委員長 | 吉原 修君 |
副委員長 | 田中たけし君 |
副委員長 | たぞえ民夫君 |
理事 | 大西さとる君 |
理事 | 高島なおき君 |
理事 | 鈴木貫太郎君 |
伊藤 興一君 | |
福士 敬子君 | |
そなえ邦彦君 | |
崎山 知尚君 | |
いのつめまさみ君 | |
樺山たかし君 | |
初鹿 明博君 | |
中村 明彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員水道局 | 局長 | 東岡 創示君 |
技監 | 尾崎 勝君 | |
総務部長 | 鈴木 孝三君 | |
職員部長 | 小山 隆君 | |
経理部長 | 山本 憲一君 | |
サービス推進部長 | 内海 正彰君 | |
浄水部長 | 長岡 敏和君 | |
給水部長 | 増子 敦君 | |
建設部長 | 原薗 一矢君 | |
企画担当部長 | 鈴木 慶一君 | |
設備担当部長 | 吉田 進君 | |
参事 | 広瀬 敏弘君 | |
多摩水道改革推進本部 | 本部長 | 滝沢 優憲君 |
調整部長 | 大平 晃司君 | |
施設部長 | 今井 茂樹君 | |
参事 | 佐竹 哲夫君 | |
下水道局 | 局長 | 前田 正博君 |
次長 | 今里伸一郎君 | |
総務部長 | 野口 孝君 | |
職員部長 | 阿部 義博君 | |
経理部長 | 佐藤 仁貞君 | |
計画調整部長 | 小川 健一君 | |
技術開発担当部長 | 高橋 良文君 | |
施設管理部長 | 桜井 義紀君 | |
施設管理担当部長 | 星川 敏充君 | |
建設部長 | 黒住 光浩君 | |
流域下水道本部 | 本部長 | 中村 益美君 |
管理部長 | 梶原 明君 | |
技術部長 | 宇田川孝之君 |
本日の会議に付した事件
水道局関係
請願の審査
(1)二〇第二号 工業用水道料金の減免措置及び減免率の継続に関する請願
予算の調査(質疑)
・第二十七号議案 平成二十年度東京都水道事業会計予算
・第二十八号議案 平成二十年度東京都工業用水道事業会計予算
下水道局関係
予算の調査(質疑)
・第二十九号議案 平成二十年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百二十二号議案 多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
・第百二十三号議案 荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
○吉原委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係の請願審査、水道局及び下水道局関係の平成二十年度予算の調査、並びに下水道局関係の付託議案の審査を行いたいと思います。
これより水道局関係に入ります。
初めに、請願の審査を行います。
二〇第二号、工業用水道料金の減免措置及び減免率の継続に関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○鈴木総務部長 請願につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布してございます資料1、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと存じます。
この請願は、用水型皮革関連企業協議会会長の本田桂一さんから提出されたものでございます。
請願の趣旨としましては、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減額措置及び減免率を継続していただきたいというものでございます。
この請願に関します現在の状況でございますが、油脂・皮革関連企業に対する工業用水道料金の減免措置につきましては、平成十九年第一回東京都議会定例会におけます工業用水道料金の減免措置に関する決議の趣旨を尊重いたしまして、一般会計からの減収分の補てんを前提に、独立採算及び負担の公平性の原則に対します例外措置といたしまして、平成二十年三月三十一日までを期間としまして、基本料金の一〇%を減額しているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議くださいますようお願い申し上げます。
○吉原委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○吉原委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉原委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第二号は趣旨採択と決定いたしました。
なお、本件は、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。
以上で請願の審査を終わります。
○吉原委員長 次に、予算の調査を行います。
第二十七号議案及び第二十八号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○鈴木総務部長 お手元に配布してございます資料をごらんいただきたいと存じます。さきの委員会におきまして資料要求のございました事項を項目別にまとめたものでございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
一ページをお開きいただきたいと存じます。八ッ場ダム当初基本計画と基本計画変更の内容及びその推移でございます。
事業の目的、ダム概要、費用、取水量と負担割合及び工期につきまして、当初計画の主な内容と、これまで実施されました計画変更の概要をお示ししてございます。
二ページをお開きいただきたいと存じます。八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担でございます。
平成十四年度から十八年度までの八ッ場ダムの事業費、都の負担額、そのうち、水道局の負担額及びその他の負担額をお示ししてございます。
三ページをお開きいただきたいと存じます。東京都の保有水源量と一日最大配水量でございます。
平成十四年度から十八年度までの都の保有水源、一日最大配水量をお示ししてございます。
四ページをお開きいただきたいと存じます。工業用水道の区別給水件数、使用水量及び料金収入でございます。
平成十四年度から十八年度までの区別給水件数、使用水量、料金収入をお示ししてございます。
要求のありました資料の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉原委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 平成二十年度東京都水道事業会計予算に関しての質疑を行います。
水道事業は、量、質ともにすぐれていることが重要だと思っております。量の面でいいますと、さきの予算特別委員会でも取り上げましたが、安定した水源の確保が重要であります。水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える最も重要なライフラインであり、一たび安定給水に支障が生じると、その影響ははかり知れないものがあります。
都は現在、日量六百二十三万立方メートルの水道水源を保有しておりますが、この中には十分な取水が困難となっているものなど、課題を抱える水源が含まれております。また、都の水源の約八割を占める利根川水系は、利水安全度を五分の一として水資源開発が進められており、全国の主要水系に比べて渇水に対する安全度が低い計画となっていることは、これまでも取り上げられてきております。
さらに、近年の気候変動は水にも影響を与えることが懸念されており、知事も答弁されたとおり、気候の激変は人間の予測を超えたものであり、十全な備えをしていくことが必要であります。水道局として、八ッ場ダムの建設促進を初め、水の安定供給に向けて全力を尽くしていただきたいと思います。
また、質の面でありますが、我が党は、水道局とともにおいしい水への取り組みを進めてまいりました。特に直結給水に関しては、あらゆる機会をとらえて、取り組みの重要性について指摘してまいりました。こうした主張を受け、水道局では直結給水方式の普及促進に取り組んできております。
そこで、現在、直結給水方式はどのくらいまで対応が可能となっているのか、お伺いいたします。
○増子給水部長 水道局におきましては、これまで直結給水の普及促進に向け、さまざまな取り組みを進めてまいりました。平成七年には、それまで三階までであった直結給水方式を、増圧ポンプを採用することにより、四階以上六十世帯程度の集合住宅まで適用可能といたしました。
平成十六年には適用建物の規模をさらに拡大し、現在、建物階高では十六階程度の建物、建物規模では二百世帯程度の集合住宅まで適用が可能となっております。また、平成十九年には、四階以上の建物において、増圧ポンプを使用せずに配水管の圧力で直接給水できる範囲を拡大いたしました。
○田中委員 これまでの水道局の方々の継続的な取り組みによりまして、今ご答弁いただいたように、これまで三階までであった直結給水方式が、現在は十六階程度まで可能ということであります。このことから、より多くの都民がおいしい水を直接味わえるようになったということは、大変高く評価をしていきたいと思います。
また一方、二百世帯規模までは対応できるということでありますが、二百世帯を超えるような大規模マンションについては、依然、貯水槽水道方式によっての給水ということであります。
直結給水方式は、おいしい水を求める都民ニーズにも合致した大変すばらしい取り組みであり、ぜひ引き続きPRに努めていただきたいと思いますが、その一方で、貯水槽水道方式がある意味劣っているというイメージを与えてしまってもいけないと思います。貯水槽水道水でも適正に管理されていれば、安全でおいしい水が手に入ると思っておりますが、改めて確認のためにお伺いをいたします。
○増子給水部長 水道法では、貯水槽の有効容量が十立方メートルを超えるものは、一年に一回の定期清掃などが設置者に義務づけられております。
水道局では、都内にあるすべての貯水槽水道を対象に、水質検査や管理状況等の点検を行うクリーンアップ貯水槽を平成十六年度から実施し、適正管理の確保に向けて設置者に対する指導などを行っております。貯水槽水道が適正に管理されていれば、水質劣化などの問題は生じず、安全でおいしい水をお届けすることが可能でございます。
○田中委員 適正に管理をされていればという前提ではありますが、貯水槽水道方式でも都民の方々へ安心しておいしい水を提供できるということで、多くの都民の方も安心されると思っております。
東京の水道は、こうした取り組みによって世界でも数少ない安全性とおいしさを有していると思いますが、ぜひ「東京水」を積極的に活用して、おいしい水のPRに引き続き努めていただきたいと強く思います。
また、水道水はまずいという誤ったイメージから、いまだ水道水を飲むことに抵抗を覚える都民も一方ではいるかと思います。少しでも早くこの誤ったイメージを払拭していただきたいと強く思っておりますが、水道局では、我が党の高島理事からのご提案も取り入れていただいて、次代を担う小学生を対象に水道キャラバンなどの多様な取り組みを開始していただいております。
また、公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業は、我が党も当初から評価をしており、平成十八年第四回定例会においてその対象校数の拡大も提案してまいりました。水道局では、この我が党の提案を受け入れて、平成二十年度までに四百校に拡大し、取り組みを推進していくということであります。
これまでのこの公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業の実施状況と今後の見通しについて、お伺いをいたします。
○増子給水部長 公立小学校の水飲栓直結給水化モデル事業につきましては、今年度三十一校で実施してございます。工事の前と後で学校に対して行ったアンケート調査の結果、教職員からの回答では、水道水に満足しているが三割から六割に増加し、学校の水道水を飲む児童が八割を超えるなど、大きな効果が上がっていることがわかっております。
今後とも、区市町との調整を進め、平成二十年度末までに都営水道区域内の公立小学校の約三割に相当する四百校を対象枠として、モデル事業を実施していく予定でございます。
○田中委員 これまでの実施状況は大変評価の高い結果となっているということで、子どもさんたちも大変喜んでいるのかなと思っております。
さて、今年度の対象枠は四十八校であったと伺っておりますが、目標には届いていない状況のようであります。これはどのような理由によるものと考えられるのか、また、今後どのように対応していくのか、お伺いいたします。
○増子給水部長 今年度目標に届かなかった主な理由といたしましては、区市町において小学校の耐震補強工事を最優先に実施したいといった事情や、設計監督に要する人員の確保が困難といったことなどが挙げられます。このモデル事業を着実に進めていくため、水道局として施工に関する技術支援を行うとともに、小学校における水飲み栓直結給水化の効果などについてPRに努めてまいります。
○田中委員 公立小学校の水飲み栓直結給水化事業は、大変子どもさんたちにも喜ばれ、すばらしい事業だと思っておりますが、この事業は水道局単独では実施できない事業でありまして、区市町のそれぞれの事情も勘案しながらも、区市町との連携のもとで成り立つ事業であります。それぞれの事情を加味しながらも、積極的に実現に向けて引き続きPR等を努めていただきたいと思います。
また、千二百万都民に対し、責任を持って安全でおいしい水を供給し続けるためには、安定した水源の確保はもちろんのこと、着実な施設整備を進めることとともに、ハード、ソフト両面にわたった不断の取り組みが欠かせないと思っております。
今も確認してまいりました、水の量、質ともにすぐれた水道事業の実現のために、これからも水道局挙げてのご尽力を期待するところでありますが、最後に水道局長のご決意をお伺いいたします。
○東岡水道局長 首都東京の安定給水を確保するためには、長期的視点で将来を見据え、取り組みを行っていくことが重要だと考えております。八ッ場ダムにつきましては、将来の水需要や渇水に対する安全性などを考えますと必要不可欠なダムであり、関係機関に対し早期の完成を働きかけてまいります。
また、おいしい水を求めるお客様ニーズにより的確にこたえていくため、引き続き高度浄水処理の着実な導入や残留塩素の低減化を推進するとともに、貯水槽水道の適正管理や直結給水方式の普及促進に取り組んでまいります。
こうした取り組みにつきまして、お客様により知っていただくため、地域のお祭りやスポーツイベントなどさまざまな機会をとらえ、また、水道キャラバンや学校水飲み栓直結化事業などを活用して、積極的にPRを行ってまいります。
今後とも、水道局は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、効率経営に努めながら、一層確かな安心、安定を実感できる水道サービスに努めてまいります。
○初鹿委員 私からは、今、必要不可欠だという答弁をされましたが、八ッ場ダムに関して、水需要の予測について質問をさせていただきます。
今定例会は、新銀行東京の問題が大きく取り上げられて、余り八ッ場ダムのことは話題になっていないようですけれども、私は、新銀行東京の問題も非常に重要だとは思いますが、八ッ場ダムのこの問題というのは、国の公共事業のあり方、特に長期間にわたって計画が続いている、また、社会情勢も変わっている中で続いている公共事業のあり方を考える上で非常に重要なのだろうと思います。
