委員長 | 大場やすのぶ君 |
副委員長 | 田中 朝子君 |
副委員長 | 新井ともはる君 |
理事 | 橘 正剛君 |
理事 | 畔上三和子君 |
理事 | 崎山 知尚君 |
川松真一朗君 | |
塩村あやか君 | |
吉倉 正美君 | |
北久保眞道君 | |
宇田川聡史君 | |
松村 友昭君 | |
相川 博君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 吉田 永君 |
次長 | 福田 良行君 | |
総務部長 | 黒沼 靖君 | |
職員部長 | 松丸 俊之君 | |
経理部長 | 石井 正明君 | |
サービス推進部長 | 冨田 英昭君 | |
浄水部長 | 田村 聡志君 | |
給水部長 | 青木 秀幸君 | |
建設部長 | 今井 滋君 | |
企画担当部長 | 斉田 典彦君 | |
サービス企画担当部長 | 宇井 利見君 | |
設備担当部長 | 横田 秀樹君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 石井 玲君 |
調整部長 | 浅沼 寿一君 | |
施設部長 | 山田 廣君 | |
技術調整担当部長 | 芦田 裕志君 | |
下水道局 | 局長 | 松田 芳和君 |
技監 | 渡辺志津男君 | |
総務部長 | 小山 哲司君 | |
職員部長 | 安藤 博君 | |
経理部長 | 熊谷 透君 | |
計画調整部長 | 坂根 良平君 | |
施設管理部長 | 神山 守君 | |
建設部長 | 中島 義成君 | |
企画担当部長 | 永野 実君 | |
技術開発担当部長 | 前田 淳一君 | |
施設管理担当部長 | 田中 宏治君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 黒住 光浩君 |
管理部長 | 関 雅広君 | |
技術部長 | 松島 修君 |
本日の会議に付した事件
水道局関係
請願の審査
(1)二七第一号 工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十五号議案 平成二十七年度東京都水道事業会計予算
・第二十六号議案 平成二十七年度東京都工業用水道事業会計予算
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十七号議案 平成二十七年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百十六号議案 多摩川流域下水道北多摩二号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第百十七号議案 多摩川流域下水道秋川処理区の建設に要する費用の関係市町村の負担について
○大場委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の請願審査、水道局及び下水道局関係の予算の調査並びに下水道局関係の付託議案の審査を行います。
これより水道局関係に入ります。
初めに、請願の審査を行います。
二七第一号、工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○黒沼総務部長 請願につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布してございます資料1、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
請願の趣旨といたしましては、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
この請願に関する現在の状況でございますが、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成二十六年第一回東京都議会定例会における工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補填を前提にいたしまして、独立採算制の原則及び負担の公平に対する例外的措置といたしまして、平成二十七年三月三十一日まで基本料金の一〇%を減免しているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議をいただきますようお願い申し上げます。
○大場委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。−−発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大場委員長 異議なしと認めます。よって、請願二七第一号は、趣旨採択と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
○大場委員長 次に、予算の調査を行います。
第二十五号議案及び第二十六号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○黒沼総務部長 お手元に配布してございます資料2、公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめてございます。その概要につきましてご説明を申し上げます。
一ページをお開きいただきたいと存じます。監理団体、報告団体における社員数、都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数でございます。
平成二十六年八月一日現在の監理団体及び報告団体それぞれの社員数とそのうちの都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。監理団体、報告団体の社員数の過去五年間の推移でございます。
監理団体及び報告団体における平成二十二年度から二十六年度までの五年間の八月一日現在の社員数の推移を、常勤、非常勤等別でお示しをしてございます。
三ページをお開き願います。工事請負契約の実績がある民間企業への局退職者の過去三年間の就職者数でございます。
四ページをお開き願います。水道局職員の定数、職員数の過去五年間の推移でございます。平成二十一年度から二十五年度までの五年間の水道局職員の条例定数及び事務、技術、技能の区分別の年度末職員数をお示ししてございます。
以上をもちまして、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
○大場委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○北久保委員 水道局が平成二十五年二月に策定した東京水道経営プラン二〇一三は、平成二十七年度までが計画期間であり、来年度はまさに総仕上げの年です。
このプランでは、東日本大震災の教訓を踏まえ、震災対策が大きな柱の一つに位置づけられています。中央防災会議によれば、マグニチュード七クラスの首都直下地震が発生する確率は、三十年間で七〇%と推定されており、一千三百万人の都民生活と首都東京の都市活動に不可欠な水道管路の耐震化は喫緊の課題となっています。
水道は、首都東京の都市活動に欠かすことのできない重要な都市インフラであり、これまでも、我が党は、水道施設の耐震化の必要性を繰り返し提言してきました。
こうした我が党の主張を踏まえ、水道局では、地球半周以上にも及ぶ水道管路を耐震化すべく、水道管路の耐震継手化十カ年事業を立ち上げ、積極的に推進しています。
そこで、水道管路の耐震継手化十カ年事業にどのように取り組んでいるのか、その特徴も含めて、改めて伺います。
○青木給水部長 水道局では、東日本大震災においても全く被害のなかった耐震継ぎ手管への取りかえを、これまでに比べ、事業量を倍増して推進しており、平成二十五年度からは、十カ年で約五千キロメートルを耐震継ぎ手管に取りかえる計画としております。
特に、東京水道経営プラン二〇一三では、これまでの首都中枢機関や救急医療機関等に加え、避難所、主要な駅への供給ルートや、被害が大きいと想定される地域等について優先的に耐震化を実施しております。
また、都立公園等の大規模救出救助活動拠点や、警察、消防など、震災時に初動対応上重要となる施設への供給ルートにつきましても、優先的に耐震化を推進しているところでございます。
○北久保委員 必要なところを優先順位をつけて着実に進めていることは評価いたします。しかし、事業量がふえれば、工事による騒音など、都民の生活環境に影響を及ぼしかねないことが懸念されます。このため、事業の円滑な推進には、工事に対する地域住民の理解と協力を得ることが重要です。そこで、水道工事に対する理解を得るための工夫について伺います。
○今井建設部長 水道工事に対する近隣のお客様のご理解、ご協力を得るための受注者による取り組みとしまして、わかりやすい看板の設置や、現場見学会などを実施しております。
水道局では、そうした取り組みを促すため、水道工事イメージアップコンクールを毎年開催しております。さらに、平成二十四年度からは、コンクールで高い評価を得た取り組みをまとめた事例集を作成し、受注者に配布しております。
今後、事例集に最新の取り組みを掲載するなど充実を図り、改めて受注者に周知してまいります。これらの取り組みにより、工事現場の近隣のお客様と積極的なコミュニケーションを図り、受注者とともにご理解、ご協力を得られるように努めてまいります。
○北久保委員 一層、地域住民の理解を得られるよう、引き続き、水道局及び受注者が連携して、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
水道管路の耐震化のため、水道局がさまざまな工夫を凝らしていることはわかりましたが、次に、浄水場等での電力確保について伺います。
経営プラン二〇一三では、大規模停電時など、不慮の事故が生じた場合でも、安定給水を実現するため、新たに、三郷浄水場への常用自家発電設備の導入など、順次、整備を実施することとなっています。さきの予算特別委員会においても、大規模浄水場全てに常用自家発電装置を整備するとの答弁がありました。
一方で、小規模施設が多数点在する多摩地区においては、東日本大震災に伴う計画停電の影響により、広範囲な断水や濁水が発生しました。多摩地区の小規模施設についても、給水を確保するための自家発電設備など、計画的に整備していく必要があるのではないでしょうか。そこで、多摩地区の小規模な浄水場等における電力確保の基本的な考え方について伺います。
○芦田技術調整担当部長 多摩地区は、東日本大震災に伴う計画停電により、自家発電設備のない浄水所等でポンプが停止し、二十六万件以上もの断水や濁水が発生いたしました。このため、停電時にポンプ停止などにより断水となる配水区域を持つ施設について、優先的に自家発電設備を整備することとしております。
また、東日本大震災時には、計画停電に加え、同時に大規模な燃料不足も発生いたしましたが、そのような事態にも対応していくため、自家発電設備を七十二時間稼働させるために必要な燃料タンクについても、あわせて順次整備してまいります。
○北久保委員 多摩地区においても、震災時に発生するおそれのある大規模停電などの災害対策を推進するとのことです。首都直下地震等の切迫性が指摘されていることを踏まえると、しっかりと取り組んでいく必要があると思います。そこで、浄水場等の電力確保を具体的にどう進めていくのか、伺います。
○芦田技術調整担当部長 停電時に断水となる配水区域を持つ三十五施設全てにつきましては、平成二十九年度までに整備を図ることとしております。このうち、平成二十六年度末までには、十施設が整備完了する予定でございます。この取り組みにより、大規模停電時においても、施設を停止させることなく、安定的に水を供給することが可能となります。
○北久保委員 東日本大震災の教訓を踏まえ、多摩地区でも確実に取り組んでいることは評価いたします。水の供給には電力を安定的に確保することが不可欠であるため、引き続き計画的に取り組んでほしいと思います。
一方、平成二十七年度は、プランの総仕上げというだけでなく、さらなる先を見据えた事業運営を考える年だと思います。高度経済成長期に集中的に整備した水道設備は、間もなく一斉更新を迎えるという問題に直面しています。これらの施設更新には、多くの費用と長期にわたる整備期間が必要です。こうした課題に適切に対応するため、水道局は、東京水道施設整備マスタープランを策定し、中長期的な施設整備の方向性を明らかにしました。
今後も安定給水を確保していくために、マスタープランに掲げた取り組みを着実に実施していくことが重要です。そこで、東京水道施設整備マスタープランに基づく来年度の主な事業について伺います。
○今井建設部長 来年度の主な事業として、代替浄水施設の整備、導水施設や送水管の二重化などを行ってまいります。
具体的には、金町浄水場や東村山浄水場などの大規模浄水場の更新に伴い低下する施設能力相当の代替浄水施設をあらかじめ整備するため、三郷浄水場では、工事契約に向けて手続中でございます。境浄水場では、更新工事に一部着手してまいります。
導水施設の整備では、現在、利根川水系と多摩川水系の原水を相互融通する原水連絡管の二重化として、全長約十六キロメートルの第二原水連絡管を整備しており、シールドトンネル内への配管工事に着手する予定でございます。
送水管の整備では、都内最大の送水能力を有する朝霞上井草線の二重化として、第二朝霞上井草線の立て坑工事に着手する予定でございます。また、多摩地区の給水安定性向上のため、東村山浄水場と拝島給水所を結ぶ全長約十六キロメートルの多摩南北幹線を整備しており、シールドトンネルの築造を本格的に進めてまいります。
○北久保委員 我が党はこれまで、災害に強く安心な都市を実現するため、水道インフラを整備すべきと数次にわたり政策提言を行ってきました。こうした観点から、本定例会の代表質問において、広域断水のリスクを回避するため、より一層高いレベルの水道システムを目指す必要があることから、浄水場など基幹施設の整備について質問したところです。これに対して、局長から、基幹施設の整備を重点化し、再構築事業として取りまとめ、広く発信していくとの答弁がありました。
過去、他都市において、送水トンネルの崩落や導水管の漏水など、基幹施設の事故により数万戸にも及ぶ断水が発生しています。都内でこのような事故が起きれば、断水規模も甚大となり首都機能にも影響を及ぼします。広域断水のリスクを早期に解消することは極めて重要です。
そこでまず、基幹施設の再構築事業について、どのような内容で検討しているのか、具体的に伺います。
○斉田企画担当部長 水道基幹施設の再構築事業についてでありますが、水道は、都民生活や首都東京の都市活動を支える重要なインフラであり、大規模浄水場などの基幹施設を計画的に整備し、広域断水のリスクを解消することが必要であります。
そこで、これら基幹施設の整備を重点化して取り組んでいくため、基幹施設再構築事業として平成二十七年六月までに取りまとめてまいります。この再構築事業の計画期間は十年間で、事業費は、今後精査していきますが、現時点では、浄水場の更新で二千三百億円、導送水管の二重化、ネットワーク化で二千六百億円、給水所の新設拡充で九百億円、合計五千八百億円程度と見込んでおります。
○北久保委員 基幹施設の再構築は、いずれも大規模な工事で、それに伴う影響が大きく、関係者の理解などが必要だと思います。
そこで、今後、どのように進めていくのか、具体的に伺います。
○斉田企画担当部長 基幹施設再構築事業を円滑に推進するためには、的確な進捗管理はもとより、都民や道路管理者を初めとする関係機関への働きかけが必要であります。このため、地域住民への工事説明会や、関係機関への事業説明の際において、事業の内容をわかりやすく示したリーフレットを用い、理解や協力を得るとともに、広域断水リスクを回避する再構築事業の必要性をホームページなどで幅広く周知してまいります。今後、こうした取り組みを通じて事業を着実に推進してまいります。
○北久保委員 広域断水のリスクを回避するため、基幹施設再構築事業についてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。これまでの質疑で、水道局が耐震対策を含め、将来にわたる安定給水に取り組んでいることは理解いたしました。
一方、安全でおいしい水への取り組みも重要だと思います。水道局はこれまでも、利根川水系の全浄水場への高度浄水処理の導入や、各家庭への直結給水方式の普及促進などに取り組んできましたが、さきの予算特別委員会では、全ての都民に高品質の水道を実感していただくための各戸訪問による調査を、平成二十七年度から開始するとの答弁もありました。安定給水のみならず、水道水のおいしさを都民に伝える取り組みも積極的に推進していることは評価いたします。
そこで、プランの最終年度を迎えるに当たり、安全でおいしい水の安定供給に向けた局長の所見を伺います。
○吉田水道局長 水道は、都民生活や都市活動に不可欠な首都東京の基幹的なライフラインであり、安全でおいしい水を安定的に供給することは、水道事業者の使命でございます。
このため、震災対策など、経営プランで掲げました施策を着実に推進することはもとより、将来を見据え、基幹施設の再構築事業にもしっかりと取り組んでまいります。加えて、今お話にありました利根川水系全浄水場への高度浄水処理導入の完了を契機として、各戸訪問による調査など、高品質になった水道水をより一層お客様に実感していただく施策を積極的に推進してまいります。
これらによりまして、安全でおいしい水の安定的な供給に総力を挙げて取り組み、お客様に喜ばれる水道の実現を目指してまいります。
○北久保委員 局長から力強いご答弁をいただきました。
世界一の都市東京を実現するためには、安心・安全なおいしい水の安定供給は必要不可欠です。そうした使命感を持って今後も事業に取り組んでいただきたいことを申し上げ、私の質問を終わります。
○吉倉委員 私からも、東京水道の震災対策について何点か質問をさせていただきます。
東京水道は、都民生活と都市活動を支える極めて重要なライフラインであります。そのため、大規模な地震による断水が発生した場合、その影響は、はかり知れません。
都が平成二十四年度に発表した首都直下地震の被害想定によれば、東京全体で最大四五%の断水率に上ると考えられており、実に東京の約半分近くで水が使えなくなる、このようになります。こうした想定のもと、実際に被災した後に必要なのは、断水をいち早く解消するための応急復旧と、断水している間の都民生活を支える応急給水であります。
私ども都議会公明党は、これまで、応急復旧、そして応急給水の両面から、震災対策の重要性について主張してまいりました。そこで本日は、震災対策のうち、被災後の応急体制について質疑を行ってまいります。
最初に、応急復旧についてでありますが、発災直後の情報収集の不足により、初期活動に支障を来した新潟県中越沖地震の教訓を踏まえ、我が党は初期活動の強化を提案し、水道局は水道緊急隊の設置を実現してきた経緯があります。東日本大震災の際には、主要な道路が渋滞したことに加え、携帯電話もつながりにくい状況にありました。
