公営企業委員会速記録第四号

平成二十一年三月十七日(火曜日)
第十委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長鈴木 隆道君
副委員長たぞえ民夫君
副委員長林田  武君
理事松葉多美子君
理事田中たけし君
理事花輪ともふみ君
福士 敬子君
そなえ邦彦君
尾崎 大介君
泉谷つよし君
くまき美奈子君
鈴木貫太郎君
樺山たかし君
高島なおき君

 欠席委員 なし

 出席説明員
水道局局長東岡 創示君
技監尾崎  勝君
総務部長小山  隆君
職員部長森 祐二郎君
経理部長山本 憲一君
サービス推進部長内海 正彰君
浄水部長増子  敦君
給水部長吉田  永君
建設部長今井 茂樹君
設備担当部長吉田  進君
参事高原 俊幸君
参事坂内 顕宏君
多摩水道改革推進本部本部長鈴木 孝三君
調整部長大平 晃司君
施設部長佐竹 哲夫君
参事酒井  晃君
下水道局局長今里伸一郎君
技監中村 益美君
総務部長細野 友希君
職員部長阿部 義博君
経理部長佐藤 仁貞君
計画調整部長小川 健一君
技術開発担当部長東郷  展君
施設管理部長宇田川孝之君
建設部長黒住 光浩君
参事小山 哲司君
流域下水道本部本部長新田 洋平君
管理部長梶原  明君
技術部長高相 恒人君

本日の会議に付した事件
 水道局関係
請願の審査
(1)二一第二号 工業用水道料金の減免措置及び減免率の継続に関する請願
予算調査(質疑)
・第二十七号議案 平成二十一年度東京都水道事業会計予算
・第二十八号議案 平成二十一年度東京都工業用水道事業会計予算
 下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十九号議案 平成二十一年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第九十五号議案 多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第九十六号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
・第九十七号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について

○鈴木(隆)委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の請願審査、水道局及び下水道局関係の平成二十一年度予算の調査、並びに下水道局関係の付託議案の審査を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 初めに、請願の審査を行います。
 二一第二号、工業用水道料金の減免措置及び減免率の継続に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○小山総務部長 請願につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
 この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨としましては、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
 この請願に関する現在の状況でございますが、用水型皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成二十年第一回東京都議会定例会における工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補てんを前提に、独立採算の原則及び負担の公平に対します例外的措置として、平成二十一年三月三十一日までを期間として、基本料率の一〇%を減免しているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議くださいますようお願いいたします。

○鈴木(隆)委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(隆)委員長 ないようでありますので、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(隆)委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第二号は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。

○鈴木(隆)委員長 次に、予算の調査を行います。
 第二十七号議案及び第二十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小山総務部長 お手元に配布しております資料をごらんください。さきの委員会におきまして資料要求のございました事項をまとめたものでございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。未納カード発行枚数及び給水停止件数の推移でございます。
 平成十年度から十九年度までの未納カード発行枚数と給水停止件数をお示ししてございます。
 二ページをお開きいただきたいと存じます。水道料金減免実績の推移でございます。
 平成十年度から十九年度までの条例分、決議分及びそれらの合計につきまして、減免件数、減免額をそれぞれお示ししてございます。
 三ページをお開きいただきたいと存じます。基本水量内件数と超過件数の推移でございます。
 平成十五年度から十九年度までの調定件数における基本水量内件数、基本水量超過件数及びそれらの合計をお示ししてございます。
 四ページをお開きいただきたいと存じます。東京都の保有水源量と一日最大配水量でございます。
 平成十五年度から十九年度までの保有水源量、一日最大配水量をお示ししてございます。
 五ページをお開きいただきたいと存じます。公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業の学校数でございます。
 平成十九年度から二十二年度までの学校数をお示ししてございます。
 六ページをお開きいただきたいと存じます。高度浄水施設整備費の推移でございます。
 平成十七年度から二十一年度までの施設整備費をお示ししてございます。
 七ページをお開きいただきたいと存じます。職員の年齢別在籍者数の推移でございます。
 平成十一年度から二十年度までの再任用、再雇用職員を除いた年代別の職員数及び合計をお示ししてございます。
 要求のありました資料の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木(隆)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 一般に企業の経営資源とは、人、物、金であるといわれておりますが、公営企業であります水道事業も例外ではないと思っております。この人、物、金、これはいいかえますと、人材、資産、財政のありようでございますが、これこそが水道局としての安定給水する上での基盤だと思っております。その基盤をより確かなものとするためには、長期的な視点に立って、現在なすべき対策を着実に実施していくことが欠かせません。このような観点から、将来にわたる安定給水の確保について、何点かお伺いをいたします。
 まず、人材についてでありますが、水道局では、平成二十一年度予算案に二百五十人の定員削減を盛り込んでおります。東京水道経営プラン二〇〇七の計画期間は平成十九年度から二十一年度まででありますが、この三年間では合計六百五十人の定数削減を達成すると伺っております。こうした経営努力は大変高く評価したいと思っております。
 しかし、一方で、団塊の世代の大量退職や近年の採用抑制に伴い、技術やノウハウの継承が課題になっているという指摘もございます。
 そこで、まず、水道局職員の年齢構成が、現在どのようになっているのかお伺いをいたします。

○森職員部長 現在の当局職員の年齢構成でございますが、平成二十年四月一日現在の正規職員数を世代別に見ますと、五十代が一千四百六十九人と最も多く、二十代までの職員が三百六十八人と最も少なくなっております。
 なお、二十代までの職員は、採用抑制の影響もあり、過去十年間で九百四十四人減少をしております。

○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、今後、ベテラン職員が大量に退職していくわけで、これは好むと好まざるとにかかわらず、これまで以上に少数精鋭の組織に転換せざるを得ないことを示しているものと思っております。
 こうした中で、これまで培ってまいりました水道技術を維持発展させ、安定給水を続けていくためには、着実に技術継承できる仕組みとしっかりとした執行体制をつくり上げていくことが必要だと思っております。
 そこで、水道局におきます技術やノウハウの継承のための対応策と、安定給水確保のための体制づくりについてお伺いをいたします。

○森職員部長 まず、技術やノウハウを継承するための対応策につきましては、より組織的なOJTの推進や、研修・開発センターの実技フィールドを活用いたしました実践的な研修を行うのはもちろんでございますが、これに加えまして、ベテラン職員の技術、ノウハウを継承するために、局内にこれらをデータベース化したナレッジバンクを設けますとともに、高い技術を持った職員を認定する水道技術エキスパート制度を創設したところでございまして、これらを十分活用してまいります。
 また、安定給水確保のための体制づくりにつきましては、事業運営の根幹にかかわる部分は水道局が直接担いつつ、監理団体、民間事業者と連携協力いたしまして、効率的で責任ある一体的事業運営体制を構築してまいります。

○田中委員 水道事業はいうまでもなく都民生活に密接にかかわるインフラであり、公共性が非常に高い事業であります。今、監理団体や民間事業者と連携をして一体的事業運営体制を構築していくとのご答弁がございましたが、何よりも水道局が事業全体をリードし、コントロールしていくことが重要ではないかと思っております。
 この点は、昨年の第三回定例会におきまして、当委員会の委員でもいらっしゃいます、我が党の高島幹事長も指摘をしたとおりであります。そのためには、まず、水道局がどの部分を直接担うか、これを適切に判断する、そして直営分野については人員削減だけではなく、適切な人員を確保、育成していくことが重要だと思っております。ぜひともこうしたことに留意しながら、一体的事業運営体制を構築していただきたいと思います。
 次に、資産についてお伺いをいたします。
 今後、浄水場などの大規模施設が集中的に更新時期を迎えると伺っております。そこで、まずお伺いをいたしますが、大規模施設の現状と今後の更新の見通しについて具体的に明らかにしていただきたいと思います。

○高原参事 東京の水道は、高度経済成長期におきまして、人口や産業の集中、給水普及率の上昇等に伴って急増する水需要に追いつくため、拡張に次ぐ拡張を繰り返してまいりました。昭和三十五年の東村山浄水場第一期施設や、昭和四十一年の朝霞浄水場第一期施設の通水など、昭和三十年代後半から昭和四十年代にかけて浄水場の約七割を集中的に整備してまいりました。
 これらの施設では、経年化に伴い維持補修工事も多くなってきております。施設の耐用年数を考慮いたしますと、多くの浄水場では、今からおおむね十年後の平成三十年代以降から集中して更新の時期を迎えることとなります。

○田中委員 そのように更新を行いますと、その間、施設能力の低下を避けることはできません。そうしますと、複数の浄水場の更新時期が集中することも考えられるわけでございますが、安定給水に支障が生じないか心配をされるところであります。
 そこで、安定給水を確保しながら並行して更新を行うための対応策についてお伺いをいたします。

○高原参事 ご指摘のとおり、複数の浄水場で更新が重複して行われるなど、更新時期が集中する場合には、現状の施設能力を維持することは困難となります。このため、更新に当たっては施設能力に不足が生じることのないよう、平成二十五年を目途として、先行的に代替施設の整備に着手する予定でございます。
 さらに、適切な維持管理を行うなど、可能な限り施設の延命化を図って更新時期を平準化することにより、安定給水を確保してまいります。

○田中委員 水道施設の機能を維持していくためには、適切な管理と計画的な更新が重要であります。安定給水に支障を来すことがないよう配慮しながら、確実に更新を進めていただきたいと思います。
 最後に、先ほど申し上げた経営資源の最後、財政についてお伺いをいたします。
 先ほど、大規模浄水場の約七割が高度経済成長期に集中して建設されたと伺いました。当時は、建設に要する資金需要が財政に与える影響も相当なものだったと思っております。そこで、大規模施設を集中して建設していた時期を含めて、これまでの財政状況がどうだったのか、お伺いをいたします。

○小山総務部長 高度経済成長期には、急増する水需要に対応するため、浄水場などの大規模施設を集中して建設いたしました。昭和三十六年度から四十年度までの五年間には、建設改良費の対前年度伸び率が平均で三割に達するなど、毎年度多額の投資資金を必要としておりました。その財源の多くを企業債に求めましたことから、昭和四十年度には企業債の元利償還金が料金収入に占める割合が七割を超えるなど、一時的には非常に厳しい財政状況にもなりました。
 その後、新規施設の建設が一段落するとともに、企業債の償還を進め、有利子負債の圧縮に努めてきた結果、料金収入に占める元利償還金の割合は徐々に低下をし、平成二十一年度予算では、その割合は約二割となっております。
 また、財政の健全性を示す指標であります自己資本構成比率は、昭和四十年度の二七・七%が、平成二十一年度予算では七七・六%まで上昇しておりまして、経営の安定化が図られてきているというふうに考えております。

○田中委員 ただいま幾つかの数字を示していただきまして、着実に財政の健全化が図られてきたということが確認できました。しかし、今後迎えます水道施設の大量更新、再構築には、高度経済成長期当時とは異なる対応が迫られることが明らかだと思っております。
 高度経済成長期は、東京オリンピックの開催などを契機として、日本全体がいわゆる右肩上がりの高い経済成長を遂げていた時期でありまして、投資した資金は、確実に料金収入の増収という形で賄われてまいりました。
 しかし、今後の更新、再構築におきましては、今日のような経済状況のもとでは、多額の投資資金を要するにもかかわらず、料金収入の増収はなかなか見込めません。このため、仮に更新時期の平準化を図ったとしても、再び有利子負債の増加を招き、健全な財政運営に支障を来すのではないか、このように懸念をされるところであります。
 こうしたことを踏まえまして、水道局では、平成十九年度から、将来の更新に備え積み立てを行っているとも伺っておりますが、将来の財源確保についてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。

