公営企業委員会速記録第四号

平成二十六年三月十八日(火曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長小宮あんり君
副委員長西沢けいた君
副委員長田中 朝子君
理事吉住 健一君
理事高倉 良生君
理事畔上三和子君
河野ゆうき君
上田 令子君
鈴木 錦治君
松村 友昭君
鈴木貫太郎君
山田 忠昭君
三宅 茂樹君

 欠席委員 一名

 出席説明員
水道局局長吉田  永君
次長福田 良行君
総務部長松宮 庸介君
職員部長松丸 俊之君
経理部長石井 正明君
サービス推進部長冨田 英昭君
浄水部長佐々木史朗君
給水部長田村 聡志君
建設部長今井  滋君
企画担当部長斉田 典彦君
サービス企画担当部長宇井 利見君
設備担当部長佐久間 勝君
多摩水道改革推進本部本部長大村 雅一君
調整部長浅沼 寿一君
施設部長山田  廣君
技術調整担当部長青木 秀幸君
下水道局局長松浦 將行君
次長石原 清次君
総務部長小山 哲司君
職員部長安藤  博君
経理部長熊谷  透君
計画調整部長渡辺志津男君
施設管理部長坂根 良平君
建設部長中島 義成君
企画担当部長永野  実君
技術開発担当部長神山  守君
施設管理担当部長野口 毅水君
流域下水道本部本部長黒住 光浩君
管理部長須田  潔君
技術部長松島  修君

本日の会議に付した事件
 水道局関係
  請願の審査
  (1)二六第一号 工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願
  予算の調査(質疑)
  ・第二十五号議案 平成二十六年度東京都水道事業会計予算
  ・第二十六号議案 平成二十六年度東京都工業用水道事業会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百四号議案 東京都給水条例の一部を改正する条例
  ・第百五号議案 東京都工業用水道条例の一部を改正する条例
 下水道局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第二十七号議案 平成二十六年度東京都下水道事業会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六号議案 東京都下水道条例の一部を改正する条例

○小宮委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の請願審査並びに水道局及び下水道局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 初めに、請願の審査を行います。
 二六第一号、工業用水道料金の減免措置及び減免率の維持に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松宮総務部長 それでは、請願につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
 この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨としましては、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
 この請願に関する現在の状況でございますが、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成二十五年第一回東京都議会定例会における工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補填を前提に、独立採算制の原則及び負担の公平に対する例外的措置として、平成二十六年三月三十一日までを期間として、基本料金の一〇%を減免しているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議くださいますようお願いいたします。

○小宮委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小宮委員長 発言がないようなので、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小宮委員長 異議なしと認めます。よって、請願二六第一号は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。

○小宮委員長 次に、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第二十五号議案、第二十六号議案、第百四号議案及び第百五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求した資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松宮総務部長 お手元に配布してございます資料2、公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 さきの委員会におきまして要求のございました資料を取りまとめてございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。監理団体、報告団体における社員数、都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数でございます。
 平成二十五年八月一日現在の監理団体及び報告団体それぞれの社員数と、そのうち都派遣社員数、固有社員数及び都退職者数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。監理団体、報告団体の社員数の過去五年間の推移でございます。
 監理団体及び報告団体における平成二十一年度から二十五年度までの五年間の八月一日現在の社員数の推移をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。水道局職員の定数、職員数の過去五年間の推移でございます。
 平成二十年度から二十四年度までの五年間、水道局職員の条例定数及び事務、技術、技能の区分別の年度末の職員数をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。工事請負契約の実績がある民間企業への局退職者の過去三年間の就職者数でございます。
 以上をもちまして、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○小宮委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 初めに、東京水道の国際展開について伺います。
 アジアの途上国では、経済成長や人口増加に伴い、水不足や水質の悪化が深刻です。東京も高度経済成長期に、水不足や水質の悪化などの水問題を克服した経験があり、アジアの途上国に対して貢献できるのではないかと思います。東京の経験や技術、ノウハウを活用して、東京水道がアジア諸国に協力していくことが大切だと考えますが、これまでの東京水道の国際展開の取り組みについて伺います。

○斉田企画担当部長 水道局では、これまでの国際貢献から一歩踏み込んで、具体的な事業を実施してほしいという海外からの要望に応じまして、国際展開を進めております。
 展開に当たりましては、東京水道の高い技術やノウハウを活用していくとともに、相手国との信頼関係を構築するため、これまで専門の組織や民間企業支援プログラムの立ち上げなど、体制の整備を進めてまいりました。
 また、タイ、台湾などと技術協力の覚書を締結し、漏水防止技術などの技術力の向上や財政制度に関する人材育成を行うなど、水道の改善に取り組むための基盤を築いております。
 具体的な取り組みにおいては、JICAの資金を効果的に活用し、例えば、インドのデリーでは、日本企業とコンソーシアムを組み約三億五千万円の技術協力プロジェクトを実施中であります。また、昨年二月には、タイにおいて無収水対策のパイロット事業を約三千万円で受注しております。現在、さらなる事業拡大に向けまして調整を行っているところであります。

○吉住委員 東京水道の取り組んできたことはよくわかりました。これからもその取り組みを加速していただきたいと思います。
 先日の代表質問で、我が党は、知事が公約に掲げている東京水道の国際展開を一層進めていくべきと申し上げ、知事に見解を伺いました。知事からは、ミャンマーの最大都市であるヤンゴン市を視野に、無収水対策事業を手がけていくとの答弁がありました。
 我が党においても、ミャンマー友好議員連盟を設立し、同国の発展を後押ししています。東京水道の世界一の技術を活用し、ミャンマーの水事情に関する課題をしっかりと捉え、その改善に貢献していただきたいと期待しています。
 そこで、ミャンマーでは、どのような要望があり、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○斉田企画担当部長 ミャンマー最大の都市であるヤンゴン市では、浄水場などの施設整備が不十分であり、安全な水が手に入らないほか、設備の老朽化による漏水などさまざまな問題が生じております。こうした中、ヤンゴン市の水道事情の改善のため、同市の水道マスタープランの策定に、平成二十四年八月から協力しております。
 また、昨年九月には、技術協力の覚書を締結し、水道の改善に取り組むための基盤をつくっており、研修の受け入れや現地セミナーの開催を通じて、ヤンゴン市経営層との人脈形成に努め、関係を強化してきております。このような関係強化の過程で、ヤンゴン市の経営層からは、直面する水不足への対応には、漏水などで無駄に失われる無収水を減らすことが重要であり、東京のすぐれた技術で手助けしてほしいとの要望が寄せられました。こうした要望を受けまして、商社など日本企業とコンソーシアムを形成し、ヤンゴン市の技術力の底上げを図るとともに、現地の体制整備や資金の確保を進め、無収水対策事業の組成に向けて取り組んでまいります。

○吉住委員 アジアの途上国が抱える水に対する課題やニーズはさまざまであり、まずは相手国の人材育成などを通じ、信頼関係を強化し、事業を推進していく必要があります。
 東京水道がヤンゴン市の水事情の改善のため真摯に取り組んでいることがよくわかりました。我が党も取り組みを応援してまいりますので、これからも相手国の技術レベルの底上げを進め、無収水対策事業を初めとした具体的な事業展開を一層進めていっていただきたいと思います。
 次に、水道局の安全でおいしい水の取り組みについて伺います。
 知事は、我が党の質問に対し、高品質な水をいつでも得られるシステムが東京という巨大都市に備わっていることは誇りであり、都民の宝であると答弁されました。
 まず、水質事故対策について伺います。
 一昨年五月に、利根川水系におけるホルムアルデヒド事故が発生しました。都では適切に対応し、断水などの被害を回避することができました。
 一方、近隣の事業体では、この事故の影響で大規模な断水被害が生じました。このような化学物質の事故のほかに、油の流出による水質事故も多く発生していると聞いていますが、人々の生活を支える上で、安全な水道水をつくり、届けていくためにも、このような事故に対して万全な対応をとるべきであります。水質事故にはさまざまなものがありますが、どのようにリスク管理を行っているのか伺います。

○佐々木浄水部長 水道局では、水質事故への対応、浄水場における水質管理、水質検査の精度保証を目的とした水質管理の総合的なマニュアルであります東京高度品質プログラムを作成しております。
 このプログラムでは、水質事故への対応として、事故の原因となる物質を想定し、その特性や濃度などから区分した危険性のレベルに応じて対応手順を具体的に定め、的確な対応がとれるようにしております。
 また、いち早く事故情報を把握し、迅速に対応するため、水道事業体四十三団体から成ります利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会を組織し、水質事故の情報連絡や事故原因の共同調査など協力体制を構築しております。
 こうした取り組みに加えまして、水質事故対応への一層の強化を図るため、上流域において化学物質を使用している事業所や取扱量に関する情報を収集するとともに、事故原因物質の分析方法の確立と迅速化に取り組んでおります。これらの対応により、事故対応力を高め、水質管理に万全を期し、今後も、お客様に安全でおいしい水道水を届けてまいります。

○吉住委員 水質事故の対応を事前に準備しておくことは大変重要であります。また、迅速な対応のためには、他の関係機関との連携が不可欠であります。今後ともこれらの取り組みを進めてもらうとともに、想定外の事故も想定内となるように事故対応の強化に努めていただきたいと思います。
 東京水道では、平成二十五年度、利根川水系における高度浄水一〇〇%を達成し、どこでも高品質な水を提供できるようになりましたが、どんな高品質な水をつくっても、お客様の蛇口まで届かなければ意味がありません。特に、貯水槽水道の場合、管理が十分でなければ高品質を保った状態では都民に届きません。そこで、貯水槽水道対策や直結給水方式の普及促進にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○田村給水部長 貯水槽水道対策につきましては、平成十六年度から二十四年度までに、都内の貯水槽水道を対象に、管理状況の把握のため、点検調査を実施してまいりました。この調査の結果を踏まえ、貯水槽の滞留時間が長いなど、水質劣化の懸念がある約五万件と、これまでの調査で設置者の協力が得られなかった約四万件の合計約九万件について、今年度から三年計画で点検調査を実施し、適正管理に向けた指導助言を行っております。あわせて、貯水槽水道の状況に応じた改善策を提案するとともに、パンフレット等を用いて直結給水方式についてもPRをしております。
 直結給水方式の普及促進につきましては、貯水槽水道方式から直結給水方式への切りかえを希望するお客様に対して、切りかえに係る工事費の見積もりや工事内容の相談を無料で行う直結切りかえ見積もりサービスを、平成十九年度から実施しております。
 さらに、平成二十四年十二月からは、直結切りかえの際に給水管を太くする工事の一部を水道局が施行することにより、直結給水方式への切りかえの一層の促進を図っております。これらの施策を着実に実施し、安全でおいしい水をお客様に直接飲んでいただく取り組みを推進してまいります。

○吉住委員 きめ細かな貯水槽水道対策や直結給水方式への切りかえ促進に取り組んでいるようで安心いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、ペットボトルのミネラルウオーターは一般的になっていますが、最近の流行で、ウオーターサーバーというミネラルウオーターの宅配サービスがありますし、さらには、スーパーの給水サービスというものも普及してきています。ウオーターサーバーやスーパーの給水サービスの普及状況はつかんでいるのか、また、水道局が実施している水道水の満足度調査の結果はどのようになっているのか伺います。

○斉田企画担当部長 業界団体が全国の家庭を対象に実施した、日常的に飲んでいる水に関する調査によりますと、ウオーターサーバーを利用している割合は全体の四・五%、また、スーパーなどの店舗の給水サービスは八・八%となっております。
 当局が実施した水道水の満足度調査では、満足が、平成十五年度に二八%だったものが、平成二十五年度では五二%まで上昇しております。一方で、どちらでもないが三〇%、不満は一六%という結果となっております。この結果における、どちらでもない、不満の層には、水道水のよさを知らない、あるいは何となく不安といった方がいらっしゃいます。

○吉住委員 つい先日も、ウオーターサーバーのニーズが高まっているとの報道がありました。利便性や生活スタイルからウオーターサーバーを選択するのであれば仕方ありませんが、水道水のよさを理解されていないままであるとすれば非常に残念だと思います。
 水道水は、安全でおいしいというだけではなく、ウオーターサーバーなどと比較し、水の運搬に係る環境負荷は相当低いと思われます。また、価格千リットルで二百円と圧倒的に安い。水道水が安全でおいしいだけではなく、環境に優しく価格面でもすぐれていることは意外に知られていないと思います。
 例えば、水道水が環境負荷の面でどのようにすぐれているのか、具体的に伺いたいと思います。あわせて、水道水のさまざまなよさをもっと知ってもらうよう努力すべきと考えますが、見解を伺います。

○斉田企画担当部長 水道には、もともと水をつくり、届けるシステムが備わっており、既存のシステムに高度浄水処理の仕組みを追加し、都民に安全でおいしい水としてお届けしているため、水を運ぶことによる環境負荷は、新たに発生いたしません。そのため、製造、運搬に係る環境負荷を水道水以外の方法と比較しますと約一千倍の開きがあります。これまで水道水は、安全でおいしいを中心にPRしてまいりましたが、今後は、環境面などの、ほかのよい面もアピールし、水道水のよさをより理解していただくことが重要であると考えております。またあわせて、価格面の優位性なども説明し、積極的なPRを行っていく必要があると考えております。

○吉住委員 利根川水系の高度浄水処理施設の整備が完了し、安全でおいしい水がどこでも手に入る仕組みができ上がりましたので、今まで以上に水道水を飲用してもらうよう、環境面や価格面での水道水のよさを伝える取り組みも積極的に進めてもらいたいと思います。
 水道水のよさを理解してもらえば、満足度の向上につながると考えます。また、満足度調査のうち、何となく不安と回答した方へのアプローチも大切だと考えます。漠然とした不安を取り除き、東京水の安全性やおいしさを実感してもらうためには、みずから体験してもらうことが非常に効果的だと思います。
 水道局は、さきの予算特別委員会で、水道水のよさが都民に伝わるよう、新たなプロジェクトの立ち上げを表明しました。新たなプロジェクトでは、関心や興味を持ってもらうために、さまざまな体験をする取り組みを展開する必要があると思いますが、どのような施策を盛り込んでいくのか伺います。

○斉田企画担当部長 満足度調査におきまして、何となく不安と回答した方は、自分の飲んでいる水道水の水質が心配だと感じております。そこで、今年度立ち上げた水道水質モニターは、自宅の水質をみずから確かめ、水道水の安全性やおいしさを自分自身で体験、体感できるという仕組みで、満足度の向上に効果がありました。
 新たなプロジェクトでは、水質モニターのような、体験、体感型の施策を集約し、水道水質見える化プログラムとして体系化してまいります。また、今後も、高品質な水をつくり、届けるため、徹底した品質管理のほか、貯水槽水道対策や直結給水化の促進などの施策についても盛り込んでまいります。

○吉住委員 二〇二〇年には、オリンピック・パラリンピックに多くの方が国内外から東京を訪れることになっております。新たなプロジェクトを着実に推進し、東京の水道水のすばらしさを都民や東京を訪れる人々にしっかり浸透させていただきたいと思います。世界一の都市を目指す東京の底力として、局長を先頭に水道局が一丸となって取り組んでもらいたいと思いますが、局長の見解を伺います。

○吉田水道局長 東京の水道は、近代水道創設から百十年余りの歴史の中で、常に時代時代の課題に対応し、今日、高度浄水一〇〇%の達成や、また無収水率三%の実現など世界に誇れる水準となっております。
 この東京の水道水が、安全でおいしいことはもとより、環境への負荷が少ないことや社会的コストの面ですぐれていることなどを理解していただけるよう努めてまいります。
 さらに、オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、東京の水道のすばらしさを国内外からの来訪者の方にも発信し、世界一の都市づくりに貢献してまいります。こうした点を盛り込んだ新たなプロジェクトを早期に立ち上げ、水道局全職員一丸となって取り組んでまいります。

○吉住委員 都民にも、国内外の方にも、東京水道のよさを実感していただけるよう、しっかり、そして誇りを持ってPRしていただければと思います。
 続いて、代表質問への答弁であった水道施設整備のマスタープランに盛り込む安定給水の確保に向けた取り組みについて幾つか質問します。
 まず、安定給水の基本である水源の確保について伺います。
 新たな水源開発を不要とする意見がある一方で、二十四年、二十五年と二年連続で取水制限が実施されました。
 近年、日本列島は、豪雨災害と渇水の両極端な気象現象が常態化しています。IPCCが温暖化に歯どめがかかっていないと指摘との報道がありました。八ッ場ダムは昨年、計画変更がされ、国は平成二十六年度予算案に八ッ場ダム本体工事を計上するなど、ようやく動き出したところです。
 近年の渇水状況や今後の気候変動という不安要素を考えたとき、安定給水のため八ッ場ダムは必要不可欠であり、早期に完成させるべきと考えますが、見解を伺います。

○斉田企画担当部長 水源確保には、長期的な人口推計だけでなく、今後の気候変動に注視することが不可欠であります。国土交通省によりますと、都の水源の約八割を占める利根川水系では、近年の降雨状況を踏まえ、流域のダム等から安定的に供給できる水量は、当初計画していた水量よりも二割程度低下しているとされております。
 また、利根川水系では、八ダム体制となった平成四年以降、二十二年間で、夏冬合わせて七回もの取水制限が実施されております。このうち、平成八年の厳しい渇水は、八ッ場ダムが完成していれば、取水制限の日数百十七日が十七日と百日間減少するという国土交通省の試算があり、八ッ場ダムは渇水に対して大きな効果があります。
 近年の少雨化傾向や今後の気候変動を踏まえますと、将来にわたって首都東京の安定給水を確保していくためには八ッ場ダムが必要不可欠であります。このため、八ッ場ダムの一日も早い完成を国に強く求めてまいります。

○吉住委員 そもそも八ッ場ダム建設には、都内の低地帯に対する治水の面での効果も期待をされています。そういった意味でも、事業の着実な実施を引き続き国に働きかけてもらうとともに、今後の気候変動を見据え、水源の確保に向け、しっかり取り組むよう要望いたします。
 次に、首都直下地震に備えた震災対策について伺います。
 マグニチュード七クラスの地震が三十年以内に七〇%の確率で発生すると指摘されていますが、震災時の断水被害を確実になくすためには、耐震継ぎ手管への取りかえなどの予防対策を強力に推進することが不可欠です。
 管路の耐震化工事に当たっては、昼夜にわたり工事の騒音や道路の通行どめなどが伴うため、下水道やガス、電力、NTTなど他の事業体とも連携をとりながら、生活環境や道路交通などを十分に踏まえて実施すべきであります。こうしたことを考慮した上で、水道局は、経営資源を最大限に活用して、強靱な水道インフラをつくり上げていくことが重要です。管路の耐震化は、震災時の給水を確保する上で極めて重要ですが、マスタープランにはどういった内容を示していくのか伺います。

○斉田企画担当部長 水道局では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成十年度から耐震継ぎ手管を全面的に採用し、総力を挙げて耐震継ぎ手化を推進してきております。
 その結果、管路の総延長二万七千キロメートルに対する耐震継ぎ手管の割合は、平成二十四年度末現在三二%となっております。首都直下地震の切迫性が指摘されている中、管路被害のさらなる軽減を図るため、今後十年間における管路の取りかえ規模は約五千キロメートル、八千億円を見込んでおり、十年後の平成三十五年度末には、耐震継ぎ手率を五七%、震災時の復旧日数を、現在の三十日から十七日以内まで短縮してまいります。こうした震災対策の取り組みを新たに策定する施設整備マスタープランに明確に位置づけ、着実に進めてまいります。

○吉住委員 都民への震災時の給水をより確かなものにするため、管路の耐震化を最優先で進めてもらいたいと思います。
 ところで、臨海副都心は、モダンなオフィスビルや意匠を凝らした商業施設、高層住宅や学校など多くの建物が建ち並び、ここを訪れる人は年間四千八百五十万人に及び、一大集客力を持つ魅力あふれる町として着実に成長を続けています。
 また、都心から六キロメートル圏内という至近距離に位置するだけではなく、羽田空港はもとより成田空港とも高速道路で結ばれ、国内や海外の各都市との広域的なネットワークの拠点として発展してきています。
 そうした中で、臨海副都心は、オリンピック・パラリンピックの競技施設も集中することになりますが、競技者はもとより世界中からスポーツを楽しむ観戦者などが集まることが予想されます。こうした、平常時でも人が集まり、二〇二〇年には海外からのお客様をお迎えする臨海地域における水道インフラの耐震化は急務であり、取り組み強化が必要と考えますが、見解を伺います。

○田村給水部長 オフィスビルや商業施設などが立地し、多くの人が集まる魅力ある町となっている臨海部は、オリンピック・パラリンピックの競技施設なども整備されることから、水道管路の耐震化をさらに推進すべき地域でございます。
 これまで、当局では、管路の耐震化に積極的に取り組み、首都中枢機関や救急医療機関などの重要施設への供給ルートや震災時に断水被害が大きいと想定される地域について、耐震継ぎ手管への取りかえを優先的に進めてきておりますが、新たに、競技施設などへの供給ルートにつきましても、オリンピック・パラリンピック開催の前年までに耐震継ぎ手化を完了することとし、管路の耐震化の取り組みを一層強化してまいります。

○吉住委員 管路の耐震化につきましては、優先順位を踏まえた効率的な取りかえを実施しており、十分な計画性がうかがえ安心しました。二万七千キロに及ぶ管路は、地球半周にも及ぶ膨大な規模であり、全ての耐震化は一朝一夕には進まないため、今後ともしっかりと進めていくことが必要となります。
 さて、臨海エリアには、水の科学館に併設している有明給水所など、複数の給水所がございます。そもそも送水の拠点となるこれらの施設が地震により機能に支障が生じれば、水道供給に影響を及ぼすことになりますが、臨海エリアにおける給水所の耐震化について伺います。

○今井建設部長 臨海エリアには、オリンピック・パラリンピック関連施設に水道水を供給することになります晴海給水所、江東給水所、有明給水所等がございます。このうち、晴海給水所につきましては、平成二十五年度に耐震工事が終了しております。江東及び有明給水所につきましても、平成三十年度までに着実に耐震工事を実施してまいります。

○吉住委員 オリンピック・パラリンピックの開催もありますし、多くの人の生活に影響を及ぼしますので、関連する施設整備を遅滞なく進めていただきたいと思います。施設整備には、膨大な費用と長い整備期間が必要となりますので、中長期的な目標を定めて着実に推進していくことが重要であります。
 最後に、災害に強い安全な東京を実現するために、安定給水のより一層の向上に向けた局長の決意を伺いまして、私の質疑を終了いたします。

○吉田水道局長 水道は、公衆衛生の向上や生活改善に大きな役割を果たすとともに、経済や都市機能の発展に欠くことのできない社会インフラでございまして、安全でおいしい水を安定的に供給し続けることが、東京水道の最大の使命でございます。
 今後、東京水道の将来を見通しますと、水源の確保や首都直下地震への備えなど、中長期的な課題が山積しており、施策の優先順位と目標を明確に定め、施設整備を確実に実施することが重要であります。このため、八ッ場ダムによる水源確保、計画的な水道施設の耐震化や大規模浄水場の更新などの施策を盛り込むマスタープランを四月末までに策定し、局を挙げて着実にこれらの施策を推進してまいります。
 こうした取り組みにより、将来にわたる首都東京の安定給水の確保に万全を期し、一千三百万都民の生活と首都東京の都市活動を支えてまいります。

○高倉委員 四月から地方消費税を含む消費税率が五%から八%へと改定になるわけであります。それに伴いまして、水道局は料金改正に関する条例案を今回上程をされております。公共料金の改定に関しましては、都民の関心も高いわけでありますので、何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、消費税率の引き上げ分を水道料金に転嫁をするに当たりまして、その基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○松宮総務部長 消費税率に関しましては、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の施行に伴い、地方消費税を含む消費税が、平成二十六年四月一日から、現行の五%から八%に引き上げられます。
 水道事業者につきましても、民間企業と同様に、法令上、消費税等の納税義務者であることから、消費税率等の引き上げ分について、適正に料金に転嫁することとしております。

○高倉委員 今ご答弁では、法令に基づいて適切に転嫁を行っていくと、こういったお話でありました。これまで、水道局は、不断の経営努力によりまして料金を抑制をしてきていると、こういったことについては評価をしているところでございます。
 現に、前回の平成十七年の一月の料金改定では、都民の声に応えまして、節水の努力が報われるように、基本水量制を、基本水量を十立方メートルから五立方メートルに見直す、こういったことと、さらには口座割引とあわせまして料金を二・二%引き下げをしているわけであります。
 しかしながら、今回の消費税の引き上げに関しましては、一部には税率改定分をのみ込んでほしいと、こういったような声も聞かれるわけであります。
 改めて、水道局は、最大限の経営努力を実施をしてきたと、その上での転嫁であるということを、私は説明をしていく必要があるんではないかと思います。そこで、水道局がこれまで、どういった経営努力をしてきたのか、このことについてお伺いしたいと思います。

○松宮総務部長 水道局ではこれまで、業務の外部委託や組織の統廃合など不断の経営努力により、職員定数を、ピーク時であった昭和五十一年度の約七千九百人から平成二十六年度には約三千九百人と半減させてまいりました。また、平成九年度に、東京都水道局工事コスト縮減推進委員会を設置し、徹底した工事コストの縮減などに取り組むとともに、局有資産に関しましても有効活用を図ってきており、現在では、毎年度約七十億円の土地建物使用料収入を計上するに至っております。
 平成二十五年度から二十七年度までの三年間を計画期間とする東京水道経営プラン二〇一三においても、事務事業の効率化など、可能な限りの経営努力百億円を実施することで、現行の料金水準を維持することとしております。

