委員長 | 舟坂ちかお君 |
副委員長 | 宮瀬 英治君 |
副委員長 | 大西さとる君 |
理事 | 栗林のり子君 |
理事 | 河野ゆりえ君 |
理事 | 高橋 信博君 |
川松真一朗君 | |
山内 晃君 | |
塩村あやか君 | |
小竹ひろ子君 | |
小松 大祐君 | |
橘 正剛君 |
欠席委員 一名
出席説明員水道局 | 局長 | 醍醐 勇司君 |
技監 | 田村 聡志君 | |
総務部長 | 黒沼 靖君 | |
職員部長 | 松丸 俊之君 | |
経理部長 | 冨田 英昭君 | |
サービス推進部長 | 浅沼 寿一君 | |
浄水部長 | 青木 秀幸君 | |
給水部長 | 今井 滋君 | |
建設部長 | 山田 廣君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 斉田 典彦君 | |
特命担当部長 | 加藤 英典君 | |
サービス企画担当部長 | 金子 弘文君 | |
設備担当部長 | 横田 秀樹君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 石井 玲君 |
調整部長 | 石井 正明君 | |
施設部長 | 牧田 嘉人君 | |
技術調整担当部長 | 芦田 裕志君 | |
下水道局 | 局長 | 石原 清次君 |
技監 | 渡辺志津男君 | |
総務部長 | 坂巻政一郎君 | |
職員部長 | 久我 英男君 | |
経理部長 | 安藤 博君 | |
計画調整部長 | 神山 守君 | |
施設管理部長 | 中島 義成君 | |
建設部長 | 池田 匡隆君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 永野 実君 | |
技術開発担当部長 | 小団扇 浩君 | |
施設管理担当部長 | 田中 宏治君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 坂根 良平君 |
管理部長 | 関 雅広君 | |
技術部長 | 佐々木宏章君 |
本日の会議に付した事件
水道局関係
請願の審査
(1)二八第一号 上・下水道料金と工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十五号議案 平成二十八年度東京都水道事業会計予算
・第二十六号議案 平成二十八年度東京都工業用水道事業会計予算
報告事項(質疑)
・東京水道経営プラン二〇一六について
・東京水道施設整備マスタープランにおける危機管理の充実について
下水道局関係
請願の審査
(1)二八第一号 上・下水道料金と工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十七号議案 平成二十八年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百十三号議案 多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
報告事項(質疑)
・東京都下水道事業経営計画二〇一六について
○舟坂委員長 ただいまより公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局及び下水道局関係の請願の審査、予算の調査及び報告事項に対する質疑並びに下水道局関係の付託議案の審査を行います。
これより水道局関係に入ります。
初めに、請願の審査を行います。
二八第一号、上・下水道料金と工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○黒沼総務部長 請願につきましてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
請願の趣旨としましては、油脂・皮革関連企業に対する水道料金と工業用水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
この請願に関する現在の状況でございますが、油脂・皮革関連企業に対する水道料金の減免措置につきましては、平成二十五年第一回都議会定例会における水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補填を前提に、独立採算制の原則及び負担の公平に対する例外的な措置といたしまして、平成二十八年三月三十一日までを期間として、一月当たり百立方メートルを超える従量料金の二〇%を減免しているところでございます。
また、同企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成二十七年第一回都議会定例会における工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重いたしまして、水道料金同様、例外的措置として、平成二十八年三月三十一日までを期間として基本料金の一〇%を減免しているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議くださいますようお願い申し上げます。
○舟坂委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○舟坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、下水道局所管分もございますので、決定は下水道局所管分の審査の際に行い、ただいまのところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○舟坂委員長 異議なしと認めます。よって、請願二八第一号は継続審査といたします。
以上で請願の審査を終わります。
○舟坂委員長 次に、予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第二十五号議案及び第二十六号議案並びに報告事項、東京水道経営プラン二〇一六について及び東京水道施設整備マスタープランにおける危機管理の充実についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○黒沼総務部長 お手元に配布してございます資料2、公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめてございます。その概要につきましてご説明を申し上げます。
恐縮でございます、一ページをお開きいただきたいと存じます。導水施設の二重化、送水管の二重化、ネットワーク化の事業費でございます。
各事業における整備区間、予定事業費をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。水道局職員の定数、職員数の過去五年間の推移でございます。
平成二十二年度から二十六年度までの五年間の水道局職員の条例定数及び事務、技術、技能の区分別の年度末職員数をお示ししてございます。
三ページをお開き願います。長時間労働面接対象者数の過去五年間の推移でございます。
平成二十二年度から二十六年度までの各年度の延べ人数をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。工事請負契約の実績がある民間企業への局退職者の過去三年間の就職者数でございます。
五ページをお開き願います。監理団体、報告団体における社員数、都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数でございます。
平成二十七年八月一日現在の監理団体及び報告団体それぞれの社員数と、そのうち都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数をそれぞれお示ししてございます。
六ページをお開き願います。監理団体、報告団体の社員数の過去五年間の推移でございます。
監理団体及び報告団体における平成二十三年度から二十七年度までの五年間の八月一日現在の社員数の推移を常勤、非常勤等の別でお示ししてございます。
以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○舟坂委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○川松委員 さて、平成二十八年度の予算審議に当たり、何点かこれから質疑をさせていただきたいと思います。
水道というのは、都民生活と都市活動を支える基幹的なライフラインでありまして、将来にわたりこれを維持していくためには、短期的ではなくて長期的な視点に立った取り組みを推進していく必要があると私は常々考えております。
今回の予算は、先月公表され、さきの公営企業委員会でも水道局から報告のありました東京水道経営プラン二〇一六に基づいているものと理解しておりますので、本日はこのプラン二〇一六の内容を中心にも、幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初に、このプラン二〇一六はどのような考えをもとに策定に至ったのか、基本的な考え方を確認させていただきます。
○加藤特命担当部長 水道事業は、水源施設や浄水送配水施設などから成る膨大な装置産業であり、これら一連の水道システムを常に良好な状態に保ち続けていくためには、中長期的な視点が不可欠であります。
また、利用者からの料金をもとに独立採算で経営していることから、その使途について、都民への説明責任を果たしていくことも重要であります。このため、水道局では、定期的に経営プランを策定してきており、今回の東京水道経営プラン二〇一六でも、今後十年間に取り組む施設整備の内容や長期の収支見通しなどを踏まえた上で、平成二十八年度から東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催年までの五年間の事業計画と、それを着実に推進するための財源や事業運営体制を明らかにした計画としております。
○川松委員 今ありましたように、これからの五年間、オリンピックに向けての五年間の計画でありまして、さらにその先に向けた長期的な視点に立って、今回の経営プランでは、必要な事業と、それを実施するための財源、執行体制が盛り込まれているんだということがわかりました。そこで、今回のプランの特徴、いわばセールスポイントは何なのかということを端的にお伺いいたします。
○加藤特命担当部長 当局ではこれまでも、高度経済成長期における需要拡大に対応した施設整備、原水水質の悪化に伴う高度浄水処理の導入など、時代のニーズを踏まえた施策を推進してまいりました。
今回のプランでは、今後、一斉に更新期を迎える浄水場を初めとした基幹施設の着実な再構築が求められる、いわばネクストステージに入ったと位置づけております。その上で、具体的な特徴としては、安定供給、高品質な水の供給の二つの根源的使命をしっかり果たしていくとともに、切迫性が指摘される首都直下地震など、さまざまな脅威に備え、危機管理に万全を期すための取り組みを盛り込んでおります。
また、信頼される東京水道であるため、お客様との対話を進めることはもとより、さまざまな取り組みを一層進化させ、国内外へ積極的に発信していくことを柱といたしました。さらにこれらの取り組みを推進していくためには、しっかりとした経営基盤が必要となることから、計画的、効率的な財政運営はもとより、監理団体との一体的事業運営体制を都のガバナンスを強化したグループ経営に昇華するとともに、人材の確保、育成に取り組み、ネクストステージにしっかりと対応できる強固な人材基盤を確立していくことといたしました。
○川松委員 このまさにネクストステージに入ってきた中で、危機管理、取り組みの進化・発信、しっかりとした経営基盤の三つというのが今回のプランの特徴であるというふうにわかりました。
私は、一瞬たりとも途絶えることなく、高品質な水が安定的に供給できている東京の水道システムは、世界で一番なんだというふうに確信しているわけですが、東京オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会やその前年に開催されますラグビーワールドカップも見据えて、この世界で一番の水道システムを国内外へ積極的に発信していくことが重要だと思います。
我が党は、さきの本会議の代表質問におきまして、東京の魅力を発信する新たな観光の切り口としてインフラツーリズムを取り上げました。高度な土木技術を駆使して構築された水道インフラは、私たちの日常生活を支えているだけでなく、角度を変えてみますと、圧倒的な存在感や自然環境との調和などの点ですばらしい観光資源になり得ます。
水道局でも既に、歴史的な水道施設を見せるツアーを来年度から予定しておりますが、これは非常によい取り組みだと思います。そして、この取り組みを今後どのように展開していこうと考えているのか、見解をお伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二〇一八年に開催される国際水協会、IWA世界会議・展示会や、二〇二〇年の東京大会を見据えて実施するバスツアーにつきましては、水道施設への関心や親しみを深め、東京水道の歴史やすぐれた技術を知っていただくばかりでなく、ご指摘の観光資源としても生かせるものと考えております。
今後の展開ですが、来年度から、夏休みや秋の行楽シーズンに玉川上水などを訪問するツアーについて延べ八百人規模で実施する予定であり、海外から東京を訪れる観光客に向けた英語ガイドによるツアーにも取り組んでまいります。さらに、来年度の実施結果や参加者アンケートなどを踏まえまして、小河内ダムや浄水場などへの対象拡大を検討し、平成二十九年度以降、順次実施してまいります。
○川松委員 ありがとうございます。まさにそのインフラへの理解を深めるために水道施設を見ることは非常に有効であり、その効果に期待をしたいと思います。また同時に、こういったものを通して、もっと多くの方に東京水道を知っていただくチャンスがまだまだ出てくるんじゃないかなと思います。
また、さきの本会議におきましては、公営企業委員長でもある我が党の舟坂先生が取り上げましたけれども、水道局では、東京水道イノベーションプロジェクトを先月始動いたしました。高度浄水処理による安全でおいしい水の供給など、東京の水道はすばらしく、国内外に発信することはよい取り組みだと、これは誰もが考えるわけであります。
しかし、私の経験からいうと、海外では、限られた国を除いて水道の水は飲むことができず、皆様方が使われているタップウオーターという表現が、どうしても、タップウオーターと聞いただけで、ははっと鼻で笑われたり、そんなの飲めないよって直感的に思う海外の方も多いのが、これは私が海外の方と接している実感でありますが、ここで、このネガティブなイメージをどう払拭していくかというのも、私も常々テーマとして考えていますけれども、水道局では、タップウオーターステーションを初め、安全でおいしい水道水を体験してもらう取り組みを進めているわけですが、東京を訪れた外国人に対して、東京の水道の魅力を伝えるに当たり、今いったようなことも含めて工夫をしていく必要があると思いますけれども、現在の具体的な取り組みをお伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 海外から東京を訪れる観光客につきましては、アジア地域の割合が高く、その多くは水道水が飲めない国から来訪していると思われます。これらの方々に、蛇口から直接飲める安全でおいしい水を体験していただくことは、東京のおもてなしの一つとして重要だと認識しております。
そこで、IWA世界会議や二〇二〇年の東京大会を見据え、タップウオーターステーションを設置いたしまして、東京の水道水が安全でおいしいということを体験していただくとともに、その先進性や水質に関する情報をデジタルサイネージなどで多言語により発信してまいります。さらに、水道水とミネラルウオーターとの飲み比べや水道水質のセルフチェックなど、体験型の施策をあわせて展開することによりまして、国内外に対し、東京水道の魅力を伝えてまいります。
○川松委員 海外からの来訪者を意識した情報発信の工夫について理解をいたしました。
とにかくタップウオーターステーションという、ネガティブなイメージを持たれても、飲んでもらえれば、水道水のよさというのはわかると思いますので、そこに向けて頑張っていきたいなと思います。この水道水が飲めるということがしっかりと多くの人に伝わることが−−驚いた観光客の方が自身で持っているSNSで、東京の水道ってすごいぞと、飲めるぞと、タップウオーターというのはまたイメージが違うぞということを発信してくれるんじゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひ日本の誇りである水道のすばらしさ、国内外へ積極的に伝えていただきたいと思います。
また、先ほどの答弁にもありましたとおり、安全でおいしい高品質の水の安定供給は根源的使命でございます。水道局では、平成二十五年度に、利根川水系の全ての浄水場への高度浄水処理の導入を達成し、高品質な水がつくられるようになっております。しかし、管理が不十分な貯水槽を経由すると、蛇口まで安全でおいしい高品質な水が都民まで届かないという課題を常々抱えているわけであります。
確実に都民へ高品質な水を届けるためには、直結給水方式を普及させることも有効であります。特に、去年の事務事業質疑におきまして山内委員が指摘したとおり、九割以上で直結給水方式が採用されている新築の建物に比べ、既存の建物での直結給水率は低いということでございますから、もともとずっと建ってきたマンション等をターゲットにした施策の推進が必要であると考えます。
そこで改めて、既存のマンション等の直結給水への切りかえ促進について、現在の取り組み状況をお伺いいたします。
○今井給水部長 直結給水方式の普及促進策として、直結切りかえ見積もりサービスを、平成十九年度から実施し、管理会社などに積極的にPRを行っております。平成二十六年度の見積もりサービスの受け付け件数は約八百件でございましたが、そのうち、切りかえ工事に至ったものは約二百件でございます。
○川松委員 まさに今のお話ですよね、見積もりサービスの状況が実施件数八百件に対して、切りかえに至ったのはおよそ二百件、四分の一しか切りかえ工事に至っていないわけであります。見積もりサービスを利用した方は、多少なりとも直結切りかえの意向があると思うんです。あるからこそ見積もりサービスを利用していると。にもかかわらず、四分の三の方が切りかえに至っていない、これは工事費用の面での問題があり、直結切りかえ工事をしたくても予算的にできないんじゃないかなということもうかがうことができます。
直結給水方式の普及促進のためには、そうした面でのサポートも必要ではないかと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○今井給水部長 ご指摘のようなサポートができれば、直結給水の普及促進に有効であると考えてございます。そのため、資金調達の支援として、金融機関を紹介する取り組みを、平成二十八年度早期の実施に向け検討してまいります。
○川松委員 ぜひ実現していただいて、多くの方においしい水を飲んでいただきたいなと思います。高品質な水を届けるために、この直結給水方式への普及促進、より積極的に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
また、冒頭に危機管理へ万全を期していくという話がございました。東日本大震災から五年、阪神・淡路大震災からはおよそ二十年が経過しております。東日本大震災では、水をもらうために多くの方が応急給水車に並んでいたことがすぐに思い出されるわけです。こうした大震災では、多くの断水被害が発生し、復旧は数カ月に及んだと記憶しております。
大地震が発生した場合、水道の断水被害は避けられません。震災発生時の応急給水などの対策も必要でありますが、やはり予防対策としては、管路の耐震継ぎ手化を促進することが重要です。我が党では、あらゆる機会を通じて、耐震継ぎ手化の促進を提言してまいりました。そこで、水道管路の耐震継ぎ手化にこれまでどのように取り組んできたのか、また、今後、耐震継ぎ手率はどう推移していくのか、改めてお伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水道局では、阪神・淡路大震災を契機に、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を全面採用し、管路の耐震継ぎ手化に取り組んできております。さらに、東日本大震災後の平成二十四年度からは、耐震化の事業量を従来に比べ倍増させて積極的に取り組んでまいりました。
こうした取り組みにより、耐震継ぎ手率につきましては、阪神・淡路大震災が発生した平成七年では二%程度であったものを、平成二十六年度末までに三七%に向上させてきたところであり、十年後の平成三十七年度末までには六一%に引き上げてまいります。
○川松委員 今のお話ですと、阪神・淡路大震災から、およそ二十年間で三七%の耐震継ぎ手率、三十年間たった平成三十七年でも六一%と、耐震継ぎ手化を図るには、本当に長い月日がかかっていくということがわかります。このため、東日本大震災の教訓等を踏まえ、首都中枢機関や多くの方が集まる避難所など重要施設への供給ルートを優先し、耐震継ぎ手化を実現していくということは重要であります。
そこで、こうした重要施設への耐震継ぎ手化の進捗はどのような状況なのか、また、今後どのように進めていくのかをお伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率でございますが、重要施設のうち、三百六十五カ所の首都中枢機関及び救急医療機関などにつきましては、平成二十六年度末現在七七%であり、平成三十一年度までに完成させる予定としております。
また、五十カ所の主要な駅につきましては、同様に四三%であり、平成三十四年度までに完成させる予定としております。さらに、二千五百五十六カ所の避難所につきましては、同様に三七%であり、このうち中学校につきましては、平成三十一年度までに完了させ、小学校及びその他全ての避難所につきましては、整備の前倒しを行い、平成三十七年度末に完成させる予定としております。こうした整備内容につきまして、新たに策定する水道管路の耐震継ぎ手化推進事業に反映し、着実に実施してまいります。
○川松委員 ぜひよろしくお願いいたします。震災時に多くの人が集まる、二千五百カ所以上に及ぶ避難所の耐震継ぎ手化は、大変ですけれども、前倒しして、今後十年以内に完了させることは大きな評価となります。
また、さきの予算特別委員会における我が党の質疑におきまして、今後十年間で耐震継ぎ手化を効果的に推進し、復旧日数を三十日から十六日に半減させるという力強い局長の答弁がございました。今後とも管路の耐震継ぎ手化にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、最も重要な水道施設となります浄水場についてお伺いいたします。
我が党では、さきの代表質問で、浄水場の更新時期に合わせ、強固で強靱な施設を整備すべきと主張し、水道局からは、火山の噴火やテロ等のさまざまな危機に対して万全を期すために、覆蓋化に取り組むという答弁がございました。しかし、浄水場の施設整備は、これもまた一朝一夕でできるものではございません。全ての浄水場の更新に長期間を要すると聞いておりますので、覆蓋化までの警備体制も重要と考えます。そこで、浄水場における警備の現状についてお伺いいたします。
○青木浄水部長 浄水場では、高さ二・五メートルの周囲柵を外周に設置し、部外者の侵入防止を図るとともに、赤外線センサーなどにより、侵入者があった場合には速やかに検知する体制を整備しております。
万が一侵入者があった場合は、警備会社の警備員が現地に急行し、状況を把握した上で、速やかに局に報告するとともに、必要に応じて、警察、消防に通報する体制となっております。また、平成二十七年度には、警視庁による専門的な見地から警備体制の検証を行う警備診断を実施し、対応可能な対策から速やかに取り組んでいるところでございます。
○川松委員 浄水場では、不審者の侵入防止に力を入れるとともに、仮に侵入された場合でも、迅速な対応がとれる体制となっているということが今の答弁で確認できました。これは都民の皆様も安心できると思います。
しかし、国内では、本年五月、伊勢志摩サミットが開催されますことから、イギリスでのサミット開催時に首都ロンドンがテロ被害に遭ったときのように、東京におけるテロの危険性が増大しているのではという指摘を方々から受けております。さらに、二〇二〇年オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会への開催を控え、世界における東京の注目度は一層高まっていることからも、テロへの十分な備えが必要になってくるのではないでしょうか。
このような社会情勢を勘案しますと、現状の警備で十分と考えるのではなく、専門的かつ客観的な視点から検証することは、まさに重要な取り組みであると考えます。
そこで、今回の検証を踏まえた浄水場における今後のセキュリティー対策についてお伺いいたします。
○青木浄水部長 今年度に実施した警視庁による警備診断では、これまで一部の浄水場で行っていた一般開放の自粛など、さまざまな助言を受け、これをセキュリティー強化に生かしていくこととしております。
具体的には、警備会社による警備時間を拡充するとともに、巡回警備の頻度などを大幅に増強することにより、侵入者の未然防止と異常時の早期対応を図ってまいります。また、浄水場の入退場時には、顔写真つきの身分証明書で照合するなど、本人確認を厳格化してまいります。
さらに今後は、こうした事態が発生しても迅速に対応できるよう、警察や消防などとの合同訓練を行うなど、さまざまな危機を想定した万全なセキュリティー対策に取り組んでまいります。
○川松委員 浄水場セキュリティー対策について十分に理解させていただきました。
ただ、一般開放の自粛は、舟坂委員長を含めて、毎年、地域住民が楽しみにしていた浄水場のお花見広場の中止という、これは局にとって苦渋の決断となったものだと思いますけれども、セキュリティー確保のためにはやむを得ないという局の判断を評価させていただきます。今後も、都民の命にかかわる水を供給するという重要な使命を果たすため、万全の体制を構築していただきたいと思います。
これまで幾つかの施策について質問をしてまいりましたが、ここからは三つ目の柱であります経営基盤についてお伺いいたします。
私は、おととし初めて公営企業委員になったとき、事務事業質疑におきまして、水道事業の財政運営は、将来の水道利用者に負担をしわ寄せすることがないよう、あらかじめ長期的な視点に立って計画的に行っていくという必要があるんだと主張させていただきました。
その際、水道局からは、浄水場の更新に備え、平成十九年度から毎年五十億円を積み立てるとともに、借金であります企業債残高の圧縮に努めるなど、確固たる財政基盤の構築を図りながら、将来に備えていくという答弁をいただいております。
いよいよ浄水場更新というネクストステージを迎えるに当たり、今後どのように財政を運営していくのか、お伺いをいたします。
○加藤特命担当部長 今回のプランでは、ネクストステージの中心的な事業となる浄水場更新に伴う資金需要に対応するため、これまで積み立ててきた大規模浄水場更新積立金を取り崩すとともに、世代間の負担の公平性に配慮するため、企業債を財源の一部として発行してまいります。
なお、企業債の残高は、昭和五十九年度末の約八千二百億円をピークとして、現在は約二千五百億円まで減少してきておりますが、今後も、この残高が急激にふえないよう、適切な発行に努めてまいります。
また、水道管路の耐震継ぎ手化に当たっても、これまで積み立ててきた修繕引当金を取り崩して、事業費の財源の一部といたします。こうした長期的な視点に立った財政運営により、今後とも、持続可能な経営を目指してまいります。
○川松委員 改めて、将来を見据えて財政運営に取り組んでいるということが確認できました。また、施設の再構築など必要な事業は着実に進めていかなくてはなりませんが、現在、料金を負担していただいている利用者のご理解を得ていくためにも、効率経営に努めていくことが重要であると思います。
そこで、今回の経営プランでは、どのような努力をしているのか、その点についてお伺いいたします。
○加藤特命担当部長 今回の経営プランでは、不断の経営努力として、計画期間の五年間で百五十億円の経費縮減と収入確保に努めることを目標としております。
具体的には、事業運営体制の見直しによる事務事業の効率化、建設維持管理コストの縮減などによる既定経費の節減、定期借地権制度の活用や未利用地の売却などによる資産の有効活用などに取り組んでまいります。これら最大限の経営努力を着実に実施することにより、計画期間中は、現行の料金水準を維持することといたしました。
○川松委員 安易に利用者に負担を求めることなく、最大限の経営努力を行い、現行の料金水準を維持しているということを評価させていただきます。
日本全体の水道事業を見てみますと、突然更新のときに水道料金を上げるかどうかということで、地域といろんな協議の大変な場面も見ていますし、日本全体では、厚生労働省の水道事業費予算だと思いますけれども、事業仕分け以降大変予算がカットされて大変だという中で、長期的な展望に立って、東京に関してはやってきたと。安定供給の柱として、こうやって利用者の負担も安定的にやっていくんだということを、消費税の増税分はどうするのかということはさておきまして、基本的には、料金水準を維持していくということを本当に評価させていただきます。今後もしっかりとした財政運営に努めていただきたいと強く要望しておきます。
