公営企業委員会速記録第十二号

平成二十四年十一月十五日(木曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長桜井 浩之君
副委員長笹本ひさし君
副委員長上野 和彦君
理事淺野 克彦君
理事相川  博君
理事西崎 光子君
新井ともはる君
矢島 千秋君
野田かずさ君
鈴木貫太郎君
泉谷つよし君
くまき美奈子君
山田 忠昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長中村  靖君
次長宮川  昭君
総務部長鈴木 尚志君
職員部長廣瀬 秀樹君
資産運用部長室星  健君
電車部長小泉  健君
自動車部長土岐 勝広君
車両電気部長石井 明彦君
建設工務部長遠藤 正宏君
企画担当部長広瀬 健二君
安全管理担当部長岡本 恭広君
バス事業経営改善担当部長太田  博君
技術調整担当部長奥津 佳之君
技術管理担当部長川合 康文君
下水道局局長小川 健一君
次長石原 清次君
総務部長小山 哲司君
職員部長安藤  博君
経理部長熊谷  透君
計画調整部長黒住 光浩君
施設管理部長渡辺志津男君
建設部長野村 俊夫君
企画担当部長永野  実君
技術開発担当部長坂根 良平君
施設管理担当部長野口 毅水君
流域下水道本部本部長松浦 將行君
管理部長須田  潔君
技術部長中里  隆君

本日の会議に付した事件
 交通局関係
事務事業について(質疑)
 下水道局関係
事務事業について(質疑)

○桜井委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局及び下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○新井委員 それでは、よろしくお願いします。
 初めに、都営地下鉄のバリアフリー対策についてお伺いします。
 都営地下鉄は、一日約二百三十万人の方に利用されていますが、少子高齢化が進展していく中で、高齢者の方や障害者の方など、円滑に都営地下鉄は利用できることが大変重要だと考えております。
 そこで、都営地下鉄は、どのようなバリアフリー化に取り組んできたのか。とりわけ、エレベーターの整備は重要だと考えますが、所見をお伺いします。

○遠藤建設工務部長 都営地下鉄では、人に優しい公共交通機関を目指しまして、駅のバリアフリー化に取り組んできております。
 具体的には、エレベーターやエスカレーターの設置、だれでもトイレの設置、駅構内にある段差の解消などであります。
 このうち、エレベーターの整備に関しましては、すべての駅におきまして、ホームから地上までを階段を使わずにエレベーターなどを利用して移動できる、いわゆるワンルートの確保に取り組んでまいりました。
 その結果、十月末の時点でございますけれども、全百六の駅のうち、百一の駅で整備が完了しておりまして、現在、残りの五駅について工事を行っているところでございます。
 今後も、利用が不便な乗りかえ駅などにおきまして、引き続きエレベーターの整備に努めていくことが重要と、このように認識してございます。

○新井委員 引き続きエレベーターの整備を初め、バリアフリー対策を進めていただきたいと思います。
 次に、ただいま答弁のあった事項について、何点かお伺いをいたします。
 まず、身体の不自由な方や乳幼児を連れた方など、利用しやすい、だれでもトイレの整備を進めてまいりましたが、健常者の方がだれでもトイレを利用することもあり、車いすの方などが、実際、使用したいときに使用できないというふうな声を伺っております。
 そこで、だれでもトイレの利用者の分散を図るための対策が必要だと思いますが、見解をお伺いします。

○遠藤建設工務部長 都営地下鉄では、だれもが使いやすいトイレとなるよう、バリアフリー機能を充実させただれでもトイレを、平成二十二年度までにすべての駅に設置してまいりました。
 一方、一般用のトイレにつきましても、お客様が快適に利用できるよう、ユニバーサルデザインを取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへ計画的に改良していくことが重要でございます。
 このため、経営計画におきまして、トイレのグレードアップ事業として、ベビーチェアを備えたブースや、オストメイト対応のブースの設置、トイレ入り口の段差の解消などに取り組むこととし、平成二十二年度からこれまでの間に、十九カ所の整備を行ってまいりました。
 今後とも、お客様にとって利用しやすいトイレの整備に努めてまいります。

○新井委員 さまざまな利用者の満足度を向上させるため、計画的な整備を進めていただきたいと思います。
 次に、車いすの方が地下鉄に乗る際は、スロープ板を使い、車内まで介助してもらいながら乗車をしております。一部の車いすを使用する方からは、できれば自分自身の力で乗車をしたいという声も聞きます。
 都営地下鉄では、ホームドアを設置している三田線などについては、車両に車いすスペースがある乗降口からのホームのかさ上げを行い、段差の解消を図っていると聞きますが、ホームドアを設置している三田線などのホームと電車との段差解消に向けた取り組みについてお伺いします。

○遠藤建設工務部長 地下鉄の駅では、車いすのお客様だけでなく、だれもが乗降しやすいよう、ホームと電車との間の段差の解消を図ることが重要だと考えております。
 これまでに、例えば三田線におきましては、ホームドアの整備に合わせまして、平成十二年度までに、車いすスペースがある車両のドア位置のホームの上に小さなスロープを設置いたしまして、車両との段差の解消を図ってまいりました。
 また、大江戸線でも同様に、ホームドアの整備に合わせましてスロープの設置に取り組んでおりまして、来年の六月までに、すべての駅で設置を終える予定でございます。完成いたしますと、車いすのお客様が介助なしでご利用いただけるようになるわけでございます。
 今後も、駅の改修の機会をとらえるなどして、段差の解消に努め、お客様にとって安全・安心な都営交通を目指してまいります。

○新井委員 段差の解消を図ることは、車いすを使用する方ばかりでなく、高齢者の方やベビーカーを使用する方なども、スムーズな乗りおりができることになると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、車両の優先席についてお伺いをします。
 高齢者、障害のある方などのために、車内に優先席を設置していますが、本年六月から、優先席をふやす取り組みが行われました。優先席の増設は、今後の高齢社会を見据えれば必要な取り組みだと思いますが、優先席を必要とする方が、実際、利用することができないという話も耳にします。
 そこで、優先席について、地下鉄利用者への周知やマナー向上に関する取り組みについてお伺いをします。

○小泉電車部長 都営地下鉄では、優先席を必要としている方がより安心して地下鉄をご利用いただけるよう、さまざまな形で周知を図っています。
 具体的には、ポスターを駅構内、車内へ掲出するとともに、構内放送や車内放送により、優先席を必要としている方に座席をお譲りいただけるよう、お客様のご理解とご協力をお願いしています。また、今回の本年六月から実施している優先席増設につきましては「広報東京都」や局ホームページに掲載をいたしました。このほか、都内の小学生を対象に、優先席の対応も含めたマナー読本を作成し、配布しています。
 引き続き、優先席利用マナーの普及、改善に努めてまいります。

○新井委員 さまざまな対策を行うことにより、優先席の適切な利用が図られるように取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、都営地下鉄の浸水対策についてお伺いをします。
 東京の東部には、地盤の高さが満潮時の海水面以下の地域、いわゆるゼロメートル地帯が広がっています。ゼロメートル地帯は、台風等による浸水の危険性が高い地域ですが、都営地下鉄の新宿線や大江戸線は、二十三区東部のゼロメートル地帯を走行しております。また、都心部についても、台風や、いわゆる集中豪雨などによる河川のはんらんなどによって、地下鉄の出入り口から駅構内へ浸水することが予想されます。
 こうしたことを考慮して、これまでの間、ハード、ソフト両面からさまざまな対策を講じているとは思いますが、確認のため、都営地下鉄におきます浸水対策について、どのような取り組みをしているのかお伺いをします。

○岡本安全管理担当部長 都営地下鉄における浸水対策の取り組みについてでございますが、都営地下鉄では、周辺の過去の浸水被害や地形を考慮し、駅の出入り口について、九十四駅に止水板や防水扉を設置するとともに、地下鉄内の自然換気を行う歩道上の通風口九十カ所に浸水防止機を設置してまいりました。
 さらに、沿線各区が、平成十二年九月の東海豪雨の規模を想定したハザードマップを平成二十年度までに公表したことを受け、出入り口や通風口の再点検を実施した結果、一部の箇所について止水板のかさ上げや浸水防止機の追加等が必要であることが明らかとなりましたので、平成二十三年度から二十五年度までの三カ年で対策を行うこととし、鋭意進めております。
 また、日ごろから職場単位で個別に訓練を行うとともに、駅、運転、保守の各部門が毎年合同で、止水板や土のうの設置、部門間の情報伝達等を内容とした自然災害防止訓練を行っているほか、万一の浸水に備え、お客様を避難誘導するための水防法に基づく避難確保計画を、すべての地下駅において定めております。

○新井委員 引き続き浸水対策の取り組みを進めていただきたいと思います。
 最後に、職員の人材育成についてお伺いをします。
 都営地下鉄においては、駅員、保守係員など、さまざまな仕事に携わっている職員が日々の安全を守るため働いております。交通局の職員数は、年々減少しているとともに、特にトンネルや車両の保守に携わっている職員については、大量退職などにより、技術力を有する人材が減少していると聞いております。こうした状況において、地下鉄の安全を支える人材の育成が近々の課題ではないかと考えております。
 そこで、保守業務に携わる職員の技術力の維持向上、技術の継承に、どのように取り組んでいるのかお伺いをして、私の質問を終わりにします。

○廣瀬職員部長 都営地下鉄の安全を確保していくためには、お話の保守業務を初めといたしまして、技術力の維持向上や技術の継承など、人材育成が重要な課題でございます。
 こうしたことから、交通局では、技術職員の育成を図るため、職場ごとに計画を立て、知識、経験が豊富な上司やベテラン職員が、実態に即したOJTを継続的に行うとともに、事故の早期復旧を目的とした実地訓練等を実施しているところでございます。
 あわせまして、事故防止の専門家による研修や過去の事故事例等を紹介した展示室の活用などによりまして、技術職員の安全意識のさらなる高揚に努めているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みのより一層の充実を図り、技術を支えるプロフェッショナル職員の育成に全力で取り組んでまいります。

○山田委員 それでは、私も、主要事業であります地下鉄事業について何点かお伺いをいたしたいと思います。
 平成二十三年度の都営地下鉄の乗客数は二百二十七万九千人ということでありまして、平成二十二年、前年度に比較しますと約二%減少しております。平成二十三年は、東日本大震災の影響を受けたことなどにより、都営地下鉄を初め、多くの民鉄各社も利用者が減少していると思いますけれども、こうした状況が、現在、平成二十四年度においても継続しているかどうか、まず、それをお伺いいたしたいと思います。

○小泉電車部長 委員ご指摘のとおり、平成二十三年度における都営地下鉄の乗客数は、前年度と比較して二・〇%の減少となりましたが、これは、昨年三月の東日本大震災の影響により、鉄道利用の減少があったことによるものと考えております。
 この傾向は、昨年の十月ごろまで続いていたと考えられますが、その後、徐々に影響が少なくなったと考えられ、本年三月には、対前年度比で乗客数が増加に転じ、さらに五月からは、震災前の平成二十二年度の水準を上回り、増加傾向となっています。
 この結果、平成二十四年度の上期は、一日平均乗客数が約二百三十九万人となり、昨年の同期と比較して四・六%増となりました。震災前の二十二年度の同期と比較しても〇・八%の増となっています。
 増加の要因としましては、大江戸線及び三田線を中心に定期の乗客のお客様が伸びたこと、五月の東京スカイツリー開業により、押上、浅草を中心に浅草線の乗客数の伸びが好調だったこと、昨年は中止となった花火大会などのイベントが復活したこと、また、昨年度大幅に減少した訪日外国人観光客数が回復しつつあると見られることなどが挙げられると考えております。

○山田委員 平成二十四年度の最近の乗客数は、今お話がありましたように、平成二十三年と比べて増加傾向にあるということでありますけれども、東日本大震災の影響は、これによって少しずつ脱しつつあるということもできると思いますが、交通局においても、乗客数の増加を図るため、さまざまな努力をされていると思います。
 そこで、地下鉄の乗客数をふやすための具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○小泉電車部長 都営地下鉄の乗客増のための対策でございますが、まず、輸送力増強と利便性向上を図るとともに、相互直通運転各社との連携を一層強化し、増客増収を図るため、ダイヤの見直しを行っています。平成二十三年度は三田線と大江戸線、今年度は新宿線と浅草線のダイヤ改正を実施いたしました。
 次に、観光等に便利な企画乗車券を相互直通運転各社とも連携して発売し、乗客誘致を図っています。具体的には、京急及び京成それぞれと連携しまして、羽田及び成田の各空港と都営地下鉄区間内を利用する方に便利な企画乗車券を発売しておりますほか、京王と連携しまして、多摩地域と都心との移動に便利な企画乗車券を発売しております。
 このほか、都営地下鉄沿線の施設や観光スポットの情報を紹介したポスターや小冊子の発行、季節ごとの休日などに都営地下鉄全線をワンコインで利用できるワンデーパス等の発売を継続的に実施しています。
 特に東京スカイツリー開業を機に、浅草周辺を初めとする都営地下鉄沿線への観光客誘致の効果をねらったPRを重点的に行っています。
 今後も、都市開発の動向や乗客潮流の変化を的確にとらえ、乗客増に向けて積極的に取り組んでまいります。

○山田委員 乗客数の増加を図るために、さまざまな取り組みを行っていることがわかりますが、少子高齢化が進む中で、今後は、通勤とか通学客のみならず、観光客の促進策をより図ることも重要だと考えます。
 今のご説明によりますと、企画乗車券の発売だとか、あるいはダイヤの見直しを図って、より利便性を図るとか、さまざまな対応を行っていると思いますけれども、先ほどいった、観光にも力を入れるということの中で、日本人の観光客だけでなく、外国から日本を訪れた方々にも地下鉄を利用してもらう、そのことによって、それが増収につながると思いますので、そこで、外国人観光客に対する利用案内などの取り組みについてお尋ねをいたします。

○小泉電車部長 都営地下鉄では、外国からのお客様に安心してご利用いただけるよう、日本語に加えて、英語、中国語、ハングルの四カ国語表記による案内に取り組んでいます。
 具体的には、交通局ホームページを四カ国語表記で作成して、都営地下鉄に関する情報を事前に調べることができるようにしています。また、地下鉄路線図を四カ国語表記で作成して、駅のみならず、外国人が多く泊まる宿泊施設でも配布しています。さらに、駅長事務室やトイレなどの案内サイン、改札口に設置している列車運行情報表示装置の遅延情報は四カ国語で表記しておりまして、外国からのお客様の利便性向上を図っております。そのほか、乗車券の購入や駅周辺の観光などをご案内するために、外国語の話せるコンシェルジュを浅草や六本木など十二駅に配置しています。
 今後とも、外国からのお客様に安心して都営地下鉄をご利用いただけるよう、外国語による案内の充実に努めてまいります。

○山田委員 外国人に対しても、案内の面でさまざまな配慮をされていらっしゃるようでありますが、ぜひ今後とも、より積極的な観光客の需要の掘り起こしに努めていただきたいと思います。
 次に、利用者の安全・安心の確保の観点から、交通局の取り組みについて、何点かお伺いしたいと思います。
 先般の交通局の事務事業の説明の際、中村局長の方から、東京都交通局経営計画ステップアップ二〇一〇における四つの方針の第一に、安全・安心の確保が定められているとの説明がありました。交通事業において、まず求められるのが、お客様の安全・安心であることは当然のことだと思います。そして、そのために必要なことは、輸送の現場における日々の地道な努力、取り組みであり、万一の災害等に対する備えであると思います。
 そこで、まず気になりますのが、これはいまだ記憶に新しい三・一一震災でありますけれども、本年四月の新たな被害想定では、震度七の地域が出るとともに、震度六強の揺れが、より幅広い地域で起こることが示されております。耐震化は震災対策の基本であり、これをいま一度、徹底的に検証する必要があると思います。
 東日本大震災では、震源に近い仙台市営地下鉄の高架部が被害を受けたことによって、全線での運行再開まで二カ月近い日数を要したと聞いております。都営地下鉄については、想定される地震に対しては、いち早い復旧、運行再開が求められると思います。
 そこでまず、都営地下鉄の耐震対策と、大地震が発生した場合の対応についてお伺いをいたします。

○岡本安全管理担当部長 交通局では、お客様の安全を確保するため、地下鉄施設の耐震対策に積極的に取り組んでまいりました。これまでに平成七年の阪神・淡路大震災を受けて、国が定めた基準に基づき、高架部の橋脚や地下鉄の中柱の補強などの耐震対策を完了しております。
 加えて、東日本大震災の教訓を踏まえ、大地震が発生しても運行の早期再開が可能となるよう、施設が大きな損傷を受けることなく機能を保持できることが重要であると考えており、施設の安全性をさらに高めるための対策に取り組むことといたしました。
 大地震が発生した際には、緊急地震速報を受け、一たん列車を停止させ、安全を確認の上、次の駅まで徐行運転し、お客様を駅構内の安全な場所へ避難誘導いたします。次いで、被害状況を把握し、運行再開に向けた準備を進めることになりますが、地震計を地下鉄線内十六カ所に設置し、エリアごとの震度を詳細に把握することで、必要な点検を短時間で効率的に実施できる体制を整えております。

○山田委員 東日本大震災当日、都営地下鉄では、発災直後から直ちに被害状況の把握、安全点検を実施し、いち早く運行を再開するとともに、翌朝まで終夜運行を行いました。こうした対応ができたのも、地下鉄構造物に被害が発生しなかったからでありまして、また、地震後の対応がしっかりしていたからであると思います。今後も、大地震への備えに万全を期していただきたいと思います。
 また、大地震が発生した際には、停電が起こることもあります。停電の発生により、トンネル内で地下鉄がとまる、そして、車内が真っ暗やみとなったとしましたら、当然、利用者、乗客の皆さんが大変不安になると思います。そうした中でも、利用者を安全に避難させなければなりません。大地震が発生し、停電により駅間で列車がとまってしまった場合の、その対応についてお伺いをいたします。

