委員長 | 早坂 義弘君 |
副委員長 | 新井ともはる君 |
副委員長 | 長橋 桂一君 |
理事 | 高橋 信博君 |
理事 | 西崎 光子君 |
理事 | 門脇ふみよし君 |
相川 博君 | |
矢島 千秋君 | |
中谷 祐二君 | |
山下ようこ君 | |
いのつめまさみ君 | |
鈴木貫太郎君 | |
川井しげお君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 野澤 美博君 |
次長 | 中村 靖君 | |
総務部長 | 宮川 昭君 | |
職員部長 | 廣瀬 秀樹君 | |
資産運用部長 | 室星 健君 | |
電車部長 | 小泉 健君 | |
自動車部長 | 土岐 勝広君 | |
車両電気部長 | 石井 明彦君 | |
建設工務部長 | 廣木 良司君 | |
企画担当部長 | 広瀬 健二君 | |
安全管理担当部長 | 新名 丘君 | |
バス事業経営改善担当部長 | 岡本 恭広君 | |
技術調整担当部長 | 奥津 佳之君 | |
技術管理担当部長 | 川合 康文君 | |
水道局 | 局長 | 増子 敦君 |
次長 | 森 祐二郎君 | |
総務部長 | 福田 良行君 | |
職員部長 | 松宮 庸介君 | |
経理部長 | 松丸 俊之君 | |
サービス推進部長 | 高原 俊幸君 | |
浄水部長 | 酒井 晃君 | |
給水部長 | 今井 茂樹君 | |
建設部長 | 木村 康則君 | |
企画担当部長 | 黒沼 靖君 | |
サービス企画担当部長 | 吉野 明君 | |
設備担当部長 | 佐久間 勝君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 吉田 永君 |
調整部長 | 古澤健太郎君 | |
施設部長 | 佐々木史朗君 | |
技術調整担当部長 | 田村 聡志君 |
本日の会議に付した事件
水道局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
交通局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
陳情の審査
(1)二三第六四号の二 平成二十四年度予算にガスコンバインドサイクル発電を組み込むこと等に関する陳情
○早坂委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局及び交通局関係の事務事業に対する質疑及び報告事項の聴取並びに交通局関係の陳情審査を行います。
これより水道局関係に入ります。
初めに、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○新井委員 委員会のメンバーが入れかわりまして、初めての質疑になります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
これまで水道局は、清浄な水を常に安定供給するために、水源の確保や施設の設備拡大を推進してきました。また、昨今、都民のニーズは、安全でおいしい水の供給や震災対策、環境への配慮など、より質の高さが求められる傾向にあります。水道局は、世界有数の技術水準を有していますので、国内外の水道界への貢献、水道界をリードする存在であり続けねばならないと思います。次世代を見据えた安全でおいしい水の安定的な供給を目指して、東京都水道局並びに関係者の方々とつくり上げていきたいと思います。
私からは、人材育成、技術継承、震災対応、井戸水についてお伺いをしたいと思います。
水道局では、技術系職員が減っている中、人材育成が難しいと聞いております。ハード面の計画は予算で解決できますが、技術者育成については、長期的、計画的に行う必要があります。効率化を求めるだけでなく、ソフト面の充実として技術者育成について力を入れていっていただきたいと思います。
そこで、技術職員の人材育成の考え方と監理団体社員を含めた研修の取り組みについてお伺いをします。
○松宮職員部長 水道局におきましては、各職場における日々の実務を通じ、職員の経験や能力などに応じた計画的、継続的なOJTを推進するとともに、実技や演習などを活用した実践的な研修を実施しております。
また、研修においては、漏水防止や浄水処理などの業務ごとに職員のレベルに応じた研修体系を整備し、より高度な知識、技術を付与することで、計画的かつ効果的な人材育成を進めております。
これに加え、局が実施する研修への監理団体社員の受け入れ、研修施設の貸し出し、研修ノウハウの提供等を行うなど、監理団体と一体となった人材育成にも力を入れているところでございます。
○新井委員 次に、技術職員が減少していく中で、技術を継承し、必要な専門性を備えた職員を育成するために、どのような取り組みを行っているのかお伺いをします。
○松宮職員部長 当局におきましては、人材の精鋭化に向けまして、ベテラン職員などの知識や経験をデータベース化したナレッジバンクを構築し、その技術やノウハウをOJTや研修において効果的に活用しております。こうした取り組みを進めるとともに、職場の職員構成や幅広い視野の育成等にも配慮した適切な配置管理などによりまして、ベテラン職員からの技術やノウハウの継承を着実に行い、専門的かつ総合的な技術力や現場力を備えた職員の育成を進めております。
○新井委員 水道局が人材育成と技術継承を着実に行っていることは理解しました。
しかし、技術系職員が、大量退職や新規採用の抑制で確実に減少していることは否定できない事実です。そのような状況下で、浄水場の運転管理等に支障が出ていないか、一抹の不安を持ちます。
そこで、近年における浄水場の事故発生件数とその際の対応についてお伺いをします。
○酒井浄水部長 主要な十一浄水場につきましては、断水、濁水など、お客様への影響を及ぼす事故は、近年では発生しておりません。
また、水源河川への油の流出などによる水質事故につきましては、過去五年間で三十件発生しておりますが、事故時には、粉末活性炭の注入強化ですとか、原水の系統変更などにより、お客様への影響を及ぼさないよう対応しております。
○新井委員 浄水場の事故はないですが、水源河川への油類などの流出、水源水質事故は発生しているとのことです。河川、湖沼の水質の悪化は、カビ臭い、カルキ臭いといった異臭を発生させるなど、水道水がおいしくない原因となります。都民に安全で安心な水を届けるためには、適正な水質管理が欠かせないと思います。
現在、日本で登録されている農薬の有効成分は約四百五十種類、水源であります河川や湖沼には農薬が入り込む可能性も考えられます。
そこで、水質検査について、どのような項目を、どの地点で実施しているのかお伺いをします。
○酒井浄水部長 浄水処理を実施する上で、原料となります水の水質を把握する必要があることから、まず、浄水場の入り口において、水質基準項目のうち、油等による諸臭気や毒物など、約四十項目を定期的に検査しております。
次に、製品となった水道水を検査するため、浄水場の出口では常時水質検査を実施するとともに、水質基準の五十項目すべてを定期的に検査しております。
さらに、都内百三十一カ所の蛇口において、色、濁り及び消毒の残留効果について常時検査し、毎日公表しているほか、水質基準の五十項目も定期的に検査しております。
このほか、法令で義務づけられている水質基準以外の項目につきましても、水質管理上必要な項目について検査をしております。
○新井委員 きめ細かな水質検査が行われていることを理解しました。
そこで、水質基準を超えるおそれがある場合、基準を達成するためにどのように対応しているのかお伺いをします。
○酒井浄水部長 水道局では、ふだんから水質基準を超える水道水を供給しないよう、浄水処理に万全を期しております。
河川水質に異常があって、浄水場入り口において水質基準を超えるおそれがある場合には、粉末活性炭の注入などにより、浄水処理の強化を図っております。
さらに、浄水処理を強化しても水道水で高い濃度が検出されるおそれがある場合につきましては、取水の停止ですとか、他の浄水場への系統の変更切りかえなどを行い、対応することとしております。
このように、通常時はもとより、水質異常時の対応につきましても、当局が責任を持って行っております。
○新井委員 次に、管路業務についてお伺いをします。
阪神・淡路大震災では、現場で、すぐメンテナンスができる方がいたので、復旧が早かったと聞いております。どのバルブを締めれば水がとまるかなど、配管図の情報が頭に入っていたといいます。
そこで、都は、どのように配管図を管理しているのか、また、震災時においても混乱なく使用が可能なのかお伺いをします。
○今井給水部長 配管図は、マッピングシステム及び紙で管理しております。
マッピングシステムのサーバーは、信頼性の高い民間のデータセンターに設置し、システムの信頼性を確保しております。
また、マッピングシステムのデータは、定期的にバックアップを作成し、サーバーとは別のデータセンターに保管しております。
さらに、紙ベースの管理図は、局内の各事業所と震災時の応援都市である仙台市及び横浜市に配布しております。
このように、システムのバックアップ体制を確保するとともに、紙ベースでも分散保管しており、震災時においても配管図の使用が可能でございます。
○新井委員 配管図の管理について万全な体制をとっていて、大変心強いです。
しかし、これらの配管図を使用する復旧職員の確保も重要です。水道局では、夜間、休日の震災に際しても、二十四時間の即応体制を整えている水道緊急隊などにより初動活動体制を整えているとのことです。
一方、職員の住居が職場と離れているため、夜間、休日の発災に際して、管理職員や初動要員が速やかに参集できるのか不安があります。
そこで、管理職員の待機体制や防災住宅の整備など、どうなっているのかお伺いをします。
○福田総務部長 当局の管理職員の待機体制につきましては、震災等に対する備えとして、都庁舎に近接する施設に、管理職員一名を初動要員として、土日祝日及び平日の夜間、すなわち三百六十五日、一日欠かさず待機させております。発災時には速やかに当局施設や事業所の状況把握を行うとともに、都の災害対策本部と連携し、適切な対応につなげることとしております。
さらに、震度五強以上の発災時には、初動業務を確実に行うため、都庁舎から十キロメートル以内に居住する管理職員をあらかじめ指名し、参集する体制を確保しているところであります。
また、防災住宅の整備につきましては、都庁舎から約四キロメートルの場所に当局の防災住宅を設置しております。ここに居住する一般職員と、お話のありました水道緊急隊の職員が参集し、管理職員を補佐し、情報連絡などに従事することとなっているところであります。
○新井委員 平成二十三年度末で、多摩地区の市町への事務委託が完全解消されます。事務委託を解消した市町においては、業務が都に移管され、その業務は水道局と監理団体が一体となって担っていくことになります。
そこで、災害時の応急給水については、どのように対応するのかお伺いをします。
○古澤調整部長 震災時の応急給水につきましては、東京都地域防災計画で定めた役割分担に基づきまして、都と市町で実施をいたします。
具体的には、給水拠点には浄水場、給水所等と応急給水槽がございますが、このうち、浄水場、給水所等における資器材の設置は、都が行うことになっておりまして、当局と監理団体とが協力をして、夜間、休日も含めた体制を確保しております。
また、応急給水槽における資器材の設置や、これらの給水拠点における住民への給水につきましては、事務委託の解消前と同様に市町が行うことになっておりまして、今後とも市町と十分に連携をとりながら対応してまいります。
○新井委員 多摩地区では二百八十本の水源井戸があります。地下水は、渇水時や震災時など、自然災害においても身近に利用できる貴重な水源です。私の地元日野市内では、十九本ある水源井戸のうち、一本については、井戸内部の障害により平成六年から休止しています。多摩地区には、ほかにも休止中の井戸があると聞いております。
そこで、井戸の現状についてお伺いをします。
○田村技術調整担当部長 多摩地区には二百八十本の水源井戸がございますが、そのうち二十九本につきましては、水質悪化、地盤沈下、水位低下等による揚水量の減少などの原因により休止しております。
また、稼働中の水源井戸につきましては、その多くが昭和四十年前後に設置されたものでございまして、施設の老朽化が進んでいる状況にありますことから、計画的な補修等による維持管理に努めております。
○新井委員 地下水を有効利用し、良質な水道水を提供するとともに、渇水時や震災時等に、自然災害にも対応すべきであると考えます。
そこで、貴重な水源、良質な地下水の確保のために、どのような対応をしているのかお伺いをします。
○田村技術調整担当部長 多摩地区の地下水につきましては、地盤沈下や水質の面から、将来にわたる安定水源として位置づけることは困難でございますが、可能な限り活用していくこととしております。
水源井戸の中には、敷地面積が狭隘で掘りかえが困難な小規模井戸が多数ございますが、施工スペースが確保できる井戸につきましては、平成十八年度から計画的な掘りかえを行って揚水量の確保を図っております。
今後とも、経過年数、揚水能力低下等の状況を踏まえながら、適切に掘りかえを実施してまいります。
○新井委員 東京水道局が、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、安心と安定を実感できる水道サービスを目指すことをお願いしまして、私の質問を終わりにします。
○高橋委員 では、私の方から四項目ほど。まず一点目としては、送配水管路ネットワーク化、二点目といたしましては、私道内給水管につきまして、そして三点目は、安全でおいしい水、残留塩素低減化の問題でございます。最後に、玉川上水の整備について伺います。
まず初めに、送配水管路ネットワーク化について伺います。
私は、この六月、都議会自民党東日本大震災復旧復興メンバーの一員として、被災地であります陸前高田、大船渡の被災状況を視察いたしまして、改めて自然災害の脅威を痛感いたしました。避難所での生活を余儀なくされている人々は、ライフラインが不通となっている過酷な状況の中、大変不便な生活を強いられておりました。水道の被害も大きく、東北から関東にわたり二百万件を超える断水被害が発生いたしました。水道は、飲用水としてだけでなく、生活用水としても必要不可欠な基幹的なライフラインであり、震災への対策をあらかじめ講じておくことが大変重要であると改めて認識した次第でございます。
特に大きな被害を見てみますと、宮城県において、仙台市の一部など三市六町の広範囲に送水していた大口径の管路が被害を受け、断水などの影響が数十万人に及びました。東京都においても、一千三百万都民の安定給水を支える大動脈となる重要な送配水管路に被害があれば、大変大きな影響を及ぼすと思います。
現在、水道局は、管路の予防対策として、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業に基づき、耐震継ぎ手管への取りかえを強力に進めておりますが、このような重要性の高い管路を優先的に実施していくべきであります。
しかし、こうした管路の取りかえを進めていくに当たり、一部の管路においては、取りかえのために送水を停止した場合、他のルートからの送水が確保できず、都民への給水に影響を与えるものがたくさんございます。重要な管路の取りかえのために、断水などの影響が震災時と同様に広範囲に生じるおそれがあるということは、大きな今後の課題であると考えております。
そこで、このように、送水を停止した場合に都民への給水に影響を与える重要な送配水管路については、どのように取りかえを進めていくのか伺います。
○黒沼企画担当部長 水道局では、効率的な水運用や震災時における被害軽減などを目的としまして、これまで送配水管ネットワークの構築など、バックアップ機能の強化に取り組んでまいりました。
しかし、都内には、理事ご指摘のとおり、震災時に断水した場合、大きな被害の生じるおそれのある重要な管路でありながら、バックアップするルートがないため、この管路の取りかえが困難なものが存在しております。
こうした課題を解消していくためには、管路の二重化やネットワーク化を図るなど、代替となる新たなルートを確保し、水道施設のバックアップ機能をより一層強化していく必要がございます。
このため、現在、利根川と多摩川の原水を相互に融通いたします原水連絡管や、都内最大の送水能力を有します朝霞上井草線などを優先して二重化に向けた整備に取り組んでおります。
今後とも、こうした重要な管路の二重化等に積極的に取り組み、耐震継ぎ手管への取りかえを促進してまいります。
○高橋委員 多摩地区におきましては、事務委託方式による事務運営が今年度末で終了をいたします。東京都は昨年八月に、都営水道にふさわしい広域水道としてのメリットがさらに発揮できるよう、多摩水道改革計画を策定いたしました。この計画の中で、広域的バックアップ機能の強化が施策として掲載されております。水道施設の中でも、浄水場、給水所等の施設間を結ぶ送水管ネットワークの整備は、広域的なバックアップ機能の強化の取り組みとして非常に重要であると考えます。
そこで、多摩地区の送水管ネットワーク整備の取り組み状況について伺います。
○佐々木施設部長 多摩地区では、これまで、多摩地区北部に位置いたします東村山浄水場などの大規模浄水場から南に向かって主要な送水管の整備を進めてまいりました。こうした送水管をネットワーク化するため、平成九年度から、口径一五〇〇ミリメートルの多摩丘陵幹線の整備を実施しております。
平成十七年に、八王子市にあります鑓水小山給水所から、多摩市にあります聖ヶ丘給水所までの第一次整備区間十二キロメートルが完成し、現在、運用を開始しているところでございます。
また、平成十四年度には、拝島給水所から鑓水小山給水所までの第二次整備区間十九・六キロメートルの整備に着手し、現在、鋭意工事を進めております。この第二次整備区間の完成によりまして、多摩西南部地域の送水管ネットワーク化が図られ、給水安定性が格段に向上することとなります。
○高橋委員 多摩丘陵幹線の整備によりまして、多摩西南部の施設間を結ぶ管路のネットワークが強化されることは大変喜ばしいことであります。今後とも、重要な送水管のバックアップ機能を着実に確保していくという取り組みが今後重要であります。
そうした観点から見ますと、多摩地区配水量の約半分を担う東村山浄水場から水を送り出すための大もとの送水幹線は非常に重要でありますが、万一の場合、バックアップ機能が不十分なのではないかと思います。
そこで、今後の送水管の整備予定について伺います。
○田村技術調整担当部長 ご指摘のありましたとおり、東村山浄水場から主要な給水所を結ぶ送水幹線は、多摩地区水道の根幹をなす重要な施設でございます。こうした中、多摩地区最大の配水池容量を持ちます東大和給水所へ送水する東大和線において事故が発生した場合には、断減水の影響が広範囲に及ぶおそれがございます。
このため、バックアップ機能の強化を目的に、新たに多摩南北幹線を整備することとし、現在、設計作業を進めております。この管路整備によりまして、事故時の東大和給水所へのバックアップが可能となるほか、更新時の代替機能を確保することができるようになります。
今後とも、多摩地区水道の安定給水を確保するため、送水管の整備を進めてまいります。
○高橋委員 今後も、多摩地区の給水安定性向上に向け、必要な送水管の整備を鋭意進めていただくようお願いをしておきます。
先ほど触れましたが、今年度末をもって、昭和四十八年以来続いてきた市町への事務委託が完全に解消されます。事務委託解消後も、市民生活に密着し、これまで水道事業を担ってきた市町との連携協力は非常に重要であります。三定等の質疑の中で、新たな連携協力の枠組みとして、多摩水道連絡会を立ち上げるとの答弁をいただきました。給水安定性向上のためにも、しっかり取り組んでいただきたいと要望しておきます。
次に、私道内給水管について伺います。
給水安定性向上のためには、送配水管路のネットワーク化などの大規模な施設整備はもちろんのこと、より蛇口に近い給水管についての取り組みも非常に重要であります。現在、水道局では、一定の要件を満たした私道を対象に、配水管を布設し、塩化ビニール管などの配水管をステンレス化する私道内給水管整備事業を実施いたします。
確認でございますが、平成二十二年度末での進捗状況を伺います。
○今井給水部長 当局では、平成六年度より、漏水の未然防止や出水不良解消を目的に、三本以上の給水管が布設されている私道を対象に、配水管を布設し、塩化ビニール管等をステンレス化する私道内給水管整備事業を実施してまいりました。
平成十九年度及び平成二十一年度に対象範囲を拡大し、現在は、給水管が三本以上ある場合、または、お客様が十世帯以上ある場合を対象に、私道内給水管整備事業を実施しております。
現在の進捗状況ですが、平成二十二年度末で約七百キロメートルの事業を実施いたしました。
○高橋委員 この事業は、漏水の未然防止や出水不良解消の観点からも、今後も引き続き進めていただきたいと思います。
今後の首都直下地震の切迫性も懸念されている中、この私道内給水管整備は、耐震性にすぐれた配水管や給水管を布設することから、耐震化の面からも有効であります。
しかし、これまでの私道内給水管整備事業の対象とならない給水管も多数存在しております。さきの三定で、我が党の代表質問において、私道内給水管の耐震化における今後の取り組みについて、新たな整備方法の検討、事業化に向けた力強い答弁がありました。
そこで、整備対象とならない私道内給水管への今後の取り組みについて伺います。
○今井給水部長 現行の私道内給水管整備事業の対象とならない小規模な私道の給水管につきましては、塩化ビニール管をステンレス鋼管に取りかえる新たな取り組みを実施するため、局内に検討会を設置いたしました。この検討会において、今年度内に整備手法などに係る実施方針を策定してまいります。