○小山総務部長 水道施設の本格的な更新に先立って建設する代替施設の整備費は、約一千二百億円を見込んでおります。この整備財源の一部に充てることを目的に、大規模浄水場更新積立金を平成十九年度から少なくとも毎年五十億円、十年間で五百億円を積み立てることとしております。
 こうした先行代替施設整備後の本格的な更新期には、さらに多額の更新経費が見込まれております。これらの経費につきましては、独立採算の原則に基づき、事業運営に必要な経費は可能な限り自己財源で賄うことを原則として、更新時期の平準化や更新コストの抑制とともに、国の役割を含めた財政制度のあり方などについて、総合的に、多角的に検討していくことが必要と認識しております。

○田中委員 ありがとうございます。ここまでの質問で、いわゆる経営資源の三要素であります人、物、金、つまりは人材、資産、財政に関しましての水道局の取り組みや課題についてお伺いをしてまいりました。いずれも長期的な視点での検討が欠かせない課題でございます。本日私が取り上げましたさまざまな課題は、いずれも一朝一夕に解決し得ることではなく、将来何らかの問題が生じてから対応しようとしても手おくれになるような課題ばかりであります。将来に禍根を残すことがないよう、今からしっかりとその対策を打っていただきたいと思います。
 そこで最後に、持続的な事業運営を行い、将来的に安定給水を果たしていくことについての局長のご決意をお伺いし、私の質問を終わります。

○東岡水道局長 水道は、首都東京の都市活動、都民生活を支える重要なライフラインであり、現在だけでなく将来にわたって安定給水を確保し、都民の暮らしの安全・安心を支えていくことが必要であります。そのためには、将来を担う人材の確保、育成、水道施設の適切な維持管理と更新、健全な財政基盤の維持など、直面する課題に確実に取り組んでいくことが極めて重要であると認識しております。
 加えて、持続的な事業運営が可能となるよう、将来のリスクにも不安のない水源の確保や、環境負荷に配慮した水道システムなど、長期的なビジョンに基づいた事業運営を行っていくことが重要であると考えております。こうした観点に立って、次の経営プラン策定時には、将来の水道のあり方について明らかにしていきたいと考えております。
 これらもろもろの努力を通じて、現在及び将来にわたる安定給水の確保を目指してまいります。

○松葉委員 水道局では、より安全でおいしい水を都民の皆様に届けるために、高度浄水施設の整備や直結給水の普及促進など、さまざまな施策を行っています。直結給水については、昨年度から公立小学校を対象に、水飲み栓の直結化をモデル事業として実施をしています。私の地元の杉並区でも、直結化工事を完了した学校から、水がおいしくなったというお声も聞いております。次世代を担う子どもたちに、水道水を直接蛇口から飲むという水道の文化を伝えていくことは、意義深い取り組みであると思っております。公明党もこの取り組みを大変に評価をしております。
 そこで、まず、これまでの実施状況について伺います。

○吉田給水部長 公立小学校の水飲み栓を直結給水に切りかえますモデル事業につきましては、都営水道区域内の公立小学校の約三割に相当いたします四百校を対象枠として、平成十九年度から平成二十年度までの二カ年を事業期間として開始いたしました。平成十九年度は三十一校で実施し、また平成二十年度は九十八校で実施の見込みとなっております。
 このモデル事業は、小学校の設置者でございます区市町と共同で実施しておりますが、現在、区市町では校舎の耐震化に優先的に取り組んでおり、学校の直結給水化につきましては、耐震化の見通しを踏まえた上で実施したいなどの意向から、事業期間の延長を要望する声が多く寄せられました。
 このため、これらのことなども考慮いたしまして、本モデル事業を平成二十年度で打ち切ることなく、平成二十二年度まで二カ年延長していくことといたしました。

○松葉委員 区市町村では、校舎の耐震化のほかにも、学校の芝生化など各種事業に取り組んでおりまして、実態を踏まえた事業期間の延長を評価するものであります。
 水道局で直結化工事後に行ったアンケートを見させていただきましたけれども、例えば、工事前は水を十秒流してから飲んでいましたが、今はすぐに水を飲んでもおいしいですといった声や、工事後は、水筒を持参しないで学校の水を飲んでいますといった声など、教職員の方やまた児童の皆様から高い評価を得ていることがうかがえます。
 実施校がふえていることを大いに期待するものでありますけれども、学校の中では校舎の改修工事が進められている場合もありまして、同時に工事をすることは難しいという声も聞かれております。
 そこで、事業期間を二カ年延長したことを有効に活用するために、さらに工夫をすべきだと考えますが、この点はどうでしょうか。

○吉田給水部長 学校では、授業への影響や安全上の配慮から、夏休みなど限られた時期に複数の工事が行われることが多く、これまで直結化の工事を実施いたしました学校におきましても、校舎の改修などと競合する事例がございました。
 区市町からは、施工管理上の工夫などにつきまして当局にも相談が寄せられております。このため、学校の施工環境に応じた施工管理上のノウハウを提供するなど、積極的に技術支援をしていくこととしております。
 さらに、工事期間が確保できないなどの理由によりまして、校舎全体を対象にした直結化が困難な場合には、児童がよく利用いたします校庭の水飲み栓のみを直結化することも新たにモデル事業の対象といたしました。
 今後とも、モデル事業を円滑に進めていくために、さまざまな工夫を計らってまいります。

○松葉委員 私も現在、区立小学校に通っております娘がおりますけれども、やはり校庭の水飲み栓というのは、休み時間等も含めまして、よく利用しております。そういった意味では、校庭の水飲み栓のみの直結化ということもモデル事業として進めていくということでございますが、大変意義があると考えております。
 こういった取り組みにつきましては、区市町村や学校関係者との緊密な連携が必要でありますし、モデル事業の効果を今まで以上にわかりやすく説明して、また理解を得ていることも大切だと、そのように思いますけれども、水道局におけるそういった取り組みについて伺います。

○吉田給水部長 モデル事業の効果をわかりやすく説明し、理解を得ていくため、直結化の工事を実施いたしました学校の四年生以上の児童と教職員の方を対象として、工事の前後に水道水に関するアンケートを行い、事業効果を取りまとめ、これを区市町並びに学校関係者などに説明しているところでございます。
 加えて、実施校における声をじかに把握いたしますために、職員が学校を訪問し、児童や教職員、PTAの方に話を伺い、いただきました貴重な意見を実施事例集として取りまとめ、関係部署に配布しているところでございます。
 また、これらの情報は局ホームページにも掲載するとともに、PRイベントにも使用するなどの取り組みにより、本モデル事業を通じて直結給水の普及促進を図ってまいりたいと考えております。

○松葉委員 さまざま、今、モデル事業を活用した水飲み栓の直結化のための取り組みのご説明がございましたけれども、今後とも、ぜひともこのモデル事業を着実に推進をしていっていただきたいと思います。
 こういったおいしさの視点ということも当然大事でございますが、それとともに、水道というのは、都民生活と首都東京の経済、そして産業を支える貴重なライフラインの一つであります。平常時の安定給水というのはもとより、大地震などに対する備えも大変重要でございます。昨年都が策定いたしました都政のBCP、いわゆる災害時の事業継続計画におきまして、非常時優先業務の代表的なものとして、応急給水の実施や水道施設の応急復旧が挙げられています。
 公明党もこれまで水道の震災対策の重要性について述べてまいりました。私も、昨年十一月の本委員会におきまして、水道緊急隊や応急復旧用材料、また災害時の他都市との相互応援に関する質問をいたしました。
 また、昨年の都議会第四回定例会におきましては、応急復旧用材料を購入するための棚卸資産購入限度額の補正予算が可決されたところでもあります。
 そこで、補正予算後の応急復旧用材料の備蓄状況について、最初にお伺いいたします。

○山本経理部長 昨年の都議会第四回定例会において、震災時の応急復旧用材料の備蓄を拡充するため、棚卸資産購入限度額を八億円増額する補正予算を提案し、従来の限度額七億円を十五億円とさせていただきました。
 首都中枢機関への供給ルートの復旧に必要な材料は既に確保しておりますが、この補正措置に基づき、都内全域を対象とした、発災後おおむね十日分の応急復旧に必要な材料の備蓄拡大を進めております。今年度末には、備蓄を計画している応急復旧用材料の約八五%を確保することとしており、また来年度中には一〇〇%とする予定でございます。

○松葉委員 補正予算によりまして、前倒しで材料の備蓄を進め、来年度には、発災当初に必要な応急復旧用材料の備蓄がすべて整うと聞いて安心をいたしました。
 応急復旧用材料の備蓄には、震災時の状況を踏まえた置き場の配慮等も重要であります。以前の答弁におきましては、都内全域を、東部、中央部、西部の三つのエリアに区分して、バランスのとれた材料置き場を、順次整備していくということでありましたけれども、現在、応急復旧用材料置き場の整備状況と今後の計画についてお伺いいたします。

○山本経理部長 現在、和田堀給水所隣接地及び上井草給水所隣接地において、材料倉庫を建設しており、これに合わせて応急復旧用材料の備蓄を進めております。
 また、既存の二カ所の材料倉庫についても、備蓄材料を拡充するための整備を行っており、間もなく完了する予定でございます。
 今後の計画でございますが、来年度は足立区鹿浜、狛江市元和泉及び八王子市元本郷の三カ所に新たに材料置き場を整備する予定でございます。これにより、発災時の応急復旧活動に必要な材料を、都内全域にバランスよく備蓄する体制が整います。

○松葉委員 水道局のこういった取り組みを高く評価するものです。都民の安全と安心のために、着実にさらに進めていっていただきたいと思います。
 最後に、今後の震災対策を進めていく上での局長のお考えをお聞かせいただき、質問を終わります。

○東岡水道局長 東京の水道は、一千二百万人を超える都民の生活と首都の政治経済活動を支える重要なライフラインであります。一たび大地震が発生した場合には、その影響ははかり知れません。震災時においても、都民の水を確保することが最も重要な課題の一つであると考え、これまで地震に強い水道を目指して、経年管の取りかえ、送配水管ネットワークの構築など、水道システムの耐震強化を進めるとともに、発災後の応急復旧体制の確立など、ソフト面での施策にも積極的に取り組んでまいりました。
 また、平成十九年に発生した新潟県中越沖地震におきまして、復旧作業の応援を行った際には、現地において人員や機材が確保できたにもかかわらず、復旧用の材料が調達できなかったという状況でありまして、このため、当局からの応援職員が近隣の資材業者何社にも当たり、何とか材料を調達するなど、非常に苦労した経験がありました。こうした経験を踏まえますと、応急復旧用材料の備蓄が非常に重要になるものと考えております。
 今後とも、震災に強い水道を構築するため、施設の整備を着実に進めるとともに、資材の備蓄を含め、応急給水、応急復旧体制の確立に万全を期し、震災時においても都民の水を確保できるよう取り組んでまいります。

