを踏まえまして、本年九月、浸水予想区域図の見直しに向け、都では学識経験者などによる委員会を設置いたしまして、この中に下水道局も参加して検討を行っているところでございます。
 見直しの具体的な内容は、浸水想定に用いる降雨を、平成十二年の東海豪雨から国土交通省が定める総降雨量六百九十ミリ、時間最大雨量百五十三ミリの想定最大規模降雨に変更するとともに、下水道や河川の最新の整備状況を反映させることなどでございまして、これによりまして、より精密な予想が可能となるよう検討を行っているところでございます。
 今後、想定最大規模降雨による浸水予想区域図の早期公表に向けまして、関係各局と協力し取り組んでまいります。

○加藤委員 浸水予想区域図は、都民の安全を守る大変重要な情報であると認識しています。先ほどの答弁にもありましたように、これをもとに関連区市がハザードマップを作成しますので、早期の公表をお願いいたします。
 今後とも、関係機関と協力しながら、着実に取り組みを進めていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○小竹委員 最初に、下水道局の契約に関してお伺いします。
 委員会には、九億円以上の事業の報告はありますが、この間、契約の中には九九%の落札率というのも多く、一者入札も増加の傾向にあります。委員会への二〇一一年から二〇一五年、平成二十三年から二十七年度の契約状況については、きょうの委員会資料で出していただきました。そのうち予定価格五億円以上の競争入札で落札率九九%以上、そして、そのうち一〇〇%の契約が年度別に何件あったか、お伺いします。

○田中経理部長 予定価格五億円以上の競争入札案件で、落札率九九%以上の契約件数は、平成二十三年度四件、二十四年度六件、二十五年度十四件、二十六年度二十六件、二十七年度十七件でございます。そのうち落札率一〇〇%の契約件数は、平成二十三年度と二十四年度はゼロ件、二十五年度一件、二十六年度三件、二十七年度二件でございます。

○小竹委員 九九%、もう限りなく一〇〇%に近い状況になっています。一〇〇%と高落札率の契約件数が増加しています。その高落札率が増加している要因について、下水道局はどのように分析していますか。

○田中経理部長 下水道局は、二百五十万円を超える工事案件の予定価格を事前公表しているため、施工条件が厳しく採算がとれないおそれのある工事などでは、入札額が予定価格に近づき落札率が高くなることはあり得ると考えております。
 東日本大震災の復興工事の本格化の影響を受けて、資材価格や労務費が高騰したことなどから、採算面や技術者の確保などが厳しいと入札参加者が判断した工事が多かったものと考えられます。

○小竹委員 この高落札率だけの問題じゃなくて、この間の入札は、事実上、一者入札の件数が大幅に増加しています。一者入札の増加で契約件数に占める割合も非常に増加をしています。三分の一を占める状況になってきています。その要因をどのように考えておられるか、下水道局の認識をお伺いします。

○田中経理部長 一者入札の契約については、入札参加者が採算面や技術者不足などの理由で辞退したため、結果的に応札した者が一者になったものでございます。その増加要因といたしましては、先ほどご答弁いたしました背景などから辞退者が増加したものと考えております。

○小竹委員 九九%以上の高落札率で五億円以上の契約案件では、二者応札というのが四件あるだけで、あとは全て一者入札になっています。一般競争入札としての機能、そして競争性はなくなっているというふうに考えられます。予定価格も公表してやっているわけですから、工事費が高どまりになっているともいえるのではないでしょうか。
 また、一者入札においては、一般的に談合が裏に潜んでいるのではないかということもいわれています。公正取引委員会に情報提供をされているというふうにもいわれています。
 下水道局としてこれまで、一者入札の場合、入札のやり直しや公正取引委員会への情報提供をしたことがありますか。

○田中経理部長 一者入札や高落札率であるために、公正取引委員会に情報提供をしたかというお尋ねですけれども、下水道局では、電子入札方式を採用しておりまして、入札参加者は入札段階でほかに参加者がいるか知ることは不可能でございます。結果的に、一者入札になったとしても、仮想の参加者と価格競争を行っていることになりまして、競争性は確保されているものと考えてございます。
 また、下水道局では、予定価格の事前公表を実施しておりまして、落札率が高いことをもって直ちに不正などの問題があるとはいえません。したがいまして、一者入札や高い落札率という結果だけで、入札の公正性に疑義があると捉えて、公正取引委員会に情報提供するという事例はございません。

○小竹委員 談合情報やなんかの提供があったケースなどで、公正取引委員会に情報を提供したというケースも全くないんでしょうか。

○田中経理部長 下水道局が談合情報を受けた際には、談合情報取扱要綱にのっとり、必要な調査を行い、速やかに公正取引委員会に情報提供を行ってございます。平成二十三年度から二十七年度までの五年間の間に、公正取引委員会に情報提供した談合情報は、一者入札の案件で三件ございました。

