公営企業委員会速記録第二号

平成二十五年三月十五日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長桜井 浩之君
副委員長笹本ひさし君
副委員長上野 和彦君
理事淺野 克彦君
理事相川  博君
理事西崎 光子君
新井ともはる君
矢島 千秋君
鈴木貫太郎君
泉谷つよし君
くまき美奈子君
山田 忠昭君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長中村  靖君
次長宮川  昭君
総務部長鈴木 尚志君
職員部長廣瀬 秀樹君
資産運用部長室星  健君
電車部長小泉  健君
自動車部長土岐 勝広君
車両電気部長石井 明彦君
建設工務部長遠藤 正宏君
企画担当部長広瀬 健二君
安全管理担当部長岡本 恭広君
バス事業経営改善担当部長太田  博君
技術調整担当部長奥津 佳之君
技術管理担当部長川合 康文君

本日の会議に付した事件
決議について
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十二号議案 平成二十五年度東京都交通事業会計予算
・第二十三号議案 平成二十五年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十四号議案 平成二十五年度東京都電気事業会計予算
報告事項(質疑)
・東京都交通局経営計画二〇一三について

○桜井委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、決議三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○桜井委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十五年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十五年三月十四日
 東京都議会議長 中村 明彦
公営企業委員長 桜井 浩之殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木曜日)午後五時
(別紙1)
公営企業委員会
 第二十二号議案 平成二十五年度東京都交通事業会計予算
 第二十三号議案 平成二十五年度東京都高速電車事業会計予算
 第二十四号議案 平成二十五年度東京都電気事業会計予算
 第二十五号議案 平成二十五年度東京都水道事業会計予算
 第二十六号議案 平成二十五年度東京都工業用水道事業会計予算
 第二十七号議案 平成二十五年度東京都下水道事業会計予算
(別紙2省略)

○桜井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二十二号議案から第二十四号議案まで及び報告事項、東京都交通局経営計画二〇一三についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○新井委員 東日本の広範な範囲に甚大な被害を及ぼした東日本大震災から二年が経過しました。この間、交通局においても、震災の教訓を踏まえ、さまざまな防災対策に取り組んできたと思います。そこで、この二年間に実施してきた主な防災対策と、今回策定された経営計画に盛り込まれた新たな事業についてお伺いします。

○岡本安全管理担当部長 防災対策についてのお尋ねでございますが、交通局では、東日本大震災の教訓を踏まえ、都営地下鉄の運行の早期再開の観点から、施設の安全性をさらに高めるための対策に取り組むこととし、浅草線、三田線の車両基地と本線を結ぶ高架部などの補強工事に着手しました。また、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会における議論等を踏まえまして、都営地下鉄全駅の帰宅困難者数として推定する約五万人を対象に、一時的に待機するための必要な飲料水、防寒用ブランケット、簡易マット等の備蓄を完了しています。
 今般、首都直下地震等災害時の備えに万全を期すため、東京都交通局経営計画二〇一三に、新たな対策を盛り込んだところでございます。
 具体的には、高架部の橋脚や地下駅の中柱の耐震補強を進めるほか、震災時等にエレベーター内への閉じ込めリスクを軽減するため、緊急停止した際のリスタート機能を追加する対策や、都営バスにおける災害に備えた通信手段の強化のための衛星電話の導入などの新たな事業を実施することとしています。

○新井委員 ただいまの答弁で、経営計画に盛り込まれた新たな事業についてはわかりましたが、その中にありました都営バスにおける衛星電話の導入についてお伺いします。
 東日本大震災の発生当初は、東京でも携帯電話や固定電話がつながりにくくなり、こうしたコミュニケーション手段が失われていると、改めて、通信の重要性が痛感されたところです。このたび、都営バスでは衛星電話を導入するということですが、そこで、衛星電話の導入目的と、それをどのように活用するのかお伺いします。

○土岐自動車部長 衛星電話に関するお尋ねでございますが、現在、都営バスでは、新宿本庁舎と営業の拠点である全十九事業所との間の通信手段といたしまして、固定電話のほか、デジタルMCA無線がございます。しかし、これらは首都直下地震のような大災害時には、地上設備の損壊や通信混雑などによりつながらなくなる可能性がございます。
 このため、衛星経由で無線通信を行っており、また、固定電話などに比べ地上設備が少なく、災害に強い衛星電話を導入し、通信手段の強化を図るものでございます。これによりまして、大規模な災害時におきましても新宿本庁舎と事業所間の連絡手段を確保いたしまして、現場状況の把握や事業所に対する必要な指示等を行うことによりまして、お客様の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

○新井委員 衛星電話の導入により、通信手段を強化することは、災害への備えとして大変重要だと思います。着実に設置の取り組みを進めていただきたいと思います。
 さて、安全は、交通事業者にとって最大の使命ですが、バスを便利で快適に利用できるようにすることも重要です。交通局では、携帯電話やパソコンから、都営バスの時刻表やバス位置情報を確認できる都バス運行情報サービスの配信や停留所での待ち時間などを確認できるバス接近表示装置を設置するなど、これから都営バスに乗車しようとする人に対する情報サービスを充実しています。これらのサービスはもとより重要ですが、バスに乗車している人に対する車内での情報サービスも充実することにより、都営バスの利便性がさらに高まるのではないかと思います。そこで、交通局では、バス車内の乗客に対してどのような情報サービスを提供しているのかお伺いします。

○土岐自動車部長 バス車内のお客様に対する情報サービスでございますが、現在、都営バスには、次の停留所の名称をご案内する文字をスクロールするLED式の表示装置を設置しておりますが、このたび策定いたしました新たな経営計画におきまして、お客様の多い路線などに液晶画面の表示装置を順次導入することとしております。この装置は、現在のものに比べまして画面が大きく、さまざまな情報を表示することができることから、これまで、次の停留所名称のみを案内していたものを、さらにその先の複数の停留所名称まで視覚的にわかりやすくご案内することができるようになります。また、液晶画面の特徴を生かしまして、より効果的に安全に関する注意喚起やマナー啓発などにも努めてまいりたいと考えております。

○新井委員 次に、地下鉄車両における省エネルギー対策についてお伺いします。
 東日本大震災後の電力不足により、電力エネルギー問題が緊急的な課題となっています。震災後二年が経過しますが、電気の需給に関しては、引き続き厳しい状況にあることは変わりありません。この事態に対処するためには、いかに安定的に電力供給を確保しているのかということとともに、電気の利用者がいかに省エネルギー対策に取り組んでいくのかということが重要です。
 鉄道は、環境に優しい交通手段ですが、一方で、大量の電気を消費しているという側面もあります。特に、地下鉄車両は、地下鉄全体で消費される電気の約五割を占めていると聞いています。そこで、地下鉄車両においてどのような省エネルギー対策が行われ、どのような効果が上がっているのかお伺いします。

○石井車両電気部長 鉄道の車両は運行に伴い大量の電気を使用するため、交通局では、さまざまな省エネルギー対策に取り組み、電気の使用量削減に努めてまいりました。
 車両の更新時には、運転効率のよいVVVF制御装置などの省エネ機器を採用しているほか、車体の軽量化やエネルギーを有効に利用できる電力回生システムの導入等により、従来の車両に比べ約二〇%の電力を削減し、省エネルギー化を図っております。
 さらに、昨年十二月からは一部の車両にLED照明を導入しており、従来の蛍光灯に比べ約三〇%の電力削減効果があることを確認してきております。今後も、さらにLED照明の導入を進めるなど、新たな省エネ技術を積極的に採用し、電気の使用量を削減してまいります。

