委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | くまき美奈子君 |
副委員長 | 木内 良明君 |
理事 | 山内れい子君 |
理事 | たきぐち学君 |
理事 | 樺山たかし君 |
桜井 浩之君 | |
鈴木 章浩君 | |
田の上いくこ君 | |
松葉多美子君 | |
高橋 信博君 | |
泉谷つよし君 | |
花輪ともふみ君 | |
相川 博君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 金子正一郎君 |
次長 | 塚田 祐次君 | |
総務部長 | 野澤 美博君 | |
職員部長 | 佐藤 守君 | |
資産運用部長 | 廣瀬 秀樹君 | |
電車部長 | 室星 健君 | |
自動車部長 | 松下 義典君 | |
車両電気部長 | 室木 鉄朗君 | |
建設工務部長 | 吉原 一彦君 | |
企画担当部長 | 小泉 健君 | |
技術調整担当部長 | 広川 徳彦君 | |
技術管理担当部長 | 橿尾 恒次君 | |
参事 | 波多野正裕君 | |
参事 | 岡本 恭広君 | |
下水道局 | 局長 | 松田 二郎君 |
技監 | 小川 健一君 | |
総務部長 | 細野 友希君 | |
職員部長 | 佐藤 仁貞君 | |
経理部長 | 須田 潔君 | |
計画調整部長 | 宇田川孝之君 | |
技術開発担当部長 | 東郷 展君 | |
施設管理部長 | 黒住 光浩君 | |
建設部長 | 松浦 將行君 | |
参事 | 小山 哲司君 | |
参事 | 尾崎 篤司君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 山本 洋一君 |
管理部長 | 梶原 明君 | |
技術部長 | 高相 恒人君 |
本日の会議に付した事件
交通局関係
事務事業について(質疑)
下水道局関係
事務事業について(質疑)
○神林委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局及び下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより交通局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○野澤総務部長 過日の委員会で要求のございました資料につきまして、公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要につきましてご説明させていただきます。
お手元、一ページをごらんいただきたいと存じます。まず、都営バス路線における黒字・赤字路線でございます。
都営バス百三十九路線のうち、黒字及び赤字路線数とその割合を記載してございます。
次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。地元自治体から経費の一部の負担を受けている路線でございます。
運行経費の一部について負担を受けております路線につきまして、負担者となります自治体名と系統名、運行区間をそれぞれ記載してございます。
次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるエレベーターの整備状況でございます。
都営地下鉄全百六駅のうち、エレベーターの設置されている駅数及び地上からホームまでエレベーター等によるワンルートが確保されている駅数をそれぞれ記載してございます。
最後に、四ページをお開きいただきたいと存じます。都営地下鉄におけるエスカレーターの整備状況でございます。
都営地下鉄全百六駅のうち、エスカレーターの設置されている駅数と下りエスカレーターが設置されている駅数をそれぞれ記載してございます。
以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○神林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
○たきぐち委員 私からは、地元荒川区を走行する日暮里・舎人ライナーと都電荒川線について何点か質問をいたします。
まず、日暮里・舎人ライナーについて伺います。
昨年三月の開業から一年半が経過いたしましたが、乗客数はほぼ想定した水準を確保していると聞いております。決算委員会でも、二十年度の一日平均乗客数が四万九千人と報告がありました。また、二十一年度に入ってからは五万四千人から五万五千人で推移していると聞いております。
今年度に入ってからの乗客数の伸びに伴い、通勤時間帯の混雑がより厳しくなり、特に、荒川区内の熊野前や赤土小学校前から乗車しようとしても乗ることができず、一本見送らざるを得なかったという声も聞きました。
こうした状況を受けて、ことし八月末にダイヤ改正を実施されましたが、ダイヤ改正前の時点で、一番込んでいる時間帯の混雑率はどの程度になっていたのか、まず伺いたいと思います。
○室星電車部長 八月末のダイヤ改正前におきます混雑状況についてでございますが、日暮里・舎人ライナーで最も混雑しておりますのは、平日朝の七時五十分から八時五十分までの赤土小学校前駅から西日暮里駅間の上り区間でございまして、ことし六月の調査では、平均混雑率は一七五%でございました。この混雑度は、国土交通省の目安で申しますと、折り畳むなど無理をすれば新聞が読める状態とされております。
○たきぐち委員 平均混雑率が一七五%ということは、さらにそのピーク時には二〇〇%を超えていたのだろうということも推察でき、ラッシュ時の混雑状況がうかがえるところでございます。利用者の声を受けてのダイヤ改正だったと認識をいたしております。
そこで、八月末のダイヤ改正の概要、つまり増便された時間帯増便数と、これによって輸送能力がどれぐらいアップされたのか伺いたいと思います。
○室星電車部長 ダイヤ改正の概要などでございますが、ことし八月末に実施いたしましたダイヤ改正は、一部をロングシート化いたしました新型車両の導入にあわせ、混雑緩和と利便性の向上を図ることを目的といたしましたものでございます。八月二十九日には土休日のダイヤを、八月三十一日には平日ダイヤを改正し、実施いたしました。
平日上りでは、朝の最も混雑している七時五十分から八時五十分までの間の運転本数を二本ふやし、下りでは、日暮里駅発の二十三時から終電までの運転本数を二本ふやして、輸送力の強化をいたしました。
土休日は、昼間の時間帯の運転間隔を十分から七分三十秒に短縮し、利便性の向上を図りました。
これにより、日暮里・舎人ライナー全体の輸送力は、列車走行キロで見ますと、平日で四・二%、土休日で一七・六%アップいたしました。
○たきぐち委員 平日また土休日とも、新型車両を導入してのダイヤ改正、増便を図ったということがわかりました。
では、このダイヤ改正を行って、その効果をどう評価しているのか伺います。
○室星電車部長 ダイヤ改正の評価についてでございますが、平日朝の七時五十分から八時五十分までの赤土小学校前駅から西日暮里駅間の上り区間における平均混雑率は一四七%となり、ダイヤ改正前に比べ二八ポイント低下いたしました。あわせて平日深夜時間帯の混雑も緩和され、土休日のご利用も便利になったものと考えております。
また、新型車両では、座席レイアウトを変更したことにより、体感的にも混雑度が緩和されたのではないかと考えております。
このことから、今回のダイヤ改正の目的は十分達成できたものと考えております。
○たきぐち委員 目的は達成できたということでございますので、混雑率の緩和によって、ラッシュ時においても荒川区内の各駅から乗車できないということはないということだと思いますので、ほっとしているところでございます。
また、新型車両の座席レイアウトを変更したということでございますが、開業前にも、ロングシート主体から、車両中央部をクロスシートに変更したということもあったやに聞いております。今後さらなる変更があるのかわかりませんが、体感的な混雑度の観点や、あるいは利便性、また眺望性などしっかりと研究をして進めていただきたいと思います。
これまで予定どおり乗客数が伸びているという状況でございますが、決算委員会におきまして、足立区の鈴木委員の質問に対して、最終的には一日当たり約七万人の乗車を見込んでいるという答弁がありました。この七万人という目標数値を達成するためには現在のダイヤで可能であるのか伺います。
○室星電車部長 今後のダイヤについてでございますが、今回導入いたしました新型車両と同様に、既存車両十二編成につきましても座席レイアウトを変更し、一部ロングシート化することで混雑感の緩和を図ってまいります。
今後でございますが、乗客数の推移、朝のラッシュ状況などを引き続き十分把握する必要がございます。これにより、必要な輸送力の確保には適切に対応してまいりたいと考えております。
○たきぐち委員 今後の利用者の推移を見ながら、計画的な車両の増強、増備をお願いいたしたいと思います。
これまでの実績を見ますと、ラッシュ時の混雑の一方で、土休日については利用が余り進んでいない、伸びていない状況がうかがえます。平日と比べると、土休日の乗客数は約一万人ほど少ないと聞いております。七万人を達成するため、また収益力向上を図っていくためには、土休日利用の拡大を図ることが重要だと思います。
そこで、平日に比べて利用の少ない土休日の利用乗客数の増加に向けて、日暮里駅前で開催されるイベントのほか、熊野前周辺のイベント、親水公園のイベント、あるいは周辺のお祭りなど、地域イベントに関する広報活動を交通局としてもっと積極的に取り組んで、荒川区と足立区との往来を活発化させることがライナーの収益力強化につながると考えておりますが、見解を伺います。
○室星電車部長 沿線で行われるイベントなどとの連携についてでございますが、理事ご指摘のとおり、平日に比べて利用の少ない土休日の乗客増は、日暮里・舎人ライナーの課題でございます。また、沿線で予定されておりますイベントの情報をお客様に伝えることは、荒川区と足立区との往来を活発化させることにつながり、土休日の集客対策としても有効であると考えております。
交通局としてはこれまでも、毎月発行しております都営地下鉄、都電荒川線及び日暮里・舎人ライナーの沿線案内「ぴっく・あっぷ」におきまして、足立の花火大会や沿線のお祭りなどのイベント情報を掲載してまいりました。
こうした取り組みに加え、現在、交通局のホームページで都電荒川線の沿線イベントを「今月の荒川線」として紹介しているのと同様、日暮里・舎人ライナーについてもホームページを改修いたしまして、沿線で予定されているイベントを紹介するなど、沿線区と連携してさらなるPRを図ってまいります。
○たきぐち委員 「今月の荒川線」については私も拝見しております。ただ、情報発信力としてはまだ弱いのではないかというのが率直な感想であります。イベント名、日時、最寄り停留所など、その概要を羅列するだけでは、土地カンのない人にはなかなか伝わりにくく、こうした情報発信をする際には、土地カンのない人でもわかりやすい、また、行きたくなるような発信が必要ではないかというふうに考えております。
例えば、荒川区以外の人であれば、宮ノ前といっても、それがどこにあるのかわからないと思いますし、ライナー沿線の住民であっても、隅田川と荒川を挟むと、その駅がどのあたりになるのか、なかなか地理カンがつかめないと思います。日暮里・舎人ライナーのホームページを今後リニューアルを検討されていくということであれば、ぜひもう一工夫、二工夫お願いしたいと思います。そして、その際、当然ながら地元との連携が必須だと思いますので、連携をしっかりととりながら、土休日の利用者をふやす方策を検討していただきたいと思います。
また、日暮里・舎人ライナーの集客力向上のためには、同じ都営で運営している荒川線との相乗効果をねらうべきだと考えます。日暮里・舎人ライナーと荒川線は、熊野前で交差する、乗り継ぎができるわけでございますので、都電荒川線と一体となった収益力向上策に取り組むべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○室星電車部長 都電荒川線と一体となった収益力の向上策でございますが、これまでも、沿線の見どころを案内するパンフレットを都電荒川線とあわせて作成したほか、開業時には「日暮里・舎人ライナー沿線ウォーク」を、また、ことしの夏のイベントとして、「都電荒川線&日暮里・舎人ライナー謎解き宝探しゲーム」をそれぞれ実施いたしました。
今後とも、都営交通のネットワークをアピールし、都電荒川線とタイアップした増収対策を実施してまいります。
○たきぐち委員 今後とも、都営交通のネットワークを活用していただきたいと思います。
新交通システムである日暮里・舎人ライナーと東京市電の唯一の生き残りである荒川線をタイアップして、増収対策に取り組んでいただきたいと思います。
次に、都電荒川線について伺います。
チャレンジ二〇〇七を受けて、新型車両導入計画を定めていますが、どのような車両をどのような計画で導入をするのか伺います。
○広川技術調整担当部長 本年四月に導入しました荒川線の新型車両につきましては、荒川線の未来を開く先進性と快適性という基本コンセプトのもと、丸みのある斬新なデザインといたしました。このデザインは、三つの車両デザイン案を当局のホームページで提示し、電子メールやはがきによる投票結果に基づいて決定いたしました。
新型車両は、最新の技術を導入した省エネ車両としております。また車内は、手すりを大幅にふやしてつかまりやすくするとともに、見やすいカラー液晶式案内表示装置を設置するなど、だれにでも利用しやすいユニバーサルデザインを取り入れた車両としております。
新型車両は、本年四月の二両に続きまして、今年度末に三両、来年度、平成二十二年度末に五両の計十両を導入していく予定であります。
○たきぐち委員 新型車両については、省エネ、ユニバーサルデザインに配慮した設計であるということでございました。今後、順次、新型車両を配置していくということでございますが、引き続き利用者の声にも耳を傾けていただきたいと思います。
チャレンジ二〇〇七は、今年度が最終年度に当たります。次年度以降、新たな計画を策定していくことになるかと思いますが、新たな計画を策定するに当たりましては、沿線四区の意見、あるいは地域団体の意見を反映させていくことが重要ではないかと考えております。どのように連携をとっていくのか、また、利用者の意見、要望などはどういう形で吸い上げていくのか伺います。
○小泉企画担当部長 これまで、荒川線の事業運営に当たりましては、地元区等とも連携しながら、沿線施設のPR、イベントの実施やバラなどによる沿線緑化を推進するなど、地域の活性化や乗客誘致に取り組んできたところでございます。
新たな経営計画の策定に当たりましては、交通局に寄せられているお客様からのご要望や、荒川線を担当していただいている交通局巡回モニターからのご意見を参考にしてまいりますとともに、今後とも地元区や地域団体との連携を一層進め、さまざまな取り組みを行うことで、荒川線の魅力向上と沿線地域の活性化に努めてまいりたいと考えております。
○たきぐち委員 ぜひ地域との連携をしっかりと強めながら、次の経営計画に向けて策定をしていただきたいと思います。
例えば、始点、終点である早稲田駅を何とかしてほしいという声は根強いものがありますし、また、泉谷委員の地元である豊島区では、ライトレール計画もあるやに聞いております。沿線四区との情報の共有化や連携が必須だと考えます。
また、地域振興、観光の観点から増収を図っていくためには、各区のカウンターパートがいるのかどうか。沿線四区といっても、新宿、豊島、北、荒川各区の都電に対する取り組み、あるいは思いに温度差はあろうかと推察いたしますけれども、荒川区には産業経済部の観光振興課があり、北区には産業振興係観光担当があります。豊島、新宿にも同様な部署があろうかと思います。さらには、観光協会とか、観光交流協会であったり、あるいは商工会議所など、都電を活用した振興策に目を向けた団体との連携をしっかりとりながら、密にしながら取り組んでいただきたいと思います。
チャレンジ二〇〇七の策定に当たりましては、交通局経営アドバイザリー委員会というものが設置されたと聞いております。こうした経営計画を策定する際、広い識見と経験を持つ外部委員の意見を聞き、公営交通としての役割などを幅広く検討すべきではないかと思います。
例えば、公共交通に関しては、パーク・アンド・ライドという考え方であったり、サイクルパスの取り組みなど、世界的な視野での公共交通のあり方論を検討していくことが重要だと思っております。ヨーロッパでは、路面公共交通に自転車を乗せることができるのが当たり前であると聞いております。また、複数車両であったり、信用乗車方式のような運賃の支払い方法など、検討する事項はいろいろとあるかと思います。ぜひ、さまざまな角度から公共交通のあり方や増収策等々、検討を進めていただきたいと要望いたします。
荒川線の平成二十年度決算は、残念ながら赤字となりました。今後、新車導入に伴う減価償却費がのしかかってくるかと思います。そういう中で乗客数も漸減傾向にあり、都電荒川線のキーワードとしては、環境と観光ではないかと私は考えているところでございますが、最後に、都電荒川線の今後の事業運営、また、日暮里・舎人ライナーの事業運営に向けた局長の決意を伺いたいと思います。
○金子交通局長 都営交通は、再来年の平成二十三年に百周年を迎えます。路面電車事業から始まりました都営交通の歴史は、まさに都電の歴史でありまして、都内に唯一残った都電である荒川線は、都民の貴重な財産として今後とも維持発展させていかなければならないと考えております。
このため、これまでも、昭和初期をイメージしたレトロ車両の導入、三ノ輪橋及び庚申塚停留場のレトロ化、荒川電車営業所内における都電おもいで広場の開設や新型車両の導入など、さまざまな活性化策を講じてまいりました。
一方、日暮里・舎人ライナーはスタートしたばかりの新しい路線でありまして、これまでのところは乗客数は順調に推移しているものの、経営の安定化には、今後さらなる利用拡大が必要であります。
熊野前で交差するこの新旧二路線が今後さらに発展していくためには、地元の方はもちろん、都内に観光で訪れる方などを含めた幅広いお客様にご利用いただくことが不可欠でございます。今後、地元区を初めとした地域の方々とも一層連携して、環境に優しい乗り物である荒川線と日暮里・舎人ライナーについて、沿線の魅力を含め幅広く発信し、より多くのお客様が訪れていただけるよう努めてまいります。
○たきぐち委員 局長から今決意をいただきました。交通局全体としては、事業規模からいうと、都営地下鉄と都営バスが主力事業であろうかと思います。日暮里・舎人ライナー、荒川線については、事業規模は小さいですが、しかし逆に、コンパクトだからこそ公共交通のモデルともなり得るのではないかと思っております。
都営バスを含めますと、地元に三つの事業が関係するこの公共交通事業に対して、今後も、私も積極的な提案をしてまいりたいと思っておりますので、交通局のさらなる取り組みに期待をいたしまして、質問を終えます。
○鈴木委員 それでは、交通局の事務事業についてお伺いいたします。
去る九月三日の本委員会において、交通局の事務事業の概要について説明を受けたわけでありますけれども、平成二十年度決算の概況のほか、各事業の主な取り組みについて広範にわたり説明をしていただき、その中で私はまず、自動車事業に関連してお伺いしたいと思います。
ただし、自動車事業については、省エネルギー対策に積極的に取り組むなど環境対策や、ノンステップバスの普及推進等の福祉対策について、これまでも鋭意取り組んできたことは承知しております。また、利用者の状況に応じた路線やダイヤの見直しを行ってきたことについても、本委員会を初めさまざまな場で説明を受けておりますので、本日は違った取り組みについてお伺いしたいと思います。具体的には、広告つき停留所についてであります。
前回の委員会で配布された「都営交通のあらまし」、これは交通局の取り組みがカラーの写真等で紹介されている冊子でありますけれども、この中で、都庁第一庁舎前に設置されている広告つき停留所が紹介されております。
まず、改めてということになりますけれども、最初に、広告つき停留所事業について、その概要と目的についてお伺いいたします。
○岡本参事 広告つきバス停留所上屋事業は、バス停留所の上屋に壁面を設けて広告を掲出することで得られる広告料収入により、上屋の整備、維持管理費用を賄っていくものでございます。
この事業の目的は、首都東京の景観、まち並みにふさわしいデザイン性の高いバス停留所上屋を設置し、景観の向上に寄与するとともに、上屋の整備を促進し、お客様の利便性、快適性を向上するものでございます。
○鈴木委員 なぜ今さら概要や目的についてお伺いしたかといいますと、横浜とか、ほかにも全国的に、交通局が取り組む以前から広告つき停留所が設置されており、さらにその事業そのものを民間企業に任せているという現状があります。
まず、交通局にあってはみずから実施しているわけでありますけれども、私はどうしても広告が絡むような事業は、本来は、ノウハウが豊富な民間企業に任せた方がいいという思いを持っております。この件はこれまでもこの委員会で取り上げられているというふうに承知しておりますし、また、平成十五年一月に国交省と警察庁が通達の一部を改正し、規制緩和を行ったという意味も、やはり民間活力を期待してのものであったというふうに思っております。
当然、交通局もそのことを承知の上で検討を重ねてきたわけであると思っておりますけれども、今の事業スキームを構築した経緯を含め、交通局がこの事業をみずから行っている理由について、改めてご説明を願います。
○岡本参事 交通局がみずから行う理由についてでございますが、広告つきバス停留所上屋事業の事業化に当たりましては、民間事業者とのタイアップについても検討いたしましたが、契約期間、所有権の帰属及び広告料収入の配分について双方の認識の乖離が大きかったことから、協議を打ち切ったという経緯がございます。
また、交通局は広告事業を実施する部門を有しておりまして、オリジナルデザインの上屋を設置し、広告つきバス停留所上屋事業をみずから行うことといたしました。
○鈴木委員 私は、現在の取り組みで、広告つき停留所そのものについては、これまでのバス停に比べまして非常にグレードが高く、また景観にマッチしているものであるというふうに理解しておりますけれども、やはりコストパフォーマンスという概念も重要な観点であると思っております。
