公営企業委員会速記録第十号

平成十三年十月十一日(木曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長土持 正豊君
副委員長松村 友昭君
副委員長立石 晴康君
理事初鹿 明博君
理事東野 秀平君
理事高島なおき君
福士 敬子君
高橋かずみ君
青木 英二君
串田 克巳君
中西 一善君
中山 秀雄君
田中 晃三君
尾崎 正一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長寺内 広壽君
次長松尾  均君
総務部長久保田経三君
経営企画室長鷲田 能敬君
職員部長佐伯 憲彦君
電車部長齊藤 春雄君
自動車部長木村 純一君
車両電気部長水元亜紀雄君
建設工務部長金安  進君
経理契約担当部長久保  大君
関連事業担当部長福田志津雄君
安全管理担当部長帯刀  宏君
バス路線再編成・事業活性化担当部長坂本 達郎君
技術管理担当部長北川 知正君
下水道局局長鈴木  宏君
次長藤井 浩二君
総務部長馬場 正明君
職員部長三浦  茂君
経理部長今里伸一郎君
業務部長時田 公夫君
計画調整部長大矢 爽治君
技術開発担当部長佐伯 謹吾君
施設管理部長前田 正博君
建設部長串山宏太郎君
流域下水道本部本部長藤田 昌一君
管理部長萩原 英夫君
技術部長広瀬 達男君

本日の会議に付した事件
 交通局関係
  事務事業について(質疑)
 下水道局関係
  事務事業について(質疑)

○土持委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、請願陳情について申し上げます。
 本委員会に付託されております請願陳情は、お手元配布の件名表のとおりでございます。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局及び下水道局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久保田総務部長 過日の委員会で要求のございました資料につきまして、公営企業委員会要求資料としてまとめさせていただきましたので、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料、表紙をおめくりいただきまして、都営地下鉄、都営バスにおけるバリアフリー化の現状と計画をごらんいただきたいと存じます。
 都営地下鉄及び都営バスにおけるバリアフリー化につきまして、項目別に、平成十二年度末実績及び平成十三年度における予定を記載してございます。
 都営地下鉄におきましては、駅構内にエレベーター、エスカレーター、リフト型車いす用階段昇降機及び車いす用トイレを、今年度、資料記載のとおり設置する予定でございます。車いす対応型自動改札機につきましては、自動改札機の更新時期に合わせまして、順次導入する予定でございます。車両の車いすスペースにつきましては、車両の更新または大規模修繕時期に合わせまして、順次整備する予定でございます。警告・誘導ブロック、点字運賃表につきましては、全駅設置済みでございます。
 都営バスにおきましては、車両の更新時期に合わせまして、順次低床型車両を導入する予定でございます。今年度導入する車両につきましては、全車両ノンステップバスを導入することとしております。次停留所名表示器、車内外自動行先案内装置につきましては、全車両に設置済みでございます。
 以上で要求資料につきまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○土持委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○立石委員 ちょうど交通安全週間の最終日だったと思いますが、九月二十九日の土曜日に、月島から森下の方に大江戸線を使う際に、旗を振っている、お年寄りといったら失礼ですけれども、高齢者の方に呼びとめられて、久しぶりに立ち話をしておりましたらば、シルバーパスのカードリーダー、入れるものですね、あれがこのごろ非常に不便だと。
 どうしてと聞きましたら、前から入れたり横から入れたり、お年寄りだと、ステップを上がって、はあはあいったり、やっぱりひざが痛かったりするととても不便だ。あるいは、もう改善されたのかもしれませんが、これはどっちを選択しても−−どっちをという意味は、提示をしてもいいし、カードリーダーに挿入してもいいと思うんですが、これは融通してほしいと思いますが、指示徹底、両方いいのか悪いのか、このことについてまず最初にご質問させていただきます。

○木村自動車部長 お客様の多様なご要望にこたえることを目指しまして、今般、シルバーパスにつきましても、共通カード等と同様に、ご指摘のように、カードリーダーに挿入して乗車していただくということにさせていただいたわけでございますが、先生ご指摘のように、お客様、ご利用者の皆様から、交通局、あるいは委託元でございます東京バス協会、これらへ不便になったといったおしかりのお声が多々寄せられたところでございます。
 また、転倒等の危険もあろうかというような心配もあったところでございまして、そこで今般、東京バス協会からの通知に基づきまして、カードを挿入するかどうかは、利用者、お客様のご意思によることという取り扱いに変更させていただいたところでございまして、これらの周知徹底につきましては、東京バス協会からの通知が私どもに届き次第、各営業所に対しまして文書をもって通知いたしました。また、それに基づいて、それぞれ乗務員等にも点呼時等を通じて趣旨の徹底を図ったところでございます。

○立石委員 それは周知徹底して、高齢の皆さんが不自由なく、混乱なく、転倒したりしないようにやってくださいということ、ぜひPRと周知を徹底してほしいと思います。
 次に、十二号線を初めとして、地下鉄網の充実で大変便利になって、ありがたいことだと感謝しております。しかしながら、高齢の方々にとりまして、バスと地下鉄がダブった形になるところは、バスの方が間引きされているんですね。言葉がちょっと適切かどうかわかりませんが、間引きされて、非常に時間間隔があく。
 たまたまそういう意見が非常に多かったもので、また月島が出てきますが、私は月島駅から森下でおりて、それからバスに乗りかえました。大江戸線からバスに乗りかえて、森下でバスを待っていました。たしか、いわゆるラッシュアワータイムだったんですけれども、三十分に一本ぐらい、つまり、一時間に二本ぐらいでした。私は、森下は新宿線ができているんだから、ダブっているんじゃないか。これは要望している人の方が無理があるのかなと思っておりましたらば、ビジネスマンが列をなして、後ろから、大変失礼ですが、あなたはどちらへいらっしゃるんですか。箱崎へ行きます、シティーエアターミナルの方面に行くんです。ああ、なるほど。そうすると、新宿線は、浜町へ行って馬喰横山へ行く。岩本町方面から新宿へ出るわけですから、これはちょっと歩いていくには無理だなと。
 なるほど不自由だなと思っているやさきに、目の前を空車のタクシーがじゃんじゃん通り抜けるわけですよ。つまり、お客様がいないわけです。これは何かうまく利用できないだろうか。ディマンドバスというのはあるけれども、ディマンドバスまで拡大しないまでも、ディマンドタクシーみたいに、停留所でボタンを押せば、リクエストしているんだ、ディマンドしているんだということで、タクシーがとまって、相乗りができるような仕組みをしたら、えらいこれは便利だなと、非常に思いつきみたいで悪いんですが、こう思いました。増車することが一番いいわけですけれども、なかなかそれもある意味では大変なことだろうと思いますので、この辺をちょっとご答弁いただきたいと思います。

○鷲田経営企画室長 バス事業におきましては、平成十四年二月から規制緩和を迎えまして、今後さらにサービス競争の激化が予想されますので、今後さまざまなお客様のニーズにこたえていく必要がございます。
 ご指摘のディマンドバスの運行などにつきましては、新しいバスサービスのあり方として今後の研究課題とさせていただきます。

○立石委員 研究課題ということで、よく研究して、いろいろ事情があると思いますが、タクシーの運転手さんにしてみれば、空車で、お客様がたくさん待っているのに通過しなきゃならない。いわゆるバス料金であれば二百円でしょう。それならば、仮に箱崎の、名前をいうとおかしいけれども、アイ・ビー・エムとかソフトバンクとかというようなところにお勤めになっているらしいんだけれども、彼と話しながら、立ち話でしたが、そうですか、そうするとやっぱりあそこは不便ですねというような話になる。仮にそういう仕組み、乗り合いが可能だとすると、随分便利になる。これも一種の交通機関の立体化だと思います。
 ワシントンで自分も経験しましたけれども、乗り合いオーケーなんですね。同じ方向へ行くのは、ゾーンで結構安かったりしていますので、交通局の皆さんは専門家ですので、いろいろ研究、検討してほしいと思います。これは要望しておきます。
 次に、最近公営企業委員会に初めて入ったもので、交通機関として、電車主義、バス主義にしまして、よく乗るんですが、バス停で、こんなところは当然あったらいいなと思う屋根がなかったり、昔からいわれているんでしょうけれども、風よけがなかったり、ベンチもない。見ると、何とか桐だんす直しますみたいな話で書いてあるわけ。失礼ながら、便利なんだけれども、小汚いといったら言葉が悪いですが、雑然としている。いわゆる石原知事がいう千客万来のストリートファーニチャー、魅力ある東京というのにはちょっと遠い、何か大変失礼ですけれども、そういうものが置いてある。やっぱりこれはストリートファーニチャーとしてのベンチを置いて少しもおかしくない。
 それから、当然時計もあっておかしくないと思います。お年寄りは、かなり目も悪いでしょうし、あるいはハンディキャップのある方は、いろんな意味で時間が知りたいわけですから、そういう意味では一工夫してあってもいいんではないかな、そういうふうに思いますので、時にはスポンサーをつけて、何とかだんごの前とか、そんなことは幾らでもできるわけです。こういうことを整備していくべきだと思いますけれども、当局の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○木村自動車部長 先生ご指摘のように、私ども、都営バスの停留所の上屋、風よけ、ベンチ、また、ご提案の時計等があることによりまして、お客様が安心、快適にバスを待つことができるというのはお説のとおりだと存じます。
 このため、交通局では、これまで上屋、あるいはベンチなどの設置を積極的に推進してまいりまして、三千七百四十七停留所におきまして、上屋については千二百九十六棟、ベンチにつきましては四百四十六カ所を設置してきたところでございます。ただ、時計につきましては、全停留所を時刻の正確性を期すという面では、非常に調整等の問題がございまして、時計については大変申しわけないんですが、整備はしておらないところでございます。
 いずれにいたしましても、これらの施設を設置する場合につきましては、道路法ですとか道路の占用許可基準などの制約がございまして、なかなか設置が難しい場所もございます。そういった面でお客様のご要望に十分おこたえできていないという面もございますけれども、ご提案の趣旨を踏まえ、関係機関等と協議しながら、できる限り設置してまいりたいと考えております。
 また、ご提案のスポンサーをつけて整備を進めるということにつきましては、財政上の視点からは大変有効な手法かと考えられるところでございますが、ただいま申し上げました道路占用許可基準ですとか、あるいは屋外広告物条例等の制約もございまして、それらのハードルがあるという点をご理解いただければと思います。

○立石委員 巣鴨の商店街、とげぬき地蔵、大変はやっているんだそうです。行ったことはないんですが、聞いてみると、ストリートファーニチャーで一工夫も二工夫もしていると。それは、ベンチがあったり、そういうものがある。
 私も最近、電車主義にして、一生懸命バス停で待っていたりしますと、とてもよくはなっていると思いますし、悪口ばかりいうつもりはないんですが、もはや道路管理者だとか、道路使用許可だとか−−そういったもろもろのハザードがあると思う。しかし、だれが考えても、もうそんな時代じゃない。都民の大切な足だし、交通機関、交通局が最優先。そのつもりで腹を据えてやってほしい。これは今ご答弁があったので要望しておきます。
 次へ行きます。それと関連するわけですけれども、バス・ロケーション・システム、だれが考えてもこれは便利なものです。焦っていると、もう間もなく、ちょっと待っていればいいのに、乗っちゃいますね。僕も、最近は、時刻表などを持って、バスを待ったりします。大変便利で、そんなに狂っていない。しかし、これは、今のことですから、そんなに難しい話じゃないと思います。ですから、これもぜひやるべきだ、こう思いますが、当局の考え方をちょっとお聞かせください。

○坂本バス路線再編成・事業活性化担当部長 バス停留所におきましては、お客様に対して、きめの細かいサービスが必要と考えております。バス接近表示つき停留所は、バスをお待ちのお客様の利便を目的として導入してきたものでございまして、現在二百十七カ所の停留所に設置してございます。それで、お客様から大変ご好評をいただいているところでございます。
 しかしながら、接近表示つき停留所は非常に高額なこと、設置条件が厳しいことなどから、導入拡大が非常に難しい状況になってございます。今後、交通局では、携帯電話やPHS等にバスの接近情報や所要時間などを配信し、どこでも、だれでも、リアルタイムにバスの情報がわかるシステムを実施する予定でございます。

○立石委員 二百十七カ所というので、随分あるなとびっくりしたんですが、たまたま私は、東京駅八重洲口から東16というのかな、東12というのかな、あれをよく使うんですが、あそこはないですよね。別に自分のところだけ、我が田に水を引くという意味じゃありませんけれども、高額ってどれぐらいするのかわかりませんけれども、それこそ非常に大事な情報ですので、今いいご答弁をいただいたんで、PHSとかiモードというんですか、そういうのを今の時代は持っている人の方が多いですから、それは役に立つし、持っている人に聞けば接近もわかるから、大変一つ進んだということで、ぜひ早急にやるようにお願いしたいと希望しておきます。
 それから、最後の質問になりますが、私、常々思いますことに、例えば、成人式、晴れ着、結婚式、これがホテルだとか、あるいは病院、デパートにしてもそうですね、大きい荷物を持っている。準公共的なものといっていいと思うんですね。そういうようなところには、もう無関係のごとくに停留所がある。これは、今や交通局、都民の足、こういうことを考えたら、もっと素直に、みんなが行く病院というか、準公共的な私立の病院でも結構だと思いますが、あるいはデパートでも、大きなシティーホテルでも、これはやっぱり軒先まで行ってちっともおかしくないと思うんですね。なぜできないんだろうかということと、これからやろうとしているのか、この点をちょっと当局のお考えを聞きたいと思います。

○木村自動車部長 交通局では、これまで足立区役所、現代美術館、東京女子医大、築地中央市場、こういった幾つかの停留所におきましては、公共施設の前に停留所を設置してまいりまして、ただ、停留所を公共施設の玄関近くに設置いたします場合につきましては、先生ご指摘のように、幾つか難点がございまして、例えばでございますが、一つとしては、まず施設管理者のご理解がいただきにくいという問題もございます。また、道路管理者ですとか、交通管理者の許可を得にくいという場合もございます。また、安全運行上問題のある箇所があること、こういった理由によりまして、多くは公共施設と離れた場所に停留所を設置せざるを得ないという現状でございます。
 しかしながら、ご指摘のとおり、今後、シームレストランスポート、継ぎ目のない交通移動という意味で、そういった視点から見ますと、停留所が公共施設に近接していることは、お客様にとって望ましいことでもございますし、私ども、事業を営む側からも希望しているところでございますので、今後、個別に検討してまいりたい、そのように考えております。

○初鹿委員 昨年から、三田線の延伸開業とか、大江戸線の全線開業で、都営地下鉄のネットワークが充実をしてきていると思いますが、我々都民にとっては、非常に利便性が向上して、いいことだと思っております。
 しかし、その一方で、地下鉄の開業の影響によって、バス乗客というものは大幅に減少しているということで、同じ交通局の事業でも、やはり地下鉄が伸びれば、またバスの事業の方は縮小して、反比例の関係にあるのかな、これはいたし方ないのかなという感じを持っております。また、バス事業は、来年の二月から規制緩和が実施をされて、参入の自由が認められるということでありますから、より一層競争が激化して、ますます厳しい状況に陥ってしまう、そういう危惧を持っております。
 こういう状況を考えますと、バスの事業としても、より一層さまざまなサービス施策というものを実施して、増客、増収というものに努める必要があるのではないかと考えているところではありますが、私の地元江戸川区は、比較的まだまだバスの需要というものが多い地域でございまして、去年の十二月からラピッドバスやフレキシブルバスという新しい路線が開業しまして、それなりに評価を得ていると思います。
 交通局では、これまで乗客をふやすために、このほかどういうバス路線の施策というものを実施してきたのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

○坂本バス路線再編成・事業活性化担当部長 交通局では、大規模な開発や鉄道の開業等による乗客潮流の変化に対応するとともに、駅ターミナルの整備、あるいは地元の要望等を勘案して、バス路線の整備を進めてきたところでございます。
 ただいまお話のありました路線は、大江戸線の開業に合わせたバス路線再編成時に新たなバスサービスとして実施をしてきたものでございます。そのほかにも、短い路線を百円で運行するアクセスラインバスなども運行してございます。また、ことしに入ってからも、区から委託を受けた路線や、東西線南砂町駅ターミナルの開設に合わせましたバス路線など、新たな需要にこたえた路線を新設し、乗客増を図っているところでございます。

○初鹿委員 私の住んでおります小松川という地域にもアクセスラインが走っておりまして、非常にこれは住民の間でも評判がよいものでありまして、私はこういう乗客重視のサービスというものは、採算性というのもを重視することなく、より一層進めていただきたいと思いますが、とはいっても、やはり公営企業でありますから、採算性というものを無視することはできません。そういうことを考えますと、民営バスを含めて、今、バス事業というものが非常に厳しい状況に陥っていると思います。こういうことを考えますと、バス本体の事業での努力は当然必要だと思いますが、それ以上にもっとほかの実になることというものを行うことも必要ではないかなと考えております。
 昨年から始めましたラッピングバスなんていうのは、私、非常にこれは高い評価をしておりまして、最初はまちの景観がどうなんだ、いろんな批判はあったと思いますが、今では随分と定着をしてきて、都民の中でも評判がいいのではないか、そういうような話も聞いております。ぜひとも今後、このラッピングバスというものを進めていただきたいという立場から、現状で何台のラッピングバスが都内を走っているのか、また、それによってどういう収益が上がっているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