ダムの必要性ということを考えたときに、水の需要予測というのが非常に重要になってくるわけですけれども、八ッ場ダムが必要かどうかということだけではなくて、水道局が今後どのような事業を行っていくのか、施設等をどのようにしていくのかということを考える上でも、水の需要予測をしっかり立てることは必要なんだと思います。
八ッ場ダムが完成をするという平成二十七年になれば、今ある水道局の持っている施設も徐々に更新の時期を迎えてくるのだろうと思います。そのときに、今後どうやって適正な事業を行っていくのかというのを考えたら、やはり正確なデータに基づいた予測というものを立てておくということが必要だと思います。
先月二十七日の花輪議員の一般質問や、また山下議員の予特での質問でも、その需要予測をもう一度やる必要があるのではないかと申し上げましたが、局長からは予測を見直す必要はないという回答を得ています。
その一方で、花輪議員の一般質問の際の猪瀬副知事の答弁は、国の公共事業をこれから見ていく場合に、事業の再評価を常にしていくことが大事で、その事業の再評価を常に正確なデータに基づいてやるというのが国益だという答えをされております。
ここで意見が食い違っているわけですけれども、私は、やはり猪瀬副知事がいったように、国の公共事業を再評価していくということは必要ですし、その再評価に当たっては、正確な、そして最新のデータに基づいて、そういう需要の予測なども立てていくことが必要だというふうに思っております。
そこで、まず最初に伺いますが、現段階では見直す必要はないといっております。この昭和六十年以降、水需要予測は、昭和六十一年、平成二年、平成十年、平成十五年と四回行っており、その見直しのスパンは四年、八年、五年とばらつきがあります。一定ではありません。この間、水需要予測の見直しは、具体的にそれぞれどのような理由や、どういうタイミングで行われてきたのかをお伺いいたします。
○鈴木企画担当部長 水需要の見直しにつきましては、都の長期構想等の策定に合わせまして、そこで示される基礎指標等を踏まえ、適宜適切に行ってきております。
○初鹿委員 都の長期構想の策定に合わせてということですが、この件については後でまたお伺いさせていただきます。
次に、予測の方法について何点か質問させていただきます。私は、基本的に東京都が行っている予測方法は特段間違っているとは思いません。しかし、昭和六十一年の予測以来、一日平均使用水量はおおむね予測と実測値が一致しておりますが、一方で、一番問題となります一日最大配水量は、予測値が常に右肩上がりで出されているにもかかわらず、実測値は常に平成二年ごろから明らかに右肩下がりの傾向が見てとれるわけです。
その結果、直近ですと大体日量五百五万トンのところを平成二十五年には六百万トンと、これから百万トンも上がりますよという予測になっていて、普通に都民が考えると、こんなことが実際にあるのかなというような疑問を持つような数字になっているんですね。
局長は、一般質問や予特での答弁で、予測の基礎となる一日平均使用水量は、実績との間に大きな乖離は見られないことから、予測を見直す必要はないと答えておりますが、このような一日最大配水量の実測と予測がかけ離れているということを考えると、一日最大配水量の計算の仕方にやはり何らかの問題があるのではないかなと考えるのが自然だと思います。
そこでお伺いしますが、一日最大配水量の予測と実績の乖離が発生している要因は何だとお考えでしょうか。また、私は、この最大配水量の予測に用いる指標が不足をしていることが要因ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木企画担当部長 水需要予測の基礎となります一日平均使用水量につきましては、過去の実績や関連する基礎指標を用いまして、統計的手法により算出しております。その上で有収率、負荷率を考慮いたしまして、一日最大配水量を予測しております。
○初鹿委員 だから、一日平均使用水量はそういう計算で出ていると。それは実績と割と一致をしているというわけですから、そのことを問うているのではなくて、一日最大配水量の計算が、平均使用水量に対して有収率、負荷率を考慮しているだけでは不十分ではないんですかということを伺っているんです。
○鈴木企画担当部長 一日最大配水量につきましては、景気などの社会経済状況ですとか、あるいは天候、気温等の気象条件、渇水の影響など、さまざまな要因によって変動しているという状況にあると考えております。
○初鹿委員 変動しているということは、計算の仕方がやはりまた何らかの要素を加えないと合わなくなるんじゃないかということをいっているんですね。おわかりですよね。
では、次のことに移りますが、前回の平成十五年の予測は、昭和六十一年から平成十二年までの実績に基づいて計算がされて、予測がされているわけですが、現在ですと、それから五年間も新たな実績がデータとして追加できるようになっているわけです。
特にこの五年間の社会情勢の変化を考えますと、やはり水需要の増減要因にも大きな変化が出てきているのではないかなと思うわけです。例えば水需要が増加する要因として見ると、その当時の予測で見ますと、人口は基本的に減るという見方をしているのでしょうけれども、最近の数字を見ますと、平成二十七年ぐらいまでは都心回帰ということで人口はふえていくと。そういうことを考えると、水の需要が伸びる可能性もある。また、平均世帯数も減少していくというわけですから、一世帯当たりの使用水量も増加するかもしれない、そういう増加要因もあるわけですね。
その一方で、減少要因としては、前回の想定ですと実質経済成長率を二%としておりますが、現実に平均で二%に満たないということも考えられますし、今後も、今、日本のこの現状を考えると、経済成長が二%でこのまま推移していくというのは考えづらいと思います。
また、節水機器の普及も進んでいて、この進みぐあいによっては、やはり水需要が減少していくということも考えられる。水洗のトイレなんかも、最新のものを見ますと、一回流すのに以前は十三リットルぐらい使っていたものが、新しいものですと五リットルぐらいで流せるというように、半分ぐらいになっているわけですよ。そういうことを考えると、やはり増加要因も減少要因も変わってきているのかなと。
その上で改めてお伺いしますが、過去四回の調査で一日最大配水量の予測と実績で、実績の方が予測を下回り続けているという状況にあるわけですね。ということは、水需要の増加要因よりも減少要因の影響がより強く影響を与えていると考えるのが普通だと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木企画担当部長 先ほど申し上げたとおり、水需要は一日平均使用水量を算出し、その上で有収率、負荷率を考慮し、一日最大配水量を予測しております。この予測の基礎となる一日平均使用水量は、実績との間に大きな乖離は現在ございませんので、おおむね妥当であるというふうに考えております。
○初鹿委員 私も、一日平均使用水量の計算はおおむね妥当だと思います。問題としているのは、最大配水量の計算の仕方にやはり問題があるのではないかなということをいっているんですね。
この前の予特の山下政調会長の質問の中でも触れさせていただきましたが、予測負荷率と予測有収率をどういう設定にするかによって、この値が大きく変わるということを指摘させていただきましたが、東京都は、特に予測負荷率の方ですけれども、直近十五年の最低値を使用していて、八一%というふうにしておりますね。
その一方で、その他の県はどうなのかということを見ますと、大体国の方では直近十年の下位の三年の平均値を出している。また、茨城県ですと十六カ年の最小値五カ年分の平均、栃木県は過去十年の下位三カ年の平均、群馬県は過去十年の最低値ということになっているんですね。
十五年の最低値というのは、かなり安全度を見ているという評価の仕方はあるかもしれませんが、かなり古いデータを使っているのかなというふうに思うわけです。山下議員の予算特別委員会のときにも述べさせていただいておりますが、直近十年のデータで仮に計算してみますと、平成二十五年の一日最大配水量は五百六十万トンになって、四十万トン下がります。
また、直近十五年のデータに基づいて、ここの最小値で計算した場合、直近十五年というのは平成四年から平成十八年のことです。それでやると負荷率は八二・四%になりますので、五百八十八万トンになるということなんですね。このように、やはり負荷率をどのように設定するかによって結果が随分異なるということがわかるわけです。
そこで、お伺いしますけれども、どうして前回予測したときに、予測負荷率を直近十五年での最低値を採用することにしたのか、お伺いいたします。
○鈴木企画担当部長 先ほど申し上げたとおり、負荷率は、景気などの社会経済状況や、天気、気温等の気象条件、渇水の影響など、さまざまな要因によって変動するものと考えております。したがって、経年的な傾向で推測することは困難であるというふうにも考えております。
水需要の予測に当たって、先生が今おっしゃった各水道事業者では、さまざまな考え方で負荷率を採用しておりますが、東京都水道局では、首都を預かる水道事業者として安定給水の確保を最優先に考え、予測負荷率を採用しているところでございます。
○初鹿委員 今のお答えもわからないことはないんですけれども、やはり実績と予測を見てみますと、直近の十年ぐらいを見ると八五%を大体超えているんですね。ここであえて十五年をとったというのは、昭和六十一年の八〇・七%の数字を使いたかったのかなとうがった見方をするわけですよ。そうじゃないというんだったら、今からの直近、平成四年から十八年の最低値を用いるか、また、直近十年の平成九年から平成十八年の数字を用いるかした方が、都民からすれば納得がいくのではないかなと思います。
いかにも六百万トンという数字を出さんがために、もとになるデータを抽出しているように思えてならないんですよね。先ほどからいっていますけれども、やはり最新のデータに基づいて正確に予測を出していくということが必要になってくるわけですから、そのことはぜひ頭の中にしっかり入れておいていただきたいと思います。
最初に、どういうタイミングで予測の見直しを行っているかという質問をしたときに、長期計画の策定の時期というお答えがありました。一昨年、東京都は長期計画「十年後の東京」を策定したわけですね。皆さんもそれをご存じですよね。となると、普通に考えて、それに合わせて水需要の予測もやり直す必要があるのではないかなと思うんです。
ところが、局長は必要がないといっているわけですが、私はやはり、「十年後の東京」といって、十年後の東京はこうなりますよということを訴えて、これから十年間はその計画に基づいて東京都は行政運営していくということをいっているわけですから、やはりそれに合わせて水道局も水需要の予測をし直すのが当然だと思いますが、ご所見を伺います。
○鈴木企画担当部長 現在の水需要予測は、長期的な将来を見据えて平成十五年度に行ったものであり、現時点で基礎指標に大きな変化はなく、また、先ほど申し上げたとおり、予測の基礎となる一日平均使用水量は、実績との間に大きな乖離は認められないということから、予測を現在見直す必要はないというふうに判断しております。
○初鹿委員 すれ違いなんですが、予測をし直す必要がないということはわかりました。ではお伺いしますが、ダムができるのは何年ですか。五年延長になりました。二十二年じゃなくて二十七年になったんですね。予測されている数字は二十五年ですよね。ダムができた二十七年の一日最大配水量は幾つになるんですか、答えてください。
○鈴木企画担当部長 先ほどいいましたが、水需要予測は長期的な視点で行っておるところでございまして、先生おっしゃるように、今回の八ッ場ダムの工期変更に伴って見直すということは考えてはおりません。
○初鹿委員 数字が幾つになっているかと聞いているんですよ。要は二十七年の数字はないということですよね。でも、長期的な視点といっているんだったら、今から長期的にやった方がいいんじゃないですか。二十七年完成ですけれども、ダムは完成したからといってすぐ水がたまるわけではないですよね。そういうことを考えると、やはり数年先、今から十年後、平成三十年の水需要の予測をしておくということが、普通に考えて自然だと思うんですよ。
前回、十六年に計画変更がありましたよね。そのときは十五年の最新の予測でした。それに基づいて十年先の二十五年の予測値を出していて、ダムが完成してから三年後には六百万トンになるから必要だと。このデータの数字が正しいかどうかは置いておいても、その考え方というのは、私はごもっともだと思います。
ところが、今回はダムが完成する期間が五年延びているんですよ。それについて予測が出ているのが、ダムが完成する前の予測しか出ていないというのは、やはりだれがどう考えたって不自然だと思うのが当たり前じゃないかなと思うんですね。
ダムができてからの予測というものを私はやはり立てる必要があるんだと思います。つまり、平成二十七年もしくは平成三十年の予測を算出するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木企画担当部長 繰り返しになって恐縮でございますが、現在のところ、実績との間に大きな乖離は認められないということから、予測を見直す必要はないというふうに判断しているところでございます。
○初鹿委員 実績との乖離が認められないのは一日平均使用水量であって、一日最大配水量は明らかに予測と実績とが乖離をし始めているわけですね。そのことは認めるわけですよね。それならば、私がいっているのは、一日最大配水量が幾つになるかということが、このダムの是非を考える上で必要なんだから、平成三十年の一日最大配水量が幾つになるかというのは、やはり明確にすることが必要だと思います。
そうやって隠すから、隠すというか、明らかにすればいいものを明らかにしないから、余計本当に必要なのと、この数字で大丈夫かという疑念を持たれるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木企画担当部長 先ほどご説明しましたが、一日最大配水量というのは負荷率、すなわち社会経済状況ですとか、天気、気温等の気象条件、渇水の影響など、さまざまな要因にて変動するものでございます。
その採用に当たりましては、安定給水の確保を最優先に考えて予測負荷率を採用しておりますので、それについては妥当だというふうに考えております。
○初鹿委員 もう何を聞いても多分同じ答えしか出てこないのでやめにいたしますが、やはり最大配水量が負荷率を何にするかによって変わるわけですよ。今の安定供給をするのが必要だというのは理解できますが、ダムをつくるということを前提にしたような負荷率の決め方とか、そういうのがやはり見てとれるわけですよ。
だから、それはこれからしっかりと本当に必要かどうかというのを考えるときに、やはり都民の方に納得してもらおうと思うんでしたら、誤解を受けないように的確な時期の予測はする必要があるし、そのもとになるデータも最新のものを使う必要があるというふうに私は考えますので、できるだけ早い時期に水需要の予測を見直すことを求めまして、質問を終わります。
○伊藤委員 私からは、二十年度予算に関連して質問させていただきたいと思います。
公明党は、震災時に一日も早く水道を復旧するためには応急復旧活動が重要と考え、これまでもあらゆる機会をとらえて主張をしてまいりました。
平成十九年七月に発生した新潟県中越沖地震の被害の甚大さについては、水道の一日も早い復旧の必要性を実感したところであります。平成十八年度決算特別委員会において、我が党が行った新潟県中越沖地震被災地への復旧支援を行った際の教訓についての質問に対し、都からは復旧材料の調達が非常に重要だという答弁がございました。
そこで、確認のため、復旧支援の際に明らかになった課題について伺います。