都における水道施設の被害は、東北地方の被災地に比べると少なかったものの、現地到着までに時間がかかり、通信も十分でなかったことから対応に困難を来したと聞いております。
応急復旧に当たっては、正確に現地の被災状況を把握し、迅速、確実に対策本部に伝達することで、応急復旧体制を早期に確立することが重要と再認識したところであります。
万が一、東京が首都直下地震に襲われ、電力や通信等が途絶えた場合には、被災状況が把握できず、応急復旧活動の大きな障害となります。こうしたことから、発災当初における水道緊急隊の役割は極めて重要であると考えております。
そこで、改めて、水道緊急隊の設置目的とともに、緊急時に備えてどのような体制がとられているのか伺います。
○青木給水部長 水道緊急隊は、震災等の発災直後における情報収集や、復旧活動を迅速かつ機動的に行うことを目的として、平成二十年四月に発足した組織でございます。
震災時等においても、出動した現場と対策本部との情報の送受信が可能となるよう画像伝送が可能な小型パソコン等の通信機器と専用電源を配備した特別緊急車を発足と同時に二台導入するなど、機動性の高い装備を整備しております。
また、職員の出動体制につきましても、昼夜二交代の勤務としており、全六十九名の隊員により、三百六十五日二十四時間、緊急事態への対応ができるよう備えてございます。
○吉倉委員 一日も休むことなく、常に臨戦体制をとっていただいていることが確認できまして、大変心強く感じたところであります。
さて、復旧活動を迅速に行うためには、資材の確保も重要な課題であります。昨年十一月の公営企業委員会で、私は、震災に備え、水道管が破損した際に、いち早く応急復旧用の資材が供給できる体制の構築、これが必要との観点から、今後の資材備蓄方針について質問をいたしました。
水道局からは、平成二十四年に都が発表した新たな被害想定を受けて、備蓄数量を増加させるため、平成二十五年度から三カ年で、応急復旧用資材の計画的な購入を進めるとともに、多摩地区への新たな資材置き場を国分寺市内に設置し、平成二十七年度末には運用を開始する予定であると、このような答弁をいただきました。資材の備蓄にしっかりと取り組んでいることを確認できましたが、幾ら資材を確保いたしましても、いざというときに使えないようでは意味がありません。
そこで、平常時及び震災時の資材置き場の管理運用体制の状況について伺います。
○石井経理部長 平常時の管理運用体制ですが、資材置き場十カ所のうち二カ所については受託事業者が二十四時間常駐待機しており、もう二カ所については同じく受託事業者が平日昼間常駐待機をし、残り六カ所については受託事業者が週三回程度の巡回を行っております。
また、夜間、休日の発災時には、点検要員として指定された局職員が、直接各資材置き場に参集するとともに、受託事業者の従業員を直接各資材置き場に向かわせ、いち早く資材置き場の被害状況等を把握する体制を整えております。
これらにより、応急復旧が本格化する発災四日目からは、常駐体制をとっている四カ所の資材置き場に加え、十カ所全ての資材置き場から応急復旧用資材を供給してまいります。
○吉倉委員 資材も、管理運用の面でも、夜間、休日の発災をも想定し、十分な体制がとられているということがよくわかりました。引き続き資材の備蓄にしっかりと取り組み、被災時の早期復旧に向けた体制の強化に努めていただきたい、このように思います。
次に、応急給水について伺います。
震災時に断水が発生した場合、給水は都内二百三カ所に整備された給水拠点で行われることになっております。この中には、浄水場や給水所など水道局の施設も給水拠点に指定されており、水道局の職員がこの給水拠点に速やかに参集することになっております。
しかしながら、発災直後は、鉄道や道路など交通機関が混乱することが想定され、水道局の職員が給水拠点へ速やかに参集できるとは限りません。やはり、自助、共助に根差した地域住民による活動で初期対応ができるようにしておくことが最も重要であります。
こうしたことを踏まえ、水道局では、地域住民が職員の参集を待たずに応急給水を実施できるよう、浄水場や給水所に指定された給水拠点の改造を進めており、我が党も後押しをしてきたところであります。
そこで、給水拠点の改造について、現在までの進捗状況を伺います。
○黒沼総務部長 浄水場や給水所などの給水拠点の敷地内に応急給水を行うための区画を設けた上で、常設の応急給水栓を設置することによりまして、地域の住民の皆様みずからが応急給水を円滑に行えるよう、給水拠点の改造を実施してきております。
進捗状況につきましては、平成二十五年度までに八十五カ所、二十六年度につきましても二十カ所の改造を行っており、これにより対象となる給水拠点百十四カ所のうち百五カ所で改造が完了することになります。残りの九カ所につきましても、給水拠点の施設本体の整備等を勘案しつつ、速やかに改造を実施してまいります。
○吉倉委員 答弁をいただき、今年度末で九割以上の施設の改造が終わるということでありますけれども、全ての施設の改造が終わるまで引き続き努力をしていただきたい、このように思います。
さて、ハード的に給水拠点の改造ができても、実際に応急給水を行うことになるだろう地方自治体や住民が円滑に活動するためには、その役割分担等を事前に決めておき、その決め事を関係機関が覚書など書面で明文化しておく必要があると、このようにも思います。
そこで、関係者間における覚書などの対応状況について伺いたいと思います。
○黒沼総務部長 お話のように、改造後の給水拠点におきまして、地域住民の皆様が円滑に応急給水を行うためには、給水用の区画に設置した鍵の管理や関係者間の役割分担などを文書の形で取り交わしておく必要がございます。
このため、改造が終わりました給水拠点から順次区市町と覚書を締結してきておりまして、今年度中には、当該拠点があります四十一の区市町全てと締結をする見込みでございます。
○吉倉委員 関係者との連携が着実に進んでいることがよくわかりました。いざというときに、地域住民が応急給水活動をスムーズに行うためには、これに加え、実際の施設を使った訓練を欠かすことができません。
そこで、浄水場や給水所に指定された給水拠点での訓練の実施状況について伺います。
○黒沼総務部長 給水拠点の改造を行い、覚書を締結しました区市町とは、発災時に地域の住民が速やかに応急給水活動を実施できるよう、拠点の施設を活用した形での実動訓練を実施しております。訓練には、区市町の職員はもちろん、住民の皆様にも参加をいただき、地域における応急給水の担い手の育成に努めております。
○吉倉委員 ありがとうございます。特に訓練については、これを実施することにより、地域住民による円滑な応急給水が可能となるだけではなく、防災意識の向上にもつながるというふうに考えております。
そこで、こうした発災時を想定した水道局の取り組みを都民に向けて積極的に発信すべきだと、このようにも考えておりますが、見解を伺います。
○黒沼総務部長 現在、給水拠点での訓練など、水道局で行いました個別の訓練の内容や写真を当局のホームページに掲載をしております。今後は、こうした個別の取り組みに加えまして、各種訓練の実績を全体として取りまとめまして、実施回数や参加人数を初め、訓練から得られました課題や対策など、主な成果につきまして、新たにホームページでお知らせをしてまいります。
こうした取り組みによりまして、訓練に参加をしていない地域住民を含めた都民の皆様全般に応急給水の概要や、日ごろからの備えの大切さなどにつきまして幅広くお伝えをしてまいります。
○吉倉委員 ぜひ、さまざまな機会を活用して、広く都民に向けた積極的な発信を行っていただきたい、このように思います。
ところで、多くの都民が給水拠点の場所を把握していないと、災害時に混乱が避けられません。そこで、実際にどの程度の都民が給水拠点を認識、認知しているのか伺いたいと思います。
○黒沼総務部長 これまで、全戸配布の水道ニュースや、トレインチャンネルなどの車両内のビジョン、スマートフォン向けの位置情報アプリなどを活用しまして、さまざまな手法で周知に努めてまいりました。
しかしながら、平成二十六年度に実施をいたしましたお客様満足度調査では、最寄りの給水拠点を知っていると答えた方は三割に満たず、都民の給水拠点に関する認知度向上に向けては、さらなる取り組みが必要と認識してございます。
○吉倉委員 水道局が給水拠点の周知に大変工夫を凝らしているにもかかわらず、余りにも認知度が低いということがわかりました。
そこで、今後は、発災時の混乱の中でも給水拠点を見つけやすくするために、目印を設置するなど、効果的な方策を検討すべきだというふうに考えます。見解を伺います。
○黒沼総務部長 ご指摘のとおり、震災が発生をしまして混乱が生じている状況にありましては、都民が容易に給水拠点を見つけることができるよう、あらかじめ対策を講じておくことは大変重要なことでございます。このため、地域住民が認識をしやすい目印を発災時に設置することにつきまして、そのデザインや運用方法などを含め、給水拠点の場所をよりわかりやすく都民に伝える方策を検討してまいります。
こうした取り組みによりまして、自助、共助の考え方に根差した地域住民による応急給水活動を可能とする今般の給水拠点改造の実効性をより高めてまいります。
○吉倉委員 震災に備え、緊急隊による機動的な情報収集活動、あるいは復旧資材の管理運用、そして給水拠点の改造など、さまざまな震災対策に取り組んでいることがよくわかりました。
水道局がこれまでも、施設の耐震化や管路の耐震継ぎ手化などの施設整備に力を注いできていることはよく承知をしております。その上で、切迫する首都直下地震への対応が急務であり、さらに、大地震が起きた後の対応策にも力を入れなければならない、このように考えております。
こうした点を踏まえて、最後に、首都東京のライフラインを担う水道局長のご決意をお伺いし、質問を終わります。
○吉田水道局長 水道局では、震災対策を最重要課題の一つと位置づけ、水道施設の耐震化や導送水管の二重化などによるバックアップ機能の強化など、施設全般にわたります予防対策を積極的に推進しているところでございます。
また、お話のとおり、発災時における速やかな応急給水や応急復旧の実施も重要であり、給水拠点の改造や情報収集体制の整備、応急復旧用資器材の備蓄などの応急対策にも力を入れてまいりました。
東日本大震災から四年を経た今、改めて過去の震災から得られました貴重な教訓を生かし、平時からの備えに万全を期してまいります。
○松村委員 二〇一五年度は、東京水道経営プラン二〇一三、このプランの最終年度です。経営プランでは、この六〇ページに、計画期間三カ年で百億円の経費縮減と収入確保に取り組み、現行の料金水準を維持しますと、不断の経営努力というものをうたっております。その内訳として、職員定数は三年間で百五十人の削減、これによって約二十億円の経費節減をするとしていますが、包括外部監査でも指摘されているように、監理団体と一体的なものとして検証しなければならないという指摘は私も当然だと思いました。
そこで、先ほどご説明がありました要求資料、ありがとうございました、出していただきまして。この要求資料に、この間の、これは2ですけれども、監理団体二社の社員数の推移が載っています。経営プランの三カ年で比較したいと思いますので、この二〇一五年度−−これは二〇一四年までなので、二〇一五年、平成二十七年度の監理団体、東京水道サービス、TSSとPUCの社員数はそれぞれ何人か、お伺いします。
○黒沼総務部長 二〇一五年度、平成二十七年度の常勤社員数につきましては、東京水道サービス株式会社、TSSでございますが、一千二百八十六人、株式会社PUCが五百八十五人でございます。
○松村委員 そうしますと、経営プラン二〇一三の三カ年では、TSSは百四十四人の増員、PUCは七十人の増となって、合計二百十四人となります。一方、この三カ年で都の職員は百五十人減ということですけれども、監理団体全体では二百十四人増ということになりますけれども、そういうことですね。
○黒沼総務部長 ただいま委員から、都の職員の削減数を上回って監理団体の社員数がふえているというご指摘がございましたが、当局では、水道管路の耐震継ぎ手化を進めており、平成二十二年度からは、従来の取り組みに比べ計画を大幅に前倒しをしまして、取りかえ延長をほぼ倍増しております。これらの業務量の増加に伴いまして、TSSに対しては、管路の設計、工事監督業務の委託拡大を図ってきており、当該業務への対応を含め、TSSの社員数が増加したものでございます。
なお、平成十五年度から多摩地区の各市町への事務委託を順次解消しまして監理団体に委託をしてきておりますが、市町の職員を含めました平成十五年度の人員六千三百二十七人に比べまして、この間、業務量の大幅な増加がございましたが、平成二十五年度では、全体で五千五百六十五人と七百六十二人減少しておりまして、効率化は全体として図られてございます。
○松村委員 この三カ年で、先ほど都の職員は百五十人減に対して監理団体二社では二百十四人の増となっていることは確かな数字だと思います。それで、確かに耐震継ぎ手化は非常に重要な事業なので、それに伴う職員増といいますけれども、経過推移から見ると、その耐震継ぎ手化が始まる以前からもやはりTSSも含めて増員となってきておりますし、また、特にこの三カ年ではPUCでも七十人増となっていますから、ただその耐震継ぎ手化による監理団体の職員増という説明だけでは、私は必ずしもうなずけないというふうに思います。
包括外部監査でも、この五四ページのところに、水道事業として必要な全体としての業務量は短期的には変わらないはずであるから、水道局の人員減は監理団体の人員増を伴うものと考えられると。もちろん、今説明があった水道局が説明する水道管路の耐震継手化緊急十カ年事業のように、新たな事業の実施に必要な人員体制は、それは別途増加することになるということも、わざわざそれを踏まえながらの、私は、監査の指摘だというふうに思います。
そこで、これも要求資料で出していただきましたけれども、二〇一四年、平成二十六年度の監理団体、TSSで見ると、社員数に占める都派遣社員数が四十二人、都退職者数が二百六十六人となっています。このことからも、局の事業が監理団体に振りかわって行われているというふうに思われるというか、そういうことがいえるんではないかと、これも監査で指摘されているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○黒沼総務部長 局の事業が監理団体に振りかわっているというお話でございますが、東京都の監理団体の活用方針では、監理団体は、都政の現場の一翼を担うなど行政を支援、補完する役割を位置づけられておりまして、一層の活用を図っていくこととされております。
なお、この方針は、先般、総務局から公表されました都庁組織・人事改革ポリシーにも一層鮮明に書かれております。当局でも、本来直営で行うべき基幹的業務のうち、水道事業運営の根幹にかかわる業務は当局が実施をいたしまして、事業運営上重要な業務を監理団体に移転をすることにより、公共性と効率性を両立させた運営を行ってきております。
お話の派遣職員四十二人は、監理団体に移転した業務について責任を持って固有社員の指導、育成を行うために、団体からの要請も踏まえ派遣をしているものでございます。
また、都の退職者二百六十六人につきましては、豊富な知識及び技術を有しておりまして、技術継承の観点から、団体の判断を踏まえ活用しているものでございます。
○松村委員 もちろん職員数の増減だけで見ることはできないことは当然だというふうに思うんです。しかし、監理団体を活用するというからには、それなりの、都民にというか、水道利用者も含めて、わかりやすい必要性というんですか、やはり示されなければならないというふうに思うんです。
例えば、都の固有の水道局の職員が本当に技術者を含めて減って、だから監理団体の、いわゆるそこでの技術の継承とかいうけれども、あくまでもそれは民間団体だから、やはり水道局、そのコア事業というか最も重要な、そういう技術だとか技能だとか、それはそこでしっかりと継承されるべきだと、育てるべきだと、そういう点については、我が党だけじゃなくて、他の会派からもこれまで指摘されたと思うんです。
やはりそこら辺の検討というか、検証が必要じゃないかと。現場からも、そういう技術職員の危機的というか、そういう状況もあって、何か起きたら、本当に水道業務というのは、都民の命というか、かかわる事業だからということがあるから、私も、包括外部監査でそういう点を指摘していることを改めて重要に思った次第であります。
そこで、職員定数の削減、一方では、この監理団体の委託費が当然ふえていることもうかがえますけれども、監理団体への委託料の推移を伺いますが、この経営プラン二〇一三の期間中の委託料は三カ年で、まだ決算は出ていないわけですが、予算も含めてどのぐらい増になりますか。
○黒沼総務部長 監理団体への委託料についてでございますが、東京水道経営プラン二〇一三の計画期間の前年度に当たります平成二十四年度の決算額、これと最終年度に当たります平成二十七年度の予算額とを対比いたしますと、業務量の増加等に伴いまして、まず、TSSでございますが、百三十二億九千五百万円から百六十六億九千四百万円と、三十三億九千九百万円増加してございます。また、PUCにつきましては、百二億六千八百万円から百六億七千四百万円と、四億六百万円増加してございます。
○松村委員 今、お答えいただきましたけれども、TSSは、この三カ年で、予算も含めてですけれども、三十三億九千九百万円の委託料が増加していると。PUCは四億六百万円と。包括外部監査では、委託費用と監理団体の受託収益の推移と、この間の監理団体二社に内部留保された利益の状況を明らかにしています。それによれば、二〇一三年度、平成二十五年度の監理団体二社に内部留保された利益は、合計で五十七億八千七百万であることがわかるとしています。さらに監理団体二社の税金費用が、三年平均で二億八千九百万超になるとして、次のように指摘しています。
このような税金費用及び内部留保された利益の源泉は監理団体の営業収益であり、この営業収益は水道局が監理団体に対して支払う委託費用と表裏一体の関係にある。監理団体の営業収益は、その大部分が水道局の委託費用で構成されていることから、税金費用及び内部留保された利益の大部分は水道料金で賄われているといっても過言ではない。このような観点から監理団体に内部留保された利益を検討した場合、水道局の委託費用(これと表裏一体にある監理団体の受託収益)を削減する余地があるものと考えられると指摘されていますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
○黒沼総務部長 今回の包括外部監査では、ただいま委員が引用されたように、水道局の委託費用を削減する余地があるとしつつも、事業運営上必要な設備投資資金などを蓄える必要があることから、利益を生じることをもって直ちに悪いということではない、ただし、その必要性は合理的な根拠をもって説明することができなければならないと記載をされております。
また、外部監査人の意見そのものでございますが、委託料を削減すべきという記載ではございませんで、監理団体と一体的に事業報告、財務情報を説明責任として公表すべきであるとされております。こうしたことを踏まえまして、今後は一体的に情報が得られるように改善をしてまいります。