今の答弁を伺いますと、事業実施に当たっては、さまざまな観点から検討した結果、このようになったという答弁であると思いますけれども、全国的に自治体がみずから実施しているというのは、本当に東京都だけであるということを踏まえまして、交通局がみずから行うことを決めたということにおいては、これ以上この件については言及いたしませんけれども、責任を持って今後とも進めていただきたいというふうに要望しておきます。
そしてまた別の観点から、次に、これまでのこの事業の進捗状況についてお伺いしたいわけですけれども、広告つき停留所の事業については、交通局の経営計画である新チャレンジ二〇〇七に、平成十九年度から新たに取り組む事業として記載されているわけであります。都市部を中心に、平成十九年度及び二十年度でそれぞれ四十基ずつ設置することになっているわけですけれども、これまでの設置状況と今後の設置予定についてはどのようになっているのか、お伺いいたします。
○岡本参事 広告つきバス停留所上屋の設置状況でございますが、平成十九年度に二十一基、平成二十年度に四基を設置いたしました。なお、本年度につきましては七十五基設置を予定しておりまして、現在までに十一基を設置いたしました。
○鈴木委員 設置状況についてはわかりましたけれども、二十一年度に七十五基設置ということで、まだ現在まで十一基ということは、今の説明を聞きますと、計画に比べて大分苦戦を強いられているように感じるわけですけれども、過去二年間の設置数が計画より少なくなったのはどのような理由があるとお考えなのか、ご説明を願います。
○岡本参事 設置数が計画より少なくなった理由についてでございますが、交通管理者及び道路管理者の許可基準の一つである、歩道上に広告つき上屋を設置した後に歩行者の通行のために確保すべき幅員が、他都市では二メートルなのに対し、交通事情の特殊性や事故防止等の観点から、東京では三・五メートルとされたこと。現地調査の結果、地下埋設物などが新たに発見されたこと。平成二十年度については、十九年度に設置した上屋の検証期間とし、利便性やコスト面から仕様の見直しを行い、新たな設置を原則として見送ったことなどでございます。
○鈴木委員 実際にやってみて、取り組んでみて、いろんな困難に直面して本当にご苦労されていることは、今のご説明をいただいてわかりましたけれども、やはり積極的に課題に対応して、事業の進捗というものをもっと図っていただきたいなというふうに思っております。
ところで、今の答弁の中で、昨年度はコスト面など幾つかの観点から検討し、仕様の見直しを行ったということでありますけれども、平成二十年度にどのような仕様変更をしたのか、その内容についてもう少し詳しくご説明願います。
○岡本参事 仕様変更の内容でございますが、利便性向上のため時刻表と路線図の掲示場所を工夫するとともに、ベンチの設置位置を変更し、お客様が停留所に接近するバスを見やすくなるようにいたしました。
また、コスト削減につきましては、躯体の材質や柱の太さについて、強度や耐久性を損なわない範囲で見直しを行い、製作費用の低廉化を図りました。
○鈴木委員 事業を進めていく中でさまざまな知恵を働かせて、利便性を向上させるとともにコストの削減を図っていくということは、本当に当然のことであるというふうに思います。
今後も効率的な事業執行に努めまして、またあわせて、当初の目的である都市景観にマッチしたデザインのバス停留所の設置を推進してもらいたいというふうに思うわけですけれども、やはり気になるのが、計画よりおくれている点であると思います。
先ほどの答弁を伺いますと、七十五基設置するという予定がなかなか進んでいないということであります。これまでの実績や経験を踏まえて、おくれを取り戻すべく工夫を凝らすなど、鋭意取り組んでいただきたいというふうに思うわけですけれども、今年度についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
○岡本参事 平成二十一年度につきましては、前年度に行いました仕様変更や設置候補箇所の追加調査の結果を踏まえまして、積極的に設置の拡大を図っております。
現在、道路管理者、交通管理者等関係機関との協議が調ったものから工事を進めておりまして、工事未着手のものにつきましては、鋭意関係機関と協議を進めております。
○鈴木委員 早期の設置に向けて、本当に責任を持って最大限の力を注いでもらいたいなというふうに思っております。
そして、事業概要には、設置が完了した停留所については、広告枠の販売を展開していると書かれているわけですけれども、これまでの広告つき停留所の広告料収入は一体どのくらいになるのか、また、広告料収入により上屋の整備促進等に必要な財源は確保されているのか、改めてお伺いいたします。
○廣瀬資産運用部長 平成二十年三月の広告販売開始から二十一年九月までの広告料収入は七千六百万円となってございます。この収入から広告販売手数料及び維持管理費を除いた金額は三千百万円となっておりまして、この収益を設置費用に充ててございます。
○鈴木委員 広告つき停留所の事業を推進するに当たっては、本当にさまざまな課題があると思いますけれども、公営企業として経済性をぜひ発揮しながら、都市景観の向上や利用者の快適性の向上を目指して、本当に今後とも最大限の努力をしてもらいたいと要望いたします。
次に、交通局全体の広告事業についてお伺いいたします。
地下鉄やバスなど、交通局の各事業を安定的に運営していく上で、広告事業を初めとする関連事業収入を確実に確保していくことは重要であるというふうに思います。現在並行して審議されている決算特別委員会の分科会においても、我が党に、平成二十年度の広告料収入は前年度に比べると一〇%近く減少したとの答弁があったと聞いております。原因としては、リーマンショック以来の世界的金融危機の影響により広告業界全体の売り上げが大きく減少したことによるものということであったわけですけれども、そういう中にあっても、交通局でもさまざまな努力はしていることと思いますが、まず聞きたいのが体制についてであります。
交通局の広告事業の運営体制について、改めて説明を願います。
○廣瀬資産運用部長 広告事業の運営につきましては、社会状況の変化に合わせ体制の見直しを図ってまいりました。現在は、広告媒体の設置、新規開発及び営業企画等の事業運営は交通局が実施しておりまして、広告の販売につきましては指定代理店に委託しております。また、広告物の掲出、清掃等の作業につきましては、効率化のため外部に委託しております。
○鈴木委員 交通局では、業務の内容ごとに直営と委託を使い分けているようでありますけれども、私は、先ほども広告つき停留所についての質疑の中で申し上げましたように、非常に競争が厳しい広告事業について、交通局が直営で対応するには限界があるのではないかなというふうに思っております。
私の友人の中に大手広告代理店に勤めている者もおりますけれども、その友人にいわせますと、交通局の担当者は人事異動によってしばしばかわるということであります。広告業界というのは、知識、経験が要求されるのはもちろんですけれども、いい方は少々悪いですけれども、顔が幅をきかせる業界であるというふうにも聞いております。他の鉄道会社の広告部門では余り人の異動はないと聞いております。一方、交通局の職員は、都の人事制度に合わせて二年から三年で異動してしまう。これでは、広告事業の実務能力が十分に身につかないばかりでなく、営業で必要とされる人的なつながりが形成できないのではないかなというふうに思うわけです。
交通局が今後、広告料収入確保を増大させていくためには、やはりJRや東京メトロを初めとする同業他社に対する競争力を向上させることが不可欠な課題であるというふうに思います。
そこで、提言の意味を含めてお伺いいたします。広告料収入の増収のためには専門性の確立が急務ではないかと考えておりますけれども、見解をお伺いいたします。
○廣瀬資産運用部長 広告料収入の増収に向けて競争力の向上等を図りますためには、より一層の専門性が必要であるというふうに考えております。このためには、広告事業運営に関するノウハウの蓄積や、専門人材の育成が可能な体制が求められているというふうに考えております。
これまでも、広告事業を経験した人材を民間企業から採用しましたり、指定代理店各社と販売戦略策定のための委員会を設けるなど、民間のノウハウの導入に努めてまいりました。
さらに、他の鉄道事業者の運営体制の調査を現在進めておりまして、こういったことで広告事業運営体制の検討を現在行っているところでございます。
○鈴木委員 この広告事業を取り巻く環境というのは、今後ますます厳しくなっていくものという思いの中で、やはりその推進する体制については、今までのあり方をしっかりと見直して頑張っていただきたいと要望いたします。
次に、交通局にとって最も大きな責務である安全対策についてお伺いいたします。
都営地下鉄、とりわけ大江戸線については、朝夕のラッシュ時のみならず、日中でもかなり混雑しているわけであります。昨年度は一日約八十万人の利用者があったと伺っておりますが、今や大江戸線は東京の都市活動を支える重要な都市インフラであり、一たび事故が発生すれば、都市機能に与える影響は甚大であるというふうに思います。
今からちょうど二年前、平成十九年十月二十三日に発生した大江戸線の停電事故は、まだ記憶に新しいところでありますけれども、保守作業が原因で変電所から列車への送電が停止し、トンネルの中を、満員の乗客約千二百人というふうに伺っておりますけれども、ホームまで歩いて避難したわけでありますが、最後の乗客がホームに上がるまでに二時間もかかった事故であります。幸い死傷者はなかったとはいえ、発生したのが平日朝のラッシュ時間帯であったことから、多くの利用者が迷惑をこうむったわけであります。
当時、私は公営企業決算特別委員会の委員であり、分科会の質疑で、この事故について質問をさせてもらいましたけれども、交通局では再発防止のための対策を講じるとのことでありました。その後、交通局ではこの事故を重く受けとめ、さまざまな対策を講じたと伺っております。この事故対策のうち停電時の避難誘導対策については、本年二月の第一回定例会で我が党のきたしろ議員が確認したところでありますけれども、ここでは、停電事故自体の対策について改めて確認をしたいと思っております。
大江戸線の停電事故に対する対策と、現時点ではどのような取り組みをされているのか、改めてお伺いいたします。
○室木車両電気部長 平成十九年十月に発生した大江戸線停電事故による輸送障害では、ご利用のお客様に多大なるご迷惑をおかけし、まことに申しわけございませんでした。
この停電事故は、変電所の委託点検作業における保守用スイッチである断路器の入れ忘れが原因でございました。また、点検は専門技術者の指揮監督下で実施していることなどから、交通局職員の立ち会いを行っておりませんでした。
こうしたことから、再発防止対策は、ハード、ソフトの両面から実施してまいりました。
まず、ソフト対策といたしましては、列車の安全、安定運行に支障を与えるおそれのある委託作業については、交通局職員が立ち会い、点検作業が確実に実施されているかを直接確認するなど、管理体制の強化を図ってまいりました。また、作業終了後、始発電車の運行時に、変電機器が確実に動作することを現地にて確認することといたしました。
ハード対策といたしましては、断路器の入れ忘れを防止するため、断路器の入り・切り状態が機器の外部からでもわかるよう、動作表示灯を追加する改修工事を進めており、今年度中に大江戸線の全変電所の改修が完了する予定でございます。
交通局といたしましては、このような事故を二度と発生させないよう、今後とも、ハード、ソフトの両面から再発防止対策を徹底してまいります。
○鈴木委員 停電事故に対して、ただいまの謝罪というのは、二度と同様の事故を起こさないという決意であるというふうに受けとめさせていただきたいと思いますけれども、確実にそういった決意を持って取り組んでいただきたいと思います。
万が一、トンネル内で列車が停止した場合の避難誘導の問題もそうですけれども、第一回定例会で局長から、非常用のはしご避難器具の改良や増強を行うとともに、さまざまな機会をとらえて訓練を行ってきたとの答弁がございました。これについてもう少し具体的に知りたいのですけれども、列車からの避難誘導方法について、改善策の具体的な内容をお伺いしたい。
そしてまた、大江戸線以外の路線ではどのような取り組みになっているのか、改めてお伺いいたします。
○室星電車部長 改善策の具体的な内容などについてでございますが、大江戸線における避難誘導方法を検討した結果、降車するトンネル内の構造など条件が整った場合には、車両からの避難を二カ所以上から行い、また、避難する際に駅や車両で使用する非常はしごは手すりつきに改良するなど、局長をトップとする交通局安全対策推進委員会で議論し、改善策を取りまとめたところでございます。
この改善策の検証などのため、ことし二月六日の終電後、大江戸線の停電事故が発生した同じ場所で、交通局職員や消防からの参加を得て、約二百五十人で訓練を実施いたしました。この訓練では、新たな避難誘導方法に習熟するとともに、その効果を検証したところ、避難誘導時間が大幅に短縮できることを確認いたしました。
次に、大江戸線以外の路線での取り組みでございますが、二カ所以上から避難する訓練を、浅草線や三田線で既に実施しております。残る新宿線につきましても今年度中に実施することとしております。
手すりつき非常はしごの配備設置状況についてでございますが、駅への配備は、すべての駅で完了しております。また、車両への設置につきましては、大江戸線では今年度末までに全編成完了する予定でございまして、他の路線につきましても、大江戸線と同様のものを順次設置してまいります。
○鈴木委員 避難方法の具体的な改善策について、また効果の検証も含めまして実施されたということは理解いたしました。そしてまた、ハード、ソフトにわたって対策を行っているので同様な事故が起きないとは思いますけれども、その中でもヒューマンエラーというのは、いつ、どこで起きるかわからないというものであります。
ヒューマンエラーを完全に防ぐことは大変難しいことであります。しかしながら、多くの利用者がいる都営地下鉄の事業運営に当たっては、絶対事故を起こさないという強い気概を持って、可能な限りの事故防止策に取り組む必要があるというふうに思います。
そこで最後に、局長から、交通局の安全管理に対する考え方をお伺いしたいと思います。
○金子交通局長 交通事業者にとりまして、お客様の安全・安心の確保は最大の使命であり、この使命を全うしていくためには、職員一人一人がそれぞれの持ち場でみずからの役割をしっかりと果たしていく必要があります。
しかしながら、人間の行動にミスはつきものであり、ご指摘の大江戸線停電事故など、過去の大きな事故や輸送障害のほとんどはヒューマンエラーに起因しております。
このため、まずはこのヒューマンエラーを防止するための対策が不可欠であり、各種の教育訓練を通じて規定や取扱手順等を徹底するとともに、ヒヤリ・ハット情報を組織内で共有するなど、事故の芽を未然に摘むための取り組みを推進しております。
また、万一エラーが起きても事故につながらないよう、人間を補完するATSなどの保安装置の改善、ホームさくの整備など安全投資にも力を入れております。
さらに、安全性を向上させていくための、計画し、実行し、チェックし、改善をするというPDCAサイクルの取り組みを継続的に実施する運輸安全マネジメント体制を適切に機能させ、組織総体としての安全管理体制の強化に努めております。
今後とも事故防止に努め、職員一丸となって、安全最優先の都営交通を目指してまいります。
○鈴木委員 あのJR福知山線の事故等、本当に鉄道の安全性というのは高い関心が今持たれております。今後とも、東京都の交通網を支えているという強い意識のもと、安全性の向上に鋭意努力していただきたいと強く要望して、私の質問を終わります。
○木内委員 たしかダーウィンだったと思うんですけれども、「進化論」の中で、生き残ったものの特質というのは、力の強いものでもなければ体の大きなものでもなかった、変化に対応する力を持ったものが生き残った、こういう至言があるわけであります。
決して阿諛便侫を連ねて申し上げるわけじゃありませんけれども、都市環境、社会構造が激変をする中で、東京都の交通局に与えられた課題、また問題解決へのさまざまな指摘は多いわけでありますけれども、日ごろ私が尊敬しております誠実で真摯な人柄の金子局長、また塚田次長、総務部長を先頭に、それぞれ、勇将のもとに弱卒なしという気概を感じられるお仕事を、連日大変頑張ってしていただいていることに、まず敬意を表させていただきたいと思うのでございます。
既にきょうの質疑の中でも、さまざまな個別の具体的事項の事例、あるいは今後あるべき交通局の事業のあり方等々について問題点の指摘はありましたけれども、私は都民与党として、交通局の皆さんの日ごろのご努力を多としたい、まずこのように申し上げるものであります。
さて、今、交通局が都政の中で置かれた課題、また位置づけは極めて重要なものがあります。安心で安全で便利で、今、鈴木委員の質疑にもありましたけれども、快適な都民生活を担保するためにも、交通局の事業というのは、まさにこの行政の中の生命線であります。こういうふうに思うわけでございます。しかしながら、環境問題が世界的ステージの中で議論をされてきている、あるいは、さきにリーマンショックがあった金融危機、景気の不安等があった、あるいは少子高齢の社会の進行が進んでいるなどなど、交通局の独自の事業だけでは対応し切れない、いわゆる他律的要因によってもたらされる事業への影響というものが今日また大きく出ていることも事実でございます。
私は常に申し上げるわけでありますけれども、一千二百六十万の都民を抱え十三兆、十四兆になんなんとする予算を抱える自治体である東京は、単なる自治体ではなくて、実は国家としての運営規模を持っていながら、反面、現場を持っているという強さ、また、重要な役割を各局は担っている、こういうことがいえるわけであります。
特に、現場を持っているという意味では、交通局はまさに都民の皆さんとの直接の接点が連日のように、実は大変な形であるわけでございます。そういう大きなくくりの中から、きょうは、一つはこの新チャレンジ二〇〇七の取り組み状況、あるいは環境対応、あるいは今後の事業展開ということに絞って端的にお伺いしたい、こういうふうに思うわけでございます。
まず、環境対応の問題でありますけれども、国は、平成九年十二月に京都で開かれました地球温暖化防止のための京都会議を主催いたしました。参加各国は京都議定書を採択した。これに基づいて我が国は、二〇〇八年から二〇一二年の五年間で、温室効果ガス排出量を一九九〇年を基準年として五%削減することを目標とした。地球温暖化対策は、我々の子孫にこの美しい地球環境を残すための喫緊の課題であり、これを受けて私どもの党も、具体的に各分野においてさまざまな提案を、国の場で、あるいは東京都の場で、都政の場で行ってきました。
時に、都政でこの提案が結実し、国に反映され、いわば国政を都政が牽引する、そうした経過をたどるようなケースも非常に多かったわけであります。
例えば、環境負荷低減の取り組みとして、省エネ家電の購入を促進するためのエコポイント制度の導入、また、エコカーの普及を促すための自動車関連税の減税やエコカーの購入に対する補助金制度の創設、さらには太陽光発電の普及の促進、こういったことは、提案だけではなくて、具体的にはその措置まで含めて推進方を務め、実現に向けて幅広く取り組んできたところでございます。
今申し上げた中で地球温暖化対策、これはまさに東京都が先行的に国を牽引する大きな政策の一つでありますから、交通局も、これに対応する形での具体的なご努力の成果を出していただきたいと思うわけでございます。
交通局におきましても、申し上げた環境対策の重要性を認識されて、所管する事業の環境対策に個別具体に、さらにその結果を出していただくよう、まず強く要望をするものでございます。
そこで、これまで交通局が行ってまいりました環境対策への取り組みの経過と実績についてご報告を願います。
○小泉企画担当部長 交通局は、交通局環境方針に基づきまして、事業における環境への負荷を可能な限り低減するとともに、環境に優しい公共交通の利用促進を目指し、環境に配慮した事業運営を行っております。
具体的には、地下鉄事業においては、平成二年度から環境に配慮した地下鉄車両の導入を行っており、電力回生システムやVVVF制御装置の導入等により、平成二十年度における走行キロ当たりの車両の消費電力量を、導入を開始した平成二年度比で約三割削減しております。
また、お客様の利用が比較的少ないエスカレーターについて、利用時のみ自動的に運転されるよう改修するなどして、電力使用量の削減など、省エネルギー化を図っております。
自動車事業においては、CO2の削減と省エネルギーに寄与するハイブリッドバスの積極的な導入や、非接触給電ハイブリッドバスの実証実験への協力を行っており、都電荒川線の軌道事業においても、従来の車両に比べて約二割の省エネを実現した新型車両の導入を進めております。
また、環境に優しい公共交通の利用を促進するため、都営まるごときっぷを初めとする企画乗車券の発売や広報誌による沿線紹介などを積極的に行うとともに、交通局が取り組んでいる環境対策について事業PRポスターでわかりやすく紹介するなど、都営交通のイメージアップや利用促進を図っております。
○木内委員 こうやって改めて事務事業の質疑ということで確認をしますと、随分と多方面、多分野にわたっての成果を出しておられる。これも高く評価をしたいと思うのであります。
今、交通局の環境方針計画という話もありました。平成十九年二月に策定されているわけでありますけれども、既に三年近くが経過している。冒頭申し上げたように、時代の変化というものは−−変化ではない、激変。連日音を立てて激変しているということがいえる状況でありますけれども、こうした時代の変化を俊敏にとらえて事業に反映していく必要があると思うんですね。
それで、現在の計画策定以降の状況の変化というものがあるわけでありますから、さらにこれに、決してにわかづくりではない、中期的、長期的にまで及ぶ具体的な見通しと方針と認識というものを持って対応すべきだと、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
○小泉企画担当部長 副委員長お話しのとおり、環境面の状況変化についてでございますけれども、都におきましては、平成十九年六月に策定されたカーボンマイナス東京十年プロジェクトによりまして、平成三十二年度までに、東京の温室効果ガス排出量を平成二年の水準から二五%削減する目標を掲げているほか、平成二十年度に環境確保条例を改正いたしまして、平成二十二年四月から、大規模事業所に対して温室効果ガス排出量の総量削減義務と排出量取引制度を導入するなど、環境先進都市を目指す取り組みを行っております。このような取り組みもあり、環境に対する都民の意識は、現行の経営計画の策定以降のこの三年間で大きく変化していると認識をしております。