○高橋委員 局内に検討会を設置し、今年度内に整備手法などに係る方針を策定していくということでありますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、安全でおいしい水、残留塩素低減化について伺います。
ところで、水道局では、平成十六年から安全でおいしい水プロジェクトを進め、より安全でおいしい水を都民に届ける努力をしております。その結果、東京の水道水は、昔に比べると格段においしくなったと感じております。
しかし、消毒用の塩素のにおいが気になる人もまだまだ多く、塩素濃度をより低くすることが必要であると思います。水道局では、都独自のおいしさに関する水質目標を設定し、塩素濃度の低減化を進めていると聞いております。
そこで、塩素濃度の低減化に向け、どのような施策を行っているのか伺います。
○酒井浄水部長 当局では、都独自のおいしさに関する水質目標として、蛇口での残留塩素濃度を一リットル当たり〇・一ミリグラム以上〇・四ミリグラム以下に設定し、平成二十五年度までに達成していくこととしております。
浄水場での塩素注入率を下げますと、浄水場から遠い場所では一リットル当たり〇・一ミリグラム以上を保持することが難しくなります。そのため、途中の給水所で塩素を追加注入することといたしました。これらを行うことにより、給水区域全体の残留塩素濃度を低減化するとともに、平準化を図ることができます。
平成二十一年度までに、第二板橋及び東海など、区部の八カ所の給水所に追加塩素注入設備を設置して、浄水場での塩素注入率を減らし、残留塩素濃度を低減化してきております。
区部では、さらに、平成二十四年度までに、水元、上池台、和泉及び淀橋給水所の四カ所に追加塩素注入設備を導入していく予定でございます。
○高橋委員 区部で追加塩素注入設備を整備して、塩素濃度の低減化を推進していることがわかりました。
多摩地区でも、浄水場からかなり遠い場所に水道水を送っていると思います。塩素濃度を低くするために、多摩地区でも追加塩素注入設備を導入すべきではないかと考えておりますが、どうでしょうか。
○田村技術調整担当部長 多摩地区におきましても、広大な給水区域全体の残留塩素濃度を低減し、平準化するためには、送水の起点となります東村山浄水場等からの送水ルートの途中で塩素を追加注入する必要がございます。
このため、平成二十四年度までに、稲城第一ポンプ所、日野増圧ポンプ所、秋留台給水所等七カ所の施設に追加塩素注入設備を設置いたします。この取り組みによりまして、多摩地区におきましても、残留塩素濃度の低減化を推進してまいります。
○高橋委員 多摩地区でも追加塩素注入設備の導入を進めていることをお聞きしまして、大変安心をいたしました。今後とも、おいしさに関する水質目標の達成に向けて、これらの施策を確実に推進していただきたいと思います。
最後に、玉川上水の整備について伺います。
ご承知のとおり、玉川上水は、江戸、東京の市民の飲み水を供給するなど、水道事業にとって重要な役割を果たしてまいりました。沿川の人々の生活を支えてきた、歴史的にも非常に重要な水路であります。また、貴重な土木施設であり、歴史的な遺産であると同時に、今では水と緑の空間として都民に親しまれるなど、豊かな自然も大きな魅力の一つであります。
平成二十一年八月に水道局が、史跡玉川上水整備活用計画を策定し、関係各局が共同して、貴重な土木施設であり歴史的な遺産としての水路の保全、名勝小金井桜の復活という課題に対し、日々、具体的に取り組んでいることは非常に意義深いことであると思っております。引き続き整備を進めるべきと考えておりますが、この事業につきまして、都民はどのように受けとめているのか伺います。
○松丸経理部長 当局では、これまで、先生ご指摘の史跡玉川上水整備活用計画に基づきまして、水路の保全やのり面の保護のため、樹木の伐採、剪定を実施してきております。
これによりまして、景観や日照の改善、落ち葉の減少、また、明るくなったことによる防犯効果への期待から、都民の皆様には、本事業について肯定的に受けとめていただいていると認識しております。中でも、小金井桜のモデル区間事業につきましては、学識経験者や樹木医など専門家の方からも、桜の生育環境が大幅に改善されたことなどにより、引き続き推進すべきとのご意見をいただいております。
○高橋委員 玉川上水には、人々が訪れ散策する姿が絶えることがありません。より多くの人々に、玉川上水の歴史的価値や整備活用に基づく取り組みについて周知を図り、理解を求めていくことが大変重要であると思います。
そこで、現地を訪れる方々に、玉川上水を間近に眺めながら、玉川上水の果たしてきた役割、重要性や歴史的価値を理解してもらうことができるような説明板の設置が必要と考えますが、所見を伺います。
○松丸経理部長 整備活用計画に基づく事業を進めるに当たりましては、都民や地元の皆様の理解を得ていくことが重要であると認識しておりまして、関係自治体への情報提供、住民説明会の開催、計画の目的や効果、整備予定などを記載した現地案内板の設置等を行ってきております。
ご指摘の説明板につきましては、玉川上水の歴史的価値や保存の必要性について理解を深めてもらうため、国の史跡に指定され、江戸、東京の水道事業にとって重要な役割を果たしてきた施設であることを記載した、仮称でございますが、玉川上水ヒストリーボードを今後設置する予定でございます。そのため、現在、地元の自治体や団体等と調整しながら、デザインや内容などを検討しているところでございます。
設置に当たりましては、多くの来訪者の目に触れる場所、また、活用計画の取り組みを効果的にPRできる場所という考え方に基づき、現地調査を実施した上で順次進めていく予定でございます。
○高橋委員 玉川上水ヒストリーボード、仮称ですが、それを検討しているということでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
これからも玉川上水を、より人々に親しまれ、貴重な財産を次世代に引き継いでいくことが必要と考えております。私を含めた沿川住民や多くの来訪者が、計画に沿ってこれらの取り組みが着実に進むことを強く期待しております。
これまで、水道のバックアップ機能の強化、私道内給水管の耐震化、残留塩素低減化、玉川上水の整備と、水道事業のさまざまな課題全般にわたって幅広く伺ってまいりました。こうした課題は、どれもが重要でありますが、被災地の状況を見、自然災害の脅威を痛感した今、改めて、安全でおいしい水を安定的に供給することが最も大切だと考えております。
そこで最後に、安定給水に向けた局長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○増子水道局長 水道は、首都東京の都民生活や都市活動に欠かすことのできないライフラインであり、将来にわたり安全でおいしい水を安定的に供給をしていくことが、水道事業者の最大の使命でございます。
今回の震災では、いかなる状況においても、可能な限り水を供給し続けることの重要性を改めて認識いたしました。今後は、震災から得た貴重な経験を踏まえつつ、送配水管管路のネットワーク化や、水道管路の耐震継ぎ手化など、東京水道経営プラン二〇一〇に基づいたさまざまな施策を着実に推進することにより、お客様への安定的な給水の確保に全力で取り組んでまいります。
さらに、玉川上水につきましては、良好な状態で保全し、史跡としての価値を高めるとともに、都民に親しまれる水と緑の空間として、次世代に確実に継承してまいります。
○長橋委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
私の方からは、いわゆる災害時の飲料水の確保、これは、東日本大震災の発生から既に八カ月が過ぎているわけでありますが、その震災によってさまざまな被害が発生したわけでありますが、その中でも特に飲料水をどう確保していくか、これは大変重要な課題であろうかと思います。
そこで、東京都水道局、発災時から今までの対応、今後の取り組み等についてお伺いをしてまいりたいと思います。
まずは、三月十一日に震災が発生をし、そして、三月二十二日に、金町浄水場の浄水から、飲料水中の放射性沃素に関する乳児の規制値を超える二百十ベクレルの放射性沃素が検出をされたわけであります。これが、いわゆる翌日から水の、特に乳幼児の水、これが大変大きな課題になったわけであります。
水道局としても、直ちに対応して、水道水の放射能に関するQアンドA等を出して、何といいますか、過分な反応に対してはきちっと説明した。これはもう評価するところでありますが、その間、三月二十三日以降、私にも何本も問い合わせがありましたし、幼い子どもを抱えているお母さんにとってみれば、どうやって水を確保したらいいのか、こういう問い合わせが殺到したと思います。水道局も、その対応については、昼夜分かたずやったと、このようにも聞いているわけでありますけれども、そういう中で、すぐに、その対応についてはおさまったわけでありますが、いざというときに、飲料水の確保、これが、私も初めてですけど、これほど大変なことであるな、このように思ったわけであります。
そこで、まずは、こうした災害時に飲料水をどう確保していくのか、当然検討をされたんだろうと思います。そこで、まず、いざというときの飲料水の確保をどうしていくのか。お伺いすると、応急給水槽の流入バルブの遠隔制御化というのをすぐに補正予算で組まれたわけでありますが、まずは、そこら辺の説明を伺いたいと思います。
○酒井浄水部長 都内にあります貯水容量が千五百立方メートルの大規模応急給水槽五十三カ所を対象としまして、応急給水槽への流入、入ってくる方、それと流出、出ていく方のバルブを遠隔で制御できる、そういった工事を進めることとしました。
今年度予算、補正予算を含めまして、平成二十七年度までの五年間で、すべての千五百立方メートルの応急給水施設の整備をしてまいります。
なお、今年度分につきましては、既に契約も済み、これから着手を迎えるというところでございます。
○長橋委員 今、応急給水槽の遠隔制御化、こういうことでありまして、応急給水槽について、私は、このことに関しては、この委員会でも何回か質疑をさせていただいて、特に区部と多摩の応急給水槽、その数とか、歴史的な経緯もあって、それの対応については、使い勝手も含めて、いざというときに対応してもらいたい、こんな話も質疑をさせていただきましたし、今お伺いすると、いわゆる応急給水槽に放射性物質が入らない、そのためには、安心・安全な水をまずは確保するということで、こういう対応をする。補正予算を組んで、既に着手をしていると、こういうことでありますので、ぜひこの整備は、重要なことであろうかと思います、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そこで、三月二十二日に放射性物質が発生をした。そういうところから、放射性物質に対する対応、これは水道局としても新たな課題に大きくなったんだろうと、このように思うわけでございまして、そこで、現在の放射性物質に対する具体的な検査体制はどのようになっているのか。私も、ことし九月に、この公営企業委員会の管内視察で、水質センターで、放射能測定機器、これを見させていただきました。そんな大きいものではないですけれども、かなり高額のものであるようなことも説明を受けたわけでありますけれども、現在の放射性物質の検査体制、これについて伺います。
○酒井浄水部長 ただいまのご質問でございますけれども、当局では、福島第一原子力発電所の事故発生以来、各水系を代表する浄水場において処理した水道水、すなわち浄水だけでなく、その原料となる河川水も毎日検査を行い、即日公表しております。
また、水質センターに放射性物質を測定する機器を導入し、八月からは検査体制を強化したところでございます。
これにより、各水系を代表する浄水場の検査に加え、他の主要な浄水場の浄水について、週一回、多摩地区の地下水などを水源とする約六十カ所の浄水場の浄水について、おおむね月一回検査し、この検査結果についても公表してきております。
さらに、現在、水質センターにおいて二台目の測定機器を整備しているところでございまして、十二月からは、より一層検査体制の充実を図ってまいります。
○長橋委員 二台目の測定機器をもう既に設置しているわけですね。それを十二月中に、その設置をして体制を図ると、こういうことでありますので、その体制強化については評価をさせていただきたいと思います。
また、この水道水の放射能に関するQアンドA、即刻、翌日出されたわけでありますが、そこの最後にクエスチョン11と書いてありますが、放射性物質は、浄水処理で除去できるのですか、こういうQアンドAがあります。その答えは、凝集沈殿、砂ろ過や活性炭処理といった浄水処理の有効性が文献で確認されていますというQアンドAであったわけであります。
こういうことは今までなかったわけでありますので、文献で確認されているということで、知見があったと、こういうことであると思いますけれども、そういう中でこの放射性物質の検査をどういうふうにしているのか。あと公表もしてきてあるわけでありますが、改めてこの浄水場での、QアンドAにもあった活性炭の注入、粉末活性炭注入ですか、の強化を実施したと、このように聞いているわけでありますが、この粉末活性炭を大量に−−大量にといいますか、何倍にしたか、大量に注入したことによって放射性物質を抑えたと、こういうことであったと思いますけれども、この三月二十三日に行った浄水場での粉末活性炭注入、どのように強化をしたのかお伺いいたします。
○酒井浄水部長 原発事故発生以来、最初にまとまった降雨がありました三月二十一日から、大気中の放射性物質が雨水とともに流下して河川に流入する可能性が懸念されたため、浄水場において粉末活性炭の注入強化を実施しました。三月二十三日には、金町浄水場の浄水で、前日に採水した浄水の放射線沃素の濃度が一キログラム当たり二百十ベクレルとなったことを踏まえ、さらに粉末活性炭の注入率を即日増大させております。これにより、例えば、浄水の放射性沃素が高濃度となった江戸川水系の二つの浄水場においては、当時の注入率は、通常時の四倍まで増大させています。
○長橋委員 通常よりも四倍まで増大をさせて対応したということで、その結果、大きな結果が出たわけであります。
これが先ほどのQアンドAではあくまで知見であったのが、即座に実施してその効果があらわれたと、こういうことでありますけれども、私も、新聞に、この水質センターの所長が、これがもし原発事故時に効果を知っていれば、百ベクレル前後に抑えられたはずということで、今後に生かしたいと、水質センターの所長といいますか、責任者がそのようにもいっておられるわけであります。
それでは、実際こうした効果があったということを、効果があったらいいというのではなくて、それをきちっと検証していかなければならない、このように思うわけでありまして、これは東京都だけの問題ではなくて、これをきちっと検証して、検討して、確たるものにしていかなければいけない、このように思うわけでありますが、この除去効果、どのような検討を行ったのか伺います。
○酒井浄水部長 浄水処理における放射性物質の除去効果の検討につきましては、放射性沃素の除去に関して粉末活性炭が有効であるという知見があったものの、実際の浄水処理において、放射線沃素を十分に除去するための処理要件に関する明確な知見がございませんでした。
そこで、三月二十四日から三郷浄水場におきまして、最適な処理条件を求める実験を開始いたしました。その結果、沃素の除去率を大幅に向上させるためには、粉末活性炭と一緒に少量の塩素を注入することが極めて効果的であることがわかりました。
さらに、四月から六月にかけて、研修・開発センターの実験プラントにおいて、高度浄水処理による沃素の除去効果を確認したところでございます。
三郷浄水場での実験結果につきましては、厚生労働省への報告を行ったほか、日本水道協会が発行しております水道協会雑誌に投稿し、国や他の水道事業体に広く発信したところでございます。
○長橋委員 早速三月二十四日から、三郷浄水場においてその効果を確認したと。その効果については、改めて厚生労働省を初め新聞等にも広報をしたと、こういうことでありまして、やはりこうした対応、水道局の日ごろの危機管理、これがきちっとされているということも私は感ずるわけであります。
しかしながら、こうした対応について、さらに除去をしていくためには、やはり新たな浄水処理技術というものをさらに検討していかなければならない。今までも質疑でもありましたけれども、おいしい水も含めて常に技術的な検討についてはやっているわけでありますが、この放射能の問題を受けて、これは水道局として大きな課題ととらえて、新たな処理技術を開発していかなければならない、このように思うわけでありますが、そのためには、専門的知見を有する大学とか、そうしたところと連携をしていく、また一緒になってやっていく、こういうことが必要だろうと、そのようにも思いますが、いかがでしょうか。
○木村建設部長 当局ではこれまで、大学や企業と連携し、高度浄水処理におけるオゾン処理の調査や新たなろ過材料の開発など、浄水処理技術の向上を目指し、調査研究を進めてまいりました。
平成二十三年度におきましても、極めて微細な不純物を除去できる、ナノろ過膜による浄水処理技術の検証等を北海道大学と共同で行うなど、調査研究を実施しているところでございます。
浄水処理におきます新たな課題につきましては、大学などの持つ先進的な技術を活用しながら速やかに対応することが、今後の危機管理の観点から必要でございます。このため、引き続き大学や企業と連携し、新たな課題への調査研究を着実に進め、得られたさまざまな知見を適切に浄水処理に活用してまいります。
○長橋委員 北海道大学と共同研究をするなどということでございます。この間も震災が発生してから八カ月、私のところにさえ、専門的な知見もない私のところでさえ、この浄水技術というのは、まあたくさん、こうすれば浄水ができる、こうすれば放射能が除去できる、こういった技術が私のところにも伝わってきておりまして、それが本当にそうなのかどうかという検証が、私からすると必要だろうなと、このようにも思うところでありますけれども、ぜひ、高い技術力を誇る水道局が専門的な研究、共同研究をして、しっかりとした浄水技術、新たな技術を開発してもらいたいと思うわけであります。
さらには、この新たな技術とともに重要なのが、やはりそれをいざというときに管理する職員がいかに危機管理能力を高めるか、これが重要であろうかと思いますし、その育成というのは怠ってはならない、このように思うわけであります。
そこで、災害時にあっても個々の職員や組織が持てる技術力を発揮するには、日常的に訓練や研修を実施し、平常時から危機に立ち向かっていく、こうした取り組みが必要であろうかと思います。
そこでまず、職員の危機管理能力の育成について、現在の課題はどういうものがあるのか。また、今後の対応についてはどう考えているのか伺います。
○松宮職員部長 震災等によります水質事故や漏水事故等に適切に対処するための職員の危機管理能力の育成は、ライフラインを担う事業体として不可欠でございます。しかしながら、ベテラン職員の大量退職や施設整備の進展による事故件数の減少などに伴いまして、将来的な職員の危機管理能力の確保が課題となっております。
こうした認識のもと、平成十七年に研修・開発センターを設置しまして、実技フィールドを活用した少人数での事故対応の実技、演習など、実践的な研修を実施しております。
また、平成二十年からは、実際の事故をもとに作成したシナリオを用いまして、模擬的な訓練を行う職員教育訓練システム、いわゆるシミュレーターを使用した危機管理研修を実施しております。このような実践面を重視した研修を計画的に実施し、職員の危機管理能力の育成を図っているところでございます。
○長橋委員 この研修・開発センターの実技フィールドを活用して、今、シミュレーターを活用して、既に平成二十年からこうした危機管理能力の育成についても当たっているということであります。
このシミュレーターを使用した危機管理研修、これは、いざというときのさまざまな場面を想定して、それに対して実践的に体で覚えるといいますか、身につけるということだろうと思いますけれども、このシミュレーターというものはどういう内容であるのかな、このように思うわけでありますし、また、今回の東日本の大震災、特に放射能対策、これに対してはどのような取り組みをしているのか、改めて伺います。
○松宮職員部長 シミュレーターとは、現実に体験することが困難な事例につきまして、仮想的なモデルを作成して、擬似的に体験することができる設備でございます。水道局では、事故対応力を強化するため、研修・開発センターに専用の教室を設けまして、スクリーンや端末を整備し、事故時の映像、音響や通話、通信機能などを活用した模擬訓練を行っております。
このシミュレーター研修は、シナリオに沿って展開するさまざまな状況を、職員が適切に判断し、情報連絡、対処方法の検討等をロールプレーイング方式で行う実践的なものでございまして、職場や職務の異なる職員が、組織横断的な業務連携の重要性を体験、理解することによりまして、事故時の対応能力を養える内容となっております。
これまで、水質事故や配水本管の漏水事故対応など、三つのシナリオを開発し、研修を実施しておりますが、今年度からは、震災時の初動対応のシナリオ研修を実施し、東日本大震災における応急復旧活動の経験などを盛り込む予定でございます。
さらに、来年度改定を予定しております水道局の震災対策事業計画等も踏まえ、より内容の充実を図っていく所存でございます。
○長橋委員 今のシミュレーターを活用した訓練、大変実践的な訓練であろうかと思いますし、これはさらに精度を高めるといいますか、内容についてもさらに検討していただければ、このように思うわけであります。