なお、内部留保の利益剰余金について言及がございましたが、監理団体、こちらの参考になります公益法人に関する法令を見ますと、公益法人につきましても、事業費一年分相当額までは、使途の定まっていない財産を保有することが認められております。監理団体、都総体につきましても、公益的な事業を行うという役割があることから、一定程度の内部留保を有することは、団体の健全運営に関して不可欠であるとされております。平成二十五年度決算におきましては、こうした公益団体の例等に照らしますと、監理団体二社の利益剰余金は、事業費一年分よりもはるかに少なく、多額であるとはいえず、こうした認識は、監査人も共有しております。
○松村委員 ちょっと今答弁がなかったんですけれども、委託料が、やはりこの業務量に従ってふえていると。だから監査人も、委託料を削減する余地があると考えられるという、そういう指摘があるもので、その委託料というのが、どういう積算というか根拠というか、先ほど、耐震継ぎ手化事業に伴う職員増でというんですけれども、なかなか、全く素人というか、都民というか、わからないから、もう少しわかりやすくお答えいただきたいというのが私の質問なので、何もそれによって、それが違法だとか、こうだというようなつもりは毛頭ないんですけど、もう少し都民にわかりやすく答えていただきたい。
○黒沼総務部長 包括外部監査の削減すべき余地があるという部分を踏まえまして、その積算等についてのご質問というふうに理解いたしますが、監理団体の委託料の積算に当たりましては、これはいうまでもございませんが、その業務内容に応じまして、国交省等が定めます公共工事設計労務単価あるいは設計業務委託等技術者単価、さらには厚生労働省が実施しております勤労統計調査、こういった客観的な根拠に基づきまして適切に行ってきており、これを予算に計上しているところでございます。今後とも、適切に委託費を算定してまいります。
○松村委員 監査人もいうように、可視化してほしい、するべきだと。また、だから、コアと準コアというのはまさに一体的なものとしているから、その一体的なものとして、やはり水道料金を払う利用者、都民、また私たち議会にも、そこら辺の資料というのですか、きちっと今後とも提供していただきたいということを求めておきたいと思います。
今のお答えで、国の基準等を準用し、それで積算されているというのは、どうもその一言だけではわからない、そのことも指摘しておきたいと思います。
この点で最後に、同じく監査人から指摘されている監理団体の交際費についてです。
監理団体二社の交際費合計三年平均一千百万円は、水道局の交際費の三年平均二万五千円に比べ非常に多額であると指摘されていますが、この指摘についてのお考えを伺います。
○黒沼総務部長 監理団体の交際費についてでございます。
特に、監査人から意見がございましたTSSに関して申し上げますと、直近の平成二十五年度における交際費支出の半分以上が、国際展開等を行っている関係から、海外関係の支出でございまして、海外からの来客を受け入れる際、歓迎会と送別会というものを行う、これが国際儀礼になっているというようなことも踏まえまして、支出をしていたものでございます。
その他の支出につきましても、監理団体は、当局からの受託事業のほかに自主事業を株式会社として展開をしております。そうした場合の営業活動に伴う経費、例えば、人材の、リクルートでございますが、学校等で採用を行う場合の経費等、株式会社として企業活動を行う上で一般的に必要な経費として社が判断をし、支出基準を定めて支出していたものでございます。
しかしながら、今後は、包括外部監査の意見を真摯に受けとめ、局としても、交際費だけではなく、全体の各種支出につきまして、その内容につきまして、適切に管理監督を行ってまいります。
○松村委員 いろいろ水道局も、そういう活動を今までもやってきているわけですよね。例えば、その交際費という面で見れば、二万五千円と、それ以外のいろんな範囲は、やはり支出に応じて出張費だとか出ると思うんですよね。それが実際、TSSによれば一千百万円だと。例えば、国際儀礼としての支出が多額にあるということなどは、やっぱり確かに、水ビジネスというか国際的な貢献ということを、全部が全部否定するものではありませんけれども、果たして、やはり都民の料金収入で、それが大前提である水道事業によって、だから東京都としてはそういう国際貢献だとかいろんな意義があるとしても、これ公営企業でやっているわけですから、事業主体が、都民の水道料金を原資とするもので、そういう多額の交際費がそういう名目で使われているならば、やはりそれが水道事業に、水道というか、水道利用者にどうメリットとして受益されるのかと。やっぱりそういう責任があってしかるべきではないかというような含みのある私は指摘だと思います。
いずれにしても、例えば、海外出張、それから国内出張、それから今いった留学生の、監査人が指摘している接待とか交流費用とか、やはりそれをきちっと明らかにというか、今後ともオープンにしていただき、今おっしゃったように、ただすべきものはただしていくと。都の監理団体ですから、厳格な水道局長、水道局のご指導も、今後ともお願いしておきたいと思います。これ以上踏み込みません。
次に、土地利用について伺います。
水道局が現在貸し付けなどで利活用している土地五百平米超は、何カ所あってどんな用途に使用されていますか。
○石井経理部長 五百平方メートルを超える土地で、現在貸し付けを行っているものは四十三カ所あり、主な使用用途は、オフィスビルや駐車場などでございます。
○松村委員 オフィスビルは、貸していても、賃貸借契約を結んでいればなかなか、戻ってきて、すぐそれをほかに活用できるというわけにいかないと思いますけれども、少なくとも駐車場に関しては、やはり二年から五年ぐらいの契約期間だと思うんです。それが終わった場合、もっとその土地の水道局の、水道局以外、事業用地以外の民間の駐車場だったら、それをやはり利活用するようなことも、ぜひ積極的にやっていただきたいということです。
それで、水道局は、水道事業以外での土地活用において、福祉施策などの行政利用に協力した事例はありますか。
○石井経理部長 当局が保有する土地は、局事業に活用することが前提ですが、各局等から要望があった場合には、局事業に支障のない範囲で適切に対応してきており、これまでも、都民住宅、高齢者デイサービスなどの建設用地として土地を貸し付けているほか、交番、防災倉庫の使用承認など、さまざまな用途に土地を提供しております。
○松村委員 今、お答えにもありましたが、水道局は、福祉インフラ整備のための土地活用検討チームでの検討や活用可能な土地の情報提供を行っているのか、伺います。
○石井経理部長 当局は、福祉インフラ整備のための土地活用検討チームにオブザーバーとして参加しておりまして、庁内情報共有に努めております。また、この検討の趣旨を踏まえ、活用可能な土地の情報提供を行っております。
○松村委員 我が党はこれまでも、水道局、公営企業局においても、活用できる土地は積極的に福祉インフラに活用することを主張してきましたが、水道局が情報提供した土地の現段階での、どの程度提供できたかとか、その進捗を、どういうふうになっているか伺います。
○石井経理部長 当局は、福祉インフラ整備に関する土地活用チームでの検討状況を踏まえ、十四件、約一万七千四百平方メートルの土地について財務局に情報提供をしております。情報提供した後、その土地が活用可能であるかどうかにつきましては、関係局や地元自治体が判断するものと考えております。なお、現段階では具体的な要望等は出ておりません。
○松村委員 今、十四件、一万七千四百平米という水道局の所管している土地を情報提供しているということでありますので、今後ともさらに活用可能な、先ほどいった駐車場の貸し付けが終わった段階とか、事業が、水道局で終了したというようなことで、事業用地として活用されない、する予定がないというところも、今後とも、今の十四件、一万七千四百平米以上に活用できるような、手が挙がるような協力をしていただきたいと強く要望して終わります。
○新井委員 私からは、水質管理について質問させていただきたいと思います。
ことしの二月に、東京都の水源の利根川水系の上流域でカビ臭が発生し、群馬県藤岡市の多くの住民が苦情を訴えた新聞記事がございました。また、一昨年十一月にも、利根川の支流にカビ臭が流入し、茨城県古河市の水道水で基準を超過して、水道料金の二五%を減額に至る、そういった大きなカビ臭の事故が発生したと記憶しております。
都ではこういった状況には陥っておりませんが、このような水質の問題について、本日は質疑をさせていただきたいと思います。
まず、新聞記事のカビ臭とはどういったものなのか、お伺いをいたします。
○田村浄水部長 水道水のカビ臭は、貯水池や河川において藍藻類と呼ばれる植物プランクトンが発生させたにおいを、浄水処理で除去できずに残ったものでございます。その原因物質としては、2メチルイソボルネオール及びジェオスミンがあり、水道法によって水質基準値以下にすることが定められております。基準値は、ほとんどの人が不快に感じない濃度として、いずれも水一リットル中に一億分の一グラム以下となっております。
○新井委員 古河市でのこのカビ臭の原因は、ため池の水を上流に排出したことだと、一部で報道されていました。また、藤岡市につきましては、藻類から発生する2メチルイソボルネオール、略して2MIBともいわれるものですが、それと、ジェオスミンという物質がカビ臭の原因ということです。
注目するのは、藤岡市で発生しましたこの異臭は、冬場の十二月に発生したということです。通常ならば、異臭というのは、夏場に発生すると考えられるんですが、聞くところによりますと、原因となる藻ですが、最近では、一年を通じて藻が発生するので、冬場でもカビ臭は発生するということでした。
カビ臭の原因となるものは理解いたしました。水道水にカビ臭がつけば、味を損ない、また、記事にもあるように、多くの住民の苦情につながります。
そこで、カビ臭に対して都はどのように対応しているのか、お伺いをいたします。
○田村浄水部長 水道局では、おいしさに関する水質目標を独自に定めており、カビ臭原因物質については、国で定める水道水質基準よりもさらに厳しく、検出されないことを目標として設定しております。
この目標を達成するため、浄水場で原水のカビ臭物質を常時監視しており、原水の状況に応じて、高度浄水処理のオゾン注入率を変えるなど、浄水処理の強化により対応しております。こうした取り組みによって、おいしさに関する水質目標を設定した平成十六年度以降、カビ臭原因物質については、目標を一〇〇%達成しており、高い水準の水道水を供給しております。
○新井委員 浄水場において高度浄水処理を行うことで、水道水には影響がないよう現状問題なく対応できているということです。
ちなみに、平成四年、金町浄水場で処理全体の二五%をこの高度浄水処理を導入した時点で、それまではカビ臭の苦情があったんですが、ゼロになったということです。いかにこの高度処理というのが、カビ臭に有効かということがわかると思います。
また、その高度処理を入れていないところもございます。現在、小作や東村山の一部、長沢には、高度処理が入っておりません。しかし、常に検査をしておりまして、必要に応じて活性炭素を使って対応しているということです。また、水道水、原水における問題につきましては、カビ臭のような、自然発災由来のものだけでなく、油の流入による水質事故など、さまざまなことがあります。水道水の安全確保のためには、こういったさまざまな状況を把握して備えなければならないと思います。
水源におけます水質状況についてどのように把握しているのか、お伺いいたします。
○田村浄水部長 水道局では、貯水池や河川で定期的に水質調査を行い、水中に含まれる化学物質や金属などの水源水質の状況を把握しております。また、化学物質を排出している工場の所在地や物質の種類などの情報を、国等の関係機関から収集し、水質事故の未然防止や事故発生時の原因特定など、リスク管理を行っております。こうした取り組みに加え、各浄水場では、水道の原水を取水する際に、有機物や臭気などを常時測定し、水源水質の監視を徹底しております。
○新井委員 さまざまな水質異常や水質事故は、場所を問わず上流から下流まで発生いたします。また、春夏秋冬いつ起こっても不思議ではございません。このように時期を問わず、また広い流域にわたる水質に関する問題を解決するには、都単独で対応するには限界があるのではないでしょうか。
水源の水質異常に対応するためには、水道事業者が連携すべきではないかと考えますが、水道事業者、事業体の連携についてお伺いいたします。
○田村浄水部長 水源における水質異常に対応するとともに、水源水質を保全するため、当局が事務局となって、水道事業体四十三団体から成る利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会を組織しております。本協議会に参加している水道事業者が協力して水源水質を監視することによって、カビ臭を含めた水質の状況を幅広く把握しております。
また、水質異常時には、共同で調査を行うとともに、原因となった物質や発生場所などについて情報連絡するなど、各水道事業者が連携し、迅速で的確な対応を図っております。
○新井委員 水質異常時には、エリアを分けて共同で調査すると聞きました。このように流域の水道事業体が連携して対応することは非常に重要な取り組みです。こうした水道事業体の連携を生かすとともに、都としても、水源水質の問題に積極的な対応が必要でございます。
そこで、水質管理を万全とするため、都としてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
○田村浄水部長 水道局では、水質管理の総合的なマニュアルであるTOKYO高度品質プログラムを作成しております。本プログラムは、水源の水質事故など、想定されるあらゆる危害への的確な対応策、浄水場におけるきめ細やかな品質管理、水質検査の高いレベルでの精度保証の三つを柱として、水源から蛇口まで徹底した水質管理を行うものでございます。プログラムの運用に当たっては、水質基準の改定など、状況の変化に応じて見直しを行い、適宜、水質管理のレベルアップを図っております。
今後もこうした取り組みにより、どのような水質状況の変動に対しても万全な対応を図り、お客様に安全でおいしい水を届けてまいります。
○新井委員 TOKYO高度品質プログラムとして、浄水の水質管理で品質マネジメントシステムISO9001、水質センター等で国際的な試験所認定制度、ISO・IEC17025を取得しております。
ちなみに、ISO9001では、事業所全体の品質システムが認証登録されていますが、製品の品質そのものを保証するものではございません。水質センターでいえば、試験所全体の品質システムを認証しますが、試験報告書など、分析試験結果の品質を保証するものではございません。これに対してISO・IEC17025は、分析試験結果の品質を保証するものだと聞いております。
これら国際標準の認定に加えて、水質事故の対応として水安全計画を策定しています。この水安全計画というのは、全国の九割以上の水道事業体で、いまだに策定されてないと聞きます。そのことからも、いかに東京都の水質管理の質が高いかということがわかるかと思います。
私も民間で会社に勤めていたころ、品質マネジメント体制を構築しまして、国際基準でありますISO9001を取得しましたが、内部監査や本審査など本当にすごく大変でした。一つの認定制度を維持管理するのも、これはすごく大変なんですね。そういった大変だと思われる品質プログラムを三位一体で実施しているのは、日々質の確保に、現場の方々が大変苦労されていると思います。関係者の方々のご尽力に心から敬意を表します。
引き続き都民の生活や健康を守るため、水質の管理を万全なものとし、高い水準の水道水を供給していただくことを要望し、質問を終わりにします。
○塩村委員 私の方からは、二十五分ほどお時間を頂戴しまして、主に、インフラとかハードの面ではなく、ソフトの面で質問させていただきます。
東京水道施設整備マスタープランには、安定給水の確保、震災対策等の推進、安全でおいしい水の供給の三つの主要施策の方向性について示してあります。これまで東京水道局は、全国に先駆け、水源から蛇口に至るまで総合的な施策を展開してきたことと思います。その結果としまして、飲み水に満足をしているお客様の割合は増加をしています。
これまで決算特別委員会等におきまして、東京の飲み水のおいしさについて質問をしてきましたが、本日は、まず、飲み比べについてお伺いをいたします。
多くのお客様に水道事業への理解を深めるために、実際に東京の水道水での飲み比べは効果的だと思います。結果をホームページで拝見したり、これまでの質疑の中での答弁では、ややミネラルウオーターの結果がいいようですが、ほぼ結果は拮抗しており、東京の水道水は、おいしいということがわかります。
しかし、条件が違っていては結果も異なってきます。水道水とミネラルウオーターということですが、ミネラルウオーターの銘柄が毎回違ってしまえば結果に差が出てきてしまいますし、日本人の口に合う飲みなれた軟水ではなく硬水のミネラルウオーターを使ってしまえば、これはまた癖がある分、結果が違ってきます。日本人が飲みなれたミネラルウオーターを使用することも大事ですし、おいしさには、同じ温度で飲み比べなくては、結果に大きく差が出てしまうことは明らかです。
ホームページを拝見しますと、水温は十度から十五度で温度管理とあります。この五度の差はかなり大きいと感じております。一方が十度で一方が十五度であれば、きゅっと冷えた十度の方がおいしく感じるのは間違いありません。この五度の差も含めて、どのように飲み比べを実施しているのか、お伺いいたします。
○宇井サービス企画担当部長 飲み比べについてでございますが、まず飲み比べに使います水道水は、飲み比べ会場近くの浄水場や営業所などで、それぞれ当日の朝に採水したものを使用しております。またミネラルウオーターは、市販されている国内メーカーの軟水の製品を会場ごとに調達しておりまして、その種類は約十種類になります。飲み比べに当たりましては、同じ条件での比較となりますように、両方の水を同じ温度に冷やして行っているところでございます。
○塩村委員 ありがとうございます。同じ条件で公正に実施をされているということがわかりました。ただ、十度か十五度という結構大きな幅を持たせているところはなぜなんだろうなというふうには思います。
また、ミネラルウオーターも同じ国内の硬度の近い軟水、これは一般のお客様の購入頻度が高い銘柄なんですけれども、その中でも、ミネラルウオーターの飲み比べでは結構評価に差が出ているんですね。ですから、ミネラルウオーターの飲み比べ比較等も参考にして、平均的評価のあるミネラルウオーターを選んだり、購入頻度の高い数種類を毎回ブレンドするなどすれば、より飲み比べの結果の精度が上がるのではないかというふうに思っています。ただこれは私の勝手な意見ですので、聞いておいていただければという程度でございます。
次ですが、飲み比べの実施結果についてお伺いをいたします。