このような状況のもと、交通局は、東京における大規模な公共交通事業者として、さらに都の公営企業として、民間事業者よりも高い水準で環境対策への取り組みを行うとともに、都の環境施策へ積極的に協力し、さらなる省エネルギー対策の推進や都営交通の利用促進の取り組みを強化することが必要であると考えております。
○木内委員 私は、きょうの質疑、やってよかったと思いますのは、時々刻々変化する社会環境に対応して、局が非常に俊敏に対応して計画の策定をやっている。今のご答弁でも、二十二年度以降さらに新たな決意でスタートさせるということ、最も直近におけるコンテンポラリーなこの状況についての的確な掌握認識があったなと、こう思うわけでありますが、いわれるとおり、具体的に精力的に、この結実を目指して頑張っていただきたい、このことを強く要望しておきます。頑張ってくださいね。
さて、平成二十一年第一回都議会定例会の席上で、私ども公明党は代表質問の中で、公共交通機関の利用促進というものが環境負荷低減の取り組みに有効であると主張した上で、都民に都営交通利用のインセンティブを与えるために、都営交通にICカードを活用したエコポイントシステム、これを導入するよう提案いたしました。
この際、交通局長からは、ICカードPASMOを活用したポイントシステムについて具体的に検討していくとの答弁を得ているわけであります。検討状況については後ほど確認させていただきますけれども、既に大手の私鉄で行っているポイントサービスについても、これを前提に、あるいは参考にして、交通局のポイントサービスをよりよいものとするように、ここでまず提案もさせていただきたいと思うわけでございます。
後ほど、実施時期等については明らかにしていただきますけれども、この議会の議論の重要性を感じます。代表質問、これに至る委員会質疑、あるいはまた、先ほど昼休みのときに、私どもの党の控室で谷村議員ともいろんな話をしました。この谷村議員というのは、党の東京都本部の青年局長をやっていて、現場の青年の皆さんからいろんなご意見を聞いて、そしてさまざまな運動論を展開する中で、東京都の執行機関にこのエコポイントの実施を強く要望、申し入れを行うなど、間断なくこの実現に向けての努力を重ねてきた。いよいよきょう、答弁が出るわけでありますけれども、このエコポイントシステムの本格的な具体的導入時期等が明らかにされるということで、谷村議員も感銘を深くしていたところであります。
そこでまず、既に大手の私鉄各社で行っているICカードを利用したポイントサービスについて、この導入事例、基本的なシステムについてご報告願います。
○室星電車部長 ポイントサービスの導入事例と仕組みについてでございますが、首都圏では、東京メトロ及び東急電鉄、京王電鉄、小田急電鉄においてそれぞれ、自社グループが発行するクレジットカードとICカードPASMOを活用したポイントサービスを実施しております。
その仕組みは、クレジットカード会員がPASMOで自社の鉄道やバスに乗車すると、その乗車実績に応じてポイントが付与されるものや、あるいは乗車と買い物とを組み合わせてポイントが付与されるものなどがございます。ためたポイントは、社によって異なりますが、PASMOにチャージできるものや自社のグループ内での買い物に利用できるものがございます。
○木内委員 明快な答弁であって、今の答弁内容を踏まえて、東京都で実施する場合にはさらにレベルアップ、ブラッシュアップしたシステムになるように強く望みたいと思うわけであります。
PASMOを活用したポイントサービスの現状についてはよく理解をするところでありまして、公共交通に乗車したり、あるいは買い物などにも利用できる。また、今の民鉄各社における実施事例というのは、いわば各社ごとの企業戦略に基づいているものだと、こうも考えられるわけでありますけれども、公共交通機関の利用促進につながるという意味では、何度も申し上げるように、環境対策であり、利便性であり、また、あるいはさまざまなインセンティブを社会の各部面に与えるシステムである、こういうふうにも私は考えるわけであります。
そこで、いよいよきょうの本題に入っていくわけでありますけれども、交通局が今実施を検討している、実施しようとしているポイントサービスの基本的考え方を明らかにしてください。
○室星電車部長 交通局におけるポイントサービスの基本的考え方についてでございますが、地下鉄と新交通をご利用いただいたお客様に対して、その乗車実績に基づきポイントを付与し、ためたポイントはPASMOにチャージできるようにすることを考えております。これにより、都営交通の利用促進につながるとともに、公共交通機関の利用がふえることで環境対策にも資するものと考えております。
なお、バスと都電につきましては、既に他の事業者と共通のPASMOを利用した割引サービスを実施していることなどから、新たなポイントサービスの適用については現在検討中でございます。
○木内委員 このポイントサービスの基本的な考え方、よく理解できました。
既に実施している民鉄があるとはいえ、例えば都の交通局が新たに準備をして進めるとなると、いわゆる会員獲得、あるいはその登録のシステムなどなど、ご苦労は多いと思いますけれども、ぜひこれらを克服して、いわば範たるシステムを構築してもらいたい、こう思うわけであります。
そこで、ポイントサービスの実施の時期でありますが、私は、これまでの我が党の推進、また要望という経過もありますが、一日も早い実施を強く要望するものであります。
しかし、申し上げているように、準備やさまざまな方面での検討もあるでしょうから、あした、あさってというわけにはいかないかもしれない。しかし、一日も早い実現、実施を強く要望するものでありますが、その実施時期、いつごろを計画されているのか、具体的な検討状況をご報告願います。
○室星電車部長 ポイントサービスの検討状況と開始時期についてでございますが、現在、システム構成や、お客様からの問い合わせに当たるコールセンターを含めた運営体制の検討を行っております。さらに、今後、システムの設計、開発、工事、確認試験などを行う必要がございます。また、これと並行して、ポイントサービスの広報とともに会員募集などを行い、実施に必要な準備に取り組んでいくこととしております。
これらの準備を踏まえ、サービスの開始時期につきましては、平成二十三年度の早い時期を考えております。
○木内委員 極めて明快な答弁で、ぜひしっかり頑張ってください。
次に、日・舎ライナーを中心にした、いわゆる土曜休日対応。先ほど来の質疑で同僚委員から詳しくお尋ねがありましたから、これは割愛をいたします。違う角度での答弁も検討いただいておりましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。これはなし。
次に、ノンステップバス。
これは私は、党の副幹事長あるいは政調会長、副議長等をやってまいりましたとき、議会役職でもありますけれども、お年寄りや障害を持った方、小さいお子さんたち、いわゆる交通弱者といわれる方々に対する配慮、交通局はしっかりとすべきだと。この一環としてのいわゆるバスにおけるノンステップ、この形態の導入を強く推進もし、時には復活要求でこれを反映させたりなどなど、この導入に実は私も尽力をしてきたところであります。
いよいよ二十四年度に向けて、全車ノンステップバスとなるということを仄聞しておりますけれども、これまでの導入状況と今後の見通しについて、まず所見を伺います。
○松下自動車部長 交通局では、全国に先駆けて平成八年度からノンステップバスの導入を始め、平成十一年度以降に導入した路線バス車両については、そのすべてをノンステップバスとしております。
平成二十年度末時点のノンステップバスの導入台数は一千百八十六両で、都営バスが保有する路線バス車両千四百五十六両に対する導入割合は八一・五%となってございます。いわゆるバリアフリー新法で示された平成二十二年度までに約三〇%にするという導入目標については、平成十五年度で既に達成しております。
なお、現在の車両更新計画では、副委員長先ほどちょっとお話もございましたが、平成二十四年度までにノンステップバスの導入割合を一〇〇%とすることとしているところでございます。
○木内委員 きょうの段階での議論がちょっと時期尚早かなとも思ったんですが、実はこのノンステップバスの導入で申し上げた、いわゆる交通弱者の方々は、大変便利にバスを使い、また、安心の交通機関としても定着してきているという事実が一方である。
ところが、もう一つ、現場のお年寄りやまち場の皆さんとの懇談の折によく聞くのは、ノンステップバスは乗降はすごくいいんだと、ところが、今のバスはエンジンの構造が、後ろにエンジン部分があるために、後部座席へ行くのに一段も二段も段差があったり、スロープ、かつてあったわけですけれども、これが非常に危険で、特に込んでいるときなど、お年寄りは怖くて使えないという意見があるんですね。
私も、バス事業者の関係団体や、あるいはメーカーにもいろいろ問い合わせをしてみた。昔は、鼻のついた、ボンネットのついた旧型バスがあった。あれなら可能だけれども、今の、エンジンを全部下に内蔵して、後部座席の下に置くような形態というのが続く限り非常に難しいんだと、こういう率直なメーカーや業者サイドからの話を聞いたんですね。何とかいい知恵があったら、きょうは提案をして、研究もしてもらいたいし、関係事業者との検討もしてもらいたいと思ったんですが、どうもまだ今の段階では難しいようです、これ、私の判断では。質疑の場で私が先に結論出しちゃうのは恐縮なんだけれども。ただし、ただし、都政の歴史の中で、きょうこの日に私からこういう提案、問題提起があったということは、ぜひ交通局も理解をしてもらいたい。
何か方法があればおっしゃっていただきたいし、現時点で無理ならば無理で結構だけれども、申し上げた点に関する認識だけは共有したいと思うので、答弁可能ですか、これ、自動車部長。
○松下自動車部長 非常に難しい問題でございまして、確かにノンステップバスというのは、お客様にとって乗りおりしやすいということは間違いないのでございます。ただ、後方が段差ができて、副委員長おっしゃるとおりなんですが、その部分が乗りにくいといったことで、その点については、一部のお客様からそういった苦情といった形での声をいただいているものでございます。
どうにかしていきたいなという気持ちは非常に強く持っているところでございますが、ただ、現時点では、やはりメーカーの技術開発にはそれなりの時間と費用がかかるということであったり、現時点で国内で製造販売するメーカーがないことなどもございますので、やはりどうしてもその実現可能性というのは、五年から十年といった中長期的なスパンというふうな形で認識をさせていただければと考えているところでございます。
○木内委員 これは、よくそこまでおっしゃっていただいたと思う。中長期的な研究課題というのは、できないということですよ。だけど、行政とか政治というのは血が通わなきゃいけない。
これは余談になりますけれども、民鉄さん中心にして、ある年に、高齢者のためのシルバーパスの磁気読み取り装置というのが、民鉄バスの運転席のわきにどおんとすべて置かれたことがあった。三日ぐらいしたときに、お年寄りから私のところに電話があった。それで、どういうシステムかというと、それまでは、例えば雨の日に、傘を持って、荷物持って、首からつるしたパス入れを持って、こうやって見せるだけで乗れた。ところが、磁気読み取り装置のあれが導入されたら、雨の中でカードを一々ケースから出してそこに入れなきゃいけない。危ないし、手間かかるし、怖いし、大変だ、木内さん何とかなりませんかといわれて、実はあのとき、私は、高齢対策ということで、福祉保健局、それからバスの事業者の業界団体に翌日お願いして、全部撤廃したことがあった。
これは事業者の側からすると便利だし、どのくらい需要があって、使用頻度があるんだって、統計も全部とれる。確かに机上の理屈では、これは整合性のある政策だ。ただ、現場のこれを使うユーザーとしてのお年寄りから見たら、こんな不便で危険なシステムはないということがあります。まあ、こんなこともありました。
いずれにしても、今、自動車部長、ご苦労されながら答弁いただきましたが、五年、十年であっても、より便利で快適な交通環境という意味から研究をしていただければありがたいと思う。
さて、いよいよ最後になってくるわけでありますが、提言させていただいたいろんな計画の中で、今後取り組んでいただきたいわけでありますが、交通局の経営計画について今年度が最終年度である。現在の計画をしっかりと実施していくことに加えて、次の経営計画についても検討を進めている時期である、こう考えるわけでありますけれども、次期経営計画の策定状況、今どういう進捗を見ているか、ご報告願います。
○小泉企画担当部長 現在の経営計画新チャレンジ二〇〇七につきましては、今年度までの三カ年を計画期間としておりますが、次期経営計画につきましても、平成二十二年度から二十四年度までの三年間を計画期間といたしまして、中長期的な社会状況に応じた課題を見据えながら、経営の基本的考え方や取り組み方針を明らかにするとともに、今後三カ年の主要な事業や経営力強化の取り組みなどを具体的に示すものとして策定する予定でございます。
現在の策定状況でございますが、現行計画から引き続き取り組んでいく事業に加えて、事業環境等の変化に的確に対応するための新規事業についても鋭意検討を加えまして、現在、中長期的な収支見通しや平成二十二年度予算との整合性を図りながら、策定作業を進めているところでございます。
○木内委員 今あったように、事業環境の変化に対応する計画の策定、ここにぜひ力点を置いてご努力をいただきたいと思います。
それから、ちょっと気になる新聞記事を見まして、これは公営企業委員会が所管する三局についてでありますが、金融危機というものが公営企業にも大きな影を落としている。水道局、下水道局がそうなんですが、実は交通局についても、全部ではありませんけれども、それぞれの分野でいろんな実態というものが出てきている。
例えば、近距離利用が多い都バスや都電は景気の影響を受けやすい。従来バスや都電を使っていたお客様が、自転車や徒歩に切りかえたのではないかという推測も一方である。あるいは、少子高齢化による人口減少が進む中、今後はお客さんの減少が見込まれる。これに対応する強い経営体質が求められるんだという記事もあった。
そこで、地下鉄事業とバス事業の平成二十年度の乗客数、昨年度からの推移、これは既に報告がありますので、私の方で申し上げますと、地下鉄事業は一日平均二百三十三万七千人、四万六千人の増加、自動車事業は一日平均五十六万六千人で四千人の減少、こういうことであります。
時間の都合で私の方で読み上げましたが、企画担当部長、これでよろしいですね−−はい。確認しながらいきます。
それで、地下鉄事業とバス事業の乗客数の増減の理由について、交通局の判断、分析、これは私からはいえないから、ぜひ局の方で答えてもらいたい。
○小泉企画担当部長 平成二十年度の乗客数の増加についてでございますけれども、地下鉄事業につきましては、沿線での開発の進展や区部への人口回帰が続いていることなどが要因となり、お客様が増加している一方、バス事業につきましては、東京メトロ副都心線や日暮里・舎人ライナーの開業の影響などにより減少しているものと考えております。
なお、二十一年度の状況を申し上げますと、両事業とも現在までのところ、お客様が前年度比で減少傾向にございます。これは、二十年秋以降の金融不安による景気の悪化が影響しているものと判断しているところでございます。
○木内委員 議会と執行機関、両輪でありますから、認識を共有していきたいと思います。
今後の乗客数の見通し、これも端的にお願いしたい。
○小泉企画担当部長 今後の乗客数の見通しでございます。
都の人口は、当面は流入による増加傾向が続くものの、少子高齢化の進展により、平成二十七年度以降、人口の減少が見込まれておりますために、乗客数の増加は見込みがたいと認識をしております。
また、昨年の秋以降の景気の低迷などによりまして、今年度上半期、主な鉄道各社とも乗客数が減少傾向に入っております。こういったことを見ましても、社会経済の動向による影響、こちらも経営リスクとして見込んでおく必要があると考えているところでございます。
このため、今後数年は各事業とも乗客数の大幅な増加を見込むことは難しく、さらに将来的には減少していくと見込まれるため、事業環境は厳しくなるものと考えております。
○木内委員 あえて重ねて申し上げませんけれども、都政における交通局の位置づけと役割は今日極めて大きいものがあるわけであります。だからこそ、環境、福祉サービスの推進など、高いレベルで提供し、さらに新しい分野、課題に対してもその役割を果たしていっていただきたいと思うわけであります。
きょうは、ほかにも随分とお聞きする点を用意しておりましたけれども、重複を避けたり、あるいはまた簡潔を期し審議の促進に資する意味から省略をしたところがありました。これを関係者の方に深くおわびを申し上げるわけでありますけれども、最後に、次期経営計画の策定の基本的な考え方、それから今後の交通局が進もうとしている方向性、大きな視点から局長の所見をいただきたい、こう思うわけであります。
○金子交通局長 交通局は、東京の都市活動、都民生活を支える公共交通機関として、お客様に信頼され、支持される都営交通を目指し、経営計画に基づき、安全・安心の確保を最優先に、お客様本位のサービスの創造と不断の経営改革に取り組んでいるところでございます。
基本的な経営方針そのものにつきましては、現時点では大きな変更を要する点はないものと考えておりますが、先ほど来ご指摘がありましたように、都営交通を取り巻く事業環境は大きく変化しており、また、都営交通に対するお客様のニーズや都民の皆様の期待は一層多様化、高度化しております。交通局としましては、これらを十分に把握し、可能な限りこたえていく必要があると思っております。
このため、次期経営計画におきましては、社会経済状況、安全・安心に対する意識の高まり、さらにはご指摘の環境対策への要請など、局を取り巻く事業環境の変化を的確にとらえ、さらなる安全対策の充実に取り組むとともに、より質の高いきめ細かなサービスの提供や環境対策、福祉対策などにも積極的に取り組んでいく所存でございます。
○山内委員 最初に、地下鉄の案内サインについて伺います。
まち中や各施設にはさまざまな案内サインが設置されていますが、私たちが目的の場所まで正しく行くためには、そこまで誘導するわかりやすいサインが欠かせません。
特に地下鉄は、地上からは見えないため、地上を走っている鉄道以上に案内サインの重要性が求められていると思います。
交通局の経営計画新チャレンジ二〇〇七では、便利で快適なサービス提供の視点から、わかりやすい案内サインへの改良を促進するとしておりますけれども、私は、お客様サービスの立場に立って案内サインについて質問をさせていただきます。
一般に、地下鉄を利用するとき、地下鉄の出入り口の位置がわかりづらいとか、ホームで、目的地に行くにはどちらの方面の電車に乗ればいいのか迷ってしまうという声をよく聞きます。
例えば、東新宿駅から六本木駅まで大江戸線で行く場合、都庁前行きに乗り、都庁前で、光が丘方面から来る六本木・大門方面の電車に乗る方が、飯田橋方面の電車で行くより早く行くことができるそうですけれども、初めて乗る人にとっては、そのような情報がなければわかりません。
また、駅をおりてから目的地に行くには、どちらの方向の改札を出て、どの出口を出ればよいのか、エレベーターはホームのどこにあるのか、トイレは駅のどこにあるなど、情報が必要です。
そこで、利用者が迷わず都営地下鉄を利用できるようにするため、どのような案内サインを設置しているのか伺います。
○室星電車部長 都営地下鉄の案内サインについてでございますが、お客様に対してわかりやすい案内を提供するため、都営地下鉄では従来から、旅客案内標識設置マニュアルに基づき駅の案内サインを設置しております。
具体的には、乗車されるお客様に対しては、駅出入り口に、トンネルと電車のピクトグラム、絵文字を組み合わせた案内サインを設置しているほか、ホームでは、目的地までの所要時間がわかる停車駅案内、地下鉄全線路線図、時刻表などを記載した案内板を設置しております。
次に、降車されるお客様に対しては、ホームに駅構内案内図や駅周辺案内図、出口施設案内などを記載した案内板を設置しているほか、コンコースにも同様のサインを設置しております。
○山内委員 都営地下鉄の案内サインの設置状況はわかりましたが、東京の地下鉄は、都営地下鉄と東京メトロの二つの事業者によって運営されています。都心部は、都営地下鉄の四路線、東京メトロの九路線がふくそうしており、都営とメトロを乗り継いで利用される方も多くいらっしゃいます。仮に案内サインが都営とメトロで異なると、利用者の利便性が大きく損なわれます。
そこで、これまで、メトロとの案内サインの統一について交通局はどのような取り組みをしてきたのか伺います。
○室星電車部長 東京メトロとの案内サインの統一化についてでございますが、東京メトロとのサービスの一体化をより一層進める観点から、これまで、駅出入り口の案内サイン、地下鉄の路線名と駅名に固有の記号、番号を併記した駅ナンバリング、ホーム案内板などについて東京メトロと調整し、統一を図ってきたところでございます。
また、これら以外のサイン、例えばホームの柱に巻きつけてあります案内サインなどもそうでございますけれども、こういったサインにつきましても、昨年度から、東京メトロと案内サインの統一化を目指した新マニュアルに基づき、改修を実施しているところでございます。
○山内委員 ぜひ今後も、案内サインについては、サービスの一体化の視点から、メトロと調整を図っていただきたいと思います。
この質問の最後に、だれもが地下鉄をわかりやすく利用できるようにするために、案内サインの改善に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○室星電車部長 案内サインの改善についての取り組みでございますが、交通局ではこれまでも、お客様が目的地に行くのに電車のどの位置に乗ればよいのかがわかる乗りかえ出口案内をホームに設置したり、エレベーターの位置がわかりにくい駅には誘導ラインを設置するなど、お客様にとってわかりやすい案内サインの整備に取り組んできたところでございます。
先ほど答弁をいたしました、東京メトロと案内サインの統一化を目指した新しいマニュアルに基づきまして、駅全体のサイン改修を計画的に進めております。
