公営企業委員会速記録第十一号

平成二十二年十一月九日(火曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長田中たけし君
副委員長柳ヶ瀬裕文君
副委員長長橋 桂一君
理事山内れい子君
理事鈴木 章浩君
理事泉谷つよし君
きたしろ勝彦君
矢島 千秋君
尾崎 大介君
樺山たかし君
小沢 昌也君
相川  博君
鈴木貫太郎君
馬場 裕子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長金子正一郎君
次長野澤 美博君
総務部長中村  靖君
職員部長宮川  昭君
資産運用部長廣瀬 秀樹君
電車部長室星  健君
車両電気部長広川 徳彦君
建設工務部長廣木 良司君
企画担当部長小泉  健君
安全管理担当部長波多野正裕君
調整担当部長土岐 勝弘君
バス事業経営改善担当部長自動車部長事務代理岡本 恭広君
技術調整担当部長石井 明彦君
技術管理担当部長橿尾 恒次君
水道局局長尾崎  勝君
次長森 祐二郎君
総務部長坂内 顕宏君
職員部長松宮 庸介君
経理部長猪熊 純子君
サービス推進部長高原 俊幸君
浄水部長吉田  永君
給水部長酒井  晃君
建設部長今井 茂樹君
企画担当部長松丸 俊之君
設備担当部長吉田  進君
サービス企画担当部長津国 保夫君
多摩水道改革推進本部本部長増子  敦君
調整部長松苗 昌宏君
施設部長佐々木史朗君
技術調整担当部長木村 康則君

本日の会議に付した事件
 交通局関係
事務事業について(質疑)
 水道局関係
事務事業について(質疑)

○田中委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局及び水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 松下自動車部長は、病気療養のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。
 なお、岡本バス事業経営改善担当部長が、自動車部長の事務代理とのことでございます。ご了承願います。
 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○柳ヶ瀬委員 私の方からは、広告事業について何点かお伺いをしていきたいと思います。
 交通局では、都営地下鉄や都バスなどの関連事業として、広告事業を実施しております。交通局関連の広告料収入の決算の推移ですが、平成十九年度に約四十七億円、二十年度、約四十三億円、二十一年度、三十七億円ということで、二年間で約十億円、約二三%の減収となっています。ただ、これは日本全体の傾向でございまして、日本全体の総広告費も、二〇〇八年のアメリカの金融危機に端を発した不況を背景に、大きく減少しているわけでございます。この総広告費は、平成十九年には約七兆円あったものが、二十一年には約六兆円、一五%の落ち込みとなっております。
 そこで、まず、お伺いしたいと思いますが、まだまだ広告出稿は冷えきった状況にあり、見通しが暗いという状況でございますけれども、二十二年度予算で、広告料収入として約四十三億円、これを見込んでいると思います。これが今どのような状況にあるのか、達成できるのかどうか、この点についてお伺いをします。

○廣瀬資産運用部長 平成二十二年度予算は、消費税抜きにいたしますと四十三億円となっておりますが、これは平成二十年度決算の四十二億六千万円をベースに新規媒体による増要素も加味して算出いたしました。
 しかしながら、平成二十年の金融危機を発端とする長引く景気低迷の影響によりまして、平成二十一年度に引き続き、本年度においても広告需要の回復の兆しが見られず、こうした状況が続くと平成二十二年度予算額の達成は厳しい状況にあると考えております。

○柳ヶ瀬委員 なかなか厳しい状況にあるということだと思います。
 全体の広告出稿が減少しておりますから、交通局関連の広告出稿も当然減少してくると、これ当たり前のことなんです。ただ、幾つか調べていく中で興味深いデータがあるんですけれども、同じ交通広告の中でも、ほかの路線、他社と広告料の推移について比較をしてまいりました。
 概算ですけれども、十九年度と二十一年度の減収した割合を比較してみると、JR東日本は約一八%、東京メトロは一〇%。この東京メトロは、副都心線の増額分があるということで、この影響を除くと、もっと減収割合が大きくなるというふうに思っていますけれども。また、その交通広告を扱う関東の十一社の平均では約二〇%なんです。それに比べて交通局は二三%ということで、ほかの路線に比べて減少幅が大きいということがいえるのかなと思います。
 そこで、これはなぜかということなんですが、交通広告を扱う代理店等々にヒアリングをしてみましたところ、交通局が取り扱っている媒体の価値が、他社に比べて低いのではないかということなんです。企業は不況で広告出稿を減らしていく。じゃあ、どこから、その広告を切っていくのかといえば、当然、費用対効果が低いところ、また、その費用対効果がはっきりしないところから切っていく。まあ当然ですよね。それが、この他社に比べて減少幅が大きくなっている原因ではないかというふうに考えています。
 そこで、この点について提案ですけれども、媒体の価値を上げていくことが必要であるということはよくご認識があると思います。そこで、販売力のある商品を開発することも大事ですけれども、その前に、現状の既存媒体を、売れる媒体と売れない媒体として整理をして、全体を再構築する必要があるんではないか。それによって、トータルの媒体価値の向上を目指していくことが必要であるというふうに考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○廣瀬資産運用部長 広告の媒体価値を低下させる要因といたしましては、駅張りポスターボードなどの広告設備の老朽化に加えまして、市場ニーズの変化による媒体の陳腐化、景気低迷による空き枠の増加などがございます。
 このため交通局といたしましては、これまでも、ポスターボードやサインボードなど、設備のリニューアルや、人通りの多い場所への移設、売れ行きの悪い広告媒体の廃止等の見直しを行ってまいりました。
 今後とも、広告媒体価値向上のため、こうした工夫を重ねてまいります。

○柳ヶ瀬委員 ぜひ、そのスクラップ・アンド・ビルドということを再度、検討していただきたいと思うんです。
 私も、都営地下鉄に乗ってみて思うのは、端的にいうと、やっぱりごちゃごちゃし過ぎだなということなんです。中小企業が主なクライアントを占めている場合には単品買いですから、別に、ごちゃごちゃしていてもいいのかもしれませんけれども、これから、その中小企業の広告の出稿というのはさらに減っていく、これは容易に想像できます。その中で、これから大手であったりとか、外資であったりとか、そのブランドイメージをしっかりと訴求したいというニーズに、どれだけ答えられるかどうかということが考えなければいけないことだろうと思うんです。
 そういった意味では、ぜひ、細かい補修、細かいスクラップ・アンド・ビルドではなくて、十年後、二十年後、五十年後を見据えて、どのような媒体が本当に価値のある媒体となっていくのかということを考えて、これは大きなスクラップ・アンド・ビルド、媒体づくりをしていただきたいと思います。
 また、広告費が減少しているということは、当然、広告代理店の売り上げも減り、経営状況が悪化しているということは、これ間違いありません。ことしの九月末には、中堅広告代理店である中央宣興が倒産をいたしました。中央宣興というのは、社員が百名を超えている、売り上げも年商二百億を超えているということで、これ代理店の中ではかなり大きな規模の会社なんです。そこが九月の末に倒産をいたしました。これは一例ですけれども、もっと小さな会社、売り上げの少ない会社は毎月のように倒産しているのが現状です。
 そこで心配なのが、交通局が取引をしている代理店の経営状況であります。代理店が倒産をすれば、売掛金が戻ってくる可能性はほとんどありません。東京都は、取引条件として翌月末の振り込み払いということで、かなり有利な条件、現金が手元に入ってくるまでの期間が短いですから、非常に有利な条件でやっているなという感想ありますけれども、毎月の売掛金、これがどれくらいになっているのか。この点について、お伺いしたいと思います。

○廣瀬資産運用部長 指定代理店の毎月の広告料金は、掲出月の翌月末に交通局に納入することとなっておりまして、一時的に売掛金が発生することになります。その金額は、平成二十一年度の月平均で約二億五千万円でございます。
 なお、これまで、売掛金が未回収になったことにより交通局に損失が発生したことはございません。

○柳ヶ瀬委員 月平均で二億五千万ということで、これを小さな額と見るのか大きな額と見るのか。私は、決して小さくない額だなというふうに思うんです。先ほどの倒産した中央宣興は七十六億の負債がありました。これ、ほとんどが媒体料と推定がされます。そこで、この代理店への売掛金の、いい方が難しいんですけれども、取りっぱぐれを防ぐために、リスクヘッジとして東京都は保証金を取っているということを聞きました。この保証金について、どういう仕組みなのか教えていただきたいと思います。

○廣瀬資産運用部長 交通局では、平成十五年度から保証金制度を導入いたしまして、広告取扱額に応じた金額を納入していただき、指定代理店の経営悪化に伴う交通局収入への影響を最小限にとどめることとしております。
 なお、保証金額は、年間の広告取扱額が一億円以上で五百万円、五千万円以上で三百万円、五千万円未満で二百万円となっております。

○柳ヶ瀬委員 この一億円以上の年間取り扱いで五百万、五千万以上で三百万、五千万未満で二百万ということで、その保証金として取れる額というのは、このぐらいが妥当であろうということは思うんです。その取引の最初に、取引先の経営状況を考えて与信限度額を設定するということは至極当然のことで、この保証金制度というのは一部のヘッジにはなるんですけれども、実際に代理店が倒産した場合に、売掛金の全額をこの保証金で賄うことは、もちろんできません。そこで、問題は、継続的に代理店の経営状況を把握していくこと、把握ができるのかどうかということなんです。定期的な与信管理が必要だと考えます。
 そこで提案ですけれども、東京商工リサーチや帝国データバンクなどが、実施している企業情報の提供サービス、ほとんどの大手の企業は使っているわけですけれどもこれを利用してはどうかということを提案したいと思います。
 信用情報を定期的に提供してくれますし、また、その倒産の可能性の予兆などをかなり早い段階でキャッチしているんです。問い合わせをしてみましたら、コストも、この交通広告の指定代理店十二社程度ということですから、いろいろなオプションをつけても年間百万にもなりません。
 私もサラリーマンをしておったんですけれども、会社員時代、取引先の状況を結構細かく、このサービスを利用してチェックしていたということをよく覚えております。ほとんどの会社や企業が、そういったことをやっているんです。ですから、東京都も、まだこういった信用情報のサービスの提供を受けていないということですから、ぜひ、このようなリサーチ会社と契約するということ、これを検討していただきたいというふうに思いますが、ご見解を伺いたいと思います。

○廣瀬資産運用部長 交通局では、広告代理店を指定するに当たりまして、三年間の広告代理店経験や交通広告の取扱実績を有すること、最低資本金額や前年度に経常利益を計上していることなどの審査を行っております。
 また、保証金のほか、定期的に指定代理店とヒアリングを行い、経営状況の把握をするなど、企業としての信用力の確認を行ってまいりました。
 しかしながら、一方、長引く景気低迷によりまして、現在、広告業界が厳しい経営状況に置かれていることは認識しておりまして、状況に応じて今後とも適切に対応してまいります。

○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。
 その指定代理店を決めるときに、しっかりと審査をするということ、これはもちろん大事なことで、これはもう今やられているということなんです。ただ、その後どのようにして、その経営状況を把握しているのかというと、定期的にヒアリングをしておるということなんですが、なかなかこれはつかめないんですね。普通の取引をしながらの情報では、倒産するかどうか、その経営状況がどれだけ悪化しているのかというのは、なかなかつかめないというふうに思います。あるとき突然倒産をするということなんです。ですから、このようなプロフェッショナルの力をしっかりと借りていくということ、これを検討していただきたいと思います。
 この交通局の広告事業は約四十億ということで、これは非常に大きな収入だというふうに思います。これをしっかり確保していかなければいけません。広告代理店の経営状況は、その一方で、かなり厳しくなっている。ぜひ、適切なリスク管理をしていただきたいということ、これを要望いたしまして私の質問を終わります。

○きたしろ委員 本日は、交通局の事務事業質疑ということで、何点かお伺いをいたしたいと思います。
 これから約一年間、この委員会で交通局の事業運営について質疑をしていく上で一番重要なポイントは、私は安全の確保であると考えております。地下鉄、バス、荒川線、日暮里・舎人ライナーを合わせ一日三百万人の利用者がいる都営交通に、まず求められるのは安全の確保であります。交通局は、この点に真摯に取り組んだ上で、さまざまな事業展開を行うべきであると、最初に、いっておきたいと思います。
 私は、公営企業委員会に所属したのは今回が初めてでありますけれども、これまでも、本会議や予算特別委員会、決算特別委員会等で、都営地下鉄の安全対策について何度か質問をしてまいりました。これは、今も申し上げたように、交通局にとって最も重要なことは安全の確保であると考えての上です。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まずは、ホームさくについてお伺いをいたします。
 ホームさくについては、ホームからの転落や、また投身自殺を防ぐ最善の対策として、最近注目を浴びている。都営地下鉄では、既に平成十二年に三田線にホームさくを設置しておりますけれども、都議会自民党では、三田線以外の都営地下鉄においてもホームさくを設置すべきだと主張してまいりました。平成十九年の第三回都議会定例会の代表質問において、我が党の当時の幹事長であった吉野議員が、その点について交通局の見解を問いただした際には、大江戸線へのホームさく設置を決定し、準備を進めているとの答弁をいただいております。
 私も、地元の港区を走っていることもあって、大江戸線へのホームさく設置については注目してまいりました。昨年十月の公営企業決算特別委員会第一分科会においても、準備状況と見通しをお伺いいたしました。担当部長から、平成二十三年度から順次ホームさくを稼働させ、平成二十五年度までには全駅への設置を完了させるとの答弁をいただきました。その後、工事は順調に進んでいるようであり、私の地元の各駅でも、ホームさくを固定するための金具の取りつけ工事が行われていると聞いております。このまま順調に進めば、間もなくホームさく本体の設置工事が始まるものと思われますが、安全第一の都営地下鉄にとって、工事期間中の安全確保は非常に重要なことであると考えております。
 そこで、お伺いをいたします。工事期間中の安全について、どのように確保するのかご教示をいただきたいと思います。

○石井技術調整担当部長 本年十二月に、清澄白河駅に最初のホームさくを設置いたしまして、その後、他の駅につきましても順次工事を進めていく予定でございますが、ホームさくの搬入や据えつけ工場は、お客様の安全に配慮し、終車後から始発までの夜間に限定して行ってまいります。
 また、お客様の乗りおりに支障を来さないよう、始発前までにホーム上の機材の片づけや段差の解消などを確実に行ってまいります。
 さらに、工事期間中はホームさくのドアが開いたままの状態となりますため、営業時間帯は、ホームに監視員を適切に配置し、開口部付近での誘導や安全確認を強化することによりまして、お客様の安全確保に万全を期してまいります。

○きたしろ委員 都営地下鉄の安全を向上させるための工事でありますので、その工事期間中に事故やトラブルのないよう、万全を期していただきたいというふうに思います。
 もう一点、ホームさくが設置され問題なく稼働すれば、ホームの安全性が飛躍的に向上することは、三田線の例を見るまでもなく明らかであります。しかし、三田線のホームさくも設置当初は、いろいろなトラブルがあり、駅係員も対応に苦労したと聞いております。大江戸線のホームさくについても、同様の事態が起こることも考えられるので、間違ってもホームさくが原因で事故が起こることがないよう、万全の準備が必要であると思います。
 そこで、ホームさく設置に伴い、職員に対して安全確保のための訓練を行うと聞いておりますが、具体的な内容について明らかにしていただきたいと思います。

○室星電車部長 乗務員及び駅係員に対する安全確保の訓練でございますが、最初に設置されます清澄白河駅のホームさくを使用して実施する予定でございます。
 具体的に申しますと、これらの職員には、ホームさくの取り扱いを習熟させるとともに、乗務員は、出発時に新たに行うこととなります出発表示機や車内信号機の確認作業の訓練を行います。また、駅係員は、ホームさくが正常に動作しないなどの故障時に、ホーム上の操作盤を使いホームさくを開閉するなど的確な対応ができるよう訓練を行います。

○きたしろ委員 設置したホームさくがより効果を発揮するように、安全教育をしっかりと行ってほしいと思います。
 ホームさくの設置は、地元でも待ち焦がれているわけですが、今後も私はこの事業について注意深く見守っていくつもりです。一日も早く全駅に設置できるよう改めて強く要望しておきたいと思います。
 さて、大江戸線への設置のめどがついたとなると、残るは新宿線と浅草線であります。私はこの点について、本年三月の予算特別委員会の場で、交通局長に所見をお伺いいたしました。その際、大江戸線と違い、相互直通運転を行っている新宿線と浅草線は課題が多い、との答弁でありました。この半年間で課題が一気に解決するような状況にはなっていないことは十分に承知しておりますが、今後この取り組みを進めていく上では、課題を的確に把握することが不可欠であると思います。そこで、改めて、新宿線、浅草線にホームさくを設置するに当たっての課題は何なのか、わかりやすく説明をしていただきたいと思います。