○岡本安全管理担当部長 万一、大地震が発生し、停電により列車が駅間に停止した場合でも、車両に搭載されております非常用バッテリーにより、車内の予備灯が点灯し、車内放送やドアの開閉も可能となっております。また、トンネル内及び駅においても、非常用の電源等により、非常用照明や避難誘導灯が点灯するとともに、放送設備などを使用することもできます。
 こうした状況のもと、駅係員と乗務員が協力して安全を確認し、状況説明を行った上で、お客様を列車の非常脱出口、または車両のドアから降車させ、その後、徒歩で駅へ避難誘導し、状況に応じて駅構内から地上へ誘導することとしております。
 また、発災後の対応に万全を期すため、日ごろから異常時を想定し、さまざまな訓練を実施しているところですが、来月には、東日本大震災の教訓も踏まえ、大規模地震により停電が発生したとの想定で、終車後、深夜に、実際に駅間で停止した列車から乗客を避難誘導する訓練を実施することとしておりまして、この中で、さまざまな検証を行う予定でございます。

○山田委員 十分な訓練が必要だということと同時に、十二月に訓練を実施して、さまざまな検証を予定されているということであります。ぜひ、このような訓練を通じて、万が一のときには十分な対応ができるように努めていただきたいと思います。
 また、東日本大震災発生当日、東京では多くの帰宅困難者が発生をいたしました。その際、一部の鉄道事業者におきましては、駅構内から利用者を締め出すという、そういうこともありまして、いろいろ問題にもなりましたし、やはり利用者保護の観点からは不適切な対応であったと思われます。
 私どもといたしましても、平成二十三年の十一月に、防災対策強化に向けての提言を知事に提出をして、鉄道事業者などによる利用者保護を徹底するよう求めたところでもあります。この提言につきましては、今年の第一回定例会におきまして可決成立いたしまして、東京都帰宅困難者対策条例の中で、公共交通事業者等による利用者の保護を定めた第八条に生かされております。その利用者の保護という観点の中でのこの都営地下鉄における帰宅困難者対策について、具体的な内容についてご説明いただければと思います。

○岡本安全管理担当部長 都営地下鉄における帰宅困難者対策についてでございますが、本年四月に公表されました首都直下地震等による東京の被害想定では、首都直下地震等の発生時、都内に多数の帰宅困難者が発生するとされております。
 そのため、都営地下鉄では、帰宅困難者を発災後三日間受け入れる一時滞在施設が開設されるまでの間、東京都帰宅困難者対策条例第八条に基づき、駅改札外のコンコースなどで、帰宅困難者に一時的に待機していただくこととしております。
 待機に必要な物資については、昨年度から順次配備を進めており、都営地下鉄全駅の帰宅困難者数として推定する約五万人を対象に、まず本年五月までに、管理する全百一駅に飲料水、防寒用ブランケット及び簡易マットを、さらに先月、簡易トイレ、携帯用トイレ及び簡易ライトを配備したところでございます。
 このほか、帰宅困難者への情報提供の充実のため、災害時にNHKの緊急災害放送を流すことができるよう、乗降客の多い駅から順次、改札口に設置してございます列車運行情報表示装置の改修を行っております。
 今後とも、帰宅困難者対策の一層の充実に努めてまいります。

○山田委員 ぜひ都営地下鉄におきましては、首都直下地震等により帰宅困難者が発生した場合には、その保護に万全を期していただきたいと思います。
 さて、大地震とともに恐ろしいのが、水害などの自然災害や火災であります。先ほど新井委員さんの方から、水害対策についてのご質問がございました。私は、火災対策についてお伺いいたしたいと思います。
 平成十五年に、韓国で地下鉄火災事件が起きました。これは、男性がライターで地下鉄車内に放火をして、そして、そのことが大変大きな火災になり、犠牲者を出した事件でもございました。
 万一、地下鉄の駅で火災が発生をした場合、煙が充満したり、あるいは閉鎖された地下空間の中で、利用者が非常に危険な状態になることは当然予想がされるわけであります。
 そこで、都営地下鉄の火災対策について、火災発生時の駅での対応を含めてお伺いをいたします。

○岡本安全管理担当部長 都営地下鉄の火災対策についてでございますが、交通局では、委員ご発言にもございますように、平成十五年二月に発生しました韓国大邱市における地下鉄火災事件を契機として、国が定めた火災対策基準に基づき必要な対策を行っております。
 まず、地下駅の火災対策でございますが、排煙設備及び防火防炎シャッターの設置、二方向避難通路の確保などの対策を進めており、今年度中の全駅での整備完了を目指しております。
 次に、車両の火災対策でございますが、車両火災発生時の延焼を防止するため、高熱でも溶けにくい天井材料の使用、車両間の扉の増設などの対策を進めており、天井材料につきましては平成二十九年度まで、車両間の扉については平成二十六年度までに、それぞれ、すべての車両について対策を完了する予定でございます。
 万一、駅において火災が発生した場合には、駅係員は、お客様の安全の確保を最優先に避難誘導を行うとともに、消防等へ通報した上で、消火活動を行うこととしております。なお、火災発生時には、自動火災報知機設備により自動的に、警報音、非常放送が流れる仕組みとなっております。
 今後とも、火災対策の一層の充実強化を図り、お客様の安全確保に万全を期してまいります。

○山田委員 韓国の火災事故の教訓を風化させることなく、今後とも、しっかりと都営地下鉄の火災対策には取り組んでいただきたいと思います。
 さて、これまでの質疑の中で、交通局がさまざまな安全対策に取り組んでいることがわかりました。こうした取り組みを利用者にアピールして、そして理解していただくことも大切なことだと思います。
 安全に関する取り組みについて、利用者へのPRをどのように行っているのかお伺いいたしたいと思います。

○岡本安全管理担当部長 安全に関する取り組みについてのPRでございますが、交通局は、安全・安心の確保を最優先に、各種の安全対策に取り組んでおります。お客様に安心してご乗車いただけるよう、さまざまな機会を通じ、こうした取り組みのPRに努めております。
 まず、毎年、安全に関する取り組みや事故の発生状況、再発防止策等をまとめた安全報告書を作成し、ホームページ上で公表するとともに、その概要をまとめたパンフレットを作成し、駅や定期券発売所で配布しております。
 このほか、PRポスターを駅構内や列車、バスの車内に掲示するとともに、局広報紙、ホームページ、フェイスブック等を活用して、安全への取り組みを紹介するなどPRを行っております。
 また、当局では、安全への取り組みの一つとして、列車の脱線等、さまざまな事態を想定し、乗客の避難誘導、負傷者の救出、施設復旧等を行う異常時総合訓練を毎年実施しております。昨年度から、この訓練を報道機関に公開していますが、今年度は、新たに都営地下鉄等の利用者である都営交通巡回モニターに参加していただきました。実際に訓練を見学し、また避難を体験することで、当局の取り組みへの理解を深めていただけるものと考えております。
 今後も、安全に関する取り組みを広くお客様に理解していただけるよう、効果的なPRに努めてまいります。

○山田委員 交通局が今年度発行いたしました安全報告書、これはこちらだと思いますが、私も拝見をいたしました。交通局では、ただいま答弁にございましたけれども、異常時総合訓練以外にも自然災害防止訓練など、さまざまな訓練を行っておりまして、こうした交通局が行っている訓練については、この中には記載がされておりまして、わかるわけでありますけれども、まだまだ、一般の都民の方には知られていないのが実情ではないかというのが私の実感でもあります。
 交通局は、安全・安心の確保を最優先に、日々、地下鉄の運行を行っておりますし、利用者に安心して利用してもらうためには、こうした取り組みをぜひ積極的にアピールしてほしいと思います。
 私は今回、地下鉄事業の増客、あるいは増収の取り組みと安全対策を中心に質問をさせていただきました。最後になりますけれども、今後の事業運営に関する中村局長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。よろしくお願いします。

○中村交通局長 交通事業者にとりまして、お客様の安全・安心を確保することが何より重要だと考えております。こうした観点に立って、都営地下鉄においては、東日本大震災の教訓を踏まえました耐震対策、帰宅困難者対策、それに加えまして、火災対策、浸水対策など、さまざまな災害への備えを一層強化するとともに、大江戸線へのホームドアの整備や総合指令の構築などに取り組んでいるところでございます。
 一方、地下鉄事業の今年度上期の乗客数は、増加傾向にはあるものの、少子高齢化が進む中、将来的には乗客数の増加が期待できません。
 また、平成二十三年度決算の経常損益は黒字を確保いたしましたが、四千億を超える累積欠損金と、一兆円弱の長期債務を抱えている状況にございます。このため、観光客の誘致も含め、増客増収に努めるとともに、しっかりと経営効率化に取り組み、着実に経営基盤の強化を図っていくことが、安定的な事業運営に不可欠だと考えております。
 厳しい環境の中にございますけれども、経営基盤の強化を図りながら、今後とも、ハード、ソフトの両面から、さまざまな安全対策を進めるとともに、お客様のニーズに対応した質の高いサービスの提供に努めたいと思います。
 それと、委員お話にありましたPRについても力を入れまして、お客様に一層信頼され、支持される都営交通の実現を目指してまいります。

○上野委員 私からは、初めに、都営地下鉄のバリアフリー化、中でもエレベーター整備について、何点か質問いたしたいと思います。
 交通局は、平成十二年十一月に施行されました交通バリアフリー法に基づきまして、都営地下鉄のすべての駅に、ホームから地上までエレベーターなどを利用して移動できる、いわゆるワンルートの確保達成に向けて、これまで積極的に整備を進めてきたところでございます。
 そこで、間もなく都営地下鉄のワンルート確保が達成されると聞いておりますけれども、これまでの取り組み状況について、まず初めにお尋ねいたします。

○遠藤建設工務部長 交通局では、だれもが利用しやすい公共交通機関を目指して、これまで駅のバリアフリー化に積極的に取り組んでまいりました。
 副委員長からお話ございましたように、平成十二年の、いわゆる交通バリアフリー法の制定を契機といたしまして、より一層、エレベーターの整備に努めることといたしまして、これまで、エレベーターなどを利用してホームから地上までを移動することができるワンルートの確保に取り組んでまいりました。
 その結果、新宿線と大江戸線につきましては、既に、すべての駅でワンルートの確保を完了しておりまして、浅草線、三田線について、合わせて五つの駅で現在エレベーターの設置工事を進めてございます。

○上野委員 あと少しで、すべての駅にワンルートが確保されるとのことでございます。ここまで来るには、用地の確保や、また、交通量が多い幹線道路での工事とか、さまざま数多くの困難がある中でのすべての駅へのエレベーター設置という目途をつけたということですので、こういった交通局のこれまでの努力に対しましては高く評価するところでございます。
 ワンルートは一〇〇%確保される見通しが立ったということで、エレベーター整備はいよいよ新たな段階を迎えることになるわけでございます。都営地下鉄の駅の中には、ワンルートが確保されてはいてもなお、乗りかえ経路がバリアフリー化されていなかったり、あるいは経路が長くなって遠回りを余儀なくされていると、こういうようなところが、まだ幾つもの課題を抱えているわけでございます。こうした利用不便な駅というのは、まだまだあるわけであります。
 そこで、交通局は、このワンルート確保後は、こうした利用が不便な駅に対しまして、エレベーターを優先して整備していくべきと考えますが、今後のエレベーター整備のあり方について見解を求めます。

○遠藤建設工務部長 ワンルートの確保がすべての駅におきまして達成された後も、乗りかえ駅など一部におきまして、乗りかえ経路がバリアフリー化されていないために、利用が不便な駅が残るということを私ども課題として把握してございます。
 このため、今後は、乗りかえ駅などにおきまして引き続きエレベーターの整備に努めていくことが重要であると、このように認識してございます。

○上野委員 ただいまの答弁の中で、今後は、乗りかえ駅などにおいて引き続きエレベーターの整備に努めていくということでございますが、実は、私の地元の江戸川区に都営新宿線一之江駅というのがございます。ここは、駅の出入り口が環状七号線の幹線道路によって二カ所に分断されているわけであります。
 そのため、バスの乗りかえ先まで行くのに、高齢者や障害者の方が、いわゆるワンルートを利用して上に上がるしかないものですから、ワンルートを使って上に上がっていって地上に出て、そして、その乗りかえ場所まで行くのに、実は、そこは環状七号線が、別の幹線道路との陸橋がある、中央に陸橋があるんですね。そうすると、幹線道路そのものがえらい幅が広い。そうした中で、高齢者、障害者の方が、そこを渡らなきゃならない。もう本当に命がけで渡っているといわれていました、その方は。途中でとまらないといけないというのです、渡り切れないものですから。そしてまた、幹線道路ですから、大体二分ぐらいは、また、ずっと待って、そしてまた青になって、次のところへ行ってやっと渡れると。そういったところで、そういうところに向かいながらやっていくということに対して、利用者の方、また地元の町会の方からも、何とかスムーズに乗りかえできるようなエレベーターをこちらの出口にもつけてもらいたいと、こういった要望を強く受けているわけであります。
 そこで今後、乗りかえ駅などにおいて、どのように改善を図っていくのか、より具体的にご説明していただきたいと思います。

○遠藤建設工務部長 より具体的な改善の方法についてというお尋ねでございますけれども、例えば、乗りかえ先までの連絡経路が階段だけとなっているようなケースでは、お年寄りの方や体の不自由なお客様は、ワンルートが確保された地上までの経路を通りまして、一たん地上へ出て、乗りかえ先まで移動していただくということが余儀なくされるわけでございます。
 このようなケースにおきまして、連絡経路にエレベーターを整備することによりまして、お客様が長距離を移動したり、また、地上を迂回したりすることなく、スムーズに乗りかえができるよう改善を図っていく、このようなことなどを念頭に置いて考えてございます。
 今後、駅の利用の実態や、その駅を中心とする交通ネットワークの状況、さらには、駅施設の構造上の課題などを勘案しながら整備を進めてまいります。

○上野委員 今の答弁で、階段だけという表現されましたけれども、階段だけなんですか。エスカレーターのみとか、それは含まないんですか。もう一度、答弁、よくわからない。

○遠藤建設工務部長 ちょっと答弁をはしょってしまいました。
 階段だけとなっているケース、あるいは階段とエスカレーターが並んで設置されているようなケース、両方をあわせてというふうに考えてございます。

○上野委員 階段だけと、エスカレーターがあると、えらい違いですよ。答弁をはしょっていたという、そんなことでいいんですか。おかしいじゃないですか。もう少し答弁を慎重にしてもらいたい。階段だけと、エスカレーターがあるのと、えらい違いだということ、だれが聞いてもわかりますよ。
 これまでの答弁で、交通局は、今後、新たなエレベーターの整備方針によって、こういった、現時点で利用が不便な駅についても引き続きエレベーターを整備していくということでございます。ぜひとも、その取り組みを、より一層推進していただきまして、だれもが利用しやすい都営地下鉄を目指していただくよう大いに期待しておりますので、局長、よろしくお願いしますね。
 次に、都営バスのバリアフリー対策について質問いたします。
 バスは、上下の移動が必要な地下鉄などに比べ、高齢者や障害者を初め、だれでも利用しやすい交通機関であります。平成二十四年の区部の年齢人口によりますと、区部全体の六十五歳以上の老年人口は二〇・五%となっており、確実に高齢者人口はふえております。こうした状況を踏まえますと、バスのバリアフリー対策の必要性は、ますます高まっていると思います。
 そこでまず、これまでの都営バスにおけるバリアフリー対策の取り組み状況についてお尋ねいたします。

○土岐自動車部長 都営バスでは、バリアフリー対策といたしまして、平成十一年度から更新する車両をノンステップバスとしており、今年度中には、すべての車両のノンステップ化を完了いたします。
 また、停留所の上屋やベンチの増設のほか、お客様が乗りおりしやすいよう、バスの乗降口と停留所のガードレール開口部のずれを改修しております。
 一方、こうしたハード面の対策とともに、すべての営業所に、車いすや高齢者疑似体験器具、この器具は、視野が狭く見えにくくなるような眼鏡とか、また、体の動きを制限するために足に巻くサポーターなどでございますが、こうしたものを配置いたしまして、職員に対してバリアフリーについての研修を実施することで、高齢者や障害者に対する理解促進等ソフト面での対応力の向上を図っております。

○上野委員 今年度にすべての車両がノンステップ化されるということは、交通バリアフリー法基本方針の平成三十二年度までに七〇%という目標を大きく上回るということになりますので、その交通局の取り組みについては、私は高く評価したいと思います。
 こうしたハード面の整備とともに、ソフト面での対応も十分重要であります。乗務員の方の大半は、親切丁寧な応対をされていると思いますけれども、中には、不愉快な思いを感じたと、こういったことも聞こえてくるわけであります。また、乗りおりしやすいように、停留所へ真っすぐとまってほしいなど、高齢者、障害者の方々の要望も多いと思います。こうした要望や意見をしっかりと聞き、事業に取り入れていくということが大切であります。
 そこで、高齢者、障害者の要望などをどのように生かしているのかお尋ねいたします。

○土岐自動車部長 都営バスでは、日々現場でさまざまなお客様の声をいただいておりますほか、局のホームページや電話、手紙などでもお客様からの声をお受けしております。
 さらに、地元自治体主催の高齢者や障害者の方を含め構成されるバリアフリー協議会などに参加し、職員が直接ご意見やご要望を伺っております。
 こうしたご要望を踏まえまして、お客様と乗務員とのコミュニケーションの手段の一つとして、すべてのバス車両に筆談具を配置したり、車いすを利用する方がバスに乗車する際、短時間で固定ベルトが装着できるよう改良を施すなど、実現可能なものから順次、サービス改善を図っております。
 また、昨年度は、これらの取り組みをまとめたパンフレットを作成し、広く周知を図ったところでございます。

○上野委員 実際にバスを利用する高齢者、障害者の方が気持ちよくバスを利用するためには、現場での配慮や対応というのが極めて重要でございます。これまでも接遇向上には努力されていると思いますが、高齢者や障害者の方への対応も含めたサービス向上が一層求められていると思います。
 そこで、接遇向上のための乗務員教育の取り組みについてお尋ねいたします。