今年度は、乗降客が多く、かつお客様から案内サインがわかりにくいという声が上がっている駅を中心に、十駅で整備することとしております。
今後とも、お客様のご意見を反映して、だれもが地下鉄をわかりやすくご利用いただくために、東京メトロとも調整を図りながら、案内サインの改善に取り組んでまいります。
○山内委員 今後、高齢化が進むと、高齢者の地下鉄利用もふえ、エレベーターの設置など駅のバリアフリーが進めば、障害者の利用もこれまで以上にふえてくることが想定されます。また、年々増加する外国人観光客に対する対応も必要になってくると思います。
先ほど、ピクトグラムの説明もありましたけれども、非常口サインのような国際的な統一感も必要です。ぜひユニバーサルデザインの観点から、都営地下鉄がだれにとっても利用しやすい公共交通機関となるよう、案内サインの改善にこれまで以上に努力していただくよう要望いたします。
次に、交通局では平成二十年四月から、東京の下町の主な観光スポットを結ぶ観光路線バス「東京→夢の下町」を運行しています。私も、このバスに実際に乗ってみました。外装は、従来の路線バスとは異なり、ステンレスカーのような銀色で丸形の窓、一目でわかる斬新なデザインでした。内装の座席にも特徴がありました。初めて東京を訪れた人でも、日本橋、上野、浅草、両国など観光スポットに通常の料金二百円で乗ることができ、五百円の都バス一日乗車券も使えるようになっています。
そこでまず、この観光路線バス事業の目的について伺います。
○岡本参事 観光路線バス事業につきましてのお尋ねでございますが、この事業は、東京の観光産業振興に寄与するとともに、主として観光目的のお客様という新たな需要を掘り起こし、都営バスの増客増収対策につなげていくことを目的としております。
平成二十年四月には、観光路線バス「東京→夢の下町」の運行を開始しましたが、そのルートについては、下町地域の魅力を満喫できるよう、この地域の主要な観光スポットを点から線へ結びつけるものとし、東京駅から秋葉原、上野、浅草などを経由して両国までをめぐる約十キロメートルのルートといたしました。
○山内委員 東京は、今の首都としての機能以外にも、江戸時代以降の歴史的遺産や文化的遺産、さらには現代の最先端の機能など多くの見るべきものがあり、産業労働局でも観光に力を入れ始めています。
世界各地からの観光客誘致を目的に、東京にある観光スポットを点から線へと結びつけるようルートが設定されているということですが、観光路線バス「東京→夢の下町」の利用状況はどうなっているのか伺います。
○岡本参事 観光路線バス「東京→夢の下町」の一日当たりの利用状況は、土曜日及び休日で一日当たり約千人を超えていますが、平日では一日当たり約六百人と、平日の利用者数が土曜日及び休日に比べ少なくなっております。また、時間帯別の利用状況については、午前中の利用客が少なく、十二時台から十六時台の日中の利用客が多い傾向となっております。
一般路線と違い、通勤通学などの固定客の利用が見込めないことから、今後、利用客の増加を図るため、路線の周知度アップなど、積極的に国内外の観光客誘致に取り組んでまいります。
○山内委員 平日の利用者が少ないなど、全体として乗客数については厳しい状況であるということがわかりました。観光客誘致を目的に始まった事業ではありますが、一年半経過したばかりでもあり、まだまだ周知されているとはいいがたい状況です。
そこで、乗客数をふやしていくには、より多くの人に観光路線バスについてもっと知ってもらうことが必要だと思います。観光路線バスの周知を図るために、これまで普及PRにどのように取り組んできたのか伺います。
○岡本参事 観光路線バスの普及PRの取り組みについてでございますが、これまで、PR用のポスターやリーフレットの作成、全国版時刻表や旅行雑誌への案内記事の掲載、沿線をめぐるスタンプラリーの実施、成田国際空港での外国人旅行客への情報提供、地元自治体、ホテル、旅館への協力依頼など、さまざまな取り組みを継続して行ってきております。
今後は、インターネットを活用しました外国向けの情報提供、沿線を紹介した中づり広告、各停留所の周辺情報等を紹介するパンフレットの作成、都営地下鉄駅への乗り場案内板設置などを予定しており、国内外を問わず多くの観光客の方に利用していただけるよう、広報宣伝活動に積極的に取り組んでまいります。
○山内委員 私は、都バスは、通勤通学の足としてだけではなく、東京の観光やまち歩きにも大いに利用してもらいたいと思っています。現在の観光路線のみならず、他の都営バス路線についても都内の観光の足として利用してもらうことも重要ではないかと思っております。地域の活性化の観点からも大いに期待しております。
観光路線バスのPRについてのさまざまな取り組みを伺いましたが、今後とも、都バスの観光振興につながるPR、東京の地理に詳しくない観光客にも親切な案内、パンフレットなどの工夫、何度も乗車、降車を繰り返して観光スポットを回遊してもらえるような工夫、地元地域との情報交換と連携などに努めていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
地下鉄やバスを初め、交通局が行っている事業は民間企業との厳しいサービス競争にさらされております。激化する競争に打ち勝つためには、顧客サービスを一層向上させていくことが必要不可欠です。
そこで、次に、顧客サービスの向上をテーマに質問いたします。
事業概要によれば、交通局が行っているサービス推進活動の一つに、都営交通巡回モニターという制度があります。平成二十年度の都営交通巡回モニター結果報告書を取り寄せ、読んでみました。
この制度は、モニターの方に都営交通を実際に利用してもらった上で、サービスについての評価や意見を聞き、これを局の事業に反映させていくものですが、平成十八年度に始まり四年目を迎えているということです。
まず、都営交通巡回モニター制度はどのような経緯で導入されたのか伺います。
○野澤総務部長 都営交通巡回モニター制度の導入の経緯でございます。
交通局では、長年、サービス推進活動に取り組んでまいりましたが、平成十六年度、十七年度当時は都営交通に対する苦情がなかなか減らず、逆に増加するような状況が続いておりました。こうした状況を改善して、より一層お客様の視点に立ったサービスを展開していくため、早急に効果的な対策を講じることが不可欠でございました。
その対策の一つといたしまして、都営交通をふだんからご利用いただいている方の中からモニターを選び、お客様の目線で都営交通のサービス内容を評価していただくカスタマーズアイ、都営交通巡回モニター制度を平成十八年度から新たに導入したものでございます。
○山内委員 報告書によれば、モニターの活動内容は、年三回のサービスレベル調査を初め、アンケート調査やブロック懇談会、施設見学会など非常に多岐にわたっており、モニターの方々の精力的な活動がうかがえます。
市民感覚からすると、これだけ活動するのはかなりの負担であり、モニターのなり手がないのではないかと心配するくらいですが、実際には応募倍率は、二十年度には四から三倍と高く、大変驚きました。活動の負担がこれだけ大きいのに、この高倍率を示しているのは、都営交通に対する都民を初めとする利用者の関心の高さをあらわすものだと私は思います。こうしたモニターの方々の活動成果を踏まえて都営交通がどう変わったのか、大変興味のあるところです。
そこで、モニター制度を導入した結果、サービス向上にどのような効果があったのか、お聞かせください。
○野澤総務部長 モニターの方に行っていただくサービスレベル調査では、職員の接客面、地下鉄やバスの運行面などにつきまして、駅や路線ごとに五点満点で評価が出てまいります。各事業所では、この調査結果を踏まえまして、評価の低かった調査項目につきまして、サービス推進強化月間、ただいま、この十月もサービス推進強化月間でございますが、この中で重点的に取り組んだり、職場風土改善活動の目標に掲げるなどいたしまして、職場単位で改善を行ってまいりました。
昨年度の例で申し上げますと、評価の低かったバスの車内外マイクの活用などの項目につきまして、お客様への声かけを重点に掲げ、お客様の立場に立って満足度の向上を目指すCS活動を実践いたしまして、その後の調査で大幅に評価の改善が見られた職場もございました。
モニターの方の活動成果を生かし、こうした取り組みを着実に積み重ねてまいりました結果、お客様サービス課に寄せられる苦情件数につきまして、平成十七年度の一千百八十件から十八年度には千二十八件、十九年度には七百七十七件と年々減少してまいりまして、二十年度には、前年度と比較いたしまして二九%減の五百五十一件となっております。
○山内委員 制度の導入によって効果が上がっていることはすばらしいことですし、安心もいたしました。また、モニターには障害者の方の応募もあったようです。子ども、高齢者、妊婦さんや子育て中の方々など、さまざまな視点からの利用者の声が寄せられるようになるとよいと思っております。
これからも、モニターの方々の労に報いるためにも、この制度を生かして一層のサービス向上に努められることを期待いたします。
ところで、公営企業委員になってから常に頭にありながら果たせないでおりましたが、先日、都営地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナーに乗車してまいりました。もとより私は、何事もまずは現場を知ることから始まると考えております。百聞は一見にしかずで、実際に多くのことを感じることができました。
その一つが、実際に現場で働く駅の係員やバスの乗務員など職員一人一人が都営交通の顔であり、そのときの印象が都営交通の印象を決めてしまうということです。その点で現場職員の顧客サービスが非常に大切であり、職場でのサービス向上の取り組みが重要になってきます。
職場でのサービス向上の取り組みとして、先ほど、職場風土改善活動を行ったとの答弁がございましたが、この職場風土改善活動について説明をお願いいたします。
○野澤総務部長 職場風土改善活動と申しますのは、職員の意識改革を図りまして、職員みずからが継続的にお客様サービスの向上に努める職場をつくる活動でございまして、個々の職員の能力を向上させていくとともに、組織そのものをサービス組織としてつくり変えていくことを目的としております。
平成十七年度に一部の事業所で取り組みましたモデル職場づくりの手法を踏まえまして、十八年度からすべての駅務管理所及び自動車営業所で活動開始をいたしまして、十九年度からは荒川電車営業所でも活動を行っております。
具体的な取り組み内容でございますけれども、まず、民間のスキルアップ事業者を活用いたしまして、人間の行動パターンの学習など多様な研修を実施いたしまして、職場風土改善の指導的立場となる職員を養成いたしました。そして、この指導的立場の職員が中心となりまして、各職場単位で活動を行っております。
例えば駅では、まず、駅員が、身だしなみ、言葉遣い、業務知識など十項目のチェックポイントにつきまして五段階で自己診断を行います。その後、取り組みのリーダーでございます助役が再診断を行いまして、その結果をもとに、駅員へ改善点のアドバイスを行いながら、サービス改善につなげております。
この職場風土改善活動と都営交通巡回モニター制度を車の両輪といたしまして、十八年度以降のサービス改善に努めてまいりました。
○山内委員 十八年度から実施しているモニター制度や職場風土改善活動が顧客サービスの向上に寄与しているという印象を持ちましたが、今後は、これらの取り組みがマンネリ化しないよう工夫を凝らしていただきたいと思います。
苦情が減ったとはいっても、都営交通に対してはまだまだ多くの苦情が寄せられています。私が一人の利用者として見ても、まだまだ改善すべき点は多いのではないかと思います。一定のサービス向上が図られても、利用者はさらなるサービス向上を求めるものであり、サービス向上の取り組みに終わりはありません。
永遠の課題でもあるサービス向上に、今後、局としてどのように取り組んでいくのか伺います。
○野澤総務部長 交通局では、お客様本位のサービスの創造を目指しまして、平成四年に局長を本部長といたしますサービス推進本部を設置いたしまして、以来十八年にわたりサービス推進活動を展開してまいりました。各事業所ではサービス推進チームを設けまして、職場実態に応じたサービス推進の取り組みを行っております。
今年度、平成二十一年度はさらに、他社サービスとの比較という新たな視点に立ちまして、職員が手分けをいたしまして他の鉄道やバスに実際に乗車いたして、他社のよい点を学んでくる活動などを行っております。
今後は、この他社サービスとの比較と、モニターを含むお客様の目という二つの視点で都営交通のサービスを常に点検しながら、サービス推進活動を核に、全職員一丸となってサービス向上に取り組み、お客様に便利で快適にご利用いただけるよう、さらに努めてまいる所存でございます。
○山内委員 今ご答弁にありましたように、他社サービスとの比較ということで実際に乗車されているということ、非常に興味深く思いましたし、よい試みだとお伺いいたしました。
都営交通は、都民にとって欠かせない公共交通機関として重要な役割を果たしています。今後も都民の信頼を得られるようにサービス向上に努めていただきたいとお願いして、私の質問を終わります。
○田の上委員 本日は、福祉関連、そして環境関連で幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
東京都交通局では、人に優しい都営地下鉄、人に優しい都営バスといったぐあいに、社会的役割を重視した経営を目指し、駅のバリアフリー化、車両のバリアフリー化を初め、さまざまな取り組みをなされていると感じております。
エレベーターの設置駅は、先ほど資料でもいただきましたが、百六駅中九十三駅、エスカレーターの設置は百六駅中百三駅と、着実に一〇〇%に向かって進んでおり、ワンルート確保の実現も八十六駅といったぐあいに、ご努力がうかがえるところです。
しかしながら、エレベーターのある駅でも、設置数が一カ所しかなく、ほかの出入り口からは入れないというような駅も多々あるようでございます。もちろん経費の問題もあります。構造上の問題等もありますので、すべてが満たされるものではありません。
例えば、道路を横断しさえすればエレベーターがあるとか、歩いて数十メートル行けばエレベーターがあるという場合などは受忍すべきと考えますが、駅の出入り口が極端にかけ離れている場合などは、何らかの対応をすることが必要だと思っております。
例えば、都営新宿線の一之江駅です。東口にはエレベーターが設置されていますが、環七口、西口でございます、ここにはありません。そして、この一之江駅は環状七号線を挟んで出入り口が設置されていて、反対側に行くためには、信号で渡るか、地下を通って行くしかありません。
ところが、この環状七号線が立体化していて、道路の横断のためには、駅の出入り口からかなり遠くかけ離れたところまで行かないと、横断できる交差点にたどり着きません。エスカレーターにおいても、上りしかないため、結局、一之江駅の環七口を使う人はみんなベビーカーを持ち上げて階段をおりていく、松葉づえの人も、時間をかけて手すりを頼りに深い地下までおりていくしかありません。ましてや、障害を持った車いすの方は環七口を使用することができないし、西側に、この環七口の方面には行ったことさえないといっております。こういった出入り口が極端に離れている駅には、複数のエレベーターの設置が必要ではないでしょうか。
また、高齢者や足の不自由な方が多い中、下りエスカレーターのニーズが高まっています。実際、階段の上りおりでは、上りより下りの方が足に負担がかかるともいわれています。先ほど資料のご提示もありましたが、下りエスカレーターの設置も進めていくべく考慮していただきたいと考えます。
また、ワンルートが確保されている駅においても、乗りかえになると事情が異なります。例えば浅草駅などは、構造上、乗りかえにおいて何度も階段を上りおりしなければなりません。障害を持つ車いすの人はどうしているのかと不思議に思っておりましたら、一たん地上に出て、また乗りかえ駅に入るしかないのだそうです。
今、大きく三点ほど例を挙げさせていただきましたが、こういった状況を改善していただきたいと思っております。お考えをまずお聞かせください。
○吉原建設工務部長 交通局では、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の趣旨に基づきまして、都営地下鉄全駅におきまして、ホームから地上までエレベーターなどで移動できるワンルートの確保に取り組んでいるところでございます。
現在、先ほど委員おっしゃいましたように、都営地下鉄全百六駅中八十六駅のワンルート確保が完了しているところでございますが、残りの二十駅につきまして、一日も早い整備を目指し、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
また、エスカレーターにつきましては、これまでも、お客様がより円滑に利用しやすい地下鉄とするため、百三駅について整備してまいりました。また、多くのお客様にご利用していただいております乗りかえ駅を中心に、階段の幅員や構造上の条件を考慮しまして、設置可能な箇所に、下りも含めましてエスカレーターを整備しているところでございます。
○田の上委員 ご答弁いただきました、いろいろなご努力をされていることと思います。
まず、ワンルート確保ということで、残りの二十駅というふうにおっしゃっていたかと思います。また、最優先のことがそこなのかなというふうに今とらえさせていただきましたが、今後、例えばワンルート確保が終わってからではどういうふうに計画をされているのか、お考えがありましたらお聞かせください。
○吉原建設工務部長 先ほど申し上げましたとおり、ワンルート確保を最優先の課題として、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
お客様がより円滑に利用しやすい地下鉄とするためには、乗りかえ利便性の向上などを図る必要があることは認識しております。新たなエレベーター、エスカレーターを設置するためには、用地の確保や、駅の構造によります制約等多くの課題がございますが、隣接する再開発計画や既存の出入り口の改修などがある場合には、あわせて設置の可能性を検討していきたいと考えております。
○田の上委員 ありがとうございます。
バリアフリーは、ノーマライゼーションの考えのもと、障害があっても外に出て活動できるようにと進められてきたものと認識をしております。エレベーターがないために、その地に足を踏み入れたことがない方もいらっしゃいますし、エレベーターが近くにないために、車いすで後ろ向きにエスカレーターを利用する方もいます。こういった状況を考えながら、これからもぜひ進めていただきたい。ぜひとも人に優しい都営交通を実現するべく、さらなるご努力をお願いいたします。
引き続きまして、無料乗車券について、障害をお持ちの方から寄せられる要望についてお伺いしたいと思います。
福祉保健局が主管かとは思いますが、交通に関することとしてとらえて検討していただければ幸いでございます。
障害をお持ちの方への配慮は、あらゆる形で既になされています。身体障害者手帳、愛の手帳など、手帳に関しても、プライバシーへの配慮で、ことし一月から様式が変更されたと聞いております。
しかしながら、手帳に関する障害者の思いは、私たちが考えるより複雑で、手帳は身分証明書であり、顔写真、住所はもちろん、病名や障害等級などが記載されているデリケートなものです。
現在、一種の方が乗車する際、手帳の提示を求められる制度になっていますが、初めに三年間の無料乗車券を発行する際に身分確認をしているのですから、例えば乗車券自体に色分けをする、マークをつけるなど工夫を施すことで、手帳提示をしなくて済むように、通行の簡易化を図ることはできないのでしょうか。
平成十一年というふうに聞いておりますが、障害者団体の要望でマル介マークを外したという経緯もあると仄聞しております。改めて、そのことも含めてお尋ねをいたします。
○野澤総務部長 身体障害者手帳を提示しなくても介護者割引を受けられるようにできないかというご質問かと思いますが、以前、都営交通では、本人の障害が第一種の場合につきまして、都営交通無料乗車券を発行する際に、介護者の運賃割引が適用されることを示す印、これは介助の「介」の字でございますが、この字を無料乗車券にあらかじめ押印することで、障害者手帳を提示しなくても介護者割引を受けられるようにしていた時期がございます。
しかしながら、この印そのものが重度の障害があることを示すものになるということで利用者側の反発もあったこと、障害者手帳を提示しなくても乗車できるのは都営交通のみであったことから、手帳提示が必要な他の鉄道事業者を利用する際にトラブルが多発したことなどの理由から、平成十一年十一月に、「介」の字をもって障害者手帳の提示の代用とする運用を廃止しました経緯がございます。
現在におきましても、JRを初め各鉄道事業者が障害者手帳の提示、携帯を求めていますことから、交通局のみが障害者手帳の提示を不要とするような運用を行うことは、混乱を招くことが予想されるために、困難であるというふうに考えております。
○田の上委員 以前のマル介マークを外したという経緯をお伺いいたしました。今、それから十年ほどたっているかと思います。数年前にも、ほかの障害者団体から、このマル介のマークを復活するように要望があったということも仄聞しております。今、改めてこうした要望がございますので、障害を持った方々の要望に改めて耳を傾けていただきたいと考えております。
実は、今回の相談を初めにいただいた方は、筋ジストロフィーの方であります。筋肉が萎縮していって体が動かなくなってしまう病気の方でございます。車いすに乗っているというよりは、もう寝ているというような状態でございまして、車いす自体も動かすことができません。見るからに介助が必要でございます。こういった方々が手帳を改めて提示するというのも困難ではないかなというふうに私は思っています。
それから、JRであったり、ほかの事業者さんとの兼ね合いもわかりますが、私は、東京都交通局が東京都をしょって立つ非常に有能なところだと思っておりますし、都営交通が先駆者として利用者の立場に立って進めていくことも必要だと考えておりますが、何かお答えがあればお願いいたします。
○野澤総務部長 私ども交通局は、常にお客様の声を大切に事業運営に当たってきたつもりでございます。これまでも、障害をお持ちの方々の団体からの要望には真摯に対応してまいりました。