○福田関連事業担当部長 平成十三年十月一日現在、六百六十六両がラッピングバスでございます。バスの車体広告収入は、平成十二年度決算では約六億三千万円で、ラッピングバスがなかった前年度に比べまして四億二千万円の増加となっております。なお、平成十三年度は約十億円の収入を見込んでおります。

○初鹿委員 ラッピングの広告の収入が増加をしているということ、わかりました。これによってやはりバス事業というものに注目が集まって、より一層収入というものも上がっていくのではないかなと考えておりますが、より一層これを進めていくということで、今後積極的に展開をしていく、そういう計画というものはあるんでしょうか。

○福田関連事業担当部長 全体的には、ラッピングバス広告の人気は高く、希望に応じ切れない路線がございますが、路線によってはクライアントの要望が少ないところもございます。それらの路線につきましてはパートラップ−−部分ラップでございますが−−の普及を図るとともに、ラッピング広告車両の対象から外れておりますノンステップバスにつきましてもラッピングするなど、一層のラッピングバスの拡大によりまして増収を図ってまいります。

○初鹿委員 ただいまのお答えの中で、二つほど質問させていただきたいんですけれども、まず第一点として、パートラップというお話が今ありました。車体の一部分を広告にするということでありますが、今までラッピングバスというと、一台丸ごと一つのクライアントがやられていたと思うんですが、パートラップのように部分部分をやるとなると、一台一クライアントということではなくて、一台に二つのクライアントを使ってやるということもできるのではないかなと考えます。そうすることによって、今までですと大きな企業とか、たくさん人が走るところで宣伝効果を上げようといった、そういう会社だけではなくて、本当に地元の小さな商店とか、小さな中小企業とか、地元に密着している企業が、その部分、部分だけで広告に参加ができるんではないかなと思います。そういうことによって、より広告が、広くラッピングに参加できる企業が多くなっていくのではないかなと考えますが、このあたり、どうでしょうか。

○福田関連事業担当部長 ご指摘のとおり、二クライアントにしますと、廉価でラッピング広告を掲出できるようになると考えております。特に地域に密着している路線におきましては、その地域から親しまれ、信頼されているクライアントの掲出が期待できますので、前向きに検討してまいります。

○初鹿委員 前向きのご答弁、ありがとうございます。
 もう一つ、先ほどの答弁に対する質問ですが、ノンステップバスには今まで導入をしていなくて、これから導入をするということでございますが、なぜ今までは導入をされていなかったのか、お聞かせください。

○福田関連事業担当部長 ノンステップバスにつきましては、交通局が先導的に導入したバスでございます。昨年度までは台数も少なかったため、ノンステップバスであることをPRする意味もありまして、ラッピングをしていなかったわけでございます。今年度更新する百七十一両すべてがノンステップバスになることから、今後はノンステップバスにもラッピングをして、増収を図ってまいります。

○初鹿委員 これからノンステップバスの台数がふえていくと思いますし、今後、基本形がノンステップバスになっていくと思います。そういうことから考えて、ぜひともノンステップバスにもラッピングバスを走らせていただいて、ラッピングバスがそれこそ基本になるように、そこで増収するように頑張っていただきたいと思います。
 ところで、ラッピングバスは、広告収入という面で効果があるのはわかりますが、それと別に何か、例えばキャンペーンのPR用に使うとか、そういった活用の方法もあるのではないかなと考えますが、そのあたり、いかがでしょうか。

○木村自動車部長 先生ご指摘の活用方法についてでございますが、例えばということでございますが、ラッピングのクライアントとタイアップいたしまして、そのクライアントが主催いたしますイベントの送迎をそのラッピングバスで行うことによりまして、貸し切りバスの受注増ですとか、契約金額の増加を図ることも十分考えられると思います。そのほか、ラッピングバスの活用方法につきまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

○初鹿委員 ぜひとも、例えば自治体の何かイベントのときにラッピングバスを事前から走らせてみるとか、そういう方法を考えていただきたいと思います。
 ラッピングバスについてはこの辺で質問を終わらせていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 皆さん、交通局ではこういうものをつくっていますね。みんくるという都バスのマスコットなんですが、当然交通局の皆さんは知っていると思いますが、委員の方、これが何だかわからない方もいるんじゃないかなと思います。何でそうなのかといったら、やはり僕はPRが不足しているんではないかなと思うんですね。せっかくこういうマスコットを使って、このメモ帳なんていうのは、一ページ一ページ全部絵柄が違っていて、コメントまで違って、非常に凝ったものなんですが、こういうものをつくっているのにPRが不足していて、何のためにつくっているんだろうなと私なんて思ってしまうわけです。
 せっかくつくるんだったら、これである程度収益が上げられないか、その辺を考えていただきたい。こういうマスコット、キャラクターグッズというものは、日本では比較的受け入れやすくて、もちろんディズニーとかサンリオとかと比較することはできませんが、サンリオのように、こういうグッズだけで年間一千億円売り上げている企業があるわけですから、宣伝の仕方によってはそれなりの収益が上げられるのではないかなと思います。
 では、何でこれが定着しないかといったら、まずPR不足ということ。あと、販売しているところが非常に少ないんですね。私も小さい子どもがいて、このみんくるのグッズが欲しいといわれるんですが、じゃ、バスに乗ったときに買おうかなと思っても、バスでも売っていない。駅の改札に行ったら、どこかに行ってくれと回されてしまう。なかなか欲しくても買うところがない。
 大体こういうものというのは、わざわざこれを買うために行くものではなくて、何かのついでに、横に置いてあるからついでに買っちゃおうかなといって多分買うんだと思うんですね。そういうことを考えると、もっとPRをするのと、売る場所というものを多く、広く売る場所を確保してもらいたいと思います。
 民営バスの中には、バスの中で傘を売ったり、駄菓子を売っているところもあるんです。ちょっとこういうものをぶら下げておいて、子ども連れで乗ってきたときに、子どもが、ママ、これ欲しいなといって、しようがないな、買っちゃおうかなといって買うような環境というものができると、せっかくつくっているものがより有効的になるんではないかなと思っております。ぜひともこれを有効に、せっかく皆さん、マスコットを決めてつくっているんですから、むだにすることなく、これで収益が上がるんではないかなということで、これから検討していただきたいと思います。
 例えば、コンビニなどでこれを置いてみる。今、コンビニでバスの回数券、バスカードというものを置いてあるところがごく一部ありますけれども、一般的にはありませんね。コンビニでバスカードや回数券を置いて、その横にこういうグッズなりを置いておけば、もっと違う収益の上がり方をするのではないかなと考えますが、いかがでしょうか。

○木村自動車部長 交通局では、グッズ販売につきまして、いろんなイベント等とタイアップした記念バスカードの発売などを積極的に進めてまいりました。ご指摘の販売場所につきましても、都営地下鉄の売店やバスの営業所だけでなく、区役所などの公共施設への出張販売ですとか、区民祭り等にも参加して増収に努めてきたところでございます。今後とも、販売場所の拡大、あるいは新たな関連事業の展開を図ってまいりますとともに、一層のPRを行いまして増収努力に邁進してまいりたい、そのように考えております。

○初鹿委員 バスの事業というものは、大変今厳しい状況にありまして、これから先、バスの乗客をふやして収益を上げるというのは、恐らく難しいのではないかなと思います。だからといって、採算がとれないからといって、どんどんとバス事業を縮小していくとなると、私たち都民の足というものがやはり不便になってしまう。そこの整合性をつけるためには、やはりラッピングバスとか、こういう関連事業とかで、ほかの、バス本体の事業とは別のところで収益を上げる努力というものも検討の余地があるのではないかなと考えますので、どうぞこのあたりを検討していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○松村委員 何点か質問させていただきます。
 まず初めに、大江戸線が全線開業されて、ことしの十二月で一年になろうとしていますが、現在までの経営状態は端的にいってどうなっているのか、特に乗客数ですね、その動向についてまず伺います。

○齊藤電車部長 大江戸線の乗客数でございますけれども、開業後半年を経ましたことしの六月に、平均乗客数が一日当たり五十二万一千人、初めて五十万人台を記録いたしました。その後、学校、企業が夏季休暇に入るなどいたしまして、八月の実績では、一日平均の乗客数は四十九万人ということになってございます。なお、現状では計画で見込んだ八十二万人の乗客数の約六割程度、こういう実績になってございます。

○松村委員 全線開業した十二月十二日でしたか、大変注目したんですけれども、あの日は四十七万三千人でしたか、その後、その数字で推移して大体平均四十万人前後で、やはり大変だなというふうな気がしたわけですけれども、今お答えがあったとおり、その後五十万人前後ですか、六月には五十二万一千人になったということで、そういう点ではふえてきているとは思います。しかし、計画で見込んでいた八十万人、その六割程度だというんですけれども、当初この大江戸線の計画自体、どのくらいで採算ベースというか、事業を成り立たせるかという点においては、平均で百万人、たしかピーク時には百三十万人というような形だったと思うんですよね。その後、下方修正されて八十二万人、それでも現在六割程度だと。
 こういう点では、さらに、やはり交通局の事業というか営業を成り立たせるためには、当然乗客ですよね。私も、実は、おかげさまでというか、練馬なもので、この都庁にも定期を買って毎日来させていただきますけれども、ちょっと座れなくなったなというふうには思いますけれども、まだまだやはりこれだけ立派なものをつくった以上、この乗客数をふやす努力というか、そういう営業面における取り組みというのは必要だというふうに思うんですけれども、そこら辺についてどういう認識というか−−財政状況については、その後すぐ決算がありまして、私も決算委員なので、そこでやりたいというふうに思います。
 ぜひやはり、都営交通がいろいろな面での都民の大きな関心を呼んでいる中、まずその点についての取り組みの改善といいますか、特に大江戸線ということで今聞くわけですけれども、もう一度お答えいただきたいと思います。

○齊藤電車部長 計画に比べるとまだ乗客数が少ないということでございますが、これまでの新線の開業実績等を見ますと、乗客数が成熟期といいますか、安定期を迎えるまでに、開業後三年から四年を要しているというのが実態でございます。今後の沿線地域における都市開発であるとか、それから当局によります積極的な乗客誘致活動などの取り組みによりまして、目標の早期達成に向けて努力してまいりたいと考えております。

○松村委員 そういう点では、もっと基幹的な公共交通がせっかく敷設されたわけですから、例えばこの辺のアクセスですね。逆にバスを廃止しちゃうというのは、私はこういう点では逆行していると。もっときめ細かな、ここにアクセスできるものをやるとか、またちょっと後で質問したいと思いますけれども、徹底的なバリアフリーといいますか、本当に魅力あるものにするとか。また、私は練馬ですけれども、もっと延伸が、何かお荷物になってその工事や建設で赤字というような、そういう面が強調されますけれども、これが向こうの、埼玉の方から要望されております新たな線に接続すれば、もっとそこから都心への縦線の、そういう集客力も呼ぶというふうに思うんですよね。そういうやはり取り組みを、ご努力をぜひやるべきだと、行っていただきたいということを、この点については要望します。
 それからもう一つは、私も今どうなっているのかなという認識で冒頭聞いたわけですけれども、もっと今の経営状態といいますか、状況を情報公開といいますか、都民にも、これは別に何か秘密じゃないですけれども、とっておく必要はないと思うんですよ。だから、もっとこういう点を、情報公開というか、現状を知らせながら、一緒に、都民とともに都営交通を築いていくというか、守っていく。もちろん都営だけではありません。ほかの交通手段もいろいろありますけれども、そういう情報を公開するというような形も要望しておきたいと思います。
 次に、バリアフリーの問題です。高齢者や障害者ばかりでなく、妊産婦やけが人、重い荷物を持った人などの移動の自由と安全を確保する上で欠かせない、いわゆる交通バリアフリー法が施行され、一年になろうとしています。これまでの障害者団体や高齢者団体などの粘り強い運動の成果として、この法律は評価できるものですが、しかし、まだまだ欧米諸国ですか、移動の自由と安全確保は基本的な権利だという立場からの取り組みに比べては、今回の法律でも不十分な点が多々あるというのが私たちの認識ですし、また同時に、法律ができたというだけじゃなくて、これまでの整備も極めて諸外国に比べてもおくれているものだという認識を持っています。しかし、今回の法律も五年後に見直すとの規定が全会一致で国会でもつけられましたし、その対策の実効性の確保とあわせて、改善のために全力を尽くしていきたいというふうに考えています。
 そこで、都営地下鉄、都バスにおけるバリアフリー化の現状と計画ということで資料を提出していただきました。ありがとうございます。そこで、バリアフリー法が実際施行されて、交通事業者が講ずるべき措置ということがこの法律ではうたわれております。これに基づく、今までは都のいろんな条例とかに基づいてバリアフリーをやってきたと思うんですけれども、新たな法律が施行されたのを踏まえて、東京都交通局としてはどのような計画を進めていかれるのかと。この点、いろいろ地下鉄、バスもありますけれども、きょうは地下鉄について、そして特に主要な課題であるエレベーター、エスカレーターについてお伺いいたします。

○金安建設工務部長 交通局におきましては、福祉のまちづくり条例に基づきまして、高齢者や障害者を初め、だれもが利用しやすい地下鉄とするために、エレベーター、エスカレーター等の整備を進めてまいりました。今後は平成十二年十一月に施行となった交通バリアフリー法を踏まえまして、着実にエレベーター、エスカレーターの整備を推進してまいります。
 整備の基本的考え方は、第一に、全駅にホームから地上までエレベーターによる一ルート確保を目指します。第二に、設置については、駅の構造、設置スペース等を勘案しながら、乗降客の多い駅、交差連絡駅を優先的に整備いたします。第三には、駅周辺の建築計画及び再開発計画との連携を図りながら、エレベーター、エスカレーターの整備に努めます。最後に、第四といたしまして、公共用地の活用など、国や関係機関の協力を得ながら整備の推進を図ってまいります。

○松村委員 ご答弁いただきましたし、この資料、バリアフリー化の現状と計画というのを見ても、駅数が百五、そして、これまで平成十二年度末の実績が四十九で、ことしの十三年度が六と。これが全部できても五十五ですよね。そうすると、あと残りが五十と。全駅ワンルートは目指す、その目標は聞いたわけですけれども、そこで考え方というか、今お述べになった手順はわかるんですけれども、もう少しその残りの五十駅、しかもこのバリアフリー法では二〇一〇年ですか、という一つの期限があるわけですけれども、そこで、例えばその後、ここの駅は、大体、用地だとか物理的に確保できて、できると。ここはどうしても用地がないとか、できないとか、こういうことが残るとか。都民に非常に切実に求められて、いろんな要望も交通局も受けているというふうに思うんですよね。もう少しそういう具体的な計画化をするべきではないかということが私の趣旨でもありますので、これについては要望したいと思います。
 それから、今すべての駅で、ワンルートは、エレベーターですけれども、つくるんだということですけれども、さらにその先ですね。それでこれは終わりなのか、その後もどうするのかと。また、すべてつくるといっても、さっきいったみたいに、どうしても土地がなければ、具体的に上げられる技術とかがなければできないところも、努力していただきたいわけですが−−残るわけですけれども、じゃ、それを、十年も二十年も待って、それから新たな次の段階に行くのかという点が心配されますけれども、その点においてはどうでしょうか。ワンルートは目指すわけですけれども、さらにそれを踏まえた計画というのは、エレベーターについてはないのでしょうか。

○金安建設工務部長 交通局におきましては、平成十二年十一月に施行となりました交通バリアフリー法の趣旨を踏まえまして、全駅にホームから地上までエレベーターによる一ルートの確保を目指します。そのために、今先生ご指摘の一ルート確保されていない駅、これを優先いたしまして、さらに駅の構造、設置スペース、そして乗降客の多い駅等を勘案いたしまして整備を図ってまいります。