次に、事業運営上の重要な基盤となります人材についてお伺いいたします。
我が党の宇田川幹事長が以前に、この委員会におきまして人材について取り上げたように、今後の人材育成のあり方については、少数精鋭ということではなく、世界に誇れる技術を確実に次世代に引き継いでいくということが大切になってきて、もはやここもネクストステージに入っていく、そういった時代を迎えているんだと思います。
また、現場業務の多くが、既に監理団体に移転され、その業務に伴う技術やノウハウの継承の重要性も指摘したところであります。今回の経営プランに、支える基盤として、人材の確保、育成が盛り込まれたということは評価できます。
そこで、今後、現場を踏まえた人材育成を具体的にどのように行っていくのか、お伺いいたします。
○松丸職員部長 当局では、今後の再構築及び危機管理体制を支えるため、これまでの取り組みに加え、将来を見据えた人材確保、育成を行ってまいります。
具体的には、局職員に現場業務を担う監理団体の業務を経験させる一方、監理団体社員の局への受け入れなどを検討し、東京水道グループ内での人材交流を活性化させてまいります。さらに、実習施設の見直し、更新を図り、実践的な研修を充実させ、現場における実務能力、危機管理能力を向上させてまいります。
今後とも、監理団体と一体となって、現場の経験に裏づけされた専門知識や柔軟な発想を持った人材を確保、育成してまいります。
○川松委員 水道事業を運営していくに当たりましての、最大の基盤となる人材の確保と育成に精力的に取り組んでいただきたいと思います。
若い人たちが東京水道に憧れて夢を持って入職できる環境、これが東京水道の未来を支えるんだというふうに思います。
今回の質疑で、水道局が長期的な視点を持って経営プランを策定したことはよくわかりました。今後とも、将来を見据えて着実に水道システムの再構築を進めていっていただきたいと思います。
最後に、プランの着実な実施も含めて、今後の事業運営について、直接局長の決意をお伺いいたします。
○醍醐水道局長 安全でおいしい高品質な水の安定供給は、首都東京の都市活動と都民生活を支える基幹的なライフラインといたしまして、これまでも、そしてこれからも、未来永劫変わることのない水道事業の根源的な使命でございます。この使命を果たすため、特に水道管路の耐震継ぎ手化など、切迫性が指摘される首都直下地震への対応に加えまして、テロ行為など、さまざまな脅威に備えた危機管理に万全を期してまいります。
さらには、東京水道イノベーションプロジェクトを推進し、将来を見据え、世界一の東京水道システムを一層進化させ国内外へ発信してまいります。
また、中長期的な視点に立ちまして、健全かつ安定的な財政運営を進めるとともに、今後の東京水道を支える、まさに宝であります人材の確保、育成に関する方針を取りまとめ、強固な人材基盤を確立してまいります。
ただいまの委員からの質疑を通じまして、いただいたご指摘、ご提案をしっかりと踏まえまして、経営プランに掲げたさまざまな施策を着実に進めることによりまして、これまで東京水道が培ってまいりました技術力、ノウハウを確実に引き継ぎ、世界一の水道システムを次世代につなげてまいります。
○川松委員 局長、ありがとうございました。
東京都の今後の可能性を見てみますと、オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップ、そして世界水会議と、いろいろとあるわけですけれども、もう全てが目の前に迫っています。そこを起点として、この水道局がもっともっとステップアップしていくチャンスがあるわけです。管路に至っては、地球の半周以上、歴史ある東京水道が改めて世界各国に浸透していく大きなチャンスが間もなくやってきます。ネクストステージの充実こそ、まさに東京水道局の未来があるんだと思います。
人の体をつくっていく水、その意味において、生きていくための安定供給について、世界で一番の水道事業を支える局長を初め皆様方の経営プランに基づくご活躍を期待しまして、私の質問を終わりとさせていただきます。
○栗林委員 それでは、質疑させていただきます。
水道は、都民の生活の、また首都東京の都市活動を支える上で必要不可欠な重要なインフラであり、万が一断水が生じた場合には、生活への影響は非常に大きいものであります。
我が党ではこれまで、災害発生時の備えが重要であるとの認識からさまざまな提案を行ってまいりました。水道局では、それに応えて、水道緊急隊の創設、応急復旧用資材の備蓄、応急給水拠点の改造、地域住民との訓練等、着実に取り組みを進めていただいているところでございます。
先ほど川松委員のご答弁にもありましたけれども、災害発生時に多くの都民が集まる避難所が断水して水が出なくなることがないよう、そこへの供給ルートを優先して、耐震継ぎ手化を進めていくことは大変重要であります。
しかし、東京都防災会議が作成しました被害想定によりますと、首都直下地震が発生した場合、現在では、断水率が最大で四五%以上とされております。しかも、首都直下地震につきましては、今後三十年以内には、マグニチュード七クラスの地震が発生する確率が七〇%程度と推定もされております。
そういったことを考えますと、やはりこの緊急時の対応というのが大変重要ではないかと思います。大規模災害が発生した際に、被災者の命をつなぐ水の確保、これが大変重要でございます。断水被害が発生したときに応急給水が円滑に行われることが必要です。このような発災時の対応について、昨年から幾つか提案もさせていただいてきたところではございます。本日は、昨年からもずっと提案をさせていただいた取り組みのその後の進捗状況を何点か伺いたいと思います。
まず、昨年三月の公営企業委員会において、我が党から、応急給水が行われている場所を遠くからでも見つけやすいように、目印を設置してはどうかと提案をさせていただきました。それに対しまして、地域住民が認識しやすい目印を発災時に設置をし、給水拠点の場所をよりわかりやすく都民に伝える方策を検討するとの答弁をいただきました。
昨年十一月の事務事業質疑において、私からもこの点、その後の取り組みの状況について質問したところ、災害時の給水ステーションのシンボルマークをつくり、それを表記した看板を順次設置するとともに、目印となるようなのぼりを配備する、そして、災害時の給水ステーションのPRを進めていくというご答弁をいただきました。
そこで、現在、この看板の設置やのぼりの配備について、どのような進捗状況になっているか伺います。
○黒沼総務部長 まず、看板についてでございますが、こちらは、平常時から災害時給水ステーションをPRすることを目的といたしまして、今年度、浄水場や給水所等の当局施設百七カ所に設置をしたところでございますが、来年度はこれに加えまして、公園等の地下にございます大規模応急給水槽五十三カ所につきましても順次看板を設置してまいります。
また、のぼりについてでございますが、こちらは発災時に直ちに災害時給水ステーションで掲げることができますよう、既に今年度、四百五十五枚を配備したところでございますが、来年度はこれに加えまして、区市町に貸与いたしました約二千六百セットの応急給水用資器材、これに対しましても、一セット当たり二枚ののぼりを区市町に配布していく予定でございます。
○栗林委員 遠くからでも一目でわかることが大変重要かと思います。さらなる拡充をお願いしたいと思います。
次に、避難所への情報の提供について伺います。
発災時には、被災された都民の多くは、区市町が設置する避難所に集まると想定されております。昨年六月の都議会第二回定例会で、我が党からは、この避難所で、都民にとって重要な応急給水の実施状況や水道の被害状況、また、復旧見込み等がわかれば極めて有意義だという提案をさせていただきました。これに対して水道局では、事業所で把握している情報を素早く提供できるように、区市町に相互に窓口を設置するとともに、区市町に対して、避難所で応急給水場所の広報を実施するように依頼をしたというお話がありました。
そこで、現在、具体的にどのように体制が構築されているのか、伺います。
○黒沼総務部長 応急給水等に係ります避難所への情報提供体制でございますが、まず、浄水場等の給水拠点や車両輸送により応急給水を実施する場所等につきましては、水道局のホームページで情報提供するほか、局と区市町の間で相互に開設をいたしました窓口を通じまして、情報提供を行い、避難所等での広報を行っていただくこととしております。
また、区市町に貸与いたしました応急給水用資器材を活用して応急給水を実施する場所等につきましても、区市町が避難所等で独自に広報を行うよう依頼をしたところでございます。
さらに、こちらの避難所の周辺地域を含みます断水状況あるいは復旧見込みなどにつきましても、水道局のホームページのほか、応急給水の実施状況と同様、局の事業所から区市町に情報提供を行い、広報を実施していただくこととしております。
○栗林委員 地域住民の皆様にとりましては、区市町からの情報が重要でございます。より一層の連携をお願いしたいと思います。
また、断水情報については、昨年十二月の都議会第四回定例会の代表質問で、ここにいらっしゃいます橘委員から、インターネットを活用し、わかりやすい断水情報や、また復旧情報を提供すべきとの提案に対しまして、地図情報として、ホームページに掲載するなど、多様な情報発信方法を検討中とのご答弁をいただきました。
それを受け、水道局では、二月に公表されました水道経営プラン二〇一六において、断水や通水地域の情報を視覚的な地図情報として、ホームページ上に掲載していくとされています。そこで、この取り組みに関する現在の進捗状況、伺います。
○今井給水部長 大規模発災時における情報提供でございますが、断水の地域や通水の状況が把握できる地図情報として、局のホームページ上で発信してまいります。これにより、避難所やお住まいの地域など、きめ細かい給水の状況が把握できるようになります。平成二十八年度より地図情報を提供するシステムの開発に着手し、平成三十二年度の運用開始を目指してまいります。
○栗林委員 平成三十二年度、運用を開始するということでございますので、よろしくお願いいたします。
地図情報というのは、文章の情報提供よりも視覚的に大変インパクトもあり、わかりやすいことから、災害時などの必要な情報がこのような形で得られることは大変重要かと思います。一層の取り組みに期待をしたいと思います。
また、一方で、断水は、災害発生時だけではなく、例えば事故が起きた場合などにも、やむを得ず発生することがあります。こうした地図情報による情報提供は、事故によって断水が発生したようなときにも、都民にわかりやすくお知らせをする方法として有効ではないかと思います。ぜひとも実施すべきと考えますが、見解をお願いいたします。
○今井給水部長 現在、工事に伴う断濁水につきましては、工事場所や実施日、影響区域など、文字情報でホームページ上に掲載しております。また、大規模事故発生時には、必要に応じてプレス発表などにより広報をしております。
今後は、工事や大規模な事故時などについても、断濁水の範囲を地図上に表示することを、大規模発災時の地図情報の提供とあわせて検討してまいります。
○栗林委員 かつて、まだ日本の水道システムが発展途上であったころには、水道工事をする際には、断水をしなければ工事ができないという時代がありました。そのために必然的に、ある程度の年齢以上といいますか、私ぐらいの年齢ぐらいですと、断水というのは、結構頻繁に経験することがありました。
ところが、今日では、技術も進歩して、ほとんど断水をしないで工事ができるようになってまいりました。特に若い世代を中心に、断水ということは、日常生活の中で経験したことがないのではないかと思います。首都直下地震が発生した際に、万が一その断水が発生、そういうことを考えますと、やはり訓練というか、そういうことも重要ではないかと思います。
そこで、震災などにより断水が発生した際に、都民、特に断水を経験したことのない若い世代が落ちついて対応ができるようにするためには、断水時にどのようなことが起こるのか、また、何を心がければいいのか、そういったことをあらかじめ学ぶ場を設ける必要があると思いますが、見解を伺います。
○黒沼総務部長 理事ご指摘のとおり、技術の進歩や水道システムの進化によりまして、断水が減少しました反面、震災などで断水に遭遇したときに、初めてお客様は水道が使えないという大変さを認識することになります。このため、都立高校や町会、団地などにおきまして、擬似的な断水体験を行っていただく取り組みを来年度から試行的に実施することといたしました。
特に、断水の経験の乏しい高校生に対しましては、学校での宿泊防災訓練などでの実施に向けまして、現在、関係部署と調整をしているところでございます。これによりまして、震災時はもとより、平常時におきましても、水道の大切さを再認識する、そういう契機にしていただきたいと考えてございます。
○栗林委員 便利な社会になってから生まれてきた世代にとっては、こういった体験は大変重要かと思います。生きる力につながることかと思いますので、取り組みをお願いしたいと思います。
それでは最後になりますが、駒沢給水所について伺わせていただきます。
私の地元世田谷区には、大正時代からもう九十年以上の歴史を持つ駒沢給水所がありまして、その景観は、世田谷百景とか、近代水道百選、世田谷区の地域風景資産などの風景遺産に指定されている大変すばらしい建物でございます。
これは、平成二十四年に土木学会さんの方から、土木遺産にということで、この駒沢給水塔が認定をされております。何と都内で七カ所目の、七つしか認定をされていない一つが駒沢の給水所でございます。平成二十四年十一月二十二日に、この都庁で水道局が認定を受けられたんですけれども、そのときに、当時の局長のコメントも載っていらっしゃいまして、非常に注目となっているのがこの駒沢の給水塔でございます。これはもう本当に歴史を感じさせる、中世ヨーロッパのお城のような建物で、ここを設計された中島鋭治工学博士が、ヨーロッパでの生活体験をもとにつくられたということで私も感動した次第なんです。
普通は、給水塔というと、水を貯留して必要な箇所に給水するための単なる入れ物だと思います。ところが、普通でしたら余り手間暇かけないシンプルな、ただ筒状のものを選ぶのではないかと思うんですが、ところがこの時代、九十年以上前の大正時代に、何と給水塔のてっぺんの方には、装飾電球を載せて、また王冠をほうふつさせるような、ロマン主義の建築を連想させる建物になっていまして、塔の塔頂には、四本の柱に支えられた青銅づくりのドームの屋根を載せて、何とあずまやですね、日本庭園などに見られるあずまやを模していると。ここに設計者の非常に心配りとしゃれた遊び心をひしひしと感じさせる建物になっております。
この建物、九十年以上前につくられたという、このことを考えますと、やはり水を宝物のように扱うんだという、命をつなぐ宝物なんだって、宮殿のようにして扱うものという、そういう心が込められていたのではないかなと、いつも通るたびに、また感じている次第なんです。
そこで、この給水塔をぜひ守らなければいけないということで、地域の駒沢周辺の、まず近隣の方が中心となりまして、平成十四年に、駒沢給水塔風景保存会が、略してコマQというんですけれども、設置されました。当時は、本当に給水所を囲む近隣の住民十五人から出発した会ですけれども、今は四百人近くになっておりまして、私も会員の一人でございます。余り活発なボランティア活動はなかなかできませんけれども、一緒に活動しているところではあります。こうした地域住民と水道局の取り組みによりまして、土木学会から土木遺産にも今回認定もされたという経緯もございます。
この駒沢給水塔は、発災時の重要な給水拠点にもなっているんですけれども、二つの配水塔が大変遠くからでも目立ちますし、夜は電気もつきますし、先ほどの災害時の給水ステーションののぼりなんかよりもよほど目につく、そういう建築物であります。ぜひ地元のシンボルとして後世に残してもらいたいと思いますが、一方では、やはり老朽化が進行しているとも聞いております。そこで、この風景遺産を水道局としてどのように維持をしていくか。今回の経営プランの中にも、タイムスケジュール、これが発表になったところでございます。その見解を伺いたいと思います。
○青木浄水部長 駒沢給水所は、多摩川の伏流水を水源とする、砧下浄水所から送水された水を貯留し、渋谷方面に給水するために、大正十三年に建設された施設でございまして、現在は、災害時給水ステーションとして、震災などの非常時に、お客様に水道水を供給する重要な役割を担っております。
給水所にございます二基の配水塔は、理事ご指摘にございました地域風景資産にも指定され、多くの地域住民に親しまれてございまして、耐震性も確認されたことから、補修や補強などを行った上で、そのまま利用し、それ以外のポンプ所や配管などは更新を進めていく予定としてございます。このような整備を行うことで、先人が築いた施設を将来にわたって活用し、次世代に引き継いでまいります。
○栗林委員 よろしくお願いいたします。九十年以上、時代の変化の中でも変わることなく堂々と構えているその姿からも、見ているだけでも学ぶことが多い建物でございます。この施設は、東京の水道の何か原点を感じる給水所ではないかなと思います。
ぜひ、地域住民のお声なども聞いていただきながら、今後の事業を進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○小竹委員 私の方からも、プランなどを含めた、予算とプランを含めた幾つかの点についてお伺いしたいと思います。
まず、水道料金の減免の申請件数及び減免額、十年間でどのように推移しているか。そして、その変化について、その要因は何なのかお伺いします。
○浅沼サービス推進部長 平成二十六年度における減免件数及び減免額は約二十三万件、約三十七億円となっており、十年前の平成十七年度の減免件数約十五万件、減免額約二十四億円に比べて、件数は約八万件、減免額は約十三億円増加しております。増加の要因といたしましては、生活保護世帯や社会福祉施設が増加していることが挙げられます。
○小竹委員 減免件数及び額も、十年前に比べると一・五倍にふえています。特に決議による減免件数が二・三倍にも上っています。生活保護が増加していること、それから福祉施設が増加しているというお答えでした。それに加えて、昨今のマスコミ報道などによりましても、高齢者の場合には、四人に一人が生活保護以下の生活をしているというふうに書かれています。それからまた、山形大学の戸室准教授の研究によると、子育て世帯の貧困率は東京で一〇・三%、そういう点では貧困が大きな社会問題になっています。
生活保護世帯など低所得者の人たちにとって、水道料金の負担が大変になっていることもあるということがうかがわれます。子供や高齢者の貧困など、せめて下水道局並みの減免制度へ拡大していただくように、これは引き続き要望しておきたいというふうに思います。
次に、水道経営プラン二〇一六に関連して何点かお伺いいたします。
先ほども給水直結管のお話がありましたけれども、小中学校への給水直結モデル事業について継続するということになったのは、これは非常に喜ばれるというふうに思います。この中に三割に満たない区市について対策をとっていくというのが、今度のプランになっていますけれども、そういうのはどのぐらいあるのか、まずお伺いします。
○今井給水部長 平成二十八度に全体としての目標である三割を達成できる見込みではございますが、お尋ねの三割に満たない区市町は墨田区、渋谷区、国立市、狛江市など十四区十一市二町でございます。なお、本事業の継続実施に関しましては、区市町からの要望や、きめ細かくフォローすべきとの都議会での議論などを踏まえ、局として決定させていただいたものでございます。
○小竹委員 小中学校は、災害時の避難場所になっているところが圧倒的ですから、モデル事業としては三割ということですけれども、引き続きそういった観点からも全校に広げていく必要がある、災害のときの対応という点でも、直結給水管が継ぎ手事業とあわせて、やっぱりやる必要があるというふうに思いますので、この点についても要望しておきます。
小中学校に対する三割の達成とともに、都立の特別支援学校や高等学校へも広げるべきだというのを、十一月の事務事業のときにも申し上げました。私は、ぜひ計画の中に入れてほしいというふうに思ってきたわけですけれども、改めてもう一度要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
○今井給水部長 先ほどもご答弁させていただきましたが、三割に満たない区市町が存在しているため、平成二十九年度以降フォローアップを行っていくこととしております。都立の特別支援学校あるいは高校への対象拡大は考えてございません。
○小竹委員 都立学校はやらないというお答えが引き続きなんですが、対象となる子供たちというのは、都民の子供ですよね。皆さん、水道料金も納めているわけですから、やはり都民の子供たちにおいしい水を供給していくという使命からいっても、都の水道局の責任が、私はライフライン確保という点でもあるというふうに思います。
都立の施設については、やはり水道局として対応すべきだというふうに思いますので、こういう問題についての検討も求めておきたいと思います。
続いて、運営体制について質問いたします。
水道経営プラン二〇一六には、運営体制、グループ経営について書かれています。事業運営上の役割分担として、水道局と監理団体、民間事業の分担イメージ図が示されています。局が基幹的業務、コア業務をやり、監理団体は準コア業務をすると。そして民間事業者が定型的な業務を担うということがこのイメージ図に書かれておりますけれども、今までのそれぞれがやってきた業務内容や委託業務がどのように変わるのか、お伺いいたします。
○加藤特命担当部長 当局ではこれまで、公共性の確保と効率性の発揮を両立させるため、監理団体を活用した一体的事業運営体制を順次構築してきており、東京水道経営プラン二〇一六においても、これまでの役割分担に変更はございません。
具体的には、民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託するとともに、水道事業における基幹的業務のうち、経営方針の策定など、事業運営の根幹にかかわる業務を当局が担い、施設の運転管理など事業運営上、重要な業務を監理団体が担ってまいります。
○小竹委員 一体的事業運営の強化ということで、監理団体へのガバナンス強化が打ち出されています。具体的にどういうことを行うのか、お伺いします。
○加藤特命担当部長 基幹的ライフラインとしての使命を全うし、将来を見据えた取り組みを推進していくためには、当局と現場業務の多くを担う監理団体が、これまで以上に一体となって事業を運営していくことが不可欠であることから、今回のプランでは、今後、監理団体へのガバナンスを強化していくことといたしました。
具体的には、これまで主に株主の立場から、目標管理や役員の業績評価などモニタリングを中心として監理団体へ関与してきましたが、今後はこれに加え、当局の経営方針等の徹底を図るため、社の経営基本計画や年間経営計画といった重要事項への意思決定に関しても関与してまいります。
○小竹委員 経営方針の決定や局の考え方の徹底ということが今お答えされたわけですが、監理団体に働いている人たちの労働条件などもその中には含まれるんですか。その点どうですか。
○加藤特命担当部長 ただいま答弁いたしましたとおり、当局の経営方針等の徹底を図るため、社の経営基本計画や年間経営計画といった重要事項への意思決定についてガバナンスを強化するとしておりまして、そもそもPUCに対して、当局は業務の委託を行っております。他の民間企業の業務委託と同様、受託者であるPUCについて、その労働条件等について、都は関与する立場にございません。
○小竹委員 PUCに限っていったわけじゃなくて、監理団体で働く人の労働条件がこのガバナンスの中に含まれるのかということでお伺いしたんですが、お答えからすれば、労働条件は、監理団体の責任でということになるかなというふうに思います。
今、PUCの労働、次に質問をする予定のPUCの問題が出ました。PUCの労働者は、会社側が労使協議なしに契約社員の雇用形態を、ことしの四月から変更するということについて、東京都労働委員会に申し立てを行っています。法令遵守ということがいわれているわけですけれども、都労委のあっせんも経営側は拒否をして、不当労働行為の争いになっています。そういう点でも、きちんと都の水道局の方も掌握していただきたいというふうに思います。
いただいた資料で見ますと、監理団体の社員について、全社員のうち非常勤の占める割合が、東京水道サービスは一三%です。PUCは四一・九%となっています。PUCが、非常勤の割合が半数近いのはなぜなんでしょうか。
○加藤特命担当部長 株式会社PUCでは、お客様センターやサービスステーションなどで、口座振替の登録や徴収事務などの業務について、契約社員やパート社員といった非常勤社員を業務特性に応じて活用していると聞いております。このため、非常勤の割合が高くなっております。
○小竹委員 この間、水道局は、本来、都の職員が専門でやってきた業務を職員削減して、効率化の名のもとに監理団体に委託をふやしたりしてきました。しかも、不安定な非常勤職員によりその業務が行われることになっています。処遇が悪化する状況は否めません。
局として、監理団体の不本意な非常勤の方々について、正規化に向けて努力すべきではありませんか。PUCで見れば、業務量が増加しているのに、五年前と比べて委託費の伸びはわずか三%にすぎません。低賃金の労働者をふやすことになっているのではないかと思われます。官製ワーキングプアをつくり出すような状況になります。早急に改善するよう求めておきたいというふうに思います。
水道局は、監理団体だけでなく、民間への委託も進めています。例えば、水道メーターの検針業務について、委託業務内容が拡大しています。随意契約当時と現在の単価、過去五年間の委託費の比較及び委託内容についてお伺いします。
○浅沼サービス推進部長 検針業務の契約は、平成十六年度の包括外部監査の意見を受けまして、平成二十年度以降、随意契約から履行能力を総合的に評価し、事業者を選定する履行能力等審査方式に順次拡大しております。
随意契約を行っていた平成十九年度の検針単価は平均百二十九円であり、平成二十七年度の履行能力等審査による検針単価は平均百二十四円となっております。委託費では、平成二十二年度は約七十八億円、平成二十六年度は、給水件数の増加等もあり約八十億円となっております。平成二十七年度の委託業務内容につきましては、定期検針業務、中止清算業務及び徴収整理業務等であり、平成十九年度から変わっておりません。
○小竹委員 委託された当初は検針業務だけだったわけですけれども、今では、料金についても計算して封筒に入れてお届けするような仕組みになっています。一件当たりの時間もかかるようになったといわれています。
また、営業所の統合などにより、営業範囲が広域になっているために、そして都が設置した事務所から検針先へ出かけるというふうな条件が重なって、検針先まで片道十キロを自転車で行くなどの実態があります。往復の時間は賃金に入りません。業務が拡大しているにもかかわらず、実質単価が下がり、歩合制でやっている人たちは実質賃金が引き下げになっていると検針労働者から伺っています。
実際、二つの重い器械を持って、請求書を現地で発行する業務の追加などにもよって、荷物も封筒だとか、ロール紙だとか大変多くなってきているそうです。しかも、水道メーターは地下にありますから、かがんで見なればいけないというふうな状況、メーターを見るために負担も大きくなっていると検針員の方々が訴えています。器械の軽量化など、改善できないかどうかお伺いします。
○浅沼サービス推進部長 検針業務等につきましては、検針員の作業内容や作業に必要な機器等の条件を踏まえて適切に契約を締結してございます。なお、検針用のハンディーターミナルは、平成二十八年度末にリース期限を迎えるため、平成二十九年度より、サービス向上等の観点から新しい機器への更新を検討することとしております。
○小竹委員 腰痛だとか、頸腕だとか、職業病を生みかねないようなそんな状況もあるそうです。現場の声を聞いて、早急に改善していただくよう、これは求めておきたいというふうに思います。
機器の軽量化など、変更するというお答えでしたので、これは働く人たちに大変喜ばれるというふうに思います。ぜひ、現場の声を反映して検討していただくように要望しておきます。
引き続き、検針業務の委託先の検針員の労働実態について、都の方は把握しているか、そして、している場合には、検針員の労働実態についてどのように認識しているか、お伺いします。
○浅沼サービス推進部長 検針員の労働実態等につきましては、各委託業者が雇用主として主体的に関与すべき事項であり、当局は発注者として、各委託業者に対しまして、労働関係法規も含む各種法令の遵守を求めております。
○小竹委員 労働実態に関しては、委託事業者に法令遵守を求めているというお答えでしたけれども、求めるだけじゃなくて、その条件がきちんと確保されているかどうかというのを、やはりつかむ必要があるんではないでしょうか。検針業務に当たる方たちから、改善してほしいというふうに求められているわけですから、ぜひ対応していただきたいと思います。
局として実態をつかんで、どうしたら改善できるか、対策をとるべきだというふうに思うんです。官製ワーキングプアが社会問題になっていますから、そういう意味でもきちんと対応すべきだというふうに思います。