今、委員おっしゃいましたように、東京都の組織の一員ではございますが、一面におきまして、一つの交通事業者という制約もございます。ほかの事業者に対して、東京都の組織であるからといってリーダーシップを十全に発揮できるかというと、なかなかそこは難しい面もございます。しかしながら、今後も、さまざまなお客様の声に対しましては真剣に耳を傾けて事業運営を行ってまいりたいというふうに考えております。
○田の上委員 私は、これは心のバリアフリーの問題であるというふうに思っております。もちろん、無料券という性格上、いろいろ厳格にしなければいけないということもありますが、例えば、通勤通学の定期を使用して改札を通る人は身分証明書を提示するということはありません。あらゆる意味でのバリアフリーを達成していただきたく、また、これからも真摯に利用者の声に耳を傾けていただきたいと要望させていただきます。
次に、環境に関連した質問をさせていただきます。
環境に配慮した都営交通という経営方針の中、さまざまな取り組みがなされていることは承知をしております。平成六年から、バス共通カードという磁気カードが導入されていますが、現在何枚くらい発行されているのでしょうか。また、ICカードPASMO導入によって数量に変化があったのかどうか、教えてください。
○松下自動車部長 交通局における平成二十年度のバス共通カードの発行枚数は約百三十九万枚でございます。
なお、平成十九年度の発行枚数は約百六十六万枚、PASMO導入前の平成十八年度の発行枚数は約二百九十八万枚となっており、平成十九年三月十八日のPASMO導入により、バス共通カードの発行枚数は大幅に減少しております。
○田の上委員 ありがとうございました。
バス共通カードは、使い捨てで、回収された後は産業廃棄物扱いになっていると聞いております。悪質な再利用を防ぐためには粉砕しなければなりません。リユースという観念におきましては、ICカードのように何度でも使用できる形が望まれます。例えば西日本鉄道なども、環境負荷が高い磁気カードを年度末に終了することを決めたようです。
今後、環境に配慮するという点においては、ICカード化をさらに促進し、移行を図っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○松下自動車部長 委員ご指摘のとおり、ICカードPASMO、Suicaでございますが、これは一枚のカードを繰り返し使うために、使い捨てにならず、産業廃棄物として処分されるバス共通カードに比べて環境に優しいという特色がございます。
また、ICカードは、一枚のカードで首都圏のほとんどの鉄道、バスなどに乗車でき、また、売店などでも電子マネーとして利用できる利便性の高いカードでもございます。
こうしたことから、交通局では、平成十九年三月の導入以降、ICカードの利用拡大に積極的に取り組んできたところでございまして、今後とも積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
○田の上委員 ありがとうございます。
先ほど木内副委員長からエコポイントのご質問もありましたので、簡潔にさせていただきたいと思いますが、これからまたICカードを普及させていくためには、さまざまな取り組みが必要かと思います。そして、ICカードにおけるいろんなポイントについても検討されていることを、先ほどのご答弁でもいただいておりましたのを承知しながら、質問をさせていただきます。
バス共通カードからICカードに移行するために、それなりのメリットを付加することが重要だと考えております。例えば、バスカードは今、三種類あります。千円券、三千円券、五千円券ということで、それぞれ九・一%から一四・五%の割引率がついております。PASMOであれば、五千円を一カ月で使用したら八百五十円分の利用分がつくという形になっていますが、一カ月以内で使えばという条件つきという形になっています。
バスカードよりICカードの方を利用しやすくするためには、例えばこの消化期間を延長するなどの工夫をして普及に努めていただきたいとも考えるんですが、お考えがあればお聞かせください。
○松下自動車部長 バス利用特典サービス、バス特でございますが、これは、バスの利用金額に応じて割引のもとになるポイントを付与しまして、累積されたポイントが一定額になったときに、運賃として利用できるチケットを付与するといったサービスでございます。
このバス利用特典サービスのポイントの有効期間は、システムを各バス事業者で共同使用していることから、すべての事業者で一ヵ月とされているところでございます。こういったことから、ポイントの有効期間の延長は困難でございます。
交通局では、このバス特のほかに、都独自のサービスとして、九十分以内にバスを乗り継いだ場合に二回目の運賃が百円引きとなるバス乗り継ぎ割引などのサービスも独自に実施しておりまして、こういったサービスを今後積極的にPRすることによって、ICカードの利用促進にさらに努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○田の上委員 今回もまたほかの事業者さんとの兼ね合いということで、なかなか難しいという課題をいただきました。非常に難しいと思いますが、これから環境負荷がいかに少ないものをつくっていくか、利用促進をしていくかという点においてさまざまなご努力をお願いしたい。
また、乗り継ぎに関しても特典をつけているということですが、知らない方も多いかと思いますので、積極的にPRをしていただきたいというふうに考えます。
そして、次の質問なんですが、これもまた福祉保健局と連携していかなければいけないかもしれませんが、先ほどお話ししました無料乗車券も含めてIC化を図っていくべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
○野澤総務部長 都営交通無料乗車券につきましては、現在、既に、PASMOを活用してIC化することができないか検討しているところでございます。
しかしながら、IC化に当たりましては、利用者にとってデメリットとなる点があるなど課題がございますことから、さらに検討を続けてまいります。
○田の上委員 デメリットについて詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
○野澤総務部長 都営交通乗車券をIC化した場合、PASMOを発行してもらうときに、預かり料でありますデポジットが発生します。これをだれが負担するのかという問題。それから、PASMOは首都圏の私鉄各社で共通でやっておるシステムでございまして、そのシステムの制約上、PASMOのカードを発行する場所が限られてしまうということで、これまで区市町村の窓口で発行できていたものが、PASMOを発行できるところに行かなきゃならない、そういうような発行上の問題もある。こういうようなことが中心になっております。
○田の上委員 ただいま、五百円のデポジットが発生するという問題点をご指摘いただきました。例えばこの五百円に関して、初めは選択制にするという方法もあるかと思いますし、これから先、福祉保健局との話し合い、また他の事業者との話し合いの中からいろんな案を検討していただきたいと思います。
また、発行場所におきましても、例えば認定といいますか、そういった証明に関しては区市町村ということもあるかもしれませんが、発行に関しては駅の窓口でということも考えていかれるかと思いますので、引き続き積極的な検討をお願いしたいと思っております。
今回、環境配慮という側面や、また、障害者や高齢者がより簡易な方法で交通利用し、行動範囲が広がるよう促進が図れるという側面から提案をさせていただいたつもりでございます。環境で先進的な東京が、交通政策でもその力を発揮して、また福祉面でも先進例となるよう、引き続きさらなるご努力を要望して、終わらせていただきます。
○桜井委員 どうぞよろしくお願いします。
私の方からは、都営地下鉄駅の施設整備に絞って質問させていただきます。
また、先ほどの質問とかぶるところがもしありましたら、改めてのご答弁をお願いしたいと思います。
先ほどもちょっとお話がありましたが、交通局の経営計画であります新チャレンジ二〇〇七を拝見させていただきました。交通局が所管する各事業において、安全・安心の確保、そして便利で快適なサービスの提供、社会的要請への対応ということで、さまざまな施策を計画していることがわかりました。本日、私の方からは、地下鉄の便利で快適なサービスの提供についてお伺いしたいと思います。
交通局の地下鉄事業は、浅草線、三田線、新宿線及び大江戸線の四線を経営いたしておりますが、私の地元墨田区には、一番最初に開業した浅草線と、比較的新しい新宿線、そして一番最後に開業いたしました大江戸線の三線が運行されている中で、その一番最初に開通されました浅草線の駅施設の古さがどうしても気になるところであります。大江戸線は、開業当初からエレベーターやエスカレーターを備えるとともに、駅の冷房化についても最初から実施されております。
近年は、ヒートアイランド現象で、夏の都内は殊のほか暑く、利用者も今まで以上に涼を求めていると私は考えております。地下鉄車両は既に現在一〇〇%冷房化されておりますが、駅の冷房化は完全ではありません。現代における地下鉄駅の冷房化は、先ほどもお客様サービスというお話もありましたが、この観点から必須であると私は考えております。
そこで、お伺いします。都営地下鉄の駅冷房化は現状どのようにあるのか、最初にお伺いいたします。
○室木車両電気部長 平成二十年度末現在で、都が管理する地下駅九十三駅中七十八駅の冷房化が完了しております。
平成二十一年度は、浅草線馬込駅、高輪台駅、三田線本蓮沼駅、新宿線菊川駅及び一之江駅の五駅で冷房化工事に取り組んでおり、工事が完了する今年度末には、地下駅九十三駅中八十三駅の冷房化が完了し、冷房化率は八九%となる予定でございます。
○桜井委員 今のご答弁で、これまでの取り組みで約九割の駅が冷房化されていることがわかりました。完全冷房化まで本当にあと少しというところだと思います。
次に、お客様サービス上、冷房化は重要でありますが、これはかなりコストがかかるのではないかというふうに考えるところなんですけど、交通局は公営企業であり、良質なサービスを可能な限り効率的に提供していく必要があると思います。
そこで伺いたいんですが、冷房化に当たり、コスト縮減の視点においてどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。
○室木車両電気部長 駅冷房の方式には、駅全体の大規模な工事が必要な全体冷房方式と、ホームやコンコースにパッケージ型空調機等を設置する部分冷房方式とがございます。
都営地下鉄では、全体冷房方式より設置費用を大幅に縮減でき、かつ駅冷房を早期に実現できる部分冷房方式を採用し、冷房化を進めております。
また、冷房化工事の実施に当たりましては、バリアフリー工事などと同時に施工することで、工事費を低減するとともに工事期間の短縮を図っております。
○桜井委員 バリアフリー、先ほどもいろいろ質問にも挙がっておりましたけれども、これは本当に喫緊の課題であると私も思っております。このバリアフリー工事などと同時施工することで、コストの縮減、また工事で迷惑をかける期間を短縮するということ、サービス上もですが、配慮を行っているということもわかりました。
そこでお伺いいたしますが、工事に着手していない駅は残り十駅ありますが、利用者としては、いつまでにこの冷房化が達成されるのか気になるところであります。この残り十駅の冷房化への取り組みは今後どのように考えているのか、お伺いいたします。
○室木車両電気部長 残り十駅の冷房化につきましては、機器の設置スペースの確保を含め、現在、調査検討を進めているところでございます。十駅の中には課題を抱える駅もございますが、平成二十四年度までにすべての地下駅の冷房化を目指して取り組んでまいります。
○桜井委員 残りの十駅については平成二十四年度中に完了したいというご答弁をいただきまして、地下駅の一〇〇%完全冷房化もやっとゴールが見えてきたというふうに考えます。これ、全駅冷房化を心待ちにする利用者の一人私も、ぜひとも早期の整備完了を期待いたしたいところであります。
ところで、私の地元墨田区内の駅であります都営浅草線の本所吾妻橋駅と押上駅、都営新宿線の菊川駅、都営大江戸線の両国駅のうち、本所吾妻橋駅だけが冷房化されておりません。また、当駅は、都営地下鉄では、先ほども冒頭に申し上げましたが、最も古い駅の一つであり、バリアフリー化もともに進んでいないわけでありますが、この駅にはさまざまな課題があり、解決に向けて取り組んでいると仄聞しておりますが、本所吾妻橋駅の冷房化について、その課題と予定をまず伺います。
○室木車両電気部長 本所吾妻橋駅における課題でございますが、現状では、冷房化に必要な冷却塔などを設置するスペースがなく、また、エレベーターの設置なども予定されておりますが、これらに必要な機器の設置スペースもございません。
このため、新たな用地を確保して駅構内を拡張し、エレベーター用出入り口を新設し、その上部に冷却塔を設置して冷房化を進めることとしており、平成二十四年度の完了を目指して取り組んでまいります。
○桜井委員 エレベーターの設置工事に合わせて冷房化工事を行うということでありますが、本所吾妻橋駅のバリアフリーについては、特に地元の方の関心が非常に高いことがあります。また、早期にエレベーター設置を都に要望してきた今までの経緯があるわけでありますが、交通局では、だれもが利用しやすい駅を目指して、地下鉄全駅のホームから地上までエレベーターなどで移動できるよう整備を進めているとのことで、地元の皆さんは大変待ち望んできたところであります。
しかし、本所吾妻橋駅では、これまでの要望にもかかわらず、いまだにエレベーターが設置されておりません。これまでの委員会等の質疑によりますと、幾つかの駅で用地確保が難航し、エレベーター整備がおくれているとのことでありますが、大変心配をしているところであります。
本所吾妻橋駅についても用地確保が課題であると聞いており、いまだ工事が始まっておりません。本所吾妻橋駅のバリアフリー化の計画内容と用地確保の状況についてお示しいただきたいと思います。
○吉原建設工務部長 本所吾妻橋駅のバリアフリーの計画でございますが、当該駅は、ホームが西馬込方面行きホームと押上方面行きホームの二つに分かれておりますため、それぞれのホームの改札を出たコンコースから地上まで、エレベーターを一基ずつ、計二基を設置する予定でございます。
用地確保の状況でございますが、エレベーターを設置するには、駅施設の配置上、位置が限られておりまして、沿道の市街化が進んだ中での用地取得に時間を要しました。
現在、西馬込方面行きホーム側につきましては、関係者のご協力をいただきまして用地確保ができましたが、押上方面行きホーム側につきましては、引き続き地権者と調整中でございます。
○桜井委員 本所吾妻橋駅のエレベーター設置計画と用地確保の状況は、ご答弁でわかりました。
そうしますと、西馬込方面行きホーム側について既に用地が確保されているというお話がありましたが、そういうことであれば早急に工事着手できるというふうに思いますが、そこで、本所吾妻橋駅のエレベーター整備予定をお伺いしたいと思います。
○吉原建設工務部長 エレベーターの整備予定についてでございますが、用地が確保できております西馬込方面行きホーム側につきましては、現在、設計を完了しまして、今年度内の工事着手を目指して積算を行っているところでございます。また、押上方面行きホーム側につきましては、地権者との調整を精力的に進め、用地の早期確保に努めてまいります。
平成二十四年度の完成を目指しまして駅冷房とバリアフリー工事を進め、快適でだれもが利用しやすい駅の実現に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
○桜井委員 本所吾妻橋駅の冷房化のためには、新たな用地が必要ということで、エレベーター設置工事に合わせて、今のご答弁のとおり施工されるということだと思います。
また、用地が取得できた側から今年度内にバリアフリー等の工事に着手できる見通しがあるとのことです。私も、この場所で用地を確保するのはかなり困難であろうというふうに予想しておりましたが、交通局の皆さんの努力によって実現に向けて動き出したということは、私は本当に安堵いたしたところであります。このことは、地元に戻りまして、しっかり皆様にお伝えしたいと思います。
本日は、駅の施設改善について、地元のことを交えながら質問をいたしましたが、冒頭に申し上げたように、駅施設改善や冷房化は、お客様サービスの向上に大変重要であるとともに、エレベーターによるバリアフリー化は、特に高齢化社会の中では必須であり、また障害者も含めて、だれにでも利用しやすい駅の実現に欠かせない取り組みであるというふうに思います。
交通局は、今後も、全力を挙げまして、前倒しを含め、一日も早く本所吾妻橋駅の整備が完了すべく、さらに努めていただくようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で交通局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十五分休憩
午後三時三十六分開議
○神林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより下水道局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○泉谷委員 端的に質問だけをいたします。
合流式下水道の改善により、雨天時に川などに放流する汚水まじりの雨水の量を減らすため、水再生センターで処理する下水の量をふやすための幹線管渠を整備するとともに、降り始めの汚れた雨水をためる貯留池を整備することとなっておりますが、その効果についてお伺いします。
また、雨水のはけ口からごみやオイルボールの流出を抑制する施設の設置も進めてきておりますが、その進捗状況についてお伺いいたします。
○宇田川計画調整部長 一定以上の降雨の際に河川などに放流される汚水まじりの雨水の量を減らし、水再生センターに送水するための下水道の幹線については、約百五十六キロメートルの計画でありますが、おおむね完了しております。
また、降雨初期の汚れた下水を貯留し、水再生センターへ送って処理する貯留池の整備につきましては、約三百六十万立方メートルの計画でございますが、これまでに約八十三万立方メートルが稼働しております。
これらの対策により、雨天時に河川などに放流される汚濁物質を減らし、河川など公共用水域の水質改善に寄与しております。
また、合流式下水道の雨水はけ口から一定以上の降雨の際に流出するごみやオイルボールの量を抑制するための施設の改善については、七百三十三カ所の計画でございますが、来年度末にはおおむね完了いたします。
○泉谷委員 次に、下水道局では、区部における老朽化した下水道管の再構築を平成七年度から本格実施するとともに、再構築クイックプランに基づき、道路陥没対策や震災対策などを実施してきましたが、いよいよ老朽化下水道管が急増する時期を迎えました。今後どのような計画で推し進めていくのでしょうか。その際、延命化を図るなど、ライフサイクルコストの最少化をどのようにしていくのか、お伺いいたします。
また、最近は、豊島区でもゲリラ豪雨によって人が亡くなるということがありましたけれども、都市化の進展に伴う雨水排除能力不足の解消を考えなくてはならないと思っています。その対応に苦慮されていることだと思いますが、具体策をお聞かせいただきたいと思います。
○宇田川計画調整部長 老朽化した下水道管への対応に当たっては、まず、テレビカメラなどを用いた調査によりまして、下水道管の損傷状況を把握、評価し、必要に応じ補修などを行う、予防保全を重視した維持管理に取り組み、下水道管を延命化させております。
また、早くから下水道が整備され、老朽化した下水道管が多い都心部などの約一万六千三百ヘクタールを対象に、計画的に再構築を進めているところでございます。
再構築に当たっては、健全な下水道管はそのまま活用し、損傷の程度が軽ければ、道路を掘削せずに下水道管の内部を補強する更生工法を採用するなどしてライフサイクルコストの最少化を図るなど、効率的に事業を進めております。
次に、雨水を排除する能力不足の解消についてでございますが、これまでも、幹線やポンプ所などの基幹施設を整備してまいりましたが、その整備には時間を要するため、地区によって繰り返し発生している浸水被害に対して、雨水整備クイックプランを策定して対策を進めてまいりました。
具体的には、くぼ地や坂下など、繰り返し浸水被害が発生している豊島区千早など四十二の重点地区を選定し、できるところからできるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるため、緊急的な雨水対策を進めてまいりました。
さらに、平成十九年に策定いたしました東京都豪雨対策基本方針では、浸水予想区域図などに基づき、浸水の危険性の高い地区について、二十の地区を対策促進地区に選定いたしまして、一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できる下水道施設の整備を行っております。
また、地下街などがあり、浸水時には重大な被害が発生する危険性が高い地区について、六地区を地下街等対策地区に選定して、一時間七〇ミリの降雨に対応できるよう施設を整備しております。
これらの地区について、平成二十九年度までの完成を目指し、鋭意整備を進めてまいります。
○泉谷委員 下水道管の管路内調査の方法は、八〇〇ミリ以上では、調査員が管路の中に入り、目視によって行っています。一方、それ以下の内径では、管路内でテレビカメラを走行させ、カメラによって管路の状況を撮影し調査を行っている。今ご説明があったとおりですが、現在、区部の下水管渠管理延長は、先ほどもありましたが約一万六千キロメートルですが、目視調査の対象となる管渠、テレビカメラによる調査の対象となる管渠はそれぞれ何キロメートルであり、そのうち、これまで調査を完了しているのはどのぐらいのキロメートルか、お伺いいたします。
○黒住施設管理部長 区部の下水道管のうち、調査員が直接目で見ながら調査する内径八〇〇ミリメートル以上のものは約三千キロメートル、管渠内を自走する小型のテレビカメラにより調査する内径七〇〇ミリメートル以下のものは約一万三千キロメートルございます。
平成二十年度末までに管路内調査が完了したのは約一万一千キロメートルであり、その内訳は、調査員が直接調査したものが約二千キロメートル、テレビカメラによるものが約九千キロメートルとなっております。