今、東京都は、いわゆる被害想定の見直しも含めて、全般的に高度防災都市へ向けて取り組みを開始しておりますし、また、さまざまなプランについても見直しが進められているわけでありますが、さまざまな被害想定も含めた、またそのときの対応について検討したところで、やはりそれを実際に実践をするのか、また動かすのは職員の皆さん方であります。そうした意味では、私も今まで、東日本大震災を受けて、他県との協定だとか、また、震災に向かった水道局の職員の活躍等についてもお伺いをしてまいりましたけれども、やはりいかに机上でプランをつくったとしても、いざというときの危機管理能力、これを高めていく、そのための人材育成をやはり間断なくやっていかなければならない、このように思うわけでありまして、特に水道局の職員はその危機管理能力が求められている、このように思うわけでありますが、最後に、そうした観点について局長の決意を伺いたいと思います。
○増子水道局長 水道事業は、震災時においても可能な限り安定給水を確保する責務を負っており、当局では、施設の耐震化やネットワーク化などとともに、多様な主体と連携した応急給水訓練や応急復旧体制の構築などに取り組んでおります。
さらに、震災時の被害を最小限にとどめるためには、新たな技術開発や職員の危機管理能力の育成など、ハードとソフト両面からの取り組みを進めることが必要不可欠でございます。そのため、日ごろから、浄水処理や管路など、水道技術全般における調査研究を進め、今後とも新たな技術開発を着実に推進してまいります。
また、今回の震災の経験を踏まえた研修や訓練を行い、水道局が有する技術やノウハウを遺憾なく発揮できるよう、引き続き職員の危機管理能力の育成を積極的に行ってまいります。
首都東京のライフラインを担う水道事業者として、平常時はもとより、震災時、事故時においても安定給水を確保するため、全力で取り組んでまいります。
○西崎委員 私からは、応急給水関連について、まず伺いたいと思います。
東京の水道は、一千三百万人の都民生活、都市活動及び首都中枢機能を支える役割を担っており、震災のときにおいても給水を確保することは重要です。三月の東日本大震災では、多くの地域で水道が遮断され、ライフラインとしての水道の重要性を改めて認識いたしました。震災時にあっても、水は生活に欠かすことができないものです。このため、断水が復旧されるまでの間の応急給水は極めて重要だと思います。
震災時の応急給水活動は、給水状況や住民の避難状況等、必要な情報を迅速に集め、的確に把握し実施することが必要と考えますが、実際に給水活動を行うのは出先の事務所だと思います。
そこで、現在、各地域に営業所がありますが、応急給水における営業所の役割について伺いたいと思います。
○高原サービス推進部長 日ごろお客様の窓口として二十三区内に設置されております営業所につきましては、当局の震災応急対策計画において、震災時における応急給水活動の拠点と位置づけております。
具体的には、給水所等の給水拠点において、応急給水用資器材を設置し、地元区と協力して給水活動を行うほか、必要に応じて車両輸送や消火栓などを利用した仮設給水栓による応急給水を行うこととしております。
さらに、支所や関係機関との連絡調整、住民への広報を行うなど、応急給水活動の最前線としての役割を担っておるものでございます。
○西崎委員 今のお話で、営業所は災害時には重要な役割を担っているということはわかりました。都内には、震災に備えて浄水場や給水所など数多くの給水拠点があるということは、先ほどもお話が出ていましたが、しかし、これらの施設を使って確実に給水活動を行うためには、ふだんから訓練を行っていないと、いざというときに役割を発揮できないのではないかと思います。
そこで、現在、営業所などでどのような訓練を実施しているのかお聞かせください。
○高原サービス推進部長 当局の営業所や多摩地区におきましては、給水管理事務所などでは地元自治体と協力しながら定期的に応急給水訓練を実施しております。
また、自治体だけではなく、地元自治会や町内会の方々にも参加していただくなど、地域住民と連携した訓練も行っているところでありまして、昨年度、平成二十二年度におきましては、全体で十四事業所で延べ二十九回の訓練を実施いたしまして、このうち二十六回につきましては、区市と合同で実施したものでございます。
訓練内容ですが、職員が給水拠点に出動いたしまして、実際に応急給水栓を設置して応急給水を行うなど、緊急時の状況を想定した訓練を実施しております。
この訓練、もう少々具体的にご紹介申し上げますと、給水所には保管してございます給水器材がございまして、これを参集した職員が取り出して、まず給水所側の取り出し口に給水ホースをつなげます。そして一方の側では台座を組み立てまして、複数の蛇口がついた応急給水栓、こちらを設置して、このホースをつなぐわけでございます。そして給水所のバルブを開くと水は出るんですけれども、当初は滞留した水ですとかホースの中の汚れなどが出ますので、少々流した後に、水質検査キット、これを取り出しまして、その残留塩素を検査して、そのチェックが終わりました後、震災時であれば住民の方々に水をお配りするといったような作業をいかに早く円滑に行うかといったような訓練を定期的に行っているものでございます。
また、このほか一部の営業所では、地元給水拠点の周知ですとか、震災対策パネルを展示する、あるいは非常用給水袋を配布するなど、応急給水に関する広報活動なども行っているところでございます。
○西崎委員 大変丁寧な答弁をありがとうございます。
大変営業所の方たちが一生懸命、熱心にやっていらっしゃるということはよくわかりました。給水活動を行う際に、地域住民の協力も大変大事だと思います。このため、日ごろから住民も巻き込んで訓練することは有効だと考えます。
先日、練馬区にあります防災公園となっている光が丘公園で、私ども、地域の住民の人たちと、ここの施設について職員の方から説明を受けました。もちろん水道局の職員の方も来ていただきまして、ふだん何げなく利用している公園に、災害時における、どのように対応できるのかという、さまざまな機能を備えていることを知りまして、改めてこのような施設を利用した防災訓練の重要性を感じた次第です。
震災時により円滑な応急給水を行うためには、お話にもありましたが、町会及び自治会、地域の人たちとの連携や、高校生など若い世代への働きかけが必要だと思います。この九月には、同じ光が丘公園で、練馬区の職員や高校生たちと防災訓練を行ったと聞いています。
そこで、区の職員や高校生とともに取り組んだこの応急給水訓練は、水道局のどのような取り組みなのか伺います。
○高原サービス推進部長 ご紹介いただきました、練馬区の光が丘公園で実施いたしました応急給水訓練でございますけれども、次世代を担う子どもたちとの連携といったことをテーマに、当局の練馬営業所が中心となりまして、練馬区及び都立の光丘高校と連携をいたしまして、本年の九月八日と二十九日、この二日間にわたって行ったものでございます。
取り組みの内容でございますが、まず初日の九月八日、都立の光丘高校の一年生全員に、災害対策講習といたしまして、練馬区の職員から、まず災害対策全般について説明をいたしました後、練馬営業所の職員から、当局の震災対策の概要ですとか応急給水の方法等につきまして、クイズ形式ですとか、写真を用いてわかりやすく講義、解説を行ったものでございます。
その後、同月の二十九日には、応急給水訓練といたしまして、実際に生徒の選抜チームに参加していただきまして、応急給水に必要な資器材の組み立てから、非常用給水袋を使った水の搬送、これは実際に背負えるようになっております袋でございまして、満タンに入れると大体六キログラムと、結構な重さがあるものでございますが、そういった水の搬送までの一連の活動を行っていただいたものでございます。
訓練に参加した高校生からもアンケートをとりましたけれども、水の大切さ、重さ、仲間の心強さなどを考えさせられることが多かったですとか、若い自分たちが地震のときに高齢者などを助けなければいけないと自覚したといったような、非常に心強い感想をいただいたところでございます。
○西崎委員 ふだん地域とかかわることが少ない高校生たちにとって、給水訓練の参加は貴重な体験だと思います。
今のお話で、生徒たちは、給水袋ですか、袋に水を入れて運んだそうですが、水を運ぶことの大変さを実感したのではないかと思います。
先日の小金井公園で行われた広域にわたる総合防災訓練でも、小学生、中学生も参加して給水訓練が行われたと聞いています。震災時に水を確保することの大切さを知り、地域に貢献する意識を醸成する意味で大変よい取り組みだと考えます。訓練等はもちろん、局が進めている地域とともに進めるさまざまな取り組みこそ、このような震災時に生きてくることと思います。
そこで、このような地域に密着した取り組みを積極的に進めていくべきと考えますけれども、所見を伺います。
○高原サービス推進部長 震災時に応急給水を円滑に実施するためには、地域との連携が重要であるというふうに考えております。
このため当局では、これまでも地元区や自治会、町内会等と共同で応急給水訓練を実施してまいりました。
また、都立高校の「奉仕」の授業と連携をいたしまして、高校生にも訓練に参加していただく取り組みは、今回ご紹介いただいた練馬区のほかにも、杉並区、小金井市、福生市において昨年度は実施したところでございます。
今後も、地域の方々の理解と協力を得ながら、引き続き実施してまいりたいというふうに考えてございます。
○西崎委員 今後とも、ぜひ水道局が中心になって地域に密着した取り組みを積極的に進めていくよう要望しておきます。
次に、境浄水場の整備について伺いたいと思います。
先日、新聞に、都が大規模浄水場の更新に向けて準備を始めるという記事が載っておりました。大規模施設の更新は、老朽化するさまざまな社会インフラが今後必ず直面する課題です。水道局では、浄水場が工事中でも水を十分供給できる体制をつくる必要があるため、代替となる浄水施設の工事を終えた上で、大規模浄水場の更新に入るということです。
そこで、まず代替施設の整備の必要性について伺います。
○黒沼企画担当部長 東京の水道は、高度経済成長期におきまして、人口や産業の集中などに伴って急増する水需要に追いつくため、整備拡張を重ねてまいりました。
その結果、大規模浄水場の多くは、昭和三十年代後半から四十年代にかけて整備され、施設能力全体の約七割がこの時期に建設されたものとなってございます。これらの施設は、浄水場の法定耐用年数でございます六十年を考慮いたしますと、今からおおむね十年後の平成三十年代から集中的に更新時期を迎えることになります。
浄水場の更新は、対象となる施設を停止する、このことに伴う能力の低下を伴うため、更新に当たりましては、全体の施設能力に不足が生じないよう、代替となる施設の整備が必要でございます。
○西崎委員 都には大小さまざまな数多くの浄水場がありますが、今後必要となる更新工事は、都民への影響が出ないよう計画的に進める必要があります。
新聞記事によりますと、第一段階として境浄水場の能力を大幅に高め、更新工事中に供給を補えるようにするとのことでした。大規模浄水場更新時の代替施設の整備として、なぜ境浄水場から始めるのか、お聞かせください。
○黒沼企画担当部長 境浄水場は大正十三年三月に運用を開始しておりまして、現在運用している浄水場の中で最も古いものでございます。日量約三十一・五万立方メートルの施設能力を有してございます。
しかしながら、近年の水質管理の強化や水運用上の制約などによりまして、一日当たりの平均配水量は、平成二十二年度実績では約十二万立方メートルにとどまっております。こうしたことから、東京水道経営プラン二〇一〇では、境浄水場を優先して大規模浄水場更新時の代替施設としまして、機能回復等の整備を行うこととしております。
○西崎委員 境浄水場は、緩速ろ過方式を採用しております。緩速ろ過は、急速ろ過に比べてエネルギー消費が少なく薬品の使用も少ないなど、環境に優しい浄水場といえます。今後の整備に当たっては、こうした環境に優しい施設整備を心がけるべきではないでしょうか。現在、都内の主要な浄水場で緩速ろ過方式により運転しているところは、境浄水場だけです。
そこで、今後の境浄水場の整備の具体的な取り組みについて伺います。
○黒沼企画担当部長 大規模浄水場の更新に当たりましては、先ほどもご答弁申し上げましたが、施設能力の総体に不足が生じないよう、まず代替浄水場の整備、これが不可欠でございます。その整備に当たりましては、今お話のございました浄水処理方式のみだけではなく、電力エネルギーを極力使用しない自然流下を活用するなど、水道システム全体のエネルギー効率向上への配慮が必要でございます。
境浄水場は、取水から導水、送水に至る過程で自然流下を活用できるなど、エネルギー効率に非常にすぐれておりまして、今後の大規模浄水場更新時の代替施設として機能回復等のさらなる整備を進めることで、導水、送水等に係るエネルギー総体の削減が見込まれます。
今後も、このような代替浄水場としての機能確保及び水道施設全体のエネルギー効率向上の観点から、境浄水場の整備規模や水処理方法等について検討を進めてまいります。
○西崎委員 東京の水道は、都内電力使用量の約一%という多量なエネルギーを消費しており、地球環境に影響を与えています。これほどの電力を使用している事業者の責任として、今後も積極的に環境負荷の低減に取り組んでほしいと思います。
都内全域について、浄水場の更新計画はこれから検討していくということですが、全体の水需要について、浄水場のエリアなどについて、検討すべき観点は多くあると思います。都民生活にとって重要な水道ですので、もちろん工事に伴う影響がないようすべきですが、適正規模の施設整備を目指していくことも大切だと思います。きちんと検討していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○山下委員 それでは、私からは、まず、東京の水道の水源地域に注目して質問をさせていただきます。
先日、私は奥多摩町に行ってまいりました。山々の紅葉が美しく、東京の西の奥座敷というにふさわしい趣のある季節の装いを見ることができました。
奥多摩町には、都民の貴重な水がめ小河内ダムがあり、さらに、その周辺や山梨県にまたがる多摩川上流域には、東京都水道局が管理する広大な水道水源林があります。この水道水源林は、今からおよそ百年前、乱伐によって木々が失われた山林を、当時の東京府が国から譲り受け、水道局が植林、間伐などを行うことによって、緑豊かな森林に生まれ変わったものであると聞いております。
昭和三十二年に完成した日本最大の水道専用ダム小河内ダムが、ほぼ同じ時期に建設されたほかのダムと比較して、土砂の堆積も少なく良好な状態に保たれているのは、この水道水源林の存在が大きく関係していると考えられます。
そこで、多摩川上流の小河内ダム及び水道水源林が果たす役割について伺います。
○酒井浄水部長 健全な状態の森林は、主に三つの機能を持っております。一つ目は、水を土壌の中に十分蓄えることにより洪水や渇水を防ぐ水源涵養機能。二つ目は、樹木の根が山の土をしっかりと押さえることにより土壌の侵食や山崩れを防ぐ土砂流出防止機能。三つ目は、水が土の中を浸透する間に不純物を取り除く水質浄化機能でございます。水道局では、これらの三つの機能を十分に発揮させるため、水道水源林を良好に保護、育成することにより、流入河川の保全や小河内貯水池の堆砂の軽減等を図っております。
小河内貯水池は、東京の貴重な水源であり、将来にわたり安定給水を図る上で重要な役割を担っております。
○山下委員 水道水源林の役割についてまとめていただきました。水道水源林の意味、重要性がわかりました。
ただ、それだけに近年の水源地域の民有林の荒廃は問題です。林業の不振などにより、手入れの行き届かない山が増加し、平成十九年九月に発生した台風九号では、大量の土砂と木々などが川や小河内ダムに流入し、水の濁りが翌年まで続くという事態が発生しました。
水道局は、これまでに多摩川水源森林隊を設立して、ボランティアと一体となった民有林保全活動を行っていると聞いておりますが、それだけでは追いつかないほど民有林の荒廃が進んでいるのが現状です。
こうした状況を改善するために、水道局では、昨年度、民有林を試験的に購入する民有林購入モデル事業を開始したと承知しております。新聞報道なども行われ、注目されている事業であると考えます。
そこで、このモデル事業の進捗状況を伺います。
○酒井浄水部長 この事業は、小河内貯水池上流域の管理が不十分で、所有者が手放す意向のある荒廃した民有林を購入し、水道水源林として適正に管理することで、小河内貯水池の保全を図ることを目的としております。
昨年度は、山林所有者から申し込みを受け付け、要件に合致した案件について、専門家などによる委員会で審査を行い、三件を購入対象山林として選定したところでございます。
当該案件につきましては、現在購入に向け、隣接土地所有者の特定や境界確認などの作業を進めておりますが、この一連の作業は、市街地での境界確定作業などに比べると、面積が広大であり、地形が厳しいことなどから、購入に至るまでには時間がかかると考えております。
○山下委員 相続など、所有者の世代交代などもあり、境界線確定は根気の要る作業であると思いますが、ぜひモデル事業の名にふさわしい、全国のモデルとなるような成果を上げていただきたいと思います。
ところで、水道水源林は、都民の命をつなぐ水を守るというだけでなく、二酸化炭素CO2吸収機能を保有することから、広く地球環境への負荷低減にも貢献しています。
水道事業は送配水の際に電力を使用するため、地球環境に負荷をかける事業であるといえます。実際、水道局の電力使用量は年間およそ八億キロワットアワーで、これは、先ほど西崎理事のお話にありましたが、都内の全電力使用量のおよそ一%に相当します。
東京都は環境確保条例を改正し、平成二十二年度から、都内の大規模事業所に対して、温室効果ガスの総量削減を義務化しており、より一層環境負荷低減への社会の意識も高まってきているといえます。
そこで、水道局のこれまでの環境負荷低減のための取り組みと、その効果について伺います。
○黒沼企画担当部長 水道局では、環境負荷低減対策としまして、ポンプ設備等の省エネ化や総合的なエネルギー管理による水運用の実施といったエネルギーの効率的利用を図るとともに、太陽光発電設備や小水力発電設備の導入などによる再生可能エネルギーの有効活用などの対策を積極的に実施しております。
このような取り組みと効果としまして、平成二十二年度実績では、二酸化炭素の排出量を約三千五百トン抑制をしております。
○山下委員 よくわかりました。
では、今後、環境負荷の低減とCO2削減のためにどのように取り組んでいくのか、伺います。
○黒沼企画担当部長 東京都水道局環境計画では、環境基本方針の一つに地球温暖化防止のさらなる推進を掲げ、平成二十二年度から三カ年で取り組む具体的な事項と目標を定めております。この計画に基づきまして、エネルギーの効率的な利用や再生可能エネルギーの有効活用、お話にございました水道水源林の保全管理、さらには水資源の有効利用としての漏水防止対策の推進などに着実に取り組みまして、引き続き環境負荷の低減と二酸化炭素の削減を図ってまいります。
○山下委員 わかりました。
ただいまのご答弁の中に、環境負荷の低減やCO2削減につながるものとして、漏水防止対策がありました。漏水防止といえば、水道局が鉛製の給水管からステンレス管へ取りかえるなどの取り組みを積極的に実施してきた結果、漏水率が二・七%まで低下したと認識しております。
そこで、漏水率の低減による水資源の有効利用やCO2削減への貢献について伺います。
○今井給水部長 公道下の給水管をステンレス鋼管に取りかえ始めた昭和五十五年度の漏水率は一五・四%でございました。しかし、現在では、世界において最も低い水準である二・七%まで減少しております。昭和五十五年度と現在の漏水率を比較いたしますと、一二・七%低減しております。
漏水削減量は二億三千六百万立方メートルで、この量は東京ドームの約二百個分となります。これをCO2削減量に換算いたしますと四万七千七百トンとなり、また、自動車のCO2排出量に換算いたしますと、約四万四千台分に相当いたします。
○山下委員 環境負荷低減のために漏水防止対策がいかに重要であるかがわかりました。
漏水を防止するためには、予防することとともに、漏水が起こった場合のできるだけ早い時期での発見が必要であると考えます。
それは、地下のふだん目に見えないところのものだけに、まさにプロフェッショナルの領域ではないかと思います。漏水の予防と発見のそれぞれの技術について伺います。
○今井給水部長 漏水予防の技術といたしましては、漏水発生の大部分を占める鉛製給水管を更新するために、材質強度に富むステンレス鋼管の配管システムを開発いたしました。さらに、道路荷重や振動を吸収できる波状管への改良などを積み重ね、漏水しにくい管路への更新を実施いたしております。
漏水発見の技術につきましては、相関式漏水発見装置などの機器の開発と改良を行う。それとともに、職員の技術力向上のために経常的に研修や訓練を実施してまいりました。
また、技術の確実な継承を目指して、ベテラン職員が後輩職員に対して指導や助言を行う東京水道技術エキスパート制度を導入して活用しております。
○山下委員 東京都水道局のすぐれた技術に支えられての、世界に誇れる低い水準の漏水率であることがわかりました。たくみのわざともいえる水道技術の継承、人材の育成に力を入れ、これからも環境負荷低減を図りつつ、本来の事業である安全でおいしい水道水の供給に努めていただきますようお願いして、質問を終わります。
○中谷委員 東日本の大震災では、被災地の水道施設には大変大きな被害がありました。都では、給水とか、あと浄水処理においてはそれほど大きな被害がなかったと聞いておりますが、一部若干、金町浄水場において被害があったと聞いております。
どのようなときにも、水というのは我々の生活にはなくてはならないものでありますし、震災後しばらくして、飲料水を求めるがゆえに、ペットボトルを購入するに当たって大変入手が困難な時期も一時期あった記憶もあります。
