公営企業委員会速記録第四号

平成二十四年三月二十二日(木曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長早坂 義弘君
副委員長新井ともはる君
副委員長長橋 桂一君
理事高橋 信博君
理事西崎 光子君
理事門脇ふみよし君
相川  博君
矢島 千秋君
中谷 祐二君
山下ようこ君
いのつめまさみ君
鈴木貫太郎君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長野澤 美博君
次長中村  靖君
総務部長宮川  昭君
水道局局長増子  敦君
次長森 祐二郎君
総務部長福田 良行君
下水道局局長松田 二郎君
技監小川 健一君
総務部長石原 清次君

本日の会議に付した事件
 決議について
予算の調査(意見開陳)
・第二十二号議案 平成二十四年度東京都交通事業会計予算
・第二十三号議案 平成二十四年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十四号議案 平成二十四年度東京都電気事業会計予算
・第二十五号議案 平成二十四年度東京都水道事業会計予算
・第二十六号議案 平成二十四年度東京都工業用水道事業会計予算
・第二十七号議案 平成二十四年度東京都下水道事業会計予算
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○早坂委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました決議一件につきましては、お手元配布の 案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

工業用水道料金の減免措置に関する決議(案)
 東京都議会は、平成九年三月、工業用水道料金の改定に際し、長期化する景気の低迷を踏まえ、中小零細企業が多い用水型皮革関連企業に対して、特別の減免措置を講ずべきとの付帯決議を行った。
 その後、都議会では、東京の地域経済や都民生活の状況を考慮し、減免措置の継続を求める決議を行ってきた。
 これを受けて、都は、工業用水道料金の減免措置を実施しているが、本年三月末日をもってその実施期間が終了する。
 しかし、都内の景気は、歴史的な円高による影響や雇用情勢に悪化懸念が残る中、持ち直してきているものの、用水型皮革関連企業は依然として不況業種に指定されるなど、これを取り巻く環境は、今なお厳しい状況にある。
 よって、東京都議会は、用水型皮革関連企業に係る工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、平成二十四年四月以降も、引き続き減免措置を継続するよう強く求めるものである。
 以上、決議する。
  平成二十四年三月 日
東京都議会

○早坂委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。

○早坂委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第二十二号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○いのつめ委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十四年度予算に係る議案について意見の開陳を行います。
 厳しい財政環境の中、一般会計の予算規模は、前年度比一・四%減の六兆一千四百九十億円と四年連続の減になり、政策的経費である一般歳出も、前年度比一・三%減の四兆五千二百三十一億円に抑制されています。投資的経費については、前年度比一・二%増の八千五百七億円として、新たな雇用や需要の創出などにも配慮されたものとなっています。
 事務事業評価においては、報告団体への支出などにも対象範囲を拡大し、百九十八件を見直し、約二百二十億円の財源を確保するとともに、歳出を精査して約千百六十億円の事業費を削減しています。こうした取り組みを通じ、基金の取り崩しを最小限に抑えたことは、不安定な都税収入に支えられている都財政を運営する上で当然のリスク管理であり、評価するものです。
 昨年三月に発生した東日本大震災は、都政のあらゆる分野に新たな課題を投げかけました。そこで、都は、こうした都政環境の変化を反映した都市戦略「二〇二〇年の東京」計画を発表し、大震災を乗り越え、日本の再生を牽引するとしています。
 本予算案では、首都直下地震や三連動地震へのさらなる防災対策の強化、災害に強く環境負荷の少ない省エネルギー型の都市づくりや放射能対策などに戦略的な対応を行うとしています。また、急激な円高に苦しむ中小企業を支え、雇用を守る取り組みを行うことや、子どもや子育て家庭への支援などについても、確実に取り組むとしています。
