公営企業委員会速記録第五号

平成二十一年三月十八日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長鈴木 隆道君
副委員長たぞえ民夫君
副委員長林田  武君
理事松葉多美子君
理事田中たけし君
理事花輪ともふみ君
福士 敬子君
そなえ邦彦君
尾崎 大介君
泉谷つよし君
くまき美奈子君
鈴木貫太郎君
樺山たかし君
高島なおき君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長金子正一郎君
次長三橋  昇君
総務部長柴田 健次君
水道局局長東岡 創示君
技監尾崎  勝君
総務部長小山  隆君
下水道局局長今里伸一郎君
技監中村 益美君
総務部長細野 友希君

本日の会議に付した事件
 決議について
予算の調査(意見開陳)
・第二十四号議案 平成二十一年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 平成二十一年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 平成二十一年度東京都電気事業会計予算
・第二十七号議案 平成二十一年度東京都水道事業会計予算
・第二十八号議案 平成二十一年度東京都工業用水道事業会計予算
・第二十九号議案 平成二十一年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(決定)
・第九十五号議案 多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第九十六号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
・第九十七号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○鈴木(隆)委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、理事者から発言の申し出がございますので、これを許します。

○今里下水道局長 委員会の冒頭にお時間をおかりいたしまして、局としてのおわびを申し上げます。
 王子駅からのトイレ排水が石神井川に流入していた件につきまして、下水道局が事情を把握した時期を本年三月二日と、昨日の委員会で施設管理担当参事の方から答弁いたしましたが、その後の調査過程で、平成十九年六月には、当時の北部第二管理事務所が事態を把握していたことが判明いたしました。深くおわびいたします。
 経過をご説明いたしますと、北部第二管理事務所北出張所の職員が、石神井川に汚水が流出しているのを発見し、排出先をたどった結果、王子駅のトイレであることを確認したものです。事務所では、直ちに駅からの排水を収容する下水道管の整備につきまして検討いたしましたが、実施には至りませんでした。まことに申しわけなく、また、下水道局としても非常に情けない話でございますが、その後の事務引き継ぎ等の中がきちんとされておりませんでした結果、今日まで二年近くもトイレ排水が直接、石神井川に流出する事態を継続させてしまうということになりました。
 改めまして地元の方々に深くおわびを申し上げますとともに、委員長を初めといたしました公営企業委員会の委員の先生方にもおわび申し上げます。
 今後、本件の経過につきましてさらに調査を進めるとともに、事務引き継ぎ等の徹底策を講じるなどいたしまして、再発防止にも努めてまいります。本当に申しわけありませんでした。

○鈴木(隆)委員長 発言は終わりました。

○鈴木(隆)委員長 次に、決議について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました決議中、一件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

工業用水道料金の減免措置に関する決議(案)
 東京都議会は、平成九年三月、工業用水道料金の改定に際し、長期化する景気の低迷を踏まえ、中小零細企業が多い用水型皮革関連企業に対して、特別の減免措置を講ずるべきとの付帯決議を行った。
 その後、都議会では、東京の地域経済や都民生活の状況を考慮し、減免措置の継続を求める決議を行ってきた。
 これを受けて、都は、工業用水道料金の減免措置を実施しているが、本年三月末日をもってその実施期間が終了する。
 しかし、経済不況が続く中、用水型皮革関連企業は依然として不況業種に指定されるなど、これを取り巻く環境は、今なお厳しい状況にある。
 よって、東京都議会は、用水型皮革関連企業に係る工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、平成二十一年四月以降も、引き続き減免措置を継続するよう強く求めるものである。
 以上、決議する。
  平成二十一年三月 日
東京都議会

○鈴木(隆)委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、そのほかの決議につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承を願います。

