委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | くまき美奈子君 |
副委員長 | 木内 良明君 |
理事 | 山内れい子君 |
理事 | たきぐち学君 |
理事 | 樺山たかし君 |
桜井 浩之君 | |
鈴木 章浩君 | |
田の上いくこ君 | |
松葉多美子君 | |
高橋 信博君 | |
泉谷つよし君 | |
花輪ともふみ君 | |
相川 博君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 金子正一郎君 |
次長 | 塚田 祐次君 | |
総務部長 | 野澤 美博君 | |
職員部長 | 佐藤 守君 | |
資産運用部長 | 廣瀬 秀樹君 | |
電車部長 | 室星 健君 | |
自動車部長 | 松下 義典君 | |
車両電気部長 | 室木 鉄朗君 | |
建設工務部長 | 吉原 一彦君 | |
企画担当部長 | 小泉 健君 | |
技術調整担当部長 | 広川 徳彦君 | |
技術管理担当部長 | 橿尾 恒次君 | |
参事 | 波多野正裕君 | |
参事 | 岡本 恭広君 |
本日の会議に付した事件
決議について
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十四号議案 平成二十二年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 平成二十二年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 平成二十二年度東京都電気事業会計予算
報告事項(質疑)
・東京都交通局経営計画 ステップアップ二〇一〇 について
○神林委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
初めに、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、決議三件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○神林委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成二十二年度の予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会の所管分について、議長から調査依頼がございました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略をいたします。
平成二十二年三月十五日
東京都議会議長 田中 良
公営企業委員長 神林 茂殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(金)午後五時
(別紙1)
公営企業委員会
第二十四号議案 平成二十二年度東京都交通事業会計予算
第二十五号議案 平成二十二年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六号議案 平成二十二年度東京都電気事業会計予算
第二十七号議案 平成二十二年度東京都水道事業会計予算
第二十八号議案 平成二十二年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九号議案 平成二十二年度東京都下水道事業会計予算
(別紙2省略)
○神林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の平成二十二年度予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより交通局関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑をお願いいたします。
第二十四号議案から第二十六号議案まで及び報告事項、東京都交通局経営計画ステップアップ二〇一〇について一括議題といたします。
本案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○田の上委員 民主党の田の上です。大江戸線のホームさく設置に当たって、安全とバリアフリーの観点から質問をさせていただきます。
東京都交通局経営計画ステップアップ二〇一〇が発表されました。公共交通の使命と役割を掲げ、安全・安心を大切にする姿勢が読み取れます。計画の中では、平成二十二年度から二十五年度の事業として、大江戸線の可動式ホームさく設置の計画があります。予算案では十四億一千四百万円が計上されていますが、今回ホームさくを設置することになった理由から、まずお聞かせください。
○広川技術調整担当部長 大江戸線ホームさく設置の理由でございますが、平成十八年に施行された高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法では、駅などの旅客施設を新設する場合等には、発着するすべての鉄道車両の乗降口の位置が一定しているなどの基準に該当するホームに可動式ホームさくを設置することを義務づけております。
大江戸線は平成十二年に既に全線開業した路線であり、法によりホームさくの設置を義務づけられてはおりません。しかし、転落事故防止に有効であり、大江戸線では乗客数が大幅に増加していること、相互直通運転を行っていないため他の鉄道事業者との調整の必要がないことなどから、ホームの安全性をさらに向上するため、可動式ホームさくを全三十八駅に導入することといたしました。
○田の上委員 大江戸線での設置は義務ではないということなんですが、さらなる安全策として進めていただけるということで、大変うれしく思います。
交通局では、社会的要請への対応という取り組み方針のもと、安全のみならず、あらゆる意味でのバリアフリーに取り組んでいると思います。ノンステップバスもかなりふえました。地下鉄においては、駅構内の音声案内やサービス介助士の資格取得拡大などに力を入れています。高齢者や障害者など、車いすを使用する方は、スロープ板を使い介助していただき、助かっていると聞きます。同時に、自力で乗車することを望む方もいらっしゃいます。
都営三田線では、平成十二年に、ホームさくの設置に合わせて、二両目と五両目の車いすスペースに合わせてホームのかさ上げ、すなわちスロープが設置されました。車いすを使用する方が自力でそのまま乗車することを可能にし、大変喜ばれています。三田線は、都が管理する二十四駅のうち、二駅では、このスロープが設置されていないと聞いています。なぜ、ここではスロープの設置ができなかったのか、理由をお聞かせください。
○吉原建設工務部長 三田線におきましては、二両目と五両目の車いすスペースのある乗降口のホームに、原則としてスロープを設置しております。
しかし、地下鉄駅の線路がカーブしているホームでは、ホームと車両の間のすき間が広くなります。国土交通省が定めた鉄道技術基準によりますと、車いす使用者が円滑に乗降できない間隔は、十センチメートルが目安とされています。そのため、すき間の間隔が十センチメートル以上の箇所では、スロープを設置せず、駅職員がお手伝いしてスロープ板で乗りおりしていただいております。
○田の上委員 よくわかりました。
大江戸線は、三田線のようにカーブが少なく、比較的真っすぐであると聞いています。また、三田線と比べてホームとの段差が少ないとも聞いております。都営三田線では平成十二年に可動式ホームさくの設置、同時期にスロープの設置を行っているのですが、今回、大江戸線のホームさくの設置しか聞いておりません。ホームが一部盛り上がっていることから、いろいろなケースも想定されるのですが、三田線においてスロープを設置したことで、乗客の方から問題点等のご指摘をいただいたことはあるのでしょうか。
○吉原建設工務部長 三田線におきまして、ホームを歩くお客様から、スロープがあるため歩きにくいというご指摘はございません。
○田の上委員 問題が特にないということで、安心をいたしました。
ちなみに、三田線のホームさくにかかった費用と、スロープ設置にかかった費用はどれくらいでしょうか。
また、今回整備される大江戸線ホームさく本体の設置費用はお幾らになるのか、教えてください。
○広川技術調整担当部長 三田線の可動式ホームさく本体の製造及び設置費用は約二十億円、スロープの設置費用は路線全体で約二千五百万円であります。また、大江戸線の可動式ホームさく本体の製造及び設置費用は約二十一億円であります。
○田の上委員 一概に金額の多寡で物事ははかれませんが、費用対効果としては、スロープというのはかなり大きいものだと思っております。一つ一つの取り組みにより、交通局が目指すユニバーサルデザインのまちづくりに近づいていきますので、安全性と同時に、バリアフリーも一緒に進めていただきたく、今回のホームさくの設置に合わせてスロープの設置を要望いたしますが、いかがでしょうか。
○吉原建設工務部長 大江戸線におきましても、四両目と五両目の車いすスペースのある乗降口のホームに、ホームと車両のすき間が十センチメートル未満の部分にはスロープを設置することとしております。可動式ホームさくを設置する場合には、乗降口の前に点字用ブロックを敷き直す必要があるため、これに合わせてスロープを設置するよう、現在、設計を進めているところでございます。
○田の上委員 前向きなお答えをいただき、ありがとうございます。
三十八駅全駅に設置をするという認識でよろしいんでしょうか。
○吉原建設工務部長 大江戸線のスロープにつきましては、現在、設計の段階でございますが、全三十八駅で、車いすスペースのある乗降口のホームにスロープを設置することとしております。ただし、このうち二駅につきましては、一部に車両とホームのすき間が十センチメートル以上の箇所があるため、スロープを設置しないところがございます。
○田の上委員 構造上の問題もあると思いますが、可能な限りでお願いいたします。
スロープは、安全性の観点から、ホームさくが設置されてからでないと進められないと聞きました。都営地下鉄としては、ほかに浅草線、新宿線もあり、今後、可動式ホームさくの導入を望むものです。さきの予算特別委員会で、この件に関して、技術面や輸送面の課題があるというお話でしたが、安全性の拡大とバリアフリーのためにも、今後、ぜひご検討いただきたいと要望いたします。
次に、高齢化時代の到来により、公共事業の見通しについての考え方をお伺いいたします。
交通経営計画ステップアップ二〇一〇では、少子高齢化が進むことを懸念し、乗客数の大幅な増加は期待できないと、経営の厳しさが書かれています。今後の東京都の人口の見通しをどのように考えているのでしょうか。
○小泉企画担当部長 東京都の人口について、総務局が平成十九年三月に発表した東京都区市町村別人口の予測に基づき、当面は人口流入により増加傾向が続くものの、平成二十七年ころにピークを迎え、以後は減少に転じ、平成三十二年ころには、ほぼ現在の人口と同程度となり、その後は、さらに減少していくものと予測しています。
○田の上委員 少子高齢化が進むと、当然、通勤通学客も減少してまいります。ですが、一方で、車を運転できなくなる高齢者もふえます。病院に通う高齢者もふえるなど、高齢者ならではの交通需要もふえてくると思います。今後の事業運営をどのようにお考えでしょうか。
○岡本参事 少子高齢化社会における都営バスの事業運営についてのお尋ねでございますが、都営バスはこれまでも、通勤通学を初めとする都民の身近な足としての役割を果たしてまいりました。少子高齢化社会を迎え、乗りおりが容易で気軽に利用できる路線バスは、その役割がますます重要となります。今後、少子高齢化の進行に伴い、生産年齢人口が減少するため、公共交通機関の乗客数も減少すると見込まれるなど、厳しい事業環境ではございますが、高齢者を含め、お客様が安全・安心にご利用いただける都営交通を目指してまいります。
○田の上委員 移動は生活です。また、移動は福祉の観点とは切り離せなくなってきています。高齢になって動く機会が減ってきますが、通院だけではなく、娯楽や買い物なども含めて、移動すること、社交の場にかかわることが高齢者の喜びとなってまいります。現時点でも、公共交通の不便地域と呼ばれるような、バス停もかなり遠い地域にお住まいの方もいらっしゃいます。ご説明いただいたように、厳しい経営についても理解をするところですが、ここは、交通局のみならず都全体の交通政策として、ぜひ福祉の視点を忘れないで、今後、進めていっていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○鈴木委員 引き続き新経営計画ステップアップ二〇一〇についてお伺いいたします。
都営地下鉄は、昭和三十五年の浅草線の営業開始から順次路線を拡大し、現在では、四路線、百九キロメートルの営業距離を有し、平成十二年の大江戸線全線開業により、首都圏の鉄道ネットワークの中核として、安全で、より快適で、質の高い公共機関としての期待はますます高くなってきております。
また、近年では、局施設の整備に当たっては、省エネ化によりCO2排出量を削減するなど、環境に配慮した設備の導入など、公共交通の環境優位性を含め、環境に配慮したすぐれた交通機関としてPRすることにより、一日約二百三十万人を超える利用客があります。
こうしたことから、現在の東京の都市活動に欠かせない重要なインフラの一つになっているわけでありますが、私は以前から、何よりもまず一番大切な都営地下鉄の安全対策の取り組み状況についてただしてまいりました。