まさに水道の不可欠さというのは、都民が非常に今回認識をしたと思うんですけれども、その中で今後発生が予想されている首都直下型の地震から、東海、東南海、南海の三連動地震というものも予想はされておりますけれども、そうしたときに浄水場や給水所などの施設の耐震化について、やはり耐震化を含めた施設の総点検というものが、当然早急に行わなくてはならないと認識をしておりますけれども、まずは局として水道施設の震災対策について基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○黒沼企画担当部長 水道局では、これまでも震災対策を局事業の最重要課題に掲げまして、地震による水道施設の被害を最小限にとどめ、都民に対する給水を可能な限り確保することを目的に、水道施設の耐震強化に取り組んできております。
耐震強化策としましては、施設の被害箇所を可能な限り軽減するための水道施設の耐震強化、それから、断水区域や断水時間の縮減を図るバックアップ機能の強化、この両面からの対策を講じてきております。
今後もこのような対策を総合的に推進し、震災時における安定給水の確保に努めてまいります。
○中谷委員 水道は浄水場でつくられて、送水管で給水所に行くと。給水所からさまざまなところに配水管を経て我々の蛇口のところまで来ると。幾つかの工程があるわけですね。
その中で、私の地元の練馬の光が丘に練馬給水所という、かなり大きな給水所施設がありまして、これは三つの配水池から成る全容量が二十万立方という規模でありまして、先ほど質疑がありましたけれども、大規模な応急給水槽が千五百立方に対して、二十万ですから、かなり大きな施設であると認識をしております。
給水所というのは、文字どおり、浄水場から送られてきた水道水を一時的に蓄えて、それを配水するわけでありますから、その際に水道の使用量というのは、朝と夜とその時間帯によって当然違うわけで、その時間的な配水量の調整であるとか、あと、震災時においては給水拠点として、貯留水をいわゆる応急給水に使うという役目も果たしていると認識しておりますけれども、この練馬給水所が実際どんな役割を果たしているのか、その点についてお伺いいたします。
○酒井浄水部長 先生から今お話がございましたように、給水所は、浄水場から送られてきました水道水を配水池に一たん蓄え、ポンプ施設で配水区域内に水道水を配る施設でございます。使用量の時間的な変化に応じた配水量の調整など、弾力的なことをする目的でつくられているものでございます。
さらに、給水所は震災時における給水拠点として、配水池に蓄えた水道水を都民へ応急給水する役割を担っております。
○中谷委員 練馬の給水所は、要は、練馬区民のみならず、多くの都民の方に、もちろん水を供給しているということだと思いますけれども、これは平成十四年度に実施した耐震診断調査委託において、耐震性能を満足しないところがあるということが判明をしておりまして、実は練馬給水所では、本年の六月まで工事が行われておりました。そしてまた引き続き工事を予定していると伺っておりますけれども、具体的にどのような工事を今後予定されているのか伺います。
○木村建設部長 練馬給水所は、耐震診断調査を行った結果、配水池の構造を強化する必要があることが判明したため、耐震補強工事を実施することといたしました。
工事の主な内容といたしましては、鉄筋コンクリートでつくられました配水池を空にした状態で、配水池内部に新たに壁を設置するとともに、既存の柱や壁を太くしたり厚くしたりして強度を高めることにより、耐震性の強化を図るものでございます。
○中谷委員 この配水池の上部部分というのは、いわゆる光が丘公園になっておりまして、多くの区民の方が日常利用しております。今後、都内各所でいわゆる水道施設の耐震化工事が執行されると思いますけれども、ぜひ都民の日常生活には十分配慮しながらの工事の実施を求めたいと思います。
そこで、また耐震化工事の、いわゆる円滑な実施に向けてはどのような考え方で取り組んでいるのか、お伺いいたします。
○木村建設部長 練馬給水所の工事に当たりましては、公園管理者と十分な調整を図り、事前に地元や公園利用者に対して、工事の内容や公園の利用制限に関する周知を行っております。
また、工事期間中におきましても、地元や公園利用者に対して適宜工事情報を提供し、利用者の利便性や工事周辺の安全の確保に十分留意して工事を実施しているところでございます。
当局では、耐震化工事に当たりましては、今後とも都民や利用者への安全確保はもとより、工事情報の適切な提供により、工事への理解、協力を得ながら、施設の耐震化を円滑に推進してまいります。
○中谷委員 耐震化工事は本当に早急にやらなければいけませんし、今、ご答弁のあったとおり、地域住民の方に配慮しての工事をお願いしたいと思います。
今回の震災で計画停電がありまして、都内でも多摩地区においては、若干断水という影響が出たと思います。水道施設の耐震化を進めるとともに、やはり大事なのは、配水管にしろ、送水管にしろ、水道管の中というのは圧がかかっているわけですから、当然ポンプがないと水を送り出せないと。そのためには、いわゆる電源が必要だと。非常用においての電源を確保しなければ、当然水の供給もできないわけでありますから、浄水場などにおける非常用電源を確保するということの大切さを、今回改めて認識をいたしました。
それで、これはちょうど都が二十一日に、災害対策をまとめた高度防災都市づくりの中間まとめ発表というものをいたしました。浄水場などの六カ所の水道施設に計約一万三千八百キロワット、ポンプ所など三カ所の下水道施設には計二万九千キロワットの設備を導入するということでありましたけれども、今回の震災の教訓を踏まえて、安定給水のための電源確保という観点において、非常用の電源確保についての具体的な対策についてお伺いいたします。
○佐久間設備担当部長 非常時の電源確保についてのご質問でございますが、当局では、浄水場などの主要施設の電源は、通常、電力会社から二回線で受電しておりまして、万が一、一回線が停電したとしましても、他の回線から受電することができるようにしております。
さらに、停電時に備え、大規模浄水場である東村山、金町、朝霞及び三園の四つの浄水場には常用発電設備を整備するとともに、その他の浄水場などには、非常用自家発電設備を設置しております。
今回の東日本大震災を踏まえ、震災時の電源確保の強化のため、当局では補正予算を組みましてさらなる非常用自家発電設備の整備等を進めているところでございます。
今後とも、震災時における給水を可能な限り確保するため、自家用発電設備の新設や増強など、一層の電力確保対策に全力で取り組んでまいります。
○中谷委員 環境局の方では、いわゆる都立の防災公園に六十カ所程度、非常用の発電設備を設置したいというのが、先般、発表されておりましたし、また、水道局は局で、電源確保のために、そういう施設の整備が必要ですから、可能なところで、また必要があれば、環境局とも連動して進めていく必要があるということを申し上げまして、私の質問は終わります。
○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
○早坂委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○松丸経理部長 工事請負契約につきまして、お手元の資料1、契約締結報告書によりご報告申し上げます。
本日ご報告申し上げますものは、平成二十三年八月一日から平成二十三年十月三十一日までの間に契約を締結いたしました、予定価格が一件九億円以上の工事請負契約二件でございます。
一ページをお開きください。本日ご報告申し上げます契約二件の総括表でございます。
以下、順次、契約の概要についてご説明申し上げます。
二ページをお開き願います。この契約は、椚田ポンプ所(仮称)築造工事でございます。
工事内容は、送配水施設整備事業の一環といたしまして、八王子市椚田町五百四十五番地において、椚田ポンプ所(仮称)築造工事を施行するものでございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は十三億三千七十七万円、契約の相手方は大林・林建設共同企業体でございます。
入札経過につきましては三ページに、施工場所の図面につきましては四ページにございますので、ご参照いただきたいと存じます。
五ページをお開き願います。この契約は、三郷浄水場高度浄水施設(二期)生物活性炭吸着池活性炭製造及び敷込み工事でございます。
工事の内容は、水源及び浄水施設整備事業の一環として築造する高度浄水施設(二期)生物活性炭吸着池内に活性炭層を形成するため、粒状活性炭の製造及び敷き込みを施行するものでございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は十二億七千七百八十五万円、契約の相手方は水ing株式会社でございます。
入札経過につきましては六ページに、施工場所の図面につきましては七ページにございますので、ご参照いただきたいと存じます。
以上、簡単ではございますが、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。
○早坂委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
午後二時四十三分休憩
午後二時五十九分開議
○早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより交通局関係に入ります。
初めに、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○新井委員 委員会のメンバーが入れかわりがありまして、初めての質疑になります。どうぞよろしくお願いします。
ことし八月で、都営交通は創業百周年を迎えました。私も二度見に行きましたが、江戸東京博物館で開催されていました都営交通百周年記念特別展、十四万人以上の方が来場したということです。
その展示会でも感じましたが、これまで、都営交通の歩みは決して平凡ではなかったと思います。これからの未来につながる百年を、東京都交通局並びに関係者の方々とつくり上げていきたいと思います。
私からは、一つ目に都営地下鉄の安全対策、二つ目に都営地下鉄のサービス向上に向けて、三つ目に自動車事業についてお伺いをいたします。
まず初めに、都営地下鉄の安全対策についてお伺いいたします。
都営地下鉄は、一日約二百三十万人の乗客を運ぶ重要な交通機関です。定時運行の確保やサービスの向上など、求められることは多いかと思いますが、何といっても安全確保が大事だと思います。
私が地下鉄の事故として思い浮かぶのは、平成十五年に、韓国南東部、ソウル、釜山に次ぐ三番目の大都市であります大邱市で発生した火災事故です。この事故は放火によるもので、男性が突然引火性の液体をまき、ライターで火をつけ、座席シート、床など火は一気に車内に広がり、多くの犠牲者を出しました。
また、平成十二年には、地下鉄ではないですが、オーストラリアのケーブルカーがトンネル内で油漏れによる火災を起こし、同じように多くの犠牲者を出しました。
地下深くを走っている都営地下鉄も、万が一火災が発生した場合には、同じような事態を招くおそれがあるのではないかと不安があります。
そこで最初に、都営地下鉄における火災対策の現状についてお伺いをいたします。
○新名安全管理担当部長 交通局では、平成十五年二月に発生いたしました韓国大邱市における地下鉄火災事故を契機として定められました火災対策基準に基づきまして、必要な対策を行っております。
まず、地下駅の火災対策でございますが、排煙設備及び防火防炎シャッターの設置、二方向避難通路の確保などの対策を積極的に進めてきておりまして、今年度末までに九十三駅中八十四駅、二十四年度末までに全駅での整備を完了する予定でございます。
次に、車両の火災対策でございますが、車両火災発生時の延焼を防止するため、天井材料に高熱でも溶けにくいものを使用、車両と車両の間に扉の増設、さらに消火器の所在をお客様にわかりやすくするための車内表示を行うなどの対策を進めております。
天井材料につきましては二十九年度までに、車両間の扉につきましては二十六年度までに車両の大規模改修に合わせて実施し、それぞれすべての車両について完了する予定でございます。
また、消火器に係る車内表示につきましては、十七年度までに消火器の設置位置を示す表示につきまして全車両への貼付が完了しております。
○新井委員 韓国大邱市の火災を受けて、対策を講じていることはわかりました。不燃性、難燃性というように、車内設備である床や座席等には難燃性材料を使用しているということです。一般に使用されている難燃性材料は、ガソリン等で放火されても多少なりとも有毒ガスが発生するものですが、技術の進歩に伴い、材料によっては有毒ガスの発生が少なくなっています。
今後の車両新造、改造の際には、最新の材料技術の進歩に注視し、より難燃化にすぐれた、有毒ガスの発生が少ない材料の選定を行うよう申し上げたいと思います。
また、煙対策に関しては、地下設備火災におけます重要な課題でございます。先ほどの答弁で、来年度末には排煙設備及び防火防炎シャッターの設置が九十三駅すべてに整備が完了されるということです。安心しましたが、確実に対処していただきたいと思います。
次に、緊急時の際の連絡方法についてお聞きいたします。
何か異常が発生した場合には、状況を正しく把握し、適切に対応することがいかに大切であるかということを、三月十一日の東日本大震災の際に改めて感じました。都営地下鉄には運輸指令があり、常に列車の運行を監視し、状況に応じて乗客等への指示が出されていると聞いております。
そこで、都営地下鉄における緊急時の際の連絡方法についてお伺いいたします。
○小泉電車部長 運輸指令と乗務員との連絡は、列車の乗務員室に設置している列車無線装置により行います。列車無線装置は二重系となっているため、そのうち一つが故障した場合にも通常どおり使用することができます。
万が一、列車無線装置が故障した場合にも、地下鉄のトンネル内に約二百五十メートル間隔で沿線電話を設置しており、乗務員から運輸指令並びに駅や保守部門への連絡が可能となっています。
○新井委員 無線装置につきましては、二重系統にし、万全を期しているとのことですが、機材を動かすための電気がとまってしまえば使えなくなりますし、駅の照明等につきましては、緊急時を想定した対策が気になるところです。
例えば、直下型の地震が発生し、送電網が寸断されているような場合など、停電時におけます都営地下鉄のバックアップ電源についてお伺いします。
○石井車両電気部長 都営地下鉄では、各路線に非常用バッテリーや非常用の発電機を設置しております。この非常用の電源によりまして、停電時には非常用照明や避難誘導灯、放送設備などに電気が供給され、これらの設備が二時間以上使用できるようになっております。
駅の停電時には、これらの設備を活用することで、お客様を地上や駅構内の安全な場所まで避難誘導できるようにしております。
○新井委員 都営地下鉄におきましては、火災対策や電源確保など、さまざまな安全対策を講じていることが確認できました。今後も、引き続き、より安全な都営地下鉄を目指し、必要な対策を講じていただきたいと思います。
次に、安全対策とは少し異なりますが、震災時の対応につきましてお伺いします。
東日本大震災の際は、都内でも鉄道がストップし、多くの帰宅困難者が発生しました。改めて、鉄道の重要性が認識されたのではないでしょうかと考えています。
なかなか運転が再開されない中にあって、都営地下鉄がいち早く動き出したのは、評価に値いたします。
当然、大きな地震があった際の対応方針などは事前に決められているかと思いますが、震災時に都営地下鉄を早期に復旧するために、どのような対応を行っていたのかお伺いいたします。
○新名安全管理担当部長 都営地下鉄では、大規模な地震が発生した場合、一たん列車を停止させ、安全を確認した上で、次の駅まで徐行運転を行い、乗客を駅構内の安全な場所へ避難誘導することとしております。
次いで、施設の被害状況を把握するために、駅構内、軌道、車庫及び電気施設の点検を行います。点検に当たりましては、駅構内は駅係員が、軌道、車庫及び電気施設は保守係員がそれぞれ行うこととしております。
その際、地下鉄線内十六カ所に設置しております地震計によりまして、エリアごとの震度を個別に把握いたしまして、その震度に応じた点検を短時間で効率的に行うこととしております。
点検の結果、運行に支障がないと判断すれば、運転手による徐行運転での線路やトンネルの安全確認を経て運行を再開いたします。
○新井委員 今回は、決められた手順に従い適切に対応できたことが、早期復旧につながったといえます。今後も、常に適切な対応ができるように、各種訓練等も十分行ってほしいと思います。
次に、都営地下鉄のサービスについて何点かお伺いいたします。
先ほども申し上げましたが、都営地下鉄が地下深くを走っているため、どうしても地下からホームまでの移動距離が長くなります。特に高齢者や車いすを利用している方にとっては、上り下りが大きな苦労になります。
交通局でも、駅のバリアフリー化に積極的に取り組んでいるとのことですが、駅のバリアフリー化の状況についてお伺いします。
○廣木建設工務部長 だれもが利用しやすい都営地下鉄を目指し、エスカレーターなど施設整備を進めてまいりましたが、交通バリアフリー法が施行された平成十二年以降、すべての駅で、エレベーターなどによりホームから地上まで移動できるワンルートの確保に取り組んでまいりました。二十三年十一月現在、百六駅のうち九十七の駅で整備が完了しており、現在八駅で工事中でございます。
残りの駅につきましても、工事着手に向け準備を進めており、二十四年度末までにすべての駅でワンルートが確保できるよう取り組んでまいります。
○新井委員 来年度末までには、すべての駅で、いわゆるワンルートの確保ができる予定とのことですので、確実に目標を達成していただきたいと思います。
さて、都営地下鉄のサービスの向上というと、昨今、東京メトロとの一元化が話題になっています。
私は、公営企業である交通局と株式会社である東京メトロを一緒にすることは、さまざまな課題があって、簡単なことではないと考えていますが、一方で、同じ地下鉄として、利用者の利便性の向上等の観点から、サービスの一元化を段階的に進めることにつきましては積極的に推進すべきだと思っております。
このサービスの一元化の具体策として、都営新宿線と東京メトロ半蔵門線の九段下のホームの壁の撤去が報道されました。
そこで、この九段下駅の壁の撤去費用と効果についてお伺いします。
○広瀬企画担当部長 お尋ねの壁の撤去費用につきましては、九段下駅のホーム階及び改札口のあるコンコース階の壁の撤去工事及び壁の撤去に伴い発生する消防設備や自動改札機などの機器の改修などにより、交通局の負担といたしまして約五億円を見込んでおります。
この壁の撤去の効果でございますが、都営新宿線と東京メトロ半蔵門線につきましては、改札口を一たん出ないで乗りかえられるようになるとともに、乗りかえの動線も短くなることから、お客様の利便性が向上すると考えております。
とりわけ半蔵門線渋谷方面から来まして新宿線新宿方面へ乗りかえる場合は、階段を上りおりすることなく、ホーム上で乗りかえられるようになることから、乗りかえ時間が短縮されるとともに、特に車いすのお客様や足の不自由なお客様の利便性向上に資するものと考えております。
今回の九段下駅の壁の撤去につきましては、東京メトロと協議が調ったことから、サービス向上策の一つとして実施するものであり、今後とも、お客様が東京の地下鉄をより便利で快適に利用できるよう東京メトロと検討、協議を進めまして、乗りかえ利便性の向上などサービスの一体化に努めてまいります。
○新井委員 今お答えがありましたが、正直私は、費用対効果につきましては若干疑問を持っております。階段を上り下りすることなく、ホームの上で乗りかえができるようになるのは、半蔵門線の渋谷方面から来て、九段下駅でおり、新宿線の新宿方面に戻る利用者のみです。つまり出発点と行き先が九段下で折り返して同じ方向になるのですが、その利用者がどれほどいるのかが疑問です。
一方で、九段下の壁の撤去は、都営地下鉄と東京メトロとのサービスの一体化を進めていく上で、象徴的な取り組みであると考えています。今後も、サービスの一体化のためにさまざまな取り組みを行っていくと期待をしますが、ぜひ費用対効果も考え、優先順位をつけて対応していただきたいと思います。
ところで、九段下駅のホームの壁を撤去した場合、ホームが一つになり、そのホームを交通局とメトロが一緒に使用することになります。その場合、別々の鉄道会社でうまく管理できるのかが心配です。
そこで、九段下駅のホームの安全確保についてお伺いします。
○小泉電車部長 九段下駅におけるホーム等の壁、この撤去後の駅の管理運営方式につきましては、現在、東京メトロと協議を行っているところです。
これまでも、都営地下鉄、東京メトロとも安全を最優先に管理運営を行っており、今後も安全が確保できるように協議を行ってまいります。
○新井委員 サービスが向上しても、安全がおろそかになっては意味がありません。今後、両者で十分検討していただきたいと思います。
最後に、自動車事業について何点かお伺いします。
新聞等でも報道されましたが、東京電力の株式配当がなくなったことにより、配当が充当されていた都営バスの経営は一層厳しくなると聞いています。
そこで、都営バスについて東電の配当がなくなったことによる影響と対策についてお伺いします。
○宮川総務部長 東京電力の株式配当を見込めないことによる減収額は大きなものでございますことから、自動車運送事業におきましては、当面、経常黒字を確保することが難しい状況にございます。
しかし、これまでも都営バス事業は、幾度となく困難な状況に直面してまいりましたが、その都度、局を挙げた経営改善により乗り越えてきました。