○土岐自動車部長 都営バスでは、乗務員研修や添乗指導などを通じまして、乗務員教育に取り組んでおります。
 接遇の向上につきましては、採用時及び五年ごとの研修所における集合研修のほか、営業所におきましても、毎年、研修を実施しております。
 営業所の研修では、高齢者や障害者の方への理解と介助のノウハウを習得するため、車いすを利用される方への対応の訓練などを行っており、昨年度は、その対応方法を解説した教材を作成し、研修の充実を図っております。
 さらに、運行管理者によるバスの添乗につきまして、車内マイクの活用など、接遇に関する指導項目をより具体化し、きめの細かい指導、教育に努めております。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、引き続き、接遇の向上を図ってまいります。

○上野委員 現場での乗務員の接遇についても、しっかりと対応されているということで安心いたしました。少しでも利用者からの苦情がないように、だれもが安心し、快く利用できるよう、引き続き利用者サービスの向上に努力していただきたいと思います。
 都営バスではこれまでも、さまざまな工夫やPR、こういったことによりまして、新たな需要の創出、これに努力されてきていると思いますが、今後は高齢化が進む中で、バスの利便性が高まれば大いに外出したいと、そしてまた、さまざまな施設でサークル活動やボランティア活動に参加したいと、こういう元気な高齢者の方々がふえているわけであります。こうした高齢者の方々が潜在している、その需要というものをいかに取り込むか、これが、これから都営バスの利用者をふやしていくためには、非常に、大事な大事な大きな課題だと、このように思っております。
 だから、今需要が少ないからここは減らそうとか、そうじゃなくて、そういう潜在的な需要が、地域の中に実は隠れてあるんだ。そういった地域に、いろいろなサービスをしながら需要をふやしていくということが、今後大事だということをいっているんです。
 そこで、都営バスは、今後、潜在している高齢者需要など、新たな地域のニーズにこたえていくべきであると考えますが、見解を求めます。

○太田バス事業経営改善担当部長 都営バスではこれまでも、大規模な再開発や鉄道等の開業など、乗客潮流の変化を的確に把握し、需要に見合った路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
 具体的には、大規模住宅や集客施設等と鉄道駅を結ぶ路線など、需要が高まっている路線の増便等を行う一方、代替交通が確保され、利用者の少ない路線については減便等を行うなど、公共交通ネットワーク全体の利便性、効率性が高まるよう見直しを行っております。
 今後とも、ご指摘の高齢者需要など、地域のニーズも踏まえつつ、新たな需要の動向を見きわめながら適切に対応してまいります。

○上野委員 高齢化社会を迎えるに当たりまして、地域の足としてのバスというのは、ますます重要な役割を担っていくということでございます。その中で、高齢者の運行要請に合わせて動いていくという、いわゆるデマンドバスというのがありますけれども、まさに、この地域の需要というのをきめ細かく取り込む、こういったバスが走ることによりまして、ふだん外出できなかった方も外出が可能になってきたと。こういう新たな需要が生まれたという話が、私のところでも聞いているところであります。
 先日も、NHKのラジオ放送を聞いておりまして、そのデマンドバスを採用したまちの話が話題になっておりました。そこでは、サークル活動に参加する高齢者が、このデマンドバスを利用することで、実は、利用者が三割もふえたというんですね。そして、これまたすごいなと思ったのは、高齢者の健康維持にも貢献していると。要するに、大いに外出していくものですから、体も元気になってくるということで、これまで入院が多かった高齢者も、通院へと切りかえていっている。これによりまして、結果として医療費の削減にもつながっていると、こういった話もあったわけでございます。こうしたバスは、都営バスの役割とはちょっと違うかもわかりませんけれども、高齢者の潜在的な需要を取り込む一つの事例ということでご紹介いたしました。
 都営バスの収支は大変厳しいです。だからこそ、潜在的な新たな需要を創出する必要があると思っております。収支改善を進めながら、地域の細かいニーズに配慮して、高齢社会における公共交通機関としての役割を果たしていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○西崎委員 交通事業者の役割は、利用者を目的地へ安全確実に届けることであり、日々交通機関を利用する者としては、その間の利用しやすさや快適性も大変気になる要素です。
 交通局は、経営計画等で安全の確保を最優先に、質の高い、きめ細やかなサービス提供に努めることとしています。これまでも、バリアフリー化の推進や利用者への情報提供など、交通局は、さまざまなサービス向上に取り組んできていますが、質の高い、きめ細やかなという視点において、利用者に実感できるさらなるサービスアップに向けて取り組みが求められます。また、同時に、社会的要請の観点から、省エネルギーへの取り組みについても考慮していかなければなりません。
 そこで、地下鉄事業に関し、地下鉄車両、駅のトイレ、さらには、事業を支える人材育成のこの三項目について、きょうはお伺いしたいと思います。
 まず、地下鉄車両における省エネルギーの取り組みについてです。
 東日本大震災を契機に、エネルギー問題が極めて重要な課題になりました。この夏、東日本では、電力の使用制限は発令されませんでしたが、関西電力管内では、一〇%以上の節電要請が出されました。また、この冬においても、北海道では、七%以上の節電目標が決定されています。東日本でも、電力需要が予断を許さない事情は変わらないと思います。
 地下鉄は、環境に優しい乗り物ですが、電力節減への取り組みは積極的に進める必要があります。地下鉄車両において、どのような省エネルギーの取り組みを行っているのか、まず伺います。

○石井車両電気部長 鉄道は大量の電力を使用しておりまして、電力使用量の削減などの省エネルギー対策を進めることが環境負荷低減につながることから、交通局では、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 都営地下鉄車両では、車両の更新時に効率のよい省エネ機器を採用しているほか、車体の軽量化やエネルギーを有効に利用できる電力回生システムの導入等によりまして、更新前の車両に比べまして約二〇%の電力を削減し、省エネルギー化を図っております。
 また、昨年の東日本大震災以降の省エネルギー対策としまして、車内の照明用の蛍光灯を一部外したことに加えまして、LED照明を一部の車両に試験的に導入してきております。
 なお、車内の冷房につきましては、震災直後に、一たん設定温度を上げ節電を図りましたが、車内環境への配慮から、昨年夏場には、もとの設定温度に戻しております。

○西崎委員 今の答弁で、昨年度は、省エネルギー対策としてさまざまなことをされておりますけれども、車内の冷房温度を上げる取り組みを行ったけれども、その後、設定温度を通常に戻したということを伺いました。ことしの夏は非常に暑くて、猛暑日が多く、快適な車内管理に向け苦労されたと思います。
 そこで、夏季の車内温度管理はどうなっているのか伺います。

○石井車両電気部長 都営地下鉄では、車内の混雑状況、夏季の外気温等を考慮し、冷房温度を設定しておりますが、混雑時には空気の流れが悪くなることもあり、温度管理には苦慮しているところでございます。
 このため、設定温度だけではなく、冷房能力の向上や車内に均一に冷風が送られるような改良等も進めておりまして、車内の快適性向上に努めております。
 また、どの編成にも一両ずつ弱冷房車を設置するなど、お客様にきめ細かいサービスを提供できるよう努めております。

○西崎委員 私も公共交通をよく使うんですけれども、この夏、都営地下鉄と東京メトロの地下鉄を乗り継いだときに、どちらがどうだったか忘れてしまったんですけれども、異常に寒い車内というのがありまして、車内の温度設定というのは、それぞれ違うんだということを感じました。衣服の状態や車内の混雑状況など、さまざまな要素によって利用者の感じ方は違うと思いますけれども、小まめに調整して省エネ対策を行うとともに、利用者が快適に過ごせるような環境に向け取り組んでいただきたいと思います。
 次に、駅のトイレ表示について伺いたいと思います。
 各駅の構内にトイレが設置されていることは、利用者にとって大変便利で、最近では、駅のトイレを快適に利用できるように、清潔感とか機能性を備えたトイレの整備がとみに進められております。
 私は、決算委員会の総括質疑でも取り上げましたけれども、実は、この夏、新聞の投書欄に、高齢者に優しいトイレをという記事が掲載されておりました。今のトイレはいろいろな機能がついておりまして、メーカーによって操作の仕方もさまざまで、高齢者には不親切な構造になってしまうと、今後ますます高齢化が進んでいく中で、トイレに困るから外出をためらうことがないように、メーカーが協力してユニバーサルデザインにしてほしいというものでした。この投書された方は、外出の際にトイレの使い方がわからなくて失敗をしてしまったので、それ以降、ひきこもりというか、外出するのが大変困難になったということで、こういう投書をされたということでした。
 国は、平成十八年、消費生活分野における標準化事業として、公共トイレの便器洗浄ボタンや呼び出しボタンの位置や形状の規格をJIS法の改正に盛り込みました。
 そこで、都営地下鉄のトイレでは、便器洗浄ボタンや呼び出しなどは、どのようになっているのか伺います。

○遠藤建設工務部長 都営地下鉄の駅のトイレでございますけれども、これまで、東京都福祉のまちづくり条例に基づいて整備を行ってまいりました。
 お話にございましたトイレの中の便器洗浄ボタンや呼び出しボタンなどでございますけれども、これらにつきましては、平成二十一年の条例改正によって、形状や色、配置が新たに基準として定められてございます。
 このことを受けまして、交通局では、トイレのグレードアップ事業による改修の機会をとらえまして、条例の基準に従った整備を進めてきてございます。
 今後とも、お客様にとって利用しやすいトイレを目指して整備に取り組んでまいります。

○西崎委員 条例の基準に基づいて整備をしていることはわかりました。
 しかし、ボタンの種類が多くて、ボタンの名称等も小さく文字で表示されていて、高齢者は戸惑ってしまうのも現実だと思います。わかりやすくするための工夫が必要ではないかと思います。
 そこで、便器洗浄ボタンや呼び出しボタンの位置や操作方法等について、利用者に対して、よりわかりやすくするために、どのように取り組むのか伺います。

○小泉電車部長 都営地下鉄の駅のトイレは、さまざまなお客様にご利用いただいておりますことから、どなたでも安心してご利用いただけるよう、ボタンの位置や使用方法をわかりやすくご案内することに努めています。
 具体的には、駅のトイレにおいては、ボタンの名称を記載した目につきやすい色のシールを張るとともに、使用方法を記述したシールを張って、お話の便器洗浄ボタンや呼び出しボタンの押し間違いのないように表示に工夫をしております。
 今後ともお客様に安心して駅のトイレをご利用いただけるよう、きめ細かな対応を行ってまいります。

○西崎委員 今後ともきめ細やかな対応を行って、高齢者がトイレの使い方がわからないから外出を控えたということのないように、整備を進めていくことを要望しておきます。
 最後に、サービス向上のための人材育成について伺います。
 利用者へのきめ細やかなサービスということで、地下鉄の車内や駅構内と、ハードの面について、これまで整備について伺ってまいりました。真に利用者の心に響くサービスとなるためには、そうしたハードの面の整備とあわせて、そこで働く駅係員による接客など、人と人との触れ合い、ソフト面の充実も重要だと思います。
 さらなるサービス向上の観点から、駅係員を含めた、都営交通で働く職員の研修など、人材育成について、どのように取り組んでいるのか伺います。

○廣瀬職員部長 都営交通の駅係員など、職員の人材育成につきましては、安全に対する強い責任感と使命感を持つことはもとより、お客様本位の質の高いサービスを提供できることを目標としております。
 このため、交通局では、研修所が実施する集合研修と、各職場で実態に即して実施するOJTと、二本の柱としておりまして、新人からベテラン職員まで、経験や職責に応じてきめ細かい対応を行っているところでございます。
 このうち、集合研修といたしましては、採用後三年目、そして、十年目の節目に、接遇や外国人対応、苦情対応などの研修を行いますとともに、特に地下鉄の運転士や車掌に対しては、運転シミュレーターによる操作訓練を実施しているところでございます。
 また、駅係員が介助にかかわる知識等を身につけるため、サービス介助士の資格取得を計画的に進めております。
 今後とも、都営交通のサービスを支える人材の育成に取り組んでまいります。

○西崎委員 今お話にあった、サービス介助士の資格取得を計画的に進めていくということですけれども、高齢社会に向けて、こういった取り組みも大変重要になってくるのではないかと思います。
 研修やOJTを通して新人からベテラン職員までということで、経験や職責に応じた対応を行っているということですけれども、私は、新人が研修を受けるのはよくわかるんですけれども、ベテラン職員になると、なかなか、気難しいというか、経験を積んでいるので、その研修も必要ないんじゃないかと思われる方もいると思いますけれども、いつまでも切磋琢磨というか研修を続けていくということは大変重要だと思いますので、今後も引き続き人材育成に取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わります。

○野田委員 それでは、私からは、総合指令の構築について、二点、質問をいたします。
 交通局が運営しております都営地下鉄は、四線合わせて営業キロ百九キロメートル、一日当たり二百三十万人もの人が利用する都民の足であります。交通局では、経営計画ステップアップ二〇一〇の中で、安全性向上のために積極的な投資を行うとしております。地下鉄事業において、利用者の安全を守るための投資を行っていくことが重要であると思います。地下鉄の安全を確保する上で重要な役割を担っているのが指令です。指令は、ダイヤどおりの運行や事故などの異常時の対応に力を発揮します。この指令について、経営計画では、総合指令の構築が掲げられております。
 そこで、総合指令とはどのようなものなのか、また、現在の進捗状況及び今後のスケジュールについて伺います。

○小泉電車部長 鉄道における指令は、列車の運行を常時管理するとともに、事故などの異常時には、各部署に対応の指揮を行うなど、いわば頭脳部として重要な役割を担っているものでございます。
 都営地下鉄の指令機能は、現在は、浅草線と三田線の運行管理を行う運輸指令のほか、新宿線、大江戸線、それぞれの運行管理を行う運輸指令、さらに、電気の供給を一括して管理する電力指令の合計四カ所に分散しています。
 交通局が現在準備を進めております総合指令は、地下鉄四線の運行管理及び電力管理を一カ所に統合いたしますとともに、新たに、旅客指令、車両指令及び信号通信指令の機能を加えまして、総合的かつ効率的に運行管理業務を行うものでございます。このことにより、都営地下鉄のより安全で正確な運行を確保し、異常時における迅速な対応や早期復旧の体制を強化することを目的としております。
 その進捗状況でございますが、既に、庁舎の建設は完了し、現在、運行管理システムなどの構築を進めているところでありまして、並行して職員の習熟訓練を行っております。
 今後、各種システムの検証や試験運用を行い、平成二十四年度末までに、総合指令の第一段階として、浅草線と三田線の運輸指令の稼働を開始する予定です。その後、電力指令、旅客指令などの残る機能の稼働準備を進め、平成二十五年度中に、全面的に総合指令の運用を開始する予定でございます。

○野田委員 一カ所に集めるというメリットについては、よくわかりました。同じ場所にいることで、ほかの路線の状況も見えるでしょうし、係員が忙しい路線を応援することもできるのでしょう。
 しかし、せっかく総合指令というのだから、ただ一カ所にまとめただけではなく、統合を機に何か新しい機能を加えて、総合指令の構築が利用者にとってのメリットを生み出すという視点が大事ではないでしょうか。
 そこで、総合指令が設けられる新たな指令機能について伺います。

○小泉電車部長 総合指令には、新たな機能といたしまして、旅客指令、車両指令及び信号通信指令を設ける予定です。
 具体的に申しますと、旅客指令は、都営地下鉄全線の運行状況をリアルタイムに把握しながら、事故などの異常時には、お客様に、より正確かつ迅速な情報提供を行うとともに、振りかえなど、他社線との連絡を行うことを主な機能とするものでございます。
 このほか、車両指令は、車両運用等の車両管理及び故障発生時の指示等を行い、信号通信指令は、信号通信設備の監視及び故障発生時の指示等を行うものでございます。
 これらの新たな機能が、運行管理、電力管理の機能と相互に連携することにより、これまで以上に地下鉄の安全で正確な運行を確保するとともに、異常時における迅速対応及び早期復旧に向けた体制を強化することが可能となり、都営地下鉄のさらなる安全・安心の確保を図ることができると考えております。

○野田委員 総合指令が本当の意味で機能するためには、ハード的な設備だけではなく、そこで働く職員の皆さんのスキルアップが欠かせないと思います。全面稼働に向けて、しっかりと訓練を行い、予定どおり総合指令が立ち上がるようお願いを申し上げ、私の質問を終えます。

○笹本委員 私が都庁に来る際は二つのルートがありまして、一つは、JRを使って一本で新宿まで来るという方法と、もう一つは、都営浅草線を使って、大江戸線に乗りかえて、この下までやってくるという方法があるんです。特に議会のある日は、おくれてはいけないということもありますし、実は、なぜ私がJRを余り使わないかというと、新小岩という駅で察しがつくかもしれませんが、ことしの八月では六件も人身事故があって、週に三回ぐらいそんなことがあったと。遅延の原因というのは、一概に事業者の責任というわけではないんですが、やはり公共交通の使命ということから考えれば、遅延というのは非常に顧客サービスの視点からはよくないと。
 先ほどもあったと思いますが、公共交通の使命ということから考えれば、安全な運行であるとか、正確、精度のある運行だとか、顧客の負担が大きくないだとかというようなことはあると思いますが、そんな観点から、私は、特に議会のあるとき、都庁に来るときは、都営交通を使って来ております。きょうも、おくれずに、こうやって来られたということを、初めに、ちょっとお世辞でいっておきます。いや、事実ですね。
 そこで、先ほどもありました電車とバスで三百万人ぐらいが利用している、大変多くの方が、都民だけではなく利用をしているということですが、報道などでも、ごくごく少数、正確な運行を妨げたりするような行為、先日も、社会的な地位のある裁判官のような人が、随分運行を妨げるような行為をしたなどということも載っておりましたが、まず、バスから聞きましょうか。バスにおいてのトラブルの状況についてお答えいただきたいと思います。

○土岐自動車部長 都営バスにおけるトラブルといたしましては、お客様同士のけんかや痴漢行為、乗務員に対する暴力行為のほか、車両のフロントガラス等の損壊、降車してバスの進路をふさぐことによる運行妨害などがございます。
 このようなトラブルの中には、大幅なおくれにつながる事例や、運行の中止に至る事例もございます。