○小泉企画担当部長 新宿線及び浅草線は、他の鉄道会社と相互直通運転を実施しておりまして、新宿線では、京王電鉄の車両二十編成が、また、浅草線では、京成電鉄や京急電鉄など四社の車両二百七編成が乗り入れています。
 新宿線及び浅草線のホームさくの設置に向けた課題につきましては、まず、技術面の大きな課題として二点ございます。
 第一に、ホームさくの構造を、車両によって異なるドア位置に対応できるようにするため、設置位置や開口幅などを調整する必要があり、同時に、ホームの強度や設置後のスペースを確保するための対策も必要になります。
 第二に、列車をホームさくの開口幅に合わせて停止させ、車両のドアとホームさくの開閉のタイミングを合わせるため、乗り入れ各社の車両も含め、定位置停止装置の設置などを行う必要があります。
 さらに輸送面の課題として、ホームさくの開閉により、各駅での停車時間が延びることへの対応も必要となります。これらの技術面、予算面の課題は、都営地下鉄に乗り入れる各社と協議の上で解決していく必要があり、各社とも相談しながら整備に向けた検討を進めていきたいと考えています。

○きたしろ委員 課題については、改めて確認ができたところです。しかしながら、多くの会社と相互乗り入れを行っている浅草線はともかく、新宿線は京王電鉄一社であります。車両の規格の違い等課題はあるのは理解できますけれども、新宿線への設置は実現性が高いのではないか。今後ホームさくの設置を拡大していくための第一歩として、新宿線へのホームさくの設置に向けた検討をぜひ強くお願いをしておきたいと思います。
 次に、日暮里・舎人ライナーについてお伺いをいたします。
 日暮里・舎人ライナーは、我が会派の長年の努力によって、平成二十年三月に開業したところです。これにより、荒川、北、足立といった区部北東部の交通利便性が飛躍的に向上したところです。乗客数も平成二十一年度で五万五千人と、当初の計画どおりに伸びており、順調といえると思いますけれども、開業後二年半が経過し、新たに見えてきた課題もあると思います。きょうは、これまで、我が会派が質疑の中で投げかけてきた課題とその後の対応について何点か確認をしていきたいと思います。
 まず、日暮里・舎人ライナーの混雑対策である。日暮里・舎人ライナーは、朝のラッシュ時の混雑が激しいという地元の声を聞いております。さきの決算特別委員会第一分科会における我が会派からの質疑に対して、現在、二編成を増備することを準備しているとの答弁がありました。また、これまでの公営企業委員会の議事録を見ると、開業時から運行している車両については、混雑緩和を図り、車内の快適性を高めるため、座席の配置を改善するなどの改修を行うという答弁がありました。そこで、既存の車両についてどのような改修を行っているのか、その内容と進捗状況、今後の見通しについてお伺いをいたします。

○広川車両電気部長 日暮里・舎人ライナーは、平成二十年三月の開業以降、乗客数は順調にふえてきており、朝のラッシュ時には、車両の出入り口付近の混雑が目立ってきております。このため、平成二十一年度より、座席間の通路幅を広げ、お客様が車内の中ほどに入りやすくなるよう、座席配置の一部をロングシートに変更する改修や、手すりの増設などを行い、混雑の緩和を図ってきております。
 なお、当初の改修計画を前倒しいたしまして実施した結果、本年十月末現在では、全十四編成のうち十編成が新しい座席配置となっております。来年五月までには、残り四編成の改修も完了する予定でございます。

○きたしろ委員 朝のラッシュというのは、やっぱりサラリーマンや通学をされる方にとっては大変な苦痛であると思います。車内の快適性の向上に向け、ぜひよろしく実現方をお願いしておきたいと思います。
 次に、日暮里・舎人ライナーのバリアフリー対策についてお伺いをいたします。
 さきの第一回定例会予算審議の公営企業委員会の場で、我が会派の桜井委員が、車いすでの利用やベビーカーを車両に乗せる際に、ホームと電車との間にすき間があって乗りおりしづらい、こうした声を踏まえて、車いすなどの乗降をスムーズにするための改善措置を早急に講ずるべきだという質問をさせていただきました。それに対し、交通局からは、改善についての前向きな答弁がありましたけれども、そこでお伺いいたします。車いすの乗降をスムーズにするため、どのような改善を行ったのか教えていただきたいと思います。

○廣木建設工務部長 日暮里・舎人ライナーでは、開業当初から、ホームドアやエレベーターを設置するなど、だれもが便利で安全に利用できる施設の整備に努めてまいりました。車いす利用者などの乗降をよりスムーズにとのご要望をいただき、すべての駅で測定と調査を実施いたしました。その結果から、三両目の車いす対応の乗降口ホームに硬質ゴム製のステップを設置し、ホームと車両とのすき間及び段差について可能な限り改善を図ることといたしました。
 平成二十二年度に入りまして、直ちに工事の準備に入り、九月末には全十三駅、五十六カ所で工事が完了し、すき間は約六センチ、段差は約一センチまで狭めることができました。ご利用されているお客様からは、乗降が大変スムーズで快適でしたという声が寄せられており、今後とも一層安全で利用しやすい施設づくりを目指してまいります。

○きたしろ委員 既に、全駅での対応を完了したとの答弁でありました。都民からの声を謙虚に受けとめ、地道に改善していくことがお客様サービスの基本だと思います。また、こうした取り組みが安全の確保にもつながっていくと思います。今回のような姿勢を常に持ち続けていただきたいと思います。
 三番目として、日暮里・舎人ライナーの雪害対策についてお伺いをいたします。
 ことしの二月、ライナーは二度、降雪により朝の時間帯に不通となりました。開業した一年目は積もるほどの雪が降らず、ことしが初めての積雪の経験であったということで、やむを得ない点もあったと思いますけれども、大勢の利用者に迷惑をかけたことは事実であります。こうした教訓を生かすことが大切であると考えますけれども、日暮里・舎人ライナーの雪害対策として、今後どのような対策を講じるのか、お伺いをいたします。

○波多野安全管理担当部長 日暮里・舎人ライナーでは、勾配が大きい走行路面に凍結を防止するロードヒーターを設置したり、十四編成中七編成の車両に除雪用ブラシを装着するなどの雪害対策を講じてきました。しかしながら、本年二月二日、二月十八日の両日、いずれも降雪により車輪がスリップしたため、朝のラッシュ時間帯にそれぞれ約一時間運休し、お客様に大変ご迷惑をおかけしました。
 この輸送障害を受けて、ハード、ソフトの両面から再発防止対策を講じることといたしました。ハード面の対策としては、降雪時に迅速に対応できるように、年内に全編成に除雪用ブラシを設置します。ソフト面の対策としては、新たに、沿線地域の詳細な気象情報を入手することにより、融雪剤の散布や除雪用ブラシの使用時期の判断を的確に行っていきます。
 また、お客様への情報提供につきましても、新たに各駅に設置した列車運行情報表示装置を活用して、よりきめ細かな運行情報を提供いたします。今後、輸送障害を発生させないよう、日暮里・舎人ライナーの安全・安定輸送の確保に努めてまいります。

○きたしろ委員 対策についてはよくわかりました。自然が相手となると、やはり完璧な対策というのは難しいかもしれません。それでも利用者から頼りにされる日暮里・舎人ライナーとするため、そしてまた安全・安心な舎人ライナーとするために、全力で頑張っていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
 さて最後に、職員の安全教育等について何点かお伺いをいたしたいと思います。
 今確認させてもらったホームさくの設置や、日暮里・舎人ライナーの施設改善といった取り組みはぜひ確実に進めてもらいたいと思います。こういった取り組みを生かし、安全をより高めていく責務は職員一人一人にあります。その点からしても、職員に対する安全教育は非常に重要な要素だと考えるところです。
 交通局の経営計画ステップアップ二〇一〇にも、職員の安全教育についていろいろと書かれておりますけれども、安全を確保する上で、教育訓練の充実による人材育成が不可欠だと思います。また、教育訓練に当たっては、単に知識を教えるだけでは不十分であり、常に安全を強く意識する心構えと、いざというときに実際に行動できる能力を養っていくことが必要であると考えます。
 そこで職員の安全教育についてどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○宮川職員部長 安全は、交通事業の根幹をなすもので、交通局では、従来から、安全教育に力を注いでおり、研修所で実施する局研修と各職場で実施するOJTを二本の柱として実施してきております。
 局研修におきましては、従来から、各職層、職種別の研修の中で、職員の経験や職責に応じ、きめ細かい安全教育を実施していますが、講義形式の研修に加え、より実践的な研修の拡充を図ってきております。
 具体的には、過去の事故事例を紹介し、安全意識を高める事故から学ぶ展示室を、平成十九年度に設置したほか、平成二十年度には、地下鉄におけるさまざまなトラブルに対処する訓練を行う地下鉄運転シミュレーターを導入するとともに、バス部門では、運転手の運転特性を客観的に把握できる運転訓練車を導入するなど、実践的研修のレベルアップを図ってきております。
 OJTにつきましては、平成二十年十一月に定めましたOJT取り組み方針に基づき、各職場で実態に即した安全教育を、計画的、継続的に実施してきているところでございます。

○きたしろ委員 さまざまな安全教育を行っていることは理解できました。もちろんこういった教育も必要ではありますけれども、加えて日常の訓練も不可欠だと思います。特に現場での実践に即した訓練は重要だと考えておりますが、都営地下鉄の運輸関係職員の現場での訓練の状況についてお伺いをいたします。

○室星電車部長 現場での運輸関係職員の訓練でございますが、これにつきましては、法令等により義務づけられておりまして、交通局では、地下高速電車運輸係員教育訓練実施要領を定め、緊急時に対応する訓練を、担当職務に応じてきめ細かく実施しております。
 具体的に申しますと、乗務員と駅係員は、連携して、地震や列車火災などの非常時にお客様を安全な場所に避難、誘導する訓練を、また、運輸指令員は、信号装置や運行管理装置などの故障時に、列車無線などで対処する訓練を行っております。今後とも、こうした訓練を計画的に実施し、運輸関係職員の非常時の対応能力の維持向上に努めてまいります。

○きたしろ委員 ぜひ実践的な訓練を重ねてもらいたいと思います。
 安全運行のためには、常に施設や車両を良好な状態に保つことが、それもまた重要であります。そのためには、団塊世代の大量退職が既に始まっている中で、この世代が持っている技術力を、着実かつ迅速に次の世代に伝えていかなければ、維持管理の水準を保つことができないと考えますけれども、技術の継承についてどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○宮川職員部長 技術の継承につきましては、業務の中で行われるOJTを中心に、局研修などさまざまな場面で取り組んでいるところでございます。各職場におきましては、経験豊富なベテラン選手を班長とする班単位での日常作業を通じて技術の継承を行っており、特に新規採用職員につきましては、平成二十年十一月に制定いたしました新任運輸職員育成要領に基づきまして、個別に指導担当者を定めて、育成計画書を作成し、OJTの成果を確認しながら、必要な基礎的技術が確実に継承されるようにしているところでございます。
 また、各部や各職場で技術研究会等を開催いたしまして、仕事の成果の発表や、これについての質疑などを通じて、先輩職員の知識や知恵を吸収する機会、こういったものを設けてきております。さらに、局研修の中では、職層、職種に応じた技術研修に加えまして、先輩職員の経験が的確に継承されるよう、それを支援する見地から、指導的立場の職員に対し、コーチング技法の研修を行っているところでございます。

○きたしろ委員 きょうは都営交通の安全対策を中心に何点か質問をさせてもらいました。冒頭にも述べましたけれども、都営交通にまず求められるのは、安全の確保であります。その点を踏まえ、最後に、都営交通の安全確保に関する局長の決意を伺い、私の質問を終わりたいと思います。

○金子交通局長 交通事業者にとって、お客様の安全・安心を確保することは、最大の使命であると認識をしております。交通局は、これまでも厳しい経営環境の中、安全輸送基盤の整備に取り組んでまいりました。ただいまの質疑で答弁させていただきましたホームさくの設置、日暮里・舎人ライナーの車両の改修や雪害対策等を含め、引き続き安全の確保を最優先に、必要な施策を着実に進めてまいります。
 また、都営交通の安全を支えるのは職員一人一人でございます。実践的な教育訓練を通じて、強い使命感を持って仕事に取り組むプロフェッショナル職員の育成に努めてまいります。
 今後とも、経営計画ステップアップ二〇一〇に掲げた安全対策を、ハード、ソフト両面から積極的に推進し、お客様に信頼され、支持される都営交通を目指してまいります。

○きたしろ委員 今、局長答弁の中に使命感という言葉がありました。まさに安全を守るためには職員一人一人がその使命感を持って、志を持って、都民、乗客のために働くんだという気持ちが大切だと思います。そういった意味で、その使命感、志を、これからも、職員一人一人に行き渡らせるように努力をしていっていただきたいと思います。よろしくお願いをします。

○長橋委員 私からは、まず、都電荒川線についてお話を伺っていきたいと思います。
 私は、地元でございますので、たびたび利用させていただいております。都電荒川線は、唯一の路面電車でありますので、また通っている区も、新宿、豊島、北区、荒川と四区でありますので、この中には、利用されていない方もいらっしゃると思いますけれども、知らない人はいないわけでありまして、交通局で一番古い交通機関がこの都電であるわけであります。そこで、都電の利便性の向上に向けて、何点かまず伺ってまいりたいと思います。
 この交通局の経営計画ステップアップ二〇一〇に、都電荒川線について、魅力の向上と沿線地域の活性化、これが掲げられているわけであります。地元にとって非常に身近に走っている路面電車でありますので、これを大いに活用していこう、また、都電とともに地域の活性化を図っていこうと、こういう取り組みがされているわけでありますけれども、ここ最近、私のところによく届く声が、もう少し終電車の時間を遅くできないだろうか、こういう声が聞こえてまいりました。お伺いをすると、昨年度の乗車人員、一日平均で五万一千人であります。その前の年に比べると二・二%減少しているということでありますから、やはり新しい取り組み、新しい魅力を発信していくことが、都電も必要だろうと、このように思うわけでありまして、その一つに、新しい魅力の一つには利便性の向上、特に私は、乗りかえの利便性というのは重要だろうなと思うわけであります。
 交通局のホームページを見ますと、路面電車、都電荒川線は三十駅あるわけでありますけれども、そのうち、乗りかえができますよと、ここに表記してあるのが八駅あるわけでありまして、およそ三分の一が、JRであるとか、また地下鉄等に乗りかえが可能なところがあるわけであります。
 特に私の地元では、大塚駅がございます。JRとの乗りかえのために、通勤通学等で利用されている方も非常に多いわけでありますけれども、その中で、都電荒川、大塚駅前ですかね、終電車は夜の十時台であるわけでありまして、最近はJRも、また地下鉄も、終電車をさらに引き延ばしているということがありますけれども、こうした結節を考える、乗りかえを考えると、ぜひこの終電の時間を、そんなJRに倣って遅くまでとはいわないです。もちろん都電は、沿線の住民の方々の騒音の問題もありますから、そういうことも配慮しなきゃいけないのですけれども、もう少し遅くしてもらったらどうか、こんな声がありまして、私の地元の議会でも話題になったと、このように聞いております。そこで、終電の時間、もう少し遅くできないのでしょうか。ご答弁お願いします。

○室星電車部長 荒川線の終電時間の延長でございますけれども、これにつきまして、終電後に行わなければならない工事、保守の作業時間を確保することがまずございます。それから、踏切警報音など、電車運行に伴いまして発生する騒音対策というものもございます。運転本数増や、あるいは入庫が遅くなる場合には、乗務員や車両係員を増員をしていく、こんな問題もございます。私どもとしては、解決すべき課題が多いということをまず認識をしているところでございます。
 また、お客様の動向というものも重要でございまして、今月に実施されます国土交通省によります公共交通機関の利用実態調査、この結果なども参考にする必要があろうかと存じます。
 今お話のございました終電時間の延長を実現するということは、ただいま申し上げたように大変難しい点が数多くございます。この点につきましては、重要な課題と受けとめさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