○たぞえ委員 投資問題、とりわけ八ッ場ダム建設計画について伺います。
 ダム建設は〇八年現在、国、地方を合わせて百五十六カ所が事業中で、その総額は九兆円を超え、残事業費は四兆五千億円、年間三千億円の税金がつぎ込まれています。長期に、かつ多方面に大きな影響を与える巨額事業であることから、何十年も前の計画をそのまま継続することは、さまざまな弊害や浪費を生むことになると、各地から指摘がされています。
 さらに、公共事業費の圧縮や地方自治体財政の財政緊縮が避けられない状況にある中、一方で水需要の減少傾向が続き、水需要計画の見直しも余儀なくされています。治水対策でも、計画で想定した雨量を超える集中豪雨が都市を中心に多発しているなどを考えますと、社会情勢の変化に対応して、費用対効果などを前提に、見直しが今こそ求められていると考えるものです。
 初めに伺いますが、東京都水道局は、この間、ダム建設への負担金を総額幾ら支出されたのでしょうか。

○高原参事 八ッ場ダムの場合で申し上げます。八ッ場ダム建設事業につきまして、水道局が平成十九年度までに支出しました負担金の総額は、国庫補助金を含めまして四百五十七億円でございます。

○たぞえ委員 来年度の予算では、三十五億円と見積もっているようであります。
 ダム建設負担金は、結局、都民の水道料金に転嫁されているというふうに解釈されているでしょうか。

○小山総務部長 水道事業は、地方公営企業として独立採算の原則に基づきまして、事業運営に必要な経費は自己財源である水道料金で賄うこととしております。ダム建設負担金につきましても、現行の財政制度のもと、国庫補助金及び一般会計出資金が措置された部分を除きまして、負担金の三分の一に相当する額を水道料金で負担をしております。

○たぞえ委員 都民は長期にわたって水道料金で将来の水源負担をしなければならない、こういう状況に置かれていると思います。
 近年、給水実績は横ばいから減少に転じて、二〇〇〇年以降は顕著な減少傾向になっています。きょうの委員会資料でも、保有水源量は日量六百二十二万七千トンに対して、一日最大配水量、年間に数回であるわけですが、四百九十七万三千トンという状況で、十九年度は五百万トンを下回りました。首都圏の過去の一日最大給水量と比較しても四十万トン以上の余裕があって、これは六百万人の給水を余裕を持って賄える量に匹敵するものです。
 水需要の減少は、主に節水機器の普及や水道施設の漏水の減少などによって、一人当たりの水の使用量が確実に減少しているわけでありますが、この需要量の減少という事実、これについて局はどのように考えておられますか。

○高原参事 ただいま一人当たりの使用水量ということでお話があったわけですけれども、一人一日当たりの使用水量は、昭和六十一年度の二百十九リットルから、平成十二年度の二百四十八リットルまで大きく増加した後、近年は二百四十リットル程度で推移をしてございます。これら水使用の動向は、所得や世帯人員などの複合的な要因の影響を受けるもので、必ずしも節水要因だけで左右されるものではございません。
 また、生活用水全体総量では、直近の十年間で日量約十二万立方メートル、五年間でも約六万立方メートルの増加であり、需要そのものは堅調に推移しているというふうに理解してございます。

○たぞえ委員 都市の生活スタイルが大きく変わってくるもとで、当初の計画があるからといって、保有水源は多ければよいというものではないと思います。水道施設への投資やダム建設という水源確保によって、先ほど答弁がありましたが、住民に直接料金としてはね返ってくることは明確です。
 ダム計画地の群馬県では、東京電力や群馬県企業局による水力発電が盛んに各地で行われていますが、八ッ場ダム計画地点でも、最大一秒三十トンの水が送水管を流れて下流に送られています。ダム本体を建設するとなれば、東電の水利権の一部を買い取らなければなりません。このための減電補償の額は二十億円以上になるといわれています。
 ダム計画は五年延長されましたが、付帯工事は芳しくありません。付帯国道や付帯鉄道、付帯県道、代替地造成などの中でも、特におくれているのが付帯国道です。十年以上前から工事が行われてきたにもかかわらず、工事進捗率は五二%、完成区間は六%にとどまっています。地盤が弱く、崩落が数回起こって難航している状況も、先日、私も現地でこれを確認をしてまいりました。
 付帯鉄道は昨年十二月末現在、進捗率は八三%ですが、新川原湯温泉駅の付近の用地買収は完了しておらず、工事のほとんどはまだこれからです。
 代替地の造成も大幅におくれており、代替地への移転希望者百二十九軒のうち、代替地での居住はいまだ一割程度です。これでは水没予定地住民の移転は、なかなか延々と進まない状況ではないでしょうか。完成の二〇一五年末よりも大幅におくれることが明らかで、とても国がいっている期限内に完成するという状況にはないと思います。
 東京都は、国の計画にそのまま従ってしがみついていますが、こういう現実の状況についてどう認識されているのか伺います。

○高原参事 ご指摘ありましたけれども、八ッ場ダムは都にとって必要不可欠な水源であればこそ、鋭意私どもも建設促進を国に求めているのでありまして、これを計画にしがみついているとするのは、全くの事実誤認かというふうに認識しております。
 また、当局は利水者として事業に参画をしておるもので、厳密にいいますと、ダム計画全体の進捗をお答えする立場にはございませんが、事業主体の国土交通省では、平成二十年度末におきます事業全体の進捗は、事業費ベースで七〇%となる見込みとしており、また、今後の工事工程等を考慮し、本年一月には本体建設工事の公告も行われたところでありまして、八ッ場ダム建設事業は、計画どおり平成二十七年度に完成するものというふうに認識してございます。

○たぞえ委員 国は、本体工事をとりあえず公示して手続を始めようと、このようにいっておりますが、しかし、そのもととなる場所では、とても本体工事ができるような状況にないことは、各報道機関からも指摘されているところです。手続だけ踏めば後はもうそのままいける、こういう状況ではないと思います。
 こうしたダム計画をめぐって、熊本県知事が川辺川ダムの建設の中止を決断し、淀川水系では、滋賀県、京都府、大阪府、三重県の四知事が、大戸川ダムを河川整備計画に位置づける必要はないという意見書を提出しました。
 東京都は、国に対して八ッ場ダム建設に係る基本計画の変更の際に回答していますが、その中で、工期の延長がないように、事業費の増額をもたらさないようにと回答されております。
 都側の回答に反して、再び工期の延長や事業費の増額案が仮に国から提案された場合、水道局としては都民に説明責任をどう果たそうと、今検討されているんでしょうか。

○高原参事 先ほど述べましたとおり、事業主体である国土交通省からは、平成二十七年度完成に向け、八ッ場ダムの建設事業は着実に進捗しているというふうに聞いてございます。
 引き続き、関係県と連携しながら、八ッ場ダム建設事業のコスト管理等に関する連絡協議会等を通じまして、コスト縮減の達成状況や工程管理の検証等を行い、一刻も早い完成を国土交通省に対して強く求めてまいります。

○たぞえ委員 これまでも工期が延長されて、工事費の増額はないといわれておるときに、額が倍になる、こういう繰り返しがこれまでの経過でありました。直近の工期の延長、そろそろ建設費の増額が検討されるのかなと私は思っておりますけれども、いずれにしても、この巨額な税金を投入するダム建設、実にあと六年余りで完成をするという状況にはない。となれば、当然、工期や事業費の増額も検討することになりかねない状況にあるのではないかと思います。
 水没予定地では、地域住民がこのダム計画によってはかり知れない犠牲を強いられ、地域は衰退の一途をたどっています。きょうここにいる委員の中でも、私も含めて現地に行きましたが、川原湯温泉はほぼ衰退状況に追い込まれています。半世紀以上ダム計画のもとで苦しんできた地域住民の生活を再建して、地域を再生するために、今ほど生活再建の支援が急がれているときはありません。一都五県の都議、県議が、また国会議員が共同して生活再建支援法案の提出など、法整備の実現を目指す取り組みも行われています。
 ダム計画の即時中止と、ダムと切り離した生活再建のために、私ども日本共産党としても全力で頑張るものでありますが、同時に、根幹となっている国のウォータープランの抜本的な見直しが急がれます。この点でも私どもは、国民の皆さんと力を合わせて、あるべき日本の環境、水資源、そして適切な水の供給計画をつくり上げるために力を尽くしていきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○福士委員 それでは私から、八ッ場ダムについてはもう毎回質問してまいりましたけれども、どうもご答弁がなかなかこう、納得いたしかねておりますので、一日平均使用水量について、まずお伺いをいたします。
 家庭での一人当たり一日平均使用水量は、八五年以降、二百五十リットル、一日一人当たりですね。こういったことはありません。節水機器の技術の向上や普及に伴って、近年はもちろん減少傾向にあります。もう既に二〇〇五年以降、二百四十リットル、一日当たりの一人の使用量はその程度になっております。
 都は、二〇〇三年の予測式において、生活用水の一人一日平均使用水量を、平均世帯人員と個人所得を説明変数として重回帰分析を行った結果を用いています。これらを説明変数とした一人一日平均使用水量をグラフとして再計算をしてみました。
 このグラフでございます。おわかりになりますでしょうか。予測結果と実測値は、二〇〇〇年ごろまではおおむね一致しています。しかし、二〇〇四年以降は個人所得がぴゅんと伸びているんですね。この赤い分です。個人所得が伸びています。そして、平均世帯人員は減っているにもかかわらず、一人一日平均使用水量は減少傾向を見せるなど、実績値との間に乖離が見られるようになっています。
 高度経済成長期には、水洗トイレやおふろとかシャワーの普及など、所得の伸びが使用水量を押し上げる要因になりましたけれども、現在は逆に、所得の向上が節水タイプの機器への買い上げにつながっているといった側面もあるんじゃないのかなというふうに考えられます。コップ一杯で、今や洗濯が可能な洗濯機が研究されているなど、今後も節水機器の普及に拍車がかかると予想されています。
 これがずっと、この緑色の点々が平均世帯人員です。平均世帯人員は少なくなっています。大家族の世帯が少なくなっているということです。
 個人所得はこう上がったり下がったりしながら、またここでちょっと上がっております。
 生活用水の人口予測式というのは、ずっとこう上げっぱなしでおつくりになっていらっしゃるわけです。ところが、実数を見ると、この四角い、中が白い数値なんですが、この辺までは一致しているんですが、こう下がってきているんですね。したがいまして、所得も上がり、世帯人口は減って、そしてこの予測との乖離がやはり広がってきている、こういう状況になっております。
 それで、これでもなおかつ、生活用水の一人一日平均使用水量の予測を行う場合に、個人所得と平均世帯人員以外に、節水機器の普及を反映した説明変数の採用が必要ではないかというふうに考えます。このことについては、前回の第四回定例会でもちょっと申し上げましたけれども、こうした状況を受けて、都として、今後の一人当たり一日平均使用水量の見通しをどのように考えておられるのか、改めてもう一度お伺いをしておきます。