○笹本委員 きょうも、先ほどのインターネットのニュースでNHKの著名なアナウンサーが、事実はよくわかりませんけれども、そういう痴漢行為で載ってたなんていうこともありましたけれども、さまざまな原因で運行に影響が出るんだなというようなことがあったり、本当にごくごく一部ですけれども、そういうことがあるのかなということが理解できるわけです。
 そのような暴力行為やトラブルなどについて、具体的に今どのように対応しているかということについてご説明いただければと思います。

○土岐自動車部長 都営バスでは、暴力行為などのトラブルに対する基本的な対応を定めたマニュアルを作成し、営業所において、このマニュアルに基づいた研修を実施して、トラブルの際に冷静で毅然とした対応がとれるよう指導しております。
 実際にトラブルが発生した場合、乗務員は、お客様の安全を確保しつつ、無線により営業所に連絡し、営業所と連携して対応しております。また、必要な場合には警察へ通報し、警察官立ち会いのもと対応することとしております。
 なお、警察から要請があった場合は、ドライブレコーダーに記録された映像を提供しております。
 今後とも、お客様の安全・安心を最優先に、トラブルに対して適切に対処してまいります。

○笹本委員 バスは、今はワンマンということで一人ですから、対応もなかなか大変なのかなということがうかがえるわけです。
 よく衝撃映像や何かで、外国の、韓国とかは多いのかもしれませんけれども、利用者とドライバーのトラブルなどが映されたような映像がありますけれども、ドライブレコーダーというのは、本来的な目的は違うところだと思いますけれども、そういうところにもいろいろ利用されるんだなというようなことが理解できるわけです。
 同様に、今度は地下鉄のトラブルについてご説明いただけたらと思います。

○小泉電車部長 都営地下鉄におけるトラブルといたしましては、お客様同士のけんかや痴漢行為、駅係員への暴力行為、さらに改札機や券売機を損壊するなどの行為なども発生しております。こうした暴力行為に及ぶケースは増加の傾向にございます。また、飲酒後の酔客によるものも多くなっております。
 このほか、迷惑行為といたしまして、線路内への立ち入りなど、安全確保のため列車運行を停止し、係員が駅間を確認する作業が生じる、このことで多くのお客様にご迷惑をおかけするという状況も発生することがございます。

○笹本委員 いろんな、先ほどのバス同様、大変な職場なんだろうなというふうに察するわけです。バスと同様に、どのように対応しているかという部分、地下鉄の方もご説明いただけたらと思います。

○小泉電車部長 都営地下鉄におきましても、基本的にバスと同様の姿勢で対応をしているところでございます。
 まず、トラブルが発生した場合の対応マニュアルを作成しておりまして、乗務員や駅係員に対し、これをもとに対応方法について研修を実施しています。
 実際にトラブルが発生した場合は、お客様と、また自身の身の安全を確保した上で、直ちに業務用PHSやインターホンにより係員間での連絡や協力を行い、原則として単独で対応することがないよう定めており、必要に応じて警察へ通報し、警察官立ち会いのもと対応することとしております。
 また、防犯カメラを活用したり、駅の状況に応じてガードマンを配置するなど、トラブルを抑止する対策も行っております。さらに、国や警察、他の鉄道事業者とも連携して、統一ポスターや車内放送などにより、暴力行為の防止を広く呼びかけているところでございます。
 今後も、的確な対応により、お客様に安心して都営地下鉄をご利用いただけるよう努めてまいります。

○笹本委員 いうまでもなく、いろいろ迷惑行為だとか、あるいは物を壊すような行動をする利用者がお客様といえるかどうかといったら、これは大変、お客様以前の問題であって、厳しく対処するというのは当然なのかなというふうに思います。
 結局は、もちろん職員やほかの乗客への迷惑ということもありますけれども、当初いいましたように、公営交通といいますか、公共交通の使命ということから考えたら、やはり安全であることはもちろん、正確に運行していくということが最大のサービスだというふうに考えれば、このような行為が原因でさまざまな遅延とかが、おくれてしまって、ひいては信頼を損ね、利用者が減るなど、同じルートが二つあったら、私みたいに都営交通で来るような人ばかりでも困るだろうなというふうなことも、それは冗談ですが、そういうこともあると思いますので、信頼回復だなと、信頼を確立することかなというふうに思います。
 少し関連して、これは意見でいわせていただきますが、経営の効率化が最優先ということで前に出てしまうと、公共交通の使命を誤ってしまうことも時にはあるのかなというふうに私は感ずるときがあります。
 経営の統合とか業務の効率とかということを、利用者に与えるサービスとか便益とかということをどれだけ実現し得るかということの観点から考えなくてはいけないのかなというふうに感じております。
 乗りかえの壁が少々邪魔で歩く距離が大きいなんていうことは、まあシンボリックな印象はありますけれども、大したことではないと私は思っています。ちなみに私が乗りかえる蔵前駅は、都営浅草線を一たん地上に出て、歩いて出ていって、そして数百メートル歩いて都営大江戸線の下まで歩いていきます。問屋街を通るので、私はちょっと楽しいなという気分で、雨のときは傘を差すのもまたいいなと思って歩いております。別に壁とかどうかということは大した問題ではないと私は思っております。
 異なる経営体質の統合とかがもたらす影響ということを、今後考えていく必要があるのかなということは、私は、常々というか、ここ最近考えているところであります。
 大阪の市バスのドライバーの給料というんですか、高いということがいっとき話題になりました。現象面だけ見ると、単純に見ればですね、官民格差が物すごいあるのかなというふうに思うんですが、恐らく公共交通という経営の、いろいろ性質上から考えると、一概にそうもいえないのかなというふうな気がしております。
 きょうは事務事業質疑ですから、政策的な質疑はしませんので、私はいってるだけですから聞き流していただければいいんですが、この大阪の市バスの給与に関して、時の人というか、橋下市長は随分いろんなことをいっていました。しかし、大阪の市バスは恐らく健全経営の途中だと、しかしなかなか、いわゆる経営改善が数字として見られないという状況がある中で、恐らく民間と比較したところで−−法律の問題もあると思います、その身分の問題もあると思いますが、やはり公共交通、先ほども余りいわゆるビジネス的に利益の出ない路線や何かでも、それなりの一定の使命があったり、利用者の便益ということを考えたら意義があるんだろうなというふうに私も思っておりますが、やはり公共交通の使命ということを、しっかりと我々も考える機会というものは必要なのかなというふうに思っています。
 事業の遂行をしていくに当たっては、何度もいいますけれども、今いった健全な経営ということもありますけれども、公共交通としての使命ということから考えれば、やはり安全であることだとか、正確であることだとか、利用者の負担だとかという観点に基づけば、それなりの答えというのは常に出ているのかなというふうに感じております。
 どこかで、もし機会があれば、ないかもしれませんが、あれば、政策的な部分は聞くことがあるかもしれませんし、ないかもしれませんが、きょうは事業質疑ですから私の意見にとどめますが、ぜひそのような公共事業の、公共交通機関の使命に基づくといいますか、期待をしておりますので、これからも安全で正確な運行を心がけていただきたいということで、きょうはその車内トラブル等を質問させていただきました。以上です。

○鈴木委員 それでは、私の方から、きょうは都営地下鉄だとかバス路線だとか、一つ忘れてもらっちゃ困るんですが、荒川線のことでご質問をさせていただきたいと思います。
 この路線については、るる申し上げるまでもありません。下町を、荒川、北区、豊島区、新宿区とぶち抜いている十二キロのげた電といいましょうか、でもその途中には、町屋の駅には千代田線、熊野前では日・舎ライナーの熊野前駅、それから王子、これはJR、そして大塚もJRと、そういう結節の場所があるわけでございまして、ただその中で、最近私はつとに感じるんですけれども、ホームがとても狭うございまして、広いところもあるんですけれども、その安全対策に入る前に、このバリアフリーの問題、これについて、やはりソフト面だけではなく、ハード面での対策もしっかりととっていただきたいという、そういう願望も含めて、まず冒頭ちょっとお伺いをしておきたいんですけれども、これまでに取り組んできた、このバリアフリー対策について、具体的にお答えをいただければと存じます。

○川合技術管理担当部長 荒川線の停留場につきましては、これまで東京都における福祉のまちづくり整備指針等に準拠しまして、お年寄りや障害者の方にも安心してご利用いただけるよう、さまざまな対策を施してまいりました。
 具体的には、平成十九年度までに、車両とホームの段差を解消するため、すべてのホームのかさ上げを行うとともに、ホームに上がるアプローチ部分を緩やかなスロープに改善いたしました。
 また、ホームや通路等に警告ブロックや誘導ブロックが既に設置済みではございますが、さらなる安全性向上のため、現在は、内方線つき点字ブロックの設置を進めております。

○鈴木委員 今お答えいただいたとおり、我々にも目に見える形で改善策は講じられておるということは、本当にありがたく、また地元の利用者の一人として、これはどんどん進めていただきたいということであります。
 それと同時に、話を進めてまいりますけれども、たしか昨年、都営交通百周年を記念いたしまして、そのイベント等々で、荒川の車庫ですね、とにかくすさまじい人が参集して、新しい都電の出発をお祝いをしていただいたことを心から感謝、また関係者の方々に、ご努力に敬意を申し述べさせていただきたいと思います。まだその余韻は残っておりまして、また花電車を走らせてくれという要望もいつかすると思いますから、恐らくまだとってあると思いますけれども、それはきょうは論議の対象ではありませんけれども、そういう方々が一緒に乗ったりおりたりするときに、やはり、停留場のホームから落ちるんじゃないかというようなおそれを持ったことも、私もありました。
 この安全対策、まずお聞きしたいんですけれども、これについての取り組みはどうなんでございましょう。

○川合技術管理担当部長 荒川線には三十の停留場がございまして、六十三のホームがございます。
 ハード面での対策といたしましては、すべての停留場において、ホームに上がるためのスロープに、進入してくる電車との接触を防ぐために、さくを設置済みでございます。また、乗降客の多い大塚駅前停留場には、ホームにさくを設置しております。このほか、電車の接近を事前に知らせる表示装置の設置も現在進めております。
 ソフト面での対策といたしましては、荒川遊園地前停留場などでは、行楽シーズンなど、お客様の多いときに係員を配置いたしまして、お客様を誘導しております。

○鈴木委員 確かに荒川遊園なんかも、誘導する方がきちっとお出になって乗客の安全対策等々しっかりやってくれている姿、大変私はすばらしいと思いますし、また、大塚駅のところも、さくがきちっとこうなっていますね。都電をよく利用する私たちの友人からも、あれは安全だと、そういうことがありました。
 確かに、今はやりの可動式にしてくれればそれはいいんですけれども、一両ですから無理かもしれませんけれども、やはり、そういう可能式ドアみたいな感じでとは申しませんけれども、ドア的ね、そういうものの安全対策というのは大変大事だと思います。これをやはりしっかりやってくれることと、それから、お礼を申し上げなきゃならないんですけれども、百周年のイベントのときに、局長もお出かけになったりしていろいろあったときに、私も都庁の一庁の、三省堂だったかな、売店、あそこで「鉄道ピクトリアル」だとか「鉄道ファン」だとか「鉄道ジャーナル」など、いつも立ち読みをやっています。
 あの中にいっぱい都営交通のいろいろな種類の雑誌がたくさん出ていますから、そういう中にあってもやはり人気のある路線なんですよね。観光路線であると同時に、やはり地元のげた電でありますから、それをどうマッチングさせていくかということも課題になりますから、そういう意味からも、私は安全対策というものをがっちりと構築をしていくべきだという論をいつも持っております。
 そして、今、くどいようですけれども、大塚駅なんかも、私もこの写真機の中に大塚駅のあれ入っていますけども、きちっとした安全対策のさくがきちんと設けられているんですよね。でも、王子駅だとか、それから町屋駅だとか、幅広いところにはまだまだ、スロープはあります、スロープはありますけれども、そういうものをつけていただければ、体のご不自由な方々、そしてまたご年配の方々等々も、安心してやはり乗降ができるんではないのかなと、こう思います、私は。そういうことをしっかりとやっていく。それがこれからの荒川線を活性化させる一つの一助になると思いますよね。ああだこうだ私は申し上げませんけれども、こういう新たなさくの設置、これは考えるべきだと思いますが、いかがですか。

○川合技術管理担当部長 荒川線は、お年寄りを初めお子様連れの方、体の不自由な方などさまざまな方がご利用されております。
 イベント開催時などには、ホームに人があふれることもございます。こうした状況におきまして、万が一にも、お年寄りの方などがホームから転落することのないよう、あらかじめ対策を講じていくことが必要と考えております。
 このため、お客様により一層安心してご利用いただけるよう、新たに委員ご提案の固定式ホームさくを設置していきたいと考えてございます。

○鈴木委員 今、明快なお答えが出ましたですね。固定式ホーム、これを設置をしていきたいと。これ直ちにしていただきたいのです。近いうちでも結構ですから、当世はやりの近いうち。
 この間は八、九、十、十一だから、今月は十一、十二、一、二、年度末だよね。年度末ぐらいには、やはり取り組んでいただければ、地元に対してこれは、新区長も誕生して、都電サミット、荒川の西川区長、北区の花川区長等々四人で都電サミット、区長会としてもやっておられるようですけれども、そういうところのいい話題として、私は提供させていただきたいなと、こう思っております。
 そんなことを今後の、重ねてもう一度聞いていくんですけれども、屋上屋を重ねるようなことは申し上げないんですけれども、今、ご答弁出ましたけれども、さらに、今後そのさくをどのように具体的につけていくのか、その明確なお答えをいただければありがたいのですが。

○川合技術管理担当部長 新たな固定式ホームさくにつきましては、停留場ごとのホーム幅をもとに設置の可能性につきまして検討を行い、乗降客数が多い他の鉄道との乗りかえ駅となっている町屋駅前など、優先度が高い停留場から順次整備を進めてまいります。
 具体的な構造といたしましては、乗降口部分を除いてホームに腰高程度の固定式のさくを設置し、お客様が安心してご利用いただけるよう、より一層、施設面で安全の確保に努めてまいります。

○鈴木委員 いいですね。この事業説明のときの質問というのは、すぐ答えが出るからいいんです。ありがたいと思います。
 今、町屋駅前とご答弁が出ていました。それからまた王子駅等々にも順番に、利用客の多い、また可能な場所という、限られた場所はありますから、ただし、お隣の、委員の皆さん地名を出してもなかなかわからないと思うのですけれども、ご当地ソングですからお許しください。
 町屋二丁目だとか東尾久三丁目等々に行くと、幅が、いってみればこんな程度ですよ、ホームの幅が、これにちょっと一メートルぐらい足した。ですから大変怖い、大勢の人が歩いていると、すれ違うのも怖いという。ですから、そういう面での安全対策をいったことと、それから、また幅広いところの交通の要衝のところはホームさくをきちっとつけること。そういうことで、きょうはお答えをいただいたわけでありまして、ぜひ、もう一度申し上げますけれども、近いうちに、いいですか、近いうちにやはりつけていただきたい。近いうち、この年度内ということですよ。
 そういうことで、私の質問を終わらせていただきますけれども、局長、何か感想があれば一言。

○中村交通局長 都電荒川線は、交通局百年の歴史を持っているんですけれども、その百年の歴史と一緒に歩んでいる路線で、我々にとっても心のふるさとというんですかね、いわば原点ともいうべき存在だと思っています。
 沿線の人の貴重な足にもなってございますし、委員もご指摘のように、ファンもですね、根強いファンもいるということで、口幅ったいいい方ですけれども、東京都の財産になっても、個人的には、いいものなのかなというふうに思っています。
 安全については、先ほどもご答弁申しましたように、最優先という形で我々はやっているわけでございますので、それに基づいて進めていきたいというふうに思います。
 ただ、一言だけちょっとまたいわせていただくと、荒川線については、近年ちょっとお客様が減っているという状況にございまして、今まで、過去は六万人ぐらいであったんですけれども、ちょっと五万人を切るというような状況になって、それで残念なことにお客様が減ったということで、若干の赤字というような状態になっています。
 したがいまして、いろいろな工夫を重ねてお客様を呼び込む、財政の健全性というんですかね、それも確保しながら、いろいろな創意工夫を重ねて荒川線の活性化に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○鈴木委員 了解。