この委員会での質問を考える最中の三月十五日早朝、大阪市のことでありますが、市営地下鉄長堀鶴見緑地線で自動列車制御装置ATCの異常が発生した電車が、ATCを解除したまま約六・二キロを運行し、ポイントを無理に通過して壊した上、本来、進入してはならない線路に進入し、駅で停車中の別の列車に約七十メートル手前で緊急停車するという事故が起きました。乗客には、けがはなかったということでありますが、複数のミスが重なり起きた事故として、他山の石として、いま一度、当局の安全対策を振り返る契機としていただきたいと思います。
鉄道事業者にとって安全の確保は第一の使命であり、一たび事故が起きれば、これまで築いた信用や信頼は、いとも簡単に失われてしまい、経営を脅かすような事態に陥ってしまうことさえ十分に考えられます。利用者に安心して都営地下鉄を利用してもらうためには、ハード、ソフト、両面からの取り組みが必要であると考えております。
そこでまず、交通局として、今回、大阪市で起きた事故の感想と、安全・安心の確保について、これまでどのように取り組んできたのかをお伺いいたします。
○波多野参事 交通局では、都営地下鉄の安全を確かなものにするため、これまで、ハード、ソフトの両面からさまざまな対策を講じてまいりました。
ハード面の対策では、ATS、ATCなど、保安装置の改良、橋梁等構造物の耐震補強、地下駅の排煙設備の整備等、火災対策の強化などを行っています。
ソフト面では、自然災害や重大事故を想定した訓練、安全強化月間の設定による職員の安全意識の高揚を図るための運動、事故防止や取り扱い手順を徹底するための安全対策研修の充実などに取り組んでいます。
また、JR福知山線脱線事故を契機に導入されました運輸安全マネジメント制度を適切に運用し、安全方針に基づく安全重点施策を策定し、実行するとともに、内部監査などを実施し、安全管理体制の水準向上にも努めております。
なお、大阪市営地下鉄で発生しました重大インシデントですが、これは、ご指摘のとおり、ATC故障時の運転取り扱いを誤ったことによるものです。都営地下鉄の場合、ATC故障時には、運輸指令の指示により、一区間に一列車しか入れない方式で運転します。ポイントの切りかえにつきましても、区間ごとに列車が進入する前に進路をとるため、ポイントの切り忘れは生じないものであります。
当局では日ごろから、ATC故障時の運転取り扱いの訓練を実施し、大阪市のような事態が生じないよう教育を徹底しております。今回の事例を他山の石として事故防止に努め、安全・安心の確保に努めてまいります。
○鈴木委員 今回の事故を通しての決意も伺いまして、本当に心強くしているわけですけれども、本当に交通局がこれまで、安全・安心の確保に向けてさまざまな取り組みを行っていることがわかりました。
先月も、当委員会で、交通局の新しい経営計画ステップアップ二〇一〇の説明を受けましたが、まず何よりも安全性こそが、すべてのサービスの上に立つものであるという認識のもと、その重大な責任を一日一日果たし続けていっていただきたいというふうに思います。
そこで、このたび打ち出されましたステップアップ二〇一〇における安全・安心の確保の取り組みについて改めてお伺いいたします。
○小泉企画担当部長 ステップアップ二〇一〇では、交通局の安全マネジメント体制を一層強化し、職務への安全意識の浸透や職場の安全風土の醸成を図り、事故やトラブルの防止を徹底すること、異常時対応等、各種訓練を充実させ、万一の異常時における迅速な対応や早期復旧体制を確立、強化すること、安全で正確な運行を確保するために必要な設備投資を積極的に行い、施設等の適切な維持管理に努め、安全輸送を支える基盤の整備に万全を期すことなどを事業の方向性として考えております。
安全・安心の確保に関する計画事業は、安全マネジメント体制の強化のほか、大江戸線への可動式ホームさくの整備、すべての路線バス車両へのドライブレコーダーの導入、総合指令の構築、地下鉄構造物の長寿命化など、合計二十一事業であり、今後三カ年で総計画事業費の六二%に相当する五百九十七億円を投じていく予定でございます。
○鈴木委員 これまでの議会や委員会での要望も踏まえて、安全の確保を最優先に、ハード、ソフト両面から安全対策の取り組みを強化していくとのことが確認できました。
しかし、最も大切なのは、先日の大阪市の事故のように、マンパワーである地下鉄の安全を第一線で支える職員の育成ではないでしょうか。鉄道職員と一口にいいましても、駅員や運転士、さらに補修現場の職員など、さまざまな仕事にかかわる職員が安全を守るために日夜働いております。これら職員のレベルを向上し、さらに、個々の職員に至るまで安全意識を植えつけてこそ、真に安全が確保できるものと考えております。
そこで、地下鉄職員に対する安全教育、研修はどのようなものか、改めてお伺いいたします。
○佐藤職員部長 地下鉄職員に対します安全教育、研修についてでございますが、交通局では、新任研修を初めとする、経験や職種に応じまして行う集合研修と、職場の状況に即して行うOJTを二本柱として安全教育、研修を行いまして、職員の能力や意識の向上を図っているところでございます。
また、具体的には、乗務員に対しましては、運転シミュレーターなどを活用しまして操作訓練を実施するほか、事故等のそういった場面を再現しました異常時対応訓練を行っております。
駅務員につきましては、駅ホーム監視におけます基本動作の徹底や、地下鉄信号教習装置を使いまして運行障害の復旧訓練を実施しているところでございます。
一方、保守職場につきましては、経験豊富な職員をリーダーとした安全教育を日常業務の中で行うほか、災害復旧訓練など各種訓練をやっているところでございます。
また、安全の意識の向上のために、過去の事故事例のパネルや、それから映像資料を集めました事故から学ぶ展示室を設けまして、各種研修に利用するとともに、これらの資料をDVDにおさめまして、事業所等における安全教育にも活用しているということでございます。
○鈴木委員 安全は本当に人が支えているわけです。日ごろの緊張感を大切に、ぜひ優秀な人材を育てていただき、都営交通の安全性をさらに高めていただきたいと要望しておきます。
次に、ハード面での安全対策について伺います。
都営地下鉄を利用している方々に安全・安心な運行を提供するためには、安全輸送を支えるインフラであるトンネルや駅などの構造物を初めとして、レール、枕木、さらには安定して電気を送るための設備などの整備に万全を期していく必要があります。最近の国土交通白書では、高度経済成長期を中心に整備された社会資本の老朽化が進んでおり、適切な維持管理や更新を行っていくことが重要であると指摘されております。
私が利用している都営浅草線は、まさに高度経済成長期に当たる昭和三十五年に開業し、ことしで五十年を迎えます。また、三田線についても既に四十年が経過しており、地下鉄の安全で安定した輸送を確保するためには、地下鉄構造物を常に良好な状況に保つよう、適切な維持管理が必要と考えております。
そこで、都営地下鉄の構造物を常に良好に保つために、これまでどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。
○橿尾技術管理担当部長 構造物を常に良好に保つためのこれまでの取り組みでございますが、都営地下鉄のトンネルや駅などの構造物につきましては、検査の方法や対応策などの基準を定め、適切な維持管理を実施しております。
具体的には、まず、構造物の健全度を把握するため、日常の点検や定期検査などを行います。日常の点検は、毎日の徒歩による巡視を中心に行い、定期検査では、検査項目ごとに定めた頻度で、終電から始発までの時間帯に、作業車を用いまして、入念な目視や打音による検査などを行うものでございます。
これらの点検や検査の結果、コンクリートの剥離や劣化などが確認されました場合は、運行に支障が生じないよう、必要な補修を行っております。
○鈴木委員 地下鉄の安全性は、本当に当たり前のことと感じられてしまい、乗っていても、安全を支えている交通局の努力はなかなか理解されないものと思います。ましてや、夜間行われている保守作業に目を向ける乗客は少ないものと考えます。本当に涙ぐましい努力のたまものであるというふうに敬意を表する次第でございます。
ただいまご説明をいただいた取り組みは、地味でありますが、地下鉄の安全を支える基本的なものでありますので、ぜひ真摯に取り組んでいただきたいと要望いたします。
次に、地下鉄構造物の長寿命化について伺います。
ことし一月に東京都が発表した「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇では、昭和三十年代から四十年代の高度経済成長期に整備された道路橋等の長寿命化への取り組みが示されております。当然、老朽化が進めば更新することになるわけでしょうが、地下鉄の営業を休止してトンネルをつくり直すことは非現実的であります。したがって、高度経済成長期に建設された都営地下鉄の構造物についても長寿命化を図っていくことが重要な課題であると考えております。
そこで、都営地下鉄の長寿命化への取り組みについて、交通局のご所見をお伺いいたします。
○橿尾技術管理担当部長 長寿命化への取り組みについてでございますが、開業が最も早い浅草線につきましては、建設後五十年が経過していますため、今後は、長期的な視点に立った計画的な維持管理を行い、構造物の長寿命化と補修費用の平準化を図ってまいります。
具体的には、これまでの検査、補修方法に加え、最新の技術を取り入れた電磁波探査や化学的な試験などにより、鉄筋の腐食度合いやコンクリートの質の変化を把握し、将来の劣化を予測した上で事前に対策を行う、予防保全型の管理手法を導入することといたしました。
現在、浅草線の現状調査を進めており、平成二十二年度には長寿命化の補修計画を策定し、二十三年度から施行する予定でございます。
○鈴木委員 困難な課題もさまざまあると思いますけれども、ぜひ今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ところで、先ほどの答弁にもありましたけれども、安全・安心の確保には多額の費用が必要であり、新経営計画では、全計画事業費の六二%に当たる五百九十七億円を投入して重点的に取り組むとしております。しかし、少子高齢化の進展や景気低迷等により大幅な乗客の伸びが期待できないことや、地下鉄事業に四千億円以上の累積欠損金の解消や一兆円を超える長期債務を返済していかなければならないなど、黒字基調になったとはいえ、都営地下鉄を取り巻く事業環境は大変厳しいものであると考えております。
このような状況にあっても、効率的な執行体制を確保するとともに、広告事業など、関連事業の強化に取り組むことにより経営力を強化し、安全・安心の確保を初め質の高いサービスの提供など、都民の期待にこたえた事業運営を続けていかなければなりません。
そこで、経営力の強化に向けてどのように取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
○野澤総務部長 都営地下鉄事業におきましては、これまで、業務委託の拡大や組織体制の見直しなどによりまして定数を削減し、あわせてコスト縮減の徹底などにより財務体質の改善を進めてまいりました。
事業を取り巻く環境は大変厳しい状況にございますが、収入の確保の面におきまして、利便性、快適性の向上に努め、お客様の確保を図ることはもちろん、広告事業において媒体価値の向上などの創意工夫を重ねるとともに、資産の一層の有効活用を図ることにより、関連事業における収益力の向上に努めてまいります。
効率的な執行体制の確保の面におきましては、引き続き業務の見直しや委託の活用などによりまして、さらなる職員定数の削減を図るとともに、関連団体との連携を強化し、適切な役割分担を進めることにより、スリムでむだのない執行体制を構築してまいります。
こうした取り組みを推進いたしまして、より一層、経営力の強化を図り、将来にわたって安定した事業運営ができるよう努めてまいります。
○鈴木委員 今のご答弁にもありましたけれども、本当に議会でも、さまざまな指摘や要望がありますけれども、皆様のご努力によりまして、以前に比べれば、その経営状況はかなり改善されたというふうにも思っております。しかし、厳しい社会経済状況等を踏まえ、今後とも経営力の強化にしっかりと取り組んでいただき、安定した事業運営を続けていただきたいと思います。
本日は、地下鉄の安全・安心の確保を中心に質問をさせていただきましたが、交通局は、新経営計画に基づき質の高いサービスの提供など、さまざまな事業に取り組むこととされております。都民や利用者に安全で良質な輸送サービスを提供していくためにも、計画を達成していただきたいと思います。
そこで、最後に、新経営計画ステップアップ二〇一〇の達成のため、今後の事業運営に向けた局長の決意を伺って、私の質問を終わります。
○金子交通局長 これまでの交通局の歴史は、財政再建の歴史ともいえるほど収支改善が経営の大きなウエートを占めてまいりました。そのような状況の中でも、必要な安全対策には重点的に取り組んできたつもりでございますが、大規模な投資につきましては財政面を考慮せざるを得なかったのも、また事実でございます。この間、増収対策と効率化の両面で経営健全化に取り組んできた成果もありまして、平成十八年度決算で都営地下鉄の経常収支は黒字に転換し、より積極的な経営ができるようになりました。
また、ご指摘のように、近年、公共交通の安全安定輸送の確保に求められるレベルは、かつてないほど高まっております。このため、ステップアップ二〇一〇に定めた経営方針に基づき、引き続き安全・安心の確保を最優先に、安全マネジメント体制を一層強化するとともに、地下鉄構造物の適切な維持管理に努め、安全輸送を支える基盤の整備に万全を期していくなど、安全対策に重点的な設備投資を行ってまいります。
今後、職員一丸となり、この経営計画を確実に達成することにより、さらなるステップアップを果たし、お客様に信頼、支持される都営交通を目指してまいります。
