公営企業委員会速記録第四号

平成二十三年三月三日(木曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長田中たけし君
副委員長柳ヶ瀬裕文君
副委員長長橋 桂一君
理事山内れい子君
理事鈴木 章浩君
理事泉谷つよし君
きたしろ勝彦君
矢島 千秋君
尾崎 大介君
樺山たかし君
小沢 昌也君
相川  博君
鈴木貫太郎君
馬場 裕子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長金子正一郎君
次長野澤 美博君
総務部長中村  靖君
水道局局長尾崎  勝君
次長森 祐二郎君
総務部長坂内 顕宏君
下水道局局長松田 二郎君
技監小川 健一君
総務部長石原 清次君

本日の会議に付した事件
決議について
予算の調査(意見開陳)
・第二十三号議案 平成二十三年度東京都交通事業会計予算
・第二十四号議案 平成二十三年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十五号議案 平成二十三年度東京都電気事業会計予算
・第二十六号議案 平成二十三年度東京都水道事業会計予算
・第二十七号議案 平成二十三年度東京都工業用水道事業会計予算
・第二十八号議案 平成二十三年度東京都下水道事業会計予算
特定事件の継続調査について

○田中委員長 それでは、ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました決議一件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

工業用水道料金の減免措置に関する決議(案)
 東京都議会は、平成九年三月、工業用水道料金の改定に際し、長期化する景気の低迷を踏まえ、中小零細企業が多い用水型皮革関連企業に対して、特別の減免措置を講ずるべきとの付帯決議を行った。
 その後、都議会では、東京の地域経済や都民生活の状況を考慮し、減免措置の継続を求める決議を行ってきた。
 これを受けて、都は、工業用水道料金の減免措置を実施しているが、本年三月末日をもってその実施期間が終了する。
 しかし、都内の景気は、昨年夏以降の急激な円高の影響や雇用情勢等の厳しい状況が残る中、持ち直してきているものの、用水型皮革関連企業は依然として不況業種に指定されるなど、これを取り巻く環境は、今なお厳しい状況にある。
 よって、東京都議会は、用水型皮革関連企業に係る工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、平成二十三年四月以降も、引き続き減免措置を継続するよう強く求めるものである。
 以上、決議する。
  平成二十三年三月 日
東京都議会

○田中委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。

○田中委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査及び特定事件の閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第二十三号議案から第二十八号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了いたしております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○尾崎委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十三年度予算案にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 一般会計の予算規模は、前年度比〇・四%減の六兆二千三百六十億円で、三年連続の減額となりましたが、一般歳出は、前年度比一・〇%減の四兆五千八百三十九億円にとどめています。経常経費を七百十六億円の減とする一方、投資的経費を前年度比三・三%増の八千四百四億円、単独事業費も前年度比八・六%増の五千百四十八億円とし、ハード面を重視した予算となっています。
 予算案策定に当たり行った事業評価は、範囲を拡大し、百九十五件を見直して、約二百十億円の費用を確保するとともに、歳出を精査して、約八百九十億円の事業費を削減しています。こうした取り組みで基金の取り崩しを最小限にとどめた財政運営については、基本的に評価するものです。
 個々の施策では、雇用情勢が厳しい若年層、離職者への就職サポートや、円高などの影響で経営が苦境にある中小企業への支援、遅々として進まない耐震化の推進など、都民が抱える不安に対する支援を強めるとともに、急速に増加が進む高齢者の対策、環境、そして次の世代をはぐくむ教育、都市インフラの整備などの諸施策を戦略的に取り組むとしています。
 しかしながら、医療従事者の確保や救急搬送時間への対応、木造住宅密集地域の耐震化の推進など、都民福祉の向上を図るためには、より一層の取り組みが必要です。