ホームページには、飲み比べの結果が掲載されており、さきにも述べたとおり、結果は、ほぼ拮抗していることがわかります。しかし、ホームページでは、結果が強調されており、モニターの方々の個別の意見が余りわかりません。飲み比べを実施し、多かった意見や、さらには、物事を実施したときに大切なことは、改善点や課題を拾い、次に生かすことです。予算をとって実施をしているものですから、これはなおさらだというふうに思います。
飲み比べの実施結果と、そこから得た課題や改善点、気づきをお伺いいたします。
○宇井サービス企画担当部長 平成二十六年四月から十一月に実施した飲み比べの参加者約五万一千人のうち約半数の方から、水道水は、ミネラルウオーターと遜色ないおいしさだという評価をいただいております。
しかし、飲み比べに参加した方の中には、どちらがおいしいかといったことだけに注意が向いてしまう場合もあり、このため、飲み比べ本来の目的であります水道水の安全性や品質を体験していただき理解していただくための説明を充実していくよう取り組んでいるところでございます。
○塩村委員 ありがとうございます。確かに、飲み比べというゲーム性はおもしろくて、その企画や方向性は大いに評価できるのではないかなというふうに思います。
水道水に興味のない層やファミリー、友達同士など、たまたまそこを通りかかった人たちに、東京の水道水に興味を持ってもらうというきっかけにもなります。しかし、ご答弁でもわかるとおり、クイズというか、どちらかを当てるというところで思考がとまってしまっては残念ですので、今後とも、先ほどご答弁あった取り組みをよろしくお願いいたします。
ご答弁、今までお聞きしていますと、水道水の品質は、ミネラルウオーターと遜色ないというふうに、これがわかりました。これは間違いなくすばらしいといえます。しかし、多分まだまだ水道水よりもミネラルウオーターの方が絶対においしいと、味の差は格段に違うと思い込んでいる層はかなりいるはずですので、そういった方々に気づいてもらう大きなきっかけになる事業を続けていただきたいと思います。
また、水道局が昨年六月から進めているタップウォータープロジェクトでも取り組んでいるように、より安全でおいしくなった水道水は、環境や家計にも優しいことなど、水道水のよさを多くの方に実感していただけるようPR強化をよろしくお願いいたします。
次です。安全でおいしい水のPR事業としては、飲み比べキャンペーンのほかに、小学生や子育て世代を対象にしました水道キャラバンがあります。これは東京のおいしい水道水を子供たちにPRをすることで、水道水の安全性を認識してもらい、水道回帰を狙うものです。
水道キャラバンは、水道水の安全性やおいしさを学ぶいい機会であると思いますが、事業概要等を拝見したんですが、まだ二十五年度までの実績しか把握することはできませんでした。
来年度も継続をするということで、確認の意味でも、平成二十六年度の実績をお伺いしたく思います。
○宇井サービス企画担当部長 平成二十六年度の実績は、小学校四年生を主な対象としております学校キャラバンでは千二百五十六校で実施いたしまして、約九万人が参加しております。子育て世代を主な対象とした地域キャラバンは、百八十五回実施しており、参加者は約九千四百人でございます。
○塩村委員 ありがとうございます。地域における水道キャラバンは、二十五年度よりも百二十回以上もふえていることがわかりました。親子における地域のキャラバンですが、大幅に回数をふやす理由と目的と効果をお伺いいたします。
また、小さなお子さんと参加をされるということです。小さなお子さんがむずがったり、飽きてしまったりして大泣きをしては、お母さんも気が気ではありませんし、親子で参加をするという意味合いが薄くなってしまいます。
そこで、何か工夫をしているのではないかと推察しますが、どのような工夫がされているのかをお伺いいたします。
○宇井サービス企画担当部長 地域キャラバンにつきましては、水道に関心の高い子育て世代の方により多く参加いただき、水道に対する理解を深めていただくことを目的として実施しているものでございます。
平成二十六年度は、児童館などからの要望もありまして、約八十五回と、目標回数を上回って実施しており、好評を得ていると認識しております。実施に当たりましては、途中で、親子で一緒に行う体操を取り入れるなど、小さなお子さんが飽きることのないよう工夫しております。また、キャラバンの内容のポイントや給水拠点などの重要な情報を後でも確認できるように、パンフレットにして配布し、理解を深めていただいているところでございます。
○塩村委員 ありがとうございます。お子さんのいる層に、震災時に役立つ水のくみ置き方法や、近くの給水拠点を掲載したパンフレット等を配布することは、子供を守るということを考えると大事です。
しかし、お子さんがいるからこそ日々の仕事に忙殺をされて、こういったいざというときに役立つ催しに参加ができないのは残念ですので、お子さん連れで安心して参加ができる取り組みは大いに評価ができるというふうに思いますので、このように、必要な方々に情報が届く工夫を忘れることなく、今後も取り組んでいただきたいというふうに思います。
次です。地域における水道キャラバンは、まだ三年の開催ですが、学校における水道キャラバンは、平成十八年度より、毎年予算を確保し、継続をして開催されています。
実施に当たりまして、効果を確認しながら進めているのか、また、事業の評価が客観的にされたものがあるのか、お伺いをいたします。
○宇井サービス企画担当部長 学校キャラバン実施後のアンケートでは、先生方から、来年度の実施を希望するといった回答を多くいただいております。前年度から引き続き実施する学校の割合は約九九%になります。このように学校キャラバン実施の効果は高いものと認識しております。
なお、財務局によります都施策の事業評価においても、効果的であるとの評価を受けているところでございます。
○塩村委員 ありがとうございます。小学生のときから、水道の水が安心でおいしいというふうに認識を持ってもらったり、水道文化や水道水に対する理解や関心を高めることは重要であるというふうに思います。
私が小学生のころは、まだ水道水に独特のにおいがあったり、保護者により、冷水器等が要望されているような時代でした。そうした子供時代の体験や記憶がしみついたままになっていたりも、実は、私自身もしておりますので、ぜひ多くの都民に、東京の水道水を飲んでいただくために、今後もさまざまな取り組みにより、積極的に東京の水道水についてPRをしていただきたいというふうに思います。
次に、海外向けのPRについてお伺いをいたします。
これまでの決算特別委員会等の質疑でも、東京の水道水の魅力を、二〇二〇年に向けて、海外への発信がまだまだできるというふうに感じておりましたので、さまざまな質問と提案を行ってきました。例えば、水道水は、まだまだそのまま飲めないという国も多く、そのまま飲める国の方が少ないというデータも、少し前のものになりますが、あります。
フィンランドの友人宅に行ったときに、ミネラルウオーターを買っていこうとしたところ、うちには蛇口があるから買うなと、ミネラルウオーターと変わらないと、水道水のことを、ご夫妻ともにいっており、それはびっくりしました。そういう認識を、普通にそこで暮らしている方々が持っているんですね。
外務省のホームページにも、水道水は安全に飲むことができ、ペットボトルの水より水質がよいという調査結果が出ていますとはっきりと明記が、これフィンランドなんですが、してあります。これはその国のイメージアップに、確実になるのではないかというふうに思います。少なくとも、私は、その国の信頼度や成熟度を感じ、いい印象を持ちました。
東京も、先ほどの質問と答弁にあったように、ミネラルウオーターと遜色ないという結果を生かしていただきたいなというふうに思っています。こうしたPRは水質の結果を売り込むだけであり、多大な広告宣伝費を代理店等に支払うこともなく、費用対効果は抜群です。各国の日本の情報のホームページに掲載をしてもらったり、外国人向けのガイドブックには必ず飲み水についての記載がありますから、東京の水道水のすばらしさを掲載してもらう努力をする、ツイッター等のSNSで拡散するなど、できることを提案してきました。
これまでのご答弁では、外国人向けの飲み比べの実施や、局ホームページ、PR館、リーフレットの英語表記などの取り組みを実施しているとの答弁がありましたが、その後、世界に誇れる東京の水道水の魅力の海外への発信の進捗をお伺いいたします。
○宇井サービス企画担当部長 外国の方に対しましても当局の取り組みをPRするために、当局のツイッターやフェイスブックにおいて、英文での投稿を適宜行っております。
また、日本を訪れた外国の方に、東京の水道水を理解していただくために、世界で広く利用されている旅行者用投稿サイトや海外で販売されている日本のガイドブックなどに、当局のPR施設が載るように登録申請などを行っているところでございます。
○塩村委員 ありがとうございます。さまざまな努力をしていただいていることがわかりました。PR館をガイドブックに掲載する申請など、要望を受けとめ、実行していただけたことは本当にすばらしいと思います。ありがとうございます。
また、さきにお伝えをしました信頼のおけるサイト等にミネラルウオーター等と遜色ないという提案も受けとめていただきまして、どうか引き続き取り組んでいただきますよう要望をいたします。
次です。今のご答弁でわかるように、これまで海外へのPRの要望をしてきたことに誠実に取り組んでいただいております。
そこで平成二十七年度、つまり来年度の海外向けPRのさらなる取り組みをお伺いいたします。
○宇井サービス企画担当部長 ツイッター、フェイスブックは、外国の方へのPRツールとしても有効であるということから、引き続き英文による投稿を行ってまいります。
また、当局のホームページ、英語版ホームページについては、外国の方がより利用しやすくなるよう、今後、リニューアルする予定でございます。
このほか、今年度実施いたしました外国人向け飲み比べにつきましても、どのような時期、場所で実施するのが効果的か、検討を行っているところでございます。今後とも、効果的な方法により、海外に向けたPRに取り組んでまいります。
○塩村委員 ありがとうございます。済みません、今ちょっと私聞き漏らしてしまったのですけれども、三つ目、英語版のホームページについても答弁ありましたかね。−−ありましたね。ごめんなさい、ありがとうございます。飲み比べの拡大、そして効果的に行うことも要望しておりましたので、今、ご答弁をいただきました経過は本当に感謝しております。評価したいというふうに思います。
英語版の水道局のホームページもリニューアルをするということが、今のご答弁でわかりました。飲み比べやSNSで日本の水道水に興味を持たれた外国人の方が、それ以上の情報を知ろうとしたときに、英語のホームページが重要になってきます。見やすく、そして、アクセスしやすくなるということは、東京の水道水のすばらしさを効果的に世界中に広めることができます。水道水で日本のイメージアップに大きく貢献することにもなりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、水道メーターについてお伺いをいたします。
現在、東京都の水道メーターの取りかえや再利用、再利用できないものの取り扱いはどうなっているのか、お伺いをいたします。
○青木給水部長 水道メーターは、計量法に基づき有効期限が八年と定められており、八年ごとに交換してございます。
有効期限が切れた水道メーターは、再使用が可能なものと不可能なものに選別いたしまして、再使用が可能なものは、外側の金属ケースのみを最大二十四年間使用し、再使用できない水道メーターは、金属回収業者に有価物として売却してございます。
○塩村委員 ありがとうございます。再利用できないものに関しては売却をしているということですが、その金額をお伺いしたいというふうに思います。今は一律で金属回収業者に売却をしていますが、そのほかの活用法を検討したりする考えがあるのかも、あわせてお伺いさせてください。
○青木給水部長 平成二十五年度において、再使用できずに有価物として売却した水道メーターは約七十三万個、売却金額は約六億三千万でございます。再使用できない水道メーターについては、常に経済性の発揮が求められる地方公営企業の本旨を踏まえ、競争入札により売却してございます。
これまでも、再使用できない水道メーターの取り扱いに関しては、他都市の取り組みを初め、さまざまな情報収集を行ってきており、今後とも、他の活用方法の導入の可否も含めまして、公営企業としての経済、合理性を十分踏まえつつ適切に対応してまいります。
○塩村委員 ありがとうございます。なぜ私が水道メーターのことを伺ったのかといいますと、水道局が社会貢献できる可能性を秘めているからです。神奈川県や川崎市、伊勢市、岡山市、新潟、さいたまなど使用不能となった水道メーターを社会貢献の一環として、先ほどおっしゃっていました金属とそれ以外の部分に分解、分別する作業を福祉事業所に委託する、水道メーター分解作業等業務委託事業をスタートさせています。
川崎市によりますと、毎年不要になる水道メーターを福祉施設に委託をして分解をすることで、金属部分の売却収入が大幅にアップをして、福祉施設の仕事もふえる一石二鳥になったとのことです。この取り組みは、現場職員が発案したとのこと、水道局は、現場からのアイデアを採用し、具現化したというふうに思っております。この事業は、現場職員が提案をする業務改善運動として最優秀に輝いたこともあるそうで、全国発表もした発案者は、新潟やさいたまが取り組んでいると聞き取り組みましたと。川崎なりに、道具を少しでも使いやすいように改良もしたと、コメントを出しています。つまり、既にある程度効率的にできるノウハウもあるというふうに思います。
また、メーターのふたや、目盛り板などと周囲の金属を分解しないままに売却をすると一千四百九十六万円でした。これに対して、分解後に金属のみを売却すると一千八百七十万円になりました。ここから運搬費や不要部分の廃棄物処理費を入れた分解委託費用、これ三百二十三万円なんだそうですが、差し引いても、従来より市の収入が五十一万円もアップしたとのことです。川崎だけではなくほかの自治体の取り組みを見ても、分解をして売却する方が収入のアップにもつながっており、この三月に事業として初の締めを迎える神奈川県にもお話を伺いましたが、まだ現在集計中なんだそうですが、同じく必要経費を差し引いても、分解をして売却をした方が収入の増加になりそうだとのことでした。
さらに、収入面のアップだけではなく、この取り組みなんですが、障害をお持ちの方や福祉施設にも大変好評です。仕事の多くは、シール張りなど細かい作業が多い中、解体するという作業はメンバーに好評、これは障害をお持ちになられた方なんですけれども、好評とのことで、何と、一般就労にまでつながっている事業となっています。
障害をお持ちの方を一般就労につなげることは、本当に本当に社会的に意義の大きいことです。東京は七十三万個もメーターが売却されるということですから、数が多いですので、その一部でも委託をすることもできると思いますし、まずは、こうした事例を、幾つ全国で展開しているのかを把握するところからスタートしてもいいんじゃないかなというふうに思います。
知事も、世界一の福祉都市東京を目指すと明言しています。水道局も都政の最重要課題である福祉先進都市に向けた取り組みとしまして、こうした社会貢献に東京都の一員として、ぜひ取り組んでいただきたいと強く要望しまして質問を終わります。
ありがとうございました。
○大場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大場委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時四十三分休憩
午後三時四分開議
○大場委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより下水道局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第二十七号議案、第百十六号議案及び第百十七号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小山総務部長 さきの委員会でご要求のございました資料四項目につきましてご説明申し上げます。
お手元の公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。監理団体及び報告団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
当局が所管いたします監理団体及び報告団体における職員数、そのうち都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
二ページをお開き願います。監理団体及び報告団体の職員数の推移でございます。
当局が所管いたします監理団体及び報告団体におけます平成二十六年度までの過去五年間の職員数の推移をお示ししてございます。
三ページをお開き願います。工事請負契約の実績がある民間企業への下水道局退職者の就職者数でございます。
表にございます各年度までの二年以内に、下水道局と工事請負契約の実績がある民間企業へ就職いたしました局退職者数を、過去三年分お示ししてございます。
四ページをお開き願います。定数、職員数の推移でございます。
平成二十五年度までの過去五年分の下水道局職員の定数及び職員数の推移をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大場委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○崎山委員 自民党の崎山でございます。私からは、まず、三河島、重要文化財を活用した下水道事業の広報について、そして、そのPRについて、何点か質問をさせていただきたいというふうに思っています。
地下で沈黙を守っている、昭和十一年に東京市で刊行した東京市土木読本の中で、下水道についてこういう記載がありました。江戸期から明治、大正、昭和へと東京に爆発的に人口が集中して都市化をしました。し尿は、その発生を防止することも、制限することもできないということも記載をされておりました。
当時の関係者が、見えないインフラ整備のための予算獲得や料金徴収に腐心したことがうかがえます。そして、私の地元である荒川区の三河島水再生センターは、大正十一年に三河島汚水処分場として運転を開始した日本で最初の近代的な下水処理施設であります。
敷地内には、赤れんがのポンプ室など、建設当初の遺構である旧三河島汚水処分場喞筒場施設が残っており、平成十九年に下水道分野の遺構では初めて国の重要文化財に指定され、復元、保存工事の後、平成二十五年四月には一般公開が開始をされました。歴史的価値の高い施設であり、貴重な観光資源として、下水道事業のPRに積極的に活用していくべきだと思いますが、まず、一般公開後からの来場者数の状況についてお伺いをいたします。
