公営企業委員会速記録第八号

平成二十八年十月六日(木曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長舟坂ちかお君
副委員長宮瀬 英治君
副委員長大西さとる君
理事栗林のり子君
理事小松 大祐君
理事高橋 信博君
前田 和茂君
塩村あやか君
川松真一朗君
河野ゆりえ君
小竹ひろ子君
山内  晃君
橘  正剛君
相川  博君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長山手  斉君
次長小泉  健君
総務部長土岐 勝広君
水道局局長醍醐 勇司君
技監田村 聡志君
総務部長黒沼  靖君
職員部長筧   直君
経理部長加藤 英典君
サービス推進部長浅沼 寿一君
浄水部長青木 秀幸君
給水部長尾根田 勝君
建設部長特命担当部長兼務牧田 嘉人君
経営管理担当部長坂井 吉憲君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
IWA世界会議準備担当部長兼務
小平 基晴君
設備担当部長横田 秀樹君
多摩水道改革推進本部本部長池田 俊明君
調整部長金子 弘文君
施設部長今井  滋君
技術調整担当部長本荘谷勇一君
下水道局局長石原 清次君
技監渡辺志津男君
総務部長津国 保夫君
職員部長久我 英男君
経理部長松永 哲郎君
計画調整部長神山  守君
施設管理部長中島 義成君
建設部長池田 匡隆君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
IWA世界会議準備担当部長兼務
田中 宏治君
技術開発担当部長小団扇 浩君
施設管理担当部長廣木 健司君
流域下水道本部本部長坂根 良平君
管理部長関 雅広君
技術部長佐々木宏章君

本日の会議に付した事件
水道局関係
報告事項(質疑)
・平成二十八年の渇水とその対応について
下水道局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
特定事件の継続調査について

○舟坂委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、先般の人事異動に伴い、交通局の幹部職員に交代がありましたので、交通局長から紹介があります。

○山手交通局長 平成二十八年十月一日付の人事異動によりまして当局幹部職員に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 電車部長の相川準でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○舟坂委員長 紹介は終わりました。

○舟坂委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局及び下水道局関係の報告事項に対する質疑並びに特定事件の閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 報告事項、平成二十八年の渇水とその対応についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○川松委員 東京都の水道水源について伺ってまいります。
 我が党は、本会議で、今夏の厳しい渇水を踏まえ、首都東京の安定給水を確保するため、水源が重要なんだということを主張いたしました。
 水の豊かな我が国ではありますが、国土は急峻な山脈が骨格をなし、降った雨は、短時間で海へ流出する形状になっております。古来から、流域の人々は貴重な水を多様な用途に分け合いながら社会を形成してまいりました。このように、地政学的な制約のもとに我が国の水道事業は置かれているわけであります。
 特に、首都を擁する関東地域は人口も多く、都市活動を維持する上でも水源の確保は極めて重要であります。近年では平成二十四年、二十五年、そして、ことしと立て続けに渇水が発生したことは、皆様も記憶に新しいところであると思います。
 そこで、まず、東京の渇水に対する安全度について具体的にお聞かせください。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 都の主要な水源である利根川水系の水源開発は、五年に一回発生する規模の渇水に対応することを目標にしてございます。
 このため、十年に一回という、さらに厳しい渇水を目標としている淀川水系を初めとした全国の主要水系や、既往最大としている海外の主要都市と比較して、渇水に対する安全度が低い計画となっております。
 また、近年の降雨状況により、ダム等から安定的に供給できる水量が当初計画していた水量よりも低下してきており、都の水源は脆弱な状況のもとに置かれております。