○高倉委員 今、答弁にもありましたけれども、水道局が長年にわたって経営努力に励んできたということ、このことの説明をいただいたわけですけれども、これは、本当に引き続きまた行っていただきたいというふうに思います。
 また今後、大規模浄水場の更新、また水道施設の耐震化などに、取り組みに当たっては膨大な資金が必要であるというふうにお聞きをしております。答弁の中にも、管路の耐震化等々のお話もありましたけれども、これは首都直下地震といったものが切迫性が常に指摘をされている中で、まさに喫緊の大変大事な課題ではないかというふうに思っております。
 管路の耐震化といったものが、おくれればおくれるほど、震災時には断水の被害が、その分大変大きくなってきてしまうわけでありまして、都民への安定供給のために、こうした必要な事業をしっかりと推進をしていくといったことが重要であるというふうに思います。
 消費税の転嫁につきましては、都民生活に及ぼす影響、こういったこともあるわけでありまして、広く都民の理解を得られるように、先ほど来質疑をしてきましたこの経営努力への取り組み、また防災対策も含めまして、情報提供と説明をしっかりと私は行っていく必要があるのではないかなと思っております。
 このたびの料金改定について、都民に対してこうした周知をどう図っていくのかについてお考えをお聞きしたいと思います。

○松宮総務部長 水道局では、経営努力とともに、先ほど理事がいわれましたとおり、震災への備えや施設の老朽化など、山積する課題に対応していくため、管路の耐震継ぎ手化、ネットワーク化、浄水場の更新、給水所の整備など、必要な事業を推進していく必要があります。
 そのために、今回、適正に料金に消費税を転嫁することといたしたものでございますが、このためには、料金の消費税転嫁に当たり、水道メーター検針時に、チラシを各戸に配布するほか、新聞折り込みの水道ニュースやホームページなど、さまざまな媒体を用いて広く周知を図っていく所存でございます。
 また、お客様からの問い合わせにも、きめ細かくかつ丁寧に対応するなど十分な理解が得られるように努めてまいります。

○高倉委員 この消費税の転嫁に伴います料金改定につきましては、都民にしっかりと周知を図っていただきたいと思います。同時に、一層の局としての経営努力、また利用者へのサービスの拡充、そして、先ほども私、強調させていただきましたけれども、大災害に備えた管路の耐震化等々の取り組みのさらなる加速ですね、こうしたことに全力で取り組んでいただくようにお願いを申し上げます。
 次いで、水道キャラバンについて質問いたします。
 現在、水道局では、小学校における寸劇とか実験を活用した水道キャラバンによりまして、水道についてのわかりやすい授業の実施をいたしております。この水道キャラバンは、毎年、着実に実施校数をふやしまして、小学校での実施が広く浸透しているわけであります。
 私たち、都議会公明党では、この活動について、小学校以外の場にも広げていくことが、都民に水道への理解を深めていただくために有効ではないかといった提案をいたしてまいりました。そこで、小学校以外の場での実施状況についてご説明をいただきたいと思います。

○宇井サービス企画担当部長 水道キャラバン拡大のため、平成二十四年度に児童館や地域のイベントなどにおいて試行いたしまして、実施場所や対象について検討いたしました。この試行結果を踏まえまして、平成二十五年度から、児童館における母親学級などにおきまして、主に子育て世代を対象にした水道キャラバンを実施することにいたしました。その結果、今年度、目標回数五十回に対しまして六十二回実施したところでございます。

○高倉委員 児童館における母親学級などにおいても、この水道キャラバン、検討し実施をしているということで、ぜひ今後の展開に期待をいたしております。特に小さなお子さんを持つお母さんは、水道水に対する安全性や経済性に関心が高いというふうに思われるわけであります。児童館でこうした場を設けることによりまして、水道への理解を深める大変よい機会になるのではないかと思います。
 そこで、実施に当たりましては、小学校における水道キャラバンのすぐれたノウハウを活用しまして、効果的な内容とする必要があると考えますけれども、実施内容についてお伺いをいたします。

○宇井サービス企画担当部長 水道キャラバンは、その特色でありますわかりやすく親しみやすい寸劇や映像を用いて、水道に関する情報を紹介しておりますが、児童館での実施に当たりましては、小さなお子さんを連れた親御さんが参加されることから、小学校の授業の場とは異なり、限られた時間での実施が求められております。
 そのため、短い時間でも印象に残る内容となるよう、お客様の関心が高く、生活に密着したテーマをコンパクトにまとめるとともに、水道水とミネラルウオーターの飲み比べといった体験型プログラムを盛り込み、楽しく、かつ、わかりやすい内容で構成しております。

○高倉委員 児童館というこれまでにない場所での実施について、さまざまな必要な工夫、配慮を行っているという、今ご答弁でありました。水道水の安全性や経済性をPRをしていくために、ぜひ、より多くの子育て世代の方々に参加をいただきたいと思います。
 そこで、この児童館等における水道キャラバンをさらに拡大をするとともに、拡大に当たって実施内容を親子が楽しめるよう工夫、充実をさせていくべきではないかというふうに考えますけれども、ご見解をお伺いしたいと思います。

○宇井サービス企画担当部長 より多くの方々にご参加いただけるよう、平成二十六年度は、目標回数を百回に拡大するとともに、実施期間を一カ月延長し、四月から十一月までといたしました。
 実施の拡大に当たりましては、児童館や各自治体の担当部署に積極的に働きかけを行っております。また、実施内容につきましては、平成二十五年度の結果を踏まえ、参加者から要望の多かった震災対策や、水道水の安全性への取り組み等について、その内容を見直すとともに、親子で楽しく参加できるようプログラムの充実を図ってまいります。
 今後も、水道キャラバンを拡大推進していくことによりまして、幅広い層のお客様に水道事業へのご理解を深めていただけるよう取り組んでまいります。

○高倉委員 今、目標回数についてのお話にありました、二十五年度五十回ということでありましたけれども、二十六年度は、まさに倍増の百回に拡大していくというお話でありました。ぜひとも、都民の水道への理解を深めるために、水道キャラバンの拡大、より一層の充実にご期待をいたします。
 最後に、資材の備蓄体制について質問をいたします。
 大規模地震の切迫性が指摘をされる中で、東京が被災をした場合に、都民生活への影響を最小限に抑えていくためには、一日も早く水道を復旧することが必要であります。
 しかしながら、被災直後は、交通の寸断などによりまして、復旧用資材を調達することが非常に困難であると、こういう状況も想定をされるわけであります。そのために、平素から十分な資材の備蓄をしていくことが重要であります。私ども都議会公明党では、新潟県の中越沖地震におきまして、発災直後の水道復旧用の材料確保が困難であったという経験を踏まえまして、緊急時の応急復旧用の材料備蓄の重要性について、これまでも指摘をしてきたところであります。
 そこで、水道局としての資材備蓄体制の現状について明らかにしていただきたいと思います。

○石井経理部長 震災発災時の水道管路の応急復旧用資材については、資材メーカーからの調達が可能となるまでの期間を考慮し、震災後の初期の復旧工事に必要なものとして、おおむね十日分を備蓄しております。
 各資材は、区部東部に五カ所、区部西部に三カ所、多摩地区に二カ所の計十カ所の資材置き場に分散して配置しております。

○高倉委員 一定の資材を分散して備蓄をし、被災時の応急復旧用資材の供給体制を整えているということがわかりました。しかしながら、現在、東日本の大震災の発生を受けまして、既に都においては、被害想定の見直しを実施しております。
 この新たな被害想定では、東京湾の北部あるいは多摩直下などの四カ所の震源を想定しておりますけれども、とりわけ多摩地区におきましては、従前の被害想定よりも大きな水道の被害といったことが想定をされているわけであります。
 一方で、この資材置き場の配置につきましては、多摩地区は二カ所ということで、区部よりもやや手薄な状況が今ございます。被災したどの地域にも、復旧用の資材がいち早く供給できるようにすることが必要ではないかと思いますが、どう対応していくのか、ご所見をお伺いしたいと思います。

○石井経理部長 新たな被害想定に対応して復旧用資材の備蓄数量を増加させるとともに、資材置き場間で相互に補完できるよう、都内各エリアにバランスよく資材を配置するため、従来の十カ所の資材置き場に加え、多摩地区に新たに資材置き場を設置する予定であります。こうした取り組みにより、資材の備蓄について万全を期してまいります。

○高倉委員 新たな被害想定に対応して、また新しい備蓄置き場も設置をしていく、万全を期していくということで、大変心強く感じている次第でございます。引き続き資材の備蓄にしっかりと取り組んで、被災時の早期復旧に向けた体制の強化に努めていただきたいと思います。
 最後に、資材の備蓄を含む今後の震災対策を進めていく上での局長のご決意を伺いまして、質問を終わりたいと思います。

○吉田水道局長 一千三百万人の都民生活や都市活動及び首都中枢機能を支える役割を担っている東京水道にとりまして、震災時における給水の確保は喫緊の課題でございます。このため、当局では、震災対策を最重要課題の一つとして位置づけ、水道施設の耐震化やバックアップ機能の強化、さらには地域と連携した給水体制の確立などに取り組んでまいりました。
 また、これらに加えまして、ただいまお話のありました発災時に迅速に応急復旧活動を実施するため、新たな被害想定を踏まえまして、必要となる資材を備蓄しておくということが不可欠でございます。
 今後とも、都民の安全・安心のため、施設や応急給水体制の整備に取り組みますとともに、資材の備蓄も含めた応急復旧体制の充実を図るなど、総合的に震災対策を推進してまいります。

○畔上委員 私からは、消費税の増税問題です。
 厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査では、給与総額は二十カ月連続して対前年度比マイナスと、実質賃金も昨年の七月からマイナスになっています。こうした中で、大企業でのベースアップという報道もありましたけれども、七割の方々が中小企業で働き、ベアどころでないというのが実態です。その中小企業は、今、原材料の価格の上昇分を価格に転嫁できずに大変苦しい立場に置かれております。
 日本商工会議所の早期景気観測調査、これによりますと、ほとんど転嫁できていない企業が六割に達する深刻さです。転嫁できずに身銭を切る。たび重なる原材料の値上げに苦しんできた。お客様の財布のひもはかたくて、怖くて値上げができない。価格に転嫁できずに、廃業を視野に入れる中小企業の悲痛な声が今、上がっているわけです。それなのに、社会保険料の負担や高校の授業料の所得制限での新たな負担がふえたと。その上、消費税の増税となれば大打撃なわけです。
 影響は、中小企業やそのサラリーマンだけではありません。消費税の増税と、それから国保税、国民健康保険料などの負担増、これは年金が減らされている高齢者にも容赦なく襲いかかってくるわけです。百円でも安くと、あちこちの店の価格を調べて家計の負担を少なくしている。消費税が上がれば、財布のひもを締めるしかありませんと、こういう声が町の中ではあふれています。
 こうしたときに、絶対に使わなければ生きていけない、そういう水道水の給水事業で、消費税増税分を料金に上乗せ、値上げをするというのは、私は到底納得できるものではありません。
 先ほど、基本的な考え方ということで、法令に基づいて適正に料金を転嫁しているんだというお話がございました。しかし、知事も、現場の声を聞く、また都民の声に耳を傾けることが大事だというふうにおっしゃっていましたが、条例改正に当たって、都民の声、都民の生活実態、どうやって把握して値上げの判断に至ったのか、そのことを伺いたいと思います。

○松宮総務部長 水道局ではこれまで、業務の外部委託や組織の統廃合など不断の経営努力により、職員定数を、ピーク時であった昭和五十一年度の約七千九百人から平成二十六年度には約三千九百人と半減する一方で、着実に質の高いサービスを提供してまいりました。
 今後も、震災への備えや施設の老朽化対策など、都民生活の切実な課題に対応していくことが不可欠であり、そのためにも、東京水道経営プラン二〇一三に基づき、事務事業の効率化、既定経費の節減、資産の有効活用など可能な限りの経営努力を行うとともに、管路の耐震継ぎ手化やネットワーク化、浄水場の更新や給水所の整備など、必要な事業を推進していく必要があります。
 このため、今回の法令改正に伴う消費税等の引き上げ分について、適正に料金に転嫁することとしているものでございます。

○畔上委員 私の質問に答えていただきたいんですが、この問題で都民の意見を聞く場を設けたのか、それとも設けなかったのか、設けたか設けなかっただけで結構ですから、お答えください。

○松宮総務部長 今回の消費税の転嫁に関しましては、とりわけ都民の声を聞く場を設けていることはございません。
 ただし、もちろん、今回議会に上程をさせていただいて、議員の皆様方の審議をしていただいているところでございます。

○畔上委員 納税義務も水道事業にあるのであって、都民にあるわけではありません。にもかかわらず、都民の水道料金に転嫁することを、都民の声も聞かないで決めたということであります。
 時事通信の三月七日から十日に行った世論調査、これでは、景気回復を実感するかどうかという問いに、七五%以上の人が実感していないと答えています。
 また、二月十六日の毎日新聞の世論調査では、消費税一〇%、これは一〇%で聞いているんですが、増税は反対だというのが六八%に上っています。
 また、昨年の十月の水道局が調べた水道事業に対するお客様満足度調査、これでも、自由記述の七百四十一件のうち、料金問題の記述が四番目で六十七件ありましたが、その七〇%の方が料金を安くしてほしいと、こういうことでありました。
 今、私が実態やアンケートの結果や、それから、この声を少し紹介いたしましたが、こうした声や実態をどう受けとめていらっしゃるのでしょうか。

○松宮総務部長 今回の水道料金のアップにつきましては、法令に基づく消費税の転嫁によるものでございます。その点をご理解いただきたいと思います。

○畔上委員 私は、やっぱり都民の声をちゃんと聞くべきだというふうに思うんですね。転嫁による上下水道料金の値上げは、これだけで済む問題ではありません。生活のありとあらゆるものにかかる、だからこそ、国も公共料金の場合には国民生活に多大な影響があるというふうにいわざるを得ないわけですね。
 収入がふえていない、むしろ減っている人も多くいる、こういう中で都民の新たな負担がふえるときだからこそ、地方自治体の住民福祉の向上という本来の役割、そしてまた地方公営企業法ですね、この第三条、ここでも示されています公共の福祉の増進、こういう公共企業の役割として、どうしたらいいかということを検討ぐらいすべきだというふうに思うんですね。
 じゃあ伺いますが、このたびの消費税増税による利用料金の増額分、これは幾らになるでしょうか。

○松宮総務部長 今回の消費税の増税による税率改定、五%から八%への税率改定に伴う影響額は約七十四億円でございます。

○畔上委員 先ほど、高倉理事のご答弁の中でも、経営努力してきたんだと、それで現行水準の水道料金も維持してきたんだという、るるお話がありましたが、現在内部留保が二千三百億円で、消費税増税による負担増が今お話だと七十四億円ということであります。そういう点では、十分のみ込めるものだというふうに思うんですが、どう対応しようかという、そういう検討も全くされてこなかったんでしょうか。

○松宮総務部長 今、内部留保の話が出ましたのでお答えいたしますと、当局におきましては、流動資産と流動負債の差が二千三百億円ございます。しかし、流動資産と流動負債の差額分は、平成二十四年度決算では、修繕引当金などの引当金が約千七百九十億円、大規模浄水場更新積立金の二百五十億円、奥多摩水道施設整備積立金が二十億円のほか、資本的収支不足額に充当する利益剰余金約二百九十億円など、いずれも使途が明確な資金であり、消費税率等の引き上げ分の影響額を吸収するための原資とすることはできないものでございます。

○畔上委員 しかし、来年度の予算では、局要求で要求していた一般会計からの繰り入れ、これは減額したじゃありませんか。都民の意向調査もしない、水道料金の値下げで増税分もカバーする検証も行っていない。そうした中で淡々と消費税増税分を料金に上乗せするということが、私は大問題だというふうに申し上げているわけです。
 経営努力しているんだと、こういうお話をされていたけれども、この間、二千三百億円につきましても、この十七年間で千七百億円増加させているんですね。ですから、私はその理由は成り立たないというふうに思います。
 消費者団体からも、各党に対して、経営状況を見て判断してほしいという要望も出されております。そういう点では私は姿勢の問題だと思います。
 例えば、鳥取県の日南町という町では、町で全てのみ込むんだということを決めました。この姿勢にこそ私は学ぶべきだと思います。財政力の規模からいえば格段に大きい東京、この東京こそ、そうした判断をすべきだと思います。そういう点では消費税の増税分の料金の転嫁に反対であります。
 むしろ今やるべきは減免の拡充だと思います。今でも上下水道料金の負担が重い低所得者の方に対する減額、減免制度の拡充、これ実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○松宮総務部長 水道事業は、地方公営企業として独立採算のもと経営しております。適切な受益者負担が必要でございます。現在実施している生活保護世帯などに対する減免措置は、都議会の決議の趣旨を尊重し、減収分を一般会計が補填することを前提に例外的に実施しているものでございます。そのため、減免措置を拡大する考えは、今のところございません。

○畔上委員 東京都の都民の暮らし向き調査、これによりますと、交通料金と上下水道料金の支出というのは、勤労世帯で見ますと、収入が低い世帯ほど、この交通と水道料金の支出割合が高くなっているんです。平均世帯では、経常収入に占める割合が二・三%に対して、第一段階の方だと七・三%、まさに低所得者ほど負担が重いということであります。
 そういう点では、下水道では二十三種の生活関連業者などの減免も行っております。せめて苦境に立たされている低所得者層の減免、これを行うことを強く求めておきたいと思います。
 最後に、東日本大震災から三年になりますが、今もなお東京に八千人を超える方が避難をされています。今年度で終了となっております、この三月三十一日で終了となっております水道料金の減免制度、これ継続してほしいと避難者の方からも声が寄せられています。いかがでしょうか。

○冨田サービス推進部長 東日本大震災による被災者の方の料金の減免ですけれども、平成二十三年三月二十八日付の財務局からの緊急的な特例措置を求める通知を受けまして、都営水道区域内に居住している方や、避難者の方と同居している世帯を対象に、平成二十三年五月三十日から、お客様の申請に基づきまして減免を適用し、現在まで、毎年度適用期間の延長を実施しているところでございます。
 今年度も既に三月十日付で財務局からの適用期間延長についての通知がございまして、減免措置期間の延長に向けて、現在手続を進めているところでございます。

○畔上委員 手続を進めているということで安心いたしましたが、東京に避難している方々は、まだそのことは知りません。ですから、ぜひ早く、そのことをお知らせしていただきたいということを要望して、質問を終わります。

○西沢委員 私からも、消費税それから国際貢献についてもお伺いします。先ほどの答弁の中でも質疑が重複しているところがございますので、一部視点を変える、または割愛するというような形で、重複している部分についてはそういった対応をしながら質問をさせていただきたいと思います。
 本日も議論になっております消費税の四月からの転嫁の話でございますが、この消費税は七十四億円分、これを転嫁しないと水道事業にどういう支障が起きるのかということは、管路の耐震継ぎ手化であったり、ネットワーク化であったりというところ、こうした事業を、七十四億円、これを転嫁しない場合は、これらの必要な施設整備がおくれるというような、支障が生じるというような、こうしたことでございますね。
 こうしたことではありますけれども、それでは、それが本当なのか、つまり消費者団体の方々なども心配をしている、剰余金などがあるのかというところから確認をしたいと思います。
 平成二十六年度の予算では、純利益は四百七十七億円と、こういうふうになるわけであります。そのために、消費税の増税分をのみ込めるようにも思えるわけでありますが、見解をお伺いいたします。

○松宮総務部長 平成二十六年度予算における純利益は、約四百七十七億円でございますが、そのうち五十億円は、大規模浄水場更新積立金として処分することとしております。
 残りの四百二十七億円については、減価償却費などの損益勘定留保資金や積立金の取り崩しと合わせて、資本的収支の不足額約一千百十七億円の補填財源として使用いたします。なお、それでも単年度の資金収支は約六億円の不足となります。これは過年度の累積資金の剰余で補填いたします。
 こういう状況のため、今回の法令改正に伴う消費税率の引き上げについて、適正に料金に転嫁することといたしております。

○西沢委員 資本的収支の方で考えていけば、剰余金はないんだよというような話でございましたが、昨年の事務事業の質疑の中でも申し述べましたが、東京水道局の予算の中に建設改良費というところがございますが、この執行が大体七〇%から九〇%で、年によっては四百億円近く不用額というような形になる。当然、これを積み立てているわけではありませんけれども、見積もりをきちんとしていなかった甘い部分もあるんではないかと。うがった見方をすると、わざと厳しく見られるようにしているんではないかと思われがちではないかと思います。そうしたことを指摘もさせていただきたいと思います。
 先ほど、流動資産の話もありましたが、流動比率は三〇〇%を超えていると。非常に、これも見ると、一見、状況はすごくいいようにも見えます。そのことも、思われがちだということをきちんと説明もしなければいけないんだと思います。
 そして、その説明の一つとして企業努力もしているという話、これもありました。
 これもさきの、昨年の事務事業の質疑の中で何度か聞きましたけれども、そのときの答弁というのが、この経営プランに書いてあるようなことにとどまっていると思いました。ここをもう少しきちんと深掘りして聞いていきたいわけであります。
 まず、既定経費の具体的な削減内容とこれまでのコスト縮減額についてお伺いいたします。

○松宮総務部長 水道局では、平成九年度に東京都水道局工事コスト縮減推進委員会を設置いたしまして、これまでさまざまな既定経費削減の取り組みを実施してまいりました。
 具体的には、管材料の強度や耐久性が向上したことで、水道管を埋設する深さをこれまでより浅くし、掘削に係る費用の縮減を行ってまいりました。
 また、建設発生土を他の建設工事における埋め戻し材として活用することで、処分費等を縮減しております。
 金町浄水場高度浄水施設築造工事などにおきまして、コスト縮減を行っております。こうした取り組みによりまして、平成二十四年度までに、少なくとも四百三十八億円の工事コストの縮減を果たしているところでございます。

○西沢委員 少し具体的にご答弁いただいたわけでございます。
 当然、不断の経営努力というのは、民間企業では当たり前、公営企業でも当然当たり前のことでもあります。特に利用者、都民の皆様から、厳しい、この消費税のタイミングということで見られがちでございますので、引き続きこのコストの削減については取り組んでいただきたいことを要望させていただきます。
 そしてもう一つ、資産の有効活用という面について、これによりどの程度収入を得ているのかお伺いいたします。

○松宮総務部長 当局では、用地等の資産を貴重な経営資源と捉え、さまざまな手法を活用することを原則とし、料金外収入の確保に努めているところであります。
 具体的には、西新宿六丁目中央地区第一種市街地再開発事業により取得した新宿国際ビルディングの建物賃料や、工事完了に伴い不用となった立て坑用地に定期借地権を設定するなど、可能な限り利活用を図ってまいりました。
 こうした努力の積み重ねの結果、平成二十六年度予算において、土地使用料として十八億円、建物使用料として五十二億円、計七十億円を計上しております。

○西沢委員 さきの昨年の質問よりは具体的にご答弁をいただいたわけでありますが、ここの部分に関しては、常に目に見えるような形で出していただきたいと思います。
 経営計画もつくっていただいていますが、事務事業の効率化、これは職員の削減というのは数字でよくわかります。
 それから既定経費の節減や資産の有効活用となりますと、これだけではわかりづらい、目に見えてこないところがございます。例えば一覧にする、もしくは、これだけ数字が出ていますよというようなもの、それが冊子になっているようなもの、こうしたものを、議会でここまで聞かなければ具体的にわからないということではなくて、努力はこれだけしているんだということを、もし本当にしているんであれば、きちんと説明をするための資料もおつくりになられた方がよろしいんではないのかと思いますし、私自身、そういったものを用意いただきたいというように要望もさせていただきます。
 というのは、これも、この消費税のタイミングで都民の皆様にきちんと説明をする、利用者の皆様にきちんと説明するタイミングでもございます。こうしたときに、都民にしっかり周知をしていく方法についてですが、先ほど高倉委員からも質問がございましたので、あえて質問いたしませんが、きちんとホームページやニュースなどを用いて説明していくということでございますので、きめ細やかにご説明いただけますように私からもお願いを申し上げます。
 続いて、国際貢献についてお伺いをさせていただきます。
 東京水道局の事業でございますが、国際貢献についてのこれまでの成果や実績というところでございますが、先ほど吉住委員からも話がございました。この内容について、もし具体的にもう少し別のお話がいただけるんであれば質問させていただきたいと思いますが、よろしいですか、これまでの成果や実績をお伺いいたします。

○斉田企画担当部長 東京水道のこれまでの成果や実績でありますが、アジア諸国を中心に、平成二十年度から二十四年度の五年間で約二千人の研修生を受け入れております。
 また、相手国からの要望に応じまして、タイ、台湾、ミャンマーにおいて、技術協力の覚書を締結し、技術水準の底上げなどを図っております。
 インド・デリーにおきましては、JICAの資金を効果的に活用し、日本企業とコンソーシアムを組成し、約三億五千万円の技術協力プロジェクトを実施中であります。
 タイにおいては、昨年二月に無収水対策のパイロット事業を約三千万円で受注し、現在、さらなる事業拡大に向けて調整中であります。

○西沢委員 ありがとうございます。
 さまざま実績それから成果があったという話がございましたが、そもそも東京都がこれを行う意義は何なのかということでございます。国際貢献は、もちろんこれは進めていっていただきたいところではございますが、東京都が行う意義は何なのか、お伺いいたします。

○斉田企画担当部長 水道局では、日本最大の水道事業体として、これまでJICAなどの要請に基づき研修生の受け入れなどの国際貢献を実施してまいりました。
 さらに、日本企業の海外展開の後押しとして、公共から公共への働きかけ、いわゆるGツーGの取り組みを行っております。
 また、監理団体である東京水道サービス株式会社は、日本企業とコンソーシアムを組むなどして事業展開を進めております。こうした取り組みを通じまして、アジアの水事情の改善に貢献しているものと考えております。