○新井委員 引き続き省エネルギー対策に向け、積極的かつ継続的な役割を果たしていただきたいと思います。
 次に、ホーム上の安全対策についてお伺いします。
 大江戸線ホームドアがことし六月に全駅設置完了となります。ホームドアは、交通弱者対策や人身事故、転落防止対策に非常に有効です。三田線では、設置以降十四年目に入ろうとしていますが、転落事故はなくなりました。大江戸線では、設置されて以降、転落事故は発生していません。残る未設置路線は、浅草線と新宿線です。そこで、浅草線及び新宿線へのホームドアの設置に向けた検討状況についてお伺いします。

○広瀬企画担当部長 浅草線及び新宿線につきましては、他の鉄道会社と相互直通運転を実施しており、浅草線には京成電鉄や京浜急行電鉄など四社の車両が、新宿線には京王電鉄の車両が乗り入れています。
 ホームドアの整備に当たりましては、乗り入れ各社の車両にも定位置に停止させる装置や車両の扉とホームドアを連動させる装置を搭載する必要があることなどから、技術面や輸送面の課題について、平成二十二年度から各社と検討や情報交換を行っているところでございます。

○新井委員 乗り入れ先の鉄道会社との調整もあろうかと思いますが、今後、高齢化社会に本格的に突入し、交通弱者の対策が重要になってきます。早期な検討をお願いします。
 最後に、交通事業を支える職員の確保についてお伺いします。
 事業を根本において支えるのは、申し上げるまでもなく人です。つまり、交通局の職員の皆さんです。交通局が公共交通機関として、安全・安心を確保するとともに、質の高いサービスを実現し、社会的役割を果たしていくためには、ハード面の車両や設備などを確保することはもちろん重要です。しかし、すぐれたハードがあったとしても、それだけで、安全・安心などが実現できるわけではございません。
 安全・安心や質の高いサービスを個々の職場で実際に実現できるかどうかは、事業の第一線で利用者と接したり、車両を実際に動かしたり、車両や施設を直接整備したりする現場の職員の皆さんの力にかかっています。特に、交通事業は極めて専門性の高い事業です。車両や施設などが適切に運営、維持管理されることによって、初めてそのすぐれた性能が発揮されます。運営するのも人、維持管理するのも人です。そうだとすれば、いかに優秀な職員を確保するかということが非常に重要です。
 このため、交通局では以前から、現場を支える職員の採用は独自に行ってきたところです。かつて、交通局では、厳しい事業環境や財政環境に対応するため、新規職員の採用を停止した時期がありました。しかし、さまざまな経営効率化により、財務体質の改善を図り、数年前から採用を再開していると聞いています。そこでまず、運輸系職員の採用開始以降、どの程度職員を採用したのかお伺いします。

○廣瀬職員部長 地下鉄の駅務員や保守等の職員につきましては、平成十四年度より採用を停止していましたが、二十年度から再開いたしました。
 また、バス運転手につきましても平成十二年度より採用を停止しておりましたが、十九年度から再開いたしました。
 定数削減を進める中、これら運輸系職員全体で地下鉄等の採用を再開した平成二十年度以降、毎年平均約百二十五名を採用してまいりました。

○新井委員 数年前から毎年職員を採用できているということは、ひとまず安心しています。しかし、東京を走る交通事業者には、JRを初めとして東京メトロ、その他にも有名な民間事業が多数あります。優秀な人材は引く手あまたなのではないでしょうか。より優秀な職員を採用するためには、まず、多くの方に交通局の採用選考に申し込んでもらう必要性があります。
 そのためには、交通局が採用していること自体が知られること、そして何よりも交通局の魅力をPRすることが重要かと思います。企業間の人材確保競争が激化していることを踏まえると、交通局においても、職員採用のPR方法について、常に工夫や見直しを実施していくことが重要であります。そこで、運輸系職員の採用について、交通局では、どのようなPR等を行ってきたのかお伺いします。

○廣瀬職員部長 交通局では、職員の採用に当たりまして、平成二十四年度から交通局の魅力や採用したい職員像を積極的にアピールするため、募集告知ポスターを職員の仕事風景やキャッチコピーなどを用いたものに一新いたしました。また、ポスターやホームページなどの従来の手法に加えまして、新たにツイッター、フェイスブックなども取り入れ、PRを行ったところでございます。
 こうしたことなどによりまして、平成二十四年度の採用選考の応募者数は、前年度と比較いたしまして約三割増加いたしました。今後、これまで実施した内容を効果検証などを踏まえ、新たな採用PRの実施や選考方法の見直しを検討してまいります。

○新井委員 優秀な人材確保のためにいろいろ努力されていることがわかりました。今後も、安全・安心や質の高いサービスの確保のため、技術者ノウハウの継承や職場の活性化などの観点、あるいは厳しい環境を乗り切っていけるような人材確保といった観点から、継続的に職員を採用していただくとともに、絶えず採用PRや選考方法の見直しを行いながら、優秀な人材の確保に努力していただくことを要望しまして、私の質問を終わりにします。

○山田委員 私は、今回、本年二月に策定をされました東京都交通局経営計画二〇一三についてお伺いいたしたいと思います。
 その新しい計画の質問に入る前に、現行の経営計画でありますステップアップ二〇一〇について、本年度が計画期間の最終年度でありますので、その計画期間である三カ年の取り組みに対する総括としてお尋ねをしていきたいと思います。
 現行の経営計画の達成見込みについて、どのようになっているのかお尋ねをいたします。

○広瀬企画担当部長 交通局では、現行の経営計画ステップアップ二〇一〇の達成に向けて局を挙げて取り組んでまいりました。
 財政収支目標のうちバス事業については、東京電力の配当金が見込めなくなったこと、軌道事業については、乗客数が減少していることなどから、目標を下回る見込みとなったものの、計画事業についてはおおむね達成いたしました。
 具体的には、浅草線の自動列車停止装置の改良、大江戸線への新造車両の導入、ドライブレコーダーの全バス車両への導入、全バス車両のノンステップ化などを行い、安全・安心の確保と質の高いサービスの提供に取り組みました。あわせて、職員定数を削減するとともに、維持管理経費の節減など、あらゆる面でコスト管理を徹底し、経営基盤の強化を図りました。
 こうした取り組みのほかに、東日本大震災を踏まえた地下鉄施設の耐震対策や帰宅困難者用の備蓄品の地下鉄全駅への配備、地下鉄での夜間避難誘導訓練の実施など、ハード、ソフト両面から安全対策の強化を図りました。
 加えて、オリンピック・パラリンピック競技大会の積極的な招致PRや九段下駅の壁の撤去など、地下鉄サービスの一体化、発電した電気の供給先拡大のための条例改正など、新たな施策にもスピード感を持って取り組んでまいりました。

○山田委員 今のご説明をお聞きしますと、現行の経営計画におけます計画事業につきましては、おおむね順調に推移されていると、達成しつつあるということであります。加えて、東日本大震災に踏まえた震災対策の実施、オリンピック・パラリンピック招致PRの取り組み、地下鉄サービス一体化などの新たな課題にも積極的に取り組んでこられたということでありまして、その点については評価いたしたいと思います。
 こうした状況におきまして、先般の事前説明におきまして新しい経営計画二〇一三が説明されました。そこで、確認の意味を含めまして、この新しい経営計画の特徴についてお尋ねをいたしたいと思います。

○広瀬企画担当部長 新たな経営計画は、さまざまな課題に的確に対応するため、これからの交通局の経営のあり方と、それを実現していくための具体的な取り組みを示しております。
 この中で、すべての事業で経常収支の黒字化を目指すことを明らかにし、各事業の収支改善を進めていくこととしております。また、厳しい経営状況にあっても、安全・安心の確保を最優先に、質の高いサービスの提供を進めていくこととしております。
 加えて、東京の発展に貢献していくこととしております。具体的には、安全・安心の確保については、地下鉄施設の耐震対策の強化や地下鉄構造物の長寿命化、総合指令の構築、大江戸線へのホームドアの整備などを進めてまいります。
 質の高いサービスの提供につきましては、乗りかえ駅等へのエレベーターの増設、勝どき駅の大規模改良、バス車内の停留所表示装置の液晶化による情報サービスの強化などに取り組んでまいります。また、地下鉄改革、電力エネルギー改革など、都政の喫緊の課題に的確に対応していくこととしております。