 一方で、住宅耐震化の対象拡大、救急搬送時間の短縮に向けた取り組みやがん対策など、医療に対する都民ニーズの多様化や高齢化、高い失業率などに迅速に対応し、真に都民の安心を得るためには、さらなる施策の充実が必要です。
 また、都の財政運営にとって重要な課題である法人事業税の暫定措置廃止については、国の社会保障・税一体改革大綱において、撤廃に向けた方針が明記されました。しかしながら、今なお、その実現には乗り越えるべきハードルや異論があり、私たちも撤廃が完全に実現するまで、引き続き国に対する取り組みを行ってまいります。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
 まず、共通部分について申し上げます。
 一、公営企業においては、多様化する都民のニーズに的確にこたえ、質の高いサービスを提供するとともに、これまで以上の企業努力により、強固な財政基盤と不況下での都民負担に配慮し、計画的、効率的な事業運営に努めること。
 次に、交通局関係について申し上げます。
 一、都営地下鉄における安全・安心のために、大江戸線への可動式ホームさくの整備を初め総合指令の構築に取り組むこと。また、地下鉄施設の耐震補強の実施や駅エレベーターの閉じ込め防止対策を実施するとともに、浸水対策として、地下鉄トンネル内や出入り口の防水扉の拡充、電動遠隔操作化など、抜本的な対策を行うこと。
 一、都営地下鉄におけるサービス向上に向けて、すべての駅で、エレベーター等による一ルートの確保を早急に実現するとともに、すべての地下駅の冷房化を実現すること。また、東京メトロとの乗りかえの改善など、サービスの一体化に取り組むとともに、壁撤去後の九段下駅のホームの安全確認については、東京メトロと十分協議をすること。
 一、都電荒川線については、踏切の自己電源化に取り組むとともに、電車近接表示装置の増設、更新など運行情報サービスに取り組むこと。
 一、バス事業の経営については、東京電力からの配当が見込めない中にあって、安易に都民に負担を転換することのないよう、着実に経営努力を進めること。また、バス事業における質の高いサービスを提供していくために、バス近接表示装置の増設、更新など、運行情報サービスの充実に取り組むこと。
 一、日暮里・舎人ライナーは、輸送障害を発生させないよう、雪害対策に取り組むこと。
 一、地球温暖化対策に対応するために、低公害ノンステップバスの導入を進めること。また、エスカレーターの更新や省エネ型の照明設備の導入を進めること。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、水需要予測については、安全度や負荷率などのあり方を再度見直すなど、八ッ場ダムの必要性を含め、これまでの水源確保のための施策を再検討すること。
 一、安全でおいしい水の供給に向けて、利根川水系の全浄水場に高度処理水を順次導入すること。また、直結給水方式の普及促進を図ること。
 一、安定給水を確保するために、相互融通機能などを図るとともに、漏水防止対策を推進すること。また、民有林のモデル購入を積極的に進めること。
 一、防災対策を進めていくために、耐震継ぎ手化事業の推進や水源及び浄水施設の耐震性強化を図るとともに、非常時における電源確保などを進めること。また、ゼロメートル地帯など低地帯にある水道施設の抜本的な浸水対策に取り組むこと。
 一、広域的な事業運営を図るために、多摩地区水道の広域的な経営に取り組むとともに、国際的な水問題に対応するために、職員の海外派遣や技術、ノウハウの発信などを積極的に進めること。
 一、水道事業の温暖化対策を展開していくために、トップレベル事業として認定されたことに甘んじることなく、引き続き、他の事業所の模範となるような施策を展開すること。また、残留塩素の低減化と送配水過程におけるエネルギーの効率化を目指した新しい水供給システムを構築すること。
 一、水道文化の継承を図るために、小中学校の水飲み栓直結給水化をモデル事業として実施すること。また、玉川上水の整備、保全を図ること。
 一、多摩地区水道事業における事業委託に際しては、地域事情を考慮し、円滑な移行が行えるよう十分に配慮すること。
 一、工業用水道事業の抜本的な経営改革に当たっては、中小零細企業の経営状況や経営環境など、きめ細やかな調査を実施し、実態の十分な把握に努めること。
 最後に、下水道局関係について申し上げます。
 一、老朽化が著しい下水道管の再構築を計画的、効率的に実施するとともに、水再生センターやポンプ所を再構築する際は、省エネ化や雨水排除能力の向上を進めること。特に、芝浦水再生センターと森ヶ崎水再生センター間のネットワーク化や下水道機能維持のためのNaS蓄電池の倍増などに取り組むこと。