○木内委員 今、同僚議員の質疑にもありましたけれども、都営交通というのは、非常に都民生活と密接不可分な関係を持っておりまして、特にダーウィンがいっているように、生き残る生物の特徴、体の大きなものでもなければ、力のあるものでもない、変化に対応する能力を持ったものが生き残るんだと。まさに今、東京都交通局の事業に対する姿勢が問われているのは、そこであります。新しい角度、少子高齢社会に対応するための、福祉の視点からの先ほど議論もありました。非常に、いいやりとりであったと思いますし、また、安全を担保するためには、大変な対価が要求されるという現代社会のシステム構造の中での議論を、私は、今、鈴木委員もいっておられましたが、興味深く聞いておりました。しこうして議会は、事業執行のための予算を審議をして、この予算執行状況をチェックするとともに、さらに、議会の議論を通じて具体的な提案を行って、その中から一定の成果を紡ぎ出して施策に反映をしていくという、さまざまな機能と役割が要求をされているわけであります。
私は、先ほど来、この副委員長の席をいただいて、お一人お一人のお顔を見ながら、きょうは、残念ながら時間の関係で、全部長にご答弁いただくわけにいかないけれども、金子局長、塚田次長のもと、皆さんが一騎当千の、またお力を発揮して努力をされているということで、コンテンポラリーというか、今日的な部長さんたちのお名前とお顔を今、もう一度、申し上げながら、確認をさせていただきたい。
金子局長ですよね、ちょっとお手を挙げていただいて。それから塚田次長、それから野澤総務部長、ご苦労さまでございます。佐藤職員部長、廣瀬資産運用部長、なかなか答弁の機会がないけれども、室星電車部長、松下自動車部長、室木車両電気部長、それから吉原建設工務部長、それから小泉企画担当部長。申しわけないです、もうちょっと聞いてください。広川技術調整担当部長、それから橿尾技術管理担当部長、波多野安全管理担当参事、それから岡本バス事業経営改善担当参事。合わせて、局長、次長を入れて十四人の幹部職員の方がおられるわけでありますけれども、本当に皆様それぞれの所管する部長のもとで、職員皆さんが日夜ご努力をされていることに、まず、心から私は敬意を表したいと思うわけであります。
そこで、きょうは二十二年度予算と、それから、このステップアップ二〇一〇について、いわゆる報告案件として、若干の議論を行うものでありますけれども、やはり行政の継続性、事業の継続性といいますか、こういう点から考えますと、単に、このステップアップ二〇一〇の議論にとどまることなく、今までの経過による内容の検証というものも行っていく必要があるであろうと。私は、今回の経営計画を議論するときに、まず、二〇〇七の成果について、きちっと吟味して、検証していく必要があるだろう、こう思うわけであります。プラン、ドウ、シーでありますから、きょうは、そのいい機会だと思っているわけであります。
現行の経営計画新チャレンジ二〇〇七に対する交通局の、まず総括を確認しておきたいと思います。というのは、現行の経営計画は、今月三月までに八十二の事業計画、これを定めて実施をしていくということになっているわけでありますけれども、時期的には、今、完全に計数を初めとして結果が出ているわけではないと思う。だけれども、この時期となれば、計画の概要を形成する一定のものについては、達成状況というものが、ほぼ概括できるように見えてきているのではないか、こう思うわけであります。
そこで、二〇〇七の達成見込みについて、二〇一〇の議論を行う前に報告を求めたいと思います。
○小泉企画担当部長 交通局では、安全・安心の確保やお客様サービスの向上などを図るため、これまで局を挙げて新チャレンジ二〇〇七の達成に取り組んできました。その結果、計画期間中に予定した全八十二事業のうち、約八〇%に当たる六十四事業について目標達成の見込みとなり、主要事業についてはおおむね計画策定の所期の目標を達成することができたと考えています。
計画事業の中には、ハイブリッドバスの導入やエスカレーターの自動運転化の拡大など、目標を大きく上回り達成できた事業がありました。一方で、地下鉄駅のエレベーター等によるワンルートの確保など、用地取得のおくれにより今年度中の目標の達成が困難な事業もありますが、これらについては、引き続き早期達成に向けて取り組んでいくこととしております。
また、計画に基づく経営力の強化についてでございますが、六百人の定数削減や徹底したコスト管理によるコスト縮減を行い、スリムで足腰の強い都営交通を目指して取り組んできたところでございまして、これらのことにより、財政収支については、軌道事業が二十年度決算で経常赤字となりましたが、主要事業である地下鉄事業、バス事業について、三年間、経常黒字を確保できる見込みであり、おおむね目標を達成できる見通しとなっております。
○木内委員 さっき、鈴木委員の質疑に対しても、答弁の中で定数削減という話がありましたが、今また、さらに踏み込んで数字まで明らかにされたわけでありました。また、軌道事業で経常赤字が発生している、私は、これは今後への経営努力によって、また、しっかりと踏み込んだご努力をお願いしたいと思うわけであります。地下鉄やバスで、三年間、経常黒字を確保できる見込みとなった、こうしたことを初めとして、全体としておおむね、この目標は達成をしてきているんだと、こういうふうに受けとめたいと思うわけであります。
ハイブリッドバスなんかも、導入は大分先行して進めておりますし、また、ある年度においては、私も強く提案をして、それを反映してもらったんですが、ノンステップバスなんかも、執行によって随分台数を増加させたという経過などもあり、交通局全体のご努力を高く評価をいたすものであります。
経営計画ということは、考えますと、企業経営の羅針盤ということでありますから、事業環境の変化というものを敏感にとらえて、さっきも俚諺を引いて申し上げたわけでありますけれども、対応していく必要がある。
私は、去年十月だったと思いますが、たしか、この委員会の場で、今般議論になっている新しい経営計画の策定の基本的な考え方についてただしたわけでありますけれども、この際に局長から、交通局が新経営計画において、交通局を取り巻く事業環境の変化を的確にとらえて、そして、きょうも議論があったところでありますけれども、安全対策の充実、環境対策に積極的に取り組んでいく、こういう答弁を明確にされているわけであります。
私は、何度もいうように、議会における議論というのは形式であってはならないし、予算を認めてもらうための議論という位置づけであってはならないのであって、具体的な議論の成果が、新しい事業計画や新年度の予算にどう反映されるかということが一番問われるんだと思うんです。
そこで、今るる申し上げてまいりましたけれども、局長があのとき答弁されていたような内容が、具体的にどう、私の提案も含めて、反映をされているのか、明確にお答えを願いたいと思います。
○小泉企画担当部長 新経営計画のステップアップ二〇一〇におきましては、安全・安心の確保、質の高いサービスの提供、社会的要請への対応及び経営力の強化を取り組み方針としています。
この取り組み方針のもと、今後は、少子高齢化により乗客数の大幅な伸びが期待できないとの見通しのもとではありますが、輸送の安全確保や環境負荷低減への取り組みに関する要請の高まりなど、交通局を取り巻く事業環境の変化を踏まえ、諸課題に対応するため、新たな視点により主要な計画事業を選定しています。
安全・安心の確保については、特に重点的な設備投資を行い、大江戸線への可動式ホームさくの設置、都営バス全車へのドライブレコーダーの導入を計画しています。
また、お客様本位のサービスの実現に向けて、輸送力の増強、駅、停留所の快適性の向上、バス車両の一〇〇%ノンステップ化、ICカードPASMOを利用したポイントサービスの導入などを行うことといたしました。
社会的要請への対応につきましても、環境対策への貢献を図り、自家用車から都営交通への転換を促進するための環境PRなどを行ってまいります。
さらに、引き続き経営の効率化や徹底したコスト削減に取り組むなど、経営力の強化を図り、スリムで足腰の強い都営交通を目指してまいります。
○木内委員 私はやはり、今の答弁を聞いていて、議会における議論は大切だなということを痛感していたわけであります。
時には、例のエコポイントの導入のときには随分と無理を申し上げたわけでありますけれども、これも、計画を策定していただいて、実行の方向に乗り出したことを初めとして、今るる項目別に上げていただきましたけれども、私どもが要求をしてまいりましたものが如実にこの施策に反映をされている。したがって、私は、二〇一〇ステップアップのこの新経営計画を全面的に支持もするし、応援もさせていただくし、評価をしたい、こう思うわけでございます。
さて、近年、企業も、社会を構成する一員として持続可能な社会に貢献する必要があるというCSRの考え方に基づいて、民間企業にも社会貢献活動を行う動きが、今、燎原の火のごとく広がっている、この社会的役割を果たさない企業への糾弾というものも、大変大きなものになっている、これは事実であります。
そうした社会情勢の中で、多くの都民の皆様は、交通局が東京都の公営企業として、民間企業のいわば範となって、環境対策はもとより社会的ニーズの各部面、分野において積極的に社会貢献という視点から取り組むべきである、こういう実は強い要望を持っていることも事実であります。
したがって、今、単純な経営計画ということではなくて、社会的ニーズ、あるいは逆にいえば、社会貢献として何ができるのか。東京都政全体はもとより、申し上げた密接不可分な都民生活と、切っても切り離せない使命を持っている交通局における要請というものは、他局に比べて非常に大きなものがあると思うのであります。
そこで確認をするわけでありますが、交通局が新経営計画において社会的要請への対応として取り組んでいくということ、これ、私は、都民のそうした思いというものを敏感にとらえている大きな証左だと思うわけでありますけれども、この点について見解を明らかにしてもらいます。
○小泉企画担当部長 交通局は、公共交通機関としての役割に加え、公営企業として、行政施策との連携や環境対策、地域社会への貢献など、民間より高い水準で社会的な要請に対応していくことが求められていると認識をしております。このため、ステップアップ二〇一〇におきましては、CO2削減など、地球温暖化の防止に貢献し、環境に優しい都営交通の確立を目指すこと、地域に密着した交通機関として、沿線の利便性を高めつつ、自治体や商店街などと協働して地域の活性化に寄与していくこと、また、さまざまな分野の行政施策と連携していくことなどを事業の方向性として掲げております。
具体的には、環境に優しいハイブリッドバスを引き続き導入していくとともに、都電荒川線と日暮里・舎人ライナーの沿線地域の活性化に寄与するため、地域に密着したイベントなどを展開してまいります。
また、駅へのAEDの増設や、中学生の職場体験への協力などの事業を計画化しております。
○木内委員 今、答弁あったように、いわゆる交通局の事業を一つの支点といいますか、てこにしまして、地域社会に広がるさまざまな運動であるとか、あるいは教育を初め各分野に対するいろんなインセンティブを与える事業の実施というのが可能なわけでありまして、今いわれた項目、さらに、この委員会で確認をし、また応援を申し上げながら、進めていきたいと思いますけれども、着実な施策の実施をまず心から要望しておきたいと思います。
いずれにしても、他の民間企業の模範となるような東京都の交通局事業であっていただきたいと、こういうことであります。
都は、「十年後の東京」計画において、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するという高い目標を掲げて、具体的な取り組みの一環として、カーボンマイナス十年プロジェクトなどの環境対策の推進に力を入れてきているところでありますけれども、こうした環境対策において、交通局は、交通事業者として公共交通の利用促進の取り組みなどで貢献すると同時に、都の一つの部局として環境対策の推進に取り組んでいく、その役割を大きく担っているんだと、こう思うのであります。交通局もCO2排出事業者の一つでありまして、あした議論をする下水道局は一番排出するわけだけれども、都民にわかりやすい形では、やはり交通局の事業とCO2対策というのは切っても切り離せないという、そういう印象があるわけでありますけれども、排出事業者の一つでありますから、交通局も、みずからもCO2削減に向けた施策を講じていく必要があります。
さっきもちょっと触れましたが、私は前回のこの委員会で、エコポイントを中心に環境対策についてただしたわけであります。今回バス事業の取り組みということについてお尋ねをするわけでありますが、まずは、次世代燃料等を使った実証運行の取り組みについて聞きます。
日本から排出されるCO2のうち、自動車から排出されるCO2の割合は大変高い。したがって、我が国において各分野では、自動車からの排出を抑えていく施策が求められているわけであります。オピニオンリーディングとはよくいうけれども、公共事業としての東京都の交通局の役割も、そういう意味では極めて大きいし、都営バスにおいては、平成十九年から二十年にかけて、二種類の環境に優しいバイオ燃料を使った実証運行を、環境局と連携して実施しているわけであります。
そこで、都営バスにおける実証運行、次世代燃料等への取り組みについて、現状がどういうふうになっているのか、報告を願います。
○松下自動車部長 交通局では、環境局や国などと連携して、バイオ燃料などの次世代燃料の実証運行を営業路線の一部を使い実施してきました。