東京都が人件費を減らして委託をふやすというふうな状況によって、PUCなど監理団体も、それから民間会社も業務がふえていますし、その一方で、委託費がそれに見合ってふえなければ賃金にはね返ってしまいます。ワーキングプアにならないように、実態をよくつかみ、適切な対応ができるように重ねて求めておきます。
検針業務については、業務の拡大に伴って重要な個人情報が扱われています。検針員さんからは、重要な情報を扱うことについて精神的なプレッシャーも多いとお聞きいたしました。労働状況が悪くなってくれば、その分事故などによって情報が漏れてしまう危険性も高まります。労働実態の改善は、こういった事故を未然に防ぐ上でも大変重要だというふうに思いますので、この点は指摘をしておきます。
次に、局内の職員の労働実態についてお伺いします。
長時間労働が及ぼす脳、心臓疾患、精神等、健康への影響についてどのように認識しておられるか、お伺いします。
○松丸職員部長 平成二十六年十一月に施行されました過労死等防止対策推進法に基づき、昨年七月に定められました過労死等の防止のための対策に関する大綱では、長時間にわたる過重な労働は、脳、心臓疾患との関連性が強いとの医学的知見が示されており、長時間労働が職員の心や体の健康に影響を与えるおそれがあると認識しております。
○小竹委員 五年間の職員の超過勤務の資料を委員会資料でいただきました。月八十時間以上の方が、二〇一二年を除き八十人以上という状況が毎年続いています。超過勤務の職員の健康管理はどのようになっているんでしょうか。
○松丸職員部長 二カ月間ないし六カ月間の超過勤務時間が一カ月平均八十時間を超える職員など、いわゆる長時間労働の対象となった職員の健康管理につきましては、当局の要綱に基づき、健康診断結果等を踏まえ、産業医が面接指導を行うなど、長時間労働による健康障害の防止に努めております。
○小竹委員 長時間労働による脳、心臓疾患やメンタル発症への影響について認められました。しかし、現実には、過労死ラインといわれる月八十時間以上の超過勤務が続いていること、対象の職員の産業医への面接を行っているというご答弁でした。
厚生労働省は、過重労働による健康障害防止のための総合対策というのを出しています。そこには、過重労働による健康障害防止のための事業者が講ずる措置として、時間外、休日労働時間の削減が挙げられ、実際の時間外労働を月四十五時間以下とするよう、年次休暇の取得や労働時間の設定改善、健康管理とともに、月四十五時間を超えるおそれがある事業所には努力義務を課しています。この点からも、この間の人員削減には大きな問題があったというふうに指摘をしておきます。
ことしは定数削減はしないというふうになりました。このことは非常に重要だというふうに思います。今後、厚労省の対策にもあるように、時間外労働四十五時間以下になるように人的配置を含めて対策を立てていただくように、これは要望しておきます。
長時間労働の相談体制についてはどうなっているんでしょうか。
○松丸職員部長 当局では従前から、心の健康度チェックを実施いたしまして、チェックの結果、不調に気づいた職員が相談できる体制を整えております。具体的には、産業医による健康相談を実施しているほか、専門機関によるメンタルヘルス相談室を設け、対応しております。
あと、先生がおっしゃいました四十五時間の件なんですけれども、労働組合ときっちり協約を結んでおりまして、そのほか、所属長による超過勤務の事前命令及び事後確認の徹底を、今図っております。また、毎週水曜日及び毎月給与支給日における全庁一斉定時退庁日、年二回のノー超勤ウイーク等の実施期間につきましては、超過勤務を命じないよう努めております。以上の点によりまして、超過勤務の縮減について局として全力を挙げております。
○小竹委員 今、相談体制とあわせて、超過勤務を削減するような努力をしておられるというご答弁でしたけれども、そういうご努力とともに、やはり八十時間を超え、百時間の方もいるという状況は正常ではありません。ぜひ全体の時間外労働を減らすような体制を、人的配置を含めてとっていただくように、この点は強く求めておきたいというふうに思います。
最後に、八ッ場ダムについてお伺いします。
八ッ場ダム建設について、水道局は、水源開発分担金を払っています。これを建設当初から総額で幾ら払ってきたのか、そして、建設完了の見通しについてはどうなっているのか、お伺いします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水道局では、国が事業主体である八ッ場ダム建設事業の水源開発分担金として、平成二十六年度までに約四百二十一億円を支出しております。また、八ッ場ダムの完成時期は、基本計画において平成三十一年度と定められており、現在、平成三十一年度の完成に向けて、工程どおりダム本体の基礎掘削が行われております。
今後とも、関係県と連携して、八ッ場ダムの一日も早い完成を国に対して求めてまいります。
○小竹委員 今、平成三十一年度完成予定というふうに、工程どおり進んでいるというふうなお話ではありました。しかし、八ッ場ダムの建設については、当初の予定から何度も完成が先送りされている実態もあります。それにあわせて、今八ッ場ダム予定地の地盤は、非常に熱い軟弱な熱水変質帯、火山活動に伴って発生した熱水が周辺の岩石と反応して形成されている、こういう軟弱な地盤になっていると。特に、八ッ場地域は、火山性の酸性熱水によって酸性変質帯が形成されているというふうにいわれています。
その影響について、水道局はどのように認識しているのか、お伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 八ッ場ダムのつけかえ国道一四五号線では、路肩の一部に亀裂などが生じております。その原因は、熱水変質化によるものと国から聞いております。道路管理者である群馬県による現地調査、定期的なパトロールが行われ、現在まで、当該箇所の安全は確認されております。つけかえ国道の供用に支障が生じると予想される場合には、道路管理者である群馬県と八ッ場ダム工事事務所が連携して調査検討を行い、適切に対応していくとしております。
○小竹委員 四百二十一億円も分担金を払ってやっている工事です。そういう点でいうと、本当に安全性が確保されるのかという点では、できた場合にも問題があるというふうにいわれています。そういう点でもきちんとチェックをしていく必要があるんじゃないでしょうか。
ダム予定地の周辺は、有害物質の鉄鋼スラグが大量に使われたということが大きな問題になっています。都はそのことについてどのように認識しておられるのか、お伺いします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国土交通省の調査によれば、八ッ場ダム工事事務所発注の八工事において、路盤材料等で使用された鉄鋼スラグから環境安全品質基準に定める基準値を超える有害物質が検出されており、このうち六工事については、本年二月末までに既に撤去が完了し、残り二工事についても今年度中に撤去する予定であると国から聞いております。
また、長野原町が施工する関連工事において鉄鋼スラグを含む砕石が二工事で使用されており、このうち一工事は、基準値を超えているため、町では、早期に今後撤去することとしております。
なお、利根川、荒川の両水系から取水する当局を含む水道事業者四十三団体で構成される連絡協議会では、水質異常や事故の発生の際、通報連絡することになっておりますが、今回の件に係るフッ素などの物質に伴う影響については、これまで全ての加盟四十三団体から水道水質に影響があったとの報告はされておりません。
○小竹委員 撤去されるということですが、周辺では不法投棄も含めて、相当鉄鋼スラグが使われているというふうなお話も伺っていますし、私も現場に行ったときに、水没するところに鉄鋼スラグが見られるというふうな状況も、実際に見てまいりました。
そういう点でも、水質にかかわる、それこそ命にかかわる問題にもなる危険性があるというふうにも考えられます。八ッ場ダムに関しては、事業者である国土交通省が適切に対応するというお答えでしたけれども、仮に、鉄鋼スラグに起因するフッ素や六価クロムの汚染が起きた場合に、全都の七割を占める利根川水系に大きな影響を及ぼします。また、酸性熱水変質帯についても、崖の崩落の危険性が指摘されています。安心・安全な水源を確保するという上でも、都としての検証が求められるのではないでしょうか、このまま計画を推移することは、リスクが大き過ぎるというふうに考えます。
日本共産党都議団はこれまでも、過大な水需要に基づいた計画をやめるよう再三求めてきました。都の資料でも、毎年配水量が減少しており、もはや八ッ場ダムに固執する必要はないというふうに考えます。
以上のことから、八ッ場ダムの建設を中止することを求め、地元住民の生活再建への責任を果たすよう国に求めて質問を終わります。以上です。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいま小竹委員から、現行の需要予測が過大ではないかというようなお話がございましたが、現行の需要予測は、水道局ではこれまでの実績を長期的に分析するとともに、東京都が示した人口動向などを考慮し、最新のデータを用いた統計的手法によりまして、今後、二十五年間程度の水道需要を見通しております。
その結果、お客様が実際に使用する水量である一日平均使用水量は、平成三十年代にピークを迎え、配水量の変動や漏水などを考慮した一日最大配水量は、ピーク時に六百万立方メートルになると推計しております。このように、現行の水道需要予測は適切に見込んでおります。
また、八ッ場ダムは必要ではないとのお話がございましたが、そもそも利根川の水源開発は、渇水に対する安全度が低い計画になっていること、また、現に、利根川水系では、三年に一回程度の割合で取水制限が実施されていること、さらに、国土交通省の試算ではありますが、八ッ場ダムは渇水に対して大きな効果があることが挙げられます。こうしたことから、近年の少雨化傾向や今後の気候変動を踏まえると、将来にわたって首都東京の安定給水を確保していくためには、八ッ場ダムが必要不可欠でございます。
○小竹委員 この間、今お話がありましたけれども、東京都は、漏水対策や、それから耐震対策をやって給水量や配水量の確保を努力されています。人口もこの間減ってきているわけですから、そういう点からいっても、水需要が六百万立米というのは、私は当たらないというふうに思います。過大だというふうに思います。
そして、八ッ場ダムについていえば、先ほど申し上げたように、いろんな問題点があり、これだけ社会問題になっている状況の中で、水の安全性からいっても大問題があるわけですから、そういう点なども検証した上で結論を出していくべきだというふうに思います。
私ども日本共産党は、八ッ場ダムの建設については今までも反対してきましたので、この点については、きちんと意見を述べておきます。以上です。
○大西委員 先ほどから何回か出ておりますが、安全・安心な東京をつくるために、大規模地震に備え、ライフラインの強化に取り組むことは重要であり、私も本当に必要だと思っております。テレビでは、東日本大震災を特集する番組で、水道の被害の様子や復興の状況などが放送されております。
ところで、この首都直下型の地震が発生した場合、私の地元である区部の東部地域では断水被害が大きいとされております。この東京水道経営プラン二〇一六の二四ページにも大きく書かれているわけですが、東京湾北部を震源とする地震においても、また多摩直下地震においても、どっちも一番被害を受けるのは東京の東部地域となっております。このため、この東部地域では相当な人々が水の確保に困ることになるのではと思います。
そこで、区部の東部地域における断水被害がどうしてこんなに大きいのか、その理由について、確認のためにお伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 切迫性が指摘されている首都直下地震のうち、東京湾北部を震源とした地震での被害想定では、震度七の地域が発生するとともに、震度六強の地域が区部の広範囲に及ぶとされております。そのうち、区部東部地域は、軟弱地盤が厚く堆積していることから、地震動が増幅されやすく液状化が発生しやすいとされております。
このため、区部東部地域では大きい揺れや液状化の発生に伴い、耐震継ぎ手管ではない水道管路の抜け出し被害が多発し、断水被害が大きくなるとされております。
○大西委員 地盤が軟弱であるからこそ、減災という観点から、この東部地域のような断水被害の多いとされる地域を優先するなどの効果的な取り組みが必要だと思います。
そこで、この東部地域のような断水被害が大きいとされる地域での対策はどのようにしておられるのか、お伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 震災時の断水被害を軽減するためには、予防対策として管路の耐震継ぎ手化が必要であり、その実施に当たりましては、優先性を考慮し、効果的に取り組むことが重要であります。このため、東日本大震災の教訓や被害想定を踏まえ、現在、液状化などにより被害が大きいとされる地域を優先して、耐震継ぎ手化を進めております。
今後とも、優先性を考慮し、効果的な管路の耐震継ぎ手化に着実に取り組んでまいります。
○大西委員 水道局では、力を入れて、この耐震継ぎ手化に取り組んでおられますから、最近、水道工事を僕らはよく見かけることになります。ただ一方で、生活道路を通行どめにして行うことでもあり、工事を進める上では道路管理者との調整を初め、地元住民の理解と協力が必要だと思います。
そこで、関係者の理解と協力を得ながら、どのように耐震継ぎ手化を進めていくのか、お伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 管路の耐震継ぎ手化を円滑に推進するためには、都民の皆様の理解と協力を得ることが不可欠であり、また、道路管理者を初めとする関係機関との連携を図ることなどが重要であります。
このため、これまで実施している工事看板などによるPRに加え、耐震継ぎ手化の必要性や取り組み内容などをわかりやすく説明したリーフレットを新たに策定することとしております。こうしたPR媒体によって、地域住民の方々への工事説明会や関係機関への事業説明の際において幅広く周知を行い、管路の耐震継ぎ手化を着実に実施することとしております。
○大西委員 今後とも、管路の耐震継ぎ手化を効果的に推進していっていただきたいと思います。また、その際には、地元住民などの理解と協力を得ながら進めていってもらいたいと思います。
話は、次のテーマに移りますが、私は、民間企業で働いていたころは、海外営業の営業マンとして、世界のところでいろんな日本のすぐれた技術を海外に売り込んでまいりました。こうした経験から、長年培った技術というのを活用した東京水道の国際展開については、非常に早くから私も注目し、昨年の事務事業質疑で取り上げさせていただきました。その際は、途上国のニーズのほか人材育成や無収水対策事業の成果などについて伺っております。
一方、国際展開の中には、国際機関が開催する会議やイベント、展示会などいわゆるMICEの誘致があり、都では力を入れているところでございます。そこで、本日は、二〇一八年に東京で開催される国際水協会、IWA、これはインターナショナル・ウオーター・アソシエーション、その世界会議についてお伺いいたします。
そもそも国際水協会とはどのような団体なのか、また、この世界会議の概要について、確認のためお伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国際水協会、いわゆるIWAは、世界における公衆衛生の向上に寄与することを目的として、一九九九年に設立された非営利団体であります。世界百六十五の国からの五百三十の企業、研究機関などや八千五百名の個人会員で構成されております。
また、IWA世界会議・展示会は第一線で活躍する世界各国の専門家などが一堂に会し、水道分野などに関する知見や最先端の技術を発表する場で二年に一回開催されております。
これまでヨーロッパ、オセアニア、アジア、北米などで広く開催されてきましたが、日本開催は初めてとなり、二〇一八年の会議は、九月に東京ビッグサイトで関係省庁、学術界、産業界などと連携して開催するもので、国内外から過去最大規模の六千名の参加を見込んでおります。
○大西委員 日本初のIWA世界会議を東京で開催できることは本当に喜ばしいことだと思います。この世界会議を東京で開催するということは、どのような意義を持つのか、お伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京の水道は、近代水道を創設して以来、百十数年にわたって最も重要な基幹的ライフラインとして、都民生活と首都東京の都市活動を支えてまいりました。IWA世界会議の東京での開催を通じて、東京水道がこれまで培ってきたすぐれた技術やノウハウを世界に広く発信していくことで、世界の水道の改善に寄与するとともに、東京のプレゼンスの向上や日本の産業力の強化につながるものと考えております。
○大西委員 このIWA世界会議は、東京を世界一の国際都市にしていくために有効であり、MICE誘致の目的に合致したものだと思います。さらに、世界中から東京を訪れる多くの専門家に世界に誇る東京水道の技術、ノウハウをアピールするいい機会でもございます。ぜひ、東京水道を積極的にアピールし、IWA世界会議を成功していただきたいと思います。
次に、先月プレス発表された東京水道イノベーションプロジェクトについて伺います。
耐震化の推進や高度浄水処理、漏水率の低さ、きょう取り上げた国際展開など、東京の水道システムは世界一だと思いますが、このプロジェクトは二〇一八年のIWA世界会議や、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、世界一の水道システムをさらに進化させ、国内外へ発信するとされております。まずは、このプロジェクトのコンセプトについて伺います。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年、東京には世界中から多くの方々が訪れているとともに、二〇一八年にIWA世界会議が、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。これらを見据えて国内外へ東京水道のすばらしさをアピールすることは効果的と認識しており、東京水道システムをさらに進化させ、国内外へ発信することが必要であります。このため、将来を見据え、新たな施策の展開や既存の施策をさらに拡充し、東京の都市力向上、国内外への貢献、水道文化の継承といったコンセプトに基づき、東京水道イノベーションプロジェクトとして施策を取りまとめたものでございます。
○大西委員 ぜひ、この機会を生かして、新しい施策を積極的に展開し、国内外へアピールしていただきたいと思います。こうしたプロジェクトに取り組む上で、都民ムーブメントの醸成が大切だと考えますが、具体的な取り組みをお伺いいたします。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 このプロジェクトを展開していく上で、都民を巻き込むための具体的な取り組みといたしまして、タップウオーターステーションの設置に当たり、デザインコンセプトや発信方法などのアイデアを本年五月から都民公募する予定としております。
また、水道の歴史や文化に触れるツアーを実施するに当たりまして、訪れたい場所などについてのアンケートを実施しております。こうした取り組みによって広く都民を巻き込み、水道についての関心を高め、ムーブメントを醸成することとしております。
○大西委員 ぜひ今後とも、今おっしゃられた工夫をどんどん取り入れて、また、都民の意見を広く取り入れながら、東京水道イノベーションプロジェクトを積極的に推進していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○舟坂委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十七分休憩
午後三時六分開議
○舟坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○宮瀬委員 私の方からは、徴収体制、福祉、契約関連について質問させていただきます。
一般の都民の皆様が、水道事業に対してふだんどのような要望を持っているのか、都民の目線から改めて把握し、その期待に応えていくことは非常に重要であると考えます。
昨日もお伝えしたんですが、本質疑に先立ちまして、昨年、九百三十四名の都民の皆様に、水道局、下水道局について、ご意見、ご要望やご不満をフリーアンサー形式で募ってまいりました。四百二十八件の皆様にご回答いただき、集計してまいりましたので、一つ参考にしていただきたいと思っております。
こちらにアンケート用紙を持ってまいりましたが、このブルーのところが、大体料金にかかわるところであります。端的に申し上げますと、ご要望の一位は、料金を安くしてほしいといった、値下げに関する声が三二%でございました。続いて水の安全性確保に対する声が三一%、また、水がおいしいと、本当にありがとうございますといった声が実に一八%と、とても−−まあ中にはもっとおいしくしてほしいという声もありましたが−−ございました。
私も、民間企業でマーケティングの仕事をやってまいりましたが、こういったフリーアンサーをとりますと、大抵は、ご不満や、もっとこうしてほしいとか、そういった要望等が多いのですが、素直に、東京の水は本当においしくなったという声が上がっておりまして、ふだん理事者の皆様が東京のおいしい水とおっしゃっていたその意味が初めて、都民の方々のこういった声を集計してみますと、改めて理解ができました。心から敬意を表しますとともに、今後も取り組んでいっていただきたいと思っております。
そういった声に続きまして、災害対策や広報、においといったご意見、ご要望が続くわけでありますが、その寄せられたご意見の中から幾つか質疑にしていきたいと思っております。
実は、フリーアンサーの中で、私、目にとまりましたのが、滞納を理由に供給をとめるときは、その無事の確認をぜひとってほしいと。また、ライフラインで一番最後にとめられるのは水道ですと、孤独死や餓死を防ぐことができるかもしれないので、とめるときには、民生委員に連絡するなど、ぜひ連携をしていただきたいといった声が寄せられてまいりました。
都は、水道メーターを活用した見守り事業を開始するなど、まさに水道事業は、新たな局面に突入したといっても過言ではありません。人は、水がなければ生きていけないわけでありますから、そのライフラインであります水道供給をやむを得ず停止する際には、細心の注意が必要であります。
また、同時に、料金未納者をいかに減らしていくのか、未納者を生み出さないための取り組みが重要と考えております。売掛金の回収は、民間企業では最重要経営指標の一つだと私は認識しており、公営企業でも、また同様と認識しております。
そこで、まずお伺いいたします。料金未納者に対する水道の供給停止に至るまでの基本的な流れをお教えください。
○浅沼サービス推進部長 水道料金は、二カ月に一度の定期検針後、請求書や口座振替により請求しております。この請求期限までに料金のお支払いがないお客様に対しては、支払い書の送付や委託会社による初動催告のほか、徴収整理業務を行う帳票として未納カードを発行し、現地へ訪問の上、催告を行っております。
しかしながら、再三の催告をするも支払いがなく、支払い方法の相談などもない場合は、やむを得ず給水停止をしております。
なお、これらの催告等をする中で、お客様から支払い方法の相談があれば、事情を考慮した支払い期限の延長や分割払いなどに加えまして、必要に応じて区市町の福祉部署を案内するなど、きめ細かな対応を行ってございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。支払い書の送付、未納カードの送付、訪問、その次に停止といった基本的な流れは確認させていただきました。
また、事前に個別に確認をさせていただきましたが、給水をとめる前には、委託会社が数回そのお宅に訪問し、さらには、都の水道局の方も、一回、訪問されるともお聞きしました。訪問の際には、安全確認がなされ、異常等あれば区市町村に連絡がされるとも聞いております。このフリーアンサーを書いていただいた方も、きっと安心すると私は思いました。より一層丁寧な対応を要望いたします。
しかし、一方で、相談の窓口に来る方はもちろん相談をできるわけでありますが、一層アウトリーチをし、貧困や、そして水道料金が払えない本当に困っている人たちをどう見つけ、対応していくのかも重要だと思っております。一層、その委託会社の皆様や水道局の皆様のご尽力を期待したいと思います。
では、内容について聞いてまいります。
平成二十六年度において、未納カードの発行枚数と水道供給を停止した延べ年間件数をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 平成二十六年度の未納カード発行枚数は、約五十六万枚、給水を停止した年間延べ件数は約十万件となってございます。
○宮瀬委員 実際に停止した回数と未納カードの発行数を比較いたしますと、実に五十六万回の未納カードの発行、すなわち警告に対しまして、実際に水をとめた、いわゆる執行率は約一八%となるわけであります。
未納カードに関しましては、一人当たり何度も水をとめられてしまっている方も含まれているということでありまして、五十六万人が実際に水をとめられてしまったわけではないとお伺いをいたしました。
では同様に、平成二十六年度におきまして、水道供給を停止した契約件数、つまり世帯数をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 徴収整理業務におきましては、先ほども答弁させていただきましたとおり、二カ月に一度の定期検針により調定した料金ごとに催告を行い、債権管理は、いわゆる未納カードごととなっており、営業所における個々の対応においては、給水契約者単位の把握も行っております。こうした情報は、本庁のデータ管理部門においても適切に共有しており、徴収整理業務に有効に活用していることから、お尋ねの停水した契約件数、世帯数ごとに管理することは行ってございません。
○宮瀬委員 私、今回の質疑で最もびっくりしたところでございまして、要は、契約件数、世帯数ごとに何人の方が水をとめられてしまったのかということが管理されていないというところでございます。水道供給を停止した契約件数、つまり世帯数は基本的な事項であると私は思っておりますが、なぜ水道局は、全体像を正確に把握していないのか、また調査をしていないのか、理由をお尋ねします。
○浅沼サービス推進部長 先ほども答弁させていただきましたとおり、徴収整理業務では、契約者が使用した水量に基づき二カ月ごとに料金を調定し、これを債権単位として管理しており、未納債権も含め料金債権全体を管理してございます。このうち未納債権につきましては、債権ごとに未納カードが発行され、これに基づき現場の徴収整理担当者が、催告、訪問等を行った情報をきめ細かく管理しております。
また、複数の未納カードが同一の契約者に関して発行された場合は、これを名寄せし、契約者ごとに束ねて債権を管理しており、個別具体の徴収整理状況については、事業所と本庁部門が情報を共有してございます。このように、料金債権の管理に当たりましては、調定債権単位と契約者単位の両面から実施しており、全体像について把握し、適切な管理を行っていると認識しております。
○宮瀬委員 注意深くご答弁を確認いたしますと、債権管理上は、全体像を適切に管理しているという内容でございました。すなわち、現場ではもちろん、どういった給水契約者の方が何回未納カードをいただいて、実際にその情報は、都庁本庁とつながってはいると。また、債権の管理をしている数字、そういったものの、その全体像は把握はしていても、実際には、給水契約者の何人の方が出たのかということは、全体像はやっぱり把握されていないということであります。
都庁でそういった個別の検索ができるということは、データそのものはあり、ひもづいているわけであります。個別のデータはあるのに、全体像が把握できていないというのは課題ではないでしょうか。
また、水道をとめる理由はさまざまだと思いますが、十万件の停止に対し、その都度しっかり理由を把握しているのか、またどのように把握しているのかお伺いをいたします。
○浅沼サービス推進部長 水道局として、水道をとめるのは、給水契約に基づく料金をお支払いいただいていない場合でありまして、お客様が料金をお支払いいただけなかった個々の理由については、料金未納者に対する徴収整理を行う中で把握しておりますが、プライバシーに配慮もしまして、必要最小限度の範囲としております。
○宮瀬委員 では次に、全体として、その理由を正確に、統計として数字やデータで把握しているのかお伺いします。
例えば、未納の理由の一位は何%がこういう理由であり、二位は何%でこういった理由であるという情報を集約しているのかお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 先ほども答弁させていただきましたとおり、本庁のデータ管理部門においても適切に共有しており、徴収整理業務に有効に活用できる観点から、債権管理をする上で直接関連するものではない料金未納の理由については、徴収整理を行う上で必要最小限度の範囲で情報を収集し、個別管理、把握してございます。