○川松委員 今伺いましたように、他の地域と比べまして安全度が低いという計画になっています。
 そもそも利根川の水源開発は、高度経済成長期に首都圏の人口や都市活動の集中により急増する水需要を賄うために、低い安全度で計画してきたと伺っております。サンフランシスコやニューヨークのように過去最大の渇水に対応できる能力を備えることは、先ほどもお話ししましたけれども、日本の地形を考えると大変難しいわけでありますけれども、日本の主要水系が十年に一回発生する規模の渇水を目標としていることと比べても、首都東京の安全度はやはり低過ぎるといわざるを得ません。
 ことしも、利根川水系ではダムの貯水量が大きく低下し、異例ともいえる早い時期から取水制限が実施されました。貯水量は瞬く間に減少し、矢木沢ダムでは貯水率が九%にまで低下し、ふだんは目にすることがない湖底があらわになっていたことは重要であります。
 水需要のピークを迎える夏場を乗り切ることができるのか、都民への給水に大きな影響が及ぶのではないか、大変に不安を覚えた方、少なくなかったと思います。
 そこで、今夏の渇水の経過について詳細を伺います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 この冬の利根川上流域の降雪量は、平年の六割程度で、観測史上最低となりました。さらに、暖冬傾向で、平年より一カ月程度早い雪解けとなりました。また、五月の降雨は平年の五割にも届かず、利根川上流のダム貯水量は、早期かつ急激に低下いたしまして、この時期としましては過去最低の貯水量を記録いたしました。
 こうしたことから、六月十六日より九月二日まで、七十九日間もの長期にわたり一〇%の取水制限が実施されました。

○川松委員 早い時期から、そして長期間にわたって取水制限が実施されたこと、これは今回の渇水がいかに深刻な事態であったということがよくわかりました。幸い八月下旬の台風等の影響による降雨があったことから、大事に至らずに済んだわけであります。
 しかし、渇水にとっては恵みの雨が、ことしのように都合よく降ってくれるとは限りません。ことしの夏は、取水制限のさらなる強化、ひいては都民の水利用が制限される二十年ぶりの給水制限の実施さえも危ぶまれたわけであります。
 都は、こうした状況の中で、さまざまな角度から対策を講じていたとは思います。特に、都が独自に開発しました首都東京の最後のとりでであります小河内貯水池が、今回の渇水でも重要な役割を果たしたはずです。
 そこで、利根川の取水制限に対して多摩川水系をどのように運用したのかを伺います。

○青木浄水部長 水道局では、利根川上流域の降雪量が記録的に少なかったことを踏まえ、冬季から多摩川水系の貯水量確保に努めてまいりました。利根川水系の取水制限開始後は、多摩川水系の原水を有効活用することなどにより、都民への影響を最小限にとどめる対応を行ってまいりました。
 具体的には、小河内貯水池からの放流を増量するとともに、渇水時などに利根川水系と多摩川水系の相互融通を行う原水連絡管を活用し、朝霞浄水場に多摩川水系の原水を送水するなど、渇水の長期化が懸念される厳しい状況の中で最大限効率的な水運用を実施したところでございます。

○川松委員 ことしの夏の渇水対応においても、多摩川水系の活用が大いに効果を発揮したことは理解できました。しかし、多摩川水系は、いつでも活用できるとは限らないとも聞きます。
 そこで、改めて、小河内貯水池の特性について伺います。

○青木浄水部長 小河内貯水池の流域面積は、利根川水系ダムの流域面積の約六分の一と非常に小さく、降雨を貯水しにくい状況にございます。さらに、流域は降雪が少なく、春先に融雪水の流入が期待できないことから、一旦、貯水量が低下しますと、多くの融雪水が流入する利根川水系のダムと比較して貯水量が回復しにくいことが特徴となってございます。
 そのため、放流量を増加させて貯水量が低下し、十分に回復しないまま次の渇水が発生した場合には、多摩川水系の活用が困難になるおそれがございます。