具体的には、平成十九年十月から二十一年三月までの間、軽油に植物由来のバイオ燃料を五%まで混合した第一世代バイオディーゼル燃料について、また、平成十九年十月から二十年三月までの間、植物油を水素化処理したものを軽油に混合した第二世代バイオディーゼル燃料について、それぞれ実証運行を実施いたしました。さらに、平成二十一年二月から二十二年一月までの間、天然ガスを原料として液体燃料に合成した次世代燃料、いわゆるDTL燃料について実証運行を実施いたしました。これらの実証運行の結果については、今後の次世代燃料などの普及促進に役立てられております。
平成二十二年以降も、環境局や国などと連携して、CO2の排出を抑え環境に優しいと期待される新たな次世代燃料などの普及拡大に向けて、実証運行のための必要なフィールドを積極的に提供してまいります。
○木内委員 これは答弁要りません。私の方から意見だけ申し上げておきますけれども、国との連携などが必要な事業でありまして、最後にいわれた、フィールドを提供していくということであります。
実証運行の結果を踏まえて、時には国に先行して、国策を牽引するような、そういう施策の展開もある段階では必要であろうと、こう思いますので、単なるフィールドの提供にとどまらず、東京都交通局独自の取り組みというものも、ある段階では強く要請しておきたいと思いますので、これは局長も自動車部長も答弁は結構ですが、ぜひ深く心にとどめておいていただきたい、こう思います。
いずれにしても、他の事業者の先頭に立って、率先して環境対策を推進していただきたい。同じことを、あした、下水道局にもいうつもりでありますけれども、交通局でも非常に役割は大きいですから、ひとつご努力を願いたいと思います。
それから、バス車両の環境対策ということでありますけれども、低公害バス、今までも随分多様なものが出ていますけれども、いずれも一般のバスと比べてコストが高くなってしまう、値段が高くて普及の妨げになっているという実態があるというふうに仄聞をしているわけであります。そういう状況の中でありますけれども、都営バスでは、CNG、あるいはさっき触れたハイブリッドバスなど、これまで、さまざまな低公害バスを導入してきているわけであります。
私、東京都バス協会の皆様とも、よく懇談の機会を持つわけでありますが、よく耳にするのは、いわゆるバス協会が横並びに一斉に施策にできないようなケース、この場合には、東京都の交通局の先行的な事例なり、あるいはその成果というものを参考にすることが非常に多いんだというふうにいっていたのが印象的であります。全国のバス会社への普及促進を図り、あるいは環境施策へ貢献していくためにも、日本で指折り数えられる大規模な屈指のバス事業者である交通局ということでもありますので、この低公害バスの普及に先鞭をつけていくべきだと、こういうふうに思います。
そこで、ハイブリッドバスなどの低公害バスの導入の具体的な考え方及び今後の方向性について、できる限り数字まで上げてお答えを願いたいと思います。
○松下自動車部長 都営バスでは、これまでも粒子状物質やNOx削減のため、最新の排出ガス規制に適合したCNGバスやハイブリッドバスなどの低公害バスを積極的に導入してまいりました。平成十九年度から導入している最新型のハイブリッドバスは、ディーゼルエンジンと電気モーターを併用することにより、一般のディーゼルバスに比べて燃料消費が約一五%改善され、その分のCO2の削減が見込まれるものでございます。
この最新型ハイブリット車両については、平成十九年度から二十一年度までの三カ年で百両導入し、平成二十二年度からの経営計画ステップアップ二〇一〇においても、三カ年で六十二両を導入する計画であります。
今後とも、ますます高まりつつある環境負荷低減に向けた社会的要請に対し、環境に優しい最新型の低公害バス車両の計画的な導入に努めてまいります。
○木内委員 今回の計画の中で方針が明らかになって、きょうの答弁の中で、また数字も明示をされたわけでありまして、この導入計画に沿って着実に、この事業も進めていただきたい、このように申し上げておきます。
次に、AEDの問題、駅へのAEDの増設についてであります。
自動体外式除細動器、心臓がけいれんし全身に血液を送るポンプ機能を失った状態、いわゆる心室細動になった際に電気ショックを与えて、心臓が本来持っているリズムに回復させるための機器ということであります。
私ども都議会公明党は、再三にわたって機会をとらえて議会で、救命率の向上につながるAEDの使用拡大について、さまざまな分野への拡大提言をし、これを施策に反映をしてきました。また、救急救命士や一般の方々への道をも開く一助とさせていただく提案もしてきたわけであります。その結果、平成十六年七月からは、一般市民でも、都民でも使用できるようになり、空港、駅、学校などの公共施設を中心に広く設置が進んできたのであります。その後も、AEDの普及拡大や小児用AEDの認可にも尽力したほか、小中高校生を対象としたAED使用法の講習の義務化へも取り組んでいるわけであります。
この前、大変な人気の中行われた東京マラソンでも、AEDを持った救護スタッフの姿が多く見られました。去年は、心肺停止に陥ったランナーがAEDで一命を取りとめたということもニュースになりましたけれども、このAEDの有効性は、今、広く認められているところであります。
十八年の第一回定例都議会の予算特別委員会においても、私どもの仲間の議員が、都営地下鉄へのAEDの設置について提案をし、交通局からは、都営地下鉄全駅への設置を行う旨、答弁がありました。
そこで、ぜひ、この場で明らかにしていただきたいんですけれども、都営地下鉄の駅への設置状況と使用実績、一体これだけ騒いで、これだけ設置して、どのくらい使用実績があるのかということがなかなか周知されていないところがありますので、その点も含めてご報告願います。
○室星電車部長 駅におけるAEDの設置状況でございますが、平成十八年一月に大江戸線の都庁前駅及び新宿西口駅に初めて設置し、平成十八年六月には、交通局が管理する全百一駅への設置を完了いたしました。
また、駅職員全員に対しまして救命講習を行っているところでございます。
使用実績でございますが、平成十八年三月に、大江戸線都庁前駅構内で倒れたお客様に対し、人工呼吸などを行うとともに、AEDを初めて使用し、救命いたしました。以来、使用実績は年々増加傾向にございまして、これまで、駅近隣施設等に貸し出した事例を含めまして、四十一件の使用例がございます。
○木内委員 四十一件の使用実績、直接この数字になるのかどうかわかりませんが、それに近い方々の実は命が救われたということもいえるんじゃないかと思います。こういった報告を聞きますと、都営地下鉄の各駅にAEDを設置した大きなかいがあったということを実感もするわけであります。
また、多くの例で、現場で働く都営地下鉄の職員の皆さんがAEDを実際に操作をしているということ、あるいは職員の方が人工呼吸などを施して一命を取りとめた例というのもあるわけでありまして、こういった事例の存在することを私ども議会は忘れてはならないと思います。
また、職員の方への研修等が行われているということでありました。こうしたご努力の成果もここに出ているんだと思います。
設置から四年が経過をしているということになりますと、管理の問題が発生をしてくる。去年、国内で販売されているAEDの一部に機器のふぐあいが見つかって、メーカーの自主回収が必要になったという、そんな報道に接したことがあります。AEDが設置されていても、管理が適正に行われていなければ、いざというときには使えないわけでありまして、設置がむだになってしまう。これに対して、管理の状況と今後への方針をお答え願います。
○室星電車部長 駅におけるAEDの管理状況でございますが、機器には、機器自体が正常に動作するかどうかを、毎日一回、自己診断する機能が備わっております。ご指摘の機器のふぐあいの原因は、まれに自己診断では発見できない電子部品の故障が原因であったと聞いております。
都営地下鉄に設置しておりますAEDにつきましては、メーカーの点検により、すべて動作異常がないことを確認しておりますが、ただいま副委員長の発言の中にもございましたが、メーカーでは自主的に自己診断機能の改善を行うとしております。
私ども、各駅におきましても万全を期するため、この自己診断機能の改善が完了するまでの間、月一回、検査用チェック用具を用いて点検を行っているところでございます。
また、機器のインジケーターの表示の色を確認をする。これは緑色でございますけれども、この色を確認をすることで、AEDが使用可能な状態かどうかを毎日チェックをいたします。
また、毎月、バッテリーの残量表示の確認も行っております。
さらに、電極パットにつきましては、使用期限があることから、管理台帳に基づきまして適時適切に交換を行っております。
今後とも、駅におけるAEDの日常管理につきましては、適正に行ってまいりたいと考えております。
○木内委員 都営地下鉄の各駅に一台ずつ設置しているということは、先ほどの答弁で明らかになりました。
局は来年度予算に、このAEDの増設費一千九百万円を計上しているのであります。経済の顔は株価にあらわれる、政治行政の顔は予算の数字にあらわれるというわけであります。私は、全体の総額からすれば、千九百万円というのは決して多額ではないけれども、一つの行政の大きな命を大切にする姿勢のあらわれの数字であると、こういうふうにも思うわけでありますし、まさに、このAEDは、血の通った行政施策の象徴的なものであろう、こういうふうに思うわけであります。
そこで、AEDの駅の設置拡大についてでありますけれども、できるだけ具体的に、端的に答弁願いたいと思います。
○室星電車部長 AEDの駅への設置拡大についてでございますが、繰り返しになりますけれども、AEDは既に全駅に一台ずつ設置をしております。先ほど申し上げました、これまで駅での使用実績が非常に多く、また、できるだけ迅速にAEDを使用することが、先ほど副委員長の話もございましたが、救命率を高めることになるということでございますので、全駅すべての改札口に設置をしたいというふうに考えてございます。来年度、七十二台を増設することといたします。
今後とも、お客様が都営地下鉄を安全・安心にご利用できるよう取り組んでまいりたいと思っております。
○木内委員 非常に具体的で明快な答弁だったと思います。今まで全駅であった。きょうのこの質疑の中で、全駅の全改札口にAEDを設置していくという答弁であります。一日も早く、この実施に向けてご努力を願いたいと思います。
東京消防庁の調査によると、救急車が現場に到着するまでに、今、平均六分かかっている。心室細動を起こした人の命を救うには、まさに分刻という言葉があるけれども、一分一秒でも早く電気ショックを行うことが不可欠であります。その意味からも、利便性の高い設置のありようというものが求められるんであって、繰り返しますけれども、この質疑中で、全駅には今まであったけれども、全改札口にこれを設置するということですから、提案の趣旨を踏まえて、ご努力をよろしくお願いしたいと思います。
次に、地下鉄の輸送力増強ということであります。
先ほど来の議論にもありましたけれども、都営地下鉄については、最近こそ景気の低迷などにより乗客数が伸び悩んでいるということですが、大江戸線が開業した平成十二年度と比べれば、これは乗客数は明らかにふえているということがいえます。都営地下鉄は全体としてみれば、首都圏の他社の路線と比べて、特に混雑がひどいというわけではありませんけれども、その中にあって新宿線と大江戸線は、朝のラッシュ時間帯には大変多くの乗客が利用する混雑路線になっているわけであります。私も急いで来るときには、都営新宿線の大島から急行で十七分で来ますけれども、朝のラッシュアワーの時間なんかは、妙な誤解をされないように、一時間ぐらい早めて乗るぐらい混雑をする、活況を呈しております。具体的には申し上げないけれども、そんな工夫を求められるような込み方もあるということであります。
そこで、この両線について、乗客数と混雑の状況、また、乗客がふえた理由、これについて報告を願いたいと思います。
○室星電車部長 新宿線、大江戸線の乗客数、混雑状況などについてでございますが、平成二十年度における一日当たりの乗客数は、新宿線では六十六万三千人、大江戸線では七十九万六千人でございました。これは前年度に比較し、新宿線では一万六千人増加し、増加率は二・五%、大江戸線では一万五千人増加し、増加率は一・九%でございました。
また、混雑状況につきましては、最も混雑する時間帯を一時間で見ますと、両線とも午前七時五十分から八時五十分の間で、昨年十一月に行った調査では、混雑する区間及び平均混雑率は、新宿線では西大島から住吉間で一五四%、大江戸線では門前仲町から月島間で一六七%でございました。
お客様が増加している理由でございますが、新宿線では、沿線の江東区や江戸川区の人口の増加、京王線から新宿線への直通でのご利用の増加が推定されております。
また、大江戸線につきましては、勝どき駅周辺などの沿線開発や、大江戸線の乗りかえ利便性の浸透などから、ご利用がふえているものと推測しております。
○木内委員 私は、具体的な要因に基づいた的確な分析だと思います。
乗客に快適な輸送を提供するということは、サービスの基本だと思います。このため、民間の鉄道各社におきましても、例えば複々線の整備であったり、列車の増発など、たゆまない努力を常に恒常的に続けているわけであります。都営地下鉄についても、民間の鉄道各社に負けない工夫と努力を重ねていただきたいと思うのであります。
そこで、まず大江戸線についてでありますけれども、以前からダイヤ改正や車両の増備によりラッシュの緩和を図る旨の報告をいただいております。先日、ことし三月のダイヤ改正の報道発表がありましたが、これによると、朝のラッシュ時間帯の本数が二本ふえるということですけれども、今後のこの大江戸線の混雑緩和に向けた方針、現時点での予定を明らかにしてください。