○小山総務部長 平成二十五年度の来場者数でございますけれども、約五千人でございました。平成二十六年度につきましては、本年二月末現在で七千人を超えまして、平成二十五年度の同時期と比較いたしまして、約四〇%増となっているところでございます。
○崎山委員 来場者数は順調にふえているということであり、安心をいたしました。さらに工夫して、多くの来場者を得られるようPRをしていくことが必要だと思います。来場者が増加すると、さまざまな感想が皆様に寄せられていると思いますけれども、来場者からはどのような感想が寄せられているのか、次にお伺いしたいというふうに思っています。
○小山総務部長 三河島の重要文化財には、歴史的建築物に興味をお持ちの方や、れんがづくりの美しい景観に興味を引かれた方など、さまざまな方が来場していただいております。
見学後の感想でございますけれども、れんがづくりの美しい建物の地下に大正時代から使われていました下水道施設が今でも残されているという意外性に驚き、また、大正時代の技術力の高さに感銘を受けたと述べられる方が多くいらっしゃいました。
○崎山委員 ぜひ、一般の来場者も含めて、子供たちの社会科見学、総合学習の時間等で見学できるような環境もつくっていただきたいと思いますし、やはり、都市化に伴って公衆衛生上必要な施設だということも含めて、しっかりとPRをしていっていただきたいというふうに思っております。
歴史的、文化的価値を有しているこの施設を広く周知していくことが、本当に今まさに必要であると思いますが、ところで最近では、マンホールサミットなどのイベントが開催されるなど、マンホールのふたについて幅広い層から関心が集まっていると聞いています。
先日もテレビで放映をされておりまして、ちょこっと私も見させてもらいました。マンホールのふたは身近なところにもあり、設置年代によっては当時の町名が入っているなど、歴史性もあり、デザインもさまざまであります。マンホールのふたは、四角ではなくて、なぜ丸いのか。マニアの間ではニッチな話題でありますけれども、これはマイクロソフトの入社試験にも出題をされたそうでありますが、小山総務部長、質問通告しておりませんけど、わかればお答えもあわせていただきたいと思いますが、重要文化財と組み合わせて、新旧さまざまなマンホールのふたを活用して、歴史的資料の展示の場として、三河島の価値をさらに高めていっていただきたいと思いますが、ご見解をお伺いをいたします。
○小山総務部長 まず、マンホールのふたはなぜ丸いかということについてでございますけれども、マンホールのふた、丸くつくってございますと、外れて中に落ちないという、そういうことで、四角の場合には落ちてしまう場合がございますので、そのようなことから、丸いマンホールのふたになっているということで聞き及んでございます。(「正解」と呼ぶ者あり、笑声)
続きまして、マンホールのふたなどを活用して三河島の価値を高めてはというお尋ねでございますけれども、近年、マンホールのグッズが販売されたり、また、今月には、委員お話しのように、第二回目のマンホールサミットが開催されるということで、マンホールのふたへの関心が高まっているというふうに認識してございます。
マンホールのような、日常的に目にする素材から下水道を身近に感じて、下水道について知っていただくという取り組みが重要であるというふうに考えてございます。
委員からお話のございましたように、三河島の重要文化財の価値とあわせて、新旧さまざまなマンホールふたの展示を行うことによりまして、相乗効果も期待できますことから、下水道に興味、関心を持っていただけるような取り組みを検討していきたいというふうに考えてございます。
○崎山委員 最近は、マンホールを探して楽しんでいる、まち歩きをしている、マンホール女子という言葉もはやっているようですから、どうぞいろんな意味でPRをしていただきたいというふうに思っています。
さて、重要文化財のほかに、三河島水再生センター内には約三百本の桜があり、毎年春にはセンターを開放してお花見のイベントが開催されて、昨年も多くの人々が訪れ、にぎわっていました。かつては、迷惑施設といわれていた処理場ですが、下水道局では、地域に愛され、親しみを持っていただけるよう、処理場から水再生センターに名称を変更して十年が経過をいたしました。さらに、三河島水再生センターの上部覆蓋施設には、新東京百景にも選ばれている荒川自然公園が整備されており、地域の人々に親しまれています。
一方で、この地域に隣接して木密地域不燃化十年プロジェクトが進められており、先月二月二十四日には、特定整備路線に指定された補助九〇号線の事業認可を得ることができました。荒川区では、この拡幅に合わせて、緑地帯の設置など、周辺環境の整備を行うと聞いております。沿道には、中央図書館を含む複合施設の建設も着工され、地域の期待も大きくなってきています。
これにより、将来は、補助九〇号線、いわゆるサンパール通りから都電荒川線と三河島水再生センターの双方がよく見えるようになり、重要文化財のれんがの建築物と周囲に整備された緑地帯などが相まって、地域の憩いの空間が創出されるものと考えます。
そこで、この機会に、荒川区などとも連携を強化し、三河島の重要文化財、桜、上部公園とあわせて水再生センターが地域にさらに親しまれるような取り組みを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○小山総務部長 これまでも荒川区で唯一の重要文化財を有する三河島水再生センターを多くの皆様に知っていただくために、重要文化財の一般公開や桜観賞会などを行ってきたところでございます。より地域に親しまれる水再生センターといたしますためには、三河島の特徴を生かし、地元荒川区などと連携した取り組みが今後ますます重要になってまいります。
このため、具体的には、荒川区が行っている観光ボランティアガイドの案内コースに三河島水再生センターや旧三河島汚水処分場喞筒場施設を取り入れていただくなど、連携した取り組みを進めてまいります。
また、本年四月からは、ロケーションボックスに登録を開始いたしまして、テレビや映画などのロケ地として活用されることを通じて、知名度を高めてまいりたいと考えてございます。
引き続き、より親しまれるような施設整備や施設運営に努めてまいります。今後とも、ふだん目に触れる機会が少なく、意識されにくい下水道の役割や仕組みを多くの方々にお知らせするとともに、地域に親しまれる水再生センターを目指して積極的に取り組んでまいります。
○崎山委員 今後も、我が国初の下水道施設である重要文化財を有した三河島水再生センターを活用した下水道事業のPR並びに地域に親しまれる施設整備や、施設運営に力を入れていただきたいというふうに思っております。
さて、次に、下水道事業における安全・安心の取り組みについて質問をいたします。
私たち都議会自民党は、世界一の都市東京を実現するため、さまざまな政策を進めることを提案してまいりました。その中でも、都民の生命や財産を守る観点から、安全・安心のまちづくりは非常に重要な施策であると考えています。下水道事業についても、安全・安心のまちづくりに向けた取り組みが重要であり、ここでは、近年頻発していますゲリラ豪雨などに対する浸水対策と、近い将来に発生が懸念をされています首都直下地震に対する震災対策について伺います。
まず初めに、浸水対策についてであります。
近年、夏場に猛烈な豪雨が頻発する中、下水道局は、平成二十五年の夏、猛烈な豪雨が頻発し、合わせて八百棟もの甚大な浸水被害が発生したことから、二十五年十二月に豪雨対策下水道緊急プランを策定し、雨水整備水準のレベルアップを含めた対策に乗り出しています。このプランに対策地区として示された七十五ミリ対策地区や五十ミリ拡充対策地区では、対策として大規模な下水道施設を整備することとしていますが、この施設の規模が大きいことから考えると、対策の実施には、長い期間と多額の経費を要すると容易にうかがえます。しかし、都民の気持ちを考えると、対策をできるだけ早く進めるべきであるというふうに考えます。
このプランを策定して一年以上が過ぎたことでもあり、その対策の内容がより具体化した地区もあるのではないかと思いますが、七十五ミリ対策地区及び五十ミリ拡充対策地区の取り組みの状況についてお伺いをいたします。
○坂根計画調整部長 豪雨対策下水道緊急プランにおきましては、雨水整備水準のレベルアップを含めた対策地区といたしまして、七十五ミリ対策地区四地区、五十ミリ拡充対策地区六地区を定めております。
現在、これら全ての地区におきまして、調査設計を実施し、それぞれ対策内容の具体的な検討を進めております。例えば、七十五ミリ対策地区のうち、文京区千石、豊島区南大塚地区では、既設の千川幹線を増強する新たな幹線を整備することとし、来年度には、実施設計による新たな幹線の整備ルートの検討を進め、早期の工事着手を目指しております。
なお、この地区につきましては、新たな幹線の整備には時間を要することから、緊急的対策と抜本的対策に分けて段階的に対策を進めることとし、緊急的対策として、雨水を排除しやすくするバイパス管の整備を、昨年の雨季までに完了させております。
○崎山委員 緊急的な対策と抜本的な対策とを分けて実施したり、対策施設の具体的な検討を進めるなど、一歩一歩着実に取り組みが進められていることを確認させていただきました。
豪雨対策には時間がかかると思われますけれども、引き続き取り組みを着実に進め、一日も早く、大雨、豪雨でも枕を高くして安心していられる環境にしていただきたいというふうに思っております。
さらに、豪雨対策下水道緊急プランには、緊急的な対応をするべき地区として小規模緊急対策地区を定めています。そこで、小規模緊急対策地区における対策の取り組み状況についてお伺いをいたします。
○神山施設管理部長 豪雨対策下水道緊急プランでは、被害の箇所が点在するなど、被害が比較的小さな小規模緊急対策地区を六地区定めまして、区などと連携して、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえ、バイパス管の設置などを行うこととしております。
このうち、雨水ますの増設やグレーチングぶたの取りかえなどにつきましては、昨年の雨季までに全て完了いたしました。雨水ますの増設などの対策のみでは不十分な地区につきましては、流出解析シミュレーションを実施し、その結果に基づき、必要な対策を行うこととしております。例えば、江戸川区北葛西、西葛西地区におきましては、雨水を流す能力を増強するために、バイパス管の設置や下水道管の口径を大きなものに取りかえる対策を実施することとし、現在実施設計を進めているところでございます。
〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕
○崎山委員 宇田川委員からも、江戸川頑張れというエールが送られました。ぜひよろしくお願いいたします。
小規模緊急対策地区における緊急的な対応は、プランを策定してグレーチングや雨水ますなどの設置など、一年を待たずして完了したとのことであります。評価をしたいと思います。引き続き、残る対策についても着実に進めていただきたいと思います。
さて、浸水対策については、施設整備に時間を要する一方で、豪雨が頻発している状況を鑑みると、施設整備によるハード対策だけではなく、地元区などの水防活動や都民みずからの備えを支援するソフト対策も重要であります。
下水道局では、ソフト対策の一つとして、地元区に幹線水位の情報提供を行っていると聞いています。幹線水位の情報は、浸水の懸念される地域において、近傍の下水道管から雨水があふれる危険性が高まっているか否かを、都民みずから実感できる情報であり、非常に有効な情報であると思います。
そこで、下水道局は、抜本的な対策である施設整備によるハード対策、そしてソフト対策として、幹線水位の情報提供の取り組みをさらに拡大すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
○坂根計画調整部長 下水道局では、浅く埋設された幹線など、浸水被害が発生する危険性の高い幹線を対象に、幹線内に設置した水位計と下水道局独自の光ファイバー通信網を活用いたしまして、区の要望に応じて、幹線内の水位情報を関係区に提供しており、これまでに八幹線の水位情報を六区に提供しております。
今後は、これまで拡大を検討してきました目黒川幹線など三幹線に加え、新たに千川幹線についても水位情報の提供を拡大し、さらに対象施設の一層の拡大を検討してまいります。
○崎山委員 幹線水位情報の提供もさらに拡大するとのことで、ぜひ進めていただきたいと思います。
下水道における浸水対策が着実に進められ、浸水から都民の生命財産を守るため、これからも引き続き精力的に取り組んでいただくことを求めます。
次に、震災対策について伺います。
近い将来、首都直下地震が発生することが懸念されており、震災対策を進めていくことは、都政における喫緊の課題であります。先日ラジオで、次のようなコメントを聞きました。なるほどと思ったのでご紹介をしたいと思います。
私たちは、我慢をすれば、食事を一食や二食は抜くことはできます。しかし、トイレはそれが不可能です。誰も、食事と違いトイレを抜くことができないということであります。下水道局としても、震災対策に取り組んでおりますが、その取り組みについて幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、下水道管の耐震化についてであります。
下水道局では、震災時にも下水道機能を確保するため、避難所などの排水を受け入れる下水道管の耐震化を進めています。一方、東京では、建物の不燃化や耐震化が進み、万が一火災が発生しても大規模な延焼火災のおそれがなく、広域的な避難を要しない地区内残留地区という地域が指定されています。
平たくいえば、地域危険度の低い地域で、区部一万ヘクタール、約四百万人の退避人口で指定がされています。この地区内残留地区では、震災時に都民がその地域内にとどまることから、地区内残留地区についても下水道管の耐震化対策を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○中島建設部長 下水道局では、震災時の緊急性を踏まえまして、避難所など二千五百カ所の施設を優先して、その排水を受け入れる下水道管の耐震化を既に完了させ、現在は、ターミナル駅など千カ所に対象を拡大して取り組みを進めております。
また、マンホールの浮上抑制対策につきましては、これまでに、緊急輸送道路など、区部全体で五百キロメートルの対策を完了させ、避難所などと緊急輸送道路を結ぶ道路七百キロメートルに対象を拡大し、取り組みを進めております。
これらに加えまして、地区内残留地区では、建物の不燃化や耐震化により、震災時に多くの人が地区内にとどまることが予想されることから、地区内のトイレ機能や救急活動に必要な緊急車両の通行を確保するため、下水道管の耐震化やマンホールの浮上抑制対策を平成二十五年度より進めております。
平成二十七年度までに区部の地区内残留地区千ヘクタールで対策を完了することとしておりまして、二十六年度までに累計四百ヘクタールの対策が完了する見込みでございます。二十七年度は六百ヘクタールで対策を行ってまいります。さらに、平成二十八年度以降につきましても、計画的に取り組みを進めてまいります。
○崎山委員 下水道管の震災対策が、避難所やターミナル駅などだけではなくて、地区内残留地区においても取り組みが進められていることについては、大いに評価をしたいと思います。残りの地域についても順次対策をとっていただきたいというふうに思っております。
さて、下水道管が耐震化されても、下水を処理する水再生センターや、その水再生センターに下水を送るためのポンプ所が被災し、その機能が停止すれば、下水道を使用できなくなります。このため、水再生センターやポンプ所の耐震化も重要だと考えます。
そこで、水再生センターやポンプ所の耐震化の取り組み状況についてお伺いをいたします。
○中島建設部長 下水道局では、水再生センターやポンプ所などの耐震化といたしまして、想定される最大級の地震動に対する施設の耐震化を進めております。水再生センター、ポンプ所、計百八カ所のうち、建築物及び上部が広域避難場所などに利用されている覆蓋全てで耐震化は既に完了しております。
現在は、水をくみ上げる揚水のほか、簡易処理や消毒など、震災時においても必ず確保すべき機能を担う施設を対象として耐震化を進めており、水再生センター、ポンプ所、計百八カ所のうち、平成二十六年度末までに十カ所で対策を完了する予定でございます。
今後は、取り組みをスピードアップし、来年度は六十カ所で対策を進め、オリンピック・パラリンピック前の平成三十一年度までに、対象施設の全てで対策を完了させることとしております。
○崎山委員 水再生センターやポンプ所の耐震化も着実に進められていることがわかりました。引き続き、その対策を計画的に進めていただきたいというふうに思っております。
次に、水再生センターやポンプ所の設備の耐震対策についてお伺いいたします。
さきの本会議の一般質問において、下水道局は、震災時に下水道設備を動かすための非常用発電の整備を進めている旨の質疑がありました。そこで、ここでは、設備本体の耐震対策についてお伺いいたします。
特に、水再生センターやポンプ所にはさまざまな設備があり、その中でも水をくみ上げるポンプは、下水処理や雨水の排除の上で欠かせないものであります。震災時でも、その機能を発揮させる必要があります。そこで、さらにポンプの技術について伺います。
ポンプを動かすと、ポンプの中の軸が回転するなどして熱が発生するため、ポンプを動かし続けるには、その熱を下げることが必要となります。震災時などで断水した場合、一般的なポンプでは、そのような対応ができないと聞いています。これに対し、下水道局では、断水時でも対応できる特殊なポンプを導入していると聞いていますが、一定規模以上の大規模ポンプでは、まだそのような特殊なポンプが開発されていないとのことだそうであります。そこで、震災時などで断水しても運転し続けることのできるポンプについて、導入状況及び大規模なポンプの開発状況についてお伺いをいたします。
○前田技術開発担当部長 下水道局では、震災時でも機能を発揮する無注水型ポンプの導入を平成二年より進めております。ポンプの運転には、ポンプ内の軸が回転する際に発生する熱によって部品が焼きつくのを防止するため、冷却水が必要であります。そこで、下水道局では、耐熱性の材料を用いることで、冷却水を不要とする無注水型ポンプの導入を進めてきておりまして、平成二十五年度までに九十六カ所の施設で四百十二台導入してきております。
しかしながら、お話のとおり、これまでは水をくみ上げる深さが三十五メートル以上、口径が二メートル以上になるような大規模なポンプにつきましては、無注水型ポンプの製作は困難でありました。このため、現在、下水道局では、民間企業と共同で大規模な無注水型ポンプの開発を進めておるところでございます。来年度中に開発を完了し、より大規模なポンプにおいても、無注水型ポンプを導入してまいります。
○崎山委員 大型の断水時にも使えるということであります。非常時にも下水道機能を発揮できるわけでありまして、一日も早く開発導入を進めていただきたいというふうに思っています。