○長橋委員 部長は、困難な課題を並べられたわけでありますけれども、もちろん、そのとおりであろうかと思いますけれども、国土交通省が利用実態調査を今月やるということでありますので、利便性の向上の一つとして、課題として受けとめていただきましたので、ぜひ検討をしていただきたい、心からお願いをする次第でございます。ぜひ受けとめていただいてよろしくお願いをいたします。
 次に、余りそういう無理な、課題のあることだけではなくて、もう一つ地元で話題になっていることがございます。それは、先ほどのステップアップ二〇一〇でも、沿線地域の活性化、これも都電荒川線の大きな課題として掲げているわけでありますけれども、今お話をいたしました大塚駅周辺でこのような取り組みがあります。
 都電の大塚駅前と向原間はですね、これは大塚から向原までは坂の途中なので、坂になっているのです。私もよくそこへ行くんですけれども、以前は、都電の沿線沿いは不法投棄が多かったんです。自転車が投げ込まれていたりするぐらい、都電の沿線は荒れていたのですけれども、地元の方が中心となって立ち上がって、南大塚都電沿線協議会、こういうのを結成をいたしまして、要は、車道沿線沿いの約五百メートルにわたってバラを植えたんですね。これは秋ですから、今非常に見ごろなんで、私もたまに行くと、歩かさせてもらいますけれども、以前と大きくさま変わりしました。
 ことしJRの大塚駅が南北自由通路というのですね、大きな事業が終わりまして、大塚としては非常に期待をしている。これから大塚駅を、周辺を活性化していこうと大きな期待がある中で、この方々の取り組みは非常に地元では評価されておりまして、みんなボランティアで、有志で、バラの苗を買ってきて、植えて、見事に咲いているわけでありまして、それが、ことし、全国花のまちづくりコンクールで優秀賞に輝いた。表彰を受けたのですね。これは本当に、大塚の活性化に大変寄与している、このように評価されているわけであります。昨日の新聞には、同じような取り組みが、もっと前から荒川でもやられていたと、こういうお話がありまして、これもぜひ紹介しないといけないと思います。荒川バラの会、こういうのがございまして、同じバラを活用して、三ノ輪橋駅から荒川車庫前の区間を、本当にバラで彩っている。これも大変すばらしい取り組みでありまして、これもことしの緑の都市賞の会長賞を受賞した、こういうことで、こうした取り組みが盛り上がってきている中で、交通経営計画ステップアップ二〇一〇の新規として、沿線地域の活性化、このようにうたっているわけでありまして、まさにこうした地元のボランティア団体ですね、見るのは簡単ですけれども、咲かせるのは大変なご苦労があるわけでありまして、こうしたボランティア団体に、交通局としても、地域の貢献、また公共交通機関として、こうした方々にも、ぜひとも支援をしていただきたいと思うんですがいかがでしょうか。

○室星電車部長 美しい都電沿線のバラは、都電の魅力を高めるための重要な資源でございまして、地元のボランティアの皆様には大変感謝をしております。
 交通局では、バラの世話をしていただいている団体も含めて、さまざまな取り組みで都電を、地元で応援していただいている皆様を、いわば都電サポーターと位置づけまして、活動が継続してできるよう支援していきたいと考えております。今年度は、こうした団体の取り組みをより多くの皆様に知っていただくため、車内広告やホームページなどで紹介していく予定でございます

○長橋委員 都電サポーターと位置づけてスタートすると。もう都電とバラは切っても切れない仲になるんじゃなかろうかと思うわけであります。今、都電サポーターと話しましたが、初めてやるのですか、ちょっと聞いていなかった。都電サポーター初めてやるのかどうか、それだけご答弁をお願いします。

○室星電車部長 都電荒川線でございますが、都電荒川線は、今お話がございましたバラの会、あるいは南大塚都電沿線協議会の皆さん、いろんな方々に支援をしていただいております。
 清掃をしてくださっている方もいらっしゃいます。そういった方々を、ぜひ都電を支えてくれているサポーターとして位置づけて、これは押しつけではなく、継続してそういった活動ができるようにしていきたいということで、ことしからスタートさせていきたいと、そんなふうに考えているところでございます。

○長橋委員 ことしからスタートするということでありまして、やはりこうしたボランティアの方々は、最初は盛り上がっていくわけですけれども、それを継続していくとなると、さらに大きな力が必要になるわけでありまして、サポーターという名称でありますけれども、都電を支えるというよりは、都電が地域の活性化に寄与していこうと、こういう思いで、こうしたボランティア団体の方々とも、また、そのためには、地元四区ともよく連携をとっていただいて、きちっと評価をしていただきたいと思うわけであります。いずれにいたしましても、こうした取り組みが、地域の活性化、また元気になる大きな取り組みでありますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 そこで、バラの話になりましたけれども、バラといいますと、今回、東京都は新たに新色のバイオレットの都電が出ると、こういうホームページでありますけれども、新たにバイオレットの八八〇〇型車両が運行されると。ローズレッドと並んで二色になったんですかね。それが、今後はカラーバリエーションもふやすということでありますので、だんだんとバラに近づいてくるのかなと、こう思うわけであります。こうした新車両、取り組むに当たっては、それに対するPRも必要でありましょうし、それに合わせて、具体的な、地域の活性化も含めた、イベントも含めた取り組みが必要であろうかと思いますけれども、どのような取り組みがされるのかお伺いいたします。

○室星電車部長 都電荒川線の最新車両であります八八〇〇型につきましては、現在運行しておりますローズレッド、バイオレットに加え、十二月二十五日には、新たにオレンジ二両、イエロー一両が運行を開始し、合わせて十両となります。
 当日十二月二十五日は、荒川線沿線のバラの花にちなんだ四色のカラーがそろうことを記念いたしまして、お披露目式を行うとともに、現在募集しております都電マスコットキャラクターの最優秀賞を発表するなど、都電の魅力をさらに発信できるようPRに努めてまいります。

○長橋委員 新たに、この年末、十二月二十五日にオレンジとイエローの車両も運行して、四色になるということで、それに合わせたイベントもやるということでございます。私も機会がありましたら、地元でございますので、四色同時に見れればなと、このように思うわけでありますけれども、交通局は、今、都営地下鉄を初め、都バスもありますし、また日暮里・舎人ライナー、これもございますけれども、歴史的な観点からいえば、この路面電車が原点でありますので、ぜひこうした企画をしっかり大事にやっていただければなと思うわけでございます。
 都電に関しては、以上で質問を終わりたいと思いますが、次に、東京交通サービス株式会社、今年度から監理団体になったということであります。我が党も、今、監理団体、報告団体含めたプロジェクトチームをつくって検討しているところでありますけれども、この東京交通サービス株式会社についてお伺いをしたいと思います。
 冒頭申し上げたとおり、荒川線も近年は利用者が減少する、こうした傾向があるわけであります。これは決して交通局だけの努力の問題ではなくて、社会状況の変化、少子高齢化も影響しているのではなかろうかと、このように思うわけでありますけれども、やはりこの収支の改善を図っていくためには、間断なき努力が必要だろうと、このように思うわけでありまして、その中において、先ほど安心・安全と、この観点ももちろん重要でありますけれども、そうした点も含めて、線路の点検業務、または車両の検査、また修理業務、こうしたものを外部委託を進めているということでございます。
 このステップアップ二〇一〇においても、関連団体をさらに活用していきたいということで、特に明確にステップアップ二〇一〇には、東京交通サービスの監理団体化に伴って、鉄軌道事業の保守部門における準コア業務の担い手として位置づけていくということでございます。そして、監理団体としての透明性を高めていくということでありますけれども、業務の外部委託ということは、大変効率化には大きな貢献をすると思うわけであります。
 交通局は、まずはお客様を運ぶという業務が最大の業務であります。そのために安心・安全が必要でありますし、さまざまな保守業務というのは必要なのでありますけれども、それぞれすべての業務を担っていくのであれば、今の行政改革の流れからは反するわけであります。そうしたことでは、適切な外部委託というのは必要であろうかと思うわけであります。
 また、いざ事故などが起これば、都民生活や首都東京の経済活動に大変な大きな影響があることが考えられますから、交通局で直営で実施している場合と比べてみても、遜色なく、命を守るわけでありますから、その業務の質というものが求められているわけであります。
 交通経営計画ステップアップ二〇一〇には、この東京交通サービス株式会社を準コアとして、さらにそこから民間団体と連携をして、こうした質を高めていくということでありますけれども、もう一度改めて、東京交通サービス株式会社、その存在意義、またその役割、そういったものについてご答弁をお願いします。

○中村総務部長 東京交通サービス株式会社は、交通局が一〇〇%出資する会社でございまして、専門的な技術やノウハウを持ち、都営地下鉄を初めとする都営交通の車両や施設整備の保守業務などを請け負っております。
 都営地下鉄や都電などの保守業務等におきましては、鉄道事業における深い知識や経験、ノウハウ、機械設備についての高い技術力などが求められております。主な鉄道事業者では、信頼できる子会社に保守業務等の一部を委託することによりまして、安全確保と技術力の維持及び経営の効率化の両立を図っているところでございます。
 交通局におきましても、同様の観点から、平成六年以来、順次、東京交通サービスへの委託を拡大してきたところであり、本年四月には同社を東京都の監理団体といたしました。
 これは、局との一体的な事業運営体制及び安全管理体制のもと、局の責任で行う保守点検等の業務を分担することによりまして、安全・安心の確保と技術力の維持及び経営効率化の両立に寄与する団体と位置づけ、監理団体としたものでございます。今後とも、積極的に同社の活用を図ってまいります。

○長橋委員 今、総務部長から答弁をいただきました。積極的に活用を図っていくということでありますから、もちろん、今のご答弁のあるとおり、専門的な技術、ノウハウを持っているからこそ、さらなる活用拡大を図っていくということであろうかと思います。
 ですが、東京交通サービス株式会社、これは局にかわって、ある面では裏方のような仕事でもありますし、また保守業務というようなことで、交通局の安心・安全、これを支援し、補完をしていく、極めて重要な重い任務を帯びている会社であるということであります。
 そういう意味では、都営交通の安全を確保する上で一つのかぎとなる会社になるというわけでありまして、先ほど局長から使命感、こういう話がありましたけれども、東京交通サービスの社員の皆さん方にも、交通局と同じ使命感に立って、緊張感に立って、安全の確保に全力を挙げていただきたい、私からお願いをしておきたいと思います。
 次に、土地の利活用についても、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
 ステップアップ二〇一〇には、たびたびいっておりますけれども、経営力を強化するための取り組みとして、関連事業の推進が取り上げられております。
 我が党も、この乗車料収入の伸びが期待できない中、先ほど質疑ありましたけれども、広告事業など積極的に推進して安定した収入を得るべきだと、こういうことは再三指摘してきたところでありますが、その一方で、交通局は公営企業でありますから、そうした公営企業という面も忘れてはならない、このように思うわけであります。
 特に、私が思い出しますのは、我が党が提案しまして実現をいたしました障害者の店舗、都営地下鉄の中に障害者の店を出していただきました。今、四店舗ぐらいになっているんですかね。一店舗目のときには、障害者の方々が生き生きとパンをお客様に売っている姿を見まして、私も買わせていただきました。そうした取り組みというのは、わずか小さな店舗でありますけれども、都営交通だからこそできたのかなと、こんなふうに思っておるわけでありまして、感謝を申し上げる次第でありますけれども、(「港区大門もできている」と呼ぶ者あり)あ、港区大門もですね。
 ただ、そうした取り組みだけではなくて、そうした意味でいいますと、交通局が取り組む課題というのはたくさんあると思いますし、公営企業として地域貢献ということも考えれば、やることはたくさんあろうかと思います。
 その観点から、土地の利活用、これも同様であろうかと思います。遊休地を活用して収益を拡大するのは当然でありますけれども、交通局は不動産屋さんじゃないわけでありますから、活用に当たっても、地元の発展、また公共の福祉の増進、こうした観点を忘れてはならないと、こういうふうに思うわけであります。
 都営三田線の千石駅の前に、千石会館という交通局の会館がありましたけれども、去年、それが老朽化に伴って、新たに整備をするということがあったときに、それを公募するという話があった。そのときに、この千石駅周辺は放置自転車があふれて景観上も安全上も問題が多いと、こういう地域の声を受けて、このときには、文京区ですけれども、文京区の区議会、全会派、全会派じゃなかったですね。各会派そろって協力して、ぜひ区の駐輪場に活用してもらいたいということで、交通局にお願いに行ったところでありまして、そうした区や、また、我々も一緒に行かせていただきましたけれども、声を受けて、今、区の駐輪場用地となっているわけであります。こうした取り組みというのは、交通局として取り組んだことが大変地域に喜ばれている大きな一つの例であろうかと思います。
 この駐輪場の整備というのは、特に二十三区といいますか、また鉄道が多いところなんかは喫緊の課題でありまして、さまざまな駐輪場の整備を、私もこの都議会の中で、委員会等でやってきましたけれども、返ってくる答えは、大体が区市町村の役割だと。このように返ってくる場合が多いんですね。
 そういうので、豊島区、前から有名な池袋駅なんかは駐輪ワーストワンを数えてきたということがあって、駐輪税まで考えたような次第であるわけでありますけれども、そうした中で、都営交通はこうした取り組みをしてくれた。
 また、私の地元で、都バスの巣鴨営業所がございます。今、建てかえが進んでおります。建てかえ前も、地元の皆さんに駐輪場を整備をしていただきました。これも大きな商店街の中にある都バスの営業所でありますから、巣鴨を利用する方にとっては大変喜ばれている。だけども、近年の自転車利用の方が多くなっている中で、もっと広くならないだろうかと、こういう声もありまして、その建てかえに当たっても、たびたび、ぜひとも駐輪場は残してもらいたい、できるならばもっと広くしてもらいたい、こんなことも要望してきたつもりでございます。
 そこで、こうしたことも含めて、交通局にはさまざまな利活用できる土地が幾つかあるのではなかろうかと思いますけれども、そうした今まで利活用してきた事例についてぜひ紹介していただきたいと思いますし、今、巣鴨のバス営業所もございましたけれども、そうした今後の予定、これについてもあわせてご答弁をお願いします。

○廣瀬資産運用部長 交通局では、土地の利活用に当たりまして、交通事業における必要性を十分考慮した上で、地元区の理解を得ながら積極的に活用を図ってまいりました。
 地元区に協力した土地の利活用といたしましては、自転車駐輪場用地として四十一カ所で地元区に貸し付けを行っているほか、区営住宅建てかえに伴う仮移転住宅用地として貸し付けているなどの例がございます。
 具体化している今後の予定といたしましては、地元区の要望を受けまして、巣鴨自動車営業所の建てかえに伴い、現在、同営業所内に設置されている駐輪場の約二倍の面積の用地貸し付けを行うこととしているほか、三田駅出入り口わきを駐輪場用地として貸し付けることなどを予定しております。

○長橋委員 今、私の地元の巣鴨自動車営業所、駐輪場を倍にするというところでありますので、こうした取り組みについても、広く高く評価してまいりたいと思っております。
 まさに経済の発揮という部分と、それから公共の福祉、これはなかなか相入れないわけでありますけれども、両方の使命を持っていくことが大事だと思いますので、ぜひこれからも、こうした地元の貢献に対しては、引き続き積極的に取り組んでいただきたいことをお願いしたいと思います。
 そこで、もう一つは、私もたびたび申し上げておりますけれども、地元区の理解、または地元区に協力をする、こうした身近な問題は、まずは地元区にいろんな声が集まってきます。そうした意味では、地元自治体との連携、これが、都電もそうでありますけれども、交通局にとっては大きなキーワードになるかと思います。いい面もあれば、また苦情もあるかと思いますけれども、そうしたことについてきちっと地元区と連携をとっていく、これが大事であると思います。そこで、この都電沿線、先ほど申し上げた四区でありますけれども、自治体とさまざまな観点から連携をとっていると思います。どのような状況なのかお伺いいたします。

○室星電車部長 都電の魅力向上や活性化にとりまして、地元の自治体との連携は欠かせないものと認識しております。昨年度から、交通局が主体となって、荒川区、北区、豊島区及び新宿区との間で沿線四区連絡会を開催しております。連絡会では、各区との情報交換、都電サポーターについての意見交換、交通局百周年に向けての合同イベントの検討などを行ってまいりました。
 このような取り組みの中、荒川区、北区主催のウオークラリーを、交通局も共催し、都営地下鉄、都営バスなどの車内広告でPRを行ってまいりました。また、豊島区が作成している観光ガイドには、都電の写真を提供する一方、都電一日乗車券のPRをしていただいております。
 今後とも、連絡会を一つの軸としてさらに連携を深め、都電及び沿線地域の活性化を図ってまいります。

○長橋委員 沿線四区と連絡会を開催しているということでありまして、こうした意見交換の中から、地元区の区民の皆様、また商店街の皆様の声をしっかりと吸い上げていただいて、そうした声にもこたえていただきたい、このように思うわけでありまして、今ご答弁の中に、百周年に向けた合同イベントを検討していくと、こういうお話もございました。
 私、昨年の予算特別委員会で、交通局長に、そのときにはバスの復権と、こういう課題でバス事業について取り上げさせていただきましたけれども、そのときに、来年平成二十三年に創業百周年を迎える、イベントも実施をされると、このように聞いておりましたので、私はぜひ楽しみにしたいと、このように期待感を持ってお話をさせていただきました。
 交通局百周年ということは、明治四十四年に東京市電気局として開設をされた、このようにお伺いしました。そのときには、路面電車事業と−−いわゆる都電ですね、路面電車事業と電気供給事業、この二つで東京市電気局としてスタートした。その後、関東大震災がありました。そのときには、路面電車の代替として市営バスが走るようになったと、こういう歴史があるわけでありまして、関東大震災も乗り越えてきましたし、また第二次世界大戦、こうした戦禍も乗り越えての百年であったわけであります。大きな節目を迎えているのが交通局であろうかと思います。
 そうした厳しい時代を乗り越えて、今はまた景気が低迷する中で新たな経済的な苦しい危機にも直面をしているわけでありますけれども、現在でも一日三百万人が利用する都内有数の交通事業者であるわけであります。都民の足として、なくてはならないのが、この都営交通であるわけであります。
 この百周年の節目、この歴史を今ちょっとお話をさせていただきましたが、百周年が終わりではないわけでありまして、新たな時代へのスタート、これにしていかなければならないと思うわけでありまして、こうした大きな区切りに当たって、交通局長に、今後の百周年に向けた取り組み、そして百周年を迎えてさらなる次のステップに向けて、局長の決意をぜひ伺いたいと思います。