 一、集中豪雨による都市型水害への対応強化に向け、東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、特に、浸水の危険性の高い対策促進地区の施設整備を引き続き進めるなど、下水道整備のスピードアップを図ること。
 一、下水道の震災対策として、東京湾の満潮位以下にあるポンプ所等がある中にあって、抜本的な対策に取り組むこと。また、避難所などの施設における下水道管の耐震化を進めるとともに、避難所などへのアクセス道路でのマンホール浮上抑止対策などを実施すること。
 一、合流式下水道への雨水の流入を抑制するために雨水浸透ますの設置をさらに促進するなど、合流式下水道の改善を進めること。
 一、東京湾などの水質改善に向けて、下水道の高度処理を進めるとともに、既存施設における工夫を凝らし、窒素、燐の削減効果を高めること。
 一、地球温暖化対策を推進するために、省エネ型機器の導入や焼却炉の運転管理の工夫など、アースプラン二〇一〇を着実に実施すること。また、下水汚泥から水素ガスを取り出すなど、画期的な技術の活用に向けて検討すること。
 一、民間企業との共同研究について、人材育成によって、より一層力を入れることにより、東京都が培ってきた技術の継承や先進的な技術の開発をさらに進めること。
 一、流域下水道の広域化と協同による効率化を推進するために、し尿処理の受け入れに関する体制を整備するなど、市町村との新たなパートナーシップの構築に向け取り組むこと。
 以上申し上げまして、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○高橋委員 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、公営企業委員会に付託されました平成二十四年度東京都予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 平成二十四年度予算案は、厳しい財政環境が続く中で、都民の安全・安心を取り戻す確かな手だてを講じるとともに、東京の成長と発展に向けた取り組みを戦略的に推進するものとなっています。とりわけ注目すべきは、歳出総額を抑制しながらも、経済波及効果の高い投資的経費を八年連続で増加させている点です。同時に、事業評価を初め、むだをなくす取り組みを徹底して行い、基金残高を八千三百億円確保するなど、今後の備えも講じています。
 真に必要な施策の推進とそれを支える財政基盤の堅持という、二つの課題を両立させたものとなっており評価するものです。今後も都税収入の好転が見込めない中、将来にわたり責任ある財政運営を行っていくためにも、自己改革努力を不断に進め、堅実な財政運営に徹することを望みます。
 最後に、現下の都民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、各局とも、施策の目的をできる限り早期に達成するべく、迅速かつ着実な予算執行に努められるよう強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、交通局関係について申し上げます。
 一、交通局経営計画ステップアップ二〇一〇に定められた施策を確実に実施し、安全・安心の確保、質の高いサービスの提供、社会的要請への対応、経営力の強化に努められたい。
 二、東日本大震災の教訓を踏まえた地下鉄構造物の耐震補強や、利用者への情報提供、帰宅困難者対策、危機管理体制の充実など、関係機関と連携して災害対策を一層強化されたい。また、火災対策など、車両や施設の安全性の向上に取り組まれたい。
 三、地下鉄の安全で正確な運行を確保するとともに、事故等の際の対応を強化するため、総合指令の整備を進められたい。
 四、勝どき駅の大規模改良工事を推進し、周辺の再開発に伴う駅の混雑緩和に取り組まれたい。また、大江戸線のホームドアの整備を着実に推進するとともに、他線の整備についても検討されたい。
 五、地下鉄構造物の長寿命化を図り、予防保全の考え方に立った管理を推進されたい。
 六、だれもが利用しやすい地下鉄とするため、エレベーター等によるワンルートの確保などの駅施設のバリアフリー化に加え、車両における取り組みを促進されたい。また、駅全体の案内サインの整備やユニバーサルデザインにも配慮したトイレの改修を計画的に進められたい。
 七、バス事業は、経営環境が一段と厳しくなることが予想されるため、経営資源を有効活用して、さらなる効率化に一層努力されたい。
 八、だれもが乗りおりしやすいノンステップバスの導入や、バス停留所の上屋、ベンチの整備をさらに進めるとともに、バス運行情報サービスを充実するなど、利便性の向上に努められたい。
 九、ハイブリッドバスなどの低公害型バスの積極的な導入を図るなど、環境負荷の低減に努められたい。