○増子給水部長 昨年七月に発災いたしました新潟県中越沖地震は、水道施設においても約六万戸が断水するなど甚大な被害が出ました。当局は速やかに応急対策支援本部を設置し、現地に調査隊を派遣して被災情報の収集に努めました。
その後、直ちに局職員と工事業者を合わせ、延べ五百八十一人の人員と二十九台の車両を七次にわたり派遣し、被害の大きかった刈羽村の全域の復旧に当たるとともに、柏崎市の中心部において主要幹線の漏水箇所を確認しながら、高度な配管技術を要する大口径管の復旧を一つ一つ行ってまいりました。
復旧支援に当たっての課題についてでございますが、現地では、配管図を初めとする水道施設の状況等基礎情報の入手に時間を要したこと、また、修理に必要な資材の調達に時間を要したことなどが挙げられます。
○伊藤委員 新潟県中越沖地震については、水道局については大変な数の職員、また工事事業者を派遣されて、本当に貢献をされたということに対して敬意を表するものでございます。
都においては、東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生した場合、断水率は都全体で三四・八%、水道管の被害箇所は約八千二百カ所、復旧工事には一日三千人近い人手が必要となり、完全復旧まで約一カ月を要すると聞いておりますけれども、八千二百カ所を復旧するとなれば、材料も膨大な量が必要になると思います。幾らマンパワーを確保したとしても、復旧に必要な水道管などの材料がなければ、工事に入ることすらできないわけでございます。
そこで、まず水道局における平常時の工事用の材料の調達方法について伺います。
○山本経理部長 平常時における工事用の材料の調達でございますが、平成十二年度までは当局が材料を一括して購入し、個事業者に対して支給する支給材方式をとっておりました。しかし、良質な材料が比較的容易に調達できる市場環境となったことや、材料調達に伴う経費節減などのため、平成十三年度から、突発事故等の緊急工事を除いて、工事を請負った工事事業者がみずから材料を調達する方式といたしました。
○伊藤委員 ご答弁にあった方式であれば、都として材料の在庫を少なくすることができて、経費も削減することができるということですが、その一方で震災の緊急時のときに多量の材料を供給することは逆に難しいのではないかと考えます。
経費削減を図ることは当然でありますけれども、震災時に応急復旧を速やかに行うことができるよう、材料を備蓄しておくことも重要であると考えますが、水道局は現在どのように取り組んでいるのか伺います。
○山本経理部長 都内全域の水道施設を一刻も早く応急復旧することは、水道事業者として重要な責務でございます。このため、応急復旧活動に必要な一定量の材料については当局が直接備蓄をしてございます。
○伊藤委員 一定量の備蓄をしているということでございますけれども、応急復旧用に一定の材料を備蓄しているということでございましたけれども、都内にはさまざまな構造や形をした水道管が埋設されていると思います。
以前、私の地元の品川において水道管が破損をして、現場技術者が修繕しているのを直接見ておりましたけれども、土の中の配管は、非常に微妙なカーブや角度、そしてさまざまな太さの水道管でつながっており、その地域、場所に適したいろいろな種類の材料が必要なのだということを実感いたしました。
そこで、こうしたさまざまな材料をどう備蓄し、いざというときに緊急時に備えるのか伺います。
○山本経理部長 応急復旧時には異径管や大口径の配水管など特殊な管も必要であり、こうした管は震災時に即時に調達することが困難でございます。このため、当局では特殊な管や応急復旧工事で必要な材料を選び、これまで首都中枢機関等への供給ルートの管路を三日以内に復旧するための材料を備蓄してきております。
また、都内全域の水道施設の復旧につきましては、発災後三十日以内に行うこととしており、これに必要な材料は、震災等非常災害時における水道工事用材料の供給に関する協定を締結している水道管等の製作者などから調達することとしております。
このように取り組んでまいりましたが、新潟県中越沖地震での復旧支援の経験などを踏まえ、今後は、異径管や接合部品等の備蓄を拡充するとともに、発災後、おおむね十日以内の応急復旧活動に必要な材料についても局が備蓄することといたしました。順次備蓄を進めているところでございます。
○伊藤委員 これまで首都中枢機関等への供給ルートを復旧するための三日分を保管していたものを、都内全域の十日目までの復旧活動に必要な材料まで直接都が備蓄を拡充するということでございました。
量の面で拡充を図っているということはよくわかりましたけれども、応急復旧活動を迅速に円滑に行うためには、どこで保管されているかということも非常に重要でございます。例えばどこかに集中的に保管していたということであっては、震災時に道路が寸断された場合、材料の運搬も困難になることでしょうから、早急な復旧活動に支障が生じるのではないかと心配があります。
そこで、地域的なバランスを考慮して備蓄する必要があると考えます。また、管理の方法についてはどうしていくのか伺います。
○山本経理部長 ご指摘のとおり、応急復旧活動に必要な材料を確保するためには、被災想定、発災後の交通事情なども考慮して、適切な場所に保管することが重要でございます。これまで江東区及び武蔵村山市の二カ所に震災用の材料置き場を設置するとともに、突発事故等の緊急時用の小規模な材料置き場十四カ所についても活用することとしておりました。
今回、材料の備蓄拡充にあわせまして、保管場所についても再整備いたします。具体的には、都内を東部、中央部、西部の三つのエリアに区分し、全体で八カ所程度の一定の規模の材料置き場をバランスよく配置したいと考えております。
現在、和田堀給水所隣接地のほか三カ所におきまして、整備を開始しております。また、備蓄した材料につきましては、平常時の工事においても使用することとし、材料をローテーションさせることにより、効率よく管理してまいります。
○伊藤委員 東京都においては、首都直下型地震はいつ発生してもおかしくない状況でございます。その中で水道などのライフラインの速やかな復旧が都民生活の安全の確保に不可欠でございます。
水道局が、震災が発生した場合の応急復旧体制の整備をしっかりと進めているということはよくわかりましたけれども、復旧まで時間を要する場合もあると考えられます。水は、生きていくために、また生活していくために毎日絶対に必要なものであります。
そこで、復旧までの間は応急給水が必要でございます。都内には、各区市町村が地域住民のために応急給水活動を行う応急給水槽などの給水拠点が多数あると聞いておりますけれども、実際にどこにあるのか知っている人は少ないのではないかと思います。
実は私も、給水拠点の場所について知らなかったわけでありますけれども、先日、町会の回覧で回ってきた、水道局の営業所で発行している、こういうものでありましたけれども、地域水道ニュースを見て、初めて自分が住んでいるところの応急給水拠点を知ったわけでございます。
これまでも、局のホームページで都全域の給水拠点の一覧は見たことがありましたけれども、地域水道ニュースの方が目印となる駅や通りが掲載をされており、具体的でわかりやすかったように思います。
また、先日、二十三区のホームページをそれぞれ見てみましたけれども、給水拠点をホームページに掲載している区は、二十三区のうち半分程度であり、住所だけ掲載していてわかりづらい区も多かったように思います。
そこで、災害時の応急給水の担い手である区や市町に働きかけるとともに、水道局でも独自に、地域水道ニュースのような地域に密着した広報活動の中で、給水拠点についてもっとPRしていくことが重要であると考えますけれども、見解を伺います。
○広瀬参事 当局では、お客様との相互理解を一層推進するため、営業所を中心に街角イベントの開催や地域水道ニュースの発行、区や市町が主催する行事への参加など、地域に密着したさまざまな取り組みを推進しております。
ご指摘のとおり、震災時に必要な給水拠点の場所を、地域に密着した広報活動の中で地域に即した形で提供してまいりますことは、非常に有効であると考えます。今後とも、応急給水活動の担い手であります区や市町と連携して、地域の行事や防災訓練などさまざまな機会をとらえまして、パンフレットや広報用ビデオを活用し、地域への給水拠点のPR活動をより一層充実させてまいります。
○伊藤委員 地域のことは地域での広報活動で周知することがより効果的であり、給水拠点の場所を都民に知ってもらうためにも、積極的に今後も行ってまいるべきだと思います。今後とも、震災時に混乱が生じないよう、日ごろから都民への応急給水拠点のさらなる周知を定期的に継続して行っていただきたいと要望します。
そしてもう一つは、これも先ほど申し上げた地域の水道ニュースでございます。なるべく住んでいるところから二キロ圏内に給水拠点を設けるということで整備が進んでおりますけれども、二キロといっても、この高齢化社会の中で、給水拠点までタンクを持って、なべかまを持って水を持って、二キロ歩けるかというと、なかなか厳しい部分もあると思います。今後、またそうした課題についてもしっかりと取り組んでいただきたいと要望させていただきたいと思います。
本日の答弁で、水道局が備蓄材料の拡充や保管場所の再整備を着実に進めているということがよくわかりました。また、これまでも、この二十年の四月、来月からになりますけれども、水道緊急隊の設置や復旧工事に当たる工事事業者の確保など、震災が発生した際の応急復旧体制について整備を進めることを明らかにしており、局の取り組みを高く評価するものであります。
最後に、震災など災害時の一日も早い復旧や、給水の確保に向けた局長の決意を伺います。
○東岡水道局長 これまでも浄水場や給水所、送配水管網など水道施設全体の耐震化に取り組み、震災に強い水道システムの構築に努めてまいりました。
昨年七月の新潟県中越沖地震におきましては、七次にわたり当局職員と民間工事事業者から成る支援隊を派遣いたしました。現地で復旧作業に従事した職員からは、配管図が十分に整備されていなかったため復旧に困難が生じたことや、必要な材料の調達に苦労したことなどの報告を受けたところであります。
この経験から、震災時の初期活動には、作業に当たる人員の確保はもとより、復旧のための材料をいかに迅速に確保するかが重要であると認識いたしました。こうしたことなどから、復旧に必要な材料を迅速に確保するため、備蓄材料の拡充を図るとともに、保管場所についても都内全域にバランスを考慮して配置を進めてまいります。
また、復旧作業を機動的かつ迅速に行うための組織として、本年四月に水道緊急隊を発足させることといたしました。今後とも、こうした取り組みを着実に進めるとともに、他都市からの応援や民間工事業者からの協力を得るための体制をしっかりと整備するなど、災害時においても活用可能なあらゆる手だてを総動員して、給水の確保に向け全力を挙げて取り組んでまいります。
○伊藤委員 最後に、先ほども質疑がございました八ッ場ダムについて意見を述べさせていただきたいと思います。
私は、平成十七年十一月に八ッ場ダムの建設現場を視察させていただきました。当時は代替地分譲基準の調印直後であり、ダムの早期完成に向け、事業が大きく動き出したころでありました。現地では地元住民の生活再建を最優先に代替地の整備などが進められており、地元の方々も一刻も早く新しいまちづくりが実現することを望んでいると伺ってまいりました。
八ッ場ダムの工期延長などを目的とした基本計画の変更案が今定例会の本会議に上程されましたけれども、都民にとって一刻も早い完成が望まれる中、工期延長は非常に残念であります。しかし、水源の確保は長期的な視点で考える必要があると思います。
一部では八ッ場ダムは不要であるという意見がありますけれども、そのような無責任な議論にくみすることはできないわけであります。さきの予算特別委員会で知事は、水源の確保は一朝一夕にはいかない、将来のさまざまな不安に対して十全の備えが必要という発言がありました。
また、都議会公明党も、伝統として、水源の確保については五年、十年の事業ではないんだ、五十年、百年の大事業であり、先人の英断のおかげで今日の都民の安心の生活があるんだと私も学ばせていただき、また応援をさせていただいているところでございます。
都の水源は、課題を抱える水源の存在など、まだ渇水に対する安全度が十分とはいえない現状であります。また、世界的な気候変動により水資源への影響が懸念されており、また、二十一世紀は水の世紀といわれております。安定した、また安全な水をしっかりと確保するこの国が問われる世紀だ、このようにいわれております。こうした懸念材料を含めると、ますます八ッ場ダムの重要性は疑う余地がないところであります。
水道局には、都民生活と首都東京の機能を支えるために欠かせない安定給水の確保に向けて一層努力をしていただきたいと要望して、質問を終わります。
○たぞえ委員 水道局の二十年度予算案について伺います。
二十年度予算案では、収益的収入は三千六百五十億円、資本的収入三百五十二億円で、収入合計は四千七百二億円という財政規模になっています。一方、年間配水量は三千三百八十一万トンもの減少で、一日平均配水量は四百四十七万トンで横ばいです。
二十年度予算案では純利益を幾ら計上しているのでしょうか。
○鈴木総務部長 平成二十年度予算におきます収益的収支の差額は五百九十六億七千七百万円の剰余でございます。
○たぞえ委員 純利益が六百億円近い金額。水道事業というのはそもそも公営企業であって、利益を上げることではないのではないでしょうか。純利益の計上をやめて、これを都民に還元するべきだと思いますが、見解を伺います。
○鈴木総務部長 水道事業の運営に当たりましては、長期的な視点に立ちまして、必要な施設整備を着実に実施していくことが重要でございます。特に建設改良に当たりましては、既存施設の機能向上などを勘案する必要がございまして、減価償却費等によります内部留保資金だけでは財源を十分に確保することができません。
そのため、収益的収支の剰余金につきましては、一たん利益として計上いたしまして、これを減債積立金や建設改良積立金として利益処分をいたしまして、将来にわたって水道サービスを提供していくための施設整備などに充てているところでございます。
○たぞえ委員 今、都民の暮らしは大変厳しいものです。納めた水道料金は、直接都民の生活に欠かせない水として還元されています。しかし、将来的な投資のために料金を負担するということでは、都民の感覚はないのではないか。純利益を大幅にふやしているわけですから、これは直ちに都民に還元をするべきだと私はさらに申し上げておきたいと思います。
この水道局の予算は経営プランに沿って編成されていますが、こういう意味でも都民の立場に立っての財政運営の考え方をすべきだと思いますけれども、局の見解を伺いたいと思います。
○鈴木総務部長 当局では、お客様に安全でおいしい水を安定的に供給するため、水資源開発、高度浄水処理の導入、震災対策など必要な事業を計画的に実施いたしますとともに、民間委託の推進など企業努力を行いまして、健全な財政運営を確保することとしております。
東京水道経営プラン二〇〇七及び平成二十年度予算案につきましても、こうした基本方針に基づいたものでございまして、今後ともこのような考え方で財政運営を行っていきたいと思っております。
○たぞえ委員 民間委託の推進など、今、企業努力を行うといいましたけれども、企業努力といっても、結局委託化での業務そのものの切り捨てなんです。都民の今の生活実態を考えて、むだな投資や純利益の計上をやめて、水道料金を値下げして都民に還元するべきです。このことを指摘しておきたいと思います。
次に、昨年四月から実施した公立小学校への直結給水化モデル事業についてお聞きしたいと思います。都内の小学校では、児童数の減少によって、水の使用量の減少や、土日に水を使わないことから、貯水槽の中で水が滞留して、おいしくないという子どもがふえて、学校に水筒を持参する水道離れが進んでいるようです。