今回も、数年にわたる地道な取り組みにより収支改善に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいります。
○新井委員 厳しい中であっても、都民の足としての役割は適切に果たしていただきたいと思います。
都営バスについては、もう一点、気になっていることがあります。それは、コミュニティバスとの関係です。
最近、多くの自治体でコミュニティバスが運行されるようになりましたが、都心部では都営バスと競合している地域がふえているのではないでしょうか。都営バスの経営が厳しい中、その影響が心配されます。
そこで、コミュニティバスの普及状況と都バスへの影響についてお伺いします。
○岡本バス事業経営改善担当部長 コミュニティバスは、交通不便地域の解消、高齢者などの利便性の向上を目的に、自治体が行政サービスの一環として導入しています。現在、二十三区内では、十七区、六十路線でコミュニティバスが運行されています。
都営バスへの影響については、多くの区において都営バスより低額の運賃を採用していることや路線が重複している区間があることなどから、コミュニティバスにお客様が移っているものもあると推測しております。
また、その対策として、国土交通省のコミュニティバスの導入に関するガイドラインで、路線バスと実質的に競合することのないよう十分に検討すべきであるとしていることから、都営バスでは、これに基づき、運営主体である地元自治体に対して、路線が競合しないよう申し入れています。
○新井委員 厳しい問題であると思いますが、お互い役割に応じて共存共栄していくことが、利用者にとってありがたいことだと思います。関連する自治体とも調整しながら、交通網の充実に努めてもらいたいです。
次に、自動車事業の効率化策についてお伺いします。
都営バスでは、効率化の一環として、国が定めた基準に基づき、事業の一部をはとバスに委託しているとのことであり、事業概要によりますと、これを管理の委託と呼ぶそうですが、はとバスへの委託の実績と今後の予定についてお伺いします。
○岡本バス事業経営改善担当部長 管理の委託は、サービス水準を維持しながら経営の効率化を図る上で、有効な手段の一つとして実施しています。
株式会社はとバスへの委託は、平成十五年度から杉並支所において二路線で実施し、その後十六年度に臨海支所、十八年度に青戸支所、二十年度に港南支所、二十一年度に新宿支所と拡大し、現在では、合計五支所、三十九路線で行っております。
今後とも、都営バス事業を取り巻く事業環境を踏まえまして、適切に対処してまいります。
○新井委員 委託については、安全の確保やサービスの向上に十分留意して取り組むべきであると考えます。今後も、適切な対応をお願いしたいと思います。
次に、都営バスの安全対策についてお伺いします。
先日の説明の中で、都営バスは全車にドライブレコーダーを設置して安全の確保に努めているとのことがありましたが、このドライブレコーダーの活用方法についてお伺いします。
○土岐自動車部長 都営バス車両には、車内及び車外に合わせて五台のカメラを設置し、運行中の様子を常時撮影することにより、事故が発生した場合、時刻や速度などのデータとともに、その映像を確認できるようになっております。
このドライブレコーダーを事故原因の究明に役立てるとともに、運行管理者が、事故を起こした乗務員に、事故映像を通じまして、みずからの運転特性を把握させ、それに応じた必要な指導を行うことで、安全意識や技術の向上を図っております。
また、実際の事故のほか、事故には至らない、いわゆるヒヤリ・ハットの映像を乗務員の安全研修などに活用しております。
○新井委員 本日は、さまざまな事項について質問させていただきました。最後になりますが、交通局には、都民の足を支える都営地下鉄、都営バス等を運行する公営企業として、安全の確保を第一に、さらなるサービスの向上に努めていただくことを要望して、質問を終わりにします。
○高橋委員 それでは、私の方からは、一点目としてバス事業について、二点目として安全対策について、三点目、人材育成について、四点目、環境への取り組みについての四点に絞って伺います。
まず最初に、交通局の事務事業質疑に当たりまして、主要事業である地下鉄事業と都営バス事業について何点か伺います。
都営バスは、都内を網の目のように走っており、都民の生活になくてはならない存在でございます。
しかしながら、先日の委員会でお配りいただいた、「都営交通のあらまし」の一二ページを見ますと、都内の地下鉄の営業キロがふえるに反比例して、都営バスの乗客数は、昭和四十七年度の一日平均約百三十万人をピークに減少傾向が続いており、非常に厳しい状況が続いていることがわかります。
一方、都営バスは平成十六年度から黒字を続けていると聞いており、これはさまざまな経営努力を続けた結果であると思います。
そこで最初に、これまでのバス事業の収支改善に関する主な取り組みと、今般、東京電力の配当収入が見込めないと聞いておりますので、その点も踏まえ、今後の経営の見通しについて伺います。
○岡本バス事業経営改善担当部長 これまでの収支改善に関する主な取り組みについてでございますが、都営バスでは、経営効率化策の一環として、平成十五年度から一部の事業所における運行などの業務を外部へ委託しております。そのほか、平成十九年度にはバス運転手などの現業系職員の給与水準を見直すなど、人件費の削減に努めています。
一方、需要に応じたバス路線の見直しを適宜行うとともに、沿線の魅力を紹介する情報誌やエリア別路線図を発行するなど、観光資源を活用したバス利用促進のためのPRを行い、増収対策にも積極的に取り組んでおります。
これらの取り組みの結果、都営バスでは、平成十六年度以降経常黒字を維持してまいりました。
今後の見通しについてでございますが、少子高齢化の進行に伴い生産年齢人口が減少するため、都営バスの乗客数の大幅な増加は期待できず、さらに、このたびの震災の影響を受けまして東京電力の配当収入が見込めないことから、当面、経常黒字を確保することは難しい状況と考えております。
○高橋委員 今後の経営がなかなか厳しい状況にあることがわかりました。また、これまで交通局が経営改善に努めてきたことも、同時に理解できました。
さて、都営バスが運行する系統は百三十九路線もあるとの説明を受けましたが、同じ都営バスでも、地域ごとにそれぞれ特色があるかと思います。人口の集客施設がふえている地域もあるでしょうし、鉄道や区市町村が運営するコミュニティバスなどの路線と競合する地域もあろうかと思います。
そこで、都営バスの地区ごとの状況について伺います。
○岡本バス事業経営改善担当部長 都営バスは、主に東京都のJR山手線と荒川放水路に囲まれる地域の内側及び江戸川区の一部と多摩地域の一部で運行しております。
東京駅を中心とした地域ごとの状況を見ますと、まず、南側の地域では、臨海部を中心にオフィスや大規模住宅の開発が進んでおります。また、東側の地域では、平成二十四年五月二十二日に東京スカイツリーが開業予定であり、にぎわいを見せています。一方、西側や北側の地域では、近年、日暮里・舎人ライナー、東京メトロ副都心線などが開業したことにより、鉄道の利用がふえております。
このほか、各地域におきまして地元自治体によるコミュニティバスの導入等が進んでおります。
○高橋委員 ただいまの答弁にありましたように、都営バスには、鉄道の開業などにより交通環境が変化した地域がある一方、今後開発が進んでいく地域もあるとのことですので、それぞれ地域ごとの状況を分析し、その状況に即した対応をとることが必要ではないでしょうか。経営が厳しくなることが見込まれる今こそ、経営資源を有望な地域に振り向け、増収努力を行うことが不可欠であると考えます。
しかし、都営バスは都民の貴重な足ですので、赤字路線だからといってやみくもに廃止することは許されるものではありません。都民の足の確保と収支の改善という二つの命題を同時に解決できて、初めて都民の足としての責務を果たせるものと考えております。
そこで、今後の路線再編による増収対策の考え方について伺います。
○土岐自動車部長 今後の路線再編の考え方につきましては、都営バスでは、オフィスや大規模住宅の開発などによる乗客潮流の変化を的確にとらえるとともに、コミュニティバスなど新規事業者の参入状況や地元自治体の動向を見据え、地域ごとに路線の利便性、効率性を高める視点から、バス路線の見直しや運行ダイヤの適正化などを図ってまいります。
これにより、公共交通全体のネットワークに配慮しつつ、増収に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいります。
○高橋委員 大変難しい問題であると思いますが、精力的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、交通局の安全対策について伺います。
先日、局長から説明があった事業運営の基本方針の中で、交通局の経営方針の第一番目として、乗客の安全・安心の確保が掲げられておりました。また、各事業の説明の中でも、都営バスにおけるドライブレコーダーの全車導入や大江戸線へのホームドアの整備、総合指令の構築など、安全に対する各種施策が挙げられており、安全に対する交通局の意気込みが感じられました。
そこで、安全対策における基本的な考え方と取り組み方針について伺います。
○新名安全管理担当部長 交通事業者にとりまして、お客様の安全・安心を確保することは最大の使命であると認識しております。
交通局では、経営方針の第一に掲げておりますお客様の安全・安心を何よりも大切にし、災害に強く、事故のない都営交通を目指して、決められたルールを確実に守るなど四つの取り組み方針を規定した安全方針を定めまして、安全に係る基本的な姿勢を示しております。
さらに、この安全方針の実現に向けた目標及び具体的な取り組み計画である安全重点施策を定めて、実行し、これをチェックし、改善する、いわゆるPDCAサイクルの取り組みを継続して行うことにより、都営交通の安全管理体制の強化を図っております。
今後とも、安全意識の浸透を図り、事故やトラブルの防止を徹底するとともに、経営トップの局長から現場まで一丸となって、安全を最優先とする組織づくりに努めてまいります。
○高橋委員 安全に対する交通局の基本姿勢が確認できました。ハード的な対策を積み上げていくことも重要ですが、実際に現場に立ち、安全を支える人材の育成も不可欠であります。
「都営交通のあらまし」の六ページを見ますと、都営地下鉄においては、災害等の異常時を想定した訓練を実施しているとのことです。このような訓練を実施することはもちろん大切ですが、その際、より実践的で、いざというときに役立つような内容の訓練を行うことが重要ではないでしょうか。
異常時を想定した訓練の概要について伺います。
○新名安全管理担当部長 都営地下鉄では、災害等の異常事態に対する職員の対応能力の維持向上を図ることを目的に、駅、運転、保守の各部門が合同で、毎年異常時総合訓練を実施しております。
十一月十六日に大江戸線高松車庫で行いました訓練では、東日本大震災を踏まえまして、東京地方に発生した震度六弱の地震により走行中の列車が脱線し、多数のお客様が負傷したという想定のもと、関係部署との連絡通報、負傷者の救助、お客様の避難誘導、脱線車両や破損したポイントの復旧を内容として実施いたしました。
この訓練では、実際の事故実例をもとに改善いたしました避難方法等の手順を検証するなど、より実践的な訓練となるよう創意工夫を凝らしております。
○高橋委員 この訓練は毎年実施しているとのことですが、回を重ねるごとにいろいろな課題が出てくるのではないでしょうか。引き続き訓練内容の充実を図り、安全の確保に万全を期すよう強く求めます。
次に、都営バスの安全対策について伺います。
先週、千葉市内で男が路線バスに立てこもる事件が発生いたしました。幸い乗客や乗務員にけがはなかったということですが、同様の事件は、三月に浜松市でも発生しております。また、都営バスでも同じような事件が起こることが想定されております。
その際、乗務員は一人で犯人に立ち向かわなければならず、乗客や自身の安全を考えながら落ちついて行動することが求められます。
そこで、都営バスは、こうした立てこもり事件が発生した場合、乗務員はどのように対応することになっているのか伺います。
○土岐自動車部長 都営バスでは、今回のような立てこもり事件が発生した場合に備え、乗務員の基本的な行動をバスジャック発生時の対応マニュアルに定めております。その中で、乗務員は、乗客の安全確保を最優先とし、運行の安全確保に最善を尽くすことを基本としております。
具体的には、乗務員は犯人を刺激しないようできるだけ慎重に行動し、状況が許す範囲で乗客に落ちつくよう呼びかけを行うとともに、運転席の非常ボタンを押すことで、車外に緊急事態を知らせることとしております。
なお、都営バスでは、今回の事件を受け、マニュアルに基づいた基本的行動について、点呼等を通じて改めて周知徹底を図ったところでございます。
○高橋委員 事件が発生した場合の基本的な対応については理解できましたが、今回の千葉市のケースでは、乗務員がマニュアルに従い、車体の電光表示板に、緊急事態発生中などと表示する通報スイッチを押し、すきを見て携帯電話で会社に事件を知らせたなどとの報道があります。こうした乗務員の機転とともに、事件の早期発生を知らせるハード面の対策もとりわけ重要であると思います。
そこで、都営バスでも、緊急事態があった場合には外部に連絡できるようになっているとのことですが、具体的にはどのような対策を講じているのか伺います。
○土岐自動車部長 都営バスでも、今回の千葉市のケースと同様に、運転席にある非常ボタンを押すことで車体後部にSOSや緊急事態発生の表示を行うシステムを導入しております。
また、緊急時に営業所等へ連絡することができるデジタルMCA無線をすべての車両に搭載しております。
さらに、GPSを全車両に搭載し、乗務員が非常ボタンを押した場合に、営業所の運行管理モニターが当該バスの位置を示す地図に自動的に切りかわるようシステム改修を行っております。この改修は平成二十四年度末までに完了する予定であり、これにより営業所において迅速に初期対応をとることが可能となります。
○高橋委員 今お答えいただいた対策とともに、日ごろから訓練を行うなど、万全な対策を尽くしていただきたいと思います。
次に、東日本大震災を踏まえた課題について伺います。
先般の大震災においては、都営地下鉄や都営バスは、大きな被害を受けることなく、いち早く運行を再開し、さらには終夜運転を実施することにより都民の帰宅の足を支えたことは評価できます。
しかし、同時に、多くの解決すべき課題が残されたことも事実です。その中には、交通局が独自で取り組めるような施設の耐震対策や駅構内の案内の充実などもありますが、帰宅困難者対策や津波対策などは、国や他の自治体、鉄道各社と、さらには都民個々人に至るまでが共同で取り組み、それぞれの役割に応じて万全な準備をし、冷静に行動して初めて対応できるものです。
先般の決算特別委員会においても、我が会派は、この新たな課題に対して、交通局に対して積極的に取り組んでいただくよう要望をいたしたところでございます。
まだ検討半ばかと思いますが、帰宅困難者対策や津波対策などの現在の進捗状況について伺います。
○新名安全管理担当部長 ご指摘のとおり、東日本大震災におきましては、都営交通では大きな被害はございませんでした。ところが、帰宅困難者対策等の新たな課題が明らかとなりましたため、課題を検証するとともに、対策を検討しております。
帰宅困難者対策では、行政による公助だけではおのずと限界があり、自助や共助も含めた総合的な対応が不可欠となりますことから、国と都が共同で設置した首都直下地震帰宅困難者等対策協議会に交通事業者の立場から参加し、駅前滞留者の誘導体制や帰宅困難者の輸送体制などを検討しております。
また、津波対策につきましては、首都圏の地下鉄道の浸水防止対策協議会に参加し、国や鉄道事業者と浸水防止対策や乗客の避難誘導方策等について意見交換を行っております。
今後、これらの協議会の検討状況や現在策定中の東京都防災対応指針等を踏まえ、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○高橋委員 引き続き積極的に検討に参画し、交通局としての役割をしっかり果たすよう強く要望いたします。
次に、交通局における人材育成について伺います。
安全性の向上にしましても、サービスの充実にしましても、最終的に乗客と接し、安全かつ快適なサービスを提供するのは現場に働く職員でございます。
交通局の現場では、その道一筋のベテラン職員から新規採用の職員まで、いろいろな方が働いていることと思います。こうした方々が力を合わせることにより、都営地下鉄や都営バスの安全やサービスが確保されると思います。
しかし、団塊の世代の職員が大量に退職し、新たな若手職員が採用されて現場に出ていく中で、現場における豊富な知識や経験、ノウハウが失われてしまうことも懸念されることから、これまで以上に人材育成が重要となってきています。
そこで、安全やサービスを支える交通のプロとしての人材育成の取り組みについて所見を伺います。
○廣瀬職員部長 安全に対する強い責任感と使命感を持ってお客様本位の質の高いサービスを提供するとともに、事業に精通した職員の育成が重要であると考えております。
このため、交通局では、研修所が実施する研修と各職場でのOJTを二本の柱といたしまして、新人からベテラン職員まで経験や職責に応じたきめ細かい対応を図っております。
研修といたしましては、講義形式に加えまして、地下鉄のトラブルへの対応を訓練する運転シミュレーター、バス運転手の運転特性を把握する運転訓練車、また過去の事故事例をパネルや映像等で紹介した展示室を活用するなど、より実践的な取り組みを行っております。
また、OJTといたしましては、各部で計画を立てまして、ベテラン職員によるマン・ツー・マンでの新人教育など、実態に即したOJTを継続的に実施いたしまして、ノウハウ、技術の継承を図っております。
今後とも、安全やサービスを支えるプロフェッショナル職員の育成に全力で取り組んでまいります。
○高橋委員 次に、交通局における環境への取り組みについて伺います。
交通局では、省エネ車両の導入や庁舎の屋上緑化など、環境への取り組みを行っているとのことです。当然、このような取り組みも重要ですが、公共交通機関は環境に優しい移動手段であり、都民の意識を高め、なるべく公共交通機関、特に電車やバスを利用してもらうような取り組みも重要ではないでしょうか。
そこで、交通局の環境に対する取り組みの基本的な考え方について伺います。
○広瀬企画担当部長 ご指摘のとおり、鉄道やバスなど公共交通機関は、特に人口が稠密な都市において、自家用車に比べてエネルギー効率が高く、環境に優しい交通手段として利用促進が求められております。
このため、ICカードを利用したポイントシステムを導入するとともに、交通局の環境に対する取り組みや公共交通の環境優位性をPRし、都営交通の利用を促進することにより、環境負荷低減に努めているところでございます。
一方で、公共交通機関には、CO2排出事業者として省エネルギー等の環境対策を強化することも求められております。
このため、一般バス車両と比べて燃費がよいハイブリッドバスを導入するとともに、駅の照明設備、エスカレーターにつきましては、省エネルギーによりCO2排出量を削減するなど、環境に配慮した設備に更新しているほか、営業所など建築物の屋上や壁面等の緑化を進めております。
今後とも、環境に優しい都営交通の一層の利用促進を図るとともに、さらなる環境負荷低減に取り組んでまいります。
○高橋委員 交通局の考え方についてはわかりました。引き続き、環境に配慮した事業運営に努めるとともに、都営交通の利用促進を図っていただきたいと思います。
ところで、交通局は、かつて東京市電気局と称しており、火力発電所による電気供給事業を経営していたと聞いております。その経緯もあって、現在は、多摩川水系の水を活用して水力発電事業を経営し、発電した電気については東京電力に売却することで、奥多摩地域の安定的な電力供給に貢献しているとのことです。水力発電によるクリーンエネルギーの供給は、環境に配慮した取り組みとして非常に意義があることと思います。
電力の自由化の折、発電事業の経営は厳しいこととは思いますが、発電事業における経営改善の取り組みと今後の経営の見通しについて伺います。
○奥津技術調整担当部長 交通局では、多摩川の流水を利用いたしまして、多摩川第一発電所、多摩川第三発電所、白丸発電所の三カ所で水力発電による電気事業を経営しております。電気事業の運営に当たりましては、発電施設の運転監視や保守点検業務の民間委託、適切な補修やオーバーホールによる設備機器の延命化など、経営の効率化に努めております。
また、東京電力株式会社と、平成二十一年度から平成三十年度までの十年間の電力需給に関する基本契約を締結することで、必要な経費を含んだ適切な料金で発電した電気を販売できることとなっております。このような取り組みを行ってきたことによりまして、当面は、安定した経営ができる見通しでございます。
水力発電は、発電する際に二酸化炭素を排出することがなく、再利用可能な自然の恵みである水を最大限活用した純国産のクリーンエネルギーであります。交通局は今後とも、効率的な運営に努めまして、奥多摩を初めとする多摩西部地域の電気の安定供給に貢献してまいります。
○高橋委員 交通局では、この夏、電力需要が逼迫した際には、水の利用を工夫することにより、一般家庭約千七百戸の電力使用量に相当する出力の増強を行ったと伺っており、その取り組みは評価できます。当面、発電事業につきましては、安定的な経営が望めるとのことですが、経営改善に引き続き取り組んでいただきたいと思います。
本日は、事務事業質疑ということもあり、都営バスや地下鉄事業などの経営や安全対策、事業が抱える課題への対応など、さまざまな観点から質問をいたしました。交通局は、ことし創立百周年を迎えましたが、この先も困難を乗り越え、都民の足を守り続けていただきたいと思います。