○山田委員 利用者の安全の確保あるいは質の高いサービスの提供に積極的に取り組みをしていくということは大変重要なことだと思います。私も前回の公営企業委員会におきまして、地下鉄施設の耐震対策あるいは帰宅困難者対策について質問をさせていただきました。新しいこの計画におきましても首都直下地震等による東京の被害想定を踏まえ、施設の安全性をさらに高め、早期の運行再開を図るために、高架部分の橋梁及び地下部分の柱の耐震補強を実施する事業とか、帰宅困難者対策について、今後の国や都における検討協議の状況を踏まえ、必要に応じて備蓄品の追加等を検討していく事業などが盛り込まれております。
 我が党は、地下鉄の長寿命化が重要であると認識をしておりますし、本定例会の代表質問におきましても、今後の地下鉄のトンネルの老朽化対策について尋ねたところであります。
 そうした中、これは一昨日の夜、三田線のトンネルの中でコンクリート片の剥落が発生したとの報道がございました。改めて、今後、地下鉄のトンネルの安全対策に、具体的にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたしたいと思います。

○川合技術管理担当部長 一昨日、三田線のトンネルで漏水により側壁のコンクリート片が剥落するというトラブルが発生いたしました。当該箇所周辺につきましては、直ちに安全を確認しており、運行に支障はございません。さらに、これ以外の同様の漏水箇所につきまして、速やかに緊急点検を実施してまいります。
 トンネルの日常的な維持管理につきましては、法令に基づく二年に一度の定期検査に加え、独自に頻度を高めた点検や補修などにより安全を確保しております。これに加え著しい劣化が発生する前に機能回復を図る予防保全型の管理手法を導入いたしまして、トンネルの長寿命化に計画的に取り組んでおります。
 具体的には、浅草線や三田線におきまして、トンネルの健全度を調査し、優先度の高い区間から剥落対策や漏水対策等の大規模修繕工事を順次実施していくこととしております。このようなトンネルの安全対策を今後とも着実に進めてまいります。

○山田委員 一昨日の三田線でのトンネルでのコンクリート片の剥落については、けが人とか、列車の運行に影響はなかったということで大変よかったと思います。
 今、ご説明いただきましたけれども、法令に基づいて二年に一度の定期検査をしている、あるいは独自に頻度を高める点検や保守などをしておるということでありまして、ぜひ利用者の安全にかかわることでありますので万全を期していただきたいと思います。
 次に、質の高いサービスの提供についてお伺いをいたします。
 我が党ではこれまで、エレベーター整備による地下鉄駅施設の利便性の向上や車両への優先席の増設などの提案を行ってまいりました。交通局はこれを受けて取り組みを進めてきていただいておりますけれども、この新たな計画におきましても、利用者の利便性向上に向けた取り組みは、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 ところで、地下鉄利用者数につきましては、東京スカイツリーの開業とかの効果によりまして増加をしているということでありますし、日暮里・舎人ライナーについても、沿線人口の増加などにより、利用者の増嵩ということの傾向にあると聞いております。このため、地下鉄や日暮里・舎人ライナーにおきまして、車内の混雑対策を進めることも、利用者の利便性や快適性を高めるためには必要なことであると思います。そこで、車内の混雑の緩和を図るための今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。

○小泉電車部長 交通局では、定期的に地下鉄各線等の乗客量調査を行い、混雑緩和と利便性向上を図るためにダイヤ改正を実施し、さらに必要に応じて車両の増備を行ってまいりました。
 平成二十五年度からの交通局経営計画二〇一三の期間中における混雑緩和対策をご説明申し上げます。
 まず、地下鉄については、新宿線の混雑緩和を図るため、平成二十五年度中に三編成を現行の八両編成から十両編成化し、輸送力を増強する計画でございまして、現在の見通しでは、ことしじゅうに実施できる予定でございます。さらに平成二十七年度に三編成を十両編成化する計画でございます。このほか地下鉄各路線について、適宜、ダイヤの見直しを行ってまいります。
 次に、日暮里・舎人ライナーでございますが、乗客数が増加傾向にあることから、混雑緩和と利便性向上のため、平成二十七年度に車両一編成の増備とダイヤ改正を計画しております。また日暮里・舎人ライナーは、朝七時五十分から八時五十分に混雑が集中していることから、新たな取り組みといたしまして、IC乗車券を活用したオフピーク対策を実施いたします。これは、朝ラッシュ時に一定の時間を設定し、それ以前にIC乗車券で乗車されたお客様に実績に応じて特典を付与することにより、日暮里・舎人ライナーの最も混雑する時間帯を避けて乗車時間の分散を図っていただくものであり、平成二十五年度のいわゆる着膨れラッシュで混雑感が強まる冬の時期に実施する予定でございます。今後も車内の混雑緩和対策に積極的に取り組んでまいります。

○山田委員 今、地下鉄と日暮里・舎人ライナーにつきましても、輸送力の増強による混雑の緩和を図るということであります。多様化した、あるいは高度化している利用者のニーズを的確にとらえたサービス向上策について、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、四つの方針の一つであります、東京の発展に貢献について伺いたいと思います。
 交通局は、東京の発展に向けて、さまざまな取り組みを進めていくという姿勢が、今回の計画にあらわれているものと評価いたしたいと思います。そこで東京の発展に貢献するための今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○広瀬企画担当部長 交通局ではこれまで、低公害ノンステップバス車両の積極的導入、優先席の増設など環境、福祉施策の推進や、地下鉄全駅へのAEDの設置、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーの沿線地域の活性化などに取り組み、社会的要請に対応してまいりました。
 新しい経営計画では、環境、福祉施策に加え、東京都のさまざまな行政施策に積極的に取り組むことといたしました。
 具体的には、水力発電で発電した電気の供給先を拡大するとともに、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会招致の積極的なPRを図り、開催時には、観客などの輸送に適切に対応してまいります。
 また、都営バスの目黒営業所跡地を活用した民間まちづくりプロジェクトの推進や再開発事業との連携も視野に入れ、駅施設の大規模改良について調査検討するなど、東京のまちづくりと連携してまいります。これらの取り組みを着実に進めることにより、東京の発展に貢献していきたいと考えております。

○山田委員 ぜひ今後とも、都庁の各局と積極的に連携をして取り組みを進めるとともに、より東京の発展に貢献していただきたいと思います。
 次に、経営基盤の強化についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今回、さまざまな計画事業が明らかにされましたけれども、利用者の安全の確保やサービスの向上などに向けた取り組みとともに、震災対策など都政の喫緊の課題への対応など、交通局を取り巻く事業環境の変化に迅速かつ的確に対応していくためには、その礎となります経営基盤を強化することが必要であると考えます。
 先ほども答弁をいただきましたけれども、全事業の黒字化を目指すとありましたが、都営バス事業は平成十六年から二十二年は黒字でありましたけれども、平成二十三年度からは経常赤字となっております。来年度予算案においても三億円の経常赤字となっております。東京電力からの配当金がなくなったことなどにより、引き続き厳しい状況にあると思いますが、今回の計画においては、計画期間の最終年度となります平成二十七年度に経常収支の均衡を目指すこととしております。
 そこで、都営バス事業について、計画上、どのような取り組みを行うことにより、収支の均衡を図っていくのかをお伺いいたしたいと思います。