○室星電車部長 大江戸線のラッシュの緩和に向けた今後の予定でございますが、今月二十九日に行うダイヤ改正では、最混雑時間帯、最も混雑している時間帯における門前仲町から月島間の列車運転本数を二本ふやしまして、十四本から十六本にいたします。これにより平均混雑率は一六七%から一四六%、二一ポイント改善されると見込んでおります。
さらに、平成二十三年度には、車両を二編成増備いたしまして、平成二十四年三月までにはダイヤ改正を行うこととしております。この輸送力増強により、大江戸線の混雑緩和を図ってまいります。
○木内委員 私も、認識を本当に新たにするんですけれども、今いわれた具体的なダイヤの改正ですとか、あるいは新車の二編成の導入などで、いわれた一六七から一四六への二一ポイントの実は混雑緩和が行われる、こういう計数がしっかり出るものなんですね。これは、私は、努力の成果が数字として都民の前に明らかにされるという意味で、大変重要な点だと思います。
もう一つは、二十四年の三月までに、今いわれた施策を全部反映してダイヤを改正するということです。これは答弁は結構です。よくわかりました。
それから、新宿線のラッシュ対策でありますけれども、京王電鉄との相互乗り入れを行っておりますけれども、以前から、ラッシュ時間帯の京王線の車両は十両編成でありますのに、交通局の車両は八両編成のままということになっておりまして、ようやく、ことしの六月から七月にかけて、四編成が十両編成になるということであって、今、大江戸線のことを聞きましたけれども、交通局も新宿線のラッシュ対策に本格的に取り組むんだという姿勢のあらわれだと、こういうふうにも思います。この対策で、ラッシュ時の混雑がある程度緩和されると思いますけれども、さらに、新宿線のラッシュ対策について交通局の見解があれば、お尋ねをしておきます。
○室星電車部長 今後の新宿線のラッシュ対策についてでございますが、新宿線には二十八編成の車両がございます。現在、このうち四編成について、今お話があったように、八両から十両へ増備する準備を進めております。
今月十九日には、十両化に対応したダイヤ修正を行い、六月から七月にかけて順次十両編成の車両を営業に投入し、混雑緩和を図ってまいります。これにより、平均混雑率は一四八%となり、六ポイントの改善が見込まれております。
また、二十五年度には、老朽化した三編成を新造車両に置きかえる予定でございますが、この新造車両は十両編成とする計画で、これにより輸送力をさらに増強し、ラッシュ時における混雑の緩和を図ってまいります。
○木内委員 これも、具体的な方針が出ましたので、了としたいと思います。
鉄道は、環境に優しい輸送機関であります。自家用車からのシフトを誘導していくためには、より利用しやすくするための取り組みが必要であります。
これ、余談でありますけれども、私、数年前から入っております江東区内のあるマンションの管理組合の、今、理事長をしているんですけれども、困った問題が一つ起こりまして、実はマンションに設置しておりました居住者のための駐車場機能、これはそろっているんですけれども、地方や近県から、このマンションを買って入ってきた人、当初は駐車場、契約して抽選しないと入れないぐらいだった。ところが、東京の都営地下鉄を初めとしてバス路線等の交通網が非常に整備されているので、地方から持ってきた車、当初は駐車場を契約してまで使ったんだけれども、要らなくなったといって車を売却しちゃって、駐車場があいてきちゃっているんですよ。これは、そういう悲鳴なんですけれども、管理組合からしますとね。同時に、今申し上げたように、自家用車からのシフトを誘導していくということにおいては、東京の交通網の利便性、快適性、安全性というものが実は大きな要素になっているんだということを痛感するわけであります。
したがって、今、大江戸線、新宿線、二線について言及したわけでありますが、先ほど来出ておりますさまざまな路線についても、申し上げた視点での環境整備というものをしっかりと進めていただきたいと思うし、特に都営地下鉄におけるラッシュ対策に懸命に取り組んでいただくようにお願いをするものでございます。
いろいろお聞きしてきましたけれども、局長、来年で局は創業百周年。一口に百年といっても、いろんな紆余曲折がこれまでありました。時代を画すべき、刮目すべき時期に、局長として全軍の指揮をとられる金子局長のお立場は大変重要でありますけれども、今後、輝かしい歴史を刻み続けることができるよう、ご決意を承って、私の質問といたします。
○金子交通局長 交通局は、明治四十四年に路面電車事業からスタートいたしまして、関東大震災で壊滅的な被害を受けた路面電車の代替手段として、大正十三年には、バス事業を開始いたしました。戦後、昭和三十五年には、首都東京の都市機能の強化を目指して都営地下鉄を開業し、さらに平成二十年には、新交通日暮里・舎人ライナーを開業するなど、東京の交通ネットワークの拡充に努めてまいりました。
かつては、安全にお客様を目的地に輸送することこそが公共交通機関の役割なんだとされていたこともあったわけですが、時代の変化とともに、快適性や利便性の向上、バリアフリー対策、さらに環境問題への対応など、より高度で多様な役割が求められるようになってきたと思っております。
昨年の当委員会で、また、先ほども木内先生から、変化に対応する力を持ったものが生き残ったんだと、大変ご示唆に富んだお話を伺ったわけでございます。交通局のこれまでの歴史を振り返ってみますと、先人たちがそのときの時代の変化に対応して、その時々の社会的な要請とか、あるいはお客様のニーズにでき得る限りこたえようということで、さまざまな努力を行ってきた、その積み重ねの上に今日があるのではないかというふうに感じております。
来年の八月にはいよいよ百周年を迎えることになりますが、ご指摘をいただきましたように、これからも時代の変化を俊敏にとらえて、公営交通としての役割を十分に果たし、東京の都市の発展、都民生活の向上に貢献をしてまいりたいと考えております。今後とも、先生方のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
○山内委員 ご質問します。
ハートビル法と交通バリアフリー法が統合、拡充され、平成十八年十二月、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法が施行されました。バリアフリー新法は、高齢者と身体障害者に加え、新たに知的障害者、発達障害者、精神障害者を含むすべての障害者が対象となることを明確化したこと、また、利用者の視点を反映すべく、当事者の参画を明記していることから、高齢者や障害者の社会参加を進める上で大いに期待されております。
バリアフリー新法に基づく基本方針では、平成二十二年、二〇一〇年までに一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上のすべての旅客施設について、原則としてバリアフリー化を実施する等の目標を掲げています。
東京都交通局では、新しい経営計画であるステップアップ二〇一〇を発表いたしました。交通局は、経営方針中で、多様化、高度化するニーズを的確に把握し、真にお客様本位のサービスの創造に取り組む、胸を張って宣言しております。また、お客様に心から喜んでいただけるサービスを提供し、快適で利用しやすい都営交通を目指すとしています。予算審議に当たり、サービス向上のために交通局の予算が使われることを切に望んでいます。
私は、サービスの実現のためには、何といっても利用者の声を十分に把握することが必要であると考えています。都営交通のサービス向上のために、交通局では利用者の意見をどのように生かしているのか伺います。
○野澤総務部長 都営交通の現場では、日々お客様からさまざまな意見をちょうだいしております。加えまして、局のホームページで、意見や要望などを二十四時間受け付けているほか、電話や手紙などによりまして、お客様の声をお聞きしております。
また、都営交通巡回モニターの方に、年三回、都営地下鉄や都営バスなどのサービスレベルを調査をしていただくとともに、具体的な意見を寄せていただいております。
さらに、各種障害者団体の方から、意見交換の場で、バリアフリーに係る要望などを受けております。
こうした声には、私たち職員がなかなか気づかない利用者ならではの視点がございまして、サービス改善のヒントが多く含まれております。交通局では、お客様からいただきました声を一つ一つ検証いたしまして、実現可能なものから順次サービス改善を行っているところでございます。
なお、昨年七月に「お客様の声を受けて」というコーナーを局のホームページに開設いたしまして、実施いたしましたサービス改善事例を広くお客様に紹介しております。
○山内委員 今のご答弁で、お客様の声を受けてサービス改善した事例を紹介するコーナーをホームページに開設したとのことですが、開設の経緯や掲載状況などについて教えていただきたいと思っております。
○野澤総務部長 交通局ではこれまで、お客様の視点に立ったより便利で快適なサービスの提供に職員一丸となって取り組んできたところでございますけれども、一方で、都営交通巡回モニターの方から、利用者の声を受けてサービス改善した内容をもっとアピールすべきであると、そういうご意見が寄せられるなど、取り組みの成果を積極的にPRしていくという必要も生じておりました。
そこで、お客様からの意見や要望に基づきましてサービス改善を行った事例を局のホームページ上で紹介し、お客様や都民に向けて広く情報発信していくという取り組みを昨年七月から開始いたしております。現在、十件のサービス改善事例を掲載しておりまして、このページへのアクセスも一月に約六千件ございます。
少しご紹介をさせていただきますと、都営地下鉄各駅のだれでもトイレ内の開閉式ベビーシートが開いたままの状態で、それが車いすでの利用に支障を来しているという意見を踏まえまして、ベビーシートはご使用後に閉じてくださいという案内シールを付近に貼付した事例。また、日暮里・舎人ライナーの、お客様のご利用がないときに自動でとまるエスカレーターが、上り下りどちらに動くのかわかりにくいという声を受けまして、エスカレーター付近のわかりやすい場所に、進行方向などをご案内するステッカーを貼付した事例などを掲載しております。
○山内委員 今ございましたように、だれでもトイレに、ベビーシートはご使用後に閉じてくださいというシールを貼付したという件は、一口にバリアフリーといっても、さまざまな障害への対応が必要だということだと思います。また、自動でとまるエスカレーターが、上り下りどちらに動くかわかりにくいことから、エスカレーター付近のわかりやすい場所に進行方向をご案内するステッカー等を貼付したという例は、これまで、視覚障害の方には音声案内による誘導等の配慮はあったと思いますが、知的障害の方、発達障害の方、精神障害のある方の中には、誤って逆方向へ進入してしまったり、それによってパニックになってしまうということもあるそうなので、誤進入のないような工夫としてもよいことだと思います。
利用者の声を受けて、それを反映し、サービス改善に結びつけていくこと、またそれを公表していくことは、利用者が声を寄せやすい点でも評価いたします。
次に、都営バスのサービス向上について伺います。
都営バスではノンステップバスの導入が進んでおり、車いす利用者もふえているものと思います。それに伴って、車いす利用者からも多様な声が寄せられているのではないでしょうか。
そこで、都営バスでは車いす利用者の声に対してどのようなサービス改善の取り組みを行っているのか伺います。
○松下自動車部長 車いす利用のお客様からは、車いすの固定や、乗りおりにかかる時間を短くしてほしいとの声を多くいただいてございます。こうした声にこたえ、車いすの固定については、形が似ている四本のベルトを使用するため、それぞれの取りつけ箇所がわかりにくく時間がかかっていたのを、ベルトと床の金具を取りつけ箇所ごとに色分けし、乗務員がこの色を目印に固定できるようにし、時間を短縮いたしました。またスロープ板の固定については、ベルトによる固定方法を、より簡単、確実なピンによる固定方法に変更し、時間を短縮いたしました。
なお、改善効果をより確かなものにするため、これらの器具を使った乗務員訓練を行い、固定方法の習熟を図りました。
今後も、お客様の声を大切にし、どなたにも快適にご利用いただける都営バスを目指してまいります。
○山内委員 ノンステップバスは一車両二千万円以上もします。安全はもちろん、だれもが乗りおりしやすく快適に乗れることも大切です。更新車両のすべてを最新の排気ガス規制に適合した低公害ノンステップバスとして、平成二十二年度には百五両、二十三年度には百一両、二十四年度にはすべての路線バス車両をノンステップバスにするとあります。導入の際には、利用者の声を聞きながら、よりよい車両を選定していってほしいと思います。
例えば、ステップアップ二〇一〇に、安全性や固定時間の短縮を図るため、固定方式を後ろ向きに改良するなど、バス車内での車いすの固定方法を改善していくとあります。固定時間の短縮は、車いす利用者が気兼ねなく乗りおりできるために大事なことです。後ろ向きは、二〇〇三年ノンステップバス標準仕様策定検討委員会でも話し合われているようですが、進行方向に座っているほかの乗客の方と視線が合ってしまい、車いす利用者にとって気持ちが落ち着かないというような問題もあるようです。他の民間バス会社をリードする東京都交通局として、実際の利用者の声を生かして、仕様を国交省に提案するような気構えで改善を検討していっていただきたいと思っております。また、乗りおりしやすいバス停の整備などについても、関係機関とも協力しながら積極的に取り組んでいくことを要望しておきます。