○川松委員 小河内貯水池は、今回の渇水時に大いに頼りになりましたが、今の答弁にありましたように、その特性から、活用には限界があるわけです。まさしく、虎の子であることがよくわかりました。この点、小河内があればいつでも安心だと思っている方も少なくないわけで、もう一度このことを皆さんと共通認識で持たせていただきたいと思います。
 渇水が頻発している状況にある利根川では、現在、上流に八ッ場ダムが建設中であります。我が党はこれまでも、首都東京の安定給水の確保のために、八ッ場ダムは必要不可欠であるということを繰り返し主張してまいりました。八ッ場ダムは、雪の多い広大な流域を有しており、本体事業の中止がなければ既に完成し、大いに活躍していたはずであります。
 そこで、この八ッ場ダム、渇水に対しどのような効果があるのかを伺います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 八ッ場ダムの完成により、利根川上流ダムの集水面積が約四割増加するなど、吾妻川流域の降雨などを効果的に活用することが可能となります。また、上流域に豪雪地帯を抱え、流域面積も利根川上流ダム群の中では最大でございまして、貯水量が回復しやすい特性を生かし、渇水対策として十分な効果が期待されます。
 国によりますと、八ッ場ダムが完成していれば、今夏の七十九日間にも及ぶ取水制限は全く行われなかったとしてございます。

○川松委員 ありがとうございます。
 近年の渇水状況を踏まえると、都の水源確保は、まだまだ不十分だ。そして、厳しい渇水により水を供給できない事態になれば、日本の経済にも多大な影響が出てくることは簡単に推測できるわけです。四年後に、この東京で控えるオリンピック競技大会、パラリンピック競技大会の夏を、渇水状態で迎えるわけにはいかないでしょう。安全・安心の東京として、このインフラの一つの水道として、東京は重要なポイントを持ってこの二〇二〇年、迎えることになります。
 先ほど八ッ場ダムの効果を伺い、首都東京の安定給水のために、水道需要はもとより、厳しい渇水にも対応できるよう、まずは八ッ場ダムの完成を急ぐべきであるということはいうまでもありません。
 ここで、安定給水の確保に向けた局長の決意をお聞かせください。

○醍醐水道局長 東京の水道は、一千三百万人の都民生活と首都東京の都市活動を支える上で、おっしゃるとおり欠かすことができないライフラインでございます。平常時はもとより、渇水時にも可能な限り給水を確保することが、我々水道事業者の重要な責務であるというふうに認識をしております。
 この夏の渇水の要因となりました降雪の減少や雪解けの早期化は、温暖化の進行で、今後さらに顕著になるというふうに予測をされており、より厳しい渇水の発生が懸念をされているところでございます。
 現在建設中の八ッ場ダムですが、ただいまの質疑でも答弁させていただきましたとおり、雨水や雪解け水を適切に貯留し、かつ河川流量を調整するなど、渇水に大きな効果を発揮し、都の水源として必要不可欠でございます。
 このため、計画期間内の完成はもとより、ただいまお話のありました四年後の二〇二〇年東京大会を控えていることからも、一刻も早い完成を、国に対して私ども強く求めてまいりたいと思っております。こうした取り組みを通じまして、将来にわたる首都東京の安定給水に万全を期してまいります。

○川松委員 二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会、そしてその前には、世界水会議を控える東京であります。今、八ッ場ダム事業がフィーチャーされました。改めて、水、水道水、これに対して、正しい知識、文化を広く都民の皆様と共有すべきであると思います。
 もっとPRして、理解を深めていく、そういう活動が必要なんだろうなと今回感じております。その上で、八ッ場ダム事業の着実な実施を国に働きかけていただくとともに、将来にわたる首都東京の安定給水確保に向けてしっかりと取り組んでいただくよう、最後に要望させていただきます。終わります。