○広瀬企画担当部長 都営バス事業におきましては、配当金収入が減少したことなどから、お話のとおり厳しい経営状況にございます。このため、路線ダイヤの見直しやさまざまな媒体を活用した都営バス路線のPRを行うなど、増収に努めるとともに、バス車両の延命化や、備品、消耗品の節減など徹底した支出削減に取り組み、赤字幅の縮小に努めてまいりました。
 今後も支出削減の取り組みに加えまして、臨海地域における環状二号線の整備や、豊洲新市場の開場など、新たな都市再開発などを踏まえた路線ダイヤの充実や資産の利活用の推進により増収を図るなど、収支改善への取り組みを着実に進めることによりまして、平成二十七年度には経常収支の均衡を図ってまいります。

○山田委員 都営バスは、都民に身近な足として、利用者の利便性を高めつつ、都市の変化を的確にとらえた事業運営を行うことによりまして、引き続きその役割をしっかりと果たしていただきたいと思います。
 また、都営バス事業も含めた交通局のすべての事業につきましても、利用者の増加によりまして、収入の確保に努めていくことも大変重要なことでありますが、安定的な事業運営を実現するために、より一層の経営効率化に取り組んでいくことが求められております。そこで、今後の経営効率化に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○鈴木総務部長 経営効率化についてのお尋ねでございます。公営企業は、常に経済性を発揮して合理的な業務運営を行い、最少の経費で最良のサービスを提供することが求められており、不断の経営効率化の取り組みが必要であると考えております。
 このため交通局では、これまでも安全・安心の確保などを図りつつ、業務、組織執行体制、給与の見直しなどのほか、徹底したコスト縮減を図るなど、経営の効率化を行ってまいりました。
 具体的には、平成十二年度の大江戸線全線開業や平成十九年度の日暮里・舎人ライナーの開業により事業規模が大きく拡大する中におきましても、平成十二年度以降、約千七百人の職員定数削減を行ったほか、バス乗務員等の給与を一〇%削減するなど、徹底した効率化に取り組んでまいりました。
 新しい計画におきましても、引き続き業務や組織の見直し、関連団体の活用などによりまして、職員定数を百人削減するなど、より一層効率的な執行体制を構築していくこととしております。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、経営基盤を強化し、お客様の安全・安心の確保や質の高いサービスの提供を図りつつ、安定した事業運営に努めてまいります。

○山田委員 経営基盤の強化を図るために、不断の経営効率化に取り組んでいただきたいと思います。これまで、新しい経営計画に基づく主な計画事業や経営効率化について質問をしてまいりました。
 交通局の所管している事業につきましては、東京の都市活動や都民生活を支える公共交通機関として、その使命である安全の確保を最優先に、都民、利用者の視点に立ったサービスの提供などとともに、不断の経営改革に積極的に取り組んでいることはよくわかりました。
 こうした取り組みを、ぜひ着実に進めていくことは評価できるものであると思います。こういう視点を踏まえた上で、最後に、新しい経営計画のもとでの今後の事業運営に対する局長の決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。

○中村交通局長 現在の経営計画を策定してから三年が経過し、交通局を取り巻く事業環境も大きく変化いたしました。東日本大震災を契機とした首都直下地震への備えや、高度成長期に建設した構造物の老朽化問題が顕在化するなど、東京の安全・安心の確保が、これまで以上に求められております。交通局においても、これまで築き上げてきた土台の上に、時代の変化を見据え、新たな取り組みを積極的に進めていくことが必要であると考えております。
 また、財政面におきましては、局全体では黒字となっているものの、将来的には、少子高齢化による乗客減少や、施設の老朽化に伴う更新投資が見込まれるなど厳しい財務状況にございます。長期的な展望を持って経営改善を進めていかなければならないと考えております。
 こうした認識のもと、今般、新しい経営計画を策定したところでございます。交通事業者として、お客様の安全・安心を守るということは絶対的な使命でございます。今回の計画におきましても、一歩進んだ防災対策に取り組むなど、積極的に安全対策を推進してまいります。
 また、お客様のサービスの向上を図るとともに、先ほどもお話にありました東京都のさまざまな行政施策に積極的に取り組み、東京の発展に貢献してまいります。
 さらに、地下鉄改革や電力エネルギー改革など、都政の喫緊の課題に的確に対応してまいります。
 財政面では、不断の経営改革に取り組み、すべての事業で経常収支の黒字化を目指すなど、各事業で経営改善に努めてまいります。今後は、職員一丸となって、この計画に取り組むとともに、環境の変化を鋭敏にとらえ、果敢に行動し、お客様に信頼、支持される都営交通を目指してまいります。

○上野委員 まず、質問に入る前に、交通局の取り組みを評価するという思いで、一言お話をさせていただきたいと思います。
 今月の六日に、日暮里・舎人ライナーの西日暮里駅構内、こちらで知的障害者の方々が製造、販売するパン屋さん、グローリーの営業が始まりました。本当に障害者の方は大変喜んでいらっしゃった。きょうから頑張りますと、店員の元気な声が響いたということで、地元の荒川区選出の鈴木貫太郎委員からお話を伺って、大変に喜んでいるところでございます。
 都営交通の駅構内で障害者の方が働く店舗というのは、二〇〇八年に初めて都営浅草線大門駅にパンやスープなどを販売するトロア、これがオープンしてから今回で五店目ということを伺っております。しっかり都議会公明党、この点についてもいろんな代表、一般でも質問してきたところでございます。昨年も、鈴木委員の方から三月の公営企業委員会で、この日暮里・舎人ライナーの利便性向上、また、障害者の就労促進のための駅構内の店舗設置を提案してきたわけでございまして、これを受けてこのたび実現したものであり、こうした交通局のこれまでの取り組みに対しましても、心から敬意を表したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、質問にこれから入っていきたいと思いますけれども、初めに、都営地下鉄のバリアフリー化、とりわけ、乗りかえ駅等へのエレベーター整備を中心に何点かお尋ねしていきたいと思います。
 交通局は、これまでホームから地上までのエレベーターなどを利用して移動できる、いわゆるワンルートの確保に積極的に取り組んでこられました。平成二十五年二月に発表されました経営計画二〇一三によりますと、平成二十五年度にすべての駅でのエレベーター等によるワンルートの確保を完了とのことでございます。
 この既存の駅に改めてエレベーターを設置するということは、私も建設局で、都の職員としていろんな構造物の設置とか苦労をしてまいりましたので、これはもう大変な思いでされたなと思います。いろんな新しいものをつくっていく中では、用地の確保も必要ですし、用地買収も大変な思いでされます。さらには、地下ですから埋設物なんかもありまして、これがまたふくそうして大変な状況です。こういったことの調整もやらなきゃいけない。また、上の方では交通量の多い幹線道路もあるという複雑な中を恐らく担当職員の方は大変な思いでここまでこられたと思います。
 この委員会で、私たちはこう苦労しましたと、こういったことをなかなかいえないでしょうから、きょうはそういったところの苦労話も、いろいろな困難な状況やそういったことも、どうぞ遠慮なくいっていただきたいと思います。部長よろしくお願いします。

○遠藤建設工務部長 交通局は、これまで、さまざまな困難を乗り越えてワンルートの確保に取り組んでまいりました。お尋ねでございますけれども、まず用地に関してお話をさせていただきたいと思います。
 既存の駅にエレベーターを設置する、そのためには、駅の近隣に新たに用地を確保していく必要がございます。大抵その土地は、既成市街地の中にございます非常に希少な土地でございまして、取得に当たりましては、地権者の方の協力を得るまでに相当の労力と時間を要することが多々ございました。
 また、工事につきましても、道路の下の掘削を始めたところ、当初想定していた以上に埋設物がふくそうしている状況が明らかとなりまして、構造の変更を伴うような大規模な変更を余儀なくされたこともございました。これらに加えまして、地下鉄の運行に支障がないよう、かつ駅をご利用いただいているお客様の安全の確保にも十分に留意して工事を実施してきたわけでございます。このような困難を克服いたしまして、平成二十五年度に、すべての駅でのワンルート確保を達成する見通しを得ることとなりました。