 なお、中央卸売市場会計には、豊洲新市場の整備にかかわる予算が二十一億円計上されています。既に私たち都議会民主党は、当該予算に対しては厳しい対応をせざるを得ないと述べてきたところですが、予算特別委員会の締めくくり総括質疑での議論を踏まえ、予算の修正も視野に入れて対応していきたいと考えております。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
 まず、各局共通事項について申し上げます。
 一、公営企業においては、多様化する都民のニーズに的確にこたえ、質の高いサービスを提供するとともに、これまで以上の企業努力により、強固な財政基盤と不況下での都民負担に配慮し、計画的、効率的な事業運営に努めること。
 一、東京都幹部職員の再就職については、監理団体や報告団体だけでなく、公益法人や民間企業を含めて、退職時の役職、再就職先の企業・団体名、そして、その役職などを公表するとともに、これら関係企業、団体と交わす契約については、公正性、透明性について十分配慮すること。
 次に、交通局関係について申し上げます。
 一、都営地下鉄における安全・安心を確保するために、大江戸線への可動式ホームさくを整備すること。また、車両の戸挟みや戸袋への引き込まれ防止策について、効果の検証も含め、積極的に取り組むこと。さらに、安全、正確な運行の確保や、事故等に対する迅速な対応などを行う総合指令を構築すること。
 一、都営地下鉄におけるサービス向上に向けて、大江戸線の混雑解消に向けた車両の増備を図るとともに、勝どき駅のホーム増設工事に取り組むこと。また、すべての駅においてエレベーター等によるワンルートの確保を早急に実現すること。
 一、バス事業における運行情報サービスの充実を図るために、新しいバス運行情報表示装置を試験的に導入するとともに、GPS機能つき携帯を使用した近隣停留所案内など、新たな情報提供サービスを始めること。
 一、日暮里・舎人ライナーの混雑解消を図るために、車両の新造を図ること。
 一、都電荒川線については、利用者が電車の運行状況などの情報を携帯電話やパソコンを通じて得ることができる新たな運行情報サービスを開始すること。
 一、地球温暖化対策など、社会適用性に対応するために、低公害ノンステップバスの導入を積極的に進めること。また、エスカレーターの更新や省エネ型の証明整備への更新等を進めること。
 一、東京交通サービスにおける契約情報については、その透明性の確保に向けて、さらに取り組むこと。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、将来人口推計や関連する社会指標、経済指標など、最新データを用いて水需要予測を早急に見直し、八ッ場ダムへの必要性を検証するなど、これまでの水源確保のための施策を再検討すること。
 一、安全でおいしい水の供給に向けて、利根川水系の全浄水場に高度処理水を順次導入すること。また、直結給水方式の普及促進を図ること。
 一、安定給水の確保のために、相互融通機能などを図るとともに、漏水防止対策を推進すること。また、民有林のモデル購入を進めること。
 一、国際的な水問題に対応するために、職員の海外派遣や技術、ノウハウの発信など、水道事業による国際貢献を適切に進めること。
 一、水道局とPUCとの委託契約やPUC出資会社への再委託などのあり方については、都民に誤解を与えることのないよう見直すこと。
 一、多摩地区水道事業における事務委託に際しては、地域事情を考慮し、円滑な移行が行えるよう十分に配慮するとともに、水道ネットワークにトラブルが発生した場合、特に大規模災害の際の緊急対応に出動できる水道工事事業者の確保に努めること。
 一、工業用水道事業のあり方についての庁内横断的な検討を進めるに当たっては、中小零細企業の経営状況や、経営環境など、きめ細かな調査を実施し、実態把握に努めること。
 最後に、下水道局関係について申し上げます。
 一、老朽化が著しい下水道管の再構築を、計画的、効率的に実施するとともに、水再生センターやポンプ所を再構築する際は、省エネ化や雨水排除能力の向上を進めること。
 一、集中豪雨による都市型水害への対応強化に向け、東京都豪雨対策基本方針を踏まえながら、下水道整備のスピードアップを図ること。
 一、東京湾などの水質改善に向けて、下水道の高度処理を進めるとともに、既存施設における工夫を凝らし、窒素、燐の削減効果を高めること。また、「油・断・快適!下水道」キャンペーンを実施すること。加えて、江東内部河川のように、通常時の流量が少ない河川への排水をなくすよう、ポンプ所からの排水終路の改善を早急に実施すること。
 一、地球温暖化対策を推進するために、省エネ型機器の導入や焼却炉の運転管理の工夫など、アースプラン二〇一〇を着実に実施すること。
 一、東京都下水道サービス株式会社、TGSを活用するに当たっては、契約関係を初めとする透明性の確保に努めること。