○西沢委員 特にGツーGというところに関して、これは行政もしくは公共性のあるところでなければできませんから、非常に意義のある取り組みだというようには感じました。
 それから、日本企業の海外展開の後押しというところも、非常に重要なところではないかというようにも思いました。
 そして、この水道局の国際貢献、水道局が取り組むということで、具体的に都民に対してはどういうふうに還元をされるのかと。当然、国際貢献はすばらしいことなんだけれども、利用者の方々、それから都民の皆様が税金や水道料金を払って運営しているわけでありますから、そうした方々にどのように還元をされるのか、お伺いいたします。

○斉田企画担当部長 ただいまも申し上げましたが、東京水道は、アジアを中心とした各国の要請を受けまして、これらの国の水道事情の改善に向けた取り組みを行っているところでございますが、こうした取り組みは、当局職員の人材育成につながるものでございまして、東京水道事業運営を通じて都民に還元されていくものと考えております。

○西沢委員 都民への還元へという意味でいえば、当局職員の人材の育成ということ、人材を育成すると水道事業はうまく運営をされるということで、直接この国際貢献によってというよりは、間接的なというようなことだと思います。
 人材育成も当然いいと思いますし、防災の面から考えても、この人材育成の中でできる人脈というものもあろうかと思います。こうしたところで、いざ首都直下地震が起きたときに、各国からのこうした取り組みによって見返りとしてメリットとなるところもあるんではないかなと私は思います。そうした視点を取り入れていただいてもいいんじゃないかと思います。
 日本企業の後押しだとか、それから、こうした特に都民への還元、利用者への還元という視点は、さらに進めていく上では取り入れていただきたいと私の方は思いましたので、要望させていただきます。
 最後に、この経営プランを見ますと、私が今お話をしたように、都民の皆様がどう考えているのかという、都民といいますか、お客様満足度調査がございますね。この中で、国際貢献の取り組みに対する考えという中で、海外からの研修の受け入れや国際会議などによる技術等の発信、調査団の派遣などによる改善提案等、監理団体の活用など、さまざまな手法による世界の水問題解決への取り組み、こうしたアンケート調査について、行うべき、どちらともいえない、行うべきではないという、こうした調査がございますね、東京都水道局がやっている調査で。行うべきというのは六八%から大体九%ぐらいですね。どちらともいえないというのが大体二六%前後です。行うべきではないと答えた人も一%から一・五%ぐらいまで、ざっくりといらっしゃるという、こんな調査でございました。
 恐らく、こういう調査というものは、こういう考えをどのくらい持っているかと把握をするのを、水道局さんの方でも考えられてされたんだと思います。普通、アンケート調査をして、国際貢献をいいと思いますかと聞けば、絶対、いいとみんな答えると思うんですよね。答えると思うんだけれども、どちらともいえないというのが二六%も入っているというのはちょっと驚きだったんですね。
 というのは、これ国の方のODAの話でも、日本がかなり支援をしている、けれどもその恩恵がないんじゃないのかと、それを持ってもらえていないんじゃないのかというようなところ、外務省の説明でも、当然めぐりめぐって日本のためになるという、そうした事業という話がございます。
 また逆に、日本が貢献しているということをアピールし過ぎるというのも、国際貢献としていかがなものなのかという、こうした議論もあるのも当然でございます。
 ですから、こうした中で、どちらともいえない、もしくは行うべきではないという回答が一定数存在するわけですが、これを選択した理由としてはどのようなことが考えられるのか、お伺いいたします。

○斉田企画担当部長 ただいまのご質問のアンケート調査でございますが、ただいまご指摘のように、行うべきと答えた方が約七割近く、どちらともいえないというものが二十数%、それから、行うべきでないというのが一%前後と、ご指摘のとおりでございますが、ただいまの詳細な内容につきましては、この調査においては実施はしていないところでございますが、機会がございましたら今後検討していくということで認識をしております。

○西沢委員 ぜひ個別の理由、機会がありましたら、なぜするべきではないと答えているのか、そうした声に応える形で進め、そういった声に耳を傾けながら進められればいいと思います。
 この予算は、平成二十六年度で八千万円ということですが、国際貢献ビジネスという名前で事業を行っていくのであれば、イメージとしては、公営企業が、営利といいますか、利潤を追求するようなことをする。当然そういうイメージの中では、リスクがあるのではないかというふうに考えることもできるでしょう。もしくは、利益を追求して、それが逆に利用者に、海外で利益を出して、日本の利用者の方に還元するという考え方があるでしょうけれども、そうするとまた民営化の話になってきたりします。
 そういった部分を整理する上でも、こうした国際貢献の展開については、そういった視点からも進めていただきたいというようなことを申し述べて、私の質問を終わらせていただきます。

○田中委員 私からもなんですけれども、今までお二人、吉住理事、それから西沢副委員長からもありました国際貢献、水道の国際貢献とこれからの水ビジネスについてちょっと、今までの経緯も含めてお伺いをいたします。
 今、インフラは上下水道も、資源循環も、国際協力から国際ビジネスに発展させようという段階に入ってきていると思われます。そこで、きょうは水道の国際貢献、水ビジネスについてお伺いをするわけですけれども、東京都水道局の国際協力ですけれども、水道は長年にわたってやってきているということですけれども、その長年にわたってやってきているというところは、都民の皆さんには余り知られていないのではないかと思います。
 実際、東京都は、一九八六年ですからもう二十八年前から、職員の海外派遣を初め、さまざまな水道における国際協力をしていらっしゃっているとのことですので、まず、これまでの東京都職員派遣の実績と、職員派遣による技術協力の具体的内容について、短期と長期の違いも含めてお伺いをいたします。

○斉田企画担当部長 まず、国際貢献の取り組みについてでございますけれども、当局の事業概要あるいはホームページを通じまして、都民の方にはお知らせをしているところでございます。
 職員の派遣につきましては、JICAからの依頼などを受けまして、昭和六十一年度から平成二十一年度までの間に、長期で十六名、短期で八十九名を派遣しております。平成二十二年度からは、情報収集や案件組成につなげていくため、JICAなどの支援策を戦略的に活用し、短期で五十二名を派遣しております。
 期間の違いについてですが、JICAでは、一年未満の派遣を短期、一年以上の派遣を長期としておりまして、当局でもその区分に従っております。

○田中委員 派遣先はミャンマー、インド、タイ、ベトナムということですけれども、東京都水道局は、恐らく技術的には世界の中でも一番といわれるぐらい先行していて、そのために多くの国からニーズがあると思われますけれども、そもそも、なぜ東京都水道局は三十年近く前から職員の海外派遣をしてきたんでしょうか。

○斉田企画担当部長 水道は、国を問わず、公衆衛生の向上や生活環境の改善に欠くことができない生活基盤であります。このため、JICAなどからの要請があった場合には、相手国が必要とする専門知識や技術を持つ職員を派遣し、水道事情の改善に貢献してきた、このような経緯によるものでございます。

○田中委員 もう一つ、水道局がおやりになってこられた国際協力としては、海外からの研修生の受け入れというのがあると思いますけれども、これまでの東京都水道局への海外研修生の受け入れの実績と、受け入れによる技術協力の具体的内容についてお伺いをいたします。

○斉田企画担当部長 海外からの研修生につきましては、アジア諸国を中心に、平成二十年度から二十四年度までの五年間で約二千人の研修生を受け入れ、水道事業の技術やノウハウに関する講義、施設の視察や技術実習などを行っております。
 具体的な内容といたしましては、浄水場の運転状況や当局施設の視察、研修開発センターを活用した漏水調査等の実習などがあります。

○田中委員 ありがとうございます。
 そのほかにも国際会議への参加や開催、また、高い技術のPRにも努めていらっしゃると思いますけれども、これまでの長年の国際協力で東京都水道局が得たもの、学んだことはどのようなことがあるのでしょうか。
 また、これまで水道局のさまざまな国際協力や国際貢献の取り組みに対する評価も含めてお伺いをいたします。

○斉田企画担当部長 水道局では、職員の派遣、研修生の受け入れ、国際会議への参加などを通じまして、海外の水道技術に関する情報収集を行うとともに、東京水道のプレゼンスの向上を図ってきております。
 また、途上国に対しましては、東京水道の技術やノウハウを活用して、水道事情の改善へ貢献をしております。こうした取り組みを通じて、当局職員の人材育成にも寄与しております。さらに、国際水協会の世界賞を受賞するなど、東京水道の取り組みや技術に対する各国からの高い評価を得ております。

○田中委員 非常に評価をされているというところで、今まで本当にやってきたかいがあったということをお感じになっていらっしゃると思います。
 次に、今まで国際協力についてお伺いしてきましたけれども、国際貢献ビジネスの方についてお伺いをいたします。
 東京都では、これまで技術やノウハウの提供である職員の海外派遣、海外からの研修生受け入れなどに加えて、平成二十二年度からは、東京水道サービス株式会社、TSS、これSがローマ字なんですね、を活用して国際貢献ビジネスに取り組んでいらっしゃいます。
 このTSS自体は、昭和六十二年に水道総合サービス株式会社として設立されている会社ですけれども、まずこのTSS、東京水道サービス株式会社は、具体的には国内事業としてはどのような事業を、そして国際事業はどのような事業をどのような体制で行っていて、また、どのぐらいの売り上げをそれぞれの事業で上げていく会社なのかをお伺いします。

○斉田企画担当部長 東京水道サービス株式会社が行っている都以外の国内事業及び海外事業といたしましては、無収水調査、コンサル業務などがあり、日本企業とコンソーシアムを組成して実施しております。
 これらの事業は、二十名で構成するプロジェクト推進部が担っており、平成二十五年度の契約額は、国内九千五百万円、海外四億二千七百万円、合わせて五億二千万円を見込んでおります。

○田中委員 ありがとうございます。
 このTSSが平成二十二年から取り組んでいる国際貢献ビジネスですけれども、先ほどともちょっと重なるところがありますけれども、具体的に、これまでどのような事業を、どこの国で実施してきているのか、またその成果をお伺いいたします。

○斉田企画担当部長 これまで、東京水道サービス株式会社では、タイでの約三千万円の契約を初めとした無収水対策事業や、台湾での無収水対策事業を実施しております。
 また、インドでの技術協力プロジェクトなど、日本コンソーシアムとして受注したものを含め、平成二十三年度から二十五年度までの三年間で、総額約九億三千万円のJICA資金を活用した事業を中心に実施しております。

○田中委員 ありがとうございます。
 二〇一二年、平成二十四年、二年前になりますけれども、海外事業を担う主体として、このTSSの子会社として東京水道インターナショナル、TWI、こちらは水道がウオーターになっていると思うんですけれども、が設立されています。
 海外への事業展開や国際貢献ビジネスに進むと、こういった国際展開へのグローバルな人材の育成が必要ではないかと思いますけれども、国際貢献ビジネスを担う人材育成の現状と課題、人材開発の必要性への認識、育成への取り組みをお伺いいたします。

○松丸職員部長 水道事業に係る職員への技術の付与、継承など、当局の人材育成は、実技や演習を活用した実践的な研修を通じて、計画的かつ効果的に実施しております。
 国際貢献に係る人材育成に関しては、業務ノウハウや技術はもとより、指導や調整などの多様な経験や視点が必要です。このため、日ごろからベテラン職員の有している知識、ノウハウの付与、継承などを行うことはもちろん、専門家や実務経験者から、そのノウハウや海外事業の実情を聞く場を設け、職員の国際感覚の醸成を図っております。

○田中委員 国際協力の取り組みのパンフレットには、世界の水問題の解決をより効果的に進めるため、国内、ほかの水道事業体とか民間企業などと連携する新たなパートナーシップを構築するというふうにありますけれども、国際貢献ビジネスにおいては、このTSSやTWIは、どのようなスタンスで、また、どういったところをターゲットとして、どのように営業活動をしているんでしょうか。

○斉田企画担当部長 東京水道サービス株式会社や東京水道インターナショナル株式会社は、水道局とともに、相手国からの具体的な事業を実施してほしいというニーズに応えるため、高い水道技術や運営ノウハウを活用して事業を展開しております。
 主な活動先は、東南アジア地域であり、海外経験のある日本企業とコンソーシアムを組成し、役割分担しながら、無収水対策事業などの受注に向けて営業活動を行っております。

○田中委員 ありがとうございます。
 これまでもいろいろやってこられておりますけれども、今、社会的な意義を持った事業展開をしようということは非常に評価もいたしますし、理解もいたしますけれども、これからの水ビジネス業界というんですかね、そこを前にしてということになりますと、このTSSもTWI、TSSは監理団体ですけれども、一応株式会社です。ビジネスではなくて国際貢献の域を出なくていいというのなら、これはNGOでもいいわけですので、これから国でも積極的に水ビジネスに取り組む姿勢というのが打ち出されています。
 経産省では、水ビジネス国際展開研究会を立ち上げましたし、環境省でも水のタスクフォースチームを立ち上げ、また国交省は下水道グローバルセンターを設けて、海外と下水道ビジネスを推進している。厚労省は国際貢献水ビジネスに関する水道事業体情報連絡会を設けて、自治体間の情報公開を促進しています。
 外務省も在外公館に百二十一人のインフラ担当専門官を設けて民間企業をサポートしているという、国の支援が充実しているという現状があります。
 また、自治体の方でも、今、多くの自治体が地元の企業、大手企業と組んで水ビジネスに乗り出す仕組みづくりをしています。東京都はもちろんですけれども、大阪市、北九州市、横浜市、川崎市、広島県、埼玉県、そして最近では、国内の十八の政令都市が海外水ビジネス展開のプラットホームをつくって、政策提言を目指すというところまで来ています。
 日本のビジネス展開というのは、こういった状況にはありますけれども、海外では簡単には進んではいません。
 東京都水道局はもちろん、それだけではなくて、各自治体は、上下水道の事業で長年の運営経験と世界でも有数の技術力を持ってはいますけれども、ビジネスの面ではスピード感がなく、これは経験がないというところからですけれども、コスト意識が薄い。結局、技術力では先行するものの、総合力でおくれをとって、大きな海外水ビジネスでは今ほとんど参入できていないというのが現状です。
 一方、この世界水ビジネス市場では、いわゆる三大水メジャー、これはよく皆さんもお聞きになると思いますけれども、フランスのヴェオリア、スエズ・エンバイロメント、イギリスのテムズ・ウオーター、この三大水メジャーが、これは二〇〇〇年代初頭は、この数社が占めていましたけれども、近年は、これに加えて韓国、ドイツ、アメリカ、シンガポールなどのいわゆる新興メジャーがどんどん参入してきています。この新興メジャーの中には、残念ながら日本の企業体はほとんど入っていないというのが現状です。韓国などは大統領がトップセールスマンとして、今、この水道事業の売り込みを全世界に行っています。
 しかし、先ほども何度も申し上げていますように、東京都水道局を初め日本の水道技術、これはもう本当に世界に誇れる、世界一といっていいような技術を持っていらっしゃると思います。
 何度も出ていますけれども、漏水率は世界トップの三・六%、また設備の品質が非常に高く、漏水の監視技術も世界一のノウハウだということです。また、工業用水の再利用に関しても、他国とは比べ物にならないほど優秀だというデータもあります。これは第一回水ビジネス国際研究会というところで発表されています。
 これは、今、安倍総理大臣が成長戦略ということをおっしゃっていますけれども、水ビジネスは、日本や東京のこれからの成長戦略の大きな一つであると思っております。ぜひ、東京都水道局でもこれから、これまでは国際貢献中心だったと思いますけれども、このTSS、また、もっといえばTWIが、利益を上げながら高い技術で世界の水問題を解決する。水ビジネスを積極的に展開して、そして、それが必ず世界中で感謝される。高い技術を持った日本が水道の設備をつくれば必ず感謝されるという形になると思いますので、そういった積極的な国際展開、水ビジネスに参入していくということを考えるべきだと思っております。
 これは、今、きょうからやりますというふうにはなかなかいかないと思いますので、強い要望をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○上田委員 私は三つの資源といいましょうか、水と人と教育の三つのテーマで質問をさせていただきたいと思います。
 日本は、いまだ森林が七割ある、先進国では珍しい森林国家であります。イギリスでは絶滅しちゃったマザーグースに出てくるような熊が、この国際都市東京では、熊だ、鹿だと動物の対策に追われるような、いわばまだ自然が残っている、森の残っている東京都におきまして、この水道事業と連結している事業があるということを新人議員となって改めて知った次第でございます。
 まさに木というのは百年の計で、百年後の日本人のために、日本人というのは、有史以来木を植え続けてきて今日に至っております。しかしながら、明治の世になりまして入会権が規制されるようになって、人の手も入らなくなる。昭和三十年代になりまして、人工林の植栽が行われ、杉、ヒノキが四割を超すということになり、またそれがエネルギー資源が石油に転化することで変わっていき、伐採する人もいなくなる。要は人工林の荒廃ということで、森が水を保つ、あるいは土砂災害を抑制するといった機能が失われてきた次第でございます。
 森が水に及ぼす作用は、平準化作用と蒸発作用があり、雨水を一時的に保水し、川や地下水にゆっくりと流す平準化作用は、洪水を緩和させ、水資源の涵養機能を上昇させます。
 一方、蒸発作用は、葉や幹に付着した雨露が水蒸気となって蒸発してしまって土に届かないというようなことで、保水作用が失われ、放置人工林は木が密集して生えているため、これがふえると、日が差さない木の根本は落ち葉や下草がないため、地表があらわになって土砂崩れ、そして、水資源の涵養機能も低下するということになる−−山間部の水害が発生するたびに指摘をされているところでございます。
 こうした百年の計をもちまして、憂慮した明治政府から、およそ百年以上も前に、東京府は広大な水源林を奥多摩地方、多摩川上流域に譲り受けました。この手入れをすることが水源涵養機能、土砂流出防止機能、水質浄化機能を高めることになります。
 この機能を維持、発揮させるため、植栽、間伐、枝打ちなどの管理を繰り返す手入れが必要なんですけれども、いわゆる里山として民間である程度手を入れていた森、手つかずの森、人工林が放置された森では、管理のあり方が異なると思われます。
 都では、現在では水源地にふさわしい緑豊かな森林の育成を目指し、技術的にどうこの荒廃、あるいは手つかず、あるいは里山といいますか、さまざまな森や林の管理をしていらっしゃるのか、技術面も含めて水源林につきましてお尋ねいたします。

○佐々木浄水部長 水道水源林は、天然林と人工林に分けられますが、森林の持つ機能を十分に発揮させるため、さらに大きく三つのタイプに分けまして管理育成をしております。
 天然林につきましては、自然の推移に委ね、その土地に最も安定した森林となるよう保全していくこととしております。人工林のうち、林道に近く、手入れが容易な、立地条件のよい人工林につきましては、樹木を一部残して他は伐採し、あいた空間に植栽することによって、複数世代の樹木から成る森林として育成していくこととしております。
 一方、林道から遠く、手入れが困難など立地条件の悪い人工林につきましては、伐採を行って広葉樹の育成を促し、限りなく天然林に近い森林へ誘導しているところでございます。

○上田委員 同僚議員からも水源についてのお尋ねがありましたが、利根川水系に依存する中、こうした地道な水源林を保っていくことで、また、水を担保していくということも非常に期待したいというのと、植生を見ながら次の百年に向けての長期的な管理をお願いしたいと思います。
 一方、環境局では、多摩の森林再生事業、枝打ち、花粉対策事業、鹿食害対策、産業労働局でも森づくり推進プラン、中間のまとめが二月十八日に出されたばかりですけれども、その中でも同じくスギ花粉対策、多摩産材に取り組んでいます。
 自然環境保全、林業産業振興、そして水質保全、水源涵養と、目的は違っておりますが、東京都が実施する森をめぐる取り組みということで、連携、連動は必須であることから、具体的に現在どのような協力体制、連動を図っているのか伺いたいと思います。

○佐々木浄水部長 水道局では、東京都花粉症対策本部や東京都シカ保護管理計画検討会の一員として、関係各局と情報を共有し、連携して森林の保全に取り組んでいるところでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、スギ花粉対策として、杉の間伐や枝打ちなどにより花粉の発生を抑制するとともに、花粉の少ない杉を植栽しているところでございます。
 また、鹿による森林被害対策としましては、水道水源林内の鹿の生息状況の調査や鹿の侵入防止柵の設置などを進めております。

○上田委員 予算委員会でも多々出ましたが、生物多様性も求められていることから、殊に環境施策には配慮をし、それぞれの局に相乗効果の出る森林管理をまたお願いしたいと思います。
 さて、内閣府の森林と生活に関する世論調査によりますと、国民が森林に期待する働きについては、災害防止、次が地球温暖化防止、そして次いでは水資源を蓄える働きと、水源涵養に対する国民の関心は結構高いんだなと私も驚きました。
 自分が植えた木をまた見たいということで、植林ボランティアなどはリピーター率が高いということもいわれております。元気な団塊世代や児童生徒、ボランティア団体など多様な主体が森とかかわることで、この水源林の周知、あるいは理解を広めることも大切ではないかなと思っております。
 実際に水道局では、都民参加型の取り組みを行っているようですが、その効果や現状、取り組みについてお示しください。

○佐々木浄水部長 水道局では、多摩川上流域の手入れの行き届かない民有林を緑豊かな森林へ再生することを目的に、多摩川水源森林隊を平成十四年に設立し、ボランティアを主体とした森林保全活動を行っております。
 多摩川水源森林隊は、環境局が行っている緑のボランティア活動団体としても登録しておりまして、ボランティア登録者数は、平成二十六年二月末現在で千四十八名となっております。また、高校生の奉仕体験活動を多摩川水源森林隊で受け入れるなど、学校教育と連携した森づくり活動にも取り組んでいるところでございます。
 活動に参加したボランティアからは、自分が手入れした森が明るくなるのを見て、活動への手応えとともに生きがいを感じるなど、お声をいただいているところでございます。
 さらに、森づくりの大切さを多くの都民に知っていただくため、水道水源林の散策を行う水源林ふれあいウオークを実施しておりまして、参加した都民からは、水源林の役割や大切さを理解できたという感想をいただくなど、大変好評を博しているところでございます。
 そのほか水道局職員も、みずから水源の森づくりの大切さを理解し、森づくりの大変さを学ぶため、主に新規採用職員を対象としておりますけれども、水道水源林内で樹木の植栽や下草刈りなどの森づくり体験研修を実施しているところでございます。

○上田委員 まさに、国際森林都市東京として、水源を確保し、そして災害を防ぐ世界に名立たる東京として、水道局の方の取り組みも期待したいところであります。
 こうしたボランティアや職員の皆さんも、一生懸命になって森の保全に努めてくださっているところですが、やはり気になるのが民間の人工林の荒廃でございます。所有者の高齢化、後継者不在ということから、民有林の荒廃が危惧される中、購入事業を展開しているようですが、その進捗状況と、どのようにこの事業をオーナーの皆さんや地域の皆さんに周知しているかお伺いします。

○佐々木浄水部長 民有林の購入につきましては、平成二十二年度に事業を開始して以来、これまでに三件、面積約六百四十ヘクタールを購入いたしました。
 事業の周知につきましては、「広報東京都」、水道ニュース、水道局のホームページを活用するとともに、都内市町村の広報紙に掲載を依頼してきております。また、パンフレット、チラシを都庁、水源管理事務所に加え、都内市町村の窓口にも置きまして配布するなど、幅広くPRを実施してきております。
 今後とも、民有林の購入を積極的に推進するとともに、将来にわたって水道水源林を適切に保存管理してまいります。

○上田委員 ぜひ市町村と連携をとりまして周知していただきたいと思います。適正な物件が見つかったときは、スムーズな購入ができることを希望するものでございます。
 次に、本日も、るる国際的な、メジャーな日本の水にしていくという国際貢献が期待されている中、最大の商品は、もちろんおいしい水ではあるんですけれども、技術、それをつくり出す技術そのものだと思います。
 備えあれば憂いなしということで、大量退職時代に向けて準備をするために、民間では既になされているにナレッジバンクを技術継承のために活用していると聞いておりますが、ある意味特殊といわれる水道技術の継承に当たり、具体的にはナレッジバンクをどのように活用されているのか。また、そのほかにも、あずかり知らない何か技術継承の取り組みがあればお伺いしたいと思います。

○松丸職員部長 ナレッジバンクの運営を初め、実習フィールドを活用した管路接合、漏水感知などの実務研修や技術継承の取り組みは研修・開発センターが中心に行っており、監理団体、他の自治体や民間企業も当施設を利用して技術の向上を図っております。
 このナレッジバンクには、平成二十六年二月現在、動画七十五本、文書資料約七千六百件を蓄積しています。これらの情報は全ての職員が常時閲覧可能であり、日々の業務遂行の参考資料として、また水道技術の各種実務研修の教材に取り入れるなどして活用しております。
 また、その他の技術継承の取り組みといたしましては、高い技術力を持つ経験豊富な職員を水道技術エキスパートとして認定しており、平成二十六年一月現在、四十五名が在籍しています。
 この認定した職員が有する経験やノウハウをナレッジバンクに蓄積して見える化するとともに、いろいろな部署から相談を受け、職域を超えて指導や助言をするなど幅広く活躍することにより、効果的な技術継承を行っています。

○上田委員 森林管理同様、技術のバトンで紡いでいただきたいと思います。
 その技術の継承に関してなんですけれども、私、予算委員会に対して監理団体の人的構成につきまして尋ねたところ、東京都から監理団体への派遣職員の人数については、平成十一年と比較すると既に四割削減、現時点では適正な水準、今後も派遣職員の活用の意義を踏まえつつ適正に団体を指導というふうな答弁を東京都からもらいました。
 水道局でも監理団体に業務を移転しているということですが、どのように現在、その技術継承におきましては監理団体を活用していらっしゃるのか。また、いただいた要求資料を見ますと、水道局では平成二十五年にTSSへ四十六名の現役派遣を行っていらっしゃっています。中期的な展望も含め、その役割についてお伺いいたします。