○金子交通局長 ただいまお話がありましたように、明治四十四年の八月一日、交通局の前身であります東京市電気局が発足し、路面電車事業と電気供給事業を開始してから、来年はいよいよ百周年という節目の年を迎えることになります。
 この記念事業としまして、これまで都営交通をご利用いただいたお客様への感謝を込めて、来年六月から八月にかけまして、江戸東京博物館で、都営交通百年の歴史を振り返る特別展を開催する予定でございます。また、百年の歩みを記録した年史を発行するほか、DVDによる映像で振り返る百年史などの制作も予定しております。
 明治から大正、昭和、平成と百年にわたる局の歩みは、決して平たんなものではなかったわけでございますが、この間、関東大震災、戦災を乗り越え、また戦後の混乱、復興期から高度成長期を経て、現在まで一貫して都民の足の確保に努めてまいりました。
 先人たちがさまざまな努力により築き上げてきたこの百年の歴史を踏まえ、今後も時代の変化を的確にとらえながら、公営交通としての役割をしっかりと果たし、東京の発展、都民生活の向上に貢献していきたいと考えております。

○長橋委員 局長、ありがとうございました。力強いご答弁をいただきましたし、また百周年のイベントの中身についても触れていただきました。ぜひ、これはお願いでございますけれども、百周年を記念するさまざまなイベントの一つに、私、昔、子どものときに見かけたことがございますけれども、都電の荒川線の花電車、これもぜひ運行してもらえるとうれしいなと、このように思うわけでございます。
 交通局いよいよ百年を迎えて、新たなスタートを切るわけでありますけれども、引き続き都民の足として発展していかなければならないわけでございます。今、聞かせていただきました局長の決意のもと、いよいよ局一丸となって、よりよい都営交通を目指していただきたい。強く要望いたしまして、質問を終わります。

○山内委員 幾つかご質問させていただきます。
 交通局では、不動産の有効活用として、土地等の貸し付けを行っています。そこで、中小規模用地の有効活用について質問をしていきたいと思います。
 土地の活用として、ビル、店舗、住宅等の用地として貸し付けをしておりますが、どのような取り組み、進め方をしているのかお伺いいたします。

○廣瀬資産運用部長 交通局では、土地の利活用に当たりまして、交通事業における必要性を十分考慮した上で、地元区の理解を得ながら、土地の性質形状や周辺地域の状況に応じ、さまざまな手法を用い活用を図ってまいりました。
 近年行いました手法といたしましては、売却のほか、定期借地権の設定、隣接地権者との共同開発などがございます。
 なお、本格的な活用が見込めない土地につきましては、駐車場などとして暫定活用を行っております。

○山内委員 福祉施設等、土地や建物を探している区市町村や団体等の要望に対しては、どのように対応しているのかお伺いいたします。

○廣瀬資産運用部長 区または区を通じて団体等の要望を受けた場合には、交通事業に支障がない範囲で貸し付けを行うこととしております。
 福祉施設の具体的な例といたしましては、地元区の要望を受け、旧交通局職員寮を路上生活者自立支援センターとして貸し付けているものがございます。

○山内委員 次に、地下鉄高架下の利用についてお伺いいたします。
 地下鉄の高架下の利用については、どのように取り組み、進め方をしているのかお伺いいたします。

○廣瀬資産運用部長 地下鉄の高架下といたしましては、三田線志村三丁目駅から西高島平駅間及び新宿線東大島駅から船堀駅間等がございます。
 高架下の利活用に当たりましては、利用方法が電車運転の保安上、その他当局の業務上支障を及ぼさないことなどを条件にいたしまして、貸し出し先を募集してまいりました。
 現在、店舗、駐車場などとして貸し付けを行っておりまして、局が工事等で使用している場所を除き、利用可能な高架下についてはすべて貸し付けを行っております。

○山内委員 福祉施設、自転車駐輪場等の土地を探している区市町村や団体等の要望に対しては、どのように対応しているのかお伺いをさせてください。

○廣瀬資産運用部長 地下鉄の高架下につきましては、公共団体が公用または公共用に供するため使用申し出が出た場合については、優先的に貸し付けを行っております。
 地元区から要望がございまして貸し付けているものといたしましては、新宿線、三田線の高架下の十三カ所で、自転車駐輪場用地として貸し付けを行っているほか、防災倉庫の設置場所としての貸し付けなどがございます。

○山内委員 事業の経営基盤の強化や質の高いサービスの提供のために資産の活用を展開し、長期的に安定した収入を確保するという方針というのが打ち出されております。しかし、交通局として、市場性や収益性を追求するだけではなく、資産価値として期待できない中小規模の土地等の活用については、都有地として地域のまちづくりに寄与することも重要な役割と考えております。一時的な利活用にせよ、自治体や住民との協議を図り、地域の要望に即した活用を進めるとともに、情報をもっと公開して、福祉や環境など公共的な課題に積極的に活用していくように要望いたします。
 次に、お客様本位のサービスについてお伺いをいたします。
 都営交通のサービス向上のために、局ホームページや電話、手紙などで声を聴取したり、モニター調査を実施、また障害者団体からもバリアフリーにかかわる要望を聴取していると聞いております。
 しかし、障害者やベビーカーの利用者からは、点字シールが触りにくい位置に張られているとか、エレベーター内の案内表示がわかりにくいなど、私のもとには、今なおいろいろな不便な点があるとの声が寄せられております。
 交通局がみずから積極的に、障害者団体や子育てをしている利用者の意見を実際に聞き、それを取り入れた事例があるかお伺いいたします。

○室星電車部長 交通局では、障害者団体との定期的な意見交換を行い、サービスの改善に努めております。
 今年度の具体的な事例といたしまして、駅のホームの階段に設置しております誘導チャイムにつきまして、視覚障害者の団体の方に駅で直接要望を伺い、視覚障害者が利用しやすいよう、音の感覚を調整しております。
 また、子育てをしているお客様とは、昨年、首都圏の鉄道事業者が共同で実施いたしました鉄道でのベビーカー利用に関するキャンペーンの中で意見交換を行い、ベビーカーのベルトやストッパーの重要性など、安心して出かける上でのご意見をいただき、リーフレットやポスターに取り入れさせていただいたところでございます。

○山内委員 ステップアップ二〇一〇の経営方針の中で、多様化、高度化するニーズを的確に把握し、真にお客様本位のサービスの創造に取り組む、また、お客様に心から喜んでいただけるサービスを提供し、快適で利用しやすい都営交通を目指すとなっています。
 お客様本位のサービスの実現には、何よりも利用者の声を把握することが重要です。そのためには、要望を待つという受け身の待ちの姿勢だけではなく、当事者の意見や要望を聞き取りに出向き、当事者とともに行動をするなど、実態を知ることが不可欠だと思います。生活者ネットワークでは、以前に、障害者と一緒に実際にバリアウオッチングをし、都営地下鉄の乗り入れ口と練馬区の施設のアクセスについて要望書を提出し、改善された事例がございます。
 また、ご答弁にもあったように、子育て中のお母さん方とともに話し合うことで、安全への啓発にもつながったと思います。
 移動等の円滑化は、障害があっても、高齢になっても、社会参加を保障するための大きな要素でもあるので、より多くの当事者と実際に現場での検証を行い、改善、反映することを要望して、質問を終わらせていただきます。

○馬場委員 私からは、バス事業についてお伺いをいたします。
 交通局として、首都東京の重要な公営交通機関の役割を担っていただいております。感謝申し上げます。
 現在、私どもでは、安全で安心な地域の移動手段を確保するため、交通基本法の制定に向けて努力を続けております。本日は、高齢化の進展によって、鉄道に次ぐ公共交通手段として、ますます重要な役割を担うことになるバス交通について、新しい委員会メンバーとして初めての事務事業質疑となりますが、基本的な事項も含めて、お伺いをさせていただきます。
 まず、バスという乗り物についてですが、鉄道と比べて階段などの段差が少なく、近くのバス停から乗りおりができるといった点で、多くの方にとって優しいバリアフリーな乗り物である。こうした点で、バスに対する都民の期待は大きい、また、信頼もあるというふうに考えております。
 まず、バスのサービス向上という観点から、基本的なことでございますが、バス路線の中には、通勤通学のほかに高齢の方等を含めて、さまざまな方が利用をしている、そんな路線の状況が出ているというふうに思います。昨今、地域の路線ごとに、そうした特徴が出てきているのではないかというふうに私は思っております。
 そこでまず、交通局では、都営バスの路線ごとの特徴というのをどんなふうに把握をし、また、その状況をどのような施策に生かしていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

○岡本バス事業経営改善担当部長自動車部長事務代理 都営バスの路線ごとの特徴把握と活用についてのお尋ねでございますが、都営バスでは、必要に応じ各系統の利用実態調査を行うとともに、五年に一度、国土交通省が実施する大都市交通センサスに合わせ、区間別、時間帯別、券種別など、お客様の利用実態をより詳しく把握するための調査を行っております。これらの調査結果や日々の運行の中で得られる情報を、ダイヤの調整や乗務員指導などに反映させております。
 例えば、高齢者の利用が多い路線では、車内転倒防止の観点から、乗務員に対し発進、停止時に特段の注意を払うよう指導しております。
 今年度は、大都市交通センサスに合わせ、詳細な利用実態調査を十一月十三日から行う予定でございまして、その結果等を踏まえまして、今後とも路線の特性の把握に努めてまいります。

○馬場委員 私も初めて伺ったのですが、済みません、今まで知らなくて。大都市交通センサスという調査を五年に一度、行われるということで、ことしは、この週末に詳細な調査があるということで、大変、結果というか、期待をしております。
 どういう方が、どの路線をどんなふうに使うのか知る、バスの利用者等がどういうふうな地域で、どういう利用をなさっているのか等、いろいろなこと、その利用実態が正確にわかってくるというふうに思いますので、まず、その結果を有効に利用して、よりきめ細かな配慮をしたバスのダイヤ設定など、サービスの向上に努めていただきたいと考えます。
 また、今、交通のいろいろな調査を担当しているのですが、そんな中で、国でも、十年に一度、パーソントリップ調査というのが実施されているということで資料をいただきました。一人の個人が家を出てから一日、どんな理由で、どんな乗り物等、行動形態をとるかということを細かく調査をするものであるというふうに資料をいただきました。昨今では、二十年にこの調査をし、二十一年にその結果の分析をし、二十二年度には、国では、望ましい都市交通体系のあり方の検討をしていくというふうに、冊子で報告があり、非常に多量の情報を持っているというふうに伺っております。
 こうした調査、それから、また、さまざまな財団等も含めて交通の調査というのが多く行われていると。こうした調査の資料をしっかり把握をし、いただける物はいただいて、その調査をし、これからのバス、本来はバスだけではなく東京都の交通のあり方というのを考えていただきたいし、その中で特に本日は交通局ということですから、担当の部分で、その中でのあり方というのをぜひとも考えていただきたいというふうに思っております。
 それでは、今のお話も出ました利用者に優しいというバリアフリー対策なんですが、私も先日、足首を骨折をし、まだ今治療を、自分の移動の困難さというのを実体験をしているところなんですが、そんなことも含めて、やはりいつどういう状況で自分が障害を持つかもわからないということを実体験したものですから、まず、そうした移動を、さっき申し上げたように確保する、それから、特に、障害、移動について配慮が必要な方のバリアフリー対策ということで、お伺いをしていきたいというふうに思います。
 以前のバスですと車内に段差があって、手すりにつかまる等してステップを上がって乗っていました。最近はノンステップバスという形で、乗ってしまえば中に段差がないというバスに変わってきております。これもご努力をいただいているおかげというふうに思いますが、都営バスでは、現在九割がこのノンステップバス導入ということで、大変ありがたいというふうに思っております。
 しかし、今申し上げたように、車の中に段差はないのですが、残念ながら、車に乗るときに段差ができてしまっています。このバス、私も、ノンステップバスの話を伺ったときに、ニーリングという車の高さを調整する装置がついているという説明も伺いました。このニーリングというのがついている車内の平らなバスが、今、多く走っていてくださるわけですが、そのニーリングの調整、車高の調整というのを使っていただいても、実はまだ、歩道の縁石とバスの乗り込み口とは十センチ弱の、七センチから十センチぐらいの段差がある。ここは、まだ解決をされていないというふうに伺っております。
 歩ける人は、七センチから十センチですので、軽い一段ということなんですが、車いすの方は、バスに乗り込むのに、結局どうしてもスロープを必要とするという状況にまだあります。それ、どういう形かというと、バスによっていろいろな形がありますが、今多いのは、車いすの方は、バスの後ろの出口のところにスロープを取りつけて中に入っていただいて、今度、車内では、バスがブレーキをかけた場合やカーブなど、そうした場合でも安全が保たれるよう、バスの乗務員が車いすと車両とをベルトで固定をしている、こういう少し時間を必要とするような作業を今でもしております。
 こうしたことも含めて改善をしていただきたいという思いがあるのですが、こうした車いすの方がスムーズにバスに乗車できる、どのような対策を講じていらっしゃるのか、ご説明いただきたいと思います。

○岡本バス事業経営改善担当部長自動車部長事務代理 車いすのお客様がスムーズにご乗車できるための対策でございますが、都営バスでは、平成二十年度から、乗降時に使用するスロープ板については、ベルトによる固定からピンによる固定に変更し、安全に素早く固定できるようにいたしました。
 また、車いすの固定については、形が似ている四本のベルトを使用するため、それぞれの取りつけ箇所がわかりにくく時間がかかっていたことから、ベルトと床の金具を取りつける箇所ごとに色分けし、この色を目印に、乗務員が簡単、迅速に固定できるよう手順を改善いたしました。
 なお、改善効果をより確かなものにするため、これらの器具を使用した乗務員訓練を行い、固定方法の習熟を図っております。

○馬場委員 ありがとうございました。
 段差、このスロープ、それから固定ということはせざるを得ないという中で、時間の短縮も含めて、ご努力をしていただいている、また、車内での乗客の皆さんのご協力もふえているというふうに伺っております。こうした雰囲気で、なるべく早い時間に、車内の皆さんのご協力もいただきながら、運転士さんに負担もかけないような形で、車いすを利用の方等、合理的な配慮というふうに私どもいっておりますが、そうしたことで、なるべく運転がスムーズにいくようにということ、さらに、気がついたところの現場での改善というのをよろしくお願いを申し上げます。
 もう一つ、現場から実は声が上がっております。今お話し申し上げましたように、縁石とバス、きちんとバスの停留所にとめても縁石との段差が七センチから十センチぐらいはどうしても生じてしまう。これはとめられたらのお話で、例えば駐車違反の車等がバス停のそばにとまっているというような状況の中で、バスがしっかり停留所にきちんととめられなかった場合には、さらに、この段差はニーリングを使ってもふえてしまう。縁石は約十五センチありますから、そうすると、もう二十五センチぐらいの段差が生じてしまうということ、それから、また、危険であるというようなことになります。もし、きちんととめられなければ、歩道から一たん車道に出て乗りおりをするというような状況が生じてしまうわけです。
 この原因をつくっている違法駐車、この問題を何とかしなければならないのではないかということで、現場からも、また、乗っている方からも、私どもも見ていても、そういうふうに思うわけですが、こうした違法駐車に対して、交通局さんが交通取り締まりを行う部署ではないということはわかっておりますが、それでも、当事者として、都営バスの運行を担当するという点から、どんな努力、取り組みを行っているのか伺います。

○岡本バス事業経営改善担当部長自動車部長事務代理 違法駐車に対する取り組み状況についてでございますが、交通局では、これまで、バスの停止位置を停留所前の道路面に表示するともに、駐停車禁止の旨を標識中に表記することにより、一般のドライバーの方に注意を促してまいりました。
 また、違法駐車が著しい箇所については、警視庁に対し取り締まりの強化を要請しております。
 さらに、バス専用レーン、優先レーンにおいて違法駐車等をしている車両を撮影するカメラを一部のバスに搭載し、国土交通省、東京都、東京バス協会から構成される協議会名で車両の所有者に警告文書を出すことにより、走行環境の改善を図っております。
 今後とも違法駐車対策に取り組み、バスの円滑な走行に努めてまいります。