水道局は、貯水槽を経由しないで、給水管の圧力を利用して水を直結、蛇口まで供給する供給方式に変更する直結給水モデル事業を来年度も行い、二年目を迎えるとしています。十九年度にモデル事業を実施した二十五校で、切りかえ後のアンケート調査で、学校の児童や教職員からはどのような声が出ているのか、お答えください。
○増子給水部長 当局が工事の前と後で学校に対して行ったアンケート調査の結果では、教職員からの回答では、水道水に満足しているが三割から六割に増加いたしまして、学校の水道水を飲む児童が八割を超えてございます。
○たぞえ委員 今、答弁でいわれましたが、今でも水筒持参と答えた児童が二〇%からわずか六%減っただけで、いまだ一四%の子どもは水筒持参なんです。安全性に不安という教職員が三一%から一八%に減りましたけれども、学校の直結水に満足していない方は依然一三%いらっしゃる。直結給水を実施してもなお一〇〇%の共感が得られない、こういう事情についてどのようなお考えを持っているんですか、伺います。
○増子給水部長 一〇〇%ではございませんが、アンケート調査結果からわかりますように、直結給水を評価する教職員、児童は増加しているものと認識しております。
○たぞえ委員 増加は結構ですよ。一〇〇%じゃないといっているんですよ。胸を張って、水道水を飲む子どもが八割を超えたとおっしゃったけれども、二割の児童は学校に行ってから一滴も水を飲まないわけにいかないわけです。直結したからきっと全員が水道水に対して不満を持つことはないだろうという過信は、私は間違いであるというふうにいわざるを得ません。
小学校への直結給水を推進する上で、区市町の教育委員会からの協力は欠かせないと思います。学校設置者の教育委員会から要望が出ていると思いますが、どのような要望でしょうか。
○増子給水部長 区市町の教育委員会からは、書面による要望は提出されてございません。
○たぞえ委員 私は先日、地元の世田谷区の区立小学校を訪問しました。区教育委員会の施設課の方から直接その場でお話を聞いたんです。こういっておられました。学校の耐震工事が優先課題で、耐震が終わった学校で今さら工事というわけにはいかないんだと。大規模改修に合わせて行うのが一番いい、このように述べていたわけです。
新しい制度でも、いい制度だったらどこからも歓迎されるんです。でも、制度を実施する上でさまざまな問題があるから、こうした意見が出ているんじゃないでしょうか。
学校直結、小学校を特定していますが、東京の義務教育学校は中学校もあります。中学校は実施しているんですか。
○増子給水部長 中学校におきましては、モデル事業は実施してございません。
○たぞえ委員 中学校はないんですね。区市の教育委員会が意見を出しているのは、水道水の質の問題だけではないんです。直結の実施を小学校に絞っているために、小学校の六年生が卒業して、さあ、近くの中学校に行ったら、今までと同じ高架水槽から流れてくる生温かい水を飲まなくてはいけない。
具体的に聞きますが、例えば世田谷区にある一つの学校の敷地の中に小学校と中学校がある、こういうケースはどうなりますか。
○増子給水部長 モデル事業は小学校を対象としておりまして、小学校を対象として実施しております。
○たぞえ委員 水道局の今の方針だと、中学校だけ切り離される形になるわけですね。東京の学校への水道水給水には学校の種類に関係なく行われてきたわけですが、これから中学生になったら全員が温かい水を飲まなくてはならない。小学校でおいしいと思っていたのに、その思いを捨てなくてはならない。一家で冷たい水と温かい水を飲む子がいて、まるで家族同士が切り離される。なぜこんなことをするんですか。理由を聞かせてください。
○増子給水部長 蛇口や配管設備など給水設備につきましては、教育委員会が財産として所管しておりまして、通常その改造等は教育委員会で実施いたします。水道局といたしましては、直結給水の普及促進に向けたPRのため、小学校をモデルとして水飲み栓の直結給水化を行っているものでございます。
○たぞえ委員 私は、直結水道を進めるというならば、小学校六年生までおいしい水を飲んでくれてありがとう、きょうから行く新しい中学校は心配ありません、引き続きおいしい水が飲めますよと、これが私は政治だというふうに思うんです。
大体日本の社会というのは、小学校に入れば、中学校に入れば、みんな子どもの成長を願ってお祝いをするのが日本の社会なんです。それが中学生になったら学校の居心地が悪いような、そんな制度を進めていいのか。私はそう思いますが、局長、いかがですか。
○増子給水部長 先ほど来申し上げていますとおり、水道局といたしましては、直結給水の普及促進に向けたPRのため、小学校をモデルとして水飲み栓の直結給水化を行っているものでございます。
○たぞえ委員 このモデルは平成二十年度で終了というふうに聞いております。四百校までやって、あとは区市に任せましょうと、こういうわけにはいかない。しかも、中学校はモデルの対象にもしていない。これはやっぱり問題があるんじゃないでしょうか。
都内の学校では、昭和五十六年以前の、耐震化率は区部で約七〇%、多摩で五三%という状況です。例えば青梅市では小、中合わせて二十七校の校舎、百二十一施設がありますが、耐震補強を必要とする棟数は九十九棟残っています。一体どうするのか、学校も自治体も頭を悩ませています。
耐震化どころか老朽化の進行で、学校の校舎、体育館の雨漏りや外壁、窓の落下という最悪の事態が続いていると教育委員会から伺いました。計画的に耐震化工事を進めるよりも突発的な対応に追われている。その大きな原因が財政の厳しい状況なんです。
財政難やこの工事を行うために職員の事務量がふえる。効率化だといって大号令がかかって、事務職員が減らされて人手不足のときに、二十年度は三〇%の学校までやるんだと水道局からハッパをかけられる。こんな状況で、都が直結給水の推進だといっても、肝心の自治体からは負担があるので手が挙がらないのが実際ではないでしょうか。
世田谷区は、小学校六十四校のうち、今年度実施したのはわずか一校です。来年度は実施校はありません。来年度四百校までモデル校を広げるには、現実的な弊害がいろいろあるのではないでしょうか。
水道局は、区市町の小学校で工事を行う場合、技術協力とともに財政的な支援を行うといっていますが、材料費や工事費について支援制度をどう立てているのでしょうか。
○増子給水部長 給水設備は財産として学校に帰属することから、工事費のうち材料費相当分は区市町が負担し、材料費を除くその他の工事費用は水道局が負担してございます。
配水管の圧力で直接給水する方式の場合は、区市町の負担割合は工事費用全体の二割、水道局の負担割合は八割となっております。また、増圧ポンプを使って給水する方式の場合には設備費がふえるため、区市町の負担割合は工事費用全体の四割、水道局の負担割合は六割となっております。
○たぞえ委員 増圧ポンプを使って給水する場合は設備がふえる、工事費全体の四割が区市町の負担だと今いわれましたが、増圧ポンプがついていない学校は、これではなかなか手が挙がらないのではないでしょうか。
工事費というのは、学校の形状や給水元からの距離によってさまざまな問題を抱えています。だから、楽しい学校で、僕の卒業した学校はおいしい水の学校だったと子どもからいわれる。そのためにお金を、財政面での支援をしっかりつけようという制度であれば、区市町も大賛成で、手がどんどん挙がるのではないでしょうか。
しかし、モデル事業で実際やっていることはどういうことか、このことを私は水道指定店の方にいろいろお話を聞いてきました。
今年度予算ではこの給水事業に四億円計上していますが、一校当たりの実際にかかった工事費はどうだったのか。また、来年度予算案では、対象校、予算規模、一校当たりの平均工事費の予算措置はどう計上しているのでしょうか。
○増子給水部長 一校当たりの実際の工事費につきましては、下半期に施工している学校もあるため、現在はまだ確定してございません。平成二十年度の対象校は三百五十二校、予算規模は十五億三千五百万円、一校当たりの水道局の負担額は四百三十六万円でございます。
○たぞえ委員 十九年度四十八校で、初年度、調査費を加えても一校平均八百三十三万円です。ことしよりも来年は一校当たりの額が今の答弁でも落ちるんです。しかもこの工事は、子どもたちが登校していない夏休みに集中していて、工事施工期間が大変狭まっています。時間内で終わらせるためには、それだけの必要な人数も投入して効率的に工事をしないと終わらない。施工管理をきっちりしないと工事が進みません。
また、さびない給水管を取り入れるためにステンレス管を使って、化粧のラッキング、コーティングは別の施工を企業に発注しなければならない。こうした経費も十分配慮すると経費をふやさなければならないという、これが現状ではないでしょうか。
一つの学校で一律の工事費というわけにはいきませんけれども、来年度の予算規模でいえば、ことしと比べてもかなり低目ということになりますと参加校も狭まってくる。もし仮にこの予算を使い切ってしまえば、参加を希望しても受けられない、そういう状況になってはならないと思います。
必死になって健康で元気で勉強が大好きな子どもを育てよう、そういう自治体の皆さんが、いよいよ直結給水の推進となったら、自分の自治体は支援してくれるのだろうか、自分の行政の学校はできないのではないだろうか、そんな思いをさせることは私は絶対にやってはならないと思います。
もう一つ聞いておきますが、中学校だけを切り離して肩身が狭い思いをさせるような、給水を受けることをためらわせるような東京の水道にしていいのか。必要な予算をきちんと確保して、必要な学校には必要な支援をきちんと上げる。予算措置がまだ始まっていないわけですから、この直結給水の事業費を引き上げることを求めたいと思いますが、見解を伺います。
○増子給水部長 工事費の中で、給水設備につきましては区市町の財産ということで、現在の負担割合については妥当なものと考えております。また、二十年度の工事費用につきましては、昨年実施しました工事の実績でもって推計しておりますので、不足するということはないものと考えております。
○たぞえ委員 この工事に当たっての資材も、今年度の経費はそういう額だったでしょうが、これはやはり水道局が率先して価格の安いものを大いに提供するとか、こうした努力もぜひしていかないと、財政力の厳しい区市町での二割、四割負担というのは大きなことになりかねないと思います。来年度だけで終わってしまう事業ですので、今年度の取り組みの経験を生かして、ぜひ二十年度は必要な学校には必要な支援をするということでお願いしたいと思います。
最後に、八ッ場ダムについてです。日本共産党は、一貫して利水、治水両面で過大な国直結事業、八ッ場ダムの計画に反対して、中止を求めてまいりました。
昭和六十一年七月の当初計画以来計画変更が繰り返され、平成十六年の変更では事業費が四千六百億円に倍増しました。これによって、日本のダムでも最も巨大なダム計画になり、水道局にとっても、負担は十四年二十二億円、十五年二十億円、十六年二十億円、十七年二十九億円、十八年三十七億円、しかも今後八年も負担をしなくてはなりません。
昨年十二月、工期を五年延長して平成二十七年までとしました。実は去年の公営企業決算委員会の水道局の質疑で私が、この基本計画の変更はないんだろうねと十一月に聞きました。答弁は、ありません。しかし、翌十二月には大規模な変更が行われました。信憑性が疑われる、こういうことだと思います。
埼玉県の上田知事は、ことし一月八日の記者会見で、基本的には不愉快だ、ずっとだまされてきたという感じがする、費用が大きくはね上がり、工期のおくれなど、一体何をやっているんだという怒りもあると、このように不快感を示したことが新聞で報道されました。
仮に完成すると、東京の給水能力は、実際に一番多く使った日と比べると、一日百十八万トンの水余りになって、二百九十五万人分の水が毎日余る計算になります。それでも水道局は、今後の水道需要について、景気の回復や人口が増加する、一人当たりの使用水量が増加するとして、旧態依然の右肩上がりの計画そのものです。水需要予測を見直して、私は、ダム計画から撤退をするべきだ、こういう決断を求めたいと思います。
先ほど議論がありましたが、水の量ということも、確かにこのダム計画の根拠の一つになっています。しかし、今回の見直しは、巨大量と指摘されているコンクリート量、またダムの高さ、ダムの位置、全面的な縮小といわれながらも、この見直しが行われています。ですから、このダム本体をどうするのかということに着目しないと、国直轄事業に対する立場は明確にならない、このように思うんです。
今後も巨額の財政負担を続ければ、自治体は、その財政負担の穴埋めのために都民にこれを求めて、結局水道料金の値上げなどの道を選択せざるを得なくなります。東京都にとっても、過大な水需要や、国の政策に護衛船団のようにしがみついているのではなくて、毅然と過大な計画の見直しを図るように日本共産党として重ねて主張して、質問を終わります。
○福士委員 それでは私の方から、水道局の業務入札契約のあり方についてまずお伺いをいたします。
先日、たまたま都の弘済会の職員整理解雇のビラを拝見いたしました。ビラには、四十二億五千万円余りの資産がありながら、契約額減少による見せかけな赤字倒産的解雇が行われようとしている、そういうふうに書かれておりました。
この弘済会は、都の退職者有志でつくられているようですけれども、補助金が出ているわけでもなく、自分たちの働きの中で資産づくりをしてきたというふうにお話を伺ったので、驚きました。かつては、第一庁舎の案内などもたしか弘済会が障害者雇用に努めておられたと思いますので、四十二億円余りの資産がありながら、赤字倒産的解散という文章というのは大変気になったところです。
この件は、弘済会内部の話ではございますけれども、水道局も委託をしているようなので、このように自己努力をしている職場を入札という形でつぶしていく場合もあるのかと、契約のあり方に疑問を持ったので、質問をさせていただきます。
これは、必ずしも水道局だけという意味ではありませんが、契約案件でこのところ、行革、効率化の名のもとに入札で低価格契約というのが続いております。随意契約で意味なく優遇というのも大変問題があると思いますけれども、いたずらに低価格契約を追求することによって、都民へのサービスが低下することがあってはならないというふうに私は思っております。
他局にもいえることですけれども、水道局として低価格契約が続く入札をどのようにとらえておいでになるのか。業務の品質管理、安全性の面からも、契約のあり方についてお伺いをします。
そしてまた、随意契約、競争入札、それぞれの優位性と問題についてもお考えをお聞かせください。
○山本経理部長 地方自治法上は一般競争入札が原則でございまして、競争入札になじまないなどの特定の場合に随意契約を行うことができるとされております。随意契約は、履行の確実性という点で有利な契約方法でございますが、競争性や透明性が確保されにくいという問題がございます。
競争入札の場合は、逆に競争性や透明性が確保されるものの、競争は激化し、著しい低価格で落札された場合には、品質の確保が懸念されるという問題がございます。このため、局といたしましては、委託する業務の内容に応じまして必要な調査を行うなど、適切に契約を行っております。
○福士委員 今までも、水道局のお客さまセンター設立によって電話交換業務が廃止されました。労使交渉の結果として、私も民間委託に賛成してきております。新たな受付業務に携わった方は、現場の実績がないために問い合わせや相談に的確に答えられず、電話をたらい回しにされたという例も後から聞いて、そういうこともあるのかというふうに思った次第です。