○鈴木(隆)委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第二十四号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○田中委員 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、公営企業委員会に付託された平成二十一年度東京都予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 世界経済の減速に歯どめがかからない中、我が国においては、雇用情勢の悪化、企業業績の低迷など、足元の不況が長期化する懸念が高まっております。
 こうした中で編成された平成二十一年度東京都予算案は、都税が七千五百二十億円の大幅減収となる中にあっても、政策的経費である一般歳出を二・九%伸ばすなど、都政が取り組むべき課題の対応に財源を重点的に振り向け、都民に安心をもたらし、希望を指し示す内容となっております。
 具体的に見ますと、雇用や中小企業対策など都民生活が直面する今日の危機への対応や、環境施策の推進を通じた先進技術の支援など、東京に新たな活力を生み出す先駆的な取り組み、都市インフラの整備、更新など東京の将来をつくるための中長期的な取り組みなど、これまでの我が党の主張を踏まえ、ハード、ソフトの両面から意欲的な施策が盛り込まれており、高く評価できます。
 今日の経済危機が相当期間にわたって続く可能性がある中で、中長期的に施策を支え得る強固な財政基盤を確保する取り組みもまた重要であります。
 今回の予算では、基金や起債余力など、これまで都財政が培ってきた財政の対応力を最大限活用すると同時に、今後の経済変動に備え、財源として活用可能な基金については残高を極力維持するなど、将来を見据えた適切な措置を講じております。いざというときの財政の対応力を確保するため、基金残高の維持を図ることは必要な取り組みであり、我が党としても理解を示すものであります。
 この先も厳しい財政環境が続くことが予想されますが、日本経済が停滞している今だからこそ、東京は、日本の活力の創出に向けて主導的役割を果たさなければなりません。そのためには、揺るぎない財政基盤の確立が不可欠であり、今後とも努力を重ねていただきたいと思います。
 なお、予算執行に当たっては、今日の都民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、各局とも、施策の目的をできる限り早期に達成するべく、迅速かつ着実な事業運営に取り組まれるよう、強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、交通局関係について申し上げます。
 一、交通局経営計画新チャレンジ二〇〇七に定められました施策を実施し、サービスの向上を図るとともに、経営力の強化に努められたい。
 二、旅客輸送の基本である安全確保に万全を期するため、車両や施設の安全性の向上を図るとともに、大江戸線の可動式ホームさくの整備を進められたい。
 三、地下鉄車両の増備を図り、混雑緩和対策に取り組むとともに、駅全体の案内サインの改良や、バス接近表示装置の拡充など、利便性の向上に努められたい。
 四、だれもが利用しやすい都営地下鉄とするため、地下鉄駅のエレベーター、エスカレーター等の設置を促進されたい。
 五、ハイブリッドバスなどの低公害型バスの積極的な導入や、バイオディーゼル燃料の使用など、環境負荷の低減に努められたい。
 六、観光スポットをめぐる路線バスのPRや、バスターミナルの路線案内板に多国語の表記を追加するなど、観光客誘致に取り組まれたい。
 七、環境負荷の低減とユニバーサルデザインに配慮した新型車両を導入するなど、都電荒川線の活性化を図られたい。
 八、日暮里・舎人ライナーの車両の増備を図り、混雑緩和に取り組まれたい。また、地域との連携を強化し、経営の早期安定化を図られたい。
 九、土地の有効活用や広告料収入の増収を図るなど、関連事業を積極的に進められたい。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、利根川・荒川水系における水資源開発基本計画で予定している新規水源開発について、国等に一層の促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、その推進に努められたい。
 二、利根川水系の高度浄水の全量処理に向けた整備や貯水槽水道対策を推進し、直結給水方式の一層の普及拡大を図るなど、安全でおいしい水の供給に向けた諸施策を積極的に推進されたい。
 三、震災時その他の災害発生時においても、都民生活や都市活動、首都中枢機能等の維持に必要な水を確保できるよう、三次救急医療機関、首都中枢機関等への供給ルートの耐震強化や大口径給水管の耐震強化の取り組みのほか、他都市との応援体制の構築など、震災対策に万全を期されたい。
 四、漏水防止や出水不良解消を一層進めるため、私道内の給水管整備事業について、事業対象を拡大するなど、積極的に推進されたい。
 五、大規模浄水場の更新を見据えた代替施設の先行整備に係る所要額の積み立てや財政ルールの確立を国に提案要求するなど、将来の大規模浄水場の更新に向けた取り組みを推進されたい。
 六、蛇口から水を飲むという日本が誇る水道文化を次世代に継承するため、公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業や水道キャラバンの実施などの取り組みを積極的に推進されたい。
 七、未利用エネルギー等の活用、節水諸施策の推進など、環境に配慮した施策を積極的に推進されたい。あわせて、水源の涵養機能に加え、多摩川の安定した水量に寄与する水道水源林の保護、育成に努め、管理放棄により荒廃が進みつつある民有林を、みずから所有し管理していくことを検討されたい。
 八、従来の水量、水圧による水運用に、おいしさ及びエネルギー管理の視点を加えた新しい水供給システムの構築を進められたい。さらに、ペットボトル「東京水」を活用するなど、水道水の安全性やおいしさについて、積極的なPRに努められたい。
 九、多摩地区の統合市町の事務委託解消に当たっては、市町と十分協議の上推進するとともに、都民サービスの低下を招くことのないよう効率的な執行体制を確保されたい。
 十、平成二十二年四月の奥多摩町水道事業の都営一元化に向け、町と連携し、施設の整備手法や一元化後の運営手法の検討など、必要な準備を着実に進められたい。
 十一、国庫補助の増額及び低金利債への借りかえ、上流域の下水道の整備促進、農薬の適正使用に関する指導の強化などの河川水質の保全について、国に強く要望されたい。
 十二、職員定数の削減や資産の有効活用など経営努力に万全を期すとともに、監理団体との一体的事業運営体制の構築を進め、公共性と効率性を両立させた責任ある経営を実現されたい。
 十三、工業用水道事業においては、需要の減少傾向による厳しい経営状況を踏まえ、引き続き効率経営を推進しつつ、抜本的な経営改革について関係各局で検討を進められたい。また、用水型皮革関連企業に係る工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、引き続き減免措置を継続されたい。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇〇七の達成に全力で取り組み、都民サービスの一層の向上と経営の効率化を図られたい。
 二、快適な都市生活を確保するため、排水設備などによる悪臭の苦情に対し、迅速かつ的確に対処されたい。特に、JR王子駅トイレ排水管誤接続問題に関し、長年石神井川の悪臭に悩まされてきた住民の立場に立ち、早急に改善を求めるとともに、関係機関が連携し、万全の対策をとられたい。
 三、老朽化した下水道施設の更新を進めるとともに、あわせて機能の高度化を図るなど、再構築事業を計画的に推進されたい。
 四、都市型水害に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水対策に重点的に取り組まれたい。
 五、公共用水域の水質を保全し、豊かな水辺環境の創造に資するため、合流式下水道の改善や高度処理を積極的に推進されたい。
 六、地球環境保全に貢献するため、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組まれたい。
 七、汚泥の資源化や再生水の利用拡大、施設の上部利用等、下水道が持つ資源、空間等の有効活用を図られたい。
 八、施設の耐震性を強化するなど、震災に強い下水道システムの構築に努められたい。
 九、多摩地域の市町村が進める公共下水道事業との整合と連携に努めながら、流域下水道事業を積極的に推進されたい。
 十、下水道経営の安定に資する国庫補助金の確保及び制度の拡充等の財政措置を国に強く要望するとともに、業務運営の見直しや維持管理の効率化を図るなど、経営努力を行い、健全な財政運営に努められたい。
 以上をもって、私の意見開陳を終わります。
 ありがとうございました。