○宮瀬委員 ご答弁の最後にありました、個別に管理、把握しているということでありまして、全体像で、未納の理由が何であるのかということは把握されていないという認識で私は受け取りました。もちろん未納の理由はさまざまでありまして、その理由は、本庁のデータとつながっているわけでありますが、その集計が行われていないということであります。
プライバシーのこともございますが、私も個人情報を民間で扱っておりましたが、その理由とお名前と生年月日、それぞれがひもづいていなければ、その理由だけ切り取る分には、個人情報には当たらないという認識で仕事をさせていただいておりました。
現場は認識をしていると。その現場とは端末でつながっていると。しかしやはり、日本のことわざに、木を見て森を見ずという言葉もございますが、現場の持っている情報だけでは、俯瞰して問題の対処に当たれないのではないかなと思っております。
そこで改めてお伺いをいたしますが、平成二十六年度の不納欠損金額と過去三年の推移をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 平成二十六年度の不納欠損額は約二億一千八百万となっております。また、平成二十五年度については約二億七千四百万、平成二十四年度については約二億三千九百万となっております。
○宮瀬委員 このように、約三千億円の水道の収入のうち約〇・一%に当たります約三億円を多いと見るか少ないと見るかは、今回は議論を避けたいと思っておりますが、いずれにせよ、全体像をしっかりと経年で、かつ数字で把握することは、今後の徴収率の改善につながると認識をしております。さらには、新たな未納者を出さない予防に向けた取り組みや政策につながっていくと考えております。このように、未納世帯数、世帯当たりの未納回数、未納理由といった全体像をしっかりと経年かつ数字で把握すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 先ほども答弁させていただきましたが、料金債権の管理に当たりましては、調定債権単位と契約者単位の両面から実施しており、全体像の把握も含め、適切に管理をしていると認識しております。しかしながら、ビッグデータの時代が到来することを見据えますと、お客様情報の統計管理のあり方につきましては、将来の研究課題であると認識しております。
○宮瀬委員 ここが最大のポイントだと思っておりまして、データは実際にあるわけでありますから、そのデータをビッグデータにかえて、現状を正確に認識をし、過去からの統計から未来を予測していく、またそこに見えてくる課題を前もって捉えることも可能であります。課題であると認識されているということでありますので、もうこれ以上、あえて質問等はいたしませんが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まさに水道がとまるということは命にかかわることであります。ライフライン事業者として、高齢者等の見守りに貢献するために、各区及び多摩地区の水道、都営水道二十六市町の福祉部門と、行政による支援を必要とする者に係る情報提供に関する協定を締結し、連携を図っていくこと、また、さきの事務事業質疑におきましても、今後とも、福祉や地域貢献のための区市町村等の連携を進めていくべきとの私の質問に対しまして、浅沼サービス推進部長から、今後も、区市町の福祉部署への情報提供や子供の見守り貢献など、引き続きこうした取り組みによって、区市町等との連携を進めてまいりますとのご答弁もございました。
そのためにも、まずは現場任せや対症療法にしないためにも、経年で、かつしっかりと全体像や傾向といった情報を数字で把握することが、傾向や対策を見出し、最終的には、福祉政策の貢献や都民生活の向上にもつながると思っております。こういった取り組みを推進すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、料金債権の管理につきましては、現場と本庁がそれぞれ役割分担と緊密な連携のもと、全体像を適切に管理しており、その上で必要があると認められる情報につきましては、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定に基づき、福祉部門等への提供を行っております。
今後も、研究課題の動向を見据えつつ、福祉や地域貢献のために区市町と連携を進めてまいります。
○宮瀬委員 私は、水道局のお持ちいただいている情報というのは宝の山だと思っております。
例えば、東京都でも、子供の貧困やシングルマザーの問題、さまざまな貧困対策等行われておりますが、水道料金が払えないといった事態は、まさに最後の最後であると認識をしております。その水道料金の状況から、貧困の問題、そして地域も、そしてさらには何が課題かも見えてくるような気がしております。ぜひ、水道局でお持ちの情報を、その宝の山を、東京都、都民全体の福祉に生かせるようご協力いただくことをお願い申し上げまして、次の質問に参ります。
次に、水道料金の検針業務及び徴収整理業務に関する特命随意契約についてお伺いをいたします。
都民ニーズ調査におきまして、水道局への要望は何といっても値下げでありました。さまざまな制約や予算組みの中で、いきなり料金を下げるというのは正直難しいと思います。しかし、まずは、現業を効率化するための取り組みが欠かせないと思っております。
他の委員から先ほどございましたが、私、民間企業出身でございます。会社がよい仕事をし、いい商品を納品するためには、よい人材が必要であります。よい人材を確保するためには、待遇を改善していかなければならないと思っております。すなわち、そのためには適正な競争が行われ、選択肢があることが大事だと私は個人的には思っております。その際、労働環境が守られることは本当に必要なことであることはいうまでもございません。そういった中で、繰り返し申し上げますが、選択肢があることが大切でございます。
そこで、検針及び徴収業務におきまして、平成十六年度から現在に至るまで何社と契約をしたのか、お伺いをいたします。
○浅沼サービス推進部長 区部におきましては、これまで四社、多摩地区におきましては、七社と契約してございます。
○宮瀬委員 区部におきましては四社ということでありますが、一社は途中で撤退をしてしまったということで、主要三社と、結果として、過去どれぐらいの期間、契約締結が続いているのか、お伺いをいたします。
○浅沼サービス推進部長 株式会社宅配につきましては、昭和五十五年度から三十六年間契約しております。第一環境株式会社につきましては、昭和五十六年度から三十五年間契約しております。ヴェオリア・ジェネッツ株式会社につきましては、昭和五十八年度から三十三年間契約しております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。年間約六十億円だといたしますと、約三千億円ものお金が三社に、契約として支払われているわけであります。
なかなか都の仕事で、三十五年、三十六年、三十三年といった長期にわたる契約が、結果として続いているということでありますが、包括外部監査報告の中でも、公平性、透明性、競争性に一部問題があると、認識、指摘をされております。都の認識をお伺いいたします。また、問題であるとした場合、その改善に向けてどう取り組んできたのか、所見をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 平成十六年度の包括外部監査の意見を真摯に受けとめ、検針業務の契約につきましては、それまで継続的に行ってきた随意契約を見直すこととし、平成十九年度に一部区域において競争入札を導入いたしました。その結果、新規事業者が落札しましたが、能力不足により業務継続が困難となり契約を解除するに至りました。
こうしたことから、平成二十年度以降は、価格競争のみで契約を決定するのではなく、契約類型上は随意契約ではあるものの、安定した履行能力を担保しつつ、競争性、透明性を確保するため、履行能力を総合的に評価し、事業者を選定する履行能力等審査方式を一部地域から実施しております。現在、実施区域を順次拡大しているところでございます。
○宮瀬委員 引き続き取り組んでいただきたいと思っておりますが、履行能力方式の全区域導入には、平成三十二年まで費やす計画であるとのことでありますが、最大今後十二年にわたりまして、競争性、透明性を確保できない区域が発生することになります。早急に解決できる取り組みが必要だと思いますが、所見をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 履行能力等審査方式は、都内の給水件数規模が大きいことや、履行の安定性確保の必要性などから順次導入しているところでございます。また、導入後の検証も必要であるため、全区域の一斉導入が難しい状況にございます。こうした中で、現在残る区域につきましても、準備が整い次第、実施していく計画となってございます。
○宮瀬委員 ぜひスピードを上げて取り組んでいっていただき、平成三十二年まで、最大十二年という期間を短縮していただくよう要望いたします。
では、最後の質問になりますが、特命随意契約では、現行の委託会社が有するノウハウを別業者に円滑に移管できる準備期間が用意可能な契約方式や契約方法を導入することで、業務移管の障害は取り除かれると認識また指摘をされております。また今後、過去の失敗事例や新規参入者に対するノウハウ、情報提供などの仕組み、局のバックアップ体制の構築などを検証し、競争原理を十分に働かせることによって、公平性、競争性、透明性の確保によって、随意契約以外の契約形態など、見直す必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 平成二十六年度の包括外部監査では、競争性、透明性を確保できる仕組みを継続して検討している点は、一定の評価をされております。しかし、依然として、随意契約の枠組みでの検討であり、公平性、透明性、競争性など適切に担保することが可能な随意契約以外の契約形態である競争入札や総合評価方式などを含めて引き続き検討されたいとの意見がありました。
委託している検針業務は、水道事業において料金算定の根幹をなすものであり、お客様サービスの品質の維持向上の観点からも、安定的かつ適正な業務の履行を確保するための取り組みが必要であると考えております。
そのため、このような検針業務の特性や市場の実態を十分踏まえるとともに、今般の包括外部監査の意見を真摯に受けとめまして、安定的かつ適正な業務の履行を確保しつつ、競争性も発揮される契約形態を引き続き検討してまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。まさに水道事業は公営の企業であります。基本的には、水道水は、皆さん購入をしなければならないわけであります。その中で、東京都が検針業者を選ぶその選択肢が多いことが重要であると思います。
今回の質疑で、三十三年間、また三十五年間、三十六年間、その主要三社とずっと契約をしてきたわけであります。もちろん特異性のある業務だと思いますが、より選択肢をふやすためにも、外部監査人の主張も取り入れながら、サービスの質、先ほど質疑にもありましたが、従業員の適正な管理、また、価格での適正化等、よりよい会社を選べる選択肢が重要だと思っております。
東京都もコストを下げる、また、コストの適正化を図る経営努力を惜しまず、その分の利益を、最終的には水道料金の値下げに反映させることが、未納率の軽減にもつながるということをご指摘いたしまして、質疑を終わります。
○塩村委員 よろしくお願いします。私の方からは、八問ほど質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、全ての職員が、安全かつ健康で働ける職場であるために、時代に合った職場環境の改善は、公営企業だからこそ率先して行っていくのが望ましいというふうに考えています。昨今セクハラについてはどの職場も厳しくなりましたが、パワーハラスメントについても社会的な関心が高まっています。
職場におけるパワーハラスメントは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的、身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為をいうとのことで、いわゆるいじめや嫌がらせのことです。これは上司から部下に行われるものだけではなく、先輩、後輩間や同僚の間、または部下から上司に対して行われるというようなものもあるようです。
民事上の個別労働紛争件数に占める割合も、平成十六年度の九%から、平成二十四年度には二六%と、物すごい勢いで増加をしており、都道府県の労働局に設置をされた労働相談コーナーに寄せられる相談でも、平成二十四年にトップになったとのことで対応が急がれ、進んできたところです。
ここで東京都ですが、ある事案から、パワーハラスメントに関する相談体制が整っていないということが問題であると気づきまして、一昨年に東京都に指摘をさせていただきました。結果、都は、昨年七月に、パワーハラスメントの相談体制を改めて整備し、各局対応に加え、相談窓口の明確化や相談員の育成など、全庁的な取り組みとして対応が強化されました。
まず、苛酷な業務や悩みを抱えた人へのハラスメント対策について、水道局の対応をお伺いいたします。
○松丸職員部長 当局では、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等に関することについて、職員が気軽に相談できるよう、専門機関によるメンタルヘルス相談室を開設し、職員がカウンセリングを受けることができる体制を整備しております。また、先生ご指摘のとおり、近年パワーハラスメントに関する社会的な関心が高まる中、当局においても平成二十七年七月に、パワーハラスメントの相談窓口を設置するなど、対応を強化しております。
○塩村委員 ありがとうございます。
次に、そのパワハラなど、あらゆるハラスメントも含めて、休職や退職、そして自殺等をした職員はいないのか、確認をさせていただきたいと思います。
○松丸職員部長 休職、退職の理由は、病気、転職、死亡などさまざまでございますが、これまで、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等を理由として、休職または退職した職員はいません。
○塩村委員 ありがとうございます。こうしたハラスメントを受けた人で声を上げられるという人は本当に少数です。退職等の書面に記載がないからといって、ゼロだと安堵しているのはよくないんじゃないかなというふうに思います。
なぜなら、データにもあらわれているように、相談の一位に急浮上しているほど数が多いんですね。水道局の規模、歴史から考えても全くないということはないんじゃないかなというふうに個人的には考えています。
そのパワーハラスメントの対策窓口は、先ほど都の対策に合わせ強化されたということですけれども、全庁的な相談窓口に相談をする前に、まずは局内で対応ができるように、就業規則や組織目標などに明記をすることが重要というふうに考えます。
なぜなら、こうして都が対応せざるを得なくなった背景に、管理や規定を記した文書にパワーハラスメントの文言がなかったということが原因の一つでありました。某局はパワハラの明記が組織目標にあったんですが、某局にはないというような状況でした。明記があるとないとで、こうも対応と意識が違うものかというふうに実感をした次第です。
現在の東京都水道局における就業規則などには、労働相談件数が第一位であるパワーハラスメントについての規定がないというふうに思いますが、対応窓口を設置したわけですし、通達等で済ませるのではなく、どこかに明記するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○松丸職員部長 当局におきましては、全庁的な対応と同様に、東京都水道局セクシュアルハラスメントの防止に関する要綱の規定を準用することとし、パワーハラスメント相談窓口の設置についてという職員向けの通知で、その旨を明記して職員に周知しております。
パワーハラスメントは、法令上の定義がなく、個々の案件について、パワーハラスメントに該当するかどうか、一律に判断することは困難であることから、管理規定等で対象を厳密に定めず、広く相談に応じる体制をとっております。
また、平成二十七年六月にパワーハラスメントの概念、パワーハラスメントになり得る言動例、留意事項等を示して職員に周知しているほか、研修等により意識啓発を行っているところでございます。これにより、職員が制度を知らずに相談ができないなどの支障は生じていない状況でございます。
今後は、さらに職員が安心して相談できる環境づくりを進めるとともに、研修などを強化し、パワーハラスメント防止の重要性について職員への周知に万全を期してまいります。
○塩村委員 ありがとうございます。そうですね、まあ仕方がないだろうなというふうには思います。
ただ、なぜ、ここまで私が質問しているのかといいますと、やっぱり文書に文言があるとないとでは、先ほど申し上げましたように大きな違いがあったということなんですね。相談窓口に相談をしたところで、どこを見ても、パワハラが禁止事項等に入っていなければ、禁止、つまりだめだということにはならずに、先ほど基準がないといっていましたが、何を基準にパワハラをした人をパワハラだと認定することができるのかがわからないというところに難しいところがあります。
国に基準がないということなんですけれども、政府広報オンラインとか、産労局さんとかいろいろなものはもう分類を六類型に分けて、皆さんに知らせているので、大体のところはわかっているんだけれども、明確な定義がないということで、残念ながら苦しまれている方々がたくさんいるということが私が扱った案件でわかりました。
国に基準がないということですが、だったら、都から取り組むぐらいの気概が欲しいところです。全庁的な対応に合わせざるを得ないということは理解しましたが、ぜひとも、こうした点を総務局に提案等をしていただきたいというふうに思います。
次です。アニマルガードと呼ばれまして、最近にわかに話題になっている安全柵についてお伺いをいたします。
まちを歩いていますと、工事の現場に出くわす季節です。安全柵が設置してある場合に、最近はキティちゃんだったり、カエルだったりと、見ている方も楽しく、まちが明るくなるようなものが設置してあることが多くなりました。
気になって調べてみると、実に、多くのバリエーションがあるんですね。そして、工事を施工している業者に関連するキャラクターや、その自治体のゆるキャラやマスコットまで、さまざまなものがあることが判明いたしました。その豊富さに驚かされます。
例えば、群馬であれば、ぐんまちゃんというキャラクターが、工事現場ということで、頭にヘルメットを載せたものがあったり、鹿児島であれば黒豚、沖縄ならばシークワーサーというようなぐあいです。だったら東京都も、水道局も水滴くんや水玉ちゃんなど、水道の工事が行われる現場に採用してみたらどうかなというふうに思った次第です。
これはもともと、安全柵を製作している会社に、各自治体から依頼が舞い込んでスタートしたそうで、次第に人気が高まっているとのことです。とはいえ、保安柵、アニマルガードには設置の基準があって、どこにでも置けるものではないということは承知をしています。工事の期間が短期ではなく、都度撤去はしない場所であることが設置の基準ということです。
水道工事は日々少しずつ移動していくために、保安柵ではなく、一般的によく目にするバリケードとカラーコーンが使用されているそうですが、ある程度長期になるような現場では、安全柵が採用されたケースもあるというふうに聞いています。
そんなに数は多くないというふうに承知はしていますが、今後、そうした機会があった場合には、キャラクターつきの、つまり水道局のキャラクターである水滴くんですね、安定柵の採用をしまして、東京都や水道局のブランディングの向上だけではなく、工事現場の雰囲気を明るくするなど、まちの景観の向上にも貢献してみてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
○山田建設部長 水道工事における保安柵は、施工計画の中で、受注者がみずから施工環境に応じて、その形式を検討するものであり、設置に際しては交通管理者の許可が必要であります。このような状況の中、同一場所に長期間、保安柵を設置するような工事において、受注者からキャラクターつきの安全柵、いわゆるキャラクター型バリケードの提案があった場合は、交通管理者と適切に協議した上で設置するよう受注者に指導していきます。
なお、キャラクターつきの安全柵などの事例については、水道工事におけるイメージアップ事例集を用いながら受注者に紹介をしてまいります。
○塩村委員 ありがとうございます。前に進む答弁だというふうに思います。
水滴くんと水玉ちゃんのアニマルガードを、今後、まちでもしかしたら見かけることができるのかなというふうに思います。ただし、水道局においては、工事の関係上、本当にレアケースだと思いますので、アニマルガードの写真を撮る愛好家の間で、レアキャラとして人気が出るかもしれないというふうに期待をしているところであります。
関連しまして、水滴くんと水玉ちゃんについて質問をさせていただきます。
今回、この保安柵のアニマルガードの質問を作成していて気づいたんですけれども、水道局のマスコットである、この水滴くんと水玉ちゃんの名前を調べてみようと思いまして、ホームページを見てみました。
そこで気づいたんですけれども、トップページに、水滴くんと水玉ちゃんの自己紹介が何もありません。名前もわからないような状況だったんですね。ですので、水滴のイラストがホームページの右の方に小さくあるだけだというふうに思う人も出てきてもおかしくないような状況でした。ようやく名前の確認ができたのが、サイドにある、右下の方なんですけれども、キッズページというところからのリンクからでした。わざわざキッズページに飛ばなくても、水滴くん、水玉ちゃんのコーナー、または名前ぐらいトップページでお知らせすることは必要ではないかというふうに考えます。どこかホームページのトップでわかるような工夫が必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
○金子サービス企画担当部長 当局ホームページは、お客様に水道事業への理解を深めていただくため、局の施策を詳しく紹介するなど、情報発信の主要な媒体と位置づけているところでございます。また、公式キャラクターは、水道事業に親しみを持っていただくPRツールとして活用しております。
今後は、ホームページ上でもわかりやすく紹介するなど、さらに活用してまいります。
○塩村委員 ありがとうございます。よかったです。多分、水滴くんと水玉ちゃんも喜ぶんじゃないかというふうに思います。
次です。これまで私は、東京の水のおいしさをもっと女性に向けて発信をするべきだというふうに主張をしてまいりました。女性誌を読み、ライフスタイルを大切にする層にです。こうした層は、今もペットボトルのお水を好んで飲んでいます。それは雑誌等でそうした特集が組まれているから刷り込みもあるというふうに思いますが、東京の水道水がペットボトルと同等においしいということが余り届いていない結果だというふうに思います。もっと打ち出していただきたいなというふうに思っています。
以前の質疑でも、東京の水は、世界の都市と比較して合う料理があることをご紹介しました。例えばですが、同じ食材でも、ミネラルウオーターを使用した場合と東京の水道水を使用した場合では、仕上がりに差が出ておもしろいということもあります。これらは世界の水を研究しているアクアソムリエの方などが紹介をしており、大変におもしろい事実だなというふうに感じました。
水道局もこれまで、タップウォータープロジェクトの中で、料理とお水について触れておりますが、ちょっと探してみたりとか、資料をいただいたんですけれども、小さな資料の右下にちょっとだったりとか、全員に情報が届くには難しいような冊子の作成だったりというようなことがありまして、ホームページに掲載がされていないことも残念だなというふうに感じました。内容ももうちょっとひねる必要があるかというふうに思っているんです。
せっかくの水ブームです。訴求の仕方はさまざまあるというふうに思いますが、女性に向けて、東京の水の特性の説明と活用をした料理法などのコーナーをホームページに掲載をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○金子サービス企画担当部長 先生おっしゃいましたように、平成二十六年度から実施しているタップウォータープロジェクトにおきまして、東京の水道水は軟水なので、ご飯やだしとの相性もぴったりとPRしております。また、ホームページやツイッター、広報紙、PRイベント等を活用して、東京水を使用した料理のレシピ等を紹介しているところでございます。
今後も、これまでの取り組みをさらに充実させ、東京水のおいしさのPRを積極的に実施してまいります。
○塩村委員 ありがとうございます。今後、これまでの取り組みをさらに充実させて、東京の水のおいしさのPRを積極的にしていただけるということで、大きく前進するというふうに思っています。よかったなというふうに思います。
さまざまな方法があるというふうに思いますが、ぜひとも、これまで提案をしてきた層に刺さる内容で、センスでお願いしたいというふうに申し上げます。よろしくお願いします。
次です。イベントの広報における著名人の活用状況についてお伺いをいたします。
これまで東京都水道局のPRには、著名人が起用されてきたことというふうに思いますが、委託契約の募集によっては、著名人を起用しないことというようなものも見られます。著名人の起用は、時間が限られたイベントの中ではとても効果的だと考えますが、あえて著名人を起用しないことを条件に掲げるイベントがあり、それを契約に含める理由をお伺いいたします。
○金子サービス企画担当部長 従前から、PRの内容を勘案しまして、著名人の活用も含め、効果的な広報施策を実施しているところでございます。限られた時間で、多くのお客様にメッセージを発信するイベントには著名人の活用が有効でございます。一方、飲み比べのようなお客様との対話を重視するようなイベントには著名人の活用は向かない場合が多くございます。
今後も、PRの目的、効果を勘案し、費用対効果も十分に考慮しながら、多様な広報媒体を活用した効果的なPRを実施してまいります。
○塩村委員 ありがとうございます。局の見解は理解をいたしました。
その考えに全く反対をするものでもありません。特段、反対はしないんですけれども、予算内におさまるのであれば、起用も悪いことではないかなと考え、質問をさせていただきました。
どこから著名人というのか、ちょっと私には判断がつかないんですけれども、着ぐるみとか、下水でいえばウルトラマンとか、いろいろ起用されていますけれども、そうした著名人等を起用することで、飲み比べ等に多くのお客様が集まるのであれば、それはそれで悪いことではないのかなというふうに思った次第です。局の見解は理解しました。反対するものではないということを申し添えて、次の質問に移ります。
次に、水道料金についてお伺いをいたします。
先ほどの宮瀬副委員長ともかぶる部分がありますので、そのあたりは割愛をさせていただきたいというふうに思います。
お客様の不注意で、多額の水道料金が発生をするというようなことが、これまでもあったかというふうに思います。例えば、家族旅行の際に、一週間ほど風呂場の水道栓を閉め忘れて出かけてしまったなどです。私なども、事務所の水道栓を閉め忘れて帰ってしまい、ちょっと議会が入ってしまって数万円の請求が来たこともあります。そうした場合、水道局はどのような対応をお客様に行っているのかをお伺いいたします。
○浅沼サービス推進部長 お客様が善良な管理者の注意義務、いわゆる善管注意義務を怠ったことによって増加した使用水量につきましては、その使用水量に基づきまして料金を請求いたしております。
なお、お客様が注意していても気づかない地中等での漏水などにつきましては、善管注意義務の範囲外として、使用水量から漏水量分を控除して料金を請求してございます。
○塩村委員 ありがとうございます。そうですね、注意義務を怠ったということで発生した費用については、お客様が負担しているということがわかりました。
次にお伺いするのが、ちょっと幾つか質問飛んでしまうんですけれども、水道料金の滞納についてお伺いしたいというふうに思います。
人間に必要なライフラインの中でも重要なのが水道であり、お水です。昨今、いろいろお話を伺ったり相談を受ける中ででも、格差が開いているというような状況を感じている次第です。それに従いまして、滞納している方もいらっしゃると思うんですね。そうした滞納をした方に、延滞料金が発生をしているのかどうかをお伺いをいたします。
○浅沼サービス推進部長 まず、水道における一般家庭の平均的なモデル料金は月額約三千四百円であるため、これに対します延滞金額は一日当たり約一円となり、極めて少額となります。また、延滞金額が少額であるのに対しまして、延滞金徴収に伴います事務処理は複雑となり、業務量が増大することになります。
以上の点を踏まえまして、現時点におきましては、当局では、延滞金を徴収してございません。
○塩村委員 なぜこの質問をしたかといいますと、条例等により、各自治体により延滞料金を徴収していたり、いなかったりということで、まちまちなんだそうです。延滞をしている方の多くが生活が困窮をしているというふうに想像がされます。そうした中、延滞料金が発生をしているのは、最後のライフラインといわれる水道にふさわしくないと感じ、質問した次第です。