○高原参事 わかりやすいグラフでご説明いただきましたので、改めて申し上げるところもないかもしれませんけれども、先ほどもご答弁申し上げましたが、一人一日当たりの平均使用水量、これはいわゆる原単位というふうに呼んでいるわけですけれども、これにつきまして、現行の需要予測では、ご紹介のとおり、個人所得と平均世帯人員を用いて重回帰分析で推計をしてございます。
 原単位のいわゆる一人一日当たりの平均使用量の動きを、グラフほどではないんですけれども、言葉でなぞってみますと、直近の二十年間で見てみますと、バブル経済の始まった昭和六十一年度の二百十九リットル、ここを出発点といたしまして、いわゆるバブルが続く平成六年度の二百四十八リットルまで大きく増加をいたしまして、その後横ばい、ご紹介のあったとおり微減となり、ここ数年は二百四十リットル前後で推移をしてございます。
 これは、増加要因として、一環として平均世帯人員の減少が続く一方で、個人所得がバブル経済期には大きく増加した後、その崩壊後は伸び悩んでいることなどによるものというふうに認識をしております。
 今後でございますけれども、長期的に見ると、景気の回復のほか、世帯人員の減少による、ふろ、炊事等水使用の非効率化に伴って、一人一日当たりの使用水量は緩やかに増加するというふうに見込んでおります。
 先ほど先生のお話の中で、平均世帯人員の減少が、何か使用水量の減につながるようなちょっとお話があったかに思いますけれども、私どもの見方としては、世帯人員が少なくなればなるほど、一応これは統計上もそうなんですけれども、使用水量というのはそれだけ非効率的な使用がふえるということで、使用水量がふえる要因というふうに見てございます。

○福士委員 グラフとかみ合わないご答弁をいただきました。世帯人員が減っても、お水も減っていますよというのがこのグラフなんですよね。
 今のお答え、このグラフじゃ納得していただけないようなので、もう一つグラフをお見せします。
 このグラフは、世帯人員と使用水量の関係において、都の過去二十年間の実績データを縦軸にいたしました。そして一人当たりの平均使用水量を横軸に、平均世帯人員をとった、散布グラフに描いたものでございます。
 上のグラフなんですけれども、これは確かにおっしゃるとおりに、一九八六年から一九九二年まで、ここまでこうずっと上がってきております。そして世帯人員はやはり減ってきているんですね。ですから、おっしゃるとおりだと思います。二・六から二・四ぐらいまで下がってきて、お水の使用量は上がってきている、そういうグラフです。
 ところが、その先を見ていただきたいんですが、このグラフは山形に使用水量が膨らんだ時期もありますが、こう下がっています。そして世帯人員もやはり減ってきていますが、一九九二年ごろまでは世帯人員の減少とともに使用水量も伸びている。しかし、二〇〇〇年以降は、世帯人員が減っているにもかかわらず、使用水量はこういうふうに減少する傾向にあることが読み取れます。
 このグラフからもおわかりになるとおり、十年ほど前までは、確かに平均世帯人員は説明変数として適当なものだったと私も思います。しかし、ここ数年の動向を見ると、平均世帯人員を説明変数とする分析は、もはや現状と合わなくなってきているのではないでしょうか。より精度の高い、現状により適合した分析手法の開発をすべきだと思います。
 これは私の意見ですが、もしご答弁があるようでしたらお伺いをいたします。

○高原参事 私もグラフに沿った説明をさせていただいたつもりだったんですが、今の裏面の方の下の方のグラフなんですけれども、確かに一日平均使用水量、増加要因と見ている一世帯当たりの人口と逆比例になったように見えます。一方で、そこはたしか、所得のグラフがそこに書かれていないのかと思うんですけれども、その間、バブル崩壊後、いわゆる失われた十年といわれる期間があろうかと思うんですが、その時期においては個人所得というのが伸び悩んでいる時期があったかと思います。それでいわゆるバブル崩壊後の時期との関係で個人所得のお話を先ほど申し上げて、そこがあって使用水量が伸び悩んでいるのかというふうに私どもは理解を一つしております。
 ただ、それは確たる証明する部分ではございませんので、これは理解の問題かというふうに思います。また、いわゆる説明変数としての世帯人員が、今や合わなくなっているのではないかというお話もありましたけれども、十八年度に行いました私どもの生活用水の使用実態調査、これは、世帯の規模ごと一人当たりどのぐらいの水を使っているかという統計ですが、一人世帯では二百五十六リットル、三人世帯では二百三十七リットル、五人世帯になると二百一リットルというふうに、これは別物の調査ではございますけれども、世帯が小さくなれば小さくなるほど使用水量は大きいということ自体は、それ自体は調査上も明らかになっております。
 また、先生のお話の中で、いわゆる節水化率とかいうようなお話もあり、恐らくそういった部分を予測手法に取り込めばいかがかというようなご指摘かというふうにも認識はしておりますけれども、まず、私どもが行ってございます水需要予測というものにつきましては、いわゆる客観的に行わなければならないということで、信頼し得る機関が長期間にわたって幅広い対象に対して行っている調査、その統計を用いることが、都民、ユーザーの方に対して説明をし得る一つの根拠たり得るというふうに理解をしてございます。そういう点からいうと、節水の効果というのを私どもも無視しているわけではございませんけれども、世の中に節水化率という統計はございません。
 一般のメーカーが仕様書でいっているようないわゆる性能表示とか、あるいはモデル計算でいわれているような率というものはございますが、これをもってして何%、いわゆる東京都の水道使用量がどのぐらい減りましたとか減りますよといった統計は存在もしてございませんし、当局でも把握をしてございません。そういう意味からすると、これを恣意的に何らかの指数化をするようなことでつくったものを予測に用いることは、かえって統計の信頼性、予測の信頼性を失わせるものではないか、そういうおそれがあるのではないかというふうに理解はしてございます。

○福士委員 もう質問しないつもりでいたんですけれども、このグラフ、ごらんいただけますか。さっきお見せしたんですけれども、ここは上がりました。所得が上がっているんです、一人当たり所得が。でも、そんなに使用量は上がっているわけではありません。ここもまたちょっと上がってきているんですよ。でも、世帯人員はずっと下がりっ放しですが、使用量も下がっているよということを、私はこれで説明をしたつもりでおりました。
 確かに、アンケートされた結果というのは私もうかがいました。うかがいましたけれども、このグラフもまた事実でございます。
 もう一つ申し上げれば、アンケートって、ぴょんぴょんぴょんとおとりになるんだと思うんですけれども、このグラフはもう全体的なものからとったわけで、こういうグラフにすると、必ずしも一人当たりの利用量が、世帯数が少なければ膨らんでいないよということを、私はわかりやすくするためにグラフをお示ししたつもりでおります。客観的にとおっしゃいましたが、これも別に恣意的にはつくっておりませんのでね、数字としては別にインチキをしたわけではございません。そのことだけは申し上げておきたいと思います。
 それから、節水化率の手法がないというようなお話でございました。でも、四定のときには、横浜方式というものをお示しして、そういうふうにやっている地域がありますよということを私は申し上げたつもりでおります。この大東京で、これだけの有能な方々がおそろいになっていて、よその方式というのは調べてごらんになったことはないんでしょうか。
 あそこがおかしいよとか、ここがおかしかったよとか、おかしいことがあれば、それはよそのやり方は違っているよといういい方をされてもいいかなとは思うんですけれども、横浜方式があるよということも四定のときにお知らせしたわけですから、あれがどこまで正しいのか、正しくないかぐらいの検証はされたんでしょうか。

○高原参事 先生のグラフそのものは事実でございますので、そのことを私申し上げたわけではございません。
 それで横浜方式、先生の方から議会の方でご指摘もいただきまして、私どもの方も、いわゆるそのもととなった調査委託報告書なるものを取り寄せをいたしまして、内容については吟味をしたところでございます。他都市のおやりになっていることでございますので、それをいいとか悪いとかというふうに私ども申し上げる立場にはないかと思いますし、また一つは、積極的、意欲的な取り組みだというふうにも理解はしております。
 ただ、先ほどの繰り返しになりますけれども、需要予測として、これは水源確保の上でも、あるいは施設整備の上でも基本となる指標、重要な指標でございますので、やはり統計的にも確たるところの出したものを使いたいというのが私どもの理解でありますし、それなら節水効果というのを全く見ていないのかということについて申し上げれば、過去の統計をもとに重回帰分析を行っているということですので、説明変数には採用してございませんが、過去の統計の中には当然ながらその節水効果が動向として入っておるわけで、それをベースに重回帰分析の係数を算出するということは、将来の式の中にも過去のトレンドとしての節水化率が取り込まれているというふうに理解をし、それをもって東京都の需要予測方式というふうにしておるわけでございます。

○福士委員 ぜひぜひ、横浜で新たな係数をお出しになって計算されて、それがぴったり実数と一致しているわけですから、予測値としてもお使いになるということがあってもいいのかなというふうに思いますが、人のをまねしなさいというつもりではなくて、やはり実態に合った係数をお出しになるぐらいのことは、東京都という大きなところで働いていらっしゃる方々自身が有能である以上は、もっと近い数字が出るのかなというふうに思っております。
 今お話がありましたけれども、ちょっと飛ぶようで恐縮ですけれども、現在、地下水の四十万立方メートルぐらいは保有水源の中には入っておりませんよね。滝沢ダムも、完成後試験湛水の段階で、ひび割れや土砂崩れが起きておりますけれども、それでもこのダムはつくってしまいましたので、都の水源量に組み入れられれば、地下水と合わせて五十万立方メートルぐらいふえるんじゃないんですかね。そうすると、今先ほどの資料でありました六百二十二万立方メートルに加えて、また五十万立方を上乗せできる可能性としてはあるわけですから、かなりな乖離が出てくるんじゃないかと思います。
 それをまた八ッ場ダムをつくって、都民の皆さんに−−本当に大きなお金を払っていかなければいけない。この経済不況、これからどのくらい続くのかわかりませんが、人口も減る中で本当にそんな、八ッ場ダムといった膨大な事業が必要なのかなということは、疑問として述べておきます。とりあえず、それは心にとめておいていただきたいというふうに申し上げておきます。
 続きまして、ちょっと時間も延びてしまって恐縮なんですが、子どもに対する啓発活動について質問させていただきます。
 水道局においても、副読本の作成や水道キャラバンなど、子どもたちを対象とした活動を積極的に行っておられます。大変結構なことだと思います。特に水道キャラバンは、都内で約五七%ぐらいの学校から申し込みがあって、約九三%、これがリピーター率があるというふうに伺っております。頑張っておられるようだなと思いながら、ホームページなども拝見いたしました。
 水道キャラバンにおいて子どもたちの反応はどうでしょうかね。また、子どもたちが特に興味を示すポイントなどを含め、啓発活動の効果についてお伺いをいたします。

○坂内参事 水道キャラバンは、小学校四年生を主な対象といたしまして、水道に対する理解を深めてもらうことを目的に、水と健康のかかわりや当局の取り組みなどを伝える訪問授業として実施しているものでございます。
 実施につきましては、若手俳優の演劇による進行で、映像による説明や水をきれいにする実験など、わかりやすく飽きさせない内容としており、子どもたちは、笑いや驚きの中で楽しみながら学習をしておられます。実施後のアンケートでは、実験が楽しかった、また水道のことがよくわかったなど、九割を超える先生方、子どもたちから高い評価を得ており、水道に対する理解が着実に深まっていると認識をしております。
 また、水道キャラバンを通じまして、水道に対する理解が、子どもたちから保護者などに広がりを見せていくことも期待をしているところでございます。