○馬場委員 この駐車違反に対して、私も、バスのそばで駐車違反になるんですかということで確信持っていませんでしたので、調べていただいたところ、道路交通法には、乗合自動車停留所付近の停車及び駐車についてということで、第四十四条には、停留所等十メートル以内の部分は停車駐車禁止というふうにしっかり書かれており、違反者は罰金を科せられるというふうになっております。
 そういうきちんとした法令がありますよね。しかしながら、今お話のあったように路線バス走行円滑化東京協議会、バス事業者が中心となってこうした協議会をつくって、バスにカメラをつけて違法な車を写して、それを警視庁に協力をいただいて違法駐車対策というふうにしていらっしゃるんですが、これはもうここに明らかに違法駐車ということでありますが、じゃあ、違法駐車というふうにわかった方に、どういうふうに申し入れているかというと、先ほどのご答弁では、警告文書というふうにご答弁いただきましたが、この出しているのは、バスレーンを守ってください、バスの安全円滑走行にご協力をという、とても丁寧な協力依頼文になっているんです。これでは私が見ても効果があるのかなというふうな思いです。
 この事業は平成十七年より各民間のバス会社と協力をして、この事業を今継続中なわけですが、こうしたしっかりした根拠のあるバス停での違法駐車については、もう少し積極的に警視庁なりが取り組みを進めることができるのではないかというふうに素人ながら考えます。ぜひとも今後ご検討をいただきたいと、これは都民のバス利用者のためであるということで、ぜひとも強い対応を求めておきます。
 そうした状況があるのですが、それでは、この都営バス大変たくさん、台数でいえば千四百七十四台でしたでしょうか、走っておりまして、また、走っている場所も、交通量が多く、車線の数も多い広い道路を走るということがあるというふうに思います。そんな状況のまた一方でバスがすれすれで対向車とすれ違うような、狭い道もある、というような中で、自転車等が車道に出てくる、進行方向と逆方向に自転車が走ってくる、いろいろな状況があるわけです。停留所からバスが方向指示器で、つまり停留所から発進をするときに、後ろから来る車は道を譲らなければならない。つまり走っているときの危険、それから停留所から発車するときの危険、そんな状況があるわけですが、先ほど申し上げましたように、発車するときのこのときも、道路交通法では、しっかりと三十一条の二に乗合自動車の発進の保護についてという規定があって、これも、バス、乗合自動車の進路の変更を妨げてはならないとして罰金の規定もございます。
 こうしたことも含めて、事故が起きないような配慮と、お互いに配慮という原則はありますが、そうした状況等も含めて、運転手さんは細心の注意を払っていても事故を起こしてしまう。そうした状況の中で、この事故対策というものも考えていかなければならないと思います。
 そこでお伺いいたしますが、最近の都営バスの事故の発生件数とその内容についてお伺いをいたします。

○岡本バス事業経営改善担当部長自動車部長事務代理 事故の発生件数についてのお尋ねでございますが、都営バスでは、これまでも事故防止に取り組んでまいりましたが、有責事故件数は、平成二十年度まで四百件台で推移しておりました。平成二十一年度は、発車時やドア開閉時の安全確認を重点項目に掲げ、みずから防ぐことのできる事故を削減する取り組みや、運転訓練車を活用した研修の実施などにより、事故件数は三百八十件、前年度と比較して一七・七%減少いたしました。
 また、二十一年度の事故の内訳は、人身事故が百七十八件で、最も多かったのは急ブレーキ使用による車内転倒事故でございます。物件事故は二百二件で、最も多かったのは左右の安全確認不十分による接触事故でございます。

○馬場委員 バスの事故を避けたくても起こってしまうという状況が見えるようなんですが、今ご答弁いただきましたように、今までで年間四百件。有責事故というふうにご答弁いただいたと思いますが、責任のある事故で四百件、責任のないものを含めれば、もっとたくさん事故というのが発生している。二十一年度は、対応をしていただいて少し減ってきているということですが、それでも、バスの運転手さんの数は二千人ぐらいでしょうか。それで、年間、例えば約四百件起こるということであれば、五人に一人は、その対応をしなければならない対象になってしまう、経験者になってしまうということも含めて、やはり大きな問題だというふうに思っております。
 ご答弁の中で最後にありました急ブレーキで車内転倒事故等が起きた場合には運転手の責任ということで、その行政責任のようなものも運転手が問われるという、交通法規上そういう状況だということも伺っております。バスの乗務員、運転手さんは、安全と乗客サービスの両方を受け持っており、本当に大変な仕事だというふうに思います。バスのほかにもタクシーさんやトラックという、こうした車で仕事をする多くの皆さんにも同じような状況はあります。そんな中で、ドライブレコーダーという物をタクシーさんやトラックさんで導入をしているということを伺っております。
 ドライブレコーダーとは車両の運行状況や事故発生の瞬間を記録する装置で、交通局さんも、経営計画では本年度から三年かけてドライブレコーダーを全車両に導入するというご予定と伺っております。伺っているんですが、この二十二年の事務事業の概要には、二十二年度中には入れたいというふうなことも書かれているぐらい急いで対応したいという思いは伝わっておりますが、このドライブレコーダーの活用の目的と方法、交通局のお考えを伺います。

○岡本バス事業経営改善担当部長自動車部長事務代理 ドライブレコーダーの活用の目的と方法についてでございますが、交通局では、ドライブレコーダーに記録された映像を事故防止に役立てております。
 具体的な活用方法は、発生した事故の事実関係を正確に把握し、原因を分析し事故の再発防止に役立てること。事故を起こした乗務員に映像を見せることで、みずからの運転特性を把握させ、安全意識や技術の向上を図ること。事故やヒヤリハット、危険箇所の映像を編集加工した教材を作成し、全乗務員を対象に実施している安全研修等において活用することでございます。
 今後とも、全車導入を機にドライブレコーダーをより一層有効活用し、事故の削減に努めてまいります。

○馬場委員 最後に。今ドライブレコーダーのご答弁いただきました。
 運転手は、一人で本当に、乗客の安全と運行も含めて担っております。そんな中で、事故というのが一番怖いというふうに聞いております。こうした中で、事故を防ぐための一つの大きな装置として、このドライブレコーダーが役に立つのであれば、特にバスの場合、タクシーや多分トラック等は外側だというふうに思いますが、バスの場合は、車内での、先ほどの転倒事故も含めて、車内にもカメラをつけるというふうに伺っております。そのことは、車内でのトラブル等の原因、それから防止等も含めて、運転手さんにとっては、判断、立場も含めて、また乗客の安全を図る、それから、なぜ事故が起きるのかということの検証も含めて、大きく役立つものだというふうに思っております。
 ぜひとも、先ほどのお話いただきましたように、本年中は無理であれば、できるだけ早く全車両に、このドライブレコーダーの装着導入を図っていただき、事故を減らして、都民のための安心と安全な都バス運行ということにしていただけますようお願いを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○田中委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

   午後三時三分開議

○田中委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 これより水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○尾崎委員 私からは、多摩地区の水道事業について何点かお伺いをしたいと思います。
 今回の多摩水道改革計画、これについてちょっとお伺いしたいんですけれども、水道局では平成十五年度に策定をした多摩地区水道経営改善基本計画、これに基づいて多摩の市町への水道業務を順次廃止をしてきました。まず改めて、これまでの事務委託解消の進捗状況についてお伺いをいたします。

○松苗調整部長 当局では、平成十五年六月に多摩地区水道経営改善基本計画を策定いたしまして、広域水道としてのメリットの発揮に向け、平成二十四年度までに、多摩二十五市町への事務委託を解消することを柱とする経営改善を進めておりまして、これまでに二十三市町の事務委託を順次解消してきております。

○尾崎委員 事務事業の委託解消について、私は二〇〇五年の十二月の公営企業委員会で、事務委託の解消をするに当たって、さまざまな、いろいろな問題が出てくるのではないかということで、サービス水準の一層の向上を図っていただくようお願いをさせていただきました。平成二十四年度にすべての事務委託を解消するまで、残りあと二市を残すのみということでありますけれども、順調にこの事務委託の解消は進んでいるのか。またこの計画期間が、今はこれ、終わる前でありますけれども、この終わる前に今回新たな計画として多摩水道改革計画というもの、これは二〇一〇年からの計画なんですけれども、これを水道局が発表した、この経緯と、これをあわせて詳細にお伺いをしたいと思います。

○松苗調整部長 これまでに二十三市町の事務委託を解消し、残る三鷹市及び稲城市につきましても、六月に事務委託廃止の基本協定を締結しましたことによりまして、平成二十三年度末には、事務委託は完全解消する見通しがつきました。しかし、事務委託を解消していく中で、市町ごとに異なる検針収納や施設管理等の業務水準を改善統一化することなど、新たに取り組むべき課題が顕在化してまいりました。
 また、市町域を越えた広域的な施設整備など、給水安定性向上のために、事務委託解消を契機に本格的に対応すべき課題もございます。
 こうしたことから、今後五年間で可能な限り課題を解消するため、多摩水道改革計画を八月に策定したものでございます。

○尾崎委員 新たに顕在化した課題というのは。ちょっと具体的に教えてもらいたいのですけれども。

○松苗調整部長 事務委託の解消の過程で、料金未納率や契約方法などの業務一元化への円滑な移行、監理団体を活用した事業運営のさらなる効率化、事務委託解消後も引き続き市町等と連携協力できる新たな関係の構築などの課題が新たに顕在化してまいりました。
 多摩水道改革計画では、こうした課題等に取り組むため、十一の取り組み施策を掲げております。

○尾崎委員 私も多摩水道改革計画をちょっと読ませていただいたのですけれども、この十一の取り組み施策の中で、地元事業者の育成と契約方法の見直しと書いてあるんですね。地元業者は地域の事情にやっぱり精通をしておりますし、また現場に近いという利点を持っております。特にこの水道業務に関しては、ライフラインであることから、例えば水道管が破裂事故を起こした場合などは、一刻も早い対応が求められると同時に、水道は都民の生活と都市活動に欠かせないものでありますから、万一断水等の事態が発生をした場合、迅速に対応をしていかなければならないわけであります。
 この事務委託解消によって市町が行っていた水道料金徴収や水道施設の工事、また、維持補修業務なども、これは水道局に移行するわけですね。これらのこの業務の大部分は、水道局が所管する監理団体が実施をしていくこととしております。
 これは私の地元の調布市と、あと三多摩では八王子市、そして三鷹市、この三市は、検針業務を、これは個々の事業者が受注をするのではなくて、地元事業者が組織して連携をつくっている管工事組合というものが、この検針業務を長い間担ってきたわけであります。今回この契約方法が都方式に見直されるということで、不安の声がかなり上がっているのが現状であります。
 この多摩水道改革計画を客観的に見れば、業務を東京都に一元化をして、事業運営のさらなる効率化を図っていくとありますけれども、実際のところ、これまでこの地元事業者が担ってきた業務を、監理団体が東京都にかわって施行するというふうに見えなくもないわけであります。これをそのまま受け取ると、今後平成二十四年度以降、二十三年度末ですべての事務事業の委託が解消されるわけでありますから、平成二十四年度以降はこうした地元業者は活用をしないということなんでしょうか。
 また、個々の業者は、これまで受注をしてきたこの業務を、この事務委託解消によって透明性、公平性を高めていく、こういうことを求めていくということは理解できるんですけれども、こうした管工事組合そのものが検針業務を担ってきた特殊なケースにおいては、多数の検針員を抱えておりまして、地域の検針業務を受注できないということになりますと、多数の人が職を失うこととならないのかということも考えられるわけであります。
 繰り返しますけれども、こうした水道業務のような我々都民のライフラインにかかわる直接的なケースについては、これまで市町の水道事業を支えて、また、地域を熟知している地元業者を今後も活用すべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○松苗調整部長 業務移行が完了いたします平成二十三年度末までは、原則として市町が行っていた契約方法を継続しまして地元事業者を活用してまいります。平成二十四年度以降につきましては、都の契約方法に見直すこととなりますが、これまでの経緯等を踏まえまして、詳細については現在検討しているところでございます。

○尾崎委員 これは是非検討をしていただきたいと思うんですけれども、二十四年度以降、こうした管工事組合が受注をできないということになりますと、今、区部の方ではいろいろと事例があるみたいなんですが、例えば検針業務を十万栓、二十万栓、三十万栓、これは世帯で栓と呼んでいるんですけれども、これを、例えば今まで地元の三多摩の方の中小企業が担ってきた場合は、二万栓、三万栓だとか、そうしたところだったら中小企業が受注できるキャパはあるんですね。だけど、そのハードルが例えば三十万栓以上でないと受注できないだとか、こうした入札に対してのハードルがちょっと高過ぎると、これは全部大手が持っていっちゃうようなことにもなりかねませんので、ぜひその辺を考慮していただいて検討をしていただきたいと、これは強く要望をするものであります。
 次に、狛江市の水道局が所管する材料置き場についてお伺いをいたします。
 私の地元は、さっき申し上げました調布市と狛江市というところなんですけれども、この狛江市には水道局が所有する三ヘクタールに及ぶ土地があります。
 まず最初に、水道局はこの土地資産を利活用するに当たって考えがあるのか、お伺いをいたします。

○猪熊経理部長 当局は公営企業として独立採算により事業運営を行っており、常に経済性の発揮を求められております。利活用可能な資産については、本件地も含めまして貴重な経営資源としてとらえ、さまざまな手法を駆使し、有効活用に取り組んでおります。

○尾崎委員 有効活用に取り組んでいるって、そういう基本的な考えは僕もわかっているんですよ。基本的な考えはわかっているんですけれども、この水道局用地というのは都市計画変更にかかわる意見照会という形で、これは狛江市と東京都との間で最初に協議が始められたのは昭和四十六年なんですね。これ、私が生まれる前の話なんですけれども、この昭和四十六年(発言する者あり)長いんですよ。実にそれから四十年以上もの月日が経過をしているわけであります。
 この間、水道局と狛江市との間で買収をするだとか、そういう話も価格面で折り合わなかったりしました。狛江市も余りお金がないので、価格面で折り合わなかったりしたのですけれども、あるいは買収ができなければ都立公園として整備をしていただきたいとか、こうした協議を何度も繰り返してきたと聞いております。
 また、この平成十四年には狛江市議会からも、これは全会一致で都立公園化を求める意見書を提出しております。
 この用地は、水道局の資材置き場として利用されてきましたが、平成十五年ごろ廃止をされたと聞いております。東京都は、二〇〇七年に「十年後の東京」を見据えて、財産の利活用の指針というものを発表しておりますけれども、この用地は有効活用をされているとは、私も何遍も見に行きましたけれども、とてもちょっと見えないんですよ。
 まずこの狛江市からの要望も含めて、今まで何度こうした協議の場を持ってきたのか、経緯も含めて詳しくお伺いをいたします。

○猪熊経理部長 本件地を含みます和泉多摩川緑地を将来公園化してほしいとの要望は、当局が本件地を材料置き場用地として使用していた平成七年ごろから寄せられておりました。
 その後、平成十四年から平成十七年の間は、狛江市から市として買収をする意向が示されたため、買収に向けた交渉を行ってまいりました。平成十七年に、狛江市が購入を断念して以降、平成二十二年までの間に三回、狛江市から当局に対し都立公園等での活用の要望がございました。
 これに対し、当局では、公営企業として収益を前提とした利活用が基本である旨、回答をしております。
 本件地につきましては、平成十七年以降、利活用に向けた取り組みを進めるとともに、当局を初め、狛江市や都の他の部局の事業用地として暫定活用を図ってまいりました。現在も当局が施行する工事に伴う発生土や資材等の置き場として利用しているところでございます。

○尾崎委員 暫定活用の取り組みということであるのですけれども、本格的な利活用については、ちょっと時間がかかり過ぎじゃないかなと思うんです。これは、例えば百平米くらいの土地であれば大きな問題ではないんですけれども、これは三ヘクタールに及ぶ土地ですので、狛江市民でこの土地について余り知らない人はほとんどいないのですね。これはさっき経理部長がおっしゃいましたけれども、和泉多摩川緑地という中にある、これ全部で二十ヘクタールぐらいなのですけれども、この中にある三ヘクタールの土地なんです。
 これが、東京都が所有をしているというのはほとんど、市はもちろんのこと、市民も知っているんです。これは、地元市である狛江市の売却断念から五年以上も経過して、暫定利用、暫定利用っていっていますけども、私のところにもやっぱり東京都が持っている土地だということで、市民からもかなり相談も来ますし、今後の利活用についての検討というのはどうなっているのか、ちょっとお伺いをしたいのですけれども。

○猪熊経理部長 本件地は用途が主に低層住宅に限定されており、利活用する上で大きな制約がございます。このため、本件地の用途規制を前提とした活用方策について調査を進めるとともに、狛江市に対しては、都市計画道路の開通に伴う用途規制の緩和について要望を行っているところでございます。