○淺野委員 私の方が、この交通局最後の質問になるということですので、簡潔に淡々といきたいと思いますが、話が長くなったらごめんなさい。いっておきます。
 まず、一番最初に、公共交通機関の運行情報をオープンデータ化することについての質問をさせていただきます。
 もともとこの質問、実は私が出演しているインターネット上のニコニコ生放送の番組内で、ユーザーの方から提案されたものというのが発端になっておりますが、何でこんなことをいうかというと、世界は、今、情報を集めたり、それから知恵をかりたり、場合によっては仕事を発注したりということが、もう日本国内にいながらにして、世界じゅうの人たちを相手にそれができるという時代にもう突入しているわけですね。
 そういった流れの中で、我々が考えなければいけないのは、それをどうやって活用していくのか。知恵をどうやって出してもらうのか。それをどのくらい活用できるかによって、その媒体というか、いろんなものが生きてくるというところが出ると思います。
 例えば、今回の私がいうこの公共交通機関の運行情報についてですけれども、日本というのは、世界でもさまざまなものについてのサービスの水準というのは非常に高いといわれておりますし、現実に毎日のようにいろんなことを考えて、いろんなサービスをしている方々というのがいらっしゃいます。
 また、それに呼応するように、消費者、一般の方々の要求というのも多様化していきます。実際にサービスを提供する側が、どんなことをされれば喜ぶのかということ、ニーズですね、つまり一般消費者の方々のニーズを的確に把握して、またそれに対して適切に対応していくというのは非常に難しい時代になっているというのは、これは現場を持っていらっしゃる方は十分わかっていらっしゃることだと思います。
 そこで、先ほどから申し上げているこの公共交通機関の運行情報、時間どおりにちゃんと運行する、世界でも多分日本の鉄道、地下鉄も含めた鉄道、それからバスや何かも、相当正確に近い形で運用されているというのは、もう、まず疑いのない事実だと思いますけれども、だとしても、特にこの東京の場合は、運行している会社が山ほどございます。その運行している会社の情報が一元的に整理、提供されるというようなシステムにはなっておりません。そしてまたそういったシステムがあれば、当然、消費者というのは非常に便利になると思います。
 今現状、この交通局の中でも、バスだとか、地下鉄、今お話のありました都電についても、運行情報というのは、それを提供するホームページというのをしっかりと運用されておりますから、この都営がやっているものについては、そのホームページで見れば、ある程度把握することは可能になっています。
 それは例えば、私なんかは自分の住んでいるところだと、バスは西武バスになりますから、西武バスさんを調べれば、西武バスは、それはそれで運行情報をやっています。JRさん、JRを調べれば、それはそれで運行情報をやっていますと。でも、すべてが複合的に絡み合って、利用するときは我々はその中でいろんな路線を使いながら移動していくわけですから、それが全部が一元的に管理できるというのは、民間で多少やっているところはありますけれども、各社は、別にそれについて積極的に協力し合って、情報を提供するようなシステムをつくろうという形にはなっておりません。
 そして、この東京というのは、紛れもない国際都市でありますから、さらにいうと、都内だけではなく、都外あるいは国外からもさまざまな方が東京に集まってくるんですね。その中で、網の目のように物すごい張りめぐらされた交通機関を使って移動する方々にとってみれば、ただでさえ乗りかえや何かの情報をとるのも大変ですけれども、そこに運行情報まで入ってきちゃうと、自分たちでなれない中で、それを活用するというのはなかなか難しいというふうに思います。
 そして、それが仮に一元的にここから提供されるよということがわかれば、それを活用するメリットというのは非常に大きくなるだろうと思います。だからこそ、こういった運行情報のようなものは、オープンデータ化する。提供するデータを活用する側が自由に取り出すような形ができるようにしておいて、それをインターネット上に開放しておくことで、その情報を活用するプログラムを独自に開発して、みんなが、こんなことがあったら便利だよと思えるものを開発するということ。それはもう民間の方に任せる、もっといえば一個人でもそれはできる時代ですから、一個人のアイデアの中に任せていく。そうすることで、サービスを提供するということから、サービスに必要な情報を提供する。そして、サービス自体は、先ほど申し上げたように多様化していますから、その多様化するサービスにこたえるやり方というのは、むしろそれを利用する側の人に任せてしまうという時代が来ていると思います。
 そして、それを行うことは、例えば、それぞれの、私も持っていますけれども、スマートフォンや何かのアプリに開発されることで、いいアプリは、ただで配られても人気がありますし、場合によってはそこにビジネスチャンスを生み出すこともできると見出す人がいれば、そこの競争性の中でよりよいアイデアというのが生まれてくる可能性があります。
 考えてみると非常にメリットが大きいと思いますので、こういった、この運行情報、オープンデータ化していくべきだと私は考えてはいますが、バスと、それから地下鉄について、それぞれ、まず伺いたいと思います。

○土岐自動車部長 都営バスでは、お客様の利便性向上の観点から、ただいま委員お話しのように、これまで都バス運行情報サービスによりまして、既に時刻表やバスの運行情報などをお客様に提供するとともに、これらのデータを外部の事業者に有償で提供しております。
 ただし、ここで提供しております情報は、お客様が利用しやすいように加工したものでございまして、これらの基礎となるデータにアクセスを許す、ただいま委員おっしゃいました、活用される方が自由に取り出せるというようなことにつきましては、セキュリティー上、運行管理業務やバス停での接近表示などのお客様サービスの面で支障が生じる懸念があるため、現在のところ困難であると考えております。

○小泉電車部長 都営地下鉄についてでございますが、地下鉄は、運転間隔が短く頻繁に運行しており、通常は、運行時間の正確さという点で定時性が確保されております。また、遅延が発生した場合は、駅の構内放送でお知らせするほか、ホームページや駅の列車運行情報表示装置などで、できる限り速やかにお知らせしているところです。
 現在の仕組み上、都営地下鉄の運行情報を公開するという場合には、地下鉄の列車運行管理システムから情報を取り出すということになると考えられますけれども、この列車運行管理システムは、保安装置や行き先表示などを制御する機能を有する安全輸送を担う極めて重要なシステムでございまして、公開という形でこのシステムへ外部からのアクセスを許すことは、保安上問題が生じるおそれがございます。
 都営地下鉄の運行情報の公開につきましては、現在のところ困難であると考えております。

○淺野委員 非常につれない答弁でございましたけど、実は誤解があると思うんですね。今私が述べた話、別に思いつきでいっているわけではなくて、これニューヨーク市の地下鉄で実際に既に行われていることなんですよ。ニューヨークができて東京にできないという理由は、私には全く見つかりません。
 ニューヨークは実際に何をやったか。確かに今、電車部長の答弁にもございましたとおり、日本はかなり正確に運行しております。ですが、ニューヨークの場合は非常に何かあいまいというか、地下鉄なのに三十分ぐらい来なかったり、非常におくれることも珍しくなく、時刻表も一応あるらしいんだけど、それも見つけるのも難しいし、時刻表にも余り正確に動いていないという事実もあるということが、私はニューヨークの地下鉄に乗ったことないですけれども、そういう話らしいです。
 で、どうしたかというと、ニューヨークの地下鉄は、自分たちでその運行情報を提供する、そういうことをやるのではなくて、運行情報をオープンデータ化をしまして、自由に使ってください、そして、アプリの開発をしてくださいと。さらに自分たちでアプリのコンペというのをやって、どの人がつくったアプリケーションが最も優秀なのかというのを、市民の投票で選ばせる、そこまでやったんですね。
 そうすることによって、あるアプリがそこで優勝をしました。そしてニューヨーク市民は、そのアプリをスマートフォンや何かにダウンロードすることで、今、地下鉄がどういうふうに動いているかという運行情報を手に入れるということを実際にやっているんです。
 今までのお話の中で、もちろんこれはセキュリティー云々というのは、最近特に遠隔操作で云々という話も出ていますから、ナーバスになる気持ちはわかりますが、誤解がなきようにいっておきます。セキュリティーレベルの高いところに入らせろという意味ではありません、私がいっているのは。一例を申し上げますと、要は壁が一つあって、ここにセキュリティーの壁があるとします。こっち側が今皆さんがおっしゃったその壁より内側に、非常に外には公開できないさまざまなシステムがあるとします。この中で運行情報というのは管理されています。今、有償で提供しているというように、そこから運行情報だけを取り出して、だれでもこの運行情報が取り出せるような形で保管しておく、このセキュリティーの壁の外にです。そうすると、この壁の外のデータは、どんなにアクセスされても、これはこの中のデータをただこっちに見せているだけですから、これを取り出せるようにしてあげる。それがオープンデータ化という意味です。このシステムの中にまで入り込ませろという意味ではございません。
 ぜひ、オープンデータにするということは、これAPIという、アプリケーション・プログラム・インターフェースという言葉がありますが、そういうものを対応させたりすることによって、全世界でもう既にさまざまな民間企業もみんな行っております。実は、日本の首都高だって、首都高の高速道路情報、公開しています。できるんですよ。困難だというのは非常に、まずはきちっと運営情報を守ろうという、その発想は別に間違ってはおりません。安全を確保しようとかという、保安上の仕組みをちゃんとやろうという気持ちは、私はいいと思いますが、ここからしっかりと調査研究を始めていただきたい。もう既にやっている事例が世の中にごまんとある中で、できません、困難ですでとまらずに、ぜひ、これを十分に調査研究を始めていただきたいと思います。
 先ほどの言葉をかりれば、近いうちに、私もう一度これ確かめたいと思います。ですので、それまでの間に、しっかりと調査研究を行っていただきまして、東京のこの都営の交通からそれをやっていただく。
 一番最初に申し上げた、一番大切なのは、それが各社に広がっていくことです。各社がそれをやり出せば、わざわざ各社間で話をして一元管理して提供するのをやろうよじゃなくて、それを勝手にやる人たちが出てきますから、みんなが情報を提供するようになれば、それを集めてちゃんと提供するっていうプログラムを開発する人たちが出てきます。それを有償で配るか、無償で配るかは、その人たちが、市場が決めることです。お金出してでも取り込みたいデータが入っていればお金を出す人が出るでしょうし、別に無償で配られればそれでいいという形になればそれでいくと思いますから、ぜひその辺を、調査研究をしっかりやっていただければと思います。
 ところで、今このサービスの話をしましたけれども、ただこれをひたすらサービスだけを高めていけばいいというわけではありません。先ほど、うちの笹本副委員長の方からもありましたが、公共交通の本当の大切なところは、安全で運ぶこと、そしてできるだけ時間どおりに運営すること、その先に私はさまざまなサービスがあるんだと思います。
 バスの運行で、今ワンマンでバスの運転というのはされておりますが、都営では今のところやっていないというお話でしたけど、例えば民間のバスでも、雨の日に傘を販売しているところがあります。確かに助かります。でも、今、薬屋さんからコンビニまで傘を売っているし、もっといえば、天気予報を見て傘を持つということも、大人はやるべきだと思いますし、そこまでバスの運転士さんはやらなければいけないのかなと思うことも多々あります。
 それ以外にも、この都営の中では、例えば、一日乗車券というのを車内販売とかもしておりますが、こういったことも、確かにやれば便利です。便利ですけれども、そこにひたすらサービスを提供していけば、利用者側は甘える一方ですよ。だけど、事前に準備できることは事前に準備するように、そして、自分たちがサービスを受けるためにやらなきゃいけないことはちゃんとしてくださいということを示す姿勢も、これからは必要だと思うんですね。
 一番大切なのは、バスの運営でも、やっぱり安全であること、そして時間どおりに運営することだと思います。乗務員の方々が負担となるような過度なサービスとかが出てこないようにしていかなきゃなりません。そういった意味で、これまで都としても、この都営バスで乗務員が安全運行のためにしっかりと、安全運行をしっかりやるために負担軽減になるような取り組みというのをどのくらいやっているのか、どのような取り組みをしているのか、お答えいただきたいと思います。

○土岐自動車部長 都営バスの乗務員は、日々安全運行に努めながら、お客様の利便を考慮いたしまして、各種乗車券の販売や路線案内を初めとしたお客様への対応を行っております。
 乗務員が安全運行に集中するとともに、お客様サービスに努めるため、これまでも、料金機や次の停留所を案内する車内放送装置など各種機器の操作の簡略化、ICカード乗車券の導入による現金収受の省力化などを行っております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、安全運行の確保とお客様サービスの向上に努めてまいります。

○淺野委員 今、これからも努めていくという話でしたが、先ほどの一例で申し上げた一日乗車券についても、例えば、高速道路のETC、高速道路の割引サービスはETCの方が主に受けられます。車載機をつけて、カードを取りつけた人たちだけが受けられると。ETCをつけていない人は、普通に現金、首都高なんかは最大料金を払わなければ常にいけないという状況になっています。でも、世の中はそれに一応納得をしています。
 これは議論のあるところでしょうけれども、私は、例えば、ICカード、非接触型のものを使う人たちに対しては、一日乗車券といっても自動でできるようなプログラムというのも入れたっていいと思うんです。今はたしか五百円で乗れると聞いておりますから、都営バスを一日のうち何回も乗り継いでいって、カウントが五百円を超えた時点で、そこから先は現金がカウントされなくなる。そういうプログラムにすることだって、別に有利になるのはいいと思うのですね、その人たちがそのカードをすることで負担軽減に協力しているわけですから。そういう発想を持って、これからもさまざまな取り組みをしていっていただければというふうに思います。
 そして、三つ目に、私、自分の地元の大江戸線について伺いますが、これはこれまで練馬から選出された議員さんでたくさんの方々が聞いて、常に冷たい答弁を受けながらも、ひるむことなく挑んでおりますので、私も練馬選出の議員として、これだけは聞いておかなければいけない。
 大江戸線につきましては、光が丘から先の延伸というのが、いわゆるA2路線、運輸政策審議会で、平成二十七年までに延伸をしたらいいよといわれています。しなきゃいけないとはいわれていませんけど、した方がいいんじゃないのっていわれています。
 現在は、今のところ全くその気配は見えませんが、一番最初にいわれたのは、導入空間、いわゆる道路がない。導入空間がないと地下鉄延伸できませんよといっていましたが、区も相当頑張って、ほぼ全線その対象区間は事業化されました。もう道路はできると思います。流れに乗っています。その中で、今度出てきたのが、採算性がどうのこうのという話がよく出てきますが、この採算性という言葉が出ている以上伺いますが、逆に交通局として、延伸する場合の採算性の検討というのも始めているのかと。そして、その検討をしているんであれば、今その検討状況というのはどうなっているのか、まずお答えいただきたいと思います。

○遠藤建設工務部長 延伸の検討についてのお尋ねでございますけれども、現在、延伸ルート、駅の位置、トンネルの構造などの検討を進めてございます。
 お話の採算性も含め、事業化に当たっての課題である駅やトンネルの構造、周辺地域の状況を反映した需要予測などの検討を引き続き進めているところでございます。

○淺野委員 済みません、申しわけない、時間がちょっとオーバーしていますが、早目にこの一問で終わらせます。
 今の状況でいえるということであれば、これからも、さらにその検討をやっていくんだと思いますが、もうここではっきり聞いておきたいと思います。大江戸線延伸、やっぱり私はこれぜひ進めていっていただきたいと思いますけれども、交通局としての見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

○遠藤建設工務部長 交通局はこれまで、運輸政策審議会の答申などを踏まえ地質調査を実施するなど、基礎的な検討を進めてまいりました。事業化に当たっての課題としては、導入空間の確保とともに、路線上の地形や地下埋設物などを考慮した駅やトンネルの構造、周辺地域の状況を反映した需要予測及び採算性の確保などがあり、さらに具体的な検討が必要と考えております。
 一方、導入空間となる補助二三〇号線につきましては、一部交通開放がされるなど整備が進んでございます。
 今後とも、土地区画整理事業や街路事業などの進捗状況を踏まえながら、地元区や関係局などと連携して、事業化について引き続き検討を進めてまいります。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十分開議

○桜井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより下水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○新井委員 私からは、下水道の技術開発に絞って何点かお伺いをいたします。
 下水道は、公衆衛生の確保やまちに降った雨の浸水の防除、河川や海などの水質確保など、都民生活や社会経済活動を支える根幹的な社会インフラです。それは明治時代以降長い年月をかけて整備され、今日に至っていますが、これまでさまざまな課題や困難に直面したときにも、先進的な技術の導入や開発によって乗り越えたところも多いと思います。
 私自身、学生時代に量子理工学を勉強し、また民間企業時代も主に技術者として働いてきたので、都庁の中でも、技術の下水道局といわれる下水道局の技術開発の取り組みに非常に興味がございます。
 下水道局では、さまざまな技術開発を行うとともに、平成二十二年に技術開発推進計画二〇一〇を策定しましたが、そこで、これまでの間に主にどのような技術開発の成果を得ることができたのかお伺いします。

○坂根技術開発担当部長 これまで下水道局では、百四十件を超える共同研究を民間企業と実施しておりまして、老朽化した施設の再構築技術や地球温暖化対策技術などさまざまな技術を開発し、その成果を取り入れることで、下水道事業が直面する課題の解決を図ってまいりました。
 これまでの主な技術開発のうち、再構築技術といたしましては、老朽化した下水道管の内側に塩化ビニール製の帯を巻いて更生するSPR工法により、道路を掘削することなく下水を流したままでの施工を可能とし、効率的に再構築を行っております。
 震災対策技術といたしましては、下水の流下機能を確保するために、下水道管とマンホールの接続部を道路を掘らずにマンホール内から耐震化できる技術や、断水時でもポンプの運転を可能とする、冷却水を必要としない無注水形ポンプの開発などにより、震災への備えを進めております。
 また、地球温暖化対策技術といたしましては、多層型流動焼却炉など新たな燃焼方式の汚泥焼却炉の開発、導入により、温室効果ガスの削減に寄与しております。
 これらの開発した技術の導入を積極的に進めることで、下水道事業が抱える課題の解決を図ってまいりました。

○新井委員 さまざまな技術の開発を民間企業と行っているところであり、今後も積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、先月十一日の本委員会において、下水道事業運営の基本方針の中で、下水道局長から特許に関する説明がございましたが、現在、下水道局が保有している特許等の件数はどれくらいあるのかお伺いします。

○熊谷経理部長 平成二十三年度末時点で、下水道局では、特許権、実用新案権など出願中のものを含め、百九十七件の特許等を有しております。これは、都庁全体で保有する特許等の総件数の五割を超える実績となっております。
 なお、これら当局が有する特許等の主な内訳といたしましては、下水道の管渠技術に関するもの四十三件、水処理技術に関するもの四十四件、汚泥処理技術に関するもの二十一件などとなっております。

○新井委員 都庁全体の特許等の総件数の半数以上を持っているとは、さすが技術の下水道局と感心をさせられます。
 ところで、地方公共団体のような公的な組織で特許等の利用に伴う収入があるケースは、そう多くないのではないかと考えますが、下水道局では、特許等に伴う使用料の収入を上げていると聞きました。
 そこで、特許等の利用に伴って収益を上げている主な事例と、その収入額についてお伺いします。

○熊谷経理部長 特許等の利用に伴って収益を上げている主な事例といたしましては、下水汚泥中の汚濁物質の濃度を測定する濃度計や、合流式下水道の雨水吐け口から流出するごみを除去する水面制御装置、さらには、シールドトンネルの部材でありますセグメント同士をつなぎ合わせる継ぎ手金具などがございます。
 これらの利用に伴う収入ですけれども、平成二十三年度では、約七百二十六万円の実績となっております。
 なお、当局がこれらの特許等を利用して工事や設備の設置などを行った場合は、当局が特許等を有することにより当該特許等の使用料の支払いが不要となるため、その分の支出が節減されるという経営上の効果も生じているところでございます。