○松村委員 ちょっとかみ合わないんですけれども、当面、それは一つもない駅はやはり切実な願いですから、すべての駅でワンルートは、それを優先して、最優先でやるということは当然です。全力を挙げてやっていただきたいと思いますし、それもやはりこういう財源的な、いろんな時期ですけれども、国の不況対策だとかいろんな取り組みがある中で、ぜひこういう事業こそ生活密着型の公共事業として、大いに私たちも力を尽くして、財源確保にも公営企業だけの努力に任せないでやっていきたいというふうに思いますので、それはそれでいいんです。
 しかし、今質問したのは、具体的にどういう点でいっているかというと、金安部長も練馬から大江戸線で出勤されているということで、私も顔を合わすことがありますが、私的なことをいって申しわけないんですけれども、私は大江戸線のすべての駅を見たわけじゃないんですけれども、例えば光が丘、あれは幾つか出入り口をつくっていただきました。しかし、今エレベーターがあるところと、もう一つ非常に利用客が多い出口とかなり離れている。もちろん陸橋を通っても行けますけれども、相当な距離。それから陸橋を通らないで下を通ると、やはりこれは大きな交差点といいますか、横断をしなければならないということで、住民からも、もう一つの出口に強い要望があるわけですよね。
 そういう点では、ほかにない駅があるんだからと、そちらを優先、そちらが先というのは当然わかります。でも、それで終わりというと、私はあの地域の実情、本当にあの大団地、地下鉄の十二号線は足なし団地をつくらせないなんていうふうな大きな区民運動が開発のときにあって、モデル的にもつくってくれた地下鉄ですけれども、それだけの大団地の中で、一つ、ワンルートだけの確保で将来的にもいいんだということは、私はやはりバリアフリー法の立場からいけば、それでよしとするものじゃないという立場で、さらにそういう−−それは、場所とか状況によっても違うと思います。すぐ目の前、ちょっと行けば利用できるものを、こちらの出入り口があるんだから必ずそちらにつけろなどというふうに主張しているものではありません。それは今後ともよくご検討をいただきたい。
 それから、もう一つ例を挙げれば、新江古田駅というのが、練馬ですけれども、やはりあります。そこは、今まで宿62というバスが大泉から新宿西口まで行っておりました。大変利用されていた−−練馬は本当に交通がないんですね。非常に不便な地域で、利用されていたわけですけれども、それが今度、新宿まで大江戸線が通るということで、新江古田でこれは終点になったんですね。そこから乗りかえてほしいということになったんです。
 それに対しても多くの意見がありますけれども、それはおいておいても、そのバスの停留所でおりて、じゃ、地下鉄の動線がすぐあるからといって乗りかえようと思うと、そこにはエレベーターがないんですよね。あるのは、その交差点を一つ渡って、またもう一つ渡った、ちょうど反対側のところにエレベーターがあるんですよ。なぜこっちにつけなかったのかというのは、今さらのことになりますけれども、バスの乗降口をそちらに持ってきたらよかったとか、いろんな議論があるわけですけれども、そういうようなところの駅については、やはりこれまた要望がありますし、一つの駅にワンルートだということじゃなくて、出入り口の状況などを見ながら、私は今後の計画の中にも入れていただきたい。これも要望にとどめておきたいと思います。
 そこで、エスカレーターは、大分きめ細かに環七のところは設置が進んでおります。大変結構だと思いますけれども、まだ上りだけというところも多々ありますし、下りがつけられるところも多々あるというふうに思うので、その点もお願いしておきたいと思いますけれども、きょうはこのエスカレーターを視覚障害者が利用できるようにしてほしいという、これも視覚障害者団体から強い要望が出されておりますし、交通局の方にもその要望は届けられていると思いますけれども、この視覚障害者がエスカレーターを利用するための点字誘導ブロックですか、これは今の都営交通の中にあるんでしょうか。

○金安建設工務部長 エスカレーターにつきましては、毎分三十メートルの速度で動いておりまして、視覚障害者が安全に利用するには介添者の同伴などが必要であります。したがいまして、現在のところ、エスカレーターへの点字ブロックによる誘導は行っておりません。

○松村委員 JRの目白駅のプラットホーム中ほどにエスカレーターがありまして、そこに誘導ブロックが設置されていることはご存じだと思うんです。これは大きくニュースでも取り上げられました。私も見てきましたけれども、そこでは音声誘導というよりも、例えば、エスカレーターご利用の方はと、低い音ですけれども、確実に聞こえる音声が出ておりますよね。私は目をつぶっていても、すぐそこに行くことができました。
 それからまた、上りのエスカレーターを利用するときにはさくがありまして、そこに押しボタンがついていまして、その手すりのところには点字で、ご用のある方はベルを押してくださいという表示もありました。そして、事実、この目白駅では視覚障害者も利用されており、大変喜ばれております。JRでは設置基準を超えてつけたということで、一時取り外しだとか、そういう検討だとかという声もありましたけれども、豊島区や地域団体や障害者団体からの強い要望で設置されているわけです。
 そういう点では、今、毎分三十メートルで動いて危険だから、だからそこに誘導して利用させないんだということでは、本当にバリアフリーというか−−そういう障害を持っている方々に、より便利にといいますか、そういう点においてもやればできるわけですから。
 しかも、もう一ついいますと、大江戸線を見てもかなり深いですよね。私も六本木の駅を見てきましたけれども、あそこを常時使っている、毎日通勤している視覚障害者の方がいて、大体あの階段を毎日、安全だからといって上り下りさせるというか、しなければいけない、この困難さは、私は障害者の身になって考えるべきだと思います。またよく話を聞くんですけれども、安全に誘導されて階段を上るといっても、それは見える方は、見ればどのぐらいの階段かと。わっ、これは足りないというので、エレベーターがないかとか、またはエスカレーターに乗れるように駅員に来てもらおうとかいうことになるでしょうけれども、わからないんですよね、上っていかなければ。上れども上れども行き着かないという、そういうことをたびたび経験して、誘導というかそういうことも、今いった音声だとかいろんなことで、現に使えている、使えるんだという声があって、これは本当に強い要望なんですよね。
 前の委員会でもいろいろ出しましたけれども、今の部長さんの答弁と全く同じようなことの答弁で非常に残念なんですが、再度視覚障害者のこういう強い要望にこたえて、利用できるようにすべきじゃないかというふうに思いますけれども、ご回答いただきたいと思います。

○金安建設工務部長 先生ご指摘のとおりでございまして、エスカレーターへの誘導につきましては、一つの障害者団体から音声案内装置を取りつけてほしいとの要望が現に出ております。また、口頭でございますけれども、エスカレーターへも点字ブロックで誘導してほしいとの要望が出されております。視覚障害者の方々には多様な意見がございます。誘導方法の技術的動向も踏まえまして、今後も検討してまいります。

○松村委員 検討していきたいということですけれども、ぜひ一日も早く、これは−−お金がかかることだとか、そういうことではないというふうに思いますよ。当事者の方々が望んでいるわけですから。現にそれをJRの目白駅などでやっていて、使っているわけですから、ぜひ都営交通としても踏み切って実現していただきたいということを要望しておきます。
 次に、今のようなけがだとか事故の心配をしておりますけれども、一番事故の心配といえば、障害者がホームから転落する、まさにこれは、転落すれば命にかかわる問題だと。都営地下鉄でもホームから転落している事例が多々あります。また、ふえる状況にあることも聞いておりますし、視覚障害者の方々がいるところの集まりで、ホームから転落したことのある方といったら、もうほとんどみんな手を挙げるんですね。全体の二人に一人は落ちている。
 何もこれは都営だけじゃなく、新大久保でのああいう事故なども事実あります。そういう意味では、国からもこの転落防止の対策については東京都にも通知が来て、ホームドアとかホームゲートだとか、そういう転落防止の対策についてこれまで検討されて、その回答もしているというふうに、これまでの委員会での我が党の委員からの質問によっても答えられていますので、その上に立って、これは障害者団体からも強い要望がありますし、まさにホームゲートの設置は命のかかった最優先課題として、特にこの交通局の調査検討によっても、大江戸線の設置については施設整備の面でも、それから技術的というか、そういう面では特に問題がないと。ただ、今までのシステムを総合的に検討する必要があるというような答弁でございます。
 それがいわれたのは、都議会にも当委員会に請願が出されて、これは前期の委員会で継続審議になっていたと思います。そういう点では、それから半月以上たっていますので、この大江戸線のホームゲート設置についてはその後どういう検討がされているのか、そのことを伺います。

○齊藤電車部長 ことし一月のJRの新大久保駅でのホーム転落事故を踏まえまして、二月に国土交通省から、プラットホームからの転落事故に対します安全対策についての検討と、その結果報告が求められたところでございます。
 局内で検討した結果では、大江戸線にホームゲートを設置することは、現在のシステム全体の見直しとなることから、詳細な検討が必要であり、今後個々の課題の精査や、さらに資金的な問題があり、引き続いて検討していく旨の回答を国土交通省に行ったところでございます。
 ご承知のとおり、鉄道は信号保安設備や通信保安設備、車両、軌道設備など総合的なシステムの上に成り立ってございます。大江戸線のワンマン運転システムにつきましては、監視カメラによりましてホームの状況を運転台のモニターに映し出しまして、電車の乗降時からホームを出るまでの安全を確保するシステムとなってございます。
 したがいまして、システム全体の総合的な検討が必要ということになるんですけれども、具体的には、列車の停止精度等をどうするかとか、それからリニアモーターの車両伝送装置にどのような影響が出るかとか、それからホームさくを設置することによりまして、表定速度といいますか、運行する速度がどうしても乗りおりにかかりますので低下するというふうなことがございますので、それをどうやって現行水準を維持するのかなど、大変難しい解決すべき課題がたくさんあるところでございまして、いましばらく時間が必要かというふうに考えてございます。

○松村委員 私も、技術的にも、何も専門家でないのでよくわからないというか、そうじゃないということはいえないと思うんですけれども、ただ、三田線などは、何もないのにホームゲートをつけましたよね。今いった大江戸線も、ATOシステムとか、いろんな制御システムとか、もう既にそれは取りつけられているということですから、素人的に考えれば、それプラスアルファ、例えば列車停止精度を上げるというお話ですけれども、それも今のATOに加えて、そのプラスの改良でホームゲートとずれないでとめることは十分可能だし、それから表定速度がたしか低下するという話ですが、それはダイヤの編成でおくらせるわけにいきませんけれども、全体のやはり取り組みでできるんじゃないかと素人的にも考えるんですね。だから、私はやってできないことはないと。
 今いった総合的なシステムの検討というんだったら、それを早くといいますか、わかる形で、じゃ、こういうことをやれば実現できると。残る課題は何なのかとか、そういうことを一つ一つ都民に、質問しているこの都議会にというか、当委員会に明らかにしてもらって、それではどうなのかということの検討、これをやはりやるべきじゃないか。
 とにかくこれは本当に命にかかわる最優先緊急課題だということが、私はいろいろな視覚障害者団体だけではない皆さん方の声を聞く中でやはり聞いているんです。いろんな安全装置をつけてワンマンにしたといっても、練馬から光が丘は、聞いていたのは、検討委員会を設けたけれども、あそこはホームが大体そんなに急カーブだとか、なっていません。ところが、環状部は大変急カーブで見えにくい。ですから、当初検討委員会をつくって、ATOで、いろんなこういうシステムをやれば安全だといっていたのと、十二号線環状部も全線開業して、事実転落事故なども起きているということにおいては、私は当初のその考え方をもう一回現時点に立って検討し直すべきときだというか、当然だというふうに思うんです。
 また、そういう点では、国も含めて、転落防止には可動さくというか、それがやっぱり一番有効だと。事実つけたところは転落などないわけですね、転落のしようがありませんから。だから、そういう点ではぜひ取り組んでいただきたい。
 ただ、確かに資金的に、じゃ、どうなのかと。今もありました、資金的な課題もあると。このことについてもちょっと伺っておきたいと思うんですけれども、どれほどの投資が新たに必要になるのか。

○鷲田経営企画室長 保護さくの設置につきましては、課題が多岐にわたることもございまして、まだ詳細には現時点で積算をしておりませんが、およそ百億円以上の資金が必要と考えております。

○松村委員 百億。本当に何人、何十人と亡くなる方が出る、そういう点では私は命にかえられないと思いますし、公営企業者だけの努力というか、その資金でやれということは、料金等のいろんな形にはね返ってきますから、私たちも考えなければいけないと思うんですけれども、しかし、国も交通事業者に対してそういう転落防止の検討をしろというからには、国も当然財源的な対策は考えざるを得ないと思うんですよね。そういう点で、今、国からの財政支援といいますか、財源補助というふうな形はどういうふうになっているのか、お聞きいたします。

○鷲田経営企画室長 保護さく設置につきましての財政支援でございますけれども、今年度から総務省で、地下鉄緊急改良事業に対する地方財政措置というものが始まっております。保護さく等の設置費用につきまして、一般会計で仮に地下鉄建設費補助金と同じような補助をした場合、その額の六〇%を交付税措置をするというものでございます。
 これは交付税措置で、交付税ということであるということや、またこれ以外に多くの自主財源が必要であるというようなことがございますので、資金的な面でもまだ多くの課題があるというふうに考えております。

○松村委員 すぐにといえば、東京は不交付団体ですから、そういう点での課題があると思いますけれども、それにしても、そういう財源措置も、やはり国もつけざるを得ないというか、つけて、なおかつそういうことを促しているという点を見れば、私は本当に全力を挙げて取り組むべき課題だと。
 そういう点では、さっきのシステム的にどうにもならないというのを、やれやれといってもこれは無理ですから、私はいろんな専門家の方にも聞きましたけれども、やろうと思えば可能なんだと。ほかの浅草線とかそういうところにおいては、ホームが狭いとかいろんなことで、やろうにもできないところは確かにあると思うんですよ。しかし、大江戸線は、そういう点では施設面においてもできるということなんですから、あとシステム上のいろんな検討ということにおいてはどうなのかということを早急に詰めていただいて、当委員会というか、こういう場の中で具体的に明らかにして、私たちが本当に判断できるようにしていただきたい。
 そういう上に立って、財源的、資金的にもどうするのかという点においては、大いに私も委員会の皆さん方に呼びかけて、一緒になって努力したいと思いますので、ぜひ局としての委員会等を設置して本格的に詰めるという、そういう検討をしていただきたいということを要望するんですけれども、これについてしばらくお時間をいただきたいとか、そういうふうに先ほど答弁がありましたけれども、もう一回お答えいただきたいと思います。

○鷲田経営企画室長 ホームさく等の設置につきましては、先ほど申し上げましたとおり、技術的にも資金的にも大きな課題がございます。今後、局内の各部門で引き続き検討していくことが必要と考えております。

○松村委員 各部門でそれぞれなんていったら、結局進まないんですよ。だから、きちっと局長以下のもとで検討していただいて、できるのかできないのかを含めて当委員会に本当に示していただいて、私たちもやっぱり責任を持たなきゃいけないんですから、こういう財源も含めてとか、できないんだったらできないということで、本当に都民に理解してもらわなければいけないわけですから、ぜひその点をよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、もう一点だけ質問させていただきます。このバリアフリーのソフト面という角度から、シルバーパスの問題について、先ほども既に質問が立石副委員長の方からありましたので簡潔にしたいと思います。このカードリーダーの挿入ということが本当に混乱を呼んでいるというか、大変なんですね。これは先ほど結論の部分はもう出ていますけれども、もう一回、改めてまず交通局の見解を伺っておきたいと思います。

○木村自動車部長 シルバーパスのリーダーに挿入する問題につきましては、当初は、バス共通カードを利用していらっしゃるお客様と同じ方法で、シルバーパスご利用の方々が乗車できるようにしてほしいとのご要望があったという経過の中で、今回のシルバーパスの更新時に、原則としてシルバーパスをリーダーに通していただくようにご案内していたところでございます。
 その後、十月九日付で東京バス協会から通知がございまして、先ほどご答弁させていただきましたように、パスを通すか通さないかについては所持者の意思に任せる、そのような取り扱いを変更する旨の通知がございまして、私どもも、営業所等について周知徹底を図ったところでございます。

○松村委員 たしか都議会でも、そういうカードにしてほしいという要望があったことは私も記憶しています。しかし、だからといって、すべてパスをカードリーダーに通さなきゃいけないというようなことを決めて、それを原則とするなどということにしたことに、非常に混乱があったと思うんです。それは高齢者というか、シルバーパスを使う人たちの立場に立っていないやり方だということになったというふうに現実に思うんですよ。
 そういうことで、私たちもそうじゃないんじゃないかと、議会からも、いろいろな会派からも意見が、そういう声が寄せられて出されたときに、九月二十一日にもバス協会から文書が来ていたと思うんですね。それが、じゃ、どう徹底されたのかという点においては、非常に不十分というか、そういうことがあったと思うんですけれども、これはもう一度改めて、九月二十一日にどういうバス協会からの通知が来ていて、どう交通局として対応されたのか、その点についても伺っておきたいと思います。

○木村自動車部長 今般のシルバーパスの取り扱いにつきましては、社団法人東京バス協会から数度にわたりまして変更の指示がありまして、その内容については逐次営業所等にその趣旨を指示してまいりました。
 また、交通局独自の取り組みといたしましては、お客様から苦情等が寄せられることのないよう、適切な対応について第一線の営業所の方にも指示してきた経過がございます。今後の取り扱いにつきましては、十月三日に東京バス協会内のシルバーパス整備検討部会というものがございまして、その部会で検討された後、先ほど申し上げました十月九日にパスご利用者の自由意思に任せるとの方針の通知がございまして、交通局といたしましては、同日、その趣旨につきまして営業所あて指示してまいりました。