 十、都電荒川線の施設の改良や震災の教訓を踏まえた踏切の安全対策などを進め、安全輸送基盤の充実に努められたい。また、運行情報サービスの充実を図るとともに、地域の活性化に寄与されたい。
 十一、日暮里・舎人ライナーは、地域との連携を強化して増収に努め、事業運営の早期安定化を図られたい。
 十二、資産の有効活用など、関連事業の推進に当たっては、公営企業としての経済性発揮と公共性の両立を図られたい。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、利根川、荒川水系における新規水源開発について、国に対して働きかけるなど推進に努めるとともに、民有林購入モデル事業の実施等、水源林の適正管理に努められたい。また、大規模浄水場の更新を契機に、より安全度の高い水道施設への再構築に向け取り組まれたい。
 二、高度浄水処理の着実な導入や直結給水方式の普及促進に向けた取り組みの強化など、安全でおいしい水の供給に向けた諸施策を推進するとともに、積極的なPRに努められたい。
 三、震災時等においても給水が確保できるよう、水道管路の耐震化を着実かつ重点的に実施するとともに、電力確保対策、私道内給水管の耐震性向上など、耐震対策に万全を期されたい。
 四、未利用エネルギー等の活用など、環境に配慮した施策を進めるとともに、蛇口から水を飲むという日本が誇る水道文化を次世代に継承するため、小中学校の水飲み栓直結給水化モデル事業等を積極的に取り組まれたい。
 五、多摩地区では、多摩水道改革計画に基づき、都営水道として一元的な施設整備を進めるなど、広域水道としてのメリットを生かした事業運営を進められたい。
 六、経営努力に万全を期すとともに、監理団体との一体的な事業運営体制を推進し、公共性を確保しつつ一層の効率化を図りながら責任ある経営を実現されたい。
 七、諸外国の水事情の改善に貢献するため、東京水道の技術を生かした国際貢献ビジネスを推進されたい。
 八、工業用水道事業においては、効率経営を推進しつつ、抜本的な経営改革について関係各局で検討を進められたい。また、用水型皮革関連企業に係る料金について、減収分に適切な措置を行い、減免措置を継続されたい。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇一〇の達成に全力で取り組み、都民サービスの一層の向上と経営の効率化を図られたい。
 二、老朽化した下水道施設の更新を進めるとともに、あわせて機能の高度化を図るなど、再構築事業を計画的に推進されたい。
 三、都市型水害に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水対策に重点的に取り組むとともに、緊急豪雨対策に基づき、大規模地下街や神田川など三流域において、貯留施設等の前倒し整備を図られたい。
 四、高度防災都市づくりに向けて、下水道施設の耐震化や耐水性の強化など、震災対策をより一層推進されたい。
 五、公共用水域の水質をより一層改善し、豊かな水辺環境の創造に資するため、合流式下水道の改善や高度処理を積極的に推進されたい。
 六、地球温暖化を防止するため、アースプラン二〇一〇に基づき温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組まれたい。
 七、汚泥の資源化や再生水の利用拡大、施設の上部利用等、下水道が持つ資源、空間等の有効利用を図られたい。
 八、多摩地域の公共下水道事業を実施する市町村との協同を基本に、流域下水道事業を効率的、効果的に推進されたい。
 九、下水道事業が直面する技術的課題を解決するとともに、将来的な課題を見据えた技術開発に計画的に取り組まれたい。
 十、下水道のニーズがある国や地域の課題解決に寄与するとともに、日本の産業力強化に貢献するため、下水道事業における国際展開を着実かつ積極的に推進されたい。
 十一、下水道経営の安定に資するため、国費の確保及び制度の拡充等の財政措置を国に強く要望するとともに、コスト縮減や業務執行体制の見直しを図るなど、企業努力を行い、健全な財政運営に努められたい。
 以上で私の意見開陳を終了いたします。

○長橋委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成二十四年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 平成二十四年度の一般会計当初予算案は、都政史上初の五年連続都税収入減という厳しい財政環境の中、歳出総額が抑制されたものとなっており、政策的経費である一般歳出は、前年度比一・三%減の四兆五千二百三十一億円と、二年連続の減となっています。
 しかし、その中身を見れば、施策を厳選し、限られた財源を重点配分することで、都民の負託に的確にこたえるものへと練り上げられた予算となっていることがうかがえます。