○新井委員 特許使用料による収益など直接的な効果に加え、下水道局みずからがその技術を使用する際には特許使用料を支払う必要がないなどの間接的な効果も大きいものであり、評価します。
 ところで、これらの技術の中には、既に海外展開をしているものもあると聞いております。そこで、このような東京下水道の技術で海外に展開している取り組みについてお伺いをします。

○永野企画担当部長 東京下水道の技術で既に海外展開をしているものには、水面制御装置及びSPR工法がございます。
 水面制御装置では、同装置の製造、設置、販売に関する権利を付与するライセンス契約を平成二十二年六月にドイツの企業と契約いたしまして、その後、韓国及びアメリカの企業と契約を結んでございます。既に欧州で七カ所、韓国で一カ所設置されておりまして、着実にその数を伸ばしております。
 また、SPR工法につきましては、シンガポールを初めとするアジア各国や北米、欧州など海外十一カ国で既に約六万七千メートルの施工実績がありまして、今後も拡大が見込まれております。
 高度に集積した首都東京で、幾多の課題を解決してきた下水道の技術は、水環境や衛生などの問題を抱える国や地域の課題解決に役立つものと考えております。
 引き続き、現場の創意工夫から生まれた東京下水道の技術を活用いたしまして国際展開を推進することで、世界の水環境の改善に積極的に貢献してまいります。

○新井委員 下水道局が長年にわたり培ってきたすぐれた技術を活用することにより、水、衛生など都市の安全や環境にかかわる問題に直面する国、地域の発展に寄与するとともに、東京、ひいては日本の下水道事業の活性化や産業力強化に貢献していくことを期待します。
 引き続き、先進的な技術を開発し続ける技術の下水道局であっていただきたいというエールを送り、私の質問を終わりにします。

○山田委員 それでは、私からは、安全を守り、安心で快適な生活を支えるための下水道事業の取り組みについて、何点か確認をさせていただきたいと思います。
 まず、区部の浸水対策についてお伺いをいたします。
 ことしの七月に熊本県や大分県などを襲いました九州北部豪雨や八月の近畿地方の豪雨では、多くの住宅の浸水やとうとい人命が奪われるなど、痛ましい被害が発生をいたしました。このような豪雨が首都東京を襲った場合、都民の生命、財産はもとより、社会環境活動に与える影響ははかり知れないものがあります。
 下水道局では、浸水に強いまちづくりを進めるために、幹線やポンプ所などの基幹施設等の設備によりまして雨水を排除する能力を増強する浸水対策に取り組んでおりますけれども、下水道事業におきます浸水対策の取り組み状況について、まずお伺いいたします。

○野村建設部長 平成十七年の集中豪雨を受け、都で作成いたしました東京都豪雨対策基本方針に基づき、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備に取り組んでおります。
 くぼ地や坂下など、浸水の危険性の高い対策促進地区として選定した二十地区に重点化し、平成二十九年度までに一時間五〇ミリの降雨に対応できる施設の整備完了を目指し、昨年度までにすべての地区で着手し、五地区で対策を完了いたしました。
 また、浸水被害が発生するとその影響が大きい大規模地下街では、整備済みの新宿駅など四地区に加え、新たに新橋・汐留駅など五地区で、一時間七五ミリの降雨に対応できる貯留施設などを整備することとし、既に渋谷駅東口で工事に着手してございます。
 これらの施設の整備に当たっては、一部完成した施設に雨水を暫定的に取り込んで貯留するなど浸水被害の早期軽減に努めているほか、老朽化対策とあわせた雨水排除能力の増強にも取り組んでいるところでございます。

○山田委員 浸水の危険性の高い対策促進地区や大規模地下街での対策を進めていることはわかりましたが、いまだ浸水被害が解消しない地域がある中で、対策の強化に取り組むことも必要と考えます。
 そこで、今後、浸水対策をどのように進めていくのかをお伺いいたします。

○黒住計画調整部長 東京都豪雨対策基本方針では、対策促進地区における基幹施設の整備や大規模地下街対策における貯留施設などの整備を中期目標として定めるとともに、長期的な目標として、おおむね三十年後を目標に、区部全域で一時間五〇ミリの降雨に対して浸水被害の解消を図ることとしております。
 特に、かつて川であったところにふたをかけまして下水道として利用しております浅く埋設された幹線の流域などでは、大雨により幹線の水位が上昇した場合、雨水が幹線から逆流し、周辺の地盤の低いところで浸水被害が発生している地域がございます。
 このため、これらの流域について、浸水被害の実績などに基づき、新たに必要となる対策を優先度を定めて実施してまいります。
 具体的には、既存の下水道幹線の下に新たな幹線を整備し、雨水を収容するなどして、大雨のときに浅い幹線の水位を下げるなど、効果的な対策を実施してまいります。
 このうち、神田川、石神井川、白子川の三つの流域では、既に計画を前倒しし、今年度新たな幹線の設計に着手したところでございます。

○山田委員 今後このような浸水対策の強化が図られることで、都民の浸水への不安が解消されることを期待するものであります。
 また、浸水対策に加えまして、都民が快適な生活を送る上で不可欠な下水道施設が、将来にわたってその機能を十分に発揮するためには、施設の老朽化への適切な対応が重要であると思います。
 区部の下水道は、明治時代に築かれました神田下水に始まりまして、百二十年を超える歴史があると聞いております。
 道路の下に網の目のように張りめぐらされております下水道管は、約一万六千キロメートルにも達しているとのことであり、このうち約一割に当たります約千五百キロメートルが、既に耐用年数の五十年を超えております。老朽化した下水管の更新などが適切になされないということは、その機能を安定的に維持することができなくなってしまうと思います。
 下水道局では、こうした下水管の老朽化対策などを行う再構築を進めていると聞いておりますけれども、下水道管の再構築の取り組み状況をお伺いいたします。

○野村建設部長 下水道管の老朽化対策としては、管の内部をテレビカメラなどで調査いたしまして健全度を把握、評価した上で、補修や再構築を実施しておるところでございます。
 このうち再構築は、老朽化対策にあわせて耐震性の向上や雨水排除能力の増強など、機能の向上を図る取り組みでございます。
 再構築の実施に当たりましては、管の内部から補強して、新しく敷設した管と同程度まで機能を回復できる更生工法なども採用し、効率的に進めているところでございます。
 これにより、コスト縮減や工期の短縮を図るとともに、騒音、振動等工事現場周辺のお客様の生活への影響を少なくすることにも努めております。
 このような再構築工事は、区部の下水道の普及概成直後の平成七年度から、整備年代の古い都心四処理区約一万六千三百ヘクタールを対象に進めております。
 昨年度までに、都心四処理区の約二五%に相当する約四千百ヘクタールの再構築を完了させたところでございます。

○山田委員 下水道管の再構築は、更生工法の活用などにより着実に進められていることが確認できました。
 一方で、今後、高度経済成長期に整備いたしました下水道管が、一斉に耐用年数を超えるとも聞いております。より一層のスピード感を持って取り組むことが重要であると考えます。
 そこで、今後、下水道管の再構築をどのように進めていくのかをお伺いいたします。

○黒住計画調整部長 再構築事業はこれまでも、経営計画二〇一〇において整備ペースを二割アップするなど対策を強化してまいりました。
 しかしながら、今後二十年間で、現在の約一千五百キロメートルの四倍強に当たる約六千五百キロメートルが新たに法定耐用年数の五十年を超えることとなるため、その対応は喫緊の課題でございます。
 このため、建設費と補修などの維持管理費を合わせたライフサイクルコストなども勘案しつつ、予防保全型の維持管理による延命化と適切な時期で再構築を行うアセットマネジメント手法により、中長期的に事業を平準化し、効率的に進めてまいります。
 具体的には、再構築事業は雨水排除能力の増強など機能の向上を老朽化対策にあわせて行うこととしておりますが、浸水の危険性が少ない流域などでは、老朽化対策を先行して実施する手法も積極的に活用し、コスト縮減を図りつつ、対策をスピードアップしてまいります。
 こうした取り組みにより、整備ペースをこれまで以上に大幅にアップし、平成四十一年度までに都心四処理区の再構築の完了を目指してまいります。

○山田委員 さまざまな工夫によりまして、今後は整備ペースを大幅にアップさせるとのことでありまして、非常に心強く感じた次第であります。
 また、多摩流域下水道は、事業開始から既に四十年が経過をいたしておりまして、区部の下水道に比べれば歴史は浅いものではありますけれども、耐用年数が十年から二十年と短い機械や、電気の設備の中には耐用年数を超えているものもあると思われます。
 下水の処理機能を健全に維持するだけでなく、設備の更新に当たっては、計画的、効率的に実施することに加え、地球温暖化防止や省エネルギー化など環境にも十分配慮するといった時代のニーズに適切に対応していくことも重要であると思います。
 そこで、流域下水道の水再生センターの設備の老朽化対策についての現状と、更新に当たってこれらの機能向上についてどのように進めていくのかをお伺いいたします。

○中里技術部長 流域下水道の水再生センターは、現在、昭和四十六年に稼働いたしました南多摩水再生センターを初め七カ所が稼働しております。
 ご指摘の電気機械設備につきましては、平成二十三年度末で全体の約二〇%が耐用年数を超えており、平成三十年度末には約三〇%が耐用年数を超える見込みであることから、アセットマネジメント手法を活用し、予防保全による延命化や事業の平準化を図るなどして、計画的に更新を進めているところでございます。
 また、その際には、水環境の一層の改善や地球温暖化防止対策、消費電力の削減などといった新たな課題に対応するため機能の向上を図ることとしておりまして、具体的には、窒素と燐をより多く除去する高度処理施設の導入や、二酸化炭素や一酸化二窒素などの温室効果ガスの削減効果の高い汚泥焼却炉の導入を進めているところでございます。さらには、消費電力量を削減できる汚泥脱水機などの省エネ型機器の導入も図ってまいります。
 今後とも、時代の要請や新たな課題に積極的に対応しながら、設備の更新を着実に進めてまいります。

○山田委員 更新の際には、既存の機能に加えまして、地球温暖化防止や省エネルギー、水質の改善など多くの視点から機能の向上を図られるということが確認できたと思います。今後とも、下水道が健全に機能して都民の生活を支えるため、設備の更新に着実に取り組んでもらいたいと思います。
 また、多摩地域の下水道は、区部と違いまして、市町村が各家庭からの排水を流す下水道管を整備し、管理をする、そして流域下水道が下水道幹線や水再生センターなど基幹施設の整備、管理をしております。多摩地域の安全・安心を支えていくためには、流域下水道だけでなく、市町村と一体となった事業の推進が必要であると思います。
 特に、老朽化対策や震災対策など喫緊の課題に着実に取り組んでいくためには、多摩地域の市町村と都が相互に連携をして、事業をこれまで以上に効率的、効果的に進めることが不可欠であると考えます。
 そこで、市町村との連携について、これまでの取り組み状況をお伺いいたします。

○中里技術部長 ご指摘のとおり、多摩地域の下水道は、市町村が管理運営する公共下水道と都が管理運営する流域下水道が、一つのシステムとして機能することにより、その効果を発揮するものであることから、公共下水道と流域下水道の連携と協力は極めて重要でございます。
 そのため、流域下水道本部ではこれまでも、市町村の公共下水道計画の改定の技術支援や市町村が実施する研修への講師派遣などを行うとともに、公共下水道と流域下水道を一体とした下水道台帳システムの構築や水質検査の共同実施など、維持管理業務の効率化にも支援と連携を図ってまいりました。
 また、震災対策では、東日本大震災において、避難所などから出るし尿処理が問題化したことを踏まえまして、計画を四年前倒しして、平成二十三年十二月に、流域下水道本部と三十市町村との間で、し尿の収集運搬、水再生センターでの受け入れなどについて定めました覚書の締結を完了したところでございます。
 さらに、覚書の実効性を高めるため、本年五月には、多摩川上流水再生センターにおきまして昭島市と、先月三十一日には、清瀬水再生センターにおきまして、西東京市を初め六市と共同で、バキューム車を実際に使用した実践的な訓練や各市の担当者との意見交換会などを実施したところでございます。

○山田委員 東日本大震災を踏まえ、早期に全市町村と覚書を締結できたことは、多摩地域の安全・安心の確保の観点からは大いに評価できるものであります。
 先ほどの答弁でもありましたけれども、区部では下水道管の老朽化に対応するため精力的に再構築事業を進めておるということであります。
 今後、市町村の下水道管も、老朽化による更新や改良といった時期を迎えることになります。そのためにも、従来に増して、より一層下水道局の豊富な事業運営の経験と高い技術力に対する期待は大きくなりますので、多摩地域の下水道事業の発展のために、これまで以上にご支援をお願いいたしたいと思います。
 そこで、市町村への技術支援について、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○中里技術部長 多摩地域では、公共下水道の管路施設総延長の約四〇%が敷設から三十年以上経過しておりまして、今後、老朽化が急速に進行する状況にございます。そのため、公共下水道を管理する各市町村では、長寿命化や改築、耐震化計画の策定などが急がれているところでございます。
 そこで、流域下水道本部では、市町村の抱えるこれらの課題解決に向けまして、下水道局が培ってまいりました技術やノウハウなどを提供する場を立ち上げ、多摩地域全体の市町村を対象に、先月十月十一日に、多摩三十市町村第一回下水道情報交換会を開催し、下水道分野のほか、予算や防災担当の職員など関係機関を含め二百三十名の方々の参加をいただきました。
 当日は、下水道管渠の老朽化対策や耐震化をテーマに、講義とあわせ、下水道局が採用しております下水道管渠の内面を更生する工法の実際の施工機械を使用したデモンストレーション施工を行い、専門知識の有無にかかわらず広く理解を深めていただきました。
 今後も、この情報交換会を、相互の情報交換、また専門知識や実務能力の向上、人材育成の機会として活用していただきますよう、各市町村のご意見、ご要望をお伺いしながら継続的に開催しまして、多摩地域の下水道事業の発展に貢献してまいります。

○山田委員 情報交換会は、初の試みとのことでございますが、画期的なよい取り組みであると評価をするものであります。
 流域下水道は、地域の状況に応じた施策の目標、方向を示し、広域にわたる施策を実施する役割がある一方で、市町村には、基礎的自治体として地元に密着したサービスを実施する役割があります。
 こうした役割の違いを認識した上で、市町村が今後必要となる知識、技術を吟味し、市町村のニーズに合った内容で情報交換会を積極的に進めてもらいたいと願うものであります。
 これまでの質疑を通しまして、下水道局が、都民の安全を守り、安心で快適な生活を支えるため、さまざまな取り組みを進めていることが確認をでき、その努力を大いに評価するものであります。
 一方で、下水道事業を円滑に推進していくためには、都民に事業の重要性や必要性を理解してもらうことも重要であると思います。
 しかしながら、下水道施設の多くは地下にありますし、都民にとってその働きが目につきにくい、ふだん下水道の存在が意識されることは少ないと思います。
 そこで、都民が下水道事業への関心を高め、理解を得るために、どのように今後取り組んでいくのかをまずお伺いしたいと思います。

○小山総務部長 ご指摘のとおり、下水道事業を円滑に推進していくためには、下水道の役割や大切さをお客様にご理解いただき、また身近なものとして感じていただき、応援していただくことが重要でございます。
 そのため、これまで、ホームページや「ニュース東京の下水道」などによる情報発信や当局の取り組みに意見をいただく下水道モニター制度の活用によりまして、広聴活動に力を入れてまいりました。
 また、小学生を対象としたレポートコンクールや施設見学会、さらに各家庭で下水道に油を流さない「油・断・快適!下水道」キャンペーンや、浸水対策強化月間におけます浸水対策への協力のお願いなど、幅広い層のお客様に下水道への理解を深めていただく取り組みを進めてまいりました。
 今後は、ふだん目にすることの少ない下水道施設を体感し、見える化する取り組みを進めてまいります。具体的には、広報施設である虹の下水道館をリニューアルするとともに、流域下水道の水再生センター間を相互に結ぶ連絡管の役割や機能を実感していただく施設を整備するなど、見える化を図ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、お客様にさらに下水道の理解を深めていただくとともに、水環境に優しい行動をしていただくよう取り組んでまいります。

○山田委員 下水道の役割や大切さを伝えるために、さまざまな広聴広報活動を進めていることがわかりました。
 また、ただいまの答弁では、虹の下水道館のリニューアルを進めているとのことでございますが、具体的にどのような広報施設なのかをお伺いいたします。

○小山総務部長 虹の下水道館は、江東区にございます有明水再生センターの上部にありまして、これまでも、水再生センターとあわせて見学していただくなど効果的なPRに活用してまいりました。
 虹の下水道館のリニューアルに当たりましては、実物大の下水道管やポンプ設備などを展示いたしまして、ここでしか体験することができない空間をつくり出し、下水道の役割や重要性を体系的に伝えてまいります。
 また、下水道の歴史や最先端の技術など、子どもから大人まで来館者の興味に合わせて展示物を自由に選択して見学できるオーダーメードコンテンツやワークショップなど、さまざまな企画によりまして下水道への理解を深める多様な機会を提供してまいります。
 リニューアルオープンは、平成二十五年春を予定しておりまして、来館者が、楽しかった、また来たいと感じていただけるような広報施設となるよう運営していきたいと考えております。
 今後とも、虹の下水道館を初め、あらゆる場と機会をとらえまして東京下水道をPRし、一人でも多くのお客様に下水道の応援団になっていただくよう取り組んでまいります。