○松丸職員部長 当局では、民間に委ねられる業務は可能な限り民間に委託した上で、本来直営で行うべき基幹的業務のうち、水道事業運営の根幹にかかわる業務を当局が実施し、事業運営上重要な業務を監理団体へ業務移転することにより、公共性と効率性を両立させた業務運営を行ってまいりました。
 具体的には、東京水道サービス株式会社に対し、これまで、高度な技術や経験が必要となる浄水場等の運転管理や民間委託がなじまない業域とされていた給水装置業務や工事監督業務等を移転しております。
 こうした業務の監理団体への移転に当たっては、固有社員の指導のために必要となる職員を、要請を受けて派遣してまいりましたが、社員の業務履行能力の向上に伴い、派遣職員数はピーク時の三割の水準となっております。
 今後、移転状況に合わせて派遣職員は増減すると思われますが、将来的には、当局が担うべき業務に必要な現場経験の蓄積などのために必要な職員の派遣を行ってまいります。

○上田委員 まさに技術こそ商品ということで、この技術こそが都民への安全・安心なお水、そして世界の水道技術に貢献するものと思われます。今後も注力していただきたいと思います。
 あわせて、もう少しTSSの独立性、民間への技術の提供、人材育成も広範囲にすることで切磋琢磨し、イノベーションが起こる土壌をつくり、官民協働により、新たな日本の、そして世界へ向けての水道事業の展開を期待するものであります。
 最後に、水道局では三つほどPR館をお持ちになっております。水道歴史館、水の科学館、奥多摩水と緑のふれあい館ということです。
 このそれぞれの役割と利用状況について伺いたいと思います。

○宇井サービス企画担当部長 水道歴史館は、文京区にございまして、東京の水道の歴史と文化を紹介するため江戸時代の木樋などの実物展示のほか、水道局の歴史資料を展示、保管しており、平成二十四年度の来館者数は約四万人でございました。
 また、水の科学館は、江東区にございます。主にファミリー層や社会科見学の小学生を対象といたしまして、水や水道への親しみや理解を深めるため科学の視点で紹介する総合学習施設でございます。平成二十四年度の来館者数は約十二万人。
 そして、奥多摩水と緑のふれあい館は、西多摩郡奥多摩町にあります奥多摩町との共同施設でありまして、水源施設のPRとともに、奥多摩町の伝統、文化、産業の紹介をしております。平成二十四年度の来館者数は約二十万人でございました。
 いずれの館につきましても、それぞれの特色を生かしまして、水道事業に対する理解を深めていただく役割を担っているものと認識しております。

○上田委員 ありがとうございます。
 同僚議員の質問で水道キャラバンについて触れられていましたが、この水道キャラバンでもどうも活用されているようです。資料を見せていただきました。
 来館者からしますと活性化しているようで、ちょっとこちら単体の費用が不明なんですが、消費増税もあり、これからまたどう経費が東京都もかさんでいくかわからない中、維持費のかかる箱物といったら身もふたもないんですけれども、事業の新規立ち上げは抑制してもらいまして、現状維持ということで、中身の拡大、あるいは既存施設の中で展示ブースをするものは決して阻むものではございませんので、この費用に関しての適正管理は最後にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

○鈴木(錦)委員 私からは、多摩地区の水道についてお伺いをいたします。
 多摩地区水道は、各市町が独自に水道事業を運営しておりましたが、人口の増加に伴う水道需要の急増などにより、水源不足などさまざまな課題が深刻化し、これらを是正するために市町営水道事業の都営一元化を実施し、私の地元でもございます府中市については、昭和五十年に一元化され、また、平成十四年までに多摩地区二十五市町が都営一元化されました。
 一元化に当たっては、都民の皆様に直接給水するために必要な業務の管理及び執行を各市町が都から受託する、いわゆる事務委託方式が長年採用されてきました。
 府中市においても、事務委託中は幸町浄水所、府中南町浄水所、府中武蔵台浄水所、若松浄水所の施設は市が管理しておりましたが、市町域を越えた水の融通ができないといった施設整備などの面で課題が明らかになりました。
 このような課題の解決に向けて、事務委託が順次解消されて、府中市についても平成二十年度末に、また平成二十三年度末には多摩地区二十五市町の事務委託が完全に解消され、都が全ての事務を行うことになりました。これにより、お客様サービスの向上や効率的な事務運営体制の構築などの成果があらわれてきたと聞いております。
 しかし、事務委託の完全解消は、多摩地区水道の改革に向けたスタートにすぎないものであります。水道局では、さまざまな課題解決に向けて、昨年五月、多摩水道改革計画二〇一三を策定されました。
 そこで改めて、多摩水道改革計画二〇一三の策定の目的についてお伺いをいたします。

○浅沼調整部長 ただいまお話ございましたように、長年にわたる事務委託が完全解消されたことから、当局では、新たなステージにおける多摩地区水道のレベルアップを目指しまして、昨年の五月に、平成二十五年度から五年間を計画期間とする多摩水道改革計画二〇一三を策定したところでございます。今後、この計画に示された多摩地区水道の課題と方向性に基づきまして、必要な施策を着実に推進してまいります。
 具体的には、送配水管路の充実強化や、小規模施設整備など多摩地区の水道施設の再構築や東日本大震災の教訓を踏まえまして災害対応力の強化に重点的に取り組んでまいります。
 また、事務委託解消後の防災対策などを円滑に推進するため、当局と多摩地区二十六市町との情報交換などを目的に設立しました多摩水道連絡会を定期的に開催するなど、地域との連携強化等に引き続き取り組んでまいります。

○鈴木(錦)委員 ただいまの答弁にもあったとおり、計画に基づいてさまざまな課題に取り組むとのことでございますが、とりわけ水道は生活に欠かせないライフラインでありますから、給水安定性の向上が特に重要でございます。
 事務委託解消後は、都が水道施設を整備、管理しておりますが、多摩地区の水道施設は全体的に老朽化が進行しております。
 例えば、府中市にある幸町浄水所は、市の中心部など人口が密集する地域を給水区域とする非常に重要な施設であります。この施設が震災時などにとまってしまうと、住民生活に大きな影響が出ることが懸念されております。
 そこで、幸町浄水所を初めとした多摩地区の水道施設の現状と今後の整備方針についてお伺いをいたします。

○青木技術調整担当部長 多摩地区には、お話のございました幸町浄水所を初め、七十カ所の浄水所、百二十六カ所の給水所等が存在し、そのほとんどが市町が水道事業を経営していた時代に整備された小規模な施設で、築造後四十年以上経過し、老朽化が進行してございます。
 また、震災時や事故時等においても、給水の確保につながる給水所等における配水池の容量が不足しているなど多くの課題がございます。このため、老朽化が進行し配水池容量が不足している施設から、優先的に更新や整備を行うこととしてございます。
 具体的には、幸町浄水所を初め、調布市にある深大寺浄水所、立川市にある柴崎浄水所、青梅市にある千ヶ瀬第一、第二浄水所の更新とともに、清瀬市には現状の老朽化した施設にかえ、新たに、仮称でございますが、多摩北部給水所の建設を計画してございます。
 こうした施設整備を順次計画的に進めることによりまして、多摩地区の給水の安定性向上に引き続き取り組んでまいります。

○鈴木(錦)委員 ご答弁で、優先順位を決めて計画的に施設を整備するとお聞きいたしまして安心いたしました。しかし、いつ起こるかわからない震災等、本当にいつ起こるかわかりませんから、できる限り早期に施設整備を実施していただきたいというところでございます。ぜひともよろしくお願いします。
 そこで、具体的に、多摩地区における浄水所等の小規模施設の現在の整備状況についてお伺いをいたします。

○山田施設部長 浄水所等の整備でございますが、来年度から深大寺浄水所のポンプ棟及び配水池の更新工事に着手する予定でございます。
 また、先ほどの幸町浄水所の配水池容量増強を伴う更新につきましては、平成二十七年度の工事着手に向けて設計作業を進めているところでございます。さらに、柴崎浄水所の更新工事につきましても、現在設計中でございます。
 一方、奥多摩町においては、新桧村浄水所の築造工事を施行中であり、平成二十六年度中の完成を予定しております。また、同じく奥多摩町にある小河内浄水所や大丹波浄水所などの更新工事につきましても、設計作業等を進め、早期に着手する予定でございます。
 このように、老朽化した施設を更新するとともに必要な配水池容量を確保することで、平常時はもとより、施設の事故時や震災時におきましても給水安定性が著しく向上するものと考えております。

○鈴木(錦)委員 ぜひとも小規模施設整備の着実な取り組みをお願いしたいと思います。
 また、平常時はもとより、震災時などに水道が機能するためには、こうした施設の整備に加え、つくられた水を送る管路のネットワークも大変重要でございます。
 例えば、府中市には、大きな管路を経由して東村山の浄水場からも水が届けられています。しかし、これらの管路は、これも老朽化が進行しており、更新するためには他の管路からのバックアップが必要と聞いております。
 多摩地区は、このような広域的なバックアップ機能が不十分であり、震災時の事故等にも広範囲な断水が危惧されるところでございます。
 このため、多摩地区の給水安定性向上のため、送水管のネットワーク整備に取り組んでいるとお伺いしているところでございますが、現在の整備状況と効果についてお伺いをいたします。

○山田施設部長 送水管の整備状況でございますが、多摩地区西南部地域への送水能力とバックアップ機能の強化を目的として、昭島市にある拝島給水所と多摩市にある聖ヶ丘給水所を結ぶ多摩丘陵幹線の整備を平成九年度より進めており、平成二十六年度中の全線完成及び運用開始を予定してございます。
 また、東村山浄水場と多摩丘陵幹線の始点である拝島給水所を結ぶ多摩南北幹線の整備につきましては、平成二十四年度末に工事着手しており、現在、送水管を布設するトンネルを築造するために立て坑の工事などを施行中でございます。今後も、平成三十年度の完成に向けて、引き続き整備工事を着実に推進してまいります。
 多摩南北幹線の完成後は、多摩丘陵幹線と合わせて全長約五十キロメートルに及ぶ広域的な送水管ネットワークが形成され、多摩地区西南部地域の約百七十万人のお客様の給水安定性が飛躍的に向上するとともに、更新期を迎える老朽化した送水管を計画的に取りかえることが可能となります。

○鈴木(錦)委員 ただいま答弁のあった管路の整備を、平成三十年ということでございますから、早期に完成させていただきたいと思います。一日も早く多摩地区のバックアップ体制を確立していただいて、老朽化に対応するようにしていただきたいと思います。
 また、東日本大震災に伴う計画停電により多摩地区で広範囲な断水や濁水が発生をいたしました。生活に欠かせない重要なライフラインである水道を守るためには、水道施設や管路の整備に加えて、施設を動かし、水を届けるための電力が不可欠であることを東日本大震災の経験により再認識をいたしました。
 そこで、大規模停電時において給水を確保するための整備方針についてお伺いをいたします。

○青木技術調整担当部長 多摩地区におきましては、東日本大震災に伴う計画停電によりまして、自家用発電設備のない給水所等でポンプが停止をいたしまして、二十六万件以上もの断水や濁水が発生をいたしました。
 このため、多摩地区では、平成二十九年度末までに、停電時に断水となる配水区域を持つ施設におきまして優先的に自家用発電設備を整備することとしてございます。
 また、東日本大震災時には、計画停電に加えまして、同時に大規模な燃料不足も発生をいたしましたが、そのような事態にも対応していくため、自家用発電設備を七十二時間稼働させるために必要な燃料タンクにつきましても、あわせて順次整備をしてまいります。

○鈴木(錦)委員 ぜひ重点施策として、これらの整備を進めていただきたいと思います。
 また、多摩地区の水道施設は小規模なものが多く、現状でも限られた敷地を最大限活用して設備が配置をされております。方針どおりに自家発電設備等を整備するためには、用地の確保などの面で課題も多いのではないでしょうか。
 そこで、自家発電設備や燃料タンクの整備に当たって、課題とその解決に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○浅沼調整部長 先生ご指摘のとおり、多摩地区の水道施設は小規模なものが多く、現状でも限られた敷地を最大限に活用して設備が配置されているため、新たな自家発電設備の設置や燃料タンクの整備に必要な敷地が確保できない場所も多くございます。
 こうしたことから、当局では、これまでも必要に応じて近隣の土地の所有者の方に売却等の協力要請を行うなど、必要な用地の取得に取り組んでいるところでございます。
 今年度に引き続き、来年度につきましても近隣の用地を買収または賃貸借契約を行うことなどによりまして、必要な用地を早急に確保するため、土地の所有者の方と丁寧に交渉を進めながら事業を推進してまいります。

○鈴木(錦)委員 用地買収には、土地の権利者等との交渉など、本当に困難な課題があるところでございます。
 しかし、電力の確保は水の供給に不可欠なわけでございますから、引き続き整備に必要な用地取得に向け、土地所有者に十分説明の上で事業を推進していただきたいと思います。本当に根気の要る作業、また仕事であると思いますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 これまで、多摩地域における老朽化した施設の整備や電力の確保についてお伺いをしてきました。中央防災会議は首都直下地震が今後三十年以内に七〇%の確率で発生すると発表したが、まさに震災対策は時間との勝負でございます。一朝一夕には困難なことも事実ではございますけれども、一刻も早く多摩地区水道を震災にも強いものにレベルアップして、将来にわたって安定した給水が可能となる水道を実現していただきたいと思います。
 消費税の転嫁に当たってさまざまご意見があるところでございますが、本当に喫緊の課題、多摩地区だけではなくて、全都的に見ても安定的な水道の供給にはかなりの予算も、財源が必要なわけでございますから、そういった意味からもご努力をぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、多摩地区水道の今後に向けた局長の決意についてお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○吉田水道局長 多摩地区の水道は、区部の水道とは異なった歴史的な経過などによりまして、給水安定性のさらなる向上や地元自治体との連携が重要な課題となってございます。
 そのため、都営水道にふさわしい広域水道としてのメリットをさらに発揮できるよう、水道管路の充実強化、老朽化した小規模施設の整備、水道施設の耐震化、さらには地元市町との連携強化に取り組むなどを含みました多摩水道改革計画二〇一三に掲げた施策を着実に推進してまいります。
 これによりまして、多摩地区水道のレベルアップを図り、多摩地区の特性や取り巻く環境の変化について適切に対応しつつ、将来にわたる給水安定性の向上とお客様サービスのさらなる充実に向け全力で取り組んでまいります。

○松村委員 先ほど、畔上委員から消費税問題について質疑がありましたが、私の方からもちょっと一点、確認というかお聞きしたいんですが、平成二十六年度予算における影響額という資料をいただきました。ここで、三%の増加分は、先ほども畔上委員の質疑で明らかになったとおり七十四億円と。そして支出の分を含めた三%増加分の差額は五億円とのことですが、五億円、水道局の負担といいますか支出があれば、この消費税三%分は、影響を、都民への値上げは避けることができるということでよろしいんでしょうか。

○松宮総務部長 平成二十六年度の予算では、料金収入等でございますが、収入に係る仮受け消費税の増加額が八十二億円でございます。これは収入の方の税金、転嫁したための増加額でございます。
 それで、逆に物を買う、水道局が物を買ったり、委託事業をしたりというときにかかる経費、これにも消費税がかかります。ですから、その差額が五億円、かかる支出の額が七十七億円と見込んでおりますので、その差が五億円ということになりますが、これは水道局の財布に入るのではなくて、当然、最終の事業者として国庫に納付されるというものでございます。それが消費税の趣旨でございます。

○松村委員 ですから、水道局として、消費税を三%ふやすと八%、六月からかけるけれども、結局、国に水道局が納付するのは五億円と。だから逆にいえば、五億円、その納付額を水道局が出せば、消費税の都民への影響は回避できるんですねということを伺っているところです。

○松宮総務部長 五億円というのは、あくまで局が国庫に納付するお金でございます。

○松村委員 先ほどそういう説明を私も聞いたんですけれども、そうすると、先ほどの論議のとおり、私たちが消費税をのみ込めと、都民に転嫁しないでその分料金を引き下げるという場合、それを仮定した場合に、水道局が負担すべき財源は七十四億円ということですか、もう一度お答えください。

○松宮総務部長 約五億円というのは、先ほどいいましたように、課税事業者として国に納める納付税の額でございます。それで七十四億円というのは、先ほど申しましたとおり、これは転嫁の額でございます。

○松村委員 余りこれで長くやりとりするつもりはありませんけれども、でも消費税を八%で実施して、それに伴って水道局が国庫に納める、これは五億円なんでしょう。

○斉田企画担当部長 先ほど総務部長が五億円と申し上げましたのは、国庫に消費納税額として支出するということで、説明のとおりでございますが、支出額にそもそも三%が上乗せされますから、その三%をどこで捻出するかということに対しましては、都民の方に水道料金として消費税三%分を上乗せして、それで賄うということでございます。

○松村委員 いずれにしても、七十四億円という額、これは都民に消費税八%、三%上乗せ分、求める額になりますから、その点と支出のやりくりでこの五億円ということを、再度私は改めて、別のところできちっと理解できるようにご説明いただきたいということで質問を先に進めます。
 先ほど来、畔上委員とのやりとりを聞いていると、都民の水道料は高い、安くしてほしいと、そういう声をどう受けとめるのかと聞いても、また、二千三百億円の内部留保資金があることを指摘されても、経営努力の問題にして、私も、経営努力、本当に血のにじむような努力は、先ほども幾つかご答弁がありましたが、やっているというふうに思います。
 中には、技術まで継承できない職員問題、これはちょっとやはり考えてもらいたいというように、逆に意見をいわなければならない、確かにそういう問題もあるというふうに思います。
 しかし、これまで局が示してきた考え方は、これからの大規模浄水場の更新事業などに多額の財源が必要だと、そのことに尽きると思いますし、逆にいえば、私はその大規模施設なるものの規模を適切に、過度になっていないかどうか、そこをやはりきちっとただせば、水道料金を安くしてほしいと。だから、消費税どころじゃないんですよ。この満足度、とりました調査結果は、今の水道料金が高いと、安くしてほしいということが七〇%も出されているわけですから、それにどういうふうにすれば応えられるのかという立場から幾つか伺っていきたいというふうに思います。
 水道局は、二〇一二年、平成二十四年三月に、施設再構築基本構想を策定しました。現在、それに基づく三カ年計画、東京水道経営プラン二〇一三を進めていますが、計画の大前提になっているのが水道需要だと思います。
 そこで伺いますが、水道事業にとって水道需給計画とはどういう位置づけになっているのかを伺います。

○斉田企画担当部長 日本水道協会が作成した水道施設設計指針によりますと、水量的な安定性の確保を図るため、水源及び貯水施設、取水施設、浄水施設、送配水管路などの整備規模につきましては、それぞれ計画一日最大配水量を基準とするとともに、気候変動や施設の老朽化、事故時などの各種リスクに対する安全度の向上を検討し、決定することが規定されております。
 当局におきましても、全国の水道事業体と同様、水道施設設計指針に基づき水道施設を整備しております。

○松村委員 水源及び浄水施設、そういう整備規模については、やはりこの水需要計画というものは、事業の長期的な計画の基本となっているということだと思います。
 ちょっと伺うんですが、今いいました施設再構築基本構想というのは、かなり長期にわたる計画ですけれども、それを具体化した、平成でいいますと二十五、二十六、二十七の三カ年、二〇一三年プランがあります。私、そういう重要な基本となるべき指標設定が、このプランには、どこを目を通しても記述がないということが、非常に疑問に思ったんですけれども、この点はどうでしょうか。

○斉田企画担当部長 水道需要予測は、平成二十四年三月に策定、公表いたしました東京水道施設再構築基本構想に記載しておりまして、東京水道経営プラン二〇一三に掲げた主要な施設整備につきましては、この基本構想を前提に策定しているものでございまして、あえて経営プランには記載がないものでございます。

○松村委員 でも都民は、やはりこういう計画プランを見て理解しますし、我々がどういう料金を負担するのかということも含めて理解を持つものです。だって、施設再構築基本構想といっても、一般都民が手にしますか。私も、ああそういう計画が出されていたということで改めて目を通しましたけれども、やはりきちっと丁寧な記述はし、都民の理解を得られなければいけないというふうに思います。
 そこで、水道需給計画については、昨年の事務事業質疑でも、畔上委員から質疑があり、将来水需要予測が一日最大配水量を計画六百万立方メートルとしていることが、いかに過大であるかが論議され、明白になったというふうに思います。
 私は、きょうは改めてその点について再度ただすことは行いませんけれども、このプラン二〇一三年の施設整備主要事業計画というものがあります。これを見ますと、一日の最大配水量を六百万立方メートルを前提とした施設規模計画にされているというふうに思うんですけれども、その点ではどうでしょうか。

○斉田企画担当部長 首都東京の将来にわたる安定給水の確保のため、これまでの実績を長期的に分析し、最新のデータを用いて統計的手法により、適切に見通した水道需要予測に基づき、経営プランで掲げた施設整備主要事業計画を策定しております。

○松村委員 ですから、六百万立方メートルということによって、浄水とか、そのための水資源も必要だと。だから八ッ場とか、そういう前提となっているということなんですよね。
 もう一つ伺いますけれども、現在、施設能力は六百八十六万立方メートルというふうに、こちらの事業概要では書かれておりますけれども、この施設能力六百八十六万立方メートルという規模は、一日最大配水量を計画値幾らと予測したときの施設能力なんでしょうか。

○斉田企画担当部長 これまで施設能力は、補修や老朽化などを含めて設定しているところであります。
 現在の施設能力を見ますと、現に、施設を維持するための補修工事を通年にわたり行っていることにより日量五十万立方メートル程度の能力が低下しております。さらに、水質管理の徹底や、あるいは強化、河床の低下などにより日量三十万立方メートル程度の能力が低下しております。
 これらの能力低下によりまして、現在の施設能力は、計画一日最大配水量に見合う日量六百万立方メートル程度になっております。

○松村委員 ですから、六百八十六万の施設能力をつくったその前提となる、これまで一日最大配水量、計画値では下げてきているというか、変わってきていますよね。その六百八十六万はどういう一日最大配水量の計画値に、当時で六百八十六万の施設能力をつくった、そこをちょっと教えてほしいんです。できたら経年で、これまでの計画一日最大配水量と、どういう変遷になって、そして先ほどの、昨年度の三月につくったんですか、施設再構築基本構想、ここで平成三十年代は一日最大配水量の将来予測は六百万立方メートルだとしたわけですよね。その一日最大配水量のこれまでの計画値の推移をお聞きします。

○斉田企画担当部長 ただいま松村委員からご説明がありましたが、まず冒頭、水道需給計画とはどういう位置づけになっているのかというご質問がございまして、私の方からは、水道施設設計指針、こちらの方をご説明させていただきました。
 この設計指針によりますと、読むので申しわけないんですが、計画浄水量は、計画一日最大給水量のほかに浄水場内の作業水量などを見込んで決定する。浄水場内の作業水量等は個々の浄水場により異なるものであるから、同種の既存施設の実績等を参考にして決定する。施設能力は、計画浄水量のほかに、原水の汚染事故や施設の事故時などに加えて、改良更新時にも対応が可能となる浄水場の予備力を確保して決定することが望ましいとされております。
 ただいまご質問のございました需要予測の改定の経緯でございますが、現在、平成二十四年三月に策定した施設再構築基本構想におきましては、平成三十年代約六百万立方メートルでございますが、少しさかのぼりますと、昭和六十一年十一月には平成七年で六百七十万と見込んでおりました。

○松村委員 昭和六十一年、六百七十万と。それに見合うというか、それを少しオーバーした六百八十六万の施設能力を建設してきたというふうに思うんですけれども、私は、今の一日の例えば実績値でいいますと、一日最大配水量は、平成二十四年で四百六十八万立方メートルですよね。一日の平均使用水量も四百十二万六千立方メートルと。
 今いった施設能力からすると、それぞれ劣化しているというか、不足しているということがあっても、明らかにその差が、例えば一日の平均配水量にしても二百七十万、それから一日最大配水量にしても二百十七万の乖離というか、施設の能力は私にすれば大きいと。
 過去何度も、私たちの我が党、過大な一日最大配水量だということをただしてきて、その後若干は修正されましたけれども、いまだ六百万というこの数字を使っていると。
 私がきょう問題にしたいのは、この六百万立方メートルをあくまでも前提として、これからも浄水場を含めた施設更新を行っていこうということです。
 このプランの六九ページに、その主要な施設整備の工期が載っているんですけれども、やっと高度浄水施設の建設、相当多額な財源を要しましたけれども、これが一三年、平成二十五年で終わるんですよね。本当にやれやれほっとという感じなんですけれども、しかし、幾つか事業が終わっても、それ以外の、例えば三郷浄水場の大規模更新代替施設などがまた始まるんですよね。それらを含めると、三つの事業、ようやく終了しても、新たにそういう浄水場の代替施設を含めて九ぐらいの大規模な施設計画、こういう計画なんですよ。
 これが必要ないとは、もちろん毛頭いいませんよ。当然、安定したあれをするのに大事なわけですけれども、しかし一つは、過大なそういう予測によってやることをもっと精査しなければいけないということと、それから既に現在、このための積み立ても行ってきているんですよね。そういうことを勘案すれば、私は、今の都民のこの水道料金は、本当に毎日の生活で欠かせないものだし、大変だという、安くしてほしいという声には十分応えられるというふうに考えます。そのことを主張したいと思います。
 同時に、この点でもう一点伺いたいのは、今指摘しました高度浄水処理が終わりました。このプランの中で、私、給水原価の表を見させていただきましたら、これ現在二百六円、これが平成二十三年度の決算での給水原価と掲載されております。
 ここで高度浄水処理十七円が、一立方メートル当たりの原価に入っているんですけれども、当然これ事業が終了し、建設にかかわる財源負担がなくなったと思うんですけれども、この分ぐらい下げられないのかという、私はこれを見た都民の思いだというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○松宮総務部長 東京水道経営プラン二〇一三に記載しております平成二十三年度決算の給水原価二百六円は、取水、浄水、送水、配水といった水道事業の各過程ごとの原価を分類したものでございます。
 浄水過程である高度浄水設備は、平成二十五年度に終了ということですが、一方で、送配水過程である送配水管ネットワークの強化や管路の耐震化などの送配水施設の整備は今後必要となるため、全体の原価は変わらず、料金を値下げすることはできません。