○尾崎委員 これは公営企業として収益を前提とした利活用が基本ということで、今もご答弁があったとおり、この土地については用途が低層住宅に指定されているので、利活用する上で大きな制約があるということであります。
 これは三ヘクタールに及ぶ土地で、例えば高層マンションが建つような用途地域だったら、すぐに民間業者も買うのでしょうけれども、やっぱり用途地域が制限されているから、今こうした経済状況の中でなかなか民間業者も、この土地についてはちょっと足踏みをしているんじゃないかなと思うんです。これを、今、経済状況が非常に悪いということで、水道局がこのまま、いろんな交渉はやっているんでしょうけれども、何せ本格的な交渉に入ったのは平成七年で、意見照会があったのは四十六年ですから、これだけ長い間やっていて、果たしてこの先に明るい見通しがあるのかどうかというのはちょっと僕も非常に疑問に思うんです。
 この土地に関して狛江市では、水道局用地を含めた、先ほども申し上げましたけれども、和泉多摩川緑地、これは防災拠点にしていこうという提案をしております。今、東京都では、首都直下型地震を想定して、さまざまな想定をしておりますけれども、例えば震災が起きたときに帰宅困難者の問題が発生をいたします。都のこの地域防災計画では、東京都内から神奈川県方面に向かう帰宅困難者を対象とした帰宅支援の対象道路ですね、この対象道路は第一京浜国道、また第二京浜国道、中原街道、玉川通りの四路線となっております。
 そのうちの玉川通りを利用して帰宅しようとした帰宅困難者が、この狛江市を通る世田谷通りを多摩水道橋に迂回してくることが想定をされております。
 この都の地域防災計画では、狛江市を通る世田谷通りにおいては、発災後、これは二十四時間で、十万人から十五万人の通過者が想定をされております。これに玉川通りからの迂回者が加われば、当初の想定数を大幅に超過をして、多摩水道橋に帰宅困難者が集中することになりまして、橋詰めには大量の帰宅困難者が滞留することになります。この中には、神奈川県民はちょっといるかもしれないですけれども、町田市、稲城市、多摩市などの、ほとんど東京都民が多く含まれると予想されています。
 このことから、水道局用地を滞留者の一時避難場所として指定をしてもらえれば、橋詰めでの大量滞留の解消が図れることになると私は思うんですけれども、見解を伺います。

○猪熊経理部長 当局の利活用につきましては、収益を前提として考えておりまして、お尋ねのような用途につきましては、一般行政の中で議論されるべきものと考えております。

○尾崎委員 水道局の滞留者の一時避難(発言する者あり)いや、ちょっとあきらめたくないんですね。一時避難場所として指定することは難しいという面もあるのは、わからないでもないんですけれども、ただ、これを含めて、地元としてはこの用地を市民のために有効活用を図っていきたいと、これは悲願なんですよ、狛江市のね。これはデッドロックにも乗り上げているといっても、僕は過言じゃないと思います。これまで、市の交渉だとか、協議の場だとか、要望が何度も行われてきましたけれども、ここ最近は、市の要望と東京都の回答がどうも平行線の部分があって、先ほども申し上げましたけれども、ちょっとデッドロックに乗り上げている状況があります。
 ただ、本件地のことについて、例えば市からこの具体的なプランが示された場合には、対応していただけるのかどうか、ちょっとお伺いいたします。

○猪熊経理部長 本件地の取得または具体的な利活用の計画の提案があれば、収益確保を前提として意見交換をしてまいります。

○尾崎委員 私も、もちろん狛江市の方にも働きかけをしますけれども、収益を確保としたのが前提というのはちょっと引っかかるんですけれど、ぜひ東京都にも、水道局にも、この土地に関しては気にとめていただいて、新たにプランが示された場合にはそうしたテーブルに、交渉の場にのっていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問といたします。

○きたしろ委員 私は、最初に、八ッ場ダムに関して質問をさせていただきます。
 民主党が政権をとってから既に一年以上たちましたけれども、政権は相変わらず迷走を続けているように感じます。
 例えば外交では、鳩山前総理は、トラスト・ミーなどと発言をして、世界の中の日本にとって一番大切な日米関係を悪化させてしまいました。菅総理にかわっても相変わらずです。中国やロシアから好きなように攻められているのは一体なぜなんだろう。私が思うには、国益を考えていない菅さんの考え、仙谷さんの考えではないのかなというふうに思っております。
 問題を解決していく、このことが、政権政党、そして第一党としてのまさに責任だと私は思います。しかし、今の政権はその責任を放棄しているようにしか思えません。
 八ッ場ダムも、同様に迷走しているのではないでしょうか。一昨日の新聞報道によると、国土交通大臣が八ッ場ダム中止前提を撤回だとか、地元住民に対し謝罪といった文字が紙面をにぎわしていました。マニフェストに中止を掲げていながら、大臣がかわれば二転三転をしているわけです。全く政策の一貫性がありません。
 ダムは五年や十年でできるものではありません。水の確保は百年の計を持ち、国家が総力を挙げて臨むべき課題であります。四大文明を例にとるまでもなく、繁栄した都市は、いずれも水を治め、水の恵みを最大限活用してきました。これが、水を制する者は天下を制するといわれるゆえんであります。
 民主党政権は、八ッ場に関しても、目先の耳ざわりのよい言葉だけを発信しているのではないでしょうか。
 例えば、水道という社会インフラのあり方をどうするのかという視点が全く欠けております。日本を、そして東京を将来どうしていくのか、また首都としての安全度をどう考えるのか、しっかりと見定めなければなりません。その前提で八ッ場ダムを考えるべきであります。
 先日、石原知事は、関係知事とともに現地を訪れました。ここで表明された共同声明では、六都県知事の連名で早期実現を強く求めています。我が党も代表が同行させてもらいましたけれども、道路、鉄道代替地など工事は着々と進んでおりました。
 事実上、残された事業は本体工事だけとなっているように見受けられますが、実際の事業の進捗状況はどのようになっているのでしょうか、まずお伺いをいたします。

○松丸企画担当部長 八ッ場ダム建設事業は、平成二十一年度末におきまして、事業費ベースで七五%の進捗となっております。
 具体的には、用地取得が八五%、家屋移転が八二%、JR吾妻線のつけかえは八八%、国道や県道のつけかえは八四%となっております。また、ダム本体を建設する際に必要となる河川を迂回させるための仮排水トンネルは、既に平成二十一年七月に完成しております。

○きたしろ委員 今の答弁にありましたけれども、七五%との答弁がありました。ほとんどゴールが見えているわけです。あとは、ダム本体を残すのみだと私は思います。本体工事をやることが、本当にむだなんでしょうか。私は不思議でなりません。反対ならば、民主党は参議院の候補者を立てるべきだったんです。
 石原知事は、現場視察を終え、建設予定地の現状を見て、改めて政治の間違いは恐ろしいと思った、政治として現実性のない非常識な行動だ、と発言されました。まさにそのとおりであります。現場を見た者は、だれしもがこのように思うはずであります。
 政治は、課題の解決をすることが使命なのです。先送りすることではありません。地元住民の方々は、ダム完成後の生活をイメージして再建に向けた準備をしており、国の対応は、地元住民の不安をあおる無責任な対応といわざるを得ません。
 我々もかねてから主張しておりますが、首都東京の安全・安心を守るためには、八ッ場ダムなどの水源の確保は不可欠であります。
 改めて、八ッ場ダムの必要性と今後の水源確保に向けた基本的な考え方についてお伺いをいたします。

○松丸企画担当部長 都の水源の約八割を占めます利根川・荒川水系の水資源開発は、五年に一回発生する規模の渇水に対応することを目標に計画されておりまして、十年に一回を標準とする全国の主要水系よりも、渇水に対する安全度が低い現状にあります。
 さらに、利根川水系のダム等の供給能力は、近年の少雨化傾向によりまして、当初計画よりも既に約二割減少しております。加えて、国の予測によりますと、自然のダムといわれる利根川上流の積雪量は将来三分の一まで減少し、水資源に深刻な影響を及ぼすとされております。
 東京水道は、将来にわたり都民生活と都民活動を支え続けていくためには、将来への需要対応はもとより、こうした気候変動などの供給面でのリスクを踏まえ、首都東京にふさわしい渇水に対する安全度を確保していく必要があります。
 このため、八ッ場ダムを含めた安定した水源の確保を今後も着実に推進してまいります。

○きたしろ委員 数字上の水源があっても、実際に水が確保できなければ意味がないんです。しかし地球温暖化の影響が目に見えるようになってきているとの事例が多く報告されております。水源の問題は、将来の雨、雪の降り方も考慮しなければなりません。
 東京の将来を考えると、八ッ場ダムの建設は絶対に必要なのであります。備えあれば憂いなしなんです。何かあったときに我々が責任を持たなきゃいけないんです。そのことをしっかりと踏まえていかなければならないと思います。
 さきの公営企業決算特別委員会で、我が党は、水源の確保は、経済や人口、気候変動など幅広い視点により行うべきと指摘させていただきました。直近のデータにとらわれた瑣末な議論に惑わされず、将来をしっかりと見据え、着実に水源確保に取り組んでもらいたいと思います。
 また、都の水源は、ダムに限らず、多摩地区には地下水源を多く有しております。地域の貴重な水源なので、可能な限り活用していくことが必要であります。
 そこで、地下水源の状況と活用の考え方についてお伺いをいたします。

○松丸企画担当部長 多摩地区には、平成二十一年度末時点で、休止中の井戸を含めまして二百八十八本の井戸がありまして、昨年度の一日当たりの平均揚水量は二十三万立方メートルでありました。
 また、東京都土木技術支援・人材育成センターが公表しております平成二十一年地盤沈下調査報告書によりますと、揚水規制の効果は頭打ちの状況にあり、地域によっては地盤沈下の進行が予測されるとしております。その水質につきましては、トリクロロエチレン、1・4−ジオキサン等が検出されたことから、一部の井戸の使用を休止してきた経緯がございます。
 したがいまして、多摩地区の地下水につきましては、地盤沈下や水質の面から、将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難でありますが、今後とも、地盤沈下や水質の動向に十分配慮しつつ、平常時はもとより、非常時においても活用できる貴重な水源として可能な限り活用を図ってまいります。

○きたしろ委員 まさに地下水源は貴重ですけれども、リスクがあるのも事実だと思います。地盤沈下や水質汚染等のおそれがあるため、安定水源としての位置づけが難しいことはやむを得ないことと思います。現に、井戸水源の中には、汚染の影響で休止しているものが幾つかあり、日の出町にある大久野浄水所もその一つと聞いております。
 そこで、大久野浄水所の水質事故の状況と対応についてお伺いをいたします。

○木村技術調整担当部長 本年二月四日に浄水所内で異臭が確認されたため、浄水所を停止し、多摩川を源水とする小作浄水場の系統に切りかえました。その後、給水区域のお客様に浄水所の停止の経過及び水源井戸の水質調査結果等について、文書にてお知らせいたしました。
 現在、浄水所施設の改良を検討しておりますが、日の出町が行った調査によると、浄水所上流域で高濃度の油による土壌汚染が確認されており、万全の対策を講じることは難しい状況でございます。当面、水源井戸の水質検査を継続しながら、上流域の土壌汚染の状況及びその除去対策の推移を見守ってまいります。

○きたしろ委員 確かに、浅井戸は近隣土壌の汚染の影響を簡単に受けてしまうと聞いております。また、地下水の動向は解明されていないことが多く、汚染が生じた際に原因を特定することは困難なことだと思います。大久野の事例は、地下水源を安定的に使うことができないことを示す事例であります。今後も地下水の汚染が危惧されるところですけれども、都民の安全を守るためには、しっかりとした対応が必要だと思います。
 そこで、今後の地下水汚染への対応についてお伺いをいたします。

○木村技術調整担当部長 当局では、これまでも、トリクロロエチレンなどの地下水の水質汚染に対しまして、曝気処理装置等の設置を実施し、揚水量の確保に努めてまいりました。
 今後も、平成二十年に策定いたしました危機管理のマニュアルでありますTOKYO高度品質プログラムに基づき、より高いレベルの安全性とおいしさを実現するため、必要な水質管理を徹底してまいります。

○きたしろ委員 地下水を有効に使おうという水道局の努力は評価したいと思います。引き続き最大限の努力をお願いしたいと思いますけれども、将来にわたる安定性を考えると、やはり安定水源の確保が必要であると私は考えます。
 さきの第三回定例議会で、我が党は、水源の確保は、将来の需要への対応と首都東京としての安全度を総合的に考えなければならないと指摘をしたところです。これに対し、水道局からは、水道システム全体の安全度などを考慮した将来の東京にふさわしい水道施設への再構築が必要との答弁がありました。
 鋭意、現在検討を進められているかと思いますけれども、具体的に検討の進め方についてお伺いをいたします。

○松丸企画担当部長 将来の東京にふさわしい水道施設への再構築につきましては、現在、局内に検討組織を設置いたしまして、議論を開始したところでございます。
 具体的には、五十年、百年にわたり水源を含めた水道施設に影響を与える要因と、これによる影響の大きさなどを踏まえまして、将来あるべき安全度について広範に検討していくこととしております。このため、局内における議論に加え、外部有識者等から将来の水道施設のあり方についての提言を受けるほか、広く都民の皆様からのご意見もちょうだいしながら進めてまいります。
 こうした取り組みを行うことにより、水道施設の再構築に向けた基本構想を、平成二十三年度台をめどに策定する予定であります。

○きたしろ委員 将来、問題が発生してからの対応では手おくれになってしまい、安全で安定した都民生活の支障となります。大規模な施設更新を控えたこの時期の検討は、まさに時宜を得た取り組みであると私は思います。将来に禍根を残さず、一千三百万人都民が安心して生活できるよう、百年の計を持ったあらゆる角度からの検討をお願いしたいと思います。
 次に、多摩の水道についてお伺いをいたします。
 昭和四十年代から始まった都営一元化の取り組みは、委託事務の解消により、ついに完成が目前となっております。
 我が党は、多摩の水道における課題とその解決策など、さまざまな角度から提言をさせていただきました。さきの本会議においても、今般、水道局が策定した新たな計画の内容を伺うとともに、しっかり取り組んでいただくようにお願いしたところです。
 新たな計画では、これまでの経営改善の取り組みの中で顕在化した課題、具体的には施設整備や業務サービス、工事契約等について解決を図っていくと聞いております。
 そこで、この新たな計画を推進することにより、今後の多摩の水道をどのように改革していくのかお伺いをいたします。
 特に、我が党が本会議で指摘した地元業者の活用についてどのように進めていくのか、あわせてお伺いをいたします。

○松苗調整部長 八月に策定いたしました多摩水道改革計画では、広域水道としてのメリットをさらに発揮できるよう、事務委託解消の過程で新たに顕在化した課題や事務委託解消を契機に本格的に対応すべき課題について、その取り組み方針などを明らかにしたところです。
 新たに顕在化した課題としては、料金未納率やサービス水準の相違などにつきまして、五年間で区部との格差を可能な限り縮小し、解消に向けた道筋をつけますとともに、効率的な執行体制を確立いたします。施設整備につきましても、事務委託解消を契機に、市町域を越えた配水管のネットワーク化などを積極的に推進し、給水安定性の向上を図ります。
 さらに、今後、耐震継ぎ手化緊急十カ年事業の推進もございまして、事務量が倍増いたしますことから、これまで地域の水道を担ってきました地元事業者を積極的に活用してまいります。
 また、平成二十四年度以降、工事請負単価契約等につきましては、都の契約方法へ見直していくこととなりますが、これまでの歴史的経緯を踏まえ段階的に行っていくなど、零細な地元事業者に十分配慮しながら実施してまいります。
 改革計画に基づき、こうした取り組みを推進することによりまして、都営水道にふさわしいサービス水準や業務執行を実現できる多摩地区水道を確立してまいります。

○きたしろ委員 今の答弁がありました。我が党と水道局がともに進めてきた経営改善の総仕上げに向けて取り組んでもらいたいと要望しておきたいと思います。
 次に、東京水道サービスを活用した国際貢献ビジネスについてお伺いをいたします。
 民主党は、監理団体の検証と称して、監理団体への随意契約や都OBの再就職、民間事業者への再委託など表面上の事象だけを取り上げ、監理団体というだけで悪というような批判を展開していると聞いております。不透明な契約や民業圧迫などという事実と異なる批判に対しては、しっかりと反論していく必要があります。(発言する者あり)静かに聞いて……。
 そこで、まず、監理団体を活用した水道事業運営の考え方についてお伺いをいたします。

○坂内総務部長 当局では、平成十八年十月に監理団体を活用した一体的事業運営体制の構築について方針決定をいたしました。
 この方針では、定型的な業務など民間にゆだねられる業務は、可能な限り民間事業者に委託するとともに、民間にはなじまず、本来であれば局職員が実施すべき基幹的業務を当局と監理団体が担うこととしております。
 具体的には、経営方針の策定や広域的な水運用などのコア業務は当局が担い、民間事業者に委託した業務の監督指導などの準コア業務を監理団体に委託してございます。こうしたことで、公共性を確保しつつ、経営の一層の効率化を図ることとしてございます。

○きたしろ委員 まず、答弁のとおり、公共性が高く、本来直営で実施すべき基幹的業務を監理団体へ委託することで、効率性を発揮しているとのことであります。もともと民間委託にはなじまない業務であるということがよくわかりました。
 民主党が展開している単純な批判は、現実を知らない、事業の現状を全く理解しないままになされており、論ずるに足りないものであります。
 例えば、現在進められている国際貢献ビジネスがありますが、地方自治体が直接手がけることができないため、監理団体である東京水道サービス株式会社を最大限活用するもので、世界の水事情改善はもとより、日本経済の活性化につながる取り組みであります。
 横浜市では、東京都の方式を参考に、同様の株式会社を設立し、国内外の水道事業の課題解決に貢献するとのことであります。こうした東京発の取り組みは、他の自治体の手本の一つとなるものであり、大変期待をしております。
 海外事業体も、公共性と効率性をあわせ持った水道局の取り組みに大きな期待を寄せているのではないでしょうか。
 そこで、まず、国際貢献ビジネスに取り組むに至った背景と取り組みの方向性について、改めてお伺いをいたします。