○上野委員 今のお話で、本当にほんの一部だと思うんですね。見えないところというのは、設計図どおりに入っていませんから、実際に掘ってみないとわからないということは結構ありまして、その設計変更が伴っていくということで大変な思いをされたと思います。そうしたお話をきょう都民の方も聞かれたら、本当にエレベーターの設置というのは簡単にできないんだなと、本当にありがたいなと、こういった思いになられることと思います。こうしたさまざまな困難な状況を乗り越えまして、平成二十五年度内にすべての駅でワンルート確保の見通しをつけたということを私は大いに評価したいと思います。
 経営計画二〇一三の中身の話に戻りますけれども、同計画によりますと、その中で、駅のバリアフリー化をより一層進めるため、他路線との乗りかえ駅などにおいてエレベーターを設置し、利便性の向上を図りますと、このように記載されておるわけでございます。そこで今回、他路線との乗りかえ駅などにエレベーターの整備を進めていくこととした方針の考え方について具体的にお尋ねいたします。

○遠藤建設工務部長 交通局は、すべての人に優しい交通機関として、バリアフリー対策をこれまで以上に推進するなど、ハード、ソフトの両面で、より便利で快適な輸送サービスを提供する、また、都営交通ネットワークの活用や、他の交通事業者と連携したサービスを積極的に提供し、利用促進を図ることが重要と考えてございます。
 このような考え方に基づきまして、来年度から三カ年の新たな経営計画におきまして、すべての駅にワンルートが確保された後も、他路線との乗りかえ駅等におきましてエレベーターを整備し、さらなる駅のバリアフリー化を進め、より一層の利便性の向上を図ることといたしたものでございます。

○上野委員 乗りかえ駅などにエレベーターを整備していく、基本的な考え方につきましては、今お話を伺い、理解することができました。それでは交通局は、今後三年間でどのような駅を対象にエレベーターを整備していくのかお尋ねいたします。

○遠藤建設工務部長 都営地下鉄相互の乗りかえ駅、東京メトロなど他の鉄道駅との乗りかえ駅、バスなどの他の公共交通機関との接続駅の中には乗りかえ経路などにエレベーターが整備されていない駅がございます。このような駅では、例えば高齢者や障害者などの方が乗りかえの際に、ワンルート確保がされた経路を通りまして、一たん地上に出て乗りかえ先まで移動することになるわけでございます。そこに幹線道路や立体交差などがある場合には、道路の横断に遠回りを余儀なくされることになるわけでございます。このため新しい経営計画では、今後三年間のうち乗りかえ駅等におきまして、駅の利用実態やその駅を中心とする交通ネットワークの状況などを勘案いたしまして、高い改善効果が見込まれる駅を選定いたしまして、乗りかえ経路などにエレベーターを整備することといたしました。今後、駅の構造上設置が可能で、早期に改善を図る必要がある駅から順次整備を実施してまいります。

○上野委員 どのような駅にエレベーターを設置するのかということで具体的なお話を伺いまして理解することができました。しかしながら、これまで都営地下鉄すべての駅でワンルート確保をするのにかなりの努力が必要だったことを考えれば、今後、乗りかえ駅等に新たなエレベーターを設置する際に、より一層の困難さが伴うことは大いに推察できるところでございます。そこで今後、新たなエレベーターを整備していくに当たりまして、どのような姿勢で取り組んでいかれるのか、この点についてまたお尋ねいたします。

○遠藤建設工務部長 今回の計画に基づきまして、今後三年間で九つの駅について設計を実施いたしまして、このうち六つの駅につきまして平成二十七年度までに竣工を目指してまいります。
 また、その実施に当たりましては、これまでのワンルート整備におきまして蓄積してきました経験やノウハウなどを最大限生かすとともに、地元区や関係機関などとも十分連携しながら、計画の実現に全力で取り組んでまいります。

○上野委員 ぜひとも、だれもが利用しやすい都営交通を目指しまして、引き続き全力でエレベーター整備を続けていただきたいと思います。
 ところで、昨年十一月の事務事業質疑においてもお話をしたところでございますけれども、確認の意味も含めまして、私の地元江戸川区は区内を東西に貫く都営新宿線と南北方向のバス路線が交通ネットワークを形成しております。中でも、都営新宿線一之江駅は、成田、羽田空港や東京ディズニーランド等を結ぶ高速バスも頻繁に発着するなど、交通の主要拠点となっているのであります。つまり地域の路線バスと連絡する他の駅とは単純には比較できないくらいの重要な駅となっているわけであります。
 さらに、この一之江駅の出入り口というのは、幅員の広い幹線道路である環状七号線、そこには立体道路もあるということで非常に幅が広くなっている。東西に分断されているということであります。片方にしかレベーターが整備されていないという非常に厳しい環境の中で皆さん利用されているわけです。
 このため、高齢者、障害者や空港などへ向かうトランクなど大きな荷物を持った利用者など多くの方々が、地上のバスの乗りかえ先に移動するのに、およそ四百メートルもの距離を迂回しなければならないなど、大変な不便や苦労を強いられているところであるということです。
 私は、このように地下鉄とバス路線とが連絡し、地域交通の主要拠点で、しかも多くの利用者が乗りかえの際、大変な不便を強いられているこの一之江駅、今後交通局が実施するエレベーターの整備対象とすべきであると、このように思っておりまして、ぜひとも新たな経営計画の中で実現していただくよう、強く要望して次の質問に入りたいと思います。
 公共交通機関では、安全性とともに快適性も求められますけれども、快適な移動という点においては、これまではバリアフリーなどの施設整備や冷暖房など物理的な快適性に重点が置かれてきたところであります。しかしながら昨今の情報化社会におきまして、こうした物理的な快適さのほか、移動中にスマートフォンなどの情報端末を利用する際の快適さといったものの関心が高まっているところであります。
 持ち歩くことのできる情報端末によってインターネットを利用することは日常化しております。東京の国際競争力の向上を図るためにも、移動時の通信環境の整備は必須であると思います。
 こうした観点から、幾つか質問をしてまいりたいと思います。
 交通局では、まずは携帯電話などの電波が届かない地下鉄から情報通信環境の整備を進めてきたと聞いております。そこで、これまでの都営地下鉄における情報通信環境の整備状況についてまずお尋ねいたします。

○広瀬企画担当部長 都営地下鉄の駅構内では、携帯電話やスマートフォンが利用できる環境となってございます。加えて、パソコンなどでもインターネットを利用できるようWi-Fi環境の整備も完了しているところでございます。
 一方、トンネル内は、従来、携帯電話などを利用できませんでしたが、これを解消するため、平成二十三年度より地上と同様に電波を送受信するための設備の設置を進めてまいりました。その結果、昨年末までに、浅草線、三田線、新宿線の三線全線と大江戸線環状部で携帯電話やスマートフォンの利用が可能となっているところでございます。
 残る大江戸線放射部につきましては、今月末までに利用が可能となります。また、高速大容量の通信インフラでありますWiMAXにつきましても、必要な整備を終え、昨年末までに全線で利用が可能となったところでございます。

○上野委員 今の答弁を聞きまして、地下鉄において着実に携帯電話やWi-Fiなどの情報通信環境が整備されてきたことがよくわかったわけでございます。私の周りからも、車内でメールを送信したり、訪問先の会社ホームページをチェックしたりできるようになり、便利になったとの声も聞かれております。
 駅や車内での時間を効率的に使えれば、特に通勤通学客にとりましては、毎日のことなので社会的な貢献は大きいものではないかと、このように思います。
 次に、都営バスにおける通信環境の整備について質問いたします。
 この点につきましては、我が党の加藤議員が、さきの本会議一般質問におきましてお尋ねし、先日の交通局の答弁では、都営地下鉄の駅構内に続き、都営バスでも車内のWi-Fi環境を整備していくとのことでありました。そこで、バスは地上を走るので、通常、携帯電話やスマートフォンでの電波はもともと届いているわけでありますけれども、今回、バスの車内にWi-Fiが整備されると、どのように便利になるのかお尋ねいたします。