○松村委員 結局、高度浄水処理が終わって原価に含めていたこの十七円、それはなくなるけれども、またさらに新たな大規模なそういう事業を、建設改良をやるということで、またまた都民にそういう負担をこれまでと同じように求めるということはやめるべきだと、もっときちっと精査して都民の納得のいくような計画にしなければならないというふうに主張しておきたいと思います。
 それで、先ほどの大規模浄水場更新などの積立金、先ほども出されました二百五十億円と二千三百億円もの内部留保があるけど、使い道は決まっているんだというけれども、積み立てたりして、長期のやりくりで、先ほどの七十四億円、これをのみ込めないことはありませんし、さらに私は料金は下げることができるというふうに思います。
 最後にちょっと伺いたいのは、先ほど、畔上議員から指摘がありましたこの予算、きょうは予算審議ですから、二〇一四年、平成二十六年度の予算の一般会計の繰入金、見積もり要求を、水道局は七千二百六十七億円減額しているんですよね。なぜですか。とりわけ建設改良費は、百億円も一般会計から本来繰り入れられるべき財源が査定で落とされていると。これに対する局の姿勢というか、考え方についてお伺いいたします。

○松宮総務部長 経営プランにおいては、財務局とのルールに基づいて、一部繰り入れが減額されることを前提としまして計画しております。
 しかしながら、当局は、公営企業として、予算要求時には総務省の定めた一般会計繰出基準に基づく費用を全て要求しているため、知事原案時にはその一部繰り入れの減額に相当する事業費を減額しているものでございます。
 なお、建設改良費のみではなくて営業費用も減額されております。

○松村委員 本来一般会計から繰り入れられるものを、それが査定されていると。それを前提としているんだといっても、都民は納得できないと思うんですね。当然、公営企業ですから料金収入、それが大前提となります。しかし、それを負担する都民は、やはり公共事業ですから、一般会計というか、税負担で、料金収入以外少しでも軽くするために投入されるのを求めるのは当然だというふうに思うんです。
 ましてや、今回のような消費税の増税という形で転嫁する場合、この百億円でもきちっと一般会計からもらえれば、その点できるじゃありませんか。他の自治体だってそういうことをやっているというふうに思います。引き続きそのことを実施までに強く求めて質問を終わります。

○小宮委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小宮委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩をいたしたいと思います。
   午後三時五十一分休憩

   午後四時十分開議

○小宮委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより下水道局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第二十七号議案及び第百六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小山総務部長 さきの委員会で要求のございました資料、四項目につきましてご説明申し上げます。
 お手元の公営企業委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。監理団体及び報告団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 当局が所管する監理団体及び報告団体における職員数、そのうち都からの派遣職員数、団体の固有職員数、都の退職者数をそれぞれお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。監理団体及び報告団体の職員数の推移でございます。
 当局が所管する監理団体及び報告団体における平成二十五年度までの過去五年間の職員数の推移をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。工事請負契約の実績がある民間企業への下水道局退職者の就職者数でございます。
 当該年度までの過去二年以内に、下水道局と工事請負契約の実績がある民間企業へ就職した局退職者数を、過去三年分お示ししてございます。
 四ページをお開き願います。定数、職員数の推移でございます。
 平成二十四年度までの過去五年分の下水道局職員の定数及び職員数の推移をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小宮委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木(錦)委員 私からは、まず消費税率の引き上げに伴う下水道料金の改定についてお伺いをいたします。
 少子高齢化が急速に進展する我が国においては、社会保障を安定させ、厳しい財政状況を再建するための財源確保は待ったなしの課題になっています。一方で、足元の経済状況は、アベノミクスの効果により、四四半期連続でプラス成長となり、有効求人倍率も改善傾向を示すなど、穏やかに回復をしているところであります。
 今回の消費税率の引き上げは、この景気回復のチャンスを捉え、大胆な経済対策を実行した上で、経済再生と財政健全化の両立を図りながら、社会保障の安定財源の確保などを行うものであります。
 都としても、国の政策に沿って税制改定の円滑な実施を進めていくべきだとも思います。そこで、下水道料金への消費税転嫁について、基本的な考え方をお伺いいたします。

○小山総務部長 下水道局も民間企業と同様に、法令上、消費税の納税義務が課せられております。また、消費税につきましては、最終的に消費者が税負担を行うものでございまして、国からは、税負担の円滑かつ適正な転嫁を基本として適切に対処し、税率引き上げ分について、下水道条例を改正するよう方針が示されております。
 下水道局におきましては、これまで徹底した企業努力を行うことによって、経営の安定化を図ってまいりました。その一方で、今後も、老朽化施設の再構築や震災対策、浸水対策など、お客様の安全・安心を支える施策や合流式下水道の改善、高度処理など快適な水環境を創出する施策を推進していく必要がございます。
 したがいまして、今後とも、財政基盤を損なうことなく、下水道サービスを安定的に提供していくためには、今回の消費税率引き上げ分を円滑かつ適正に料金に転嫁することが不可欠であると判断したところでございます。

○鈴木(錦)委員 ただいまの答弁にあったとおり、都の下水道料金についても、国の方針や安定的な下水道サービスを確保する観点から、適正に消費税の転嫁を行うということであります。
 今回の料金改定の内容は、一般家庭で七十三円の負担増となり、新料金の適用は、六月からとなる条例提案であります。四月から消費税率引き上げとなりますが、六月から下水道料金に適用される理由について説明をお願いいたします。

○熊谷経理部長 下水道料金は、水道の使用水量を検針し、それに基づいて算定しておりますが、大半のお客様は二カ月ごとの検針となっておりまして、お客様によって検針月はそれぞれ異なっております。
 消費税率の切りかえに当たりまして、消費税法上の経過措置の規定をそのまま適用いたしますと、四、五月分の料金につきましては、五%の消費税率が転嫁されるお客様と八%の消費税率が転嫁されるお客様とが混在することとなり、その結果、使用水量が同じ場合でも、お支払いいただく料金が異なるケースが生じてしまいます。このような事態を避け、お客様間の公平を保つ観点から、全てのお客様が新税率となる六月分から料金に転嫁することとしているものでございます。

○鈴木(錦)委員 ただいまの答弁で、全ての使用者が公平となるように、検針が二カ月にわたっているということで、六月分から新料金を適用する配慮がなされているということがわかりましたが、このように六月分から適用ということも含めて、都民にきちんと伝えていかなければならないと思います。そこで、都民への周知、また広報はどのように実施するのか、お伺いをいたします。

○熊谷経理部長 今回の消費税率引き上げに伴う料金転嫁の内容につきましては、下水道料金の徴収を委託しております水道局と連携し、四月以降の検針の際に、お客様ごとに検針票とあわせて配布いたしますお知らせで、六月分から新料金になることや、新料金の早見表、問い合わせ先などを順次お伝えいたしますとともに、新聞折り込みなどで配布しております「広報東京都」や局の広報誌、ホームページなど、さまざまな媒体を通じて丁寧にお客様への周知を図ってまいります。また、お客様からのお問い合わせにもきめ細やかに対応するなど、十分なご理解がいただけるよう努めてまいります。

○鈴木(錦)委員 下水道局には、都民への丁寧な説明を行っていただき、十分な理解をいただくよう要望しておきます。検針時に必ず各戸を回るわけですから、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、下水道事業の広報についてお伺いをいたします。
 効果的に下水道事業をPRして、都民の理解と協力を得て円滑に事業を推進するには、ターゲットを絞ったアプローチが重要と考えます。私たちの世代は、下水道が普及して水洗便所が使えるようになり、下水道の大切さをある程度理解しております。
 私たちは、昭和四十年代に、各家庭に浄化槽が設置されて、そこを通じながら下水が排水されていたのを覚えておりますが、そこから下水道が完備されて、浄化槽も取り壊してというような時代を来ているわけでございますけれども、下水道が普及してから成長した世代というのは、下水道の効果とか、また大切さを実感しにくいところでございます。
 そこで、下水道局では、教育課程において、小学校四年生で下水道を学習することや、家庭の会話を通じて、子供から親世代へのアナウンス効果も見込んで、次世代を担う小学生をターゲットにさまざまなPRの手段を講じていると聞いておりますが、こうした取り組みは効果が高く、充実させていく必要があると考えますが、どのように進めているのかをお伺いいたします。

○小山総務部長 下水道事業に関するポスターや標語を小学生から募集する下水道研究レポートコンクールというものがございますが、今年度、教育委員会への働きかけを強化するなどの取り組みによりまして、応募者が約二千人と、昨年度に比べて倍増いたしました。
 小学校に出向いて下水道の役割や仕組みを教える出前授業は、今年度から寸劇を取り入れるなど、授業内容の拡充を図りまして、試行的に二十三区で九十回、三千六百九十四名を対象に実施いたしました。また、虹の下水道館につきましては、リニューアルオープンした昨年四月二十日から十二月末までの子供の来館者が二万人を超えまして、昨年同時期に比べて三〇%、四千六百人余り増加しているところでございます。

○鈴木(錦)委員 多くの小学生を対象に下水道をPRするとともに、その人数も増加しておるということで大変結構でございますが、出前授業の実施については二十三区だけにとどまっております。
 例えば、多摩川は東京を代表する河川でございますが、流れる水の半分は下水処理水であるということでございますが、その流域にある多摩地域でも、出前授業を広げて実施する意義は大きいと考えますが、局の見解をお伺いいたします。

○小山総務部長 内容の充実を図りました出前授業は、先生、児童から、わかりやすい、楽しいと高い評価を得ましたことから、来年度は訪問する小学校を多摩地域にも広げて本格的に実施してまいります。
 実施回数も、今年度に比べまして約四倍に増加させ、三百七十回、一万四千八百名を対象に実施することとしてございます。今後とも、東京の次世代を担う子供たちに多様な環境学習の機会を提供し、下水道への理解を深めていただく取り組みを推進してまいります。

○鈴木(錦)委員 来年度から出前授業を多摩地域においても展開して、実施回数も四倍にふやしていただけるということで大変評価をさせていただきます。着実に実施をしていただき、効果を上げることを要望させていただきます。
 次に、流域下水道における公共下水道事業運営への支援についてお伺いをいたします。
 公共下水道を管理する市町村では、極めて短時間で整備してきた下水道管渠が、あと二十年ほどで一気に耐用年数を超えるため、老朽化対策が極めて重要になるとともに、将来を見据えた維持管理のあり方や、事業を進めるための財源の確保など、新たな課題への対応が必要となってきています。
 私自身、昨年十一月の公営企業委員会の事務事業質疑において、このような公共下水道が抱える課題の解決に向けて、都が取り組んでいる技術支援の内容を確認させていただきました。その中で、今年度開催する下水道情報交換会では、公共下水道の長期的更新計画策定に向け、必要となるアセットマネジメント手法の考え方など、局がこれまで培ってきた豊富な経験とノウハウを提供するとともに、市町村技術職員の人材育成にも積極的に支援していくとの答弁がございました。
 先月五日に、多摩地域の下水道担当者を集めて、下水道事業運営におけるアセットマネジメントの導入についてというテーマで、下水道情報交換会を開催したとのことでございますが、そこで、具体的にどのような内容で下水道情報交換会を行ったのか、お伺いをいたします。

○松島技術部長 人材や財源の確保が難しくなる中で、下水道サービスの提供を続けていくためには、適切に更新や維持管理に取り組むことが必要であり、そのためには、都と市町村が課題を共有し、一丸となって対応していくことが極めて重要となります。
 そこで、先生のお話のとおり、先月五日、昨年九月にオープンいたしました下水道技術実習センターにおきまして、下水道情報交換会を開催いたしました。下水道情報交換会では、下水道管渠の老朽化対策に先行して取り組んでいる区部の再構築の事例を紹介し、再構築の基本的な考え方やマネジメントの方向性を解説するなど、経営資源である人、物、金のうち物に着目し、アセットマネジメントの必要性について理解を深めていただきました。
 また、今後急増する下水道管渠の老朽化対策に対応するため、管渠の維持管理や将来の事業量を見据え、財政の健全化や下水道事業基金の設置などに先進的に取り組んでいる市の事例を参考に、金に着目し、活発な意見交換を行い、課題の共有を図りました。
 このほか、アセットマネジメントを実施する際には、管路の現状把握が第一歩となるため、管路内テレビカメラ調査の模擬実習を行うとともに、下水道技術実習センターの施設見学を通じ、人材育成や技術継承に必要な情報を提供いたしました。

○鈴木(錦)委員 市町村の下水道経営は大変厳しい状況であり、技術職員の確保や情報の収集が大変難しくなっていると聞き及んでおります。こうした中で、下水道情報交換会は、市町村にとっては、まさに渡りに船のことだったと思うところでございます。
 また、昨年九月にオープンした下水道技術実習センター、私たちも視察をさせていただきましたが、大変すばらしい施設ができただけではなくて、その施設を十分に有効に利用していただいているんだなというのがわかりました。
 しかし、こうした取り組みは、情報の発信側からの一方通行であってはなりませんし、都と市町村が情報の共有化を図り、課題の解決に取り組んでいくことが大事であります。また、このような取り組みは、継続していくことも重要かと思います。そこで、下水道情報交換会の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○松島技術部長 市町村がアセットマネジメントを進める上では、将来の事業量を踏まえた事業費の検討が重要となります。そのため、下水道情報交換会を通じて、流域下水道の水処理施設や焼却炉などの施設整備計画、三カ年の経営計画、年度ごとの予算計画と事業量、それから事業費の情報提供に努め、市町村の下水道経営を支援してまいります。このほか、市町村から要望がある予防保全型維持管理などの新たなテーマを選定し、維持管理に係る費用の削減につながる取り組みを展開してまいります。
 下水道情報交換会では、これまで物と金について意見交換等を行ってきましたが、今後は、下水道事業を運営するための人に着目し、維持管理の民間委託や下水道技術の継承をテーマに意見交換会を開催するなど、市町村へのサポートを継続して実施してまいります。
 さらに、下水道技術実習センターを活用し、市町村職員研修の実施や下水道局研修への市町村職員の参加拡大など、人材育成についても支援を行うこととしております。
 今後とも、市町村が求めている課題を抽出し、都からの情報発信や技術支援に努め、公共下水道事業運営の効率化の実現に向け、市町村と連携して取り組んでまいります。

○鈴木(錦)委員 下水道情報交換会は、市町村の下水道経営を支援していく上で画期的な取り組みであると思います。公共下水道事業のレベルアップに貢献していると評価いたします。今後も、市町村のニーズを踏まえた内容で、技術支援を積極的に進めていただきますようお願いをいたします。
 続いて、都の快適な水環境の実現についてお伺いをいたします。
 我が党は、東京を世界で一番の都市にするため、快適、安全・安心の東京をつくる六つの分野の政策に積極的に取り組んでおります。その一つであります世界一の環境都市東京の創造には、快適な水環境を実現していく取り組みが必要不可欠であります。この快適な水環境を実現するためには、海や川など公共用水域の水質を改善していくことが重要であり、都市からの排水を処理し、公共用水域へ放流している下水道の役割は大変大きいものであります。
 下水道局は、事業推進に当たり、これまでもコスト縮減や技術開発による工期短縮を図るなど、さまざまな工夫を実施してきましたが、より一層のコスト意識やスピード感を持ちながら事業を進めていくことが非常に重要であり、こうした視点を踏まえ質問させていただきます。
 まず初めに、合流式下水道の改善の取り組みについてお伺いいたします。
 都内は、汚水と雨水を一つの下水道管で集める合流式が、区部で約八割、多摩では約二割整備されており、大雨のときには下水の一部が海や川などに放流され、公共用水域の水質に影響を与えています。こうしたことを踏まえ、今後どのように合流式下水道を改善する取り組みを進めていくのかお伺いをいたします。

○渡辺計画調整部長 合流式下水道は、早期に下水道を普及できる反面、一定量以上の雨が降ったときに、下水道管の吐き口からごみや下水の一部が放流されるため、これらを改善する対策を進めております。これまでに、吐き口から河川などへ流出するごみなどを取り除く水面制御装置などの整備を、おおむね完了いたしました。
 また、降雨初期の特に汚れた下水を貯留し、雨がやんだ後に水再生センターへ送水し処理するための貯留施設を百八万立方メートル分、既に整備しております。これに加えて、平成三十一年度までに、区部と多摩地域の合計で約三十九万立方メートル分の新たな貯留施設を整備する予定でございます。
 さらに、水再生センターから雨天時に放流される下水中の汚れを二倍程度多く除去することができ、既存施設の改造により早期に整備できます高速ろ過施設を導入し、放流水質の改善のスピードアップを図ってまいります。既に、北多摩二号水再生センターには高速ろ過施設を導入しており、平成三十一年度までに、区部の合流式で整備された十一カ所全ての水再生センターに導入してまいります。
 こうした取り組みにより、一層効果的に合流式下水道を改善する取り組みを進めてまいります。

○鈴木(錦)委員 下水道局が、効果的に都内における合流式下水道を改善する取り組みを進めていることがわかりました。
 一方で、さらなる公共用水域の水質改善を図るためには、都内にある二十の水再生センターから多摩川や東京湾に放流される処理水の水質を向上させることも重要であります。
 処理水質の向上については、平成二十五年第四回定例会の我が党の代表質問の中で、高度処理や準高度処理の導入を積極的に進めていくと伺っておりますが、今月初めに、下水道局は、水質改善と省エネルギーの両立を図っていくために、新たな高度処理技術を開発したと聞いています。
 そこで、新たな高度処理技術というのは、どのような技術で、どういった特徴を持っているのかお伺いをいたします。

○神山技術開発担当部長 東京湾や多摩川の水質向上を図るためには、下水中の窒素とリンをさらに除去する高度処理の導入を促進する必要がございます。
 従来の高度処理は、窒素を除去する際に、標準的な処理法と比べて電力使用量が大きくなるという課題がありました。この課題を解決するために、平成二十三年度から民間企業などと共同研究を進め、水質改善と省エネルギーの両立を図る新たな高度処理技術を開発いたしました。この技術は、従来の高度処理と同等の窒素、リンの除去率を確保するとともに、これまで必要としていたポンプや攪拌機などの機器が不要となり、電力使用量を二割以上削減できるという特徴を持っております。
 さらに、従来の高度処理では、下水中の窒素を除去するために二つの水槽を設ける必要がありましたが、新たな技術では、下水処理に必要な空気の量を適切に制御することにより、一つの水槽で窒素の除去が可能となります。このため、既存の水槽を改造することで早期に導入できる技術でございます。

○鈴木(錦)委員 新たな高度処理技術が水質改善と省エネルギーの両立を図る技術であることがわかりました。下水道局の技術力の高さを改めて評価いたしますし、今後、積極的に導入をしていくことが期待されます。どうぞよろしくお願いいたします。
 そこで、今後の水再生センターにおける下水の処理水質の向上を、さらに図る取り組みをどのように進めていくのかお伺いをいたします。

○渡辺計画調整部長 東京湾など公共用水域の水質改善を図るため、赤潮の原因とされる窒素やリンを大幅に削減できる高度処理の導入を進めておりますが、導入開始の平成八年度から二十四年度までの十七年間の実績は、百十五万立方メートルにとどまっております。
 これは、従来の高度処理が標準的な処理法と比べまして、施設規模が大きく整備に長期間を要するためでございます。また、高度処理に必要な電力使用量が多いという課題もございます。このため、従来の高度処理に比べ、窒素とリンの除去率が若干低いものの、電力使用量の増加もなく、既存施設の改造と運転管理の工夫により、早期に導入が可能な準高度処理を平成二十二年度から順次導入しており、今年度までに北多摩一号や小菅水再生センターなどで、累計百二十一万立方メートルとする予定でございます。
 また、新たな高度処理につきましても、今後、芝浦水再生センターなどで導入してまいります。
 準高度処理と新たな高度処理の導入により、処理水質の向上にコスト意識とスピード感を持って取り組み、東京のさらなる良好な水環境を実現してまいります。

○鈴木(錦)委員 下水道局が東京の良好な水環境を確保するために、合流式下水道の改善や高度処理の導入に、コスト意識とスピード感を持って精力的に進めていることがわかりました。ぜひとも、江戸前の魚ですとか、また多摩川のアユですとか、水産業にも貢献できるような清流を取り戻していただいたり、そういったところにつなげていただければありがたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 最後に、良好な水環境の創出と環境負荷の少ない都市の実現に向けた局長さんの決意を伺って、私の質問を終わります。

○松浦下水道局長 東京の昭和三十年代から四十年代は、都市化の進展が著しく、多摩川を初めとする河川の水質はかなり悪化しておりましたが、下水道の整備普及を精力的に進めた結果、河川の水質は劇的に改善され、今では都民の皆様に親しまれる水辺空間として生まれ変わっております。
 その後も、さらに良好な水環境にしてほしいという都民の皆様の要望を受け、水質改善のための取り組みを進めてきましたが、その過程で、合流式下水道の改善設備である水面制御装置や新たな高度処理技術など、実用性の高いすぐれた技術を開発導入するなど、社会情勢の変化や時代のニーズに応じて、水質向上のための技術開発に取り組んでまいりました。
 また、水をきれいにするためには避けて通れないエネルギーの問題や、温室効果ガスの発生など新たな課題に対しても、省エネルギー機器や世界初となるターボ型焼却炉の開発導入などを進めてきましたが、これからも、下水道事業の将来を見据え、先駆的な取り組みを積極的に進めてまいる所存です。
 今後とも、快適な地球環境を次世代に確実に継承していくため、これまでの長い歴史の中で培った現場力、技術力、組織力をもって局の総力を結集し、都民、お客様に質の高い下水道サービスを提供してまいります。

○高倉委員 下水道局の契約関係について質問をいたします。
 建設業界では、近年の建設投資額の大幅な減少に伴いまして、いわゆるダンピング受注、低価格での入札が増加をし、そのしわ寄せが労働者の賃金低下や若者の入職者の減少につながっているといった指摘があります。こうした状況は、将来の建設業界の存続をも危惧させるものでありまして、技能労働者の育成を支援するためにも、適切な賃金水準の確保や適正な価格での契約が不可欠だと考えます。
 国においては、実際に工事を行う技能労働者の賃金水準を確保するために、二月一日から、公共工事の設計労務単価の引き上げを決定したところであります。これは昨年も行われまして、ことしもそれに引き続いてまた行われたということであります。そして、この二月一日以降に契約を行う工事のうち、旧労務単価を用いて予定価格を積算した工事についても、新労務単価に基づく契約に変更するための協議を請求できるよう特例措置を定めているわけであります。さらに、既に契約した工事についても、インフレスライド条項によりまして契約金額の変更を請求できるというふうにお聞きをしております。
 そこで、下水道局においても、国と同様の取り組みを行う必要があると考えますけれども、その対応について、まずお伺いをしたいと思います。

○熊谷経理部長 下水道局におきましても、国の要請を踏まえ、財務局などとも歩調を合わせて、二月一日に労務単価の引き上げを行っております。
 また、これに伴い、二月一日以降に契約を行う工事につきましては、特例措置を定め、既に契約した工事についてもインフレスライド条項を適用することとし、国と同様に対応を行っております。

○高倉委員 下水道局としての対応については了解いたしました。しかし、今回の労務単価に係る特例措置やインフレスライド条項については、実際に現場で働く職人の賃金に反映をされるということが重要であります。そのためには、業界団体また元請企業に対しても働きかけを行っていく必要があろうかと思います。
 そこで、下水道局として、業界団体また元請企業に対して、どのように働きかけを行っているのかお伺いをいたします。

○熊谷経理部長 まず、業界団体に対しましては、賃金水準の適正化について配慮を求める文書を配布して、周知に努めております。
 また、元請企業に対しましては、特例措置やインフレスライド条項の運用に当たって、下請企業との間で既に締結している契約の金額の見直しや、技能労働者への賃金水準引き上げなどを求めております。
 これらの要請に当たりましては、各受注者へ書面により直接伝達するとともに、要請文書を契約カウンターに掲示したり、電子調達システムの入札情報サービスへの掲載などにより、広く周知を図っているところでございます。

○高倉委員 下水道局としても、元請企業等に対して可能な働きかけをしているということが、今のご答弁でわかりました。しかしながら、特に低い落札率で契約をした工事については、労務単価に係る特例措置やインフレスライド条項を適用しても、下請事業者へのしわ寄せといったことが懸念をされるわけであります。
 そこで、下水道局として、このように低入札となった案件について下請事業者へのしわ寄せが生じないよう、どういった対応を図っていくのか、見解をお伺いいたします。

○熊谷経理部長 低入札となりました案件につきましては、低入札価格調査を実施することになりますが、その際は、調査基準価格を下回って調査対象者となった者から資料の提出を受け、積算内訳等を調査してヒアリングを行い、契約内容の履行が可能であるか確認をしております。
 この低入札価格調査の中で、元請企業に対しては、必要な労務費が直接工事費や間接工事費等の項目ごとに反映されているかなどの確認を実施しております。また、工事期間中には、元請企業が下請企業に対して、賃金の支払い方法を含め、法令遵守についての確認指導を行うこととしておりまして、この旨の誓約書を当局に提出させております。さらに、工事完了後には、確認指導の実績報告書を提出することを義務づけているところでございます。

○高倉委員 ただいまの答弁で、低入札案件については、低入札価格調査を実施して下請事業者へのしわ寄せが生じないよう対応しているということがわかりました。これは本当に大事なことでありまして、ぜひ引き続きこうした取り組みを推進して、適正な契約の履行が確保されますようにお願いをしたいと思います。
 次に、付託議案となっております下水道料金の改定に関する議案について質問いたします。
 今回の料金改定につきましては、国の消費税率の引き上げに伴って実施するものでありまして、下水道事業のいわば経営状況の必要性から改定を求めるといったものでないことは承知いたしております。しかしながら、消費税の引き上げに沿って料金を改定せざるを得ない下水道事業者の経営の厳しさや、徹底した企業努力の姿勢を示すことで、初めて、都民からの理解も得られるものではないかと思います。そうした点を踏まえまして、今回の料金改定について何点か質問したいと思います。
 まず、現在の下水道事業の経営状況について説明をお願いいたします。