話はかわりますが、この間、日暮里・舎人ライナーに乗ってみた際、気になったのが、駅に係員がいないこと、また、夕暮れだったからかもしれませんが、明るさが乏しいことでした。女性や子どもにとって係員がいないことは不安を感じるかもしれません。知的障害や発達障害、精神障害のある人の中には、体調がすぐれないことがあり、人的対応を求めることがあったりするために、駅係員と直接連絡が必要になったりもするようです。
また、エレベーターの設置などにより、駅のバリアフリーは実現していると聞きましたが、車いす利用者が困ることもあるでしょう。そこで、こうした無人駅における係員の対応が必要なケースについて、特に車いす利用者を例に伺います。
○室星電車部長 日暮里・舎人ライナーは、限られた人数で運営しているため、職員が常駐している駅と巡回により管理している駅とがあります。また、日中の時間帯には、案内スタッフを配置し、お客様のご案内に当たっております。
車いすのお客様が日暮里・舎人ライナーを利用される際に、職員や案内スタッフが不在の駅で介助を希望される場合には、改札口付近のインターホンで指令所に連絡していただき、指令所の指示により、最寄り駅にいる職員や案内スタッフが駆けつけて、スロープ板を使ってご案内しております。十分程度お待ちいただく場合もございますが、可能な限り迅速な対応に努めてまいりたいと考えております。
○山内委員 無人駅では、車いす利用者の方を含め、利用者の方が人的対応を必要とされた場合には、不安のないように迅速に、今、十分程度お待ちいただくというお話もありましたが、なるべく迅速に対応していただけるようにお願いをいたします。
最後に、国土交通省、国交省では、バリアフリー新法を受けて、知的障害、発達障害、精神障害のある人のための施設整備のポイント集を出しています。そこでは、閉鎖的な空間が苦手だったり、外の様子が見えることで、おり場等を認知しやすくなるということがあり、エレベーターの出入り口の扉へのガラス窓の設置は有効であるということや、表示されている内容を読み取ることが難しいこともある知的障害、発達障害、精神障害のある人にとって、シンプルで統一されたデザインによる表示や、空間認知を容易にするための工夫は有効であるということが明記されています。
これまでは、車いす対応としての段差解消や視覚障害者誘導用ブロックなど、身体障害者に対応するものが中心でしたけれども、障害のある人にとっても安全で使いやすい施設の整備が求められていることが、そこでは言及されていると思います。
そこで、バリアフリー新法の趣旨を踏まえて、交通局が駅施設の改良を行う際にはどのような対応をしているのか伺います。
○吉原建設工務部長 国土交通省では、バリアフリー新法に基づきまして、高齢者や障害者等の各種団体の意見も聞きながら、バリアフリー整備ガイドラインを定めております。交通局では、このガイドラインに基づきまして、窓つきエレベーターの新設、大江戸線への可動式ホームさくの整備、だれでもトイレの設置等を進めております。
また、だれにでもわかる、わかりやすい案内板の設置、案内サインの絵文字化、エスカレーターへの音声案内の設置等も行っております。
今後とも、高齢者や障害をお持ちの方を含め、すべてのお客様が安心して利用できる施設の整備に努めてまいります。
○山内委員 交通局の経営計画に、事業環境の変化として、ユニバーサルデザインのまちづくりの推進と書いてありますが、すべての人々にとって安心して円滑に移動できるまちづくりが求められています。
乗降の際に車いす利用者がほかの乗客へ気兼ねするという状況が、先ほど、今回の事例として出てきましたけれども、このようなことがなく、お互い認め合えるよう、いわゆる心のバリアフリー、ソフト面のバリアフリーが進むように、例えば教育の場では、小学生や中学生が、高齢者、車いすの疑似体験をして実際に乗りおりを体験してみるなど、そういう仕組みも必要かと考えます。交通局にもこのような取り組みへの協力を要望して、質問を終わります。
○たきぐち委員 都電荒川線と日暮里・舎人ライナーについて質問させていただきます。
まず、都電荒川線について伺います。
このたび発表された交通局の二十二年度を初年度とする新たな三カ年の経営計画、ステップアップ二〇一〇では、交通局を取り巻く事業環境を踏まえ、今後の経営の方向が示されています。
財政収支目標を拝見いたしますと、高速電車事業と自動車事業については、計画期間中、経常利益が確保される収支目標となっている一方、都電荒川線の軌道事業につきましては、期間中に経常損益の改善に努め、計画期間の最終年である平成二十四年度の黒字確保を目指す収支目標となっています。
一日平均乗客数は、十九年度五万二千七百三十三人、二十年度五万二千百五十一人、今年度一月までで五万八百八十四人と、漸減傾向にあり、平成二十年度公営企業会計決算特別委員会では、軌道事業については今年度も厳しい収支状況になると見込んでいるとの答弁がありました。そこでまず、軌道事業を取り巻く交通局の認識について伺います。
○室星電車部長 軌道事業を取り巻く状況認識についてでございますが、都電荒川線は、年々お客様の減少傾向が続いており、沿線に大規模な再開発等も少なく、また、学生や生産年齢人口が減少していることから、今後、乗客数の伸びはなかなか期待できないと考えております。
一方で、都電荒川線は、都内を走る唯一の都電であり、貴重な観光資源としての面もあることから、観光PRの強化により、新規利用者を開拓し、増客対策に取り組んでいくことが必要であると認識しているところでございます。
○たきぐち委員 通勤通学での利用拡大がなかなか期待できない中、観光資源としての魅力を高め、増客対策に取り組んでいくという方向性は理解をいたしました。
荒川区も、観光施策の柱の一つとして荒川線を位置づけ、荒川線の活用事業などに取り組んでいるところでもありますので、観光資源としての活用をぜひお願いしたいと思います。
ステップアップ二〇一〇では、四つの柱の一つに、質の高いサービスの提供を掲げており、その項目の中で、車両の快適性の向上として、新型車両の導入が盛り込まれています。昨年十月の公営企業委員会の質疑で、今年度末に三両、来年度末に五両の新型車両を導入していく予定との答弁をいただきましたが、改めて更新計画を伺います。
○室星電車部長 新型車両の更新計画でございますが、新型車両八八〇〇形は、昨年四月に導入した二両に続き、今月上旬から新たに三両が運行を開始し、現在五両となっております。来年度さらに五両を導入する予定で、保有車両のうち最も老朽化が進んでいるすべての七五〇〇形車両の更新が完了することとなります。
○たきぐち委員 今月上旬にローズレッドの三両が運行を開始したということで、来年度の五両更新によって、七五〇〇形すべてが八八〇〇形に更新されるということになります。これによって、八五〇〇形が五両、八八〇〇形が十両、レトロ調の九〇〇〇形が二両となり、今後は、車両の快適性という視点もさることながら、車齢五十年以上が経過した二十二両ある七〇〇〇形の老朽化にいかに対応していくかというのが課題となってくるかと思います。
二十年度決算では、車両の修繕費が増加しており、新年度予算でもふえる見込みとなっております。とはいえ、車両の更新には減価償却費の負担が重くのしかかってくるわけでございまして、一気に更新というわけにはいかないと思います。収支改善には難しいかじ取りが求められてくるかと思いますが、増客増収対策とあわせて、安全性を確保した整備と維持管理をお願いしたいと、これは要望しておきます。
ステップアップ二〇一〇では、来年度に導入する車両はカラーバリエーション化を図るということでございますが、その具体的な内容を伺います。また、これを契機として、どのような増収策を図るのか伺います。
○室星電車部長 現在運行している新型車両五両は、荒川線沿線に咲くバラをモチーフにしたローズレッド色で、利用者の方々に大変好評をいただいております。来年度新たに導入する五両につきましては、さらに、お客様が見て楽しめるようカラーバリエーションを豊かにする予定でございます。
具体的には、ローズレッド以外のバラとして、紫色、ダイダイ色−−オレンジでございます。と黄色の三色を考えております。ローズレッドの車両に加えて、新たに三色の新型車両が荒川線を走行すれば、非常に話題になり、沿線以外の地域からも新型車両を目当てに多くの方が訪れるものと期待をしております。
今後、新型車両を活用したイベントを実施するなど、地域の観光資源としての荒川線を、沿線の案内を含め積極的にPRし、荒川線そのものの魅力向上と沿線地域の活性化につなげていきたいと考えております。
○たきぐち委員 今ご答弁がありましたとおり、荒川線沿線には、約百四十種、約一万三千株のバラが植栽されており、荒川バラの会というボランティアのグループが、区と連携をしながらバラ花壇の管理を行っています。五月中旬から見ごろの時期を迎えますが、鮮やかなバラ色の新たな三色とローズレッドの一色を加えた四色の車両が荒川線の新たな魅力となるよう、期待いたします。沿線住民のみならず、ぜひ多くの鉄道ファンや子ども連れの人たちが利用するよう、積極的にPRをし、荒川線の活性化に努めていただきたいと思います。
次に、荒川線の安全対策について伺います。
荒川線では、併用軌道の箇所では車と隣り合わせに走り、また、遮断機のない踏切では、車両が通過する直前に踏切を横断する人がいるなど、鉄道と比較をして車や人と接触する危険性が高い環境にあるといえます。私もしばしば、無理に横断をする歩行者に対して車両が警笛を鳴らす光景を目にいたしております。
先日、三月十三日の東京新聞に、交通事故による死者のうち、六十五歳以上の高齢者が占める割合が、日本は欧米主要国と比べて突出して高いという警察庁の調査結果が掲載されていました。
記事によりますと、昨年一年間の交通事故死者数、これは交通事故発生から三十日以内に死亡した人の数ですが、このうち六十五歳以上が占める割合が五一・二%と、初めて五割を上回ったということです。ドイツ二三・八%、フランス一九%、イギリス一八・九%、アメリカ一四・八%、これはいずれも二〇〇八年の数値でありますけれども、これらと比べますと、その高さが際立っていることがわかります。さらに、歩行中の事故死が、日本は四七・五%であるのに対して、アメリカが最も低く一四・五%、ドイツ、フランスも三〇%余であり、高齢者が歩いているときの事故死が多いことも判明いたしました。
警察庁は、日本は、歩行者が行き交う生活空間と車が走る空間が分かれていないことも原因かと推測する一方、明確な理由はわからないとして、調査研究に乗り出すとしています。
もちろんこれは車の交通事故の状況でありますけれども、六十五歳以上の比率が二十三区で一番高いのが沿線区である北区であり、荒川区も二二・八%と三番目に高い区であります。
先ほど申し上げたとおり、荒川線の走行環境から見ても、こうした結果は、荒川線の運行と無関係とはいえないのではないかと考えます。そこで、近年の事故件数と、これまで安全対策としてどのような対策を講じてきたのか伺います。
○室星電車部長 荒川線において、国土交通省に報告した運転事故は、平成十九年度は二件、二十年度は五件、今年度は二月末までで二件、この三年間で九件発生しております。このうち人との接触事故が二件、自転車とが一件、自動車及びオートバイとの事故が六件ございます。荒川線ではこれまで、歩行者や自動車などとの事故を防止するため、ソフト、ハードの両面から安全対策を講じてまいりました。
ソフト面では、電車の運転方法を定めた荒川線運転作業内規に、歩行者や自動車などに注意する区間及び注意内容を明示し、運転手に対し、運転上注意すべき点として指導を行っております。また、毎月行っている業務研修においては、車両に搭載している前方映像記録装置を活用するなど、事故内容を詳細に確認し、事故の未然防止に努めております。
ハード面では、歩行者の往来が多い町屋駅前や大塚駅前など六カ所に、電車の接近を知らせ注意喚起するための設備として、警告灯の発光や音声の発生を行う電車接近表示機を設置しております。
今後とも、荒川線における安全対策につきましては万全を期してまいりたいと考えております。
○たきぐち委員 過去三年間で九件の事故があったということです。人との接触はこのうち二件ということでありますけれども。昨年の二月には、熊野前と東尾久三丁目の間で、踏切で人が亡くなられたという事故もあったと聞いております。これは、遮断管を無理にくぐって横断しようとしたことが原因であったということですので、避けられなかった事故なのかもしれません。
一年ほど前だったと記憶していますが、私も、町屋駅で街頭演説をしていたときに、高齢者の方が踏切を渡り切ろうとするところで車両と接触をするという瞬間を目の当たりにしました。恐らく赤信号だったかと思います。
荒川線には、遮断機のない交差点や横断帯があり、遮断機のない町屋駅前では頻繁に都電の警笛が鳴り響いています。こうした遮断機のない交差点には信号が設置されていますので、第一義的には、赤信号で渡ろうとする歩行者のモラルの問題だと思いますが、特に、多くの高齢者が行き来をしていますので、交通局としても細心の注意が必要かと思います。
また、祝祭日に親子連れでにぎわう荒川遊園では、帰路、列をなして電停ホームからはみ出し、たびたびの都電の警笛がうるさいという近隣の方の声も届いています。こんなところにも潜在的に事故の可能性が潜んでいるのではないかと思います。
運転手への指導や業務研修、電車接近表示機の設置など、ソフト、ハード面での対応策を講じているということでありますけれども、現状の安全対策で十分か、常に検証し、安全対策には万全を期していただきたいと要望いたします。