そこで、最後に、今後の事業運営に対する局長の決意を伺い、私の質問を終わります。
○野澤交通局長 現在、交通局を取り巻きます事業環境は、人口動向や経済状況などを考えますと、大変厳しく、特に自動車事業は、先ほども質疑がございましたように、当面、経常黒字を確保することが難しい状況にありまして、より一層経営改善の努力を続けなければならないと考えています。このため、引き続き経費節減に取り組むとともに、バス事業につきましては、路線再編など、増収へ向けた施策を講じてまいります。
また、公共交通機関の最大の使命でございます安全の確保を最優先に、常に変化しておりますお客様のニーズに的確に対応した質の高いサービスを提供していくとともに、このたびの震災で明らかになりました帰宅困難者対策など、防災における新たな課題に対しましては、現在策定中の東京都防災対応指針等を踏まえながら、関係各局や沿線自治体、他の事業者などと積極的に連携をし、対策を講じてまいります。
交通局は、幾多の困難を乗り越えながら、時代の変化に対応した輸送サービスを提供することによりまして、百年にわたり、一貫して都民の足の確保に努めてまいりました。今後とも、さらに強く求められる環境に配慮した事業運営に心がけるとともに、事業を支える人材の育成にしっかりと取り組み、より一層安全で快適に利用できる都営交通の実現を目指してまいります。
○鈴木委員 私の方から久方ぶりに質問をさせていただきたいと思います。
きょうは事務事業の説明に対する質問でございますので、時間がたっぷりあれば、何時間でもやりたいのですけれども、長橋副委員長から、そうはいかないと、くさびを打ち込まれていますので、二十五分という時間の中で勝負をさせていただきたいと思います。
本来であれば日暮里・舎人ライナー等々やらなきゃいけないんですけれども、やはり荒川といえば荒川線の問題がありますので、そのことに絞って、特化をして、質問を何点かさせていただければと存じます。
先ほどからお二人の委員から、この都営交通百周年のまくら言葉、既にもう出ておりまして、それに関して、荒川線、とても今回は評価をされて、沿線各地で、さまざまなイベント、それから、きわめつけは花電車、これの、三十三年ぶりですか、たしかあれはワンマン化、完全化以降の三十三年ぶりだったと私は記憶しておりますけれども、そういうイベントなどなど、大変お礼をいわなければいけないのは、荒川営業所の所長を初め職員の方々が、本当に一生懸命かかわってくれたこと、また本庁の関係者の皆様方に、四区の区長に成りかわりまして、心からお礼を申し上げたいと思います。
それでは、私の方から、この地域密着型のげた電といいましょうか、足の電車であります。そしてまたその中に、この黄色い電車は入っているのですよね、幸せの黄色いハンカチではありませんけれども、世田谷の方の路線と同じように、そういうものも含めながら、やはり活性化の問題、残念ながら乗客数がだんだん減ってきている。かつての黄金時代に比べて三分の二以下になってしまったのは大変寂しい。でも、やはり立派に専用軌道を中心にして走っているわけでありますから、私たちも、お互いに知恵を出しながら、活性化に努力をしている。私なんか最大の応援団の一人だと自負しておりますから、局長、いうことをどんどん聞いていただきたい、そのことを思いながら質問をさせていただきます。
まず最初に、都電荒川線の、どうしても冒頭しなければならないのは、乗車人員がだんだん減ってきている。これの乗客のふえていく考え方ですね。いろんなことが対策はあろうかと思いますけれども、これに対して、局の見解を、まず承っておきたいと思います。
○小泉電車部長 都電荒川線は、地域で非常に大勢の方に日々利用していただいておりますけれども、長期的な減少傾向がなかなかとまっておりません。一日当たりの乗車人員が、平成九年度までは六万人台で推移しておりましたけれども、昨二十二年度は四万九千五百十七人と、五万人を割り込んでしまいました。こうした状況を受けまして、これまで、増客の取り組み、もろもろをしてきてございます。
まず、公募により決定したマスコットキャラクターに、この四月「とあらん」という名前をつけまして、このキャラクターを活用し、さまざまなイベントで、荒川線のPRを展開してまいりました。また、八月には、当局が企画監修をして、都電沿線の花やグルメの情報等を満載した観光ガイドブックを発行いたしました。なお、七月には、都営交通百周年に合わせまして、沿線の四区とともに、記念事業として都電サミットを実施し、都電に関心を持つ幅広い地域の方に来ていただき、大変にぎわいますとともに、十月末に締め切りました絵画コンテストには六百五十点を超える応募をいただきまして、多くの方に荒川線に関心を持っていただきました。
さらに、沿線でバラの世話をしていただいている団体を初め、地元で都電を応援していただいているボランティアの皆様を都電サポーターと位置づけまして、その取り組みを支援する一方、活動の様子を小冊子などで紹介しております。今後も、沿線四区や地元のサポーターの方々と連携して、都電の魅力を高め、情報を発信し、広い地域から集客できる路線として、より多くのお客様にご利用いただけるよう努めてまいります。
○鈴木委員 今、具体的なご答弁をいただいたんですけれども、我々としても、やはりもっともっと知恵を出しながら、部長、やりましょうよ、精神論ばかりじゃなくてもう少しね。ベテラン議員だとこういうふうにしてソフトにやりますから。
それとあと、私も、花電車の、十月三十日のラストラン、あそこに行って、皆さんと一緒に見送ったこともありましたし、とても皆さん都電を愛している、大事にしていきたいという気持ちが、やはりひしひしと伝わってきています。特に荒川に例をとりますと、荒川区独自として、先ほどの絵画コンテストだとかいろいろなことを、それから、局長が前職のときにお力をいただいて、荒川遊園の中に、都電のミニギャラリーを設置したいんだけれども、ご協力いただけないでしょうかと私からお願いしたときに、やりましょうと、こういうメッセージもちょうだいして、今、本当に、お子様方から、地域の方々が、ずっと見学に来て、自分たちで動かしている姿を見ると、やはりまだまだいろんな角度で芽出しはあるなと、こう思っています。一緒に汗を流していきたいと思います。
それにしても、花電車はよかったですね。予算が幾らかかったか、風の便りに聞きますと二千二百万というふうに聞いております。数字が間違っていれば、ご寛容いただき訂正をしていただきたいのでありますけれども、でも、これはつくって今どこに置いてあるのか、それは車庫の奥にあるとは思いますけれども、今後のこの活用をどうすべきなのか、これも課題になろうかと思います。でも、運行しようとすれば、検査をしなければならないでしょうし、いろいろほかにも費用がかかることもよく存じ上げております。それだけでもやはり運行すれば集客増につながるのではないかと思いますけれども、今後の花電車の活用方策について、局としてどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
○小泉電車部長 花電車につきましては、十月一日、出発式を行いました。先生にもご出席をいただきまして、荒川電車の営業所に約六千人のお客様が集まる大変な大盛況となりました。お話のとおり、花電車の運行は三十三年ぶりということでございました。年配のご夫婦や親子連れなども含めまして、幅広い年代の方に遠方からも来て楽しんでいただきました。五日間で、沿道の観客数は約七万二千人に上りました。
交通局といたしましては、運行に当たって、沿線の地域を所轄する八つの警察署と綿密に調整して、安全対策に万全を期すこととし−−委託の警備員と交通局の職員を合わせ、五日間で延べ約七百人を交差点や踏切に配置し、無事故で運転することができました。
一方で、この花電車を運行するに当たりましては、車両の改造や装飾のほか、当日の安全確保のための警備等、相当額の経費が必要であり、この車両を今後も走らせるためには、荒川線の経営上の収支に与える影響も考慮する必要がございます。このため、今後の活用につきましては、関係者のご意見等を伺いながら、もろもろの要素を総合的に勘案いたしまして検討をさせていただきたいと思っております。
○鈴木委員 今電気消えたのも、もろもろの要素の一つなんでしょうかね。何か不安になってきましたね。でも、やはりこの委員の先生の中にも、沿線の担当の先生もおいでになるわけでありますから、ぜひ今後の活用の仕方について、また鋭意、検討、努力していただきたい、このように懇願をさせていただきたいと存じます。
それに関して、ちょうど今、ご答弁の中に十月一日の件がありました。私もこの「鉄道ピクトリアル」、これに、私のしゃべっているところを載っけてくれといったら、案の定載っけてくれたのですよ。きちっと載っけてくれましたね。委員の先生、三省堂の本屋にもたくさん置いてありますから……。副議長の鈴木だけの写真がばっちり載っている、大変これ地元で高評価でありました、これは余談でありますけれども。そういうこともありまして、ぜひ何らかの形で活用できればなと、このように再度私の方からもお願いをさせていただきたいと思います。
さて、それに関して今度、別の問題で、都電荒川線というこの専用軌道がほとんどですから、例えばこの専用軌道に、グリーンベルトがずっと敷き詰められた姿を思い出すと、これはすごい都市景観の一部になると思いますね。いわゆる風の道になるわけですよ、大都市東京の、と私は思っております。そういうことをかみしめながら、先ほど、環境の問題も出てまいりましたけれども、沿線の方々、バラの会、バラの植栽だとか、本当にすばらしい撮影スポットをたくさんつくってくださっております。感謝申し上げたいと、こう思っております。そういうことを、あれやこれや時間の関係ではしょってお話を申し上げたいと思いますけれども、今後とも、都電荒川線の緑化について、これまでの経過と、今後どう具体的に取り組んでいくのか、これをご答弁をいただきたいと思います。
○廣木建設工務部長 都電荒川線の軌道沿いの緑化につきましては、昭和六十年以降、荒川区、北区、豊島区の三区と順次協定を結び、地域と協力しながら緑化を進めてまいりました。現在では、荒川線延長約十二キロのうち、おおよそ半分の沿線で、約六万本のバラやツツジ、サザンカなどが四季折々に美しい花を咲かせ、人々から大変親しまれております。また、軌道敷内の緑化につきましては、平成十五年度から、荒川区町屋駅前停留所や、豊島区大塚駅前停留所付近で、芝やタマリュウなどを植えまして、生育状況の観察や維持管理について実験を行ってまいりました。
○鈴木委員 今、環境の問題をとらまえて、先取りをしたモデル実験が行われているという答弁をいただきました。とても私はいいテーマだと思っております。また、都電の沿線のバラの植栽、都電の終点である三ノ輪橋の駅なんかも、皇室の名前をつけたバラが植栽をされている。そこを皆さんよく撮っておられる姿も印象的でございますよね。そういうことで、あと豊島にしても、北区にしても、新宿区にしても、それぞれいろんな形で、ボランティアの方々が参画をしてくださっている姿を大事に、都電サポーターとして、お互いに、これを育て、はぐくんでいきたいと、このように思っております。
それで、今、もう八年前から、局が緑化に向けた実験に取り組んでいるというご答弁いただきました。それのモデルはやはり私は、友人からも連絡をいただいているのですが、鹿児島市のあの市電の姿が印象的に残っているわけですね。ヒートアイランド現象の緩和、それから都市景観、そして潤いと安らぎというこの三点セットが象徴的だと私は思っています。
延長十三キロと聞いておりますけれども、既に六キロ、グリーンベルトでつながっているということを見ますと、やはり大変大事な環境の面からのアプローチだと私は思っています。
今私が申し上げた鹿児島の市電の、こうやったことができたこの仕組み、そして、どうやってこれを今までつくり上げてきたのか、その仕組みづくりをもう一度具体的に、皆様にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
○廣木建設工務部長 鹿児島市は、道路と軌道が併用されている区間を対象に、軌道敷内の緑化を行っており、軌道事業者と連携しながら、公園管理者が植栽や維持管理を担当し、緑化事業を進めております。
具体的には、鹿島特産のシラスブロックを砕石の上に敷くなど、緑化に適した軌道構造に改良し、保水性を向上させたほか、平成二十二年度から、散水電車や芝刈り電車を用いた管理を行っております。なお、芝の維持管理費用は全額鹿児島市の一般会計で負担していると聞いております。
○鈴木委員 それは、鹿児島独特の桜島の噴火のそれはあるわけですから、荒川線の場合は、専用軌道といってもコンクリートでずっと埋め込まれている、大変難しさはその辺は出てくるとは思いますけれども、やはり環境ということをテーマにとってみますと、避けて通れない課題の一つだと私は思っております。
そこで、局として、今後、軌道内の緑化を含め、沿線の緑のベルトをどうつくっていくのか、これはやはり具体的に、先ほどの実証実験を踏まえて、もし具体的にやる場所等があればお示しをいただきたいと私は思います。
○廣木建設工務部長 軌道敷内の緑化につきましては、向原停留場、都電雑司ヶ谷停留場間で予定しています補助八十一号線道路整備に合わせ、そのうち約六百メートルの区間で協議を進めております。
一方、先ほどの町屋駅前停留場付近などで実施した軌道敷内の緑化の実験結果から、保水性等に配慮した植栽と十分な維持管理が必要であると判明したため、今後、鹿児島市の事例を参考に、軌道の構造やメンテナンス、芝など維持管理方法並びに費用負担などの課題につきまして、関係機関とともに検討を進めてまいります。
なお、軌道沿いの緑化につきましては、荒川区など関係区やボランティアなどの地元の皆様の協力により、大変美しい沿線が創出されておりまして、今後とも連携を図り、引き続き沿線の緑化に取り組んでまいります。
○鈴木委員 極めて前向きなご答弁をいただきました。ぜひ、研究じゃなくて、検討をこれからじっくりやっていくという、そういうお答えとして私は受けとめさせていただきました。
そして、もう一つ、都電を考えるに当たって、私、地域からいつも要求をされているのは、門柱型の配線ではなくて、やはりヨーロピアンスタイルのセンターポール化、これはやはり都市景観上、大変マッチしているんではないか、こういう質問をよく受けるのです。幸い私の住んでいる荒川区の一部でセンターポール化になっていますから、まちの姿ととてもフィットするんですね。特にあそこは、女子医科大学の東医療センターに通う患者さんがたくさんおりられる場所、ほっとするというメッセージもちょうだいをしています。そういうことについて、都電の緑化とあわせて、このセンターポール化、事業者として、これをどのようにこれから考えておられるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
○廣木建設工務部長 センターポール化は、基本的に道路と軌道の併用区間で採用するものでございまして、都市景観の向上に大変寄与するほか、平行して走る自動車の右折時の良好な視界を確保するなど、事故防止の観点から利点があると考えております。
一方、専用軌道の区間でセンターポール化する場合には、相対する軌道の中心間隔が広がることから、その分の線路わきの用地を狭くすることになりまして、現在バラ等が植栽されている敷地の縮小につながりまして、好ましくないと考えております。
○鈴木委員 両方の考えがあるんですね。それはよくわかります。センターポール化すると軌道を広げる、お互いに広げますから、土地、広くないとなかなかできないというところ、ケース・バイ・ケースで私はよろしいと思います。
でもそれでも、緑化の問題と同じように、センターポール化できる場所は私はあると、このように見当をつけているんですけれども、具体的にお答えいただきたいと思います。
○廣木建設工務部長 先ほど答弁いたしました軌道敷内の緑化検討区間であります向原停留場から都電雑司ヶ谷停留場間における補助八十一号線の道路整備事業におきまして、これまで専用軌道であった区間が併用軌道となることから、その区間においてセンターポール化していく予定でございます。さらにこの区間において検討を進めている軌道敷内の緑化が実現いたしますと、より景観上好ましいものになると考えております。
○鈴木委員 とてもすばらしいご答弁をいただいたと思います。何か豊島区のためにやっているような質問でございますね。やはり、都電荒川線、荒川、北、豊島、新宿と十二キロいっているわけですけれども、存続運動で、私たちは、前職の大先輩である星野義雄先生のもとで、荒川のさまざまな諸先生方のお力をいただきながら、存続運動、美濃部知事の時代だったと思いますけれども、これが実って、今唯一残っている荒川線としてネーミングをいただいたわけであります。そういうことで、やはり改善すべきことは改善をしていく、それがやはり大事だと思っております。
時間の関係でそれ以上深く行いませんけれども、最後の方で、荒川線のこの軌道の緑化、センターポール化等々について、やはり環境、都市景観等の観点から、局長の高いご見識を承りたいと再度お願いをいたしたい。
○野澤交通局長 都電荒川線は、先ほど電車部長から答弁させていただきましたけれども、依然として乗客の減少が続いておりまして、大変厳しい状況にございますが、徹底した合理化に努めることによりまして、経営の安定化を図ってきているところでございます。
このような中にあって、運行管理装置の更新など、安全性の向上や、新車の導入を初めとする輸送サービスの充実につきましては、交通事業者として積極的に進めてきたところでございます。
今お話がありました軌道内緑化やセンターポール化は、環境負荷の低減や荒川線沿線の景観の向上に寄与するとともに、荒川線の魅力を高め、さらには、沿線地域の活性化にも貢献するものと考えております。
しかしながら、いずれの施策につきましても、軌道事業単独で実施するには、先ほどの厳しい状況の中で、財政面や技術面でも困難な課題が多いというのも事実でございます。そのため、今、先生の方からご紹介がありましたように、他の都市における取り組みも参考にいたしまして、まずは軌道と並行する道路の改良や拡幅などの機会をとらえながら、庁内の各部局や沿線各区などの関係機関と連携をいたしまして、課題解決に向けた努力をしてまいりたいと考えております。そして、先人から引き継いでまいりました都営交通の原点であります荒川線を、今後とも、存在感のある交通機関として安定した経営に努めてまいりたいと考えております。
○鈴木委員 いろいろとご答弁ありがとうございました。
なぜ環境と結びつけてやったかといいますと、来年の九月には、全国都市緑化フェアTOKYOが行われるわけでございますね。私はいいチャンスだと思っておりましたがゆえに、あえて触れさせていただいたわけであります。そのことをぜひお含みおきをいただきたいし、この荒川線の沿線の問題、緑化を含めた、すべての問題がその一助になればと、こう思って、再三申し上げるんですけれども、風の道ということを考えると、とてもなっていくわけですね。ヒートアイランド現象を避けていく、そういうことをやはり私たちは考えているわけでありまして、あえてこの質問を取り上げさせていただきました。
エンディングになりますけれども、将来的にはやはりライトレール・トランジット、LRT構想へ−−東京スカイツリーができましたから、ワーキンググループをつくっていますけれども、浅草の裏観音、あちらの方にも沿線、延長させていきたいという運動も芽出しがもう出始めてきました。早稲田からの方もどうするか、そういう問題をこれからも我々も考えながら進めていきたいと思いますので、それぞれ知恵を出し合って、東京の活性化のために力を出し合っていきたいと、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○西崎委員 私からは、都営バスについて何点か伺いたいと思います。
まず初めに、女性職員の進出について伺いたいと思います。
昨年の公営企業会計決算特別委員会で、都営交通の女性職員の進出について伺いました。募集採用にかかわる女性労働者に対する差別禁止や労働基準法の改正から、既に十一年が経過しておりまして、働く女性が性による差別をされることなく職場環境が整備されつつあると思います。昨年伺ったときには、交通局全体で六千二百九十一人中、女性が百四十一人、地下鉄の車掌、駅員、バス運転手など、さまざまな分野で活躍する女性職員を目にする機会もふえてまいりました。都営バスにおいても、常勤の女性ドライバーは十人いらっしゃると聞いています。
私は、都内を移動する場合は、できるだけ公共交通を利用しているのですけれども、乗った電車などの車内のアナウンスの声が女性だと、大変物いいがやわらかく、ほっとする感じがいたします。そこで、女性運転手について、お客様からどのような声が交通局に届けられているのか伺いたいと思います。
○土岐自動車部長 女性バス乗務員に関して、お客様から多くの感謝の声をいただいております。その内容は、さわやかなあいさつで気持ちよく一日のスタートを切ることができたというものや、一人一人に笑顔で声をかけている姿が印象的であるというもの、発車時や右左折時に、はきはきとした車内案内があり、居心地がよかったというものがございました。また、運転がスムーズで発車時のショックもなく、細かい部分に気を配った運転に好感が持てたという技術面に対するお褒めの言葉もいただいております。
○西崎委員 ただいまの答弁で、女性ドライバーの評判がよいことはわかりました。今後、都営バスだけではなく、都営交通の安全・安心、快適な輸送サービスを向上させるためにも、女性職員が十分に能力を発揮できるよう、ハード、ソフト両面から職場環境の整備に引き続き努めていただくことを要望しておきます。
次に、ベビーカーについてお伺いしたいと思います。