○松村委員 要するに、混乱というか、そういうのがあったのは、数度にわたり変更の指示があったというのは、その都度どうなのかわからないから、ほかのバスのところではよくても、うちはだめなんだ、うちはうちだとか、そういう現場というか、使う側とそのバスのところで混乱があったと思うんですけれども、じゃ、今いいましたように、シルバーパス利用者の自由意思に任せるという、この十月九日に改めて通知があったと。これはもう最終決定というか、意思というか、確認していいわけですね。これ以上のあれはないわけですよね。どうなんですか。また何か、そういっておいて変更というのがあるんですか。

○木村自動車部長 十月九日の方針で、シルバーパス利用者の自由意思に任せるという方針が出まして、この後、違う方針が出るのかというお尋ねでございますが、私どもとしては、現段階では東京バス協会から特段そのような方向性があるとのお話は伺っておらないところでございます。

○松村委員 そこで、じゃ、その上に立って、その周知を徹底する手だてをさっき尽くしたいというふうに−−利用者にそのことを知らせていただきたいんですよ。というのは、購入時に、結局今度はこのカードになりました、これは必ず通してくださいということで購入者は買っている。
 ですから、いろいろ私のところにも声が寄せられましたけれども、例えば都バスは早くからそういうあれでいっていたということであって、運転手はよく徹底していたと。安心して提示だけで乗車することができた。しかし、続いて来た荷物を持ったお年寄りが、乗車口に大きな荷物を持ってやっと上がって、荷物を手にしながら懐から定期入れを出して、そして苦労して差し込んで、なかなかこれができない。後もつかえている。そういう状況を見ながら、運転手さんは見せるだけでいいんですよとかいうことではなくて、黙っているというようなことも聞いているんですよ。そういうふうに見たと。
 だから、見せるだけでいいとか、さっきいった自由意思というか、カードで使いたい人もいるでしょうから、それを購入者というか、利用者にいかに周知するかということが非常に大事だというふうに私は思うんですよ。そういう点においては、周知徹底ということですけれども、そのために私は、バス事業者として都バスが今の、どちらでもいい、自由でいいんですよ、こういうふうになりましたということをバス停に掲示するなり、バスの料金箱のところに掲示するなりした方が、利用者にとって本当にサービスの向上につながるというふうに思います。
 例えば、都バスはそうですけれども、ほかのバスもいろいろあるけれども、ここではいいません。とにかく今まで、腕をつかまれたとか、取り囲まれたとか、それから、そういって乗ったけれども、絶対乗せられないで、もう嫌だから入れて乗ったら、あるKバスなどは、とにかくテープで繰り返し、シルバーパスは必ずカードを通してくださいというようなことを何度も何度も車内バスでかけられて、本当に嫌な思いをしたとか、もう二度とカードを使って乗りたくないとか、今までそういう声が上がっているんですよね。
 ですから、ただ見せたらそれでということじゃなくて、これを周知徹底するために、ぜひ都バスもそういう表示を利用者の方々に行っていただきたいと思いますし、また全体で取り組めるような方策を考えていただきたい。バス協会などに対してそういう取り組みをするようにやっていただきたいことを強く求めたいと思いますけれども、これは要望しておきます。−−要望というか、答えていただいて、そのことを要望しておきたいと思います。

○木村自動車部長 先生ご指摘のように、事業者間でシルバーパスの方々に対しまして、乗車取り扱いにつきまして違っているような現状があったという点については、一事業者の立場として大変申しわけなく思いますので、ただいまご要望の趣旨につきましては、全事業者一体となった取り組みができますよう、東京バス協会に伝えさせていただきたいと存じます。

○高橋委員 私からは、重複するところも若干ありますけれども、質問させていただきます。
 先ほどもありましたけれども、昨年の十二月十二日に環状部の都営大江戸線の開業というか、地域住民の切なる願いというか、熱い期待の中で開業いたしました。そこで、都内の交通のネットワーク化が非常に飛躍的に進んだということもお伺いしておりますし、交通不便地域の解消は非常に前へ進んだということもお伺いしております。
 そこで、環状部、また都庁前から光が丘までの線も含めて、沿線地域の活性化も期待しているところでありますけれども、ぜひその辺の効果をさらに見られるように、その辺の努力の仕方というか、現状をお伺いしたいと思います。
 そこで、まず初めに、大江戸線が開業して一年近くなりますけれども、先ほども答弁がありましたけれども、乗客数の推移を、計画数と比較してどのようになっているのか、先ほど答弁を聞いておりましたら、もう少し突っ込んだというか、細かく、わかりやすく教えていただきたいと思っています。それをいただかないと前に進まないので、よろしくお願いします。

○齊藤電車部長 大江戸線は昨年の十二月十二日、全線開業いたしました。開業当初のことし一月でございますが、一月の平均乗客数は一日当たり三十九万人でございまして、計画乗客数の約五割を下回る状況でございました。その後、お客様は着実に増加いたしまして、開業後半年を経ましたことし六月には五十二万一千人と、初めて五十万人台を記録いたしました。この六月は曜日別で見ますと、平日、それから土曜、休日とあるんですが、平日の乗客数では、一日当たり六十一万人という数字に達してございます。その後も、学校や企業が夏季休暇に入りまして乗客数は減っておりますが、八月の実績では、一日平均乗客数は四十九万人となってございます。
 現状では、計画で見込みました八十二万人の乗客数の六割程度という数字になってございますが、先ほどご説明申し上げましたような季節変動要因等を考慮いたしますと、乗客数は開業当初から引き続きふえているというふうに認識してございます。

○高橋委員 開業当初から六割ということで、ぜひ引き続き増加するように願っているわけでありますけれども、先ほども計画的なことが質問ありましたけれども、乗客数はまだ計画に比べるとやはり少ないですよね。交通局としては、そのような状況をどういうふうに考えているのか、お尋ねします。

○齊藤電車部長 これまでの新線開業の実績から見ますと、計画上のお客様の乗客数を確保するに当たりましては、成熟期といいますか、安定期に至るまで三田線で四年、それから新宿線では三年程度かかってございます。今後、大江戸線沿線では汐留であるとか勝どき、それから六本木などで業務・商業ビルや住宅棟などの建設が予定されていることや、また当局の積極的な乗客誘致活動の取り組みなどによりまして、目標を早期に達成できるよう努力したいと考えております。

○高橋委員 そこの辺だと思うんですけれども、ぜひ目標を早期に達成できるよう、いろんな施策を展開してもらいたいんですけれども、交通局として、これまで乗客誘致策という、そういった面はどういうふうに取り組んできたのか、お伺いします。

○齊藤電車部長 具体的な乗客誘致の取り組みについてでございますけれども、ことしの二月に営業推進会議というものを局内で立ち上げてございます。これは単に営業部隊だけでなくて、保守部門を含めての営業推進会議ということになってございますけれども、ここでの計画立案をもとに事業を実施ということになってございます。
 具体的には、大江戸線の利便性、PR、それから定期券の発売といいますか売り込み等に、当局の職員が、沿線の企業や学校、あるいはホテルの方へ訪問いたしまして、直接乗客誘致の活動を行ってきております。また、行き先や乗りかえ案内、それから駅の出入り口や駅周辺案内などについてのポスターやパンフレットなどによるPRはもちろんのこと、女性のお客様向けに沿線グルメ情報等の企画をつくりまして、それを印刷物にし、駅で配布するなどのことも取り組んでございます。また、沿線商店街と連携したイベントを実施するなど、乗客の誘致に積極的に取り組んできたところでございます。

○高橋委員 ぜひその点は、非常に経営上にも関係してつながってくる問題でありますので、さらに工夫してほしいと思っております。
 そこで、要するに目的地、乗客というか、お客さんが目指す目的地までの経路がいろいろあるわけですけれども、その辺のネットワークが図られたと同時に、逆に利用者がうまく使い切っていないというところがあるような気がするんですよね。今その話をお伺いいたしましたけれども、私もそれぞれ、いろんなパンフレットとか、ちょっと調べさせていただきました。利用率が伸びないというか、それを目指すためには、やはりその辺に何か障害があるんじゃないかなと思っているんですけれども、いかがですか。

○齊藤電車部長 現在、都内には都営地下鉄が四路線、それから営団地下鉄が八路線、計十二路線の地下鉄ネットワークを形成してございます。大江戸線が全線開業いたしましたことによりまして、大江戸線では、現在三十七駅ございますが、三十七駅中二十二駅で他の路線と連絡、乗りかえができることになってございます。
 したがいまして大江戸線が開通したことによりまして、ネットワークがさらに緊密となりまして、目的地までのさまざまな経路の選択が可能となりましたが、その一方で、目的地まで多様で複雑なルートが存在するということになりまして、ただいま先生からご指摘いただきましたように、初めて利用される方にとっては行き先がわかりづらいとか、このことがまた利用の障害となっている側面も否定できないところでございます。

○高橋委員 と思うんですよね。ですから、利用者がその鉄道のネットワークを使いこなすために、あらゆる工夫というか、利用者に知ってもらう。要するに、通勤とか通学、決められたというか、毎日通っている方には決して苦じゃないと思うんですけれども、そうじゃない、大江戸線が開業してすごく便利そうじゃないかといわれても、時間的なものとか、運賃だとか、それから乗りかえの、A地点からB地点まで行くのに、どの駅でおりて、例えばどういうふうにJRと乗り継ぎしたらいいかとか、要するに、いろんな利用者への情報提供、そういったものがまだうまくいっていないんじゃないかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。

○齊藤電車部長 お客様に対します情報の提供についてでございますけれども、駅構内では、ホームから他線への乗りかえルートに沿いまして、連続的に案内サインを設置したり、乗りかえのための乗車位置や目的地までの所要時間をホームの柱に掲出するなどして、乗りかえがわかりやすくなるような情報を提供してございます。
 また、お客様には目的地までの時間を重視する方や、安さを追求する方などさまざまなニーズがございまして、これに合った情報が必要となってございます。現状では、さまざまな乗りかえ案内や駅周辺案内のパンフレット等を駅に置きまして、お客様への情報提供に努めてございます。
 また、さらに複雑なルートのご案内につきましては、駅係員による対応が現在基本となってございますけれども、ことしの四月から大江戸線だけを専門に案内をいたしますサービススタッフ六名を新たに配置いたしまして、各駅を巡回しながら、お客様に目的地までの経路や運賃をご案内してございます。こうした内容、サービスについても、今後引き続き充実できるように努めてまいりたいと考えております。

○高橋委員 今、かなりそれだけ努力をしていただいているなというのをお伺いしましたけれども、サービススタッフ六名。六駅、六名では、駅の数から考えて、ホームというか行き先までいろんなことを考えると、まだまだそういったスタッフで解決できる−−やはり人と人とのサービスをするということは非常にいいことかもしれません、否定はしません。否定はしませんけれども、ただ、やはり各駅を利用することを考えれば、何かもう一工夫しなくちゃいけないのかなというような気がいたします。
 今、ご案内のとおり、IT化時代を迎えておりまして、インターネットや携帯電話の関係で情報技術がさらに近代化というか、非常に便利になってきております。そういったことを取り入れる、先日、何かほかの線で多少そういった情報提供の関係で出たということを聞いておりますけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。

○齊藤電車部長 都営交通では、これまでもファクスやインターネットのホームページによりまして、新たな時代に対応した情報提供に努めてまいりました。また、大江戸線環状部に導入いたしました券売機につきましては、タッチパネル式といいまして、液晶画面に触れる方式を採用しておりまして、目的地までの乗車券を迅速に購入できるよう、路線検索や五十音で入力できる機能を備えてございます。
 また一方、国におきましては、本年十月から交通バリアフリー情報提供システム「らくらくおでかけネット」といっておりますが、これによりまして駅ターミナルのバリアフリー情報や案内図、それから出発地から目的地までの複数経路と所要時間、運賃などの乗りかえ案内情報の提供を試行的に開始してございます。これのシステムにつきましては、インターネットや携帯電話でも手軽に取り出せるようになってございます。
 このシステムの構築に当たりましては、当局でも情報提供を行っておりますが、ご指摘の新しいIT時代を迎えての情報提供ということにつきましては、今後の情報サービスの動向、それから機器類の開発状況等を注視しながら、今後検討してまいりたいと考えてございます。

○高橋委員 ぜひ、いろいろ、よろしくお願いしたいと思います。
 間もなく大江戸線の開業一周年を迎えようとしています。交通局で、この大江戸線の乗客誘致で、先ほどお願いしましたけれども、ぜひいろんな工夫をしていただきたいと思っています。肝心なことは、要するに利用者にとってわかりやすい交通機関、利用しやすい地下鉄にすることである。そのためには、やはりさまざまな情報を積極的に提供していくことが必要であると思います。
 例えば、駅の窓口などに、行き先を押せば、先ほどちょっとありましたけれども、目的地までの行き方、時間、運賃、それから乗りかえる方法、その乗りかえ方をするとどのくらい時間がかかるか。ということは、例えば練馬から山手線に、大江戸線で乗ってきたときに、初めての方は、僕なんかもそうですけれども、新宿で乗りかえるんですよね。ところが、代々木で乗りかえた方が速いらしいですよね。そういったことがわからないんですよ。
 ですから、またほかにも環状部だとか、営団の中にも乗りかえが容易だなんて思っていたら、大変歩いて−−地下というのは外と違って、やっぱり何というか非常に、精神的にありますよね。そういうことを考えると、やはりその辺の利便性というか、こちらから行くとこうだといったことは、利用者に何らかの形で教えてあげなくちゃいけないと思っております。そういったことの取り組みも私は必要だと思っております。
 それを例えば各駅の改札口に、さっきタッチの話がありましたけれども、タッチすると、そういったことが全部出る。出せると思うんですよ。ただ、今財政がいろいろ大変なときでありますので、すぐには無理かもしれませんけれども、先ほどサービススタッフ六名という話がありましたが、これを各駅に出してサービスしていただいて、人件費とこういったものをセットにすれば、かなり安くなるんじゃないかなと僕は思っております。
 最初は新しいものを、そういったことをすることは確かにお金がかかりますけれども、あとは随時、今、大江戸線が光が丘から新座市方面に延伸になるという、運政審でもう出ているんですから、そういうふうに延びていったときは、それなりに、そのときそのとき追加していけばいいんですから、大変なときでありますけれども、ぜひ交通局の皆さん方も積極的にその辺の展開をしていただきたいと思っております。それで、経営的にも効果があって、さすが交通局だなと思われるような事業運営をしていただきたい。要望して、終わります。

○土持委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土持委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。

○土持委員長 これより下水道局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○馬場総務部長 過日の委員会におきましてご要求のございました資料を、公営企業委員会要求資料としてお手元に配布させていただいております。その概要につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきたいと存じます。浸水対策の計画と進ちょく状況でございます。区部下水道事業と流域下水道事業に区分し、記載しております。
 区部の下水道事業は、一時間五〇ミリの降雨に対処するため、管渠、ポンプ所、雨水調整池の整備を進めております。それぞれの区分ごとに、計画及び十二年度末の進ちょく状況、主な完成施設名をお示ししております。
 流域下水道事業につきましても、一時間五〇ミリの降雨に対処するため、合流地区では幹線の整備を、また分流地区では広域的な雨水対策として雨水幹線の整備を進めております。それぞれ計画キロ数及び進ちょく状況等を記載しております。
 以上で、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○土持委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○立石委員 流体、流れる風景というのは人の心を倍いやす、よくいわれることですが、川の流れ、東京湾といいますか、お台場といいますか、ああいう風景を見ると、本当に世相、不安な先行きの見えない、厳しい、つらい時代だけれども、実にいやされる。私も、生まれも育ちも葛飾柴又ではなくて、隅田川のほとりに生まれて暮らしておりますけれども、これは大変ほっとする。大変に大勢の人が散歩をしたり楽しんでおられる。そういう中で大雨が降った後の水質の汚濁といいますか、これは本当に厳しいものがある。これは公共工事、公共投資、何か偏見みたいにいわれているようなものがあるけれども、例えば築地市場と浜離宮の間の汚物などは、私が三十年前に区会議員になったときに、何とかしなければならないというふうに思いながら、大分よくはなりました。しかし、水質ということに関してはなかなか難しい。きれいにならない。
 そこで、当局が大雨の後に隅田川だとか、今いうようにお台場、こういったところを何とかしなきゃならぬ。目標を定めて、いわゆる合流改善クイックプラン、ここにもありますけれども、見せていただきました。大変すばらしいことだと思います。このことについて、初めに着眼点、そしてその具体的内容について、過日の一般質問でも私、質問しましたけれども、水の都と呼べる東京、私は中央区でございますので、「水の都中央区をつくる会」というのをNGOでやったりいたしておりますので、ぜひ水質をきれいにしていきたい、そういう気持ちで、下水道のあるべき姿というのは大変重要な意味を持っております。そういう意味で、申し上げましたような質問を、まず着眼点、その具体的内容、これについて初めにお聞きしたいと思います。

○大矢計画調整部長 このたび作成いたしました合流改善クイックプランについてでございますけれども、雨天時に下水道からオイルボールやごみが流出するということを防止するという新たな課題に緊急的に対応し、早期に効果を発揮することをねらったものでございます。そのため、対策や地区の重点化を図った計画といたしております。
 具体には、油やごみの流出を防ぐため、新たな技術であります雨水はけ口へのろ過スクリーンの設置、また雨水ポンプ所のスクリーンの改造や放流口にオイルフェンスを設置するものでございます。さらに、都民や道路管理者などとの連携といったようなソフト的な対応も取り組んでいく考えでございます。