次に、日暮里・舎人ライナーについて伺います。
日暮里・舎人ライナーは、間もなく開業から二年を迎え、乗客数は計画どおり推移していると聞いております。そこで、日暮里・舎人ライナーの乗客数が順調に増加している理由をどう分析をされているのか伺います。また、新年度予算で見込んでいる乗客数についてあわせて伺います。
○室星電車部長 日暮里・舎人ライナーの乗客数は、今年度、一日平均五万五千人を見込んでおりましたが、今年度一月までの実績は一日平均五万四千四百人で、前年度と比較しまして一二%増加しており、ほぼ見込みどおりとなっております。
この要因でございますけれども、沿線の方々に、見沼代親水公園から日暮里まで二十分という速達性、それからバスと比較して時間が計算できるという点、こういったところから、通勤通学路線としての利便性が浸透してきた結果だと考えております。
とりわけ、通学定期のお客様の伸びが大きいことから、日暮里・舎人ライナーの開通により、沿線の学生の新たな通学経路ができ、通学できる学校の範囲が広がった可能性があると考えております。
来年度の予算でございますけれども、一日平均六万人の乗客を見込んでおります。
○たきぐち委員 私も何度か通勤時間に乗車いたしましたが、ラッシュ時には大変混雑をしており、沿線住民の通勤通学の足として定着をしつつあることがわかります。
しかし、来年度予算の一日平均乗客数六万人、さらには将来的な七万人を達成するためには、昨年の公営企業委員会でも指摘したとおり、土休日の利用客数をふやすことが必要だと思います。
今月二十七日、二十八日には、足立区の都立舎人公園で、春の花火と千本桜祭りが開催されますが、日暮里駅前イベント広場でも、二十七日に日暮里桜祭り、二十八日には荒川区交流都市フェアin日暮里がそれぞれ開催されます。ライナーを利用すれば、両方のイベントを行き来することができ、日暮里・舎人ライナーの乗客増にもつながると思います。
ステップアップ二〇一〇の社会的要請の中で、新規項目として、日暮里・舎人ライナーの魅力向上と沿線地域の活性化という項目を加え、これまで以上に注力をしていく姿勢を示されていますが、地域イベントを主催する地元自治体や観光団体、地域団体との連携を図り、土休日の利用客をふやすための対策を強化するべきと思いますが、所見を伺います。
○室星電車部長 ただいまの理事のご指摘のとおり、土休日の乗客数をふやしていくことは、日暮里・舎人ライナーの今後の課題であると認識しております。
沿線案内を充実させるため、ホームページで沿線の見どころやイベント情報を提供するとともに、ウオーキングを楽しみながら沿線の魅力を広く知ってもらえるよう、日暮里・舎人ライナー沿線ウオーキングマップを、この三月二十日土曜日に創刊します。これは、今後、季節ごとに四回発行していく予定でございます。
また、ただいま理事のお話にありました沿線イベント等に訪れるお客様にとって便利で大変お得な日暮里・舎人ライナー一日乗車券を、三月二十七日、二十八日の両日限定で発売することとしております。
今後とも、沿線区等と連携して、沿線地域の情報の積極的なPRを行い、土休日の増客対策を図ってまいります。
○たきぐち委員 ぜひいろいろな取り組みをお願いしたいと思います。
土休日の利用を拡大するには、沿線区外からの来訪者をふやすことはもちろんですが、日暮里と舎人公園が十六分、そして今お話がありましたけれども、見沼代親水公園とは二十分という距離でありますから、ライナーを身近に感じている荒川区と足立区の住民の往来が活発化すること、交流が深まることが利用者拡大の近道ともいえると思います。
先ほどは、舎人公園と日暮里駅前のイベントについて申し上げましたけれども、日・舎ライナーと荒川線の結節点である熊野前でも、商店街で毎年イベントを実施しておりますし、また、都立尾久の原公園でもさまざまなイベントを開催しております。
しかし、区をまたがると、なかなかこうしたイベントが、ほとんどとはいわないまでも、余り知られていないのが現状だと思います。車内や駅構内にはまだまだ活用する余地があると思いますので、特に沿線の地域イベントのPRに関しては、積極的な構内や車内の活用をお願いしたいと思います。
ことし七月には成田スカイアクセスが開業し、日暮里と成田空港が三十六分で結ばれることになります。日暮里の地元の商店街や町会の方々も、ライナーの開設に加えて、成田スカイアクセス開業を契機として地域の活性化策に真剣に取り組んでいます。
日暮里・舎人ライナーからは、天気のよい空気の澄んだ日には富士山が見えることから、通称富士見ライナーとしたらどうか、そんな地元の方のアイデアも伺いました。
昨年の公営企業委員会で、局長も、来年の都営交通百周年に向けて、都内に唯一残った都電である荒川線は、都民の貴重な財産として今後も維持発展させていくというご答弁をされ、熊野前で交差する新旧二路線の発展への決意を述べられました。
繰り返しになりますが、現下の大変厳しい経済環境の中で、商店街の方々や地域の方々は、何とかこの厳しさを乗り切ろう、商店街地域を活性化しようと取り組んでいます。ぜひ交通局として、創意工夫を凝らして、都民の足であると同時に、日暮里地域を初めとするライナー沿線地域の活性化に、これまで以上に貢献をしていただくことを最後に強く要望いたしまして、質問を終えます。
○神林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十五分休憩
午後三時十一分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いいたします。
○高橋委員 それでは、私の方からは、多摩地域の都営バス事業について質問をいたします。
梅70系統について三点伺います。
この梅70の「梅」は青梅の「梅」でございまして、三多摩地区には、交通局とかなかなか縁がないのでございますが、唯一このバス事業について縁がございますので、質問をさせていただきます。
都営バスは、主に二十三区内において運行されていますが、多摩地域の一部においても運行されている路線が幾つかございます。これらの中に、青梅車庫前から西武鉄道西武新宿線の西武柳沢駅南口まで運行されている梅70系統というバス路線があります。この梅70系統は、青梅市から瑞穂町、武蔵村山市、東大和市、私の地元であります小平市を通り西東京市までの五市一町を運行しているもので、全長三十キロメートルを超える都営バスの中でも最も長い路線でございます。
そもそもこの路線は、戦後の復興期において、多摩地域から都心地域への通勤通学客の増加に対応するため、昭和二十四年八月に、青梅車庫前−荻窪駅前間で運行を開始したものでありますが、その後、運行区間の変更を経て今に至っているものであります。このほかにも、多摩地域から都心地域への路線として、八王子駅と新宿駅や、武蔵境駅と東京駅を結ぶ路線がありましたが、現在では廃止されております。
そこで、多摩地域の他の路線が廃止された中、梅70系統が都営バスとして存続した経緯について伺います。
○岡本参事 梅70系統の存続の経緯についてのお尋ねでございます。
昭和五十年代には著しい赤字系統となっていました梅70系統でございますが、廃止の対象として検討せざるを得ませんでした。しかし、昭和五十五年十一月の公営企業等財政再建委員会の答申におきまして、内部補助可能な限度を超えてバス路線を存続する場合は、その性格、内容により、特別区や市町の公共負担も検討すべきであるとされ、この答申を踏まえまして、昭和五十七年四月以降、関係自治体との協議を行いました。
協議の結果、関係自治体の公共負担を前提に、地域住民の日常生活にとって不可欠な交通機関として存続を図ることとし、昭和五十九年六月に交通局は関係自治体と協定を締結しまして、現在に至っているものでございます。
○高橋委員 梅70系統が地域住民の日常生活にとりまして不可欠な交通機関であることから、関係自治体からの公共負担を前提として都営バス路線として存続され、現在に至っているとのことでありますが、関係自治体の公共負担により存続が決まった昭和五十九年当時と比べ、現在では交通環境が変化してきているなど、梅70系統を取り巻く環境は大変に変化していると思いますが、現在の梅70系統の利用状況について伺います。
○岡本参事 現在の梅70系統の利用状況でございますが、青梅街道沿いの五市一町を通るバス路線として、通院をされる方を初め、通勤通学などに利用されております。乗客数については、昭和五十九年度には一日当たり約三千人でございましたが、この数年間では一日当たり約二千二百人で推移しております。
○高橋委員 ただいまの答弁にありましたように、梅70系統の乗客数につきましては、関係自治体の公共負担により存続が決まった昭和五十九年当時と比べ減少しており、収支状況も厳しいと聞いております。
しかしながら、依然としてこの路線は、地域住民の方々に利用されている事実もあるわけでございます。昭和五十九年当時と比べ、現在では、梅70系統に対して負担をしている五市一町のうち、コミュニティバスを運行する自治体もある中で、今後、梅70系統についてどのようにしていくのか伺います。
○岡本参事 今後の梅70系統についてのご質問でございますが、この系統は、関係自治体が収支欠損額の三分の二を負担することを前提に、三年ごとに協定を締結し、路線の存続を図っております。
交通局としては、収支欠損額の三分の一を負担しているところですが、これまでのところは、関係自治体からの要望もあるため、運行を継続しております。
○高橋委員 現在、収支欠損額の三分の二を関係自治体で、残りの三分の一を交通局が負担しているとのことですが、梅70系統については、公共負担により存続されることとなった昭和五十九年当時と比べ、地元自治体によるコミュニティバスが運行されるなど、交通状況も変化しております。このように梅70系統を取り巻く状況も大きく変化していることなどから、関係自治体の意向も変化しているのではないかと思います。
こうしたことから、昭和五十九年から三十年近く同じスキームで運行を継続しておりますが、今後のあり方について抜本的に見直す時期に来ていると私は考えております。次期の改定が平成二十三年度と聞いており、その時期までに考えることは大変に難しいかと思いますが、東京都としても、関係自治体と意見交換をしつつ、幅広く検討してほしいと思います。
以上、要望を付して、質問を終わります。
○桜井委員 先ほどの質問に非常に近いところがありますが、改めましてご答弁をいただければというふうに思います。
まず最初に、地下鉄の施設改善について取り上げさせていただきます。
さきの事前説明で、新しい交通局の経営計画であるステップアップ二〇一〇の紹介をいただきましたが、地下鉄事業を初め六つの事業を抱える交通局の経営計画だけあって、多くの事業が掲げられており、興味深く拝見をさせていただきました。その中でも、質の高いサービスの提供には三十五事業が計画されており、事業の一つ一つが利用者のサービスに直結していることから、大変興味を持った次第であります。
交通局は、公営企業でありますが、民間企業との競争もあり、どこまでサービス関連の設備投資をするのか、経営判断が必要になると考えております。一口にサービスといいましても、ダイヤ改正や新車両の導入、接客サービスなどさまざまなものがありますが、本日は、ハード面でのサービスの向上を中心に何点かご質問をさせていただきます。
最初に地下鉄について伺いますが、都営地下鉄は、全世代のさまざまな方が利用されており、また、社会環境や時代の変化に即したサービス改善を常に進めていかなければならないと考えます。そこで、これまでも交通局では多くのサービス改善に努めてきたと思いますが、これまで実施してきたハード面でのサービス向上について、成果をお伺いいたします。
○吉原建設工務部長 これまで交通局は、お客様満足の向上を目指しまして、快適で質の高いサービスの提供に努めてまいりました。バリアフリーにつきましては、地上からホームまでの移動を容易にするためのエレベーターなどの整備や駅構内の小さな段差、不連続な手すりなど、小さなバリアの解消にもきめ細かく対応してまいりました。
また、浅草線、三田線における駅のリニューアルや、ホーム案内板デザインの東京メトロとの統一化、親しみやすい駅長事務室づくりのための入り口のシースルー化などによりまして、明るく快適な駅づくりを進めてまいりました。
今後とも、駅施設などの改善を図り、お客様に心から喜んでいただける、快適で利用しやすい都営交通を目指してまいります。
○桜井委員 今のご答弁で、これまでの取り組み状況は確認できました。
サービス改善の要望については、お年寄りや障害をお持ちの方からはバリアフリーの向上を求める声が多いと思いますし、また、利用頻度が少ない人につきましては、わかりやすいサインへの改良が求められると考えられます。
このようにさまざまなニーズがある中で、すべての要望に一度にこたえていくのは困難であり、したがって、優先順位をつけて施策を展開していくことは当然のことであると思います。その際に有効に活用すべき点は、都民の声であり、交通局が導入している都営交通巡回モニターの評価であると思います。特に都営交通巡回モニター制度は、モニターに利用者の視点で、駅を細かく調査、評価してもらうものであり、利用者の声を具体的に継続的に把握する手段として非常に有効であると私は思うわけであります。
そこで、この巡回モニター制度におきまして、駅施設に対するモニターの評価はどのようなものであるのか、お伺いいたします。
○野澤総務部長 平成十八年度から導入しております都営交通巡回モニター制度では、モニターの方に、都営交通における施設面、接客面、そして運行面などのサービスの状況を評価をしていただきまして、それぞれ五点満点で点数化しております。