○泉谷委員 下水道管路内テレビカメラ調査業務における競争入札参加の有資格者数は、平成十九年度実績で三百八十四者、うち九五%に当たる三百六十四者が中小企業です。同年度における入札契約実績は百四十一件だと伺っておりますが、このうち中小企業の落札件数は何件だったのか。
また、平成二十年度における下水道管路内テレビカメラ調査業務における競争入札参加の有資格者数、そのうち中小企業の数、入札契約実績と中小企業の落札件数について、それぞれあわせてお伺いいたします。
○須田経理部長 下水道管路内テレビカメラ調査業務についてでございますが、平成十九年度の入札契約実績百四十一件のうち、中小企業基本法第二条に規定いたします事業者が落札した件数は百三十八件でございます。
また、平成二十年度の競争入札参加有資格者数は四百者で、うち中小事業者は三百七十九者となっております。
さらに、平成二十年度の入札契約実績は百二十二件で、うち中小事業者が落札した件数は百二十一件でございます。
○泉谷委員 ところで、下水道管路内テレビカメラ調査業務では、これまでのビデオ撮影による映像をもとにしたアナログ方式から、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラによる調査への移行が平成十九年より着手され、平成二十二年度には一〇〇%切りかえる予定であります。
ミラー方式テレビカメラ調査は、ミラー方式テレビカメラ、展開図化システム、自動診断システムで構成されているものです。一〇〇%導入をうたっているからには、信頼性の高い技術でなければ−−ミラー方式のテレビカメラは大きく三つの欠点があると聞いております。
一つは、機首のレンズが損傷しやすいこと。二つ目は、小型で軽量ということが逆に災いして、土や泥がたまってくると管渠の勾配を上がっていけない。また、段差に弱い。三つ目は、ミラー部分に水滴が落ちると、管渠の破損部分が判別できないということです。これらの欠点はどのように解消されているのか、お伺いいたします。
○黒住施設管理部長 ミラー方式テレビカメラ調査の導入に当たりましては、平成十六年度から三カ年にわたる検証の結果、作業の効率性や品質の安定性などが十分確保できることを確認し、平成十九年度から段階的な移行期間を設け、拡大してまいりました。平成十六年度から二十年度末までに、ミラー方式テレビカメラにより約百四十七キロメートルの調査を行ったところでございます。
その実績からは、ご指摘のような問題点について、来年度からの全面的な移行の支障にはならないものと考えております。
ご指摘の問題点のうち、レンズの破損や土砂の堆積につきましては、調査に先立ち十分管路内を洗浄するなどの対応により、調査に支障はないものと考えております。また、ミラー部への水滴の付着につきましては、アナログ方式でも課題でありましたが、調査中にカメラを一度引き戻し、水滴をふき取った上で調査を再開することで、十分対応が可能であると考えております。
なお、これらの留意点につきましては、本年の二月と六月に、下水道管路内テレビカメラ調査業務に登録されている会社を対象に開催いたしました講習会においても周知を図ったところでございます。
○泉谷委員 また、自動診断システムの欠点は、顕著な損傷についてはおおむね自動診断が可能でありますが、微小な損傷については、ピックアップしてくる損傷箇所数が実際の損傷箇所を超える場合があり、人的な補正を必要とする点であると聞いておりますが、どのように解消されているんでしょうか。
○黒住施設管理部長 ミラー方式テレビカメラ調査では、これまでのアナログ方式の調査と異なり、撮影した映像を自動診断するシステムを採用しており、調査精度の向上が図られる一方、人間の毛髪なども管渠の損傷として認識する場合もあることから、補正を必要とするケースもございます。
しかしながら、これまでのアナログ方式テレビカメラ調査では、調査員がビデオに撮影した映像を見て損傷の度合いを診断するため、調査員の個人差によるばらつきが生じるとともに、確認したい箇所の検索に大変長い時間を要するといった課題がございました。
このため、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラ調査を導入することにより、撮影した映像を自動診断することで、調査精度の向上が図られるだけではなく、映像から得られた展開図と診断結果を電子情報として下水道台帳システムに取り込むことが可能になります。その結果、下水道管の損傷状況を容易に検索することが可能となり、予防保全を重視した維持管理が進めやすくなります。
○泉谷委員 ミラー方式テレビカメラ調査は、従来型のカメラを使用する場合と比較して、現場の作業時間は非常に短縮できると思いますが、一方、展開図化作業に非常に手間と時間がかかるため、結果として調査に係る人件費がはね上がる、トータルとして従来型の調査よりもコストがかかると想像されます。また、展開図、自動診断の実施許諾使用料を計上する必要もあります。
ミラー方式テレビカメラ調査は、アナログ方式のテレビカメラ調査と比較して費用は高いのか安いのか、お聞かせいただきます。
○黒住施設管理部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、ミラー方式テレビカメラ調査では、これまでのアナログ方式の調査と異なり、撮影した映像を自動診断するシステムを使用しており、調査精度の向上を図ることができます。また、これまでのアナログ方式では容易にはできなかった、映像から得られた展開図と診断結果を電子情報として下水道台帳システムに取り込むことが可能になり、下水道管の損傷状況を容易に検索することができるようになることから、飛躍的に予防保全を重視した維持管理が進めやすくなります。
このように、両方式には、その機能や効果に大きな差異があるため、単純に調査費用を比較することはできないものと考えております。
○泉谷委員 東京都下水道サービス株式会社、日本工営株式会社、東芝テリー株式会社、この三社による共同開発で特許も取得しております。現段階では、開発者の一員である東芝テリー社製のテレビカメラを使うしかない状況なのでありますが、下水管渠調査用のテレビカメラを開発している民間企業は東芝テリー株式会社以外にもあると思いますが、そうした企業の類似製品をシステムに取り込むことはできないのでしょうか。
○黒住施設管理部長 ミラー方式テレビカメラ調査は、ミラー方式テレビカメラ、展開図化システム、自動診断システムから構成され、下水道台帳システムにもデータを直接取り込めるよう一体化したシステムとして開発されました。一体化システムとして使用できるテレビカメラについては、現在は一社しか製造しておりませんが、展開図化システムに取り込むためのカメラ映像の仕様を今年度中には公開する予定でございまして、他社においても製造等の参入が可能となります。
○泉谷委員 最初の質問で、テレビカメラによる調査を完了しているのは九千キロメートルとのご答弁をいただきましたが、このうちミラー方式テレビカメラ調査による実績は何キロメートルか。また、平成十九年、二十年度におけるミラー方式の発注実績と平成二十一年度の発注予定を、件数及び管渠延長、受注会社数と件数及び、管渠延長については、各当該年度に占めるそれぞれの割合についてお伺いいたします。
○黒住施設管理部長 ミラー方式テレビカメラによる管路内調査は、先ほどもご答弁しましたとおり、平成十六年度から平成二十年度までに約百四十七キロメートルを実施いたしました。
平成十九年度の調査につきましては、三件で、延長は約十五キロメートル、管路内調査全体に占める割合は、件数、延長とも約二%でございます。
平成二十年度につきましては、六件で、延長は約六十七キロメートル、管路内調査全体に占める割合は、件数で約五%、延長で約七%でございます。
平成二十一年度につきましては、二十八件で、延長は約二百十キロメートルを予定しており、管路内調査全体に占める割合は、件数で約二三%、延長で約三五%の予定でございます。
平成十九年度と二十年度の受注会社につきましては、新たに設計基準や仕様などの技術的検討をあわせて行う必要があったため、その能力を有する東京都下水道サービス株式会社に委託いたしました。平成二十一年度からは公募しておりますが、九月までの受注会社数につきましては十三社でございます。
○泉谷委員 先ほど、展開図化作業に非常に手間と時間がかかることに触れましたが、これまでに、展開図化帳票を納期までに成果品として納品できなかったケースはあるのか、もしあったとすれば、どのような要因で納期に間に合わなかったのか、お聞かせいただきます。
○黒住施設管理部長 納品の状況でございますけれども、これまで実施したすべてのミラー方式テレビカメラ調査におきまして、成果品は納期内に納品されております。
○泉谷委員 ミラー方式テレビカメラは、標準価格で約千百万という高額であり、この不況下で購入できない中小企業も多いと思います。また、展開図化の実施許諾使用料も、許諾基本料二百万円、ソフト使用研修三十万円に加え、作業の実施量に応じた特許実施料を年度末に支払う必要があります。ミラー方式テレビカメラを購入できない企業や展開図化の実施許諾使用料を払えない企業に対する救済策はないのか、最後にお聞かせいただければと思います。
○黒住施設管理部長 テレビカメラ調査につきましては、従来から、カメラを所有していない業者もカメラを借りて業務を遂行することが可能であり、受注実績もございます。
平成二十二年度からのミラー方式テレビカメラ調査への全面的な移行後も、同様な発注条件とする予定でございまして、テレビカメラを購入できないため受注できないということはないものと考えております。
また、展開図化システムなどのソフトウエアの使用につきましても、請負者は、ソフトウエアの所有者等に展開図の作成などをゆだねることもできますので、調査を実施する上で特に影響はないものと考えております。
さらに、調査延長に応じた実施許諾料につきましては、発注者である下水道局が直接、特許の権利者に支払うこととしており、請負者が支払う必要はございません。
このため、請負者が使用許諾に要する費用を支払えない場合の救済策につきましては、特に必要ないものと考えております。
○泉谷委員 終わります。
○鈴木委員 初めに、世界的にも東京都の都市環境の質の高さというのは高く評価されているところでありますけれども、私は、その中心を担っているのが下水道局の皆様方のご努力だというふうに思っております。
しかしながら、下水道事業の内容が大変見にくいことや、また、先般の王子駅の垂れ流しの問題など、都民の評価というのは、今、厳しいものがあるのではないかなというふうにも思っております。
上げたり下げたりで大変恐縮なんですけれども、こうしたことも踏まえて、やはり都民が一番理解できるような、例えば、下水管から出される水の水質の改善とか、ぜひとも今後とも皆様方の努力を期待するところでございます。
私は今回は、下水道の震災対策についてお伺いしたいと思っております。
ここ数年を見ますと、一昨年には北陸地方で二度、昨年は東北地方で二度、ことしも東海地方で一度と、震度六以上の強い地震が毎年発生して被害をもたらしております。東京もいつ大地震が起きても不思議ではなく、政府によれば、東京を含む南関東でマグニチュード七規模の大地震が三十年以内に七〇%の確率で起きると予想されております。
こうした中、昨年の第三回定例会で下水道の耐震対策について質問させていただきましたが、これは、平成七年の阪神・淡路大震災のときに実際に現地を見てきた経験からお伺いしました。
地震というと、まず飲み水に困る、電気が通じず明かりがともせない、ガスが使えず煮炊きができないことを想像しがちでありますけれども、神戸では実際にトイレが十分に確保できておらず、非常に問題となりました。
平成十六年の新潟県中越地震でもトイレの問題はクローズアップされました。トイレが使用できず体調を崩された女性の割合が大きかったことや、水分を控えたために、エコノミークラス症候群を発症し亡くなった方がおられたことから、大きく報道もされました。
そこで改めて、現在、トイレ機能の確保に向けてどのように取り組んでいるのか、改めてお伺いいたします。
○宇田川計画調整部長 震災時には、避難所や災害拠点病院などに指定されている施設に多くの人々が避難や治療のために集まることが見込まれることから、これら施設のトイレ機能の確保が重要となっております。そのため、下水道局では、これらの施設から下水を受け入れる下水道管の耐震化を行っております。このほか、区が仮設トイレの設置管理や避難所等の仮設トイレ等から出るし尿の収集運搬を行って、下水道局が水再生センターなどでし尿の受け入れを行います。これらの取り組みによりまして、震災時のトイレ機能の確保に努めております。
○鈴木委員 今のご答弁で、区と連携して、トイレ機能の確保に向けさまざまな取り組みを行っているとのことでありますけれども、それぞれについて、では確認させていただきます。
まず、神戸では、水道の断水などによって水洗トイレが使えなくなったことから、学校の校舎の陰に素掘りのトイレを設けたり、工事現場で使用するようなくみ取り式の仮設トイレを多数使用したわけでありますけれども、避難所などで発生するし尿の受け入れ態勢は具体的にはどのようになっているのか、お伺いいたします。
○黒住施設管理部長 避難所の仮設トイレなどから出るし尿の受け入れにつきましては、東京都地域防災計画に基づき、すべての区と覚書を締結し対応しております。
具体的には、避難所などから出るし尿は各区が収集運搬し、下水道局の各水再生センターで受け入れ、処理することとしております。
これに加え、地震に対して比較的被害を受けにくい大口径の下水道幹線のうち、し尿を流すための水量が比較的多く、交通の支障とならない箇所にあるマンホールでも、し尿を受け入れることとしております。
このし尿受け入れ用のマンホールにつきましては、二十三区すべてにございまして、大田区の四カ所を含めて計六十三カ所を指定しております。
なお、区との覚書に基づきまして、区と共同でし尿の受け入れ訓練を実施するなど、発災時にも適切にし尿の受け入れができるようにしております。
○鈴木委員 実際に訓練の実施までなされて、区と連携した実践的な取り組みが図られているということは大変評価できると思います。
私は、大都市東京は、仕事などで郊外から流入する人口も大変多く、時間帯にもよりますけれども、トイレ不足は非常に深刻になるのではないかと不安を感じております。
東京都地域防災計画に記載されている首都直下地震の被害想定によれば、電車がストップすることなどにより、四百万人以上の帰宅困難者が発生することから、トイレ不足はさらに深刻なものになると思われます。
そこで、し尿受け入れのほかに、こうしたことへの対応のために下水道局独自で取り組んでいることはないのか、お伺いいたします。
○黒住施設管理部長 下水道局では、避難所内のトイレだけでは不足する場合に備えまして、その周辺で、し尿の収集運搬をする必要のないタイプの仮設トイレの設置ができるマンホールを指定しております。
このマンホールにつきましては、避難所の周辺での下水道管の耐震化が完了したところから、し尿が堆積しない程度の水量があり、交通や応急活動などの支障とならない場所を、区と調整の上、指定しております。
このマンホールの指定箇所は、二十三区すべてにございまして、平成十六年度末には約四百五十カ所でありましたが、平成二十年度末には、大田区の百十四カ所を含めて約三千七百カ所になっております。
なお、災害時において仮設トイレが設置できるマンホールを現地で速やかに確認できるよう、マンホールぶたに青色の目印をつけているところでございます。
○鈴木委員 トイレ確保に向けて、区だけの取り組みとすることなく、下水道局も連携してふやす努力をしていただきたいと要望いたします。
ここまでは、下水道管が損傷するなどして、日常利用しているトイレが使えなくなった場合を想定しておりますけれども、下水道管が地震によって壊れることなく機能すれば、震災時のトイレ機能確保に向けてさらに万全になるものと思っております。
平成二十年度には、避難所などからの排水を受け入れる下水道管の耐震化工事を百九十四カ所完了させたと聞いております。区部の下水道管は約一万六千キロメートルにも及び、膨大な量があることなどから、震災時に重要な施設を対象とした重点化した取り組みを行っていると伺っておりますけれども、区部全体で対象箇所はどのくらいあるのか、また、私の地元大田区では実際どうなっているのか、進捗状況と今後の予定についてお伺いいたします。
○松浦建設部長 下水道管の耐震化対策につきましては、震災時に重要な役割を果たす避難所や災害拠点病院などに重点化して実施しているところでございます。
具体的には、これらの施設からの排水を受け入れる下水道管について、マンホールとの接続部を柔軟性のある構造に改良するものでございまして、マンホールの中から作業を行うことにより、都民生活や道路交通への影響などをできるだけ少なくして施工しております。
対象となる施設は、区部全体では約二千五百カ所、うち大田区で百二カ所ございます。平成二十年度末までに、区部全体では千二百五十八カ所、うち大田区では、池上小学校や馬込第二小学校など四十四カ所が完了しております。
今後、平成二十七年度までに対策を完了させるよう、下水道管の耐震化を積極的に推進してまいります。
○鈴木委員 こちらも着々と進めているようでありますけれども、本当に地震はいつ起こるかわからないという状況の中では、早く完了させて、都民の安全・安心の確保に努めていただきたいと要望しておきます。
一方で、トイレ機能の確保とともに、発災時の人命救助や応急復旧活動に必要な道路交通機能の確保も非常に重要であるわけであります。昨年の定例会では、新潟県中越地震など、問題となったマンホールの浮上抑制対策についても伺いました。低地や埋立地など、特に液状化の危険性が高い地域にある緊急輸送道路や避難道路にあるマンホールを対象に、マンホール浮上抑制対策を平成十九年度から実施しているとのことでありますが、私の住む大田区は、液状化が予想される危険度の高い地域であります。区部全体と大田区の対象箇所はどの程度なのか、進捗状況と今後の予定についてお伺いいたします。
○松浦建設部長 大規模な地震が発生した場合には、地盤の液状化によりマンホールが浮き上がり、車両交通に支障となることが予想されます。このため、救助や応急復旧活動などに支障が生じないよう、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路や避難道路に重点化して、マンホールの浮上抑制対策を実施してきているところでございます。
この浮上抑制対策におきましても、マンホールの内部から作業を行う工法を採用することにより、道路交通など周辺への影響が極力少なくなるよう工事を進めております。
対象となる道路は、区部全体で約五百キロメートル、うち大田区では約三十一キロメートルあります。平成二十年度から本格的に着手し、区部全体では約四十五キロメートル、うち大田区では、第一京浜国道の約六キロメートルを完了しております。
来年度までに、対象となる道路にありますマンホールの浮上抑制対策を完了させることを目指し、全力で取り組んでまいります。
○鈴木委員 大地震により下水道がその機能を果たすことができなくなった場合、トイレが使用できないなど、都民生活に大きな影響を与えるだけでなく、汚水の滞留や未処理下水の流出による公衆衛生被害の発生や、雨水排除機能の喪失による浸水被害の発生など、都民の生命や財産、都市活動にかかわる重大な事態が生じるおそれがあります。このような事態を回避するためにも、震災時において、都民生活や都市活動を支える、下水道が担うべき機能を確保していくことが特に重要であります。
震災時において下水道機能を確保するため、下水道局ではどのような取り組みをしているのか、改めてお伺いいたします。
○宇田川計画調整部長 下水道局では、地震時でも処理機能を確保するため、水再生センターの施設の耐震化や、雨水を排除する機能を確保するため、ポンプ所の耐震化を実施しております。停電時での対応を図るための非常用電源の整備や、断水時でも運転できる、冷却水を必要としない無注水型ポンプの導入を進めているところでございます。
さらに、汚泥の集約処理のため敷設しております送泥管について、二条化するなど、バックアップ機能の強化にも努めているところでございます。
○鈴木委員 これまでに、主に施設の耐震化などについてお伺いいたしましたが、こうした施設整備を着実に行っていくことは非常に重要であります。と同時に、地震が発生した場合でも、人員や体制を確保して迅速な対応を図り事業を継続させることが、下水道局に求められていると思っております。
都では昨年十一月に、震災時の事業継続計画として都政のBCPを策定し、下水道事業については、下水道の応急復旧について、その取り組みの方向性を示しております。しかしながら、大地震が発生した際に迅速に対応していくためには、被災状況などを想定して、より具体的な対応を検討していくことが不可欠であります。
最後に、震災時において下水道事業をいかに継続させていくか、局長の考えをお伺いいたします。
○松田下水道局長 近年の大地震の多発を契機として、安全・安心に対する都民の危機意識が高まってきております。震災時における下水道機能を確保することは、都民生活や都市活動を支えることはもとより、速やかな震災復興に向けて極めて重要でございます。そのため、施設の耐震化や下水道機能のバックアップ化、さらに、震災時を想定した訓練などに積極的に取り組んできたところでございます。
今後は、都政のBCPを踏まえまして、事業継続をより重視して、発災時に優先して遂行する業務に対して、限られた人材や資機材などの資源を効率的に投入できるよう、地震対策マニュアルを今年度中に大幅に改訂して体制を整えてまいります。
引き続き、ハード、ソフトの両面から災害に強い下水道を目指し、局を挙げて全力で進んでまいります。
○鈴木委員 局長の力強い決意で、本当に安心感を与えられるわけですけれども、私たちも、この部分においては、一番大事な部分であるという思いの中で、これからも一緒になって応援させていただきたいと思っております。
地震発生後のライフラインのうち、直ちに問題となるのは電気、水道、ガスであり、これは人間に例えれば動脈であると思います。しかし、動脈だけが機能しても静脈が機能しなければ人間は息絶えてしまいます。ライフラインの静脈ともいうべき下水道についても、しっかりとした対策を講じ、都民の安全・安心を確実なものとするようお願いをし、質問を終わります。
○松葉委員 下水道の浸水対策について伺います。
昨年の本委員会におきましても質疑をさせていただきましたが、その後の進捗状況も含めて質問をいたします。