○福士委員 私の周辺でも、ボランティアの方たちが学校で、お水のことじゃなくて、環境やごみなどに対する啓発活動をしようと働きかけているんですけれども、学校側もなかなかいろいろな問題を抱えていて、受け入れられないといったことがあります。
 過半数を超えているとはいえ、リピーターが多いということは、まだやってない学校が多いということになりますので、水道キャラバンの実施拡大を図っていくための取り組みについては、どのように行っておられるのか伺っておきます。

○坂内参事 現在、平成二十一年度の水道キャラバン実施に向けまして、より多くの小学校から申し込みをいただくために、積極的なPRを展開しているところでございます。
 具体的には、水道キャラバンの目的や内容をわかりやすく伝えるパンフレットを作成して、全小学校に配布をし、その上で職員が、各区市町の教育委員会や校長会に直接出向きまして、水道キャラバンの特徴などについて、既に実施した学校での評価も交えて説明を行っております。
 また、水道キャラバンに関するサポートセンターを設置いたしまして、全小学校への電話による個別案内や実施に関する相談にきめ細かく対応するなどの取り組みを行っております。
 これらによりまして、現在、前年の同時期を大きく上回る数の学校から申し込みをいただいているところでございます。

○福士委員 大変結構なことだし、ご努力を認めたいと思います。現在、安全でおいしい水に関する啓発活動が中心になるだろうというふうに思いますし、世界でも有数の安全でおいしい水を飲むことは、大変有意義なことと思いますが、今後は、節水意識についても啓発が必要ではないかと思います。
 節水を進めるには、単に節水機器の開発だけではなくて、節水に対する意識を高めて、小まめに蛇口を閉めるとか、実際の行動にフィードバックしていく必要があります。今、気候変動の大きな中で、水の重要性、節水の必要性については、先ほどもご答弁にもありましたけれども、子どものころから意識をきちんと高めて、節水を習慣づけていくということが重要だと考えております。子どもは家族の方も動かすということで、ヨーロッパなどでは小学校前、幼稚園ぐらいから環境教育を行っているところを、私も前に視察をしたことがあります。これからも啓発活動を広げていく努力を期待して、質問を終わります。

○林田委員 水道水源林を守るために、荒廃した民有林をどうするかということについて伺います。
 今回の一定で、我が党の代表質問において、多摩川上流の水道水源林の将来を見据えた取り組みの決意を伺いました。水道局では、多摩川上流域の荒廃した民有林に対し、これまでの取り組みに加え、新たな対策を行っていくということでありました。このことについて幾つかお伺いいたします。
 水道局では、都民の貴重な水源である多摩川の上流に広大な水道水源林を所有し、百年以上も前から適正な管理を行ってまいりました。多摩川は、私の地元であります西多摩地域はもとより、都民の貴重な水源となっていることはご承知のとおりですが、今日、多摩川が有効な水質を維持できているのは、緑豊かな水源林が大きな役割を果たしております。
 そこでまず、多摩川上流にある水源林が果たす役割について再度確認したいと思いますので、お答えをお願いいたします。

○増子浄水部長 健全な状態の森林は、主に三つの機能を発揮いたします。一つ目は、水を土壌の中に十分蓄えることにより、洪水や渇水を防ぐ水源涵養機能であります。二つ目は、樹木の根が山の土をしっかりと押さえることにより、土壌の浸食や山崩れを防ぐ土砂流出防止機能であります。三つ目は、水が土の中を浸透する間に不純物を取り除く水質浄化機能でございます。こうした森林の持つ機能は、小河内貯水池や流入河川の保全に重要な役割を果たしておりまして、このことは多摩川の水質を良好な状態に保つことにつながっております。

○林田委員 水源林が小河内貯水池の保全や多摩川の水質保全に重要な役割を果たしているわけでありますが、これまで長年にわたりまして水源地の環境を守ってきた地元の理解と協力があったことを忘れてはならないと思います。
 ところが、地元の生活を支えてきた林業は、ご案内のとおり、木材価格の低迷によって長期の不振が続いております。水源地域の多くの民有林では、間伐などの管理が行き届かないことで生育の悪い樹木が密集したり、間伐後の、植林が行われず、樹木がほとんど見られないなど荒廃が進んでいる状況であります。民有林の荒廃が進むことで、有効な水質の維持や土砂の流出防止など、水源林が持つさまざまな機能に影響が出ることが懸念されております。
 そこで、民有林の荒廃が小河内貯水池に与える影響について詳しくお伺いいたします。

○増子浄水部長 小河内貯水池上流域の森林のうち、約四割を民有林が占めております。このため、民有林の荒廃が進むことは、小河内貯水池に少なからず影響を及ぼすものと考えております。
 一昨年に発生した台風九号は、流木の流出、土砂の堆積、長期的な濁水の発生など、小河内貯水池とその流入河川に重大な影響を与えました。このような影響が生じたのは、小河内貯水池上流域の民有林で荒廃が進んでいることが原因の一つであると考えております。また、近年は異常気象による集中豪雨の増加が見られ、現在の民有林の状況がさらに悪化すれば、小河内貯水池とその流入河川に与える影響が拡大することが懸念されております。

○林田委員 民有林の荒廃が小河内貯水池に与える影響は極めて大きいということがわかりました。都民の貴重な多摩川の水源を守っていくためには、荒廃した民有林にどう対応していくか、一刻も早い対応が必要であると思います。
 繰り返しますけれども、今回の一定で、多摩川上流域の荒廃した民有林に対し、これまでの取り組みに加え、新たな対策を行っていくということでございました。民有林に対するさまざまな取り組みが考えられる中で、水道局みずから荒廃した民有林を所有し、管理していくなど、対策が必要であると述べられました。その理由について伺います。

○増子浄水部長 荒廃した森林を再生するには、長期的視点に立ち、間伐、植栽などの管理を計画的かつ継続的に行うことが不可欠であります。荒廃した民有林に対する水道局の取り組みとして、ボランティアによる間伐等の森林保全作業を行う多摩川水源森林隊がございますが、活動範囲や活動量に限界があります。
 多摩川上流域は都民の貴重な水をはぐくむ水源地であることから、荒廃した民有林を水源林として再生するだけでなく、緑豊かな森として継続的に維持管理していくことが重要でございます。さらに、森林所有者の中には山林を手放したいという方もいることから、都のこれまでの施策とは異なる対策が必要であります。このような状況を踏まえ、現在、多摩川上流域にある荒廃した民有林の所有と管理について具体的な手法を検討しております。

○林田委員 確かに、四割も存在する民有林では、相続などによる所有権の細分化や隣地との境界が不明確であるなど、対策を進めるに当たってさまざまな課題があることは承知しております。しかし、だからといって、このままでいいのかという問題にぶつかります。
 都民の水、大切な水道水を確保するため、多摩川の水源を守ることは、東京都にとって極めて重要な施策であると思います。このことについて、最後に水道局長に伺います。

○東岡水道局長 都民の貴重な水をはぐくむ水源林を守り続けていくことは、安全でおいしい水を安定的に供給していくために、大変大切なことであります。百年以上も前、多摩川上流域の荒廃していた水源の山々は、東京市がみずから所有し管理をすることによって緑豊かな森林に生まれ変わっております。東京の独自の水源であり、安定給水を保つために重要な役割を担う小河内ダムは、こうした取り組みにより土砂の流入がほとんどなく、また水質もきれいに保たれてきました。
 しかしながら、荒廃が進みつつある民有林の現状は、東京水道の将来を考えると、大変憂慮される状況にあります。このため、これらの民有林をみずから所有し管理することが必要であると思われますが、実現するに当たってはさまざまな課題があります。
 今後、具体的な検討を進め、民有林対策に取り組むことにより、東京の貴重な水源である小河内ダムの水をはぐくむ水源林を守り続けていきたいと考えております。

○鈴木(隆)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(隆)委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○鈴木(隆)委員長 これより下水道局関係に入ります。
 初めに、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第二十九号議案及び第九十五号議案から第九十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○細野総務部長 さきの委員会で要求のございました資料三件につきまして、お手元に公営企業委員会要求資料として配布させていただいております。その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。監理団体職員数の推移でございます。
 当局が所管しております監理団体、東京都下水道サービス株式会社の過去五年間の職員数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。事務職員、技術職員数の推移でございます。
 事務職員、技術職員につきまして、過去五年間の人数をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。下水道施設での地球温暖化対策についてでございます。
 項目ごとに対策実施箇所をお示ししてございます。
 簡単でございますが、以上で要求資料についての説明を終了させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木(隆)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○林田委員 多摩振興プロジェクトにおける流域下水道事業の取り組みについて伺います。
 私の地元西多摩地域は、豊かな森林や多摩川、秋川の清流に恵まれ、東京都の貴重な自然環境の宝庫であることはご承知のとおりであります。今回策定された多摩振興プロジェクトの六テーマの中で、下水道局は、魅力を生かす多摩とエコを発信する多摩の二つの施策テーマで事業に取り組んでいくといっております。
 その一つ、魅力を生かす多摩において、下水道局では、従来から多摩地域の水環境の維持向上に取り組み、有効な水環境の形成に大きな効果を上げていますが、当然、今後も引き続き努力をしていただきたいと思っております。
 一方、エコを発信する多摩では、地球温暖化防止に向けた取り組みを一層強化するため、新技術や再生可能エネルギーの活用による温室効果ガスの排出削減を推進するとしております。
 そこで、エコを発信する多摩の中から、下水道局が平成二十一年度より事業を開始する下水汚泥と木質系バイオマスの混合焼却事業について改めて確認し、今後の温暖化対策についてもお聞きしたいと思います。
 まず、多摩振興プロジェクトにおいて、この事業の意義について伺います。

○高相技術部長 この事業は、産業労働局、下水道局、環境局の三局が連携した取り組みとして、多摩産材の未利用材の利用拡大に貢献しつつ、温室効果ガス削減につなげるものであり、多摩川上流水再生センターにおいて国内で初めて導入するものであります。
 産業労働局は、スギ花粉発生源対策で発生する杉の未利用材等をチップ化し、下水道局は、それを下水汚泥と混合して汚泥焼却の補助燃料として用いるものであります。また、環境局は、本事業に係る政策面での助言及び財政面での支援を行うものであります。
 その効果といたしまして、未利用材を年間約三千二百トンの木質系バイオマスとして活用でき、かつ、汚泥焼却の燃料として用いている都市ガスの使用量を半分に抑制することで、年間約千トンのCO2を削減することができるものであります。

○林田委員 本事業は、スギ花粉発生源対策で発生する未利用材を木質バイオマスとして有効利用することで、未利用材の利用促進と温室効果ガスの削減に貢献するということが今のご説明でわかりました。
 三局が連携して展開するこの取り組みは大いに評価できると思います。しかし、燃料を都市ガスから木質バイオマスに変えることは初めての試みであり、実現までにはご苦労もあったかと思いますけれども、実用化に当たっての工夫、事業の見通しについてお伺いいたします。