 具体的には、依然として日本経済の低迷が続く中、雇用創出効果や中小企業の受注機会の拡大など、景気対策にも密接に連動する投資的経費を八年連続で増加させております。また、公明党が一貫して充実を求めてきた福祉と保健の分野については、金額、構成比とも、過去最高としています。
 加えて、防災力強化やエネルギー対策など、東日本大震災により浮き彫りとなった東京の新たな課題にも積極果敢に対応するものとなっています。とりわけ、全国自治体の先頭に立って災害廃棄物の受け入れを推進するなど、引き続き被災者、被災地支援にしっかりと取り組む姿勢は、高く評価するものであります。
 都財政を取り巻く環境が厳しさを増す中において、このような予算を編成できたのは、都が公明党と手を携え、複式簿記・発生主義による新たな公会計制度も活用しながら、事業評価を初めとした都庁の自己改革努力を重ね、堅実な財政運営に徹底して取り組み、財政の対応力を培ってきたからにほかなりません。
 平成二十四年度予算案においても、むだをなくし、個々の施策の効率性や実効性を高める取り組みを徹底するとともに、都債や基金を適切に活用するなど、まさに施策展開と、それを支える財政基盤の堅持とのバランスのとれた予算案といえます。
 厳しい財政環境が当面続くことが見込まれますが、いかなる状況にあっても都民生活を守っていけるよう、今後とも将来に向けて責任ある財政運営に努めることを強く望むものであります。
 あわせて予算の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効率的、効果的に行うことを要望します。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、交通局関係について申し上げます。
 一、交通局経営計画ステップアップ二〇一〇に基づき、効率化の推進など一層の企業努力に取り組み、経営基盤の確立に努めるとともに、都民が安心して都営交通を利用できるよう、事故防止の取り組みを強化すること。また、交通局のさまざまな取り組みを積極的にアピールすること。
 一、地下鉄について、ハード面はもとより、災害時の避難、誘導体制などソフト面の安全対策にも万全を期すこと。また、帰宅困難者対策にも取り組むこと。火災対策の強化など車両や施設の安全性を高めるとともに、大江戸線のホームドアの整備を進めること。
 一、地下鉄駅において、エレベーターやエスカレーター等、高齢者や身障者等に優しい設備の整備を促進するとともに、ソフト面のバリアフリー化にも積極的に取り組むこと。特に、全駅でのいわゆるワンルートの確保を早期に実現すること。
 一、バス路線については、需要の変化に対応し、路線を見直し、ダイヤの改正などを行い、経営基盤を強化すること。また、関係機関と協力して定時運行の確保に努めること。
 一、ドライブレコーダーを有効に活用するなど、都バスの安全対策の充実を図ること。
 一、バス車両の更新時に、ハイブリッド車等の低公害型車両を導入するなど、環境に配慮した事業運営に努めること。
 一、だれにも利用しやすいノンステップバスの導入拡大や、バス運行情報サービスの充実など、利用者サービスの向上を図ること。
 一、都電荒川線について、地元との連携を図りながら、沿線地域の活性化に取り組むとともに、運行情報サービスを充実するなど、利便性の向上に努めること。また、日暮里・舎人ライナーとともに積極的な営業活動に努めること。
 一、土地の有効活用を図り、地域の活性化に寄与するとともに、公営企業としての収入の確保に努めること。
 一、都営交通におけるICカードを活用したポイントサービスの普及に努め、一層の利用促進を図ること。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、水源の確保については、利根川水系及び荒川水系における新規水源の開発促進を国に強く働きかけること。また、原水の水質保全対策を積極的に推進すること。あわせて、多摩川上流の水源林の機能向上に取り組むとともに、民有林のモデル購入などの施策を推進し、森林保全及び都民の意識向上に努めること。
 一、震災時等においても給水の確保が図れるよう、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業等を着実に推進すること。また、隣接する水道事業者間で、水道水を広域的に相互融通する体制の強化に取り組むとともに、ボランティアも含め、地域住民等と連携した震災時の応急体制づくりを推進すること。さらに、事業費の平準化等を図り、将来の大規模浄水場の更新に万全を期すこと。