さきに述べたように、行革は、安かろう悪かろうにならないように、仕事についての経験的知識の深さや、特に技術の場合は継続性が重要であると思いますし、都としての指導については検討が必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。
○山本経理部長 業務を委託する際には、良好な品質の確保を図るため、業務の特性に応じた知識、経験や実績など一定の資格要件を受託者に求めるとともに、履行に当たっても必要な指導を行うなど適切に対処しております。今後とも、履行能力の高い受託者の選定や、きめ細かな指導を行うことによりまして、良好な品質の確保に努めてまいります。
○福士委員 私も、かつて一般競争入札であれば、公平性が保てて一番いい方法だと思っておりました。しかし、業者がかわるたびに明らかに事業の質が変わるというのもいろいろと見てきました。これは水道局のことだけではありません。ここの庁舎管理にしろ、何にしろ。
安さを追求する今の都体制は、一般市民受けとしては大変喜ばれておりますけれども、結局都の委託先に経験のある正規職員を解雇して、その穴埋めにパートやアルバイトをふやさざるを得ない状況もつくっていることがあるのではないかというふうに思います。
このように、都が格差社会を推進する形になっているのではないかと危惧をいたしました。ただいまお答えいただきましたように、業者などの質の確保は、最終的に都民である私たちに還元されることでもありますので、システムだけではなくて、内容のチェックもぜひ、これはお願いをしておきたいというふうに思っておりますので、要望しておきます。
続きまして、PCB廃棄物処分状況についてお伺いをいたします。
このPCB処理計画ですが、二〇〇六年三月二十八日及び五月二十五日に廃棄物処分施設内で事故を重ね、施設は停止されました。再開の条件として、施設稼働状況や安全管理体制の状況を毎月報告することとなっていたと思いますが、その後の状況はどうなっておりますでしょうか、確認の意味でお伺いします。
まず処分計画と変更状況はどうなっているかについて、お答えをいただきたいと思います。
○吉田設備担当部長 先ほど先生お話しのように、事故の後は環境局の方に定期的に毎月報告をしているというふうに聞いております。東京都の我々の処理計画については、先ほどの事故を踏まえまして、平成二十年度までと当初予定しておりましたけれども、事故の経過を踏まえまして、処理施設が操業停止したため、計画期間を二十一年度までに変更しております。
その後、平成十八年に操業が再開されましたので、処理施設の能力不足、また、その後の状況の中で能力不足等が判明したことから、現在、その改良等の工事を実施しております。このため、計画期間を平成二十二年度までにさらに延期しております。現在、計画期間内の処理については、環境局及び委託先と調整を行っております。
○福士委員 環境局と委託先と検討をしているということですけれども、今後はどうなるんですかね。今までの事故は国へ報告するほど大きな事故ではなかったと思うんですよね。広域の場合は国にもたしか通知で報告しなければいけないというふうになっていたと思いますけれども、処分場に近い地域の方々は結構健康被害を心配しておいでになったようです。
稼働を始めた途端また事故だったというのが続いたものですから、今後もいつまた事故が起こるのかと心配されているように伺っております。かといって、PCB処理そのものは非常に大切な事業でありますし、安全性にはくれぐれも気をつけて、安易な形で進めないよう、これは要望をしておきます。
今質問いたしましたのは、高濃度PCBの方ですけれども、今回そのほかに低濃度PCBの廃棄物の処分も問題になっているようです。こちらの方は処理方法もまだ定まっていない中で、その状況はどういうふうになっているのか、お伺いをしておきます。
○吉田設備担当部長 環境省でPCB含有率が一キログラム当たり〇・五ミリグラムを超えるものを低濃度PCB汚染物と定めております。当局では、低濃度PCB汚染物についても、PCB廃棄物と同様に適正に保管しております。なお、処理方法については、先生ご指摘のように現在定まっておりませんが、環境省で検討中であり、結果を待って適正に処理していきたいというふうに考えております。
○福士委員 保管もきちんとやっていらっしゃるということですが、一番最初のころというか、以前には高濃度の方のPCB保管が余り長かったので、その保管している間にあちこち動いて、行方がわからなくなったという話もたしかあったように思っております。
それは東京都の話ではなくて、一般事業者として記憶しているわけですが、くれぐれもきちんと保管をしておいていただきたいし、一般事業者に対しても、そのことについてはなるべくわかりやすいPRをお願いしておきたいと思います。
最後に、八ッ場ダムについてお伺いします。
いろいろ出てきましたけれども、やっぱりなかなかわからない。お答えの意味がわからない。水需要予測一つをとりましても、東京都水道の一日最大配水量は、一九七〇年代半ばをピークにずっと減少傾向をたどっています。八二年度予測以降五回行われている水需要予測も、回を重ねるたびに下方修正がなされているんですよね。
これは一例を挙げますと、二〇〇〇年度の水需要は、八二年には七百四十万立方メートルと予測されていました。しかし、この予測は八六年には六百九十万、九〇年には六百七十万、そして九八年は六百二十万立方メートルと、年を追うごとに数値が下げられてきています。
そして、二〇〇〇年度の一日の最大配水量の実績そのものは五百二十万立方メートルと、下方修正された九八年の予測と比べてもまだまだ百万立方メートル、約二〇%の乖離、私はあえてこれを乖離と申し上げますけれども、乖離があります。
その上、一日最大配水量の実績は、二〇〇五年でそれよりもっと下がって五百八万立方メートル、二〇〇六年には、先ほども出ておりましたけれども、五百五万立方メートルと、二〇〇〇年の実績よりもずっと落ちてきています。それにもかかわらず、予測は相変わらず右肩上がりで、六百万立方メートルくらいまで、今のところは途中までですけれども、考えられているようです。
このように、水需要予測と配水量実績の間に乖離が見られることについてはどのようにお考えなのか、もう一度だけお答えいただきたいと思います。
○鈴木企画担当部長 一日最大配水量が乖離しているということでございますが、先ほど初鹿先生の答弁にもございましたが、水需要予測というのは、一日平均使用水量を予測して、有収率、負荷率で一日最大水量を予測しているということでございます。
一日平均使用水量につきましては、おおむね妥当な結果が出ているということで、一日最大に出すときに有収率、負荷率ということでございますが、この負荷率につきましては、さまざまな状況、例えば社会経済状況ですとか、天気ですとか、さまざまな要因で変動していると。こういう中で、我々としては安定給水を確保するために安全側を見て、六百万トンを推計していると、こういうことでございます。
○福士委員 確かに、先ほど来初鹿委員もおっしゃっていましたように見直されています。でも、わずか五年ごとに毎回下方修正しているわけですから、予測手法そのものに間違いがあるんじゃないですかと私も思っております。
先ほど何回も同じことを質問されて、初鹿委員のお答えは同じでしたので、この件はもうあえてお伺いいたしませんけれども、この予測手法の見直しに関して、本会議の答弁については、先ほども出ておりましたけれども、猪瀬副知事のこの内容については、もう申し上げません。正確なデータに基づいてやるということは大切だというようなご趣旨のご答弁がありましたけれども、予特でもこれはまた質問が出ていたようですが、ちょっとお答えの方を聞きそびれましたので、恐縮ですけれども確認させていただきますけれども、この答弁をどういうふうにおとりになったのでしょうか。
○鈴木企画担当部長 水需要予測の見直しについての質問で答弁をしております。水需要予測は、都の長期構想で示される将来の人口や経済成長率などの基礎指標を用いて、これまで適宜適切に見直しを行っている。予測手法は、先ほど申し上げましたとおり、一日平均使用水量を過去の実績の傾向に適合するよう統計的手法により算出し、その上で一日最大配水量を予測しております。
現在の水需要予測は、長期的な将来を見据えて平成十五年度に行ったものでありまして、現時点で基礎指標に大きな変化はなく、また、予測の基礎となる一日平均使用水量は実績との間に大きな乖離は認められないことから、予測を見直す必要はないと判断していると答弁しております。
○福士委員 確かに実績値は変えることができません。それで、その後は解析をどうするかで全体の数字も違ってくるわけですよね。今までも予測の見直しが五年ごとに大きく違ってきているのは、間違いがあったからではないかと先ほども申し上げました。予測と実績は異なる、予測と実績に乖離があると見られるとき、それはどのくらいの差だったら乖離があるよというのか。
私たちは、今の百万立方メートルも随分大きな乖離があるというふうに思っておりますし、ほかの委員の方々もそういうお話がございました。都だと、どのくらいまでの数字が離れていけば乖離だというふうに思うのか、この辺ぐらいまでは妥当だというのか、その辺の数字の差というのはどうなるのか教えてください。
○鈴木企画担当部長 現在の水需要予測は、平成二十五年に六百万立方メートルになると、そういうふうに予測しております。今、ご質問のように、ではどれだけというようなことでございますが、具体的にどれだけというような基準があるわけではございません。
○福士委員 今、本当に実績値の方はどんどん下がってきているんですよね。どんなに人口が減ってもゼロにはならないわけですから、これ以下どのくらい下がるかというのをきちんとやはり読んでいかなきゃいけないと思うんですね。
その間に、この水需要の一日最大配水量と比べて過去の予測を右肩上がりにつくっているので、やはりどんどんこの差が広がってきているのが実態だというふうに思います。伺ってもお答えは出ないと思いますけれども、そういう意味では、また改めて何かの機会に質問させていただきます。ちゃんと考えておいていただきたいと思います。
数字が出なかったら、そういうのは意味がないというふうに思いますので、右肩上がりのを本当に何回も何回も見直しても、私はここに、皆さんは見えにくいと思いますけれども、グラフは物すごくばらばらに出てきているんですよ。そのたびに違っていたわけですし、その差も、大きく広がっているときと、まあまあそれほどでもないときといろいろあるわけですよ。
それほどでもないときがあるんだったら、そんなに百万立方メートルも広げることは必要ないんじゃないのというのが私の意見です。しかし、これは私の単なる意見ですから、やはり水道局としても、そういう数値の差はどの程度までだったら広げていいのかなというのは考えていただきたいと思います。
八ッ場ダムばかりではなく、この間、私は何回も質問してまいりましたけれども、滝沢ダムももうできておりました。試験湛水で二度も失敗をしておりまして、クラックができたり、土砂崩れが起きたりしておりますが、しかし、できたものは、あれは使っていく方向になるわけで、そんなに大量の水ではありませんので、わずかな差ではあると思いますけれども、やはりその辺も組み入れていただいて、また、再三再四今までも出ておりましたけれども、地下水をどう考えるかということもきちんと視野の中に入れていただければ、そんなにたくさん広げる必要はないんじゃないかというふうに思っています。
このように、見込み違いの一つに長野原第一小学校があります。移転後人口流出がとまらないで、統廃合で廃校騒ぎとなりました。それがマスコミで取り上げられて、現在は存続するという形になりましたけれども、本当に日の当たる、道のすぐそばのかわいい学校だったのが、山の上の方のまたそれから谷におりたところの、本当にあれが学校でいいんだろうか。しかも土砂崩れが起きそうなああいうところにつくって、ああいうのはむだな事業だったといえるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木企画担当部長 長野原第一小学校についてでございますが、八ッ場ダムの建設事業により水没するということから、公共補償により移転したものでございます。国、群馬県、長野原町及び地元の方々が協議を重ね、移転計画を立案し実施したもので、長野原町は第一小学校を存続させる方針というふうに聞いております。
○福士委員 マスコミにつくったばかりの学校を廃止というふうに騒がれて、町長も存続といわなければならない、そういうふうになったのだろうと思います。しかし、維持運営費もかかると思うし、またそれで長野原の町は財政的にも大変となるんじゃないかと思いますけれども、だれもが行革行革、あるいは効率化をうたいながら、こういう状況を無視しながら、何が何でもつくるという状況はいいのかなというふうに私は心配するわけです。
この件では水道局の責任ではないことは私もわかっております。それでこれ以上は申し上げませんけれども、考えることは山のようにあるんじゃないかということを申し上げたかったのです。
ダムが長期化する中で、周辺工事はどうなるのか、人口減少が進む状況で周辺工事はまだやはり進められていくのかどうかを伺っておきます。
○鈴木企画担当部長 周辺工事についてでございますが、国及び群馬県、長野原町が進めているものでございます。今後も地元住民の方々の意向を十分に踏まえ、着実に進められるものと聞いております。
○福士委員 長野原小学校に代表されるようにといってしまっていいのかどうかわからないんですけれども、周辺工事もできるころにはまた不要というのが次々と追加されていくのではないでしょうかね。二〇一五年は東京の人口がピークとなり、あるいはピークがたとえずれたというふうになったとしても、その後下降線をたどるのは明らかです。
ダムの必要性とその後の運営をどう考えているのか。現在の予想値は微増ですけれども、実績が下降すれば、また予想値との乖離は大きくなりますので、運営についてもお考えをお聞かせください。
○鈴木企画担当部長 これまで繰り返しご説明をしているところでございますが、現在、都が保有する水源量には課題を抱える水源が含まれていること、近年の降雨の状況では、利根川水系のダムなどからの供給量が当初計画していた水量よりも二割程度低下している。こういうことなど、決して安心できる状況にはないというふうに考えております。
将来にわたって、厳しい渇水時においても首都東京の安定給水を確保するためには、八ッ場ダム等の水資源開発は必要不可欠なものであると考えております。また、八ッ場ダムの完成後でございますが、国土交通省により適切に運営されるものと認識しております。
○福士委員 なぜ降雨量の少ない地域に次々とダムをつくるんですかね。しかも酸性雨の強い地域ですよ。本当にあそこが一番いい場所なのかどうか。毎回毎回質問しているたびにやはり疑問は一向に解けませんね。
一九五二年に八ッ場ダムの調査が開始されて、今まで事業が進むどころか、今回で五十年以上経過して、いまだに未完成のままです。この間、特に大きな問題がなかった。というのは、渇水も含めて異常気象は私たち人間がつくり出しているかもしれない。その中で、とりあえず東京は、断水は夜中にしたときはありますけれども、それでもクレームも一度も出ないような状況で、難なく無事に過ごしてきている。こういう状況は世界に誇る漏水対策や節水ピークなどの水道局のご努力の結果であると私は思っているわけですよ。水道局はせっかくここまで頑張ってこられたんですから、ここでむだなダムづくりに励むことは、環境都市東京としての名に恥じることになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木企画担当部長 先ほども申し上げたとおり、課題を抱える水源の存在や近年の降雨状況などを踏まえますと、都の水源の渇水に対する安全度は十分とはいえない状況にございます。水源地域の方々の理解を得まして、首都東京の安定給水を確保するために、八ッ場ダムによる安定した水源の確保が必要でございます。それとともに、既存水源の有効活用ですとか、漏水防止対策、水の有効利用など総合的な取り組みを進めていくことが重要と考えております。