○高相技術部長 本事業についての課題は、大きく分けまして、木質バイオマスをいかに効率的に燃焼させるかということと、いかに安定的に確保するかということでありました。このため、実際の焼却炉を使用して実証実験を行い、最適なチップの形状や含水率などを定め、活用にめどをつけたところであります。また、スギ花粉発生源対策で発生する杉の未利用材に加えて、その変動量を緩和させるため、植木生産者から供給される剪定した枝等をあわせて受け入れ、年間を通じて安定的に確保することといたしました。
 平成二十一年度早期の稼働に向けて、当局の受け入れ施設は三月中に完成いたします。また、産業労働局が整備しているチップの供給施設も、同様に三月中に完成いたします。現在、燃料チップの受け入れ体制等について産業労働局と最終の調整を行っており、予定どおり事業が開始できる見込みでございます。

○林田委員 本事業は、多摩地域の地場産業から発生するバイオマスを年間を通じて安定的に受け入れ、下水汚泥を焼却する際の補助燃料として活用するものであります。これは、温室効果ガス削減のために大きな効果があるばかりでなく、多摩産材の未利用材の利用促進によるスギ花粉発生源対策の推進が図られ、多摩地域の森林保全にも幾ばくか貢献するものと思います。引き続き関係局と密接な連携を図って、エコを発信する多摩の実現に向けて、本事業の着実な運用に努力してほしいと思います。
 さらに、エコを発信するということであれば、都が計画しているカーボンマイナス東京十年プロジェクトが掲げる、二〇二〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年度比二五%削減することが、大きな目標になると思います。低炭素型都市の実現には都の率先した取り組みが必要であり、中でも最大のCO2を排出する下水道事業の取り組みは重要であります。
 三月十一日の予算特別委員会において、我が党の鈴木一光議員の代表質問でも明らかになりましたが、二五%という大幅な削減目標の達成は、従来のように老朽化施設の更新に合わせて削減効果の高い施設を導入するペースでは不可能であり、汚泥焼却等の更新時期の前倒しが必要であるということでありました。
 そのため、施設更新の前倒しによる費用の増大が見込まれる中、木質系バイオマスの混合焼却のような創意工夫を重ねることなど、より効果的な削減対策を進めることも重要であるかと思います。
 今後の流域下水道事業の温室効果ガス削減の取り組みについてお伺いいたします。

○高相技術部長 これまで流域下水道本部では、汚泥焼却炉の高温焼却化や、汚泥焼却に用いる燃料を重油から都市ガスに転換することなどにより、温室効果ガスの削減に取り組んでまいりました。
 これらに加えて、民間と共同開発した汚泥ガス化炉を清瀬水再生センターにおきまして国内で初めて導入いたします。この汚泥ガス化炉は、汚泥を、従来の焼却という手法をとらず、低酸素状態で蒸し焼きにすることで、温室効果ガスの発生を大幅に抑制するものであります。あわせて、蒸し焼きにする際に汚泥から発生する可燃性ガスを発電に有効利用し、汚泥ガス化炉の運転に必要な電力の一部として活用いたします。この効果といたしましては、山手線内側の約半分の面積に相当する森林が吸収する量に当たります、年間約一万二千五百トンの温室効果ガスを削減するものであります。
 さらに、技術開発の成果を踏まえた省エネ型の汚泥脱水機を導入するなど、さまざまな創意工夫を積み重ね、こうした対策を組み合わせることによりまして、温室効果ガス削減に取り組んでまいります。

○林田委員 それでは、要望させていただきますが、多摩振興プロジェクトにおいてエコを発信する多摩をテーマに掲げている中にあって、その一翼を担う流域下水道本部は、東京都全体を牽引するぐらいの気概を持って、今後とも、温室効果ガス削減、カーボンマイナス東京十年プロジェクトの二五%削減の目標達成にさらなる努力をお願いし、質問を終わります。

○鈴木(隆)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時三十一分休憩

   午後二時四十分開議

○鈴木(隆)委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続けます。
 発言を願います。

○松葉委員 私の質問の本題に入る前に、王子駅南口トイレの排水の件につきまして、新聞やテレビ等において報道がありましたが、下水道局に関することから何点か質問をいたします。
 大変な問題であり、このようなことが二度とあってはいけない、そのことから、きちんと事実の経過を確認いたしたいと思います。
 まず、この問題についてはいつわかったのか伺います。

○小山参事 王子駅南口のトイレの件についてでございますが、今月、三月二日でございますけれども、当局北部第二下水道事務所独自の現場調査の結果、JR王子駅南口のトイレ排水が、下水道局の雨水放流渠を経まして石神井川に流出していることが判明いたしました。

○松葉委員 三月二日にわかってから、きょうの報道までの間、時間があったわけであります。明らかになった時点で、少なくとも当該委員会委員にも報告すべきでなかったのかと申し上げておきます。
 この問題が明らかになった経緯はどういう経緯だったのか伺います。

○小山参事 北区の下水道でございますけれども、汚水と雨水を同じ下水管で流す合流式下水道となってございます。下水道局といたしましては、かねてからこの合流式下水道の改善について取り組んでまいりましたけれども、北部第二下水道事務所は、この合流式下水道の改善のための現地調査を行う中で、王子駅のトイレ排水の現状を発見したものでございます。

○松葉委員 時点と経緯はわかりましたけれども、下水道局はJR王子駅に対してどのような対応をとったのか、明らかにしていただきたいと思います。

○小山参事 下水道局は、三月二日にトイレ排水の流出について発見した後、三月四日にJR東日本に通知いたしました。三月五日、JRは当該トイレを使用禁止にいたしまして、現在、仮設トイレを設置しているところでございます。下水道局といたしましては、速やかに駅トイレの排水設備を適正化し、公共下水道に接続するようJR東日本に求めているところでございます。

○松葉委員 今のご答弁の、下水道局のこの申し入れに対して、JR東日本は、今後の対応をどうしていくのかということを、下水道局に明らかにしているのか伺います。

○小山参事 下水道局から、三月四日に王子駅のトイレ排水について、王子駅に対して伝えたところでございます。翌三月五日、JR東日本社員が北部第二下水道事務所を訪れまして、当該トイレの工事は昭和四十一年ごろに施工したこと、当該トイレを使用禁止にし、仮設トイレを設置すること、JR内部で対応策を検討していくことの三点を回答しているところでございます。

○松葉委員 今回の問題についてきちっと改善を図っていただきたいと思いますけれども、その上で、ほかにも同様の件があったとしたら大変なことであります。とりわけ、悪臭の苦情があった場合には、原因を調べるなど対応すべきであると思います。
 今後の方針について明らかにしていただきたいと思います。

○小山参事 排水設備の工事に当たりましては、事前に排水設備計画届出書というものを出していただいております。ここで、下水道局の基準に合致しているか否かを確認し、必要があれば修正を求めているところでございます。排水設備などの悪臭の苦情がございます場合は、下水道局職員がその原因について排水設備であるか否かなどを調査するなど、お客様の相談に応じてまいってきているところでございます。今後とも、これまでと同様きちんと対応してまいります。

○松葉委員 今のご答弁のとおり、きちんと対応していただきたいと思います。
 新聞報道にもありましたけれども、長年にわたり悪臭に悩まされてきたという、そういったお声が地域の方々にあったわけでございます。そういった意味からも、きちんと北区の地域の方々にご説明をする機会を設けるなど、丁寧な対応を、今後していただくことを強く申し上げておきます。
 次に、技術開発を通じた下水道事業の地球温暖化防止に向けた取り組みについて伺います。
 本年は、ポスト京都議定書の新たな国際的枠組みが、十二月にデンマークのコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議におきまして、おおむね最終合意される予定であります。また、これまで地球温暖化対策に積極的でなかったアメリカが、オバマ大統領のもとで政策を転換し、グリーンニューディール政策を打ち出すなど、国際的に地球温暖化対策の取り組みが進んできております。
 東京都におきましては、地球温暖化対策都庁プランに基づいて、着実に温室効果ガス削減対策を進めていますが、中でも下水道局は、さきの本会議における公明党の上野議員への答弁で明らかになったように、アースプラン二〇〇四による対策で既に六%以上の削減を実現していると伺っています。二月の本委員会による東部スラッジプラント汚泥炭化施設の視察におきましても、下水道局の積極的な取り組み姿勢を、私も実感いたしました。
 そこでまず、六%削減に向けてどのような点に着目し、温室効果ガス削減を実現してきたのか伺います。

○小川計画調整部長 下水処理には、大きく分けて、水をきれいにする工程と、それにより発生する汚泥を処理する工程があり、それぞれの工程において一酸化二窒素などの温室効果ガスが発生しております。また、下水処理に必要な機器の運転により大量の電力を消費しており、それに伴って温室効果ガスが排出されております。
 これまで、このうち排出割合の多くを占める汚泥処理工程で発生するものと電力消費に伴うものとの二つに着目いたしまして、汚泥の高温焼却、汚泥炭化炉の導入や微細気泡散気装置などの省エネ機器の導入による消費電力の削減などで、計画的に温室効果ガスの削減を実施してまいりました。
 また、排出される温室効果ガスの削減とともに、温室効果ガスの排出の少ない資源エネルギーへの転換にも取り組んでおり、重油から都市ガスへの燃料転換のほか、再生可能エネルギーの活用として、汚泥消化ガスを活用したバイオマス発電や放流落差による小水力発電を行い、温室効果ガスを削減してきておるところでございます。

○松葉委員 これまで、排出量の多くを占める汚泥処理工程で発生するものと電力消費に伴うものの二つに着目し、計画的、効果的に削減を行ってきたということでありますけれども、そのほかにも、視察時の説明では、下水道局は、バイオマス発電や小水力発電だけではなく、下水が持つ熱や汚泥焼却で得られる熱を発電や地域冷暖房に利用するなど、再生可能エネルギーを積極的に活用していると伺いました。
 私は以前から、再生可能エネルギーの一つである太陽光発電の家庭への導入促進を訴えてまいりましたが、下水道局では現在、新型太陽光発電システムの共同研究を行っていると聞いております。
 そこで、共同研究の状況と今後の展開について伺います。

○東郷技術開発担当部長 共同研究の状況と今後の展開についてでございますが、これまで、太陽光発電の下水道施設への導入については、コスト面に加え、発電効率や天候の変化により出力が大きく変動するなど、電源としての安定性などに課題がありましたが、太陽光発電技術の開発が進んでまいりましたことから、導入の可能性について検証することといたしました。
 そこで、現在、最新の薄膜型太陽光パネルと、太陽の動きに合わせてパネルの向きを変える方式とを組み合わせた新型発電システムについて、民間企業との共同研究を葛西水再生センターにおいて実施しているところでございます。これまでの研究結果では、従来型より高い発電効率などが確認できております。今後は、大型設備での運転が可能な約五百キロワットの実用規模での実証実験を実施いたしまして、水再生センターの電源として十分機能するかどうかなどについて検証してまいります。

○松葉委員 都では、カーボンマイナス東京十年プロジェクトとして、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%という大幅な削減を目指しています。これまでの六%削減と比べて、その四倍ともなる二五%の温室効果ガス削減を十年で達成するのは決して容易なことではないと思います。二五%削減に向けては、さきの本会議における上野議員からの質問にもありましたが、これまでのノウハウを生かして産学と連携した新たな技術開発を行うなど、一層の工夫を凝らしていく必要があります。上野議員への答弁では、昨年七月、下水道技術研究開発センターを設置したと伺っております。
 下水道技術研究開発センターを設置したねらいと施設の概要について伺います。