○坂内総務部長 当局では、海外研修生の受け入れや職員派遣を通じ、長年にわたり技術やノウハウを海外に発信してまいりました。
 しかし、世界では安全な水にアクセスできない人口が十一億人に達しているとの報告もある中で、日本最大の水道事業者として、東京水道の持つ漏水防止や水質管理技術に対する期待は非常に高まっております。
 そこで、これまでの取り組みから一歩踏み込み、監理団体である東京水道サービス株式会社の高い水道技術や運営ノウハウを最大限活用した新たな国際展開を進めることといたしました。この取り組みは、中長期的な視点に立ち、とりわけ都民に負担をかけない仕組みを軸として考えてございまして、ビジネスモデルの検討、国際貢献ミッション団の派遣を初め、さまざまな施策を進めてきたところでございます。
 今後は、各企業や他自治体との連携をさらに深めながら、具体的なビジネス展開に向け、より精力的に取り組みを推進してまいります。

○きたしろ委員 まさにこの短い期間の間に、大変なスピード感を持って多くの取り組みを進めております。繰り返し応援してきた我が党としても、誇らしく思うところでございます。今後とも、都の取り組みが日本経済の活性化を後押しし、国を動かす原動力となることを期待するものです。
 今、話にあったミッション団については、マレーシア、ベトナムに引き続き、本日インドネシアより帰国したというふうに聞いております。
 ミッション団派遣により、現地に直接行かなければわからない貴重な情報を直に把握することは、非常に意義があるものと考えられます。これまでのミッション団の派遣の成果について、どのようにお考えかお伺いをいたします。

○坂内総務部長 これまで三カ国に派遣しましたミッション団では、相手政府や水道事業者等との新たな人的パイプを構築するとともに、今後の事業展開に必要な貴重な情報をじかに把握することができました。
 現地では、それぞれの国及び地域で、原水水質の状況であるとか水道水質、水圧等につきましてさまざまな特性、課題があることが判明いたしました。また、人口増加等による今後の水需要増加や水不足に対応するため、漏水率の改善などが緊急の課題であることも明らかになりました。
 現地の状況につきましては、実際に訪れてみて初めてわかったことも多うございまして、これらの課題解決につきまして、東京水道の技術、ノウハウに対する相手側からの期待の高さを改めて肌で感じたところでございます。
 こうしたことから、ミッション団派遣は非常に意義のあるものと考えておりまして、今後も引き続きこうした取り組みを重ねながら、相互の信頼関係を深め、国際貢献ビジネスを一層推進してまいります。

○きたしろ委員 水分野の海外展開については、各方面で広く注目されているところです。これまでにない大きな動きも実感をしております。国際貢献ビジネスの具体的な成果が出るには、相手方との交渉も含め、困難は多いと思いますけれども、今後も引き続き精力的な取り組みを期待したいと思います。
 今まで、八ッ場ダムを初めとする水源、水道施設のあり方、そして監理団体の活用、国際貢献と、水道事業の全般にわたって幅広くお伺いしましたけれども、どれも重要な課題であります。首都東京の水道を守り、発展させていくためには、こうした課題に一つ一つ確実に取り組んでいく必要があると思います。
 最後に、今後の事業運営の基本的な考え方について、局長にお伺いいたしたいと思います。

○尾崎水道局長 水道は、首都東京の都市活動と都民生活を支える重要なライフラインであり、将来にわたり安全でおいしい水の安定的供給を果たすことを最大の使命としています。
 この使命を果たすためには、効率経営に努めながら、一層確かな安心・安定を実感できる水道サービスを提供するとともに、将来を見据え、持続可能な事業運営を目指すことが重要であると認識しております。
 このため、将来のリスクに十分配慮した水源確保や水道施設の適切な維持管理、更新など、直面する課題に幅広い視点で確実に取り組んでまいります。
 また、公共性の確保と経営の一層の効率化を図るため、監理団体との一体的事業運営を推進し、将来にわたり責任ある経営に努めるとともに、監理団体を活用した国際貢献ビジネスを積極的に展開し、国内外からの期待にこたえてまいります。

○きたしろ委員 今、局長の力強い答弁をいただいたわけですけれども、将来、国際貢献とかいろんな問題があるけれども、一番大切なことは水道水がいつでも蛇口から出てくる、飲める、このことが一番大事。そのためには、やっぱり水源の問題も今大きくクローズアップされているけれど、その辺のところも踏まえて、しっかりと水道事業をやっていただきたいと思います。終わります。

○長橋委員 私からも質疑をさせていただきます。
 公営企業である水道局に対して、まずは、今質疑もありました八ッ場ダムについてでございますが、意見だけ述べさせていただきたいと思います。我が党も一貫して、首都東京の安定給水のためには、この八ッ場ダムは必要不可欠であると、本会議でも、また、他の委員会でも主張してきたところでございます。
 私も現場に行かせていただきましたけれども、そこで、八ッ場ダムで、地元の皆様方の声を聞いて、なおさら一刻も早く八ッ場ダムは建設推進をしなきゃならない。それが、一年前に中止ありきというところから始まりました。ところが、先日、新たな国交大臣は、中止の方向性には言及しないと、まさに迷走しているとしかいいようがないわけでございます。
 東京都も含む一都五県も一貫して強く推進を主張しているわけであります。ぜひ重ねて、八ッ場ダム推進を、水道局としても力強く取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。
 それでは、質問に入りたいと思いますが、まずは広報広聴について質問をさせていただきたいと思います。公営企業でありますから、顧客のニーズにどうこたえていくのか、声を聞いていくのかということは重要な取り組みであろうかと思います。顧客の苦情、要望を取り入れて、商品を改善し続ける、これが企業が顧客に期待されている必要不可欠な取り組みでございます。
 かの松下幸之助氏も、お客様の苦情から商品の欠陥がわかる、お客様の要望が新商品のヒントになると、お客様とは本当にありがたいものだ、このようにいわれているわけであります。これは水道局としても同様であろうかと思います。
 しかしながら、水道局は民間企業に比べて競争性が少ない、こういう面もあります。より意欲的に都民の声を取り入れていく努力をすべきであろうと思うわけでございます。そこでまずは、都民からの苦情、要望等はどれぐらいあるのか、また、その声はどのように取り扱われているのか伺います。

○津国サービス企画担当部長 当局には、お客さまセンターを初めとしまして、営業所やホームページを通じて、年間約百八十万件に上る問い合わせや申し込みなどが寄せられております。そのうち、要望や苦情は約六千件でございます。これらお客様から寄せられた声につきましては、体系的に分類した上でデータベース化し、局全体で共有できる仕組みを構築しております。
 さらに、これらの声を組織全体でしっかりと受けとめ、施策に適切に反映させていくことを目的としまして、昨年、お客様の声活用委員会を設置いたしました。お客様の声活用委員会では、要望件数が多く、対応の必要性が高いと考えられる案件ですとか、件数の多少にかかわらず、業務改善や企画立案に活用できる可能性のある案件を選定いたしまして、貴重な経営資源として、お客様サービス向上に生かせるよう検討を行っているところでございます。

○長橋委員 お客さまセンターや、ホームページ等に寄せられた問い合わせは百八十万件ということで、かなり多くの数があるわけでありまして、そのうち苦情、要望が年間五千件以上、これをきちっとデータベース化していると、蓄積をしているというところでございますけれども、蓄積だけでは意味がないわけでございまして、これをどう生かしていくのかということで、活用委員会も設置をしたというところであります。
 ここは非常に大事なところであろうかと思います。そうした声を生かしての業務改善、または新たな企画、そうしたものに活用していくというところでございますけれども、それでは具体的にどのような施策に反映したのか。またあわせて、毎年のように声、苦情があるわけでありまして、今後の予定も含めてご答弁をいただきたいと思います。

○津国サービス企画担当部長 お客様の声をサービス向上に反映させた事例でございますが、例えば、水道工事に伴う断水などのお知らせにつきまして、従来の工事着手前の配布に加え、工事完了時にも配布することといたしましたほか、水道料金のクレジットカード払いにつきまして、取り扱いクレジットカード会社を追加し、利便性の向上を図っております。
 このほか、職員の接遇に対するご意見が多いことから、外部講師を各職場に派遣して実施する接遇スキルアップ研修など、職員の接遇研修をより一層充実いたしました。さらに、検針時にお客様にお渡ししている検針票につきまして、料金内容などをもっとわかりやすく記載してほしいとの要望を踏まえまして、基本料金等の内訳や日割り計算対象の表記を行うなど、記載内容を充実させる予定でございます。

○長橋委員 今のご答弁でも、検針票をより詳しく記載してほしいと、それについておこたえをしたと。内容、明細であろうかと思いますけれども、こうした取り組みということは、もう当たり前といえば当たり前でありますし、こうしたことが、公営企業として、きちっとお客様にサービスをするという角度から取り組まれたということについては評価をしたいと思います。
 今は、私もさまざまないわゆる民間のサービスを受けているわけでありますけれども、逆に待っていたんでは、この声というのは届かないんではなかろうかなと、このように思うわけでありまして、またそうした取り組みは今盛んに行われていると思います。そういう意味では、水道局としても、ホームページに届いた声だけではなくて、より積極的に、そうした都民の声を集めるべきだと、このように思いますがいかがでしょうか。

○津国サービス企画担当部長 当局では、貴重な声を施策に反映させるため、広くお客様ニーズの把握に努めております。具体的には、水道週間などのイベント等におきまして、各種アンケートや、「東京水」のサンプリング調査を行っていますほか、約千人の水道モニターを対象に、年六回、テーマを決めて、インターネットによるアンケートを実施しております。
 さらに当局では、おおむね三年に一度、都民約五千人を無作為に抽出して、お客様満足度調査を実施しておりますが、飲み水としての水道水の評価等につきましては、よりきめ細かく把握する必要がありますことから、今年度から毎年実施することといたしました。今後ともお客様の声を真摯に受けとめ、施策に反映させることで、お客様サービスの向上を図ってまいります。

○長橋委員 今ご答弁の中に、三年に一度実施をしていたお客様満足度調査、今後、毎年実施をしていくというところであります。東京水はおいしいと、このように宣伝をしているわけでありますが、それを継続していくことの方が、また重要でありますし、大事なことであろうかと思いますけれども、今後毎年実施をするという、お客様満足度調査、これはどういう内容で、どういう調査なのかちょっと教えていただきたいと思います。

○津国サービス企画担当部長 お客様満足度調査は、水道事業に対するお客様の評価や要望を的確に把握することにより、お客様の満足度を測定し、ニーズに対応した事業経営ですとか、質の高いサービスの提供を進めていくことを目的としまして、平成六年度以降定期的に実施しているものでございます。
 具体的には、水道の利用状況を初め、水道水のおいしさや安全性に対する満足度のほか、当局の施策の認知度ですとか、今後取り組んでほしい事業等に関する設問など、幅広くお客様にお聞きしているものでございます。

○長橋委員 そうした意味では、今ご答弁があったとおり、積極的に都民の声を集めて、施策に展開をしているということがわかったわけであります。特に、おいしい水に対する評価、これをどのように、多くの声を集めていくかということが重要であろうかと思いますが、都民の声の要望をしっかりと受けとめているという水道局のご答弁でございました。
 それに対して、私は、先週、小笠原に行ってまいりました。東京から千キロありまして、私も初めて現地を訪れたわけでありますが(「何で」と呼ぶ者あり)目的はですね、小笠原航空路開設推進と、これが大きな目的であったわけでありますが、ぜひ、その航路建設に向けてこれから取り組んでいこうと。ちょっと水道局の話とはそれちゃっていますけれども、住民の方々また村民の方々からの悲願でありまして、東京都からは、その航路建設についてはたびたび期待を裏切られてきた、今度こそはと、こういう思いを重ねて厚く聞いてまいったわけでありますが、また、住民の方々とお話をする際に、その航路建設とは別に、いわゆる民生上、ライフラインとしての水道の話も出ました。
 これについては、小笠原という島は、東京から来た方が−−小笠原の人は、内地の方というのですけれども、かなりたくさんいらっしゃるんですね。村役場の方々も、課長さんたちは、元は東京、内地の出身ですと。小笠原の役場は四十周年、ですから、村役場を退職した方がまだ三人しかいないそうなのです。ですから今、課長の方々の大半が東京出身。村役場の公募を見て、ぜひ小笠原で仕事をしてみようと、同じ東京でも小笠原はどういうところなんだろうかと、夢と希望を託して小笠原に来た方がたくさんいらっしゃる。
 最近も、そういう流れが、ほかの島と違ってかなりありまして、小笠原に観光で来て、この島は自分にとって非常にすばらしい、ここで仕事をしたいという方が結構多い。最近、小笠原に来た方で、今ずっと住んでおられる方の一番の苦情が水道水がまずいということなんです。これは、我々は、私なんかはこっちにいて、東京の水道水っていうのは飲んでいるわけでありますけれども、小笠原の方は、さすがに水道水を飲めないのだと、やはりミネラルウオーターを買ってこないと飲めないと、こんなお話を聞いてまいりました。
 小笠原はもう一点、来年、世界自然遺産登録に向けて、非常にその取り組みにも向けて取り組んでいると。もし来年六月ですかね、世界自然遺産登録されたら、より多くの人が小笠原に来てくれるだろうと、大変高い期待を持っているわけであります。
 そうしたときに、島民の方々から、この水源水質がよくないことから水道水がおいしくないとの声を聞いてきたわけでありまして、この議論については、我が党は、何回か小笠原へ視察団を派遣をして、取り上げてきておりますけれども、水道局は所管外というようなことで、なかなかこの問題については、同じ都民でありながら、どうして、おいしい水でないんだと、こういうことがあるわけでありますけれども。
 今、私の前にもいろいろありました。世界に向けて、アジアに向けて水ビジネスを展開している、この東京の水道の技術力、これはもう世界に冠たるものである。このように宣伝をしておるわけでありますが、同じ東京都である小笠原を含めた島しょ、これは、東京都水道局がどこまでかかわれるのか、こんなことを要望も受けてきたわけでありまして、ぜひこの東京都水道局が保有する高い技術力をもって、この水質上の課題解決、おいしい水にどういうふうにやったら水質改善できるのか。担当の方に聞きましたら、どんどんと水質の基準が高くなってきている、とてもこの村では維持ができない、こんな声も聞いてきたわけでありまして、ぜひ東京都として、高い技術力をこうした島しょにも、技術提供、アドバイスをしていただけないだろうか、前向きな答弁をぜひお願いします。

○吉田浄水部長 小笠原村の水道原水は、島の高温多湿な気候、また地質の影響などによりまして、鉄分やマンガン、また有機物などを多く含み、見た目の色、色度といわれていますが、色度も高い傾向にあると聞いてございます。こうした原水水質を初めとするさまざまな水質管理上の課題解決のために、東京都水道局が保有いたします技術、ノウハウが活用されることは有効であると考えております。このため、小笠原村の状況を踏まえまして、同じ水道事業者としまして、効果的なアドバイスを行ってまいりたいと考えております。

○長橋委員 きちっと効果的なアドバイスを行っていくというところであります。小笠原へ行って、小笠原支庁、東京都の支庁の方々にも大変お世話になりました。ぜひそうしたアドバイスを含めて、しっかりと支援をしていただきたい、このように私からもお願いをする次第でございます。
 小笠原を含めた島しょ−−二十三年度末までに、多摩の二十五市町は、すべて事務委託を解消すると、こういうことでありますし、また、たびたび申し上げますけれども、国際ビジネスとして海外に雄飛をしていく、もちろん、監理団体を活用してでございますけれども。島しょも同じ東京都であります。浄水場の老朽化の問題等々、それは局が違うかもしれませんけれども、課題を抱えているわけでありまして、地元としては、将来さまざまな課題はあろうかと思いますけれども、一元化に向けた声というのを聞いてまいりましたので、ぜひ水道局の皆さんにも、そうした声を受けとめていただきたい、このように思うところでございます。
 次に、震災対策について質問を変えたいと思います。
 この震災対策については、昨年の事務事業も含めて、たびたび取り上げられてきたと思いますけれども、もちろん、水道というのは、都民生活と首都東京の都市活動を支える最重要のライフラインであろうと、私はこのように思っているわけでありまして、なかんずく震災時に断水しないための施設整備の取り組みについては、これまでもたびたび私自身も質疑を重ねてまいりました。
 そうした中で、私が、平成十九年度のときに、平成十九年というのは、いわゆる新潟県中越沖地震があった年でございました。私は、その年末の公営企業の決算委員会で、新潟中越沖地震の取り組みについて質疑をさせていただきました。
 このときにも、東京都の水道局、局職員と工事業者を合わせて延べ五百八十一人の方々を七次にわたって派遣して、新潟の、特に向かったところは柏崎と、一番被害に遭った刈羽村、ここに水道局の職員、事業者の皆さん、もちろん水道局以外の方も、東京都を挙げて支援に行ったわけでありますが、ライフラインの復旧ということであれば、水道局が中心となって、このような取り組みをしたわけであります。
 そのときに、どういう課題があったのかということを聞かさしていただきました。復旧支援に当たっての大きな課題は、一つは、必要な資材の調達に時間がかかった、このようなことがありました。もう一つは、水道施設の状況、基礎情報の入手に時間を要した、こういうことが課題としてありました、ということで、何でもそうでありますけれども、震災対策、災害対策は初期活動が一番重要であるわけであります。初期活動のおくれが、大きな被害の拡大につながったり、また人命にもつながってくるんだろうと思うわけであります。
 そういうことで、初期活動の重要性、これについて、さらに強化が必要ではないだろうか、こんな質問をさせていただきまして、東京都は、そのときのご答弁で、より機動的にできる、いわば水道緊急隊、こういった組織を立ち上げると、設置をすると、このようなご答弁をいただいたわけでありまして、そこで、いわゆる水道緊急隊、その後の活動実績はどのようなものがあるのかご答弁をお願いします。