○福士委員 何か聞くところによりますと、群馬県の方でも反対の議員の方々がふえてきたというふうに伺っております。
話が飛んで恐縮ですけれども、前にもちょっと申し上げました柏崎刈羽原発では、地元の方々に危険や迷惑をかけて、事故で原発がとまっても東京に何の影響もなかったんですよね。東京は平然と他県に迷惑を押しつけて、のんきにしているのが現状ではないかというふうに思います。
水も同様に、今でも大丈夫といい切ることは確かにできませんけれども、だからといって、もっとぜいたくに、あるいはもっと潤沢にと、群馬県の人々に迷惑や命の不安を押しつけて、そして生活も多大な変化をさせて、自分さえよければ、地域の人々の生活はどうでもいいといってしまっていいのだろうかと、私はいつもいつも東京の傲慢さというのは反省しなければいけないんじゃないのかなというふうに思っているんですが、ちょっとお考えをお聞かせください。
○鈴木企画担当部長 東京の安定給水を確保するためには、先ほどもお話ししましたが、八ッ場ダム等の水源開発が必要と考えております。ただし、それは水源地域の方々の理解を得なければいけませんので、先ほどもいいましたが、我々としては既存水源の有効活用や、漏水防止対策や水の有効利用などできることはすべてすると。その上で安定給水のために八ッ場ダム等の安定した水源の確保をしていくと、こういうことでございます。
○福士委員 八ッ場ダムの下には、八ッ場ダムの下というか、八ッ場ダムはまだできていないわけですけれども、吾妻川には発電所が幾つかありますよね。東電の発電を初め、発電所の数というのは幾つぐらいあるんですかね。また、八ッ場ダム建設によって、あそこで水を取ってしまったら、下流の発電所にも大きな影響を与えると思うんですけれども、そういうのはどういうふうにとらえていらっしゃるんでしょうか。
○鈴木企画担当部長 国土交通省によりますと、八ッ場ダム建設予定地の吾妻川下流には、東京電力株式会社所管の発電所が六施設あり、そのうち二つの施設で減水の影響があるということでございます。
○福士委員 当然そういうことは起ころうかと思いますが、その場合は、減水の補償というのはどういうふうになるのでしょうか。
○鈴木企画担当部長 減水による発電所への影響に対する補償につきましては、現在、国土交通省と東京電力株式会社の間で協議中と聞いております。なお、補償費につきましては、現行の事業費内に含まれているとのことでございます。
○福士委員 今の四千六百億円の中に含まれるということですよね。そういうことですよね。どのような変更や、こういうふうに東電に対する減水の補償の問題とか、新たな問題が起きても、現在の事業費内に含まれるというお答えですけれども、八ッ場ダムの調査開始から約五十年たって、今回またも工期が五年延びて、そして、本体着工のめどが立たないにもかかわらず、総工費四千六百億円据え置きというこの案が、国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会でも承認されたというふうに私は伺っております。
この監視委員会ですけれども、八ッ場ダムについて、金額については幾つかの細かな質問が発せられたようですが、他の事業の中でいっぱい幾つも、この監視委員会は八ッ場ダムのことだけをやっているわけじゃないですから、幾つも幾つもの事業の審議をする中で、この八ッ場ダムについてはわずかに十分程度の質問で、工期延長の根本的な理由ですとか、今後の見通しを問いただす声はなく、そのままいつの間にか承認となったという話を私は伺っております。
これはお答えいただきたいという話ではありませんけれども、事業費四千六百億円の据え置きは、堤体積を四割減らし、それで安くしたというふうに、実現しているというふうに聞いております。
一九七〇年当時、吾妻渓谷保存のためにダムサイトを六百メートル上流に移すときに、国土交通省は地質上の問題があるのでということで難色を示して、抵抗しながらも最終的には移動させたというふうに聞いております。その経緯からいうと、地質に問題があるにもかかわらず、金額増を明らかにしないためにというか、また金額を増加させるとみんなから不評が出るために、あえて堤の体積を小さくしたんじゃないでしょうかと私はうがった考えをしておりますけれども、たしかこの八ッ場ダムの堤は重力で押さえる形の堤というふうに聞いておりましたけれども、水道局として、このような堤の軽量化ということは、危険をはらんだ事業となるんじゃないでしょうかね。
何が何でも押し通すのか、地元群馬がオーケーといえばというか、こういうのも多数与党の中で決まっていくわけですから、またお答えというよりは、これはもう水道局一つのお考えだけではなくて、都市整備局やさまざまなところとご一緒にお答えを出していただかなければいけない問題だと思いますので、あえて伺いません。新銀行のようにぶざまなことにならないように−−土木技術研究所も東京都はたしかお持ちですよね、そういうところできちんと調査をして、本当に必要か必要じゃないのかは真摯に考えていただきたい。そのことを要望して、今回の質問は終わります。
○吉原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉原委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で水道局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時七分開議
○吉原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより下水道局関係に入ります。
これより予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第二十九号議案、第百二十二号議案及び第百二十三号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○野口総務部長 さきの委員会で要求のございました資料につきまして、お手元に公営企業委員会要求資料として配布させていただいております。その概要についてご説明申し上げます。
過去五年間の監理団体職員数の推移でございます。団体名、年度、職員数等をお示ししてございます。
簡単ではございますが、以上で要求資料についての説明を終了させていただきます。よろしくお願いいたします。
○吉原委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 平成二十年度東京都下水道事業会計予算に関連しまして質問をいたします。
都市化の進行に伴いまして、また、地球温暖化の影響もあり、都市型水害が多発しております。平成十一年の夏にも都内は広範囲にわたり集中豪雨に見舞われ、私の地元品川区でも、戸越銀座商店街など千件を超える大きな被害をもたらしました。
これまでも基幹設備の整備など雨水対策事業を計画的に実施してまいりましたが、このときの雨水被害を契機に、できるところからできるだけの対策を行い雨水被害を軽減させるとの整備方針に基づき、貯留管の整備など緊急的な対策を図る雨水整備クイックプランを平成十一年度に策定し、平成十六年度に新たに被害を受けている地区を追加して改定を行いました。
このクイックプランが来年度の平成二十年度に終了することとなっておりますが、総括する意味で何点か雨水対策に関してお伺いいたします。これまでの雨水整備クイックプランの取り組み状況をまずお伺いいたします。
○黒住建設部長 雨水整備クイックプランでは、繰り返し浸水被害が発生している四十二地区を重点地区に位置づけ、幹線管渠などを先行整備し、貯留管として利用するなど、効果的な対策を実施してまいりました。
この重点地区につきましては、平成十九年度までに品川区戸越、西品川地区など二十九地区での対策が完了しております。また、雨水ますの増設などを行います小規模対応箇所につきましては、平成十九年度までに百四十八カ所すべてが完了する予定でございます。
さらに、浸水被害が発生した場合に甚大な被害が予想される大規模な地下街を有する四地区を地下街等対策地区に位置づけ、一時間七〇ミリの降雨に対応できる施設の整備を行っております。平成十九年度までに渋谷駅及び新宿駅周辺地区での対策が完了しております。引き続きまして、池袋駅及び東京駅八重洲口周辺地区での対策を進めてまいります。
○田中委員 今、ご答弁いただきましたように、順調にこの事業は進んでいるようであります。残る地区も一刻も早く早期完成を目指し、全力で取り組んでいただきたいと思います。
今、取り組み状況をお伺いいたしましたが、それではクイックプランによりどのような効果が上がっているのか、お伺いいたします。
○桜井施設管理部長 一例といたしまして、重点地区として対策を行いました北区西ケ原地区におきましては、対策前の平成十一年八月には、一時間当たり五三ミリの雨で三十四件の床下浸水被害が発生しておりましたが、対策完了後の平成十五年十月には、一時間当たり五六ミリの雨でも浸水被害が発生していないなど、効果を上げております。
○田中委員 ただいまのように、クイックプランによりまして確実に効果があらわれていると確認ができましたし、また、私の地元品川区内においても対策を講じていただいておりますが、幸いにもこの品川地区においては集中豪雨が発生していないために、具体的な検証は行われておりませんが、地元にとっては大変大きな安心感を与える施策であったと思い、改めて感謝をしているところであります。
下水道局では、平成十九年度に東京都豪雨対策基本方針を策定し、対策促進地区に重点化して、基幹施設を整備することとしております。この基本方針でどのような地区が選ばれているのでしょうか。また、その地区は幾つあるのでしょうか、お伺いをいたします。
○小川計画調整部長 東京都豪雨対策基本方針では、対策促進地区につきまして、浸水予想区域図に基づいて、浸水の危険性の高い地区やくぼ地、坂下など地形的に被害を受けやすい地区及び河川整備に合わせて雨水吐け口からの放流量を拡大する地区など、全部で二十地区を対策促進地区として選定しております。
○田中委員 これらの地区の中で、来年度、平成二十年度に整備する基幹施設はどのようなものがあるのでしょうか、お伺いいたします。
○小川計画調整部長 平成二十年度には、品川区第二立会川幹線や荒川区の西日暮里幹線、江戸川区の小松川第二ポンプ所などの建設工事を進めていくとともに、新たに足立区の隅田川幹線に着手いたします。
○田中委員 浸水被害の早期解消のためにも、この対策促進地区での基幹施設の整備を推進していただきたいと思います。また、クイックプランには、雨水整備クイックプランのほかに再構築クイックプラン、合流改善クイックプランがあり、いずれも下水道の基本的な機能、役割を果たすためには重要な事業であったと思いますが、いずれも平成二十年度で完了することとなっております。
今後も、都市化、温暖化の進行に伴い、都市型水害の発生が依然として懸念される中、このクイックプラン終了後も抜本的な対策を推進していくべきだと考えておりますが、改めて局長のご所見をお伺いいたします。
○前田下水道局長 都民生活や都市活動を支える都市基盤としての下水道にとりまして、雨水整備、再構築、合流式下水道の改善の三つの事業は必要不可欠なものでございます。これらに対応いたしましたクイックプランは、平成二十年度で終了となりますが、都民の視点に立って緊急的な対応を図ることによりまして、これらのクイックプランは一定の効果を上げてきたということがいえるかと思います。
今後につきましては、地区を重点化いたしまして、幹線やポンプ所などの基幹施設を整備するなどし、抜本的な対策を進めていく考えでございます。今後とも、雨水整備、再構築、合流式下水道の改善事業などを推進いたしまして、「十年後の東京」に掲げる災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高めるとともに、水と緑に包まれた美しいまち東京の復活のために、局一丸となって取り組んでまいります。
○田中委員 これまでも雨水対策事業を計画的に実施してこられ、また、集中豪雨等によっての被害を受けた後、まさに名前と同様のクイックな対応を行っていただき、早期な対応でのクイックプランを実施することによって、地域の安全・安心のためにこれまでもご尽力をいただいてまいりましたが、さらなるご尽力をいただいて、基幹施設の早期整備を実施されることを改めて期待し、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○大西委員 私は、環境的なツケ、経済的なツケを子どもたちに残すような現状の社会を改め、将来大人になる今の子どもたちや、これから生まれてくる次の世代の子どもたちに胸を張って残せる東京をつくりたいと常々考えております。こういった視点から、以前は随分汚かったという東京湾の水質向上について伺います。
かつて東京湾の水質は、流入する河川などに大量の生活排水や工業排水が流れ込んだことにより、大変汚れていたと聞いております。この東京湾の水質が昔に比べてよくなったのは、下水道の整備によるところが大きいとのことでありますが、しかし、以前、下水道施設から流出したと思われるオイルボールと呼ばれる油の塊がお台場海浜公園に漂着して問題となったことがありました。このオイルボールの漂着量は現在どのようになっているのか、まずお伺いいたします。
○小川計画調整部長 区部下水道の約八割は合流式下水道で整備されておりますが、大雨が降ると、雨水で希釈された汚水の一部やオイルボールなどが川や海に流出することがございます。このため下水道局では、これらの流出を抑制するため、合流式下水道の改善対策を進めているところでございます。
その結果、お台場海浜公園へのオイルボールの漂着量は、平成十三年度には約一万六千リットルあったのに対し、平成十八年度には約二千リットルに減少しております。
○大西委員 漂着量が大幅に減っているということでございますが、今の答弁で合流式下水道の改善対策を進めているということでございますが、下水道局はどのような対策を行っているのか、お伺いいたします。
○小川計画調整部長 下水道局では、川などに放流される量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすために、これまでも幹線管渠の増強や、降雨初期の下水を一時的にためる貯留池の整備を図るなどの対策を進めてまいりました。
また、短期間に効果を実感できる合流改善クイックプランを策定し、オイルボールやごみなどの流出を抑制するため、雨水吐け口への水面制御装置の設置や、ポンプ所、水再生センターでのスクリーンの目幅を縮小するなどの対策を実施してまいりました。
さらに、お客様である都民や飲食店などが下水道に油を流さないことを呼びかける啓発活動を実施しております。特に毎年十月を「油・断・快適!下水道」キャンペーン月間として、ポスターの掲示や飲食店への戸別訪問指導など集中的に実施しているところでございます。
○大西委員 オイルボールの大幅な減少が、さまざまな取り組みによる成果だということはよくわかりましたが、ただいまの答弁で、下水道に油を流さないための啓発行動に取り組んでいるということでございます。
昨年十月、私の地元の足立区のスーパーマーケットで下水道局の方々がキャンペーンを行っておりました。そこでは、調理方法を工夫するということで、油の使用を抑えたレシピ、ダイエットレシピ、これでございますが、これを配布しておりました。これは下水道への油の流入を減らすとともに、食べる人の健康にも配慮した一石二鳥の効果があり、都民が取り込みやすい方策だと思いました。