○尾崎委員 私は、都議会民主党を代表いたしまして、当委員会に調査を依頼された平成二十一年度予算案にかかわる議案について意見の開陳を行います。
 平成二十一年度予算案は、急速な景気悪化により、一般会計は前年度比三・八%減の六兆五千九百八十億円となりましたが、政策的経費である一般歳出は、前年度比二・九%増の四兆五千四百二十二億円を確保しております。
 歳入においては、景気後退と法人事業税国税化によって、法人二税が三〇・三%、都税全体で一三・六%の大幅な減収となっております。そのため、都債を、前年度比四〇・四%増の三千七百四十三億円分を発行することとしておりますが、起債依存度はいまだ低水準にあり、余力を残しております。
 歳出では、東京の将来をつくる都市インフラの整備、更新などの投資的経費を前年度比六・二%増としました。国の公共投資や東京圏の民間投資に比べれば、その規模は決して大きくありませんが、事業を厳選し、最も効果的な投資を行っていく必要があります。
 具体的な施策においては、雇用や中小企業経営に対する支援策を強化するとともに、救急・周産期医療や新型インフルエンザ対策など喫緊の重要課題にも手だてを講じるなど、短期、そして中長期的な取り組みにも財源を振り向け、都民生活を守り、未来の東京を築いていく姿勢を打ち出したことは評価できます。
 しかし、今後も、世界的な金融情勢などの動向次第では景気が下ぶれるリスクがあり、都財政を取り巻く環境は、より一層厳しさを増す可能性があります。
 そこで、都民の不安感を解消し、安心・安全を守るため、民主党が求めております耐震化やバリアフリー化などの公共投資のさらなる前倒しや、雇用対策での公的雇用創出の積み増し、生活安定化総合対策事業や職業訓練などの拡大、充実、中小企業への資金供給のさらなる円滑化、医療対策でのNICUの一・五倍増などの取り組みが必要だと考えます。そして、その基盤となる持続可能な都財政の確立に向けて、国からの税財源の移譲や法人事業税国税化の廃止を強く推し進めることが求められております。
 なお、予算を執行するに当たっては、職員の企画力や執行力などの低下が懸念されており、都民の期待にこたえるためにも、執行体制の再構築を求めておきます。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
 まず、交通局関係について申し上げます。
 一、都営地下鉄について、乗りかえの利便性向上や混雑対策に努めること。
 一、頻発する局所的豪雨に備えるため、都営地下鉄の都市型豪雨対策に努めること。
 一、バス事業について、低燃費なバス車両の導入を図るとともにエコドライブに取り組み、省エネルギー対策並びに経費節減に努めること。
 一、広告つきバス停留所上屋事業について、民間委託を検討すること。
 一、日暮里・舎人ライナーについて、乗客数の推移や混雑率の状況等に合わせ、必要に応じてダイヤの見直し等を行うこと。また、バスとの乗り継ぎについて、新たな割引制度の導入を検討すること。さらに、沿線における東西バス路線の充実に努めること。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、中小事業者が入札に参加する機会の多い小口の水道工事の発注に当たっては、工事の発注時期の平準化に努めること。
 一、水道管路の耐震化、震災時における避難場所等の応急給水の体制づくりなど、震災対策を一層進めること。
 一、多摩地区水道事業の事務委託解消に当たっては、今後の工事請負など契約のあり方について十分に検討すること。
 一、多摩地区における地下水の安定水源化について検討すること。
 一、工業用水道事業のあり方についての庁内横断的な検討を進めるに当たっては、中小零細企業の経営状況や経営環境など、きめ細かな調査を実施し、実態の十分な把握に努めること。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、中小事業者が入札に参加する機会の多い小口の下水道工事の発注に当たっては、工事の発注時期の平準化に努めること。
 一、下水道管渠の耐震化やマンホール浮上抑止対策など、震災対策を着実に進めること。
 一、老朽化した下水道管渠について、テレビカメラによる損傷状況の把握、既存管渠の有効活用などの工夫により、効率的な再構築を行うこと。
 一、合流改善クイックプランに基づく施設、管渠の整備を着実に進め、特に、先般当委員会でも取り上げられましたJR王子駅の対策は最優先としていくことはもとより、都内河川の水質浄化や臭気対策を進めること。
 以上で、都議会民主党を代表いたしましての意見開陳を終わります。