 一、下水道局の入札では、入札の公平性が保たれるよう配置技術者要件の実態に応じた見直しなど、積算の改善などに取り組み、入札参加者をふやすよう努めること。
 以上で都議会民主党を代表いたしましての意見開陳を終わります。

○鈴木(章)委員 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、公営企業委員会に付託された平成二十三年度東京都予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 平成二十三年度予算案は、厳しい財政環境が続く中にあっても、都民の不安を払拭する事業に迅速に取り組みながら、東京の新たな成長に向けた施策についても確実に進めており、高く評価できるものであります。
 特に目を引くのは、景気回復の出口が見えない中、我が国の活力を取り戻すために、雇用創出や、経済成長の促進につながる施策を展開している点であります。投資的経費を七年連続で増加させ、東京の都市機能の向上に不可欠なインフラ整備などを着実に行っていくとしたことは、こうした雇用や経済の観点からも評価できるものであります。
 今回の予算でもう一つ評価すべき点は、事業評価の強化など、これまで一貫してきた堅実な財政運営に引き続き徹することで基金残高をできる限り確保するなど、強固な財政力を堅持していることであります。
 財政環境の大きな好転が期待できない中、この先も積極的な施策展開を支え得る財政基盤を堅持するために、引き続き堅実な財政運営を行うことを望みます。
 最後に、現下の都民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、各局とも、施策の目的をできる限り早期に達成するべく、迅速かつ着実な予算執行に鋭意努力されるよう強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、交通局関係について申し上げます。
 一、交通局経営計画ステップアップ二〇一〇に定められた施策を確実に実施し、安全・安心の確保、質の高いサービスの提供、社会的要請への対応、経営力の強化に努められたい。
 二、地下鉄の安全で正確な運行を確保するとともに、事故等の際の対応を強化するため、リスク対策を講じつつ、総合指令の整備を進められたい。
 三、旅客輸送の安全確保に万全を期するため、大江戸線の可動式ホームさくについて早期に全駅設置を図るとともに、他線への拡大に努められたい。
 また、火災対策など、車両や施設の安全性の向上に取り組むとともに、職員の安全教育研修のさらなる充実を図られたい。
 四、地下鉄構造物の長寿命化を図り、重要な都市インフラとして将来にわたって安定的な運行を確保するとともに、補修費用の抑制も図られたい。
 五、大江戸線車両の増備、新宿線車両の十両編成化や、勝どき駅の大規模改良工事を推進し、混雑緩和に取り組まれたい。また、駅全体の案内サインの整備や、清潔感と機能性を備えたトイレの改良など、利便性、快適性の向上に努められたい。
 六、だれもが利用しやすい都営地下鉄とするため、地下鉄駅のエレベーター、エスカレーター等の設置を促進されたい。
 七、だれもが乗りおりしやすいノンステップバスの導入やバス停留所の上屋、ベンチの整備をさらに進めるとともに、バス運行情報サービスを充実するなど、利便性の向上に努められたい。
 八、観光スポットをめぐる路線バスのPRや、バスターミナルの路線案内板での多国語表記を進めるなど、観光客誘致に取り組まれたい。
 九、ハイブリッドバスなどの低公害型バスの積極的な導入を図るなど、環境負荷の低減に努められたい。
 十、運行情報サービスを充実するなど、都電荒川線の活性化を図るとともに、軌道リフレッシュ工事を進め、安全性、安定性のさらなる向上に取り組まれたい。
 十一、日暮里・舎人ライナーの車両の増備を行い、混雑緩和を図るとともに、地域との連携を強化し、経営の早期安定化を図られたい。
 十二、資産の有効活用など、関連事業の推進に当たっては、公営企業としての経済性発揮と公共性の両立を図られたい。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、利根川・荒川水系における水資源開発基本計画で予定している新規水源開発について、国等に一層の促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、その推進に努められたい。
 あわせて、水源の涵養機能に加え、多摩川の安定した水量に寄与する水道水源林の保護、育成に努めるとともに、管理放棄による荒廃が進みつつある民有林のモデル購入を通じ、諸課題の解決を図られたい。
 二、利根川水系の高度浄水の全量処理に向けた整備や貯水槽水道対策を推進し、直結給水方式の一層の普及拡大を図るなど、安全でおいしい水の供給に向けた諸施策を推進するとともに、積極的なPRに努められたい。