○立石委員 ということで、現実にこの計画の進ちょくの状況はどの程度か、ご質問いたします。

○前田施設管理部長 合流改善クイックプランで掲げました主要な対策についての九月末での進ちょく状況をご報告申し上げます。
 スクリーンの改造につきましては、全体計画五十七カ所中十三カ所、完成しております。年度末には二十八カ所の完成を見込んでおります。オイルフェンスの設置でございますが、これは渇水期の施工とか公有水面管理者の占用の条件とか、こういった制約がございます。全体計画六十二カ所の中で、現段階では三カ所の完成でございますが、年度末には三十六カ所、完成を見込んでおります。
 なお、雨水吐きへのろ過スクリーン設置は八カ所が完了しております。このような施設改善と並行いたしまして、管渠ポンプ所、処理場などの下水道施設の点検、清掃、こういったことも重要な対策でございますので、精力的に進めているところでございます。

○立石委員 続いて、この間もちょっと話したのですが、箱崎ポンプ所の調査時点における−−現在、具体的にどのようになっているか、引き続き質問させていただきます。

○前田施設管理部長 箱崎ポンプ所におけます具体的な取り組みでございますが、下水中のごみなどを除去しますスクリーン、これの目幅を、五〇ミリございましたが、二五ミリ、約半分の目幅に縮小いたします工事は既に完成しております。また、雨天時の放流水中のごみなどが公共用水域に流出する、こういったことを防止しますオイルフェンスの設置については、今年度中に予定をいたしております。このような施設改善と並行しまして、先ほど申し上げましたようなきめ細かな点検、清掃、日常の維持管理の充実も並行して進めております。

○立石委員 次に、合流改善クイックプラン、文字どおりクイックプランですが、サブタイトルにもあるように、雨天時にオイルボール、ごみなどを出さない下水道への早期の転換と、こうありますが、これを実現するには、下水道を使用する都民、あるいは営業店というのか、平たくいえば、油を使うてんぷら屋さんとかですね、てんぷら屋さんが悪いわけじゃありませんけれども、こういう人たちの意識、自覚、これも大事だと思うんですね。こういった点については、どのように当局は考えておられますか、またPRしておられるか質問させていただきます。

○馬場総務部長 今お話のございましたように、この問題を改善するためには、まず、都民や飲食店の方々が調理等で使用されました油を下水道に流さないようにご協力いただくことが非常に肝要であるというふうに考えております。このため、いろいろリーフレットを作成いたしまして、区民祭りのイベントの際ですとか、あるいは飲食業関係の方の講習会の場で配布をし、協力依頼をしております。
 具体的な協力の内容といたしましては、例えば都民の方には、油を新聞紙などに吸い取りまして、ごみとして出していただくというようなこと、あるいは飲食店の方に対しましては、油を取りますグリース阻集器というのがございます。それを設置いただくことや、その管理をきちんとしていただくことなどを依頼してございます。
 今後、さらに油断快適下水道ということで、油断というのは油を断つという意味も兼ねてございますけれども、下水道に油を流さないでということを統一的に標語を掲げまして、都民や飲食店の方々を対象に、局を挙げてキャンペーンをしていきたいというふうに考えております。

○立石委員 最後に局長にお伺いしますが、要するに東京は、ここにも書いてあるように道路の幅も狭いし、電電とか電力、いろいろな幹線が入っているわけですが、そういう意味では合流式がベターである、私もそう思いますが、宅地内で降った雨を浸透させる。この間もある会に行きましたら、区によっては補助金を出したり、いろいろなことをしているということを聞いたこともあります。要は、二十三区といってもいいのかもしれませんが、合流式下水道を利用せざるを得ない、また利用している地域にとって、先ほど申し上げましたように、水質を浄化して、川へ水を、清流といってもいいと思いますが、清流に少しでも近づけるような形にしていくためには、従来から進めておられます幹線管渠の能力を増強しなきゃならないでしょうし、雨水を雨天、大雨のときののみ込みを調整しなきゃならない。そういう意味で、雨水の貯留施設、これが一番大事だろうと思います。先ほど申したように、宅地内に浸透させるということもあわせて大事なことだと思います。
 何よりも、私は初めてこの公営企業委員会に入ったからいうわけじゃありませんけれども、下水道局を応援するわけじゃありませんけれども、水質を浄化させるということの大切な使命を持っておられます当局が、何としてもやるべき、まさにクイックに水質浄化のために努力してほしい。そういう意味で、鈴木局長の決意をお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

○鈴木下水道局長 合流改善事業の総合的な取り組みについてでございますが、お話にありましたように、合流式下水道の改善は極めて重要な事業だというふうに考えております。これを効果的に進めていくためには、お客様である都民や事業者に協力をお願いするとともに、区や都の関係各局と一体となって取り組んでいくことが必要であると考えております。このため、例えば雨水の貯留浸透事業は、浸水対策の効果だけではなく、合流式下水道の改善対策としても効果がございますので、この事業の助成制度を持っております区などとの連携をこれまで以上に強化いたしまして、進めてまいりたいと考えております。
 また、本年八月に関係六局で合流式下水道の改善に向けての協議会を設置したところでございまして、現在、都を挙げての総合的な取り組みを進めておりますが、さらに関係機関との連携を強化するとともに、局一丸となって東京の快適な水環境の改善と創出に努めてまいりたいと考えております。

○土持委員長 この際、議事の都合により、五分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時六分開議

○土持委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○初鹿委員 十月二日付の毎日新聞の記事に、世界の科学者でつくる「気候変動に関する政府間パネル」というところの報告書が出まして、これによりますと、一九九〇年から二〇一〇年まで気温が一・四度から五・八度上昇すると。それによって水面は平均九から八十八センチ上昇するという報告がされました。八十八センチ上昇しますと、恐らく島国の日本ですから、陸地がどんどんなくなってしまって、この東京なんて全部海に埋もれてしまうんではないか。私も江戸川区というゼロメートル地帯に住んでいるので、地球の温暖化というものに非常に危機感を持っているところでございますが、きょうこういうお話をさせていただいたのは、下水道事業運営基本方針の中で三つの視点ということで、お客様の視点、環境の視点、そして経営の視点という三つの視点の中に、まさに環境の視点というものを盛り込んでおられますので、その点をきょうは質問させていただきたいということで、まず冒頭に話をさせていただきました。
 下水道構想二〇〇一という中にも、この環境の視点から行動戦略として九つのアクション、その九つのうちの三つが環境に関することで、ISO一四〇〇一に基づく環境マネジメントシステムの活用、環境会計の活用、そして地球温暖化防止政策の取り組みと、下水道局として今環境対策に非常に力を入れているということでございますので、まずきょうは環境と、そしてコストという面で、そういう視点から幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、環境マネジメントシステムにかかわる質問をさせていただきますが、下水道局は、この環境管理の国際規格であるISO一四〇〇一の認証取得を進めているということでありますが、現在までの認証取得の状況についてお伺いをいたします。

○大矢計画調整部長 ISO一四〇〇一の認証取得の状況についてでございますが、平成十年に事業所から段階的に認証を取得しまして、導入効果を検証しながら、局全体に統合していくという取得計画を作成しまして、方針を公表いたしました。十一年には有明、落合及び中野処理場で先行的に認証取得をしまして、その後、建設部門、管理事務所、流域下水道本部と段階的に認証取得をしまして、平成十二年度末で全事業所の認証を取得したところでございます。

○初鹿委員 段階的に事業所から認証を取得してきたということがありますが、実際に効果のほどはどうなんでしょうか。先行して取得をしたところは二年たっているのでしょうか。実際の効果ということで教えていただきたいと思います。

○前田施設管理部長 認証を取得いたしました処理場は、環境マネジメントシステムの導入を進めるわけでございますが、環境の視点からの業務の見直しを行う、あるいは職員の環境意識の一層の向上を図れる、自主的に管理目標値を設定いたしまして処理水質が一層安定改善される、こういった大きな効果がございます。また、環境改善効果に加えまして、例えば三処理場のうちの有明処理場で例示いたしますと、平成十二年度には平成十年度と比較しまして電力使用料が削減されまして、コスト的には約六百三十万円ほどのコスト縮減が図られております。
 なお、先行取得いたしました三処理場では、職員が手づくりで環境レポート等、一年の活動成果を取りまとめておりまして、それぞれ職場の運営に反映させているところでございます。

○初鹿委員 六百三十万円ほどコストが縮減されたということで、非常にこれは結構なことでありますが、コストの縮減も当然必要なことでありますが、やはりISOを取得することによって一番必要なことは、職員一人一人が環境意識というものを持つことだと私は考えております。そういう意味で、環境レポートをつくっている、非常に結構な取り組みだなと思っておりますが、この環境レポートですが、もしこれが特定の職員だけがつくっているとしたら全く意味がないと思うんですね。全体の職員が何らかの形でかかわるように、この環境レポートに取り組むことによって、一人一人の意識というものが向上すると思います。ぜひその辺をどうやって職員が参画をしているのか、具体的にどうなっているのか教えていただきたいのと、もう一つ、せっかく環境レポートをつくっているのですから、これを活用しないともったいないと思います。では、このつくった環境レポート、公表の仕方とかはどういうふうになっているのか、実際に公表しているのかどうか、その辺を教えていただければと思います。

○前田施設管理部長 環境レポートの作成体制でございますけれども、私どもの仕事そのものが環境に対する活動をしているわけでございます。したがいまして、職場の全員がそれぞれの位置で参加いたしまして作成しているところでございます。
 なお、環境レポートの公表ということも非常に大切なことでございまして、例えば先行取得しました三処理場については、処理場に常時備えまして、処理場見学においでになる方にご紹介している。このほかに下水道局のホームページがございます。ホームページに掲載いたしまして、広く都民の皆様にもごらんいただくように工夫を凝らしているところでございます。

○初鹿委員 ホームページは見させていただきまして、確かに載っておりました。ただ、やっぱり全体が載っているわけでないので、少し寂しいなという印象を持っております。より充実させていただくように、まずお願いをいたします。それで、我々にもぜひ環境レポート、各事業所のを配布していただいて、評価させていただくと結構だなと思います。
 ところで、事業所から取得をして、最終的に局全体でまとめて取っていくということでありますが、段階的に取得をしていった、このメリットというものはどこにあるのでしょうか。

○大矢計画調整部長 段階的に認証を取得していった、このメリットについてでございますけれども、下水道事業において、このマネジメントシステムを全国で取得した事例が少ないという状況でございまして、このため、まず一部事業所で先行取得するということで段階的に取り組むことによりまして、マネジメントシステムを構築するノウハウを蓄積するとともに、事業所間で情報を交換しながら、さらに局全体のシステム統合を効率的に行う、そういうことができるのではないかというふうに考えました。また、先ほども職員の環境意識という話がございましたけれども、事業所単位で取得することで、職員一人一人がシステムの構築運用に直接参画しまして意識を向上させていくことができる、そういうメリットもあるというふうに判断をいたしました。

○初鹿委員 まず、この環境マネジメントシステムというものは、認証取得をすることが目的というよりも、やはりこれを維持継続していくということが一番重要なんだと思うんですね。さきの定例会の一般質問の中でも、継続していくのに非常にコストがかかるという指摘があったと思います。中小企業などは認証取得をして、それを継続するのに、ISO倒産といわれるように、非常に経費がかかって大変だということも聞いておりますが、事業所一つ一つで取得していたところから局全体に統合することによって、コストという面ではどれぐらいの削減効果があるのでしょうか。

○大矢計画調整部長 認証取得をした後、当然維持するのに費用がかかります。認証取得後に一年に一回の定期審査が必要でございます。また、三年たちますと更新の審査が必要でございまして、その都度費用がかかるということでございます。これらの費用を平均いたしますと、事業所単位で取得した場合には、試算でございますけれども、年間八百万円かかる見込みでございます。ところが、システムを統合しまして局全体で一本で取得した場合には百五十万円、要するに六百五十万円の縮減が図れるという試算をしております。

○初鹿委員 今のご答弁にありますように、コストの面では確かに有利になると思います。しかし、先ほどの話に戻りますが、一人一人の職員の環境意識ということを考えると、局全体で大きく広がっていってしまうと、それによって意識がどんどん下がっていって、もとに戻ってしまったら、また意味がなくなってしまうんだなと思うんですね。ですから、ここで局全体に統合をした先に、今まで事業所ごとにやっていたその取り組みというものをもう一度しっかり徹底するということが必要になってくると思いますが、その辺を、具体的に、どうやって環境改善効果を落とさずに局全体に統合して、コスト縮減という目標を保っていけるか、そういうことを検討されているのか、お聞かせください。

○大矢計画調整部長 お話しのとおり、統合した場合に、システムのよさというものを落とさないための工夫でございますけれども、私どもとしては、例えば外部審査とみずから行う内部監査を併用するというようなことを、既に活用している民間企業の事例を参考にしていきたいと考えております。このため、内部監査要員の養成、また、審査のノウハウの蓄積などを現在図っているところでございます。また、職員の環境意識の継続的な向上ということも重要でございまして、先ほどもお話ししました事業所単位でのシステム、また、環境レポートというものも基本的に継続していきたいというふうに考えております。

○初鹿委員 ぜひ職員一人一人の環境意識というものがもとに戻らないような形で進めていっていただきたいと思います。例えば、せっかく環境レポートを各事業所ごとにつくっているわけですから、これは私の提案ですが、一年に一回、局内でのコンテストみたいなものをやって、環境レポートで一番の事業所はどこか、二番はどこかみたいなことをやって、職員のやる気と意識というものを高めていくというのも方法ではないかと思いますので、提案させていただきます。いずれにしましても、環境改善とコスト縮減というのは、相入れない面がありまして、非常に難しいなと思いますが、ぜひとも両立をしていただきたいと思います。
 ところで、二番目の、アクション〔5〕になるのでしょうか、環境会計の活用ということをやっているということであります。最近、企業の中でも、環境改善の取り組みとか、その効果、コストの関係を明らかにするために環境会計を利用しているところが多いということでありますが、具体的にどういう中身になっていて、その効果というものがいかほどのものであるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○馬場総務部長 ことしの二月に、下水道事業単独といたしましては、全国で初めてでございますけれども、環境会計を作成いたしました。その中で新たな試みといたしまして、流入してきます下水の中に含まれる物質とその量が水処理の過程の中でどのように変化をして排出されていくか、物質フローと申しますけれども、それをわかりやすい形でお示しをしてございます。また、一般的な環境保全対策のほかに、下水道事業そのものが、本来事業といいますか、それも環境会計の対象といたしまして、そのコストと効果を明らかにしたのが特徴でございます。
 環境会計を導入しました効果といたしましては、まだ導入当初でございますけれども、事業の透明性が高まったということ、それによって都民の下水道事業への信頼を確保できるのではないかというようなこと、そして、今後の事業運営に当たりまして、より効率的で環境に配慮した事業運営を進めることに役立つのではないかというふうに考えております。

○初鹿委員 今まで質問をさせていただきましたISOの活用や環境会計の活用ということ、それ自体もまさに次のアクションの地球温暖化防止の取り組みになっていると思います。しかし、こうやって中身を見ておりますと、どうもやはり下水道局の内部での環境に対する取り組みであって、一般の都民からすると、それほど見えてきていないなと感じるんですね。石原都知事も、とにかく今、地球の温暖化はどうにかしなきゃいけない、環境をしっかり守らなきゃいけないということを常々口にしておりますから、ぜひ下水道局として都民の目に見えるような形での環境政策、対策というものを示していただきたいなというふうに考えております。
 これは私の一つの提案でありますが、下水道局では、都内に処理場とかポンプ所とか、非常に大きな用地を持っております。私は、その中で、平面の広い屋上というものが何か活用できるんじゃないかなというふうに考えておりまして、実際にグラウンドとかで活用されているところも幾つかございますが、まだまだ何もない、ただの屋上の面がありますよね。そういうところに屋上緑化をするとか、また、具体的にどういう方法がいいか、まだ漠然としているのですが、そこにソーラーパネルを敷いて、それこそスペースだけを賃貸するなり、無償貸与でもいいと思うんですが、太陽光発電のためのスペースに提供するとか、そういうようなことも一つの選択肢として考えていただきたいと思います。
 いずれにしましても、環境改善とコストの縮減の両立というものが、非常に大変ではございますが、これからの二十一世紀を考えたときに必要なことでありますので、ぜひとも徹底して行っていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○東野委員 ユーザーである都民はお客様、このようなタイトルで局長がある情報誌にインタビュー形式で答えられているものを読ませていただきました。私もこの公営企業は初めての参加でございますので、非常に短いというか、コンパクトにまとめられたインタビューでございますけれども、非常にわかりやすい読み物として読ませていただきました。その中で局長はさまざまなことを語られているわけですけれども、下水道局というのは将来に向かってかなり数多くのタスクを抱えている。ちまたでいわれておりますように、下水道の普及率が一〇〇%概成になった、こういうことで、あとは維持管理だけではないかというふうにいわれているけれども、決してそんなことはない。多くの課題を抱えながら日夜頑張っておられるという、そんな中で雨水対策、それから先ほど立石副委員長からもお話がありましたように、いわゆる環境対策、そういったことに対して、きょうは地元の目黒区の例を引き合いに出させていただきながら簡潔に何点か伺いたい、このように思います。
 一点目に、一昨年、平成十一年の三定というふうに記憶します。大量の集中豪雨が東京を襲いまして、各地で溢水、浸水事故があったわけでございますけれども、その直後、第三回定例会で私は、このいわゆる局所的な降雨に対する対策を打つべきだということで質問させていただきました。そして、下水道局として雨水整備クイックプランを立てられたわけでございますけれども、クイックプランというふうにありますように、速やかなる対応が望まれるわけでございますが、計画策定からちょうど一年半有余たっているわけですが、この間の進ちょく状況をまず最初に伺いたいと思います。