○松葉委員 都議会公明党を代表して、公営企業委員会に付託された平成二十一年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通について申し上げます。
 平成二十一年度の一般会計当初予算案は、都税が過去最大の七千五百二十億円の減収となり、予算規模が前年度に比べて三・八%減少する中、政策的経費である一般歳出は二・九%伸ばしています。都財政を取り巻く環境がこれだけ厳しくなり、予算規模が減少に転ずる中にあっても、一般歳出で増が確保されたのは、これまで都が、公明党と手を携えながら、税収の増加局面にあっても、むやみに歳出を拡大させることなく基金を積み立て、都債発行余力を蓄えるなど、堅実な財政運営を行ってきたからにほかなりません。
 二十一年度予算の歳出面を見ると、公明党が一貫して充実を要求している福祉と保健の分野では、周産期医療、新型インフルエンザ対策など喫緊の課題に的確に対応するとともに、子育て家庭支援、高齢者支援、障害者支援など、各分野において施策の充実が図られています。また、労働と経済の分野でも、急速に悪化する雇用環境へのきめ細かい対策、景気減退の中で懸命に努力している中小企業への支援、地域産業の活性化などにより、大きく拡充が図られています。投資的経費については、骨格幹線道路の整備や校庭の芝生化など、東京の将来をつくるために不可欠な施策を積極的に推進しています。このように、二十一年度予算は、短期、中長期的両面から、都政が取り組むべき課題への対応に財源を重点的に振り向けており、評価できます。
 また、今回の予算が将来の財政運営にしっかりと目配りをきかせていることに注目すべきです。米国発の金融危機に端を発した今回の経済危機が、どこまで深刻化していくのか、全く予断を許しません。二十一年度予算が、今後想定される経済変動に備えて、財源として活用可能な基金の残高を極力維持するとともに、発行余力の範囲内で都債を活用していることは、都民に対する責任ある対応だと考えます。
 今後、都財政を取り巻く環境が一層厳しさを増すことが見込まれる中、中長期的視点に立った財政運営が従来にも増して重要になってきます。公明党が提案した新たな公会計制度を活用しながら、事務事業評価の質を高め、将来にわたり施策の積極的な展開を図っていくための仕組みを定着、充実させていかねばなりません。
 将来に目を向ければ、社会資本ストックの更新経費などの財政需要が確実に増加し、都財政のかじ取りは、その困難さが一段と高まっていきます。いかなる状況にあっても、都民生活を守り続けていけるよう、今回の二十一年度予算を原動力として、財政体質を高める取り組みを一層加速させることを強く望むものであります。
 予算の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効果的かつ効率的に行うことを要望しておきます。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、交通局関係について申し上げます。
 一、交通局経営計画新チャレンジ二〇〇七に基づき、効率化の推進など一層の企業努力に取り組み、経営基盤の確立に努めるとともに、都民が安心して都営交通を利用できるよう、事故防止の取り組みを強化すること。また、交通局のさまざまな取り組みを積極的にアピールすること。
 一、地下鉄について、火災対策の強化など、車両や施設の安全性を高めるとともに、大江戸線の可動式ホームさくの整備を進めること。
 一、地下鉄駅において、エレベーターやエスカレーター等、高齢者や障害者等に優しい設備の整備を促進するとともに、ソフト面のバリアフリー化にも積極的に取り組むこと。また、混雑緩和対策として、駅施設の改良や車両の増備などに取り組むこと。
 一、バス路線について、需要の変化に対応した整備を行い、経営基盤を強化すること。また、関係機関と協力して定時運行の確保に努めること。
 一、バス車両の更新時に、ハイブリッド車等の低公害型車両を導入するとともに、グリーン経営認証を取得するなど、環境に配慮した事業運営に努めること。
 一、だれにも利用しやすいノンステップバスや都電荒川線への新型車両の導入拡大など、利用者サービスの向上を図ること。
 一、日暮里・舎人ライナーの車両を増備し、混雑緩和を図るとともに、沿線地域の活性化に向け、積極的な営業活動に努めること。
 一、障害者の自立と雇用を支援するため、地下鉄駅構内に障害者が働く店舗の設置を進めること。
 一、土地の有効活用を図り、地域の活性化に寄与するとともに、公営企業として収入の確保に努めること。
 一、都営交通における新たなICカードを活用したポイントシステムを導入すること。
 次に、水道局関係について申し上げます。
 一、水源の確保については、利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画に基づく新規水源の開発促進について、国に強く働きかけること。
 一、震災時その他の災害発生時においても、都民生活や都市活動、首都中枢機能等の維持に必要な水を供給できるよう、経年管及び初期ダクタイル管の取りかえを積極的に進めるほか、復旧用の備蓄材料の拡充及び保管場所の再整備を行うなど、水道施設の耐震化等の対策をさらに推進すること。また、隣接する水道事業者間で、水道水を広域的に相互融通する体制の強化に向けた検討を進めること。さらに、事業費の平準化等を図ることにより、将来の大規模浄水場の更新に万全を期すこと。
 一、江戸川、奥多摩湖等の水質保全対策を積極的に推進すること。
 一、安全でおいしい水を供給するため、引き続き、東村山浄水場、金町浄水場、三郷浄水場及び朝霞浄水場において、高度浄水の全量導入に向けて建設を推進すること。また、水質検査及び浄水過程における水質管理を徹底するとともに、水安全計画を着実に運用し、水質管理に万全を期すこと。さらに、公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業の実施や、貯水槽水道対策の推進、直結給水方式の普及拡大に努めること。
 一、事業財政の安定化を図るため、職員定数の削減や既定経費の節減など、一層の経営努力に努めるとともに、民間的経営手法を積極的に導入すること。また、監理団体との一体的事業運営体制の構築を進め、公共性と効率性を両立させた責任ある経営を実現すること。
 一、事業活動に伴う環境への負荷を継続的に改善し、地球環境保全に貢献するため、環境に配慮した施策を推進するとともに、多摩川上流の人工民有林における水源林の機能向上に向けた取り組みを推進し、森林保全及び都民の意識向上に努めること。
 一、PR施設の展示の充実や地域水道ニュースの発行、浄水場の施設見学会の実施など、都民に親しまれる施策を推進すること。
 一、水力発電、太陽光発電など新エネルギーの活用に努めること。
 一、工業用水道事業においては、需要の減少傾向による厳しい経営状況を踏まえ、引き続き効率経営を推進しつつ、抜本的な経営改革について関係各局で検討を進めること。また、用水型皮革関連企業に係る工業用水道料金について減収分に適切な措置を行った上、引き続き減免措置を継続すること。
 次に、下水道局関係について申し上げます。
 一、東京都下水道事業経営計画二〇〇七の達成に向けた取り組みを通じ、一層の都民サービスの向上と経営の効率化に努めること。
 一、施設の老朽化に対応しつつ、機能の高度化を図る再構築事業を計画的、効率的に進めること。
 一、都市型水害に対応するため、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水対策の推進を図ること。
 一、公共用水域の水質を保全するため、合流式下水道の改善を推進するとともに、高度処理施設の整備を促進すること。あわせて、今回明らかになった悪臭問題については、原因究明を図るとともに、改善策については真摯に取り組むこと。
 一、震災時でも下水道の機能を確保するため、管渠や施設の耐震化を図るなど、震災対策の充実に努めること。
 一、地球温暖化防止に貢献するため、積極的に温室効果ガスの排出削減に取り組むこと。
 一、多摩流域の公共下水道との連携に努めながら、流域下水道事業を促進すること。
 一、下水汚泥の資源化、下水を高度処理した再生水の利用拡大など、資源の有効利用を進めること。
 一、計画的な補修など予防保全を重視した維持管理や臭気対策の強化など、維持管理の充実を図ること。
 一、国庫補助金の確保や起債における公的資金枠の確保などの財政措置を国に強く要請すること。
 一、業務運営の見直し、建設・維持管理コストの縮減等、経営計画に示された経営効率化に一層努めること。
 以上をもちまして意見の開陳を終わります。