 三、震災時その他の災害発生時においても、都民生活や都市活動、首都中枢機能等の維持に必要な水を確保できるよう、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業等を着実に推進するとともに、他都市との応援体制の構築など、震災対策に万全を期されたい。
 四、漏水防止や出水不良解消の効果とともに、震災対策上も有効な施策である私道内給水管整備事業を積極的に推進されたい。
 五、大規模浄水場の更新を見据えた代替施設の先行整備に係る所要額の積み立てや財政ルールの確立を国に提案要求するなど、将来の大規模浄水場の更新に向けた取り組みを推進されたい。
 六、蛇口から水を飲むという日本が誇る水道文化を次世代に継承するため、小中学校の水飲み栓直結給水化モデル事業を推進するとともに、水道キャラバンなどの施策に積極的に取り組まれたい。
 七、従来の水量、水圧による水運用に、おいしさ及びエネルギー管理の視点を加えた新しい水供給システムの活用を図られたい。また、未利用エネルギー等の活用、節水諸施策の推進など、環境に配慮した施策を積極的に推進されたい。
 八、多摩地区では、平成二十二年八月に作成した多摩水道改革計画に基づき、市町への事務委託解消を契機に、都営水道として一元的な施設整備を本格的に進め、給水安定性の向上を図られたい。また、奥多摩町の水道事業について、安定給水を図りながら、計画的に施設整備を進められたい。
 九、国庫補助の増額及び低金利債への借りかえ、下水道の整備促進、農薬の適正使用に関する指導の強化などの河川水質の保全について、国に強く要望されたい。
 十、職員定数の削減や資産の有効活用など、経営努力に万全を期すとともに、監理団体との一体的事業運営体制の構築を進め、公共性と効率性を両立させた責任ある経営を実現されたい。
 十一、諸外国の水事情の改善に貢献するとともに、日本経済の活性化のためにも、東京水道の持つ技術、ノウハウなどの強みを生かし、東京水道サービス株式会社を活用した国際貢献ビジネスを積極的に推進されたい。
 十二、工業用水道事業においては、需要の減少傾向による厳しい経営状況を踏まえ、引き続き効率経営を推進しつつ、抜本的な経営改革について関係各局と検討を進められたい。
 また、用水型皮革関連企業にかかわる工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、引き続き減免措置を継続されたい。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇一〇の達成に全力で取り組み、都民サービスの一層の向上と経営の効率化を図られたい。
 二、老朽化した下水道施設の更新を進めるとともに、あわせて機能の高度化を図るなど、再構築事業を計画的に推進されたい。
 三、都市型水害に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水対策に重点的に取り組むとともに、緊急豪雨対策に基づき、大規模地下街や神田川など三流域において、貯留施設等の前倒し整備を図られたい。
 四、施設の耐震性を強化するなど、震災に強い下水道システムの構築に努められたい。
 五、公共用水域の水質をより一層改善し、豊かな水辺環境の創造に資するため、合流式下水道の改善や高度処理を積極的に推進されたい。
 六、地球温暖化を防止するため、アースプラン二〇一〇に基づき、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組まれたい。
 七、汚泥の資源化や再生水の利用拡大、施設の上部利用等、下水道が持つ資源、空間等の有効利用を図られたい。
 八、多摩地域の公共下水道事業を実施する市町村との協同を基本に、流域下水道事業を効率的、効果的に推進されたい。
 九、下水道事業が直面する技術的課題を解決するとともに、将来的な課題を見据えた技術開発に計画的に取り組まれたい。
 十、下水道のニーズがある国や地域の諸課題解決に寄与するとともに、日本の産業力強化に貢献するため、下水道事業における国際展開を着実かつ積極的に推進されたい。
 十一、下水道経営の安定に資するため、国費の確保及び制度の拡充等の財政措置を国に強く要望するとともに、コスト縮減や業務執行体制の見直しを図るなど、企業努力を行い、健全な財政運営に努められたい。
 以上で私の意見開陳を終了いたします。

○長橋委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成二十三年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 平成二十三年度の一般会計当初予算案は、政策的経費である一般歳出が一%減となりましたが、投資的経費は三・三%増と、景気や雇用にきめ細かく配慮する都の姿勢があらわれています。
 依然として、都財政を取り巻く環境は厳しいにもかかわらず、このように意欲的な予算を編成できたのは、都が公明党と手を携えて導入した複式簿記・発生主義による新たな公会計制度を有効なツールとして活用し、事業評価を初めとした都庁の自己改革力を大いに発揮し、行財政改革に不断に取り組んできたからであります。