本当におもしろいなと思ったのは、例えばチャーハンですけれども、電子レンジで簡単につくるチャーハン、中華なべを使わなくてもチャーハンがつくれます、油の量も三分の一で済みますとか、また、炊飯器で簡単につくれる大学芋とか、これは油を七〇%減らせることができます。
こういうのがたくさん入っているわけで、非常に参考になるわけでございますが、このような活動により、今後、オイルボールの川や海への流出をさらに減らしていくためには、こういう形で下水道に油を入れないということが本当に重要だと私は考えております。
このダイエットレシピのように、暮らしに身近な取り組みを通して、都民一人一人が下水道と水環境に優しい行動をとれるように広めていくことが何よりも大切だと思いますが、この点、下水道局では、油を流さないように都民に働きかける取り組みを今後さらにどのように行っていくか、お伺いしたいと思います。
○野口総務部長 ダイエットレシピにつきましては、下水道に油を流さないという意識を広めていくため、平成十七年度に当局職員の発案によりまして作成しまして、イベント等で配布を行ったところでございます。平成十八年度からは、金融機関の窓口などでも配布するとともに、イベントでの実演と試食会を行い、多くの方々から、油が少ないにもかかわらず、普通に油を使った料理と変わらないとの評価をいただいております。
さらに十九年度は、ダイエットレシピの一層の普及とメニューの拡大を目指しまして、都民を対象にレシピの公募を実施いたしました。初めての試みでございましたが、幅広い方々からの応募をいただいております。
今後とも、ダイエットレシピの一層の普及を図るなど、下水道に油を流さないよう都民に働きかけるさまざまな取り組みを、マスメディアや関係団体とも連携するなどしまして、積極的に展開してまいります。
○大西委員 ぜひこの発案された職員の方を褒めていただきたいと思いますが、そして、うちの女房もこれの次のバージョンが来るのを非常に今楽しみにしております。油を流さないようにする働きかけ、これによって水をきれいにするということは本当に大切だと思います。
次の世代のことを考えた施策というのが今の政治には本当に必要だと思いますので、ぜひこういう活動をもっともっと広めていっていただいて、水をきれいにするような一助としていただきたいというご要望をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○伊藤委員 では、私からも質問させていただきます。
下水道局では毎日、一千二百万人都民に加え、首都東京での都市活動を営む人々が排出する大量の下水を処理しており、その過程で区部においては年間約百万トンもの脱水汚泥が発生をしております。
この脱水汚泥は、埋立処分場の延命化を図るために全量焼却し、減量化しておりますけれども、それでもなお年間で約四万五千トンの焼却灰が発生をしております。しかし、下水道局では、この焼却灰を単に埋立処分するだけでなく、資源としてセメント原料などに活用し、循環型社会の形成に大変な努力をされているということは高く評価できるものでございます。
〔委員長退席、田中副委員長着席〕
昨年秋の公営企業委員会におきまして私が質問したときには、無焼成ブロックやれんがなどの建設資材を製造するなど、さまざまな技術開発により資源化を進めている、平成十八年度に焼却灰を資源化した割合は約六四%とのことでございました。
一方、経営計画二〇〇七では、平成二十一年度に資源化率を七〇%まで向上させることとしておりますけれども、そこでまず、二年後までにどのようにプラス六%の資源化率を向上させていくのか伺います。
○小川計画調整部長 下水道局では、これまで民間と連携して焼却灰をコンクリートの原材料として資源化しているほか、屋上緑化などで土のかわりに用いられる軽量細粒材や、粘土などの建設資材のかわりとなる粒度調整灰に加工して資源化を図っております。
しかし、資源化をより一層推進するためには、長期に安定した需要先の確保が課題となっております。そこで、新たな取り組みとして、汚泥炭化事業を平成十九年十一月から開始いたしました。これは、下水汚泥から炭化物を製造し、今後二十年間にわたり火力発電所で石炭の代替燃料として利用することから、長期間にわたって安定的に資源化を図ることができる事業でございます。
このほか、リサイクル資源を活用して建設を行っている海の森に植栽基盤材として軽量細粒材の提供を行っているところでございます。
○伊藤委員 山形県の新庄市などでは、下水処理場から発生する脱水汚泥を燃料に変え、製紙工場の発電用石炭ボイラーで石炭にかわる燃料として使用し、年間二千九百トンのCO2削減と処理運搬コストの削減効果が期待される事業が、この春から始まると聞いております。
全国でも社会的に大きくCO2削減に向けた動きとなっている中、東京都においては、今の答弁に、昨年の十一月から下水汚泥から炭化物を製造し、今後二十年間にわたって火力発電所で石炭の代替燃料として利用することが始まっているということでございました。CO2削減に向けて、全国に先駆けた汚泥の資源化、大事業として大変に期待できる事業であると思います。
また、「十年後の東京」でも掲げられ多くの都民が期待する海の森へ軽量細粒材を提供しているということでございますけれども、これも大変に期待するものでございます。その海の森への具体的な提供内容について伺います。
○小川計画調整部長 「十年後の東京」で掲げられております海の森の整備につきましては、樹木を植える土台となる基盤材には、下水汚泥から製造される資源化製品や、建設発生土などのリサイクル土を活用して造成を行うこととしております。
下水道局では、「十年後の東京」への貢献と資源化の促進を図る取り組みの一環として、平成十九年度に海の森へ軽量細粒材六百トンを提供いたしました。軽量細粒材は、重金属が溶出しないことに加え、通常の埋め戻し土よりも通気性や透水性などにすぐれており、植物が育ちやすい環境を創出するために使用されているものでございます。平成二十年度も関係局と調整の上、引き続き海の森整備へ協力してまいります。
○伊藤委員 海の森への資源化製品の搬入は、資源化の促進が図れるとともに、東京を緑あふれる都市に再生する一翼を担う事業であり、これも大いに期待したいところでございます。
今後も安定した資源化が図れるよう創意工夫され、港湾局を初め他局との連携を図るほか、一方ではこうした資源化製品が直接都民生活へ発信されていくよう、例えば今はやりの家庭園芸とか、あるいは屋上緑化とか、あるいは学校教育など、さまざまな場面で活用がなされるようPRを行うなど、下水道局のさまざまな取り組みに努めていただきたいと要望いたします。
また、循環型社会を形成していくためには、行政の取り組みだけではなく、都民一人一人の主体的な取り組みが不可欠であります。とりわけ次世代を担う子どもたちの循環型社会への意識をはぐくむことが重要でございます。
現在の下水道局における子どもたちの環境学習への取り組みについて、内容を伺います。
○野口総務部長 当局におけます子どもたちへの環境学習の取り組みについてでございますが、当局が主体となって行う取り組み、学校教育への支援の取り組み、家庭などでの自主学習への支援の取り組みの大きく分けて三種類ございます。
まず、当局の主体的な取り組みといたしましては、次世代を担う子どもたちに下水道に関する正しい知識と水環境保全に関する意識を高めていただくために、地域の小学校へ出向きまして、下水道の仕組みや働きなどをわかりやすく説明する出前授業や、夏休みに水再生センターで下水道のことを学ぶ施設見学会を実施しております。
次に、学校教育への支援の取り組みといたしましては、小学校の社会科や総合的な学習の授業で活用していただくため、下水道に関する副読本を作成し、都内すべての小学校に配布しております。また、家庭などでの自主学習への支援の取り組みといたしまして、当局ホームページで下水道の仕組みについてアニメーションを活用し、楽しく体験しながら学べるバーチャル下水道を提供しております。
さらに、出前授業や施設見学会、下水道に関する副読本などで下水道のことを学んだ児童を対象にいたしまして、学習の成果をまとめることを通して、下水道に対する関心や理解を深めてもらうことを目的に、小学生下水道研究レポートコンクールを毎年実施しているところでございます。
○伊藤委員 ご答弁いただきまして、下水道局として次世代を担う子どもたちへのさまざまな取り組みがなされているということがよくわかりました。
前にも申し上げたかもしれませんけれども、私は、小学校四年生の子どもを持つ親でございます。先日、子どもとの話の中で、学校の環境教育の授業についての話になりました。小学校ではちょうど四年生で環境教育を学習することになっておりますけれども、うちの子どもいわく、水道とごみについてはいっぱい勉強したといっておりました。
さらに子どもに下水道に関することはとあえて聞きましたところ、下水道の話はちょっとだったかなといっておりました。早速教科書を確認してみました。本人が聞いていなかったのかどうか、それを確認しようと思いまして、教科書を確認してみましたところ、水道に関する記述は、社会科の教科書の中で十二ページありました。ごみに関する記述も十二ページ割いておりました。下水道に関する記述はわずか二ページでありました。
小学校においては、循環型社会の形成に最も貢献をしている下水道についての学習が余り行われていないのが現状であるのかなというふうに思われました。先ほどご答弁にありましたように、下水道局として環境学習に関するさまざまな取り組みを行っており、こうした取り組みをさらに学校教育や家庭教育へ浸透させ、継続していくことが重要だと考えます。
子どもたちは、学校で学んだことや感動したことを親に話したりするものでございます。子どもたちが環境について楽しく学ぶことを通し、家庭も環境問題について関心を持ち、学ぶことができると考えます。
また、今後、環境型社会の環境教育については、学校の社会科に限らず、小中学校で扱う家庭生活の実践的な学習を行う家庭科などの教科でも扱われるように、下水道局としても働きかけていくべきであるというふうに私は思うものでございます。
子どもたちを初め、より多くの都民が環境問題について意識を高めていくため、局の今後の取り組みについて伺います。
○野口総務部長 子どもたちを通しまして、保護者や地域の方々などに下水道に対する理解や環境問題への意識を一層広めていくことは効果的であると認識しております。そのためには、何よりもまずわかりやすく情報を発信することに努めるとともに、例えば施設見学の際、炭化物などの実物に触れる機会を設けるなど、より一層楽しく学ぶことのできるような工夫をしてまいります。
また、下水道施設の再構築などにあわせまして、施設の内部やその機能を見やすく、わかりやすいようにする工夫を取り入れてまいります。
○伊藤委員 一般的に環境問題について考え、学び、そしてみずからが実践していくということは、なかなか難しいという印象もございます。このため、私は、環境問題に対する都民の意識を高めていくためには、暮らしや生活と直接関連づけながら、楽しく学ぶ方法を行政が積極的に提供していく必要があると思っております。
先ほどもございました、下水道局にはダイエットレシピという、下水道への油の流入を減らすとともに人の健康にも配慮された、都民が取り組みやすい施策があります。この取り組みは、下水道と健康を結びつけることにより、多くの人々の関心や興味を引くものとなっており、逆転の発想ともいうべきすばらしい取り組みであると思います。
このような取り組みをぜひ発展させていただいて、今、これが第一弾のものでございます。第二弾がオリンピックマークが入ったもので、さらにメニューが広がったということでありますけれども、これはどちらかというと奥様用でございますけれども、今後、例えば子どもでもできるダイエットレシピとか、あるいは男一人でもできるダイエットレシピとか、そのように発展をさせたりとか、また、ダイエットレシピに限らず、新たな斬新な発想も取り入れてどんどん発信をしていただきながら、子どもから大人まで都民が環境問題、循環型社会の形成について理解を深めることにつなげていただきたいと要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○たぞえ委員 まず初めに、先日、葛西水再生センター内で業務委託の職員が沈殿池に転落し、死亡したことに心からお悔やみを申し上げたいと思います。都の施設の中での事故であり、下水道局として今後、改良工事に当たって人命優先の安全対策に万全を期すよう要望するものです。
さて、下水道局二十年度予算案について伺っていきたいと思います。
下水道局は、来年度は経営計画二〇〇七の折り返しであるから、最少の経費で最良のサービスを安定的に提供すると述べられています。また、再構築や雨水整備、合流改善など三つのクイックプランの最終年度として位置づけています。
そこで、私は、クイックプランのうち、合流式下水道改善について伺いたいと思います。都内で局地的な大雨が降ると、八二%を占める区部の合流式下水道に大量の雨水が流れ込んで、汚水と雨水が管渠の分水堰を越えて、河川や海に排出されるおそれが十分にあります。これまでも汚水の一部が川や海に放流されていたという事態はあるのでしょうか。
○小川計画調整部長 区部の多くの地域は、トイレの水洗化など生活環境の改善と、雨水排除等を早急かつ効率的に進める必要があったため、合流式下水道で整備をしております。
下水道が整備されたことにより、河川などの水質は大きく改善されましたが、合流式下水道では、大雨が降ると、雨水で希釈された汚水の一部やごみが川や海に放流されることがございます。
このため、下水道局では、一年間に合流式下水道から放流される総汚濁負荷量を分流式下水道と同程度にすることを目標にして、合流式下水道の改善対策を進めております。
具体的には、合流式下水道の改善対策として、雨水で希釈された汚水が川などに放流される量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすため、幹線管渠の増強や降雨初期の下水を一時的にためる貯留池の整備を図るなどの対策を進めております。
また、雨水吐け口にごみやオイルボールの流出を抑制する水面制御装置を設置するほか、ポンプ所などのスクリーンの目幅縮小などの対策を実施しているところでございます。
○たぞえ委員 汚水を河川に放流させないための対策は欠かせないと思います。今、部長からお話があったような方向での対策も大変大事だと思います。しかし、いろいろこうして対策を講じても、もともと雨水も汚水もあわせて流してあわせて処理するという方法では、処理に限度があるのではないかと私は常々考えています。
従来型の合流式処理から、雨水は地下浸透によって地下水や湧水に転換をする。汚水は処理した上で再生水として再利用できるように活用してほしい。こうして都市への過大な負荷をさせずに、安定した都市活動、安定した都民生活を多くの都民は願っているのではないでしょうか。
その点から見て、都内の八二%の面積で行われている合流という方式を分流に切りかえていく必要があると思いますが、こうした方向はどう検討されているのでしょうか。
○小川計画調整部長 分離式下水道では、汚水と雨水を別々の管渠に収容するため、雨水は川や海に直接放流され、汚水は放流されることなく水再生センターで処理されますが、一方で、道路上のごみやほこり等が直接川や海に放流されてしまうといった課題もございます。
区部の約四万六千ヘクタールもの面積に整備された合流管渠すべてを汚水管と雨水管に分ける分流化には、整備に莫大な費用と長い期間が必要となります。また、下水道は水道やガスなどと異なり自然流下を基本とするため、管渠の埋設位置が限られるなどの制約があり、埋設物がふくそうしている狭隘な道路では、分離式下水道による汚水と雨水の二本の管渠を敷設することが困難な状況でございます。