○小竹委員 宮城県では、一者入札の場合の入札をやり直しているというふうに聞いています。こんなに一者入札が増加する状況のもと、予定価格の公表も含めて入札のあり方を見直す必要があるということを強く指摘しておきたいというふうに思います。
 次に、豊洲新市場予定地工事中の下水道への排水の水質検査等についてお伺いいたします。
 豊洲新市場予定地は、過去、東京ガスの工場跡地であり、土壌や地下水が有害物質で汚染されています。新市場での整備工事中に生じた雨水と地下水の排水について、どのように取り扱うのか、その対応について中央市場と下水道局で協議したことはありますか。その内容について、どのようなものだったかお伺いします。

○廣木施設管理担当部長 豊洲六丁目地区におきます中央卸売市場と下水道局との協議というお尋ねでございます。
 豊洲六丁目地区につきましては、東京都市計画事業豊洲土地区画整理事業に伴う下水道の整備に関する協定によりまして、都市整備局及び中央卸売市場が下水道施設を分流式で整備し、同協定に基づき下水道局へ引き継ぎを行うこととなっております。現在は、引き継ぎがなされておらず、下水道法による公共下水道の排水区域とはなっていないことから、雨水管は都市整備局の所管となっております。
 市場と下水道局の協議ということでございますが、汚水管につきましても引き継ぎはなされておりませんが、汚水につきましては市場との協議によりまして下水排除基準の遵守、立入検査の受け入れ等、下水道法が適用されている区域と同等の義務を負うことを取り決め、この協議に基づき水質規制を行ってまいりました。

○小竹委員 下水道局は、市場工事の期間中、排水処理プラントから公共下水道への排水の水質検査を行っています。排水処理プラントはいつから稼働していますか。

○廣木施設管理担当部長 当局が排水処理プラントの工事完了検査として水質検査を行いましたのは、三街区に分かれておりますが、五街区は平成二十四年二月三日、六街区は平成二十四年四月六日、七街区は平成二十四年一月十九日でございます。これ以降、排水処理プラントが稼働したと認識しております。

○小竹委員 水質検査の目的は何だったのでしょうか。

○廣木施設管理担当部長 水質検査の目的でございますが、排水処理プラントからの排水が下水排除基準に適合しているか否かを確認するための水質検査でございます。

○小竹委員 水質検査を見ますと、環境基準を超えた排水があることがわかります。地下水のモニタリングが行われている中で、環境基準を超えた排水が発生しているということは問題だというふうに考えます。
 そこで、環境基準を超えた排水があった際には、市場に対して注意喚起をしたのでしょうか。いかがですか。

○廣木施設管理担当部長 下水道局の水質検査は、排水が下水排除基準に適合しているか否かを確認するためのものでございまして、環境基準の超過の有無で何らかの指導を行うものではございません。

○小竹委員 下水道局の排水処理プラントの水質検査は、情報開示によりますと、二〇一二年四回、一三年六回、一四年三回、一五年一回と行われています。なぜ年によって検査の回数が違うのでしょうか、その理由をお伺いします。

○廣木施設管理担当部長 水質検査には、除害施設の新設や移設に伴う工事完了検査によるものと、施設稼働後に不定期に立ち入る通常の水質検査とがございます。
 平成二十四年は、除害施設新設の完了検査、平成二十五年は、除害施設移設の完了検査があったことにより回数が多くなっております。平成二十六年以降は、地下水をくみ上げて浄化する土壌汚染対策工事が平成二十六年十月で終了いたしましたことから、汚水の大部分を占めていた地下水のくみ上げがなくなり、排出される汚水は、豊洲市場本体の建設工事に伴う湧水のみとなりました。このことにより、常時排水が出ている状態ではなくなったため、検査の回数が少なくなっております。

○小竹委員 二〇一四年以降は、汚水のくみ上げが少なくなったというご答弁ですが、どのように確認されたんでしょうか。

○廣木施設管理担当部長 平成二十六年につきましては、先ほど申し上げましたように、土壌汚染対策工事が二十六年十月で終了をいたしております。その地下水のくみ上げがなくなりましたので、排出される汚水は、本体の建設工事に伴う湧水のみとなったということでございます。立ち入りにつきましては、豊洲市場におけるこうした排水量の減少も踏まえて、結果として、この回数の立ち入りとなったところでございます。

○小竹委員 それは実際に確認をされたんでしょうか。それと、湧水は汚染されていないのかどうか、その点についての汚染状況について、下水道局としてどのように把握されたのか、その点もあわせてお答えください。

○廣木施設管理担当部長 先ほども申し上げましたとおり、土壌汚染対策工事等の時期につきましても、当局として立入検査を行っております。それぞれにつきまして、全ての検査結果におきまして下水排除基準を超過するものはございません。
 また、現場の状況等も確認しておりまして、立ち入り回数については、こういう状況になっております。