下水道局では、さまざまな観点から、震災対策を進めているということも確認をさせていただきました。震災対策を含め、引き続き着実に、安全・安心のまちづくりに向けた取り組みを進めていただきたいと思います。
最後に、安全・安心なまちづくりに向けた局長の決意を伺い、質問を終わらせていただきます。
○松田下水道局長 近年のゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨の増加や、また、いつ発生してもおかしくない首都直下型地震への対応など、災害に強い都市をつくり、都民の安全・安心を確保することは、世界一の都市東京を実現していく上で必要不可欠な取り組みであり、下水道局として最重点に取り組むべき課題の一つと認識しております。
浸水対策については、先ほどお話がございましたけれども、一昨年十二月に豪雨対策下水道緊急プランを策定いたしまして、特に甚大な被害が生じた市街地などを対象に、雨水整備水準のレベルアップを図るなど、対策の充実強化を図っているところでございます。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催を見据えまして、安全・安心の取り組みの強化が必要であり、平成三十一年度までに、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、対策の効果が早期に発揮できるよう取り組んでまいります。
下水道管や施設の耐震化につきましても、優先順位と目標年次を定めて、スピード感を持って事業を進め、震災への備えを万全にしてまいります。また、これらの対策は、施設の老朽化対策とも組み合わせまして、効率的に進めてまいります。
今後とも、局一丸となって、事業の着実な推進を図り、都民の安全・安心の確保に向け全力を尽くしていく所存でございます。
○橘委員 私の方からは、下水道における浸水対策について質問をいたします。
平成二十五年の集中豪雨や台風によりまして、都内では多くの家屋、建物が甚大な浸水被害をこうむったことを踏まえまして、下水道局では、急遽、豪雨対策下水道緊急プランを平成二十五年度に策定したという経緯があります。
近年、都内でも頻発している局地的な集中豪雨を考えますと、この緊急プランに基づく整備は急がなくてはならないと思います。これはいうまでもありません。
しかし、一方で、従来から進めてきました下水道局の浸水対策、これも非常に私は重要だと思います。とかく緊急プランの方が注目されがちですけれども、着実に浸水被害を防止するためには、こういった地道な取り組みもクローズアップされていかなければならないと私は考えております。
この緊急プランについては、ただいま質疑がございましたので、私の方からは、経営計画二〇一三で計画されている浸水対策が着実に進められているかどうかを中心に質問したいと思います。
まず、下水道局の浸水対策は、経営計画で計画化されている対策と、それから緊急プラン等の対策、その主な計画二つがあるわけですけれども、特に、この二つの計画のそれぞれの位置づけ、それから特に経営計画二〇一三に基づく取り組みがどの程度進んでいるのか、この点についてまず確認しておきたいと思います。
○坂根計画調整部長 経営計画二〇一三は、平成二十五年度から平成二十七年度までの下水道事業運営の指針といたしまして、平成二十五年二月に策定したものであり、浸水対策を含めた下水道事業の基本的な方針を示したものでございます。
その後、一昨年の甚大な浸水被害を受け、平成二十五年十二月に策定した豪雨対策下水道緊急プランでは、雨水整備水準のレベルアップを含めた対策を追加して実施することとしたものでございます。
このうち、経営計画二〇一三の取り組みにつきましては、浸水の危険性が高い対策促進地区二十地区について、既に全ての地区で取り組みを進めており、平成二十五年度までに、足立区小台地区など七地区で対策が完了しております。
また、かつての川を下水道幹線として利用しております浅く埋設された幹線の流域など、重点地区二十地区については、五地区で着手をしており、残りの地区につきましても設計を進めておるところでございます。
○橘委員 今の答弁で、対策促進の二十地区、そのうち七地区で対策が完了したとのことでありますけれども、この事業を進めてきた過程で浮き彫りになった課題や教訓も多々あったかと思います。これを今後の対策促進地区や、重点地区の事業展開に生かしてもらいたいと思います。
私の地元板橋区にも、たびたび浸水被害が発生している地域がございます。これは重点二十地区の中に三カ所指定をされております。すなわち、向原幹線、下赤塚幹線、成増幹線の三カ所は、地元住民の間でも、この地域というのは浸水の多発地域という認識がございまして、これは周りからもいろいろいわれるものですから、それだけでも自信をなくすという、そんな傾向性もあるんです。だから浸水一つとっても、やはり危険だという、危ないというそんな意識を持ちますと、やはりその地域自体が何か悪いようなそんな雰囲気にもなってきますので、とにかくこれは解消しなきゃならないと思います。
私たちも、集中豪雨的な雨が降りますと、必ずその地域にはすぐ、あそこへ行かなきゃという、そんな思いに駆られますので、これは住民の日常の生活にとっては非常に負担になることにもなるんですね。これはやっぱり解消していかなきゃならないと思います。
しかしながら、そういったことがあっても、なぜその地域で浸水が発生するのかという地形的な要素、それから雨水を吸収する下水道管の敷設状況、そして、今後、下水道局でどういう対策を講じるのかといったことについて、住民の皆さんに説明がなされる機会が結構少ないんです。したがって、浸水被害のたびに、あるいはまた危険状態になるたびに不安の声が地域から上がるという、これを繰り返してきたわけなんですね。
そこで、板橋区内の浸水地域では、どのような原因の浸水が発生しているのか、それから、そのような地域における浸水対策の今後の進め方について説明を求めます。
○中島建設部長 板橋区内におきましては、浅く埋設された幹線の流域などの重点地区である小茂根・向原地区、西台・徳丸地区、成増地区の三地区におきまして事業を計画しております。
これらの地区では、豪雨時に下水道幹線内の水位が上昇すると雨水が逆流し、周辺の地盤の低い箇所で浸水被害が発生しております。そこで、既設の下水道幹線の雨水を取り込む新たな下水道管等を整備し、既設幹線の水位を下げることなどにより、浸水被害を軽減させる計画でございます。
○橘委員 今説明がありました三地区、この三つの地区の浸水対策、これを進めていくわけですけれども、一番根本的に、この地区の特徴的な共通点というのは、かつて河川が流れていて、それを上にふたかけをするような形で、この下水幹線を配置していた、敷設していったということがございまして、浅いふうになっているわけですね。
その辺のことを、だからこうですよという説明が地域住民になされれば、ある程度理解をされるんですけれども、そういったことを私たち直接耳にすることは、まずないわけでありまして、そういったところから−−まず原点がそこなんですね、だから、こういうふうにしていくという、今現在こうだから、だからこうしていくという、そういったものがなかなか説明される機会がございませんので、そういったところから、何やってるんだという声が出てくるというふうに私は思います。
したがって、まず、これから三点お聞きします。
これらの地区における対策の現状がどの段階まで来ているのか、指定をされたけれども、どの段階まで来ているのか。二点目、整備完了までどの程度の期間を要するのか。これは、その地域とか地形によって、状況によっては違うと思いますけれども、一般論として、大体この幹線を新たに敷設するとか、そういった工事は、整備予定期間がどのくらいになるのか。それから三点目、今答弁にありました既設の下水道幹線の雨水を取り込む新たな下水道管の整備というのがありましたけれども、これはどういう構造なのか、この三点について伺います。
○中島建設部長 これらの三地区につきましては、いずれも調査設計に着手しており、下水道管等のルート、深さ、管径、取水方法などの検討を進めております。
今後、地域の実情を踏まえ、より効果的な整備手法や工法などの検討を実施設計の中で進めてまいります。
整備予定期間につきましては、お話のとおり、地形や建築物の密集状況、埋設物の状況など、地域の状況によってさまざまではございますが、浸水対策の下水道施設は、一般的に規模の大きなものとなることや、工事用地の確保に時間を要することもあり、おおむね五年から十年程度を要しております。
また、既設の下水道幹線の雨水を取り込む新たな下水道管の整備の構造についてでございますが、例えば、既設の下水道幹線の下の空間を利用するなどして新たな増強施設を整備するものがあります。これは、既設幹線に新たな増強施設を接続し、既設幹線内の雨水の一部を増強施設に取り込み、既設幹線内の水位を低下させ、浸水被害を軽減させるものでございます。
○橘委員 この構造とかそういったものは、これから住民の皆さんに説明する機会もあろうかと思いますけれども、これはわかりやすいイラストで説明しますと、新たに土地を取得するんじゃないですよと、近隣に土地を買収とかで、そんなに大がかりな迷惑がかかるものじゃないですよと、既に埋設されている管のその下の部分に埋設するから、用地取得は必要ないんですよとか、そういったものが説明されると非常に理解されやすいし、納得してくださるのかなと思いますので、そういった努力もお願いしたいと思います。
この浸水対策の工事というのは、密集した市街地で行われることもありまして、住宅地にかかるときもあります。それゆえに、いろんな大変な苦労が伴うというふうに聞いております。
そこで、今、板橋区内のこの三カ所でありますけれども、浸水対策工事を進めるに当たって、地域的には、それぞれ特徴がある地域でございますので、どのような課題があるのか、どういうふうに見ているのか、そして、既に対策が完了している七地区の経験、教訓等を踏まえましてどういう工夫をなさっていくのか、見解を伺います。
○中島建設部長 浸水対策を進めるに当たっての課題といたしましては、主に工事用地の確保と、住民の理解を得ることが挙げられます。
工事用地は、下水道工事の基地やトンネル工事に必要な立て坑を設置するものであり、資機材の搬入や掘削土の排出などに用いるため、一定規模の面積と相当の期間を確保することが必要不可欠でございます。
そこで、建設する下水道施設近隣におきまして、公園などの公共用地を中心に幅広く検討し、地元区など、その用地関係者と協議を重ね、用地の確保に努めてまいります。
また、工事用地周辺では、騒音や振動など、住民生活への影響が避けられないこと、さらに、浸水区域以外において工事が必要になることもあり、住民の理解を得ながら進めていかなければなりません。
そこで、住民の理解が得られるよう丁寧に説明していくとともに、工事の実施に当たっては、騒音、振動の影響をできる限り低減するため、防音ハウスや低騒音、低振動の機械を使用するなど、環境対策に万全を期してまいります。
○橘委員 通常の下水道管の取りかえであるとか、それから耐震化工事であっても、市街地や住宅街ではどうしても、地域の住民の理解を得るのに時間を要しましたり、一部住民等の声によって工事が中断するケースもあると仄聞しております。
このたびの浸水対策事業の推進に当たっても、そうした事態の可能性もありまして、また、事業完了までの期間が延びてしまいかねないという、そういったことも想定されます。したがいまして、地元区との綿密な連携、今もありましたけれども連携と該当する地域住民への丁寧な説明が大事であろうかと思います。
今回のこの浸水対策の工事というのは、大事な自分たちの命を守るという、財産を守るという、目的が明確なわけでありますから、そういったことの趣旨もわかると理解もしやすいのかなと思うんです。
したがいまして、当該地域の地形とか、それから浸水が発生する原因であるとか、工事手法の説明など、こういった地域住民の理解が大事であって、これによって整備対象地域の住民の生命、財産が守られるという、この納得が極めて大事になってくるかと思います。
この地域住民に対する説明会を、小さな単位で開催するとかということも必要ではないかと思います。今、いろんな説明会、下水道局さんだけではありませんけれども、説明会というので案内が地域に来ますけれども、結構広範な地域を対象としての会場設定なんかがなされているんですね。
したがいまして、高齢者の方等は、ちょっと遠いから遠慮したいといったことも結構あるんですね。したがいまして、小さな単位で開催するということも、皆さん大変かもしれないけれども、これは一つの大事な視点ではないかと私は思っているんです。
それから、そこで配られる資料ですけれども、これは結構専門的な内容になっておりまして、特に下水道局さんというわけじゃないですよ、一般論として、結構専門的な説明になっておりまして、また、専門用語も結構使われているケースも多々ございます。そういった説明チラシも、わかりやすい表現でやるということも、これが大事だと思います。
それから、相談の窓口、これを設置しておくというのも大事かと思います。電話一本で、これは今こういうふうな動きになっているけれども、こういった工事が始まっているけれども、これはどういうことなのという、それだけでも安心をするわけですね。そういった配慮というものが大事だと思います。
この事業は、自分たちの地域を守るための事業であるということ、それから自分たちの生命財産を守るための事業であるということ、ということがそういった細かな配慮によって理解と納得が進んでいけば、これは地域住民がむしろ協力していくという、そういうふうな体制にもなっていこうかと思います。こうした課題について見解がございましたらお願いします。
○中島建設部長 浸水対策の下水道施設は、大量に降った雨水を流したり、貯留したりするために大規模になることが多くなります。このため、ご指摘のとおり、浸水対策の工事については、計画や設計段階、工事段階のそれぞれにおいて、地元区と連携し、丁寧に工事の目的や内容などを説明し、地域の住民の皆様の理解と協力を得ることが重要であると認識しております。
そのためには、設計段階の早い時期から説明会の開催や説明資料の配布などにより、地形の特徴、浸水の原因、工事の内容や効果など、わかりやすく説明していくとともに、工事実施中も現場見学会を開催したり、工事の進捗などをチラシや掲示板などでお知らせすることに加えまして、連絡先などもお示しすることによりまして、きめ細かく説明し、理解と協力を求めてまいります。これらの取り組みを積極的に進め、浸水対策を着実に推進してまいります。
○橘委員 今の答弁の中に、地域住民に現場を見てもらうという、そういった内容がありました。これは非常に大事ですね。話だけでは、なかなか理解が進まないんです。けれども、地面を掘るという工事の現場の見学会というのは、危険を伴うということで、なかなか実施されていないのが現実なんですね。けれども、安全を確保した上で、こういった工事を実際こういうふうに皆さんの地域でやっているんですよということを見せますと、理解がかなり進みます。こういった工夫を積み重ねて、工事が、また事業が進捗しますように期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
以上で終わります。
○松村委員 私からも浸水対策について伺わせていただきます。
今も質疑がありましたけれども、この二〇一五年は、経営計画二〇一三の最終年度に当たりますが、私からもこれまでの浸水対策の事業の進捗と、新たな取り組みがどう計画、これから予算化されるのかについて伺いたいと思うんです。
そこでまず、今も質疑がありました、この計画年度のさなかに、昨年の六月には、東京都豪雨対策基本方針、私、今手元に持っているのですけれども、これが改定されました。また同じく昨年末に、東京都の長期ビジョンが策定されました。この経営計画二〇一三と、それから、今いった緊急プランなどを盛り込んだこの豪雨対策基本方針、それから東京都長期ビジョン、この三つのプラン、方針、ビジョンの位置づけをもう少し都民にわかりやすくご説明いただきたいと思います。
○坂根計画調整部長 昨年六月に改定されました東京都豪雨対策基本方針は、都の豪雨対策における目標、公、民及び河川、下水道、流域対策などのそれぞれの役割分担、また、具体的な取り組みの方向性などを示しており、平成二十五年十二月に策定いたしました豪雨対策下水道緊急プランの内容を包含しております。
一方、経営計画二〇一三は、平成二十五年度から二十七年度までの下水道事業運営の指針といたしまして、平成二十五年二月に策定したものであり、浸水対策を含めた下水道事業の基本的な方針を示したものでございます。
また、平成二十六年十二月に策定した東京都長期ビジョンは、都としての豪雨対策事業のうち、この十年間に取り組む主な内容を示しております。その中で、下水道事業が重点的に取り組む内容を示しており、さきに述べました東京都豪雨対策基本方針及び経営計画二〇一三、両方の主な内容を反映しているものでございます。
○松村委員 この豪雨対策基本方針は、割と今までの計画を盛り込み、また新たな長期ビジョンに反映させるものも入れられていると思うんですけれども、ただ豪雨基本方針は方針であって、事業化の予算といいますか、裏づけが出てないというので、どちらかというと、この三カ年プラン、ことし、一五年度が終われば次のプランも立てられると思うんですけれども、このプランによって示されると思うんです。
それからもう一つ、長期ビジョンはやはり数値目標を具体化したということで、これまた、どういう事業費でやるのかを期待して−−期待してというか、位置づけられているのかという点で大事な点だと、都民に示すものだというふうに思いました。
それで今、お答えが、その位置づけがあったわけですけれども、今まで、対策促進地区、それから浅く埋設された幹線の流域などの重点地区ということでそれぞれ二十地区ずつ挙げられております。私の住む練馬も、対策地区、中村が入っていまして、また重点地区も三地区、田柄、大泉、大泉学園町・南大泉とあるわけですけれども、この進捗について私からも伺いたいと思うのです。
今、答弁がありました対策促進地区二十地区は、平成二十五年度までには七地区対策が完了したと。全て着手されて対策促進地区は七地区で完成したというのですけれども、浅く埋設された幹線流域などの重点二十地区で五地区着手ということで、まだ完成は一地区もないということですよね。
それで、プランとの関係で私が見たのは、対策地区は、あとどこまでを完了の目安にしているのか。全て着手したわけですし、これからどのぐらいで対策が完了するのか。現在はまだ二十地区中七地区だと、それから浅く埋設された幹線の重点地区、練馬も三地区あるのですけれども、これは五地区で着手されたけれども、まだ完了は一つもないと。
ことしは最終年度ですけれども、今後の見通しというんですか、そこをちょっとお聞きしたいというふうに思います。今後ちょっと−−出ますか、今。(「後で……」と呼ぶ者あり)ぜひそこは、着実にやっていると。でも長期ビジョンには、いろんな全体のあれだから、そういう点も触れられていないから、やっぱり今、先ほどの質問があったとおり、私の地元でも大変豪雨水害が出ているもので、そこら辺の見通しをきちっと示していただきたいと思いますし、このプランが終わったら、少なくともその重点地区でも、一地区くらい完了させる事業化の予算が出ているのかという点もお聞きしたいんです。