○山田委員 虹の下水道館のリニューアルによりまして、効果的なPRが図られることで、ふだん目につきにくい下水道が都民にとって身近なものとなり、下水道事業がより一層推進されることを期待するものであります。
 それでは最後に、都民の安全・安心を確保するための取り組みについて局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○小川下水道局長 ただいま東京の下水道につきまして、さまざまな視点からのご質疑をいただきましたが、下水道は、汚水の処理による公衆衛生の確保、雨水の排除による浸水の防除、川や海などの公共用水域の水質保全などさまざまな役割を担い、都民生活や都市活動を支える必要不可欠な都市基盤施設として、二十四時間三百六十五日休むことなくその機能を発揮することが求められております。
 平成二十二年に策定した現経営計画二〇一〇では、お客様の安全を守り、安心で快適な生活を支える、このことを経営方針の柱といたしまして、施設の再構築、浸水対策など安全・安心を支える施策を推進しているところでございます。
 今年度は、この経営計画の最終年度に当たることから、その目標達成に向けて全力で取り組んでまいります。
 さらに、東日本大震災などを踏まえ、高度防災都市づくりの一層の推進など、下水道事業に求められる新たな社会的要請などにも迅速かつ的確に対応していくため、次期経営計画を策定し、下水道サービスのさらなる向上に努めてまいります。
 また、事業を着実に推進していくために、事業の重要性や必要性を理解していただけるようあらゆる機会をとらえてPR活動を積極的に行い、お客様や区市町村、関係団体などとの連携をこれまで以上に強化してまいります。
 今後も、都民の安全を守り、安心で快適な生活を支えていくため、私自身が先頭に立ち、局一丸となって下水道事業を強力に推進してまいります。

○上野委員 私からは、下水道施設の耐水化について質問したいと思います。
 津波や豪雨による浸水で東京の都市機能が長期にわたって麻痺するような事態になれば、都民生活に多大な影響を与えるだけではなくて、世界経済にも深刻な影響を及ぼしかねないわけであります。
 そうした浸水被害からまちを守り、そして東京の安心・安全の向上のために、これまで下水道局は、大変な思いをしながら下水道の普及率向上に、努力、また取り組んでこられたわけでございまして、その結果、今や東京の地下には雨水を集める下水道管が縦横に張りめぐらされていると、こういうふうなところまで来たわけでございまして、そのご尽力に対しましては、私は高く評価しているところでございます。
 さて、東京の地勢というのは、東西に細長く開けております。西部の山地、また中央部の丘陵地、台地、そして東部の低地と、大きく三つに分けられていくわけでございますけれども、浸水被害の大きな違いは、西部、中央部の地域というのは、浸水しても数時間たっていけば水は引いていく。しかし、東部地帯は、地形がいわばなべ底状態になっているわけですので、一たん浸水被害を受けると水はたまる一方で、だからこそポンプで排水していくというのが極めて重要になっていくわけでございます。
 その東部低地帯には、約百二十四平方キロメートルの地域に、現在約百五十万人の人々が生活しておりますが、明治四十三年の東京大水害や大正六年の高潮大水害、昭和二十二年のカスリーン台風など、過去に甚大な浸水被害を何度も受けているわけであります。
 このように、常に水害の危険性にさらされている東部低地帯では、雨水などが下水道局のポンプ所などで日夜排水されることで都市の安全性が保たれているわけであります。すなわち、東部低地帯にとって下水道施設は、命と財産を守る不可欠の施設ということであります。
 したがって、例えば、大規模水害などが発生したとしても、このポンプ機能は必ず確保できると、そうした施設の耐水化を進めるということが極めて重要であります。
 そこで、下水道施設の耐水化に向けて、ポンプ機能を浸水から守る対策の取り組みについてお尋ねいたします。

○渡辺施設管理部長 下水道の重要な役割であります雨水などの排水機能を確保するためには、ポンプなどを動かすための水に弱い電気設備を浸水させないことが必要です。
 その対策としては、ポンプ所などの建物には下水中に含まれるごみなどを搬出する出入り口など大きな開口部があるため、これらから水が侵入しないよう防水扉や止水板を設置することや、電気設備を高い位置に配置し浸水から守ることが考えられます。

○上野委員 耐水化の対策として、防水扉の設置などがあるとのことです。もともとポンプを動かすための電気設備は水に弱いことなどは、以前からわかっていることでございます。
 そこで、これら耐水化について、既に取り組んでいると聞いておりますが、どの程度まで対策を行っているのか説明願います。

○渡辺施設管理部長 これまで、平成十二年九月に発生しました一時間一一四ミリの東海豪雨規模の大雨が東京に降った場合を想定した最大の浸水高さに基づき、防水扉などの設置や電気設備を高く配置するなど、下水道施設の耐水化に取り組んでまいりました。
 これらの対策は、平成二十一年度までに完了させ、豪雨に伴う浸水に対する安全性を確保しております。

○上野委員 東海豪雨規模を想定した施設の耐水化は、既に完了しているということであります。
 一方で、東日本大震災において、東京湾に押し寄せた津波は、従来の想定を上回るものでありました。
 こうしたことを受け、都では、学識経験者や下水道局、建設局、港湾局の関係局から成る地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会を設置し、東京の沿岸部や低地帯における河川、海岸保全、下水道の各施設の耐震、耐水対策のあり方について検討を進めてきたところでございます。
 ことし八月に、学識経験者から提言を受けるとともに、今後の対策の基本方針が示されました。
 そこで、この基本方針における下水道施設の耐水化の取り組みについて、わかりやすく具体的に説明していただきます。

○黒住計画調整部長 地震、津波に伴う水害対策に関する都の基本方針では、下水道施設の耐水対策につきまして、ポンプ所や水再生センターは、堤防や水門等により守られているなどの立地条件を踏まえ、万が一堤防の損傷などにより津波による浸水が発生しても早期に排水できる機能を確保するため、開口部や出入り口の水密化などの対策を実施することとしております。
 具体的には、まず、最大津波高さよりも地盤高が低い施設を選定いたします。その上で、既に対策を完了しております東海豪雨を想定した浸水高さと最大津波高さを比較し、最大津波高さの方が高い施設につきまして、開口部の水密化などの対策を追加して実施し、建物内の水に弱い電気設備などの浸水を防止してまいります。

○上野委員 基本方針では、津波による浸水が発生しても排水できる機能を確保するために水密化等を実施するとのことでありますが、新聞やテレビなどで報道されるように、南海トラフ巨大地震などがいつ発生してもおかしくない状況の中、早急な取り組みが求められております。
 これら地震、津波による水害対策については、その具体化に向けまして年内に整備計画を策定すると聞いております。
 そこで、整備計画の策定を含め、迅速に下水道施設の耐水化の取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を求めます。

○黒住計画調整部長 ポンプ所や水再生センターについて、万が一地震により堤防などが損傷し、津波による浸水が発生した場合でも排水機能を確保するため、耐水対策のレベルアップを図ってまいります。
 既にすべての施設を対象とした詳細な調査、点検を実施しており、一たび浸水すると影響が大きい東部低地など地盤の低い地域等への優先度を考慮し、整備計画を年内に策定し、緊急性の高い施設につきましては今年度から直ちに対策を実施するなど迅速に対応してまいります。

○上野委員 ご答弁にもありましたように、下水道施設の耐水化については、東京都防災会議で示された最大津波高さに基づき対策を施すと。その際は、東部低地帯など地盤の低い地域等への優先度も考慮した上で、緊急性の高い施設については今年度から直ちに対策を実施するということでございます。そうした下水道局の迅速な対応というのは、私は高く評価したいと思っております。
 ところで、基本方針では、堤防や排水機場などの河川施設、これは建設局の分野でございますが、あと港湾局の方での防潮堤や水門などの海岸保全施設は、津波を上回る高潮の高さをもとに必要な対策を講じることとしているわけですね。
 そこで、確認の意味でお尋ねをしたいと思いますけれども、下水道局が対応しているという最大津波高というのはどのぐらいの高さなのか、また河川施設、海岸保全施設の対応している高潮高さというのはどのくらいあるのか、その違いをちょっとここでもう一度確認したいということで質問させていただきますが、お答え願います。

○黒住計画調整部長 まず、最大津波高さでございますけれども、東京都防災会議が示しました想定では、東京湾の平均海面の高さより二・六一メートル高い高さが最大の津波高さとしております。
 それから、高潮高さでございますけれども、高潮高さも地域により若干異なりますが、一般的には、東京湾の平均海面の高さより四メートル高い高さだと認識しております。

○上野委員 今のようにいわれまして、いわゆる東日本大震災のときに、イメージとして、非常に津波というのが怖いというイメージがあって、その意味では、津波がどれだけ東京にとって怖いのかといったときに、識者の方々からいわせれば、先ほどいったような、それほど高いものは来ないですねと。たとえ直下型の大地震のような大きなものが来て、地盤が東日本大震災みたいに沈下するようなことがあったとしても、今の護岸の高さ、防潮堤の高さからすれば、津波の高さは大丈夫ですねと、こう識者の方がいわれています。
 一部壊れることもあるでしょうけれども、致命的な破壊というのは、これだけ東京都が一生懸命耐震対策やった場合は考えにくいというふうな話がある中で、実は、群馬大学の片田教授のお話を聞いて、本当に私も目が覚めるような、また認識を改めるような思いになったわけですけれども、東部低地帯において最も怖いのはやはり台風ですよと。地震の来る頻度と台風による被害の頻度というと、はるかに台風、それから高潮被害の方が件数は多いんですと。だから、東部低地帯にとって一番取り組まなきゃならないのは高潮対策なんだと。
 そこで、その片田教授が強調されていたのは、これまでのような考え方をしちゃできませんよと。あの三・一一以降変えなきゃいけない、考え方も。
 地球温暖化の中で、台風は巨大化しているんですよと。数は少なくなったとしても、これまで赤道付近で台風は発生していた。だけれども、この地球温暖化の中で、海面とそしてその上空の温度が同じぐらいになってしまって、赤道のところでは台風が発生しなくなった。気流が発生しない。それで海面の温度というのはだんだん北の方で高くなってきて、上空の温度は北の方に行くに従って低くなっていると。そこで片田教授がいわれるのは、今や直下型台風なんですといわれています。
 台風の発生というのが、日本の直下、首都の直下、この近くのところで気流が激しくなって、突然あらわれてきて、そして台風そのものが一気に巨大化していく。ことしもそうでしたけれども、わずか数時間の間にぐんと大きくなって、そしてその勢いで日本にどおんと来る。
 二年前でしたか、台湾でもすごい台風が、二日間で二八〇〇ミリメートル降らすような台風が来た。あれは向こうに行ったけれども、ああいう台風というのが直下で起こって、日本にそのまま勢力を保持した状態でどおんと来る。過去は勢力が赤道から近づくに従って弱ってきた。だけれども、今は大きくなって入ってくるから、これに気をつけなきゃならないんだと。
 ここが今非常に大事になっているわけでありまして、この高潮に対してどうするか。一番怖いといわれるのは、複合災害といわれていました。やはり地震によって、致命的な破壊しなくても一部を破壊されたときに、津波は防げたとしても、そのときもしも巨大台風が来たときには高潮が来るんだと。
 復旧はそんなにすぐはできない。物すごい破壊力を持った台風、しかも高潮で、相当な高い潮でやってきたときには、荒川や江戸川の上流で決壊したそうした水、いわゆる大規模水害といわれますけれども、それは限られた水量が入ってくる。だけれども、海からの水は無尽蔵に入ってくるんですと。同じ高さまでどんどん入ってくるのが高潮の怖さなんですと。ここが一番大事なんだと。私もそのとおりだと思いました。
 津波高さよりも高潮、その高潮というのが、その施設によって水の高さを変えて入ってくるわけじゃありません。当然にその海面と同じ高さまでどおんと、ずうっと入ってくるわけです。そうした中で、この東部低地帯はどうすればいいかということを考えなきゃいけないよと。
 そういう意味でも、話長くなりますので、下水道施設においても高潮への対応を考慮した対策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○黒住計画調整部長 都の基本方針では、下水道施設については、堤防や水門等に守られているなどの立地条件を踏まえ、万が一津波による浸水が発生しても、早期に排水できる機能を確保するための対策を実施することとしております。
 このため、開口部の水密化などの耐水化は、津波による浸水への対応を早急に行うこととし、高潮への対応につきましては、河川施設、海岸保全施設、下水道施設の役割分担や施設の数が多いことなど下水道施設の特性を踏まえるとともに、水門等の耐震対策の進捗状況などを勘案しつつ、検討してまいります。

○上野委員 最後になりますけれども、下水道局はこれまでも、先ほど話ありましたように、都民の暮らし、安心・安全のために、温暖化対策とか、あるいは老朽化対策のための再構築、また災害対策など、本当に精力的に取り組んでこられました。
 きょうは、事務事業、下水道局長も局長になられて初めての事務事業ということで、小川局長は最初の入都が下水道局ということで、こよなく下水道局を愛され、また、これまでも大いにその発展に貢献された局長でもございますので、ここで、突然ではありますけれども、局長の下水道を愛し親しまれる、これを都民にもぜひとも伝えていただいて、その決意というのを述べていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小川下水道局長 いうまでもありませんが、下水道にとりましては、浸水から都市を守るというのが基本的な重要な役割の一つでありますし、先ほど来ご指摘もいただいておりますとおり、都民の安全・安心を守るというのは非常に重要な課題だと思っておりまして、これらの役割をきちんと果たすために、浸水対策はもちろんのこと、震災対策、あるいは老朽化施設の再構築など全力を尽くしていく覚悟でございます。
 また、こういった役割を十全に果たすためには、下水道事業単独では何事もうまくいきませんで、やはり関連する事業との連携、協力も必要でございます。
 先ほど来ご質問がありました高潮対策につきましても、海岸施設の事業、あるいは河川事業と十分連携、整合を図りまして、これらと一体となりまして、首都東京の全体としての安全対策に貢献してまいりたいと思っています。どうぞよろしくご指導のほどお願いいたします。

○西崎委員 私からは、下水道事業における地球温暖化対策について伺います。
 エネルギーの大量消費は、今日までの経済成長と豊かな生活を支えている一方で、地球規模で顕在化している温暖化の原因ともなっています。政治経済の中枢機能が集積する首都東京においても、都市活動により、大量のエネルギーが消費され、それに伴い多くの温室効果ガスが排出されております。
 そのような中で、公衆衛生の確保や、浸水の防除、公共用水域の水質保全など、さまざまな役割を担う下水道事業によって排出する温室効果ガスは、都庁の事務事業活動で排出される温室効果ガスの約四割を占めているといわれており、下水道局は、温室効果ガスの排出量削減に大きな責任を持っているといえます。
 こうしたことを踏まえまして、下水道局は、京都議定書に先駆け、平成十六年にアースプラン二〇〇四、また、これを継承しましたアースプラン二〇一〇を平成二十二年度に策定しまして、温室効果ガス削減の取り組みを進めてきていますが、アースプラン二〇一〇に基づく、下水道事業における温室効果ガスの削減の具体的な取り組み内容についてお聞かせください。

○黒住計画調整部長 アースプラン二〇一〇では、下水道事業から発生する温室効果ガスを、二〇二〇年度までに二〇〇〇年度対比で二五%以上削減することを目標としております。下水道事業からの二〇〇〇年度におきます温室効果ガス排出量のうち、汚泥の焼却に伴い発生します二酸化炭素の約三百十倍の温室効果を持つ一酸化二窒素が、全発生量の約四割と最大でございましたことから、この一酸化二窒素を削減することにまず着目いたしまして、効果的に対策を進めてまいりました。
 具体的には、汚泥を高温で焼却することで、一酸化二窒素の大幅な削減を図ってまいりました。しかしながら、その一方で、焼却温度を上げるため、都市ガスなどの補助燃料の使用量が増加するという課題がございました。このため、一酸化二窒素の排出量のさらなる削減と補助燃料などの削減を同時に可能にする多層型流動焼却炉やターボ型流動焼却炉など、新たな技術を開発し、導入を進めております。こうした取り組みにより、汚泥の焼却に伴う一酸化二窒素の昨年度の排出量は、二〇〇〇年度と比べましても半減をいたしております。
 このほか、下水処理過程で使用いたします電力の削減にも取り組んでおります。具体的には、電力使用量の約四分の一を占めます送風機につきまして、水量の変動などに合わせてきめ細かく風量制御するための小型化や、下水中に酸素を溶けやすくするため、小さな気泡を発生させる散気装置など、省エネ型設備の導入などを積極的に進めてきております。

○西崎委員 今の答弁を聞いて改めて下水道局ってすごいんだなというふうに思ったんですけれども、新しい技術の開発、導入や省エネ型設備の導入によって、温室効果ガスの削減に取り組んでいるということはわかりました。アースプラン二〇一〇は、下水道事業から発生する温室効果ガスを二〇二〇年度までに二〇〇〇年度対比で二五%以上削減することを目的に策定されています。そこで、この目標に対する現在までの温室効果ガスの削減状況についてお聞かせください。

○渡辺施設管理部長 温室効果ガスを二五%削減するという長期的な計画を着実に実施するため、中間的な目標といたしまして、二〇一四年度までに一八%以上の削減目標を設定しております。新たな燃焼方式の汚泥焼却炉や省エネ型設備の導入などに加え、汚泥焼却にかかわるきめ細かな燃焼温度の管理など、運転面での工夫により、昨年度の温室効果ガスの排出量は約七十七万トンで、二〇〇〇年度対比で約二二%を削減しており、二〇一四年度までの削減目標を既に前倒しして達成しております。
 しかしながら、頻発する集中豪雨に対応するためには、新たなポンプの増設などが必要となることから、今後、温室効果ガスの増加も見込まれるため、対策を不断に継続してまいります。

○西崎委員 温室効果ガスの削減に率先して取り組まれて、中間目標を前倒しして達成している点は評価できると思います。さらに今後、温室効果ガスの増加が見込まれるために、引き続き削減対策を進めていくとのことですけれども、こうした課題に対応するためには、石油や石炭などに代表されるような化石燃料に依存しない再生可能エネルギー等の積極的な活用も重要です。
 私、昨年、大田区にあります森ヶ崎水再生センターで、豊富な下水処理水を利用した小水力発電などを視察してまいりました。また、先月の決算委員会の質疑でも、私ども都議会生活者ネットワーク・みらいの山内れい子議員が、森ヶ崎水再生センターなどでの取り組み状況について確認しております。
 このほかにも、下水道局では、再生可能エネルギー等の活用として、太陽光発電、あるいは下水熱利用も行っていると聞いております。そこで、太陽光発電や下水熱利用の取り組み状況についてお聞かせください。