○土岐自動車部長 バスの車内にWi-Fiを整備することによりまして、スマートフォンやパソコンなど無線LANに対応した機器で動画などの大容量のデータを高速で通信することが可能となります。都営バスでは、今年度から、ホームページに、都バスでめぐる東京観光というサイトを立ち上げ、都内の観光スポットを結ぶバス路線を紹介しておりますが、このサービスでは、動画により観光スポットの最寄りの停留所に到着するまでの車窓風景や停留所からスポットまでの道順をわかりやすく紹介しております。
 バスの車内にWi-Fiを整備することによりまして、一つの例ではございますが、こうしたサービスを高速で快適に活用できることになることで、目的地まで迷わず行けるなど、お客様の利便性が一層向上するものと考えております。

○上野委員 Wi-Fiによる通信ならば、対応した機器を用いて幅広い情報収集が可能になるということでありますが、国内では既に京都や福岡などの都市におきまして、観光施策の一環として公共施設等へのWi-Fi環境の整備を推進していると聞いております。
 そうした建物などの施設だけでなく、交通機関においても、Wi-Fi環境が整備されれば、移動中にも目的地の情報などを検索できて大変便利になると、こう思います。
 交通機関におけるWi-Fi環境は、現在は鉄道を中心に整備が進んでいるようでありますけれども、今後、路線バスの車内でもWi-Fi環境の整備が進んでいけば、移動中の情報端末の利用は一層便利になると思います。
 都営バスが新たに車内のWi-Fi環境を整備する際には、鉄道での場合と異なる事情もあるものと考えます。そこでバスの車内にWi-Fiを整備するに当たっての課題についてお尋ねいたします。

○土岐自動車部長 バスの車内にWi-Fiを整備する際の課題でございますが、まず、技術面では、Wi-Fiで使用する電波とバスの運行管理に利用している電波が干渉して支障を生ずるおそれのあることが挙げられます。これにつきましては、本年二月、バス営業所におきまして実証実験を行い、Wi-Fiの周波数を調整することで解決できることが判明いたしました。
 次に、サービスの面では、通信速度や安定性など通信の質を確保することはもとより、より多くのユーザーにできるだけ利用しやすくすることも課題と考えております。
 いずれにいたしましても、バス車内のWi-Fi環境の整備につきましては、都バスとしては場所を提供するものでございまして、整備の主体は通信事業者であることから、今後、通信事業者と調整を行いながら本事業を推進してまいりたいと考えております。

○上野委員 バス車内のWi-Fi環境整備を進めていくにはさまざまな課題があるというお話でございました。今後、そうした課題を解決していくには通信事業者との調整も必要になると考えます。利用者の期待にこたえるためにも、便利で使いやすいものを早期に導入していただきたいと思います。そこで今後、バス車内のWi-Fi導入推進の取り組みについてお尋ねいたします。

○土岐自動車部長 バスの車内にWi-Fiを整備していくに当たりましては、今後、事業者の選定を行うことになりますが、選定に当たりましては、先ほど課題として挙げました通信の質などのほか、整備に要する期間や設置に当たっての条件なども考慮してまいりたいと考えております。今後の進め方につきましては、平成二十五年度から、まずは渋谷から六本木を経由し、新橋を結ぶ都01系統など、お客様の多いバス路線から導入していきたいと考えており、できるだけ早期にWi-Fiの導入を進めてまいります。

○上野委員 今日、情報端末によるインターネットの利用は急速な広がりを見せております。さまざまな手段や媒体で情報取得を可能にすることは、都市の持つべき機能として必要であります。
 今回、都営バス車内にWi-Fi環境を整備することで、都内を移動する人のインターネット通信環境の向上に都営交通が大きな役割を果たすと考えます。ぜひ着実に進めていただくよう願うものでございます。
 今年度の最後の質問の中で、公明党は私が質問ということでございまして—交通局が本当にこれまで一生懸命取り組んでこられて、利用者の安全・安心、そして利便性の向上、質の高いサービス、これを推進していくということとともに、一方では、その経営の効率化を進めていかなければならないという大変な困難さを乗り越えながら進めてこられているわけでありまして、来年度におきましても、さらに局長を先頭に、交通局、頑張っていらっしゃると思いますけれども、突然ではございますけれども、局長、来年度に向けての本当に率直な思いというものを込めての決意を、鈴木委員とともどもに代表してお聞かせを願いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中村交通局長 先ほど、日暮里・舎人ライナーの障害者の店舗の話もございました。我々交通機関としては、すべての人に優しい交通機関でありたいというふうに思っております。その中ではやはりお客様がまず第一であるという考えのもとにおいて、それと同時に、お客様が何を望んでいるのか、それはやっぱり安全・安心ということでございますので、それに力を入れていきたい。
 そして今、それぞれの時代が進む中で、お客様のニーズも変わってまいりますので、そこの中では、上野副委員長のお話にありましたようにWi-Fi関係、情報通信とか、時代の変化も見据えたサービスをしていかなければならないというふうに考えております。
 このようなサービス、あるいは安全・安心の確保の土台というものは、やはり財務基盤にあると、財政基盤にあるというふうに考えてございます。これをおろそかにすると、お客様への安全・安心の確保も迅速にできなくなる。これは今はちゃんとやっていると思いますけど、できなくなる可能性もありますので、やはりそこのところはきちんと見据えた形で、経営の健全化も進めていきたいというふうに考えております。
 今回、経営計画三カ年、新しいものをつくりましたので、ここの考えのもとに計画がつくられておりますので、この考えのもとに、計画の執行を全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○西崎委員 私は、これまで都営地下鉄の駅空間の充実について質問などを行ってまいりました。きょうも各委員からも質疑が出ておりましたけれども、ホームドアの設置と転落防止対策の推進、さらにはバリアフリーの充実など進められてきているんではないかと思います。
 この三月十一日で、東日本大震災から二年が経過いたしました。テレビ画面から流れる被災地風景は、まだ更地ばかりで鉄道も復旧していません。被災地の方は大変な思いをなさっていると思いますけれども、あの日の記憶を風化させてはいけないと思います。
 東京でも、直下型の地震がいつ起こるかわからない状況下で、首都直下地震を初めとする大災害発生時などの有事には、平時とは異なる対応が必要となり、ふだんからの取り組みが大切です。
 私は小田急を利用しているんですが、昨年、小田急電鉄と東京消防庁が合同で、マスクなどをつけた防災訓練を新宿駅で実施しておりました。平日、乗降客が行き交う中で、たまたまその光景を見ることができたのですが、訓練の実施は大変重要だと思います。そこでまず、都営地下鉄では、日ごろ、どのような訓練を行っているのかお聞かせください。

○岡本安全管理担当部長 訓練についてのお尋ねでございますが、都営地下鉄では、災害等の異常事態に対する即応力の維持向上を図るため、毎年、駅、運転、保守の各部門が合同で、異常時総合訓練及び自然災害防止訓練を実施しております。
 異常時総合訓練では、大規模地震の発生による列車の脱線や架線の損傷など、さまざまな事態を想定した連絡通報、乗客の避難誘導、負傷者の救出、施設復旧などの訓練を消防などとの協力を得て行っております。
 自然災害防止訓練では、集中豪雨等による駅出入り口からの大規模な浸水を想定し、止水板や土のうの設置、部門間の情報伝達などの訓練を行っております。また、駅、車内での化学兵器などによるテロ行為を想定したNBCテロ訓練を警察や消防の協力を得て路線別に行っております。
 このほか、日ごろから駅や乗務管理所などの職場単位で避難誘導などを行う消防訓練や、各種防災機器の取り扱いにかかわる訓練など、さまざまな訓練を行っております。