延滞料金は徴収していないということがわかり安心をしましたが、ちょっと私の主張と、なぜ徴収をしていないか、事務的なことが理由ということがわかったんで、少し意見の違いはあるんですけれども、水道は、最後のライフラインということを覚えておいていただきたいとお願いをしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○河野委員 私からは、防災対策、水道あんしん診断、そして水道局の経営収支と料金問題などについて質問いたします。皆さんの質問と重なるテーマもございますが、角度も違いますので、私の質問を続けさせていただきます。
初めに、配水管の耐震継ぎ手化についてお聞きします。
経営プラン二〇一六を読んで、東京都水道局の配水管の延長は二万七千キロメートル、地球の三分の二周もあるということを知り、水道局事業の規模の大きさを認識したところです。プランでは、二〇一四年度末で、配水管の九九・七%が十分な耐震強度を持つダクタイル鋳鉄管に取りかえが完了したということも書かれています。
水道局は、一九九五年一月の阪神・淡路大震災を教訓にして、一九九八年から継ぎ手部分に抜け出し機能を持つダクタイル鋳鉄管、耐震継ぎ手管を採用して取りかえを進めているとのことです。
東日本大震災から五年が過ぎました。今、東京では、首都直下型地震の発生確率が高まっているということが予測されていますが、命を守っていく上で欠かすことができない水の供給が確保できるように、耐震継ぎ手管の取りかえ促進は重要な取り組みだと思います。
水道局は、二〇一〇年から十カ年事業で大幅に前倒しして取り組みを進めてきて、これから平成三十七年度、二〇二五年までに耐震継ぎ手率を六一%まで向上させるということを打ち出しています。約六割の到達ということになりますが、その後の耐震継ぎ手化の促進は、どのように取り組んでいくのか、そのことについてお聞きしておきます。
○斉田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水道局では、阪神・淡路大震災を教訓に、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を全面的に採用し、東日本大震災後の平成二十四年度からは、耐震継ぎ手化の事業量を従来に比べ倍増して取り組んでまいりました。
しかしながら、今お話もありましたが、地球三分の二周の長さに及ぶ全ての管路の耐震継ぎ手化には長期間を要する状況にあります。このため、効果的な事業執行や優先順位などを踏まえまして、十年後の平成三十七年度末までに、耐震継ぎ手率を六一%に引き上げることとしております。
まずは、この十年後の目標を完全達成することが先決でございまして、今後とも、進捗状況を見ながら耐震継ぎ手化を効果的に推進してまいります。
○河野委員 十年先には六一%、六割ということで、技術も進歩してまいりますから、その後の進捗について、私も都民の一人として期待したいし、水道局にもご努力をお願いしたいと思います。
それで、プランの三七ページです。ここに施設整備到達目標という一覧表があります。この一覧表によりますと、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、平成三十一年に、二〇一九年になりますか、一〇〇%とする避難所や医療施設、主要駅などが示されています。また、その後、平成三十七年、二〇二五年に一〇〇%ということで、取りかえ時期が先に延びる重要施設も記されています。この重要施設のうち二〇二〇年の到達は、大学、高校、公民館などは三六%で、小学校や、一日当たりの乗車人数十万人から二十万人の駅は七八%という目標が出されています。
そこで、お尋ねいたします。多くの人が集まる主要駅は、一日当たりの乗車人数が二十万人を超える主要駅では、平成三十一年までに一〇〇%達成ということであります。そして、十万人を超えて二十万人以下の主要駅は、二〇二五年までに一〇〇%ということなんですが、このプランで一覧になっている主要駅、それぞれどのくらいの数が存在するのでしょうか。
○今井給水部長 主要駅の数についてのお尋ねでございますが、一日当たりの乗車人数が二十万人を超えるものにつきましては十九駅、同じく十万人を超え二十万人以下のものは三十一駅でございます。
○河野委員 合計五十駅ということになります。この三十一駅のことなんですけれども、私が住んでいる江戸川区内の駅では、東西線の葛西駅が十万人を超えています。次の都心寄りの駅であります西葛西も一日当たりの乗降約十万人ですね、それくらいあります。葛西地域は、埋立地も多いことから、東日本大震災のときは液状化が一部で起こり、耐震化が急がれる地域となっています。
プランの一覧では、小学校や大学、高校、公民館などが、二〇二〇年までには完了しないということで、これらの重要施設への耐震継ぎ手化を、いろいろな隘路があるのでしょうけれども、しかし、耐震継ぎ手化で命を守るという、そういう重要性に照らして、このプランでは二〇二五年の完了年度とはなっています。でも、それを早い時期に促進されるように要望しておきたい、このことを申し上げておきます。
それから、あわせまして、耐震化の問題では給水管の問題もあります。
東日本大震災のときに、都内の水道管の被害件数の四分の三が給水管だったとのことですが、あのとき塩化ビニール製の給水管の被害が多かったこともプランに示されております。このことも教訓にして、多面的な形で水道の耐震化に取り組んでいただきますように、防災対策では、この質問を申し上げておきます。
次に、今年度から始まっている水道あんしん診断について伺います。
昨年十月に水道局は、都の水道局職員、監理団体の東京水道サービス、PUCのほか、民間事業者も参加して、全世帯七百五十万戸を四年半で訪問し、水道あんしん診断を実施することを発表しました。過去には、二〇〇〇年から二〇〇二年の三カ年の期間で、水道フレッシュ診断が実施されたと聞いています。今回は、四年半の期間でありますから、以前よりも長期にわたります。この取り組みに当たる人たちの人数はどのくらいになるのでしょうか。都の職員の方々、二つの監理団体の方々、民間事業者の人たちについて、それぞれお示しいただきたいし、こうした民間の参入の状況についてもお答えいただきたいと思います。
○今井給水部長 東京水道あんしん診断では、職員のサービスマインドを向上させるため、水道局の全職員約三千八百人と監理団体の社員約千七百人が診断を実施することとしております。その他につきましては、専門的な知識を有する東京都指定給水装置工事事業者が組織する官公需組合に委託することとしており、延べ約十三万四千人が従事することを予定しております。
○河野委員 今の数字を合計いたしますと、十四万人に及ぶ人たちが、この水道あんしん診断に携わることがわかりました。二〇〇〇年からのフレッシュ診断、そして今回のあんしん診断を水道局が実施する、その目的をそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
また、フレッシュ診断、あんしん診断ともにアンケート調査をしていますが、前回のアンケート結果はどのように水道局の事業に役立ったのか、そして、今回のあんしん診断の結果については、どんな形で事業に活用されていくのかもお聞かせください。
○金子サービス企画担当部長 水道フレッシュ診断は、お客様ニーズを的確に把握するとともに、水道事業に対する理解をより深めていただくことを目的として実施いたしました。東京水道あんしん診断は、安全でおいしい高品質な水を実感していただくとともに、お客様ニーズをきめ細かく把握するために実施しております。
前回の診断では、アンケート結果で得たお客様の声を水道事業に反映しており、今回のアンケート結果につきましても、今後、集計、分析し、適切に反映してまいります。
○河野委員 反映されたし、これからもしていくということなんですが、具体的にもう少し踏み込んだ形でご答弁いただければと思いましたけれども、次の機会というか、いずれかの機会に、もう少し詳しく、この診断のアンケートについて、都民の意見についての局のお考えを伺える機会があればと思います。
あんしん診断は、簡易漏水、簡易水質の調査ということで、訪問先の家に診断の人たちが入ることはないという説明を受けております。懸念されるのは、一つは、都民があんしん診断について理解しているかということ、二つ目には、訪問は、都の職員や監理団体職員のほかに、民間事業者も参加するということです。
公務員は守秘義務についての教育を受けておりますが、民間事業者になると、プライバシー保護の捉え方はさまざまだと思います。玄関から外での応対ということではありますが、訪問先がひとり暮らしか、女性世帯か、高齢者かなど、プライバシーを訪問員が知ることもあり得ることになります。
訪問先のプライバシーを必ず守ること、守秘義務の厳守について、訪問に携わる全ての人に対して、水道局は丁寧な研修や教育をどのように行っておられるのか、お聞かせください。
○今井給水部長 東京水道あんしん診断の業務委託では、その特記仕様書において、個人情報の保護の徹底と取り扱いに係る遵守事項について明記しております。また、全ての診断員に対して、水道局が開催する研修会において、情報セキュリティーの確保について教育しております。
○河野委員 去年の十月に発表されて、今取り組まれているこのあんしん診断なんですけれども、既に成り済ましという問題も発生しているということを聞いています。
私は、あんしん診断については、訪問に当たる職員の人たちの労働強化にならないこととあわせて、診断の結果を都民にわかりやすい形で知らせていただくこと、そして必ず訪問先の問題については、プライバシー保護、守秘義務、こうしたことを徹底させて、きちんとした取り組みがされるように、水道局のご努力を求めておきたいと思います。
次の質問に入ります。
二〇一六年の経営プランで、水道料金を五年間据え置くことが示されました。新聞でも報道されておりますが、プランの期間中五年間、料金据え置きとしたこと、このことについて、水道局の基本的な考え方をお伺いしておきます。
○加藤特命担当部長 水道の根源的使命は、安全でおいしい高品質な水を安定供給することであり、この使命を全うするため、浄水場を初めとした基幹施設の再構築や水道管路の耐震継ぎ手化を推進していく必要がございます。これらの施設整備の資金需要に対応するため、積み立ててまいりました修繕引当金や積立金を取り崩すとともに、浄水場更新の経費の一部に企業債を発行し、事業費の財源の一部とすることといたしました。
さらに、計画期間の五年間で百五十億円の最大限の経営努力に努めることとした結果、収支は均衡する見通しとなりましたことから、現行の料金水準を維持することといたしました。
○河野委員 今、消費税増税問題が浮上して、働く都民、年金生活者、中小業者を初め、多数の人が増税は困ると声を上げています。振り返りまして、二〇一四年、平成二十六年ですね、ここで消費税率が五%から八%に引き上げられ、家計に大きな負担となりました。消費税不況という言葉も聞かれるほど景気が落ち込みました。
水道局は、二〇一四年六月から、料金に消費税増税分を転嫁いたしました。三%の消費税負担をふやしたことで、水道局の増収分が二〇一四年度は、六月からの十カ月間でしたけれども、六十九億円だったことが昨年の公営企業決算特別委員会で明らかにされています。
消費税率がもし一〇%になったということで試算いたしますと、水道局の増収分は一年間にどれくらいの税収増になるのか、この数字をお示しいただきたいと思います。
○加藤特命担当部長 理事からお話のありました平成二十六年度での増収分六十九億円は、六月から消費税率を五%から八%に引き上げたことによる給水収益の消費税額の増加分でございます。消費税率が八%から一〇%に引き上げられた場合、平成二十八年度予算案での給水収益で試算すると、増加する消費税額は年間で約五十九億円となります。
○河野委員 先ほどもお話がありましたけれども、私たちは、しばしば都民の方々から、水道料金が高いという声を聞いています。ですから、二〇一六東京水道経営プランで、水道料金を五年間据え置きとしたことは歓迎するものでありますが、しかし、その後ろに、税抜きという文言が入っている、これは見過ごしにできない問題であるということを申し上げておきたいと思います。
二〇一六経営プランの七〇ページに貸借対照表が出ています。この問題に関連して伺います。
その前の、五八ページのプランの期間中の財政収支計画、そして六六ページの財政収支見積もりなどの数字の推移を見ても、水道局の経営は安定していると判断いたします。七〇ページの貸借対照表では、現金及び預金を含めた流動資産は約二千九百四十五億円とありますが、水道局は、この貸借対照表に基づいた水道局の収支の状況について、どのような見解をお持ちになっておられるでしょうか。
○加藤特命担当部長 平成二十六年度末現在、流動資産が約二千九百四十五億円ありますが、これらは、一年以内に支払い期限が来る債務である流動負債約一千四百五億円のほか、優先的な管路の耐震継ぎ手化に活用する修繕引当金などが約九百九十億円、大規模浄水場更新に備えた代替浄水施設の整備に活用する積立金が三百五十億円など、全て今後安定的に事業運営を行っていくために必要不可欠な資金でございます。
○河野委員 そういう、いろいろな形での財源をお持ちだという水道局、ご答弁にありましたように水道局の安定的な事業運営に必要不可欠な資金というご答弁でしたが、都民のために、大事に活用していただきたいと思います。
今、額を示していただきましたけれども、引当金や積立金、その他にも損益勘定留保資金などで、水道局の事業運営の資金はいろいろな形で確保されていると思います。私たちは、この間の水道局の収支状況を分析いたしますと、しっかりとした経営力を持つ優良企業であると、このようにいえると判断をしております。
そのことを踏まえまして質問いたしますが、ことしに入って労働者の実質賃金は、四年間連続減少と発表されています。生活が厳しいとの声は依然として強く、特に東京は、家賃も物価も高くて生活の苦しさはひとしおだと、この声はやむことがありません。
二〇一四年の水道局が発行した料金未納カードや給水停止件数カード、私も調べてみました。先ほど宮瀬副委員長も質問されておりましたけれども、平成二十六年度の水道局が発行した未納カードの件数は五十五万七千三百十一件、そして給水停止件数は十万三千七百十四件でありました。この給水停止件数は、過去五年連続で十万件を超えております。生活の困難をあらわす指標といえると思います。
そこで、水道局が持っている、この財政力を生かしまして、料金負担が重い、軽減をしてほしいと求めている都民の声に応えて、水道料金を引き下げることを私たちは提案いたしますけれども、いかがでしょうか。
○加藤特命担当部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、安全でおいしい高品質な水を安定して提供するために必要な事業を着実に実施していくとともに、最大限の経営努力や積立金の活用、企業債の適正な発行など財政面での工夫により、現行の料金水準を維持することとしており、水道料金を引き下げる考えはございません。
○河野委員 二〇一六年経営プランの六六ページに、二〇一六年度から二〇二〇年度までの五年間の財政収支見積もりが載っております。料金収入は五年間増額であります。
この数字を見ますと、今、軽減をするお考えはないということでありますから、都民の負担は重いまま推移することになります。生活が楽にならないという声が強まっている今こそ、水道料金の負担を軽くしていただきたい。私は、そういう都民の要望を受けとめていただくことを強く求めるものであります。
また、料金五年間据え置きということが記されたその後に、括弧つき税抜きの文言がありますが、消費税増税分の転嫁を行うことがないように、今から水道局が検討されることを要望しておきます。水道局が公共的役割を重く背負っている、このことを深く認識していただき、努力していただきたい。
そして、あわせまして、最後に、水道局として取り組んでいただきたい地球環境保全のための省エネ対策や再エネ対策、そうした都民要望に応えた取り組みに力を尽くしていただくことを求めまして、私の質問とさせていただきます。
○舟坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○舟坂委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
○舟坂委員長 これより下水道局関係に入ります。
初めに、請願の審査を行います。
二八第一号、上・下水道料金と工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○坂巻総務部長 それでは、請願二八第一号につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1、請願・陳情審査説明表をお開き願います。
この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
請願の要旨は、平成二十七年度末をもって終了予定の油脂・皮革関連企業に対する下水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいという内容でございます。
現在の状況でございますが、用水型皮革関連企業に対する下水道料金の減免措置は、平成二十五年第一回都議会定例会における決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補填を前提に、独立採算の原則及び負担の公平の原則に対する例外措置として、平成二十八年三月三十一日まで実施しているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○舟坂委員長 説明は終わりました。
念のため申し上げます。本件中、水道局所管分に対する質疑は既に終了しております。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○舟坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○舟坂委員長 異議なしと認めます。よって、請願二八第一号は、趣旨採択と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
○舟坂委員長 次に、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第二十七号議案及び第百十三号議案並びに報告事項、東京都下水道事業経営計画二〇一六についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○坂巻総務部長 さきの委員会で要求のございました資料五項目につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料2、公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。監理団体、報告団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
当局が所管する監理団体及び報告団体における職員数、そのうち都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
二ページをお開き願います。監理団体、報告団体の職員数の推移でございます。
当局が所管する監理団体及び報告団体における平成二十七年度までの過去五年間の職員数の推移をお示ししてございます。
三ページをお開き願います。定数、職員数の推移でございます。
平成二十六年度までの過去五年間の下水道局職員の定数及び職員数の推移をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。工事請負契約の実績がある民間企業への下水道局退職者の就職者数でございます。
表にある各年度までの二年以内に下水道局と工事請負契約の実績がある民間企業へ就職した局退職者数を、過去三年間お示ししてございます。
五ページをお開き願います。超過勤務時間数の推移でございます。
平成二十六年度までの過去五年間の月八十時間を超える超過勤務実績のある職員数及び職員一人当たりの月平均超過勤務時間数の推移をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○舟坂委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山内委員 私からは、経営計画二〇一六を中心に伺ってまいります。
下水道は東京の重要な都市基盤の一つであり、汚水の処理による衛生環境の改善や雨水の排除による浸水の防除、公共用水域の水質保全といった役割を担い、都市活動や都民生活を支えております。近年では、施設の老朽化への対応に加え、局地的な集中豪雨や首都直下型地震への対策、水環境のさらなる改善やエネルギー対策など、新たな課題へ取り組みが求められており、下水道事業への都民の期待は大変大きいと思います。
こうした状況を踏まえて、本定例会の我が党の代表質問では、新たに策定をした経営計画二〇一六における今後の下水道事業の運営の考え方について確認をしたところでありますが、本日は、今後五カ年の具体的な取り組みも含めて、経営計画全般について質疑を行い、下水道局が目指しているところを明らかにしてまいりたいと思います。
そこでまず、経営計画二〇一六策定に当たっての基本的な考えを伺います。
○坂巻総務部長 今回策定しました経営計画二〇一六でございますが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催と、その後の東京のあり方を見据え、平成二十八年度から三十二年度までの五カ年を計画期間としてございます。
この計画では、東京二〇二〇大会に向けて集中的に取り組む事業や中長期的に必要な事業を着実に推進するため、建設投資を現行の計画より増額し、区部下水道事業において、五年総額で八千九百億円の建設事業費を計上してございます。
建設事業では、お客様の安全を守り、安心で快適な生活を支えるとともに、良好な水環境と環境負荷の少ない都市を実現するため、老朽化が進む施設の再構築や浸水対策、震災対策、合流式下水道の改善や高度処理、エネルギー、地球温暖化対策などを推進してまいります。
また、最少の経費で最良のサービスを安定的に提供するため、維持管理の充実などに取り組み、これらの施策により、都民に質の高い下水道サービスを提供してまいります。
○山内委員 二〇二〇年大会の開催はもとより、さらにその先の東京のあり方も見据えて、事業の推進に取り組むということであり、そのために、建設投資も増額をしたということであります。
では、具体的に、どのような目標と取り組み内容で事業を推進していくのか、各施策について確認をしておきたいと思います。
浸水対策です。
都内でも毎年のように浸水被害が発生をしており、浸水からまちを守る取り組みは、都民の生命と財産を守り、社会経済活動を支える上で、ますます重要なものとなっております。
そこで、下水道局は、従来の時間五十ミリ降雨への対策に加え、浸水被害の影響が大きい大規模地下街や、平成二十五年の床上浸水被害が集中して発生し、大きな被害を生じた市街地でも時間七十五ミリ降雨への対策に踏み出しました。また、五十ミリを超える降雨に対しても被害を軽減するために、私の地元品川区戸越、西品川地区などを五十ミリ拡充対策地区としても位置づけていただきました。浸水対策のためのハード整備は、一般的に市街地での大規模な工事になることから、近隣住民への影響が避けられず、困難が伴うと思います。
そこで、今後、浸水対策の工事をどのように進めていくのか、品川区の取り組みも含めて伺いたいと思います。
○池田建設部長 大規模な工事を円滑に進めるためには、地元との合意形成が不可欠でございます。そのため、これまでも区と連携して、周辺住民へ事業の必要性や工事の影響などについて、わかりやすい説明を行ってまいりました。今後とも、周辺住民の皆様の理解を得ることに努めてまいります。
委員ご指摘の品川区戸越、西品川地区では、時間五十ミリ降雨に対応する新たな幹線を整備するとともに、既設の調整池等を活用して、五十ミリを超える降雨に対しても浸水被害を軽減いたします。地元との密接なつながりのある品川区と協力して、円滑な調整を図りながら事業を進めることとし、早期の工事着手に向け、平成二十八年度は、実施設計や関係機関との協議を進めてまいります。
○山内委員 品川区においても、この地域のレベルアップをした浸水対策の施設整備が進められているということであります。大変ありがたいことでございます。
大変な工事だと思うんですけれども、住民への丁寧な説明と、区を初め関係機関との連携により、一日も早く浸水対策施設の整備が進むように尽力をしていただきたいと思います。
一方で、浸水対策の施設整備は時間を要するため、近年の降雨が頻発している状況を見ると、都民の浸水への備えに対する支援など、ソフト対策を講じることも大変重要だと思います。
例えば、建築基準法で地下室には位置づけられない、いわゆる半地下のような、地盤よりも低い床面を持つ家屋では、雨水が流れ込んだりしたため、豪雨時に通常の家屋に比べて被害が大きくなると聞いております。半地下家屋の使用者や居住者の中には、浸水に対して特に注意が必要であることを知らない方もいらっしゃるんですよね。そういったところから、この半地下家屋の危険性についてを伺います。
○田中施設管理担当部長 平成二十六年六月二十九日の局地的集中豪雨時に、品川区では約四十件の浸水被害が発生しておりますが、そのうち約半数は半地下家屋であったと見られます。
お話にありましたとおり、半地下部は周囲の地面より低いため、道路からの雨水が浸入し浸水被害が生じやすく、場合によっては流れ込んだ水の圧力でドアが開きにくくなり、閉じ込められたりするなど、人命にかかわる危険性もございます。
また、地下室については法的に適切な排水設備を設けることが定められておりますが、半地下家屋にはそれがないため、ポンプ施設が設置されない場合があります。そうした家屋では、豪雨時に、下水道管内の水位の上昇により、下水が半地下室のトイレや浴室に逆流する危険性がございます。
○山内委員 一般的な家屋から比べると、本当に、人命にかかわる危険性が高いということが今の説明でわかったと思うんです。一義的には、対策を講じるのは半地下家屋の建物所有者であると思うんです。都民の安全・安心を確保するためには、建物所有者に、半地下家屋の危険性について、これは十分にこの認識を持ってもらいたい、こういったことが大事だと思います。
そこで、半地下家屋の浸水への備えを周知する取り組み、これについてを伺ってまいります。
○田中施設管理担当部長 下水道局では、毎年六月を浸水対策強化月間と定め、さまざまな取り組みを行っております。その中で、浸水被害の危険性の高い地域にある半地下家屋に戸別訪問やリーフレット配布を行うほか、当局イベントなどの機会において、浸水対策の相談窓口を設置し、土のう、止水板やポンプ施設の設置など、浸水への備えをお願いしております。
また、半地下家屋に対し、既に一部の区では、建築確認申請時に、建築主等に対し必要な浸水対策を講じるよう求める制度を設けております。こうした浸水対策の届け出制度を制度のない区へも拡大することを一層働きかけてまいります。
さらに、半地下家屋等の危険性について、区ホームページへの掲載や、ハウスメーカー、設計事務所への周知、各種イベントでのPRなどを進めることで、建築計画段階からの周知についても、これまで以上に充実させてまいります。
○山内委員 戸別訪問をするということでありまして、これは大変だと思いますけれども、職員の皆さん、本当に頑張ってもらいたいと思います。
ソフト対策の一つとして、下水道局が下水道施設の運転管理に活用するために独自に開発をした降雨情報システム、いわゆる東京アメッシュがあります。これは私もたまに利用するんですけれども、降雨情報がリアルで入ってくるということで、本当に大変助かるんですけれども、浸水への備えとしては、本当にこういったものが大変有効だと考えております。雨量を計測するためのレーダーも、最新の技術に改良中だということなんですけれども、このアメッシュの改良について、具体的に伺いたいと思います。
○中島施設管理部長 下水道局では、気象情報を迅速に把握し、ポンプの運転管理に活用することを目的として、降雨情報システムを昭和六十三年に導入いたしました。平成十四年度からは、東京アメッシュとして降雨情報を配信しており、昨年度は七千八百万件ものアクセスがございました。
また、かねてより進めていた最新式レーダーの導入とシステムの再構築が今年度中に完了し、新しいシステムでは、都内ほぼ全域で表示メッシュを五百メートルから百五十メートルに細かくするとともに、降雨強度表示を八段階から十段階に細分化し、これまでわからなかった降り始めのわずかな雨も表示することにより、急な雨の予兆も察知できるようになります。
この新しいシステムは、ことしの雨季に活用できるよう、四月から、お客様向けに配信を開始いたします。これにより、雨水ポンプをより適切に運転でき、浸水被害防止に対する信頼性が向上するとともに、これまで以上に、きめ細かな降雨情報を配信することで、都民の浸水への備えを促すこととしております。
○山内委員 新しいシステム、本当に期待しておりますのでよろしくお願いします。
浸水対策を軽減すること以外にも、既存の下水道管の老朽化対策も重要でありまして、再構築は、将来にわたって下水道の機能を維持するために必要不可欠であります。