○渡辺施設管理部長 太陽光発電につきましては、葛西水再生センターに大規模な発電設備を導入しております。水処理施設の上部空間などを活用し、一般家庭約百六十世帯分に相当する出力四百九十キロワットの発電設備を設置し、太陽の動きに合わせてパネルを回転させ、発電効率を高める工夫を行っております。この発電設備は、平成二十二年度から稼働しておりまして、当初目標としておりました発電量をおおむね達成しております。このほか、ポンプ所や下水道事務所の屋上などを活用した分散型の小規模太陽光発電の導入も進めております。
 下水熱の利用につきましては、下水の温度が、夏は外気温より低く、冬は高いという特徴を利用し、下水道局施設の冷暖房に活用しております。また、地域冷暖房への活用として、オフィスビルなどがございます文京区後楽一丁目地区約二十二ヘクタールや、病院などの福祉施設がございます江東区新砂三丁目地区約十三ヘクタールを対象に下水熱を供給しております。

○西崎委員 温室効果ガス削減のために、引き続き再生可能エネルギーなどの活用を進めていっていただきたいと思います。
 一方で、今後このような再生可能エネルギー等の導入を拡大していくためには、新たな技術の開発も必要であり、産学公の連携をより一層強化することも重要です。
 先月の公営企業委員会で、下水道事業運営の基本方針について説明がありましたけれども、その中で、民間企業の開発意欲を高めるための新たな共同研究の仕組みを導入したというお話でした。この新たな共同研究の仕組みとは、具体的にどのような内容なのか、お聞かせください。

○坂根技術開発担当部長 民間との共同研究につきましては、これまでもさまざまな民間企業等と連携し、取り組んでまいりましたが、開発した技術の中には実用化に至らないものもあることから、すぐれた技術を開発する上で、民間の開発意欲を高めることが難しいという状況がございました。
 そこで、技術開発のインセンティブを向上させるため、開発した技術を導入する工事をあらかじめ指定して、共同開発者を募集し、技術開発を進める仕組みを昨年度から新たに導入いたしました。その第一弾として、葛西水再生センターのポンプ設備を対象に、永久磁石を用いた効率のよいモーターの共同研究を進めております。
 今後とも、この仕組みを用いることによりまして、民間企業の開発意欲が高まるよう促し、再生可能エネルギーの活用技術を初めとしまして、民間のすぐれた技術の活用を図ってまいります。

○西崎委員 民間企業の開発意欲を高める新たな制度の活用により、さらなる再生可能エネルギーの導入拡大が図られるものと期待しております。温室効果ガスの削減など、環境負荷の少ない都市東京の実現に向けて、下水道局は大きな役割を担っておりまして、引き続き着実に取り組むことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○野田委員 それでは、私からは、東京の水環境を改善するための高度処理と地球環境の保全に貢献するための地球温暖化対策について何点か伺います。
 私の地元である北多摩地域は、都心部とは至近の距離にありながら、東京の原風景である武蔵野の面影をとどめた自然豊かな土地柄であります。この豊かな自然を守り将来の世代まで引き継いでいくことが私たちには求められておりますが、市街地が郊外へと拡大することにより、豊かな自然は失われつつあります。
 また、都内には隅田川や多摩川を初め、大小さまざまな河川が流れ、東京湾に注いでおりますが、こうした水辺は、古くから人々の生活や憩いの場でありました。
 一方で、高度経済成長期に象徴される急激な都市化の進展に伴い、生活排水や工場排水が大量に流れ込むことで、河川や海の汚濁が進み、美しい水辺も人々の生活から失われることとなりました。
 その後、下水道の整備が進むにつれて、水質が大幅に改善されましたが、東京湾で発生している赤潮の発生日数は減っておらず、横ばいの状況で推移しております。その発生原因である窒素や燐を削減するために、下水道局では、水再生センターに高度処理の導入を進めておりますが、最初に、まず、区部における高度処理の導入状況を伺います。

○渡辺施設管理部長 窒素と燐を大幅に削減することのできる高度処理について、新規で稼働した有明水再生センターに平成八年度に導入したのを初めとして、昨年度末までに五カ所の水再生センターで導入し、一日当たりの処理能力約四十一万立方メートルの施設を完成させました。
 一方で、これまでの処理法と比べまして、高度処理施設は規模が大きくなり、新たに整備する費用や時間がかかるため、事業効果の発現までには長期間を要します。このため、既存施設の改造と運転管理の工夫により、窒素と燐の削減効果を早期に高めることのできる準高度処理を平成二十二年度から導入してきております。昨年度末までの二カ年で、五カ所の水再生センターで導入し、一日当たりの処理能力約六十四万立方メートルの施設を完成させております。

○野田委員 区部においては、高度処理に加え、既存施設の改造などで対応可能な準高度処理の導入も進めているということであり、引き続き着実に取り組んでもらいたいと思います。
 東京湾の水質改善には、区部だけではなく、多摩地域の水環境の改善も不可欠です。多摩地域の河川は、昭和四十年代には、生活排水などで汚れておりましたが、下水道の普及により水質が大幅に改善しました。さらに、流域下水道では、各水再生センターに精力的に高度処理を導入し、より一層水質改善に取り組んでいると聞いております。そこで、流域下水道における高度処理の導入状況を伺います。

○中里技術部長 多摩地域では、昭和四十年代前半から、都と市町村が連携して下水道の普及に取り組んでまいりました結果、昨年度末の下水道普及率は九九%に達しており、多摩川などの水環境は大幅に改善されております。
 流域下水道では、平成十二年度から、多摩川などの水質改善と東京湾の富栄養化の防止を図るために、各水再生センターに、窒素と燐を大幅に削減できる高度処理の導入を順次進めております。その結果、平成十六年度には、流域下水道のすべての水再生センター七カ所で高度処理が可能となり、昨年度末には、一日当たりの処理能力約五十一万立方メートルの施設が完成し、流入下水量に対する高度処理の割合は五割以上になっております。今年度は、清瀬水再生センターや八王子水再生センターなどで建設工事を実施しておりまして、今後は、平成二十七年度までに一日当たりの流入下水量の六割に相当いたします六十三万立方メートルの施設を稼働させることを目標として、鋭意整備を進めてまいります。

○野田委員 高度処理については、着実に、そして精力的に進められていることがわかりました。引き続き多摩川の水質をより一層改善し、将来の世代まで引き継いでいただきたいと思います。
 一方で、高度処理は水質が向上するものの、これまでの標準的な処理法に比べ、多くの電力が必要となることから、温室効果ガスの排出量が増加するといった課題があると聞いております。
 下水道局では、課題解決に向けた取り組みとして、温室効果ガスの削減技術などの新技術の開発を積極的に推進しております。流域下水道では、我が国初となる技術として、温室効果ガスの削減効果の高い汚泥ガス化炉を清瀬水再生センターで稼働させたと聞いております。そこで、汚泥ガス化炉の仕組みと温室効果ガスの削減効果について伺います。

○中里技術部長 清瀬水再生センターの汚泥ガス化炉は、下水汚泥を低酸素状態で熱分解いたしましてガス化することで、温室効果ガスの排出を大幅に削減し、地球温暖化防止に貢献する日本初の施設でございます。
 特徴といたしましては、ガス化炉で発生するガスを汚泥の乾燥処理の熱源や発電などに有効利用するとともに、二酸化炭素の三百十倍の温室効果を持ちます一酸化二窒素の発生を、従来の汚泥焼却に比べ大幅に削減することができることであり、従来の焼却炉と比較すると、一年間に発生する温室効果ガスを二酸化炭素に換算いたしまして約九割削減することが可能でございます。

○野田委員 温室効果ガスの削減に向けて、下水汚泥をガス化する技術が大きく貢献していることがわかりました。今後も良好な水環境の創出と温室効果ガスの削減について積極的な取り組みを期待します。
 下水道の水再生センターは、地元にとって、ともすれば迷惑な施設といわれていることもありますが、清瀬水再生センターは、生活排水などをきれいにして川などに放流するだけではなく、施設の上部は、清瀬市管理のもと、野球やサッカーができる運動公園として地元に開放し、地域の交流や市民の憩いの場として活用されております。
 また、水再生センターの敷地の一部は、スポーツ祭東京二〇一三の女子サッカー会場として活用されるということもあり、この効果もあって、休日などには多くの方々が訪れ、地元は非常に活気が出てきております。
 さらに、清瀬水再生センター内には、小学生や環境団体、清瀬市などの地域の方々と協働して、自然環境を復元したビオトープ公園を整備し、園内の観賞や学習活動を行うなど、世代を超えた親睦の場となっており、地域社会の活性化に大きく貢献していると聞いております。引き続き地元の住民の方や関係市と連携し、地域に愛され親しまれる水再生センターとなるように取り組んでいただくことを要望して質問を終えます。

○笹本委員 先ほどの上野副委員長と私は、地元が一緒ということで、東部低地帯、隅田川から東側のところですね、質問がかなり重なるかなと思って聞いておりました。重複することがないような形で質問をしたいというふうに思います。
 地域では、何か防災訓練とかそのようなものがあると、よくまくら言葉のように、先ほども、昭和二十二年のカスリーン台風の話ですとか、地域の七〇%がゼロメートル地帯ということで、天井川なんていう言葉もいまだにありますし、非常に水との闘いの歴史であったのかなということを察するわけです。
 そして、今ではもう下水の施設も、相当、ほぼ一〇〇%に近いぐらい整備されているのかなと。相当整備も進み、区長なども口癖のように、六千億ぐらいの予算をかけて整備をしてきた歴史があるんだということをよく話しているのを聞くことがあります。
 地域の言葉ですけれども、治水とか利水とかということはよくいうんですが、親水公園というのがありまして、水に親しむということがあって、恐らくこれは四十年ぐらいの歴史ではないかなと思いますが、いわゆるにおいのするどぶ川を水の澄める川に変えていくという事業を非常に熱心にしてきた結果、至るところに親水公園、何々川親水公園だとか、親水何とかという、場所によっては魚がいたりするんですけれども、そういうものがあって、清掃なんかは地域のボランティアで地域の力でやりましょうなんということも含めてやってきて、水に今では親しんでいるというふうになっております。
 とはいえ、別に当区に限らず、下水道施設の老朽化や耐震化とかということもあるんでしょう、老朽化も進んでいるという現状があるのかなというふうに認識をしているところでございます。
 二カ月ぐらい前、皆さんご案内のとおりだと思いますが、「都政新報」ではありますが、下水道管の老朽化に起因する道路陥没が、その報道では九百五十件というふうになっておりました。相当数多くの道路陥没があるんだなということがうかがえます。大きいものから、さほど大きくないものからいろいろあるんでしょうけれども、この下水道管に起因する道路陥没について、対策も含めてご説明いただきたいと思います。

○渡辺施設管理部長 下水道管に起因する道路陥没の主な原因は、老朽化や衝撃などにより下水道管が破損し、周りの土が管の中へ流れ込むことで、道路の下に空洞が発生することによるものと考えられます。このうち、家庭などからの排水を受けて下水道管につなぐ取りつけ管において道路陥没が多く発生しており、発生件数の七五%程度を占めております。
 取りつけ管は、道路下の比較的浅い位置に埋設されているため、車両通行の振動を受けやすいことに加え、平成元年までに整備された取りつけ管の多くは、粘土を焼いてつくりました、衝撃に弱い陶管でできており、損傷が発生しやすいことから道路陥没の要因となっていると考えております。
 このため、陶管の取りつけ管を、より衝撃に強い硬質塩化ビニール管に取りかえる事業を計画的に進めております。今後とも、道路陥没を未然に防ぐため、その取り組みを着実に進めてまいります。

○笹本委員 陶製の管ということで、恐らく当時は、コストも安かったのかなというふうな感じがします。今では塩化ビニールというのですか、そういういわゆる腐食しないというか、腐らないものにかえていくということで−−なかなかここが割れていて漏れているというのは難しいんでしょうけれども、陥没してからじゃないとかえられないのかなとかと素人考えでは思うのですが、でも、その幹線が陶のところというのは把握はされているんでしょうけれども、これは速やかに整備をしていくということなんでしょう。ぜひ安全な形で交換が進めばいいなというふうに思います。
 それで、この区域、荒川の東側の葛西処理区というのですか、西側の砂町処理区と、区部の東側でない人はどこらかよくわからないと思いますけれども、最近はやりの火力発電所の候補地の隣なのかなというあたりですね。海もすぐ近く、荒川を挟んでいるというあたりだと思いますが、古くから整備はされてきたと。相当古くからの歴史もあるということで、当然、下水道管の老朽化も進んでいるというふうに思われるわけです。
 特に規模が大きく、大量の下水を集める下水道幹線が機能を失った場合等は、相当甚大な被害も予想されるということで、老朽化対策が急務だということだと思います。
 そこで、下水道幹線の再構築の取り組みについて、東部低地帯にある砂町処理区の状況とあわせてご説明をいただきたいと思います。

○野村建設部長 下水道幹線の再構築は、幹線内部の老朽化状況の調査結果に基づきまして、補修による延命化を図るとともに、計画的に再構築を実施しているところでございます。
 具体的には、幹線は規模が大きく、道路を掘ってつくり直すことが困難なため、管の内部から補強する更生工法を主に採用してございます。これによりまして、工期の短縮や工事現場周辺のお客様の生活への影響を少なくすることに努めているところでございます。
 区部の下水道幹線約千百キロメートルのうち、昭和三十年代以前に整備され、老朽化が進むなど、対策が必要な幹線約百二十キロメートルについて再構築を進めており、昨年度末までに約三十八キロメートルを完了させたところであります。砂町処理区では約十八キロメートルのうち約四キロメートルを完了させております。

○笹本委員 着実に進めていただきたいと。今の数字ですと、まだまだ整備は進めていかなくてはならないのかなというふうな印象を持ちます。着実に、そしてスピード感を持ってやっていただければというふうに思います。
 昨年三月の東日本大震災では、江戸川区の清新町ですとか、江東区の新木場など、液状化が日ごろから懸念されるところで、大規模とはいえないかもしれませんが、発生しました。すぐお隣の浦安は大変な状況になったということも記憶に新しいということでございます。幸いに、下水道が使えなくなるという状況はなかったというふうに聞いておりますが、こういう状況を少しでも防ぎ−−今後の震災対策とかというものが急がれると思いますが、この下水道管の耐震化の取り組みについて、江戸川区の状況とあわせてご説明をいただきたいと思います。

○野村建設部長 下水道管の耐震化は、過去の大規模地震の被害実態を踏まえまして、震災時における下水道機能や緊急車両の通行を確保するなどの観点から必要な対策を実施してございます。
 阪神・淡路大震災の経験から、下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更し、耐震性の向上を図る対策を進めておるところでございます。これまで、避難所や災害拠点病院などの排水を受ける箇所から優先的に対策を進めてございまして、昨年度までに、対象とする約二千五百カ所のうち、おおむね八割が完了し、残りの箇所につきましても、計画を二年前倒しいたしまして、来年度の完了の予定でございます。
 江戸川区内では、対象とする約百七十カ所のうち、昨年度までに約八割を完成させたところでございます。また、新潟県中越地震では、地盤の液状化に伴うマンホールの浮上が多く発生したことを受けまして、浮上抑制対策を平成十九年度から進めてございます。液状化が予想される地域にある緊急輸送道路約五百キロメートルにつきましては、平成二十二年度までに対策を完了させてございまして、昨年度からは、緊急輸送道路と避難所などを結ぶ、いわゆるアクセス道路に拡大して実施しております。
 江戸川区内につきましては、昨年度、区の地域防災計画が新たに、いわゆるアクセス道路が位置づけられたことを受けまして、今年度から設計に着手しておりまして、来年度の早期の着工を目指しているところでございます。

○笹本委員 今お伺いのとおり、下水道管の耐震化は、相当、八割ぐらいですか、完了しているということで、マンホールの浮上抑制対策も、緊急輸送道路での対策も既に完了するなどということで、着実に対策が進められているということは、その地域に住む住民としては大変ありがたいということで評価できるものだなというふうに思います。着実に、安心・安全な都市づくりということをさらに進めていただきたいというふうに思います。
 先ほど来からいっていますように、この東部低地帯というところでは、本当に水との闘いの歴史であった場所であるということは、今さらながらいうまでもないんですが、特に、隅田川と荒川に挟まれた江東デルタ地帯は、何回も、いわゆる浸水だとかそういう水害にさらされてきたということであります。その被害を軽減するためにも、江東幹線、江東ポンプ所の整備が進められているということですが、この江東幹線と江東ポンプ所の整備について、概要をご説明いただきたいと思います。

○野村建設部長 江東幹線、江東ポンプ所は、平成十九年度に策定いたしました東京都豪雨対策基本方針における対策促進地区の一つである木場・東陽地区等の浸水対策として、雨水排除能力を増強する基幹施設でございます。
 江東幹線は、対象流域約五百ヘクタールに降った雨水を速やかに排除するため、地下約四十メートルの深さに設置する、最大内径六メートル、延長約五キロメートルの下水道幹線でございます。昨年度、工事に着手いたしまして、現在、木場公園におきまして、トンネル発進に必要な資機材等を搬出入するための立て坑を築造中でございます。
 江東ポンプ所は、ポンプ所近傍の東雲地区の雨水排除機能が既に稼働してございますが、江東幹線で集めたそれ以外の地区の雨水を辰巳運河に放流するため、毎秒約五十立方メートルの雨水排除能力を持つ、地下四十メートルを超える深さの新たなポンプ棟を増設いたします。今後とも、浸水被害の早期軽減に向けて、着実に取り組んでまいります。

○笹本委員 技術的なことは、専門的なことは私はわかりませんけれども、大変な困難もあり、また、難しい事業なんだろうなということは察すると思いますが、何度もいいますが、この東部低地帯の安全と安心というものを、ぜひ守るためにも進めていただきたいことだなというふうに思っています。
 江戸川にしても江東にもそうですけれども、さんずいの江だったり、島とか、やたらそういう地名もたくさんあります。すぐお隣の柴又というところは、聞くところによると、何か島また島といって、それぐらい水害があって、危険な地域だったということは聞いております。先ほどもありました住民の生命と財産をしっかりと守るという使命があると思いますので、今後も事業の着実な執行をお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十六分散会

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