 一、安全でおいしい水を供給するため、利根川水系の浄水場において、高度浄水処理の全量導入を推進すること。また、水質検査及び浄水過程における水質管理を徹底するとともに、水安全計画を着実に運用し、水質管理に万全を期すこと。さらに、小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業の実施や、貯水槽水道対策の推進、直結給水方式の普及拡大に努めること。
 一、事業財政の安定化を図るため、一層の経営努力に努め、民間的経営手法を積極的に導入すること。また、監理団体との一体的事業運営体制を推進し、公共性を確保しつつ一層の効率化を図りながら責任ある経営を実現すること。
 一、事業活動に伴う環境への負荷を継続的に改善するとともに、未利用エネルギー等の活用に努めるなど、環境に配慮した施策を推進すること。
 一、PR施設の展示の充実や地域水道ニュースの発行、近隣水道事業体との連携した広報など、水道水のイメージ向上に向けて、より効果的なPR活動を展開すること。
 一、工業用水道事業においては、需要の減少傾向による厳しい経営環境を踏まえ、引き続き効率経営を推進しつつ、抜本的な経営改革について関係各局で検討を進めること。また、用水型皮革関連企業にかかわる工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、引き続き減免措置を継続すること。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇一〇の達成に向けた取り組みを通じ、一層の都民サービスの向上と経営の効率化に努めること。
 一、施設の老朽化に対応しつつ機能の高度化を図る再構築事業を、計画的、効率的に進めること。
 一、都市型水害に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づく浸水対策の推進を図るとともに、緊急豪雨対策に取り組むこと。
 一、震災時においても下水道の機能を確保するため、下水道施設の耐震化を推進するなど、震災対策のさらなる強化に取り組むこと。
 一、公共用水域の水質を守り、一層改善するために、合流式下水道の改善を推進するとともに、高度処理施設の整備を促進すること。
 一、地球温暖化防止に貢献するため、アースプラン二〇一〇に基づき、積極的に温室効果ガスの排出削減に取り組むこと。
 一、多摩地域の公共下水道事業を実施する市町村との協同を基本に、流域下水道事業を効率的、効果的に促進すること。
 一、下水汚泥の資源化、下水を高度処理した再生水の利用拡大など、資源の有効利用を進めること。
 一、計画的な補修など予防保全を重視した維持管理や、臭気対策の強化など、維持管理の充実を図ること。
 一、国費の確保や起債における公的資金枠の確保などの財政措置を国に強く要望すること。
 一、技術開発を推進するとともに、すぐれた技術やノウハウ等を生かし、国際展開に積極的に取り組むこと。
 一、建設から維持管理までのトータルコストの縮減、業務執行体制の見直し等、経営計画に示された経営効率化の取り組みを進めること。
 以上をもちまして意見の開陳を終わります。

○西崎委員 私は、都議会生活者ネットワーク・みらいを代表し、本委員会に付託されました平成二十四年度予算関係議案について意見の開陳を行います。
 昨年三月の東日本大震災後初の当初予算は、前年度に比べて一・四%減の六兆一千四百九十億円で、その中の一般歳出は、前年度に比べて一・三%減の四兆五千二百三十一億円、二年連続の減となりました。
 大震災や夏の集中豪雨、タイの洪水など、相次ぐ災害、またヨーロッパの信用不安による急激な円高など、景気、経済をめぐるさまざまな状況によって都税収入は落ち込んでおり、先行き不透明な経済状況で財政環境の将来を見通すことは困難ですが、少子高齢化、人口減少といった今後の東京の課題を見据えて、それに着実に対応していかなければなりません。
 一般歳出を抑制する一方で、投資的経費は八年連続増額で、前年度に比べて〇・二%増としていますが、下水道や橋の老朽化に見られるように、社会資本整備の面からも、新たなものをつくるのではなく、メンテナンスや再整備に大きくシフトしていかなければならない時代に入っている中、二〇二〇年のオリンピック招致を前提にしたインフラ整備には疑問が残ります。
 若者の就職難、貧困世帯の増加など都民生活はさらに厳しさを増しています。だれもが地域で生活できるように、職や住まいの確保、地域医療の充実と福祉の連携、障害者、若者の自立に資する施策などで、セーフティーネットを構築し、環境、福祉重視のまちづくりへ、しっかりと方向を示すとともに、実際に事業を担う区市町村の主体的な取り組みを支援すべきです。
 放射能対策は、これから長期にわたって食品などの内部被曝が問題になります。子どもへの影響に対する十分な対策が必要です。