今月の初旬には、伊勢湾台風並みの強さを持った台風十八号が日本列島に上陸し、大きな被害をもたらすなど、残念ながら大都市水害が繰り返し起きております。幸い東京では被害はほとんどなかったものの、浸水の危険性のある地域では、土のうを積んでいただくなど、事前にできる対策をとっていただいておりました。常に浸水の危険性に対して注意を払い、準備をしておくことが必要だと実感をいたしております。
さらに、都内では、たった今まで晴れていたのに、突然バケツをひっくり返したような激しい雨が降る、ゲリラ豪雨と表現されるような豪雨がたびたび発生しております。このような豪雨に対して安全性を高めるには、河川、下水道の施設の整備を着実に進めるとともに、さまざまな視点から対策をとっていかなければならないと痛切に感じております。
特に、私の地元杉並区は、都内の代表的な中小河川である神田川が流れており、河川のはんらんによる浸水被害に長年悩まされてきた地域でもあります。さらに、二〇〇五年九月四日には、ゲリラ豪雨で、神田川、善福寺川、妙正寺川のはんらんによる甚大な被害があったわけでもあります。現在、河川整備も急ピッチで進めていただいているところではありますが、あわせて下水道の浸水対策は非常に重要であります。
そこでまず、杉並区内における下水道の浸水対策について、これまでの取り組みとその効果を伺います。
○宇田川計画調整部長 杉並区内では、堀ノ内付近から隣接している中野区の本町付近までの神田川と善福寺川沿いの地区で、下水道を整備した後も繰り返し大規模な浸水被害が発生しておりました。このことから、関連施設を含めた、貯留容量約十五万立方メートルに及ぶ和田弥生幹線の事業に平成三年度から着手し、平成十九年度には本格稼働させております。
また、雨水整備クイックプランに基づきまして、くぼ地や坂下など、繰り返し浸水被害を受けている地域につきまして、できるところからできるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるため対策を図ることといたしまして、杉並区内では、雨水ますの増設などを行います小規模対応箇所、十一カ所が完了しております。
先日の台風十八号による雨では、和田弥生幹線に約七万立方メートルの雨水を貯留いたしまして、浸水被害の軽減に効果を上げたところでございます。
○松葉委員 ただいまのご答弁で、和田弥生幹線の効果という話もございましたけれども、私もこの和田弥生幹線、ポンプ施設完成時には、地元住民の方々と見学会に参加をさせていただきました。地下五十メートルほどおりさせていただきまして、見学会に参加された方々も、大雨が降るたびに浸水に悩まされてきたけれども、こうした施設が整備されて本当によかったと、そういった感想もありまして、下水道局が行っている浸水対策ヘの期待は非常に大きいということを実感いたしております。
また、クイックプランのような細かな対応もとっていただいて、浸水被害の軽減に向け、可能な限り努力をしていただいていると思っております。
一方、こうして浸水被害の軽減に向け努力してきていただいてはおりますけれども、今取り組んでいる一時間五〇ミリの下水道の能力を大幅に上回る雨が頻発しているという状況下にあることも事実であります。
先ほども触れましたけれども、二〇〇五年の九月の四日には、一時間に最大一一二ミリ、総雨量二六九ミリの集中豪雨がありました。杉並区におきましても千八百七十三棟の浸水被害がございまして、都内全域で浸水棟数が五千八百二十七棟という甚大な被害があったわけであります。
都では、これを受けまして、東京都豪雨対策基本方針を策定し、豪雨や浸水被害の発生頻度を踏まえ、重点的に取り組みを進める対策促進エリアを設定し、浸水対策を進めております。
そこで、東京都豪雨対策基本方針に基づく下水道の取り組みの進捗状況について伺いたいと思います。
○松浦建設部長 豪雨対策基本方針では、浸水対策の基本である下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を推進するとともに、地形等の地域特性を踏まえた効果的な対策を進めることとしております。
具体的には、浸水予想区域図などに基づき、浸水の危険性の高い地区について、二十地区を対策促進地区に選定し、一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できる下水道施設の整備を進めております。
また、地下街などがあり、浸水時には重大な被害が発生する危険性が高い地区において、六地区を地下街等対策地区に選定し、一時間七〇ミリメートルの降雨に対応できるよう、施設を整備しております。
現在、対策促進地区では、杉並区阿佐谷南地区を含めた十四地区で工事に着手しており、地下街等対策地区でも、東京駅八重洲口周辺で工事に着手、池袋駅東口周辺では工事が完了しております。工事に着手していない残る地区も含めまして、平成二十九年度までの完成を目指し、鋭意工事を進めてまいります。
○松葉委員 対策促進地区として選定された二十地区の中で、現在までに十四地区で工事に着手しているということでございまして、着実に対策が進んでいることがわかりました。
杉並区では、阿佐谷南地区が対策促進地区として選定されております。この地区は、一日当たり約九万人もの乗降客がありますJR阿佐ケ谷駅の目の前の工事で、かなり困難な工事と予想される中、着手したことを承知いたしております。
そこで、阿佐谷南地区についての現在の進捗状況についてお伺いいたします。
あわせて、昨年の本委員会で要望させていただきましたけれども、阿佐ケ谷駅前の作業用地における環境対策の取り組み状況も含めてお伺いしたいと思います。
○松浦建設部長 阿佐谷南地区では、この地域がくぼ地であり、雨水が集まりやすいという地形的な特徴があることから、地盤の高低差を考慮できる設計手法を活用しまして、効果的な貯留を行うこととしております。
具体的には、阿佐ケ谷駅の東側を南北に通る都道中杉通りの道路下に、口径二・八メートル、延長約四百五十メートル、貯留量約二千四百立方メートルの雨水の貯留管を新たに整備するものでございます。
貯留管の整備に当たりましては、道路を掘削しないで済むシールドトンネル工法により施工することとしており、立て坑や資材置き場などの作業用地が必要となるため、阿佐ケ谷駅南口の駅前広場の一部を借用して、本年一月から工事に着手しているところでございます。
現在、シールドの発進基地となる防音ハウスの建設が完了しており、来月下旬からトンネルの掘進作業を開始する予定です。
本工事は、乗降客の往来が多い駅前広場を使用しての施工となることから、交通誘導員や案内係を配置し、歩行者やバス利用者等の安全性や利便性の確保を図っております。さらに、景観にも配慮し、来月初旬から防音ハウスの壁面を緑化するとともに、地元の要望を反映し、壁面にイベントなどのPRスペースも設けております。
今後とも、安全対策や環境対策にきめ細かに対応し、平成二十四年度末の完成を目指して鋭意工事を進めてまいります。
○松葉委員 ただいま、着実に工事を進めていく旨のお話がございまして、さらには、この阿佐ケ谷駅南口前広場の作業場所につきましても、防音ハウスということで騒音対策や振動の対策、また壁面緑化、地域のイベントなどもさまざまPRできるような場所も含めてご検討いただいて、着実にやっていただいているというご答弁でもありましたので、これにつきましても、今後三年間に及ぶ工事にもなりますので、ぜひとも地域にもご配慮いただきながら、そしてまた、雨が降るたびに、浸水するのではないかというふうに不安を抱えていらっしゃる方のためにも、着実に工事を進めていただきたいということを改めて申し上げておきます。
最後に、自助、共助、公助という観点から伺いたいと思います。
私は、整備水準を大幅に上回るような豪雨で発生する浸水被害の軽減のためには、いわゆる公の取り組みだけではなくて、浸水被害を軽減するための取り組みを地域で行っていくことも非常に重要だと考えております。豪雨対策基本方針では、公助としての河川整備や下水道整備に加えて、自助、共助を促進するという視点に立って、家の建てかえの際に浸透ますなどを設置して雨水の流出を抑制する流域対策や、高床建築の推進など、まちづくり、家づくり対策といった減災対策を一層推進し、公と民、合わせた総合的な対策をとる必要があるとしております。そのために、民において自助や共助が促進される仕組みを構築するよう、適切な情報提供などを行っていくとしております。
そこで、都民のお一人お一人にご協力いただくために、下水道局はどのような働きかけや情報提供を行っているのかをお伺いいたします。
○黒住施設管理部長 下水道局では、雨季の前の六月を浸水対策強化月間と定め、お客様みずからが行う浸水への備えについてお願いをしております。
具体的には、雨水ますのふたの開口部から雨水が下水道管へ入りやすくなるよう、雨水ますの上に植木などを置かないことや、雨水ますにごみを捨てないことなどを、リーフレットやポスターを用いてお願いをしております。また、地下室や半地下のあるお宅を戸別訪問し、排水ポンプを設置するなどの対策を要請しております。
このほか、一年間を通じて東京アメッシュの降雨情報を下水道局のホームページや携帯電話に提供しております。
このインターネットでの東京アメッシュの情報提供につきましては、今月の十四日より、これまで十分ごとのデータ更新を行っていたものを、五分ごとの更新に短縮いたしました。これにより、よりリアルタイム性の高い降雨情報の提供が可能となり、お客様みずからが速やかに、集中豪雨や台風などの豪雨に備えることができるものと考えております。
今後とも、こうした取り組みを継続して行うことにより、お客様一人一人の浸水への意識向上につなげてまいります。
○松葉委員 私は、浸水被害を軽減するには、河川から離れた地域の方も含めまして、お住まいにおいて被害を受ける危険性の少ない方も含めて、お一人お一人の方々がぜひともこの防災対策を進めていくことが重要だと考えておりまして、今、アメッシュのお話もございましたけれども、そういった情報提供をさらに進めていただきたいと思います。
二〇〇五年の九月の四日のときに、大変な水害被害が杉並区でございまして、私もその後すぐに西部第一事務所の方にお伺いいたしまして、意見交換させていただきました。
杉並区の地図に、どこに浸水被害があったのかということを一つ一つシールで確認していただきながら、対策をとっていただいたわけでございますが、そのときに、例えばその地域から離れている方々が、大雨が降ったときに水を余り流さないでいただくとか、そういった細かいご配慮といいますか、そういうご協力というものも大事なんだというお話も、そこで意見交換もさせていただきまして、そういったことも、私も地域の方にはお話をさせていただいたわけですけれども、そういったお一人お一人の心がけ、全体でこの浸水被害をなくしていくんだという、そういった取り組みも大事だと思っております。
下水道局におきましても、さらにそういった情報提供を積極的に行っていただきまして、また浸水対策への取り組み、さらに強化した下水道整備を行っていただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。
○山内委員 私の住む多摩地域では、下水道は、市町村区域を超えて広域的に下水を処理する流域下水道事業によって行われています。東京都においては、多摩川を初め荒川流域などで事業を進め、その歴史も四十年になろうとしているということです。昭和四十年半ばには、多摩川も多くの河川と同じように死の川といわれるほど水質が悪化しましたが、今では都民の貴重な水辺空間として親しまれるようになっております。
そこで、多摩川の水質改善に対して流域下水道が担ってきた成果についてお伺いしたいと思います。
○高相技術部長 多摩川流域の都市化の進展による生活排水などの影響により、多摩川の水質が悪化し、社会問題にまで発展しました。当初、多摩地域における下水道については、各市町村が個別に整備する計画となっておりましたが、多摩川の水質改善を効果的、効率的に進めるため、都が幹線と水再生センターを、市町村が各家庭から幹線までの下水道管を設置、管理する流域下水道の制度を活用し、昭和四十三年から下水道整備を推進することにしました。
それによりまして、昭和四十六年に南多摩水再生センターが供用開始して以来、下水道の整備を着実に行い、平成四年度までに多摩川流域のすべての水再生センターの供用を開始しました。
また、多摩川中流域では、河川の水量に対して約五割を下水処理水が占めるまでになっており、多摩川の水環境の維持向上についての役割が高まっております。
このような中、河川水質についていえば、中流域の多摩川原橋におきまして、最も汚れていた時期のBODが一四ミリグラム・パー・リッターであったのに対し、現在では、昭和三十年代前半の水準に相当しますBOD二ミリグラム・パー・リッターまで改善されてきております。
○山内委員 多摩川の水質改善が進んできたことが、流域下水道の整備と密接にかかわりがあるということがわかりました。
平成十七年、東京湾などの閉鎖性水域の水質を改善するために下水道法が改正され、それを踏まえて、ことし七月十五日に、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画の変更が都市整備局から出されました。改めて、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画とは何か、その概要と今回の主な変更点について伺います。
○高相技術部長 流域別下水道整備総合計画、いわゆる流総計画は、河川、海域等の公共用水域の水質環境基準を達成、維持するため、必要な下水道の整備を効果的に実施することを目的として、当該流域における下水道の整備に関する基本方針を定め、個別の下水道計画の上位計画として都道府県が策定するものであります。
都は、多摩川及び荒川等を対象とする当初計画を昭和五十五年に策定し、その後、社会情勢等を踏まえ、平成九年に変更しております。今回、平成十七年に東京湾などの閉鎖性水域の水質を改善するため下水道法の改正があり、約十年ぶりに計画の見直しを行ったものであります。
主な変更点としては、まず、計画汚水量の見直しを行っております。また、下水道法の改正により放流水質基準が厳しくなったことから、窒素、燐、CODの目標水質を新たに設定してございます。さらには、老朽化した処理場があります八王子市、立川市、三鷹市の単独処理区を流域下水道へ編入するとした点などであります。
○山内委員 流総計画の変更点の一つである計画汚水量の見直しでは、十年前の既定計画より、区部では約七五%、そして多摩では約五六%、全体でも約六九%と下方修正がされております。この汚水量の変更は流域下水道の施設計画にどのように反映されるのか伺います。
○高相技術部長 これまでの水再生センターの施設計画では、計画汚水量及びセンター流入水量の実績等を考慮し、効率的に施設を整備してきたところでございます。
今後の施設計画におきましても、急増する老朽化施設への対応や、さらなる水質改善のための高度処理の導入などが求められており、計画汚水量と計画放流水質の見直しを踏まえつつ、計画的かつ効率的に施設を整備してまいります。
○山内委員 節水型洗濯機など家電製品の普及やふろ水の再利用など、節水に対する関心の高まりや、ふろよりシャワーを使う若者の増加など、生活スタイルの変化によって家庭での節水が進んだこと、工場の移転などによる工場排水も減少したこと、将来推計人口の減少などが相まって汚水量が下方修正されたことは、過剰な設備投資を回避することにつながり、結構なことだと思います。
また、今回の流総計画では、単独処理区を廃止して流域下水道に編入するという説明がありましたが、単独処理区を廃止して流域下水道の処理区に編入するとはどのようなことなのか伺います。
○高相技術部長 八王子市、立川市、三鷹市では、市が単独で公共下水道事業を実施し、昭和四十年代半ばまでに処理場の供用を開始しており、施設の老朽化が進み、更新時期を迎えております。それとともに、東京湾の富栄養化防止に向け、窒素、燐をさらに削減するための高度処理の導入が求められておるところでございます。
施設の更新や高度処理の導入につきまして、既存の施設の能力を損なわないことが前提となるため、新たに施設を建設するための用地を確保しなければならず、現在の立地条件では困難な状況になってございます。
こうしたことを踏まえまして、単独公共下水道で整備された区域を流域下水道の区域に編入しまして、老朽化施設の更新、高度処理の導入を実現するとともに、事業の広域化によるスケールメリットを生かした下水道事業の効率化を図ることといたしました。
○山内委員 八王子市の単独処理区である北野処理区は既存の八王子水再生センターが、立川市の錦町処理区は既存の北多摩二号水再生センターがそれぞれ下水処理をいたしますが、三鷹市の東部処理区は、野川処理区に編入し野川水再生センターが下水処理するとのことです。
今回編入対象の野川処理区については、現在は区部の森ヶ崎水再生センターで下水処理をしておりますが、野川処理区の変更内容について伺います。
○高相技術部長 今回改定された流域別下水道整備総合計画における野川処理区の変更内容についてのお尋ねでございますが、三鷹市の単独公共下水道で整備した区域の編入を行うとともに、高度処理を導入することといたしました。野川処理区の汚水は、森ヶ崎水再生センターと、新たに建設する野川水再生センターで処理する計画であります。
なお、野川水再生センターの施設規模は、一日当たり十万三千四百立方メートルの下水を処理する計画とされております。
○山内委員 野川処理区は、これまでも、計画上は野川水再生センターを建設することにはなっていたものの、建設はずっと見送られていました。見直しによって具体化が進み、いつつくることになるのか、環境に影響は出ないのかと心配する住民もあるかと思います。
そこで、野川水再生センターの今後の予定を伺います。
○高相技術部長 流域下水道では、都と市町村とがそれぞれ役割を分担した上で、共同して事業を行っております。
三鷹市の単独処理区を流域下水道に編入していくに当たっては、都市計画法、下水道法などの関連する法律に基づく手続が必要になってまいります。
今後につきましては、野川水再生センターを初め、編入に必要な下水道幹線等の建設に関連する計画や費用の負担など具体的な課題につきまして検討し、関係市などと協議し、調整を図っていくこととしております。
○山内委員 下水道はライフラインであり、快適な生活のために必要不可欠な事業です。しかし、これから新たに建設するとなると、予定地周辺の環境問題、河川に流す放流水質による影響等さまざまな問題が生じる可能性があります。流総計画は広域的な取り組みなので、関係自治体が複雑になり、地域ごとに住民の考え方も多岐にわたると考えられます。わかりやすい情報提供と広範な情報共有、丁寧な合意形成が必要です。その上で調整を図り、多摩地域における安全で快適な都民生活の確保と水環境の改善に努めていただくようお願いして、次の質問に移ります。
先日、初めて北多摩一号水再生センターの施設見学に参加いたしました。非常にわかりやすいご説明と、職員の皆さんが独自に作成したという水再生センターの紹介ビデオを拝見いたしました。見学に参加された地域の皆さんも、とても丁寧でアットホームな印象を受け、好評でした。
その中で、北多摩一号水再生センターと南多摩水再生センターを結ぶ連絡管というトンネルが工事中でした。経営計画二〇〇七によると、この連絡管の事業は二十一年度から本格的に進められていると聞いております。
そこで、北多摩一号水再生センターと南多摩水再生センター間の連絡管整備の目的について伺います。
○高相技術部長 水再生センターで更新工事を行うためには、更新期間中、下水処理機能を補完する代替施設が必要となります。多摩川を挟んで対面する二つの水再生センターでは、これらを結ぶ連絡管により代替施設を共有することができ、このことにより建設更新コストが縮減されます。また、流入水量や水質の変動といった事態などに際し、二つの水再生センターを一体的に運用することで、放流水質の安定化、汚泥処理の効率化、また維持管理費の縮減が図られます。
さらには、地震等の被災により一方の水再生センター施設の処理機能が低下した場合、もう一方の水再生センターでのバックアップを可能とするものであります。
○山内委員 連絡管は、処理機能を相互に融通するために整備するということですね。
では、現在の進捗状況と今後の予定を伺います。
○高相技術部長 二つの水再生センターを結びます地下トンネルを掘るための立て坑工事が、北多摩一号水再生センター内で昨年六月に着手し、本年八月に完了いたしました。現在、内径三・五メートル、延長約三・三キロメートルのシールドトンネルを掘り始めたところであります。
今後、トンネル工事を完成させた後、ポンプ等の設備や配管設置等の必要な工事を進めてまいります。
○山内委員 施設見学の際に、処理技術が上がり、水処理の工程でかなりにおいが軽減されているのを、一緒に見学した皆さんと体感いたしました。私たち都民も、下水に流してはいけないものを安易に流さないようにしなければならないと話しました。
北多摩一号水再生センターでは、雨天時の放流水質の改善や、夾雑物を河川に放流しないよう、防止策に重点が置かれていると聞きました。その方法を伺います。
○高相技術部長 多摩地域の流域下水道では、合流式下水道区域が全体の四分の一であり、分流式下水道区域は残る四分の三であります。合流式下水道は、汚水と雨水を一つの下水管で集め、一定量以上の雨が降った場合、汚水まじりの雨水や夾雑物が川などの公共用水域に放流されるシステムであります。
この合流式下水道を採用しております北多摩一号水再生センターでは、降雨初期の特に汚れた下水を一時的にためて晴天時に処理する、四万立方メートルの雨天時貯留池や、下水道幹線の雨水吐き口から夾雑物を公共用水域へ流出させないための施設の整備を既に実施しております。
○山内委員 大雨の際など、市町村の公共下水道から夾雑物がまじった汚水があふれ出すことがあります。聞くところによると、トイレットペーパーなどが含まれているそうです。この問題は公共下水道の範疇のこととは思いますが、私たち都民側の下水に対する意識向上を図るためにも、河川や海の汚染を防ぎ環境を守るためにも、都下水道局と市町村の公共下水道が双方の問題として連携し合って解決していく必要があることを指摘して、質問を終わります。
○木内委員 本当に遅くまでご苦労さまですね。しんがりであります。