 内容を具体的に見れば、景気持ち直しの兆しが実感できない中で苦しんでいる中小企業を支え、雇用環境を改善する施策が充実され、少子化対策、高齢者支援、周産期医療などの重要課題についても、現場を持つ都ならではの高い効果が期待できる取り組みが展開されています。
 また、都市インフラの整備を初め、東京を新たな成長に導く戦略的な取り組みも進められています。加えて、公明党が一貫して充実を求めてきた福祉と保健の分野は、構成比、金額ともに過去最高となっており、高く評価するものであります。
 一方、今後都税収入の伸びが期待できないことから、これまで培ってきた強固な財政力を引き続き維持することが一層重要となっています。この点、二十三年度予算においては、事業評価において、その対象事業の拡大や新公会計手法のさらなる活用など、手法の充実を図ったことにより、都民の貴重な財産をさらに有効に活用できるよう各施策を高める仕組みへと進化しています。都債や基金についても、将来の負担を考慮し、適切に活用されています。
 将来にわたり確実に都民生活を守るため、今後とも財政基盤のさらなる強化に取り組んでいくことを強く望むものであります。
 あわせて、予算の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効果的、効率的に行うことを要望します。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、交通局について申し上げます。
 一、交通局経営計画ステップアップ二〇一〇に基づき、効率化の推進など一層の企業努力に取り組み、経営基盤の確立に努めるとともに、都民が安心して都営交通を利用できるよう、事故防止の取り組みを強化すること。
 また、交通局のさまざまな取り組みを積極的にアピールすること。
 一、地下鉄については、火災対策の強化など、車両や施設の安全性を高めるとともに、大江戸線の可動式ホームさくの整備を進めること。
 地下鉄駅においてエレベーターやエスカレーター等、高齢者や身障者等に優しい設備の整備を促進するとともに、ソフト面のバリアフリー化にも積極的に取り組むこと。特に全駅のワンルートの確保に向けて積極的に取り組むこと。
 また、混雑緩和対策として、駅施設の改良や新宿線、大江戸線の車両の増備などに取り組むこと。
 一、バス路線について、需要の変化に対応した整備を行い、経営基盤を強化すること。
 また、関係機関と協力して、定時運行の確保に努めること。
 一、すべてのバスにドライブレコーダーを早期に導入し、安全対策の充実を図ること。
 一、バス車両の更新時にハイブリッド車等の低公害型車両を導入するとともに、次世代型低公害バスの実証実験に積極的に協力するなど、環境に配慮した事業運営に努めること。
 だれにも利用しやすいノンステップバスの導入拡大や、バス運行情報サービスの充実など、利用者サービスの向上を図ること。
 一、都電荒川線について、交通局の百周年記念事業として運行する花電車を活用するなど、地元との連携を図りながら、沿線地域の活性化に取り組むとともに、運行情報サービスを充実するなど、利便性の向上に努めること。日暮里・舎人ライナーとともに、積極的な営業活動に努めること。
 一、土地の有効活用を図り、地域の活性化に寄与するとともに、公営企業として収入の確保に努めること。
 一、都営交通におけるICカードを利用したポイントシステムについて、平成二十三年度のサービス開始に向け、積極的にPRを行い、円滑な実施に努めること。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、水源の確保については、利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画に基づく新規水源の開発促進について、国に強く働きかけること。
 あわせて、多摩川上流の人工民有林における水源林の機能向上に向けた取り組みとともに、民有林のモデル購入などの施策を推進し、森林保全及び都民の意識向上に努めること。
 一、震災時その他の災害発生時においても、都民生活や都市活動、首都中枢機能等の維持に必要な水を供給できるよう、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業等を着実に推進すること。
 また、隣接する水道事業者間で、水道水を広域的に相互融通する体制の強化に向けた取り組みを進めるとともに、ボランティアも含め、地域住民等と連携した震災時の応急体制づくりを推進すること。
 さらに、事業の平準化等を図ることにより、将来の大規模浄水場の更新に万全を期すこと。
 一、江戸川、奥多摩湖等の水質保全対策を積極的に推進すること。
 一、安全でおいしい水を供給するため、引き続き金町浄水場、三郷浄水場及び朝霞浄水場において、高度浄水の全量導入に向けて建設を推進すること。