私の地元の世田谷区には、残念ながら都営バス路線が二本のみなので、ふだんは小田急バス、東急バスを利用する機会が多いのですけれども、最近ベビーカー利用者を目にする機会が多くなってまいりました。それは駅のエレベーターの整備や、移動に当たってのバリアフリー化が進んだということもあって、子育て世代の人たちにとって利用がしやすくなったからだと考えます。さまざまな方が、交通機関を利用し、必要な移動をするというユニバーサル社会の推進は、大いに推進すべきだと思います。
そこで、確認の意味、お聞きいたしますが、都営バスにおけるベビーカーの乗車方法について伺います。
○土岐自動車部長 都営バスでは、平成十八年二月から、ベビーカーにお子様を乗せたままご乗車いただけるようにいたしたところでございます。
現在、他の多くのバス事業者も同様の対応を行っておりますが、都営バスでは、乗車方法につきましては、車内中ほどのベビーカー乗車位置にて、急ブレーキなどの場合に備えて、安全確保のため、ベビーカーの車輪にストッパーをかけ、座席に備えつけの補助ベルトで固定していただくとともに、保護者の方にしっかりと支えていただくようお願いしております。また、すべてのお客様に快適にバスをご利用いただくため、混雑時や車いすのお客様がご乗車されている場合などには折り畳んでいただくこととしております。
○西崎委員 今、乗車方法について、常識的なことをお話しいただいたんですけれども、問題は、それがどの程度利用者に浸透しているかではないかと思います。一つのバスの車両でベビーカーが数台あるときは、固定していないと、急ブレーキなどがかかった場合に、ほかの乗客をけがさせることになったり、安全上問題があるのではないかと思います。私が見ている限りでは、ストッパーをかけられているところまでは確認できるんですが、ベルトで固定するという方はほとんどいらっしゃらなくて、多くのベビーカー利用者は乗車方法等が十分にわかっていないのではないかという感想を持ちます。
そこで、ベビーカー利用者に対する乗車方法の周知はどうなっているのか伺います。
○土岐自動車部長 ベビーカーの乗車方法につきましては、交通局のホームページに掲載しているほか、バス車内のステッカーやポスターで周知するととともに、ことし九月からは、主要駅ターミナルのバス停留所などにおいても掲示を行っております。
今後とも、ベビーカーを利用されるお客様に、安全に安心して都営バスをご利用いただけるよう周知に努めてまいります。
○西崎委員 ベビーカーについては、ベビーカーを利用しない方の意見も多数出されていると聞いています。安全に移動できるような丁寧な対応が必要だと思います。運転手さんが一人で大変だとは思いますが、声をかけることも、周知することができるのではないかと思います。より効果的な周知方法をさらに検討していただきたいと思います。
次に、都営バスの利用促進について伺います。
これまでも、お話がいろいろ出ておりますけれども、最近、都内を回るのに一日券などを利用して一日ゆっくり乗り物を乗り継ぐのも、これまで知らなかった東京のまちの魅力に触れることができると、知り合いから聞きました。特にバスは、窓からの景色を楽しむことができるので、うまく利用すれば楽しみも広がると思います。
都営バスについての料金制度などを改めて調べてみましたけれども、都バスIC一日乗車券や乗り継ぎ割引など、便利なサービスを導入しています。特に乗り継ぎ割引制度は、ICカードで九十分以内に乗り継いだときに、二乗車目が二百円から百円に自動的に割り引かれるもので、都営バスだけの独自の制度であるということも初めて知りました。都営バスにおいても、こうした便利な料金サービスなどを活用して、通勤客以外の乗客を取り込む取り組みが求められると思います。
そこで、都営バスの利用を促進するために、どのようなPR活動を行っているのか伺います。
○土岐自動車部長 都営バス沿線には、魅力的な観光スポットが数多く存在しており、観光にも便利な移動手段として都営バスをご利用いただきたいと考えております。
これまで、沿線の魅力を紹介する情報誌「TOKYO都バス乗り隊歩き隊」や、エリア別路線図を発行するほか、映画会社とタイアップした観光名所をめぐるスタンプラリーなどを実施してまいりました。また昨年度からは、通勤通学以外のお客様誘致を図るため、ゆるっ都バス旅、都バスでめぐる小さな旅とキャッチコピーを掲げ、下町と都心をイメージした二種類のラッピングバスの運行を行っております。さらに、ことし九月には、旅行情報誌に十六ページの小冊子をとじ込み、都営バスでめぐる観光コースをテーマ別に紹介したところでございます。
○西崎委員 私は、京都に行くと、必ず市営バスを利用するんですけれども、京都の市営バスでは、市の地下鉄路線と一緒になって、一日二日券などを発売して、外国人も含め非常に観光客の足になっています。京都と東京では違うかもしれませんけれども、都営バスにおいても、積極的な利用促進策をぜひ行ってほしいということを要望しておきたいと思います。
また外国人に対しても、バスを使いやすくする工夫が必要だと考えます。今後の取り組みをお願いしておきます。
利用促進に関して、バスの弱点は、何といっても定時性の確保ではないかと思います。急いでいる場合には、どうしても、やはり定刻で動いているほかの交通機関を私どもも利用してしまいます。バスにはおくれるイメージが常につきまとい、それが利用者の足を遠のかせている一因になっていると思います。利用者にきめ細やかな情報を提供していくことが、バス利用を促進する観点から極めて重要であります。
そこで、利用者への情報提供サービスを充実すべきと考えますけれども、取り組み状況について伺います。
○土岐自動車部長 都営バスでは、利用者への情報提供サービスといたしまして、バス停留所に数字や矢印でバスの接近状況を表示する装置を設置するとともに、携帯電話やパソコン向けに、都バス運行情報サービスを導入いたしまして、停留所ごとの時刻表や停留所間を走行するバスの運行情報などを提供しております。
今後、バス停留所に新たな装置を導入いたしまして、次のバスの発車予定時刻や終点までの所要時間のほか、遅延情報など、さまざまな案内を行ってまいります。また、お客様の携帯電話のGPS機能を用いて、最寄りの停留所の位置を案内するサービスなどを新たに導入してまいります。これらのサービスは、平成二十四年度末までに導入を完了する予定でございます。
○西崎委員 ぜひ利用しやすい便利な都営バスを目指していただきたいと思います。それで情報提供の中に、最近スマートフォンによるアプリが随分いろいろな数があるそうですけれども、それの活用なんかも、ぜひ検討していただければと思います。
以上で質問を終わります。
○山下委員 それでは、私からは、まず交通局のバス事業について伺います。
私は、地元の青梅市内の移動の際、都営バスを頻繁に利用しております。地域の人からは、都議は都バスでやってくるという合い言葉まで聞かれるほどになっております。青梅市内では、市街地から離れた起伏のある地域に向かうルートも多く、都営バスは、私の活動に欠かせない足となっています。
ただ、いつも気になるのは、乗客が少ないケースが多いということで、経営状況が心配になります。都営バス全体の一日の平均の乗客数は、先ほどの高橋理事のお話にもありましたが、昭和四十七年度の百三十万人がピークで、以後、自家用車の普及や地下鉄の新しい路線の開業などに伴い減少傾向であると認識しております。バス事業の収支を見ますと、平成十六年度から経常損益は黒字となっていますが、営業損益は一貫して数十億円の赤字になっています。
そこでまず、都営バスの黒字路線と赤字路線の割合について伺います。
○岡本バス事業経営改善担当部長 平成二十二年度決算では、都営バス百三十九系統のうち、黒字が五十系統、赤字が八十系統であり、その割合は、黒字が約三分の一、赤字が約三分の二となっております。赤字の系統の中には、代替交通機関がない路線や、地域にとって必要であり、地元自治体が赤字を負担することを前提として運行している路線などがございます。
○山下委員 都営バスは、都民にとって身近で、かつ地域の足として必要な交通機関であり、経営上採算が合わないからといって、安易に廃止することができないということもよくわかりました。それならば、少しでも赤字額が縮小するような経営に努める必要があると考えます。厳しい経営状況の中、都民の足を確保するために、どのような工夫をしながら事業展開しているのか伺います。
○岡本バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、オフィスや大規模住宅の開発や鉄道網の整備などによる乗客潮流の変化を的確にとらえ、需要に見合った路線の見直しを行っています。今後とも、お客様のニーズに合わせた運行ルートやダイヤの見直しなど、都民の足の確保に配慮してまいります。
○山下委員 わかりました。今後も需要を常に把握しながら、路線やダイヤの見直しをしていただきたいと思います。
ところで、バスは、近くの停留所から乗りおりできる便利な公共交通です。高齢化が進む中、自家用車の運転や自転車での移動を控えて、バスの利用に切りかえる人もいますし、またシルバーパスで乗車できることも、高齢者に便利な乗り物といえるでしょう。
そこで、高齢者に優しい交通機関であるために、交通局はどのような取り組みを行っているのか伺います。
○土岐自動車部長 都営バスにおける高齢者対策についてでございますが、まず、バス車両におきましては、平成十一年度から更新する車両のすべてを、乗りおりしやすいノンステップバスとしており、本年十月末現在、バス車両千四百六十一両中、千四百二両、約九六%がノンステップバスとなっております。引き続き経営計画ステップアップ二〇一〇に基づき導入を進め、平成二十四年度には、導入割合を一〇〇%とする予定でございます。
また、停留所において、上屋やベンチの整備を進める一方、乗務員に対し、高齢者体験器具を用いた疑似体験研修を実施し、接遇能力と意識の向上を図っております。今後とも、だれもが安心して快適に都営バスをご利用いただけるよう取り組んでまいります。
○山下委員 ところで、バスや鉄道などの公共交通機関は、先ほどの高橋理事の質疑の際の広瀬企画担当部長のご答弁の中にもありましたが、特に東京のような人口が過密な都市において、自家用車に比べてエネルギー効率が極めて高く、環境に優しい交通手段であるといわれます。二十一世紀は、環境の世紀とも呼ばれ、環境負荷低減が全地球的な課題であることはいうまでもありません。
そこで、交通局の環境施策について伺います。
○広瀬企画担当部長 交通局では、CO2排出事業者として環境対策の強化が求められていることから、所管する事業における環境負荷の低減に取り組んでおります。
具体的には、都営地下鉄及び都電荒川線への省エネルギー車両やハイブリッドバスなど最新技術を用いた低公害車両の導入を進めているとともに、施設の整備に当たりましては、屋上や壁面の緑化を実施しております。また、鉄道やバスなど公共交通機関は、環境に優しい交通手段として利用促進が求められていることから、ICカードを利用したポイントシステムを導入するとともに、交通局の環境に対する取り組みや公共交通の環境優位性をPRし、都営交通の利用を促進することにより、環境負荷低減に努めているところでございます。
今後とも、環境に優しい都営交通の一層の利用促進を図るとともに、さらなる環境負荷低減に取り組んでまいります。
○山下委員 交通局の環境負荷低減のための取り組みはわかりましたが、ことしの東日本大震災によって、環境対策の中でも、特に省エネ、節電のための方法がクローズアップされるようになりました。
電車は、その名のとおり多量の電力によって走るものであり、それだけに、省エネ技術の導入が欠かせないと考えます。交通局が取り入れている電力削減のための電車の車両の省エネ技術について伺います。
○石井車両電気部長 都営地下鉄の車両の省エネ技術としましては、代表的なものとして車両の軽量化と電力回生システムの二つがございます。車両の軽量化は、車体の材料にアルミニウムやステンレスなどの軽い金属材料を用いて車両の軽量化を行うことで、消費電力を削減するものであります。もう一つの電力回生システムは、電車を走らせるためのモーターをブレーキのときには発電機として動作させることで、電車の走行エネルギーを電力に変換して変電所側に送り返す技術であります。電車から返された電力は、ほかの電車の運転に利用したり、駅の照明やエスカレーターなどの電源として再利用しております。今後とも、地下鉄車両に省エネ技術を導入することにより、節電に努めてまいります。
○山下委員 わかりました。
ところで、ことしは、省エネ、節電とともに、自然を活用した再生可能エネルギーへの注目度が一段と大きくなりました。豊かな水を利用する水力発電は、その代表であり、日本で古くから行われている発電方法の重要さに人々は今改めて気づいているのではないかと思います。水力発電といえば、交通局は、昭和三十二年から半世紀以上にわたって西多摩地域で水力発電事業を展開してきていると認識しております。水力発電への取り組みとその実績について伺います。
○奥津技術調整担当部長 水力発電は、発電する際に二酸化炭素を排出することがなく、再利用可能な自然の恵みである水を最大限活用したクリーンエネルギーでございます。交通局では、多摩川の流水を利用いたしまして、多摩川第一発電所、多摩川第三発電所、白丸発電所の三カ所で水力発電を行っております。この水力発電によりまして、平成二十二年度は、十五万五千二百三メガワット時、一般家庭のおよそ四万三千世帯分に相当する電気を供給することができました。
今後とも、自然エネルギーを活用し、水力発電によりまして電気の安定供給に取り組んでまいります。
○山下委員 わかりました。電車やバスなどでさまざまな環境施策を実行している交通局が、さらに、自然エネルギーを活用した水力発電をも行っていることは高く評価できると考えます。
世界の大都市でありながら、豊かな自然にも恵まれている東京、交通局が、都心部の交通網だけでなく、山合いの地域にバス路線を保有していることも、東京の特徴のあらわれといえるかもしれません。これからも、便利で、なおかつ、高齢者にも、地球環境にも優しい都市東京であるための交通局の皆さんの取り組みに期待をして、私の質問を終わらせていただきます。
○長橋委員 きょうは質問予定、最後でございます。よろしくお願いいたします。
我が党、鈴木先輩から、都電については種々ご質疑をいただきまして、もう私も、鈴木先輩も、都電の最大の応援団、私はその次ぐらいになりたいなと思っているわけでありますが、ご答弁で、沿線の緑化、また、軌道敷の緑化についても前向きなご答弁をいただきました。
先日、十一月二十日ですが、この間の日曜日に、地元南大塚で取り組んでいる沿線のバラですね、朝九時だったんですけれども、お邪魔して、剪定、また、軌道の沿線のバラの手入れ、ちょっと皆さんと一緒にやらせていただきましたけれども、その際に、東京都交通局からもいろんなご支援をいただいたということで大変に感謝をされましたので、まずはお伝えをしておきたいと思います。
また、補助八一のところは、東池袋地域、東京でも有数の住宅密集地域、木密地域であります。東京都が、また石原知事が、最大の取り組みとして木密地域を挙げたわけでありまして、都電もその中で、モデル地域のために努力をしていただきたいと強くお願いをする次第でございます。ですから都電について私はきょうは質問いたしません。都バスと、そして都営地下鉄についてお伺いをしてまいりたいと思います。
まず初めに、六月の本委員会におきまして、東日本大震災の被災地への支援ということで、都バスの譲渡、これについて質疑をさせていただきました。その際に、東北三県のバスの被害、どれぐらいあったのかというと、ご答弁で、乗合バスは六十二両、貸切バスは百五十七両、二百十九両の損害が発生をした。こういうご報告がありまして、早速、東京都は、その東北三県に対して、被災地に対してバスの譲渡を決定したということでございまして、そのときには、この東京緊急対策二〇一一の中で、六十二両すべてを無償譲渡するというご答弁をいただいたわけであります。
そして六月の時点では、調整もあるでしょう、また、希望するところもあるでしょう、その調整の中で、まずは二台ですね、譲渡したと、緊急的に渡したということでございます。その後、岩手県交通株式会社に二十九両、それから宮城交通株式会社に三十両譲渡する、こういうことを決定したと、このようにいわれておりました。
そこで、六月の時点では二両であったわけでありますけれども、その時点では、宮城と岩手と合わせて四十九両、六十二台譲渡可能であったけれども、四十九両までは決めましたと、残りについても、希望があれば対応してまいりたい、このようなご答弁もいただいたわけでありますが、その後の状況、どうなっているのか伺います。
○土岐自動車部長 車両譲渡の進捗状況のご質問でございます。現在の進捗状況につきましては、現時点で宮城交通株式会社に譲渡予定三十両のうち十三両、岩手県交通株式会社に、譲渡予定は十九両でございますが、そのうち七両、合わせて二十両を既に譲渡したものでございます。
また、譲渡した車両につきましては、宮城交通株式会社では、自社カラーの赤と白に再塗装されまして、岩手県交通株式会社では、都営バスカラーのまま、いずれも路線バスとして活躍していると聞いております。
なお、残りの二十九両につきましては、この分、引き合いのある譲渡予定の二十九両でございますが、今後の車両更新に合わせて、来年二月までに譲渡する予定でございます。六十二両に対して、決まった四十九両以外の車両につきましては、現時点でのところ引き合いはないという状況でございます。
○長橋委員 六月のときにも、希望があれば六十二両用意をしているといいますかね、可能である、こういうことでありました。
当時も、また今のご答弁で現在も、福島は、特に被災地の中で現状大変だと思いますけれども、福島からはそういう希望がないということがわかったわけでありますが、冒頭申し上げた東北三県でのバス車両は二百台を超える被害があったわけでありまして、四十九両プラス十三両についても、引き続き調整をしていくことが大事だろうなと私は個人的に思うわけでございます。
その際に、あわせて、東北ではこれだけの被害があったということでありましたけれども、東京ではどうだったのか、こんな質問もさせていただきましたけれども、そのときは、震災当日、お客様にはけがはなかったと、車両の被害もなく、また震災時のマニュアルに基づいておおむね適切に対応できたと、ああいうご答弁もありました。
しかしながら、それは、いざ東京に起きた震災を想定したら、これはもう東京においても、震災に対する訓練というのは必要であろうかと思うわけであります。お伺いをすると、早速震災を想定した訓練を実施した、このようにも聞いているわけでありますが、実際にどのような訓練だったのかお伺いをいたします。
○土岐自動車部長 都営バスでは、毎年一回、重大事故を想定した緊急対応訓練を実施しておりますが、本年度は、今月十一日、東日本大震災を踏まえた訓練を実施いたしました。
その内容は、平日の日中に大規模な地震が発生したという想定のもと、デジタルMCA無線や電話、ファクスを使用して、新宿本庁舎から営業所及び乗務員に、バスの運行中止を一斉に指示するとともに、営業所からの被害状況を集約し、安全を確認した上で、運行の再開を指示するまでの訓練を行いました。また、営業所への電力供給が途絶えた場合を想定いたしまして、自家用発電機を利用し、給油装置によりバス車両に給油する訓練も行ったところでございます。
○長橋委員 お客様の安全が第一ということでありますから、こうした災害時の訓練は、常に行っていかなければならないと思うわけでありますが、私は、今回の震災を通して、大事なのは、あらかじめ想定された訓練を行うということではなくて、やはり、逆にどういう災害が来るのか、そういった、シナリオのないといいますか、訓練内容が、すべて公開しているんではなくて、そうした訓練も必要ではなかろうかなと思うわけであります。
警視庁も、この九月には、震災の教訓を生かして、わずか十分だったと思いますけれども、交通規制訓練を行ったわけであります。都民に周知をしたということでありましたけれども、そんなに大きな混乱はなかったわけでありますが、さまざまな課題が浮き彫りになったと、このように聞いているわけであります。
毎年やっているんだろうと思いますけれども、訓練をどう行っていくのか、進化をさせていかなきゃいけないと思いますし、また、あらかじめわかった訓練をするんではなくて、そうした訓練も必要だと思いますけれども、今までの訓練を通して、どういう課題があったのか、そしてまた、今私がいったようなことも含めて、今後の課題について伺います。
○土岐自動車部長 まず、今回の訓練につきましては、複数の通信手段を用いまして、緊急連絡を行うとともに、ふだん使用する機会の少ない自家用発電機を活用して、バス車両に給油するなど、手順どおりに実施することができました。こうした手順を全営業所の職員が確認したことで、異常時における対応力向上が図られたものと考えてございます。
今後の課題といたしましては、ただいま委員ご指摘ございましたとおり、災害の現場におきましては、不測の事態が発生することも考慮いたしまして、シナリオの一部を前もって決めずに実施する、いわゆるブラインド訓練の手法も取り入れ、さらに充実した訓練を実施してまいりたいと考えております。
○長橋委員 そういうのをブラインド訓練ということですね。こうした訓練というのが非常に大事だろうなというふうに思うわけでありまして、そのためには、東京都の中でも、お客様の命、安全を預かるわけでありますから、さらに訓練を積み重ねていただきたい、このように思います。