しんがりになって思うことは、例の信長の越前の朝倉攻め、一番難しいので、目を覚ましてひとつ聞いていただいてですね−−一五九〇年といいます、徳川家康が江戸に入府したのが。それから四百年以上の江戸東京の歴史があるわけでありますけれども、まちづくりが江戸の市民によってずっと進められてきた。明治維新の直前に日本を訪れて江戸の土を踏んだ、ある外国人の見聞記によりますと、その印象は、ポライトでクリーンである。ポライトというのは礼儀正しい、クリーンというのは本当にまちが清潔だと、こういう印象だったんですね。それから約四百年以上。その間、一五〇〇年代後半から今まで、まちづくりがあった。で、社会環境も変わってきた。あるいは国際環境も著しく変化してきた。こういう中で、いろいろ都市の成長過程において、東京は多くの問題を抱えてきて、その都度解決をしてきている。こういうことがいえるわけであります。
そして、近年、この国際化、申し上げたように進展してくる。それから、アジアの諸都市が物すごく発展してきている。したがって、今、かつてないこのグローバルなステージにおいて、都市間競争というものが行われてきている。
東京は、そういう国際環境の中にあって、グローバルリーダーとしての都市の機構、機能、あるいはあり方というものの位置づけを明確にして、より安心で安全なまちづくりをさらに進めていかなくてはならない、こう思うわけであります。
また、東京は人口が過密であって、複合した構造であるために、いろんな問題が発生してきているわけでありますけれども、特に、きょう私がまず冒頭取り上げるのは、都市における悪臭、臭気の問題であります。
都市生活の質の向上や快適性というものを考えるときに、感覚に強く訴える悪臭などの都市の問題というものを、大きな課題として行政はこれを位置づけて、解決をしていかなくちゃいけない、こういうふうに思います。
例えば、眉目秀麗で非常に印象のいい、アトラクティブな魅力的な人がいる。で、フェース・ツー・フェースで会ってみる。顔を近づけて話しているときに、物すごい悪臭で、口のにおいで、思わずたじろぐことがあります。誤解を恐れずに申し上げれば、百年の恋も一瞬にして冷めるような、そういう口臭、におい、悪臭というのは、人に大変悪い印象を与えるものでありまして、東京も実は、そういう相談事が年間六百件も寄せられるほど、都内全域にわたって−−これだけの歴史を持つ、清潔なまちというのを標榜してきたまちでありながら、実は問題があるわけであります。
私はかつて、千代田区のフランス通りというんですか、パリ通りというんですか、ホテルニューオータニ、赤坂見附に弁慶橋がありますけれども、あの弁慶橋から北に向かって、紀尾井坂からの結節点までの間、それこそ外国のブランドのいろんな店が並んでいたり、しょうしゃなフランス料理店があったりという通りなんですけれども、実はここがすさまじい悪臭に悩まされたことがあったんです。
地元の紀尾井町の町会の方からご相談いただきました。そして、当時、技術部長であった鈴木宏さん、今、高相さんが技術部長やっておられるけれども、その先輩で、その後計画調整部長になって、下水道局長、敏腕を振るった方でありますが、この鈴木宏さんが技術部長をやっておられて、何とかならないかと。都心で、外国からの、いわゆるハイブラウな人が来たりして、本当にいい印象で歩いているときに、腐った卵のような、すえた温泉の硫黄のにおいのようなのがまちに充満している。これが東京かといって、これもあんまりあれだけど、百の説法何とか一つという言葉がありますけど、東京の訪問の印象を著しく悪くして帰っていく。これであってはならない。何とかならないかといって、私は相談しまして、私も素人だけれども、一緒になって知恵を働かせて、何とかこの日本を代表する地域の悪臭問題を解決したいというふうに思ったわけであります。一緒に力を合わさせていただいた。
そして、一定の成果が出始めたときに、予算特別委員会でこの問題を取り上げて、当時の下水道局長とやりとりをした。石原知事も、当時、そこで刮目してこの議論の様子を聞いていまして、非常に感銘を深くしたということを後で知事はいっておりました。東京にそういうことがあるんだということで、いわゆるこれは東京が抱える宿命的な課題です。
ビルが建造される。古くなる。そこで使われているビルピットの水、これが原因となって、実はさまざま−−悪臭の出るマンホール等から遡及して調べても、らちが明かなかった。だけど、あの紀尾井町ではそれこそ幾つかのビルがあって、このビルへ協力も訴えたりして、単純じゃないんですね、悪臭対策というのは。鈴木さんはえらい苦労をされて、これを解決されたわけであります。
相当数のビルの中で、協力を約束してくれたところがほとんどだったけれども、その後まだ幾つかのビルは協力体制をしくに至らなかったということがあるわけでありますが、下水道局は物すごくこれについてご苦労されて、一定の成果を出されているわけでありますけれども、六百件という寄せられる相談事、何十カ所という東京を代表する地域における悪臭問題、臭気問題を今後解決していくためにも必要な確認でありますので、この紀尾井町はその後どうなりましたか。
○尾崎参事 ビルピット臭気対策には、地元区やビル所有者などを初めとしました地元の皆様の協力と、臭気発生抑制のための技術的な対策が必要であります。
紀尾井町におきましては、平成十一年二月、この地域の地元の皆様の要望を受け、地元区、町会の皆様と臭気対策検討会を設置し、臭気対策に取り組んだところでございます。
平成十四年初めまでに、臭気発生源ビルの特定と指導を実施した結果、臭気発生源となっていましたビルピットを有する十五ビルのうち、十二ビルが臭気対策を実施したところでございます。残り三ビルにつきましても、平成十六年度までに臭気対策を実施したところでございます。
その後、この地域では平成十八年度に二件の臭気苦情があったことから、さらにビルピット臭気対策の改善を実施し、それ以降、この地域からのビルピットが原因と思われる臭気苦情は発生しておりません。
○木内委員 これはもうすばらしい成果ですよね。この問題解決の経過を側面的に見てみると、一つは、あの地域のビルのオーナーが非常に進歩的であるというか、協力的な方々が多かったのではないか。特にあの地域性、誤解をあえて恐れずに申し上げれば、いわば質のいいビルオーナーの皆さん方がおられたということが一つあったと思うんです。
例えば、東京を代表するような、これも失礼ないい方ですが、雑多な繁華街、こういったところには、ビルの所有者の所有意識がなくて、社会性を余り重んじないオーナーの皆さんも中にはあるやに聞いているわけで、この紀尾井町はいいけれども、じゃあ次の、あるいはほかの東京都内の地域の臭気対策、どう取り組んでいくかという問題が一つはあると思うんですね。
それで、私は実はそのときにも予特で申し上げたんだけれども、今、紀尾井町地区やっているけれども、都内に何カ所もある、この臭気の強いところの解決を皆さん目指すべきである、精力的に取り組め、取り組むべきだ、こういうふうに申し上げて、具体的な地名もたしか挙がったように記憶をしているんです。
こうした、申し上げた紀尾井町と同様の取り組みを、西新宿地区やその他の地域においても進めるというふうにたしか聞いているわけですけれども、行政の継続性、議会の議論の継続性という意味から、これも確認をして、今後の対策への議論の端緒を開きたい、こう思いますので、お答え願います。
○尾崎参事 紀尾井町で実施したのと同様に、西新宿、新橋、内神田、自由が丘など、臭気苦情の多い十四地区について、臭気発生源ビルを特定し、改善指導を実施しております。
とりわけ西新宿地区につきましては、平成十三年度に地元区と臭気対策にかかわる協定を締結し、区と協力して、地元町会やビルの所有者への説明会を実施するなど、臭気苦情解消に向けた取り組みを行い、これまで、改善指導対象三十四ビルのうち十七ビルが改善対策済みでございます。
その他の地域につきましても、区や地元町会などの協力を得て、重点的にビルピット臭気対策に取り組んでいるところでございます。
○木内委員 解決に向けての取り組みの中でご苦労が多いというのは、さっき申し上げた、いわゆる民の意識の問題ということがあるわけでありまして、いずれこれは、いわゆる法改正あるいは条例改正等も伴った、こうした規制というものをかけて、ビルピットも含めたビルの所有者に対するさまざまな法律事項も含めてお願いをする形も環境として必要だろうと、こんなふうに思っているわけでございまして、そのご苦労を私は理解するけれども、ぜひ、きょうの議論を新しいスタートにして、懸命な解決へのご努力をしていただきたいと思うんです。
何年かしたら、またこれ、私、確認させていただきたい。紀尾井町も新橋も西新宿も神田も本当ににおいがなくなった、においのない東京、すばらしいじゃありませんか。そんなふうに思うわけであります。
さて、そこで、今現在、下水道局に寄せられる臭気に関する苦情、これはどんな状況ですか。簡単でいいです。答えてください。
○尾崎参事 下水道局に寄せられている臭気に関する苦情件数は、平成十一年度には約千二百件でありましたが、平成二十年度は年間約六百件でございます。その大半は、ビルピットを原因とする悪臭に関するものでございます。
○木内委員 答弁、私は大変敬意を表します。中には、知性的で、おとなしくて、冷静な人もいるけれども、非常に元気があって決意に満ちているので、ぜひ答弁の勢いのとおり、ひとつ頑張ってもらいたいと思うんです。
ただし、今の答弁で、臭気の苦情がまだまだ少なくないということがうかがえるわけでありまして、都は、環境先進都市、これを今標榜しているわけでありまして、その実現のためには、ビルピットの臭気問題に正面から、ぜひ今のご決意で取り組んでいただきたいと思うわけです。
これは、都民の代表として、私、聞くんですが、意外と理解されていない。なぜ臭気が起きるのか。その原因は何か。たびたび申し上げてきたビルピットの問題、このビルピットからなぜ臭気が発生するのか、そのメカニズムを簡単に説明してください。
○尾崎参事 地階を有するほとんどのビルは、下水を直接公共下水道に排出することができないため、排水を一時的に貯留する排水槽が必要であります。この排水槽をビルピットと呼んでおります。
ビルピット内に排水が貯留されますと、排水が腐敗し、酸素が欠乏した状態になり、においのもとである硫化水素が生成されます。硫化水素はビルピット内では排水中に溶け込んでおりますが、排水ポンプにより下水道に排出されるときに、気化して下水道管内に充満し、雨水ますの開口部などから悪臭となって周辺に排出され、においを感じることになります。
○木内委員 このビルピットの臭気というのは、おおむねビルの地下にある排水槽の排水が腐って、それを下水道に流すときに発生する硫化水素ガスが原因ということ、これは非常にわかりやすいわけでありますけれども、このビルピット臭気対策を講ずるのは、さっきもいったように民の分野にわたるから、官がなかなか入り込めないという問題があるんですけども、この点のご苦労も含めて、これまでの経過、繰り返しになるけれども、ご報告願います。
○尾崎参事 ビルピット内で硫化水素が発生するのを抑制することが根本的な対策でございます。排水が腐敗するのを抑制するため、ビルピット内に空気を送り、攪拌する装置を設置することが有効であります。
また、排水がビルピット内にとどまる時間を短くするため、排水ポンプを小まめに運転することや、ビルピット内に仕切り壁を設けるなど、排水槽そのものを小さくすることも有効であります。
これらの方策を、単独もしくは組み合わせて実施する必要がございます。このような改善対策をビル所有者に要請し、指導しているところでございます。
○木内委員 結局、根本的な対策は、ビルの所有者の協力が必要だということに尽きてしまうんですね。そこに難しさがあるんです。
このほかにも即効性のある対策も必要ですけれども、具体的な対策あるいは技術の開発、これが必要だと思うんですね。
いずれにしても、きょうの質疑をあだやおろそかにしないで、各地域における臭気対策の解決を図るとともに、懸命な技術開発を行って、これを反映して、ご努力をいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
○尾崎参事 即効性はあるが一時的な臭気対策としまして、雨水は流れるが悪臭は地上に出さないような防臭器具を雨水ますに設置することが効果的であります。下水道局では、これら防臭器具を平成二十年度までに約二万カ所に設置しております。
また、新たな技術開発の取り組みといたしまして、産業労働局の社会的課題解決型研究開発助成事業におきまして、下水道局がビルピット臭気抑制技術の開発というテーマを設定し、比較的安価で排水槽の改造が少なくて済む民間企業からの提案を促したところでございます。
その結果、複数の民間企業が参画し、オゾンや薬剤を使用する臭気抑制装置を開発しており、今後、その装置について成果検証を行っていく予定でございます。
○木内委員 おのずと議論の経過から推察されるわけでありますけれども、臭気苦情の多い地域でこの対策を進める上で困難なことは何か、これを明確にしてもらって、政治の役割も私から申し上げたいと思う。
○尾崎参事 ビルピット臭気につきましては、一過性であることが多いことから、まず発生源ビルを特定することが容易ではございません。加えて、ビルピット臭気の改善対策は、ビル所有者が対策を実施することから、ある程度の費用と時間が必要となり、ビル所有者などの協力を得るのが困難な場合がございます。
○木内委員 いわば法的に指導権限のない下水道局のみでは、本当に困難な作業を伴うということだと思うんですね。したがって、皆さんには、現状の中でご努力を最大限にしていただく一方、政治に携わる我々は、それぞれの会派の立場で、国をも動かし、あるいは関係機関とも協議を行って、法改正あるいは条例改正等のもとで、さらに仕事がしやすくなるような環境をつくらなければいけない、そういう決意も、今、私は述べさせていただきたいと思うのであります。
ちょっと委員長、済みません。速記とめていただけますか、いないけど。
○神林委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○神林委員長 再開してください。
○木内委員 いろいろお尋ねしてきたわけでありますけれども、いろんな横断的な、セクションまたがっているわけでありまして、関係局や特別区との連携も重要であります。
今後、臭気対策を、きょうの議論を踏まえてさらに精力的、積極的に進めていく、その方針と局の考えを承りたいと思います。
○尾崎参事 ビルピット臭気対策には複数の局が関係いたします。関係局は、都市整備局、福祉保健局、環境局、下水道局でございまして、総合的に取り組むために、ビルピット対策指導要綱をつくり、役割分担をしております。
下水道局では、ビル衛生管理法を所管する福祉保健局や特別区などと連携しまして、個別のビルごとに現地での改善指導を実施しているところでございます。
また、平成十八年度までにすべての区に設置されました臭気対策協議会において、情報交換、情報の共有化を図っているところでございます。
さらに、ビルピット臭気への対応をわかりやすく取りまとめましたビルピット臭気対策マニュアルが、関係局と特別区の協力のもと、平成二十年度に作成され、現在活用を図っているところでございます。
関係局や特別区との連携をより一層図り、ビルピット臭気対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○木内委員 臭気問題の根絶を目指して、ぜひとも局一体となって今後ご努力願いたいと、強く申し述べておきます。
技術開発の問題であります。
下水道局では昭和四十五年に技術開発のセクションが設けられておりまして、既に四十年も前から、下水道事業を進めていく上で技術開発を重視してきたということが容易にうかがえるわけであります。
現在、東京都では、水と緑の回廊に包まれた美しいまちの復活ですとか、世界で最も環境負荷の少ない都市など、環境先進都市東京を目指し、施策の実現に向けて取り組んでいるわけでありまして、我々も知恵を一生懸命絞っているわけでありますが、この中における下水道事業が果たしていく役割も非常に大きい、こう考えているわけであります。
今、具体的に直面する多くの課題に対応するために、実は、我々が知る以上に深い広い分野にわたって、この技術開発というものが成果を見ていると思うわけであります。
例えば、効率的な管渠再構築を行うための更生工法開発でありますとか、あるいは管渠の内側への対応でありますとか、あるいは温室効果ガスの削減技術といった大きなテーマのもとにさまざまな技術開発の成果を見ている、こう思うわけでありますが、これも簡単にご報告願います。
○東郷技術開発担当部長 下水道局はこれまでも、それぞれの時代のニーズにこたえるため、技術開発を進めてまいりました。
主な事例といたしましては、ただいま先生からもご指摘ございました、効率的に下水道管の再構築を行うために、非開削で施工可能な更生工法を開発いたしました。これは、劣化した下水道管の内側を硬質塩化ビニールで被覆する工法でございまして、道路を掘り返すことがないため、騒音、振動が少なく、開削工法に比べ工期短縮やコスト縮減が図れるといった特徴がございます。
また、東京湾の富栄養化の原因となる窒素と燐を効率的に除去する高度水処理技術として、嫌気無酸素好気法を開発いたしました。この技術は、下水処理のかなめである生物反応槽を酸素濃度の異なる槽に分け、各槽での微生物の働きの違いを利用して窒素と燐を除去するもので、現在までに十二カ所の水再生センターに導入してございます。
さらに、温室効果ガスの削減技術として、汚泥焼却時の温度を八百度Cから八百五十度Cに上げることにより、二酸化炭素の約三百十倍の温室効果がある一酸化二窒素を大幅に削減する高温焼却技術を開発いたしました。
この技術の導入などにより、昨年度の下水道事業から排出される温室効果ガスについては、京都議定書で定められた一九九〇年比六%の削減目標値九十五・六万トン以下である約八十八万トンまで削減してございます。
これらの技術については、日本で初めて開発された技術もあり、東京都だけでなく他の自治体にも導入されてございます。
○木内委員 さっき開会前に、局長初め皆さんと懇談をしている中で、東京都の下水道局の技術は世界一じゃないかといったら、日本一という認識はあるけれども世界一は、というけど、私はそう思っているんです。
あれほどエスプリのきいたフランス、私もよく俗説を引くことが多いんだけれども、香水が発達したのも、あるいは鯨の骨を使って何か女性のドレスの膨らみを発明したのも、下水が発達していなかったからだと、俗説かもしれないけど、よく当時のことをいわれるぐらいでありまして、それにしたら、今も話があったけれども、日本で初めて開発された技術もあり、東京都だけでなく他の自治体にも導入されている。これ、海外にどんどん技術輸出すべきだというふうに思うし、そういう成果もあると思うんですね。
こういう成果を出すに当たって、着目している重要な角度というものがあると思うんですが、これは何ですか。
○東郷技術開発担当部長 下水道局では、事業の実施に当たり、直面する技術的な諸課題の解決はもとより、将来的な課題に備えて先駆的な技術の開発に計画的に取り組んでおります。
その取り組みを円滑かつ効率的に進めるため、平成十一年度に技術開発推進計画を策定し、技術開発を進めてまいりました。その後も、時代のニーズに合わせた見直しを行っております。
技術開発推進計画二〇〇八では、震災対策、合流改善対策などの安全性、快適性の向上、コスト縮減や予防保全技術などの事業の効率化、高品質化、地球温暖化や資源の有効利用などの地球環境保全への貢献を重要なテーマに設定し、開発に取り組んでいるところでございます。
○木内委員 今あった資源の有効利用とかさまざまあるんですが、この前、長野県の諏訪市で、これ、新聞記事で申しわけないんだけど、下水汚泥から金を生み出す錬金術、諏訪湖流域下水道豊田終末処理場が成功、去年の秋から売り始めて、既に一千七百万円に化けた。日本下水道事業団の調査で、汚泥焼却灰の処理で出る粉じん、溶融飛灰一トンに約千八百九十グラムの金が含まれていることがわかった。
恐らく、特殊な地域の特殊な背景と特殊な事情によるものかもしれないし、私は確認しておりませんけれども、ただ、今いわれたように、下水道局の処理技術、下水道の処理技術によってもたらされる、こういう新しい時代に対応する資源の取得といいますか、有効利用、こういうのも必要じゃないかと思うんですがね。
燐なんかも、資源回収が可能となってくれば、これは農業用の肥料として使ったりもできる。かつては邪魔者扱いだったものが、今、実は逆の展開が可能になっている、技術的に、ということも聞いているんですが、この辺いろいろ取りまぜて答弁願えますか。
○東郷技術開発担当部長 これまでも、汚泥の資源化を図るため、汚泥焼却灰をセメント原料やアスファルト混合物などに活用しており、平成二十年度末現在の汚泥資源化率は約七割となっております。
しかし、汚泥の焼却灰には、灰の資源化の支障となる燐が含有されているため、この除去が課題でございました。そのため、焼却灰から燐を除去、回収する技術を民間と共同で研究してございます。
一方、燐は、ただいまご指摘のように、肥料などに用いられている有用な資源であることから、資源の供給源としても期待できるところでございます。
今後とも、資源の有効利用の拡大に向け、技術開発に取り組んでまいります。
○木内委員 いずれにしても、今まで技術開発について、散発的な聞き方で恐縮でしたけれども、お尋ねしてきました。
いずれにしても、これを効率的、効果的に進めていくことが必要だというふうに思います。「十年後の東京」にある近未来図を確実に実現していくためには、同じく着実な技術開発をしていくことが重要であると思うんですね。持続可能ないわゆる社会形成に向けて、下水道事業もその役割を果たしていかなければならないと思うんです。
質疑の締めくくりとして、局長の答弁を求めたいと思います。
○松田下水道局長 東京の下水道は、大都市の中に集中的に整備をされた、ほかに例を見ない巨大な都市の基盤施設でございます。この下水道の機能を継続的に発展的に確保していくために、また新たな課題に的確に対応していくために、さまざまな状況に対応できる技術開発が極めて重要でございます。
下水道局では、平成二十年度末で、出願中のものも含めまして二百七十件を超える特許などの件数を有しており、都政の中でもぬきんでた実績を上げてきております。この力をさらに伸ばして、産業界、大学などの研究機関などの力をおかりしながら、東京はもとより、全国の下水道がこれらの技術を活用して発展していけるように、さらにまた、東京の下水道の発展なくして日本の下水道の発展はないという自信と誇りを持って、技術開発を含めて下水道事業の発展のために全力を挙げてまいります。
○神林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十九分散会
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