その事業化の予算、これも予算書を見ますと、平成二十七年度の予算で、事前に私も見ましたけれども、平成二十七年度の予算の浸水対策事業は二百三十八億円なんですね。この経営計画二〇一三は、全体が七百九十三億円で、予算の三カ年で浸水対策事業が七百十四億円ですけれども、三年で割り振っても、この二百三十八億円というのは、数字が落ちたのでちょっと大丈夫かなと、少なくとも重点地区など一地区ぐらい完了するのかなというような思いがあってお聞きしているんです。
きょうは予算の審議ですから、この平成二十七年度、二〇一五年の浸水対策事業費二百三十八億円の内訳といいますか概算、どういう事業かと、今いった、例えば質問があった対策地区、それからまた重点地区など、引き続き取り組むんでしょうけれども、どこまでの進捗になるのか、いかがでしょうか。
○坂根計画調整部長 失礼いたしました。先ほどご質問いただきました、対策促進地区、それから重点地区の今後の見通しについてでございますけれども、まず、対策促進地区につきましては、平成三十一年度までに全ての地区、二十地区において完了するという予定になってございます。
また、重点地区につきましては、非常に事業の規模が大きいということもございまして、現時点では完成の目途について、まだ明確なものはございません。
引き続き、積極的に事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
○松村委員 短い時間しかとっていなかったので、ちょっと急いでごめんなさい、席に着かないうちに。
それで、それに加えて、そういう残事業がやはり非常に重要な、残事業というか、立てられて、都民にも示されながら、まだ達成状況が、非常に時間がかかっているという、事業費も相当これからもかかると。それに加えて、今度は七十五ミリ、五十ミリと、新たにレベルアップした計画、これもやっていかなきゃいけないと。この一五年度、二十七年度予算では、主にそれに対する設計とか計画段階の予算だと。まだ事業費は恐らく数億円でしょうけれども、今後これが始まれば、やはり相当の事業費というか予算がかかるというふうに私も思います。
それはそれで必要なので、しっかり事業費を確保して、特に雨水ですから、下水道本来の汚水処理じゃないから、しっかり公費というか、国の予算もとり、水害のない、本当に東京を、それこそ安全なまちをつくっていただきたいというふうに思うんですけれども、やはりその点で、私はだから、今いった下水管が入っているさらにその下に、土地がなかなかないからというんで、大きな巨大な貯留管、この必要性もあると思います。やっぱりやるべきところはその対策を十分とってほしいわけですけれども、それにはだから、用地の点では、今入っている公道の下の大きな下水管のさらに下に雨水のための貯留管を敷設して、少なくとも、緊急対策というか豪雨を処理するというのは、それはそれとしての考え方で進めていくと。
同時に私、前からいっているように、もう少し総合治水というか、降った雨水を、練馬はすごい、まだ畑や雑木林がありますからね、昔はだから全部、全部というか相当やっぱり地下に浸透したと。
そういうことで下水が敷かれないときには、雨水流出抑制型公共下水道というのを皆さん方にも、本当に努力して、河川が改修できない段階で下水道を敷設してくれたと。もう既に一〇〇%概成して感謝しているんです。
その後、だからそういう雨水を抑制する施設をやはり取り入れてもらいたいということで、それは、主に都市整備の部門だということよくわかるんです。この前も決算で質疑したときには、一定の一〇%は、そちらの方の役割、または、河川の調節池、こういうもので取り組むということも理解できるんです。
そこで、この点については最後の質問になるんですけれども、この下水道の基本方針の中にも、下水道整備の役割として、今いった浅く埋設された地域などにおいて、貯留管をやる事業と同時に、下水道の事業としても、雨水調整池、これをこれまで十五地域で、雨水調整池というものを下水道の事業としてやられてきているというふうに思うんですけれども、この位置づけは、現在、下水道局の浸水対策事業としては、予算にも見られないし、位置づけられていないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点についてお伺いいたします。
○坂根計画調整部長 ただいま雨水調整池の整備についてご質問いただきました。雨水調整池を最近は余り設置していないというお話ございましたけれども、下水道局といたしましては、それぞれの現場に応じて最適な対策を行うということで、下水道の貯留管、それから調整池を整備しております。雨水調整池につきましては、用地が必要であったりですとか、大規模な用地が必要であったりとかいろいろな制約条件がございますが、管渠につきましては、道路の下にトンネル工事で設置できるといったようなことがございまして、そういった特徴を捉えまして、コスト等も含めて総合的に比較した上で、対策を行っておるところでございます。
それから、先ほどご質問いただきました事業費についてでございますけれども、主なものといたしましては、ポンプ所等とそれから管渠について内訳がございます。ポンプ所につきましては、約二百三十八億円のうち百二十億円程度、それからあと管渠関係については百十億円程度ということで整備を進めておるところでございます。
○松村委員 ぜひいろいろ工夫とか、工夫だけじゃなくて、実際になればやはりあいている土地とか、利用できる土地とか、そういうものがあると思います。
場合によっては、公園とかそういうところだけじゃなくて、私も新聞報道で見て伺ったんですけれども、今渋谷駅のところの開発で東急などが、そのビルというんですか、私も現場行っていませんけれども、そこを下水道局も要請したりして、調整池ですか、そういうのをやる事業、これに対しては国も、たしか私も昨年新聞報道で見たんですけれども、国もそういう雨水対策を取り込む開発などに伴って、貯留する施設、構造物については、国は補助制度を新たに制度化したという報道もあります。
そういうことも、ぜひ今後、取り入れてというか研究、検討して、もっと事業が進むように、貯留管一辺倒といっては失礼ですけれども、貯留管もいいですけれども、さらにやはりもっと効果的に、短時間に効果が上がるような浸水対策を、なくすような取り組みをやっていただきたいということを要望して、最後に、下水道局についても、土地の福祉インフラ整備などに、ぜひ、さらに貢献してもらいたいと。
そこで、下水道局が現在貸し付けなどで利活用している土地五百平米以上は何カ所あって、どんな用途に使用されているのかを伺います。
○熊谷経理部長 五百平方メートルを超える土地で、現在貸し付けを行っておりますのは七カ所でございます。使用の用途は、商業施設や駐車場などでございます。
○松村委員 商業施設、ビルなどは、なかなかすぐに返ってこなかったり、それからの契約もあったりするので難しいと思いますけれども、駐車場などについては、やはり貸借期限が切れたらそれをもっと有効利用するような形で、土地の提供を行っていただきたいと。
それから、下水道局は、下水道事業以外での土地活用において福祉施策などの行政利用に協力した事例はあるのか伺います。
○熊谷経理部長 下水道局が保有します土地は、下水道事業に活用することを前提にしておりますが、局事業に支障がなく、活用が可能な土地につきましては、各局や区市町村から利用の要望があった場合には必要な対応を行ってまいりました。こうした取り組みによりまして、これまでも、福祉施策の関連で申し上げますと、路上生活者自立支援センターなどに当局用地を提供してきております。
○松村委員 現在、都でつくっている福祉インフラ整備のための土地活用検討チームでの検討や活用可能な土地の情報提供をどのように行っているのか伺います。
○熊谷経理部長 下水道局は、福祉インフラ整備のための土地活用検討チームにオブザーバーとして参加いたしまして、庁内情報の共有に努めてきました。また、これらの庁内の動きも踏まえ、活用可能な土地の情報を提供してきております。
○松村委員 最後にもう一点、それでは活用可能な土地の情報提供というんですけれども、何件、何平米ぐらい、既に情報提供をやっているんでしょうか。
○熊谷経理部長 当局は、土地の情報について、全庁の方針に従って財務局に提供しておりますが、その後は、関係局で対応しております。当局が情報を提供している土地につきまして、今ご質問ございました情報提供の件数でございますけれども、二件、面積にして約三千平方メートルの情報提供をしているところでございます。
○松村委員 まだ、その二件、三千平米ですか、活用されてないというのですけれども、今後とも積極的に、ぜひ、とりわけ福祉などのインフラ整備に活用できるように要望して終わります。
○新井委員 先日、事務事業質疑でも質問しましたが、下水道局が水質改善と省エネルギーの両立を図る新たな高度処理技術を民間企業と共同開発し、マツダやブリヂストンなど日本を代表する企業と並んで、日本経済新聞が主催する地球環境技術賞を、自治体として初めて受賞をいたしました。また、同様に、民間企業と共同で開発した、雨天時に合流式下水道から川などにごみが流出するのを防ぐ水面制御装置は、動力が不要で設置費用が安価であり、海外にも導入されるまでとなっております。
このように、下水道局では、新技術の開発や導入に積極的な姿勢であると評価しております。ちなみに、これまで行ってきた研究開発の件数について問い合わせたところ、百六十件以上の共同研究を実施してきたということでした。
さて、下水道局の保有する技術の中でも、なじみの深い東京アメッシュがございます。きめ細かい降雨情報がリアルタイムで提供されておりまして、平成二十五年度は七千二百万件もアクセスがあったと報告があり、都民生活に大いに役立っていると思います。今回は、この東京アメッシュについて質問をさせていただきます。
まず、東京アメッシュの導入から今日までの主な経緯についてお伺いをします。
○神山施設管理部長 雨天時には、降雨状況を見ながら雨水ポンプを運転する必要があるため、降雨の観測が重要となります。このため、局地的な雷雨や豪雨などの気象情報を迅速に把握し、ポンプ所や水再生センターでポンプの運転管理に活用するため、民間企業と共同で開発した降雨情報システムを昭和六十三年に導入いたしました。
また、浸水被害の軽減のためには、都民みずからの浸水に備える取り組みも重要であることから、東京アメッシュと命名いたしまして、平成十四年度から、降雨状況をリアルタイムでインターネットや携帯電話に提供しております。
○新井委員 もともとはポンプの運転管理に必要ということで、システムが構築されていたということです。ゲリラ豪雨が降りますと、雨水が一気に水再生センターやポンプ所に流れ込んできますが、ポンプの運転の判断は職員が行っているということで、降雨の情報をきめ細かく把握する必要性が非常に重要です。
下水道局では、これまでも、雨水が流入する前から運転が可能な先行待機型ポンプを開発導入し、局地的な集中豪雨に備えていると聞きます。これらの機器の性能をより発揮させるためにも、東京アメッシュは有効であると考えております。
そこで、東京アメッシュの主な仕組みについてお伺いをいたします。
○神山施設管理部長 東京アメッシュは、下水道局が設置した多摩部と都心部の二基の降雨レーダーと中央処理局で構成されております。レーダーは、電波が真っすぐ進む特性と雨粒に当たるとはね返ってくる特性を利用して、雨粒の大きさや密度を観測するものでございます。
レーダーで観測いたしましたデータと、八十六カ所に設置された地上雨量計の実測データを中央処理局で合成いたしまして、降雨の強度を算出し、都内ほぼ全域を五百メートルの区画に細分化いたしまして精度の高い降雨情報として配信しております。
○新井委員 二基のレーダーと地上雨量計を組み合わせた大規模なシステムということがわかりました。非常に広域なエリアを高い精度で観測でき、ほかの気象情報と比べてもすぐれていると聞いております。
システム的に詳しく聞いたところ、川崎と埼玉の二カ所の自治体レーダーのデータも使われていて、地上の雨量計の八十六カ所のうち、下水道局の設置分四十五カ所の地上雨量計が基本的に使用されており、残りの建設局等が設置しています雨量計で補正をされていると聞きました。
また、雨量のない地域で表示される現象、いわゆるグランドクラッターという現象も生じることがあるということです。この原因というのは、高層の建造物、また、飛行機や鳥の群れ、また、電波の異常伝播など、そういったことで、雨量がない地域でも、あたかも雨が降っているように表示がされるということです。
電波に対する対策というのは、大変これ難しいということなんですけど、建造物や飛行機に対しての、この処理というのは、いろいろと補完をできて、データをいろいろと補完修正をすることが、対応することができるということでした。例えば、最近ですと、東京スカイツリーが建設されたときに、雨量がないのにデータ上でスカイツリー周辺で表示され、それを対応したということです。
さて、最近、ゲリラ豪雨が日本全国で増加するなど、雨の降り方が変わってきておりますが、東京アメッシュもこのような降雨に対応していく必要性があると考えています。
現在、東京アメッシュは再構築を行っているということでございますが、その内容についてお伺いします。
○神山施設管理部長 これまでのレーダーは、雨粒を水平方向のみで観測しておりましたが、今回、水平と垂直の二方向から雨粒を立体的に、しかもきめ細かく観察することができるマルチパラメーターレーダーに更新するものでございます。これによりまして、従来観測できなかった降り始めの一時間一ミリ以下の弱い雨まで観測できるようになり、雨の降り始めをより早く知ることが可能となるなど、全体の性能が向上いたします。この再構築を行うことによりまして、雨水排水の信頼性、安全性の向上が図れるとともに、より精度の高い降雨情報をお客様に提供できるようになります。
○新井委員 この観測の仕組みというのは、電波を発射して、雨水があって、それに対して、この反射エコーを観測することによって、その雨の状況を判断すると。今までは、この水平方向のものをデータしか見なかったわけですけれども、縦系の垂直方向のものも把握をして、より立体的にこの雨を把握することができるということです。
このマルチパラメーターレーダーの更新によって、降り始め時間一ミリ以下の弱い雨まで観測できるということです。また、既存レーダーでは、観測可能なメッシュサイズというのは、ゼロから二十キロ地点で、そのレーダーの半径二十キロ地点で二百五十メッシュ、いろいろとデータをとることができる。また、二十キロから五十キロ先については、五百メートルメッシュで観測することができるということです。
また、更新によって、その観測可能なメッシュというのもより精度が向上するというふうに聞いております。都民向けのインターネットサービスの配信データでは五百メートルメッシュなので、観測可能なメッシュサイズよりも、かなりこれ粗く出力しているわけです。ですから、一般の方には気づきにくいことですが、確実に観測の精度というのは向上するということでした。
東京都豪雨対策基本方針、これでも公助、自助の役割分担をうたっておりまして、都民に精度の高い情報を提供することが自助を促すために重要であるため、一刻も早く再構築を完了させるべきだと考えております。
そこで、東京アメッシュの再構築はいつまでかかるのか、お伺いします。
○神山施設管理部長 平成二十四年度からレーダーの更新に着手いたしまして、来年度末までに中央処理局を含め、システム全体の再構築が完了する予定であり、平成二十八年度から都民の皆様に新しいシステムで配信してまいります。
○新井委員 今後とも、より安全・安心な都市の実現に向け、豪雨のときの適切なポンプ運転や都民の自助、共助を支援するために、東京アメッシュは非常に役立つ取り組みだということがわかりました。
ただ今、説明がありました東京アメッシュは、民間と共同で開発したことがわかりました。また、新たな高度処理技術は、民間企業との技術開発で大きな成果を上げたと聞いております。このように、民間企業と連携した技術開発は大変有効であると考えております。
最後に、民間企業と連携した技術開発の推進について、下水道局の見解をお伺いします。
○前田技術開発担当部長 下水道局では、事業を進める上で直面する技術的課題を解決するために、民間企業の持つ最先端技術と局の持つノウハウとを融合させることができる共同研究を民間企業の開発意欲が高まるよう、さまざまな工夫を凝らしながら推進しております。
具体的には、下水道局が開発ニーズを提示し、共同研究者を公募しているほか、民間企業が入手しにくい下水や汚泥などの実験材料や、当局職員が持つ知識、経験を提供し、共同で研究を行っております。
さらに、平成二十三年度から、民間企業のインセンティブを高めるため、共同研究した新技術について、開発完了後に実際の工事に採用することをあらかじめ表明した上で、共同研究者を公募する新たな仕組みによる共同研究を実施しております。
今後とも、民間企業と連携した研究などにより、先駆的な技術開発に積極的に取り組み、日本や世界における下水道技術をリードしてまいります。
○新井委員 共同研究を通じて民間企業と連携を図ることによって、下水道局には、民間の最先端の技術、また情報を活用するという大きなメリットを得ることができます。また、民間の企業にとっても、この下水道局の設備を使って実証実験をできるので、効率的に技術開発を進めることができるわけです。
下水道局は、民間企業とより連携を高めて技術開発を進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。
○田中委員 私からは、下水処理水の有効利用に関してお伺いをいたします。
二十一世紀は水の世紀といわれていますけれども、世界では、人口増加と経済発展による水需要の増大に伴って、各地で水資源の枯渇が懸念されています。こうした地域では、水の循環利用への要請が非常に高まっています。こういった、水資源の少ない地域の一つであるシンガポールでは、ニューウオーターという水の循環利用の推進に関する取り組みが行われていて、昨年視察をいたしました。
このニューウオーターというのは、下水処理水をリサイクルして飲み水にする、飲用可能な水準にまで高度な処理を施した水のことで、シンガポールはこれまで、マレーシアからの輸入に頼ってきました水を、二〇一六年にこの契約が切れますので−−もともと一九六五年にマレーシアから追放されたときには、シンガポールには貯水池がなくて、そして、マレーシアは、水がないからすぐまた戻ってくるだろうと思っていたのが、何が何でもこの水で自給自足をするということで、こういったニューウオーターのような取り組み、また、湾を、海の水を貯水池にすると、そういうような、日本ではちょっと考えられないような取り組みまでしています。