○東郷技術開発担当部長 新たな技術開発を推進していくためには、産学との連携によって、民間の最先端技術や大学の最新の学術成果などを活用することが不可欠でございますが、民間企業や大学などでは、実際の現場を活用した実験や理論検証の場が少ないというのが現状でございます。そのため、産学公が連携して技術開発を推進するための拠点として、下水道技術研究開発センターを、砂町水再生センターに整備いたしました。
 当研究開発センターには、水処理工程を再現できる実験プラントや各種の機器を設置できる実験フィールド、実験サンプルを速やかに試験できる分析棟を設けておりまして、水再生センターの下水や汚泥を活用した研究開発ができる施設となってございます。

○松葉委員 実際の水再生センターにある利点を生かし、産学と連携した研究開発を推進できる施設であるということで、このセンターをフル活用して、温室効果ガス削減対策を強化する研究開発を行っていくべきであると考えます。
 センターを活用した地球温暖化防止技術の研究開発の取り組みについて伺います。

○東郷技術開発担当部長 現在、産学と連携して、これまで発生の実態が明確となっていなかった水処理工程で発生する温室効果ガスについて、当センターの水処理実験プラントなどを活用して、そのメカニズムの解明とともに削減技術の開発を行っているほか、汚泥処理工程で消費する燃料などの削減を目的とした低含水率脱水技術を民間企業と共同で開発しているところでございます。
 今後も、当センターを活用いたしまして、局が求める技術の開発を行うとともに、民間企業や大学が提案する技術の研究開発を行うことで、将来の地球温暖化防止などにつながる新たな技術の開発に積極的に取り組んでまいります。

○松葉委員 下水道局には、このような産学公連携した新技術の開発を行うとともに、これまでの温室効果ガス削減対策をさらに拡充し、今までも大変に頑張ってきておられますけれども、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現へ向け、積極的に取り組んでいただきたいことを要望し、質問を終わります。

○たぞえ委員 初めに、汚水が四十年以上も河川に流されていた問題について伺います。
 JR京浜東北線の王子駅、一日十二万四千人の乗降客が利用しているこの駅の南口改札のトイレの排水管が下水道につながれ、近くの石神井川に汚水が垂れ流しされている、この事実が、昨日の北区区議会で日本共産党の中川大一議委員が取り上げ、明らかになりました。汚水が川に流れ込んでいることはとんでもない問題です。駅利用者などからは、悪臭がひどい、トイレの汚水が石神井川に流れ込んでいるのが原因ではないか、こういう疑問や不安の声が寄せられており、緊急に解決が必要な問題です。数年前から、都民からこのような苦情が出されていました。
 下水道局はこの事態を調査してきたんでしょうか。

○小山参事 JR王子駅南口のトイレ排水の件につきましては、ただいまもご答弁申し上げましたとおり、三月二日、当局北部第二下水道事務所独自の現場調査の結果、王子駅南口のトイレ排水が、下水道局の雨水放流渠を経て石神井川に流出しているということが判明したものでございます。下水道局は三月四日にこのことをJR東日本に通知し、三月五日、JRは、当該トイレを使用禁止にし、仮設トイレを設置する旨、回答してきたところでございます。下水道局といたしましては、速やかに駅トイレの排水設備を適正化するよう、既にJR東日本に求めているところでございます。

○たぞえ委員 地元の北区の堀船一丁目の町会長さんは、この石神井川沿いの悪臭問題は、町会で毎年のように指摘をして区に改善を要望してきたと。直近の問題じゃないんです。もう十数年来、この悪臭に住民は苦しんできたんです。特に、夏になると臭くて窓もあけられない、異常な臭気で悩む都民に対して、東京都としては、結局は一刻を争ってこの解決の手だてはとられてこなかったんです。この河川が隅田川に合流する点から見ても、最も緊急に東京都が力を尽くすべき課題ではなかったでしょうか。
 三月初旬より、南口のトイレに、排水の不都合により使用中止、こういう張り紙がされ、今ロープが張られて仮設トイレが設置されています。こういう事態を見ても、直ちに都がこの対策に乗り出すべきだったんです。真相を都民と都議会に明らかにする必要があると思いますが、現在の調査で把握している内容を全部明らかにしていただきたいと思います。

○小山参事 JR王子駅南口の排水設備でございますけれども、JR東日本の回答によりますと、四十年以上も前の昭和四十一年施工のものと聞いているところでございます。なぜこのような排水設備になっているかにつきましては、現在不明でございます。

○たぞえ委員 原因は、結局、JR駅から、汚水管が雨水下水道管につながれていたと、このことが最大の原因なんです。一九六六年にトイレが設置され、当初からこうして流されていた可能性が高いと報道機関からも指摘がされています。
 JRといえば、社会的にも大変大きな企業です。いわば、大手企業の社会的責任というのは大変重みがあります。したがって、大都市自治体の果たす役割、東京都の役割は、まさにこうした企業に対して毅然として指導や対策を求めていく必要があると思うんです。
 所管局として、今後、JRに対して緊急の対策をどのように求めていくのか伺います。

○小山参事 下水道局といたしましては、三月二日にトイレ排水の流出について発見をいたしました後、速やかにJR東日本に通知し、JR東日本は当該トイレを使用禁止にして、現在、仮設トイレを設置しているということでございまして、トイレ排水の流出については、現在ないものというふうに考えております。下水道局といたしましては、速やかに駅トイレの排水設備を適正化し、すなわち、公共下水道に接続するよう、引き続きJR東日本に求めてまいります。

○たぞえ委員 東京都がJRに対して毅然と改善を求めることは、私は当然だと思うんです。しかし、多くの都民の皆さんが、長年にわたって悪臭に悩まされ、川のヘドロのせいだと思っていた、工事ミスが一因だとすれば、JRは住民に謝ってほしい、このように要求をしているんです。JR側についていえば、仮設トイレから改善トイレをつくれば終わりというわけにはいかない問題じゃないでしょうか。
 東京都がJRに対して、石神井川に面する住民に対しJRとしての説明義務を果たすように、毅然と指導を求めるべきだと思いますが、いかがですか。

○小山参事 JR東日本の王子駅構内の排水設備の件ではございますけれども、下水道局といたしましても、この排水設備の新たな設置などについて相談に応じますとともに、JR東日本にも適切な対応を求めてまいりたいというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 今相談に応ずるといいましたけれども、そういう姿勢じゃだめだと思うんですよ。石神井川、隅田川という都民にとって潤いの場にこうした汚染物が入ってくる、これは、行政としてみたら、JRに対して相当な、懲罰も含めた対応策が必要だと思うんですよ。
 しかし、今、当面何が必要かといえば、相談に応ずるんじゃなくて、こうつくるべきだ、直ちにこうした改善を図るべきだという毅然としたJRに対する指導が必要じゃないでしょうか。都民がこうして長年にわたって苦しんできたこの思いに立って、JRに対応していただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、下水道管の老朽化対策です。
 下水道管の損傷を発見するために行われている調査でありますが、どのような方法があるんでしょうか。

○宇田川施設管理部長 管路内調査につきましては、内径八〇〇ミリ以上では、調査員が管路の中に入りまして、目視によって行っております。一方、内径七〇〇ミリメートル以下では、管路内でテレビカメラを走行させ、カメラによって管路の状態を撮影して調査を行っております。

○たぞえ委員 テレビカメラで調査を行うことができるというお話ですが、それでは、その業者の数、業者の規模、事業の実績を伺います。

○佐藤経理部長 下水道管路内テレビカメラ調査業務における競争入札参加有資格者は三百八十四社でございまして、このうち中小企業基本法第二条の規定に該当する事業者は三百六十四社となっております。また、平成十九年度の入札、契約実績は百四十一件でございます。

○たぞえ委員 二月四日、五日、六日の三日間、管渠の維持補修の仕事に欠かせないテレビカメラ調査講習会が、北部第二下水道事務所で開かれました。ところが、この講習会では、これまでのカメラ調査を廃止して、新たな管路内の調査をするミラー方式のカメラを導入するというものです。
 きょう、このパンフレットを持ってまいりましたが、管内カメラシステムというロボット的なカメラ、これはどのような価格なんですか。

○宇田川施設管理部長 これまでのアナログ式テレビカメラ調査では、調査員がビデオに撮影した映像を見て損傷の度合いを診断するため、調査員の個人差によるばらつきが生じるなどの課題とともに、ビデオに撮影した映像や報告書にまとめられた診断結果などの情報の検索には時間を要するという課題がございました。
 下水道局では、こうした課題に対応し、より効率的、効果的な維持管理の実現に向けまして、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラ調査を導入することといたしました。撮影した映像はパソコンにより自動診断されるため、精度の向上が図られます。また、映像から得られる展開図と診断した情報は、電子データとして、下水道台帳情報システムに取り込んだデータの活用が容易になり、管渠を健全に保ち、予防保全を重視した維持管理が進めやすくなります。
 ミラー方式テレビカメラの実施に向けた検証を、平成十六年度から三カ年にわたり行った結果、品質の確保に確証が得られました。このため、平成十九年度より段階的な移行期間を設け、平成二十二年度からミラー方式テレビカメラ調査を全面的に実施していくことにいたしました。
 なお、ミラー方式テレビカメラ調査を実施することに関しましては、平成十九年十二月に下水道局のホームページにおいてお知らせしたところでございます。
 このミラー方式テレビカメラにつきましては、カメラの本体、カメラを制御する装置等により構成されておりまして、これらを合わせておおむね一千百万程度と聞いております。

○たぞえ委員 価格はといっているんですから、価格だけいっていただければいいんであります。
 今いわれた一千百万円というのは原価であって、販売価格は二千百万とも二千五百万ともいわれています。そのテレビカメラですが、どの企業の製品なんですか。

○宇田川施設管理部長 テレビカメラ調査は昭和五十七年度から下水道局で採用され、下水道管路の補修、改良、再構築に利用されてきました。これまでのテレビカメラ調査では、調査員の個人差によるばらつきが生じるなどの課題とともに、検索には時間を要するという課題があり、デジタル技術を活用した効率的、効果的な改善策が求められておりました。
 東京都下水道サービス株式会社は、従前からアナログ式テレビカメラの技術的課題を把握し、これに対応するため、カメラメーカーや、下水道技術のほか解析技術にもすぐれている民間企業に新たなテレビカメラ調査の技術開発について働きかけ、協力が得られた企業と連携して、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラ調査の開発に携わってまいりました。
 ミラー方式テレビカメラ調査は、ミラー方式テレビカメラ、展開図化システム、自動診断システムから構成され、下水道台帳情報システムとリンクされており、カメラも含め、東京都下水道サービス株式会社、日本工営株式会社、東芝テリー株式会社が開発いたしまして、三社で特許を取得しております。展開図化システムに取り込むためのカメラ映像の仕様を平成二十一年度に公開する予定でありまして、他社において製造等の参入も可能となります。
 この製品は東芝テリーの製品でございます。