○西崎委員 いろいろご丁寧に説明していただきまして、さまざまな訓練が実施されていることはよくわかりました。災害の中でも、特に大規模な被害を生み出すのは、やはり東日本大震災を見ていても大規模地震の被害だと思います。東日本大震災の被害の映像は、まだ脳裏に焼きついておりまして、実際に被災地を訪れますと、自然のその威力の怖さを思い知らされます。
 東京都は、昨年四月に首都直下型地震等によります東京の被害想定を公表いたしました。そこで交通局では、これらを踏まえて、特に大規模地震に対する訓練等を実施しているのか伺います。

○岡本安全管理担当部長 交通局では、定期訓練に加えまして、昨年十二月に首都直下地震により停電が発生したとの想定で、終車後、深夜でございますが、実際に駅間で停止した列車から乗客を避難誘導する訓練を都営新宿線において実施いたしました。
 また、鉄道事業者に駅での利用者保護を求める東京都帰宅困難者対策条例が来月から施行されることに先駆け、今月十一日、今週の月曜日でございますが、初めて東京メトロと合同で帰宅困難者対応訓練を、日比谷駅、有楽町駅構内において実施いたしました。この訓練では、駅係員のスキルアップを図ることを目的に、帰宅困難者の避難誘導や備蓄品の配布などを行いました。今後も訓練を積み重ね、お客様の安全・安心の確保に努めてまいります。

○西崎委員 三月十一日の東京メトロとの合同の訓練の模様は、テレビでも放映されておりましたし、また、都営地下鉄において災害時、電車などがストップしたときにホームから飛びおりないように、誘導は前のドアとかそういった都の職員の方が出ていてテレビで詳しく放映されておりましたけれども、深夜に実際にトンネルを利用して訓練を実施することはいろいろな面で大変だと思いますが、そのまま実際の場面で生かすことができるような貴重な訓練だと思います。また、事業者同士の協力についても実際の場面も踏まえた大変よい試みであり、これらの訓練を今後も継続していただきたいと思います。
 さて、今回、帰宅困難者対応にかかわる訓練を行い、備蓄品の配布等を実施したとのことですけれども、帰宅困難者対策については、お話のように来月四月から東京都帰宅困難者対策条例も施行されます。そこで、都営地下鉄各駅における駅利用者の備蓄品の整備状況の詳細についてお聞かせください。

○岡本安全管理担当部長 交通局では、都営地下鉄全駅にとどまる帰宅困難者数として推定する約五万人を対象に、まず、昨年五月までに、管理する全百一駅に、飲料水を初め、体温の低下を防止する防寒用ブランケットや、床に腰をおろす際のクッションがわりとなる簡易マットを配備いたしました。さらに昨年十月には、駅のトイレが使えない場合を想定し、簡易携帯用トイレを配備するとともに、停電が発生した際に誘導用として使用する簡易ライトを追加配備したところでございます。

○西崎委員 現在、備蓄品が整備されているということは、今の答弁で確認できましたけれども、これで十分なのかというのはちょっと私も、何と申し上げていいのかわかりませんが、今後、きちんと点検していく必要があると思います。
 さて、先ほど、日ごろの訓練に関する答弁の中で、駅単位でも訓練を実施しているというお話がございました。このような、まさに現場で行われる訓練においては、職員のスキルアップにもつながるほか、具体的な課題を浮かび上がらせることができると思います。例えば、利用者の避難誘導一つとってもいろいろな課題があると思います。駅での災害発生時の利用者の避難誘導について、基本的な誘導方法に加え、例えば、車いすを利用している方、障害のある方などハンディキャップのある方に対しての対応はどのように行うことになっているのか伺います。

○小泉電車部長 都営地下鉄の駅では、非常時に備え、職員の対応手順を定めております。具体的には、まず災害の状況等を確認し、お客様には落ちついて行動していただけるよう、車内や駅構内の放送等によりご案内するとともに、負傷者の救護、応急手当てを行います。その後、避難路の安全を確認した上で、お客様を避難誘導いたします。その際、乗客の中に、警察、消防、鉄道関係者等がいれば協力を要請し、消防署の救急隊と連携して、負傷者、高齢者、障害者等を優先に避難誘導を行うこととしております。

○西崎委員 今の答弁で、基本的な避難誘導方法に加えて、災害時の弱者に対しても十分な配慮がされていることが確認できました。これまで都営地下鉄の訓練等について伺いましたけれども、最後に都バスについて伺いたいと思います。
 交通局では、多くのバス路線を持っており、都営地下鉄同様、訓練等を積み重ねる必要があると考えますけれども、どのような訓練を行っているのかお聞かせください。

○土岐自動車部長 バスの訓練についてのお尋ねでございますが、都営バスでは、毎年、本庁と事業所が合同で大規模地震や重大事故などを想定した情報伝達訓練を実施しております。今年度の大規模地震に対応した訓練では、平日の日中に大規模な地震が発生したという想定のもと、バス車両の運行中止を指示するとともに、事業所からの被害状況を集約し、安全を確認した上で運行の再開を指示するまでの訓練を行いました。
 また、重大事故に対応した訓練につきましては、休日の日中に事故が発生したという想定のもと、負傷者の救護や警察への通報など事故現場での対応を行い、現場で収集した情報を事業所や本庁へ伝達する訓練を行いました。
 いずれも実施に当たりましては、シナリオの一部を前もって決めずに実施する、いわゆるブラインド訓練の手法も取り入れて、より実践的な訓練内容としたところでございます。このほか、それぞれの事業所におきましても、地元警察などと連携して、テロ対策など、さまざまな訓練を実施しているところでございます。

○西崎委員 きょうの質問は、訓練ということに一本に絞らせていただいたんですけれども、都営地下鉄、都バスとも局全体での大規模訓練、それから各事務所別での訓練が定期的に行われるとともに、必要に応じて臨時の訓練を実施していることが、きょうの質疑を通して確認できました。
 三月十一日は、大変テレビや新聞でも被災地の状況が報告されておりましたけれども、あれを見て、やはりいつこの災害というのが私たちに訪れるかわからないということで改めて認識をしたんです。
 実は、私はかつて、かなり前ですが、航空会社の客室乗務員をしていたことがございまして、職務について間もないころ、若いころなんですが、ハイジャックに遭うという衝撃的な経験をいたしました。そのときの経験から、周囲がパニックに陥っている状態では冷静にかつ適切に行動するということがいかに大変か、決して容易ではないと思いました。
 パニックに陥っている乗客の安全を確保するには、乗務員のその場での判断とか誘導が非常に重要になってまいります。安全のマニュアルを頭の中で幾ら理解していても、実際に体験していないと、体さえ、いざというときには行動できないと思います。私の過去の経験からも、有事を想定したさまざまな訓練を平時からしっかりと行っていくことが乗客の安全を守ることだというふうにいえると思います。
 交通局には、これからもぜひさまざまな訓練を実施して、いざというときにその経験を生かしていっていただきたいと思います。
 訓練は、一回受けただけでは時間がたてば忘れますので、定期的に行うことも重要だと思います。今後も、さらにこのような取り組みを進められることをお願いして質問を終わります。