○たぞえ委員 日本共産党を代表して、公営企業三局予算案について意見の開陳を行います。
 アメリカ発の世界同時不況が日本経済を直撃するもとで、巨額の内部留保など、体力のある大企業は先を争って雇用破壊を進めています。派遣切りや内定取り消し、正社員の大量解雇など、かつてない規模で強行し、その影響が中小企業にも広がり、仕事は激減しています。
 小泉構造改革による増税、負担増に苦しむ都民にも、さらなる高齢者の年金、医療、介護の制度改悪や子育て世帯の保育園待機、教育費などの重い負担など、さらなる格差と貧困の広がりが都民を苦しめています。
 このようなとき、都政に求められていることは、都民の雇用と暮らし、福祉を守ることを最重点に、都民が求めている本格的な少子高齢社会への対応、行き届いた教育、中小企業の振興、地球温暖化防止、震災対策などの充実のために全力を尽くすことです。
 また、オリンピック招致の名による浪費事業や、乱脈経営の新銀行への新たな救済、築地市場の豊洲移転の押しつけなど、知事のトップダウン事業から脱却することが重要です。
 来年度予算案では、今年度と比べて七千五百億円の税収減になることを強調していますが、実質的な減収は五千六百億円である上、今年度予算は三千六百億円の基金や千四百億円の都債の繰り上げ償還など、余裕財源があったのです。減収とはいえ、石原知事就任時の一九九九年の一・二倍の四兆七千六百億円もの巨額の税収が確保され、一兆六千億円の自由に使える基金があることから、都民の要望にこたえる財源は十分にあります。
 この立場で予算原案を見ると、かねてから都民が求め、日本共産党が提案、要望してきた緊急の雇用、中小企業対策や福祉施策がある程度盛り込まれていますが、今日の深刻な事態と都の財政から見ると、不十分なものといわざるを得ません。
 しかもその一方で、税収減といいながら首都高中央環状品川線を初めとする投資的経費が五年間連続で増額され、オリンピック基金が一千億円も積み立てられるなど、浪費とため込みを引き続き進めるものになっています。
 とりわけ、交通局予算案では、引き続く職員の大幅削減、地下鉄駅業務や都営バスの民間委託化の推進を初めとした効率化を理由とした都民サービスの後退、水道局予算案では、過大な八ッ場ダムへの投資と過大な水需要による投資、業務の民間委託の拡大、下水道局予算案では、新型ミラーカメラの導入による中小企業への過大な負担増、再構築の名による芝浦水再生センターの大規模開発の推進など、本来、都民サービスの向上に尽くすべき公営企業のあり方から見ても、逸脱する予算といわざるを得ません。
 我が党は、都民生活の向上に公営企業局が立脚し、本来の姿勢に立ち戻ることを予算審議で要求してきました。公営三局が、都民要求にこたえる都政運営が行われるよう強く要望するものです。
 各局予算について、意見を述べます。
 まず、交通局についてです。
 一、都民の生活に欠かせない貴重な足になっている都営バス路線の廃止は行わないこと。交通不便地区での都営バス設置の要望に積極的にこたえ、コミュニティバスなど、地域内交通の確保のため、地元自治体と協力して推進すること。
 一、都営バスの民間委託、移譲は行わないこと。
 一、都営地下鉄の駅務の民間委託を中止するとともに、正規の駅員の増員を図ること。また、他社線と接続する駅での委託を中止し、都の職員を直ちに配置すること。保線業務などについても直営を基本とすること。
 一、大江戸線に続いて、他の都営地下鉄のホームさくの設置を急ぐこと。
 一、都営地下鉄駅の二方向避難路の設置を進めること。
 一、駅のエレベーター、エスカレーターの設置、多機能トイレの全駅設置など、バリアフリー化を積極的に推進すること。
 一、給与所得の減少や家計急変などに対応して、通学定期の割引改善など高校生の負担軽減に努めること。
 次に、水道局についてです。
 一、水需要の実態、将来の人口動態を考慮し、過大な水需要計画を見直し、投資水準を抑制すること。
 一、不要な八ッ場ダム計画の中止を国に求め、都負担の支出は行わないこと。
 一、黒字の料金収入を都民に還元するため、料金の引き下げ、減免制度の拡大に踏み出すこと。
 一、応急給水槽などの給水システムの構築に努め、震災対策を進めること。
 一、直結給水事業は中学校まで対象を拡大し、自治体の負担を軽減すること。
 一、浄水場での過大な処理費などの投資を再検討すること。
 一、都民サービスの低下とワーキングプアをもたらす業務の民間委託は見直すこと。
 次に、下水道局についてです。
 一、分流式下水道地域での排水管整備を推進すること。
 一、雨水流出抑制対策として、雨水貯留管の埋設を拡大すること。
 一、降水時の下水道工事への安全対策及び作業中止に伴う諸経費の支払いを確実に行うこと。
 一、地下鉄、地下街への浸水の防止、都心でのくぼ地、低地への雨水浸水対策など、都市型水害対策を緊急に講ずること。
 一、都民サービスの低下とワーキングプアをもたらす業務の民間委託は見直すこと。
 一、過大な事業計画を見直し、料金引き下げに努めること。
 一、元請から下請業者への工事代金未払い問題の解決に向けて、十分な対応を行うこと。
 一、JR王子駅での汚水の河川流出の再発防止に努め、周辺住民への説明を行い、厳格な対策を早期に実施すること。
 以上を申し上げ、日本共産党を代表しての意見開陳といたします。