下水道管の総延長は、区部全体で、東京とシドニーを往復する距離に相当する約一万六千キロもあります。今後、二十年間で、法定耐用年数の五十年を超える下水道管は、その半分以上の八千九百キロにもなるということで、この膨大なストックを効率的に再構築していくためには、さまざまな工夫が必要だと思います。
そこで、下水道管の再構築、これの進め方についてを伺います。
○神山計画調整部長 下水道管の再構築につきましては、適切な維持管理により管の延命化を図り、経済的耐用年数である八十年程度で再構築するよう、区部を整備年代によりまして三期に分け、事業の平準化を図っております。
施工に当たりましては、老朽化の状況を確認いたしまして、その度合いに応じた工法を採用し、工事費や工期を抑えつつ対策を進めることとしております。
具体的には、まず、既設の下水道管内の調査を行い、健全度を評価した上で、健全であればそのまま活用する、損傷が軽い場合には既設の下水道管を利用し更生する、損傷が著しい場合には下水道管を新しいものに取りかえるという三つの手法を基本といたしまして、既存の下水道管の流下能力や施工条件なども考慮した上で、工事を実施しているところでございます。
工事に当たりましては、道路を掘削せず、比較的短い工期で施工が可能で、発生する騒音や振動も低いことに加えまして、コストも低く下水道管のリニューアルができる更生工法を一層活用しております。
現在は、対策を必要とする管渠のうち、約七割を更生工法による施工として、スピードアップを図っており、今後は、五カ年で整備年代の古い第一期再構築エリアのうち、約三千五百ヘクタールを完了させることとしております。
○山内委員 道路を掘らないということは、近隣への影響が少ないということで、これは大変すばらしい技術だと思います。特に、この東京というところは人口が集中をしておりますし、重要な都市機能が集積するということもありまして、こういった技術というものは、本当にすばらしいと思います。本当に評価したいと思います。
その一方で、下水道管の機能を維持するためには、老朽化対策だけではなくて、耐震化も、これは非常に重要だと思います。先週の三月十一日、東日本大震災から五年が経過をしました。震災を経験して、ライフラインの震災対策が非常に大切であるということは、多くの人々が認識をしているところであります。いうまでもなく、下水道は、生活するに当たっては、なくてはならないライフラインの一つでありまして、首都直下型地震の発生が危惧されている中で、耐震対策は急務の事業として、下水道局では既にその対策に踏み出していると思います。
そこで、下水道管の耐震化、これについてをお伺いいたします。
○神山計画調整部長 下水道局では、被災時のトイレ機能並びに緊急輸送道路などの交通機能の二つを確保するため、下水道管の耐震化を進めております。
まず、下水道機能を確保する対策といたしまして、地震により被害を受けやすい下水道管とマンホールの接続部の耐震化を進めており、災害拠点病院や避難所など、約二千六百カ所の対策は既に完了しております。
今後は、新たに指定された防災上重要な施設などを含めた約二千カ所を対象に対策を進めまして、平成三十二年度末までに約千五百カ所を完了させることとしております。
また、交通機能を確保するための対策といたしまして、道路の液状化によるマンホールの浮上抑制対策を進めており、緊急輸送道路のほか、緊急輸送道路と避難所などを結ぶ道路を対象といたしまして、既に約千六十キロメートルの対策が完了しており、平成三十二年度末までに、現在目標としております千二百五十キロメートルを完了させることとしております。
さらに、これまでの避難所やターミナル駅に加えまして、今後は、面的な耐震化も拡大することとし、広域的な避難を要しない地区内残留地区での下水道管の耐震化を積極的に進めてまいります。
具体的には、地区内残留地区での整備ペースを年間三百ヘクタールから五百ヘクタールへとスピードアップし、平成三十二年度末までに、累計約三千五百ヘクタールでの対策を完了させることとしております。
○山内委員 今後も引き続き、本当に下水道管の耐震化に向けて、ぜひとも頑張ってほしいと思います。
また、地区内残留地区では、私の地元の品川区でも多く指定されておりますけれども、災害時に人が集まるような、そういった地区内残留地区での対策は本当に有意義であり、重点的に対策を進めてもらいたいと思います。
浸水対策、再構築、震災対策等、事業は多岐にわたりますけれども、引き続き着実に、安全・安心のまちづくりに向けて、取り組みを進めてもらいたいと思います。
さて、これまで、各施策ごとに目標や具体的な取り組み内容について確認をしてまいりましたが、これからの目標達成に向け、将来にわたり事業を着実に推進していくためには、公営企業としての経営基盤の強化が大変重要だと思います。
そこで、この経営計画における事業運営体制や財政運営といった経営面での課題と取り組みについて、確認をしておきたい思います。
まずは、経営基盤としての人の課題についてであります。
事業量の増加に対して、人員の確保は必要であり、またベテラン職員の大量退職の中、今後の下水道事業を支える人材の育成と技術の継承が重要であると考えます。
そこで、この経営計画における執行体制の考え方、人材の育成と技術の継承に向けた具体的な取り組みについてを伺います。
○久我職員部長 まず、執行体制につきましては、監理団体であり、高い専門技術を有する東京都下水道サービス株式会社、TGSと呼んでおりますが、このTGSの活用などにより事業運営の効率化を図ることで、現行の職員定数二千五百十九人を据え置きつつ、これまで質疑をいただいた浸水対策などの事業量の増加に対しまして、必要な人員を確実に措置してまいります。
人材の育成と技術の継承につきましては、いわゆる団塊の世代が退職期を迎えた平成十九年に下水道局人材育成方針を策定し、OJTの計画的実施や、ベテラン職員の知識、技術、ノウハウの見える化などに取り組んでまいりました。
また、ベテラン職員の減少や若手職員の増加の中にあって、下水道技術を確実に継承する方策を検討するため、平成二十六年に下水道局技術継承検討委員会を設置し、局一丸となって技術継承を推進しております。
こうした当局を取り巻くさまざまな課題に的確に対応するため、現在、人材育成方針の改定作業を進めているところでございます。
具体的には、多くの現場業務を担っておりますTGSを技術継承のフィールドと捉えまして、TGSに職員を派遣するなど、現場で技術やノウハウを習得することで職員の現場力を高めてまいります。
また、平成二十五年に開設しました下水道技術実習センターを積極的に活用して、実習や疑似体験を通じた効果の高い研修を実施してまいります。
こうした現場重視、実践重視の実効性の高い取り組みをさまざまに実施しまして、職員の人材育成と技術継承を進めてまいります。
○山内委員 今、答弁の中にあった下水道技術実習センターは、日本初の下水道技術専門の大規模施設であると聞いております。ぜひ、こういう施設を積極的に活用して、将来の下水道事業を担う若手職員の育成と技術の継承に取り組んでいただきたいと思います。
また、技術継承の観点からも、監理団体であるTGSとの連携を引き続き強化し、より強固な執行体制の構築に取り組んでいただきたいと思います。
次に、人と並んで経営基盤である財政運営について伺います。
今回の経営計画では、建設事業費が増額されており、当然、その財源の確保が必要となります。下水道の建設財源は、国費や企業債が大部分を占めていると聞いております。企業債の発行は将来の負担となることから、中長期的な視点も考慮した健全な財政運営が求められると思います。
そこで、今後、どのように財政運営を行っていくのか、この経営計画における具体的な考え方を伺います。
○坂巻総務部長 区部下水道の料金収入は、小口化の進展により長期的に逓減傾向にあり、一方、支出面では、維持管理費が労務単価や電気料金の上昇などにより増加傾向にございます。
このような厳しい環境にございますが、必要な施設整備を着実に推進し、将来にわたって下水道サービスを安定的に提供していくため、委員、ただいまご指摘がありましたように、財政基盤の強化に努めるとともに、中長期的な視点に立って財政運営を行ってまいります。
具体的には、財政基盤を強化するため、建設から維持管理までのトータルコストの縮減や資産の有効活用による収入の確保など、計画期間五カ年で総額四百九十三億円の企業努力を実施してまいります。
また、将来的な財政負担を見据えて、可能な限り有利子負債である企業債残高の縮減を図っていくため、企業債の発行、償還の管理を適切に行ってまいります。
これらの取り組みによりまして、現行の料金水準を維持し、収支均衡の安定的な財政運営を行ってまいります。
○山内委員 経営計画では、将来を見据えた財政運営に努めていることがわかりました。しかし、その健全な財政運営も、総額四百九十三億円にも及ぶ企業努力の実施が前提ということであり、その確実な実施に努めていただきたいと思います。
本日は、下水道事業の主要施策の目標や取り組み内容などの事業面から事業を着実に進めるための運営体制や財政運営などの経営面まで、下水道サービスの向上に向けた下水道局の取り組みについて確認をさせていただきました。しかし、計画はつくって終わりというものではなくて、その着実な実施こそが求められると思います。
そこで、この新たな経営計画二〇一六の推進に向けた局長の決意を伺います。
○石原下水道局長 ただいま委員から、新たに策定した経営計画に関し、さまざまな視点でご質問いただきました。今後の事業運営に反映をしていきたいと考えております。
東京における下水道の整備は、明治時代に始まりまして、その後、百三十年以上の間、東京の都市活動や都民生活を支えてまいりました。この間、さまざまな課題に直面しても、創意工夫を凝らしまして課題を解決し、下水道サービスの向上に取り組んでまいりました。
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が四年後に迫る中、下水道事業の着実な推進により、万全な大会開催を支えることはもとより、その後の東京のあり方を見据え、下水道は東京の持続的な発展を支えていく必要がございます。
今後とも、都民の暮らしを支え、将来にわたり良好な環境をつくり続けていくため、職員一丸となって、我々こそが課題を解決し、都民の期待に応えていくという気概、東京下水道魂を発揮し、下水道局が培ってきました現場力、技術力、組織力をさらに高め、経営計画の達成に向け全力で取り組んでまいります。
○山内委員 今、局長のお言葉から下水道魂という言葉が出てまいりました。すばらしいことだと思います。それぐらい魂を持って職員を奮起させて、そして、先々の下水道事業をしっかりと、我々の一番生活に本当に近い、そういった事業だと思います。ぜひとも、そういったところを職員の皆さんはお考えになって、それで、発展のために尽くしていただきたいと思います。
以上で終わります。
○橘委員 私からは、浸水対策に関連しまして、内水氾濫、それから東京アメッシュの活用、この二つのテーマについて質問いたします。
まず、昨年九月の線状降水帯による関東・東北豪雨災害は、豪雨災害の恐ろしさを改めて認識させられました。これを受けまして、我が党では、大規模水害対策として、ハード対策から避難対策に至るまで、人命最優先の観点から政策提言を行ったわけであります。その内容については、今定例会の本会議や予算特別委員会において取り上げまして、提言の実現に向けて取り組みを開始したところでございます。
一方、最近、東京で発生している浸水被害は、その多くが河川に流入する前、つまり下水道の区間で発生する内水氾濫ということであります。広範囲に大量の降雨があって大きな河川が氾濫する、いわゆる大規模災害とはまた違った取り組みが必要となってくるわけであります。したがって、この内水氾濫の対策について、重要な役割を担っておるのが、下水道局ということになるわけであります。
さて、この下水道局の経営計画二〇一六によりますと、浸水対策として、さまざまな対応策が盛り込まれ、浸水対策を行う地区が五種類設定されております。すなわち、対策促進地区、それから重点地区、五十ミリ拡充対策地区、地下街対策地区、市街地対策地区、この五種類に分けて、それぞれ対策を講じるとしておりますけれども、そこで、これらの地区における浸水対策の考え方を確認しておきたいんですが、浸水対策を実施する地区の選定基準、どういう基準でこういうふうにして分けているのか、それについて、まず説明を求めたいと思います。
○神山計画調整部長 区部の下水道における浸水対策は、一時間五十ミリの降雨に対応することを基本としております。
お話の五種類の地区については、過去の被害実績や規模、浸水被害に対する危険性などを総合的に勘案した上で選定しております。
具体的には、五十ミリ施設整備は、対策促進地区十地区や重点地区の十五地区において、重点的に対策を実施することとしております。
また、既に一時間五十ミリ降雨に対する施設整備計画が進んでおり、平成二十五年に新たに浸水被害が発生した地区につきましては、五十ミリ拡充対策地区として、既存の貯留施設を活用するなどして、一時間五十ミリを超える降雨に対しても対応できる施設整備を実施しております。
さらに、特に浸水被害の影響が大きい地下街対策地区や、平成二十五年に甚大な浸水被害が発生した市街地につきましては、一時間七十五ミリの降雨にレベルアップして対策を実施することとしております。
○橘委員 今、総合的な判断ということもおっしゃいましたけれども、概要を大まかにいえば、過去に被害の履歴のあった地区であるとか、それから地形とか地域によって、特殊な地形もありますので、そういった被害の可能性のあるところ、またあるいは、浸水した場合に大きな被害が想定される地下街であるとか、大きな被害が出そうなところ、それを想定して、また、過去に履歴のあるところということであろうかと思いますけれども、最近の局地的な集中豪雨というのはいつどこで起こるかわからない−−確かに今の対策も大切なんですけれども、同時にあわせて、いつどこで起こるかわからないという、この災害、水害、これに対する備えも大事ではないかと思います。
そうした状況も踏まえまして、施設の整備に絞ってやりますけれども、考え方について質問してまいります。
まず、下水道局の浸水対策の施設を見ますと、今現在の中野区と杉並区にまたがる和田弥生幹線であるとか、それから、最近できたようでありますけれども、港区と千代田区の区の境に整備された第二溜池幹線など、こういった幹線といわれる大きな下水道管があるほか、そのほかにも、今答弁にありましたけれども、雨水調節池や、それから雨水ポンプ、そういうさまざまな施設があるわけです。
そこで、地域特性に合った浸水対策の施設整備の基本的な考え方、これについて質問します。
○神山計画調整部長 下水道における浸水対策は、雨水を河川や海まで速やかに流す方法が基本であり、地盤の高さなどの地域特性によりまして、ポンプで河川や海に排水する場合もございます。河川の整備状況や放流規制など、地域の制約条件によっては、下水道管の増強施設を直ちに整備できないことから、雨水を一時貯留するなどして対応する場合もございます。
また、長い延長の下水道管を整備する必要があり、完成まで時間がかかる場合には、一部完成した区間を暫定的な貯留管として活用するなどの工夫も行っております。
このような大規模な対策だけでなく、地元区と連携いたしまして、雨水ますの増設や小規模なバイパス管の設置など、短期的な対策もあわせて実施しております。
今後とも、地域特性に応じ、効率的、効果的な対策を実施することで、浸水被害を早期に軽減してまいります。
○橘委員 今、質疑で、下水道幹線であるとか雨水調節池、雨水ポンプ、暫定的な貯留管、それから雨水ます、バイパス管、いろんなケースに合わせて、いろんな対策を講じている、施設を整備しているということがよくわかりました。
ところが、下水道というのは、なかなか私たちの日常的に目にすることが、その施設を目にすることはなかなかないんですね。これだけ自分たちの命を守っている施設でもあるにもかかわらず、日常的に意識する施設ではないという、ここにちょっとマイナス面といいますか、あるわけでありますね。そうすると、これを日常の生活の中で自覚するということは、自分たちの命を守る大切な施設なんだということで理解も深まっていく。イコール、それは工事になっても、それは地元のまた理解も深まっていくと思われます。
特に、大きな工事になっていきますと、もう数年もかかって工事が行われることもあります。けれどもそのときに、さまざまな、最近は工事に対する苦情が起きるわけですけれども、自分たちの命を守るんだ、地域を守るんだという、そういう意識が日常的にありますと、これは理解も協力もまた進むんではないかと私は思います。
つまり、何をすべきかということは、下水道施設の見える化なんですね。ふだん見えないから、これを見える化していけば、また意識も違っていくと思います。かといって、その施設を表に出すわけにいきません。地下から掘り起こすわけにもいきませんし、地下を掘って見せるわけにいきません。何が大事か。それは、この地域の中で、関連するような地域で、さまざまな地域イベントがあるんです。その地域イベントのときに、この近くには、この地域にこういう施設があるんですと。これが皆さん方の生活を守る、命を守る施設なんですといったことを、年間幾つもある行事の中で、下水道局が直接出向いて、こういったイベントでアピールするということは、大事な取り組みではないかと私は思っております。
これは、きょうは答弁を求めませんけれども、いずれこういった取り組みについて、下水道の見える化について、後日また改めて、機会がありましたら、正式に質問として答弁を求めたいと思います。そういった取り組みをきょうは要望しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、浸水対策に対して、地元板橋区内の災害履歴、こういったことも含めまして、質問したいと思います。
板橋区内の災害履歴を見ますと、浸水被害が多く発生している地域が幾つかございまして、一つ例を挙げれば、近年もあったんですけれども、成増地区というのがございます。これは白子川に近い一帯なんですが、なだらかな坂の上の方から、集中豪雨になりますと、もう道路が川のようになって、白子川という川に流れ込んでいく。つまり、地盤が低くて、浸水被害が一番多く発生している地域の一つでもあるんですね。
こういう地域ですけれども、経営計画二〇一六によりますと、五十ミリ施設整備の重点地区として、板橋区内では、この成増地区も含めまして、三つの地区が指定をされております。この経営計画二〇一六に基づいて、板橋区内の今後の浸水対策事業について説明を求めます。
○池田建設部長 板橋区においては、成増地区、小茂根・向原地区、西台・徳丸地区の三地区を重点地区として選定し、優先的に浸水対策を実施することとしております。
三地区全てで、既設幹線を増強する施設を検討する調査設計を進めております。経営計画二〇一六では、向原幹線及び成増幹線の増強施設に着手することとしており、引き続き、立て坑の位置や施工方法等について実施設計を行うなど、事業着手に向けて検討を進めてまいります。
委員ご指摘の白子川沿いの低地部につきましては、河川水位の影響を受けることなどの地域特性に応じた効果的な対策を行うよう、引き続き調査検討を進めてまいります。
○橘委員 わかりました。浸水対策のハード対策を中心に質問してまいりましたけれども、次は、自助、つまり都民の皆さんの備えを支援する取り組みについて質問いたしたいと思います。
先ほど山内委員の方から、東京アメッシュについてるる質問がございましたので、重なる部分については割愛しまして質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
この東京アメッシュ、これが都民にどのように活用されているのか、活用しやすいのか、そういったことに絞って質問したいと思います。
先月公表されました東京都環境基本計画のあり方についてという、こういう報告がございました。その中に、東京でも、熱帯夜の増加やゲリラ豪雨の増加等、気象変動への影響と思われる事象が発生しており、その事象に対する適応策の視点をあわせ持つ施設として、東京アメッシュが紹介をされておりました。これは意外なところで紹介されたなと私は思いました。
この温暖化防止に対する対応策と、それから適応策−−適応策というのはCOP21でも注目された内容なんですね。その適応策というのは、世界各国のもう潮流になりつつあると。日本もおくれないようにしなければならないし、特に温暖化の影響の及ぶ東京、そしてまた、原因も東京で多く出しているわけでございますけれども、その東京として率先して取り組むべき課題が、この適応策ではないかと私は思います。そしてまた世界の主要都市も、この適応策に具体的に取り組もうと今しているという流れになっております。
簡単に申し上げれば、適応策というのは、地球温暖化というのをまず今、絶対あり得ないんですけれども、仮に、きょうこの時点で、世界の地球上の全ての国、全ての地域が温室効果ガスを一斉にとめたとする。けれども、一斉にそれでとめたとしても、温暖化はしばらく続く。なぜかといいますと、車と同じように、ブレーキをかけてもしばらく車が流れていくように、とめたとしても、この温暖化については、どんどんどんどんまだ進んでいく。しばらく進んでいく。けれどもそういうことは、実際にとめるということはあり得ませんから、かなり長く続くというふうにして想定をされております。
そうしますと、その影響というのは、今も、いろんなところで異常現象があるわけですけれども、そういったものがこれからもどんどん発生していく。それを今まで世界は、何とかこの対策を講じなければならない、温室効果ガスを減らさなきゃならないということで、世界でやってきたわけです。
けれども、これには限界があるというふうに気がついたわけですね。じゃあどうすればいいのかというと、適応策なんです。ある程度の被害はやむを得ない。とめることはもう、一〇〇%とめることはできない。したがって、ある程度の被害はやむを得ない。けれどもそれにうまく適応して、うまい方向に持っていこうという、そんな発想なんですね。
これは非常に大事な観点だと思いますし、そしてまた、それが−−その一つの例として、アメッシュというのが使われているということに私は注目すべきであると思います。見ようによっては時代の最先端を行く、環境の最先端を行くのが、このアメッシュというシステムであるということを一つ注目すべきではないかと私は思います。そんなことを感じました。
そこで、このシステムの仕組みでありますけれども、雨の情報をどのように把握しているのか、これについて伺います。
○中島施設管理部長 東京アメッシュは、都内二カ所の降雨レーダーと地上雨量計で構成されております。
レーダーは、電波が真っすぐ進む特性と、雨粒に当たるとはね返ってくる特性を利用して、雨粒の大きさや密度を観測するものでございます。そのデータと地上雨量計の実測データを中央処理局で合成して、降雨の強度を算出し、その位置をメッシュで表示しております。
この四月から導入される新しいアメッシュでは、都内ほぼ全域を百五十メートルの区画に分割して、精度の高い情報を配信することとしております。
○橘委員 このアメッシュは、平成十四年度に配信を開始して以来、既に十年以上がたっていることであります。したがって、都民に長く親しまれているようでありますけれども、利用者にとって、どういうメリットがあるのか。皆さん、情報を収集していらっしゃると思いますので、改めて、配信された情報の活用方法、どんなふうに使われているのか伺います。
○中島施設管理部長 東京アメッシュは、現在の降雨状況だけでなく、百二十分前の降雨状況から、五分ごとに連続再生ができるようになっております。
東京アメッシュによる降雨の予報は行えませんが、この機能を使うことにより、雨雲の動きをつかむことができます。このため、どの程度の雨が、どの方向に、どのくらいの速さで移動しているか知ることができ、地下街や半地下家屋等では、土のうや止水板の設置による浸水への備えなど、安全確保に早目に取り組むことができます。
○橘委員 私、この東京アメッシュの使い方、まだなれていないんですけれども、いじってみましたら、確かに、地下街の事前の備え、赤い強い雨域がもう近づいているなとか、大体三十分後、または四十分には来そうだなと、そういう見当をつけることができるので、これはじゃあどういうふうに使ったらいいのだろうと思ったら、例えば、地下街だったらば、止水板、今おっしゃったような、そういった使い方もできる。半地下の場合は、我が家の車庫は半地下だから、すぐ帰って止水板をつけようとか、そんなふうにしてもできるかもしれません。
また、さまざまな使い方をすれば、主婦であれば、洗濯物を何時ころになったら、あと二十分後には雨域が近づいてくるから、だったら、洗濯物を取り込みに早く帰ろうとか、そういった使い方もできるのかなというふうにして思いました。また、窓を閉め忘れたけれども、あと四十分後には来そうだからっていうこともできるような、そんな感じで、日常的には使いやすいのかなというふうに思いました。
これも同じことを申し上げますけれども、こうした利用例を下水道局の方で、例えば、仮の話ですけれども、都民の方から、この東京アメッシュの使い方、こんなふうにして活用しているという、そんなことを募集して、アイデアを募集しまして、それをまた、こんな使い方もありますよと宣伝していくという、そんなことも、都民と密接な関係の中でアメッシュを育てていくという、また、活用を広げていくという、そんなことも大事かなというふうに私は思っております。これもきょうは要望にとどめておきますけれども、いずれこれについても、また質疑をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ところで、このようなシステムというのは、同じようなシステムというのは、私たちが日常的に目にします天気予報、テレビで天気予報を見ますけれども、これは気象庁でも同じようなシステムが運用されているんではないかと思います、詳しいことはわかりませんけれども。この天気予報で利用されたり、それからインターネットを通じて、都民にもいろんな情報が、天気予報の情報、また気象状況が提供されるわけですけれども。この東京アメッシュと気象庁のデータ、これを連携させれば、もっと広い、もっと重層的な情報が提供できるんではないかというふうにして思うんですけれども、この気象庁のレーダーとの違いと、それから、この情報との連携について、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○中島施設管理部長 気象庁のレーダーは、広範囲に雨雲を観測する目的で設置されておりまして、観測メッシュが一キロメートルと大きく、雨雲の観測高度も約二キロメートルと高くなっています。
一方、東京アメッシュは都内を対象としており、観測メッシュが百五十メートルと細かく、雨雲の観測高度は六百メートルと低いため、より地上に近い雨雲を正確に捉えることができます。このため、都民にとりましては、東京アメッシュの方がよりきめ細かい降雨情報をリアルタイムで得ることができ、自宅にいながら最寄り駅で雨が降っているかどうかの確認もできるレベルでございます。
また、連携についてでございますが、東京アメッシュで観測できない東京周辺の雨雲を表示するため、気象庁のデータを合成するなど、観測エリアの広域化と降雨情報の精度を高め、サービスの向上を図っているところでございます。
○橘委員 今、答弁にありました観測エリアの広域化、それから降雨情報の精度を高める、これはぜひ進めていただきたいと思います。
近年、ここにいらっしゃる方、皆さんの共通の認識だと思いますけれども、天気予報であるとか、気象情報であるとか、そういったことに物すごく皆さんが関心を持つような時代になりました。以前は、雨が降るか降らないか、当たるか当たらないかという、そういう程度だったんですが、それが非常に今関心が高まっております。
そうした中で、この東京アメッシュが自分たちの生活に密着しているんだ、また、あるいは、自分のやっている仕事に、こういう活用ができるんだっていうことを身近に感じるようになりましたら、すばらしいツールになるかと思います。それがイコール、活用が広がれば広がるほど、また理解が広がるほど、それは結果的に自分の命を守ることになるし、地域を守ることになろうかと思います。
そうした活用の方法というのを、同じシステムで運用するからには、暮らしに役立つ、命を助ける、そういった形の方に結びつけるような運用の仕方をやっていただきたいことを期待しまして、私の質問を終わります。
以上です。
○河野委員 初めに、エネルギー施策について質問します。
新しく策定された二〇一六経営計画の冒頭に書かれていますが、下水道局が使う電力は、都内の総電力使用量の一%強を占めているとのことです。年間に九・八億キロワットの電力を使用、そして、都市ガス換算では〇・二億立方メートル、これは電力では一般家庭の二十七万世帯、都市ガスでは一般家庭の五万二千世帯分ということで、下水道施設のエネルギー消費量は膨大であります。こうした中で、下水道局は、アースプラン二〇一〇、また、スマートプラン二〇一四を策定して、温室効果ガスの排出削減、省エネ、再エネの導入拡大に取り組んできています。
先月、報道されて、印象的だったんですが、世界では、今風力発電が大きく伸びて、二〇一五年の末には、二〇一四年比で一七%増となり、四億三千二百四十キロワットに達して、初めて原発の発電能力を上回ったとのことです。再生エネルギーの普及拡大は、世界の流れ、これを実感しております。