○大矢計画調整部長 雨水整備クイックプランの進ちょく状況でございます。まず、その内容でございますけれども、浸水被害を繰り返し受けている地域を重点化しまして、できるところからできるだけの対策をとるということで策定したものでございまして、浸水被害の状況に応じて、重点地区、また小規模対応箇所、さらに地下街等対策地区を選定して具体に取り組んでいるところでございます。
 平成十三年九月末の進ちょく状況でございますけれども、重点地区二十八地区につきましては、すべての地区で事業着手をしておりまして、三地区は既に完了いたしております。また、小規模対応八十二カ所につきましては、六十六カ所で完了いたしております。さらに、地下街等の対策地区につきましては、池袋周辺地区で着手をしたところでございます。

○東野委員 進ちょく状況をお伺いしたわけですけれども、かなりのスピードで進んでおられるというふうには理解できます。さらに、これは拍車をかけながら進めていただきたいと思いますけれども、目黒区におきましても、先ほどちょっと述べましたように、繰り返し浸水被害を受けて、雨水対策クイックプランに指定されている箇所が数カ所あるわけでございます。昨年来、その対策が実行されて、そして今日まで進んでいる中で、私が理解する限りでは、現場においてさまざまな問題点、また実際取り組んでみますと、現場におけるさまざまな課題が浮き上がってきて、当初計画していた計画から変更を余儀なくされる場面が見える、そのようにも聞いております。この目黒区のこれまでの対策における経緯と、それから、今私が申し上げましたその課題に対する対応、そういったものについて若干お知らせいただければと思います。

○串山建設部長 目黒区内におきましては、二カ所で雨水整備クイックプランの重点地区として取り組んでおります。これの進ちょく状況と実施上の課題と対応策についてでございますが、進ちょく状況は、下目黒、目黒本町地区では管渠の増設と、マンホールのふたを降雨時に水圧で浮き上がらないふたへ取りかえる作業といったものを既に完了させております。もう一つの上目黒、五本木地区では、蛇崩川幹線から池尻幹線への切りかえを既に完了させております。
 さらに、事業を進める上での課題と対応策でございますが、両地区ともバイパス管の設置を計画しておりましたが、埋設物のふくそうや商店街での工事用地の確保が困難であったことから、計画の見直しを行っております。具体的には、下目黒、目黒本町地区では公園を工事用地として活用した雨水貯留管を整備する方向で、現在地元と調整中でございます。また、上目黒、五本木地区では公園を活用した雨水調整池を整備することとし、今年度中の着手に向けて設計等の準備を進めておるところでございます。

○東野委員 多くの課題に対して創意工夫を凝らしながら全力で取り組んでおられる、また、早期効果の実現を目指して対応されているということを理解いたしました。
 次に、先ほどお話がございましたけれども、合流改善に関しまして若干伺いたいと思います。
 目黒川上流の浄化対策として大きな効果を発揮する新駒沢幹線などが、今本格稼働に入ったというふうに伺っております。ご案内のとおり、目黒川は当初、暴れ川として多くの区民を悩ませてきたわけですが、都議会の先輩たちの努力により、また下水道局、建設局その他多くの局の努力により、今は洪水の事故はおさまってきている。そういった中で、今申し上げました新駒沢幹線がいよいよ本格的な稼働に入り、その合流改善に資する、そういった状況に今なっている。その浸水被害を当初軽減するために、この新駒沢幹線等を利用して、そして雨水貯留管としての暫定的な活用をしてきた、そういった経緯があるわけでございますが、この貯留管には約十五万トン以上の雨水を貯留してきたという、こういう実績があるというふうにも伺っているわけでございます。
 ところで、この幹線が、今申し上げましたように、本来の目的である合流改善のために使われて、いわゆる浸水対策の効果が薄れてくる、もしくはなくなってくると、再び大規模な浸水被害が発生するのではないかという地元の、これは区民の人たちの心配の声を聞くわけでございます。これらの幹線で合流改善と浸水対策の両方の目的に利用できるのか、またされているのか、この辺を明らかにしていただきたいと思います。

○串山建設部長 池尻新駒沢幹線は、合流式下水道の改善のために計画した施設でございますが、完成までの間、暫定的に雨水貯留管として活用し、浸水被害の軽減に大きな成果を上げてまいりました。平成十二年度に施設が完成したことに伴いまして、合流式下水道の改善のために使用できるようになりました。しかし、引き続き目黒川上流地域の浸水被害に対応する必要がございますことから、合流改善としての機能の一部を浸水対策に転用できるよう、堰の構造を工夫いたしまして、浸水対策にも対応できる施設というふうにいたしております。

○東野委員 よくわかりました。局長がこの情報誌の中で、一つの幹線で二つの目的に使える新しい技術という項目で述べられている中で、浸水などの場合、いち早く被害情報をキャッチして対策がとれる。下水道幹線の中に光ファイバーを入れて、そして、どこがどういう水位になっているかということをリアルタイムでキャッチする。そして、ポンプ所でコントロールして被害を軽減するとか、この情報を使って浸水にも安全なように、初期雨水を幹線にためて合流改善にも使うという、今いいましたリアルタイムコントロールの実施、この点について述べられているわけでございますけれども、このリアルタイムコントロール、もうちょっと具体的に教えていただければと思います。

○佐伯技術開発担当部長 リアルタイムコントロールにつきましてのお尋ねでございますけれども、若干その前に、一つの幹線を二つの目的に使うということは、一般的には非常に難しいということを、これはご理解いただきたいと思います。私どもこれを達成するために、ただいま理事お話しのリアルタイムコントロールの開発を進めているわけでございます。
 リアルタイムコントロールと申しますのは、レーダー雨量計システム、これはレーダーを使って雲の位置がどのあたりにあって、どれだけ雨が降りそうかというものをまずつかまえるシステムでございますが、それと管渠内の水位を光ファイバーを用いて計測する水位計、それを活用いたしまして、それを組み合わせたシステムでございます。これによりまして、お話しのとおり、ポンプ所への流入の水量を予測いたしまして、的確なポンプ運転やゲート操作などを可能としたものでございまして、浸水対策と合流改善の二つの目的に一つの幹線を使えるという、そのようなシステムでございます。ただいまこのシステムを開発してございまして、今年度はシステムの開発を行いまして、実証運転を行っていく予定でございます。このように、今後とも効率的で効果的な技術開発に努めてまいる所存でございます。

○東野委員 目黒区内に限らず、過密な東京という都市の中で浸水対策を進めていくためには、さきの答弁にもありましたように、多くの課題が山積するわけでございますけれども、それらの課題の中には、下水道局だけでは対応の難しい課題もあるようでございます。財政的にも厳しい時代にあって、局長も述べられているように、不況の時代でもやらなければいけない、環境を守るというのが下水道局の大切な仕事であるというふうにいわれているわけですけれども、都民の声にこたえて、この浸水対策に取り組む局長の決意を最後にお伺いして、質問を終わります。

○鈴木下水道局長 下水道局では、健全でかつ安全な都市活動を支えていくために、ただいまお話がございましたような、浸水対策に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。土地利用が過密した中で事業を実施していくためには、用地の確保など極めて困難な課題が数多くございます。このため、公園など区の施設を工事用地といたしまして利用するなど、関係区あるいは関係機関との連携をこれまで以上に強化いたしまして、浸水対策の早期実現に取り組んでまいる決意でございます。
 また、先ほど来からお話がありましたように、技術的に困難な課題の解決につきましては、このような事業の実現に不可欠な創意工夫や新技術の開発について、今後とも積極的に取り組んでまいる考えでございます。

○松村委員 何点か質問いたします。
 初めに、最近、新聞報道でも、マスコミでも、合流式下水道が海や河川を汚染しているという大きな報道がありまして、このもとで環境局と下水道局も、直接国と一体となってこの汚染状況を調査し、国からのそういう調査結果を受けて、環境局や下水道局も、この水質改善に全力で取り組みますというような通知を私たちも受け取ったところであります。
 この汚染の状況について、これは非常に専門的なデータで、なかなか解析が難しいのですけれども、端的にいってどういう汚染状況なのかということをまず先にお伺いしておきます。

○前田施設管理部長 水質調査の結果でございますけれども、これは国土交通省に設置いたしました合流式下水道改善対策検討委員会で調査したものでございますが、この委員会は国及び大都市で構成しておりまして、私ども都も参加しております。この調査の結果でございます。調査結果では、晴天値を超える水質が検出されたというふうに我々は認識しております。これには合流式下水道の影響もあるというふうに考えております。

○松村委員 影響もある−−確かにいろいろあるんでしょうけれども、しかし、大腸菌が通常の基準を超えるものがあるとか、都民は大変衝撃を受けていると思いますし、また、これについては都を挙げて改善ということは当然いわれていると思うんで、取り組まなければいけない、そういう認識は既に示されて、今も前段でお話のありました、目に見えた形でのオイルボールだとか非常なごみ、浮遊物、こういうことについては早速、クイックプラン等での緊急的な措置もとってきていると思います。しかし、それでも目に見えた効果が今上がってきているのかという点では、まだそこら辺の確証といいますか、これでいけるということはないと思うんです。
 結局、要は越流水というか、雨天時に大量に処理されないで海や河川に吐き出される合流式下水道の持っている弱点といいますか、これもやはり解決と。そういう意味では合流式の改善ということで、今もお話がありましたとおりの対策がとられてきたというふうに思うんですけれども、この間、東京都の下水道局がとってきた対策と、今後のクイックプランを含めた計画、それから、その計画を実施してどのぐらいの効果が上がると見ているのか、また、その事業費の総額は幾らか、こういう点をあわせてもう一回お答えいただきたい。

○大矢計画調整部長 最初に、合流式下水道の改善の取り組みについてでございますけれども、従来より幹線管渠の増強や雨水貯留池の整備を進めてきております。また、先ほどもご説明いたしましたが、合流改善のクイックプランを作成いたしまして、ごみや油などの流出という新たな課題に対応する取り組みとして、ポンプ所のスクリーンの改造や、はけ口に対するスクリーンの設置などに取り組んでおります。これについては従来からも取り組んできておりますけれども、今後も着実に取り組みを進めていくという考えでおります。
 また、クイックプランの効果等はどうなのかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、海や清流が復活した河川などへ油やごみの流出を防止するということがねらいでございまして、都民の皆様にも目に見える効果として期待をしているところでございます。クイックプランの全体事業費でございますけれども、平成十二年から十六年まで五カ年間で約二百八十億円を計上しております。

○松村委員 目に見える効果、そして着実に進めるという答弁ですけれども、しかし、その基本においては、確かに浮遊物か何かは、その網を細かくするとか、いろいろ対策をとれば、それは一定の効果が上がるでしょうけれども、大体未処理の汚水といいますか、処理されないものが海や川に大量に流されるという、この根本は解決ができないわけですね。ですから、目にはいろいろ取り除かれる。しかし、本当にこの間、下水道が頑張って東京の環境がよくなったというか、海の汚染がよくなったとか川がどうなのかという、そういう点からいえば、やはりこれはショックなんですよね。未処理の下水が海を汚染して、それがひどい状況だということで、一体下水道は何をやっているのかということにもなるので、こういう点においての解決をするためにはどうするのかということなんですよ。そういう立場からも望んでいるというふうに思うんですよね。
 その点での計画、クイックプランでは、合流の改善とか老朽化河川の再構築や、それから浸水対策ということの三つの点を合わせて事業計画を立てていると思うんですけれども、その点においての今下水道が目指しているところですね、これだけはどの時点において、そういう都民の期待にこたえて、未処理の下水道が海や河川を汚さないようになるのかという点についてはどうなんでしょうか。

○大矢計画調整部長 東京の二十三区の大部分につきましては、生活環境の改善と浸水の防除を早期に、かつ同時に図るために、汚水と雨水を同一の下水道管渠で収容するという合流式で整備を進めてまいりました。この方式で下水道整備を進めることによりまして、浸水防除や公共用水域の水質改善にこれまで大変寄与してきたというふうに私ども考えております。しかしながら、雨天時の放流を削減するという必要があると考えておりまして、現在、合流式の下水道改善計画を進めているところでございます。

○松村委員 私も合流式の下水道の導入というのはやむを得ないというか、ある意味では大都市における下水道のあり方としては、最もというか、そういう点での効果が非常にあるというふうに思うんですね。しかし、改めて合流式の弱点というか、都民から、なぜ合流式なんだ、どうして最初から分けないんだ、しかも近年のように雨が降れば処理されないあれが大量に出て、しかもこの犯人というか、そのあれがそこにもあるというふうになったら、これは何とかしなければならないという、こういう下水道としての使命を負うと思うんですね。皆さん方もそういう越流水が出ないような合流改善とか、何とかしなきゃいけないと。緊急的にも、また長期的にもやっていくと。
 そういう点では、では分流式と同じような効果を上げるために、どのぐらいの時間と事業費がかかるのかという点においてはどうでしょうか、もう一度お答えいただきたい。

○大矢計画調整部長 合流式下水道を改善するために、私ども幹線管渠の整備と雨水貯留池の整備を計画いたしております。全体の事業量としましては、幹線管渠は百五十六キロ、雨水貯留池が三百八十四万プラス八十七万でございます。これの現在の進ちょく状況は、管渠で九割ほど、貯留池で五%及び二二%程度というふうになっております。今後の事業見通しということでございますけれども、財政状況等を勘案しながら、鋭意促進してまいりたいというふうに考えております。

○松村委員 いずれにしても、例えばそういう合流式の持つ弱点というか、越流水を出さない、海や川を汚さない、そしてまた、あわせて浸水対策もやらなきゃいけない、管も老朽化してくる、そういうことでの下水道の課題というふうになってきたならば、相当の時間と、財源的にも手当てしなければいけない。越流水を出さないためには大体数兆円の事業費がかかるのではないか、こういう新聞報道もありますよね。どこから出たあれかわかりませんけれども、私は決して間違った数字じゃないというふうに思うので、大変気の遠くなるような気もしないではないんです。
 そこで私は、なぜそういうことを前段にくどくどいったかというと、私はそのためにも下水道が今までのように−−雨水ですよね。今、汚水は基本的には既に一〇〇%概成できて、二十三区内、処理できる。都民の期待にこたえている。問題なのはこれから後で−−私はきょうはもう時間がないので、開発絡みのことがあるので、その汚水の処理も、これからのこんな大変な東京の開発をやったらばどうなるかということはあると思うので、それはきょうはさておいて、今の場合においては一〇〇%概成して、少なくとも家庭だとか、そういう汚水の処理はできる。問題なのはやはり雨水、これをどう処理していくか。合流式は、集中豪雨や雨が降れば、それが一遍に下水に流れて、処理できないのが当然海や川に吐き出されるというふうになって……。まずそこの下水管に入れる前の雨水対策というか、雨水処理を徹底的にやることが肝要というのが、私の従来からのいろいろな点で問題提起して取り上げてきたことなんです。
 それをきょうはまた繰り返すわけじゃありませんけれども、下水道の立場から見ても、今までのように降った雨の水を速やかに下水管で導入して、処理して、集めて海や川に流すということからの、一つは下水道としての発想転換というか、そういうのが一部というか、大分旧来の下水道法なども変わりましたし、そういう取り組みが行われているというふうに思うんですけれども、私はまずそこが先にありきというか、そこを徹底的にやるべきだ。そうじゃなくて、大雨が降った、水害も出る、それに対してはさっきいったみたいにいろんなこともやらなきゃいけない。なおかつ下水道に入ってきて合流式が持つ弱点があるから、それも何とかため込んで徐々に流さなきゃいけないとか、集めた後でのいろんな、だからさらに大きな下水管をつくらなきゃいけないとか、ポンプ所だとか、やれこういう事業だという点においては、本当に気の遠くなるような、繰り返しになりますけれども、大変なことになってくる。
 そこで、だからまず下水道管に入れない対策として、今までも総合治水とか雨水浸透とかいろいろな取り組みが行われていますけれども、それがどうもばらばらというか、定量的になかなかその効果の実態をつかんでいない。それは確かに大事なことです、下水道局も、後でもちょっと触れたいと思うんですけれども、こういうこともやりたいと。また事実、ほかの局にも呼びかけて雨水対策はやっていますよというわけですけれども、やっぱりその効果というか、それが思うように上がっていないという立場から、一つには雨水浸透といいますか、どのような効果というか、下水道局として、つまり下水管に大雨が入ってこない、私はそのためには雨水浸透式というか、雨水抑制というか、そういう事業だというふうに思うんですが、ちょっと抽象的ですけれども、とらえているのか。
 さっき局長さんの決意においても、そこは大事なんだということがありましたけれども、改めて私は、そこが一番やはり−−そこがといってはおかしいんですけれども、受けてから処理するやり方を考えるよりも、その取り組みの対策を今とるべきじゃないか。これは下水道からほかに呼びかけるとか、そういう総合的な計画を持つべきじゃないかというふうに思うんですけれども、ご見解をまず伺ってから、さらに質問したいと思います。