○福士委員 それでは、私から、自治市民 ’93として、公営企業委員会に付託された二〇〇九年度予算関係議案について意見を申し述べます。
 サブプライムローン問題に端を発する金融危機が世界を襲い、世界同時不況の懸念が現実のものとなっています。出口の見えない国内の景気落ち込みとともに、東京都においても税収の落ち込みが予想され、今後は大規模開発を伴う派手な事業を戒め、都民の生活に直結する施策を地道に進めていく必要があると考えます。
 しかし、昨年末に改定された「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九では、日本全体のオリンピックムーブメント創出により招致を実現と、相変わらず建設、開発を伴うオリンピック最優先の施策が挙げられています。
 しかし、二〇一五年以降見込まれる人口減少社会を控え、東京都だけがいつまでもひとり勝ち大都市体制のままで移行することは不可能であり、また、さらなる問題を抱えることになります。むしろ今後は、持続可能な社会の基礎をつくるための重要な期間とすべきです。特に東京は、今後二十年から三十年の間に、戦後復興から高度成長期にかけて整備された都市インフラの更新ピークを迎えることが明らかです。
 諸外国でも、一般的にオリンピックは、開催終了後に景気の落ち込みが発生しています。人口減と都市インフラの大量更新を控えた現在、オリンピック招致優先によるあやふやな経済効果を吹聴する事業ではなく、市民一人一人に届く施策を実行することが必要です。
 真の都民のためとなる施策を実施するには、コストと便益の正しい評価、すなわち費用対効果を正しく把握することが必要です。二〇〇八年十一月、国は、道路の将来交通需要推計に関して自動車交通需要予測の大幅な下方修正を行い、これまで過大に見積もられていた自動車交通の便益評価手法の見直しを提言しました。今や都も、八ッ場ダムなどの事業の効果を過大に評価することなく、後年度負担をも配慮し、真に都民のためとなる実を伴った施策を進めるべきです。
 こうした視点から、公営企業としても、CO2削減や節水対策などの環境面、高齢者や障害者にも優しい都市づくりといった福祉面も視野に入れた地道な施策を行っていくことが重要です。
 これらの視点を持って事業を行うためには、都民の意見を十分に取り入れ、国の意向に迎合しない先を見越した自覚と姿勢が新たに必要です。そして今後は、さらに都全体の中で、一つ一つの事業に対する説明責任こそ真摯に果たすことが重要になってまいります。
 昨今の事業では、低価格の契約案件が増加していますが、低価格を追求するだけではなく、品質管理、安全性の面からも、技術職員の人材確保と技術の伝承につながる適正な契約を行っていくことも必要です。
 交通事業会計においては、まず、高齢化社会を見据えた公共交通の利便性の向上が望まれます。バリアフリー化は進められていますが、エレベーターがホーム端に設置され、エスカレーターは途中のみで上下に階段があるなど、利用しにくい例も見られます。また、だれでもトイレではオストメイト対応が進められていますが、障害者からは温水洗浄便座の設置を求める声も多く出されています。実質的な利用者の利便性を確保すべきです。
 環境面においては、ピークオイルが取りざたされている現在、諸外国におくれをとったバイオディーゼル燃料の推進など、CO2削減につながる施策を進める必要があります。食料と競合しない燃料など、次世代のバイオ燃料の開発に取り組むほか、交通局として率先して導入を行った結果を広く民間にフィードバックし、普及啓発活動にも努めていくことが重要です。
 このほか、ぜんそくなど呼吸器のみならず、循環器も含め、特に健康への影響が大きい排気ガス中の微小粒子PM二・五についても、環境局と協力の上、早期に対策を始めるべきです。
 また、駅構内に設置された監視カメラについては、犯罪予防につながるものではなく、法的にも個人情報保護に関して違憲と判断された例もあります。人権侵害とならないよう適正な運営を行い、警視庁で進められている三次元顔形状データベースシステムについての安易な導入につながらないよう考慮すべきです。
 水道事業会計においては、過大な水需要予測をし、巨額な投資を考慮しないまま水源開発計画が進められています。都における一日最大配水量は、七〇年代後半以降、減少傾向に転じているにもかかわらず、都は、実態と大幅にかけ離れた水需要が増加する予測を繰り返しています。都に関連する水源開発の多くは国の事業ですが、都としては事業の是非を真摯に考え、国に対して声を上げていくことが必要です。