○橘委員 今の質疑にもございましたけれども、ことしの夏は、利根川水系で約三十年ぶりに、六月から取水制限が実施されたということであります。
 五月のゴールデンウイーク明けころからでしょうか、水道局の担当者の方から、たびたびダムの貯水量についてご報告がありました。その都度、聞くたびに、大規模な給水制限をせざるを得ない状況になったら、都民の生活へは影響が大きいだろうなと、そんな思いを募らせておりました。
 同時に、もし八ッ場ダムが完成していれば、取水制限やその先にある給水制限、そういったものは不安がなかったはずなのにという思いもありました。
 今さらいうまでもありませんけれども、この八ッ場ダムというのは、時の政権による工事中断など、紆余曲折を経て工事がようやく再開されたという経緯をたどっております。人間の大事な大事なこの水にかかわるものが、この政治に翻弄されるという、これもいかがなものかと私は思っております。
 いずれにしても、政治に翻弄されて工事がおくれ、また、結果として東京の渇水不安につながっていることを考えれば、また、地元の方々が、本当に長年にわたってご苦労され、協力されてきたことを思えば、これ以上、政治に翻弄されるようなことがあってはならないと私は思っております。
 そこでまず、八ッ場ダムのこの事業の重要性についてでありますけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 利根川水系では、八ダム体制となった平成四年以降、三年に一回程度の割合で渇水が発生するなど、都の水源は脆弱な状況にございます。さらに、気候変動の進行により、これまで経験したことがない厳しい渇水が発生するおそれがございます。
 八ッ場ダムは、豪雪地帯を抱える広大な流域を持ち、吾妻川の降雨等を効果的に貯留し、適切に河川流量を調節することが可能でございます。都民生活と都市活動を支える重要なライフラインである水道の安定給水の確保には、八ッ場ダムは必要不可欠でございます。

○橘委員 今、答弁の中で、気候変動の影響による、かつて経験したことのない厳しい渇水が発生するおそれもあるという話がございました。
 これについては、気候変動に取り組んでいる世界中の専門家、また研究者が、さまざまな調査、研究分析、それからそれに基づく将来の予測等を出しているわけでありまして、折に触れ、私たちもそれを目にするわけであります。
 いろんな分析があって一概にはいえないようでありますけれども、ただ、方向性としては、世界規模で渇水傾向にあるという、そういうことは否めない状況のようであります。
 この地球温暖化、また気候変動の影響にどう歯どめをかけるかという、これが対応策になるわけですね。歯どめをいかにかけるか、これが対応策。
 その一方で、これは急がれるんですけれども、昨年のパリで開かれましたCOP21、ここで注目された取り組みがございました。それは気候変動による影響、これはある程度はもうやむを得ない、一挙にはとまらないと。ある程度やむを得ないけれども、それをまず受け入れて、いかに影響を少なくしてそれをうまく使っていくかという、適応策という対策が注目されるようになっております。
 これは世界中で重立った都市では適応策の取り組みを始めておりますし、また、日本でもその検討が始められるというふうに聞いております。
 まだ東京都では具体的に適応策が検討されるという話は聞いておりませんけれども、この観点から見ますと、渇水が発生した場合の節水の工夫、これも、この対応策と適応策という観点から見れば、非常に大事な適応策ではないかと私は思っております。
 そうしますと、取水制限が過去最長の七十九日間に及んだことしの夏、この渇水状況の中で行った、水道局さんがいろんな節水の工夫をなさったというふうに聞いています。また、私も幾つか見てまいりましたけれども、水道局が、ことしの夏の渇水の対策として、節水の対策として行った工夫について説明をお願いしたいと思います。

○浅沼サービス推進部長 節水への取り組みは、都民の皆様に広くご理解、ご協力をいただくことが重要であると考えてございます。
 このため、水道局渇水対策本部を設置しました六月十四日以降、ホームページやツイッターのほか、街頭のデジタルサイネージやJR各線のトレインチャンネルによる節水PR映像の放映など、さまざまな媒体を活用して節水協力のお願いを発信したところでございます。
 また、国の各省庁及び区市町や水道を多量に使用する事業者の方に対しまして、節水ステッカーを同封し、広く自主的な節水の取り組みをお願いしてございます。さらに、節水効果をより一層高めるため、八月十二日から、知事による節水呼びかけのビデオメッセージをホームページに掲載するなど、多様な手法による取り組みを通じまして、都民の皆様に広くご理解、ご協力をいただくよう、きめ細かな節水のPRを実施したところでございます。