また、先ほどもちょっと出ましたけれども、時代変化とともに、都バスの厳しい経営環境の中、交通局最大限の努力をして、都バスの路線も含めて維持をしていくと、料金も維持をしていくと、こういうことでありますけれども、それにあわせて、都バスのダイヤの改正、これも毎年度行っているというようなご答弁でありましたけれども、やはり、ここに至って、昔は倉庫街だったのが、新たなマンションが林立をするという地域も出てきています。特に臨海部を中心に、今大きな発展を遂げようとしているわけであります。そうした意味では、この需要と供給、もちろん先ほど青梅の方は、お客さんが少ないという、これはこれでまた維持しなきゃいけないと思うんですけれども、逆に、もっと増便をしてもらいたいとか、また、集中するお客さんがいる中で、中にはちょっとおくれると乗り切れないというようなバスもあるというふうなことを聞いているわけであります。そうした意味では、時代変化とともに、ダイヤの改正は当然必要だろうと思います。
そこで、こうした、昔はお客さんが少なかったのが大変多くなっている路線もあるでしょうし、そうした変化を的確につかんでいかなきゃいけないと思うわけでありますけれども、そうした乗客潮流というのですかね、変化をどのように把握しているのか伺います。
○岡本バス事業経営改善担当部長 乗客潮流の変化の把握についてでございますが、まず毎月の営業収入から路線別に乗客数の増減を分析するとともに、随時、新たな再開発が−−今、副委員長ご発言ございましたように、臨海部の開発等でございますが、こういった新たな開発、再開発における人口の増加等の情報から将来の需要を予測しております。
また、五年に一度、国土交通省が実施します大都市交通センサスに合わせ、都営バスでは、全系統を対象に、区間別、時間帯別、乗車券別など、お客様の利用実態を把握する調査を行っております。さらに、乗客潮流に変化が見込まれる系統につきましては、必要に応じて、職員がバス車内において乗りおりの状況を調査したり、停留所において通過するバス車内の人数を目視で確認したりするなどによりまして、お客様の利用状況を把握しております。
○長橋委員 今、ダイヤ改正については、国の方で、大都市交通センサスというのですか、五年に一度、こういうのをやっているということでありますけれども、やはり東京においては、首都東京においては、これでは実態をつかむのは難しい、このように思うわけでありますけれども、今ご答弁では、もちろんそれだけではなくて、実際に乗り込んで、目視で状況をはかるなど、もちろん運賃等も含めて調査をしているということがわかったわけであります。
そうした意味では、大事なのは、そうした路線変更、または運行回数をどうふやしていくか、これは停留所に時刻表があるわけでありますから、もし変更するのであればそれは全部直さなきゃならないわけでありますし、また場合によっては、その路線の中に新たな停留所をつくるということも、時代変化の中ではあるんだろうと思います。そうすると、さまざまな調整が必要だ。車内アナウンスも含めて必要だと思いますけれども、そういった対応をしていく、できるのが私は都バスだろうと思うわけであります。
電車とは違って、そうしたことがスピードをもって対応できるんだろうなと思うわけでありまして、都営地下鉄は、競争事業者といっても、都内ではないわけで−−メトロがありますけれども、都バスの場合には、民間のバス事業者が一緒になって、多くの事業者が目の色を変えて大きな競争事業者があるわけでありますから、一番民間との競争にさらされているのが都バスでもあろうかと思うわけでありまして、そうした意味では、こうした時代の変化の中で、まちが変化していく中で、ダイヤの改正を含めて積極的に対応していかなければならないと思いますけれども、今後の方針、どのように考えているのか伺います。
○岡本バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、これまでも、大規模な再開発や鉄道等の開業など、需要の変化に合わせた運行ダイヤの適正化を行ってまいりました。
今後とも、今副委員長がご質問の中でもお話しされたようなさまざまな利用実態がございます。また、地元要望等も踏まえまして、採算性、効率性を勘案いたしまして、限られた経営資源を有効に活用いたしまして、運行ダイヤを設定するなど適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○長橋委員 都バスの経営が非常に厳しい中、ぜひご努力いただきたい。以前も、私の地元に、メトロ、東京副都心線が開通をいたしました。当初の予定から若干おくれての開業だったんですけれども、池袋、新宿、渋谷と副都心線が開通したわけでありますが、それに合わせて、都バスのダイヤが減便をされました。それに対しては、該当する区の都議会議員も、地元からいろんな声を聞いて、実際にその通勤時間帯、通学時間帯、これは確かに便利、副都心線を使うことによってスピードをもって便利になったわけでありますが、昼間の利用はそんなに減っていなかったというような実態も調査していただいて、改めて、ダイヤを翌年度から改正していただいたということもありますので、そうした対応については、常に、住民の皆さんの声をしっかりと聞いて対応していただければ、そのように思うわけであります。
次に、地下鉄でございます。
交通局の経営ステップアップ二〇一〇に、総合指令を二十四年度に運用を開始するというふうなことでございます。そこで、総合指令の取り組みについて伺ってまいりたいと思います。
地下鉄は、運輸指令が電車の運行状況を監視して乗務員や駅に対して指示を行うなど、運営、運行管理を行っています。大事なのは、事故や災害時には運輸指令が運行の中止や再開の判断をする、そういった意味では、この運輸指令というのは非常に、災害時においては重要なポジションであるわけであります。また、電力指令は、電車を走らせるための変電所や送電線といった施設全般の管理を行っているということであります。
現在、都営地下鉄では、四線を三カ所の運輸指令で管理し、電力指令はまた別の場所にあるということでございまして、実際は四つの指令所があると、こういうことでございます。それを将来的には一つにしていくということでありますので、これは大変大きな取り組みだろうと私は思うわけでありますが、まずは、平成二十四年度中に、浅草線と三田線の運輸指令の運用を開始する。平成二十五年度中に、新宿線と大江戸線の運輸指令や電力指令での運用開始によって、そこで、二年間かけて、総合指令全体を稼働させていくということであります。一体化すると、また、それはそれで課題もあるかと思うんですけれども、現在複数ある指令所を一カ所にする、総合指令を構築する、それはどうしてそのように考えているのか伺います。
○小泉電車部長 都営地下鉄では、浅草線と三田線を管理する運輸指令所と、新宿線、大江戸線それぞれの運輸指令所が分散配置されております。このほか電気の供給を管理している電気指令所があり、合計四カ所に指令が分散しており、これまで各指令所間の情報伝達や連携などに課題がありました。
現在、交通局経営計画ステップアップ二〇一〇に基づき、都営地下鉄の安全で正確な運行を確保するとともに、事故等の異常時における迅速な対応や早期復旧の体制を強化するため、総合的かつ効率的に運行管理業務を行う総合指令を構築しているところです。
○長橋委員 ご答弁のとおりであろうかと思いますけれども、やはり異常時における迅速な対応、早期復旧の体制が強化されるということだろうと思うわけでありますけれども、複数箇所だと、伝達がおくれるということは想定される。一カ所で集中的に管理することによってスピードを図るということだと思いますけれども、そこで、具体的にこの総合指令の構築、大変な金額がかかるんだろうと思いますけれども、そこまでかけて、何が向上するのか、これはどういう機能が向上するのか、いわゆる早期復旧、情報提供、こういった機能だと思います。
以前の六月の委員会のときには、その指令所に震度計があったと、だけれども、それを平成十八年からですかね、十六カ所にふやしたがゆえに、今回の東日本大震災、ほかの鉄道事業者は復旧がおくれる中、都営地下鉄は、いち早く復旧にこぎつけることができたと、それだけ、震度が幾つになるとどういう対応をするかということがよりきめ細かにできたので、できた。こんな話もあったわけでありますけれども、その機能の向上、どのような機能が向上するのか伺います。
○小泉電車部長 異常時の早期復旧や情報提供についてでございますけれども、総合指令の構築によりまして、事故や故障等のトラブルが発生したときに、運転保守等の各部署との連絡体制や、都営四線の運輸指令相互の応援体制を即座にとることができるようになりますので、運輸指令が中心となって、電力指令などと十分な連携を図りながら、安全を確認し、電気の供給状態や車両の故障などについて情報を収集して、各列車や駅に的確に指示を行うことにより、復旧に要する時間の短縮が図れるようになります。
また、総合指令には、お客様への情報提供を受け持つ旅客指令を設ける予定でありまして、このことにより、都営地下鉄全線の運行状況をリアルタイムに把握しながら、お客様へのより正確かつ迅速な情報提供が図れるようになります。
○長橋委員 そのとおりで、一カ所に絞ることによってといいますか、一カ所に統合することによって、さまざまなスピードがアップをする。とともに、やはり一カ所にするということは、当然リスクも伴うわけであります。その一カ所の機能が、もし機能できなくなったら、全体が麻痺してしまうわけであります。そう考えると、どうしても、こうしたリスクを、この総合指令、二年間かけて一カ所にしていくということでありますけれども、当然その一カ所が、もし、例えば破壊されるとかいうようなことが、あってはなりませんけれども、そうしたリスクも回避することも考えていかなければいけないと思いますけれども、そうしたリスクについては、どのように考えているのでしょうか。
○石井車両電気部長 総合指令の構築に当たりましては、システム及び施設の両面でさまざまなリスクを想定した対策を講ずることとしております。具体的には、主要なシステムであります列車運行制御装置を四つの路線ごとに独立をさせておりまして、一つの路線に障害が発生しても、他の路線に影響が出ないよう設計をしております。
この列車運行制御装置を初めとした電力管理、通信設備などの重要なシステムにつきましては、回線や電源を二重化するなどの工夫によりましてリスク対応を図ってまいります。また、庁舎につきましても、震災等の対策を十分に考慮しまして、建物の免震化、あるいは専用の非常用発電機を設置するなど、リスク管理に万全を期してまいります。
○長橋委員 総合指令の入る建物は、免震構造、そして、専用の非常用発電機を設置するということであります。
大変交通局としては、ある面では、災害時の最も重要な施設だろうと思います。東日本大震災、想定外みたいなことをいわれていましたけれども、さまざまな想定に対して、ソフト、ハードの面で強固な構築を図っていただきたい、このように思うわけであります。
それでは、最後に、都営地下鉄の観光振興、これについて伺いたいと思います。
三月の震災以降、外国からの観光客が激減をしております。日本にいる外国人まで海外に行ってしまっている状況でありまして、国の発表によりますと、外国からの観光客は、震災直後の四月には、前年度六割以上減少した、このようなことでありますが、十月に入って一五%減にまで戻ってきているということであります。
確かに、震災直後は、日本で働いている外国人もどんどんと自国に帰ってしまっている中で、やっとここに来て戻ってきているのかなというのは私も実感としてわかるわけであります。もちろん、この観光振興というのは、ビジットジャパンのとおり、東京として、また日本全体として力を入れていこうという取り組みがあります。そうした中で、都営交通の乗車、これについてもしっかりと取り組んでいかなければいけないなと、このように思うわけであります。
外国から来た観光客、観光客だけじゃなくて、今後は、ビジネスでも東京に来る外国人はふやしていこうと、こういう取り組みもあるわけでありますから、そういう中で、都営交通も、果たすべき役割はしっかりと果たしていかなければならない、このように思うわけであります。
「都営交通のあらまし二〇一一」の中に、やはりちゃんと外国人旅行客等へのサービスというのが記載をしてありますけれども、そこには二つあります。駅のナンバリングですね、ナンバリングすることによって外国人にもわかりやすくしようと、こういうことであります。それから、列車運行情報表示装置、これを各都営地下鉄の全駅の改札口付近に設置をしています。それによって、都営四線の運行状況が、正常なのか、場合によってはとまっているのかということがわかるという表示もしてあるということであります。
先日、ある友人からお伺いをしました。韓国に行って、韓国の地下鉄に乗ったら、韓国の地下鉄の券売機は四つのボタンがついていて、母国語、韓国語を含めて、あとは英語と中国語と日本語ですかね、ボタンがついていて、そのボタンを押すとすべて英語になる、すべて日本語になる、このような券売機があったと、これは私の方に、早速写真まで持って私のところへ来ていただきまして、これは非常にわかりやすかったよということであります。
私も、実際、海外に行って電車に乗ろうとすると、どうやって切符を買えばいいのかということも含めて、大変に苦難するわけですね。語学ができればいいわけでありますけれども、そうじゃない外国人も多いわけであります。そうしたことで、今、ここにも書いてありますけれども、都営地下鉄として、外国人観光に向けた取り組み、これはどのようになっているのか、今私が話した券売機の件も、外国語表記、外国人でもわかる券売機というのもありますけれども、あわせて答弁を伺いたいと思います。
○小泉電車部長 都営地下鉄では、外国からのお客様がわかりやすいよう、日本語に加えまして、英語、中国語、ハングルの四カ国語による案内に取り組んでいます。具体的には、駅ナンバリング対応の地下鉄路線図と、都営地下鉄の利用方法を解説した案内冊子を作成しております。また、案内サインや、改札口に設置している運行情報表示装置の遅延情報も、同様に四カ国語で表記しています。また、外国人観光客の多い十二駅に、乗車券の購入や駅周辺の観光などを案内する外国語が話せるコンシェルジュを配置しています。
ご指摘の自動券売機についてでございますが、現在、都営地下鉄の自動券売機は、イングリッシュというボタンにタッチしていただくと、英語表記に切りかえてご案内できるようにしているところでございます。四カ国語対応の機器の導入に向けましては、今後利用実態やニーズの検証などしていく必要があると考えておりまして、今後の課題とさせていただければというふうに思います。
次に、乗客誘致に向けた取り組みといたしましては、まず、交通局のホームページで、四カ国語の案内で、都営交通に関する情報を事前に調べることができるようにしています。また、本年十二月一日から二カ月間は、官公庁の実証事業といたしまして、外国人観光客を対象にいたしました、二日間ないし三日間の複数日有効となる割引切符、東京トランスポートパスと申しますが、こちらをJR、東京メトロと共同で新たに発売するなど、旅行者向けの魅力ある乗車券の企画にも取り組んでおります。今後とも、外国からのお客様にとって、わかりやすく使いやすい都営地下鉄となるよう努めてまいります。
○長橋委員 さまざまな取り組みをしている、よくわかりましたけれども、都営地下鉄は二カ国語対応、韓国は四カ国語対応しているということを考えると、調べたら東京の民間事業者でも、そうした取り組みも、もう既にしているところもあるというようなこともお伺いをしたわけでありまして、そうした意味では、国際総合特区も含めて、日本の国際競争力を高めていこうと、外国人の、外国の企業も誘致していこうと、こういう取り組みをこれから本格的にしていこうと。二〇二〇の東京のプランでは、それが大きな柱にもなっているわけでありまして、大変課題もあるかと思いますし、もちろん費用もかかります。そうした意味では、公営企業としては大変だろうと思いますけれども、そうした取り組みもぜひ検討していただきたいと思うわけでありまして、今後首都東京が発展していくためには、観光振興も重要であります。そうした意味では、局長に、観光振興といいますか、いわゆる首都東京の発展にとって都営地下鉄の果たす役割、そんなことについて再度ご答弁をいただきたいと思います。
○野澤交通局長 昨年十二月に策定をいたしました「十年後の東京」への実行プログラムにおきまして、東京都は、平成二十八年に、年間一千万人の外国人旅行者が訪れる世界有数の観光都市を目指しておりまして、昨年、平成二十二年に東京都を訪れた外国人の数は、約五百九十四万人と過去最高を記録いたしましたけれども、今お話がありましたように、本年三月の東日本大震災以降大きく落ち込みまして、いまだに震災前の水準には回復しておりません。
こういうような中で、昨年十月に、羽田空港の再拡張、国際化が進み、羽田、成田の両国際空港から乗り入れることができる都営地下鉄には、観光産業を成長の軌道に乗せる上からも、観光客を誘致するための積極的な取り組みが求められていると認識しております。
都営地下鉄は、今、電車部長からお話しさせていただきましたけれども、これまで外国人向けの利用案内、観光パンフレットの作成やホームページによる観光情報の発信、案内サインの多言語化、駅ナンバリング導入など、東京の魅力を世界に発信するとともに、受け入れ体制の整備に努めてまいりました。今後、東京都の観光施策との連携を一層強化し、東京の自然、産業、歴史、文化、スポーツなど、世界に誇る観光資源を活用し、観光客誘致に向けた取り組みをさらに強めるとともに、外国人観光客にも便利にご利用いただけるように、都営地下鉄の利便性の向上に努めてまいりたいと思っております。
○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
○早坂委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○室星資産運用部長 お手元の資料1、契約締結報告書に基づきまして、平成二十三年八月一日から十月三十一日までの間に契約を締結いたしました、予定価格が九億円以上の工事請負契約二件及び二億円以上の動産の買い入れ契約一件の計三件につきましてご報告申し上げます。
一ページをお開き願います。ご報告申し上げます契約三件の総括表でございます。
以下、契約の概要についてご説明申し上げます。
二ページをお開き願います。この契約は、大江戸線勝どき駅改良土木工事でございます。
本件は、大江戸線勝どき駅のお客様の増加に対応するため、ホームの増設、コンコースの拡張及び出入り口の増設等を行う工事でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は四十五億七千五百六十九万円、契約の相手方は大成・佐藤・大豊建設共同企業体でございます。
入札経過につきましては三ページに記載してございます。
なお、本件につきましては、低入札価格の特別重点調査制度を適用した上で落札者を決定しております。
四ページをお開き願います。この契約は、東京外かく環状道路新宿線交差部建設工事でございます。
本件は、東京外かく環状道路と都営地下鉄新宿線との交差部において、新宿線の安全を確保するため、東日本高速道路株式会社から受託し、道路構造物の築造工事を行うものでございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は二十四億八千九百十万円余、契約の相手方は大成・錢高・大豊建設共同企業体でございます。
入札経過につきましては、五ページに記載してございます。
六ページをお開き願います。この契約は、PASMO対応型自動券売機の買い入れでございます。
本件は、老朽化した自動券売機を更新するに当たり、PASMOに対応した自動券売機五十四台を買い入れるものでございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は三億九千六百三十三万円余、契約の相手方は株式会社高見沢サイバネティックスでございます。
入札経過につきましては七ページに記載してございます。
以上で報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○早坂委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○早坂委員長 次に、陳情の審査を行います。
二三第六四号の二、平成二十四年度予算にガスコンバインドサイクル発電を組み込むこと等に関する陳情を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○宮川総務部長 整理番号1、陳情二三第六四号の二、平成二十四年度予算にガスコンバインドサイクル発電を組み込むこと等に関する陳情についてご説明申し上げます。
資料2、請願・陳情審査説明表をごらんください。
この陳情は、東京都武蔵野市にお住まいの植田魅具さんから提出されたものでございます。
陳情の要旨でございますが、2、都が大株主となっている東京電力に対し、原子力発電の即時停止を求めること。3、東京電力が原子力発電の即時停止の要求を受け入れない場合、都が株主代表訴訟を提起することでございます。
現在の状況でございますが、エネルギーの問題については、今後、我が国がいかなるエネルギーをどのような種類でどれだけ確保していくかという、現実的かつ複合的なエネルギー戦略を構築すべきであり、原子力発電の是非についても、そうした議論の上に立って考えるべきであります。したがって、原子力発電の即時停止については、一株主が求めるべきことではないと考えています。
以上で説明を終わります。
○早坂委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早坂委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二三第六四号の二は不採択と決定いたしました。
以上で陳情の審査を終わります。
以上で交通局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十六分散会
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