○大矢計画調整部長 浸透貯留に関する取り組みについてのお話でございますけれども、中小河川における総合的な治水対策の中では、公共施設及び大規模な民間施設用地に設置する雨水流出抑制施設によりまして、流域平均で一〇ミリ程度を分担するということを目標としております。このため、都の関係する局及び市町村で構成する総合治水対策協議会がございまして、取り組んでいるところでございます。
 また、下水道で使われている場合の貯留浸透による効果はどうであるかというお尋ねでございますけれども、当局が一部導入しました雨水流出抑制型の下水道の浸透の効果につきまして調査した実績によりますと、下水道管へ流入する水量が、通常の整備と比べまして二〇%ほど減っているという事例としての報告がございます。

○松村委員 私の地元、練馬のことで恐縮なんですけれども、高橋委員もおられますが、合流式ですから、それに見合った河川が改修されていないと当然下水道が敷かれないということで、さんざん私たち、高橋委員も含めて練馬は苦労をして、それで、この前も決算のときに紹介させていただきましたが、きょうは藤田部長もおられますけれども、徹底的に雨水流出抑制型の公共下水道というものを実験していただきまして、たしかあのとき白子川の河川ののみ込み量は一〇ミリ前後だったと思うんですが、三〇ミリ改修がなくても、大体それを徹底することによって、下水道が普及できたという体験的な結果を持って、相当この雨水流出抑制型を、そのときには公園とか学校とか公道、そういうところに徹底してやったおかげで、確かに今おっしゃるように、二〇ミリぐらいの雨量をカットできているということはいえると思うんです。
 さらに、後段の、私もこれは当局のホームページで見させていただきましたけれども、都市整備公団がやっている昭島のつつじが丘団地、ここでのモデルともいえるような実験。練馬もどのぐらいか、もっと定量的に把握してほしいといったけれども、なかなか、このぐらいといえるけれども、とらえられていなかったのですね。私はその資料を探していたら、ちょうどこの昭島市の都市整備公団がやっている団地では、一方においては徹底的な雨水流出抑制型の施設をつくっている。そのもう一方の隣には、そうじゃないところ、それを十五年間ずっと比較して、どのぐらいの流出係数の差があるかという点では、その公団は、同じ隣接地に降った雨、降雨量の下水道管に入る流出量が六分の一だというんですね。
 今、それは一つのモデル的にやっているところでしょうけれども、やればそのぐらいの効果がある。そういうことが本当にできれば、私は前段いったように、降った雨の水、それが例えば下水管でものみ切れない、そして溢水するという、そういう水害対策にとっても−−水害対策でこの間、雨水流出抑制をやるべきだということを徹底して追求してきたわけですけれども、これは今いった合流管に入って越流水を起こすということも防げるわけですから、私はそういうことも減らしていくというか、起こさないで済むということが、これは夢物語じゃなくて、できるというふうに思うんです。
 しかし、ちょっと聞きたいことは、大事だ、そういうことも必要なんだ、それぞれ個々でやっている、努力はしているんだといっても、果たして雨水処理まで引き受けなければならない−−河川までかもしれませんけれども、その中に下水道が入るわけですから、下水道の立場として、今どのぐらいの事業がオール都庁でというか、都内で、区も入れて進んでいるのか、また今後、それがどのぐらいの効果が上がるような取り組みの計画があるのか、さらには、下水道局としてもどういう形を促していきたいのか、ちょっと大きな話になりましたけれども、そこら辺の考え方について再度部長さんからお答えいただきたいと思います。

○大矢計画調整部長 先ほども一部ご説明をいたしましたけれども、都内の中小河川におきまして、総合治水対策の一環として、流出抑制施設が関係機関、総合的に取り組まれております。流域平均で一〇ミリ程度ということが目標になっているということでございます。
 当局の取り組みでございますけれども、従来から浸水対策として雨水浸透ますなどの設置をしてきているところでございまして、先ほど立石副委員長のご質問に局長がお答えしましたとおり、浸水対策とともに、合流式下水道の改善としても効果的な雨水貯留浸透事業について、助成制度を持つ区などとの連携を強化して、これからも取り組んでまいりたい、そのように考えております。

○松村委員 私、最初の事務事業の−−私も常任委員会の公営企業委員会には初めて入りましたので、今後の課題としても取り上げていくので、きょうはこの程度にしたいと思っているんですけれども、大体、都市計画局だとか河川部だとか環境局だとか、いろんなところでやっていますけれども、実際、私は今までいろいろな立場からの質問をしたりして、定量的に本当に把握されていないというか……。やはり行政ですから、はっきりこのように物が見えて、こうなるんだ、それをやれば今いった下水道の越流水のそういうこともなくなるんだ、また、このもとで浸水被害もなくせるんだ。それから今、再構築ですけれども、新たに全部つくりかえるよりも、皆さん方も研究しておりますが、その合流管が古くなっても、その中に新たに通して、少し管径が狭くなっても、私は十分そういう技術をもってできると思うんですよ。ただ、それ以上に管を、さらに今の合流式では、降った雨の水を同じ管でのみ込まなければいけないという発想に立てば、新たな別の大きな管に取りかえなければならないという、そういう再構築になるのかという、乱暴ないい方ですけれども、そのぐらいの違いが出てくると思うんですよ。
 ですから、私の決意としては、もう下水道局としては一切雨水は入れさせないぐらいの決意、それはどこか別の手だてでやるとか、またはやるんだったら、それだけのいろんな開発者負担を取るとか、そのぐらいの決意を持って、とにかく全体での総合治水というか、やるべきじゃないか、そういうことを最後に意見として申し上げます。
 きょうは新たな貯留事業のシステムづくりもやるといっていましたけれども、一方、都市計画局が−−もう練馬なんかもそういう経験を持っていますから、一生懸命都に呼びかけて初めてつくってもらったんですよ。恐らく私は練馬から意見を上げて、これは非常に効き目があると。しかし、区だけでは各家庭の雨水貯留の事業を進展できないから、独自のそういう制度をつくってもらった。ところが、もうこれを都市計画局ではやめて、区市町村任せにするとか、そうしたら、一方、皆さん方もその貯留事業が大事だから新たにシステムづくりを行うとか、これは皆さん方の責任じゃありませんけれども、本当にちぐはぐした取り組みなんですよね。
 そういう点では、改めて下水道局の立場からの今いった点、要望しておきますけれども、そういう検討といいますか、研究を行って、またしかるべき時期に私は質問したいと思いますので、お答えいただければと思います。
 ちょっとまとまりませんでしたけれども、以上で終わります。

○福士委員 それでは、私も初めての委員会ですので、ざっとお伺いをしておきます。
 下水道事業といえば、汚水処理とか浄化は頑張ってこられたのかなという気はしないでもないですが、下水道事業の中で、今、松村副委員長もおっしゃいましたけれども、雨水対策というのは重要な比重を占めているというふうに私も思っております。
 これまでの雨水対策というのは、河川のはんらんを防ぐために大金を投じて貯水池をつくったり、調節池というのですか、つくったりしてためておく。そして、その後、水をだっと捨ててしまうという、一般的にお水を捨てるという発想がとられてきていますね。しかし、水に対する考えも、早くから環境保護の観点で再利用を有効に進める。例えば、屋上緑化もそうですが、屋上に雨をためて、それをトイレのお水に使うというような再利用も含めて、有効に活用してきた地域もあるわけです。
 そういうことを考えると、今、下水道局だけで何かを考えるというのはとても無理みたいなので、他局との連携も含めて考えられていることがあれば、大きな観点としてお伺いをしておきますので、教えていただきたいと思います。

○大矢計画調整部長 まず最初に、下水道事業の基本的な役割について申し上げたいと思います。
 汚水の排除、処理による生活環境の改善、また雨水の排除による浸水の防除に加えまして、公共用水域の水質保全という重要な役割を担っております。また同時に、リサイクルの推進という観点から、処理水を雑用水や環境用水などに活用するという取り組みも行っております。また、浸水対策としまして、貯留浸透事業も先ほどご説明しましたとおり行っておりまして、昨年策定しました雨水整備クイックプランでは、区などと、また関係機関とも連携して取り組んでいくというふうに考えております。

○福士委員 先ほど来、浸透とか貯留とかという話が出ていますが、例えば雨水ますとか浸透ます、浸透トレンチというんですかね、あれですと、杉並なんかでいえば三百平米以上のところじゃなければ雨水ますは置いてないですね。都からも補助金が出たりなんかして、結構杉並も頑張ってやってきて、建築の計画があるたびにいろいろと区の方で説明して、やりませんかというような話はやってきています。ですけれども、二十三区全体で見れば、区によって物すごいばらつきがある。それから、大きな土地がなければ土がぐじゃぐじゃになってしまいますから、浸透ますとか浸透トレンチの使える範囲というのは限られますよね。そうなると、もっといろんな方法、あらゆる方法、これ一つという形ではなくて、あらゆる方法でいろんなことを考えていかなきゃいけないと思うんですね。
 そういう意味では、今のご答弁だと、やっぱり雨水は排除以外考えられていないのかなという感じがするんですが、先ほどどなたかのご質問に対して、八月に合流式下水道について、関係六局でお話し合いをなさったということですが、そこを統合なさる局というのはどういうところになるのですか、ちょっとそこだけ教えておいてください。

○大矢計画調整部長 先ほど申し上げました合流式下水道の越流水に関する検討協議会でございますけれども、関係六局ございまして、この場合は環境局が幹事局として私どもと協力して取り組むということになっております。

○福士委員 そうなりますと、下水道局としても困ったことがあれば、やっぱりほかの局に呼びかけて、しっかりお願いねというようなシステムがきちんとできていかなければいけないんじゃないかと思いますが、その辺のところは頑張っていっていただきたいということをお願いしておきます。
 具体的にその一つの問題だけじゃなくて、あらゆる方向から、先ほど来、松村副委員長もおっしゃったように、雨をとめるという方策も含めて考えていくということを、新たな発想でやっていただきたいなと思います。下水道関係は今までが汚水処理ということも環境問題の一つですが、環境問題全体としてどれだけ新しい発想ができていくかということが大事な問題になると思いますので、私も、先ほど環境マネジメントシステムについてご質問が多々出ておりましたけれども、事業概要の文章の中でも充実していくというようなことが方向性として出されておりますので、環境マネジメントシステムの充実というのはどのようなことが考えられているのか、その辺をお伺いしておきます。

○大矢計画調整部長 先ほどご説明申し上げましたとおり、全事業所で十二年度末に取得いたしまして、事業年度中には統合したものとして取得する計画でございます。
 まず、取得したことによります具体の環境改善効果でございますけれども、処理場などで電力使用料の削減によるCO2の削減や環境改善効果に加えまして、職員の環境意識の向上、維持管理コストの縮減などの効果が見られております。
 さらに、充実ということでございますけれども、このシステムの運用の過程で、環境改善目標のレベルアップやマネジメントシステムの継続的な改善に努めるということとしておりまして、そういった意味での効果を期待しております。

○福士委員 たびたび出ていますから、余り細かいことはいいませんけれども、もっとこういうことがこういうふうに変わりましたよということが目に見えるように−−これは多分私たちが認証を取得したものを見せていただけるというのは私も知っていましたけれども、見せていただいたとしても、物すごい分厚いものの中でいっぱい数字の羅列もある中で、どれだけ理解できるかなというのがあるんですね。ですから、わかりやすく、ここがこういうふうに変わりましたというようなことがいえるような形にだんだんしていっていただきながら、実際の効力がきちんと見えるような、新しい発想も含めたものにぜひやっていただきたい。これはお願いをしておきます。
 それから、下水道局としても再生水の活用ということが書かれていまして、ただ捨てると先ほど私は申し上げましたけれども、捨てる中でも、たとえ一部でも再生水の活用ということが行われているのは大変結構なことと思っていますが、現状と将来的な活用というのについてはどのようにお考えになっているのか、ちょっとお伺いをしておきます。

○時田業務部長 再生水の活用についてお答えいたします。
 都におきましては、下水処理水を都市の中の貴重な資源と位置づけておりまして、これを再生水として業務用ビルのトイレ用水や城南三河川等における清流復活用水、下水道施設内での雑用水などに活用しております。平成十二年度のこれらの利用実績は、一日平均三十七万立方メートルで、区部における一日平均下水処理水量四百七十六万立方メートルの約八%となっております。今後は再生水の活用をさらに進めるため、再生水供給区域として新たに汐留地区などを加えるとともに、既に供給を開始しております西新宿地区等におきまして供給対象のビルの拡大を図ってまいります。

○福士委員 あともう一点、雨対策の問題点としては、話があちこち飛ぶようで申しわけないのですけれども、大雨のたびに下水管の逆流による浸水、それから先ほど来お話に出ていました、希釈された汚水が川や海へそのまま流れていってしまうというのが挙げられていますが、そういう意味でも、重要施策に浸水対策というのが言葉として挙げられていますよね。だけれども、これを拝見していても、その実態がなかなか見えてこないんですよ。
 水害対策、水循環対策として有効な雨水の貯水方式というのがなおざりにされているというのは先ほど来出ていますが、私もまさにそのとおりだと思っていて、建設局に対しても、たびたび委員会で述べてきたんですけれども、例えば墨田区における天水槽のように、個人の小さなお家、隣と隣とくっつき合っているようなところでも、あれはドラム缶一本ですから、ドラム缶のタンクを置くだけの貯水も含めて、簡便かつ費用もかからない。こういうような事業は、幾ら申し上げても都は割と無関心なんですよね。墨田区に限らず、二十三区全体にそれが広がれば、かなりの効果というか、かなりじゃなくても、ある程度の効果は認められるわけですから、やってもいいんじゃないかなと思うんですね。
 たまたま前々から申し上げていたら、この間、九月十五日の日経新聞に、皆さんのところにもコピーで回っていると思いますが、「後手に回る水対策」ということで記事が出ていました。これによりますと、雨水貯水タンクを設置している墨田区では八千七百立方メートル貯水できるまでになったというふうに書かれていて、私の十二年度の資料では八千百ちょっとでしたから、またちょっとふえたのかなというふうに思いますけれども、墨田区の面積は十三・七五キロ平方メートルぐらい。十万世帯ぐらいでこの程度やれるのだったら、二十三区で一万立方メートルとしても二十三万ぐらいになるわけですから、やってむだよねというような話でもないと思うんですよね。そのぐらい雨が降ったときに貯留ができれば、まあいいんじゃないのかなと。
 こういう事業というのは、一遍にさあっとできるようなものではありませんから、ぼつぼつ広がっていくんだと思いますから、早目に手をつけて、時間をかけて、だけれどもお金もかからないしということで、きちんとお考えになって、各区にお任せということじゃなくて、東京都としても各地域にきちんと啓蒙していく、そういうことをもっとおやりになるべきではないのかなというふうに思うんですが、この効果についてもどういうふうに考えていらっしゃるのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

○大矢計画調整部長 先生お話しの墨田区の取り組みでございますけれども、これはお客様である都民一人一人がみずから取り組むという点で、さまざまな意味の効果があるというふうに私ども考えております。しかしながら、浸水対策という点で申し上げますと、やはり五〇ミリ対策の基幹施設として、私ども、幹線、ポンプ所等、現在、鋭意整備を進めているところでございまして、基本的な施設は整備しつつ、それらの取り組みの効果も含めて考えていくというふうに私どもはとらえております。