○小山総務部長 区部の下水道事業におきましては、老朽化した施設の再構築や都市型水害への対応、合流式下水道の改善など、多くの課題に対応するために、今後も多額の資金が必要でございます。また、東日本大震災以降、電力料金の大幅な改定などもありまして、維持管理経費の増加が見込まれます。さらに、これまで建設改良事業の財源として発行した企業債残高を、昨年度末現在で約一兆八千億円抱えておりまして、重い元利償還費負担が続いております。その一方で、経営の柱となります料金収入は減少傾向が続いております。
 このような厳しい経営環境の中で、下水道局として可能な限りの企業努力に取り組み、収支の改善を図ってきたところでございます。昨年二月に策定いたしました経営計画二〇一三におきましても、約二百十二億円に及ぶ徹底した企業努力の取り組みを行い、現行の料金水準を維持した上で、計画期間末である平成二十七年度に財政収支がほぼ均衡する見込みとなっているところでございます。

○高倉委員 ただいまの答弁では、厳しい経営環境の中で、企業努力によりましてようやく収支が均衡しているといったことでありました。
 そこで、経営効率化に向けて、これまでどのようなことを行ってきたのか、また、現在の経営計画二〇一三における具体的な取り組み内容といったことについてお伺いをいたします。

○小山総務部長 下水道料金収入の減少傾向が続く中、老朽化対策や浸水対策など、先送りできない課題に対応するためには、経営効率化による財政基盤の強化が不可欠でございます。
 下水道局では、これまでも徹底したコスト縮減に努めるとともに、施設跡地の売却や建物の貸し付けなど、資産の積極的な活用を進めてまいりました。また、平成十年の料金改定以来、この十五年間で、職員定数の約四割に当たる一千七百人余りの削減を行うなど、不断の企業努力に取り組んでまいりました。これらの取り組みによりまして、平成二十二年度から平成二十四年度までを計画期間とする経営計画二〇一〇では、三年間で計画額を二十九億円上回る約二百四十億円の企業努力を実施したところでございます。
 現在の経営計画二〇一三におきましても、新技術や新たな工法の積極的な活用や、アセットマネジメント手法を用いた建設から維持管理までのトータルコストの縮減、保有する土地の貸し付けなどによる資産の有効活用など、収入の確保、業務執行体制の見直しによる職員定数の削減など、三カ年で総額二百十二億円の企業努力を実施してまいります。

○高倉委員 今、詳細に取り組みについて説明をいただきましたけれども、収支の改善のために、局として大変な努力を行ってきたということがわかりました。
 下水道料金については、平成元年の消費税の導入以来、二回の本格改定も行われてきているわけでありますが、単に収支の改善ということだけではなく、料金制度そのものでも、利用者、特に生活者に配慮した努力がなされるべきであるというふうに思います。
 そこで、料金面で利用者のための配慮といったものはどのように行われてきたのか、ご説明をお願いしたいと思います。

○小山総務部長 区部の下水道料金におきましては、平成十年の料金改定の際、一カ月当たり五十立方メートル以下の使用水量の区分を細分化するということなどによりまして、節水の動機づけを図りますと同時に、生活排水である小口使用者の負担軽減を行っているところでございます。
 また、不断の経営効率化の取り組みによりまして、平成十年の料金改定以来、十五年間にわたり料金水準を据え置くということで、お客様の負担増を招かないよう努めてきたところでございます。

○高倉委員 今のご答弁で、下水道料金については、利用者への配慮も行った上で、十五年間にわたって据え置いてきたということも理解ができました。
 このように企業努力によって何とか料金を据え置いてきたと、そして、ようやく収支も均衡してきていると、こういった状況を踏まえますと、仮に消費税の転嫁を見送った場合には、下水道事業の経営にも大きな影響があることも危惧をされるわけであります。
 そこで、今回の転嫁を見送った場合に、下水道財政に与える影響はどうなるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○小山総務部長 下水道局も民間企業と同様に、法令上、消費税の納税義務が課せられておりますため、税率引き上げ分の転嫁を見送った場合でも、下水道料金には消費税八%として課税をされます。その結果、消費税分を除いた実質の下水道料金は、概算で約四十億円の減収となります。
 平成二十六年度末の財政収支は、ほぼ均衡する見込みであったものでございますが、これによりまして赤字に転落し、その後、赤字幅は、毎年毎年約四十億円ずつ膨らんでいくものと見込まれます。
 また、転嫁を見送るということになりますと、これらの赤字分を結局は先送りすることにすぎませんで、将来の負担となってしまうものでございます。このため、消費税率引き上げ分を円滑かつ適正に料金に転嫁することで、安定的な経営を確保していく必要があるというふうに考えてございます。

○高倉委員 これまで、今、質疑を行ってまいりましたけれども、今回の下水道料金の改定というものは、決して安易な転嫁というものではなく、まさにやむを得ないものであるということが理解できました。
 標準的な一般家庭で月七十三円の負担増というふうにお聞きをしておりますけれども、生活に必要不可欠な下水道料金の引き上げというのは、都民の生活に多大な影響を及ぼすという視点を持って、下水道局としても重く受けとめていただきまして、しっかりとした経営を続けていただきたいというふうに思います。
 今後とも、なお一層の経営効率化をたゆまず進めていただいて、事業を着実に実施することで、下水道サービスの一層の向上を図りますように局に強く要望いたしまして質問を終わりたいと思います。

○畔上委員 それではまず、消費税率の引き上げに伴う東京都下水道条例の改定について伺います。
 この四月から消費税率の引き上げに伴い、下水道料金については、消費税の相当額を八%に改定して、六月分として算定される料金から適用するために改定するということであります。
 先ほど来、いろいろお話がありましたけれども、消費税が社会保障のためではないと。ましてや、この間、消費税が導入されて以降、消費税の税収はそっくり法人税の減税で差し引きゼロになってしまったということからも、福祉財源になってないということは明らかだというふうに思います。
 この間、景気動向などについての水道局の質疑でも述べさせていただいたんですが、今、春闘で大手の各社がベア回答があったというふうに報道されていますけれども、五年間にわたってベアゼロが続いたことから見れば当然でありますし、しかも、これは働く人のごく一部にすぎないということであります。
 消費税率が八%になれば、実質的には、賃金の実質二%の賃下げになるということで、生活に大変追い打ちをかける。ましてや、非正規の労働者が今は四割と、そして、年金も下がっているという中では、消費税の増税は、暮らしにとっても、景気にとっても大打撃であるということであります。
 三月の七日から十日に行われました時事通信の世論調査では、景気回復の実感がないという方は七五%を超えております。一月の共同通信社の世論調査では、四月からの増税に対しては、家計の支出を控えるというふうに答えた方が六九・一%、七割近い方がそうおっしゃっていると。そして、消費税率の一〇%の、これは一〇%で問うていましたけれども、アンケートをとっていましたけれども、引き上げについては反対が六四・五%ということでありました。
 今でも節水に努めている。これ以上、上下水道の使用を控えるということは、なかなか厳しいわけです。だから、この上下水道料金の消費税の転嫁の問題、町の中でお話いろいろ出てきています、最近。そうすると、皆さんから、せめて公共料金は上げないでほしいと、そういった声が多く寄せられるわけです。
 先ほど来のご答弁の中で、経営状況とか、それから下水道料金改定の判断に至った理由とか、経過についてご答弁があったわけですが、このご答弁の中には、都民生活に対する認識、これは一言もありませんでした。
 そこで伺いますが、現行の都民生活の実態、どう受けとめていらっしゃるんでしょうか。

○小山総務部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、消費税につきましては、最終的に消費者が税負担を行うものでございまして、国からは、税負担の円滑かつ適正な転嫁を基本として適切に対処するよう方針が示されているところでございます。
 また、下水道局におきましても、これまでも徹底した経営の効率化に取り組んでいるところでございまして、財政基盤を損なうことなく、今後も安全・安心にかかわる事業、また、快適な水環境を創出していく事業など、必要な事業を着実に実施していくためには、今回の消費税率引き上げ分の転嫁は不可欠と考えているところでございます。

○畔上委員 都民生活への影響は判断の材料にはしないんだということであります。私は、やっぱり上下水道料金に対する、この値上げに対する都民の意見、これはきちんと聞いていくべきだというふうに思うんです。収入がふえていない、むしろ減っていると。そういう人が多くなっている、こういう中で、都民の新たな負担がふえるときだからこそ、やっぱり地方自治体の住民の福祉の向上という本来の役割、そして、公営企業法の第三条でも示されております公共の福祉、この増進という公営企業としての役割、その役割として、今、じゃ、どうしたら都民の生活を守れるのかという、こういう検討ぐらいすべきだというふうに思うんです。
 先ほど配慮のお話がありました。やっぱり実際に過去を振り返ってみますと、消費税の導入のときも、これは都議会で議決をしたわけですけれども、都民生活を鑑みたら、今値上げをしてしまったら、これは都民生活に影響が大き過ぎるということで、決定したけれども三年間値上げは凍結されたと。私は、今、本当にそういう点では、同じような判断が求められているんだというふうに思います。
 四十億円の減収になると、赤字分は、これから先送りされて大変なんだというお話がありましたけれども、しかし、下水道局の二〇一二年度の決算を見ますと、この流動資産が二千三百七億円余、そして、流動負債が千百八十一億円余、つまり千百二十五億円余の内部留保があって、その四十億円という、このお金は事業会計の中で努力によってのみ込むことはできる金額だというふうに思います。
 それにもかかわらず、都民の意見も聞かないで、事業会計の中でどうやりくりするかという検討もしないで、消費税の増税分を機械的に上乗せするということは、やはり問題だと私はいわざるを得ない。したがって、今回の条例改正については反対です。
 こういう中で、やっぱり私は、下水道料金の場合は、水道料金では減免していない生活関連の二十三業種などに対する減免がある。このことについては、大変、中小企業にとっても心強いことだというふうに思っております。
 そこで伺いたいんですが、下水道料金のみ生活関連の業種などを減免対象とした、その理由、そして、その実施に至った経過、これについて伺います。

○小山総務部長 下水道料金の減免についてのお尋ねでございますが、生活関連業種の減免につきましては、昭和五十六年の料金改定の際に付された付帯決議の趣旨を尊重いたしまして、独立採算の原則及びお客様間の負担の公平に対しての例外措置として実施したものでございます。
 現在も、議会の決議を受けて継続して実施してございまして、現在の期限は、平成二十八年三月三十一日までとなっているところでございます。

○畔上委員 付帯決議ですね。そういうことでは、今まさに議会側も問われているというふうに思います。
 減額対象になっているお豆腐屋さんにお話を伺いに行ってまいりました。今は都内は、豆腐屋は五百軒を割ったそうです。私が住んでおります江東区内も、今、豆腐屋さんは二十一軒しかありません。スーパーにはかなわないし、子供にも後を継げとはいえないと。近所の肉屋さんも八百屋さんもやめて、商店街の体をもうなさなくなっているというお話も伺ってきました。そのお店の方の場合は、上下水道やガスなど店の光熱水費、昨年度の年間額は百万円を超えたと。消費税のこの四月から値上げ分、計算してみたら年間一万円は超えるというお話でした。
 そういうことを伺ってみると、改めて、この下水道減免、これは本当に大事だなということを痛感したわけです。やはり私は、都民の生活の実態、それから、経済状況、これをよく見て、低所得者に対する減免拡大、これもぜひ前向きに進めていただきたいと、このことを強く求めておきたいと思います。
 次に、管路の再構築の問題について伺いたいと思います。
 昨年の八月に、北区の住宅街で、直径約一メートル、深さ約十センチのくぼみができていたところを、ちょうど通りかかった男性が足をとられて転んで一時意識不明になったという事故がございました。このくぼみが、なぜできたのか。マスコミの報道によりますと、道路陥没の原因が老朽化した下水道管の破損だということだったわけですけれども、なぜそうなったのか、陥没事故の原因をまず伺いたいと思います。

○坂根施設管理部長 ご指摘の事故につきましては、北区赤羽の区道におきまして、マンホールの脇に生じた舗装のくぼみにつまずき転倒したものでございます。
 舗装のくぼみの大きさにつきましては、先ほど委員の方からもお話ありましたとおり、縦幅、横幅ともに約一メートルで、深さは約十センチメートルでございました。
 舗装のくぼみが発生した原因につきましては、マンホールに接続する下水道管の老朽化によりまして、土砂が下水道管内に引き込まれたことによるものと考えております。

○畔上委員 原因は下水道管の老朽化だったということですね。
 このような道路陥没事故は、年間何件ぐらいあるんでしょうか。また、経年的に見て、この間、ふえているんでしょうか。

○坂根施設管理部長 区部の下水道管の老朽化に起因する道路陥没の年間発生件数につきましては、平成十二年度には千五百件を超えておりましたが、近年は、平成二十二年に九百四十七件、二十三年度に七百六十二件、二十四年度には七百三十七件であり、減少傾向にございます。
 これは、下水道局が道路陥没の原因の約七五%を占める取りつけ管の老朽化対策といたしまして、陶製の取りつけ管を塩化ビニール管に取りかえる取り組みを、下水道管の再構築工事にあわせて行ったり、道路陥没の多い五十地区に重点化して実施している効果があらわれているものと考えております。

○畔上委員 ご努力で減っているけれども、まだ年間七百件を超えて道路陥没があるということであります。
 下水道管は、私たちが生活する上で本当に欠かせない重要な役割を果たしているわけですが、区部の下水道は、明治時代から整備が進められてきたということで、老朽化した管がふえて、今後、補修や更新に一層の努力が必要になってくるわけです。
 総務省の耐用年数標準、これを調べましたら、下水道管の管路の耐用年数は五十年というふうになっていたんですが、五十年以上使用して再構築していない、そういう管路は、今、二十三区の中でどのくらいあるんでしょうか。

○坂根施設管理部長 区部には、約千六百キロメートルの下水道管がございまして、このうち、これまでに耐用年数の五十年を経過し、再構築をしていない下水道管は約千五百キロメートルございます。今後二十年間で、約六千五百キロメートルの下水道管が耐用年数五十年を超える見込みでございます。

○畔上委員 区部に千六百キロの下水道管で、再構築していないのが千五百キロですか。すると、ほとんどやっていないということになる。もう一度、区部には千六百キロで、構築していないのが千五百キロだと、ほとんどやっていないということになるんですけど、そういう認識でいいんですか。

○坂根施設管理部長 大変失礼いたしました。先ほど区部の下水道管渠の延長につきまして千六百キロメートルと申しましたけれども、一万六千キロメートルでございます。

○畔上委員 一万六千キロのうち、千五百キロメートルの下水道管が耐用年数を超えて、さらに六千五百キロメートルが今後二十年で耐用年数を超えるというご説明ですよね。つまり、合わせて八千キロメートル、区部の下水道管の半分、これが二十年後には耐用年数を超えてしまうということになるわけです。
 ですから、こうした老朽化した管渠の再構築をしっかり計画的に進めていかなければいけないというのは当然のことだと思うんですが、いただいた来年度の予算書には、再構築全体の予算が八百十六億二千三百万となっていたんですが、下水道管の再構築には、どのくらいの予算と事業量を見込んでいらっしゃるんでしょうか。

○渡辺計画調整部長 下水道管の老朽化が今後急速に進むことから、平成二十四年度まで、年間四百ヘクタールの地域で下水道管の再構築を進めてまいりました。しかしながら、経営計画二〇一三における三年間では、約二倍の年間七百ヘクタールにスピードアップする取り組みを進めております。これを実現するため、平成二十六年度の下水道管の再構築予算額は約六百四十五億円を計上しております。

○畔上委員 年間六百四十五億もかかるということなんですが、今、年間七百ヘクタールということでありますので、少なくとも、これからずっとそういう状況が続くということになるわけです。その費用というのは、大変莫大なものになると思います。
 そういう点では、私は、老朽化の再構築、これ自身は当然必要な、やらなきゃいけない事業ですから、きちんと計画的に進めていただきたいと思うんですが、同時に、もっと工事のコストの削減、これができるような技術開発とか、それから国に対する補助、これは今年度は、たしか期間限定での補助があったと思うんですけれども、こういった国庫補助の拡大を求めるとか、やはり都民負担の軽減に努めながら、こういった必要な事業をしっかりやっていただきたいということを強く求めまして質問を終わりたいと思います。

○西沢委員 私からも、消費税について、まず質問させていただきたいと思います。
 本日も、さまざま議論がございましたが、この消費税率の引き上げというのは、料金に転嫁するもので、都民生活に大きな影響を与えるものでございます。そのための企業努力、吸収して、都民負担をふやさない努力を行っていくと、そして、検討も行うべきではなかったのかと思うわけであります。
 そこで、この消費税分について、先ほどの話もございました。具体的に、どういった支障が生じるということでございましたが、四十億円の減収になるというような話がありまして、毎年、それ以降も四十億円になっていくというところが、先ほどの高倉理事の質問の中でもありましたが、具体的に、どのような事業に支障が生じるのかお伺いいたします。

○小山総務部長 東京の下水道は、老朽化した施設が急速に増加いたします一方、東日本大震災や局地的な大雨など、自然災害の脅威も踏まえた対策が急務となっております。また、東京湾や多摩川の水環境の改善、省エネルギー化などへの社会的な要請も高まっているところでございます。
 これらの課題に対応するため、下水道局では、昨年策定いたしました経営計画二〇一三に基づきまして、老朽化施設の再構築や震災対策、浸水対策といった、お客様の安全・安心を支える施策や、合流式下水道の改善、高度処理などの快適な水環境を創出する施策を推進しているところでございます。
 さらに、下水道サービスを二十四時間三百六十五日、安定的に提供していくためには、膨大な施設を適切に維持管理していくという必要もございます。
 今回の消費税率の引き上げ分の料金に対する転嫁を見送った場合には、財政状況が悪化し、これらの事業の実施に支障が生じるというふうに考えております。

○西沢委員 特に震災対策であるとか、災害の浸水対策、災害対策という安心・安全の面から支障が出てしまうと、そういったことができなくなってしまうので必要だと、こうした答弁でございました。これは差し迫った課題でございますので対応していかなければならないということでございます。
 しかし、都民に負担を求める以上は、当然、その理解を得るためのみずからの厳しい内部努力をするということ、これも重要でございます。この企業努力というところについてお伺いをさせていただきたいわけでございますが、先ほども、努力で二百億円以上のコストダウンなどを図ってきたと、二百億円以上の努力をしてきたというような話がございましたが、この経営計画の中で、経営効率化の取り組み、企業努力、建設から維持管理までのトータルコストの縮減、資産の有効管理などございますが、こうした取り組みについてお伺いをいたします。

○小山総務部長 下水道局では、これまで経営効率化の取り組みといたしまして、例えば、業務の民間委託あるいは施設を遠隔制御化するなど、業務の執行体制の見直しを行いまして、職員定数をピーク時の約五千人から現在は約二千五百人というふうに半減させてきたところでございます。
 また、下水道事業を執行する組織につきましても、下水道の普及など事業環境の変化に応じまして、例えば事務所の体制などを簡素化、効率化するというふうに組織の簡素化も進めてきたところでございます。
 今後とも、経営計画に基づきまして、コストの縮減なども含め、執行体制について不断の見直しを行いながら、質の高い下水道サービスを安定的に提供してまいります。

○西沢委員 下水道局の執行体制の見直しなどを行ってきて、経営効率化に努めてきたという話でございました。
 職員定数の削減というような数字が出て、答弁でもありまして、わかりやすい話でございますが、下水道の普及などの事業環境の変化に応じて体制だとか組織の簡素化というところなどの答弁を、もう少し、本当はいま一歩踏み込んだご答弁をお願いできればと思いました。
 この経営計画に書いている方が、今のご答弁より詳しく書いてあるんです。読めばわかるという話になってしまいます。これは二ページ分に分かれているものでございますけれども、先ほどの水道局の方も同じですが、経営の効率化、企業が努力しているんだというような話であれば、それをきちんとPRする必要があると思います。これだけ企業努力して、これだけ縮減しているんだというようなところ、もっと目に見えるような形であらわして示していただきたいというように思います。
 それで、この内容、少し先ほども話が出ていますが、都民への周知というところでございます。改めて、この内容については、都民の皆様に対してきちんとご報告をする必要があると思いますが、対応をどのようにしているのか、改めてお伺いいたします。

○熊谷経理部長 料金転嫁の内容についてでございますけれども、水道局と連携をいたしまして、四月以降の検針の際に、六月分から新料金になることなどを記載したお知らせをお客様ごとに配布させていただきますとともに、「広報東京都」や局の広報誌、ホームページなど、さまざまな媒体を通じて、丁寧にお客様への周知を図ってまいります。
 また、お客様からのお問い合わせにもきめ細やかに対応するなど、十分なご理解がいただけるよう努めてまいります。

○西沢委員 丁寧な対応を要望して、次の質問に移ります。
 次の質問、国際展開について触れておきたいと思います。
 この国際展開、下水道局の東京下水道の国際展開というところでございますが、下水道施設が未整備または整備されていても十分に機能が発揮されていない国や地域などの課題解決に寄与すると、そして、下水道関連企業の海外展開を後押しすることで、東京ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化に貢献しますという、こうしたことがここに書いているわけであります。
 この意義についてお伺いをするわけでございますが、先ほど水道局の方で、やる意義は何なのかという話で、水道の場合は、人材を育成することによって都民に還元できるという話でございましたが、こちらの場合は、東京ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化と、こういうふうに書いてございます。改めて、そもそも下水道局が国際展開を行っている、その意義は何かということをお伺いいたします。

○永野企画担当部長 下水道局では、これまで培ってきた技術力や経営ノウハウを強みとして国際展開に取り組んでおります。その意義は、下水道施設が十分でない国や地域などの課題解決に寄与することや、下水道関連企業の海外展開を後押しすることで、東京ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化に貢献するものであります。

○西沢委員 今、明確に、東京ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化と、水道局と違い、下水道局が明確にこういうふうにうたっているところはいいことだと私は思います。
 その中で、下水道関連企業の海外展開の後押しということでございます。この後押しということで、もちろん、民間企業が海外に行きやすいことを支援するということでございますが、この事業によって、どんな企業が、どのくらいの実績を上げているのかをお伺いいたします。

○永野企画担当部長 現在、実績を上げているものにつきましては、個別技術の海外展開がございます。
 まず、合流式下水道の改善を図る水面制御装置は、下水道局と当局の監理団体であります東京都下水道サービス株式会社、TGSともいいます、それと、日本工営株式会社が共同開発し、ドイツなど海外三カ国の企業とライセンス契約を締結し、既に十四カ所で設置されてございます。
 次に、下水道管の更生工法であるSPR工法は、下水道局とTGS、積水化学工業株式会社、足立建設工業株式会社が共同開発いたしまして、シンガポールなど海外十三カ国で約八万七千メートルの施工実績がございます。
 さらに、大地震の際にマンホールの浮上を抑制するフロートレス工法は、下水道局とTGS、それと、日本工営株式会社、日本ヒューム株式会社が共同開発し、ニュージーランドの企業に技術供与を行っております。

○西沢委員 具体的な企業名まで挙げていただいたわけでありますが、東京都下水道サービス、東京都の監理団体でございますが、これを除けば四つの会社であるというような話、いずれも大きい会社、もしくは大企業というところでございまして、オリンピックが来る中で、日本の技術というのが大変すばらしいというのを海外にアピールする絶好の機会でもあるわけでございます。日本のこうしたところを後押しするということ、非常に私は重要であるというように思います。
 そして、この意義の中では、国際的に展開していくことを後押しするために、これは都民の理解も必要でございますから、こうしたことがどれくらい、実績で、どういうふうにやっていくのかという、これからPRもぜひしていただきたいというように思います。
 この事業自体が、水道局のアンケートなんかもやっていましたから、この事業というものがどういうふうに評価されるのかというのは、特に民間企業などは既にやっているんだと思いますけれども、民間企業の方々からの意見なども聞いていただいた上で進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○田中委員 私からは、下水処理の過程で発生する汚泥についてと、また、ちょっと今の西沢副委員長と重なりますけれども、下水道局が取り組んでいらっしゃる国際展開についてお伺いをいたします。
 まず、下水処理の過程で発生する汚泥についてお伺いをいたします。
 下水道は、水道とともに千三百万人都民の日常生活を支えて、都市活動を地下から支える、良好な水環境に寄与する重要な都市インフラだと思います。下水道は、汚れた水をきれいにして公共用水域に放流することによって、その水質を改善し、保全するという役割があって、区部では一日に東京ドーム三・五杯分、四百三十三万立方メートルの下水を処理しているというふうにお聞きをいたしました。
 一方で、下水の処理に伴って必ず発生する下水の汚泥については、どのぐらいの量がどのように処分されているかというのは、余り知られていないのではないかと思います。
 まず、区部において一日どのぐらいの下水汚泥が発生して、また、どのように処理されているのかをお伺いいたします。

○坂根施設管理部長 区部の十三の水再生センターにおいて下水を処理する過程で発生する汚泥の量につきましては、平成二十四年度の実績で、処理水量の約四・四%に当たる一日約十九万立方メートルでございます。これらの汚泥は、送泥管によりまして、汚泥処理を行う施設である東部スラッジプラントや南部スラッジプラントなど五つの施設に集約し、日々適切に処理をしております。
 下水処理により発生しました汚泥につきましては、水分量が非常に多いため、汚泥処理施設にて、濃縮、脱水といった工程により水分を減らした上で、焼却炉で焼却し、一日約九十トンの焼却灰とすることで大幅な減量化を図っております。
 また、焼却灰につきましては、都が管理する埋立処分場に埋め立てるなど、適正に処分をしております。