○橘委員 今、さまざまな工夫の紹介がございましたけれども、ホームページとかトレインチャンネルは、私も幾度か目にいたしました。その都度、自分なりに節水努力はしてきたつもりなんですけれども、ただ、果たして、この取水制限の緩和にどの程度自分が貢献したのかとなると、ダムの渇水状況と目の前にしている蛇口の節水が、なかなか自分の中で結びつきにくいんですね。これがやっぱり節水の工夫の難しいところだなということも感じた次第であります。
 そこでまず、水道局による節水のPRによってどの程度の効果があったのか、この点について分析を伺っておきたいと思います。

○尾根田給水部長 節水のPRを開始してから取水制限が解除されるまでの一日平均配水量は、約四百二十万立方メートルでございました。これに対しまして、同じ期間、夏季渇水の年を除いた過去三年の平均は約四百二十六万立方メートルでございます。
 したがいまして、ことしの一日平均配水量は約六万立方メートル、率にいたしまして一・四%程度少なくなっており、今回実施したさまざまな節水PRは、一定の効果があったと認識しております。

○橘委員 ことしの夏は、この水道局のPRもありまして、多くの都民の皆さんも、ダムの保水量や節水に関心を持ち、協力をしていただいたのだと思います。その結果として、ただいま説明がありましたように配水量の減少にあらわれたと、そのように思います。
 この水資源については、限りがあるということを考えますと、渇水時だけではなくて、恒常的な節水意識が大事であると思います。また、四年後には二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に世界中から、そしてまた日本国内から多くの観客や観光客が東京を訪れる、そういうことを考えれば、その備えも、ただ単に節水であるとか給水をしなきゃならないとかそういう対応だけではなくて、危機管理として捉えるべき重要な問題であると私は考えております。
 八ッ場ダムが完成すれば、東京を初め首都圏の水源の安定化には大きく寄与することが期待されるわけでありますけれども、渇水対策がこれで完璧になるわけではありません。やはり、この水資源の確保と、それから節水という両方相まって、これは対策が完全に近くなるわけであります。
 およそ人間の活動のあらゆることに水が関連していることを考えれば、また、水がなければ人間活動に重大な支障を及ぼすことを考えれば、水資源の確保といったハード面、この面での渇水への対策、これを徹底的に講じることが大事でありますけれども、ソフト面でも節水の意識を高めることは重要な、先ほど申し上げました適応策であると思います。この観点から考えていく必要があるのではないかと私は思っております。
 この観点から、渇水に備える体制についての震災、風水害等の災害対策と同等に、危機管理の観点から見据えていくべきと考えますが、この点について、これは大事な観点になろうかと思いますので、局長の見解を伺いたいと思います。

○醍醐水道局長 ご指摘のとおり、渇水への備えは、切迫性が指摘される首都直下地震、気候変動の進行に伴う豪雨などの自然災害への対応と並びまして、重要な危機管理の一つだというふうに認識をしております。
 この夏の渇水はもとより、近年、平均いたしますと三年に一回程度の割合で取水制限を伴う渇水が発生をしておる状況でございまして、日常から渇水への備えを講じることは、まさに危機管理の要諦だというふうに考えます。
 お話の二〇二〇年東京大会に向けた準備といたしましては、大会時の渇水に備え、東京都水道局渇水対策行動計画を昨年度策定いたしまして、大会運営への影響を最小限に抑えることができるように、あらかじめ対応策を準備しているところでございます。
 また、この行動計画につきましては、二〇二〇年東京大会の期間中のみならず、その先を見据えまして、厳しい渇水にも対応できるよう、この夏の渇水対応の教訓も踏まえまして、さらなるブラッシュアップを図ってまいります。
 お話にもございましたが、水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える最も重要なライフライン、私どもは、ライフライン中のライフラインであるというふうに認識をしておりますけれども、そうした認識のもと、確かな渇水対策を講じることで、今後とも安定給水に万全を期してまいります。