今示されている二〇一六経営計画には、二つのプランによる取り組みの方向が示されておりますが、これまでに下水道局が取り組んできた再生可能エネルギーの導入状況、効果について、ご説明をいただきたいと思います。
○神山計画調整部長 平成二十六年度末までに葛西水再生センターでは、太陽光発電設備や豊富な水量と放流落差を有効活用した小水力発電設備、森ヶ崎水再生センターでは、下水汚泥の処理過程で発生する消化ガスを発電の燃料に利用する消化ガス発電などを導入しております。
これらの設備も含め、当局における平成二十六年度の再生可能エネルギー量は、二百テラジュールとなっております。これは一般家庭一世帯が一年間に使用する電力量として換算いたしますと、およそ一万五千世帯分に相当する量となっております。
○河野委員 今ご紹介がありました葛西水再生センター、森ヶ崎のセンター、そういうところで一万五千世帯分に相当するエネルギーの再生エネルギーがつくられているというのは、本当に貴重な取り組みだと思います。
この間、私、小竹委員と一緒に、森ヶ崎と砂町の水再生センターで再生エネルギーと省エネの取り組みを具体的に見せていただき、説明もいただきました。森ヶ崎の太陽光と小水力発電、砂町のスラッジ焼却発電や下水熱利用など、それぞれに再生エネルギー、省エネ、この工夫がされているのが理解できました。
下水道局には、水再生センターが二十カ所、ポンプ所は合計八十六カ所と、多くの施設が存在いたします。再生エネルギーの導入は、全施設で実施ということにはまだなっておらず、普及拡大の条件があると考えております。今後、残されている施設の導入については、どういう計画をお持ちでしょうか、教えてください。
○神山計画調整部長 再生可能エネルギーの活用の拡大につきましては、技術的な要件や採算性、下水道の事業計画の有無などを考慮いたしまして、導入対象施設や発電方法などの技術を選定しているところでございます。
例えば、大規模な太陽光発電設備につきましては、設置スペースがあることや下水道施設の再構築の予定がないことなどの条件が挙げられます。また、小水力発電設備につきましては、一定規模の放流落差が確保できることなどの条件が挙げられます。
こうした条件に基づきまして導入計画を策定し、スマートプラン二〇一四で掲げました最終目標である、総エネルギー使用量に対する再生可能エネルギー等の割合を二〇%以上の達成を目指してまいります。
○河野委員 今後、再生エネルギーの導入計画をスマートプランに基づいて実施した場合、その効果についてはどういうものなのでしょうか。
○神山計画調整部長 経営計画二〇一六期間内での主な取り組みといたしましては、太陽光発電設備を浅川水再生センターなどで導入するとともに、小水力発電を森ヶ崎水再生センターなどで導入いたします。また、汚泥焼却時の低温域排熱を活用した新たな発電を南多摩水再生センターなどで導入いたします。
これらの取り組みによりまして、平成三十二年度末までに、スマートプラン二〇一四にもお示しした計画値の三百二十テラジュールまで再生可能エネルギーを高めてまいります。
○河野委員 森ヶ崎や砂町で見せていただいた、汚泥焼却時の低温域排熱とか小水力発電がさらに拡大されるとか、そういう意味では取り組みの方向が示されていると思いますが、ぜひ計画値三百二十テラジュールですか、これをきちんと実現できるように頑張っていただきたいなと思います。
スマートプラン二〇一四は、再生エネルギー活用の取り組みをテラジュールであらわしています。下水道局として二〇二四、いわゆる平成三十六年、総エネルギー使用量に対する再生エネルギーの割合は二〇%以上を目指すとしています。平成二十五年の割合は五%でありますから、相当の努力をしなければ、この二〇%は達成できない目標と率直に思います。
ところで、東京都は、今年度末に新たな東京都環境基本計画を策定する予定です。都の環境審議会の答申を見ますと、再生可能エネルギーの利用割合は、二〇三〇年に三〇%を目指すとなっています。下水道局としても、積極的にこの目標を受けとめて努力していただくように求めておきたいと思います。
そして、東京都の環境基本計画の改定に当たっては、温室効果ガスの排出削減目標も示されています。二〇三〇年までに、二〇〇〇年比で三〇%削減という目標です。これまでの都の目標は、二〇〇八年に策定された環境基本計画で定めた二〇〇〇年比で二〇二〇年までに二五%削減というものでありました。初めに述べましたように、下水道局は、地球温暖化防止計画のアースプラン二〇一〇を定め取り組みを進めておりますが、都の環境基本計画の改定をこのたび受けてどのような対応をされていくのか、伺っておきます。
○神山計画調整部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
経営計画二〇一六にお示ししたとおり、温室効果ガス排出量の一層の削減を目指すため、今回の東京都環境基本計画の改定を踏まえまして、アースプラン二〇一〇を見直し、新たな目標や期間を設定してまいります。
○河野委員 ぜひ改定に当たって、積極的な目標、そして、取り組みの施策の構築をされるように要望しておきます。
続きまして、下水熱の利用についてお聞きいたします。
砂町水再生センターで、近くに立地している障害者施設であります東部療育センター、そして高齢者施設、特別養護老人ホームですね、それと医療施設、東京都の高齢者医療センターですか、この四カ所に下水熱を供給している状況を見せてもらいました。エネルギーの有効利用という点で、積極的に取り組むことが、環境対策、エネルギー対策に貢献しているということを感じて帰ってまいりました。
経営計画二〇一六には、民間事業者による下水管渠からの下水熱利用拡大、そして自治体との情報共有、さらに三番目に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技施設での利用などが掲げてあります。
特に、民間事業者による利用拡大を促進する、そして、オリンピック・パラリンピック競技場での利用は、今から具体的な取り組みが必要だと判断いたしますが、下水道局としてはどういうような対応をされているのか、その方策についてお聞かせをいただきたいと思います。
○神山計画調整部長 平成二十七年の下水道法の改正を踏まえまして、民間事業者による下水道管渠からの下水熱利用の拡大に向けまして、現在、さまざまな検討を行っているところでございます。
また、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技会場での下水熱利用につきましては、公表されている技術提案書に記載がございますので、今後、関係機関から要請があれば協力してまいります。
○河野委員 技術提案書に記載があるということで、絶好の機会、下水熱利用の機会を大きく生かしていく、その立場からも、関係機関から要請されれば協力するということから、やっぱり下水道局も積極的に働きかけていくということが必要なのではないかということで、局の努力を改めて求めておきたいと思います。
エネルギー問題については、これで質問を終わりますが、次に、合流式下水道の改善についてお伺いをいたします。
二〇一六経営計画の合流式下水道の改善方針、示されております。目的と取り組み方針が書いてあります。取り組み内容の一覧も示されていて、合流式下水道の改善の取り組み状況が一定程度わかるわけなんですけれども、これまでの取り組みの結果、どのような効果があったか、それについてお聞かせください。
○神山計画調整部長 合流式下水道の改善の主な取り組みといたしましては、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、雨水はけ口からのごみなどの流出を抑制する施設の整備、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備などがございます。
このうち、下水道管の整備、ごみの流出を抑制する施設の整備につきましては、おおむね完了しております。貯留施設につきましては、平成二十七年度までに累計百十四万立方メートルが完成しております。
合流改善事業の効果といたしましては、ごみの流出を抑制する施設の整備により、河川などへ放流されるごみの流出を約七割以上防止できます。
また、貯留施設の整備効果としては、放流回数の削減などがございまして、例えば、北区の神谷ポンプ所では、貯留施設の建設により、放流回数が年平均四十二回から十三回と約七割減少しております。
今後とも、合流式下水道の改善の取り組みを着実に進めてまいります。
○河野委員 ご説明で、対策が講じられれば、かなり合流式下水道、水質の問題も、ごみの問題も改善がされていくということがわかりました。
私が、なぜこのことを伺っているかといいますと、私が住んでいる江戸川区には、江東区と墨田区の区境になっている旧中川が流れております。大雨が降ったときに、葛飾区側の旧中川は荒川に直接雨水が流れますが、荒川から西の、いわゆる江戸川と墨田、江東の間に流れている旧中川のこの水、ここは下流に当たる小松川から墨田区との区境の吾嬬第二ポンプ所で汚水とともにポンプアップの力で荒川に放流しているんです。下流に流れるよりも上に流すポンプの力で流して荒川に入れて、荒川から延々とまた東京湾に流れ込むというような仕組みの川になっています。
荒川西側の旧中川は、いわばため池のような状態というふうにいわれております。大量の雨が降りますと、江東区、墨田区の合流式下水道からの水で川全体の色が、本当にそうなんですけど、黄土色に変わるほど汚れてしまうんです。地元住民からは、水の汚れに加えて、においも出ていると苦情が寄せられています。
このような状態の旧中川の水の合流改善について、具体的な取り組みの状況、現在の状況、これをお聞きしておきたいと思います。
○池田建設部長 旧中川の合流改善対策として、ポンプ所の雨水はけ口からごみやオイルボールなどの固形物の流出を抑制するため、オイルフェンスや目幅の細かいスクリーンを設置してまいりました。
また、吾嬬第二ポンプ所と小松川ポンプ所につきましては、合わせて二万八千立方メートルの雨水貯留池を既に整備するなど、旧中川の水質改善に貢献しております。
このほか、吾嬬ポンプ所につきましては、現在、約七千立方メートルの雨水貯留池を併設したポンプ所として再構築工事を進めております。さらに、大島ポンプ所については、雨水の放流先を旧中川から荒川へ切りかえることとしており、約七千立方メートルの雨水貯留池を併設した小松川第二ポンプ所を建設しているところでございます。
○河野委員 小松川第二ポンプ所は、工事が始まってから大変長い時間がかかっています。地元の人も、いつからやっているのだろうねと、ちょっと思い出せないぐらい長い時間の工事なんですね。二〇一五年十一月に下水道局が出した公営企業委員会での資料なんですけれども、旧中川における合流式下水道を改善する取り組み、これが示されています。今後の取り組みということで、大島ポンプ所の放流先を荒川に切りかえるための小松川第二ポンプ所を整備するとともに、吾嬬ポンプ所と合わせて一万四千立方メートルの雨水貯留池の整備を平成三十一年までに完了と記されています。
今ご説明があったように、七千立方メートルずつですか、吾嬬ポンプ所、それから小松川第二ポンプ所、ここに雨水貯留池ができて、そして、水が荒川にちゃんと流れていくような仕組みになれば、本当に見通しが明るくなりますけれども、小松川第二ポンプ所が、今いいましたように、すごい時間をかけて工事せざるを得ないという状況のようであります。小松川第二ポンプ所の進捗状況、工事の状況についてお示しをいただきたいと思います。
○池田建設部長 小松川第二ポンプ所は、流入する南大島幹線の発進立て坑を兼ねており、その工事工程は、南大島幹線工事と密接な関係がございます。
この幹線は、内径四・五メートルの下水道管をシールド工法により昼夜間連続で施工するものでございましたが、急曲線部の特殊な施工で発生する騒音への対策として、地元住民との協議に基づき、夜間施工を取りやめることといたしました。さらに、地下鉄営業線の直下を通過する際の障害物撤去に当たっては、地下鉄への影響を最大限抑制する必要があり、慎重な施工が求められております。
こうしたことから、小松川第二ポンプ所の工事工程の見直し等を行っているところでございまして、今回の経営計画においては、計画期間である平成三十二年度以降も事業を継続することといたしました。
今後とも、工事を着実に進め、一日も早い完成を目指してまいります。
○河野委員 大変難しい地域、地形の中で、工法もいろいろ工夫されて取り組みがされている、そして、そういう苦労の中で時間もかかっているということは理解できました。ただ、やはり最初にいいましたように、地域の人たちは、長年この合流式下水道で大雨のときに大変な、環境問題ではつらい思いをされておりますので、今、部長がご答弁された、今後とも工事を着実に進め一日も早い完成を目指すと、ここをぜひ堅持していただいて、住民の要望に応えていただきたい。長年の地域住民の強い願いでもありますので、改善への対策を急いでいただくように、重ねてお願いをしておきます。
下水道施設も、大規模な再構築、更新が待ち受けていると思います。現在、取り組んでいるアセットマネジメント手法による維持管理は、施設の延命化の上で、また、下水道局の経営の面からも重要な取り組みだと思っています。アセットマネジメント手法での維持管理は、どのような形で局の事業に貢献しているのか、また、施設の安全確保の問題もあわせて、下水道局の取り組みについて伺います。
○神山計画調整部長 下水道管につきましては、施設の劣化状況を調査、評価し、施設の安全性の確保も含めまして、適切な維持管理を行うとともに、アセットマネジメント手法を活用し、法定耐用年数より三十年程度延命化いたしまして、一年当たりの建設費と維持管理費の合計が最小となる経済的耐用年数の八十年程度で、効率的かつ計画的に再構築することで機能を維持することとしております。
水再生センターやポンプ所の設備につきましても、法定耐用年数より二倍程度延命化し、再構築を進めております。
再構築には膨大な費用が必要となりますが、効率的な下水道事業運営に取り組んでおり、経営計画の計画期間である五カ年で、アセットマネジメント手法を活用した設備の再構築も含め、建設から維持管理までのトータルコストの縮減に取り組みまして、約百九十億円のコスト縮減を図ることとしております。
○河野委員 アセットマネジメントシステムによる管理ということで、コストの縮減の金額も百九十億円ということで明らかにされました。
私は、下水道施設を本当に良好な状態で維持管理していく、長寿命化を図っていくという上では、都民の協力も欠かせない課題だと思っています。平成二十七年度に、下水道局の事業について都民の意識調査を下水道局が実施しています。その結果は、二〇一六の経営計画に出ております。
これを見ますと、下水道事業に関心を持っていると答えた都民は二五・三%と約四分の一であります。特に若い世代に認知されていないのが特徴ということが挙げられています。
アセットマネジメント手法による長寿命化も重要ですが、都民が下水道事業に関心を持ち、施設を良好な状況に保てるように啓発し、協力を求めることも大事な課題だと思っています。
以前、私は、飲食店などから下水道に流れ続けた食用油が固まって下水管が詰まり、大雨のときに水があふれ出した事例を見たことがあります。都民に下水道事業にさらに関心を持ってもらうこと、特に消費活動が旺盛な若年世代にこそ、下水道の大切さと延命の努力の大事さを知ってもらう取り組みは欠かせない問題だと思います。
下水道局は、学校の子供たちの施設見学などを受け入れています。また、江戸川区でも、葛西水再生センターが、区民に向けた施設見学の機会を設けるなどの努力をされています。今後、下水道局が、都民の下水道への関心と理解をさらに効果的な方法で講じていただく、このことが大事だと思うのですけれども、こうした取り組みの考え方について、下水道局のお考えを伺っておきます。
○坂巻総務部長 下水道局ではこれまでも、施設見学会、あるいは浸水対策強化月間、それから「油・断・快適!下水道」キャンペーン、こういった取り組みを通じまして、お客様に当局事業に対する啓発を図ってまいったところでございます。
また、次世代を担う子供たちに向けましては、下水道について楽しみながら学んでもらうための広報施設、東京都虹の下水道館を運営してございます。
都民意識調査では、若い世代の下水道局事業に対する認知度が低いこと、あるいは情報入手経路としてスマートフォンやタブレット等を最も利用していることがわかってございまして、こうした世代への情報提供にも着手しているところでございます。
このような取り組みを、今後も継続的に実施してまいります。
○河野委員 局のご努力とあわせて、地元自治体と連携した住民啓発などに力も注ぐことも有効だと思いますので、そのこともあわせて提案をし、引き続きのご努力をお願いしておきます。
きょうは質問をいたしませんでしたけれども、下水道局の重要な仕事である浸水防止対策にも力を尽くしていただくようにお願いをいたします。
二〇一三年には、豪雨対策緊急プランを下水道局はつくっています。七十五ミリ対策地域、五十ミリ対策の地域、この取り組みとともに、私は浸水被害が多い東部低地帯といわれる東京東部地域の対策もしっかりと取り組みを進めていただくことを下水道局にお願いいたしまして、きょうの質問を終わらせていただきます。
○舟坂委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたしたいと思います。
午後五時五十分休憩
午後六時十分開議
○舟坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いいたします。
○大西委員 私からは、下水道事業における危機管理対策について伺います。
東日本大震災から五年が経過いたしましたが、震災では、発電所が甚大な被害を受け、電力供給能力が低下し、当時は、計画停電や夏場の電気使用制限が実施されるなど、我が国の電力の信頼性を根本から揺るがす事態が生じました。
東京の下水道については、幸い施設自体には大きな被害が見られなかったと思いますが、震災後は、水再生センターやポンプ所において、下水道施設の運転管理に大変な苦労があったと聞いています。
存在が当たり前になっている下水道ですが、下水道なくして都民生活は成り立ちません。下水道は、二十四時間三百六十五日、都民生活を支える重要なインフラであり、災害時などの非常時においても下水道の機能を維持することが求められています。しかし、下水道の機能を維持するためには、多くの電力を必要とするという課題もあり、今後発生が懸念される首都直下地震などの非常時においても、確実に水処理や汚泥処理を実施するための電源を確保する必要があります。
経営計画二〇一六の中でも、五カ年の取り組みとして、非常時の自己電源の確保を上げていますが、非常用電源設備を拡充するなど、震災に伴う停電時などの非常時の電力を確保することが重要であります。
そこで、まず、水再生センターやポンプ所における非常用発電設備の整備について伺います。
○神山計画調整部長 下水道局では、震災時など停電の際にも、下水処理や雨天時のポンプ排水機能を維持するために必要な電力の確保をする取り組みを進めております。
具体的には、都内にある水再生センターやポンプ所、全百八施設において非常用発電設備の整備を進めておりまして、今年度末までに、累計で八十一カ所の水再生センター、ポンプ所に、非常用発電設備の整備が完了する予定でございます。
今後五カ年で足立区の新田ポンプ所など十二カ所で新たに非常用発電設備を整備し、平成三十二年度末までに、累計で九十三カ所の施設で整備が完了する予定でございます。
○大西委員 震災に伴う停電時における下水道の電力確保を着実に進めてもらいたいと思います。しかし、この非常用発電設備というのは、実は大型飛行機のジェットエンジンと同じぐらい大きなものであると、そういうのがたくさんあると聞いております。それゆえ、設置に当たっては一定のスペースが必要であり、その確保が困難なポンプ所もあると伺います。
そこで、非常用発電設備の整備が困難な施設にはどのように対応するのかお伺いいたします。
○神山計画調整部長 お話のように、水再生センターやポンプ所の非常用発電設備は大規模でございまして、整備には一定規模のまとまった用地が必要となります。
例えば、文京区にある湯島ポンプ所では、地下に整備されたポンプ所で、内部が狭小であり、現状では、所内にスペースがないことから、非常用発電設備の設置が困難な状況でございます。
そこで、スペース確保までの当面の対策といたしまして、停電時でも電力を供給可能な移動電源車の導入を行いまして、非常用電源を確保いたします。この移動電源車につきましては、今年度中に整備が完了いたしまして、来年度から運用を開始いたします。
また、墨田区にある、現在再構築中の吾嬬ポンプ所におきましては、用地確保の見込みがないため、近隣の下水道施設からの送電設備の整備を実施いたしまして、非常時の電源を確保してまいります。
このようなさまざまな工夫を行いまして、非常時の電力を確保してまいります。
○大西委員 最終的には、全ての下水道施設で非常用の電源が確保でき、震災や豪雨等による停電時などでも下水道機能を維持できるようになることを期待したいと思います。
一方、東日本大震災の際には、広範囲にわたって交通や流通網が混乱し、非常用発電設備の運転に必要な灯油などの燃料の調達が困難な状況となっています。仮に非常用発電機などを整備しても、必要な燃料が確保されなければ、下水道機能の維持ができなくなってしまうわけです。
そこで、震災時等における燃料の確保について、どのように考えているのか見解を伺います。
○神山計画調整部長 東日本大震災時に発電燃料の調達に苦慮した経験を踏まえまして、非常用発電設備の導入とともに、その燃料の確保についても、多重の安全対策をとることが重要でございます。災害時に燃料を安定的に確保するため、石油関係の組合と石油燃料の安定供給等に関する協定を締結しているほか、水再生センターやポンプ所間で燃料を相互融通できるよう、非常時の輸送手段の確保に向けて組合と協議を現在進めております。
また、東日本大震災では、非常用発電設備の燃料である灯油の供給が滞った一方で、中圧の都市ガス管は耐震性にすぐれているため、ガスの供給には支障がございませんでした。
そこで、特に発電設備が大きくなる水再生センターにおきましては、通常の燃料である灯油のほかに、都市ガスにも対応できるデュアルフュエル、デュアルとは二重、フュエルは燃料でございますが、デュアルフュエル型の非常用発電設備を採用いたしまして、燃料を多様化する取り組みを進めております。
現在、第一号機を足立区にある中川水再生センターへ導入するための工事を施工しておりまして、平成二十八年度中に稼働する予定でございます。
○大西委員 私の地元である足立区の中川水再生センターから、燃料が多様化されるということで、非常に心強い限りでもございます。今後、ほかのセンターにも、この取り組みを広げていっていただきたいと思います。
ところで、この中川水再生センターは、水処理施設の一部の上部が覆蓋化されて、都立公園になっており、もうすぐ毎年恒例の八重桜を見る会を地元の皆さんが楽しみにしているなど、地元に親しまれている施設であります。それとあわせて、中川水再生センターは、一時避難場所に指定されております。都内でも震災時に都民が避難するための避難場所はたくさんありますが、中には中川水再生センターのように、水再生センターの施設上部にある公園などが避難場所として指定されている箇所もあります。
震災時に住民が避難した場合の物資については、区などが備蓄していると思いますが、電力の確保には、先ほど答弁のあった下水道局が設置している非常用電源などを活用できるのではないかと思います。そこで、下水道施設から避難場所への電力供給について伺います。
○中島施設管理部長 都内にあります二十カ所の水再生センターのうち、中川水再生センターなど八カ所で施設上部の公園などが避難場所として指定されており、下水道局では、震災時などの停電の際に、これらの避難場所に非常用発電機の電力の一部を供給する取り組みを行っております。
具体的には、避難場所を管理する区市と震災時における電力供給の協定を締結し、停電時に電力を供給する設備を設置しておりまして、停電時には、上部公園の電源盤に延長コードなどを接続することで、夜間照明等、電気の使用が可能となっております。
このように、非常用発電設備の整備により、震災時の下水道機能の維持だけでなく、地域の避難活動にも貢献してまいります。
○大西委員 水再生センターでは、災害時の対応を含め、地域貢献の取り組みも実施されているということであり、多様な取り組みがされているということでございます。一方、災害時の住民の避難行動については、トイレの心配が一つあると思います。過去の震災を見ても、トイレが使用できなくなったり、住民の生活に大きな影響が生じた事例が数多くあり、地元からも心配の声が上がっています。
下水道局では、災害時のトイレ機能を確保する取り組みとして、区と連携し、仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定の拡大を図っているとのことでございますが、震災時にトイレの機能を確保するということは非常に重要であり、マンホールトイレの指定を積極的に進めるべきだと考えます。そこで、マンホールトイレが設置可能なマンホールの指定状況を、足立区内も含めて伺います。
○中島施設管理部長 マンホールトイレを設置できるマンホールにつきましては、避難所などの周辺において、区から要請があった場合に協議の上、下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、道路交通や応急活動などの支障とならない場所を対象に指定しております。
区部全体のマンホールトイレの指定箇所は、足立区内約四百六十カ所を含め、平成二十六年度末で約六千二百カ所となっております。
○大西委員 既存のマンホールを使用する効率のよい取り組みだと思うので、今後も指定を拡大していただきたいと思います。
一方、下水道局は、下水道管の耐震化も進めていることは承知していますが、被害を完全に防ぐことはできないと思います。仮に、下水道管自体が被災して下水道機能を失った場合、いち早い復旧を進めるには迅速な応急復旧体制の整備が必要です。
そこで、発災後の下水道管の復旧はどのような仕組みで進められるのかを伺います。
○神山計画調整部長 下水道管の復旧につきましては、東京都地域防災計画に基づきまして、発災後三十日以内に最低限の下水道機能を確保することといたしております。
このため、下水道局では、事業継続計画、いわゆるBCPの考えを取り入れまして、東京都下水道局地震対策マニュアルを策定し、発災時に優先して遂行する業務に対し、限られた人材や資機材などの資源を効率的に投入することとしております。
本マニュアルでは、発災後の時間の経過によりまして、緊急対応段階、暫定機能確保段階、機能確保段階の三段階に分けまして、それぞれの段階で、状況に応じた現場調査と復旧活動を行うこととしております。
具体的な手順でございますが、まず、発災直後からおおむね三日以内を緊急対応段階といたしまして、マンホールや下水道管の状況などを地上から目視で緊急点検をし、下水道管に起因する道路陥没などが発生している場合には、緊急措置を実施いたします。
次に、発災から三十日以内を暫定機能確保段階といたしまして、十日以内に、施設の被害状況を点検して把握し、最低限の機能を確保するための応急復旧を三十日以内に実施いたします。さらに、その後を機能確保段階といたしまして、本来の下水道機能を確保するために必要な調査と本格的な復旧を行うこととしております。
○大西委員 非常時にも下水道機能を維持するために、ハード、ソフトの両面から、さまざまな対策を下水道局が今進めていただいていること、十分に承知しております。ぜひ今後も、着実にこの下水道事業を進めていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○宮瀬委員 私の方からは、水再生センターの上部利用と工事についてお伺いいたします。
下水道事業において、汚水を処理して河川や海の水質を保全することや、浸水対策、首都直下地震対策などが重要であることはいうまでもありませんが、一般の都民が下水道事業に対し、ふだんどのような要望を持っているのかを都民の目線から改めて把握し、その期待に応えていくことは非常に大切であると考えております。
本質疑に向けまして、下水道局について、ご意見、ご要望、ご不満を募ってまいりました。下水道局の皆様には、そこで寄せられた意見の中から幾つかお伺いしていきたいと思っております。
まず、水再生センターの上部利用についてお伺いします。
先日、完成した芝浦水再生センターの上部を利用した品川シーズンテラスは、下水処理施設を活用する新たな方向性を示すもので、すばらしい取り組みだと思っております。一方、多くの水再生センターでは、その施設の上部をグラウンドなどで一般に開放していると聞いております。
そこで、水再生センターにおける上部利用について、どのような使われ方をしているのか、現状をお伺いいたします。
○神山計画調整部長 水再生センターなどの下水道施設の上部利用は、資産を有効活用し、都市の貴重なオープンスペースを生み出すことで、まちづくりに貢献する取り組みでございます。
現在、水再生センターの上部利用は、お話の品川シーズンテラスを含め二十カ所、約七十一ヘクタールで実施しており、主に公園や運動場などとして活用をされております。その中でも、テニスコートとして利用しているセンターが八カ所、野球場として利用しているセンターが五カ所、サッカー場が五カ所あり、そのほか、フットサルコートなどのスポーツ施設などとして利用されております。