○田中委員 ありがとうございます。
 下水から大量の汚泥が発生するということは、私も余り知らなかった。見えないところなので、本当にご存じのない方が多いと思いますが、この汚泥の適正処理ができないと、下水の処理ができないということになるんだそうですけれども、大量の汚泥が発生して、またそれを汚泥処理施設で大幅に減量化を図って適正に処分しているということですけれども、この汚泥を大量に処理するにはたくさんのエネルギーが必要になると思いますけれども、汚泥の処理は、下水道処理全体のうち、どのぐらいの割合のエネルギーを消費しているのかをお伺いいたします。

○坂根施設管理部長 汚泥処理では、汚泥を送るポンプや濃縮設備、脱水設備の運転、それと焼却炉に空気を送る送風機の動力として、多くの電力を使用するとともに、汚泥焼却の補助燃料として都市ガスなどを使用しております。区部の下水道施設全体で消費するエネルギーは、その大部分を電力が占めており、平成二十四年度で約八億キロワットアワーの電力を使用しております。このうち、汚泥処理にかかわる電力使用量は約二五%を占めております。

○田中委員 ありがとうございます。
 汚泥処理には多くの電力が必要とのことですけれども、これから汚泥処理に係るエネルギーをどのように削減今、エネルギーの削減というのがいわれていますから、この部分でもどのように削減していくのかをお伺いいたします。

○神山技術開発担当部長 汚泥の処理では、汚泥を燃えやすくするために、汚泥中の水分を減少させる必要がございます。汚泥中の水分を減少させるためには、汚泥焼却時に発生する排熱による加熱に加え、多くの補助燃料を必要としていました。
 下水道局では、これまで少ない燃料で高温焼却できる効率的な焼却炉を開発導入し、補助燃料の削減を図ってまいりましたが、現在、焼却炉に投入する脱水汚泥の水分量を低動力で一層低減し、汚泥をこれまで以上に燃えやすくすることで、補助燃料を不要とする超低含水率型脱水機の開発を進めております。この技術開発により、汚泥中の水分を減少させるために活用していた汚泥焼却時の排熱を発電に利用することが可能となる見込みでございます。
 今後は、この排熱発電による電力を焼却炉の運転に必要な電力としてみずから供給できるエネルギー自立型焼却炉を開発し、この焼却炉と超低含水率型脱水機を組み合わせた第三世代型焼却システムとして開発、導入し、汚泥処理におけるエネルギーの削減に取り組んでまいります。

○田中委員 ありがとうございます。
 水道に比べると下水道というのは、利用者である都民から、使ってしまって地下に潜った水ですから、なかなか見えず、意識されづらいことだと思います。また、浄水場に比べても、水再生センター、いわゆる汚水処理場ですので、住民の皆さんにとっては迷惑施設の扱いになる。でも、だからこそ下水処理にかかわる技術がいろいろと進んできていて、職員の方々のご努力により、ホームページも拝見しましたけれども、百六十以上の多数の特許を取得していらっしゃるんですね。
 今回、お聞きした第三世代型焼却システムというのも、こういった中から出てきていますので、恐らく世界トップクラスの技術であろうと思われます。ぜひ第三世代型焼却システムの開発導入によって、汚泥処理の一層の省エネに取り組んでいただきたいと思います。
 次に、下水道の国際展開についてお伺いをいたします。
 先ほど、私も、水道局の質疑でも国際展開について取り上げたんですけれども、こちらでも国際展開を行っていらっしゃいますのでお聞きをいたします。
 この下水道関連事業のもう一つの水ビジネスといわれていて、世界的に拡大すると見られています。経産省が二〇一〇年の四月に発表した水ビジネスの国際展開に向けた課題と具体的方策で、水ビジネス市場の二〇二五年見通しについて触れていますけれども、それによると、世界の下水関連市場は、二〇〇七年には十五・三兆円、しかし、二〇二五年には三十五・五兆円にまで拡大すると予想していられるとおり、非常に大きな期待ができる市場であるということがわかります。
 東京都下水道局では、先ほども申しましたとおり、世界一ともいわれるすぐれた技術やノウハウを持ち、また、職員が着想したアイデア、民間企業等の共同研究や工事請負契約等から生まれた発明について、特許庁へ出願を行って、百六十以上もの多数の特許等を取得していらっしゃいます。
 このようなすぐれた技術を活用して、拡大する生活市場に向け東京都下水道局でも今国際展開を始めていらっしゃるわけですけれども、そもそも下水道局では、なぜ、いつから国際展開を始められたのか、また、どのような考えで取り組んでいらっしゃるのかもあわせてお伺いいたします。

○永野企画担当部長 下水道局では、海外インフラ整備プロジェクトなどの推進、個別技術の海外展開、人材交流と情報ネットワークの強化を三つの柱に、これまで培ってきた技術力や経営ノウハウを強みとして、国際展開に取り組んでございます。
 まず、人材交流面では、昭和三十七年の局発足以来、海外からの視察等の受け入れや、海外へ研修生として職員を派遣するなど国際交流を行ってまいりました。個別技術の海外展開では、下水道管の更生工法であるSPR工法が、平成十六年から海外で施工されております。また、海外インフラ整備プロジェクトなどの推進のうち、マレーシアでの下水道整備プロジェクトにつきましては、平成二十二年に現地調査を実施したのが始まりでございます。
 なお、取り組みに当たりましては、下水道施設が十分でない国や地域などの課題解決に寄与することや、下水道関連企業の海外展開を後押しすることで、東京ひいては日本の下水道事業の活性化と産業力の強化に貢献することを目的としてございます。監理団体でございます東京都下水道サービス株式会社と適切な役割分担のもと一体的に対応してございます。

○田中委員 ありがとうございます。
 下水道局が今までさまざまな取り組みを行っていらっしゃったわけですけれども、こちらの方も、水道局さんと同じで国際貢献というところがやはりまだ柱になっていると思いますけれども、せっかく巨大な水ビジネス市場や下水道関連需要があるのですから、もう一歩踏み込んで、下水道ビジネスに参入していってもいいのではないかと思います。今現在、こういったやっていらっしゃる国際展開を推進するに当たってどのような課題があるのかをお伺いいたします。

○永野企画担当部長 国際展開を推進するに当たっては、多種多様な課題がございます。インフラ整備プロジェクトの例では、東京下水道としては、技術指導などを通じて、ノウハウを移転するところまでを視野に入れてございます。その際、海外の国や地域の下水道事情を的確に把握する必要がございますが、各国固有の下水道の現状や法制度、規制など詳細に把握することは容易ではございません。
 また、相手国、地域のニーズに合わせた課題解決に貢献するためには、長い時間をかけて強固な信頼関係を築く必要があるほか、東京下水道の技術やノウハウを現地に導入し、確実に根づかせるにも相当の時間が必要でございます。

○田中委員 一口に国際展開といっても、いろいろな課題があるということはよく理解をいたしました。
 しかし、民間における水ビジネスの国際展開への関心の高まり、また国の新成長戦略において、パッケージ型インフラ海外展開や自治体における国際展開の支援というのが重要な柱の一つともなっていることもありますので、やはり下水道関連の民間企業の後押しも大切ですけれども、これにとどまらず、これらのさまざまな課題を克服する努力を続けて、下水道ビジネスとしての国際展開に向けて進めていくべきではないかと考えておりますけれども、これから下水道局がどのように国際展開に取り組んでいくのかをお伺いします。

○永野企画担当部長 海外インフラ整備プロジェクトでは、現在展開しているマレーシアでのプロジェクトを成功させることを第一に考えて取り組んでございます。また、個別技術の海外展開では、視察の受け入れや国際会議などへ積極的に参加するなど、あらゆる機会を捉えて、東京発の技術とノウハウの紹介に努めてまいります。これらの施策を着実に進めることで、世界の水環境の改善に寄与することが、東京下水道の国際展開にとっての成果でございまして、これに伴って日本の下水道事業の活性化と産業力の強化につながることが期待されるものでございます。

○田中委員 これからも経験を蓄積してさまざまな課題に対応できるよう取り組んでいくことや、国際貢献が大切ということは、本当によく理解ができます。しかし、先ほども申し上げたとおり、下水道の分野は市場が大きく、ビジネス展開していくのにも大きな、これから魅力があるわけですね。これ同じ水ビジネスでも、水道と異なるのは、この下水道関連需要というのは、振興国とか途上国だけではなくて先進国にも需要があるというところです。
 先ほど、東京都の下水道管の老朽化のお話がたびたび出ていましたけれども、これはほかの先進国でも同じことで、ニューヨークなどは非常に老朽化をしているということです。また、振興国や途上国では、これはもちろん新規の需要が発生する。特に大都市ですね。大都市でその需要が生まれるわけですけれども、この大都市というのが、以前は、一九八〇年当時の世界の大都市というのは、東京とか、ニューヨーク、メキシコシティーとか、神戸、これがベストファイブに入っていたんですけれども、今の大都市というのは、一位は東京で変わりません。しかしそのあとが、デリー、ムンバイ、サンパウロ、それからバングラデシュのダッカ、これが今の世界五大都市というふうになっていますので、こういったところにも、下水道ビジネス、これは参入するところが大きいという現状もあります。
 また、先ほど課題で幾つかおっしゃいました。なかなかその国の事情がわからないというようなことがあるという、リスクがあるということもおっしゃいましたけれども、であるならば、下水道のことだと、日本国内への展開というのも一方考えられるのではないかと思います。
 水道の普及率は非常に高いですね、九七%、もう超えていますけれども、下水道の普及率というのは、日本国内まだ七七%弱です。先進国としては、これ低い普及率だそうですけれども、東京など大都市は普及率が非常に高い、九十何%。しかし、人口十万から二十万人規模の、これ結構大きな都市ですけれども、普及率が五〇%以下のところは非常に多いです。地域格差が非常に大きく、普及していない地域における早急な整備も求められているところから、こういった地方都市で、財政状況が少し悪くて、なかなか下水道整備ができない自治体に、東京都が地域の地元の事業者さんを使って、下水道の計画から建設、維持管理をパッケージとした良心的価格、かつ世界一の技術で営業をかければ、下水道ビジネスの国内展開も大いに可能性があるのではないかと思います。
 今、海外の水メジャーが管理運営しているところもありますから、こういったところに国内の下水道ビジネスをとられてしまうのは、東京都としても非常にもったいないのではないかと思います。
 世界各国では、下水道分野でも水ビジネスは、日本はほとんどまだ参入できていないという状況ですけれども、先ほどの水道局と同じように、下水道局の技術は世界一といわれていて、必ず日本国内のみならず世界中の人の生活も改善して幸せにできるはずですので、いろいろと課題はあるとは思いますけれども、ぜひ将来的には、東京下水道として収益を上げることができるように、より積極的に国際展開や下水道ビジネスに取り組んでいかれることを強く期待をいたしまして質問を終わらせていただきます。

○上田委員 東日本大震災以前以降というのは、大分東京におきましても意識も変わってきたかと思います。私も、あれは三月十一日でございましたが、四月の後半から仙台、石巻、気仙沼、それから陸前高田、宮古と、ことしはまだ行っていないのですけれども、継続的に被災地に行ってヒアリングを自治体議員としてしてまいりました。
 その中で、やはり一番最初に、避難所にいらした方がおっしゃるのが、やはりトイレが非常に大変であったと。石巻のキャンナスという看護師さんたちが、一人看護師の人たちが、行ってまず最初にしたこと、あるいは薬剤師の人たちがまず衛生管理としてしたことがトイレの整備だったというふうに、あとトイレ掃除だったということを聞いております。
 そうした中で、私ども江戸川区も非常に積極的に取り組んでおりますマンホールトイレの設置の現状につきまして、都内四十八万カ所マンホールがあるという中におきまして、全体の取り組み状況と現状、そして済みません、区部の取り組みと私の地元江戸川区の現状につきまして、ちょっとご報告をいただければと思います。

○坂根施設管理部長 下水道局では、避難所内のトイレだけでは不足する場合に備えて、その周辺でし尿の収集運搬の必要のない仮設トイレの設置ができるマンホールを対象に、地元区の要望を踏まえて指定をしております。このマンホールは二十三区内では、平成二十四年度に百三十カ所を指定し、現在、累計で四千六百九十カ所となってございます。このうち江戸川区内におきましては、これまでに四百五十四カ所のマンホールを指定してございます。

○上田委員 どうもありがとうございました。
 我が区が一割ぐらい二十三区の中で占めるということで、ほっと一安心はしたんですけれども、やはり各区におきましても、人口密集地帯も控えているところでございますので、今後のマンホールトイレの指定に向けて推進に向けました区との連携策について、どのような検討をして、また普及について検討していらっしゃるか、お示しください。

○坂根施設管理部長 今後も、仮設トイレの設置ができるマンホールにつきましては、区が指定した避難所などの周辺において要請があった場合に、下水道管の耐震化が完了したところからし尿が堆積しない程度の水量があり、交通や応急活動などの支障とならない場所を対象に指定してまいります。

○上田委員 ありがとうございました。設置に向けて、区市町村格差がないように、ぜひ情報発信と連携を今後も図っていっていただきたいと思います。
 さて、東日本大震災のもう一つ津波以外の大きな被害は、やはりあの原発事故であったかと思います。三月二十二日に降りました雨、フォールアウトした放射性物質によりまして、江戸川区はホットスポット最南端といわれ、川も下流域ということで、葛西の水再生センターにおきます脱水汚泥の放射性物質が非常に高く出た、あるいは周辺の空間放射線量におきましても、新聞報道に出たところでございます。
 現在も、やはり不安の声がまだまだ残っている中、汚泥焼却灰の放射性物質のその後の検査方法と、引き続き継続的に検査はしていただいているとは思いますが、頻度、現状について伺いたいと思います。

○坂根施設管理部長 汚泥焼却灰の放射性物質の検査につきましては、環境省が定めた事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理に関するガイドラインに示された方法によりまして、二週間に一回の頻度で行ってございます。

○上田委員 二週間に一度、検査をしていただいているということでございますけれども、事故後、どういうふうな状況になっているかということも、やっぱり継続的な推移を見守ることが大事だと思います。汚泥焼却灰と、また放流水におきます放射性物質の数値の推移及び汚泥処理施設の空間放射線量の数値の事故後からこれまでの推移につきまして、あと見解につきましてご報告いただければと思います。

○坂根施設管理部長 区部の汚泥焼却灰の放射性セシウム濃度は、最初に測定した平成二十三年五月は一キログラム当たり九千五百から五万三千二百ベクレルの範囲であったものが、本年三月の直近の値は一キログラム当たり六百九十から二千三百六十ベクレルの範囲に減少しております。
 また、放流水中の放射性セシウム濃度は、平成二十四年一月から測定を行っておりますが、全て不検出となっております。さらに、汚泥処理施設周辺の空間放射線量につきましては、最初に測定しました平成二十三年五月は、一時間当たり〇・〇八から〇・一四マイクロシーベルトの範囲でございましたが、本年三月の直近の値では、〇・〇五から〇・一〇マイクロシーベルトの範囲に減少しております。

○上田委員 事故後低減していることが読み取れました。ありがとうございます。
 そして、やはりどこの水再生センターも押しなべてそうだと思うんですが、近隣に公園があったり、お子さんたちが遊ぶ施設がありまして、この汚泥焼却灰を中防施設まで移動することに関しての不安の声も寄せられているところだと思います。この高濃度放射性物質を含みます汚泥焼却灰についての運搬方法とその後の処理方法につきまして、現状どうなっているのかお示しいただけたらと思います。

○坂根施設管理部長 汚泥焼却灰の運搬方法と処分方法につきましては、国の法令の基準に基づいて適正に運搬、埋立処分を行っております。具体的には、汚泥処理施設を有する水再生センターやスラッジプラントなどから発生する汚泥焼却灰は、タンクローリーを使用し、密閉した状態で大田区の南部スラッジプラントまで運搬を行っております。この運搬してきました汚泥焼却灰につきましては、飛散防止措置として、汚泥焼却灰の重量の六割程度のセメントと水を加え、混練り灰とした上で、開閉式のふたがついたトラックを用いて、中央防波堤外側の埋立地に運んでおります。運搬に際しましては、タイヤや車両を洗浄しており、外部に灰が飛散することはございません。埋立地では、混練り灰を投入した後、上部を土で覆うなど、適切な管理を実施し、安全を確保しているところでございます。
 なお、先ほど委員から、高濃度放射性物質を含む汚泥焼却灰というご発言ございましたけれども、汚泥焼却灰の放射能濃度につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、埋立基準の一キログラム当たり八千ベクレルを十分下回る数値となっておりまして、安全性については確認をしております。

○上田委員 ありがとうございました。
 当初出た高濃度の放射性物質につきましては、環境局に確認しましたところ、そこは別途厳重管理をしているということでございました。その後も中防施設におきまして、環境局におきましては定期的な検査を実施しているということで、パラリンピック・オリンピックを踏まえまして、国際的に関心を求めていることから、下水道局はもちろん各局、環境局とも連携を図りまして、油断ない管理を重ねてお願いをしたいと思います。
 続きまして、私ども地元の江戸川区は、原発事故以来のホットスポット最南端であると同時に、江戸川区は地盤沈下の影響によりまして、満潮時のゼロメートル区域が全区域の七割を覆っております。満潮時以下の区域が四四%、そして干潮時は二六%、干潮面以下の区域があります。私の住む船堀もそうで、すぐ近所の東小松川ポンプ所などもそこに該当をしております。
 ということで、非常にポンプ所の耐震、それから津波対策について関心も高いところでございます。このポンプ所の耐震、津波対策につきまして、ポンプ所電源機能もどうなっているのか、ポンプ所の全般につきましてのまず対策についてお示しいただければと思います。

○渡辺計画調整部長 下水道局では、東日本大震災の被災状況を踏まえ、平成二十四年十二月に、下水道施設の地震・津波対策整備計画を策定いたしました。これに基づき、現在、施設の耐震化やポンプ所の電源機能を確保する耐水化を進めております。
 耐震化については、想定される最大級の地震動に対し、震災時においても必ず確保すべき水をくみ上げる揚水機能を担う施設について対策を実施しております。また、耐水化については、万が一、堤防の損傷などにより津波による浸水が発生しても電源機能を確保するため、ポンプ所において開口部や出入り口の水密化などの対策を実施しております。

○上田委員 ありがとうございました。
 経営計画二〇一三によりましては、震災対策におきまして、東部低地域などの優先度の高い施設から実施というふうにうたっていただいております。
 また、二月二十一日に、陳情二五第九八号の一、江戸川区平井の旧中川への合流下水に関する陳情が、おかげさまで趣旨採択をされたところでありまして、ご当地でございます小松川ポンプ所におけます、こちらも東部低地域に入るところでございます、耐震及び耐水対策について伺いたいと思います。

○坂根施設管理部長 小松川ポンプ所における施設の耐震化につきましては、平成二十四年度から壁の補強などの工事を行い、今年度対策を完了いたしました。また、耐水化につきましては、既に設計を進めており、ポンプ所建物の出入り口扉を防水扉に取りかえるなどの工事を早急に着手する予定でございます。

○上田委員 あわせまして、合流下水の問題に関しては、同僚議員からもるる指摘がございまして、その解消策ともなります小松川第二ポンプ所が待望、建設が待たれているところでございます。ここにおきましての耐震及び耐水対策についてもお示しください。

○中島建設部長 現在、建設中の小松川第二ポンプ所につきましても同様に、地震動や津波に対する耐震性能及び耐水性能を保有する施設として工事を進めているところでございます。

○上田委員 工事、そして対策については万全なことと思われますが、天災は忘れたころにやってくるといいますので、耐震化、耐水化する前に、地震や津波が来た場合はどのように対応をするのかについてお示しいただければと思います。

○渡辺計画調整部長 下水道局では、大規模な地震が発生した場合は、局で定めました地震対策マニュアルに基づき対応することとしております。
 また、局におきましては、大規模地震やそれに伴う津波の発生後、速やかに応急復旧ができるよう防災訓練を定期的に実施するとともに、監理団体である東京都下水道サービス株式会社のほか、下水道の維持管理を専門に行っている団体などと、災害時における応急復旧などに関する協力体制を整えております。こうした取り組みにより、東京下水道の力を結束することで、大規模地震や津波への備えに万全を期してまいります。

○上田委員 ありがとうございます。大ごとにならないよう、日ごろからの対策をよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、同僚議員から、やはり迷惑施設とも思われがちな水再生センターでありますが、今回、私、江戸川区におきましては、やはり放射性物質の件でも非常に心配の声が出ましたが、日ごろから、上部公園で私の息子も臨海球場で野球に親しませていただきましたし、各種、エコな取り組みをする団体に場所を貸していただいたりとか、かなり地域の交流が図られていると思います。
 こうした下水道事業の理解を深める一環として、水再生センターの上部公園におきます区市町村、地域住民との交流を深める、理解を深める取り組みについてもお示しいただければと思います。

○小山総務部長 水再生センターの上部空間は、都市の貴重なオープンスペースでありまして、施設の機能や維持管理、将来計画などに支障とならない範囲で地元区に開放しており、区が地域のお客様のご要望を受け、公園やスポーツ施設などとして活用しております。
 また、下水道局は、下水道に親しみを感じていただき、下水道事業への理解を深めていただくため、それぞれ水再生センターの特色を生かしました桜祭りや蛍観賞会といったイベントを開催し、地域のお客様との交流を深めているところでございます。

○上田委員 日ごろからの地域交流が、何かあったときの住民、都民への理解につながると思いますので、引き続き取り組みを続けていっていただきたいと思います。
 最後になります。原発事故のような不可避な事故同様、下水道局の努力だけでは防ぎ切れないのが事業場における有害物質の排出処理であります。悪徳な業者による不法廃棄も事件になりましたことから、事業場におきます水質の自主管理の現状と意識向上についての取り組みについて伺わせてください。

○野口施設管理担当部長 公共用水域の水質保全と下水道施設の保護のために、下水道局では、工場や各事業場に立入検査を実施いたしまして、法令に定める下水排除基準に違反しないよう指導を行っております。また、各事業場におきましては、自主管理能力の向上のために、水質管理責任者を選任して、排水の水質の適正化を図っております。
 今後とも、処理技術の理解を深める講習を実施することなどによりまして、水質管理責任者制度の適切な運用を図り、各事業場の排水処理に対する意識向上に取り組んでまいります。

○上田委員 ありがとうございました。
 前半は水道局ということで、海は山の恋人ということでつながっていく事業であります。ぜひ、一番水が最後に自然に返る下水道局でありますので、今後とも油断なく水質管理の方を、また地域住民、都民の理解を得ながら推進していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○河野委員 私からは、下水道局の取り組みで二点、国際展開と人材育成についてお伺いしたいと思います。
 その前に、先ほど、我が会派の鈴木錦治委員の方から、下水道の価値というふうなお話で、私ぐらいからの世代より若いのになると、その価値というありがたさというのは知らない世代になってくるのかなと思っております。
 小さいころ、バキュームカーが通ると、余り私のころは、ほとんど通らなかったのですけれども、そういう車が通ると、ああ臭い臭いというようなことで、子供のころは嫌がっていたものですけれども、そういう東京は下水道、二十三区の方は特に下水道の普及がしっかりとあのころからされていたということで、それがもう当たり前のように我々は感じていたということで、改めて、ここに来て、さまざまな取り組みを見させていただいて、先日も、下水道技術実習センターを見させていただきましたし、私も後援会で都庁見学した後に、芝浦の水再生センターも見させていただいて、改めて、東京の下水道局というのはすごいなというふうなことを感じさせていただきました。
 ただ、何か水道局と比べますと、下水道ということで何か陰の存在のような形で見られてしまっているということで(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことはないので、水再生局のように、水再生しているというような自負を持っていただいて、これから私も応援団として頑張りたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
 まず、下水道のマレーシアの国際展開についてお伺いしたいと思います。
 安倍政権は、昨年打ち出しました新たな成長戦略、日本再興戦略の中で、日本の強みである技術、ノウハウを最大限生かし、世界の膨大なインフラ需要を積極的に取り込むこととしており、日本、マレーシアの首脳会談においても、総理はみずから、上下水道のインフラ整備協力の推進に言及するなど、官民一体となっての市場開拓に取り組んでいる。また、東京オリンピック・パラリンピックが開催される同じ二〇二〇年までに、マレーシアは先進国の仲間入りを目指しており、日本などに学ぶ国の経済発展に役立てる、いわゆるマハティールさんからのルックイーストポリシー、東方政策をとっていて、日本でも一九八二年以降、一万数千人の留学生や研修生を受け入れるなど、マレーシアとのきずなは熱いものがあります。私の板橋区も、マレーシアのペナン島と交流をしたりとか、そういうことで、交流が深いと思います。
 そういう中で、東京下水道は、昨年五月に、マレーシアで下水道整備プロジェクトを進めていくという発表がありました。先進国の仲間入りを目指しているマレーシア、それを後押しするという、東京が後押しするというまさに理想的な構図であろうと思います。
 まず最初に、プロジェクトの規模について、どの程度の規模になるのかをご説明いただきたいと思います。

○永野企画担当部長 ご質問のマレーシアでの下水道整備プロジェクトは、当局の監理団体でございます東京都下水道サービス株式会社を含むコンソーシアムがマレーシアの首都クアラルンプール郊外のランガット地区におきまして、下水道管とポンプ所、そして一日約二十万立方メートルの下水処理能力を持つ下水処理場を整備するものでございます。
 ランガット地区は、クアラルンプールへ通勤する人々のベッドタウンとして、今後人口が増加することが予想されている地域でございます。このプロジェクトの対象面積は、山手線内側の一・二倍ほどに当たります約八十平方キロメートルで、総事業費は数百億円規模の事業となります。官民連携による下水道分野での海外展開では最大規模のものとなります。