 また、国の事業であっても、都としてその安全性に目を向ける必要があります。八ッ場ダムは地盤のもろい地すべり地帯に計画されているにもかかわらず、堤体積を四割も減らしています。以前のご答弁ではコスト削減が理由ではないとのことでしたが、安全性に目をつぶり、コスト削減を図っているとしか思えません。国のいい分をうのみにせず、都も独自に安全性の検討を行い、水道事業の総合的判断を行ってこそ、地方自治権が確立されることになります。
 下水道事業では、昨今の急激な大量雨量の処理に当たって、単に調節池などに頼るのみならず、個々家庭での貯水、雨水利用も含めた幅広い施策を考慮すべきです。
 次に、各局について申し述べます。
 初めに、交通局関係では、一、LRTなど地域性に見合った低コストの交通機関整備を考慮すること。
 一、車を持たない後期高齢者の増加を考慮し、バスレーンの徹底などバス交通の利便性と充実に努めるほか、公共交通の一層の充実を図ること。
 一、環境に配慮した低公害バス、ノンステップバスの一層の推進を図ること。
 一、今年度末までの導入事業の結果を踏まえ、都が率先してCO2削減につながるバイオディーゼル燃料の導入をさらに推進し、一般への普及啓発の役割も担うこと。
 一、地下鉄等のバリアフリー対策は、高齢者、障害者等が実際に利用しやすいよう、利用者の意見を踏まえた対策を行うこと。
 一、オストメイト対応とともに、障害者から要望の多い温水洗浄便座を早急に導入すること。
 一、外国人や旅行者にもわかりやすいように、乗りかえ案内やサインなどを改善していくこと。
 一、公共交通として、不祥事の発生や事故に至らないよう、安全対策及び人材教育など十分に考慮すること。
 一、駅構内に設置する監視カメラについては、個人情報保護に配慮し、人権侵害とならないように適正な運用を行うこと。
 一、環境局と協力の上、早期に微小粒子PM二・五対策を始めること。
 次に、水道局関係では、一、人口減、そして、地球環境的な配慮も含めた適正な渇水被害評価や水需要予測を行うこと。
 一、都の責任として、水資源開発計画の再検討を行うこと。
 一、明らかな生産人口減を考慮し、八ッ場ダム等、過大な投資により都民にむだな財源支出を強いることを行わないこと。たとえ国家事業といえども、都として必要性を独自に判断し、将来的な責任を受けとめること。
 一、近年、ダム建設において地すべりの安全性を甘く見積もる傾向のある国に対し、安全基準の見直しや対策の徹底を申し入れること。
 一、貯水タンクの調査点検とともに、直圧直結給水のPRも含め推進し、水道水の安全性をさらに高めること。
 一、小学校などの直圧直結給水を各市区町村とも連携し、推進すること。
 一、児童生徒への教育活動は、広く全体的になるよう努力すること。
 一、雨水利用、中水道利用といった節水型都市づくりのほか、渇水時にその状態自体をも利用して、都民への啓発活動など意識改革も含め、真剣に取り組むこと。
 一、自然エネルギー、未利用エネルギーの活用など、環境に配慮した施策への取り組みを一層推進すること。
 一、技術職員の人材確保と技術の伝承に努めること。
 最後に、下水道局関係では、一、流域下水道対応の困難な地域について、合併式浄化槽などのほか、部分地域の浄化処理施設などさまざまな知恵を出した解決策を求めること。
 一、都市型浸水対策及び合流式下水道による処理費用の増加対策として、それらに頼るのみならず、緑化を含む雨水の地下浸透や雨水の資源としての利用など、さまざまな施策を総合的に進めること。
 一、浸水対策としては、墨田区の天水尊に代表されるような簡便かつ少資金で進められる施策にも目を向け、各関係局のほか、区市町村とも連携をとりつつ推進すること。
 一、老朽化した設備の維持管理、更新については、計画的な再構築を行うと同時に、アセットマネジメントの考え方について効果の検証を行うこと。
 一、下水管の修繕などの工事において安全対策、事故対策を常にチェックし、危険性に対する危機管理意識を全員が持つように教育すること。
 一、汚泥炭化燃料については、運搬、設備運営などを含めた環境に対するコストを含めて有効性を検証すること。
 一、技術職員の人材確保と技術の伝承に努めること。
 以上で意見開陳を終わります。