 また、水質検査及び浄水過程における水質管理を徹底するとともに、水安全計画を着実に運用し、水質管理の万全を期すこと。
 さらに、小中学校の水飲み栓直結給水化モデル事業の実施や、貯水槽水道対策の推進、直結給水方式の普及拡大に努めること。
 一、事業財政の安定化を図るため、職員定数の削減や既定経費の節減など、一層の経営努力に努めるとともに、民間的経営手法を積極的に導入すること。
 また、監理団体との一体的事業運営体制の構築を進め、公共性と効率を両立させた責任ある経営を実現すること。
 一、事業活動に伴う環境への負荷を継続的に改善し、地球環境保全に貢献するため、水力発電、太陽光発電等の新エネルギーの活用に努めるなど、環境に配慮した施策を推進すること。
 一、PR施設の展示の充実や地域水道ニュースの発行、近隣水道事業体との連携した広報など、水道水のイメージ向上に向けて、より効果的なPR活動を展開すること。
 一、工業用水道事業においては、需要の減少傾向による厳しい経営環境を踏まえ、引き続き効率経営を推進しつつ、抜本的な経営改革について関係各局で検討を進めること。
 また、用水型皮革関連企業にかかわる工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、引き続き減免措置を継続すること。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇一〇の達成に向けた取り組みを通じ、一層の都民サービスの向上と経営の効率化に努めること。
 一、施設の老朽化に対応しつつ、機能の高度化を図る再構築事業を計画的、効率的に進めること。
 一、都市型水害に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づく浸水対策の推進を図るとともに、緊急豪雨対策に取り組むこと。
 一、震災時でも下水道の機能を確保するため、管渠や施設の耐震化を図るなど、震災対策の充実に努めること。
 一、公共用水域の水質をより一層改善するため、合流式下水道の改善を推進するとともに、高度処理施設の整備を促進すること。
 一、地球温暖化防止に貢献するため、アースプラン二〇一〇に基づき、積極的に温室効果ガスの排出削減に取り組むこと。
 一、多摩地域の公共下水道事業を実施する市町村との協同を基本に、流域下水道事業を効率的、効果的に促進すること。
 一、下水汚泥の資源化、下水を高度処理した再生水の利用拡大など、資源の有効利用を進めること。
 一、計画的な補修など予防保全を重視した維持管理や、臭気対策の強化など、維持管理の充実を図ること。
 一、国費の確保や起債における公的資金枠の確保などの財政措置を国に強く要請すること。
 一、技術開発を推進するとともに、すぐれた技術やノウハウ等を生かした国際展開に積極的に取り組むこと。
 一、建設から維持管理までのトータルコストの縮減、業務執行体制の見直し等、経営計画に示された経営効率化の取り組みを進めること。
 以上をもちまして意見の開陳を終わります。

○山内委員 私は、都議会生活者ネットワーク・みらいを代表し、本委員会に付託された二〇一一年度予算関係議案についての意見開陳を行います。
 二〇一一年度予算編成に当たっては、都税収入の好転が期待できない中で、中長期に施策を支え得る財政基盤を堅持するため、事業評価を通じた施策の検証や実績等に基づいて、歳出の精査に取り組んだ結果、約二百十億円の財源を確保するとともに、徹底した歳出の精査により、前年に比べ約八百九十億円の事業費の見直しを行ったとあります。
 むだをなくすのは当然ですが、行政のスリム化が進み、少数精鋭の体制で東京が抱える多くの問題を解決し、都民ニーズに的確にこたえていくためには、都政の実務を預かる職員の役割が極めて重要です。公務員として、誇りと生きがいを持って仕事を続けられるよう、人を大切にした都政運営を求めるものです。
 また、昨年来、子どもの虐待、職につけない若者、高齢者の所在不明などが大きな社会問題となりましたが、安心して子育てのできる環境づくりと、ワークライフバランス、ワークシェアなどの働き方を推進するとともに、障害者、若者の自立支援や、医療の充実、食の安全、住まいの確保などでセーフティーネットを構築することが求められています。こうした緊急課題については、一人一人に迅速、的確に対応するため、民間やNPOとの協働を進め、東京から新しい公共をしっかりと構築していくことを期待します。
 さらに、世界の各地で民主化を求める住民の蜂起が相次ぎ、国内の政治経済状況も予断を許さない状況の中、東京は、都民の多様な暮らしに安定と安心をつくり出す生活都市を目指すべきであり、地球規模での環境や平和に貢献する世界都市の実現に向けた施策を着実に推進すべきと考えます。
 私たち都議会生活者ネットワーク・みらいは、都民の多様な暮らしに、安全と安心をつくり出す未来への責任ある予算執行を求めるものです。
 以下、各局別に申し上げます。
 交通局関係について。