○橘委員 改めて、この適応策という観点、これはこれから本格的に取り組みが始まるはずでありますので、国との連動で始まっていくはずですので、適応策の観点と、それから危機管理という連動、この中での渇水対策、これを十分に取り組んでいただきたいと思います。要望して質問を終わります。

○小竹委員 私の方からも渇水対策についてお伺いしたいと思います。
 ことしの夏は、冬の積雪が少なかったこと、今もお話がありましたけれども、五月の雨が少ない、そういう中で、一九八七年以来、三十年ぶりの一〇%の取水制限ということが実施されました。日量何万立米の制限がされたのか、まずお伺いします。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 利根川水系の取水量が一〇%制限されたことによりまして、最大で日量約三十六万立方メートルが制限されました。

○小竹委員 先ほども議論がありましたけれども、取水制限に伴って、小河内ダムからの放流量をふやしたとご説明もありました。一日当たりの送水量と取水制限期間中の合計はどのくらいになっていますか。

○青木浄水部長 多摩川水系の原水を、原水連絡管により朝霞浄水場へ送水した量は、今夏の取水制限が実施された七十九日間におきまして、一日平均約二十万立方メートル、合計で約一千五百五十万立方メートルでございました。

○小竹委員 先ほども節水の問題が質疑されましたけれども、水道局は、日常的にも節水のPRをしておられます。特に、ことしの渇水に合わせて節水の呼びかけも強められたというふうに思いますが、その効果はどうであったのか、お伺いします。

○尾根田給水部長 先ほども答弁させていただきましたが、配水量は約六万立方メートル、一・四%程度少なくなっており、この夏の節水のPRによって一定の効果があったと認識しております。

○小竹委員 続いてお伺いいたしますが、水需要について、二〇一五年の一日最大配水量及び平均配水量がどうであったのか、それと、ことし、これまでの期間で、一日最大配水量、そして最小配水量と一日平均の配水量がどうであったのか、また、その最大と最小についてはいつだったのか、お答えください。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 平成二十七年度の一日最大配水量は、七月十四日に記録した日量四百七十万立方メートル、一日平均配水量は四百二十七万立方メートルでございます。
 また、現時点における平成二十八年度の一日最大配水量は、七月七日に記録した日量四百六十一万立方メートル、一日最小配水量は、五月四日に記録した日量三百八十二万立方メートル、一日平均配水量は四百二十八万立方メートルでございます。

○小竹委員 この十年間、平均配水量が年々減り続けています。二〇一四年度は、十年前と比べると一日平均配水量が二十七万立米減っています。そして、二〇一五年度は二十三万立米減少しています。この要因について、どのように認識しておられますか。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 一日平均配水量は、当局が積極的に進めてきた漏水防止対策の成果により減少傾向にあると考えております。なお、近年は横ばいで推移しております。

○小竹委員 ただいまお答えいただいたように、この十年間、漏水防止対策の成果などにより、一日平均配水量は、年によって若干の増減がありますけれども、基本的には下がり続けています。
 一日最大配水量、二〇〇一年の五百三十九万立米を最高に、五百万立米を超えたのは二〇〇六年までで、それ以降、四百万立米台です。五百万立米も、そして東京都が将来の水需要の見通しとする六百万立米を超えたことはありません。過大な水需要の見通しで、莫大な税金投入によるダム開発によるよりも、漏水防止対策や節水を徹底することによって打開する方向を目指すべきではないでしょうか。
 この夏の節水のPRによって、一・四%の配水量が減った効果があったことがご報告されました。異常気象の状況が今後も起こり得るというふうに思います。節水型の器具やグッズも出回っていますし、今後も日常的な節水を呼びかけることが重要だというふうに考えます。
 暑さも異常な状況で、猛暑が続いております。一日最大配水量は、夏、七月ですので熱中症の予防の点からも飲料水の確保は欠かせません。また、福祉や医療分野等では、人工透析のような大量に水を使用するところへの給水も欠かせません。このようなところへの影響が出ないように配慮することを含めてPRすることを求めておきます。以上です。