 また、子どもや子育て家庭への支援の重要性が増しています。子どもの育ちを見守り下支えする環境整備が必要です。今回、社会的養護の取り組みを推進する事業が盛り込まれましたが、困難を抱える子どもや若者へのきめ細かい支援を求めます。
 以下、各局別に申し上げます。
 交通局関係についてです。
 一、地下鉄の安全・安心確保のため、可動式ホームさくの全駅設置を進めるとともに、地震や火災への対応に万全を期すこと。
 一、混雑緩和策のため、車両の増強や駅施設の改良に取り組むこと。
 一、高齢者や障害者、ベビーカー利用者などが使いやすいよう、エレベーター、エスカレーターを整備するとともに、トイレや点字ブロックの改良を進めること。
 一、公共交通に関するサインは、観光客や外国人、高齢者、障害者にもわかりやすいものを適切に配置すること。
 一、都バスのバス停を屋根つきに整備し、可能なところには太陽光パネルを設置すること。
 一、路面電車やバスなどの公共交通を生かしたまちづくりを進めること。
 一、乗客の安全を第一に、乗務員の健康管理を徹底すること。
 一、ワークライフバランスを進め、男女ともに働き続けることのできる環境整備に積極的に取り組むこと。
 次に、水道局関係についてです。
 一、震災などの災害時においても、水が安定供給されるよう、水道施設の耐震化等の対策を一層進めるとともに、いざというときに使えるよう給水所や応急給水槽の所在などを周知すること。
 一、節水、漏水対策や、再利用を強化するとともに、都の独自の水源の回復と保全に努め、適正、有効に利用して、ダム開発に頼らない水道事業の構築を図ること。
 一、都議会の請願採択を尊重し、過大な水需要予測は実績と実態に合わせて再度早急に見直すこと。
 一、認可水源となった多摩の地区水源を都の保有水源に組み入れること。
 一、多摩川中流の水質、水量を確保し、玉川浄水場での取水再開を目指すこと。
 一、小中学校や公共施設等の直結給水を促進すること。
 一、水道水源林の公有地化を進めるとともに、維持管理に多くの都民がかかわれるよう、普及啓発に努め、森林再生を図ること。
 一、国際貢献については、都は、国、自治体間との国際協力としてかかわり、現地の自立的、安定的インフラ事業の支援となるようにすること。
 次に、下水道局関係についてです。
 一、下水汚泥の放射能測定の継続と、安全な処理体制を構築するとともに、情報をきちんと公開すること。
 一、老朽化している下水管の耐震化を促進すること。
 一、下水から発生するバイオマスやメタンガス、小水力、下水熱などの未利用エネルギーの活用を推進すること。
 一、水再生センターの放流水質を改善して、都内の河川や東京湾の水質浄化を促進すること。
 一、水再生センターへの負担を和らげ、処理総量を減らすためにも、雨水の浸透や貯留を進めること。
 一、都市型洪水に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水対策を進めること。
 以上で都議会生活者ネットワーク・みらいの意見開陳を終わります。

○相川委員 八王子活性化研究会として、公営企業委員会に付託された平成二十四年度東京都予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、総括意見を申し上げます。
 平成二十一年八月に実施された衆議院選挙において、民主党は、コンクリートから人へというスローガンを前面に押し立て、我が国で初めての本格的な政権交代を実現しました。その選挙から一年二カ月がたった平成二十二年十月、「公共事業が日本を救う」という、当時の私にとって受け入れがたいタイトルの本が出版されました。
 著者は、土木計画学、交通工学、公共政策のための心理学を専門とする気鋭の研究者であり、私は、この本に書かれた主張に触発され、引用されたデータや資料の裏づけをとり、さらには著者とメールや電話で直接やりとりする中で、コンクリートから人へというスローガンは、マスコミを中心に喧伝された公共事業不要論あるいは公共事業悪玉論が単に結晶化したものにすぎないという結論に思い至りました。
 この結論に立って改めて検収すれば、平成二十四年度予算案は、現下の非常に厳しい財政環境の中で、都民の安全・安心を再構築するとともに、首都東京の成長と発展を図る施策を戦略的に推進するものとなっており、特に経済波及効果の高い投資的経費を八年連続で増加させている点について、最大限の評価をしなければならないものと考えます。
 また、徹底した合理化により基金残高を八千三百億円確保した点も評価に値し、結果として、必要な施策の推進と財政基盤の堅持という、一見相反する二つの命題を両立させました。
 今後も都税収入の好転が見込めない中、将来にわたり責任ある財政運営を行っていくためにも不断の改革努力を続け、各局とも施策の遂行を早期に達成すべく迅速な予算執行に努められるよう要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、交通局関係について申し上げます。