○たぞえ委員 カメラ単独でこれは仕事ができるわけではなく、分析できる日本工営のソフトと一体となって使うことになっています。枝線の管渠の中で、耐用年数を超えた約千五百キロについて、撮影、展開図化、そして自動診断を一連で実施できるミラー方式のテレビカメラに切りかえるものですが、今答えがありましたように、二十一年度から適用して二十二年度からすべてミラー方式のテレビカメラになり、全面的に適用するというふうにしています。
 講習会では、東芝と日本工営の二社の担当者がカメラ機能を紹介して、東芝テリーのカメラと日本工営の分析するソフトを一体で使用するように説明をしましたが、これは事実ですか。

○宇田川施設管理部長 ミラー方式テレビカメラ調査は、東京都下水道サービス株式会社、東芝テリー株式会社、日本工営株式会社の三社が共同で開発したものでございます。このため、講習会では、主要な開発を担当した部分について担当各社が説明することといたしまして、東芝テリーよりミラー方式テレビカメラの特徴や操作方法について、日本工営より展開図化システムや診断システムについて説明を実施したところでございます。

○たぞえ委員 下水道局のホームページによると、下水道サービスと企業とが共同開発を行い、仕様を図ってきたと書かれています。特定の企業のカメラの写真まで印刷して、導入しなければならないというふうにしているんです。こうしたカメラを開発しているのは、キューアイ、ノザワ電子などの多種の企業があるのに、特定の東芝テリーのみのカメラの機械、これを使用するように講習会で公然と働きかける。
 局長に聞きますが、新方式のカメラの使用を強制して、新方式のカメラと、東芝テリーだけでなくほかの業種もあるのに、東芝テリーを特定する理由は何なんですか。

○宇田川施設管理部長 東京都下水道サービス株式会社は、従前からアナログ式テレビカメラの技術的課題を把握いたしまして、これに対応するため、カメラメーカーや、下水道技術のほか解析技術にもすぐれている民間企業に、新たなテレビカメラの調査の技術開発について働きかけ、協力が得られた企業と連携いたしまして、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラ調査の開発に携わってきました。こうした経緯から、ミラー方式テレビカメラ調査につきましては、東京都下水道サービス株式会社、日本工営、東芝テリーとともに開発されたものでございます。ミラー方式テレビカメラ調査を実施していくには、競争入札有資格者が調査に関して必要な事項を理解していただくことが必要であるため、講習会を実施いたしました。

○たぞえ委員 いろいろな会社がつくっているんだから、何で、いろいろな会社の製品がありますよ、そういうふうに説明をして業者に選ばせる努力をしないんですか。特定の企業だけのカメラの仕様を説明するという自身が、これは越権行為じゃないでしょうか。
 しかも、ミラー式カメラを購入する際、日本工営が作成した分析ソフト購入もセットで義務づけられているんです。新方式では、従来のカメラを使用することはできないんです。データ分析ソフトは幾らで購入しなければならないんですか。

○宇田川施設管理部長 先ほども申し上げましたとおり、ミラー方式テレビカメラ調査につきましては、技術開発を行うことによりまして開発されたものでございまして、現在のところ、このカメラ以外ではございませんが、展開図化システムに取り込むためのカメラ映像の仕様を平成二十一年度に公開する予定でありまして、他社においても製造等の参入も可能になります。
 また、調査結果の分析ソフトの件でございますけれども、ミラー方式テレビカメラ調査は、カメラと展開図化システム、自動診断システムを組み合わせたものといたしまして、東京都下水道サービス株式会社を含む民間三社により開発されたものでございます。また、民間三社により、これは特許を取得されているものでございます。そのため、このシステムを使用するには、ソフトの開発者である三社との使用許諾契約が必要でございます。ソフトの使用許諾契約には、許諾基本料とソフトを円滑に操作するための実務研修の費用が含まれておりまして、合わせて二百三十万円程度と聞いております。
 また、請負者につきましては、ソフトウエアの所有者等に展開図の作成等をゆだねることができますので、大きな影響はないと考えております。

○たぞえ委員 私は、影響があるとかないとかという見解を求めていません。幾らですかというふうに聞いているだけであって、だから、質問に対して端的にその部分だけお答えいただきたいんです。
 じゃ、端的に聞きますが、東芝テリーのカメラを使う場合に、データ分析のソフトは日本工営だけしか開発してないんですか。

○宇田川施設管理部長 分析ソフトにつきましては、東京都下水道サービス株式会社、東芝テリー、日本工営の三社で特許を取得してございます。

○たぞえ委員 要するに、三つのところのグループが特許を持っているだけであって、結局、日本工営がそのソフトを握っているということなんですよ。
 さらに、使用に当たって講習が義務づけられていますが、その講習はどこが開いて、講習料というのは取るんですか。取るとしたら、どこに入ってくるんでしょうか。

○宇田川施設管理部長 ミラー方式テレビカメラ調査を円滑に実施していくために、テレビカメラ調査の競争入札参加有資格者にカメラの取り扱い等必要な事項をあらかじめ理解していただくため、下水道局が無料で講習会を開催いたしました。競争入札参加有資格者全員に講習会の開催案内を送付した結果、百五十八社三百二十一名の参加がございました。
 なお、ミラー方式テレビカメラ調査を行うには、この講習会の受講修了者を実際配置することを条件といたしております。

○たぞえ委員 講習会の無料は結構なことと思います。しかし、カメラの購入費、維持費、ソフトの購入費、ソフトの使用料、これらは、東芝テリーと日本工営は、自分が下水の中に入って仕事をしなくとも、下水道局が下水管の維持補修を続ける限り自動的に売り上げが上がる、こういうシステムなんです。特定の企業の機械の使用を義務づけた作業を下水道局が継続する限り、特定企業に自動的に収益が入る、こういうシステムは公共事業としてふさわしいとは思えませんが、どうですか。

○宇田川施設管理部長 下水道は、生活環境の改善や浸水の防除、公共用水域の水質保全など重要な役割を担っており、こうした役割を果たすためには、下水道施設の適切な維持管理が不可欠であります。このため、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラ調査を導入いたしまして、膨大な下水道管渠を効率的、効果的に調査することといたしました。先ほど申し上げましたが、こうした下水道管渠の効率的な維持管理のために開発された技術でありまして、特定の企業に利益を与えるものではございません。

○たぞえ委員 しかし、現実に、日本工営と東芝テリーと下水道サービス会社、この三社で開発した、これ以外のところの情報は提案されてないんです。特定の企業の仕様しか認めない発注仕様書で公共事業を発注する場合は、競争性の原則が大前提となる公共事業では、経済性、公平性、透明性が担保されていることが、発注者側から業者への説明責任が最もされなければならないことです。東芝テリーと日本工営のデータ分析ソフトを使用しなければ維持補修ができない、こういうことについて、業者には説明していますが、都民にはどのように説明されるんですか。

○宇田川施設管理部長 ミラー方式テレビカメラ調査の技術につきましては、TGSが従前からアナログ式テレビカメラの技術的課題を把握しておりまして、これに対応するために、カメラメーカーや、下水道技術のほか解析技術にもすぐれている民間企業に新たなテレビカメラ調査の技術開発について働きかけをいたしまして、協力が得られた企業と連携して、デジタル技術を活用したミラー方式のテレビカメラ調査の開発が行われております。

○たぞえ委員 このようなミラー方式を導入しますと、現在使っているカメラを使うことができないために、多くの中小零細業者にとっては、倒産する可能性が高く、死活問題になっています。
 先日の二月の説明会に出席された業者の方々からも、今使っているカメラは一切使えない、数千万円するカメラを購入するために銀行に相談に行ったが、そんなものには貸せない、断られたそうです。カメラがなければ、下水の中にその傷口を見つけ、修繕する場所を見つける仕事がない、これは結局倒産に追い込まれることなんです。
 従来方式についてはこれまで実績が明らかになっていますが、新方式のミラーカメラについては、さらに水に弱い、段差に弱い、ミラーヘッドに一部損傷があると約百万円の修理費がかかる、しかも下水管から生じる霧状の煙に弱いなど、既にこういうことがこの新カメラには指摘がされています。こういうカメラを使ってさらに借金をして、業者を締め出すようなことが許されるはずがありません。従来方式の実績を無視して、発注者がそこまで新型を誘導するのは越権行為です。今の急速な経営悪化の中で、地方自治体が不公平な取引を導入して中小零細業者を倒産に追い込むようなことがあってはならないと思います。
 来年度、来月、四月から導入しようとする東芝テリー製のミラーカメラ方式しか認めないというこの契約方式は凍結して、従来の方式も適用できるように契約を継続する必要があると思いますが、見解を伺っておきます。

○宇田川施設管理部長 下水道は、生活環境の改善や浸水の防除、公共用水域の水質保全など重要な役割を担っておりまして、こうした役割を果たすためには、下水道施設の適切な維持管理が不可欠であります。
 このため、デジタル技術を活用したミラー方式テレビカメラ調査を導入いたしまして、膨大な下水道管渠を効率的、効果的に調査することといたしました。診断結果を下水道台帳情報システムに取り込むことで、管径、勾配など管渠の構造や損傷状況等を一元的に管理することができ、予防保全を重視した維持管理を推進することが可能となります。
 テレビカメラ調査につきましては、従来よりカメラを所有していない業者も受注しているとともに、請負者は展開図の作成や自動診断をソフトウエアの所有者等にゆだねることもできます。このため、公平性や競争性は確保されていると考えておりまして、平成二十二年度からミラー方式テレビカメラ調査を全面的に実施していく予定に変わりはございません。

○たぞえ委員 東芝テリー株式会社がつくったこのパンフレットを読みますと、従来のカメラより下水管の中の破損を発見することが早くできる、こういうふうに書いています。これまでのカメラはおおよそ一日二、三百メートルずっと検査ができる、この新しい機械は一日六百、七百メートルできます。そして、下水管の中のそういうものを発見することができるんですが、この機械を使いますと、約三年で東京の千五百キロの下水管の破損地点が発見できるというよさはあります。しかし、逆に考えてみますと、約三年間で−−破損が早く見つかるのはいいことです。しかし、三年で大体このカメラは、もう使うことがなくなるというふうに業者の方もおっしゃっていました。先ほど答弁で、カメラを持ってない方も、企業がグループでそれを使っているというふうなお話でありましたけれども、しかし、新しいカメラをそのグループの数名の業者の方が購入することは間違いないわけです。今までのカメラがずっと使える、こう思っていたやさきに数千万円もかかるものを使っていかなきゃいけない、それ自身の負担が高いわけですよ。
 ですから、来年度四月からの導入、そして二十二年度までにすべてをやるということじゃなくて、少なくとももう少し時間をおいて、業者の方がカメラを購入できるように、さらにはそうした準備もできるように、万端の体制が必要じゃないでしょうか。そういうことなくして二十二年度には全部終わる、これでは業者の首を絞める、こういうことになりかねないと私は思います。
 先ほど答弁があった、この業種の皆さんは三百八十四社、中小企業の規模でも三百六十四、実績でも百四十一事業が実施されてきた、こういう方々の前途をくじくようなことがあってはならないというふうに私は考えています。
 この問題は、二月の講習会に参加されたたくさんの業者の皆さんから、余りにも乱暴だ、こういうふうに指摘されている内容です。ぜひそういう業者の皆さんの声も、アンケートもとっているようですから聞き入れて、拙速な対応をしないように十分な配慮をお願いしたいというふうに思います。
 以上で終わります。

○鈴木(隆)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木(隆)委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後三時二十八分散会

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