○宮瀬委員 今のご答弁で、さまざまな使われ方がされていることがわかりました。水再生センターの上部などを利用する際には、どのような使い方をするのかが重要だと思っております。さまざまな要望がある中、それを調整した上で多くの方に使っていただくようにする必要があると認識をしております。
そこで、水再生センターの上部利用をどのように選定、決定し、また、どのような仕組みで行われているのか、お伺いいたします。
○神山計画調整部長 水再生センターの上部利用は、地元区市が住民要望を踏まえまして利用形態を決め、下水道局へ要望をいただいております。下水道局は、施設の構造上や維持管理上に問題がないことを確認した上で、上部利用に関する基本協定を締結いたしまして使用許可を出し、地元区市の施設として住民の皆様にご利用いただいております。
施設の下部の建設や管理につきましては下水道局が担当し、上部利用施設の工事や管理につきましては、地元区市が担当しております。
○宮瀬委員 ご答弁を確認しますと、区市が要望し、都が許可を出し、その後、市民、区民の方に使っていただくという流れでございました。
板橋では、水再生センターの上に競技場がございまして、実は今回質疑のためにとりましたアンケートのご意見の中に、ちょっといいづらいですが、端的にそのままいいますと、ほとんど余り使われていない、ニーズとマッチしていないのではないかと。本来であれば、少年サッカーのグラウンド等に貸してほしいといった声がございました。
実は、私も最近、よくご相談を受けるのでありますが、一般論ではありますが、Jリーグの発足やサッカーワールドカップなどの盛り上がりによりまして、以前よりサッカー人口がふえているにもかかわらず、サッカー場が少なく、一方で野球場が多いといった印象がございます。私も幼少期から野球をやっていたので、決して野球場を否定しているものでも、陸上競技を否定しているものでもございません。ただ、現実として、限られた狭い学校の校庭のスペースのみで、ほかに行く当てもなく、サッカーをやる子供たちがひしめき合いながらサッカーをし、プレーとは別に、けがが絶えないという現実がございます。これはこれでまた事実でありまして、このように都民ニーズは時代によって変化してまいります。都民ニーズを把握した上で、上部利用の形態を考えるべきであり、そのための仕組みが大切なのではないかと思っております。
また、水再生センターの上部利用につきましては、貸し出しを行っているとはいえ、あくまで都有地であり、随時、その取り組みが有効活用されているか、都も把握する必要があると考えております。
そこで、水再生センターの上部利用形態について、現在の状況に対する満足度や活用、利用率を都はどのように認識しているのかお伺いいたします。
○神山計画調整部長 水再生センターの上部利用を行っている地元区市は、地元住民と最も密接な関係にございまして、活用や利用状況について把握していると認識しております。
下水道局では、このような状況を踏まえ、利用形態について新たな提案があれば、施設の機能や維持管理、将来計画などに支障とならない範囲で協力してまいります。
○宮瀬委員 注意深くご答弁をお聞きしておりますと、結局、区市町村が満足度や活用、利用率等の情報を把握すべきであって、都は認識していないと。また、区市から提案があれば協力をするといったスタンスでありましょうか。また、都が情報を管理していないのであるならば、区市町村からの上部活用をしている二十カ所全ての情報を提供していただいているのでしょうか、ご見解をお伺いいたします。
○神山計画調整部長 下水道施設の上部利用は、下水道に対する理解の向上とPRにも資することから、下水道局では、独自の取り組みといたしまして、可能な範囲で区市から利用状況などの聞き取りを行っております。
○宮瀬委員 独自の取り組みとのご答弁がございましたが、その独自の取り組みとは一体何でありましょうか。また、結局、質問いたしました上部利用されている二十カ所の利用率ですとか満足率は把握しているのか、端的にお伺いいたします。
○神山計画調整部長 当局では、年度当初に、区への事業説明の場などを活用いたしまして、利用状況の聞き取りを行っております。なお、この聞き取りの場では、利用率や満足度は明らかになっておりません。
○宮瀬委員 ありがとうございます。二十カ所全ての利用率、満足率というのは、なかなか十分把握されていないといった認識を私は受けました。
そういった状況を踏まえまして、やはり今後はしっかりと現在の状況に対する満足度や利用率を区市と情報を共有しながらも、上部利用について、今後、改善または取り組んでいくべきと思いますが、所見をお伺いいたします。
○神山計画調整部長 繰り返しになりますが、水再生センターの上部利用を行っている地元区市は、地元住民と最も密接な関係にございまして、要望についても把握していると認識しております。
今後とも、施設の機能や維持管理、将来計画などに支障とならない範囲で地元区市に協力してまいります。
○宮瀬委員 やりとりをさせていただきまして、答弁を聞かせていただきますと、上部利用に関しては区市の仕事であって、都は下部の建設管理と分けていらっしゃると。当然、上部利用に関しましては、情報は、二十カ所全て利用率等は、満足度は把握されていないというふうな印象を受けております。
一方で、有効活用を目的といたしまして、上部利用の使用許可を出しているのは、私はやはり東京都だという認識であります。その有効性を絶えず数字等で正確に把握していくこと、また必要があれば、区市の皆さんに逆にお願いをしていくことも役割の一つではないかと思っております。
今後は、都も積極的に情報を収集し、都民の客観的なニーズや、よりリアルな声を水再生センターの上部利用に反映させていただきたいと要望いたします。
次に、都民の声を聞きまして要望の多かった道路上の工事についてお伺いをいたします。
道路での工事を見てまいりますと、下水道だけではなく、ガスや電気などのさまざまなライフライン工事が連続して行われていることがございます。各ライフライン、企業者から見ますと必要な工事であると思っておりますが、都民目線からしてみますと、また何度も地面を掘り返しているのかといった印象を与えると思っております。
例えば、下水の工事ではありませんが、先日、地元でも、こんなことがございました。それは都立公園の木々が、枝が伸びて電線にひっかかってしまったと。火事等の危険があるということで、地元の方から、電線にかかった枝を伐採してほしいという話を受けまして、公園協会の方々にお願いをしたら、実は対応が、まず東電に切っていただきますと。それでだめなら区に切っていただきます、それでもだめなら、最後はうちで切りますということで、結局、実際は東電にまず切っていただいたんですが、東電にかかわるところだけ切られていて、結局、電線全体で見れば、電線に木々がかかったままであって、二回、三回と、結局伐採活動を行ったと。
そこまで端的な例ではないにせよ、このように都民目線から見ましたら、道路工事は工事でありまして、道路に制限がかかり不便をするわけでございます。縦割り行政を廃しまして、都民の目線からや立場から工事を行うべきと考えております。
そこで、各埋設企業者間で工事が連続する場合、掘削など工事回数を減らす取り組みがさらに必要だと考えますが、どのような調整を行っているのかお伺いいたします。
○池田建設部長 掘削などを伴う路上工事は、交通渋滞の一因にもなっていることから、各企業者が発注する工事が連続するような場合には、路上工事の効率化を目的とした工事間の調整を行っております。
具体的には、国道や都道などの主要な道路については、道路管理者が主催する道路工事調整会議により、東京電力、東京ガス、水道局など、生活に必要なライフライン整備を行う企業者と、工期や工法、工事位置等について、事前協議、調整を行うことで、同一箇所の掘り返し抑制、工期短縮などに取り組んでおります。
このほか、ライフライン整備を行う企業者により構成される道路占用工事企業者連絡協議会、通称企連協を通じて円滑な路上工事の推進に努めております。
さらに、下水道局としては、シールド工法や内面被覆工法など、非開削工法を積極的に採用することで、道路交通への影響軽減に貢献しております。
今後とも、道路管理者、交通管理者、企連協の会員企業等と連携し、路上工事の効率的な施工に努めてまいります。
○宮瀬委員 ぜひお願いをいたします。
また、アンケートを見ておりますと、年末や年度末など、一時期に工事が集中しているというご意見も多くございました。年間数多くの下水道工事が発注されると思っておりますが、各企業者間の調整ほか、下水道工事の発注も平準化する必要があると思っております。
そこで、下水道局が一時期に工事を集中させないために、局としてどのような取り組みを行っているのか、また今後、都民の負担をさらに減らすべきと考えますが、見解を求めます。
○神山計画調整部長 下水道局では、発注時期の前倒しや、これまで単年度施工であった下水道管の補修工事への債務負担行為の活用によりまして、工事の平準化に取り組んできております。
こうした取り組みによりまして、下水道管の補修工事では、平成二十六年度の最も工事が集中した十一月と比較いたしますと、平成二十七年度は、工事の件数が約二割減少しており、工事の平準化の効果があらわれております。
今後とも、工事の平準化に努め、ピーク時の工事件数を低下させる取り組みを継続してまいります。
○宮瀬委員 二割減少してきたということで、引き続きよろしくお願いいたします。
下水道局には多くの事業がございます。汚水を処理して河川や海の水質を保全したり、浸水からまちを守ることなどが基本であることはいうまでもありませんし、縁の下の力持ちではありませんが、東京の下の力持ちだと私も心から敬意を持っております。
一方で、見えにくい事業であるからこそ、一般の都民の要望がどのようなものか、絶えず認識して改善していく取り組みが重要だと思っております。
今回、私の少ない予算で行った調査ではございますが、それはそれでまた一つの事実でありまして、仮説になり得るわけでありますから、今後とも、都民とともにある下水道局であっていただくことを切望いたしまして質問を終わります。
○栗林委員 それでは、私の方から、二テーマで何点か確認をさせていただきたいと思います。
初めに、流域下水道における高度処理の推進について伺います。
この経営計画二〇一六の六四ページにもありますように、下水道の整備等に伴って東京湾の水質改善が進み、昨年は、葛西海浜公園で海水浴の社会実験が行われたことも話題になったところでございます。今回は、多摩川の水質改善について伺います。
私の地元の世田谷区では、多摩川の河川敷に、たくさんの公園や遊歩道が整備され、土手にはサイクリング道路もあり、中には釣りを楽しむ方もいたり、人々が集い、くつろぐ貴重な空間となっています。
現在では、このように、にぎわいを取り戻した多摩川も、昭和四十年代の高度経済成長期には、生活排水や工場の排水が未処理のまま流れ込んでいたことから、水質が大変に大幅に悪化し、魚もすむことができない、いわば大きなどぶ川のような状態となっていた時期もありました。しかし、都が昭和四十三年に流域下水道事業に着手をし、市町村とともに下水道の整備を進めた結果、多摩川は見違えるぐらいきれいになりました。
また、魚道の設置、改良などの河川環境の改善も進み、昨年は、四百万尾を超えるアユが遡上するまでになっています。私も、現地を視察させていただいたんですけれども、本当に川面がアユの群れできらきら光る、輝くぐらいの、アユの姿もわかるぐらい水は澄んだ状態でありました。
これは、下水道普及率の向上に加えて、高度処理の導入が進み、多摩川の水質が大きく改善されてきたことによるものと思います。そこで、このような水環境を支える流域下水道における高度処理の導入状況について伺います。
○佐々木技術部長 流域下水道では、標準的な処理法と比べ、窒素やリンを大幅に削減できる高度処理を、平成十二年度に初めて北多摩二号水再生センターに導入し、順次、他のセンターにも導入を拡大してまいりました。
平成十六年度からは、全ての水再生センターで高度処理が可能となり、今年度は、北多摩一号水再生センターなどで整備を進め、一日当たり処理できる下水の量は七十七万立方メートルとなる見込みでございます。
また、ただいま答弁いたしました従来の高度処理に比べ、窒素とリンの除去率が若干劣るものの、電力使用量の増加がなく、既存施設の改造により、効率的に水質改善を図ることができる準高度処理の整備も進めております。
これらの取り組みによりまして、従来の高度処理と準高度処理を合わせた一日当たりで処理できる下水の量は、今年度末には八十八万立方メートルとなり、目標値である百四十八万立方メートルの約六割に達する見込みでございます。
○栗林委員 本当にそういった取り組みで多摩川の水も改善をされ、今また新たにこれだけきれいなお水、川になったわけで、また、新たな課題ということで、これは直接下水道局さんには関係のないことなんですが、外来魚、これはペットで飼っていたのを放す、汚い川だと生きていけないから、きれいになった多摩川に放す方が結構ふえてきて、今、生態系を脅かすという、また新たな課題の対策も必要となってくるというほど、本当にきれいな川としてよみがえったわけでございます。
多摩川の水環境が潤いのあるものに改善されてきたのは、高度処理が着実に導入されてきた成果であるということを、今ご答弁も伺いまして改めて実感をしたところでございます。良好な水環境を次世代へ引き継いでいくためには、新たな技術の導入とか、また、運転管理の工夫などによって、エネルギー使用量を削減しながら、さらなる水質改善に取り組んでいく必要があると思います。
そこで、流域下水道では、今後、どのような省エネルギーと水質改善を進めていくのか伺います。
○佐々木技術部長 経営計画期間内での取り組みにつきましては、準高度処理を北多摩二号水再生センターなど四カ所で整備を進めるとともに、準高度処理で水質改善が不十分な場合には、局が開発した、従来の高度処理と比べ、同等な水質の確保と、二割以上の電力削減が可能な技術である嫌気・同時硝化脱窒処理法を、八王子水再生センターなど三カ所で導入してまいります。これらの取り組みを設備再構築に合わせて行うことにより、今後、五年間で目標値の約二割に相当する二十七万立方メートルの施設を整備し、目標値の約八割まで向上させていくこととしております。
さらに、維持管理におきましても、水質改善と省エネルギーの両立を図るため、処理水質とエネルギー使用量の二つの指標を用いた二軸管理の手法を活用するとともに、アンモニア濃度計を用いて最適送風量に調整する運転管理の工夫など、積極的に取り組んでまいります。
○栗林委員 下水を処理するため、多くのエネルギーを必要とするわけでございますが、エネルギーを減らしながら、下水をきれいに処理して、そして多摩川に返すという、大変両立が難しいと思われるこの課題に対し、果敢に取り組んでいただくことも、さらにお願いしたいと思います。
次に、都市環境に目を向けまして、まちの中の臭気の問題について伺います。
以前、何年か前、五年ぐらい前でしょうか、新宿駅から私はいつも都庁まで歩いてくるんですけれども、その最中に雑居ビルの前を通るとき、もう息をとめて通過するぐらいの物すごい、下水道からと思われるような臭気を感じた時期がありました。このところ、そのにおいがぴたっと感じられない状態にはなりましたけれども、聞くところによりますと、下水道局で、この新宿も重点化対策地区として臭気対策に取り組んだ結果ということがわかりました。経営計画二〇一六にも、ビルの地下排水槽に起因する、毎年多くの苦情が下水道局に寄せられているというような記入もございました。
そこでまず、都民が感じている下水道からの臭気の苦情件数と、その原因について伺います。
○田中施設管理担当部長 お話のように、平成二十六年度に、下水道局に寄せられた臭気苦情は約一千件で、そのうちビルの地下排水槽、いわゆるビルピットが原因と思われる苦情は約八百件であり、苦情件数の多くを占めております。
ビルの地下に店舗などがある場合、厨房やトイレの排水を下水道に排出するためにはポンプでくみ上げる必要がありますが、一時貯留するためのビルピットが必要となります。このビルピット内で排水が長時間貯留され腐敗すると硫化水素が発生し、腐敗した水をビルピットから下水道に排出する際に、路上の雨を取り込む雨水ますなどを出口として臭気が拡散することが原因と考えられます。
○栗林委員 臭気苦情のうち、その多くをビルピット臭気が占めているということでございます。平成二十七年には、過去最高の一千九百万人を超える外国人が来日したということで、東京二〇二〇年大会を控え、東京都を訪れる人々は、国内外を問わず、今後さらに増加していくと思われます。日本の首都であり、顔でもある東京でおもてなしをするためにも、まちの印象を、この臭気というものは大きく左右することになります。
特に、観光客が、おいしいお料理を召し上がったり、また、親切に対応されて、とても気持ちのいいそういう場面があったとしても、この臭気、本当に嫌なにおいというものに触れた途端から印象は大きく違ってくると思います。このまちの印象を大きく左右する臭気対策は急務であります。
そこで、ビルピット臭気対策のための下水道局の取り組みについて伺います。
○田中施設管理担当部長 ビルピット臭気対策は、建築基準法を所管する都市整備局、ビル衛生管理法を所管する福祉保健局、悪臭防止法を所管する環境局及び区の関係部署と当局で連携し、取り組んできております。
下水道局では、臭気苦情があると速やかに現地調査を実施し、原因のビルが特定できた場合には、個別のビルごとに所有者等に対し、関係部署と連携して、臭気発生のメカニズムを説明し、改善要請を実施しております。
また、予防保全としては、繁華街など臭気苦情の多い地区を重点化対策地区として七地区選定し、これまでの三カ年で、地区内二百四十四ビルを調査した上で、対策が必要なビルに対し、同様に改善要請を実施してきました。
今後は、さらに、多くの観光客が訪れる地域や東京二〇二〇大会競技会場周辺の計十三地区を対象に、臭気の発生状況等を調査し、これまでの七地区に加え、重点化対策地区の拡大を検討してまいります。
また、新規に建設するビルからのビルピットの臭気の発散が生じないようにするため、設計、施工者等の実務に資する技術上の指針を作成、配布し、周知を図っていきます。改善要請を効果的に行えるよう、関係各局や区と連携した取り組みも一層進め、お客様の快適な生活を確保してまいります。
○栗林委員 特に今、においというものにこだわりを持つ方もふえてきていますし、アロマを生活空間の中で取り入れるなど、大変敏感な時代になっているということもあります。においがあると空気も悪くなったような、そんな気もするような結果にもなりますので、どうかさらに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
この問題は下水道局だけの問題ではなく、他の部署などとの連携が不可欠ということでもあります。ぜひ、関係者間で密接に連携を図っていただきたいと思います。
下水道局の事業には、都民の安全・安心を守る取り組みや水質を改善する取り組みのほかにも、こうしたビルピット対策のような生活に密接に関係した地道な取り組みもあるということで、事業の幅広さを改めて理解をさせていただきました。今後も、さまざまな下水道局の取り組みに期待したいと思います。
この東京という都市を心地よい場所として感じていただけるような、さらなる取り組みをお願いし、質問を終わります。
○小竹委員 私の方からも、最後の質問になりますけれども、質問させていただきたいと思います。
先ほど、下水道料金の減免に関する請願が採択されました。それを実施していただくとともに、今後それを拡充する立場から、減免の問題について、まず質問いたします。
下水道料金の減免について、予算特別委員会の資料によりますと、十年前に比べ条例による減免は六万六千件、一・六九倍に増加しています。しかし、決議分については〇・五六倍という、七千件も減っています。この点について、局の方はどのように認識しているのか、まずお伺いいたします。
○安藤経理部長 条例分の減免件数の増加は、生活保護世帯の増加によるものであり、決議分の減免件数の減少は、生活関連業種の適用者が廃業等により減少したものであると認識しております。
○小竹委員 先ほども水道局でも申し上げたんですが、新聞報道によりますと、高齢者の四人に一人が生活保護以下の収入で暮らしているということ、それから山形大学の戸室健作准教授の研究では、東京の子供たちの貧困率が一〇・三%、だから子育て世帯のところも大変になっているということが発表され、貧困世帯が二十年前と比べると二・五倍になっているというふうに報じられています。
貧困は深刻な社会問題になっております。生活保護や高齢世帯のみだけでなく、低所得世帯への対象の拡大はどうしても必要になってきているというふうに考えます。
また、決議分の生活関連業種の廃業、これは減少の大きな要因だとお答えいただきましたが、私も、それはそのとおりだろうというふうに思います。
しかし、営業を続けている、水をたくさん使うおそば屋さんやラーメン屋さん、それから豆腐などの業者の方々も、景気が悪いから月に五十立方までは使わないという方がふえています。そういう点では、頑張っている中小零細業者に対しての減免対象となる最低の使用量についての引き下げ等についても、今後、ぜひ検討していただくように、強くこれは求めておきたいというふうに思います。
次に、人材育成と技術継承についてお伺いします。
経営計画二〇一六にも、人材育成と技術継承の重要性が述べられています。この間、団塊の世代の大量退職があり、ベテランの技術者も退職されています。技術職の退職者数及びそのうち都に再任用で残った人数、東京下水道サービスなど監理団体に行った人数は、それぞれ何人でしょうか。
○久我職員部長 平成二十六年度の技術職の退職者数は百三十七人でございます。そのうち都に再任用として引き続き勤務している職員数は六十六人でございます。また、東京都下水道サービス株式会社へ就職した職員数は四十人でございます。
○小竹委員 人材育成や技術継承でも、下水道局の下水道技術実習センター、先ほどもお話がありましたけれども、非常に重要だということを視察した上で重要性を再認識させていただきました。センターについては、どのような団体がどのように利用しているのか、また、稼働率も含めてお伺いいたします。
○久我職員部長 下水道技術実習センターの利用者でございますが、局のほかには、東京都下水道サービス株式会社や民間企業、下水道事業を運営する自治体などでございます。東京都下水道サービス株式会社や民間企業の利用では、みずからの社員研修として活用しております。
また、下水道技術実習センターの稼働率についてでございますが、平成二十六年度実績で、研修での利用については五四%、PRも兼ねました視察等も含めると六六%になります。
○小竹委員 研修ですから、当然講師の方がいらっしゃると思うんですが、センターの講師陣はどういう構成になっていますか。
○久我職員部長 実習研修の講師陣についてでございますが、各研修内容にふさわしい講師陣を選任してございます。
具体的には、当該研修内容に係る業務に従事しているベテラン職員を中心に、局または監理団体である東京都下水道サービス株式会社から選任してございます。また、研修内容によっては、民間企業に講師を依頼してございます。
○小竹委員 若手技術者の育成という点での研修講座や、それから、レベルアップの研修もあると思います。それからまた、ベテラン職員の技術の継承についても、それぞれどのような研修が行われているのか、お伺いいたします。
○久我職員部長 下水道局では、計画的に職員の育成を進めるため、毎年度、研修実施計画を策定しております。
具体的には、若手技術者に対しましては、下水道特有の業務に合わせました基礎的な実習研修を実施しております。また、中堅技術者に対しましては、応用的な知識の習得など、従事する業務に特化した実習研修を実施してございます。ベテラン職員につきましては、これまで培ってきた技術、ノウハウを伝えることが求められており、ベテラン職員自身が実習講師を務めることで技術の継承を図るとともに、みずからの指導力の向上にも努めております。
○小竹委員 研修での稼働率が五四%ということですが、本当に私も見てびっくりするほどすばらしい施設だというのを実感したんですが、これだけの施設ですから、もっと利用を促進する必要があるんじゃないかなというふうに思うんです。その点でのPRや何かはどうなっているのでしょうか。
○久我職員部長 下水道技術実習センターの利用に関するPRについてでございますが、開設以来、さまざまな媒体を通じPRも重ねまして、日本下水道協会や日本下水道事業団などへ活用を拡大してまいりました。
先ほど申し上げましたように、さまざまなところから関心を持たれ、視察等を含めますと稼働率が六六%になってございます。
今後とも、これまでどおりPRを進めていきたいと考えております。
○小竹委員 良好な水環境や都市環境を守る上でも、それから異常気象による局地的豪雨による災害の点からも、それからまた、都民の安全な生活環境を守る上でも、下水道の果たす役割は非常に重要だというふうに考えます。そのための技術開発や技術の継承は欠かせません。そういうことを私は視察をさせていただいて学びました。
しかし、研修は行っても、実際にその技術を体得し、生かしていくという点で見ると、やっぱり現場での経験の積み重ねが鍵を握っているとも思うんですよね。そういう点では、経営計画には、人材育成等については、局とTGS、下水道サービスとの連携が書かれています。災害のときの緊急対応だとか、計画を立てていく、下水道の整備をする計画を立てていく上でも、それから現場を監督するという業務をする上でも、現場の経験の蓄積なくしては、私はできないというふうに思うんです。
下水道局は事業の委託を進めています。こういう点では、若手の職員の方が経験を積み重ねるという点で、やはり支障を来すことがあり得るんではないかという点が非常に心配です。
下水道技術実習センターを視察させていただいて、人材育成と技術継承をするための体験施設として欠かせないものであるということを私は実感しましたけれども、新しい技術者を育て、技術を継承していく上で、さらなる活用を要望するとともに、委託をこれ以上ふやすことは、やはり技術継承の上でも問題が生じかねないということを指摘しておきたいというふうに思います。
最後に、職員の労働実態についてお伺いします。
資料も出していただきました。長時間労働が及ぼす脳、心臓疾患、精神等への健康への影響について、下水道局はどのように認識しているか、まずお伺いします。
○久我職員部長 厚生労働省において、長時間労働による労働災害の認定基準が定められていますように、長時間にわたる過重な労働が継続することで、職員の心や身体の健康に影響を与えるおそれがあるということを認識しております。
○小竹委員 職員の勤務状況が資料で出ています。月の残業時間が八十時間以上の職員は、この間、五年間の間に減ってきてはいますけれども、このような状況はやはり異常であると思います。これらの人の健康管理はどうなっているんでしょうか。
○久我職員部長 長時間労働者に対しましては、東京都下水道局職員の長時間労働による健康障害防止のための面接指導実施要綱に基づきまして、健康診断結果等を踏まえ、産業医による面接指導を実施するなど、適切な健康管理を行っております。
○小竹委員 健康管理をやっていらっしゃるということですが、やはり労働時間の問題についてや、それから自分の体の問題について悩みがある方も多いというふうに思うんですが、相談体制の方はどうなっているかお伺いいたします。
○久我職員部長 事業所ごとに、産業医による健康相談を実施しているほか、局に保健師の資格を有する健康アドバイザーを設置しまして、巡回相談を行うなどの相談のための体制を整えてございます。
また、メンタルヘルス問題の早期解決、負担軽減の支援のため、専門機関のカウンセラーによる個別相談窓口を設置してございます。
○小竹委員 長時間労働が継続することが、職員の心や体の健康に影響するというおそれがあることは認められました。そして、健康管理や相談体制もとられているというふうにお答えいただきました。この五年間で、八十時間以上の超過勤務の方は多少減少しています。しかし、過労死ラインの月八十時間以上の職員が三十五人もいるという、こういう状況は、やはり正常ではないというふうに考えます。
厚生労働省の過重労働による健康障害防止のための総合対策には、過重労働による健康障害防止のための事業者が講ずるべき措置として、時間外、休日労働時間の削減が挙げられています。実際の時間外労働を月四十五時間以下にするように努力義務も課せられています。このことからも、この間の人員削減には、私は無理があったと指摘をしておきたい、おかなければならないというふうに思っています。
ことしは、定数削減は下水道局においてはしないというふうになりましたので、このことは重要なことだというふうに思うんですけれども、時間外労働を四十五時間以下にするという点では、人員配置がどうしても必要だというふうに思います。四十五時間以下の人員配置を行うよう強く求めて質問を終わります。
以上です。
○舟坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○舟坂委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承を願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時十三分散会
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