 一、都バスのバス停を屋根つきに整備し、可能なところには太陽光パネルを設置すること。
 一、公共交通に関するサインは、観光客や外国人、高齢者、障害者にもわかりやすいものを適切に配置すること。
 一、路面電車やバスなどの公共交通を生かしたまちづくりを進めること。
 一、常にお客様サービスの視点に立って改善を行うこと。
 一、自転車との事故を防止するための対策については、自転車の安全な走行空間の確保や地域の実情に合わせた対策を、関係局と横断的に推進していくこと。
 一、乗務員の健康管理はもちろん、安全対策のためにも、睡眠時無呼吸症候群の検診の充実を図ること。
 一、改正育児・介護休業法の施行を受け、ワークライフバランスを進めるために、男女ともに働き続けることのできる環境整備に積極的に取り組むこと。
 次に、水道局関係について。
 一、水は限りある貴重な資源との観点から、節水、漏水対策や再利用を強化するとともに、都の独自の水源の回復と保全に努め、適正、有効に利用して、ダム開発に頼らない水道事業の構築を図ること。
 一、八ッ場ダムの利水に頼らない水政策を策定するため、都議会の請願採択を尊重し、過大な水需要予測は、実績と実態に合わせて再度早急に見直すこと。
 一、認可水源となった多摩の地区水源を都の保有水源に組み入れること。
 一、多摩川上流の過度な取水を抑制し、河川環境維持用水の放流を拡大すること。
 一、多摩川中流の水質、水量を確保し、玉川浄水場での取水再開を目指すこと。
 一、震災その他の災害時においても水が安定供給されるよう、水道施設の耐震化等の対策を一層進めるとともに、一元化された多摩地域においては、市町との連携で災害対策を進めること。
 一、小中学校や公共施設の直結給水の促進をすること。
 一、水道水源林の維持管理に多くの都民がかかわれるよう、普及啓発に努め、森林再生を図ること。
 一、国際貢献については、都は、国、自治体間との国際協力としてかかわり、現地の自立的、安定的インフラ事業の支援となるようにすること。
 次に、下水道局関係について。
 一、水再生センターの放流水質を改善して、都内の河川の水質浄化を促進すること。
 一、下水から発生するバイオマスやメタンガス、小水力、下水熱などの未利用エネルギーの活用を推進すること。
 下水の再生水や汚泥の活用を進めること。
 一、都市型洪水に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水対策を進めること。
 一、老朽化している下水管の耐震化を促進すること。
 一、水再生センターへの負担を和らげ、処理総量を減らすためにも、雨水の浸透や貯留を進めること。
 以上をもって都議会生活者ネットワーク・みらいの意見開陳を終わります。

○田中委員長 以上で予算案に対する意見開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において取りまとめの上、調査報告書として議長に提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○田中委員長 次に、特定事件についてお諮りいたします。
 お手元配布の特定事件調査事項につきましては、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○田中委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。

○田中委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、松田下水道局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○松田下水道局長 公営企業三局を代表いたしまして、ごあいさつを申し上げます。
 このたび上程をいたしました予算案につきまして、さまざまな観点からご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 私ども公営企業が行っております事業は、都民生活や首都東京の都市活動にとりまして欠かすことのできない重要な事業でございます。今後も、私どもそれぞれの担当分野におきまして、現場にある英知を結集しながら、都民サービスのさらなる向上と効率的な経営に努め、都民の皆様の信頼と負託に全力でこたえてまいる所存でございます。
 田中委員長を初め委員の皆様方におかれましては、今後とも公営企業三局に対しまして一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、御礼のあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○田中委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十九分散会

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