○酒井給水部長 水道緊急隊では、震災が発生した場合や、突発事故発生時に迅速な対応が図れるよう、二十四時間の出動態勢を整えております。
 ご指摘のとおり、発災後においては、首都中枢機関や災害拠点病院への水道供給の確保は大変重要と考えております。このことから、日ごろより、これら施設への供給ルート確保のための調査訓練を実施しているところでございます。
 特に、災害拠点病院につきましては、今年度より平成二十四年度までの三カ年で六十九施設、すべての病院と合同での応急給水訓練を実施することとしており、既に八施設において訓練を実施してきたところでございます。
 一方、漏水などの突発事故時には、関係部署との情報連絡や、断水作業の支援とともに、断水や濁り水の発生に対応するため、近隣住民への広報活動や、給水車による応急給水活動を実施しているところでございます。なお、事故等に対応する昨年度の出動実績につきましては約二百八十回行っております。

○長橋委員 今いわゆる水道緊急隊の実績を伺いました。昨年度の出動実績は、二百八十件ということでありまして、平成十九年のときに、私がそうした初期活動の重要性を訴えたところ、水道局が、そういう水道緊急隊をつくったというところで、まさにそうした取り組みについては、私も、水道緊急隊の今の実績を見ても大いに評価をするところでございます。ぜひ、今後とも水道緊急隊が活躍できる、活躍できるといいますか、十分に機能するよう、拡充、また充実を図っていただきたいと思います。
 そしてまた、水道緊急隊とともに大きな課題であったのが、いわゆる資材の調達、そうしたことが必要であります。我が党は、以前ですね、応急復旧の材料を十分に確保するとともに、その保管場所も大変重要であるというふうにいってきたところでありまして、水道局では、それから材料置き場を整備をしていきますと、しているということでございますけれども、その後、約二年がたちますけれども、その材料置き場、現在までの整備状況、いかがでしょうかご答弁をお願いします。

○猪熊経理部長 震災復旧用資材置き場につきましては、平成十九年度から二十一年度までの三カ年で順次整備を進め、既存置き場の拡充や、置き場の新設により九カ所を整備してまいりました。置き場の配置につきましては、被害想定や発災後の交通事情などを考慮して、都内東部、中央部、西部の各エリアにバランスよく備蓄する体制を整えております。
 また、備蓄する材料については、新潟県中越沖地震での復旧支援の経験を踏まえ、メーカーから早期調達が困難な異形管や接合部品等を拡充しております。さらに、資材メーカーの供給体制を考慮しまして、おおむね十日以内の復旧活動に必要な材料を備蓄しております。

○長橋委員 今のご答弁でも、新潟中越沖地震の教訓を生かして、この材料についてもなかなか調達しにくいものも含めて、十日分の材料を備蓄していると、こういうご答弁でありました。
 次に、局としての備蓄のほかに工事事業者もいるわけでありますし、水道局が中心となって、さまざまな局が、事業者が、一体となって復旧に向かうわけでありますから、局の備蓄のほかにも、この復旧材料を確保する体制、これを整えなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○猪熊経理部長 発災後おおむね十日目以降につきましては、復旧用資材を各種資材メーカーから調達することとしており、日本ダクタイル鉄管協会など関係四団体と協定を締結しております。
 置き場整備の完了を契機といたしまして、メーカーからの調達を一層円滑に行うため、これまでの協定を見直し、平常時の平均在庫数の把握や調達手続の具体化を図るなど、震災時における即応体制を強化いたしました。また政令指定都市等、他の水道事業体と震災復旧用資機材を相互融通する協定も締結しており、局の備蓄とあわせて必要な復旧材料を確保する体制を整えております。

○長橋委員 今のご答弁で、復旧に向けた材料確保、体制も整備をされているということでございますけれども、これが一〇〇%かどうかということは、改めて、気候温暖化の問題もありますから、不断にこれは改善を重ねる検討をしていただきたいと思うわけでございます。
 その上で、いざこの震災が発生をする、そして材料が必要になる、そこで問題なのが、東京都と同じ種類の資機材をどこも備蓄しているとは限らないわけであります。各都市それぞれ違う機材、資材というのをそろえているんではなかろうかと思いますけれども、いざ持っていったらそれが合わないというようなこともあってはならないわけでありまして、そうしたことも踏まえて、そうした備蓄に関する情報を共有していく、これは非常に重要であろうかと思います。ぜひ他の水道事業体と、こうした情報の連携を深めていくべきだと、このように思いますが、ご答弁をお願いします。

○猪熊経理部長 相互応援の協定を締結している都市間では、それぞれが備蓄している資機材の概況について情報交換を行っておりますが、震災時に迅速に対応するためには、他都市の備蓄状況をより正確に把握しておく必要があります。このため、各事業体が保有する資機材の数量や種類など、より詳細な備蓄状況を共有する仕組みについて、現在、都市間で検討しているところでございます。

○長橋委員 いわゆる仕組みについて検討しているというところであります。よく行政の皆さん方にお話をするのは、非常に優秀な方々が多いわけでありますから、さまざまな仕組みであるとか体制というのは、できるわけでありますけれども、それは職員だけでできるわけでないわけであります。
 先日の本会議でも、応急復旧、地元の人たちにも復旧のお手伝いをしてもらう、こういうことを考えると、仕組みをつくった上で、その上で、いわゆる訓練といいますか、そうしたことがより重要になってくるんだろうな、このように思うわけでありまして、そうした取り組みについても、ぜひ検討していただきたいと思います。
 震災はいつ起きるかわからない、このような状況の中にあって、最も重要なライフラインの一つである水、これをきちっと守っていくためには、大変大きな使命があるわけであります。そうした意味では、先ほどの八ッ場ダムについてもそうでありますし、また、日ごろの応急復旧、震災対策に対する応急復旧等についても、日ごろから検討を重ねて体制をつくっているわけでありますけれども、さらなる体制強化に向けて、局長のご答弁をぜひいただきたいと思います。

○尾崎水道局長 水道は、都民生活や都市活動を営む上で欠くことのできないライフラインであり、震災時においても可能な限り給水を確保することは、水道事業者としての責務であると認識しております。
 このため、震災対策を局の最重要課題の一つとして位置づけ、震災時の影響を最小限に抑えるための管路の耐震継ぎ手化を初めとする予防対策はもとより、被害が発生した際の多様な主体と連携した応急対策の充実、備蓄体制の整備など、ハード、ソフトの両面から、総合的な震災対策を実施してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に実施していくことにより、水の供給を脅かすいかなる事態にも対応できるように、万全を期してまいります。

○山内委員 まず初めに、水需要予測の見直しの今後の進め方について質問をいたします。
 ことしの六月議会において、水需要予測の実施に関する請願が、趣旨に沿うよう努力されたいという意見を付して採択されました。水需要は、一九九〇年代から減少しているにもかかわらず、二〇〇〇年までの実績をもとにした二〇〇三年予測以来、見直しされていません。この請願の採択を受けて、いつ水需要予測の見直しを行うのか、お尋ねします。

○松丸企画担当部長 水需要予測の見直しにつきましては、これまでも適宜、適切に実施してきております。現時点では、予測の基礎となります一日平均使用水量の予測値と実績値に大きな乖離が生じておりません。今後とも、これまでと同様、適宜、適切に見直しを実施してまいります。

○山内委員 水需要は、一九九〇年代から減少していることは周知のとおりです。それにもかかわらず予測の見直しがなされないのは理解ができません。今のご答弁では、市民や議会の意思を軽視するものであり、とても納得できるものではありません。請願を真摯に受けとめ、早急に水需要予測の実施を求めます。
 次に、事業評価について質問をいたします。
 国からの補助金を受ける国庫補助事業については、原則として、事業採択後五年後も実施中の事業を対象とし、原則五年経過ごとに事業の再評価が必要になっています。そのため、都では事業評価委員会を設置しています。
 一九九九年、二〇〇四年度と行われ、水道水源開発施設整備事業では霞ヶ浦導水と八ッ場ダムが、また東京都の一般広域化施設整備事業の多摩分水事業が再評価され、事業が継続になっています。五年ごとの再評価であれば、二〇〇九年度に行われるはずでしたが、事業評価のないまま二〇〇九年度は終わってしまい、ことしの六月になって、東京都一般広域化施設整備事業の多摩分水事業についての再評価のみ行われています。
 水道事業にとって水需要予測は事業評価の根拠であり、基礎データとなるものです。普通に考えれば二〇一三年までの二〇〇三年予測を見直してから、事業評価を行うのが当たり前の流れです。そこで、八ッ場ダムなどの水道水源開発施設整備事業の評価はいつ行うのか、伺います。

○松丸企画担当部長 事業評価につきましては、八ッ場ダムを例にしますと、厚生労働省が、八ッ場ダムの特定多目的ダム建設工事負担金への補助金を交付するために必要な、いわば手続でございまして、国が定めている制度に基づくものでございます。昨年度、国は八ッ場ダム本体工事の入札を中止しており、今年度の予算におきましても本体工事費を計上しておりません。現時点では、事業主体である国から平成二十二年度の事業費の請求はなく、補助金の申請も行っていない状況であります。

○山内委員 事業評価をする際は、水需要予測を見直した上で、その事業が本当に東京都にとって必要かどうかについて判断することを要望いたします。
 次に、ことし二〇一〇年八月に策定されました多摩水道改革計画について質問をいたします。
 給水安定性の向上のために、地盤の高低差や配水区域内の水需要の動向に合わせた施設整備を進め、市町域を越えた配水区域の再編を検討、実施するとありますが、それはどういうものでしょうか、伺います。

○木村技術調整担当部長 配水区域の再編に合わせまして必要な配水管ネットワークを図ることで、多摩地区の給水の安定性を向上させるものでございます。
 また、事務委託の解消にあわせまして、市町域にとらわれず、地盤の高低差に応じた合理的な配水区域を設定することにより、送配水エネルギーの効率化を図るものでございます。

○山内委員 現在、多摩地域の水は、各地域の浄水所で地下水に河川水がブレンドされています。年間を通して、国分寺市や国立市では約六割、小金井市では約七割の地下水が水道水として使用されていることが、各市で広報されています。それぞれ市によって地下水の比率は異なりますが、市民はおいしい水を誇りに思い、財産として、これからも飲み続けたいと思っています。
 そこで、配水区域再編で、市町域にとらわれず、地形特性を踏まえた配水区域になるとのことですが、各市における地下水の比率はどうなるのか、伺います。

○木村技術調整担当部長 市町域を越えた配水区域の再編や揚水量の変動によりまして、地下水の比率は多少変動することもありますが、地下水は貴重な水源でありますことから、可能な限り利用してまいります。

○山内委員 市町域を越えての配水になるということは、水道管を流れる水の流れが変わり、地下水比率も場所によっては変わってくるということだと思います。地下水比率が高くなるのであれば喜ばしいことですが、低くなるとすれば、きちんと説明をして、その地域の方に理解をしていただく必要があります。
 また、配水施設などで廃止をするところもあるようですが、くみ上げた地下水を配水している施設については、廃止をすることなく、地下水を使用し続けることを要望いたします。
 現在、多摩地域全体では水道水源の約三割を地下水が占めており、一日約四十万トンがくみ上げられて日常的に使用されています。この事実により、国の指導によって地下水が認可水源となりましたが、その二〇〇四年三月以降も、東京都は、大切な水源である地下水を依然として都の水源には含めていません。都の見解を伺います。

○松丸企画担当部長 平成十五年度に受けました水道事業の変更認可では、多摩地区の地下水が水道水として供給されているという実態がありますことから、認可の対象として整理されたものでございます。
 多摩地区の地下水は、平常時はもとより、非常時にも活用できる貴重な水源として可能な限り活用してまいりますが、地盤沈下や水質面で課題があることから、安定的な水源と位置づけることは困難であります。

○山内委員 地盤沈下や水質の面で安定的な水源にできないというのは理解ができません。地盤沈下は鎮静化しており、現在の揚水量なら問題はないと都も認めた上で使用をしています。
 また、水質のことをいうのであれば、酸性度が強くてとても飲めない川の水を中和して遠くから引かなくても、土壌のろ過作用により浄化されて、ミネラルを多く含む地下水は飲料水に適しています。汚染のないよう保全をしながら、安定的に使い続けることができる水源です。ぜひ、地下水を都の水源に含めることを要望いたします。
 しかし、現在、地下水を水源としてカウントしていない状況のもとで、この多摩水道改革計画にある管路のネットワーク化を進めることにより、水道水のバックアップ機能が向上すると、将来、地下水が使われなくなるのではないかと懸念をいたしますが、どうでしょうか、伺います。

○木村技術調整担当部長 管路のネットワークは、バックアップ機能を強化していくことで、給水の安定性を目指すものであります。多摩地区の地下水につきましては、先ほどお答えしましたように、地盤沈下や水質面の課題はありますが、貴重な水源であることから、可能な限り活用してまいります。

○山内委員 次に、水源井戸の掘りかえについて質問をいたします。
 二〇〇八年秋から水道用の地下水の揚水量が極端に減っています。二〇一〇年一月の三多摩上下水及び道路建設促進協議会において、生活者ネットワークの議員が、その理由について質問をしたところ、二〇〇八年、二〇〇九年は古いポンプの補修が多かったためで、補修後は再開すると説明を受けました。
 また、多摩地区の浄水所には老朽化した施設も多くあるため、これらの更新工事も必要になると推測されます。その際には、地下水の揚水量も減少することになると思いますが、ポンプの補修や施設更新工事が終了したときには、各施設の運転を再開し、地下水の安定供給を保持していくのかどうか、伺います。

○木村技術調整担当部長 二〇〇八年秋から地下水揚水量が極端に減っている理由は、ポンプの補修に加えまして、比較的規模の大きい浄水所における配水池の拡充や、受変電設備などの更新工事により井戸水源を停止したためでございます。補修工事や更新工事が終了すれば、各施設の運転は再開してまいります。

○山内委員 地下水を飲み続けるためには、ポンプの補修とともに水源井戸の掘りかえ等のメンテナンスは不可欠で、三水協の説明では、年に四本ずつぐらいの井戸の掘りかえを計画していると聞いております。
 また、掘りかえ計画では、小さい井戸は閉鎖して、浄水所の近くに、それにかわる大きな井戸を掘る考えがあるとも聞きますが、その内容と進捗状況についてお伺いいたします。

○木村技術調整担当部長 井戸水源の中には、敷地面積が狭隘で掘りかえが困難な小規模な井戸も多くございます。そのため、施工スペースが確保できる井戸について、計画的な更新を行い、揚水量の確保を図っているところでございます。
 今年度は六カ所の掘りかえを予定しておりまして、今後も、経過年数や能力低下の状況などを踏まえながら、適切に掘りかえを実施してまいります。

○山内委員 二〇〇四年三月、生活者ネットワークの議員提案が発端となり、小金井市で東京初の地下水保全条例が成立し、他の自治体でも地下水保全条例づくりが進んでいます。多摩地区の水道の都営一元化に伴う配水区域再編の際、各浄水所における地下水は、可能な限り利用するとご答弁を得ましたが、一方で、地盤沈下や水質の面で問題があることから、将来にわたる安定的な水源として位置づけることはできないとの答弁もありました。しかし、ならばこそ安定的な水源となるように、公水としての認識に立ち、都の水源として認め、保全していくことが先決と考えます。
 地盤沈下の防止のためには、観測井を設置し、自然水位が低下しないよう稼働指針とすること。安全な水質を保つためには、水質の動向を把握し、地下水に負荷を与えないような揚水管理を行うことが重要です。
 秦野市の地下水保全条例や長岡京市の地下水採取の適正化に関する条例、四日市市の水道水源保護条例などでは、地下水を公水と位置づけています。
 多摩地域の地下水は都の貴重な財産です。自治体の境界を越えて水源を形成している地下水の保全と活用のために、東京都こそ配水区域の再編を契機として、広域の地下水保全条例を制定し、公水として体系的な地下水行政を図っていくべきであると要望し、質問を終わります。

○田中委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十九分散会

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