このニューウオーターは、製造業の生産工程とか商業ビルのエアコンなど、さまざまな用途に用いられています。これ、私も行って飲んでみましたけれども、純度が高過ぎて味が全然しないんです。ミネラルが入っていないので、栄養価がない水、本当に何の味もしない水でした。ロサンゼルスとかアリゾナなどでは、もう二十年前から、こういった下水処理水を飲み水として使っているそうですけれども、限られた貴重な水資源の有効活用が、日本においても、今後さらに求められるものと思います。
先日、視察をした芝浦水再生センターでは、環境配慮型のまちづくりと連動した上部利用の一環で、この上部利用のビルや品川駅などにおいて、下水処理水がトイレ用水として活用されていると聞きました。すばらしい取り組みだなと思いましたけれども、そこで、下水処理水の有効利用を一層進めるべきという観点から何点かお伺いをいたします。
まず、今東京都において下水処理水がどのように有効利用されているか、お伺いをいたします。
○神山施設管理部長 下水処理水の有効利用に関する用途といたしましては、ビルのトイレ用水や車両の洗浄水など事業用として供給しております。また、事業用以外では、公園での親水用水や河川での修景用水としても供給しております。
さらに、各水再生センターにおきまして、機器の冷却水や汚泥焼却の洗煙洗浄水などとしても多く活用しているところでございます。
○田中委員 下水処理水が、都市の貴重な水資源の一つとして、幅広い、いろいろな用途で有効活用されているということがわかりました。大きく分けて二つですね、事業用利用と、それから新たな水辺環境をつくる親水利用や修景利用といったところだと思いますけれども、そこでまず、その一つ目の事業用の下水処理水有効利用の実績についてお伺いをいたします。
○神山施設管理部長 下水処理水の事業用の有効利用につきましては、高度に処理した再生水をビルのトイレ用水として西新宿地区へ供給する事業として、昭和五十九年度に開始いたしました。その後、臨海副都心地区、汐留地区、永田町及び霞が関地区などへと順次拡大しまして、現在では七地区へ供給しております。平成二十五年度の供給量は、七地区の百八十四の施設に対しまして、一日当たり約九千九百立方メートルとなっております。
○田中委員 多くの下水処理水がトイレ用水などで有効活用されて、この都庁もそうなんですよね、有効活用なんですよね。下水処理水の事業用以外での有効活用として、先ほど親水利用とか修景利用のお話がありました。都民の憩いの場や水辺環境の創造に寄与する貴重な取り組みで、また、都民が直接目にできる取り組みだと思いますけれども、下水処理水の親水利用、また、修景利用としての活用状況をお伺いします。
○神山施設管理部長 区部ではこれまで、落合水再生センターで下水を高度処理した再生水を上部公園のせせらぎ用水として供給してきております。また、潤いのある水辺空間の創出に向けまして、水の流れがほとんどなくなった都市河川などの清流復活用水としても活用しております。
具体的には、区部では、目黒川、呑川及び渋谷川、古川の城南三河川へ落合水再生センターからの再生水を供給しております。多摩地域では、昭島にございます多摩川上流水再生センターから野火止用水、玉川上水、千川上水へ再生水を供給しております。
これらの親水用水や修景利用に、先ほどの事業用なども含めますと、一日当たりの供給量は約五十万立方メートルとなりまして、二十五メートルプールに換算いたしますと、約一千七百杯分に相当する量となります。
○田中委員 ありがとうございます。下水を高度に処理した再生水が都市の水辺空間の創出とか、多摩地域も含めて潤いある水辺の復活にも大きく貢献しているということでした。何か再生水の歴史、ホームページで見ると、親水利用とか修景利用の方が先なんですね、その事業用よりも。それで、ちょっと私びっくりしましたけれども、今後もさらなる下水処理水の活用を期待していますけれども、ご見解を伺います。どういったことをやられていくのか。
○坂根計画調整部長 下水処理水の活用につきましては、これまでも再生水を供給している七つの地区において、建物の新築及び改築の機会を捉え再生水の活用を建築主などに要請しております。
また、芝浦水再生センターにおきましては、センター周辺における環境配慮型まちづくりと連動し、センター上部に、今年度末完成した最先端の環境ビルに対しまして、トイレ用水などとして、新たに再生水の供給を開始することとしております。このほかにも、渋谷川沿いの民間事業者による再開発と連携し、これまで流れのなかった渋谷川のより上流に清流復活区間を拡大する取り組みを進めております。
今後とも、環境型都市づくりなどの観点から、事業用としての活用や、修景用水などとしての活用について、下水処理水の利用拡大を目指し取り組んでまいります。
○田中委員 渋谷川沿いの再開発というのは、元東横線の地上ホームのところの清流復活だと聞いていますので、非常に楽しみにしています。
北京オリンピックのときは、施設の修景利用を目的として下水処理水の利用を行っています。日本は、シンガポールやロサンゼルスのように慢性的な水不足ではありませんので、飲み水の確保に下水処理水を使うまではないと思いますけれども、ぜひ今後、渇水対策とか環境配慮、また経済効果等の面からも、下水処理水の有効利用を積極的に進めていただきたいと思います。
以上で終わります。
○吉倉委員 最初に、マレーシアでの下水道整備プロジェクトについて何点か伺います。
昨年十月、東京下水道が技術的に支援を行っているマレーシアでの下水道整備プロジェクトについて、マレーシア政府と住友商事及び現地企業のコンソーシアムが契約合意に至ったとお聞きをいたしました。
私は、このプロジェクトが、マレーシアとの相互交流を促進し、友好関係を築き上げていく上で大変重要なものと考えており、今後の取り組みについて大いに期待をしております。
そこで、改めて、このプロジェクトの内容について伺います。
○永野企画担当部長 お尋ねのマレーシア下水道整備プロジェクトは、マレーシアの首都クアラルンプール郊外のランガット地区におきまして、山手線内側の一・二倍に相当する八十平方キロメートルを対象に、管渠約百キロメートル、ポンプ所十カ所、一日二十万立方メートルの処理能力を持つ下水処理場を設計から建設、維持管理まで一括受注するものであります。
受注者は、住友商事株式会社と現地企業のコンソーシアムで、契約期間は七十二カ月間、契約金額は約五百億円であります。当局及び監理団体である東京都下水道サービス株式会社は、東京下水道として、コンソーシアムとアドバイザリー契約などに基づき、これまで培った技術とノウハウを活用し、技術移転までを視野に入れた支援を行っております。
○吉倉委員 答弁をいただき、管渠、ポンプ所から処理場に至るまでの下水道システム全体を維持管理まで含めて一括受注するものであるということ、そして、規模の面でも、金額の面でも大変大きなプロジェクトであるということがよくわかりました。
こうした大型案件であれば、プロジェクトの契約合意までには大変なご苦労があったと思いますし、都としてもさまざまな取り組みを行ってきたというふうに思います。
そこで、このプロジェクトが、契約合意に至った要因と、そこに至るまでの経緯について伺います。
○永野企画担当部長 マレーシアでは、小規模な下水処理場が多数散在していること、また、ノウハウの不足により、施設の維持管理が十分なされていないことから、下水の処理水質が悪化して川の汚染が深刻化しており、対応に苦慮しているところであります。
このプロジェクトが契約合意に至った要因は、東京が培った技術やノウハウが水環境の改善を目指すマレーシア政府のニーズに合致し、同政府から高い評価と信頼を獲得できたことにあると考えております。
契約合意に至るまでには、東京下水道の技術やノウハウについて、マレーシア政府に対し、さまざまな機会を捉え、真摯に、また粘り強く説明を行ってまいりました。
具体的には、国の支援を受けて、政府間協議及びワークショップが開催されたほか、当局の幹部職員を現地に派遣し、マレーシア政府高官との意見交換などを行い、東京下水道の技術と経験を積極的にPRしてきました。
また、マレーシアで下水道の技術的基準を所管する幹部職員が来日した際には、同国へ提案した技術を当局の水再生センターで直接見ていただくなど、関係構築と技術の理解に向け、積極的な対応を行ってまいりました。
○吉倉委員 ご答弁ありがとうございます。契約合意に至るまでの間、都と国とが連携して、さまざまな機会をつくって関係構築を図っており、契約締結以前からマレーシアとの間に交流があったことがうかがえました。
また、都の施設を直接見ていただいたとの答弁がありましたが、提案した技術を用いて、都が下水道施設を運営している実態を相手に示したことは、東京の技術をより深く理解してもらうのに非常にすばらしい機会だったというふうに思います。契約合意の大きな要因が、東京下水道の技術やノウハウが高く評価されたということがよくわかりました。
そこで、このプロジェクトに盛り込まれている技術やノウハウについて具体的に示していただきたいと思います。また、事業を推進するに当たり、どのような課題があるのか、伺います。
○永野企画担当部長 このプロジェクトの発注仕様には、東京の技術とノウハウが多く採用されてございます。具体的には、プロジェクト対象地区にある約百六十カ所の小規模な下水処理場を新設する一つの下水処理場に集約し、効果的に汚水処理及び汚泥処理を実施いたします。
また、本プロジェクトにおける処理場予定地の限られた面積で効果を発揮する技術で、槽の深さを二倍にし、狭い処理場用地でも処理能力の確保を可能にした小スペース型の深槽式反応槽などがございます。
これらの技術を導入し、プロジェクトを進めるに当たっては、短い工期や相手国の法制度、異なる商慣習など、さまざまな課題がありますが、東京下水道の有する技術とノウハウを活用して支援を行ってまいります。
○吉倉委員 契約合意に至ったとはいえ、実施に際しては、さまざまな課題があるということがわかりました。こうした中で、プロジェクトを推し進めていくことは容易ではないと思いますが、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと、このように思います。
今後ますます発展していくであろうアジアで、東京の技術が導入され、現地の課題解決につながることは大変すばらしいことだというふうに思っております。
ただし、こうしたプロジェクトでは、施設が完成した後、維持管理を十分に行うことが非常に重要となってまいります。施設をつくっただけではなく、それを確実に維持管理していけるよう現地の技術者に技術移転をしていく、このことが必要であります。
そこで、現地への技術移転について、具体的な進め方を伺います。
○永野企画担当部長 本プロジェクトは、設計から建設だけではなくて、維持管理までを一括受注するものであります。設計、建設の各段階におきましては、技術面のさまざまな助言や情報の提供を行うほか、現地でセミナーを開催するなどし、東京下水道がこれまで培ってきた技術とノウハウを伝えてまいります。施設稼働後には、二年間にわたり、マレーシアの現地の技術者に維持管理の指導を行い、そのノウハウを移転してまいります。
○吉倉委員 答弁をいただきましたが、プロジェクトを真に成功させるという意味からも、現地の技術者への技術移転、さらに人材育成をしっかりと行うべきであります。
このプロジェクトのように、現地への技術移転を組み込むことで、東京とマレーシアとの息の長い相互交流につながるというふうに考えております。引き続き、この取り組みを着実に進め、世界における東京の下水道、ひいては東京のプレゼンスをますます高めていただきたいということを強く要望しておきます。
続きまして、下水道施設の上部利用事業について伺います。
先ほども触れられておりましたが、先日私も、芝浦水再生センターの上部利用事業、すなわち水再生センターの上の部分を利用する事業でありますけれども、この事業を視察いたしました。
この芝浦水再生センターの水処理施設の上の部分には、緑豊かな公園が整備されるとともに、三十二階建ての高層ビルが完成しておりました。ここは品川駅に近く、リニア新駅や、あるいはJR新駅の整備で脚光を浴びている場所でもあります。下水道施設の上に人工基盤を敷き、その上を高層ビルや公園として活用することは大変効果的な取り組みであり、今後さらに拡大をしていただきたいと考えております。
こうした観点から、下水道施設の上部利用事業について何点か伺います。
最初に、基本的なことから確認をさせていただきます。下水道局における上部利用事業は、いつ、どこで始まったのか、また、現在、どの程度の利用実績があるのか伺います。
○坂根計画調整部長 下水道施設の上部を利用した日本初の公園が、昭和三十九年に落合水再生センターで開園したのを皮切りといたしまして、これまでに、地元区市などと連携し、下水道施設の上部空間を公園やスポーツ施設などとして有効活用してまいりました。現在では、五十六カ所の水再生センター、ポンプ所において、東京ドーム十六個分に相当する七十四ヘクタールまでに利用を拡大しております。
○吉倉委員 私の地元新宿区にある落合水再生センターが、我が国初の取り組みであったということでありますけれども、現在ここは、野球場、テニスコートがあり、区立の落合中央公園として、地域の住民にとって、なくてはならない貴重な場所となっております。
さて、芝浦水再生センター上部利用事業は、落合水再生センターなどで、従来行われてきた公園利用とは一線を画す新たな取り組みと聞いております。そこで、今回の芝浦水再生センターの上部利用事業を行うに至った背景について伺います。
○坂根計画調整部長 芝浦水再生センターが立地する品川駅周辺地域は、都心はもとより、羽田空港を介して国内外の主要都市へのアクセスにもすぐれておりますことから、質の高い民間開発と、これを支える基盤施設を一体的に整備するため、平成十九年に、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインが策定されました。
このガイドラインにおいて、芝浦水再生センター地区は優先整備地域に位置づけられまして、環境モデル都市にふさわしい風の道の確保や、ビジネスセンターの一角を担う業務・商業機能の導入を広大な水処理施設の上部空間を活用して行うことといたしました。
また、平成十二年度に都市計画法が改正され、制限されていた下水道施設外の建物の建築が可能となるいわゆる立体都市計画制度が創設されました。芝浦での今回の取り組みにつきましては、この立体都市計画制度を下水道事業で初めて活用し、水処理施設の上部に民間オフィスビルを建設したものでございます。
○吉倉委員 品川駅周辺のまちづくりと連動し、また、立体都市計画という新たな制度を活用することで、今回の取り組みが進められたことがよくわかりました。芝浦水再生センターの上部空間に業務商業ビルの建設を行ったことは、上部利用事業の新たな可能性を切り開くものであり、大きな効果があったと思います。
そこで、改めて、下水道局にとっての今回の上部利用事業の意義を伺います。
○坂根計画調整部長 芝浦水再生センターは、昭和六年の供用開始から約八十年が経過し、老朽化施設の再構築が課題となっているほか、高浜運河など公共用水域の水質を改善するための合流式下水道の改善対策も必要となっております。
今回の事業では、水処理施設の再構築に合わせまして、民間オフィスビルの地下に合流式下水道の改善対策といたしまして、七万六千立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を新設しております。
この貯留施設の稼働によりまして、芝浦水再生センターから放流する雨天時汚濁負荷量を約三割削減することができ、放流先の高浜運河、ひいては、東京湾の水質改善に効果を発揮するものと期待しております。
さらに、上部ビル事業者からの地代収入、取得したオフィス床からの賃料収入によりまして、下水道事業経営の安定に資することも目的としております。
○吉倉委員 本事業が、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの会場となる東京湾の水質改善にも効果を発揮するということは大変意義深いことだというふうに考えております。
ところで、この上部利用事業は、業務商業ビルを建設、運用する民間企業とタイアップしていると聞いておりますが、民間企業と連携するメリットを含め、事業全体のスキームについて伺います。
○熊谷経理部長 本事業は、平成二十一年三月に、総合評価一般競争入札方式により事業者を決定し、水再生センター上部のオフィスビルの建設につきましては、当該事業者が全額負担するため、下水道局の費用負担はございません。
下水道局は、事業者が上部ビルを所有するための借地権の設定対価額と地代収入を得られます。このうち借地権設定対価額につきましては、現金を受け取るかわりに、上部ビルのオフィス床の形で取得することとし、このオフィス床から毎年賃料収入を得ることができます。なお、本事業における借地権の存続期間は三十年であり、期間満了後には更新することも可能としております。
○吉倉委員 答弁をいただきましたが、この事業のすぐれた点は、下水道局が、新たな財政資金を必要とせずに、民間の資金とノウハウ、これを活用して高層ビルの建設をする、そして、オフィスの床を獲得できるということにあるというふうに思います。しかも、三十年間という長期にわたって安定的な収入も期待できるという大変大きなメリットのある事業であります。この事業をモデルとして、ぜひ、他の下水道施設への拡大も図っていただきたい、このように考えております。
最後に、上部利用事業の今後の展開について、下水道局長のご決意を伺い、質問を終わります。
○松田下水道局長 下水道施設の上部は、これまでにも、水辺や緑、生き物が集まる都市のオアシスとしての公園、また大人から子供までが汗を流すスポーツ施設など、さまざまな形態で地域の住民の皆様に愛され、利用されてまいりました。
近年では、今回の芝浦上部の取り組みのほか、太陽光発電施設の設置などのように利用の幅を拡大してきておりまして、今や下水道施設の上部空間は、東京の貴重な都市空間において、新たな価値を生み出すポテンシャルを有するものと考えております。
水再生センターやポンプ所などの下水道施設は、これから新設するものだけではなく、老朽化した施設を再構築する機会も捉えまして、計画段階から、地域特性や地元の声などを踏まえまして、地元区市や民間事業者など、多様な主体と連携をし、上部空間に複合的な機能を付加していくことが重要だと考えております。
今後、地域の潤いやゆとり、安全・安心、さらには活力を生み出す拠点としての下水道施設の上部利用をさらに発展進化させていきまして、世界一の都市東京のまちづくりに貢献していく所存でございます。
○大場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大場委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は、いずれも終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願は、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十六分散会
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