 一、交通局経営計画ステップアップ二〇一〇に定められた施策を着実に実施するとともに、さらなる、安全で正確な運行の確保、高品質サービスの提供、環境への配慮、経営力の強化を進められたい。
 一、首都直下型地震を想定した地下鉄危機管理体制については、帰宅困難者対策として駅の食料等備蓄及びスペースの確保、駅出入り口等への止水設備、各鉄道事業者間の連携、地下構造物の耐震補強などをより一層強化されたい。
 一、地下鉄利用者の利便性向上のため、ホームドア設置の推進、ワンルートの確保など施設のバリアフリー化、案内サイン等の利用環境の整備を計画的に進められたい。
 一、バス事業は、ハイブリッドバスや小型バスの積極的な導入を進めるとともに、より効率的な運営を図られたい。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、安全でおいしい水の供給を推進するため、直結給水方式の普及への取り組み強化、民有林購入モデル事業実施等の水源林の適正管理、高度浄水処理の導入、監理団体との一体的な事業運営体制の確立を図られたい。
 一、首都直下型地震を想定した危機管理体制においては、水道管路の耐震化、電力確保対策、応急給水施設の整備をより一層強化し、特に多摩地区で断水等のないよう施策を推進されたい。
 一、多摩水道改革計画に基づき、都営水道として一元的な施設の整備、市町村との協力体制の構築、給水安定性のさらなる向上を図り、広域水道としてのメリットを最大限生かした事業運営を進められたい。
 一、世界的な水不足問題を見据え、特にアジア諸国の水事情改善のため、東京水道の技術力を生かしたグローバルビジネスの推進とそのための人材育成を推進されたい。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇一〇に基づき、特に、老朽化した下水道施設の更新、合流式下水道の改善、再生水の利用拡大や汚泥の資源化を積極的に推進されたい。
 一、震災対策としての施設耐震化や耐水性の強化と、東京都豪雨対策基本方針に基づく浸水対策に重点的に取り組まれたい。
 一、多摩地区の流域下水道事業を効率的に推進するとともに、多摩川に放流される下水処理水の水質改善に一層の努力をされたい。
 一、地球温暖化抑制のため、アースプラン二〇一〇に基づき温室効果ガス排出削減に積極的に取り組み、また、水道事業とともに下水道事業においてもグローバルビジネスの構築を推進されたい。
 以上で意見の開陳を終わります。

○早坂委員長 以上で予算に対する意見開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において取りまとめの上、調査報告書として議長に提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○早坂委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○早坂委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。

○早坂委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、松田下水道局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○松田下水道局長 公営企業三局を代表いたしまして、ごあいさつを申し上げます。
 このたび上程をいたしました予算案につきまして、委員の皆様方には、さまざまな観点から熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 私ども公営企業が行っております事業は、都民生活はもとより、首都東京の都市活動にとりまして欠かすことのできない重要な事業でございます。
 今後も、私どもが、それぞれの担当分野におきまして、現場にある英知を結集しながら、都民サービスのさらなる向上と効率的な経営に努め、都民の皆様の信頼と負託に全力でこたえてまいる所存でございます。
 早坂委員長初め委員の皆様方におかれましては、今後とも公営企業三局に対しまして一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、御礼のあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○早坂委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十五分散会

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