○淺野委員 私が最後ということですので、手短にさせていただきたいと思っております。
 まず一つ目です。この交通局の経営計画というのが今回出されておりますが、ここの計画の八〇、八一ページのところに、経営効率化の推進で五事業というのが出ております。この五つの事業、載っておりますけれども、この事業の中で、経営効率化を進めるという上で具体的な数字が出てきているのは、実は職員定数の削減のところだけでして、それ以外は文章でこういうことしますよということは書いていますが、数値目標というのは実はその部分だけなんですね。その数値目標を掲げるのはいいいことなんですけれども、それが、職員定数の削減ということのみになっているというのがどうなのかと。
 私自身は、経営を効率化させるのはすごくいいことだとは思っておりますけれども、職員の定数削減だけが、別に経営効率化というわけでもありませんし、先ほども答弁の中で、これまで効率化してきましたよという話も、実は定数の削減と給与カットをしましたということしかいってないですね。その形、意識として、経営効率化って別にその職員定数を削減することではなくて、何らかの、ほかに数値上でのちゃんとした目標があって、それでそれを達成するための手法として、例えば、一つ職員定数の削減とかがあるというふうに私は思っておりますから、そういう意味では、何を達成するためにというのが一番重要になってくるんだと思います。そこで、交通局、今回の経営計画で、どういった考えのもとで、この職員定数の百名という数字を出してきたのかということについて伺いたいと思います。

○鈴木総務部長 職員定数の削減についてのお尋ねでございますが、先ほども申しましたが、公営企業は常に経済性を発揮しまして、合理的な業務運営を行って最少の経費で最大のサービスを提供するということが求められておりまして、こうしたことから、交通局ではこれまでも、安全・安心の確保などを図りながら、職員定数の見直しを含めて、それと給与の見直しというお話でしたが、そのほか、さまざまなコストの縮減、こういったものも徹底しながら、徹底した経営の効率化に取り組んできたところでございます。
 新しい経営計画におきましても、安全・安心の確保あるいは質の高いサービスの提供、東京の発展への貢献と、さまざまな事業を盛り込むとともに、経営期間三カ年の財政収支目標ですとか、職員定数を含めた経営効率化などについても明らかにしているところでございます。
 職員定数につきましては、事業を着実に実施していくために必要となる人員を積み上げて算出をいたしました。この算出に当たりましては、業務組織の見直しですとか関連団体などの活用など、あらゆる努力、工夫を重ねて、より一層効率的な事業運営を行うこととして、平成二十七年度の職員定数を現在の定数と比較いたしますと百人少ない六千五百十六人ということにしたものでございます。

○淺野委員 何度もいいますけれども、別に削減してもいいんです、削減しなくてもいいんです、どちらでもいいんですが、掲げる目標というのは、私自身は、効率化の推進のところに具体的な数字が削減の話しか出てこないというのがちょっと寂しいなという思いだということを理解していただきたいと思います。
 コスト管理の話もそうですけれども、職員一人一人のコスト意識の醸成を図りますと言葉では書いてあります。コスト意識を持ちましょうというのも簡単なんです。でも一番大切なことは、達成目標がどこにあるのかということを明確にわかっているかどうかということだと思うんですね。
 例えば、この三カ年で、コストのカットが、つまり収益率とかが〇・一%上がっても、当然効率的な運営したことになりますけれども、それから一%上がっても効率的な運営なんですね。言葉でいうと効率的なんですが、数値目標で掲げたときに、冷静に達成できたかどうかというのは厳密なものが出てきます。例えば、民間企業と比べても、本業の部分ですね、行政、公営企業という形でいけば、いろんなことやらなきゃいけない部分はありますが、まさに本業の部分では、日本で最も効率的な運営をしているんだという意味では、例えば、収益率が一番高いよということを数字を確実に目指しますとか、そういったことがいえて、初めて、私はそれは達成できたかどうかという検証が後で生きてくるんだろうと。PDCAサイクルの話も出てきておりますけれども、その部分、ぜひ意識をして、数値目標を実はしっかりと掲げていただきたいということを念頭に置いて、これからの三カ年の経営、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、オリンピック招致を見据えての話なんですけれども、この計画の中の28や、58等を見ても、外国人の云々というのはよく載っております。ただ、今回、オリンピック招致を見据えて、外国人の方、招致が成功した暁には、もちろん八年後ですけれども、今からですと七年後ですか、たくさんの方がいらっしゃるということになります。
 日本人は、そもそも識字率が非常に高い、世界でも、かなり希有な国だと思った方がいいと思うんですね。世界じゅうの国の中で、当然のことながら文字が読める、それからあらゆる複雑なことを結構ちゃんと理解しようと努力をしてくれるという国民は、そんなにたくさんいないと私は思っております。
 世界からいろんな方がいらっしゃるときに、そのさまざまな方々が最もわかりやすくするには、例えば、ピクトグラムといった、そういう、いわゆる非常口のマークみたいなものですけれども、一目で見てわかるといったものをどんどんどんどん示していったり、あるいは、さまざまな誘導というのも、床だとか天井とかに書いてあるだけではなくて、その入り口そのものが物すごい発信をしているというような、そういった自己主張の強い案内というのをしていくべきだと私は思うんです。
 ですから今後、さらにそういった外国人の方々が入ってきたところ、オリンピック招致も見据えた上で、都営地下鉄などにおける外国人にもわかりやすい案内表示といった取り組みについて伺いたいと思います。

○小泉電車部長 都営地下鉄では、外国人のお客様が安心して利用できるよう、日本語に加えて、英語、中国語、ハングルの四カ国語表記による案内に取り組んでいます。具体的には、駅ホーム案内板の駅名、駅長事務室、トイレなど、主要な施設設備の案内サイン及び改札口に設置している列車運行情報表示装置の情報を四カ国語で表記しています。
 あわせて現在、東京メトロと統一したデザインで、お話のようなピクトグラムを活用したわかりやすい案内サインの設置を進めており、平成二十五年度に交通局管理の全百一駅の整備を完了する予定でございます。
 また、適宜、案内サインの見直し、改修を行っております。具体的には、お客様の声の中に大江戸線大門駅のトイレの表示が小さく、入り口がわかりにくくて不便ですというご意見がございまして、これを受け、男女別のトイレ表示を大きくするとともに、色分けを行うことで、離れた場所から見ても入り口がわかるようにする改修を平成二十二年度に実施した例がございます。これは、交通局ホームページでサービス改善事例としてもご紹介してございます。
 今後とも、お客様の視点に立って、適宜、サイン等の見直しを行い、外国人のお客様にもわかりやすい案内表示となるよう、その充実に努めてまいります。

○淺野委員 今、最後の大江戸線の話も出ましたけれども、お客さんの要望がなくても、例えば、トイレなんかも、実は、私が見ている他社のものだと思いますが、男性用のトイレも女性のトイレも入り口そのものが、男性用は青、女性用は赤というかピンクに近い色でしたけれども、入り口そのものが全部その色で囲われているんですね。そうすると、物すごい自己主張が強いですから、ぱっと見た瞬間にあそこにトイレがあるというのがわかる。そういったものがどんどんふえていくことによって、実は、私、外国人の方もそうなんですけれども、オリンピック招致というのはよくいわれる経済効果とかなんとかって一般の方々がなかなか実感しづらい部分が、ふだん使われる地下鉄や何かで、そういう見やすい表示というのがどんどんふえて、これもオリンピック招致における一つの効果なんだということが伝わることで、たくさんの方々が物すごく納得しやすい雰囲気をつくる。もちろん支持率は十分高いんですけれども、交通局として協力できることというのは実はそういった観点でも、オリンピック招致という一つのものにおいても、見方によってはそういうのがあるんだということも、ぜひわかっていただきたいなと思います。
 これから三年間さまざまな取り組みをまだまだ続けていかれるんだと思いますが、この中には、私の地元の大江戸線の延伸の話も載っておりますけれども、スピードアップして、検討するということもたくさんありますが、検討するだけで三年間終わらないように、ぜひぜひ前向きな結論がどんどん前倒しで出ていけるような取り組みをこれからも期待いたしまして私の質問を終わりたいと思います。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十六分散会

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