○福士委員 今までお話しの中でも、浸透とか貯留事業とかということは事業計画の中にも入っていて、浸透といったら浸透ます、それから浸透トレンチとか、そういう細かいことも入っているわけですから、そういう意味でいえば、ドラム缶一つで、あれ一個四万五千円から五万円、工事費を入れても五万円程度のもので、そんなものでけりがつくのだったら、各区にもっとPRをしてもいいのかなと。
 墨田区の方々は雨サミットや何かをおやりになっていて、かなり大規模なこともおやりになっていますし、都市計と環境も一緒に、多分六階か何かで、都庁の会議室か何かでそういうイベントもおやりになったりして、河川も入っていましたかね、建設局の河川部も入っていたりなんかしながらやっていらっしゃるんですが、内輪で内輪でこうやっていらっしゃるという感じがするんですよね。
 下水道局としても、先ほど来いっているように、雨を入れるのをやめたら、かなり楽になるんじゃないかと思いますので、そういうことも含めて、二十三区にアピールをしていく。それから環境局なんかともタイアップしながらそういうのを進めていく。これはドラム缶だけ置きなさいよと私はいっているわけじゃなくて、屋上緑化も含めて、屋上の貯水も含めて、それからいろんな対策を各局と協力しながらやっていく対策が本当に見えるような事業を進めることを、下水道局はそれはうちの仕事じゃないよというふうに思わずにやっていってほしいなというふうに思います。都市計画局などが主になるのはわかっているんですが、都市計画局はどうしても大きな事業を抱え込んでいるということもあって、なかなか細かいところにいかない。下水道局も同じですが、そういう意味では、いろいろな発想を柔軟に取り入れることを考えられるような局になっていただきたいし、これだとお金がかからないということも含めて、もっと考慮をされてもいいんじゃないのかなと思います。
 お返事をいただいても、多分すっきりしたものにならないだろうと思いますので、これは私、要望だけにしておきますけれども、関係局六局との協議会の中でも話題にしていただければいいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 質問を終わります。

○高橋委員 後になりましたので、部分部分重複するところがあると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 それぞれ浸水対策ということで、都民生活の安全、安心を守るということで、いろんな施策を考慮しなくてはいけないと思っておりますけれども、先ほどもありましたけれども、本年、下水道構想二〇〇一の策定をして、この厳しい財政状況ではありますが、良好な下水道サービスを提供するための事業を推進することは最も大切なことだと思っておるわけであります。さきの事業説明のときも鈴木局長から、お客様の視点を持ってサービスの維持向上に努めるということを強調しておりました。都民のサービス向上の観点から考えると、都民生活の安全、安心を確保する上では、浸水対策はあらゆる方策を練りに練って、それぞれ工夫をしてこの対策に向かわなくちゃいけないと思っております。
 そこで、この浸水の関係の被害を受けた方にとっては、一日でも早く、何しろいろんな面、いろんな方策を講じてほしいというのが正直というか、誠実な願いだと思っております。
 一つ最初にお伺いいたしますけれども、大変ローカルで恐縮ですけれども、ここ数年、練馬区ではたびたび浸水被害が発生しております。その対策として、先ほど我が会派の立石副委員長からも雨水整備のクイックプランについてお話があったり、また局長からの決意をお伺いしたわけでありますけれども、同区の小竹、大泉町、豊玉、中村等々、複数の地区でそれぞれ都としてはいろんな対策をしていると思っておりますけれども、その事業の実施状況をまずお伺いしたいと思います。

○串山建設部長 練馬区内におけます雨水整備クイックプランの実施状況でございますが、ご指摘のように三つの地区を重点地区に位置づけ、現在事業を進めておるところでございます。このうち小竹町、旭丘地区では、これまでに管渠の交わる箇所を、下水が流れやすい構造に改良する工事を完了いたしております。また、雨水貯留管を設置する工事の一部につきましても、今年度中の完成を目指して鋭意進めておるところでございます。さらに、新たな雨水貯留管の設置につきましても、平成十四年度中に着手すべく調査を行っております。
 次に、大泉町地区でございますが、これまでに管渠の清掃に加え、雨水ますのふたを、雨水が流入しやすい格子状のグレーチングぶたに取りかえるなどを実施してまいりました。さらに、雨水貯留管の工事を高速道路用地の一部を借りて今年度中に着手する予定でございます。また、豊玉、中村地区につきましては、管渠を連絡して、余裕のある方の管渠を活用する工事や、管渠の口径を大きくする工事を既に完了させております。引き続き雨水貯留管の設置工事を平成十四年度に着手すべく、現在、作業を進めているところでございます。

○高橋委員 そこで、ちょっとお伺いしたいんです。ご努力は十二分にわかりますけれども、実は私、練馬区の防災課から資料をちょうだいしたんです。平成十一年七月二十一日の大雨、それからさきの十三年七月十八日の大雨、床上浸水、床下、被害というのは、今回は前回よりかはかなり少なかったんですけれども、また、都の総務局の災害対策本部からの資料を見させていただきますと、二十三区の中で練馬区が突出して被害、床上、床下浸水が出ているんですよね。努力はしていただいているのはわかるんですけれども、先ほど申し上げましたように、関係地域の人たち、都民にしてみれば大変な思いでいるわけでありまして、ことしも、特に十八日の場合は一時間当たり七〇ミリを超えるほどの−−地方で、もっと一〇〇ミリ云々ということは関西の方であったと聞いておりますけれども、その集中豪雨により練馬区、どっちかというと東部地域を中心に浸水被害が発生しました。そこで、この状況とその対応策はどのようにされたのか、お伺いします。

○前田施設管理部長 七月十八日の集中豪雨でございますけれども、練馬区東部を中心に被害が生じております。床上八十二棟、床下六十一棟ということで報告がございます。既に雨水整備クイックプランの重点地区については、先ほど建設部長から説明いたしましたように着実に推進しておりますが、今回の浸水は特に時間五〇ミリを大幅に超える集中豪雨がございまして、施設にのみ込めない大量の雨が路面を走って低地部に流れていった、このことによる被害がほとんどでございます。
 現場調査をいたしまして、それぞれ道路管理者や公園管理者と連携をとりまして、例えば雨水ますやグレーチング等、集水施設を増設するとか、あるいは清掃を徹底する、さらには雨水流出抑制施設を設置する、こういった可能な対策を実施してまいる考えでございます。

○高橋委員 積極性が見えておりますので、ご努力をお願いしたいところですけれども、これは各地域、練馬区に限らず、こういった関連の対策としては、やはり地域と都と連携していかなくちゃいけないんじゃないかと思っておりますし、またもう一つは、一歩進めて、先ほど五万円ですか、ドラム缶の話が出ましたけれども、地域の公共施設の建設にあわせて、地下に浸水対策用の施設を整備することも私は一つの方法じゃないかなと思っておるんですけれども、いかがでしょうか。

○大矢計画調整部長 土地利用の進みました東京では、下水道施設の建設用地の確保が重要な課題となっております。このため、従来より区の協力をいただきながら、公園の地下への雨水調整池の設置や公園等のシールド工事、立て坑用地への利用などを進めてきております。ご提案の公共施設の建設に合わせた浸水対策施設の整備は、有効な手法の一つというふうに考えております。今後は、地元区など公共施設管理者との連携をより一層強化しまして、地域の実情に合わせた有効な対策として検討してまいりたいと考えております。

○高橋委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 八月十九日の読売新聞なんですけれども、「局地的な集中豪雨の発生メカニズムが、都立大学の研究で明らかになった。三方向から吹き込んだ海風が練馬区付近の上空でぶつかり合い」と、そういったことで実は東京都でただ一カ所というか、練馬区に要するに豪雨の原因が、先ほど来いろいろ発言がありましたけれども、ヒートアイランド現象なのかどうか定かでありませんけれども、どうしても練馬区の集中豪雨というのは、練馬区がその通り道のような気がしてならないんですよね。
 そこで、練馬区に限らず、五〇ミリ対応、こういった下水道施設の能力をかなり上回るような豪雨がこれだけたびたび発生するようになっているわけでありまして、冒頭でお話し申し上げましたように、地域住民は雨が降るたびに不安な思いをしており、先ほど申し上げましたように、平成十一年にあって、また同じような箇所が十三年にあったというようなことで、大変不安な思いをしているのが住民の気持ちでございます。いろいろ財政の厳しい折でありますけれども、こういった下水道への排水能力をできるだけ増強するためにも、ぜひご努力をさらに一層していただきたいと思っております。
 そこで、先ほど答弁にもありましたが、要するに浸水に対する危険性を地域に知らせる、都民にいち早く情報提供をするということでいろいろな対策を考えていると思っておりますけれども、先ほど光ファイバーの話もございましたけれども、もう一度お伺いしたいと思います。

○佐伯技術開発担当部長 浸水に関する情報提供についてでございますが、下水道施設の排水能力を大幅に上回る豪雨に対しましては、下水道施設の能力増強による対応には限界がございます。ご指摘のように、浸水にかかわる情報を都民の方々に提供し、水害に備えていただくソフト的な対策は非常に有効なことではないかと我々は考えております。下水道局では下水道管渠内の雨水情報を逐次、区等に配信しまして、関連する地域の水害に、あるいは浸水に備えた防災活動に役立てていただく情報伝達システムの開発を進めております。
 このシステムは、現在整備を進めております私どもの光ファイバー網と、当局が新たに開発しました光水位計を組み合わせたものでございます。この水位計は、光ファイバーが水圧の変動に応じて敏感に反応するという特性を利用したものでありまして、また、従来の電気的な水位計と異なりまして、水没しても機能を発揮するといった特徴があるわけでございます。このように新技術を開発、導入することによりまして、的確な情報の提供ができるように、今後とも努力してまいります。

○高橋委員 河川のように、都民が直接水位を見て危険を知ることができるならいいんですけれども、下水道は目に見えないところが、その辺が一つの問題でありまして、今お話がありましたけれども、光ファイバーを使って、リアルタイムで知らせることも大きなアイデアだと思っております。ただ、重要なことは、こういった対策や取り組みをいかに都民に知っていただくかということ、すなわち、みずから行動して自分たちを守っていくというのも大変必要なことだと思っておりますけれども、そういった形で都民に直接そういったことを知っていただく、訴えていく姿勢についてどうお考えでしょうか。

○馬場総務部長 今お話がございましたように、下水道の施設の多くは地下にありますことから、なかなか日常的に意識をされにくいものでございまして、ご指摘のように、都民に直接訴えるというのは大変重要なことというふうに考えております。ことし六月ですが、雨季の時期に浸水対策強化月間を定めまして、過去に浸水被害が発生いたしました地域約三万世帯の都民を、局長を先頭に一生懸命、直接、個別に訪問いたしました。その中で、都民がみずからできる浸水への備え、あるいは浸水に対する問い合わせ先を記載をいたしました都民向けのリーフレットを配布しながら、情報提供活動を局を挙げて展開をいたしました。
 この活動は、局にとりましても、お客様であります都民の声を直接聞くことができまして、今後の円滑な事業運営を図る上で大変貴重な成果があったと思っております。今後も、都民の安全を守るために、さまざまな方法で積極的にPR、情報提供活動を展開していきたいと思っております。

○高橋委員 最後になりますけれども、今のはこれですね。

○馬場総務部長 はい、そうです。

○高橋委員 幾つか資料をちょうだいしておりますので、非常にいいなと、前向きであるというふうに評価をしたいと思います。被害を受けやすい地域の住民に直接訴えて取り組んでいくことは効果的でありますし、ぜひ今後も一層努力していただきたいと思っております。そして、都民の命と財産を守ることは都政に課せられた重要な役割でありますし、一日も早い対策をさらに一層実現していただき、安心して暮らせる東京を実現することを都民は強く望んでおりますので、ぜひ最後に、浸水対策の推進に対しまして鈴木局長の決意をお伺いしたいと思います。

○鈴木下水道局長 浸水対策についての局の決意ということでございますが、浸水被害からお客様である都民の生命や財産を守るということは、下水道事業に課せられた大きな使命の一つというふうに考えております。このため、まず幹線管渠やポンプ所、雨水調整池等の建設などの抜本的な対策を着実に推進してまいります。
 これに加えまして、雨水の貯留浸透や下水道管渠のネットワーク化など、新たな整備手法を取り入れまして、また、これの地域を重点化した雨水整備クイックプランの推進を図ってまいります。さらに、このようなハード的な対策に加えまして、お客様である都民の方々に雨水に関する情報を提供するといったソフト的な対策もあわせまして、効率的かつ早期に浸水被害の軽減を図り、安心して暮らせる東京を実現するために、職員と一丸となって事業を進めてまいりたいと考えております。
 なお、先ほどお褒めいただきました浸水対策強化月間、これはお客様との接点を大切にするといった視点からも、今後も引き続き実施してまいります。

○串田委員 広域化、共同化による多摩地域の下水道事業の効率的な運営のための単独処理区の流域下水道への編入についてお聞きいたします。
 多摩地域の下水道の普及率は九割を超え、維持管理の重要性が増しております。これまで各下水道施設を都の流域下水道と市の公共下水道とで個別に整備するなど事業を実施してきましたが、これはシビルミニマムとして下水道の整備が急がれた時代に非常に効果的でありましたが、いわば維持管理の時代を迎えた今日、多摩地域全体で連携し、広域化、共同化を図り、より効率的な事業運営を進めていくことが重要だと考えます。これまで都議会においても、都と市町における水質検査の共同実施、光ファイバーによる処理場の遠方制御、処理場相互での下水汚泥の焼却処分など、広域化、共同化の取り組みについて質疑がありました。
 多摩地域には八王子、立川、三鷹、町田市が運営管理する単独処理場があります。これらはこれまで、多摩地域における下水道の早期普及を果たし、生活環境の改善に大きく寄与してまいりました。しかし、今日では、一部の施設が老朽化していたり、多摩川の水質改善に欠かせない高度処理施設の整備に必要な敷地が確保できないところもあり、さらに、これらの処分場にかかわる処理水量当たりの維持管理費も流域下水道の処理場に比べて高く、運営に大変苦慮しております。単独処理区を有する市から都に対して、単独処理区を流域下水道に編入してほしいとの要望が出されておりますが、私も、多摩地域全体でより効率的な下水道事業の運営を図るためには、単独処理区を流域下水道に編入していただくことが欠かせないと考えております。その観点から何点かお伺いいたします。
 まず、昨年の第三回定例会において、これらの単独処理区を流域下水道に編入する取り組みについて質疑があり、都からは多摩地域の下水道行政や単独処理区のあり方等について、関係する市町村とともに検討していく旨の答弁がありましたが、その後どのような取り組みを行っているか伺います。

○広瀬技術部長 ただいまお話にありました昨年の第三回定例会の質疑などを踏まえまして、東京都は都市計画局を中心に、今後の多摩地域全体の下水道事業のあり方について検討をするため、本年七月に多摩地域の下水道事業のあり方に関する検討会を設置いたしました。当局は都市計画局とともに事務局となりまして、総務局を初め、関係局や多摩地域の全市町村と一緒になりまして検討会を進めております。その中では、未普及区域の早期解消や浸水対策など今後の事業の進め方、また、都と市町村との連携によります事業の広域共同化や単独処理区のあり方など、経営の効率化についても検討をしているところでございます。

○串田委員 単独処理区の流域下水道への編入について、下水道局は、その検討会の中でどのようなかかわりを持って検討を進めようとしているのか伺います。

○広瀬技術部長 単独の処理場で処理していました下水を流域下水道の処理場で処理するためには、編入する場合の送水管のルート、処理場の用地や処理能力、また、新たな施設整備など、さまざまな事柄につきまして市町村とともに検討する必要がございます。当局では、これらの事柄につきまして、蓄積しましたノウハウを生かしまして、技術的な側面から検討を行っております。

○串田委員 効率的な運営の観点から見て、単独処理区の流域下水道への編入にはどのような課題やメリットがあるのか、それについてどう考えているか、お伺いします。

○広瀬技術部長 まず、編入に当たりましての課題でありますが、先ほどお話しいたしましたように、受け入れ側の処理場の施設能力などのほかに、地形等の制約、また、新たな建設投資に伴う都と市町村との財政負担などがございます。一方、メリットとしましては、スケールメリットによります維持管理費の抑制、下水処理の一元化による安定した処理水質の確保ができることなどが考えられます。
 当局としましては、関係部局や市町村と連携しまして、これらの課題やメリットについての技術的な検討を行いまして、その内容を、先ほど申し上げました多摩地域の下水道事業のあり方に関する検討会に反映させてまいりたいと考えております。

○串田委員 検討会において先頭に立っていくのが多分流域下水道本部と思いますが、流域下水道本部の今後の編入に向かっての決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

○藤田流域下水道本部長 流域下水道事業は、それぞれの市町村の境界を越えて、河川の流域を単位として広域的かつ効率的な下水の排除と処理を行っているものでございます。そうした流域下水道の基本的な役割からいたしまして、多摩地域の下水道をより効率的に運営していくためには、広域化、共同化を進めていくことは非常に有効な方法であると考えております。独自に処理場を持って下水道事業を行っている四つの市につきましても、最もふさわしいあり方を、関係部局、市町村と連携しつつ、さまざまな角度から検討しているところでございます。
 多摩地域の下水道の一層の効率的、効果的な事業運営を図り、多摩川など都民にとって貴重な水資源、水環境を守っていくよう、多摩の市長会の要望など、あるいは本日のご議論を十分に踏まえて今後とも進めてまいります。

○串田委員 では、最後になりますけれども、下水道は都民が生活して活動していく上で、永久に使っていかなければなりませんが、編入当初の負担がふえるからといって、長期的に見れば、維持管理費の低減が図られ、市町村の負担や後世代の負担の軽減につながり、今回初めて市長会としての要望も出ておりますので、単独処理区を流域下水道へ編入を積極的に図っていただくようお願いを申し上げまして、検討会をぜひ進めていだたくよう要望させていただきます。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。

○土持委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土持委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十四分散会

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