○小竹委員 下水道の排出基準は、環境基準の十倍になっています。下水道局が行った水質検査で環境基準を超えたものについては、どのような物質がどの程度検出されたのか、お伺いします。

○廣木施設管理担当部長 下水道局におきましては、水質検査といたしましては、法令に基づきまして下水排除基準に適合するかどうかという検査をしております。
 したがいまして、あくまで下水排除基準に基づくということでございますので、その結果の値が環境基準に適合するか、超過するかという判断をしているものではございません。

○小竹委員 お答えいただけなかったわけですが、二〇一三年十月七日の水質検査、下水道局がなさった水質検査では、環境基準にはあってはならないとされているシアンが検出されました。
 質問してもお答えいただけないと思いますので、私の方からいいますが、環境基準の八倍のシアンが検出されているんですよね。そういう点でいうと、下水道の排出基準には適合していても、豊洲の新市場予定地は、有害物質による土壌、そして地下水の汚染が問題になっているわけですから、こういう結果が出たというのを、やはり市場と一緒に共有すべきだったのではありませんか。
 下水道局として、中央卸売市場への連絡とか水質検査の頻度をふやすなど、それ以前の対策と、改善をしてチェックをする力を発揮したのかどうか、その点はいかがですか。

○廣木施設管理担当部長 下水道局におきましては、水質検査については、あくまで下水道に排出される排水が下水排除基準に適合しているかどうかを確認するものでございます。当局といたしましては、下水道法令に基づき対応してまいります。

○小竹委員 下水道局の水質検査というのは、下水道の排出基準に基づいてやるというのはわかりますけれども、同じ都庁の中で、しかも豊洲の新市場予定地については、有害物質の汚染、地下水も含めて汚染が都民の中で大問題になっていたわけですから、そういう点でいえば、やはり横の連携をとるというのは当たり前のことなんじゃないでしょうか。
 下水道局としても、排水の水質検査の頻度をふやすなど、情報提供すると同時に、水質検査の頻度をふやすとか、そういう対応をすべきだったのではないかと私は指摘したいというふうに思います。その点では、重大な問題があるというふうに指摘をしておきます。
 次に、市場予定地の五街区、六街区、七街区の地下水管理システムは、二〇一六年度に完成するという計画でした。地下水管理システムからの排水による下水道の利用が開始されたのはいつになっていますか、その排水量の状況はどうでしょうか。

○廣木施設管理担当部長 地下水管理システムは、本年八月に五街区から順次、試運転が開始され、当局が行った工事完了検査が平成二十八年十月十二日に終了して以降、本稼働していると認識しております。
 下水道局では、料金調定のために排出量の計測を行っておりまして、地下水管理システムからの、八月から十月までに計測した排水量は、五街区は四千六百六十七立方メートル、六街区は三千百二十三立方メートル、七街区は千八百二十三立方メートルとなっております。

○小竹委員 豊洲新市場は、青果棟、そして水産仲卸売り場棟、水産卸売り場棟があります。新市場の各棟は、水質汚濁防止法に定める特定施設に該当するのか、また、それは市場の開場との関係で、開場以前と以降の扱いはどうなるのか、お伺いします。

○廣木施設管理担当部長 特定施設と申しますのは、人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質を含む汚水または廃液を排出する施設でございまして、具体的には水質汚濁防止法施行令で定められております。六街区の水産仲卸売り場と七街区の水産卸売り場は、特定施設というものに該当いたしますが、五街区の青果棟は特定施設に該当はいたしません。
 ただ、先ほど申し上げました土壌汚染対策工事というものを前からやっておりますが、その期間につきましては、施設が完成していないということで特定施設という扱いではなくて、それぞれの地下水等を排出するものにつきましては除害施設という扱いになっております。

○小竹委員 特定施設の場合には、設置者には下水道法第十二条の十二で、下水の水質の測定を行い、測定結果の記録を五年間保存するということが義務づけられています。地下水管理システムで保存された記録をきちんと確認しておられるのでしょうか、その点についてお伺いします。

○廣木施設管理担当部長 地下水管理システムにつきましても、当局が不定期に実施する立入検査の中で記録の確認を行っております。

○小竹委員 豊洲新市場用地は、土壌や地下水が有害物質で高濃度に汚染された土地であります。対策がとられたとはいっても、汚染物質が現在も検出されるなど、市場としての食の安全・安心について問題があります。
 私たちは、移転中止を求めていますけれども、市場として移転する場合には、食の安全や安心を絶対確保しなければならない場所でもあります。しかも、東京都の機関でもありますから、この点から見ても法にのっとった厳しいチェックをすることを求めて、質問を終わります。

○高椙委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高椙委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後七時三十二分散会

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