○そなえ委員 民主フォーラムを代表して、意見の開陳を行います。
 最初に、各局共通であります。
 世界的な経済危機、百年に一度といわれる経済不況のもとで、都の財政に与える影響も大であります。大手自動車産業、電機メーカー産業等、軒並みの赤字転落のもとで、都税の法人二税の大幅な減収が予想されます。そのような厳しい財政状況のもとでの予算執行であります。
 本定例会にも、一定規模以上の事業者に対して低公害車に加え、低燃費の車の導入を義務づける環境確保条例の改正案が出されています。また、電気自動車などへの自動車税減税や、太陽エネルギー利用機器の利用への助成制度もスタートさせるということであります。まさに知事のいう環境の世紀のトップランナーを目指すということであります。
 それは逆に、都みずからが地球温暖化対策の先頭に立つということであります。今こそ環境対策をより具体化し、実践していく必要があるのではないでしょうか。また、耐震化対策や局地的集中豪雨対策も、さらに推進していかねばならないでしょう。
 団塊世代が大量退職するこの時期、都民サービスを低下させることなく、効率的な経営が求められます。そのためにも職員の計画的な定数削減と適正配置を図り、技術力を低下させないで、民間と同じような意識を持ってお客様本位の質の高いサービスの提供をするよう、さらなる努力をお願いいたします。
 それでは、各局、最初に交通局関係であります。
 一、再開発等大きな需要が見込まれるところについては、新設路線を含め、積極的な拡大に努めること。
 一、狭隘な道路、交通不便地域の住民のため、小型バスの導入を検討すること。
 一、バリアフリー化推進のため、地下鉄のエレベーター、エスカレーターの早期全駅設置とだれでもトイレの増設を促進すること。また、バス車両では、ノンステップ車両の積極的導入を図ること。
 一、バス車両については、環境対策のため低公害車両にし、バイオディーゼル燃料の開発や次世代型低公害バス車両を積極的に導入すること。
 一、地下鉄の火災対策として早期に排煙設備の設置を促進すること。また、地震対策についても万全を期すこと。
 一、広告が活用できるところは、車両を含め積極的に広告料の収入増を図り、経営基盤の確立の一助とすること。
 一、地下鉄駅構内に障害者が働く店舗の拡大を図ること。
 一、可動式ホームさくの早期整備を行うこと。
 一、利用客の利便性、快適性に合ったバス停を整備すること。
 次に、水道局関係です。
 一、事故、震災時対策のため、応急給水槽の建設と、特に多摩地区におけるバックアップ機能の強化を早急に図ること。また、三次救急機関等への供給ルートの耐震化に取り組むこと。
 一、地下水については、可能な範囲で利用していくこと。
 一、水飲栓直結給水方式への転換をさらに促進させること。
 一、多摩地区の事務事業委託解消に際しては、業務については地元優先を継続すること。
 一、耐震性の高い水道管への取りかえの推進を図ること。
 最後に、下水道局関係です。
 一、多摩地域の広域的な流域下水道事業のさらなる促進をすること。
 一、震災対策として耐震化工事を促進することと、老朽化施設を早期に再構築すること。
 一、下水汚泥の有効活用の一層の促進を図ること。
 一、下水道施設の工事に当たっては、委託も含め、工事関係者に事故防止の徹底指導をすること。
 一、下水汚泥の炭化施設、ガス化施設のさらなる整備の推進をすること。
 一、局地的集中豪雨に対応するための下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を図ること。
 以上です。

○鈴木(隆)委員長 以上で予算に対する意見開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において取りまとめの上、調査報告書として議長に提出をいたします。ご了承を願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○鈴木(隆)委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第九十五号議案から第九十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第九十五号議案から第九十七号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(隆)委員長 異議なしと認めます。よって、第九十五号議案から第九十七号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○鈴木(隆)委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(隆)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○鈴木(隆)委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、金子交通局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○金子交通局長 公営企業三局を代表いたしまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 鈴木委員長を初め、委員の皆様方におかれましては、今回ご審議を賜りました議案等につきまして、ご決定をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 今後の事業執行に当たりましては、審議の過程でちょうだいいたしましたご意見、ご指摘をそれぞれの事業に十分反映させ、都民サービスのさらなる向上を図るとともに、より効率的な経営に努めてまいる所存でございます。
 今後とも、公営企業三局に対しまして、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、お礼のあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。

○鈴木(隆)委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十五分散会

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