○河野委員 相当な大規模なものになるということであります。我々自民党も、四月に議連でここの視察に行ってこようと思っておりますが、我が党の神林議員の方から、一般質問で、このプロジェクトについての下水道局長の答弁の中で、下水道施設の設計から建設、維持管理までを一括して行うものという答弁がありました。このプロジェクトが一括した事業であるということで、どのような効果があるのか、お伺いしたいと思います。

○永野企画担当部長 これまでも、民間企業による機器の輸出等は行われてきましたが、下水道の一部の分野に限られたものでございました。下水道は土木、機械、電気など多様な技術が複合的に用いられてございまして、本プロジェクトにおいて下水道管から処理場までをシステムとして一括受注することは、幅広い分野の民間企業が海外に進出する機会につながるものと期待されてございます。
 さらに、同じ事業主体が、維持管理の視点を踏まえた設計、建設を行うことで、施設稼働後において、効率的かつ安定的に汚水や汚泥の処理が可能となりまして、マレーシアの水環境の改善に貢献することができると考えてございます。

○河野委員 一括して受注するということで、裾野の広い下水道分野において、その関連企業の海外展開の後押しにつながるという先進的な取り組みであると思います。また、効率的、安定的な施設の維持管理につながることが理解できました。
 このように取り組みが進むことが、東京そして日本の産業力の強化と国際競争力の向上、また、海外の水環境の改善につながることを期待いたしたいと思います。
 そしてまた、神林議員の一般質問の中で、マレーシア政府に東京発の省スペース技術や効率的な維持管理手法を提案しているという答弁がありましたけど、これについて、どのようなものか、お伺いしたいと思います。

○永野企画担当部長 東京発の省スペース技術についてでございますけれども、現地の状況を確認したところ、下水処理場の用地が十分確保されていなかったため、微生物により汚水を処理する反応槽を通常よりも深くすることで、通常の半分程度の用地で同等の下水処理能力を確保することができる深層曝気方式を提案してございます。
 また、効率的な維持管理手法についてでございますが、現在、マレーシアでは、汚水処理施設が二十四時間運転なのに対しまして、汚泥処理施設は八時間運転でございまして、汚泥を滞留させて処理を行ってございます。そのため、汚泥処理施設の運転が断続的になりまして、たびたび故障が発生し、維持管理に支障が生じてございます。このため、東京が豊富な経験を有する汚泥処理施設の二十四時間連続運転など、効率的かつ安定的な維持管理ノウハウを提案してございます。

○河野委員 東京では、ごく普通に行われている手法でも、ほかの国に行くと大変価値のあるということもたくさんあるんだと思います。大切なのは、こういう価値に気づいて、相手国の実情に合わせた東京の技術や経験を広く国際貢献のために活用していくということが大切だと思います。相手国の課題を共有し、それと東京の技術をもって乗り越えていくことが本当の意味での国際貢献だと思います。
 しかし、これは先ほど田中副委員長の方からもお話ありました、水ビジネスということで、情けは人のためならずと、やはりこれは東京都民に還元されていかなければ、私はいけないと思うんですね。東京都民にいかに還元されていくのか、水ビジネスで一歩踏み出してというふうな話だったのですけれども、三歩、四歩を踏み出して、もっと本当に東京都が、それでもうけなさいとは、そこまではいえませんが、しかしながら、本当にこれだけ広いアジアのニーズがある中で、恐らくアジアの、上水道の方ではミャンマーもそうですし、いろいろな国々が待っているような状態ですので、上下水道とあとは清掃事業を含めれば、アジアの環境問題は半分ぐらい解決してしまうのじゃないかなぐらい思いますので、ぜひとも積極的な取り組みをしてもらいたいと思います。
 東京都が、東京下水道が関与しているということが、これは質問に通告がないので答弁は結構ですけれども、関与していることというのが現地の方たちがわかるようにぜひしてもらいたいと思います。
 恩を売るわけではないんですけど、例えばインドの、これはある元総理がいっていたことなのですけれども、インドのニューデリーの地下鉄では、東京の、日本のODAで建設された地下鉄で、そのことがわかるように地下鉄の構内に日本の国旗が掲げられて、日本が援助してくれたということを、感謝の気持ちを表現されている。そしてその日本の技術だけではなくて、労働に対する姿勢や規律も日本人から学んだと、そういうことで日本人が尊敬を受けているということですので、マレーシアの方たちが、トイレを流すたびにとはいいませんが、日本に感謝してもらえるように、ぜひともPRをしてもらいたいと思います。
 さて、マレーシア・プロジェクトで、昨年十二月まで、現地の測量や地質調査を行い、基本設計が完了したほか、都が開発した技術や固有のノウハウを盛り込んだ技術提案をマレーシア政府に提出したところと聞いております。このプロジェクトの中で、コンソーシアムの中で、東京下水道はどんな役割を果たしていくのか、担っているのか、これについてお話しいただきたいと思います。

○永野企画担当部長 東京下水道は、さまざまな都市機能が高度に集積した首都の下水道事業を通じて培った技術力に加えまして、経営ノウハウを含む事業全般にわたる総合的運営能力を有してございます。
 今回のプロジェクトでは、これらの強みを生かし、下水道の計画から建設、維持管理といった下水道システム全体にわたるノウハウを提供する役割を担い、下水道局と東京都下水道サービス株式会社が適切な役割分担のもと一体的に事業に取り組んでございます。
 プロジェクトの実施に当たりまして、東京都下水道サービス株式会社は、これまで培ってきた下水道事業に関する豊富な経験を生かし、具体的な技術提案を行うなど、技術面でコンソーシアムの核となり、本プロジェクトを推進してございます。
 一方、下水道局は、これまでマレーシア政府の視察の受け入れや、公的機関への働きかけなどを行ってございまして、今後は、現地職員の技術指導など、人材育成の面でも支援を行っていく予定でございます。引き続き、このプロジェクトの契約締結と事業実施に向けまして、東京下水道として、下水道局と東京都下水道サービス株式会社が連携を強めて取り組んでいく所存でございます。

○河野委員 東京下水道が有する強みを生かしてこのプロジェクトにかかわることは、まさに企業の海外進出の後押しにつながる取り組みだと評価したいと思います。
 引き続き、このプロジェクトの推進、早期によい結果が得られるよう努力をしていただきたいと思います。
 次に、人材育成について伺いたいと思います。
 東日本大震災の復興、アベノミクスの公共投資の拡大、オリンピック・パラリンピックのインフラ整備などによって、建築需要がこれから高まっていく。今も高まっていると思いますが、一方で、建築業界においては、団塊の世代以降、多数の技術者の退職が続いており、技術者の育成が大きな問題になっていると思います。下水道局においても同様であると聞いておりますが、現場に精通したベテラン職員が減少する中でも、さまざまな課題を解決するためには、職員の人材育成により一層力を入れて取り組むことが重要でありますが、どのような人材育成に取り組んでいるのかをお聞かせください。

○安藤職員部長 下水道局は、現場でのさまざまな課題への取り組みを通じて培ってまいりました実務能力を維持するため、人材育成に計画的に取り組んでまいりました。ご指摘のとおり、下水道局でも団塊の世代以降、大量退職が続いている状況にあり、人材育成の重要性は一層増しております。
 こうした中でも、下水道サービスを維持向上させるため、人材育成の取り組みとして、設計演習等の実習を重視した研修、技術ノウハウの映像化、データベース化などを行うほか、各職場での日常業務の中で、知識、ノウハウを伝えるOJTを積極的に推進し、課題解決、危機管理、チームワークなどの職員の実務能力の向上を図っているところでございます。
 また、昨年九月には、下水道技術実習センターを開設し、より効率的、効果的に人材育成、技術継承を進めております。

○河野委員 さまざまな人材育成や技術継承に取り組んでいるということで、現場での人材育成の中心となっているベテラン職員が減少することにより、現場において技術継承も難しくなっているのではないかと思います。
 下水道局は、私も視察させていただきましたが、技術の継承を図るため、下水道技術実習センターを開設しましたが、この施設を活用し、どのような技術継承に取り組むのか、お伺いしたいと思います。

○安藤職員部長 下水道技術実習センターでは、実際の下水道工事現場や水再生センターなどの施設を再現しました三十二種の実習施設を利用して、現場の状況を疑似体験できるようにしており、現場経験が豊富なベテラン講師により実践的な技術ノウハウを伝えております。
 また、技術の継承は、下水道事業に携わる全ての事業者の課題となっていることから、実習センターは、民間事業者や他の自治体も利用対象としておりまして、昨年九月の開設以降、半年間で七十団体、千名を超える方々の視察や実習に活用されているところでございます。
 例えば、全国の自治体の若手職員を対象とした研修会に利用され、研修生から、マンホールに入る実習は公道上では制約が多かったが、実習センターではじっくり行うことができ貴重な経験を得られたなどの好評を得ております。また、都内民間事業者が安全管理の講習会で利用しているほか、ニュージーランドの視察団やバンコクの研修生なども訪れております。
 今後さらに、研修生、局職員への実習を充実させるとともに、民間事業者等の利用や海外研修生の受け入れも積極的に進めてまいります。

○河野委員 ありがとうございました。日本のトップランナーである東京都ですので、率先して人材育成、技術の継承については取り組んでもらいたいと思います。
 引き続き、海外からの研修生なども、ぜひたくさん受け入れていただいて、日本の下水道技術を現場感覚で学べる実習センターを有効的に活用していただいて、下水道界全体の人材育成、技術継承への積極的な取り組みを期待したいと思います。
 また、繰り返しますが、マレーシアにおいてのビッグプロジェクトですので、大きなプロジェクト、一番最初のプロジェクトということで、我々自民党もしっかりと応援してまいりたいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

○鈴木(貫)委員 最後でありますけれども、本来であれば八時十分までということですから、そこまでやっていいのかどうか、遠慮しながらほどほどにして質問をさせていただきたいと思います。
 まず冒頭、松浦局長から事業説明のときに、下水道事業への応援団の獲得という、こういう言葉も出て、私は、ここにいらっしゃる諸先生方の中でも最大の応援団の一人だと思います。自負いたしております。なぜかならば、荒川は日本下水道発祥の地だからですね。発祥の地です。そういうことで、いつもいつも三河島水再生センターを仰ぎ見ながら、また、皆さん方の、局長中心としてこれからも、いってみれば現場力、技術力、組織力というんですか、局長の、いい言葉だね、これはね。鉄桶の団結で一瀉千里に進んでいただきたいと冒頭申し上げて、本題に入っていきたいと思います。
 まず最初に、再生可能エネルギーの活用の中で、私が平成十六年の予算特別委員会で質問をした問題もありますものですから、それを踏まえながら、問題提起をしていきたいと思っております。
 いうまでもなく、この下水道、この処理をするために、下水道局は最大の電力消費者でありますよね。大体一%余といわれております。これは、さきの代表質問で、自民党の吉原幹事長殿が質問した中で、局長等々で皆ご答弁なさっていること、皆さんよくおわかりだと思います。それを踏まえて、私は質問を冒頭したいのでありますけれども、まず、下水道事業における、これまでの再生可能エネルギー、本当にやはり、これをどうつくって、また、幅広くこれを利用していくかというのは、最も大事なコアの部分だと思っておりまするがゆえに質問をさせていただきたいと思います。
 これまでの再生可能エネルギーを活用した発電の具体的な取り組み状況について、まずお知らせをいただきたいと思います。

○坂根施設管理部長 区部と多摩地域を合わせまして、一日約五百二十四万立方メートルの下水を処理するために揚水や送風機などの設備で大量の電力を消費していることから、再生可能エネルギーを活用した発電の取り組みを進めております。
 再生可能エネルギーの活用といたしましては、水再生センターやポンプ所の上部空間などを利用した太陽光発電設備の整備を進めるとともに、下水の処理水を放流する際のわずかな落差と豊富な水量を利用して発電する小水力発電を森ヶ崎及び葛西水再生センターに導入しております。
 また、下水道に特有の汚泥処理プロセスを生かした取り組みといたしまして、汚泥焼却炉の排熱を回収して行う発電や、下水汚泥の処理過程で発生するメタンガスを利用した発電などを実施しております。
 これらによります二十四年度の再生可能エネルギー等による年間発電量は、三千八百万キロワットアワーであり、これは一般家庭一万一千世帯が一年間に使用する電力量に相当いたします。

○鈴木(貫)委員 今、ご答弁をいただきました約三千八百万キロワットアワー、いろんなものをあわせて、まだ道半ばでありますし、これからあらゆる形のものが、御局として技術的に開発をしながらやっていくのではないのかなと、私は想像にかたくありません。
 その中で、一つだけ、冒頭、平成十六年の予特で質問したときに、私はバイオマス発電、PFIを利用した、あの式典に参画をさせていただいた当の本人でありましたから、そもそも平成十六年から始まった事業でありましたね。大変注目をされ、マスコミもにぎわしたテーマであり、東京都として、これだけのメリットがあるんだ云々ということで評価をされた施設でありました。
 ですから、この中で、バイオマス発電事業の今の置かれている現状、ことしは九年目ですか、平成十六年ですから。恐らくワンサイクル二十年の事業目的で始まっていますから、途中、やっぱり検証しておかなければいけないと思っていますが、その問題について改めて、現状、そのことをご説明いただきたいと思います。

○坂根施設管理部長 森ヶ崎水再生センターで導入しているバイオマス発電は、汚泥処理の過程で、汚泥中の有機分が分解して発生するメタンガスを発電設備の燃料として活用しているものでございます。
 これに八千キロワットの電力を貯蔵できるナトリウム硫黄蓄電池、いわゆるNaS電池を組み合わせ、下水道事業における国内初のPFI事業として実施しております。
 このバイオマス発電設備の平成二十四年度の年間発電量は二千二百万キロワットアワーでございまして、森ヶ崎水再生センターの電力使用量の約二割に相当し、下水道局における再生可能エネルギーの総発電量の約六割を占めております。
 また、環境効果といたしましては、二酸化炭素に換算して年間約八千四百トンの削減効果があり、代々木公園四十三個分の森林が吸収する量に相当いたします。今後も、森ヶ崎水再生センターにおけるバイオマスによる発電事業を着実に進めてまいります。

○鈴木(貫)委員 今ご答弁いただいたように、やはり物すごい効果があるということを、私も改めて皆さんと共有したいと思っています。
 当時、平成十六年のとき、局長は二村さんだっけ、局長がこのような答弁をしておりました。事業期間であります二十年間で約百三十億円のコスト縮減効果を見込んでおりますと、私に答弁をしてくださって、いわゆる年間当たり六億円ぐらいですね、それを削減できるという一つのモデル指標を出してくれて、とてもいいこのバイオマス発電であり、これから主流になっていくのかな。もちろん太陽光だとかさまざまなものが、これからも折り重なっていくこともよくわかっていますので、大事にこれは、持続、長らえるような形で運営をしていってほしいなと思っています。きのうか、おとついの日経新聞でも、各地方でも云々なんてことは出ていますしね、改めて見直されてくる事業だと思っておりますので期待をしております。期待をしていますから頑張って。
 しかも、先ほど施設管理部長から、再生センター、東京都内での、全ての発電量が三千八百万云々で、このバイオマスだけで二千二百万ということで約六割ということですから、相当なウエートを占めているわけでありますから、重ねてご努力をお願いをさせていただきたいと思って、あえて触れさせていただきました。
 そこで、私は、この下水道事業における再生可能エネルギーの、何といいましょうかね、今後、具体的にもっともっと拡大をしていかねばならないと思っています。具体的に、何と何とどういうものをこうしていくのか、具体的にあれば、またお答えいただきたい。

○渡辺計画調整部長 下水道局では、快適な都民生活や水環境の実現のため、浸水対策や合流式下水道の改善などの事業を進めていく上で、今後も多くのエネルギーが必要となります。そのため再生可能エネルギーの活用を拡大し、エネルギー自給率の向上を目指してまいります。
 具体的には、太陽光発電の導入の拡大を図るため、発電規模で一千キロワット、すなわちメガワット級の設備を森ヶ崎や南多摩水再生センターにそれぞれ導入してまいります。
 また、これまで利用していなかった汚泥焼却時の低温域の排熱を活用したバイナリー発電についても導入してまいります。これらのほかに、省エネルギー対策のさらなる推進や電力ピーク時の使用電力を抑制し、一年を通じて電力の需給調整に貢献する手法でありますデマンドレスポンスを含め、今後、下水道事業初のエネルギー基本計画であるスマートプラン二〇一四を策定し、下水道事業に必要なエネルギーの最適化を図ってまいります。

○鈴木(貫)委員 よくわかりました。ぜひご努力をお願いしたいと、重ねて申し上げさせていただきます。
 この項については以上でありますけれども、大変重要なご答弁をいただいておりますので、ぜひ成功されることを懇願をさせていただきたいと思います。
 二問目でありますけれども、先ほど冒頭申し上げておきましたけれども、私の住む荒川は近代文明発祥の地でありますけれども、二〇一三年だから昨年か、時日のつくの早くなるものですから。二〇一三年の、たしか四月五日でしたか、地元で下水道施設、これが日本初の国の重要文化財として指定をされているものですから、この旧三河島汚水処分場喞筒場施設の一般公開の記念式典が挙行されました。私も出席をし、大勢の方が来場して出発をめでたわけであります。
 確かに、この施設というものは、大正時代つくられた日本で初めての近代的な下水処理施設でありますから、二〇〇七年十二月だったと思いますけれども、高い歴史的価値があるとして国の重要文化財に指定された、こういう経過がある大変大事な施設でありますし、迷惑施設でも何でもありませんし、ましてや、申し上げますけれども、私どもの先輩たちがこういうことを−−皆さん方も知っておいてください。
 あの周辺の人たちが、においがする、臭いとかいいましたものですから、先輩の方々、庶民の感覚ですよね。臭ければふたをしてしまえと、ふたをすれば云々ということでふたをかけた施設の上部を公園にした、そういう施設になっているんですよ。こういう庶民の発想から出たんです、あれは。ふたかけなんですよね。そういうことで、三河島も、再生センターも新東京百景ということで、今、多くの方に、それから先ほども諸先生方からもありました。そういうふうにして、かわいがられている施設だと思います。
 総務部長からも、蛍の云々と出ましたが、私も、蛍の会のメンバーとして、そこに年一回、大勢の方に来ていただいて、この場所を満天下に示してさしあげている場所でもあります。感謝申し上げたいと、こう思っています。
 そしてまた、本題に入りますけれども、三河島の汚水ポンプ場施設を一般公開いたしました。そして、その公開をした具体的な手法と、どんな波及効果があったのか、お答えをいただきたいと思います。

○小山総務部長 下水道施設における日本で最初の重要文化財である旧三河島汚水処分場喞筒場施設、昨年でございますが、昨年四月の一般公開記念式典以降、ホームページへの動画配信やツイッターなどによりまして、我が国最初の近代下水処理場の代表的な遺構としての歴史的な価値の高さをお客様である都民の皆様に広くPRしてまいりました。
 その結果、大学の研究室や他都市の下水道事業研究グループなどの専門家に加えまして、国際協力機構、JICAを通じて海外の技術者にも来訪いただきました。また、下水道関連企業や自治体職員が一堂に会します下水道展二〇一三東京において、テクニカルツアーのコースに組み込むということで、多くの方に来訪いただくなど、二月末の時点で五千人を超す方にご見学いただきました。
 歴史的価値と技術的価値を多くの方々に体感していただき、下水道の歴史の認識度向上や下水道事業のイメージアップをもたらしたというふうに考えてございます。

○鈴木(貫)委員 今ご答弁いただいたとおり、かなり専門的な立場の方も見学をなされているということをしかと確認をさせていただきました。まだまだ始めたばかりですから、他の施設に比べ少のうございますけれども、やはり、次代を担うお子たち、また専門家の方々、研究するに十分な施設だと私は思います。ぜひ委員長に懇願をしたいのですが、委員会としても視察をしていただければと、ご要請をさせていただきたいと、こう思っております。
 そこでまた、昨年の公営企業委員会でもお願いをしたのでございますけれども、観光資源としてこの場所を定着すべきだと。観光資源としても。荒川区としてもそのことに意識をして、あの地域一帯を、都電もそばを走っているし、やがて吉村記念館もそばにできるし、そういうことで一体連動、密接不可分に、こういう一つの場所として、今後、注目をされてくると私は思っています。
 この施設を、御局として、広報施設として、より徹底した周知をしていただくよう私は考えていますが、ご見解を承りたいと思います。

○小山総務部長 現在、三河島水再生センターの見学というものは、ポンプ棟の建設工事が行われているため休止しておりますけれども、これを来年度から再開いたします。
 この水再生センターとの見学とも連携を図りまして、旧三河島汚水処分場喞筒場施設とあわせて見学いただくということで、明治時代に欧米の技術を取り入れて始まって、今、世界でもトップレベルにある東京の下水道技術の進歩を体感していただくなど、見える化する取り組みの充実を図ってまいります。
 また、いわゆる産業遺産に興味のある方がふえているということからも、大手旅行会社のカルチャー講座のコースに三河島のポンプ場施設を組み入れるべく取り組んでまいります。さらに、荒川区と連携して、ポンプ場施設の見学を取り入れた観光コースの設定を検討するなど、観光資源としてもスポットを当ててまいります。

○鈴木(貫)委員 今、総務部長から産業遺産という言葉が出ましたね。今いろいろなところでマスコミの評価、市原のコンビナートだとか、いろんな産業的なところを見学する方も多うございますから、ぜひそのことを徹底をしていただきたい、また我々も努力をしていきたい、こう思っております。ぜひよろしくお願いをしたいと、こう思っています。
 それからまた、最後の項目に入りますけれども、地元の雨水対策、浸水対策の一環として、私たちは、地元の荒川区の西尾久、それから東尾久一帯、五十ミリ前後になると、どうしてもあふれてきてしまう。それをどう封じ込めていくかということで、今、工事をしていただいています。順調に進んでいるようでありますけれども、早く工事が終わり、そして地元の期待の声も多うございますので、そこで、その工事と関係をいたしますけれども、西日暮里系ポンプ室の効果、那辺にあるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。

○中島建設部長 現在、荒川区西尾久地区、東尾久地区におきましては、尾久上幹線、尾久南幹線の二つの幹線を合計で約二万七千立方メートルの雨水をためる貯留管として暫定的に活用し、浸水被害の軽減に役立てているところでございます。
 今後は、西日暮里系ポンプ室の完成により、二つの幹線の雨水を継続的に隅田川へ排水できるようになります。これにより浸水に対する安全度が向上し、地域のお客様の安全・安心がより一層確保されることとなります。

○鈴木(貫)委員 ご答弁ありがとう。やはり雨が降るたびに大変な思いをした地域の方々も、これによって大分安心感を持たれる。西日暮里系、この幹線、ポンプ室の完成によって、大変楽しみにしておりますので、無事その工事が終わることを懇願させていただきたいと、こう思います。
 ですから、最後の項目になりますけれども、西日暮里系ポンプ室の効果、今聞きましたけれども、そのポンプ室を、この際、地域の皆さんに、こんなふうになっているんだと、こういうことを見える化していただければ、私はより納得をするんではないのかと思います。今までにない初めてのケースだと思いますが、いかがですか。

○小山総務部長 来年度稼働する東尾久浄化センターの西日暮里系ポンプ室でございますけれども、見学室を設けまして、雨水がポンプ室に流入する様子や、ポンプの稼働状況など、これまで、ほかの水再生センターの見学コースでは見ることのできなかった下水道施設を体感できるようにするなど、見える化する取り組みを積極的に推進してまいります。
 こうしたことによりまして、ふだんは目にすることの少ない下水道施設の役割やスケールの大きさを実感していただいて、下水道事業に対する理解を深めていただきたいというふうに考えてございます。

○鈴木(貫)委員 ぜひお願いをさせていただきたいと、こう思っております。
 何点か質問をしてまいりましたけれども、ご答弁、私もそれぞれ納得をさせていただきました。また、最後に局長にお伺いをいたします。冒頭、局長の応援団獲得という言葉はさきに引用させてもらいましたけれども、この項のそれぞれの質問を終えて、局長としての、これから取り組むべき課題等々、決意をいただきたいと思っております。

○松浦下水道局長 東京の下水道は、明治十七年に神田に初めて下水道管が敷設されてから、ことしがちょうど百三十年目に当たります。また、地域に愛され親しまれる下水処理場を目指して、名称を水再生センターに変更してからちょうど十年目でもあります。
 こうした機会を捉え、先生お話しのとおり、お客様である都民の方々に、下水道をより一層深く理解していただき応援団になっていただくことは、下水道事業を円滑に進めていく上で極めて重要であると考えております。
 このため、本年度は、先ほどお話にありましたように、昨年の四月に、旧三河島汚水処分場喞筒場施設の一般公開や、下水道局の広報施設である虹の下水道館のリニューアルオープン、流域にあります北多摩一号、南多摩水再生センター間連絡管完成式典などのイベントや式典を開催し、ふだん目にすることの少ない下水道施設を実際に見ていただき、下水道の仕組みや役割をPRすることで、お客様に下水道の大切さを改めて認識していただきました。
 また、我が国初の近代下水道や、最先端の技術を駆使した施設をあわせて見てもらうことによりまして、歴史の流れや文化の薫り、世界最高水準にある下水道技術を体感してもらうということは、下水道の理解者をふやす上でも大変効果的であると思っております。さらに、職員一人一人が広報パーソンの役割を果たすことで、東京下水道の応援団をより多く獲得することにつなげていきたいと思っています。
 またそのことが、現在、下水道が直面しておる老朽化施設の再構築や局地的集中豪雨への対応、合流式下水道の改善や高度処理などの施策を積極的に推進して、安全・安心な、そして快適な東京の実現に取り組むことになるとも考えております。
 今後とも、下水道施設の見える化の取り組みや、下水道事業をPRするためのあらゆる工夫を行い、局一丸となってお客様サービスのさらなる向上に努めてまいります。

○小宮委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小宮委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願は、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますのでご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四十三分散会

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