○牧田建設部長特命担当部長兼務 安定給水は、水道事業者の責務であり、お客様だけにご迷惑をおかけして渇水を乗り切るわけにはまいりません。安定した水源を確保する取り組みが重要でございます。都の主要な水源である利根川水系では、近年三年に一回程度渇水が発生しており、脆弱な状況にございます。
 また、気候変動の進行により、さらに厳しい渇水の発生も懸念されております。国によれば、八ッ場ダムが完成していれば、今夏の取水制限は全く必要なかったとされておりまして、八ッ場ダムは渇水に対して大きな効果を有しております。
 私ども水道事業者は、安定的な首都の給水を確保する、これが責務でございます。そのためには、八ッ場ダムは極めて重要でございまして、必要不可欠でございます。

○小竹委員 見解の相違もあるかとは思いますけれども、やはり水の安定供給は大事なことです。しかし、それを、ダム開発をやって自然を壊して、また異常気象を促進するという逆の問題も指摘されています。
 そういう点では、やはり安定的な確保という点では、都民ぐるみで、節水も含め、そして漏水を防止する対策などあらゆる方策をつくって、新たな税金投入によるダム開発はやはり検討していくべきだというふうに思いますので、その点については意見を付しておきます。

○舟坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○舟坂委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○舟坂委員長 これより下水道局関係に入ります。
 報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○舟坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○舟坂委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。

○舟坂委員長 特定事件についてお諮りいたします。
 お手元配布の特定事件調査事項については、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○舟坂委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○舟坂委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、石原下水道局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○石原下水道局長 公営企業三局を代表いたしまして、ご挨拶を申し上げます。
 舟坂委員長を初め委員の皆様には、ご就任以来、数々のご指導、ご鞭撻を賜り、まことにありがとうございました。
 私ども公営企業が行っております事業は、都民生活や首都東京の都市活動にとりまして欠かすことのできない重要な事業でございます。これまでに賜りました貴重なご意見、ご指摘を、それぞれの事業運営に十分反映させまして、都民サービスのさらなる向上と効率的な経営に努め、都民の皆様の信頼と負託に全力で応えてまいる所存でございます。
 今後とも、公営企業三局に対しまして、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
 ありがとうございました。

○舟坂委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
 昨年、皆様にご推挙いただき公営企業委員長に就任させていただきましてから一年が経過をいたしました。この一年間、本委員会では、予算案の調査、付託議案の審査、契約案件に対する調査や請願陳情の審査などを行ってきましたが、大変充実した委員会活動であったと思います。これもひとえに、大西副委員長、宮瀬副委員長初め理事、委員の皆様、そして所管三局の理事者の皆様のご理解、ご協力のたまものであると心から感謝を申し上げます。
 本年四月の熊本地震に際しましては、被災地への支援に専念するため、予定していた管外視察を中止させていただきましたが、主管局の皆様には、被災地への職員派遣や技術的支援など大変にご尽力をいただきました。この場をおかりいたしまして、委員長としてもお礼を申し上げます。
 最後になりますが、この公営企業委員会が所管する都営交通、水道、下水道は、都民生活に欠かすことのできない非常に重要な公共インフラであります。所管三局の理事者の皆さんは、引き続き世界一の都市東京を目指して、安全・安心の確保と質の高いサービスの提供に向け一層のご尽力をお願いするとともに、委員の皆様の今後さらなるご活躍を祈念いたしまして、私の委員長退任に当たっての挨拶とさせていただきます。
 皆様、一年間ありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十六分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る