さらに、これまで合流式で整備されたお客様の宅地内や建物内の排水管も改めて汚水と雨水に分けなければならないため、その工事が必要となります。このため、下水道局では、分流式下水道につくりかえるのではなく、合流式下水道を改善し、一年間に放流される総汚濁負荷量を分流式下水道と同程度にすることを目標として、対策を進めているところでございます。
○たぞえ委員 答弁では、費用がかかる、二本の埋設は困難、面積が大き過ぎる、だから厳しいといわれましたけれども、それではやはり弱腰だと思うんです。来年度予算で盛んに述べている合流式下水道の改善、これは一体何だろうか。これは結局分流式への転換ではなくて、例えば市街地再開発事業が河川の近くで行われた際に、その地区内に限って分流で整備する。いわば、それでは開発待ちという部分分流式という手法ですね。要するに、合流式の一つの項目にしか分流式はない、そういうことではないかなと、今聞いていて思いました。
私の地元の世田谷の多摩川エリア地域では、かつて広大な農地を占めていた時期に、将来、区画整理事業の手法で土地の用途を変えようと、こんなことで分流式下水道を導入する計画を持っていました。その後の農地の宅地化整備によって、宅地側での汚水管と公道側の汚水管をつなげるルートをつくり、一方、宅地側の雨水管と公道側の雨水管をつなげるルートをつくる。その結果、雨水は多摩川などの河川にそのまま放流されていく。そして、汚れた汚水はきちんと処理される。こういう図ができ上がって、これもこのエリアの方から大いに喜ばれました。
しかし、喜んでばかりはいられないんです。公道側が配管が整備され、いわば受け入れができた。ところが、宅地側で雨水を取り込む配管工事が行われていないために、雨水が汚水管に流れ込んで、大雨のときに汚水管の中の水がすべて公道側にあふれる、こういう事態があるということを聞いています。
分流地域では、この四年間に何回この汚水が公道にはんらんするという事態が起きているんでしょうか。
○桜井施設管理部長 世田谷区の分流地区におきましては、先生ご指摘のとおり、宅地内の排水が汚水と雨水に分離されていないことにより、雨水の混入が原因と思われる溢水が平成十九年度までの四年間で十一回発生しております。
○たぞえ委員 十一回も浸水が発生したと今述べられましたが、今のお話を聞いて改めて驚きました。
私の調査でも、世田谷区の等々力という町、これは等々力渓谷というところがある町なんですが、平成十九年の一年に三回汚水管から汚水と雨水が吐き出てくる、こういうことが発生しているわけです。そのために住民がその都度、自分の宅地内の浸水とあわせて、道路にあふれ出た汚物を取り除くために、仕事を休んで何回も掃除をしなきゃいけない、こんな事態がたびたび発生しているわけです。
〔田中副委員長退席、委員長着席〕
東京都は、分流式が整備されているからと、このエリアについて誇らしげに語っていましたが、抜本的に解決をしなきゃいけない問題が起きているのではないかと思いますが、どのような認識でしょうか。
○桜井施設管理部長 世田谷区の分流地区におきましては、水洗化を進め、都民の生活環境向上を図るとともに生活排水を処理し、多摩川の水質を改善するということが急がれていたために、お客様自身が宅地内の排水を汚水と雨水に分けるということを前提に、まず汚水管の整備を先行させてまいりました。
宅地内の排水設備が分離されていない理由としては、雨水を分流しなければならないということについての認識が不足をしていることや、宅地内に汚水管と雨水管の二本の管を埋設することが物理的に困難であるといったような理由が考えられます。
このため、戸別訪問で分流化へのご理解をいただいたり、実態に応じて宅地内の雨水管の接合が容易となるよう、当局が公設の雨水ますを増設するなど、汚水管からの溢水を解消する取り組みを実施してまいります。
○たぞえ委員 私は、こういう事態を招いたのは、公道側の分流式整備の際に、宅地内での雨水管整備をやり切らずにいわば見切り発車した、そういうふうに私は思います。今、住民サイドの認識が不足しているとか、物理的にしていないとか、何やらどうも住民に責任があると、こういう答弁にしか聞こえなかったんですが、しかし、それは少し行政として謙虚じゃないんじゃないでしょうか。
では、宅地の未整備はどういう状況なのか、その理由を述べてください。
○星川施設管理担当部長 先ほどもご説明申し上げたところでございますが、世田谷区内の分流地区では水洗化を進め、都民の生活環境の向上を図るとともに生活排水を処理し、多摩川の水質を改善することが急がれていたため、お客様自身が、宅地内の排水を汚水と雨水に分けることを前提として、まず汚水管の整備を進めてきたところでございます。
汚水管を整備した際には、宅地内の排水を汚水と雨水に分け、汚水は公共雨水ますに接続し、雨水は通路のU字溝等に流すよう、お客様に個別に周知を図ってきたところでございます。しかし、汚水管からの溢水が確認された地域におきましては、宅地内の排水設備接続状況の調査をし、約三割の家屋において宅地内の排水が汚水と雨水に分離されていないことが判明いたしました。
宅地内の排水が分離されていない理由としては、汚水を分離しなければならないとの認識が不足していることや、宅地内に汚水管と雨水管の二本の管を敷設することが物理的に困難であること等が考えられるところでございます。
○たぞえ委員 それもまた住民のせいにしてはいけないと思うんですね。例えば新しい区画整理事業で新しいうちをつくるときは、それは埋設するからできます。ただ、既にもう結構な年数がたった住宅をそうやって整備するとしたら、やはりその住宅の建てかえ時期を待たなきゃいけないということになりかねないんですよ。ずっと待っていれば、どんどん進まないわけです。もっともっと緊急にその対策を講じていかなきゃいけない。
しかし、できないという実際その三〇%の住宅が、両方に水をきちんと分けて出そうという思いがあっても、それは敷地が狭い、お金に問題がある、いろんな困難な事情でできないというそこをもっと尊重してあげなきゃいけないと思うんです。その上でこの三割をどう解消していくか、こういう緊急対策が必要ではないでしょうか。
私は、こうした対策の一つとして、区や市と連携して、宅地内の雨水を宅地の中で浸透させる宅地雨水浸透の促進が急がれると思います。例えば雨水の管を公道だけに全部流し込むのではなくて、その雨水管が宅地内の雨水ますに行くまでの間に、管が穴があいていて、どんどんと地下に雨水が浸透していく。いわば最後の受け皿となる部分に来るまでの間に十分地下にその雨水を放出させる。こういったものも大いに手助けしてあげる必要もあるのではないか。
そして、道路上に降った雨水は、宅地内とは別に取り込んでいく浸透ます整備も有効だと思います。下水道局はそれを重点事業として、合流式下水道の雨水の流入を抑制する浸透ますを十八年度に五百六十八カ所設置しましたが、この事業を進めるために、宅地内の浸透ますや浸透管の設置などを進めるわけですが、これはやはり個人負担になってしまう。そういう点で、幾つかの区が行政として設置者に助成をしているというふうに聞いています。
こういう取り組みに区の助成額の一部に対して都が補助を行っておりますが、下水道局としては、独自に宅地内の地下浸透を促進するためにどういう取り組みを今後進めていくのか、伺います。
○小川計画調整部長 下水道局におきましても、雨水浸透は浸水対策や合流式下水道の改善に効果があることから、宅地内の分流化にあわせ、公共雨水浸透ますの設置を進めております。平成十八年度末までには約五千七百個設置しており、このうち合流地区で五百六十八個を設置したものでございます。
また、区の行う道路整備事業などにあわせまして、道路の雨水を収容します道路雨水ますにつきましても、浸透ますの設置をしておるところでございます。平成十八年度末までに約六千七百個を設置してございます。
また、宅地内の雨水浸透施設の促進につきましては、お客様との接点である指定排水設備工事事業者で構成された排水なんでも相談所や、東京都管工事工業協同組合に対し、雨水浸透促進の協力を要請するとともに、雨水浸透のリーフレットや各区の助成一覧を配布しているところでございます。
さらに、区の建築確認部署や環境部署等に雨水浸透促進の要請を行い、窓口でのリーフレットの配布や区のホームページに掲載してもらうとともに、民間の建築確認機関の機関紙による雨水浸透のPRも行ってもらっております。今後とも、指定事業者や区と連携し、雨水浸透の促進に努めてまいります。
○たぞえ委員 私は、分流地域というのは東京のあちこちにあるわけではなくて、非常に限られた場所しかないというふうに考えますと、やはり誤接合、きちんとつかない、ついていない、こういう問題はやはり緊急に整備が急がされていると思うんです。
とりわけ、公道側の汚水が浸水して、先ほどいいましたように、住民がそのために仕事を投げ出して清掃しなきゃいけない、そんな都民生活に大きな負荷を与えることがないように、自治体として独自の改善策を緊急に講ずるように求めて、質問を終わります。
○福士委員 私からは、下水道管渠の老朽化対策についてお伺いをいたします。
下水道は、生活環境の向上や浸水の防除など、都民にとって不可欠なライフラインとして重要な役割を担っています。区部の下水道は明治十七年ということですから、古い古い神田下水に始まって、その後、高度経済成長期以降に多くの下水道管渠が整備されました。
経営計画二〇〇七によりますと、現在の下水道管渠の延長は約一万六千キロメートルで、このうち一三%に当たる約二千キロメートルの下水道管渠が、法定耐用年数五十年を超えているとのことであります。
老朽化によって下水道管渠が損傷すると、下水道が使用できなくなるばかりか、道路陥没などを引き起こす場合も考えられ、都民生活及び都市活動に大きな影響を与えると思います。まず、こういった老朽化した下水道管渠の再構築の進捗状況についてお伺いをしておきます。
○小川計画調整部長 下水道管渠の再構築は、老朽化対策にあわせ、都市化の進展に伴う雨水排除能力不足の解消や、耐震性の向上などを図る機能の高度化、維持管理しやすい下水道システムの構築などを目的に実施しております。
この再構築は、早くから下水道を整備した芝浦、三河島、砂町、小台の四処理区、一万六千三百ヘクタールを対象に平成七年度より実施しており、平成十八年度末現在の進捗状況は二千二百五十ヘクタール、約一四%となっております。
○福士委員 一四%ということは、老朽化した下水道管渠の再構築は進んでいるとはいえないというふうに思いますね。安全で快適な都市生活を確保するためにも、旧オリンピック以降、高度成長期につくられたものなど、今後一斉に法定耐用年数を超える下水道管渠の再構築を効率的、そして計画的に進める必要があると思います。
そのためには、まず老朽化した下水道管渠の状況を把握することから始めなければなりません。そのことを前提として計画を進めていくべきですが、下水道管渠の状況把握はどのように行っているのか、お伺いをいたします。
○桜井施設管理部長 管渠の状況把握についてでございますが、管渠の敷設年度、道路陥没の発生状況、日常の巡視点検などの維持管理情報に基づきまして優先順位を定め、計画的に管渠の内部の調査を実施しております。
調査は、人の入れる比較的大きな管渠では、調査員が直接目で見ながら確認をし、小さな管渠につきましては、テレビカメラを用いて調査を実施しております。なお、これまでに法定耐用年数を超えている下水道管渠につきましては、おおむね調査は完了しております。
○福士委員 今、法定耐用年数を超えている下水道管渠の調査は、おおむね完了というお話でございましたけれども、調査した下水道管渠の損傷状況にはさまざまなレベルがあると思うんですね。これらの下水道管渠の再構築工事をどのように実施しているのか、お伺いをいたします。
○黒住建設部長 下水道管渠の再構築工事につきましては、これまでも計画的かつ効率的に進めてきております。具体的には、テレビカメラなどを用いた調査結果に基づきまして、管渠の損傷や雨水の排除能力などの検討を行い、新しい管渠に入れかえるものと、既存の管渠をそのまま有効活用するものとに分けております。
有効活用するものにつきましては、健全であればそのまま活用し、損傷があっても入れかえを必要としないものにつきましては、道路を掘削せず施工できる更生工法を採用しております。これらによりまして、工事によるお客様の生活への影響を少なくするとともに、コスト縮減や工期の短縮に努めているところでございます。
○福士委員 老朽化した下水道管渠を一律に新しい下水道管渠に入れかえるのではなくて、更生工法などで既存の下水道管渠を活用することによってコスト縮減を図りながら、短い期間で工事を進めるということは、それはそれで大変望ましいことだというふうに私も思います。
今後も効率よく再構築工事を進めていただきたいんですが、ところで、下水道局では、経営計画二〇〇七の中で、改めて再構築事業を効率的に進める手法として、アセットマネジメントなどの手法を取り入れるというふうにいわれております。具体的にはどのように進めていかれるのか、お伺いをします。
○小川計画調整部長 老朽化した下水道管渠の再構築を進めるに当たりましては、まず下水道管渠の状況を把握評価し、予防保全を重視した維持管理に取り組んでおります。その上で、ライフサイクルコストの最少化を図るとともに、既存の下水道管渠の延命化などによりまして、更新時期の平準化を図るなど、計画的かつ効率的に事業を進めているところでございます。
今後、一斉に更新時期を迎える下水道管渠の再構築につきましても、同様の手法で事業を進めてまいります。
○福士委員 こういう手法で長期的視点に立って予防保全やコスト縮減を進めていくことは、大変重要なことだというふうに思います。
「十年後の東京」への実行プログラムでは、下水道施設の予防保全管理を進めていくというふうにされていますが、二〇〇八年度はこの実行プログラムの初年度に当たるんですね。そこで、二〇〇八年度以降の再構築の取り組みをお伺いします。
○小川計画調整部長 下水道管渠の再構築は極めて重要な事業であることから、効率的な事業執行に努め、今後三年間で千百ヘクタール以上の実施を予定しております。これによりまして、平成十八年度末で一四%の進捗率を二〇%以上に向上させることとしております。
○福士委員 頑張っても二〇%ということですから、下水道というのは見えにくい場所でありますし、先ほど来申し上げているように、事故が起こったら大変です。
先ほど、更新時期の平準化を図るというお話がございましたけれども、前倒しはともかくとして、後手後手にならないように財源確保も含めて努力されるように、これはお願いをしておきたいと思います。
下水道というのは、私たちの生活になくてはならない施設です。この機会に、健全に維持していくためには、今後とも下水道管渠の再構築に対して積極的に取り組むことが必要であり、期待しております。
本来なら、私は、オリンピックなどというわずか二週間程度のイベントに、何兆円かかるかわからない税を投入することを考えたら、できるだけ必要な日常の事業を地道に進めていただきたいなというふうに思っております。オリンピックについては、ほとんどの国でイベント終了後に施設の維持運営にまた多大な税金をつぎ込んで、生活的な事業が後回しになっている実態があります。
蛇足で申しわけないんですが、現実に都民に必要な事業は後手後手に回らないよう、先ほどの質問にもお金の問題が出てきておりました。再度申し上げて、質問を終わります。
○吉原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉原委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で下水道局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四分散会
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