地下鉄の駅構内施設につきましては、構内の清潔さ、トイレの清潔さ、案内標識のわかりやすさ、構内の空調、高齢者、障害者への配慮など十項目について評価をしていただいております。
今年度を含めましたここ三年間の評価を見ますと、構内の清潔さ、案内標識のわかりやすさ、構内の空調につきましては、いずれも、ある程度満足に相当いたします四点を超えておりますけれども、トイレの清潔さと高齢者、障害者への配慮の二項目につきましては、三年とも四点にはわずかながら及んでいないという状況にございます。
○桜井委員 今ご答弁にありましたとおり、トイレとバリアフリーに関してはモニターの評価が低いということがわかりました。この後、この二点についてご質問をしたいというふうに思います。
まずトイレについてでありますが、トイレの評価は、利用者のマナーや清掃の影響も大きいと考えておりますが、これに施設改修などもよい評価につながるものというふうに思っております。トイレの改修につきましては、交通局の新しい経営計画を見ますと、トイレのグレードアップ事業として掲げられており、交通局の意気込みというものが感じられる次第であります。
駅のトイレは、一般的に評判が悪い印象がありますけど、JRの最近のトイレを見ますと、かなり改善をしていることが目に見えるわけであります。
そこで、利用者モニターの要望が強いトイレの改修につきましては具体的にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
○吉原建設工務部長 駅トイレの改修につきましては、これまで主にトイレ室内の改装や和便器から洋便器への変更などを行ってまいりました。新しい経営計画、ステップアップ二〇一〇では、トイレをグレードアップすることとし、お客様がより快適に利用できるよう、計画的に改修を進めてまいります。具体的には、パウダーコーナーの新設、防菌消臭床材の使用による機能性や清潔感の向上、トイレ出入り口階段の段差解消などを図ることとしました。
来年度には、新宿線市ヶ谷駅や菊川駅など十駅で改修を完了し、計画期間の三カ年で三十二カ所を整備していきます。その後も順次整備を行いまして、すべてのトイレのグレードアップを図ってまいります。
○桜井委員 ぜひとも計画どおりに、またモニターの皆さんの評価が上がるように、力強く努力していっていただきたいというふうに思います。
次に、バリアフリー対策について伺います。
地下鉄の駅のエレベーターなどによるワンルート確保につきましては、交通局は以前から取り組んでいるというふうに思いますが、営業中の路線への設置は、用地の確保など大変苦労があると聞いております。
しかし、出産や子育てのしやすい環境づくりや、高齢者が社会、文化などさまざまな分野で参加していくことを促進するためにも、だれもが利用しやすい地下鉄を目指して、可能な限り早くエレベーターを設置していただきたいというふうに思います。
そこで、今後の地下鉄駅におけるワンルートの確保について、今後の見通しをお伺いいたします。
○吉原建設工務部長 交通局では、だれもが利用しやすい都営地下鉄を目指しまして、交通バリアフリー法が施行された平成十二年以降、全駅で、エレベーターなどによるホームから地上までのワンルート確保に取り組んでまいりました。
エレベーターの設置に当たりましては、市街化が進んだ地域で新たに用地を確保する必要があること、そのほか、ふくそうした地下埋設物の移設や、終車から始発までという作業時間の制約など多くの課題がございますが、これまで鋭意取り組んできた結果、今年度末には、都営地下鉄全百六駅中、整備完了が八十九駅、工事継続中が十一駅となります。
今後とも、用地確保や効率的な工事に努め、平成二十四年度末までに、すべての駅でワンルート確保ができるよう全力で取り組んでまいります。
○桜井委員 ぜひ可能な限り早期に完成するように要望いたしておきます。
次に、以前も本委員会で質問をさせていただきましたが、私の地元の本所吾妻橋駅を初めとする浅草線の駅につきましては、施設が古く、エスカレーターも少ないことから、一日も早いエレベーターの設置が待ち望まれております。そこで、本所吾妻橋駅など、浅草線のエレベーターの整備について、現在の進捗状況と今後の見通しをお伺いいたします。
○吉原建設工務部長 浅草線のエレベーターの整備につきましては、今年度末には、浅草線全二十駅中、東日本橋駅や人形町駅など整備完了が十駅、五反田駅や宝町駅など、工事継続中が六駅となります。残る四駅のうち本所吾妻橋駅でございますが、既に用地を取得している西馬込方面行きホーム側につきましては、一昨日、工事契約を締結したところでございます。一方、押上方面行きホーム側につきましては、用地確保に向け、引き続き地権者と調整中でございます。
その他の駅も含め、平成二十四年度末までの整備完了に努めてまいります。
○桜井委員 ぜひとも一日も早く計画を達成するよう強く要望いたします。
次に、日暮里・舎人ライナーについて質問させていただきます。
日暮里・舎人ライナーは、昨年八月に新車を導入し、ラッシュ時間帯の運行本数をふやすなど、混雑解消に向けたダイヤ改正を行いました。また、車両中央部の座席レイアウトをクロスシートからロングシートに変更し、車両の中ほどまで入りやすいように改良し、混雑感の解消も図っていると聞いております。既存の車両についても、順次同様のレイアウト変更を進めているとのことで、こうした交通局のサービス向上の取り組みについては評価をしたいというふうに思います。
昨年の第二回定例会の本委員会におきまして、我が党から、沿線地域の方々の利便性を高めるため、ライナーの始発時間についてさらに繰り上げをしてほしい、始発時間を早めてほしいという質問をさせていただいたところです。それに対しまして交通局からは前向きな答弁があり、私自身、議事録でもそのことを確認したところであります。そこで、ライナーの始発繰り上げに向けた取り組み状況についてお伺いいたします。
○室星電車部長 日暮里・舎人ライナーにおきましては、これまで、始発時刻の繰り上げやラッシュ時間帯における増発などを行い、お客様の利便性向上に努めてきたところでございます。
一方、ただいまお話がございましたように、沿線地域の方々からは、始発時刻のさらなる繰り上げを求める声が多く、交通局としてさまざまな検討を行ってまいりました。
一例を挙げますと、ハード面の対策として、始発時刻を繰り上げるためには、見沼代親水公園駅に留置する始発列車へ終電後も送電する設備が必要であることから、既存の電気設備を改修することといたしました。さらに、本線への送電時刻を、終車後の保守作業に影響しない限度ぎりぎりまで繰り上げを行いました。でき得る限りの方策を講じることにより、何とか繰り上げ時間を十二分確保することができました。この結果、東京駅六時発の東海道新幹線の始発列車に乗車が可能となりました。
このダイヤ改正を、土曜休日ダイヤにつきましては四月十日に、平日ダイヤにつきましては四月十二日に実施する予定でございます。新しいダイヤでは、見沼代親水公園駅の始発時刻は、現行の五時二十五分から十二分繰り上げ、五時十三分となります。
○桜井委員 ただいまのご答弁で、具体的な予定も示されたということで、私も大変安心いたしました。ぜひ、よろしくお願いをいたしたいと思います。
次に、ライナーのバリアフリー対策についてお伺いいたします。
過日、利用者からの声として、このようなお話を伺いました。簡単に紹介いたしますと、日暮里・舎人ライナーについては、開業当初から、すべての駅にエレベーター、エスカレーターがある。また、すべて列車に車いすスペースがあり、バリアフリー対策がなされている。しかし、車いすでの利用やベビーカーを車両に乗せる際に、ホームと電車との間にすき間があって乗りおりがしづらいということでありました。
ご高齢の方、そして障害をお持ちの方、さらには、子育て世代の方など、すべての方にとって日暮里・舎人ライナーをさらに利用しやすい交通機関にしていくことは、非常に重要なことであると考えます。
こうした都民の皆様からの声を踏まえて、車いす等の乗降をスムーズにするための改善措置を早急に講じるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○吉原建設工務部長 日暮里・舎人ライナーは、開業当初から、ホームドアやエレベーターを設置するなど、だれもが便利で安全にご利用いただける交通機関を目指してまいりました。
開業後、お客様から寄せられたご意見などを参考に、運営面や施設面でもさらに改善する中で、ホームと車両のすき間及び段差について改善要望が出されたため、全駅で、車いす対応乗降口の現場測定を行い、改善策を検討してまいりました。
その検討結果を踏まえまして、三両目の車いす対応の乗降口、二カ所のホームに、硬質ゴム製のホームステップを取りつけ、車いすやベビーカーでも乗りおりしやすいよう改善を図ることとしました。平成二十二年度のできるだけ早い時期の完成を目指し、整備に努めてまいります。
○桜井委員 非常に前向きで具体的な答弁をいただきました。
都議会自由民主党は、昨年第二回定例会の我が党の代表質問に対する知事の答弁を受けて、早速、少子・高齢化政策推進本部を設置いたし、プロジェクトチームで検討を進めてきております。
ただいま申し上げたことは、小さなことかもしれませんが、会派として、都民のこうした声に耳を傾け、きちんとこたえていくことは重要なことと考えております。先ほどの始発時間の繰り上げのことともあわせ、利用者の方にも報告したいというふうに思っております。
次に、バスのサービス向上についてお伺いいたします。
東京は、鉄道が網目のように走っており、地下鉄大江戸線の開業などにより、交通の利便性は非常に高まったといえます。私の地元墨田区にも、都営地下鉄だけでも、浅草線、新宿線、大江戸線と三線があり、移動には困ることはないと思われがちであります。
しかし、地元の声を聞くと、バスに対する多くの要望もあり、先日、新聞報道で、ある民間のバス停の記事が載っておりました。それには、吹きさらしの道路にバス停が立っているだけで、さらに、バスはおくれているのに、いつ来るかもわからない、これではバスを使わなくても当然だ、という内容でありました。屋根もベンチもなければ、雨が降れば、小さなお子さんと一緒の方は一苦労であり、また、お年寄りが座ってバスを待つこともできません。幾らバスがよくても、乗客をお迎えする玄関口ともいえるバス停留所が粗末な状況では何にもならないと考えます。
まずはそこで、バス停留所の施設改善についてでありますが、これまでの取り組み状況と今後の計画について、交通局の考え方をお伺いいたします。
○松下自動車部長 都営バスでは、お客様が快適にバスをご利用いただけるよう、停留所の上屋及びベンチの整備を進めてきており、平成二十一年度末時点で、三千八百九十二カ所の停留所のうち、上屋を設置している停留所が千四百五十三カ所、ベンチを設置している停留所が八百十五カ所となる見込みであります。
なお、平成二十年度から導入している新しいタイプの上屋は、首都東京のまち並みにふさわしいデザインとするとともに、雨風をよけられるための強化ガラスの設置や時刻表の文字の拡大など、お客様の利便性、快適性の向上を図っております。
今後も、経営計画ステップアップ二〇一〇に基づき、平成二十二年度から平成二十四年度、三カ年で、上屋については百五基、ベンチについては三十基整備してまいります。
○桜井委員 今後とも、バス停留所の整備を進めていただきたいと要望いたしておきます。
次に、案内サービスについてお伺いいたします。
先ほど紹介をした新聞報道にもあったとおり、バスの最大の弱点は不確実なことだと思っております。最近は、都内の道路状況も改善され、以前よりも定時運行ができるようになったと聞いております。しかし、やはり信頼性という点では鉄道に劣ってしまいます。さらに、バス停で待っている際に、いつバスが来るのかわからないとか、おくれているのか、既に行ってしまったのかわからないといったいらいら感は、もうバスを利用したくないといった声につながるのではないかと考えます。
また、初めて利用する人にとっては、鉄道の駅と違って、そもそもバス停留所がわかりにくいことや、鉄道との乗りかえもわかりにくいなど、バスの宿命ともいえる弱点もあります。
これまでも、バス接近表示装置の設置などいろいろと努力をされてきたとは思いますが、バスの運行情報などを提供するサービスについて、より充実させるべきと考えますが、所見をお伺いします。
○松下自動車部長 バス運行情報サービスについてでありますが、都営バスでは、バスをお待ちのお客様のいらいら感を緩和するため、停留所において数字や矢印でバスの接近をお知らせするバス接近表示装置の設置を行っております。今年度末の設置数は七百十六基となりますが、ステップアップ二〇一〇に基づき、来年度から三カ年でさらに七十五基の設置を行ってまいります。
また、停留所での運行サービスに加え、携帯電話、パソコンへの運行情報の発信を行っております。これはバスの位置情報を初め、路線図、各停留所の時刻表などを案内するもので、現在一日約四十五万件のご利用をいただいております。
今後は、お客様の携帯電話のGPS機能を用いて、今いる場所から最寄りの停留所の位置を検索できるサービスや、他の都営交通との乗りかえ経路を検索できるシステムなどを導入し、お客様の情報サービスの一層の拡充を図ってまいります。
○桜井委員 バスの信頼性を向上させる上でも、ぜひ、利用者へのきめ細かい情報提供に努めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で交通局関係を終ります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時四十四分散会
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